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1988-10-06 第113回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十三年七月十九日)(火曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 菊池福治郎君    理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       阿部 文男君    石破  茂君       衛藤征士郎君    遠藤 武彦君       大石 千八君    川崎 二郎君       熊谷  弘君    小坂善太郎君       近藤 元次君    杉浦 正健君       田邉 國男君    武部  勤君       玉沢徳一郎君    中島  衛君       長谷川 峻君    保岡 興治君       柳沢 伯夫君    山崎平八郎君       石橋 大吉君    沢藤礼次郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       前島 秀行君    安井 吉典君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       佐々木良作君    藤田 スミ君       山原健二郎君 ────────────────────── 昭和六十三年十月六日(木曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 菊池福治郎君    理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       石破  茂君    衛藤征士郎君       遠藤 武彦君    大石 千八君       川崎 二郎君    木村 守男君       熊谷  弘君    近藤 元次君       杉浦 正健君    田邉 國男君       武部  勤君    玉沢徳一郎君       中島  衛君    長谷川 峻君       保岡 興治君    柳沢 伯夫君       石橋 大吉君    沢藤礼次郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       前島 秀行君    安井 吉典君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       藤田 スミ君    山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤  隆君  出席政府委員         外務省経済局次         長       内田 勝久君         農林水産政務次         官       北口  博君         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産大臣官         房総務審議官  鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省畜産         局長      京谷 昭夫君         農林水産省食品         流通局長    渡辺  武君         農林水産技術会         議事務局長   谷野  陽君         食糧庁長官   甕   滋君  委員外出席者         国土庁防災局防         災企画課長   六波羅 昭君         国税庁直税部所         得税課長    阪田 雅裕君         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      森  正直君         文部省教育助成         局財務課長   遠山 耕平君         農林水産省経済         局統計情報部長 海野 研一君         気象庁予報部長         期予報課長   嘉味田宗治君         自治大臣官房参         事官      広瀬 経之君         自治省税務局企         画課長     鶴岡 啓一君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ───────────── 委員の異動 九月八日  辞任         補欠選任   石破  茂君     木村 義雄君   山原健二郎君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   木村 義雄君     石破  茂君   浦井  洋君     山原健二郎君 十月六日  辞任         補欠選任   山崎平八郎君     木村 守男君 同日  辞任         補欠選任   木村 守男君     山崎平八郎君     ───────────── 七月十九日  本邦漁業者漁業生産活動確保に関する法律案安井吉典君外十六名提出、第百八回国会衆法第一号) 八月十二日  農産物輸入反対、食糧の確保に関する請願藤田スミ紹介)(第一九七号)  同(山原健二郎紹介)(第一九八号)  牛肉オレンジ等農産物輸入自由化に関する請願魚住汎英紹介)(第二三七号)  農業政策に関する請願魚住汎英紹介)(第二三八号)  農業農村の将来展望確立に関する請願小沢貞孝紹介)(第二八七号) 同月三十日  農業農村の将来展望確立に関する請願串原義直紹介)(第六〇四号)  同(清水勇紹介)(第六〇五号)  同(中村茂紹介)(第六〇六号) 九月十二日  米の輸入反対等に関する請願藤田スミ紹介)(第八六五号)  農産物輸入自由化反対等に関する請願藤田スミ紹介)(第八六六号) 同月十六日  土地改良事業償還金農家負担軽減に関する請願外四件(安井吉典紹介)(第一一〇〇号) 同月十九日  土地改良事業償還金農家負担軽減に関する請願五十嵐広三紹介)(第一一四三号)  同(上草義輝紹介)(第一一四四号)  同外二件(安井吉典紹介)(第一一四五号)  同(五十嵐広三紹介)(第一一七二号)  同(上草義輝紹介)(第一一七三号)  同外二件(安井吉典紹介)(第一一七四号)  同(上草義輝紹介)(第一一九八号)  同外二件(安井吉典紹介)(第一一九九号)  同(五十嵐広三紹介)(第一二三六号)  同外二件(安井吉典紹介)(第一二三七号)  同(五十嵐広三紹介)(第一二九六号)  同(安井吉典紹介)(第一二九七号) 同月二十日  土地改良事業償還金農家負担軽減に関する請願五十嵐広三紹介)(第一六三一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 九月十四日  農畜産物輸入自由化反対に関する陳情書外三十二件(第五一号)  牛肉オレンジ等輸入自由化に伴う国内対策拡充強化に関する陳情書外十三件(第五二号)  農業振興基本政策に関する陳情書外四十件(第五三号)  畜産振興対策の充実に関する陳情書外一件(第五四号)  林業振興対策拡充強化に関する陳情書外八件(第五五号)  農林水産業における各種普及制度に関する陳情書(第五六号)  長期営農継続農地制度堅持等に関する陳情書(第五七号)  国営耳納山麓地区総合かんがい排水事業に関する陳情書(第五八号)  日本海西部沖合海域漁業資源確保に関する陳情書(第五九号)  カツオ・マグロ漁業経営安定対策強化に関する陳情書(第六〇号)  土地改良事業に関する陳情書(第六一号)  竹島周辺漁業安全操業確保に関する陳情書外一件(第六二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林水産業振興に関する件(昭和六十三年の低温等による農作物被害)  低温等による農作物被害対策に関する件      ────◇─────
  2. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業実情調査し、その振興を図るため  農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項  農林漁業災害補償制度に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ────◇─────
  4. 菊池福治郎

    菊池委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、政府から、昭和六十三年の低温等による農作物被害について説明を聴取いたします。鶴岡総務審議官
  5. 鶴岡俊彦

    鶴岡政府委員 お手元に配布してあります資料に基づきまして、昭和六十三年の低温等による農作物被害について御報告申し上げます。  まず被害概況でございますけれども、本年は、七月以降記録的な日照不足異常低温等の不順な天候の影響で、農作物、特に水稲について障害不稔やいもち病が多発し、東北関東地方太平洋側中心に作柄は大幅に低下しており、統計情報部作況調査によりますと、九月十五日現在、全国的には九八のやや不良、東北地方は九一の不良、中でも宮城県は八四、福島県八六となっております。  被害につきましては、都道府県からの報告は十月五日現在、宮城岩手両県にとどまっておりますけれども被害総額約六百五十億円、うち水稲が五百六十七億円と報告を受けております。それ以外の県につきましても現在被害状況調査中でありまして、順次報告が予定されております。  次に、災害対策本部等設置状況でございますが、東北関東農政局対策本部を設置しましたが、東北県等におきましても対策本部等が設置されております。私ども省内におきましても連絡体制を密にしまして、被害状況把握対策指導に当たっておるところでございます。  次に、従来行っております指導並びに現地調査等でございますけれども、七月下旬以降、ここにありますように技術対策等につきまして指導通達を出しまして被害未然防止に努めてまいりましたほか、早急に措置が必要であります具体的な対策につきましても、農業共済損害評価の適切な実施と早期支払い等について既に指導しておるところでございます。  また、農作物被害実態調査につきましても、十月一日に農林水産大臣がみずから宮城県下を視察したのを初めといたしまして、深刻な状況を示しております各県には、本省及び農政局によるチームによりまして調査を数次にわたり実施してまいっておるところでございます。  最後に、これら被害に対します今後の対策等考えでございますけれども被害状況早期把握に努めますとともに、被害実情に応じまして、災害金融制度あるいは農作物等災害補償制度等救済措置関係機関とも緊密な連絡をとりながら可能な限り早い時期に講ずることによりまして、対策に万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。  以上で報告を終わらせていただきます。
  6. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  7. 菊池福治郎

    菊池委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村守男君。
  8. 木村守男

    木村(守)委員 質問に入らせていただく前に、皆様方のお許しをいただきまして一言申し上げます。  天皇陛下の御病状の御回復を皆様とともに心から謹んでお祈り申し上げたいと思います。  さて、今年の低温等による農作物被害農家皆様方には殊に甚大なる被害を受けられていまして、心からお見舞いを申し上げるものであります。  既に佐藤農林水産大臣におかれては、十月一日に米の作況指数が最も低いと言われている宮城県に急行されまして、現地をつぶさに視察されたことを心から敬意を表します。また、我が党においては、十月三日には我が党の保利農林部会長を筆頭に岩手青森関係各県に現地視察されまして、私もそのメンバーの一人として青森県内を同行させていただきました。さらに、我が党は十月四日には伊東総務会長本部長とする冷害等農業災害対策本部を設置しておるところでもあります。佐藤農林水産大臣を初め政府・与党、農水省中心関係機関の方々、一丸となって被害農家救済のため迅速な対応に取り組まれておることに感謝申し上げるものであります。  御案内のように、このたびの低温等による農作物被害は、七月の記録的な低温日照不足、八月の熱帯低気圧、小型台風の発生による影響など、さらには九月に入っての長雨と日照不足による東 北地方中心にした農作物異常気象災害でありました。まさに深刻な事態となっているものであります。  各地の被害状況はただいま農水省担当から御説明のあったところでありまして、九月十五日までの米の作況指数では、青森岩手県が九〇、宮城県が八四となっております。十月三日までの取りまとめ被害金額は、野菜などを含めて農作物総額で、宮城県が五百七億円、岩手県が百四十三億円、青森県は公表いたしておりませんが百億円台に上ることは必至であります。特に水稲被害が極めて大きいものとなっているのであります。現在まで冷害に見舞われた東北各県では温度日照時間がいまだその後も回復されておりませんで、被害金額はさらに増大するのは確実であります。冷害による農作物の不作がもたらす農家への影響ははかり知れないものがあります。三〇%近い減反を強いられ、米価の引き下げが行われ、外圧としての米の自由化が迫ってきている中での稲作農家にとって、冷害減収による打撃は甚大、深刻であり、それがその地域経済にはね返るのも明らかであります。  したがって、この際、まず冒頭にお願いを伏して、佐藤農林大臣お尋ねをいたしますが、農家救済と来年への取り組みを踏まえた一日も早い天災融資法及び激甚災害法発動お願いしたいわけであります。発動決定については例年の十月十五日の最終作況指数状況を踏まえあるいは被害金額等を精査し、その上での決定となるとは思われますが、被害農家の心情を思うとき、被害状況最終結果はともかくとしても、発動方向ということで、お見舞いの気持ちに立ってこの際佐藤農林水産大臣から明確にその発動方向をお示しいただきたいと思います。
  9. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 心から被害を受けられた農家の皆さんにこの場を通じてお見舞いを申し上げたいと存じております。  ただいまの御質問でございますが、天災融資法発動並びに激甚災害指定ということについてのお尋ねでございます。  天災融資法につきましては、被害把握等が前提となることは御承知のとおりでございまして、目下関係県の御協力も得ながら実情把握に努めておるところであり、その作業を急がせておるところでございます。天災融資法発動の時期、内容については調査の結果を踏まえる必要がありますが、作況指数その他から見た被害状況にかんがみ、迅速かつ積極的に遺漏のないようにしてまいりたい、こう考えております。  激甚法につきましては、国土庁等関係省に私どもの方のデータをお送りし、そして今申し上げたような趣旨に基づいて運ばれることを念じております。私自身としては、そうした措置はやらねばならぬと心得ております。
  10. 木村守男

    木村(守)委員 結構であります。天災融資法はもちろん、激甚指定についても国土庁と協議の上で、そういう方向だということを明確にお答えいただきまして、意を強くいたしたところであります。  次に、そういう発動を踏まえながらも、制度資金対応を具体的にお願いしなければならないわけであります。  負債農家実情というのは、例えば五十五年、五十六年、五十八年の低温災害による天災資金自作農維持資金等借入残高は今なお重荷となっているわけであります。  ちなみに、その当時からの農家天災資金自作農維持資金等は、単純計算でございますけれども青森県を例にとれば、農家一戸平均貸付残高は、五十五年災害で四十万前後、五十六年災害で五十万余、五十八年では五十八万余となっているわけであります。したがって、この際、農業近代化資金農林漁業金融公庫資金等償還条件緩和措置を御配慮いただかなければいけないわけでありますが、その具体的な対応策を御説明願いたいと思います。
  11. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 被害を受けられた農家の過去に借り入れられております制度資金償還条件緩和についてのお尋ねでございました。  私どももとりあえずの措置として、既貸付制度資金償還条件緩和措置を急ぐ必要があるということで、昨日付で経済局長通達を農林中央金庫あるいは信連等関係機関に出しておりまして、今先生からお話のありましたような、過去の債務で既に償還の時期が来ておりますものにつきまして、償還期限延長でございますとかあるいは据置期間延長等、過去の事例も十分踏まえた上での償還条件緩和について的確な措置関係農家からの申し出があった場合にとられるように指導通達を出したところでございます。今後これをベースにいたしまして、そのような措置が確実に関係機関によって対応がなされるように指導に万全を期してまいりたいと思います。
  12. 木村守男

    木村(守)委員 何といってもこの救済のためには資金手当てが大事なわけでありまして、さらに伺って、またお願いをしておきたいことは、自作農維持資金等貸付限度額引き上げあるいは十分対応するための資金枠確保がどうなっているか、見通しですね。かつて、現行の百五十万の限度額引き上げについては、五十四年当時は特例として二百五十万までの御配慮をいただいた経緯もございます。  この際、承りますところによると、その資金枠一般枠で二十億、災害枠として、これは大蔵との話し合いを経てでなければ使えないわけでありますけれども、七十五億を持っていると承っておりますが、その辺の積極的な活用をしていただきたい、そしてこの限度額引き上げをこの際検討してもらいたいと思いますが、その辺はどうですか。
  13. 松山光治

    松山政府委員 自作農維持資金の問題につきましては、資金需要なり被害実態等を見きわめながら適切に対処してまいる、そういうのが私どもの基本的な考え方でございます。こういう立場に立ちまして、お尋ね資金枠確保の問題についてまずこれに取り組んでいく必要があろうか、このように考えてございます。  貸付限度額特例の問題につきましては、過去の発動事例が比較的限られておるというふうな実情もございますので、私どもとしましては、これから被害関係その他をよく見きわめて検討してまいりたい、このように考えております。
  14. 木村守男

    木村(守)委員 限度額引き上げ方向実情に合わせて考えるということでありますから、大臣、そういう方向で御指導お願いしたい、こう思っております。  さらに、この際被害農家にとって一番速やかにしてほしいことあるいは感謝されること、あるいは現地調査した際に最も強く直接要望を受けたことの一つは、共済金早期支払い、そしてまた仮払いをも含めたお願いであります。  御案内のとおり、被害農家はこれから年末のいろいろな支払いに追い込まれる。そしてまた、特にこのたびの冷害地域東北中心にしておりまして、朝晩はもう大変に寒くなっておる。だから、そのまま日照時間も少ない、温度も低いということが続いておりまして、もう日中でもストーブをたいたりこたつに入らなければいけないという気象が今続いておるわけでありまして、そうでなくても東北地方はこれから寒さに向かうわけであります。その寒さに耐えながら、その日暮らしさえもめどが立たない、そういう困窮状況に今落ち込んでいるわけであります。したがって、この農業共済金早期支払いは何としても実現していただきたい、仮払いをも配慮してもらいたい、こう考えるわけであります。これは、佐藤農林水産大臣からその点についての確かなお答え、積極的なお答えお願いします。
  15. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 現在、農業共済団体等において悉皆調査等によって被害実態調査しているところでございます。被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行いまして、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところでございます。また、損害評価特例措置につきましても、被害実態を見ながら適切にひとつ対処いたしてまいりたい、こう考えております。 今までやったこと、それにこの上何ができるかという知恵を出せるものなら出そうということで真剣な取り組みをしておるところでございます。
  16. 木村守男

    木村(守)委員 さすがは御尊敬申し上げておる佐藤農林水産大臣でありまして、今までやってきたこと、さらに何ができるかということを積極的に誠意を持ってやる。これが政治だと思うのです。心から敬意を表します。  そこで、恐縮でございますが、せっかく速やかにということでありますけれども、そうすると、当然共済金早期支払いというのは年内を指す、こう理解して結構でございますか。
  17. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 できるだけ早く、こういうことで今私も実務方指導しておるところでございますので、さよう御承知おきをいただきたい。いつの幾日ということを設定するよりも、できるだけ早く、一日も早く、こういう願いを込めておるわけでございます。
  18. 木村守男

    木村(守)委員 大臣のお人柄から察するに、大変十分なお答えと私は理解をいたしましたので、この点は信頼を持って、後質問をいたしません。  さらに、この低温による障害型等の不稔またはいもち病等による米の品質の低下も大変に広がってきている。したがって、九月までの作況指数では判断できない。最終十月十五日には出てくると思いますけれども、大変に不稔障害あるいはいもち病等が出てきている状況にありますので、それだけに、被害粒を控除する損害評価特例措置をもかつてやっていただいた経緯もございますだけに、この点については担当の方からで結構ですから、どうぞお示しをいただきたい、こう思うわけであります。
  19. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 先ほど大臣から御答弁をしたわけでございますが、特に損害評価特例措置につきましては、被害実態を見ながら適切に対処したいと考えております。  御案内のように、損害評価特例は、共済制度減収量という量を把握するということで制度が組まれております。一方、政府買い入れということがございますので、政府買い入れ対象にならないものをいかに共済の中で取り組んでいくかということで、従来も実績がございます。そういうものを踏まえて、特例措置が的確に行われるように対処してまいりたいと思います。
  20. 木村守男

    木村(守)委員 さらにお尋ねを申し上げておかなければならないことは、規格外米政府買い上げ措置についてであります。  これは私もふだんから非常にいろいろ考えさせられている点がある。あるいはこれは基本的な問題にも言及されていかざるを得ないのかもしれませんけれども、ここはきょうはこの低温等による被害救済のための質問を私はさせてもらっておりますから、そういう本質的なところまでは入らないで、当面の対応策としてこの点についてのお考えを承っておきたい、こう思います。
  21. 甕滋

    甕政府委員 規格外米政府買い入れお話でございました。  災害がこのような状況でございますので、規格外米をどうするかということが農家の大きな関心になっていることは承知しております。そこで、政府がこれを直接特例的に買い入れるということにつきましては、現在の過剰基調、在庫の状況等からいたしまして難しいと考えておりますけれども、このような規格外米につきましては、これから集荷団体とも十分相談をする必要があるわけでございますけれども自主流通米としての流通の道を開くことにつきまして鋭意検討してまいるつもりでございます。
  22. 木村守男

    木村(守)委員 本当に、何遍も言うようですけれども、想像以上に現地調査の結果は被害が甚大で、さらに作況状況は落ち込んでいく、こういうことが確実だと思われるわけであります。それだけに、先ほど佐藤大臣もそのお心を示されたとおり、できるだけのことをみんなでしていかなければいけないわけであります。  そういう立場から、これも基本的な問題にまで入っていくといろいろと議論の出てくるところでありましょうけれども、そういう救済対策という立場から御理解願いたいわけでありますが、他用途利用米の出荷数量軽減に特段の配慮をお願いしたいわけであります。この点については今申し上げたとおりいろいろと議論のあるところでありましょうけれども、それはそれとして、食糧庁長官から当面の対応策についてのお考えをお示し願いたい。
  23. 甕滋

    甕政府委員 災害によりまして他用途利用米の契約数量の出荷が難しくなるであろう、こういう実態が予想されるわけでございまして、ただいまのお話にもあったとおりであろうかと思います。  こういった際には、いわゆる作況調整によりまして契約数量の変更を行う道は開いております。ただ、実際に聞かれますのは、さらに、そういった程度ではなくて、それを超えて他用途利用米の出荷数量を減らさざるを得ないということがあるのじゃないかという声もあろうかと思いますが、この他用途利用米につきましてはもともと契約を結んでおります実需者との関係もございます。また、他用途利用米本来の趣旨等もございまして、そういったことからいたしますと、これをどこまでも減らすということには率直に言って難しい問題があろうかと思います。しかし、こういった災害実情でもございますので、特別に被害が著しい農家に対して何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後の検討課題だと思っておるところでございます。
  24. 木村守男

    木村(守)委員 今後の検討課題ということは、ことしの救済対応するということでは当然それを意味しておりますか。
  25. 甕滋

    甕政府委員 先ほど申し上げましたような措置は何分今度初めて検討する措置でもございますけれども、当然のことながら今次の災害にどう対応するかということで検討をさせていただきたいと思います。
  26. 木村守男

    木村(守)委員 さらに、被害農家救済のために、違約概算金の返納にかかわる利子は通年八・二五%でありますが、被害状況にもよるわけでありますけれども、減免措置を講ずる必要があると思われますが、その点についての検討はもう既になされておるかどうか、お示し願いたいと思います。
  27. 甕滋

    甕政府委員 米が減収いたしまして政府買い入れ代金の前払いとして支払いました概算金を返納しなければならなくなる農家が出るであろう、そういった場合にどうするかというお尋ねでございますが、天災融資法発動される被害の程度に応じまして一定の基準により返納金利子の減免という措置を行うことにしておりますので、今回もその線で考えてまいりたいと思います。
  28. 木村守男

    木村(守)委員 大臣に伺います。  苦しい農家実情にかんがみて、昭和六十四年度の米の需給均衡対策について軽減措置を講ずるべきと思いますが、大臣の熟慮したお考えを承りたいわけであります。  現在おおよそ二百三十万トンの在庫を抱えておるやに承っておりますが、さらに需給の見通しは消費拡大に努力しているものの進んでおりません、実効が上がりません。これからもそういう時代が続くと思われます。それなりに今まで積み重ねてきたものの政策的な継続性が基本的に崩れてはならない、そういう点は承知するわけでありますけれども被害農家救済あるいはその地域の経済にはね返るいろいろな点を総合的に判断した場合、一つの政策を進めていかなければいけない、苦しい中での選択を私たちは今やって進めてきている、それなりにそれはわかるわけでありますが、それをぎりぎり踏まえながらも、災害という特別の深刻な、その日暮らしもできない、あるいはそれがはね返る地域経済を踏まえた場合、この際、特別の事態と心で受けとめる、そういう行政が今必要かと思います。そこで初めて政治が成り立つ。  先ほど、冒頭、佐藤農水大臣は、本当にできる限りのこと、今までやれたこと、さらに何がやれるかと踏み込んだ積極的なお心を示された。その姿勢に立って、やはり、私が言うまでもなく、政治は信なくば立たずであります。苦しいときに本当の信頼が生まれてくるわけでありますから、そ ういう意味での来年度の需給均衡対策の軽減措置を講じるべきと思いますが、その考え方あるいは具体的なおおよその考えがあるならばお示しをいただきたい。
  29. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今日の事態を認識しておられるただいまの御発言につきましては、私も同感でございます。であればこそ、水田農業確立対策これあり、また、ことし、来年に向けての緊急対策これあり、関係者の皆さんには大変な苦労をしていただきながら御協力を賜っておる中で、あなたの認識と同じように、依然として持ち越し在庫が高い水準にある、同時に消費は伸び悩んでおる、減退をしておる、極めて残念な事態にもなっております。  そういう中にあって、このたびの災害との関連でどうかと言われれば、先ほど農業共済の御質問のことで私がグローバルに触れました、今までやった措置、それに加えて何ができるかということを真剣に考えていこう、この姿勢を明確に申し上げた次第でございますが、そういうことをやはり考えなければならぬ。特に、さらに具体的に何かと言われれば、やはり生産者団体と行政とが一体となって検討する、推進をしていく、このことだけは基本線として堅持をしてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  30. 木村守男

    木村(守)委員 この際、大蔵省にお尋ねをいたします。  被害農家実態に即して、減免措置お願いしたいわけであります。時間がありませんから、端的にその一点だけをお尋ねいたします。
  31. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 農家の方に納めていただいている国税、主として所得税でございますけれども、この所得税は、申し上げるまでもありませんけれども農家の場合でございますと、農業から得られる収入、それから必要経費を引いて算出される所得、これに対して課税されるということになっております。したがいまして、異常気象によりまして農家の収入金額が非常に減った、あるいは必要な経費がふえたというような場合には、課税の対象とされます所得金額、これは自動的に減少するという仕組みになってございます。  なお、この収入及び支出の実額の計算が大変難しいという農家の方も少なくございません。その場合は、委員承知かと思いますが、農業所得標準を目安に所得を計算するというようなことになっておりますけれども農作物被害がある場合の農業所得標準の作成につきましては、従来からその被害状況を十分に調査する、それから被災農家実態に即して農業所得標準を作成するというように努めてきておるところでございまして、本年につきましてもきめ細かく適切に対応したい、かように考えております。
  32. 木村守男

    木村(守)委員 ありがとうございました。  この際、要望しておきますが、特に青森県あるいは太平洋側から、あるいはオホーツク海の方から入ってくるやませという気象に非常に困っていることが毎年ある。このやませ地帯のやませ対策というものの技術的な研究といいますか、それを促進していただきたい、これを要望しておきます。  このたびの災害については、佐藤農水省大臣初め、農林当局あるいは関係機関が大変に速やかに御努力されていることを感謝申し上げます。先ほどの大臣答弁にありましたとおり、救済対策の柱である天災融資法発動激甚災害法発動という方向で先ほどの御答弁をいただきましたけれども、速やかなる対応をさらに御努力願うことをお願い申し上げ、大変に恩情ある御説明、御答弁に感謝し、私の質問を終わります。委員長、ありがとうございました。
  33. 菊池福治郎

    菊池委員長 竹内猛君。
  34. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、日本社会党を代表して、現在深刻化しつつある東北地方中心とする冷害救済に関連をする諸問題について質問をいたします。  社会党は、去る九月二十六日に、九月十四日、米国精米業者協会が米国の通商代表に対して、我が国が米の輸入割り当てを開始することを求める提訴をしたことに関連をして三項目の要請を農水大臣にいたしました。このことについては文書を出してありますから中身には触れませんが、このときに八項目の冷害に関する申し入れをいたしたわけであります。同時にまた、社会党としては三班を構成して現地調査を行っております。そういう中で佐藤農水大臣がその申し入れに対して十月一日に東北地方を視察をされるという形で実行されたことに対しては、言行一致ということでまず評価をしたい。大変御苦労さまであったということです。  それから、農水省現地調査を幾つかしていますけれども、茨城県、秋田県、群馬県を除いているが、六県を調査なされたことも評価をしたいと思いますけれども、茨城県もかなり被害があることを考えると、そういうのを抜くということは、群馬県もそうですが、これはやはり穏やかでない。そういう点で、まず現地調査の感想、所見をお尋ねしたい。
  35. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先般、宮城県を視察、調査いたしましたにつきましては、また格別の御評価をいただき、恐縮いたしております。  私からいたしますれば、被災地全部を見たい気持ちであるだけに、また宮城県だけにとどまっておることを申しわけなく思っておりまして、先ほどの質問者に対しましても、被害を受けられた全部の皆さんにお見舞いを申し上げた次第でございます。  一口で申し上げますれば、東京でテレビも見ております。新聞も読んでおります。また、地方農政局を通じ、あるいは各県から、それぞれの被害関係者から、あるいは各政党からいろいろな御意見を実は承っております。しかし、役所で座って聞いたり見たりしておることよりも、現地で見た実感は、感想は何かと言われれば、やはり見てよかった、大変現地にはお騒がせしたけれども、真剣な、また深刻な状況に触れ、いよいよ私どもが努力しなければならぬ、そういう強い感じを持ったということを申し上げておきたいと思います。
  36. 竹内猛

    竹内(猛)委員 佐藤農水大臣はもともと土に生まれて土に帰るということが哲学のようだから、土を大事にし、そこに働く農民を大事にしてもらいたい、こういうことをまず冒頭に要請をいたします。  次いで、気象庁にお尋ねをしますが、去る五十五年の東北地方冷害も異常気象によるところのものであり、天明の凶作に続くものである。特に、明治三十五年、同三十八年及び大正二年の三大冷害の年に続くとも劣らない、こういうふうに言われておりますが、朝日新聞のきょうの記事によると、農水省も五十五年の冷害を上回る被害が出ているのではないか、こういうふうに新聞が書いている。だから、依然として天明時代から今日まで冷害が同じような形で同じところに発生をする。各地の気象台が開設して以来の記録的なものである、こういうように言っておりますが、これをめぐって社会不安と混乱を多く招き、いろいろなところで大変心配をしている向きがある。  そこで、気象庁は、五十五年に農林水産委員会で我が党の田中恒利委員質問に菊池課長が答えております。今日までの異常冷害について科学的な分析をしておるけれども、私どもが村や町に行ってみますと、冷害について大変不安がある、今後どう対応されるかという質問に対して、気象庁の長期予報課長は、異常気象は特に例年に比べて多いということではない、大体あちこちに発生をしているというように言われておりますが、これについて原因としては、学問的にはブロッキング現象だ、こういうふうに言われている。ほかにも原因があるかもしれませんが、そう言っております。したがって、そのメカニズムについては今から検討しなければならないという形で、その検討については昭和五十四年の十月に気候問題懇談会を発足させた、また各方面の学識経験者や各省庁の関係者等職員とともにいろいろ検討しているということと同時に、本年七月十日には気候調査企画室というものをつくって、そこで全力を挙げてこの問題については検討した、こういうふうに答弁をしております。  本年は六十三年で既に八年を経過している。この八年の経過の中に、五十八年にも同じような被害がある。場所はやはり東北地方であり、太平洋岸であり、あるいは奥羽山脈を中心とした地域であるわけでありますから、常に同じところに同じような被害が発生をしているという現象、これをどういうようにとらえて、そしてそれに対してどのような答えが出されているのかということについて、気象庁からその間の検討内容について報告をしてもらいたい。
  37. 嘉味田宗治

    ○嘉味田説明員 説明させていただきます。  この夏を振り返ってみますと、六月下旬ごろから不順な天候が続いておりましたけれども、特に七月の顕著な低温というのが特徴的でございました。この低温は、先ほど先生もお話しになりましたが、オホーツク海付近に発生したブロッキング高気圧から吹き出します寒冷な北東気流によるものであるというふうに分析いたしております。  その後の取り組みでございますが、冷夏など持続的な異常気象を引き起こす大気現象には、大気の運動だけでなく、海洋や地表の状態あるいは雪や氷の分布の状態などが重要でございます。気象衛星など最近の観測技術の進歩によりまして、これらの全地球的な観測が可能になりましたし、データが蓄積されてまいりましたので、気象庁においてもこれらのデータの総合的な分析あるいは研究に取り組んでいるところでございます。  また一方では、より客観的な力学的方法による数値長期予報技術の開発も推進しております。これらの研究には多くの種類の観測データの全地球的な規模での収集、分析が必要でございます。また、この研究分野が非常に多岐にわたるとともに研究が大型化いたしまして、国際的な協力が必要になっております。このため、世界気象機関では昭和五十八年から長期予報研究計画というのを設けまして、国際的な協力によって異常気象のメカニズムの研究開発を進めているところでございます。気象庁におきましてもこの計画に積極的に参加いたしまして、国際的に情報の交換を行うとともに、長期予報技術の改善を図っているところでございます。  それから、気候変動対策にどのように取り組んでいるかということについて簡単に御説明いたします。  気象庁では、昭和五十六年四月に、気候変動対策を総合的に進めるため気候変動対策室を設けまして、同年六月には、気候資料の整備、気候変動の予測法の確立、気候情報の社会経済活動への有効利用及び政策決定への活用を目的といたしました気候変動対策基本計画を作成いたしまして、業務の推進を図っております。  それから、昭和五十四年十一月から、気候問題懇談会を開催いたしまして気候問題に関する調査検討を行っております。五十六年八月から、気候情報の行政面への利活用を図るために気候変動対策関係省庁連絡会も開催いたしております。  また、五十七年四月に気候変動の機構解明、メカニズム解明と気候に関する研究の推進を図ることを目的といたしました気象庁気候研究基本計画を策定いたしました。特に、六十二年には気象研究所に気候研究部を新設いたしまして総合的な研究を進めておるところでございます。さらに、異常気象や気候変動の実態を周知するという目的で「近年における世界の異常気象実態調査とその長期見通しについて」という表題で昭和四十九年より五年ごとに作成しておりまして、その第四報を六十四年三月に発表することといたしております。また、本年九月三十日に設置いたしました気候問題懇談会温室効果検討部会においては、温室効果気体による気候変動と異常気象との関連性についても検討することにいたしております。  以上でございます。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大変あれこれと研究室を設けて努力をされていることはよくわかるけれども、その割に成果が上がらない。依然として同じところに同じような被害が生ずる。そうすると、いわば気象というのは人間の体に例えれば一つの病気なんですね。それが宇宙の関係なのかあるいは海洋の関係なのか、風の関係はよくわかりませんが、これは日本だけじゃないですね。ことしはアメリカの西南部も非常に気象現象が悪い、中国にもいろいろな現象がある、こう言われている。そういうときに、日本の場合には常に北海道の津軽海峡から始まって青森県、岩手県、宮城県、そして福島県の太平洋側の地域、それから奥羽山脈を中心とした周辺、そういうところにいつも同じところに同じような被害が生じている。そして、その人たちは三年か五年ごとには常にこのような思いをしなければならない。そういうときに、一つの病気なんですね、それを診断をするための手続としていろいろなものをつくったのはわかるけれども、処方せんが出てきてこれを治してもらわなければ困る、何とかしなければ。治らないならそれじゃどうするか。これは不可抗力のものなんだから、もうそういうところでは物をつくるのはちょっと遠慮してもらって別のところで何かしようじゃないか。これぐらいのことを大胆に言わなかったらいつもいつも同じような議事を繰り返すにすぎない。そういう点では、気象庁、もう少し予算でも何でもとって、もう少し規模を拡大して大胆にやったらどうです。どうも今話だけ聞いていると形而上学的なことばかりやっていて、事実上足が下についていない感じがしてしょうがないのだけれども、どうだろう。その点はもう一遍答弁してください。
  39. 嘉味田宗治

    ○嘉味田説明員 説明いたします。  ブロッキング現象は、これはかなり前から言われておりまして、その後もかなり研究も行われております。そして、ブロッキング現象が、ある場所、特定の場所に発生しやすいということもわかっておりますけれども、さらに進んだメカニズムについては今かなり研究はしているのですが、まだ難しい面がございます。
  40. 竹内猛

    竹内(猛)委員 診断をして健康状態を調べてそれに処方せんを出して、それから健康体に変える、そういう安心をしてその地域でなお営農が続けられる、生活が続けられるということにするためには、気象庁それ自体がもう少ししっかりしてもらわないと、これは気象の信頼にかかわりますね。  きょうは、このことが目的じゃないからこの辺にしておくけれども、次に農水省。  農水省も、やはり徳川時代から東北方面には常に凶作と被害があって哀れなことが随分続いている、これについて技術会議は努力をされて、藤坂五号であるとかいろいろな品種の改良をしてきたけれども、依然として品質のいい多収穫の米をつくるという傾向があり、それが今度やられた。問題は、やはり農家の立場からすれば、物をつくることは所得を得ることだ。お金を手にしなければならない。そういうときに、物をたくさんつくったけれどもやられてしまったのでは、これはどうにもならない。そこで、技術会議というのはどの程度までこの問題について熱心に取り組んでいるのか、当時の川嶋事務局長もこの委員会でかなりいい答弁をしているけれども、その後どうもその答弁がしり切れになってしまっている。これでは困る。どうですか、農林省。
  41. 谷野陽

    ○谷野政府委員 ただいま御指摘のように、やませによる被害は何年かに一度このところ続いてきているわけでございます。このような冷害対応につきましては、東北農業試験場あるいは東北地域の公立の試験研究機関が連携をとりまして耐冷性品種の育成等に当たってきたわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、青森県の藤坂試験地におきましてはいろいろの耐冷性の品種が作出をされて、それぞれ普及に移してきたわけでございますけれども、耐冷性と食味あるいは収量と申しますものは必ずしも、これが両立することが非常に困難である、こういうこともございまして、なかなか根本的な解決になってきていないわけでございます。現在も、日本の中での遺伝資源ばかりではなく、インドネシアでございますとか雲南でございますとか、そういうところからも遺伝資源を導入いたしまして、さらに努力をいたしているところでございます。  また、ただいま御指摘がございましたように、やませにつきましては、これは何年に一度かは非常に強いものがあるという事実がございます。また、その影響につきましては、地形、地域によりまして差があることも知られているわけでございまして、やませ地帯の気象区分を明らかにいたしまして、各地域におきます営農の形態を検討するというようなこともやっていかなければならないことはただいま御指摘のとおりであるというふうに考えております。このため、冷涼な気候を活用いたしました新しい農業のあり方というものを総合的に考えていくというようなこともやってまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。  農林水産省といたしましては、昭和六十年に東北農業試験場にヤマセ対策研究官というのを設置いたしまして、各部の間の連携をとって試験研究を進めるようにしたわけでございますが、本年の十月からこれを一層強化いたしまして東北農業試験場に地域基盤研究部を設置いたしました。ここでの重点的な検討項目といたしましてやませを取り上げることにいたしておるわけでございます。今後さらに、このような体制のもとで努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  42. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ここでもやはり研究をするという段階ですね。徳川時代から今日まで同じところに同じような形の被害が来ている。これに対して適切な処置がなかなかできない、研究中、研究中、研究は結構なことですが。そこで、私どものこの質問というのは限られた時間に限られたことしか言えない。ところが、被害を受けた皆さんは逃げるにも逃げられない。どうにもしようがない。そういう人たちはそこで生活をしなければならない。非常にかわいそうですね。そういう点で、政治というものが国の平和とそれから国民の生命と財産を守る。もう一つは、安定、安全、安心、こういうことが政治の基本じゃないですか。そうすると、安心、安全、安定、そういうことからいってみたならば極めて不安定であり心配なんです。こういうものを除去するというのが政治の使命なんだ。  そこで、菊池委員長に一つお願いをしたいのですが、気象庁、農水省、技術会議、これらがやませの問題、同じところに同じ形で発生するという歴史の繰り返し、国会でのやりとり、こういうものについてひとつ資料をまとめて全委員に配ってもらって、この際、本当に国会でもいっときの質疑ではなくて、実際こういうふうに取り組んでいるんだ、どの程度まで展望できるんだということがなければ、私はやはりそこで被害を受けている皆さんに済まない、こういう感じがしますね。よろしくお願いします。
  43. 菊池福治郎

    菊池委員長 はい。
  44. 竹内猛

    竹内(猛)委員 さてその次に、先ほど自民党の木村委員から幾つかの要請がありました。全部それは私どもは賛成であります。特に、五十五年の委員会での附帯決議があります。その附帯決議の中に先ほど木村委員質問されたことは全部項目として盛り込まれている。それは、天災融資法あるいは激甚の法律、あるいは自作農資金、つなぎ資金、さらには、米のとれなかった農家に対する措置、税金の問題、あらゆることについて決議をされており、先ほど来質問したことでありますから、それを繰り返して質問するのは時間のむだだからそれは省略します。それは全部賛成です。ぜひやってもらいたいということです。  そこで、木村委員質問から漏れている問題を今度は質問します。  第一は正確な被害統計。現地の声、府県から上がってくる問題と農水省が査定する基礎との間には常にかなり開きがある。この認識というものはやはり一致をしてもらわなければ困る。これについてどうですか。
  45. 海野研一

    ○海野説明員 お答え申し上げます。  災害状況につきましては、私ども委員承知のように各地に統計情報事務所の出張所を設けておりまして、そこで常時巡回調査、情報の把握その他で災害の概況を調べているわけでございますけれども、ことしのようなこういういわば継続的な気象状況によって被害が起きる場合、これは収穫期まで被害が続く可能性がございますので、収穫期の来たものから逐次最終的な調査を行い、ある意味では一番収穫期の遅い水稲の収穫を待って早急に取りまとめるつもりでございます。  ただ、この場合私どもは、一つには概括的な被害面積、被害量の調査というのもございますが、災害の態様によりまして、また作物によりまして実測などを行いまして、いわば合計的な被害というものをつかまえるわけでございます。それでその方法は、全国的に統一した標本の抽出というような格好、さらには、積算の場合は農家の庭先価格によるというような基準でやっております。各県などでいろいろ数字をお出しになります。これは県によっていろいろな方法、いろいろな基準で調査をしておられるので、その辺の数字が違ってくるというようなこともあろうと思います。ただ、私ども調査は、最終的には出荷量その他といろいろ検証いたしておりまして、そういう意味では自信の持てる調査内容を御報告できるものと考えております。
  46. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これも五十五年のときの本委員会の質疑の中で、我が党の田中委員質問に当時の亀岡農林大臣は答えておりますが、制度としては、法律としてはもう被害に対しては最高のものができ上がっている、問題はその運用にある、本当に被害に遭った農家の皆さんが大変だということでそれに愛情のある運用をすれば、そこには情けもあるし涙もある、ところが法律ではこれはだめだといって外されていけばそれは薄情だ、こういうことになるのですね。だから、この運用という問題についてどうしても考えなければならない問題は、被害率のその基礎が、農家が求めているものと農水省なり農政局把握したものとの間に違いが大きく出てくるということは、これはお互いの信頼関係だ。農民はなるべく多くのいろいろなものを欲しがる。役所は、それはあちこちぐあい悪いということでこれを削りたがる。この信頼関係というものをどういうぐあいに調整をするかというのが政治だろうと思うけれども、なるべくその被害を正確につかんで愛情のある措置をしてもらいたいというのが私の要請なんです。そういう点で、これは政治の、大臣の答弁をひとつもらいたい。
  47. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 政治としての取り組みが必要であるという御指摘でございます。そのために本来の実務者、平たく言えば役人でない私が座らせていただいておるというふうに考えております。
  48. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それだから、役人でない私がちゃんと愛情のある措置をとってもらいたい、こういうことを言っている。
  49. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 ちょっと先を急いだわけじゃございませんが言葉が足りませんでしたが、おっしゃるとおりでございます。
  50. 竹内猛

    竹内(猛)委員 被害というのは米だけじゃないですよ。家畜のえさもありますし野菜もある、果物もある。いろいろありますよ。だから、米だけのことを言っているわけじゃないのです。農家がこれはよかれと思ってつくったものがすべてその気象のもとにやられているのですから、これは所得がなくなるのですよ。そして、その年の収入がなくなるのだから、その場合にはやはり公共事業とかあるいはどうして所得を与えるかという問題、人間の再生産と生活の再生産ができるためにどういう措置をとるかということが政治なんです。そういうことについてぜひ配慮をしてもらいたいということをもう一遍申し上げます。
  51. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 重ねての御指摘でございますが、全くそのように考えておるわけでありまして、自然災害対策ほど難しいものはない、天の利、天の害、このはざまにあって我々が、生かし生かされているものがどのような知恵を出していくかということに全力を挙げることによって信頼関係を回復していかなければならない、つないでいかなければならないと心得ておるわけでございます。
  52. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大臣が所用があって間もなく席を立たれると思いますから、大臣のいらっしゃるときに質問をしておきたいと思うのです。  二、三日前の新聞に、米市場開放について政府がケアンズ提案検討ということで、外務省の浜田政務次官が、イスラマバードですか、そこへ行って発言をしておりますね。あの発言が各新聞に大きく出されて「「3%参入」も浮上」、こういう形になっている。これはその直前に衆参で決議をして、米は完全自給をしていくということに対して反するじゃないか。同じ政府の中で、これは農水省だけじゃない、外務省の外務大臣代理の政務次官が行ってそういうことを言っている。これに対してははっきりした答えをしてもらわないと混乱しますね。これはいかがですか。
  53. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 お答え申し上げます。  ガットのニューラウンドの取り組みの一つといたしまして十月の一日から三日までパキスタンのイスラマバードにおきましてガット交渉に参加している開発途上国、先進国の主要国の代表が集まりまして、今後の取り進めについて議論をする場面があったわけでございますが、その中で日本の政府代表として出席された浜田政務次官の発言についてこれまでの取り組みとの関係はどうだという趣旨のお尋ねだと思います。  ウルグアイ・ラウンドの中間レビューというのが十二月の初めにカナダで行われることになっておりまして、その中で農産物交渉をどういうふうに対応していくかということが今回のイスラマバードにおける一つの大きな話題であったわけでございますが、そこに向けまして各国がいろいろな提案をしているわけでございまして、その提案の一つとしてのケアンズグループが出した提案の対応ぶりについて浜田次官とヤイター代表との間で話題になったことは事実でございます。この提案は各国が提案をしている中の一つの提案でございまして、我が国は御承知のように昨年の十二月に日本の立場を反映いたしました農産物交渉の提案をしているわけでございますが、こういった我が国の提案も含めて各国の提案が今後さらに討議の対象になっていく中での一つの提案としてケアンズ提案がなされている、それが話題になったということでございますが、私どもは今後中間レビューに向けて相互に全体の論議の中で議論を行っていくべきものと考えておりまして、今回の浜田政務次官はそのような趣旨で対応したものであるというふうに理解をいたしております。  なお、お米の問題につきましては、御承知のようにウルグアイ・ラウンドの中で他の国の農産物問題や農業制度が議論される場合には、我が国も米の制度も含めて討議をするのにやぶさかでない、反対するものではないという私どもの基本的な考え方は前々から申し上げているわけでございますが、この立場を踏まえつつ、今回のイスラマバードでも対応したということでございます。
  54. 竹内猛

    竹内(猛)委員 国会の決議というものがあって、米は完全自給する、沖縄のしょうちゅうの原料は若干入ってはいるけれども、それ以外のものは全部自給になっているのですね。それにあれやこれやのややこしい発言をしないように慎んでもらうようにぜひ閣議で注意をしてもらいたいと思う。大臣どうですか、それは。
  55. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 私が当委員会並びに先般両院で決議をされたそのことについて政府を代表して所信を申し上げた経緯、それらのことはすべて閣内不統一はないと信じておりますし、私としては当然のことを言い続けておるというふうに理解を賜りたいと思います。
  56. 竹内猛

    竹内(猛)委員 次に、経済同友会が提案しているものは、五年後には米の値段を半分にしよう、十五ヘクタールからの農家をつくっていけ、それで政府買い入れは百万トンくらいでいい、こういうことでどんどん財界から提案が来る。提案するのは結構だけれども、常に財界の提案というものが何年か後には現実のものになってくるわけだから、これではやはり困る。こういうものについて、国内ではやはり米というのはちゃんと守っていくんだということでなければ、これはやませより怖いんだ、やませは一定の地域のものであって、まだいろいろ研究して抑えることができるけれども、これは怖いのですね、農家がだめになってしまうのだから。これはある意味の、形の変わった災害ですよ。こういうものに対して一つのしっかりした方針を持ってもらわなければ困る。どうですか。
  57. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 経済同友会ですか、経済団体、いろいろなところで過去にもいろいろな意見が出された経緯承知をいたしております。しかし、国全体を考え、まずは我が国の食糧政策、それを頭に置いて提言をされる方は責任を持った提言をしてもらいたいものだと私は期待をいたしております。それ以上のコメントはいたしません。
  58. 竹内猛

    竹内(猛)委員 とにかく守りの姿勢から攻めの姿勢に転化をしてもらいたい。新聞に書いてあるじゃないですか、農水省はこのごろは守りの姿勢から攻めの姿勢だ。それを、国内で攻めないでいて外国に輸出するなんて言ったって、そんなものはだめだよ。ちゃんとしっかりしなくちゃいけない。その点を強く要請をいたします。
  59. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 なおただいまの、最近の報道でも明らかなとおり、また私どももそういう提言を承知はいたしておりますけれども、そのことについて若干のコメントを食糧庁からいたしておりますので、御必要とあらば食糧庁から説明をさせます。  なおまた、守るだけではない、攻めるという言葉は余り好きじゃございませんけれども、しかし、この国際化の中で日本の食糧の一つ一つについて、全部とは言いません、もちろん言いませんが、相当貴重なものである、欲しいという声も地域によっては、国々によってはあるようでございますし、近いうちにはまたパリにおける日本食品も参加する見本市等も開かれるようでございますし、そういう場を通じてでも積極的な対応をしてまいらなければならぬ。それは我が農林水産省、役所だけの話ではなく、農業団体においても、それぞれの農業者におかれても認識の一致する部分だろうと思っておりまして、そういう意味で攻めと言われれば攻め、余り言葉、私、好まぬのでございますけれども、守りだけではないと明確に申し上げておきたいと思います。
  60. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間の関係から次に進みますが、新聞紙上にちらほら見えるのは農業共済制度を変えるということなんです。そのポイント、時期、問題点、これについて明らかにしてもらいたい。
  61. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 農業災害補償制度につきまして、制度の改正に取り組む報道がなされているということに関連しての御質問でございましたが、災害補償制度農業災害に対する損失補てんを円滑に行う最も基礎的な制度でございますが、過去にも農業事情の変化等に対応いたしまして何度か制度の改正が行われてきていることは御承知のとおりでございます。一昨年の農政審の答申によりまして農政の今後の基本方向が出ているわけでございますが、それに対応してさまざまなさらに農政審の答申の基本方向に即した検討が必要になってきているわけでございますが、いわばそういった全体の見直しの一環といたしまして災害補償制度自体につきましても今後勉強していかなければいけないというふうに認識をいたしております。  具体的には、来年までの約一年ぐらいをかけまして制度そのものあるいは運用の両面にわたりまして幅広く検討いたしたいということで、各界の方々の御参集をお願いをいたしまして検討を始めたところでございます。しかし、非常に基礎的な、非常に大事な農業制度でございますので、その取り組みに当たりましては十分この制度の維持のために、慎重に取り組んでいかなくちゃいかぬというふうに考えているわけでございます。
  62. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほど、災害は米だけじゃない、私の茨城県の方では野菜と果樹が危ぶまれている。果樹の場合には、制度はあるけれども農家が余りこれを喜ばない。加入してもしなくても大したことないということで逆選択というか、している。だから、果樹が喜ばれるような制度に変えなければこれは前進しないだろうと思う。野菜については、既に研究会は持たれているけれども制度ができていない。米からの転作というものを七十 七万プラス五万ヘクタール、水田の三分の一以上を減反して果樹だの野菜だのに、あるいは飼料作物に変えていく。そういうものが被害を受けたときに補償の対象にならない、制度がないというのはおかしいんだ。そういうものをつくっていくというのが役所の役目だ。それはどうですか。
  63. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 野菜の災害対策としての共済制度を今後どうするのかという御趣旨の御質問でございます。  御承知のように現在の制度といたしましても、園芸施設の中で栽培されております野菜については、施設共済と一体となって作物そのものにつきましても共済の対象にしているわけでございます。しかし、それ以外のいわゆる露地野菜の共済制度化につきましては現在は対象になっていないわけでございますが、主要野菜六品目につきまして調査研究を行ってきているところでございます。この研究は引き続き行っていくわけでございますが、率直に申し上げまして露地野菜の共済制度への取り組みにつきましては、野菜生産のいわば特殊性から相当な限界があるんではないか。  例えば具体的に申し上げますと、野菜は御承知のように生産量の変動が価格の変動に非常に敏感に反映をするわけでございまして、災害を受けて数量が減った場合にも、それが必ずしも所得の減収に直結しない。場合によりましては、災害を受けた結果価格が高騰して、所得面では確保が可能な場合も出てくるわけでございます。  また逆に、豊作のときには価格が下落して、数量の減量がないにもかかわらず所得が確保できなくなるということから、現在の共済事故は、御承知のように災害によります作物の収量の変動をつかまえまして仕組んでいる制度でございますので、そういった点からの制約が野菜生産については非常にあるんではないか。  それからまた野菜の生産は、作期、作付の適期が比較的長いわけでございまして、災害があっても、シーズン、時期によりましては再作付を行うことによりまして収穫を回復していくという道がございます。  したがって、保険制度に取り組んでいく上では、今申し上げたような難点があるわけでございますが、引き続き調査検討を行い、勉強はしていきたいというふうに考えます。
  64. 竹内猛

    竹内(猛)委員 研究会もかなり長いわけですから、試みにどこかで試験をしてみて、そしてその報告どもしながらやっていく必要があるだろうと思うのですが、時間がないから次に行きます。  農水省の国際化に対応する農政の展開、方向というようなものを見ても、あるいはまた十月五日に予定されていた農協の二十一世紀への基本戦略を見ても、あるいは財界から出てくる要請を見ても、大体国際化に対する農業の行くべき姿というのは、規模拡大、中核農家、大型化、コストダウン、こういう方向に進んでいますね。大体そうなんだ。  そうすると、同友会は十五町歩から二百町歩と言っている。農協は十町歩から百町歩。農林省もややそれと同じようなことを言っている。日本の農地というのは五百三十七万ヘクタール、水田も畑も入れて。その中で減反もかなりしている。  そこで、一体そういうような農家というものをつくっていった場合に、傾斜地もある、それから筆数も多い、そういうようなものを一カ所に集めて、集団化して中核化していくということは大変困難。そういう煩わしいこともあるが、問題はそれをやる場合に、それから外れた農家、二種兼業農家農村に在住し、生活をしている農家というものは一体どうするのだ。災害の対象になるのかならないのか。面積からいえば、これは小さなものではあるけれども、しかし施設園芸とか花卉とかキノコとか、そういうものをつくれば収入は多い。  五十五年の本委員会の答弁によると、所得率が五〇%以上、その家計の五〇%以上占めるものについては補償はするけれども、それ以外は切り捨てていくのだという答弁をされていた。これは松浦経済局長の答弁はそうなっている。  しかし、日本の農家の中で今のような方向をとっていったら、恐らく九三%ぐらいがもう零細な兼業農家になってしまうだろう。それで一体共済制度というものはでき上がるのか、でき上がらないのか、これを一体どうしたらいいのかということについて、この問題は構造改善局かな、大きな問題ですよ、これは。どうですか。
  65. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 先ほどお話がございました農業災害補償制度の検討の中で、現在災害補償制度の対象になっている農家の今後の取り扱いについても検討することにいたしておりますが、確かに規模拡大を推進するということが構造政策の大きな課題になっておりますので、そういう見地も加味して共済制度のあり方ということを検討しなくちゃいけないというふうに思うわけでございますが、この共済制度災害対策としての性格がございますし、また、いわゆる兼業農家農業生産に占める位置づけ、あるいは農業依存度の低下等の事情の変化もございます。  また一方、農業災害補償制度の効率的な運営という要請も必然的に高まってきておるわけでございますから、そういったもろもろの要素というものを十分勘案いたしまして、今先生からお話のございましたような本制度の中での兼業農家の取り扱いの問題についても、幅広く検討を行ってまいりたいというふうに考えます。
  66. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは結局面積率でいくのか、所得率でいくのか、両方をかみ合わせるのか、こういう問題を当然伴ってくるであろうと思うのですね。だから、農業が新たな展開の方向に行くことは間違いがないわけですから、制度もそれに沿って進まなければならない。そういう点で、ぜひ新たな方向についての問題を配慮してもらいたいと思います。  最後に、先ほど要求した資料については、ぜひ委員長の方から適切に気象庁と農水省の技術会議に向かって取り寄せてほしい、こういうことを要請して終わります。
  67. 菊池福治郎

    菊池委員長 水谷弘君。
  68. 水谷弘

    水谷委員 委員各位の御同意を得て、最初に陛下の一日も早い御快癒を祈念申し上げる次第でございます。  東北方面を中心に異常低温による冷害被害が発生し、当事者の皆様方の失望、それこそ口には言いあらわせない大変な心中を察しまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。我が公明党は、この異常低温による被害が大きく広がるというおそれを抱きまして、当初からこの推移を見守ってまいりました。東北各県においても対策本部を設置したり、党本部に対策本部を設置し現地調査に参りました。大変な被害状況に私ども目の当たりに接しまして、これは万全の対策を講じて、今後の営農に少しでも意欲を損なわれるようなことのないように対策を講じなければならない、このような決意を重ねてきたわけでございます。政府におかれましても、激務の中を佐藤農林水産大臣を初め関係の各機関の皆さん方が、十月一日宮城県に現地実情調査に行かれました。その折大臣も、万全の対策を講ずるとのお約束をしてこられたわけでございますが、それらを踏まえて何点かにわたりまして御質疑をいたしたいと存じます。  その前に、今回の冷害被害の重大さ、深さ、現地でいろいろな農家の方にお伺いをいたしました。明治三十八年以来の凶作である、大変な状況だ、五十五年の冷害とはとても比較にならないような大変厳しい内容である、こういう声が伝えられたわけでございます。先ほど来から、この異常気象ともいうべき気象の問題について種々議論がございました。ことしは我が国だけではなく、アメリカにおいても、また東南アジアにおいても、気象の異常な姿というのが随所に見られてきたわけであります。このような状況の中で、やはり農業が自然との闘いの中から生産を営むという宿命を持っている、そういう上から、この気象に対する徹底した究明というものも必要であり、さらにはその厳しい環境の中で農産物を生産するという技術指導のあり方、さらには試験研究の早期に対 応できるような体制づくり、こういうものが本当に重要だなということを改めて感じたわけであります。先ほどの質疑を通じて気象庁もそしてまた農水省も、鋭意真剣に取り組んでおられる答弁がございました。大変困難な問題であろうと思いますけれども、ぜひしっかりしたお取り組みをいただきたいと思うわけであります。  それともう一つは、農業の持つ特殊性をやはりこのような冷害を契機に国民全体が認識をするということも非常に大事であろう。今議論されている農業全体を取り巻くいろいろな議論の中に、経済合理主義、いわゆる効率を求める農業という議論が非常に多いわけでありますけれども、そういう農業の持つ特殊性を国民が広く理解をし、その生産に携わる方々に対する温かい心というものを培っていく大事な一つの契機ではないか、私はそういうふうに考えるわけであります。  先ほどの質疑を通じて、各種施策について政府も万全を期すという御答弁が続いておりますが、まずこの天災融資法発動、さらには激甚の指定、この問題が一番大きな問題になってくると思います。一つの町で何十億という農作物被害が出ておる。現在、調査がまだ完壁に進んでおりませんけれども岩手県においては被害総額が百四十三億、そのうち水稲被害が百二十三億、宮城県は被害総額が五百七億、うち水稲被害が四百四十四億という、これだけの大変な被害が出ておるわけでございます。それ以外にも、私の出身であります栃木県においても、現在調査中でございますが、県北を中心に大変な被害が想定されるわけでございます。この天災融資法早期発動、そしてさらには激甚の指定について、改めて農水省のお考えをただしておきたいと存じます。
  69. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 天災融資法の適用につきましてお答え申し上げます。  天災融資法発動につきましては、被害把握等が前提になることは今先生の方からもお話があったとおりでございまして、目下関係県の御協力も得ながら実情把握に努めておるところでございまして、できるだけ作業を急ぎたいというふうに考えております。発動の時期なり具体的な発動の内容につきましては、調査の結果を踏まえて行う必要が当然あるわけでございますが、既に発表になっております作況の指数あるいは現場で実地に見た被害状況、そういったものにかんがみまして、先ほどからお話が出ておりますような五十五年冷害を上回るような被害であるというような認識も非常にあるということを我々も感じておるわけでございまして、そういう状況にかんがみまして、天災融資法発動については被害調査を待った上で正式に発動になるわけでございますが、そういう方向に向かっての迅速かつ積極的な対応に万全を期してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  70. 水谷弘

    水谷委員 その被害の掌握、把握を進める上でも、五十五年には災害対策本部農水省の中に設置をされたわけでありますが、この対策の今後の取り組み方、そのような機関を設置をし、省を挙げて明確な対策を講じていくお考えがあるかどうか、お尋ねをいたします。
  71. 鶴岡俊彦

    鶴岡政府委員 最初の報告でも申し上げましたように、私ども農政局では、被害の甚大な関東農政局それから東北農政局では既に対策本部を設けまして、被害把握あるいは対策指導に当たっているわけでございます。  また、私ども省内におきまして、当初以来連絡体制を密にしまして、各種の通達その他による指導あるいは情勢の把握に努めているところでございますけれども、また本部の設置その他につきましてもなお検討いたしたいというふうに思っております。
  72. 水谷弘

    水谷委員 早急な対応、そしてその被害実態を的確にとらえる、そして今後打つべき施策を少しでも早く打っていく、そういうためには省においてしっかりとした機関をつくり対応することが肝要だと思いますので、早期にその対応がされますように申し上げておきたいと思います。  それから、天災融資法発動等が行われた場合に、先ほどいろいろな議論がございました。融資枠の拡大の問題や貸付限度額特例の問題等々もございます。これはもちろん必要でございます。さらにはつなぎ資金の問題もございますが、私が特にお願いをし指摘しておきたいことは、既貸付金に対する対応については丁寧に、それぞれの農家の経営の実情を的確に把握されて将来に向けての営農が支障を来さないように、この既貸付金に対する各種の対応についてしっかりとした取り組みお願いしたいと思うわけであります。  この点で、現場においては生産農家が要求されるような貸付枠がどうしても設定されなかったり、据置期間延長申し出られても、なかなかそれが被害状況の程度によって、その把握によって現場で行き違いが出てきている、そういうような事例を私も伺って、そういうことのないように、でき得る限り希望に沿った対応ができますように、この既貸付金の償還条件緩和の問題については特段の取り組みをしていっていただきたい。時間がございませんから、御答弁は結構でございます。  次に、共済金の問題について、先ほども竹内委員から指摘がございましたけれども、この被害状況の評価、実際に被害を受けたその被害程度とその評価との間に若干のずれが生じてくる、これが共済金支払いに最後まで影響してまいる、その実態と評価がずれた分については農家の方が泣かなければならぬ。災害が起きて、年が明けて翌年あたりになっていきますと、大体こういう声が出てくるわけであります。そういう意味では、適正な的確な評価を行うために、これだけ広範囲にわたって被害が起きているわけでありますから、評価委員の皆さん方の御苦労というのは大変になってくるわけでありますが、万全の体制を整えて適正な評価が行われるように、この点は特に配慮し対応していただかなければならないと思うわけでございます。その点が一つ。  それから、損害評価の特別措置も当然対応されることと存じますけれども、その中でも特に問題になってくるのは、いわゆる規格外米の取り扱いの問題でございます。自主流通米としての販売を促進する、そういう方向性をまず中心に据えておられるでしょうけれども、この規格外米は、自主流通の流れになかなか乗るような品物ではないわけで、そういう状況に至ったときに政府が買い上げをする、そういう実施を検討しておられるはずでありますけれども、この点についてのお答えをいただきたいと存じます。  それからもう一つは、現地で評価委員皆様方が、大変な状況を一刻も早く適正に評価するためには大変な御努力をいただかなければならない。そのためには、評価委員の皆さん方を本当に御激励する意味でも、その皆さんの費用については心配のないように、この事務費等にかかわる問題についても万全の対応をしていただかなければならないわけでございます。  以上、三点お尋ねをいたします。
  73. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 共済金支払いの前提となります損害評価の的確な実施ということにつきましては、従来から関係機関に対して指導を行ってきているわけでございますが、今回の異常低温などによる農作物被害発生状況にかんがみまして、特に先ほどからお話がございますように、全体の被害の中で、特に地域ごとあるいは圃場ごとにもかなりな被害の格差が見られます。そういったことを十分踏まえて的確な被害把握ができるように、共済組合あるいは連合会あるいは関係都道府県に対して指導いたしてきているわけでございます。そういった損害評価の的確な実施ということについては、万全を期していきたいと考えるわけでございます。  さらに、損害評価についてのいわゆる特例措置ということで、減収量把握について、買い入れ措置との関係特例措置を行っておるわけでございますが、この点につきましても十分対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  74. 甕滋

    甕政府委員 規格外米政府買い入れお尋ねについてでございますけれども、こういった事態 の際に発生いたします規格外米につきまして、政府が直接買い入れるということについては、このところの米の過剰、在庫の累増といった事態がございましてなかなか難しいと考えておりますが、今後集荷団体とも十分協議をいたしまして、自主流通として円滑に流通が促進されますように、十分検討をして対処してまいりたいと考えております。
  75. 水谷弘

    水谷委員 今お答えございましたが、自主流通でも、それがどうしても対応できないという事態を想定して御質問を申し上げたわけでありますので、その点をしっかり検討をしていただきたいと思います。  それから、短時間でございますので万般にわたっての御質疑ができませんけれども、その中でも、局地的とはいいますが、その当事者またはその市町村にとっては、今回の冷害被害はまことに甚大であるわけであります。そういう意味では、国は六十四年、来年の転作面積の問題については、激甚な被害を受けられた市町村地域またその農家、そういう方々については相当の配慮をし対応をすべきであると考えますが、この点はどう取り組んでいかれますか。
  76. 甕滋

    甕政府委員 来年度の米需給均衡化対策について、今回の災害との関連のお尋ねでございます。  これは、今後の作柄の推移等を見きわめる必要が十分あるわけでございますけれども、先生御承知のとおり米の持ち越し在庫が高い、あるいは消費が減退しているといったように、需給事情が依然として厳しい状況にございますので、三たびの過剰を回避する観点は私ども何としても頭にあるわけでございまして、今後生産者、生産者団体と十分相談をいたしまして、過剰回避の観点からの需給均衡化対策の検討、推進を図っていく必要があると考えているところでございます。
  77. 水谷弘

    水谷委員 どうか食糧庁として都道府県また市町村に対して、この被害を受けられた農家に対する――米が過剰だから転作面積はもっと厳しくなるぞというふうないわゆる理屈、数字的な背景は、私もよくわかった上で質問しているわけであります。しかし、一番大事なところはその辺にあるわけです。来年の稲作に希望をつなぎ、そしてこの冷害の中から立ち上がっていただくことが、災害対策の一番の基本であるわけであります。そういう意味では来年の取り組みについて、希望を持てるような方向性を出していく必要があると思いますので、申し上げたわけでございます。  国土庁お見えになっておりますが、北海道の西部を中心にした八月二十四日から二十七日にかけての前線による大雨による災害、これは北海道全土で、被害総額ということになりますと、三百四十三億という現在の時点での被害状況が私の手元に来ております。その中でも農業被害、これは農作物被害だけではない総体的な被害でございますが、百三十億という被害になっております。災害救助法の発動をしたという大変甚大な災害が発生をしているわけでございます。さらには、岩手県の金ケ崎町一町で被害総額百億を超す大変激甚な被害をここも受けております。また、過疎で大変御苦労されておられる宮城県の花山村、ここも大雨による甚大な被害が出ております。激甚の指定、各般にわたる災害復旧の早期実施等々万全の対応をしていただきたい、こう考えております。  国土庁、この問題についての対応お尋ねしておきます。
  78. 六波羅昭

    ○六波羅説明員 国土庁としましては、毎年出水期を前にしまして、中央防災会議の会長名で関係機関に対して、出水期における防災体制の強化についてお願いをしておるところでございます。ことしは五月にその通達を出した後、七月、八月と非常に異常な気象が続いたものですから、八月十二日付でさらにその徹底を図るように再度通達を出したわけでございます。  八月末になりましてから、岩手県及び北海道を中心とする大雨による災害が発生しております。現在、関係省庁において災害復旧事業などの速やかな実施に努めているところであります。  農地などの被害に対する激甚災害指定について御指摘いただきましたが、現在調査を進めているところでございます。調査結果を踏まえまして、所要の手続を迅速に進めてまいる所存でございます。
  79. 水谷弘

    水谷委員 国土庁災害が発生したときに常に指摘される問題でございまして、新しい問題ではございませんが、私、金ケ崎町へ参りまして一級河川、特に黒沢川水系等のはんらん箇所を見てまいりました。ほとんどが未改修地域でございます。それが原形復旧というような形での復旧事業で終わったならば、また出水があれば、大雨があればはんらんをすることは、早晩だれが見ても予測がつくわけであります。現地の強い要望は拡幅改良、いわゆる改良復旧の強い要望が出ておりますが、それらも含めて万全の対応をしていただきたい。申し上げておきたいと思います。  それから、この冷害を受けられた農家のいわゆる所得の大変な減少、これはそのままその地域経済に甚大な影響を与えるわけであります。  自治省、お見えいただいておりますが、冷害対策として常に国が講じてこられた――大蔵の方はおいでいただいておりませんので、所得税の問題はもちろんでありますけれども地方税における減免措置、さらには特別交付税の交付の問題についても万全の対応をぜひお願いしたい。  丸森町へ伺ったときの町長さんのお訴えは、本当に農業中心のこの町が今回のこの冷害被害を受けることによって、町全体の将来に大変な不安をお持ちになっておられました。そういう意味でもぜひ万全の対応を、措置を講じていただきたい、こう考えるわけでございます。
  80. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 被災農家に対する地方税の減免措置についてでございますが、災害被害者に対する地方税の減免措置につきましては基本的な通達を既に出しておりまして、税目ごとに納期限の延長、徴収の猶予、あるいは御指摘がありました減免についてのそれぞれの考え方を示しております。今回の東北地方冷害被害に伴います問題につきましても、被害状況を見きわめながら国税の取り扱いも十分考慮に入れまして、地方公共団体に適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  81. 広瀬経之

    ○広瀬説明員 今般の冷害によります被害を受けました地方公共団体におきまして、農作物被害等によります生活再建の施策等、さまざまな財政負担を生ずることが見込まれることは御指摘のとおりだと思います。そこで自治省といたしましては、農作物被害額を初めとする被害状況、あるいは財政状況等を勘案いたしまして、当該団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、特別交付税の配分等を通じて適切に対処してまいる所存でございます。
  82. 水谷弘

    水谷委員 時間の関係でちょっと前後しておりますが、お許しをいただきたいと思います。  先ほど、竹内委員からも農業災害補償制度の問題についての御議論がございました。この災害補償法が本院において審議をされ、その改正が行われたときに、現在の共済制度全体の仕組みの問題もさることながら、先ほど議論のございました露地野菜を含めた、共済の対象になっていないものに対する被害、これをどう救済するかという検討、研究を進めるべし、そのようなことが常に付されているわけでございます。  先ほどの経済局長の答弁を聞いておりまして、特に野菜の場合は需給の関係で、災害が起きれば残った野菜の価格が高くなって、トータルとしてはいわゆる収益の減少につながらない、そういう問題もあるというような御答弁もございましたが、それはおっしゃる意味はよくわかります。しかし、広く地域全体が大きな災害を受け、そして全滅していくという事象が発生した場合は、その地域、その当事者は収入はまさにゼロになるのであります。その周辺の野菜の価格が上がるということだけでございまして、当事者にとってはこれはまさに大変な問題であるわけであります。そういう意味では、現在研究会をつくられ、鋭意そのあり方について検討を進めておられるようでありますが、これは早期に緒論を出し、対応をしてい くべきであると考えるわけであります。  例を挙げて申し上げますと、丸森町におきましては水稲被害率は五五・三%、これは九月二十二日現在でございますので、その後さらにこの被害率は大きくなってくると思いますけれども、それ以外に、特に野菜をずっと見ていきますと、例えばナスなどは八〇%の被害を受け、トマトとかキュウリも五割を超す被害を受けてきているわけでございます。そういう意味で、水稲ももちろん基幹作物であり中心でありますけれども、先ほども議論がありました、これから転作面積に見合う収益性の確保できるしっかりした農作物をそこに定着させるという意味から考えても、それらに取り組まれる皆さん方に、万が一の災害のときには万全の対応がとられているということでなければ、真剣にお取り組みをいただくわけにはいかないわけであります。  経済局長、一生懸命お取り組みいただいておるのはわかりますが、何とか取り込もう、これも対象にしていこう、どうかひとつそういう前提に立って一生懸命取り組んでいきませんと、難しさばかり羅列をされましてなかなかなじまないという議論では、私どもは承服できないわけでございますので、その点も含めて改めて御答弁をいただきたいと思います。
  83. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 農業災害補償制度の検討会の中では、今先生からお話のございましたような問題を十分踏まえて検討をしていただきたいというふうに私ども考えておるわけでございます。  先ほど野菜については、現在の災害補償制度に取り組んでいく上では野菜生産の特殊な事情からの難しさがあるということを申し上げたわけでございますが、そういうことだけで災害補償制度への野菜の取り組みを割り切っていくということについていろいろ問題があるということも、私どもも十分理解をいたしておるわけでございます。現在の災害補償制度自体が、かなり技術的に保険の理論の上にのっとった一つの相当かちっとした制度になっておりますので、そういう中に直に取り組むことについてはいろいろ難点があるわけでございますが、災害補償制度のそういう性格も踏まえながら、かつは、現在取り組まれてないそれぞれの地域での生産の実態、新しい生産物あるいは制度の対象になってない作物の生産の実態もございますし、また、それらを踏まえた何らかの災害補償への御要望もあるわけでございますから、そういうことについて何らかの対応、工夫ができないかということを制度検討会の中でも真剣に検討をお願いしたいと考えております。
  84. 水谷弘

    水谷委員 対策を講ずべき諸般の項目があるわけでありますが、時間の関係で限定した質問になりましたけれども、どうか、現在の法律、制度すべて総動員をして、災害を受けられた農家の皆さん初め、その地域、市町村、当事者の皆さん方がこれから営農に、稲作にも本当に真剣にお取り組みがいただけるような、温かい万全の対策を講じてくださることを最後に申し上げて、質問を終わります。
  85. 菊池福治郎

    菊池委員長 神田厚君。
  86. 神田厚

    神田委員 東北、北関東中心とする冷災害に苦しんでおります農家の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思っております。  きょうは、冷害対策問題について主に質問をしたいと思うのでありますが、その前に、米の輸入自由化の問題が新ラウンドの討議等を経ましてかなり動きがあるようでありますので、まず最初にその問題につきまして御質問を申し上げたいと思っております。  一つは、RMA、全米精米業者協会がアメリカ通商代表部に対しまして、日本の米市場の開放の提訴を行っておりますが、これについてその後の経過と日本の対応、この問題につきましてまず御答弁をいただきたいと思います。
  87. 甕滋

    甕政府委員 ただいまお話がございました全米精米業者協会、RMAの米問題の提訴についてでございますが、九月十四日これが行われまして、我が国といたしましては直ちに農林水産大臣の談話を発表するなど、その基本的ポジションを明らかにしたところでございます。  その中でも述べておりますけれども、米の問題につきましてはウルグアイ・ラウンドの場で、参加する各国がそれぞれの抱える困難な農業問題あるいは制度につきまして議論を行う段階になれば、我が国としても米の問題を含むあらゆる農業問題を討議するにやぶさかではないということでございまして、我が国のこういった米問題の取り扱いにつきましては、日米両国政府の間でも認識の一致を見ているところでございます。  そこで、米国政府に対しましては、これまでさまざまな機会をとらえまして我が国の米の重要性についての理解を求め、米は二国間協議の対象とはしないというこれまでの方針のもとに、米国政府が本件提訴を速やかに却下することを強く期待しており、また、そういった働きかけをしてまいっておるところでございます。
  88. 神田厚

    神田委員 それから、パキスタンのイスラマバードで開かれておりますガットの非公式閣僚会合で、日本政府を代表して外務大臣の代理であります浜田卓二郎外務政務次官がこの場で演説をして、基礎的食糧問題の市場アクセス討議は回避をしない、こういう言い方をしまして、農林省が考えております考え方と多少変わった印象を与えているようであります。  外務省から来ていただいておると思うのでありますが、この非公式閣僚会議の席上で外務政務次官は要旨どのような発言を行ったのでありますか。
  89. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  イスラマバードにおきまして、去る一日から三日までガットウルグアイ・ラウンド非公式閣僚会議が開かれましたが、ただいま先生御指摘のございましたとおり、外務大臣にかわりまして浜田政務次官が出席いたしました。いろいろな問題、ラウンドのすべての問題を討議したわけでございますが、特に農業問題に関する討議の際の浜田政務次官の発言内容は以下のとおりでございます。  第一といたしまして、我が国としてもウルグアイ・ラウンドの農業交渉の重要性ということを十分認識しているということ。  第二番目といたしまして、我が国は世界最大の農産物の輸入国である。食糧自給率が一貫して低下していく中で、牛肉・かんきつ等の自由化決定を行いましたし、また、農業の合理化推進のための支持価格水準の引き上げ等、農業改革努力を鋭意実施中である。そういう我が国の政策が、世界の農産物貿易の拡大に寄与することを期待している。  第三番目といたしまして、我が国がウルグアイ・ラウンドの農業交渉で提唱している基礎的食糧という考え方は、国民生活にとって不可欠な食糧については特別な配慮が必要であると考えている。そういうことから、そういうことを柱に置いて、長期的な農業貿易の枠組みの中で適切なルールづくりをこのウルグアイ・ラウンドの中で行っていくことが必要である。そういう新しい視点に立った農業問題のとらえ方を示唆したものが、我が国の基礎的食糧という考え方であるということを紹介され、  第四といたしまして、我が国としては、各国がそれぞれ抱えている農業に関する主要な問題が取り上げられる際には、基礎的食糧に関する議論との関連で、市場アクセスについての議論を回避しようというものではないということを述べまして、  最後に、第五点になりますが、中間レビューに向けて、この十二月にモントリオールでウルグアイ・ラウンドの中間レビューのための閣僚会議もございますが、その際に各国の異なる立場を取りまとめるという観点から提案されておりますケアンズ提案というのがございますが、この提案を含めまして中間レビューの取りまとめのために出されている各国の提案については、日本としても鋭意検討してまいりたいという、要旨その五点を述べた次第でございます。
  90. 神田厚

    神田委員 農林水産省は、浜田政務次官のイスラマバードでのガットにおけるその演説内容につ いて、事前に外務省と調整をしたのでありますか。
  91. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 今、外務省の方からイスラマバードの浜田次官の発言の要旨の御紹介がございましたが、これは、このイスラマバードの会合への対応につきましては、当然政府の外交の一環でございますから、訓令に基づいて対応しているわけでございます。それで、訓令並びにそれをベースとした具体的な演説の内容のすべてにつきまして、あらかじめ農林省と外務省の間ですり合わせをやったものをそのまま使って演説が行われているわけでございます。
  92. 神田厚

    神田委員 そうしますと、衆参国会決議では、米の輸入はしないという院議をもっての決議をしている。それにもかかわらず、ガットのこの会議に農林省自身が外務省に、市場アクセスの問題について合意をした上で演説をさせるというのは非常に問題だと思うのでありますが、いかがでありますか。
  93. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 我が国は、ウルグアイ・ラウンドの農産物交渉の取り組みにつきまして、昨年の十二月に我が国の立場を踏まえた提案を既に出しているわけでございます。各主要国は、既に我が国同様に提案を出しているわけでございます。それらの提案が、今後の交渉で当然議論のベースになってくるわけでございますが、我が国としては、日本の食糧の自給率の状況等を踏まえまして、ウルグアイ・ラウンドで合意されるべき新しい農産物の貿易に関するルールの一環といたしまして、基礎的食糧については特別なステータスが与えられるべきであるという提案を既に行っているわけでございます。  それとあわせまして、やはり貿易交渉でございますから、そういう輸入国の食糧の安定的な供給への配慮の見地に立った基礎的食糧の取り扱いというものとあわせまして、輸出国の輸出に対するいわゆる安定的なアクセスヘの期待がございます。そういうものが交渉の大きなテーマになってくるわけでございますから、我が国の提案しております基礎的食糧の議論が行われる場合には、その裏腹の問題として、アクセスの問題についても議論をするというのはいわば交渉の当然のことでございますので、あらかじめ昨年十二月の日本の提案の中でもそういう趣旨を既に盛り込んでおるわけでございまして、その日本の提案の内容をベースにした今回の対応ということで、これまでの取り組みのラインの中での対応であるということで理解しておるわけでございます。
  94. 神田厚

    神田委員 そうしますと、そういう農林省の態度は明確に国会決議に背いた外交交渉になりますね。私は、やはり事前にそういうレールが敷かれていても、国会決議があって、農林水産大臣がその決議を尊重するというように日本国の国会の意思がきちんと明確にされた場合には、それに沿って外交の変更もまたあってしかるべきであり、国会決議をしたすぐ後で、この決議に反するような外交交渉をしてその場に臨むということは、明らかに国会軽視であり、まことに問題だと思っております。大臣の御答弁をお願いします。
  95. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 私ども、一つ一つの言葉がいろいろなふうに報道され、そしていろいろな方々から変わった理解をされるということがあってはならぬと、慎重な構えを私自身いたしているところでございます。  さきに行われた国会決議、これにつきましては既に御案内のとおり、「我が国において格別に重要な地位を占める米及び稲作について、現在、生産者の多大な努力により、消費者の御理解と御支援を得ながら、需給均衡努力や合理化努力を懸命に行っているところであります。政府といたしましては、このような情勢を踏まえ、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、遺憾のないよう対処してまいりたい」、こう私は政府を代表して申し上げたわけでございます。  牛かん交渉の間に、アメリカ側において責任ある立場の方が発言をした、そのことに基づく誤解等々、釈明があったこともございます。  いずれにしても、私どもはウルグアイ・ラウンドにおいて、それぞれの国々が困難な問題を抱えてきたことは事実でございますから、そういう問題をこの国際化の中で公平に整々と議論をする、それは承知をしておる。そういうことで二国間ではやらない、ウルグアイ・ラウンドの場で整々たる議論をやりましょう、こういうことで、そういう扱いについて認識の一致を見ておるところでございますから、それ以上、それ以下のこともない、こう私は率直に申し上げておきたいと思います。
  96. 神田厚

    神田委員 時間がないので、これ以上ちょっと論を進められないのですが、私はこの問題非常に重要だと思いますから、引き続きこの問題についての一つの方向というものを出していきたいと思っております。  このRMAの問題にしましても、私はやはりタイミングを見て、外務大臣がアメリカに行けなかったようでありますけれども、外務大臣なり農林水産大臣が我が国の明確な意思を伝えに訪米するべきだという考えを持っておりますが、いかがでありますか。
  97. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 私自身は、アメリカの代表としてマンスフィールド大使が東京におられるわけでありますから、アメリカ大使館の責任ある最高の地位におられるわけでありますから、常に連絡をとりながら、言うべきことは適切に申し上げてまいりました。そして、それなりの理解も仰いでまいりました。私は、先般農林水産省の私の部屋においでをいただきまして、そして、これは従来ともこういうことになっておりますよということについて重ね重ね申し上げたわけでございますが、熱意を持ってそのことを本国に伝えます、こういう言葉もございましたことは、これはもう御案内のとおりでございます。  そういう中にあって、国会開会中でもございますし、私自身はこの時点において、アメリカで四年に一回の大統領選挙が行われているさなかに、出向く考えはございません。
  98. 神田厚

    神田委員 タイミングを見て、私は、やはり大臣が訪米をして、きちんと日本の立場を伝えた方がいいという考え方を持っております。  それでは、この冷害問題でありますが、既に各委員から御指摘がありましたように大変被災農家が苦しんでおります。その対策につきましては、それぞれ各項にわたりまして大変細かい質疑が既になされておりますので、我が党といたしましてもそれらの質問を踏まえまして、農林省がこの対策に万全を期すように特にお願いをしたい。このことを最後に御答弁いただきまして、質問を終わりたいと思います。
  99. 鶴岡俊彦

    鶴岡政府委員 私どもとしましても被害の早急な把握に努めまして、現在あります制度を十分活用して対策の万全を期していきたいと思っております。
  100. 神田厚

    神田委員 終わります。
  101. 菊池福治郎

  102. 山原健二郎

    ○山原委員 私も風水害の常襲地帯で生活をしておりまして、今回の冷害については心を痛めておりますし、また福島、栃木、宮城というふうに我が党としても調査をしてきたところですが、この問題について最初にお伺いしたいと思っておりましたけれども、今の神田委員の御質問の中で、今回のイスラマバードにおける外務政務次官の発言が問題になりまして、これは非常に重大な中身を持っているわけでございます。  この点について最初にちょっと伺っておきたいのですが、非公式閣僚会議の席上、外相代理で出席していた浜田外務政務次官が、米の輸入問題も含め新ラウンドでは論議するとの趣旨の発言をしたと報じられているわけですが、この中身が先ほどの外務省の御答弁でほぼ明らかになった、認められた形になったわけですね。これはお話もありましたように非常に重大な中身を持っておりまして、御承知のように、一歩引けば、腰を下げればずばりと切り込んでくるというこの食糧問題の今日までの経過から見まして、これは本当に重大な問題です。しかも、国会は去る九月二十日に決議をしているわけですね。これは三回目の決議です。そして、今回の外務政務次官の演説が行われましたのはその後ですから、国会の決議だって一体ど うなっているのかということになるわけです。  これについてあえて一言伺いたいのですが、この発言は、竹下総理、佐藤農水大臣を含む内閣の見解調整の上で行われたものであるかどうかという点ですが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  103. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 先ほども神田委員の御質問お答えしたわけでございますが、これは外交交渉の一環として政府の代表として行った発言でございますので、当然訓令に基づき対処方針を策定した上で臨んでいるわけでございます。訓令の策定に当たりましては、農林省、外務省等が当然事前の調整をして作成した訓令でございますので、今委員の方から御質問がありましたようなことについては、政府の一致した、統一した立場として発言がなされたということでございます。
  104. 山原健二郎

    ○山原委員 この間、九月二十日の国会決議が衆議院本会議で行われました席上、佐藤農水大臣は、この決議に従うという決意を表明されたわけですね。その決意と今回の浜田政務次官の発言とは食い違うのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  105. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど、米の問題は重大である、このたびの浜田政務次官の発言は重大である、こういうお話でございました。もとより、米の問題は重大であるという認識は、私もあなたにまさるとも劣るものではございません。そういう中にあって、先般御決議をいただいたそのことについて私がお答えを申し上げました。政府を代表してお答えを申し上げました。「我が国において格別に重要な地位を占める米及び稲作について、現在、生産者の多大な努力により、消費者の御理解と御支援を得ながら、需給均衡努力や合理化努力を懸命に行っているところであります。政府といたしましては、このような情勢を踏まえ、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、遺憾のないよう対処してまいりたい」、こういうことで申し上げておるわけでございます。  ニューラウンドにおきましては、あらゆる困難な問題をいろいろな国々が抱えておることは事実でございますから、そういう国際化の流れは流れといたしまして、その中にあって我が国が主張すべきは主張する、これは当然のことでございます。いろいろな国々がいろいろな経験と経緯に基づいて議論する中にまた米もあるということは、私は前にも申し上げておりますので、これは今新しい問題ではございません。
  106. 山原健二郎

    ○山原委員 外務政務次官は、米の輸入問題も含め新ラウンドでは論議するとの趣旨に先ほどの説明でもとれるわけです。また、新聞もそういう報道をされておりまして、これは一歩踏み込んだ発言ではないかということで多くの国民が危惧の念を持っているわけですね。しかも、もう一つ解釈しますと、例えばウルグアイ・ラウンドでの論議の結果次第では、米の市場開放、自由化もあり得るともとれる内容になってくるわけです。この問題でこれ以上時間をとりませんけれども、私は、佐藤農水大臣が今まで言われてまいりましたように、特に米の自由化はしませんとはっきりこの席でも言われてきたわけですから、その立場を重ねて表明をしていただきたいと思うのです。  例えば、米政府によるRMAの提訴の扱いいかんにかかわらず、またウルグアイ・ラウンドの論議の行方いかんにかかわらず、米の完全自給方針は堅持するというのが今までの御主張でございます。また、国会の意思でもございます。この点をこの場所でもちろん言明されていいと思いますが、これをぜひ言明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  107. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 前々から申し上げておりますように、米を自給する方針に変わりはございません。ニューラウンドでどのような議論になるか、私どもは従来の経緯あるいは日米との話し合い、そういう中にあって認識を一致しておるその中で冷静、厳格に対応をしてまいりたい。その前に二国間でどういう議論をするのか、ああいう議論になるのかどうだというようなことには、私はコメントいたしません。そういうつもりはございませんので、コメントするつもりはございません。
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 いささかでも辞を低くするということは、もうこれ以上許されない問題ではないかと思います。その意味で御答弁が私には少し物足らない思いがしますけれども、日本農業の基幹を守るという立場でぜひ毅然たる態度をとっていただきたいということを要請しまして、この問題はおきます。  次に、今回の被害実態の問題ですが、先月の二十九日に発表された指数については申し上げませんけれども、その後の推移は冷害の一層悪化を予測させるものでございまして、大冷害は必至の状況となっておると思います。また、農家の中にもしばしば、きょうも指摘されましたように、国の作況指数被害実態との間の大きな隔たりを指摘をしております。また佐藤大臣も、今回十月一日に実態調査をされまして、想像以上にひどい水田があることがわかったとコメントされておりますが、この作況実態と評価との差が出ないように改善をすべきだと思いますが、この点について御回答いただきたいのです。
  109. 海野研一

    ○海野説明員 お答え申し上げます。  水稲の作柄調査におきましては、県内の水田を収量水準、収量変動の激しさ等によりまして区分をいたしまして、穂数を数え、粒数を数えるというような調査を行うとともに、常々巡回調査、さらに広く情報を収集するというようなことで、作柄を的確に把握するように努めております。ただ、調査結果は、全国単位ないしは県単位の平均値として取りまとめるものでございますから、個別の圃場でございますとか個別の町村における実態とその平均値が違ってくるということは、これは避けられないものであるというふうに思います。  ただ、先般発表いたしました九月十五日現在の作況は、あくまでもあの時点以降の天候その他の条件が平均的に推移するならばということで出したものでございます。特に、本年のように気象が非常に不順であるというような場合には、その後の天候によって悪化するところ、回復するところ、いろいろ出てくると思いますので、その後の状況も常に解析をして慎重を期しております。最終的には坪刈りその他を行って、正確な数字を出してまいりたいというふうに考えております。
  110. 山原健二郎

    ○山原委員 この被害の深刻な実態からしまして、激甚災害指定とか天災融資法発動を早急にやれということにつきましては、もう各党の議員さんが主張されましたので、同じ気持ちでございます。また、共済金早期支払いとともに、損害評価実態に即した的確なものにすべきであるわけですが、その際にくず米は収量から除いて対応してもらいたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  111. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 くず米の問題につきましてお答え申し上げます。  損害評価に当たりましては、当然被害量、減収量が幾らであるかということをまずつかまえる必要がございますが、必ずしもその量の減量ということだけでは被害実態を十分把握することができませんで、いわゆる損害評価特例措置というのをとることに従来からなっております。今、お話のございましたようなくず米あるいは低品質米の共済制度上の扱いにつきまして、いわゆる損害評価特例措置ということで対応する道がございますので、今回の対応につきましてもそういった措置を的確に活用いたしまして、関係農家の御要望に十分対応ができるように私どもとしては取り組んでまいりたいと考えております。
  112. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんので二、三まとめて伺いたいのですが、等外米、規格外米を適正な価格で全量政府買い入れるべきであると思います。この点はこれまでの冷害の際にも行われてきたことでございまして、この点で後退をしないように要請をしたいのですが、簡単にお答えいただきたいと思います。  第二点として、他用途利用米の予約取り消しを認めまして、これを予約限度数量までは通常米として売り渡しできるような措置をしてもらいたいという要望が出ております。政府自身、昨年安く 買った他用途利用米を主食用に転用して販売しているという事実に照らしましても、農民に転用を認めないというのは筋が通らないと思いますが、この点についてぜひ実現してもらいたい。これも簡単な御答弁をお願いします。  それから、これもお話がありました生産調整の問題ですが、この冷害を初め連続四年続いた米の不作でございますし、八四年には韓国米を入れたという苦い経験もあるわけですから、これらを考えまして来年度の生産調整は緩和すべきであり、当然のことながら、今回の冷害被災地の来年度減反面積は少なくすべきであると思います。この点についてお伺いしたいと思います。  きょうは文部省においでいただいておりますが、最後に、文部省におかれましては、この冷害影響を子供の教育、進学に影響させてはならぬと思います。就学援助の追加認定あるいは高等学校等の授業料の免除、軽減などについて、国として関係自治体と協力の上進めるべきだと思いますが、文部省の対応をお伺いしたいと思います。  以上です。
  113. 甕滋

    甕政府委員 まず、等外米、規格外米政府買い入れの問題でございます。  こういった米につきまして政府特例的に買い入れることにつきましては、かつて行ったことはあるわけでございますが、近年の過剰基調のもとではこれを行ってきておりません。こういった規格外米につきましては、今後集荷団体等とも協議をいたしまして、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいりたいと思います。  それから、他用途米の予約取り消し、食用米への売り渡しといった点につきましては、災害の際に他用途利用米の契約数量の出荷が困難となった場合に、いわゆる作況調整の道を開いて契約数量の変更を行い得るとしているところでございます。これを主食用に転用するということになりますと、実需者との関係あるいは制度本来の趣旨等もございまして、難しい問題でございます。ただ、他用途利用米が、こういった特別に被害が著しい農家に対してそれだけでいいかといった点につきましては、今後どうしたらいいか、何らかの方法はないか、検討してみたいと考えているところでございます。  それから、米需給均衡化のための対策災害を受けた農家に対してどうかという御質問でございますけれども、今後の作柄の推移等を見きわめる必要はあるわけでございますけれども、基本的に現在の米需給の過剰基調、在庫の累増といった事態に変わりはないという事情もございますので、三たびの過剰を回避する観点から生産者団体等とも十分協議をして、来年度の対策考えていかなければなるまいと考えております。  以上でございます。
  114. 森正直

    ○森説明員 御質問の点の高等学校の授業料免除に関して御説明申し上げます。  公立高等学校の授業料の免除につきましては、地方公共団体の定める条例、あるいはそれを受けまして教育委員会規則において措置しているわけでございます。  例えば、災害を受けまして授業料の納付が困難になった場合など、当該生徒の授業料の全部または一部を免除し、その就学機会を確保しているわけでございます。今回の冷害に関しましても、その被害実態に応じまして、宮城県等関係県の方と私どもも今連絡をとっているところでございますが、この減免について、条例に基づく特定の規則というようなことも現在検討中でございまして、遺漏のないように措置いたしたいと考えております。
  115. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  先生もう十分御承知のように、経済的理由によって義務教育の学校に就学困難な児童生徒に対しましては、市町村の方で学用品あるいは通学用品費につきまして給与を行っているわけでございます。その場合、国は予算の範囲内で二分の一を補助している、こういう制度になっているわけでございます。  今回災害を受けたことによりまして、新たに就学援助を必要とする人が生じた場合には、その都度当該市町村は適切に認定を行い、遺漏のないよう措置するよう、従来より指導をしてきているわけでございます。今回の冷害によりまして、就学援助を必要とする人がどれくらい出てくるのか、関係各県の報告を待って適切な措置をしてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  116. 山原健二郎

    ○山原委員 冷害の推移にもよりますから、これもぜひ万般の点について遺漏のないことを要請しまして、質問を終わります。      ────◇─────
  117. 菊池福治郎

    菊池委員長 この際、お諮りいたします。  低温等による農作物被害対策に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、各党の理事間におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。  便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。     低温等による農作物被害対策に関する件(案)  今年の六月以降の異常気象は、東北地方中心として各地に甚大な被害をもたらし、被災農業者に大きな不安を与えており、事態は極めて深刻である。  よって政府は、今次の冷災害に対処し、天災融資法及び激甚災害法早期発動、つなぎ融資及び既貸付金の償還条件緩和農業共済金早期支払い被害による規格外米自主流通米としての販売の促進、予約概算金の利子の減免、農作物種子の確保等について、早急に万全の対策を講ずべきである。  右決議する。 以上でございます。  ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  118. 菊池福治郎

    菊池委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣
  119. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、被害実態を踏まえつつ十分検討し、その対策に全力を傾注して万全を期してまいる所存であります。(拍手)
  120. 菊池福治郎

    菊池委員長 なお、ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会