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1988-12-14 第113回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十三年七月十九日)(火曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 塚原 俊平君    理事 小澤  潔君 理事 田名部匡省君    理事 虎島 和夫君 理事 額賀福志郎君    理事 牧野 隆守君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       尾形 智矩君    亀岡 高夫君       久野 忠治君    佐藤 守良君       園田 博之君    谷垣 禎一君       野中 広務君    深谷 隆司君       二田 孝治君    穂積 良行君       宮崎 茂一君    森  喜朗君       渡辺 紘三君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    坂井 弘一君       鳥居 一雄君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君 ────────────────────── 昭和六十三年十二月十四日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 塚原 俊平君    理事 小澤  潔君 理事 田名部匡省君    理事 虎島 和夫君 理事 額賀福志郎君    理事 牧野 隆守君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       尾形 智矩君    亀岡 高夫君       久野 忠治君    佐藤 守良君       鈴木 宗男君    園田 博之君       谷垣 禎一君    深谷 隆司君       二田 孝治君    穂積 良行君       前田 武志君    宮崎 茂一君       阿部喜男君    伊藤 忠治君       上田 利正君    松前  仰君       鳥居 一雄君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 中山 正暉君  出席政府委員         科学技術政務次         官       竹山  裕君         科学技術庁研究         開発局長    吉村 晴光君         大蔵政務次官  平沼 赳夫君         郵政政務次官  白川 勝彦君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君  委員外出席者         文部省生涯学習         局学習情報課長 飛田 眞澄君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         会計検査院事務         総局第五局郵政         検査課長    水町 太郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     池田 芳藏君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    島  桂次君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      中村 好郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小山 森也君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   植田  豊君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋 雄亮君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     遠藤 利男君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室総合         企画局長)   郷治 光義君         参  考  人         (日本放送協会         予算部長)   中野 正彦君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   大澤 弘之君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 七月二十八日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     佐藤 祐弘君 八月六日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     正森 成二君 同月九日  辞任         補欠選任   園田 博之君     愛野興一郎君   野中 広務君     小坂徳三郎君   二田 孝治君     原田  憲君   正森 成二君     佐藤 祐弘君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     園田 博之君   小坂徳三郎君     野中 広務君   原田  憲君     二田 孝治君 十月十九日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     市川 雄一君 同日  辞任         補欠選任   市川 雄一君     鳥居 一雄君 同月二十日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     鈴切 康雄君 同日  辞任         補欠選任   鈴切 康雄君     鳥居 一雄君 同月二十七日  辞任         補欠選任   園田 博之君     河本 敏夫君   野中 広務君     木村 義雄君   二田 孝治君     大野  明君   穂積 良行君     堀内 光雄君   阿部喜男君     河野  正君   伊藤 忠治君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   大野  明君     二田 孝治君   木村 義雄君     野中 広務君   河本 敏夫君     園田 博之君   堀内 光雄君     穂積 良行君   河野  正君     阿部喜男君   田邊  誠君     伊藤 忠治君 十二月十四日  辞任         補欠選任   野中 広務君     前田 武志君   森  喜朗君     鈴木 宗男君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 宗男君     森  喜朗君     ───────────── 七月十九日  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書 八月十二日  情報通信技術高度化複雑化に対応するネットワーク・システム技術者に関する請願(嶋崎譲君紹介)(第二八三号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書      ────◇─────
  2. 塚原俊平

    塚原委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項 以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  4. 塚原俊平

    塚原委員長 次に、日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会及び宇宙開発事業団の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  6. 塚原俊平

    塚原委員長 まず、郵政政務次官から説明を聴取いたします。白川郵政政務次官。     ─────────────  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  7. 白川勝彦

    白川政府委員 ただいま議題となりました日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和六十年度の貸借対照表等によりますと、昭和六十一年三月三十一日現在における資産総額は三千三百二十九億七千七百万円で、前年度に比し二百七十億三千三百万円の増加となっております。  これに対しまして負債総額は一千五百十一億二千四百万円で、前年度に比し百九億三千九百万円の増加となっております。  資本総額は一千八百十八億五千三百万円で、前年度に比し百六十億九千四百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産六百二億六千三百万円、固定資産二千五百五十九億一千三百万円、特定資産百六十四億四千六百万円、繰り延べ資産三億五千五百万円であり、固定資産内容は、建物六百二十五億三千九百万円、機械及び装置七百九億七千四百万円、土地二百十五億一千九百万円、その他の固定資産一千八億八千百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債六百二十三億二千百万円、固定負債八百八十八億三百万円であり、固定負債内容は、放送債券四百八十億一千万円、長期借入金二百五十一億九千三百万円、退職手当引当金百五十六億円となっております。  資本内容につきましては、資本一千四百七十六億九千八百万円、積立金百八十億六千百万円、当期事業収支差金百六十億九千四百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は三千四百七億六千三百万円で、前年度に比し四十六億四千九百万円の増加となっております。  これに対しまして経常事業支出は三千二百五十七億五千万円で、前年度に比し百二十一億五千百万円の増加とたっております。  この結果経常事業収支差金は百五十億一千三百万円となり、これに経常事業外収支差金十九億一千九百万円を加えた経常収支差金は百六十九億三千二百万円となっております。これに特別収入五億一千五百万円を加え、特別支出十三億五千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は百六十億九千四百万円となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 塚原俊平

  9. 池田芳藏

    池田参考人 今回、NHK日本放送協会会長に就任いたしました池田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、ただいま議題となっております昭和六十年度のNHK財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表昭和六十年度末現在の資産総額は、先ほどもお話がありましたが、三千三百二十九億七千七百万円でございます。この内訳は、流動資産が六百二億六千三百万円、固定資産が二千五百五十九億一千三百万円、特定資産百六十四億四千六百万円、繰り延べ資産三億五千五百万円でございまして、このうち固定資産内容を申し上げますと、建物が六百二十五億三千九百万円、土地が二百十五億一千九百万円、機械及び装置七百九億七千四百万円、放送衛星七十九億五千百万円、その他の有形固定資産無形固定資産五百六十四億五千九百万円、出資その他の資産三百六十四億七千百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較いたしますと、二百七十億三千三百万円の増加となっておりますが、これは主として、当年度建設計画に基づく衛星放送設備整備テレビジョンラジオ放送網整備番組設備整備等により固定資産が百九十六億三千五百万円増加いたしまして、また、そのほかに事業収支剰余金発生等によりまして、流動資産が七十六億五千五百万円増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は一千五百十一億二千四百万円でございまして、この内訳は、流動負債が六百二十三億二千百万円、固定負債八百八十八億三百万円、このうち固定負債内訳は、放送債券四百八十億一千万円、長期借入金二百五十一億九千三百万円、退職手当引当金百五十六億円となっております。  当年度負債総額を前年度末と比較いたしますと、百九億三千九百万円の増加となっておりますが、これは受信料前受金増加等によりまして流動負債が十五億円増加いたしまして、そのほか長期借入金等増加により固定負債が九十四億三千九百万円増加したためでございます。  また、資本総額は一千八百十八億五千三百万円で、この内訳は、資本一千四百七十六億九千八百万円、積立金百八十億六千百万円、当期事業収支差金百六十億九千四百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較いたしますと、百六十億九千四百万円の増加となっておる次第でございます。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は三千四百七億六千三百万円でございまして、前年度と比較いたしますと四十六億四千九百万円の増加となりました。  これは主として受信料増加によるもので、受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約件数は、四十四万件増加いたしまして当年度末においては三千六十三万件と相なりました。  次に、経常事業支出は三千二百五十七億五千万円でございまして、この内訳は、国内放送費八百九十四億七千七百万円、国際放送費二十三億三千万円、契約収納費三百五十億九千八百万円、受信対策費十二億五百万円、広報費十五億七千六百万円、調査研究費三十八億五百万円、給与一千百十七億九千四百万円、退職手当厚生費三百二十七億二千九百万円、一般管理費八十八億一千四百万円、減価償却費二百九十一億四千八百万円、未収受信料欠損償却費九十七億七千四百万円となっております。  これは前年度と比較いたしますと百二十一億五千百万円の増加となりましたが、主として、放送番組内容充実刷新受信契約維持増加施策の推進及びこれらの事業遂行に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百五十億一千三百万円となり、これに経常事業外収支差金十九億一千九百万円を加えた経常収支差金は百六十九億三千二百万円と相なります。  これに特別収入五億一千五百万円を加え、特別支出十三億五千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は百六十億九千四百万円と相なりました。このうち、債務償還等資本支出充当は八十三億五千四百万円でありまして、事業収支剰余金は七十七億四千万円と相なります。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。ありがとうございました。
  10. 塚原俊平

    塚原委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院三原第五局長
  11. 三原英孝

    三原会計検査院説明員 日本放送協会昭和六十年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  日本放送協会昭和六十年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和六十一年八月十五日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年の十二月八日、内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。以上、簡単でございますが説明を終わります。
  12. 塚原俊平

    塚原委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  13. 塚原俊平

    塚原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  14. 穂積良行

    穂積委員 ただいま六十年度の決算についての御説明がありましたが、お聞きのように、。六十年度は幸いにして百六十一億円という黒字をNHKは計上しておるわけであります。しかし、問題はその後の推移をどう受けとめるか、また、現状をどう考え、今後NHK経営をどのように考えていくかであろうと存じます。そういう意味で、私は当面の若干の問題の質疑をさせていただきます。  その前に、池田芳藏さん、去る七月三日付でNHK会長に就任されましたことにお祝いを申し上げます。会長の御経歴を拝見いたしますと、遠き明治の四十四年のお生まれで、御年七十七歳、通常ならば悠々自適のお年ごろと存じますが、御苦労さまでございます。御経歴は、大きな会社の社長それから会長を歴任されて、既に勲一等瑞宝章の叙勲もされておられるということで、御立派な人物と存じますが、前任者川原さんはNHKの内部からの登用ということで、私どももそのお仕事ぶりは拝見してまいりました。NHK使命である公平公正、不偏不党な放送を旨として放送の質の低下を防いできたという意味では、お人柄もなかなか謙虚で余り偉ぶったところもない、なかなか立派な会長であったと前任者を評価しております。その後、あなたは財界から出られて、民間の企業とは比較にならない重要な責務を、まあ報酬としては二千数百万で御不満かもしれませんけれども、重責を担われるわけであります。そういう立場としてまず冒頭に、新会長として、NHKのあり方につきまして基本的にどのように考えておられるか、それから民間経営者としての長き経歴を生かしてのNHKにおける経営姿勢の基本をどのように考えておられるかをまずお伺いいたしたいと存じます。
  15. 池田芳藏

    池田参考人 ただいま大変基本的な御質問をいただきまして、お答えを申し上げたいと思います。  私は、今おっしゃったように、昭和十一年から六十三年まで五十二年間、三井物産という国際貿易を行う会社におりまして、その間、アメリカイギリスにも若干の時間を過ごした次第でございます。今回、NHKという組織の会長を引き受けるに当たりまして、過去においてはどんな人が会長であったかということをちょっと調べてまいりましたら、NHKの前身でありまする東京放送局というのが今の愛宕山の曲垣平九郎のところにあったのですが、そのときの、会長ではなくて総裁でございましたが、その方は有名な後藤新平という方であったことがわかりました。大正十三年にそれができまして、十四年に名古屋及び大阪ができて、後にそれが一緒になりまして社団法人日本放送協会というものができたということを承知したのであります。そのときは、岩原謙三氏が総裁ではなくて会長になったと思っております。その後、昭和十一年になりまして岩原さんが亡くなったために、後任をだれにするかということで非常に議論があったそうですが、後藤新平さんにまたお願いしようと思ったところが、後藤さんがどうしても引き受けないために、当時政界のあれであった近衛文麿さんが、会長ではなくて総裁になられたと聞いております。昭和十一年に岩原さんが亡くなられてその後どうしたかということは皆さん十分御存じのことと思いますが、昭和二十五年に放送法というものができまして、従来社団法人であったものが法律に基づく公共放送団体に相なったわけでございまして、私の承知するところでは、初代の会長総裁ではなくて、日本放送協会会長は古垣鉄郎という朝日新聞の出身者で、後にフランスの大使になった方でございます。その他阿部真之助さんとか前田義徳さんとか、いわゆるそうそうたる人物がこの日本放送協会会長となって今日に至っておられまして、前任者川原さんも今おっしゃったようにまことに立派な方でございまして、私はこれらを学ぶたびに、つくづく私のようなお粗末な人間が果たしてこの大役にたえ得るかどうかということについていささかじくじたるものがございますが、せっかく非才を傾けて、この大事な世界に冠たる公共放送であるNHKというものを、非力ながら皆さんの協力を得まして、名実とも世界に冠たる公共放送としての実体を築き上げて、現在までの日本放送協会が持っておるいろいろなひずみとか、そういうものを打破するということを申し上げるとちょっと語弊がありますが、やっていきたいと思っております。  私がNHKに来まして最初に感じたことは、大変人材が多いということでございます。ことしの九月に、就任後二カ月目に私はアメリカに参りましたが、その目的は、アメリカの下院のコミティー・オン・ザ・テレコミュニケーション・アンド・ファイナンスというコミティーのチェアマンをしておりまする、ミスター・マーキーという人に会うためでありました。彼に私が言いましたことは、「イン アワ オーガナイゼーション ウイ ハブ サムシング ライク フィフティー ドクターズ オブ エンジニアリング」工学博士が五十人おるよと、これらが、「ゼイ トライ ベリーハード ツー インペント ハイビジョン ホワット ウイ コール イン ジャパン。イン ザ ユナイテッドステーツ イット ハズ ビーン コールド ハイ デフィニションテレビジョン」今のハイビジョンですな、それをつくるのにトゥエンティーイヤーズ、二十年かかったんだ、これらの人間が協力してつくった、そういうものはアメリカにはもちろんない。ヨーロッパにも、フランスがあると言っておりますが、比べてみると問題にならない。ことしイギリスのブライトンで両方並べて比較するという会があったんですが、フランスはずるくて、てめえの方だけやりまして、我々は別の格好で展示するというふうな苦肉の策を講じまして、彼らの技術の劣っておることを隠そうとしたということがございます。  これからこのハイビジョンというものをどうするか。皆さんもごらんになったと思いますが、スキャニングラインというのは走査線のことですが、千百二十五本のやつ、今皆さんのうちのテレビジョンは五百二十五本のスキャニングラインでございますが、千百二十五本というために非常に絵が緻密に相なりまして、そして画面の大きさが今の四対三が十六対九、本当なら十六対十二になるやつが十六対九で横に長い。これは技術者に聞きますと、目の角度というのが、物を見る角度が三十度くらいが適当だということだそうでありまして、そのために画面がやや横長になっております。こういうものを今後ますますアメリカなどに何らかの形でロイヤリティーを取るとか、今財政的に大変困難なNHK状態に多少ともプラスになればいいなと私は思っておる次第でございます。  そのほか、衛星でございますが、私の方の技師長がそこにおりますが、これは今話が出たテレメーターエンコーダーというものが故障を起こしまして、その衛星姿勢がいつ何どきどっちに行くかわからぬということになっておりますので、後刻お願いしたいと思いますが、衛星放送には衛星料金を取りたい、こう思っておるわけでございまして、そういう状態にあるときに衛星料金を取ることは甚だ不適当ではないかという議論もあるわけですけれども、後刻皆様方の御質問があると思うので、それには技術的にお答えしたいと思っております。  それから地上波の聴取料も上げたい、今の財政収支が、六十三年度の予算によりますと百二十四億の赤でありまして、そのほかに債務償還が百三億ありますので二百二十七億円赤になる予定になっておりますが、これをどう詰めるか、今毎日毎日NHKの内部で検討中でございまして、いずれ年内には一つの案を出して、一月末の国会に提出いたしたいと思っておるわけであります。  それから私の感じましたことは、技術は別といたしまして人間が多い。一万五千人が多過ぎるじゃないか。一万五千三百人という数字ですが、これを何とか今のうちに減らして経費の面から縮小を図り財政の安定をしたいという希望が多いのですけれども、一万五千人が多いか少ないか見方によるのでありまして、我々のお師匠さんであるイギリスのBBCは二万九千人の人間がおります。これは何でもかんでも自分でつくろうとしたためにそういうことになっておるそうでありまして、最近放送白書が国会に提出されて、経営をもう少しコマーシャルにやったらどうかという議論も出ておるようですけれども、我々はそれらの先輩のやり方なども頭に入れまして、後刻国会皆さん、逓信委員会皆さんにお願いをいたしたいと思っておる次第でございます。  それから人間が、職員録がこんなに厚いのがありまして、小さな字でいっぱい書いてあるのを見ますと、大体局長があれば下に副局長がおる、ディレクターがおる、その下に副部長がおるということで、役のつかない人の数が少ないくらい役付ばかりいるというので、私はそれを見て非常に、こんなに役が必要なのかなと単純な疑問を持っておるのですけれども、それも長年の歴史の間に積み重ねられてきた結果であろうと思いますので、これらも子細に検討いたしまして経営の効率化の一翼を担ったらどうか、かように思っておるわけでございます。  少し長くしゃべったように思いますがこの辺で、御質問にお答えしたと思いますが、もし何かありましたらまたお答えいたします。ありがとうございました。
  16. 塚原俊平

    塚原委員長 答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたします。  穂積君。
  17. 穂積良行

    穂積委員 会長、私の持ち時間は二十分なのですよ。先ほど私は三分半くらいで質問を冒頭ですからお話ししましたが、それに対して会長は八分くらい答弁をやったのです。今後の質疑について理事さんにお諮りしますが、多少は延長させてください。  さて、会長、冒頭の御回答で懇切なる回答をいただきました。あなたの個性もかなり了解できたと思います。ただし、NHKも大組織ですから、役職員本当に一体となって国民に対する責務を果たしていかなければならないと思うわけであります。そういう点で、島副会長もいらっしゃるけれども、補佐の人たちにも会長補佐をよろしく願いたいと思います。  さて、あなたのお話にもありましたように、六十三年度予算では百二十四億の赤字を予定しておるわけであります。そういう中でNHKは、衛星放送の普及あるいはハイビジョンの普及促進、国際放送の充実強化など積極的に進めていくべき分野が多々あるわけでありまして、いずれもこれは金がかかります。他面、NHK受信料に依存しておるわけでして、その費用と受信料との関係は常に経営の基本問題としてあるわけですが、そういう中で会長の今のような、いろいろ民間の経験を生かしての積極的な経営姿勢の推移がどうなるか、私どももこれからじっくり見させていただきたいと思うわけです。  そこで、去る七日に、会長は六十四年度予算においては受信料値上げを見込みたいという趣旨の記者会見をされております。これについて再度、会長としての受信料値上げ問題についての考え方をここで御説明いただきたいということなのですが、カラー受信料の値上げそれから衛星放送の有料化など、これについてどう考えているか。さらに、その際に、これは従来からの問題ですが、生活困窮者等さらには小学校、中学校の受信料免除ということについて今後どうするかという問題もあるわけですが、その辺もあわせてあなたにまずお答えいただきたいと思います。
  18. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 高橋でございます。  先生御指摘のとおり、ここ数年、NHKの財政が大変厳しい状況にあるということはそのとおりでございまして、私ども、財政の厳しい中で経営の効率化、合理的な業務の進め方なども詰めながら番組の質の維持というものに努めてまいったわけであります。その結果によりまして、五九―六一の中で前回料金改定をお願いしたわけでございますが、その後二年間現在のような格好で耐えているわけでございます。  先生御指摘のように、NHKは今後、将来のニューメディアの中で重要な基幹的なものになると思われますハイビジョンあるいは衛星放送について先導的な役割を果たし、将来の高度情報社会の中での役割を果たさなければならない、こういったものには当然金がかかることは必定でございます。したがいまして、こういう業務を進めるに当たりましても、安易に料金値上げをすればいいということではなくて、まず経営努力といたしまして、私たち内部の中で経営的にやれるものはやった上で考えなければならないだろうということでございます。六十四年度以降につきましては、御指摘のように既に赤字ということになりそうだということでございますので、これにつきましては目下、どうあるべきかということを協会の中で検討している段階でございます。  それからもう一点、免除の廃止につきましては国会での附帯決議その他もございますので、私どもはぜひそれは実現できるものは実現してまいりたいということで基本的には考えております。
  19. 穂積良行

    穂積委員 いろいろ伺いたいこともあったのですけれども、それでは二、三最後に質問をします。  一つは、ハイビジョンを積極的にNHKが普及させようとしているわけですが、アメリカの連邦通信委員会がいわゆるATV、アドバンステレビジョンについて一応の地上放送によることあるいは現行方式との両立性の確保など、緒論めいたものを出しているわけですが、これはNHKの従来とってきた路線といろいろと問題があろうかと思うのですが、これについての基本的な考え方をひとつお伺いしたい。  それから、もう時間がありませんので、NHKというよりは郵政省の方に、放送ライブラリーは私はぜひ設立すべきものだと思います、私どもの国の文化水準向上のために。一般会計予算では要求していないんですけれども、税制あるいは財投などでこの設立をぜひ実現できるように努力いただきたいと思いますが、これは郵政当局のお考え方をお伺いします。  なお、最後にNHK会長、異例な話ですけれども、アイ アドバイス ユー ノット ツー ユーズ イングリッシュ ソー マッチ イン ジャパン。ユー アー ボス オブ NHK イン ジャパン。オーケー?以上忠告申し上げまして、私の質問を終わります。
  20. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  ハイビジョンの規格問題につきましては、数年前から日本、アメリカ、カナダが歩調を合わせてやってきております。ところが、ハイビジョンの規格の中でもどういうぐあいな形で、電波でハイビジョンの信号を送るかという放送規格につきましては、各国のいろんな実情がございまして、今先生お尋ねのATVにつきましては、アメリカの地上放送業者に対するハイビジョンの伝送をどうするかということからそもそも出てきたわけでございまして、日本の場合には衛星ハイビジョンをサービスしようということになって為りますので、この辺が若干日本の実情と違っておるということでございます。  なお、このATV方式につきましては、アメリカからNHKにも技術開発に、つきまして要請がございますので、このATV方式がどういう方式がいいのかということについては、側面から協力をしてまいりたいというように思っております。  以上でございます。
  21. 成川富彦

    ○成川政府委員 先生から大変力強い御支援の御発言がございまして、ありがとうございます。  放送番組は、それぞれの時代の固有な社会的、経済的動向だとか文化とかを記録する貴重な国民的な財産でございますので、その保存、収集体制の確立を図るということは喫緊の課題かというふうに思っております。  現在のところ、そういう社会的なシステムはございませんものですから、いたずらに散逸、消滅しておるというようなことになっておりますが、早急に放送番組の収集、保存体制を確立する必要があると考えておりまして、私どもも放送ライブラリーに関する調査研究会を開催いたしまして鋭意御検討いただいているところでございます。その円滑な実現を図るためには、何といっても国の 強力な支援措置が不可欠でざいます。御案内のとおり財政的には大変厳しい状況下でございますが、税制、財政的な支援措置を、ライブラリーに対する寄附金の損金算入とか、あるいは無利子融資等の措置を講じてやっていきたいということで、現在大蔵当局に要求をしているところでございます。
  22. 穂積良行

    穂積委員 それでは、私の質問を終わりますが、会長にひとつ最後に、今の最初の国会での質疑、あなた経験されました。私のアドバイスも含めまして、放送法の基本を踏まえた覚悟のほどをもう一回御回答いただいたら私の質問を終わります。
  23. 池田芳藏

    池田参考人 ちょっと今横を向いておりましてお話の趣旨をつかみかねましたが、もう一度ちょっとおっしゃっていただけませんでしょうか、甚だ失礼ですが。
  24. 穂積良行

    穂積委員 最初が肝心と物事は言われます。会長、御経歴は赫々たるものがありますけれども、今後、大事なNHKの組織の頂点に立つ人間として国内における重責を担っていく上で、基本は放送法の精神です。その上で、私の最初の質問に際してあなたが英語をたくさん使われた、異例な話ですけれども、私も英語で忠告をしましたが、それも含めてもう一回、今私の最初の質疑を踏まえての所感を述べていただきたい。会長の重責を担っていく上での所信をもう一回はっきりとおっしゃっていただければ、これで私の質問を終わる、こういうことです。御理解いただきましたか。
  25. 池田芳藏

    池田参考人 わかりました。  昭和二十五年にできた放送法の第一条には、あまねく国民の福祉に貢献し、全国にわたって国民の文化、教養の創作、それの手がかりになるものをNHKとしては放送してもらいたい。そして、不偏不党というのもありますが、真実と公平を保障することによって放送による表現の自由を確保するとも書いてありますので、これは法律ですからいろんな解釈があると思いますが、私どもは、衛星放送、地上放送にかかわらずいい番組をつくる、それによって今申し上げた放送法の精神を実現したい、かように思っております。  大変抽象的で恐縮ですが、それでもし御満足いただければそのようにしたいと思います。
  26. 穂積良行

    穂積委員 終わります。
  27. 塚原俊平

    塚原委員長 次は、阿部喜男君。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうは暮れの忙しい時期にNHK皆さんには御出席いただきまして、大変恐縮に存じております。  実は、私も新会長に所信などを伺いたいと思ったのでございますが、これは取りやめることにいたします。NHKの歴史とか今NHKが開発をしておる新しい技術等につきましては、実は私どももいささか勉強させてもらっておりますので、国会の少ない時間の中で会長が勉強されたことを披瀝をしていただいても、余りこの国会での議論にはプラスにならないだろうと思いますので。  昭和六十年度のNHK決算を見ましてまず感ずることは、ここ十年ばかりNHKが大変な苦労をして合理化、効率化を進めてきた、この血のにじむような跡が出ておると私は率直に思っております。今、NHKにこれ以上の合理化、効率化というものが望めるのだろうか。むしろ公共放送としての使命を失う、いわゆる角を矯めて牛を殺す、そういうことになるのではないかとさえ思っておるわけです。  そこでまず会長に、もう所信は聞きませんが、具体的にお伺いします。会長は一体公共放送というものの定義あるいは概念をどう考えておられますか。簡単に答えてください。
  29. 池田芳藏

    池田参考人 「放送の公共性に関する調査研究報告」というのが、最近経団連の斎藤会長が主宰してできた長い文章が出ておりますが、それによりますと、全国に百五十四の民放がある、その収入が一兆五千億円である、片やNHKは一社でもって三千五百億、これは三千二百万世帯から集まった聴視料、それをもとにしてNHKのお台所には三千五百億の金が、今の民放の五分の一しか入ってないということが書いてあります。  確かに我々の使用し得る金額には限度がありますが、これは貴重な国民の皆様方からのお金であって、あだやおろそかには使えないものであると私は考えております。  それにつけましても、それらの人たちが放送を見て一つの受益感か満足感を得るような番組を放送することこそ公共放送使命である。アメリカは全部民放ですが、私の読んだ本によると、彼らの青少年の時間なんというのは全部漫画だそうですね。全部漫画で、しかもそれが、漫画に出てくるもののおもちゃのメーカーが直結しておる。(阿部(未)委員「漫画の話はいいです」と呼ぶ)そういうことでありまして、私どもはそうならないように、番組の面でこれ以上一層尽力いたしまして、視聴者の方々、聴視料を払っている方々の御満足を得たい。同時に、先ほど申し上げました、日本の文化というものの発展のためにいささかなりともその一翼を担えればと思っております。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 放送法の精神からいっても、いい番組をつくり視聴者の理解を得るようなことをやるというのは当然のことですが、殊さらにNHK公共放送と呼んでおる、その公共放送というもののいわゆる定義そして概念、それを実はお伺いしたのですけれども、漫画の話ではどうしようもありませんから、だれかNHKから見えておる方々で、NHKとしては公共放送というものをこういうふうに考えておるとおっしゃられる方がおったら御答弁してくださいませんか。
  31. 島桂次

    ○島参考人 副会長になりました島でございます。よろしくお願いしたいと思います。  ただいま先生が御指摘の点につきましてごく簡潔に申しますと、私は、公共放送というのは、質のいい番組をできるだけ視聴者の負担を軽くしてつくりまして、日本では公共放送と民放が併存しておるわけでございますから、これは極めてすばらしい制度だと思っております。したがって、私どもとしては、公共放送民間放送、両方が力を合わせて日本全体の放送のレベルアップに持っていく、そのためには当然公共放送として、僭越な言い方でございますけれども、民放という立場ではなかなかできにくい、そういうものを大いにやっていかなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 生え抜きの島副会長としては、公共放送というものの定義なり概念という点からいきますと、今のは願望であって、それに答えたことになるとは率直に言って私は思っておりません。しかし時間がありませんからね。  そこで、私は次の質問に移らせてもらいますが、報道における公平、これがNHKの特に公共放送として国民が期待をするものであろうと思っております。これは単にNHKだけじゃありません。放送法そのものに規定されておりますが、今のNHKの報道が、いわゆる放送法一条なり三条等に照らして公平に行われておるというふうにお考えかどうか、それをお伺いしたいのです。
  33. 島桂次

    ○島参考人 報道というのは公共放送のまさに一番大きな柱でございまして、私どもは、放送法に指示されている精神にのっとって公正な報道をやっているつもりでございます。  ただ、残念ながら日本の現在の状況というのは、政治経済その他社会問題につきましてかなりいろいろな御意見がたくさんございます。多様性がございます。その中で、大部分の人たちにどうやっていわゆる納得できるような報道をするか、それが皆さん方の御納得を得られるかどうか、これはまさに放送人としての我々が公共放送として問われている問題だと思いますけれども、精いっぱいやっているつもりでございます。
  34. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、私は、本当に公平にNHKの報道が行われておるかどうか、若干の疑問がありますので、次の三点について解明をしてください。  その一点は、フィリピンの戦争体験者に対して取材をした、しかし、せっかく取材をしながらこれは放映しなかった、その理由。  二点目。七月十日に税制討論会、「徹底討論」というのがありましたが、この消費税問題を取り上げた「徹底討論」の中で、出席をしておったのが自由民主党政調会長渡辺美智雄君ただ一人、他の野党は一人も出席していない、こういう番組があった、この理由。  三つ目。八月十四日、「クイズ百点満点」で、国会にかかわる人と金とかというのをおやりになりました。この中でたくさんの人が出てきました。例えば後藤田先生あるいは我が方の田邊誠さん。ただ一人、たまたま衆議院法制局の方に議員立法の関係でおいでになった中村正三郎君が、「中村正三郎代議士」とわざわざ字幕が出たのです。ほかの人は何にも名前はわかりません。私は中村正ちゃんと仲がいいのですよ。非常に親しい間だから、彼がどうこうというのじゃないのです。なぜNHKがあの番組の中で中村正三郎代議士だけを字幕に入れなければならなかったのか、その理由。  この三つを答えてください。
  35. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 お答えいたします。  三つの点がございますが、まず最初のフィリピンの戦争体験者のお話でございます。  これは、ここ五年ほど続けております、終戦記念日の前後に「戦争を知っていますか」という番組をつくりまして、悲惨な戦争体験を風化させないために、女性や母親たちが直接子供たちに自分たちの体験を語りかけようという番組でございます。この番組の中でいろいろな話題を取り上げておりますが、私たちは、一般的に申しまして番組の制作につきましては、制作の現場でできるだけ自由な発想をし、自由な討議をし、その中でやはりいい企画を取り上げそれをつくっていくというのが私たちの原則でございます。  そういう中で、お話がございましたような、フィリピンでのある戦争体験につきまして提案がございました。しかしながらそれについては、いろいろな事実関係の確認、あるいはそういう内容を子供たちにどうやったら納得してもらえるのか、あるいは理解してもらえるのかという準備がまだまだ必要だということで、同じフィリピンでも別の戦争体験をした女性のお話にかえようということで、現場と話し合ってかえていったということでございます。私どもとしては、日本の国内だけじゃなくてアジアにおきましても、日本と戦争とのかかわりを積極的に取り上げたいと思っておりますが、そういうことで、かえた話題につきましては大変御好評を得ておるというふうに思っております。  最初に申し上げましたように、私どもは、現場でできるだけ活力を持って自由な議論をして、その自由な議論の中できちっとした質の高い番組ができていくということを望んでおります。  二番目の税制徹底討論のお話でございますけれども、私ども、税制改革の問題につきましては積極的に取り組竜うということでやってまいっておりますが、お話のNHK特集で、「徹底討論・税制改革を問う」という番組をつくりました。このときの趣旨といたしましては、今度の税制改革の内容、それが一体どうなのか、それから、それに対して皆さんはどう思うのかということを、一般の視聴者あるいは有識者の方々に参加していただいて番組にしようということでございまして、自民党の政務調査会の方とそれから政府税調の代表の方々に来ていただいて、そこでお話をするという番組でございました。  ただ、お話のようにそれだけを行ったのではございませんで、例えばその前に、六月二十九日あるいは三十日に「野党党首インタビュー」で、「税制改革にどう対応するか」というようなインタビューを特別番組でつくっておりますし、あるいは当日の朝九時からの「政党討論会」、「どうする〃税制改革〃」という討論で、各与党と野党の政策担当者の討論会を行いまして、そういう討論と夜のそういうNHK特集とをセットにしまして税制の問題に取り組んだというわけでございます。  それから、「クイズ百点満点」のお話がございました。これは国会特集を行いまして、国会のいろいろな仕事と役割についてクイズでもって皆さんに御理解いただこうという番組としたわけですが、その中で、国会議員の提案で立法化される議員立法というものを取り扱いました。たまたまその議員立法のシーンの中で御指摘のように中村先生がお出になったわけですが、この番組を企画しまして取材をする最中に議員の方が立法される活動をなさっていたというのがたまたま中村先生でございました。それはほかの法制局の方々と御一緒に映って議論をなさっているシーンでございまして、どの方が法制局の方か、どの方が議員の方かということを明示しないと視聴者の方にはわかりにくいということで、これは衆議院議員中村正三郎氏というテロップと衆議院法制局というテロップを並べて出させていただいたということでございまして、私ども、中村先生だけをとりたててクローズアップするという意図は毛頭ございませんで、会長も申し上げておりますように、私は、あくまで政治的には不偏不党でございまして、やはり公平で事実に即した報道をするということによってNHK公共放送使命を全うしたいと思っております。
  36. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 強弁しなさんなよ。まずフィリピンの問題にしても、よりよいものを流して好評を博したと言う。流さないものが好評を博すか博さぬかわからぬじゃないですか。取りやめたものの方はそのまま隠しておいて、放映したものの方が好評を博したから片方は悪かったんだというのは、こんな一方的な解釈がありますか、あなた。それはどうなんですか。  それから二点目。二点目は、政府の方々がおいでになって税制に対する考えをお述べになるのは結構ですよ。しかし、自由民主党の政調会長が出るならば、当然他の野党のそれに対応する方々が出るのが不偏不党であり、異なる意見、対立する意見がある場合にはより多くの角度から意見を闘わす、これが放送法の精神じゃないですか。  中村正ちゃんの場合だってそうですよ。僕は、あれは意図的にあなた方が正ちゃんの名前を出したとは思わない、不用意であったと思う。その不用意さをなぜ認めないのか。これが報道の姿勢の問題点なんですよ。どうですか、もう一遍答えてください。間違っていたなら間違っていたと言いなさいよ。
  37. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 私ども、先ほど申し上げましたように、政治的には本当に不偏不党でありたいというふうに努力しております。  それから、放送内容については、先ほど申し上げましたように、いろいろな提案がございます。それを議論して番組にしてまいる過程でございまして、その過程でその提案がそのまま入れられないということもございます。ただし、そのときには私どもはきちっとした説得ができなければいけないし、そういう点でもしも不満が残ったとすれば私どもの至らなさでございまして、そういう点については今後私どもさらに努力を重ねていきたいというふうに思います。
  38. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 不満ではないのですよ。私は報道姿勢について御忠告を申し上げておるのですよ。不満が残ったとか不満ではないとかいうのではなくて、報道姿勢そのものに問題があるのではないかということを申し上げておるのですから、もっと素直に聞いてもらいませんと、私が何も不満をぶちまけておるのではないのですよ。申し上げたように、正ちゃんの問題だってそうですよ。個人的に親しいし、恐らくこれはNHKの手落ちだったと思うのです、たまたま間違って入れた。それならそれで間違って入れましたと言えばいいのに、いたずらに強弁するから、しかもあなた方の一番基本的な間違いは、全部の番組を視聴者が見ておると思うところに間違いがあるのですよ。視聴率は何%ですか。朝やったから昼は、夜はこっちをやるなんて、そんな考え方はないですよ。その都度その都度公平を期してやっていくような番組の作成をすべきだ、報道をやるべきだ、このことを忠告しておきたかったから私は申し上げたのです。おわかりになりましたか。それでは次に参ります。  次に、受信料値上げの問題。さっき会長がちょっと触れておられましたが、まず、受信料の値上げについて先に解決しなければならない問題があると私は思っております。いわゆる宇宙開発というものと新技術の選定といいますか、そういう宇宙開発というのは、非常に大きな規模の開発、技術開発と、報道機関であるNHKの開発の任務、新技術の任務というものはおのずから異ならなければならないのではないか。NHKが、報道機関が大規模な技術の開発をやらなければならないのかどうか、その点にまず問題があるのですが、どうお考えになっているか。これは大臣の方かね、どう考えますか。
  39. 白川勝彦

    白川政府委員 先生の言われることもわかるわけでございますが、一方では、冒頭に先生が申されました、公共放送というのはやはり新しい放送技術を開発していくということも、これはまた公共放送としてのNHKに課せられた一つの役割ではなかろうかというふうに思いまして、そういう面では、私は、公共放送たるNHKがそういうところに応能負担できる範囲、その限度は問題でございますが、一定の支出をするということは放送法その他の精神に反しているものとは存じておりません。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは大臣、一つ問題があるのですよ。この宇宙開発の放送衛星を打ち上げるに当たって、放送法第三十四条に言うところの政府が命令をした開発なのか、あるいはNHKが独自におやりになった開発なのか、これは一つ問題点が残るのですが、恐らくこれは政府が命令していないと私は見ておるのですけれども。  そこで、本来の趣旨に返りまして、宇宙開発というのは本来国家が国家目的としておやりになっておる。だから、NASDAという事業団までつくって、ここでもって開発の仕事をおやりになっておる。これが大体本来の宇宙開発の仕事である。その宇宙開発の仕事の中にたまたま放送衛星をつくるからということでNHKが乗った。これはNHKが言い出したのか事業団が言い出したのか、その辺は定かでありませんが、僕は当時NHKに、少し勇み足ではないか、はしゃぎ過ぎではないかということを御忠告申し上げたのですけれども、さていよいよ放送衛星を打ち上げて放映を始めた。当初の目的は、これは難視地域を解消するというのが言い分だったのですよ。しかし途中から変わってきまして、この放送衛星が上がりさえすればもうNHKの財政も何も全部片がつくというふうにだんだん変わってきたのです。そういう経緯があるのですが、この放送衛星の問題、莫大な資金を食っております。恐らく今日、放送の諸施設を含むれば五百億を超えておるのではないかと思うのです。しかも一銭の収入もない。そういう状況なんです。  私は、ですからかねてからの主張として、国家目的で行う大規模の技術開発、いわゆる放送衛星というようなものは科学技術庁が国の支出をする、それをもってNASDAが、宇宙開発事業団が開発をされる、開発をしたものをNHKはユーザーとして利用する。当然、ユーザーとして利用すれば、本来の受益者負担の原則から、それを見る皆さんから受信料をいただく。その受信料の中でNHKの必要な部分をのけたものは当然返していく、いわゆるユーザーとしての利用料として返していく、こういう形態が最も望ましい。ただ、国の予算がどうだこうだとおっしゃいますけれども、私は予算的には同じだ。当初全額を国が出して、NASDAが開発をして、それからユーザーから金をもらってこれを利用させるのか、逆に、最初からユーザーを含めて出資をさせるのか、この二つの方法があると思うのです。  しかし私は、こういう大きな規模、とりわけ公共放送NHKというのは、大衆のわずかな受信料によって運営されるところに大きな負担をさせることが間違いではないのか。国家財政としては、事業団が開発をしたものをNHKがユーザーとして料金を払って利用すればいいのですよ。なぜそういうことができないのか、これをやってくれということを私は前からずっと頼んであった。検討しましょうということで前の郵政大臣はお答えになっておる。しかし、今度、BS45といかんならぬわけですよ。その都度、前もって前金で出資していかんならぬ。莫大な負担ですよ。これがなかったら受信料の値上げなんか今言い出す必要はないのです。ですから、まずこの宇宙開発にかかわる衛星放送の問題が解決しなければ、地上波の皆さんは今日まで膨大な負担をして、自分たちは何の利益も受けないのに、何の受益者でもないのに負担をしてきておる。さらにこの上受益者負担をされていくのに、数で言うならば三千万近い受信者の世帯と、わずか百十五万ですかのいわゆるお金があって衛星放送を見られる皆さんに、お金のない一般の視聴者が金を出してこれをやらしておるという結果になるのですよ。これは極めて不当だ。その問題が解決されない限り、地上波の受信料の値上げなんか言ったって、視聴者は納得しませんよ。それをいきなり出してきて、しかも同時に出してきて、これは公式に出したわけではないけれども、新聞報道によると出しておる。会長もそう言っておるのですから。同時に、いわゆる衛星放送による新料金ももらいたい、そして片方では地上波の方も値上げをしたい。どんぶり勘定してしまっておる。  まず第一点目は、せっかく来ていただいていますが、科学技術庁の方はどうお考えになっておるのか。前からの宿題ですが、お答え願いたいと思います。
  41. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 ただいま先生御指摘ございました衛星の実用化というものを円滑に進めるための方策につきましては、いろいろな考え方があるかと私どもも存じておりますが、これまで私どもが進めてまいりました方法は、開発側、利用側の関係者が相談をいたしましてつくり上げました方式でございます。すなわち、技術開発のみを目的とするような衛星の開発という場合には国が一〇〇%その資金を負担するという考え方、それから次第に技術開発が進みまして、技術開発と実利用の両方を目的とする衛星というような段階になりましたときには国と利用者の方が、技術開発と実利用の割合を勘案いたしましてお互いに経費を分担するというやり方をとっておるわけでございます。この方式はユーザーが開発の段階から積極的に関与をしている、ユーザーの意向が十分反映された使いやすい衛星の開発が可能になるというメリットも持っておる方式でございまして、そういった点もございましてこういった開発の進め方をしておるわけでございまして、その点ぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私どもが心配したように、これは新しい開発ですからもう大変なリスクがある。そのリスクを負うのは、国家目的として開発をしておる国ではないのか。リスクを負うのはどっち側なのか。あなた方のお考えは、ユーザーの側にもリスクを最初から負担してもらおう、こういうお考えでやっておるわけですよ。僕は、これは企業目的で利益を追求されたような投資ならば、それはそういうお考えでいいと思うのです。しかし、NHKの場合は、僕が公共放送の性質を問うたのもそこにあるわけですけれども、性格が違う。したがって、この場合には当然国が全部開発をしてしまって、しかし金を取るなと言うのではない、受益者負担の原則があるから、NHKはユーザーとして利用料を払う。そしてそれを見る皆さんから、受益者から料金をもらう、これが一番正しいやり方ではないのか。それをそうやって、非常に支障があるのかないのか。従来こういう考えであったということはわかります。しかし、そうやって支障があるかないか、ないのならばこれからそういう方向で検討してみてもらえませんかということを、私は宿題として預けてきたつもりですよ。それは一体どうなるのですか。
  43. 竹山裕

    ○竹山政府委員 ただいま政府委員からお答えを申し上げたのと若干ダブるわけでございますが、技術開発と実利用の相乗り衛星につきましては、ユーザーが開発段階から積極的に関与できるという点から、現在の分担開発の方式がすぐれているものと理解しているわけでございまして、また阿部先生の常々の御高説であります衛星の開発方式につきましては、さまざまな方式があることは御高承のとおりでありまして、将来の問題といたしまして、阿部先生の常々御提案をいただいておられます御卓見に対しまして、非常に貴重な御意見としかと受けとめさせていただきまして、今後とも十分な検討を進めさせていただきたい、このように思う次第でございます。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 政務次官の前向きな御答弁、大変ありがとうございました。  ただ、これに関してNHKの方はどうお考えになっておるのか、参考までに。
  45. 島桂次

    ○島参考人 衛星につきましてのお答えをNHKとしていたしますと、確かに発足当時は我々といたしましても放送の先導的役割ということで、当時の前田義徳会長が積極的にこの事業に参画したことは事実でございます。それ以降の経緯につきましては、今の阿部先生のいろいろの御意見、私どもも非常に傾聴に値する意見と思いますので、これから郵政省、科学技術庁といろいろ話し合いを進めていきたい、こういうふうに考えております。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省もお見えになっていただいておるようですが、大蔵の方はどうでしょうか。
  47. 平沼赳夫

    ○平沼政府委員 阿部先生の御意見、今拝聴させていただきまして、大変な御卓見と思っておりますので、我々も関係とよく協議をさせていただいて、前向きにいろいろ検討させていただきたい、このように思っております。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ありがとうございました。  白川政務次官、あなたは特に逓信行政についてはベテランですが、いずれ大臣になると思うのですが、あなたが大臣になるころまでには今の論議を聞いて何とか目鼻をつけてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  49. 白川勝彦

    白川政府委員 そのころになりますと、もう衛星放送が完全に実用化をいたしまして、全く民間ベースで相当数のチャンネルが空から降ってくる、こういうふうになることを期待しておる次第でございます。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ここで実は、私がさっき申し上げたように、まず今のNHK経営の面から見て考えなきゃならぬのはやはり料金の問題があると思うのですけれども、申し上げましたように、この莫大な投資をした衛星放送の料金をそのままにして地上波の料金を払っておる皆さんに負担をかけるには忍びないし、それはあってはならないと私は思うのです。そこで、衛星放送の料金を設定したいと言うが、これは一体どういうお考えで、どういう形でやりたいと思っておるのですか。
  51. 島桂次

    ○島参考人 地上波の料金改定と衛星料金の設定につきましては、いろいろ新聞報道でも一部出ておりますけれども、私どもとしては川原会長時代から、私も当時から役員をやっておりますけれども、できるだけ早い機会に地上波の値上げもお願いしたいし、衛星放送につきましても、これが百万以上普及しましたらまた別途何らかの形でこの衛星料金もいただかなきゃいかぬということは、池田新体制になっても引き続いて行っていることでございます。目下、郵政省その他関係機関と鋭意詰めておりますので、いずれ結論が出ましたら、いろいろまた先生方の御意見をお聞きしたいというふうに考えております。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 結論的にその点で申し上げておきたいのは、申し上げたように衛星放送の料金、これは私は賛成です。新しく別料金で取るか何かは別にして、受益者負担という原則からいくならば、当然これは料金をいただくべきだ。ただ、今の衛星放送が料金をいただけるような状態にあるかないかというと、私は素人ですけれども、極めて暗いのです、見通しが。既に今打ち上げられておる放送衛星だってかなりの故障がきておって、これが間違いなく引き続いて放映できる状態にはなかろうし、食の問題だってまだ必ずしも解決していない。さて新しい料金、別料金を設定したが、なかなか放映ができないというような故障がきたときには一体どうするのかという問題が残されておるのですよ。大体技術的に見て、近い時期に自信を持って別料金をいただきますと言える状況なのかどうか、これは技術かどっちかわかりませんが、どうですか。
  53. 中村好郎

    中村参考人 お答えいたします。  現在衛星放送はBS2bでやっておるわけでございますけれども、先生の今のお話のように、十一月十九日にその機能の一つでありますテレメトリーという機能が一部故障いたしまして、衛星からのデータが欠落しております。衛星の運用につきましては、御存じのとおりNHKと通信・放送衛星機構とが実際に管制運用をやっておるわけでございますけれども、その故障の後、関係機関が集まりまして、現状の判断とこれからの運用につきましていろいろ検討してまいっております。現在の状態では十分安定に運用できる、継続できるという判断のもとに、私どももそういう認識でこの安定運用を図ってまいりたいというように思っております。  なお、2aは既に軌道上を外れております。過去に2aのいろいろなふぐあいが発生したわけでありますけれども、これも同じ型の衛星でございますので、過去のふぐあいのデータ等も参考にしながら2bの今後を予測するということは技術屋にとって大変重要なことだと思っておりまして、そういう過去の経緯からこのまま安定に推移するのではなかろうかという考えでございます。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは高度な技術の分野に属しますから私どもも軽々に物は言えません。しかし、今の状況を眺めて、近い時期に衛星放送の料金をいただきますと言える状態になかなかないのではないか。ましてや地上波から衛星の料金までどんどん集めてきて使うということは非常に不信一を買うおそれがあるのではないか、そういう心配がありますので、これはひとつ十分検討して慎重に扱っていただかなければならぬ問題だ。とはいえ、片方、NHKの財政も火の車ですから大変なことだなと私も思っておるのですが、そういう意味からもさっき申し上げました科学技術庁あたりで十分検討していただいて、公共放送でございますから視聴者に一挙に負担がかかることがないような方途を考えてもらいたいと思います。  次に、料金値上げの問題が出ましたから参考までに伺っておきますが、私は、受信料の免除という制度と行政の責任というものについてもっと明確にしなければならないのではないかという気がするわけです。放送法三十二条で、本来は郵政大臣が認可しなければ免除はできないのです。しかし、白黒からカラーに切りかわったころ、どんどん金が入ってくるものですから、前田何がしという会長がおって気前よくどんどんやったいきさつがあるのですが、今眺めてみてもまだ百億近くが受信料免除の対象になっておるのじゃないでしょうか。とりわけ教育行政とか福祉行政というものは、本来国、行政がその責任を負って処理すべきものを、受信料免除という、いわゆる国民、視聴者の負担に肩がわりさせておる、これは過ちではないかということを私はずっと説いてきたわけです。この点について、最近何かNHKの方でもいろいろ関係の向きと話し合いをされておるようですが、政府の関係の、内閣にかかわる皆さんもお見えになっておりますが、何とか方法はないものですか。どうですか。
  55. 白川勝彦

    白川政府委員 御案内のとおり、郵政大臣の許可を得なければNHK受信料の免除ができない仕組みになっておりまして、いろいろな経過からいろいろな基準がつくられたのだと思いますが、当初のうちは、放送の普及という、逆にNHK側の放送を普及させるという観点もまたあったのではないかと思いますが、現在では、NHK経営状況、また国会におきまして附帯決議その他もたびたびいただいております関係で、五十三年以降、刑務所、大学、高等学校、こういうところにおきましては既に免除を廃止してきたわけでございますが、残りの小中学校それから社会福祉施設等というものにつきまして、NHK経営状況は大変苦しいということでNHKが今いろいろとお願いをしておるわけでございます。  これにつきましては、十分な話し合いが行われますことを期待しておると同時に、郵政省といたしましては、そういう方向を了解しておるということで、さらに了解いただけるべく詰めてください、内部負担については先生のような御意見についても十分あり得るべきことかと思っております。     〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省、今のお話についてはどうですか。これは結果的には国の負担になってくるおそれがあるのですけれども、しかし、当然行政が負うべき責めだと私は思っておるのです。したがって、例えば教育現場における学校のテレビの受信料を免除してやるとか、社会福祉施設のものを免除してやるとか、こういうものはもうぼつぼつ取り上げて行政の本来の姿に返すべきだと思うのですが、どうですか。     〔田名部委員長代理退席、小澤(潔)委員長代理着席〕
  57. 平沼赳夫

    ○平沼政府委員 この問題に関しましては、阿部先生の御説もごもっともだと思いますけれども、やはりいろいろな状況を見ながら大蔵当局としても話を詰めさせていただきたい、このように思っております。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵の方も前向きのようでございますから、郵政NHK、大蔵、関係の省庁でひとつ十分に検討していただいて、なるべく早く、これはできれば次の予算編成までに結論を出してもらいたいと思うのです、長い懸案でございますから。  時間がなくなりましたからあと続けて聞きますが、郵政省は、私がかねて主張しておる国際放送におけるいわゆる郵政大臣命令分に対する政府負担について、ことしはどのくらい予算を要求していますか。
  59. 成川富彦

    ○成川政府委員 国際放送の交付金につきましては、国際放送の重要性にかんがみましてその増額に努めてきたところは先生御案内のとおりでございます。六十四年度の予算要求におきましても、国の厳しい予算事情の中でございますけれども、さらに今年度比九百万円増の十四億六千四百万円の要求を行っているところでございます。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう時間がないから詳しくは申し上げませんが、放送法三十三条並びに三十五条で明らかなように、国が命令した分は国が負担をするというのが原則ですね。ただその次に、いわゆる財政側の、予算の金額を超えてはならぬというのがありますが、大平さんが大蔵大臣のときに、当然のことです、国が命令した分は国が負担をしますよ、こうおっしゃったのです。その後国の財政事情が非常に厳しくなってきて、そのために私もなかなか厳しく言えない事情はあったのですが、来年度あたりはかなり国家財政にも余裕があるようでございますし、私がかねて主張しておる――これはどんぶり勘定で分けにくい、分けにくいけれども、国際放送に仮に六十億の金がかかるならば、三十億は国が命令分として負担をする、残りの三十億をNHKが負担をする、こういう負担の割合を決めておく。決めてしまっておけば、年々増額を要求するということではなくて、ことしの国際放送予算はこれだけです、ついては五〇%は国の方の命令分として処理をしましょう、残りの五〇%をNHKNHKの自主放送として負担をしましょう、こういうふうにすればその都度問題を起こすことはないから、そうすべきだということを私は持論として申し上げておるのです。これも検討課題なんですよ。NHKの自主放送分と国の命令分と負担割合を決めてしまう、これはどうですか、お伺いします。
  61. 平沼赳夫

    ○平沼政府委員 この問題に関しましては、先生から毎回御提言をいただいているところであります。  この命令放送にかかわる経費のうち国の負担割合をあらかじめ決める問題に関しましては、我々もいろいろ検討させていただいておりますけれども、ただ、NHKによる国際放送の番組編成等におきまして、国の命令に基づくものとNHKの自主的な放送というものがあらかじめ峻別できない、これは先生よく御承知だと思いますけれども、こういうような問題もあるわけでありますし、また、国の予算編成の段階でNHKの国際放送の関係の予算を先行して決定することが果たしていいかどうかという。ような問題もこれあります。  また、先生今御指摘のように、国の財政も上向きにはなってまいりましたけれども、累積赤字が、特例公債の赤字が百五十九兆にもなんなんとしているというような依然として厳しい状況でもございますし、経常経費は相変わらずマイナス一〇%、投資的経費もゼロというようなそういう厳しい中でやっておりますので、この問題は引き続き関係各機関とよく検討させていただきながら、しかし御承知のように、今郵政の方から申し上げましたように、予算の面では厳しい中でも毎年増額をさせていただいておる、こういうことで、この問題も引き続き鋭意検討をさせていただきたい、このように思っております。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただこれは、政務次官、かねて私が主張していますように、峻別できない、しかし国の予算に左右されるとなりますと、NHKはその都度国際放送内容を変えていかなければならなくなってくるのですよ。予算がないから命令分はぐっと減った、そうすると、NHK放送しておる何カ国向け、何十時間というようなものを減らしていかなげればならぬということになる。そういうことは今日の情勢ででき得ないでしょう。そうすれば峻別できないだけに、これはそう大した金じゃないのです、せいぜい三十億かそこらなんで、そのくらいのものははっきり負担の割合を決める、峻別できないからこそ負担の割合を決めなさいと私は言うのであって、峻別できるならば何も負担の割合なんて必要ないですよ。決まった後で命令分は出してもらえばいいわけですからね。だから、これは割合を決めるべきだ、この点はぜひ続けて検討してもらいたいと思います。  時間がなくなりましたから三つあれしておきます。  消費税と受信料の関係ですが、これはまだ通ってない法律ですから私も余り物を言いたくないのです。できればつぶしたいと思っておるのですけれども、もしもこれが成立した場合に一つ気になるのは、副会長、これなのですよ。  契約件数によって課税さるると、例えば今受信料を免除しておるような方々の受信料についても、受信料をもらわないのに三%の消費税だけはかかってくるおそれがあるのですよ。といって、実際の収入でやれるのかどうか、それに三%かけるのかどうか。これもほかの要素がいろいろあります。料金だって割引しておるでしょう。割引したものに対して三%ということになるのか。本来の千何十円という料金に対して三%かかるのか、収入全体で見るのか、契約件数で見るのか、割引した後のあれで見るのか、なかなか難しい問題があるのですが、これは十分検討しておいてもらわなければ、受信料をもらわない方々の消費税まで負担しなければならないという問題になってくるし、私は、本来NHK受信料に消費税をかけるようなばかげたことはないと思っているのですけれども、自民党の皆さんからしかられますからそれ以上言いません。しかし、これはおかしいと私は思うのですよ。仮にかかるとした場合、そういう課題が残りますよということ。  それからもう一つ、全銀協が公共料金の振替手数料の引き上げを何か言ってきておるはずです。今一件五円ぐらいですが、これが五十円になるのですよ。一件当たり四十五円。しかも、ずっと振替払い込みを進めてきたNHKの立場としては続けてもらいたいでしょう。その料金が五十円も取られるようになったら一体どうするのか。これも、次に来年度予算審査がありましょうから、そのときまで十分検討しておいてもらうようにお願いをして、私の質問を終わります。  どうも御苦労でした。
  63. 小澤潔

    小澤(潔)委員長代理 松前仰君。
  64. 松前仰

    松前委員 池田会長におかれましては、このたびNHKという非常に重要なお仕事につかれるわけでございまして、これから先新たな仕事の中で考えながら進んでいかれるということで、大変御苦労さまだと思います。願わくは、先ほどからいろいろお話がありましたように、公共放送NHKをしっかり守っていただくような方向で、ますますNHK事業を発展させていくという格好でやっていただきたいと思っているわけでございます。  そこで、まず最初に会長にお聞きしたい。  先ほどから質疑を聞いておりまして、その中で確認をしておきたいことが出てまいりましたので、大変申しわけないのですけれども、確認をさせていただきたいと思います。  難しい話ではございませんが、まず最初に会長さんの施政方針にも似たお話がございました。経営姿勢というものについてのお話があったのですが、その中で、NHKに行きましたら人材が豊かである、たくさんいるということをおっしゃったわけでございます。その例として工学博士が五十人と言われた。技術関係の人の話だけだったので大変残念だったわけなのですけれども、その後の議論で番組関係で三つばかり阿部委員の方から質問がございまして、その中で番組の内容を決めるということについて現場で十分議論をするというようなお話がございました。技術それから放送の両方ということで、NHKというのはこれからの経営姿勢の中で非常に現場を重視していく、経営の基本は人であるとお考えになっていらっしゃるということで私は大変評価させていただいたわけなのですけれども、今私が申し上げましたように、NHK経営の基本、公共放送を守っていくにはこの下にいらっしゃいます多くの人が基本になるのだということを会長としてはお考えになっていらっしゃるかどうか、まず最初に確認をしたいと思いますので、よろしく。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 池田芳藏

    池田参考人 番組というものの内容、番組をいかにしてつくるかということが我々公共放送に課せられた最大の使命であると思っておりますので、そのことにつきましては先ほど遠藤局長からるる申し上げましたので、私としてはあれにつけ加えることはないと思います。特にほかにありましたらお答えいたしますが、今の先生の御質問には遠藤が十分お答えしているのではないかと思います。
  66. 松前仰

    松前委員 会長さんは、遠藤理事の方からのお話、ということはNHK経営の基本は人であるということをおっしゃったと思うのですが、それでよろしいですね。――ありがとうございました。  それはどこの会社でも、前にいらっしゃった会社でも同じだと思うのです。人でなければいけないわけでありまして、そういう意味ではNHKというものはこれから安心してやっていけるのじゃないかと感じておる次第でございます。  さて、経営の問題でございますけれども、五十九年から六十三年度の予算とか決算を見てまいりますと、並べて評価をしてみたわけでございますけれども、年間の支出の増加と収入の増加の比率を見ますと、支出増の方が収入増より二倍になっているというのが五十九年から六十三年までなのでございます。そのほか債務償還充当額の増加というのがありますけれども、これは別としても支出増が収入増の大ざっぱに言いまして二倍になっているということ、これがNHKとしては将来の経営を危うくしているといいますか、問題にされていると思うわけですけれども、収入増に対して支出増が二倍ということが一体どうして起こったのかということをどなたかお答えいただきたい。
  67. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 この五年間を見ますとNHKの財政が大変厳しいということは先生御指摘のとおりでございまして、カラーテレビの普及が既に飽和状態になっておりますので、事業収入の伸びが年間一%ぐらいの割合でございます。それに対しまして事業支出の方は三%ぐらいに伸びてきておりますので、五カ年間の累計では先生御指摘のような格好になるわけでございます。  これは、番組の質の向上とあわせまして、五十九年以来、NHK公共放送として将来の放送、ニューメディアの中で十分なる役割を果たすということで衛星放送なりハイビジョンなり、そういうニューメディアの部分に先覚的な役割を果たすための事業ということで取り組んでまいったということ、それから、その間にいろいろな具象はございましたけれども、番組の一層なる質の向上、そういうものにやはりある程度のお金はかけなければならないという事情がございまして、結果的にそういうことになったということでございます。
  68. 松前仰

    松前委員 今、抽象的にお話があったわけでございますけれども、支出増が収入増に対して二倍である、これは将来のためにというようなこともあったり、いろいろお話がありましたけれども、やはり支出が二倍になるということについては、余り勝手にやっていただきますとそれこそNHK使命を逸脱したものまでも一生懸命やるというようなところにまで入り込んでいくことになりますね。そういう可能性もある。だから、そういうところの、公共放送NHKというところの範囲の中で本当にこれが二倍になっていっているのかどうかということが大変に問題になるわけでございます。  それで、先ほどからいろいろ話がありますように衛星問題が出てきているというのがあるわけなんで、衛星が出てきたから二倍になった、単純にこう考えていいのでしょうか。
  69. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 受信料を基盤とする公共放送であるNHKといたしましては、経営の効率的な運営ということにふだんから努力することは当然のことでございます。先生御案内のように五十九年から六十一年までを見通した三カ年計画の中で料金改定をさせていただいたわけでございますが、私どもは業務を進めるに当たりまして不断なる経営の効率的な運営ということに努めまして、その後二年間料額を据え置いたまま今日に至っておるわけでございます。単に、公共放送なるがゆえに新しいものをどんどんやる必要があるということでやっているわけではございませんので、先生の御指摘のようにその点については十分意識して経営に当たっているつもりでございます。
  70. 松前仰

    松前委員 そうしますと、これから先の見通しとしまして、収入に対する支出の増加の割合が大体二倍ぐらいの程度で伸びるというように考えてもよろしいのでしょうか。
  71. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 六十四年度以降の経営につきましては、目下会長を中心にどうあるべきかということを鋭意検討しておる段階でございます。放送業界がニューメディアの中で大きく変革を遂げようとしている中でございますので、その中で公共放送としてのNHKが果たす役割は何かということを十分見詰めながら、国民の皆さん方にはできるだけ大きな負担をかけたいようにして、その使命を果たせるような方向で事業運営に当たりたいというふうに考えておるわけでございます。
  72. 松前仰

    松前委員 NHKの五十九年―六十三年、この経緯を詳しく見てみますと、この間にNHKエンタープライズとか外郭団体に仕事を頼んでいるというようなことがあるわけですね。この仕事を頼んだということによって支出の増加というものが少なくなってくるということが本来ではないかと思うのでありますけれども、これがそうじゃなくて、ずうっと同じように二倍ということでもって、最近、ことしですか、オリンピックがあったかもしれないけれども、とにかく物すごく急に増加しているというようなこともあるわけでございます。ですから、今外郭団体というものがたくさんできて、そちらの方に仕事を頼んでいるということによってNHK本体の方の経営状態が非常によくなってきたというようなことにはなってないような感じがするのです。この辺は一体どういうふうにお考えになっているでしょうか。
  73. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 私どもが関連団体と一緒になって新しい発想の中で仕事を進めてまいっておるのは、視聴者への負担をできるだけ抑えていくという経営の考え方の中でやってまいりているわけでございまして、限られた受信料の中でその予算の配分につきましては重点的に効果を上げるようにしてまいっているわけでございます。  関連団体につきましては、さらなる効果を上げるために、現在、再編成について鋭意原案をまとめる段階に来ておりまして、そういう中でNHK本体と関連団体が一体とたって、いわゆるNHKグループとして公共放送使命を達成するということで事業運営に当たりたいということでございます。  申すまでもないことでございますが、NHK受信料で成り立っている公共放送でございますので、そういう面についてはおのずから限界があろうかというように理解しております。
  74. 松前仰

    松前委員 なぜこんなことをごたごた言うかといいますと、とにかくエンタープライズ等ができて、これらは本体の経営の方に何のいいことはない、前とちっとも変わらぬじゃないかということになると、NHK自体がどんどんその機能を、外郭団体も広げて新しいことを広げていく、NHKの巨大化という格好にもなっていっている、それを皆さんがいろいろなことで隠しながらやっているという感じがするわけです。これは国民から見てかなりの批判が出る可能性があるわけですから、外郭団体を頼むということになれば、そこに何らかの本体の経営の改善が出てきていなければいかぬ。こうだよということを言わなければ国民は納得しないと思うのです。そこのところをぜひともよくお考えいただきたいなと思っておるわけでございます。  それから、なぜこういう話を言っているかということのもう一つの理由は、受信料の値上げのことで先ほどからお話がありましたが、既に新聞に受信料が千二百五十円から千二百九十円へと出ておる。衛星が千円というのが、だれが漏らしたか知りませんが新聞に出ているわけでございます。もしこれが本当だとしたら、こういう受信料というのは本当に妥当なのかどうかということを私は非常に疑問に思って言ったわけでございます。  大体、累積赤字が二百二十七億なんということを言って、経営が非常に苦しいなんて言っておりますけれども、実際には今申し上げました収入増、支出増の割合が二倍ぐらいの傾向でNHKが健全に運営されていくということになりますと、今日の二百二十七億というのはあるわけないのでありまして、百二十億ぐらいにしかなっていないはずなんです。それをずっと延長していきますと受信料を千二百五十円なんという、こんな額を取るのは物すごくおかしいのですよ。こんなに大きな額、二百円ぐらい余分ですか、百円ぐらい余分のこういう受信料を取っていくということは、NHKは何か新たなことをやるんじゃないか、また事業を拡大するんじゃないか、NHK全体の巨大化ということにつながっていくんじゃないか、そういうように見られるわけですよ。単純計算すればわかっちゃうのですよ。NHK受信料収入というものはこっちの方にほとんど全部がきちっと使われているという格好でございますから簡単なんでございます。千二百九十円なんというのはどこから出たのだろうか。衛星放送でまた千円取る。NHKは物すごくもうかっちゃうということになりますね。  今このままでもってもし郵政省に話を持っていっているということになりますと、一体これはどういう考え方でもってNHKがやったのかということを我々はこれから――きょうはやりません、まだ出てきておりませんから。こういうことで参りましたら、来年の恐らく提案された時期において徹底的にやらしていただきたいと思っているわけでございまして、政務次官、こういう点についてやはりきちっと詰めていただきたいと思うのですよ。その辺についてちょっとお考えをいただきたいと思います。
  75. 白川勝彦

    白川政府委員 NHK受信料の値上げの問題につきましては、私まだ報告も受けておりませんので何とも申し上げる立場にないわけでございます。ただ、御案内のとおり、御審議をいただいております昭和六十年度から推移いたしまして六十三年度に至りましては、予算の段階で既に百二十四億の赤字を見込んでおるということでございます。事業収入というのは受信契約者をふやす以外、一たび設定されますと伸びないわけでございまして、それが先ほど高橋理事からお話がございましたようにかなり飽和状態に近くなっておりますので、そうはかばかしく伸びないわけでございますが、支出の方につきましては、人件費とかそういうものがございまして、どうしてもある程度伸びるという基本的な構造は今までもあったのではないかと思っております。ただし、支出は厳しく、常に経営の合理化をしながら抑制していくということがなかったならば、こういう大きな組織体になれば伸びていくのは当然のことだろうということで、常日ごろお願いをしているところでございます。  いずれにいたしましても、昭和六十四年度のNHK予算を決めなければならないときが来ておるわけでございますので、来年の一月ころにはそれらを含めまして、郵政大臣の意見を付しまして国会の方に提出することとなっております。NHKにおいても、国民、受信者の納得のいく計画を策定されるもの、このように信じて今作業を待っているところでございます。
  76. 松前仰

    松前委員 NHKの収支につきましては、非常に単純といいますか、単純と言っては怒られますけれども、わかりやすい収支になっておりますので、国民の皆さんが簡単に計算することも可能なわけでございます。そういう意味で、もし受信料を上げるなんという話になりますと、これはすぐにわかるわけであります。一体何を考えているのだろうか、余分に取ってしまうのではないか。将来のために、NHKの安定のためにと言うけれども、これ以上余計に取りますと何か新しいことをやるんじゃないかということが疑われてくるわけでございます。やるのは結構です。やってはいかぬと何も私は言っていません。新しいことをやるのであったら、その内容は一体何か。本当に公共放送にふさわしいもの、今不足しているもの、放送法に書いてある内容の中で今やれないもの、これを新たにやらなければいけないということで新しい料金が必要だということなら納得すると思いますけれども、ただ単純に受信料を上げます、しかも私が計算するとちょっと余計な、余分な感じがするものですから、そういう意味NHKもしっかりその辺を考えていただきたいと思っておる次第でございます。  先ほどの議論の中でちょっと残念だったのは、どういうものが公共性と考えられるかという質問があったときに、副会長の方は、質のよい、民放でできにくいものをやるんだというようなお話だけで、そのほかいろいろ答弁ありましたけれども、それ以外はほとんど公共性と関係なかったのでありますが、そのところだけしかおっしゃらなかった。NHK生え抜きの副会長がそういうようなお話をされたということは、NHKの将来にとりまして私はちょっと不安を感じているところでございます。今現在の公共性というのは、大変難しい議論になっているはずでございます。ですから、その辺を十分姿勢を正していただいて、十分にこれから国民の納得いく方向で頑張っていただきたい、そのようにお願いを申し上げます。  それから、衛星放送の関係で今と関連して申し上げますが、衛星放送についても、新聞に漏らされたところによりますと、千円というようなことが出ておりました。これは、大体受信者の数を一体どのぐらいに見込んでいるのかもわかりません。現時点でかなり受信数が少ないからその過渡的段階をカバーする意味でなんということもあろうと思いますけれども、これは一千万世帯ぐらいになって考えてみると、千円なんて取ったら取り過ぎなんですね。五百円ぐらいでいいのですよね。そう私は計算する。そして、千円なんか取っちゃったら非常に余計なことができるようになってしまうということでありますから、その余計なことをやるというのは一体何だ。これは民放であれば構わぬですけれども、民放ではなくてNHKでもって、公共的使命を持ってやるような衛星放送内容ということになりましたら、これはやはりきちっとした料金を設定しなければいけないというように思いますので、ぜひとも料金につきましては慎重に取り扱っていただきたい、そのように思っておる次第でございます。この辺については答弁要りません。次の機会にやりたいと思っております。  NHK使命ということについて、やはり会長もお話ありましたように質のいい放送、それから副会長の方もお話ありました放送の質というもの、これを守る、それから視聴者に対します公共放送としてのサービス、これを落とさないというようなことはどうしても必要であるわけでありまして、また、人材というものが基礎になってNHKがあるということもあるわけでありまして、そういうようなことをひっくるめて考えて、放送の質を守る、サービスを落とさない、この具体的な考え方というのをNHKの方からお聞かせいただきたいと思います。
  77. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 お答えいたします。  先生のおっしゃるように公共放送使命というのは、公正である、政治的には中立である、事実に即する、なおかつ、日本だけでもなく世界でも最高のクォリティーの番組をつくって、日本の文化と世界の文化に貢献するということが私どもの使命だと思っております。そういうために、私どもも組織を挙げて取り組んでいきたい。なおかつ、私も先ほど申し上げまして先生から御意見いただきましたが、そのためには人材というものが一番必要でございまして、その人材をいかに活力を持って、才能、能力というものを活躍させるかということのために腐心してまいりたいというふうに思います。
  78. 松前仰

    松前委員 今おっしゃいましたように、公共性、NHK使命というものを守るには、やはり人材ということでございます。今いるNHKの職員というものが基礎になって、これがすばらしい番組をつくっているというようなことでございますから、その辺について経営としても十分考えていただいて、先ほど一番最初に会長からお話あったのですが、一万五千三百人は多過ぎるというようなお話が簡単に飛び出してまいりました。そしてまた、何か役職が多過ぎる、だから役職の名前を全部切ってしまって平にしろというようなお話のようでございますけれども、大変攻撃的な経営姿勢が見受けられたわけでございますが、そういうようなことだけでもってNHKの番組内容がよくなっていくとは私は全然考えておりません。ですから、会長の言われました人を減らすというようなことについては、やはりこれは現場のことをしっかり見なければいけません。NHKにも労働組合があるわけでございます。そちらの方としっかり討論していただいて、そして進めていかなければいけないと思いますので、その辺について会長のお考えをちょっとお聞かせいただきたい。
  79. 植田豊

    ○植田参考人 先生御承知のとおり、年々効率化に努めております。過去十年効率化をやってまいりましたが、その際、組合とも十分な協議をいたしまして、その上で実施をしておるところでございます。今後とも私どもは従来以上の効率化の努力が要るというふうに思っておりますし、私どもが全くむだのない状態に既になっている、理想的になっているというふうには必ずしも思いません。率直に申し上げて、なお見直す余地がまだあるというふうに考えます。先生御指摘の点に十分留意しながら今後とも効率化に努めてまいりたい、かように考えます。
  80. 松前仰

    松前委員 いずれにせよ、NHKにあります労働組合、そちらの方もNHKの将来については真剣に考えておりますから、十分討議していただいて将来に備えていただきたい、そのように考えますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、話は全然違ってまいりますけれども、NHKの番組、これはテレビジョンでありますが、テレビジョン放送というものはすべて国民に公平に見られているかということになりますと、必ずしもそうじゃないということが言えるのでございます。それは政治的な理由じゃございません。人間の物理的な問題になってしまうわけでございますけれども、聾唖者ですね、こういう人たちに対してNHK放送が、一体テレビジョンがきちっと受けとめられておるかということになると、やはり音でもって声が伝わってくる、ニュースの番組なんか特にそうでございますが、ニュースの番組はやはりすべての人が平等に見られなければいけない、そう思いますので、ニュースの番組において、耳の聞こえない方などは音が聞こえないわけでございます。これは何とかしてくれないかという声が非常にこの一年間ぐらい強いわけでございます。私が提案するに、このNHKニュースというものについて、やはり字幕をぱっと出したらどうだろうか。手話の放送は何か朝の方でやっておるようでございますけれども、昼でも夜でもですが、ニュースの番組に字幕を出していただけると大変ありがたい、そういう要望が非常に強いのでございますが、この辺についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  81. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 NHK公共放送としまして障害者向けのサービスということも向上させようということでいろいろ努力をしてまいっておりますが、お話しの聴力障害者向けのサービスでございますけれども、現在NHKでは日曜日の夕方に「聴力障害者の時間」というのを設けまして、そこで一週間のニュースをまとめて放送させていただいております。また、文字多重放送でもニュースの放送をしておりますけれども、毎日毎日のニュースの字幕サービスという御趣旨でございますが、私どもも御趣旨は非常によくわかるのですが、ニュースは生放送でございまして、時々刻々ニュースのオーダーが変わる、あるいは新しいニュースが入ってくる、ニュースの直前まで項目の順番、内容等がなかなか決まらない、文字をつくるということがまたこれは時間がかかることでございまして、直ちにそういう御要望に応じるというのはなかなか難しいなというふうに思っております。しかし、私どもも、できる限りそういう御要望に沿えるにはどういうふうにしたらできるのかということを関係のいろいろな機関とも協力しながら研究してまいりたいというふうに思います。
  82. 松前仰

    松前委員 前向きな御答弁で本当にありがたく思っておりますが、まとめてやるということをちょっと申し上げますと、あれで十分だということには絶対にならないので、やはりいろいろな緊急のものがありますと、何だか画面の方はえらい騒いでおる、何だろうというような、アナウンサーだけの場合は特にそうでありますけれども、非常に不安になるそうでございます。ですから、ぜひとも今おっしゃったような検討をしていただいて、実現するような方向で努力をしていただきたい。技術的に非常にブレークスルーしなければいけないところもあると思うのですけれども、ただ、技術的にも大変最近技術が発達して、これはある雑誌なんですが、パーソナルコンピューターの雑誌なんだけれども、話したとおりを画面に表示する日本語速記タイプライター、この速記の皆さんもみんなできてしまう、そういうものができてきている。これは正答率がかなりあるらしいのでございますね。ですから、こういうものもやはり世の中でできておるのですから、こういうものはやはり研究所あたりでちょっと研究していただいて、具体的にそれを出していただくと大変に助かる、喜ぶ方がたくさんいらっしゃる、そう思います。  それからもう一つ、NHKのニュースですね、あれをちょっと見学させていただいたそのときに見たのでありますけれども、あれは実際にカメラを見てしゃべって、暗記しているかと思ったら、実はそこに字が書いてある。字が見えておるわけです。ああいうことができるのなら、それを画面に出せばいいじゃないか、私はそう思うのですね。何もタイプライターで打たなくてもいいわけです。こういう普通の字でそうやって書いて、それを下に出せばいいということもありますし、いろいろな手だてができると思うのです。できないものもあると思いますよ、緊急でどうしようもないという。ですから、できるものからやっていただけるとありがたいなということでございますが、ひとつそれはよろしくお願いしたいと思います。  それから最後に、ハイビジョンの関係でございますけれども、ハイビジョンの方式の問題、これが、私が見る限り日本がどうも孤立をしてしまっておるというように感じるのですけれども、その辺は一体どういうことなんでしょうか。御説明いただけますか。
  83. 成川富彦

    ○成川政府委員 ハイビジョンの番組制作規格についてでございますが、昭和六十一年に日米加共同でCCIRに提案いたしまして、現在CCIRで検討中でございます。米国の方では、米国規格協会の規格評価委員会が本年十月六日に千百二十五本の六十ヘルツという番組制作規格を米国の国内規格として承認しておりますが、これに対しまして三大ネットワークの一つてありますABCが異議を申し立てておりますが、いずれにいたしましても、来春にはこれが決定される予定というふうに聞いております。  それから、米国のFCCでございますが、米国内の地上のATVにつきまして来年十一月に結論を出すということで現在検討中でございますが、我が国からも地上放送に適合する方式を提案済みでございます。これにつきましては、現在のEDTV、クリアビジョンと我が国で称しておりますが、それと同じような形でやっていきたいというような仮結論を出して、来年の十一月に結論を出すということで検討中でございます。  郵政省といたしまして、ハイビジョンの早期実用化と世界発展を図るために、我が国が提案している国際規格、番組制作規格が世界統一規格として採用されるように努力していかなきゃいかぬということで、本年五月にも米国との間で意見交換をしておりますし、それから、ECとの間でもことしの九月に作業部会を開きまして意見交換をいたしまして、統一規格づくりについては賛成しておるのですが、ECとの間ではなかなか難しい状況もございます。今後とも世界統一規格づくりについてはあらゆる機会を通じて努力を重ねていかなければいかぬというふうに思っておりまして、外国の理解を求めるべく今後とも努力していきたいというふうに思っているところでございます。
  84. 松前仰

    松前委員 最初め意気込みと違って最近は、世界統一規格といいますか、世界の中での技術的な認められ方というのは大分低下してきたような感じがするわけたんですね。それにもかかわらずNHKの方はハイビジョンの番組をやるんだということで、何かそういう方向で進むということ、来年の春からハイビジョン番組をやるとかというようなことをどこか新聞で見たことがございますけれども、そういうことで孤立しながらNHKがばんばんばんばん推進していくということになると、一体NHKはどういうふうに将来を考えているのかということをちょっとお願いします。
  85. 小山森也

    ○小山参考人 私どもといたしましては放送事業者でございます。したがいまして、伝送のような企画に周波数をどのようにするかということは私どもの力ではできないのでございますけれども、今一番考えなければならないのは、世界にこのハイビジョンのような映像をできる機械が、マシンがございません。したがいまして、私どもといたしましてはこのような画像をどのように大勢の方に見ていただいて、そのことによりまして将来の画像というものがどのようになっていくかということを世界の方々に知っていただきたい、こう思っておりまして、一つは国内ではそのような形でハイビジョン放送を進めていくということが一つ。それからまた、共通的な今の基準を持っておりますアメリカ皆様方放送事業者だけでなしに一般の方々にその映像を見ていただいて将来の映像というものに対する関心を示していただきたい。このようなことで目下番組制作等に努力しているというのが私どもの気持ちでございます。
  86. 松前仰

    松前委員 やはり小山さんは郵政省にもいらっしゃって、その辺の話も非常に詳しいはずでございますね。今放送事業者の立場ということだけでお話しされたけれども、そんなことだけでNHKはいいだろうか。やはりこれはNHKがぶち上げた方式でございますから、これを一体どういうふうに世界に普及させて、そして統一企画としてこんなすばらしいものができるんだ、それで世界をリードしていくぐらいの考え方を持っていなければいけないわけでありますので、その辺はどうですか。
  87. 小山森也

    ○小山参考人 まことにどうも舌足らずな答弁を申し上げて申しわけございません。  実は、そういうことによりまして実質的に今NHKハイビジョン以外にない、高度なHDTV、ハイデフィニションテレビ、こう申しておるようでございますけれども、そういった画像を見ていただくことによりまして世界の基準、技術基準等もそれによって大勢の方々に御同意をいただく、そのために政府に対してもいろいろ実体的な意味でのお手伝いをしたい、こう思っている次第でございます。
  88. 松前仰

    松前委員 時間が来ましたのでもう一つだけ最後に申し上げますけれども、そういうようなことでハイビジョンがうまくいくと思ったらちょっと甘過ぎるんじゃないかと思いますね。今御承知のように日米貿易摩擦、こういう状況でございますから、日本の技術なんというものは外国がやらせるわけはないんですよ。日本の主導であります技術なんかが入り込んできたらどんどん貿易に利用されてしまう、だから絶対それを抑えたいというのが外国ですから、こういう世の中の状況でハイビジョンを本当に世界の方式として取り上げることができるかどうか。それは私はちょっと難しいような気がするわけですね。だから、その辺の大変な問題を認識しながらかかっていただかないと、これは本当に将来NHK孤立、日本は孤立というような格好でもって、残念ながら日本だけで細々とやっているということになりかねないものですから、それじゃ何の意味もなくなってしまうということでありますから、ぜひともその辺を考えてこれから対処していただきたい。ただ、大変難しいと思いますよ。頑張ってください。  これで終わります。
  89. 塚原俊平

  90. 田並胤明

    田並委員 池田会長を初めとして新しくNHKの役員になられました皆さん、本当に御苦労さまでございます。大変厳しい環境でございますが、とうぞこれからも国民の期待にこたえるNHKとして大いにその成果を上げていただきたい、このことをまずお願いをしておきたいと思うのです。  そこで第一点目は、今参議院の方でいろいろと総括質疑をされております消費税と受信料の関係についてまずお伺いをしたいと思うのです。  ここにいらっしゃいます通信部会長さんも大変な御努力をされて、NHK受信料に消費税をかけるなんというのはもってのほかだということで、最後まで大変頑張っていただいたようでありますが、どうも法律を見ますと、受信料も消費税がかかるという内容になっておるようでございます。それを見て、私非常にびっくりしたのでありますが、これは六十一年の三月の六十一年度のNHK予算審議をする際に、NHK受信料の性格についていろいろと論議をしたのを私も覚えております。そのときに私の方で申し上げましたのは、受信料というのは税金説をとるのかあるいは放送対価説をとるのかあるいは公用負担説をとるのか、どれなんだろうか。もう一つは許可料説みたいなものがあるんですが、これは別として大体この三つに、税金ではないわけですから当然対価説をとるかあるいは公用負担説をとるか、そのいずれかになるんじゃないですかと。しかし、NHKの前の会長さんや当時の松本理事なんかの答弁でいきますと、明らかに公用負担説、要するにNHK公共放送として質の高い番組を自主的に、しかも中立的に、不偏不党、公平公正な立場で国民の皆さんに提供するという公共放送を守るための、NHKを支えるための特殊な負担金である、こういう答弁を当時の松本理事川原会長もしたわけですよ。ですから、私は、そういう立場からすると公用負担説なんですねという話をしたわけであります。  あくまでもNHKという公共放送を支えるための特殊な、特殊なというのは、要するに国会予算書を出して国会で議決をしてそれで料金が決まる、そういう意味で特殊という言葉を使ったようでありますが、宴するに特殊な負担金であります、こういう答弁をしておるんですよ。その考え方は今でも変わらないかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  91. 島桂次

    ○島参考人 私は、川原さん時代から役員をやっておりまして、その先生のお考え方は依然として私たちは持っておるわけでございます。しかし、この問題は政府を初め皆さん方の御決定に従わなければいけませんので、最終的にどういう決まり方になるか、それを待って我々も対応したい、こういうように考えておるわけでございます。
  92. 田並胤明

    田並委員 確かにNHKとしては、現在国会審議をされている問題ですから、これに対してとやかく見解を述べるわけにはいかないと思うのです。ただ、国民に対して受信料を徴収しておるのはNHKなんですね。そうすると、NHK受信料を徴収をする以上は、国民に対して要するに消費税をかけるというのは、サービス対価説をとるということになるのではないかと私は思うのです。サービス対価説をとるのならば、これは民放と同じですから、別に見たくない人はもうNHK放送できないようにしてもらって結構です、そういう機械はできないにしても、私はNHKを見てないんです、NHKの方は切ってもらって結構です、こういうふうに言われたときに、今度は受信料を払わなくてもいいという形になるんですね、サービスの対価ということになると。消費税というのはそういう性格のものだと思いますから。当然NHKとしても受信料に消費税がかかるという話があったときにどういう対応をされたのか、それをまずお聞きをしたいということと、郵政省も相当大蔵省に対して御苦労を願ったと思うのですよ。ですから郵政省としても、本来受信料というのはそういう性格を持っているとすれば、単純にサービス対価説がとられるような、あるいはそれに準ずるような感じで消費税を受信料にかけるということ自体は避けるべきではないか。もちろん来週あたりから何か濃密な各項目にわたっての審議を野党の要求ではしたいということで、自民党さんの方に申し入れているようでありますが、仮にそういう審議が進んでいけば、恐らくこの問題も一つの例として審議の対象になるのではないかと思うのですが、その辺NHK郵政省の御見解をお伺いをしたい、どういう立場でこういうものを残念ながら認めてしまったのか。
  93. 成川富彦

    ○成川政府委員 先生おっしゃいますように、NHK受信料NHK維持運営するための特殊な負担金でございまして、サービスの直接の対価として求めているものではございません。その性格は現在でもいささかも変更はございません。今回の消費税は御承知のとおり広く家計の消費に負担を求める税制でございまして、今回の消費税法案におきましては、NHK受信料資産の譲渡等の対価に類するものとして課税対象に加えた上で消費税の負担を求めるということになったところでございまして、性格自体には何ら従来と変更はないわけでございます。
  94. 島桂次

    ○島参考人 私どもは、政府並びに国会皆さん方がこれから先いろいろ最終的に御決定をなさると思いますので、それを待ってまたさらに検討を加えたいと思っております。
  95. 田並胤明

    田並委員 NHKさんの方は大分慎重な言い回しで、お考えはあるのじゃないかと思うのですが、重ねて申し上げますけれども、受信料を国民が納めているのはNHKなんですよ、NHKに納めているのです。先ほど成川局長が言われたように、それはいろいろな法律の解釈だとか法律の組み立てというのはあるかもしれませんが、単純に国民の皆さん一人一人が考えるのに、受信料というのは少なくもNHKを支える、公共放送を支える、しかもかつてのような大本営発表にならない、まさに不偏不党、中立自主でもって放送をやっていただけるものという期待を込めての受信料なんです。ですから、国民の皆さんは単純な放送対価説はとってないと思うのです。だから放送対価説をとれば、これは納めようと納めまいと、NHKをおれは見てないのだから払わないよということでいってしまうわけですから、そういう国民の皆さんに消費税が受信料にかかるということについて、恐らく国民の皆さんは、では受信料の性格変わったのかな、こういうふうにとられても仕方がないと思うのですね。ですから、そういう意味では、NHKとしては確かに国会にかかっている法律案でありますから、今ここで予断と偏見を持つような話をすると怒られるかもしれませんので島さんの回答でいいのでありますが、私どもとしては絶対に容認できない内容である、このことだけはNHKなり郵政省に申し上げておきたい、このように思っております。  そこで、万が一この消費税が通った場合に、NHK受信料に転嫁される額というのはどのくらいになるのだろうか。例えば総額でいうと恐らく三千五、六百億でしょうか、受信料総額というのが。そうすると、おおむね三%で百五億から百十億程度という計算になりますね。それで受信件数を割れば幾らぐらいになるかわかると思うのです。要するに受信料に転嫁される額ですね。受信料にかかる消費税の額というものがどのくらいの実質的な値上がりになってしまうのか。  それとあわせて、NHKの場合には受信料だけじゃなくて機材を購入をするあるいは建物をつくる、いろいろな仕事があると思うのですが、その辺は今度の新経営計画の中で当然見込まれて計算はされているのではないかと思いますが、それらを全部一切ひっくるめて消費税の影響というのが受信料にどの程度はね返るものなのか、それを計算されているとすれば聞かしていただきたい、このように思います。
  96. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生御質問の趣旨のように、仮に消費税が三%受信料に課せられるということになりますと、私どもは、今度の税制改革法案の十一条に基づきまして受信者の皆さん方に新たな御負担をお願いしなげればならないということになろうかと思います。  それから、その額がどうなるかということでございますが、先生御案内のようにNHK受信料についてはいろいろな種類がございます。訪問集金あるいは口座とか若干の料金の差がございますので、端数の整理ということが必要になります。あわせてNHK受信料は、先生御案内のように放送法三十七条に基づきまして、NHK財政収支ということで国会の御承認を得るということになっておりますので、この段階で申し上げることははばかれるわけでございますけれども、その影響額につきましては、受信料の収入が大体三千四百億でございますから、その三%ということで大ざっぱに計算しますと百億ぐらいになります。  それから、NHKが種々の機材を購入している額は、現在のところ年間千七百億ぐらいになっておりますから、これも五十億ぐらいになろうかと思っております。
  97. 田並胤明

    田並委員 それが今受信料を払っている方々に対してどの程度の負担増になるのかということもあわせて聞いているのです。
  98. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先ほど申しましたようにNHK受信料が幾らになるかというのは、収支という格好で国会の御承認をいただいた中で受信料の調整を行わしていただくということでございますので、なかなか答えづらいことではございますが、あえて仮定のこととして申し上げるならば、三十円ぐらいになるかなというような見込みで考えております。
  99. 田並胤明

    田並委員 消費税関連だけで三十円くらいの受信料の値上げになる。大臣、前の五九―六一の三カ年の経営計画の中でも、収入増というのは、大体収入の伸びというのは一%、平均的に支出というのは経済成長もありますから大体三から四%の支出増になっているのですね。特に六十二年だったか六十一年だったですか、そのときは大体収支の均衡がとれるように支出の伸びも抑える。収入については、埼玉県の鳩ケ谷にありましたNHKの送信所跡地を埼玉県に譲渡したことによって何とか収支相償ったのは六十一年から六十二年だったですね、二・九とか二・八で。それ以外は料金値上げをしたときは収入の伸びはぐんとありますが、支出だけはコンスタントに三ないし四%伸びる、構造的に赤字になる仕組みになっているわけです。もちろん構造的に赤字になる理由というのは、先ほど来の質問の中にありますように質のよい番組を国民の皆さんに提供するだけでなくて、NHKのもう一つの使命として放送技術の研究開発だとかハイビジョンだとか衛星だとか、NHKとしては法律でもって課せられたこういう仕事があるわけです。ですから、そういう本当の意味での公共の用に供する仕事をNHKとしては放送だけではなくて放送技術の開発にしてもやっているわけです。そういうところへさらに受信料を上げるような形でNHK経営を危うくしたりあるいはNHK本来の仕事をやりづらくするというようなことは絶対に避けるべきだと思うのです。ですから、そういうものはなくてただ単に受信料をもらい放送しているだけ、もちろん放送法に基づく不偏不党だとかあるいは公正無私だとか、いろいろな放送はやらなければいけないのですが、それ以外に今言ったお荷物を抱えているわけです。ハイビジョンの開発だとか衛星放送だとか民間でできないことをやっているわけです。そういう非常に公共的な質の高い部分をNHKが受け持っているとすれば、そういうところから考えてみても、逆に消費税をかけて三十円も受信料を高くする、こんなことをする必要はないのではないかと私は思うのです。大臣、どうでしょう。
  100. 中山正暉

    ○中山国務大臣 なかなかそこが難しいところでございまして、私も省内ではこれに課税されるというときに、公共放送としてみんなで支えていかなければならないもの、特に国際放送にも力を入れてもらわなければなりませんし、国際放送の中には命令放送というようなものもございますし、あまねく日本の端から端まで難視聴地域の解消とか、だれでもが、特にラジオ放送も大変重要な要素である、携帯用の小さな小さな受信機を持って歩けるときにはいかなる災害にも対応できるのはラジオ放送だという気がします。私自身もけさ六〇二五で国際放送のニュース解説、私毎朝聞いておるわけでございますが、大変いい番組の内容だと思っておるものでございますから、ある意味で、妙な言い方ですが、宗教法人に課税をされないのならば、どうもNHK受信料というのも何となくおさい銭に似ているような気がいたしまして、そして経営委員十二名で会長を決めるのも、どうもローマ法王を選ぶのとよく似ていますし、私はいつも言っているのですが、電波というのは神様からいただいたもので、色がついてないものは空気と電波だ。そういう意味からすると、この貴重な神様からいただいた電波を我々が、人間が利用させていただいてあらゆる情報を伝達する、そういう放送使命みたいなものの中に、何といいますか、消費税が入ってくるということは大変悩みましたけれども、しかしそれを克服して、御理解をいただいて、そして公共放送使命を達するということがやはり新しい税制改革の中での意味じゃないだろうか。悩みながらやはりそうしなければならないという、また御理解を得なければならないということで、私どもがその御理解をいただくための努力をし、また今お話しになりましたようなハイビジョンという、先ほどの松前先生のお話にもありましたが、韓国のオリンピックの放送という実験放送をやりましたことで国際的に一歩踏み出したという、大変意義深いものがございます。日本のソニーさんが今度MGMを買収したということですから、映画というような――この間私も「出発」というのを見せていただきました、ハイビジョンウイークの始まりの日に。コンピューターで画面を入れ込んで、九州を走っているバスが北海道を走っているのを実際に持っていかなくてもその画面の中へはめ込まれるなんというのを見まして、これは映画産業には多大の影響を与えるんじゃないか。そういう日本しか持っていない受像機、それから映写機、撮影機というものをここで世界に本当に提供をしてでもこの普及に努めるような、そんな大きな使命NHKが帯びていますので、そういう使命を持っているところだから、ひとつ消費税も御協力をいただきたい、そしてNHKを育てていかなければならないんじゃないか、こんな気持ちでおります。
  101. 田並胤明

    田並委員 大分、大臣にも苦しい胸のうちを述べていただきましたが、今言われたように国際放送あり、衛星放送あり、ハイビジョンあり、とにかく民間ではできない放送事業を、あるいは技術開発をやっているわけですから、そういう意味では何としても、大臣が幾ら言われても私は納得ができないということだけとりあえず申し上げて、次に移りたいと思います。  次は、新経営計画の問題についてお伺いをしたいんですが、先ほど申し上げましたように、五九から六一の三カ年の経営計画というのは先ほどは六十一か六十二かと言いましたが六十二年度でしたね、収支とんとんになったのは。鳩ケ谷の送信所の跡地を埼玉県に売却をしたその収益等が入って、もちろんそのほかの努力もあってとんとんになりましたが、大体収入増が一%、伸びが一%、支出の伸びが三から四と、常時こういう格好で来ているわけです。そうすると、来年度を初年度とする新経営計画、今中身については恐らく検討中でしょうので、はっきりしたことは聞けないと思いますが、少なくも今までの経営計画にあるように一%の収入の伸び、三から四%の支出の伸びという形でこの新経営計画というものをつくったんでは、これは必ずあと三年とか四年後にはもう一回また受信料の引き上げということが来るわけですね。もちろん物価が上昇したり、あるいは他の経済変動があってこれは上がる場合は結構ですよ。結構というか、やむを得ないと思うのですね。しかし、今公共料金が、電話料金にしてもあるいは郵便料金にしても、いろいろ引き下げる努力をどんどんしているわけですよ。そういう中でNHK受信料だけは上がるというのは、今の世の中の流れに何か逆らっているという、こういう感じを非常に国民の皆さん受けると思うのですね。ですから、この新経営計画をつくる際にその基礎となる収入の伸びをどの程度見ているのか、支出の伸びを大体どの程度見ているのか。あるいは支出の伸びの主な要因というのは恐らく国際放送であり衛星であり、あるいはハイビジョンを合むNHKに課せられた新しい技術開発の研究費、こういうものになるんじゃないかと思うのですね。ところが、それをこっちに置いて、今度は要員を減らすとか、いわゆる要員の効率化をもっとするんだという先ほどの池田会長のお話がございました。それはそれなりにひとつ対応する労働組合の方とも十分協議をしてもらってやっていただかなくてはならないことでありますが今申し上げたように、この新経営計画の基礎となる収入の伸び、支出の伸び、これをどういうふうに押さえてやられようとしているのか。もちろんその中には受信料の値上げというものも、新聞紙上で知る限りではかなりNHKの首脳の人はそれぞれ発表されているようでございますから、そういうものもひっくるめて考えられているんでしょうが、それらを入れてどういうふうに考えられているのか、新経営計画の基本理念になるもの、それについてちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  102. 島桂次

    ○島参考人 これからの経営課題、これからのNHKの財政計画その他につきましては、今先生御指摘のいろいろの要素を加えまして、つまりこれからぜひやらなければいかぬ仕事、我々がこれから今までやってきたことを振り返りましていろいろな意味でスクラップ・アンド・ビルド、スクラップ部分が何があるのかということを鋭意今真剣に検討しておりまして、我々今当面郵政省その他、いろいろその計画を練っている最中でございますので、先生の御趣旨をよく外した上で、いずれきちっと決まりましたらその段階でいろいろ具体的に説明申し上げたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  103. 田並胤明

    田並委員 そうすると、今の段階では郵政省といろいろ検討しているので、大体の伸びはどのくらい見て支出の増を大体どのくらい見ているか、いわゆる経営の基本になる部分についてはこの場所ではまだ言えないですね、その辺は、おおむねも。
  104. 島桂次

    ○島参考人 これは何せ情報化社会、ニューメデア時代、まさに放送にとってラジオからテレビジョンに移った時代以上の大きな変革の時期に来ておりますので、何分これはいろいろの要素がいろいろの形で出てきておりまして、私どもも当然私なりの、あるいは我々経営として検討している案が二つ三つございますけれども、今この段階でこの方針で我々は行きたいというところには実際まだいきませんので、毎日徹夜みたいな形でいろいろその案を練っておりますので、もうしばらく時間の猶予をお願いしたいと思っております。
  105. 田並胤明

    田並委員 それでは、前の五九―六一が三カ年計画で立てられたんですね。それで、大体オリンピックの年ごとに料金値上げという点が、受信料値上げが繰り返されてきたわけですが、今度の新経営計画の場合には前と同じように三カ年計画くらいでいくのか、あるいは五ケ年計画くらいでいくのか、あるいは六カ年になるのか、その辺の大枠はできているのかどうか、お聞きをしたいということです。  それと、五九―六一のときには、大体六十二年度には受信料の引き上げがあるんではないかというそういう内容の計画だったわけですね。ところが、さらに二年間受信料の値上げをしなくもNHKの大変な努力でやってきたという、このことについては私どもは評価をしたいと思うのでありますが、いつも国会の附帯決議にありますように、ぜひ長期にわたって受信料の引き上げにならないようなそういう英知を絞って新経営計画というものはつくっていただきたい、このことは要望として申し上げますが、先ほど言った何カ年くらいの計画で今やられようとしておるのか、それだけお聞かせ願いたいと思います。
  106. 島桂次

    ○島参考人 今の段階ではっきり申し上げることは、今までは御指摘のように大体三カ年計画ということでやってきたわけでございます。しかし、これから先は先ほど申し上げましたようないろいろの複雑な要素を持った時代になってきましたので、その三カ年計画というものにこだわらず、五カ年がいいのかあるいは七カ年がいいのか、その辺も含めまして、ただ、今までの三年計画ではとてもやっていけないということだけは認識しているつもりでございます。
  107. 田並胤明

    田並委員 わかりました。  それでは、この新経営計画に関連をして、どうしても支出増が見込まれるというのが、一つには衛星もあるでしょうし国際放送もある、いろいろな要素があると思うのですが、特に国際放送の関係について最後にお聞きをしたいと思うのです。 八俣の送信所が五九から六二で一応完成をして経費総額が四十八億六千三百万余かかった。これの国からの負担金といいましょうか交付金というのはどのくらいだったか、教えていただけますか。それで、またその総額に対しての割合。
  108. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 八俣の送信所の整備につきましては、当初計画では百四十三億円ということでございましたけれども、調達努力をしまして七億円ばかり減額して、最終的には総額で百三十六億円でございます。この間、政府の交付金は十億五千万円ということでございます。したがいまして、トータルでは約八%ということでございます。
  109. 田並胤明

    田並委員 済みません、金額を間違えまして……。そうですね、百四十三億、それで決算が百三十六億になったわけですね。  大臣、国から出されたのが十億五千万なんですよ。八%なんですね。今国際放送の方は命令放送と自主放送と、NHKが国から交付されたものをごっちゃにして、おじやにして国際放送をやっております。これでも大体二五%ぐらいの交付金が出ておるのですよ。八俣送信所というのは国際放送をするための施設なんですから、本来なら放送のために国が交付をする、最低だってやはり二五%ぐらい。この二五%という放送の国の交付金、割合だって別に根拠があるわけじゃないのですね。そのときそのときの予算措置でもってやられて、年々増額はされておりますが、増額はされているといってもパーセンテージはふえてないのですよ。要するに、NHKの国際放送予算が総額が伸びておりますから、その中に占める割合が大体二四から二五%、国際放送で政府が交付をするお金が。ですから、少なくも、これからも八俣送信所以外にもNHKとしては国際放送を充実強化をするために相当の費用をかけなくちゃならないと思うのです。そういうときに、ひとつ大臣の方も大蔵省とも折衝してもらって、少なくも国際放送を今やっている施設に対しても二五ないし三〇%ぐらいの交付金を出すぐらいのそういう努力をしていただかないと、その分がまた受信料へと、こういう格好になりますので、この国際放送の実施経費の割合も高めていただくと同時に、今言ったそういう国際放送を充実強化するためのもろもろの施設について、国からの交付金はわずか八%なんということを言わずに、相当のこの増額を大臣としても強く大蔵省に要請をしてもらいたい。  お考えを聞いて、私は終わります。
  110. 中山正暉

    ○中山国務大臣 大変御激励をいただきましてありがたいことだという気持ちでおります。  特に、海外の放送を聞いておりますと、中国が一日に六時間、ソ連が六時間、日本は本当にこれから情報を世界に伝達することで生きていかなきゃならない国家でございますのに、そういう意味では、まだまだ日本の放送があまねく地球上を覆っていないという状態で、いろいろ海外にも御協力をいただいて、今、スリランカなどにもアンテナを立てるというような計画があるようでございますし、その面では、先ほどからお話のあります税制改革ができましたら、衆議院は通していただきましたが、今参議院で審議中でございますが、大いに郵政省としても、NHKに国の費用をもっとつぎ込んで、もっと充実した公共放送らしいものにしていくために、ひとつ先生方にも御援助をお願いをしておきたいと思います。
  111. 田並胤明

    田並委員 消費税の部分だけは納得できませんので……。  一応わかりました。終わります。
  112. 塚原俊平

    塚原委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ────◇─────  午後一時二十分開講
  113. 塚原俊平

    塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について質疑を続行いたします。木内明君
  114. 木内良明

    木内委員 久しぶりに本委員会がこの臨時国会で開会になりまして、七月三日NHK会長に就任されました池田会長を迎えての六十年度決算ということでございます。  午前中来の質疑並びに答弁をお聞きしておりまして、巷間伝えられておりましたように大変に歯にきぬ着せず物を言われ、また御自分の言葉で国会の場でもなおかつ答弁をされるという率直な、そしてまた誠実なお人柄に触れたような思いがいたします。いわば我が国の最も大きな言論文化機関の一つでありますNHKに、財界で長い間その敏腕を振るわれた池田会長NHK会長として就任をされたわけでございまして、こうした背景にはいろんな意味があろうと思うわけでございますけれども、その一つに、やはり肥大化した機構、あるいは財政的に非常に危機的状況に陥っているという、赤字体質からの脱却を目指す大きな人事の一つであろうというふうに私は思うわけでございます。  そうした点から、きょうは白川政務次官もお見えでございますし、また今日までNHKの屋台骨の一人として活躍をしてこられました島新副会長参考人としてお見えでございますので、池田会長御本人より新たな会長としての御抱負、御決意、をお聞きする前に、それぞれ政務次官並びに島副会長から期待並びに新会長観といったものをまずお聞かせをいただきたい、こう思います、初めに政務次官、それから島副会長、さらに池田会長、この順で御答弁をお願いしたいと思います。
  115. 白川勝彦

    白川政府委員 NHK会長経営委員会が慎重に審査をされ、そして選ばれるわけでございますが、私ども池田会長に期待するところは従前の会長と同じでございますが、特に久々の財界起用ということでございますので、私どもといたしましては、やはり公共放送ということで決して役所ではございませんが、民間とはまた別の枠組み、別の行動の中で動かなければならない、そういう体質の中にとかく出がちないろんな問題を、逆に財界から入っていただいたという、こういう中でいろんな意味で今までのNHKのあり方というのを、基本は放送法の精神にのっとって、また長年の確立された伝統の中で処理していただかなければならぬわけでございますが、常に新しい感覚を入れていただく、こういうこともまた必要なのではないだろうかと思います。そして、NHK自身が今当面しております問題もそういうところにあるのだろうと考えておりますので、私はこのたび財界から池田会長を迎えたということの意味は大きいと思いますし、その活躍に期待するところが大でございます。また、その期待に必ずこたえていただけるものと信じております。
  116. 島桂次

    ○島参考人 今度新しく副会長になりました島でございます。  池田会長をお迎えするに当たって私の所感を申しますと、NHKというのは国民の皆さん方、聴視者の聴視料によって成り立っている機関でございます。私自身、学校を卒業してNHKで三十何年やってまいりました。しかし、これは単に我々NHKに職を得た人間の、それだけの私有物でもなければ何でもございません。我々はすぐれた放送をできるだけ効率よく出すために、この際大いに我々の体質改善をするために民間の極めてすぐれた方に来ていただくことは非常に意味があるのじゃないか。我々はこれを機会に、公共放送にありがちな効率性の悪さというようなもの、あるいは放送の質を高めるために、我々仲間同士がそこで閉鎖的にやっておりますと非常に偏るおそれもないわけではございませんので、そういう大所高所に立った新会長の識見なり方針なりをよく体しまして、それをどういうふうに実際の放送に反映さしていくかが私の、あるいは私以下の職員の重大な任務じゃないか、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  117. 木内良明

    木内委員 委員長、ちょっとその前に……。  順番に御答弁いただくということを申し上げながら大変失礼いたしました。初めての国会での御発言の場でありますので、私の質問の場合、お答えにくい面、あるいは担当の方によって答弁が十分可能であるという部分については、会長御自身の御発言でなくても結構でございます。それを一点、まずあらかじめ申し上げます。  それから、先ほど大分御丁寧な答弁がありました。委員の間にいろいろな意見もあったようでございますが、御決意なり御抱負をお語りになる初めての本委員会の場でございますので縦横無尽におっしゃっていただいて結構でございますから、ぜひ会長の御決意をお述べいただきたい、こう思います。
  118. 池田芳藏

    池田参考人 けさから話すチャンスを与えていただいたときに私は少ししゃべり過ぎたように思いますので、前に言い尽くしておりますので、今回は一分か二分で御遠慮さしていただきたいと思います。  そもそも電波というものには国境がないと僕は思っております。ですから、けさほども英語を使って皆さんに失礼したかと思いますが、国会でも各国語が通じるような日本の状態になればいいなと思っておるわけで、そういう意味において国際放送というものには私は特に関心を持っておるわけです。これについては、郵政大臣帰られましたけれども、たしか七十六億ぐらいの金がかかっているのですが、六十七億かな、そのうちNHKが六十数億出しておりまして、国が十二億ぐらいしか出してくれてないということを私は聞いております。今の世の中は貿易摩擦を初めとして国際摩擦、文化摩擦がいっぱいあるので、日本という国の姿をもう少し国際的に知らしておくならばそういうことは起こらぬのではないかと常々私は感じておるわけでございまして、その意味でこのことは国を挙げてやっていい仕事ではないかと思います。現在二十一カ国語でやっておりますけれども、ソ連は五十カ国語でやっておると承知しておりますし、中国もしかり、ボイス・オブ・アメリカに至ってはそれより多いかもしらぬというぐらい国際放送に力を入れております。現在我々は二十一カ国語で、これは初めは八俣の短波でよかったのが百キロ、三百キロぐらいになっておりますから、聞こえないところはないと思いますが、ヨーロッパに行くと、各国がいろいろな波長で電波を出しているものですから、それに紛れ込んで日本の短波は聞こえないよという話がよく耳に入るわけです。こういうことでは国際国家を目指す日本としてまことに恥ずかしいわけでございまして、そういう点をこの際特に申し上げて、私の感想の一端にしたいと思います。  その他、いろいろありますが、私はこういう会に出るのは初めてなもので少し上がっておるので、十分な話ができないという点も御了承いただきたいと思いますが、一九七三年にオイルショックで値が上がってしまったときに一回だけ国会に呼び出されて、予算委員会、当時荒舩清十郎という人が委員長だったと思いますが、大分皆さんからしかられたことがありましたが、そういうことが一回あっただけで、こういう逓信委員会のような大事なところに出していただいて、しかも御質問に応じて物を言わせていただくことは大変うれしく、甚だ光栄に存じております。  以上をもって終わります。
  119. 木内良明

    木内委員 今会長いみじくも言われた、午前中の質疑での英文の引用、私は必ずしも非難するものではございませんし、むしろそれ以上に、いよいよ逓信委員会も国際化の時代にふさわしい審議が行われるようになったという思いを深くしたようなことでございますので、それが仮に御自分のお言葉であるならば、今後こうした場でどんどん御引用になってもよろしいのじゃないかと思います。私は、理事懇談会の場で会議録をどう扱うかということで意見を開陳する場がありましたものですから、会長並びに先ほど同僚委員の発言もありましたけれども、むしろこれは原文のまま会議録に残したらどうか、こう言ったぐらいのことでございました。どうぞ恐縮なさらないでいただきたい、そういうふうに思います。私もいささか理解ができますし発言もできますので、答弁の中で必要な引用があるならばおっしゃっていただいて結構でございます。このことを申し上げておきます。  先ほど政務次官からも御答弁がありましたし、島副会長からも効率的な経営ということについての御言及があったわけでございます。しかして午前中の答弁の中で池田会長は、現在の一万五千三百人の職員の実態にお触れになって、この削減ということについて言及をされました。恐らくこれは池田会長の胸のうちに何らかの青写真があるのであろうと思わせるような、非常にばねをきかせた御発言であったと私は承ったわけでございます。この削減の問題について私自身のスタンスが決まっているわけではございませんけれども、率直に池田会長の御発言の裏にあるもの、いわばどの程度のプランというものを今想定しておられるのか。お答えになりにくければ結構でございますし、あるいはそれ以上踏み込んだ御答弁がいただけるならばぜひお願いしたい、こう思います。
  120. 池田芳藏

    池田参考人 現在一万五千三百人と承知しておりますが、名簿を見るとみんなが役付になっておるのはどういうわけだということを僕は植田君に聞いたことがあるのですが、それは長年の歴史のうちにだんだんそういう人たちが上がってきて、何々プロデューサー主幹とか、無理につけたような名前がいっぱいあるということを感じておりまして、それが必ずしも不適当かどうかについてはまだ深く研究はいたしておりません。しかしながら、そういうふうにすればその役付の費用も出さなければなるまいと思いますので、経費の節約という意味からはそういうことも考えて今後実行しなければならぬのではないかと漠然と考えておるわけでございまして、突っ込んで人事担当の植田君と話したわけではないのです。  しかし、私が時々感じることは、何かの時間、プロジェクトを出したときに、これで一体収支はどうなんだと聞いたときに返事のできない場合が多いのですね。これはそういう物事をコマーシャルにあるいはビジネスライクに考えていない証拠じゃないかと思うのです。  これは聞いた話ですが、現在、放送技術研究所の所長になっております杉本工学博士アメリカの議会に行ってハイビジョン説明をしたときに、それはどのくらいの費用がかかったかと聞かれて、彼は一万ドルとかなんとか漠然と言ったら、それは一月か一年かと逆に聞かれてぎゃふんと参ったと言われておりますが、それほどこれにはどれだけの金を経済的にNHKが負担しておるかということを的確に計算もし、いつも覚えていないと、そういうビジネスライクな行動ができないようになりやせぬかと私は感じているわけです。  だから、何か聞かれたときに、これで幾ら利益が上がるかと言われてすぐに返事ができないような場合が多いというのはそういう意味であろうと思うのです。役付が多いことと多少関係があるかもしれないが、ビジネスですからもう少しビジネスライクにやらないと、それ以外の哲学的な問題もありましょうが、けさ申しましたように私は昭和十一年から六十三年まで五十二年間コマーシャルの会社におったものですから、そういうところでは何かの事業をやるときには、これがコストでこれが利益であるというのは必ず最初に計算してやるわけでございまして、NHKという体質がもともとそういうものではない、事業をやるための組織であるという意味から、そういう配慮が多少とものろくなっているのではないかという気がしております。だから、今後チャンスがあれば、人事を長年担当してきた植田君なり島さんとも相談をして、もう少しコマーシャルなビジネスライクな組織にNHKの組織を少しずつ手入れしていったらどうかな、こういうように思っているわけでございます。御返事になりましたかどうか。
  121. 木内良明

    木内委員 今の会長の御発言を聞いて植田専務理事の御感懐を承りたいと思います。
  122. 植田豊

    ○植田参考人 効率化の件につきましては、今後の事業展開のいかんにかかわらずNHKとして最大の経営努力の一つの柱ではないか、何としても避けて通れない柱ではないかと私ども覚悟をしておるものでございます。従来以上の効率化に努めてまいりたい。もちろん労働組合とも十分な協議をいたしますけれども、経営として避けて通れない最大の課題の一つだと覚悟しておるところでございます。  なお、今会長が申しました肩書の問題が確かにございます。これは、一つには高齢化が著しく進んでおるという側面がございますが、単に高齢化しておるだけではなくて、ディレクターにしても記者にしましても今かなりベテランのメンバーがそろいまして、NHKの人材の層が大変分厚く形成されてきておることもまた一面の事実ではないか。そのことが、もしNHKの番組について、ニュースについて評価いただけるとすれば、これらの人材が実は支えてくれておるというふうにも思うわけでございます。  なお一点つけ加えさせていただければ、これらの肩書はいわゆる専門職と称する人たちが大半でございます。いわゆる副部長、部長といった層は全くふえておりません。チーフディレクターでありますとか記者でありますとか、この種の専門職の人たちが著しくふえておるのは事実でございます。ただ、これらの人が孜々として今現場で日々実務についておられる、実際に番組をつくる、取材に当たるということをやっておられることは事実でございます。この点もぜひ御理解賜りたいと思います。
  123. 木内良明

    木内委員 七月二十七日のテレコム記者会との会見で池田会長がこうおっしゃっておられるというふうな報道に接しております。すなわち「親方日の丸的な、官僚主義的な弊風があり、私自身そういうことと無縁なところにいたので、弊風を矯正し、ビジネスライクな組織にしていくともっとよくなると思っている」、恐らくそれをなぞるような形での先ほどの答弁だったと思います。それを受けて植田専務理事のお話があったわけでございます。  私はこの問題についてどうこうすべきだという特定の立場にあるものではございません。今お二人の発言を率直に聞いていて著しい食い違いを感じるわけでございます。植田専務理事、私の発言を踏まえて、池田会長の発言の趣旨も踏まえながらもう一度御答弁をいただきたいと思います。
  124. 植田豊

    ○植田参考人 私どもがこれらの要員をいたずらに削減するということでないことは申し上げるまでもございません。これらの人材に支えられながら公共放送使命を全うしてまいりたい、全体としての努力を続けてまいりたいと感じておるわけでございます。新会長もこれらの人間、人材の大事さを何より御認識だというふうに私ども思っておるところでございます。合理的な形の中でこれらの人材の能力を最大限に発揮する新しい体制というのは何だろうか。組織体制はもとより関連団体等含めましてNHK総体の経営の体質を改めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  125. 木内良明

    木内委員 私は、この問題でそんなにやりとりをするつもりは全くございません。ただ、池田会長の御決意をお聞きして、その気概に触れ、ぜひとも期待にこたえるような各役員の方々の対応であっていただきたい、こう思っていたやさきに今専務理事からのお話がございましたものですから確認をさせていただいたところでございまして、調整の意味から島副会長、この問題について締めくくりの御答弁をお願いできれば、こう思います。
  126. 島桂次

    ○島参考人 今会長並びに植田の方から先生に御答弁申し上げたわけでございますけれども、私は、池田会長の言われる往々にして公共事業にありがちな効率の悪さ、これは確かに認めております。私は、六十四年度予算、来年度事業計画の中で最大限、会長の趣旨を体してできるだけ効率のいい体制をつくろうと思っています。  ただ同時に、植田の申しますことは、放送というのはいわゆる普通の一般の製造業とか物品の販売業とは違う側面を持っております。まさに放送というのは現場で本当にクリエーティブな、どちらかというとプロ野球の選手とかそういうのと同じですし、本人のやる気といいますか、職場に本当に火の出るような、火花が散り、なお切磋豚磨しなければいかぬ面もございますし、ある程度の経験も必要でございます。そうなりますと、入社して二十年、三十年たって、その人たちが、何だおれは部長でもなければ局長でもないのかという面もございまして、やや一般会社にない処遇、そういうものをやはり考えている面もあります。  しかし、私は午前中お答えしているとおり、放送事業というのはかなり人間の部分といいますか、ジャーナリストあるいは放送人としての経験と蓄積、これがNHKのただ一つの財産でございます。そういうものを十分確保しながら、なおかつ池田会長の言うより効率的な線を目指して何とかこの調和を図りながらこれからのNHKをつくっていきたい、こう考えておるわけでございます。
  127. 木内良明

    木内委員 先ほど政務次官も新会長への期待の弁を述べておられたわけでございますし、またそれにこたえる形で池田会長も並み並みならぬ御決意を吐露されたわけであります。したがって、指揮艦先頭単縦陣という言葉ではございませんけれども、会長がその決意でいる、それに対してまた役員の方々ががっちりとそれに呼応する形でこたえるという体制が必要なのではないか。ニュアンスの中に今ちょっと相違する点を感じましたものですから確認をさせていただいたようなわけでございます。改めてこの問題についてお聞きすることは避けますけれども、島副会長が言われた合理性、そしてまたそれぞれ現場でスタッフの方が今全力で頑張っておられるわけでありまして、そうした立場も尊重しながら事会長の意を体したところの対応をお願いしたい、こういうことをまず申し上げておきたいと思います。  次に、副次収入の問題でございますけれども、会長は就任の折の記者会見で、経営改善の一つの方向として副次収入のいわば増収の問題について述べておられます。私も、本委員会で今日までこの副次収入の増加を図るべきである、もって経営基盤の強化を目指すべきであるということを再三にわたって申し上げてきたところでありますけれども、会長はこう言っておられます。「収入の大部分を占める受信料一本やりでなく、NHK資産や蓄積したノウハウをさらに活用させ、関連企業からの収入を現在の一%から五%ないし一〇%にしていきたい」こう発言をされているわけでありますけれども、収入が頭打ちになっている受信料に依存する体質からNHK経営を脱却させる決意をここでも述べられているわけであります。  国民の皆さんへの負担を抑えて副次収入の増加を目指すことは極めて重要なことでございますし、また本委員会の決議においてもこれは常に示されているところであります。しかしながら、今までもNHKとしては副次収入の増加を目指して大変努力をしてこられたと思うわけでありますけれども、今年度予算においても副次収入は年間二十八億円、六十二年度に対して二億三千万円の増収の予定にとどまっている。会長がこの副次収入伍現在の一%から五%ないし一〇%にしていきたいと発言されたことについては、私は高く評価をするわけでありますけれども、果たしてどうした具体的なタイムスケジュールでこれを実現していこうとしておられるのか、これをこの場でお述べいただければお願いをしたい。いわば会長のそうした御決意と御発言が単なるアドバルーンに終わらないためにも、具体的なタイムテーブルというものを御提示されたらいかがか。またそのために国会を初め郵政省も関係各機関も応援態勢を組んでいく必要があるだろう、こういう趣旨からまずお聞きをするわけでございます。  したがって、具体的にお聞きしたいことは、まず、いついつまでに副次収入を五%にされようとするのか、一〇%はどのぐらいかかるのか。不確定要素も相当あるわけでございますけれども、やはり明確な目標があって、それに基づいた具体的な実施なり対応措置というものが講じられてしかるべきであるという観点から、この一点をお聞きをしたいと思います。  さらに関連で、現在一%である副次収入につきましては六十四年度は何%ぐらいを見込んでおられるのか。  以上二点について、初めに会長あるいは副会長、役員の方、どなたでも結構でございます。さらに放送行政局長の方からも、こうした副次収入の重要性、さらに今後の見込みについてかくあるべき、あるいはかく期待したいというコメントをいただければ、こう思います。
  128. 植田豊

    ○植田参考人 先生の御指摘のとおり、新会長就任に当たりまして、従来一%であったものを五%ないし一〇%を目指したいという新会長の発言がございました。私どもはこれを、新会長が今日までの放送とかかわりのない分野での事業のリーダーとしての御経験を踏まえつつ、NHKでの新会長としての努力の目標といいますか、理念的な目標を高く掲げられたのではないかというような受けとめを実は当時いたしたものでございます。先生の御質問に即して申し上げれば、今の五%、一〇%という新会長のいわばこの哲学を私どもが今後の事業運営、事業計画にどう具体的に組み立て得るかというところに今御質問のポイントがあろうかと思います。今その作業を詰めておるところでございます。  一、二具体例で申し上げますと、例えば「地球大紀行」というようなかなり大型の番組がございましたが、これは実際の番組制作費として三億数千万円をかけたかと思っておりますが、これがいわゆるメディアミックス、出版とかビデオあるいは海外との共同制作といったような形をとっておりまして、実際にNHKの会計に四億数千万円入っておるわけでございます。従来は、この種の動きがそれほど積極的に展開されなかった。ただいまのNHKの取り組みは、新会長の意向も受けまして、出版はどうするか、ビデオにはどうするか、あるいは海外とはどう手を組むかというようなことを企画段階から現場で議論をしておるという状況もございます。あわせまして、エンタープライズといった関連会社におきましても、NHKといわば共同制作をする、NHKとお金をいわば出し合って仕事をしていく、そしてエンタープライズの株式会社の方は出版なりビデオ化権なりで出資を回収するといったようなことも現に「大黄河」といったような番組で行っておるわけでございます。これらの取り組みを具体的に着実に積み重ねてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。次の計画をお示しする段階において、新会長の意向を体して私どもなりに次の目標を具体的にお示しをしたいものだというふうに思っておる現状でございます。
  129. 成川富彦

    ○成川政府委員 副次収入につきましては、受信料のみでなく財源の多角化を積極的に図るという観点から、その増加を図っていく必要があるというふうに考えておりまして、先般の放送法改正でもその道をつくっていただいたわけでございます。その際にもいろいろと御議論がございましたけれども、副次収入の確保に当たりましては、NHKの本来業務に支障を及ぼさない範囲、あるいは、民放との併存体制という放送制度の趣旨に沿ってやっていただきたいというふうに考えているところでございます。  放送法審議の際には、五カ年ぐらいの間に副次収入は大体倍ぐらいになるのではないかというようなお話がございましたが、最近になっていろいろとNHKの方がまたさらに詰めていると思いますが、その数字等については私どもは把握しておりません。
  130. 木内良明

    木内委員 今放送行政局長の答弁もこれあり、五%、一〇%というのは必ずしもオーソライズされたものではなくて、いわば理念的、哲学的な師疇のものであるということが確認できたわけであります。しかし、そうした理念的なものを実現するに当たってNHKも努力されるということでありますので、強く要望して、次の問題に移りたいと思います。  十月の六日に、NHK企業集団に関する検討委員会というところからの報告が会長に対して行われた。これは池田会長が、「NHK経営改革に当たって、外部からの知恵をかりて、そして、企業集団のあり方や関連事業の展開の方向について検討していただいたものである。」というふうに報道が行われております。  そこで、放送行政局長の方にお聞きしたいのですけれども、このNHK企業集団に関する検討委員会というのはどういう位置づけになってますか。郵政省の放送行政の分野の中でどの程度オーソライズされていものなのか確認をしたいと思うのです。  と申しますのは、NHKから十月六日に出されました報告書についての資料の二ページ目の下の二行にこういうところがあるのです。「NHKは、この報告書を受けて、今後の経営計画の策定に反映させるとともに、直ちに取りかかることが可能な提言については、早急に具体化を進める方針である。」これは、この検討委員会の報告というものが金科玉条とは申しませんけれども、相当にオーソライズされた形でNHKに受けとめられているような感を大変深くするわけでありまして、郵政省としてのお立場からこの検討委員会の位置づけを確認をしておきたい、こういうふうに思います。
  131. 成川富彦

    ○成川政府委員 検討委員会につきましては、たしかNHK会長の私的な諮問機関としてつくられていろいろと御検討の結果報告が出たということは承知しておりますが、中身につきましては、どのような中身を詰めて私どもの方に出てくるのか、その辺はまだ私ども聞いておらないところでございます。  放送行政局としてその検討委員会にかかわっている点は何らございません。
  132. 木内良明

    木内委員 そうすると放送行政局長、この報告を受けて今後の経営計画の策定に反映させるとともに、提言の内容によっては早急に具体化を進める方針であるというこの私的諮問機関の関係と検討委員会の報告内容との整合性といいますか、あるいは、これを受けて具体的に即座に実施に移るという行き方について問題はないわけですか。  私が申し上げるのは、単純率直にお聞きしたいわけでありまして、というのは、私的諮問機関であるという御答弁があり、そして、それがいきなりNHK経営の骨格に触れるような部分に当然言及されるわけでありまして、この言及された報告に基づいて経営のあり方が決まっていくという行き方なのかなという率直な疑問を持つからお聞きするわけでありまして、この検討委員会の報告書の内容がどうこうということを申し上げているのでは決してない。  こういう前提でもう一度確認をさせてください。
  133. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほども申し上げましたように、放送行政局として設置した検討委員会でございませんで、NHK会長のたしか私的諮問機関だと思うのですが検討委員会が設けられまして、いろいろと御議論が出て、外郭団体といいますか、そういうものの効率化等についての提言があったというふうに聞いております。  私ども、経営計画等いずれNHK等からお聞きする段階になると思いますが、それらの中身を見ましていろいろと御意見等を述べさせていただきたいというふうに考えております。     〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕
  134. 木内良明

    木内委員 何度も申し上げるように、この報告書の中身を見ますと、まことに裸のままNHKがこれを受け入れて経営に反映させるということになっておりますので、確認をさせていただいたようなわけであります。今の御答弁並びに会長の私的諮問機関であるという位置づけを考えますと、当然今後のNHK経営改革の下敷きになっていくであろうというふうに思われるわけであります。  これは確認でありますけれども、この報告の中を見ますと、NHKの性格を根本的、抜本的に変えるのではないかというような重要な内容も含まれているのではないかと思うのです。例えば報告の前文である「はじめに」というところがあるのですけれども、この中に、「NHKは新しいメディアに取り組み、先導的な役割を担っていく必要があるが、NHK単独で多数のメデイアを保有することについては、マスコミの集中排除、受信料収入に依存する構造などの点から問題が多い。」こういう指摘が行われ、付随して経営的に効率化を進めることが強調されているわけであります。  そこで具体的にお聞きするわけでありますけれども、衛星放送など新サービスの実施の一方で、NHKの保有すべきメディア数はどの程度が適切であるかという、従来より指摘されている問題について早急に検討をしなさいという趣旨ではなかろうかと一つは思うのです。現在テレビが二波、ラジオ放送二波、FM、文字放送など九つのメディアを保有しているわけでありますけれども、こうした九つの媒体についてどのくらいが適切なんですかと、しっかり検討をして詰めていけ、こういう内容にも見えるわけであります。この辺はどうなんでしょうか。これは副会長の方ですか。
  135. 島桂次

    ○島参考人 まず最初に、ちょっと先ほどの答申案につきまして、これはあくまでNHKが、これから先のNHKはいかにあるべきかということで、会長の諮問機関として民間有志の方々の御意見を聞いて、それを参考にしまして我々は、六十四年から五年になるかあるいはもっと先になるか、いずれにしてもNHKのこれからやらなければいかぬ仕事のかなりの重要な部分を関連団体が占めますので、その案をいろいろ具体的にその答申を受けて練っているところでございます。したがって、これは、一月までには当然我々の考え方を郵政省その他関係各機関と話し合うという段階のものでございますので、一応ちょっと冒頭つけ加えさせていただきます。  それから、率直に申しましてNHKは一体これからメディアの数をどうするんだ、簡単に言えばそういう質問だと思いますけれども、何せ情報化社会とかニューメディア時代というのはこの五年間を見ましても急速に変わってきております。ということは、これから将来も、衛星放送ハイビジョン、ケーブルテレビあるいはもろもろの新しいメディアがどんどん出てまいります。その中で、現時点でNHKが一体どの程度の仕事の量をやっていくかということは甚だ難しい問題でございます。それはやはりこれからの客観情勢、世の中の動き、特に情報化社会の進展のぐあいというのを見なければいけませんけれども、基本的には、やはり自由主義諸国の先進国で一つの情報機関が必要以上に巨大化されるというのは一般的な理念から著しく外れていくのじゃないかということになりますと、新しい時代の新しい公共放送の仕事の一体どういう部分をどういうふうに担当していくのかということが目下我々の重要な問題であるという認識は十分持っております。  ただ、今の段階でテレビ何チャンネルあるいは音声何チャンネル、あるいはその他の仕事がどうかということをまだ明言できる段階になっておりません。ただ、当面は少なくとも現在やっております仕事、これを新しいきちっとしたものができるまで、テレビ二波と音声三波その他いろいろやっておりますけれども、その範囲の中で当面進めていくというのが私の考え方でございます。
  136. 木内良明

    木内委員 了解いたします。  なお、この検討委員会の報告のもう一つの項目でありますけれども、関連団体の統廃合という問題が出てきていますね。ここで四項目に分けられていると思いますけれども、一つは「企業集団としての長期目標が不明確なうえ、統一的な経営戦略も不足しており、総合力が十分に発揮されているとは言えない状況にある。」二つ目として「団体間において事業分野の重複があり、外部から見ても各団体の役割が明確でない。」三つ目は「団体の中には、NHK依存型で、経営基盤が脆弱で外部競争力に乏しい団体が目立つ。」四番目として「団体の役員任期や、NHK定年退職者の再雇用のあり方についても、再検討が必要である。」こういう答申といいますか報告があったと思います。  これを受けて、七月二十七日のテレコム記者会で島副会長ですか、この秋に向けて、もう既に秋は過ぎているわけでありますけれども、三年なり五年なりのタームで計画案をつくるという趣旨の発言をされているようでございますけれども、この準備状況といいますか進捗のぐあいはいかがなものですか。
  137. 島桂次

    ○島参考人 ただいま申し上げましたとおり、関連団体の統廃合につきましては、委員会の答申を受けながら具体的に大体の青写真を描きつつあります。ただ、この仕事はNHK本体だけではなくて、当然現在既に関連団体がございますから、これから、来週あたりからそろそろ関連団体のトップの方々に会長のところへ来ていただきまして、その意見を聞きながら少なくとも、ちょっと今予定が一カ月以上おくれてしまっているのですけれども、年内には大体の方向を出したいと考えております。  その上でNHKがこれから三年ないし五年何をやるかという段取りは、少なくとも来年度の事業計画並びにNHK予算を提出する段階には政府とか国会皆さん方に明らかにしなければいかぬ、おくれて恐縮でございますけれども、大体そういうスケジュール、段階になっております。
  138. 木内良明

    木内委員 率直に見通しについて御答弁をいただきましたので、了としたいと思います。  繰り返しますけれども、来週早々に関係各団体の皆さん会長のもとにお呼びになって意見聴取を行われて、今年中に具体的な計画なり改革案というものをおつくりになり、これを来年の予算編成といいますかその時期までにコンクリートをし、三年ないし五年ということですかの期間をかけて実施をしていく、こういうふうにお聞きをしましたけれども間違いございませんか。
  139. 島桂次

    ○島参考人 三年ないし五年というのは、関連団体につきましてはもうちょっと時期を早めまして、三年ないし五年というのは、NHKの当面の経営課題といいますか、当面NHKが何をやらなければいかぬかというNHKも含めた全体のスケジュールを、来年度の事業計画あるいは予算編成までに大体我々の考えていることを、もちろん郵政省その他と相談の上国会皆さん方にお諮りしたい、こういう意味でございます。
  140. 木内良明

    木内委員 了解いたしました。  次に、再三にわたってきょうも触れられておりますけれども、受信料改定の問題についてお尋ねをいたします。  川原会長は六十二年八月に行われたNHK決算審議の際、またあるいは本年三月にも、このままいけば六十四年度は現行料金でやるのは非常に難しい、こういう趣旨の発言を繰り返してきておられました。また、記者会見の席上でもこうした発言が続いているわけでありました。今度池田会長になられたわけでありまして、先ほど来の議論を聞いておりましても、前会長のこうした根幹部分については踏襲をされるというふうに私は認識をしているわけでありますけれども、急激な状況の変化というものは当然ないと思うし、同時にまた、現在の厳しい状況にも変わりはないと思うわけでございます。  先ほど白川政務次官から、国民の納得する計画の策定を期待しているという話がございましたけれども、実はこの受信料の改定と経営計画なり、あるいは私が再三本委員会で触れております中長期的な財政再建と申しますか、経営計画の策定というものは表裏一体であるという認識に、おいては、それぞれ変わっていないと思います。  まず、この受信料の値上げというものが初めにありきで、言ってみれば財政的に非常に悪化をした年度は糊口を何とかしのいで、そして受信料を上げて、上げた初年度は余裕のある経営をし、二年目はいわば順調な経営がその延長上にあって続き、次年度で経営が逼迫をしてくる。そしてまた受信料の値上げによってこの財政基盤を補てんしていくという悪循環が、実はこれまで繰り返されていたわけであります。  国民の立場から見ますと、財政基盤が危うくなったときに受信料の値上げという、国民の目から見るところの安直な手段によってこの財政面の補てんが行われるということは納得がいかない。したがってNHKは、例えば今後三年なり五年なり十年という長期的な、あるいは中期的なタームの中でこれだけの事業をいたします、また一世帯一台に放送を提供するためにはこれだけの費用がかかります、また物価の上昇も確かに不確定要素ではあるけれども見込まなければなりません、また衛星放送の事業分野においてもこれだけの予算が必要でありますと、こうしたいわゆる整合性のある、説得力のある経営計画、あるいは中長期的な計画というものがまずあって、その前提のもとで受信料の値上げというものがあるんだという納得のいく形であれば、先ほども特殊な負担金という放送行政局長の答弁にもあったように、今や国民的なコンセンサスとして受信料は払い込まれていると思うわけでありますから、そうした状況づくりをすることが大変必要であろう。川原会長と私とのやりとりの中でも、数カ月以内にはお出しできるというような答弁があったり、あるいはまさにそれは必要であって、NHKとしても国民の皆様にこれを提示して、その上で受信料の御検討をお願いしたい、そういうような答弁もあるわけであります。  ところが、現今の受信料、六十四年度の改定に向けての御発言を聞いてみると、そうしたいわば計画の存在がまるっきりなくて、いきなり受信料また受信料という、今日的な推移を考えるならば常に行われてきた悪循環といいますか、サイクルの中での受信料の改定という形に終始をしてしまっているというのが、私は率直な国民の疑問ではないかと思うわけでございます。まず、この受信料の問題に限定をして一つは御答弁をいただきたい。  もう一つは、中長期的な計画の設定についての御決意というとおかしいけれども、今まで決意はもう何度も聞いてきているわけでありますが、一体どんなぐあいにこれを受けとめてもらえるかという二点について、まずお伺いしたいと思います。
  141. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生御指摘のとおり、国民を基盤とするNHKといたしましては、絶えず経営に当たりましては中長期の計画をにらみながら運営に当たるということは当然のことでございますし、これまでもそういうことでやってきておるわけでございます。  今後、これから私どもが二十一世紀へ向けて日本がどう変わっていくのか、あるいは世界の情勢がどう変わるのか、そういう中で公共放送としてのNHKの果たす役割はどうあるべきかというようなことをにらみながら、六十四年度以降の事業計画の策定については今鋭意検討をしておるわけでございます。計画がまとまりましたら、先ほど来島副会長が申しておりますように、先生方に厳しい御批判を得たい、このように思っております。  それから、受信料そのものにつきましては、御案内のように新聞報道で既に料額が決定したがごとく伝えられておりますが、これは内部でまだ検討しておるという段階のことでございます。その状況が出たのかなという感じがいたします。  受信料につきましては、御案内のように五十九年から六十一年までの三カ年計画で一応料額改定をさせていただきまして、その中で私どもは質の高い番組を放送する、視聴者にお送りする。一方で経営努力をいたしまして、二年間料額を据え置いて今日まで来ておりますので、財政がかなり逼迫しておるという事実ははっきりしているわけでございます。  六十三年度の予算におきましても、これまでの累積の資産でもって埋めましてもなお四十四億円の赤字が出る。単純なる六十三年度だけの予算で言えば収支不足は二百二十七億円になるということでごさいます。赤字が出たので安易にそれを視聴者に転嫁するということではなくして、先ほど来お答え申し上げておりますように、関連団体によるお金の新しい確保といいますか、番組の展開といいますか、そういう努力をしながら、できるだけ負担を少なくしながら公共放送としてのNHK使命を全うしていきたいというのが現時点での我々の決意でございます。
  142. 木内良明

    木内委員 高橋さん、私ちょっと納得できないところがあるのですよ。この中長期計画については、郵政省に確認しても結構ですけれども、私の言うところのものは今までなかったのですよ。だから、国民の皆さんにこれを提示して整合性のあるものを早くつくりなさいと申し上げてきたわけです。ところが、今の話を聞きますと、これまでも中長期の計画に基づいてやってまいりましたがとおっしゃるけれども、それじゃ前回の受信料値上げのときの前提になる中長期計画はいつどこにありましたか。それから、仮に六十四年度に値上げがあるとすれば、これは中長期的にさかのぼってそうした整合性のある計画というものがいつありましたか。それは答弁としてちょっと違うのじゃないですか。
  143. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 ちょっと言葉が足りなかったと思います。五十九年度の料額改定におきましては、五九―六一の三カ年の経営計画ということでお願いしたわけでございますが、具体的な経営計画はそれはそれとして、NHK事業運営に当たりましては常に将来を考えながらNHKのあるべき姿というものを考え、そしていただける受信料を効果的、効率的に業務にどういうように反映していくかという姿勢で仕事に当たっておるということで申し上げたわけでございます。
  144. 木内良明

    木内委員 高橋理事さん、これはぜひお認めください。御決意もわかりますし、あるいは心情的な、理念の問題もよくわかるのです。ただ、ここは国会の場ですし、コンクリートした形できちっきちっと計画のあり方あるいは策定についての具体的な運び、こうした点についての議論が極めて大事な部分を占めるのです。ですから、私あえて答弁についてお聞きをしつつ、訂正を求め、なおかつ確認をしながら進めている、こういう状況でありますので、それは御理解いただけますでしょうか。――御理解いただいたものとして、次に進んでまいります。  衛星受信料設定の問題でありますけれども、六十三年度のNHK予算審議のときに前会長からこういう答弁がありました。  衛星放送を、今試験放送でございますけれども、私どもとしては早くこれを本放送とし、早くこれを事業として独立できるような体制に持っていきたい。つまり、この衛星の事業を賄う収入をどうやって求めていくか。つまり、はっきり言ってNHK受信料以外に収入はないわけでございます。若干の副次収入はありましても、この衛星放送を賄うようなものはとてもありませんので、結論的には受信料を何らかの形で、現行料金とあわせまして新しい衛星の料金体系というものを考えなければなりません。そのめどを早くつけて、その上で経営の計画を立てていきたいと考えております。 これは経営計画策定に当たっての極めて大きな問題という前提での答弁であります。  衛星受信料については百万世帯が一種のめどになるとの答弁もこの前後にありまして、現在既に百万を突破した状況の中で当然具体的にお考えになっていると思います。そして、この受信料の問題につきましては、本年三月の審議のときに、数カ月の間にははっきり見きわめをつけたい、明確な答弁がここで行われています。NHKの内部では既に方針も固まっておられるだろうし、あとは郵政の許可を待つ段階なのかなというようなことでありますけれども、そうした動きというものが果たして顕在化しているのかどうか、寡聞にして私は存じません。したがって、三月から数カ月の間にはっきりさせるという答弁があるわけでありまして、この点どうなっているのかお聞きをいたします。
  145. 島桂次

    ○島参考人 先生御案内のとおり、私も川原さんの時代にニューメディア推進本部長といたしまして、特に七月四日ですか、モアサービスを始めたときに、衛星放送が百万以上普及した段階では、衛星放送在視聴している皆さん方に何らかの形での御負担を願わなければいかぬということはかねがね申し上げておるとおりでございます。私どもはその方針に基づきまして、今その方向で郵政省の方々と鋭意いろいろ意見を交わしている最中でございます。したがって、NHKとしては、これは政府なり国会皆さん方の判断は別にしまして、NHKとしては何らかの形で衛星料金をぜひ六十四年予算からいただきたいという方向で、今、料額をどの程度、普及台数がどういうふうになっているものか、その辺の相関関係を含めて詰めている段階でございます。
  146. 木内良明

    木内委員 逓信委員会の場で初めてそうした明確な答弁が出たという意味では注目すべき答弁であったと思います。  今副会長からの御答弁にありました普及台数の問題でございますとか、いわば環境的な要因もこれあるわけでありまして、そこで放送行政局長にお聞きをするわけであります。  やはり六十三年度NHK予算審議の折に成川局長の方からこういう答弁があるわけです。  本放送をいつにするかは、普及状況が一つ。あるいは受信者の要望、これが二つ目。三番目として、六十五年に打ち上げられるBS3aの継続性。四番目として、今もお聞きしたわけでありますが、NHKの要望、希望を総合的に勘案して定めるというふうに答弁をされているわけであります。  そこで、今の島副会長の御答弁とこの成川放送行政局長の春における予算審議の際の答弁をあわせてお聞きするわけでありますが、その環境的な要因を今具体的にどのように掌握しておられるのかをお尋ねします。
  147. 成川富彦

    ○成川政府委員 春の際に御答弁申し上げた線に沿いましていろいろと詰めているところでございますが、いずれにいたしましても、本放送になりますと試験放送に比べまして番組制作費等の経費が若干ふえるわけでございます。そのためにNHKとしては、まず第一に一層の経営の効率化を図って経費の節減に努力すべきだと思っておりますが、受信料の問題につきましては、衛星放送を見ておられる方と見ておられない方との間の不公平感といった問題もございますので、それらとBS3aの継続性、安定性、信頼性といいますか、そういうものとの総合的な勘案の中、受信料体系全般の中で検討すべき問題ではないかと考えております。したがいまして、時期とかそういう点につきましては今後まだまだ詰める課題だというふうに考えているところでございます。
  148. 木内良明

    木内委員 時期とかそういう問題については今後詰めるべき問題であるという、そこを実は聞きたいのでお尋ねをしているわけですけれども、受信機の普及については何台を基準とするのか、あるいは受信者の要望については今どのような認識で受けとめておられるのか、あるいはBS3a、2bの安定性についての認識といったものについて具体的にお聞きをしたいわけであります。
  149. 成川富彦

    ○成川政府委員 受信機の普及台数は百二十万を超えている状況になっておるやに聞いておりますが、百万だから即本放送にするとかというようなことではなくて、いろいろな要素を総合的に勘案して本放送にする時期を決めるべきだと考えておるところでございます。  衛星放送に対するニーズも高まっていることが百二十万を超えているというところにもあらわれているのではないかと思いますが、一方BS2bの安定性につきましては、先般来新聞等をにぎわしておりますとおり、テレメトリーエンコーダーの一部故障等がございますが、現在のまま推移すれば衛星放送の安定運用に支障はないというふうに聞いております。  しかしながら、なお放送の継続性につきましてその確保に万全を期していかなければいかぬということで、若干詰めるところも残っておるやに聞いておりますので、継続性、安定性につきまして万全を期したいというふうに考えておるところでございます。
  150. 木内良明

    木内委員 本放送衛星放送受信料の問題ですね。これは、今までの強い印象からいきますと、やはり百万台がめどになるのじゃないかというような率直な国民の皆さんの印象だったのではないか、こういうふうに思うのですね。また、この受信料につきましても、国民の側から見ればいつまでも衛星放送をただで見られるとは思っていない部分もあるわけでありまして、あわせて現在の地上波だけの受信料納入者にしても、自分たちの受信料で見ることのできない衛星放送の負担をするのは不合理であるという考え方も当然あるわけであります。こうした考え方をいろいろ検討しますと、普及数が多くなってから受信料を徴収するというのは、沖縄の例もあるわけでありますけれども、極めて難しい問題をはらんでいる。受信料納入の拒否の問題、NHK存立の根幹にかかわる問題に発展する可能性もあるということを指摘する人もいるわけであります。したがって、衛星放送受信料については、かちっとしたものでなくても、ある程度のめどというものははっきりされた方がよろしいのではないか、あるいは努力目標としての時期の明確化について言及されてもよろしいのではないか、こんなふうに思うのですけれども、放送行政局長、どうでしょうか。
  151. 成川富彦

    ○成川政府委員 今の先生のお話にもございましたように、衛星放送を見ておられる方々と地上放送しか見ておられない方々との間の不公平感といいますか、そういうものも一つの要素として考えていかなければならぬというふうに思っております。  しかしながら、いろんな要素を総合的に勘案して時期等を決めて、受信料をいただくならいただくという方向でやっていかなければいかぬというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても受信料体系全般の中で検討すべき課題でございますので、そういう方向で検討させていただきたいというふうに思っております。
  152. 白川勝彦

    白川政府委員 微妙な問題でございますので私からも、政治家の立場から私の意見を述べさせていただきたいと思います。  衛星放送がきょう午前中から何度か取り上げられておりますが、そもそも衛星放送、国からもある程度費用を負担してもらい、NHKからも拠出をして相当多額なものを打ち上げたという根っこには、四十万世帯と私記憶しておりますが、難視聴を解消する、これがやはり大きな理想としてあった。そしてそれは全国あまねく公平に放送するというNHKの精神に私は沿うものだと思うわけでございます。そういうふうにいたしますと、受信料というものはある面では四十万世帯にお届けをするという中で、今までの地上放送との絡みで本来設定されるべきものであったのではないかと思うわけでございますが、物のついでにもう一つトランスポンダーがあるものでございますから、そこで新たなる放送をしたということで、それを一般の受信料の中から出している、出していない、不公平感という問題がそこに出てきているのじゃないだろうかなと思うわけでございます。  一般の、まさに総合、教育をミックスして流す、第二放送というのでしょうか、そちらの方について言うならば、公平感、不公平感という問題はないのであって、今までの過疎地であっても相当の費用をかけまして難視聴対策のことはやってきたわけでございます。ですから、やはり根っこにはBS2というのはそういうことでもともと上げたわけでございますので、普及台数が幾つになったからということで直ちに幾らというふうに考えるのはかえって、受信料本体という国民の理解の上で成り立っている、本当に宝石のようなものだと私は思うわけでございますが、そこに変な意味での混乱を起こしたら大変だよということを事務当局には私からはいつも注意をして、慎重にこれは考えていただきたい、こういうことを申し上げております。
  153. 木内良明

    木内委員 政務次官から大変明晰な答弁がありましたので、了としたいと思います。  今たまたま難視聴の問題がありましたので言及したいと思うのですけれども、衛星第二テレビジョンは、今言われた点にも共通するわけでありますけれども、本来難視聴地域解消を目指すという目的があったわけであります。当初難視聴地域は約五十万世帯あったということですが、現在は約十万世帯であるというふうに認識をしております。衛星放送実施で難視聴が解消された世帯数というのが相当にふえてきている。また、衛星第二テレビジョンというものは地上波とは違った時間帯で総合テレビ、教育テレビの番組が見られるというところから、難視聴地域以外の利用者からも大変高い評価を得ているということも聞いているわけであります。  そこでお聞きするわけでありますけれども、将来にわたって、衛星第一テレビジョンのように独自番組は開発しないのかどうか、あくまで現状どおり、総合テレビ、教育テレビの混成編成のままの放送を続けるのか、あるいは一定の基準を設けて独自番組を放送するつもりはないかという点であります。  余談でありますけれども、私は平素から政務次官には大変敬意を表しているわけでございますが、特に政務次官がお書きになりました「新憲法代議士」という著書があります。この中で、新潟の大変雪深い選挙区を足で回られるという、政務次官の選挙の草創期における御苦労の内容が出ておりまして、あの辺は大変な難視聴の地域かなということも感じながら拝読をしたわけであります。そうしたいわば雪深いところに代表されると言うとおかしいですけれども、山間僻地あるいは難視聴の地域の方々にとって、今申し上げたような独自番組の編成というものも、量的には決して多くはありませんけれども非常に熱望されるところではないか。そういった意味から、ある一定の基準なり限定枠を設けて、この中で独自番組の放送についての検討が行われ得ないかどうか、この点、簡単で結構ですから、NHKの方から答弁をといただきたいと思います。     〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 先生御指摘のように、衛星放送の機能というのは非常に優秀な機能を持っておりまして、その使用の仕方については、衛星放送を打ち上げた難視聴解消という目的とともにいろいろな使い方があるということで研究をしております。  これからの使い方につきましては、私ども、六十四年度の事業計画、そういうものに基づきまして編成計画等々を策定していく過程でございまして、私ども希望は持っておりますが、ここでこういう形でと先生方にお話しできる現状ではございません。ただ、私どもが考えております希望といたしましては、難視聴解消ということを主要な番組できちっとしながらも、一部この機能を使いましてさらに豊富なソフトを放送して、日本の文化の向上のために資したいという希望は持っております。
  155. 木内良明

    木内委員 日本の文化の質の向上に向けてぜひ検討をお願いをしておきます。  次に、NHK受信料と消費税の問題。先ほども同僚委員の方から質疑がありましたけれども、私はこの受信料に消費税は課すべきではないということをまず前提に申し上げますし、今参議院で消費税の論議が行われている中で、仮定とはいえこうした議論をすることは決してよしとしないところでありますけれども、本来的な受信料の性格を考えるならば言及しないわけにはまいらない、こういう点から申し上げておきたいと思います。  受信料の性格については、先ほど田並委員の方からも言及がありましたし、また本委員会でもこのように具体的に答弁が行われております。すなわち、本年四月の放送行政局長の答弁をそのまま引用いたしますと、  受信料は特殊な負担金と考えておりまして、NHK維持運営するための費用を国民全体で負担していただくというような性格で、国際放送にある程度使わせていただく部分についても御理解を得てやっていけるのじゃないか、 云々、こういうふうにあるわけでありまして、公共放送として先導的な役割を果たしていくために必要なものであるはずである、これが受信料の性格であろう。  ところが、今回の消費税の導入に当たりましては、本来サービスの対価として規定されている項目におさまったということは、とりもなおさずその性格が負担金という考え方からかけ離れてしまっている。あえて誤解を恐れずに申し上げれば、ガス料金や電気料金や電話料金と同じ性格になってしまったのではないか。郵政省としては従来までの見解を堅持するとのことであるけれども、国民の側から見ればあくまでもサービスの対価としての見方しかできなくなってしまう。もっと申し上げれば、この受信料というのはある意味で税金と同じようなものであって、テレビを持っていれば払うということになっているわけでありますから、税金を払うのにさらに税金がかかってしまう、こういう極論さえ出てくるわけであります。先ほどの答弁と重複することは時間の関係上避けたいと思いますけれども、明確な見解をまず確認して次に移りたいと思います。放送行政局長
  156. 成川富彦

    ○成川政府委員 今回の消費税は広く家計の消費に負担を求める税制であることは先生御案内のとおりでございまして、今回の消費税法案におきましては、NHK受信料資産の譲渡等の対価に類するものとして課税対象に加えた上で消費税の負担を求めることでございまして、そのサービスの対価という点に着目して消費税の対象に加えたわけでございませんで、繰り返しますけれども、資産の譲渡等の対価に類するものとして課税対象に加えた上で消費に負担を求めるということで、何ら特殊負担金であるという性格自体は従来どおり変更はないというふうに考えているところでございます。
  157. 木内良明

    木内委員 これは税の基本的な性格に言及しなければなりませんのであえて議論は避けますけれども、それでは国民は納得できないというのが率直な感想である、私も反対である、このことを明確に申し上げておきたいと思います。  最後に、この受信料の免除の問題であります。  きょうは文部省にも来ていただいているわけでありますけれども、NHK放送受信料が小中学校など現在免除されているわけでありまして、これは放送法に基づいて大臣の許可があって免除されています。いわばNHKが自主的に免除させていただくとして現在まで継続されてきたわけであります。現在免除されている受信料NHKの持ち出しであり、構造的赤字基調にあるNHKにとっては総計百億にも上る受信料免除は重荷であることは間違いない、私はこういうふうに思います。文部省の中では、NHKが自主的に財政措置を講じてとっている受信料免除について義務教育であるから当然である、こうした既得権であるような認識があるやに聞いておりますけれども、まずこの点について文部省の認識を伺いたいと思います。  さらに、今回NHKが文部省に対して受信料免除措置の廃止を申し入れていまして、文部省側はそれを拒否していると聞いております。本来から言えば文部省の側として何らかの対策をとるべき問題だと私は位置づけているわけでありまして、今回NHKから申し入れのあった約五十億に上る小中学校への受信料負担の要請について文部省はいかなる対応をしているのか。あくまでも教育の現場に負担を押しつけるようなことがあってはならないという観点からこの点について確認をいたしたいと思いますし、けさほどの阿部委員質疑の中で大蔵政務次官の方からもある程度の答弁があったわけでありまして、文部省に改めてこの点についての見解を承りたいと思います。
  158. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 お答えいたします。  一般に受信契約を締結し、その契約に基づいて受信料を払うべきこととなっているということは承知しているわけでございますが、放送法受信料の免除について規定がございます。そして必要に応じて受信料を免除することを、これは当然予想していると考えております。したがいまして、中学校、小学校、幼稚園、盲・聾・養護学校の放送受信料について、社団法人日本放送協会の発足当初から六十年以上にわたって免除措置が現在継続されてきております。これらの学校における学校教育放送の持つ意義とか役割、例えば児童生徒の学習の理解を促進する等教育に貢献するとともに、学校において教育放送を視聴することは放送の社会的意義を一段と高めるということも考えまして、さらに、日本放送協会の公共的性格等にかんがみ、本来的に免除されるべきものと考えております。  それから受信料徴収問題についての対応でございますが、日本放送協会会長から文部大臣に対しましてことしの八月十五日付で、中学校、小学校、幼稚園、盲・聾・養護学校の放送受信料免除措置を早急に廃止したい旨の要望がありました。これに対しまして文部省といたしましては、昭和六十三年九月九日付の文書で日本放送協会会長あて、社団法人日本放送協会の発足当初から続いている免除措置について、学校教育放送の持つ意義、役割及び日本放送協会の公共的性格等にかんがみ、これまでどおり免除措置を継続されるよう強く要望しているところでございます。  また、文部省での予算措置のお話があったかと思いますが、この点につきましては、中学校、小学校、幼稚園、盲・聾・養護学校における日本放送協会放送受信料につきましては現在の受信料免除措置の継続を強く要望しているところでございますが、万一、社団法人日本放送協会の発足当初から続いてきた免除措置が廃止された場合には、放送受信料は受信機の設置者から徴収することとなっていること、また、放送受信料を含め学校の運営費については学校の設置者が負担すべきものであること等にかんがみまして、個々の設置者の経費について文部省で予算措置を講ずることは困難であると考えております。  以上でございます。
  159. 木内良明

    木内委員 今の文部省の答弁を聞きますと、一つは免除措置を継続してほしい、そうでない場合にはそれぞれの現場でこれを負担するようという二点ですね、要約して申し上げれば。これは私は間違いだと思うのです。受信料については各地方自治体や学校、生徒側が負担するのではなくて、まさに義務教育としての立場で考えるならば国が予算措置をとるべきである。恐らく先ほど来のNHK経営基盤の問題等も文部省の立場としてはお考えになっているわけでありまして、これをただ単にNHKさんよろしくお願いしますよ、もしそれがだめならば後は現場で負担するしかないというのは、これは文部省としてのとるべき姿勢ではないのじゃなかろうか。むしろ文部省としては、大蔵省を初め自治省、関係省庁等に対しましてこの次善の策として、いわば現場に負担をしわ寄せさせないような方法をとるということが文部省のよって立つ理念と、いわばお考えの基本からして当然の措置ではないかと私は思うのですね。その点いかがですか。
  160. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 お答えいたします。  おっしゃるように、私どもはやはり教育現場で混乱あるいは教育に支障が生じてはならない、こういうぐあいに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、学校の運営費については一般的には地方公共団体の税収、地方交付税措置等で対応することになっておるわけでございますけれども、学校現場で放送教育に関して支障が生じないようにできるだけの努力はしていきたい、こういうぐあいに考えているわけでございます。
  161. 木内良明

    木内委員 できるだけの努力はしていかれるということでございますので、それは私が申し上げた、大蔵省等への働きかけを今後される、そうした意味合いも含めての御答弁、こう聞いてよろしゅうございますか。またそう願いたいわけだけれども、省内での検討に入っていただきたい。
  162. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 これは、郵政省さんも含めまして政府内部で私ども相談をさせていただいているわけでございます。
  163. 木内良明

    木内委員 政府部内で相談をさせていただいているということは、私の申し上げた意味を踏まえて今後も継続して政府部内で検討をされるということですね。そうですね。
  164. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 そういうことでございます。
  165. 木内良明

    木内委員 わかりました。  時間がオーバーしてしまいましたが、以上で質問を終わります。
  166. 塚原俊平

  167. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは早速御質問を申し上げます。  池田会長初め参考人皆様方、御苦労さまでございます。  池田会長には、長年にわたり民間会社経営に携わり、大変な御実績を残されておられ、そういった民間におけるいろんな経営手腕を期待されて会長に御就任になっておられます。私どもも、そういう会長の御経歴を通じての手腕に大きく期待をいたしておるところでございます。  実は私も、会長の御経験からすると象とアリのような経験でございますが、小さな民間企業を十年ほど経営に携わったことがございます。そういった意味で、ビジネスというのはどんなものかがわかっておるつもりですし、ビジネスというのは営利を追求するだけじゃなくて、どんな小さな会社でもそれなりに社会の福祉に貢献できるような面というものも大事にしていかなければならないという気持ちも十分持って私もやってきたところでございます。  しかし、NHKというのは、また相当に違った団体でございましょう。外から眺めてこられたNHKと、また中に入ってごらんになったNHKも相当に違うと思いますが、会長NHK民間のビジネスマンの感覚をもって眺められるてどのように感じておられるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  168. 池田芳藏

    池田参考人 今の御質問の趣旨につきましては、私けさから三遍ぐらいしゃべっておりますので、もうこれ以上言うことはないと思いますが、非常に責任のある地位でございまして、私は従来民間におりましたので、外からNHKがどういう放送をしているかを見てきたわけですが、今は中に入ったので、そういう経験を含めて、私がまずいと思っていたことはできるだけ直したいし、もう少しやらなければならぬところはもう少しやるべきであるというふうに考えております。それ以上申しますと時間の空費になりますので、この辺で御勘弁願いたいと思います。
  169. 木下敬之助

    ○木下委員 どうぞ御自由に御発言いただいて、時間にはこだわりませんから、申されたいようなことが出てきたらどうぞごゆっくり御答弁されて、また答弁されない部分も会長の御自由になさって結構だと思います。  私の方がお伺いいたしたいのは、民間の企業を経営する、これは営利を目的としてやるわけですが、先ほど申しましたように、社会福祉を無視してやるわけではないのですけれども、一応営利を目的としてやる。ところがNHKの場合は、利益を目的としない特殊法人でございますから、おのずと会長経営手腕を今後発揮される意味においても、幾らか違うところを認識しながらやっていかなければならないのか、それとも全く同じでやれるものなのか、どういう点に違いをとらえておられるか、または違いはないと思って今後進まれるのか、お伺いいたします。
  170. 池田芳藏

    池田参考人 私の具体的な心境を申し上げますと、今のNHKは、いろいろの案がございますが、赤字でございます。そして、赤字の会社に働いているということは、御飯を食べるのものどを通らないという感じ、私率直に、、きょうも弁当をいただきましたが、これは幾らだってすぐ僕は聞くんです。それだけのものを払うだけの力のないところで働いておるということはまことに心もとないことでございますので、NHKが無理をせずに、仕事に匹敵するだけの収入を得られ、皆が安心して食事ができる、ぜいたくするという意味ではありません、そういう地位になりたいなと思っているわけであります。これは非常に具体的な話でございますが、端的に申し上げますとそういうことでございます。
  171. 木下敬之助

    ○木下委員 大変すばらしいお考えであると存じます。  その赤字の解消の手段についてはまたもう少し後に論じたいと思いますが、まず、この委員会議題であります六十年度決算、これは会長が責任を持って出されたものではございませんでしょうが、御検討はなさったことと思います。長年のビジネス経験から見て、この六十年度決算についてはどのような感想を持っておられるのか、お伺いをいたします。
  172. 池田芳藏

    池田参考人 六十年度の決算につきましては、きょうの会の冒頭に私から申し上げましたが、これは会計検査院も通っておることでございますし、けさ私は書いたものを読み上げましたが、あのとおりでございます。
  173. 木下敬之助

    ○木下委員 それではお伺いいたしますが、この二年間は経営計画がないままに運営されてこられております。新会長はどうでしょうか、経営計画のないということを、民間では私どもはちょっと考えられないと思ってきたのですが、経営計画の策定についてどう考えておられますか、お伺いいたします。
  174. 島桂次

    ○島参考人 御存じのように、今までNHKの計画というのはほぼ三年間計画でやってきたわけでございます。その三年間の立てました計画が切れた六十二年と六十三年は、残念ながら新しい計画を立てないまま今日に至ったということについては、私自身も甚だ遺憾に思っております。それがゆえに私は六十四年以降の問題につきましては、これは来るべきすさまじい勢いで変化しつつあるニューメディア時代、情報化社会の中で、次代の新しい公共放送として何をやらなければいかぬか、それを当然盛り込んだ計画を今練っているところでございます。  この際一つだけはっきり言えることは、三年間でまた赤字になる、値上げをする、こういう慢性的なことはぜひこの際、可能な限り脱却する方向でいろいろ案を考えたいということで、これは先ほども答弁したとおり、六十四年の事業計画の策定の際にはひとつ国会皆さん方に我々の考え方を、もちろんその前に郵政省その他とも十分打ち合わせた上お諮り願いたいというふうに考えておるわけでございます。
  175. 木下敬之助

    ○木下委員 島副会長の遺憾であるというお気持ちと、また六十四年度のことで考えておる、その六十四年度考えておるというのは、受信料の値上げとか衛星料金の設定、こういったものも含めて考えておられることだと思いますが、ちょっとせっかくですから、会長どうでしょうか、しつこく聞いておるようでございますけれども、経営計画のないときというのが時々あってきておるわけですね。しかし、本当に経営計画なしでやるというようなことの今後ないように、ただこの次の計画が長期的に続くようにだけではなくて、経営計画のない年はないような考え方でやるべきではなかろうかと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
  176. 池田芳藏

    池田参考人 経営計画がないということはあり得ないとは思いますが、今のメディアの動き方というものは新しいものが次から次に出てくる。衛星放送、やれハイビジョンだ、CATVだ、いっぱい出てきますので、それに対応しながら、ぴたりとそれが予想できるような計画を立てることは私は常識的に考えて至難であろうと思います。しかしながら、そういう努力をやっちゃいけないというわけではないので、できる限り計画を立てて、例えば五年計画にしたらどうかとか、もう少し先の計画にして、そして国会にはそれの計画を出した後で、承認されれば、その次の年からは国会には報告するだけで勘弁してもらうというようなやり方もあり得ると思うのですが、ただ五年も十年も先のことをできるだけ予想できるようにやることは大変難しい、しかし、その努力をやる価値は私はあると思っております。
  177. 木下敬之助

    ○木下委員 経営計画がたいというようなことのないように、それはいろいろ情勢が変わればその変化に伴って修正ということはあっても、一応どういう方向で進もうとしているのかが国民にもわかるように、事前にちゃんと計画を持ってやっていただきたいと思います。  それでは、先ほども申し上げましたが、受信料値上げとか衛星料金の設定について、これはNHKとしてそういうものを新しく設定する希望を持っていると報道をされておりますが、具体的にはどう考えておられるのか、お伺いいたします。
  178. 島桂次

    ○島参考人 今までも申したように、川原会長時代から、先ほど計画がないとしかられましたけれども、六十三年の場合も我々はぜひ何とか値上げしたい、改定したいと思っていたのですけれども、それができないまま今日に至っております。しかし、そのとき以来我々は衛星放送の普及、もう既に百万を超しておりますし、先ほども申し上げたとおり、衛星放送を見ておられる方から何らかの形で御負担を願いたい。同時に、料金改定も、私たちの希望ですけれども、できるだけ何とかできないかなということで、目下部内でいろいろ検討しながら郵政省との話し合いをさらにいろいろ続けていきたい、こういうふうに考えております。
  179. 木下敬之助

    ○木下委員 確認をいたしたいのですが、要するに今具体的に幾らがどうとか、そういったことは検討中であるにしても、六十四年度から受信料の値上げをしたいという希望と、衛星料金を何らかの形で取りたいという希望を持っていることは事実でございますね。
  180. 島桂次

    ○島参考人 NHKの執行部としてはそういう希望は持っておりますけれども、もちろん御決定は皆さんも含めた政府並びに国会の問題であると考えております。
  181. 木下敬之助

    ○木下委員 そこで、先ほどの新会長の赤字を何とか解消したいという情熱、そして値上げを希望して射るということは、これは赤字を出さない経営にするために値上げの道を選ぶ、こういうことを現在希望しておる、そのように思いますが、赤字の解消というのは値上げするだけでなくて縮小して切り詰める、両方の道がございます。この縮小するという方向ではなくて値上げの方を考える、そちらの方向に進まれる理由をお伺いいたします。
  182. 島桂次

    ○島参考人 私どもは、料金改定につきまして、単に我々が今までやってきたことをそのままの状態にしておいて、金が足りなくなるから値上げなんということは毛頭考えておりません。我々が考えておるのは、これから先衛星放送もそうでございます、ハイビジョンもそうでございます、あらゆるメディアが、現にアメリカの例を見ましてもかなりいろいろふえてきておりまして、かなり先行投資的ないろいろの設備、これは人、物、金についてもありますし、そういうことがやはりかなりいろいろふえてくるんじゃないか。同時に、これは午前中の委員会の各先生方からも指摘をされましたけれども、現に会長からも指摘をされておりますけれども、我々が果たして本当にもっと経営を効率的に行う余地がないかということにつきましても、ぎりぎりの今一体どこまでできるかということをいろいろ考えております。しかし、その経費をいろいろな意味で節減するだけではとてもしのぎ切れないのではないかというようなことでございますので、そういう方向に沿ってひとつぎりぎりの考え方を示した上で皆さん方の御判断を待ちたい、こういうふうに考えております。
  183. 池田芳藏

    池田参考人 島さんがせっかく言ってくれましたが、私はこの組織に参りまして最初の役員会で質問したことがあります。その質問は、ハイビジョンというものがあるが、そのうちに外国人に追いつかれて、現在こそ非常に価値があるけれども、もう数年ぼやぼやしていると価値のないものになるおそれはないかという質問をしたのです。それは、私はビジネスマンだからそういうセンスを持っておるので、それに対して島さんがすぐ中村技師長にどうだと聞かれたのを覚えております。こんなことを言ってはおかしいのだけれども、社内のことですけれども皆さんの前だから申し上げますが、彼の返事は、ヨーロッパ、殊にフランスもやっているしアメリカもやっている、しかしながら我々の方がいかにもいいので、そう急には追いつかれないだろうと思うというのが彼の返事でした。  それで私も安心したのですけれども、私はまず、我々の公共放送は三千二百万世帯からの貴重な聴視料で成り立っておるのであるけれども、できるだけそれを上げないようにするためには、言葉は悪いけれども、ほかで稼がなければならない、それにはハイビジョンというものがあるじゃないか、これを大きなところへ、例えば十億ドルで売れば三千五百億でしょう、だからそういうものを売って、しかも、ハイビジョンというものはテレビだけではなくて絵にもなるし映画にもなるし、いろいろな道があるはずじゃないかと私は素人なりに考えたのであります。一方において貴重な聴視者を持ちながらそんなことをやるのは邪道であるかもしれないが、今関連団体をどうするかという問題も出ておるようなことでありまして、なるべくできるところで我々はプラスを出して、そして聴視者の方々の負担をできるだけ上げないでおきたい、こういうのが私どもの考えている本音でございます。
  184. 木下敬之助

    ○木下委員 大変意欲あるお話を聞いて、すばらしいと思います。  ちょっと私の方は、縮小する、合理化するというようなときに、もちろん人件費なんかはこれは相当合理化できるところもあるでしょうけれども、確実に上がっていかざるを得ないようなところもある。また、番組の制作費等もいろいろ上がると思います。しかし、人件費のことは置いておきましても、番組の場合は上がるということと番組の質ということがございますね。だから、どこまでもその質を低下させていいとは思わないけれども、その質を求める余りに際限なく番組の制作費が上がっても困りますから、おのずとそういったところには基準があってしかるべきだと思います。NHKというのはお金がかかるし、いろいろな努力をするけれども、最終的に足らなくなればやはり受信料の値上げをせなければならない、こういう体質の中でその値上げが本当に必然的なものであるかを見るためには、今のような番組の制作費は本当にそれで適正なのか、そんなお金をかけたいい番組の必要を国民は本当に求めておるのかとか、こういったものに対する判断基準が経営の中軸にちゃんとないといけないと思っております。  それは、同じことが研究費にもやはり言えると思います。ハイビジョンのことで御抱負を語られました。また後ほど質問もさしていただきますが、このハイビジョンも、決して最初からそれがもうかるものと思って投資してきたわけじゃないでしょうけれども、相当な研究費を注ぎ込んでこられたことと思います。この研究費というものが、民間の企業であるならば今言われたように将来の回収のための投資でございますから、これは投資しても回収できる見込みがあれば幾らでも投資していいなんということはないと思いますけれども、NHKの性格が必ずしもそれが将来への投資というものを意味しない研究も必要であるならば、おのずとこの研究は大事なものは何でもかんでも幅広く研究すればいいというものじゃなくて、先ほどの番組におのずと枠がありましたように、研究費というのはNHKとしてどのくらいのものをするべきなんだというのが、全体の予算の中の割合みたいなものぐらい判断の基準があってもよかろうかと思いますし、そういったものをお示しになりながら進まれるべきではなかろうかと思います。しかし、先ほど申しましたように、今後の研究というのは将来への投資、回収するという方向で研究に進まれるというのであれば、それはこれまでの方針とは違いますけれども、これは一つの考え方でございますから、そういったことが新会長のもとに明確にまとまっていかれるのなら、ぜひともそういう将来計画とそれにおける基準的考え方等もお示しいただけるようになればありがたいと思います。大変すばらしい会長の御感覚ですから、今のような基準につきましても立派な方針を立てられまして、どういう基準でどういう判断をしておるということを我々にきちっと御説明いただけるようなことができますと大変ありがたいと思っております。  郵政省の方にお伺いいたします。  そういったことで、受信料の値上げまたは衛星料金の新しい設定等も希望して、いずれはそれがNHK予算の中に入って大臣の御意見をいただく、こういうことになるんだと思いますが、いろいろの検討の場合のポイントとしてどういったところを重視して検討していかれるのか、お伺いいたします。
  185. 白川勝彦

    白川政府委員 一般論を申し上げますと、御案内のとおり公共料金というのはいろいろあるわけでございます。法律で決まっているものもあれば許認可によるものもあるわけでございますが、御案内のとおり、円高メリットで下がっているものも相当あるのが昨今の情勢でございます。そういう面で、NHK受信料というのも公共料金の一つでございますから、国民の代表として、郵政省としては本当にそれが現にやむを得ないものであるかどうか、これは厳密にそして慎重に検討させていただくということは当然のことだろうと思います。  ただ一方では、御案内のとおり、NHKの収入構造と支出構造というのは、どうしても収入というのは基本的にはそんなにはかばかしくどんどん伸ばせるという構造になっておりません。かつてのように五〇%ぐらいの加入のときだったならば努力によって六〇%、七〇%にいくわけでございますが、もう九〇%の中に張りついているわけでございますから、新たなる受信契約をいただくというのは基本的にはできない。ですから、逆の面では、あるとき設定していただいた料金で何年もつかというような一つの構造的な問題もあるということは、もう先生方も既に御案内のとおりであると思うのでございます。  ただ一般論といたしましては、物価も比較的安定している時期が続いているわけでございまして、他の公共料金その他がどちらかといえば安定しており、中には下がっているものもあるという中では、NHKとの間で十分そこは、やっぱり国民は細かいそういうことがわからない方も多いわけでございますから、ほかの公共料金が下がっているのになぜNHKの料金は上がるんだというのは、相当ここは慎重に慎重に検討して国民の皆さんに御納得をいただけるというものでなかったならば、郵政省としては簡単には認められないという方針で御協議をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  186. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは衛星料金の方でお伺いいたしたいのですが、新しく設定する場合、いつからどういう方法で実施する、これも御希望を持っておられるのか、おっしゃっていただきたいと思います。
  187. 島桂次

    ○島参考人 先ほども申しましたように、NHKは聴視料を主とした財源で行っておる公共放送でございます。したがって、最終的にどんな形になるかは別としまして、あくまで聴視料という性格の上に立った特別な、衛星を見ておられる方、地上波と衛星両方見ておられる方に対して、衛星料金的なものを聴視料という性格の中で位置づけたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  188. 木下敬之助

    ○木下委員 いつからという御計画、御希望はございますか。
  189. 島桂次

    ○島参考人 できましたら来年度の事業計画の中に織り込み、来年度予算の中にそれを計上した上でやりたいというのが私たちの希望でございます。
  190. 木下敬之助

    ○木下委員 来年度予算の四月当初からという御希望なのか、もっと先で、来年度予算の中でも時期がございますでしょうが、どの時期という希望も今おっしゃっていただけるなら、希望としてお伺いいたしたいのですが。
  191. 島桂次

    ○島参考人 NHKの希望といたしましては四月からということでやっております。
  192. 木下敬之助

    ○木下委員 その四月段階での受信世帯数はどのように予想しておられますか。
  193. 島桂次

    ○島参考人 これはなかなか予測しがたい要素もございますけれども、順調にいけば二百万世帯くらいになるんじゃないかというふうに想定しております。
  194. 木下敬之助

    ○木下委員 その二百万世帯で、これはあくまでも希望なんですけれども、一応その御希望の設定に基づいて考えるときに、四月から二百万世帯、これから衛星受信料を徴収する、その人たちにわっと出してくれと言って一遍に全員が出してくれるようになるのは大変だと思います。しかも今でも既に不払いとか、もしくは不払いの意思はなくてもちゃんと徴収の手続等の連絡がなされていないもの、いろいろありますでしょうが、そういうのと違って今の二百万世帯というのは一応きちっと把握できているわけですから、その把握できているものをあと取るか取らないかになりますから、より一層、よほどどういう形でやるんだというその徴収の方法が明確でないと、新たな不公平を一遍にばらまくことになると思うのです。その辺をどのように考えておられるのでしょうか。不払い対策もそうなんですが、一体法的根拠、そして取れない部分に対する法的措置、こういったものをきちっと考えた上で厳正を期すおつもりなのか、それとも取れるところから取って、まあことしは何%でだんだん毎年毎年収入がふえていくというようなことを期待されるのか、この辺の徴収に対する基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
  195. 小山森也

    ○小山参考人 ただいま御質問ありましたような衛星の受信者の把握でございますけれども、現在でも相当把握はできております。これは特にアンテナを立てている個人の場合には非常に確率が高いということでございます。問題はCATV等の受信、共同アンテナでございます。このために、現在でも同じでございますけれども、CATV事業者に対する協力要請をしております。実を申しますと、もう先生十分御存じかと思いますけれども、CATV事業者との間にはいわゆる営業四条件というのがございます。これは詳しく申しますとちょっと時間がかかりますけれども、要するにNHKにいろいろ御協力をいただいて、戸別の受信料を取るに当たっての名簿とか、あるいは独自のNHKの徴収活動に対して妨害しないというような紳士協定でございます。こういったものは従来どおり行うということについて、CATV事業者との間に今意思疎通を図っているところでございます。  それから、最初に申し上げるのを忘れたのですが、これはあくまでももし取れたらばという前提でございますので、ひとつその点だけは御了承願いたいのですが。  それから、臨時点検員というようなものを活用した全戸点検もしたい、こう思っております。  なお、私つい一週間ばかり前に見て非常に、これはできたばかりなんでございますけれども、ちょっと秘密だから余り言うなということも言われておるのでございますけれども、BS探知機というのができておりまして、BSチューナーがついておりますと自動的にかなり分厚い壁の外からも探知されまして、ランプがついてブザーが鳴るというようなものもできております。したがいまして、そういった意味でかなりの精度を持って契約業務が進むのではないかと思っております。ただしかしながら、現在でもそうであるように、またさらに新しいものであるがゆえに、なかなか今度は私どもの徴収側のなれというものもございます。今のところの見通しとしましては下限値、当初七〇%はどうしても下限値としてあるのではないかと思っております。無論、上限値としては一〇〇と言いたいのでございますけれども、いきなりはそうはいかない。やはり八〇から九〇というようなところになるのではないかと思います。  なお、法的根拠でございますが、先ほども若干申し上げましたけれども、これは放送法三十二条に基づきます従来のいわゆる契約という問題について、付加契約、白黒からカラーになったときはカラーは付加契約ということでございますが、それと同様に付加契約という形で持っていきたい、これも一つの考え方でございますが、無論これは私たちの願望でございまして、これは当然私たちだけで決められる問題ではなくて、監督官庁であります郵政省、またいろいろ経過の中には先生方の御意見なども十分お伺いした上でもって成案を得たい、このように考えておる次第でございます。
  196. 木下敬之助

    ○木下委員 やはり取るところと取らないところがあるというのは不公平でありますし、法的にちゃんと契約してやる必要があってそれが責任があるなら、どうしても意図的に不払いする人はきちっと裁判でけじめをつけるべきであると私は思います。民間の有料放送等はスクランブルをかけたりして、本当に法律違反を意図的にしない限りは見られない形にして、きちっと取るべきところから明確に取っておりますから、この機会に少し何か考えられたらよろしいのではなかろうかと思います。  そういう意味でもう一つ私の意見を申し上げたいのですが、どういう形で料金を取るかわかりませんけれども、今までの受信料のほかに全く独立にプラスアルファで、今付加価値と言われましたが、衛星の料金を決めると、これはまたそこに払うのです。同じ人が両方払って、それは片方だけ払っていれば、一日じゅうそれを見るということはないにしても、一人の人がこれを見るわけですね。衛星の方もそれを見る。両方同時に見るわけないのに、一人の人が両方ともにそういう料金を払うというのは、何か料金方法としておかしいのじゃないだろうか。それから、カラーと白黒、もちろん両方見るのはよほどの物好きしかおりませんけれども、それにしてもカラーの方を払えば白黒は払わぬでもいいということなんです。今度は別のものですから、見ようによっては両方同時に存在はしますけれども、現実には一人はどっちかしか見ないわけで、完全な上積みというのは料金の形態として本当に公平なのかなとちょっと疑問を持っております。  それからもう一つは、番組が、私前にも申し上げましたが、相当興味あるおもしろい番組を出したり、しかもそれは海外のものとか試験放送ということで安く手に入ったりなんかしたものを出している。衛星放送というのは、今普及されているのは、無料な中で相当な番組が見られるということで普及してきた。ここで今まで無料だったものが有料になる、番組は全然変わらないという形で突然有料になることがいいのか。私の私案ですが、例えば番組の放送時間とか質とか、有料になったらこんないい番組もどんどん出ますみたいなもののもとに、そういう本格放送だと幾らか質が変わるということで、それはそういう放送を期待する放送申し込みみたいな、事前契約みたいなものですね、これを今度は逆にある程度なった段階で本放送になって金も取るとか、こういうことであれば相当に理解の得られた、本当に合意ある衛星放送になっていくのではないかと、公平という意味から私は考えてみました。もともとが難視聴の解消ということから出てきたものを、いつの間にかこんなふうになって料金取るわけですから、どこかで国民の理解を得られるけじめのようなものを考えられたらNHKのことがわかりやすいのではないかな、このように思います。  最後に、この衛星放送のことにつきましては、別会計で独立的に番組制作とかいろいろな運営がやれるようになるのかどうか。この料金設定の金額はお伺いはいたしませんけれども、その希望されておる金額で独立的な番組編成等がやれるようになるのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  197. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 衛星放送の料金体系についてはいいろいろな考え方がございますが、一つの方法としては、衛星放送を含む料金と含まない料金というようなことができてくるのだろうと考えております。
  198. 木下敬之助

    ○木下委員 今のは幾つか御質問いたしましたうちの一つで、衛星放送も含む、含んだ料金、衛星だけをする人は一応いないという前提ですか。衛星だけを受信するという人がいたときの受信料は考えていないということですか。
  199. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 基本的には、現在のNHK受信料というのは、受信機を設置している方からいただくという建前になっておりますので、当然地上の放送も見ておるという考え方で対応したいと思っております。
  200. 木下敬之助

    ○木下委員 では、最後に質問しました別会計で編成等をやれるおつもりかというのはどうですか。
  201. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 衛星放送につきましては、総体的なNHK経営の中で考えなければならない問題はございますが、少なくともNHKの希望したとおり衛星料金が設定されるということになりましたら、衛星による収支については国民の皆さん方に御理解できるよう明確にしていきたいというふうに考えております。
  202. 木下敬之助

    ○木下委員 時間が迫りまして大分質問が残りそうですが、残った分はまた次の機会にやらせていただきたいと思います。  最後に、ハイビジョンについて少しお伺いします。  これも時間がありませんので、先ほど会長が言われましたハイビジョンの特許料収入に大きな期待をしておられる発言もございましたが、過去に技術をオープンに公開したいという発言もあったと記憶いたしております。この辺を両方どのように調整したお考えとして進めていかれるのか、お伺いいたします。
  203. 池田芳藏

    池田参考人 先ほど先生のお話の中に、これ以上いろんな技術等を進めることには問題あり、少したがをはめたらどうかというのがありましたね。それのお返事にもなるかとは思うのですが、私は、また英語になって悪いですけれども、ザ・ディーパー・ザ・ベターだと思っているのです。というのは、我々のところには放送技術研究所というのがありますね。そのほかに、理念的な問題については放送文化調査研究所というのがありまして、一生懸命そういうことを勉強しています。例えば世論調査についてはこんな厚い本を書いていますし、それが愛宕山の曲垣平九郎のところにあるのです。ですから、そういう意味においては技術の研究は、原子力とか原子爆弾は別としまして、我々のやっておる仕事というのはどこまでいっても切りがないというふうに私は思うのです。先生は何かたがをはめたらどうかとおっしゃったが、そうすることによって少しそういう力が衰えて小さくなっちゃったんじゃ何にもならぬですから、日進月歩だと思いますので、そのことをちょっとさっきから申し上げたかったのです。
  204. 木下敬之助

    ○木下委員 私は、たがをはめるとかそういうつもりじゃないのですけれども、NHK姿勢の中で、じゃ、それを何でもかんでも、幾らお金かかっても進めていいというわけじゃないだろうから、どこにどういう基準があるのか。たがと言われると、決してそれを進めてはいけないと思っておるんじゃないのですが、その技術というものを今言われたように将来どういう方向の何を期待しておるのか、本来国がすべきものなのか。NHK受信料の中でしていかなければならないものはやはり将来、技術として取り入れて、最終的にはいろんな意味で回収できるということでやっておるのか。そういう研究に対する考え方で、NHKが、その機関がとにかく放送に関する技術あらゆるものをできるだけ全部するというわけには参らないのではないか。枠をはめるんではないけれども、どういう考え方のもとでどういうことをやろうとしておるのかということは、何もかもが全部というわけにはいかないのではなかろうか、私はそのように申し上げました。  その会長の御答弁とまた別に、先ほどの特許料と公開との関係をお伺いしたいと思います。
  205. 小山森也

    ○小山参考人 ハイビジョンというのはかなりの金額をかけております。これはかつては小さい金額でございましたけれども、約二十年来の累積で、今の価格に。直しますと約八百億から一千億かけておるわけでございます。そういたしますと、やはり私たちの願望としては、そういった世界にない特許料というような収入には大いに期待したいと思います。しかしながら、これは初めから硬直的な考えをいたしますと、そんな特許料の高いものは払えないということで、今度は特許を売る相手がなくなるわけでごさいます。したがいまして、これをある時期に安くして公開して数によって回収するということもあり得ることでございまして、これは一にかかりまして、NHKにとってふさわしいかどうかは別問題といたしまして、やはり原価というものを考えますと、ある程度こういった営業というものの考え方から非常に弾力的に考えなければできないんじゃなかろうか、こう思っておりまして、今右か左かということに対してのお答えができないことはまことに申しわけないと思っております。
  206. 木下敬之助

    ○木下委員 十分お考えの基本みたいなものがわかりました。研究もやはりそうやって回収する、その方法にはいずれにおいても回収するということも頭の中に入れながら研究なさるとすれば、先ほど申しました枠みたいなものもおのずと限界ができてきますので、そういうふうにお伺いした方がちゃんと筋は通るし、納得いくと私は思います。ただ開放と言われてこられたこれまでの路線で研究というものを考えると、おのずとどこかに限度がという思いがありましたけれども、今の御答弁の方が私なりにビジネス的に見ましたときに整合性があるように思います。。  時間が参りました。後の質問はまたの機会にさせていただきます。ありがとうございました。
  207. 塚原俊平

  208. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 池田会長に基本的な問題でお尋ねします。  戦後NHKは、主権在民、戦争放棄などを重要な原則とする憲法と放送法に基づいて新たな歩みを進めてきました。その中で歴代の会長、例えば前々会長の坂本氏は平和の問題について、平和主義は憲法の基本理念であり、日常の番組制作、編成においても貫くと言われました。また、川原会長は言論の自由の問題について、言論、報道の自由ということがなければ、自由で民主主義的な社会は成り立たない、放送はいかなる政治的な権力からも独立していなければならない、こう述ておられます。NHKがその放送を通しまして平和と民主主義の発展に寄与することは、公共放送として重要な課題だと考えますが、池田会長の御認識をお伺いしておきたいと思います。
  209. 池田芳藏

    池田参考人 頭が悪いので御質問の趣旨が的確に頭に入りませんが、私は従来の会長がおっしゃったことは正しいと思いますので、それに従ってやりたいと思います。
  210. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 池田会長はけさからもいろいろ御発言ありました。それから、グラフNHK八月号に就任のごあいさつが載っております。「視聴者の期待と信頼にこたえるため全力を尽くす所存です」、そうおっしゃっておられるわけでありますけれども、まさに視聴者の期待と信頼を裏切る事態がことしの三月から五月にかけて起きました。池田会長御就任の前でありますけれども、新型間接税についての世論調査結果を公表しなかったという問題であります。これは、新型間接税反対が多数と出ましたので公表しなかったのではないか、そういうことで大変批判が続出いたしまして、当委員会でも五月十二日に集中審議を行いました。この経過は島副会長の方がよく御存じかと思いますが、その審議の過程では、衆議院の予算委員会でしたか、今後は公表しないというようなことはないようにしていきたいという御発言もあったと思いますが、現在どういうふうに考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
  211. 島桂次

    ○島参考人 あの当時私はちょっと国会へ出ておりませんでしたので、その川原会長以下の当時の話は聞いておりません。私は当時、放送の責任者を全部呼びまして、どういう事情でなかったかということを詳細に検討いたしました。そのときの編集者の判断は、これは出す必要がないという判断であったということでございますので、私はその判断は必ずしも妥当じゃない面もあるんじゃないか。いずれにしましても、我々は放送文化調査研究所というのを持っておりますから、世論調査というものは絶えずやらなきゃいかぬ。しかし放送時間というのがありますので、極めて膨大な資料を放送の上で必要なものに圧縮しなければいけませんので、それを圧縮する。それが編集者の見識と判断である。、しかし世論調査をやった場合は、その編集責任、編集判断の上で、放送番組の上で原則として必ずこれを明らかにしていくという基本原則はそのとき以来ずっと今日に至るまで続けているつもりでございます。
  212. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 世論調査は重要な国民的関心事を調査するわけですから、当然公共放送として視聴者に返していくということだというふうに思います。  当時の経過で今の御答弁は若干違うんじゃないかと思うのです。当時出す必要がないという判断ではなくて、ちょうど時期的に政府税調の素案発表と重なって、それに対するアンケートと受けとめられては困るから見合わせたということであったのです。それについては私も質問いたしましたけれども、それならばそれでその旨断って発表すればいいのであって、それが公表をとどめる十分な根拠にはならないんじゃないかということで議論をされたわけです。  この国民の知る権利の問題では、我が党はかねがね主張しておるわけでありますが、国民の知る権利と放送法との関係では、国会中継の問題も依然未解決だと考えております。NHKが行っております国会中継、これは非常に大事なわけです。国会と、国政と国民を結ぶという上で大事なわけでありますが、特に予算委員会の中継が午後六時あるいは大相撲のときには午後五時で打ち切られる。あとの質疑が深夜に録画録音放送される。時に午前一時を過ぎることもあったわけですね。これは憲法に基づく国民の知る権利、それから放送法の定める政治的公平の原則、こういうものに反するものであることを指摘しまして、その是正改善を求めてきたわけです。で、新しい役員体制といいますか指導都といいますかはこの問題をどう解決するおつもりか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  213. 島桂次

    ○島参考人 私は国会中継、これは公共放送としてNHKはぜひやらなければいかぬ問題であると思っております。ただ私は、これはあくまで国会中継でございますから、国会審議の段取りとか時間とかは国会が決める問題でございます。  私もこの仕事、この国会関係の仕事を三十何年やっておりますけれども、午前十時、これは定例、普通開かれる場合が多いのですけれども、午前十時から、御指摘のように相撲のときは五時、それからそうじゃないときは六時ということで私どもは長年続けてきておるわけでございます。国会審議の中でそれが延びてそこに入らないという場合が往々にしてあったことは事実でございます。ただその際は我々の編集判断で、十時から六時という線は私どもは長年守ってきておるわけでございます。ただそれに漏れたものもほっておくというわけにいきません。これは当然ニュースとか定時ニュースその他ではやりますけれども、その審議自体をやはり午後十一時以降にやるということで長年やってきたわけでございます。ただ、社会はいろいろ変化しますし、いろいろの情勢もございます。今すぐここでどうのこうのということはまだ私は決めておりませんけれども、とにかく当分の間そういう基本的な考え方で続けていくということについては今までどおりでいきたいというふうに考えております。
  214. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 きょうはその問題で詳しいやりとりをする予定はありませんが、幾つかの論点はもう申し上げております。例えば高校野球でやっているように六時以降3チャンネルに切りかえるとか、いろんなやり方が考えられると思う。しかも深夜の録画放映というようなものを午前零時を過ぎて一時というようなことでは事実上国民の知る権利が制限されるということでありますから、やはりこれは真剣に検討をしていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  先日、NHKは民放の各社とともに、今国会での証人尋問が撮影禁止になった問題で、衆参両議長に申し入れをされました。これは、申し入れ書の声明を持ってきておりますけれども要するに国会審議内容を国民に知らせることは必要なんだ、それが民主主義の根幹であるという立場から、撮影の禁止は報道の自由を制限するものだ、そして改善を要請して遺憾の意も表明しておられるということです。我が党は、撮影禁止というので報道の自由と国民の知る権利を奪うものだという観点で、議院証言法の改正には反対いたしました。ですから、皆さん方の申し入れは当然のことだというふうに考えております。しかし、撮影禁止で生の放送はできない、これは国民の知る権利を奪うものだし報道の自由を奪うものだということで申し入れをされるというあなたたちが、撮影できるものを放送しない。みずから決めた六時ないし五時という原則、これは別に法律で決めたことではないわけです。NHKが一方的に決めたことですね。その枠を盾に中継しないということは、これは私は矛盾すると思うのですね。道理が通らないと思うのですね。そういう点からも、やはりみずから決めた決まりなるものに固執しないであくまで国民の知る権利を基礎に置き、公平原則を基礎に置いて再検討し改善されるようさらに御要望したい、そう思うのです。その点の関連こついてはどうお考えなんですか、申し入れられた件について。
  215. 島桂次

    ○島参考人 我々、民放も含めました放送関係者として国会に要望をしたのは今御指摘のとおりでございます。もちろん、これは国会皆さん方が決める問題でございますから、国会の決定どおり従わざるを得ないと思いますけれども、希望としてはやはりやらせていただきたいというのがNHKの立場でもございます。  ただ、それと関連しまして予算委員会の問題でございますけれども、これは単に六時までという問題だけではなくて、一つの政党で二人以上出してくれとかいろいろ今まで各党の要求があり、なおかつ国会中継とそれから各聴視者の要望、こういうものもいろいろ勘案しまして、今まで十時から六時という原則でやってきたことは御案内のとおりでございます。ただ私は、これは我々の編集判断でやっていることでございますけれども、何も未来永劫変えないということでもございませんから検討することはやぶさかではありませんけれども、当面私どもは今までどおりの形でやりたいというように考えております。
  216. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、早急な改善を要望して、次の問題に移ります。  天皇報道のあり方をめぐる問題であります。まず、NHKの基本姿勢についてお聞きいたしますが、天皇報道についても当然憲法と放送法、これに基づいてやる、こういうことだというふうに思うのですが、そうなりますと、放送法の第四十四条では、例えば「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」などと定めております。こういう原則、いろんな原則に基づいて行われるべきものだと考えますが、どうですか。
  217. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 天皇報道につきましては、NHKの立場はおっしゃるようなことでございまして、放送法に基づきまして我々は、日本の憲法第一条で天皇の規定がございます。国の象徴であり、なおかつ国民の総意の象徴であり、それはまた主権者である国民の総意によって成り立っている、そういう日本国憲法の趣旨を体しまして、その線に沿って的確な報道をしてまいりたいというふうに思っておりますし、そう続けてまいったと私は思っております。
  218. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の御答弁には意見もありますが、事実経過から見ますと、九月十九日の吐血以来のマスコミの対応については私は非常に異常であったというふうに思っております。当時は、政府の閣僚の国際会議出席取りやめでありますとか自治省などによる関係団体への自粛要請とか、いろいろなことがありました。そういう中でマスコミは、憲法の主権在民の原則にしっかり立って冷静に対応するという点で問題があったと思うのです。宮内庁発表を繰り返すとか各地の記帳や行事自粛の模様を大々的に報道いたしました。これが、国民の間にいろいろな意見があるわけでありますが、自粛ムードをあおったことは明らかだと思うのです。直後のそういう状態からやや脱した十月十七日にテレビ朝日の社長も記者会見されまして、陛下の御容体急変でこれは大変だと初めの対応を誤った、一種の過剰報道になったことは、否めない、反省しているという記者会見もあったわけであります。  そうした状況の中で各地の伝統的な行楽が次々中止をされますとか、運動会のピストルの使用まで音を出してはいけないということでやめる。それから、祭り関係の業者が自殺をするとか身体障害者の共同作業所でなかなか仕事が来なくなって大変困難な状況に陥っているとか、国民生活に重大な否定的影響が出ているという実態があるわけです。そういう点で、こうした異常状態を招いた一つの原因をつくっているNHKを初めとするマスコミ報道は責任が問われるのではないか。とりわけ大きな影響力をNHKは持っておられる、そういう点についてはどう考えておられるかをお聞きしたいと思います。
  219. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 今度の天皇の御病状の報道に関しまして、マスコミ全体とすれば一部そういうようなところがあったのではないかと思っておりますが、私はNHK放送局長としてこの報道の指揮をとってまいりましたが、我々は先ほど申しましたような趣旨と、それから報道に当たっては冷静で的確な情報を国民の関心に応じてお送りする、そういうつもりでやってまいっております。そういうことでは、御指摘のように自粛ムードをあおるとかあるいはそのほかのいろいろな過剰な報道をしたというふうには私は思っておりません。ただ、此の中のいろいろな関心の状況に応じて我々の報道の仕方はいろいろ変えてまいっております。そういう中で、御病状の変化に応じて報道の回数も変わっておりますし、今後ともその都度その都度的確な報道をしてまいりたいと思っております。この点につきましてはそういうことで御理解願いたいと思います。
  220. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 マスコミ全体にはそういうことがあったと思う、しかしNHKはそうではないという御答弁でありましたが、むしろNHKが先頭を切ったのではないかという批判も指摘もあるわけです。  お聞きしておきたいと思いますが、NHKには天皇報道について視聴者から多数の意見が来ていると聞いております。どんな内容かを説明していただきたい。
  221. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 ただいまの御質問でございますが、天皇の御病状が悪化した時期がちょうどオリンピックの時期に一致しておりました。その間に、は一日四百件を超えるぐらいの電話の反響がございました。ですが、最近では非常に少なくなりまして、平均で三十件以下というような状態になっております。  意見の中身でございますが、四割が問い合わせや意見でございます。それから、約六割が御病状の報道に対する批判でございました。内容の主なものは、天皇報道が多過ぎる、こういう内容は十月中旬以降は激減しております。それから、同じ内容の繰り返しが多い、あるいは下血という言葉は食事中慎めというような御批判もございました。中には批判ではございませんで、NHKの報道は節度があってよろしい、今の姿勢を貫けという御意見もございますし、例えば紅白歌合戦はやらないというような報道がされておるけれどもことしも放送してほしい、あるいは記帳所の場所等についての御質問等がその他の意見でございます。
  222. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の中では、天皇報道をするについて深夜の放送は必要ない、これは若干修正もされたようです、実態として。あるいは自粛ムードはマスコミの責任であるという強い指摘もあった、戦術責任にも触れるべきであるということもあったというふうにお聞きをしております。私は大事な点だと思うのですが、一番大事な点は、やはり天皇主権の戦前の帝国憲法下と主権在民の現憲法下の天皇の位置づけは全く根本的に違うんだ、この点はやはりはっきりすることが大事だと思う。戦前の天皇は、皆さん御承知のように、統治権の総攬者、絶対不可侵の現人神である、絶対者だったわけですね。そういう中で大正天皇の死去の際にもさまざまな儀式が行われましたし、報道も行われた。しかし、主権在民の現憲法のもとでは当然根本的に違うわけです。報道も違わなきゃならぬし儀式その他も当然のことですね。最初におっしゃったけれども、第一条で書かれているように天皇は象徴である、そして憲法で定める内閣の助言と承認による国事行為以外は国政に関する一切の権能を有しないというように定められておるわけです。ですから、それにふさわしい対応が必要である。しかし、にもかかわらず私は九月以来の報道はまさに戦前を思わせるような、戦前の神格化にも通じかねないような、そういうものがあったというふうに言わざるを得ないと思うのです。今の答弁にもありましたように、天皇報道が多過ぎるとか自粛ムードをあおったのではないか、さまざまな批判的な意見が六割あるということの中にも国民のそうした批判が示されている、こういうふうに思うわけです。  NHKの労働組合であります日放労もNHKへの申し入れの中で、「当初のマスコミの報道姿勢が、各地での祭りやイベントの自粛ムードをつくる大きな要因になったとの世論の批判は、厳しく受けとめられなければならない。」こう指摘をしておりますし、「かつて天皇制が果した役割を、ジャーナリズムとして冷静に考えるならば、国民全体を一つの方向にひっぱっていくような報道はすべきでない。」こう申し入れで指摘をしているところであります。  また、新聞労連や民放労連、出版労連、そういった関係労組あるいは多くの学者、文化人も憂慮を表明しております。このように、NHK初めマスコミの過剰な天皇報道が、戦前のような天皇神格化でありますとか元首化の方向に国民を誘導する、そういう役割を果たすのではないかという懸念があるわけです。そういう批判する声があるわけであります。こういう点で今、的確な報道をしているというふうにおっしゃいましたけれども、実際に当該のNHKの労組の申し入れもありますよ。マスコミ関係の労組でありますとか学者、文化人も多くの見解がそうなっておる。こういう状況に対してNHKは、天皇報道が心配されているようなものになってもいいというふうに考えておられるのかどうか、そういう批判をどう受けとめておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  223. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 先ほども申し上げましたように、私ども天皇報道に関しましては、日本国憲法第一条の精神にのっとってやっていくつもりでございますし、やってきたつもりでございます。ですから、御懸念のような方向にこれからの報道が行くということのないように私どももしたいというふうに思っております。ということで御理解願いたいと思います。
  224. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 問題は、第一条にのっとってやっているということを言葉でおっしゃっても、それで十分だということにはならぬということですね。具体的なありようの問題なわけです。それが客観的には自粛ムードをあおったことは間違いないわけです、これは。主観的にあおろうと思ってやっていたとすればまさにそれ以上の問題になるということです。それからまた、国民感情に沿ってとかというような御発言もあったかと思いますが、これも決して一様ではないわけです。  ここにNHKの日本人の意識調査、「天皇に対する感情」という調査結果も持ってきております。ここではもう時間がありませんから詳しくは言いませんけれども、尊敬、好感というよりも無関心といいますか何とも感じない、考えない、そういう答えが四割を超えている、ふえている。三回の調査で四二%から最新の八三年は四六・四%にまでふえているというのが実態なわけですね。  それからまた同時に、この関連では、天皇がさきの戦争で果たした役割の問題、これが私はやはり重要だと思うのです。国民の批判の中にはそれも相当あります。天皇の名前で肉親を失った、そういう人たちは厳しい批判を持っておられる。この面もやはり正確に見ていくことがジャーナリズムとして必要だと思う。去る七日には長崎市の市長が、天皇には戦争責任があるのだ、私の友達は天皇陛下万歳と言って死んでいった、天皇の決断が早ければ沖縄の戦いも広島、長崎の原爆もなかったと思う、そう率直に語られたということでありまして、これに対してまた発言を取り消せ云々というようなことがあって、言論の自由の問題としても今大きな問題になっております。  またこの一連の天皇報道をめぐる問題では、海外の論調も大変いろいろあります。全般的には非常に批判的なものが多いというのが特徴だと思うのです。当初イギリスの大衆紙でありますサンやデーリー・スターの問題が問題になりました。日本政府が抗議をするとか、またそれに対して反論があるとかありましたけれども、それ以後各国の有力紙に広がっております。フランスでも例えばル・モンドでありますとかリベラシオンとか、アメリカのニューヨーク・タイムズもそうでありますし、アジア諸国の新聞なども非常に強い関心を持っておるという状況があります。ニュアンスに違いはありますけれども、私が見まして共通しておりますのは、まず第一には非常に多い、過剰なといいますか、天皇報道に対する驚きですね。そして、それが軍国主義復活の策動と結びついているのではないかという懸念の表明、これがあります。そしてまたその中で、改めて第二次大戦で果たした役割を問う、問い直すというようなことも出ております。  この点でお聞きをしたいと思いましたのは、NHKはかねがね海外ニュースにも強いということを言ってきておられるわけでありますけれども、こういう天皇報道をめぐる海外論調というものについてはほとんど紹介をしておられないというふうに思うのです。どうして紹介をされないのか。やはり世界的な視野で日本の現実についても冷静に見ていくといいますか、そういう意味でも海外の論調をリアルに伝えることは必要だと私は思うのです。そう思うのですが、どうして報道しておられないのですか、その点をお聞きしたい。
  225. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 私も、おっしゃるように海外の論調を的確に伝えるということをできるだけしたいと思っておりますが、おっしゃるような海外の論調はほとんど新聞の論調でございまして、映像情報につきましては、日本から出た映像情報に向こうのコメントをつけているということでございます。それが必ずしも的確に日本の全体の状況を反映しているという場合もない場合もございますので、その辺は私どもで選択させていただいております。しかしながら、世界の中の日本ということが今後ともやはり私どもは冷静に見詰めていかなければならないというふうに思っておりますので、御趣旨の方向で今後とも努力をしたいなと思っております。
  226. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 海外の論調という場合、新聞論調がほとんどだというふうにおっしゃいましたが、そういう新聞論調を報道するという企画をしているニュース番組もあるわけですね。民放にもあります、海外の新聞論調という。それは別に映像がなければできないということではないわけで、今検討するというふうにおっしゃったけれども、本当に大変弱いのですよ。やはり閉鎖的な目で物を見るのではなくて、国際化とか情報化社会とかいろいろ言われております。それは全く現状はその問題に関して言えばうたい文句にすぎないという点で、ぜひこれは真剣に取り組んでいただきたいと思います。  今まで申し上げましたように、NHK姿勢を含めていろいろ懸念が表明されているということの中には、いわゆるXデー番組計画というものがあるわけであります。天皇の死去に際して、NHKは七十二時間、民放は最大五十九時間、ニュースと天気予報以外は天皇に関する特別番組を放送する予定というふうに聞いておりますが、どんな計画なのか明らかにしていただきたい。
  227. 島桂次

    ○島参考人 Xデーの放送につきまして、私どもまだきちっとした時間を決めている事実はございません。もちろんいろいろなケースのいろいろな案はつくっておりますけれども、最終的に会長並びに私が、これでいいという決定はまだ全然やっておりません。
  228. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう御答弁になるのではないかと思っておりましたが、NHKは七十二時間、民放各社は協議をいたしまして、四十八時間であったのを最近五十九時間に枠を広げた。そういうことも承知しておるわけです。いろいろ最終的には確定してないとおっしゃっておられますが、いざというときには即刻対応しなければならぬわけですから、当然検討しておられるということだろうと思います。その中には七十二時間の特別番組というのもあるわけですか。
  229. 島桂次

    ○島参考人 この問題につきましてはかなり長い間検討してございますので、そういう案があったことも事実ございます。  それから、この際ですからちょっと補足して言いますと、先ほど遠藤理事からの説明の中にジャーナリズム云々、という話がありましたけれども、天皇報道につきましては、ほかのジャーナリズムの皆さん方の報道とは別にNHK独自の判断でやっておるわけでございます。つけ加えさせていただきます。
  230. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最後におっしゃったことは若干意味不明ですが、憲法と放送法に従ってということが原点でありますから、その点に立って私も批判的意見を申し上げておるということです。他のジャーナリズムとどう違うかという問題をきょうやっているわけではありませんから、機会があればお話ししてもいいと思っております。  今のXデー報道でありますが、こういう膨大なものが、これはおととしから既にこういうものがつくられておる。ここには詳細に、どういう番組で、インタビューアーはだれでということまで決められておるわけでありますが、最近のものでも、天皇の定時放送中崩御の場合というのと放送終了後崩御の場合という二通りの七十二時間番組編成、こういうものがつくられておるわけです。七十二時間といいますと丸三日間ですね。丸三日間ぶっ通しで、一般ニュースは天皇報道ニュースの後にちょっとつけ加えるということはここにも書いてあるわけです。そうしますと、丸々七十一時間、丸三日間ぶっ通しで天皇についてのさまぎまなものを報道するということですね。これはまさに私は戦前と同じじゃないかという感じを持たざるを得ないわけです。内部文書によりますと、天皇陛下が亡くなられまして云々、こう書いてあるわけですが、それに始まりまして、一時間ごとにニュースはまとめて伝える、その間には天皇ミニ一代記、天皇の歌、新皇太子ミニ一代記などを放送していくんだ、あるいは夜はいろいろドキュメントでありますとか座談会で構成していくというようなことがあるわけであります。既に多くの番組がつくられておって、それは昭和史ロッカーにすべて保管されておるというふうに書いてあるわけでありますが、そうなっておるんでしょうか。  それともう一つ。この中には、地方都市の反響、こういうのも当然取材するんだということでありまして、地方都市の反響は各局を結んでやるんだが、一般市民の生中継などは絶対に使わないというふうになっているわけです。そういうことまで決められておられるのかどうか、ここをお聞きしたい。
  231. 島桂次

    ○島参考人 もちろん現場では長い間いろいろな形で、今先生のお手元にあるような資料も恐らくNHKがつくったんじゃないかと思いますけれども、いろいろなことをやっております。しかし、万一御不幸があった場合には会長も私も一時間以内にNHKへ駆けつけて、そのときに放送局長に幾つかの案を持ってこいと。そこで最終的に案を決めるということになっておりますので、それはまことに、私はうそを言っているわけじゃございませんので、まだNHKとしては何時間であるとか、この内容がどうだとかこうだとかということは、何遍も申しますけれども、いろいろな場合に備えてかなりいろいろのこともやっております。ですけれども、それを最終的にオンエアするかどうかというその決定がもう既にあるということは全くございません。
  232. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最終的にどうなるかということは、それはそうでしょう。それはありますが、しかしそれは瞬間的に決まるものではなくて、いろいろな準備の上に決まるわけですね。基調は七十二時間ということは動かないのじゃないかと思うわけですよ。そのこと自体を私は今問題にしているわけです。長時間、丸三日間ぶっ通しでそういう番組をやることが妥当なのかどうか、現憲法の主権在民の精神に立ったものと言えるのかどうか、これを問題にしているわけです。だから技術的に、最終的には会長、副会長駆けつけて寄り寄り協議するんだという問題ではないのです。それは生の放送ですから、ある意味で生き物でありますから、随時の対応というのはあります。私もジャーナリズムの世界に暮らしておりましたからわかります。しかし基調が問題なんです、私がお聞きしておりますのは。  この点について放送の関係者などからもいろいろな指摘も出ているわけです。私は、この天皇報道を考える場合の原点は、やはり戦後の出発ですね。戦前、天皇主権の帝国憲法のもとで侵略戦争に結局は協力した、客観的に。そして、日本国民とアジア諸国人民に大きな犠牲を強いた。そういうことがあってはならないというのが、放送も新聞も、戦後ジャーナリズムの出発点だったわけです。やはりその教訓にしっかり立つということが大事だと思うわけです。ですから、民放労連の申し入れに端的に、「「昭和最後の日」の放送にあたっては、国民に服喪を強制するような現在計画中の放送体制を再検討し、主権在民の立場に立った節度ある日常的な番組編成により、対処するよう求める。」こういうふうにもなっております。  NHK島副会長として、短時間で十分意を尽くさない面もありましたけれども、今のあるべき報道姿勢ですね。その問題で今私が提起をしました。そのことについてはどういうふうにお感じになっておられるのか。どういう批判があろうとも七十二時間計画で突っ走るおつもりなのかどうか、その点をお尋ねしたい。
  233. 島桂次

    ○島参考人 先生の御意見も御意見として十分考えた上で最終決定したいと思っております。
  234. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、NHKが、やはり公共放送であります、日本のジャーナリズムの上で非常に重要なウエートを持っております。そのNHKが、憲法と放送法に基づく立場で――公共放送として自粛ムードをあおるというようなことによって国民の大多数に大きな被害を与えたと思うのです。そういう点についてもさらに自省をしていただいて、主権在民の憲法原則に立った報道姿勢、これを貫かれるように強く要望したいと思います。  最後に、委員長に申し上げます。  きょうの質疑でも述べましたように、我が党は不公正な国会中継の是正を強く求めてまいりました。しかし、依然改善されません。このような状態、現状ではNHK決算に賛成できない。反対であります。で、反対討論を要求いたします。議員の発言権は、憲法、国会法及び衆議院規則で明らかなように、議会制民主主義の基本的な権利であり、何人もこれを封ずることはできないのであります。討論の申し出があったときは委員長はこれを認めなければならず、討論を封ずることはできないのであります。重ねて討論を要求して、私の質疑を終わります。
  235. 塚原俊平

    塚原委員長 速記をちょっとここでとめてください。     〔速記中止〕
  236. 塚原俊平

    塚原委員長 速記を起こしてください。  これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  237. 塚原俊平

    塚原委員長 日本共産党・革新共同から討論の申し出がありましたが、先ほど理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  これより採決に入ります。  日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決をいたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  238. 塚原俊平

    塚原委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書作成に、つきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  240. 塚原俊平

    塚原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会