運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-11-08 第113回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月八日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 片岡 清一君 理事 片岡 武司君    理事 渡海紀三朗君 理事 西田  司君    理事 平林 鴻三君 理事 山下洲夫君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石橋 一弥君    金子 一義君       北村 直人君    鈴木 恒夫君       谷  洋一君    中山 利生君       松田 岩夫君    山村治郎君       渡辺 省一君    佐藤 敬治君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       三野 優美君    安田 修三君       小谷 輝二君    柴田  弘君       経塚 幸夫君    寺前  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         自治大臣官房長 持永 堯民君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省行政局公         務員部長    芦尾 長司君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 委員の異動 十月二十八日  辞任         補欠選任   高橋 一郎君     山村治郎君 十一月一日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君 同月八日  辞任         補欠選任   橋本龍太郎君     北村 直人君   加藤 万吉君     三野 優美君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君   三野 優美君     加藤 万吉君     ───────────── 十月三十一日  留置施設法案廃案に関する請願佐藤祐弘紹介)(第二〇六六号)  同(坂上富男紹介)(第二一一〇号)  同(清水勇紹介)(第二一一一号)  下水道事業に係る借換債制度の拡充に関する請願小沢貞孝紹介)(第二二三五号) 十一月七日  留置施設法案反対に関する請願安藤巖紹介)(第二二四四号)  同(石井郁子紹介)(第二三九三号)  同(浦井洋紹介)(第二三九四号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二三九五号)  同(児玉健次紹介)(第二三九六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二三九七号)  留置施設法案廃案に関する請願安藤巖紹介)(第二三一九号)  同(中路雅弘紹介)(第二三二〇号)  同(東中光雄紹介)(第二三二一号)  同(不破哲三紹介)(第二三二二号)  同(正森成二君紹介)(第二三二三号)  同(村上弘紹介)(第二三二四号)  同(加藤万吉紹介)(第二三五九号)  同外一件(安藤巖紹介)(第二三八八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二三八九号)  同(田中美智子紹介)(第二三九〇号)  同(松本善明紹介)(第二三九一号)  同(山下洲夫君紹介)(第二三九二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一二号)      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。梶山自治大臣。     ─────────────  地方自治法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  政府は、国全体として労働時間を短縮することを当面の重要課題一つとして位置づけ、その推進に取り組んでいるところであります。その一環として国の行政機関と並んで地方公共団体についても、公務の円滑な運営を図りつつ週休二日制を推進するため、土曜閉庁方式を導入することが必要であると考え、地方公共団体が、日曜日、国民祝日等と合わせて、毎月の第二土曜日または第四土曜日を、条例で、休日として定めることができることとするとともに、期限の特例について必要な措置を講じることとしたものであります。  以上が、この法律案提案いたしました理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、地方公共団体の休日に関する事項であります。  地方公共団体の休日は、条例で、日曜日及び一定の土曜日、国民祝日に関する法律に規定する休日並びに年末または年始の日について定めるものといたしております。  なお、土曜日を地方公共団体の休日として定める場合には、当分の間、国の行政機関の休日と同様、毎月の第二土曜日または第四土曜日を定めなければならないものといたしております。  第二に、地方公共団体行政庁に対する申請、届け出等期限地方公共団体の休日に当たるときは、原則として、その翌日をもってその期限とみなすことといたしております。  なお、この法律は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとするとともに、地方公共団体の休日に関する条例が制定施行されるまでの間について、必要な経過措置を定めております。  以上が、地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 松本十郎

    松本委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 松本十郎

    松本委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次君。
  6. 中沢健次

    中沢委員 ただいま大臣の方から提案がございましたいわゆる土曜閉庁法案につきまして、これ から具体的にお尋ねをしたいと思います。  その前に、税制特別委員会自治大臣が連日にわたりまして、とりわけ地方財政あるいは地方税制をしっかり守るという立場でいろいろ御苦労をされておるわけでありますけれども、委員会の冒頭に当たりまして、その御苦労に対しましては敬意を表したいと思います。また、引き続きぜひその原則をしっかり踏まえていただきまして御奮闘いただきますようにまずお願いを申し上げたいと思います。  さて、きょうの私の時間はおよそ三十分ということでございますので、問題を五つぐらいに絞りまして、この法案についての問題点を少しく質問させていただきたい、このように考えます。  実はことしの三月にも私はこの委員会で、当時四週六休制度自治省としてはもう少し全国の各自治体にその本格実施に向けて強い指導を行うべきだ、こういう立場質問をしてまいりました。あの委員会でも大臣並びに自治省当局の方からお答えをいただいたわけでありますが、考えてみますと、昨年の十月二十三日、六十三年度におきまして国家公務員週休二日制の実施、具体的にやる、こういう閣議決定一つはございました。さらに、前後いたしますが、ことしに入りまして五月三十一日に、より明確な閣議決定が行われた。その中間点で、五月二十七日に例の経済運営五カ年計画閣議決定もされた、こういう状況だと思います。つまり、昨年からずっと国内的な、政府部内の議論を事実経過を含めて把握をしていきますと、いわゆる世界的に孤立をしない、世界の中における日本、とりわけ労働時間については既に御承知のように国際的に大変日本の長時間労働が批判の矢面に立っている、そういう反省を込めまして、約一年数カ月の間にかなり急ピッチに具体的に時間短縮公務員週休二日制、そして今日土曜閉庁、このように非常に前向きに進んでいるということにつきまして、私はその事実関係を含めて評価をしたいと思います。  まず一番最初にお尋ねしたいのは、現状におきまして、とりわけ今日地方公務員の四週六休の本格実施の時期でありますけれども、全国的な実施状況がどうなっているか。同時に、さかのぼって言いますと、昨年の四月時点と比べてどういうテンポで進んでいるのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  7. 芦尾長司

    芦尾政府委員 お答えいたします。  四週六休制実施または試行をしておる地方団体でございますけれども、今お話がございましたが、昨年四月一日現在では全団体の二二・五%でございましたが、本年十月一日現在でございますが、都道府県ではもう既に一〇〇%、政令都市が五〇%、市区町村で七三・七%、合計七四%と五〇ポイントも超える上昇を見ておりまして、地方団体が積極的にお取り組みいただいている状況がうかがえると思います。その割合は毎月高まっておるところでございまして、また十一月も高まっておると思いますけれども、一応そういう状況でございます。
  8. 中沢健次

    中沢委員 今お答えをいただきましたように、昨年から見ますと数字の上でも全国的に四週六休の実施状況が急速に定着しつつある、つまり今回の土曜閉庁前提条件がかなり整備された、このように私は押さえておきたいと思うのです。  そこで関連をいたしますが、二つ目質問でありますけれども、人事院にしても自治省にしても内部的に研究会をそれぞれ持っておりまして、とりわけ自治省の場合はことしの九月にこの研究会一定報告をされている。私もその資料をずっと一読をいたしました。そこでお尋ねしたいのは、土曜閉庁意義について改めて自治省としてはどのように押さえておられるのか、非常に重要な問題だと思いますので、まずそのことをお尋ねしたいと思います。
  9. 木村仁

    木村政府委員 土曜閉庁は、職員週休二日制の実施形態として土曜の執務を行わないということを決める方式でございますが、四週六休制実施方策といたしましては、月二回の土曜日を閉庁とする方が、開庁土曜日に全員出席をして仕事をするということで、かえって効果的で効率的でなかろうかというふうに評価をしております。こういう形でゆとりのある国民生活、さらには世界とともに歩む日本国際協調を進めていくことができますことは、極めて意義深いことではないかと理解をいたしているわけでございます。そして、地方公共団体が土曜閉庁方式を導入することによりまして、地域における週休二日制の推進への社会的機運を高めるということでも資するところがあるのではなかろうかと考えます。今後国の動向等を踏まえながら、さらに週休二日制を推進していきますためには、この土曜閉庁方式が有効であろうというふうに考えております。
  10. 中沢健次

    中沢委員 それで、関連してさらにお尋ねをしたいと思いますが、今お答えにありましたように、一つはやはり国際的にも国内的にも時代流れである、そういう御認識。いま一つ公務員地方公務員が土曜閉庁労働時間を総体的に短縮をすることが地域にいい意味でのインパクトを与えて、地場の企業その他についても労働時間短縮一つ前提あるいは条件整備になる、こういう話だと思うのです。  そこで、そのこと自体は私も全く同感なんでありますが、実は、完全週休二日制に向けて自治省としては一体どういう見解をお持ちなのか。その辺になってまいりますと、少しく人事院見解自治省見解は、私がいろいろ資料をひもといてみますと、相違点があるのではないか。私なりの印象で言うと、完全週休二日制、つまり毎週毎週土曜日閉庁をするという、そこに向けての姿勢がどうも自治省の場合は消極的でないかというふうに、いろいろな資料を見ますと私なりに判断できるわけです。  具体的なものはこの中にも載っております。もっと言いますと、人事院も同様の研究会をつくっておりまして、とりわけ完全週休二日制につきましては大体六十五年度をめどにして人事院としては努力をしたいという研究会報告が出ておる。それと比べて、自治省で出しました研究会報告は、その辺のくだりになってきますと極めて抽象的でありまして、「完全週休二日制についても検討を進めることが望まれる。」この程度文章表現になっておる。先ほど申し上げましたように、人事院側から比べると自治省完全週休二日制の問題について言いますと極めて消極的ではないか、私はそのように受けとめるのでありますが、これは思い過ごしなんでしょうか。どうですか。
  11. 木村仁

    木村政府委員 私どもがお願いをいたしました自治省研究会は、当面、各月第二及び第四土曜日を閉庁とすることの具体的な方策を中心として御検討いただいた研究会でございまして、その報告書の中には、そういった具体的な四週六休の閉庁方式についての提案がございました。加えて、完全週休二日制についても検討を進めていこうということが書き込まれているわけでございまして、研究会の当面の目標が少し違っているので、そういう形になっているかと思います。  自治省といたしましても、昭和六十三年度ないし六十七年度を計画期間とする「世界とともに生きる日本 経済運営五カ年計画」におきましての、「業務の一層の効率化等を図りつつ、国民合意を形成し、完全週休二日制を実現するよう努める。」という趣旨にのっとってこの問題に対処していく方針には違いないわけでございます。
  12. 中沢健次

    中沢委員 そのことに関連して少し確認をしておきたいと思うのでありますが、今お話がございましたように、経済運営五カ年計画の中で、これは六十三年度から六十七年度の五カ年計画であるわけでありますが、労働時間の短縮問題に触れて言いますと、このように文章的には明確になっているわけです。つまり完全週休二日制については、「おおむね計画期間中に週四十時間労働制の実現を期し、年間総労働時間を計画期間中に、千八百時間程度に向けできる限り短縮する。」これは、公務員一つ労働条件に引き直しをすると、完全週休二日制をこの六十七年度までにはもう民間とあわせて実施をする、そういう努力をす る、このように明確になっているわけですね。人事院報告では、先ほど私が紹介しましたように、六十五年度をめどにしてひとつ努力をする。  ただ、今お答えがあった、自治省側としては基本的に見解相違をしないという印象なんでありますけれども、五カ年計画あるいは人事院見解、それと自治省との間のギャップはないということで確認しておいてよろしゅうございますか。
  13. 木村仁

    木村政府委員 基本的な認識においてギャップがあるというふうには考えませんが、地方公務員勤務条件、それに関連する閉庁等につきましては、国の公務員あるいは国の役所の動向、あるいは民間状況国民合意形成ということを十分踏まえながら対処していく必要があろうかと考えます。そういった形で、今後国等動向を十分注目しながら、これと対応する措置を講ずるよう努めてまいりたいと考えております。
  14. 中沢健次

    中沢委員 完全週休二日制の問題については、まだ先のことでありますから、この委員会でもまた議論をする機会があると思いますので、これ以上関連お尋ねは割愛をいたしまして、次に三番目の、今回出されました法律案に具体的に関係をするのでありますが、地方公務員の場合の土曜閉庁のそれぞれの問題について、二つ、三つまとめてお尋ねをしてみたいと思うのです。  一つは、先ほどお答えの中に、四週六休の実施状況について、残念ながら全国的には必ずしも足並みはそろっていない、全国的にはいろいろな地域事情もありましてばらつきがある、これは、その是非はともかくとして、そのように一つは現実として押さえておかなければいけないと思うのです。しかし、せっかく今度の法律改正で、月二回の土曜閉庁、四週六休をもっと一歩具体的に進めた形で提案をされているわけでありますから、私としてはこの際、実施の時期あるいは全国的にそこに向けてきちっと各自治体足並みをそろえる、これは非常に望ましい姿だというふうに考えるわけです。そうなってまいりますと、その今までの地域事情だとかいろいろなばらつきについてこのまま放置をしていたのでは、結果的にまた土曜閉庁もそれぞれ時間差があったり、ばらつきが出てくる危険性が非常に強いと思うのですね。ですから、この際自治省としては、いい意味での行政指導というのを徹底的に強化をしていただいて、やはりできるだけ足並みをそろえる、ばらつきをなくする、こういう努力を積極的にやるべきではないか。  もう一つは、それに関連をいたしまして、今委員会議論しているさなかでありますが、今度の国会で恐らく、これは対決法案でございませんので本会議でも成立をするのではないかと思うのです。そのことを前提にいたしますと、自治体側としては、十二月議会という議会があるわけですね。普通考えますと、やはり定例会の十二月議会に、自治省側から恐らく条例の準則も出ると思うのでありますけれども、条例提案をする。あるいはその辺のところが、労使交渉地域問題があってなかなか十二月議会にはできない。そうなると、黙っていれば三月定例議会。しかし、その間臨時議会を開いてやるということも不可能ではないと思うのでありますけれども、当面の問題として、法案成立後の問題でありますけれども、十二月の地方議会条例化をさせていく、そういう具体的な指導もぜひ必要ではないか。  この二つについて、まずお答えをいただきたいと思います。
  15. 木村仁

    木村政府委員 国の官庁が土曜閉庁方式を採用いたしましたならば、できるだけこれと均衡のとれた形で地方公共団体実施していくことが望ましいということは御指摘のとおりでございます。  ただ、これは先生も御指摘がございましたように、地域的ないろいろな事情によって決まっていくことでございますから、基本的には各地方公共団体が自主的に実施を決定していくということになります。したがいまして、全国一斉にということはなかなか困難でございますが、できるだけ早期に各団体が導入されることができるよう指導してまいりたいと思いますし、また、各都道府県に対しましても、例えば都道府県単位でまとめるとか、あるいはそうでなくとも生活圏単位あるいは広域市町村圏単位で一斉に実施するとか、そういった市区町村が連携をとりながら土曜閉庁実施していくように必要な指導助言お願いしたいと考えております。  それから、十二月の議会条例が出るように努力をすべきではないかという点でございますが、この法律は六カ月以内に政令で施行されることになります。これは国の行政機関閉庁に関する法律も同様の形で、それとの歩調を合わせなければならないと思います。若干の周知期間というようなものが必要になるかと思います。それから、各地方公共団体におきましてもいろいろな事情でその実施が決まってまいりますので、十二月に一斉にということにはなかなかならないのではないかと存じますが、早急に国と歩調を合わせて実施するために十二月議会条例提案されるところもあるかと思いますので、そういった態勢ができるように努力をしてまいりたいと思います。
  16. 中沢健次

    中沢委員 今の答弁については大方理解をするのでありますけれども、ただ、今までの自治省のいろいろな地方に対する指導内容からいいますと、例えば地方公務員労働条件の問題などを言うと、国公平準化、こういう指導もかなり強烈にされている。それによっていや応なしに各自治体ともそういう状況になるという現実問題もあるわけですね。ですから、私は行政指導の中身でいえば、いい指導と悪い指導とあると思うのですよ。ですからこの際、土曜閉庁につきまして言いますと、超党派で賛成をしている内容でもある、したがって自治省としてはこの際いい指導力を発揮をしていただいて、先ほど私が申し上げましたような趣旨でできるだけ全国的に足並みをそろえて、そしてしかも十二月議会条例化が可能になる、そういう自治体がたくさんふえる、そういう強烈な、いい意味での指導をぜひお願いをしておきたいと思います。  そこで、もう一つ関連をいたしまして、実は各自治体としてそれぞれ制度として持っております夏季休暇について簡単にお尋ねをしたいと思います。  資料もいただいておりますが、例えば昭和五十六年と六十一年の比較ということになってまいりますと、この夏季休暇制度実施している自治体が数の上で減っている。これは常識的に考えると非常におかしい。つまり時の流れとして、労働時間を短縮する、一定のまとまった休日を各自治体の権限で与える、これはもう当たり前だ。なぜ五年の間に夏季休暇制度が減ってきたのか、その理由について自治省として考えられる理由があればお聞かせをいただきたい。私は私なりにその事実関係を含めて把握をしているつもりでありますが、自治省のその辺の理由についてのお考えを聞いておきたいと思います。
  17. 芦尾長司

    芦尾政府委員 夏季休暇お尋ねでございますけれども、今さら申し上げるまでもございませんが、地方公務員勤務条件につきましては、地方公務員法の規定によりまして、国及び他の地方公共団体職員との間の権衡を失しないように定める必要があるということになっておるわけでございます。そして御指摘夏季休暇制度、現在国家公務員については制度化がされていないという状況の中にあるわけでございまして、そういう意味で、国家公務員との勤務条件均衡を図るということから、地方公共団体においてもそれぞれ勤務条件を整備するという中でこういう取り組みがなされてきておるのではないかなというふうに存じます。
  18. 中沢健次

    中沢委員 昭和五十六年と六十一年の数字を申し上げましたけれども、実は地方的な夏季休暇について言うと、いろいろ問題がある、自粛をしろという指導自治省側からそれぞれあった。それを受けて、自治体としてはいろいろありましたけれども、結果的には労使交渉でやむを得ぬということで自粛をして、結果的に夏季休暇制度というのを持っていたのがなくなる、こういうことだと思うのですよ。私があえてこのことを申し上げて おるのは、つまり先ほど来質問をし、お答えをいただいておりますように、今労働時間短縮というのは簡単に言えば時代流れだ。これはいいことだ。そうしますと、かつてのように夏季休暇制度はやめろという指導自体、僕は、あのときはあのときでいろいろな理由があったにしても、今日的にはもう社会的には問題があるのではないかという時代の転換があったわけでありますから、これから先こういうことが起きないようにひとつその辺のところは厳しく申し上げておきたいと思います。  さてそこで、この問題について実は法律改正の文言についてちょっと疑問がありますので、私の取り違えあるいは誤解であれば正しく訂正もお願いをしたいと思いますが、今度の法律案によりますと、条例で定めた土曜日が休日になる。附則の六条にいきますと「第二土曜日又は第四土曜日」。この委員会は別に国語の教室ではありませんけれども、国家公務員の場合は「第二土曜日及び第四土曜日」ということになっておるわけです。それはもうだれが見ても、一月のうちに第二土曜と第四土曜が土曜の閉庁だなと思う。ところが、自治省提案をした地方自治法改正を見ますと「第二土曜日又は第四土曜日」。もっと皮肉っぽく言いますと、各自治体の受けとめとして、そのまま受けとめたら、第二土曜か第四土曜のどちらか一回土曜閉庁をすればいいんだというふうに悪く解釈をする首長が仮にいたらどうなるのですか。やはり無用な労使間の紛争が起こると思うのですよ。僕は今度の提案趣旨からいって決してそうではないと思うけれども、「及び」と「又は」というのはどう解釈しても同じでございませんので、その辺は一体提案をされた自治省側としてはどういう正確な押さえ方をしているか、これを改めて確認意味で、あるいは私の思い違いであれば思い違いだ、こういうことでお答えをいただきたいと思います。
  19. 木村仁

    木村政府委員 この「又は」は、「及び又は」と両方書くところでございますが、そういう場合には法律の書き方として「又は」を使うという習慣になっておるようでございます。したがいまして、これは「及び又は」という意味でございます。  それで、国の法律の場合には、あの法律自体で完全に休む日が決まりますので「及び」になっておりますが、地方公共団体の場合には条例でこれを決定いたしますので「及び又は」、こういうことにいたしたわけでございます。  それで、これはどっちか一つを休みにすれば事足れりというような独断をなさる首長がおられるとそれは困りますので、十分周知徹底を図ってまいりたいと考えておりますが、ただ地域によりましては、あるいは月二日は当面難しいけれども一日ならばというところがあるかもしれないという可能性があるという極めて理論的な見地から、「及び」に加えて「又は」が入っているわけでございます。  私どもとしては、国と均衡のとれた土曜閉庁方式実施されることを目指して指導いたしますので、できるだけ両方最初から条例化されますように御指導いたしてまいりたいと考えております。
  20. 中沢健次

    中沢委員 それで、今のお答えを聞きますと、私頭が悪いものですからますますわからなくなるんですね。つまり、基本的には国家公務員地方公務員均衡を図る。そうすると、国家公務員法律改正は明確に第二土曜と第四土曜は閉庁にする、月二回土曜閉庁になる、これはもう明確なのです。これは玉虫色でも何でもありませんね。ところが自治法で言うと、今のお答えを聞くと、均衡を保つということを前提にしながらも、しかも首長で誤解があっては困るから、それは第二、第四土曜だよということを言うけれども、地域の実態によってこれが一回になるということもあり得る。こうなりますと、これはもう大変な問題だと思うんですよ。私はやっぱり国家公務員地方公務員均衡を保つという大原則がある限り、自治省の方針としてもこの際同じように第二土曜と第四土曜は「及び」という言葉で実際はやります、「又は」というのは、まあ法律の専門家はいろいろあるのでしょうけれども、常識的に言えば第二土曜と第四土曜は休みです、こういうことになってこないと、この法案そのものについて私どもとしては再検討をしなければいけないかなという感じすらするんですよ。その辺もう一回、大事なところですから明確に答弁してください。
  21. 木村仁

    木村政府委員 条例で定めてまいりますので、ゼロか、二か、間に一はないのかという理論的な議論から「又は」という言葉になっておりまして、私どもはあくまで第二、第四土曜で均衡ある実施をしていただくよう努力をいたしてまいる所存でございます。
  22. 中沢健次

    中沢委員 そこで大臣に、今までのやりとりをいろいろお聞きをいただいたと思うのでありますが、やはり自治大臣として地方公務員労働時間短縮、今具体的に一歩前進をする非常に重要な局面だと思うのですね。したがって、土曜閉庁法案に対する大臣の意気込みも当然お持ちだと思うのでありますけれども、今いろいろやりとりをした中で、第二土曜、第四土曜の解釈についてまだ釈然としないものがありますけれども、大臣としてこれについての見解、あるいは大臣としての決意をちょっとお尋ねをしたいと思います。
  23. 梶山静六

    梶山国務大臣 まず、冒頭に中沢委員から御激励を賜りましたことに感謝を申し上げ、今後とも非力でございますが全力を尽くす所存でございますので、御教導のほどをお願いを申し上げる次第であります。  ただいままでの委員政府委員との間のやりとりを聞いておりましたけれども、地方公共団体が土曜閉庁方式を導入するに際しましては、これまでの週休二日制推進の経緯等を踏まえて、原則として月二遍の土曜閉庁方式を導入するように指導してまいりたいというふうに考えております。  確かに、今委員指摘のとおり、時短は時の流れでもございます。それから、今税特を行っておりますが、税制においても国際化、高齢化の時代に備えるといいますから、やはり国際協調というか、そういう国際的なバランスの問題、こういうものを考慮に入れますと、週休二日制を目指すことは当然の流れでございますし、その第一歩として四週六休制を導入することが今々当面の目標であるというふうに理解をいたしております。  いずれにしても、公務員が、ある場合、その土地、その時代の先導的な役割を果たすことが極めて大切でございますが、反面、私なんか古い人間でございますから、どちらかというと先憂後楽的なことがございます。ただ、公務員といえどもこれもまあ労働者でございますから、私の個人的な感懐と違いまして、当然その権利として要求されることは当たり前でございますけれども、しかし、地方自治には地方自治の本来の固有の権利がございます。国からすべてを押しつけていいかどうか。私は、これはこの際はいいですよ、これは悪いですよということはなかなか言いづらいわけでございますから、三千三百十五の地方公共団体の中で、例えば一村でもその地域間のばらつきもございます。例えば私のところの一番の山村なんかで言いますと、今でも試行的にやっておりますが、土曜日休むには、職員の方々が村民の皆さん方を見ながら大変抵抗を感じながら休まなければならないというような状況もあるわけであります。  それはむしろその地域間の、いわば所得をもっと豊かにする、労働環境を豊かにするという方面に行政の努力が振り向けられなければならないのでございますが、いずれにしても、そういう地域や零細企業、中小企業があるという現実もまた踏まえてまいらなければなりませんから、そういう意味で、地方が現場の事務を持つとか、あるいはそういう地域にある地方公共団体として国のような画一的な政策を導入することが果たして可能であるかどうか。それから、地方自治の本来の目標であるところを考えますと、私はそういう権利を保有をしてあげなければならない、そういう意味を考えるわけでございますので、いずれにしても住民の理解がないところに推進はあり得ません。しかし、なるだけそういう理解を深めて、原則と して月二日の土曜閉庁方式ができるように指導してまいる決意でございます。
  24. 中沢健次

    中沢委員 ありがとうございました。  それで、もう時間がなくなっておりますので、残り二つをまとめて簡単に質問したいと思います。  一つは、閉庁職場の範囲の問題でありますけれども、自治省研究会ではかなり時間をかけて専門的に検討され、報告書を見ますと、「開閉庁部門の振分け」あるいは「部門別分類の例示」で具体的な職場名を挙げましていろいろ示されているわけですね。これについて個別の問題は取り上げませんが、一つの例示について言いますと、余り拘束力を持たせるというのは逆に自治体のいろいろな自主性を制約をするということにもなりかねない。先ほどの私の、いい指導は強力にしろということとちょっと矛盾をするかもしれませんけれども、その辺はやはり地元の地域実態、つまりは労使交渉の部分にかなりゆだねていってやるべきではないかということを一つ見解として持っております。それについての自治省側お答えをぜひお願いをしたい。  それからもう一つは、従来から四週六休の試行、本格実施の段階でどうしても総体の労働時間を短縮するということになってくると、逆に言えば予算が必要だ、定数をふやさなければいけない、しかも住民サービスを低下させてはいけない、こういうことについていろいろ議論をして、率直に言ってその辺はなかなかかみ合っていないと思うのですね。しかし、今回四週六休の具体的な形として月二回の土曜閉庁に一歩踏み出す。そうなってくると、今までのような自治省の言っている三原則は基本的に見直しをしていかなければ、そういうことをやっていかなければ完全週休二日制にうまくつながっていかないのではないか。私は個人的な言葉かもしれませんが、自治省の三原則というのは、つまり人員をふやさない、予算をふやさない、住民サービスを低下させないという三無主義だ、こういう批判をかねてから言っているのでありますけれども、そういう問題について自治省としては、今日段階で見直しをする、あるいはこれから完全週休二日制の本格実施に向けて見直しをする、こういうことについての見解を改めて聞いておきたいと思います。
  25. 木村仁

    木村政府委員 土曜を行政機関閉庁するかどうかということにつきましては、これは地方公共団体議会の議決を経た条例によって決定いたすことでございますから、そのように御理解をいただきたいと思いますが、それによって地方公務員勤務条件等いろいろと関係してまいりますので、十分お話し合いが行われることは当然のことかと考えております。  それから、定員、予算をふやさない、サービスは低下させないという原則につきましては、民間におきます週休二日制につきましても事務の合理化やあるいは労働生産性の向上を図ることを前提として実施されておることから見ましても、週休二日制の推進及び土曜閉庁方式の導入に当たりましては、予算、定員の増加を来さないことはもとより、行政事務の簡素合理化等を通じて公務能率の向上に努めることによって、初めて住民の御理解が得られるのではないかと考えております。  この考え方は、土曜閉庁前提となります四週六休制を導入するに際しましても留意をしてほしいということで進めてまいりましたが、そういった体制の中で七四%の団体において四週六休が実施されているという実績があるわけでございます。国におきましても、御承知のように行政サービスを極力低下させない、あるいは緊急時の業務体制を整備する、それから行政事務の簡素合理化あるいは「さわやか行政サービス運動」を展開する、現行の予算、定員の範囲内で実施する、こういうことに留意しながら土曜閉庁方式を導入することとしているわけでございます。このような考え方を維持して、まずは月二回の土曜閉庁を円滑に導入することが私どもとしては当面の責務ではないかと考えております。
  26. 中沢健次

    中沢委員 時間が過ぎましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  27. 松本十郎

    松本委員長 草野威君。
  28. 草野威

    ○草野委員 この土曜閉庁法案でございますけれども、先ほど大臣の方からいろいろと御説明がございました。それによりますと、今回のこの法案閉庁方式による週休二日制、第二、第四の土曜日を休日とする、こういうことでございまして、国は六十三年度じゅうに実施をする、地方団体の方もそれにできるだけ準ずるのだ、こういうような考え方だと思います。そこで半ドン制といいますか、半ドン制というのは日本では明治以来長い間続いてきた制度でございまして、それが今度一カ月のうち半分はなくなってしまう。そういう意味で本当の半ドン制が今度実施されるわけでございまして、しかし考え方としては当然そういう方向でこれからも進めていかなければならない、私どももそのように考えてはおります。  現在の開庁方式による週休二日制、今度は閉庁方式、このようになるわけでございますけれども、しかし、個々の公務員の勤務時間そのものは従来と変更がないわけですね。それで今いろいろ言われていることは、欧米先進諸国の勤労者と比べまして二百時間とか三百時間とかあるいは五百時間日本労働者の方が年間の労働時間が長い、こういうことがいろいろ指摘をされているわけでございます。現在民間労働者の平均的な年間の労働時間は約二千百時間というようなことを聞いておりますけれども、地方公務員の場合は年間平均の労働時間はどのぐらいに今なっておるのでしょうか。
  29. 芦尾長司

    芦尾政府委員 四週六休制のもとでの時間でございますが、現在日曜日、国民祝日、年末年始、これは休日でございまして、それから年次有給休暇、現在二十日ありますが、そのうち平均は十二日間消化されておるといったことを前提にいたしまして、六十三年の場合で見てみますと、年間の勤務時間は超過勤務時間を除きまして千九百七十二時間、二千時間をちょっと切っておる、そういう時間になっております。
  30. 草野威

    ○草野委員 千九百七十二時間、これは残業時間等を除いての平均的な勤務時間でございますので、実際にはこれよりもかなり多目になっているんじゃないかと思います。いずれにいたしましても、これから完全週休二日制に向かうわけでございますけれども、その中のワンステップ、それが今回の土曜閉庁、これに当たるんじゃないかと考えておるわけでございますけれども、しかしこれをこれから実施するにしてもそう簡単にはいかない、いろいろな問題があるんではないかと思われるわけでございます。例えば、もし民間がこういう制度を導入するとなると、ともかく生活がかかっている問題ですから大変だと思います。あらゆる面で合理化を図らなければならないし、また生産性の向上だとかいろいろな工夫をしていかなければならない面が多々あろうかと思います。特に中小企業においてはこれは大変なことになるんじゃないかと思うのです。  そこで、地方団体の場合やはり一番念頭に置かなくてはならないことは、この土曜閉庁方式実施することによって行政サービスをいかに低下させないか、またもう一つは、緊急なときの体制、それにいかに対処するか、こういう点が非常に大事なポイントになってくるんじゃないかと思いますが、それらの点と、それからもう一つは、先ほどもお話ございましたけれども、現行の予算、定員の範囲内でやるというお話でございますけれども、その点の確認をさせていただきたいと思います。  また、地域の住民の方々それから諸団体の人たちの理解、こういうものが非常に重要になってくると思います。全国それぞれの地域においてさまざまな事情があろうかと思いますけれども、どのようにして協力を得ていくのか、特にどういう点に留意を払いながらこれを進めていこうとされておられるのか、そこら辺のところのお考えを承りたいと思います。
  31. 木村仁

    木村政府委員 まず、閉庁土曜日における行政サービスはどのようになるのか、また行政サービ スの水準を低下させないためにどのような努力をするのかという点でございますが、土曜閉庁ということをいたしましても、もちろん御承知のとおり、警察、消防あるいは病院の病棟部門、そういった業務の性質上、閉庁になじまない部分の行政サービスは開庁して維持されるということが第一点でございます。また学校、保育所、病院の外来部門等のように、これは閉庁しても差し支えないのでございますが、現下の情勢では別途制度的な検討を要するのではないかということで当面の閉庁の対象とならない。したがいまして、そういった面でのサービスは従来のとおりでございます。これらを除く部門、特に地方公共団体、市町村の窓口部門等につきまして、緊急の場合でありますとか、あるいはそこで損なわれる行政サービスを他の週日にいかにして便利さを高めて補っていくかというふうな問題がございます。また、緊急な場合にどのような対応をしていくかということも、各地方公共団体で決めておかなければいけないことであろうと思います。  御承知のように、現在も日曜日には理火葬の許可でございますとか、あるいは死亡届、婚姻届等につきましてはこのサービスが提供できるようになっております。また土曜閉庁が採用されました後には、例えば駅前のしかるべき施設でサービスを行うとか、日によっては時間を延長してサービスをするとか、あるいは電話によって申請等を受け付けてサービスをするとか、いろいろな形でサービスの維持向上を図っていくことが検討されていくものと考えております。いずれにいたしましてもサービスを低下させない。土曜日が閉庁になって、そこでサービスがとまるのはいたしかたないのですが、全体的にサービスが低下しないように努力をしていくということでございます。  それから予算、定員につきましては、国家公務員につきましてもその原則が堅持されているところでございまして、地方公共団体におきましてもこれまで七四%の地方公共団体がその原則のもとで四週六休を円滑に実施しているという実績を踏まえて、この考え方を維持してまいらなければいけないと考えているわけでございます。  最後に、最も重要な問題かと思いますが、住民の理解をどうして進めていくかという問題でございます。そのためには、住民にあるいは各種団体にそういったものに対して十分周知徹底を図っていく必要があろうかと思います。その際、土曜閉庁意義でありますとか、閉庁をいつからどういう形で始めるかとか、あるいは閉庁部門を明確にし、かつ実施される行政サービスの状況等について事前に住民に十分に周知徹底させる必要があろうかと思います。そのため、各地方公共団体において各種行政媒体、ポスター、パンフレット、あるいは関係団体への協力依頼等によって周知活動に努めていきますとともに、各職員におきましても十分研修を重ねて、こういった趣旨がいついかなる場合にも住民に十分説明ができるような体制にしておかなければいけないと思います。また自治省といたしましても、地方公共団体の土曜閉庁に対して広範な御理解と御支持を得べく必要な周知活動に努めてまいりたいと考えております。
  32. 草野威

    ○草野委員 今、土曜閉庁に伴いまして完全に閉庁できる部門、できない部門、また今後検討をしていかなければならない部門、こういうことについて御説明ございましたけれども、確かに、日常住民と接触する窓口サービス、非常にたくさんの事務があろうかと思います。転入、転出とか住民票、出生届、さまざまな業務があろうかと思いますけれども、今のお話の中にもございましたように、婚姻とか死亡届は現在でもたしか休日においても受け付けていると思いますけれども、今後土曜閉庁方式実施された場合に、休日でも受け付ける事務は婚姻届と死亡届の二つだけでしょうか。ほかに何かございますか。
  33. 木村仁

    木村政府委員 埋葬、火葬の許可、婚姻届、死亡届、それらにつきましては、現在ほとんどの団体で休日閉庁中も受け付けることができるようにされております。少なくともこれらにつきましては土曜日も同じ取り扱いにされるように配慮をいたしたいと考えております。  それから、市町村によりましてはさらに幾つかのサービスを加えるということもあり得ると考えておりますが、それは地域の実情によって決めていただくことじゃないかと考えます。
  34. 草野威

    ○草野委員 それから、現在でも一部の団体では時間外のサービスをしているところもございますし、さらに駅ビルなどでの出張サービス、こういうことをやっておるところもございます。現在夫婦共稼ぎ、こういう人たちが非常に多くなってきている時代でございますので、土曜が半分完全に休みになる中で当初はかなり不便を感じる人たちも出てくるのじゃないか。そういう意味で、こういう制度については今後もできるだけ拡大の方向へ行くことが望ましいと思いますけれども、その時間外サービス、出張サービスということのほかに、自治省として特に今後はこういう方向について指導していく、何か考えていること等がございましたらお話しいただきたいと思います。
  35. 木村仁

    木村政府委員 ただいま御指摘がございましたように、ターミナルデパート等への出張によるサービス、電話によるサービスの受け付けその他、いろいろと地域によって創意工夫がされるところと存じますが、自治省といたしましては、そういったサービスの拡大に加えて、さらに市町村の役所の中の全体の効率化を図ってまいりまして、例えばOA化による待ち時間の短縮、支所、出張所での証明書即時交付等、こういったトータルとしての行政サービスの向上に努めていくことが、ひいては土曜閉庁を円滑に進めていくことにもつながっていくと考えておりまして、そういった事務所改革のようなことも進めてまいりたいと考えております。
  36. 草野威

    ○草野委員 いろいろと自治省のお考えございましたけれども、住民へのサービスを低下させないように、このことについてはこれからも十分に検討されていかなければならない重要なポイントではなかろうかと思います。  つい先日、十一月六日に総理府が世論調査を発表しておりますけれども、公務員に関する世論調査でございます。これによりますと、公務員週休二日制について賛成の方が三〇・七%、反対の方が二七・七%、こういうふうになっております。そのほかに、行政サービスが低下しないように配慮するなら賛成してもいい、けれども配慮が欠けているなら反対だという人たちが二八・一%。二八%の人たちは、今後の行政サービスが低下するかどうか、これを見守りながらどっちかに回る、こういう人たちがともかくかなりの数いらっしゃる、こういうようなデータが報告されております。したがって、今いろいろと御説明がございましたけれども、行政サービスの低下を懸念する声が非常に強いわけでございます。  そこで、これから各自治体におきましてさらにいろいろな検討をしてもらわなければならない点が多々あろうかと思うのです。限られた予算の中で創意工夫をしていかなければならない。例えば機械化によるサービスも非常に重要なことではないかと思います。今カード時代になりまして、プリペイドカードが二億枚も発行されている時代でございまして、カードを使いなれている人が非常に多い。こういう中で、区役所へ行ったり市役所へ行ってカード一枚でいろいろな用が足せる、こういうようなことになってくればどれほど便利か。もっとも、それに伴う問題もいろいろあろうかと思いますし、また予算の面もあろうかと思いますが、そういう機械化によるサービスについて今後どのように考えていったらいいかという問題が一つ。  もう一点は、閉庁しない窓口もあるわけでございます。例えば公民館であるとか公会堂であるとか、そういうところは土曜も日曜も閉館をしないで利用されているわけでございますけれども、そういうところの窓口を今後どのように活用していくか。これも工夫によってはいろいろな活用の仕方があるのではないかと思いますが、そこら辺の考え方につきましてお尋ねをしたいと思います。
  37. 木村仁

    木村政府委員 御指摘の、機械化によりまして 例えば銀行のCDのように各種証明書の発行ができないかというようなことにつきましては、いろいろな地方公共団体あるいは関連する団体で研究をいたしているように伺っております。技術的には、個人カードを作成し、自動認証機といったような機械で住民票の写しの交付等の公証事務の肩がわりをさせることが可能でございますが、これも先生御指摘のとおりプライバシーの侵害というような問題がございますし、また戸籍等につきましては磁気テープを原本として認めないというような行政上の問題もございます。そういったいろいろな問題がございますので、これは今後の課題として検討をしていきたいと考えます。  それから、閉庁をしない機関を窓口の延長として活用してはどうかということにつきましても、極めて傾聴すべき御提案と存じますので、恐らく地方公共団体はそういった点にも着眼して、そういった開いている窓口を活用するということも検討していくのではなかろうかと思います。私どももそういったことは奨励してまいりたいと考えております。
  38. 草野威

    ○草野委員 時間もなくなりましたので、最後に大臣お尋ねしたいと思います。  一つは、この土曜閉庁方式の導入の前提として、現在行われております四週六休制実施、これの見通しの立っていないような団体もまだ残っておるわけですね。やはりこの辺のところをどうするか、こういう問題が一つあろうかと思うのです。先ほど局長の方から数字説明がございましたけれども、七〇%ちょっとという話でございますが、しかし完全に実施されておるのはたしか一〇%ちょっとじゃないかと思うのですね。十何%ですか。指定都市に至ってはまだ一カ所しか完全実施されていない。試行を合わせても五〇%、半分しか実施されていない、こういう状況だと思うのですね。全国的に見るとかなり地域差もある。大都市が進んでおって小都市の方が進んでいないというわけでもないし、いろいろな問題を抱えていると思います。したがって、現在の四週六休制を完全に実施するためにこれをどうするかという問題が一つある。これをまずクリアしなければならない。  先ほどから申し上げましたけれども、経済運営五カ年計画ですか、五年後をめどにしておるわけですね。五年後をめどにして完全週休二日制の実施に移行していくわけでございますけれども、そうなってくると週四十時間労働、それから年間千八百時間労働、こうなるわけですね。それに至るまでに整備しなければならないことは、ともかくたくさんあろうかと思います。しかし現在、自治体が土曜閉庁をどうやって乗り切っていくか。そしてまたその以前の問題である現在の四週六休制、これを一〇〇%実施するために抱えている問題もいろいろあります。それをどうやってこれからクリアしていくか、大変な問題がたくさんあろうかと思います。非常に重要な課題をたくさん抱えておりますけれども、今後これをどのように進めていくか、こういうことを最後にひっくるめて大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  39. 梶山静六

    梶山国務大臣 示唆に富んだお話をたくさんちょうだいをいたしまして、今後の四週六休を進めるための大きな手だてになると思います。確かに、これから週休二日を目指しながら、その一里塚として四週六休制度に踏み込むわけでございますが、まずそのよりどころとして今回の法律改正お願いをいたしているわけでございますので、これを契機にしてその風潮が進むことを期待をいたしておるわけであります。  しかし、先ほど先生が言われましたように、世論調査なんかでもなかなかそういう抵抗感もございます。それには、まずもって住民の理解を得なければなりませんし、その大きな部分は、今御指摘になったようなサービスが低下をするのではないか。これはどんなことがあってもサービスを低下をさせてはいけません。私見でございますが、私なんかはどちらかというと先憂後楽、働くことを善だと思ってきた人間でございますから、休めと言われても休むのがなかなか難しい世代に生まれてまいりました。しかし、国際化の時代に社会をリードする行動をすることもまた大切な分野でもございます。こういうものを深めまして、いい方向に早く進めなければならない。そのためには社会的な環境を整備し、やっていかなければなりません。  また、地方公務員の置かれている立場というものを考えれば、よく総理が言われるように地方が知恵を出す時代だ。ですから、与えられるものではなくて、やはり地方自治体がみずから考えてどういう制度を生み出すことができるか、場合によっては地域間の競争があってもいいのではないか、そういうことすら考えるわけでございますので、できるところばかりがやればいいということではございません。財政力が弱くてできないとするならば、これは国がその対策をしなければなりません。しかし、その近傍類地の社会環境が整わないで、一挙に地方の役場だけが進むことが果たして住民の理解を得る問題かどうかということを考えますと、私は地方自治のみずから選択をする自由があってもしかるべしと思います。  そういうものの接点を考えながら、今たくさん出されました示唆に十分機能ができるような勉強をこれから重ねながら、いずれにしても法律ができると条例化が進んですぐその体制が完全にできるとは私は思いません。しばらくの間いろいろな試行錯誤を重ねながら、そういう努力目標に向かって進むことができると私は思いますし、そういうものが社会の風潮として当然受け入れられるものでございますから、サービスの向上やら能率化、合理化、まあ公務員制度は必ずしも合理化、能率化になじまない分野もございますが、そういうものをひっくるめて行財政すべての分野についてこれを突破口にしながら見定めていかなければならないという決意で、これからこの問題に取り組んでまいりたいとただいま思っております。
  40. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  41. 松本十郎

    松本委員長 岡田正勝君。
  42. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、全くお久しぶりでございます。久しぶりなるがゆえに、私は短い質問時間でありますが、何としてもこの際大臣にお礼を申し上げなければならぬことがあります。義理があるのであります。  それは、ことしの一月十四日の夜、横浜市内のバス停留所におきまして、六十三歳のバス誘導員の注意に対して、不法駐車をいたしました不動産業者が酒の勢いで暴力を振るった。その人は四十四歳の人であります。半死半生の目に遭わしておりました。数百人の人たちが見ておりましたが、いずれも手出しもせず、とめもせず。これを見るに見かねて、十九歳のアルバイトの少年がとめに入りました。ところが不動産業者はこれを怒って、五キログラムの重さがあります鉄板の交通標識を振り上げて少年に殴りかかりました。殴られてはたまりませんから、それを取り上げようと思ってもみ合っているうちに相手の顔に傷をつけてしまいました。非常に不幸な事件でございます。  そして本人は、その場で逮捕、連行、勾留という措置を受けまして、その後その成り行きを心配しておりましたが、横浜家庭裁判所におきまして、去る九月二十六日、無罪判決を下してくれました。当時私は広島県の地元にいまして存じませんでした。ところが、大臣みずからお電話をいただきましてこのことを知り、本当に私は心からうれしゅうございました。担当判事さんの適正な判断、三万人を超える嘆願署名、またマスコミの皆さんの取り上げ方、そして多くの同情者はもちろんでございますけれども、私が特にうれしかったのは、この委員会において私がそのことについて大臣の所感を求めましたところ、大臣の御答弁として、他人の難儀は見過ごしにはできない、他人の苦しむのを見て見ぬふりはできないという純粋な社会正義の芽がつぶされてはたまらない、無罪判決を期待しておる、正当防衛を主張されました。そのことがまた大きな影響を与えたものと私は信じておりますし、心から感謝をしておる次第であります。お電話をいただいたということは、 大臣がこの九カ月間心を寄せておったということでありますし、大臣のその心遣いと正義感に対して、私はこの同じ質問をいたしました委員会で改めて心からお礼を申し上げたいと思うのであります。この機会に大臣の御心境をお聞かせいただければまことにありがたいと思います。
  43. 梶山静六

    梶山国務大臣 当時のことを思い出すわけでありますが、岡田委員の御指摘に対しまして、実は心が何かびんたを食ったような思いがいたしました。ともすると、私でもこういう問題があれば我関せずというか、見て見ぬふりというか、さわらぬ神にたたりなしという、私自身がそういう気持ちに堕していたのではないかなという、そのときに少年がとった行動、大変心が洗われるような思いであったわけであります。そして今、無罪というか、少年でございますから別なあれですが、無実ということになりまして大変うれしゅうございますし、その少年の前途がますます幸せになるようにお祈りをしたいと思います。  いずれにいたしましても、これからも社会正義を守るというか悪を摘むというか、まあ古い言葉で言う勧善懲悪の社会風潮が生まれることを期待をいたしまして、これからもそういう問題に対処をしていく社会風潮をつくってまいりたいと考えております。ありがとうございました。
  44. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、ありがとうございました。久しぶりの委員会でありますが、久しぶりにいい気持ちになりました。ありがとうございます。  さて、私はこの法案については全面的に賛成でありますので、その立場から、以下残された時間、質問をさしていただきたいと思います。  まずお伺いしたいのでありますが、土曜閉庁実施をされるというこの法案が出ておりますけれども、既に実施をしておる団体、それから試行をしております団体、そういうものを入れますと約七四%がやっておるわけでございますけれども、あと残りが、おくれておる市町村が随分ありますね。このおくれておる市町村の原因というのは一体どういうふうに理解をしておられますか。
  45. 芦尾長司

    芦尾政府委員 お話ございましたように、十月一日現在で二六%の地方団体が四週六休制が導入をされていないわけでございますが、その主な理由といたしましては、まず第一に、大臣もお触れになりましたが地域における週休二日制のおくれが挙げられておるわけでございます。そのほか、四週六休制の導入は現行の予算、定員の範囲内で実施すること、行政サービスの急激な変化を来さないように事務処理方法の改善をしていく、人員配置の見直し等事務処理体制の整備に努める必要があること、また勤務条件の適正化を図ること等によりまして行うということにされておるわけでございますけれども、これらの点が課題となって、いまだ導入ができていない団体も一部に見られるところでございます。  これらの団体に対しまして、地方公共団体における週休二日制の推進意義等につきまして住民の理解を得るように努めていただくこと、また公務能率の向上、事務の簡素合理化その他の工夫を行いまして勤務条件の適正化を図ること等につきまして、私ども従来から個別の指導、工夫事例の送付等も行っておるわけでございますけれども、今後ともきめ細かな指導を行ってまいりたいと存じております。
  46. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今いろいろとお考え方を聞いたのでありますが、私はこの際、当局の方から未実施団体につきましては閉庁の導入計画あるいは勤務条件の適正化対策等々の作成を義務づけてはいかがなものだろうか。しかも日にちは余りない。来年の二月からこれを実施しようとすれば、先ほど委員からの御質問の中にもありましたが、十二月の定例会がその最終チャンスではないのかと思いますので、未実施団体について導入計画勤務条件の適正化の対策というものを作成して提出せよということをむしろ強烈に義務づけをしたらいかがなものかと思うのでありますが、どうでしょうか。
  47. 芦尾長司

    芦尾政府委員 この四週六休制の導入、それから閉庁の導入は、基本的には地方自治体が判断をして自主的に決めるべきものであるということでございますから、私どもの方からそういうことを強制するのはいかがかと思うわけでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、私どもも各県ごとの四週六休の進みぐあいといったようなことなども各地方団体にはお示しを申し上げておりますし、それから今速報で、ただいま七四%と申し上げましたけれども、毎月統計をとって各地方自治団体にお示しをしておる、そういったようなことで私どももきめ細かに指導をしておるわけでございます。今後ともその方向で進めてまいりたいと思っております。
  48. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まことに無難な答弁でございますね。模範回答でありますが、私は大変気に入らぬのであります。なぜならば、各市町村ごとに条例でこれを実施する、それが建前でしょう。だが、各市町村ごとに条例実施するということになりますと、当然ばらばらということになってきますね。これが一つなら一つの、ある地域グループ、その地域でばらばらが出たらどないしますか。これはまことに不細工なものであるし、地方の住民も決して褒めてはくれないと思うのですね。少なくとも地域ごとにはまとまっていけるぐらいのやり方は指導していかれませんと、私はこれは大変な非難を浴びるのではないかなという心配があるのです。  それで、何も恐れることはない、今の日本の二千百十一時間という労働時間は決して外国に向けて自慢できることじゃありませんし、当然これを減らしていかなければならぬ国民的な義務があるのですからね。だから、やはり諸官庁が一番実行しやすい立場にあるわけですから、各地方自治団体においても、多少の抵抗は覚悟の上でも、やはり少なくとも地域ごとにはまとまっていけるぐらいの指導を行っていかないと、各市町村それぞれどうぞ御自由に条例でやってくださいというようなことだけでいいのでしょうかね。私は、そんなことをしたら失敗しやせぬかと心配しておるのですが、いかがですか。
  49. 木村仁

    木村政府委員 四週六休という形そのものは、土曜日は窓口がみんな開いておりますから今までは問題なかったわけでございますが、月二回閉庁するということになりますと、その地域の中でのちぐはぐというのは非常に目立ってくるのではないかと思います。  そこで、私どもとしては、例えば生活圏域であります広域市町村圏の中の市町村はよくお話し合いができますので、そういったところで少なくともお話し合いをして、歩調を合わせて一斉に実施する、ちぐはぐが起こらないようにするというような配慮をしていただきたい、こう考えておりまして、そういう点は一生懸命御指導を申し上げたいと考えております。ただ、やはり最終的にはそれぞれの地方団体の意思決定でございますので、あるいは私どもが考えるようにそううまくはいかない場合もあるかもしれません。努力をさせていただきたいと思います。
  50. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今回、この実施によりまして全国地方自治団体が一斉にこれを実施した場合、今言う日本の各勤労者の年間総労働時間二千百十一時間がどのくらい縮まることに大体見込んでいらっしゃいますか。
  51. 芦尾長司

    芦尾政府委員 なかなか難しいお尋ねでございますが、地方公務員完全週休二日制が実施されまして、それから年次有給休暇二十日間、これを全部取得するものとして計算いたしますと、地方公務員自身の年間所定勤務時間、超勤は除くわけでございますけれども、これは千八百八時間、まあ千八百時間ぐらいになるわけでございまして、先ほど申し上げました四週六休制実施されておる現行と比べまして公務員一人につきまして百六十時間程度短縮される、そういうことになるわけでございます。  ところで、今お尋ねの二千百十一時間といいますのは、これは労働省の毎月勤労統計調査、御承知のとおりでございますが、その規模三十人以上の年間総実労働時間ということであると思うわけ でございますけれども、地方公務員についてこれに対応する総実労働時間の数値の把握が難しくて、地方公務員完全週休二日制となることによりまして日本の年間総労働時間短縮にどの程度影響するかという試算はなかなか難しい。御理解いただきたいと思うわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、公務員完全週休二日制が仮に実施されるということになってまいりますと、これは民間における週休二日制の推進でございますとか労働時間の短縮というものには資してまいるということは当然考えられるところでございます。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
  52. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 具体的な数字をお聞かせいただきたいと思っておりましたが、まことに残念でありますけれども、時間をかけてまた研究してみてください。  それから、全国の勤労者が平均年間二千百十一時間の労働時間働いていらっしゃる。これを全労働者が年間でたった一時間労働時間を短縮したら大体どのくらい新たな雇用が生まれてくると思われますか。
  53. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、計算の問題でございますが、全国の勤労者数が約四千万人ということでございますから、これらの勤労者全員につきまして労働時間を年間一時間短縮するということになるわけでございますが、そういたしました場合に、今勤労者の一人の年間総労働時間は、ただいまお話しございましたように二千百十一時間でございますが、これは二千時間というふうに仮に計算していただきますと、二千時間で四千万人を割るということで、計算としては二万人という数字が出てまいるということにはなろうかと思います。
  54. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 こんなことをごちゃごちゃ言いたくはありませんが、とっさのことでありましたから二万人という数字が出たのだと思いますが、さすがに頭がいいなと思いました。二万四千人です。だから、それほどの雇用効果を生むことでありますから、やはり日本の総労働時間を短縮していくためには、だれかが先頭に立って手本を示してもらわなければいかぬ。これは勇気の要る話なんですから、だれかがその先頭に立ってもらわなければいかぬ。そのためには、私は国、地方公務員の諸君がその先頭に立って、多少の非難があろうともやはり労働時間の短縮のために頑張っていくということは大変いいことであり、私は日本の将来の労働事情に対しても大変いい効果を与えると信じておりますので、私はこの法案には全面的に賛成をいたします。  でありますが、最後に大臣お願いをしておきたいと思います。ただ一つ心配なのは、このことによって住民サービスが低下しないかなということであります。その点について格段の御配慮をいただくよう大臣に御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 梶山静六

    梶山国務大臣 四週六休制の実現のためにサービスが低下をしないように、全力を尽くすことをお約束申し上げます。
  56. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕
  57. 松本十郎

    松本委員長 経塚幸夫君。
  58. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に自治大臣お尋ねをしておきたいと思います。  もとより週休二日制を目指しての第一歩でありますから私どもも賛成ではございますが、事問題は、自治法の二条三項にも定められておりますように、地方自治体の事務といいますのは、住民の健康、安全、人権、生命、財産、非常に多岐にわたる業務を扱う団体のことであります。したがいまして、これを実施するということになりますと、いろいろな問題が引き起こされることも想定をされるわけであります。したがいまして、基本は住民の地方自治を本旨として実施に移すべきである。具体的な問題といたしましては、この実施に当たりましてはサービスを低下させないということ、これが何といっても第一の条件だと思います。それから二つ目の問題は、理解と協力を得るということは盛んに言われておりますが、住民自治の基本観点からいけば、これはよく意見を聞いて合意を得た上で実施に移す。それから三つ目の問題は、公務員労働者の問題でありますが、もちろん休みの日にちや時間を多くして翌日の仕事にまた創意を持てる、こういう環境をつくるための目的でありますけれども、これもまた住民と大変かかわり合いが深いわけでありますから、労使間の協議をよく尽くして、労働時間の延長だとか労働強化をもたらすことのないようにこれまた協議を尽くし合意を得る。最後に、地方の条件、環境あるいは慣例、そういうようなものもありますから、あくまでも地方自治体の自主的な判断にゆだねるべきである、かように考えておりますが、まず最初に以上の点についての基本姿勢をお伺いいたしたいと思っております。
  59. 梶山静六

    梶山国務大臣 土曜閉庁方式を導入するか否かは地方公共団体運営の基本的事項の一つであることから、各団体は住民の理解と協力を得つつ、また、地域の実態に即した形でその導入を自主的に決定すべきであるということについては、先生の御意見と同じでございます。  特にその際、私は、行政サービスを極力低下させない、場合によっては絶対行政サービスを低下させないのだという決意がまず第一に必要だと思います。それから、行政事務の簡素化や合理化、こういうものを図って、やはり行政サービスの改善向上、そういうものに資していかなければならない。それから三番目が、これが大変難しい問題なんですが、とにもかくにも今指導をしているのは現行の予算、定員の範囲内で実施をしよう。これは言うべくしてなかなか、とにかくその方向でやってみませんことには世論の支持も受けられないところもございます。ですから、懸命な努力をして現行の予算、定員の範囲内で効率化、能率化に努めながらやってみる。どうしても受け身の行政分野もございますから、それを一生懸命やってやってやり抜いて、できない分野はどうするか、この問題が将来に残ろうかと思いますけれども、私は、少なくとも行政サービスを低下させない、それから事務の簡素化、合理化を推進する、そして現行の予算、定員の範囲内でまず実施をする、この三つを原則にしてこの問題に当たってまいりたいと考えております。
  60. 経塚幸夫

    ○経塚委員 予算、定員の問題についてはちょっと後で触れたいと思うのですが、大臣、住民の合意を得ながら、あるいは今労使間で協議機関をつくっておるところなども随分たくさんあるわけでありますけれども、これはやはり協議を尽くして合意を得た上で実施をする、私はここが非常に重要なところだと思うのですが、ここの点はいかがなんですか。
  61. 梶山静六

    梶山国務大臣 大変傾聴すべき御意見でございます。しかし、まずこれに踏み込んでまいりませんと進んでいきません。ですから、住民合意というのがどの程度の住民合意を指すのか、残念ながら先生の御意図が私はよくわかりませんけれども、少なくとも今の世論調査を見ましても、もしもサービスの低下がなければという前提条件を入れれば半数以上の者が合意をしているわけでございますが、さらに例えば地域的な問題があろうかと思います。国全体としてこれを受け入れる用意がある、そして各地域間のばらつきがありますから、私は前段申し上げましたように地方自治、それはやはり最終的には自治体の権能によって決められるべきものだ、ですから国が画一的に押しつけることはこの際排除すべきだ、こう冒頭申し上げたことがございますが、そういう意味地域間のばらつき、まあばらつきという言葉がいいかどうかわかりませんが、地域間によって意向の異なることがあろうかとも思います。これを大事にして、その次に労使間の協議を調えてやってもらいたい。これは住民重視の姿勢がありませんと、それはどちらが労でありどちらが使であるか私はよくわかりませんが、いずれにしても住民に奉仕をする行政機関としての役割を考えますと、まず住民の合意を取りつけること、住民サービスを低下させないこと、そういうことのために懸命の努力 を払ってもらいたいというふうに期待をいたしております。
  62. 経塚幸夫

    ○経塚委員 住民の合意をまず取りつけることということであります。それで先ほども質問が出ました、サービスは低下させぬ、予算はふやさぬ、定員もふやさぬ、これでうまいこといけばいいわけですね。しかし、それで果たしてうまいこといくのかという疑念をちょっと持っておるからお尋ねをするわけです。  私ちょっと調査をしますと、これは埼玉県の草加市ですが、平日の場合と土曜日の場合とを見てみますと、転出入、戸籍を含めまして六十二年と六十三年の四月を比較しますと、六十二年四月の場合平日八十一件、六十三年は八十二件ですから、まあそんなにふえておらぬのですね。ところが土曜日になりますと、去年の四月には六十一件だったのです。ところが、ことしの四月には八十五件、これはうんとふえております。  それからもう一つ上尾市を例にとってみますと、六十一年一月の場合でありますが、平日の一日当たりの平均が四百三十四件、これが土曜日になりますと三百九十二件、大体九〇%ですね。これが六十三年になりますと、平日の四百二十八件に比べて四百八十八件ですから、土曜日の方が平日より窓口件数がふえておるのですな。勤務時間はもちろん少ないわけです。  大阪府の例をとってみますと、これは松原市でありますが、昼休みも事務の受け付けをやっておるわけでありますが、六月を例にとってみると一日平均が六百二十一件、一時間当たり七十七件ですね。これが土曜日になりますと四百六十三件。土曜日は三時間ですから、一時間百五十四件の勘定になりますから、土曜日の事務の取り扱い件数というのは平日の大体倍になるわけですね。そして土曜日にそれだけやっておれば平日は若干減ってくるのじゃないかと思われますが、土曜日にやっておっても平日には、月曜日にこれまた事務が集中しておる。これは羽曳野市の例でありますけれども、例えば支所の窓口を見ますと、ことしの九月、一日の平均が二百七十四件、ところが月曜日は三百六十一件で、大体三割ふえておりますね。それでは土曜日はどうかといいますと、二百三件ですから平日の二百七十四件にほぼ近い。これは年々土曜日がうんとふえてきておる。そして、場合によっては支所など便利の近いところは平日並みの窓口への利用件数がある。それで土曜日やっておっても月曜日には平日の二割増し、三割増しという状況がふえてきておる。  先ほど自治省側は、勤務時間の延長など縮小合理化等とあわせてということを言いましたが、勤務時間の延長をやるのだったら意味がないわけですね、労働時間の短縮を目的としておるわけでありますから。ですから、こういう状況の中で、民間週休二日制がふえてくればくるほど土曜日にも期待が大きくなってくる、そして月曜日に集中される。今度土曜閉庁をやれば、今でも月曜日が二割、三割多いのになお多くなってくる。一方ではサービスは低下させない、予算はふやさない、定員もふやさない、こういうことでこれは果たしてやり得るのかどうなのか、大変懸念をしておるわけなのです。賛成をしながらも、この点についてはどのような配慮をされるのか、ちょっと御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  63. 木村仁

    木村政府委員 民間週休二日制の進捗に伴いまして、地方公共団体窓口の土曜日の来客がふえているということは御指摘のとおりであろうと思います。ただ、今後国の行政機関の土曜閉庁も導入されますし、また金融機関につきましては全店土曜閉庁実施され、来年からは四週、各週に二日休日が実施されるというような状況でございまして、土曜日についての国民的な物の考え方が非常に変わっていきつつあるのではないかと思います。そういった観点からも、自治省の土曜閉庁に関する研究会におきましても、土曜日の窓口サービスについては日曜日、祝日と同様の取り扱いでいいのではないか。ただ火葬、埋葬の許可その他の緊急を要する事務についてはサービスを維持するというような原則を立てていただいているわけでございます。  いずれにいたしましても、国民的な理解を得ていきますためには、行政サービスの向上、これは週日を通じての行政サービスの向上、そして現在の予算を膨らまさないという形を堅持していくことがどうしても国民合意の上からも必要ではないかと考えておりますので、現に四週六休制をこういった制約下で実施してきたという実績を踏まえながら、さらに努力を重ねていくべきではないかと考えております。
  64. 経塚幸夫

    ○経塚委員 自治省の行政局長の依頼でつくられたと言われております研究会報告書の中でも、四週六休の実施の調査結果をよく検討していわゆる土曜閉庁問題を取り扱うように、こういう御意見も出ておるかと思うのですけれども、既に四週六休の試行をやっておるところ、幾つかのところで調査が出ておるわけであります。例えばこれは大阪の和泉市でありますが、適切でないと答えられたのが病院、幼稚園、公民館など約三〇%、青年の家とか図書館などでは業務に支障が来たというのが六〇%、これは当局の調査結果で出ておるわけですね。それから組合の場合は、新たな労働強化だとか、年休がとれないというのが三二%出ておるわけですね。  先ほども大臣お答えになりましたけれども、これは発表されました総理府の調査、確かに賛成が三〇、反対が二七・七ということでありますが、この中間意見が非常に重要だと思うのですね。サービスへの配慮をするなら賛成、欠けるなら反対、これは二八・一%ですね。大体半数がサービスが欠けるなら反対だという意見だ、こう言われております。これは確かに国民の率直な意見だろうと思うのですね。  したがって私は、いずれにいたしましても、ここでもっていわゆる土曜閉庁、そして将来週休二日制を完全に、何の支障もなく実施できると答えられる方はどなたもいらっしゃらないと思うのです、住民に身近な地方公共団体における実施であるだけに。したがいまして私は、どの窓口を閉庁する、どの窓口はいろいろ工夫をして実務に支障がないような、開庁問題も含めて選択をされる、時間はどうする、予算はどうする、体制はどうする等々を含めまして条例を策定される、あくまでもこれは地方自治体の判断にゆだねるべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、最後にその点いかがですか。
  65. 木村仁

    木村政府委員 条例で定めるわけでございますから、そして、その規定に従って各地方公共団体において閉庁する部分と閉庁しない部分等の振り分けをしていくわけでございまして、基本的には、各地方公共団体の自主的な判断に基づくものでございます。  ただ、豊かな国民生活を実現し、かつ国際的な協調を保っていくためには、労働時間の短縮という意味閉庁が必要だという基本的な御認識をお持ちいただきたいと考えております。
  66. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それでは終わります。
  67. 松本十郎

    松本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  68. 松本十郎

    松本委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  69. 松本十郎

    松本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  70. 松本十郎

    松本委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外三名より、四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。平林鴻三君。
  71. 平林鴻三

    ○平林委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党を代表し、地方自治法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、労働時間短縮週休二日制の促進が緊急かつ重要な国民的課題となっていることにかんがみ、本法施行に当たり、地方公共団体の土曜閉庁の積極的な推進をはかるため、次の事項について所要の措置を講ずべきである。  一 当面の課題である月二回の土曜閉庁をすべての地方公共団体で円滑に推進するため、引き続き必要な措置を講ずるよう努めること。  二 土曜閉庁による完全週休二日制を速やかに実現できるよう、計画的な条件整備に努めること。  三 土曜閉庁方式実施に当たっては、その趣旨について住民に周知徹底をはかるとともに、行政サービスを極力低下させることのないよう特段の配慮を払うこと。    また、交替制職場等閉庁方式によっては週休二日制の実現が困難な部門においても、労働時間短縮週休二日制推進に努めること。  四 今後とも年次休暇の完全取得の促進、超過勤務の縮減、休暇制度の拡充等について特段の配慮を払い、年間総労働時間短縮に努めること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  72. 松本十郎

    松本委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  73. 松本十郎

    松本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、梶山自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。梶山自治大臣
  74. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。     ─────────────
  75. 松本十郎

    松本委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 松本十郎

    松本委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  77. 松本十郎

    松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十六分散会