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1988-12-16 第113回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月十六日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 福島 譲二君    理事 愛野興一郎君 理事 麻生 太郎君    理事 金子原二郎君 理事 野田  毅君    理事 渡辺 省一君 理事 中西 績介君    理事 藤原 房雄君 理事 小渕 正義君       尾形 智矩君    木村 義雄君       北村 直人君    古賀 正浩君       竹内 黎一君    鳩山由紀夫君       松田 九郎君    三原 朝彦君       岡田 利春君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    吉井 光照君       児玉 健次君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     鎌田 吉郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   長田 英機君         資源エネルギー         庁公益事業部長 堤  富男君         労働政務次官  浦田  勝君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    竹村  毅君         労働省職業能力         開発局長    野崎 和昭君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      永田 俊一君         労働省労働基準         局監督課長   松原 東樹君         労働省労働基準         局安全衛生部長 草刈  隆君         自治大臣官房企         画室長     古居 儔治君         自治省財政局交         付税課長    小滝 敏之君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 十二月十六日  辞任         補欠選任   自見庄三郎君     木村 義雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 義雄君     自見庄三郎君     ───────────── 八月十二日  石炭産業合理化計画に伴う影響の緩和に関する請願園田博之紹介)(第二三九号) 十一月七日  産炭地域振興対策及び離職者対策充実等に関する請願児玉健次紹介)(第二三六六号) 同月十八日  産炭地域振興対策及び離職者対策充実等に関する請願外二件(鍛冶清紹介)(第三四八四号)  同(上坂昇紹介)(第三四八五号)  同(児玉健次紹介)(第三四八六号)  同外二件(細谷治嘉紹介)(第三四八七号)  同外四件(吉井光照紹介)(第三四八八号)  同(河野正紹介)(第三五三〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 九月十四日  石炭鉱業の安定及び産炭地域振興対策に関する陳情書外三件(第一二〇号)  三池炭鉱合理化に関する陳情書外一件(第一二一号)  炭鉱関連下請従業員閉山交付金等に関する陳情書外一件(第一二二号)  石炭採掘による海底陥没復旧対策に関する陳情書(第一二三号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。麻生太郎君。
  3. 麻生太郎

    麻生委員 昨今の石炭に関します話で一番大事な話は、何といってもその財源対策であろうと思っております。  御存じのように、第八次石炭政策がまさにその中間地点に達しておる最中に、その一番財源もとでもあります、石炭に関しますいわゆる石炭対策のための特別会計財源である原重油関税撤廃になるという話がこの夏以降出てきて、石炭関係者は大変憂えておるところであります。石炭地域関係をいたします産炭地、旧産炭地の人々にとりましては、過去、昭和三十年後半くらいから各地で閉山が相次いでから約三十二年がたっておりますが、その間にそれに就労しております人員が約十分の一、そして出炭量からいったら約四分の一という非常な縮小均衡を過去三十年間粛々とやってこられた。というのは、ひとえにこの財源が極めて明確に確保されていたからだということに関する認識は皆一致しておるところと思っております。  その財源がこのところ何となくおかしな形になってきて、それが非常に地元過剰反応を及ぼしているところもこれあり、まず最初に伺いたいのは、こういうような状況が把握されていないためにこの原重油関税撤廃という話が出たのか。そもそもこの石炭財源対策をはっきりしないままこういうような話が出てくるのは非常に危険を伴いますので、まずこういう問題が起こってきた背景から伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  4. 鎌田吉郎

    鎌田政府委員 お答え申し上げます。  この問題の背景でございますが、先生御案内のとおりでございますが、現在国会で御議論いただいております消費税法案におきまして、石油につきまして単純併課という措置がとられることになっているわけでございます。実は、ほかの間接税につきましては調整併課ということでございまして、消費税がかかるわけでございますが、もとの税率を調整いたしまして、結果として総合的に見ますと税負担が重くならぬという形がとられているわけでございますが、石油につきましては、もと石油関係諸税特定財源ということもございましてこの調整併課をとることができませんで、結果として単純併課になったわけでございます。  他方、現在、石油関係諸税は三兆円を超えるような大変巨額なものになっているわけでございまして、石油につきまして、こういった巨額な現行の石油関係諸税に加えまして、さらに消費税単純併課されるということによる石油業界税負担の増大あるいはその円滑な転嫁が可能かどうかということが大変懸念されたわけでございます。そういったこともございまして、この夏以来、石油関係税負担軽減を、消費税単純併課との関係軽減を図るということのための総合的な措置政府部内で検討をされてきております。その一環として今お話がございました原油関税問題も出てまいった、こういう経緯でございます。
  5. 麻生太郎

    麻生委員 このたびの消費税というものが出てきたときに、三兆二千億の財源、それに石油関係が六兆八千億、足して十兆、それ掛けるの三%、したがって三千億というのがそのまま乗せられたということに関してはいろいろな意見が出たのは確かであります。しかし、その三兆二千億の中に原重油関税が含まれているのは御存じのとおりですけれども財源として一番確保されていなければならないこの原重油関税に一番最初ぽんと降ってきたところが、石炭関係としては甚だ不満もしくは不愉快、非常に危険を感じた方が多いと思いますので、それでは、その原重油関税という話は、今撤廃するという話が押し戻したりいろいろしているのでしょうけれども原重油関税に関するその後の話はどうなっておりますか。
  6. 田村誠

    田村国務大臣 今長官が申しましたように、調整併課特定財源ということでなかなか難しいということで単純併課、これは性格的、定義的にも仕方がなかったと思う。私は、本来なら三兆二千億全部やめてしまって全部単純に消費税と言えば、それは国民はすっきりして喜ぶかもしらぬけれども、これは現実的に不可能な問題。ということであれば、単純併課によって二つのことを守っていかなければならない。その一つは、石油税がこれ以上単純併課によってさらに上積みされるということを防がなければならない、もう一つは、いわゆる石炭原則、これは絶対に死守しなければならない、この二つの問題が大きな問題だと私は思うのです。  今お話がありましたけれども、率直に言って原油関税に絞ったという事実はありません。私の口からそういうことを発言したことはただの一度もありません、私は、原油関税ももちろん含めて検討しなければならぬことは当然としてもという言い方はしたことはありますけれども。それで、この原油関税問題は確かに総合的な検討項目一つではありましょう。ありましょうけれども、それはそれとして、いずれにしても石炭対策の円滑な遂行に支障を来してはいけない。具体的には、石炭勘定維持とか安定財源確保とか石炭対策に、必要な歳出の確保というような石炭原則、これは何としても守り抜かなければならない。こういうことで石炭原則を守るということに力点を置いておりますけれども原油関税に絞るということに力点を置いておるわけではない、こういうことです。
  7. 麻生太郎

    麻生委員 私どもにとりまして約一千億、今ですら赤字の部分を抱えてこういう借金が繰り越しになったりしている内容もあり、長期的に見ました場合に非常に多くの問題点が今ですらある上に、基本的な安定財源がいろいろ侵されつつあるという状況が非常に過剰反応というか心配を起こしているもとでありますので、ひとつ石炭関係に関します特定財源の安定的な確保とか、それから石特会計維持等々につきましては、ぜひとも御努力を今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思っております。  そこで、何も石炭屋石油心配をする必要はさらさらないのですが、石油心配をしないと石炭の方にまたぞろバックファイアでもされてはかなわぬので、そこでさらに伺いたいのです。  その前に、十一月の四日と五日だったと思いますが、時の大蔵大臣答弁等々、公明党、民社党等とかの御質問があっておった内容に関して新たに出てきたのが、例の十兆円に三%かけるのはやめてもらって、石油に関するいわゆる税金三兆二千億を引いた残り六兆八千億掛ける三%、いわゆるこの案が出てきて、これでいくと約一千億減りますという話になった。ここの話がいわゆる通称タックス・オン・タックスという言葉がまかり通っておりましたけれども、こういう案には大蔵は反対、通産はそれでいくというので、何となくぶつかったまま話が進捗していないというままで、このまま経過をするとやはりまたぞろ原重油関税しか残っておらぬといって、またこれをこっちへ持ってこられるのは一番我々の恐れるところでありますので、いろいろな案を出していかなければならぬところだと思っておるのですが、ひとつ、これは全く思いつきみたいな話を申し上げますのでちょっと見解をお聞きしておきたいのです。  石油税の中には航空燃料税とか揮発油税軽油引取税、いろいろありますが、今出てきた案の中で軽油引取税のみはタックス・オン・タックスを外してもいい、すなわち、あれは料飲税と同じようなやり方をしておるから外してもいいという案が一つ出てきておる。これでいきますと約二百億ぐらいのものが出てくるはずなのですが、それでも私ども何となく約一千億ぐらいのものを目指すとするならば、そこのところは足りないというときにいろいろまた案を出すわけですが、ガソリン税というのはあれは庫出税みたいな形になっていると思うのですが、仮にガソリン軽油引取税と同じように各ガソリンスタンドでそれを徴税してもらう。今してもらっていませんから、してもらうというのを今すぐ、来年四月からといったってとてもできないでしょうから、何年か以内にガソリン税軽油引取税と同じような形でやりますから、だからガソリン税でやってくれませんかと言えば、ガソリンが約二兆ぐらいですから、それでいけば三%で約六百億ぐらいのものが出てこないことはない。ただ、これは手間がかかる話ですから今までの商習慣等々に触れる部分もありますけれども、小さなレストランですら今後いわゆる料飲税は五千円以下は三%、五千円以上は六%という料飲税方式を各飲食店に当てはめることになっておりますので、ガソリンスタンドでそれができないということはない。ただ手間がかかる話です。  こういう話で別の財源を考えたとすると、ガソリンスタンド石油業界としてはこれはとても認められないといって反対されるものでしょうか。それとも大蔵側の立場に立ってみれば、それはタックス・オン・タックスを外すには料飲税と同じ扱いという理屈があるから、大蔵としてもそれは軽油引取税なら応じてもいいという気分も一部あるやに聞いておりますけれども、何回も言うようですが、そういうようなものまで考えていかぬと、何となくこっちに降りかかってきてはかなわぬという気があるからこれは申し上げているのですが、そういったことは現実的には不可能でしょうか。
  8. 田村誠

    田村国務大臣 実は非公式の場でありましたらいろいろと議論はできますけれども、これは仮にも委員会であります。今こういう問題については通産大蔵で非常に激しいやり合いをしておるところです。相撲でいえば、今制限時間いっぱいで、塩をまいて上へ上がって、そんきょの姿勢というところでしょうから、上突っ張りでいくか張り手でいくか、けたぐりでいくか、それを議論するということはいささかいかがなものであろうか。可能性としてはいろいろな可能性がございます。率直に言っていろいろな可能性がございます。その中で私たちが今何とかやりたいと思っておることは、石特でこめられるようなことを、少なくともしかられないようなことをやりたい、一言にして言えばこういうことなんです。  でございますので、具体的な問題についてのその可能性に対する感想とか方法論とかいうことは、立ち上がって上突っ張りでいくことをあらかじめ言えば向こうは頭を下げてくるでしょうから、だから、そこいらのこともございますので、またいろいろと御意見なり、また別の機会に内々で拝聴することができれば幸いで、何は何でもちょっとここで作戦会議もいかがなものだろうか、答弁になっておりませんけれども、あしからず。
  9. 麻生太郎

    麻生委員 事情をよくわかっておる者同士が話し合うと、何も話さないで話がすべて終わるということになるのですが、基本的にぜひともお願いをしておきたいのは、石炭関係の話というのは非常に歴史のある話でありまして、これは昔からいわく因縁、故事来歴がありますので、石炭政策イコール社会政策の面というのも、地域地域においては非常に多くの問題を抱えている面もありますので、こういう財源が安定していないという状況が起こると非常に不安を招いて過剰反応等々が起きたり、いろいろな疑心暗鬼がまたさらに疑心暗鬼を生んで、地元ではわんわんといろいろな騒ぎになってみたりして、正直言って、ここにおられる関係者の方、随分いらっしゃいますけれども、みんな困っておられるというのが現実であります。  そこで、ぜひともお願いを申し上げておきたいのは、一部にこれは借金でやろうとか一般会計でやっちゃおうとかいろいろな話があっておりますけれども、この三原則の中にあります特定財源というところとか、それからきちんとした形での石炭財源確保という点につきましては、エネ庁等を初め通産大臣等々にぜひともこの点につきまして今後ともお力添えなり、大蔵省との点につきましてはこれはもう絶対というような気持ちで、何回も申し上げますが、私どもは必ずしもタックス・オン・タックスにこだわっておるわけでも何でもないのであって、要は、石炭屋にしてみれば石炭にかぶってこなければいいというような、無責任なことを言わしていただければそういうことになります。それが何となく、石油部分まで何で石炭屋石油の後押しをしておるのだとよく言われますけれども、それは石油部分がこっちにかかってきてはかなわぬというところが一番の問題でもありますので、この点につきましてはぜひともお願いをしたいところで、きょう大蔵省から主計官がお見えですので重ねて……。大蔵省にとっては主計主税と、局あって省なしとかいろいろな表現があるけれども大蔵省としても、この石炭財源につきましては今主税局等々の話し合いがあっておることはよくよく知っておりますけれども、ぜひとも大蔵省主計局としては、この石炭関係につきましての財源確保並びに石特会計維持等々、いわゆる石炭原則についての御理解のほどをよろしくお願いしたいと思います。
  10. 田村誠

    田村国務大臣 大蔵から答弁をいただく前に私からちょっと申し上げておきたいと思います。  私は、エネ庁長官片道燃料しかやらぬぞ、こう言ってあります。つまり、決死隊で乗り込んでいけ、おまえがうんと言ってもおれは言わぬぞ、こう言って、非常に厳しく言ってあります。また、社会通念日本人社会的感覚から言えば、まあ一つの家、局あって省なしとおっしゃるが、省はあるのですから、ですから私は、主税はもちろんですけれども主計でも、手前ども主税大変御苦労をおかけしております、本当にありがとうございます、消費税ではさぞかし御苦労でございましたでしょう、どうぞ我々にできることなら何なりとおっしゃってください、できるだけの御協力は申し上げますと、主計主税は兄弟なんですから丁重なごあいさつがあってしかるべきもの、本来ならば主計局が、主計局長以下が私以下を呼んで一席上座へ据えて招待をして、いろいろと兄弟分が御迷惑をおかけしております、あしからず、できるだけのことはさせていただきます、これが私は日本人の美徳だと思うのです。  これだけ申し上げておいてから大蔵省答弁を願いたいと思います。
  11. 永田俊一

    永田説明員 お答え申し上げます。  なかなかお答えしにくくなってまいりましたが、基本的には、先ほど先生がおっしゃいました石油税負担の問題に絡みまして、この石炭につきましては我々本問題を解決する話し合いを行わせていただいておりますけれども、その中で石炭対策には悪影響を及ぼさないように努めてまいる所存でございます。
  12. 麻生太郎

    麻生委員 それでは伺いますけれども予算は越年をすることになっておりますが、昭和六十四年度に関しての予算編成が年末から来年一月にかけて行われることになっております。この問題がちょうど起きております真っ最中でもありますので、この予算編成の数字というものが即一つの形みたいな反応にとられかねない面も多々ありますので六十四年度の予算編成に関して、その内容等につきまして六十三年度と大きく変わっているところはどこか、変わってないとすればどういう形でそのまま維持できておるのか、その点について伺いたいと思います。
  13. 長田武士

    長田政府委員 六十四年度の予算要求額でございますが、石炭勘定は千二百五十九億円の計上をしておりまして、主なものといたしましては、特に先生の御指摘は前年度とどこが違うかという点でございますので、石炭合理化安定対策の中で下請離職者退職支援金制度をつくる、それから過剰貯炭の管理のためのコストがかかりますので、このための負担軽減策としてNEDOの経営改善資金から融資を行うようにできるようにする、それから産炭地域対策といたしまして、閉山した場合に地方公共団体が財政的にいろいろ大変な状態になりますが、そういうものを少しでもカバーするために産炭地域振興臨時交付金というものがございまして、閉山の場合には交付金対象に入れてございますが、六十四年度からは規模縮小についてもそういう対象にしようというような、主な点を列記しますと以上のようなことでございます。  八次策の途中の段階にございまして、石炭企業その他になかなか厳しい状況にありますけれども予算を何とか十分な規模確保していきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  14. 麻生太郎

    麻生委員 石炭勘定に関して毎年ある程度決まったものが出てくる中で、最後にもう一つ伺っておきたいのは、今石炭の話というのはどうも後向きの話の方が非常に多い、これはある程度そういった状況に置かれている業界としてはやむを得ないところなんですが、いろいろな意味で石炭液化等々につきまして、アメリカでは年間三兆円くらい金をつぎ込んでいると思いますけれども石炭の前向きの話というのも、将来を予想していろいろな研究がなされておるというのが現実でありますので、どうも後向きな話ばかりの多い石炭業界の中にあって今いろいろ前向きの検討がなされつつあるという部分も、これは石炭業界にとりましても大事なところでしょうし、これを支援しておられる通産側としてもいろいろ将来を考えて予算を配分をしておられるのだと思いますけれども、今後の石炭の前向きの方の話につきましても同じような形で予算計上がされているのでしょうか。
  15. 長田武士

    長田政府委員 私ども先生指摘のとおりと考えておりまして、石炭につきまして技術開発を大いに行い、この技術開発を実用化して石炭の将来のフロンティアを大いに広げていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  その点から、予算額の御質問がございましたので申し上げますと、石炭の生産・利用技術につきまして、六十三年度は三十七億円程度でございますが、これを六十四年度は四十三億円程度として要求をしております。  なお、先生指摘石炭液化につきましては、これは相当中長期的な課題ではございますが、歴青炭液化あるいは褐炭液化等々の研究開発に取り組んでいくというようなことで強力に臨んでいるわけでございます。
  16. 麻生太郎

    麻生委員 時間でありますので質問を終わらせていただきますけれども、今から年末、来年にかけましていろいろ税に絡む話が出て論議され、今参議院で論議がなされておるところでありますが、その結果が石炭に非常に影響を与えるというもので最後まで残っております問題がこの石油諸税に関するところだということは、私どもも大いなる関心を持って見ているところであります。先ほど大臣からもお話をいただきましたように、今非常に微妙な段階に来ておるということに関しましては皆よくわかっているところであります。石炭関係いたします私どもなり、ここに所属しております委員方々並びにその方々出身母体のその地域にとりましてはこれは最大の関心事であって、この年末にかけまして、これはどうなりました、これはどうなっていますと、もう今電話ではこればっかり。私どもの机の上には、はがき陳情の枚数なんというのはもう九十センチくらいの高さに積み上げられて、どれくらい来るだろうかと最近楽しみに見るくらいにどどっと毎日ふえていっております。ちょっと行き過ぎた話も書いてあるのも何通がありますけれども、皆非常に深刻な内容でありますので、そういうような極めて厳しい状況を反映してそういった手紙なりはがきなりが舞い込んでくるんだと理解をいたしておりますから、この問題は非常に時間のかかる話だとは思いますけれども、何回も申し上げるようですが、財源が安定し、かつ、その財源が中長期にわたって安心できるという処置を今までなされ続けてきていただいたおかげで、地元においては大騒ぎもなく今日まで粛々として離職者対策ができ、閉山対策ができ、鉱害復旧がなされ等々ということがなされてきたという歴史もありますので、ひとつ今後ともこれが永続――永続というのはいつの時期か終わるわけですけれども、少なくとも大騒ぎが起きることなく、こういった問題が事後処理を含めて対策ができるためにもこの財源確保というのは最も大事なところでありますので、大臣初め通産省、そして大蔵省の御理解を得て、この問題に確実に地元に不安を起こすことなく対処していけますように今後とも御努力のほどをお願い申し上げて、質問を終わります。
  17. 福島譲二

    福島委員長 次に、細谷治嘉君。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 目標が余り大きくないものですから重複する点があるかと思いますけれども、御了承いただきたいと思います。  そこで、まずお尋ねいたしたい点は、今も麻生委員とやりとりがありましたように、実は私は衆議院の税制改革特別委員会でこの問題、特に石炭勘定財源問題について御質問いたしたわけです。その際に通産大臣から極めて明瞭な答弁をいただいたつもりでありますけれども、それをちょっと紹介いたしますと、私の質問に対して通産大臣は「私が石炭原則と銘打っておるわけでございますけれども、まず第一、石炭勘定の持続、それから二番、原油関税にかわる安定的財源確保、それから三つ目、石炭対策に必要な歳出の確保、この石炭原則だけは絶対に守る所存でございます。」こういうお答えをいただきました。そうして、きょうこの石特通産大臣の先ほど来のお話を聞きますと、中身としてはそれから進んでおらない。ただ、通産大臣の決意としては、ここにおる石特の皆さんが満足のいくようなものは何としてでも確保したい、こういう決意を述べられましたけれども、割っていきますと、あのころの通産大臣答弁ときょうの通産大臣答弁というのは、一番大切な財源問題というものについて少しも具体化してない、こう思うのです。その後の新聞の動きあるいは通産省等の話をお聞きしましても、この問題については具体的に進んでおらない、こう思うのです。  こうなってまいりますと、私どもの県、福岡県でありますけれども、この問題を心配してあす産炭地域振興の県民大会というのを開くことになっております。それほど重大な関心が寄せられておるわけでありますから、大変失礼でありますけれども、責任は持っていただけると思いますけれども、もう一度、ただあなた方が心配せぬような予算はつくる、こういうことだけではなりませんので、問題は財源に絞られているのですから、もう一歩進んで御答弁いただけませんか。
  19. 田村誠

    田村国務大臣 私の答弁は後退はしていないと思います。前進していたいという表現をされましたが、具体的にどういう話し合いをしておるか報告せいということでございますけれども、従来は通産大蔵お互いがほえ合いをしておった。それがだんだんと話を詰め合ってきておるのです。詰まっておりませんけれども、話の範囲というのは非常に狭くなってきておる。しかも、ここには大蔵省主計官もおりますが、その前で立会演説のように腹の中を皆さらけ出してということになりますれば、私は言いたいことは言いますけれども、率直なことを言って、大蔵省だって物の言いようがなくなると思うのです。でございますから、これは交渉事でございます。これは株主総会でもそうでございましょう。労働組合同士のお話し合いでもそうでございましょう。執行部が話し合いをするとそれを一々全部ここで発表せい、そうしたら労使交渉なんてできなくなってしまうと思う。それと同じようなことだというふうに――労使というわけでもないのですけれども、強いて言えば私の方が使で大蔵が労だと思っておりますけれども……。それはそれとして、冗談はさておきまして、それは私どもの方が分かもしれませんね、要求する立場ですから。けれども消費税というものを出してきたからこういうような難しい問題が起こってきたのでありますから、大蔵省は当然みずからそれの始末に責任はあると僕は思いますよ。  でございますから、私どもとしては、先ほど麻生君に申し上げましたように、できるだけのことを今いたしております、ここでおしかりを受けるようなことのないようにできるだけのことをしております、これを申し上げておるわけで、それ以上のことになりますと、今もういよいよという気合いが入っておる最後の大詰めというときでございます。そこいらはひとつ賢明の御判断を願いたい、お願いをいたします。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣のお言葉あるいは現在の心情、これは賢明に推察しようと思っているのですけれどもね。後退はしていない、前進もしていない、少なくともいろいろなことを配慮しての話でしょうけれども、私にあの特別委員会答弁したのとは、ちょっと文章を読んでみますと、大臣のあれはぼけてしまったんじゃないか、少し幅広くなったのではないか。前に進んでおらぬ、後ろへも下がっておらぬとおっしゃって、少しぼけたということになりますとちょっと心配になるのではないか、こう私は思います。しかし、これ以上通産大臣、責任ある大臣として答弁しろと言っても相手がおる、大蔵省も来ているんだ、だけれども、犯人はとは言いませんけれども、こういう問題が起こった原因はそもそも消費税という問題を持ち出したところにあるのだから、そこは責任を持ってやるだろうという大臣のお言葉、あるいは一つ大臣の積極性を示した点じゃないか、こう思います。  これ以上攻めようがないわけですけれども、この問題についてはいずれにしても委員心配せぬように、委員心配するというよりもむしろ関係県民というのが大変な心配しているわけですね。それは、特別会計が残るのか、石炭政策は、八次政策は展開できるのかということにかかってくるわけですから、もう一度ひとつ大臣にお答えいただきたいと思います。
  21. 田村誠

    田村国務大臣 私の答弁はぼけていないと思います。ここで言えますことは、仕上がりを見てから攻めるなら攻めていただきたい。攻めようがたいとおっしゃるが、今いよいよというときに攻めるよりうんと応援を願いたいとお願いをするわけでございますが、率直に言いまして、常々言っておりますように石炭原則は死守いたします、特別会計は死守いたします、そういう大前提の上に立って――それはいろいろと変化はあるのです。話し合いというものは変化があることは当たり前なんで、変化がなければこれはもうファッショですよ、変化なしに言い分がすべて通っていくなんということは。ですから、変化はあります。ありますけれども、そういう大前提の上に立っておるのでございますから、身長百七十センチが百六十九・五センチになった、百七十・五センチになった、けしからぬ、そういうことでなしに、どうぞひとつ仕上がりを見てからお攻めをいただきとうございます。いつでも責任はとる所存でございます。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 通産大臣が、石炭特別会計は死守する、そして委員からとやかく言われないような予算をつくる、こういうことで責任ある答弁をしていただいたので、もうこれ以上になりますと通産大臣を信用する以外にないわけで、私ども通産大臣の応援団であるということだけを申し上げて次に移りたいと思います。  これもちょっと先ほど話があったのですが、今度のその予算財源がわからない。ちょっと不明な予算ですけれども、いずれにしても一月になりますと石炭勘定予算はできる、こう思いますが、この中で、私どものところへ産炭地等から陳情が来ている問題の一つとして、閉山規模縮小との間に余り大きな差があり過ぎるのではないか、こういうのが自治体の強い叫びであります。この問題について通産省としてはどう考えているのか、お答えいただきたいと思います。
  23. 長田武士

    長田政府委員 産炭地域対策といたしまして石炭鉱山が閉山した場合と規模縮小した場合とに助成の差があるではないかという御質問でございますが、基本的には、閉山してしまいますとその炭鉱自体がなくなってしまいますので、いろいろその後のことについての支援ができない。しかしながら、規模縮小の場合にはそういう支援も期待できる、また、私どもとしましてもそういう指導をしていきたいという点から、ある程度の差がつくということはやむを得ないことではないかと私ども考えております。  しかしながら、可能な限りは改善に努力したいと思っておりまして、その一例といたしまして、六十四年度予算要求をしております産炭地域振興対策で、閉山した場合に加えまして、規模縮小した場合にも地方公共団体の財政面の困難さ、これをカバーするための臨時交付金の中に規模縮小基準額というのを創設したいということで、現在大蔵省と折衝している状況でございます。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 閉山規模縮小を同じにしろということを私も言っているわけじゃないし、産炭地の当事者自体もそう言っているわけじゃないのですよ。余りにも差がひど過ぎるのではないか、規模縮小も深刻なんですから。言ってみますと閉山と変わらぬですよ。私の住んでおる三池鉱の場合は変わらぬわけですから。そこで、そういうひどい格差がある、それから縮小については対策が薄い、これを何とかしてくれということなんですから、どういうふうな対応を、概算要求の中でもそのことが考えられていることは承知しておりますけれども、もう少し具体的にお答えいただきたいと思います。
  25. 長田武士

    長田政府委員 今私が申し上げましたのは、閉山の場合に加えまして、一定規模以上の規模縮小がありましたときに、地方公共団体に対します産炭地域振興臨時交付金の制度を充実いたしまして、規模縮小基準額、予算額にいたしまして、今要求しております六十四年度では約〇・九億円に相当いたしますが、この新しい制度を創設するように努力しているところでございます。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 残念ながら、この時期にもっと突っ込んだ数字的なことを申し上げるのはあるいは通産大臣心配しているようなことに、大蔵省と真っ正面にここでけんかさせるような格好になってしまうからやりませんけれども、確かに産炭地の自治体等が強く要望しておる、その格差の大きいのを縮小してほしい、こういう一語に尽きると思うので、これについては十分な対応をし、予算の中でそれを確保していただきたいということを要請しておきたいと思います。  もう一つ、この産炭地一つの悩みは財政力が極めて悪いということであります。鉱産税がなくなったという、そんなものばかりじゃありませんで非常に悪い、こういうことであります。  一例を申し上げますと、例えば通産省からいただいた資料によりますと、産炭地自治体の歳入総額に占める地方税の割合は、全国平均は六十一年度で四一・四%であるけれども、全産炭地域は三二・二%、六条地域に至っては二〇・九%ということであります。言ってみますと、産炭地市町村の六条地域に至ってはとにかく全国平均の半分しかない、こういう深刻な状況であります。そういうことでありますから、財政調整の制度としての交付税で、全国では交付税が二二・九%であるけれども、六条地域では三〇%の交付税が来ている。国から交付税を余計もらっておる。言ってみますと自主税源がない、こういうことであります。よく言われるような産炭地の財政力指数はどうなのかというと、全国平均は〇・七六、産炭地全体としては〇・五六、六条地域は〇・三九だということであります。六条地域に至っては極めて貧弱な財政力しか持たぬということになります。  もう少し具体的に申し上げますと、ことしの夏、石特の方で九州を視察いたしました。その際に、熊本県の荒尾市の方から産炭地の財政実情というのが数字的に詳しく説明がございました。せっかくの荒尾市の資料でありますからそれをちょっと申し上げますと、荒尾市の人口はおよそ六万五千ぐらいでしょう、市税が三十八億弱。それで、同じような規模の全国平均の類似団体というのはどのくらいかといいますと六十億だというのですよ。全国平均の類似団体が六十億の市税があるのに荒尾市はわずかに三十八億しかない。したがって、いろいろな仕事をやるにしても借金をしてやりますから、類似団体と比べますとかなり大きな地方債を起こして市政をやっておる、こういうことになります。類似団体との比較から見ても大変深刻な問題だと思うのです。  ところがこれに対して、これは主として通産省ばかりではございませんで、自治省の方からもお聞きしなければいけませんけれども、そういうような財政の弱いところに対してどういう対応がなされておるのか、これが大変重要であります。資料によりますと、産炭地域に対する財政援助の状況というのが、六十二年度では十一条のかさ上げが五十一億、産炭地域振興臨時交付金が三十三億、利子補給が十九億、主として都道府県のことでありますけれどもそういうことになる。ほとんど十年一日のごとく古い。例を申し上げますと、五十八年度は利子補給が二十一億、かさ上げが六十五億、産炭地域振興臨時交付金が三十五億と横ばいなんですね。横ばいよりはわずかに後退していっておる、深刻さからいって。したがって、深刻さというのは解消しようとしても、どんなに努力してもどうにもならぬ、こういう実態を全国の数字も示しておりますし、荒尾市の財政の実態もそれを示していると思うのであります。これに対して通産省はどうお考えですか。
  27. 長田武士

    長田政府委員 先生指摘のとおりでございまして、産炭法の第十条に基づきます利子補給あるいは十一条に基づきますかさ上げ、それぞれ五十八年の数字と比べますと六十二年度は大分減少しておりますが、これは私ども理解によりますと、それぞれ公共事業を実施する場合における助成措置でございますので、その根っことなります公共事業が減少をしているのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 通産省としては公共事業に関連の部分ということでありますが、公共事業関連ばかりじゃなくて全体の地方財政を見ておる自治省、いらっしゃるか。――どう見ているのか、お答えいただきたい。
  29. 小滝敏之

    ○小滝説明員 産炭地域の市町村に対しましては、地方財政上の措置といたしまして地方債や地方交付税等いろいろな措置を講じておりますが、交付税上の措置につきましては特別の、従来産炭地補正と俗に申しております補正措置を講じて、一般の市町村に対するよりは割り増し算入の措置を講じてまいってきたわけですが、このいわゆる産炭地補正が五十一年度に発足して以来、六十二年度以降一部漸減措置を講ずる、こういうことで六十二年あるいは本年度漸減をしていく、こういうことで措置が講じられております。そういう意味で、若干従来の措置よりは厳しくなっておるという面も否定できないわけでありますが、他方、また新たな措置等を含めまして全体としてその地域に対して財政運営上重大な支障がないよういろいろと措置を講じつつあるところでございます。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 いろいろと苦労をしておる、これもまたいろいろとということになると、いろいろとあっちへつばをつけこっちへつばをつけておるかもしれないけれども、それが潤いにならないようないろいろではどうにもならぬと思うのですよ。  産炭地の財政の潤いになるようなつばのつけ方と思っているのですか、どうですか。
  31. 小滝敏之

    ○小滝説明員 産炭地域の市町村におきまして各種の事業の取り組みというものがなされておるわけですが、具体的な事業として補助採択されるものについてはそれぞれの所管の省庁での措置がなされるわけでございますけれども、それらの地方負担につきまして普通交付税上の算入措置を講じるとともに、それらの通常の裏打ちではまだまだ大変厳しいということで全体としてかさ上げできるような割り増しの算入の措置を講じつつあるわけですが、一方で、特に八次石炭政策もとで新たな閉山等に追い込まれるといいますか、そういうことに直面して離職者が多数発生し、地域の人口が激減をする、そういうような地域も出てまいって財政運営上大変深刻な事態に見舞われる、そういうような点にもかんがみまして、短期に人口が激減する市町村に対しては六十二年度からさらに特別の割り増し算入措置を講ずるというような措置も講じておるわけでございます。さらに、それぞれの市町村が今後地域の活性化のために積極的に単独事業等で取り組む場合には、またそれに対応すべく新しい事業採択といいますか、そういう点についても今後十分検討していかなければならないと考えておるところでございます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 極めて常識的な答弁でありますが、石炭政策というのは今第八次政策なんですよ。その八次政策というのが六十三年度にかなり大きな壁にぶつかって、もがいておるわけです。そういう中においてあなたの方で苦労しておる財政措置というのは、六十一年度までやっておったのが六十二年度から減っていったのでしょう、違う措置になって。ファクターがかかっていっているでしょう。〇・九とか〇・七とか〇・五とか〇・三とかだんだんかかって、四年目にはゼロになってしまうでしょう。そういう仕掛けを金科玉条として、一遍決めたものは金輪際変えないという姿勢に問題があると思うのです。  石炭政策として大体一年間に普通交付税の段階で五十五億程度のカウントをしておったでしょう。その五十五億程度のカウントが中身にしていろいろ問題があるとするなら別として、その五十五億を機械的にことしは〇・九だ、来年は〇・七だ、その次は〇・五だということで引いていった。そして、ちょっとひど過ぎるから手直ししようかということで手直しをやったことは認めます。認めた結果どうなっていますか。六十一年、二年、三年で普通交付税段階でどういう数字がカウントされたのか、具体的な数字を示していただきたい。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  33. 小滝敏之

    ○小滝説明員 今細谷先生指摘の交付税上の産炭地補正に係る算入額でございますが、昭和六十一年度におきましては全国で五十八億円、先ほど申しましたとおり六十二年度以降漸減措置を講ずるということで、六十二年度においては四十七億円の措置になっております。そしてさらに六十二年度段階では〇・九から〇・七、〇・五と先生も御指摘ございましたような漸減措置を講ずるということでございましたけれども関係地域のいろいろな御意見等を踏まえまして、一部算入の計算式といいますか補正の方式を改めまして、漸減措置を若干緩和するということを六十三年度において講じたわけでございます。その結果、六十三年度においては全国で四十五億円、こういう算入額になっておるところでございます。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 いろいろ苦労して政令にあらざる省令を変えて、本来ならば恐らく四十億円を割っておるかもしらぬ普通交付税額というのが四十五億、六十二年度が四十七億ですからわずかの減りでとどまっております。この努力に対しては敬意を表しますけれども、そのせっかくの努力というのが、こういう石炭の事情の中で産炭地はどうなっているのか、そういうつばのつけ方で十分なのかどうか、この辺は財政当局としては検討しておかなければいかぬと思うのです。現に七次政策、八次政策に入るときに、この委員会においても、地方の財政が悪いから対応しておかなければいかぬじゃないか、もう経過措置に入っていくよ、〇・九になるよ、ある市町村に至っては〇・九になりますと一億ぐらい違うわけですから大変だということがありまして、ここで参考人としておいでになった方もそれを口を酸っばくして何とか手を打ったらどうかと言ったら、ことしはやりません、この席で答えたのですよ。もう五十年以降ずっとやってきて、現在手直しをしてから経過措置に入ります、強引に突っ走ったのです。突っ走って何とか自分の方の省令を直してやっておりますけれども、これでは不十分でありますから、新しいこぶができたときには、こぶに対抗しなければいかぬでしょう。情勢の変化があったときは財政もそれに対応していかなければいかぬ。  そういう意味において何か新しい、人口急減補正というものが去年よりも少し、倍増近くなっておるようでありますから努力は認めるけれども、せっかくの努力が泡に等しいような――泡とは言わぬけれども、そういう状況ですから、ひとつ情勢に対応するような財政措置を、通産省のやる範囲ではできないことがあるわけですから、それをひとつせっかく普通交付税でカウントするようにしたのですからやっていただきたいと思うのですが、もう一度お答えいただきたい。
  35. 小滝敏之

    ○小滝説明員 産炭地域の市町村の財政状況が大変厳しいという点で昨年度も細谷先生から、この石特委員会産炭地補正の措置等も含めてもっと検討すべきではないかという御指摘がございました。そういった御意見あるいは各地域の声等を踏まえまして、先ほどもお答え申し上げましたとおり産炭地補正の漸減措置率を一部緩和いたしたわけでございますが、さらに、先ほど申し上げましたとおり、新たな閉山等で大変深刻な状況に見舞われる市町村、特に人口が激減する市町村、これらに対する財政措置も三倍くらいの額になるようなそういう割り増しの措置を講じたわけでございますが、さらに、今後それぞれの地域の財政状況の推移、また活性化のために新しい事業に取り組まれる御努力もいろいろなされるであろうと思いますが、そういった事業の実施状況等踏まえまして、交付税の算入措置あるいは地方債の措置等通しまして十分配慮をしてまいりたいと思っております。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 お願いしたいことは、やるとしても普通交付税の段階では来年度以降ということになるでしょうけれども、特別交付税の段階でもそういう対応をぜひ考えていただきたい。  同時に、新聞等によりますと、「ふるさと創生」のことについて何か一億円を大盤振る舞いをするというようなうわさもあります。そういう問題も、やはり実際に困っているところ、そういうところに合理的に交付ができるように対応をしていただきたい、こう思います。  そこで最後は、石炭問題で今非常に困っている問題はやはり雇用問題であります。雇用問題で大変に困っております。  通常、産炭地における雇用問題といいますと緊就事業、これは特別会計。それからもう一つ、その後に生まれました開就事業、開発就労事業、これは特別会計の枠内でやっております。もう一つは、特別会計にはこだわらぬで特開事業というのがあります。制度としてはこの三つがございます。この三つを見てみますと、始まった時は一番緊就が早くて、それから石炭に直接関係するものとして開就事業、そしてその後に特開事業というものができておるのですが、年度が違っておりますが、これは大蔵の方がかたいのかどうか、大蔵が実態を知らぬでおるのか知りませんけれども、奇妙に機械的にいっているのですよ。三年か五年すると就労枠を三百減らそう、こういう形でずっときております。これが合理的なのでしょうか。  今度の概算要求段階では、特開事業とか緊就事業については、五千人ぐらいから始まったのがだんだん減っておりますけれども、とにかく三千前後でありますが、緊就あたりも大分減っております。石炭政策でありながら、石炭そのものの盛衰、起伏、こういうものに全く無関係に数字的に年度を追うて予算がつけられておる、こういう感じがしてなりませんが、いかがですか。
  37. 竹村毅

    ○竹村政府委員 今先生が御指摘ございましたいわゆる石炭関連の失業者を吸収するための事業でございますけれども、これはかつて三十年代の半ばから四十年代の初めにかけまして非常な勢いで石炭合理化がされ、離職者が多数発生したときに、臨時的緊急に失業者を、とりあえず国とか地方公共団体が事業を起こしそれで吸収するという形の制度でございます。  石炭関係は、お話しのように実はその後もずっといろいろ合理化なりがございまして、また離職者も発生しておるわけでございますけれども、その後、現在対策の中心になっておりますいわゆる手帳制度に基づきます自立援助といいますかそういうものに力点を置くということで、一口に言いますと、いわば事業吸収方式から自立援助方式に離職者対策の重点が移ったこともございまして、就労事業につきましては、先ほど申し上げました早期の離職者が依然として現在かなりそこに就労しているということでございます。したがいまして、石炭政策の経緯に基づきましてその事業が膨らんだりということはございませんで、だんだんと民間事業なり、または高齢のために事業から離れていかれる方も最近では出ておりますので、お話しのとおりの計画的といいますか、臨機応変にこの事業が非常に膨らんだり縮小したりということはなく推移している次第でございます。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 私が指摘しているのは、ずっと長期化ということは困るのだけれども、計画的に枠をつくっていっているとおっしゃいますけれども状況が変わったならば状況に対応して枠を変えていくべきじゃないか。例えば産炭地の開就専業は、資料によりますと、四十三年か四年ぐらいに始まっているのですね。スタートは三千二百ですよ。六十三年度概算要求では三千ですよ。二百減っております。三千二百から三千百になったのがちょうど五十七年であります。その間は全然変わらないでやってきておるのですね。それから、会計は違いますけれども、特定地域開発就労事業というのは四十六年に始まって、五千でやって、五十九年になって三千百に一気に落ちていますね。そして、依然として今度の概算要求も三千百、変わらないのですよ。雇用状態、失業状況は変わっているでしょう。  特に八次政策に移行して、六十三年には北海道においても九州においてもかなり起こっているわけですね。例えば高島は作業をやめた。夕張あたりもそうでしょう。私どもの住んでおるところでも、七百人を超えるかなりの大きな直轄夫のあれがあって雇用に困っている。こういうのが考慮されないまま――必要なくなったら減らしていいのですよ、私もこういうのは長期化することはよろしくないと思う。例えば、今一生懸命やっておりますけれども一般失業対策事業、これは二十二年か三年に始まって、途中で若干法律のあれはやりましたけれども、ずっときておる、それが非常に長引いて焦げついている、こういうことが言われているわけですけれども、やはり対応して必要なくなったものはやめればいいわけですから、その辺でもう少し対応について考えられたらいいと思うんですが、いかがでしょう。  また、手帳の問題がありましたけれども、私どもの住んでおるところでは、何としてでももう一つ特別開発就労事業の枠を広げてほしい、こう言っておりますけれども通産省なり大蔵省の枠があるのかどうか知りませんけれども、労働省は随分苦労しているようである。何とかしてもらわなければ対応できないと思っておる、切なる気持ちでありますから、こういうのに対応していただけぬだろうかということなのです。いかがでしょうか。
  39. 竹村毅

    ○竹村政府委員 両事業の吸収枠の推移につきましては先生の御指摘のとおりでございます。しかしながら、いわゆる失業者が多数発生したときの措置といたしまして、確かに三十四年でございますか緊就が行われております。そして開就もその十年後に行われたわけですけれども、その当時は、先ほど申し上げましたいわゆる炭鉱離職者求職手帳に基づきますいろいろな援護措置がなかったという経緯がございます。  そして、それから後もいろいろな地域で同じような離職者が発生しているのにそういうところに対応しないのかということだと思いますけれども、実はこの事業吸収方式によって離職者対策をするということにつきましては、今先生お話がございました失業対策事業もそうでございますけれども、いわば長年のこれまでの経験から、事業の非効率ということに加えまして失業者の滞留や事業の永続化ということがございます。したがいまして、本来の目的でございます民間企業における雇用へ再就職するまでの暫定的な就労の場を提供するという目的にそぐわないということがございます。それに加えまして、昭和五十五年ですか、いわゆる失業対策事業等に対する調査研究というものが法に基づきまして五年ごとに行われるという措置が講じられておりますけれども、その研究会報告におきましても、このような事業吸収によって失業対策をすることは適当でないという報告書が出ておりまして、それ以降、この事業に吸収し、または地域別に編成がえをするということも実質的にされてないというのが現状でございます。  私どもも、現在のこれにかわります就職促進のための制度でございます手帳制度の活用とか、そして地域雇用開発等促進法というのが昨年から施行されておりますので、こういうふうな諸対策また法律をフル活用いたしまして、地元におきます雇用の場をできるだけ拡大するという形で今後も努力したいというふうに思っております。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 雇用雇用と言っても雇用の場がなければいかぬわけでありますから、雇用情勢、失業情勢、それから雇用の場をどうつくっていくかは重要な問題でありますけれども、この問題に関連して一点お尋ねしておきたいのです。  今、竹下総理のお声がかりで、自治大臣が推進者となってふるさとづくりというのが行われようとしております。そのために、新聞等によりますと、新しい法律はつくらなければいかぬでしょうけれども、交付税を大小にかかわらず市町村には一億円、最近は府県にも一億円配ることになりつつあるようであります。配ることは結構ですよ。配ることは結構でありますけれども、そのふるさとづくりの特別対策事業というものについては、非常に重要なポイントでありますから、地方分権なり地方自治体の自主性、こういうものからいって大変重要でありますから原則的に反対するわけではありませんけれども、そのふるさとづくり特別対策事業として既に一次、二次と二回にわたって指定が行われております。資料によりますと、その指定された自治体というのが二百四十六団体、プロジェクトで百六十、総事業費が五千七百億円、三年計画であります。そういうふうに言われております。計画は六千億くらいでありますから、ほぼもう満杯状態ですね。こういう問題を金もつけてやろうというわけですけれども、ふるさとづくりの特別対策事業というものが、産灰地等である場合には雇用は非常に重要でありますから、雇用とどういうふうに絡んでこれを推進していくかということが大変重要な課題になってくると思うのです。そういうことについてどうお答えになっているのか。こういう特別対策事業を強力に推進するのが産炭地あたりにとっては大変大切じゃないかという気もいたします。詳しいことはお聞きする時間がありませんけれども、これについてお考えをお聞かせいただきたい。
  41. 古居儔治

    ○古居説明員 ふるさとづくり特別対策事業というものは、地域主導によりまして、魅力あるふるさとづくりと多極分散型国土形成の推進を図るために地方公共団体がみずから企画した単独事業を対象としております。したがいまして、産炭地域におきましても非常に効果的なプロジェクトが企画されれば、私どもとしては積極的に対応いたしたいと考えております。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっとお尋ねします。  積極的に対応するということでもう既に入っていると思いますから、一次、二次指定が行われているのですから、二百数十団体の中でこれに取り組もうとしている産炭地は幾つありますか。
  43. 古居儔治

    ○古居説明員 産炭地域特有の事業というものだけではなくて、公園の整備とかキャンプ場の整備とか研究開発センターの整備とかいろいろのプロジェクトがございますけれども、十三市町村で産炭地域におきましてもいろいろのプロジェクトは計画されております。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 確かに産炭地といっても公園とかなんとか――公園だって重要ですよ、公園にも関係があるわけですから。ですからひとつそういうものに積極的に取り組んで、一般財源といっても産炭地は単独事業をやる能力はないわけですから、その辺も絡めて、まあ一億円というのはどうなるかわかりませんけれども、いずれにしても、交付税という形で国が絡んで、そして地方の自主的な判断で推進するということでありますから、ぜひこの点も配慮して、指定等の場合にはそれを配慮し指導していただきたい、これをお願いいたしたいと思いますが、いいですか。
  45. 古居儔治

    ○古居説明員 現在検討しておりますみずから考え、みずから実践する事業と申しますのは、主にふるさとづくりのための起爆材となるようなソフト事業を中心に考えておりまして、先生ただいま御指摘のふるさとづくり特別対策事業と申しますのは、自治省が指定する公共施設の整備等のハード事業を中心に考えております。  そういったことで両者の性格が異なりますので、今考えております一億円の構想のお金をふるさとづくり特別対策事業の使途に充てるということは想定いたしておりませんけれども先生御案内のように、地方交付税でございますので特に制限をつけたり使途を特定したりすることはできないわけでございますので、そういうこともあろうかと存じます。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  47. 福島譲二

    福島委員長 次に、中沢健次君。
  48. 中沢健次

    ○中沢委員 きょうは、私、余り時間をたくさんいただいておりませんので、できるだけ具体的にお尋ねをしたいと思います。  その前に、実は私の選挙区の三笠の市長以下市民団体の代表の方も、先ほど来議論がありますように、石特財源問題あるいは八次政策の具体的な今後の展開がどうなっていくか注目をされまして、きょう傍聴にもお見えでございます。  さて、既に関係者御案内のように、八次政策がスタートをいたしまして六十三年度は二年目でございます。予算に絡めて言いますと、六十四年度はちょうど折り返し点、極めて重要な、ある意味で中間的な総括みたいなものをやる必要があるのではないかと思います。  私は、そういう認識に立ちまして一番目にお尋ねをしたいのは、八次政策がスタートをいたしまして実質的に二年度が経過をしている。かねての委員会でも何回か指摘をしておりますけれども一つは、この二年間で全国の各炭鉱はどれだけの生産体制の縮小になっているか。関連をいたしまして、従業員がどれだけ解雇をされて離職をしているか。炭鉱別の資料はいただいておりますけれども、全国的な数字を改めてお答えをいただきたいと思います。
  49. 長田武士

    長田政府委員 八次政策のもとにおきまして石炭関係の企業は生産体制の合理化に努めているわけでございますが、先生から御質問の数字の件でございますが、生産数量につきましては、昭和六十二年度は砂川炭鉱及び真谷地炭鉱の閉山などによりまして生産量は約二百六十万トン減少いたしました。それから六十三年度におきましては、まだ実績が出ていないわけでございますが、本年八月に策定いたしました石炭鉱業合理化実施計画によりますと約百四十八万トン減少する。これによりまして六十三年度末の生産規模が千百十万トン程度になると見込まれております。
  50. 竹村毅

    ○竹村政府委員 八次策期間におきまする炭鉱からの離職者数でございますが、ことしの十月末現在九千百八十二名でございます。このうち私どもの公共職業安定所に求職を申し込んだ総トータルは八千二百四十四名でございます。そのうち現在までの就職者が三千三百四十二名となっております。この求職者数のうちでいわゆるマル炭手帳と私ども略称で呼んでおりますけれども、炭鉱離職者の求職者手帳の発給の対象になりましたのが七千六百二十名、そして、不況業種の関係の手帳の発給数は四百七十名となっております。
  51. 中沢健次

    ○中沢委員 今数字を改めて聞いたわけでありますが、この二年間で生産体制が実に四百万トンを超えるスクラップになっている。これは例えば六十二年度の計画は二百万トン、六十三年度は百四十五万トンという予算上の目標が一応あったわけでありますけれども、結果的にはそれを大幅に上回る。大臣委員会でいろいろ御答弁をされる折に、とにかく八次政策については緩やかな縮小ということを通産の大原則でやるんだと。私どもも、もちろんこの八次政策の基本的な問題で言いますと反対ではありますけれども現実的な問題についてはいろいろ意見を申し上げながら、あるいは要望を申し上げながらずっと来たのであります。しかし、残念ながら結果的にこの二年間で四百八万トンという縮小体制になっている。これは言葉としては確かに緩やかな、あるいはスローダウンをやるということで来たはずでありますけれども、結果は現実を物語っているわけでありまして、極めて雄弁だと思うのですよ。つまり、目標を上回って、速度を速めて縮小に向かっているというふうに私は言わざるを得ないと思うのです。この辺についての論争をやっていきますと大変な時間がかかりますから、そのことだけをまず指摘しておきたいと思うのです。  そこで二つ目の問題でありますが、六十四年度の石特予算要求関係、先ほど来の議論を聞いております、あるいは資料もいただいておりますが、総額として一千二百五十九億円。問題は、六十四年度においても百九十五万トンの生産体制の縮小を目標に据えているわけです。そうなってまいりますと、今指摘をしましたように、過去二年間でも四百八万トンの生産体制の縮小になっている。これはスローダウンどころか大変なスピードアップになっているというふうに考えるわけです。しかも、六十三年度の生産量というのは、雑炭を除いての数字でありますけれども、千万トンちょっとしか持っていない。仮に六十四年度の百九十五万トンが予算の数字どおりに結果的にスクラップになっていきますと、六十六年度を待たずして事実上の一千万トン体制を割ってしまいかねない。大変な危機感を、私だけではなしに産炭地関係者は持っていると思うのですよ。  そこで、具体的にそのことについてお答えをいただきたいのですが、六十四年度の百九十五万トン、数字にこだわらないで、二年間のある意味での反省の上に立って、本当の意味で緩やかにスローダウンの縮小ということについて通産としては腰を据えてやるべきではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  52. 長田武士

    長田政府委員 八次政策は昭和六十六年度の最終年度におきまして供給規模を約一千万トン程度にしようということでございまして、先生指摘ございましたように、それまでの間滑らかに規模の縮小を行っていくというふうに私どもも考えております。  それから、先生指摘のございました数字の点でございますが、確かに六十二年度、六十三年度の間の規模縮小を計算いたしますと年平均二百万トンということになっておりまして、私どもが今度予算要求しておりますいわゆる規模縮小規模は百九十五万トンでございます。これは実は予算の概算要求の数字でございまして、予算はどんな場合にも対応できるように要求をしていかなければいけないという考え方から、いわば機械的な想定としてつくりましたと申しますか要求した数字でございます。現実には石炭各社の具体的な合理化計画、各企業の判断によりまして、これから閉山規模あるいは規模縮小規模というものが決まってくるわけでございます。その意味におきまして、繰り返しになりますが、六十四年度要求規模縮小の百九十五万トンといいますのは予算要求の面からの機械的な想定というふうに御理解いただきまして、今後ともなだらかな規模縮小を実現していきたいという姿勢には変わりがないということでございます。
  53. 中沢健次

    ○中沢委員 私の記憶によりますと、昨年も今ごろそういう議論をしていたわけですね。昨年は百四十五万トンの数字であった、そういう御答弁がありました。しかし、結果的に昨年一年間、昨年というかことし一年間で先ほど数字が出てまいりましたように百四十八万トンの縮小になっている。この事実を、当然監督官庁、主管官庁の通産石炭部としてはその重みというのをしっかり受けとめていると思いますけれども、六十四年度、これからの問題についてはとりわけその重み、本当に言葉だけではなしに中身を含めて緩やかに緩やかに縮小をしていく、こういうことでぜひ全力を挙げていただきたいと思います。これは御答弁は要りません。  さて、次の問題に入りますけれども、六十四年度の予算要求でいわゆる新規事業というのが三つあると私は整理をしております。先ほども議論がございました。これはかねてから各企業やあるいは団体からの要求がありまして、それぞれ石炭部としても部分的には判断を下しながら新規事業の要求を出したと思うのでありますが、この新規事業の三つについて具体的な事業内容と数字については先ほどありましたけれども、特に私がお尋ねをしたいのは、例の下請労働者に対する退職手当制度の導入の問題でございます。  昨年の十二月の委員会で社会党の岡田委員あるいは私も質問に立ちまして、昨年一年間で二つの山の閉山がある、各山とも大変な合理化が発生をする、勢い下請労働者の退職手当が山によっては全く支給がされていない、これは非常に社会的な問題であるということになりまして、そのことを私どもも重大に受けとめて、この際通産として炭鉱の下請労働者に対して特別の制度の導入をやるべきではないか。当時通産大臣からも大変な決断をいただいた答弁をいただいて、経緯からいえばことしの六月に研究会が結論を出す、それを受けまして予算要求をしたと思うのであります。約一億九千万。問題はこの積算根拠なんでありますけれども、これをひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。
  54. 長田武士

    長田政府委員 この下請離職者に対する支援金の積算根拠でございますが、非常に技術的といいますか数字的にわたりますので考え方を申し上げますと、従来の炭鉱整理促進費補助金というのがございますが、これの積算の考え方と同様でございまして、仮にすべての大手炭鉱が閉山したと仮定した場合、計算の仕方だけでございますが、その場合に必要になる金額を計算して、そして先ほど議論がございました閉山あるいは生産の縮小の規模と比例計算をして、それで数字を、対象人員あるいは金額を計算している、そういうようなやり方でございます。
  55. 中沢健次

    ○中沢委員 私の手元に資料はあるのでありますけれども、改めて確認をしておきたいのは、計算方法の詳しい中身は別にいたしまして、想定される下請労働者の離職数七百三十一人、それからその方に対するいろいろな計算で必要な財源が一億八千九百万、このように受けとめて間違いありませんか。
  56. 長田武士

    長田政府委員 そのとおりでございます。
  57. 中沢健次

    ○中沢委員 いずれにしても、新しく制度として導入をするわけでありまして、制度そのものが一〇〇%関係者の希望に沿うかどうかということはまた別だとは思いますけれども、しかし、初めて下請労働者にも国の政策の中でそういう退職手当を支給できる。そういう新しい前向きの要求になっているわけでありますから、これから先は大蔵省と綱引きになると思うのでありますけれども、新規事業の三つ足しますと金額にして三億三千万程度でありますが、ぜひひとつ通産省、腰を入れまして満額要求を獲得をするようにお願いをしておきたいと思いますが、決意のほどをお伺いいたします。
  58. 長田武士

    長田政府委員 通産省といたしましても、この石炭政策は非常に重要な時期でございますので、今先生指摘予算要求内容につきまして財政当局の理解が得られますように最善の努力をいたしたいと思います。
  59. 中沢健次

    ○中沢委員 ひとつ今後の努力に多く期待をしたいと思います。  さて、次の問題でありますが、私は北海道の夕張の出身なものですから勢い北海道問題を具体的に取り上げてみたいと思いますが、石炭の需要拡大の問題と、現実的に今北海道で起こっておりまして地元としては非常に困っている問題を具体的に指摘をしてお答えをいただきたいと思います。  その一つは、実は北海道電力が北海道の内陸に石炭火力の発電所を何カ所か持っております。固有名詞を一々挙げません。しかし、その発電所がそれぞれ老朽化をしている、古くなった、したがってスクラップというか撤退をせざるを得ないというところにもう来ておりまして、例えば滝川の一号機から三号機、一号機は残念ながらことしの三月撤退、二号機、三号機は来年の三月に撤退をする。札幌のすぐ近くにあります江別、これは二つの発電機を持っておりますけれども、一号機が来年の三月、二号機が六十五年の三月ということで、北電としてはもう既に撤退計画を道民の前に明らかにして、しかも、その発電所の跡地の再開発につきまして関係市町村と具体的な話し合いをしているというさたかであります。  問題は、一番先に指摘しましたように、八次政策がスタートしてから結果的に原料炭も一般炭も含めて四百八万トンのスクラップになる。六十四年度以降も、テンポは別にして縮小になるという事実はなかなか避けがたい。しかし、各山の強い熱望として、今、空知管内だけで五つの炭鉱が石炭を掘っておりますけれども、この五つの炭鉱を一年でも二年でも存続をさせて、需要をキープして働く場所も確保したい、もう大変な願望があるわけです。これは当然だと思うのです。ところが残念ながら、一方、北海道の需要の問題でいいますと、今言いましたように北電の内陸の火力発電所が事実上の撤退計画をもうはっきりして、計画どおり発電所を撤去をする、そうすると需要がどんと落ち込む、こういう現実問題があるわけであります。  一つお尋ねしたいのは、通産省として、指導官庁でありますから当然把握をしていると思うのでありますが、そういう事実について正確に把握をされているのか。もっと言いますと、内陸火力というのはこれ以外にまだ砂川と奈井江があるのでありますけれども、砂川と奈井江の撤退計画等についてはどのように押さえられているか、これも御承知であればお聞かせをいただきたいと思います。
  60. 堤富男

    ○堤政府委員 お答えさせていただきます。  北海道電力管内におきます内陸石炭火力、全部で四発電所、九基、合計百十二・五万キロワットございますけれども、そのうち現在私の方で廃止をすることを聞いておりますものにつきましては、先ほど先生が御指摘されたものと私たちが確認しているものと同じでございます。  それ以上、今後奈井江ですとか砂川とかというところの廃止計画については、私の方はまだ聞いておりませんというのが現状でございます。
  61. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、ひとつ公益事業部の方にお願いをしておきたいのでありますが、北電側の内陸火発の撤去の理由というのは、一つは泊の原発との関連もありますけれども、発電所そのものが非常に古くなったということが最大の理由なわけです。一番古いもので滝川の一号機で二十八年一カ月、ことしの三月現在の数字であります。しかし、例えば江別はもう一つありまして三号機はまだ二十二年、奈井江は十九年、十八年、砂川は一番新しいのでは五年しかたっていないわけですよ。そうしますと、通産側の指導としては、やはり今から早目に手を打っていただいて、少しぐらい古くなって修繕費がかかっても、この際北海道の内陸から出を炭をたく、そのための発電所としては、今のこの撤退計画そのものも修正がなかなか難しいのであれば、これから先の問題として、ぜひそういう内陸の火力発電所はしばらくの間はきちっと国内炭をたくように、そのために火力の発電所を残せ、こういう指導を私は積極的に早目早目にやっていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  62. 堤富男

    ○堤政府委員 お答えさしていただきます。  御指摘いただきました滝川、江別等の約四分の一世紀ぐらい設備として使われたもの、これについては実は大変な修繕費がかかっておるわけでございます。そういうこともあって、四分の一世紀という非常に長い期間石炭火力として使われてきたわけでございますが、残念ながら余りにも経済性を失してきているということもあって、廃止をせざるを得ない状況になっておるわけでございます。そういう意味では、機械を最大限活用する、修繕も含めて最大限活用するという考え方では、北海道電力も随分努力をしてきておると思いますし、今後もそういうことはやっていきたいと思ってはおりますけれども、ただ経済性の問題、一種の採算をどこまでとるかは独立した株式会社としての考え方もあろうかと思いますので、ある種の限界があることは残念ながらやむを得ないと思っております。
  63. 中沢健次

    ○中沢委員 そういう御答弁をされるというふうには思いましたけれども、やはりこの際ですから申し上げておきたいのは、少なくともその八次政策の中では、いろいろな議論がありましてもやはりできるだけ国内の石炭も大事にしていこう、そして六十六年度で約一千万トン程度はきちっと確保していこうということがこの石炭政策の大原則です。しかし問題は、需要先がどうなるかということ、需要先をきちっとキープしたければ、結果的に絵にかいたもちになりかねない、そういう危険性をはらんでいるわけですね。ですから、殊さら私が声を大きくして言っているのは、北海道電力というのは、確かにほかの電力会社から見ると電気料金も高い、いろいろハンディを持っている、それは承知をしております。企業の採算ということについても全く否定をするわけにいかないこのように理解をするのでありますが、やはり国内の内陸から掘っている石炭を、北電の内陸の火力発電所が一定程度責任を持ってたいてもらう、そのために通産行政として前向きにやってもらいたい、こういう趣旨でありますから、今の答弁についてはいささか不満でありますけれども、ひとつそういう私の趣旨についてしっかり受けとめていただきまして、これからも努力お願いしたいと思うのであります。  それから、関連をいたしまして、北電の苫東に国内炭と海外炭をたきます火力の専焼の発電所がございます。この問題については、たしか昨年の三月のこの委員会で私も指摘をしたのでありますが、あの発電所の建設については国の予算かち四十六億円の補助金が出されているわけですね。これはあくまでも石炭をたく、主として国内炭をたく。したがって、国の政策としても異例であったと思うのでありますが、建設の補助金を出す。これは北電に限らず、そういう趣旨についてはそれぞれ補助金を出しているという制度はよく承知をしております。厚真一号機については四十六億円の補助金が出されている。確かに今日まで国内炭が相当量消費をされたことについても承知をしておりますが、先ほど私が指摘をした内陸の火発の撤退の時期をできるだけおくらせるということとの兼ね合いでありますけれども、どうしても内陸で受け皿が足りなくなる、掘った石炭が消費できない、こういう現実問題も当然想定をされるわけでありまして、そういう折には厚真一号機でぜひ今まで以上に国内炭をもっともっと大量に消費をすべきではないか。四十六億の金を出しているということから考えまして、しかも、通産としてはそういう指導を権限として持っていると思うのですよ。金を一銭も出していないのであれば別であります。四十六億という国の税金を補助金で出しているわけでありますから、通産としてはやはりそこのところを積極的にやるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 堤富男

    ○堤政府委員 お話しの点、大変理解をしておるつもりでございます。苫東の一号につきましては、二年間にわたりまして約四十万トンの国内炭をたいているという実績がございまして、それなりの大きな役割を果たしておると考えております。
  65. 中沢健次

    ○中沢委員 いずれにしてもまだまだ議論がかみ合わないようでありますが、もう一つ関連をしまして伺います。  例の北電でたいておりました国内炭、結果的には電力料金も高くなる。六十二年度から、電事連あるいは関係電力会社の理解もいただきましてシフトがえをしている。六十二年度が九十万、六十三年度が二十二万、これは結構なことだと思うのですよ。六十四年度の見通しはどのようにお持ちであるか。私としてはもっともっと積極的にこのシフトについても通産側としては取り組んでもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  66. 堤富男

    ○堤政府委員 基本的には先生のおっしゃるとおりであろうと思っております。六十四年度におきまして、まだ具体的な引き取り量は決まっておりませんが、基本的な考え方としましては、北海道で出ました内陸炭はできるだけ北海道で、しかしそれがどうしても余る場合には、これはいろいろな意味で他の電力会社に協力をしていただく、こういうことは料金格差の問題も含めまして考えていきたいと思っております。いずれにしましても、第八次石炭政策の基本的な考え方が実現できるように御協力を申し上げたいと思っております。
  67. 中沢健次

    ○中沢委員 ぜひひとつ今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  さて、通産に対する最後質問ですが、未払い退職金問題について若干の数字と、最後にひとつ大臣の決意も含めてお尋ねをしたいと思います。  三笠に所在をいたします北炭幌内炭鉱、残念ながら莫大な未払いの退職手当を抱えている。この数字につきまして、まずお尋ねをしたいと思います。  現在、何人でどのくらいの残高になっているか。六十三年度中も通産努力を含めて一定程度の支払いをしておりますけれども、結果的に六十四年の三月でどの程度まだ残るのか、数字をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  68. 長田武士

    長田政府委員 北炭幌内炭鉱における未払い退職金債務は六十三年の三月末、六十二年度末でございますが、その時点で六十六億円ございました。その後、企業サイドにおけるいろいろな努力を通じまして約七億円の減少を見まして、現在時点、六十三年十一月現在では五十九億円、先生質問の員数につきましては八百二十五人ということになっております。  なお、今後の見通しでございますけれども、引き続きその解消に努力してまいりまして、現在の見通しでは六十三年度末には四十二億円程度になるであろう、こういうふうに考えております。
  69. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、大臣にお尋ねをしたいと思います。  昨年十月の北炭真谷地の閉山の際にこの委員会でもいろいろやりとりをさせていただきました。経緯は一切省略をいたしますが、結論的には、北炭の真谷地が抱えておりました約二十五億円の未払い退職手当、大臣の決断あるいは関係者の大変な御協力をいただいて、閉山という非常に残念な事態を迎えましたけれども、この問題については解決ができたわけであります。  さて、今数字がありましたように、同じ北炭の雄山であります幌内炭鉱、規模としては真谷地よりも当然大きい。したがって、未払いの労務債も真谷地よりもたくさんある。六十三年度中に、それぞれ関係者の御協力をいただきまして、恐らく二十四億くらい何とかなりそうだ。しかし、四十二億というまだ多額の未払い労務債がことしの年度末に残るわけであります。この問題については、やはり労働省の所管とはいいながら、かねて通産大臣からお答えをいただいておりますように、労使問題を超えて非常に大きな社会問題である、私もそのように考えるわけですね。ですから、この事態の解決に向けて六十四年度以降もっと積極的に取りんでいただきたいと思うのでありますけれども大臣の御決意と御答弁お願いしたいと思います。
  70. 田村誠

    田村国務大臣 私が通産大臣に就任いたしまして、そしてこの炭鉱問題、いわゆる石炭問題と取り組む、そのときに、かつて自分が労働大臣という立場で取り組んだことに思いをいたしたわけであります。そして私は、労働省は二度のお務めをいたしました、政務次官、大臣、正確には臨時代理も含めればもっと多いわけでありますけれども、私が労働省に職を奉じました当時、炭鉱離職者の問題等について本当に苦労をいたしましたが、率直に言いまして、この炭鉱問題について物を言えば、ほかの産業分野でもそうかもしれませんが、労働省というのは通産省の施策のアフターケアといいますかしりぬぐいをいつもさせられる、そういうことをよく話し合ったことを思い出しまして、事務次官を連れて労働省を訪問いたしまして、そして労働大臣、労働省の事務次官等々といろいろとお話し合いをしたわけであります。よろしくということでございまして、私の方からもお願いしたわけでありますが、同時に、通産、労働両省で事務次官を長とする話し合いの常置機関をつくろうということにいたしまして、そしてそれが今日までずっと続いておるわけでございます。私、石炭問題を、その他もそうですけれども、担当いたしまして、その常置機関をつくったことは本当によかったと思っております。労働省のおかげでどれだけ助けられましたか。  でございますので、この問題も、今後とも労働省と十分の連絡を保ちながら、労働省にもいろいろとお願いを申し上げて、退職金というものは労働契約において当然受け取るべき労働に対する見返りでございますから、これが未払いということは社会悪でございます。でございますから、そういう点で可能な限りの努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  71. 中沢健次

    ○中沢委員 ぜひ今後もそういう問題につきまして、今お答えいただきましたけれども大臣の積極的な取り組み、労働省との連携プレーの強化、心からお願いを申し上げておきたいと思います。次に、労働省の方に幾つかお尋ねをしたいと思います。  先ほど、二年間の炭鉱労働者の離職状況あるいは再就職状況について数字をお答えいただいたわけでありますが、いま一つお尋ねしたいのは、最近、全国的には雇用情勢は急速に好転した、このように言われておりますが、私の住んでおります夕張は、とてもじゃないけれどもそういう実態にない。したがって、全国、北海道、夕張と、ひとつ三つくらいポイントを選定していただいて有効求人倍率がこの二年間にどういうふうに変化しているか、まずその数字をお聞かせいただきたいと思います。
  72. 竹村毅

    ○竹村政府委員 一応六十一年十月と六十三年十月を比較いたしますと、六十一年当時は全国的に雇用失業情勢が非常に悪化しておりまして、全国平均で〇・六九倍の求人倍率でございます。その時点におきます北海道は〇・三一、夕張は〇・三〇ということで、北海道全体とほぼ同じという水準でございました。二年後の六十三年十月におきましては、全国的には雇用失業情勢が非常に好転をいたしまして、全国の求人倍率は一・二三倍となっております。これに対しまして北海道全体でございますと〇・六〇倍、夕張所管内は〇・二五ということでございます。
  73. 中沢健次

    ○中沢委員 改めて数字を聞きまして、やはりこれが現実だたという実感を率直に持っております。確かに全国的には雇用状況が非常に好転をしている、比べて北海道はそうでもない。全国平均の約五割程度でありますか。夕張に至ってはこの二年間で求人倍率が逆に下がる。それだけに雇用情勢が厳しくなってくる。もちろん昨年十月の真谷地の閉山で大量の離職者が出た、あるいは再就職を希望する方がたくさんいる、こういう事実関係を数字は物語っていると思うのであります。  そこで、先ほど細谷委員の方から緊就、開就問題についていろいろございました。正直申し上げまして、北海道の場合は制度的に緊就、開就を実施するのは非常に難しい、こういう事実については私も理解をしております。  そこで、きょうは二つほど具体的にお尋ねをしたいと思うのであります。  一つは、例の黒手帳の受給者。離職者が全部黒手帳ではありません。もちろん緑の手帳の方もおります。黒手帳の場合は三年間、その間に雇用保険を受給される、それが切れますと就職促進手当を支給される、このようにつながりまして、国の見方としては、それによって生計の維持が可能だ、こういう見方をされていると思います。しかし、かねて委員会で私も指摘をしましたように、生活保護基準よりも下回る促進手当のレベルでありまして、それ自体に一つは問題がある。  きょうお尋ねをしたいのは、そういう黒手帳期間の就職促進手当をもらう期間にたまたま臨時的に雇用の機会がある、アルバイトだとかなんとか当然そういう機会は出てくると思うのです。その場合、現在の労働行政の制度上の仕組みでアルバイトで得た収入については、私の理解としては、一日千円収入認定から外して、それはプラスアルファの収入として本人がもらってもいい、しかしこれが一カ月、二十五日千円というわけには当然いかないだろう、アルバイト、臨時でありますから。そうしますと、せいぜい一月一万円前後ぐらいのいわゆるプラスアルファの収入しか事実上は認められていない、こういうことだと思うのです。例えば昨年の七月三井砂川の閉山、十月真谷地の閉山、十月の真谷地の閉山のアフターケアにも労使の就職対策委員会あるいは夕張市、関係者、いろいろ努力をしておりますけれども、依然としてまだ再就職を希望しながらふるさとから離れたい方がたくさんいる。今黒手帳の期間に入ってきた、たまたま臨時の就労の機会がある、働いてもせいぜい一月一万円ぐらいしか自分の収入にならないということであれば働いてもしようがない、こういう悪循環に現状としては置かれているのではないかというふうに私は現場の声としても聞いております。ですから、この辺は労働省の専門家の知恵として、やはり再就職を希望してじっと待機をしている、たまたま臨時に就労の機会があった、その収入の認定についていいますと、例えば一月五万ぐらいは何とか弾力的に認められないものかどうか。私の言う五万という数字も特別根拠はありません。ただ、炭鉱で働いている場合は福利厚生は企業が抱えておりますから本人の持ち出しが少ない。炭鉱から首を切られてしまうと翌日から、極端な話、住宅料を払う、電気、ガス、水道料その他を実費負担する。夕張の場合は大都会でありませんけれども、まあ五万ぐらいは自分の懐から新しく家計支出が増大するということになっているんではないでしょうか。  ですから、第一にお伺いしたいのは、今の制度について手直しをすればいいのでしょうけれども、仮に手直しができない場合に現場の職安の権限としてせめて一月五万ぐらいの臨時の就労の収入について認める、こういう見解に立てないのかどうか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  74. 浦田勝

    ○浦田政府委員 就職促進手当につきましては、先生十分御承知のとおりでありますが、求職者の就職の促進また求職活動中におけるところの生活の安定を図るために支給するわけでございまして、この受給期間中におきまして他の臨時的な、今おっしゃいましたような安定要素のないところで働いて得た収入につきましては、その得たものを支給の減額対象として支給するということになっておるわけでありまして、これはあくまでも制度上の問題でございますが、現行におきましてはそうならざるを得ないということであります。また、特に他の離職者の皆さん方と均衡上の問題がございまして、炭鉱離職者のみに特別扱いをするというのはただいまのところは問題があるわけでございます。  ただ、先ほど先生おっしゃいましたように、私も大牟田、荒尾という炭鉱地帯に住んでおりまして、そういう意味では私自身も肌身でよくわかるわけですが、先生のお気持ちというのは痛いほどわかるわけでございまして、今後十分検討してこの問題に対処してみたい、かように存じます。
  75. 中沢健次

    ○中沢委員 最後に、もう一つお尋ねをしておきます。  実は委託訓練につきましてかねてから労働省もいろいろ検討いただきまして、例えば初めて夕張のメロン農家づくりということにお手伝いをいただく、委託訓練についても就農という研修科目で認めていただいて、地元では八名の希望者がおりまして、六カ月でありましたがメロン農家に委託訓練をする。しかし、残念ながらやはりメロン農家というのは半年ぐらいの訓練ではなかなかメロンづくりの技術をマスターさせることが難しい。現場としては最低二シーズンぐらい、つまり二年間ぐらい委託訓練の期間について特別に認めてもらいたいという声が非常に強いわけですね。これはメロンの問題に限らず、それ以外の職種についても同様の希望がたくさん寄せられていると思うのです。確かに、職訓校に通いますと最高二年間までは技術習得の機会が保障されているのでありますが、委託訓練の場合は原則六カ月でありまして、この壁を何とか越えていきませんと事実上委託訓練の政策的な効果というのは余り期待できないのではないか。これは私の意見だけではなくて、やはり関係者がそういう意見を非常に強く持っておりますので、そのことも含めてひとつ積極的に御検討いただきたいし、先ほどの次官のお答えの中で、自分も熊本の荒尾の出身だ、気持ちはわかる、こういうことでありますから、その気持ちをよくわかっていただきまして、官僚側としても積極的に前向きに結論を出していただきますようにお願いしたいと思います。
  76. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、産業構造の転換に伴う離転職者の再就職ということは非常に重要な問題でございますので、六十二年度から委託訓練ということで、施設内で訓練するだけではなくて、雇用の可能性のある事業主あるいは事業主の団体の方に直接委託をして訓練を行っているわけでございます。  そこで、その期間でございますけれども、御指摘のとおり離転職者の訓練でございますので、早期に再就職させる必要があるということで原則は六カ月、場合によってこれを一年まで延長できるということになっております。お話の中に出ました夕張市のメロン栽培の件につきましては、メロンの栽培ということで非常にユニークなもので関係者の期待も高かったのでございますが、そんな中で六カ月で始めましたものを三カ月延長して九カ月にいたしているところでございます。しかしながらこれを二年ということになりますと、学校を卒業した方の訓練は原則として一年でございまして、御指摘のございました短期大学校だけ二年というのがございます。そういうことで、なるべく早く就職をしていただきまして、仕事をしながらさらに能力を高めていただく、そういうことが離転職者の訓練には適当ではないかというふうに考えておりまして、六カ月、それから一年の範囲内で弾力的に運用はさせていただきたいと思いますけれども、二年というのはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  77. 中沢健次

    ○中沢委員 もう時間が過ぎましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  78. 福島譲二

    福島委員長 次に、岡田利春君。
  79. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 二十分の時間でありますので、簡潔に、かつまた問題を提起するという形で質問いたしたいと思います。  先ほど来、石炭特会財源の問題でいろいろ議論がなされておったわけでありますが、私は、当初からこの石炭特会の特定財源の変更は極めて問題が大きいということを指摘してまいりました。昭和四十二年、今から二十一年前にこの制度ができたわけですが、そのときの石特委員長は、今副議長の多賀谷直稔先生であるわけであります。そういう意味からいって、まだ石炭政策の非常に大事な状況の中でこの特定財源を外すということが、第一の反対の理由であります。第二には、第八次政策を決定した場合に、その特定財源を確定して、そして法律の延長を行った、その中途半端な中でこれを変更することはいかなる神経であろうかと思うのであります。第三点の場合には、鉱害の法律案は六十七年でさらに延長しなければならぬという状況にありますし、産炭地振興法は六十六年に期間が延長になるという状況にあるからであります。そしてまた第四点目としては、石炭特会があるからいいではないかと言いますけれども特定財源なき特別会計は無意味である。こう言わざるを得ないのであります。そして第五点には、今日の資金需要は借入金によって毎年賄って、昭和六十四年度の概算要求も実に二百十四億の借り入れをするという構成で予算要求をしている。この五つの観点からこのような考え方は間違いであり、これはエネ庁も通産省も政府も過って決定したのだと思うのです。過ちを改むるにちゅうちょするなかれということで先ほど大臣の御答弁もありますから、そういう意味で、私の見解をまずここに整理をして明確に申し上げておきたいと思います。したがって、この面は私の見解を述べて答弁は求めません。  第二の財源問題として考えなければならぬことは、第五点目に挙げた石炭勘定の問題についてであります。  昭和六十二年度百二十七億円の借り入れをした。実績は百二十六億円。六十三年度は二百二十五億円でありますけれども予算閉山、縮小規模合理化計画閉山、縮小計画では三十五万トンの落差があるわけです。したがって、この点はある程度予算が余ってくるでしょう。しかし、六十四年度には百九十五万トンの閉山、縮小を一応前提にして二百十四億円の借り入れをする、こういう概算要求が今日なされておるわけであります。六十五年度の状況を見ましても、これは今の構成比でいけばまた借り入れをしなければならぬでしょう。しかし、石炭特会ではこの借入金は六十六年度じゅうに返済をしなければならぬと定められておるわけです。こんなことはできる仕掛けじゃないわけですね。六十五年からこれらの借入金を返済できるかできないか、恐らくできると思ってないと思うのですが、どうですか、石炭部は。
  80. 長田武士

    長田政府委員 八次策の間を展望してみますと、政策期間の前半におきましては閉山あるいは減産対策費の歳出の増が見られるわけでございますけれども、後半に参りますとこういう対策費が、稼行炭鉱の助成、稼行炭鉱出炭規模の減少などによって歳出が大幅に減少する、こういうふうに見られておるわけでございます。一方、歳入の方は原重油関税ということでずっとほぼ横ばい程度で推移していくといたしますと、歳入歳出を比べてみますと大体八次策中五年間で均衡がとれるのではないか。そういたしますとこの点から返済は可能である、こういうふうに考えているわけでございます。
  81. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 余りにも建前論に過ぎる答弁であります。  今年度概算要求の構成比を見ますと、石炭合理化対策費が二七%、鉱害対策費が四五%、産炭地振興対策費が六・八%、事務処理費が二%、通産合計が八〇%、労働省関係が一八%、その他が一・六%、大体こういう構成比の内容なのですね。だから、炭鉱が縮小されても、その結果生ずる産炭地の振興、いわゆる離職者にはその分お金がかかるわけでしょう。しかもウエートの少ない、今年度予算で見ればわずか三百三十八億円が前向きの予算なんですから、これが二七%、四分の一程度なんですよ、これが減っちゃったら借入金を返せるなんという仕組みにならぬでしょう。返せるならば、鉱害とか産炭地振興とか離職者対策とか、こっちの予算を削らなければそんな仕組みにならぬでしょう。これは手品遺いでなければできないと思うのです。私はそう思うのですよ。そういう問題があるということだけぐらいははっきり認めたらいいじゃないですか。均衡していますなんという答弁はそらぞらしいと言わなければなりませんね。
  82. 長田武士

    長田政府委員 私も先生が御指摘されるような問題はあると思いますが、私どもが現在予定しておりますのでは、この合理化安定対策費というものが減少していくことによりまして何とか均衡するんではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  83. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大蔵省から来ておりますからこの点で一点だけ伺っておきますが、今年度概算要求で既に二百十四億の借入金を要求いたしておるわけです。三年連続になるのであります。そして来年度も縮小、閉山の状態は続くということは、八次政策の最終年次一千万トン程度というのが、積算基礎は九百七十万トンですからまだ縮小するわけでしょう、資金需要はかかるのであります。ですから、ほかを削らぬ限りは絶対にこれは返せないのですよ。主計局なんかはどう判断していますか。これは八次政策の柱になっているのですから非常に重要な問題であって、今後の政策を検討する場合にこれから離れて議論なんていうのはできないと思うのですね。いかがでしょう。
  84. 永田俊一

    永田説明員 お答え申し上げます。  ただいま通産省さんの方からもお答えいただきましたように、私どもとしましても今後の原重油関税の収入の動向、そして歳出の動向を勘案いたしますと、借入金の返済は十分可能ではないかと判断しております。
  85. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 きょうは問題提起という形だけですからこれ以上答弁は求めません、議論もする気持ちはございませんけれども、この指摘については素直に受けとめて、ぜひ御検討願いたい、こう申し上げておきます。  石炭八次政策の落ちつき見込みの問題についてそろそろ精査をしたければならぬ段階に来ているのではないかと思うのです。八次政策の六十六年度の需要ははっきりしておるわけでしょう。電力が政策需要で八百五十万トン、それ以外に厨暖房用の関係で百二十万トン程度の需要があるだろう、九百七十万トン、これを称して一千万トン程度、こう表現しておるわけですね。果たしてそういうことになるだろうかということでいろいろ検討してみました。八百五十万トンに対する厨暖房用の傾向、産業用以外のその他の一般炭の消費動向は、残念ながら当初見込みの半減をする傾向をたどっている、こう見ざるを得ないのではないかと思うのです。半減すると最終年度の需要というものは九百十万トンになってしまうのですね。そして九百十万トンというものを前提に置いて、話題になっている雑炭、これはまだ結論が出てないようでありますけれども、どこまで成果が上がるのか、百七十万トンが百五十万トンにしかならぬとすれば、これは当然九百十万トンを食ってしまうわけですね。需要は九百十万トンですから食ってしまうわけです。そして露頭炭が百四十万トンあるとすれば、これも差っ引くと坑内掘りの五年目の生産規模は六百万ちょっとぐらいの数字になるのですか。  ですから、一千万トン程度、一千万トン程度と言いますけれども、一千万トン程度の場合の需要のうち、坑内掘りの石炭でもって充当するウエートは一体幾らなのか。ここが大事なのです。これは今からやらぬと大変なことになりますよ。もう六十四年を過ぎてしまいますと五年と六年しかないのですから。こんなことは簡単に精査できる問題なのです。これはぜひやって、やることによって八次政策を見直ししなければならぬですよ。見直しという言葉が嫌ならば、先ほどの問題も含んで八次政策を補完しなければだめです。これは避けて通れない道なのです。だから建前じゃなくて、そういう時期に来ているという認識は当然お持ちになった方がいいのじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  86. 長田武士

    長田政府委員 先生指摘の雑炭、露頭炭、これと坑内炭との関係でございますが、確かに雑炭、露頭炭、これが八次政策下におきまして坑内炭を圧迫する要因になっているということは十分認識しております。ただ、この雑炭あるいは露頭炭につきましてもそれ相当の合理的な存在理由があるという面もございまして、その点も頭に置きながら、何とか坑内炭の生産に対する悪影響をもたらさないようにこれから何とか知恵を絞っていかなければいけない、そういうふうに考えているわけでございます。
  87. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 六十六年度の構図として、政策需要は八百五十万トンの電力用炭だけなのです。厨暖房用は百二十万トン程度の需要があるであろう、こういう想定なのですね。これが当初の見込みよりも下がっている。あとの原料炭はゼロ、一般産業向けはもうゼロですから。もし競争するなら安く売れといったら、これは六十六年度というのは基準炭価にひっかかるわけですね。露頭で幾ら安く掘れても基準炭価がある限りは売ってはならぬということでしょう。外国炭より安くても売れないわけでしょう。これが最終年度の状態なのです。  初めのうちは僕は黙っていたけれども、もうそろそろ検討しないと、どういう方向で八次政策を完結するのかという中間点にきていると思うのです。私は、八次政策は六十二年がスタートじゃなくて、実際は六十一年だと思うのです。六十一年、六十二年、六十三年と来て、六十四年が四年目だ。だから八次政策は五年であるけれども、実質は六年だという認識に私は立つのです。だから最終年次は一体どう完結するのか、黙っていいはずがないでしょう。それは、しかし、中間点に来たら当然やらなければならぬ問題として課題は残されている。そういう意味でも、八次政策は補完をするというか補強をするというか、そういう面を埋めるとかという点は避けて通れないわけでありますから、これも問題提起として申し上げておきますので御検討願いたいと思います。  同時にもう一つの問題として、縮小、閉山が進むことによって産炭構造が変わってまいりました。いわば安定補給金の出し方として空知地区の急傾斜その他、そしてまた空知地区以外の安定補給金も二段階で決められてきたわけです。ただ、昭和五十六年度までは一律だったわけです。しかし、炭鉱の格差を認める。政府が初めてその認めるあかしとして、自助的に安定補給金の四百五十円をその中で格差配分しなさいという答申が出て、これに基づいて初めて格差配分が行われたのが五十七年からなのです。そして五十九年にもう一度、第二段階の格差配分の修正が行われたわけです。これが安定補給金の経過なんです。したがって、四百五十円の安定補給金のあった会社は、これは二百五十円格差補給のために提出をしたわけです。そして、いわば炭鉱間内で格差補正をやったわけです。ところが、比較的急傾斜の炭鉱の閉山ということが起きてきているわけです。産炭構造が変わってきているわけです。そうしますと、炭鉱が多く閉山するわけですから、たくさん金を出した炭鉱が残っているという現象なんです。そういう面についてもある程度の再検討たり手直しもしなければならぬ問題もあるのではないか、こう思うのであります。これも答弁は要りませんから、問題提起として申し上げておきたいと思います。  時間がありません。最後にもう一問。  先般、国連において南アに対する経済政策、制裁について、日本は突出しているということで大変おしかりを受けておるわけであります。南アの場合、一-十一月、期せずして二、三日前にある程度輸出輸入とも減じておる、こういう数字が通産省の方から発表になっておるわけです。輸入するものは金とかダイヤモンドとかレアメタルとか石炭ということになるでしょう。輸出するものは自動車とか機械、このものが大宗をなしておるわけです。私は外務委員なものですから、外務委員会で、宇野さんは通産省の方にぜひこの善処方を外務省として強く要請する、こういう答弁がなされているわけです。したがって、そういう状況の中で日本としてこれにどう対応するかということは非常に大事な問題であります。  特に基礎物資である石炭でいいますと、六十二年に七百八十万トン、六十一年には八百三十七万トン。これは原料炭のウエートが非常に多いのです。一般炭よりも原料炭のウエートが非常に多い。六十二年度で申し上げますと、原料炭が四百四十万トン、無煙炭が六十七万トン、一般炭が二百七十万トン、こういうことなんです。これも黙っておくわけにはまいらないのじゃないでしょうか。多少は減っていますけれども、今のこういう国際環境からいって、これももちろん市場性もありますよ、いろいろな長期契約の内容もあるでしょう。私も百も承知しております。だがしかし、今のままでいいということはないのじゃないか、これは国際的な面からいってぜひこれに対する対応をするべきである。するなら、ゆっくりやるよりも早目にした方がいいと思うのでありますが、もしこの点について答弁があるならば受けて、あとは問題提起という形で、時間が来ましたので私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  88. 田村誠

    田村国務大臣 南ア問題についてはお答えというのかおっしゃるとおりですということの一語に尽きるかもしれませんが、割合に最近減少してまいりまして、日本の場合は主要先進国の中で最も伸びていない国であります。簡単に申しますと、石炭だけで申しますと、もう既に御承知のように六十三年の一月から十月までで二一%程度減っております。  そこで、全体で申しますと、西独は一月から六月までの月平均四億一千三百万ドル、四二・五%増です。日本は一月から十月までの月平均三億三千九百万ドル、一・六%増です。イギリスが一月から八月までの月平均二億七千三百万ドルで三〇・五%増。アメリカが一月から八月までの月平均で二億六千六百万ドルで二三・七%増。こういうふうになっております。ですから、数字というより伸び率、増加率で見てもらったらいいと思います。でございますので、昨年に比べて本年は、日本の姿は、他の先進国に比べて姿としては非常によくなってきておる。ただ、日本の場合はなかなか計算が難しいのは、ドルベースではじくのと円ベースではじくのとでえらい違いになってくるものですから、その点の難しさはございますが、まあまあいい姿にはなってきておりますけれども、それにしても大きいことは大きいんですから、今後とも人道上の見地から十分の配慮をしていかなきゃならぬことは申すまでもございません。
  89. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 終わります。
  90. 福島譲二

    福島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  91. 福島譲二

    福島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤原房雄君。
  92. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 大臣がちょっとおくれて来るようでございますので、最初に八次策、去年の四月から発足いたしまして一年半ということですか、去年は閉山、合理化、こういうことでいろいろな問題がございました。石炭問題につきまして、ちょうど中間地点ではないのかもしれませんが、最近の動向、それと明年を見通して、こういうことから最初に八次策の進捗状況といいますか、どう考えているのか、また現状、こういうことについてちょっとお伺いしておきたいと思います。  それで、六十三年度の現状と六十四年度の需給動向については、景気も非常に上向いている、こういう中でのことでございますが、需給の状況とか、それから貯炭が少し多いのじゃないか、こういうことを言われておりますが、貯炭の状況等、現状、それから今後これをどうお考えになっていらっしゃるのかを含めてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  93. 長田武士

    長田政府委員 八次策の進捗状況でございますが、昭和六十一年の十一月に第八次石炭政策の答申が行われましてから今日に至るまで、例えば大手の炭鉱数で申しますと、十一が八つに三炭鉱減る、あるいは国内炭の供給規模といたしましては、六十一年度に千七百十一万トンございましたものが六十二年度は千四百三十七万トンというふうに減っている。炭鉱従業員数につきましても、六十一年の十月末では約二万三千三百人おりましたのが六十三年、ことしの九月末では一万三千二百人ぐらいに減少してきております。このように、生産体制の集約化ということは、石炭関係者に非常に厳しい状況を伴いながらもまあ着実に進行中であるわけでございます。  それで、先生特に御質問の国内炭の需要の面でございますが、六十三年度につきましては、需要供給両業界話し合いまして、鉄鋼用の原料炭が八十万トン、電力用一般炭が一千三万トン、これを含めまして総計千二百八十八万トンというものが引き取られる見込みでございます。さらに、六十四年度につきましてはこれから需給の両業界が話し合っていくということでございまして、私どもとしましては引き続き需要業界の協力の確保努力してまいりたいと思っているわけでございます。  それから、御指摘過剰貯炭の件でございますが、六十二年度末には三百四十六万トンでございまして、本年度末にどれくらいになるかと申しますと、この八月に策定されました石炭鉱業合理化実施計画によりますと三百四十万トン程度になると見込んでおります。この貯炭につきましては、八次策の基本的な考え方といたしまして、六十六年度までに解消していくように何とか努力する、そのために徐々に減らしていく、こういう考え方をとっております。
  94. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 大手の十一社が八社になったということでありますが、なだらかな減産体制といいますか、急激なことがあってはならぬということがこの問題、八次策実施に当たりまして私どもの強く訴えたところであり、また、行政当局としましてもこの点は十分に配慮してということではございますが、数字の上からいいますと確かに急激なということではないのかもしれません。しかしながら、現場的に見ますと、やはりその会社会社、またその地域に及ぼす影響、こういうことを見ますと必ずしもなだらか、このように判断するような状況にはない。それだけに対策とかそれに対する施策、こういうものが待たれるわけでありますが、六十四年度の需給動向についてこれから話し合うということでありますから予測は難しいのかもしれませんが、海外炭、日本全体の石炭の需要動向を見ますと、輸入炭が一億トンを超しておるという現状を見ますと、年々大きな石炭の需要という内外あわせましてそういう状況にあることは報じられておるところでありますが、そういう中で過大な貯炭を抱えておるということや、それからまた景気上昇、また石炭の需要というものが非常に増大しておる、こういう中にありまして、我々が当初強く主張しておりましたところのなだらかというこういう観点から、今までの動向を見きわめた上で一度現時点でそういうことをよく精査してみる必要があるのじゃないか。明年度の概算要求もございますが、それらのものとあわせまして、六十四年度に対しましてのいろいろな施策についても、概算要求の中にもありますけれども、現時点ではそれらのものをよく見定めた上で地域のこと、それから石炭産業、国内炭の全体のこと、こういうことをよく精査する必要があるのじゃないかというふうに強く思うわけでありますが、通産当局としましてはこの点どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  95. 長田武士

    長田政府委員 八次対策は今私から御説明申し上げましたとおりにほぼ順調に推移していると思いますが、先生今御指摘の八次対策を進めるに当たりましては、何と申しましても地域の問題、地域に対して悪影響が出ないようにする、あるいは雇用の問題、そういう問題にも十分配慮しなければいけない、当然のことながら考えております。このために、一例で申しますと、六十四年度におきましては、規模縮小する地域地方公共団体に対しまして産炭地域振興臨時交付金におきまして規模縮小基準額を創設するというようなことをいろいろ私どもなりに努力して対応しているわけでございます。
  96. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 石炭産業全体を見ますとどうも後追いという感じがするわけでありますが、内外炭ともに合わせますと国内的には石炭の需要は減っていない。そういうことを考えますと、また、最近は環境問題とか石油代替エネルギー、こういうことで言われております石炭の見直し、こういうことも非常に議論になっているわけでございます。エネ庁の中でもコール・フロンティア懇談会、こういうことを計画をしまして一回会合を開いたようでありますが、コール・フロンティア懇談会というのは、石油代替エネルギーの柱の一つであります石炭というものをどうとらまえるかということで懇談会をやっているようでございます。  この設立の趣旨と、今後これは施策の上にどう生かしていこうとなさるのか、この懇談会のことについてお聞きをしておきたいと思うのです。
  97. 長田武士

    長田政府委員 先生指摘の懇談会は、去る十一月から資源エネルギー庁の長官もとにおきまして設置したものでございます。この趣旨といたしましては、石炭政策のうち新たな方向づけが必要な分野についていろいろ関係者の御意見、お知恵を賜ろうということでございます。  八次策につきましては、既に立派な石炭政策がございまして、これを着実に実行していくことが要諦でございますが、片や石炭を取り巻く環境を見回してみますと、例えば幾つかの点が指摘されるかと思います。原油価格の低迷による世界的なエネルギーの需給の動向とか、あるいは技術開発をしてまいりましてこれをそういう環境下にあってどうやって実用化していくかとか、あるいは先生今御指摘の温室効果とか酸性雨とか、そういう地球環境というような問題もある。さらに、世界的な点から見ますと、世界全体の需給がどうなるかあるいは太平洋地域等における石炭の開発利用がどうなるか、あるいは日本がそれに対してどんな貢献ができるか、そのような多方面の検討すべき問題がございまして、この際ひとつこういう点について総合的に検討して、できるならば来年の四月ごろを目途に取りまとめを行っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  98. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 埋蔵量からいたしましても石油石炭では大きな差があり、石炭については百年以上と言われておりますし、こういうことからいいまして石炭の利用価値がすっかりなくなったということじゃ決してないわけであります。こういうことからしまして、中長期的に石炭の利用ということをしっかり把握しておくことが大事なことだろうと思いますし、内外炭ともに石炭の需要動向、それから利用の形態、流通、いろいろなことについてきちんと定めることは非常に大事なことだろうと思います。そういう点ではこの懇談会というのは非常に重要な意味を持っていると私も思いますし、当面の課題解決ということと、それから中長期にわたります展望の上に立っての石炭の位置づけ、こういうものをきちっと定めるということで、この対策につきまして懇談会の成果をぜひ私どもは見守っていきたいと思います。  それと、太平洋コールフロー構想、こういうこととの関連等につきましてはどのようにお考えなんでしょうか。
  99. 長田武士

    長田政府委員 太平洋コールフロー構想は、いわゆる太平洋地域といいますか、そういう地域におけるエネルギーの安定確保を図るために石炭の需要喚起あるいは石炭の供給の円滑化を図るというような構想でございまして、非常に広く世界を見渡した構想でございますので、この考え方も、私どもがこれから検討してまいりますコール・フロンティア懇談会の中に位置づけられていくものと考えております。
  100. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 さて、現実的な問題に入るわけでございますが、産炭地地域振興対策でございます。  短い時間ですから個々の問題についていろいろ議論する時間はないのでありますが、今地方自治体で一番問題になっておりますのは、通産省を初めとしまして、活性化支援事業ということでいろいろな計画を立てる。芦別におきましては「星の降る里」構想というものがその第一号として、それを支援しようということで二億円国から整備基金としていただいて、市も二億円、それから市民の協力で四十八社三億五千万円、七億五千万円で会社をつくって、その後NTTの無利子のお金または北東公庫から借りて、一期、二期合わせますと七十億からの事業をするという計画になっておるわけでございます。この活性化支援事業そのものについては、国もそれに対して十分に知恵を出そうということでありますからそれなりのことはよくわかるのでありますが、事業主体として第三セクターをつくって、市が責任を持ってこれを推進するということになるわけであります。この事業のことについてはこれからいろいろ申し上げたいと思いますが、これは何も芦別だけじゃございませんで、各市町村は現在財政状態が大変に厳しい中にあるわけです。  自治省の方にお伺いしておきたいのでありますが、我々が地元へ参りますと、各地方自治体、産炭地の市町村でいつも言われておりますことは、急激な人口減によります交付税の数値急減補正の率を引き上げてもらいたいということです。これはいろいろ措置はされているわけでありますが、昨年からの閉山、そしてまた合理化に伴う人口減というのは非常に大きいということ。それから、産炭地補正、これもいろいろ見られておるわけでありますけれども、増加需要による金額引き上げ等も要望されておりますし、さらにまた、特別起債、過疎債とか地域総合整備事業債、こういうものに対しての優先配分とか充当率の引き上げとかいうことについても言われるわけであります。これは今日まで自治省も配慮しておることは我々もよく知っておるわけでありますが、八次策になりましてからは、今はもう一市一山というその一市の中の一つの山がなくなる、また、合理化も半分以下に縮小するということで、今までとは非常に違った人口減、財源に大きな影響力を持っておるということからしまして、従来のパターンの取り組みでは地方自治体の運営として非常に大変だ。こういうことからいたしまして、これらのものについても十分に現状を踏まえた配慮をしていただきたいという強い要望があるのですが、自治省の方もいらっしゃっておると思うのですが、この間のことについて御見解をお伺いいたします。
  101. 小滝敏之

    ○小滝説明員 自治省といたしましては、従来から生活保護費や失業対策費あるいは鉱害復旧産炭地特有の財政需要、その地元の財政負担につきましては地方交付税あるいは地方債の配分を通じて配慮をいたしてきたわけでございますが、今藤原先生指摘のとおり、特に第八次石炭政策もと閉山の事態に至って離職者が出て、また大量に人口の減少を生ずる、こういうことで、短期間に人口が激減することによって税収の落ちだけではなくて閉山に伴う新たな財政需要が生じてまいる、こういう観点からそれらの財政需要に,対する措置をどういうふうにするかいろいろ検討いたしたわけでございますが、六十二年度から短期急減の市町村に対する新たな補正措置を講じまして、さらに、本年度におきましてはそれらの算入率を高めるということで、北海道、福岡等閉山市町村に対する財政措置、全体として六十二から六十三につきましてはかなり大幅な拡充を図るということで措置をいたしておるところでございます。  なお、今後それらの地域におきまして活性化のため新たな事業に取り組み、それらに伴う財政負担が生じてまいるということになりますれば、それらの事業の実施につきましても円滑にいくように、また財政運営上支障がないようにいろいろな配慮をしてまいりたいと存じます。
  102. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 各地方自治体の人口減とか、閉山になりますと鉱産税、今まで税金が入っておりましたものが入らなくなるとか、そういういろいろなこと等ありまして、今までのように三つ四つある中の一つということじゃございませんで、一つのその町を支えております炭鉱が閉山になる、また合理化されるということですから、その影響力の大きさというものは十分に御存じのことだろうと思います。実態に即した形でこれはぜひ御配慮いただきたいと思います。  さて、さっきのお話の続きになりますが、産炭地振興整備基金・活性化支援事業でありますが、国としまして二億円でいろいろ支援しようということであります。各地の各町村のことはいろいろあるのですけれども、その中の第一号として芦別が取り上げられたのでちょっと申し上げたいと思うのですが、一期、二期合わせて七十億からの仕事をするということになりますが、既に今日までの財政の窮迫の中で市債としまして起債が百二十億、特別会計なんかを入れますと二百億からの起賞を芦別には起こしているわけですね。その上にまた新しい事業をするということになるわけでありますから、市としましては生き残りのためには全力を尽くしてこれはやらなければならないのは当然だろうと思うのでありますが、しかし、既に一般会計でいえば百二十億、特別会計を入れますと二百億からの市債を抱えておるということでありますから、この運営というのは非常に厳しいということと、それから、やがてこれは債務を返済するということになりますと、一年に五億円というこんな金額になるわけですから、人口減の厳しい中での市としましても財政運営が非常に大変だということ。基金を二億円いただいて計画を立てて進めるということや、それからNTTの無利子のお金、それから北東公庫、こういうところから借り入れをして事業を進めるということになるわけであります。一義的には市が最大の努力を払って市の再建といいますか新しい発展のために努力をしなければならないのは当然のことでありますが、既に二百億からの借金を抱えておる、こういうことの中でこれから事業を進めるのに、一期工事では三十一億ですか三十億、一期、二期合わせますと七十億を超すようなこういう負担をさらにしなければならぬということですが、これが損失補償を市の財政がしなければならぬ、こういうことで事業を進めるというのは、市当局としましても財政運営上乗り越えなければならないことではありますし、通産当局がバックアップをするということでありますからあれでありますが、世の中の大きな変動の中で大変なかけといいますか、今厳しい時点に立たされておる。ですから、地方議会等におきましても財政の問題、いろいろな事業を起こすこと、そして町の活性化を図るということについてはだれも異論はないのですけれども、その裏づけとなります財政ということになりますと、余りにも大きな負担を背負うことになるのではないかということに対しての大変な論議がある。この損失補償ということが市に覆いかぶさってくるということ、これは一時的には当然のことだと思うのでありますが、しかし、現在の財政事情の中で市としてこれを決断するというのには相当な勇気が要ることだろうと思いますし、これはやはり国としての施策、こういうことからいいますと、国としても、それは市がやるのだということではなくて、当然これらの事業推進に当たりましては十分な配慮がなければ、市としてもこの取り組みというのは、積極的にこれを進めるということは非常に難しいことのように思うのですが、これらのことについては、自治省としまして地方財政の上からこういう地方の実態についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  103. 小滝敏之

    ○小滝説明員 産炭地域におきまして第三セクター等の形で事業を実施するものにつきましては、直接地方団体の財政負担という形ではございませんので、直接的な交付税措置等の仕組みに乗らないわけでございますが、それらを側面的に地元市町村の立場でバックアップするためのいろいろな財政需要というのが出てまいる。それらを通じて財政運営上いろいろな厳しい事態に直面するということになりますればいろいろ支障が出てまいる、そういう懸念もあるのではないかということでございますが、今後それらの地域の財政状況等を十分見きわめまして、全体としての財政運営に支障がないように、私どもとしても十分配慮をいたしてまいりたいと存じます。
  104. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 大臣、お疲れのところどうも。  自治省としましては、確かに制度的な交付税の算入とかいろいろなことでの手当てでありましょうが、第三セクターのような形式になりますとそういうことではなくなるわけでありまして、各地方自治体の財政運営としまして大変な過大な財政を必要とする事業をこれから推進するということであります。それは事前に行政当局としましてもいろいろな手だてをして進めるのだろうと思います。しかしながら、こういう変化の激しい社会情勢の中で、よかれと思ったことがそのとおり一〇〇%いくかどうかということになりますと、非常に難しいことだろうと思います。これが損失補償として市当局に全部覆いかぶさってくるようなことですと、進むも退くも非常に厳しい岐路に立たされる、こういうようなことで、地方議会におきましては大変な議論を呼んでおるのが実態のようでございまして、これは確かに融資先とかいろいろなことについてはNTTの無利子を初めとします配慮はあるのですけれども、もう一歩踏み込んで、地方自治体の実態に即した形で今後何らかの支援といいますか、財政基盤の弱い産炭地の町村のこういう事業を推進するに当たっての配慮というのは考えてしかるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  105. 田村誠

    田村国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、こういう問題はあくまでも地元の救済策、特に地元の産業形態の変革ということによって疲弊を招くことのないように、あるいはそれを最小限に食いとめるための救済策でございますから、画竜点睛を欠くようなことになっては何にもならないわけでございます。でございますから、通産はもちろん申すに及びませんが、自治省、大蔵省とも十分話し合いをして、そして一つのことをしたときにまたそれをよき参考としてというふうにうまく進めていくということが何よりも必要でございます。  私がこういう問題で血道を上げましたのも、結局捨てておくわけにいかなかったというのが結論でございます。でございますから、そういう点で三省がお互いに協力して立派に運用してくれるであろうことを期待いたしております。
  106. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 私も期待する一人なんですけれども、これは当事者になりますと期待では済まない、現実的な対応を迫られるということでありますから、ぜひひとつ三省庁お互いに連携をとりながら実態に即した形でお取り組みをいただきたい。
  107. 田村誠

    田村国務大臣 時節柄ちょっと私も、将来の問題でございますので少し体を引いて遠慮した言い方をしましたけれども、これは何をおきましてもやらなければならないことでございますから、十分の努力をするということを申し上げておきたいと思います。
  108. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 産炭地のことにつきましては、大臣が就任以来大変に御努力をいただきまして、この八次策につきましては、私どもいろいろ見ておりまして、本当に大臣なればこそという感じもするわけであります。昨年はまた図らずもということで留任なさいましたが、さらにまた困難な問題にお取り組みになって今日まで来たわけであります。今申し上げたこと、そのほか申し上げたいことたくさんあるのですが、時間もございませんであれですが、これらのことを推進するに当たりまして、やはり根本的には財源ということになります。  午前中もいろいろ議論があったわけでありますが、以心伝心というのか、大臣お話わからないわけではございませんが、私もやはり私の立場としまして、石炭原則を守るのだということや、そしてまた、今日までの経緯の中で石炭勘定というものはやはり維持するということについてのお話がございましたが、行政の継続性といいますか、とかくに最近の新聞では新しい人事のことが云々されておりますけれども大臣に留任して頑張ってくれと言うことは適当であるかどうかわかりません、そうもいかない事情もあるだろうと思いますが、いずれにいたしましても、石炭特別会計として石炭勘定というものがきちっと確保されて、そして八次策の途中でまた大きな不安を引き起こすことのないように、今税制改革ということの中でのことでございますけれども、ぜひひとつ実力ナンバーツーという大臣の立場でこれはきちっと確立をしていただきたい。このことを、午前中もいろいろな議論がありましたけれども、私の立場からも一言大臣の決意をお聞きしておきたいと思うのです。
  109. 田村誠

    田村国務大臣 少し言い過ぎかもしれませんけれども、金は工面すれば何とかなるものです。問題は政策の継続性ということであり、そのために一番必要なものは何かと言えば、私はやはり愛情だと思うのです。そういう点で、石炭産業あるいはそこで働く人々の置かれておる立場、今後伴うかもしれない苦しみというものに対して人間の愛情というものを持って取り組む。同じ政策の継続性でも、愛情を持って取り組む場合と仕事として取り組む場合とではおのずからその結果は変わってまいります。でありますから、私は歴代の通産大臣がどうか愛情を持って接してもらいたいとこいねがう次第でありますが、今の私の心境をあえて申せば、昔映画がありましたけれども、後に続くを信ずという心境でございますが、そのためのあらゆる措置は私が講じておくつもりでございます。
  110. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 愛情論のお話がございましたが、ひとつレールはしっかり敷いていただいて、八次策を手がけた大臣としまして、通産省が特別の担当でないとしましても、ぜひひとつまた政策の継続性、行政の継続性、そういう上からいいましても手がけた者としての心情からバックアップをしていくような形であっていただきたい、こう思うわけであります。  さて、昨年閉山になりました北炭真谷地を初めとしまして各地域閉山、合理化、こういうときにはいろいろな組合また会社との間での約束事、それに対して、通産当局としましてもいろいろなお話し合いの中に入りまして進めて、できるだけなだらかなという原則の上に立って急激な変化のないように、こういう配慮をいただいたことは私どももよう知っておるわけでございますが、夕張に参りましていろいろなお話を聞きますと、北炭また北炭グループとしまして閉山に伴います受け入れ態勢についていろいろなお話がございました。しかし、北炭本社の中にも地方就職あっせん対策室、こんなことで雇用促進、いろいろなことをいたしますと約束したのですけれども現実的には積極的な取り組みといいますか、それは会社のことですから、また地域のいろいろなことがございますから、立てた計画どおり一〇〇%いくということは非常に難しいことなのかもしれませんが、計画がなかなか進まずに就職がいつになっても決まらない、こういうことのために多くの方が地元を離れなければならぬとか当初の希望がかたえられなかったとかいこういうことが非常にあるようでございます。これは、最近の炭鉱離職者の一般的な傾向としましては地元定着という意思が非常に強いというように受け取っておるわけでありますが、そういう中で、できるだけ北炭グループの中で雇用の場をという話し合いであったと思います。  閉山のときにはこうしろああしろ、またこうしますああします、そういうことで積極的ないろいろな働きかけがあるのだろうと思いますが、終わった後それがどうなるかということに対してのアフターケアといいますか、これは通産、労働ともにその後のことについてのきちっとした見守っていく姿勢というのが大事じゃないか、こう思うのですが、北炭だけに限っていることじゃ決してないのですけれども、夕張の真谷地のことについてはいろいろお話を聞いておるわけで、これは通産、労働それぞれどういうように受けとめていらっしゃるのか。いろいろな事情があればあったでやむを得ない一面はあるのかもしれませんが、行政としましても、できるだけ約束は守るということでのその後を見守る、ちゃんと履行しているかどうかということについてのこういうこともひとつ積極的に見ていただきたい、こう思うのですが、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。現状はどうか、ちょっとお伺いしておきます。
  111. 長田武士

    長田政府委員 閉山後の状況でございますが、当然のことといたしまして、私どもといたしましては閉山後につきましても各市町村の方々ともう常時と言っていいぐらいしょっちゅう接触しておりまして、状況の意見交換をやっているわけでございます、また、いろいろな助成措置、企業に対します出融資等の関係もございまして、地域振興公団とも密接な連絡をとってケアしている状況にございます。  お話がございました北炭の問題につきましては、特に今具体的にどうということはちょっと私も聞いてないのでございますけれども、もし何か問題があればまたこれからすぐ調べまして適切な対策を講じてまいりたいと思います。
  112. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 ぜひまた御調査いただきたいと思います。  それから、大臣に、閉山、合理化のときに公共事業を初めとしまして道路網の要望が非常に強い、こういうことについてもいろいろ申し上げました。おかげさまで、高速道路も美唄から滝川まで延びたということや道路網がある程度整備されたということで、地元としましても大変喜んでおりますが、こういう交通網の体制というのは非常に重要な意味を持つだろうと思いますし、それから地域開発の一つの大きなかぎになることは間違いないと思います。こういうことで今後も公共事業、道路網の整備、これは国に関することは比較的進んでおるわけでありますが、地方道、道道、こういうことが一つのまた隘路になっているわけで、これがまた整備されますと地域としての発展の大きな引き金になることは間違いないと思います。  それから赤平なんかですと、どこでもそうですけれども、町の真ん中のいいところが会社の社有地になっておりまして、町としていろいろな計画を立ててもなかなか計画が遂行できない、こういう土地取得の悩みということがあったり、地元にはそれぞれ公共事業や新しい計画を推進するということの中に炭鉱特有の問題があるわけでありますが、そういうことについてもぜひひとつ今後御配慮をいただきたい、これは先ほどのことにつけ加えて申し上げておきたいと思います。  時間もあとわずかになってまいりましたので一つだけお伺いしておきます。それは去年も大臣にもいろいろ申し上げた上砂川の地下無重力環境実験センターの推進、利用する努力についてちょっとお伺いしておきたいと思うのであります。  総額五十二億円、六十五年に実動運転、こういうことで進められて、新素材とかバイオとかこういう先端技術開発の大きなメッカになるか、こういうことでありますが、これは先ごろ地元でもこの推進の協議会をつくって、北海道としても、地域としても大きな問題として推進しよう、こういうことになっておるわけであります。規模は小さいかもしれませんが科学技術庁でもいろいろ同じような計画を立てておるようであります。八百メートル、十秒間というこういう大きなことでは他の追随を許さないものがあるだろうと思うのでありますが、この整備の着実な推進と、早くこれが実用化の成ることが地元のまた大きな発展につながるだろう、こう思うわけであります。これは今後大学とか産業界、さらにまた宇宙開発事業団だとの公的機関の利用、こういうことを積極的に進めるようにしなければならぬと思います。また、国内だけじゃございませんで、国際的な利用にも貢献するだろうと思います。これは非常に大きな意味を持っておると思いますので、この地下無重力環境実験センターの推進といいますか着実な進捗というものを通産当局としましてもぜひ十分に配慮いただきたい、こう思うのでありますが、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  113. 田村誠

    田村国務大臣 これはやっておいてよかったと思っております。せっかく生んだ子供でございますから立派に育ってもらわなければなりませんし、世界に冠たる実験装置にしなければならない、これはもう当然のことでございます。通産省の面目にかけても今後とも進めるつもりでございます。  それからなお、先ほどちょっとお話がございましたが、こういう機会ももう余りないかもしれませんのであえて速記録に残すつもりで私から申し上げておきますけれども、かつて私が申し上げましたように、こういう炭鉱等の町が生まれ変わるために何が必要か、私は、まず第一にアクセスだと思います。それが観光であれば車を入れる、人を入れる、あるいは生産施設であれば、輸送コストを安くするために、いずれにしても道路等を立派に整備したければなりません。そういう一つの大きな意味合いと、いま一つは、他の恵まれた地域等に先駆けてこういうところに傾斜配分をして、そして経済効果を強く出さなければならぬ。大体公共事業ぐらい経済波及効果の速やかで大きいものはありませんから、そういう点でこれは大いにやるべきだと思います。やらなければなりません。  それから道道等については、これは直接通産省が言うべき筋でもないかもしれませんし建設省も命令調に言うわけにもいかぬでしょうけれども、建設大臣とも相談をしといいますか、むしろ建設省の事務方とも相談をして、そして私からもまた道の方へも機会を見て、こういう話があったし、またそれは当然のことだと思うよということを伝えておきたいと思います。
  114. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 じゃ、終わります。
  115. 福島譲二

    福島委員長 次に、吉井光照君。
  116. 吉井光照

    吉井委員 私は、まず今朝来いろいろと問題になりました石炭勘定についてお尋ねをしておきたいと思うのです。再三再四の質問で非常に恐縮とは思いますが、非常に重要な問題であるだけにもう一度お尋ねをしておきたいと思います。  先ほど大臣からは愛情論でもっていろいろと御答弁があったわけですが、私もそのとおりだと思います。今回のように消費税導入に伴う石油税負担軽減策のとばっちりを受けるようなことがあっては断じてならないと思うわけですが、冒頭述べましたように、この問題については全国の産炭地関係者は非常に心配をしておるわけでございまして、ひとつ大臣の御決意をお聞きしたいし、あわせて、大蔵省はこの八次策集塊のための石炭勘定財源確保をどのようにしようとしていらっしゃるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  117. 田村誠

    田村国務大臣 まず、八次策の推進に当たりましては一着実にこれを進めるつもりでございます。財源といたしましては、先ほど来申し上げておりますように石炭原則、つまり、石炭勘定維持、それから安定的財源確保石炭対策に必要な歳出の確保、この三原則は断じて守り抜くつもりでございます。
  118. 永田俊一

    永田説明員 お答えいたします。  石油にかかる税負担の問題につきましては、現在通産省さんとお話をさしていただいておりますが、石炭対策につきましては第八次石炭対策を推進していくことの重要性、これも踏まえまして、この税負担の問題が石炭対策に悪影響を及ぼさないように努めてまいる所存でございます。
  119. 吉井光照

    吉井委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、褐炭液化研究についてお尋ねをしておきたいのです。  我が国のエネルギー事情も時代とともに大きく変化をしてきておるわけです。炭鉱の相次ぐ合理化、それから原子力の問題にいたしましても、チェルノブイリの事故以来世界的な規模で反原発運動というものが展開をされつつあるわけですが、こういった中で、二十一世紀におけるところの我が国のエネルギー需要というものを考えますと、やはりより安全で、そしてより安い新代替エネルギーの開発というものはこれはもう必要不可欠であります。こうした状況の中で、その一環として研究されてきたものに褐炭液化研究があります。  私もこの問題については若干関心を持っているわけですが、たまたまきょうの新聞報道によりますと、八年前の昭和五十五年一月に日本とオーストラリア両国政府が協力をしてこれを研究開発することに合意がされております。そのときの建設費の四百七十億、これは日本政府が負担をしたわけですが、毎年六十億から七十億の金が、いわゆる研究費がつき込まれておる。そしてこれまでに総額約一千億弱のお金がつき込まれてきておるわけですが、現地では非常に積極的にこの研究を進めたいということでございます。しかし、世界のエネルギー事情が最近一変をして、この石炭液化というものが採算ベースに乗る見込みが非常に少なくなってきた。したがって、このまま継続し続けて現在のその採算を無視してでも世界の研究開発に貢献しようとするのか、それとも二年後の計画完了をもって日本政府としてはもうこれを終了したいのか、見直しをするのか、そこらあたりについての御所見をひとつお伺いしておきたいと思います。
  120. 鎌田吉郎

    鎌田政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、エネルギー政策は長期的な観点に立ってこれを進める必要があるわけでございます。長期的な立場で考えますと、我が国は大変脆弱なエネルギー基盤でございます。石炭資源を有効に活用し、これを直接石油に代替できる輸送用燃料として得るということも大変重要な技術じゃないかというふうに思っておるわけでございます。そういった意味で、ただいま御質問がございましたように、褐炭液化技術の研究開発を豪州との協力のもとに進めているところでございます。  この褐炭液化技術は現在まだ研究開発中でございまして、その後どうするかということについては、ただいまの段階ではなかなか申し上げにくいわけでございますが、ただ私どもの気持ちといたしましては、この研究開発プロジェクトは日豪間のエネルギー協力の一つの大きなシンボルになっているわけでございます。それからまた長期的に見ると、この技術が必ずや生かされる時期があり得るわけでございます。そういった意味で、後の話というのは今の段階ではなかなか申し上げにくいのでございますが、私どもの気持ちとしては、いずれにしましても将来に何らかの形でつながるような、そういう結果になるようにぜひ努力してみたい、かように考えておる次第でございます。
  121. 吉井光照

    吉井委員 では次に、鉱害対策について若干お尋ねをしておきたいと思います。八次策の柱の一つであるところの鉱害対策についてであります。  石炭鉱害によって荒廃した国土の復旧は、昭和二十七年に制定された臨時石炭鉱害復旧法によって行われてきておるわけですが、五十七年に十年間の延長があったわけです。しかし、その期限も四年後の六十七年で切れることになるわけですが、五十七年以来今日までの鉱害復旧事業の進捗状況はどうなっておるのか。また、六十七年までの見通しはどうなのか。北海道、それから九州、この進捗状況はどうなっておるのか。十年間の目標で進んできているわけですが、この間において二次鉱害的なものが発生はしてないのか。もし二次鉱害的なものが発生をしているのであるならば、六十七年までの計画にこの二次鉱害まで加えていくのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  122. 長田武士

    長田政府委員 鉱害復旧につきましては、先生今おっしゃられました臨鉱法に基づきまして五十七年に鉱害復旧長期計画を決めておりますが、この中で五十七年度以降十年間で五千九百億円、五十七年の価格でございますけれども五千九百億円という数量を決めておるわけでございます。この数量と比較するわけでございますが、六十二年度末の我々が実際に実施しました復旧工事は、その五千九百億円に比べまして六五%に当たります。したがいまして、六五%達成してきているということになるわけでございます。六年間で六五%の達成率、こういうことでございます。比較的順調にいっていると理解しているわけでございます。  今後の点につきましては、この臨鉱法が六十七年の七月に期限切れになるものですから、その期限内に何とか完了させるように、そういう決意を持ちまして最大限の努力をしていきたいということでございます。  それから、なお鉱害につきましては、現在のところ北海道には私が今申し上げているような鉱害はございませんで、九州地区がほとんどを占めているという状況にございます。それから、先生指摘の二次鉱害の点でございますが、二次鉱害というもの、一度復旧工事をした後に新たた原因などによりまして再度工事を行うというようなことがあるわけでございますけれども、そのようなケースにつきましてもこの数字の中に入っている、こういうことでございます。
  123. 吉井光照

    吉井委員 そこで、地元の具体的な問題についてちょっとお願いなり御見解を承っておきたいのです。  御承知のように、山口県下で今なお鉱害問題を抱えているのが美祢市と小野田市ですが、私も去る五月に両市を視察いたしました。そこで、この結果を踏まえながら質問をするわけですが、まず、美祢市の大嶺炭鉱跡の脱水鉱害、これについてお尋ねをしておきたいと思うのです。  この美祢市は、現在人口二万人足らずの非常に経済力基盤も弱い小都市でありますが、その歴史は、大嶺炭田に始まって、明治、大正、昭和の三代にわたって石炭とともに発展をしてきた町でございます。しかしながら、閉山という時代の流れとともに市の経済も大きく変化をいたしまして、次第に過疎化が進行しているのが現状でございます。この地域にも閉山に伴うところの石炭鉱害の問題が数多く発生をしたわけですが、その多くが非常に小規模のこともあって、その都度、関係企業や関係各機関、また地権者間の相互協力の関係もとに割合スムーズに今までは解決をしてきたわけでございます。しかし、これにも限界というものがありまして、やはり大きい問題になりますとどうしても国の行財政的な援助というものが必要になってくるわけでございます。ところで、美祢市の今一番大きな問題として起きているのが脱水鉱害の問題でございまして、この脱水鉱害は美祢市を初め近隣の町村にも起きているのではないか、このようにも言われております。その原因というものは、御承知のように美祢斜坑が海抜約百十メートルの丘陵地に位置しているためで、すなわち、この百十メートル以上の地域では、川やため池等を利用して真夏の渇水期における水不足であるとか山林火災等の対策としてきているわけですが、この美祢斜坑というものが原因で脱水をしていく。したがって、そのため池の水が全部干上がっていく。今までたくさんあったため池というものがほとんどその影を潜めてしまった。したがって、これが農業関係にも大きな影響を及ぼしているわけでございます。さらには、山火事によるところの大災審の危険性、これもあるわけでございまして、この解決策として、やはり経済効果をも加味して、山頂まで三つの道路を  つくって、その途中三カ所に防災用人工ため池を建設してはどうか、こういう案も出ているわけでございます。そのための費用は大体三億から四億円ではないかということでございます。  一方、百十メーター以下の地域では、この脱水した多量の水がその坑道を通りまして、そして一カ所にそれが全部出てくる。したがって、その水に非常に悪臭がある。これは特に夏の時期にひどいわけでございますが、この水が果たしてどういう水であるか。これはせんだっては公対審の議題にもなってきたわけでございますが、これにどのように対応していくかということになりまして、これを一たん百五十メートルの上までくみ上げていく、そしてそこからその悪臭を曝気して浄水化していったらどうか、こういう案が持ち上がってきたわけでございます。ところが、その施設費は約一億五千万から二億と言われておりますが、今までの全部を合計しますと約五億程度の事業費になるのではないかと言われておるわけですが、先ほど申し上げましたように、人口二万足らずの小都市では財政的にはなかなか難しい。そういったことで、産炭事業団との関係では今お願いをして、結局国の援助を少しでもお願いできはしないか……。こうしたことを踏まえ、最近美祢市の市議会では、この脱水鉱害に関する特別委員会を設置して、市を挙げて国の関係機関に積極的に働きかけようではないか、こういうことにもなっておるわけでございます。  そこで、まだ現地からは申請は出ていないということでございますが、もし申請があった場合にはどのような手続を踏んでこれが決定をされるものであるのか、また、当局としてはこういった問題についてどういうふうに対処し指導されるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  124. 長田武士

    長田政府委員 まず、鉱害復旧工事の手続でございますが、被害を受けたという住民がいらっしゃいますと、その住民が、いわゆる鉱害賠償義務者、企業でございますが、この企業と話し合いまして、その結果、鉱害復旧事業団の方に鉱害復旧工事をしてくれという申し出をしてくるわけでございます。そうすると、事業団が通産局に対しまして鉱害認定の申請をするというプロセスになっているわけでございます。  そこで、本件につきましては、現在住民と企業との間で話し合いが行われているという段階でございまして、企業の方から事業団に対しまして鉱害復旧の申し出がまだ出てきておりませんものでございますから、私どもとしましても、今先生からいろいろ細かくお伺いいたしましたが、そういう事実関係といいますか、両者の話し合い内容をまだ詳しく把握していないわけでございますので、当庁といたしましては、早急にその実態を十分聞いてみまして、そして必要に応じてまたその話し合いが円滑に行われるように必要な指導をしていきたいと思います。  また、手続といたしまして、事業団にお申し出が出てまいりますと、事業団が現地を見るなりいろいろ鉱害復旧工事としての適格性要件を備えているかどうかということを審査して通産局の方に認定申請に出てくる、そういうことでございます。
  125. 吉井光照

    吉井委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、小野田の鉱害問題についてお尋ねをいたします。  昭和五十五年の三月二十七日に当委員会で私が質問をしたわけですが、小野田炭田におけるところの鉱害復旧問題に関連をして再度ここで確認をしておきたい点が幾つかあるわけでございます。  まず、鉱害復旧事業の対象となるいわゆる鉱害の認定については鉱業法に規定がありまして、かたり客観性が要求され、原因と被害との明確な因果関係を必要としているわけです。これに基づいて具体的に判断をされて、そして鉱害認定がされて復旧ということになるわけですが、この場合の復旧の定義といいますか、具体的にはどのようになったときを指すのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  126. 長田武士

    長田政府委員 復旧の定義というお話でございますが、ちょっとかた苦しい話になりますが、臨時石山灰鉱害復旧法の第二条に「復旧工事」という定義がございまして、これによりますと、「鉱害が生じている土地物件が本来有していた効用を回復するように、その土地物件について施行する工事及びこれに附帯する工事」ということでございまして、御質問の復旧工事の復旧済みということは、このような復旧工事が行われ効用の回復が図られるということを意味すると考えております。
  127. 吉井光照

    吉井委員 それでは、復旧済みということはどういう要件を備えたときをいうのですか。
  128. 長田武士

    長田政府委員 事業団等によります復旧工事が完了いたしますと、原則として主務大臣によって完了検査というのを行いまして、その検査が終了しましたときに復旧工事は完了する、これは原則で、いろいろなケースがございますが、そのように考えていただければと思います。
  129. 吉井光照

    吉井委員 そこで、この一次と二次鉱害の関係なんですけれども、小野田に御承知のように西の浜という地域があるわけですが、ここはやはり復旧されまして、そして宅地利用されて二十年を経過した。そこにはちょっと雨季になりますと水がたまるとかいろいろな苦情があるわけですけれども、後に市の方で市営住宅を建てようとした、いわゆるビルを建てようとしてボーリングを行ったところが、四カ所中 二カ所で旧坑道が発見されて、結局、建設不可能ということになったわけです。こうした場合に政府としては、臨鉱法で一度復旧されているので復旧の対象とならない、また、現在の臨鉱法では被害が起きてから復旧するという体系になっているから復旧できないと言うわけでございます。一度復旧されているので御安心ください、このように政府がおっしゃるものですから家を建てて長年居住したのに、今度は旧坑道がたまたま発見をされて、沈下、そしてわき水の危険があることがわかっても二次鉱害とならないということは、災害の未然防止の観点から見てもちょっとおかしいのではないか、当然二次鉱害の認定があってしかるべきだと思うわけですが、御見解はいかがですか。
  130. 長田武士

    長田政府委員 御指摘の小野田市西の浜の住宅関係の案件でございますが、この地区につきましては、六十戸の元市営住宅がありますが、うち四十戸が昭和三十五年度に臨鉱復旧しているわけでございます。これについてのお話かと思いますが、この地区につきましては標高が低く、それから排水路等の整備が悪く水の排水が不良なための浸水被害と考えられるわけでございますが、その後市が実施しました地質調査の結果、先生今御指摘の浅いところに発見された旧坑道といわゆる浸水被害との因果関係があるかどうかということでございますが、市の実施しました地質調査の結果ではこれの因果関係はないということでございまして、したがいまして、これは別の鉱害ではございませんものですから二次鉱害として復旧の対象とすることは難しい。  なお、本件につきましては、市が揚水ポンプの設置とかあるいは水路改修等を行いまして、被害は解消してきているというふうに私どもは聞いております。
  131. 吉井光照

    吉井委員 そこで、小野田市の残存鉱害量についてですが、これは昭和五十五年当時の私の質問に対するところの会議録によりますと、政府答弁が、今後どれだけの残存鉱害が残るかという点については関係者調査中で、現地調査等を踏まえ正確な残存鉱害を把握したい、こういう積極的な答弁があったわけです。したがって、昭和五十五年ですからもう八年を経過しておるわけですが、その調査結果はどうなっておるのか、また現在はどの程度の量が残っているのか、ひとつお教え願いたいと思います。
  132. 長田武士

    長田政府委員 小野田市の鉱害の量の点でございますが、最初、事業団の委託を受けまして小野田市が調査の実施をいたしまして、市民からの申し出を受けたわけでございます。これに対しまして通産局、事業団が調査を実施いたしまして、さらに現地調査を行った上で鉱害量を集計しているということなのでございますが、その結果として、全体の鉱害量の中に、全国の鉱害量の中に入っているということなのでございます。  そこで、先生の小野田市の鉱害量は具体的にどうかということでございますが、この鉱害量は、その都度よく精査をし、法律関係現実にいろいろな物理的な問題、地理的な問題等を精査した上で確定するものでございますので、この全国の鉱害量幾らのうち小野田の量が幾らかというような具体的な数字の公表はぜひ差し控えさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  133. 吉井光照

    吉井委員 わかりました。  そこで、結局、小野田市としては、鉱害復旧というものが大体八五%は終わっている、あと一五%の分についていろいろな面で非常に手間がかかっておる、鉱害を調査しろと言われるから調査をした、ところが、それが本当に鉱害として認定をされるのかどうかということがいつまでたっても全然はっきりしない、したがってあとの一五%についてはもう手のつけようがない。したがって、小野田市がこれは鉱害ですよと認定を求めた分が十あったとして、そのうち認定が三であった、あとの七についてはもう認定はできませんよ、こういう事態になってもいいからとにかく早く認定を下してもらいたい。でなければ結局困るのは市民でございますので、市としてはいろいろな苦情が上がってきたりなんかして非常に困っているわけですよ。したがって、それを早くしてください、こういう要請が非常に強いわけですけれども、いかがですか。
  134. 長田武士

    長田政府委員 この鉱害につきまして地元の市民の方から早く復旧工事をやってくれという御要望があるのは、非常にごもっともだと思います。片や私ども通産省あるいは鉱害復旧事業団といたしましては、法律的な問題、その案件に照らしまして厳重に客観的な基準で審査しなければいけないわけでございます。そういう点から私ども厳正にやりたいと思うわけでございますが、地元のそういう声もよく理解できますので、なるべく早く進めるように関係方面を指導してまいりたいと思います。
  135. 吉井光照

    吉井委員 今御答弁をいただいたわけですけれども、とにかく、先ほど申し上げましたように、場合によれば人体にも影響を及ぼしかねないような問題でございます。私も現地へ行きましたところが、道路がだんだん陥没をしておる、そしていわゆる自分の住宅の床の下を水が流れておる。結局そういうふうにしないと水が流れないということなんです。ところが住んでおる方は、毎晩寝ておっても床の下を水がちょろちょろと流れる、もう気持ちが悪くてたまらない、何とか早くしてくださいという声を非常に聞いたわけでございます。そういう地元住民にとっては大変な問題でございますので、どうかひとつ一日も早くこの結論を出して対処をしていただきたいと思います。  これを強く要請をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  136. 福島譲二

    福島委員長 次に、小渕正義君。
  137. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 まず、大臣にお尋ねいたします。  非常にくどいようで大変恐縮とは思いますが、今日の石炭産業の主要の関心は、きょうの開会当初からそれぞれ論議を呼んでおります石特会計の問題でございます。  先ほど来、通産大臣より非常に心強い決意のほどが述べられておるわけであります。石炭原則は死守する、仕上げをひとつぜひ見てほしい、要約するとこういう御決意が示されたわけであります。そういう点においては十分理解するわけでありますが、先ほども大臣お話の中にありましたが、大蔵省との今後の折衝の中身になるので、どういうやり方でどういうふうにするかまでをつまびらかにすることは差し控えたいということでございました。俗に言うすねを払うか、手で相手を張るか、どう倒すか、いろいろやり方はあるのだということでございましたが、そういう大蔵省との折衝のベースといいますか基本的な考え方というものは先ほどより石炭原則の死守だということを言われておりますが、具体的な議論の対象になっておるのは、要するに石油消費税単純併課から端を発しました石特会計の問題でございますので、結果的には、今タックス・オン・タックスという表現で使われておりますように、石油税の三兆二千億関係の中の分をいろいろと考えて一千億程度石油業界の負担を減らす、それから、現在石油製品の税金約二百億程度入ってきておる一般会計の分を石特会計に回す、そういうことで結果的には一千二百億程度石油業界の負担を軽くするというようなものを柱にしてこの石特会計維持する、こういう一つの考え方が浮上しておりまして、それが通産省の対大蔵折衝の一つの大きな基本的なベースだと私は思うのでありますが、その点についてどうなのか。これも、そういう考え方もいろいろあるので示されないというふうに言われるのかどうか、ちょっとくどいようでありますが。  なぜ特にこれにこだわるかと申し上げますと、過日、衆議院での税制法案の成立の際に我が党と自民党でこの問題等も含めたいろいろな話し合い、修正の話し合いが行われた中で、基本的なベースというものが自民党筋の中では一応大体了承されたというふうに我々は理解し受けとめておるわけでありますので、そういうものがまた結果的に今の通産省と大蔵省の中であいまいになりたがら、ただ何とか財源確保しようということであってはどうなのかなという疑念なしとしませんので、そういうものを含めて、先ほどより大臣の御決意のほどは十分理解しておるわけでありますが、まず、そういう考え方といいますか、対大蔵省とのそういった石特会計維持する、死守するという基本的なベースといいますか考え方は、私が今申し上げたようなことを基本にしながら行われようとされているのかどうかということも含めて、大臣の御答弁をいただければと思います。
  138. 田村誠

    田村国務大臣 それはもう申すまでもないところでございます。  ただ、いよいよ大詰めになっておりますから、我々がこう言って彼らがこう言って、彼らがこういうふうに言ってくればこう言うつもりだということを申し上げることはいかがなものであろうか。逆説的に申しますならば、私が今一番知りたいことは何だ、大蔵省最後ぎりぎりどこまでを考えておるか、これが私は一番知りたいことなのです。と同時に、逆に言うと、田村はどこまで攻めてくるか、どこいらでおりるだろうかというのが大蔵省が一番知りたいことだろうと思うのです。それをあらかじめ申し上げるわけにはまいらぬという趣旨で先ほどから申し上げておるわけでございますが、ここはちょっと言葉が過ぎたらお許しを願いとうございますけれども、我々通産省から見ますれば、国会の委員会ではありますけれども、率直に言って内輪の会合でございます。我々の応援団でございます。でございますから、もちろん公党間の約束というものをたたき台にすることは当たり前のことでございます。石炭原則というものを譲る気はない、これも当然のことでございますから、そこらを踏まえて頑張りますので、ひとつ御協力、御支援のほどをお願い申し上げます。
  139. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 大臣のかたい御決意のほどをお聞きして非常に安心しているわけでありますが、一抹の不安なしとしたいのは、世上、あと一週間もすると内閣が改造される、こういうことがいろいろうわさされております。大臣はこの前も御留任していただいて、そのために我々としては非常に心強かったわけでありますが、この次もそういう形でやってもらうと一番いいと思うのでありますが、その点わかりません。いずれにいたしましても、そういう大臣のかたい御決意がそれぞれ政策の継続性として、通産省としては一致してひとつ頑張っていただくということを心から期待いたしまして、この財源問題は終わりたいと思います。  次に、先ほどからも六十四年度の通産省としての石特会計に関する概算要求でいろいろお話があっておりました。来年度約千二百六十億程度で今年度と余り変わらない中身でありましたが、新規のものとして、産炭地域に対する交付金の一部の特例的な考え方、それから閉山に伴う下請離職者に対する退職金の支給の問題、それからあと一つは現在運用されておる貯炭制度の中における管理費についても融資の対象にしていくという大体三点が、新規といいますか新味な、六十三年度よりも少し特徴的なものとして説明されているわけであります。  私は、これは説明を聞いておりまして、御承知のように、現在稼働している炭鉱においては残念ながら生産量の縮小がそれぞれ行われまして、その上になお生産性を上げていかなければいかぬ、炭価は据え置き。その中で働いておる人たちの労働条件をどうするかということになると、もう現状維持がやっとこさというような状況のところが多い。そういう中で生産量を縮小していくということになりますと、いかにして生産性を上げるかということになるわけであります。しかも、炭鉱のような経営の中では、数を減らしたからといってそれに附帯するいろいろの固定経費を減らすというわけにいかないという宿命を持っているわけですから、それだけより経営にそういう意味での生産量の縮小に伴っての負担が大きくなりまして、逆に、生産性向上どころか非常に苦しい状況に追い込まれるというのが現状じゃないかと私は思うわけであります。  そういう点を考えますならば、そこらあたりもっと前向きなそういう新しい政策が六十四年度の概算要求の中で取り上げられていいのではないかと思うわけですが、そういう意味での前向きな、生産性を上げていくというような意味においての前向きなそういったものが今回の六十四年度の概算要求の中には一つも見当たらないという点は非常に残念に思います。そこらあたりは大体どのようにお考えになっておるのか、その点ぜひひとつ見解をお示しいただきたいと思います。
  140. 長田武士

    長田政府委員 先生指摘の前向きの点ということでございますが、規模の縮小によりましてコストが増大する、そういうようなことに対してどうするのかというお話でございましたが、この八次策を出発するときに、すなわち六十二年度からでございますが、規模縮小交付金を創設しましたり、あるいは安定補給金の中に減産加算制度を設けるというようなことで対応したわけでございます。  さらに、来年度の要求との関係でございますが、直接的に生産面に対する助成ではございませんが、保安の補助金というものがございまして、この中で、仕繰り拡大工事、ガス抜きあるいは先進ボーリング工事、そういうようなものについて助成を強化して、生産面でもこういう国の助成が均てんできるように配慮しているわけでございます。
  141. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そういう間接的な面でのあれは十分理解しておりますが、もう少し直接的な、生産能率を上げるという意味での機械化、その他近代化的なものでもう少し考える必要があるのではないか、非常にそういう危惧もするわけですが、その点についてはどのような御見解がお伺いします。
  142. 長田武士

    長田政府委員 炭鉱におきますいろいろな近代化投資の関係につきましては、基本的にはNEDOの融資ということでやっておりまして、この面で十分な資金を確保して問題のないようにしたいと思っております。
  143. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは、次に移ります。  六十三年度、来年の三月で一応終わるわけでありますが、この本年度の需要確保について現在までの状況はどのようになっているか、今日の現状についてひとつ説明いただきたいと思います。
  144. 長田武士

    長田政府委員 先生質問の点でございますが、六十三年度の需要という面につきましては、八月に合理化実施計画を既に定めておりまして、需要面につきましては、総量といたしまして千二百八十八万トン、うち鉄鋼が八十万トン、電力が千三万トンという数字になっております。  なお、六十四年度につきましては、八次策の基本的な合意という大枠を踏まえまして、これから需要業界と供給サイドとの話し合いが行われてまいる、こういうふうに考えております。
  145. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今言われたことは、六十三年八月五日に石炭鉱業合理化実施計画が決定しておりますが、大体この数字の中ですべて推移しているというふうに見ていいわけですね。
  146. 長田武士

    長田政府委員 六十三年度の上半期の数字を供給面と需要面でとりますとほぼ半分程度でございまして、半分と申しますのはこの合理化計画の数字の半分程度でございまして、その意味では順調にほぼ計画に沿って推移していると言えると思います。
  147. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 たまたまこの計画に関連しますのでお尋ねしますが、これは労働省関係になりますが、これでいきますと人員の合理化実施計画の中で、資料として全体の能力、生産能率それから実績、その他働いている労務者の数とか出ておるわけでありますが、ざっと考えますと、六十二年度が常用の労働者が約一万人、六十三年度の合理化実施計画で八千四百人、大体こういう数字が先ほど示された計画の中の主要な柱になっておるわけでありますが、現実に六十三年度で生産規模縮小に伴いまして人員の合理化その他で炭鉱を離職された人たちはこの計画以上にまだあるのじゃないか。六十二年度と比較した場合にたった、たったじゃないけれども、千六百人程度で済まないのじゃないか。三井三池での合理化実施による人員減、松島池島鉱の合理化、いろいろそういった全体的な数字の減少を考えるならば、この計画以上に人員は減っておるのではないかという疑問が非常に残っておるわけでありますが、この点、労働省としてはどのようにお考えなのかお尋ねします。
  148. 竹村毅

    ○竹村政府委員 いわゆる第八次策のもとにおきまして、まず高島炭鉱がこれに入っておりますけれども、今までに約九千名、正確には九千百八十二名でございますけれども、炭鉱離職者が発生しております。このうち私どもの安定所に求職を申し込みましたのは八千二百四十四名で、十月末現在で四〇・五%に相当する三千三百四十二名が就職しておるという状況でございます。
  149. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私が今質問しているのは、実績確保で六十二年度と六十三年度の需要の数字が表示されていますが、現実にはこの計画以上に六十三年度は人員減になってしまっておるのではないかということをお聞きしたかったわけですが、この点はいかがかということです。
  150. 竹村毅

    ○竹村政府委員 失礼いたしました。  大体私ども、見通しといいますか計画に沿った線で離職者も出ているのではないかというふうに解釈しております。
  151. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは、たまたまこの問題に入りましたので重ねて質問いたしますが、先ほど説明されたのは炭鉱離職者全体の数と現在の就職状況についての数字の説明だったと思いますが、これはデータとしては今すぐのお持ち合わせがないかもしれませんが、それぞれの地域での就職と、住居を移してというよりも従来の生活圏を離れて都市その他いろいろなところに変わられて就職していった状況との割合といいますか、そういうものがどの程度になっておるのか、その点はいかがでしょうか。
  152. 竹村毅

    ○竹村政府委員 先生御案内のとおり、炭鉱離職者は地元就職希望が非常に率が高いわけでございますけれども、就職者の内訳を見ますと、三千三百四十二名が現に就職しておりますけれども、そのうち県内といいますか、地元ということではなくて北海道ですと夕張から札幌へということも含まれておりますけれども、県内就職者、道内就職者が二千五百七十二名、そして県外なり道外に出ていったという者が七百七十名でございます。いずれにいたしましても、外に出ていくという、特に県の範囲を超えて出ていくというのは非常に低率になっております。
  153. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そこで、次の質問に移るわけですが、これは特に働いている石炭労協の皆さん方からの強い要望として、援護相談員をもっと増員してほしいとか、大都市圏への再就職視察に夫婦で行くための費用の計上とか、住宅入居時の補助費の増額とか、こういう要請が出されておると思いますが、この点については現在どのような取り組みをなさっておられるか、ひとつ考え方を含めて教えていただきたいと思います。
  154. 竹村毅

    ○竹村政府委員 今先生が御指摘になりましたいろいろな施策につきましては、私どもも非常に大切なまた効果のあるものだというふうに思っております。来年度におきましては、新規要求分を含めまして約二百二十三億を要求しておりますけれども、これから予算編成がいよいよ山場を迎えるわけでございまして、労働省といたしましては、財政当局に対しましてその必要性について理解を求めることにより炭鉱離職者の早期再就職の促進に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  155. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 炭鉱離職者はこれからなお第八次政策の進行の中でまた増大してくる、今後も発生するわけでありますから、ぜひこの種の再就職関係についてのいろいろな関係者の要望については前向きに取り組んでいただいて、ひとつ積極的にぜひ制度化していただきたいということを特に強くお願いしておきたいと思います。  そういう点で、きょうは労働大臣がおられませんので政務次官がお見えのようでございますが、今までの労働行政としてこういう離職者対策というのは大変前向きに努力されていることは評価するわけでありますので、ぜひひとつもう一段思い切った方向に頑張っていただきたいと思います。その点での御決意をお聞かせいただければと思います。
  156. 浦田勝

    ○浦田政府委員 けさほどからいろいろと諸先生方の御意見も承っておりますし、ただいま先生のおっしゃいましたことを含めまして、労働省といたしましては雇用の確保のためにあらゆる制度、施策を十分利用しながら万全を期して努力をしていきたい。なおまた、先ほどおっしゃいましたような夫婦で現地視察とか、こういうものはこれからそういうふうにやった方がいいのじゃないか。先生指摘のように、炭柱の皆さん方は非常に仲間意識が強くて、地元志向が強うございますものですからなかなか雇用の拡大が図れないところに問題があるわけでございます。しかしながら、いずれにしましても、総体的には一雇用の確保は促進されておりますもののそういう面を、先ほど先生がおっしゃいましたようなことで、でき得れば御夫婦して事業所をごらんになっていただいて、できる限り広範囲な中での御就職ができるように努力をしていかなければならぬ、かように思っております。
  157. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今申しましたように、現在の炭鉱で働いている人だって地元出身の古い人たちが非常に多いわけでありまして、そういう関係から、単なる炭住だけの集団生活は抜きにしましてもお年寄りを抱えておる、それから先祖代々の墓のお守りをしなければいかぬとかいう生活環境にあるわけでありまして、それだけに県外へ思い切って行こうというにはかなりの決断が要るわけでありますので、そういう点からも今申し上げたような点については前向きに積極的にぜひお願いしておきたいと思います。  次に、これも関係者の中から強い要望が出されておりますが、離職された中で再就職された場合に、鉱山保安法による資格の準用ということです。鉱山保安法による資格として保安技術管理者並びにいろいろなそういった資格をお持ちの方たちが再就職をした場合に、これとほとんど業務の内容が変わらないようなものが労働安全衛生法によって再度資格を取らなければいかぬ、こういう問題が発生しておるようであります。しかも現状では、ごく特殊な発破作業とか溶接作業を除いては、新たな資格取得ということでの手続その他、勉強といいますか講習といいますか、そういうものが要るということのようでありますので、ひとつ類似のこの種資格関係を横並びに見ていただきまして、鉱山保安法による資格を持っておる人たちが、相当期間のそういった経験を持ったものについては、共通的な、そういう類似的な資格についてはそのまま取得ができるような措置ができないかというのが離職者の再就職された人たちの中の一つの大きな期待でありますし要望でございますが、この点についてはいかがお考えなのか、お尋ねします。
  158. 草刈隆

    ○草刈説明員 炭鉱離職者の再就職につきましては、我々としてもその重要性を認識しておりまして、その促進に努力しているところでございます。先生指摘のように、発破の業務等一部の鉱山保安法上の資格につきましては既に認めているところでございます。私どもといたしましては、何せ労働者の生命、安全及び健康に関することでもございますので、鉱山保安法の資格の内容につきまして十分技術的な検討を行いまして、労働安全衛生法の資格との類似性、おっしゃるとおりでございますが、類似性を比較検討し、乗り入れ可能なものにつきましてはこれを認めていく方向で検討してまいりたく存じております。
  159. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ぜひひとつその点は積極的によろしくお願いしておきます。  これで労働省の関係を終わりまして、また通産省に戻りますが、現在の制度の中で、貯炭管理制度が非常に新しい八次政策の一つの柱として運用されているわけであります。御承知のように、貯炭管理制度で新会社によって貯炭が管理されて、それぞれ関係者が非常に救われているわけでありますが、それでもなお貯炭が非常に増大するような状況が出ているわけでありまして、貯炭管理制度のもう少し弾力的な運用ということで何とか、今定められたことだけでなしに、若干一般炭といいますかそういうものについてもいま少し必要によって、状況に応じては弾力的に運用するということもできるのではないかということで、そういう意味での期待も非常にあるわけであります。現在定められた範囲内での運用で貯炭が管理されているわけでありますが、買い上げされておるわけでありますが、そこらあたりどうですか、もう少し弾力的運用ができないものかどうか、その点率直にお尋ねします。
  160. 長田武士

    長田政府委員 貯炭管理制度でございますが、この八次策の二つの枠組みといたしまして、六十六年度に供給規模をおおよそ一千万トンにする、と同時に過剰貯炭をゼロにしていく、これが八次策の枠組みでございます。その間、五年間に若干の需給ギャップを生ずる一時的な状況を補てんするといいますか、それに対処するために貯炭管理制度をつくってあるということでございます。そしてその買い上げ量は毎年定めますところの合理化実施計画によりまして定めておりまして、例えば六十三年度は三百四十万トンと決めているわけでございまして、このような貯炭管理制度を運用していくことによって八次策中に円滑にこの大枠の考え方を達成できるのではないか、私どもとしましてはそういうふうに考えているわけでございます。
  161. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 定められた限度ぎりぎり買い上げが行われておることはよく理解しているわけでありますが、やはり貯炭がそれ以上に、四百万トン、四百五十万トンというふうに増大する場合にはもう少し何とか一工夫できないかという感じも非常にいたしますので、その点ぜひもう少し弾力的に運用ができないかどうか研究していただきたい、これは要望しておきたいと思います。  それから、現在非常に問題になっているのが雑炭ですね。千八百万トン時代に雑炭が百九十万トンか何かあったとか、しかるに今日現在千二百万トンの中で百七十万トンもの雑炭があるとかいうことで、雑炭の性格もどうなのかということもいろいろまた議論はあるでしょうけれども、これが一つ現在の石炭政策の中での大きなポイントにもなっているわけでありますが、この雑炭の実態というものについてメスを入れるということで石炭部長の方でも、エネ庁の方でもそういうことに着手されたという話を聞いているわけでありますが、現在どのようになっておるのか、この状況について御説明いただきたいと思います。
  162. 長田武士

    長田政府委員 雑炭につきましては、過去からいろいろな議論がございますけれども、最近はそのパーセンテージが非常に上がってきているということでございまして、各方面からいろいろ御指摘をいただきました。そこで、私どもとしましては本年の九月から雑炭に対する実態調査を始めております。その調査を現在行いつつございますが、この流通経路といいますものはかなり明らかになりましたけれども、そのユーザーと生産業者との間に介在する中間業者の数も非常に多くて、実際に取引の態様も多種多様でございますので、私ども現在さらに引き続き追加的な調査を行っているわけでございます。  基本的には、この雑炭の問題は坑内炭に悪影響を及ぼす、こういう問題でございます。ただ、品質調整のために必要なものもあるというふうにも考えられるということで、なかなか難しい問題でございますが、極力雑炭というものを減らしていくようにこれからも努力をしていきたいと考えております。
  163. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今の御答弁をぜひ期待いたします。ウエートがかなり変わってきているわけでありますから、それだけにより実態を解明して、減少させる方向での努力をひとつ期待しておきたいと思います。  次に、石炭利用技術開発状況についてお尋ねいたします。今日まで長い間、それぞれ石油にかわる代替エネルギーとしての石炭の新しい技術開発石炭液化とか石炭生産・利用技術とか、これは石油代替エネルギー勘定で、また電源多様化勘定の中でも石炭火力開発技術とか石炭エネルギー関係技術開発とか、いろいろ項目が設けられて今日ずっと取り組まれておるわけでありますが、現在そういったものがどういう状況になっているのか、特に新需要分野を開拓するための技術開発というものについては何か考えられているのかどうか、そこらの状況についてひとつ、石油にかわる石炭としての新しいそういう分野における技術開発の現状、今日まで行われた総額の費用等含めて御説明いただきたいと思います。
  164. 長田武士

    長田政府委員 石炭利用技術の開発につきましては、通産省としましてこれを非常に重視しておりまして、従来からコール・ウオーター・ミクスチャーあるいはコールカートリッジシステム、CWMとかCCSとか言っております。そのほか流動床燃焼技術、いろいろな技術開発を行ってきているわけでございます。こういう技術開発テーマにつきましては、CWM、CCSにつきましてはそれぞれ実用化に入り得る段階に来ていると私どもは思っておりますが、何しろ原油価格が非常に安い状況にございますので、需要先をどう確保するかというような問題がございまして、今非常に苦しんでいる状況でございます。これから実用化を推進するため何か知恵を出していかなければいけない、こう考えているわけでございます。  今申し上げましたような技術開発石炭利用技術振興費補助金ということでやっておりまして、六十三年度は三十七・六億円、六十四年度は四十三・三億円の要求をしております。
  165. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今のものを累計として総額どのくらい今日までその技術開発に金を使っているのか、その点をお尋ねします。
  166. 長田武士

    長田政府委員 申しわけございませんが、技術開発のトータルで過去政府予算を累計幾らつぎ込んだかということは今ちょっと数字がないのでございますが、例えば石炭のスラリー技術につきましては、一九七七年から一九九三年にかけまして百二億円を投入する、そういうような数字でございます。
  167. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それではひとつこの点は、それぞれテーマごとにずっと取り組まれておりますので、それらの今日までの累計といいますかそういうものを、後で結構ですから資料をぜひいただきたいというふうに思います。  それで、最後になりますが、この石炭利用の新技術開発との兼ね合いもあると思うのですが、コール・フロンティア懇談会が今度エネ庁で持たれるようになったということで、この資料も拝見させていただいたのであります。この中身を読んでみますならば、今申し上げたような石油の代替エネルギーとして石炭の新しい利用技術の開発その他いろいろ、特に最近酸性雨問題等がございますので、環境汚染との兼ね合いにおける石炭の新しいそういう技術の開発とか、石炭利用を進めるための流通機構の問題とか、いろいろそういうものを懇談会を開催してやるようになっておるようでありますが、これは常設機関としてずっとおやりになるという考えなのか、これはエネ庁の諮問機関なのか大臣の諮問機関なのか、そのあたりの性格づけはどうなっているのか。それから、先ほど質問いたしました今までのこういう石油代替の石炭の新エネルギー技術開発との兼ね合い、その関係はどのように位置づけられるのか、そこらあたりのものについてひとつお示しいただきたいと思います。
  168. 鎌田吉郎

    鎌田政府委員 ただいま先生質問がございましたように、私どもこの十一月からコール・フロンティア懇談会ということで、これは資源エネルギー庁長官の私的諮問機関ということでございまして、いわば勉強会でございます。石炭政策につきましては、石炭鉱業審議会もございますし、総合エネルギー調査会もあるわけでございますが、そういった公的な場所で将来御議論いただくための材料探し、材料づくりということで勉強を始めたということでございます。その問題意識でございますが、国内炭につきましては第八次政策を計画的かつ着実に推進するということでございますが、海外炭を含めまして石炭全般について将来の課題とその解決の方向を探ってみたい、こういうことでございます。ただいま石油代替エネルギーとしての石炭の位置づけというような関連の御質問があったわけでございますが、現在、石炭は我が国の一次エネルギー総供給の中で二割近くのウェートを占めているわけでございます。今後ともこのウエートというのは、その程度はどうしても確保していく必要があるわけでございます。そういった中で、石炭をめぐる国際的な環境もいろいろ変化しております。例えば原油価格の低迷による世界的なエネルギー需給の緩和というようなこともございますし、一方で特にことしあたりに入りまして、これまで大変世界的な石炭の需給というのは緩和されておったわけでございますが、最近は一転してそれがタイト化しつつあるとか、それから最近国際的な論議が非常に高まっております温室効果問題等の地球環境問題、こういった問題に石炭としてどうこたえていくかという課題がいろいろあるわけでございます。こういった問題をひとつ前向きに考えまして、将来の石炭のあり方について新しい展望をつくっていきたい、こういうのが私どもの気持ちでございます。
  169. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私的諮問機関としてエネ庁の勉強会だということでありますが、エネルギー情勢は非常に予測が難しい情勢の急変がありますから、今ここで考えられている内容については大きく期待する面があると思います。そういう意味でひとつ、いつの間にかもうなくなっておったとか、エネ庁の単なる好みによって変わっておったというふうなことがないように、せっかくこれを設置するからにはある程度のものをきちっと、一つの方向性を出すぐらいのものをまとめ上げていただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  170. 福島譲二

    福島委員長 次に、児玉健次君。
  171. 児玉健次

    児玉委員 第八次石炭政策が実施される直前の高島炭鉱の離職者の問題については、以前多少議論したことがありますが、きょうは最初に、八次政策のもと最初閉山となった三井砂川鉱、そこの離職者の状況地域雇用の状況についてまずお伺いしたいと思います。
  172. 竹村毅

    ○竹村政府委員 三井上砂川鉱は、昭和六十二年七月の閉山によりまして千百七十三名の離職者が発生しております。このうち、私どもの公共職業安定所の窓口に求職者として申し出がありましたのが千百四十八名でございます。そして十月末現在で求職者の五一・一%に相当します五百八十六名が就職しております。
  173. 児玉健次

    児玉委員 今の数字を下請に限定するとどういうことになるのでしょうか。
  174. 竹村毅

    ○竹村政府委員 ちょっと下請、元請別の数字がございませんので、今のはそれを含めましての総トータルでございます。
  175. 児玉健次

    児玉委員 私どもが三井石炭鉱業株式会社の労務課からいただいた数字によりますと、現在いまだに職が見つかっていない方が三百五十二名、そのうち約二百名が下請であるというふうに把握をしているのですが、この状況について労働省としてはどのようにお考えでしょうか。
  176. 竹村毅

    ○竹村政府委員 現在未就職者のうち下請の労働者が非常に多いということでございますけれども、やはり職種の問題、そして年齢の問題、その他元請以上に地元の希望が強いとか、いろいろな要素があろうかと思います。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、元請、下請ということを区別することなく、画一的な平等な対策をできるだけ講じて就職促進に努めたいと思っております。
  177. 児玉健次

    児玉委員 今お話しのように、元請、下請の区別なく労働省として今の制度を活用しながらできるだけの努力をなさっている、その点は多少私たちも承知しております。問題は結果なんですよ。  そうやっていろいろな制度を活用して努力して、かつ、現状で言えば、先ほど述べましたように未就職者三百五十二名中二百名が下請。下請に関してだけ言えば、離職者二百七十二名のうち二百名が未就職者として残っているのですね。八次策が始まるときに、いわゆる労働力の、ミスマッチの問題についてこの委員会で議論したことがありました。それが、残念ながら当時私たちが指摘したとおりになっている。こういう現状認識についてはいかがでしょうか。
  178. 竹村毅

    ○竹村政府委員 いずれにいたしましても、今先生が御指摘ありましたような数字が残っているとすれば、私どもも現地からいろいろ情報をとりましてさらに分析し、その原因は何かということまで詰めて今後の対策を講じていきたいと思っております。
  179. 児玉健次

    児玉委員 今のお話は私も多少わかるわけですが、労働省に冒頭ぜひこの点は強くお願いをしたいのですけれども、さまざまな制度をあとう限り下請労働者にも積極的に活用していく、現状、大体上砂川について言えば四人のうち三人近くが下請の未就職者ですから、そこに的を絞った対策を講じていただきたいというふうにお願いするものですが、いかがでしょうか。
  180. 竹村毅

    ○竹村政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもとしても未就職者の実態を正確に把握したいと思っておりますけれども、あるいは元請ないしは親会社が把握している中で下請についてはかなり落ちもあるのではないかというような感じがいたします。いずれにいたしましても、今後詳細な分析をしながら、もし下請にそういう未就職者が固まっておるとすれば、また私どもも最善の努力をしたいと思っております。
  181. 児玉健次

    児玉委員 最善の努力を期待いたします。  次に通産省に伺いたいのですが、三井石炭・三井グループが行った上砂川での新規事業の設立、企業誘致の状況はどこまでいっているのでしょうか。
  182. 長田武士

    長田政府委員 三井砂川炭鉱の閉山後の上砂川町における企業誘致という御質問だと思いますが、私どもが現在持っておりますデータでは、既に進出企業で操業中のものが八社、それから進出決定しておりますが未操業なものが三社、それから三井グループの対策として関係子会社を設立したものが四社というような状況でございます。
  183. 児玉健次

    児玉委員 今おっしゃった企業で現に雇用されている人数は、トータルで何人ぐらいでしょうか。
  184. 長田武士

    長田政府委員 まことに恐縮でございますが、ちょっとトータルをしてございませんので、今申し上げました既進出企業八社の中で炭鉱離職者を雇用した数を申し上げてみますと、一名、二名、六名、一八名、十四名、四名、二名、十名、ちょっと合計がなくて恐縮でございますが……。
  185. 福島譲二

    福島委員長 四十七名。
  186. 長田武士

    長田政府委員 そのようになってございます。  それから、進出決定企業につきましてはちょっとそのデータがございませんので、申しわけございません。
  187. 児玉健次

    児玉委員 委員長は大変暗算が巧みで……。  そこのところをどうやって引き上げていくかというのが非常に重要なところだと思うのです。  私たち、三井砂川鉱が閉山に瀕しているときはもちろん山を守るという立場で最善の努力をいたしましたが、非常に残念ながらそれが既に閉山をしている。そういう中で、きょう既に御論議もあったように伺うわけですが、三井砂川鉱の立て坑を使っての無重力試験、地元の期待がそこにあることも事実でして、それが今どこまで到達をしているのか、その点を伺わせていただきたいと思います。
  188. 長田武士

    長田政府委員 上砂川の地下無重力環境実験センターでございますが、去る十一月二十四日に第三セクター設立に向けての地下無重力環境実験センター設立準備委員会地元及び産業界を中心といたしまして設立されたところでございます。今後は、この準備委員会での検討が行われまして早急に設立するように努力してまいりたいということでございます。
  189. 児玉健次

    児玉委員 次に、今多少お尋ねをした下請労働者の問題で、通産省が御努力をいただいた炭鉱下請離職者問題検討委員会の発足とその報告書に基づく制度の具体化について、この点は田村通産大臣に何回か私たち山元の下請労働者と一緒にお邪魔をして直接お話を聞いていただきましたし、かなりの努力をしていただいたということについて大変多としております。  そこで、この制度が発足をするとある程度見込まれる段階で、私はあえてその制度が実効を伴うものになるために次の点について御答弁を求めたいと思います。  実は、この十月二十九日、北炭幌内の下請二社が撤退して八十七名の下請労働者が解雇されました。もしこの解雇がもう少し遅ければ今概算要求されている退職金助成制度の適用を受けられるのですが、残念ながらそのようになっていない。これは現地でそれぞれの労働者が非常に残念に思っているところです。北海道全体で見ますと、六十二年三月の段階で下請労働者は六千八百二十三名でした、私たちの調査によれば。ことしの六月でその数は三千五百九十人、八次策のもとで三千二百三十三人の下請労働者が山元を去りております。そういう中で、この退職金助成制度を何とかさかのぼって適用できないだろうか、八次策全体にわたってさかのぼってほしいというのが広い関係者の声ですが、その点についていかがかとお尋ねしたいと思います。
  190. 田村元

    田村国務大臣 この下請労働者対策は御承知のような経緯がありまして、考えてみますと、より劣悪な労働条件で働いておる人々がより劣悪な退職措置を受けるということで、これは本当に同情を禁じ得ませんでした。随分あちらこちらお願いをいたしました。いろいろと御議論はありましたけれども検討委員会までおつくりをいただいてどうやら格好がついてきた。折も折、たしか検討委員会の報告があったのは六月でございましたか、それでそのときに実は今おっしゃったような問題に当面したわけです。それから私ども必死になって、何とかならないかというので随分検討お願いしたのですけれども、結局遡及効果は生じなかったということでございました。  一応行政的にはそういうことでございますけれども、私も個人的には、私がこの職から去った場合においてもあの問題は勉強してみたいと思っております。といいますのは、下請労働者のああいう問題は、単に炭鉱だけでない、いろいろな産業面で気の毒な人々が出てくる可能性が多いのですから、幸い私は労働と通産という両方を担当してきた経験を持つわけですが、この問題は真剣に勉強したいなというふうに考えておりますが、行政的には遡及効果を生じせしめることは不可能でございました。
  191. 児玉健次

    児玉委員 大臣のこの後も引き続いて勉強してみたいという熱意については、私は率直に、私たちも勉強したいし、この点の努力は引き続いて全体で進めていきたいと思っております。ちょっと大臣の話がありましたから私も思い出すのですが、ちょうど今から一年前、福島委員長に私あえてこの石炭特別委員会の閉会中の審査をお願いして十二月に石特が開かれて、そこでの論議がこの問題の出発点になりました。それぞれ知恵を出し合いながら、力を出し合いながら進めてきたその成果でもあると思いますので、私たちとしても、先ほど言いましたように、将来にわたってさかのぼって適用することが可能になるように努力をするということを一つの決意として述べておきたいし、そして通産省、労働省としても引き続いての御努力を強くお願いしたい、こう思います。  次の問題ですが、北炭幌内炭鉱の退職金未払いの問題についてです。  いつもこのことを議論しなければならないのが非常に残念ですが、一退職金未払いの現状はどうなっているのか、まずこの点は労働省に伺いたいと思います。
  192. 松原東樹

    ○松原説明員 幌内炭鉱の退職者にかかわります未払い退職金の状況でございますが、六十二年度末、本年の三月末日で六十五億六千九百万円でありましたものが、本年十一月末現在で五十七億八千四百万円という額のものが未払いとなっております。すなわち、この間、四月以降十一月までの間に新規に四億九千三百万円の未払い額が発生し、逆に十二億七千八百万円の支払いが行われ、差し引き七億八千五百万円が減少しておるというような状況でございます。
  193. 児玉健次

    児玉委員 今年度発生した九十九名分四億九千三百万円。北炭幌内では昭和六十三年について十五億円を解決したいということで努力をされてきたようで、今その経過がお話しありましたけれども、この四億九千三百万、約五億分について言えば、当初目的としていた十五億に上積みして解決する努力が必要ではないか、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  194. 松原東樹

    ○松原説明員 私ども本年の経営計画の作成に当たりましても極力未払い退職金額を圧縮するよう指導し、御指摘のような支払い額が一応算定されておるわけでございます。ただ、十五億削減されましても五十億近い額が残るわけでございますから、十五億円支払えばそれで足りるということでは決してございません。いずれにいたしましても、今後ともその支払い計画を上回る額の支払いがなされるよう私ども現地の局を通じましても極力指導してまいりたいというふうに思っております。
  195. 児玉健次

    児玉委員 六十二年度末で六十五億七千万だったのが現在五十七億八千万になっているという。言ってみればやや減少した。今お話しのように五十億を超す部分がある。ことしは十二億七千万円まで支払っている。これを確実に減らしていくためには、私は重ねてこの点は検討していただきたいのですが、新たに発生した未払い退職金は、その都度、その年その年の解消目標額に上積みをしていかなければ確実にこれがなくなってはいかないのです。そのことを会社に対して支払い計画の中にはっきり盛り込ませるということが指導官庁として必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  196. 松原東樹

    ○松原説明員 御指摘のとおりに、新規に発生するものをそのまま上積みしてまいりますれば雪だるまのようにふえるわけでございます。私ども、これまでいろいろなこのようなケースの都度そういう計画をきちんと立てるように指導はしてまいったわけでございますが、いずれにいたしましても、計画を立てるだけでは何にもならぬわけでございまして、実質的に未払い額が漸次減少していくように指導をしていきたいというふうに思っております。
  197. 児玉健次

    児玉委員 労働省も通産省もここのところの内容と該当している退職者の苦労というのはよくわかっていただいていると思うのですが、去年も同様の指摘をしたのですが、全体として例えば十五億ことしは解消する。これは言ってみればどんぶり勘定です。未払い退職金、退職金がいまだに払われていない個々の労働者に対して、あなたの退職金はいつまでに支払いますという個々についての明示ができたら地元の幌内では随分喜ばれる。去年それを指摘してなかなか難しいというお話でしたが、この点さらに努力をしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  198. 松原東樹

    ○松原説明員 御指摘のように個人別の支払い計画ができればそれにこしたことはないかと思いますけれども、いずれにいたしましても、経営の状況が非常に苦しい状況であるものでございますから、そのような計画が、実行可能な計画が果たして立てられるかどうか、私どももそういう計画を出せという指導はいたしたこともございますけれども、なかなか現実に可能なものが出しがたいというようなこともありまして、全体としての計画を出させてそれによって指導をしているというような状況でございます。
  199. 児玉健次

    児玉委員 これは政務次官にも御努力をいただきたいのですが、さまざまな試みを労働省にしていただきました。例えば北海道の労働省の出先に皆さんから直接の指示があって、そして北炭の社長を直ちに呼んで一定の解決策を示すようにしろと皆さんが昨年運んでいただいたことも私よく承知しております。  さて、今のお話、私やはり納得できないのですよ。なぜかといいますと、退職金というのは退職時に全額受け取るというのが当たり前なんです。長い間働いて、そして老後を迎える。そのときマイホームの問題もあるし、個人的な生活設計もあります。未払いの退職金が幾らになっているかという総額は会社から示されています。いつ払われるかということは示されていないのです。労働省は、こういう退職金が退職時に現金で一括して払われなきゃならぬということが日本の労働法制の基幹だということはもちろん皆さんよく御存じですが、それが守られていないということに対する危機意識といいますか、それがなかったら今の問題に進んでいきませんね。その点どうでしょうか。
  200. 松原東樹

    ○松原説明員 御指摘のとおり、法律的には法違反の状況が続いておるわけでありまして、私どもも大変遺憾に思っておるわけでございます。ただ、これを法律的にいわば強行法を発動して送検すれば済むというものではないのではないか。いずれにいたしましても、実質的に労働者の権利が救済される、すなわち、退職金が着実に支払われるということが大事なのではないかということで、いろいろ難しい中でございますけれども、私ども現地の局、署を挙げて指導をし、本省でも直接北炭本社にも指導をしているというような状況でございます。
  201. 児玉健次

    児玉委員 ちょうど年の瀬も控えておりますから、その点で労働省として現地で特段の具体的な指導をお願いしたいということを強く要請しておきます。  そこで、最後の問題です。  きょう、これまでの時間ずっと中心になったと思われる問題に石炭特別会計の問題がございます。昭和四十二年に原重油関税財源として石特会計が設けられた。これが炭鉱の保安確保の補助金や産炭地の不況対策離職者対策、鉱害対策、こういったものを進めていく上で一定の役割を果たしてきた、そう思っております。この石炭会計の必要性、重要性というのはいささかも変わっていないと思うのですが、まず、その点について通産省の考えを伺いたいと思います。
  202. 鎌田吉郎

    鎌田政府委員 先ほど大臣からも累次お話し申し上げたわけでございますが、私どもとしては、第八次石炭対策の着実な推進というのが大変に重要であるという認識でございます。そのための財源として石炭勘定の存続というのが不可欠な要請であるという認識でございまして、石油消費税単純併課をめぐる問題の検討に当たりましても、石炭原則ということで大臣からお話しございましたけれども、その重要な柱の一つとして石炭勘定維持ということを前提にして検討を進めている、こういうことでございます。
  203. 児玉健次

    児玉委員 そこで、ちょっと昔話で恐縮なんですが、昔といっても去年のことです。私たちの委員会で八次策の論議をし、そして石炭産業の将来についてさまざまな議論を八次策の発足時にいたしました。その段階で売上税と、そして石炭産業の将来の問題について若干の議論がありました。売上税は御承知のような経過で廃案になりました。そのことが日本の石炭産業についてどんな響を与えたか。皆さんとしては、昭和六十三年の予算編成をするに当たって、売上税がどのように皆さんの予算編成の作業に影響を与えるかということについていろいろ御苦労があったということを私も伺いました。ともかく売上税がなくなった。一年間の短い期間ではありますが、売上税の廃止が石炭産業にとってどんな影響を与えたか、または与えなかったか、その点についてお伺いしたいと思います。
  204. 長田武士

    長田政府委員 売上税と石炭の問題でございますが、なかなか難しい質問でございます。石炭サイドから見ますと、石炭の販売につきましては基準炭価制度というのがございますので、その基準炭価は八次策中は横ばいでいこうということになっておるものですから、その基準炭価との関係がどう生ずるかというところで売上税の問題との関係が生じてくるのじゃないか、そのように考えておるわけでございます。
  205. 児玉健次

    児玉委員 今の御質問はちょっと突然だったので大変恐縮なんですが、そのことを申しますのは、今度の石特会計維持していかなければならない、原油関税との関連というのはそもそも消費税に発しているわけですから、タックス・オン・タックスとかいろいろ議論があったと思います。この消費税をあきらめればけさ来議論してきた問題は大体解決すると思うのですが、いかがでしょうか。
  206. 田村誠

    田村国務大臣 これはもう非常に明快にお答えができるわけです。あきらめることができないものだから苦労しておる、こういうことでございます。
  207. 児玉健次

    児玉委員 どっちをあきらめるかが問題なんです。消費税をあきらめたら、田村大臣御苦労の石炭原則二つ目は大体必要ないんですね。どうでしょうか。
  208. 田村誠

    田村国務大臣 いずれにいたしましても、消費税というものは私も閣議において署名をした一員でございます。私からこれに否定的な評論はできません。何としても通していただきたいとしか言いようがありません。でございますから、問題は、売上税と消費税は全然違いますけれども、それにしても消費税がもたらす影響を、タックス・オン・タックスという言葉をお使いになりましたが、それがどうであれ、とにかく回避していく。そうして石油の関税あるいはその他売買という点での問題と石炭原則を厳守していくということとは、これは二つの問題ですから、それはそれ、これはこれでございますから、石炭原則にこの影響をいかにして与えないようにするかということで平たく言えば苦労しておるということでございますけれども大蔵省もその点は基本的にはよくわかってくれておるのです。問題は、大蔵はないそでは振れぬと言うし、我々はないそでとは何だ、たとえ一寸でもそでがあれば全部振れと言って、お互いがやり合っているということであります。
  209. 児玉健次

    児玉委員 恐縮ですが、これも既に議論されていることだと思うのですが、十一月七日の税制特での田村大臣の御答弁の中に今の石炭原則の問題があります。「まず第一、石炭勘定の持続、それから二番、原油関税にかわる安定的財源確保、それから三つ日、石炭対策に必要な歳出の確保、この石炭原則だけは絶対に守る所存でございます。」田村大臣はそのようにお答えになりました。私たち、そこで言われているこの第一と第三については全面的に賛成です。そうでなければならないと思います。  それで、第二の「原油関税にかわる」というところなんですが、やはり今の特定財源といいますか、そういった仕組みの中で、この「原油関税にかわる」というところについて余り気軽に退却してしまうとまずいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  210. 田村誠

    田村国務大臣 「原油関税にかわる」と申し上げたとしたらちょっと私が舌足らずであったかもしれませんが、その心は、原油関税は絶対手放しませんよ、もし仮に手放せというのならばこれにかわる我々が納得する財源をよこしなさい、こういう意味でございます。
  211. 児玉健次

    児玉委員 では最後に、この点は要望をして終わりたいと思うのです。石炭会計についての地元での切実な要求というのは、私たちのところにも、九州からも北海道からもこのところ非常に頻繁にそして深く来ておりまして、そして、既に同僚の委員の諸先生も百も御承知のように、これについてはさまざまな歴史的な経過がありますが、歴史的な経過の到達点として今の石炭会計がある。私たちとしては、ともかくここの部分については堅持をしていくことについて通産省に最善の努力をしていただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  212. 福島譲二

    福島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会