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1988-11-07 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月七日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君 理事 加藤 万吉君    理事 村山 喜一君 理事 二見 伸明君    理事 米沢  隆君       甘利  明君    池田 行彦君       衛藤征士郎君    片岡 清一君       岸田 文武君    志賀  節君       鈴木 宗男君    田原  隆君       谷  洋一君    玉沢徳一郎君       中川 昭一君    中川 秀直君       中島  衛君    中西 啓介君       中村正三郎君    西田  司君       野田  毅君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    堀内 光雄君       宮下 創平君    村山 達雄君       山口 敏夫君    山下 元利君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       坂上 富男君    野口 幸一君       細谷 治嘉君    山下洲夫君       草野  威君    小谷 輝二君       坂井 弘一君    宮地 正介君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       工藤  晃君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 中島源太郎君         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         農林水産大臣  佐藤  隆君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         郵 政 大 臣 中山 正暉君         労 働 大 臣 中村 太郎君         建 設 大 臣 越智 伊平君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      粕谷  茂君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 田澤 吉郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第三         部長      津野  修君         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    中島 忠能君         公正取引委員会         委員長     梅澤 節男君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       糸田 省吾君         警察庁刑事局長 中門  弘君         総務庁長官官房         審議官     増島 俊之君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       加美山利弘君         総務庁人事局次         長       服藤  収君         総務庁統計局長 田中 宏樹君         防衛庁人事局長 児玉 良雄君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君         経済企画庁物価         局長      勝村 坦郎君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         法務省刑事局長 根來 泰周君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         国税庁次長   伊藤 博行君         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部大臣官房総         務審議官    菱村 幸彦君         文部省生涯学習         局長      齋藤 諦淳君         文部省初等中等         教育局長    古村 澄一君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省高等教育         局長      國分 正明君         厚生大臣官房総         務審議官    末次  彬君         厚生省健康政策         局長      仲村 英一君         厚生省生活衛生         局長      古川 武温君         厚生省年金局長 水田  努君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省食品         流通局長    渡辺  武君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       高橋 達直君         通商産業省産業         政策局長    児玉 幸治君         資源エネルギー         庁長官     鎌田 吉郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   長田 英機君         中小企業庁長官 松尾 邦彦君         運輸大臣官房審         議官      金田 好生君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省地域交通         局長      阿部 雅昭君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         労働大臣官房政         策調査部長   甘粕 啓介君         労働省労政局長 白井晋太郎君         労働省職業安定         局長      岡部 晃三君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    竹村  毅君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役社長)   山口 開生君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査          室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   原田  憲君     衛藤征士郎君   中村 正男君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     原田  憲君   細谷 治嘉君     中村 正男君     ───────────── 十一月七日  消費税導入撤回に関する請願外七件(西中清紹介)(第二二六〇号)  消費税導入反対に関する請願外二件(安藤巖紹介)(第二二六一号)  同(浦井洋紹介)(第二二六二号)  同(小川新一郎紹介)(第二二六三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二二六四号)  同(田並胤明君紹介)(第二二六五号)  同(竹内猛紹介)(第二二六六号)  同(辻第一君紹介)(第二二六七号)  同外一件(戸田菊雄紹介)(第二二六八号)  同(中路雅弘紹介)(第二二六九号)  同(西中清紹介)(第二二七〇号)  同(野間友一紹介)(第二二七一号)  同(東中光雄紹介)(第二二七二号)  同(森本晃司紹介)(第二二七三号)  同(山田英介紹介)(第二二七四号)  同(有島重武君紹介)(第二三〇五号)  同(左近正男紹介)(第二三〇六号)  同(中村正男紹介)(第二三〇七号)  同(山田英介紹介)(第二三〇八号)  同(上田利正紹介)(第二三四一号)  同(金子みつ紹介)(第二三四二号)  同(正森成二君紹介)(第二三四三号)  同(山口鶴男紹介)(第二三四四号)  同外一件(岩垂寿喜男紹介)(第二三六八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二三六九号)  同(中路雅弘紹介)(第二三七〇号)  同(平石磨作太郎紹介)(第二三七一号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二四三七号)  同(嶋崎譲紹介)(第二四三八号)  同(土井たか子紹介)(第二四三九号)  消費税導入反対課税最低限引き上げ等に関する請願岡崎万寿秀紹介)(第二二七五号)  同(児玉健次紹介)(第二二七六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二二七七号)  同(武田一夫紹介)(第二二七八号)  同(野間友一紹介)(第二二七九号)  同(伏屋修治紹介)(第二二八〇号)  同(森田景一君紹介)(第二二八一号)  同(山田英介紹介)(第二二八二号)  同(有島重武君紹介)(第二三〇九号)  同(川崎寛治紹介)(第二三四五号)  同(中村茂紹介)(第二三四六号)  同(伏屋修治紹介)(第二三四七号)  同(古川雅司紹介)(第二三四八号)  同(遠藤和良紹介)(第二三七二号)  同(木間章紹介)(第二三七三号)  同(平石磨作太郎紹介)(第二三七四号)  同(吉井光照紹介)(第二三七五号)  同(早川勝紹介)(第二四四〇号)  新大型間接税導入反対に関する請願鍛冶清紹介)(第二二八三号)  同外三件(西中清紹介)(第二二八四号)  同(有島重武君紹介)(第二三一〇号)  大型間接税導入反対、大幅な所得減税に関する請願戸田菊雄紹介)(第二二八五号)  同(木間章紹介)(第二三七六号)  消費税生協課税強化反対等に関する請願浦井洋紹介)(第二二八六号)  同(鍛冶清紹介)(第二二八七号)  同(河野正紹介)(第二二八八号)  同(戸田菊雄紹介)(第二二八九号)  同(西中清紹介)(第二二九〇号)  同(野坂浩賢紹介)(第二二九一号)  同(村山富市紹介)(第二二九二号)  同(川俣健二郎紹介)(第二三一二号)  同(新村勝雄紹介)(第二三一三号)  同(中村正男紹介)(第二三一四号)  同(上田利正紹介)(第二三四九号)  同(佐藤敬治紹介)(第二三五〇号)  同(田並胤明君紹介)(第二三五一号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二三五二号)  同(木間章紹介)(第二三七七号)  同(前島秀行紹介)(第二三七八号)  同外一件(大原亨紹介)(第二四四一号)  同(渋沢利久紹介)(第二四四二号)  同(嶋崎譲紹介)(第二四四三号)  同(竹内猛紹介)(第二四四四号)  同外一件(早川勝紹介)(第二四四五号)  消費税導入租税特別措置法第二十六条改悪反対等に関する請願安藤巖紹介)(第二二九三号)  同(浦井洋紹介)(第二二九四号)  同(辻第一君紹介)(第二二九五号)  同(中路雅弘紹介)(第二二九六号)  同(野間友一紹介)(第二三七九号)  税制改革消費税導入反対に関する請願近江巳記夫紹介)(第二二九七号)  同(鍛冶清紹介)(第二二九八号)  同(西中清紹介)(第二二九九号)  同(鳥居一雄紹介)(第二三五三号)  同(古川雅司紹介)(第二三五四号)  同(遠藤和良紹介)(第二三八〇号)  同(木内良明紹介)(第二三八一号)  同外一件(平石磨作太郎紹介)(第二三八二号)  同(吉井光照紹介)(第二三八三号)  新消費税導入反対に関する請願竹内猛紹介)(第二三一一号)  消費税導入反対等に関する請願有島重武君紹介)(第二三一五号)  大型間接税導入反対不公平税制是正等に関する請願中村正男紹介)(第二三一六号)  大型間接税導入反対に関する請願外三件(山口鶴男紹介)(第二三四〇号)  同(中島武敏紹介)(第二三六七号)  消費税導入生協課税強化反対不公平税制是正に関する請願安倍基雄紹介)(第二三五五号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二三八四号)  新大型間接税導入生協課税強化反対に関する請願沢田広紹介)(第二四四六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 十一月七日  消費税導入反対に関する陳情書 (第一七七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  税制改革法案内閣提出第一号)  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  消費税法案内閣提出第三号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  消費譲与税法案内閣提出第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第六号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、お諮りをいたします。  各法案審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社代表取締役社長山口開生君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 金丸信

    金丸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  5. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 リクルート問題は、その行くところを知らないわけでありまして、限りなく発展をしつつあるわけであります。一度はないと言明をしておりましたNTT関係についても、村田秘書の株買い求めの問題についても、きのう、NTT会長は、その誤りを訂正をいたしました。大変異常な状態が続いておると思います。この問題は、国民の皆様も、大変不快というか、怒りを持って今見ておるのだと思います。国会がこの問題をどう解明していくか。竹下総理は、あれはあれ、これはこれと、リクルート疑惑税制を別の問題だ、こういうふうに分けて言っておられますけれども、そうではない。まさにこの問題は税制改革そのものとかかわっておると思うわけであります。  リクルート関係トンネル会社を見ますと、ドゥ・ベスト、ビツグウエイ、エターナルフォーチュン、これは全くうまいこと言ったものだと思います。最善を尽くしてリクルートの大道を歩んだら限りない繁栄が保証される。それはまさにこの問題が明らかにならないでいけばそういうことが保証されたのだろうと思うのであります。でありますから、この問題について考えますとき、これはまさにロッキード疑獄を超えます大きな構造的な汚職だ、まさに巨悪構図というものが解明されなければならない、こう思います。でありますから、私は、そうした点を詰めてまいりたい、こう思うのです。  そこで、まず最初竹下総理に伺いたいのでありますけれども、江副リクルートの前会長がこのむちゃくちゃな株のばらまきということをやってまいりました。そしてこれはみんなもうけているのです。みんなもうけている。こんなことがどうしてできたのか。そのことを解明していかなければならない、こう思うのです。  私は、この巨悪構図というものをいいますと、中曽根内閣時代官房長官を入れますと十一名、これが全部このリクルート株にかかわって汚染をされておるわけであります。竹下総理中曽根総理安倍当時の外務大臣宮澤大蔵大臣、両加藤農林大臣防衛庁長官渡辺通産大臣森文部大臣藤波官房長官、そして渡辺官房長官、こういう皆さんがこの株にすべてかかわっておるということがまず第一です。  第二には、全く無名のリクルートが、進学情報就職情報、そして二番目には地上げ、マンション、そして情報通信、こういう三大産業を進めてまいりました。高石文部次官加藤労働次官もこれにかかわっておるわけであります。きょうはまた、NTTの問題を少し取り上げさせてもらいたい、こう思います。  そして、そういう中曽根政治のもとで、江副会長は、大変重要な政府税制調査会特別委員文部省教育課程審議委員大学審議委員土地臨調の参与というものに任命をされたわけです。そして、これは全部途中でやめなければならなかった。  第四番目には、還流株、これが今捜査の方でも大きな中心点になってまいっておりますが、公開直前還流株政官財各界にばらまかれておるわけであります。この還流株については、自民党安倍幹事長あるいは渡辺政調会長は、正常な経済行為だ、堂々と胸を張って歩く、こういうふうなことを言っておるのでありますが、そういう巨悪の構造、私が今指摘をいたしました問題を踏まえまして、江副氏がなぜこういう株のばらまきをやったか、答えはわかっているようなものでありますけれども、竹下総理の御見解を伺いたいと思います。
  6. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 江副さん本人の意図がどこにあったかということについては、これは私も本人の御意見を伺ったこともございませんので、ここで想像して申し上げることは避けなければならないのかな、こう思います。が、多くの人が、双方のために株主になる、あるいは一方は安定株主等を形成するというふうな形に最初受け取っておったではないかな、こういう感じが私自身いたしております。
  7. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それじゃ重ねてお尋ねをいたしますが、こういうむちゃくちゃな株のばらまきを可能にした背景は何かということを考えますと、まず第一には、中曽根内閣の民活、そこからまいります土地の、株の異常な値上がり、このことが株価の高騰を保証しました。第二には、不公平税制そのものを巧みに使ったわけであります。不公平税制というものを巧みに使った。その制度の中でこれが行われた。第三番目には、日米経済摩擦解消という国策の中でこのリクルート産業の成長とそれから異常な株のばらまきということが進められてまいりました。私はそう判断をいたすのでありますが、いかがでありますか。
  8. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 川崎さんのそういう角度からの分析というものを私の今の立場としては傾聴しておるという以上のことは言えないのじゃないかなと思います。
  9. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 否定できますか。
  10. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 一つ一つの問題で否定的な論理構成をちょっと勉強しておりません。
  11. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大変残念なことであります。  きょうはNTT山口社長おいでいただいております。どうもお忙しいところ御苦労さまです。  実は私は真藤会長おいでを願いました。また、式場さんにもおいでを願いました。当然、国会からの要請でございますから、真藤さんも式場さんも御出席いただかなければならない、こう思います。そして、いただけるものだと思っておりました。これは理事会自民党の諸君が断固として反対をして、どうしてもこのことを理事会で承認がとれなかった。私は大変残念に思います。むしろ真藤さんも出てこられてこの疑惑解明にみずから立っていただくということが真藤さんの気持ちであったのではないだろうか、私はこう思いますが、そのことを大変残念に思います。でありますから、山口社長が今NTTの中における調査委員会をつくられてその委員長をしておられる、こういうふうに伺っておりますので、私はそこも含めましてお尋ねをいたしたい、こういうふうにも思います。  真藤会長が、十一月一日に否定をされた村田秘書株取得について、五日後にはこれを認められたわけであります。大変いいかげんなものだなということを痛感いたします。これは、郵政大臣が、このことについても、がっくりきた、こう言っております。あるいは労働省においては、加藤次官が千株と言っておったが、これはここの本委員会言明をされたわけです、言明をされたものが、実は三千株だった。ここで何をやっているんだ。国民皆さんは、国会は何をやっているんだ、こう私は怒られると思うのですよ。でありますから、そういう意味においては、捜査機関捜査機関で進めておられるわけでありますから、これは進めてもらう。徹底的にやってもらう。そして一方、国会国会国政調査権に基づいて進めなければならぬと思うのです。ところが、真藤さんがおいでいただくことをとめたということは、やはりその国政調査権というものが進むことに対して、これをとめたわけです。私は大変残念に思います。  そこで、山口社長お尋ねをいたしたいのでありますが、今、長谷川さん、式場さん、それに村田さん、こう出ました。マスコミ等では、ほかに役員が三人おるんじゃないか、あるいは四十万株が、還流株が流れているんじゃないか、こういうふうなことまで言われております。この問題について今どういうふうに調査をしておられるか、伺いたいと思います。
  12. 山口開生

    山口参考人 お答え申し上げます。  最初に、今回のリクルート株関係に関しましてNTT社内から関係者が出ましたことにつきましては、大変残念に思っております。甚だ遺憾でございます。深くおわびを申し上げます。  今御質問がございました調査委員会につきましては、私が委員長になりまして事実の解明あるいはその対応といったものについて幹部を集めまして委員会を設置しております。その中で現在まで、関係しておる者が元役員を含めまして三名出ておりますが、これにつきまして、特に郵政省当局に報告が間違っておりましたことにつきましても、深くおわびを申し上げたいと思います。  なお、現在、役員につきましては私が直接質問をいたしまして聞いております。その他の関係幹部につきましても考査室長を通してこれは調査いたしておりますが、現在のところそれ以外にないというふうに確信をしております。
  13. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今、ほかはもうない、これで終わりだ、こういうふうなことのお答えのようでございますけれども、しかしいろいろと疑惑がかかっておる。といたしますならば、これでないと言い切られるのか、あるいはさらに徹底的に調査をされるのか、まずその姿勢をお伺いしたいと思います。
  14. 山口開生

    山口参考人 現在、なお厳重に調査を続行中でございます。
  15. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 では、NTTリクルートの営業関係についてお尋ねしたいと思います。  NTTの回線を利用して回線リセールを営業しておられるわけでありますが、この契約をしておられます会社は何社ございますか。
  16. 山口開生

    山口参考人 お答えします。  私の方では把握しておりませんので、お答えできかねます。
  17. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 おかしいじゃないですか。さっきNTTから説明に来ましたよ。社長は、この大事なリセールですから、回線リセールとスーパーコンピューターと今二つテーマになっているわけですから、当然これは一生懸命御検討になってきたのだろうと思うのですが、こういう調子ですから大変残念に思います。それで、もしあれだったら事務局でも結構ですよ。
  18. 金丸信

    金丸委員長 しっかり答弁してくれ。
  19. 山口開生

    山口参考人 大変失礼いたしました。今の御質問は、リクルート社とリクルート社の回線を利用している契約者についての数をお聞きだと思います。  その関係につきましては、リクルート社の契約相手につきましては、私どもでは把握はできないということでございます。
  20. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 NTTの回線を利用して回線リセールを営業している。私はリクルートの先の方を聞いているんじゃないのです。NTTの回線を利用して営業しているのは何ぼですか、こう聞いているのです。
  21. 山口開生

    山口参考人 現在、NTTの契約約款で申しますと、専用回線の利用に関しまして専用回線と電話回線を接続して通話を行うこと以外は自由となっておりまして、したがいまして、NTTとしましては、専用線をお貸しした回線数はわかりますが、その回線を使って何社が営業をやっておられるかにつきましては、これはリクルートの内部の問題でございますので、私どもでは把握しかねるということでございます。
  22. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私がお尋ねしていることとちょっとずれていると思うのですね。おたくの方からもらった資料によりますと、専用線の単純再販を行うものは約六十社、こういうふうにあるのです。でありますから、そういうふうに御記憶をいただきたい、こういうふうに思います。いかがですか。
  23. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 どうも大変失礼しました。ただいま先生のお尋ねで、今御指摘の数字を御報告に上がったのは私ども郵政省の者でございまして、失礼申し上げました。  それで、今おっしゃいましたように、私どもで把握しております一般第二種電気通信事業者、これはリクルート社も入るわけでございますが、その中で専用線の単純再販売を行っているのは約六十社というふうに把握しているところでございます。
  24. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 郵政省、これはNTTが答えるべきなんでしょう、本来。だから私は先ほどから繰り返し言っていますが、それ以上これを議論したってあれですからやめますが、その中でリクルート社のシェア、これは料金でいきますとなかなかあれでしょうけれども、日本経済新聞等が報道しているところによりますと、約六〇%、こういうことでございます。そういたしますと、約六十社の中でリクルート関係が六〇%ということは大変突出をしておるということについてはお認めになりますか。
  25. 山口開生

    山口参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げておりますように、私どもでは、認可に関することは扱っておりませんので、全体のシェアの中で何%とっているかということにつきましては正確に把握しておりませんので、申しわけありません。
  26. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは民事契約だとかあるいは料金の関係だからわからぬとか、こういう言い方だと思います。しかし、日経は、これを約六〇%、こういうことで、大変リクルートの突出ぶりを報道してきておるわけであります。  そこで、次にお尋ねをいたしますが、リクルート社とNTTが勉強会を始めた。つまり、NTTは、そのときはまだNTTじゃなくて電電公社ですね、その時代に勉強会を始めておられるわけでありますけれども、このリクルートと電電公社との勉強会というものの事実関係、それからいつどういうあれをやったか、内容、それから回数、そしてどんなことが話し合われたのか、それからNTT側の参加者、リクルート側の参加者、そういうことについて、この勉強会についての中身を御説明いただきたいと思います。
  27. 山口開生

    山口参考人 お答えいたします。  リクルート社が専用線の再販に進出したいということで勉強を始めたということは聞いておったのでありますが、ただいまおっしゃいましたお互いに勉強会を始めたということにつきましては、具体的にどこでやったかとかそういうことについてまだ把握しておりませんので、御容赦願いたいと思います。
  28. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは新規事業ということで勉強会を、つまり電電公社が民営化する前に新規事業ということでリクルートと始めているわけなんですね。だから、これは式場さんに来てもらわなければだめなんですよ。そうでしょう、式場さんがずっと出ているわけですから。だから、式場さんや長谷川さんや、こうしたずっと出てきた人においでいただきたい、そして御説明いただきたい、こういうことでお願いしたのだけれども、自民党の諸君が、だめだ、こう言って、自民党の、理事会が決めたわけですね。私はこれは大変残念だと思うのです。こういう機会を、国民の前で明らかにしていかなければいかぬときに、こういうことは大変残念だと思うのです。  五十八年の十一月に始めて以来、それから五十九年にはリクルートと電電公社の総裁の間でレターの交換がありますし、あるいは企業のINSの提案であるとか、住宅情報システムの高度化の問題であるとか、コンピューターマップスの提案であるとか、いろいろやっていくのですね。でありますから、リクルートと電電公社というのは民営化の前から大変密接な関係で勉強会を進めている。さらには、コンピューターマップスの問題については日本経済新聞も参加をしているわけです。そして、六十年の八月に、回線再販、リセールについて、これはNTTになっておりますが、NTTリクルートの社長の会談があるわけです。つまり、この六十年の八月、回線再販、リセールについてNTTリクルートの社長会談が行われた。このことについてはお認めになりますね。
  29. 山口開生

    山口参考人 お答えいたします。  先ほどの六十年八月以前に検討をしておりましたのは、いわゆるデジタルのPBXと申しまして、企業なら企業の構内に電話交換装置をつける、そういったPBXが新しいデジタル方式になっていくということにつきまして、その導入について勉強会を行いました。それ以前にいわゆる再販についての検討会というのは持っておりません。  なお、今お話がありましたマップ等の勉強会あるいはリセール等の勉強会等については、六十年に入ってから話し合いを持っております。
  30. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それじゃ郵政省にお尋ねをいたしますが、その回線リセールについて、国会決議の関係でありますけれども、単純リセールについては禁止という国会の附帯決議がありました。しかし、電電公社がNTTになったときに単純リセールが可能になる約款になったわけでありますが、それはなぜですか。まずそこをお尋ねしましよう。
  31. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 ちょっと法的な解釈で恐縮でございますけれども、もともと電気通信事業法によりますと、これはいわゆる六十年四月に施行されました新しい競争を導入した電気通信事業法でございますが、その趣旨は、できるだけ自由な回線利用を実現していこうという趣旨でございまして、その裏返しといたしまして、回線の不当な利用制限は禁止するということでございます。これが事業法の大きなねらいであったわけでございます。  当時、この法律の審議の経過を踏まえまして、衆議院の逓信委員会で附帯決議をいただいたわけでございますが、その附帯決議によりますと、NTTの経営に与える影響を考慮いたしまして、NTTが単純再販を禁ずる約款を作成してもこれは不当な制限には当たらない、本来ならば自由である、だからいろんな約款を、回線の自由な利用を認める約款、これをどんどん認可するのが筋でございますけれども、単純再販に限ってこれを禁ずるような約款があってもそれは不当な制限には当たらないから認可してもらいたいと行政の方に注文をつけられたわけでございます。それがこの単純再販について認可をするに至ったいきさつでございます。
  32. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それで、認可をした、回線リセール、単純リセールをやる、こういうことになったわけでありますけれども、そうすると、今のように、これはNTT側から要求したわけですね。  ちょっと今もう一つ言いますが、NTT側から持ちかけたのか。それから、では、なぜリクルートがこの問題について主要な役割を果たすようになってきたのか。  つまり、リクルートは実績がゼロだったわけです。しかし、その中でリクルートが突出をしていくわけです。その際に、式場さんがこの研究会でもずっとタッチをしてきておりますけれども、リクルートNTTとの関係というのが進んでいくわけでありますが、この研究会の中において回線リセールというものが主要テーマになり、今言うように、約款の改定、こういうことになっていったわけでありますけれども、それは偏った便宜の供与というものが行われていた、そういうふうに思うのでありますが、いかがですか。
  33. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの第一点は、これはおっしゃるとおりNTTからその旨の約款の認可申請がございまして、私どもが認可したわけでございます。それはこういうことでございまして、単純再販売、つまり専用線と公衆の電話網をくっつけますと、これはそれで非常に電話を安くかけることができることになりまして、NTTとしては経営上大変支障があるということで、そういう接続の形での回線の単純再販売は困る、それは禁止しますという約款を認可してもらいたいという申請がございまして、これを認めたわけでございます。  今、後段におっしゃいましたいろいろリクルート社の関係でございますが、これはそういう専用線と公衆電話網との接続の単純再販売とは関係ございませんで、専用線と専用線の接続でございます。いわゆるリクルート社の回線リセールとしてやっております仕事は、専用線と専用線を結んで、太束の回線を借りて、そしてそれを分割してまた専用線と結びつけて売るということでございまして、国会の附帯決議、それから単純再販売、それとそれ以後の専用線と専用線をくっつけた形でのリクルート社のリセール事業の進展ということは関係ございません。よろしくお願いしたいと思います。
  34. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで、この回線リセールをリクルート社が進めていくについて、新聞報道によりますと、配線盤図をNTT側がリクルートにのみサービスした、こういう報道があります。特に式場氏がその役割を担っておる、式場氏がそれをやったというふうになっておるのでありますけれども、その事実関係、いかがですか。
  35. 山口開生

    山口参考人 お答えいたします。  ただいまおっしゃいましたような配線図の供与とかそういったことをした事実はございません。  ただ、当時、NTTが民営化になりまして、従来と違ってサービスをよくしようということで、リクルートだけではございません、ユーザーさんに対しましては同じように、例えばサービス上の問題点について説明を申し上げた、電電公社時代よりもより積極的にコンサルタントしたということはございますけれども、リクルートだけではなくて、ほかのユーザーさんにも同様に扱っております。
  36. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 他社にも応じた、他社にも配線盤図を全部配った、こういうことですね。  そうすると、そういう中で、言われておりますリクルート社が六〇%というシェアを占めておる、こういうふうな、六十社の中で図抜けているわけですけれども、そういう状態になってきたというのはどういうあれですか。
  37. 山口開生

    山口参考人 その点につきましては、NTTがそれに協力したとか援助したということではなくて、リクルート社の営業活動の結果であったというふうに考えております。
  38. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 では、先ほどの勉強会は、これは真藤さん、長谷川さん、式場さん、そしてリクルート側、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、あなたはわからない、こういうことになりますね。  それで、配線盤図の問題についても、リクルート社以外の各社にも全部平等に配った、こう言うのであれば、これはいずれ六十社の各社をお尋ねすればわかってくる、こういうことでございますので、そういう特別に式場氏が配線盤図等について便宜を図った、特別の便宜を図ってきた、供与をしたという偏った特別の便宜供与ということが報道されておるわけでありますけれども、そういう事実はないというふうに断定されるわけでありますね。
  39. 山口開生

    山口参考人 ただいまの御質問の配線図等については、渡した事実はございません。
  40. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 次に移ります。  スーパーコンピューターの問題でございますが、クレイ社のスーパーコンピューターは、購入台数、時期、価格、それからリクルート社への転売価格、そして現在NTTが保有しておる台数、伺いたいと思います。
  41. 山口開生

    山口参考人 お答えいたします。  クレイ社からのスーパーコンピューター導入に関しましては、NTTではクレイ社製のスーパーコンピューターを五十九年の四月、六十一年の五月、六十二年三月、六十二年六月とそれぞれ購入しておりまして、合計四台になっておりますが,このうち第一台目といいますのは、私どもの研究所、武蔵野研究所でございますが、研究所で特にスーパーコンピューターを使った研究開発をしたいということで、研究開発用に、これは五十九年に、リクルート関係ございません、五十九年に購入したわけであります。その後、そのコンピューターをバージョンアップしたいということで、第二台目をNTTとしましてはやはり研究用に六十二年の十二月に購入しております。この二台はいずれもNTTの研究所で、現在、一台は更改してございまして、これは二台購入したわけでありますが、それ以外に、NTTからリクルート社に、NTTがクレイ社から購入しましてこれに付加価値をつけて、クレイ社に建設工事等の受託をして購入したものが二台ございまして、その最初が六十一年の十二月でございます。それから次に六十三年二月に、リクルート社にやはりこれはリクルート社の要請によりまして購入をしております。そういったことで、四台がいずれもリクルート社のためにNTTが購入したという事実はございません。あくまでも二台はNTTが使用してございまして、二台をリクルート社の要請によって購入をしたものでございます。  なお、購入価格等につきましては、現在契約先の相手と発表についての交渉をしておりますけれども、現在のところまだそういった状態にございますので詳細発表は控えさせてもらいたいと思いますけれども、私どもの契約内容を見る限りにおきまして、不当な取引をしたとかということはございませんので、適正に契約ができていると思っております。
  42. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今山口社長は、リクルート社からの要請でNTTが買った、つまり、六十一年の五月契約、六十二年の六月契約のスーパーコンピューターはリクルート社からの要請で買った、こういうことでございますが、なぜ民間会社のリクルート社が直接アメリカのクレイ社と交渉して買わなかったのですか。
  43. 山口開生

    山口参考人 先ほど申し上げましたように、スーパーコンピューターの導入は我が国でNTT最初でございました。これはやはり研究開発用としてすぐれたコンピューターだということで購入したわけでありますが、そういう実績があったのはNTTの研究所だけでありまして、つまり、NTTがクレイのスーパーコンピューターの使い方あるいは実際に据えつけて建設をし、試験をし、そういったことについては経験があったわけでございますので、そういうことで、クレイ社のスーパーコンピューターを使って自分たちの仕事をしようというときに、NTTにやはり頼んだ方が一番経験があって安心だということで頼まれたものだと思っております。
  44. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 郵政省にお尋ねをしますが、これは郵政大臣ではわからぬわね。郵政省にお尋ねしますけれども、NTTがクレイ社から買ってそれをリクルート社に転売するということはあらかじめ郵政省としては知っておったのか、了承しておったのか、いかがですか。
  45. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 私ども、NTTから報告を受けている限りによりますと、こういった海外からのいろいろ資材調達ということについて、なるべくその参入の機会をふやしてもらいたいということをNTTに要請しまして、それでNTTはそれを受けて、今社長が申し述べられたような経緯で購入をされたものというふうに理解しております。
  46. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 最後のところは、購入されたものと理解しておりますか何か語尾が不明瞭ではっきりわからないのでありますけれども。  きのう各紙に出ておるのでありますけれども、アメリカのクレイ社は、NTTが買ってリクルートに転売をしたこのスーパーコンピューターの問題は前例がない、異例の転売だというふうにアメリカ側からの報道があるわけであります。  それで、つまりここに市場開放、日米経済摩擦という当時の、特に六十年は竹下大蔵大臣で、ドル高・円安の最高なんですね。そして、中曽根首相の一月、三月というアメリカ訪問は大変激しい非難があるわけです。特に三月のときには、上院は全会一致で日本に対する非難決議をやっておる。この九月にはあなたがプラザ合意に行かれるわけでありますから、この年はそういう大変大きな日米経済摩擦解消ということで日米間にホットな争いがあるわけでございまして、それで四月の九日に当時の中曽根内閣はアクションプログラムの行動委員会をつくる。そのときに、ここにおられる、いなくなったが、藤波さんが官房長官で、当時この行動委員会委員長になられるわけですね。そして、その四月の十一日に国際経済摩擦解消に関する緊急質問というのを私が本会議でいたしました。また、この当時は、中曽根さん自身が腕まくりをして、ニュースキャスターよろしくテレビにも出て解説もした時期でございます。そのときの議事録というのを私は読み上げてみたいと思うのでありますが、この政府間調達の問題について質問をいたしましたときに、中曽根首相が、   ハイテクや電気通信の分野についての御質問でございます。   四分野にわたりましていろいろ交渉いたしましたが、先方が一番力を入れたのは電気  通信の分野でございます。これらの分野につきましては、ほとんど日米間において合意  は達成されたと思っております。我々もこれらをフォローアップいたしまして、これが  実施、実現について今後とも一層努力してまいるつもりでおります。  こういうことでございます。  でありますから、このリクルート社が直接クレイ社から買えるものをわざわざNTTを通して買っている、こういうことでございました。でありますから、リクルートNTT、経済摩擦の解消、そういうこのときの、何といいますか、中曽根さんと真藤さんと江副さんという特別の関係が言われておるわけでありますが、そのことがここにはっきり出てくるわけですし、今も郵政省の方の答弁で、NTTが買って転売をされたということについて明確な答弁ではなかった、こういうふうに私は思うのでありますけれども、当時大蔵大臣として、おられるのはあなた一人ですから、この問題についてお答えいただきたいと思うのです。
  47. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今川崎さんから御指摘のなすったようなのを、お話を聞きながら記憶を呼び戻しておりました。それで、確かにアクションプログラム、そうして当時、いわば貿易不均衡の点から、さてアメリカから一体輸入するものがあるのか、こんな議論があったときに、そういうハイテク分野等々については大変な能力のあるものがあるというような議論がなされたことを私なりに記憶をいたしております。  ただ、私の分野は、貿易不均衡という問題をもちろん念頭に置きつつも、いわば通貨調整の中でそれがどれくらい解決されるものかというようなところが私の守備範囲の一番重要なところであったという記憶でございます。
  48. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 先ほどちょっと触れましたように、アメリカ側は前例がない、NTTの転売に当惑している、異例の転売だ、こういうふうにしてアメリカ側からの報道があるわけでありますが、郵政省は、この点、先ほど大変あいまいな答弁をされておりますけれども、NTTの転売ということをつまり事前に了承というか承知をしておったのかどうか、伺いたいと思います。
  49. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 私どもの立場といたしましては、物を買う、買わないはNTTを初め事業体、政府調達の適用を受けます事業体が決めることでございますので、全般的に参入機会を増大するように努めてもらいたい、調達実績を上げてもらいたいという要請はいたしますが、個々具体的なものを、あれ買え、これ買えということは指示できませんし、また、事前にそういうことを知っていたかということは、知る立場にもございません。そういう趣旨でございます。
  50. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 六十年のアクションプログラム、それから六十一年、こう来るわけですけれども、そうしますと、言われておりますように、中曽根さんと真藤さんと江副さんが話し合った、今は知る由もない、こういうことでございました。そうしますと、これは中曽根さんと真藤さんと江副さんが話し合った、こういうふうに思われるわけですね。山口社長、その点どういうふうに…… 。
  51. 山口開生

    山口参考人 そういった事実はございません。  なお、ただいまクレイ社の方からそういったNTTの転売について前例がないという新聞報道のお話がございましたが、私どもの方はそういうことを聞いておりませんので、直接真実あったかどうかを現在調査中でございます。
  52. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは抗議されるおつもりですか。
  53. 山口開生

    山口参考人 事態が相違しておりましたら抗議をしたいと思っております。
  54. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、今、回線リセール、スーパーコンピューター、こういう問題についてお尋ねしてまいりました。これは、リクルート社が急速に成長して情報産業で伸びてまいりますために、大変、研究会をつくり、そしてNTT側が特別の便宜供与をしてそして成長してきた、こう思うわけです。それらの問題はこれからもまた追及いたしてまいりたいと思いますけれども、あとその他問題ありますので、一応この問題は、山口社長に対する質問はこれで終わりたいと思います。大変お忙しいところ、ありがとうございました。  そこで、還流株の問題でございますが、六十一年の九月、還流株を大変江副さんが買い集めてばらまくわけですね。ワールドサービスという本社が神戸にある会社がございます。このワールドサービスに対しまして、本岡、志苫、社会党の両参議院議員が参りまして、畑崎社長にお会いしました。そういたしましたら、このワールドサービスは、ワールドとワールドサービスと二社で四十万、二十万であったのですが、後、合併をしておるわけですね。そのうちの二十万を買い戻しに来たわけです。六十一年の初め、安定株主として譲渡禁止ということになっていた株を、証券を切りかえて譲渡ができるようになるのだ、こういうこともしたようでございますが、六十一年の九月、江副さんから直接畑崎社長に対しまして、返してくれ。ファーストファイナンスがワールドサービスに送金をするわけです。そして送金をして、電話がかかってきて、送金した、すぐバックしてくれということで二十万株が返っておるわけであります。  こういうぐあいに、これまでもわかってまいりましたドゥ・ベストその他いろいろと還流株が今問題になっておるわけでありまして、この還流株の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、証券局長、この還流株の実態については既にお調べだと思います。つまり、五十九年の十二月に、安定株主、こういうことで始めまして、六十年の二月、四月、第二次の第三者割り当て、そしてそれが六十一年の八月から九月にかけて江副さんの直接の要請でどんどん還流してくるわけですけれども、その実態についてお調べの報告をいただきたいと思います。
  55. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 五十九年十二月の七十六名に対する譲渡につきましては、これは証券取引法第四条違反の問題で調査いたしました。  実は、今御指摘の、六十年二月及び四月の第三者割り当てのその後のいわゆる還流がどうかという問題でございますが、この問題につきましては、いわば証券取引法上これを直接に規制するということはございません。いわば非公開株の第三者間の相対売買でございますので、これを証取法の立場から調査するということはいたしておりません。  ただ、この問題につきましては、いわゆる公開直前の特別利害関係人による譲渡が仮にあったといたしますと、これはいわば証券業協会のルールの問題でございますので、この問題につきましては、証券業協会が現在幹事証券会社を通じて調査中でございます。ただ、その調査の結果につきましては、現在までのところ、資料等が検察庁に押収されている等々の事情もございまして、まだこれにつきましての報告は私ども受けておりません。
  56. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、これは二十六条で、報告または資料の提出命令、検査、こうあるのです。それができないのですね、今の証券行政では。あるいは、不正取引の禁止というのが五十八条にあるわけです。そうすると、日本の大蔵省というのは…… 。では還流株というのは不正取引ですね。
  57. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 証券取引法第二十六条というのは、この国会でもたびたび御説明申し上げましたように、いわゆる企業のディスクロージャー制度を担保するための発行会社等に対する調査権限を定めたものでございますけれども、このいわゆる還流株の問題につきましては、これはいわゆるディスクロージャー制度とのかかわりがあるということについての証拠がございません。したがいまして、この問題につきましてディスクロージャーという立場からその二十六条を適用するということは、現在なかなか難しいのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。  それからまた、御指摘の証券取引法の第五十八条でございますけれども、これは、これも御承知のように、いわば詐欺的な取引を禁止する規定でございます。この第三者割り当て先からのいわゆる還流といいますか、再譲渡といいますか、こういった問題がいわば詐欺的取引に該当するかどうかといったことにつきましては、これは、どうも条文等の解釈からいいまして、これを詐欺的取引として取り締まる、こういうものには必ずしも該当しないのではないだろうかという感じがいたしております。そういった意味でも、五十八条の適用というのは、この件に関してはなかなか難しいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  58. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 江副さんが株を返せと返させる。そしてさらには、リクルートの社長室長などが、必ず上がるから買いなさい、こうやる。これはもう明らかにインサイダーでしょう。そして、この還流株というのは、特別利害関係人が動かしていかぬという時期に動かしているわけなんです。そうしますと、これは不正取引だ。  これは正常な行為だ、正常な商取引だと証券局は認めるのですか。
  59. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 証券取引法の五十八条というのは、いわゆる詐欺的な取引を禁止している規定でございまして、それがいわば経済行為として特定の者に特別の利得を与えることが不正であるかどうかといったことを問題にしているわけではないわけでございます。そういった意味で、証券取引法五十八条の要件には該当しないだろうというふうに思っております。  それから、ただいまの協会のルール、特別利害関係人による関与によりまして譲渡が行われたかどうかといった問題につきましては、これは現在証券業協会において調査中でございます。証券業協会の解釈といたしましては、もし仮に江副さんその他特別利害関係人がこの譲渡に直接契約上関係しているといたしますと、これは特別利害関係人による譲渡ということで協会のルールに触れる可能性はございますけれども、ただ、これがあっせんとかあるいは勧誘をしたというだけであると必ずしも触れないのではないか。この辺はいずれにしても事実関係の問題でございますので、現在協会において調査中でございます。ただ、この問題はあくまで協会のルールの問題でございますので、証券取引法それ自身の問題とはちょっと次元が違う話でございます。  なお、これに関連いたしまして、私どもといたしましては、こういった公開前の取引が一般の公開後に株式を取得する一般投資家の関係でいいますとやはり不公平な面があるのではないかといった観点で、こういった問題の是正策につきましては、現在、証券取引審議会の不公正取引部会におきまして、いわゆる株式公開制度のあり方との関連において改善策を検討しているという状況でございます。
  60. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いかに日本の証券取引の不正防止ができていないかということなんですよ。だから、これは証券業協会の自主的な調査だ。これにまたなければならない今日の証券行政のあり方というのは、国民の立場からいたしますならば、そういう三百代言的な解釈でやろうとしておる。例えば五十八条の問題でも、詐欺だ何だという厳しい条件があるのだと。最高裁の判決は一度ございますけれども、これは不正という問題については非常に幅広く解釈をしておるのです。インサイダーの問題についての判決はございませんけれども、不正の問題についてはやっておるわけです。でありますから、この解釈の仕方というのを狭め狭めて守る方に、つまり不正行為を守る方に動いておる今の証券行政のあり方というものに対して、私は大変不満を持つものであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、高石前文部次官の問題でございます。  高石前文部次官のことについて、まず文部省お尋ねをいたしますが、生涯学習振興財団、これはいつ申請をされていつ認可をされたのか、どこが認可をしたのか、そしてその財団認可の基準は何であったのか、伺いたいと思います。
  61. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 生涯学習振興財団は、福岡県の財団法人として認可されたものでございます。福岡県からの報告によりますと、昭和六十三年の七月八日に認可されておるわけでございまして、生涯学習に関連する団体とかグループに対する援助等の事業を行うということで認可されているわけでございます。そういう公益的なものでありますれば通常の手続に従ってこれを認可する、そういうことで認可された次第でございます。
  62. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは基金は幾らですか。
  63. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 基本財産額は六億円と聞いております。
  64. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 六億円の保証はどこで見たのですか。
  65. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 寄附された方がおられる、こう聞いておるわけでございまして、寄附行為がありまして、それによって認可されたわけでございます。
  66. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 六億円の寄附があったのですか。確認されているのですか。
  67. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 六億円の寄附行為がなされた、こういうように聞いております。
  68. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 だから、だれがどれだけのものをしたのか、こう聞いているのですよ。私は鹿児島の育英振興財団の問題で文部省といろいろ交渉をしたのだが、大変やかましいのですよ。何年もかかっているのです。できないのですよ。百年の歴史を持った公立の学校が育英財団をやろうとして、それがやかましい基準で進んでいないのですよ。そのときに、六十三年の七月四日、つまり彼が、高石氏が文部次官をやめてすぐじゃないですか。何でこれはこんな簡単にできるのですか。だから、六億円の寄附は何ですか、どういうふうに確認をされておるかというのを伺いたいのです。それでなければ、四千株が恐らくその基金になっているのだろう、こう思うのです。だから、そこをはっきりしなさい。これは福岡県教育委員会でちゃんと調べているのでしょう。私は、これはちゃんとやりますよと通告してあるのですから、当然福岡の教育委員会、お調べになっていると思うのです。だから、申請はいつでしたかね。申請がいつか、それから認可になったのがいつか、もう一度言ってください。それから、六億円の基金の保証をしてください。
  69. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 育英法人等につきましては文部省で認可しておりますけれども、こういう個々の地域の財団につきましては都道府県教育委員会に認可を委任しているわけでございまして、許可がなされたのは七月の八日である、基金は六億円であるということは聞いておりますが、申請は、六月から相談がありまして、書類としては七月六日に出ているそうでございます。それで認可は七月の八日である、こういうことでございます。
  70. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 こんなのは例がないですよ。百年の歴史を持った公立高校が、何万という卒業生がおるのですよ、みんなが寄附をしておるのです。私も出しました。それが三千万という基準にならないからといってまだ認可にならぬのですよ。何年もかかっているのです。生涯学習振興財団でしょう、だれが寄附をしたのか、六億円の基金の確認もできぬで、七月四日に書類が出て七月八日に認可なんて、こんなのどこにありますか。めちゃくちゃじゃないですか。これは前次官だからこれができるのですか。文部省の行政指導というのはこんなにいいかげんなんですか。大臣、いかがですか。
  71. 中島源太郎

    中島国務大臣 福岡の財団につきましては、今政府委員からお答えしたとおりでございます。   ただ、私は、今回の前文部次官の行為については、前回も申し上げましたように、これが本人であれ夫人であれ、大変配慮を欠いた、慎重さを欠いたものとして大変残念に思っておるということだけ申し上げますが、福岡の法人につきましては政府委員からお答えさせます。
  72. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今の問題は株の取得の問題だと思うのです。生涯学習局長、私は、調べてくれ、こう言ってあるのですから、福岡の教育委員会、ちゃんと調べなさいよと言ってあるのですよ、ちゃんと。僕自身がこういう財団関係については非常に苦労しながらいまだに実現できておりませんから、それだけに私はこの問題については非常に関心を持って調べると言ってあるのですよ、調べてきなさいと。今のやつではその六億の基金が確実に積まれているという保証がないじゃないですか。ありますか。明らかにしてください。
  73. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 六億円が寄附されたということは県の教育委員会で確認している、こういう報告を受けております。
  74. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 しかし、七月四日に書類が出て七月八日に認可なんという、これは前代未聞ですよ。そう思いませんか、局長
  75. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 こういう財団を地元でつくりたいという動きはかねてよりあったそうでございまして、いろいろ下相談をしながら準備を進めておった、なお、申請書類の作成等についても、再三県の教育委員会に相談をして、不備がないか指導等を受けた上で形式上七月の六日に申請をした、こういうふうに聞いておるところでございます。
  76. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 しかも、衆議院選挙に立候補するということが明らかなんで、下相談をしたと言いますが、六月に次官をやめておるのでありますから、そうすると、次官当時から選挙区に対してそういう財団をつくる下相談をしておったということになるわけですね。そういうことを文部省の本省自身も十分知っておったと思うし、福岡の教育委員会に対する指導もしていただろう。あるいは文部次官自身が現役時代にやったかもわかりませんけれども、私は、これはもう大変異常だ、こう思います。   といたしますと、これが正当な財団であるかどうか、これはどこで調べるのですか、そういうことを。
  77. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 通常、委任いたしました事業につきましては、それぞれの委任を受けた官庁で責任を持って行っているところでございます。基準に合っていないとか、処分の基準に合っていないとか、そういう問題がありますれば、上級官庁が指導することもあるわけでございます。
  78. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私は文部省に、福岡の教育委員会に対して厳正な調査を行うことを、そして再検討することを希望いたします。これは文部大臣。
  79. 中島源太郎

    中島国務大臣 御趣旨の点は承りました。
  80. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それから、加藤労働次官の問題でございますが、この加藤労働次官の問題も、ここでお答えになった、そうしたら違った、こういうのですね。そうすると、大臣なり政府委員の答弁というのは大変責任がない。無責任だ。うその答弁を平気でやっている、こういうことになるわけです。  でありますから、労働省としてこの問題をどのように再検討し、どのように処置をされるのか、伺いたいと思います。
  81. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 お答えを申し上げます。  加藤次官の取得株数につきまして、去る十月十一日に労働省の方で御本人に事情聴取を行ったことに基づきまして、これまで当委員会の場で、千株、このように申し上げてきたところでございますが、最近におきましてこれと異なる事実を示唆する情報を得ましたので、十一月四日に労働事務次官から直接加藤本人に対しまして再度事情をお聞きをしたところでございます。その結果、取得株式数につきましては、三千株である、こういう訂正が御本人からございました。これまでの国会答弁におきまして、これまでの事情聴取に基づきまして株式数について事実と異なる御報告を申し上げた結果になりましたことは、大変に申しわけなく存じておるところでございます。  これまで申し上げたことと重複する点もございますけれども、二回にわたります事情聴取の内容を再度申し上げることといたしたいと存じますが、六十一年の九月の中下旬にお話がございまして、それで当初千株程度というふうに答えたところでございます。
  82. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それはわかっているから。どうするかだ。時間がないよ。
  83. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 今後の問題でございますけれども、加藤本人のいわゆる進退の問題をお触れになっているかと存ずるわけでございますが、現在日本障害者雇用促進協会の会長という立場にあるわけでございまして、私どもといたしましては、結局、この雇用促進協会自体の業務を円滑に遂行する、またそういう観点からこの協会に対する指導監督を行っていく、こういう立場に立つわけでございまして、協会自身のこの問題についての対応ということを事態の推移を見つつ見守ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  84. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 政府税調の任命の問題について、これは何遍もありました。改めて問いたいのでありますけれども、六十年の七月二十日、中曽根首相が、税調に暴れ馬を起用しよう、こういうことで、官僚出身でない純民間の暴れ馬を入れ同税調を補強強化したい、こういうふうにブリュッセルで言われたわけであります。大蔵省はこの諮問前に大変困惑をしておるという記事もその当時出たわけでございますが、この任命については、つまり暴れ馬と言われた江副氏や公文俊平氏やそういう人たちの任命については、当時の中曽根首相主導であったということを当時の大蔵大臣はお認めになった。あなたは、下から上がってきたからアイ シーと言ってサインをした、こういうことでございますので、そういうふうに理解をしてよろしいですか。
  85. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 記憶を呼び戻して正確に答えたつもりでございますが、官房でございましたか秘書官室でございましたか、私のところへ書類が上がってまいりましたので、結構だ、こう申したことは事実でございます。
  86. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 次に、土地臨調でございますが、これは九月十四日、私がこの問題について高鳥長官お尋ねをしました。そのときに、大槻会長から、こういうことでございましたが、なお私は、江田虎臣君たちは自分の推薦もした、こういう話をいたしました。そのときに長官は、官邸筋から数名の推薦があった、こういうふうに言われました。間違いないですね。
  87. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 当時この問題につきましては山下長官のもとで扱われた問題でございますので、私が直接すべての事情をつまびらかにしておるわけではございませんが、調査をいたしましたところ、事務方におきまして二十数名をリストアップいたしました。さらにまた、官邸の方からどのような御意向でございましょうかということで、そもそもが中曽根総理の御指示に基づいて始められたことでありますので、官邸の方で何か御意向がございましょうかということで伺いました。その際にやはり何人かの方の御推薦がございました。それらを含めまして大槻会長が二十名を選定されたというふうに承知しております。
  88. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、政府税調、土地臨調ともにこの江副グループと言われる人たちが入ってきているわけですね。そういたしますと、官邸筋からということになりますと、これはここにおられますので大変恐縮でございますけれども、当時の藤波官房長官、それから渡辺長官、そうした人たちがこれにタッチしたと思わざるを得ないのであります。これは本当は藤波さんにお答えいただくのが一番いいのでございますけれども、これはできません。しかし、そういうふうに私たちは判断をせざるを得ないということを今日の株の異常な動きの中で理解せざるを得ない、こういうふうに思うわけであります。  この点については、当時から引き続いて閣内におられます竹下総理は、そういう中曽根内閣の閣僚十名、副長官一名、そして今言ういろいろの動きが、アクションプログラムにしましても、政府税調やあるいは政府関係委員の任命等にいたしましても、あった。そういう疑惑をかけられる。そしてそういうふうにマスコミも指摘をしておるわけでありますが、そのことについて総理としてはどうお考えになりますか。
  89. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 各種委員の任命の問題でございますが、確かに私も長い間内閣官房にもおったことがございますが、総理大臣任命につきまして、事務局を担当しますそれぞれの省から候補者のリストが上がることもございます。そして、内閣官房で私どもが、この人たちなどはどうだなどという意見を申し述べた経験もございます。そのときどきにおいて適切と思う人を任命するのですが、ただ私の感じが川崎委員との感じとちょっと合いかねますのは、何か私は、政府委員に任命するときにはいつもお忙しいところを申しわけないというような感じでもってお願いしてきましたので、いわばその地位というものが自分の利益追求につながるというような感じを率直に持ったことがないわけでございます。しかし、もろもろの御質疑を聞きながら、私どもなりにも、そうした点、将来にわたって気をつけなければいかぬ問題が数多いということを感じさせていただきました。
  90. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 竹下総理還流株、そして今政官財にそれぞればらまかれておるという姿が次々に広がってきております。この還流株は明らかに江副氏が直接指揮をしてやっておるわけでありますが、私は、還流株の取引の関係というのは不正だ、こう思いますが、総理はいかがでありますか。
  91. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 ちょうだいした側で見ると、そのときはそれが還流株であったかどうかはそれはわからないだろうと思うのでございます。が、この特別利害関係人ということをどういう定義できちんと定めるべきか、私も定かな知識は持っておりませんが、法律的に違法性がないにしても、何と申しますか、不自然な感じだなということは私自身も感じております。
  92. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 感じておる。ところが、安倍幹事長渡辺政調会長は、正常な経済行為だと依然として言い、胸を張って天下を歩くんだ、こういうふうに言っておられますが、私はこれはもっと謙虚であっていいと思うのです。私は本当に謙虚であっていいと思う。総裁としていかがですか。
  93. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これはいつも申し上げておりますことに尽きるかとも思うのでございますが、これは、よしんばそれそのものが経済行為であっても、政治家という立場にあって非常に情報も集まりやすい立場にあるから、私どもとしてやはり反省すべき点が数あるではないか、こういうふうに申し上げておるところでございます。
  94. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 次に、日本テレビのビデオを捜査当局が押収しました。私は、これは報道の自由という点でいきますならば大変大事な問題だと思うのです。これは、福岡におけるNHKテレビ問題というのもございました。しかし、ここは最高裁の判決まで待つ手続もしているわけですね。今度は捜査のためには手段を選ばないという形で差し押さえをしたというふうに私は判断せざるを得ないのです。でありますから、報道の自由、それから公正な裁判、そういういろいろぶつかり合う問題があります。私は、徹底的にこれを究明しなければならない、こう思いますけれども、このビデオを押収する以外に手段はなかったのかといえば、資料も千数百の箱になるほど集めておるし、その他とっているわけですね。そういたしますと、このビデオの押収ということは報道の自由という面でまいりますならば大変重要な問題でありまして、いろいろなものを拡張解釈をして、目的のためには手段を選ばぬということであってはならない、こう思います。でありますから、法務大臣にこの点については厳格な姿勢というものを私は要求をいたしたい、こういうふうに思いますが、法務大臣の見解を伺います。
  95. 根來泰周

    根來政府委員 大臣がお答えする前に、若干事務当局といたしまして事情を御説明いたしたいと思います。  本件につきましては、東京地検でもいろいろ過去の判例に示されました要件が具備するかどうかを慎重に検討いたしましたところ、やはり本件に即して言えばどうしても必要欠くべからざるものであるということでございまして、また、報道の自由に対しても十分な配慮を払いました上で、裁判官の令状を得まして去る十一月一日にビデオテープ四巻を押収したところでございます。これに対して、土曜日でございますが、去る十一月五日に日本テレビの方から準抗告の申し立てがされまして、現在裁判所においてその適否をめぐって審査中でございます。したがいまして、先生のただいま御指摘の問題については、将来、裁判所において十分判断をされまして、その上で決定がなされるものと考えております。  当然、今御指摘の点につきましては私どもも十分配慮しまして、報道の自由を侵害しないように、また、その刑事裁判の適正な運営という兼ね合いの上におきまして十分な配慮を払ってやったところでございますので、仰せのところは将来も注意してやっていきたい、そういうふうに考えております。
  96. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 ただいま刑事局長が御答弁申し上げたとおりでございまするが、東京地検が行いました日本テレビからのビデオテープの押収につきましては、私としましては意見を述べるべき立場にございません。当然東京地検は報道の自由とか諸般の点を十分考慮した上でとった措置であると存じております。
  97. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私は、報道の自由というのと裁判の公正その他いろいろぶつかるということのあることもあり得ると思います。しかし、やはりそれは報道の自由を守るためのやむを得ない措置とか、人権を守るためのやむを得ない措置とか、そういうことでなければならぬ、こう思います。でありますから、その点の報道の自由を守る、これは一法務省なり捜査当局だけの問題でなくて、内閣全体としても、その点については、報道の自由を守るということについては厳然たる姿勢をとってもらいたいと思いますが、総理の御見解を伺います。
  98. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 具体的なただいまの問題についてのお答えはそれぞれあったとおりでございますが、原則としてのいわゆる報道の自由は守るべきであるということについては、私も同感でございます。
  99. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 宮澤大蔵大臣お尋ねをしたいのです。  この間の再答弁というのは私はやはり釈然といたしません。そこで端的にお尋ねをするのですが、大変失礼なお尋ねで恐縮でございますけれども、宮澤大蔵大臣の御答弁を伺いますと、秘書官の服部君の友人の河合君が、株の売買をして二千万もうけて、それで海外に土地を買った、こういうことでございます。といたしますと、河合君は大変もうけたわけです、宮澤さんのお名前を使って。そういたしますと、河合君は宮澤さんに被害を与えたのですね。それで河合君は宮澤さんのところに謝りに来ましたか。当然謝りに来てしかるべきだ、こう思うのですが、どうも宮澤さんは、服部君を通してというお答えしかないわけであります。でありますから、そういたしますと、河合君が当然宮澤さんのところにおわびに来なければならぬものだと思いますが、どうもおわびがないし、海外に逃げてしまっているという点は不自然な感じがいたすわけでありますが、その点いかがですか。
  100. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 うかつなことをいたしましたのは服部の方でございます。先様もこういうことになってといろいろ思いはおありかもしれませんけれども、別段直接に何も私は聞いてはおりません。
  101. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 宮澤さんの政治生命にかかわる今日の事件なんですよ。その政治生命にかかわる事件に対しておわびに来ていないというのは、私は、これは本当に不自然だ、こういうふうに思います。鹿児島県人だったらこんなことは許されませんよ。広島県の人間でしょう、そして増岡さんの秘書だったわけなんですから、広島県というのはひどいところだなと私は思っておるのです。大変失礼ですが、その点は私は大変不自然に思っておるということを申し上げておきたいと思います。  そこで次に、話題を変えまして、消費税導入に関する問題を少しお尋ねをしていきたい、こういうふうに思います。  十月二十五日に政府が示されました「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」というものについてお尋ねをしたいのですが、ここで示されました目標というのは、達成年度はいつなのか。これまでもいろいろありました。しかし、防衛計画というのは五カ年計画だ。一次、二次、三次とこうやってきているのですよ。ところが、肝心の福祉、この問題については、高齢化社会が来るんだからということで消費税の導入ということに踏み切ろうとして提案してきているわけですね。ところが、その目標達成がはっきりしないのです。政府が責任を持って推進をする年次別の五カ年計画というのがなぜつくれないのか、明らかにしていただきたいと思います。
  102. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 日本型福祉社会、長寿・福祉社会を実現するために、先般、我が国の社会保障の方向、目標ということにつきまして福祉ビジョンという形でお示ししたわけでございます。御指摘のようにこの目標、方向を五カ年計画であれば五カ年計画という計画をつくって推進すべきではないか、こういう御指摘、考え方はよく私どももわかります。  ただ、福祉政策の中で考えてみますと、例えば医療の問題、年金の問題等、年金の支給開始年齢の引き上げの問題とか、それから老人医療の一部負担、こういう問題につきましては、これは関係審議会の御意見を承ったり、また負担の面でいろいろと変化が生じるわけでございますので、国民のコンセンサスを得ながらこうした問題は進めていかなければならない。こういう福祉政策の他の政策とは異なった背景といいますか特徴があるわけでございまして、今言われましたような五カ年計画でもって我が国の福祉政策を進めていくということにつきましては、なかなか難しい点があるわけでございます。  ただ、厚生行政の中でも、例えば廃棄物処理等の公共事業に関しましては無論五ケ年計画というものもございますし、また、福祉ビジョンの中でお示しいたしておりますけれども、家庭奉仕員の五万人目標であるとか、それからショートステイ、デイサービス、それぞれの目標につきましては具体的に定量的にお示ししておるわけでございますので、これらにつきましては年次計画をつくるということは可能であるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後の長寿・福祉社会を実現するための先ほどお示しいたしました福祉ビジョンの方向、目標を着実に遂行するために、私どもといたしましては全力を挙げてまいる、そのように考えておる次第でございます。
  103. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 たくさんこれは問題がありますけれども、時間が限られてまいりましたので、少し年金と雇用のところについてお尋ねをしたいと思うのであります。  このビジョンによりますと、雇用の継続を前提として年金支給開始年齢をできる限り早い時期に六十五歳にする。というのであれば、六十五歳以前の定年退職者は退職と同時に支給する。持っていくんだ、それを目標にするというのであれば、当然そこに達していない人たちの問題について言えば、六十五歳以前の定年退職者は退職と同時に支給、そういう意味なのか、どうですか。
  104. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 厚生年金の支給開始年齢の引き上げ、これは避けて通れない問題でございますが、この問題は、国民の皆様方の人生設計に非常に影響を与えるわけでございますので、慎重に、しかも時間をかけて対処していかなければならないとまず思っております。  それから、この開始年齢の引き上げの問題についての条件整備、御指摘のようにまず高齢者の雇用環境の問題がございます。これは労働省におきまして積極的に対応をお願いできると考えておるわけでございますが、厚生省の側から見ますと、今御指摘のような問題が確かにあるわけでございまして、その場合に、対応する考え方として、繰り上げの減額年金制度の創設であるとか、それから低所得者に今適用いたしております在職老齢年金制度の改善であるとか、そういう方策をもって条件整備の対応といたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  105. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いや、だから六十五歳以前の定年退職者は退職と同時に支給するのか。これは、じゃ、労働省いかがですか。
  106. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 申し上げましたような繰り上げ減額年金制度の導入によりまして対応できるものと考えております。
  107. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今定年制採用の事業所のうち九六%までが六十歳以前の定年制なんですよ。そうすると、減額支給だ、これではだめなんですね。ですから法的な強制力を持たせないで六十五歳まで延長ということはしてはいかぬ、こう思うのですよ。でありますから、当然これはその点については、六十五歳まで年金支給開始年齢延長という問題と、それから、今の六十歳を含みます六十歳以前の定年制というものが定年制を実施をしている事業所の中で実に九六%なんです。そしてそれは定年制を採用していない企業を含みますと全企業の七七%に相当しているのです。そうしますと、年金支給というものと雇用政策というものとの相まったものがなければならぬ、こう思うのです。でありますから、その点のつまり労働省の雇用政策というものはいかがですか。
  108. 中村太郎

    中村国務大臣 御案内のような本格的な高齢化社会に入るわけでございまして、そこで今のような活力ある経済社会を維持するためには、何といいましても高齢者の雇用、就業の場を確保する、それが極めて最重要課題でありますことは私ども承知をいたしておるわけでございます。そのために、労働省としましては、何といいましても、第一義的には、六十五歳ぐらいまでの高齢者に対しましては、継続雇用の道あるいはその他の就業の場、これを与えるべく全力を挙げなければいけないと明記をいたしておるわけでございます。   今お話しの年金との関係でございますけれども、これは十分政策当局と連携をとりながらも、その間の間のないような方向にすることが大事ではないかというふうに思っております。ただ、御案内のように、今の定年実施状況を見ますると、残念ながら六〇%前後ということでございます。既に政策としては、会社の方針としては決めておるというそういうところまで入れましても七六%という状態でございまして、今直ちに六十五歳定年を打ち出すことは、極めてといいましょうか、いささか無理があるではないかというふうに思うわけでございまして、六十歳以上に定年を引き上げる場合におきましては、まず第一に、今の賃金、退職金等労務管理、人事管理の面の見直し、さらにはまた就職設計というもの、職業設計というものの見直しをしていかなければなりませんし、第一には、高齢者に適した職域の拡大等々を総合的に判断をしながら将来の課題として検討の歩を進めていかなければいけないというふうに考えておるわけであります。
  109. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 年金、医療、福祉、そういうものをずっと後退をさせながら、一方では年金の支給開始年齢六十五歳、私は今のこういう自由民主党の政策にあくまでも反対をしていきたい、こういうふうに思います。  そこで、そういう高齢者福祉社会というものを出してきた、しかも今言われるように年度計画はない、一方、税の方だけは逆進性の消費税を入れようとする、こういうことですね。そうすると、端的にお尋ねしますが、この示された福祉ビジョンというものを実行するには税率三%ですか、伺います。
  110. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま関係大臣が御説明になられましたような経緯と考え方でこの案をつくりましてお目にかけておるわけでございますが、中にはかなり計画的に申し上げておるものもありますし、中には、それはいろいろな意味で先の将来のことでもありまして、今の段階ではきちっと計画的に申し上げかねているというものもございます。しかし、いずれにいたしましても、ここに書いてありますようなことを私どもは実行していかなければなりません。かなりの財政負担になるということも当然に予測されることでございます。どの分が税負担になり、どの分がいわゆる保険料負担になるかといったようなことは、これはまあこれからの国民の選択、高福祉高負担であるかあるいは中中であるか、その辺のところは選択の問題でございますが、私といたしまして、こういうことをいたしたいから三%の税率を上げていただきたいというようなことを申すつもりはございません。そういう前提でこれは考えてはおりません。
  111. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 竹下首相は、竹下内閣の間は、こういう――あら、官房長官いないのですか。僕は最後に官房長官必要があるのですけれども。通告はしておりませんけれども、ちょっと全体の問題で。帰ってくるね。どっちですか。
  112. 金丸信

    金丸委員長 記者会見に行っています。
  113. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 小渕官房長官も、再選をしてせいぜいとこういうふうなことも記者会見などでも言っているわけですが、そういたしますと、竹下内閣というのは、あと三年ということが続けば、要するにその内閣の間だけは上げない、こういうことなんですか。  そこで、付加価値税の発明者、付加価値税の生みの親と言われておりますフランスのモーリス・ローレ氏は、これはいろいろと今まで何遍も議論があったところでございますけれども、付加価値税における欠点はどうか、こういうことに対して、「付加価値税は、ある意味では危険な税だ。税率を引き上げるのが簡単で、政府は常にその誘惑に駆られる。デンマークでは短期間に一〇%から二二%まで急上昇した。麻薬みたいな税といってもいい。税率引き上げにブレーキをかける妙薬はない。政府が賢明な行動をとるほかない。」こういうふうに付加価値税の父であると言われておるフランスのモーリス・ローレ氏は言っておるのです。  でありますから、今、宮澤大蔵大臣も、こういうふうにこの問題についてはまだ言及できない。ところが、税の方だけは上げる。国民負担率の問題についてはこれから検討して国民の判断を、こういうことでしょう。そういたしますと、この福祉ビジョンというもの、これは閣議も決定していないと思うし、恐らく自民党の総務会なり政調会なりも通っていない、こういうふうに思うペーパーだと思うのですが、その問題を検討する機関、将来の高齢化社会を展望する、これは野党の政策責任者が絶えず交渉の際にも言ってきておった点なんです。でありますから、そういう検討する機関というのは、厚生省、労働省、ばらばらではだめなんです。  だから、どういう機関で、つまり国民の判断を得るというのであれば国民参加のそういう機関をつくらなければいかぬ。それから、国民負担率については、税か保険料か、こうなりますと、税は政府税制調査会、一方の保険料はどこで検討するか。社会保障制度審議会もあります。そうしますと、政府税調なり社会保障制度審議会なり、税なり国民の保険料なり、そういうものを統合して検討する機関がなければ、政府税調が引っ張っていく、税の方が引っ張るというのが今の消費税導入の姿なんです。導入しようとする姿なんです。でありますから、どういう機関でこの福祉ビジョンの検討をしていくべきかあるいは国民負担率の検討をする機関はどこであるべきかということについて、総理、そういう検討機関をきちっとすべきだ、国民参加のそういう検討機関をつくるべきだ、こう思いますが、いかがでありますか。
  114. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 行政は縦割りであって、したがってそれぞれの行政の中で審議会等があって国民の皆様方の高度な意見を吸収する場所はある、しかし、一例を申せば、国民負担率の点については社会保険負担と租税負担を足したものだからこれらはどこでやるのだ、また福祉ビジョンというものを実行に移すためにどこでやるんだ。実態的にありますのは、各種閣僚協議会というものがあり、内閣そのものが存在をしておるわけでございます。と同時に、やはり国民の最大公約数を議論する場として国会そのものがそういう機能を果たして今日に至っておるんではないかなというふうに思います。ただ、この福祉ビジョンの前のあの長寿何とか計画というのを出しましたときの閣僚懇の名前を正式に覚えておりませんので、そういうのも一例として存在するというふうに思っております
  115. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大変あいまいな答弁だと言わざるを得ません。これはいずれこれからも議論を続けなければならない問題だろう、こういうふうに思います。  私は、平準化論、それから価格転嫁の問題、それから政治倫理という問題等についてお尋ねしていきたい、こう思っておったのでありますが、時間が大変制約をされてまいりました。  そこで、価格転嫁についてお尋ねをいたしますが、きょうは公取の委員長にもおいでいただいておるのでありますけれども、公取委員長のこの間からのお答えを聞いておると、わからぬのですよ。価格というのは力関係で決まるわけです。その価格のカルテルでずっと押していって末端まで通るようにするんだ。すると、公取がガイドラインをつくればそういうふうにずっと価格が転嫁をしていくというふうにお考えなのか。あなたは今まで税を取る専門家だったわけですね。今度は税の価格をずっと転嫁さしていく。では、そういうガイドラインでできるのかどうか。  それから、親企業と下請という問題、これは完全に力関係なんです。そうしますと、そういうものは、公取委にしましても、中央も人間をふやさなきゃいかぬでしょうし、地方の事務所もどんどん人間をふやさなきゃいかぬ、こういうことになるのじゃないか、こう思います。そういたしますと、これは行政改革というものとまさに反する事態になってくるのじゃないか。  それから、このことがつまり今までの正常な商取引というものを変えていく、秩序を変えていく、そういうふうに私は思います。その点で公取委員長の御見解を伺いたいと思います。
  116. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいまのお尋ねの件でございますけれども、今回の特例措置によりまして、転嫁の方法、それから表示の方法の決定について、特別に共同行為が認められるわけであります。  前者につきましては、委員も御指摘になりましたように、価格というものはあくまで市場メカニズムの中で形成されるわけでありますけれども、今回の消費税の導入に当たりまして、一つは、市場における価格形成力の弱い中小企業者に対象を絞りまして、いわばその価格形成力を一定期間補強してあげるというのが一つの趣旨だろうと思います。  表示の方は、むしろ事業者にとっても消費者にとりましても、その税額分が消費者にどのようにはっきり示されるかという点につきまして、こういう表示の方法が明確にされるということは、それ自体市場の価格秩序に不当に影響する問題ではなかろう、むしろそういう表示が適正化されることによって本来の価格転嫁というものが透明度を持って行われるだろう、こういう趣旨であろうと私は理解しておるわけでございます。  それから下請の問題につきましても、これも御指摘のとおり、取引というものはあくまで市場の価格メカニズムの中で行われるわけでありますけれども、やはり下請中小企業者というのは市場の地位というものがそれだけ弱いわけでございますので、親事業者が経済的に優勢な地位を乱用いたしまして買いたたきをやるとかあるいは減額をするといったことがないように、これはむしろ公正な取引が行われることを確保するためにこの下請法で規制をされておるわけでございます。これは、消費税の導入があろうとなかろうと、常に私ども中小企業庁とも密接に連絡をとりまして、そういう不当な損害を下請事業者が受けないようにということで万々努力をいたしておるところでございます。  最後になりましたけれども、もちろん、今回の特例措置によりまして、公正取引委員会といたしましては、消費者にいわゆる便乗値上げのような格好で不利益を与えないように、あるいはまた共同行為が本来のカルテルといったようなものに乱用されないように十分注意していかなければならない重要な任務を負わされたと考えておるわけでございます。財政事情は非常に困難な事情であるということは私重々承知をいたしながら、やはりそういったものに対応できるように、予算あるいは人員等の面で必要最小限の公正取引委員会の体制の強化は私としてはぜひお願いしたいというふうに考えております。
  117. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今のお話だと、結局最後は人間をふやさなければいかぬというお話も入っているわけですが、これはもう時間がありません。結構です。  そこで通産大臣、要するに、消費税導入ということは、私は、日本経済、社会に与える影響は大変大きいと思うのです。内需を抑制しますし、輸出を促進をすることになりますし、雇用や産業の再編成やいろいろな問題が出てくるわけですね。あるいは逆進性の議論はこれまでもございました。この低所得のところにおける重い負担ということと同時に、高額所得者に対する大変な減税ということも来るわけであります。よく言われるように、松下幸之助さんは一億三千万の減税だ、こういうふうなことも言われておるわけでありますから、非常に不公平の拡大ということになってまいる、私はこう思いますし、このことを通して、中小企業のいろいろな方々から伺っておりますと、社会の慣習自体も変わる、こういう大変な不安を今持っておるわけです。経済の中立性というものが侵されることは言うまでもありません。  そこで、中小企業の担当官庁として通産大臣、この力関係による価格の形成やあるいは転嫁ができない現実の問題が出ると思います。あるいは書店にしましても印刷関係にしましても、あるいは紙の関係やそういういろいろな問題、小売関係もそうです。たくさん出てくるわけです。きょうはもう具体的に一つ一つはできませんが、私は、中小企業における不安というのは大変限りなく大きい、こう思いますし、そういう変化が出ざるを得ない。でありますから、このことにあくまでも反対をするわけでありますが、通産大臣の見解を伺いたいと思います。
  118. 田村元

    ○田村国務大臣 今川崎委員がお述べになりました非常に個々の問題は時間の関係がありますからとにかくとしまして、中小企業における消費税の円滑かつ適正な転嫁、これの円滑かつ適正な転嫁というものがなければ消費税というのは悪税になるわけでございますから、これはもう何としてもしなければなりません。そのために、国民や事業者へのPRや要請をしていく、これはもう当然のことでございます。これはきめ細かくやらなければなりません。  同時に、独占禁止法の適用除外措置等の対策を講ずる必要もございますし、公取の方からもいろいろとお話がございましたが、十分の連係プレーをしていきたいと思っておりますが、所要の助成措置を検討することもまた必要でございます。通商産業省としましては、画期的な税制改革でございますだけに、広く国民あるいは企業者の意見を求めまして、万全を期してまいる所存でございます。
  119. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 残りわずかになりましたが、官房長官、あなたがおられるときに聞いたかどうかわかりませんが、加藤前労働次官あるいは高石前文部次官などの問題が今大変大きく出ております。つまり、各省庁において、このリクルート事件で、農林水産省にしましても、あるいは郵政省にしましても、あるいは建設省等にしましても、文部省労働省はもとよりでありますが、大変いろいろと報道されたり、うわさもあるわけであります。そういう意味ではリクルートのこの疑惑の広がりというのが大変大きく底が深いわけでありますが、それだけに政府として、この規律、規制といいますか、まず調査、それから綱紀の規制、こういう問題について政府としてどう取り組もうとしておるのか、そのことを伺いたいと思います。  それから最後には総理にもう一つお尋ねします。ちょっと時間をとって恐縮ですが、お願いします。
  120. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 公務員の綱紀粛正につきましては常々政府といたしましても厳しく喚起いたしておるところでございますが、ただいま御指摘のございましたリクルート問題につきましては、現在文部、労働などの関係省庁で調査を進めておりますので、まずこれらの調査結果等を慎重に踏まえつつ、政府全体の問題として厳正かつ適切な対応に努めてまいりたい、このように考えております。
  121. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 総理は、みずからが関係者、こういうことでありますので大変歯切れが悪いのでありますけれども、政治倫理綱領の点検、見直し、こういうことを言っておりますが、私は、点検や見直しの問題ではない、こう思うのです。そうではなくて、政治倫理綱領がなぜ守られないのかということが問題だ、こう思います。でありますから、今日のこういう事態に対して、私は、政治倫理綱領の点検、見直しなどを言うようではだめだ、こう思います。  私は、これはやはり国民の審判を仰ぐ、そのことが大事な時期に来ておる、こう思います。でありますから、そういう意味においては消費税の導入というものとリクルート事件が一緒に出てきておるということの今日的な意義を私は冒頭にも申し上げました。前内閣から引き続いております内政の失敗、それがリクルートを繁盛させたわけでありますし、そして今日その利に狂うやからの広がりというのはわからぬわけでありますし、そういう意味では、消費税の導入も含めまして、そして政治倫理という問題も含めまして、解散をして国民の信を問うべきだ、その時期に来ておる。でありますから、総理が解散をして国民に信を問うという決断をすべきである。私はこのことを最後に伺いたいと思います。
  122. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 倫理綱領というのは、読み返してみますと、これは立派にできたものでございます。したがって、点検などということよりも、私が申しておりますのは、反復拳々服膺ということを申し上げておるわけであります。しかし、今御指摘なさったように、あのときなぜ倫理綱領つくらなきゃならなかったか、そして今この問題をなぜこういう議論をしておるかというと、やはりその奥の問題というのを私ども反省の原点に置かなきゃならぬ課題ではあろうというふうに考えておるところでございます。したがって、点検、見直しなどということを考えておるわけではございません。  だが、この際解散をして信を問うべきであるというお考えでございますが、せっかく与えられた憲法に定められた四年間というのは、お互い国民の信託にこたえるために最大限の努力をすべきものであるというふうに考えておりますから、解散の意思は持っておりません。
  123. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  124. 金丸信

    金丸委員長 これにて川崎寛治君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷治嘉君。
  125. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に大蔵大臣にお尋ねいたします。  六月に、「税制改革の骨格」、それから「税制改革要綱による増減収額試算」、これが閣議決定されまして、同日に「地方税制改正要旨による増減収見込額」というものが報告、了承されております。この点についてお尋ねしたいわけであります。  フレームが決まっておりますが、そのフレームの中で、「課税の適正化等」一兆二千億円というのがございます。閣議決定の分の「課税の適正化等」という表を見ますと、いろんなものを含めまして七千八百九十億円となっております。地方税関係を見ますと、「法人住民税・法人事業税」の中で「課税の適正化等」というのが千二百九十二億円ございます。国税の方の「課税の適正化等」というのが七千八百九十億円であって地方税の方の適正化というのが千二百九十二億円でありますから、合計いたしまして九千百八十二億円、こういうことになります。そうしますと、フレームの「税制改革の骨格」、そのうちの「増収等」という中の「課税の適正化等」一兆二千億と数字が合いませんね。これはどうしてなんですか。      〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
  126. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 この点は当院でも御指摘をいただいている点でございますが、今回の税制改革に当たりましては、企業課税の負担水準は引き下げる、しかし一方、企業課税につきましてはその課税ベースの拡大に極力努めるということが基本的な方向とされてきたところでございます。しかし、今回御提案申し上げた法律の中では措置をされず今後の改正で予定をするというものも残されておるわけでございます。全体の「税制改革の骨格」としては御指摘のような課税の適正化等一兆二千億円ということで見込んでおるところでございますが、今回御提案したものとの間には御指摘のような数字の差はあるわけでございます。  しかし、この方向につきましては、政府税制調査会においても、なお今後課税ベースの拡大等に努めるべきものとされ、また、先般来当院におきまして不公平税制につきましての与野党御協議の中でも、例えば企業課税関係でございますと、この二、三年中に検討をしてめどをつけるというふうな回答が与党からもなされておるところでございます。そうした全体の骨格の姿としては一兆二千億円でございますが、今回具体的に御提案をした法律改正の減収額を試算いたしますと御指摘のような数字になっておるということでございます。
  127. 細谷治嘉

    細谷委員 今の答弁、何を言っているのか一つもわからない。国税はこうなります、地方税はこうなります、その全体のフレームというのは国税、地方税を通じてこうなるんです、その中で課税の適正化等で一兆二千億円やる、国税の部分はこれだ、地方税の部分はこれだと。その中に、今合わせますと一兆二千億でありますから、大体において三千億円程度の差があるわけであります。その三千億円の中身がどうなのか、どういう構想でいつやるのか、そういうものもわからないで閣議決定のフレームとして数字をぱちんと出すなんというのはおかしいでしょう。穴があいているでしょう。
  128. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 御指摘の「骨格」は、閣議決定まではいたしてございませんで、六月の中旬に全体の構想が固まりましたときに、その中身と一緒に記者発表をいたしたことはございます。しかし、あくまで閣議決定でお願いをしました「要綱」におきましては、御指摘のような積算の数字になっております。したがいまして、「骨格」のベースと御提案申し上げております「税制改革要綱」に基づきます数字、それから法案提出による減収額との間には、合わせますと約九千億、それから「骨格」では一兆二千億となってございますので、三千億円の差があることは御指摘のとおりでございます。ただ、閣議決定まではいたしておりませんので、それは今後の検討課題でございます。
  129. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、三千億円というのは、国税と地方税を合わせて三千億ということでしょうが、その中身は、どういう税金で、国税の部分がどのくらいで、地方税へのはね返りがどのくらいだ、こういうことがはっきりしておりません。したがって、「地方税制改正要旨による増減収見込額」という閣議報告、了承をいただいた「法人住民税・法人事業税」、それからその中の「課税の適正化等」、この数字は全然わからないんですよ。あなただけわかっている話なんですよ。審議する国会議員だってこれはわからぬですよ。  これは一体どういうことなのかといったら、ある雑誌に書いてあるのを見ますと、   法人住民税・法人事業税の減収見込額は六百二十五億円で、資料三の減収見込額(千五百三十二億円) 千五百三十二億円というのは、この閣議報告の中の減収分ですね。  (千五百三十二億円)に比べて九百七億円の増収見込みとなっている。これは、(一)に述べた課税ベースの拡大等による増収額約三千億円のうち地方税に係るものの増収額の影響であり、課税の適正化等による法人住民税及び法人事業税の増収額が二千百九十九億円と、資料三の増収見込額(千二百九十二億円)を九百七億円上回っている 計算上九百七億円になるんでしょう。どこを探ったって九百七億円という数字は出てきませんよ、これは。あなたが知っているだけじゃないですか。こんなやりくりの数字を国会の議案で、これが税制改革の基本だ、フレームだなんていうのは言語道断だ、こう思いますが、いかがでしょう、大蔵大臣。
  130. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 国会に御提案を申し上げておりますのは、あくまで積算のお示しになっております数字でございます。「骨格」の数字は、今回税制改革をまとめた際の背景となる事情も全部含めた今後の方向を示したものでございますので、この委員会におきましての御審議におかれましては、国税としては閣議決定をした「税制改革要綱」、それから地方税につきましては閣議に御報告を申し上げた数字、これを基本的な計数として御議論を賜れば幸いと思うわけでございます。
  131. 細谷治嘉

    細谷委員 閣議決定のフレームは、大体単位が兆ですよ。それから閣議決定の国税、地方税部分の表というのは、億の単位です。兆と億でありますから二、三十億の違いが出てくるのはわかります。そんなのはみんな読めるのですよ。現に切り上げて三十億円ふやしたりなんかしていることは表を見ればわかるのですよ。ところが三千億円という数字を隠したまま出てきている。そしてこれが国税の方にこうはね返るんだ、どうなんだというようなのは、これはやはりやり方としては正常じゃないですよ。大蔵大臣、どう思いますか。これでもいいんだというのですか。
  132. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点につきましては、いろいろ経緯がございましたために、御指摘がありますことは、私はごもっともな御指摘だというふうに伺いつつございます。  こういう経緯でございます。今ごらんになっております今年六月のいわゆる「骨格」という資料でございますが、その注の三のところに、一兆二千億円の中に「税制改革期間中における課税ベースの拡大等による増収見込額〇・三兆円を含む。」とございます。これは、実はこの段階におきましていろいろな議論がございました。どういうことを具体的にやるべきかということについてかなり詰めた議論があったわけでございますけれども、結局時間的に今回の改正に取り込むことに間に合わないということになりまして、そして、今後の改革の過程の中である年度において措置すべきものと、こういうふうに処理をすることにいたしたわけでございます。したがいまして、先ほどのような注に書いてあるようなものとして残ったわけでございまして、これは私どもが今後あるときにしなければならないことだと考えておりますけれども、課税ベースの拡大といったようなことが具体的に何をどうやるということをとうとう詰め切れませんでしたために、閣議決定においてはそれを落としておる。それが先ほど政府委員の申し上げましたことで、そのような経緯がございました。  したがって、これはこの経緯を申し上げずにお聞きになりますと、少し不審ではないかとおっしゃいますことはごもっともなことでございますが、そのような経緯がありましたことを御理解いただきたいと存じます。
  133. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣おっしゃるように、「税制改革の骨格」の注の三に「増収見込額〇・三十三兆円を含む。」と書いてある。そのとおりであります。確かに、〇・三兆円というのは、閣議決定の国税の部分については上げるものとして、その中身ははっきりしておりませんけれども、出ております。そして、恐らくその中身もいろいろ議論があったということでありますから、地方税にこういうふうにはね返ってくるんだ、そのはね返りの額は九百七億円だ、ここまではっきりしておる。  ところが、報告をされた地方税の増減収の部分については三千億円は入っていないのですよ。だから突き合わせますとわからない。これは恐らく、そのとき議論があったということもありましょうけれども、国民に対して減税の規模がこれだけ大きいんだということを見せようとした。三千億、まだ決まっていないなら下げておいていいのですよ、表に出さぬで。規模を大きくしよう、地方の方はどうせわかりゃせぬだろうから、これは後で入れよう、約束だけしておこうということになったのでしょう。これはおかしいと思うのですよ。どうしても了承できません、これは。  総理、そういう数字、大蔵省なり自治省が希望のものを、これは後でやるんだ。後でやるが、いつやるか。二年先なのか、六十五年にやるのか、六十六年になるか、わからぬでしょう。そういうものを入れてきちんとした数字、数字というのは正直なんですから、これを出すなんというやり方はやめていただきたい。今回もそういう意味で直していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  134. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはごまかしを申すという気ではさらさらございませんでしたので、私はこの席上でしばしば二兆四千億円の減収になりますのでと申し上げておりますのは、今のような趣旨でございます。その点はどうぞ御了承をお願いいたしたい。
  135. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっとくどくなりますけれども、これを読みますと、減収は九兆円でございますと、増収の方は差引純減税も加えて九兆円と、ぴしゃっと合っているわけです。その幻の三千億円がこれは入っているからです。ですから、増収は少なくして減税分を多く数字を見せた、こういうことになりましょう。
  136. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まことに申しわけございませんが、この一兆二千億の中には注にございますように三千億を含んでおる。委員の言われますように、その三千億というのは実体がおかしいじゃないかとおっしゃいますので、それで実は、この二兆四千億は三千億を落としますと二兆七千億になるわけでございます。しかし、そうは決して申し上げてないので、二兆四千億と申し上げておりますのは、その三千億の中身というものが実は確定していないものでございますから、それを申しちゃいかぬなと、こういうことでございます。
  137. 細谷治嘉

    細谷委員 私は大蔵大臣がごまかそうとしているとは思っていないのですが、しかし、世間では、減税が多くて増税が少ないとこれはみんな喜ぶでしょう。そういう人間の気持ちをねらってこういうのを作成したんじゃないかと疑いたくなるのですよ、これは。そうでしょう。ですから、こういうことはやめていただきたい。  同時に、さらにお尋ねしますけれども、この三千億円という中身はここでは言えないのですか。数字、決まっているのでしょう。言ってくださいよ。そうして、はね返りはこうだとずばり言ってくださいよ。
  138. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 三千億円をカウント外にいたしますと、減税規模はむしろ二兆七千億になるわけでございますので、その点をお示ししようとすればむしろ落とした方が減税規模としては大きく申し上げられたわけでございますけれども、やはり「骨格」の方向としては、三千億円ぐらいにつきましては課税ベースの拡大として負担の増のお願いを主として企業課税関係におきましていたしたいという方向はやはりお示しをしておいた方がいいのではないかということで、このような「骨格」を示したわけでございますが、それが混乱をお招きしているとすればおわびを申し上げたいと思います。  あえて申し上げれば、三千億円、これは国税、地方税合計の数字でございまして、国税が企業関係の課税ベースの拡大をいたしますれば、そのはね返りとして地方税の方にもその分だけ増収になりますので、これは一本としてお示しをいたしております。また、これまでの議論の過程の中におきましては、おおむねこれは企業関係の課税べースの拡大である。  さらに、なぜ三千億円かと言われれば、それは一つの目安としては、現在ございます引当金が大きなものとしては三つございますけれども、それぞれにつきましてこれの改正の方向を具体的に申し上げることはできませんので、仮にこれを現行の水準にストップする、いわば積み増し停止をするとした場合にどのくらいの増収になるか、そのおよそ半分ぐらいをめどとして計上させていただいた。確かに、中身はそういうことで確定はいたしておりませんので、あやふやだという御指摘はそのとおりでございますが、まさにまだ議論は詰まっておるものではございませんので、確定的な積算といったものは、言われれば持っておらないというのが正確な御答弁でございますが、御質問でございますので、このような積算としては一応頭には持っておったということをお答えをいたしておきたいと思います。
  139. 細谷治嘉

    細谷委員 来年やるのか再来年やるのか。頭に持っております。法人の恐らく引当金とか何かでしょう、問題の。頭に持っております、そんなものを国会に出す議論の対象にするような基礎数字に入れるというのは私はおかしいと思います。きちんとしていただかなければいかぬ。  しかし、私の質問の、具体的には何と何ですか。どうもまだ固まっていないようでありますが。どうなんですか、課税の適正化というのは。何と何でこの程度の収入をねらっておるのだ、それはいつ徴収するようにするのだと、これを答えてくださいよ。
  140. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 先般の不公平税制是正のための共同提案ということで、四党からのお示しがございました。これを協議機関を設けて約九回にわたり御議論が行われ、与党からのお答えも出されているところでございます。この中の関係におきましては、例えば企業関係でございますと、引当金等がどうあるべきかについては二、三年内を目途にさらに検討するというお答えとなっておるところでございます。また、みなし法人課税制度につきましても、これは二、三年中に結論を得ることといたしたいというふうなお答えがなされているところでございますので、このような形で、今後いろいろな形で検討が進められるのではないかと考えておるところでございます。
  141. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵大臣、示されないのですか、何をどういうふうに考えているか。確かに与野党の間で進められ、ある程度、九回か何かやって進んでいるということは聞いておりますけれども、中身がわからぬわけですよ。結論は出ていないでしょう。
  142. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 と申しますような経緯がございまして、実は非常に私どももこの扱いにはいろいろ苦労をいたしまして、しかしこれは決まっていないものは閣議で決めるわけにはまいらない。ですから、六月のときのことは、二兆七千億円などという減税と申し上げてはならぬわけなんで、それは二兆四千億円と申し上げるべきだということなんでございますが、そのときにいろいろ議論になっておりましたのは、これはちょうど各党御協議の中でもございますように、企業課税の中で引当金とかあるいはそういった種類のものは、私どもは必ずしも不公平税制だと認識しておるわけではございませんけれども、いろいろ問題がある、これはある時間の中で検討する必要があるのではないかという、これは与野党ともそういう御意向であった。今でもそうであると存じます。そういうことを私どもも頭に実は置いておるわけでございますが、それはいつの時期にどういうふうにやるかということをただいま申し上げることができないでおりますけれども、やはり関係方面の理解も得て、いわゆる改めるべき制度の一つとして、今後、急にというわけにはまいらぬかもしれません、年を追って少しずつ直していくべき問題ではないか、そういうふうに考えておるところでございます。
  143. 細谷治嘉

    細谷委員 あらかじめ与野党政調会長なり政審会長との会合でこの程度の修正に応じようかというような形で何か見込んだのならおかしいと思うのですよ、これは。おかしいと思います。どうしても納得できません、これは。私の頭が悪いせいかしれませんけれども、こんなような不確定な見込み、強い希望的な見込みを数字の中にまぜ込むということは、これは数字扱いの冒涜ですよ。そう思います。  この問題はこの程度にして、今後、総理も大蔵省におったのですから、数字だけはきちんとどこへ出しても厳格な扱いでやっていただきたいということを要請いたしますが、今私がやりとりしましたことについて、総理の所感はいかがですか。
  144. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 要するに、フレームの問題について、細谷さんは、私どもがよく言います未実現の収入を前提に置いているのじゃないか、こういう議論だなというふうに私は承っておりました。それを足せば本当に二兆七千億になるわけでございますが、やはりあのときぎりぎり議論をされて、私も承知しております。したがって、未実現の収入というのはちょっと表現が適切ではないかもしれませんけれども、いわゆる各種引当金、租税特別措置等が考えられる方向として期待できるというようなことからお出ししたものじゃないかなというふうに思っております。したがって、私も数字が好きでございますので、どっちかといえば数字というのは、今表現は適切じゃないかもしれませんが、期待権の中にあるものを乗っけるというのは、今度の課題は別としまして、余り好ましいことじゃないのかなという感じを問答を通じながら受けさせていただきました。
  145. 細谷治嘉

    細谷委員 午前中はこれで終わりましょう。
  146. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 それでは、時間がまだ少しありますけれども、これにて午前中の質疑は中断、午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩        ────◇─────     午後一時一分開議
  147. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  148. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に自治大臣にお尋ねいたしますが、このたびの税制改革、それに基づいて地方税財源は国との関係でどういう変化があったのかなかったのか、お尋ねいたします。
  149. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 お答えを申し上げます。  地方税においても、現行税制については、国税と同様に負担が個人の稼得所得に偏っていること、個別間接税体系が経済社会の変化に対応し切れないでいる等の問題が生じているところでございます。このような現状を踏まえ、今後の高齢化社会の到来や経済社会の一層の国際化を展望して、国民の不公平感を払拭するとともに、所得、消費、資産の課税ベースで均衡のとれた税体系を確立をするため、今回の税制改革においても、国の所得税減税に呼応して個人住民税の減税、また、消費税の導入に伴う地方個別間接税の調整等を行うことといたしております。  今回の税制改正によって生ずる地方税及び地方交付税の減収に対しては、消費税の収入額の五分の一相当額を消費譲与税とし、また、消費譲与税を除く消費税の収入額の二四%相当額を地方交付税として地方財政の運営に支障のないように対処をしているところでございます。この結果で見ますと、今回の税制改正で、直接的には地方から国に税収の厚みがシフトをいたしておりますが、交付税や譲与税を加えますと、現行よりは若干歳入面において地方にシフトをしているようになっております。
  150. 細谷治嘉

    細谷委員 今自治大臣の、今度の税制改革によって国と地方との間に税源配分がどう行われたかという点について、少し長ったらしいお答えでしたけれども、地方にシフトしておる、こういう言葉が最後に出ました。そのとおりですか。どこで地方にシフトしているとおっしゃっているのですか。
  151. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 昭和六十三年度において国四七・六、地方五二・四であるものが、消費譲与税の創設及び地方交付税の対象税目の拡大により地方の一般財源の確保が図られたため、国四六・九、地方五三・一となって、地方にシフトをしているという表現を使ったわけであります。
  152. 細谷治嘉

    細谷委員 地方交付税なりあるいは譲与税を加えての配分でございますけれども、その前に、一体今度の税制改革によって地方の税源というのはどうなりましたか。これは交付税とか譲与税を加えての今のお答えでありますけれども、真の自主税源である地方の税のシェアはどうなっておるのですか。
  153. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 国、地方の税源配分の割合で見ますと、六十三年度におきまして国税と地方税の割合は六三対三七ということになっているわけでございますが、ただいま大臣からお話しのとおりの地方税関係の改正を行うことによりまして、国が六四・六に対しまして地方が三五・四ということで、税だけで見た場合には地方の方が若干減るという格好になるわけでございます。それを交付税あるいは譲与税で補てんすることによりまして実質的には地方の方が多くなるという格好にしたわけでございます。
  154. 細谷治嘉

    細谷委員 一般財源という形でやったのですけれども、本当のところはもらってみなければわからぬような、年度末に幾ら来るかということが決まるような交付税あるいは譲与税というのよりも、本当に地方分権ということをこれから強化していかなければならぬとおっしゃるならば、自主税源というものが強化されなければならぬと思うのです。ところが、今お答えがありましたように、六十三年度の国と地方との税源というのは六三%、三七%という割合でありますが、今度の改革によりますと、六四・六、三五・四でありますから、言ってみますと、地方税源の配分というのは三七ポイントから三五・四と一・六%シェアが落ちておるのですよ。そうでしょう。これを大臣どう受け取っているのですか。これはどこがふえているかというと、申すまでもなく消費税の導入による地方譲与税のシェアがふえてきているからです。それで補っているわけですね。これはもらってみなければわからぬ。基準に基づいて国が計算するのでしょう。どうなのですか。それでも、地方の税源は、全体としては五二・四から五三・一%になったのだから、〇・七%ぐらいアップしているからよくなったのだ、こうおっしゃいますか。
  155. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 確かに委員御指摘のとおり自主税源は減少いたしております。ですから、原則的に地方の税財源の充実を図っていくことは極めて大切なことでございますが、税制全般を眺めてみて、今の個別間接税が果たして現状に合っているかどうかといいますと、相当矛盾を持っております。ですから、今回の税制改正、国、地方を通じて個別間接税の矛盾を解消しようということで広く浅くふっかける消費税を導入をしたわけでございますから、国と地方の一体性、こういうものを見れば、大きな税の体系からいえば私は一歩前進である。ただ、地方の税源がこれだけ減少をするわけでございますから、税の公平さという面では当を得ておりますけれども、地方の財源、税源、こういうものを考えれば、その補完措置として譲与税や交付税を上げることによってむしろ調整財源的なものでこの不足分を補ってまいる、そういうことでございますから、決して私は不適当なものというふうに考えてはおりません。
  156. 細谷治嘉

    細谷委員 念のために、六十年度のあなたの方からいただいた資料によりますと、地方税の中で、地方譲与税というのが改革前には〇・九であったのが二・八と大きく伸びていっておるのですね。その結果として、地方税そのものは四五・八から四二・九とダウンしておりますけれども、全体としては三四・九とか二五・四とかわずかに上の方にシフトしておることはそのとおりであります。  そこで自治大臣にお答えいただきたいのですけれども、こういう税制の中で、言ってみますと消費税というのは、総理はおとといの委員会等で、自分が組閣しておる限りにおいては消費税は上げないと言っておりますけれども、私はずばり言って、かなり所得税その他の減税が行われました。国においても一兆円ぐらい、地方においても七千九百億円、その上にちょっと霧のような三千億円というのがあるわけですから、これが全体として減っているわけですよ。ところが、消費税を上げないというのですから、今は自然増で何とか賄える、ことしあたりはかなり自然増があるのでやっていけるかもしれませんけれども、何でもかんでも自然増に期待することができるのでしょうか。それは、自治大臣、これからの地方分権強化の中において地方自治のあるべき姿を追求していった場合に、こういう税の配分の状況でいいとお考えなのかどうか、まずお尋ねいたします。
  157. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 率直に申しまして、必ずしも全部が十分だと申し切れる状態ではございませんけれども、少なくとも今年あるいは明年、自然増収が見込まれる段階でございますから、今までも、国税において所得税あるいは地方の住民税、こういうものを減税する場合に、いわばその自然増収を引き当てに国民の負担を減らすということで減税が行われてきたということは、過去においてもあったわけでございます。ですから、この自然増収が今後いつまで続くかという問題については、残念ながら予測は私にはできません。しかし、我々は、やはりこの自主財源、税源の確保をしながら、さらに行財政の改革等を通じまして節減合理化をいたしながら対処をしていかなければならないと思っております。  なお、今委員がちょっと御指摘になられたのかと思ったのですが、消費税を上げないという総理の言葉があれば、その後の税というか財源の確保をどうするかという問題でございますが、私は、これから長い先にわたりますと、住民に身近な行政需要、行政サービスを行う地方自治団体にいわば税財源の必要が生まれてまいることは当然だと思います。ですから、その際財源不足になれば、恐らくそのときは交付税の見直しもいたさなければならないような事態になるかもしれません。地方税の中で消費税を上げるわけにはまいりません。ですから、総理消費税を上げないと言っている段階では、消費税のいわば割り戻し分を自治体がいただくことはできないわけでございますから、その中身の変更をお願いをしなければならない事態がいずれは参るかもしれません。あるいは要らないと言ってむしろ減額をするようになるのかどうかはわかりませんが、いずれにしても将来にわたって変更がないということはあり得ないと思っております。
  158. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょいと一足踏み込んでいますよ。総理のお答えでは、とにかく自分が内閣を率いている限りにおいては大体消費税を上げない、こういうことでありました。世間では、外国等の例があって、やがては消費税は上げなきゃならぬだろう、こういうふうに言っております。あるいは、今の消費税体系というのが付加価値税体系になっていくだろう、こういうふうに専門家も言っております。  そこで、大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、今、財政再建というのは緊急の課題ですね。これは、赤字国債というのを六十五年までにはゼロにする、これが問題ですよ。ところが、そういうことに基づいて、新聞等にも書いてありますように、今までそのために力点が置かれて、当然措置しておかなきゃいかぬいわゆる掃きだめのような借金が六十五年度以降にほうりやられておりまして、それがどのくらいかといいますと、十二兆五千億円あると言われております。そうしますと、財政再建もやらなきゃいかぬ、そうして十二兆五千億円のごみも片づけて、ごみと言っては失礼になるかもしれませんけれども、その先送りのものも片づけていかなきゃならぬ、そういう中において本当の財政再建を進めていく。  一方においては、福祉政策という問題が出てきておる。あるいは社会保障の問題も出てきておる。後で御質問いたしますけれども、総理の言う、言ってみますと「ふるさと創生論」というものをどうやっていくのかという問題があります。その中において、消費税は上げない、最後まで上げないとか、上げるかもしらぬとかということを言っておりますけれども、私は、それではやっていけない、きれいごとばかりじゃないか、こう思いますが、財政担当大臣としての大蔵大臣、いかがですか。
  159. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 事態の御理解あるいは御指摘、確かにそういう問題がございますことは否定いたしません。何しろ、まず特例公債を出すことをやめて、これによって一般会計の国債費を将来に向かって少しずつでも減らしていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございますが、さてそこで、今おっしゃいましたように、よく俗語ではツケ回しとおっしゃいますが、あっちこっちへ負担をお願いしているものの処理の問題がございます。国鉄の清算事業団も、これは将来やはり何かの負担になる公算は決して少なしといたしません。  といたしますと、財政再建の道は大変に特例公債をやめましてから後も遠いと申し上げざるを得ないのでありますが、しかし、他方で、それなら消費税をという発想は、どうも私は、やはり、そうしましたら、歳出で何とか切り詰めていこうとか、あるいは、先ほどもお話がございましたが、歳入の中でも租税措置法のようなものにはまだ工夫の余地があるとかいうようなものは、どうしたって新しい税が入るというような可能性を頭に持っておったら、私はできないと思うのでございます。いわば退路を遮断するとでも申しますか、そういうことでないと財政再建というのは本当にできませんし、また別の観点で言えば、我が国の経済もようやく軌道に乗ってまいりましたので、経済運営ということが何よりも大事である。その結果、経済がうまく動きますれば税収も自然にふえる部分が多くなるということは、これはもうあることでございますので、そのような経済財政の運営をこそ心がくべきではないかと考えておるのでございます。
  160. 細谷治嘉

    細谷委員 ずばり申し上げますと、竹下総理が大蔵大臣時代、それから現大蔵大臣、いずれも、初めにおいては、財政上厳しくて六十五年度までに赤字国債ゼロにすることも容易ならぬ、しかし最後まで努力するんだ、こういうことでやってきました。運よく自然増が予想外に伸びて、そして何とかなりそうだ、神風に助けられたという感じでしょう。そうだといたしますと、私は、常識論として、財政全般の流れということを見てみますと、総理、容易ならぬことだと思うのですよ。  そこで、この辺について総理の全体的な、これはもうツケ回しもある、六十五年度に財政再建のとにかく赤字国債をゼロにするということである、ツケ回しもやらなきゃいかぬ、それも十二兆五千億ある、国鉄もある、そこへもってきていろいろな社会福祉なりその他の問題に取りかかるとなると、総理、やれる自信がございますか。めどがありますか。これは社会保険の料金を上げるとか税を上げるとか、こういうことに行き着くでしょう、そう私は思うのですよ、いかがですか。
  161. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 昭和五十四年決議当時でございますか、そのときは、お互いの話し合いの中に福祉目的税的考え方というのは全くなかったとは私は思いません。しかし、なぜ目的税にできないかといういろんな議論が、仮にこれを歳出歳入パラレルの目的税としてある程度老人医療とか基礎年金とかに絞ったといたしましても、歳出圧力が強くなった場合は、目的税であれば連動してこれを安易に手をつけたがるんじゃないかというような感じ方から、やはり福祉に目的を統一するのではなく、国民共通の経費を広く薄くという中でこれの説明の消化をさせていただくようになったんじゃないかな、こう思います。  それからもう一つの考え方は、財政再建税的な考え方でやってみたらどうだというような御意見も確かにございました。これもやはり今大蔵大臣から言われましたように、財政再建の目的税としたら、財政再建を目標どおりやるためには、やはり率にとかく安易に触れがちになるんじゃないかな、こういう反省が実際あったわけであります。  そこで、大蔵大臣から言われたとおり、やはり財政再建というのは、結論は、土光さんのお諭しのように退路を断って、いわば「増税なき財政再建」。その増税とは何ぞや、これはかみ砕いて臨調の方でも申されたように、新しい税目を設けて大きく租税負担が変わるようなことがあってはならぬという、そういう退路を断って初めて、これからまだやらなきゃいかぬ行政改革、歳出の削減合理化もやっていかなきゃならぬな、そういう意味で、道なお遠しという感じはいたします。したがって、第一目標は五十九年から六十五年まで延ばしたのでございますが、それはやっぱり私は国会の協力があったからこの六十五年神風、もとより国民の勤勉による問題、決して政府の経済運営よろしきを得てなんてなことは言おうとも思いません。が、そういうことがあって自然増収というものに支えられてきたことも事実でありますので、これからさあ、根っこの、いわゆる赤字国債であれ建設国債であれ残高になったら同じことになるわけですから、これの償還を対GNP比に対してどの程度を目標としてやっていくかというのは、まずはこの第一目標が達せられた途端に議論をしながら設定すべきものであるというふうに思うわけでございます。  したがって、やっぱり財政改革というのは、お互い選挙をして出ておりますと、きょうもお見えになるそうですが、あのノーベル賞経済学者のブキャナンさんが、国家の予算の健全性は少数のエリートによって決められるものではない、結果としてはそれぞれの利害関係にあるそれを基盤に置いて選出された国会議員によって決められる。したがって、とかく、これはアメリカの議会制民主主義を指して言われたことでありますけれども、やっぱり歳出ということの増加はだれも喜び、そして増税とかカットとかはだれも喜ばない。 しかも、今日のツケを返すのはだれか。今は納税者でないところの孫や子やひ孫である、こんな表現がありますだけに、私はそれを拳々服膺しながら、協力を得て、第一目標が達成された場合の残高、これについては健全化を行うためのさらなる努力をやっていかなきゃならぬというふうに思います。したがって、目的税的意識が私自身にも何度かあったことがございますが、目的税とした場合、さらにかえってまた歳出圧力に安易に行くんじゃないかというような反省もいたして、今次の原案となった次第でございます。少し話が長くなり過ぎました
  162. 細谷治嘉

    細谷委員 余り時間がありませんから、簡単明瞭にお答えいただきたいと思います。  新聞で、今度の税制改革後は総理としてはかねてから言われておる「ふるさと創生論」、これを焦点として進めていくんだということでありますけれども、これも握りこぶしだけではいけないわけですね。財政措置等は今度の税制改革でいい、こういうふうにおっしゃっておるのですか。どうも新聞等のあれによりますとそう見られるようでありますが、いかがですか。
  163. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 「ふるさと創生」というのは、要するにおのがじしそこにおる者がみんなでつくった青写真に対して政府は手を差し伸べていくというような形で、政府がメニューをつくるべきものではない、こんなことを言っております。したがって、今度の税制改革で国全体、世間一般における活力というものは私はこれは出るであろうことを期待して改革をお願いしておるわけでありますが、その今の私の論理を進めていくと、細谷さんにいつも指摘されますように、自主財源が伴わないところには本当の発想が出ないじゃないかという論理の壁に突き当たることも私も十分承知いたしております。  しかし、さはさりながら、税源配分がこのように全国的にばらつきがありますときに、自主財源をふやすことによって、ふやすにこしたことはございません。が、全体の国、地方を通じての財政規模というものを考えてみますときに、細谷さんが期待していらっしゃるいらっしゃらないは私の推測でございますが、自主財源を多く持つということは、今度の改正の中でこのようにできましたというようなことは言うつもりはございません。やはり全体の中で対応すると言わざるを得ないと思っております。
  164. 細谷治嘉

    細谷委員 今、裏側を返しますと、総理自体が今度の税制改革では、地方分権と言うけれどもそれを裏づけするような自主税源というのは不十分だ、あるいは今後対応していかなければならぬ、こういう意味だ、こう私は理解いたします。  そこで、今全国的に一つの問題点は、過疎地、これをどうするか。大臣の郷里も、これは過疎地の代表的な県だと言ってもいいと思うのです、大変失礼でありますけれども。広島県の裏ですから、広島県が表ですからね、そう思います。そういうことで、この過疎もちょっと状況が変わってきておるのですよ。今まで十年、十年とやって、来年で今の法律の期限が切れます。これをどう対応するのか。  この間、鹿児島県でかなりシンポジウムがありました。そして、新しい発想も含めて、真の地方分権という考えに立って住民が郷土づくりのために立ち上がらなければいかぬ、こういうことが述べられておりますね。それから、きのうのある新聞に「マイタウン東京’89」という、かなり大きなスペースで記事が出ております。それによりますと、総合実施計画三ケ年の計画事業費ということでかなり大きな金が、初年度二兆円、六十五年度二兆五千億、これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、やっぱり一七、八%の年率で伸びていくわけですね。これもかなりの金が要る。ですから、私が言うように、握りこぶしでは過疎問題もあるいはマイタウン東京もできないよ、こういうことを申し上げている。  ところが、これは大蔵省等ではどういうことになっているかというと、そういう問題について、例えば東京都とか愛知県とか神奈川県は交付税をもらわぬところなんだ、交付税をもらわぬところだから、いっそのこと補助金等も減額していったらどうか、さらには東京都の法人事業税は余りにも伸び過ぎておるから、ひとつ東京都の法人事業税をカットして全国にばらまこうか、こういうことが新聞に報ぜられております。これは、財政再建問題も容易ならぬことでありますけれども、このふるさとづくり、これはやはり大変な困難を伴う問題でありますけれども、ぜひやらなければいかぬ問題だと思うのです。ところが、目の前でそういうことを言われながら、東京都の法人事業税は全国的にならしちゃえ、私はそのこと自体が悪いということではないのです。むしろそれは税源配分というのが議論されているときにやるべきであって、税源配分が叫ばれておるその過程において、いや、もう東京は多過ぎるから切っちゃえ、こういう議論は私は賛成することはできないと思うのです。この辺について、自治大臣、交付税で富裕団体はちょっと征伐してやれ、あるいは法人税で征伐してやれ、そういう考えがあるのですか、ないのですか、お答えいただきたい。
  165. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 そういう考えは毛頭ございません。ただ、法人事業税の現行は昭和四十五年度改正以来その見直しを行っておりませんので、大変産業構造が変革をいたしておりますから、その実情に合うための分割基準の見直しを今鋭意検討を進めているところでございます。  ただ、委員御指摘のとおり、法人事業税を中心にして東京に集中をしていることは御案内のとおりであります。ですから、過日も御議論を聞きながら思ったわけでございますが、これは国税においては国のどこで納めようと収入に全く変化がないわけでございますから、国税でそれほどの意識を払ってもらうことはできないかもしれませんが、確かに本社のある場所と事業所、工場のあるところの事業の所得というか、そういうものの判断基準、あるいは親会社と子会社あるいは下請会社、どうしても親会社あるいは親工場に利益は集積をされがちでございます。国税においてはどちらで取っても結構でございますが、地方にとってみますと、全くそれは正当な評価をしていただきませんと地方税の中のバランスが崩れてまいります。  そういう点の見直しは今後私は慎重に、真剣に検討していかなければ、中央というか大都会と地方の格差がますます拡大をしてまいる。そういうことから考えますと、むしろ私は大都会にあるものが悪だとかなんとかいうことじゃなくて、地方というか、地方にあるものと都会にあるものの実体を正確に把握をする必要は、自治省側というか地方自治体側が真剣に考えませんと、これは国税にお願いしてもなかなかできないかもしれませんが、そういう観点でこれらの法人税その他も見ていただきたい、そしてそういう実体に合った地方税のあり方も研究をしてまいらなければ、そういう意味で地方の自主財源、「ふるさと創生」を完成する財源を確保することには至らないという感じも持っている一人でございます。
  166. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、「ふるさと創生」のために東京都等の富裕団体のものを切ったらいいじゃないか、交付税を一部そっちへ回したらいいじゃないか、カウントしてやればいいじゃないか、こういうことを言っているわけじゃないのですよ。問題は、それならば、東京都といえども不景気なとき、景気が非常に落ち込んだある時期には、法人事業税法人事業税と言われますけれども、全体のシェアの中で、東京都の人口は全人口の一割としますと、法人税というのは一五、六%くらいまでシェアが落ちたのですよ。今は確かにふえまして二六、七、八%あるでしょう。高くなったらそれに手をつけるぞ、低いときは知らぬふりしているぞ、こういう態度はよろしくない、こういうことを申し上げておるわけですよ。  ですから、自治大臣が、どうも新聞によりますと自治大臣ではないようでありますけれども、事務当局が法人事業税、そして全国の苦しい府県の方から、東京に法人事業税は少し行き過ぎておるのじゃないか、これは一極集中の弊害だという形で、何とかしてくれ何とかしてくれとあっても、やはりあくまでも合理的に、そうして地方分権、地方自治はどうあるべきか、東京の役割はどうあるべきかということでひとつ対応をしていただきたいと思うのです。簡単に、多いからひとつ切ってやれやなんということではなくて、そうしていただきたいと思うのですが、もう一度大臣いかがですか。
  167. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 全く細谷委員と同意見でございまして、多いところから切って少ないところへ配ろうなどという、地方自治団体間でそういうことを行うという気持ちはございません。ただ、現状に合った見直しをしていくことは当然だというふうに考えております。
  168. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、国土庁長官いらっしゃっておると思うのですが、竹下総理の一枚看板と申しませんけれども、かなり重点を置いた、本にも書いてある「ふるさと創生論」。この「ふるさと創生論」の実際の意味というのは、やはりどうも島根県だけに過疎問題ということを念頭に置いてこういう発想が展開されておるのだ、こう考えてもいいと思うのですよ。そうしますと、鹿児島のシンポジウムではありませんけれども、過疎法についてはやはり真剣に取り組まなければいかぬ。それも、かつて十年前の過疎法の指定の物差しというものとかなり趣を変えたような形でやらなければいかぬ。しかも、過疎法は絶対これからの二十年間も必要だ、新しい立法をしなければならぬのだ、こういうふうに私は考えます。国土庁長官、どうお考えですか。
  169. 内海英男

    内海国務大臣 過疎法につきましては、先生前に過疎の議員立法をやられるときも、野党の方の代表でいろいろお世話をいただいたこともよく承知いたしております。二十年間にわたりまして、過疎法に基づきまして過疎地域の振興その他いろいろな施策をやってきたわけでございまして、大分その成果は上がっておると私も認識をいたしております。ただ、まだまだ公共事業等でおくれをとっておる、また高齢化社会がさらに格差を広げておる、こういう現状からいきまして、六十五年で切れるということでは過疎地域の皆さん方に申しわけないな、こういう感じで私も考えております。しかし、前二回が議員立法で御提出になり成立をしている経緯もございますので、その点よく国会皆さん方と、与野党の皆さん方とも御相談を申し上げて、これの存続につきましては鋭意検討して結論を出したい、こう思っておるわけでございます。
  170. 細谷治嘉

    細谷委員 過疎に対して新過疎法という言葉も聞かれる時期でありますから、大変重要だと思うのですが、ひとつ真剣に取り組んでいただきたい。これは議員立法だからおれは知らぬぞというわけにはいかぬと思うのです。  もう一つこの問題について、総理の考えは具体的には財政措置は考えてないようでありますけれども、自治大臣にお尋ねしますが、自治大臣、この春、ふるさとづくりの振興のための財団という構想を発表されましたね。それはその後どうなっておるのですか。少しは進んだように見えますけれども、案を出しっ放しで自治大臣はちょっと横を向いているのじゃないかという感じがしますが、いかがですか。
  171. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私が横を向いているわけではございませんで、各省庁がなかなか私の方を真っ当に見ていただけないので、私も大変気が長くなりまして、いずれの日かという熱い思いを込めながら、恐らく近い機会にそういうものの実現を見るような懸命な努力をこれからも払ってまいりたいと思いますので、ぜひとも御支援のほどをお願い申し上げます。
  172. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、あれから半年になりますよ、あなたが言い出してから。それ以上になるのですね。しかも、それは総理の重要な目玉の柱になっているわけでありますから、これは総理に相済まぬと思うのですね。  総理、どうなんですか。これはやはり各省庁間の縄張り争いということじゃなくて、きちんと各省庁間で十分論議を尽くした上で軌道に乗せるべきものだ、こう思います。いかがでしょう。
  173. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いわゆる梶山構想、ふるさと財団構想、こういうことを私も就任早々から聞かしていただいております。若干私も、途端に感じましたのは、大蔵大臣的感覚があるのか、いわばある種の金融業務を行うような感じになってくる、むしろ既存の金融機関等を叱叱鞭撻した方が結論としてその趣旨に沿うことになるのではなかろうか、こんな意見を吐いたことがございますが、今もなお梶山大臣がそれを抱えて歩いておるということは十分私も承知をいたしております。
  174. 細谷治嘉

    細谷委員 こういう問題に関連してちょっと総理の考えをお聞きしておきたい点は、税問題には税制調査会、あるいは地方制度問題については地方制度調査会、こういうのがありますね。ところが、総理もそういう考えのようでありますけれども、こういう地方制度なんというのは、それはもう今まで総理の諮問機関としてあった地方制度調査会よりも上位に、新しい行革審に任せたらどうか、それに対して総務庁長官が屋上屋を重ねるやり方じゃないか、そこで妥協の末、お互いにかち合わない部分だけをやったらいいじゃないか、こういうことになって、総務長官も渋々腰を上げた、こういうふうに書いてございます。  これはやはり総理の責任で調整して、言ってみますと、政府税制調査会があると思うとそれよりも自民党税制調査会が優位なんだ、こういうことになったり、前からあったものは古過ぎてカビが生えたから、じゃ新しい新行革審に任せようかということも、私は総務庁長官の見識だと思うのですよ、屋上屋はやめろ。これはやるべきだと思うのです。いつの間にか妥協に妥協を重ねて進んでいくということはよくないと思うのですが、この辺について総理は今後どう対処されるおつもりですか。
  175. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 地方制度調査会、これから私自身も十三項目でございましたか、御意見書をちょうだいをいたしました。それで、行革審ということについても、ともに八条機関でございますので、こっちで答申はあったが解決できないからこっちへ持っていってやってもらおうという性質のものではないだろうということは、私自身整理をしております。  現実問題としてそれは本当に、地方議会あるいは市長さん時代から四十年も地方自治をやっていらっしゃる先生にあえて申し上げますならば、さてということになりますと、地方制度調査会の答申というのは各省にまたがるものが多いわけでございます。それを束ねて調整するところはどこかといえば、一つは内閣官房だと思うのであります。が、幸いにして行革審というもので地方行革についての議論を今後ともされるということになっておりますから、本当に現実的なお話をいたしますと、あそこの場所の方が各省が乗りやすいんじゃないか、各省がそれぞれの立場に立って意見を申し述べたりするにはあそこの行革審の場というのは適切な場の一つだな、こう思いまして、そこへ知事会それから市町村会等からもそういうことを要望するやの声もありましたので、したがって、今の規制緩和の問題、精いっぱい行革審はやっていらっしゃいますが、いずれそういう方向をも検討してもらえるであろうということを期待しながら、別にそこへ諮問するということではなく、現実的処理としてあそこは大変土俵に上がりやすい一つの場所じゃないかな、これは非常に論理性ではなく現実性の問題としてそんなことを念頭に置いておることは事実でございます。
  176. 細谷治嘉

    細谷委員 総理がおっしゃったような面もあると思うのです。例えば地方制度といいますと地方の六団体の代表とか、あるいは自治省の古手等ありますから、どうしてもそれは純中立ということにはならぬかもしれません。ですから、そういう点を配慮するというのは諮問しておる総理大臣が最終的には判断すべきであって、屋上屋の組織をつくる必要はないという総務長官意見に私は賛成ですよ。ですから、ひとつこの問題についても対応をしていただきたい、こう思います。開発銀行等の問題が、開発銀行は要らなくなっちゃうじゃないかという意見もあるようでありますけれども、そんな問題じゃないと思うのですね。  そこで、自治大臣にばかり質問して恐縮でありますけれども、法人税の分割基準を改める、端的に言いますと東京が余り多くなり過ぎたからちょっと調整しようかという一語に現状では尽きると思うのでありますが、私は、今度の税制というのは、ずばり言いますと法人には甘く、金持ちには甘く、こういう税制が公平という名で通っていっている。例えばアメリカのレーガン税制改革では、所得税等の大幅減税をやっておりますけれども、法人税の税率も下げましたが、法人税の裏に隠されておるいろいろな特別措置を整理したために所得税の減税ができたしするのですよ。ですから、レーガン政権の行われた税制改革というのは、これはやはり賛意を表すべき点が多々あると思うのですが、日本のはレーガン政権のまねというのとほど遠いのですね、そう私は思います。  そこで、法人は今実効税率が五〇を超している、これでは企業が外国に逃げちゃうという形で、何とかしようということで、五〇%以下に実効税率をしようということで、基本税率やその他を下げようとしておりますね。下げることは結構でありますけれども、どうも法人については、先ほど来の話はありますけれども、留保財源とかいろいろあるのですからもっと積極的に図ったらどうか、こういう気がいたします。  その一つとして、これは地方税の中の問題でありますけれども、法人についても住民税の均等割というのがございます。均等割というのは、五十年以降大体三年に一度ぐらいずつ改正しているわけです。言ってみますと、法人といっても、ピンからキリという言葉は適切じゃありませんけれども、資本なり働いておる労働者の数等で一応の物差しをつくって、そしてこういうところからはひとつ均等割というけれども、昔のように一万人おるところも五十人のところも五千円というあれはおかしいという形で格差を、段階をつくったのですね。段階を五十年からつくって今日までやってきましたが、たしか五十九年に改正されただけで、今度の六十三年の改正では一つも出てきておりません。そういう観点からいって、法人均等割について手直しをする意思ありやなしや、お聞かせいただきたい。
  177. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 法人住民税の均等割は、御指摘のとおり、地域社会に要する費用を地域住民がそれぞれ均等に負担し合おうという考え方から、個人、法人に対して負担を求めているものでございます。   御指摘のとおり、五十九年度に改正をして以来既に五年を経過するわけでございますが、実はその前の五十八年度にも一回改正をいたしておりまして、五十八年、五十九年度と二カ年続けて改正して、その段階でかなり大幅な税率のアップをしたという事情が一つございます。そういうこともございまして、現在のところ、大規模な法人については相当の均等割を各自治体に納めているというような実態もございますので、その辺を十分踏まえながら検討を進めてまいりたいということで、現在検討しているわけでございます。
  178. 細谷治嘉

    細谷委員 検討するのは当たり前であって、一万人の人が働いておる百億円の大企業が今の制度では――昔、昭和五十年ぐらいまでは五千円だったのですよ。それが逐次直されて、今恐らく百二、三十万になっているでしょう、均等割は。これも状況に応じて、しかも何かというと、脱税とは言いませんけれども、税逃れの意味も含めて税テクが行われて、これはぜいたくになっておるのです。ですから、これはやはり手直しをすべきだろうと思います。総理、いかがでしょうか。  これは税制調査会では余り議論されておらぬようでありますけれども、ある自治省の五十年代の、亡くなった当時の税務局長次官か知りませんけれども、かなり踏み切って、私どもはそんなものよりも法人の所得割をもっと取るべきだとよく言っておりましたけれども、均等割だ、これが今割合に評判いいのですよ、今まで納めなかった赤字法人というのも納めるようになったということで。いかがです、もう一度決意のほどを承っておきたい。
  179. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 深い税の仕組みについてはよくわかりませんけれども、まず私が第一に考えますことは、赤字法人がこのままでいいのかという疑問を一つ持っております。確かに、地方にあってそれぞれの行政サービスを受けながら、所得がないということだけで大変税の不均衡が生じているわけであります。ただ、それぞれの企業課税その他を考えますと、税理論からいえばなかなかなじみの少ない問題かもしれませんけれども、私はやはり地方的な発想からいいますと、特に外形標準課税的なものがこれから取り入れられてしかるべきだ。それから、特に今先生御指摘のそういう意味での均等割税、これは特にそういう赤字法人その他に対して外形標準課税が一挙に全部導入ができないとするならば、その分野だけでも見直しをすることによって優良な企業へのむしろ励みにもなる。  赤字になるにはなるなりのそれぞれの理由があろうかと思います。赤字法人必ずしも悪だとは私は申しません。それぞれ固定資産税を払い、給与を払い、社員を養うわけでございますから、養うという言葉が適当であるかどうかわかりませんが、それぞれの一つの社会的な責務を負う中で残念ながら所得がゼロないしはマイナスであるというだけで責められるべきものではございませんが、場合によっては長く赤でなぜ続くのかという疑問すらあるわけでございますから、この問題についてはぜひ前向きに私は検討してまいるべき性格のものだというふうに考えております。
  180. 細谷治嘉

    細谷委員 税の個別の問題について一、二お伺いします。  この席でもかなり問題になりましたが、社会保険診療報酬、主として所得税のサイドから議論されておりますが、私は事業税のサイドから。  これは、毎年同じような文章でありますけれども、税制調査会の答申というのが行われている。今度もどういう答申が行われたかというと、事業税における社会保険診療報酬の非課税措置については、累次の当調査会の答申において指摘してきたとおり、速やかにこれを撤廃すべきであることは当然であり、少なくとも所得税及び法人税における課税の特例に準じた取り扱いにしろ、同じように五十三年以降毎年のように出ているのです。所得税について五段階、今度は五千万円以下の問題はありますけれども、これについてはちょっと手直しされました。これは全然手直しされてないのですよ。しかも事業税というのは、七二%とか五二%なんてないのですよ、根っこから社会保険診療報酬については事業税はゼロ。極端に言いますと、助産婦さんについては事業税がつくけれども医師については事業税がつかぬというのは、これはいかにも不合理だと私は思うのです。ですから、当時、五段階の所得税をやったときに、七二%の五段階にしたときに、今回のことも含めて、この事業税のものもそれにアナログに並行的に手直しすべきだ、こう私は思います。これは大蔵大臣ですか、いかがですか。
  181. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 社会保険診療報酬に対する特例措置は、御指摘のとおり、所得課税についての所得税あるいは住民税の関係と、それから事業税という二つの観点からあるわけでございます。今回の税制改革におきましても、所得課税に対するもの、それと事業税に対するものと二つをどのように改善していくかということで議論をしていただいたわけでございますが、最終的に所得課税の分野におきまして特例措置の一部是正を行うということになったわけでございます。したがいまして、地方税におきましても、住民税につきましては所得税と同じように今回特例措置の一部縮減が行われたわけでございます。  引き続きまして事業税につきましては今後の問題として検討していかなければならない問題だと思いますけれども、今回はそういうことで所得課税に対する特例措置の見直しというものが優先的に行われたというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  182. 細谷治嘉

    細谷委員 これは数年前に、田川自治大臣の時代だったと思うのですけれども、当時事業税で特例が適用されておったのは、マスコミ関係とそれから社会保険診療報酬でありました。ところがマスコミ関係の特例は廃止されまして、マスコミ関係にも事業税がかかるようになりました。そして今度は、そのマスコミはかかっておるけれども、均衡を失する激変緩和という意味において、また経過措置が、特例措置がこれから二年間続くということが今度の法律に出ております。社会保険診療報酬の方の関係で、つき合いでしょう、これは。これはやはりきちんと、もはや三年マスコミ関係についての事業税の特例をやってきたのですから、まけることは結構でありますけれども、税の筋としてはおかしいのじゃないか、こう思いますが、特段のひとつ検討を自治大臣にお願いをしておきたいと思います。  時間がありませんので、最後に、通産大臣大変恐縮でございますけれども、軽油引取税のいろいろな問題が起こったり刑事事件になったり、いろいろあるし、それもやりたいのですけれども、今やはり総理が言っている郷土をつくる、そのために一つの問題として、産炭地域あるいは造船等をやっておる地域は大変疲弊をしております。そういう中において、過去長い間石炭政策、その原資としての原重油関税というのが適用されておりました。この席上でもタックス・オン・タックスというようなことでいろいろな議論がされておりましたが、この個別の税についても調整減税あるいは単独の場合とかいろいろありますけれども、それも議論があるのですけれども、こういう中において、私は、その税の問題があると同時に、産炭地域あるいは石炭の将来というものを展望して重要な課題だと思うのですが、通産大臣の所信のほどをあえて承っておきたいと思います。
  183. 田村元

    ○田村国務大臣 御承知のように、現在第八次石炭政策の進行中でございます。まあいい姿で進行しておると思いますが、それだけに胸の痛むことも多いわけであります。  御質問の原油関税問題でございますけれども、消費税というのが広く薄くということで、非課税ということを原則認めないということでございますので、定義上やはり油も例外ではありません。ところが、そのままにしておきますと、単純併課ということで非常に高いかさ上げになりますから、これは大変な迷惑をかけることになります。そこで、我々は何とかしなければいけない。ところが、御承知のように石油諸税というのは余りにもその金額が大き過ぎます。しかも特定財源が多うございますから、そう簡単なものでもない。そこで私どもは、その三%のアップ分を何とか低めて迷惑のかからないようにしたい。ところが、それでありますといろいろなことを考えなければならぬわけでございますけれども、今御指摘の原油関税も含めまして種々の検討をいたしておるところでございます。財政当局ともいろいろと相談もいたしております。自治省とも相談もいたしております。  ところが、今度は、原油関税も含めてということになっても、さて原油関税に依存しておる命がけの石炭というのがあるのです。これを捨てるわけにまいらない。そこで、私が石炭三原則と銘打っておるわけでございますけれども、まず第一、石炭勘定の持続、それから二番、原油関税にかわる安定的財源の確保、それから三つ目、石炭対策に必要な歳出の確保、この石炭三原則だけは絶対に守る所存でございます。
  184. 細谷治嘉

    細谷委員 もう終わるのですが、要請も含めて。  私も地行族と言われるものですから、議論が大変偏っているのじゃないかと思うのです。そうじゃなくて、客観的に見て、例えば義務教育国庫負担については、財政当局が、新聞によると一千億円程度今度削減しよう、こう言われる。これは現に新聞に出ております。毎年のように出ております。六十三年になって期限が切れる国庫補助負担金も一兆七千億円ばかりありますけれども、これもひとつそのまま続けてもらいたい。あるいは少し約束を守らないような動きがあると聞いております。さらには、もっと詰めて言えば、法律に基づいて地方交付税というのは六条の三の二項によって保障されるべき地方公共団体の一般財源ですよ。こういう、殊に自分の方のやつは伏せておいて、人の方の懐に手を入れるという傾向が強いのじゃないか、こう私は思うのです。そういうことにならないようにひとつ対応していただきたい、これをお願いして、私の質問を終わります。
  185. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて細谷治嘉君の質疑は終了いたしました。  草野威君。
  186. 草野威

    ○草野委員 私は、税制問題とそれからリクルート疑惑について質問をさせていただきたいと思います。  本日は、初めに、NTT山口社長参考人としておいでをいただいておりますので、冒頭に参考人に若干お尋ねをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  極めて残念なことでございますけれども、御承知のように、昨日、真藤会長の周辺にまでリクルートの株がばらまかれている、こういうような事実が判明したわけでございます。真藤会長はつい最近まで、村田秘書については株をもらった事実は全くない、このように強く否定をされていたわけでございますけれども、昨日あのようなことが判明したわけでございます。会長自身もおっしゃっているように、秘書には何の権限もない、このようにおっしゃっております。その何の権限もない秘書の方が一万株という大変大量な株を譲渡されておられる。現役員の方の五千株に比べても極めて際立った量である、このように思わざるを得ないわけでございます。こういうような事実を通しまして、私はまずきょうは、率直に山口参考人に三点ほどお尋ねをしたいと思っております。  ということは、やはりNTTが民営化して三年有半たつわけでございますけれども、極めて順調に今伸びてきているわけでございます。そして、国内においてもまた世界的にも大変優良な会社である、このように思われている中で、こういうような事件が今起きつつある。国民の目から見れば、一体どうしたのだろうと驚きもし、かつ疑惑の眼で見ているわけでございます。そういうことで、きょうはせっかくの機会でございますので、社長から何点かにつきましてきちっとしたお答えをぜひともちょうだいしたい、このように思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  第一点は、役員の方々にリクルートの株が譲渡されている、この問題をめぐりまして、特に今度の真藤会長の責任問題、また式場取締役の責任、こういうものにつきまして、社長としてどのように今お考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
  187. 山口開生

    山口参考人 お答えいたします。  お答えの前に、今回のリクルート株の関連で私どもNTTの中から関係者が出ましたことにつきましては、大変遺憾に思っておりますし、大変残念だと思っております。深くおわびを申し上げたいと思っております。  そこで、ただいま御質問ございました今回の会長秘書の村田秘書リクルートコスモス株の取得をしていたということについての問題でございますが、この件につきましては、私どもが聞いておりますあるいは調べました範囲におきましては、村田個人がやったということになっておりまして、私も会長から、会長も全く関与しなかったというふうに聞いておりまして、私もそれを確信しております。そういうことでございますので、ぜひともこの関係につきましては、大変残念なことだと思っておりますが、御了承願いたいと思います。
  188. 草野威

    ○草野委員 村田さんが個人的にやった問題である、このようなお話でございますが、私、今極めて大事なことをお伺いしておきます。  それは、この今回の事件を通しまして、真藤会長の責任について今山口さんは社長としてどのようにお考えになっておられるか、また、式場取締役の責任問題についてはどのようにお考えになっているか、このことについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  189. 山口開生

    山口参考人 ただいま申しましたように、この件につきましては大変残念なことだと思っております。
  190. 草野威

    ○草野委員 今のお答えは、本当に残念なお答えだと思います。社長としてお答えしづらいことじゃないかと思いますので、では、次の問題をお伺いしたいと思います。  そうしますと、この村田さんの立場でございますが、何の権限もない秘書である、こういうお話でございますけれども、私どもが新聞等で読んだ限りでは、二十三年間真藤さんにお仕えした方である、そして非常に信頼も厚くて、例えば個人的な預金の口座に至るまで全部任してある、かなり個人的にも信頼をされている方である、そういうところから我々が考えますと、一万株なんという大変大きな株を、リクルートから話があったときに、何の相談もなしにそれを自分で全部引き受けてしまう、そして二千万円もの差益を自分でもうけて、それも黙って、会長にも報告しない、こういうことが果たしてあるのかな、そのように思います。  そのことはさておきまして、この村田さんという方が、言われるところによりますと、リクルート社から依頼をされてNTT関係者にかなり大量の株をばらまくための配分役といいますか、そういうような役目をされておられるんじゃないか、こういうような話がございますけれども、このことにつきましては社長はどのようにお受け取りになっていらっしゃいますか。
  191. 山口開生

    山口参考人 十一月五日の夜に、村田本人から次の内容の電話があったというふうに報告を受けております。  一つは、六十一年九月ごろリクルート社から株の話がありまして、リクルートコスモス株一万株を譲り受け、店頭登録直後売却をした。二つ目は、これはNTT及び真藤会長と一切関係がなく、村田個人で行ったことでありますけれども、世間を大変お騒がせしましたことを非常に申しわけなく思っている。それから三番目には、一部に報道されています数十万株の売買の件については事実無根である。こういうふうに聞いておりまして、なお、本件については会長から一切かかわりないとも聞いておりまして、私もそれを確信しております。
  192. 草野威

    ○草野委員 では、第二番目の問題といたしまして、スーパーコンピューター転売の問題につきましてお伺いをさしていただきたいと思います。  このスーパーコンピューターの導入につきまして、昭和六十二年の五月、日米首脳会談の席上におきまして、訪米中の中曽根当時の首相がみずから言及をしていたことが明らかになった、こういうようなアメリカ政府関係者の指摘が報道されているわけでございます。  これに関したことでございますけれども、当時、郵政省はNTTに対しまして、このスーパーコンピューターの購入問題に対しまして、クレイ社のスーパーコンピューターを購入するように、このように郵政省がNTTに対して要請したのではないか、このように言われているわけでございます。この要請は郵政省から真藤会長になされたものだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  193. 山口開生

    山口参考人 ただいまのスーパーコンピューターの購入の件に関しましては、郵政省はもちろんでありますが、政府筋から一切そういう要請はございません。これはあくまでもリクルート社側からNTTに依頼があったものでございます。
  194. 草野威

    ○草野委員 そういたしますと、真藤会長自身が記者会見のときにこのようにおっしゃっていますね。江副氏が真藤会長を訪ねてきて、米国から買われるそうですが、私どものも一緒に買ってください、このように頼まれた、米国から買え買えと言ってきたやさきだったので、担当者に一緒に買ってあげなさいと言ってやった、このように真藤会長はおっしゃった、こういうことが報道されておりますが、これは事実でしょうか。  そしてまた、もしこれが事実だとしたら、会長から山口さんに対して何らかのこの件についての指示があったのでしょうか。もし指示があったとすれば、その指示に基づいて山口さんはどのような処置を社内でおとりになったのか。
  195. 山口開生

    山口参考人 江副さんの方からスーパーコンピューターを買ってくれという話は、たしか六十年の秋ごろではなかったかと思うのでありますが、それまでにNTTは、クレイのスーパーコンピューターにつきましては研究開発用として購入しておりました。したがって、そういった経験がございますし、それからスーパーコンピューターにつきましても多少の知識等持っておりましたので、したがって、リクルートの方から、スーパーコンピューターを使いたいということでNTTに手伝ってほしい、こういうことがあったのだろうと思います。  したがいまして、真藤会長も、NTTも買った経験がございますし、それについては一番内容をよく知っているということもありまして、買うならば一緒に、一緒にといいますか、NTTが協力、アドバイスをした方がいいという考えでそういう発言があったものと思っております。なお、私はそのことについては何も当時指示がございませんでした。
  196. 草野威

    ○草野委員 リクルート側から頼まれて、そして買うことにした、こういうことでございましたが、その話をクレイ社との商談の中で詰めるときに、クレイ社に対して、このスーパーコンピューターについては日本のリクルート社に転売をするものである、こういうような条件といいますか、そういう話はその商談の中で出ていたのでしょうか。
  197. 山口開生

    山口参考人 私どもは、単に転売ということを考えていたわけではなくて、リクルート社がスーパーコンピューターを使いたいということでございまして、NTTが、先ほど申しましておりますように、設計、建設受託工事、この工事の一環として、クレイ社からコンピューターを調達いたしまして、それでリクルート社に設置工事を行いました。この取引をしたわけでございまして、NTTとすれば、ほかのお客さんから受託工事を受けると同じような手続で、同じような契約を結んだわけでございます。
  198. 草野威

    ○草野委員 今のお話を伺っておりますと、クレイ社との商談の中では、転売という、そういうような話については一切なかった、このように受け取ってよろしいですか。
  199. 山口開生

    山口参考人 ただいま申しましたように、建設の受託をやりますから、その建設の最終ユーザーがどこであるかということはクレイは存じていたと思います。
  200. 草野威

    ○草野委員 その点は、いま一つあいまいな点がございますけれども、次に移りたいと思います。  もう一点は、RCSそれからINS事業につきまして、リクルート社とのいわゆる密着な関係がいろいろと取りざたされているわけでございますが、この点につきましてお尋ねをしたいと思います。  例えば、現在このスーパーコンピューターは横浜のNTTデータビル、それからもう一つは大阪の堂島のNTTビルに設置されておりますけれども、NTTが過大な便宜を計らっているんじゃないか、こういうことを言われているわけでございますが、この点についてお尋ねをしたいわけでございます。  例えば、NTTはシステムの設計から運用についてリクルートから委託は受けていないのかどうか。それから、NTTからリクルート社への転出社員、出向社員、こういうものはあるのかどうか。それからもう一点は、リクルートの回線リセールのセールスに対しましてNTTは自分の持っている各企業の配線図などを提供したと言われておりますけれども、これは事実でしょうか。もし事実であれば、どうしてそのようなことをしたか、その理由についておっしゃっていただきたいと思います。また、このことはリクルート以外、どういう企業に対して行っているか、もしおわかりでしたらおっしゃっていただきたいと思います。
  201. 山口開生

    山口参考人 NTTリクルート社との間で契約を結んでいることでございますが、これは一つは専用回線にかかわる契約、それから二つ目はコンピューター設置にかかわる契約、第三番目にはコンサルティングにかかわる契約、この三つの契約をしてございます。  専用線回線利用契約につきましては、郵政大臣の認可を受けました専用線サービス契約約款に基づきまして実施しているものでございまして、その他の契約につきましては、従来からお客様の御要望に基づきましてどのお客様にも適正な対価をいただいて実施しているものでございまして、特別にリクルート社のみに対応しているものではございません。  それからなお、転山社員の話も出ましたけれども、NTTから直接社員が出ているものはございません。  それから配線図につきましても、NTTの回線の配線図を提供したことはございません。
  202. 草野威

    ○草野委員 元取締役の長谷川氏でございますけれども、この方につきましてRCS事業、これについて調査を今後される予定がありますかどうか、調査委員会として。この点はいかがですか。特にクレイ社のスーパーコンピューターの購入、こういうことに絡んでの調査をされる予定はございますかどうか。
  203. 山口開生

    山口参考人 RCS事業にかかわる契約の内容には、コンピューターの設置にかかわります設計、建設工事の受託契約とか、あるいは電源設備の設計、建設工事の受託契約とか、電源設備の保守の契約とか、庁舎の賃貸契約とか、こういったものが具体的にはございますが、これに関しまして長谷川元取締役がどの程度関連したかということにつきましては、ただいま私ども調査委員会を発足いたしておりますので、その中で調査をさせていただきたいと思っております。
  204. 草野威

    ○草野委員 最後に、もう一点だけお伺いをさせていただきたいと思います。  中山郵政大臣の方から、今回の真藤会長の株をめぐる問題につきまして、今回改めてその再調査の指示があったと思いますけれども、調査委員長といたしましてこの問題につきましてどのように取り組まれるか、お伺いしたいと思います。
  205. 山口開生

    山口参考人 先ほど申し上げましたように、私を委員長とします調査委員会を発足しております。これは、こういった今疑惑を言われておりますリクルート関係、株の関係といったようなことを幅広く調査いたしまして、徹底的に調査をしてまいりたいと思っております。     〔海部委員長代理退席、羽田委員長代理着席〕 郵政大臣からも御注意を受けておりますし、いろんな疑惑NTTとして本当に、現在のところ私たちは業務上そういうものはないと信じておりますが、なおもう一度振り返って調査をしてまいりたい、このように考えております。
  206. 草野威

    ○草野委員 参考人には、大変お忙しいところおいでをいただきまして大変ありがとうございました。  委員長にお願いしたいことがございます。  今、NTTの件に関しまして参考人から何点かお伺いいたしました。しかし、委員長もお聞きになっておわかりになりますように、まだまだ不十分な点が何点かございます。したがって、私は、NTT真藤会長国会に来ていただいてぜひともお話を聞きたい、このように思います。この件につきまして、どうか委員長の方で理事会でお取り計らいいただきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
  207. 羽田孜

    ○羽田委員長代理 ただいま草野君の御提案のございました点につきましては、理事会の方で検討いたしまして、しかるべく御報告申し上げたいと思います。
  208. 草野威

    ○草野委員 引き続き、リクルート問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  このリクルート疑惑の問題は、中央政界の問題として、今東京地検を中心にしまして非常に大きな問題になりつつございます。私はきょうは、中央の問題というよりも地方自治体に関係した問題につきましてお尋ねをしたい、このように思いますので、よろしくひとつお願いいたします。  今回のこのリクルート疑惑の発端となったのは、川崎市の小松前助役、この方へのリクルートコスモス株の譲渡でございますけれども、これは川崎市駅前開発地へのリクルート進出に絡む問題でございます。この件につきまして、川崎市会におきましては既に地方自治法によるいわゆる百条委員会、これが九月二十九日に設置をされまして現在に至っております。そしてこの百条委員会は、当初の予定では明十一月八日に開催される予定になっておりました。その委員会の席上に、リクルート関係者三名の方々が証人として喚問される予定になっておりました。それが一昨日になりまして突然その三人の方々から都合が悪い、こういうような断りの連絡が来たようでございます。ある方は病気、ある方は海外出張と、大体お決まりの手でございますけれども、そういうような理由で急遽出席ができないということで、川崎の百条委員会もどうもあしたは空振りに終わる、こういうような見通しになっているようでございます。  また、小松前助役につきましては、今月の十五日にやはり百条委員会が開かれる予定になっております。その席上に出頭するように喚問の通知が出ているようでございますが、これに対して代理人がその通知は受け取っております。それに対して本人の方から出席をするという、そういうような返事は今のところまだ来てないように伺っております。現在のところはそういう状態になっております。  そういう状態でございますけれども、この件につきましては神奈川県警が以前から捜査を続けてきたと言われておりますけれども、まず最初に現在までの捜査の経過などにつきまして警察庁にお尋ねをしたいと思います。
  209. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの件につきましては、現在神奈川県警察におきまして、関係者等からの事情聴取を含めまして、事実関係の把握に努めているところでございます。
  210. 草野威

    ○草野委員 建設省にお尋ねをしたいと思います。  川崎市の調査委員会の報告書によりますと、リクルートが進出したこの問題の土地は、かわさきテクノピア第一特定街区と言いますけれども、ここは以前、明治製糖という会社の土地でございました。この土地を昭和五十五年三月に住宅・都市整備公団と興和不動産という会社が二ヘクタールずつ取得しまして、さらに昭和六十年一月に住都公団が興和から一部の土地の譲渡を受けまして、昭和六十年四月に公団所有の土地リクルートとそれから東芝に譲渡した、このようにされているわけでございますけれども、この経過には誤りはございませんか。
  211. 伊藤茂

    伊藤(茂)政府委員 川崎市の報告書のとおりでございます。
  212. 草野威

    ○草野委員 警察庁に伺いますが、五十七年の三月、リクルートは住都公団に対しまして、当時の公団所有地にホテルつき研修センターを建てたい、こういう立地希望を出したわけでございます。五十八年の六月にはリクルートから進出断念の連絡が市にあった、このように言われております。その後この土地には、公共事業の代替地を求める東芝と政府系の金融機関A社、A社というのはこれは商工中金と言われておりますけれども、このA社の進出希望がありましたけれども、五十九年の七月にA社から進出断念の連絡が市にあったそうでございます。そうしますと即座に、当時川崎市の企画調整局長でありました小松前助役が電話で、リクルート社に進出意向の有無について打診を行った。そしてその翌月の八月には、リクルート川崎市に対してコンピューターセンターの建設の方針を連絡してきた、このように言われております。  こういう経過につきまして、捜査当局は承知をしておりますか。
  213. 中門弘

    ○中門政府委員 御指摘のような事実関係につきまして、川崎市当局が作成いたしました調査報告書に記載がなされているということは承知しておりますが、神奈川県警察といたしましても、その状況を含めまして情報収集をしているものと承知をしております。
  214. 草野威

    ○草野委員 昭和五十九年の六月、建設省は通達で、従来からあった都市計画の特定街区制度の運用の緩和を行った、こういうようにされております。この背景を見てみますと、これには当時の中曽根首相が、昭和五十八年の三月、例えば山手線の中で五階建てができるようになるという各種の規制緩和による民活の導入を建設省に指示をしたり、また、この年の四月には「今後の経済対策」の中でもこの問題が今後取り組むべき課題とされたことによって、各省庁が一斉に民活導入に取り組んだ、こういうような背景がございます。建設省では官民の検討委員会のほか、省内に都市対策推進委員会を設けまして、五十八年の七月には都市計画、建築規制等の緩和による都市再開発の促進方策、線引きの見直し、開発許可規制要件の見直し、このようなことをずっとやっていったわけでございますけれども、こういう規制緩和によりまして長年の不動産業界の要望といいますか、そういうものに結果としてこたえることになったと当時は言われております。  このように、民活導入をテーマにした規制の緩和、また国公有地の払い下げが都心の業務用地の高騰を招いたり、現在の全国的な地価騰貴の引き金になったのでありますけれども、川崎におきましては、特定街区の容積率等の規制緩和を受けて問題の地区を特定街区に決定したわけでございます。その結果、この地区の容積率は当初工業地域であったために二〇〇%であったわけでございますが、商業地域に用途変更しまして五〇〇%となり、そしてさらに特定街区の決定をして七〇〇%にまでなったわけでありますが、この事実には誤りございませんか。建設省、いかがですか。
  215. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答え申し上げます。  今までの先生御説明のうち、最後の特定街区の容積率の指定は七〇〇%でなくて六四〇%でございますが、その他は御指摘のとおりでございます。
  216. 草野威

    ○草野委員 この容積率緩和の通達を出す前に、建設省は五十九年の三月に川崎市に対して、この地区を特定街区制度によって整備するようにアドバイスをされた、このように言われております。この建設省のアドバイスにつきまして、容積率緩和を見込んで行ったものと思われますけれども、五十九年の三月というこの時期にどうしてこのような助言を行ったのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。  この助言は、川崎市に対してのみ行ったのか、また、他の都市に対しても行ったとすればどこの都市に行っておりますか。また、それらの都市は特定街区の指定をしているのかどうか。この点はいかがでしょうか。
  217. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  五十九年三月に川崎市の担当者の方が建設省都市局にこの地区の整備の手法について御相談にお見えになり、その際、建設省の側から特定街区という制度を活用したらどうかという助言をいたしましたことはございますが、一般的に特定街区の指定は市が行うものでございますので、この件について建設省がそれぞれの公共団体を呼んだりするようなことはいたしておりませんし、この時期、ほかにそのようなことをいたしたこともございません。  以上でございます。
  218. 草野威

    ○草野委員 すると、川崎市だけにそのようなアドバイスをした、こういうことになるわけですね。  警察庁にお伺いしますが、川崎市は、建設省からこういうアドバイスを受けまして、直ちに五十九年の五月、この地区に特定街区制度を適用することに内定をいたしまして、さらに六月には公団とか興和不動産、東芝それから商工中金を呼びましてこの旨を連絡をした、こういうことでございます。ところが、このように容積率が当初二〇〇%から七〇〇%になるであろう、建設省では今六四〇というお話でございましたけれども、かなり容積率が増加する、そういうことを知っているにもかかわらず、公団ではそのA社の進出に備えて敷地割りとかそういう準備を全部進めたわけでございますけれども、商工中金は七月になりまして突然市に対して進出を辞退する、こういうような連絡が来たようでございます。  そこで、川崎市の小松前局長はそれを待っていたかのように直ちにリクルートに電話で連絡をいたしまして、その進出の意向の打診をした、このように言われているわけでございます。商工中金は立地条件が一層よくなるというのにどうして辞退をしたのか、そういう点につきまして、警察庁はその経過だとか理由について捜査をしたことがございますか。
  219. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの件につきましても、川崎市の報告書に記載されておりますことは承知しておりまして、それも含めまして情報収集をしております。
  220. 草野威

    ○草野委員 リクルートが五十八年の六月に一たん進出を断念をした、こういうような経過がございます。これはどういうわけか、警察ではこの理由というものをもしつかんでおりましたらお聞かせをいただきたいと思います。  そしてまた、五十九年の八月に再びリクルートが進出を決定した。その背景には、当然この容積率の緩和、こういうものが主な理由だとこれは想像されるわけでございますけれども、こういう点につきまして調査をされておりますか。
  221. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの件も含めまして情報収集に努めておりますけれども、その具体的状況につきましては、情報収集の中身にわたる事柄でございますので、答弁は差し控えさしていただきたいと存じます。
  222. 草野威

    ○草野委員 建設省にお伺いをしたいと思います。  特定街区の決定というこの都市計画の決定手続でございますが、これは市の企画調整局長の一存でできないことは当然であろうと思います。当時の企画調整局は、企画部、計画部、調査部、環境管理部というものから成り立っておりまして、都心整備に関する大きな権限がこの一局に集中をしておりました。そして、同局は市政の総合企画を担当して、町づくりに関する計画の企画、立案、調整、そして都市計画の決定手続、さらにそこへの民間企業の誘致までを担当する部局であって、局長はそのトップとして業務推進の責任者であったわけでございます。  具体的にも、五十五年の三月に公団が明治製糖から土地を取得したのは、市の企画調整局の意向を受けてのものと言われております。また、この地域の整備構想をつくったのも、建設省のアドバイスを受けたのも、市内部で特定街区制度を適用することにしてこれを公団等に連絡したのも、またリクルート進出を打診したのも、これを受けて都市計画決定の手続を進めたのも、局長みずからまたはその指揮のもとに同局の職員が当たってきたのであって、この局長リクルート進出と都市計画の決定手続の中で果たした役割は極めて大きかったのではないかと思いますけれども、このような事実につきまして建設省はどのように思いますか。
  223. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  小松前助役が当時担当局長であったということは承知いたしておりますが、特定街区の指定の手続その他につきましてどのような役割を果たされたかについては、私どもでは承知をいたしておりません。
  224. 草野威

    ○草野委員 警察庁にお尋ねします。  小松助役がこのリクルート株の譲渡を受けたのは五十九年の十二月前後と言われておりますけれども、川崎市、公団、リクルート、この三者で、特定街区に指定することを前提として、リクルートが公団から土地を購入してこの地区に進出する旨の合意がなされた、このように言われておりますけれども、この事実は間違いございませんか。
  225. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの件は情報収集の中身にわたる事柄でございますので、答弁を差し控えさしていただきたいと存じます。
  226. 草野威

    ○草野委員 建設省にお尋ねします。  五十九年の十一月、公団は川崎市に対して、リクルートへの土地譲渡は市の整備計画、これは特定街区に指定して整備するという内容のものかと思われますけれども、この市の整備計画に沿ったものだからリクルートへ譲渡されたいという旨の依頼文を出すことを求めまして、川崎市は五十九年の十二月にこれを出して、公団はその依頼文に基づいて随契でリクルート土地を譲渡した、このように言われておりますが、これは事実でしょうか。
  227. 伊藤茂

    伊藤(茂)政府委員 お答えします。  当該土地につきましては、五十五年に明治製糖から公団が取得しましたが、その当初から公団としては住宅団地建設の事業計画があったわけでございますけれども、川崎市の意向がございまして、川崎市の町づくりの一環として使うようにということで当初から川崎市の申し入れがあり、川崎市の意向に沿ってその利用を実現する方向に動いたわけでございます。したがいまして、先生おっしゃいますように、川崎市の要請を受けてリクルートと東芝に土地を譲渡したものでございます。
  228. 草野威

    ○草野委員 大蔵省にお尋ねしたいと思いますが、小松前助役は五十年の九月に企画調整局の企画課長から企画部長に昇格をしまして、さらに五十八年の八月に企画調整局長になられております。したがって、この間この地区の整備に一貫してタッチしておりまして、特にリクルート進出時にはその窓口の最高責任者となっていたわけであります。そして、リクルート進出が決定的となった五十九年十二月ごろ、非公開のリクルートコスモス株三千株を取得しておりまして、しかも、その取得資金はリクルート関連企業から融資を受けたと言われております。その後、リクルートコスモス株は一株額面五百円が五十円、十株に分割をされまして、この三千株は三万株となっておりまして、その直後の、六十一年十月の店頭登録後の十一月ごろ全株を売却いたしまして、約一億円余の収益を得た、このように言われておるわけでございます。  そこで、大蔵省にお尋ねしますが、証券取引法違反の調査の中で、五十九年十二月のリクルートコスモス株未公開株の譲り受け人の人数、売買価格等を公表しておりまして、百二十五万株を七十六人に譲渡している、このように言われております。したがって、これを平均いたしますと、一人が一万六千株余になると思いますが、小松前助役の株数は三万株で、平均の約二倍に近いということになります。大蔵省は個人名の発表はできない、このようにされておりますけれども、三万株以上の譲り受け人は七十六人のうち何人いたのか、この点についてお示しいただきたいと思います。それからもう一つは、譲り受け株数別にこの人数を明らかにしていただきたい。三万株以上の譲り受け人は七十六人のうち何人いたのか、また、譲り受け株数別にこの人数を明らかにしていただきたい。
  229. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 五十九年十二月のリクルート社によりますいわゆるリクルートコスモス株の譲渡につきましては、証券取引法第四条違反に該当するかどうかという観点から調査いたしまして、私ども七十六名という人数は確認いたしまして、その上で証取法におきます有価証券届出書を提出させるべきケースではないかという形で判断したわけでございます。ただ、その段階におきまして七十六人のリストといったものは提出されておりませんし、私どもそういったものは確認いたしておりません。  したがいまして、小松助役の件につきまして、御本人が三万株ですか、譲渡されたということを認められたということは、新聞報道では承知しておりますが、大蔵省としては個々人の名前あるいはその株数については承知いたしておりません。したがいまして、今御指摘の点につきましては、ちょっと私ども、何ら資料その他持っておりませんので、この点について申し上げられるような状況にはございません。
  230. 草野威

    ○草野委員 警察庁にお尋ねします。  小松助役は、譲渡されたリクルートコスモス株の株数、これは今も申し上げましたように、多くの譲渡人の中でも際立って大きいわけでございます。そして、今まで申し上げてまいりましたけれども、リクルート進出の経緯、そしてそこで責任者として対外的な折衝に当たってきた小松前助役の立場、また受け入れのための都市計画の内容を詰め、手続を進めてきた局長としての職務権限、地位を考えますと、リクルートコスモス株の局長への譲渡というものは、局長自身が言っているとされます安定株主対策ということではなくて、これはリクルート進出に際して払われた局長への労苦に対する謝礼、このように考えるのが自然ではないかと思うのです。リクルートコスモス株の譲渡と局長の職務権限また地位との間には因果関係があるのではないか、このように私は考えるものでございますけれども、警察庁はいかがですか。
  231. 中門弘

    ○中門政府委員 御指摘の点につきましては、現在、事実関係の把握に努めているところでございます。
  232. 草野威

    ○草野委員 自治省にお尋ねをしたいと思います。  六十年の九月ごろ、当時局長であった小松前助役は、リクルートに対しまして川崎市文化振興基金、ここへ寄附を依頼しているようでございます。そして、リクルート及びリクルートコスモスはそこへ多額の寄附をしたと言われております。この文化振興基金という制度は始まってまだ新しい制度のようでございますけれども、この川崎市の文化振興基金の制度に現在までどのくらいの寄附が全部でされているか。そしてまた、重立った寄附をされている方、こういう方について、もしおわかりだったら教えていただきたいと思います。
  233. 津田正

    ○津田政府委員 きょう午前中に先生から御照会がございまして、電話連絡でございますが、川崎市に聞きましたところ、どういうような経緯を経たか、特に局長あるいは後の助役がどのような役割を果たしたかは承知しておりません。  寄附事実につきましては、六十年の十月一日にリクルート名で三千万円、六十一年十月二十八日に千五百万円、六十一年十月二十八日にリクルートコスモス名で千五百万円、合わせましてリクルート関係六千万円の寄附を受けております。  文化振興基金の残高、六十一年度末で私ども決算で押さえております額は、二億二千万円でございます。そのほかの寄附をされた方、個人も含めていろいろおられるようでございますが、その細部については承知しておりません。
  234. 草野威

    ○草野委員 六十一年の末で、この文化振興基金に対する寄附の総額は二億二千万、こういうお話でございました。恐らくこれはその半分が寄附の額であって、その半分は市の方から出している額であろうと思いますので、実際はその半分の一億一千万、これが市民から寄附された額ではないかと思います。  そういうことでございますと、一億一千万に対しまして、リクルート関係から総額で六千万円の寄附をされた、こういうお話でございますけれども、この六千万というのは一億ちょっとの中ではかなり際立った金額になるのじゃないかと思われます。川崎市には日本鋼管を初めかなり大きい企業がたくさんあるわけでございますけれども、そういう中でリクルートがこのような多額な寄附をしておる、こういうことでございます。  また、リクルートは六十二年の一月に市長の後援会に二百万円の寄附をしている、こういうような報道もございました。これらをずっと考えてみますと、リクルート川崎駅前進出に市の方から便宜を図ってもらった、こういうお礼ではないか、このように思われるわけでございますけれども、この間の事情につきまして、警察庁の方は調査をされておりますか。
  235. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの寄附の件につきましては、新聞報道等がなされたことは承知しておりますけれども、その具体的状況につきましては把握をしておりませんので、お答えできる状況にございません。
  236. 草野威

    ○草野委員 今私が申し上げましたのは、先ほど自治省の方からもお話ございましたように、川崎の文化振興基金にリクルートから六千万円の寄附をしている、これは事実でございますので、警察庁の方でもこの関係についてはぜひとも調査を進めていただきたいと思います。  それから、小松前助役に対するこのリクルートコスモス株の譲渡の経緯それから理由、そういうことにつきまして、リクルートコスモス側の関係者の事情聴取、これを既に行っているかどうか、この点はいかがでしょうか。
  237. 中門弘

    ○中門政府委員 事実関係を把握いたしますために、必要な関係者の事情聴取は行っているところでございますが、具体的にどのような人物から事情聴取したかということにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  238. 草野威

    ○草野委員 小松さんが三万株を売って一億余収益を上げられた、先ほど申し上げましたけれども、この小松前助役は六十二年の八月に助役に就任しました。就任直後の六十二年の十一月になってリクルートコスモス株をまた二万株取得された、このように言われております。捜査当局はこの点を御存じでしょうか。  これはどういうわけか私はわかりませんけれども、例えば安定株主対策として、これはもし売ってしまったということであればおかしい、こういうことで再取得をしたのじゃないか、このようにも思われるわけでございますけれども、この間の事情について、おわかりになっていることがあれば御報告いただきたいと思います。
  239. 中門弘

    ○中門政府委員 情報収集の中身にわたる事柄でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  240. 草野威

    ○草野委員 捜査当局はその小松前助役本人から、リクルート進出に当たっての前助役の役割、それからリクルートコスモス株の譲り受けの経緯等について事情聴取をされておりますか。もしされていないというのであれば、現在小松さん御本人は国内にいらっしゃるのですか、それとも海外にいらっしゃるのか、その所在について確認をされておりますか、その点はいかがでしょうか。
  241. 中門弘

    ○中門政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、必要な関係者からの事情聴取を行っておりますけれども、具体的にだれから事情聴取を行ったかというふうなことにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、前助役の所在も含めまして情報収集を行っておるところでございます。
  242. 草野威

    ○草野委員 神奈川県警の捜査でございますけれども、これは横浜地検と連絡をとりながら進めてきたことと思いますが、ことしの五月ごろでございますが、地検の指示で捜査が一時打ち切られた、このように言われております。事実ですか。
  243. 中門弘

    ○中門政府委員 神奈川県警といたしましては、事実関係を把握するためのもろもろの活動を継続的に行っておるところでございまして、それを一時打ち切ったとかいうふうな状況はございません。
  244. 草野威

    ○草野委員 去る十月十四日の本委員会におきまして、坂井委員質問に対しまして警察庁の答弁がございました。神奈川県警は情報収集を通じて事実関係の把握に努めている、こう今私に、さっきからもう何十回と同じことを繰り返して答弁されておりますけれども、同じような答弁をされております。この情報収集ということと捜査ということは相当に違うように思われるわけでございますけれども、どうして積極的な捜査をしないのでしょうか。
  245. 中門弘

    ○中門政府委員 情報収集という言葉につきまして特段の定義があるわけではございませんけれども、通常、私どもが用います場合には、犯罪があります場合あるいはあるかどうか明確でない場合等に、その事実関係を明らかにするために各種の材料を得るために行います活動を総称しているものというふうに理解をしているわけでございます。したがいまして、情報収集が捜査の前提となるという場合も少なくないわけでございます。その点を御理解いただきたいと存じます。
  246. 草野威

    ○草野委員 横浜地検は地検として独自の捜査をしている、このように聞いておりますけれども、どうなんでしょうか。現在までの捜査の経過、また、今後の捜査の見通しについて説明をしていただきたいと思います。
  247. 根來泰周

    根來政府委員 先ほどから警察庁からるる御説明がありましたように、警察庁の方で、具体的には神奈川県警でございますが、神奈川県警の方でいろいろ情報活動をされているということでございます。したがいまして、前にも申し上げましたように、この件につきましては検察庁としては神奈川県警の情報活動を見守る立場でございまして、もし警察から御要請があればまた協力するという立場であろうと考えております。
  248. 草野威

    ○草野委員 今法務省の方から、我々の方は見守る立場である、こういうお話でございますけれども、神奈川県警が捜査を一時打ち切ったのは、あるいは情報収集にレベルダウンをしたのは、リクルート側がたくさんの人に株式を譲渡していることがだんだんと判明してきて、その中にはいろいろな人がいる。また、中には政治家も含まれている。これが中央の疑惑事件に発展する可能性が出てきたために、神奈川県警や横浜地検ではなくて東京地検で捜査することが適当だ、このように判断されたのではないか、こういうことも言われているわけなんですけれども、警察庁、これはどうですか。
  249. 中門弘

    ○中門政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、神奈川県警におきましてはずっと継続して情報収集を通じまして事実関係の把握に努めているところでございまして、それを一時打ち切るとかあるいは東京地検へゆだねるとかいうふうな事実はございません。
  250. 草野威

    ○草野委員 法務省にお尋ねしたいと思います。  贈収賄は時効の期間というものが違っているわけででございますが、贈賄は三年、収賄は五年、このようになっているわけでございますが、この川崎の事件の場合には、既に贈賄側の方はもう時効になっているわけでございまして、いわゆるわいろ事件というのは贈収賄を一緒につかまえないと立件がなかなか難しい、こういうふうに言われております。そういう関係川崎市のケースは立件が困難だ、このように言われている面もありますけれども、実際にそうなのかどうか。  また、もしそうだとすると、ロッキード事件の反省で収賄を三年から五年に延長した、こういうことがかつてあったわけでございますけれどもその意味がなくなってしまうのじゃないかと思いますが、そういう点について法務省はどのように考えておりますか。
  251. 根來泰周

    根來政府委員 御指摘のように、従来、普通の収賄事件は懲役三年以下でございましたし、贈賄もそうでございました。したがいまして、両方時効は一緒であったわけでございますが、ロッキード事件の反省といいますか、そういうことで、やはり役人は襟を正すという意味で、懲役五年以下というふうに法定刑が引き上げられたわけでございます。したがいまして、両方のバランスといいますか、片や三年、片や五年ということになりますと時効期間が違うわけでございまして、やはりおっしゃるようにそこには捜査上の難点があろうかと思います。しかしながら、国会でそういう御決定があって法律が改正されたわけでございますが、その制度の中で捜査機関としては最大の努力を尽くすべきだと考えております。  ただいま御指摘の事件はともかくといたしまして、一般論として申し上げれば、そういう三年、五年という差はやはり捜査には若干の支障があることは否めないところだと考えております。
  252. 草野威

    ○草野委員 川崎市議会は、現在百条委員会を設置いたしまして、関係者に出頭していただいて、そしていろいろと調査をしよう、こういうことで取り組んでいるふうに聞いております。しかし、先ほどからお話ございますように、小松前助役の所在は現在まで全く不明でございまして、一説には香港にいる、このように言われているわけでございますが、これもいま一つはっきりしない。また、リクルート社の関係者三人について明日百条委員会の方に証人として出てきてもらう予定でございましたけれども、これも病気だとか海外出張だとか、こういう理由が急についてまいりまして、これも出頭できなくなった、こういうようなことでございます。  自治省にお尋ねをしたいと思いますが、地方自治法第百条第三項で、証人が正当な理由がないのに出頭しないときは罰則が働き、議会は告発しなければならない、このようにされているわけでございます。しかし、このケースのように、証人の所在が不明であったり、また海外に逃避をしてしまっている場合、こういうような場合にはこの規定は何ら働かないことになるのかどうか。  また、このリクルート社の社員三名につきましても、一人は退社しているようでございますけれども、この三人の方につきましても病気とか海外出張とか言われておりますが、今回のケースの場合にはどのようになるか、この点をお尋ねしたいと思います。
  253. 木村仁

    ○木村政府委員 証人が喚問を受けました場合に、正当な理由がなくして喚問に応じないのかどうかということを第一義的に判断いたします者は当該議会でございます。したがいまして、その所在がどこでありますかを問わず、議会において事実を認定され、しかるべき行動をおとりになるものと考えております。
  254. 草野威

    ○草野委員 では、その市議会が公示送達の手続をとったという場合、これによって出頭要求が本人の手元に届いたという効果が発生することになるのかどうか。もしなるとすれば、本人が理由なく出頭しない場合には、地方自治法の第百条第三項の証人が正当な理由がないのに出頭しないという要件に該当することになると思うわけでございますけれども、この点はいかがでしょうか。
  255. 木村仁

    ○木村政府委員 公示送達が本人に通知したことになるかどうかの細かな法律論につきましては、ちょっと検討させていただきたいと思いますが、もしそうなります場合には御指摘のとおりでございます。この点につきましては、後ほど御報告を申し上げます。
  256. 草野威

    ○草野委員 川崎市議会が地方自治法第百条三項でこの小松前助役を告発した場合には、地検はこれを受けて捜査を始めることになると思いますけれども、これはいかがでしょうか。
  257. 根來泰周

    根來政府委員 仮定の問題でございますので何とも申し上げかねますけれども、地方自治体の百条によりますと、禁錮刑あるいは罰金刑が定められておりますので、一般的にはそういう事案がありましたら検察庁は適正に対処するものと考えております。
  258. 草野威

    ○草野委員 川崎市会の調査報告書によりますと、小松前助役は、株はあくまで個人的立場と責任でやってきた、職務に関連して企業に働きかけたり、企業から特定の便宜を要請されたりしたことは一切ない、このように主張したそうでありますが、本人の所在が不明であるために、株の取得と特定街区に関する事項についての照会ができないので、なお確認されてない部分があるわけでございます。川崎市議会のこの百条委員会調査、これは十一月十五日に予定されているわけでございますが、その本人が出頭されて、その次第によっては、小松前助役をめぐる疑惑につきまして、東京地検は新しい角度から捜査を始めることも当然あり得るのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  259. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど申し上げましたように、神奈川県警で現在情報収集をしておるということでございますので、そういうことになりますと、検察庁と警察が協議いたしまして、また、役割分担を定めまして具体的には対処するものと考えております。
  260. 草野威

    ○草野委員 リクルート問題は以上にいたしまして、次の問題に移らせていただきたいと思います。  初めに、地方税制の改革の目的でございますけれども、何のための地方税制改革か、こういう点につきまして、総理大臣、大蔵大臣、自治大臣に初めにお尋ねをしたいと思うのですが、ちょうど竹下内閣が発足いたしまして丸一年になるわけでございます。昨年十一月の六日の日に第七十四代の首相に竹下さんは指名をされたわけでございますが、一年前、竹下総理は、新政権のスローガンとか政治姿勢についてこのようにおっしゃっております。誠実な実行、それから汗は自分でかきましょう、実りはみんなに上げましょう、こういうことをおっしゃっているわけでございます。この一年、果たして国民生活はどのように変わってきただろうか。  十一月二日、きょうから五日前でございますが、経済企画庁がこのような統計を発表しております。昭和六十三年度の国民生活選好度調査、こういうものでございますが、これによりますと、生活満足派、これが四三・二%、前年に比べまして六・七ポイントのマイナスになっております。生活不満派、これは二七・五%、前年比七・五ポイントふえております。こういう数字から想像されることは、今国民はこのリクルート疑惑にいらいらしながら今回のこの消費税法案の行方を見守っておられるのじゃないか、このように感じるわけでございます。  今回の、今審議されている政府案、端的に申し上げますと、やはり初めに消費税ありき、このような感が強くするわけでございます。やはり内容を見ましても、この消費税の導入のみに力が大変入っている。制度や中身は、これはどうもなおざりになっているのではないか。また、消費税か企業税かあいまいな点もございます。本来消費税の単なる伝達にすぎない業者サイドの議論が余りにも多くされているのではないか。最終的に税金を負担する消費者の立場がどうも余り考慮されてない、こういう面が非常に多いのではなかろうかという気がしてならないわけでございます。そういうことで、業者サイドの利害がついて政治決定がなされた感が強いわけでございます。  また、地方税の改革につきましては、これも中身が余りはっきりしない点がございます。消費税導入の関連で各税目の見直しをしているにすぎず、国と地方の税源配分のあり方等には触れておりません。これからの高齢化社会のあり方を考えたときに、地方公共団体の役割はますます大きくなってくるでありましょうし、高齢者対策はある意味で地域社会の問題でもあろうかと思うわけでございます。このたびの地方税制改革は、その考え方、方法、内容において今後の地方税財政のあり方を転換するほどの問題点を幾つか含んでいるのではないかと思うわけでございます。  そのような観点に立ちまして、今回のこの改革案、何のための地方税制改革か、このような基本的な点につきましてお尋ねをしたいと思います。
  261. 津田正

    ○津田政府委員 今回の税制改革の中におきます地方税財源措置の考え方でございますが、やはり三つの視点から検討してまいったものでございます。一つは、地方税が租税体系の一環として国税とともに国民負担としてどうあるべきか、このような視点を考えなければならない。二番目は、まさしく国と地方との間の税財源配分等の問題をどうするかというような観点。そして三番目に、地方団体、非常に財政力等も差がある三千の団体を抱えておるわけでございますので、それらの個別の団体の財政運営に支障のないような考え方、このようなことでやってきたわけでございます。  まず、所得課税関係におきましては、やはり中堅勤労所得階層の負担軽減のため、また企業活動の国際化、こういう観点におきまして、国税とともに地方税におきましても、住民税あるいは法人事業税への減収影響というものにつきまして、これはいわば原則として自前でやっていく、その背景としては地方税の自然増等も出ておるわけでございますので、そのような観点に立っております。  それから消費課税の問題でございますが、地方も多くの個別地方消費税を抱えておるわけでございますが、その個別間接税体系の問題点というものから、広く薄くという観点の消費税を導入するわけでございます。この消費税体系におきます地方税の役割としましては、独立の地方消費税という案も考えられたわけでございますが、納税者の事務、手間等を考えますと、やはり地方税として地域におきます課税帰属等厄介な問題が生じてまいりまして、地方独立税としては難しい、そこで税財源措置としましては譲与税あるいは交付税、このようなもので対処するということでございます。そして地方団体間の財政力の格差等も考えまして、交付税におきましては今回の減収以上に交付税額を確保する、このような形で個別の地方団体の財政運営にも支障のないよう措置をしよう、このような考え方でございます。     〔羽田委員長代理退席、海部委員長代理着席〕
  262. 草野威

    ○草野委員 ことしの四月の政府税調の中間答申によりますと、このようになっているわけでございます。地方税制改革の考え方につきまして、国、地方間の税源配分のあり方は、広範な問題と関連しており、幅広い観点から検討すべきものである。しかしながら、今回の税制改革税制のゆがみを是正する点に主眼があり、改革に伴う税収の変動によって国及び地方団体の財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して処理することが適当である。このように答申をされているわけでございます。  そこで伺いたいわけでございますけれども、この中にもありますように、今回の地方税制の改革は国と地方の間の税源配分についてまで検討するものではないということを示唆しているわけでございます。しかし、実際には国、地方間の税源の配分が大規模に行われているにもかかわらず、地方税財政の視点に立った税源配分のあり方などについては何らその検討をされていない、こういうような感じがするわけでございます。  もう一点は、今回のこの税制改革税制のゆがみを是正する点に主眼がある、このようにこの中に述べておりますけれども、国税と地方税では立場が違うことは当然ではないかと思います。したがって、ゆがみの是正といっても、地方税制は地方の独自の立場からの検討が必要ではないかと思います。国税と同じゆがみ是正の方式を国に追随して適用することには無理があるのではないかと思うわけでございます。  それからもう一点は、この税制改革による税収の変動について地方財政運営に支障を来さぬように処理する、こういう点でございますけれども、この点につきましては、ただ量的に満たされれば何でもいい、こういうわけにはいかないと思います。例えば、今回のように減税超過による歳入不足分、これには自然増収という臨時財源、または消費譲与税など国からの財源付与の形で補てんするような方法、これを地方団体の立場から見てみますと非常に不安定な財源構造でございまして、財政自治の後退につながる問題であろうかと思います。  以上、三点について申し上げたわけでございますけれども、この政府税調の考え方に基づいて今回の地方税制の改革の方向づけというものが行われたわけであろうかと思います。したがって、その結論は、どうしてもこれは地方税の独自性の軽視ということになっているのではないか、また、消費税の導入のために多大な犠牲を地方団体に押しつけるための戦略的な役割を果たしているのではないか、このように言っても言い過ぎではないというように思うわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  263. 津田正

    ○津田政府委員 今回の税制改革におきます地方税財源措置ということは、先生も御指摘のとおり、所得、消費、資産等の間の均衡のとれた望ましい税体系を構築するために国民の税負担のあり方等の観点において税制そのものを見直す、このような観点に立っておるわけでございます。したがいまして、国と地方との責任分担、事務配分等の役割分担の変更ということは織り込んでないのは事実でございます。ただ、私どもとしましては、地方行政が国民生活に密着しました行政を担う役割を持っておるわけでございまして、今後の社会経済情勢の変化の中にこの役割分担ということの見直しがあれば、またそれの財政的基礎でございます税財源措置というものにつきましての見直しを行わなければならないもの、かように考えておるわけでございます。  二番目の、国税の税制改正に追随型で地方税独自の観点というものがないではないか、こういうような御指摘でございますが、先ほど申しましたように、所得、消費、資産等の間での均衡のとれた税制の確立、このような観点での税制改革でございますが、その中におきましても、税財源の安定確保という点から申しますと、地方団体の立場によりましても、いわゆる消費税につきましてその一部、譲与税あるいは交付税というものをリンクさせることは地方財政の安定化にもつながるもの、かように考えております。  また、個々の団体の財政運営につきましても、減税超過型で約八千億円ばかりの減税超過をしておるわけでございますが、幸いにいたしまして自然増というものもこの数年ありますし、また地方行財政の点におきましても、なお経費の節約合理化というものを進めてまいらなければならない。そしてまた、財政力の非常に弱い団体、これに対する措置といたしまして、交付税につきまして、地方交付税の減収は九千億程度でございますが、今回消費税の一部につきまして交付税の対象税目にすることによりまして約一兆五百億円ばかりの交付税を確保しておりまして、これの配分によりまして個々の団体の財政運営にも支障のないよう措置してまいる所存でございます。
  264. 草野威

    ○草野委員 次に、税制改革と今後の地方自治のあり方という問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  先月、シャウプ博士が来日いたしまして、総理もお会いになられたようでございます。そのときにいろいろとこの税制論議に花が咲いたようでございますけれども、博士は私の税制の先生です、こういうようないろいろなお話があったようでございますが、戦後四十三年、国、地方間の事務、権限の再配分、これもかけ声ばかりで遅々として進んでおりません。また、シャウプ勧告での地方自治の基盤が現在揺れ動いておる、こういう状態でございます。  そういう意味で、今回の税制改革は今後の地方自治にとっても重大な意味を持っておると思うわけでございますが、こういうことを含めまして、今後の我が国の地方自治のあり方について総理はどのようにお考えになっているか、お考えをひとつお示しいただきたいと思います。
  265. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 地方自治は民主政治の基盤であって内政のかなめである、この考え方にまず立っておるところでございます。が、先ほど来の議論を聞いておりますと、また、答弁の中でも、私自身も感じておりますことは、今度は国と地方はいわゆる車の両輪である、その業務範囲の問題等を、表現は悪いのですが、ガラガラポンにして新たな税制を打ち立てたということではないということは事実でございます。したがって、こういう経済情勢の変化に応じていろいろな対応を立てていかなければなりませんが、なかんずく第四次全国総合開発計画というものが明らかになった今日、それが着実に進行していくための、これは国、地方を通じての財源問題ということに対しては留意していかなければならない課題であるというふうに基本的に考えておるところでございます。
  266. 草野威

    ○草野委員 たしかこの臨時国会が始まって間もないころだろうと思いますけれども、総理がある会合に出席されまして講演をされました。たしかそのときに小沢官房長官も同席をされてごあいさつをされたというふうに伺っておりますが、そのときの小沢官房長官のお話の中に、税制改革後の竹下内閣の課題、こういうことが新聞で報道されておりました。そこに書いていることを、あくまでこれは新聞報道でございますけれども、副長官のおっしゃられるのには、市町村合併とかそれから道州制を挙げていらっしゃったようでございます。その内容はよくわかりませんけれども、恐らく国と地方自治との一体化だとか、それから国の意向に沿った地方制度への改変を考えているのではないか、こういうような説もあるそうでございます。もしそうだとすれば、そのような地方制度のもとでは地方税なんかはもう必ずしも必要ではないのじゃないか、こういうことになってしまうわけでございます。  今総理の御答弁の中で、国と地方は車の両輪のようなものである、こういうお話がございましたけれども、確かにこのときは総理も御同席されていらっしゃったようでございますので、今後の地方自治ということについて、これは非常に重要な話であったように思いますので、この点についてもし御記憶にございましたら、総理からお話を承りたいと思います。
  267. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 地方分権ということで私が平素申しておりますのは、身近なことは身近なところで、こういうよく申しておる言葉が一つございます。したがって、そういう一つの根底を描きながら、かつての道州制問題というようなことには私自身もいろいろな関係をしたことがございますが、私なりに今道州制というものを念頭に置いておるということは全くございません。  ただ、広域行政というような問題で町村合併、二年前に聞きましたのと、この間聞いてみますとちょうど十カ町村が少なくなっておるわけでございます、三千三百二十五が三千三百十五になっておりましたから。したがって、広域合併は、先般の仙台の政令市指定の問題でございますとかあるいはつくばの問題でございますとか、そういうような問題が恐らく一つの刺激になって広域行政の議論は若い方々の間で深まってくるんじゃないかな、こういう感じを持っておるところでございます。  当時小沢副長官がどういうことを申しましたかは、ちょっと記憶をいたしておりません。
  268. 草野威

    ○草野委員 竹下政治に対する国民の感想というものは、非常にわかりにくい、こういうような指摘が割合に多いのですね。その典型的な例が「ふるさと創生論」じゃないかと思うのです。私も地方行政委員会のメンバーでございますので、委員会におきましては梶山自治大臣からこのことにつきましてはしょっちゅう話は伺っております。ともかく、この「ふるさと創生」のためには地方の活性化が必要である、こういうことでいろいろ話は伺っておるわけなんですけれども、どうもそれから先に余り具体的な話は進まないわけなんです。例えば、政府機関の移転の問題も正直言いましてあの程度かな、このように思わざるを得ません。それから、東京一極集中の問題につきましても、遷都論、展都論の話も今全く下火になっている。また、地方民活につきましても、梶山大臣も非常に力を入れて取り組んでおる課題でございますけれども、こういう問題をひっくるめまして、きょうはこの「ふるさと創生論」につきまして総理からお話を伺いたいと思うのです。  ということは、いつですか、全国の知事会が開かれました。その席上で、総理から国と地方の関係につきまして見直しをしよう、これを新行革審の次のテーマとして土俵にのせたい、こういうような非常に意欲的なお話もあったというふうに聞いておるわけでございますけれども、そこら辺のところをあわせてお尋ねをしたいと思います。
  269. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私の政治手法がわかりにくいというのは、私自身もよく承知しております。一つは、言語明瞭意味不明とよく言われたわけでございますが、そういう点は自分でも絶えず反省をいたしておるところでございます。  私が「ふるさと創生」ということを言葉として申し上げましたのは、これは総理大臣になるつもりで申し上げたということではございません。かねてからの主張を書きおろした私の書物の中で披露したわけでございます。いずれにいたしましても、長い国会生活の中で新産都市がございましたり、工業整備特別地域、工特法というのがございましたし、あるいは我々の地域に見合う過疎法というものがありましたり、最近で言えばテクノポリスなんかがそうでございますが、今までは、言ってみれば中央で一つのメニューをつくって、これに見合うものをお出しになった場合にいろいろな財政上あるいは税制上のメリットをお与えいたしましょう、こういう考え方であったのではないか。  しかし、現実私も地方議会の出身でございますから、地方にも企画能力がないとは思っておりません。その地方地方の特徴ということを生かして青写真ができて、それを中央政府なりがサポートしていくというような考え方になってみたい。上から一つの指針を示しますと、どうしてもそれでまたわあっとこう申し出があって、それが指定されたり指定されなかったり、試験官の意思に沿うような答案になってしまうから、そうじゃなくて、独自性のあるものを積み上げていくことを考えていくべきではないかな、こういうことが漠然と私の考え方の底にあったわけでございます。  これは、考えようによれば、大平先生が田園都市構想ということをおっしゃったことがございますが、本当にあのとき、田園都市構想というポスターが選挙のときに張られておって真ん中に大平先生の顔がありますと、まさに田園そのものの顔という感じがしまして大変ほのぼのとしたものを感じたというような、若干青年的なロマンが私にも残っておるんじゃないかな、こんな感じがいたしておるところでございます。そこへ、幸いでごいますが、第四次全国総合開発計画という下敷きができたわけでございますので、この下敷きに沿ってそういうものを生かしていくための一つのささやかな最初が機関移転の問題ではなかったかなというふうに思っております。これが一つの契機となって、役所のみならず産業分野でもそういう移転がなされていくことが大変好ましいのではないかな、そんなことを考えておるわけでございます。  それから、もう一つおっしゃいました知事会があったときに新行革審の御指摘がありました。あれは、地方制度調査会というのは立派な八条機関でございます。八条機関で出たものをもう一遍八条機関へ持っていくということは実は私もいささか合理性がないと思っておりましたが、本当に現実的な問題を出してみますときに、あの行革審というのは各省がそれぞれ上りやすい土俵じゃないかな。今は規制緩和の方を熱心にやっていただいておりますが、適当な時期に、もう行革審の答申自身にも地方の問題は書かれてありますものですから、こちらから諮問するとかいう窮屈な手法はとらなくても、その辺を議論していただけることになりはしないだろうかな、こう思います。六団体関係者の方も、これについてはどちらかといえばそういう方向の要望が強かったように感じた次第でございます。
  270. 草野威

    ○草野委員 総務長官、よろしいでしょうか。今の総理の御答弁ではございましたけれども、国と地方の関係の見直しという問題につきまして行革審ということでございますけれども、この点につきまして、何か長官からお話がございましたら承りたいと思います。
  271. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 先般、マスコミ等総理のお考えになっていることと私の言ったことが何かかみ違っているような報道が一部なされましたが、これは、私が述べたことの真意を必ずしもとらえているものではございませんで、私ども総務庁で事務を担当しております行革審では、臨調あるいは旧行革審等で扱ってまいりました中央と地方との関係の見直しの問題につきまして、それをさらに発展させていこうという意識は持っているところでございます。ただ、近々、総理の方から地方制度調査会に対しまして諮問をされました経緯がございまして、なおかつまた、地方制度調査会の委員の方の中にも一部、こちらに諮問をしておきながら行革審でまたそれをやるのはいかがなものかというような意見もあったということで、そこら辺についてきちっとした整理をしてかからないとぐあいが悪いのかなということを申したところであります。いずれにいたしましても、総理の御意向を踏まえまして私どもとしては対処をしてまいりたい、このように考えております。
  272. 草野威

    ○草野委員 次に、消費税の税率の問題につきまして大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  この消費税の税率の将来の問題と、それから国、地方の配分率の問題、このことについて伺いたいのです。  初めにお尋ねしたいことは、三%という税率、これをどういう根拠でお決めになられたのか。そのお決めになられた経緯みたいなものにつきましてお話をいただけたらと思うのです。三%の根拠みたいなもの。  EC諸国などを見ますと、やはり逆進性の緩和、こういうことのために複数税率、例えば標準税率だとか、標準税率のほかに割り増しだとか軽減税率、こういうものを採用しておるところもございますね。そういうようなことは今回は検討をされたのかどうか。また、そういう中で今回は帳簿方式を採用されているので、帳簿方式を採用するとどうしても事務が煩雑になるからこういうことはできないのだ、こういうことになったのか。ともあれ、今回の三%の税率についてどういう根拠で決められたか、その経緯についてお話を承りたいと思います。
  273. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 三%をどうして決めたかというお話でございましたが、これは一言で申せば大変長い議論がいろいろございました末で、殊に昨年ああいうようなことがございましたものですから、ことしはもう何とかしてこれは失敗するわけにいかないという気持ちもございまして、財政だけから申しますと、かなり大きなネットの減税になってしまうわけでございますが、これもやむを得ない。それからもう一つは、物品税等々地方中央合わせますと八つでございますが、八つの税をやめてしまう、そのこととの関連ということにもなります。それから、これはよく時々御批判がございます、五兆四千億でも三兆円ぐらいはそういうあれこれの税でなくなってしまう。そうすると、国と地方もまた税金を担わなければならない。物を買ったりするわけでございます。そうすると、残ったものは少ないなという仰せも御質問の中によくございます。あれこれ考えますと、とてもそれはやはり三%をさらに上に行くということはできないし、下に行ったのではもう今おっしゃいましたような批判があるということから、どうも三%だなということになってしまったというのが偽らないところでございます。  それから、割り増しの税率、確かによその国にはそういうことがございますようでございますが、何分にも消費税というような幅の広い間接税は、我が国で初めての経験でございますから、物によって税率が異なるというのは大変にまたわかりにくい、扱いにくいし、説明も難しい、自動車関連はこれは物品税とのことで、これだけは別でございますが、というようなことから割り増しということを考えておりません。  それから帳簿は、昨年は御承知のように税額票というのをいたしまして、これですと付加価値なりなんなりがはっきりする、転嫁も易しいというふうに実は考えましたけれども、これがもうとてもわかりにくい。そうして非課税者は今度は取引に損をするだろうとか、いろいろなことの議論に発展をいたしましたものですから、それでしたらもう皆さんが持っていらっしゃる帳簿そのものでいきましょう。これなら皆さん持っていらっしゃる。それで、五億円まではしかも簡易の方式でまいりましょう。これはある意味では多少精緻さを損なっていることかもしれませんけれども、やはりその程度に簡素化いたしませんと国民がなかなかなじんでいただけない、受け入れていただけないと思いまして、そのような決断をいたしました。
  274. 草野威

    ○草野委員 この三%の税率、決して私は少ないからもっとふやせ、こういうような意味で申し上げているわけではございませんけれども、ともあれ世界でも類例のないほど低い税率になっていることは確かだと思います。先年のアメリカの税制改革リポート、これによりますと、職員の募集、訓練、コンピューター拡充、それから納税者教育、こういう行政コストから見て消費税の税率を幾らに見るのが一番正しいか、こういうような試算がございまして、それによりますと、五、六%では決して賢明ではない、こういうような報告がなされております。こういうところから見ますと、三%という数字は問題外の低率ではないか、こういうような感じがするわけです。  そうしますと、今回三%という税率に決めたは、ともかく消費税を設ければいいんだ、導入すればいいんだ、こういうふうにとらざるを得ないわけです。いずれにしたって将来上げればいいんだから、今は低くてもいいんじゃないか、こういつふうにとらざるを得ない。何か知らないけれど、衣の下によろいがちらちらと見えるような感がしてならないわけですけれども、こういう点どうなんでしょうか。
  275. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは総理からもしばしば御答弁があり、私も申し上げておりますけれども、とてもとても私はそういうことは考えられないし、また、考えてもいかぬことであろうと思います。これだけやはりいろいろ御議論があって、容易なことではございませんわけでございますから、しかも財政の方ももうこれでいくということで将来も考えてまいらないと、また何かもっと税金が入るのじゃないかというような、税率が上げられるのじゃないかというようなことを考えては、これはかえって財政再建のために悪いというふうにも思っておりますものですから、これでやらせていただきたいと思います。
  276. 草野威

    ○草野委員 その歯どめの問題でございますけれども、今までもいろいろ議論されておりまして、総理も、少なくとも私の内閣の時代には税率の改正は行わない、こういうようなお話もございました。この歯どめの問題でございますけれども、総理がおっしゃった消費税の七つの懸念、今八つの懸念になっておりますか、七つか八つの懸念の一つである税率の安易な引き上げ、これに関連するものだろうと思いますけれども、今回の税制改革法案の中では他の懸念については方針が全部出ております。しかし、歯どめについてのところの懸念については、この法案の中には何も触れられていないような気がするわけでございます。  総理はいつもおっしゃっていることは、税率の改正は国会でやるものだから安易な引き上げは考えられない、これの繰り返しでございますけれども、これではやはり歯どめには決してならないんじゃないか、このように考えるわけでございます。今申し上げましたように、七つの懸念、ほとんどが法案の中で何かしらその方針が書いてあるわけでございますが、税率の歯どめについては何ら触れられていない。この点についてはいかがでしょうか。
  277. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 あるいは大蔵大臣のお助けをかりるようになるかと思いますが、私自身いろいろ勉強しておりましたときに、昭和二十三年六月十一日の取引高税のときの提案理由等を読み直してみたわけでございますが、そのときは御案内のように一%というようなことでこれが議論されて一度は導入されましたが、途中でやめになった取引高税の問題でございます。だから、やはりそのころから率の問題についてはいろいろな議論が行われておるなというのを拝読しておるわけでございますが、私は、国会というものが存在するではないか、その国会というものが存在する限りにおいてはそんなにやすやすやれるわけないじゃないですか、こんなことを少し言い過ぎたような感じがいたします。やはり提案者である私どもが上げる考えはございませんと申し上げるのがまず第一義的ではないかなと思って、最近そのようなことを申し上げておるわけでございます。  ただ、歯どめ論を定量的にいろいろ議論しますと、例えば目的税なんかの場合ですとそれは議論ができる場合があり得ると思いますが、それはまた逆に歳出圧力が強い場合はその歯どめ論というのが逆に歳出を賄うために上げてもいいじゃないかというふうに動いてもならないということをかねがね考えておりますので、要はやはり私どもの方針を申し上げ、そして国会の議論の場でいろいろ御議論が行われることによって、これが一番大きな歯どめではないかな、こんな感じになっておるところでございます。
  278. 草野威

    ○草野委員 この消費税収入のGNPの弾性値を考えてみますと、〇・七ということを聞いております。それから所得課税、法人課税は一・一程度、このように伺っております。そうしますと、今後この予算編成の中で所得税、法人税、こういうもののウエートが下がって消費税のウエートが上がっても、消費税の方はGNPよりも伸び率が低いわけですから、今後国の予算の中でそのウエートがだんだん下がっていくのじゃないか。そうするとこれは歳入不足がどうしても生じてきてしまう。そこでこの増収対策としてどうしても消費税収入をふやさなければならない。だから結果として消費税の税率を引き上げなければならない、こういうような理屈も考えられるわけですね。こういう議論もあるわけですけれども、こういうことについて大蔵大臣はどう考えますか。
  279. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 大臣からのお答えの前に技術的な点から申し述べますと、現在の間接税は確かに弾性値は一より小さいわけでございます。特に酒とかたばこになりますと、酒は例えば〇・一五とか極めて低いわけでございます。物品税でも〇・八程度でございます。これに対しまして新しい消費税は、これはおおむね消費支出にスライドするものであると極めてマクロ的には考えられるわけでございます。また国民の最終消費支出はGNPとほぼ連動いたすものでございますので、そうしたところからいたしますと、消費税の弾性値が一より小さいというふうに考えることもないのではないかと考えておるところでございます。
  280. 草野威

    ○草野委員 時間も終わりになってまいりましたので、最後に自治大臣にお伺いをしたいと思います。  この問題でございますけれども、高齢化社会におきまして、医療費など公的な負担がこれからどんどんふえる一方でございます。消費税収入の伸びよりも公的負担の伸びの方が大きくなってくる。そうしますと、消費税の税率の三%のままでは将来収入不足、こういうことも考えられるわけでございまして、その場合、消費税の税率の引き上げ、こういうようなこともまた議論になってくるかもしれません。そうなった場合に、現在、補てん財源としまして消費譲与税また交付税の追加、こういうものを合わせまして国と地方の割合が六対四になっているわけでございます。この六対四という割合が将来も変わらないか、例えば三%という税率が将来上がった場合にもこの六対四という税率はそのままであるのかどうか、こういう問題について自治省はどのように考えているか。今から少なくとも歯どめをつくっておく必要があるのかどうか、そういうことを含めてお答えをいただきたいと思います。
  281. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 委員御案内のとおり、今回の税制改正は税の不均衡を直すとかあるいは国際化や老齢、高齢化に備えるとか、資産、消費、所得のそれぞれの分野のバランスを回復するという観点で行われているわけでございまして、国、地方の権限論、責任論、税財源論から今回の税制改正が主としてなされているものではございません。そういう意味で、これから国、地方の役割分担やあるいは責任等について基本的な見直しが行われて、それに基づく税財源の再配分はあろうかというふうにも考えております。いずれにしても、今の行政のそれぞれの国と地方の役割分担が正当なものであるという前提に立って今の配分の比率が定められているわけでございますから、今後とも今の条件が続く限りは現行の方式で努力をしてまいる、これが第一の条件でございます。  それから、国と地方の役割がそれぞれ見直しをされて根本的に税財政の見直しをしなければならないという分野になれば、今回の消費税のいわば国と地方の配分や交付税やその他でもそういうものを全般に見直しをしていかなければならない時期に至るのかとも思いますが、いずれにしても、総理は安易に三%は変えないと言っていることでございますから、地方の実情によってこの消費税率を三%以上に上げるということは、もちろん地方税の税財源の問題からいって不可能でもございますので、その中の比率配分については応分の発言をしていかなければならないし、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  282. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  283. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて草野威君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一弥君。
  284. 玉置一弥

    ○玉置委員 まず最初に、リクルート問題についてお願いを申し上げたいと思います。  先ほど社公民の国対委員長会談が行われましていろいろお決めになったようでございますが、当委員会の運営上今までもいろいろ問題になっておりました江副さんの証人喚問の件、これは一昨日五日に我が党の米沢理事の方から委員長に対して証人喚問のお願いをしたわけでございますが、この方は問題のかぎを握る人物ということで、我々としてもこの方を除いて事件の解明をすることはできない、こういうふうに思いますので、私からもぜひ証人招致という形での当委員会への招致をお願い申し上げたいと思います。  また続きまして、職務権限等で当委員会で先ほどからいろいろ問題になっております元労働事務次官加藤氏、元文部事務次官の高石氏、この二名についても証人としての国会への招致をお願いを申し上げたいと思います。  また引き続きまして、当委員会でいろいろ問題になっております議院証言法の改正、これはやはり議院証言法は確かに大変古く設定をされまして、中西委員の方からもお話がございましたように、当時は戦後の物資調達のためのいわゆる証人喚問というような形から始まったわけでございまして、この件に関しては長年の懸案でございました。聞くところによりますと、議院運営委員会では当議院証言法の改正について手をつけないような、何かこんな話を我々は聞いているわけでございますが、先般も委員長にお願いをいたしまして、議院証言法の改正を早急に実施をしていただきたい、こういうお話を申し上げましたので、引き続き重ねて議院証言法の早期改正をお願いを申し上げたいと思います。  またもう一つ、先ほどからも話が出ておりましたけれども、先般参考人として決議をいただきました服部氏、菅原氏、河合氏、この三名の参考人としての国会招致の問題についての中間報告をいただきたい。このことをあわせて委員長にお願いを申し上げておきます。
  285. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 玉置委員の御指摘の第一点につきましては、先ほどの理事会でも御協議いたしましたが、次の理事会でも引き続き協議することに相なっております。  二つ目の点につきましては、去る十一月一日委員長自身で議長に面会をいたしまして、一刻も早く努力をしていただくように要請をいたしております。  さらに、参考人の招致の問題については、それぞれ通知を出してございますので、その後の返事はまだ来ておりません、参りましたら理事会で御報告をいたします。
  286. 玉置一弥

    ○玉置委員 今のことに関しまして、先日香川県におきまして竹下総理が、公務員の綱紀粛正を検討する、こういうお話をされております。我々もいろいろな動きを見ておりまして、権限からやや離れたところに非常に甘いような感じもするわけでございますし、先般の委員会の発言の中で、下の者が提起をしてきた、いわゆる提案をしてきたものに対して上の方が自動的に判こをつくような、こういうこともあるようでございます。そういう意味で、改正をしなければ、それに手を加えなければ職務権限に抵触をしないというような感覚を何かお持ちのような感じを受けたわけでございますが、実際は判こをつくこと自身が権限の行使ということになるわけでございまして、竹下総理のいつもおっしゃっておりますけじめをつける、こういう意味からもより具体的な効果の上がる綱紀粛正の動きをお願いいたしたいと思います。このことについて総理から御答弁いただきたいと思います。
  287. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは私どもいつも心しておかなければならぬのは、決裁をするというのは責任を持つということでございますから、したがって、最高責任者にある私もとよりのこと、そのつかさつかさで決裁をした責任は負うべきものであるというふうに考えております。  そこで、綱紀粛正の問題でございますが、今まで、私も読み返してみますと、その都度通達を出しましたりいろいろなことをしております。どういう形のものが本当は一番この際適切かということについてまだ指示をしたわけではございませんが、内閣官房の方で本当に検討をしてみようという気持ちになっておることをきのうの会見でちょっと申し上げたということでございます。
  288. 玉置一弥

    ○玉置委員 それでは、消費税関連の質問に入りたいと思います。  これもまた先般私どもの米沢の方から申し上げましたように、幾ら考えても今の税制の構造から、今度消費税導入という形になったときに、この消費税が導入されるときは三%でございますけれども、この三%の税率がいずれは五%、七%、一〇%というふうに上がっていくのではないかというような大変心配をいたしております。もちろん国会がそういうことのないように頑張っていかないといけないわけでございますけれども、少なくとも今の財政状態でどこまで頑張れるか、この辺をまず明快にしていきたいと思います。  そこで、現在「増税なき財政再建」という言葉で政府が一つの姿勢を示しておられます。また、一昨日は竹下総理の方から、竹下内閣においては増税をしない、三%の税率の引き上げをしない、こういうお話をされております。しかし、現実の問題として現在政府が抱えております借金、これはいろいろありますけれども、一つの見方として公債発行残高というのがございまして、一般会計の部分におきましては百六十兆円、これだけの負債がございます。そのほかにも特別会計等でいろいろあるわけでございますが、大体合わせて百九十兆円ぐらいの負債残高というような形になっております。加えて、国鉄の民営化の際に国鉄清算事業団の方に移管をされました長期負債が当時で二十五兆、今約三十兆というふうに言われておりますが、この分が上積みをされる。こういうふうに考えていきますと、今現在、財政運営は辛うじて好景気に支えられて税収の伸びを補てんしてやっていっているというような状況でございますが、これが本当にどこまで続くのかという大変大きな心配がございます。  当初出されました大蔵省の試算によりますと、大体今のペースでいきまして、昭和六十七年ぐらいから財政事情が非常に苦しくなってくる。これはなぜかといいますと、NTTの株売却の原資が、予想より非常に好景気といいますか高値で売買されまして、去年に比べてもことしは大分落ちておりますが、そういうプラスのメリットを受けているということでございますけれども、これを売り尽くします六十五年から六十六年、このころになると税収外の収入というのが非常に激減をする、こういうことになってまいりまして、まさに今の税体系の中で財政運営をやっていかなければいけない、こういうことになります。  中期的な仮定計算でございますが、これでいきましても、法律で決められました国債整理基金への定率繰り入れ、これを今現在は停止をしておりまして、これで辛うじて助かってきているということでございますから、少なくとも将来にわたって返済に必要な資金の基金でございます国債整理基金特別会計、この残高が、今は幸いNTT株で穴埋めをしておりますけれども、これも底をつくということになりますと、まさに今の財政運営のような手法では将来にわたって安定していけるというふうに私は考えないわけでございまして、そういう意味でこれからの財政再建の計画をより具体的に総理の方からお示しをいただきたい、かように思います。
  289. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御指摘になられました諸点は、実は私自身が同じような心配をしております一人でございますけれども、しかし、何と申しましてもまず利払い、国債費が一般会計の二割を占めているという現状を改めていきますためには、もう新しく特例債は出さないということから始める、これ以外には方法がないように存じますもので、まずそれを六十五年度にはやらしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。それでもまだ、何度もお話がございますように、いろいろ今までにあっちこっちへお願いをした負担、あるいは国鉄の清算事業団とかいろいろございまして、問題はたくさんございますのですが、まず赤字借金をするのをやめることから始めさせていただきたいと思っております。  それで、NTTもそれは確かに有限な財源でございますが、これは理屈だけで申しますと、国債償還した残りを社会資本整備勘定で使っておりますが、これは時間はかかりますが返ってくる金として仕組んであることは御承知のとおりでございます。ですから、これだけ国債費がございますとなかなか一般会計が楽にならないということはもう当分覚悟をしなければなりませんが、そうかといって消費税のようなものをこれ以上税率を上げるということは、何度も申し上げますとおり全く考えておりませんので、結局、片一方で歳出を厳に切っていきながら歳入を、それはつまり一言で申せば経済運営ということにもなるわけでございますけれども、ある程度の、毎年のわずかながらの弾性値はございますわけですから、経済運営をまず間違いなくやっていって、そして徐々に徐々に財政の弾力性を回復する、そういう長い努力を必要とする闘いであるというふうに考えております。
  290. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 大蔵大臣からお答えのあったとおりでございます。  考えてみますと、玉置さんと五十四年から議論しておりますことを反復したような感じもいたします。その間、お許しをいただいて国債整理基金に入れることをストップさせてもらった、それから借りかえを許容してもらった、そういう苦心をしながら今日に至ったわけでございますが、NTT株、これも今宮澤大臣からお話がありましたとおり、国債整理基金に入れた残りは運用しておるわけでございますので、いずれは国債整理基金へ入ってくる原資にはなるというふうに思います。  それからもう一つは、法律がたしか三分の二でございましたかが当面半分ということになっておりますが、そういう問題も将来の課題としては考えられるだろうというようなことを苦心しながら、それこそ好景気に支えられてという言葉でございましたが、この六十五年度脱却、非常に苦しいが不可能ではないという感じのところまでは持ってきた、まずはこの第一段階だけやり遂げて、そして基本的には経済運営よろしきを得て、これは国際的な経済社会でございますから単独でなかなかそういうことを断言するわけにもいきませんが、経済運営よろしきを得ながら、弾性値が上がってくるような形の中で念入りに時間をかけながら百五十八兆プラス、今おっしゃったもろもろのものを含めまして返していかなければならぬ課題だというふうに長いこと肝に銘じておる問題でございます。
  291. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに今までの財政運営は大変苦労されておりまして、我々の方から例えば借りかえの話もやりましたし、繰り入れ停止の話も、これは減税財源の方で我々も考えてやってきたわけでございますが、逆に、余り長く続くと本来の財政の正常な姿からかなり離れてしまうのではないか、こういう心配もございます。  それと、例えば大蔵省からいただいております仮定計算、これは毎年出てくるものでございますが、これを見てみますと、年間三%の歳出の成長があるというふうに見た場合には、繰り入れ停止がもしなければ、例えば六十四年度で三兆五千億、六十五年度で四兆二千五百億財源が不足をする、こういうふうな数字が出ております。繰り入れ停止がオーケーであれば、三%であれば八千七百億、一兆五千二百億というふうに大分減額されるわけでございます。伸び率がゼロであれば、総理がおっしゃいますように六十五年度公債特例の発行ゼロという形での一つの形が完了するわけですけれども、ゼロでやるのは非常に難しいだろうな、こういう感じがいたしますし、もう一つは、六十三年度末でいわゆる各補助金のカットの法律がたしか切れると思います。今度六十四年から復活するわけでございますね。それを考えていきますと本当に今まで以上に苦しくなるわけですが、まずそこで、この補助金の法律、これが六十三年度で切れて六十四年からいわゆる本則に戻る、こういうことになると思いますが、その辺を含めて、計算上は規定どおり計算しておりますけれども、補助率が上がることになっておりますけれども、この辺をどういうふうにお考えになっておるか、もしわかっていればお願いしたいと思います。
  292. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 補助率の点でございますが、六十一年度に補助金等検討委員会をつくっていただきまして、十何回か会議を開いてこの問題は随分検討していただきました。それで結局、これは国と地方をめぐる、広い言葉で言えば行財政の再配分その他いろいろな問題に関係があって急には結論が出せない、したがってとりあえず三年間、おっしゃいますように三年間はもう来るわけでございます。それで実はここでどうすべきかということを検討し直さなければならないということでございまして、予算編成のときまでには各省庁の考え方をまとめていただかなければならないということになっておりまして、ぽつぽつ事務当局間で瀬踏みのようなことをやっておるところでございますが、予算編成の時期までには今後の問題についての考え方を決めさせていただきたいと思っております。  いずれにしても、しかし、これから財政の問題山積でございまして、玉置委員の言われますように、よほど引き締めてまいりませんとなかなか財政が弾力性を回復しないというのはおっしゃるとおりで、私どもみんなその覚悟で努力をいたさなければならぬと思っております。
  293. 玉置一弥

    ○玉置委員 もう一つ心配がございますけれども、今までは伸び率の大きい所得税に支えられて財政運営がやられてきた。先ほど草野委員の方からも御質問がございましたけれども、全体の租税弾性値が今一・一ということで大蔵省は試算しておりますけれども、通常、我々が見ておりましたころは一・三ぐらいあったのです。それがだんだん下がってきて、また景気回復して一・二ぐらいに上がってきているというような状態でございますが、これは少なくとも所得税が二・〇ぐらいあるだろうということと、先ほど総理なり大蔵大臣の方からお話がございましたように、間接税の中で非常に弾性値の低いものがある、こういうことでございましたが、今回は所得減税、法人税減税というものが行われまして新たに消費税が導入をされるということで、税収から見ますと間接税の分野が増大をする、こういうことになりますが、この面においてこれからの増収の変化がどういうふうになっていくのか、今までどおりの伸び率で見ていいのか、あるいは景気変動の影響を受けやすいのか、むしろ安定するのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  294. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 弾性値が三・三というようなことがまことに異常でありますことは、玉置委員もよく御理解いただけるところでございます。それが土地の価格の上昇であるとか株式の高騰であるとかいうことがあり、さらに、殊に法人の場合そのように見られますが、石油の価格の下落、それからちょっと時間がたちました結果、円高メリットがいわゆる企業経営に生んだプラス、それから金利が史上最低というような、そういう条件が企業にはかなりプラスに作用して、それが法人税の増収になっておると思うのでございますが、いずれも、そうさらにそういう条件が進むということには考えられない種類のことだと存じますので、この事態に立って、実は税収見積もりは主税局が中心になってやっておるわけでございますけれども、こういう新しい、何が一体この一、二年の間に起こったのかということを実は役所で検討をいたしておりまして、そういう観点から六十四年度の税収見積もりのときには、いわば従来にプラスするような、あるいはそれに加えるような何か手法を取り入れなければならないな。しかしいずれにしても、今申しましたような好条件というものがさらによくなるあるいは繰り返していくということはなかなか考えられないことでございますから、弾性値というのは在来の平均的な傾向に戻ってくる、こう考えて見積もりをしなければならないのではないかと思っております。
  295. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに、新しいことをやるからなかなか実績をつかむのに時間がかかって、それによって今度見込みをつくるわけでございますから大変だと思いますけれども、これからの財政の中で特に福祉関係の制度の充実、成熟度ですね、これがだんだん上がってまいりまして、より大きな費用の伸びというのが出てくるかと思いますので、ぜひ慎重に検討をお願い申し上げたいと思います。  その関連でございますが、続いて高齢化社会における国民の負担ということでお伺いをしたいと思います。  ことしの春の予算委員会でございましたか、政府の方から、将来の社会保障についてということで一つの推測が出されました。これは我が党の永末委員の方から要求して出されたものでございますが、これによりますと、昭和七十五年あるいは八十五年、この辺では非常に高齢化が進んで年金受給者が増大をする、また老人医療費が大変大きく伸びる、こういう数値が出ております。今現在、社会保障費の負担、これは一〇・七ぐらい、そして一一近く、一一・一ですか、一一・一だったと思いますが、これが実に一・五倍から一・八倍に伸びる、こういうふうな数字が出ております。こういうことを考えていきますと、一つは財政的な面での裏づけが必要でございますし、もう一つは今の現行制度の見直し、これは竹下総理もいつも言っておられますが、いわゆる自助努力の採用、こういう面の自助努力の拡大ということをやっていかないと、これからの日本の急速な高齢化に対応できる福祉政策というものができないのではないか、ちょっとそういう心配をするわけでございます。  そこで、これからの社会保障関係費用、これの負担をどういうふうに決めていくか。これはいわゆる税金で負担をする部分と、利用者が、いわゆる受益者が受益者負担、この部分がありますし、また逆に、地域なりあるいはいろんな業界なりというところが応援をしていくというような形もあるわけでございますが、それぞれ、例えば税金は税金だけ決めていく、あるいは料率は料率だけで決めていくということはできないかと思いますが、どういうルールでやっておられるのか、また将来どういうルールで決めていかれるのかということをお聞きをしたいと思います。
  296. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まさにその問題がこれから将来に向かっての大きな問題になるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、高齢化社会が到来するということは、長期的に見ますと国民負担が、負担率が上昇していくということはある程度は避けられないであろう。春にお目にかけましたのは一種の機械的な投影であったわけでございますが、あのとおりでございませんでも、しかしやはり傾向としてはそうであろうというふうに考えていくべきであろう。  その場合、そのような負担増を何で見ていくかということは、例えば臨調などのお考えになり方は、それはやはり保険料というものが給付と負担との区分が明確になりますのでそこに重点が行くことが望ましいだろうという趣旨のことを言っておられると思いますが、その点は制度としてはやはりそう考えるべきでございましょう。しかし、これはやはり物と事柄によると思いますので、それだけでやれるという場合ばかりはあるまい。つまり、場合によってはやはり租税が負担しなければならない部分もある。それは場合により、状況によりでございますが、その辺はやはり国民に選択をしていただくということになってまいるのではないかと存じます。
  297. 玉置一弥

    ○玉置委員 厚生大臣……。
  298. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 今大蔵大臣から御答弁がございましたとおりでございまして、やはり社会保障制度における方式といたしましては社会保険方式を採用している。これは受益と負担の関係がはっきりするということ、これによって自己責任の重視ということが明確になるわけでございますし、同時に制度の運営の効率化が期待できる、こういう利点がございますので、現在定着をしている方式でございます。  そういうことを考えますと、やはり社会保険料を中心にしてそれに税を適切に組み合わさしていくという方式が最もよい形ではないかと思うわけでございまして、その具体的な組み合わせにつきましては、それは制度の趣旨、目的、受益負担のバランス等を考えまして、まさに国民の選択に負うべきものであるというふうに考えております。
  299. 玉置一弥

    ○玉置委員 今は国の負担が全体で三分の一ぐらいだというふうに聞いておりますけれども、幾らやっても五〇%ぐらいが限度だろうと思うのですね。今のままいきますと逆に低下をしていくというようなことになりまして、残った部分の国民の負担がふえるということで、まさに今おっしゃったように、社会保険料を決めてから税金であとの負担軽減を行っていく、こういう形が理想かと思います。しかし、料率も限度になるあるいは税金の負担も限度になるという可能性があったときに、まさに国民が選択した政府がどちらを選ぶかというのは非常に重大なことでございまして、確実なルールをつくっていただいて、その中でお決めをいただきたい、かように思います。  先ほども自助努力の話をしましたけれども、諸外国を見ても、高齢者の方がいろんなお勤めをやっておられるところもあります。しかし、そういうところは経済的にも非常に活気がありまして、逆に高齢者の方が年金生活で悠々としておられるという国も、確かに見た目にはうらやましい感じでございますが、実際にどこまでたえ得るかなという心配もございます。経済的にもだんだんと、従来はかなり上位にいたところでございますが、低下をしてきている。こういうことを考えていきますと、我々の国につきましてもやはり高齢者雇用という問題をもっと大きく取り上げて対策を考えていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、まず労働省にお聞きをいたしたいと思いますが、労働省として、高齢者雇用の問題、あるいは定年延長との絡みがあるかと思いますけれども、どういう対策を考えられ、どの程度実施されているか、また将来どういうことをお考えになっているかということについてお聞きをしたいと思います。
  300. 中村太郎

    中村国務大臣 本格化しまする高齢者社会の中でいつまでも活力を維持するためには、何といいましても高年齢者に雇用、収入の場を確保する、これが大事なことでございます。  当面、労働省といたしましては、今六十歳定年を呼びかけておりますけれども、なおこの一層の普及徹底を図ってまいりたい。その上に立って、でき得べくんば六十五歳程度までの継続雇用の道を何としてでも開きたい。でき得べくんば同一企業内での継続雇用あるいは同一企業グループでの継続雇用、さらにはまた、いわゆる労働力調整機能でございますが、簡単に言えば職業紹介事業でございますけれども、この面の機能を強化充実をいたしまして新しい雇用の場を開拓してまいりたい。さらにはまた、御案内のようにシルバー人材センター等の活用もその道でありますし、また、いわゆる生涯職業能力開発の理念に沿いまして、お年寄りがどこにでも役に立つようなそういう面での職業訓練の充実強化を図ってまいりたいということで、何としてでも六十五歳程度までは就業の場を確保したいということを今考えておるわけでございます。  また、将来に向かっての定年の問題でございますが、一方におきましてはやはり労働力の帰趨を眺めながら、今の賃金とか退職金制度という人事、労務管理制度の見直しも大事でございましょうし、さらにはまた、お年寄りに適した職域の拡大の問題あるいは職務の再設計、お年寄りに将来どういう点に職業が向くかというような今まで以上の見直しを推し進めることも大事ではないかということでございまして、もろもろの面で六十五歳程度までの雇用、就業の場の確保と将来に向かっての定年制の引き上げの問題について総合的に判断をしてまいりたいと考えております。
  301. 玉置一弥

    ○玉置委員 非常にいいお話をいただきまして力強く思います。我々も企業で働いていたことがございまして、生産性というのは非常に大事でございますが、やはりこれからの問題としては、企業の社会的な責任という部分でのこういう再雇用あるいは高齢者雇用ということを十分考えていかなければいけないと思いますので、企業に対してもより積極的にお働きかけをいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  同じく厚生大臣にお聞きをいたしますけれども、今現在は年金制度、これは昭和七十年に一元化ということで一つの動きがございます。片方では、支給年齢のこれは引き下げと言っていいのですか繰り下げ、後ろへずらす、繰り上げですか――繰り上げだそうですが、この繰り上げがございます。我々としては、ともかく定年で終わって年金の支給が始まるのとリンクさせれば非常にいいわけでございますし、減額等の先取りもぜひお願いをしたい、こういうふうに思います。  そこで、両方まとめてお聞きをしますが、昭和七十年に年金制度の一元化が行われますけれども、掛金は統一的に皆同じになるのかどうか、それから財源調整をどうなさるのか、それから先ほどのいわゆる高齢者雇用との関係、この辺についてどうお考えになっているのか、まとめてお答えをいただきたいと思います。
  302. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 厚生年金の支給開始年齢の引き上げの問題、これは申し上げるまでもないことでございますが、年金をもらってリタイアするというのがノーマルな形でございますから、六十五歳まで年金支給開始年齢を延ばすということになれば、それまで働ける、そういう高齢者の雇用環境というものを整備していくということは極めて大事な問題ではございます。ただ、それより前に退職をするというような場合もあるわけでございまして、その場合には、繰り上げて減額年金制度というものをこれから導入して対応していく、さらには、現在ございます在職老齢年金制度を改善していく、こういうようなことで対応してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、公的年金の一元化の問題、これは政府として昭和七十年を目標に今取り組んでおるわけでございますが、この基本的な考え方は、公的年金制度の長期安定と給付と負担の公平を図る、こういうことが基本にある考え方でございまして、この考え方に基づいて今まで改革をしてまいったわけでございます。  それで、昭和七十年の公的年金の一元化の姿はどういうものかということになってくるわけでございますが、この問題は今、年金審議会におきまして御審議、御検討いただいておる段階でございますので申し上げるということははばかるわけでございますが、私の個人的な感じを申し上げますと、先ほど申し上げましたように給付と負担の公平化を図る、こういう見地からいたしますと、今後、二階建て部分の被用者年金制度、いろいろな制度が御承知のようにございますが、この制度については歴史、沿革がそれぞれあるわけでございますから、この制度を残しながら異なった制度に共通した年金部分を創設いたしまして、その新しくできた被用者年金共通の新しい制度に被用者の皆さん方は二重加入を、国民年金に二重加入をいたしましたように、同じくこの共通した被用者年金制度に二重加入をしていただく。その場合に、給付は同じであり、負担につきましては同一負担率にするということが最も現実的な姿ではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、今御検討いただいております年金審議会の御意見もことしじゅうには出るわけでございますので、その結果も承りながら慎重に対応してまいろうというふうに考えておる次第でございます。
  303. 玉置一弥

    ○玉置委員 これから国鉄の年金の財源問題がいろいろ話題になってくるかと思います。我々の方も国鉄共済、いわゆる鉄道共済年金というものの成り行きを大変心配をしている一人でございますけれども、再来年度以降、六十五年からまさにこの財源がショートする、こういうような形になっているそうでございまして、今の年金制度の統合化等の動きもあるわけでございますが、まずその前にこの鉄道共済について処理をしておかないとそこまでもたないということにもなるわけでございます。  そういう意味で運輸大臣にお聞きをいたしますけれども、年金制度の担当大臣ということになると大蔵大臣でございますが、鉄道関係ということで、まず、国鉄の共済年金のこの給付を続けていくために政府はどういうことを考えておられて、いつごろからそのアクションを起こされるのか、これについてお伺いしたいと思います。
  304. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 鉄道共済年金の問題につきまして、去る十月七日、この問題を御議論いただいてまいりました有識者の懇談会の報告書をちょうだいをしておるわけでございます。その報告書の中で、何よりもまずこの深刻な事態に対応するために鉄道共済年金自体の側における自助努力というものを十分行うべきだということが非常に強調されてございます。このほか、先ほどお話しございました、政府部内に別途、公的年金各制度の長期的安定と整合性のある発展を目指す公的年金一元化のための地ならしが進んでおりますので、それとのかかわり合いも認識をしていくべきだという述べ方になっておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういう報告書をちょうだいしました後、鉄道共済年金に関する閣僚懇談会を開催いたしまして、この報告書の趣旨を最大限尊重しながら、まず自助努力の具体策というものを早急に検討しなければいかぬぞということを強く指摘を受けたわけでございます。  現在、関係各省間でいろいろ相談をしながら、できれば年末までにと考えておりますが、できる限り早急にこの自助努力の具体策というものを考えなければならぬだろうと思っております。自助努力の主たるポイントといたしましては、やはり鉄道共済の年金給付額の見直しとか、保険料率の問題とか、それからJR各社の特別負担があり得るか、清算事業団がどういう役割を果たし得るかといったような諸点、もろもろでございます。  以上でございます。
  305. 玉置一弥

    ○玉置委員 財源の中に国鉄の株売却というのも考えられるわけでございますけれども、いろいろ計算をしますと、まだできてから三年ぐらいですか、ということで、株売却をするというよりも上場の基準に達しないということでございますので、これも難しいだろう。借金を返す方にも使わなければいけないし、その苦しくなるころとちょうど時期も合致するし、こういうふうにいろいろ考えておりますと大変なことがわかります。しかし、いずれにしても円滑につないでいっていただくということが必要でございます。  ちょっと時間がなくなりましたので、こちらから一方的に言わせていただきますけれども、JR株も非常に期待をしているのですが、多分条件が整わないということだと思いますので、財源調整で政府の方でできるだけ御努力をいただきますようにお願いだけ申し上げたいと思います。  続きまして、本題の消費税、これは問題点がいろいろございまして、この問題点をクリアしない限り導入が非常に難しいのではないか、こういう気がします。きょうはあと時間が十三分ぐらいしかございませんので、そのさわりだけになりますけれども、その中で幾つか抜き出しながら政府に答弁をいただきたい、こういうふうに思います。  そこで、まずいつも問題になります転嫁の問題、価格転嫁。  これは再三この委員会でも論議をされていまして、弱い立場の企業、事業者、これは日本古来の流通の形態が非常に複雑になっておりまして、再三申し上げますように、十五段階なり十二段階なりという非常に多段階の企業群の寄せ集め、これが一つの流通形態を構成している。こういうことになりますと、当然その中に力関係が生じまして、どこか弱いところにしわ寄せをされる、へたをすると両方からしわ寄せをされて動きがとれなくなる、こういう可能性もあるわけでございます。今までの論議の中ではそういうことはないというような話が再三あるようでございますが、実際に皆さん方が一番心配をなさっているのは相手に転嫁できないときにどうしたらいいのだろう、こういう問題だと思います。  そこで、ひとつ公正取引委員会の梅澤さんにお聞きをいたしますが、まず、どのようにチェックをして、どういう法律で対応していくのか、この辺と、それからどこに苦情を持ち込んでいけば助けてくれるのか、それから、助けるだけじゃなくて、後をフォローしていただかないと、忘れたときにまたばっさりやられますから、その辺をどうするのか。  それから、カルテルを消費税だけに認めるというお話がございますが、このカルテルそのものが、一応消費税を名目にして集まりますけれども、実際は本来のカルテル、価格カルテルなりいろいろなカルテルがございますが、そういう方面に裏では発展をする危険があるではないか。  それから、小売価格の中で端数がございますね。例えば百円のものに三%かかりますと百三円。この百三円の三円を百円にネグレクトするのか、あるいは百五円に上げるのか、こういうことが業界で決められるのかどうか。  まとめてお答えをいただきたいと思います。
  306. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 三つほど御質問があったと思うのでございますが、最初の下請事業者等の問題でございます。これは特別の立法措置を講ずるまでもなく、現在の独占禁止法ないし下請法によりまして、納入業者なり下請業者が、親事業者の経済的地位の乱用ということで、不当な買いたたきとかあるいは一たん決めた代金を減額するというふうなことがございますと、これはもうたちまち独占禁止法なり下請法の違反の問題が生ずるわけでございます。したがいまして、もちろんそれぞれの取引価格は合理的なネゴシエーションを通じて形成されるものでございますけれども、その値決めが合理的な理由が認められない場合に、今言いました問題が生ずる。したがって、端的に消費税相当額を下請業者なり納入業者に背負わせるために価格を買いたたくとか、あるいは今申しました減額等のような措置がございますと、これは端的に法律違反の問題が生じます。実際の運用に当たりましては、従来、中小企業庁と公正取引委員会でこの下請事業者等の保護については連携態勢をとっておりますので、もしそういった事態が発生いたしますれば、中小企業庁なりあるいは私どもの機関にお申し出を願えれば適正な対応がとれると存じます。  なお、法律が施行されました段階で、現在、下請業者につきましては中小企業庁と連携いたしまして定期の実態調査をいたしておりますけれども、この価格の転嫁につきましては特別の実態調査を行っていきたいという計画を持っております。  それから二番目は、今回の特例措置は転嫁の方法に対する決定について独占禁止法の適用除外の規定があるわけでございますが、本来の本体価格と申しますか根っこの価格は、これはあくまで市場の実勢に応じて事業者が判断する問題でございますので、その根っこからの部分の共同行為がございますと、これは独禁法で禁止しておるやみカルテルとして法律違反の問題が生ずるわけであります。したがって、私どもは、そういうことが起こらないように共同行為の届け出が行われます段階で事前に十分チェックをする。事業者の方の相談に乗ったり、あるいは御注意を申し上げながら、かつ、届け出後もそういうことが行われないようにトレースをしていかなければならないというふうに考えております。  三番目の端数処理の問題でございますけれども、これは一般論を申し上げますと、取引の価格なりあるいは値決めにつきまして、それぞれの商品に応じまして取引の正常な慣行としての単位というものがあるわけでございます。そういったものを総合勘案いたしまして、ケース・バイ・ケースということには結局なるわけでございますけれども、例えば四捨五入あるいは切り上げあるいは切り捨て等の端数処理について御決定になるということは合理的な範囲である限りは認められる、こういうことでございます。
  307. 玉置一弥

    ○玉置委員 あと消費税の問題として、今回はかなり事務の負担軽減をしたということでございますけれども、一般的にお伺いをしますと、まだまだ事務口数がふえるということで懸念されている方が多いということが言えます。  それから、時間がないのでまとめて言いますけれども、課税仕入れの問題です。 これは車あるいは電気製品等輸出のウエートの高い企業におきましては、輸出代金を一応ドルで受け取るということがございます。ところが、ドルで受け取ったものを円に換金する、いわゆる為替レートでかえますということにした場合に、ドルから円にかわっただけでその金額がまた売り上げに計上される、こういうふうな消費税の計算方式になっているということになりまして、逆の面から見ますと、為替は非課税売り上げですから、非課税売り上げが計上されるわけです。だから、非課税売り上げが五%を超えた場合には、消費税の計算上一括した消費税の計算ができなくなる。こういうことが一つと、計上された部分については仕入れにかかっております税額控除、いわゆる仕入れ税額を控除するわけですけれども、これが実質的には半分しかできない、こういうことになってしまう。ですから、今まで購入をしてきたいわゆる仕入れの税額が、消費税の税額について半分しか控除できなくなる、こういう問題点があるということになります。  それから、先ほどもちょっと言いましたけれども、年間非課税売り上げが総売り上げの五%以下ということであれば、いわゆる一括して課税仕入れの部分が引ける、こういうことでございますが、非常に財テクを行っている企業がふえておりまして、有価証券の売買額やあるいは受取利息、受取配当等が非課税のために五%を超える場合がある、こういう場合がたくさん出てくると思います。そういう意味で、非課税項目に対する見直しをするかあるいは何らかの検討が必要だと思います。  ですから、二つ問題点があるということです。片方は、いわゆる為替をかえた場合、ドルを円にかえた場合、これだけで非課税売り上げに計上される。ですから、仕入れ控除が実質的には半分になってしまう、こういうことの問題。この二つについて、もうあと時間が二分半しかございませんので、その範囲でお答えをいただきたいと思います。問題点として一応提起をしておきます。
  308. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 御指摘の問題は、課税売上割合を算定する際の方法の面ではないかと思います。確かに御指摘のような点はございます。例えばドルを円にかえたということでいきますと二重に売り上げが計上される、御指摘のように、したがいまして割合が半分になってしまう。それは、ドルを円にかえるのも売り上げにする、課税売り上げにすればいいわけですが、それはそれでいかにもおかしいということでございます。こうした点も含めまして、課税売上割合の算定のそうした限界的な部分につきましては十分検討をいたしたいと思います。今のドルを円にかえたというような場合は、これは分母、分子の売り上げに入れなくてもいいのではないかというふうな方向で考えておりますが、まだ目下検討中でございます。  また、有価証券につきましては、これは本当にただ売った買ったという場合もありますし、現先取引で全く短期間に売買される場合もある。それぞれの場合につきまして分母、分子をどのようにすべきか、この点についてもいろいろ御趣旨のような点も踏まえまして十分検討をいたしたいと思います。
  309. 玉置一弥

    ○玉置委員 今申し上げるのに忘れておりましたけれども、手形割引がございますね。受取代金を手形でいただいて売上計上しました、今度は手形を割り引きました、この場合も売上計上しなければいけないと思いますが、この場合についてはいかがですか。
  310. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 手形につきましては、これは確かに手形を売買という言い方もできるわけでございますけれども、要するに手形を通じた信用供与であるというふうに考えれば、その割引料を対価としたサービスの供与である。そういたしますと、現在非課税といたしております利子の対価とする役務の提供といった部類に入れることができる。そういたしますと、手形自体、額面自体の売り上げであるとか、そういうふうな方向にはしなくてもいいのではないか。その割引料自体をもっての売り上げといったって、しかもそれは利子類似ということなら非課税にできる。恐らく本質的な性格はそういったものであろうかと思いますので、手形自体を分子、分母に入れたりするというような結果はそれによって避けられるのではないかと思っております。
  311. 玉置一弥

    ○玉置委員 手形も割り引いたら利息と手数料と両方含まれていますから、これはどっちがどっちかわかりにくいので、その辺ぜひまとめておいていただきたいと思います。  一応一時間という時間をいただきまして、時間が参りましたので終わりますが、リクルートの問題もいろいろ長引いていくと思いますけれども、十分国民の納得のいくような解決をしていただきますように最後にお願いを申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  312. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  313. 正森成二

    ○正森委員 それでは、私から、消費税等を中心にして質問をさせていただきます。  まず第一に、先週五日の日に我が党の工藤議員の質問に対しまして主税局長は、家計消費のうち消費税の対象に約九割前後がなるということをお答えになりました。しかし、それを前提にしながらも、税収の点では、工藤議員がいろいろ根拠を示して、本当の税収増は二兆円ではなくて四兆円ぐらいになるのではないかという指摘をしましたが、それについては納得のいくお答えがございませんでした。そこできょうは、時間の関係もございますが、別の角度から、消費者物価指数の上昇の点についてお答えを願いたいと思います。  先日の新聞を見ますと、恐らく経企庁が言っているのでしょうが、「税額が価格に完全転嫁される前提で一・二%の上昇と試算している。」「免税業者や免税品の介在などで〇・八%分、物品税など既存間接税の整理による減税で一%分、上昇を抑える。」という報道がございますが、経企庁は大体そういうぐあいに考えているのですか。
  314. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 大変詳細にわたって今資料をいただきまして、上昇率の問題等大変に御勉強なさっていただいておるということで、むしろ感謝申し上げたいと思います。  消費税の導入が物価に与える影響につきましては、委員も既に御承知のとおりかと思いますが、幾つかの前提に基づきまして、さらに物品税等の廃止などを勘案いたしまして試算をいつもしておりますが、全体としては消費者物価の水準を、先ほど一・二と承りましたが、一・一%程度引き上げるのではないか、こう私どもは考えて見込んでおるわけでございます。  ただ、まず第一点としましては、個々の商品の価格につきましては、個々の商品ごとに需給の状況やコスト構造などが異なることがございますから、試算が極めて困難であるという技術的な問題があるということも忘れてはならぬ。第二の問題としては、場合によっては政府が価格を統制するかのように受け取られまして、自由な取引を損ねるという嫌いもあるのではないか、このように危険もあることから、具体的な数値を明らかにすることだけは今ここでできません。よろしく。
  315. 正森成二

    ○正森委員 総務庁に伺っておきたいと思います。  総務庁は、消費者物価指数というものをつくりまして年報を出してやっておられます。御答弁いただいたらいいんですが、便宜、ここにございますので私から申しますので、おおよそそれで間違いなければそのとおりとお答えください。  総務庁の出したものを見ますと、「消費者物価指数は、全国の消費者世帯(農林漁家世帯及び単身者世帯を除く全世帯)が購入する各種の商品とサービスの価格を総合した物価の変動を時系列的に測定するものである。」というようになっておりまして、大体品目としては五百四十品目ほど選んでおられるようであります。それに対してやはり一定のウエートをかけなければいけないということで、そのウエートを見るために全国から百六十八の市町村において毎月約八千世帯を調査していろいろなさっているということでございますが、大要、私の申したことに間違いがございませんか。
  316. 田中宏樹

    ○田中(宏樹)政府委員 お答えいたします。  おおよそそのとおりでございます。
  317. 正森成二

    ○正森委員 そこで、私がお配りした資料をごらんいただきたいと思います。  今経企庁長官が商品の需給等いろいろによって変わると言われましたけれども、その商品の需給で物価が変動するのはこれはいわば当たり前のことで、今問題にしているのは、そうではなしに、消費税によってどれだけ物価が上がるかということであります。そういう点から見ますと、この消費者物価指数というのは、ウエートを一万といたしまして、それに対して、例えば食料は三百幾らであるとかあるいは住宅は千幾らであるとかいうように割り振っているわけですね。  そこで、私は三つに分類いたしました。それはまず非課税品目、物品税等との調整併課品目、それから単純課税対象になる品目という分け方であります。これは当然そうすべきものであります。  それを見ますと、一番上の方を見ていただきますと、非課税品目のウエートが一五一四になっております。これは、主税局長が言いました消費税の対象品目が九割弱であるというのにほぼ匹敵すると思うわけであります。つまり、かからないものが千五百あるわけですから、逆に引きますと八千四、五百がその対象になるということになります。  ところが、この非課税品目についても全部変動率なしかというとそうではございませんで、例えば持ち家の帰属家賃という部分がございますが、これは総務庁の出したのを見ますと民間家賃に準拠して変動するというようになっております。そうしますと、民間家賃というのはこれは間違いなしに上昇いたしますから、三%上昇せざるを得ない。あるいは四番の診察料あるいは八番、九番、十番の月謝等を見ますと、これは非課税品目ということになっておりますが、医療品や医療機器には間違いなしに消費税がかかります。もちろん自由診療にはかかります。ですから、上昇がゼロということはないので物件費を二分の一と想定いたしますと、遅かれ早かれ一・五上がるものであります。また、授業料については、これは授業料以外の点につきまして消費税のかかる分もございますが、物価指数を調べてみますと入っておりませんのでこれは除きますが、しかしいずれにせよ、洋裁にしろ料理の学校にしろ物件費が要りますから、その物件費が上昇しますのでその分を月謝に転嫁しなければやっていけないということで、我々は控え目でありますが、その物件費をこれらについては三分の一と見ると一%上昇するということになります。こういう点を見ますと、非課税品目は一五一四のウエートですが、一五四六、若干ではありますが上昇せざるを得ないという結論が出てまいります。  その次に、調整併課品目ということになりますが、これは物品税が廃止されるので大いに下がる下がる、こういうように言われている品目であります。しかし、物品税が一五%なり二〇%であればそれだけ下がるかといえば、そうではありません。物品税というのは蔵出し価格にかかります。ですから、小売の方に換算いたしますと、これは小売の七割ぐらいが蔵出し価格であるというように見なければなりませんから、結局どのぐらいになるかといいますと、〇・七掛ける百十五分の十五ということになるわけであります。そこで、そういうぐあいに計算いたしますと、ここの右側に丸の打ってあるところは大蔵省自身がこういうぐあいになるというように公表されたものであります。それに基づいて私どもがここに書いております。  そうすると、例えば三十一番のテレビを見ていただきますと、物品税は一五%ですが、小売段階では五%しか下がらないことになります。つまり、不十分に下がったものに対して三%の消費税がかかってまた上がるわけですから、それを計算するとそういうぐあいになります。これは大蔵省自身が認めております。あるいは十三番の電気冷蔵庫を見ますと、二〇%ですが、これは七%下がるだけだということになります。こういうことで私どもは順次計算していっております。  そのほかに、御参考のために申しますと、物品税の中には免税点があるものがあります。例えば十一番のガステーブルを見ていただきます。これは二万三千円以下が免税になっております。庶民の買うガステーブルはほとんど二万三千円を超えるものがありませんから、これはもろに消費税がかかって三%値上がりであります。あるいは八番のガス代を見ていただきますと、ガス税は免税点が一万二千円で、免税になる家庭が九十数%になっております。それが全部三%かかりますから、ほとんどもろに三%上がることになります。電気税は五%ですが、免税点が三千六百円で、適用家庭は四十数%でありますから、これはほぼ二%下がるだろうということでマイナス一・九%ということにしてあります。そういうように比較的政府側にも肩を持ってこういう試算をしているわけであります。  その次に、特異な例を挙げますと、二十一番の洋服だんすを見てください。これは内装桐張りの場合は物品税が非課税で、たしか田中内閣のときにそうなったと思いますが、そういう点がございますから、残念ながら三%丸々かかります。あるいは免税点が八万七千円という二十二番の食卓、二十三番の食堂セット、三十六番の学習机などを見ますと、製造段階で八万七千円の免税ですから、小売段階では間違いなしに十万円を超えます。我々庶民で学習机を十万円以上子供に買ってやるというような者はございませんから、これは間違いなしにそんなに下がらないということでこういう数字にしているわけでございます。  以上のようなやり方で計算しておりますが、それ以外に若干説明いたしますと、例えばカーペットというのは、これは一平方メートル当たり九千円、これは二十五番であります、免税ということになっております。そうすると、六畳で換算しますと九万円であります。カーペットというのは、念のために申し上げておきますが、じゅうたんではありません。庶民の敷くカーペットはカーペットに入るわけであります。ペルシャ製のじゅうたんならこれは何十万円とするでしょうが、庶民が買う六畳部屋のカーペットというのは九万円もするものはめったにございませんから、これは全部消費税がかかってくるということになります。  そのほか、特異なものでは三十番のガソリンと九番の灯油があります。これは今のところ石油税はリッター当たり一円三十銭かかっております。今度の税制改革なかりせば、来年三月には特例が外れてこれは全部なくなるべきものであります。ところが、今度の消費税ではそれをなくさずに、今まで米沢委員その他がお触れになりましたようにタックス・オン・タックスで、タックスの上にまた三%かかるということになりますから、残念ながら灯油の場合は四・〇二%で三%以上上がり、ガソリンの場合は四・一八%でこれまた消費税以上に上がる。税率が微妙に違いますのは、もとの数字が違いますからそれを振り戻したときに若干のずれがくるということでこういうようになっているわけであります。四十七番のたばこは変わりません。  こういうことで全部計算していきますと、調整併課品目は一八九七点から一八七九点に下がることは下がりますが、二〇しか下がらないわけであります。それ以外の六五八九は単純課税でもろに三%かかりますから六七八六にふえます。これを総合計しますと、一万であるものが一万二一一・九になります。つまりこのことは、総務庁の消費者物価指数に基づいて冷静に計算するならば、物価が二・一二%上昇するということにほかならないわけであります。これが総務庁などが長年かかってやってきた、一万の点数を挙げて五百四十の品目を挙げてやっているのに基づいて我々が計算した冷静な数字であります。もちろん我々の調べにもいろいろ誤差はあり得ると思います。しかし、仮に一割誤差があったとしても二・一二が一・九になるだけで、政府の一・一というようなことには絶対なるわけがありません。そうでしょう。それについて、経企庁なりなんなりしかるべきところの答弁を求めます。
  318. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 お答え申し上げます。  この資料をつい先ほど拝見したばかりでございますのでまだ細かく検討しておりませんが、拝見しました上で、二、三、問題点あるいは我々の計算と差が出る大きな要因ではないかと思いますことを御説明させていただきたいと思います。  全体の計算の趣旨は先ほど大臣から御説明したとおりでございますが、この計算で一つ我々の計算と違いますのは、一番下に単純課税対象、つまり非課税品目あるいは物品税対象以外のものは一律に三%上がるという計算をなすっております。ところが、我々の計算は実はこういう積み上げではございませんで、産業連関表というものから産業間の価格の波及効果を計算できますが、そういう手法を用いまして、例えば電気税、ガス税が下がるわけでございますが、それが中間段階の資材の価格にマイナスの作用をしていくだろう。それは一つの例でございますが、そういう中間段階の価格も同時に下がっていくものがある。それが最終段階にどういうふうに波及をしてくるかということをそういう形で計算をいたしている点が一つ違うのではないだろうかと思います。
  319. 正森成二

    ○正森委員 今経企庁は重大な答弁をしましたね。あなたは産業連関表を根拠に言うのですか。我々は産業連関表で随分勉強しましたけれども、大蔵省は産業連関表を使わないのですよ。そして、国内企業統計から法人の付加価値からやっているのじゃないですか。我々は、産業連関表を使えばこれは国民経済計算などとも一緒になってくるからその方がずっと正確だ。その中の付加価値からいろいろ考えていくということで、例えば日経データバンクもそういうぐあいにやっておる、あるいは静岡大学もそういうようにやっておるということで――それじゃ産業連関表でやるのですか。産業連関表でやるなら、大蔵省とは違うし、これから次の段階で私は産業連関表をもとに質問するけれども。そういうようなことをいきなりここで言い出すのはおかしいじゃないですか。
  320. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 大蔵省の答弁がどういうものであったか、今細かく記憶しておりませんが、恐らくそれは税収の方の推計をお答えしたのだろうと思います。これはあくまで物価指数への影響を計算したものでございますので、そういう意味では私が答えたとおりでございます。
  321. 正森成二

    ○正森委員 我々が大蔵省を呼び経企庁を呼んで何遍聞いても、税収が二兆円ふえる、付加価値は百八十一兆だ、二兆を百八十一で割れば一・一だと、簡単に言えばですよ。そういうことで経企庁を幾ら詰めても、大蔵省と一緒でございますと言っていたじゃないですか。そういうことを言っていて、今度は産業連関表で別のやり方でやるなんて言って、それじゃあれですか、総務庁、せっかくあなた方が毎年毎年、消費者物価指数というので一万点これを挙げてその比重でやっているのは全く使えないのですか。これをもとにこれからもどれだけ上がるかということをやるのが当たり前じゃないですか。そして、今まで言うたこともない産業連関表という言葉を突如出してくる。一方では国内企業統計から積み上げたと言い、一方では産業連関表を出してくる。全く整合がないじゃないですか。ですから、私どもはこういう計算は信用できない。  だから結局、消費者物価も一・一上がると言うけれども、我々の計算では間違いなしに二・一上がる。誤差が一〇%や一五%あってもせいぜい一・八か一・九になるだけだ。我々のこの計算は、産業連関表でやっている日経の物価上昇が一・八になるというのとほぼ合致しているのです。いいですか。ですから、産業連関表だけを持ち出しても、産業連関表でやれば一・八上がるというのがあるのです。この前大蔵省の主税局長が中小企業に対する対象を引いていないということを言いましたが、あなた方が当委員会に配ったものでも中小企業の影響する付加価値は十四兆じゃないですか。そうすると、税収ではせいぜい四千億じゃないですか。百八十一兆の付加価値から見たら七%に満たないじゃないですか。だから、それでこの消費者の変動を、中小企業の点を見ていないからといって一挙に二・一を一・一にすることはできないのです。  私は、時間の関係で、私の主張に十分お答え願ったとは思いませんが、総務庁、経企庁にお願いしたいと思います。きょうは時間がございませんが、十分にお調べ願った上で私の部屋に御見解を知らせていただきたいと思います。それに基づいてまた改めて――答弁要るなら答弁してごらんなさい、今のような答弁しかできないんでしょうが。今のような答弁しかできないんでしょう。それ以上に何か言えるのですか。
  322. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 先ほど続けましてもう一点御説明しようと思ったのでございますが、とぎれてしまいましたので……。  もう一点は、この我々の計算では税負担の増加分だけが価格に転嫁されるという前提で計算をいたしてございまして、したがいまして、免税業者等の税負担がやや低い、自己のマージンについての税率が軽減されるということでやや低いわけでございますが、それは価格に転嫁をしないという前提で計算をいたしております。この前提がどうかということはまた御議論いろいろあろうかと存じますが、そういう点がもう一点ございます。  それから、この表を拝見いたしましてもう一つ細かいことを申しますと、我々の計算では石油税の影響などはこの計算からは除いてございますので、そういう点はあるいは少し低くなるのではないか。(正森委員「どうして除くのですか」と呼ぶ)これは直接の消費税の価格への影響ということではございませんので、計算には入れてございません。
  323. 正森成二

    ○正森委員 今重大な答弁をしたのですが、それに絡んで質問をしていきたいと思います。  人事院に伺いたいと思います。  今まで個別間接税の増税が、酒、たばこにしても物品税にしましてもございました。これらは全部消費者物価を上昇させるわけでございますが、これを民間給与引き上げ要因から除いて、これは税金だからカウントしないというようなことで人事院の給与改定を行ってきましたか。
  324. 中島忠能

    中島政府委員 お答えいたします。  私たちは公務員の給与を勧告するに当たりましては、いろいろな制度改正に伴って変動する経済諸要因というものが民間賃金に影響を与えているだろう、その民間賃金というものを調査いたしまして、公務員の賃金のあり方について勧告いたしております。
  325. 正森成二

    ○正森委員 そのとおりですね。ここの人事院の年次報告にもそう書いてあります。つまり、こういうように個別間接税や酒、たばこというような物価に関係するものが増税になって上がりますと、それは当然消費者物価に反映される。消費者物価指数も変わってくる。そうすると民間の給与は上がる。民間準拠ですから、それに基づいて人事院の勧告も変わるというようになってきたわけであります。  そうすると、今回の場合、消費税は別ですか。ここに十年前の一般消費税のときに、「経済人」という雑誌があります。昭和五十三年十月号です。当時大蔵省大臣官房審議官の伊豫田敏雄君、これはその後国税庁の次長になりました。この人が論文を書き、講演をいたしまして、こう言っております。「基本的な問題の二番目は、一般消費税を導入した場合の物価への影響です。一番簡単な例として、あらゆる小売の売上げに対して五%の一般消費税を新たに課するとすると、物価は五%上がります。これは物価が上がったというのではなく、増税の反映そのものであり、言いかえれば増税そのものです。確かに皆さんの可処分所得は実質的には五%少なくなります。しかしそれが増税なんですから、それは仕方がない。そうだからといって、皆さんの給料を五%上げてくれという要求が出てくると、ぐるぐる回りして、経済全体として見ると増税の効果がなくなってしまうということです。」こう言っております。つまり大蔵省は、一般消費税、あるいは今回は消費税と名前を変えましたが、それで物価が上がれば、これは増税なんだから我慢してもらうより仕方がない。そうだからといって賃上げをされては困るというのが大蔵省の考え方であります。これは実に重大な考え方であると言わなければなりません。  大蔵大臣、あなたは三月二十六日に、我が党の神谷議員が質問をいたしましたら、「そのような一般消費税と同時にどのような税制改正が行われるか、どういうことの一環であるかにもかかると思います。」という答弁をされております。これは議事録に書いてあるから間違いはありません。  そうすると、三月段階では今の消費税というものは出てきておりませんでしたが、この国会では消費税も出てきた、あるいは所得税、法人税、いろいろなものも出てきました。全体像がわかっているわけであります。現在ではどうお考えですか。現在もこの伊豫田さんの見解と同じですか。
  326. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど伺っておりまして、結局産業連関表の話になるのかと思いますけれども、例えば電気税がなくなる、ガス税がなくなる、それが生産のコストに必ず影響すると私は思います。車の税金が安くなるのもそうでございますから。そういう物価を下げる要素があるように思いますし、ネットで二兆四千億円の減税ということは、その分は国民経済的にはやはり、これはいろいろ御議論のあるところでございますが、法人税を含めまして、そういういい影響があるのじゃないかということを申し上げたいと思います。  それから、今のことは結局、人事院が勧告をされるされないということは、民間の給与との開きについてされるわけでございますので、私、詳しいことは存じませんし申したら僭越ですが、ですから、何の原因にせよ民間給与との較差が生じましたときには勧告をなさるというふうに私は承知しているのでございますが……。
  327. 正森成二

    ○正森委員 今の産業連関表の電気の点について申し上げますと、確かに産業連関表で計算した幾つかの例の中には下げている部分もあります。しかし同時に、法律によりますと、主要な産業は今のところ全部電気税を免除されているのですよ。私はその電気税の関係を見ましたけれども、電気をたくさん使う産業は全部と言っていいぐらい今まで電気税を免除されているのです。ですから、一部の学者がそれを十分に考えないで全部カウントされているという数字は我々は誤りであるということを実際に研究して知っております。ですから、今経企庁がいろいろなことを言いましたが、それがもし一部の大学の教授の数字を念頭に置いておられるなら、それは必ずしも正確な数字ではないということを申し上げておきたいと思います。  そこで、人事院総裁に伺いますけれども、大蔵大臣から今のようなお話があったのですけれども、私は、民間の労働者は物価上昇があればそれに対して自分の労働力の値打ちを維持するために賃上げを要求するであろうと思います。そのときにもし、この伊豫田見解のように、これは消費税で上がったのだからカウントしないのは当然だという考え方をとりますと、一体、消費税による物価上昇分はどれぐらいであるかということをだれが有権的に判断するかという問題があります。一体、大蔵省がやるのですか、経企庁がやるのですか。それともこの消費者物価指数をつくっている総務庁がやるのですか。それとも給料の点は人事院だから人事院がやるのですか。いろいろな問題が起こってきます。また、もし人事院がそれを他の官庁に任せるというようなことになれば、人事院勧告というのは争議権を奪われた代償として公務員に与えられているものです。ところが、その判断が人事院から取り上げられて大蔵省へ行くということになれば、人事院の存在価値はなくなると言っても言い過ぎではありません。ですから、人事院はいかなることにせよ民間の給与が上がるならば、我々は、民間の労働者は消費税で物価が上がれば必然的に現在の生活を維持するために賃上げを要求するであろうと思います。そうすれば、それに民間準拠して、この年次報告書は読みません、そういう趣旨のことがちゃんと書いてあります、今後も人事院勧告をなさると理解してよろしいでしょうか。明確にお答えください。
  328. 内海倫

    内海(倫)政府委員 私どもは、在来、長い間にわたりまして、給与がどういうふうに決まっていくべきか、それに基づく勧告をしてきております。  その基本的な考え方は、民間給与に準拠する。そのためには、民間給与というものがどのようなものであるかということを極めて精細に調査をし、そして資料を整えて、公務員給与というものとのバランスをとってきたわけでございます。この考え方については今後においてもいささかも変えるべきものではなかろう、私はそういうふうに考えております。
  329. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣は今の人事院の答弁とほぼ同じ趣旨を先ほど申されました。  総理に伺います。  総理にもそういうぐあいに私が確認させていただいてよろしゅうございますか。
  330. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 人事院総裁の答弁は、そのとおりであると思います。
  331. 正森成二

    ○正森委員 それでは、次に移りたいと思います。  そうだとしますと、自治大臣、私が配りました資料の二枚目をごらんになってください。これは、消費税導入によって地方財政にどれだけ影響が出るかということを試算したものであります。  時間がございませんので詳しい説明は省きますが、上から見ていただきますと、昭和六十四年として、一次的影響というのは物件費であります。都道府県が三千億余り、市町村が三千五百二十億、総計六千六百十九億になります。これは自治省が提出しておられる資料でも約六千億と見ておられますから、ほぼ間違いがない数字であります。これは説明資料の3のところを見ていただきますと、都道府県の物件費、維持補修費、普通建設費、災害復旧費、この中から普通建設費に含まれる用地費の控除補正率〇・八七三を引いたものであります。つまり土地取得には消費税がかからないから、これを引かなければなりません。そうしますと、こういう数字が出てきて、消費税負担がどれぐらいになるかということが計算できるわけであります。あなた方の数字と大きく変わらないということがおわかり願えると思います。  しかし、問題は二次的影響であります。二次的影響というのは、ここにあります人件費と扶助費と失対費であります。扶助費というのは、竹下総理のこれまでの御答弁によりましても、保護を必要とする人には、これは物価上昇プラスアルファということでいろいろ手当てをしますと言うておられました。また、今の人事院総裁の答弁によりますと、人件費も消費者物価の上昇によって、これは民間が上がれば公務員も上げざるを得ないということになります。  我々は、自分たちの計算では二%と思っておりますが、政府が一・一と言うのですから、少な目に見て一%として計算しました。それでもこの二次的な影響は、都道府県で千四百五十三億円、市町村で千百十五億円、二千五百六十八億円になります。我々の二%と見ると、これは五千億になります。そうしますと、一次的影響と二次的影響を合わせると、一番上、九千百八十七億円が昭和六十四年度の歳出増、六十五年度に直すと九千六百十億円であります。国が物件費だけで三千四百億、そのほか措置費だとか生活保護とかいろんなものの上昇を見ると七千億になるということは、消費税を導入する直前に主計局長等が総理の御自宅に直訴までして、三%ではだめだ、五%でないと赤字になって財政再建ができないと言ってきましたし、同僚委員質問の中でも認めました。そうすると、七千億プラス九千億余りとすると一兆六千億以上が財政支出で失われることになるじゃないですか。歳入増は二兆円あると言いますが、残るところは三千数百億円しかないじゃないですか。もし二%影響が出ると見ると、全部増収効果が失われてしまうじゃないですか。大蔵大臣、そういうぐあいになれば、これは必然的に近い将来に税率アップ、そして増収ということを大蔵当局としては考えざるを得ない、そういう冷厳な数字がここから出てくるのじゃないですか。そのためにも私は人事院総裁に聞いたのです。御答弁願います。
  332. 津田正

    ○津田政府委員 地方財政の歳出にこの消費税がどのように影響になるかということでまず御答弁を申し上げますと、私どもの計算では、六十四年度はこれから財政計画をどうつくるかの問題がございますので、六十三年度地方財政計画ベースでやりますと六千億円程度かかる、このようにかかっております。ただし、これは次のことにも関連するわけでございますが、公共事業関係、例えば百万円の工事をやりますと百三万円になる。そうすると、二分の一の補助率の場合には補助金をもらわなければいかぬ。これも三%分、要するに補助率の三%分というものをもらわなければならない。これは今後の予算編成で大蔵省と折衝してまいるわけでございますが、私どもとしては、そういうような歳入面、国庫補助金を中心といたしまして千四百億円ばかりの収入がある、差し引き六千億マイナス千四百億円、こういうようなことが実質負担かと思います。  それから、先生の計算された資料で若干コメントを申し上げますと、人件費の問題、先ほど来議論があるところでございますが、それを除きまして決算ベースで計算しておるわけでございますが、これは都道府県、市町村の特に大きな普通建設費につきましては、県の出す市町村補助金、市町村に対する補助金、これはダブル計上になっております。先ほどの国庫補助金と同じような問題がございますので、若干歳出ベース、歳出と歳入を両方考えていかなければならない、かように考えております。
  333. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁のうち千四百億円というのは、土曜日ですか、私どもがいただいた資料の中に書いてございますので、それは私ども検討して千四百億円、こういうぐあいに重複分があるというように言うているなということは承知しております。しかし、それにしても非常に大きな額なんですね。ですから、私どもはこういう地方財政への、あるいは国の財政でもそうですが、支出増の問題については今から十年前、大平内閣のときにも、それは非常に考慮しなければならない問題であるという御答弁をなさった経緯があります。私どもは、そういうことが消費税という税制を導入する場合の非常に大きな問題点である。しかも今回の場合は三%という税率ですから、それでは増収の効果がほとんど失われて、必ず近い将来に――竹下内閣の間は税率を変えないと御明言になりましたが、その竹下内閣のお続きになる期間は、この税収の困難な状況から見ますとそれほど長くはもたないだろうというように思わざるを得ないのですね。税収から見ますと。そうでなければあなた方、政府当局者の立場から見ても税収が整合性を持たなくなってくる。だから、必ず税率アップにならざるを得ない。だから、将来税率アップをすることを見越さなければやはりこういうような税制は導入できないということになるのではないかという懸念を申し上げておきたいと思います。  時間の関係で次に移りますが、新聞報道によりますと、競り取引には消費税は落札価格の三%を上乗せすると書いてあります。あるいは再販価格は税込み定価を認める、これは免税業者も含むというようになっておりますが、そういうことですか。
  334. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 御質問が二つあったわけでございますけれども、後者の方は私の所管でございますので、再販価格の問題でございます。  再販価格につきましては、御承知のとおり独占禁止法でいわば特別の制度といたしまして著作物、それから化粧品、医薬品について認められておる制度であるわけでございますが、この再販価格というのは、今さら申すまでもございませんけれども、ある一つの商品が個々にはいろいろコストが違う場合も当然考えられるし、末端の事業者の利益率も非常に違うわけでございますけれども、いわば同じ商品につきましてメーカーが統一の価格を指定することができるという独占禁止法で認められている唯一の再販価格制度であるわけでございます。ただ、この場合においても消費者の利益を不当に侵してはならないという条件がついているわけでございます。  そこで、問題は、今回再販価格の対象になる商品につきまして、税率相当分、仮に三%の価格をメーカーが設定をいたしましてそれを末端の事業者に示した場合に、消費者の利益を不当に害することになるかどうかという判断の問題だろうと思うのです。もちろんメーカーが課税事業者と免税事業者について値づけを区分するということもできるわけでございますけれども、仮にそういう区分なく統一に価格を指定した場合どうなのか。免税事業者の場合も仕入れ部分についての消費税を負担しておるわけでございます。したがって、そういった仕入れ段階での税負担を一体どう考えるのか。それから、今申しましたように、課税事業者と免税事業者について値決めを区分することはもちろん差し支えございませんけれども、仮にそういうことをやった場合に、メーカーの方で発送とかあるいは搬送、それから課税事業者であるか免税事業者の仕分けをするとか、いろいろな点を考えますとそれなりにコストプッシュ要因になるということも考えられるわけであります。したがいまして、あくまで三%以上の再販価格の引き上げを行いますとこれは独占禁止法に触れることになりますけれども、一律に課税事業者、免税事業者を問わず三%の価格を設定したとしても、私は消費者の利益を不当に害するというふうに考えるべきではないのだろうというふうに考えておるわけでございます。
  335. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 競り、公共工事等につきましては、関係者におきましてその扱いが検討されておると聞いておるわけでございます。例えば、競り取引につきますと落札価格に一律三%上乗せする方向で検討されていると伺っているわけでございますが、これは売り手が買い手に対しまして直接転嫁について交渉を行う機会がないといった特殊性、それから、大量の取引をさばく上で課税生産者と免税業者との出荷物を分けて取り扱うということは実務上極めて困難でございまして、かえってコストが上昇するといった問題、そういった問題点を踏まえましてただいまのような方向で検討されていると伺っておるところでございます。公共工事等の入札方式につきましても、税抜きの価格を入札書に記載してもらいつつ契約金額は三%を乗せた方法で検討がなされている、こうしたことができないかどうかということで関係者の間で検討がされていると伺っておるところでございます。
  336. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今競り取引のことで大蔵側から答弁がございました。このことに関連をいたしまして、特に農水産物については競り取引という場面が多いのでございますので、これは重大というほどではございませんが、相当各方面に関心を持たれておるところでございますので、私からもやはり一言言っておかねばなりません。  ただいま大蔵側の政府委員が申し上げたとおりでございまして、今調整中でございます。
  337. 正森成二

    ○正森委員 今農林水産省等から資料をもう入手しておりますので、時間の関係で申しますと、競りの入札金額というのは案外大きくて、中央、地方合計しますと、青果が二兆七千億円ぐらい、水産が中央、地方で二兆円を超え、食肉が四千六百億、それから花卉が二千九百億、全部で五兆五千億をはるかに超えるのですね。それから書籍、雑誌、これが一兆七千億ぐらい。それからまた化粧品と医薬品、これは公取と通産では数字が違いますが、公取が所管ですから公取の数字をとりますと、合わせて三千七百七十億余りということになります。  そこで、私は伺いたいのですけれども、価格転嫁、転嫁と言うのもいいけれども、また我々は農民の利益を守らなければなりませんから、仕入れにかかった値段は、もちろん仕入れ税額は転嫁しなければなりません。しかし、同時に消費税以上のものを消費者は負担させられるいわれはない。ところが、例えば農水大臣、農水関係の競りというのはもちろん漁業あるいは農業ですね。これは、大蔵省からいただいた数字がございますけれども、大体中小企業が圧倒的に多いのですね。ここでその比率は、これだけ詳しくございますけれども一々申しません、ですけれども、他の企業よりは大きいのです。そうしますと、大部分は免税業者、少なくとも五億円以下の売上高のところが多いのですね。書籍でもそうです。そうしますと、これらの業者は、仕入れは確かに税額がかかるからその部分は転嫁しなければならないけれども、付加価値については消費税はゼロかあるいは簡易課税方式をとりますと〇・六でいいのですよ。ゼロか〇・六なのに三%の転嫁を国が公権的に認めるということになれば、これは不当に値段を転嫁する、値段そのものを転嫁する、不当な利益を得るということになるのではないですか。特に競りだとか再販価格ということになれば、本来独禁法に例外を設けてカルテルをつくって、それでやっと合法なら認められるというものを、カルテルもつくらないで国がこういうことにしろと言って国が代行をすることになる。しかもその内容は、不当に消費税以上の値段を上げてもよろしいという内容になる。こんな不公平なことがありますか。すべての税金の中で、初めからこんな不公平なことを前提にしている税制なんていうのはないんじゃないですか。あなた方は転嫁、転嫁と言うけれども、本当に税を負担する、消費税の立場に立って公正な税の負担ということを考えておられるのでしょうか。
  338. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 このような消費税を設けるに当たりましては、やはり零細小規模事業者につきましては特例を認めるということはどこの国の例でもあるようでございますし、特に我が国のようにこうした税を初めてお願いをするという立法例に当たりましては、そこはやはり特段に配慮をする必要がある。そういうことからいたしますと、こうした税の仕組みの精緻さというものはある程度はそこは目をつぶり、円滑な事業者の御協力を得るという意味におきましてそこはある程度の精緻さは犠牲にいたしておるということは否定できないことでございます。しかしながら、三千万といい五億円と申しましても、事業者の数としてはある程度の数がございましても、売上高なり付加価値のウエートなりからすれば、全体としてのウエートは経済全体の規模からいたしますればそれほど大きくはならないということから、それが全体として適当でない結果を生むというほどのものではない。やはりそうした事業者でございましても、自分は免税業者でございましても仕入れ税額は乗っているわけですから、その本来の業者の方のマージン分の税額分というものはそれほど大きなものでもございませんので、そこはあえて国としても納めていただく必要はない、免税といたしたということでございます。
  339. 正森成二

    ○正森委員 私は、中小業者の利益は守らなければならないと思いますよ。しかし、それは消費者の利益と矛盾しないような方法で守らなければならないんじゃないですか。今あなたがいみじくもお答えになったように、若干の不正義には目をつぶるという意味のことを言われましたけれども、初めから政府委員が不正義というような意味のことを言わなければならないような税制……(竹下内閣総理大臣「精緻と言ったのです」と呼ぶ)精緻ですか、失礼しました、ちょっと耳を聞き損じましたので、精緻。精緻というような、そういう表現をされましたけれども、そういうような税制をつくるということは非常に問題があり、中小業者の利益は別の方法で守られなければならないというように思います。  そこで、公取がおられますので伺いますが、この消費税法案では、第三十条で、附則をこれまでの第一条として「附則に次の一条を加える。」というようになっておりますね。これを見ますと、「消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為」あるいは「表示の方法の決定に係る共同行為」こういうものが認められることになっております。いろいろ議論がございますが、その中で、これは中小事業者が三分の二以上原則として参加していなければならない、こうなっておる。ところが、中小企業の定義を見ますと、第二項の一号を見ますと「工業、鉱業、運送業その他の業種」として「次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。」になっています。その次を見ますと、「小売業又はサービス業」で「次号の政令で定める業種を除く。」になっております。そして結局第三号を見ますと、「資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの」こうなっています。これでわかりますか。我々国会はわからないじゃないですか。これでわかるという人がもしこの委員の中におられれば、それは出てきていただきたいと思いますね。あなたはそれは政令を知っているかもしらぬけれども、知っていない我々はわからないじゃないですか。だから、我々はそういう政令を早く出してくれということを言いまして、政令は全部で百四十六、政令百三十四、大蔵省令本則で十、大蔵大臣の定めるもの別表二ということで、全部で百四十六ということになっております。これは……(「百四十一じゃないか」と呼ぶ者あり)いや、我々の計算では百四十六です。あるいは百四十一という場合もあり得ますけれども、いずれにせよ、百四十六であっても百四十一であっても大同小異で、三けたの数であるということは間違いないです。百四十六と十六とかいうならこれは違いますけれども、数え方によってどうでもなる。そして、大事な独禁法だって中小業者の規定がわからないというようなものを国会に出してきて、政令はまだ出さないで、これで質問ができますか。これが去年だったら、これで完全にとまったんですね。それぐらいのものですよ。公正取引委員会、わかっているのですか。
  340. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 独占禁止法関係の政令について申し上げたいと思います。  確かに、先生おっしゃいますとおり、中小企業者の定義につきまして政令がございますけれども、もともと中小企業者の定義は中小企業基本法等に明記されているところでございます。私どももこの法案では、中小企業基本法等の定義に倣いまして、一号と二号をそのとおり書いているところでございます。ただ、最近の立法例などによりますと、業種によりましてはいわばその実態に即すという格好で、資本金の額あるいは出資の総額あるいは従業員の数ということにつきまして特例を政令で定めるといった格好になっておりますものでございますから、いわばそれに倣いましてそういった政令をこの法律によって定めることをお願いしているという趣旨でございます。
  341. 正森成二

    ○正森委員 今、何にせよ、私が質問してもその政令については細かくはお答えが願えなかった。ということになれば、一番我々が関心のある独禁法の問題についても、一体言うところの中小業者というのはどういうことかすらわからない。しかも、中小業者が集まってカルテルをやるのに、その中小業者というのは免税かあるいは〇・六%が適用になる人が大部分じゃないですか。しかし、大企業が入ってくると、大企業は絶対〇・六では転嫁が不十分だから三%を主張するのは決まっています。そうすると、どうしても三%ということになるんじゃないですか。ここでも消費者の利益を守るべき公正取引委員会が、カルテルということで大企業の利益を守るということに必然的になるんじゃないですか。私はそのことを指摘して次の問題に移りたいと思います。  リクルートの問題について伺います。――答弁あるのですか。
  342. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 今回の中小企業に認められます転嫁の方法につきましては、確かに、ただいま政府から提案されている附則三十条で三分の二以上中小企業が含まれている場合に対象にするとなっておるわけでございます。これはいつかの機会にもお話し申し上げたかと思いますけれども、今典型的な中小企業の団体といたしまして商工組合がございます。この商工組合の規定が、まさに構成員は三分の二以上中小企業であれば中小企業の商工組合として国が制度上各種の取り扱いをするということになっておりまして、これは恐らくそんたくいたしまするに、業種にもよると思いますけれども、実際上は大企業と中小企業が混在しておりまして、本来保護を受けるべき中小企業の共同行為につきまして、そういった大企業を疎外した場合に今回の政策が意図しております中小企業の価格形成力を補強するという機能が発揮できないだろう、そういう観点から提案されておるわけでございます。
  343. 正森成二

    ○正森委員 時間の関係リクルートの問題に移りたいと思いますが、高石文部事務次官の問題についてまず伺います。  高石文部事務次官は、報道によりますと――元ですね。高石氏は、大学審議会委員、これを決めますときに、初めに短大の学長を入れるはずだった、かわりに江副氏の名前が記入されていたので、大臣は、短大がないじゃないか、大学改革がテーマなんだから短大が入っていた方がいいじゃないかと指摘したら、高石氏は、確かに大学改革がテーマですが、短大は余り関係ありませんと押し切った、こう言われております。あるいは、短大の学長で内定していた人がいる、関西方面の人だそうですが、そうすると高石氏が来て、官邸筋からの話で江副氏にかえてほしいと申し出て、結局、江副氏が委員に選ばれたというようになっております。  そうなりますと、これは職務権限が単にあったとかなかったとかいうだけでなしに、あったのはもちろんですが、それをまさに行使して江副氏に有利なように計らったということになるんじゃないですか、文部省
  344. 加戸守行

    ○加戸政府委員 ただいま先生が指摘されたような事実は存在いたしません。
  345. 正森成二

    ○正森委員 何かよくわからない答弁でしたが、時間が参りましたので最後に一問だけ申し上げたいと思います。  総理、昨年の五月三十日に総理は御自分の後援会づくりで岩手県へおいでになったのではありませんか。そして、その後援会づくりをなさいました後、翌日にメイプルカントリー倶楽部で県会議員その他とゴルフをなさり、その後ヘリコプターで東京へお帰りになったということがあったのではございませんでしょうか。そして、我々が調べているところによりますと、そこには本来江副氏自身もおいでになる予定だった。ところが、数日前に急遽取り消されたので江副氏はゴルフ等には参加しなかったということでございます。  そういう事実についてお伺いすると同時に、このリクルート問題というのはこれだけ大きな問題になりまして、総理は四つの観点で正したい、あるいは対処したいと言われておりますけれども、内閣の問題、御自分の問題としてお考え願わなければならない、そうでなければ国民税制審議に納得しない問題でございます。  そこで、こういう問題について最後にお伺いいたしまして、ちょうど時間が参りましたので私の質問は終わらしていただきます。
  346. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私の個人後援会でございますから、当時幹事長でございましたが、まさに個人の資格で、国会が終わった数日後でございましたか、岩手県へ参りましたことは事実でございます。その翌日でございました、ゴルフをしたことも事実でございます。これらをアレンジしたものはすべて、いつものことでございますが、長期政策総合懇話会という会でございますけれども、それの岩手支部の方でアレンジしてもらったということでございます。
  347. 正森成二

    ○正森委員 江副氏はおられませんでしたか、失礼でございますが。
  348. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いらっしゃいませんでした。
  349. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  350. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて正森成二君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日火曜日午前十時より公聴会、午後零時三十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時七分散会