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1988-11-02 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月二日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君 理事 加藤 万吉君    理事 村山 喜一君 理事 二見 伸明君    理事 米沢  隆君       甘利  明君    池田 行彦君       片岡 清一君    岸田 文武君       志賀  節君    鈴木 宗男君       田原  隆君    谷  洋一君       玉沢徳一郎君    中川 昭一君       中川 秀直君    中島  衛君       中西 啓介君    中村正三郎君       西田  司君    額賀福志郎君       野田  毅君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    原田  憲君       堀内 光雄君    宮下 創平君       村山 達雄君    山口 敏夫君       山下 元利君    伊藤  茂君       川崎 寛治君    坂上 富男君       中村 正男君    野口 幸一君       山下洲夫君    草野  威君       小谷 輝二君    坂井 弘一君       坂口  力君    竹内 勝彦君       冬柴 鉄三君    宮地 正介君       安倍 基雄君    川端 達夫君       玉置 一弥君    野間 友一君       東中 光雄君    正森 成二君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         郵 政 大 臣 中山 正暉君         労 働 大 臣 中村 太郎君         自 治 大 臣 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         総務庁人事局長 勝又 博明君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         法務省民事局長 藤井 正雄君         法務省刑事局長 根來 泰周君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局次         長       吉川 共治君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       松田 篤之君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         国税庁次長   伊藤 博行君         厚生大臣官房総         務審議官    末次  彬君         厚生大臣官房審         議官      伊藤 卓雄君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 多田  宏君         厚生省年金局長 水田  努君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       高橋 達直君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         労働省労働基準         局長      野見山眞之君         労働省職業安定         局長      岡部 晃三君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    竹村  毅君         自治大臣官房審         議官      前川 尚美君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   田原  隆君     額賀福志郎君   草野  威君     冬柴 鉄三君   坂口  力君     竹内 勝彦君   安倍 基雄君     川端 達夫君   工藤  晃君     東中 光雄君   矢島 恒夫君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   額賀福志郎君     田原  隆君   竹内 勝彦君     坂口  力君   冬柴 鉄三君     草野  威君   川端 達夫君     安倍 基雄君   野間 友一君     矢島 恒夫君   東中 光雄君     工藤  晃君     ───────────── 十月三十一日  消費税導入反対に関する請願池田克也紹介)(第二〇八四号)  同(上田哲紹介)(第二〇八五号)  同外一件(加藤万吉紹介)(第二〇八六号)  同(上坂昇紹介)(第二〇八七号)  同(佐藤観樹紹介)(第二〇八八号)  同外一件(清水勇紹介)(第二〇八九号)  同(竹内勝彦紹介)(第二〇九〇号)  同(村上弘紹介)(第二〇九一号)  同(渡部一郎紹介)(第二〇九二号)  同(安藤巖紹介)(第二一四四号)  同(石井郁子紹介)(第二一四五号)  同(岩佐恵美紹介)(第二一四六号)  同(浦井洋紹介)(第二一四七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二一四八号)  同(金子満広紹介)(第二一四九号)  同(経塚幸夫紹介)(第二一五〇号)  同(工藤晃紹介)(第二一五一号)  同(柴田睦夫紹介)(第二一五二号)  同(渋沢利久紹介)(第二一五三号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二一五四号)  同(辻第一君紹介)(第二一五五号)  同(寺前巖紹介)(第二一五六号)  同(中路雅弘紹介)(第二一五七号)  同(中島武敏紹介)(第二一五八号)  同(野間友一紹介)(第二一五九号)  同(東中光雄紹介)(第二一六〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二一六一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二一六二号)  同(不破哲三紹介)(第二一六三号)  同(正森成二君紹介)(第二一六四号)  同(松本善明紹介)(第二一六五号)  同(村上弘紹介)(第二一六六号)  同(山原健二郎紹介)(第二一六七号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二一八六号)  同外一件(小澤克介紹介)(第二一八七号)  同(近江巳記夫紹介)(第二一八八号)  同(木内良明紹介)(第二一八九号)  同(左近正男紹介)(第二一九〇号)  同(城地豊司紹介)(第二一九一号)  同(新村勝雄紹介)(第二一九二号)  同外一件(永末英一紹介)(第二一九三号)  同(山下洲夫君紹介)(第二一九四号)  同(吉井光照紹介)(第二一九五号)  消費税導入反対課税最低限引き上げ等に関する請願伊藤茂紹介)(第二〇九三号)  同(加藤万吉紹介)(第二〇九四号)  同(坂上富男紹介)(第二〇九五号)  同(鳥居一雄紹介)(第二〇九六号)  同(中村正男紹介)(第二〇九七号)  同(春田重昭紹介)(第二〇九八号)  同(伏木和雄紹介)(第二〇九九号)  同(冬柴鉄三紹介)(第二一〇〇号)  同(渡部一郎紹介)(第二一〇一号)  同(安藤巖紹介)(第二一九六号)  同(石井郁子紹介)(第二一九七号)  同(岩佐恵美紹介)(第二一九八号)  同(浦井洋紹介)(第二一九九号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二二〇〇号)  同(金子満広紹介)(第二二〇一号)  同(経塚幸夫紹介)(第二二〇二号)  同(工藤晃紹介)(第二二〇三号)  同(児玉健次紹介)(第二二〇四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二二〇五号)  同(柴田睦夫紹介)(第二二〇六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二二〇七号)  同(田中美智子紹介)(第二二〇八号)  同(辻第一君紹介)(第二二〇九号)  同(寺前巖紹介)(第二二一〇号)  同(中路雅弘紹介)(第二二一一号)  同(中島武敏紹介)(第二二一二号)  同(沼川洋一紹介)(第二二一三号)  同(野間友一紹介)(第二二一四号)  同(東中光雄紹介)(第二二一五号)  同(不破哲三紹介)(第二二一六号)  同(藤田スミ紹介)(第二二一七号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二二一八号)  同(正森成二君紹介)(第二二一九号)  同(松本善明紹介)(第二二二〇号)  同(村上弘紹介)(第二二二一号)  同(矢島恒夫紹介)(第二二二二号)  同(山原健二郎紹介)(第二二二三号)  新型間接税導入反対に関する請願沢藤礼次郎紹介)(第二一〇二号)  消費税生協課税強化反対等に関する請願佐藤観樹紹介)(第二一〇三号)  同(佐藤敬治紹介)(第二一〇四号)  同(沢田広紹介)(第二一〇五号)  同外三件(城地豊司紹介)(第二一〇六号)  同(武田一夫紹介)(第二一〇七号)  同(田中恒利紹介)(第二一〇八号)  同(井上普方紹介)(第二一六九号)  同(坂上富男紹介)(第二一七〇号)  同(近江巳記夫紹介)(第二二二六号)  同(鈴切康雄紹介)(第二二二七号)  同(森田景一君紹介)(第二二二八号)  同(安田修三紹介)(第二二二九号)  同外一件(山下洲夫君紹介)(第二二三〇号)  税制改革消費税導入反対に関する請願森本晃司紹介)(第二一〇九号)  同(近江巳記夫紹介)(第二二三二号)  大型間接税導入反対に関する請願児玉健次紹介)(第二一四〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二一四一号)  同(田中美智子紹介)(第二一四二号)  同(矢島恒夫紹介)(第二一四三号)  新消費税導入反対に関する請願竹内猛紹介)(第二一六八号)  同外二件(城地豊司紹介)(第二二二四号)  同(竹内猛紹介)(第二二二五号)  消費税導入生協課税強化反対不公平税制是正に関する請願加藤万吉紹介)(第二一七一号)  同(薮仲義彦紹介)(第二二三三号)  消費税導入租税特別措置法第二十六条改悪反対等に関する請願浅井美幸紹介)(第二二三一号)  大型間接税導入反対不公平税制是正等に関する請願左近正男紹介)(第二二三四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  税制改革法案内閣提出第一号)  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  消費税法案内閣提出第三号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  消費譲与税法案内閣提出第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第六号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各法案審査のため、服部恒雄君、河合康文君、菅原茂世君の三名に参考人として出席を求めることとし、その日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ─────────────
  4. 金丸信

    金丸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  5. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ただいまの委員長の発議の内容が一日も早く実施されますように、質問者としてもお願いを申し上げます。  幾つ質問をさせていただきたいと思います。  実は、昨日でございますけれども、私ども社会党公明党民社党、社民連四党政審会長与党政調会長にお会いをいたしまして、夕刻でございましたが、要望書を出させていただきました。それは、今まで不公平是正の十項目提案とかあるいはまたいわゆる基本構想とか提起をさせていただきまして、当委員会議論をさせていただいたわけであります。しかし、いよいよ状況が険しくなってまいりまして、私どもこの際改めて、特に絞った重点的な御要望を申し上げたいというわけであります。  今まで私どもも真剣に議論してまいりましたし、気持ちとしては政府案に対してさまざまの国民の疑問、不安がある。昨晩、けさNHKなんかでも世論調査を発表しておりましたが、今までと余り変わりのないような姿であります。そういうのを見ましても、私ども野党の立場から政府の不備をつき、そしてまたあるべき方向を積極的に主張するということをやりたいという気持ちでまじめにやってまいったわけでございまして、今までさまざま議論をいたしてまいりました。協議審議もやってまいりましたが、若干の成果はあったと思います。自民党政調会長は、若干ではない、相当だときのう言っておりましたが、まじめな議論ができたことを私どもそれなり評価をいたしております。しかし、国民皆様から見まして、けさNHKの報道でも、たしか七〇%以上ぐらいが不公平是正が先だという声のようでございまして、まだまだそういうことをきちんとしなくちゃならぬ。そういう意味では、まだまだ不十分だという気持ちがいたしているわけでございます。  何しろ強力な与党政府が相手ですから、百点満点までいけるかわかりませんけれども、しかしぎりぎり了解できるところまできちんとしたいということで、実は私ども四党とも、こういうことの解決を消費税議論をする前提条件に位置づけまして、そしてまたこの議論の結果の法案化も含めてその受け皿としての相談だという、実は書記長幹事長レベル相談から始まっているわけであります。政府与党皆さんが非常に焦っておられるようでございまして、非常に私ども残念でございますけれども、何かこの際詰めた結論は得たいということで、きょうも公明党民社党皆さんの御質問がございますけれども、四党政策責任者で、四人で仲よくやってきたような気持ちも代弁する形で質問をさせていただきたいというふうに思っております。  四、五点にさせていただきたいと思いますが、第一は不公平是正に関する問題、この辺でそろそろ詰めた御回答を得てということにしたいものだなという気持ちでいるわけでありますけれども、二、三点それについて特に絞って質問をさせていただきたいというふうに思います。  今までの議論もございましたが、さまざま政府からも答弁があり、協議結論自由民主党の見解という文書もちょうだいをいたしました。私どもが十項目提案を夏出しましたときには、さまざまのマスコミ機関社説で取り上げまして、これは国民気持ちを代表するものであって当然のことだ、やはりこういうことをきちんと解決することが大事なことだと思う、問題提起としては非常に結構だという評価をいただいたわけであります。八回議論をいたしまして、九回目に渡辺美智雄さんから与党責任のペーパーをいただきました。  その後の各新聞社説を見ますと、「不公平是正を先送りするな」、これは朝日新聞社説のタイトルですね。それから「不十分な税制改革回答」という新聞もございます。「もっと厳しい株式課税を」という見出しの社説もございました。ある新聞社説を見ますと、自由民主党回答した。その内容を見ると、次のような言葉遣いである。抜本的土地政策の一環としてさらに検討したい。医師税制のあり方について、四、五年を目途結論を得たい。みなし法人課税について、二、三年中に結論を得たい。引当金などの企業税制について、二、三年内を目途にさらに検討する。公益法人宗教法人課税について、適切に対応する。さらに見直したい。赤字法人問題で、引き続き検討する。こういう字を見ただけでも、非常に不十分さを感ずるというふうな評論がございました。私どもは、やはり政府提案法案の全面的な審議前提に、こういうことでないように地ならしをするということが当委員会審議でも国民皆様への大事な使命ではないだろうかと思うわけでございます。  気持ちはその程度にいたしまして、具体的なことを幾つかお伺いをいたします。  簡単な方から言いまして、株式譲渡益課税の中で合意をしたものがございます。いわゆる創業者利得課税の問題ですね。お互いにこれは今のような状態ではまずい、きちんと厳しく、やはり相当負担をいただくということにいたしましょう。「創業者利得課税や未公開株公開売却への課税の問題についての提案については、基本的に異存はない。具体的仕組みを詰めて、今国会中に処理したい。」私ども相談の中では、この具体的な税率、扱い、例えば全部申告分離にするとかあるいは税率をどの程度にするとかというようなことにつきましては、政府与党の中で詰めさせていただきたい、若干時間をいただきたいということでございましたので、あえて強く言わなかったわけでありますが、もうちょっと日にちも過ぎまして、不公平是正その他の集中的な議論をする機会もどれだけありますかというふうな状態になってまいりましたので、その辺の結論ですね、山中さんのところでも、それから大蔵省の方でも御相談は当然なさっていると思うのですが、この際お答えいただきたい。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 株式キャピタルゲイン課税につきましては、政府原則非課税から原則課税という御提案を申し上げたわけでございますが、そのままでは不十分であるという野党からの御指摘があり、与野党が御協議を続けられました結果、十月十七日にこの御協議の場において、「創業者利得課税や未公開株公開売却への課税の問題についての提案については、」これは自民党がお答えしていることでございますが、「基本的に異存はない。具体的仕組みを詰めて、今国会中に処理したい。」こういうふうに申し上げております。もとより、政府もこの自民党の御返事を尊重しなければならないと考えております。  ところで、実はこの問題につきましては一つ二つ関連の事項がございまして、それは、これからあるいは御質疑かと存じますが、いわゆる大口短期売却益といったようなこと、それからまたさらには、総合課税に将来移管するしないの問題に関しましての具体的なそれを担保するための例えば納税者番号とかいうようなことの措置、そういうこととの関連もございますので、政府といたしましては与野党間の合意、それから本委員会における御審議等を注意深く拝聴いたしながら、それらをまとめまして政府側としての考えを決定してまいりたいと思っておるわけでございますが、この与野党間で合意のありましたことにつきましては少なくともそのままに、それから、これからなおまた御議論があるいは進むという点につきましてはそれを待ち、それを含みまして政府としての考え方を申し上げていきたいと思っております。
  7. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 おかしいですね。きのう渡辺政調会長にお会いしました。私ども野党みんな四人そろって参りましたけれども野田さんもいらっしゃいましたね。あれはもう決まりましたから、うちは決めてありますから、と申しますから、ああそれじゃ明日一番早くからの質問ですからちょっと聞きましょうということなんで、恐らく創業者利得課税の方は二〇%ではなくて一五%とか、今の七・幾つじゃしようがないですから、どう考えるのか。また大口短期、大もうけとか言われているものの方は、みなしは認めないで全部申告分離にするとかいうようなことも報告されておりますから、大体そんな方向で詰まっているのかな。与党政調会長が詰まっているよと言うのですから、きょうはお聞かせいただけるだろうと思ってあえて冒頭に伺ったのですが、どういうことですか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、与野党合意せられましたことは現実にそのようにやらせていただかなければならないのは当然と存じておりますので、政調会長がもう決まっていますよと言われたとすれば、そのことは少しも間違いじゃないと思っておりますが、その他の部分がまだございますから、それも合わせましてというふうに考えております。  なお、この点はどういうふうに申し上げたらよろしゅうございますか、政府一つの御提案を申し上げておりますものでございますから、それに対しまして与野党の話し合いを十分尊重してまいりますというふうに申し上げることが、正式にはそれで御了解を願えるのではないかという気持ちがいたすのでございますが、恐らくこれらの問題は今後政府案がそのままでは適当でないという国会の御意思となってあらわれていくものと存じておりますが、政府提案との関連をどのように御処理されますかは国会の御意思に多分に係る点でもございますので、その点もひとつお含みおきの上でと思っておりまして、事実上与野党間でお決めいただきましたことは誠実にそのようにしてまいりたいと思っております。
  9. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 要するに、決まっているけれども言えないのですか、決まってないから言えないのですか、どっちなんですか。何か政調会長は決まっていると言っていましたから、ああそれはいい機会だし、お互い合意したことは前向きに伺ってひとつ片づけていきましょうというような雑談をきのうしていたのですが、私は伺っていると何かたくらみがあって、合意をしたことはあるけれども、本来でしたら、あの与野党協議をやるときには、お互いにこれを受け皿として法案化処理その他までやりましょうという書記長幹事長の申し合わせがあったはずですよ。私はそのつもりでいるのですよ。それでもお互い相談事だからそう格式張っていってもということで今日の段階を迎えているというようなことなんで、私はこの間の議論でもあれだと思うのですよ、前にも申し上げましたように、放言居士とネーミングされる方も非常にまじめに、放言もせず八回も九回もやったのですよ。それなりによかったと思いますよ。  ですから、そういう意味で、今のような話を伺っていると、何か与党の方にたくらみがあって、会期末だかゴールだか何だか知らぬけれども、何かのカードでまだ引っ張っておこうなんてたくらみを持っているのかという疑いすら持たざるを得ない。お互いにフェアに、相談したことはきちんと片づけていきましょうよ。いかがですか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全くそういうつもりで申し上げておるのではございません。お決めいただきましたことは、そのとおり政府としてさせていただくつもりでございます。
  11. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 何日ぐらいでわかりますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのとおり政府として実行させていただきたいと存じておりますので、その時期、方法は委員会の御審議を拝見しながらということでございます。これはくれぐれも、政府として駆け引きというようなことを全く申し上げておるわけではございませんので、その点はひとつ御信用願いたい。
  13. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いずれにしても、早く解決するようにしましょう。——ああいう場内発言がございますけれども、何遍か与野党協議をいろいろなテーマでやってまいりました。昨年の、前の政調会長の当時も非常にまじめな議論をさせていただいたと私は思っておりますし、今もそう思っております。やはり議会政治ですから、相手の党の言うことを曲げるか曲げないか、受け入れるか受け入れないかということをやったら、私は議会の本来の機能はないと思います。やはり与党野党お互いに真剣に議論をして、政策屋らしいまじめな議論をして、そしてお互いにやや政党の垣根は超えても国民皆様に実りのある結論をどうつくるのかということが議会の立場であろうという気持ちで実は私は申し上げているわけでございまして、ぜひそういう気持ちでお答えをいただきたいと思います。  次に、総理から仲間内の坂口政審会長や私にもお答えいただきましたこと、この間も坂口さんへの御答弁、私にいただきました答弁、議事録を線を引っ張って読んでみまして、本当に竹下さんらしい言い方だなと思って、改めて実はシャッポを脱ぐ思いがいたしました。この間も見ましたら、総合課税、番号制、どう思いますかということにつきまして、大切な総合課税であり、把握番号制も必要な前提条件と言われました。その言葉は、私への御答弁でも「必然的に議論されていく経過を将来にわたってたどっていくのじゃないかなという感じを私は最近深くしております」という、議事録に出ている御答弁でございまして、まことに竹下総理らしい表現で、これでいきますと、きょうもちょっと雲があるけれどもわりかしいいお天気なんですが、きょうはいいお天気ですねと言ったら、今のような翻訳でいったら、きょうのお天気は雲もないような感じもいたしますし、よく考えてみましたら晴れのような気持ちも深くしておりますみたいな話になってしまうわけですよね。ですから、ここのところは少しはっきりしていただいて、それでもうさまざまの大きな垣根の一つはクリアするということにしたらいいのじゃないかと思いますが、ちょっとお考えいただきたい。  その前に、主税局長に実務的なことで伺いたいのですが、この間、二、三回、番号制小委員会、何かレポートをいただいておりますが、ゆっくり説明を聞く時間がありませんで、レポートと新聞報道だけは読んでおりますけれどもけさ新聞にも前向きにさまざまな実務的な議論をされているという報道がなされております。そのとおりかどうか。そのとおりならば私は結構なことだなというふうに思っているわけでありますけれどもけさ新聞でも、日経新聞ですか、「政府税調、納税者番号制で合意」「金融全般・不動産を対象に」また「「一般事業所得」は反論も」とか、さまざまな問題点がたくさんありますから、そういう指摘も記事になっております。  この間見ましたら、関経連の会長が前向きにやるべきではないかという表現をされたようであります。また、ずっと前の雑誌を読みましたら、証券業協会の会長も、もう国際的にインサイダーの問題その他どうするのかということになればそれしかないということを言われているというようなことも読んだことがございますけれども、実際的にそういう前向きと申しましょうか、方向に論議が進んでいるのか、詳しい中身は結構ですから、簡単な状況をちょっと述べてください。
  14. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 キャピタルゲイン課税総合課税という場合には、必ずその把握体制の整備ということが問題になるわけでございます。そういった点の問題意識から出発いたしまして、税制調査会に納税者番号制度につきましての小委員会が設けられ、七月まで検討が続けられてきたところでございますが、これが現在アメリカ、カナダを中心にかなり整備されておる。一方、ヨーロッパにおきましても、イタリアを初めとして各国で番号制といったものが具体化されておる。そうした実態をまずよく見きわめる必要があるということで、九月には税制調査会が二つの班を編成いたしまして、ヨーロッパとアメリカ地域、二班に分かれまして調査を、御勉強をお願いしたところでございます。帰国後これを整理いたしまして、さらに現在まで二回ばかりこの小委員会審議が進められております。  今までは、どちらかと言えば比較的定性的な議論が中心だったわけでございますけれども、そうした現実にヨーロッパの状況を御視察願った後の審議におきましては、一体どういうものを具体的なイメージとして考え、それにつきましてどのような問題点なりがあるかという、少し具体的な検討に入ろうということで御審議を願ってきております。したがいまして、そもそも番号制といったものは一体どういう形になるのか、そこらあたりから詰めまして、それによる問題点を具体的に詰めていこうという審議を今まで二回お願いしました。さらに何回かお願いして、そうしたものをつくり上げたときに一体どのように社会から受け入れられるか、そこらの点を含めて早い機会にまとめていただきたい、こういう心組みで私ども審議を目下注視いたしておるところでございます。
  15. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 何か現実にやっているということはわかりました。  これはやはり主税局長、専門家の感じを聞きたいのですが、八田さんという大阪大学の先生がいらっしゃいまして、最近本も出されて興味深く拝見をしておりますが、番号制の問題について三つのメリットということを言われておりまして、私はそうだろうなというふうに思っておるわけであります。  一つは、株や債券の譲渡益に対して課税できるようになる、そして不公平感をなくすようになる。これは当然ですね。一つ。それから二つ目には、名寄せが可能になって、それによって脱税を防止できる。また、相続税の課税逃れとかいろいろな問題がございますが、脱税を防止できる。それから三つ目には、これによって株のインサイダー取引が防止できるようになる。現下の情勢からいうと非常に大きなメリットがあるということだと私は思いますね。諸外国、例えばアメリカの新聞に、日本のインサイダー取引の状況その他は我々の理解しがたい状況であるなんという特集が何遍も載るようでは国際化時代の評価される日本にはなれませんから、これも私はいいことだろう。三つのメリットというのを言っておりまして、そうだなというふうに思いますが、そうだと思いますか。
  16. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 私どもも八田先生の話も聞き、また、あの著書は勉強さしていただいておるところでございます。まさにそのようないろいろなメリットはございますし、また、八田教授は長年アメリカでその実施状況も自分で肌で感じてきておられる方でございますから、私どもも非常に参考にはなると思うわけでございます。  しかし、私どももまさに昭和五十五年度の改正におきまして、このときは利子課税の問題でございましたけれども、少額貯蓄者非課税貯蓄カード、カードでもって少なくとも利子課税については総合課税、それから非課税貯蓄の適正化を図りたいということで御提案をし、これが一度は国会のお許しを得たわけでございますけれども、その点につきましては社会的に非常に問題が多いということから、昭和六十年度改正で撤回をさしていただいたという経緯がございます。  したがいまして、そうした点、それから今の八田教授のいろいろな御論旨、それは十分わかりますが、今までの、この十年間にわたりますこうしたものの問題を全部総合いたしまして、もう一回それでは税制調査会で改めて検討していただきたい、それには具体的な仕組みをまず取り上げ、こういうことになりますよということを十分世の中に、今回はまた後戻りするということはできませんので、十分そこらを詰めていただいて、具体的なイメージも世の中に示していただいて、メリット、デメリットも全部洗い出して御検討をいただきたい、こういうことで今税制調査会に御審議を願っている。八田先生の御論旨、それはそれで私ども全くそのとおりだと思いますが、また、私どもには私どもの十年間の経緯というものがございますので、全体を総合したところで税制調査会がきっといい結論を出してくれると思いますので、それを見守っているというところでございます。
  17. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そこで、総理に改めてお伺いしたいのです。  今まで坂口さんに対する御答弁や私に対する御答弁をいただきまして、いろいろと改めて議事録に線を引っ張ってみましたが、竹下さんらしい言い回しだなということを改めて感心をする次第でございまして、翻訳をするわけではありませんけれども、こういうことでよろしいのでしょうか。  第一は、四年後をめどに総合課税をきちんと確立するように努力をします。これは、しゃくし定規で私は言っているわけではありません。土地とかなんとか、当然分離の方がふさわしい、効率的な課税もございますから、そこはタックスミックスがあるわけでありまして、大きな筋として、みなしの勧めで総合課税崩壊と言われるような状態をなくするように太い柱をきちんと立てましょう。  それから二つ目には、そのためには把握の問題が大事でございます。現実にメリット、デメリット、論じられるプライバシーなどさまざまの問題があることは私もよく承知をいたしております。しかし、四年後と申しましても、執行を四年後としたら準備の期間というのはそうはないわけでありまして、そういう意味でやはりきちんと書いておかないと、四年後になって初めて考えるということではこれまた話にならぬわけなんで、そういうことは、根回しも見通しも手の打ち方も非常にお上手な総理のことですから、やはり今からきちんとそういう方法は考えていく。そういう意味で番号制、把握の体制、国民の中にはまだ惑いもございますね。ですから、そういうことに対する意味では、私は連合が言っているクリーンカードとかいうような発想というのは社会学的に言っておもしろい発想だと思うのです。しかし、いずれにしろそういう把握は今から準備をしてきちんとやりますということが二つ目の柱。  そして三つ目には、そのためにはさまざまの手順、内容、準備その他ございますから、今から綿密に、かつ周到な検討と準備を開始をします、精力的にやります、そういう三つぐらいの柱に、よく解釈をすればなるのだろうなというふうに思うわけでございますけれども、総理のさまざまおっしゃられていることを簡潔に一、二、三と、恐縮なんですが、そういうことでよろしゅうございましょうか。
  18. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 今のお尋ねというのは、私の言語明瞭意味不明をむしろ伊藤さんの方で整理整とんして言ってもらった、こういうふうに私自身も思います。  私がいつも申し上げますのは、今大蔵大臣からもお話があっておりましたが、普通の場合、最終的に法案を処理するのは当委員会でございますが、従来とも専門家会議皆さんの集まりとか、私もその衝にありました幹事長書記長会談とか、いろいろなところで骨子が練られ、最終的には、いや、これは我々の主張が入れられたけれども法案そのものに反対だから修正の一員に加わることはできない、だからこれは与党修正でやりなさいとか、これは経験を語っているわけです、国会でそうしなさいと言っているわけじゃございませんが。そういうことから積み上がって結論が出るわけでございます。したがって、そういう段階に今あるときに、私どもはこれが今最善として法案を提出しておるわけでございますので、したがって、与党がお答えしたことに大筋間違いはないにしても、それを踏み越したお答えはなかなかできがたいものであるというふうに、私自身いつもここへ行政府の立場で立ったときにはその矛盾を率直に感じております。  今御整理なさいましたように、四年後めどということは、もちろんこれは政府提案にはないわけでございますが、昨年、私幹事長のときでございましたか、相談をして、五年後に総合課税への方向の見直しを相談してやったわけですから、あれから見れば一年過ぎているから、四年ということを御指摘なさっているという意味はよくわかります、こう言っておりますが、伊藤さんのそれをめどに大体きちんとやることだなという念押し、これはそのとおりであるとお答えして結構だと思います。  それから把握の問題については、これは今主税局長からも話しておりましたが、伊藤さんも私もその衝にあったわけです。いわゆる少額貯蓄問題についてのカード制の中にずっと一緒に存在しておったわけですが、そういう経験があるから、幾分私に慎重さがあるかもしれません。しかし、私があえて必然的にそうなるでしょうと言ったのは、私は、税調あたりも恐らく議論されていけば当然そういう方向へ帰結していくのじゃないかということを予測しながらお答えしたことでございますので、把握の問題についての番号制問題等は必然的にそういくであろうし、与党修正の形であれ共同修正の形であれ、そうしたものが盛り込まれたときには、それには三番目におっしゃった、精力的にきちんと対応しますよ、こういうことを整理していただきましたことをお礼を申し上げます。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大分はっきりしまして、結構だったと思います。  不公平に関連してもう一、二点申し上げたいのですが、七〇%、八〇%に及ぶ不公平感があるという状況、数字で言いますと特に異常な状況、私はいろいろな側面があるような気がするのです。確かに税制制度そのもの自体による不公平感というものがあると私は思います。特にサラリーマン、自営業者などなどいろいろな構造があるわけでありまして、制度が違うあるいは是正がなされない、そして不公平だという世論が起きるという側面があると思います。  同時に、もう一つの側面があるのだと思うのです。それはやはり、社会学的側面と言うと表現がおかしいのですが、タックスペイヤーの方から見て、税の決定過程あるいは執行過程が不透明だといいますか、自分は参加していないというのか不透明だというのか、どこかで決められる、そういう不透明感があって、そういうことがありますから、お互いに正当な理解を深めることができない。例えばサラリーマンの場合でも、自分の手取りの額とさまざまの控除その他がございまして課税標準が決まる。そういう経過の構造とか、ほかの方がどうなっているのか、相互に理解をし合う、理解を深め合う、そして公平な税制として横断的な社会合意を形成するというメカニズムが働かない。私はそれを考えますと、率直に申しまして、やはり大きな責任政府側にあったのではないかと思います。  もう十年ちょっと前に、大平さんのときに一般消費税がああいう経過をたどりまして、あのときも現在の政府税調会長でございました。非常に年配のまじめな方なんですけれども、ああいうことがあって、普通ならば政治的不信任みたいなものですね。私は、できたら国民の信頼感がいつもそこにつながるように中立性を持ち、それから国民皆様からもやはりあそこは真剣に考え悩んでいるんだという印象があるような仕掛け、中曽根さんのときに特別委員とか大分ふやされた経緯がございますけれども、専門家代表の審議と同時に、ある意味ではドラスチックに大きな規模でみんなが言い合うような場、公聴会も一つの例で、その努力は言われるかもしれませんが、戦後一時、経済復興国民会議とかございましたね。東畑さんでしたか、忘れましたが、ああいう大きなことの中でお互い国民の理解を深める、あるいは税に対する、自分の社会のための会費に対する責任と義務と理解が生まれる、そういうことが非常に大事なんじゃないかなという気がします。  今度の場合でも、そういう歴史的経過をしょっているので、どうしてもなかなか不公平感が消えないという面があるような気もします。いきなり政府税調どうとか具体論までは申しませんでしたけれども、そういう認識は相当大きくお持ちになって、税制改革の問題にせよこれからの問題にせよ、考えるべき大きなウエートを持つことではないだろうか。極端に言ったら、不公平感の何割かはそういうもののウエートを持っているんじゃないかという気もするわけでございますけれども、何かそういうことについてお考えがございましたら一言お聞きをしたいと思います。
  20. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 不公平感については、水平的不公平とか垂直的不公平とか、そういう議論をいたしますが、かつての東畑さんの会合とは違いますけれども、民間の税制の会議の中でいろいろな意見を開陳されたものを整理して私に提出があって、それを読んでみますと、一番公平なのは消費税だ。すなわち、いわゆる消費の大きさによって負担が決まるわけだからこれぐらい透明なものはない、思い切って消費税一本にすべきだ。もっとも、その方の職業を見ましたら物書きさんでございました。事業所得の分野に入る人でございましたが、物書きをする人でございましたけれども、そういうのはある意味において非常に簡単明瞭だから、そういう意味の公平感ということを言われたのかな、こう思いました。  しかし、現実問題として、所得、資産、消費、そういうところへバランスのとれた税制で、総合税制がなおその前に基本として存在するという立場で我々は問答をしております限りにおいては、やはりその仕組み、構造等について一生懸命PRもいたしておりますけれども、率直なところ、国民全体が、国民の方に非礼な言い方になりますが、完全に理解が行き届いていないがゆえの不公平感というものも私は存在するだろうというふうに思いますから、徴税の体制、これは源泉徴収の方が、いつも我々は参画しないで源泉徴収義務者の方でぽんと引かれてしまうというようなこともよく言われたりします。そういうことは、されば源泉徴収以外の申告の場合はどういう問題かというような点をまた理解していただく、自分の属しない範疇の納税形態等にも理解をしていただけるようなPRというようなことを徹底的にやっていかなきゃならぬではないかなというふうに思っております。基本的にタックスペイヤーの側に立って物を考えろ、おっしゃることは私も大賛成でございます。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理の方から、御答弁の中でいつも言われている消費と所得と資産のバランス論ですね。また、直接ではなくて引用の話でしたけれども、消費に対する課税の公平印象とかとおっしゃいましたが、そこを言われますと私もちょっとかちんときますから、一言だけ申し上げておきたいのです。  抜本審議に入るわけではないので遠慮しながら申し上げたいのですが、枠がはまっておりますからなにですけれども、私はこう思うのですね。今まで申し上げていることは、現行税制におけるさまざまの不公平ということを私どもは申しているわけでありまして、それがまた前提であろうということを主張をいたしてまいっております。今まで論議いたしませんでしたが、また時間があれば、現行における不公平の中に、十項目に入れませんでしたが、私どもの大きな主張として、例えばインデクセーションの問題、所得税の物価調整制度、アメリカでも八五年から実施をされている。もう二十数ヵ国になるんじゃないでしょうか、改めて今調べておりますけれども。そういう問題もございます。時間がございませんから、その議論はきょうは省略をいたしますけれども、しかし、今まである不公平をどうなくするのかということが大きな前提条件。  同時に、総理が今おっしゃったことから演繹をして申しますと、私は、政府提案でいったら大変大きな新しい不公平が発生をするということを思わざるを得ないわけであります。  この間、労働組合、連合の方からも文書で提起がございましたが、先般の国税庁の民間給与調査ですか、あれによりますと、年収三百万円以下が四七%ちょっとございました。政府の、大蔵省がなさった政府案による家計調査、あれでも大体三百万のところで差し引きちょっと赤字になるというふうな数字になっております。それから所得税を払わない方、さまざまの階層全部含めまして一千万人程度いらっしゃるのじゃないだろうかと思います。それらを含めますと、そのほかいろいろあると思いますけれども、要するに、週刊誌にも何にも、大減税になります、喜んでくださいというようなことをいっぱい書いて、さまざまの週刊誌にも大蔵省か国税庁からさまざまの広告が出ております。うそです、これは。要するに、統計できちんと見ましても、数字を見ましても、半分は負担増になるのですよ。私は、大変に大きな新しい不公平が従来の不公平が解決のつかない上に起きてくるというふうな構造を、これはどうしても言っておかなくちゃならぬと思います。  この間ペックマンさんが、石先生の翻訳で何か本が出ましたね。読んでおりましたら、こういうことが出ておりました。アメリカの州税のことを言っていましたけれども、連邦レベルでは消費税を否定したわけでありますが、四タイプのうちこれはとらなかったということなんですが、五十州のうち四十六州がさまざまの小売売上税を採用している。ペックマンさんの説では、低い税率のうちはそうでもないのだけれども、だんだん高い税率、ヨーロッパでやっている高い税率になりますと、所得分布の下から三分の一に属する世帯に深刻な負担が負わされる。ひずみが出るわけですね。総理が言われる矛盾の中の一つですね、懸念の中の一つですね。どうするのか。さまざまの真剣な工夫を合理的に考えてやっているのですね。  私はもっと調べてみたいと思っているのですけれども、五十州のうち四十六州やっているけれども、やはりアメリカンデモクラシーの精神なんでしょうか、さまざまの具体的な努力をしている。例えば、ある州では家族四人の世帯について、最初の千ドルに対して支払われた付加価値ないしは消費税の帰属計算額を個人所得税の税額控除とする制度を採用した。ですから、所得も低く負担増になる、プラス・マイナス赤字になる層は一定の部分を所得税から全部引いてしまうわけですね。また別の層では何らかの財政的な措置、さまざまの給付とかそういうことをやるのでしょうか、それらのことをそれぞれ工夫しながら考えているというふうな紹介がございまして、アメリカはアメリカなりにやはり国民の中に新たなひずみを生まないように努力をしているのだというふうな感じもしたわけでございますけれども政府案にはそんなことは一つも今のところないわけでありまして、私は、総理がそう言われますと、どちらにいたしましても従来の不公平をどう消すのかという努力を精力的にこの際詰めなくちゃならぬという気持ちと、それから、総理が言われたことと関連して一言申しますれば、大変大きな不公平が、新しい不公平がここに発生をする、そういう政府提案と言わざるを得ない。事不公平に関することから申しますとそういう気持ちがいたしますが、総理、いかがでございますか。
  22. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 今の書物の御披露でございましたが、やはりそうした場合の財政措置も行わなきゃいかぬということを懸念の中で御答弁申し上げておるわけであります。  それから、おっしゃったような付加価値、最低限を千ドルとしてその中の付加価値分を控除するというのは、やはりもろもろの控除額の今回の引き上げ等も大体そういう工夫と同じことじゃないかな、伊藤さんの指摘に合致したことをやっているなというふうに、話を聞きながら意を強くいたした次第でございます。が、それはそれといたしまして、いわゆる新税が導入される、そうして差し引き、もちろん減税先行であるにしても、いずれかの部分で負担が多くなりいずれかの部分で負担が少なくなる、こういうことでございますので、したがって、あれは五十九年税制のときでございましたか、たしか一〇・五というのをつくりました、十一の刻みの中に。  あれは何でつくったかと申しますと、それこそ伊藤さんの御意見を私が聞きまして、要するに屋台を一人で引っ張っていらっしゃる事業所得者の控除をいろいろ引いてみましても、一〇・五というものをつくらぬことには全員が減税にならぬという計算が出ましたので、あの一〇・五という、摩訶不思議な数字とは申しませんが、一〇・五というのはあのときつくりましたから、そういう工夫もしたことがあるなということを今思い出しながら、したがって、こういう問答の中でやはりいいことを取り上げさせていただける機会ができるのだなと思って、大変感謝をいたしました。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 今の総理の答弁では、私は納得できないだろうと思います。要するにサラリーマンの皆さん、団体の皆さん政府の統計と数字を見ても、ちゃんと民間給与の実態の調査、それから大蔵省が計算した調査の数字を比較してみますと、確かに四七%は全部赤字になることになるのですな。それから、所得税減税の恩恵を受けない人も一千万近くいらっしゃるというわけですから、総理の御答弁と同じことを、竹下総理はこうおっしゃっておりますからいかがでしょうかとその方々に申しましても、私は激しい突き上げを食らって、とてもじゃないが了解できないとなるだろうと思います。いずれ焦点となる大きな議論一つのテーマでしょうから、議論の中で実りのある結論が出るようにぜひお願いをしたいと思います。  それから、不公平に関連してもう一つだけ。済みません。土地の問題でございまして、この前もいろいろ議論いたしまして、議事録を注意深くもう一遍読んでみました。何か気持ちとしては非常に前向きに、間もなくの時期に政府の、また総理も、政府といたしましてもこの土地問題については全面的にというのか、正面からといいますか、やらなくちゃならぬというお気持ちは持たれているように、実は議事録を見直してみまして解釈をしたわけであります。  これは国土庁長官と総理に一言ずつお考えを伺うだけにさせていただきたいと思うのですが、私は、いずれにいたしましても、これから二十一世紀を論ずる、その他にいたしましても、土地問題の打開がなければふるさともあるいは大都市の問題も解決がつかない、それから本当の意味での内需と申しましても、あるいは豊かな生活論からいっても、すべてのベースになっている解決を迫られている問題、しかも、今気を抜くことは非常に大きな間違いという、地方への値上がりの拡散状況もございますし、やらなければならないということだろうと思います。遅過ぎたけれども、今やらなければならない政治の重大なテーマと思うわけでございまして、そういう意味では、総理もそうお考えになっているだろうと私は想像をいたしているわけであります。  国土庁長官と総理から、先に国土庁長官から、後で総理から所感を伺いたいのですが、私はやはりそういう中で新しい座標軸を据えるという姿勢が非常に大事だろうと思います。税制の面でも、戦後四十二年やってきた経過、政府税調の方もさまざま節目としての総括をしなくちゃならぬようなお気持ちを持たれているリポートも伺うわけでありまして、新しい座標軸というと大変文学的になりますけれども、ここで次の時代に向けてのやはり原点を据えたという姿勢、そういうものが政府におかれましても作業を開始しているところの土地基本法というものに表現をされてくるのであろうというふうに思います。私ども野党提案も五項目の柱を立てて合計十条ちょっとぐらいの法案にいたしましたが、大体同じになればまことに結構なことだろうと思いますが、そういう姿勢の問題が一つです。  それからもう一つは、やはり何かそういう基本法か基本的なことをやり、そして国民世論を誘導するといってはなんですけれども、土地についての国民の御理解のいただき方を変えていくという姿勢も私は大事だろうというふうな気持ちがいたします。と同時に、そこで終わったのではだめなので、それをやってそれからまたゆっくりじゃなくて、並行して幾つかの手を打たなければならない。そういうのが相伴ってやられるべきであろう。その一つが土地税制ではないだろうかと思うわけでございまして、私どもも、保有税の強化の問題、あるいはヨーロッパ並みと申しましょうか、西欧の例も参考にしながら譲渡益課税についての発想を変えていく、新しいプリンシプルを立てる。土地臨調のレポートの中にもそういうことがございますから、やっていきたいというふうに思うわけであります。そういう大胆な発想の展開ということ、それからその発想と同時に具体論の展開ということにつきまして、担当の国土庁の方と、また、総理御自身どういう構えでおられるかをお伺いしたいと思います。
  24. 内海英男

    ○内海国務大臣 お答えします。  私どもは、土地に対する基本的な考え方といたしましては、個人的な見解も多少入るかと思いますが、土地はすなわち国土そのものだという基本的な観念を持っております。その中で財産権というものが認められ、所有権というものがあるわけであります。したがいまして、土地というものは国民生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤となる限られた地球上の資源である、こういう認識のもとに立ちまして、人間そのものの生活は、土地がなくして人間は生きてはいられない、こういう大前提のもとに立ちまして、土地は適正かつ合理的な利用を実現することを図っていくことが大変重要である。こういう認識で、土地に対する政策に取り組んでいく基本的な考え方といたしております。  政府がさきに閣議決定をいたしました総合土地対策要綱におきましても、開発の利益はその一部を社会に還元し、社会的公平を確保すべきこと、二つには土地の利用と受益に応じた社会的な負担の公平を期すべきであるということ、三番目には公共の福祉を優先させた利用の責務を伴う等、こういった理念がうたわれております。これらの総合土地対策要綱に基づきまして、さきに国会に御提出をいただいております野党四党の土地基本法等も参考にさせていただきまして、土地に対する国民の共通認識というものをこの際ある程度理念という形で植えつける、こういう意味で土地基本法というものを作成すべく作業を始めておるわけでございます。各界各層の有識者の先生方の御意見も承りながら、もう既に二回その懇談会をやっております。年内には大方の結論を得まして成案をつくるように進めてまいりたい、目下鋭意検討をして成案を得べく努力をいたしておる最中でございます。
  25. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 土地に対する基本的な考え方というのは今内海国土庁長官からお話がありましたが、私は、昨年の十二月でございますか、土地特別委員会というのが本院にできて、この場所でいろいろ議論されて、その成果というものはいろいろございます。が、一番、目に見えるものとしては、それこそ四党から出された土地基本法というものが一つの大きな刺激を与えて、そうして政府部内においても、今までいろいろな議論がありつつもやはり有識者による懇談会を内海さんのもとで持って、それでいろいろ議論してもらって、方向はやはりそういうところへいくべきではないかということに到達したというのが、あの土地委員会がつくられた大きな意義ではなかったかなと私は思っております。  そこで、懇談会でいろいろな議論が出てくると思いますが、さてそれを税制の中でその基本方針に従ってどうやるか、こういうことになりますと、従来、取得、保有、譲渡、買ったとき、持っているとき、売ったとき、そういうことの組み合わせで国税、地方税の中でいろいろ位置づけられておるというのにも、これは歴史的経過というのは十分理解できる点があろうかと私は思うのであります。その中でひずみのできたものが重課されたり、場合によっては軽課されたり、いろいろな形で今日まで来ておりますので、そうした大筋の議論と並行しつつと申しましょうか、あるいはそれを受けてと申しましょうか、やはり税の問題は国会と、もう一つ政府でいいますならば政府税調でもう一遍議論が繰り返されていく問題ではないかなというふうに思っておるところでございます。したがって、いわゆる先般お出しになった不公平十項目の問題についても、与党からお答えがあっておりますが、確かに方向性は大体一致してきているんじゃないかな、こういう印象を持っておるところでございます。
  26. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、やはり土地問題を現実にどう打開をするのかという課題を政府与党も担っておられますし、私ども野党も真剣な努力と勉強をしなくちゃならぬというふうに思っております。そんな気持ちで、必ずしも十分ではございませんでしたけれども、四野党政審で相談をして、土地基本法の勉強をさせていただきました。私は思いますけれども、やはりこういう大きな問題ですから、いろいろな議論の場があっていいのだろうと思うのです。例えばサラリーマンが生涯かかっても首都圏に家が買えない、これは悲惨な話ですね。どうしたらいいのか。これはサラリーマン、労働者、労働組合の要求だけではないと思います。経営者にとっても同じように重要なことであろうということで、先般、日経連と連合とが共同シンポジウムをやるなんということもございました。  私は、こういう問題は、政府法案を出す、議会で審議をする、野党はいろいろ文句をつけるみたいな形というだけではなくて、やはりいろいろなことを一緒に議論し合う、あるいは協議する、いろいろなことを多面的に組み合わせていい内容ができる努力をすべきではないだろうか。議会というのは、政府案法案審議する仕事が半分だと私は思います。あとの半分は、与党野党お互いに政見を持ちながら真剣に議論し合うというのが議会人としての使命であろうというふうにも思うわけでございまして、そういうことも含めまして大きな課題を、考え方はほぼ同じというお話もいただきましたから、議論をする場をつくりたいものだなというふうに考えている次第であります。四野党で前に出しましたから、何なら当面国土庁長官を囲んで議論をして、ライスカレーでも食うみたいなことがあったっていいんじゃないだろうかというふうに思っております。  次の話題に入らせていただきます。  この間、我が友人の米沢さんの質問関連をして、「行財政改革の推進について」、総務庁、大蔵省から出ました、この全般を議論するつもりはございませんで、特にその中でどうしても一言私の立場からも申し上げておきたいのは、財政改革の部分ですね、これをちょっとテーマにしたいというふうに思っております。  この文章の中に、「今回の税制改革は、全体として大幅な減税超過となっており、この点を考慮すれば、財政事情はさらに厳しさを増すものと考えられる。」という文章がございまして、その他のことも含め、これが前提条件で歳出について、歳入についてというのが述べられているわけであります。「この点を考慮すれば、財政事情はさらに厳しさを増すものと考えられる。」やぼな質問かもしれませんが、どういうことですか。簡単にちょっと言ってください。
  27. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えをいたします。  その直前にございますように、既に国債費のシェアが一般会計の歳出の中で非常に高い、これからもなおまだ公債の残高の累増は予想されるわけでございますから、そういった点が大変難しい、増加圧力というものがございます。このほか、通常の政策を展開するための歳出の圧力というものもあろうということを述べました上で、「全体として大幅な減税超過」という税制改革でございますから、その点を定性的に、いわば加算して考えていただきたいということを述べたものでございます。
  28. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 今のと関連をしますが、主税局長に伺います。  六十二年度、いつも言われておりますように史上最高なんですか、弾性値三・三三という決算の状況がございました。こんな状態はそうは続かぬと思いますということを主税局長はいつも答弁をしておりますけれども、昨日発表になりました、きのうも大蔵省からちょうだいしました数字ですと、ことし、六十三年度も五兆円程度の自然増収が見込まれる。景気の方も六十四年、来年の中ごろまでは大丈夫かな。いずれにいたしましても、これから間もなくもう目の前、アメリカ大統領選挙の結果、どっちが勝っても、相当厳しい財政政策をとらざるを得ないのじゃないだろうかということもよく言われております。それから、今後のさまざまな経済条件がどうなりますか、消費の問題あるいは設備投資、その他の動向がどうなるか、いろいろな要素があるだろうと思います。必ずしもいつまでもバラ色というわけにはいかぬだろうというふうな気持ちもいたしますが、六十二年度の状況、そして現在六十三年、弾性値で昨年に近いような数字になりますでしょうか、これから先どう見込まれるのか、先ほどの主計局の御答弁と裏表になりますが、ちょっと簡単に感想を言ってください。
  29. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 御指摘のように、昨日発表いたしました九月末までの税収の動向でございますが、予算額に対しまして三四・四%まで参ってございます。それからまた、九月分としては前年同月比五・三%の伸びでございまして、これを含めました六十三年度の九月末までの累計でございますと、やはりこれも五・三%の伸びとなってございます。一方、御指摘のございましたように、六十二年度の税収は、補正後予算額に対しまして三兆七千億の増収となりました。したがいまして、現在の六十三年度税収予算額と申しますのは、六十二年度の決算額に対して九六・四%という割合になって、いわば逆転をいたしておるところでございます。三・六%逆転しておる。一方、伸びとしては五・三%の伸びになっておる。したがいまして、八・九%予算額に対しましてはペースが上回っておるということに相なるわけでございます。そうしたところから、各紙面等におきましては、去年の実績が四十六兆ございます、それの八%を掛けると三兆になるとか四兆になるとか、そういうのにまた上積みして五兆になるとかという新聞記事等が見られたところでございます。  しかしながら、今御指摘のございましたように、今後の経済の動向というのはいろいろ不確定な要因を抱えているところでございます。また、土台となっております六十二年度の税収の中には、個人の土地譲渡所得が六十二年度は極めて異例に伸びた。また、株式の譲渡所得が法人所得に占めます割合もかなり上がっておる。また、円高がなお企業の段階にとどまっておることによりますところの円高利益分が企業の収益にかなり寄与しておる。それからまた、現時点の金利の動向からいたしましてかなり金利負担が低下している。そういう要素が非常に多い中で、どういう要素がこれからの土台としても期待できる要素なのか、一時的な要因なのか、そこらは十分分析をする必要があるわけでございますが、私どもこの三兆七千億がふえた土台は、相当な範囲、規模で一過性的なものも入っておると見なければいけないと思っておりますので、現在の伸びの状況、これを単純に去年の決算額に掛け合わせて何兆円ということは簡単にはなかなか申し上げられないと思っておるところでございます。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
  30. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そこで申し上げたいのです。主計と主税からお話を伺いました。確かに私はそういうことだろうと思います。事実の見通しについては、大きな開きはございません。それで、大幅な減税超過となっているということを含めまして、この出されましたペーパーの中で財政の問題の計画を論じられております。先般もうちの同僚議員から指摘がございましたけれども、あえて申しますと、今度の増減税の骨格は、国と地方を合わせて、減税が直接税部門で五兆六千億円、間接税部門三兆四千億円の合計九兆円。大きいのは物品税の廃止ですね。それから増税は、直接税部門が一兆二千億円、間接税は消費税の導入で五兆四千億円で、合計六兆六千億円。減税が増税を二兆四千億上回る、大幅な減税超過と言っているわけですね。その部分をそれぞれ自治体と国がしょうのだというふうな構造になっているわけであります。  私は、それを考えますと、この表現というのは極めていいかげんだと思うのですよ。正直じゃないと思います。この間の大蔵大臣の三%を上がることはありませんという気持ちは結構ですけれども、それは正直でないと思います。言うならば、自然増収が六十二年度もあんなにある、六十三年度も見込まれる、だからこれで収支が成り立っているのですよ。何も大幅な減税を構造上やったわけじゃないので、消費税で取った分は大部分がどこかへ飛んでしまうのですよ。自然増収を減税で返すだけの話だ。収支のバランスをプラス・マイナスやってごらんなさい、そうなりますよ。そして税収見込みは、これからは不確定要因が多い、それからまた、財政構造からいたしましてもこれが厳しさを増す条件となっている。私は、大まかに数字で言いましたら、自然増収分を抜きにして、自然増収というエレメントを抜きにして全くの平年度で計算したら、五%でなければバランスしないということだろうと思いますね。ですから、私は、これを読みますと、この間米沢さんもそういう指摘をしましたね。私はずっと読んで非常にこれを感じました。  やはり現実、自然増収が未来永久に今のままで一年間七兆四千億も続くわけはないですよ。そうではない、自然増収はプラス分として別枠に置いても安定した一つの姿を考えるというのが、財政のシナリオというものだろうと私は思いますよ。余計入れたものを一体どう使うのかということは、国債を減らす問題その他にもいろいろと考えるというのが今まで言ってきた大蔵省の態度でもあろうというふうに思うのです。そういう意味で、この実態をきちんと踏まえた中期の財政シナリオをどう考えるのか、そういう面を出さなければ、とても私は、これは今後の本格議論もそうですけれども審議のベースができないというふうな気がいたします。  そういうことで、今の、いつも政府が言っているところの、大幅な減税超過だということを何かニンジンのようにいつも言いますけれども、現状の姿というのは、自然増収があるからそれを返しただけなんです。そういうエレメントを抜きにしたら、これはまず成り立たないのですよ。五%で初めてあれなんです。ですから、大蔵大臣、気持ちでは三%を守っていきたいということをおっしゃいますよね。気持ちは私は結構だと思いますけれども、そんなことはないのです。自然増収が、今主税局長が言ったように、六十三年度、四年度、五年度、例えばこれからあと一年間くらい景気がもつかもしらぬ、来年後半はわからぬというのはエコノミストの常識ですよ。状況が変わるとどうなるのですか。大蔵大臣は税率を上げたくないとおっしゃいますけれども、そんなものは現実にペイしないのですから、バランスしないのですから。私は、三年、五年どころか、二年、三年のうちにやらなければもうバランスしないという構造になるだろうと思います。  これは私の疑問なんですが、いずれにしても、そういう問題についてきちんとした正直な財政指数のシナリオを出すということがなければ、民社党の米沢さんの質問に対して大変丁寧な言葉、いい文章がこう出ていますけれども、かえって非常に問題が出るんじゃないだろうかというふうに思うのです。ですから、言葉は結構ですけれども、指数も含めた本当の正直な中期の財政の展望あるいはシナリオというものを、これからの議論関連してもこの議論関連しても提起すべきである、そうでないと本当にまじめな国民皆さん責任を持ついい議論にならぬというふうに思うのですが、中身の議論までいきません。そこまで強く要望しておきたいのですが、大臣いかがですか。当然でしょう。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、私どもが心配している一面を正しく御指摘いただいておると思います。ただ、せんだっても申し上げましたように、この消費税というものの税率、今度成立させていただきましたら、それを将来上げるというようなことは、私は考えられない、到底それはできることでないし、考えてならぬことだというふうに思っておりますことをもう一度言わせていただきますが、そうなった場合に、仮に経済の基調が変わったらば、一体今二兆四千億円のネット減税であるがそれからどうするのかということは、私どもも実は非常に悩んでおるところでございます、正直を申しますと、その三%を動かすという可能性はないと思っておりますから。  大変悩んでおりますが、ともかくも特例公債というものを六十五年度にはまずやめさせていただきたい。赤字公債はなしと、そういう前提のもとで、さて何から始めるかという財政計画をつくらせていただきたい。それは、時々いわゆる俗語でツケ回しとおっしゃるいろいろの問題もございます。いろいろございますものですから、それから考えさせていただきたいというふうに実は思っておりまして、御指摘の点は財政当局も大変に心配をする点でございますが、しかし、三%を変える道はございませんから、そういう前提に立って歳出を削っていく、あるいは経済運営をできるだけ過たないようにして、税収が、それはもう三・何がしなんということはあり得ないことでございますけれども、まあまあ普通程度には順調に伸びていく、こういうふうにやってまいるべきことと思います。
  32. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大蔵大臣が三%を上げることは考えてはならない、お気持ちも私はわかりますし、また、今日の段階において大臣としては当然そうおっしゃるだろうというふうに思います。ただ、本格議論でありませんのでそう詳しく時間をとって申しませんが、このペーパーに関するこの財政改革というものをじっと私は考えてみ、今後の財政構造、そしてまた税収の状態、こういう六十二年みたいな非常に異常というほどの状態がそうは続かぬだろうというようなことを考えてみますと、それから今度の収支のシナリオ、政府の御説明では二兆四千億円の大幅な減税超過という、宣伝文句になるように書いてございますけれども、中身は自然増収がうまくあったからそれを返すだけというシナリオなんで、そういうものがない状態を考えたらこれはバランスしません。私の概算ですが、五%でなければバランスはしないということだろうと思います。  ですから、大臣のお気持ちもその他も結構ですけれども、我々が国民皆様責任を持つ議論ですから、そういう内容国民皆様責任を持って議論できるように、きちんとした計数の見通しと将来を見据えた議論をしなければ無責任議論になる、大臣の気持ちがあるから、言葉だけ言い過ぎたのでは無責任になるというふうに私は思うわけでございまして、それらの幾つかの私どもの希望といいますか、客観的な前提条件を申しますので、そういうものの提起を、そういう試算も専門の方からしていただいて、やはり確信の持てる議論をすべきではないだろうか、このペーパーに関連してそう思いますが、よろしゅうございますね。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御主張になっておられますことは、私どもよくわかっております。十分考えましてやらせていただきます。
  34. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 次にもう一つ民社党に出されました社会保障ビジョン、米沢さんも含めました四野党政審会長、きのうも仲よく仲よく議論しておりまして、大体一つの党くらいの気持ちでやっておりますから、こだわりなく私の方からも、彼の気持ちも代弁するような気持ちで申し上げさせていただきたいというふうに思います。  正直に申しまして、随分たくさんの言葉をうまく編集をなさって、私ども読んで、御苦労は御苦労だったと思いますね。随分夜遅くまで御苦労なさったようなことも伺うわけでありまして、その御苦労には私も敬意を表します。ただ、社会的な評論ですね、労働組合その他からやはりちょっと手厳しい評論、評価が多々参っているというふうな状況で、それは厚生大臣も御承知のとおりであろうというふうに思います。主として、公的年金の支給年次を六十五歳にする、できるだけ早い時期から六十五歳に段階的に持っていく、前からこれは本則で言っている、議論は随分長くなされてきたことですから、ただこの際何か一歩踏み切って、やるぞという状況がここであらわに出たもので、さまざまの議論が出ているというふうなのが今日の状況で、各新聞社説なんかでも、みんなやはり真剣にさまざま勉強しなくちゃならぬ大事なことだ、しかし、と同時に懸念の表明というのが共通してあるような気がいたします。  それで、やはりその原因の一つは、「条件整備を図りつつ、」というのがまくら言葉にございますけれども、やはり国民の関係者の希望からすれば、支給開始年限とそれから定年と、そのまくら言葉の方を、図りつつ支給開始年齢はできるだけ早い機会に段階的にやるぞ、こういう印象になるわけでありまして、図りつつではなくて、これを大事な大事な前提としながら、そしてまたそういうギャップが起きないようにという真剣さがやはり文章に出ていなかった、また文章だけではなくて、現実そうかもしれませんが、これには少なくとも出ていなかったというのがさまざまの意味で非常に不安をかき立てる言葉になったというようなことであろうと思います。  確かに、高年齢者の雇用機会の問題が書いてございますし、読んでみましてもそれぞれ妥当なことなんですが、例えば同一職場、同一グループなどなどというのが冒頭にございまして、要するに、この問題は政府は難しいから会社の方で何とかしなさいというような印象にもとられやすい。やはりこういう問題というのは、ある意味では政府と同時に労使、将来社会にとって必ずぶつかることですから、真剣に共同で汗を絞る、そういうふうなイニシアチブがあっていいのじゃないだろうかというふうな気が私はいたしますね。こういう時代ですから、みんな要求だけしていれば済むというふうにはだれも思っていないですからね。どうしたらいいのかということを知恵と汗を絞らなくちゃならぬというふうな状態ですから。  大臣にお願いしたいのは、一つは、「条件整備を図りつつ、」とございますけれども、やはり我々の構え、目標、努力、そういう方向としては少なくともそこにギャップが起きない努力を全力を挙げてやるのだ、そしてまたそういうことについては、それぞれ必ず人生でぶつかることですから、政労使、関係する方面、共同で真剣に汗をかく、そういう気持ちと、何かこの中身につきましてももうちょっとやはり表現その他もあったのじゃないだろうかと思いますが、出された後の反響などを含めまして、どうお考えになっておりますか。
  35. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 厚生年金の支給年齢の繰り上げの問題、これは最も大事な点が御理解いただけてないんじゃないか、そういう気が実はするわけでございます。  それは、何といっても年金は、特に公的年金は、老後が長期化するわけでございますから、その給付の金額、水準というものを維持していく、これはもう今年金だけの生活者が四割を占めているという時代でございますから、年金の水準をとにもかくにも維持していく、これが最も大事なわけでございまして、維持をするためにどういう方策があるか、そういうことになってきておるわけで、厚生年金の場合を考えてみましても、八十年代の後半には団塊の世代が年金受給者になるわけで、一挙に数がふえる。そういうことを考えますと、いろいろな方策がございますけれども、やはり支給年齢の引き上げという問題は避けて通れないということを申し上げておるわけでございまして、その給付の水準をあくまで守る、これが一つの大きな問題だと思います。  それからもう一つの問題は、御指摘のように、年金の支給年齢の引き上げだけがひとり歩きをして、その他の経済社会のシステム、状況、情勢というものが変化がないということではこれはだめじゃないかという御指摘に対しましては、私も全くそのとおりだと思っておるわけでございまして、基本的には、人生八十年時代になってくるわけでございますから、それにふさわしい新しい生き方であるとか物の考え方であるとか社会のシステムということを、個人であるとか家庭、また企業、国、地方自治体、こういうレベルで見直していく、人生五十年時代の常識を人生八十年時代の常識に変えていく、これが大事であるわけでございます。  そういうふうに考えますと、高齢者が今後ふえていく、しかも何歳がお年寄りだということを聞いてみますと、今は七十歳が老人であるというふうに考えていらっしゃる方が一番多いわけでございますし、また、そういう高齢者がふえてくる社会において社会参加を願っていくということも大事なわけでございますから、所管外のことでございますけれども、高齢者に生きがいを持ってもらうための雇用ということも当然そういう方向の中で解決をしていかなきゃならぬ。ですから、そういうもろもろの、高齢化社会、人生八十年時代のいろいろな問題の変化の中で、実は年金の支給年齢の引き上げという問題も解決していかなきゃならないと私は思っておるわけでございまして、いろいろな御批判は真剣に受けとめて、そういうことが起こらないように努力をしていきたいと考えております。
  36. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 厚生大臣、時間がございますので三つお願いをして御答弁をいただきたいと思います。  一つは、今のお気持ちはわかります、気持ちとしては。やはりこういう流れの中で、団塊の世代その他こういう構造がある、何とかしなくちゃならぬ、それができないと非常にずれたことになる、何とかしなくちゃならぬという現実の認識は私もわかるのですね。  それで私は、やはりそういう中で、さっきも申し上げましたが、定年延長の問題にしたって、これは今の時代で、六十になりましたから、はい、あなたやめなさい、しかも六十というのはまだ六割弱ということですからまだまだおくれている。アメリカの場合には七十歳までは職業の自由を侵してはならないという法律がございましたが、国によって違いますけれども、何かやはりもう一段階変えなくちゃならぬ、今の六十歳でもまだまだ不十分、不完全なんだけれども、次を考えなくちゃならぬというところに来ちゃっているということですね。それは企業にしても、それからサラリーマンの皆さんにしても、やはりそれぞれ大変なことですよね。  ですから、これはあなた方やりなさいという意味じゃなくて、同一企業、同一グループとかいう表現をされるとあれなんで、本当にこれは政府が真剣にやるという意味での呼びかけ、あるいは協議のシステムをつくるということがどうしてもまず第一に不可欠だろうというふうに思います。当然のことでしょうが、そういう努力を、こういうものを出されるならばやはりすぐおやりになる、審議会その他ございますけれども、それとは別にやはりそういう努力が必要ではないだろうかということが一つであります。  それから、将来像というのは非常に難しいので、例えばピーク時、二〇二〇年、二〇二五年、そのときの具体像を描けと言っても、これは経済の動きその他ございますからなかなか難しい。しかし、将来に向けてどうなるんだというのが、団塊の世代だけじゃなくてみんなの不安だろうと思うのですね。ですから、確実なやり方としましたら、私は総理の責任におかれまして、これからピーク時に向けてこういう目標を絶対動かさないで鮮明な目標としてこうしますというふうな目標を、例えば五大目標なら五大目標を立てる。国民皆さん信頼してください、そこに向けて、例えば再計算期でいろいろな年金がありますからどうするかあれですが、例えば十年くらいのタームで一つのマスタープランをつくる。その中で、計画では当然ですから、いつもやっていることですから、例えば五年間については確実な実施計画をつくって、これは万難を排して政府責任を持っていく。とすれば、今の段階から将来につながった議論になるわけですね。そういうふうな御努力があっていいのじゃないだろうかというふうに思います。  それからもう一つは、これを読んだ私の感じなんですが、やはりどうしても制度論なんですね。二十一世紀初頭から二〇二〇年までを展望した高齢化社会のピーク時と申しますと、今までの制度論の発想だけでは私はできないと思います。高齢化社会、活力があり、みんなが安心して住める、しかも日本のパワーは落とさない、どうするのかと考えますと、制度論中心から、社会システム論というと言葉はなんですけれども、何か社会のあり方論みたいな大きな視野が必要ではないだろうか。国が中心になってやる制度論という形にどうしてもなりますけれども、これからはやはり自治体、地域のウエートというのは非常に大きくなると思いますね。  私の地元横浜でも、時々集まりに行くのですが、私が気がつかないほど、小規模ですがさまざまのボランティア運動がございまして、だれからも命令されるわけではない、だれからお金をもらうわけではない、しかし何か高齢者の皆さん障害者皆さんのためにというグループがミニサイズでたくさんあるのですね。私はこれからの時代、非常に価値のあることだろうと思います。そういうものまでも含めた一つの、社会システム論というとなんですけれども、制度論だけではない発想というものを出されたらどうだろうか。総理が総裁におなりになるときには「素晴らしい国・日本」というのがございまして、非常にいいことが書いてございましたけれども、そういう視野に立った大きなものをつくるのだということがあっていいのじゃないだろうかと思います。  三つ一緒に恐縮ですけれども、いかがでしょうか。
  37. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 活力のある明るい長寿社会をつくるために、これはいろいろな分野でその達成を図っていかなきゃならぬわけでございまして、御指摘のように福祉の面もございますし、雇用の面もあるし、また教育、住宅、もろもろございます。ですから、そういう問題を総合的に考えていくべきではないかという御指摘、私も同感でございまして、政府としてはそういう対応を現実にいたしておるわけでございまして、今後さらに努力をしていかなきゃならない課題だと思います。  それから二番目の、長期の目標、水準を立てて、それを達成するために五カ年計画とか十カ年計画というものをつくって推進していくべきではないか。これも公共事業などではそういう進め方、やり方で進めておりますけれども、福祉政策に関しましてはそういう年次的な目標を立てるということが、先生御承知のように極めて難しい、そういう分野といいますか、状況があるわけでございまして、年金の支給年齢の問題にいたしましても、老人医療費の負担の問題にいたしましても、やはり国民のコンセンサスといいますか、選択といいますか、また審議会の意見といいますか、そういうもろもろのコンセンサスとか選択に負う問題が非常に大きく福祉政策にはあるわけでございまして、歳出予算でほとんど片づけられるという公共事業の中長期的な目標を立てる場合とは非常に異なっておるということもあるわけでございますので、これはやはりなかなか難しい問題だと思います。  ただしかし、厚生省所管の中でも、廃棄物処理の五カ年計画というものもございますし、またホームヘルパーなどについては、これは二十一世紀の目標を立てておるわけでございますから、五カ年でどの程度整備するかということについては、これは目標を立てられるわけでございます。いずれにいたしましても、私個人の考えとしては、厚生省として今後このような五カ年計画とか、数字は別として、そういう中長期計画をつくっていくということはこれからの厚生省にとっては最大の努力目標だというふうに私は認識しておるわけでございます。  三番目の問題は、これはおっしゃるとおりだと思うわけでございまして、先ほども申し上げましたように、やはり人生八十年時代の経済社会をつくっていく場合には、人生五十年時代の発想とは変わって、社会システムとか物の考え方を変えていかなければいかぬわけでありますし、それは単に政府だけではなくて、地方自治体だけではなくて、企業も社会も家庭も個人もそれぞれのレベルで考えていかなければ達成できない、そういう問題だと思っておるわけでございますので、その点につきましては私も考えを同じくしておる次第でございます。
  38. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 厚生大臣御苦労ですが、やはりこういうさまざまのポリシーを書いたものを出すこともそれはそれなんですが、これからの時代に国民皆様が実感としてやはりこうだなと思うような、あるいは安心感を持って、しかも汗を流さなければならぬなと思うというか、そういう方向づけを出していただく、実感にやはりこたえるようなことが非常に大事ではないだろうか。  この間も、その意味では厚生大臣非常にいいことをしていただきまして、私のところで、十年前になりますけれども、米軍の戦闘機が落っこちまして、一歳と三歳の子供がその日のうちに亡くなって、全身大やけどをした若いお母さんが、二年間もっと生きたい生きたいと言いながらついに亡くなられました。私ども相談をし、その彼女の日記を出版したり、それから母子像を横浜の公園に建てたりしてきたのですが、この間国からいただいた補償金、それから自分が死んだときに娘にやる分のあれも全部含めて、そういう不幸な事故で死んだ娘があの世で一番喜んでくれるであろう、しかも社会のために使いたいとのお父さんの熱意でございまして、身体障害者の子供さんたちの授産設備をつくりまして、今月の十日に落成式。何か福祉法人をつくるのにさまざまな難しい手続がございまして、こういうことは大臣のやはり決断だと思いましてお願いしましたら、これは大臣、やはり手続ではなくて人間の気持ちですよ、これを大事にしてあげたいと言いましたら、そのとおりだと言ってやっていただきましたが、やはりそういう気持ちが通ずるような努力をぜひお願いしたいと思います。  次に、リクルート問題に関連して幾つかお伺いをさせていただきます。  まず、当面のことなんですが、郵政省にこれはお伺いしたいのですけれども、昨日からけさの報道の中で、リクルートコスモスの譲渡株が、NTT真藤総裁の秘書さんの名義とか、けさのニュースを見ますと新たに役員が三人もというふうなこ とでございまして、そしてまた、これは報道ですからさまざまございますけれども、村田さんというのですか、秘書さんがまとめてやって何人かに配分をしたとか、それからもっと関係者がいるのではないだろうかとか、今までもこのNTTあるいはスーパーコンピューターに関係をした既に出されている二人のことにつきましても議論がございましたが、何か会長とか前の社長でございますから中枢部に関係をした、幹部その他のところに関係した問題が起こっております。やはりNTTというのは国民皆様がみんな利用するパブリックなところでありますから、きちんとしなければならぬ。また報道では、郵政省、郵政大臣の方からきちんと早急に調査をするようにということのようでございましたが、いかがになっておりますでしょう。
  39. 中山正暉

    ○中山国務大臣 御心配をおかけしておりまして大変恐縮に存じておりますが、今のようなお話はまだ私どもの方へは、NTTで調査を担当の局からさせておりますけれども、NTTからの報告の中には新聞に掲載されておりますような事実はまだ私ども受け取っておりません。  NTTは、その顧客からのシステム設計というようなものの求めに応じまして、機器の調達とかそれから設置工事とか、それから各種の試験とかを含めまして、業務としてそういうことを依頼を受けてやっておるようでございまして、私ども感じますのに、大型コンピューターの購入問題というのは、あの当時としてはアメリカとの日米貿易摩擦、そういうものを解消するために何かその一助になるものはないかというようなことでいろいろと探しておった時代があったように今から振り返ってみますと感じるわけでございまして、その中で大型コンピューターを購入をする企業、特に民営化をしました電電公社がNTTとなりましての民営化の中で発展する企業として、リクルートとの関係というものができたのではないか。その当時はそういう新しい企業に対する期待みたいなものがあったのではないか、その中で今から感じられますようないわゆる疑惑を生むような事実というのはその当時にはなかったのではないか、私はかように善意に解釈をいたしておりまして、司直の手にももうゆだねられておりますことでございますので、私どもといたしましてはNTTに担当局から調査をさせておりますけれども、今その返事を待っているというような状況でございます。
  40. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 行動派をもって有名な大臣としてはちょっと遅いような気がいたしますが、きのうの夕方から、大臣調査を指示とか事情を聞くとかいう見出しが出ているのですから、行動派大臣らしくしていただきたいと思います。  それは別にして、大臣がおっしゃったことと私は何か世間の見方が違うだろうと思うのですね。二つ申し上げたいのですが、一つは、この経過を見ますと、当委員会でも二台のスーパーコンピューターの問題、クレイ社から二台NTTが買ってすぐリクルートに行った。何か横浜にも一台あるそうでありまして、きのうも国会皆さんが見に行ったりなさったりしているそうでございますけれども、この経過を見ますと、それに今度は株が絡んでくるということになります。それから、後で申し上げますが、リクルートのさまざまの社命をかけた今後の情報通信産業というものとのかかわり合いも非常に深いし、また、先般来公表されておりますところの二名の関係者、NTTの前の二名の関係の方についても、随分この委員会でも議論があったわけであります。その経過を見ますと、新聞報道やその他の評論家の中ではそう書いておりますけれども、要するに中曽根さんが、あれは一月一日でしたかね、アメリカに行かれたときに、江副さんから頼まれてNTTをトンネルにしてやったのではないか、その間に初めからその話があってどうではないかというふうに、何かそういうシステムか構造か、想像にかたくないようなさまざまな問題が起こってくるというのが今日の状況ではないだろうかというふうに思うわけであります。  私は、郵政大臣に二つここで注文しておきたいのです。  一つは、NTTというのは会社のイメージか会社の立場からしたらやはり公益にかかわる大事な仕事の分野ですから、普通でいうディスクロージャー以上にさまざまな努力をする、言うならば国民皆さんにオープンドアでというふうな営業をするというのが当然の分野であろうというふうに思うわけでありまして、そういう意味から、例えば今までも疑問になってまいりましたが、そのスーパーコンピューターをNTTは幾らで買ってリクルートに幾らで売ったのか、こんなことなんというのはやましいことがなければ簡単に言えることだと思うのですね。これがなかなか出てこないで、いや性格がどうであるとか、規約がどうであるとか言っている。こういうのはやはり国民責任を持つ大臣あるいは政府の立場から、そんなこと何もたもたしているの、出しなさい、それで国民皆さんにオープンドアでわかるようにディスクロージャーをして問いなさい、それがあなた方の国民に信頼される営業の姿勢でしょうというような一喝ぐらいあっていいのじゃないだろうかというふうに思います。  それから、やはりこの経過を見ますと、単に偶然どなたかがという意味じゃなくて、何か非常に仕組みとして、たくらみとしてみたいな感じにだんだんなってくるわけですね、この状態が。やはりこういう大きな問題ですし、ですから、これはまだ報告を受けてないということのようなんですが、早急に、緊急に、とにかく厳しく調査をして、そしてそういう分野担当の大臣としての見解も指導もなさるということが必要ではないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
  41. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先般の長谷川氏、長谷川さんという方はもうNTTをやめておられるようでございますが、この方と、それから式場さんの話が出ましたときには、すぐに社長が私どものところへ来てくれまして、社長にもその後その問題では二度ほどお目にかかっております。今、まだ報告を受けてないという話をいたしましたのは、新しい、新聞に載っておるような事実についての問題でございまして、すぐに対応を私としてはいたしましたつもりでございます。  私も、中学一年生のときに戦争が済んだわけでございますが、ジープで飛んできた進駐軍にそでからDDTを体の中へ入れられた。それからMSA、ガリオア、エロア、そういうものから、フランスの、ディエンビエンフーの、ベトナム戦争をアメリカが肩がわりして、五万六千人も若い人の命をなくして、その戦費が逆にアメリカの財政赤字になってきた。アメリカは、日本の総予算と同じほどの軍事費を使って、世界の平和、特にその平和の中で日本というのが経済繁栄を保ってきた。そのアメリカが困ったときには、経済繁栄をした日本が何とかアメリカのために貿易摩擦をなくして、世界の平和を保つということではないか。  だから、DDTから韓国オリンピックまでというのは、社会党さんの変化なども大変大きなものがございますし、そういう意味からは私は感無量のものがありまして、その意味で、アメリカの困惑を解消するために大型コンピューターを入れようといったときには、そんな不純な心理は背後になかった、政治家同士として信頼をしたいというような思いで私は考えておりますわけでございまして、今御指摘のありましたようなことに関しましては、またNTTから報告を受けることになると思いますので、そのときにまた御返答申し上げたい、かようなことで対応したいと思っております。
  42. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 DDTからオリンピックまでという牧歌的なお話がございましたが、今、状況はそういううららかな状態ではないと思います。  私は、申し上げておきますけれども、この数日のさまざまの動きの中で、このリクルート問題をめぐるところの状況は変わってきたと思います。最初は、七十六人、どなたかというふうな話が中心でございます。その後、いろいろいろいろ出てまいりました。先般は、藤波元官房長官の話も出てまいりました。いろいろマスコミの方も、極めて精力的に、さまざまのあれがなされております。やはり税の大前提ですから、私から——私はその道の調査マンではありませんから、全体の流れを見回してみても、この膨大な還流株、百五十万株とかもっと多いとか言われておりますけれども、そういう問題に今焦点が移っていると思います。そしてまた、それが政官界の、実は、言うならば現金と同じ、実質献金である。  また、大新聞の見出しだけでちょっと恐縮でございますけれども、「中曽根前内閣に株譲渡攻勢」「リクルート疑惑の構図くっきり 中枢側近に集中」「政権中枢への接近図る 急台頭の江副氏」「新たな疑惑の構図 スーパーコンピューター購入が“核”に」、そしてまた癒着の云々とか、「疑惑は拡大し、深まった」「逃げられぬリクルート疑惑」云々、こういう状態がこの数日来相次いで情報がなされております。  それぞれについて、検察の方の御努力もあるでありましょう。そしてまた、私ども国会の中でも、総理が言われました四つの立場ですね、このリクルートに関する四つの課題から申しましても、政治的道義的な責任とかいうことは議会の責任でございましょうから、真剣な努力をしなければならないというふうなことであろうと思います。  ただ、私はあえて申しますが、この経過の中でこういう構図がだんだん出てきたような気持ちがいたします。私なりに自己流で申しますと、五点ございます。  第一には、リクルートの三大事業と申しましょうか、初めは就職情報とか、二つ目には土地あるいは住宅、マンション、それから三つ目には、社運をかけたという最大のことであるところの情報通信産業、これにはRCSとかINSとか、そういう分野に社命をかけてとにかく大飛躍を図る何かをやれ。やった経過がさまざまなところから、マスコミでも報道をされております。そういう非常に大きな、普通にまじめにやるのならこれはサクセスストーリーで結構なんですけれども、何かそうではない形になるわけですが、リクルートのその三つの事業の発展と常にかかわり合っていろんな問題が起きてきたということが一つ。  二つ目には、そういう過程とそれぞれ密接な関係で政界、官界、財界とのつながりというものがあったということが今やはっきりしてきている。だんだんこの構図が生まれてきているというふうなことであろうと思います。前の情報といいますか、就職産業、リクルートの仕事の第一段階からいいますならば、前にも出ました労働省元事務次官の問題などなどがあるでありましょうし、第二段階のことを言うならば、さまざま審議会関係のこともあるでありましょうし、あるいは安比何とかというものもあるでありましょう。そして最も大きな問題として、今も出ているこの情報通信産業への飛躍という中でのNTTの問題なんか出ているというようなことであろうと思います。何かそういう全容の構図が出てきたような気持ちがいたします。  さらに三つ目には、やはりそういうことが中曽根内閣時代、特に第二次中曽根内閣時代に急速に江副という方が、あの人若いのによくこんな年配の方がいる審議会にいるなとか、あるいは文部省その他の関係の中で、あの人どうしてなったのかなとか、政府税調もございますけれども、さまざまなところに急進出している。これはもちろん任命権者である政府とは無関係ではないという現象が一つの特徴であったと思います。  そうして四つ目には、そういうものとこの膨大な還流株の問題ですね。この間立花さんというあの評論家の方も言われておりましたけれども、どちらにいたしましても百五十万株くらいは還流しているだろう、いろんなケースを全部計算して挙げてございますけれども、私もこの雑誌を読んでみましたが、一株で二千五百円の利益としても三十七億か四十億ぐらいになる、しかも公開のほんの一、二カ月前に集中している、そのときには公開時の値決めは既に業界、幹事、主幹事証券会社も含めてはっきりしていたはずである、確実にもうかる公開直前のこの株は現金、ホットマネーと同様であるということを指摘いたしておりますが、そういうことではないかなというふうに思います。  しかも、そういうものに、第五にはやはり中曽根内閣の大きな関連というものが浮かんできたような気持ちがいたします。あえて申しますが、これは事実ですから申しますけれども、今までの指摘の中でも、中曽根第二次内閣の中で主要閣僚を含めまして、官房副長官は閣僚ではありませんが、までも入れますと、閣僚で九名、そしてまた副長官を含めますと十名の主要な関係者がこの問題にかかわっているという特徴的な状態が出ているというふうなことであろうというふうに思うわけであります。そういう中のメンバーの方も当委員会理事の構成メンバーでもございますけれども、それらを考えますと、私は何かその時代の非常に大きな全体的なかかわり合いというふうな気がしてならないわけであります。  そこで、検察庁と大蔵省両方に簡単にお伺いをしたいのです。  検察庁にまず伺いますが、楢崎代議士にかかわるところの松原氏逮捕にかかわる取り調べということから端を発しているわけでございますけれども、それは当然のことであろうと思いますが、この還流株の大きな流れということを解明するということが求められているという、また、それがこの問題の主要な一つのテーマと申しましょうか、構図になっているというようなことだと思いますが、それに対して大量にまた資料も株主名簿も含めてされたそうでありますが、それに対してどのような対応、関心をお持ちでやっておられますか。
  43. 根來泰周

    根來政府委員 従来から申し上げておりますように、国会あるいは報道からいろいろ犯罪の容疑があるとか犯罪の疑いがあるということで御指摘がございます。そういう御指摘については、御指摘は御指摘として検察の方も十分観察いたしまして厳正公平に対処するものと考えております。
  44. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 重ねて伺いますが、私が申しましたように、もう社会の認識も、七十六名の問題、当委員会でも大蔵大臣に厳しい追及がございましたけれども、何かそういう全体構図と申しましょうか、還流株を中心にした問題だろうと思います。重ねて恐縮でございますけれども、やはりそういうものについて当然関心を持って対応されているというふうに思いますが、一般論ではなくて、ちょっと絞ってそういう姿勢については見解表明をしていただきたい、これは国民が関心を持っていることだと思いますので。
  45. 根來泰周

    根來政府委員 私どもが申し上げられることは、刑事事件として楢崎議員が告発された事件について申し上げられるわけでございまして、その他のことにつきましては、これは犯罪の嫌疑がなければ当然捜査ができないわけでございますから、犯罪の嫌疑があるかどうかというのはあくまでも検察庁が判断することでございます。したがいまして、私どもが従来から申し上げているのは、若干後追いになりますけれども、検察が犯罪ということで捜査をやり始めてから国会に報告するということでございますので、今から検察が関心を持っているとかいうことは申し上げられないところでございます。ただ、国会の御議論は検察の方も十分拝聴しているわけでございますから、それ相当の適切な対応をしているものと考えているところでございます。
  46. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 証券局に伺います。  私は、こういうさっき申し上げたような大きな構図と申しましょうか、出てまいったと思います。ですから、しばらく前に当委員会で取引所の中での内規に違反するかどうかとかいった事態とはちょっと規模が違った状況になってきたのではないだろうかというふうに思うわけであります。それで、証券取引所の調査ですね、非常に重大な事態だと思います。新聞を見ましても、例えば登録の取り消しがあるのかどうかとか、二千人いらっしゃる株主さんが困るだろうとか、あるいはまた主幹事会社ですね、これにも何かきちんとしなくちゃならぬというぐらいの重大な状況になっているとか、さまざまの報道では伺うわけでありますけれども、それにきちんと対応されるべき、あるいは報告を受ける立場のあなたとして、その辺はどうなっていますか。
  47. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 証券行政の立場からいたしますと、この問題は二つあると思うわけでございます。  一つは、昭和五十九年十二月に行われましたいわゆる七十六名に対する株式の譲渡の問題でございまして、これにつきましては、既に例の証券取引法第四条一項の届出書を提出すべきであったという判断のもとに、私ども、調査の結果をこの国会に御報告申し上げますとともに、所要の行政指導を行っているところでございます。  それから第二点は、第三者割り当て先からのいわゆる株の還流という問題があったかどうかという問題でございますけれども、この問題につきましては、実は証券取引法上特段の問題があればともかく、いわば第三者間の譲渡の問題でございますので、証取法の問題としてこれを直接的に調査するという立場には必ずしもないわけでございます。ただ、そうはいいましても、この問題が証券業協会の自主ルールとの関係で、いわゆる特別利害関係者等による株式の譲渡があったかどうか、こういった問題につきましては、既に御承知のように、私ども証券業協会とも連絡をとりまして、証券業協会において現在調査中でございます。  その調査結果については、いろいろな事情がございましてまだ私ども報告を受けておりませんけれども、これにつきましては、当面証券業協会の調査の結果を待っていろんな対応を考える必要があるだろうということでございまして、その状況いかんによりまして、例えば発行会社であるリクルートコスモスの体質改善をどうするか、あるいは幹事証券の問題をどうするか、ここら辺は、いずれにしても事実関係の判断がないと、ちょっとここら辺は対応するといいましてもここでどうこう申し上げる状況にはございませんので、そういった問題についてはその調査結果を待って判断したいと思っております。  なお、この問題を契機にいたしまして、いわゆる株式公開制度のあり方につきましてはいろんな議論提起されておるわけでございまして、そういった問題につきましては、こういったふうな特定の者が公開前にその株式の譲渡を得まして特別の利益を得るといったことが、いわゆる株式公開制度全体の信頼性といった問題からいって問題ではないかといったふうな観点から、現在証券取引審議会の不公正取引特別部会におきましていろいろ議論を行っておりまして、この議論を早急に進めて、私どもとしてはその答申といいますか、報告を受けまして、できるだけ早く所要の改善策を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
  48. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 証券局長、その報告というのはまだ来てないというのですが、大体あれですよ、あなた方、自分の担当の分野であり、しかもこれだけ重大な社会問題ですから、どんなところをめどにしているのですか。
  49. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 まだ正式の報告は受けておりませんが、事実問題といたしまして私ども聞いておりますのは、いわゆる関係書類がいろいろ押収されているとかいろいろな事情がございまして、なかなか調査そのものがはかばかしく進んでいるという状況ではないような感じがしておりますけれども、私どもとしては、そういった状況にもかかわらずなるべく早くその調査というものを中間的な段階でもいいからいただくように協会の方に督促しているところでございます。
  50. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 最後に言いたいのですけれども、私はこの問題を見て、今こそ証取法五十八条とかは何のために日本ではあるんだ。アメリカの場合と条文的にはこれは同じですよ。アメリカの証券取引委員会規則十条b−五ですか何かとそれから五十八条と、文章的にはほとんど同じ、言葉がちょっと一カ所違うぐらい。アメリカの場合には厳しく発動されている。日本の場合にはただの一遍も発動されたことがない。しかも、どう発動したらいいかなというので、そのやり方か何かを今ごろさまざま相談をして、十一月いっぱいから年末までかかるといったような状態ですね。私はこれがおかしいと思うのです、要するに。  何で一体こういう法律をつくって——アメリカでは、こういう問題が起きたらやはり国民皆さんの前にクリアにするような果断な措置がとられるシステムがある。大統領直属である。強力なスタッフもシステムもある。日本の場合にはそうなっていない。しかも、一遍も発動されていない状態のまま、何か弁護するような話でいつもずるずるずるずる終わっている。私は、今みたいな大規模な状態というのは今までおよそ前例のないことですから、私も大蔵委員会に十年以上おりましたけれども、こんな話は聞いたことはないですね。  私は、行政の立場からこれでいいのかと思うのは当たり前だと思うのです、これは。そういう立場からやはり毅然と対応する、そして法律的に今できない不備があるならば、やはり将来に向けて立法しなければならぬということを考えるのが、この分野のあるべき健全な発展についての何か信念を持って当たられているお役人なり官庁の立場であろうというふうに私は思うわけでありまして、そういう姿勢を持ってこの際当たるべきではないかというふうに思いますが、大臣よりもやはりあっちだな。
  51. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 ただいま証券取引法第五十八条のお話がございました。証券取引法五十八条というのは、御承知のようにこれはいわば詐欺的な取引を防止する規定でございます。本件の例えば第三者割り当て先からの譲渡といった問題、こういう事実についてはいろいろまた問題があるわけでございますけれども、それがいわゆる詐欺的行為になるかどうか、つまり売った人と買った人との間に何か詐欺的行為があったかどうかということになりますと、どうも私どもの感じといたしましては、証券取引法五十八条の詐欺的行為というふうにこれを認定するわけにはなかなかいかないだろうというふうに思うわけでございます。  ただ、そうは言いましても、こういったことが一般投資家に対する関係におきましての不公平感という問題があります。そういった意味では、株式市場全体の公平性という問題から、制度的な改善策を含めて、先ほど申しましたように証券取引審議会においていろいろ改善策を議論していただいておる、こういうことでございます。
  52. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 残念ながら時間になりました。  ただ、これは総理も大臣もよくお聞きをいただきたいと思います。今証券局長はあんな答弁をいたしました。五十八条には「取引について、不正の手段、計画又は技巧」をしてはならないと書いてあるのですよ。これは不正の手段に当たらないのですか。あるいはそういう計画に当たらないのですか。これは技巧もいいところじゃないですか。私はまるで消極的だと思いますよ。行政の立場でも、少なくとも行政に当たられる第一線、あるいは責任を持たれる皆さんが、こんな状態で日本はいいのだろうか、どうしたらいいのだろうかという気持ちを持ちながら担当されるのが筋ではないだろうか。不備な現行法あるいは発動されてない現行法、それを物差しにして全部やるというのでは、これは一体どうなりますか。  私は、税法の審議がございますけれども、総理もいらっしゃいますから、時間ですが一言申し上げます。何か与党の中にも、リクルートはリクルート、税法は税法、分けたらどうかというような少数意見があるようであります。私は、絶対そうはならぬというのは、こういう状況の中で、税調委員だって関係者がいるわけですよ。提出をした関係者がそうでしょう。この委員会理事の人だっているわけですよ。そんなことをきちんとしないで、国民責任のある将来の負担はお願いできないと私は思います。その面については厳しくやっていきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  53. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて伊藤茂君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ────◇─────     午後一時二十八分開議
  54. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。冬柴鉄三君。
  55. 冬柴鐵三

    冬柴委員 公明党を代表いたしまして、質問をいたしたいと思います。  我が党は、党内にリクルート問題調査特別委員会というものを結成いたしまして、昨日、十一月一日午後には横浜市にあるNTTのデータ通信株式会社、そこへ緊急調査に伺いました。坂井団長を先頭に八人の衆参国会議員が参加いたしまして、ここへ参りました。ここはアメリカのクレイ社製のスーパーコンピューターが設置されている場所でありまして、そこで調査をいたしました。  ところが、そのときに、今までNTTの真藤会長が、クレイ社からNTTがこのスーパーコンピューターを導入し、そしてそれをNTTからリクルート社へ転売をした、このようなことが明らかにされているわけでございますけれども、十月二十九日の産経新聞に報じられている真藤会長の一問一答によりますと、この代金の動きあるいは請求書の流れというものにつきまして、クレイ社からの請求書はそのままリクルートに回し、その後、NTTが納入などに要した実費を別途リクルートに請求をいたしました、このように述べておられるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、クレイ社とNTTの契約関係が存在するのに、第三者であるリクルートからクレイ社に代金を支払いをする、請求書を回す、これについては非常に疑問に思っていたわけでございます。その点についてNTTの担当者にただしましたところ、この真藤会長の一問一答とは違う説明をされました。  そこで、郵政省にお尋ねしたいのですが、この十月二十九日の産経新聞が報じた真藤会長の一問一答というのは訂正する必要があるのではないかと思うのですが、いかがでございましょう。その点についてまずお伺いをいたします。
  56. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの件でございますけれども、真藤会長がお話の中にあります記者会見でどういう話をされたかということについては、実は私どもまだ確認がとれてございません。ございませんが、ただ、この件につきまして私どもがNTTから従来から報告を受けているところによりますと、こういうことでございます。  NTTがクレイ社からスーパーコンピューターを購入するのに要しました費用に加えまして、システム設計料などの必要経費を加算した金額をリクルート社に請求した、こういう報告をNTTから受けているところでございます。
  57. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それでは、実質的に真藤会長の発言とは違うわけでございますから、実質上修正をされたものと受け取りたいと思います。  そこで、委員長にお願いをしたいわけでございますけれども、NTTがクレイ社から導入をいたしまして、そしてリクルートに転売をしたと言われるこのスーパーコンピューターにつきましては、従来から国会でも論議はされていますけれども、どうも契約関係が明らかにされておりません。そこで、委員長におかれましては、理事会にお諮りの上、NTT対クレイ社の売買契約書、それからNTTからリクルート社への売買契約書、それから、このコンピューターが陸揚げされまして組み立てあるいは配線、そのようなコンピューターが作動するまでの諸工事はNTTがやっているようでございますから、恐らくこの設計あるいは建設委託契約等がNTTとリクルート社の間でもなされていると思われます。したがいまして、そのような契約書、それから後の補修契約についても、あればそれも契約書、それから、このコンピューターは実はNTTの子会社であるNTTデータ通信株式会社という社屋の中に納められているわけでございますから、この社屋の使用関係を明らかにする賃貸契約書、このようなものをぜひこの委員会に提出をさせるように取り計らいを願いたいと思います。
  58. 金丸信

    金丸委員長 理事会に取り計らいます。
  59. 冬柴鐵三

    冬柴委員 よろしくお願いします。  それでは、重ねてお伺いを続けたいと思いますが、このリクルート問題というものは、国会における長時間にわたる審議とか、あるいは精力的なマスコミ報道等によりまして、当初政官界におけるモラルの面ということでいろいろ議論をされていましたが、やや法律的な、いわば贈収賄事件に傾斜を進めているのではないかというのが昨今であると私は考えます。  そこで、法務省刑事局長にお伺いしたいわけでございますけれども、この贈収賄という刑法上の罪刑につきましてお伺いしたいわけでございます。  典型的な贈収賄というのは、刑法百九十七条に定める単純収賄罪、それから受託収賄罪というものが典型的なものでございますけれども、やや特殊な類型である事後収賄罪、公務員がその職を去った後にわいろを収受した場合にどうなるかという、これは刑法百九十七条ノ三第三項というところに規定されておりますけれども、この三つのわいろ罪につきまして、教科書的で結構でございますから、その構成要件、また、その三つの間の相違点などをわかりやすく説明していただきたい、このように思います。
  60. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお尋ねのわいろ罪に関しての条文でございますけれども、御指摘のように、百九十七条に「公務員又ハ仲裁人其職務ニ関シ賄賂ヲ収受シ」云々というところがございます。これは、結局公務員がその職務に関係して、その職務の、端的に言えばお礼というような意味でわいろを受け取ったときにはわいろ罪、わいろを収受したということで五年以下の懲役に処せられるということでございます。  それから、二番目の請託というのがこの後段にございますけれども、公務員がその職務に関係しまして、その職務に関係することについて何かお願いをされまして、そのお願いを受けた場合、そのお願いを受けたことに対してのお礼といいますか、そういうことで金銭的なものを授受した場合に請託収賄が成立いたしまして、このときは七年以下の懲役に処する、こういうことになっているわけでございます。  三番目の類型でございますが、これは公務員の身分を失った後にお金をもらったという場合を想定しているわけでございまして、それは、公務員の在職中に請託、お願いを受けまして職務上不正の行為をなすとか、あるいは相当の行為をしないとかいうようなことをいたしましたお礼ということで公務員の身分を失ってからわいろを受け取った場合、こういうことでございまして、この場合はやはり五年以下の懲役に処する、こういうことでございます。
  61. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そこで、ある公務員が一つの権限を持っている。そのときに、いわゆるお礼の趣旨でわいろを受け取れば簡単に単純収賄罪、あるいは物を頼まれれば受託収賄罪が成立するわけですが、この公務員が栄転をした、職場をかわった。そのかわった後に前の権限を持っていた人からわいろを収受した、このような場合には一体単純収賄罪が成立するのか、あるいは事後収賄罪が成立するのかという点につきまして、学説上も争いがあるようでございます。  最高裁判所の昭和二十八年四月二十五日の第二小法廷の決定というのがございます。これは、この問題を端的に説明をいたしておりますので、要旨をちょっと読み上げますと、「公務員が他の職務に転じた後、前の職務に関して賄賂を収受する場合であつても、いやしくも収受の当時において公務員である以上は収賄罪はそこに成立し、賄賂に関する職務を現に担任することは収賄罪の要件でないと解するを相当とする。」すなわち、職場をかわっても公務員であるうちにわいろを受け取った場合には、その受け取ったときには職務権限がなかったとしても単純収賄罪が成立するのだ、こういうような端的な判例を形成しているわけでございますけれども法務省刑事局長にお伺いしますが、この判例は昭和二十八年以来今日まで変更されていませんかどうか。そして、もし変更されていないとすれば、当然に法務省の実務というものはこの判例に則して運用される、このように理解していいかどうか。その点についてお伺いをいたします。
  62. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまの問題に関しましては、ただいま御指摘の昭和二十八年四月二十五日の裁判例以外に、昭和二十八年五月一日及び昭和五十八年三月二十五日に同旨の最高裁の判例がございます。したがいまして、私どももこの趣旨を踏まえまして実務の運用をしていると理解しております。
  63. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それでは、労働省に対して順次お尋ねをいたしたいと思います。  株式会社リクルート人材センターという会社があります。この会社は、昭和五十二年に設立されているようでございますけれども、定款を見ますと、その目的第一項に、職業紹介事業、こういうものを目的に掲げております。そういたしますと、職業安定法第三十二条一項ただし書きに定める労働大臣の許可を与えられていると思いますが、この事実を労働省に御確認をいただきたいと思います。  重ねて、この大臣許可というのは有効期限が一年というふうに承知いたしておりますが、五十二年以来十年余り、毎年これは更新されて今日まで来ているかどうか、それについてもお答えをいただきたいと思います。
  64. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 リクルート人材センターに関するお尋ねでございますが、これは昭和五十二年に人材情報センターとして発足をいたしまして、後に昭和五十九年にリクルート人材センターと社名を変更いたしております。その間、今日に至るまで、これにつきましての許可は更新をされております。  なお、このリクルート人材センターのほかに、各地におきまして、例えば大阪でございますとか横浜、名古屋あるいは新宿、東京におきまして新宿にも、新たにリクルート人材センターが設立をされまして、それについての許可が行われております。
  65. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そういたしますと、少なくともこの十二年間毎年大臣の許可というものが更新をされてくるわけでございますから、その間、同社を監督指導する、違反をすればこの与えた許可を取り消す、このような強い権限が労働省にあるわけでございますけれども、労働省組織令八条二号というところによりますと、これは職業安定局長が大臣に次ぐその最高責任者としてつかさどる職務権限である、このように規定されておると思うのでありますが、職業安定局長の職務権限と理解してよろしいかどうか、お尋ねをいたします。
  66. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 労働省設置法あるいは組織令におきまして、この民営職業紹介事業の許可に関する事項は、これは職業安定局の所掌であるということでございます。  なお、先ほどの御答弁に付言して申し述べますならば、今までおよそ二千七百の許可が与えられている、そのうちの六つということでございます。
  67. 冬柴鐵三

    冬柴委員 このリクルート人材センターの筆頭株主はだれなのか。リクルート社がもし筆頭であるとすれば、持ち株比率は何%に達しているのか。そしてまた、リクルートの元会長である江副浩正さん、この人は同社設立以来今日まで役員として重任を重ねていられて、今日も監査役であると理解しておりますが、この点についても御確認をいただきたいと思います。
  68. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 リクルート人材センターは、一〇〇%リクルート出資の子会社でございます。
  69. 冬柴鐵三

    冬柴委員 じゃ人材センターはそれぐらいにいたしまして、次に株式会社リクルートについてお尋ねをいたしたいと思います。  このリクルートの定款も調べてみますと、この目的第一項には広告事業、それから第三項には出版事業、このようなものを定めておりまして、具体的には「とらばーゆ」など就職情報誌を発行いたしておりまして、この発行業界では実に八〇%のシェアを占有し、業界の最大手の会社である、このように理解しているわけでございます。  ところで、このリクルートと労働省とのかかわりにつきまして伺いたいのでありますが、労働省設置法、この中には、「労働者の募集に関すること。」という事項が労働省の所掌事務と定められております。また、労働省組織令、これには、この事務は職業安定局がつかさどると定めています。この二つの法令というものを根拠といたしますと、職業安定局長はリクルートの求人広告誌について指導をする職務と権限があると理解をいたしておるのですが、その点についてお尋ねをいたします。
  70. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 就職情報誌は労働者の募集行為でございます。したがいまして、労働者募集に関することは労働省の責務である、安定局の責務であるということでございますので、それは管轄下でございます。
  71. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それでは、加藤孝前労働事務次官のことについてお尋ねをしたいと思います。  同氏は、昭和五十八年七月から六十年六月まで職業安定局長の職にありましたね。その点についてまず確認をいただきたいと思います。
  72. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  73. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この加藤元職業安定局長は、その後労政局長を経られまして労働事務次官に転じていられますが、その事務次官在任中の六十一年九月ごろに、職業安定局長時代にいわゆる先ほども確認いたしました指導の職務権限を有していたリクルート社から、店頭登録直前で値上がり確実であり特別な人でなければ入手することができない子会社のリクルートコスモス社の株式を譲り受け、約二カ月後の店頭公開直後に売り抜けて利益を手中にされた、こういうことが報道され、本人も認められているようでございます。なお、この株式を買い受ける代金につきましては、リクルートの子会社であるファーストファイナンスから融資を受けられたという事実も明らかにされております。  当時、労働大臣は、本人から納得のいく説明を受ける、このようなことをマスコミ等にも約束をされており、釈明もしていられたようでございますけれども、特に、一体何株を譲り受けられたのか、またファーストファイナンスからの借入金は幾らだったのか、調査されたと思いますので、その点についてお尋ねをいたします。
  74. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 加藤氏本人から事情を聴取いたしましたが、六十一年の九月ごろに一千株を知人の元リクルート社員の勧誘によりまして購入をいたしまして、同年の十一月に、一株三千円で購入したものを五千円強で売却をした、このように聞いております。  ファイナンス社からの融資を受けたということでございます。具体的な金額は、その購入代金というふうに聞いております。
  75. 冬柴鐵三

    冬柴委員 購入代金と言われましたが、金額は幾らになるのですか。その点について。
  76. 清水傳雄

    清水(傳)政府委員 購入代金としてということしか聞いておりません。
  77. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それでは調査にならないと思う。  労働大臣からお答えをいただきたい。労働大臣は、当時、納得のいく説明を本人から受ける、このように言っておられます。労働大臣からその点についてお答えをいただきたい。
  78. 中村太郎

    中村国務大臣 労働省は加藤前次官の行為が犯罪を構成するかどうかということを定かにする立場ではございませんけれども、行政に対する信頼の保持という点から、私どももできるだけ細かに内部調査をすることも当然の責務であると考えておるわけでございます。  そこで、十一日の朝の新聞報道がなされましたので、その日の午後、早速部下をして事情聴取をさしたわけでございます。その結果は、私どもへの報告につきましては、あくまで加藤さん個人の個人的な行為であって、そのために在職中政策決定をゆがめたり便益を供与したようなことは全くありませんという報告を受けておるわけでございます。私としましては、仮にそれがそうであったとしましても、労働省の事務次官という最高幹部の職にあったわけでございますから、この一連の行為というものが労働行政に対する信頼を損ねたという点につきましてはやはり大きな責任があると感じておるわけでございまして、大変残念なことだというふうに感じておるわけでございます。
  79. 冬柴鐵三

    冬柴委員 労働行政に対し国民の疑惑を招いた、そのような意味から積極的に、検察のような立場はないけれども、調べた、ここまでおっしゃるのであれば、当然に、その取得代金をファーストファイナンスから借り受けた、そういう事実が明らかになれば、幾ら借りたかということを明らかにするのは当然である、このように思います。また、こういうことを最初に報じた新聞紙上によりますと、本人は株数を説明することを拒んでいるのでありまして、私は、千株ではないのではないか、それ以上取得していられるのではないか、このように強く疑問に思っているのでありますが、間違いありませんか、その点について大臣の説明をいただきたいと思います。
  80. 中村太郎

    中村国務大臣 私が事情聴取の結果受けた報告は、ただいま官房長からお話を申し上げたとおりであります。
  81. 冬柴鐵三

    冬柴委員 検察庁にお尋ねいたします。  本件につきまして捜査中でありますかどうか、何か今尋ねている譲り受け株数、あるいはファーストファイナンスについての融資契約書等任意提出、押収という手続がされているかとも思うわけでございますけれども、その点についてお教えいただけることがあればぜひ述べていただきたい、このように思います。
  82. 根來泰周

    根來政府委員 従来から申し上げておりますように、このリクルート問題の刑事事件というのは、非常に顕在的になっているのは楢崎議員が告発された事件でございます。その他の件につきましては、国会の御指摘がございますから、その御指摘は御指摘として検察庁が承り適切に対処するであろうという予想といいますか、そういうことを申し上げているわけでございまして、その事件がただいま捜査の対象になっているかどうかということについて申し上げる立場ではないというふうに考えております。  なお、それに関連して証拠書類等を押収したかどうかということについても、従来から、どういう品物が検察庁の手元にあるかということについては答弁を勘弁していただいていますので、ひとつその点御理解いただきたいと思います。
  83. 冬柴鐵三

    冬柴委員 このリクルート問題が起こった直後に、最高裁判所の第二小法廷は、六十三年七月十八日に注目すべき決定を下しております。要旨といたしましては、株式会社の株式が証券取引所等において新規に上場されるに先立ち、「間近に予定されている上場時にはその価格が確実に公開価格を上回ると見込まれるものであり、これを公開価格で取得することは、これらの株式会社ないし当該上場事務に関与する証券会社と特別の関係にない一般人にとつては、極めて困難であつたというのである。以上の事実関係のもとにおいては、右株式公開価格で取得できる利益は、それ自体が贈収賄罪の客体になるものというべきである」、このような注目すべき決定をしております。  この決定と、先ほどの古い決定ですが、判例を構成しているということを確認された二十八年の最高裁決定とを総合いたしますと、私は、この加藤労働事務次官、元職業安定局長がそのような会社から株を譲り受けられたということは、少なくとも単純収賄罪が成立することが濃厚に疑われるのではないか、このように考えるわけでございます。刑事局長、かかる観点も視野に入れて捜査をされていると信じていますが、その点についてもう一度答弁をお願いしたいと思います。
  84. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま御指摘の件につきましては、坂上委員、坂井委員あるいは児玉委員から同様の御指摘がございまして、また本日詳しく御指摘がございました。こういう点につきまして、私どもの立場といたしまして、従来から繰り返して申し上げておりますように、犯罪であるとか犯罪の疑いであるとかいうことについては私どもは申し上げる立場にないわけでございます。  といいますのは、要するに、犯罪捜査機関を持っておる法務省といたしまして、それを頭越しにしましてこれは疑いがあるとかなんとかと言う立場ではないということをひとつ御理解いただきたい。それから、私ども行政機関として公の立場でその人が犯罪人であると言うことも人権上いかがであるということもまた御理解いただけると思います。さらにまた、いろいろ御議論がありますように、指揮権の問題がございます。私どもが積極的に言うなり後ろ向きに言うなりすれば、それは検察庁が反応することになりますので、それはやはり指揮権の問題と絡めて不適当だというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、従来からニュートラルに申し上げているわけでございまして、そういう御議論は十分検察庁も拝聴をいたしております。検察庁が、犯罪の嫌疑があるというならば、それは犯罪捜査権を行使しまして適正に対処するであろうというふうに考えております。その辺、御理解いただきたいと思います。
  85. 冬柴鐵三

    冬柴委員 重ねて、加藤孝氏が職業安定局長の在任中の昭和五十九年の末ごろから六十年三月にかけて、人材派遣事業に関する法律の制定とそれに伴っての職業安定法の一部改正、いわゆる手直しをされる法案の作成、そして国会への提案ということが行われました。その直接の責任者が加藤職安局長でありました。  この職安法の一部改正に便乗する形でというふうに私は思うのでありますが、文書募集、求人広告に関する職安法三十五条ただし書きの削除ということが行われました。この三十五条のただし書きというのは、このような規定でありまして、通常通勤することができる地域以外のエリアから労働者を募集しようとする場合においては、公共職業安定所に通報しなければならない、このような規定でありました。これが削られたわけでございます。この規定を受けまして、労働大臣等は、必要な場合には募集時期、募集人員、募集地域その他募集方法について制限ができるという、募集業者を通じてではありますが求人広告業者に対する強い指導権限のほとんど唯一といってもいい規定であったと私は理解しているわけでございます。  当時、国会論議の中でも、高給優遇、女性を求めるという広告に応募して女性が行きましたところ、このような場所でなんですが、愛人バンクだった、こんなケースがあったそうでございますし、また、不動産会社の営業職員を求めるということで応募して行ったところ、まずみずから不動産を買わなければ営業はできない、だから我が社の土地を買え、いわゆる土地を売りつけられたというようなこともあったということが国会論戦の中にあらわれております。したがいまして、当時、虚偽広告や誇大広告の取り締まり、そしてこのような情報誌業者に対する罰則強化まで論じられていたときに、逆行するようにこのような改正がなされたと言われているのであります。私は、情報産業社会にあって広告の公共性ということにかんがみますと、この措置は大いに疑問を感ずるのでございます。  労働省にお尋ねをいたしますが、この改正をなすにつきリクルート側からただし書きを削除すべきであると働きかけられた事実はありますか。陳情を受けたという事実はありませんか。その点だけについて御確認をいたしたいと思います。     〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕
  86. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 安定法三十五条ただし書きの削除の問題につきましては、当時の中央職業安定審議会におきまして、労、使、公益十分に合議の上決定されたことでございます。その間におきまして特にリクルート社からそのような申し出があったという事実はございません。
  87. 冬柴鐵三

    冬柴委員 では、そのような趣旨の書面が労働省初め各界に配られたという事実はありませんか。
  88. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 そのような事実は承知しておりません。
  89. 冬柴鐵三

    冬柴委員 法務省刑事局長にお伺いいたしますが、ただいま私が指摘した問題点は、受託収賄を問擬する場合には非常に重要なポイントであろうかと思います。これを視野に入れて捜査を進められたいと思います。一言御答弁をいただきたいと思います。
  90. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまの御意見は、検察庁も拝聴していると思います。
  91. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私は、リクルート関連会社、二十六社あるようでございますが、代表的な会社の定款、商業登記簿等を徴しまして「目的」を調べてみました。労働省、運輸省、建設省、郵政省、大蔵省等々非常に多くの省の許認可にわたる事項がたくさん「目的」の中に入れられております。私は、きょう時間の関係で労働省について取り上げましたが、今後引き続き各省庁にわたってこのような問題点の指摘をしていきたいと思いますが、六十一年九月ごろに店頭公開直前の株式を取得して売り抜けて巨額の利益を手中にした、そのような政治家あるいは官僚という人たちが随分たくさんいられる。検察庁は既にその証拠書類をすべて押収して分析中であると報ぜられております。  私は、先ほどの二つの最高裁の決定を総合いたしますと、このような政治家が所管大臣としてリクルート及びリクルート関連企業に対する許認可や指導監督の権限をもと有した、また高級官僚としてかかる職務権限を有していた、そういう人たちが退任あるいは転任した後に株式を入手した場合であっても、単純収賄罪が成立するということを示唆しているわけでございます。  これは一般的な問題点として法務省刑事局長にお尋ねしたいと思うのですが、このような許認可権を有していた所管大臣を退任をいたしまして国会議員にとどまっているという人がこのような今回のコスモス株を譲り受けた場合も、先ほど私が読み上げました昭和二十八年四月二十五日の第二小法廷決定の射程距離にあると考えてよろしいかどうか。刑事局長の一般論としてで結構ですがお答えをいただきたいと思います。
  92. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま御指摘の具体的な事件を全く横に置いてということで御理解いただきたいのでございますけれども、そういう例の場合には、転職前の職務に関しわいろを収受したという裁判例もございます。
  93. 冬柴鐵三

    冬柴委員 法務省は、その射程距離にある、このような答えであると私は理解をいたします。  そこで法務大臣、リクルート疑惑の捜査につきまして、先ほどもちょっと刑事局長口にされましたけれども、指揮権の発動をされることはないと信じていますが、ここで国民に対して徹底解明についての所信を伺っておきたいと思います。
  94. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 現在検察当局におきましてはまず厳正公平に捜査を進めておるという段階でございまして、私は、かねてから申しておりますように、検察当局を信頼をしておるわけでございます。したがって、この検察当局に対しましてとやかく申すということは差し控えたい、かように存じております。
  95. 冬柴鐵三

    冬柴委員 非常に重大な問題でありますので、最後に総理大臣から、この事案の全貌を徹底的に解明する、そういうことについて政府も全面的に協力するという立場をとられると思うのですが、その点について所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わり、同僚議員に譲りたいと思います。
  96. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 いつも申し上げますように、証取法上の問題、税法上の問題、それから刑法上の問題、また私をも含む道義的責任の問題、およそこういうことに私はこれを分別いたしておりますが、今、刑事上の問題につきましては、法務大臣もお答えがありましたように、それこそ刑罰法令に触れるということになるとすれば、まさに検察そのものが適切な対応をするであろうというふうに私は信じておるところであります。
  97. 冬柴鐵三

    冬柴委員 じゃ、終わります。
  98. 羽田孜

    ○羽田委員長代理 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。竹内勝彦君。
  99. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 我が党は、不公平税制是正、それから行財政改革、そういったものの徹底を図ることと、さらにまた高齢化社会、社会的弱者へのそういった対応など、二十一世紀を見据えた上での今後の長期展望というものが大事であるということをかねがね要望してきております。そこで、問題点を絞りまして、行財政改革、それから福祉に関して、限られた時間でございますので、若干質問をさせていただきますが、本日午前中におきましても同僚議員からあわせてその問題に関して質問がございました。したがいまして、できるだけ重複は避けたいと思いますので、簡潔明瞭に総理並びに関係大臣の御答弁を求めるものでございます。  まず、今回提出になりました「行財政改革の推進について」、十月二十五日付で総務庁・大蔵省、こういうことで出ておりますけれども、この行財政改革の推進につきまして、まず最初に竹下総理の御決意を伺っておきたいと思います。
  100. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 そもそも昭和五十四年の暮れの決議にさかのぼると私は思うのでございますが、このいわゆる行政改革を行い、歳出の節減合理化を行い、その後税制改革等を行いながら財政再建に当たるべきである、こういうとき以来この行政改革というのを今日まで歴代の内閣が進めてこられたというふうに私は思っておるわけであります。  しかしながら、ああした大きな反響を呼んで、専売公社、電電公社あるいは日本国有鉄道、これらが民営化された。ここでその果実が生まれるようになった今日、ややもすれば、そういう目に見えるものが終わりますと何だか行政改革に対する決意が失われたではないかという懸念があることを私も十分承知をしております。いつかも申し上げましたが、むしろ原点に返ってこの行財政改革、特に行政改革の問題に取り組んでいかなければならないというふうに私はふだんみずからにも言い聞かしておるところであります。
  101. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで総務庁にお伺いしておきますが、この「行政改革」の中にも、「経済社会情勢の新たな変化に対応し、行政の役割を見直す」、このように言われておりますし、なおかつ、「行政をこれからの時代にふさわしいものに作りかえていく」、こういうように言っておりますけれども、その具体的な中身について明確にしていただきたい。この後「財政改革」という順序で続いていくわけですが、財政改革と比較しますと、財政改革の方はかなり中身も具体的に入れてございますが、行政改革の方はどう見ても総論的な感じを受けるわけでございます。まずその行政改革の具体的な中身を総務庁長官、御答弁いただきたいと思います。
  102. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 先般「行財政改革の推進について」ということでお出しをいたしました資料の三ページ以降に、「重要施策」ないしは「行政組織・定員」「現業等」「公社、特殊法人等」ということでそれぞれ文書をもってお示しをしているところでありますが、この内容につきましては、従来臨調、旧行革審ないしは現在行っております行革審の六月の意見具申等を踏まえましてまとめたものであります。  ここにまとめますにつきましては、各省庁間におきましてそれぞれ文言等につきましても十分検討いたしました上で、ぜひこの内容で実行したいというかたい決意のもとにお出しをしたものであります。一応中期見通しということでありますので三年ないし五年ということでお示しをしておるわけでありますが、ただその中には、例えば国有林野事業などにつきましてはおおむね昭和七十二年までとか、あるいはまた国立病院・療養所等についてはおおむね十カ年を目途としてというようなことで、三年ないし五年以上の長期にわたるものもございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、ここにまとめたものにつきましては政府責任において断行するという決意をもってお示しをしたものであります。
  103. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この四ページ目にもございますが、「行政組織・定員」というところで、肥大化を徹底して抑えていく、特に第七次定員削減計画、これは削減目標六十二年度から六十六年度五年間で四万四千人、こういった削減計画を実施するんだ、こういうようにございますが、この定員に関しての進捗状況、さらにまた、引き続き定員の縮減に努めるんだ、こういうようにございますが、そういった具体的な目標値というか、今後の問題等も含めて、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  104. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 第七次定員削減計画は、全体といたしまして八十七万九千六百九人の定員を毎年一%ずつ五カ年で五%の削減を目指すものでありまして、その削減の総数は約四万四千人、四万三千九百八十人という数字を目標といたしておるところであります。  それで、昭和六十二年、六十三年と二年度にわたりまして実施をいたしました結果、一万九千九百八十七人の削減をいたしているところでありますが、ただやはり、国立大学でありますとか国立病院・療養所あるいは外交、治安、航空安全、国税、登記等々、いろいろな面での新規行政需要も生じておるわけであります。したがって、増員数が一万二千三百五十人ございまして、差し引き純減は七千六百三十七人ということに相なっておりますが、引き続き定員の削減についてはきちっとやっていきたいというふうに考えております。
  105. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この行政組織というもの、これは国民の行政ニーズに対応し、絶えず抜本的な整理合理化、こういったものが必要でございます。この前も報道がございましたが、総理府における広報予算汚職問題であるとかあるいは外務省のいわゆる株式マネーゲーム事件といいますか、そういうようなものに見られる行政組織の汚点というものも目立っておるわけでございますが、こういう中で行政組織の活性化、こういったものはどうしても重要でございますし、そしていかに整理合理化、こういったものを図っていくか、さらにまた一連のこうした公務員への不信、そういったものを高める事件等について抜本的な改善策というものが必要でございます。現在どういうような対応で臨んでおるのか、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  106. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 綱紀の粛正に関しましては、昭和五十四年十一月でありますが、「一部政府機関の不正経理問題その他公務員等の綱紀にかかわる一連の問題については、引き続き事実を徹底的に究明し、不正の事実に関しては関係者の厳正な処分を行う。」ということを内閣総理大臣指示として行われておるところであります。いろいろな項目が掲げられておりますが、要はこれら掲げられました項目をきちっと実行することであって、新たなることを提案をするよりは決められていることをきちっとやるということが最も肝心ではないかというふうに考えております。  「昭和六十三年度における人事管理運営方針」というところでも、各省庁の人事管理官を集めまして、総務庁長官といたしまして綱紀の厳正な保持ということについて強く要請しているところであります。
  107. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 総理にお伺いしておきます。  総理は、去る九月二十七日でございましたか、「ふるさと創生」、多極分散型国土形成のため、そういった中で、特に政府主催の全国知事会議でこういうように述べたという報道がございます。新行革審で国と地方との事務再配分、機関委任事務、役割分担のあり方について議論するのが一番適切だ、重点的に御審議いただきたいと考えている、こういうような趣旨のことが報道されておりました。  総理、お伺いしておきますが、政府機関の首都圏の移転問題、これに関して、この移転の時期、それから費用が不透明である、こういった面でそういった不明確さが指摘されております。移転が決まった政府の機関七十九機関と言われておりますけれども、この機関に関しての具体的な移転のタイムスケジュールあるいは総費用計画を国民に早期に提示すべきだと思いますけれども、同時に、政府機関の移転に伴って特殊法人が移転を要する、こういうことが提示されておりますけれども、特殊法人の移転は今後具体的にどのように進んでいくのか、あわせてお伺いしておきたいと思います。
  108. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 事によったら専門家のお助けをかりなければならぬと思うのでございますが、国の行政機関等の移転につきましては、特殊法人を含めまして、七月、移転の基本方針と移転の対象となる機関を決めた。そうして、これを受けまして、各省庁でできる限り速やかに移転先等の検討を行いながら、それぞれの機関の移転の条件等が整備され次第逐次移転を進めていく、こういう抽象的なことまではお答えできる段階になっておるわけでございます。  したがいまして、まずそれがための場所が決まりまして、そしてそれに伴う予算というものも必要になりますし、したがって、私は、決まったもので今直ちに予算を要さないものもあるいはあろうかと思いますけれども、やはり庁舎そのものを建て増したり、借りて入るところもございますが、そういう準備のためには、結局来年度予算というものにある程度の準備の費用というものが計上され、そして今度は来年度の概算要求までにはさらに具体的な予算措置というものがやられていかなければならぬというふうに進むであろうというふうに思います。  特殊法人につきましては、御関心があろうかと思うのでございますが、いわゆる公務員と違いまして労働三法の適用を受けるわけでございますので、幾分、いわゆる国の機関そのものとそうした労働関係の法律等は若干違う点もございますけれども、私はそれらの関係においても理解を得ながら進んでいくであろうというふうに期待を大いにしておるというところでございます。  今竹内委員おっしゃいましたタイムスケジュールというものをすぐ出せというところまでは、いましばらくの時間をいただきたいというのが率直な私ども気持ちでございます。
  109. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 総理、そうすると、この七十九機関というものはめどというものがどうなっておるのか。今後どんどん延びていってしまうというような危惧を私ども抱くわけでございますが、七十九機関に関してはどれぐらいのめどできちっとした移転というものをやっていくのか、そういった面をもう一度御答弁いただきたいと思います。
  110. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの七十九機関、四十九機関が国の機関、三十機関が特殊法人でございます。そのほかに十一部隊、自衛隊の部隊がございます。それぞれの機関によりまして、現在既に予算を計上して移転を進捗中のもの、来年度概算要求中のもの及びこれから例えば特殊法人等につきまして組合等の合意形成を図りながら移転を進めていくべきもの、さまざまな段階のものがございまして一概には申せませんが、今回の法律の趣旨及び四全総の趣旨に即しましてできるだけ早期に予算化し、実現するように努力中でございます。
  111. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 専門家にしては、今の総理と似たような言い方で、わからない。どれぐらいのめどで、例えば三年とか五年とかいろいろあるが、その点をきちっと答弁してもらわなければ、何を言っているんだかわからない。どちらでもいいです。総理でもいいし、専門家でもどちらでもいい。どっちが専門家なんだ。
  112. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 簡単に申し上げます。
  113. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 総理に答弁させろよ。
  114. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 そうですか。——それでは私どもから事務的に申し上げさせていただきまして、もし必要ならば総理の方でまた……。  事務的に申しますと、ただいま私ども大蔵省、総務庁におきまして具体的な各省庁のヒアリングを終了したばかりでございます。その中で各省庁から子細に組合との交渉のぐあいあるいは例えば移転先地の選定のぐあい等を聴取しております。一番早期に移転時期を決定できますのは、本年の十二月、来年度の概算要求時期にある程度の機関名が移転先地を決定できると思います。その次が来年度の概算要求を各省庁が大蔵省に提出いたします時期、つまり七月ないし八月時期に残りの機関の相当部分を決定し、その他いろいろな特殊事情が機関によってはございますので、若干それ以降にずれ込むものもあろうかと存じます。その実現につきましては、それぞれの移転先地の敷地の造成状況とかあるいは機関の施設等の整備状況によりまして、できるだけ早期に、物理的及び財政的に可能な範囲内で早期達成したいと考えております。
  115. 羽田孜

    ○羽田委員長代理 内閣総理大臣。補充答弁を認めます。
  116. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 同じような答えになって申しわけありませんが、竹内委員、いま少しタイムスケジュールを出せるまで御勘弁を願いたい。今お話ししましたように、ことしの八月、概算要求をやりました。これは来年度の予算についてでありますが、その中に落ちこぼれたものもございます。しかし、それは十二月の編成の際には考えなきゃいかぬ。その次の段階は来年の八月の概算要求に組み込んでいかなきゃならぬだろうというふうに思っておりますが、大事にしておりますのは、やはりどなたさんもそれぞれの事情がございますから、移転先、自分の子弟の教育関係でございますとかを含めて、そういう問題についても本当に濃密な話し合いをしながら、円滑に移転しようというふうに思っております。  それから、まだどこと決めていないのも率直に言ってあるわけでございます。希望が多いところもございますし、余り希望のないものもございますけれども、そういうものを含めて、次の段階、竹内委員にもう少し具体性を帯びたお答えができるとすれば、十二月までお待ちいただきたい、こんな感じでございます。
  117. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 大蔵大臣にお伺いしておきます。  政府保有の株式売却についてでございますが、NTTの株式売却、私は軌道に乗っているとは理解しておりませんけれども、大蔵大臣はどういうふうに考えておるのか。また、ここにもあるとおり、「日本たばこ産業株式会社の株式売却についても会社の経営状況等を踏まえて慎重に検討を進める」、こういうような表現がございますが、慎重に検討を進めるなんていってうまくできたことないので、非常にその点をはっきりしていただきたいと思いますので、これは明確に、日本たばこ産業に関してはいつごろをめどにしていくのか、それからNTTの株式に関しては今後どうなっていくのか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  118. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 NTTの株式売却でございますが、昭和六十一年度、六十二年度に百九十五万株、それから今年度は先般百五十万株を売却をいたしました。ネットの売却収入は、ただいまのところ累計で十兆円余でございます。売却収入は、まず国債の償還、次に社会資本整備特別勘定を設けまして社会資本の整備に用いているわけでございますが、ただいままでのところ、これはそのときの市況にもよります、いろいろなことに影響されますので、今年は売却数も少なく、また売却価格も昨年度よりも低うございました。そのようなことは市況にもよりましてやむを得ぬことでございますが、今後とも、市況等々経済状況を見ながら、この計画を予算で授権をいただいた範囲内で続けてまいりたいと思っておるところでございます。  それから、日本たばこのことでございますが、この方はなかなか問題が率直に申しますとございます。と申しますのは、この会社は御承知のように葉たばこ生産者という非常に難しい問題を抱えております。これはもう御承知のとおりの問題でございますが、それを抱えております上に、輸入たばこのシェアがかなりふえてまいりました。関税をなくすということになりましたので、ただいまほぼ一〇%を超えたシェアになってまいりまして、非常に厳しい競争をいたしております。したがいまして、そういう厳しい条件を克服いたしまして、関係者に不安のないような、と申しますのは耕作者も含めてでございますが、そういう経営にまず持っていかなければならない。そのために経営者が大変な努力をいたしております。それが実りませんとこの株式のいわば評価が高まらぬということ、これは当然のことでございますので、まず会社の経営を立派なものにするということに当面専心してもらわなければならないのではないかと考えております。
  119. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、大蔵大臣、日本たばこ産業の株式売却に関してはNTTでさえこれだけ大騒ぎになって、そしてずっとこの株式売却をやってきました。ところが、今回の状況というものは、どうも大変な、当初よりもどんどん株価も下がっておる。そういう意味で当初の計画から変えられたわけですよね。それがNTTという、これだけの成長しておる、高度情報社会の中で一番のそういったものがこういうふうに見直しをしたということを見れば、私は、日本たばこ産業、これは見通しは暗いよ。大蔵大臣は、その会社の整備をきちっと踏まえた上で、経営状況を踏まえてやるんだ、こう言っておりますけれども、これはちょっとしばらくの間できないのじゃないか、こう思いますが、大蔵大臣、どう思いますか。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 やはり私が心配しております一つのことは、葉たばこの生産者の問題でございまして、今までが専売でございましたから、それは状況も変わりまして、葉たばこの生産者もいろいろに努力をしてくれているのでございますけれども、御承知のように、これはやはりなかなか大きな問題でございますので、そういう人たちにも安心をしてもらいながらこの会社を育ててまいらなければならないという、御承知のような大変難しい問題がございますものですから、まずまず経営者に、関係者にその点の努力を精いっぱいしてもらわなければならぬ。これが自由化が行われておりませんと事はまた違ったわけでございますが、自由化が行われ、しかも関税がゼロであるという、しかも円が高くなってきておるという、向こうから、外国から日本に入れる立場は非常に楽になっておるという、大変に日本たばこ産業としては厳しいいろいろな条件のもとで一生懸命努力をいたしておりますので、行く行くはおっしゃいますようなことにしてもらいたいと存じておりますが、ただいまの現状はそのようなことでございます。
  121. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 あわせてJRに関して、同じく、「JR各社の株式等の資産の早期かつ適切な処分に努め、極力国民負担の軽減を図る。」こういうように言っておりますが、運輸大臣、それから大蔵大臣、あわせて御答弁いただきたいのです。これはどうですか。じゃ、JR各社の株式については、今たばこ産業に関して非常に消極的な、何か見通しがはっきりしないようなそういう大蔵大臣の御答弁でございましたが、このJR各社に対してはどうなのか。  それからまた、これに関連して、整備新幹線に対して関係JR各社が一定の負担をしてもいいような意向が伝えられておるわけでございますが、これはまた、まだ株式が市場で売れもしないものを、企業が、そういったものが整備新幹線建設費の負担をするということは本末転倒。第二の国鉄をつくってはなりませんし、それには、清算事業団が保有している株式、こういったものを売却していかなければなりません。そういうものもあわせて明確に、JR各社の株というものはどうなっていくのか、大蔵大臣、運輸大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  122. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 性格はたばこ会社と似ておりまして、何といいましてもJRの安定的な経営基盤を確立しまして、その上でできるだけ早期にかつ高く売りたいと思っておりますが、何分発足したばかりでございますし、同時に、売却するための上場の基準、条件というのは幾つかございます。それを満たすにもかなりの年月がかかると思いますし、今この段階でいつごろこれを売却するということは的確に申し上げられない状況でございます。  また、株式を売れないJRが整備新幹線の工費を負担するのはちょっとおかしいじゃないかという御意見でございますが、八月三十一日に順番を決めまして、これから十二月末までに財源の問題を検討するわけでございますが、何といいましても有効な高速鉄道というのは各JRにとっても非常に大事な財産でもございます。そういうものを見込んで、これからの経営状況の中でJRがどれぐらい負担するか、できるかということもあわせて十二月末までに検討して、整備新幹線に関しましては順番に着工していこうと思っております。
  123. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま運輸大臣がお答えになられましたとおりでございますが、このJRの株式は御承知のように清算事業団の所有でございますので、清算事業団はどういたしましても将来国民、納税者の負担となる長期債務をかなり多く残す心配がございますので、この株式をしかるべき時期が来ましたらひとつ処分をしていただいて清算事業団の債務を減らしていくということになることを将来に向かって期待をいたしております。
  124. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 総理、今こういった例えば株式の問題一つ取り上げても、ここには非常に意欲的な、あたかもそういうふうに見えるような書き方をしていますよね。しかし、実質を各関係大臣にお伺いしますと、見通しは暗いですよ。この行財政改革、非常に厳しいものがあるわけでございますから、総理、つかさつかさというが、こんなものは総理のリーダーシップが最も大事でございますので、この際、時間がどうしても厳しいので、今後の行革はこういうようにやるんだ、例えば順序でいえばこういうものと、こういうものと、こういうものを順序立ててやっていきたいんだというような明確な、歯切れのいい答弁をひとつお願いしたいと思います。
  125. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 行革につきましてはかねがねの御主張でございまして、言ってみればお出しいたしましたのが現状においては本当に精いっぱいのものを出したつもりでございます。私自身も、これが出ますと、そうすると具体的な課題であるいは年次計画というものが立っていくであろうという考え方の上に立っておりますが、今新行革審で審議していただいて間もなくある種の結論が出るものには、規制緩和の諸問題がございます。その後、先ほどお話のありました国と地方との問題も行革審へ諮ってみたらどうだ、こういうお話がございましたが、私も知事会でそういう要請もございましたのでその趣旨のお答えをいたしましたが、これは、いわゆる地方制度調査会もそれから行革審もどちらも八条機関でございまして、片方の要請をこちらで取り上げることはいかがかなとは思いつつも、特別に諮問するという形でなしでも、私ども、行革審にまずいわゆるデレギュレーションの問題のある種の結論が出たらお願いしていく問題が国と地方との権限等の問題になっていくな、こういうふうに考えております。  それから、先ほど来、行財政を加えての株式の問題についてお触れになりました。NTTは値下がりのあることもございますが、しかし国会で決められた売却できる法定限度は決まっておりますけれども、今はそこまではいかないということになっておりますが、これはまた国会で話し合いすればなお市況等を勘案しながら売れると思います。たばことJRは今お答えがありました。さらには、これは大きな金じゃございませんけれども、本当は沖縄電力あるいは電源開発株式会社等々の問題についても絶えず念頭に置いておることだけはこの際申し上げておきたいと思います。
  126. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間でございますので終わりますが、あと福祉ビジョンの件に関してはまた次回に譲りたいと思います。関係の大臣、わざわざおいでいただきましたが、次回ということでよろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  127. 羽田孜

    ○羽田委員長代理 これにて冬柴鉄三君、竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一弥君。
  128. 玉置一弥

    ○玉置委員 大変長い時間になりますけれども、五十分時間をいただいて今までの継続の質問をしたいと思います。  リクルート問題、おさまるかと思えばまたいろいろ出てくるというふうな、私もこの間東京駅で売店のおばさんに、あなた国会議員でしょう、リクルート問題はあれどうなるのですか、早くやりなさい、こういうようなことを言われました。思わず、済みません、こう言ってしまったのですけれども、実は昨日もまた新たな問題が出てまいりました。私どもの同じ会派の楢崎委員、例のテレビによる証拠をとったということで昨日あるテレビ会社の方に東京地検の方から捜査が入りまして、そこで八月三十日と九月三日、この二日分のビデオテープを押収をした、こういうことがございました。我々の方も、もし楢崎さんがこういうことをやっていなかったらリクルートの解明の手がかりさえなかったのではないか、こういうふうなことを今になって思うわけでございます。最初、こういう話があるんだけれどもと言われたときは本当にびっくりしましたけれども、今になってみると、まさに楢崎さんのこういうことがなければリクルートというのは解明できないままに終わってしまったのではないか、こういうふうに思いますと、非常に貴重なテープでもあるわけです。  そこで問題となりますのは、一つは、既に八月三十日分は報道されたテープでございますけれども、九月三日、これはまさにまだ報道されてないというテープでございます。そこで、報道関係のいろいろな方々の御意見も新聞等に載っておりますけれども、やはり表現の自由、この問題、いわゆる報道の自由、それから逆にこれからのいろいろな取材に対しての制限、こういうことを考えていくと大変重要な問題である、こういうふうに思うわけでございまして、私もまさに同感でございます。  過去、裁判事例いろいろございますけれども、特にテレビフィルムの関係でいきますと、昭和四十四年十一月に最高裁で一応判決が出たものがございます。これは福岡のNHK放送局において収録した当時の状況のフィルム、これを提出命令を出した、こういうことに対しての裁判でございますが、それがございます。そのほか、取材源のいわゆる秘匿といいますか、取材源を知れないようにしようということで、新聞記者の方々が証言に対して拒否をする、こういうこともございました。  そういうふうに見ていきますと、まさに報道の自由といわゆる刑事事件裁判、これのための捜査、この限界がどこにあるんだ。裁判ではいろいろ判決が一応出ておりますが、それぞれ納得して、ああそうかというものはないわけでございまして、非常に難しい問題でございますけれども、まず政府としてこの問題について、この問題と申しますのは、昨日あるテレビの会社のビデオテープが押収をされた、これはまさに報道の自由を侵すものであるということに対して、政府の御意見、御見解をお伺いしたいと思います。
  129. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 お尋ねの問題につきましては、今も御指摘のように四十四年の十一月二十六日の最高裁大法廷の決定がありまして、私も、この最高裁決定と同じく、報道機関の報道は、民主主義社会におきまして国民の知る権利に奉仕するものであり、報道の自由は憲法二十一条の保障のもとにあり、また、報道のための取材の自由も同様に尊重すべきものと考えておりまするが、他方、公正な裁判を実現することは、国家の基本的要請であり、刑事裁判におきましては実体的真実の発見が強く要請をされ、このような公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度制約を受けることもやむを得ない場合があるものと考えております。しかしながら、そのような場合におきましても、犯罪の性質だとか態様、軽重及び取材したものの証拠としての価値、ひいては公正な刑事裁判を実現するに当たりましての必要性の有無を考慮いたしますとともに、報道機関の取材の自由が妨げられる程度及び報道の自由に及ぼす影響の度合いその他諸般の事情を比較考量をいたしますとともに、報道機関の不利益が必要な限度を超えることのないように配慮することが必要であると考えております。  東京地検が行いました日本テレビからのビデオテープの押収につきましては、意見を述べるべき立場にはありませんが、当然そのような諸点を考慮をした上でとられた措置である、かように考えております。
  130. 玉置一弥

    ○玉置委員 考えようによっては捜査の段階が政治的意図を持って押収にかかるということもないわけではないわけでございまして、放送する前に押さえてしまおうとか、そういう可能性もあるわけですね。  我々、心配しますのは、やはり報道の自由を守るということは非常に大事なことでありまして、例えば今回押収されたフィルム、この一本がまだ放送されてないということでございますが、今思いますと、例えばテープの場合はダビングというのができるわけでございますから、複製をして複製したものを持ち帰るということができなかったのかな、こういうこともちょっと考えるわけでございます。  そういう意味でもう一度法務大臣にお聞きをいたしますが、単なる刑事事件の捜査ということで入られたわけでございますけれども、そういうふうないろいろな逆に報道の自由に対する配慮が今後損なわれることがないかどうか、この辺について再度確認をいたしたいと思います。
  131. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 検察といたしましては、報道の自由については十分配慮いたしまして対処してまいっております。また、今後においてもそのとおりでございまして、今回の場合も、裁判所の許可を受けまして、そして日本テレビにお願いをして押収をした、こういうような次第でございまして、十分その点は配慮をしております。
  132. 玉置一弥

    ○玉置委員 いろいろまだまだお聞きしたいことはあるのですけれども、時間が制約されておりますので、ぜひ今後、その報道の自由との関係、裁判事例もたくさんありまして、何回も申し上げますけれども、どこまでがというのが非常に難しいところだと思います。また、一方ではプライバシーの問題等も絡んでくるわけでございまして、その辺についてぜひ御配慮方をお願いを申し上げたいと思います。  続いて、リクルート問題に入ってまいります。  今回当委員会でもいろいろ話が出ておりますように、従来と違った角度から調べた結果いろいろなルートが出てきたということでございまして、当初は七十六名の、江副さんが直接なりあるいは間接なり渡されたということでございますが、第二次ルート、第三次ルートといいますか、ほかの関係もかなり出てきておりまして、こういうふうにいきますと、例えば今検察が調査を、捜査を行っておりますけれども、これが進むにつれていろいろな方の名前が出てくるのではないかというように感じます。国民の目から見て、私どももそうでございますが、地元へ帰りますと、おまえはもらっていないのかとか、いろいろ人から言われまして、残念ながらという言葉をすぐ言ってしまうのですけれども、やはり政治家全体が何となくみんなもらっているように思われてしまうという、非常に不可解でございますが、こういうことが非常に多々あります。まして、次から次へと名前が出てまいりますと、まだまだいるのではないか、こういうふうなこともやはり国民皆さんが感じられまして、これが政治不信につながってくる、こういうふうに思います。  こういうふうな中で、最近の当委員会の運営状況を見ておりますと、政府与党はぜひこの税制の改革を何としても今国会中にやりたい、これはもう竹下総理、かたい信念でございます。確かに私ども税制改正の必要性というのは重々感じておりますけれども、やはり政治不信の中で税制改正の論議を幾らやってもなかなか国民皆さんが納得をしないだろう、こういうふうにも思うわけでございまして、この運営の仕方を見ておりますと、どうもリクルート問題と税制改革というのは別だというような感じでやっておられるような気がするわけでございます。  そこでまず一つ、リクルート問題が解決しなければ、この政治課題、両方とも大変大きな政治課題でございますが、税制改革はできないのかどうか。逆に言えば、リクルート問題はそのまま、そのままというかどんどんやっていきますけれども税制改革はそれとは全く別のペースでやらなければいけないのだ、こういうことであるかどうかというのをまず総理と大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  133. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 そもそも私どもが今度国会をお願いいたしましたのは、これは税制改革をお願いしようと思って召集を申し上げたわけであります。そうして、本特別委員会が設置されたのも、税制改革等を議論されるために設置されたものというふうに理解をしております。  しかし、一方、御案内のリクルート問題というのが出てまいりました。したがって、この問題はやはり私なりに申し上げれば四つの点に区分すべきではないか。まさに証券取引法上の問題、それから税法上の問題、再発防止のためにも本委員会議論等を踏まえてこれに対してきちっとした対応をしなければならぬというのが、今申した二つに対する考え方であります。三つ目の刑法上の問題につきましては、これは先ほど来楢崎委員の告発の御指摘がございましたが、少なくとも検察で適切な対応がされておるというふうに私どもは信じておるところでございます。いま一つ大事なことは、いわゆる私を含む政治家の道義的問題であろうというふうに私なりに整理いたしまして、こうしてこの委員会出席要求に応じて可能な限り誠意をもってお答えを申し上げたいというふうに考えておるというのが素直な現状でございます。
  134. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 税制に関して申し上げますならば、政府は既に株式のキャピタルゲインについて原則課税という提案を申し上げたわけでございますが、各党御検討の結果それでは不十分であるということで、さらにそれを改めるような御議論が進んでおることを承知いたしております。それにつきましては、政府も謙虚にその御検討に従ってまいりたいと存じておるわけでございます。  次に、証券行政につきましては、このたびの経験にもかんがみまして、証券取引審議会の不公正取引特別部会におきまして、今後、制度、その運用をどのようにいたすべきかについて早急に結論をお出しいただきたいとただいま御検討を願っておるところでございます。
  135. 玉置一弥

    ○玉置委員 何かリクルートとの関係が余りよくわからなかったのですけれども、要するに問題点は一応四つわかりました。それだから税制の方も入っていますよ、こういう感じだと思うのですね。  ただ、我々として考えますのは、確かに裁判とかこれからいろいろ起こってくると思いますが、その前にいい悪いを判断するというのは非常によくないことだと思いますが、しかし、少なくとも関係した人たちがそれぞれ江副さんから回ってきたものに対してどういうふうに受けとめているかということは非常に大事なことだと思います。ですから、先ほども総理のお話の中でありましたけれども、政治家としての態度、心構え、これはこれから再発防止のために一番重要なことだと思いますので、ぜひそういう方たち、特に、最近の新聞では、いわゆる中曽根内閣時代の中枢と言われていた方たちにその範囲が及んでいる、こういう話まで出ておりまして、それこそ内閣こぞってそういうことをしたのではないかというような心配も出ているわけでございますが、こういうことが本当になければないということを、身の潔白を証明するためにも、やはりいろいろなルート解明なりあるいはそれぞれどういうふうにお考えになってやられたか、単なる経済行為であるのか意図的なものがあったのかあるいはそれを感じていたのか、こういうことをぜひ釈明をしていただきたいと思うわけでございます。  そのことは、まだまだいろいろな機会があると思いますのでそのときにまた申し上げたいと思いますけれども、少なくとも現段階、今東京地検特捜部が捜査中でございますけれども、法務大臣にお聞きをいたしますが、現在、この今の日本テレビ楢崎事件といいますか、要するにリクルートコスモスの松原さんの関係ですね、この辺で捜査が進んでいると思いますが、どういう状況にあるのか、また、どの程度公表できるのか、この辺についてまずお伺いしたいと思います。
  136. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 基本的には国会の国政調査権に最大限の協力を申し上げるべきであると思っておりまするが、現在御指摘のとおり松原元社長室長を贈賄申し込みの疑いで勾留して取り調べ中でありまして、まだその経過あるいは資料の公表というような問題について申し上げる段階ではございませんので、よろしく御理解を願いたいと思います。
  137. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かにこれから裁判をやるのですから手のうちを明かすようなものですけれども、どの程度公表できるかというのは非常に難しいのですね。例えば政治家だけに限定をしてやるとか、あるいは政治家の名前も言えなかったら会派別に人数ぐらいは言うとか、いろいろなことが言えると思いますが、これは一つは国政調査権の問題でありまして、例えば検察なり裁判、この辺の問題と力関係にある、いわゆる三権分立でございますが、そういう中で国政調査権というのはそんなに弱いものかなというふうに思うわけです。そういう面から考えてみて、我々が、捜査の中で知り得たこと、これが国政を運営していく上で非常に重大なことであると言った場合に、果たしてどこまでそういう内容に対して出していただけるのかというふうに思うわけですが、今の内容で、法務大臣のお答えですと、大体支障があるからみんな言えないみたいな感じもするわけですが、法律的な解釈、こういう面からもっともっといけるはずなんですけれども、その辺もうちょっと踏み込んでお答えをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  138. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたように、まだ本件の捜査は緒についたばかりでございまして、全容すらわかっていない状況にございます。したがいまして、現在公表をするということについて申し上げることは適当ではないと思いますけれども、基本的な考え方は、大臣が申し上げましたように国政調査権には最大限の御協力を申し上げ、また刑事訴訟法の四十七条のただし書きの適用があるものについてはそのただし書きを適用しまして国会に公表を申し上げることもやぶさかではないわけでございますけれども、私どもは基本的には刑事責任の追及でございますし、国会では道義責任の追及でございます。その辺視点が違いますので、私どもに道義的責任の資料を提出せよとおっしゃっても、ちょっとそれには応じかねる場合がございます。したがいまして、そういうもし御要請がございますときには、どういうものをどういう形で出したらどうかという御慫慂がございますれば、そのときは十分検討する用意はあると思います。これは全く一般論として申し上げるわけでございまして、本件については、先ほど申し上げましたようにまだ全容が明らかでございませんので、何とも申しかねるところでございます。
  139. 玉置一弥

    ○玉置委員 金丸委員長がいるときに言おうと思ったのですけれども、ちょうどおられませんので、自民党総裁としてまずお答えをいただきたいと思います。  今回の当委員会理事会等のいろいろな話を聞いておりますと、ともかく証人喚問か参考人か、こういうので非常に延々と議論が続いてまいりまして、自由民主党さんの方は証人喚問できない、こういう話でございます。各野党の方は証人喚問をやろう、こういうことでございますが、これはロッキード事件以来いろいろ再三続いてまいりまして、特に昭和五十七年に議院証言法の改正をやろう、こういう話がございまして、各党がそれぞれ試案を出したわけでございますけれども、その後ほとんど進展をしていないというのが現在の状況でございます。このことが当委員会の運営に大変支障を来してきて、これまで竹下総理なりあるいは宮澤大蔵大臣が早く税制改正をやりたいという気持ちがあったにもかかわらず、このリクルート問題で長引いたというのはそこにあると思います。そういう意味でございますから、この議院証言法の改正も、今の議院証言法で証人喚問した場合に、証人の方に大変負担をかけるということである、あるいはプライバシー侵害なりそういう問題があるということでございますが、本当にそういうことであれば早急に改定をしていかなければいけないと思いますが、いかがでございますか。
  140. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 五十七年の各党が意見を持ち寄ったときの私は党の責任者をしておりましたので、その意味において当時の考え方は記憶を呼び戻して述べるとおっしゃれば述べられますが、今行政府の立場でありますと、やはりこれは国会でお決めになる問題だから、私の方から言及するのは差し控えなければいかぬのかな、こういう感じでございます。
  141. 玉置一弥

    ○玉置委員 大体そういうふうに答えるであろうと思って、金丸委員長さんにこういうふうに聞きますからと言っていたんですけれども、羽田理事さんが代理でございますので、ぜひかわって金丸委員長に伝えていただきたいんですが、今のお話ですね、やはり議院証言法、これは議運マターでございますから、当委員会からこういう主張があったという話をぜひ伝えていただければ、早い段階で議院証言法の改正というものが進んでいくのではないかと思います。そういう意味で、委員会の運営状況、その辺をぜひ的確に伝えて議運で諮っていただくということをお願いしたいと思います。いかがでございますか。
  142. 羽田孜

    ○羽田委員長代理 玉置君から御提案がございました問題につきましては、今お話しのとおりプライバシーの問題あるいは人権尊重の問題、こういう問題がありまして、議運の方で実は議論されておることは御案内のとおりであります。そういう中で、実は金丸委員長は昨日も議長に対しまして証言法の改正について早急に対応をされたいということの御要請をされておるところであります。  また、今改めて御意見がございましたことにつきまして、委員長の方から議長あるいは議院運営委員長、こちらの方に御要請があったことについてお伝えするようにいたしたいと思います。よろしいですか。
  143. 玉置一弥

    ○玉置委員 はい、大変ありがとうございます。確実に伝わって、確実に動くようにお願いしたいと思います。  それでは、次の問題に移りたいと思います。  今回は国税の論議が主体でございますけれども、国税と地方税、これをいろいろ考えてみますと、だんだんと地方税のウエートが小さくなっていくような気がするわけでございます。今現在、地方税で、特に今回の消費税改正、消費税改正といいますか税制改正の中で、大変地方税に対してのしわ寄せが大きい、こういうお話を再三聞いているわけでございますが、試算によりますと大体総額で二兆一千億ぐらいの減収になるだろう、こういうお話がございます。これは住民税減税とか、あるいは法人税等の引き下げ、あるいは地方間接税との調整、こういうものが主体になっているわけでございますけれども、こういうふうに考えていきますと、地方財源は本当にこれから守っていけるのかなという心配がちょっとございます。今回、国の方からの補てんということで譲与税等の配慮であと一兆六千億ぐらいの上積みがされるようでございますけれども、このことは別にしまして、やはり地方税収が非常に先細りになるというような感じがするわけでございまして、このことでまずお伺いをしたいと思います。  今現在、地方税収というのは、地方財源の、地方財政の中の四一%にしかならない。ですから、ほぼ六〇%がいろんな形で国から支援をしている、こういうことになっております。そこで、国の場合はすぐ、直間比率、こういう話が来るんですが、それを見てみますと、道府県税の場合には二四%が間接税、市町村税の場合は一〇%が間接税ということで、これを平均いたしますと一四・数%という形で間接税があります。政府の言い方でいきますと、直接税の負担が大きいと非常に逃げにくい、というのは変ですけれども、選択しにくいということで間接税を引き上げていくということであれば、この二四%、一〇%というもののその分野をやはり見直していかなければいけないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、まず、従来から問題になっておりましたのは、今の例えば地方税の収入は全体の四一%しかないということでございますが、仕事量、いわゆる行政サービス、それから事務量、これに応じた税の配分に国と地方がなっているか、このことに関してまず自治大臣の方からお答えをいただきたいと思います。     〔羽田委員長代理退席、瓦委員長代理着席〕
  144. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 前段、先生の御指摘になった責任と仕事量と申しますか、それは、そのあるべき姿は必ずしも明確な図表はございませんが、現行現制度をおおむね妥当という観点に立って言うならば、昭和六十三年度における国税の当初予算額及び地方税の収入見込み額の割合では国が六三%、地方が三七%でありますが、これに財源調整等の見地から国から地方へ配分される地方交付税及び地方譲与税を加味した実質的な配分割合を見ると、国が四七・六でございまして、地方が五二・四となっております。これは、国と地方の歳出規模、六十三年度で国が五十六兆七千、地方が五十七兆八千でございますから、おおむね適正なものというふうに考えられるわけであります。  今回の税制改正により、国、地方の税源配分の割合は、国が六四・六、地方が三五・四となり、国にシフトすることとなりますが、消費譲与税の創設及び地方交付税の対象税目の拡大により地方の一般財源の確保が図られたため、実質的な割合は国が四六・九、地方が五三・一となり、歳入面から見ますとおおむね地方にシフトをしているということになるわけであります。  いずれにいたしましても、直間の比率その他では、地方税は確かに間接税の比率が減っておりますが、国、地方を通じては方向としては間接税に移行をするわけでございますし、地方の税源が普遍的なものがあればもちろん地方の税源を拡充強化をすることが望ましいわけでございますが、委員御案内のとおり、三千三百余の地方団体の財政力、これは千差万別でございます。地方全般を眺めますとその調整能力を高めることの方がむしろ大切という観点もあるわけでございますので、これからさらにいろんな意味で地方自治体の行政需要、サービスの増加が求められるわけでございますから、今後とも税財源の拡充強化に努めて適正な責任を果たせるような体制を組んでまいりたいというふうに考えております。
  145. 玉置一弥

    ○玉置委員 大蔵大臣にもお聞きすればいいんですけれども、大体その裏側の同じような答えが返ってくると思いますので、省略いたします。  財源の話でございますが、これは現在、先ほど申し上げましたようにいわゆる間接税が非常に少ないということで、これをいろんな国と比較をいたしますと、イギリスはいわゆる財産課税という形でほとんどそれでカバーをしてしまっているということでございますが、ほかの国々は、特にフランスなりあるいはアメリカ、こういう国々はいろんな税金がまざって入っているわけでございます。特にフランスなんか間接税の分野が非常に大きいということになっております。あるいはアメリカも多少そういう形でございますけれども。  そういうふうに見ていきますと、今地方税の場合には、どちらかというと外形標準課税みたいな形で、応能主義というか、いわゆる外形ですから、企業規模とかいろんな形、大きさに応じて大体いろんな課税がされている、こういうふうな状況でございます。  私どもいろんな調査をしたときは、例えば今回の政府提案消費税、これは非常に地方議会で反対が強かったのですが、これは与党野党も含めて地方議会の方々は地方にしわ寄せが来るということで大変強い反対がありました。場所によっては反対決議をされているところもあるかと思いますけれども、特に昨年の売上税なんかはもう大変なものでございました。  そういうように考えていきますと、地方独自の財源というものをもっとやはり考えていかないといけないのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、私は、どちらかというと地方のいわゆる間接税分野を拡大していくような税制を考えたらどうかというようなお話をしたいわけですが、この辺について、政府としてはどういうふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  146. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 確かに、前段御指摘のように、地方の個別間接税がいわば国税である消費税に原則として吸収をされたという表現がいいかどうかわかりませんが、そういう状態になっていることは御案内のとおりであります。  ただ、今回の税制改正においても、消費税の創設に際し、地方の自主財源確保という見地から、一部を地方消費税として地方の独立税にしろという議論が大変あったわけでございますし、また、自治省を中心として地方自治体側からも政府税調にその審議のお願いをしたという経緯がございます。ただ、この新しい消費税を創設するに当たって留意をされた点は、制度の簡素化という要請、それから納税者の事務負担の軽減という、そういう観点からこの地方の消費税を地方独立税とすることに関しては難点が示されて、そういう判断が下ったことでございます。その代案と申しますか代替として、消費税の税収の一定割合を消費譲与税とすることで、今回の地方消費税にかわるべき地方財源を確保をするということに至ったわけでございます。  確かに、諸外国を見ますと、消費税的なもの、間接税的なものが地方税に多いという現実もございます。しかし、私が前回答弁を申し上げましたように、どちらかというと、三千三百余の地方自治体、税源がまさに均等な、それぞれの行政需要に合ったような税目を選ぶことがなかなか困難でございます。ですから、例えば府県で申しますと、東京都の、もちろんこれは不交付団体でございますが、大変税収が高い、そういうところに比較をいたしまして、後ろにおいでになる総理大臣の御出身の島根県の財政力は全国で一番下位にある。そういうことを考えますと、やはり地方の行政需要に合った税財源の配分をいたさなければなりませんから、その意味では、むしろ地方譲与税だとか交付税というそういうもので調整機能を持ち得ることの方が、今言われる一極集中から多極分散へという政策目的のためにも実は合致をするという気がいたしますので、そういうことをこれからも念頭に置いて進めてまいらなければならないという感じがいたします。
  147. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに、おっしゃるように、大都市集中という形になる可能性が非常に強いわけですね。それも考えたのでございますが、だけれども、少なくとも地方財源というのは自主財源でございますから、それを何らかの形で還元をするというのをルール化していかないと、やはり地方税収というか地方のいわゆる活力、これが損なわれるのではないか、こういうふうに思います。  そこで、竹下総理が「ふるさと創生論」、いろいろな条件があると思いますが、「ふるさと創生論」をぶっておられまして、これを着実に推進をしていこうと思えば、今回のように逆に国税に税収を全部置きかえてしまうというものはマイナスになるのではないか、こういう感じがするわけですが、全体構想から見ていかがでございますか。
  148. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 地方税財源の減収に対しましては、消費税の収入額の一定割合を地方譲与税、そうして地方交付税として地方財政の運営に支障を生じないように措置する、加藤万吉委員から、いわゆる第八の懸念、地方団体皆心配しておるぞとおっしゃったときに、大筋そのようなお答えをしたのでございますが、それは確かに現行の税制で減収分を補てんするという感じであって、よく言います、地方、国の税制そのものをガラガラポンにして新しく積み上げるという趣旨の対応策では今度はないというふうに私も思っております。  自主財源の問題につきまして、ちょっと話が長くなって申しわけありませんが、私、学校の先生をしておりましたときの教科書、昭和二十五年の中学社会科三年生の教科書をこの間久しぶりにひもといてみまして、そのとき私が何を教えておるかというと、私は小さい村の中学校の先生でございましたから、要するに、税源配分というのは事ほどさように人口等々があって巧みにできない、したがって、交付税の前の話でございますので、平衡交付金というものがあって、それを、よくぞあんなことを教えたと思いますが、基準財政需要額と基準財政収入額まで話をしておるわけでございます。その差額というものを平衡交付金というもので補てんするんだ。うなずいていらっしゃる人の年が大体わかりますけれども、そんなことを私申し上げたことがございます。  したがって、今も梶山大臣のお話を聞いておりますと、国税で見ましても、大ざっぱでございますけれども、恐らく東京都で上がる国税の約九%が東京都へ還元されておる。私どものようなところが大体四・四倍とか、そのクラスの先生方も多数いらっしゃいますけれども、ある人が、ODAじゃないか、こう言いましたが、そういうような形で国民全体が均等した日常生活を行っておるということではないかな。したがって、知恵が出ないものかといって、きょう、自治大臣、大蔵大臣、私で相談しましたのは、例えば六十二年度の交付税の、いわば自然増収に基づくところの交付税が全体からいえば剰余金となって出てくるものを活用することによって「ふるさと創生」の何か財源にできる工夫はないものかというようなことを折々話しておりましたので、自主財源そのもので個々の一村一品運動ができるような財源を確保するというのは、実際問題として言うはやすく行いはかたいという感じがいたします。  それから、アメリカのいわゆるセールスタックスのような問題については、今自治大臣からもお答えがありましたが、一時そうした議論が行われたことは事実でございます。
  149. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに大きいところに税金が集まる形は避けられないものでして、やはり何らかの形で分けざるを得ないなというのは、私もそう思います。そういう意味で、逆に言えば、消費の大きい府県、この辺はまさにODAでの出資国になるわけで、やはりその辺をふやしていくことがいいのかな、それがふえていきますと均等化されるわけですね。そういうことも私もちょっと考えたのですけれども、ぜひそれぞれの地方でまた独特の持ち味のあるような、いろいろな活気が出てくるようにお願いをしたいと思います。  時間も残りが大変少ないので、大まかにお聞きをしていきたいと思います。  大蔵大臣、赤字法人課税についてお聞きをしたいと思います。  大体過去十年間調べてみますと、四九%ぐらいから五四%ぐらいまでということで、赤字法人の方が最近は要するに利益計上法人よりも上回っている、こういうような状況が続いておりまして、我々素人なりに考えてみると、十年間も赤字でよく企業がやっていけるな、簡単に数字だけから見るとそういうように思うわけです。  そこで、今までのいわゆる所得ですね、事業所得が大体どういう形になっているかというのでいろいろ見てみますと、事業所得が同族関係に分散されて経費扱いになっているというのもございます。また、損金算入の中の交際費、人件費、あるいは売り上げそのものですね、そういうものも操作をされている。特に交際費の場合には、法人の交際費なのかあるいは個人の交際費なのかわからないような費目がよくあるわけでございますが、例えば事業主が一人で飲みに行くとか、そういうのもよくあるわけですね。そういうのがいろいろあります。  こういうことを考えていきますと、今までのいわゆる収益標準課税というよりもむしろ外形標準課税をある程度入れた方がいいのではないか。これは税調等の論議でもいろいろございました。しかし最近余り出てこないのですけれども。これをある程度考えていかないと、赤字法人もやはり社会的ないろいろな便益を受けているわけでございますから、そういう面での費用負担というのをぜひお願いをしたいな。これは野党が言うのはおかしいのですよね。与党の方でむしろそういう話がありましたら、その後どうなっているんだろうというふうに私は思います。それについてまずお答えをいただきたい。  それからもう一つ、赤字法人の場合、土地の長期譲渡所得、この部分につきましては現在の法律では非課税になっています。今までは十年でございましたけれども、ことしの改正、ことしですね、あれ改正したのは。ことしか去年か改正しまして、それで五年以上という形になりました。よりかなり余裕ができたということでございますが、逆に悪用される場合があります。そういうことも考えていきますと、要するに売るときにさえ赤字にしておけばいいわけでございますから、そういうので考えていきますと、赤字法人を全く非課税ということではなく、やはり長期の土地譲渡所得については分離課税というような形にした方がいいんではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
  150. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変にこの問題はおっしゃいましたとおり厄介な問題でございますが、これにつきましても御承知のように与野党協議の場でいろいろ御議論がございました。それはもう詳しく御紹介する必要もございません、御承知でございますが、本当に業績が不振で赤字であるというときに所得課税である法人税を課税するということに物の整合性としてどうしてもやはりちゅうちょがあるということであろうと思います。  今度、土地を取得いたしまして、その借入金の利子の損金算入を制限いたしました。これは、ひとつそれによって赤字になるものがならないで黒字になるという場合を生むことになると思っておるのでございます。  それから、長期の土地の譲渡のときは、これは分離して課税すべきではないかということは、現実に法人が企業の経営に悩みまして長期に持っておった土地を売るということはあることでございますから、ほかの資産はともかく、その土地のみをその場合に課税するということの理由づけがどうであろうかといったような問題がまたございます。  この問題は、しかし、いずれにしても、玉置委員の言われるように、非常に難しい問題がたくさんございますので、適切な社会負担をどう求めるかということは引き続き検討すべきだと各党の御協議でも言っておられますし、私どももそう思っておりますが、とりあえずできますことは、やはりいわゆる実調というものを一生懸命、一生懸命やっておるつもりですが、もう少しやっていきまして、そして実際には赤字でない場合の仮装赤字のような申告はこれは許していってはならない、そこはやはり今でもできることであるし、一生懸命やってもらわなければならぬと思っております。
  151. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間がなくなりましたので、いろいろお聞きしたいのですけれども、最後に法務大臣にお聞きしたいと思います。  我々の方で企業税制いろいろ論議しておりますけれども、片方では商法改正の話が進んでおります。ところがなかなか出てこないというような状況でございます。簡単に、今現在、商法改正がどうなっているのか、それから企業税制等の関係でどういうふうにされているのか。時間がちょっと終わっておりますので、その範囲でお答えいただきたいと思います。
  152. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 商法改正案の審議は着々進んでおります。もう御承知のとおりでございまするが、大会社にふさわしい規制と小会社にふさわしい規制を行っていこうということでありまして、特に債権者保護のための規制をやろう。その一つとしましては、最低資本金制度を改正をしてまいろう、あるいは会計監査人による監査をある程度の会社については行っていこう、そういうようなことが主要な問題でございます。  その際に、税制との関連の問題は、これは大蔵省の方でやっていただいておるわけでございまして、法務省としましては純粋に法律的な見地から、商法改正部会において、法制審議会でございまするが、進めていただいておるという次第でございます。
  153. 玉置一弥

    ○玉置委員 終わります。
  154. 瓦力

    ○瓦委員長代理 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。  次に、野間友一君。
  155. 野間友一

    野間委員 リクルート問題についてお伺いをしていきたいと思います。  この未公開の株をめぐる疑惑は、我が党がドゥ・ベストのあの文書を公表して以来、新たにその後トンネル会社を通じた株の還流問題、これは新聞報道やいろいろありますが、百五十万株というそういう報道もございますし、百万株を超えておるんじゃないかというのがよく言われておるわけであります。百万株といたしますと、三千円で買って五千円強で売りますとこれだけで二十億を超える。全く底を知らない大変な問題が次から次と出ております。さらに、新たに政治家の問題としては、もとの中曽根内閣の官房長官をやっておられた藤波さんやあるいは渡辺副長官の名前など出てまいりまして、二人とも認めておられます。特にきのう、きょうのあの報道によりますと、NTTの真藤会長、この村田という秘書の名義による株譲渡、これなど非常に重大な、リクルートの問題は広がりとそれから深さがさらに泥沼に入っておるというふうに言っても差し支えないと思います。  特に私がびっくりしましたのは、きょう主としてやりますこのNTTの問題であります。きょうのある全国紙によりますと、「NTT リクルート株づけ」、中身では、これは午前中にも話がありましたが、村田氏という秘書の名義で数十万株が一括取引。NTTの幹部にそのうちの約十二万株が分配された、その後政界工作でこれが再流出したというような情報もこれはあるわけでありますね。  この村田幸蔵氏というのは一体どういう人なのかということで私どももいろいろ調べておりますが、まさしく真藤会長の陰の人、黒子ですね。すべて真藤さんのことをよく知っておる人でありまして、五十九年度の電電公社の名鑑を見ましても、石川島播磨重工からの秘書で、真藤氏の公社入りに伴って五十六年一月入社、その意味では公社内で真藤総裁のことを最もよく承知しておる人物だ、こういうふうに評価がされておるわけで、私は、この村田氏がリクルートの、特にNTTの中での果たす役割、これは非常に大きなものがあろうかと思います。既に証人喚問の請求は我が党やっておりますけれども、徹底してこれの究明、これが大事なことだと私は考えておるわけであります。  こういう点から考えまして、私は、その所管の郵政大臣が、こういう大変な広がりとその深みにはまったNTTをめぐる未公開株の疑惑の問題、これはみずからが徹底究明をされるということが大事だと思うのです。午前中の答弁を聞いておりますと、何でも、部下に命じてNTTにその調査を指示をした、こういうことのようですけれども、そうではなくて、郵政大臣みずからが積極的に郵政省としてこの真相究明をやるということがあなたに課せられた責務だと私は思いますが、いかがですか。
  156. 中山正暉

    ○中山国務大臣 御答弁を申し上げたいと思いますが、六十年の四月に御承知のように民営化をいたしておりますので、政府保有の株の関係から私ども郵政省として監督官庁としての責務を果たしたい、かようなことから、マスコミに人物の名前その他が載りますたびにNTTとは連絡をいたしておりまして、けさほどの御質問にもお答えをしたわけでございますが、長谷川氏、そして式場氏、その件に関しましても最初にNTTと連絡をとりましてその問題の御答弁もしておりますが、二番目には、今御質問の中にありました真藤会長のことに関しましても、私どもマスコミに掲載されました記事の件で問い合わせをいたしましたら、事実無根であるというお答えをいただいております。  けさほどまた新たに三名というような話がマスコミに報道されておりますが、これも今問い合わせ中でございます。そんなのが実情でございます。
  157. 野間友一

    野間委員 私は大変それは不満なんです。と申しますのは、この真藤社長、今会長ですが、誕生したのは、総裁から、民営化になった六十年の四月ですね。当時は中曽根内閣であります。そして、その後民営化されてきておるわけですけれども、今の民営化の中でも、会社法によりますと、すべてこれ、例えば役員の選任については株主総会の決議に基づいて郵政大臣が認可をする、こういう仕組みになっておりますよね。監督権限があるわけです。同じ法律の十五条では、郵政大臣は監督権と責務があるわけですね。しかも、この十五条の二項によりますと、「業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」この中には、いろいろと事情聴取をしたり、直接ですよ、あるいは書類を出せということでそれを見るということなんですね。しかも、準公務員ですから、同じ法律の十八条ではわいろ罪の規定がありますよね。今まさしく式場氏とかあるいは長谷川氏と、さらに今も大臣みずからも言われましたが三名の新たな疑惑の人物が出てきた、しかも真藤氏の秘書が今具体的に名前が出ておるというような新たな展開ですから、やはり少なくともこの法律を活用してみずからの監督の責務を果たすというのが大臣の置かれた任務じゃないかと思います。いかがですか。
  158. 中山正暉

    ○中山国務大臣 確かに監督権限はございますが、私どもは検察庁と同じ役割をするというわけにはいきませんで、むしろ内部に関しましては監察という制度がございますので、内部に対するそういう警察権の行使というものはできますけれども、外部の、特に民営化されました企業に関しましては、私どもは業務の内容に対する命令その他の権限はあるかもわかりませんけれども、犯罪に関する捜査に関しましては司直の捜査を待つ、特に今司直の手にゆだねられておるところでございますので、それぞれリクルートにも捜査が入っておりますことでございますから、その結果を私どもは見詰めていたい、かように考えております。
  159. 野間友一

    野間委員 私は大臣に犯罪の捜査をしろとは一言も言ってないのです。行政上の責任者として、これだけ疑惑が出てきた、しかも特殊法人でしょう、ですから、その中身についてみずからこれをやっぱり調査をするというのが必要だということを申し上げておるわけですね。  総理大臣、いかがですか。
  160. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 犯罪の捜査の問題は別といたしまして、今郵政大臣がお答えしたとおりだと思います。
  161. 野間友一

    野間委員 ですから、今の答弁を聞いていたら非常に不満で、非常に消極的なんですね。非常に私は不満であります。そうなれば、果たして、政府がその真相究明をする、そういうことを期待することができるかどうか非常に私は疑うわけでありまして、そうなれば、やはり証人喚問をここでやってそして真相を究明するということがますます必要になってきたと私は思わざるを得ないと思います。  さて、次に進みますが、リクルートとNTTの関係です。これは当委員会でももう再三、私も八月三十日の決算委員会でやったわけでありますが、仕事の上でもそれから個人的なつながりの上でも非常に密接な関係があるということは大臣もかねて御承知のとおりだと思います。  社内報の「かもめ」の中でも、NTTとリクルートは一体だ、こういうことまで述べてあるわけですね。五十八年の十一月から、まだ電電公社のころからずっと癒着をして、そして回線リセール等々の準備、勉強会から始めて準備を進めてきて、そして今に至る。これはRCSについてもあるいは回線リセールについても圧倒的なシェアを誇る、こういうことなんですね。私は表現としてはおんぶにだっこというふうに言っておるわけでありますが、そういう状況であります。  また、個人的にも非常に親しい関係にある。これは御承知のとおりだと思うのですね。御承知のとおり、「真藤恒氏を囲む会」、これは、牛尾氏あるいはセコムの飯田氏、江副氏、こういう人たちが中心になってつくっております。いわゆる中曽根ブレーンですね。こういう人たちが「真藤恒氏を囲む会」をつくっておる、こういう状況でありますし、それから、これは何度も当委員会でも出しておりますが、NTTの西支社、大阪のですね、これの内部文書によりましても、レター交換、社長の関係ですね、社長同士の。それからMAP社の創立パーティーへの出席、あるいは六十年の八月には社長会談、こういうものを行っておりますし、新聞報道によりましても、親しさの度合いについてはいろいろと報道されておりますが、真藤さんの話ですが、電電公社に来る前から知り合いでお互いが通信事業に乗り出してから頻繁にお会いしている、親しいつき合いをしておる、こういう趣旨のことを書いてあります。  リクルートとNTTの真藤さんあるいは個人の真藤さんと江副さん、こういう非常に親しい間柄、こういうことについては既に公知の事実でありますが、大臣も御承知だろうと思います。いかがですか。
  162. 中山正暉

    ○中山国務大臣 きのうのテレビで真藤さんのインタビューを聞いたわけでございます。その中では、江副さんとは二人きりで会ったのは一回しかないという報道を私も聞いておりますので、きのうのあのテレビを見た限りではそういうことだと私も思っております。
  163. 野間友一

    野間委員 まあ否定をされなかったわけですが、二人で会ったのは云々、確かにインタビューはありましたですね。相当これは頻繁に会っておるというこの事実は、否定のしようがないと思うわけであります。  そういう間柄にありますから、特に真藤氏が、クレイ社のスーパーコンピューター、これの購入について、江副氏に買ってくれと頼まれた、真藤氏がNTTの部下、幹部に命じて買ってやりなさいと指示をした。これは十月二十九日付の全国紙にも載っております。これは新聞もよく御承知だろうと思いまして、大臣、聞くわけでありますが、それは否定されませんね。
  164. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの件でございますけれども、これはNTTから私ども報告を求めましたところ、NTTからは、本人に確認したところ、二人きりで話したのはそのときだという報告を受けているわけでございます。
  165. 野間友一

    野間委員 そうでなくて、クレイ社のコンピューターをNTTをトンネルにしてリクルートが買い受けた。これに関して江副氏が真藤氏に買ってくれと頼んだ。それによって真藤氏がNTTの幹部に一緒に買ってあげなさいと指示をした。これは新聞の報道にあるでしょう。そのことです。
  166. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 あるいはそういう新聞報道があったのかもしれませんが、私どもが掌握しております事実によりますと、NTTがこのスーパーコンピューターを購入しました。これは、NTTが、政府調達協定に基づきまして、自分たちが必要とする科学技術計算用のコンピューターあるいは顧客の求める能力を備えたコンピューターを購入したというふうに報告を受けております。もちろん、その手続は、一般の契約、公正な手続によって契約しているというふうに承知しております。
  167. 野間友一

    野間委員 新聞報道で真藤氏みずからが認めておるわけですよ。みずから所管の役人でありながら、あるいは大臣もお答えになりませんでしたけれども新聞報道で、産経とそれから朝日、出ておることは御存じでしょう、大臣。
  168. 中山正暉

    ○中山国務大臣 新聞報道とおっしゃいますけれども新聞にもいろいろ誤報というものがあるわけでございますので、新聞は黒いところを読まずに白いところを読めなんていうことわざもありますから、二面性というものはすべてのものにありますので、御本人に行政当局、担当局から調査をさせておりますことを、所管大臣としてその局長の言を私は信じたいと思っております。
  169. 野間友一

    野間委員 ですから、これは大変大事な問題なんですよ。重大な問題なんですよ。みずから真藤氏が認めながらも、政府はそれを答えることができない。ここに大きな問題があるんですよ、大きな問題が。事実、本人が認めておるわけですからね。  そこで法務省に聞きますが、真藤会長は、電電会社法十八条、これによりまして、職務に関し仮にわいろをもらえば処罰を受けるということになると思いますが、いかがですか。
  170. 根來泰周

    根來政府委員 具体的な方について仮定の問題でもわいろをもらったということは非常にまずい話でございますので、それは十八条にその会社の役職員がわいろをもらえば犯罪になるということは明定しておりますけれども、問題の具体的なことについては私お答えできない立場にございます。
  171. 野間友一

    野間委員 十八条では、これは特殊法人で、みなし公務員で、わいろ罪の適用があるということは法律で明記されておる、このことは一般的には認めたと思います。  そこで問題は、新聞報道にもありますように、真藤氏の村田秘書名義の未公開株の一万株の譲渡ですね、これがスーパーコンピューター輸入の便宜を図ってもらった謝礼なのかどうか、これは厳格に調べる必要があると私は思います。だからこそ、政府役人も、この真藤氏の自供と申しますか、自白ですね、事実関係についての、これを本人が言っておるにもかかわらず明らかにしない。これは大きな問題であるわけですね。しかも、長谷川あるいは式場両氏ですね、この疑惑が指摘されております。いずれにしても、真藤氏の関係を含めてさらに問題が深く広がってきたわけでありますから、当然法務省も重大な関心を持って対処しておる、こう思いますが、その点についてお答えいただきたい。
  172. 根來泰周

    根來政府委員 NTTの問題につきましては、前に決算委員会でもこの委員会でも御指摘があったところでございます。そのときの答弁をそのまま引用させていただきますけれども、十分国会の御議論は拝聴しておりますから、その上で適正に対処するものと考えております。
  173. 野間友一

    野間委員 関連して聞きますが、千七百箱、捜索して押収したということのようですね、楢崎氏の事件に関連して。これは大変な量なんで、楢崎氏に対する贈収賄の容疑だけならすぐ立証できるわけですが、これはすべての全容解明、それは恐らく言えないと思いますけれども、視野に入れて、そしていろいろな捜索の中で犯罪の嫌疑があればそれもやっていこう、そういうようなスタンスでやっておられると思いますが、いかがですか。
  174. 根來泰周

    根來政府委員 御承知のように捜索・差し押さえ令状でこういうものを押さえてよろしいという許可をいただいておりますので、それに基づいてやったところ千何百箱になったわけでございまして、結果的にそうなったということでございますし、また、もちろん捜査当局でございますから、その中に犯罪の容疑がありますれば、また捜査権を発動して、また違った観点で捜査をすることもあり得ると思います。
  175. 野間友一

    野間委員 次に、中曽根前総理に関連する問題についてお伺いしたいと思いますが、真藤氏と中曽根前総理が非常に親しい関係にあったということは周知の事実でありますし、また江副氏と中曽根氏との間、これも当委員会でも何度も出た問題であります。こういう関係については総理自身も御存じだろうと思いますけれども、いかがですか。
  176. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 私自身の問題ならともかくといたしまして、そういう関係について私が詳しく知る由もありません。
  177. 野間友一

    野間委員 そこでお聞きしますが、NTTの発足と同時に、当時をずっと振り返ってみますと、対米貿易の黒字減らしが緊急の政府の課題となって、その経過についてずっと追ってみたんですが、五十九年十二月に民営化法が成立をする。六十年一月二日に日米首脳会談、ここで通信機器等四項目について中曽根氏が、私自身が直接チェックをする、こう約束をしました。一月八日には閣議で関係省庁に対応策を指示した。郵政省小山事務次官をトップとする対策委員会がつくられた。その次に、三月二日に江副氏が首相官邸で中曽根氏と会っておるようですが、三月三十一日に中曽根氏が来日の米大統領特使のシグール特別補佐官に通信分野での貿易摩擦解決に一層の努力を約束した。四月一日にNTTが発足した。四月四日に全閣僚出席の経済対策閣僚会議が開かれ、四月五日に当時の左藤郵政大臣がNTTの真藤社長に資材調達額は昨年を上回るよう要請。四日九日にアクションプログラムが決定された。こういう経過にありますが、これは郵政省認めますね。
  178. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 今、先生いろいろおっしゃいましたが、私どもで掌握している事実に限って申し上げたいと思います。  それによりますと、六十年四月四日経済対策閣僚会議、そこで対外経済対策をまとめるということで、外国企業の参入機会の増加に努める、これはNTTへの外国企業の参入機会の増加に努めることが必要であるという旨の総理の発言があった。これは全体として参入機会を増加しろということで、別段、個別の機器購入についての発言があったわけではございません。そして四月五日、郵政大臣からNTT社長に対しまして外国企業の参入機会増加の要請を行っておりますけれども、これも、繰り返しますが、個別機器の購入を要請したものではございません。  ちなみに、今おっしゃいました四月九日決定の対外経済対策におきましては、NTTの資材調達に関しまして、今後とも調達に当たっては外国企業の参入機会が増大するよう努めるものとされているところでございます。
  179. 野間友一

    野間委員 NTTの資材調達、これは日米政府間調達として手続が進められた、これは六十三年十月二十五日塩谷さんが当委員会で答弁しておりますが、それはそうですね。
  180. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 今御指摘の内容がちょっと私掌握しかねるのでございますが。
  181. 野間友一

    野間委員 日米政府間調達としてNTTの資材調達が進められたということです。
  182. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 そのとおりでございます。
  183. 野間友一

    野間委員 さて、総理にお聞きしますが、その対米輸入の増大は閣議決定に基づいて進められるわけですが、この閣議決定の方針に基づいて行政各部を指揮監督することは内閣法六条で定められておる内閣総理大臣の職務権限であると思いますが、それは間違いありませんね、総理大臣。総理の職務権限について、内閣法六条で、閣議決定をまずやる、閣議決定に基づいて、その方針に基づいて行政各部を指揮監督する、これが内閣法六条で定められております総理大臣の職務権限であると思いますが、間違いありませんね。
  184. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 ちょっと法文を持っておりませんが、おっしゃるとおりだと思います。
  185. 野間友一

    野間委員 そこで、ちょっと事実関係なんですけれども、先ほど経過も若干触れましたが、中曽根当時の総理は、通信機器などの輸入については首相みずからがチェックをして目配りをする、こう言われております。その後のいろいろな経過、私も今拾ってみたわけですし、その後もアメリカ側の強い要請がある、これを受けて政府調達も進められている、こういう状況については随時いろいろ報道もありますし、政府間の資料も私ありますので承知をしております。  こういう事実、ずっと経過がありまして、そして本年三月四日付の日経新聞が報道しますように、中曽根首相がリクルートに渡すことを前提にNTTにクレイ社のスーパーコンピューターを輸入するように言った、こういう報道がありますが、これは間違いないと思うわけですね。この点について、新聞報道でも、真藤氏のインタビューの中では、何とも言えないと、否定はしていないわけですよ、否定は。私はこの一連の経過の中でそうだと思うのです。当時の新聞報道では、外務省筋としても、アメリカ側はそのクレイ社のものを買えと言って困るんだよという、こういう新聞報道もあるわけで、当時からこの点については間違いないと思います。  そうしますと、この輸入品目の具体的な指示、もしこれが事実だとするならば、これも総理の職務行為に含まれる、私はそう思うわけであります。この点については、一般論としても結構ですが、ロッキード事件の判決、この中で田中元総理についての職務権限の判決がありました。これによりますと、今申し上げたように、その総理の職務行為の中に、密接な関係を持つ行為、つまり個別、具体的な物品を購入するということに対する指示、これも含まれる、こう思いますが、いかがですか。
  186. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 法令関係の問題ですので、これはやっぱり専門家から答えるべき問題だと思います。
  187. 根來泰周

    根來政府委員 お答えいたしますが、前提といたしまして、今のいろいろお話しになった件とは全然別ということでお聞き取りいただきたいのでございますけれども内閣総理大臣の職務権限については、憲法七十二条がこういうふうに定めております、それから内閣法六条がこういうふうに定めておりますということを引きまして、いわゆるロッキード事件の丸紅ルートの第一審判決では、閣議にかけて決定した方針に基づくこと及び指揮内容が主任大臣の権限内の事項についてのものであることが必要であるという前提の上で、この問題については総理の職務権限内であるという判決がございます。
  188. 野間友一

    野間委員 それに関連して、同じ判決の中で、これはほかの判例を引用しておりますが、「刑法一九七条の「職務ニ関シ」とは、賄賂が当該公務員の職務行為に対する場合に限らず、これと密接な関係を有する行為、すなわち準職務行為又は事実上所管する職務行為に対する場合を包含する」、これが判例ですね。
  189. 根來泰周

    根來政府委員 それは、判例でもありますし、法令解釈としても確定していることと思います。
  190. 野間友一

    野間委員 したがって、単に抽象的に各省庁に対して例えば経済摩擦を解消するために何をしろという指示だけじゃなくて、具体的にクレイ社のものを買え、こういうような指示をした場合には、こういう具体的な行為も賄賂罪で言う職務行為になるというのが一貫した裁判所判例の考え方だということになってくるわけですね。  そうしますと、この中曽根前総理について、筑比地秘書とかあるいは上和田秘書、これが一万三千株あるいは三千株ですか、等々いろいろ報道もされておりますが、そうしますと、中曽根総理に関しても、この二人の秘書名義の未公開株の譲渡についてもそのスーパーコンピューターの輸入にかかわるものじゃないか、こういう疑いがあるという報道がたくさん今出ております。特に真藤会長の問題が出てきております今日、いよいよこの解明が重要になってきたと私は思うわけであります。私は、そういう意味におきましても、そういうものをすべて視野に入れながら検察庁は十分徹底した捜査をするべきである、こう思いますが、この点についての決意を聞かしていただきたいと思います。
  191. 根來泰周

    根來政府委員 前から申し上げておりますように、この御議論は十分拝聴しております。
  192. 野間友一

    野間委員 冒頭に申し上げたように、大変大きな疑惑に包まれた問題だし、今一、二点指摘しただけでも大変な問題をはらんでおるわけですから、やはり当委員会において証人喚問を徹底してやる、真相究明せよということを私は委員長にもぜひお願いをして、関連して東中議員の方から質問したいと思います。
  193. 瓦力

    ○瓦委員長代理 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。東中光雄君。
  194. 東中光雄

    東中委員 宮澤大蔵大臣にお伺いしたいのですが、二十七日の当委員会における宮澤大蔵大臣のリクルート疑惑についてのまとめた御答弁がありました。その点につきまして、どうしてもこれは納得がいかないという点が幾つかございますので、簡単にお伺いしたいと思います。  まず第一は、河合氏に対する株の譲り渡し人、譲渡人についてであります。宮澤さんのこのときの説明では、「株式の譲り渡し人、譲渡人につきましては、服部をして再三聞かせました。が、河合は、二年前の取引でありますので記憶が定かでないということ、また株式売買約定書が見当たりませんので具体的にドゥ・ベスト社であるかどうか確認できないとのことでございました。」こういうふうに言われたのです。二年前であって約定書がない、だから譲り渡し人がわからないんだ。  ですけれども、この全体を通じて言いますと、この譲り渡し行為をやった時期が六十一年の九月三十日であった。非常にこれは明確に月、日まではっきり言われているわけです。取引内容は何か。リクルートコスモス株一万株、三千万円。契約内容もはっきりしているのです。今度は買い手はどうか。これは河合さんが宮澤さんの名義で買うたんだ。契約の要件も全部明らかになっておるのに、相手方だけが、同じ二年前のことであり同じ約定書がないという条件で、相手方だけわからない、これは非常に納得がいかない。普通ならば、わざわざ訪ねていって譲り渡してもろうたというのでしょう。あの人のところに行けば宮澤さん名義ならば譲り渡してもらえるということを思うて、自分名義じゃだめだからといって訪ねていった相手方、要するに譲り渡し人を忘れてしまう。ほかのことは皆覚えている。これは納得がいきませんので、どういうことなのかはっきりとお伺いをしたいのであります。
  195. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 十月二十七日でございましたか、聞き得ましたことを全部そのまま御報告いたしましたので、つけ加えることはございません。
  196. 東中光雄

    東中委員 譲り渡し人については、契約の当事者の一方だけがわからない。契約の時期も内容も、そして譲り受けた人もわかっておるけれどもそれだけがわからないということの説明は、一切宮澤大蔵大臣はすることができない。この前に申し上げたとおりである、こういう立場をとられておる。よろしゅうございますね、それで。
  197. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま申し上げたとおりであります。
  198. 東中光雄

    東中委員 それから、二番目にお伺いします。購入のときの状態であります。  河合氏がこのコスモス株を購入したときは相対売買でございます。宮澤さんの御説明でもこれは相対売買であって、相対売買という以上は、売り主と買い主が会って、そしてお互い相手方を確認をして売買契約を結ぶ、こういう関係だと思うのですが、宮澤さんの御主張ではそういう性質のものであるということでしょうね。
  199. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 法律関係のことはつまびらかでございませんが、いわゆる市場ということでないということかと存じます。
  200. 東中光雄

    東中委員 市場でないということは相対売買であるということである。相対売買というのは私が今申し上げたとおりなんです。  ところで、この株を売ってくださいと購入のために宮澤さんの名前を借りて河合さんが行ったという説明になっているのですね。そして、河合氏は、私の名前を使い、市中で買いました宮澤名の印鑑を使用して、六十一年九月三十日、一万株、三千万円で購入したのであります、そういうふうにこの間言われました。  ところが、河合さんは、その相手方がだれかわからぬところへ訪ねていったですね。河合さんは河合さんであって、宮澤さんではないですね。私、宮澤喜一です、市中で買うた印判を持ってますと言うて行ったのじゃないはずなんですね。自分の名前じゃだめだから名義を借りたいと言って借りたのですから。そうしたら、行ったときは、宮澤喜一氏のところから参りました、私は宮澤さんのかわりに、手足としてか代理としてか知らぬけれどもとにかく来たのですということを言うて、相手方がそれを信用して、河合なら売らぬけれども宮澤なら売りましょうと言って宮澤さんの名前の契約をした、こうなるのですね。そうじゃございませんか。どう思われますか。
  201. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前回聞きましたことをすべて御報告いたしましたので、それにつけ加えることはございません。
  202. 東中光雄

    東中委員 弁解の余地がないということだと思うのです。河合さんがそう言うて行った場合に、河合さんなら売らないんだということが前提になっているからこそ名義をわざわざ借りていったということになっているのですからね。立てている筋がそうなっているのですから。  そうすると、河合さんが行ったら、私は宮澤のかわりに来ましたと言うについては、それを証明する、宮澤さんが河合ですと書いた何か紹介状か、株の取引についてよろしくという何か証明みたいなものを渡すか、あるいは事前に電話しておいて河合というのが行きますからどうぞよろしくと言うておくか、そう言わずに河合氏が向こうで何か言うたということになったら、向こう側は、それが宮澤さんのかわりをする人であるということを確認するためには、ちょっと待ってくださいと言うて宮澤さんのところへ電話して、こういう人が来ていますがいいのですかと言うて取引をする。そうでなければ、三千万の取引、一カ月で二千万ももうかるような取引はやれないんだ。  だって、河合さん自身がそう言うているのでしょう。宮澤さんの主張で言えば、河合さんは自分の名前じゃ買えないから宮澤さんの名前を貸してくれと言うているのですから、そういう筋道になるのですよ、社会の常識から言うたら。市中の印鑑、三文判を持っていったらちゃんと買えますのやと、そんなことにならぬのです。ところが、あなたの言われているのは、河合氏は私の名前を使い、市中で買いました宮澤名の印鑑を使用して九月三十日、一万株、三千万円で購入しましたと、そうこの間言われているのです。そう簡単に、リアルに考えれば、いかないのです。それでもこれだけしか言わない。  向こうは、だれかわからぬけれども宮澤さんでないことだけはわかっていますな。河合さんを見て有名人の宮澤さんと間違えるはずがないのだから。それが宮澤さんのかわりで来て、宮澤さんに法的効果が生ずる、宮澤さんだから売るというような契約書を、何かわからぬけれども市中の三文判を持ってきて、それで認めるんだ、こんなことを言われて、それが真実でありますと、これは通りませんよ。日本じゅうだれが聞いたって、それはおかしいぜと言いますよ。それでもやはり、この前言うたこと以上は一切弁明することはない、こうおっしゃるわけですね。
  203. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろ想像にお答えすることはできませんので、この前申し上げたことにつけ加えることはありません。
  204. 東中光雄

    東中委員 次に、今度は売却の場合であります。  この売却はこういうふうに言われました。「宮澤名義で売却すれば宮澤の取引と誤解されて私に迷惑をかけることとなる一方、河合名義であれば株式の購入が借名であったことが相手にわかってしまいますので服部名義としたというのが河合氏の説明でございます。」と、こうなっているのですよ。宮澤名義で買うたんだ、だから宮澤名義で売ればいいものを、宮澤名義で売ったんでは市場売買というか証券会社に証拠が残って宮澤さんの名前が出てしまうから宮澤さんの名前を使わなかったんだ、これはわかります。ところが、それなら何で河合さんの名前でやらなかったのかと言うたら、河合の名義でやれば、株式の購入が借名であった、要するに宮澤さんの名前を使うて買うたんだということが相手方にわかってしまいますので服部名義にしたと、こう言われているのです。  ここで言われている、あなたの言われたことですから、相手方にわかってしまいますという相手方というのはだれのことですか。
  205. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは私の言ったことではございませんで、そういうことを申したという報告を申し上げたにすぎません。
  206. 東中光雄

    東中委員 あなたは蓄音器のように報告を申し上げただけだというふうに言われるのだったら、これは余りにも不誠実ですよ。あなたが引用されているわけでしょう。それを信じているということであなたは言われているのでしょう。あれは何のことかわからぬのだけれども、本人がそう言うたと言うただけなんですと、そんな答弁ですか、これは。これは国会侮辱ですよ、そんなことを言われるのだったら。相手方というのはだれだと思ってあなたは言われているか、そのことをお伺いしているのです。
  207. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 誠意をもってこの前わかることすべてをお答えしておりますから、つけ加えることはございません。
  208. 東中光雄

    東中委員 これは弁明の余地がないことだと私は理解をしました。  それで、この相手方、売り渡し人に対して、要するに宮澤さんの名前を借りて河合がやったんだから、河合で売ったら、宮澤さんの名義で売った人、要するに相手方ですね、に河合が借名していったことがばれてしまう、こういうふうに言うているのです。だから、それはそれなりに筋が通っておるように見えるのですけれども、実際は売るときというのは証券会社に名前が残るだけなんですよ。その宮澤さんに売ったと言われているX、名前を言われないその売り渡し人が、どこの証券会社へだれが何を売ったのか、そんなもの一々調べに行くわけないのです。わかりっこないのです。また、買うた宮澤さんが市場に乗せないで相対売買でほかの、河合さんに売ることだってあるのですから。現に相対売買で買うたのでしょう。相対売買で買うた人が市場へ売った、河合さんが市場へ売ったということになれば、借名がばれるなんというようなことはあり得ないのです。こういうあり得ないことをもっともらしく言うておるというところに決定的な問題があるのです。  むしろ逆に、だからなぜ服部名義にしたのかという説明は何もないのです。河合名義にしたら、市中の人だから、暴露されて明らかになっても、だれも朝日新聞も何も取り上げはせんかったのですよ。ところが、現職の大蔵大臣秘書官服部さんの名前で取引したから発覚したのでしょう。何でその発覚する、事実でない大蔵大臣秘書官の名前をわざわざ使って河合さんは取引をしたのか、その説明は何もされていないのですよ。だからこれは全くのつくりごとだ。説明ができないじゃないですか。私はそのことを指摘をしたい。  だから、これは本当に宮澤さんが宮澤さんの名前で取引をして、そして今度は売るときに自分の名前ではぐあいが悪いから自分の名前は使わない、ほかの者の名前にしてほかの人のところに金が入ったのでは何にもならぬから自分のかわりとして秘書官の名前にした、こう言うなら筋がわかるのですよ。それ以外に考えられない。なぜ服部さんが出てくるのか。こんなことがそのまま通って、ああそうですねと言ってまかり通ったとしたら、私も政治家であると同時に法律家の一人です。こんなもので、それで通ってしまうのだ、世の中通されたら、国会議員は何をしているのだと言われると思うのです。真実であればこういうことは言えないはずだということを私は申し上げたいのであります。  時間がありませんので、もう二点だけ申し上げておきます。  一つは、河合氏が服部氏に対して名前を貸してくれないかと頼んで、服部氏は承諾をした、こういうふうに言われました。しかし、宮澤氏の名前を貸してくれと河合氏が言うたとは一言も言われていないわけです。服部さんに名前を貸してくれと言ったら服部さんの名前を貸してくれということであって、宮澤さんの名前を貸してくれということになるというこんなものは世間では通らぬのです。これもはっきりされないままである。  それからもう一つ、名前を借りた時期です。これは大変おかしなことをこの間言われました。というのは、取引をしたのは、初めは六十年一、二月ごろというようなことも言われたのだが、この間の発言でははっきりと六十一年九月三十日であるというふうに日まで言われた。ところが、名前を借りに来たときはいつかというのは、六十一年の何月であるか正確には定かでない、こう言うているのですよ。売買したのは河合さんだけやったのですね。ところが、頼みに来たのは服部さんと河合さんと両方が関係しているわけです。それなのに、その月さえわからない。しかし、正確にというのをわざわざつけてあるのです。この意味は、九月三十日の取引だから数十日前なので九月だったのか八月だったのか正確にはわかりません、こういう意味ならそれなりに理解できます。しかし、六十一年の月はわからない。こっちは日までわかっている。こんなの通りませんよ。  この二つの点について、言われることがあるのなら言うてください。言うことなかったら、それ以上弁明することができませんということなら、答えぬままで結構です。
  209. 瓦力

    ○瓦委員長代理 時間が参っておりますので、簡潔に御答弁願います。
  210. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろ御想像の上お尋ねでございますが、特につけ加えることはございません。
  211. 瓦力

    ○瓦委員長代理 これにて野間友一君、東中光雄君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  212. 瓦力

    ○瓦委員長代理 この際、報告いたします。  公聴会の開会につきましては、十一月四日開会の予定でありましたが、諸般の事情により、来る八日火曜日に開会することに変更いたしましたので、御報告いたします。  次回は、来る四日金曜日午前九時三十分委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会