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伊藤(茂)
委員 言葉の端っこをとらえるわけではありませんけれ
ども、
総合課税、あるいは把握番号制をたどっていくのじゃないかなという話がございましたが、たどっていくのじゃないかなでは困るわけでありまして、私は思いますけれ
ども、
抜本改革ですから、大蔵大臣言われましたようにさまざま難しい問題がございます。しかし、ここで
抜本改革にふさわしい政治の決断をしようというのなら、私
どもが要望しておりますように、本当の
原則課税、把握はちゃんとやります、そして
国民の
皆様に御
理解いただいて、クリーンなそしてフェアな
税制のためにこういたしましょう、しかし、それは一挙にできませんから、十なら十、
五つなら
五つの問題がございますから、真剣に
議論します、その
議論する間の過渡的な存在として、短期間の間ここに掲げておるようなことがありますというのが私は
抜本改正というものだろうというような気がするのですね。
大変不満でありまして、まだまだこれは最
優先課題の前提条件の方を十分やらなければならぬなというふうな思いを深くするわけであります。何か前向きの御
答弁が先般ございましたからと思って、きちんとしてもらえばと思って好意的に御
質問したのですが、いけませんで、極めて残念であります。
それからもう
一つだけ、これに関連しまして土地問題についてお伺いをしたいと思います。
十
項目の
不公平是正の中にも土地
税制を挙げてございまして、勉強すると非常に難しい問題だということは私
どもよくわかります。しかし、何とかしなければならぬという問題であることも、これは
気持ちを
政府も私
どもも等しくするところであろうというふうに思うわけでございます。
申し上げておきたいのは、私
どもは
税制あるいは資産課税として何とかしなければならぬという問題意識はあります。それだけを言っているのではありません。御案内のように、この春には私
ども四
野党、仲よし四人組で勉強いたしまして、土地
基本法を
提案をさせていただきました。聞くところによりますと、
総理も関心を示されまして、こういう問題について、土地全体総合
基本法、いわゆる
基本的な
構造というものを
政府としても勉強しなければならぬということで、
国土庁長官を
中心に御勉強なさっている。うちの横浜市長も
委員に加えていただきましてやっているということのようでございまして、私
どもなりに
野党の
提起したことがそれなりに何か側面的に
意味があればいいことだなというふうにも思っているわけでございます。
ただ、問題は
中身でありますから、どうしていくのかというふうに思うわけでありまして、私は
税制の角度で
考えて言っているわけではありません。やはり土地総合
政策と申しましょうか、全体をどうするのか。土地臨調と申しましょうか、六月十五日の臨時行革審の御
答申ですね、閣議で出されました対策な
ども詳細に読ませていただいておりますけれ
ども、もう
一つ実は物足らないわけであります。
私は二つ、
見解を承りたいと思うわけでございまして、その
一つは、おくれにおくれてはいるのですが、もうここで土地問題に戦後史的な新しい座標軸を据えよう、そういう御決断を明確にしていただきたいと思うわけであります。欧米の土地制度と比較をいたしますと、やはり公共財であり、私有権ではあるけれ
ども所有権
中心ではなくて、利用が
中心であり、そしてまた高度にうまく利用するようにパブリックな意識を持たれている。言うならば、土地は私有財産ではあるけれ
ども、市民が、みんなが、幸せにするための、ハッピーにするための、住むための共通のグラウンドであるというふうに認識がなされている。これが私は近代社会のあるべき姿だろうと思いますが、
日本の場合には甚だしくそれにかけ離れているという
状態にあるわけであります。そういう方向への御
努力というものをどう鮮明にやっていくのかということが
一つだろうと思います。
総理はしょっちゅう、サミットも含めまして行かれておりますから、外国へ行かれた際、欧米、特にヨーロッパのさまざまの、一私
ども随分調べてみましたけれ
ども、土地制度、
税制その他についての関心も時々生まれたのじゃないだろうかというふうに思いますけれ
ども、やはりそういう土地制度あるいは土地
政策全体に新しい座標軸をどう据えるのかという面が
一つであります。そういう
意味での
基本法に取り組んでいただきたい。
私
どもの方で
提起をいたしましたのは、四
野党の法案では、土地の利用は公共の福祉を優先させる、あるいは土地の所有からむしろ利用を
中心に、あるいは投機の対象としてはならないし、さらには土地の増価益あるいは社会開発利益というものは社会に還元さるべきである、そういう方向に
世論も誘導しながらやっていきましょう、劇薬のようにできるかどうか別問題にして、そういう方向をこの際鮮明にしようではないかと言ったわけでありまして、できたら
国土庁長官、従来の行革審の
答申と対策要綱をお決めになった枠組みからもう一歩積極的に進め、
努力をする、そういう
意味での
努力をしてもらいたいと思います。
それから土地
税制ですね。これにつきましては、やはりこの土地
税制についても新しい座標軸をぜひ据えてもらいたい。
政府税調の
答申を読みましても、戦後四十二年、土地の供給その他さまざまな理由をもちまして譲渡益課税を安くしていくということでやってきた。しかし一面では、その結果が一体何だっただろうかという今日の土地のクレージーな
状態がある。もう一面では、他の
税金、
税制と公平であるのかないのかという疑問を感ずるという
趣旨のことが税調の
答申の中にも書かれております。
私は、この際、土地
税制についても、例えば不労利益
期待というものを容認しないと申しましょうか、汗を流さず、土地が上がる、不労利益を大きく
期待する、そういうものをなくするような
税制、あるいは高度利用を誘導するような
税制。ヨーロッパのどこでしたか、ベルギーですかどこか調べてみましたら、町の平家の家にはわりかし高い、しかしそれがより高度に集合住宅になると保有税も非常に安くなる、高度利用誘導の
税制というのも聞きましたし、それから未利用から利用に引き出していく
税制、今の特別保有税の問題なんかもっと抜本的に
考えるというふうな問題もあろうと思います。それから、もちろんですが、地価高騰を許さない、これはイタリーの土地増価税なんかの場合、通すときには随分
議会でも裁判所でも大問題になったようでありまして、しかしそれが通過をした途端に土地の高騰がぴたりとまったという作用があったということを実はレポートを読みましたけれ
ども、そういう要素を持ったものをどうくみ上げるのかということを決断しなければならぬ。
少なくとも今
政府がお
考えになっておりますような、土地につきましては、何か土地のための融資を受けてそして赤字法人でどうとか、ごく部分的には出ておりますけれ
ども、こんなものは土地
税制について
努力をしたのには当たらぬと思いますね。
中身について一挙に具体的なことを全部回答してもらいたいとは申しません、そういう方向への新しい座標軸をどう据えるのかということが必要ではないだろうかと思うわけでございまして、土地
基本法へのそういう姿勢の問題、
中身は結構ですから姿勢の問題を、
国土庁長官。それから土地
税制についてのお
考え。そしてこれは政治決断、政治思想の問題ですから、そういうことを含めまして土地
税制、土地
政策、土地制度についての転換というものをなるべく早い時期に本格的にやろうということがぜひとも必要だと思いますが、最後に
総理のそれについてのお
考えも伺いたい。