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1988-10-21 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十一日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君 理事 加藤 万吉君    理事 村山 喜一君 理事 二見 伸明君    理事 米沢  隆君       甘利  明君    粟屋 敏信君       池田 行彦君    遠藤 武彦君       小川  元君    小沢 辰男君       大島 理森君    岸田 文武君       熊谷  弘君    佐藤 静雄君       志賀  節君    鈴木 宗男君       田原  隆君    谷  洋一君       玉沢徳一郎君    中川 昭一君       中川 秀直君    中島  衛君       中村正三郎君    西田  司君       野田  毅君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    堀内 光雄君       宮下 創平君    村山 達雄君       山口 敏夫君    山下 元利君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       坂上 富男君    中村 正男君       野口 幸一君    山下洲夫君       小谷 輝二君    坂井 弘一君       坂口  力君    宮地 正介君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       正森 成二君    松本 善明君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 中島源太郎君         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         自 治 大 臣 梶山 静六君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局長    海野 恒男君         経済企画庁総合         計画局審議官  田中  努君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         法務省民事局長 藤井 正雄君         法務省刑事局長 根來 泰周君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         国税庁次長   伊藤 博行君         文化庁次長   横瀬 庄次君         厚生大臣官房総         務審議官    末次  彬君         厚生大臣官房審         議官      清水 康之君         林野庁長官   松田  堯君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         労働省職業安定         局長      岡部 晃三君         建設省都市局長 真嶋 一男君         自治大臣官房審         議官      前川 尚美君         自治省行政局公         務員部長    芦尾 長司君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     粟屋 敏信君   片岡 清一君     佐藤 静雄君   岸田 文武君     小川  元君   中川 昭一君     大島 理森君   原田  憲君     中島  衛君   工藤  晃君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     小沢 辰男君   小川  元君     岸田 文武君   大島 理森君     中川 昭一君   佐藤 静雄君     遠藤 武彦君   中島  衛君     原田  憲君   松本 善明君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     片岡 清一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  税制改革法案内閣提出第一号)  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  消費税法案内閣提出第三号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  消費譲与税法案内閣提出第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第六号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。山下洲夫君
  3. 山下八洲夫

    山下(八)委員 おはようございます。  きょうは不公平税制に限っての審議ということでございますから、特に国民皆さんにおきましても大変な不公平を感じております、また同時に、野党四党といたしましても国民皆さんの声をしっかりと受けとめて、その中で十項目にまとめました不公平税制是正を中心に、質問をさせていただきたいと思います。  そこで、私は不公平税制の議論をするに当たりまして、どうしてもリクルート問題というのは不公平税制の中のガンではないか、このような気がしてならないわけでございます。このガンをしっかりと本当にきれいに摘出をしない限り、不公平税制是正自身ガンに侵されてまた死んでいくのではないか、このような気がいたしますので、その不公平税制の中でのリクルート問題にまず最初に入らせていただきたいと思う次第でございます。  昨日、私のところの同僚委員坂上代議士から質問がございまして、宮澤大蔵大臣に対しまして、調べていただくように、宿題といっては恐縮でございますが、問題提起がしてございます二点につきまして、まず最初お尋ねをさせていただきたいと思います。  その第一点は、株の売買契約書を昨日の答弁ではまだ確認をしていない、見ていらっしゃらない、このような答弁だったろうと思います。もう一つ株式売却通知書、これにつきましてもまだ確認をしていらっしゃらない、このような答弁があったようでございますが、それを確認していただきましたかどうか、その辺を明確に御答弁いただきたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 再三申し上げておることでございますが、事実関係につきまして私の秘書が聞きましたところでは、河合氏は、名前を借りる承諾を得たと考えまして自分取引をいたしたわけでございます。そして、取引通知等々は服部あてに行われるようにしたということでございました。以上が服部の報告でございます。  そういういきさつでございましたので、売買契約書を私どもが見る機会というものはなかったわけでございます。以前からも確かめておったのでございますが、さらにこの売買契約書がどういうものであったか河合氏に確認をいたしておるのでございますけれども取引が二年前のことで、終了いたしておりますものですから、その契約書自分のところに見当たらないということを言っておるそうでございますので、それは、しかし何とかひとつ努力をさらにしてくれないか。河合氏としては、取引が終了しておるということでございますのでそういうことだそうでございますけれども、なおこれはよく本人にしっかり確認をしてもらわなければならないということをお願いをしてございます。  それからもう一つの点でございます株式売買通知書でございますが、これも河合氏から聞きましたところでは、売り払い代金を払い込みます口座河合氏が服部名義で開設をしておるわけでございます。そしてそこへ入金をしておるわけでございます。したがいまして、株式売買通知書等々の関係は私のところには全く来ていない、こういう関係だそうでございます。
  5. 山下八洲夫

    山下(八)委員 株式売買約定書、これはまだ確認をしていらっしゃらない、結論を申し上げますとそのような答弁であるわけでございますが、私は、きのう同僚議員質問いたしましたからその後の時間だけでこのようなものを確認する、そういうことだけでは済まされない問題でもあると思うわけです。もう随分前から時間的にはゆとりがあったわけでございます。そういう中で昨日わざわざ今度は確認をしていただきたい、こう言って、お願いと申しますか質問をさせていただいたと思うわけでございます。そのことを考えていきますと、何か見当たらない、このような重要な問題が見当たらないということは、私は、どう詭弁を使われましても納得できないと思うわけです。  後ほど答弁いただきたいと思いますが、昨日同じように総理に対しまして同僚議員がこの株式売買約定書を、これは本物かどうかということで質問されまして、縦長であったみたいだけれども、似ている、このような趣旨答弁がございました。そこで、似ているだけであって、違うのかどうか、もう一度確認のために質問させていただきたいと思います。
  6. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 大体私なりに感じましたのは、この種のものは少し時間が過ぎますとそう保存しておくものじゃないようでございますが、たまたまきちょうめんに保存しておったということであろうかと思います。が、約定書、大体あんなものだったな、と。縦長とか横長と申しましたのは、横へ何かついたものをちょうだいしたから少し横に長いなと思っただけで、それを切りますと大体四角形になりますから、ただ大きさは違っておったかもしれませんけれども、コピーでございましょうから。大体同じような形式のものであったということでございます。
  7. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そういうことで総理の方は比較的きちっと記憶もなさっていらっしゃるわけです。宮澤蔵相はそういう中ではまだ調べては、言葉では調べていらっしゃるようでございますけれども、現実的にその実効というのがずっと上がってこないわけでございます。そこが私は納得がなかなかできないのです。  余談になると思うわけでございますが、私自身も本当に長い間秘書を務めさせていただきました。その経験があります。私は、秘書代議士と申しますか、国会議員の場合は本当に大変な信頼関係がないと務まらない任務であると思います。思い起こしていきますと、私は元代議士でございました楯兼次郎先生秘書を務めさせていただいたわけでございます。ちょうど国対委員長時代に、たしか総理は、佐藤内閣それからそれに続きました田中内閣官房長官を務めていらっしゃいました。同時に、金丸委員長佐藤内閣そして田中内閣国対委員長を務めていらっしゃったわけです。そういう関係で、私はよくその当時のことも、ある面では、日にちまでは正確でなくても覚えているものだと思うわけです。  同時に、秘書議員というのはかなり分野で、白紙委任とは言いませんけれどもかなり分野委任をされている、このような状態でもあると私は思うわけです。ですからこの株の取引問題につきましても、宮澤蔵相自身かなり分野服部秘書に対して委任をしていたのではないか、だから契約書云々がどうであるとかそういうことで確認をしなくてもいい。まあ判こ三文判とかとおっしゃっていましたけれども、その辺の文房具屋さんで売っている三文判ではないと思うわけです。かなり分野で私は委任していると思うわけでございます。だからこそ、こういう重要なものが保存もされてない、あるいはいまだに確認することができない、そうおっしゃるのではないかと思うわけです。ぜひその辺で、もう一度、本当に確認できないのか、お答えいただきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、昨日も申し上げましたように、株の取引というのをほとんどしていない人間でございますので、大抵のことは確かに委任をいたしておりますが、株については実際そういう事例は今までほとんどなかったわけでございます。  それで、今お話しの点は売買約定書でございますか、これは私ども事務所約定書の一部があったわけではございませんで、約定いたしましたのはその河合氏でございますので、約定書を持っておる人は河合氏であるわけでございます。河合氏はその約定書によりまして取引を終了いたしまして、売却を既に二年前でございますか、しておるものでございますから、その約定書というのはもう書類としては務めを果たしておるわけでございます。いわば要り用のない書類でございます。大きな会社でございますとそれでも何年間かは保存するということはございますが、まあ小さい会社でございますので、ちょっとそれがもう見当たらなくなっておるということを申しておるわけでございまして、これは私の方の事務所関連のことではございませんので、御了解をお願いしたいと思います。
  9. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そういたしますと、河合氏はどの辺までこの約定書調査をされたのですか。例えば証券会社に控えがあるのかないのか、その辺の確認もされたのでしょうか。その辺まで大臣自身調査するように指示を出されたのでしょうか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはお尋ねもございまして、調べてもらうように頼んだわけでございます。
  11. 山下八洲夫

    山下(八)委員 証券会社にもないのですね。証券会社にもなかったのですね。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 証券会社と申しますよりは、約定書でございますから、買った人間、譲り渡した人間、そういう関連になろうと思うのでございますが、これももう申し上げたのですが、譲り渡した人間のところが確認ができていない、こういうことになっております。
  13. 山下八洲夫

    山下(八)委員 こういうことですから、また後ほど触れたいと思いますが、どうしてもやはり服部さんと河合さんというのはまず証人喚問をしていただかないと困ると思うわけです。話が進まないのです。これはまた理事会に要求しておきますので、ぜひお願いしたいと思います。よろしいですね。
  14. 金丸信

    金丸委員長 わかりました。
  15. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、次へ進めさせていただきたいと思いますが、まだまだ時間はあるわけでございますから、また私の党の次の方がこの問題に触れてまいりますので、必ず明確にしていただきたいと思うわけでございます。  それから、河合さんが株を買ったときの資金はどなたの資金を活用なさったのでしょうか。銀行から借り入れしたとか自己資金であるとか、あるいは宮澤事務所資金であるとか、いろいろと資金にはルートがあると思いますが、その辺と、もう一点あわせてお尋ねしておきたいと思います。売却されましたお金服部さんの名義口座入金された、そのように伺っておりますが、そのお金はどのように、どのような方面の使途に使われたのか、もしお調べになっていたらお聞かせいただきたいと思います。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは河合氏の話をそのまま申し上げるしか方法がないわけでございますが、この人は実業家でございますので、この資金をつくりますのには幾つかの自分口座の金を集めまして購入資金とした。それから売却代金でございますが、それは今申されました口座入金をいたしまして自分の事業に使ったということでございます。その中で、この人は海外の土地、不動産でございます、などもやっておりますものですから、その購入代金の一部に充てた、こう言っておるそうでございます。
  17. 山下八洲夫

    山下(八)委員 竹下総理は、秘書の青木さんがドゥ・ベストから二千株を取得したということをお答えなさっているわけでございますが、河合さんの分というのか、これは宮澤代議士名になっているわけでございますが、この河合さんの分はドゥ・ベストから入手したというふうに理解をしてよろしいのですか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それもせんだって申し上げたことでございますが、その点を河合本人記憶をいたしておりませんで、先ほどおっしゃいましたように約定書がございますとそこからわかるはずのものではないかと思うのでございますけれども、そういうことでございますのでその点を確認し得ない状況でございます。
  19. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そういたしますと、先ほどの約定書と今の分につきましては、ぜひ次の我が党の質問までの間にお調べいただき、明らかにしていただきたいと思います。  大蔵大臣は、今回の宮澤大臣名義の一万株につきましては、これは相対取引の場合だから違反ではない、このような答弁をたびたび繰り返されているわけでございます。相対取引というのは有価証券取引税というのはかかるのですか。
  20. 水野勝

    水野(勝)政府委員 有価証券譲渡でございましたら、相対売買、それから証券会社を通ずる委託売買の場合も同じように課税がされるわけでございます。
  21. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう一遍ちょっと……。
  22. 水野勝

    水野(勝)政府委員 有価証券取引税は、有価証券譲渡課税されるということでございますので、相対売買の場合も証券会社を通じての委託売買と同じように課税はされるわけでございます。
  23. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、今回のリクルート関係のこの相対取引、これは取引税、有取税、皆さん納めていらっしゃいますか。
  24. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 一般的な法律関係は今主税局長から御答弁申し上げたとおりでございます。相対取引の場合にも納税義務がございます。  ただ、本件に即してという点につきましては、事柄が個別でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
  25. 山下八洲夫

    山下(八)委員 なぜ答弁できないのですか。固有名詞を聞いているのじゃないですよ。
  26. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 従来からでございますけれども、具体的な個別問題ということにつきましては——一般論として申し上げますならば、先ほど主税局長から御答弁申し上げましたように、相対取引の場合にも納税義務がございます。したがいまして、それに該当する場合には申告されるべきものであるし、当然申告されておる、そういうものに該当するものであるならば申告されておるというふうに考えております。
  27. 山下八洲夫

    山下(八)委員 だから、リクルート関係株につきましては、この相対取引が申告されましたか。
  28. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 先ほど申し上げておりますように、個別具体的な問題につきましての答弁でございますので——いや、事柄の性質上そういうふうに私どもとしては理解しております。
  29. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、宮澤大臣お尋ねしたいと思いますが、この一万株の相対取引につきまして税金は納めてあるかどうか、確認はとりましたか。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは実は私に関係のことなんでございますが、当然これは印紙を貼付をいたしてあること、これは当然のことだと私は思います。確認しておりませんが、それがもう常識でございますから。
  31. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それは常識ということで、確認はとっていらっしゃらないのですね。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは確認してございませんけれども、普通に考えまして、素人でもそういうことは知っている人は多うございますから、その方の玄人でございますとそこを間違えるようなことはしないのがまあ普通ではなかろうか、ただそう思って申し上げておるのです。
  33. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私も、宮澤大臣は大変立派な方ですから、こういうことを、普通の状態だから当然だろう——三文判であっても普通の方でもなかなか簡単に貸しませんよ。あれも普通の状態でどんどんお貸しされるのですか。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は三文判を貸したなんて申し上げてないので、よく申し上げたことをごらんいただきますと、大変思いがけない質問があって、実印が押してあると、こう御質問になったものですから、それは全くどうもありそうもないことでございます、ないことでございますと申しましたら、それならその判は何だということでございましたので、まあ言葉は悪いが、そういうのを普通三文判と申しますがと、こう申し上げたので、三文判を貸したりしたわけではございません。
  35. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ではまた今の方へ戻っていきますけれども、そうしますと、四十八年あるいは四十九年、最近は六十三年の九月でございましたか、それぞれ通達が出ているわけです、特に借名、仮名の問題につきまして。こういう中から見ていきますと、相対取引というのは、一方では、何と申しますか架空名義的なもの、あるいは借名的なもの、こういうものに大変また利用されやすいという面も持っているのではないか、そのような気もするわけでございます。同時に、大蔵大臣自身、常に、相対取引につきましてはこれは違法ではない、そういう答弁も繰り返されているわけでございますが、特に三回出されました通達はどういう趣旨で出されたのか、そこをお答えいただきたいと思います。
  36. 角谷正彦

    角谷政府委員 御指摘のように、昭和四十八年及び四十九年、それから明電工事件等の経緯を踏まえまして本年の九月に、三回にわたりまして仮名取引につきましての自粛ないしはその受託を禁止するという通達を出したわけでございます。  この通達を出しました趣旨は、基本的には、株式売買といったものを行う過程におきまして、例えばインサイダー取引でございますとかあるいは株価操縦でございますとか、場合によっては脱税とか、そういったものにいろいろ利用されるということが証券市場に対する信頼感を損なうおそれもございますし、また、仮名口座を利用いたしまして、例えば証券会社従業員手張りその他の行為を行うといったこと、そういったことを行うことは、証券市場に対する信頼感の問題に加えまして、やはり証券会社内部管理体制の面からもこれをきちんとすることが必要であろう、こういった趣旨で出したわけでございます。  したがいまして、一般的に申しまして経済取引というのは本名で行われることが望ましいということは言えると思いますけれども、ただ、すべての有価証券取引に係りまして、投資家本人名義でこれを行わなければならぬということを例えば法律その他で義務づけるということは、これはほかの経済取引がいろいろ本名以外が使われる場合も多いということのバランスからいいましてなかなか難しいわけでございます。ただ、そうはいいましても、証券会社を通ずる取引につきましては、証券会社を指導監督する立場といった点から、これを行うことによりまして間接的にそれをお願いしようか、こういう趣旨でございます。  そういった意味では、通達そのもの証券会社に対する行為の規制といった形で、仮名取引であることを知ってこれを受託するといったふうな行為自粛あるいは禁止するといった趣旨でございまして、その通達効力そのものは直接的には証券会社に対するものでございます。そういう意味で、証券会社を通じない取引につきましての通達効力というものは、本来的には法律的な性格としてはなかなかそこまでは及ばないと言わざるを得ない。ただ、一般的にいいまして、そういった趣旨を体してやられることが望ましいとは思いますけれども通達趣旨というものはそういうものでございます。
  37. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今の答弁をお聞きしておりますと、相対取引につきましてはその範囲でないということでございますから、これはどう努力をなさっても借名とかあるいは仮名とかというものはなくならないということも言えると思うわけです。  そういうことを考えますと、こんな大きな問題を起こしたわけでございますから、この際、借名あるいは仮名というものを禁止していく、こういう方向でぜひ検討できないか。今は簡単なわけです。自分の身分を証明する方法というのはたくさんあるわけでございますから、そういう中でとにかく借名、仮名を禁止していくという方向を検討する、総理、そういう決意はございませんでしょうか。
  38. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 昨日も、それの抜本的な解決策の一つとして俗称背番号制ということについての考え方は披瀝したところでございますが、ちょっと話が長くなって申しわけありませんけれども、例えば五十五年の三月三十一日に成立いたしましたグリーンカードの法律、あれは、要するに当時言われましたのは、山手線で金融機関を一日歩くと二十七歩ける。私自分で歩いたわけではございませんけれども、したがって二十七判こがあって、山下登がおったり竹下八洲夫がおったり、いろいろなことをやるようなことは好ましくないから、したがって、このいわゆる本人確認と限度枠ということをチェックするためにグリーンカード制度をつくろうや、こういうことでつくったわけでございます。その法律は今なくなりましたけれども、そういうような体験、いろいろなことを考えてみなければいかぬ課題だということは私も十分思っておるところでございます。  しかし、とかく私が答弁しますと、そのグリーンカード法案を成立させていただいたときの所管大臣は私です。廃止したときの所管大臣も私なんですよ。したがって消極的に受け取られがちでございますが、昨日坂口委員に答えたように、やはり検討すべき、まあ前向きという言葉が適切だとすれば、課題であるとは思っております。
  39. 山下八洲夫

    山下(八)委員 カード制の導入につきましてはまた後ほど触れていく予定にしておりますので、ここで申し上げたいのは、その前段として、緊急にとにかく仮名、借名を禁止するための、例えば運転免許証であろうとあるいは健康保険証であろうと、何でもとにかくさしあたって仮名、借名を使わせない、その程度のものを緊急にやっていく、そういうことを取り組んでいく、そういうことの中での決意はございませんでしょうか。
  40. 角谷正彦

    角谷政府委員 証券会社を通じない場合を含めまして、広く投資家に対しまして本人名義によらない仮名あるいは借名を禁止するということは、先ほど申しましたように、広く一般の取引におきまして仮名あるいは借名が行われている実態からいいますと、証券取引に限ってこれを行うとうことはなかなか難しい問題があるという点が第一点でございます。  それからもう一つは、これを仮に義務づけるといたしましても、どうやってこれをチェックするかというチェック体制の問題が一つあるわけでございます。例えば、今御指摘のように証券会社の窓口に本人名義で運転免許証を持ってきて、これで取引をしたい、確かに御本人であることは確認されたといたしましても、それが実は別途、本来第三者のための取引であるという実態があったといたしましても、御本人が出てきて御本人名義口座を開設する以上、それは本当は人のものであったかどうかということを、証券会社に幾ら義務づけましても、それは確認しようがないわけでございまして、そこまで証券会社確認義務を負わせるということは、実務的にもなかなか難しいという技術的な問題もございます。  そういった意味からいいまして、証券会社を通じない取引についてまで、何といいますか広く仮名、借名を禁止するといいましても、なかなか難しい事情があるということは御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  41. 山下八洲夫

    山下(八)委員 難しい事情、それは何事も難しいのですけれども、それを行うのが行政であるわけでございます。  マル優原則廃止になったのですけれども、マル優適用者は確認をとっていませんか。
  42. 水野勝

    水野(勝)政府委員 マル優はことしの四月から新しい制度に、老人の非課税貯蓄制度に移行しております。  ただいま総理から申し述べましたように、昭和六十年度の改正でマル優に関連するグリーンカード制度を廃止した。しかし、免税と申しますか非課税の利益、恩典を受けるためにはやはり本人確認をさせていただきたいということで、六十年度の改正で、カードは用いませんが、一定の書類によりまして本人確認をさせていただく、それの確認をさせていただいた方が、当時で言えば三百万円の非課税貯蓄を受けられた、こういう制度でございましたが、こうしたものはことしの四月から廃止になっておるわけでございます。
  43. 山下八洲夫

    山下(八)委員 マル優制度で一度免許証とか健康保険証とかそういうもので本人確認を行った経験はあるわけでございます。ですから、今の株取引につきましてもできないわけはないわけでございますので、最大の努力を強く要望しておきたいと思います。  林野庁お見えになっていますね。——安比レックのスキー場に行かれましたが、あれはいつだったでしょうか。
  44. 松田堯

    ○松田(堯)政府委員 昨年の二月二十八日でございます。
  45. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私が聞いておりますのは、八人で行かれたと思いますが、長官以下どういう方が行かれましたでしょうか。
  46. 松田堯

    ○松田(堯)政府委員 林野庁職員が随行しておるところでございますが、姓名、敬称略で申し上げますと、秘書官の片山紀久郎、秘書官事務取扱田家邦明、警護官那須恵次、林野庁次長松田堯、私でございます。林野庁業務部長角館盛雄、林野庁業務第二課長石寺隆義、第二課の担当課長補佐中村陽児、以上七名が大臣と同行いたしました。
  47. 山下八洲夫

    山下(八)委員 どこのヘリコプターを借りて、幾らで借り上げたのですか。
  48. 松田堯

    ○松田(堯)政府委員 ヘリコプターの借り上げにつきましては、昨日坂上先生にコンパクトにお答えをいたしたわけでございますが、私法上の契約でありまして、相手方との契約に基づいて借り上げを行ったものでございます。そういうことでございますので、氏名及び金額の公表につきましては、契約事項にもございませんので差し控えたいと思うわけでございます。  もちろん御質問に積極的に対応しなければならないということでございますけれども、今回の契約につきましても、会計法の手続を踏まえまして、数社の見積もり合わせを行った上で契約をいたしておりますが、内容を公表することにつきましては、適正な競争の確保を図る上で、私どもが想像し得ないような問題も含むわけでございますので、公表は差し控えさせていただきたい、このように考えているところでございます。
  49. 山下八洲夫

    山下(八)委員 昨日も同僚の坂上議員とのやりとりでかなりこの問題が大きくなったわけですが、きのう答弁がなかったからきょう重ねて質問させていただいたわけでございます。  と申しましても、幾らで借り上げたか、これは契約の関係といいますか、そういう関係で報告ができないということでございますが、そうしますと、きょうはその問題についてあれこれ申し上げようとは思いませんが、当然これは決算で出されて決算委員会で出てくるのです。それは間違いありませんね。その時期では出せても、きょうのこの特別委員会では出されないということでございますか。
  50. 松田堯

    ○松田(堯)政府委員 公表する場合におきましても、相手方の了解を得るということが前提になるわけでございまして、その上で、今後の適正な公務の執行を確保するといったようなことの判断が必要ではないか、このように考えておるところでございます。
  51. 山下八洲夫

    山下(八)委員 では、この問題はこれで終わらせていただきまして、総理に一言だけ、昨日松原前リクルートの室長さんが逮捕されましたので、その逮捕につきましての感想をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは行政府として、いつも申し上げます定食——定食じゃございません、決まり文句でございますが、これはまさに検察が適正に対応しておられるもの、その一環であろうというふうに思います。
  53. 山下八洲夫

    山下(八)委員 昨日、前室長の松原氏が逮捕されたわけですが、これは贈賄容疑ということだろうとは思いますが、例えば証拠隠滅のおそれがある、あるいは何といいますか否認しているから、そういう意味で逮捕なさったのですか。
  54. 根來泰周

    根來政府委員 検察庁は捜査の必要上逮捕したものと理解しております。
  55. 山下八洲夫

    山下(八)委員 まあそういうことだろうと思いますけれどもね。  では、これから不公平税制十項目へ入りたいと思いますが、特に、十項目からは外れるわけでございますけれども、勤労者の皆さんから大変強い要望がございます住宅取得ローンのことでお尋ねをさせていただきたいと思います。  実は、勤労者の皆さんが、例えば東京の場合もう何億ということで取得できないわけでございますが、私が住んでおりますところで申し上げましても、岐阜県の中津川市といいまして人口五万ちょっとの小さな片田舎の市であるわけでございますけれども、この辺で住宅を取得しようといたしましても、一定の土地と一定の住宅を確保しますとすぐ三千万円ぐらいにはなってくる、こういう状態であることは事実であるわけでございます。東京周辺に比べますとまだまだ随分取得はしやすい環境にはございますが、特にサラリーマンにいたしますと、三千万円ぐらいの住宅を取得する、これは大変困難なことであろうと思うわけです。そう簡単なものではないと思うわけです。そういう中で、例えば住宅金融公庫でございますとかあるいは市中銀行の住宅ローンでございますとか、そういうところで一千万とかあるいは一千五百万、そういう形で大きな住宅ローンを組みまして、二十年あるいは二十五年、こういう形で住宅を取得していく、大変な努力をそれぞれなさっていると思うわけでございます。  そこで、私思いますのは、住宅ローンの場合は、最初の十年間ぐらいまでは大体元金より金利の方を多く払い込んでいく、残りはだんだんと今度は逆転をしてくるというのが一般的な状況であろうと思うわけです。二十五年ぐらいでございますと、住宅金融公庫あたりですと五・五%でございますか、そういうことでございますので、ある程度まだ金利は抑えられますけれども、それでありましてもやはり膨大な金利負担をしていく。  そのようなことを考えますと、住宅政策の上からも、この住宅ローンで借りました金利につきましては所得控除をすべきではないか、このように思うわけです。所得控除していって、そこで少しでも減税をしていく。確かに住宅を取得する場合には住宅取得控除が今日あることは承知しておりますが、そうではなくて、住宅ローンが終わるまで金利については所得控除をしていく、このような考えはございませんでしょうか。
  56. 水野勝

    水野(勝)政府委員 現在の制度におきましては、所得控除ではございませんで、御指摘のように利子につきましての税額控除でございます。  これは、そもそもが所得税の制度のあり方といたしまして、出発点といたしまして、個人生活の金利を引くのか引かないのかということは所得税の基本でございまして、アメリカにおきましては、発祥のときは金利を引いておりました。逆に日本は、金利というのは個人生活のいわば所得の処分であるということから引いておりません。しかし、だんだんアメリカの方は、金利を引くのはおかしいじゃないかということで現在は縮減しつつあるわけでございますが、一方我が国におきましては、金利を引くのは問題ではありますが、しかし住宅対策としてそのローンの一定の割合を税額控除をするという方向でいかがかということで現在の住宅取得促進税制があるわけでございます。  現在は確かに御指摘のように税額控除でございますが、現在のように非常に低金利になり、また所得税の税率、最低の方の税率が下がってまいりますと、その効果としては税額控除の方が現実的にはメリットは大きくなるのではないかと思うわけでございますが、そうしたメリットは別といたしましても、制度としては、やはり所得税制につきまして金利を所得控除するというのは所得税の性格からはなかなか出てきにくい問題で、住宅対策としてはこうした現在のような税額控除制度でもって対処をするのが現在としては適切ではないかということで、この税額控除制度をもって年々拡充をいたしてまいっているところでございます。
  57. 山下八洲夫

    山下(八)委員 税額控除も確かに今のお話のとおりかなりの効果があることは承知しているのです。ですが、これは比較がちょっとおかしいじゃないか、そのようにおっしゃるかもわかりませんが、例えば会社の場合ですと、土地を取得した、あるいは社屋を建てた、あるいは社宅を建てた、もちろんそれに対して借入金の金利につきましては損金になってまいりますし、そういう制度が十分に活用されるわけです。  特に、最近勤労者で一番大変な事業というのは、生涯のうちにマイホームを持つことができるかできないか、このことだろうと思うわけです。マイホームを少しでも持てる、こういう道をこれからはつくっていくのが一番大切ではないか。そういう意味では、先ほどお話ございました税額控除、これも決して否定はいたしませんけれども、それ以上にやはりもう一方では所得控除、このことも考えていっていい、日本の場合は考えていい時期に来たのではないか、そのように思うわけです。  「昭和六十四年度税制改正に関する意見」というので経済同友会から出ているのにも、なかなかいいことが書いてあるんですね。住宅税制につきまして、「マル優に匹敵する”マル住”ともいうべき住宅建設優遇税制の思い切った拡充を行なう」べきだ、このようなことも意見として出されているようでございます。私もここにつきましては全く同感であるわけです。この際、少しでも早く一生懸命働いていらっしゃる勤労者の皆さんが住宅を取得していく、そのためにもこのような所得控除も導入していく、そういう考えをぜひ持っていただき、そして前向きに検討していただきたいということを要望しておきます。  同時にあわせまして、通勤費でございますけれども、現在通勤費といたしましては二万六千円以上につきましては課税対象になってくる、このようになっているわけです。通勤といいますのは、皆さんやっぱりできれば三十分以内くらい、電車であろうとバスであろうと、あるいは自転車であろうと歩こうと、皆さんやっぱり三十分以内ぐらいのところから通勤をする、これが心の中の一番の思いではないか、そのように思うわけです。一時間もあるいは二時間も、それ以上ぎゅうぎゅう電車へ乗って通勤される、そういうのを好んでいらっしゃる方は本当に少ないと思うわけです。そういう方ほどやはり通勤費もコストアップしている。そういう方にとりまして、二万六千円以上になりますと今度は課税対象になってくる。そのことにつきましても、全額通勤費につきましては非課税にしていく、こういうお考えはございませんでしょうか。
  58. 水野勝

    水野(勝)政府委員 通勤費につきましても、いろいろ所得税の性格論からいきますと議論があるところでございます。純粋に理論的な議論でございますと、通勤と申しますのは、職場は一定の場所にあるとして、どこに住むか、どこから通勤するか、その点については勤労者としてはむしろその個人の御選択で、地価は高いけれども近いところにお住みになるか、通勤費は高くても郊外の快適な地価の安いところにお住まいになるか、そこは個人の御選択ではないか。また、勤労と申しますか雇用と申しますか、労働を提供するというのはあくまでその職場での持参債務ではないか、そういうぎりぎりした議論があるわけでございます。  しかしこれは住宅問題のそんなに大きくない社会のことであって、我が国にはそんなことを言っても通じないのではないかということから、我が国におきましては一定の限度までは通勤手当は非課税、しかしそうした理論的な問題もあるということ、それから、現在は二万六千円でございますが、これでもってまず大半はカバーされるということ、それから、そもそも通勤費として給料を支給される企業と、そうでなくてそれを給料の中に込みで支給される企業もあるわけでございますから、そこらのバランスということからいたしますと、現在現実的には人事院勧告での公務員の手当の支給限度を勘案して二万六千円という限度を設けている、このあたりがまず適正なところではないか。まだ一〇〇%控除というところまでは踏み切れないということでございます。  ただ、昨年の改正でお願いをいたしました特定支出控除、この控除制度につきましては、この通勤費も入れまして制度化しているところでございます。
  59. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この問題、議論をしたいわけですが、文部大臣、十一時に席を立っていただくということになっておりましたので、先にそちらに入らせていただきたいと思います。  実は文部大臣、公益法人の問題について若干質問させていただきたいと思います。  せんだって、十月七日の新聞にも出ていたわけでございますが、九百七十八の公益法人の税務調査をいたしましたら、そのうちの九割が所得をごまかしていた、このような大々的な記事が出ていたわけでございますが、特にそういう中で、宗教法人を中心にいたしまして、まあすべてが悪いことをしているのではなく、悪いことをしているのはどの世界も一部だと思うわけです、一部がまた多数に迷惑をかけていると思うわけでございますが、宗教関係を中心にいたしましてこんな大きな脱税行為があるということだけは事実だろうと思います。認可される立場といたしまして、この問題、どのように思いますでしょうか。
  60. 中島源太郎

    中島国務大臣 公益法人、特に宗教法人についてお尋ねでございました。  宗教法人に対する課税率は先生御存じのとおりでございまして、宗教活動に関する部分は非課税でございます。また、収益事業、公益事業部門に関しましては他の公益法人と横並びの課税ということになっておるわけでありまして、特に宗教活動部分の非課税については、やはり信教の自由という立場からの理由があるわけでございまして、それぞれ適正な理由があると思っております。  ただ、先生御指摘のように、それに対する脱税行為が一部でもあるということは大変遺憾なことであります。それからもう一つは、公益法人横並びの優遇税率部門を目指しまして他の企業が意識的に参入を図る、これも遺憾なことでございます。これは厳しく対処していかなければならぬと思っております。  十月六日に発表されました時点におきましても先生おっしゃるとおりでございまして、宗教法人では調査対象が五百件、そのうち更正決定の件数が四百七十三件、九五%に上っております。そのうち、特に不正計算というものが一一%程度になりましょうか。こういう面に関しましては、私どもは、一方では税務当局の徴税を厳正にやっていただくことをお願いするのと同時に、私ども自身、納税意識を高めるために指導していきたい、こう思っております。  それから、一方におきまして認証事務を厳正化していく、これが必要だと思いまして、ことしの三月三十一日に各都道府県に対しまして文化庁次長の名におきまして通知を出させていただいて、徹底をするようにいたしております。  なお、もう一つつけ加えますと、ことし、来年度にかけまして、特に宗教法人の収益事業、公益事業部分を対象といたしまして調査をいたしたい、こう思っております。御存じのように、単位宗教法人数は全国で十八万三千余ございますが、その少なくとも一〇%程度ぐらいを対象に、大体調査内容は固めましたので、十一月ごろからこの調査に入って、至急これをまとめましてさらに厳正に対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  61. 山下八洲夫

    山下(八)委員 結局は、この新聞記事でいきますと約九十億円ものごまかしが行われたというような状況でございますし、時間の関係でもう細かいことは申し上げませんが、そういう中からいきますと、公益法人、特にその中でも今十八万幾つというような、もう公益法人の中で大部分が宗教法人というのが事実でございますし、特に今後の努力お願い申し上げたいと思います。  どうぞ。ありがとうございました。  それで、大蔵省の方へお尋ねしたいわけでございますが、その前に、大蔵大臣にあるいはまた総理お尋ねしたいと思います。  野党四党が自民党に対しまして、特に不公平税制の十項目について、この税制国会中に不公平税制是正の中で法制化していきたい、その不公平税制是正するための会合が今日まで、私がお聞きしておりますのは九回持たれた。そういう中から、自民党の取りまとめメモと申しますか中間報告と申しますか、そのようなものもいただいているわけでございますが、これを読ませていただきますと、私からしますと、九回、随分長い間本当に熱心に真剣に議論されて、その上へ立ちましての自民党の考え方だと思うわけでございますが、その割にいたしますと内容がちょっと薄いなというのが私の正直な気持ちであるわけです。この十項目につきまして取りまとめて感想をいただきたいのと、今公益法人関係のことを申し上げましたので、そこだけ先にちょっと触れておきたいと思います。  この自民党からの回答を見てまいりましても、「主務官庁において、公益法人の実態調査等も踏まえ、適切な指導、監督に努めるとともに、引き続き適正な税務執行に努める。」簡単に言いますとこの辺が一番の中身かなと思いながら読ませていただいたわけでございますが、感想と同時に、もう一つは、公益法人にいたしましてももう少し見直しをしたらいいのではないか、あるいは例えば収益事業の範囲をもっと拡大をするとか、あるいはまた金融資産への課税のあり方を検討するとか、そういうことをもっと突っ込んでやっていいのではないか、そのように思いますが、その辺についてお答えいただきたいと思います。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先に私からお答えを申し上げます。  八月十七日に野党四党が御提案になられました十項目につきまして、その後与野党間で長いこと御協議、御検討が行われてまいりましたことをよく存じております。  政府といたしまして、今国会に御提案いたしました中におきましても、いわゆる不公平税制是正ということを考えまして、有価証券譲渡益の原則課税あるいは医師の社会保険の診療報酬あるいは法人における土地取得の場合の利子の扱い等々幾つかの御提案をいたしたわけでございますが、その後の経過、あるいは野党の御提案、それをめぐる与野党の御検討等々を拝見いたしますと、従来政府としていろいろに問題意識は持ちながら、各種の政策目的あるいは従来からの経緯等々から必ずしも十分に踏み切りをつけられなかった幾つかの問題について、与野党の御意見がほぼまとまりつつある。これは、拝見をいたしまして、私どもとしても今まで問題意識としては持っておりましたけれども、なかなかここまで踏み切れなかったという幾つかの問題を含んでおりまして、したがいまして、このような国会の合意が形成されるということでありますと、政府といたしましては、それによりまして従来考えておりました問題の処理がかなり前進をすると考える部分が少なからずあると存じております。  その中で、特に公益法人についてどう考えるかということでございました。公益法人あるいは宗教法人課税につきましては、御討議になられました内容あるいは提案されている諸課題は私どもとしてもほぼ同じ問題を問題として従来考えてきたわけでございます。  それで、収益事業の範囲につきまして、今収益事業は三十三でございますか決めておるわけでございますが、その都度見直しはやってまいりました。結局これは一般法人との間で非常に有利な立場から自由な競争が行われにくいという問題との関連でございます。  それから、収益事業から非収益事業への移転あるいは金融資産への課税等々につきましても、本来が公益法人であるということから、その公益事業をやっていただく限りはそれらについて優遇を与えることは問題がないわけでございますから、それがその目的を超えていく場合には問題がある。ただ、それを処理しようとしますと、公益事業の遂行に与える影響そのものを今度逆に縛ってしまうことになってはいけないといったようなことを考えております。  先ほど文部大臣にお尋ねになられましたが、他方で、これは税法の課税の問題でもございますけれども、公益法人そのものが本来の設立の目的に従って、それを趣旨として運営されておられる、大部分はそうだと思いますけれども、そうでないような場合につきましては、これは課税の問題でもございますけれども、主務官庁においてその点は御監督をお願いしたい、こういうのが政府の考え方でございます。
  63. 山下八洲夫

    山下(八)委員 税務当局の方の組織上の問題もあろうかと思いますが、特にこのような公益法人といいますのは、収益事業で上げた収入を今度は公益事業の方へ寄附をしていく、そういうこととかいろいろな節税、そういうことも一生懸命にやられるのですね。ですから、そういう意味でやはり国民皆さんも、特に宗教法人がどうしたって目に一番映るものですから、大変な不公平ではないか、また、まじめにやっている宗教法人のところも大変な迷惑を一方ではこうむっている。一方ではまた、とにかく宗教法人をつくれば大変優遇されるからと、一生懸命今休眠宗教法人を探して何とか買おうとか、そういう努力をなさっている方もいらっしゃるわけですね。そういう不公平があるからそのような状況が出てくると思うわけでございます。  そういう意味でいきますと、やはり収益事業の拡大とかあるいは収益事業から公益事業への寄附に対する制限、そういう知恵があると思うわけです。そういう意味での見直しをもっともっとやっていただきたいと思うわけです。そういう中から少しでもやはり不公平感を除いていく、このことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のとおり、行政でそういう努力をさらに続けていく必要があると思っております。
  65. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それではここで、ちょっと先に飛ばして質問させていただいたものですから、質問を戻して進めさせていただきたいと思います。  特に、リクルートで騒いでおりますのは、キャピタルゲイン課税有価証券譲渡益問題を中心としました株の問題であるわけでございますが、特に有価証券譲渡課税につきまして、私たちはこれに対しましてもう少ししっかりと課税をすべきではないか、あるいはまた総合課税にすべきではないか、あるいはまた、納税者番号と申した方がいいのかあるいは社会保障番号と申した方がいいのか、とにかくやはりキャピタルゲインなんかをすべて集めまして総合課税にしていくべきである、こういう考え方を強く持っているわけでございます。  特にそういう中で、昨日の中で、総理もこのカード制の導入についてはちょっと検討をするような答弁があられたようでございますが、できればひとまずカード制をこの八〇年代に導入をしていく、そして総合課税を九〇年代のうんと早い時期に取り組んでいく、このような決意はございませんでしょうか。
  66. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 昨日私なりの見解を申し述べたところでございますが、今、山下先生おっしゃった、今一九八八年でございますよね、したがって、そういう時限についてそれこそ今専門家の議論としては税制調査会でいろいろ御議論いただいておるわけでございますけれども一つの手順のような形で申されたわけでございますが、そこまで自信を持ってそういたしましょうと言うだけの心境には今日まだないというふうに思います。
  67. 山下八洲夫

    山下(八)委員 いつまでということはそれは一番難しいことではございますけれども、大体やはりある程度希望の持てるようなそういう年限というのはあると思うのです、総理流に申しますと。それは、こういう答弁をいただきますと、これは三年待てばいいのかな四年待てばいいのかな、そういう気持ちの御答弁はいかがでしょうか。
  68. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 かなり質問の範囲を広げていただきまして、そういうことで私自身考えて、また先般の坂口さんの御質問の際も私なりに考えてみて、かねて各方面からの主張がございますが、昨年、マル優廃止の国会におきまして五年後見直しというのが一応入れられたわけでございます、条文をちょっと忘れましたけれども。それに整合性を合わすと四年後というようなところがあるいは念頭に置くべきものかな、そういうような御議論がなされておるということについては十分傾聴すべき意見ではないかというふうに考えておるところでございます。
  69. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ただいま四年後あたりをめどに傾聴に値するのではないかなという御答弁をいただきましたから、私もそのように理解をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。  それから、やはりこれもまた大変国民の不信感を招いているわけでございますが、政治家のパーティーにつきまして質問をさせていただきたいと思います。  特に総理は、当初この政治家のパーティーにつきましては、国民とともに血を流す必要がある、そのようなことで、たしか河口湖の竹下・安倍会談であったと思うわけでございますが、そのような談話を見させていただいた記憶があるわけでございます。そのころはある一定の課税はやむを得ないだろう、そういう気持ちもあられたようでございますが、今日どうもそのような声がだんだんと聞こえてこないような気がするわけです。  特に政治家のパーティーといいますのは、いろいろ多くの企業へ、一枚二万円も三万円もします大変高いパーティー券を、その企業に一枚ずつお売りするのではなくて、規模によるのでしょうけれども五十枚だったりあるいは百枚だったり、それ以上かもわかりませんが、私経験がないものですからどれぐらい持っていくのかわかりませんけれどもかなり多くのパーティー券を販売をする。そして、パーティー会場へ行きますと、料理のところにまで手が届かないように大勢の皆さんがいらしている。そういう中で莫大な収益を上げまして、そしてそれを政治資金として、また政治活動として一生懸命活動なさるというために行っているようであるわけでございますが、これにつきましてやはり国民の側から見ますと、政治家はこんなことを数多くやられる、国民感情としてもう一つ納得できない、この気持ちというのは正直言って強いと思うわけでございます。  そういう形から、幾らの税率がいいか、あるいは印紙税方式がいいじゃないかとかいろいろなことも言われておりますが、そのような印紙税方式がいいとかあるいはどういう税として徴収した方がいいとか、そういうことは別にしまして、やはり税としてこの際一定のけじめをつけていく、このことは大変重要なように感じるわけでございます。そういう意味で、税として一定のものを徴収していく、納税をする、そういう考えはございませんでしょうか。
  70. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私に関する御指名もございましたので私からお答えをいたすことにいたしますが、基本的に申しますと、まさに各党の皆さん方で御協議いただいておる課題であって、それを尊重申し上げるのは当然のことだということになるわけでございますが、先般若干お許しをいただきましたので、不公平感というのは理論的不公平感ともう一つは情緒的不公平感とある、ちょっと言葉自分自身も余り適切であるとは思わないながら使ってしまったわけですけれども、今、山下委員のおっしゃったのは、国民の感情から見るとやはり情緒的な不公平感というのがあるのじゃないか。  ですが、先般二見委員とも御議論いたしましたように、さて収益事業であるかという問題が一つ。それから消費税方式ということは、消費税に反対しておってどうも消費税という名前でやるのはいかがかとかいう問題。あるいはいま一つは、それこそ今おっしゃった印紙税方式、昔の地方税の入場税方式みたいな感じで私自身は承らせていただきましたが、そういうところへいくと、確かに専門的な議論をすればするほどそういうところに問題が生じてくる。  基本的には、政治資金としての立場からこれをとらえれば、政治資金規正法の中からアプローチしていかなきゃいかぬ。今も、それでやりましたのを私生活に、私の所得の方へ入れれば、これは雑所得として総合課税の対象になっているわけでございますから、したがって収益事業というものに対するきちんとした議論を、やはり法律をつくるわけでございますから、まさに各党のそれこそ専門家中の専門家がお寄りになっていると思うのです。私、自分でよく申しますが、よく税制の話に出ますと、私は初級講師だ、こう申しておりますが、上級講師の方がお集まりになって、そこでやはり議論がそういうところへいくんだな、私の体験から見ましても、その議論を苦悩してやっておられることも私にも理解できるわけでございます。  しかしそうはいっても、よしんば、朝令暮改という言葉はお使いになりませんでしたが、暫定的にやってみて、そうして改正する分でもやるのが情緒的不公平感に対応するものではないか、こういうふうな御指摘もあっておりましたので、そうした議論はよく私どもにも、苦悩していらっしゃる点もわかるし、そして情緒的不公平感もわかるし、やはり専門家の皆さん方でお詰めいただくことに対して、そのときは私も仲間にさせてくださいと言いましたが、政府自身も仲間になったような気持ちで対応していかなきゃならぬ問題じゃないかなというふうに思っています。
  71. 山下八洲夫

    山下(八)委員 自治大臣、自治大臣は政治資金を所管する担当大臣でもあるわけですが、そちらの方は別にしまして、一つは、政治家といたしまして、政治家のパーティー収益、これは先ほどからくどくど言っておりますように大変不公平感を感じている、それに対してどのような感想をお持ちか。それからもう一点は、今度は担当大臣といたしまして、どうすれば一番いい知恵があるか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  72. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 全般的な政治家としての考え方、思い方については今総理からお話のあったとおりでございますが、いずれにしても、政治活動を行う上に、啓蒙宣伝やらあるいは自分の主義主張を選挙民あるいは国民に知らせるために必要な経費があることは当然でございます。そのために政治資金規正法にのっとってそれぞれが調達をいたしているというのが現実ではないかと考えるわけでございますが、その都度、時代背景によりまして問題点の指摘があるわけでございます。過去においては寄附行為がいかがなものかという総枠の規制やら一つのそういうものがあったわけでございますし、現在やはりパーティーが問題になっているという認識は強くいたしております。しかし、そういうことで政治家がみずからの判断、倫理感に基づいてどう処置をすべきかというのが大前提にあるわけでございます。  自治大臣としてどうかということになりますと、政治家や政治家周辺のいわゆる励ます会、このパーティーについて、それが対価として当然なことであり、出席が前提とされるならば、それは人格なき社団の催し物でございますから非課税であることは当然でございますし、いわゆる政治家周辺が行うことだけを課税することができるかといいますと、特例を設けることは事務的、技術的になかなか難しいのではないかという感じもいたすわけであります。  いずれにいたしましても、しかし問題があって世上それぞれの議論を呼んでいるという現実、これは直視をしなければなりませんから、それぞれ各党間で、いわば政党あるいは政治家個人のよって立つ基盤でもございますので、十分に御議論を賜っておおよその筋を立てていただくならば、事務当局というか所管をする自治省としてもその問題に対応ができるかと思いますが、いずれにしてもその問題を政治資金という限定分野で考えるならば、それぞれの政党や政治家のよって立つ基盤でもございますので、十分な御論議を賜った後にひとつ具体的な検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  73. 山下八洲夫

    山下(八)委員 総理、確かに政治家のパーティーにつきましては政治資金規正法の関係で大変難しい面はあろうと思うわけです。だからといって、やはり国民はなかなかそう簡単に納得してくださる、そのようなものでもないと思います。やはり不公平感をすごく強く感じていらっしゃると思うわけです。特に特例措置というのが難しい、なかなかつくりにくい、このこともある面では私も理解できます。だけれども、税の中にも随分特例措置というのはございますよね。そういう中からいきますと、思い切ってこの際、国民皆さんの理解を得るためにも特例措置をつくっていただく、このことがかえっていいのではないか、そのように考えるわけです。それは印紙税方式がいいのか、あるいは例えば二〇%なら二〇%を収益の中から納めるのがいいのか、その辺は別にしまして、やはり税方式で思い切って納めていく、このことが国民の納得を得るいい方法だと思いますし、またいい特例方法だと思いますので、その辺を中心にしてぐっと前向きに検討していただく決意はございませんでしょうか。
  74. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私に対する御指名でございますが、先ほどのお答えを繰り返すようになりますけれども、私も、今おっしゃっていることは十分理解をしております。が、それを本当にどういうふうにして仕組んでいくかというところが、今専門家の皆さん方でもいろいろ御議論をしていただいておるところであろうと思いますだけに、私自身がその専門家の皆様方の話し合いの中へ仲間入りさせてもらったような気持ちで対応していかなきゃならぬ。それは山下さん、おれならこうするよというものを今言うだけの自信がないということは率直に申し上げます。
  75. 山下八洲夫

    山下(八)委員 はい、わかりました。じゃ、この課題はこれで終わらせていただきます。  今度は医師優遇税制についてお尋ねしたいと思います。  社会保険診療報酬の中で、社会保険診療報酬の特例措置で行っています五千万円超の方は何%ぐらいいらっしゃいますか。
  76. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 お答え申し上げます。  六十二年分の確定申告で租税特別措置法の第二十六条を適用しております医師、歯科医師の数は約六万三千人でございます。このうち社会保険診療報酬が五千万円を超える者は約二万人というふうになっております。
  77. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、ざっと三〇%強ということでございますか。——いいです。  今、社会保険診療報酬の特例措置は五段階になっておりますですね。五千万円超の五二%と、一番下が二千五百万の七二%でございますか、そういうふうになっているわけでございますが、この社会保険診療報酬の現行五段階の廃止、このことは考えていらっしゃいませんか、あるいはまた検討はいたしていらっしゃいませんでしょうか。
  78. 水野勝

    水野(勝)政府委員 所得税は収入金額から必要経費を差し引いた残りを課税所得とするというのが大原則でございますから、そうした必要経費とは一応無関係にこのように五段階の経費率で差し引くということはやはり特例措置でございます。こうした点からいけばこうした特例措置というのは税制上は好ましいものではございませんが、しかし、医業の特殊性と申しますか、そういった点から現在五段階のこうした特例が定められているわけでございます。  ただ、この制度が適用になりまして以来既に長年月を経ておるところでございますので、昭和五十四年度改正ではそれまでの七二%一律から五段階になった。その後十年程度経過いたしておりますので、この際、不公平税制と言われておりますこの制度でございますので一回見直しをさせていただいて、今回五千万円を超える方につきましてはこの特例の適用をお許しいただくということにいたしておるわけでございます。  この点につきましては各方面でいろいろ御議論いただいているところでございますが、今回はとにかく五千万円を超える方についての適用を外させていただくというところまででございまして、今後なおこの四段階は残ってございますが、税制上の要請と医業におきましての特殊性、こういったものを踏まえて各方面で議論がなされるかと思いますが、今回の措置といたしましてはこの四段階にするというのが適切なところではないかと考えているところでございます。
  79. 山下八洲夫

    山下(八)委員 二千五百万円以下、これにつきまして、昭和四十八年でございますと約七割の方が二千五百万円以下だったのです。それが五十三年で四割、六十一年で三割と、二千五百万円以下も随分少なくなってきております。今度は五千万円以下で申し上げますと、四十八年が二割、五十三年が三割、そして六十一年が三割と、これは横並びになっているようです。今度は五千万円超、これがどのように変わってきたか。確かにだんだんと高額所得者がふえてきているわけでございますが、昭和四十八年の五千万円超が約一割、そして五十三年が三割、昭和六十一年が四割。そうしますと、五千万円未満というのが、社会保険診療報酬特例の人員構成で申しますとそういうふうにだんだん年々減少しつつあるわけです。  だからといって、今御答弁がございましたとおり、いろいろとまた社会的に任務を担っていらっしゃるわけでございますから、そういう中で私も一定の理解は示すわけでございます。特に僻地とかあるいは学校医の問題とかいろいろとあることは事実でございます。そういう中で特にこの医療関係で頭を悩ませるのは僻地、離島、そういうところでございまして、それ以外のところはだんだんと今随分環境もよくなってきておりますし、昭和二十七年当時から考えますと大きく変わってきていると思うわけでございます。  そういうところから申しますと、今五段階を、私は当初、なくしちゃえばいいじゃないかという質問をさせていただいたわけでございますが、二千五百万円以下ぐらいは残しておいて、この七二%ぐらいは残しておいて、あとは全部この際思い切って廃止をしてもいい時期に来たのではないか、それぐらいの思い切ったこの不公平税制是正をすべきではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。
  80. 水野勝

    水野(勝)政府委員 先般の与野党の御協議におかれましては、与党側からは、「今後の医師税制のあり方については、政府案の実施状況」、今度の五千万超の刻みを一つ減らすということでございますが、この「政府案の実施状況を踏まえ、五十四年の大蔵委員会の附帯決議、指摘されている諸要素を勘案して、引き続き検討し、四〜五年を目途に結論を得ることとしたい。」とされているところでございます。  私どもといたしましても、こうした与野党間のお話し合いがございますので、その趣旨を踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  81. 山下八洲夫

    山下(八)委員 これは大蔵大臣がいいのですが、たしか自民党と野党がいろいろと協議しておりまして、自民党からの考え方としましてお答えいただきましたのは、「四〜五年を目途に結論を得る」と、今と全く一緒の答弁であるわけです。だけれども、この臨時国会中にせめて今回大きく課題になっております十項目の不公平税制、これについては一定の答えを政府として出して、そして法制化していく、このことが重要だと思うのです。また四、五年待つ、また四、五年待つ、そういうふうになるかわからないのです。せめてここまでせっかく盛り上がっているのですから、そういう意味から考えますと、思い切って法制化していく、その臨時国会にしないと私は意義がないと思うわけです。そういう意味からもこの医師優遇税制についても今最大のチャンスに来ていると思うわけです。だから思い切ってこれにつきましても国民皆さんが納得する、このような抜本改革が必要だと思うわけです。  先ほど私は自分の住まいのところを申したわけでございますけれども、最近は高額納税者という格好で地域の小さな新聞にずらっと出るわけですね。私の住んでおりますのは田舎ですから、そういう中で出てきますのは、土地を一時的に売られて確かに高額納税者で出てくる方も時々いらっしゃいますけれども、大体地元にいらっしゃるお医者さんが残念ながらほとんど高額納税者で出てきちゃうのですね。不公平感をどうしても感じちゃうのです。私は、お医者さんというのはそういう意味ではある面では不幸な面を持ってみえるな、そういう気持ちもあるわけです。比較的ほかの事業をやっている皆さんよりは、ある面では収入が少ないのではないかなと、私はふと思ったりするわけでございますけれども、しかし高額納税者で出てきてしまうという部分がありますから、ある面では同情するところはあるわけでございますけれども、やはりこの際抜本改革をしていく、このことも重要だと思うわけです。そういう立場から、いかがでございますでしょうか。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は御承知のように大変経緯が長うございまして、私記憶しておりますが、三十何年、講和会議のころからの実は問題でございます。そのときには、御承知のように大変にお医者さんが少のうございましたし、国民のいろいろな意味の病気も多い、また予算上の制約で、当時一点単価と呼んでおりましたが、そういったようなことについてもなかなか思うようにならぬと、いろいろなことがございまして発足をいたしましたものですから、三十何年間、これはちょっと制度として定着したとも申しませんが、もうそれだけの長い経緯を持つようになりまして、昭和五十何年に一遍直しておりますけれども、それだけのいきさつ、長い経緯がある問題でございました。  したがって、今回政府がこのような御提案をいたすにつきましては、実はかなりのこれは踏み切りであったと、私どもの立場から申しますと考えたものでございます。つまり、これによって適用人員で申しますと六割ぐらいから四割ぐらいに、対象金額は四割からニ割でございましょうか、聞きますとこの優遇措置を受けていた減税分が九百億だそうでございますが、それが三百億ぐらいに縮減されるということでございますので、かなり大きな変更であるというふうに私どもは実は考えておるのでございますが、今御指摘のように、それについても、しかしいろいろ問題があるであろう、考えなければならないのは僻地や辺地の医療ということではないかといったようないろいろな御議論がございます。  それで、そういう経緯でございますので、仮に四、五年でも様子を見させていただいて、それを目途に結論を出させていただいてはどうか。税の本来の立場から申しますとこれは大変にいわば例外的な措置でございますから、税の本来からいえばできるだけ早くという気持ちがございますが、ただいまのような経緯を御了解いただきたいと存じます。
  83. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そこまで踏み込みたくないわけですが、確かに九百五十億円の優遇措置がされていることは事実であるわけです、現在九百五十億円。それは、五段階、四段階、三段階、二段階、なしにしてしまいますと九百五十億円が優遇がなくなっていく、そういうことでございます。だけれども、今長い歴史の中でのお答えがあったわけでございますが、今日の社会情勢を考えてみましても、もうこの社会保険診療報酬の問題につきましてもけりをつけてもいい時期に来ている。ですから、今回野党四党が中心になりましてまとめました不公平税制の中の一つの大きな課題になっていることも事実でございますし、ぜひ四、五年という悠長な考えではなくて、もっと早く結論を出していく、そういう努力を政府としてもしていただきたいと思うわけです。  同時に、それとあわせまして、これは大蔵大臣の方にお尋ねしたいと思いますけれども、個人住民税とかあるいは法人住民税というのはかかっているのですか。
  84. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 自治省税務局長
  85. 山下八洲夫

    山下(八)委員 自治省じゃない、大蔵省に聞いたんだ。
  86. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 自治省が手を挙げておりますから、まず自治省の答弁を聞いていただいて……。
  87. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 社会保険診療報酬に対する特例措置につきましては、所得税、法人税と同様のレベルで、住民税の問題が同じレベルで特例措置がかかっているわけでございます。この点につきましては、今回国税の概算経費率を直すということになりますと、それに合わせまして、住民税におきます所得の計算におきましてもその特例措置が五千万以上についてはなくなってくる、こういうことになるわけでございます。
  88. 山下八洲夫

    山下(八)委員 なぜその特例措置があるのですか。——じゃ自治省でいいです。
  89. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 個人住民税の課税の基礎は、御案内のとおり所得税の所得の計算の例によるということで課税標準が決められているわけでございますので、その課税標準は所得税の計算の例によります所得の例によって計算をするというところから出てくるわけでございます。
  90. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そういうことを聞いているわけじゃないのです。なぜ住民税が非課税に、住民税が控除されているのか、そこをお尋ねしているのです。——事業税です。ごめんなさい。
  91. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 住民税につきましては、所得の計算上これは所得税に準ずるということでやっておりますので、この点は御理解いただきたいと思います。
  92. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今住民税と私うっかり間違って質問いたしたものですから、ちょっと私が答弁を逆違いをさしていただいたわけですが、要するに、個人であろうと法人であろうと事業税も免除されているということであるわけですね。これは、一方では社会保険診療報酬がこのように特例措置をされている、また一方では事業税の方も特例措置をされているという、随分特例措置をされているわけです。  そういうことを考えていきますと、先ほど社会保険診療報酬だけの方でお話ししたわけでございますけれども、事業税の方も特例措置をされているわけでございますし、そのことを考えていきますと、やはりこの際、両方を眺めながら重要な政府としての政治課題にしていただきたいと思うわけでございますが、大蔵大臣、その辺はいかがでしょうか。
  93. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 社会保険診療報酬に対する事業税の特例につきましては、昭和二十七年に、このときに社会保険制度の普及充実を図るというような目的とか、あるいは社会保険医の一定の所得水準の維持を図るというようなことでこの制度が創設されたわけでございます。そういう意味で、所得税、国税、地方税を通ずるこの社会保険診療に対する一つのその当時の価値判断というものがもとになりまして、事業税におきましても実質非課税というものができ上がったわけでございまして、これが現在まで続いているわけでございます。  今回も、事業税につきましてこの特例措置をどうするかということはかなり大きな議論として部内でも検討させていただいたわけでございますけれども、御案内のとおり、所得税、法人税あるいは住民税、それからこの事業税という全体の特例措置の中でどれから手をつけるかというようなことがございまして、まず、地方税をとりますと住民税、住民税の方の特例措置の縮減を先に考えていくのが適当であろうということで今回の改革案になったわけでございます。  そういう意味で、今後事業税につきましても引き続き検討していきたいというふうに考えております。
  94. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間がありませんので、ちょっと走らせていただきたいと思います。  みなし法人課税の問題で、これもやはり自民党からの回答では「二〜三年中に結論を得ることとしたい。」というふうになっているわけでございます。  確かにみなし法人課税皆さん方は、どちらかというと大変な零細企業と言っても言い過ぎではないと思うわけでございまして、そのお気持ちはわかるわけでございますけれども、特にこの問題につきましても、サラリーマンといいますか勤労者と申しますか、そういうところから見ますと、随分不公平になっているではないか、そういうような声が出ております。また一方、そういうみなし法人の皆様方は、決して不公平ではない、青色申告を考えれば、我々はもっともっと苦労しているんだ、このような御意見もお聞きしております。そのとおりであろうと思うわけです。また、連合の方から申し上げますと、これは二重控除になっているから、そういう面から大変なまた不公平ではないか、いろいろな意見が出ているわけでございます。  このみなし法人だけではなくて、青色申告をなさっている皆様方もあるわけでございます。また、法人の中でも、オーナー法人と申しますか、零細なオーナー法人の会社なんかよくそういうことは見受けられるわけでございますが、特に地域でどうしても不公平感を感じさせますのは、勤労者の皆さん、共働きの皆さんが保育園に子供を預けますと、大体保育料が一番高い保育料になってしまう。それから、みなし法人の皆さんとか青色申告の皆さんとかオーナー法人の小さなある程度の会社の社長さんとか重役さんなんか、そういう方は保育園に預けましても保育料は最低の方に来ている。では生活の実態はどうだろう。片一方は立派な邸宅で、立派な車に乗っていらっしゃる、そういうところから一方では来ると思うわけです。そういうところから不公平感を、ある面では誤解されて思われる方もあると思うわけでございますが、それも現実は事実だと思うわけです。  同時に、みなし法人でちょっと絞って申し上げますと、確かに二重控除になっていることは事実でございますし、そういう中から、どうしてもこの今の状態で二重控除を外せ、そう言ったら、我々は大変じゃないかと、またみなし法人の皆さん方は大反対をされることはよくわかります。けれども日本の場合は、ちょっと努力をしますと割と青色申告制に変えることも簡単でございますし、あるいはまた法人化することも簡単でございますし、またもう一方、このみなし法人の皆さん方を救う道、そういうことを考えていきますと、みなしではなくて、仮称でございますけれども小規模企業税制、そのようなものを野党四党の方で提案されているようでございますが、そういうようなものを政府としてもしかと受けとめて、そして取り組んでいく、また、そういう方向でこのみなし法人の皆さんを救いながら公平感をつくり上げていく、そういうお考えはございませんでしょうか。
  95. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は、今まさに御指摘なさいましたような両面からの主張がございまして、おっしゃいましたように二重控除になっているのじゃないか、個人でありながら法人であるような、この両方の人格を両方主張するのはどうも納得がいかぬなというような反対論。しかし、これをやりますから、いわば店の勘定と、それから奥と申しますか個人の方の勘定とがきちっと分けられる、これは企業としての近代化につながる、これもうそじゃございませんと思います。ということがあるし、また第一、同族会社はあれだけやっているじゃないかというような、そういう両方の議論があるわけでございます。  今回もやはりそういう両方の議論が行われたようでございますが、結局、ですからみなし法人というのはサラリーマンからいえば何か大変うまい、しかし同族会社を今度は事業者が見れば、同族会社はもっといろいろあるじゃないかというような、そういう配列になっておると思いますものですから、このたび、いずれにしてもこの事業主報酬というのは青天井というわけにはもとよりいかない、これをやっぱり制限をするということでお願いをいたしたわけでございます。  これによって、実態上この制度がいわば乱用されることを防ごうということでやらせていただきまして、これは昭和六十八年まででございますか、五年ございますので、その間に、この二、三年の間に、そもそも小規模企業の税制というものをどういうふうに考えたらいいのか、それ全体の問題としてやらせていただいてはどうかというふうに政府としても考えておるわけでございます。
  96. 山下八洲夫

    山下(八)委員 赤字法人の問題に若干触れさせていただきたいと思います。  法人企業の半数以上が今赤字法人である、それも年々ふえていっている。本当に赤字のところもあるわけでございますが、ある面では、何とか赤字にしてしまえ、そういう企業もかなりあるのではないか、このような気がするわけです。  そういう中で、赤字法人でございますと、これは自治大臣の方になりますか、一つは法人事業税は均等割のみになってしまう。そういう意味でいいますと、先ほどの医師優遇税制の事業税ではございませんけれども、これも均等割、ますます地方の財源は苦しくなるばかりで余りいいことないわけでございますが、そういう中で均等割になっていく。あるいはもう一方では、少し黒字でありましてもそれで土地を買ったりしまして、そして今度は金利は損金で落ちるわけでございますから、またうまく赤字法人にしてしまうとか、ある面ではいろいろな操作をやっておるのじゃないか、これも一つ心配の種であるわけです。  ですから、赤字法人を少なくしていく、こういう手だても必要ではないか。そういう意味では、例えば緊急に必要でない土地を取得をした場合、また特に何を具体的にいつまでに完成をさせる、どういう目的で使用する、そういう意味で取得をしなかった土地でありますとか建物につきましては、例えば損金としてみなしていかないとか、あるいはまた退職引当金とか貸倒引当金等があるわけでございますけれども、これにつきましても損金の方に持ち込むことができるわけでございますから、そういう中からまたバランスをとっていく。  いろいろなことがやられていると思うわけです。今申し上げたいのは、一つはそういう意味で、また後ほどこの問題について深く入っていきたいと思いますが、そのようなものに手をつけていってもっと赤字企業をなくしていく、そういう方向で取り組んでいくべきではないか、そういうふうに思いますけれども大蔵大臣、いかがでしょうか。
  97. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 法人の数が百七十万ぐらいあるんでございましょうか、赤字法人が九十何万ということでございますね。これは、おっしゃいますようにどこまでが実態的に赤字なのか、実は調査が行き届かないから赤字ということでそのまま通っておるのか。たしか実調率というのは六%か七%ぐらいなんでございますから、そこのところに一つ大変に問題があるんだと私は思うのでございます。ですから、それは行政の問題でございます。  それからもう一つは、やはり社会の便益を受けながら、均等割や固定資産税は納めているといいましても、さあそれでいいのかなということは多くの人が考えていらっしゃる。他方でしかし、これは山下委員もおわかりのとおり、法人税そのものはやはり所得税である。所得に対する課税であるということからいいますと、本当に赤字であればこれは所得税の課税はできない。ですから、まず実際に実調によって本当に赤字であるかどうかということを是否認で確かめるということ。それから、今度制度の問題としましては、この交際費を否認したら黒字になるのだ。交際費を認めるばっかりに赤字になっちゃう。企業に言わせれば、しかし苦しいから交際費で仕事しようとしておるのですという議論があるかもしれませんけれども、そういう問題であるとか、あるいは土地の問題は、御承知のように、すぐ用もないのに土地を買って、その金利は経費だということはこれは困るなというようなことは、今度制度上の改正をさせていただこうと思っていますが、行政、制度両面からやはり詰めていかなければならない問題だと思います。
  98. 山下八洲夫

    山下(八)委員 六十一年度分で貸倒引当金期末残高二兆九千九百三十八億四千万円ですか、約三兆円。それから退職給与引当金期末残高、六十一年度九兆五千九百五十二億、約九兆六千億円。それから減価償却費、償却の損金算入額二十二兆一千億ぐらいでございますね。こんなにあるわけです。そうですね。二十二兆円ぐらいあるわけです。  特にその中で、まず一つは減価償却費の制度の方から触れていきたいと思うわけですが、二十二兆円からあるわけです。これを例えば一割減価償却を圧縮する、トータルで言っておりますけれども、圧縮する。そうしますと、大体二兆円ぐらい圧縮できるわけですね。例えば自動車で言いますと、今乗用車で申し上げますと減価償却は六年でございますか、道路も随分よくなりましたし、車も性能がよくなりましたし、本当に壊れないですね。七年、八年十分使えるわけです。今の時代、もうちょっと延ばしてもいいのではないか、そういう意味で申し上げているわけです。  いろいろな事務機器にしましても、どんどん新しい物が次から次へ出て、ついついいい物を買いたい、性能のいい物を買いたい、その気持ちもわかりますけれども、例えば一割でなくて五%でもいいと思います。それだけ減価償却の全体を延ばしていく。延ばせるものと延ばせないものがありますが、そうやってもまた一兆円ぐらい出てくる。あるいはまた退職引当金、貸倒引当金、これについてもある程度圧縮をしていく。このことによってまた赤字法人が少しは減ってくるのではないか、そのように考えますが、いかがでしょうか。
  99. 水野勝

    水野(勝)政府委員 御指摘のように、六十一年度二十二兆一千億円の償却実施額がございます。ただ、償却額と申しますのは耐用年数に基づきまして機械的に計算される。耐用年数はその物の物理的な使用年数といったものを技術的な観点から算出しているものでございますので、これを財源確保といった観点から伸縮させるということはいかがかと思うわけでございます。  確かに、御指摘のように、最近は機械等につきまして、材質とか技術の水準の向上によりましてむしろ耐用年数が延びているのではないかという現象も見受けられるわけでございますが、一方におきましては、技術の進展によりまして経済的に陳腐化するという現象もまたあるわけでございまして、耐用年数につきましては専らこれを短縮してほしいという要望が圧倒的でございます。しかし、それに対しましては、今の御指摘のような材質が向上しておりますとか、そういった観点からまだ現在これを一般的に短縮するということは御勘弁いただきたいというところで頑張っているのが実情でございます。
  100. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう時間になりましたので、退職引当金、それと貸倒引当金、それを圧縮する決意はございませんでしょうか。
  101. 水野勝

    水野(勝)政府委員 三つの引当金は、先ほど数字を御指摘いただきましたとおりの金額となっておるわけでございますが、例えば貸倒引当金でございますと、このところ、六十一年は二兆九千億ですけれども、五十六年に三兆四千億ございましたのが年々むしろ減ってまいっておるわけでございまして、貸倒引当金につきましてはこれは大体二、三年置きに引き当て率を縮減させてきていただいておりますので、この五年間一貫して引当金残高が減少しているところでございます。退職給与引当金や賞与引当金、これは増加してきております。これにつきましても、退職給与につきましては百分の五十を四十にするとかいろいろ随時見直しをしてきているところでございまして、引当金の中でも特に大きなこの三つの引当金につきましては、税制調査会でもこの引き当て率自体について実情に合うように見直せと言っておりますので、そうした方向で今後検討をしてまいるつもりでございます。
  102. 山下八洲夫

    山下(八)委員 特に退職引当金につきまして申し上げたいのですが、きょうは通産省をお呼びしてないですからあれですが、実は立派な大手の、うんと利益が上がっていて退職引当金を十分活用できる、こういうところはいいわけでございます。そうでなくて、実際これを運用しながら、言葉悪く言えば悪用しながら、倒産したときにはもう退職金もなかった、こういう実態のあることも事実なんです。ということは、正常経営を行っていますときには退職引当金に入れますと損金になりますからそれを活用していく、そして景気が悪くなりますとそれをいつの間にか運用している、そして倒産してしまったときには退職金は一円も出なかった、こういう状況が現実にあるわけでございます。  やはりこの退職引当金という制度を生かすならば、これは商工関係になろうかと思いますが、割賦販売法で、私もよく詳しくは知りませんけれども、例えば互助会等で結婚式を挙げます、あるいは、めでたい方だけでおいておきますけれども、そのために毎月五千円なら五千円ずつ積み立てしていきます。そうしますと、そのうちの二分の一は指定された銀行とかあるいは何かそのような会社へ通産省の許可を得て積み立てていく、消費者の保全をしていく、こういう形になっているわけです。そうしますと、損金として認めるのであるならば、そのような制度をこの退職引当金にも活用していいのではないか、同時に、それをそのようにしないのであるならば、損金は支払ったときが損金であるわけでございますから、その時点で損金に落としていけばいいのではないか、そのように考えるのですが、いかがですか。
  103. 水野勝

    水野(勝)政府委員 まさに退職給与引当金につきましては御指摘のような議論があるわけでございますが、この退職給与引当金に限らず引当金制度は、その支払い準備とかそういう趣旨のものではなくて、勤労者に働いてもらった、将来退職されるであろうその退職金の債務はいつ会社として費用に計上すべきかという、その費用、収益の計上の時期のいわば会計掌上の問題であるということで、現時点では支払い準備的な発想は入れてないわけでございます。  ただ、この引当金ができた当初は税法上もそうした要素を入れておりました。銀行に積み立ててある特定預金の四倍までを引当金の準備限度額とするというような制度でございましたが、むしろ税制上としてはそれはおかしいということで現在やめているわけでございますが、いろいろ御議論のあるところは承知いたしておるところでございます。先般の与野党の御協議でも、「全体としてどうあるべきかについて、二〜三年内を目途に更に検討する。」ということを与党からお答えをしているところでございますので、私どもも、もろもろの御意見のあるところを踏まえまして適切に対処してまいりたいと思っておるところでございます。
  104. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 山下君、時間が経過していますから……。
  105. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思います。  土地税制とかあるいは企業税制、国際課税制度、それから個別物品税制度、積み残しがあったわけでございますが、いずれにいたしましても野党四党で十項目の重要な不公平是正をまとめ上げております。それに対しまして自民党からの当面の回答書もいただき、精力的にまだ話し合いもされているようでございます。だが、行政府でございます、特に竹下総理を初め竹下内閣に強く御要望を申し上げさせていただきたいと思うわけでございますが、この臨時国会中にぜひこの十項目を中心としました不公平税制が大きく是正され、そして国民が納得する臨時国会にしていただきますことを心からお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  106. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて山下洲夫君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  107. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂口力君。
  108. 坂口力

    ○坂口委員 一番最初に、厚生大臣が十分後に退席をされるそうでございますので、医師税制の問題から聞かせていただきたいと存じます。  きょうは午前中にも医師税制につきましては御議論がございました。我々も四党の十項目の中の一つに入れまして、いろいろと議論を重ねてきたところでございます。この医師税制につきましては、税の立場から物を考えます場合とそれから医療という立場から考えます場合と、いろいろ意見の違いも実は出てくるわけでございます。  まず税の立場から申しますと、今回政府の方がいわゆる不公平と言われるものの中では最も厳しく切り込まれた一つでございまして、午前中にもお話がございましたように、九百五十億円という特例から上がります、特例によりまして負担減になっております部分、この部分の中で六百三十億とおっしゃいましたですか、六百三十億今回の税制でカットされる、こういうことでございますので、大体三分のニカットされることになるわけであります。今後この医師税制をこのままで置いておくといたしましても、四、五年いたしますと物価上昇等もございますから、だんだんとこの恩典を受ける人の数は少なくなっていく。恐らく五年ぐらい後には大半がこの特例から外れるのではないかというふうに思いますが、まあこの特例は、いわゆる特例でありますだけに、これは外して新しい何かを考えた方がいいのではないかという意見があるわけです。  私もこの税につきましては、この社会診療報酬の特例につきましては一つのけじめをつけて、そして新しい出発をしてはというふうに思うわけでありますが、私は公明党に所属しております国会議員でありますと同時に医師会の一員でもございまして、これは竹下総理の御答弁の仕方をまねて言わしていただければ、発言が医師会寄りにならないようによく自戒をし、我が身によく言い聞かせながらこの立場に立っている、こういうことではないかと思うわけでございます。  まず厚生大臣にお聞きをしたいと思いますが、厚生大臣の立場からごらんになりまして、医師の数がこれから大変増加をしてくるというふうなことも含めて、この税制問題にどう対応していったらいいというふうにお考えになるか、一言先にお聞きをしておきたいと思います。
  109. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 医療の公共性、他の事業に比べまして極めて高い公共性を持っている、このことはよく御承知のとおりでございまして、その公共性にふさわしい税制上の特例措置が、いろいろな経緯がございましたが行われてきた。そのことを社会的に評価されておるということだと思うわけでございまして、そういった社会的な評価がまた医業に従事していらっしゃる関係者の自覚をさらに高めていって、それが結果として国民皆さん方に良質で効率的な医療を提供するということになっていると思うわけでございますので、私は、この公共性の高い医療にふさわしい税制上の特例措置というものは、今後も何らかの形で当然配慮していかなければならないそういう課題であるというふうに考えております。
  110. 坂口力

    ○坂口委員 厚生大臣、退席していただかなければならない時間が迫っておりますから、厚生大臣に対する御質問を先にやらせていただきたいと思いますが、先ほども少し触れましたとおり、非常に医師の数が人口割にいたしましてふえつつございます。私どもが卒業いたしますときには一クラス四十人でございましたが、私の大学では今百名でございまして、二倍半になっているわけであります。全体で三千人ぐらいでございましたけれども、今は八千人ぐらいになっている。大学の方でも一割カットということで、人数を現在減らすように努力をしておみえになるようでございますが、先般この委員会でも文部大臣にお聞きをいたしましたが、なかなかそこは十分にいきにくいという経緯もあるわけでございます。  将来、医師が人口割にいたしまして非常に増加をするという、こういうことも起こるだろうと考えております。そういたしますと、医師の数が人口割にいたしましてふえますと、どういたしましても医療費が増大をする、これはもう今までの経緯を見ましてもそうならざるを得ないだろうと思うわけであります。  そこで、どうしたらいいのか。一つは、私は、高齢になられた先生方に早く引退をしてくださいと言うのは大変失礼なことでございますが、ある年齢に達しられた医師の先生方には、若い先生方に第一線はひとつお譲りをいただいて、悠々自適並びにボランティア活動あるいは医師会活動等々に御専念をいただくというようなことも、これは考えていかなければならないのではないかというふうに思うわけです。  そこにこの税制問題が絡んでくるわけでございますが、アメリカでリタイアメント・ファンドというのがあるそうでございまして、これは引退をしていただく先生方のための一つのファンドだというふうに聞いております。早くと申しますか、一定の年齢で引退をされる先生方には、そのときにおろして使っていただく。お若いときに預金と申しますか何と申し上げていいのか、していただいて、そしてそのときには税の控除を行う、ただし使っていただくときに、おろしていただくときには税の対象とするということにして、そして将来の高齢化のために少しファンドをしていただくという制度があるそうでございます。  税制は私はもうすっきりとした方がいいと思うわけでございますが、この医師増加ということも兼ねて、そうした方法も将来にとっては一つ方法ではないか、かように考えている一人でございます。もしそうしたことにつきまして、医師増加とそれから偏在、増加いたしましてもなかなか山間僻地には先生方が少ない、そうした問題もあるわけでございます。これは今後の福祉の問題等のときに詳しくまた議論をさせていただくといたしまして、医師偏在あるいは全体としては増加、そうした中でこれをどうしていくかということに対するお考えがありましたら、この際ひとつ先に聞かせておいていただいて、御退席いただきたいと存じます。
  111. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 お医者さんの数がどれだけが適正であるかという問題は、これは非常に難しい問題でございまして、一応十万人・百五十人という四十五年の目標は達成した。ところが、御指摘のようにこのままいきますとどんどんふえ続ける。ヨーロッパの先進国の状況を見ましてもこれは何らかの対策を講じなければならぬということで、今一割の削減を考えて御協力いただいておるわけでありますが、それを進めながら、適正な水準を維持していくための方策につきましては、今後真剣に、慎重に考えてまいりたいと思っております。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕  それから、年金のようなものをもらって、それでリタイアしていくという方策についても御指摘がございました。まことに傾聴すべき御指摘でございまして、私も考え方としてはそのような考えを持っておりまして、例えて言えば今、国民年金基金という制度がございますが、そういう中で今御指摘ございましたようなことを考えられるかどうかという点につきましても、ひとつ真剣に勉強してまいりたいと考えております。
  112. 坂口力

    ○坂口委員 大蔵大臣にお聞きをしたいと思います。今厚生大臣御退席の関係上、先にちょっと議論をいたしましたので話が前後する面がありますが、お許しをいただきたいと思います。  この医師税制、今回約九百五十億の中で六百三十億、かなり厳しく切り込まれました。それで、税制の立場の公平ということからいけば、この税制は以前からいろいろと問題が指摘されてきたところでありますから、この方向性、こうした方向に向かわざるを得ないのであろう。また、中にはこれが遅過ぎたと言う方もあるわけでありまして、我々もこの税制につきましてはけじめをつけなければならないだろう、こう思っているわけでございます。  今議論をいたしましたように、山問僻地の医師に対してどうするかというような問題もございますし、それからもう一つは、医師というのは非常に忙しい仕事でございますが、一つは、保険点数という事務的な問題がございまして、これを逐一いろいろとつけなければならないという問題がある。今後あわせてこれに非常に細かなものがたくさん重なるものでございますから、その細かな事務量というものをさらにもう一つ税制のためにふやすということは、現場から申しますと非常に困難ということが言えるのではないかと私は思うわけです。  この税率のパーセントが今まで問題になっていたわけでございますが、パーセントはさておきと申しますか、パーセントは最も公平なパーセントにしなければなりませんが、パーセントは直して、そしてこうした簡易制度と申しますか、余り事務量を伴わなくても済むような方法は残した方がよろしいのではないか、こういう意見も多いわけでございます。私も現場を知る者の一人といたしまして、そのパーセントにつきましてはけじめをつけなければなりませんけれども、しかし余りにも事務量を押しつけるということには反対でございまして、そうしたことには何かいい手はないのかということを暗中模索している一人でございます。これにつきましてまず大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘になりましたように、今回政府としては、かなり大幅な診療報酬課税についての改正をお願いをいたそうとしておるわけでございます。そして、八月十七日の御提案を中心に各党でいろいろ御協議になっておりまして、今後何年間かをかけて、この問題は見直しをすべきであろうというふうにお考えになっていらっしゃると承っておりますし、そのような意見を自民党としてはお願いしたいというふうに承っておりますけれども、今おっしゃいましたことは、結局二つあると思います。  午前中申し上げましたが、これは三十何年実は行われてきました制度でございますので、このたびの改正そのものもかなり大きな改正であると、そこから申し上げられると思います。今後あとしばらく検討すべきだと思いますが、一つは無医村等々における、あるいは僻地における医療活動に対して何かしなければならないのではないかということでございます。これは税制の措置そのものとは限らないかと存じますけれども、医療問題全般との関連でどういうことがなされなければならないか、考えられるかということは、また関係各省庁ともよく検討してまいりたいと思っております。  それから、その次の問題は、特例優遇を最後まで残せというのでは必ずしもないが、しかし、ただでさえ非常に忙しい職業におられる方なので、実額の経費の算定というものはなかなか簡単なことではないと思うと。殊に長年そういう制度をやっておられましたから、あるいは余計そういうことがあるかもしれない。まあこれは気がきかないことを申し上げるようなんでございますが、原則としては、納税者としてやはり経費がどのぐらいあったかということは御記帳願い、また計算をしていただかなければならぬということは、私はどうも原則はやはりそう申し上げざるを得ないと思いますけれども、従来の経緯等もあり、またいろいろどういう御実情でありますか、またそれに即して何かの方法が考え得るものであるかどうか、多少の時間もございますのでまた事務当局にも検討させてみたい。これは国税庁にも申しまして検討させてみてはどうかと思っております。
  114. 坂口力

    ○坂口委員 この問題は終わりたいと思いますので、総理大臣の方からひとつ御感想がありましたら聞かせていただきたいと思います。
  115. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いわゆる俗称医師優遇税制ということにつきましては、実は私も今のお話を聞きながら、それから先般村山委員からの御質疑のとき、今の午前中の大蔵大臣からのお答え等で思い出しておりましたが、私は県議会議員になりましたのは昭和二十六年のときでございました。そのときに同僚に二人お医者さんがいらっしゃいまして、それで二八プロという話をされて、本当に何のことであろうかと思いました。あのときは、いや、我々の一点単価というものが何か一般世帯よりも若干優遇されるような所得に結果としてならなければいかぬ、それについてはいろいろ経費の問題について、そのときの言葉では腰だめという言葉をお使いになりましたが、要するに七二プロということになりましてねと、こんな話でございました。その先生一人国会へその後お出かけになりまして、お出かけになった後、議員立法で決めたよという話、たしか二十九年の話だろうと思うのでございます。  それで、そのときからの経緯でずっと見ておりまして、私も田舎でございますから、定着したいい制度だなと本当は率直に思っておったわけでございます。したがって、五十四年はちょうど私は大蔵大臣でございませんでしたが、そのときに改正されて、それからその実績を五十五年の議会で議論して、それで今度は、相当荒っぽいという表現は適切じゃありませんが、相当な大改正をされたなというふうに私自身は受けとめております。それをそれこそ協議会の皆さん方でさらにいろいろ議論しておられて、衆知を集めてこれが改正に取り組もうではないか、将来にわたって、ということを与党からお答えをした。これはやはり尊重すべきものであるなというふうに私自身が思っております。  それからもう一つ、坂口委員おっしゃっておりましたファンドの話でございますが、昔これも私聞いたことがございますのは、お医者さん方の健康保険制度というものがある。同時に中小企業等の退職金制度みたいなものがあると同じように、それは組織強化の面から話を聞いたような気がするのですけれども、ファンド制度なんというのは考えるべきだというような話は聞いたことがございまして、なるほど偉い先生はえらいことを考えられるものだな、こういうことを感じたことがございますので、おっしゃっている意味は私なりにはそしゃくできますので、今大蔵大臣からお答えがありましたように、今後とも十分検討すべき課題である、熱心に検討すべき課題であるというふうに思っております。
  116. 坂口力

    ○坂口委員 では、次の株式売却課税に入らせていただきます。  売却課税の問題に入ります前に、昨日宮澤大蔵大臣に大変失礼な言葉の数々も申し上げまして、いろいろと御意見を承りました。それで、そのときに大蔵大臣に一、二申し上げさせていただきましたこと、すなわち宮澤大蔵大臣は今回のリクルートの問題についてはかかわりはなかった、こういうふうにおっしゃっているわけでございますから、しかし、その間の事情については十分にお聞きいただける立場におありになるわけでございますので、その関係皆さん方によくお聞きをいただいて、実情はこうであったということを大臣のお口から発言をしていただくということになれば、事の解明はより進むのではないか、こういうことを昨日申し上げたわけでございます。  と申しますのは、宮澤大蔵大臣が御発言になっております内容は、宮澤大蔵大臣自身だけしかおわかりにならないことであって、もう少し他の人々から見てもわかりやすいところをきちっとお話しをいただければどうだろうかということを御提案申し上げたわけでございます。きのう申し上げてきょうのことでございますから、まだその辺のところはあるいは進んでいないかとも存じますが、もし話の進展があったといたしましたら、この際にひとつ聞かせていただいておきたいと存じます。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨日仰せになりましたことにつきまして御報告を申し上げますと、実は進展が余りございませんで申しわけございませんけれども努力をいたしておりますので申し上げます。  この経緯につきましては、再三申し上げておるところでございますが、私の秘書でございます服部河合氏から聞きましたところでは、河合氏は名前を借りる承諾を得たものと考えまして取引をいたした。その際、宮澤名義の方が取引が容易であると判断をして、私の名前を使ったということでございます。  次に、ただ取引通知取引に関しますその後の通知等々は服部あてに行うというように、先方にそういう、何と申しますか連絡をいたしたということでございます。これが服部からの報告でございました。  それからさらに、株式売買約定書のことでございますが、売買約定書は恐らく当然当初存在した、これは当然考えられますが、河合氏に確かめてみましたところ、取引がもう既に二年前のことであって、約定書そのものはいわばもう要り用のない文書でございますから、済んだ書類でございますので、今見当たらないと申しておる由でございます。  それからもう一つ、今度は株式売買通知等々あるいは代金の払い込みでございますが、河合氏が服部名義口座をつくりまして、そこに入金をされておる、そういう事情でございますので、株式に関する通知あるいは株式売買通知書等は私のところには参ってはおりません。  大体調べましたところ、以上のことでございます。
  118. 坂口力

    ○坂口委員 きのうのきょうのことでございますので、今お聞きしましたことはひとつ聞かせていただいておいて、さらに整理をされましたら、ひとつまたお聞かせをいただきたいと存じます。  株式売却課税についてでございますが、昨日も、他人名義を使うというようなことが起こりますのは、これも株式売却益に対する税制がきちっとなっていないからこういうことが起こるのではないか、もしこれが総合課税というようなことになっていれば、他の人が宮澤大蔵大臣の名前を借りたい、こう言いましても、しかし税金は名義のその人にかかってくるわけでございますから、そう簡単にはいかないということはだれしもこれはわかることでございます。ですから、これはやはりこの際、総合課税あるいはまたそのための納税者番号制度というようなものは、早急にけじめをつけなければならないのではないかということを申し上げまして、竹下総理大臣から御答弁をいただいたわけでございます。  今までの不公平税制是正の野党の共同提案に対する自民党の考え方としてお示しをいただいた部分と、きのう御答弁をいただきました、竹下総理が発言をされた内容を後でお聞かせをいただいて、ちょうだいをしたものとを比較をしてみますと、若干前進をいたしているようにも思うわけでございます。しかし、よくよく読んでみると喜ぶのは少し早過ぎるなという気も実はするわけでございまして、きょうはもう少しその内容につきましてお聞きをしたいと思います。  昨日の御答弁で、「昨年の改正の際、利子課税につきましてその当時を起点として、五年後に見直しを行うこととされていることも踏まえ、おおむねその時期に株式売却課税のあり方を見直すことは行われるべきものと考えます。」と、かなり難しい言い回しでございまして、もう少し率直に素直に言っていただけないのかなという気もするわけでございますが、この中で「見直すことは行われるべきものと考えます。」というこの「見直す」というのは、これは書いてはございませんけれども、総合課税の方向で見直すというふうに、これは言わずもがなでございますけれども、理解させていただいてよろしゅうございますか。
  119. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 やはり所得税のあり方としては、総合課税を目指すべきであるということは御指摘のとおりでございますから、その考え方が基本にあるというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  120. 坂口力

    ○坂口委員 それからその次に、「総合課税への移行のためには納税者番号制度の導入を進めるべきであるとの御指摘であります。」これはこちらが言うたことであります。「この点につきましては、税制調査会において現在検討が進められているところでございますが、適正な所得把握のためにはこの制度は重要な前提条件であるというふうに考えます。」この「適正な所得把握のためには」という言葉は、これは総合課税のことを指しているというふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。
  121. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この「適正な所得把握のためにはこの制度は重要な前提条件であると考える」というのもそのとおりでございます。  ちょっとつけ加えさせていただきますならば、坂口委員と一緒に審議したグリーンカードのときが、五十五年の三月三十一日に議了して、その実施時期が五十九年の一月一日からということであの法律は通ったのでございます。そのことと昨年、これも貴党の要求といいますか、御意見であの五年後見直しというのは率直に言って入ったわけでございますから、私は当時幹事長でございましたが、したがってことしから数えれば四年になる。あのときのカードがやはり四年でございますから、ははあ大体符合するな、こういうふうな感じは持っておりますが、具体的な詰めの専門的知識があって申し上げておるわけではございません。  そして、もう一つ言わせていただくならば、やはり総合課税の際は、どうでもやむを得ないものについてのいわば適切な源泉課税との組み合わせと、それからもう一つは税率自身の問題もきのう申し上げておきましたが、そういうことが念頭にあることもこの際つけ加えさせていただいておきます。
  122. 坂口力

    ○坂口委員 今最後に御指摘になったのは、そういたしますと「総合課税に当たっては所得税の税率水準との関連を考慮すべきである」との御指摘を、「総合課税を実効あらしめるためには」ちょっと文章おかしいですが、「適正な源泉徴収制度との組み合わせを検討すべきであるとの御指摘はいずれも十分念頭に置くべき事柄であり、貴重な御提言として承りました」私の方が何か言っているような言葉にもとれますし、ここはちょっとわかりかねる面もありますが、「適正な源泉徴収制度との組み合わせを検討すべき」というのは、これは分離課税との選択を組み合わせる、こういう意味に理解してよろしゅうございますか。
  123. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 「適正な源泉徴収制度との組み合わせ」こういうことを申しておりますから、今おっしゃったことで私の考え方と一緒になっております。  それから、確かに私聞いておりまして、源泉徴収制度と具体的にお触れにはなりませんでした。いろいろな注意すべき問題があるからというふうなものの中で、常識的に私が、すると税率の問題と源泉徴収制度の組み合わせだな、よくお互い長い間議論をしてきたわけでございますから、大体おっしゃることはそういうことではないかなと思って、それを前提にしてお答えを申し上げたということでございます。
  124. 坂口力

    ○坂口委員 きのうは大蔵大臣にお聞きするいとまが少しなかったわけでございますが、大蔵大臣、今総理大臣が言われましたとおり、株式売却課税につきましては今からですから四年後、おおむねその時期に株式売却課税のあり方を総合課税の方向で見直すことは行われるべきものと考える、こういうふうに、少し私今挿入をして読ませていただきましたが、よろしゅうございますか。
  125. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもの基本的な認識として、所得はなるべく総合課税をすることが望ましいという考えを持っておりますことは、かねて申し上げておるところでございますが、しかし、殊にこの株式のキャピタルゲインにつきましては、その取引状況というものを正確に把握をすることが現在の行政では大変に難しい。御承知のとおりでございます。したがいまして、大変に行政がへんぱになりやすい、公平を欠きやすいということから、従来原則非課税ということに考えておったわけでございますが、それでも今回は、原則課税ということで大転換をいたしました。思想の転換はいたしましたが、しかし、その行政の体制が十分でないという問題は依然として残っておりますものですから、それをやるためには何が要り用か。  そこで、カードであるとか納税者番号であるとかいうものが税制調査会でも問題となりました。問題となるに従いまして、それは税の目的からいえばまことに便利なものでございますけれども、そのことが納税だけに限られる制度であるか、あるいは勢いの赴くところ、それは広く経済活動全般に及ぶものばかりでなく、国民生活にもっと広く使われることになるのであろうか、その場合にそれはどういう影響を持つであろうか、国民からどのように評価されるであろうかといったような大変に広い問題に発展をいたしますために、税制調査会の小委員会を設けまして、御検討を願いながら海外にも行っていただいて、今鋭意検討を続けておられる。これは問題の大きさからいいますと、税だけに限りませんので、私は当然のことであろうと存じております。  そこで、ここにございます文意と申しますか、これは「株式売却課税のあり方を見直す」と申しますのは、現在の、あるいは御提案を申し上げておりますあり方を見直すということでございますから、そうであれば、今御提案をしておりますのは申告分離、源泉分離という、いずれにしても分離課税でございます。そのあり方を見直すというふうに、これはそこまで書いてございませんので私が一義的に申し上げるわけにはまいりませんが、今のあり方というのは何かといえば、分離課税であるというふうに一般に考えられるのではないか、そういうことについて再検討することが必要なのではないか。ただし、そのためにいわゆる重要な前提条件が、その第二段目にございますが、満たされるかどうかということが非常に大きな問題である、こういうふうに問題として考えておるわけでございます。
  126. 坂口力

    ○坂口委員 我々もこの総合課税あるいは納税者番号ということを考えます場合に、今御指摘になりましたように、プライバシーの問題でございますとか、あるいはまたこの範囲をどこまで広げるかというような問題は、慎重には慎重を期していかなければならないだろうというふうに思っております。  一つは、プライバシーの問題につきましては、これはどういたしましても多くの国民に影響の及ぶところでございますから、慎重にプライバシー保護ということを考えつつ、一方におきまして番号制を考えていかねばならないだろうというふうに思っておりますし、それからもう一つ、それじゃこの番号制はどこまでを対象とするのかという問題につきましても、これは必要最小限におさめるべき問題であろうというふうに思っております。したがいまして、銀行あるいは証券、そうしたところは一律にせざるを得ないとは思いますけれども、これを税全体にまで広げるのはいかがなものか、私たちと申しますか、私といたしましてはそういう考え方を持っております。  そして、我々がこのことを申し上げますのは、一つは税の上の公平ということもございますが、もう一つには、日本のこの株式市場というものを健全に育成をしていくためにもぜひ必要だというふうに考えるからでございます。我々、この総合課税あるいはまた納税者番号というようなことによって、株式に大混乱が起こるようなことがあってはならない、そこは十分に配慮をしなければならない問題であろうというふうに思います。  日本の株式市場を見ましたときに、これは日本におきましてもアメリカにおきましても傾向としては同じだろうというふうに思いますが、企業の株というのは、大半が昔は個人投資家であったわけでございますが、最近では個人投資家よりも企業によって占められることが非常に多くなってまいりました。約七割というふうにお聞きをしておりますけれども、企業による持ち分が非常に多くなった。したがいまして、個人が楽しみに株を持つ、そしてまた何年も売らないで、自分もその企業の一部であるという思いを持ちながら、株価が徐々に上がるのを期待もする、そして会社の報告書を読んでみたり、あるいはまた中には株主総会に出席もしたりする人もある。こうしたことで、企業の株を持ち、自分もその企業を支えている一員だというようなつもりで、その株価の徐々の値上がりというのを待つという個人投資家のそうしたあり方が薄れてしまいまして、株による配当よりも一時的な差益と申しますか、一時的な利益に走り過ぎている現在の株式市場というものを考えましたときに、果たしてこれでいいのであろうか、そういう思いに駆られるわけでございます。  そして、いろいろの生産をなさる会社の社長さんやその職員の皆さんよりも、こういう株式等にかかわっておみえになる皆さんの給与の方が数段高いというようなこの現状も、物を生産をする、あるいは育てるといったことをないがしろにすることになりはしないか、そういう気もするわけでございます。そうしたことも兼ねて私は、株式にまつわります問題というのは、この際きちっとけじめをつけておかなければならないであろう。その一つとして、やはり税とも絡みまして、この納税者番号あるいはまた総合課税といったことも一番けじめをつけやすいときではないか、かように考えるわけでございます。  そこで、株式市場の行方によりまして経済界が非常に大きく左右されるという現状は、アメリカも日本も続いておるわけでございますが、株式の買い占め防止策というのをこの際にもう一つきちっとしておかなければならない問題ではないかと考えております。株式の買い占め防止策としまして、短期株式売却益、短期のキャピタルゲイン課税の強化、それから買い占め株のプレミアつき買い戻しの禁止、いわゆるグリーンメールと言われておりますが、買い占め株のプレミアつき買い戻しの禁止、これは証券法の改正を伴うものと思いますが、これもこの際にきちっとしておかなければならないのではないか。  それから、金融機関による乗っ取り資金提供の制限ないし禁止、これも土地の場合に金融機関から多額の金が出て、そして土地の値上げの助けをされたというようなことがありますので、金融機関による乗っ取り資金提供の制限ないし禁止、これもこの際にきちっとけじめをつけておくべき問題ではないかというふうに思うわけでございます。  これらは必ずしも税制そのものだけとは違いまして、少しはみ出した議論になりますけれども、同じ株式にかかわることでございますので、ここに私は意見を申し上げて、御意見を伺いたいと思うわけであります。
  127. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず課税に関する部分につきましては、大量かつ短期、いわゆる株上げとでも申すのでございましょうか、そういうものについての問題の御提起がございました。これは従来三十回十二万株というような、その前は五十回二十万株でございましたか、ということで仕切っておりましたが、今回そういうことを一応やめておるわけでございますが、先の問題といたしましては、これは十七日の御提案にもございますように、結局取引をどうやって正確に把握するかという、先ほど坂口委員の言われました問題、私がお答えしました問題にもう一遍戻ってまいります。行き当たりばったりにつかまえられるのだけつかまえればいいというわけにはまいらないわけでございますから、そういったようなものを正確に把握するための体制の整備、まさに先ほど言われました問題でございますが、それを急がなければならないというふうに考えられる問題と存じます。  それから後段の問題は、むしろ証券取引そのもののあり方に関することでございますが、これは先般九月の初めでございましたが、証券取引審議会の不公正取引特別部会におきまして、幾つかの問題の御検討をお願いをいたしました。それは抽象的に申しますと、一つは、公開前の株式譲渡及び第三者割り当て増資の問題、もう一つは公開株の配分の方法、それから公開価格の算定方式とでも申しますか、これは抽象的な分類でございますので、その他ただいま仰せになりましたような幾つかの、とかく不公正と考えられやすい、あるいは不公正になりやすい取引についていかにして市場の信用を維持するか、一般投資家を保護するかといったような観点から、幅広くいろいろな問題を御検討願いたいということをお願いをしたところでございます。
  128. 坂口力

    ○坂口委員 具体的な問題につきましてはお触れになりませんでしたが、証券局長、さらに具体的な問題でひとつ意見がございましたら、お願いをいたします。
  129. 角谷正彦

    角谷政府委員 株の買い占めの問題でございますけれども、今の証券取引法の建前で言いますと、特定の者が特定の会社株式を買い占めることそれ自身が問題であるということにはなっておりません。特に最近、今御指摘のようにアメリカあるいは諸外国におきましても、企業をめぐるいろいろな諸環境の変化に対応して、企業再編とか合併とかいろいろな手段の一つとして、企業買収というふうなことがかなり行われておるということも事実でございますので、これを一律に禁止するというふうなことはできないと思います。ただ現在の証取法では、その買い占め行為が一種の不公平な株価形成に結びつくといった場合に、必要な監視体制をとっているというのが現状でございます。  ただ最近、非常に買い占めという問題がふえてきておりまして、これがいろいろな問題を巻き起こしておることも事実でございます。そういった意味で、例えばアメリカのいわゆる五%ルールといったものを日本にも導入してはどうかといったふうな御指摘等もございます。こういった問題につきましては、それが日本の環境に十分に合うものかどうかということについては、なお十分必要な検討を加える必要があると思いますが、そういった問題を含めまして、今後証券取引審議会の不公正取引部会におきまして、どういう対応策があり得るか、幅広く考えていきたいと考えております。
  130. 坂口力

    ○坂口委員 もう一言だけつけ加えておきたいと思いますが、今お話ありましたように、アメリカの五%ルール、こうしたものにつきましてもぜひこれは取り入れるという形であれば、先ほど申しましたような買い占め防止ということには非常に大きく役立つのではないかというふうに思っております。  それから、価格操作あるいは相場操縦と申しますか、こうしたものにつきましても、現在ございます証券取引法というのは十分機能をしているとは思いません。例えば最近でございますと、株価の例を見ておりましても、東京製綱でございますか値上がりするという、いわゆる法律で言う重要な事項に当たると思いますが、そうしたものがほとんどないにもかかわらず、一部の人たちの約一六%の買い占めによりまして、株価は三百円から三千五百円台まで約十倍に高騰をした。あるいはまた小糸製作所も、これは発行済みの株式数約一億六千万株の約四分の一に当たる四千万株が買い占められたと報じられておりますが、これも重要な事実はほとんどないにもかかわらず、株価は五百円から三千五百円まで七倍に急騰をした、こういう例も最近ございます。  証券取引法の百二十五条一項及び二項、これは相場操縦の禁止をうたったところでございますが、これと、それから新たに設けられた証券取引法百九十条の二、これはインサイダーの方でございますが、この重要な事項との整合性がとれるようにしなければならない。ここの整合性がとれないものでございますから、どうも買い占め、買い集め等が行われましてもなかなかそこが適正に適用されていない。この辺のところを今後の問題点として指摘をいたしまして、ぜひひとつ御検討をいただきたいと思うわけでございます。  それでは、株式の問題はこの辺にしておきまして、政治資金パーティーについて一言お聞きをしたいと思います。自治大臣、長い間お持たせをいたしまして申しわけありません。恐縮でございます。  この政治資金パーティー課税の問題は、我々が取り上げまして、そしてその後、竹下総理初め多くの皆さん方から、これはやらねばならない問題の一つではないかというような内容の御発言が相次ぎまして、これは一番先に決着ができるのではないかというふうに思っておりましたが、案に相違いたしまして、この不公平税制是正問題を話をしておりますうちに、どうもずるずると一遍会談を持ちますごとに後退をしていきまして、最近ではまとまらないものの一つの中に入ってきた感も実はあるわけでございます。それで我々も非常に憂慮いたしております。  しかし、どのアンケートの調査を見せていただきましても、どれが一番不公平かといいますと、最大の不公平というのは政治資金パーティーである、こういう結果が出ておるわけであります。冷静に分析をされます方は、自分に一番関係のないものが一番不公平として挙がりやすい、こう御指摘になる向きもございますけれども、しかし、国民の多くの皆さん方がこの問題に最大の関心を寄せられ、不公平税制是正する以上、まず政治家みずから姿勢を正すべし、自分たちの問題を横に置いておいてほかの分野から手をつけるとは何事か、こういう厳しい御指摘ではなかろうかとも受けとめているわけでございます。したがいまして、何とかここは決着をつけなければならないし、しかし税の専門的立場からするとなかなか難しい問題もある、このことは私たちもよくわかるわけでございますが、しかし決着をつけなければならない。  そこで話はだんだんと周辺に及んでまいりまして、ただ政治資金パーティーだけを考えると、そこにいろいろ問題があるので、政治資金そのもののあり方としてこのパーティーの問題もとらえて、全体の中で考えていくべきではないか、こういう方向に意見としては変わってきたわけでございます。しかし、それならば、政治資金規正法の中でこれを一体どう位置づけるのかというところの議論まではまだいかない。中間にぶら下がったままで、下に落ちるのとも上に上がるのともわからないような状態になっている。しかし、これを何とか決着はつけなければならない。自民党から御回答をいただきましたものも、「今国会中に結論を得たいと考えている。」こういうふうに書いていただいてあるわけでありますが、この結論は、どうにもなりませんでしたという結論では、これは国民皆さん方に顔向けはできないだろう。やはり前向きに、かくかくしかじかのごとく結論を得ましたということにしなければならないだろう、こう思うわけでございます。  午前中の大臣からの御答弁もちょっと聞かせていただいておりました。しかし、ここは前方に進む以外に道はない、後退は許されないと思うわけでございますが、自治大臣のお立場から、政治資金規正法も含めましてこれにどのように取り組んでいったらいいか、そして政治資金規正法の改正と絡めてのお話ならば、どんなふうに今後していったらいいというふうにお考えになりますか、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  131. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 大変結論を見出すのが難しい問題の指摘でございまして、考えてみますと、政治活動には、自分の政治哲学なりあるいは思想なり政策をそれぞれの政党や会派あるいは政治家個人が選挙民あるいは国民皆さん方に十分知っていただく、啓蒙宣伝をする、あるいは政治を身近なものにするという意味で、私は政治にお金がかかることは当然なことだという感じがいたします。そして、昭和二十三年に議員立法でこういうものができて以来、二度ほど改正があるわけでございますが、それぞれその時代の時代背景を担って改正が行われてきたところであります。  今回も、パーティーのあり方について確かに厳しい批判のあることは、私も深く自覚をいたしておるところであります。そしてこのままでいいのかということに対しては、このままではいけないという判断を私もいたしております。しかし、さりとてこのパーティーをそれではどう規制をすることができるのかという具体的な問題点に入りますと、まさにそれぞれ各種のパーティーがあるわけでございまして、特に委員御指摘の点は、恐らく政治家ないしは政治家周辺が行うパーティーについてであろうと思いますが、これも公的に言えば、適当な代価で出席を前提とするものに対して、公権力が政治に介入をし、そういうものの制限が果たしてできるのかどうなのか、こういうことを考えますと、自治省側の立場からいいますと、なかなかこの問題に結論を得ることは難しい問題ではないかと思います。  やはりその根源をたどってみますと、政治資金のあり方は選挙制度と密接な関係を持っているし、また各党のよって立つ基盤、あるいはそれぞれの政治家のよって立つ基盤でそれがまたそれぞれ異なっているということを考えますと、一律にこれを行政側から規制をすることが果たして可能なのかどうなのか。こういうことを考えますと、まさに政策担当の皆さん方が真摯な議論を詰めながらやっていただくこと以外に、自律的な解決の方法はないという感じが私はいたします。  少なくともそれぞれの党派やあるいは個人が高い倫理観を持って、これをみずから律することができるのかできないのか、そういうことがございますので、私は、ほかから律せられるということではなくて、みずからが律していくことが文字どおり政治家に求められる最高の道徳である政治倫理ではないかという感じがいたしますので、どうか各党間でこれは率直に、それぞれのよって立つ基盤が違うかもしれませんが、こういう方向でどうだという目安を示していただくことが何よりも大切だという感じがいたしております。
  132. 坂口力

    ○坂口委員 ボールは完全に投げ返された感じでございますけれども、私はもう一遍大蔵大臣の方に投げ返しをさせていただきたいと思います。  自治省としてはいかんともしがたい難しい問題であるという御答弁、そして政治哲学につきましてるるお聞かせをいただいたわけでございます。しかし大蔵大臣、我々の協議の方も、これはこれからまた一生懸命やらなければならないとは思いますが、しかし、我々の間で結論をつけろ、こう言っていただきます場合に、それなら我々の周辺では、もうおまえたちにすべて任した、おれたちはおまえたちの言うとおりにするぞ、もう任すからおまえたちやってくれと言われるのならば、我々も一生懸命結論を急ぐわけでございますが、周辺で、あれはだめだ、これはだめだという声を立てながら、おまえたちでまとめろと言われたって、これはなかなかまとまる話ではないわけでございます。最近は、一生懸命この議論をしております者よりも周辺の声の方が大きくなっている、こういう状況でございますので、これは我々政策担当者の間のいろいろの話し合いの中でひとつ結論をと言われても、なかなかこれは結論の得にくい問題でございます。しかし、この問題は大蔵大臣としてけじめをつけていただかなければならない立場でございますから、ひとつ大蔵大臣としてどのようにお考えになりますか、まず聞かせていただきたいと思います。
  133. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は、従来大蔵大臣としての意見をお聞きくださることを御免除願っておったような感じが私はしておるのでございます。  というのは、もう大変すぐれて政治的な問題でございますし、今もおっしゃいましたし、また自治大臣も言われましたが、これを詰めていきますと、政治資金規制の問題あるいは政治資金のあり方の問題ということにどうしてもなってまいります。そして基本的には、そういうところには行政はできるだけ余計なことをしない方がいいという考え方を持っておるものでございますから、したがいまして、私どもの方の姿勢は、そういう意味で行政がしゃしゃり出る話ではないということにどうしてもなってまいる。私はそれが従来からの経緯であるというふうに存じております。  今回いろいろ問題になりまして、ああいう方法、こういう方法というお話がございますと、例えばこれは人格なき社団であると考えましても、しかし、およそこれは事業であるか。反復継続してなされるわけのものではございませんし、消費税ということ自身は、もうその言葉自身をお認めになっておられない政党が多いわけでございますから、それの対象になる、またしかし消費税の対象は、やはりこれは物品、サービスの譲渡、いわば販売というようなことでございますので、どうも業としてということになれば、いかにもそうでもなさそうである。印紙税の世界ではないかというお話もあって、それは招待状のときはどうなるとか、免税点のときはどうなるとか、いろいろお話も、また言えばすぐ反論があるなというような、そのようなことを私どもも頭の中ではとつおいつ考えておるわけでございますけれども、本来がこれは行政がしゃしゃり出る問題でないという気持ちでおりますわけでございます。
  134. 坂口力

    ○坂口委員 非常に謙虚でございます。消費税にも謙虚にひとつ。  先日もこの委員会で我が党の二見議員が、印紙税方式、それも議員立法か何かで、政治資金の方がけじめがつくまでの間、こういう提案をされたわけでありますが、一つ方法ではないかというふうに思っております。これはなかなか各党とも意見が一致しているとは言いがたい面もありまして、我が党にももちろんいろいろの意見がございまして、必ずしも一致をしているわけではございません。しかし、何とかこれにけじめをつけなければならないことだけは事実でございますので、もう時間もございませんので、総理、何か総理も初めは大変勇ましかったのですけれども、だんだんと日がたつにつれまして声が小さくなっておりますが、きょうはひとつもう一遍声を大きくしていただいて、この問題を終わりたいと思いますが、いかがでございますか。
  135. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 二見さん、それからまさに坂口さん、継続して御議論なすって、宮澤大蔵大臣から、また梶山自治大臣からお答えになったそれそのものが、今やはり実在している問題点ではないかなというふうに私自身思います。  それで、思い切って球を投げ返して、すべて任してくれるならまた本気に考えようとおっしゃれば、それも一つ方法かなと思っておりますけれども、やはり私が最初申しましたように、せっかく専門家の方がお話しなすっておるわけでございますから、球を投げ返すというよりも、精神的仲間に入っていくというところで議論を詰めた方がいいのじゃないかな、こんな感じがしております。
  136. 坂口力

    ○坂口委員 では、ひとついろいろ御検討をいただきたいと思います。  国土庁長官、長い間お持たせして申しわけありません。  土地問題につきましても何とかけじめをつけなければならないというので、我々も議論をしているところでございますが、これもいわゆる土地の政策と、それに対する税というものをどう絡ませるか、難しい問題であろうかと思います。いずれにいたしましても、昭和四十七、八年ごろ大変な土地高騰がございまして、二度とこれを繰り返してはならないというふうに言っておりましたが、再び一昨年あたりから土地高騰が起こった。これをこのままにしておいては将来また同じことを繰り返すのではないか、何とか土地高騰を抑えなければならない、それにふさわしい税制を確立をしなければならない、かように考えているわけでございます。  先般来この特別委員会におきましても、長官からの御意見があったこともよく承っておりますが、国土庁長官の目から見られて土地税制、非常に総論的な立場で結構でございますけれども、どういうふうな方向が一番望ましいというふうにお考えになっているのか、一言お聞きをしたいと思います。
  137. 内海英男

    ○内海国務大臣 土地税制につきましては、大変難しい問題だと私、担当しておりながらも考えております。  急激な地価上昇に伴って固定資産税の評価も上がる、あるいは相続税も上がるというようなことにもなって、地価の高騰と連動しているような形でございますので、土地税制というものは非常に難しい問題だなという前提に立ちまして申し上げてみますと、土地転がし等の投機的土地取引を抑制するために、昨年十月から超短期の重課税制度を実施してまいりました。いわゆるミニ保有税というような強化をしてまいったわけでございますが、土地政策の推進に当たりましては、土地税制はそういった意味からいいましても重要な役割を果たしておると私どもも考えておるわけでございます。  しかし、土地税制の活用というものを深く掘り下げてまいりますと、いろいろな諸般の施策の総合的な推進とあわせまして考えていかなければならない。そういうところで、さきに閣議決定を見ました総合土地対策要綱、これに基づきまして土地の有効高度利用、こういった観点、あるいは土地利用計画、こういったようないろいろなもろもろの施策の整備を図っていって、それを具体的にかみ合わせて土地政策というものを考えると同時に、税制の方にもそれを当てはめていくというようなことで土地税制を考えていかざるを得ないのではないか、こういうふうに考えております。  したがいまして、その基本をなすものは、やはり土地基本法というものをつくらなければならないかなという感じも持っておりまして、さきの国会で野党各党から御提案になりました土地基本法というものも参考に勉強させていただきながら、各界各層の有識者の方々の御意見も参考にいたしまして、土地に対する国としてのあるいは政府としての考え方というものを基本的にまとめてみたい、こういうことで今検討をいたしておるわけでございます。  それとともに、税制上の問題も一緒に御論議をいただいて、土地基本法とあわせた土地税制というものがうまくかみ合ってもらえば非常にいいのではないか、こういうようなことで今土地基本法に関する懇談会というのを設けまして、鋭意成案を得べくお知恵を拝借しておる、こういうところでございます。
  138. 坂口力

    ○坂口委員 詳しい議論をしているだけの時間的ゆとりがなくなってまいりまして、大変残念でございますが、ひとつ土地基本法のけじめをつけていただいて、それにあわせて税制をどうするかということにつきましての結論、これを急いでいただきたいと思うわけであります。  我々、議論の中で、個人の土地でありますとかあるいは事業をなすっておみえになります方の事業場等は別にいたしまして、それ以上の土地をお持ちの皆さんのいわゆる保有税の問題について、もう少しここをけじめをつけてはどうか。そのかわりに、それを所得税なり住民税なりの減税に回すということの方がよろしいのではないか。保有税に少し厳しく、そして譲渡益については少し下げるというようなことはどうかというような意見も出ておりまして、今一生懸命我々も議論をしているところでございますが、ひとつまたいろいろとお話を聞かせていただきたいと存じます。  そのほか、みなし法人課税の問題でございますとか企業税制、国際課税制度、それから、きょう午前中にもございました公益法人、宗教法人等課税の問題、これにつきましてもいろいろ議論をやらねばならない問題でございまして、これからも私どももまた議論をしたいというふうに考えております。赤字法人等につきましても議論をしなければならない点でございます。  時間が参りましたのでこれだけにさせていただきますが、不公平の是正につきましては、今まで以上にひとつ積極的なお取り組みをいただきますようにお願いしておきまして、私の質問を終わりといたします。ありがとうございました。
  139. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて坂口力君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。
  140. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ついせんだっても私が不公平税制についていろいろお聞きしたわけでございますけれども、その後、自民党からいわば野党共同提案に対する自民党の考え方というのが提示されました。これに基づきいろいろ今までも同僚議員質問をしたと思いますけれども、この自民党の考え方というのは党としてのものなのか、いわば政府を含んで、むしろ政府としての回答と見た方がいいのか、この点はいかがでございますか。
  141. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 政府・与党一体という建前でございますが、各党協議ということになっております限りにおいては、党の見解だというふうに理解をしていただいて結構ではないかというふうに思います。
  142. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 形式的には党であるけれども、実質的には政府にいろいろお聞きしてもよろしいという話でございますね。  これをざっと見まして、中にはもっともだなと思うところもありますけれども、総じて、野党が六法案の審議の前にいろいろ言ってくるから、ともかく答えましょうというような感じがなきにしもあらず。その中にはえらいはっきりしないものも随分あるな、あるいは逃げていると言っては変ですけれども、先送りしているというのも見られるわけでございます。そういったことで、順次私はこの項目について質問をいたしたいと思いますけれども、時間も五十分でございますから、ある程度要約してお聞きしたいと思います。  まず第一にキャピタルゲイン、株式売却課税、過日もいろいろ土地とともに株式の年間のいわば評価増というか、それは非常に多いという話が出ました。大体年間百二十一兆円くらいじゃないか、株式の評価増ですね。それに対して私がまずお聞きしたいのは、現実問題として申告して納税しているのがどのくらいあって、それがどのくらいの数字であるのか、額であるのかということをまずお聞きしたいと思います。それとともに、申告はしなかったけれども調査してみた、その結果こういったものが出てきたというのがあると思います。その数字を大蔵当局の方からお聞きしたいと思います。
  143. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 株式売却に係ります所得につきまして、五十回以上かつ二十万株以上、いわゆる継続的取引関係の数字で申し上げてみたいと思います。  御案内のように、一般的にこれに該当する場合には雑所得ということで申告されるわけでございますが、その申告書に雑所得等として申告されましたものの中から、個別に株式譲渡所得があるものというのを引っ張り出しまして集計いたしました件数が、昭和六十二年分で千五十一件でございます。これに係る所得は、先般もちょっと申し上げましたけれども、今御説明申し上げましたように、申告書上は雑所得等ということで一本に入っております。したがいまして、その中の有価証券譲渡益に係る部分以外も含めてのところに相なりますものですから、若干の推計を交えて計算いたしますと、これに係る部分が売買利益として約二百三十億円ぐらいではないだろうかというふうに計算しております。  それから、第二の御質問調査に係るものはどうかという点でございます。これは、今申し上げましたのは申告年分ということで申し上げましたが、調査の方は調査をした実績ということでございますので、同じ六十三年と申しましても、六十二年四月から六十三年三月までに行った調査の結果ということで、先ほど申し上げました申告年分に必ずしも対応するものではございません。そこだけはあらかじめお含みおきいただきたいと思いますが、その間の調査によりまして申告漏れがありました私どもが把握しました件数は、千四百八十七件でございます。これに係る申告漏れ所得金額は約四百五十五億円というふうに見ております。  以上です。
  144. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 年間の株式の増価額、これは必ずしも全部売ったわけじゃないでございましょうし、評価益というものも随分あると思います、法人、個人ございますから。しかし、それにしても年間百二十兆円に及ぶいわば所得というか評価増である。それに対してこれで見ますと、金額にすると今の調査の分が何年分にわたると申しますから、それを全部六十二年にまとめるわけにいかないかと思いますけれども、六十二年にもしまとめてみても七百億円足らずという数字でございますね。これは私、今の状況だと、申告は、要するに仮名などを使って逃げているものが多いだろう。申告をしたものが損をしている、あるいは調査されたものがべらぼうな損を感じている、損というか不利益になっているということかと思います。  この点、私はある納税者とも接しておりますけれども、その人間がある年に益がべらぼうに出て、その後大損をした。ところが、調査されてその益のところだけ課税をされたというような話も聞いております。現状において現在のやり方が必ずしもよくない。申告分離も一方法かと思いますが、ただ最終的にいわば総合課税に持っていくという問題がありまして、この点についてアメリカあたりどういう実情であるのか、またアメリカにおいて損益通算の問題がどう処理されているのか、それについての御説明を願いたいと思います。
  145. 水野勝

    水野(勝)政府委員 アメリカにおきましては、従来はキャピタルゲインは六割控除、四割に課税をするという制度でございましたが、先般の改革によりまして、所得税率を一五%とニ八%のほとんどフラット税率構造にするということとあわせまして、全額に課税をするという制度に移行したようでございます。  また、その損益通算の点につきましては、その年のキャピタルゲインとロスを通算をいたしまして、そのうち三千ドル以下まででございましたらほかの所得から控除できる、それでもって控除できない部分は翌年以降繰り越すことができる、このような制度のようでございます。
  146. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 現実問題として、アメリカにおけるいわば総合課税というのはうまくいっているのでしょうか。
  147. 水野勝

    水野(勝)政府委員 アメリカにおきましては、御承知のように社会保障番号を利用いたしました納税者番号制度があるわけでございます。証券会社口座を開くときにはその番号を告知していただく、それから証券会社としては、告知された番号を付してその売買取引を国税庁の方に通報する、そういう制度があるわけでございます。  もっとも、こうした制度が完全に動き出したのはごく最近のことでございまして、こうした時期の前後を通じまして、キャピタルゲインにつきましての課税状況と申しますか、把握状況につきましていろいろ推計があるわけでございます。ある数字では、それでも五割ぐらいであったという数字もございますが、いや、最近は八割台の把握率になったという数字もございます。それから、もしその番号が偽りであった、あるいは番号をそもそも告知しないというお客さんについては、売却価格の二〇%を源泉徴収するという担保措置もあるようでございます。こうした制度に裏づけられて、まずまずの課税が行われているのではないか。しかし、きめ細かい実情につきましては、私どもも余りはっきりしないところでございます。
  148. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 アメリカの場合に果たして十分行われているかどうかという問題はございますけれども、しかし私ども、さっき坂口委員からもございましたが、納税者番号にすぐ飛び込むということでは、その辺に問題はいささかあると思いますけれども、我々は一時期マル優カードというのを言ったことがございます。マル優のあれを持っていけば、特別に有利な扱いをしてもらえるようにしたらどうかというような話もしたことはございますけれども、今回のマル優廃止については、マル優カードの話は一応オジャンになったわけでございます。  これから最終的に、いろいろ今までの話し合いの中で納税者番号的なものに移行されるつもりであるのかどうか、その辺についてのお答えがちょっとはっきりしないところがございますので、どうお考えでいらっしゃいますか。
  149. 水野勝

    水野(勝)政府委員 先ほどから御議論がございますように、株式譲渡課税、今回はとにかく原則課税に移行するというのを最大の前提条件といたしておりますので、申告分離課税と源泉分離選択課税とを組み合わせたもので御提案をしておる。しかし、これが基本的に所得税の姿として最終的に是とされる制度であるということではないわけでございまして、この点につきまして先般与野党でいろいろお話し合いがされ、総合課税に移行すべきであるというお考え方についてはそれぞれ合意が得られているところでございますが、その総合課税への移行ということにつきましては、これは把握体制の整備ということが前提条件になる。そういうことからいたしますと、ここは納税者番号制度といったものを真剣に検討する必要があるということで、税制調査会におきまして小委員会が置かれまして、先月アメリカ、ヨーロッパにおきましてそうした番号制度の実情を調査してまいった。その調査を受けて、現在小委員会において検討が行われているところでございます。
  150. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは大臣あるいは総理ですけれども、これははっきり結論が出ているというのではなくて、これから検討しましょうということでございますか、この自民党の回答は、納税者番号制度につきまして。現在審議が進められているのでということで、これはこれから検討いたしましょうということなんですか、それとも導入しましょうということなんですか。
  151. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今政府委員が申し上げましたように、税制調査会の小委員会はこれについてかなり時間をかけて取り組んでおられるわけでございます。  ところで、この株式のキャピタルゲインというものを落ち度のない行政としていたすとしますと、何かこういう制度が必要であろう。必要であろうと思うにつきましては、しかし、それを仮に採用いたしました場合に、税のためには便利なことはわかっておりますけれども、それ以外の経済取引あるいは国民生活全般にわたる非常に大きな問題をはらんでおりますので、そこを確かめないといけない。その点を今税制調査会の小委員会が検討しておられる、こういう現段階でございます。
  152. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 我々も納税者番号にすぐ移行せよということまでは言っておりません。今のプライバシーの問題もありましょうし、いろんな問題もあると思いますけれども、しかし、いわば総合課税をする上において、例えばアメリカにおけるような形で、いわばカードを使えば有利に扱われる、カードを使わない人間に対しては高い率の源泉徴収が行われるというような制度もあるわけでございまして、その辺、これからそういったカード、マル優カードあるいは証券カード、このカードのときには、それを利用することについてのプラスのある形のカードという形も考えられないではないな。それがすべての背番号にすぐ直結するかしないかという問題もございますけれども、そういった形のカードも考えられるのではないかという点がございますが、この点いかが考えられますか。
  153. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはあるいは一つの示唆であるかもしれませんけれども、およそアメリカの制度にしばしばございますのは、かなり損得というのでございましょうか、こうすれば有利だ、したがってという、そういうインセンティブな与え方、裁判にもございますですね、プリーバーゲニングのような、そういったようなことがどうもそのまま我が国になじむのかどうか。我が国の国民の考え方は、やはりいいことはいい、悪いことは悪い、みんな平等だ。取引をするということにつきまして、国民はどうも必ずしもなじまないんじゃないかということもございますから、一つの御示唆だとは思いますけれども、そういう点も考えなければいけないかと思います。
  154. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これと関連しまして、総合課税という方に持っていったような場合には、いわゆる損益通算というか、その辺のことをどうお考えか。  と申しますのは、今までのいわば申告した、あるいは調査で要するに捕まったという場合に、私いろいろケースを聞いてみますと、ある年にとてももうかって、次の年にべらぼうに損をしたというようなときに損益通算ができない。これはさっきアメリカの例がございましたけれども、ほかの国あたりは大体損益通算の規定があるわけです。この辺についてどうお考えになるか。これから先の話でございましょうけれども、総合課税に持っていったときの考え方としてどうお考えになるか、大蔵大臣のお考えを承りたいと思います。
  155. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点はまことに全部これからのことでございますが、時系列的な通算、繰り越し、繰り延べというような問題と、今度は所得の中で、これはキャピタルゲインとキャピタルロスが通算になることは恐らく普通に考えまして当然かと存じますが、もしネットにマイナスがございますときに、その他の所得との関連がどうなるかというようなことも理屈としてはございますわけですね。といったようなこと、これは全部これからの問題で、まだ何にもそういうあたりを検討しておらないと存じます。
  156. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 他の所得との通算というよりは、いわばキャピタルゲイン、ロスの時系列的な通算というのを大体ほかの国はやっておると思います。今アメリカの例もありましたように、ほかの国においてもそういうことが行われている。私はその辺はこれから総合課税に移行したときの大きな問題点かと思いますけれども、いかがお考えでいらっしゃいますか。
  157. 水野勝

    水野(勝)政府委員 大臣から申し述べておりますように、まさにすべてこれからの検討課題でございますが、横でございましても縦でございましても、通算したり繰り越しをしたりするということは、それは把握体制が適切に確立されているということが前提なわけでございます。もしそうでございませんと、益の方はすべてほかの形態が選ばれ、損失だけが総合課税とされてほかのロスと通算され、あるいはほかの所得と合算され、あるいはそれが翌年以降に繰り越されていくということでは、これは不適切な結果を招くわけでございます。やはり益があり、損があり、その益も損もそれぞれ適切に把握されている場合におきまして、初めて横の通算、縦の繰り越しという問題に結びつくのではないかと思うわけでございます。  そういう意味におきまして、今回の改正案では、横は、キャピタルゲインとロスとの間は通算は結構でございますけれども、ほかの所得とは通算しない、また縦の通算もしないということでお願いをしておるわけでございます。そうした把握体制がそれになじむものが出てまいりますれば、ただいまのような御指摘の点は検討課題に当然なってくる問題であろうかと思います。
  158. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 もちろん今の把握体制の問題やら、さっきのカード制の問題とも絡まりますけれども、この点は私、いろいろ現実に接してみますと大きな問題ではないかと思うのでございます。  次に、今まで同僚議員からインサイダー取引とかいろいろな話が出ましたけれども、最近特にリクルート問題に関連して、一体管理体制がどうなんだということで、私も大蔵出身でございますから、この点、証券というものが、金融の一つであって、いろいろ銀行とか、金融全体のつながりがきちっとしなくちゃいけないという意味で、一つの省の中にあるのはいいと思いますけれども、反面、どうもアメリカのSECのようなものをつくった方がきちっとするのではないかという議論も生じております。  特に今度のいわば事件に関連して、どうなんだというような議論もだんだんと出てくるのじゃないか。この点皆さんがどう考えていらっしゃるか。これからのいわば証券行政をやる上において、きのうもきょうもいろいろ、一体なっておらぬのではないか、もっともっときちっとすべきではないかということと関連いたしまして、SECと似たような制度についての声が非常に出てくる。これについてどうお考えになるか、お聞きしたいと思います。
  159. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのお話はしばしば話題になるわけでございますけれども、一般的に考えまして、私としましては現在のように行財政改革を推進しておりますこの段階で、これはメリットがあるであろうということは想像ができますけれども、そういう大きなものを新たに設けることはどうであろうか。我が国の証券会社はアメリカの場合と違いまして免許制で、かなり数も少なく、また徐々にではございますが、いわば資質的にも向上しておりますし、また、たくさんはおりませんが、本省にも財務局にも必要最小限の監督機能はあると考えておりますものですから、大きなものを設けることは今としては、さあいかがなものであろうか、私自身が実はそういう気持ちでおります。
  160. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは行財政改革ということで処理できる問題ではないな。むしろ中立性というか公正さというか、そういう話になってくるので、私はこのSECを今つくれ、こう無理に言っているわけではないのでございますけれども、今度のような問題をきちっと処理をしないと、そういうSEC的なものじゃないときちっとやれないのではないかというような声も上がってくるのではないかなと思います。この点総理のお考えはいかがでございますか。
  161. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 基本的にはただいま大蔵大臣からお答えがあったとおりだと私も思います。  そもそも論でもございませんけれども、大体、例えば税法上の問題から見ても、昭和二十五年度税制の際、いわゆる有価証券等の譲渡所得課税というものは原則課税であって、それが二十八年に原則非課税になりましたとき、いろいろな経済情勢があったと思うのでございますけれども、結局いわゆる企業の資本調達のための市場としての役割というものから、いわば投資家の投資機関としての役割へだんだん変貌していったではないか。当時のインフレとかそういう問題もあったと思います。  それといま一つは、譲渡所得そのものの把握が難しいということもあったから非課税になったと思うのでございますが、そこで、五十、二十、三十、十二万株でございましたか、というようなものがそれでもあって、が、まだいわゆる創業者利得はその条項を適用せずというような時代からずっと経過していきますと、本当にがらがらぽんにして、がらがらぽんという言葉は余りいいんじゃございませんが、いわゆる本当に証取審の方へどんと持ち込む時期だなという感じは、私自身も率直に持っております。したがって、いわば証取審は小委員会をたくさんつくらなければいかぬなと思うぐらい大きな荷物を背負われたから、この辺で本格的ないわゆる資金市場としての、そしていま一つは、投資家の投資先としての機能を調和させていくためのいろいろな課題がここで議論されていかなければならない歴史的経過をたどって今日に至ったな、こういう感じを非常に深くしております。  そのときに今おっしゃいましたいわゆるSECの問題、要はやはりディスクロージャーの問題についての監視といいますのか、そういう体制を本当に考えなければいかぬなということは私自身の考えにもあるわけです。今限られた人員、機構の中で一生懸命対応しておりますが、それについてこの辺をもっと拡充すべきだという意見であるとすれば、私もそれはよく理解できます。が、新たにSECのような、大機構でございますね、それをつくってやるというような考えは、そこにまで立ち及んだことは私はございません。今のディスクロージャーが公正に行われることが、国民にあるいは投資家に理解できるような体制を強化していく、指導する立場、監督というよりは、監視というよりはあるいは指導の方がいいかもしれませんが、そういうのを強化していく方向というのは考えてもいいのではないかなという感じはかねてから本当は持っておりました。
  162. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、いろいろな問題をめぐりまして、公正であり、厳しくあるべきだ、インサイダー取引につきましてもいろいろな面につきましても。そういった意味では、若干中立的な方がいいのではないかというような議論も当然出てくるのでございまして、ただ反面、この証券と金融というのは非常に絡まってきておりますから、これがまた一つの機構の中にある方がいいという考え方もございます。しかし、いずれにいたしましても、そういった規制というか監督というか、そういう内部規制を厳しくするということがないと、これはやはり中立的な組織にすべきだなという声はほうはいとして上がってくると思いますので、この点いわば規制についてはきちっとした態度をとっていただきたいと思います。いかがでございますか。
  163. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 あるいは正確には専門家の言葉をかりた方がいいかとも思いますが、今おっしゃった趣旨そのものは、私にも十分理解できることであります。
  164. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間もございませんから次に、この前私、土地税制をいろいろお聞きいたしました。もっともほかの問題を取り上げたものですから、こちらが一方的にまくし立てるだけで、そちらの御意見を十分承らなかった状況で来ております。  そこで、私がきのう指摘いたしましたように、不公平税制の一番大きいのは土地じゃないか。しかもそれは税制のみならず、いわば所得再配分の面で大きな問題になっている。一時期土地が狂乱するということで、価格を監視するとか随分いろいろなことの手は打たれましたけれども、どうも基本的な解決はされていない。この自民党の回答にも、土地基本法の制定というような言い方をしております。この土地基本法で、私もちょっと概要を見たのですけれども、総論はいろいろあるけれどもどうも各論が余りないな、これで一体どういうことをしようとしているのかなということが非常に疑問なのでございまして、国土庁長官の御説明を承りたいと思います。
  165. 内海英男

    ○内海国務大臣 先生御指摘のように、まだ基本法は検討に入ったというところでございまして、中身の具体的な問題についてはこれから論議を重ねていってまとめよう、また野党のさきの国会に御提案になっておられる基本法等も参考にしながら、また各界の有識者のお集まりもいただいて、いろいろとお知恵を拝借しながら詰めてまいりたい、こう考えておるわけでございまして、その具体的な方向といたしましては、土地に関する基本理念の明確化、国、地方公共団体及び国民土地に関する基本理念に従う責務があることの明確化、土地に関する諸施策についての展開方向の明確化、こういった三点を大きな課題といたしまして御検討いただいておる。  先生も御指摘のように、基本法というのが余りはっきりしないというお話でございますが、何にいたしましても基本法でございますので、余り細部にわたってぴたっと当てはめてしまうというのも、これからの論議の中でどう落ちつくかわかりませんけれども、今のところはそういった三項目の大きな課題に向かっていろいろ御議論を賜って詰めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  166. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私はきのうの議論で、例えば土地に大きなビルを建てる、それに対していろいろな経費もかかる、そういった経費が全部サラリーマンの税金で賄われるということになると、これは土地を買いさえすれば利益を得るという話になる。一方、売るときにはえらい高額の税がかかる。基本的にはむしろ保有税を引き上げて、譲渡もしくは相続を下げて、長期間にわたって税を取るという方が土地の需給にとってはいいのではないか、この点についてどう考えるかということを私一方的に話したのでございますけれども国土庁長官また経済企画庁長官、これは国民経済的にどういう影響を及ぼすだろうという、この点をちょっとお聞きしたいと思います。
  167. 内海英男

    ○内海国務大臣 先生御指摘の保有税の問題でございますが、土地を単に保有しておるということによって税を余計かけるというような制度というものは、あるいは取引が行われて、実際にそれによって利益を得たという場合ですと別な意味での税がございますので、ただ持っておるというだけで税金をかけるのについては、相当議論のあるところだろうと思います。  企業等につきましては、逆に追い出し税ではないかというような御議論もありますし、また小さい小売商店等につきましては、周りの地価が上がったからおまえのところは固定資産税も上げるぞ、相続税も上げるぞというようなことになっても、そういう地価の高い付近にある小売商店もそこで商売やっていられないというようなことにもなりますので、この税の問題につきましては、私ども土地に関することを担当しておる者といたしましては、保有税というのは余り厳しくかけるということは追い出し税にもなるし、また弱い小売商店の経営者に対しましても、そこで商売していられないというような大変な事情も出てくるということも考えますと、これは慎重に考えていかなければならない問題だ、こう考えております。
  168. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 先生の御指摘のとおり、経済問題を扱っておりますると、いろいろと御質問の中で、多様化している中で一番大きな問題といいますのは、豊かさがどのように経済として国民生活に直結するのか、こういう問題点であろうと思います。なかんずく土地の問題は、御指摘のとおりその中で一番大きなファクターである、こうも申せるかと思います。  そういう点では、私ども本年の五月でございましたが、閣議決定でいたしました新経済五カ年計画「世界とともに生きる日本」という中においても、特に今後とも土地取引の適正化というものを推進していくことが一番であるということをつとに強く述べておるわけでございます。なかんずく、その中で一番関係の深い点、保有税の問題等を含めましての問題点として、お答えになるかどうかと思いますのは、まず第一には都心部及びその周辺部というものにおける土地の高度利用化の適応性、推進、これがまず第一点であろう。第二点は、国公有地における良質な住宅を建設するその方向への推進。あるいは第三点は、良質な新市街地域の計画的な発展。第四点は、東京などを含めました大都市地域のまさに市街化区域内の農地についての宅地利用への推進。あるいは第五番目といたしまして、御指摘の、企業等が保有する低未利用地の活用の推進というようなことが諸点であろうかな、このように考えるものでございます。  したがいまして、この問題点は、御指摘の土地保有税のあり方についての検討を余儀なくされるわけでございますから、これは鋭意前向きに努力をして検討し続けていかなければならぬ、このように考えるものでございます。
  169. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、国土庁長官のお答えを聞いてちょっと意外な感を受けたのです。というのは、私がお聞きしたのは、土地保有税をむしろ引き上げて譲渡を安くする、その方が需給関係をバランスさせるのじゃないか。確かに都会のど真ん中にいる小売商あたりが、保有税を上げられると困るなとおっしゃることも一面でございますけれども、都会のど真ん中におって非常に利便を得ているという人々は、むしろその土地を高度利用して、そこに何人かが集まってビルを建てるなりなんなりしてそこにいて、そこで収益を上げるような形で利用すべきなのであって、一方において遠くから交通費を払って通う膨大なサラリーマンがいるわけですから、私はそこの点が、国土庁長官たるものがそのような認識ではいささかこれはおかしいのではないかな。  私は、そこで、この間建設大臣もおられたときに、もっと容積率を上げて高度利用できるようにしなさい、ただ保有税だけを上げて高度利用もできない形で保有させることはだめだ、容積率を上げて高度利用させれば、小売商の方もビルの中に入って、あるいは二階、三階を貸すこともできる、収益を上げることができる。私は、国土庁長官がそうやって保有税を上げると大変だというような認識に立っておられては、国土問題、土地問題は解決しないのじゃないかと思います。  これは私がこの前不公平税制の議論の中で提示した問題でございまして、まさに土地問題こそ非常に重要な問題になってきている。私は何も追い出し税をと言うのじゃないのですよ。もっと高度利用のための考えを持たなくちゃいかぬということです。それとともに、例えば容積率、建ぺい率などの問題につきましても、単に地方自治体に任せるのじゃなくて、むしろ国土庁あるいは政府が主導権を握って、東京都内の一級地は容積率を上げるなり、あるいは住宅だけじゃない、商業地域にするなり、東京だけじゃないのでございますけれども、メガロポリスにおいてもそういうリーダーシップを持たなければいかぬ。そこがむしろ大事なのじゃないかと思います。  私は今の需要供給について、いわば保有税と譲渡税との関係、むしろ譲渡税を安くして保有税を上げて、しかもそのかわりに容積率を高めたり高度利用を促進させる、そういう総合的な施策があって初めて土地問題が解決すると思うのでございますけれども、重ねて国土庁長官を責めるのはあれでございますから、総理大臣のお考えをお伺いしましょう。
  170. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いわゆる容積率というものを上げて土地の利用効果を高からしめていって、そしてむしろ保有税の方を高くして譲渡所得の方を低くしていく、こういう議論、それを一番強烈にやりましたのは承継税制問題のときであったと思います。そのときには、銀座四丁目のげた屋はどうするか、こういう話から出たと思うのであります。げた屋はげた屋で立派にやって、二階を住宅にして、三階以上は他の店舗等に供すればいいじゃないか、そういう議論を随分いたしました。しかし、そこに基本的にございましたのは、それを一つのインセンティブを与えるという意味ならば理解できるが、強制するとか誘導していくというそのことに対して大変な困難があるじゃないかな、こんなような議論であったというふうに記憶しておるところでございます。  したがって、何しろアメリカの二十六分の一しか面積はありませんし、平らなところは七十七分の一しかなしでございますから、そういうところで土地の利用ということを図るためのまず基本的な物の考え方というものを、国土庁長官のもとで懇談会をおつくりになって今議論していただいておる。そういうところから恐らく税制の問題も——税制を懇談会で議論するわけじゃございませんが、税制問題の問題点についても選び出されていくのじゃないかな、こういう印象を持ってお話をお聞きしておりました。
  171. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私が土地問題に非常にこだわるのは、簡単に申しまするならば、資金が結局、例えばマル優廃止、そうすると預金の方はちょっとシュリンクする。株式の方もキャピタルゲイン課税という話になってくると、相当資金土地の方へまた流れ込んでくる可能性もあるわけです。土地税制が、あるいは土地に対する態度がこのままでありますと、またぞろ大規模な資金土地へ流れ込んできて土地の騰貴をもたらすかもしれない。でありますから、土地税制を、特に保有関係の税を地方税だけに任しておいていいのかどうかという問題があるわけです。  私はそれ以外に、この前は土地が騰貴すると地方自治体だけに金が入って、メガロポリスだけに入って、国に入ってこないという話をいたしました。それに対して総理も、それは今後検討すべき課題だと言われました。財源問題もそうでございます。土地問題の解決、今の大きな資金の流れが、株あるいは預金というところにいろいろ規制を加えてくると、その反面、膨大な資金土地に流れ込む可能性がある、ブラックボックスになる可能性がある。そこで私はしきりと土地問題のことを取り上げて、これがまた所得の不公平を生んでくる、土地の値上がりというものが公共投資の関数であるということもお話ししたわけでございます。その面で、私はこの不公平税制の一番大きな問題点として土地問題を取り上げているわけです。  今、総理ちょっと本を読んでおられますけれども、この点、土地基本法というのは各論なしのいわば総論だけ、逆にいろいろ言われるのですけれども、今度の税問題については総論なしの各論というようなことも言われております。もっともっと基本的な論議があるのじゃないかと言われておりますけれども、何かこの土地基本法というのが各論なしの総論、今度の税法審議が総論なしの各論だけというような感じが非常にするのでございまして、もっともっと私はこの税制改正について総論的な議論をしなくちゃいかぬ。その中で地方税と国税の関係、あるいは保有税と譲渡税の関係ということをもっともっと洗い出して議論すべきじゃないかと思うのです。  この点、時間もございませんから、きのう自治大臣の御意見もお聞きしましたが、もう一遍この問題を総理が考え直してもらえないか。しかも土地政策について総合的な考え方、税金も含めれば規制問題も含める。単に首都機能の移転だけじゃなくて、そういった面の考慮をすべきではないか。あとほかにも聞きたい不公平税制の問題がいろいろございますけれども、この問題が解決しないで——国税と地方税のバリアの問題もございました。境界の問題もございました。これこそが我々もっともっと焦点を置いていくべきものじゃないかと思います。いかがでございますか。
  172. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 後半の部分の御意見があればこそ、土地対策の特別委員会等が自主的に、どの党が言い出したということもなく、この衆参両院にできて、そうして、あれは公民でございましたか、ちょっと記憶しておりませんが、基本法概要というのも私も読ましていただきました。そういうものが出てきて、それが雰囲気を醸成し、そうしてこの基本法というものに本格的に取り組んでいかなければいかぬということから、懇談会というものができてきたという経過だろうと思うわけでございます。したがって、そういう議論の中から、この税制の問題にいたしましても、また高度利用の立場から言われますところの各種規制の緩和の問題でございますとか、そういうものが具体的に政治課題として上っていくというような順序を通っていくんではないかなと思います。  ただ、いわば地方税と国税というような問題については、これはトタで議論するのはなかなか大きな問題ですけれども、いずれにせよ、それは税制全体の中で今後とも検討を続けていくべき課題ではあるというふうに思っております。
  173. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 わずか二つの項目の不公平税制で終わりましたけれども、我々が出した十項目一つ一つ問題点がたくさんあるわけでございます。私はその中で、きょうはもっともっとやろうかと思っておりましたけれども、時間が短いものですからこの二つに限定しましたけれども、私が持ち出しておりますこの土地の問題と申しますものが基本的な問題として横たわっている。今度の消費税の関連で、今まで我が国にあった目に見えない規制というか、その結果生じてくるところの問題点、例えば今の容積率の問題とか、あるいは土地のいわば商業地域、住宅地域の区分の問題とか、そういう縛りがいろいろなことに今影響している。あるいは地方財政、国の財政、どの部分を国がやり、どの部分を地方がやるという一つの規制というか、仕組みというのがいろいろな問題を持ち上げている。それを洗いざらいに議論していかないと本当の意味の税制改革にはならない。直接税制に関係ないように見えますけれども、その基礎にある社会の仕組みというか構造と申しますか、それにいわばメスを入れる時期じゃないかと思うのでございます。  最後に、ちょっと私の考えについての御感想を総理からお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  174. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 土地問題というのが内政上の大きな課題であって、いろいろな宿命的な環境の中にあっても、今後、今御指摘のような基本的な問題からこれを議論していかなければならぬというお考え方には私も賛成でございます。
  175. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて安倍基雄君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  176. 松本善明

    松本(善)委員 まず総理総理秘書の株の取得問題から伺いたいと思っております。  我が党が発表いたしましたドゥ・ベストの所有株の譲渡先リストの中の多賀谷氏それから式場氏は、江副氏からコスモス株の譲渡の話を持ちかけられたというふうに言っております。江副氏も病床質問で、御本人たちがそう言っているとすればそのとおりと言うしかないと言って、認めております。ドゥ・ベストのみならず、ビッグウエイ、エターナルフォーチュンなどのトンネル会社で、江副氏自身あるいは事実上江副氏による譲渡という疑いがますます強まっております。既に五十二万株がそういうトンネル会社から江副氏に還流しているという報道もなされております。  そういうことですから、総理リクルート関係者から話があったとだけ言っておられますけれども、江副氏ではないかという疑惑は、総理が否定をされてはおりますけれども消すことができません。総理リクルート関係者がだれだということを言って、その人とリクルートないし江副氏との関係を明らかにしなければ、この疑惑は解明されないというふうに私は思いますが、総理はどうお考えですか。
  177. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 どなたかの御質問に対しまして、江副氏ではないということを報告を受けておるということは申し上げました。それから、確かにリクルート関係者の方であったと思う、が、軽々に自分が正確な記憶を呼び戻さないままにお答えすることは、これは迷惑を与えることにもなりますということで、それから、いわゆる約定書みたいなものがあるような関係のことではないと。そのとおりだろうと思って、せいぜい記憶を呼び戻してもらいたいという話をしておるということでございます。
  178. 松本善明

    松本(善)委員 周りがほとんど江副氏から還流をされて、江副氏がいろいろやっているということがますますふえてきているものですから、そうでないと言うならそうでないということがきちっと出ないと、やはり江副氏か江副氏の指示を受けただれかかというようなことの疑問はどうしても残るのですよ。だから、そういう認識で青木秘書にもちゃんと早く思い出さして、ここに御報告をするという御意思があるかどうかということをお聞きしているわけであります。
  179. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 青木氏本人はそんな気持ちでおるだろうと私も思います。ただ私も、参議院でございましたか、上田さんがこの会社じゃないかなどと言われたことがありまして、そんなことは言うもんじゃないと冗談でお答えしておきましたが、単なる予測でこれじゃないかと言われても、本当は困るなと思っております。
  180. 松本善明

    松本(善)委員 予測ではなくてやはり反証がないと、ほかはみんなずっと江副氏がやっているという報道が次々と出てきていますから、そのことを申し上げているわけであります。  宮澤大蔵大臣、昨日私は東中議員質問を傍聴しておりましたけれども宮澤大蔵大臣は、自分は知らない、株の取引はしていないと言い張るだけで、私から見ますと全く説得力がない答弁であったように思います。あなたの答弁については連日各紙に不信の投書が載っております。若干紹介いたしますと、「いくら気色ばんでみても、みる人はあきれあわれむのみ。」これはきょうの朝日です。それから「宮澤ファンだったが全く裏切られた思い」これは十八日の読売です。「秘書がもしほんとうに「独断専行」したとすれば、政治家本人の無能さを示すものにほかならない。」これは十八日の毎日です。宮澤派の閣僚経験者の中でも、「こうなったら、宮澤さんがさらに明確に答弁をするか、服部氏が出るのか、判断を求められる」と言っている人があるということがきょうの読売新聞に報道されております。  私は昨日のやりとりの中で、宮澤大蔵大臣がお答えになっていない点に限って伺おうと思います。  なぜ河合氏が自分名義で売らなかったんだろうか。自分の名前で売れば、宮澤大蔵大臣秘書官、河合氏のリクルート株取得という衝撃的な報道はなかったんです。ここから始まったんですからね。なかったんです。問題は公然化しなかったんです。服部氏のところへ売買通知書を取りに行って、服部銀行口座を開いて、売却益を受け取るというような面倒なことをする必要もなかったんですね。証券局長河合の名でもちろん売れるという、これは当然のことですけれども答弁をしました。なぜこんなことをしたのかということは、合理的に考えれば何としても不思議なんです。そこをあなたが御答弁にならないと、これは解明されないんです。なぜそうなったのか、お答えいただきたい。
  181. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはちょっと私にわかりませんけれども河合では取引がもともとできない、こういうことがもとにあったのじゃございませんか。
  182. 松本善明

    松本(善)委員 そんなことは全然ないです。それは、買うときは大蔵大臣の名前でなければだめだというのはわかりますよ。だけれども、売るときは何も大蔵大臣の名前でなくたって売れるんですよ。だからわざわざ、当たり前のことだけれども証券局長にきのう答弁してもらったんですよ。これはもう全然筋が通らないですよ。あなたが河合に聞けばいいんじゃないですか。河合氏に聞いて答えればいいんですよ。それをやらないでいて、きのうあれだけ問題になって追及されて、あなたもう四苦八苦していたんだから、電話をかけて、河合氏にどうだったんだと聞いて答弁するのが当たり前なんです。それを幾ら身に覚えがないと言ったって、それでは絶対だめだと思うのですよ。それを何でおやりになりませんか。
  183. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私には正確には申し上げられませんけれども、実は答えはそんなに難しくないんだろうと思いますのは、私の名前で株は取得したんでございますが、この間も申し上げました取引通知等は服部あてに行われるようにしたというのは、ここで河合にしてしまったんではいかぬわけでございますから——何でとおっしゃいますが、名前を借りた意味がなくなるのではございませんか。
  184. 松本善明

    松本(善)委員 それは全然違うんです。買うときはわかりますよ。だけれども、売るときは何も大蔵大臣秘書官の名前を使わなくたって、売れるのは当たり前なんですよ。それで自分のところへ利益を取ろうと思ってやったわけでしょう。それは全然説得力ゼロですね。あなたはぜひそれがわかるようにしようと思われるならば、河合氏に直接確かめて、ここへ答弁される必要があると思います。  それからもう一つは、服部秘書官に株の取引名義を貸すという大事なことを含めて、大蔵大臣という重大な職責の名義を人に使わせてよいという権限を与えていたのかどうか、これもお答えになってないんです。これを答えていただきたい。河合氏にはそういう権限があったのかどうか——河合じゃない、服部ですね。
  185. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨日も申し上げましたけれども、私は株の取引というのをしない人間なものでございますから、そういう権限を従来与える必要もありませんでしたし、そういう話もしたことはございません。ただ大変に長いこと、三十年余り秘書をやってもらっておりましたから、大抵のことは私のかわりにやっておりました。それはお互いのいわば何と申しますか、信頼関係とでも申しますのでしょうか、今度こういうことになったのは大変残念でございましたが、やはりお互い秘書を使っておりますと、かわりに行動してもらうということはごくごくあることじゃないかと思います。
  186. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、権限は与えてなかったけれども服部氏の行為は結局最終的には追認したということになるのですか。
  187. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私ども秘書を使いますとき、権限とかいう考えでは使っておりません。
  188. 松本善明

    松本(善)委員 私は、大蔵大臣というこの名前を貸すというようなことは、そんな軽々しいことでは絶対にないというふうに思います。  もう一つ伺いたいのは、河合氏はリクルートのだれにどういうふうに言って株を取得したのか、この点の質問については、全くわからないというふうにお答えになっただけです。これも河合氏を呼んで聞けばすぐわかることなんです。竹下総理についても、私は先ほどちょっと御質問したように、まだ解明しなければならぬことがたくさんあると思いますけれども、青木氏から直接聞いて、売買約定書も見ておられるわけでしょう。なぜあなたはそれと同じようなことをなさらないのですか。なぜ河合氏にこれだけ国会で大問題になっていることを直接お聞きになったり、売買約定書を見るということをなさらないのか、伺いたいと思います。
  189. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は前にも何度もお答えをいたしておりまして、服部を通じまして、譲り渡し人でございますか、どこかということを聞きまして、御本人記憶がないのでございます。それで、約定書は二年も前のことでございますので、これはもう見当たらない、こういうことでございます。
  190. 松本善明

    松本(善)委員 大蔵大臣、しかしこれは非常に大事な問題ですよ。河合氏は、大蔵大臣でなければ取得できない、普通の人では取得できないという株ですね、しかも店頭登録直前で値上がり確実な非公開株を取得したわけですね。譲渡した人間は、取引の相手は宮澤大蔵大臣だと思っているわけでしょう。だから何らかの便宜を図ってもらえると思ったかもしれません。あるいは証券取引の監督官庁の大臣だから、わいろを贈るという認識だったかもしれません。河合はわいろを要求するようなことを言ったかもしれません。それはもちろんあくまで疑惑ですけれども、あなたが河合氏や服部氏の責任を追及するという立場をとらないのならば、こういうことを容認したということにもなりかねない。どういうことをやったんだということをきちっと調べて、そしておかしなことをやっていれば、それはだめだ、幾ら秘書との間でもだめだという毅然たる態度をとるというのが当然じゃないだろうか。  それをやらなかったら私は、公の立場で仕事をしている大蔵大臣として、それは長いこと使っている秘書のことだからといって、そういう公の立場を捨てていったら大変なことになると思うのですよ。これはそういうことになる性質だから、私どもはちゃんとあなたが直接河合氏に会って調べるべきだ、そしてそれを報告すべきだと思っているのです。あなたはどう思いますか、そういう問題について。あなたが告発したりなんかするなら別ですよ。そうでなくて、これは容認するというんならそういう問題に発展する。
  191. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は面識がございませんものですから、長い間知り合っております服部を通じまして事実を聞きまして、それは逐一申し上げてございます。ただいま申し上げましたようなことはないと存じますが、いずれにしてもこれは大変うかつなことであった、これは恐縮に存じております。
  192. 松本善明

    松本(善)委員 面識がないといっても、同じ派閥の増岡さんの秘書をやった人でしょう。選挙のときには広島で、参議院にも出られたから応援もされたことがあるんじゃないかと思うのですよ、私は。そういうこともあるんじゃないか。仮に面識がなかったとしても、やはり国政上国会でこれだけ問題になっていれば、面識のない人からも事情を聞くというのは当然でしょう。大蔵大臣としての国政運営にかかわることであれば、面識のない人だって幾らだって聞くでしょう。私たち国会議員だって聞きますよ。それを面識がないからといって全部服部に任しておいて、そういう重大なことをあなた直接お確かめにならないで——竹下さんはちゃんと自分でやっておられるのですよ。私はあなたがむしろ積極的に、私のことが信用してもらえないならば、服部やあるいは河合を証人として喚問をしてここで事実を聞いてくれと、積極的に言われるのが当たり前だと思うのですが、どう思いますか。
  193. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一番確かな信ずべき方法で聞きまして、それを御報告いたしておるわけでございます。
  194. 松本善明

    松本(善)委員 それはもう私どもだけでなくて、先ほど投書を紹介いたしましたように、国民だれも納得しないですよ。私はこれについては服部河合、菅原各氏の証人喚問をどうしてもやらなければならぬということでかねがね要求しておりますけれども委員長、お計らいをいただきたいというふうに思います。  次に、総理のリクルート問題についての認識をちょっとお聞きしたいのです。  といいますのは、この問題は始まったころから今になってきますと、非常に大きないろんな発展があります。総理やそれから宮澤大蔵大臣も、大体これは純粋な経済取引だという立場で、せいぜい政治倫理の問題だということで答弁をしてこられました。しかし、これはやはり間違っていると思うのです。というのは二つの事情が出てきた。  一つは強制捜査の開始であります。これは直接には楢崎議員に対する贈賄の申し込みということでありますけれども、なぜ質問に手心を加えてもらわねばならなかったのか。それは非公開株の譲渡に何らかの不正があったということである。純粋な経済取引だったら、それはもう楢崎さんに贈賄工作をする必要はなかったわけですよ。  もう一つは江副氏の発言ですよ。彼は、言えばばつの悪い人、やめねばならない人が出る、刑事罰を受けても言わない、こういうふうに言ったということですね。これは純粋な経済取引だったらあり得ないことです。刑事罰を受けても言わない、何か不正があるからこそそういうことになってくるわけだ。これはいずれも、リクルートコスモスの非公開株の譲渡が純粋な経済取引として行われたという前提が崩れたということではないかと思うのです。言うならば、政治倫理の問題にとどまらないで、リクルートに関する株の取引がもちろんすべて違法だということではありませんよ、この中にはやはり違法なものがあり得るということになってきたんだと思うのですよ。これは根本的にリクルート問題についての認識を変えなければならぬと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  195. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 せいぜい政治倫理の問題だというふうに思ったことは一度もございません。やはり政治倫理の問題こそ私どもが一番心していなきゃいかぬことだというふうに、まず基本認識として、そこにございます。  四つに分けて申し上げております。すなわち、この問題は証取法上の問題が一つある。それから税法上の問題がある。それから刑法上の問題。そうして政治倫理あるいは道徳的責任とでも申しましょうか、それがある。  しかし、私自身絶えず申しておりますように、私どもとしてはやはりこの政治倫理綱領というのを反復したつもりで、よしんばそれが経済行為であっても、厳粛に受けとむべきであるということを初めから今日も一番重視しておるところでございます。
  196. 松本善明

    松本(善)委員 総理、四つの問題点とよく言われますけれども、事実を解明する中では、政治倫理の問題も、刑事事件になる問題とこれは截然と初めから区別はできないですね。事実を解明していく中で、これは政治倫理の問題、これは違法な問題、あるいは証券取引法違反の問題も出てくるかもしれません。初めから四つの問題が分かれているわけじゃなくて、やはり事実関係が明らかになる中で、私申し上げていることは、このリクルート問題という大きな、私は構造的な汚職というふうに思いますけれども、疑獄ではないかと思いますけれども、これは政治倫理の問題も大変大事な問題ですけれども、単にというのは、違法な問題をはらんでいないというニュアンスで、純粋な経済取引だということを盛んに言われたように私が思うものですから、そうではないのじゃないか、やはり違法な問題があり得るんだ、強制捜査が起こってきたりなにかをするという今の時点で考えるならば、そういう問題として認識さるべきではないかということを伺っておるのであります。
  197. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この問題は四つの点から解明されるべきものであろうということを申し上げ、なかんずく政治に携わる者として、政治倫理というものを私は強調してきたつもりでございます。
  198. 松本善明

    松本(善)委員 では、もう少し解明して申し上げようと思います。  この問題は、最初は五十九年十二月に川崎の小松助役、それから森喜朗元文部大臣、森田前日経社長ら七十六人に非公開株が譲渡された問題として考えられておりました。しかし、今やその程度のものでないことが明らかになってきた。構造的疑獄の様相を示してきたわけであります。  六十年四月に第三者割り当て増資が約七百万株なされて、ドゥ・ベスト、ビツグウエイ、エターナルフォーチュン、ワールドサービスなど約六十万株が六十一年七月から九月にかけてリクルートに還流して、いわばこれらの会社をトンネル会社として、広く政官界にばらまかれた疑いが極めて濃厚になってきたわけであります。ドゥ・ベストのリストの九名には、総理、中曽根前総理、安倍幹事長の秘書、それから宮澤大蔵大臣本人加藤前労働次官、NTTの役員の重要人物が含まれております。労働省の官房長の答弁では、各層各界の信用すべき人に譲渡するという話だった。江副氏が初め言っていた安定株主づくりとか決算対策などというのは全く関係のない問題になってきた。江副氏は譲渡者は計百四十人だと語っているということが報道されておりますが、そうすると、七十六人と差し引きしますと、六十四人が決算対策などと無関係に非公開株の譲渡を受けているということになるのですよ。  なぜこのように広範に株がばらまかれたかという理由ですね。リクルート側の意図が重大な関心事になってきたのだと思うのです。時期も値上がり確実な店頭登録直前です。江副氏の病床質問では、半数がファーストファイナンスから資金を借りたということも明らかになってきました。楢崎氏への贈賄工作のきっかけも、政界二十数人のリストからだということも報道をされております。わいろ性が本当に極めて高いということがだんだん明らかになってきたのじゃないか。  そういう点で言いますと、リクルート事件の全容を、総理大臣でもあり、それから与党自民党の総裁でもある政治家として、やはり日本の政治については、あるいは社会については最高の責任を負わなければならない人として、私はこの全容を解明する責任があるのじゃないか。その点については総理はいかがお考えになっているか、お聞きしたいと思うのであります。
  199. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私が松本さんのおっしゃった構図のもとで、その全容を解明する自信もございません。私は、やはりこうした問題の起きてきた原因とでも申しますか、そういうところからこれを分析すると、先ほど申し上げた四つの点があるではないか。したがって、最もみずからに言い聞かせなければならないことは、政治倫理そのものの問題だというふうに思っております。
  200. 松本善明

    松本(善)委員 事実が解明された後四つの分野から見るということ、これはいいですよ。いいですけれども、やはり事実がどんどん発展しているのですよ。その発展を総理大臣としては正確に見ながら、この問題の重大性を認識してもらわなければならないのではないかというふうに私は思います。  すぐ卑近な問題で申し上げますと、ドゥ・ベスト九人のリストのうち、安倍幹事長の清水秘書名義の一万七千株のうち一万五千株、ドゥ・ベストから二千株ということですが、これはどこから来たのだろうかという疑問も残っています。それから、中曽根前総理の筑比地秘書は二万三千株取得したということだが、そのうちの一万三千株はどこから取得したものなのか。ドゥ・ベストが一万株というのがリストに出ています。そのほか渡辺政調会長の長男の喜美氏の名義の五千株、加藤六月氏の片山秘書と二番目のお嬢さんの名義の五千株、それから加藤紘一氏、塚本三郎氏、それぞれの名義の五千株の取得先が明らかになっておりません。  財界のある幹部はこういうことを言っている。「政府の審議会メンバーには、同友会なら副代表幹事クラス以上になって初めて登用されるのが普通。江副君はヒラ幹事なのに、いきなりいろいろな公職に就いて、驚かされたものだ」また、「事情を知る文部省幹部は「江副さんを委員にしたのは、前文相だった森さんの力が大きかった。」」と語っていることがきょうの新聞で報道されています。解明するとすれば、まず自民党関係者の中で名前が出ている人たちに、事実どうだったのか、取得先はどうだったのかということを総裁としてお調べになって、やはり公表するということが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  201. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 元来、公の席上で人様の名前を出しますとかいうことは、言葉は悪うございますが、率直に言って私の生きざまに全く合いません。これだけは、失礼なようですが重ねて申し上げておきます。  そして、自由民主党の総裁として君が何か考えることはないかと、私は私として十分考えております。
  202. 松本善明

    松本(善)委員 これは私的なつき合いの範囲の問題ではなくて、政党としての自浄能力の問題だと私は思うのですよ。国政にかかわっている、それは日本の国民の多くの人たちの運命にかかわることですよ。日本の社会の将来にかかわる問題ですよ。そういう立場にある、公の立場にある人間としては、いろいろな疑惑が起こるならば、それは解明をするという責任があるのだと思うのですよ。  あなたは先ほども倫理綱領を言われましたですね。倫理綱領には、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」というのがありますよ。それは政治家個人としても、政党の責任者としても、やはりやらなければならぬことじゃないでしょうか。今、日本じゅうでと言っても過言でないぐらい、このリクルート疑惑の問題については解明さるべきだ、だれが違法だとか責任があるとかなんとか言う前に、とにかく事実を明らかにしてほしいというのが国民の希望ですよ。自民党の総裁としてはそれを果たすべき義務があるのじゃないか。あなたの生きざまとして、それは個人とのつき合いの間でならば通用する言葉かもしれませんよ。しかし、私は一党の、しかも政権を預かる与党の責任者としては、それは通用しないのじゃないか、公の立場ということが重視をされなければならぬのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  203. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私は、我が党の立党の精神、それに賛同して自由民主党の党員としての誇りを持って、今日みずからそういうふうに位置づけております。したがって、基本的な立場の異なる松本委員からの御指示によって物を行うべきものではなく、私自身の判断で行うべきものであるというふうに思います。
  204. 松本善明

    松本(善)委員 私が指示をするとかなんとかいうようなものでは、もちろんありません。国会というのは、竹下総理と私はもちろん思想も信条も違っておりますけれども、しかしそういう立場の違う人間が一堂に会して、そしてこの問題はどうだということを議論をするのが国会ではないでしょうか。だから、やはりこういうふうにすべきではないかということを申し上げているわけでありまして、これは考え方が違うからといって、やるとかやらぬとかいう問題ではないのだというふうに私は思っております。そのことを申し上げておきます。  もう一つ、さらにこれはもっともっと重大なんですね。強制捜査が開始をされましたけれども、この五百万円の贈賄工作のねらいは何かということなんです。ドゥ・ベストのリストにはNTTの役員がニ人挙がっております。リクルートというのは、電気通信分野では、スーパーコンピューターを通信回線で結んで時間貸しをするRCS事業と、それからNTTから高速ディジタル回線を借りて小口でユーザーに分配をする回線リセール事業をやっております。  そして、ことしの三月四日付の日経新聞にはこういう記事が載っております。   特に二台目のクレイ機は、昨年四月末からの中曽根首相の訪米直前、デュレンバーガ  ー氏ら米上院の議員十一人が「スーパーコンピューターの市場開放」を要求。NTTが  急きょ購入したものだ。   江副リクルート会長と親しい中曽根氏が同社へ引き渡すことを条件に、 リクルート社ですよ、リクルート社に引き渡すことを条件に、  NTTに購入を依頼したといわれている。中曽根氏側近は「リクルートは以前から導入  を計画していたので、米国から入れてもらえばありがたいという話をした」と証言する。 こういう記事が載っております。非常に重大なことですよ。捜査当局はこういう事実について関心を持っておりますか。
  205. 根來泰周

    根來政府委員 関心を持っているという意味になるわけでございますけれども、国会でも報道機関でもいろいろ言われていますから、検察庁としてもそれは当然目に入っておることだと思います。
  206. 松本善明

    松本(善)委員 重大な捜査の端緒として重視をしてほしいということを要望をしておきます。  それから、なぜこの時期にリクルート側が一たん第三者割り当てをしたものを急に返させたのか、これも大きな疑問なんですね。何か政界工作でもやる必要があったのかというような疑問も出てきます。ビツグウエイとかエターナルフォーチュンは、いずれもこの時期に急にとにかく返せということを言ってきたと言っています。それは六十一年の九月ですが、六十一年十月はたまたま中曽根前首相の任期切れの時期なんです。実際には衆参同時選挙で総裁任期が一年延びるけれども、これがなければ後継総裁争いの山場とぶつかっているということを朝日新聞が昨日の新聞で指摘をしております。  宮澤大蔵大臣が宏池会の代表になられたのもこの時期であります。新自由クラブが解党して復帰をするということもこの年の八月に決まっている。各派閥が新自由クラブの代議士工作を展開をしていた時期であります。この九月の十日には、料亭「吉兆」で小杉代議士が江副氏立ち会いのもとで、中曽根氏と藤波孝生氏と会っていることも八六年の十月五日のサンデー毎日で報道されているところであります。こうした疑問が公然とマスコミから提起をされているのです。こうした背景を持った事件なんですね。  楢崎議員への贈賄事件を詳しく報道した日本テレビは、自民党の閣僚経験者である有力議員が楢崎議員の部屋を訪れ、事実を暴露するそうだが何とかやめてほしい、国会が大変になると言ってきたということを報道をいたしました。これも重大なことだと思います。捜査当局はこうした背景にも関心を持っておりますか。
  207. 根來泰周

    根來政府委員 先ほどお答え申し上げたとおり、いろいろ報道とか国会の御議論は拝聴しておりますから、当然見ていると思います。
  208. 松本善明

    松本(善)委員 これも重大な捜査の資料として重視をされることを要望をしておきます。  それから、総理、我が党の発表いたしましたドゥ・ベストの所有株の譲渡先リストの中の総理と中曽根前総理と安倍幹事長は秘書名義であります。江副氏はマスコミに対するインタビューで、政治家の家族、秘書とはつき合いがないということを言っております。なぜ秘書名義の株の取引が行われたのか。この三人の方の秘書は、それぞれ議員本人の政治資金を扱っている人であります。取引をした方は政治家本人譲渡をしたと思っているかもしれません。取引をした人とその意図を、こういうふうに大きくなってきたら、解明される必要があるのではないか。そう思いませんか、竹下総理
  209. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 元来、公の場で、お互い国会の構成員として、人様の名前を出してあげつらうということに対しては、私はお答えはしたくないというそもそもの心境でございます。私自身は私自身の問題として私なりに調査もいたしましょうし、私なりに処すべきこともあろうかと思います。
  210. 松本善明

    松本(善)委員 私は、そういうことで済まない問題になってきているということを今るる総理に申し上げているわけであります。  予算委員会で、江副氏が中曽根内閣のときに教育課程審議会の委員になった、税制調査会の特別委員になった、あるいは臨時行政改革推進審議会の土地対策検討委員になった、大学審議会の委員になった、この関連を私は質問をいたしました。  しかし、さらにNTT問題、先ほど申しましたように極めて具体的なんです。非常に具体的です。これはロッキード以上の規模の、しかも現職総理が絡むかもしれないという重大な事件であります。これらの解明がどういうふうに進むかということは、私は日本の将来にも重大な影響があると思います。こういうことが放置をされていけば、日本の社会の中で正義というのは通らない。  それから、昨日本会議総理もお答えになりましたが、この問題はやはり教育にも重大な影響があるということをおっしゃったでしょう。私の部屋に陳情になるお母さん方は、こういうことがそのままふたされれば、とても子供に正しいことをやりなさいというような教育はできないと言っておられます。私は、総理大臣として、また自民党の総裁として、この解明のために渾身の力を注ぐべきではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  211. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 問題の点につきましては、それぞれの立場でこの問題について適切に対応すべきものだと考えております。
  212. 松本善明

    松本(善)委員 この事件については既に強制捜査が始まっております。こういう性質の事件でありますから、私は捜査の対象がだれに及んでいこうとも、これは厳正に捜査が進められなければならないと思いますが、この点について総理と法務大臣の見解を伺いたいと思います。
  213. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 御承知のように、現在楢崎議員の告発に基づきまして捜査中でございまして、いろいろな論議を踏まえまして十分厳正に、的確に捜査をしていくということでございます。
  214. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 検察当局が適切な対応をしておると、法務大臣の考え方と同じであります。
  215. 松本善明

    松本(善)委員 これはもうだれに捜査が及ぼうと厳正な捜査がなさるべきである、そういう趣旨でお答えいただいたというふうに思っておりますが、同時に、やはりこの事実関係の解明は徹底的に行われなければならないというふうに思います。それは国会で今まで証人喚問の要求が、全面的に私どもも要求いたしましたし、各野党も要求をしております。この解明が国会の責務だということを考えて、委員長も処置をしてほしいということを申し上げておきたいというふうに思います。  それから、法務大臣、証人喚問について、刑事局長証人喚問は捜査の支障にならぬということを答えたけれども、何かきょうの記者会見では、支障になるようなことを言われたということも聞いております。私は、楢崎さんの贈賄事件については今直接捜査が進んでおると思いますけれども、今私が申しましたような非常に広範な、これは違法なものになるか、あるいは政治倫理の問題になるか、それにもならない単なる経済取引かというようなことがまだまだわからない、全容のわからない事件であります。法務大臣の言われたことは楢崎さんの事件に関してという趣旨のことであればわかりますが、きょう記者会見で言われた趣旨をお述べいただきたいと思います。
  216. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 私が述べましたことは刑事局長と大差ないわけでございます。一般論としまして国政調査権と対立するものではないということでございまして、しかしながら、現在逮捕して捜査しておるというようなものにつきましては、これは別だ、こういうようなことを申したわけでございます。
  217. 松本善明

    松本(善)委員 加藤前労働次官の問題を質問しようと思ったのでございますが、ちょっとあと一分ぐらいではできませんので、これはまたの機会にしたいと思いますけれども、率直に申し上げまして、自民党の委員長をやったような議員でございましても、これは職務権限明白だ、直ちに逮捕すべきだというようなことを言っておられる方もございます。  先ほど来申し上げておりますように、この事件については本当に重大な徹底的な解明が必要な事件でありますので、私は、国会でもまた捜査当局も、この事件の徹底的な解明をすべきであるということを申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。
  218. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて松本善明君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十四日月曜日正午理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会