○坂口
委員 我々もこの総合
課税あるいは納税者番号ということを考えます場合に、今御指摘になりましたように、プライバシーの問題でございますとか、あるいはまたこの範囲をどこまで広げるかというような問題は、慎重には慎重を期していかなければならないだろうというふうに思っております。
一つは、プライバシーの問題につきましては、これはどういたしましても多くの
国民に影響の及ぶところでございますから、慎重にプライバシー保護ということを考えつつ、一方におきまして番号制を考えていかねばならないだろうというふうに思っておりますし、それからもう
一つ、それじゃこの番号制はどこまでを対象とするのかという問題につきましても、これは必要最小限におさめるべき問題であろうというふうに思っております。したがいまして、
銀行あるいは証券、そうしたところは一律にせざるを得ないとは思いますけれ
ども、これを税全体にまで広げるのはいかがなものか、私たちと申しますか、私といたしましてはそういう考え方を持っております。
そして、我々がこのことを申し上げますのは、
一つは税の上の公平ということもございますが、もう
一つには、日本のこの
株式市場というものを健全に育成をしていくためにもぜひ必要だというふうに考えるからでございます。我々、この総合
課税あるいはまた納税者番号というようなことによって、
株式に大混乱が起こるようなことがあってはならない、そこは十分に配慮をしなければならない問題であろうというふうに思います。
日本の
株式市場を見ましたときに、これは日本におきましてもアメリカにおきましても傾向としては同じだろうというふうに思いますが、企業の株というのは、大半が昔は個人
投資家であったわけでございますが、最近では個人
投資家よりも企業によって占められることが非常に多くなってまいりました。約七割というふうにお聞きをしておりますけれ
ども、企業による持ち分が非常に多くなった。したがいまして、個人が楽しみに株を持つ、そしてまた何年も売らないで、
自分もその企業の一部であるという思いを持ちながら、株価が徐々に上がるのを期待もする、そして
会社の報告書を読んでみたり、あるいはまた中には株主総会に出席もしたりする人もある。こうしたことで、企業の株を持ち、
自分もその企業を支えている一員だというようなつもりで、その株価の徐々の値上がりというのを待つという個人
投資家のそうしたあり方が薄れてしまいまして、株による配当よりも一時的な差益と申しますか、一時的な利益に走り過ぎている現在の
株式市場というものを考えましたときに、果たしてこれでいいのであろうか、そういう思いに駆られるわけでございます。
そして、いろいろの生産をなさる
会社の社長さんやその職員の
皆さんよりも、こういう
株式等にかかわっておみえになる
皆さんの給与の方が数段高いというようなこの現状も、物を生産をする、あるいは育てるといったことをないがしろにすることになりはしないか、そういう気もするわけでございます。そうしたことも兼ねて私は、
株式にまつわります問題というのは、この際きちっとけじめをつけておかなければならないであろう。その
一つとして、やはり税とも絡みまして、この納税者番号あるいはまた総合
課税といったことも一番けじめをつけやすいときではないか、かように考えるわけでございます。
そこで、
株式市場の行方によりまして経済界が非常に大きく左右されるという現状は、アメリカも日本も続いておるわけでございますが、
株式の買い占め防止策というのをこの際にもう
一つきちっとしておかなければならない問題ではないかと考えております。
株式の買い占め防止策としまして、短期
株式売却益、短期のキャピタルゲイン
課税の強化、それから買い占め株のプレミアつき買い戻しの禁止、いわゆるグリーンメールと言われておりますが、買い占め株のプレミアつき買い戻しの禁止、これは証券法の改正を伴うものと思いますが、これもこの際にきちっとしておかなければならないのではないか。
それから、金融機関による乗っ取り
資金提供の制限ないし禁止、これも
土地の場合に金融機関から多額の金が出て、そして
土地の値上げの助けをされたというようなことがありますので、金融機関による乗っ取り
資金提供の制限ないし禁止、これもこの際にきちっとけじめをつけておくべき問題ではないかというふうに思うわけでございます。
これらは必ずしも税制そのものだけとは違いまして、少しはみ出した議論になりますけれ
ども、同じ
株式にかかわることでございますので、ここに私は意見を申し上げて、御意見を伺いたいと思うわけであります。