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1988-10-18 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月十八日(火曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君 理事 加藤 万吉君    理事 村山 喜一君 理事 二見 伸明君    理事 米沢  隆君       甘利  明君    池田 行彦君       衛藤征士郎君    小沢 辰男君       大島 理森君    片岡 清一君       岸田 文武君    志賀  節君       杉山 憲夫君    鈴木 宗男君       田原  隆君    谷  洋一君       谷垣 禎一君    玉沢徳一郎君       中川 昭一君    中川 秀直君       中村正三郎君    西田  司君       野田  毅君    原田  憲君       堀内 光雄君    宮下 創平君       山口 敏夫君    山下 元利君       伊藤  茂君    小澤 克介君       川崎 寛治君    串原 義直君       坂上 富男君    中村 正男君       山下洲夫君    草野  威君       小谷 輝二君    坂口  力君       宮地 正介君    玉置 一弥君       工藤  晃君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         国税庁次長   伊藤 博行君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 十月十八日  辞任         補欠選任   熊谷  弘君     杉山 憲夫君   葉梨 信行君     谷垣 禎一君   浜田 幸一君     衛藤征士郎君   村山 達雄君     大島 理森君   坂上 富男君     串原 義直君   野口 幸一君     小澤 克介君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     浜田 幸一君   大島 理森君     村山 達雄君   杉山 憲夫君     熊谷  弘君   谷垣 禎一君     葉梨 信行君   小澤 克介君     野口 幸一君   串原 義直君     坂上 富男君     ───────────── 本日の会議に付した案件  税制改革法案内閣提出第一号)  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  消費税法案内閣提出第三号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  消費譲与税法案内閣提出第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第六号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山下元利君。
  3. 山下元利

    山下(元)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております税制改革法案につきまして、まず不公平是正の問題について伺い、特に所得税減税についてお伺いいたしたいと思います。  実は各党間におきまして、不公平税制是正につきましては既に共同提案がなされ、昨日はまた協議が行われたやに聞き及んでおります。私は、この十項目のそれぞれについてお伺いすることはいたさない、いずれそれぞれの御協議にまつわけでございますが、まずそういう形で協議が進められていることはまことに結構なことでございますけれども、何といいましてもこの税制改革国民の最大の関心のあるところでございますので、やはりこの税制問題を担当する当委員会において十分審議されるべきものであると思います。ただ、それぞれ各党協議が進められておる段階でございますから、その程度にとどめます。  ところで、やはりこのたびの税制改革シャウプ税制以来の画期的な改正でございます。しかしながら、国民皆さんは何としても不公平を是正してほしい、まず不公平の是正に取り組んでもらいたい、特に国会におきましてその点は十分審議されることを望んでおられます。また、税制改革の成否は、この不公平是正に対する取り組みいかんによって大いに影響されることと存ずるわけでございます。  竹下総理も、昨日は勤労者の大会においでいただいて御所信もお述べになったと存じますけれども、そのサラリーマン人たち所得税、特に勤労所得減税については非常に強い熱意を持っておりますけれども、やはり不公平を是正してほしいという気持ちは大変強いと思うわけでございますが、まずその不公平是正に対してどのようにお取り組みいただくか、総理の御所信を承らしていただきたいと存じます。
  4. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 税制への納税者の信頼の基礎となるものは、今御指摘にありましたように負担の公平であります。したがって、今次の改革案の策定に当たりましても、基本理念としてはその負担の公平ということを置くべきであるというふうに考えて立案させていただいたものでございます。と同時に、今もお話がありましたように、各党からの十項目要求などというものが出るのも、これはやはり審議する側でも不公平という問題を絶えず念頭に置かなければならぬという御意思があるからこそそうしたことも行われておるというふうに見ておるところであります。  国民の前で議論して、本当にこの不公平の面はこのようにして是正したらいいじゃないかとかいうのは、やはり私は国会の場を通じての議論の中でこれが具現化されていくべきものであるというふうに考えておるところでございます。したがって、今度の案におきましても株式の譲渡益所得に関する原則課税の問題でございますとか、あるいは社会保険診療報酬特例見直しの問題でございますとか、法人土地取得借入金利子損金算入の問題でございますとか、そういうことが中身として出されておりますが、やはり不公平の是正というのは私は絶えずいつも見直しをするという姿勢をお互い持ち続けていなければならぬ問題ではなかろうかと思っております。  たまたま、今御発言にありました、昨日のサラリーマンの方の会合に出かけました際にも、私は、ある意味において言葉は余り適切でないかもしれませんけれども、情緒的不公平あるいは一方には理論的不公平、いろいろな問題がありますが、定かにそれを区別することはなかなか難しいにしても、それらを総合的に含めた不公平感というものが国民皆さん側に、タックスペイヤーの側にそういうことが可能な限りないようにという趣旨国会の問答にも臨まなければならぬ問題だというふうに考えておるところでございます。
  5. 山下元利

    山下(元)委員 今総理お触れございました諸項目がございます。これを一々お尋ねするということは、やはり各党間の協議のこともございますし、また、私に許された時間の関係もございますので、ただいま総括的に総理からお述べいただきました御決意を承りまして、大変力強く思った次第でございます。  さてそれから、私は、所得税減税について主として大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。  その前に、実は所得税減税は近ごろ本格的な減税が行われておりませんで、そうした関係負担所得税、特に給与に対する所得税に偏っておることは大方の認められるところでございます。したがいまして、昨日お集まりのサラリーマン皆さんも非常な重税感をお持ちであると存じます。  ところで、私は思い出しますのは、昭和五十九年の所得税減税でございます。きのうは村山先生から十分その御質問もございましたので重複を避けますが、昭和三十年代、いわゆる高度成長期は、毎年のように物価調整減税というのが行われてまいりました。しかしながら、石油ショックが起こりまして後は、赤字公債を発行するという形になって財政が極めて悪化したという中で、毎年のように所得税減税を行われました時代と打って変わりまして所得税減税が行われなくなりまして、そしてまた、いわゆる間接税の問題が起こってきたわけでございますが、その点については、国会におきますところの財政再建に対する決議もございました。その結果、総理も当時から大変御苦労願ったわけでありますが、行政改革なり歳出の合理化等をやりまして、そして不公平の是正等に努めてまいったが、しかしどうしても五十九年になって、所得税減税をいたさねばならぬということに相なったのでございます。  五十九年の減税というのは、後ほどちょっと事務当局からそのときの減税規模、そしてまたそのときの財源ですね。あのときは財源としては法人税、それから酒税物品税、その三税を財源に充てたと思います。それは財政再建決議もあるものですから、既存税制見直しでやるということに相なっておりますのですが、ただ、この経緯を見まする場合に、所得税減税をやるために法人税増税をやった。そしてその結果、法人税税率は四三・三%になったわけでございまして、このことが法人税国際比較からいたしましても大変高いものになってしまった。そういう事情がございますので、今度法人税につきましても改正提案がされておるわけでございますが、そのとき法人税増税は幾らぐらいであったか。  それから酒税でございますが、私、きょうできるだけ時間をいただいてお尋ねいたしたい点もございますけれども、酒税財源としてどれだけであったか。ただ、あのときは増税考えながら、それが結果としては増収にならなかったという事情もあります。  それから物品税でございますが、これはなかなか物品税個別消費税に内在する欠陥と申しますか、個別の品目をそれぞれ指定してまた新しく追加する場合に非常な難しい問題があったわけでございますので、そうした物品税がどうであったか。  要するに、五十九年の税制改正について全体の姿を事務当局からまず御説明願って、それぞれについてお伺いしたいと思います。
  6. 水野勝

    水野(勝)政府委員 御指摘のように、所得税につきましては昭和五十二年改正減税を行いまして以来、ずっと本格的な減税がなかったわけでございます。それによりまして、昭和五十八年になりますと、それまでの十数年間に比べまして、勤労者所得税のウエートが極めて高くなったわけでございます。そうした点から、昭和五十九年度におきましては久しぶりに本格的な減税が行われたわけでございますが、当時の財政状況からいたしますと、何らかの財源税制の中で措置いたさないことにはそのような減税ができない状態でございました。そこで御指摘のように、八千億円の減税のために法人税税率引き上げ酒税税率引き上げ物品税の拡大をお願いいたしたところでございます。  法人税につきましては、御指摘のように、基本税率四二%を一・三%引き上げさせていただくということで、三千九百億円の増税お願いいたしたところでございます。  それから酒税につきましては、昭和五十年代に入りまして、五十年、五十三年、五十六年と三年置きに税率引き上げを行ってまいりましたが、五十九年におきましても、三年たったところでございましたので税率引き上げを行いました。ビールで申しますと、一本で百二十五円でございましたのを百五十一円にするということでお願いしたところでございます。これによりますところの増収額としては三千五百億円を予定いたしたところでございますが、五十年代四回目の税率引き上げでございましたので、結果といたしましては、税率引き上げをいたしました五十九年の酒税の税収は五十八年とほとんど変わらなかった。結局、税率引き上げにもかかわりませず、消費の減退を招来し、増収に結びつかなかったということでございますが、お願いをいたしますときは、三千五百億円の増収を見込んで税率引き上げお願いいたしました。  それから三番目は物品税でございまして、これは金額的には大きなものではございませんが、とにかく間接税の中で増収を確保いたしたいということから、五百六十億円の増収を見込んで御提案を申し上げました。その代表的なものは、自動車物品税税率を一%引き上げさせていただく。それから、その当時課税されておりました物品と新しく開発された物品との間におきまして、いろいろバランスの点から考えまして、ビデオディスクプレーヤーなど五品目、十八物品課税対象に含めることをお願いし、国会に御提案したところでございます。ただ、それまでの検討段階ではOA機器、当時非常に普及してまいりましたOA機器、パソコンでございますとか、ファクシミリでございますとか、ワープロでございますとか、電動タイプライターでございますとか、OA機器品目もあわせまして物品税課税対象に加えていただくようにいろいろ御提案し、御検討をいただきましたが、これが物品税というものの性格に合うものなのかどうか、その点は基本的に検討する必要があるということで、御提案と申しますか、大蔵省として検討関係方面お願いをいたしましたが、ついに結論は得られず、五品目、それから自動車物品税率の一%の引き上げ、これによりまして五百億をお願いし、何とか八千億円の所得税減税財源を確保するように御提案をいたしたというのが当時の経緯でございます。
  7. 山下元利

    山下(元)委員 ただいまの説明を伺っておりますと、やはり長年所得税減税ができなかった、したがって八千億の減税考えたところは、法人税で三千九百億、酒税で三千五百億、物品税で五百六十億というふうな財源考えたわけですが、これを見ますと、所得税減税はどうしてもやらなければならぬという世論にこたえてこのような措置を講じたのでありますけれども、法人税についてはもう先ほど申したとおりでございます。四三・三%というふうな税率になった。これは現在、一・三%は下げられて四二%でありますし、御提案によりますとこれは軽減されるということでございますが、特に酒については今のお話のとおり、物品税については今も説明がありましたように、個別の品目を選定するについて大変難しさがあったようにうかがわれます。  以上でございますが、この五十九年の税制政正の経過を振り返りますならば、やはり所得税減税をやるということについて、我々よほど考えていかなければならないと思います。先ほど申しましたように、確かにサラリーマン中心とする重税感が高まっていることは言うまでもないところでございます。  ところで、現行所得税につきましては、昨年九月の税制改正減税が行われましたけれども、依然として累進度は極めてきついものでございます。これはもう欧米諸国の例を引くまでもなく、アメリカイギリス税率を見まする場合に、このようなきつい累進度でいいのかどうかという点がございます。特に私どもサラリーマンのうちでも、従来、この国会においても教育費減税というものが大分論議されましたのですけれども、子弟の教育費やそれから住宅ローンなどの支出がかさむ働き盛り方々で非常に負担感が強くなっていることは申すまでもないところでございます。  そうしたことで、今回の御提案減税改革法案はそうした点に配意したことが行われていると思うのでございますが、まず大蔵大臣お願いいたしたいと思いますけれども、現行税率構造を簡単にしまして、そしてまたこんな高い累進税率ではなしに、特に教育費住宅ローンがかさむサラリーマンにつきまして、どのような税率を配慮されておるかということについてお尋ねいたしたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 山下委員はこの問題につきましては最も精通しておられますお一人でございますので、簡略に申し上げますが、やはりおっしゃいますように、ある年齢に達して住宅ローンの返済であるとかお子さんの学費であるとかいうものが非常に負担になっている、そういう層が、ちょっと昇給をするとすぐ上のブラケットに行くということが重税感、ひいてはどうも自分だけが重いものをしょわされているということになりますとそれは不公平感になるわけでございますが、ここにやはり一番問題があるという意識を持っておりまして、このたび思い切りまして、そのような人々ができるだけライフステージを一つの税率、これは勤労所得で申し上げておるのでございますが、で過ごしてもらえればそういう重税感はよほどなくなるということで、勤労所得標準世帯七百三万円になりますでございましょうか、七百三万円までは一〇%でございます。これで八割以上の勤労者が救えるということになろうと思いますので、その方々はいわば社会へ出て会社をやめるまでこの一本の税率ということになります。  しかし、さらにもっと出世されるといいますか、そういう方もおられる。次の段階は千四十一万円でございます。これが二〇%でございますが、こうなりますともう勤労者の九八%、ほとんど全部がこれに包摂されるということでございますので、こうなりますと、働けど働けど楽にならないという感じは確かになくなってくる、そこから来る不公平感重税感というのはかなり除かれるのではないか。後ほどお尋ねがあろうと思いますが、加えまして配偶者特別控除であるとか割り増し扶養控除考えておりますけれども、基本的にはそういう考え方です。  ただ、アメリカが一五と二八という思い切ったことをいたしました。イギリスもそういうふうに倣っている。我が国はまだそこまでなかなかまいれない。しかし、考え方は、やはりできるだけ累進度を緩やかにして、刻みも少なくしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  9. 山下元利

    山下(元)委員 自治大臣、実は所得税減税は、住民税減税と両々相またねばならないと存じております。特に住民税の問題は、それぞれの市町村において例えば各世帯間に非常に問題があるわけですね、比較される場合。したがって住民税についても、これは五十九年のときは住民税は余りいたさなかったのですかね。その点は事務当局からちょっと……。
  10. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 昭和五十九年度におきましても、住民税におきましても所得税に準ずるようなやり方で、減税を平年度ベースで約三千六百億ぐらいの規模でやっております。その補てん財源といたしましては、主に国税改正によるはね返りというようなものを中心にいたしまして補てんをしているところでございます。
  11. 山下元利

    山下(元)委員 それでは自治大臣、今度の御提案改正については住民税減税もお考えだと思いますけれども、今大蔵大臣からお話がございましたような所得税税率構造について、自治大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  12. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいま大蔵大臣からお話がございましたように、国税所得税、これに呼応いたしまして、個人住民税中心にいたしまして、今回も連動しながら、減税を図りながら合理化に努めたわけであります。  その一番大きなものは、やはり税率累進構造を緩和するということが一点でございます。それから基礎的な人的控除引き上げ、こういうものを行うことによっていろいろなバランスを回復しよう、そういうことで約八千八百億の住民税減税を行ったことが、今回の地方税制改正の一番大きな柱でもございます。それから、お尋ねにはございませんでしたけれども、この消費税導入をすることによって個別の地方間接税、こういうものを調整をしよう、この二つが大きなことでございますので、この政策は国との整合性を保ちながらやっていかなければならない。地方には地方の独自の観点もございますが、大きな意味整合性を保ちながら今回の税制改正に臨んでまいりたいと考えております。
  13. 山下元利

    山下(元)委員 昨日村山委員からもお尋ねの点につきましては重複を避けますが、私は、特に先ほど来申し上げておりますとおりの支出のかさむ中堅層について、大蔵大臣もちょっとお触れになりましたけれども、このたび割り増し扶養控除創設考えておられるようでございますが、これは新しい制度でございます。この趣旨等につきまして御説明願いたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 後ほど事務当局から補足を申し上げますが、先ほど申しましたような、ある程度お子さんが成長されて、そして一番金のかかる年齢になる、そういう場合のことを考えまして先ほど税率構造のことも申し上げましたが、この割り増し扶養控除もそういうことを考えましてさせていただこうとしておるものでございます。事務当局からただいま御説明申し上げます。
  15. 水野勝

    水野(勝)政府委員 今回の所得税改正におきましては、税率の改定というのが中心的な課題でございますけれども、消費税導入といった点も考慮し、また、人的控除が従来余り引き上げられてこなかった経緯も踏まえまして、通常の人的控除につきましては、三十三万円を三十五万円にするということで二万円の引き上げを行っておるところでございますが、十六歳から二十二歳までの扶養親族につきましては、特に十万円を割り増しいたしまして四十五万円の控除となるように御提案を申し上げておるところでございます。
  16. 山下元利

    山下(元)委員 ただいま伺ってまいりましたが、所得税住民税を通ずる税率構造改正あるいは割り増し扶養控除創設等は、やはり重税感不公平感に不満を持たれる納税者の期待にこたえるものであると思います。  私は、所得税についてはまた同僚議員からもいろいろお尋ねがあると思いますので先に進ましていただきたいと思いますが、実は相続税酒税についてお伺いする前に、今の不公平是正の問題でありますけれども、一々触れないと言いながらこの点だけはちょっとお伺いしたいと思いますのは、みなし法人課税制度についていろいろ論議をされてまいりました。私もこれについてはいろいろな意見があるわけでございまして、昨年の九月の税制改正では適正化措置が講ぜられました。やっと適正化が講じられたが、それが今度初めて適用されるのですから、その趣旨状況について主税局長から説明してもらいたいと思います。
  17. 水野勝

    水野(勝)政府委員 みなし法人制度につきましては、御指摘のようにこの制度昭和四十八年に創設されまして以来いろいろな議論があるところでございます。これはやはり個人経営につきまして店と奥との区分経理を明確にいたしまして、個人事業経営近代化合理化を図るものであるという積極的な評価がございます一方、この点につきましては、個人事業でございますと既に事業所得の計算上必要なものは必要経費として控除されておる上に、さらに事業主報酬適用すればそれが給与所得として給与所得控除適用されるという、二重控除になるのではないか。また、個人企業で商売をされるか法人形態をとるか、それはそれぞれのメリット、デメリットを御判断した上で決められるところでございますのに、個人形態をとりつつ法人形態としての課税を御選択するというのはいかがかとか、いろいろ御議論があるところでございます。両方の面からいろいろございます。  そこで、なおこの点は検討は続けることといたしまして、先般の改正におきまして、昭和六十三年分からでございますが、個人事業につきましてその全部の所得事業主報酬としてしまう、これがケースとしては多いわけでございますが、そこらあたりになると少し行き過ぎではないか。そこで、過去三年平均の所得額の八割をみなし報酬の限度とするということで改正を御提案し、お願いをしたところでございます。この適用が六十三年分から、今年分からでございますので、当面はこの適用状況等を見るということにいたしまして、今回の改革案ではこの点の見直しは具体的なものとしては御提案をしていないところでございます。
  18. 山下元利

    山下(元)委員 私は、不公平税制について一々触れませんと申しましたが、このみなし法人だけはどうしてもお伺いしたかったことは、やはり勤労所得者、サラリーマンの間で、事業所得として十分な経費を控除される、サラリーマンについてはそうしたことについて、今度は特別支出という制度も極めて限定的に認められておるけれども、その不満がある。しかも、事業主報酬については給与所得控除を受けられるという点にあります。もちろんこれは法人税とか税率とかの関係もありますけれども、この問題は現在も各党の間の協議で御審議願っておりますが、やはりサラリーマン重税感に関連して、このあり方については今後とも真剣に取り組んでいただきたいと申し上げて、これは終わります。  そこで、実は相続税の問題をお伺いしたいと思っております。  相続税につきましては、この前の改正以来改正されていない。最近の特に地価の高騰等によりまして相続税課税価格が大変高くなる。それで相続税がかかる場合には、住んでいる住居とか事業の本拠である土地しか資産がないというふうな場合にあっても高額の相続税がかかる。したがって、相続税を支払うために先祖伝来の土地を処分せねばならぬというようなことも聞くわけでございます。したがって、前の改正以来相当時日もたっておりますし、相続税改正については多くの皆さんの期待があるわけでございますが、まず局長から、この前の改正以来の相続税課税件数なりそういう資料について御説明願った上、大臣から御所信を伺いたいと思います。
  19. 水野勝

    水野(勝)政府委員 御指摘のように、相続税につきましては、昭和五十年度改正でその軽減と申しますか減税が行われて以来、今まで十三年間見直しが行われていないところでございます。その間の地価の上昇あるいはそれぞれ金融資産等の増価ということもございまして、納税者の割合というのは逐次上がってきておるところでございます。  昭和五十年の数字で申し述べますと、お亡くなりになる方約七十万人でございますが、その中で課税される件数は、昭和五十年度の減税後では一万四千人ということで、いわば二・一%という数字でございました。これが逐次上がってまいりまして、現時点で判明いたしております昭和六十一年の数字で申し上げますと、課税になる方は五万一千人、割合は六・九%ということで、百人で七人ぐらいの数字に相なるわけでございます。これは全国平均でございますので、東京圏内と申しますか、大都市圏内では百人について十数人という数字になっておるようでございます。
  20. 山下元利

    山下(元)委員 大臣、相続税課税最低限とかについてどのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。なお、税率の問題がございます。所得税税率については先ほどお伺いいたしましたけれども、相続税につきましても最高税率をお考えになっておるようでございますが、その課税最低限とか税率の問題についてお伺いしたいと思います。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたび相続税改正を御提案いたしますに際しまして、実は非常に相反しますといいますか、いろいろな要素がありまして、立案する当局は苦労をしたように存じます。  まず第一の事実は、ただいま政府委員が申し上げましたように、昭和五十年以来さわっていないわけでございますから、この十年間の動きは相当大きいわけでございますので、それを調整しなければならなかったというのが基本でございます。殊に土地等につきましては、この何年間かで急騰をしておるものでございますので、先ほど山下委員が言われましたように、そんな大きな土地でない、都会に猫の額ほどの親からもらった土地、家が、相続が起こるとちょっともう住み切れないというようなことはいかにもそれは問題ではないかということがございまして、この点は、御承知のように小規模宅地の減額を、事業用は六割、住宅用は五割でございます。おのおの二〇ポイントずつ上げる。六割減額というのは大変思い切った処置をいたさなければならないような要素が片方でございます。  ところが他方で、当委員会でも従来時々御議論がございますが、そういう資産、土地にしろ株にしろ、資産家はほっておけばますます資産が大きくなるではないか、それは相続税の対象に当然なるべきものであって、重課するのが本当ではないかという議論が他方で随分本委員会でも承る。それはそれで一つの私は考え方なんだろうと思うのでございますが、今申しましたこととちょうど正反対のお話になる。  そういう難しい要素を持った中でこのたびいたしました結果は、結局、所得消費、資産と分けますと、資産課税のウエートはまあまあ従来と同じということであったようでございますが、そういったような改正お願いを申し上げた。幾つかのやや方向の違う矛盾する要素を改正の中でやらせていただこうということであったと存じます。
  22. 山下元利

    山下(元)委員 そこで、また別の面から申しますと、地価の高騰ということがございます。相続税負担の軽減のために余り要らない土地を借金して買いまして、要するに不要不急の土地を取得して、それがまた地価高騰の一因ともなっているという話も聞くわけでございます。この点について、政府委員の方から、実情、あるいはそれに対する今度の対応の施策を考えているならば大臣からでも、また政府委員からでもお願いしたいと思います。
  23. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 土地問題につきましては、ただいま仰せになりましたように、相続税の場合に直近三年内に取得した土地については取得価額をもって課税価格とするということで、これはかなりきついことをいたしまして、いわば土地に対する投資によって相続税を軽減しようということ、そういうことに使うということを防ごう。それからもう一つ、法人につきましても、土地を買いました場合のその利子というものはすぐに控除するとは限らないといったようなこともいたしまして、これらはいずれも土地対策として一つ考えられておると存じます。  なお、政府委員からもお答えいたします。
  24. 水野勝

    水野(勝)政府委員 相続税課税標準はあくまでその相続財産の時価でございますが、土地につきましては、相続税法の執行に当たりましてこれを路線価あるいは固定資産評価額の倍率でもって決定をいたしておるところでございまして、極力これは適正な評価となるよう努力いたしておるところでございますが、地価の急騰地域等におきましては、その評価額は相当な差があるわけでございます。  そこで、そうした時価と相続税評価額との大きな開差に着目いたしまして土地をもって相続財産といたしておりますと、実質的にそこに相当な負担の差が、格差、差異が生ずるわけでございます。そうした事柄は、評価の適正化をもって十分対処すべきところでございますが、実情としてはそうしたことが発生する。そうしたことに故意に着目して相続財産を極力土地に変換してと申しますか、取得してその軽減を図る、こうした事例も最近少なからず認められるようになったわけでございます。これはほかの形態での財産を保有されている方との間で負担のアンバランスを生ずるところ大きいわけでございますので、今回御提案をいたしております制度におきましては、相続の開始前三年以内に取得をされました土地につきましては、これはその取得価額をもって相続税課税標準としていただくということで、これを改めるように御提案をしているところでございます。  私ども、こうした制度の御提案に当たりましては、東京局管内でございますが、いろいろサンプル調査、実態調査もいたしたところでございます。そうした中でこうした件数を拾い上げて実態として比べてみますと、相続税の税額が九割ぐらい違うというケースがかなり見られたところでございますので、ぜひこうした是正措置を盛り込んだものを実現をさせていただければと考えているところでございます。
  25. 山下元利

    山下(元)委員 今まで所得税相続税について聞いてまいりましたけれども、さらに論議が深まることを期待いたしまして、私は、冒頭申しました昭和五十九年改正において法人税酒税物品税財源措置として増収を図られたといいますが、酒税につきましては、従来からいろいろ問題があった。従価税制度をどうするかとかあるいは級別制度をどうするかとか、またお酒の酒類間の税負担の格差が大き過ぎるというふうな問題も指摘をされておるところであります。これらの問題は、また最近とみに諸外国からも貿易摩擦の象徴として批判されておる。昨年にはガットから現行の酒税制度を是正すべしとする勧告もなされたわけでございます。とにかく日本のお酒についてこの勧告はちょっと厳し過ぎるなと思ったわけでありますけれども、そうした国際経済社会の有力な一員としてガット勧告を尊重する、そしてそうした意味で国際的観点から酒税見直しをする必要があると存じます。  そこで、今度の税制全般の見直しに当たりましても酒税制度について改正案が出されたところでございますが、一々細かいことまで御答弁願うにはもう時間がありませんけれども、今度の税制改革におけるところの酒税改正考え方について大臣からお話を伺いたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま山下委員が言われましたように、今まで従価税をとっておりました部分につきましては、外国からいえば、高級な酒類、ウイスキーでありますとかそういうものをいわば輸入を防圧するための策略であるというような批判を強く受けて、それは私は必ずしもそうだと申せなかったと思いますけれども、しかしそのような疑いを、確かに結果としてはそういうことになっておるということがございました。したがって、それを廃止する、あるいは級別というものも簡素化、廃止するといったように、かなり全般にわたって改正をいたしまして、なお消費税との関連を調整いたした、酒税全体としては大体そういう考え方でやらせていただいたつもりでございます。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
  27. 水野勝

    水野(勝)政府委員 基本的な改正の方向は、ただいま大臣から申し述べたところでございます。従価税制度の廃止、級別の廃止、それから品目別の区分を簡素化いたしたということでございます。  例えばしょうちゅうは、現在のところでは一リットルで五十円の税金、一方、ウイスキーの特級類は一リットルで二千九十八円の税金、その間に四十倍の差があるといったようなことがガットでもいろいろ議論され、取り上げられて、こうしたことはやはりガットの精神、趣旨に反するのではないかという勧告をいただくに至ったわけでございます。それからまたウイスキーで申しますと、ただいま申し述べた特級は一リットル二千九十八円、これが二級でございますと一リットルで二百九十六円という、七倍の差がある。こうしたことも国際摩擦の原因として指摘されたところでございます。  したがいまして、現在従価税の適用になっておりますのは、清酒と、ワインでございますが果実酒と、ウイスキー、それからスピリッツ、リキュール、こういったものは従価税がございました。これは廃止をいたします。それから、清酒につきましては、三級の級別がございました。これを一本化いたす。それから、ウイスキーにつきまして、ブランデーにつきましてございます級別を廃止する。それからまた、リキュール等につきましてはこれを一本化するということでございますが、さらに、あわせまして、大臣から申し述べました新しい消費税との調整をいたす。そうした中で、いろいろな酒類の間でのバランスを図るために、ビール等につきましては、これを今までの一本三百十円で売られておりますものが三百円になるように負担の軽減を図る。このような改正を御提案しているところでございます。
  28. 山下元利

    山下(元)委員 ビールだが、五十九年のとき幾らにして、今度は幾らに下げようとするのですか。もう一回言ってくれませんか。ビール。
  29. 水野勝

    水野(勝)政府委員 先ほど申し上げました五十九年のときは百二十五円を百五十一円にするということでございまして、ビール一本二百八十五円のものを当時三百十円に引き上げるように御提案をしたところでございます。当時、三百円を超えるといかにビールでございましても消費の減退を招くのではないかという御指摘も多々あったわけでございますが、先ほどの所得税減税財源の調達ということから五十年代四度目のビールの引き上げお願いをしたところでございますが、やはり三百円を超えて三百十円となりましたので、その消費の伸びが鈍化するというか、とまりまして、先ほどのように増収額がおよそ実現しなかったという経過でございました。今回におきましては、三百円で売れるような税率として御提案をいたしておるところでございます。
  30. 山下元利

    山下(元)委員 酒税についても、大衆の嗜好のものでございますので、私も随分関心のあるものでありますが、これについてはこの程度にいたしまして、現行個別消費税について最後にお伺いいたしたいと思います。  これは、やはり経済社会の変化、特に消費の面における変化に対応し切れないで個別消費税制度がいろいろなアンバランスを生んでいることは、もう再々指摘されているとおりであります。私が冒頭指摘いたしました五十九年の税制改正でも、いろいろ経緯は先ほど局長の説明されたとおりでありますけれども、非常な品目間のアンバランスがある。例を言いますならば、ゴルフ用品とテニス用品のように、課税されるものと課税されないもののアンバランスがある。そしてまた、課税されるものの中でも大きさなどによって税率が違っておる。物の世界で大変な不公平があります。物の世界の間でも。  同時に、今度はサービスの問題がある。経済のソフト化を反映しまして、消費のサービス化が進展して、家計の消費支出の半分以上はサービス消費に向けられている。ところが、サービスに対する課税が少なくて、国や地方の税収の中において非常なわずかな比率しかないということで、物の間のアンバランス、物とサービスの間のアンバランスがある。  もう一つのアンバランスは、酒税についても指摘いたしましたが、国際的なアンバランスとそれによるところの摩擦の問題であります。したがって、我が国のように個別消費税のみに依存する間接税制度をとっている国はもはや他にはない、OECD諸国の中にはないというふうな状態はもう十分指摘されたところでございますので、OECDの諸国のように課税ベースの広い一般的な間接税というものが先進諸国で採用されているわけであります。  我が国といたしましても、そうした問題点がありますときに、これらに対する大蔵大臣の御認識を伺いまして、そして間接税制度を速やかに改正すべきだと考えますが、総理からもそれについて御所見を伺えればと思います。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 物品税は、戦前から長い遍歴を経まして、いっときは大変に充実したものでございましたが、今八十何品目になってしまいまして、しかもおっしゃいますように物と物との間のアンバランス、高級なもの、奢侈的なものということが一つの物差しであるのでございましょうが、しかし、現実に課税されているもの、されてないものの区別は、ややクイズ番組に近いようなことまでございます。それはなかなかに、説明が難しくなりつつあります。これは国民の価値観の多様化とか平準化とかいうことに関係がある。それを反映しておりません。のみならず、わずか八十五品目でございますから、自動車と家庭電器でほとんど税収を七割近くしょわなければならないという、これも甚だアンバランスなことでございます。そこに加えまして、サービスがほとんど入っていない。これも今の消費形態からいえばまことにやや奇異なことであろうと思われます。  第三の国際的なアンバランスは、例えばそういうことで、自動車でいえば大型と中型と、ホイールベースというようなことをいえば、それは外国で生産している大きな自動車を差別するのではないかといったような、あるいは先ほど酒税もそうでございましたけれども、そういったようなことがございまして、いろんな意味でもう今の物品税というものがいわば行き詰まってしまって、しかもこれは、これから将来のことを考えますと、またOECDの大勢なんかも考えますと、我が国のように所得水準が高く平準化しているところでは、社会負担は広く薄く皆さんにしょっていただくような、そういう一般的な消費税に変えることの方が、吸収することの方が望ましい、こういう判断に立ったわけでございます。
  32. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今大蔵大臣からお答えがあったとおりでございますが、山下さんとこうして問答しておりますと、山下さんは、代議士にお出になる前、広島の国税局の局長さんでありました。その傘下の竹下酒造有限会社の竹下登でありまして、それで元来私は学校の先生をしておりましたのでよく思うわけでございますけれども、質問というのは、先生ここのところがわかりませんがと質問するというのが普通でございますけれども、国会の場は、この国会の場の議論を通じながら国民に理解を求める場として先生が生徒に質問しているような感じがいたしました。  それはそれといたしまして、私自身いつもよく統計で申しますのが、昭和九年と十一年の間の平均値、それからシャウプ勧告の昭和二十五年、それから現行、今でいえば決算ベースで見ますから昭和六十二年、そういうのをいつも比較しながら見ておりますが、例えばでございますが、本当にかつて法人税にほぼ近いほど砂糖消費税がシェアを占めておった。これが昭和九年から十一年。そういう時代の変遷をずっと見てまいりますときに、直間比率で見てみますと、昭和九年から十一年は間接税が六五・二、直接税が三四・八、二十五年が五五対四五、それから六十二年が二六・七対七三・三。しかし、そういう推移は経済社会の変化の中に起きてくる問題でございますけれども、この比率はあらかじめアプリオリに決定すべきものではなく結果として出てくるものではございますが、やはりそうした中にいわゆる重税感というものが基本的に存在し、いま一つは、今宮澤大臣のお答えのように、間接税、なかんずく個別物品税であるだけに、その個別物品の中のアンバランスという感じもまた大変強いということを考えてみますときに、やっぱりこの世の中の変遷の中に二十一世紀に向かって安定した税構造というのを模索していく場合、これはやはり社会共通の経費をいわば薄く広く負担するという立場でこの間接税というのが歴史的必然性の中に浮かび上がってくるものではないかなということを感じて、そういうものを御審議いただくのが、また比較的今経済のパフォーマンスがいいと言われておる、落ちついた今こそ御議論をいただいて、構築し、そしてまさに改革案を成就させるべき時期ではないかというふうに考えておる次第であります。
  33. 山下元利

    山下(元)委員 以上、私は、所得税相続税、それからまた酒税消費税等についてお伺いしてまいりました。私は、まず何よりも、ただいま総理も仰せられました二十一世紀に向かっての安定した税構造を確立しなければならぬ。その理念は負担の公平等ございます。そうした中で、やはり一番大事なのはこの国会において論議が深められるということでありまして、きょうこうして総理並びに大蔵大臣自治大臣にそれぞれの御所信を承りまして、私はさらに今後当委員会において論議が深められることを切に切に望むものでございます。  もう時間も終わりましたので、最後ではございますけれども、この税制改革に対する御決意のほどは昨日もお述べいただきましたのですけれども、その点について、総理大蔵大臣自治大臣の御決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 シャウプ税制昭和二十四年でございますので、ほぼ四十年の月日がたちまして、我が国は全く違った国になっておりますが、その骨格がほぼ維持された結果として、直間比率にいたしましても、あるいは先ほど御指摘のありました勤労者重税感にいたしましても、法人税率にいたしましても、やはり非常に問題が起こってきている。個別消費税もさようでございます。今おっしゃいましたことが全部そうでございますが、他方で、将来を展望いたしますと、二十一世紀に向かって急速に高齢化社会が近づいてきて、今の社会保障制度を維持していかなきゃならない、あるいは改善していかなきゃならないといたしますと、若い人が本当にたくさんの年寄りをしょわなきゃならない、それが直接税でしょえるかという問題をやはり持っております。  そういったようなことから、直接税についての減税をしながら、そのような社会共通の負担を広く薄く背負っていただくという意味で新しい一般的な消費税を起こさせていただきたい。それは過去からの、四十年間のここでの大改革でございますし、将来を展望してのまた改革でもあるということで、しかし全体としては、レベニュー・ニュートラルでなく、二兆四千億円になりますが、それだけの減税をさせていただきながらやらせていただきたい、こういう大きな仕事と認識をいたしております。
  35. 山下元利

    山下(元)委員 自治大臣、ちょっと御決意を聞いて、最後に総理お願いいたします。
  36. 梶山静六

    梶山国務大臣 まさに現状それから将来の展望に立ってあるべき税制の姿を模索をしなければなりません。そして、今日的な課題である所得と資産と消費バランスを回復するために今回の税制改正に取り組んでまいらなければならないというふうに考えております。
  37. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今、五十九年の減税のことをお尋ねになっておるときに、私自身その問答を聞きながら思い出してみたわけでございますが、五十四年の国会決議が行われましたとき、いわゆる国民福祉充実のためには安定した財源が必要である、がしかし、いわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等について国民の理解を得るに至らなかった、よって、その手法をとらずして、まず行政改革をやり、そうして歳出の節減合理化をやり、さらに税制の抜本的改革に取り組むべきだ、こういうことをいろいろ議論していただきましたあの附帯決議のときに、私はオブザーバーのような形でたまたま大蔵大臣でございますので参加しておりましたが、そのときにまた議論されて実施に移されたのが、本当は、後からポシャりましたけれども、五十九年一月一日実施のためのグリーンカードの法律でありました。したがって、ある意味においては、五十九年というのには、財政再建の所期の目的でございましたが、やはり院内の皆さんが大体そのころ税制改正やるべきだなという雰囲気にあったのじゃないか。しかし、それはできませんでした。そういうことを考えてみますと、本当に先ほど申しましたようにパフォーマンスも比較的いい今日、また国民の次元の中にも大変議論が高まっておる、そういうときにこそ税制改革というのを仕上げなければならない時期だ、このように考えます。
  38. 山下元利

    山下(元)委員 ありがとうございました。終わります。
  39. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 これにて山下元利君の質疑は終了いたしました。  この際、休憩いたします。     午前十一時十六分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕