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1988-10-14 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月十四日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君 理事 加藤 万吉君    理事 村山 喜一君 理事 二見 伸明君    理事 米沢  隆君       甘利  明君    池田 行彦君       石井  一君    片岡 清一君       岸田 文武君    北村 直人君       志賀  節君    鈴木 宗男君       田原  隆君    谷  洋一君       谷垣 禎一君    玉沢徳一郎君       中川 昭一君    中川 秀直君       中村正三郎君    西田  司君       野田  毅君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    原田  憲君       堀内 光雄君    宮下 創平君       村山 達雄君    山口 敏夫君       山下 元利君    伊藤  茂君       川崎 寛治君    小林 恒人君       佐藤 敬治君    坂上 富男君       中村 正男君    野口 幸一君       草野  威君    坂井 弘一君       坂口  力君    橋本 文彦君       水谷  弘君    宮地 正介君       河村  勝君    玉置 一弥君       楢崎弥之助君    和田 一仁君       工藤  晃君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         郵 政 大 臣 中山 正暉君         労 働 大 臣 中村 太郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   梶山 静六君  出席政府委員         内閣官房長官 石原 信雄君         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         警察庁長官官房         長       森田 雄二君         警察庁刑事局長 中門  弘君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         法務省刑事局長 根來 泰周君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         国税庁次長   伊藤 博行君         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部省学術国際         局長      川村 恒明君         林野庁長官   松田  堯君         郵政大臣官房長 松野 春樹君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         労働省職業安定         局長      岡部 晃三君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房審         議官      前川 尚美君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 十月十四日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     北村 直人君   熊谷  弘君     石井  一君   堀内 光雄君     谷垣 禎一君   中村 正男君     小林 恒人君   山下洲夫君     佐藤 敬治君   橋本 文彦君     小谷 輝二君   水谷  弘君     草野  威君   玉置 一弥君     楢崎弥之助君   和田 一仁君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     熊谷  弘君   北村 直人君     小沢 辰男君   谷垣 禎一君     堀内 光雄君   小林 恒人君     中村 正男君   佐藤 敬治君     山下洲夫君   河村  勝君     和田 一仁君   楢崎弥之助君     玉置 一弥君     ───────────── 本日の会議に付した案件  税制改革法案内閣提出第一号)  所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  消費税法案内閣提出第三号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  消費譲与税法案内閣提出第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第六号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  3. 坂上富男

    坂上委員 私は、日本社会党護憲共同を代表いたしまして、本委員会におきましてリクルート疑惑について集中的に御質問を申し上げさせていただきたいと思っておるわけでございます。  まず、竹下総理にお伺いをさせていただきますが、憲法四十一条にあります国会国権最高機関であるという規定大臣としてどのような御理解をしておられるでございましょうか。
  4. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは読んで字のごとく、そのとおりだと思っております。
  5. 坂上富男

    坂上委員 そうだといたしますならば、国政調査権規定があるわけでございますが、これについてはどのような御理解を持っておられるでしょうか。
  6. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 国政調査権に、私は行政府側からの立場で申し上げますならば、最大限協力をすべきものである、このように常日ごろ思っております。
  7. 坂上富男

    坂上委員 国会国権最高機関であるという憲法規定でございますが、これはそもそも、国会というのは選挙を通じて直接に主権者である国民に連結をしておる、こういうところから、多くの国家機関のうち最も大きな重要性があるものだ、こう言われておるわけでございますが、いかがでございますか。
  8. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これはいつも申しますように、例えば行政府の長たる私にいたしましても、国会で指名を受けるわけでございますから、やはり御主人は国会であって、あくまでも私は、主権者たる国民の代表で構成されたのが国会であり、したがって国権最高機関であるというふうに考えております。
  9. 坂上富男

    坂上委員 国政調査権についてでございますが、国政調査権の有効適切な遂行に必要な手段として、証人出頭、証言、記録の提出があると言われておるわけでございますが、これはいかがですか。
  10. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 そのとおりでありまして、行政府立場からいえば最大限協力をしなければならぬ。そのほか守秘義務でございますとか、いろんな問題はございますでしょうが、最大限協力をしていかなければならぬというのは当然のことであると思っております。
  11. 坂上富男

    坂上委員 まず、このような憲法上の重要な任務を持っております国会でございます。殊に、今回の税制調査特別委員会というのは特にその感を深うするものでございますが、先般、リクルート中心的人物と言われます江副氏の臨床質問が行われました。臨床、そういうのが専門用語なんです。これを聞きますと、竹下総理江副さんの陳述に対し、譲渡先リスト公表経済人信義を守りたいとの理由で拒否したことについては理解ができる、こうお述べになっておるわけでございます。これはきのうの夕刊に出ておることでございまして、記者諸君から総理質問があってお答えになったのだろうと思うのであります。これはいかがでございますか。
  12. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私どもが知り得ることは、理事会等で整理され、そして記者会見金丸委員長から発表になったということを下敷きにして物を知っておるわけでございますが、それを正確に私が全部読んでおったという状態ではなかったと思いますが、かねてから人間同士信頼関係を大事にするという心情は私はいつも理解をしておるという意味で申し上げたわけでございます。
  13. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと御答弁をお聞きをいたしますと余り意味がわからないのでございますが、今御答弁がありましたように、また、私たち国会議員としての任務を自覚しておるとおり、国権最高機関でありますところのこの国会におきまして、いわゆる国政調査権の発動といたしまして、どうしても病気のためにここの場所に出てこれないというそういう診断に基づきまして、委員長以下が臨床に臨まれまして参考人としてお聞きになったわけでございます。できるだけ真相お話をいただきたい、こういうことでございます。それが真相を言えないということは理解できるというのは、どうしても私は理解できないわけでございます。もう一度ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  14. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 経済人信義として名前を言えないのは理解できるというような表現で報道されておったと思っております。人間だれしも個人的信頼関係は大切にしたいという心情理解できるという意味で私は申したわけでございます。
  15. 坂上富男

    坂上委員 そうだといたしますと、総理といたしてはあれですか、いわばこの七十六人あるいはまた第三者割り当てを受けたいわゆる株の譲渡のことについて、もちろんリクルートコスモスでございますが、そのことについて話されないとしたことについてはどのように御理解しているのですか。
  16. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは、私自身江副さん本人ではございませんので、そのことについて立ち至ったお答えをする立場にはないというふうに思います。私自身が再三申し上げますのは、信頼関係は大事にすべきものであって、大体すべて社会の批判を受けるときには自分自身が受けるべきであって、他人様に迷惑かけるものじゃないということを、常日ごろ私がいつも思っておることをただ素直に言っただけの話でございます。
  17. 坂上富男

    坂上委員 行政府の長とされまして、また、その基本になっております国会議員立場において、しかも、国会議員はいわゆる国民信託を受けてこのような任務についておるわけでございます。でありまするから、私たち、特に委員会には、そしてまた国民注視のもとでいわゆる七十六名のリストあるいはこれの譲渡先について明確にしてくれということを望んでおるわけでございます。首相としてはどういうお考えなんです。
  18. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは、坂上さんも私も国民信託を受けておるわけでございます。皆さんがそうでございます。そのことを明確にしてほしいと言われることを、行政府として最大限協力をするのは当然のことであるというふうに思います。しかし、最大限協力とは、そこにいろいろな法的な問題でございますとか、あるいは国会でまた御相談なさる全体の理事会の意向でございますとか、いろいろなものをしんしゃくするのもまた当然のことではないかというふうに思っております。
  19. 坂上富男

    坂上委員 では、今度は少し話を変えまして、江副氏のお話の中に、リクルートコスモス社非公開株売却先について話をするとやめる人、ばつ思い人が出る、こう言っておるわけでございます。これはひとつ法務大臣、やめる人が出てくる、ばつの悪い人が出てくる、こうおっしゃったわけでございますが、法務の立場から見まして、やめる人というのは一体どういうような立場からやめなければならないのか、ばつの悪い人というのは一体どういうような立場の人が出てくるのか。そしてまた、刑罰を受けても申し上げるわけにはいきません、こうおっしゃっているわけでありますが、この刑罰を受けてもということは、どうも私のやったことが刑罰にかかわるというふうに感じておられるのだろうとも思っておるわけでございます。この三点について、法務大臣としてはどのようにお考えになっておるのか。  それから、刑事局長おられますか。刑事局長は、構成要件的にこのことをどのようにお考えになっておるのか。これが一つの大きな捜査の端緒になるんじゃなかろうか、こんなふうにも思っておるわけでございますが、刑事局長としてはどのようなお考えでございますか。  それから、総理でございます。総理にも今言った点をお聞きをしたいのであります。一体総理としては、やめる人が出てくる、こう言っているわけです、どういうような立場のことを言っているのだろうか。ばつの悪い人が出てくる、こう言っているわけであります。どういうようなことを言っているのだろうか。刑罰を受けてもしゃべるわけにはいきません、こうおっしゃったわけでございます。これはどうも、自分刑罰を受けるということをもう覚悟なさったのじゃなかろうか、こう思っているわけでございますが、いかがでございますか。
  20. 根來泰周

    根來政府委員 江副氏の、参考人お話につきましては、私どもテレビで間接的に承っただけでございますし、その要旨を承ったという状況でございますので、私どもからいいますと、どういうお気持ちでお話しになったかということがよくわからないわけでございます。したがって、それに対していろいろ申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども犯罪端緒ということになりますと、これは検察が判断することでございます。検察がどう思うかということについては、まだそういう点についてよく聞いておりませんので、今何とも申し上げかねるところでございます。
  21. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私、本人でございませんので、それを私なりにそしゃくして申し上げるのは控えるべきじゃないかと思います。
  22. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 江副氏の発言につきましては、ただいま刑事局長からお答え申し上げましたように、テレビ新聞で見ているだけでございまして、これから、今ちょうど検察当局において取り調べておるところでございまするので、犯罪の事実がありましたならば厳正に対処する、かように確信をしております。
  23. 坂上富男

    坂上委員 まず、私はこれについて、大変重大な発言があったと見ているわけでございます。  やめる人が出てくるというわけです。やめる人というのはどういう人かといいますと、私は、政治家、それから公務員国家公務員地方公務員、それから準公務員と言われる人、どうもこういう人たち職務上やめざるを得ない立場に立つんじゃなかろうか、こう実は思うわけでございます。  今度はこのばつの悪い人、これはどういうふうに解釈したらいいのかわかりませんけれども、どうも株式譲渡を受けることによって卑しいことをした、本来こういうような人たちはこんな卑しいことをすべき人でないのに卑しいことをしたというのを、多分私は、ばつの悪い人が出てくるのだろう、こう実は思っておるわけでございます。これは、法律の根拠に基づいてその地位のない経済人を指すのだろうとは思っておるわけでございます。しかしながら、やはりばつの悪い思いをいたしました、例えば新聞社社長さんが早速辞任をなさったというような事態も起きているわけでございまして、まあこれは良心の問題でもあるわけでございます。  そんなようなことを考えますると、どうも自分がしゃべると、確かにこういうような職務についていられない状態でやめなければならない、どうもばつが悪くて格好が悪くて、世間の前には社長であるとか何だとかと言えない、こういうようなことなんじゃなかろうか、こう実は思うわけでございます。  また一方、刑事罰を受ける、これはもう明らかに、横領したとか背任したというよりも、やはり贈収賄の当事者であるというようなことをみずから自白したものじゃないか、こう実は思っておるわけでございます。  どうですか、そういう点で。ひとつ総理、いかがですか。
  24. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私ども基礎にして本委員会お答えするというのは、私の手元にございますのは、記者会見の詳細である海部理事記者発表文、これを基礎にしてすべてお答えをすべきだ、こう思っております。  詳しく読んでみますと、今先生のおっしゃいました言葉が出ておることは事実でございますが、そのばつのいいとか悪いとかというのも、また個人個人考え方も相違するでございましょうし、そこを的確に私が解明するというだけの能力はございません。
  25. 坂上富男

    坂上委員 甚だもって失礼な質問ですが、竹下総理そのものについてもこの中にいるとお考えになりませんか。
  26. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この中におるとは考えておりません。
  27. 坂上富男

    坂上委員 ああそうですか。  さて、私たち日本社会党委員長あてに、先月の末に、リクルートコスモス真相究明会、こういう差出人の名前で、ドゥ・ベスト株式会社がいわゆる第三者リクルートコスモスの株を譲渡いたしました譲渡先についての一覧表を送ってまいりました。  そこで、その送ってきた手紙の本文に次のようなことが書いてあります。  「前略、税制国会だ、」これは自民党の先生方がおっしゃっておることです。「リクルート国会だ」これはうちの土井委員長が言っているわけですが、   リクルート国会だといわれながら、リクルート疑惑を取り上げたにもかかわらず、真相の解明は、ほとんど進まず、ただ国民としていらだちを増すばかりであります。   そして大多数の国民の怒りも嘆きも、わかっていないのみならず、国民を甘く見ているような、自由民主党及び政府首脳の態度と江副浩正の取った卑劣な行為等に対して許すまじく正義の天誅を、先生の御力によって加えて頂きたく、ここに「リクルートコスモス社株式譲渡内訳」を送付致しますので、何卒、真相究明にお役立を念じ一層の御活躍を期待申し上げて国民の願をお取り上げを衷心より御願い申し上げます。     九月二十九日                     敬具 こう書いてありまして、そこに「株式譲渡先内訳別紙 リクルートコスモス 取引日六一・九・三〇」六十一年九月三十日という意味だろうと思います。しかもこの用紙は「株式会社ドゥ・ベスト」こう書いてあり、上の方にも多分これは英語でドゥ・ベスト株式会社とある便せんでございます。そこに譲渡先、株数、金額、譲渡先住所が書いてあるわけでございます。  さてそこで、私たちは、この投書をいただいてから、このリストが真実であるかどうかということをできるだけ極秘のうちに調査を続けてまいりました。そして調査の途中でありましたが、例えば加藤孝さんあるいは式場、これは何と読むのでしょうか式場さん、それから多賀谷恒八さん、こういうような人たちはこの記載のとおりであるという事実を認めたわけです。そこで、さらに調査を進めようとしておったやさきに共産党さんの方からもこの発表をなされました。我が方もこの文書を入手していることを発表したわけでございますが、そんなようなところから見てみまして、この点についてひとつ御質問を申し上げなければならないと思っておるわけでございます。私は、大体この問題を中心にいたしまして、以下御質問を申し上げさせていただきます。  まず、大蔵省証券局の方にお聞きをいたしたいと思うのでありますが、リクルートコスモス昭和六十年二月と四月に第三者割り当てがなされたわけでございますが、その割り当て先については、きのうひとつ御調査をお願いしたいと言って二枚のリストを渡してあるわけでございますが、これはいかがでございますか。
  28. 角谷正彦

    角谷政府委員 リクルートコスモス社が六十年二月及び四月に行いました第三者割り当てにつきましては、この割り当て内容等記載いたしました有価証券通知書提出されておりますので、その内容行政的には確認いたしております。  ただ、この通知書といいますのは、これは前にもお答え申し上げたわけですが、いわゆる募集類似行為、つまり不特定多数に対する売り出しまたは勧誘の場合には、これは有価証券届出書というものを出さなければいかぬ。その届出書に該当しない五十名未満、不特定多数でない五十名程度未満売り出しの場合には提出しなくていい。その五十名未満であるということを行政的に確認するための補助手段として、いわば非公表前提としてとっているものでございます。そういった意味で、これを公表するということは今後の有価証券開示制度の適正な運用に支障を来すおそれがございますので、今御指摘の点、確かに私ども事実は確認しておりますけれども、その具体的な内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  29. 坂上富男

    坂上委員 局長、よく私の質問意味理解してお答えをいただきたいのであります。  私が二枚渡した第三者割り当て一覧表というのは、法務局から私の方で調査をいたしまして、議事録の中に記載のあるものを摘出をいたしたものでございます。でありますから、この文書が、大蔵省が把握しておられる第三者割り当て内容と一致しているかどうかということを確認をしているのです。それだけでございますから、どうぞ。
  30. 角谷正彦

    角谷政府委員 確かにそういう文書はいただきました。矢田部委員も、八月の国会でございますが、お配りになったものと同一のものと理解しているわけでございますが、その内容について、私ども提出されているものと同一かどうかということを確認すること自身がある意味では行政的にその通知書内容をディスクローズするということと等しいわけでございますので、そういった意味では私ども立場としてそれについてコメントすることは差し控えさせていただきたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  31. 坂上富男

    坂上委員 それでは、また別の意味から聞きましょう。  この二回にわたるところの第三者割り当てですが、これは省令第二条によりまして前二年以内の一億円以上については報告義務があるのじゃなかろうか。したがって、二回にわたる第三者割り当て大蔵省としては職務上当然知らなければならないことだと思うのですが、いかがです。
  32. 角谷正彦

    角谷政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、企業内容等開示に関する省令、いわゆる開示省令と申しておりますが、その第六条によりまして有価証券報告書提出義務を負わない会社でございましても、それが募集によらないで発行価額の総額が一億円以上、これは最近の改正で五億円以上になっておりますけれども、その当時は一億円でございましたが、その一億円以上の株式を発行する場合には発行会社に対して有価証券通知書の届け出をいわば義務づけているわけでございます。省令でございますが、義務づけているわけでございます。そういった意味で、先ほど申しましたように、私どもとしては六十年二月及び六十年四月の第三者割り当て内容提出を受け、それについては知っている、それは事実でございます。
  33. 坂上富男

    坂上委員 私たち法務局から写してきたものが大蔵省証券局手元にある文書譲渡先が一致するかどうかということについてはお答えができない、こういうことでございますか。職務上の秘密があって答えられませんか。どうぞ。
  34. 角谷正彦

    角谷政府委員 この有価証券通知書提出というのは、これは法律に基づくものではなくて、省令によりましていわば行政資料として発行会社の方に提出を要請しているというものでございます。したがって、罰則の規定もございませんし、仮にそれに虚偽記載があったとしても、それに対する対応というのはできない、そういういわば行政上の任意の補助手段によって徴求しているわけでございます。しかも、それが非公表前提として私ども提出を受けているわけでございますので、仮にこれが公表されるということになりますと、今後の問題でございますけれども有価証券通知書提出しない、あるいは提出しましてもその内容虚偽のことを書いてきたといったふうなことにもなりかねない。そういった面から申しますと、やはり私どもは、非公表前提として提出をしていただいているこの有価証券通知書については、証券行政立場からは、これは守秘義務といいますか、そういったことで公表することは差し控えるべきものだと考えているわけでございます。
  35. 坂上富男

    坂上委員 私の聞いているのは、局長、あなたはここで答弁を拒否すべき権利というか義務というか、どこにありますか、こう聞いているのです。簡単でいいです。
  36. 角谷正彦

    角谷政府委員 証券行政といいますか、有価証券発行開示制度、こういう制度の適切な運用を図っていくためには、やはり私どもはこういうことについて、公表しない前提で受け取っている書類については公表すべきではない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  37. 坂上富男

    坂上委員 これ以上しても時間のやりとりで本論に入れませんので、また別の機会にこれをひとつとらえさせていただきます。  まず、ドゥ・ベストが株の割り当てを受けましたのは、昭和六十年四月五日の取締役会のようでございます。しかも割り当ての日は、いわゆる割り当て日と言われるのが六十年の四月でございます。そのところにドゥ・ベストが八万株の割り当てを受けているわけでございます。これはいかがですか。
  38. 角谷正彦

    角谷政府委員 まさにそれは有価証券通知書において提出を受けました個別の内容に係ることでございますので、この点についても先ほど申しましたように答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  39. 坂上富男

    坂上委員 これは私たちがきちっと写してきて間違いないものでありますが、さてそこで、この譲渡先リストによりますと、ちょうど八万株でございます。そして、このうち多賀谷氏と式場氏と加藤氏、加藤氏は千株、式場氏は五千株、それから多賀谷氏は三万株の譲渡を大体六十一年九月三十日に受けた、こう言っておるわけであります。ただし、その譲渡人がまさかドゥ・ベストの株式会社であるとか、ここの社長であるところの方から受けたなどということは全く知らなかったようでございます。しかしながら、少なくともこの株数の譲渡を受けたということは、新聞社その他の調査によって認めたところでございます。  そこで、私たちはさらにこれらに関連をいたしましていろいろと調査をいたしました。そして、特に大きな問題が宮澤大蔵大臣にかかわる問題なのでございます。今までの国会答弁を聞いておりますと、宮澤大臣は私名義に譲渡がなされていないような御答弁をなさっているようでございますが、まず率直にお聞きをいたします。このリクルートコスモスの株は果たして服部さんの名義なのか、あなた御自身の名義なのか、関与したかどうかはまた別に聞きますから、名義だけまずお聞きをしたいと思いますが、いかがです。
  40. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、ただいま御引用になりました文書内容につきましては、私その文書の性格を存じませんので、それに即しましてお答えを申し上げることはできないということを最初に申し上げさせていただきます。  次に、この問題につきまして私が今まで自分に関連ありと考えまして国会に御報告をしておりました点は、以下の点でございます。私の秘書服部恒雄からの報告は……
  41. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと、大変失礼でございますが、名義は服部さんか宮澤さんか、ずばりそれだけお答えいただきたい。これだけです。
  42. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それを御説明申し上げますので……(坂上委員「説明は後で聞きます」と呼ぶ)ちょっとお待ちになってくださいませ。服部恒雄の報告は次のとおりでございます。すなわち、昭和六十一年九月ごろ、SE総合設計の河合康文氏から、リクルートコスモス社株式を私の方の名前を借りて取引したいとの依頼を受け、深く考えずに承諾をいたしました。河合氏は六十一年九月に株式一万株を購入し、同年十月末五千万円余りで売却、二千万円余りの差益を得たということである、以上が服部秘書から私への報告でございます。  そこで、ただいまの点でございますが、最近になりましていろいろな報道がなされましたので、私も今お話しのような疑問を持つに至りまして、服部秘書を通じまして河合氏から事情を聞きました。それによりますと、河合氏は、取引、名前を借りる承諾を得たと考えて、株の取得が容易になるためには、私、宮澤でございます、の名前の方が取得が容易になると考えて私の名義にしたということでございます。ただ、取引の通知等は服部あてに行われるようにしておる、こういうことでございました。
  43. 坂上富男

    坂上委員 大変重要な御答弁のようでございます。宮澤さんの名前になっている、こういう御答弁でいいですね。
  44. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたび秘書服部を通じまして河合氏に確かめましたところ、そういうことを河合氏が申しております。
  45. 坂上富男

    坂上委員 このことは、今までの国会の中で御答弁になりましたか。
  46. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 全く申し上げておりません。今まで国会で申しましたところは、先ほど冒頭に読み上げましたようなことで申し上げております。それは、そのような報告を受けておりましたからでございます。
  47. 坂上富男

    坂上委員 さて大臣、いかがでございましょうか。この国会で予算委員会、本会議、さらにまたこの税制特別委員会で、今回の税制改革の責任大臣であるあなたにリクルートというようないわば疑惑がかかっているという点について、入れかわり立ちかわり各党の先生方がお聞きをしたわけでございます。しかるに、大臣は、私も一つ一つ議事録を読まさせていただきましたが、まことに巧妙な御答弁でありますが、宮澤の名前になっているということは一度もお話しになりませんでした。  しかし、私は、宮澤大臣がこの答弁の端々の言葉の裏の中に宮澤なんだということをわかっておられて、場合によってはそちらにも切りかえてもこの答弁は間違いがない、こう開き直られるような御答弁をなされておるのかな、こう実は読みながら感じていたところでございます。しかも、なぜそれを言うかといいますると、きょうまでの各報道機関によりますと、何ら間違った答弁をしていない、こういうようなことが自民党の先生方の言葉の中から出てくる、こういうふうに各新聞記事に書かれているわけであります。でありまするから、私といたしましても、いろいろ調査をいたしてみれば間違いなく宮澤先生名前になっているということはほぼはっきりしているにかかわらず今までなぜ言わなかったのだろうか、わかっておられたのじゃなかろうか、こんなことを私は準備しながら実は考えていたわけでございます。  そこで、大臣お話によりますと、服部さんの報告からいうとそうであったのだ、しかしまた、このことが出回ってからさらに調べてみたら、河合氏が言うには宮澤さん本人名前であったということがわかりました、こういう答弁でございます。一体大臣、服部さんと何回このことに関して調査をし、お話しになったのですか。少なくとも国会答弁でございます。今日までもう相当の日数がかかっているわけでございますが、今までそういうような重大な、私は重大だと思っているのですが、重大な事実が隠されていたままずっともしこのリストが出てこなければ、あるいはそのままわからないで終わったかもしれません。あなたも、服部君がやったんだ、監督不行き届きで申しわけないであるいは済んだかもしれません。このリストが配られたおかげで、どうも突き詰めていくと、やはり私たち考えている方が正しいじゃないか、宮澤さんのおっしゃっている国会答弁は間違いじゃないか、こういうふうに実は思うのは当たり前でございます。  まず具体的な事実から聞きますが、大臣は服部さんといつ、何回、何時間、このことについてお話をお聞きになったのですか。それから、ほかに調査をしたのですか。いかがですか。
  48. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、私が国会虚偽のことを御報告申し上げたというようなことはないつもりでございます。ただいま御指摘のようなことでこれはよくわからない分野もございましたものですから、いやしくも間違った答弁を申し上げてはいけないということは常に考えてまいりました。  そこで、事実関係は、これは前にも申し上げておりますが、河合という人が私の方の名義でやらせてくれと申しましたときに、私の秘書の服部は、こんなに世の中をお騒がせするような出来事になるとは考えておりませんでしたし、それ自身が違法のことではないという気持ちもあったと思いますが、軽い気持ちでどうぞということを申した、その間にだれの名前というようなことがはっきりお互いに実は確認されていなかったというのがどうも事実のようでございます。したがいまして、私はこの件につきましては服部とは何度も話をいたしております。服部は河合氏に確かめて私に報告をしておるわけでございますが、河合氏が自分の責任で動き始めましてからは実は私どものところから手が切れておりますものでございますから、そこのところの事実は私ども知り得ない状況でございまして、私自身、河合氏が取引をしたということはわかっておりましたけれども、報道によって、服部でなく自分名前が出たということがございましたものですから、それで最近になりましてその事情を服部を通じまして河合氏に確かめた、こういうことでございます。
  49. 坂上富男

    坂上委員 大臣、あれですか、大臣個人の名前であったということをいつ確認になりましたか。いつの何時ごろ、どの場所で、それだけでいいです。
  50. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、今度そういう報道がございましたものですから、それに従いまして河合氏と服部に連絡をさせまして、昨日そういうことを服部から報告を受けました。あるいは、おとといであったかもしれません。
  51. 坂上富男

    坂上委員 きのうかおととい私の名前であったということをわかりましたという答弁でございます。これは率直でよろしゅうございます。しかしながら、ここに至るまで大変な手数と国民の疑惑を渦巻きのように起こさせたことは間違いないのであります。  まず、うちの矢田部君の質問についてこういう巧妙な御答弁をなさっています。参議院です。「秘書といいましても、やはり秘書の本体にだれがいるか」、秘書といってもその本尊はだれか、宮澤先生だと思うのです。「秘書の本体にだれがいるかということは世の中で当然知っておられることと考えるべきものでございますので、そういう意味名前を貸したということはまことに軽はずみなこと」でございました、こういうことです。秘書は秘書の名前を貸しました、しかし、この秘書は宮澤の秘書であるということを世間は知っておるものだから貸したのでしょう、だものでございまするから、このことはまことに軽はずみのことでございましたと御答弁なさっているわけであります。これは、はっきり服部であります、こうおっしゃっておるわけでございます。しかし、私の秘書であることもわかっている、こう御答弁になっておるわけなんです。どこから見ても、今さらもって宮澤本人でございましたなどというようなことは言えるような状況の答弁ではないのでございます。ちょっと注意をして調べてみれば、宮澤さん個人であるということはすぐわかったわけでございます。国会はこれだけの英知を集めて、いまだもってそれすらわからないで、こうやって質問しなければならぬという情勢であります。だから、私たちは証人の喚問の要求をしております。だから、株主名簿の提出を要求しておるわけでございます。  さっき申しましたとおり、国会国権最高機関、そしてその機能の遂行のために国政調査権が与えられ、証言、書類の提出要求、こういうようなことが実はできているわけであります。そういうようなことを素直にぴちっとやらぬものでございますから、こうやって何カ月も手数をかけて、国民の皆様方から我が党にこのような御投書をいただくというような状況でございます。しかも、この投書がなければまだ私たちは宮澤さんの周辺をうろうろしているというような状態であったろうと思うのでございます。いわば竹下総理おっしゃいましたとおり、内閣副総理立場にあり、この税制国会の最高の責任者である宮澤大蔵大臣がこのことのためにこんなに長い時間をおくらして、その真相の究明がまだまだこれは百分の一、千分の一程度だろうと私は思っているのです。やっとどうやら入り口に入りつつあるなという、まだその瞬間でございます。まだとてもじゃないが戸はあかないのであります。窓口はあかないのであります。やっとその付近にたどり着いたという状態です、今の答弁は。  どうかひとつ大臣、私は、大臣のここに至るまでの経過について少し申し上げてみたいと思うのでございますが、ことしの七月の六日に、いわば宮澤さんあるいは服部さん、このいずれかが株の譲渡を受けたというようなことが新聞紙上に言われるようになりました。宮澤大臣は十日間ノーコメントを続けました。知りません、存じません、そんなことありません、こうおっしゃいました。そして、今度十日目ぐらいに記者会見をなさいまして、六十年の一月ごろ服部の名前譲渡を受けたようだということを記者会見なさいました。これもまた重要な意味なんです。六十年の一月というと、あれでしょう、自民党の総務会長でございまして、大蔵大臣の地位についていないわけであります。これが六十一年の九月というようなことになりますと、もう大蔵大臣の地位におつきになっておった、その時代でしょう。そういたしまして、竹下総理の秘書の名前のは六十一年の九月である、これは口座によってわかった、こうおっしゃった。今度、それに合わせられるように国会で御答弁になったわけであります。しかも、どうも宮澤さん、あなたの個人のものじゃございませんか、こう言ったら、絶対にそういうことでないと言って必死になってここで御答弁なさったわけでございます。  しかも、間もなく、今から数日前、服部秘書官が突然秘書官をおやめになった、解任になった。新聞ではこう書いてある、なぞを深める突然の辞任、こう書いてあるわけであります。これは十月七日の新聞です。十月七日というのは、今申しましたとおり、私たちがこのリストを入手いたしましたのが先月の末でございます。そして、いろいろとこのリストの信憑性を確かめるために調査に入ったわけであります。宮澤さんはこのことを多分感知されたのだろうと思うのです。そこで、秘書官をどうもやめさせざるを得なかった。いわば秘書官と言えば官吏でございます。そこでまた黙っておられたわけであります。だから、新聞は何で突然今ごろやめたのだろうといって報道なさった。そこで今度はこのリストが出回った。そして、ようようきょう初めて私の名前でございました、こうおっしゃったわけです。どうも大臣、いかがでございますか。その場その場のつじつま合わせをずっと今日までやってこられたのじゃございませんか。いかがです。
  52. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、私が何かを知っておって隠しておったというふうに承れる御質問でございましたけれども、そのようなことはございません。従来国会で再々申し上げてまいりましたとおりのことでございます。河合氏が宮澤の名前を使ったということは、したがいまして、私はごく最近、今になりまして知ったことでございますから、知りましたその段階で御報告をしておるわけでございます。  次に、矢田部議員の御質問にはそういうことはございました。この御質問の趣旨は、一般論として、おまえたちは秘書秘書と言うけれども、しかし世間は、秘書とやっているのじゃなくてその背後に政治家何々がいる、こういうこととは考えないか、こういうお尋ねでございましたので、私は率直に、それはそういうことはございますと思います、私どもがその秘書を使います、秘書に仕事をしてもらいますときに、その背後にだれかれがいるということは世間はお思いになるでございましょう、矢田部委員のおっしゃることはその限りでは私はそうだと思いますということを申し上げておりますが、これは先ほどおっしゃいましたような意味合いで申し上げたわけではございません。きょうになりましてわかりましたことを率直に御報告をいたしましたわけでございますが、このことは私なり周辺の者が直接にこの取引に関係したということでは全くございません。そのことは従来から申し上げておるとおりでございます。
  53. 坂上富男

    坂上委員 名前だけは違っておりました、あとのことはみんな直接関係しておりません、河合氏のために利用されたものでありますという御答弁のようでございます。  大臣、いかがでしょうかね。大臣の今の答弁を聞いておりますと、名前違いというようなことによってすべてが霧に包まれた、どうも灰色の御答弁でないかと私は実は思っておるわけでございます。またいずれ出てきたらまた弁解をされたのでは、これはたまりませんので、いずれまた我が党の議員が質問する機会もあろうと思いますので、ひとつ徹底的な御調査をなさらなければならぬと私は思っておるわけでございます。単に河合氏から服部氏が聞いてきて、服部氏がきのうかおととい言ったものでございますからという答弁、これじゃ国政調査権もあったものじゃありません。本当に子供の使いのようなことでございます。なるほど新聞を見ますと、子供の使いかみたいなことが、この間の臨床質問の結果、全部新聞にこう書いてあります。とんでもない、大変な大物がみんな行って調べたわけでございまして、決して子供の使いではないわけでございます。  大臣、今までのことをひとつきちっともう一度調査し直す意思はありませんか。徹底的に、みずからの反省として、どうです。
  54. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま御報告をいたしましたことは、真実そのままを、私は秘書から調査を聞きまして申し上げたのでございまして、これにつけ加えることはございません。
  55. 坂上富男

    坂上委員 じゃ、また別の角度からお聞きします。  竹下総理にお聞きをいたします。  総理はいかがでございましょうか、青木伊平さん、この人がこのリストに二千株載っておるわけでございますが、これはまさにこれでございませんでしたでしょうか、いかがですか。
  56. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 青木氏に事実関係をただしましたところ、六十一年九月にリクルート関係者から話があり、ドゥ・ベストという会社の所有する株式を譲り受けたものであるということでございます。それで、この問題は本院においても質問がございまして、私から調査を約束しておりましたので、したがって、本院の場をかりてその調査の結果として今お答えした、こういうことでございます。
  57. 坂上富男

    坂上委員 総理、その答弁、正しゅうございましょうか。私は間違った答弁だと思いますよ。総理はこうおっしゃった。譲渡した人は善意の第三者である、第三者経済人である、こうおっしゃったわけでございます。ですからその名前は申し上げないと言っておったのでございます。決して調査して申し上げるなどとおっしゃっておりません。しかも、このドゥ・ベストの社長菅原氏というのはリクルートコスモスの監査役であった方です。ファーストファイナンスの取締役であった人でありまして、決して善意の第三者とか第三者経済人などというようなことではないのでございます。まさにこのリクルートと重大な関係のある人なんでございますが、大臣、どうもちょっと今の答弁私も承服いたしかねますが、これはやはりこのリストが出てきたために大臣お調べになって、どうもこれは事実のようだという御答弁で、それをちょっとすりかえて、いずれ近く答弁をしたい、こうおっしゃっておったとすりかえたのだろう、こう思っておりますが、いかがですか。
  58. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 矢田部さんからは参議院、本院におきましては皆さん方から御質問をちょうだいしておりました。そこで私も反省しておりますのは、人様の名前を出すのは私の生きざまに合いません、こういうお答えをいたしまして、あれは言葉としては適当でなかったなと思っておりました。率直に申し上げます。そうして、しかし私個人の問題は私自身調査すべきですというお答えは両院ともでしたつもりでございます。したがって、調査をしておったということは事実でございます。
  59. 坂上富男

    坂上委員 多分そういう答弁があろうかと思って、私、全部議事録を持ってまいっております。どこにそういう調査ということが書いてありますか。本当にそれは断言できましょうか。私は、全部逐一きょうまで何十回も読んでまいったわけでございます。大臣の御答弁、違うんじゃございませんか。だから、さっき、江副氏が経済人として言わないことは理解できるという会見になったのじゃございませんか。ああ、大将も言いづらいんだろうな、おれもきょうの国会答弁言いづらいわい、こうお思いになって来られたのじゃないですか、いかがです。
  60. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 きょうの答弁言いづらいだろうななんと思ったことはございません。これは、私の平素の行動でひとつ御理解を賜りたいと思っております。  もう一つの問題。調査という言葉をおまえ使ったことないじゃないかとおっしゃいましたが、それは議事録を精査しておりませんけれども新聞記者会見と申しましても、私には実は会見がございません、あの特別の場合を除く。俗称ぶら下がり、こういうのがあるわけでございます。これは俗称でございますから、失礼な言い方でございますけれども、よく使われておるからあえて申し上げましたが、そのときに時たま感想を述べることは事実でございます。しかしその感想は、私事にわたるものは別といたしまして、国会に対する感想を行政府が述べちゃいかぬとかいうような節度はいつも守りながらやっておりますが、あるいはその中に、自分のことは自分調査するという旨はいつも考えておることでございますから、私は読んでおりませんけれども、詳しく調べれば、調査は、自分のことは自分調査するということは絶えず考えておることですから、言の葉に上ったことはあるんじゃないかな、こんな感じがしております。
  61. 坂上富男

    坂上委員 これ以上お聞きをするのは中止をいたしましょう。そうするとあれですか両大臣、青木秘書あるいは服部秘書がいわばお買いになった株というのはいずれもドゥ・ベストに割り当てられた株を譲り受けた、こう聞いてよろしゅうございますか。両大臣に。
  62. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実はその点も服部秘書を通じまして河合氏に確かめたところでございますが、これは河合氏自身が記憶がないということを言っております。何か非常にはっきりした名前でございますと覚えておったということがあるかもしれませんが、どうも記憶がない、わかっていないということでございました。
  63. 坂上富男

    坂上委員 総理、いかがでございますか、青木さんは。
  64. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 株式会社ドゥ・ベストでありましたということで、九月までは覚えておりますが、日にちは覚えておりません。
  65. 坂上富男

    坂上委員 結構です。  さて、だれに誘われたのでしょうか、買ってくれないかと。両大臣、大変恐縮です、お答えください。
  66. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は、前から申し上げておることでございますが、河合氏はいわばビジネスマンでございますので、自分の商売の関連のことになるのでその人を申すことはひとつ御容赦を願いたいということを言っておりまして、今日までそのことは申しておりません。
  67. 坂上富男

    坂上委員 総理はいかがですか。
  68. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 そのことを私も確かめておりません。要するに、私が申しておりましたのは、長らく一緒に仕事をしておったことは事実でございますから、したがって、某新聞の取材を受けて私はこういう事実を言いました、その取材に当たりましても、善意の第三者というものに対しての名前は申し上げられないと申しましたということでございましたから、そのとおりわかりましたと私からも申しまして、あえてそれを聞くということをいたさないでまいりましたが、本院また参議院において、本人の許可を得てあるいは言うというようなこともあるじゃないかとか、いろいろな御質疑等がございましたので、私なりに聞きましたら、ドゥ・ベストという会社名義のものを譲り受けた、こういうことを申したから、その点においては事実でございますから、事実としてきょう申し上げたということでございます。
  69. 坂上富男

    坂上委員 これもあるいは失礼な質問になるかもしれませんが、重要なことでございますから聞かしてください。  多賀谷さんや式場さんは、ドゥ・ベストや菅原さんから勧誘は受けません、江副氏から買ってくれないかと言われました、こう言っておるわけでございます。どうも、宮澤大臣あるいは竹下総理の関係者が名義ないしは御本人でお買いになったこの株も、やはりリクルートコスモスの株ではありますが、この会社がドゥ・ベストに割り当てをした、そしてその株を譲渡を受けたらしい。いずれも江副氏がこれを勧誘していると思われているのでございます。竹下総理または青木さんは江副氏から勧誘を受けませんでしたか。宮澤大臣、直接勧誘を受けられませんでしたでしょうか、あるいは服部秘書は受けられなかったのでしょうか。いかがでございますか、これはきちっと御答弁いただきたいと思います。
  70. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私が先に指名になりましたので、私からお答えをいたします。  私もそして青木伊平元秘書も、江副さんから勧誘を受けたという事実はございません。
  71. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私自身そういう勧誘を受けたことはございませんし、また、服部秘書からそのような報告を受けておりません。
  72. 坂上富男

    坂上委員 別の角度から総理にお聞きします。  青木さん名義の株は、とにかく買われたことは間違いありません。そして、これは六十一年の九月の口座を調べて、金の出費があったからわかった、こういうことです。これはどこの銀行のだれの名義の口座でございますか。  それから、同じく宮澤大臣、いわゆる宮澤さんの名義の株の購入代金は通帳の中から出ているのですか。どこの銀行のどこの口座ですか。  それから、今度売却をしているらしいのですが、売却代金は一体どこの口座に青木さんの場合は入ったのか、あるいは宮澤さんの場合は入ったのか。これはひとつ、六十一年の九月であるということを竹下総理国会答弁なさっているわけでございますから、だれの口座であるということはおわかりになってお答えになっているはずでございます。いかがでございますか。
  73. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 最初、青木元秘書から報告を受けました際に九月ということと、それから入り、出、それぞれ自分の銀行口座であるということを報告を受けております。これは、私が質問したとかいうことではございません。そういう報告を受けておりますので、そういうふうに私は承知しております。ただ、何銀行のというようなことまで実は聞いておりません。
  74. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私の場合には、私どもがそういう取引をいたしておりませんので、全く今の点はわかっておりません。
  75. 坂上富男

    坂上委員 到底納得がいきません。  少しまた問題点を変えて、今度労働省にお聞きをいたします。また後から両大臣にお聞きをさせていただきます。  労働省、このリストをごらんになったのだろうと思いますし、また、私の方からもお話をいたしましたからおわかりだと思います。加藤前労働事務次官は、株の譲渡を受けたということを新聞に言っておるわけでございます。労働省としては調査されたと思うのでございますが、いかがですか。
  76. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 本人より事情を聴取いたしております。それによりますと、六十一年九月ごろ、リクルートの元社員であった知り合いから、各界各層の信用すべき人たちにお願いをしている一環といたしましてリクルートコスモス社の株の購入を引き受けてくれ、こういう話があり、千株を一株当たり三千円で購入をいたしました、個人的な知己でもあったのでその依頼に応じたということでございます。そして、十一月に一株当たり五千円強で譲渡したということでございます。  以上でございます。
  77. 坂上富男

    坂上委員 いかがですか、元社員というのはどういう人でした、江副さんじゃないですか。
  78. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 江副さんではございません。(坂上委員「だれです」と呼ぶ)その氏名につきましては、本人が申しますには、その人の立場もあり、これを述べることは差し控えさせていただきたいということでございますので、私どもとしては承知をいたしておりません。
  79. 坂上富男

    坂上委員 労働省、誘ったからといって何が悪いことがあるのですか。何か犯罪でも犯したのですか。もうちょっときちっと答弁しなさい。そんな調査ありますか。
  80. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 私どもはそのように本人から話を聞いておりまして、それ以上のことは特に問うことも差し控えておったわけでございます。
  81. 坂上富男

    坂上委員 これじゃ全く、こんな単純明快なことまでこうやって拒否されたのでは、本当に国政調査権が泣いているわ。  さて、そこで労働省、この譲渡を受けたときはこの加藤さんという人は労働事務次官であった。特にリクルートの関係においては、職業安定局長で、何か売春の広告を出したとか出さぬとかで随分この間国会で問題になったわけでございますが、そんなようなことでリクルート江副さんと大変親しい関係にも立っておられたようでございます。しかも、労働事務次官とおっしゃればどうもリクルートを監督すべき立場にあったと思われるのですが、これはいかがですか。
  82. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 江副氏とは面識があった程度だ、このように本人は申しております。  それから、リクルート社はいわゆる求人情報誌を発行しておるわけでございまして、そういう関係上、労働省としていわゆる文書募集関係、こういうふうな安定法上との関係において監督すべき立場に立つということでございます。
  83. 坂上富男

    坂上委員 そうでしょう。  さて、労働者の最高の責任者おられますかな。こういう職務に関連のある立場の人がいわば値上がりする株の譲渡を受けたというようなことになりますと、汚職になりませんか。新聞からいうと職務権限関係ないというようなことをおっしゃっているが、どうもちょっと職務に対する誠実性からいって、認識、心構えからいって、労働者はなってないのじゃないですか。一般的にこれだけの事実があれば、この株のわいろ性さえあれば涜職罪、汚職が、収賄罪が立つと思うのですが、どのようなお考えです。
  84. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。  確かに職務の範囲という面につきましては、一般的にこれは広く解すべきものだというふうにされておることは承知をいたしておるわけでございます。重要なポイントは、やはりわいろ性の認識でございますとかあるいは職務との対価関係とか、そうしたものがあろうかと思うわけでございます。  わいろ性の認識というふうな面につきましては、これは本人は明確に否定をいたしておるわけでございますし、こうした当事者間の認識という問題をさておきまして、客観的な状況と申しますか、関係いたします職業安定行政リクルート社とのかかわり合いなりあるいは本人が在職当時の職務の遂行状況を克明に私どもといたしましても精査をいたしたわけでございますが、その結果といたしまして加藤氏によるいわゆる反対給付としての職務行為が生ずる状況にはなかった、こういうふうに判断をいたしておるわけでございまして、また、そのように事務次官も記者会見の際に申し上げたということでございます。
  85. 坂上富男

    坂上委員 労働省、収賄の条件の中に対価の要求、対価の必要性はあるのですか。あなた、今そう答弁なさった。収賄の条件の中に対価の必要性ないというのは判例なんだ。どう思う。刑事局長から聞きますよ。あなた、その答弁正しいか。答弁しなさい。
  86. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 いわゆる反対給付としての相当する本人職務行為、そうしたものが生ずる当時として客観的な状況はなかった、こういうふうに申し上げておるところでございます。
  87. 坂上富男

    坂上委員 刑事局長、「便宜の取り扱いをすると否とにかかわらず、職務に関して金員の贈与を受けたとすれば収賄罪が成立する」これはわいろというふうに置きかえてもいいのですが、いわゆるその便宜の取り扱いをするとかしないとかということはかかわりないことがある、これで収賄罪は成立する、判例はこう言っておる。いかがですか、刑事局長。これは最高裁判例だ。
  88. 根來泰周

    根來政府委員 今の具体的な事件を横に置きましての話でございますが、要するに贈収賄罪というのは公務員がその職務に関し利益を受ける、供与を受けるということ構成要件でございまして、それがいろいろ解釈がございます。仰せのような事案については、最高裁はそういうふうなことを言っております。こればあくまでも今の事案とは別個に、一般抽象的に申し上げたことでございます。
  89. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと労働者、お休みになっていいですよ。  今度は郵政省。式場さんの職務権限は何でございますか。  それから、もう時間がないから急ぎますが、郵政省、この間国会でお聞きをしたとき、調査の結果、長谷川さん以外には株の譲渡を受けたとは聞いていない、こう言っている。だけれども式場さんは郵政省の役員で譲渡を受けておられるということは新聞紙上で認めているのです。これはいかがですか、郵政省。
  90. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 式場氏の仕事でございますが、この方は企業通信システムサービス本部長、これは電電公社時代そういう職名でございまして、六十年の四月にNTTに変わりましてからは企業通信システム事業部長、同じく六十二年にこの企業通信システム事業本部副事業本部長ということになっております。後、六十三年六月には同じ事業本部の取締役副事業本部長でございます。  それから、お尋ねの第二点でございますが、これは私が答弁申しました趣旨でございますけれども、長谷川氏についてお尋ねがございまして、私どもとしてはNTTから、これはNTTが言っていることですが、長谷川氏が株の譲渡を受けたということがあったかどうかについてはNTTとして把握していないという報告を受けているというものでございます。あるいは先生議事録をよくお読みになっておられるので私もそれを読みまして、多少言葉が足りなかった面はあるかもしれませんけれども、このことはNTTに株の譲渡を受けた者がいないということを申し上げたのではなくて、NTTとして辞職してしまった長谷川氏のことについては把握していない、そういう報告を受けているということを申し上げた次第でございます。
  91. 坂上富男

    坂上委員 郵政省、今言ったところによると、もう二人出てきたわけだ。二人出てきた。前にはそういうつもりで言うたわけではありませんとおっしゃった。それはそれでいいですよ。ただ、あなた方の調査がずさんじゃないか、こう言っているのです。あなた方の調査がずさんだから国会で徹底的に調べよう、こう我々は主張しているのだが、これも思うようにいかぬというのが実情なんだ。今言ったように、あなた方の調査というのはそんな程度の調査答弁しているのです。全部聞いておってもそうだ。第三者から聞いたらこうでございましたが、これが正しゅうございます、きのう聞いたらまた間違ったから訂正いたします、こういう答弁だ。これじゃ国会答弁と言えるかどうか、本当に疑問なんです。  そこで、今度は郵政大臣にお聞きをしたいのでございますが、どうも長谷川さんやあるいは式場さん、これはもう職務権限もないとかあるいは収賄の対象にならぬとか、そんなようなことを山口社長答弁というか、記者会見お答えになっているようでございますが、大臣としては、今言ったような問題を踏まえてどのようにお考えになっておりますか。
  92. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、長谷川さんに関してはやめていかれた方でございますが、式場さん、現職におられる方で、この場合は自分の金で購入をして、そして安定株主としての要望にこたえてそれをまだ売っていらっしゃらない、いわゆる差額を稼いだという形ではないというふうに考えておりまして、特に今からこの時点で振り返って考えてみますと、李下に冠を正さずと申しますか、企業としての関連をする業界から株の譲渡を受けるべきではないという感じでございますが、私は想像して考えますのに、その時点では、民営化されたことでもあるし、これからいろいろ関連の企業との関係を円満に保っていぎたい、そういう意味で好意的に、長く縁を結ぶために、この株の長期保有者になろうという感覚で式場さんは対応されたのではないか、そんなふうに考えております。聞いておりますところでは、いろいろなものの購入その他には常務会その他で多数の人間で決定をすることになっておりますので、個人的な判断が及ぶという形でいわゆる涜職に類するようなそんなものにはならないのではないか、私自身は今のところそう思っております。
  93. 坂上富男

    坂上委員 職務権限があるのですかないのですか、リクルートの関係で。どうですか、大臣
  94. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先ほども申しましたように、職務権限としての個人の力が及ぶというような形ではない、多数の合議によって決定をされるということになっておりますので、はっきりした形で涜職と私は言えないのではないかと思っております。
  95. 坂上富男

    坂上委員 合議でやっているのだから職務権限がないんだという御答弁のようでございますが、ちょっと納得できないのでございます。刑事局長、いかがですか。合議でやっていようと、その職務に関係があれば涜職罪の要件としては成立するのじゃないですか。いかがです。
  96. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまの非情に具体的なお話に関連してお尋ねになりますと、私も非常に答弁に困るわけでございますけれども、場合によって合議であっても職務権限になることもございますし、問題は、職務権限があっても、その職務に関しわいろを収受したという要件があることは十分御承知だと思いますけれども、そういうときも具体的事案によっていろいろ問題もあると思いますので、一概に申し上げることは差し控えたいと思いますが、こういう具体的なことについて言われましても、私ども犯罪の捜査を所管しておる検察庁を所管しておりまして、要するに、そういう手続を経ないと、それが犯罪とかどうとか言えない立場でございます。その辺御了解いただきたいと存じます。
  97. 坂上富男

    坂上委員 さて、法務省にお聞きをします。  ドゥ・ベストのこの譲渡リスト検察庁に提出になっているのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。  それから、この間、江副氏から診断書が二つ当委員会提出されたそうです。これも検察庁が入手されているのじゃないでしょうか。いかがですか。
  98. 根來泰周

    根來政府委員 具体的事件に関連しまして、検察庁がどういう書類を受け取っておるか、あるいはどういう人を調べたかということについては、答弁を差し控えたいと思いますけれども、問題のドゥ・ベストの問題につきましては、提出された楢崎さんが記者会見検察庁へ提出されているというふうに発言されたというふうに承っておりますので、そういうことならばそういうことであろうというふうに思うわけでございます。  それから、診断書でございますけれども、これは一つの情報ということでございますけれども、これは私どもの方に何ら提出を受けておりません。
  99. 坂上富男

    坂上委員 このリストはやはり捜査対象になっておりますか、刑事局長
  100. 根來泰周

    根來政府委員 これも何回もお答えいたしておりますけれども国会でいろいろリクルート問題について疑問点が投げかけられておることは十分承知しております。検察庁も十分承知しております。そういう観点で、要するに、そういう問題をひっくるめて、検察庁としてはその視野に入れて検討しているということでございまして、捜査をしているという表現が正しいかどうかは別としまして、検討しているということは事実だと思います。
  101. 坂上富男

    坂上委員 法務省、お聞きをいたしますが、楢崎さんの告訴がありました。コスモスの池田社長が告訴されれば逆告訴する、こうおっしゃっていたわけです。それから江副さん。逆告訴があったですか。このお二人の逆告訴について。
  102. 根來泰周

    根來政府委員 ございません。
  103. 坂上富男

    坂上委員 さてそこで、刑事局長答弁の中で、楢崎代議士の告訴については早急に結論が得られると思う、こういう御答弁でございます。東京新聞でございますが、「近く強制捜査か」というような一面記事が出ておるわけでございます。捜査の進展状況はどうでございますか。この国会は十一月二十四日まで、こうなっています。このころまでに結論を得られますか。それとも、もっとひとつ国会においてびしびしと証人喚問でもしなければ捜査が進まないのでございましょうか。いかがでございます。
  104. 根來泰周

    根來政府委員 この間、楢崎議員が検察庁に告発をされました。その事件について現在捜査中でございまして、その関連でいろいろの関係人を取り調べるというふうに理解しております。いつまでにその捜査が終わるかと言われましても、非常に難しい問題でございますが、これも御承知のように、告発があれば検察庁としては早急に結論を出すという建前がございます。その建前にのっとって捜査を行っているものと考えております。  また、国会で御議論のあった問題につきましては、その捜査ということではなくて、その検察庁の捜査の視野の中に入れて検討するということで今まで御答弁申し上げておりますので、そういうスタンスで検察庁は取り組んでおると思います。
  105. 坂上富男

    坂上委員 時間がありませんので、急ぎます。  文部省、昭和六十二年六月に全国高等学校長協会小田島哲哉氏の名義で、「「昭和六十二年三月卒業生の専修・各種学校入学状況調査」ご協力のお願い」なる文書が発送されております。リクルートに対して協力したい、こういう文書でございますが、一体こんな民間会社について学校長協会がこんなふうな協力をやっているのですか。文部省、どういう監督をなさっていますか。  それから、私はこれは雑誌で見たのでありますが、朝日ジャーナルかアエラの中で書いてあるのですが、全国高等学校進路指導協議会が毎年リクルート本社で進学担当の高校の先生を呼ばってそこで開かれている、こう聞いておるのですが、これはホールを借りているなんというものじゃなくて、いわばリクルートとタイアップしてやっているようなことなんでございますが、一体こういうような私的なリクルートと文部省は、大変学校の先生方リクルートに取り込まれているような感じなんですが、これは文部省、調査いたしましてどうでした。  それから今度は、スーパーコンピューター研究所のことでございます。これの共同利用研究機関構想について、文部省はどのようなかかわりをしておるのでございますか。これも一緒に御答弁いただきたいと思います。
  106. 加戸守行

    ○加戸政府委員 高等学校長協会がリクルートの行います調査への協力要請を通知文で流した事実は、私ども承知いたしております。ただ、一体どのような内容調査であったかということは承知いたしておりませんが、一般論としまして、民間企業等がいろいろな調査を行います場合に、校長会等の団体を通じまして行うケースがよくございます。それはどのような調査であるか、あるいはその内容、意義等を検討いたしまして、実際上の協力要請が各種の形で行われておるわけでございまして、そのこと自体が直ちに否定すべきものであるかどうかということは私ども考えていないわけでございます。  それから、今申されました雑誌に出ておりました関東地区の高等学校進路指導協議会がリクルート会議室を使用した件でございます。これも、高等学校進路指導協議会からの報告によりますと、理事会の開催というのが急遽決まる場合が多く、一般的に学校行事によりまして学校内の会議室が使用できない状態が多いわけでございますし、また交通の便がよい、そういった理由等によりまして、年に数回理事会リクルート会議室を使用させていただいたということに報告を受けております。文部省といたしまして、こういった誤解を招くような形のものというのは差し控えるように指導してまいりたいと思っております。  それから、スーパーコンピューターにつきましては担当局長の方から説明させていただきます。
  107. 川村恒明

    ○川村政府委員 お尋ねのございましたリクルートのスーパーコンピューターの件でございますけれどもリクルート会社の内部組織として昨年の四月にスーパーコンピューター研究所という組織をつくられたということを伺っております。そこで、私どもこの研究所とは特段の関係はないわけでございますけれども、この研究所が昨年発足以来スーパーコンピューターを三台ほどお持ちになっておって、その空き時間を利用して全国の国公私立の大学の研究者でありますとか大学院生等にそのあいている時間の使用を認めるというようなことで、例えば日本物理学会誌というふうな学会誌を通じて公募をしておられた。その結果、その公募に応じて研究者が何人かあるいは大学院生が何人かがそのコンピューターを使っておられるという状況のようでございます。  そういうことで、その利用状況は空き時間の利用ということもあって、リクルート側では、これは企業のPR、それから研究助成という観点でございますので、研究者から特段の対価を得ていないという状況だというふうに承知をしております。
  108. 坂上富男

    坂上委員 対価を得ていないからいいとかなんとかという問題じゃなくて、職務の清廉性というのはそういうところじゃないだろうと思うのです。金をもらわなければいいじゃないですかというわけにはいかぬと思うのです。いわば私企業というのは、それ一社じゃないのでございますから、十分な監督を要望しなければならぬ、こう思っておるわけです。  さて、最後でございますが、労働省の事務次官、いわば高級官僚がリクルートの株の譲渡を受けた。今まで政治家が多かったのでございますが、高級官僚も出てこられたわけでございます。そこでいろいろ調べてみますると、リクルートあるところ必ず汚染あり、リクルートの動くところ必ず汚染があるというような感じでならないわけでございます。  そこで、まず文部省、それから官房、それから建設省、それから大蔵省、そういうところが来ていただいておるわけでございますが、これはリクルート汚染があるかどうか御調査なさったでございましょうか。そういうことは絶対ないでしょうか、断言できましょうか。いかがでございます。各省簡単で。
  109. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。  歴代の事務次官なりあるいは職業安定局長なりあるいは関係行政を担当いたしました課長十数名全員を私ども調査をいたしましたが、そのような事実はございませんでした。
  110. 加戸守行

    ○加戸政府委員 文部省につきましては、現職文部省の高級幹部につきましては調査をさせていただきましたが、そのような事実は一切ございません。ただ、退職されました過去の方々につきましては、これから御協力を要請し、協力いただきますれば、その範囲内でのお願いをしたいと思っております。
  111. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 去る八月の参議院の予算委員会で、公団の上層幹部に対する株の譲渡の事実の御質問がございまして、その後、公団では当時の関係職員、部局の職員につきまして聞き取りを行いました。そのような事実はないということを確認したということで報告を受けております。
  112. 石原信雄

    ○石原政府委員 内閣官房の幹部職員につきまして、リクルートコスモスの関係の株式譲渡を受けたというような報告は受けておりません。
  113. 坂上富男

    坂上委員 あと、おられますか。大蔵省おられますか。
  114. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 私どもの所管につきましてのお呼びだし、直接この御質問書にもございませんので、本日担当の部局の者は参っておりませんので、失礼させていただきます。
  115. 坂上富男

    坂上委員 もう時間が来ましたからやめますが、私たち党の方といたしましては、理事を通じまして証人申請書を提出をしておるわけでございます。江副氏以下どうしてもこれは調べなければ、とてもじゃないが真相が究明できません。  特に私は委員長にお願いしたいのでございますが、リクルートコスモスの株主名簿を提出させれば、これは別に時間がかかるわけでありません。安倍幹事長が言うように人権侵害になるような問題でありません。これは証言法によって書いてあるわけでございます。株主名簿だけは早急にひとつきょうの理事会で諮って、取り寄せ決定をしていただきたい。そして、社会党が申請しておりますところの証人申請、全部ひとつ御採用の上で、国民の要求しておりますリクルートの解明を、本当に早急に徹底的に究明をするために明白にしていただくよう委員長に要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  116. 金丸信

    金丸委員長 坂上君のただいまの希望につきまして、理事会で十分諮って進めたいと思います。 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  117. 村山喜一

    村山(喜)委員 今日世上の関心というのは、リクルート問題というのは大変な関心の持ちようでございまして、我々が委員長を先頭にいたしまして、江副さんに病床質問に参りましたときの模様は、我々は本当にこれは深刻に考えなければならないなと思うところでございます。その結果、どれだけ解明をされたであろうか。また、国政に携わる我々が、特に税制問題と非常に深い関係のありますこのリクルートの問題について、真相の解明がなければ本当に困る、税制の本格的な審議に入るわけにいかぬという気持ちがあるわけでございますが、まさに世間の人たちもそういう感じをいっぱい持っているようでございます。  私たちがたまに帰りますと、かねては税金の問題等については余り関心のない人たちまで、ゲートボールをやっている年寄りまでリクルートの問題は解決してくださいよということを言われるところを見ると、今最大の国民の関心事はこのことにあるんじゃないか。そして、政治の衝に当たる竹下総理大臣や宮澤大蔵大臣を初め、また国会議員の我々が襟を正していかなければ、一番今信用がおけないのは政治家だ、こういう形になってしまったのでは、政治の信を失っている姿が国民からその信頼を取り戻すことができないという意味において、私はやはりこの際、この問題についての真相の解明は全力を挙げてやるという決意でなければならないのだと思うのでございます。そういうような意味において、先般理事会として江副氏の病床質問の中で得られました内容について、若干私もこの点についてはきちっとしておかなければならないなと思う点がございますので、これを申し上げておきたいと思います。それは、多賀谷さんと式場さんが江副さんの指示によってコスモス株を譲り受けたというふうに発言をしていることについては、「私の立場からは何も申し上げられないが、御本人達がそう発言しているとすればその通りと言うしかない。」こういう返事を江副さんがされました。私は、このことは非常に重要なことだと思うのでございまして、今も同僚の坂上代議士の方からいろいろとこの点についての質問が行われたわけでございます。  したがいまして、ドゥ・ベストの関係の八万株に対する九人の譲渡については、もうこれだけ明確になってきた。しかも、話を聞いておりますると、宮澤大蔵大臣の場合も名義人としてはそうだということが今明らかになっておるところでございます。そういうようなことを考えてまいりますると、事実関係を明らかにする意味において、私は、やはりこれを証拠として、審査の資料として用いることは極めて重要ではないだろうか、こう考えるわけでございます。  同時に、七十六名の、千二百円で株の譲渡を受けた人たちの名簿も、これは安定株主を目指して措置をしたということが言われているわけでございますから、当時売り逃げをされた人も含めて、当時の株主名簿というものが存在をすることは間違いないでありましょうから、この名簿も提出を願いたい。  そして、二千五百円の第三者割り当て増資をいたしましたところのドゥ・ベストの問題が今一部明らかになりつつあります。そのほか、ビツグウエイであるとか、あるいは第三のトンネル会社と言われるエターナルフォーチュンや、リクルート関連企業の三社などが浮かび上がってきているということが報道されているわけでございます。  そうなってまいりますると、これらの資料を提供を願いまして、そしてこれに基づいて国会が審議をするというのが本当に間違いのない結論を国民の前に出すことになるという意味において、私たちの方ではかねがね理事会を通じましてこの委員会に証人を、前回は七名、先日七名、合計十四名の証人喚問を要求いたしているところでございますが、本日の質疑を聞きまして、また江副さんの病床質問を通じまして、私たちは国政の審査の責任の上において次の者を要求をいたしたいと思いますので、この点については議事録に明確に残して、後の取り扱いは理事会においてお願いをいたしたいと思います。  まず第一に、前リクルートの会長であります江副浩正氏、それからリクルートコスモス社長の池田友之氏、ファーストファイナンス前社長小林宏氏、株式会社ドゥ・ベスト代表取締役の菅原茂世氏、ビツグウエイの代表であります細江伊佐男氏、それにリクルート国際バンの株式会社代表取締役であります長谷川寿彦氏、それに株式会社SE総合設計代表取締役の河合康文氏、七名を証人として呼ぶようにいたしたいと考えるのでございますが、これについて委員長に要請を申し上げますが、いかがでございましょうか。
  118. 金丸信

    金丸委員長 ただいまのお話は、理事会に諮りまして決めてまいりたい、こう思っております。
  119. 村山喜一

    村山(喜)委員 残りました時間は十五分だけでございますから、お手元に通告をしてあります中身についての質疑は余りできないかと思います。  ただ、この際総理大臣にやはりきちっとしておかなきゃならないのだと思うのは、先ほどもぶら下がり記事みたいなお話もございましたが、経済人信義、それからやはり経済人として社会的責任、それから人間として、国民の一人として、また多くの人たちに迷惑をかけたという意味における人格者、人間としての責任、私は、やはり江副さんは経済人だなと思うのは、世界や人生が金によって動いていくという一つの考え方、金、金、金ということで問題を今日まで処理し過ぎてきたのじゃないだろうか。ということは、その狭い領域から考えれば、これ以上の人の名前が漏れるようなことになればという深刻な責任も出てくるでありましょう。しかし、二度とこういうような事態を引き起こしてはならないという意味において、私はやはりこの際、そういうような心境に達していただくことをお願いをしたいと思うのでございますが、総理は、これ以上やめる人、ばつが悪い人が出るというのであれば耐えられないので、発表するならば私が自滅した方かいいというその心境は、どういうふうにあなたは総理としてお感じになりますか。
  120. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 海部メモというものを正確に読み上げまして、今の最終的な表現等を私も読ませていただきましたが、その最終的な表現については、人様の言葉でございますからどうこう言うべきではないというふうに思っております。  ただ、恐らく、私どもにも経験ございますけれども、事を運ぶに至って人様にお願いしたというような経験を持つ者としては、恐らくやはり人様の名前は出さないというのが自分信義だろうという、人間としての感じだけを申し上げるにとどめさせていただきます。
  121. 村山喜一

    村山(喜)委員 心因反応、抑うつ状態ということで、私たちも病人に対する人権を尊重しながら発言もいたしましたし、お聞きもいたしました。ところが、江副さんの発言を聞いておりますと、とうとうと水の流れるようにさわやかに、数字も、もちろんメモもお持ちでしたが、それを明確に答えながらよどみなく答弁をされる。まことに立派なものだ。心の病の方は全然ないということにおいて、このことは立証ができるな。ただ体の方は医者でありませんからわかりませんが、やはりそういうような状態に立っている人であっても、本当に国民の疑惑にこたえるという意味において、私たちは、単に病床で質問をするというだけでは解決ができない、疑惑が深まっていく一方である。とするならば、国会に出てきてもらって、既に参考人としては招致をするという決議を上げている。このことはまだ実行されておりませんし、私たちが要求している議院証言法に基づく証人としての喚問はこれからの取り扱いになってくるわけでございますので、その点についてはきちっと対応を委員長にもお願いをしておきたいと思います。  そこで、私は、このリクルートコスモス社の資産形成の中で有価証券報告書や、あるいはその以前の報告書を出す必要のない時代からの株価形成の問題等をずっと調べてまいりました。そういう中で、本当に幾つかの疑問が出てくるのでございますが、法人税法上の株式評価の仕方、この問題と、それから今日まで質問の中で国税、大蔵省の方から答えがありました千二百円なり二千五百円の評価の仕方、この問題をめぐりまして、もう一回、本当にその評価の仕方が正しかったのかどうか、この点について疑問を感じているわけでございますので、評価額が千二百円と第三者割り当ての二千五百円は間違いなかったのか、この点について純資産とのいわゆる対比において説明を願いたいと思っております。
  122. 角谷正彦

    角谷政府委員 まず、五十九年十二月のリクルート社によりますところのリクルートコスモス株の価格、これは五十円額面に換算いたしまして千二百円でございますけれども、この千二百円という値段は、その時点におきますリクルートコスモス社の期末の予想純資産のほかに、六十年早々にリクルートコスモス社との合併が予定されておりました会社の保有土地を時価評価するという形で純資産方式によって計算したというふうに聞いているわけでございます。  ちなみに、五十九年十一月のリクルートコスモス社による社員持ち株会への第三者割り当てがあるわけでございますが、これは、その前の期の簿価によりまして純資産を基準として額面五十円換算で大体二百六十六円五十銭と算定されておるわけでございます。それから、これに対しまして六十年二月及び四月の価格でございます。これは二千五百円でございますが、これはリクルートコスモス社による第三者割り当て増資の際の価格でございますが、この二千五百円という価格は、将来におきますところの会社の業績の好転といいますか、それを見込みまして類似公社比準方式によって算定いたしております。  このように、千二百円と二千五百円というふうに値段が違っておりますが、これはリクルート社及びリクルートコスモス社がそれぞれの会社の判断によって純資産方式あるいは類似会社比準方式によって算定したものというふうに承知しているわけでございます。類似会社比準方式であれ、純資産方式であれ、これは流通価格が存在しない株式につきましての評価方法として会計処理上一般的に認められている方式でございまして、いずれにいたしましても、非公開株式の公開の相当前になされました取引につきまして、両方の方式のいずれを用いるべきかどうか、こういった価格がどういうふうに算定されるべきかどうかといったことについては、証券行政立場から申し上げる状況にはございません。  なお、ちなみに、これは先ほど申し上げました予想価格でございますけれども有価証券報告書から結果として十六期、六十年四月の値段を見てみますと、実績におきまして大体一株当たりの純資産は千二百二十二円七十五銭ということになっておりますので、まあそう十二月時点で予想した価格と価格の相違はなかったのではないかというふうに判断しております。
  123. 村山喜一

    村山(喜)委員 わずかの時間の中で消化ができませんので、具体的に私たちが調べた中から数字だけを申し上げておきます。  五十九年四月三十日に環境開発の一株当たりの純資産は百七十二円八銭でございます。日環建物の五十九年三月三十一日の一株当たりの純資産は五百六円三十九銭であります。六十年の三月二十日、それがリクルートコスモスとして商号変更を行ったわけでございますが、それを株数全部で一株当たりの純資産価格を計算をしてまいりますと、コスモス社の千三十七万株、一株当たり百七十二円八銭という数字が出てくる。日環建物の方は九百五十二万株でございますから三百四十円四十三銭。これはいわゆる会社合併の方式が十対十七ということに相なっておりますから、それで計算をいたしてみましても、どうも千二百円の評価の方法は、純資産方式ということを言われたので調べてみたのでございますが、一株当たり二百五十円から二百六十円ぐらいの値段しかしていないじゃないか、このことが指摘ができます。  それから、二千五百円の評価方式というのは類似業種の比準方式をとっているわけでございますが、これもどうも第三者割り当ての、いわゆる金融機関が入りまして値づけをいたしました二十六社と証券会社が話し合いをいたしまして、二千五百円というものにこの数字をそろえた、そういう嫌いがある。そういうような意味から、どうも株価というのはリクルートの経営の中身に合わせながら、それを、値を味つけをしながら市場に出していくという方式がとられてきた疑いがある。  しかも、その後、このリクルートコスモス社は、マンション業界では大変有名な会社でございますから、五十九年、六十年、六十一年と、土地の物すごい買いあさりをやってきた。我々の調査によりましても、ここに出してあります融資額を調べてまいりますると、一兆五千億ぐらいの、リクルートコスモス社並びにリクルート本社、それにファイナンスの方を入れますると一兆五千億近くの融資が行われている。売上高は四千二百億円ぐらいで、その過剰な融資が金融機関を通じて行われる中でそういうような値づけをしながら、今度は一般の事業会社と個人にそれを割り当てていった、そういうふうに思われるのでございます。  したがいまして、私たちはこのリクルート社というのが、今庶民の夢が遠くなってきた、地上げ屋の総本山みたいな感じがいっぱいしているのでございます。その意味において、やはり江副氏が社会的な責任というものを感ずるのであるならば、私は、この国会に出てきて自分のとった行為についてのざんげをしてもらわなければ、国民は納得ができないんじゃないか。また、国政の要に携わっております、国政審議に当たります我々も、この内容を明確にしていかなければこの国民の期待にこたえることができないということを一言申し上げ申して、答弁は、宮澤大蔵大臣、もし御説明をいただけるのであれば一言説明をいただいて、終わりたいと思いますが、いかがでございましょう。
  124. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私自身のことにつきまして、そのような不行き届きから御心配をかけていることを大変に申しわけなく思っております。  また、行政の面といたしましては、私ども大蔵省としては、本件につきまして、法に許される限りの調査をいたし、御報告を申し上げておるつもりでございます。
  125. 金丸信

    金丸委員長 これにて坂上富男君、村山喜一君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  126. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂井弘一君。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 今国民が一番知りたいこと、そして国会が解明しなければならないことは、これはもう言うまでもなく、あの江副さんが一体何の目的で、そしてだれに、いかほどの利得といいますか、あるいは恩恵というのでしょうか、を与えたのであろうか、こういうテーマであろうと思います。そこで、一昨日金丸委員長、各党理事の皆さん方、わざわざ江副さんの病床を訪ねられまして、臨床質問というのでしょうか。ただ、そこで出た答えというのは、今申しましたテーマに対しては全く明かされなかったと言っていい、残念ながらそういう状況であったのだろうと思います。  そこで、その際江副さんが、株の譲渡先まで明かせと言われるのならば、それはもう私は自滅して死んだ方がましだ、こう言われたということのようでございますが、総理にひとつ御感想として最初に承りたいと思いますが、一方では安定株主づくりである、あるいは決算対策であるということが理由でもって非公開株をあちこちの方々に持っていただいた、これは江副さんが一貫しておっしゃっているようでございます。ということでありますれば、何も隠し立てをする必要は私はさらさらない。ただ、経済人として相手様の名前を言うということは、これは信義にもとるんだ、こんなこともおっしゃっているようでありますけれども、事は通常の株の取引という状況ではない。これだけ世間を騒がし、非公開株譲渡をめぐって道義上の問題あるいは政治倫理あるいは法律違反、あるいはまた刑法にも触れるかな、これほどの、言うなれば大事件になっている事柄であります。  恐らくは、死んでも、死んだ方がましだ、言えないと江副さんが言っている真意は、この株をめぐりましてリクルートコスモス社とは直接の関係のない政治家あるいは公務員、そういう方々に譲渡した株というもの、これはかなりやはり後ろめたい気持ちがある、ここのところが明らかになるということは、政治家先生方あるいはお役人に対しては、これはまことに相済まぬ、こう言いまして、自滅し死んだ方がましだ、こういう心境に至っておるのではないか。値上がりが確実に見越されるそういう株を、しかもその取得の資金まで調達をして、そして政治家に譲る、これはもう見返りを求めない方が実はおかしいと見るのが常識だろうと思いますね。そんなことがありまして、恐らくは、これを言えと言われて、私は死んでも言えません、自滅した方がましだ、こう言ったのだろうと私は想像するわけでありますけれども総理はどういう御認識をお持ちになったでしょうか。
  128. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私も、今おっしゃっております、いわゆる私どもがきょうの議論のベースに置いております海部理事記者発表文というものを読ましていただきまして、いろんな感想が全くないわけじゃございませんが、本人自身でございませんので、そのところの表現についてはとやかくコメントすべき問題ではなかろう、こういうふうに感ずるわけでございます。  したがって、確かにこの問題から私なりに整理整とんしておりますのは、一つは政治的道義的責任、それから今おっしゃいました、これは既に告発も行われておりますが刑法上の問題、それから本委員会で一番関連性が深いとすれば、やはり税制、なかんずく先般村山委員お話しなすっておった所得税の十種類のうちの、あれは四番目ですか、譲渡所得という問題のかかわり、それから一つは、証券市場の健全なる発達という角度から見るところの証取法上の問題、こういうふうに、この発表文の中からどういうふうに整とんすべきかな、こういう角度から一生懸命で読ましておっていただきまして、あの文言からくる感想というのはちょっと差し控えるべきではないかな、こんな感じがしております。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 江副さんが政界あるいは官界との間でどういう関係を御本人が持ちたいと考えたかというようなことについて、幾つかのコメントがありますので、若干御紹介を申し上げたいと思います。  これは、去る七月六日、江副さんがこの件で辞任をされまして、その発表後、管理職の方々五百人の皆さんの前での江副リクルート前会長の釈明の中の一節であります。「申し訳ない。創業以来、許認可事業をやらずフリーな立場でビジネスを展開してきたが、会社の成長にともない、隙間を埋める事業だけでなく、事業を拡大せざるをえなくなり、結果的に政治に接点ができてしまった」、政治に接点ができてしまったということを大変悔いておる、これは反省の弁。  同じ趣旨で、リクルートの社内報、「かもめ」という社内報二月号。「情報誌出版事業は、許認可事業ではないから、単に利益をあげるという点では行政当局とのよりよい関係を持つ必要がないという考え方もとれなくはないでしょう。リクルートが世に提供するサービスの影響力が小さいうちはそれでよかったわけです。しかし、ここまで大きな影響力を持った当社は、少しきおったいい方をすれば、行政当局とともに、よりよい明日の日本を築くためにというスタンスで行動をするステージにきているときだということができます。」今までは行政当局は余り縁がない、関係がなかった、だけれども、ここまで大きくなりますと、やはり行政当局とかかわりを持たなければならぬ、こういうことであります。  後でも幾つか御披露したいと思いますけれども、そういうことで冒頭の感想を伺ったわけでありますけれども、今度は大蔵大臣大蔵省は相当な情報を収集されていると思いますね。かなりな部分は公表をされた方かいいんじゃないでしょうか。大蔵省の今までの御答弁は、これはやはり個人のプライバシー、あるいは守秘義務が我々にはあります、そういう二つの立場を踏まえてやはり申し上げるわけにいかないというか、ことごとく秘密主義的という言い方はよくないかもしれませんけれども、この件については従来のプライバシー保護そして守秘義務、もうこの壁があるのですから、いかに当委員会のこの場であれ、内容については申し上げるわけにはいかないという非常にかたくなな態度を実は一貫されているようでありますけれども、この態度はやはり改められた方がよろしいのではないか、この件については。大蔵省が収集された情報等については、もう少し前向きにこの場で御答弁なさる、公表する、つまり国民が知りたいということに対して答えましょうという姿勢が私は大事だろうと思う。その点については、大蔵大臣どうお考えになりますか。
  130. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は証券局長から何度もお答えを申し上げておりますが、この件に関しましては、証券取引法に基づきまして証券行政の範囲内において行政を行い、調査を行ってまいっておるわけでございます。そういう中で、許されているものはもちろん国会のお求めでございますのですべて資料として申し上げ、また、御報告をいたしております。  ただ、何度も政府委員が申し上げましたように、会社側の任意提出にかかわる情報等々につきましては、これは文字どおり任意でございますので、その機密が保たれるという保証のもとに自由な正確な情報の提供を受けておるということでございますので、この秘密が保たれませんと、今後そのような情報を受ける、あるいは正確に受けるということが難しくなるということは御推察のいただけるところであろうと存じます。そういったようなこと。それから、証券行政の範囲の外に属することは、これは調査もいたしておりませんし、また、したがいまして御報告をすることもできない。行政は与えられました分野を過不足なく、行き足りないこともいけませんが、行き過ぎることもこれは別の意味で批判を受けるわけでございますので、きちんとやってまいっておるつもりでございます。
  131. 坂井弘一

    ○坂井委員 逐次お尋ねをしてまいりたいと思いますが、ドゥ・ベスト社の資料が公表されたということで先ほども質問がございました。  宮澤大蔵大臣、あなたの秘書の服部さん、この方を通じて河合さんの要請がありましてということで、先ほどの御答弁では、宮澤大蔵大臣本人名前になっておりますよという指摘に対しまして、それは実は河合氏から云々ということでございました。これは、秘書の服部さんの誤りといいますか、過ちというのでしょうか、やはり大蔵大臣の責任であるわけですね。ただ、相手はどなたからですかという問いに対しては、河合さんは、記憶にはない、こうおっしゃったらしい。記憶にないと言われますと、私はかつてあのロッキードのときの小佐野さんが記憶にないを連発したことを思い出すのですけれども、五万や十万や、あるいは百万ぐらいの単位のことであればあるいは記憶にないのかもしれません。これだけの取引をして記憶にないという方が常識的におかしいのでありまして、もうちょっとお聞きになったらどうですか。総理は先ほどの御答弁では、相手はやはりこのドゥ・ベスト社からであった、こういうことですね。資料によりますと、やはりこの相手さんはドゥ・ベスト社になっておるようでございますので、河合さん、これは記憶にないというんじゃなくてくだんの会社ではございませんかぐらいのことはお尋ねになるのは、調べるということであれば私は常識だろうと思うのですね。その辺はどうでしょうか。
  132. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、午前中のお尋ねが実は二つございまして、一つは、だれからいわば話を持ってこられたかということでございました。  これにつきましては、河合氏は、自分は商売をしておりますのでその点については申し上げることを御勘弁願いたいということを私どもに申しておるのでございます。これは知らないとか忘れたとかいうのではございませんで、そういうふうに言っておられる由であります。  それから次の問題は、その株の譲り渡し人がドゥ・ベストでございますかというところであるかということについては、これは自分に記憶がないと言っておるわけでございます。つまり、非常に世の中でよく言う名前ならばあるいは覚えておったのかもしれませんけれども、どうも自分にその記憶がない、こう言っておる、そういうことでございました。
  133. 坂井弘一

    ○坂井委員 もうちょっとその辺をお詰めになるお気持ちはありませんか。それは、例えば服部氏を通して直接河合氏に大蔵大臣お会いになって、その辺のところをただす。本当はだれからなのか、相手はどなたですかということをはっきりさせた方が私はよろしいのではないかと思うのですね。そんなお気持ちはお持ちになりませんか。
  134. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、実は前からだれかということにつきましては御本人は一貫して、それは経済人の、何と申しますか、仁義とでも申しますのでしょうか、申し上げることは勘弁をしていただきたいということを一貫して言っておられます。  なお、私は河合氏にはほとんど面識のない人間でございますので、やはり親しい服部を通じましてお話を聞く、事情を説明してもらうということが一番いい方法であるというふうに考えております。
  135. 坂井弘一

    ○坂井委員 こだわって、私は言っていかがかと思いながらですけれども、大蔵大臣個人に対する御迷惑を超えて、これはもう実は大変な迷惑ですね、国会国民も。この辺のところがもう少しはっきりしませんと、国民の皆さんの目から見て、一体何だ、どこかに何かのごまかしがあるぞ、隠し事があるんじゃないか、言いたがらないんじゃないか、こういうふうに目に映りますと、このことがやはり大変大きな政治に対する不信といいますか、今のこの場で非常に大事な、大きな課題を政府の方は抱えて、財政、税制の大改革である、この審議をやれ、こうおっしゃる。だから、ここら辺をもう少し……。  河合氏と一面識もないとおっしゃる。むしろ面識のないのがよろしいのじゃないですか。面識のない河合氏に直接大臣がお会いになるぐらいの積極的な解明への意思があると、こう見たときには、これは変わりますよ、見方が。老婆心ながら私は実はそう思う。それとも、そうでなければ、もっとほかになおいい、相手を確認する、記憶にない、言いたくない——記憶にないじゃない、この場合は言いたくない。言いたくないのは、言ってもらうような手だては何かもう少しお考えになった方がいいんじゃないでしょうかと、こう申し上げておるわけです。
  136. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私の立場といたしまして、これだけお騒がせをしお手数をかけておることを恐縮に思っておりますことは何度も申し上げておるのですが、実業家河合氏としては、恐らく自分は法を犯したとかそういうことをしたつもりは持っておられないと考えますので、したがいまして、自分としてのそういう商売上の、何といいますか、仁義とでも申すのでございましょうか、それは守らしてもらいたいというのは、河合氏としてはやはり一つの考え方であろう、こういうふうに私は思っております。
  137. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、ほかのことでお尋ねをしながら進めていきたいと思います。  リクルートコスモスの取締役会議事録、これは六十年四月五日の議事録ですね。出席された取締役は五名、監査役が三名。第一号議案では、「第三者割当による新株式発行の件」、これが議せられまして、割り当て先及び株数がここで決まりました。合計、法人で三十七社、個人が一名、七百一万七千七百六十株、こういうことでこの取締役会議事録が作成されておりますけれども、この議事録内容については大蔵省は当然確認されておりますね。
  138. 角谷正彦

    角谷政府委員 議事録そのものは私どもは直接持っておりませんけれども、ただ、その六十年四月に行われました第三者割り当て内容につきましては、別途有価証券通知書というものでその内容大蔵省提出されておりますので、それは存じております。
  139. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。  有価証券報告書あるいはこの議事録によりまして、この三十七社の中に、今問題になりましたドゥ・ベスト、これが八万株、それからどうにもおかしいぞと思われるのがビツグウエイ株式会社、これが十二万株、それからエターナルフォーチュン社二十万株。これは確認されましたね。
  140. 角谷正彦

    角谷政府委員 午前中の坂上委員への御答弁にもお答え申し上げたところでございますが、有価証券通知書といいますのは、これはいわゆる募集類似の新株発行ということで、いわば有価証券届出書提出すべき不特定及び多数の者に対する募集または売り出しに該当しないということを確認するために、いわば行政上の補助資料としてとっているものでございまして、非公表前提となっているわけでございます。そういった意味で、その内容の全部または一部について申し上げることは今後の証券行政立場遂行上非常に問題があると考えますので、午前中にもお答え申し上げたところでございますが、その全部または一部についての確認は御容赦いただきたいというふうに考えております。
  141. 坂井弘一

    ○坂井委員 エターナルフォーチュン社、これは私の方からコスモス社に問い合わせをいたしましたけれども、さっぱり教えていただけませんでした。会社のあるところすらも言えない、こういう回答でございました。  今証券局長御答弁でございますけれども、今申しましたこの三社につきましては、内容はしっかり把握はされてはおるのですか。ここでは内容について触れることはできない、ただ、中身はよく御存じですか。調査されておりますか。
  142. 角谷正彦

    角谷政府委員 有価証券通知書の性格でございますが、これはさきに申しましたように、不特定及び多数、つまり五十名程度を超えるような売り出しまたは募集の場合ですと、これは投資家保護のために一定のディスクロージャーを要求するというためのものでございますが、それに該当しないものにつきましても、一応その五十名以下であるということを確認する手段としてとっているわけでございます。したがって、それが五十名以下であるということが確認されれば行政目的が達成されますので、個別の会社割り当て先について全部チェックするというようなことは、従来から、これに限ったことじゃございませんが、いたしておりません。  ただ、この件につきましては、第三者割り当てにつきましては、それぞれその増資払い込みはその会社名前で適正に行われているというふうに聞いております。
  143. 坂井弘一

    ○坂井委員 楢崎代議士が恐らく、エターナルフォーチュン社、この内容等については検察庁に資料として出されているのだろうと思いますが、総理、つまり今のような御答弁でございまして、何と言ったらいいんでしょうな、ほとんど輪郭すらもと言った方がいいんでしょうかね。取締役会の議事録にはちゃんと書いてあるわけですね、何万株、合計ずうっとあって、三十七社一個人で合計七百何万何がしと。そのことの確認をしていただきたいと言っても、それも言えないということですね。きょうはわざわざリクルート問題を解明するための当委員会、きょうはそのことのための審議だ、こう言う。今のようなことすらもここでは言えない。これでは恐らく何回委員会を開いても意味がないのじゃないか。 総理はもうちょっと指示をされたらどうでしょうか。なるほど、守秘義務がありますとか、プライバシーであるとか、あるいは経済人として、あるいは商取引上の言うなれば信義でありますとか、いろいろな問題がある。それはわかっているのです。だけれども、少なくともそういう問題の一つの核心、ポイントということについては、今の壁を少し越えて、多くの国民が知りたい、これは非常に大きな公益だと思いますよ。そのことによって国会国民のそうした疑問に対してある程度でも解明をして、こうですということを示していくことは、これはやはり政治に対する信頼の回復でもありますしね。そこの公益の部分をどう見るかということだろうと私は思うのですけれども、この決断はやはり総理が御決断になりませんと、官僚の皆さんの御答弁はやはり今の域を出ないんだろうと私は思うのです。その辺は総理はどう御判断されますか。
  144. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 非常に難しい問題であると思います。確かに、行政府として公式的に言っておりますのは、国政調査権に対しては最大限協力をしなければいかぬと。したがって、本日も、国権最高機関とは何ぞや、こういう御質問に対しまして、がしかしながら三権というものが存在しておってというような議論はしないで、私はそのままおっしゃる意味のとおりに答えてまいりました。がしかし、行政府という立場にありますと、報告書というものは公表しないという前提の中に報告を求めたものであるとすれば、それは私はなかなかその壁を突き破るというのは難しいことじゃないかなと思います。しかし、私は専門家じゃございませんから、私なりに勉強をしてみますが、そこのところののりを越えると申しますか、法律で書いてはないわけですけれども、恐らく省令とかという問題でございましょう、報告でございますから。が、その辺に立ち至った議論になりますと、いささか専門的知識の持ち合わせがないような気が私自身もしております。
  145. 坂井弘一

    ○坂井委員 総理、大いに勉強というか前向きにというのでしょうか、これはむしろ考えていただきたい。やはり今総理がおっしゃる国政調査権の問題、これは国民に対する奉仕の問題、国民の側からすれば、主権者としてこのことだけは知り得たいという、これはやはり主権者の一つの権利がありますね。もう一方において、確かに、侵されるある種の人権があることは、これは事実ですね。しかし、これを比較考量した場合に、今いかがかという政治判断をするのは、これはまさに総理のお立場だろうと私は思う。  そこで、総理の方も前向いてひとつ御検討いただくとして、委員長にぜひお願いしたい。やはり国政調査権を持つこの国会の場でありますので、今申しました三社、つまりドウ・ベスト社、エターナルフォーチュン社それからビツグウエイ社、この三社に係りますリクルートコスモス社からの第三者割り当て増資、この資料をぜひ当委員会提出をしていただくように理事会でお諮りをいただきたい。この第三者割り当て増資の資料と申しますのは、私は今あらまし触れましたけれども、それぞれの会社に何株の割り当てがあったのか、その何株の割り当てがあった中で、それぞれ第三者に転売をしておる、再譲渡というのですか、その再議渡の先はだれなのか、価格は幾らかというような資料をぜひひとつ当委員会提出していただくように理事会でお諮りをいただきたい。
  146. 金丸信

    金丸委員長 わかりました。
  147. 坂井弘一

    ○坂井委員 五十九年十二月の七十六人につきましては、私の方でも調査をいたしました。ほとんどやはり江副さんがチェックされたようですね。それから今問題になっております六十年四月の第三者割り当て増資、三十七法人一個人等々につきましても、相当深く江副さん御自身が御関係されているようでございます。これは、この株の再譲渡を受けたそれぞれの方々からの証言によっても、けさほども議論がございましたが、明らかにされているところでございます。恐らく、ドゥ・ベストを通してこの譲渡をした九人の方々については、これは江副さんは全部一人一人チェックされたようでございます。もちろん、菅原氏はここの社長でございますので、この方も当然お知りのようでもございます。  この辺を追っていきますと、元国税庁の多賀谷恒八さん、今税理士をされておりますけれども、この方は、六十一年の夏に江副さんから顧問を頼まれました、それからその直後の九月にコスモス株三万株を九千万円で持ってほしいと話があった、江副さんの方からむしろそんな話がありました、お金がないんだ、こう言いますと、それならファーストファイナンスから全額融資してあげましょうということでありましたので借金をしてこの三万株を買いましたと、こう御本人がおっしゃっている。これはやはり江副さんから、こういうことですね。  ところが、この多賀谷さんは、実は驚いたことに、最初は購入先はリクルートコスモスだろうと思い込んでおったわけですね、江副さんから直接の話ですから。そのつもりでこの三万株を買ったのですけれども、最近になりまして、このような騒ぎになりましたので、それでこの売買約定書、これを調べ直してみましたところ、ドゥ・ベストになっていた。相手方はリクルートコスモスではなかった。それでびっくりした。御本人がそう言っているのです。  的を絞りましてもう一回お尋ねしますけれども、そのような内容につきましては、今のような多賀谷さんがおっしゃっているそういうことから、改めて大蔵省証券局は、このドゥ・ベスト社の内容につきましては、内容をここで公表してくださいとは言いませんよ、言いませんが、今のような多賀谷さん等の証言を踏まえまして、このドゥ・ベスト社と何らかの接触あるいはお調べ、調査というのでしょうか、されましたか。
  148. 角谷正彦

    角谷政府委員 私ども大蔵省証券局としましては、いわば証券行政を的確に執行する、こういう立場から実はこの問題について調査しているわけでございます。  そこで、まず証券取引法でございますけれども、基本的には、一般投資家が参加する有価証券市場に関しまして必要な投資家保護の措置を講ずる、こういうことを目的とする法律でございます。リクルートコスモス社に係る今坂井委員御指摘の取引でございますけれども、これは非公開会社株式の取引でございまして、売買それ自身につきまして、それが詐欺的取引でございますとか、あるいは五十九年の十二月のように不特定多数を相手とする募集または売り出しとして有価証券届出書を出さなければならぬ、こういったケースは別としまして、特別の規制は加えておりませんし、証取法上の問題となるようなことはないわけでございます。そういう意味では、今申しましたように、伝えられる取引というのは非公開株式の相対による売買でございますので、これを大蔵省として調査しあるいは確認するような立場にはございません。そういった意味では調査しておりません。
  149. 坂井弘一

    ○坂井委員 このドゥ・ベストの代表取締役の菅原茂世さんは、リクルートコスモスの常勤監査役をされましたね、六十年七月三十日まで。五十八年の六月二十七日に就任されまして、六十年の七月の三十日まで常勤監査役。それからファーストファイナンスの取締役は六十三年の三月の三十一日までお務めでありまして、江副さんとの関係は非常に深い、そういう関係の方であります。  そこで続けますが、先ほど出ましたが、加藤孝前労働省事務次官、六十二年九月に退官されておりますが、この方は五十八年七月から六十年の六月まで労働省の職業安定局長をされました。  実は、さかのぼりますが、リクルート社が全国一般東京労連から昭和五十九年七月九日、リクルート商法はけしからぬという告発を受けました。この労組の「トラブル一一〇番」に一日約二十件以上もの苦情が寄せられた。五十九年七月当時の話でございます。その後、週刊サンケイ八月二日号あるいは週刊現代八月四日号等々にその辺のいきさつが、苦情が殺到したということが報道記事となってございます。このようなトラブルがありましたときの職業安定局長加藤さんでございました。  そして、こういうトラブルを受けまして、リクルート社のトラブルについて実態は十分把握していないから今後その対策を検討したい、こういうコメントもされております。つまり、当時のリクルート社のこのような苦情に対しまして、行政指導し、監督し、指導する一番の衡に当たる立場の方がこの加藤さんでありました。そして、実態を十分把握していないから把握をして、そして対策を検討する。これはもう明らかに職務を行使する。職務を行使いたしまして、その代償として、その対価として株の譲渡を受けたとするならば、これは明確に収賄罪に当たる。これは、何も刑事局長の御答弁をここで得るまでもなく、およそ常識的に収賄罪とはということに対して地でいったようなそういう行為であろうと私は思います。  ファーストファイナンスから融資を勧められてお金を借りて、そして株を買って二百万の利得を得たというのでありますから、これはもはや贈与にも等しい、こういう性格の金であろう。しかも、ただいま申しましたように、職務に関する行為であります。したがって、その対価としての株の取得であった、こう見られるのは、これは客観的に私は妥当な見方だろうと思う。ところが、労働省、労働大臣、お伺いいたしますけれども職務には関係していないかのごとき御発言がある。私は理解しかねます。今申しましたような私の考えに対しまして、所管の労働大臣の御見解を承りたいと思います。
  150. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 当時におきます求人情報誌と労働行政の関係、政策対応につきまして、私どもも精査いたしたところでございます。  委員御指摘のように、昭和五十年代後半から求人情報誌のさまざまなトラブルが発生をいたしたことは御指摘のとおりでございます。このために、労働省におきましては、昭和五十六年当時から雇用情報研究会におきましてその対応を検討を進めてまいったわけであります。その間におきまして、五十九年ごろ総評が「リクルートトラブル一一〇番」を設ける、あるいはまた国会におきましても社会労働委員会におきまして野党議員からの質問が行われる等々のこともあり、そしてまた雇用保険法改正の時期に、附帯決議におきまして、「就職情報誌紙等の増加に伴う諸問題に対応するため必要な指導を強める」というふうなことが決議をされる等のことがあったわけでございます。  そこで、政策対応でございますが、これにつきましていろいろな案が当時検討をいたされました。例えば職業安定法の大幅な改正作業、トラブル増加に対するところの対応ということで改正作業も検討もされたわけでございます。しかしなから、当時の状況といたしまして、これは私も事実を精査いたしましたが、当時における労働者派遣法案、非常に難航をいたした法案がございます。それに手がいっぱいであったというのが正直なところでございます。しかしながら、その中におきまして職業安定法の一部改正もその附則におきまして成立をさせていただきまして、募集主の的確表示義務というものも定められたところでございます。  そして一方におきましては、民間における自主的な規制と申しますか、これは新聞業界におきまして新聞における自主的な規制が求人広告について行われております。それに見習ったところの同じような体制を整備するということが自主的に定められているということでございまして、そのような努力を見守り、かつ援助するという形で現在に至っているわけでございます。  その間におきまして、加藤元職業安定局長あるいは加藤前事務次官のこの求人情報誌に関する何らの法を曲げるような行為というものも精査の結果私どもはないと判断をした、このような事実関係でございます。
  151. 坂井弘一

    ○坂井委員 加藤さんを守りたいという気持ちはわかりますよ。わかりますけれども、私から言わせれば、お役人が、自分の指導、指揮監督下にあるそういう相手から、非公開株というのを、向こうにお金を出してもらってそんな株を買うなんというようなことは、およそばかげた行為ですよ。これはもう常識以前の問題です、こんなことは。そこまで地に落ちたのかなと慨嘆しますね、これは。こんなことが、職務に関係ないんだ、職務に関する対価とはみなされない、わいろ性はないんだというような考え方が労働省あるいは政府の中にあるとするならば、このことの方がなおゆゆしきことだと私は思いますよ。これほど明確な職務に関する行為、職務権限を行使したんじゃありませんか。そしてその相手から株をお金を出していただいて二百万の利得を得る、このこととの因果関係といえば、これはもう密接な、職務関連密接行為よりなお密接だと私は思いますよ。  刑事局長に伺いますが、当然視野に入れられるでしょうな、これは。
  152. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまのお話についてはいろいろの御見解があると思いますけれども、これはもう繰り返し御説明いたしておりますように、国会の御議論というのはもう十分検察庁も拝聴しております。その拝聴した上で検察庁が適正に対処するというふうに考えております。
  153. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は本当に驚いたとしか言いようがないぐらいですね。これは単なる経済行為ではありませんよ。お役人ですよ。高級官僚ですよ。  あるいはNTTの式場さん、六十一年秋ごろ江副氏から頼まれ五千株を購入した。この方も江副さんから頼まれた。ちょっと江副さんと式場さんの御関係を申し上げましょう。  リクルートが最初に手がけたのが例のINSの中核となるディジタル通信回線の分割販売、いわゆる回線リセールですね。この回線リセールをリクルートが最初に手がけるわけでありますが、このアイデアが新聞記事になって、まあすっぱ抜かれたというのですかね。今度リクルート社がNTTとの関係で回線リセールをやる、こういうことが新聞の記事になってしまいました。江副さんが、このことが新聞記事になったことを非常に驚きまして、NTTにおわびに行きました。おわびに行きましたところ、企業通信システム事業部長式場英さんから、「「制度上新しく認められたことだから、積極的に事業展開してください。NTTも後押ししますよ」といっていただきました。」これは実はリクルートコスモスリクルートさんの広告の記事の中の一節であります。まあそんな御関係であります。  式場さんのことにつきまして、ちょっと郵政大臣、先ほども答弁いただきましたけれども、どうもやはりNTTの幹部がこの種の株、これをいただくということは、これは倫理、道義上の問題を超えて、やはりここには準公務員的な立場というのがあるわけですから大変軽薄な行為だなと、こんなことをしていいのかなと率直に私は思いますけれども、ちょっと大臣、御感想を承りたい。
  154. 中山正暉

    ○中山国務大臣 現時点で考えてみますと、先ほども申しましたが、瓜田にくつを直さずというたぐいの感じがするわけでございますけれども、その時点で類推をしてみますのに、本人は、これは安定株主になってほしいという依頼を受けて、そしてまた自己資金で取得しておりますし、それから株は損する場合もあるわけでございますから、金を借りて差益を稼ぐということではなしに、自己資金で長期保有で持つということは、自分の金を出して損する場合があるということを前提考えることだろうと思いますし、特別にそれから便宜を図ったということはなかった、これはNTTからの事情を聴取したことに関しての回答であるわけでございます。  それからリセール業に関する契約は、所要の社内手続を経た。さっき坂上先生に私が御答弁を申し上げましたのも、同じクラスの方々が寄って常務会というもので判断をするから、ひとりその組織の中で判断をするということではないということを申し上げたのでございますけれども、NTTは、式場氏の発言及び契約関係の調査からして特段の問題はないと考えているという、私ども担当の局が事情を聴取しました限りではそういう回答を得ておりまして、先生御指摘のように、長い間電電公社として国民の明治以来の蓄積で、それを今度は民営化して、新規参入の企業が入ってきて、コストを安くしてどんどん電話料金その他国民の利便を考えていく上に、新しい体制に入ったということでございますから、好意的に考えれば、その関係の大きなお得意様であると考えリクルートに対して便宜を図るためのいろいろな配慮をしたことが、今日の時点で考えますと大変軽率なことになる、そんなふうに私はその話を聞きながら感じております。
  155. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣、もう一度NTTの方に、この式場さんのこと、それから次に申し上げます長谷川さん、この前に私指摘いたしました、このことにつきまして、もっときちんとした調査といいますか、それをもう一度やり直しなさいと言われた方が私はいいと思う。大臣の方からですね。
  156. 中山正暉

    ○中山国務大臣 長谷川さんの場合は、NTTの方も今やめておりますので、リクルートから株を取得したかどうかということはわからないと言っておりますが、御指摘のこともございますので、また私からも事情を聞かせていただくというふうなことにいたしたいと存じます。
  157. 坂井弘一

    ○坂井委員 式場さんは、先ほど触れましたように、このリクルートの新しい事業展開に対しましてはNTTは後押しをしますと言って、非常に力強く激励をする、こういうことであります。一方、後ほどまた申し上げますけれども江副さんの方は、NTTと我がリクルートあるいはリクルートグループは一体である、もう各所においてそのことを力説されておる。そういう関係であります。非常に密接であります。だから自他ともに認めたそういう関係であったんだろうと思われるわけでありますので、それだけに軽率なこの行為が刑法に触れるようなことにならなければいいがな、そんな気すらするものですから、あえて申し上げたわけでございます。  そこで、長谷川さんの問題でございますが、前回も申し上げましたように、長谷川寿彦さん、この方は、NTTのデータ通信事業本部長をされておりましたが、昭和六十一年の十一月に特別背任罪の告発によりましてNTTを昨年の五月に退任をされております。この長谷川さんを江副さんがリクルート米国現地法人リクルートUSAの顧問にことしの一月にスカウトされた。三月にはリクルート国際バン株式会社の代表取締役に就任されたわけでございます。もちろん前にも申しましたように、この長谷川さんはデータ通信の第一人者でございます。長谷川さんと式場さんは上司と部下の関係だそうでございます。  この長谷川さんにつきましては、一昨日の江副さんの説明によりますと、教育・研修担当等会社ぐるみのおつき合いをしてきました、氏の辞職のときに、この長谷川さんの才能等魅力を感じていましたので、リクルート国際バンの社長にお願いをした、こうお答えになっております。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕  そこで若干NTTとリクルート社の関係につきまして御説明しますと、これは「日経コミュニケーション」昭和六十二年二月、江副さんはこう言っております。「赤字のピークは今年から来年、単年度黒字になるのはその後かな。当面はスーパーコンピューターを時間貸しするRCS事業でこの通信の赤字の一部をカバーしていきます」これは、前回私が指摘いたしましたRCS事業、これはスーパーコンピューターですからもうけになる、このスーパーコンピューターのもうけ分で、回線リセールがちょっと赤字でありました、それを埋めていこう、こういうこと。大変魅力のある仕事をNTTからいただいた。  それから同じく「日経コミュニケーション」、これも六十二年二月。江副さんは、「私はリクルートをNTTグループと考えており」、リクルートはもうNTTグループだと。「有利不利にかかわらずNTT回線を使っていきますよ。NTTと保守契約を結び、一部で電話局の局舎を使わせてもらっているなど事実上一体ですからね」と。これは非常に端的に明確に、リクルートはNTTのグループの中の一つなんだ、一体なんだ、ここまで強調されておるわけであります。  あるいはまた、リクルート社の情報通信事業につきまして、この江副さんが「ネクスト」昭和六十一年十二月号、「情報誌はデータ・ベースとしてみた場合、寿命は短い。将来、これはニューメディアにとって代わられることになるでしょう。たとえば情報オンライン・ネットワークという形で。いま通信とかリモート・コンピューティングに力を入れていますが、VAN事業が最終的に情報誌に変わっていくだろうと思いますね」、こう語っております。  さらに、この問題の出発点は、私は前回の当委員会におきまして、六十年一月の二日の日米首脳会談、ここにさかのぼるというところまで実は触れまして、その後の経緯につきまして前回の委員会で申し上げました。江副さんがやはりその辺の意識を大変強くお持ちであったようでございまして、月刊「かもめ」の創業二十五周年記念誌の取締役座談会で次のように江副さんが申しております。「中曽根総理が正月にレーガン大統領に会いに行ったけど、日本の一〇年先を考えると、中曽根さんはやはり先取りしていますよ。アメリカと仲良くしなかったら、日本はやっていけないもの。軍事的な面でもそうだろうけれど、経済的な面でね。」云々と続くわけでありますけれども、この辺がかなり、前回指摘いたしましたクレイ社のスーパーコンピューター、この辺を意識しながらこのような発言になったのかなと、これはまあ推定、想像されるわけであります。  いずれにいたしましても、NTTとの開係は大変深いということは、今までのいろいろなこうした発言、いろいろな場所におきます江副さんのおっしゃっておることを聞きまして想像にかたくないわけでございます。そこで、刑事局長にお伺いいたしますけれども、前回この長谷川さんのことに触れてお尋ねいたしました際に、視野の中に入れて検討しているものと考えている、こういう御答弁でございましたけれども、その後進展はございましたか。あるいは、長谷川さんと接触はされた、そこまでお答えいただけるでしょうか。
  158. 根來泰周

    根來政府委員 先日私が申し上げた趣旨は、リクルート問題という一つのエリアといいますか、そういう範囲がございまして、その中で、要するに犯罪の嫌疑があるんじゃないかという御指摘がある事実が相当提供されておるわけでございます。そういう御指摘を踏まえまして、検察庁は果たしてそれが犯罪としてあるいは犯罪の嫌疑があるとして捜査権を実行できるかどうかという検討をするという意味で申し上げたわけでございます。  ところで、現在のところ、先日楢崎議員が告発された事件がございます、その事件を中心に捜査を続けているところでございまして、そういう捜査を通じてそういう点も含めて検討するということでございます。  なお、具体的にどういう方を調べたかどうかということについては、従来から答弁を差し控えさせていただいていますので、ひとつ御勘弁願いたいと思っております。
  159. 坂井弘一

    ○坂井委員 あわせて警察庁に伺いますけれども、この長谷川さんについてはその後どうでしょうか、捜査はなお続行されていると思いますが、かなり進展を見ておりますか。あるいはその見通し等につきまして、いつごろ終結するめどをお持ちでしょうか。あわせて、川崎市の前助役小松さんについてはどうでしょうか。
  160. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの件につきましては、警視庁におきまして告発を受理いたしまして、現在捜査を継続しておるところでございます。現時点でいつごろまでにという見通しは立っておりません。  具体の事件でございますのでこの事件につきましての捜査の進捗状況につきましては答弁を差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますならば、告訴、告発事件の中には、犯罪の成否が微妙でございますとか、あるいは民事事件との絡みがございますものとか、あるいは関係者の一部の事情聴取がなかなかできないものとかいうふうな理由から、処理にかなりの期間を要しているというものがございますことを御理解いただきたいと存じます。  なお、川崎の件につきましては、現在神奈川県警察おきまして情報収集を通じまして事実関係の把握に努めているところでございます。
  161. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がございませんので次に行きますが、東大教授の公文俊平氏、九月三十日付で一身上の都合によりということでもって辞職をされてございます。辞職の意向を表明されたのがことしの四月でございました。教授会等を経まして文部大臣が承認されたのが九月の三十日でございますが、この方は政府税調委員でもございます。この方に一万株のコスモス株の譲渡があった、こう言われているわけでございますが、この方が退官された理由につきましては、一身上の都合ということでございますが、なお詳しく文部省は把握されておりますか。及び、一万株譲渡云々につきましては御調査されましたか。
  162. 加戸守行

    ○加戸政府委員 お尋ねの公文俊平氏につきましては、四月ごろ、これは新聞報道等でございますが、教養学部の学内問題等を理由としての辞意をほのめかしたような記事を拝見しておったわけでございますが、ちょうど前期の授業が終了いたします七月十一日付で御当人から中島文部大臣あてに、九月三十日付をもって退職したい旨の辞意表明が、辞職の申し出がございまして、理由としましては、「このたび一身上の都合により昭和六十三年九月三十日付をもって辞職したいのでご承認願います。」という文書でございます。これを学内で教養学部教授会の承認を経まして東大の学長から九月二十二日に文部大臣あての上申がございましたので、それを受けまして、九月三十日付、いわゆる本人の辞職願日付どおりに承認、辞職の発令をしたということでございまして、私どもは、本人の辞職の理由につきましては、通常こういった辞職願が一般的に一身上の都合ということでございまして、それ以上のせんさくは通常いたしておりません。  それから、株の取得の問題でございますけれども、国立大教官が適法な範囲内でそれぞれ個人の財産を運用するということにつきましては個人の問題だと理解しておるわけでございまして、そのこと自体につきましては調査あるいは取得の事実の有無の確認はいたしておりません。
  163. 坂井弘一

    ○坂井委員 政府税調委員で株を取得されたということ、ちょっと不都合だと思いますね、総理、どう考えてもこれは。ちょっとその辺は、総理、お調べになった方がいいんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  164. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 とっさの御質問でございますので、私も的確なお答えをするだけの自信はございません。その個人の問題と、そういう政府税調委員としての資格の問題と、そうしてこの問題自身の打つ問題点と、もう少し私も勉強さしていただきたいと思います。
  165. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は非常にまずいなと思うのですよ、こういうのは。これはまずいと思います。どうですか。やはり非公開株で先ほどのと根は一緒ですよ。少なくとも、ドゥ・ベスト社から、こう言われているのですね。だからここら辺は調べられた方がいいんじゃないですか。ほかの人のことについてとかく言っているわけじゃないんです。政府税調委員をされている、東大教授はおやめになった、この方に一万株、先ほどの八万株の中から一万株ですね、ドゥ・ベスト社から公文さんに渡った、こう言われているのですね。その真偽のほどはやはりお調べになった方かいいんじゃないでしょうか。あとどうするこうするということは後のこととして、とりあえずはお調べになった方がいいんじゃないでしょうか。それは一切個人の商行為であって関係ないんだという態度は、これはおとりにならない方がいい。少なくとも関心を持ってお調べになった方がいい。調べた結果をここに報告しなさいと僕は言っているわけじゃないんですよ。
  166. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 便宜私からお答えを申し上げます。  政府税調委員には御承知のように各方面の人材になっていただいておるわけでございますが、そういう面から申しますと、税調委員になられることによってあれをしていただいては困る、これをしていただいては困るということを余りたくさん申し上げるということもいかがなことであろうか。税調委員という本来の御職責がありますから、それはおのずから普通の市民とは違うということはございますけれども、御自分の財産を管理されるために経済行為をやられるというようなことは、これをやっていただきますと困りますということはなかなか申し上げにくいかと存じます。  しかし、そういう行為の中にもいろいろなものがあるであろうということになりますと、それはもうなかなか細かくは申し上げられないことではなかろうか、基本的には私はそう思っておりまして、したがいまして、公文委員について、そういうようなことをなさいましたか、どうでございますかというようなことをお聞きすることもさていかがなものであろうか。これは、違法の行為とかいうようなことでございますともう論外でございますけれども、税調委員にはなるべくいろいろなお方になっていただいて自由に御討議も御審議もいただきたいと思っておる立場から申しますと、余りあれこれということを申し上げるのはいかがかという気持ちがいたします。
  167. 坂井弘一

    ○坂井委員 ますますあれですから、では、時間がございませんので、ビツグウエイ、先ほど申しました東京都北区、細江さんが社長でございます。何回か私の方もお尋ねをいたしました。新聞報道等もございます。もうあのとおりでございますと、さきほどもまた回答がございました。あのとおりでございます、あのとおりというのは、もう新聞報道等のとおりでございます、こういうことでございます。  つまり、そのことは、この化粧品製造会社ビツグウエイ、昭和三十四年の四月の設立でございまして、社長は細江さん。ことしの一月までドゥ・ベストの菅原茂世代表取締役が社長をしておりました。五十一年に社長に就任されまして、ことしの一月まで菅原さんが社長、今の社長は細江さんであります。リクルートコスモス有価証券報告書によりますと、このビツグウエイが六十年の四月、十二万株の第三者割り当て増資を受けております。ところが、この菅原さんは、江副さんから個人的に頼まれて購入をしたのだ、私の独断でこの株を買いました、ただ、江副さんからは、店頭登録前にこの株は返してくださいよ、こういう約束でございましたので、全部コスモスに返しました。役員の皆さん方、あるいは今の社長の、当時は専務でありましたが、この細江さん、一体、菅原さん、これは何事ですか、せっかく買った、あるいは割り当てをしていただいた十二万株をそっくりまた返すというようなことは常識的には考えられません、一体何があったのですかとさんざん迫ったのですけれども、いやいや、とにもかくにも返す約束なんだからこの株は全部返す、こういうことであったようであります。  ファーストファイナンスからの融資を受けたことはほぼ間違いなかろうとこの社長さんはおっしゃっておる、細江さんが。なぜかというと、会社の金は一切動いていないのです。十二万株が一体どこへ渡ったのかさっぱりわからぬと言うのですね、この会社社長の細江さんは。当時の社長である菅原さんに聞くしかない、この方しか知りません、全く不可解なことですね、困ったことですね、これも江副さんとの関係でこのような不明朗なことが行われておる、こう本人はおっしゃっておる。でありますから、この問題もやはりきちんと解明しなければいかぬことだろうと思いますね、こういうことが起こってまいりますと。既に新聞の報道等でもなされておる。  総理、どうですか。この辺の問題も含めて、冒頭私が申し上げましたけれども、個人の問題であるとか、商行為のことであるとか、あるいはお互いの信義の問題もあるとかどうとかということは確かにわかりますよ。わかりますけれども、少なくともこれだけの疑惑が投げかけられて、この問題のいささかの解明もなくしてこのままでいくならば、これは大変大きな不信を買う。このことの方がやはりより重い、大きいと思いますよ、国民の不信という問題。それにこたえるという意味におきまして、相当やはり決断をして、相当な部分は、これは総理の決断をもって解明するのだという姿勢だけはひとつ示していただきたいな、こう思いながら総理にお尋ねするわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  168. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今、国会でいろいろ御議論があっておる。したがって、刑罰法令に触れるというような問題については、検察当局がそれぞれ関心を持っておるだろうと私も思っております。  今、坂井さんのおっしゃった問題は、刑罰法令に触れるという問題のみならず、この問題がいろいろなところへ波及している実態について政治的責任の中で十分調査をすべきだ、こういう御意見であったと思います。私もみずからに関係する問題でございますので、それなりの自分の周辺についての問題についての対応の仕方のみならず、今の御意見があったということをどういうふうにしてやれるか、実際、私、今とっさのことで自信もございませんだけに、今の御意見を十分私自身承らしていただいたという表現を限界としてのお答えをするしかないと思います。
  169. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参りましたので、最後に委員長にお願いいたしたいと思います。  証人として次の二人をさらに加えていただきたい、お呼びをいただきたいということでございます。その一人は、株式会社ドゥ・ベスト代表取締役菅原茂世氏、いま一人は、リクルート国際バン株式会社代表取締役長谷川寿彦氏、このお二人を証人として新しくお願いをいたしたいというお願いでございます。  なお、さきにお願いをいたしております前リクルートコスモス会長江副浩正氏につきましては、なおまた改めて、重ねて証人として喚問をこの席でお願いをしたいと思います。  以上、三名でございます。よろしくお取り計らいをお願いいたしたいと思います。
  170. 海部俊樹

    海部委員長代理 後刻理事会において相談させていただきます。
  171. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  172. 海部俊樹

    海部委員長代理 これにて坂井弘一君の質疑は終了いたしました。  次に、河村勝君。
  173. 河村勝

    河村委員 一昨日、当委員会から委員長並びに各党の理事江副氏の病床質問のために行って、答弁を得たわけです。当然、病床での、しかも参考人としての質問ですから、十分な成果が得られないことは当初から予定されていたことであります。しかし、海部さんが記録をされた答弁をつぶさに読んでみますというと、そうした中でもやはり本音が出てくるものですから、なるほどこういうことかと思われるところがあります。そのことを、ちょっと関係箇所を読んで、それで総理大臣それから大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。  その中で、「売却先政治家及び秘書等の政界関係者が多数にのぼっていることについては、店頭登録基準である最低二百人の株主を確保するうえで、当社の業務に理解を持っておられる社会的地位のある各位に、コスモス株を引き受けてもらった結果で、他意は全くなかった」、こう言っておるわけですね。  そうしますと、江副氏の意図は、政界におけるリクルート社に理解を持っておられる社会的に高い地位にある人、ですから、当然、秘書などが含まれるわけはない。そう考えるのが常識でしょう。ところが、竹下さんの場合でも、それから宮澤さんの場合でも、秘書がすべてを扱って自分は関知をしないとおっしゃっている。直接江副氏と接触する場合もあるだろうし、間接の場合もありましょうけれども江副氏にしたところが、こういう意図のもとに譲渡をしようと考えたのならば、理解を持っておられる社会的地位のある方に自分の意図が伝わらなければ何にもならないのですね。ですから、どういう形であれ、竹下総理にしても宮澤さんにしても全然知らなかったというのは、それはこの江副氏の発言からいうと通用しないように思うのですね。一体どうお考えでしょうか、総理
  174. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今の御質問を聞きながら、この海部理事記者発表文を読ましていただいておりますが、「売却先政治家及び秘書等の政界関係者」ということにつきまして、私を知っていらっしゃることはもちろんでございますが、私も存じ上げておる方でございますが、ちょっと表現が適切ではないかもしれませんが、お互い一緒にやっておる者として、秘書には秘書の人格というものがやはりあり、そして信頼関係もあるであろうというふうに私は思っております。
  175. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私も江副さんの言われましたことを後で読ませていただいたのでございますが、そういう御意図であるということ、どうも私としてはそういうことを十分わかっておらなかったと申しますか、知っておらなかったように思います。
  176. 河村勝

    河村委員 いわゆる国会議員の秘書でも、それは独立の人格があることは当たり前であるし、それ相応の社会的地位があると思いますけれども江副氏がリクルートのために理解を持ってくださる社会的地位のある人といったら、それが秘書でありようはないのですよ。ですから、どう考えたって不自然であって、その辺をすっきりさせないことが、国民がこの問題について非常ないら立ちを持つ一つの大きな原因だと私は思います。  しかし、この点を押し問答しましても同じ御返事でしょうから、それはこれ以上伺いませんが、しかし竹下総理、先ほどの質問にもありましたけれども、今回この問題を国政調査権に基づいて調査するに当たって、大蔵省のガードというのは異常にかたいのですよね。さっきの質問に対して、あなたは、これは大変難しい問題で、国政調査権協力するのは当然だけれども、いろいろな法律、規則などの壁が厚くて、自分も勉強してみるけれども、それを破るだけの専門的知識はないというような御答弁をなさいましたね。しかし、これは一体専門的知識が要ることなのでしょうか。政治常識で判断することでしょう。そんな厚い壁なんかあるわけないのですよ。ですから、私は、この薄い壁を破ることがこの問題を終結させる一番早道だと思う。  もしここでもってお役所の方は一切必要な資料は出さない。それで、もはや安倍幹事長は、これは新聞報道等によれば、証人喚問には一切応じないというようなことを発言しておられるようですね。国としてもやるべき調査はやらない。証人喚問も一切拒否する。一体それでこの問題をどう処理しようとして考えられているのですか。これはもうエンドレスに押し合いへし合いが続くだけのことですよ。ですから、あなたが意図しておられる税制改革だってできっこないのですよね。  ここでもって、健全な政治良識に従って、国としての、行政権としての調査を積極的にやって、それを公表して、それで全貌を明らかにする。全体像がわからないことが国民の一番のいら立ちであり不満なんですよね。大きな金が水面下で流れて、一体それがどういう理由でどういうふうに行ったのか全然わからない。それを最終的にどうしろということよりも、一体どうなっているかわからないということが一番いけないことであって、事実関係を確認するというのはこの委員会の仕事だと言ってもいいのです。それから後のことは、政治倫理の問題であれ、ほかでやったって構わない。しかし、事実関係が確認ができなければ、これは委員会としてはあくまでやっていく以外にはないのですよ。いかがでしょう。
  177. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほども一部お答えを申し上げたところでございますが、これは河村委員行政に御経験の深い方でございますのでくどくなりましたらお許しいただきたいと思いますが、証券行政は、証券取引法を中心にいたしまして、市場における投資者を保護する、不測の事態に遭わないようにというのが行政中心でございます。したがいまして、このたびの調査に当たりましても、その行政に与えられました範囲内で調査をいたしました。そして、公表してよろしいものは国会に御報告いたしましたし、例えば任意提出に係るような情報、資料等につきましては、今後も任意提出を正しく偽らない方法で求めたいという見地から申せば、公表してならないという約束のものは公表をしないというのがやはり行政提出者に対するこれは一つの約束であろうと存じます。  このたびは行政が行き足りないという御批判を今いただいたわけですが、行き過ぎるという御批判もいただくことがございまして、やはり行政としては与えられた範囲をきちっと守るということではないかと存じます。
  178. 河村勝

    河村委員 大蔵事務当局に聞きますけれども、ただいま問題になった第三者割り当ての対象になる会社、個人の氏名についてのリスト、これはディスクロージャーを前提にした報告だから表に出すことはできぬということの返事が先ほどありましたね。けさの日経の朝刊を見ますと、第三者割り当て割り当て先公表させることに決めたと書いてあるのですね。それは今度の例を見ても、このリクルート関係で安定株主づくりの趣旨のもとに政治家国家公務員等にいろいろな形で株式がはめ込んである、そういう疑いをなくすためにこれを公開させることにしたという記事がありますが、これは本当ですか。
  179. 角谷正彦

    角谷政府委員 現在の有価証券通知書につきましては、先ほどからたびたび御答弁申し上げてきておりますように、いわば有価証券届出書提出が必要ないわば不特定多数に対する募集または売り出し、つまり五十人以上の一般投資家にこれを売り出しまたは募集する場合には投資家保護の観点からやる、こういうことでございまして、それを補完すために、五十人未満の場合でありましても補完するための行政上の指導としてとっているということでございます。それは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。  ただ、今回のいろいろな経緯にかんがみまして、現在、証券取引審議会不公正取引特別部会におきまして、公開制度のあり方全般について検討を加えております。その中での一つの意見といたしまして、公開時に何らかの方法でその一定期間前の株式につきまして第三者割り当て増資を含めましてディスクローズさせてはどうかという御意見が一部にあることは事実でございます。ただ、これは現在同審議会において検討中でございまして、できれば年内に結論を得たいと私ども思っておりますが、そういう意見があることは事実でございますが、そういうことを決めたとかなんとかという段階ではまだないということでございます。
  180. 河村勝

    河村委員 そういう必要があって公開すべきであるという意見が強い。多分これはそうなるのでしょう。そういうものすら公開に応じない。  ここで私は、証券取引法二十六条、これは前の予算委員会のときにも随分議論になりました、これをもう一遍はっきりと読んで、それでその運用を考えてほしい。これには、「大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、」途中省略しますが、「関係者に対し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員をしてその者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」要するに報告徴収義務と検査権、これを何の修飾もなしに二十六条に規定をしているわけです。だから、使うつもりなら非常に強力な武器になるはずです。ところが、それを狭く狭く解釈をしてこの条文は使えないんだというのが大蔵省。法制局長官はやや違うけれども、やはり自民党・政府の意図が働いているものか、かなり制限的に考えておられるようです。  大蔵当局は、この二十六条について、前の議事録等を見ますと、これはディスクロージャー制度の適正な執行をするための規定だから、発行した株の相手がだれであるかということは別段関係ないので、そういうものを含めて、一切これを二十六条によって報告を徴したりすることはできないというような非常に投資家保護だけに限定した狭い解釈をとっているようですが、その考えは変わりませんか。簡単に。
  181. 角谷正彦

    角谷政府委員 この問題につきましては、法制局長官からも前に御答弁があったかと思いますけれども、証取法二十六条というのは、やはりその証券取引法という実定法上の具体的目的に則して運用される必要があるわけでございます。  具体的には、この規定は、この条文があります第二章、つまり有価証券の発行開示制度の適切な運用を担保するといったことのために必要な検査権限を定めたものであるというふうに判断せざるを得ないわけでございます。そういう意味で、届け出義務を課しておりますところの発行会社が届け出を怠った場合等に問題とされるわけでございます。  リクルートコスモス社のこの件に関しましては、確かに私ども五十九年十二月の七十六人に対する譲渡につきまして調査いたしまして、これがその届け出を怠った事由に該当するのではないかという判断をいたしました。ただ、この場合において問題になりますのは、発行会社が投資家保護を怠って届出書を出さなかったということが問題なわけでございまして、その譲渡を受けた人に問題が特段あるわけではないわけでございます。  こういった意味から、今回のリクルートコスモス株の売却の問題につきまして、これを購入した人の氏名を調査することを目的として同法第二十六条を発動するということは極めて困難ではないかというふうに考えております。
  182. 河村勝

    河村委員 二十六条は、投資者保護のためというだけでなくて、「公益又は投資者保護のため必要」な場合というふうになっているわけですね。だから、今の大蔵省の事務当局の考えというのは、投資家保護のために限定してこれを考えている。  法制局長官はちょっとは違うようですね。あなたの考えを確認したいのですけれども、ずっと長く説明をされると時間がなくなるので簡潔に。この法の目的は第一条の記すところでありますが、要するに、公正な取引を維持するために必要ならばそれは公益に合致するから、だからその場合には一般的に発動が可能である、こういうふうに言っておられるわけですね。
  183. 味村治

    ○味村政府委員 私は、衆議院の予算委員会におきまして、矢野委員に二十六条の公益の解釈について申し上げました。その趣旨は、公益というのはかなり広い概念でございますが、この証券取引法の二十六条の公益というものは、これは証券取引法の目的から解釈すべきである。そして、その証券取引法の目的というのを見てみますと、「国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、有価証券の流通を円滑ならしめることを目的とする。」こう書いてあるわけでございます。そこで、そういうようなことが目的なのであるので、政治倫理を確立するというためにどうこうするということは証券取引法の公益の範囲には入らないでしょうということを申し上げたわけでございます。  そこで、ただいま委員の御質問がございましたが、この証券取引法の第一条に、「有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、」ということでこの「公正」ということが入っているわけでございます。ただ、この「公正」というのは、その前に限定と申しますかそのもう一段上の目的がございまして、国民経済の適切な運営及び投資家保護に資するためというもう一次上の目的に資するということが、この証券取引の公正ということを目的としているさらにその上の目的になっている。したがいまして、そこの国民経済の適切な運営あるいは投資家の保護ということを目的とする有価証券取引の公正ということでなければならない、このように考えるわけでございまして、したがいまして、政治倫理の確立とかそういうことは証券取引法の目的の範囲外である、このように考えている次第でございます。
  184. 河村勝

    河村委員 国民経済の健全なる運営の方はわかりますけれども、公益の上に投資家保護がかぶさっているという説明は、これはおかしいでしょう。そんなけちなものではないはずだ。第一、二十六条そのものにも「公益又は投資者保護」と書いてあるのですよ。後に書いてある。別物ですよ。だから、公益が投資家保護に限定されるといういわれは全くないでしょう。いかがです。
  185. 味村治

    ○味村政府委員 この点につきましては、この規定の上で公益または投資家保護、こういうふうに二十六条はなっているわけでございますので、この投資家保護というものと公益というのとは別のことを言っているのだ、こういうふうに文章の上からは解せざるを得ないわけでございます。証券取引法自体は、投資家保護を通じて国民経済の健全な発展を促すものだ、それを目的とするのだという学説もございますが、一応両方分けてございます。そういう意味から申し上げますと、投資家保護ということは二十六条に特に目的として書いてございますので、あとは先ほど申し上げましたような、国民経済の適切な運営に資するために有価証券取引の公正を確保する、こういうことになろうかと存じます。
  186. 河村勝

    河村委員 何か文章の上では投資家保護と区別してあると言うけれども、文章の上でしか法律は解釈できないでしょう。法の精神は、国民経済の適切な運営という大きなものは書いてありますけれども、それ以外にはないのですよね。そうでしょう。だから、もし今回のリクルートの一連の取引というものが公正さを欠く懸念あるいは疑いがあるという場合には、当然この二十六条というのは公益のために発動してしかるべきである、そういうことになりましょう。どうです。
  187. 味村治

    ○味村政府委員 先ほど申し上げましたように、証券取引法上の取引の公正を図ることを目的とする、この取引の公正ということの究極の目的は、国民経済の適切な運営及び投資家の保護を図るということにあるわけでございます。それで、投資家の保護ということは、先ほど先生も御指摘になりましたように証券取引法の二十六条に書いてございますので、残るところは、国民経済の適切な運営のために証券取引の公正を確保する、こういうことになるわけでございますが、これは国民経済の観点から見ました場合のことでございますので、政治倫理の確立というところから見た場合の公正とは意味が違うだろう、こういうことを申し上げているわけでございます。
  188. 河村勝

    河村委員 私はまだ政治倫理のことを言っておらぬのに、先回りしてそれに入っている。これは明らかに何でもかんでも否定してやろうという魂胆で、法匪的な発想で言うからそういうことになる。  だから、とやかく言っても、投資家保護と公益とは別にちゃんと区別して書いてあるんだから、国民経済の健全な発展を図るために、これは当たり前の話ですよね。だから、もちろんあってよろしい。だけれども、今回の取引はどう考えても公正とは言えないでしょう。今度のいわゆるこの今問題になっている第三者割り当てにしましても、特別利害関係者である菅原氏がビツグウエイとドゥ・ベストと二つの割り当て先になっていましょう。その割り当てた今問題になっておりますのは、八万株がそのままこのトンネルを通して売却をされているという疑いがある、少なくとも。あなた方これを今認めようとしないから、だから疑いにしておきましょう。疑いがある。  で、この特別利害関係者に対する譲渡禁止の日にちとわずかに六日違い、六日違いで禁止期間はわざわざ外してある。これはもう意図的にやっていることは間違いがない。そういうような取引というのは、これは不公正でしょう。どうですか。
  189. 角谷正彦

    角谷政府委員 六十年四月の第三者割り当てでございますが、これは今御指摘のように、協会のルールに定めますところの特別利害関係人等に対する割り当て制限期間といいますか、そういったものの前でございますので、特段の問題はありません。  なお、今、ビツグウエイですか、か何かについてお話がございましたけれども、個別の第三者割り当て先について申し上げるのは適当でございませんが、一般的に申しまして、ビツグウエイというのはリクルートコスモス社との関係におきましては特別利害関係人には該当いたしません。
  190. 河村勝

    河村委員 どうも時間を節約するために省略するとそういうことを言うけれども、しかし、このドゥ・ベストの社長は菅原氏、ビツグウエイの社長も当時は菅原氏でしょう。これは特別利害関係人であることはもう自明の理でしょう。それなら当然、もし六日の差がなければ、これは不法な譲渡ですよね。そうでしょう。
  191. 角谷正彦

    角谷政府委員 若干詳しく説明申し上げますと、日本証券業協会の内規におきます特別利害関係者等と申しますのは、当該会社、つまりリクルートコスモス社の役員、その配偶者及び二親等内の血族並びに主要株主、それから二番目には関係会社及びその役員、三番目には申請協会員これは引き受け証券会社でございますが、とその役員というふうに定められているわけでございます。そこで、この場合関係会社と申しますのは、端的に申しまして、リクルートコスモス社株式の過半数を有している親会社、子会社、あるいは会社株式数が二割以上五割以下で財務や営業の状況に照らしまして重要な影響を与えることができる場合というふうに決められているわけでございます。  そこで、今お話がありましたビツグウエイとかあるいはドゥ・ベストでございますが、そういった会社につきまして、これは割り当て先であるかどうかという点は別といたしまして、一般的に見てみますと、全くリクルートコスモス社との間に資本関係がございません。したがって、役員が兼務されていたということだけの事業をもってしましては、これは特別利害関係人というふうな、いわゆる内規に言う特別利害関係人に該当しないというのが証券業協会の取り扱いであるというふうに聞いております。
  192. 河村勝

    河村委員 何とかかんとか言っておりますけれども、とにかくそういう疑いのある、不公正な取引である疑いのあることだけは間違いないのですよね。それでまた、まかり間違えば贈賄を構成しかねない譲渡も行われている。贈賄、収賄ですね。それから架空名義のものもどうもありそうだ。とにかく少なくとも公正でないことを疑わせる材料が幾らでもあるのでしょう。そうであれば、この二十六条の公益上必要あるということは当たり前でしょう。それでも総理大臣は壁が厚いと言って調査権を発動しようとはされないのですか。
  193. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私は、同会における問答を聞きながらの証券取引法上の問題点しか実は専門的な知識はございません。したがって、任意の提出に伴うものについての問題については、先ほど来大蔵大臣証券局お答えになっておるのが正しいだろうというふうに感じております。
  194. 河村勝

    河村委員 もうとにかく絶対にやらないと決めてかかっているから、幾ら筋道の通ったお話をしても全然聞く耳をお持ちにならないようだ。これでいいのかということですよね。  私はロッキード事件のときのことを考えているのです。刑事訴訟法四十七条。法務省に伺います。これは、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」この場合の公益というのは何ですか。
  195. 根來泰周

    根來政府委員 いろいろ留保はございますけれども、例えば国政調査権に基づく資料の要求がございました場合、あるいはほかの裁判所から訴訟記録の取り寄せがあった場合、そういうときを例示として物の本には掲げております。
  196. 河村勝

    河村委員 普通の解釈はそういうことなんでしょう。ロッキード事件の際に政治的道義的責任を明らかにするという問題がクローズアップをしました。当時既に捜査が始まっておりまして、その捜査の過程で、起訴になった人はその間の事情が国民の前にも明らかになりますけれども、起訴にならないけれども政治的道義的責任を負ってもらわなければならない人、例えばその他の事情がなければ収賄に該当するけれどもしかし時効等によって訴追を受けないいわゆる灰色高官、当時称せられたのは、こういう者を明らかにすべきではないかということで我々は主張をいたしました。その間の事情は省略をいたします、もし疑問があれば言わなければなりませんけれども。その場合に、この刑訴四十七条を援用して、それでいわゆる灰色高官を公表したという事実があることを法務当局は御存じですか。
  197. 根來泰周

    根來政府委員 よく承知しております。
  198. 河村勝

    河村委員 了承しているという返事ですから、説明を要しないので大変助かります。政治的道義的責任を明らかにするためにこの刑訴法四十七条を発動した、この公益。刑事訴訟法というのは刑法を運用するための法律ですね。ですから直接的には政治的道義的責任というのは関係がない。しかし、公益のために必要だとみなしてこれを発動したんですよね。当時は三木内閣です。総理、そういうことです。ですからこの場合はもっと簡単です。証券取引上の公正を図るため、そして同時に政治倫理に資するためということであれば、この証券取引法二十六条の解釈なんというのは、これはもうあなたがなされば、法制局長官はそのとおりでございますと言うに決まっているぐらいのものですよね。いかがですか。
  199. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 事ほどさように思い上がるべきじゃないと思っております。
  200. 河村勝

    河村委員 そういうのは思い上がるとは言わないんです。思い上がりというのは、理屈も何もないところを自分でもって偉いと思っているのが思い上がりであって、正しいことを実行するのは思い上がりではなくて、これは総理大臣に欠かすべからず第一の資質ですよ。それがなかったら総理大臣の存在意味はないですよ。  私は、きょうあと楢崎委員質問するものですから、、時間がなくなったので、これ以上これを追及することができなくなりました。しかし、これはあきらめませんよ。あきらめませんよ。もしこれを本気でもってお取り上げにならない、証人喚問を拒否する、これはもう完全に泥沼ですよ、これは。それをどうするかは一にかかって竹下総理の双肩にあるんですよ。この辺で決断をしてください。もう一遍御返事ください。
  201. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私は行政府の責任者であります。したがって国政調査椎に最大限協力をしなければならぬ、これは承知しております。しかし、その担当の部署で、法律に照らして、その問題が任意的な問題であって、支障を来すというものに対して、出すべきであるという主張には、私自身がより勉強しなければそこまでの決断は下せない、こういうふうに思います。
  202. 河村勝

    河村委員 勉強には時間は要りません。決断だけです。ひとつもう一遍日本のために考えてください。  最後に、こういう状況ですから証人喚問はあくまでも実現をしなければなりません。ですから、先ほどから他党からも話がございましたが、江副、菅原両氏を初め七人の証人喚問を我が方の理事から理事会にもう既に提出してあると思いますが、お計らいをいただきたい。お願いをします。
  203. 海部俊樹

    海部委員長代理 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ここにある本があります。「夜に蠢く政治家たち」、小高正志という方ですか、これは、「私は昭和五十三年一月から十一月の、約一年間、赤坂のある料亭で玄関番をしていた。ひと口に玄関番と言っても、単に下足番というわけではなく、車の手配から駐車場の世話まで、いろいろな仕事がある。」こういうはしがきがついておりますが、この中に非常におもしろいものが出てくるんですよね。  これは五十三年五月一日、清水秘書官ほか四名、六時、松の部屋、「清水秘書官の席には、官房長官と日本リクルートセンターの江副社長さんら。竹下先生は例によって麻雀。」これは要らぬことですけれども、こう書いてある。つまり今から十年前ですね。この官房長官は今の安倍さんですね。安倍官房長官、福田内閣のときです。清水秘書官というのはドゥ・ベストの名簿に出てくる清水二三夫さんのことであろう、このように思います。十年来のおつき合いですね。  それからこれは七月二十七日、今も問題になりましたビッグウエイ菅原ほか七名、六時、これも松の間になっております。「ビッグエーの席にはリクルートセンターの江副さんが入る。」十年前からのつき合いですね。  もう私は時間かないから、これは総理、一度お読みになったことございますか。——ふんとおっしゃっているから御存じだと思いますね。相当のつき合いですよ、江副さんは。相当政府の高官の方たちに深く入り込んでいらっしゃることがもう如実にこれは示しておりますね。これは私はうそじゃないと思うのです。  それでまず関心を求めておきたいと思いますが、きょうも私は不思議な現象にお遭いしました。社会党の坂上さんがやったことにも関係をいたしますが、私は、過ぐる八月九日、予算委員会で、六十年四月二十五日のリクルートコスモス増資第三者割り当て、これの未公開株譲渡先リストをここで発表いたしました。それが八月九日です。続いて八月二十四日、参議院の予算委員会で社会党の矢田部さんが全く同じリスト発表されました。きょう坂上さんがそれをもう一遍念を押されました。カドタニさんというのですか、この方。カドヤですか。カドタニさん。角谷さんはまたきょうも同じことを言っていますね、あなたは。真偽のほどは何とかと。あなたにはもうこのことは聞きませんよ。  委員長、ここに写真がありますから、これを法務大臣に見せてください。  これはこういうことなんです。商法第三章商業登記第九条以下、及び第三節ノ二新株ノ発行第二百八十条ノ二、並びに商業登記法第一章第一条以下、及び第八十二条新株発行による変更の登記、これによって、こういう増資第三者割り当てをする場合には当該会社の管轄をする法務局に届け出るようになっているのですよ。だから証券局長関係ないんだ。法務大臣、その写真が——そうですか。ゆっくり見てください。——別に興奮はいたしておりません。それがあなたの管轄下にある東京法務局に届け出されたいわゆる六十年四月二十五日の未公開株譲渡先リストです。それをごらんになっても、あなたは、これはうそだと、真偽のほどはわからぬとおっしゃいますか。きょうこの問題についてはまず真偽について決着したい。  委員長、お願いします。
  205. 海部俊樹

    海部委員長代理 よろしいですか。——林田法務大臣
  206. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 今ちょっと見せていただきましたところによりますると、これは東京法務局第三者割り当てをしたときの取締役会の決議が登記されておりまするので、それであろうと思います。
  207. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 法務大臣が、これは本物であると。それでもなおわからぬとおっしゃるのですか。それじゃ、別に私は要求をしておきます。当委員会から東京法務局に代表をやって確認させてくださいよ。  なぜ私がこれを言うかというと、あの八月九日にも、あるいは参議院の予算委員会でもそうですけれども、六十年四月二十五日の未公開株の譲渡先から、それをトンネルにして第四者に渡っている。既にドゥ・ベストのことははっきりしてきた。だから、このリストが本物でなくちゃそれから先に進まないのですよ。だから、これはきょう決着をつけてください。  並びに、私はこの第三者割り当ての中で、公明党の坂井さんもおっしゃいましたけれども、一番可能性のあるのは、いろいろあると思いますけれども、三十七社ですか、一番可能性のあるのがドゥ・ベスト、エターナルフォーチュン、それからこの「夜に蠢く政治家たち」に出てくるビツグウエイ、これは最も可能性がある。  それで、このエターナルフォーチュンはもう参議院で幽霊会社ということがはっきりしていますね。これにつけ加えますと、私の友人がセコムの飯田社長と非常に仲がいい。ちょうど八月二十四日、参議院社会党の矢田部さんと共産党の上田さんがこのエターナルフォーチュンは幽霊会社であるということを指摘なさったその日のはずであります、あるところにこの飯田セコム社長が行っておった。奥さんから電話がかかった、急いで帰ってこいと。そして、聞くところによると、エターナルフォーチュンの社長になっていることを私は全然知らない、あなたは知っているのですかとだんなさんを責めたそうですよ、飯田セコム社長を。もしあれなら証人としてでも参考人としてでもいいから呼んでごらんなさい、間違いございませんから。それほどこれは幽霊会社で、社員もいない。電話をかけてみたら、セコムの顧問税理士さんですか公認会計士さんのところ、その会計士の事務所の方も、自分のところがエターナルフォーチュンの事務所になっているということを御存じない。これでは特捜だってエターナルフォーチュンに連絡しようと思っても連絡しようがないのですよ。これもひとつ、こういうことをはっきりできるのですから、当委員会でははっきりなさったらどうでしょうか。  それから、ビツグウエイです。ビツグウエイは、五十一年から六十三年一月まで問題のドゥ・ベストの社長さんの菅原さんがこのビツグウエイの社長をされておる。なぜやめられたか。社内でもめた。つまり、このビツグウエイに十二万株ですか未公開株が行っている。これは当時の社長の菅原さんが勝手にやったことで、役員も知らなかった。それがこのころはっきりしてもめて、それが原因で六十三年一月におやめになった、そのように聞いております。だから、非常に問題のある会社でございますから、これもほかの委員が言いましたとおりはっきりされた方がいいのではないでしょうか。  それから、もう時間が来ました、最後にもう一問しておきますけれども総理にもお願いをしておきます。  税制国会と言われている。この税制改革問題について答弁する方の方で、宮澤さんは既に名前が出ておりますけれども、まだほかに答弁する方で株をこっそりと譲り受けておられる方があるかないか、竹下総理の責任において調べてください。そうしないと、税制改革国会なんていったって、できませんよ、こんなことを伏せては。  角谷局長——いや、一問だけと言ったはずですが、まだ一問終わっていない。加藤さん、余り言わぬ方がいいんじゃないですか。  角谷さん、ずっと私はあなたの答弁を聞いておって、これは私一人の印象かもしれないけれども、何かリクルートコスモス社の弁護士みたいな感じですね、あなたの答弁は。だから、こんなことがあってはならぬと思いますけれども、証人になったつもりで一言答弁してください。あなたには株は渡っていないですね。それから、そういう相談はなかったかどうか。それだけ最後に証人のつもりで答弁しておってください。
  208. 角谷正彦

    角谷政府委員 私どもは、だれの立場というよりは、やはり証券行政を適正に執行する立場から、先ほど大臣お答え申しましたように、過不足なく行政をやるのが私の務めであるというふうに考えております。  なお、私は江副さんと全く面織がございませんし、今お話しのようなことについては、全く私自身相談を持ちかけたこともなければ、何かあったということも全くございません。
  209. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いずれわかることですから、これで終わります。
  210. 海部俊樹

    海部委員長代理 これにて河村勝君、楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  211. 正森成二

    ○正森委員 御承知のように、十月十一日に我が党は記者会見で、リクルートコスモス社が六十年四月に行った第三者割り当て先の一つ、今もお話が出ている株式会社ドゥ・ベストから公務員政治家あるいは秘書等九名にコスモス株八万株が譲渡されたことを示す文書公表いたしました。これは第三者割り当てで受けた八万株と全く同じであります。  お手元にお渡ししておりましたが、その現物が、送られてきた郵便がここにあります。これは千代田区富士見町の私の九段宿舎に送られてきたもので、消印は九月二十九日というようになっており、リクルートコスモス真相究明会名前になっております。住所は記載がございません。そしてここには、こういうように、記者会見では筆跡からいろいろ御迷惑がかかったらいけませんのでワープロで打ち直しましたが、こういう手紙かついております。  今同僚議員もお読みになりましたので、同じであるかどうかわかりませんが、時間の関係から一部だけ引用いたしますと、「国民を甘く見ているような、自由民主党及び政府首脳の態度と江副浩正の取った卑劣な行為等に対して許すまじく正義の天誅を、先生の御力によって加えて頂きたく、ここに」送付するという意味のことが書いてあります。私どもは、この文書が本当に真実を反映したものかどうかというのは影響するところが非常に多うございますので、入手いたしましてから約十日間いろいろ調査をいたしました。  その後、御承知のように加藤孝当時労働省事務次官も譲渡を受けていたことを認めました。時間の関係で、労働省に質問する予定でしたが、午前中同僚委員質問いたしまして労働省が認めましたので、この質問は省略いたします。  また、NTTの長谷川寿彦、そして式場英、こういう取締役が譲渡を受けていたことが記載されていますが、そのうち式場英氏については、これまた午前中同僚委員質問に対しまして郵政省は確認いたしましたので、中山郵政大臣、せっかくおいでいただきましたが、重複になりますので失礼させていただきます。場合によったらお帰りいただいても結構です。  そういうように、この文書から、譲渡を受けた人がそれぞれ認めている。また、言うまでもなく、多賀谷恒八という熊本国税局長をやった人物、この人も、新聞紙上でこの株式譲渡をこの日に受けたということを認めております。したがって、これらのことは、この文書が非常に正確な真実を反映したものであるということを示すものにほかなりません。  しかも、きょうの午前中からの質問によりますと、非常にこの文書の送付者にとってはうれしかったことだと思いますが、竹下総理大臣が、青木伊平、御自分の秘書がリクルートコスモスの株をドゥ・ベストから譲り受けたということをお認めになりました。その部分の速記を私録音を起こしましてとってまいりましたが、こう言うておられます。「青木氏に事実関係をただしましたところ、六十一年九月にリクルート関係者から話があり、ドゥ・ベストという会社の所有する株式を譲り受けたものである、ということでございます。この問題は、あの本院においても質問がございまして、私から調査を約束しておりましたので、したがって本院の場をかりてその調査の結果として、いま、お答えしたということでございます。」こう速記ではなっております。間違いございませんか。
  212. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 速記、恐らく、テープを起こしての話ですから、そのとおり申し上げたと思います。
  213. 正森成二

    ○正森委員 そこで、これはこの文書が非常に正確な真実を記載したものであるということが、いわば総理大臣も含めて、少なくとも四名の方から確認されたということになります。  宮澤大蔵大臣は、先ほどの答弁を聞いておりますと、文書の性格を知らないのでそれに沿って答えられないという意味のことを言われました。そうすると、あなたは、今でもあれですか、この文書の性格がわからない、ドゥ・ベストから出たものかどうかわからない、そういう御見解ですか。
  214. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまお話しのようなことを伺いまして、ああ、そういう経過かということはわかりましたが、しかし、それにお疑いを申し上げるわけではございませんけれども、この文書に即してお答えをすることは避けたい、こう申し上げております。
  215. 正森成二

    ○正森委員 私は、そういう御懸念があるいはおありかということで、午前中の質問総理が率直にお認めになりましたのでその必要はいわばなくなったわけですけれども、そう言われることがあろうかと思いまして、十月三日の月曜日に私自身ドゥ・ベスト社へ行ってまいりました。そして、もし社長がおられるなら、この文書を示し、これはドゥ・ベスト社の社用便せんを使っておりますから、こういう事実がありますかということを率直に聞こうと思って、私自身行ってまいりました。その建物の一階の入り口には、この便せんにあるのと同じマーク、これは珍しいものですが、それがついております。三階の部屋のドアにもついております。ドア付近です。  それで、私が社長に面会を求めましたら、社長は台湾へ出張しているとか、何回も電話しましたが、出張ばかりで、台湾へ行ったり開西へ行ったりということで会えませんでしたので、私はこの問題について聞きたいと思い、八万株第三者割り当てを受けましたか、その株は現在も持っておられますか、あるいは第三者譲渡されましたかというような、私の聞きたい質問事項を会社の便せんを使いまして、応接室を借りて、社員もおりましたが、そこで書いて渡してまいりました。  そのときに私は書き損じをいたしましたので、そのドゥ・ベスト社の便せんを一枚持って帰ってまいりました。それがこれであります。私の字が書いてあるドゥ・ベスト社の便せんであります。これを見ますと、色が青くて一見違うように見えますが、それをさらにコピーをとりますと、これと全く同じ色のこういう色になります。これは、大きさも、そしてこの印も、全く同一であります。これはドゥ・ベスト社の社用便せんであるということは私は完全に証明されていると思います。そうだとすれば、この文書記載されていることを、だれか正体不明の怪文書のようにつくられたものではないというように私どもは確信しているわけであります。それだけではありません。ほかにもまだあるのですよ、裏づけ証拠が。  そうだとすると、この文書記載されている九名の方に譲られたということは真実に合致するものではないでしょうか。それに対して宮澤大蔵大臣が、どうやら今までの答弁をお聞きしておりますと、不用意に、名前を貸してくれと言われて、あなたの秘書の服部さんが河合に名前を貸した。どうやらこの答弁によりますと、今まで国会ではそんなことは一つもおっしゃらなかったけれども、私どもの名義を貸してくれということで、それが服部なのかあるいは宮澤喜一なのか必ずしも確認しなかった、だからこういうことが起こったのだ、やはり河合が借りたのには間違いがないという意味の御答弁のようですね。私は、あそこで聞いていて、そう思ったのです。  それからまた、あなたは、同僚委員も言われましたが、最初は十三回ほどノーコメントを言われまして、その後、秘書の服部の名義であることは間違いないが、それは河合が貸してくれと言ったからだというように言い直されまして、ずっと国会ではやってまいりました。そこで、十日近く十三回もノーコメントと言われたぐらい慎重なあなたが、やっと服部名義だと、しかもそれは河合という人に名義を貸せといって使われたというのに、その名義なるものが果たして服部なのか宮澤なのかを確かめなかったなどと、そんなことがあり得ますか。小学生ならあるかもしれませんよ。しかし、いやしくも衆議院議員で、証券行政を監督すべき立場にある宮澤喜一ともあろうものが、これだけ大問題になっていて名義を貸したというのに、その人間に確かめるのに服部の名義を貸したか宮澤の名義を貸したか調べる段階になってもそれを確かめなかった、また河合という人はそれも言わなかった、そんなことを国民のだれが信じますか。
  216. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 けさほど坂上委員からお尋ねがございまして申し上げたところでございますが、この問題につきましては従来何度も国会で御説明を申し上げてまいりました。秘書の報告として御説明申し上げてまいりましたが、けさほど坂上委員も仰せになりましたように、私はずっと御答弁をいたしてまいりましたときに、この点につきましてはかなり慎重に実はお答えをいたしてまいりました。と申しますのは、私どもと違う第三者のいたしたことでございますから、それが服部であるのか宮澤であるのか、厳格に言えば私どもにはこれを確認する方法がないわけでございます。そういうことはかなり考えまして慎重に御答弁を申し上げてまいったのでございますが、最近になりまして私の名前というもので名義が出ておるということが言われましたので、それは予期しないことであったかと考えまして、秘書の服部を通じまして河合氏にそれを確かめたわけでございます。その結果、先ほど申しましたようなことでございましたので、そのとおりに御報告を申し上げたわけでございます。  なお、この文書につきましては、国会議員国会お話しになられることでございますので、私は、それが真実でない、疑いを持っているというようなことは、そういう失礼なことを申し上げる気持ちはございませんが、それに即して御答弁をすることは御遠慮させていただきたい、こう申し上げておるのでございます。
  217. 正森成二

    ○正森委員 いろいろおっしゃいますが、最初に朝日新聞に報道されたときにも、「宮澤蔵相の大臣秘書官である服部恒雄秘書名義の場合、」云々というように書いて、服部恒雄名義である。そして「約五千二百万円の売却代金が銀行口座に振り込まれている。」こういうぐあいに服部名義になっているのです。そしてそれを受けて、例えば七月十六日の夕刊を見ますと、「河合康文SE総合設計社長は十六日、「有力政治家の秘書の名前な借りれば、リクルートから非公開株を入手できると思い、以前から知り合いの服部秘書名義で取引した」」こういうふうに言っているのです。これは終始一貫しているのですよ。そして週刊誌でもこう言っているのです。「株の売買報告書は服部家に送られてきたが、」河合氏が「服部氏の家に行って、家族に「これは僕のもんだから」と断り、回収した。」というようになっているのです。  ですから、ドゥ・ベストのこれでは、宮澤喜一、こうなっています。氏はついておりません。失礼します。しかし、実際に売ったときにはどういうわけか服部恒雄氏の名義になっておった。つまり名義は二遍変わっているのです。一度は宮澤喜一さん、一度は服部、こういうぐあいになっているのです。いいですか。  そして、私どもはさらに別に確かめております。これは東京新聞です。十月十日ですから、十一日に我々が記者会見する一日前です。ここには「株式売買約定書」というのがあって、このときには多賀谷氏の名前が出ておりませんでした。A氏という名前で、「A氏が割当先と交わしたリクルートコスモス社株式売買約定書」というように書いてありました。ごらんになってもわかりますように、名前のところは消してあるのです。私どもはこの点も調査しました。この資料で実は消しているところ以外にも巧妙に消されているところが一カ所あります。それはどこかといえば、この書類の左上であります。左上が白くなっていますが、ここには二百円の収入印紙が張ってあり、売り主と買い主の消印が押してありました。それをどういうわけか東京新聞ではこれを御公表になるときに、あるいは東京新聞が入手されたもとかもしれませんが、その部分をお消しになっているわけであります。  ですから、宮澤大蔵大臣、あなたが、ここに書かれているように、ドゥ・ベストとあなたの名義で、あなたがやったかあるいは河合氏がやったかそれはまたこれから申さなければなりませんが、株式売買約定書というのを必ずつくることになっているのです。それは二百円の印紙を張って消印を押すことになっているのです。それが必ずドゥ・ベスト社にあるはずであります。もし多賀谷氏のようにお金をファーストファイナンスから借りた場合には、ファーストファイナンスを甲とし多賀谷氏を乙とする金銭消費貸借書というものがつくられるはずであります。その場合は、多賀谷氏の場合には印紙を張らなければなりません。それもまた六万円の印紙を張って消印が押してあるはずであるということも私どもは確認しております。宮澤氏があるいは河合康文氏が自分のお金でお買いになったかはわかりませんが、もし借りておられればあなたの場合は二万円の収入印紙を張らなければなりません。我々はそういうことも確認し、この東京新聞公表された写真にはその収入印紙の部分が抜けているということまで事実を調べた上で公表したわけであります。ですから、絶対に間違いはありません。上田副委員長は当時十一日に九九%まで言われましたが、竹下総理もお認めになった今では一〇〇%聞違いのない文書であります。  そこで、宮澤喜一本人が出ているという場合には、おれの名前だがしかしおれではないという挙証責任はもはや宮澤喜一氏個人にあると言わなければなりません。これ以上証明のしようがないじゃないですか。そして、さっきから聞いていると、失礼ですが総理大臣総理はドゥ・ベストから買ったということも認めておられるし、そして青木の口座に金が入ったということも認められておる。ところが、宮澤大蔵大臣、あなたはドゥ・ベストからということも認められない。だれの口座に入ったかということも認められない。しかし、当時から服部氏の口座に入っているということは当然の前提なんですよ。大体、売買通知書だけ服部さんのところへいって金は河合さんのところへいくなどということは取引上できないことは、あなたはとっくの昔に御存じじゃないですか。  ところが、きょうの表現を私が聞いておりますと、口座の問題について、総理は、青木の口座と聞いている、銀行まではわからない、こういうように率直におっしゃいました。ところが、あなたは、私の方は私の方に入っていないので全くわからない、こういうように答え、それどころか、逆に、私のメモを見ますと、後で速記を見ればもっとはっきりすると思いますが、取引の通知は河合になるようにしてあるとのことだった、こういうように私のメモではなっていますよ。最近報道されたので服部を通じ河合から事情を聞いた、承諾を得たと考え、私、つまり宮澤ですが、名を借りた方が有利と考えてそうした、しかし取引の通知は河合になるようにしてある、私のメモに間違いがなければそう言っておられます。そんなことあり得ないじゃないですか。
  218. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、失礼でございますが、最後のところはお聞き違いをなされておられると思います。私の申しましたのは、ただ取引の通知等は服部あてに行われるようにしたとのことであった、次がございまして、その意味は、河合氏は、同氏が開設した服部名義の口座に入金をして事業資金に充当したとのことであったということでございます。それと、冒頭におっしゃいましたように、このことは、服部の名義を使ってこういうことをやっていることが河合氏の言っていることなんでございますが、当初報道されましたときに、やはり服部というふうに報道されておりまして、したがって、私どももそういうことだと考えておったのでございますが、この取引の通知あるいは入金等々が服部の名義でなされておるということはそのとおりでございますので、その部分が報道されておったと存じます。
  219. 正森成二

    ○正森委員 総理、そこでお伺いしたいと思いますが、最初私が申しました速記録では、「リクルート関係者から話があり、ドゥ・ベストという会社の所有する株式を譲り受けたものである、」こうおっしゃっておる。ここでははっきり「リクルート関係者から話があり、」ということもお認めになっております。ところが、報道によりますと、多賀谷恒八氏とそれから式場英氏はいずれも、江副本人から買ってくれと言われた、あるいは買ってくれればもうかるからと言われた、こう言って、江副自身から言われたということを言っておられます。  それからまた、最近いろいろ報道されましたが、他の同僚委員からもお話が出ましたビツグウエイという、十二万株持っており、ドゥ・ベストと同じ菅原氏がことしの一月まで社長をしておられた会社ですが、ここでは、奇妙なことに、江副氏から個人的に頼まれて購入した、私の独断でやったことだ、会社の金で買ったのではない、責任はすべて私にある。ビツグウエイという会社第三者割り当てを受けながら、それは会社の金を使っていない。役員会にも諮らず独断でやっておる。しかも、値上がりが確実だのに、店頭登録の前にリクルートコスモスに全株返却することになっている、こういう不可解なことを言って、私どもの関係者が昨日このビツグウエイの現社長である細江伊佐男氏に面会してこの事実を確かめたら、そのとおりであると言った上で、電話のやりとりの中から発覚したときに緊急役員会を開いたが、その場はまるで菅原の糾弾会のようになったということまで言っておられます。  つまり、この菅原という人物は、それほどリクルート社長江副氏と親しく、会社を私物化してまで江副の言うことを聞くという人物であります。だからこそ、同僚委員が、ビツグウエイの十二万株もどこへ行ったんだ、例えば政治家の中にはこのドゥ・ベストのルートの流れた株だけでは勘定の合わない人がいる、それほどこからもらったのだ、どこからもらったと言うといけませんね、譲渡を受けたんだ、それがビツグウエイじゃないか、あるいはエターナルフォーチュンじゃないかということは同僚委員が言われたとおりです。それぐらいの人がドゥ・ベストの当時代表取締役だった菅原氏であります。そこからお二人とも御自分自身の名義であるいは腹心の秘書の名義で株式譲渡を受けておられるということになれば、ある経済人とかリクルート関係者というように抽象的に言っておられるのは、まさに江副本人ではないかというように国民が思うのは当然じゃないでしょうか。  そして、江副自身も、私ども臨床質問に行きましたら、多賀谷氏や式場氏がそう言っていられるならそうとしか言いようがないということで、決して否定されていないのです。御自分からは言えない、こう言われました。宮澤さんについては存じ上げていないと言われました。しかし、これはまだ宮澤さんが認めておられないからで、もし宮澤さんが多賀谷氏や式場氏のようにお認めになれば、宮澤大蔵大臣がそうおっしゃっているならそうとしか言いようがない、こういうように言って、心因反応なんか一遍に治っちゃうのじゃないですか。だから、あなた、本当のことを言ってください。
  220. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 けさほどからただいままで申し上げましたとおりでございますので、御了承をお願いいたします。
  221. 正森成二

    ○正森委員 そういう答弁を聞いても、ここにおられる大部分の委員また新聞関係者はあなたの言うことを信用しないと思いますよ。こういう文書が出る前ならまだしも、ここに書かれている人は、あなた以外だれ一人そういう弁解はしないのですよ。総理も青木だということは認める。そして、私どもがこれを新聞記者会見して既に三日たっておりますけれども、ドゥ・ベストからも社長からもリクルートからも、ただの一言の抗議も訂正申し入れ書も来ないのですよ。現総理に関係し大蔵大臣に関係することについて、それがうそだったら、消費税等税制改革の法案の審議にも重大な影響を与えるのに、何らかの意思表示がないというようなことはあり得ない。十月三日に私が質問書を出してから十日以上たつのに、それに対して何らの応答もない。そんなことがありますか。  それだのに、自分の名義は出ているがあくまで河合という人物がやったのだと言うなら、かくも大胆に、明確な了解も得ないで、大蔵大臣になってから二カ月、現職の大蔵大臣宮澤喜一名前を使い、そして自分自身が利益を得る。結果的にはリクルート社は宮澤喜一氏に譲ったと思って、相当な値打ちのある株式譲渡した。これは最高裁の判例にもあるでしょう。通常人が受けられないような株式譲渡を受けたらそれだけでわいろになるというぐらいの値打ちのあるものです。それを譲り受けたということであるならば、この河合なる人物は、まさに詐欺によってリクルートからあるいはリクルート関係者からこれだけの値打ちのあるものを騙取した詐欺犯じゃないですか。  あなたは被害者だと言われましたね。新聞にも載っております。あなたが被害者かどうかは今の段階では私は断定できません、本当はあなたが受けたのかもわからないのだから。しかし、もし彼の言っていることが本当だとすれば、リクルート関係者が被害者であることは間違いないのです。そうだとすれば、この消費税国会に重大な関係のあるこういうトラブルを起こした人物に対して、是非曲直を明らかにするために、あなたが司法権の発動を促すとか真実を明らかにするとかするのは当たり前じゃないですか。  あなたのとるべき道は二つしかないのです。一つは、もしそれが真実なら、正直に、私が購入いたしました、今まで国会で言うていたのは誤りで食言でありましたと言うか、それとも、あくまで違って、河合という人物がそれほど悪い人間なら、世間を騒がせ、国会の審議をおくらせる、そして私利を得たということで、あなたが真実を明らかにするために何らかの法的措置をとる、そのどちらかをやらなければ国民のだれが納得しますか。しかも、あなたはこの消費税を審議する主管大臣じゃないですか。キャピタルゲインの問題についてもあなたが責任を持ってやらなければいけないんじゃないですか。そして、その疑惑の当事者である江副氏、税制問題の特別委員じゃないですか。税の痛みを知っている者の代表として私は発言する、こう言って彼が今度の消費税の法案をつくる一人になったのじゃないですか。国民が、こんなものを審議できるか、真実を明らかにしろと言うのは当たり前の話ですよ。そうじゃないですか。
  222. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、二つしかなくて、一つは私が購入したということかとおっしゃいますので、それはそうでないということをるる申し上げてまいりました。  そこで、河合氏の話でございますが、るる申し上げましたように、私ども名前を使ってやらしてくれないかという話のときに、比較的軽く考えまして、こういうことになると思わなかったわけでございましょう、親しかったからでもございますかもしれませんが、どうぞと申した。そこのところは大変に私は軽率であった、私自身もそういう監督行き届かなかったと思いますが、それは合意がございますわけでございますから、河合氏は何もだまそうという意思があったわけではございません。そして、普通に申せば、河合氏のやったことは違法のことでもございませんし、自分で払い込みましてそれを売ったということでございますので、私どもから詐欺だとかだまされたとかいうことを言うのは、私どもがどうぞと言った立場でございますから、そういうふうには考えておりません。
  223. 正森成二

    ○正森委員 何か今のあなたのお話を聞いていると、初めから服部氏の名前を使おうと宮澤喜一名前を使おうとそれはどちらでも構わないと受け取られるような言い方をした。だから法的措置なんかとる気はないんだというように聞きましたが、大蔵大臣、現職がそんな気軽な気持ちで株の売買、しかも店頭登録後もうかることが確実なものについて他人に名義を貸していいのですか。それだったら、国民は、かくも軽率なことをやる大蔵大臣にキャピタルゲインの課税の適正化なんか求めることはできないと考えるのは当たり前じゃないですか。  それから、また申し上げたいと思います。大蔵大臣、ここに「追跡 リクルート疑惑」という、朝日新聞の横浜支局、ここが発売した最近の本があります。この百七十四ページと、そして百七十六、七ページに、宮澤大蔵大臣秘書官の名前が出たときの横浜支局の人が服部秘書官等に会ったそのときの話が載っております。これは、六月三十日の三時に大蔵大臣大臣室に行って秘書官に会ったということで書いてあります。「服部秘書官は完全に否定した。コスモス株取引を証明する資料を見せ、「服部さんと同姓同名、同住所の人が取引したとは考えられない。他の秘書の方も、この資料を見ると思い出していただけるんですが」と迫ったが、「知らないものは知らない」とはねつけた。」こうなっているのです。そしてその後、翌日の七月一日に、今度は議員会館へ行って、宮澤さん自身に正攻法でいこうと、こう決めた。そして大臣への質問内容を書いて渡しておいたら、午後二時ごろお会いするというので行ったら、服部秘書官が出てきて、「「あなた、議員会館に行きましたか」きのう、あれだけはっきりと否定したではないか。まだ何をチョロチョロ動いているんだ、といいたげな、憤然とした声だった。蔵相のコメントがほしいだけだ、と説明すると、「そんなことは私から答える。蔵相と江副氏とは、財界人の集まりで会えばあいさつする程度の間柄。リクルートコスモス株については、全く知らない。株の売買は立場上するはずもない」とだけいうと、電話を切った。」こういうぐあいになっているのです。  これから見ると、ほかの方は売買に関するものを見せられるとぱっと思い出すが、服部秘書官だけ思い出しもせず否定し抜いたということは、実は服部秘書官自身も知らなかったのじゃないのですか。実際上は大蔵大臣宮澤喜一氏だけが知っていて、売買のときに服部秘書官の名前を使ってそして売ったのじゃないのですか。だからこそドゥ・ベストにはあなたの名前しか載っていないのじゃないですか。国民はこういうものを読んだらだれでもそうじゃないかと思いますよ。そういう大蔵大臣が税制改革のキャピタルゲイン課税問題なんかについて提案をするなんということができるのですか。私は、そういうことをやっても国民はだれ一人納得しないだろうというように思いますよ。  宮澤大蔵大臣、私はいつか言ったことがあります。国士たるものの、さむらいですね、第一の条件は、廉恥の精神を持つことであり、恥を知るということだ。宮澤大蔵大臣が国士をもって任ぜられるなら、恥というものを知って、もっと国民にわかるような説明をされる、あるいは河合氏について徹底的に法的措置をとってその理非曲直を明らかにするというのが当然じゃないですか。それをやらないで法案の審議をしろとか消費税法案の問題がどうだとか大蔵大臣として言うというのは、先にやるべきことが残っているんじゃないですか。私は、国民はそう思うに違いないというように考えるものでございます。いかがですか。
  224. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま承っておりますと、これは服部秘書も知らない、宮澤が自分一人で取引をしたのではないかというそういう結論をお持ちのように承りました。私が従来御説明してまいりましたことを全くお聞き入れになっていないわけでございますが、国会における御議論は御自由でございますから私はそれを尊重しなければならないと思いますが、そういうことを仰せられるためには、私がいつだれとそういうことをしたのか、他人でなく宮澤がしたとおっしゃいますればそれをおっしゃっていただきませんと、ただいまのお話は、いかに言論が自由でありましても、私としてはちょうだいいたしかねます。
  225. 正森成二

    ○正森委員 そういうことをおっしゃるなら、今お声がございましたように、私どもも証人喚問するということで用意をしておりますが、もう一言、宮澤大蔵大臣、申し上げておきたいと思うのです。  私ども江副氏に面会してまいりましたが、そしていろいろお尋ねしてまいりました。もちろん国会へ出てきていただいたわけではございませんから不十分なことでしたが、江副氏は、従来から一貫して、七十六名への株譲渡については、その目的はリクルートコスモスの五十九年度決算対策である。十三億何がしです。あ、リクルートのですね。失礼しました。リクルートのです。あわせて、リクルートコスモスの店頭登録のため二百名の株主が必要だったという二つを挙げているのです。  ところが、あなた方の六十一年九月の第三者割り当ての部分は、明白にこれは決算対策ではないのですね。五十九年じゃなくて六十一年だし、売ったのはリクルートじゃなしに別の会社ということになっているのですから、決算対策ではない。株主の数は六十一年四月三十日既に二百五十名に達して、以後は表向きは動いていないのです。あなた方への譲渡は、七月二十九日に株主総会が行われて、株の移動は取締役会の承認を必要とするというのが切れてからですから、特に報告はされていないのです。そうすると、あなた方は、この二つのどれにも当たらないのに、今言ったような不明朗な経過で株の譲渡を受けたドゥ・ベストを通じたらわずか九名の限りなく国民にとっては疑惑の対象であるその中に入っているじゃないですか。そして、なぜこういうようにトンネル会社を通して譲渡を受けたのだということになれば、これは疑惑があるというように言わなければ仕方がないのです。  そこでもう一つだけ言っておきましょうか。我々の独自の調査によりますと、河合康文氏というのは、あなたの、宮澤派の代議士である増岡さんの秘書をしておられた方である。しかも増岡さんは岡山のあなたの選挙区の隣の方です。あ、広島。失礼しました。広島です。その人に近い人に聞いたら、この服部さんは、宮澤に貸しができた、今後宮澤がおれに、河合康文氏の近くの人が、宮澤に貸しができた、今後宮澤がおれにどんなお返しをしてくれるか見ものだ、早ければ早いほどよい、こういうふうに身近な人に語っているということを我々は聞いております。  いいですか。大蔵大臣が、いやしくも、被害者だと言われている加害者の方から、宮澤は今後どういうお返しをしてくれるか見ものだ、早ければ早いほどよい、こんなことを言われるようで大蔵大臣としての職責が全うできますか。そうだとすれば、リクルートもまた同じようなことを思っているんじゃないですか。そういう疑惑のままどうしてこの税制改革を進めることができるでしょうか。  総理大臣、こういうような状況のもとで、大蔵大臣がこのままで国会の審議は続けられるのでしょうか。私は総理にこのことも聞いておきたいと思います。  そして、委員長に申し上げます。我々は既に十八名の証人喚問をしておりますが、さらに追加をして、先ほどお話がございました菅原茂世氏、加藤孝氏、そして公文俊平氏、式場英氏、多賀谷恒八氏、ビツグウエイの代表取締役の細江伊佐男氏、この人はみずから進んでマスコミにも語っております。リクルートコスモス代表取締役の池田友之氏、ファーストファイナンスの代表取締役の小林宏氏、この方の証人喚問を要請するとともに、このドゥ・ベストで、私がお示ししましたこの書類、九名が書いてあります。株式譲渡内訳です。これには別紙と書いてあります。別紙と書いてあるということは、本文があって、それに別紙とつけられたわけですから、この本文と別紙、これらの文書提出をお願いしたいと思います。さらに、先ほど申し上げましたように、株式の売り渡し約定書が必ずドゥ・ベストの中にあるはずであります。それは公式の文書だと思いますから、それもあわせて取り寄せていただくことをお願い申し上げたいというように思います。
  226. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私について二、三お話がございましたので、お答えをさせていただきます。  あなた方譲渡を受けた者と何度もおっしゃいましたが、譲渡を受けたことはないということをるる御説明申し上げてございます。  それから、何か河合氏が私にどうとかということを言っておるそうだというのは、伝聞でございましょうから、あえてお答えはいたしません。
  227. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 二つだけまず申しておかなければなりませんのは、この文書の問題について御意見があっておりましたが、私は、昨日、いわゆる公党がお出しになった資料については調査した上でないとコメントすべきものではない、こういうふうに言っておりました。私がきょうこの場を通じて青木伊平氏の株の譲渡、譲り受けの方についてお答えいたしましたのは、今言われてちょっと思い出しましたが、参議院で矢田部さんと上田さんとにそのようなことを申したような気がしておりました。ここでも言っておったような気がしておりましたが、きょう速記録にはないということでございましたが、そういう意味において、公式のこの場所でお答えをすべきだと思ってお答えをしたということでございますので、文書そのものの信憑性とかいう問題では、公党のお出しになったものですから、当然我々はそれはそれなりに尊重するとしても、文書そのものを調べてみたとかそういうことではございません。  それから二番目には、江副氏から譲り受けたではないか、これはございません。  それから三番目には、税制国会にこういう問題があるではないかということでございますが、この問題は、まさに道義的責任の問題あるいは刑法上の問題、そうして税法上の問題、それから証券取引上の問題、およそ四つ、組み入ったこともございますが、存在しておると思います。したがって、税制改革のためにお願いしたこの国会でございますので、税制改革の立場から御議論をいただけることを期待をしております。
  228. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  229. 海部俊樹

    海部委員長代理 これにて正森成二君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十七日月曜日午前十時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十四分散会