○水谷
委員 先ほどから何回も申し上げておりますけれ
ども、特にこの
税制改革の入り口で国民的な関心が寄せられておりますのは、
キャピタルゲインに対してはどういうふうになるんだ、それから土地等の資産に対する的確な評価と適正な
課税がどう行われるのか、この
二つとも、税調の
税制改革の基本が発表されたときも、この土地
税制については一歩も二歩も踏み込むようにという、そういう基本的な立場であったはずでございます。
そういう
意味で私は申し上げたいのでございますけれ
ども、この含み益という問題は、これをこのまま放置しておきますといろいろなところに問題が派生してくる。特に国際的にも
我が国の含み益というものが、いわゆるダンピングの基本の
部分にそういうものもあるのではないかとか、いろいろな国際批判を受けている
一つの
部分にもなっていると言われているわけでございます。
総理、我が党の
委員長がいろいろ御
質問申し上げましたときに、未実現の
所得に対する
課税、こういうものはいかがなものか、さて、保有ということになると
固定資産税、保有税との絡みがありまして、こういう御答弁がございましたが、私はそれではちょっと納得できないのでございまして、
固定資産税、保有税との問題があるならば、ではどうすれば、どういうふうに方向性を出していけばこれが適正に位置づけられるのだろうか。やはり年間二百六十兆とか二百七十兆、まあ年間ではございませんが、現実にそういうふうにある含み資産、含み益、これはそれによって担保能力もつき、さらには新たな投資を生み、さらには新たな
事業への進出が図られ、そして経営の安定能力が増し、これは企業にとっては大変な
一つの果実と言ってもいいほどのものであるはずだと思う。
そのものが、非常に難しい位置づけのために何ら手を打たれないということであると、これは個人の場合は、御存じのとおり相続税という形で二十年ないし三十年に一回はそれが精算をされるといいますか、含み益もかなり妥当な線で評価をされて、相続税評価額というものによって、これは路線価によって決めてくるわけでございますけれ
ども、ある程度適正にこれが評価されてくる。しかし、法人は倒産するまでそういうものは起きてこない。
これをありとあらゆる法人にかけろとか、または高税率にせよとか、また短期のうちに含みを税として取ってしまえとか、そんな乱暴なことを申し上げているのではなくて、その含み益に対する的確な把握、そして適正な
課税というこの方向性も、やはりこの抜本改革の中で明確に位置づけをしてしかるべきものではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
固定資産税には問題があるといろいろ指摘がございます。半面厳し過ぎる、半面
固定資産税が甘過ぎるから土地の流動化が起きず、高度利用が行われず、保有に対する認識が非常に甘いのだ、これは土地対策上非常によろしくないという厳しい
議論もあります。しかし
特例、いわゆる住居、生活用資産等についての配慮をすることはもちろんでありますけれ
ども、保有に対して適正な
課税を行うということを除いては、土地対策、土地に対する
税制というものは確立はできないだろう。この狭い
日本の国土の中で一億二千万にも及ぶ国民が本当に有効に国土を利用しようとする場合、その国土がいわゆる資産を生むための元手として利用されたり、さらにはそれが放置されたり、高度利用が行われなかったり、これはもう許せないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
それから、未実現のものに対する
課税というお話でございますが、
総理、相続税はどうでしょうか。例えば親から子に、親から子ばかりではございませんが、一般的にはそういうことです。これは親から子へ移るだけでございます。移るだけでかかるわけでございます。これも
考え方によれば、
固定資産税の補完的な役割の
一つとして、富の集中を防ぐために
課税をされている相続税の位置づけというふうに考えれば、これも親から子に移るだけで、必ずしも実現をされていないものであります。
いわゆる
固定資産税は個人、法人ともにかかるわけでありますが、さらにここにはとらまえられない含み益については、個人は相続税という形で二、三十年に一回取られる、ところが法人はないという
意味で、この土地増価税というものを
固定資産税を補完する税という位置づけをして、そしてここに細かい配慮が必要です――
総理がよくおっしゃる装置産業等、非常に厳しい産業の構造転換の中で御苦労されておられるようないろんな企業も全部ひっくるめてみんな厳しくやれ、そんな暴論を言っているのではなくて、それらも全部配慮した上で、やはりこの位置づけは避けて通れないのではないのか、こういうふうに考えるわけでございます。
もう
一つ。
固定資産税そのものも見直しをしなければいかぬのかな。それは、
固定資産税はやはり
応益負担の原則に徹した方がいいのではないか。含みまでその
固定資産税の中から評価がえをして取っていくという位置づけはどうなのかな、こういう
考え方もあります。
固定資産税は、やはり
地方の格差が生じてまいります。固定資産、いわゆる特に東京のように地価高騰を続けている地帯と過疎
地域、そういうところでは、全くこの
固定資産税の税収の格差というのはその
自治体には出てまいる。ですから、その含み益そのものについては、
国税の形でこれは保有税という位置づけをして、適正にそれが課せられればいわゆる
地方間の格差是正という役割も出てくるのではないのか。
固定資産税の中にある含み益
部分、これらも積極的に保有土地増価税という形の中でこれを位置づけをしていけば、そこに整合性もとれ、いわゆる個人、法人のこの不公平もなくなり、適正な、また有効ないわゆる地価対策にもなれば、土地の高度利用の方途もここから見出せるのではないのかな、こんなふうにいろいろ考えているわけでございます。
私は、冒頭申し上げましたように、今度の
税制改革の中でこの
部分がやはりしっかりと位置づけられなければいけないのではないのか。
総理がよくおっしゃる
所得、資産、
消費、バランスのとれた税
体系を構築していくというこれに、
消費の
部分がこれから
議論をされる
部分でございますから、私は踏み込んで
議論はいたしません。しかし、
所得、資産という位置づけもされているわけであります。そういう
意味では、特に不公平を国民が感ずる、土地を持てる者と持たざる者とのこの不公平感、それも個人と法人との不公平感、これらをなくしていくためにも、二百六十から七十兆円と言われているこれらの含み益に対して
税制改革の中で重い位置づけをなさるべきではないのかな、このように御指摘をいたすわけでございますが、まず
大蔵大臣、いかがでございましょう。