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1988-09-16 第113回国会 衆議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年九月十六日(金曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 加藤 六月君 理事 海部 俊樹君    理事 瓦   力君 理事 羽田  孜君    理事 藤波 孝生君 理事 加藤 万吉君    理事 村山 喜一君 理事 二見 伸明君    理事 米沢  隆君       甘利  明君    小沢 辰男君       片岡 清一君    金子 一義君       岸田 文武君    熊谷  弘君       志賀  節君    鈴木 宗男君       田原  隆君    谷  洋一君       玉沢徳一郎君    中川 昭一君       中川 秀直君    中村正三郎君       西田  司君    野田  毅君       葉梨 信行君    浜田 幸一君       原田  憲君    堀内 光雄君       村山 達雄君    谷津 義男君       山口 敏夫君    山下 元利君       伊藤  茂君    小川 国彦君       川崎 寛治君    坂上 富男君       中村 正男君    山下洲夫君       坂井 弘一君    坂口  力君       橋本 文彦君    水谷  弘君       宮地 正介君    川端 達夫君       和田 一仁君    工藤  晃君       正森 成二君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         通商産業大臣  田村  元君         郵 政 大 臣 中山 正暉君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         公正取引委員会         事務局経済部長 柴田 章平君         警察庁刑事局長 中門  弘君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         法務省刑事局長 根來 泰周君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         国税庁次長   伊藤 博行君         通商産業省通商         政策局長    鈴木 直道君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         自治大臣官房審         議官      前川 尚美君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本証券業協         会常務理事)  関   要君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役副社長)  鴨 光一郎君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役常務取締         役)      草加 英資君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 九月十六日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     金子 一義君   宮下 創平君     谷津 義男君   野口 幸一君     小川 国彦君   玉置 一弥君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   金子 一義君     池田 行彦君   谷津 義男君     宮下 創平君   小川 国彦君     野口 幸一君   川端 達夫君     玉置 一弥君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  税制問題等に関する件      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  税制問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川端達夫君。
  3. 川端達夫

    川端委員 私は、今川崎市の助役さんの問題に端を発しまして国民の非常に大きな関心になっているリクルート問題を中心にお尋ねをしたいというふうに思います。  まず初めに総理に御所見をお伺いをしたいのですけれども、このリクルート問題、国民皆さんがいろいろな思いを、問題意識をお持ちになっただろうし、そして感情もお持ちになった、あるいは政府に対するこうあってほしいという期待も持っておられると思うのですけれども、私は、この根幹に、一番大きな問題としては政治に対する信頼というものを大きく揺るがしたのではないだろうか、このように考えるわけです。総理自身、今、今日に至るまでの経緯を踏まえて、国民皆さんがこのリクルート問題というものをどのように受けとめられて、どのような感情をお持ちになり、そしてどうあってほしい、こういうことをしてほしいという期待を持っておられるかという、そういう国民感情をどのように御認識されているかについてまずお伺いをしたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まず、このリクルート問題は、一般的に分けてみますと、一つはいわゆる証券取引証券取引法における問題点、いま一つは道義的、政治的責任、こういうことに分けられるではなかろうかというふうに思っております。今、川端委員の御質問は、なかんずく後者に対する私の見解お尋ねになったというふうに受けとめます。  私を含む、言ってみれば政治家として、今度の問題が国民皆様方に今おっしゃった政治そのものに対する不信というようなものを醸成したということについては、私もそれを認めるものでございます。したがって、これを契機として、一つはいわば法制上の問題、いま一つは結局私ども政治家一人一人がそれこそ倫理綱領等に徹して李下に冠を正さずという考え方のもとに政治そのものに厳粛に対応していくべきものであろう、このように考えておるところでございます。
  5. 川端達夫

    川端委員 今非常に抽象的、総括的にお答えをいただいたわけですが、国民感情と申しますか、いろいろな思いというものを、私も実際にじかにいろいろな国民皆さんに接する機会が多うございますけれども、そういうときに、こちらから話題を持ち出さなくてもすぐその話題になるぐらい非常に重要な関心をお持ちになっている。そしていろいろなお話をされる。例えば新聞の投書にもそういうことが随分あちこちに散見して載っている。新聞、テレビにリクルートが載らない日はないという状況が今日も続いていると思います。  そういう中で皆さんがどういう思いをお持ちなのか。いろいろまとめてみますと、例えばある奥さんが、私は日々の買い物に十円、五円安いものを探して少し遠くでも足を運んで買う。一日に何十円あるいは月に何百円かもしれないけれども、それによって月に一回御主人にビールのふだんは中瓶だけれども大瓶を飲ましてあげる、そういうことで楽しみを持ち生活をしているんだ。そういう中で、一つは、普通の人の生活という感覚から見ると随分かけ離れた巨額の、普通の人の年収で言えば何倍あるいは何十倍に当たるような巨額のお金を一挙にして、ぬれ手でアワのごとく政治家という地位を利用するということで得る、そういうことが許されていいんだろうかという憤りを一つはお持ちになっているのではないか。  それからもう一つは、譲渡した人というのは、そういう何らかの見返り期待をして渡したのではないだろうか、だから当然のようにその利益を受け取った人はそういうものに対していろいろな形の便宜を供与しているのではないだろうか、そういうふうな疑念をお持ちになっている。憤りと同時に疑念をお持ちになっている。そういうことが解決をされないものだから、結果的には、政治家という人は、あるいは今の政治は、自分たち庶民感覚からかけ離れた金銭感覚を持っておられる、だから自分たち生活に目を向けた政治というのが余りやられないのではないだろうか、特定の人や個人の自分たち利益のためだけに政治をするのではないか、政治がこれでいいのだろうか、こういう政治不信というものを素直に率直にお持ちになっている、私はこういうふうに考えます。  ですから、今主権在民政治国民のためにある、本当にまじめに正直に仕事をし暮らしている人のために政治はやっているんですよ、これからもやるんですよということをするためには、今損なわれたこの政治信頼というのを取り戻すことが最重要な政治課題である。そのためには、今回提起をされたリクルート問題の事件真相を究明して再発防止をしていかなければならない、それが政治の課せられた責任であるというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。
  6. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今川端委員のおっしゃった大筋、私もそのとおりであるというふうに考えております。
  7. 川端達夫

    川端委員 そこで、これまで相当の期間がたっているわけですけれども、この問題に対して、例えば国会の場でも、本会議代表質問あるいは予算委員会審議あるいは本委員会での審議等々を含めて、随分いろいろな議論がされてまいりました。そういう経過を踏まえて、いろいろ先ほど私が申し上げたような憤りであるとか、あるいは疑いであるとか、それから政治に対する不信、そういうものが、問題が明るみに出てから、それが山のふもとであるならば、今日までのそういう国会審議あるいはいろいろな経緯を踏まえて、どの程度国民理解納得が得られたと御認識をされているでしょうか。例えば、これで十分国民信頼を回復されるに足るぐらいの議論がされ事実も出てきたからこれで納得していただけた、政治に対する信頼をそこそこ回復できたというふうな御認識なのか、道半ばなのか、まだまだ入り口である、そういうものはどうでしょうか。総理、お願いします。
  8. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 憤りとか疑念とか、これはこれを集約すれば政治不信そのものにつながっておるというふうに思います。したがって、これが解明のために本委員会等においても種々努力が払われておる。問題の実態というものは、いわばうわさの域とかそういうものから、実態国民皆様方にも本院の議論等を通じながらだんだんわかってきたと申しましょうか、そういう環境にあるではないか。したがって、私どもとしては、これを、それこそ政治家でございますから、地位利用という問題は別として、情報の最も入りやすい立場にあるということだけに、まさに今再発防止という言葉をお使いになりましたが、そうしたことのないような環境整備個々政治家としての心がけというものが必要であるという認識国民皆さん方の中にも逐次定着し、そうした倫理観の上に立った政治が行われることを心から欲していらっしゃるというふうに考えます。
  9. 川端達夫

    川端委員 どういう政治があるべきかという国民期待部分には、私も総理と全く見解は一緒であります。  そこで、その部分に非常に信じられないということをこの問題がつくり出してしまった。だから、いろいろな経緯の中でだんだんにというふうにおっしゃったわけですけれども理解が深まってきたというふうにおっしゃったわけですが、そういう側面も確かにございます。しかし、逆に、いろいろな議論を通じて明るみに出てきたことによって、不信といいますか、信頼を揺るがすことが余計強くなったというふうなことの方がむしろ多いのではないか。この取引は、証取法上含めて単なる商取引経済行為である、しかも個々取引であって、道義的な責任は感じるが合法的である、こういうふうな議論、御答弁がずっと続いているわけですけれども、そういうことで先ほど私が申し上げたような国民皆様理解が進み納得が得られるのだろうかということは、いわゆる国民感情としてはそうは思えないなというのが正直なところだと思うのです。  例えば、その途中で殖産住宅事件判決があった。そうすると、今までからああいうふうなもうかると決まっているような株を政治家に渡した、何か見返り期待していたのではないかという何となくの疑念というものに対して、新規公開株公開価格で取得できる権利はそれ自体贈収賄罪わいろに当たる、殖産住宅事件ではそういう判決でございました。そういう部分ではわいろ可能性のあるものなんだなというふうな思い皆さんお持ちになったと思うのです。  そういう意味では、本当のところどうだったのだろう、わいろでないならないでもう少しきっちりとすべきではないか、そんな思い皆さんがお持ちになっている。例えば、発端となった川崎市の問題がある。川崎市民皆さんにとっては、助役譲渡を受けた、川崎市の行政にとっても、本当川崎市は我々のことをやってくれる体質にあるのかということが非常に大きな問題になったということで、御承知だと思いますが、川崎市は、市長がみずから長になって川崎職員倫理高揚対策委員会、あるいは助役が長となって川崎周辺開発事業等に係る調査委員会、こういうふうなものをみずから設置をして、市民に対する政治のあり方、姿勢というものを正していく、その過程においては、現在までいろいろとうわさになり疑いの念を持たれていることに関してはっきりと調査をしていこう、こういう姿勢を示しておられるわけです。  そういう意味では、このリクルート問題は、川崎市民だけではなくて日本国民全体の政治に対する非常に大きな疑念不信を持たしてしまったわけですから、政府みずからの責任において真相を解明して、先ほど総理が言われたように、国民のための政治が清潔にきちっと行われ、倫理も確立しているという政治をしていくべきだというふうに思います。そういう意味での、行政府の長として、この問題に対しての真相を究明し、国民不信を解いていくという政治倫理の確立に向けての御姿勢、御決意を改めてお伺いをしたいと思います。
  10. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この現行制度上の改むべきものがありとすれば改めなければならぬという行政府としての一つ責任が存在しております。これはまさに本委員会を初め証券取引審議会等の意見を吸収しながら改むべきを改めていかなければいかぬ、これが一つであります。  それからいま一つの問題は、やはり政治家倫理に関する問題に対するいわば行政府の長たる、政治家であります行政府の長たる私自身が今後努力しなければならない課題という、この方がむしろ私は大切であろうと思っております。ただ、この問題について、いわば刑事問題としての立場に対して私がとやかく今コメントを申す立場にはございませんが、みずから政治倫理綱領というものを念頭に置きながら正すべきを正していくという道は選ばなければならないというふうに考えております。
  11. 川端達夫

    川端委員 私の頭がよくないのか余り理解ができないのですが、真相究明をしていくべきである、そうしないと、本当にこの問題がどういう背景でどういう展開をしたのかという、それにまつわるいろんな情況証拠あるいはうわさ、そういうものに基づいて政治に対する非常に不信を今皆さんお持ちである。だから、そのためにはどうしても真相を知らなければいけないのではないか。  例えば、少し観点を変えて言いますと、今までの議論で、例えば、非常に恐縮なあれだったと思いますが、総理あるいは大蔵大臣周辺での取引があった、これに関していろいろ御答弁をいただきました。その中で、単なる経済行為である、買った人はそういうふうにおっしゃっているわけですね。総理大臣あるいは大蔵大臣の公式な発言というのは非常に重いものですから、それはそれで了解をしたいというふうに国民皆さん思いたいと思うのです。ところが、今の政治状況の中では、やはり国民政治に対する信頼を失っているということは、総理がそうおっしゃるけれども本当かな、というふうにやはり思っていると思うのですね。それを晴らすには、買った人がそういうふうにおっしゃるのだったら、売った人はどう言っているのですか、売った人の話を聞こうではないかというのが、一度江副さんにお話を聞きたいし、聞くべきである、これが国民皆さんがみんな思っていることだと思うのです。御本人も、週刊誌のインタビューで、国会に証人喚問されたら、もちろん出ていきます、答えるべき立場にありますと答えておられるわけですね。だからこれは非常に重要な問題である。  もう一つは、そうするとそのときにお話を聞けば、だれにこういう目的で売ったのです、一方ではこういうつもりで買いました、こういう事実関係がクリアになる。そのときに、客観的にそれを証明するものとして、江副さんは百人に売りたかったのだけれども結果的には七十六人になったのだ、そういうだれに売ろうとしたのか、何株ずつ売ろうとしたのか、そういうリストが、やはりその両者の御主張、これが単なる経済取引であったかどうかという部分を補足する重要な資料として、それもリスト皆さん見たいな、調べてほしいなというふうに思っておられると思うのです。  この二つの、江副さんのお話を聞くということと、売買リストを見る、入手をするということ、これに関して今日までいろいろな議論がありました。  ここで総理にお伺いをしたいのは、できるかできないかという技術的な問題は別にしまして、今日、国民皆さんが、そういうことを通じて、江副さんの話を聞き、リストを見て、いろいろなことで疑問に思っておること、総理の御答弁大蔵大臣の御答弁等々を理解し、納得し、政治はやはりちゃんと機能しているなというふうに思うためにも、そういうものがぜひとも見たいし聞きたいという思いに対して、その二つの事柄は、そういう国民理解を進めるためには、技術的には別にして、ぜひとも必要であるとお考えなのか。できればあった方がいいのか、どちらでもいいのか、あるいはない方がいいのか、あってはいけないのか、その御認識伺いたい。
  12. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まず、私がいつも申しておりますのは、それが単なる経済行為といえども政治家あるいはその周辺において、情報等が集まりやすい立場にありますだけに、そのようなことがあってはならない、こういうことをいつも申し上げておるわけであります。   そこで、一つは、江副さんをお呼びしてという問題でございますが、この問題につきまして、私なりの経験はいろいろございますけれども、やはりその問題は国会そのものでお決めになることでございますから、これはやはり私としてのここでコメントは、行政府立場であるという立場には変わりはないわけでございますから、これは長い慣例の中でそういう答弁を歴代申しておるというふうに御理解をいただきたいと思います。   それから、次の名簿云々の問題でございますが、これはまさに、私は、行政府におきまして証券取引法上の問題として議論のあるところであろうと、いつも証券局長から御答弁いたしておるとおりではないかと思っております。
  13. 川端達夫

    川端委員 今のような御答弁が続くので、政治が非常にわかりにくいしうやむやになるという、政治に対する不信が続いているのではないかというふうに思います。   李下に冠を正さずというふうにお述べになったことがあると思いますが、スモモ畑で既に冠に手を触れられたわけです。スモモをとったんではないかというふうにみんな見てしまった。責任ある立場の人は、そういう部分に関して、あれは本来ならば冠に触れない方がいいけれども、触れてしまったんであれば、別にスモモをとったんではありません、ただ帽子を直しただけですということははっきりと事実をもって証明されるべきであるということが、このことわざといいますか李下に冠を正さずという言葉だというふうに思います。  それでは、概略そういう意味で、今日までのこのリクルート問題に対する経緯問題点、それから、それに対して政府としてどのように対応してこられたかということについて御報告をいただきたいと思います。
  14. 角谷正彦

    角谷政府委員 大蔵省といたしましては、今回のリクルートをめぐる一連の株式取引に関連いたしまして、それが証券取引法に違反するかどうかといった観点から、証券取引法の適正な執行を期するという観点調査をいたしたわけでございます。  その結果、リクルートコスモス社株式売買でございますが、それ自身非公開株株式譲渡でございまして、それ自身証取法に触れるということではないわけでございます。ただ、五十九年十二月にリクルート社が行いましたリクルートコスモス社株式売却、これがいわば証券取引法第四条に規定する不特定多数の者に対する売り出し行為に該当する、そういったことで、本来なら届出書を提出すべきであったケースではないかといったふうなことについて判断を得まして、それにつきましては、去る八月末に参議院予算委員会におきまして調査結果を報告したわけでございます。  若干概略を御説明申し上げますと、リクルート社は、昭和五十九年の十二月事業年度の税引き前利益を対前年比二けたにするということを目的としていたわけでございますが、減益になるおそれがございましたので、株式売却によって、リクルート社が持っておりますリクルートコスモス社株式売却することによって利益を補てんするということを目的といたしまして、五十九年十二月に、二回に分けてでございますが、まず第一回目は三十九名、第二回目は三十七名ということでございますが、二回に分けまして合計七十六名の者に対しまして株式売却いたしました。  リクルートコスモス社は、これは株式売却が二回に分けて行われておりますので、不特定多数の者に対して均一の条件で売却するという場合の不特定多数、私どもは実は五十人程度を目途としているわけでございますが、二回に分けた行為がそれぞれ五十名未満であるので、これはいわば売り出しに該当しないというふうに主張しているわけでございますが、私どもは、事実関係等をいろいろ調べました結果、第一回目と第二回目の売却が、価格がいずれも五十円額面に換算いたしまして同一の千二百円であるということ、それから約定期日が短期間のうちに事実上連続して行われていたこと、それから第一回目と第二回目の払込日が、同日ではございませんけれども、十二月二十日から十二月三十一日までの間と非常に近接していること、あるいはリクルート社そのものが、自分のところの決算対策観点から、遅くとも十二月三十一日までに金を払い込んでほしい、こういったことを要請していたこと、さらに、第一回目及び第二回目の売却人数、合計いたしますと先ほど申しましたように七十六名ということで五十名程度を超えるといったふうな実態がございますので、第一回目と第二回目の売却は一体としての売り出しに該当するということを判断したわけでございます。  その結果、私どもといたしましては、以上の認定に伴いまして、証券取引法上本来届出書を提出させる法令上の根拠は現在ないわけでございますが、もともと事後的ではございますが、有価証券届出書を提出するように行政指導しているわけでございます。ただ、リクルートコスモス社におきましては、このことについて同意しておりません。おりませんが、引き続き我々がその行政指導を行いますとともに、もし万が一これに従わないといった場合におきましては、リクルートコスモス社の公募による増資を当分の間自粛させるよう証券会社を通じて指導しているところでございます。  それからなお、こういった問題に関連いたしまして、非公開株公開に関連する事前の譲渡といったものが、先ほど御指摘がございましたように、その特定の者に特定利益を供与するといった形のものになることに伴いまして、これは非常に不公平ではないか、それがまたひいては株式公開制度なり証券市場のあり方からいって疑問があるといった御意見もございますので、こういった問題につきましては、証券取引審議会の不公正取引部会におきまして広く御審議をお願いするということにいたしておりまして、去る九月九日の不公正取引部会においてそういった点についての審議をお願いしたところでございます。同部会におきましていろいろ結論が出ましたら、それに基づきまして所要の改善策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  15. 川端達夫

    川端委員 それで、同一時期、そして五十人以上、均一の条件というのを認定をされたわけですけれども、何を調査をし、どういう根拠に基づいてその判定をされたのかということについて、もう少し具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  16. 角谷正彦

    角谷政府委員 不特定多数の者に対して均一の条件で売り出しまたは募集を行うといったことが届出書を提出するための要件でございます。  「不特定且つ多数」ということは、従来の行政的な実例からいいますと五十名程度を超えるということを要件にいたしております。今申しましたように、第一回目と第二回目を合計いたしますと七十六名であるといったことでございますから、「不特定且つ多数」といった要件はその限りにおいて充足している。  それから「均一の条件」と申しますのは、売り出し価格が同一である、あるいは払込期日が同日である、こういったことでございますが、売り出し価格は、先ほど申しましたように額面五十円に換算いたしまして千二百円と同一でございます。それから払込期日等は、これは先ほど申しましたように十二月二十日から三十一日までばらばらでございますけれども、いずれにいたしましても、そこら辺は若干のぶれはありましても一連の行為としてこれは一体とみなすべきであろうというふうに認定いたしました。  そういったことから私ども売り出しに該当するという判断をしたわけでございます。
  17. 川端達夫

    川端委員 そんなことを聞いているのじゃないのです。七十六人というのはどういうふうにして確定をされたのか、何に基づいてされたのか、千二百円というのが皆均一で同じであったというのは何に基づいて判断されたのか、払込期日が同一時期である、若干の幅はあるけれども同一時期であるということは何に基づいてその判定をされたのか、そのことを伺っているのであります。口頭でされたのか、書類でされたのか、どういう書類でされたのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  18. 角谷正彦

    角谷政府委員 まず七十六名ということでございますが、これにつきましては、まずリクルートコスモス社自身がこれを認めております。と同時に、現在のリクルートコスモス社、当時は環境開発株式会社と申していたわけでございますが、株式譲渡につきまして取締役会の承認を必要とするという譲渡制限をつけておりました。したがいまして、リクルートコスモス社の取締役会議事録におきましてそれぞれ譲渡制限を解除する承認を行っておるわけでございまして、それによりまして第一回目が三十九名、第二回目が三十七名であるということを確認いたしました。   それから、千二百円の売却価格あるいは払込期日でございますが、これらにつきましては、まず決算対策観点から行われたわけでございますので、何株、たしか十二万五千株ぐらいだと思いますが、それと売却収入の価格を見れば当然のことながら値段はわかりますし、同時に、千二百円で売ったということにつきまして、あるいは払込期日につきましては、これらを整理した文書をリクルート社から提出させました上で、振替伝票のコピー等によりましてその千二百円あるいは払込期日は確認いたしているわけでございます。
  19. 川端達夫

    川端委員 振替伝票のコピーという部分には名前が書いてあるのですか、個々人の。
  20. 角谷正彦

    角谷政府委員 振替伝票についてはまとめたものを提出させておりまして、名前については確認いたしておりません。
  21. 川端達夫

    川端委員 まとめたものをと言うが、振替伝票というものは、個々にあるものをどういうふうにまとめたものになるのか。それから、七十六人はコスモス社も認めているとおっしゃるのですけれども、コスモス社が認めているということだけで、裏づけがなくて七十六人の認定ができるのか。それから三十九人と三十七人に分けて売り出すというふうに役員会ですか何かの承認があるというふうに言われましたが、売り出し時に初めからこの人数であったのか、結果としてその人数であったのかということに関しては巷間疑義を持たれております。リクルート江副さんは、週刊誌の中では、「百人にお願いし七十六人に買っていただいた」、結果として七十六人になった。そういう意味では、取締役会での譲渡自体が、もしその人数が確認されているとすれば、売り出しの終わった後であるはずなんです。そういう意味では、売り出し行為全体に関して、その確証とする部分には、個々の売買記録で本当に人数がどうであったのか、支払いを含めて個々の振替伝票がどうであったか、そういうものを調査し、入手されなければ、この件が四条違反であるという認定の構成要件を確たるものにすることはできないのではないかと思いますが、今の点についていかがでしょうか。
  22. 角谷正彦

    角谷政府委員 リクルート社が争っておりますのは、第一回目と第二回目が別々の行為であったかどうかということを争っているわけでございまして、千二百円、均一の条件、これは額面五十円に換算してございますが、売却したという事実は争っておりません。それから払込日も、二十日から三十一日の間でばらばらではございますが、そこら辺が同一の時日として認定されるにつきまして、これについて特に異論があるということを申しておるわけではございません。したがって、私どもといたしましては、それに必要な限りにおきまして向こうも認めているわけでございます、争っているわけではございませんので、その点については固有名詞まで確認しないと相手方の主張に反論できない、こういうことではないわけでございます。  それから、御指摘のように七十六名というのはそれを買った人でございまして、勧誘を受けた人というのはもっとあるということは私ども事情聴取の結果聞いております。具体的に申しますと、第一回目、第二回目ともそれぞれ四十名程度の人に声をかけて、その中から三十九名あるいは三十七名の者に買っていただいたというふうなことを言っております。したがいまして、売り出しに該当するかどうかという点は、実は結果よりもむしろ売り出しを勧誘をするという行為にあるということは御指摘のとおりでございます。ただしかしながら、その場合に、いずれにしても買った人が合計七十六名ということで五十名程度を超えているわけでございますし、その点はリクルート社も特に争っておりません。そういった意味では、果たして固有名詞を見ないと売り出しに該当するかどうか認定できないかというと、それはそういうことではないということでございまして、そういった意味では固有名詞まで必要はなかったということでございます。
  23. 川端達夫

    川端委員 認定に固有名詞が要るかということではなくて、固有名詞のある書類が当然確定する際に入手できるのではないかということに関してはいかがでしょうか。
  24. 角谷正彦

    角谷政府委員 ただいまの点につきましては、私どもリクルート社あるいはリクルートコスモス社から事情を聴取する過程におきまして、両社とも最大限私ども調査に協力するということではあったわけでございますが、固有名詞につきましては、これはやはりいろんな方に御迷惑をかけるからということで、向こうから提出を受けることはできなかったわけでございます。じゃ、できなかったからといって事実認定ができないかというと、そういうことではなかったということでございます。
  25. 川端達夫

    川端委員 相手がそのとおりだと言ったから、それは例えば人数は七十六人は争っていないからそれでいいというのは、若干理解ができない。例えば、私が何か罪を犯しましたと本人が言うだけでそれを認定するのか。それは客観的な証拠に足り得る事実の実証がなければいけないというふうに思います。争っていないからという部分ではないのではないか。そういうふうな部分では、殊さら入手可能である部分に避けておられるような思いが非常にいたします。  それでは、観点を変えまして、先般の新聞に三協精機、新日鉄のいわゆるインサイダー取引問題というのが随分問題になったわけですけれども、ちょっと新聞の小見出しを読みますと、   三協精機をめぐるインサイダー取引疑惑を調査している大蔵省、東京証券取引所は二十五日、改正後の証券取引法でインサイダー取引の摘発対象となる不正行為のあったことを確認、そうした株式購入者は新日本製鉄と三協精機両社に少なくとも各二名いたと断定した。しかし改正法が施行前であることから、その内容公表は避け、厳重注意を行い両社に対し取引所規則に基づく「改善報告書」の提出義務を課して調査を終息させることになった。 と報道されているのですが、今の内容については間違いございませんか。
  26. 角谷正彦

    角谷政府委員 三協精機と新日本製鉄は去る七月二十九日に情報通信事業の分野等におきまして業務提携を行ったわけでございますけれども、これに先立つ約一週間ほどでございますけれども、三協精機の会社の株式の売買数が非常に急増する、あるいは株価の方も急騰するといったふうな事態がありましたので、東証におきましていわゆる内部者取引、インサイダー取引に該当するかどうかといったことについて調査を行ったわけでございます。その結果、東証の調査結果、これはたしか八月二十七日に発表いたしたわけでございますけれども、これによりますと、発行会社の社員による売買が認められまして、情報が事前に漏えいしたという疑いがございます。それから二番目に、本件の業務提携に関与していたと認められる者の売買も合わせて四、五名程度あるということでございました。  このために、東京証券取引所は、新日鉄及び三協精機に対して、ただいま委員が御指摘のように、厳重注意を行うとともに、情報の管理等につきまして改善報告書を提出させることにしたわけでございます。また、こうした事態の再発を防ぐために、東証といたしましては、理事長名で全上場会社及び会員証券会社に対しまして内部者取引の未然防止につきまして注意を喚起するという措置をとったわけでございます。  大蔵省といたしましても、今後経団連等を通じまして、発行会社の指導に徹底を期していきたいというふうに考えております。
  27. 川端達夫

    川端委員 この問題は、改正証取法百九十条には違反をする、しかし現行の証取法には違反をしない。しかし、インサイダー取引自体が、日本の株式市場の閉鎖性と同時に、そういうインサイダー規制に対して非常にルーズではないかという国際的な指摘の中で、これからきちっとしなければいけないという流れにある。そういう意味で、法的には違反をしていないけれども、国際的な位置づけ、それからこれからのインサイダーというものに対する日本の証券行政のあり方という観点から見れば、非常に重大な問題であり、今後の啓蒙、それから実効を上げるためにも、実態調査をし、真相を明らかにし、対策を講じていく、これから発効する法制上問題があれば直していく、そういう観点を当然お持ちだと思うのです。そういう観点をお持ちであるから、個々人の売買者のリストも全部調べて、おのおのがどういう立場にあった人なのかも調べて調査をされた。  であるならば、リクルート問題に関して、証券取引個々取引が、非公開株であるから個人の取引だと言われるけれども、そこに政治家が関与し、政治に非常に力を持つ人が関与をしている、果たして公正が確保されているのであろうか、株式の公正さ、一般投資者保護という観点から、あるいは未公開株の取り扱いというものが、これから国民納得されるようなものとして成立していくためにはどうあるべきかという証券行政観点からは、この実態をしっかりと調べるということが三協精機でできて、この件に関してどうしてできないのか、お答えをいただきたい。
  28. 角谷正彦

    角谷政府委員 インサイダー取引というのは、内部者あるいはその第一次情報受領者が行う取引そのものでございまして、そういった意味では、取引個々の内容について調査する必要があるわけでございます。御指摘のように、改正証取法が、五月に法律を通していただきまして、その施行は罰則等につきましては来年になるわけでございますけれども、インサイダー取引そのものというのは、まさに個々取引内容を調査することがなければこれは摘発できないといったことでございまして、そういった意味で、三協精機につきましても、改正法の施行前ではございますけれども調査を行ったわけでございます。  一方、今回のリクルート社株式売却の問題につきましては、これはまさに証取法第四条違反である。この四条というのはどういうことかといいますと、基本的には、不特定多数の者に対して均一の条件で株式売り出しあるいは募集を行いますときには、投資家保護の観点から必要な企業内容をディスクローズさせる。具体的には、会社の内容でございますとか財務内容、会社の営業内容、それから大株主の状況あるいは売り出し条件、そういったものをディスクローズさせることによって投資家保護を期そうというのが目的でございます。そういった意味で、それを怠ったということは、発行会社の方におきましてそういった投資家に対するディスクローズを怠ったということについて発行会社に責任はあるわけでございますけれども、これを買いましたところの個々の人間に問題があるわけではないわけでございます。これは個別の取引でございまして、買った人そのものに問題があるわけではない。そういったことからいいますと、それは政治倫理とか何かそういう話は別といたしまして、証券取引法上の観点からいいますと、買った人に問題がない以上、買った人について個別の名前を明らかにするといったことは必ずしも必要がない。全体として均一の条件で不特定多数の者に対して売却が行われたかどうかといった点を調査すれば足りるわけでございまして、そういった事柄による性格の違いがあるということを御理解いただきたいというふうに考えております。
  29. 川端達夫

    川端委員 現行で証取法に違反をしていないにもかかわらず個々人の売買記録を詳細にお調べになる。これは、してはいけないということを言っているのではなくて、証券行政の根幹にかかわる問題に関しては、将来の展望も踏まえて、そういう証券行政の公正さという観点からおやりになるということは是とするものであります。  一方では、そういうふうな非常に前向きに積極的におやりになるのに、本来の趣旨が四条に違反しているということに関しては、個々取引が問題でない。そうであるならば、何も四条だけが違反の問題ではない。広くこれに政治家がかかわっている、場合によっては大蔵省もかかわっているのではないかとまで言われている。そういうふうに、未公開株の取引をめぐって、いわゆる株式行政そのものに力を持ち得る人たちが不当な利益を得たのではないかという部分は、証券行政の根幹にかかわる不信を突きつけられている。そういう部分で、その国民の疑惑を、そうでないならばないというものをはっきりするためには、実際にどうであったかということを当局が調査をする、これは当然のことではないのでしょうか。その件に関して、総理、いかがですか。
  30. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私からお答えを申し上げますが、ただいま政府委員が申し上げましたことは、証券取引法第四条の問題は、この取引二つ独立したものであったかそうではなかったかということが争点であるわけですが、大蔵省といたしましては、これはやはり不特定多数の人に対する一つ取引であるというふうに認定をいたしたわけでございます。そういたしますと、それは不特定多数の人というのは一応五十人以上ということを考えておるわけでございますので、その点については実は争点がございませんでした。もし一つのものとすれば、明らかに七十六人は五十人以上でございますから、この七十六人がだれだれであるということを挙証するまでもなく、その点については争点がなかったわけでございます。そういたしますと、もし五十人以上不特定多数の人に売り出しをしたということになれば、会社側は実は会社の内容について公示して投資家を保護する必要があったであろう、そういうディスクロージャーに欠けるところがあったではないかというのが第四条の趣旨でございますので,そういうことを申し上げたのであります。これはインサイダー取引の問題ではなかったわけでございます。  それに対しまして、三協精機の場合には、これは明白にインサイダー取引疑いが強かったわけでございますから、したがいまして関係者の事情を調べました。ただ、法律の施行が罰則はされておりませんので、今後のことも考えまして、事実について調べまして、お名前は公表いたしませんでしたが、事実関係を明白にいたした。これは何となりますれば、これはインサイダー取引、法で規制されることになる取引であったからでございます。
  31. 川端達夫

    川端委員 第四条の届け出の場合に、違反者の賠償責任というのが十六条あるいはその周辺で載っています。規定をされている。これはまさに投資者保護という観点でなされていると思います。  今回の場合は届け出がなかった。それから、今行政指導して届け出をされたらどうですかということに関しても、見解を異にしてされない。そういう意味では、当然ながらこの取引に関しては、法で規定をしている、あるべきである、あらねばならないと規定をしている株式の購入時の情報公開、その会社の実情である経営実態、役員等々の情報が買う人には提示をされていなかった、こういうことになると思います。保証をされていなかった。したがって、売りに行うた人の口車に乗せられて、実態を知っていれば買わなかったかもしれない、そういうものの保証がなかったわけですね、実際には。届け出義務を果たしていないわけですから、投資者保護はされていなかった。   たまたま今回は利益を得られたのかもしれません。しかし、例えばある未公開株式を、これは将来もうかるでしょうから買ってくださいよという売り出し行為をされて、これが届け出もせずにされたら、やはり違反になるわけですね、四条違反に。そういうときに大損をしたという場合は、賠償責任まで、その差額を賠償することまで投資者の保護を図っているわけです。  そういう意味では、今回その実態として届け出をせずに売りにだれかが行ったわけですから、その人たちはどういう資料を持ち、どういうことを言って売ったのかということが、今後こういうことが起こらないために、違反を起こさないためには、情報収集として必要ではないのか。それから、もしそのときに、これは近々店頭登録をしてもうかるのですよ、だから買っておいて損はありませんよと言いながら売りに行ったのかもしれない。そうであれば、法的には、現在あるいは改正取引法でも、未公開株の場合はインサイダー規制を適用されませんけれども、先ほど、今法的に問題がなくても、将来にわたってという部分でインサイダーの調査をする、インサイダー取引一つの事例として、今後証券取引の検討会、委員会審議会等々でおやりになるのも含めて、これは重要な証券行政のあり方に対する一つの事例である、だからしっかりと行政立場として実態を、買った人がどういうふうなことを言われて、何を提起をされて買ったのか、売りに行った人は何を言って売りに行ったのかという売買実態を明らかにするということが必要ではありませんか。
  32. 角谷正彦

    角谷政府委員 まず損害賠償の点でございますが、証券取引法第十六条あるいは十九条におきましては、そういった届出書が提出されなかったようなケースにつきまして、それによりまして損害を受けた者については損害賠償の規定を置いております。ただ、これにつきましては、民事裁判によってこれを提訴いたしまして、それでこの賠償責任が追及されるということでございまして、これは現在におきましても、その可能性は否定できません。むしろ私どもは、そういった可能性も含めまして、届出書提出義務違反ではないかというふうに認定したわけでございます。ただ、これにつきましては、今申しましたように、あくまで買った人個々人が民事裁判所に提訴して行うといったことでございます。  それから第二点の、これを売却するあるいは勧誘するに当たりまして、何か詐欺的な行為、例えば証取法五十八条に言う詐欺的な行為があったかどうかという点でございますが、私どもはそういう事実があったということは、事情聴取の結果によりましても、そういう事実は確認されておりません。
  33. 川端達夫

    川端委員 ただいま、事情聴取の結果そういうことが行われていないという部分は、買われた人に対して確認をされたということですか。
  34. 角谷正彦

    角谷政府委員 そういうことではございませんで、特にそういうことについての疑いがあればやる必要はございますけれども、そういうことを推認させるに足るような事実はなかったということでございます。
  35. 川端達夫

    川端委員 近い将来登録をするから必ずもうかりますということで買ってくださいよというふうなことの疑いがなかったのですか。何をもってそういう疑いがなかったというふうな判断をされたのですか。
  36. 角谷正彦

    角谷政府委員 証券取引法でそういった詐欺的な行為を禁止しているわけでございますけれども、詐欺的な行為が行われたということは、私どもどこからも事情を入手しておりませんので、あえて個々人にそういうことがなかったかどうかということは確認する必要はないだろうというふうに考えているわけでございます。
  37. 川端達夫

    川端委員 それでは、もう一つの、行政処分を予定をされているということなんですが、この条文によりますと、届け出の義務者はコスモスなんですね。それから売り出し者はリクルートである。そして届け出の義務違反をした場合には売ったコスモスが罰せられる、そういう仕組みになっているので間違いございませんか。
  38. 角谷正彦

    角谷政府委員 売り出しを行います場合に、その有価証券届出書を提出した後でなければこれを売り出すことができないという規定になっております。したがって、本件のケースについては、リクルートコスモス社有価証券届出書を提出した後でなければリクルート社はこれを売り出ししてはならないということでございまして、罰則は直接にはリクルート社に対してかかるわけでございます。ただ、この問題につきましては、先般の参議院予算委員会でもお話し申し上げましたように、既に公訴時効三年が経過しておりますので、リクルート社に対する罰則の適用は現在できないということでございます。
  39. 川端達夫

    川端委員 本来、四条違反の場合は、罰則はリクルートにかけられる、コスモス社ではない。しかし、時効になっている。法的に言いますと、コスモス社は、大株主であるリクルートが株を売りたい、五十人以上に対して売り出しをしたいというときに、申し出を断る権利があるはずです。売ってほしくない、あなたが持っていてくださいと言う権利がある。それを届け出をしない。要するに届け出の義務はないわけですね。届け出の義務というか、請求されて受ける義務はない。そういう場合に、リクルートが、コスモスに何も言わずに、五十人以下、二回に分ければ届け出しなくていいからと思って売ったのかもしれない、あるいは相談してでも、そういうことで問題ないだろうということで売った。それが結果的に大蔵省の認定としては同一だからだめですよと言われたときに、本来届け出違反をして罰せられるリクルート社が時効であるからといって、発行者のコスモスに行政処分をされるというのはかなり無理があるのではないか。どういう判断でコスモス社の行政指導をされようとしているのか、お聞かせをいただきたい。
  40. 角谷正彦

    角谷政府委員 確かに、大株主であるリクルート社株式を全く無断でリクルートコスモス社関係なしに売って、それについてリクルートコスモス社、発行会社の方は全く知らなかったということであれば、御指摘のようなことは理論的にはそのとおりだろうと思います。ただ、本件について言いますと、先ほど御説明しましたように、リクルートコスモス社におきましては、株式譲渡制限があるわけでございまして、そのリクルートコスモス社におきましても、三十九名及び三十七名について譲渡制限の禁止を解除するという手続をやったわけでございますので、この関係で全く無関係で知らなかったとは言えないだろうというふうに思います。  と同時に、今回私ども行政指導として、届出書を出すという行為リクルートコスモス社に対して行政指導をしているわけでこざいます。法律上の規定がないものですから、行政指導をしているわけでございます。そういった意味で、行政指導に従っていただけないといったことについて何らかの対応をするとすれば、やはりリクルートコスモス社に対してやらざるを得ないという実態でございます。
  41. 川端達夫

    川端委員 そうしますと、実態として売買が行われた。そして、それは現時点においても届け出――後追いが意味があるのかどうかは知りませんが、本来の趣旨からいうと、後追いで届け出、形を整えるというのに何ら実効的な意味はないと思うのですが、現実に届け出もない、四条違反の売買がされた、これは不公正取引ではないのですか。
  42. 角谷正彦

    角谷政府委員 私ども立場からいいますと、有価証券届出書を提出されないままにいわば違法行為が継続しているということは、極めて残念なことでございます。
  43. 川端達夫

    川端委員 いや、残念であるのかないのかそういう感情的な問題を聞いているわけではなくて、現に第四条に違反して、届け出もなしに、株を買った人に対して情報の提示もせずに違法な売買がされた。四条違反の認定というのはそういうことだと思うのです。ということは、この売買自体が証券取引法で言う公正取引を著しく欠いているというふうになると思うのですが、いかがでしょうか。
  44. 角谷正彦

    角谷政府委員 そこはそういうわけではございません。要するに、株式譲渡、売買それ自身証券取引法上何らかの制約があるのではなくて、むしろそういう不特定多数の者に対して均一の条件で売り出しないしは募集を行います場合におきましては、投資家保護の観点から、発行会社に対しまして、企業内容についてきちんとわかるようにしてやれ、こういう手続的な義務を課しているわけでございます。したがって、例えばの話でございますが、テレビにつきまして、品質証明といいますか、製品仕様書というものをきちんとつけて本来売れと仮にした場合におきまして、その例えば製品の仕様書でございますとか品質証明がないからといってその売買自身が違法であるとかおかしいとかそういうことじゃないのと同様、売買それ自身はこれは適法なものである、ただそういった手続に瑕疵があったということでございます。
  45. 川端達夫

    川端委員 しかし、目的は投資者保護という観点から、しかもその部分にいろいろな政治あるいは役所の関係しているのではないかというふうなことも含めて、取引自体非常に国民から不審な目で見られている、そういう要素を非常に含んでいると思うのです。そういう意味で、再度になりますが、いわゆる証券行政そのもののあり方についてこの件が非常に将来においてもいろいろ問題を提起をする件であったというふうな観点から、実態をいま一度取引の内容も含めて明らかにし、今後に問題を残さないようにするということが証券行政のあり方にとっても非常に重要なことではないかというふうに考えますが、そういう意味でそういう観点から二十六条を適用して調査をすべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  46. 角谷正彦

    角谷政府委員 証券取引法第二十六条といいますのは、この国会におきまして法制局長官からも御答弁申し上げたところでございますが、企業の発行開示制度、つまりディスクロージャー制度をきちんと適正に執行するための規定でございます。そういった意味で、今回私どもはディスクロ-ジャー制度の適正な執行を期するという観点から本件について調査を行いまして、これを証取法第四条に違反するのではないかという判断をしたわけでございます。   ただいま御指摘の点は、それを越えてさらにその二十六条を使って例えば買った人のリストその他も徴求したらどうかというお尋ねだと思いますけれども、この件につきましては、先ほど申しましたように、ディスクロージャー制度といいますのは投資者の保護を期するために発行会社に対して義務を課しているわけでございまして、それが義務違反があったからといってそれを買った投資家に問題があるというわけでは必ずしもないわけでございます。そういった意味で、そういったお尋ね目的のようなことのために証券取引法第二十六条を発動するということは、私どもが与えられている実定法上の権限を越えるものではないかというふうに考えておるわけでございます。
  47. 川端達夫

    川端委員 時間の関係もありますから、見解が違うのであれですが、投資家保護という部分で、今回の取引もディスクローズされていなかった、何も知らないで、実態を知っていたら買わなかったかもしれないわけです。こういうことに巻き込まれることもなかったかもしれない。そういう部分で、本人の実態調査も、今後のためということも含め、これだけ未公開株の譲渡に関していろいろな疑念を持たれるということは、証券行政全般、根幹にとって、私はその行政をつかさどる責任のある立場として調査をすべきだというふうに考えております。  観点を変えまして、同じような株の取引に関するそういう問題、国民の間に随分問題を投げかけた件としていわゆる明電工事件というのがありましたけれども、簡単に現在までの経緯を御報告いただきたいと思います。
  48. 角谷正彦

    角谷政府委員 いわゆる明電工事件でございますが、直接的には明電工の中瀬古相談役でございますかの脱税事件に関連して検察庁において現在告発、起訴等が行われているわけでございます が、この問題につきまして、大蔵省といたしましても、証券取引法上問題となるような行為があったかどうかといった観点から、これまで証券局といたしましても調査を進めてきたわけでございます。  その結果、一部の証券会社におきまして外務員による多数の仮名口座の受託あるいは口座貸しなどがあったということが判明いたしました。まことに遺憾なことでございます。今後、これらの外務員に対しましては、審問等所要の手続を進めまして、適切に外務員の登録取り消しその他の行政処分を行ってまいりたいというふうに考えております。  また、証券界に対する社会的信用を確保するためにも仮名口座の排除に一層努めていく必要があるというふうに考えておりますので、私ども実は九月十三日付で証券局長名をもちまして仮名口座の排除に関する通達を行いました。具体的には、株式の委託売買が本人名義以外の名義であることを知って受託するようなことはしてはいけないということで、そういった場合には当該注文を受託しないこと、それから、大口の顧客につきましては本人確認を一層徹底すること、それから社内検査の徹底とか社員研修によりまして仮名口座の排除を行うことといったことについて、先般証券局長通達を出したところでございます。これを受けまして、証券業協会におきましても、従業員に関する規則等におきまして仮名口座による株式取引の受託を禁止行為とすることにいたしておりまして、そういったことにおきまして今後仮名口座の問題については一層その排除の徹底を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  49. 川端達夫

    川端委員 この件は既に脱税として起訴をされている件でありますので中身に関しては特に触れませんが、この件に関していろいろな報道がされた。そういう中で、いわゆる株取引、今大蔵省の方からは仮名口座の問題は非常に問題であるから直すべきだということで手を打たれたということで、そのほかにも、いわゆる第三者割り当て増資直前のいろいろな、見方によってはインサイダーではないかというふうな取引、あるいは仕手戦、店頭登録前の第三者割り当て増資に絡む問題等々、いわゆる株の世界で、一般投資家が手を触れ得ない世界で非常に巨額のお金が動き、そこで利益を得たのではないかというふうな報道がたくさんされておりました。  そういう部分で、これは政治倫理の問題としてお伺いをしたいのですが、いわゆる巷間言われている、そういう株の世界で仕手戦であるとか今回の未公開株の店頭登録の問題であるとかあるいはインサイダーまがいのことであるとか、そういう部分巨額の資金を調達をして、これはいわばグレーゾーンだと思うのですね、これが仮名口座等々で大口取引であるということで脱税になる部分はこれはブラックになってしまうわけですけれども、グレーゾーンないしブラックになった部分のお金が多方面にわたって中瀬古氏を中心とする人たちから政治資金として流れていった。この部分国民は非常に何とも言えない政治に対する不透明さというのを感じていると思うのです。  総理、こういうふうに、いわゆるお金には色がついていないわけですから、政治資金、これは本来的に政治活動に資するために浄財を集める、そして使う、このことに関しては当然のことでありますが、そこに入ってくる部分に、いわゆる公明正大な浄財である部分と、例えば脱税までしたお金というふうなものと、そういうふうな部分を仕分けるのは非常に難しいわけですけれども、現在いろいろ国民皆さんが疑問に思い不信を持って思っておられる部分というのは、そういうグレーないしブラックマネーが政治資金という形をとってクリーンな形で出てくるということにも非常に大きな不信を持っていると思うのです。そういう部分で、まさに受け取る側の倫理というものが問われているんだというふうに思うのですけれども、こういう仕組みに関してどういうふうにお考えになりますか、実態としてですね。それから、どういうふうにあるべきかということに関しても御所見を賜りたいと思います。
  50. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 政治資金は、委員御指摘のとおり、政治活動を行うために、寄附金、いろいろ制限等ございますが、ちょうだいして政治活動にお互いが使っておる。その出所がブラックであったりグレーであったりということは、それは当然好ましいことではないと思っております。ただ、現実問題として、いわば寄附金、会費等でいただいた場合に、その方がどういうふうにしてその資金を得られたかということに対して調査してお受け取りするというのは難しい問題ではあろうと思うのでありますが、情報の入りやすい立場にある政治家として、そういうことに対してはもとより絶えず留意していなければならない課題であろう、そういうふうに今感じております。
  51. 川端達夫

    川端委員 言葉としてはおっしゃるとおりでありまして、非常に留意をしなければならない。まさに李下に冠を正さずというのはここにあると思うのです。そういう意味で、例えば使う方としてできるだけ政治にお金がかからないようにする、選挙にもお金がかからないようにするというふうな部分ということも非常に大切なことなんですが、いろいろな種類のお金が入ってくる可能性があるわけで、心しなければいけない。  一般論として、政治家に献金をする人は何を期待してというか、思って政治家なり政治団体に献金をされる、寄附をされるというふうにお考えでしょう。
  52. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは私いつも思いますのは、三つあろうかと思っております。この献金によって日本がよくなるように、それからこの献金でその政党が伸びるように、この献金で川端委員が立派な政治家になられるように、こういう大体三つに分けられるのではないかな、こういうふうにいつも理解しております。
  53. 川端達夫

    川端委員 本来、当然ながらそういうことであるべきだと思います。間違っても利権のためであるとかそういう便宜供与のためであってはいけないということは当然のことであります。  そのときに、例えば明電工事件の場合に、いろいろなグレーゾーンあるいはブラックゾーンで資金を調達されたけれども、出所は非常にそういう部分もあったけれども思い政治献金をされた、実態としても政治献金をされた。リクルートの場合は、中瀬古さんのように自分で調達をしてから渡されたのではなくて、株のままで将来得べかりし利益はたくさんありますよということで政治家に渡されたんだと一般に国民の人は受けとめていると思うのです。いわゆる政治資金としての一つの形として江副さんは政治家にお配りになったのではないか、これが正直なところ皆さん思いであると思う。決して、あなたが非常に好きであるから、顔も見たことがないし面識もないけれども、あなたの秘書さんは大変だろうから個人的にしっかり金もうけをしてくださいよといってお配りになったのではないだろう、これが一般的な受けとめであるし、私もそうであると断言をしてもいい、渡した方の思いは。  自治省にお伺いしたいのですが、このリクルートコスモスの株の譲渡益が政治資金として届けられているというふうな実態はございますか。
  54. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 特に私収支報告書につきまして御指摘をいただきまして詳細に調べたわけではございませんので、そういう意味では的確にお答えできないわけでございますが、法律の解釈論として申し上げさせていただきたいと思います。  まず、政治家個人の収入のうち政治資金規正法に基づきまして政治資金として報告すべきものは、その受けた寄附のうち政治活動に関してなされたものでございます。そこで、株式譲渡が行われたという場合、一般論として、妥当な価格によって株式の売買が行われておりますならば、単に値上がりの期待があるから、あるいは結果的に利益を得たからといって寄附と認めることは困難ではないかと思います。  なお、著しく低い価格譲渡が行われまして売買という行為が名目的なものであると認められるような場合もあり得ると思いますが、そのような場合には妥当な価格との差額が寄附になると思いますが、この場合もその譲渡行為政治活動に関するものであるならば政治活動に関する寄附として報告する必要が出てくる、こういうことでございます。
  55. 川端達夫

    川端委員 株の譲渡自体でというふうなことを申し上げているのではなくて、例えばファイナンスからお借りになった場合であれば結果的には利益だけを手にされたというふうなことになるわけで、そういう結果的に得た利益政治活動資金という寄附あるいはその収入としてなっていないというふうなことで、非常に国民皆さんは不審に思う。渡した方は、それが例えば利権に絡んでいる、あるいは職務権限に絡んでいるということであれば、これは大変な問題なわけですけれども、その前の段階としての理解は、どう考えても江副さんが個人的に、あなたは少し貧しそうだからもうけなさいよということで、個人的に懐を豊かにしてくださいということでもうけ口をお世話されたのではなくて、政治活動資金の足しにしてもらおうという意味でお配りになったのではないかなというふうに思っている。  ところが、もらったお方は、いやいやこれは個人的にもうけたんです、個人的に株の取引をしたんですというふうにおっしゃる。そこに国民皆さんの想像、これは想像の世界なんで恐縮ですが、想像しておられる部分とずれがある。いやいやこれは政治資金としていただきましたという届け出がある、あるいは実態としてこういうことなんですよということがどうして申し開きをされないのだろうか。それよりも前の段階の、いやいやこれは政治資金でもないんです、そこで個人の、あるいは周辺の秘書の行為であります。そうすると、その秘書さんはお金をもらったんだな、随分秘書というのはいい商売だな。たくさん議員さんおられるわけですが、秘書さんは皆さん大変だと私は思います、私の周辺を見まして。そういう中で、だからかわいそうだからくれたんかなということではないと思うのですね。  そういう意味では、渡した方は多分政治資金として渡した。客観的に見ればそうだろう。もらった方は違うと言う。政治資金として認めたくない。認めれば、やはりそこに職務権限等々で明るみに出るとまずいことがあるのではないか、こんな不信を、個人的な経済取引ですということを主張されればされるほど余計そういう不信を増幅してしまう結果になっている。  そういう意味で、総理あるいは大蔵大臣周辺もそういうことで非常に疑いを持たれてしまっている。そういう疑いを晴らすには、本当に違いますよということをするためには、何度もの話になりますが、だれがだれにいつ何の目的を持ってこういう譲渡をして、それを得た利益はどういうふうに使いましたという経緯が明らかになるべきだと思います。そういう意味では、私はずっと一貫して国民政治不信を解くにはそのことが必要だと申し上げましたけれども、加えて、総理並びに大蔵大臣あるいはいろいろな政治家皆さんのあらぬ疑いをかけられている部分に関しての実態を、疑いを晴らすためにも江副氏の国会への召喚とそれからリストの提示等々が、総理立場からも、疑いをかけられているからはっきり言ってくれということで必要ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  56. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 想像の世界とはいえ、論理立ったお話であると私は思います。  ただ、名簿提出問題というのは、私は、私も本院等における問答を聞きながら、言ってみれば、会社の、リクルート社決算対策として善意の友人たちにこれを売却したというそのリストであったとすれば、私は、それを公の場へ提出して議論の対象に置くということについては、今の証券取引法の建前からして必ずしも適当なものではないではないか、問答を聞きながらそんな印象を持っておることを率直に申し上げます。  それから、召喚するというお言葉をお使いになりましたが、仮に議院証言法に基づく証人であれ参考人であれ、その問題についてはやはり国会そのものでお決めになることだという、答弁を繰り返すようですが、確かに自由民主党の総裁であり、そして政治資金規正法のかつて小委員長もしておりましたけれども、それはそっち側におる立場のときでありまして、今行政府立場にある場合は、そこのところのけじめだけはやはりつけるのが長年の慣例ではないかなと、御容赦をいただきたいと思っております。
  57. 川端達夫

    川端委員 証取法の枠の話をしているわけではなくて、国の政治信頼の根幹の話ということで申し上げてお願いをし、かつ、総理自身の御名誉のためにも疑いを晴らすべきであるということでお願いをした次第であります。  委員長にお願いをしたいのですが、私は、このような国民政治不信を非常に増大させてしまった今日の経緯を見る中で、その疑惑、疑いを晴らし政治信頼を取り戻すためには、どうしても江副前会長の国会への招致、それから関係する売買記録等を含めた関係書類の提出というものが真相解明にとっては不可欠であるし、この委員会の場所でそれをやるしか国民政治に対する期待にこたえる場がないというふうに信じます。したがって、当委員会にこの二つの案件を実施されるように要請をいたしたいと思いますので、よろしくお取り計らいのほどをお願いいたします。
  58. 金丸信

    金丸委員長 この問題は、一昨十四日の委員会にも何回かお話が出まして、理事会で打ち合わせをする、相談をするということを申し上げております。  ただ、私は、今これが議会運営委員会で与野党ともに審議いたしておるというお話を承りました。私も、この特別委員会委員長であります。そこまで委員長が口を出していいのかどうかということは考えさせられるわけでありますが、理事会の皆さんの御意見を承りながら議運の委員長に強く要請する場合もあるだろう、このように考えております。どうぞよろしく。
  59. 川端達夫

    川端委員 最近の展開として楢崎議員の告発問題というのがありましたけれども、この事件真相は、告発があったわけですから当局の捜査にまつことになると思いますが、私は、この一連のことを見て二つのことを思いました。これ以上いろんな場で真相が明らかになるとよほど困ることがあるのではないだろうか。それともう一つは、何でもお金を、特に政治に対してお金をつぎ込めば自分たちの都合よくなるようにできるんだというふうに思っている会社なんだなということを非常に心証として強く持ちました。  法務省、これから捜査をされるわけですが、私は、単なるわいろ申し込みということだけではなくて、その根底にあるのはこのリクルート問題のいろんな流れ自体であるというふうに思います。そういうものでこれからの調査のお考え、基本的なお考えについてお伺いしたいと思います。
  60. 根來泰周

    根來政府委員 再々申し上げていますように、楢崎議員から告発がございましたので、さしあたりこの告発事実を中心に捜査が進められまして、一般抽象的に申し上げれば、早い段階でお答えを出すことになろうかと思います。ただいま委員が御指摘のように、この国会でもいろいろの疑問点が投げかけられておりますので、そういう点も念頭に置きまして検察当局では捜査を遂げるものと考えております。
  61. 川端達夫

    川端委員 再発の防止についてお尋ねをしたいのですが、こういうことが二度と起こってはいけない。ただ、現に、今までの範疇でありますと、通常な商取引であるという部分に終始をいたしますと、これからもこういうことはやってもいいということになる。もらう方の倫理にさえ気をつければいいということになる。それでは政治に対する信頼がますます損なわれる。そういう意味で、倫理観点、それから税法の観点、加えまして株取引そのものの、要するにグレーな部分というそういう株取引の問題、この三つの観点に立って再発防止というものをどのようにお考えなのか、そして具体的にどういうふうな御所見で進めていこうとしておられるのかについてお伺いをしたいと思います。
  62. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず証券取引関連でございますが、インサイダー取引につきましては、先般法律の改正をしていただきまして、逐次これを日を追って実施に移しつつあるところでございます。  それから、いわゆる株式公開等々に関する部分につきまして、あるいは店頭売買等に関する部分につきまして、現在やっておりますことがこれでよろしいのかどうかということにつきましては、先般既に証券取引審議会の不公正取引特別部会にお願いをいたしまして、それについての再検討を始めていただきました。もう既に会合を開いていただいておりまして、この不公正取引特別部会の答申あるいはお答えを待って、その後の法律改正になりますかなりませんかはっきりいたしませんけれども、必要な措置を講じてまいらなければならないと思います。  それからもう一つ、おっしゃいますように課税の問題があるわけでございます。これも、キャピタルゲインは原則として課税にするということを今回御提案いたしておりますけれども、なお未公開株が公開された場合のかなり大きな利益あるいは創業者利益等々いろいろな問題がございまして、国会でも今日まで御指摘がございました。各党におかれましていわゆる不公正税制の一部としてこれについての御検討が進みつつあると承っておりますので、その御所見に対しまして、政府もこれを謙虚に承っていかなければならないと考えております。  なお、モラルの問題につきましては、先ほど総理大臣がお答えになられましたとおりでございます。
  63. 川端達夫

    川端委員 総理に。そうした再発防止に関してのいろいろなそういう項目があるわけですけれども、もう一つ忘れてはいけないのは、今回の問題というのは、たまたま川崎市の助役さんの問題から今日までのいろいろな問題が明るみに出てきた。いろいろな対策をとるときに、今おっしゃいました予防的な処置、あるいはそういうお金が流れないように、税金がかかってもうからないようにするというふうなことと同時に、同じようなことが行われたらすぐわかるというふうなシステムというかチェック機能というか、そういう部分観点も必要ではないか、そういうことに関してはいかがなものでしょうか。
  64. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今大蔵大臣からお答えになりました、まあ株式市場というのは、そもそも資金調達の手段として、もう一つは投資家の資金運用先としてそれが合理的に機能するように、なかんずくこうした問題が起こった際に、証取法等の改正等いろいろ議論をして結論を出そう。いま一つは税法の問題上、昭和二十八年でございましたか、たしか原則課税から原則非課税に移って今日まで来た、それが今度は原則課税の中で御議論をいただこうと。  それから今のも、最後の問題は、私も素人でございますので定かにお答えするだけの自信はございませんが、いわゆるディスクロージャー等の問題について、それはアメリカのSECのような権能と、あるいは人員とかいうようなものがあるいは念頭におありになるといたしましたならば、そうした問題についても私はやはり検討をするときに来ておるんではないかということを問答を通じながら感じたところでございます。
  65. 川端達夫

    川端委員 時間が参りましたので、最後にお願いを申し上げたいと思います。  国民政治信頼を取り戻すというのは、本当にいろいろな方法があると思います。そういう中で、いろいろな方法がある中で、どうしても事実経過を明らかにして、そのもとから正していくという姿勢を示さない限りこの回復は無理であるというふうに信じております。どうかこれからの取り組みに関しても、そういう国民の切なる声というものをお聞き届けいただいて、御努力いただくようにお願いをして、終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。     ─────────────
  66. 金丸信

    金丸委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本証券業協会常務理事関要君、日本電信電話株式会社代表取締役副社長鴨光一郎君及び同代表取締役常務取締役草加英資君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────
  68. 金丸信

    金丸委員長 質疑を続行いたします。正森成二君。
  69. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、本日は、リクルート問題等の全容解明と、そのためには江副氏の証人喚問や資料の提出がぜひとも必要であるということに絞って質問をさしていただきたいと思います。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕  といいますのは、前に国会にも出ましたけれども、この問題が起こりましてから、ある新聞の投書欄にこういう投書が載っております。   私は七十歳でまだ働いています。個人の商売ですから、退職金もボーナスもありません。年金は年額三十五万七千六百円、月額約三万円ですから、高齢の母親をかかえて働く以外に生きる道はないのです。それでも税金はビシッビシッとかかってきます。   今回のリクルートコスモスの非公開株のことを知って考えました。ちょっと首をタテに振るだけで何千万円、名前を貸すだけで何千万円、何の苦労もなく、私などが一生かかっても目にすることも出来ない金額がザブザブところがりこんで、それに税金がかからない!どう考えても不思議です。   でも考えたら、私も一円だって税金払うのがバッカらしくなってきます。   私は生きるために働き、働いた分税金納める、これは当たり前で納得出来ます。けれど、エライ人が“ぬれ手でアワ”で何千万、何億もうけても税金がかからないのはどうしてなんでしょう。私はコロサレたって税金払いたくない気持ちにだんだんなりました。 こういう内容であります。  私は、総理大蔵大臣にぜひともこの点をお考えいただきたいと思います。税金を払うのが嫌にになるとかばからしいとか殺されても税金を払いたくない、そういう気持ちを多くの有権者に与えているのが本件のリクルート問題であると言わなければなりません。  そこで、この問題について、これが税金問題と非常に深い関係があるということも論及しながらお話しいたしたいと思いますが、質問の順番を少し変えまして、楢崎弥之助議員が、最近、松原弘前社長室長、当時は社長室長でございましたが、リクルートコスモスの関係の方及び江副氏と池田社長を告発されました。そのときに楢崎氏は、同僚委員でありますが、記者会見をされましたが、その中で、本年八月四日以降数回にわたって、株式会社リクルートコスモスの社長室長松原弘氏より、衆議院予算委員会での質問、資料要求等の追及に手心を加えてほしい旨の請託申し出を受けるとともに、現金五百万円のわいろを提示され、さらには今後の政治活動に要する資金につき援助を続けていきたい旨のわいろの申し込みを受けました云々となっております。  そこで、私は、なぜこういうことを行ったのだろうかということについて伺いたいと思います。  同じように新聞紙上に広く報道されました楢崎氏の言明によりますと、このときに、九月になってからでありますが、四日に松原氏がぜひとも連絡をしていただきたい、こう言って電話番号をつけたのでそこに電話したところ、リクルート本社の直通電話番号で、五日の朝電話を入れたら、江副氏の秘書である小野と名のる人物が出てきた。これは江副氏あるいはリクルートコスモスと密接な関係をとり、連絡しながらやっている証拠である。あるいはまた、八月二十八日に福岡の楢崎議員の自宅を訪ねてきた松原氏が、会社でいろいろ相談しましたが、たくさんの方々のプライバシーにかかわるので御意に沿いかねます、これは七十六名の氏名の確認を求めたことに対してこう言っておられます。  これらの経緯を考えますと、これらの行為が松原氏個人の行為であるとは考えられません。また、現実に楢崎氏の言明が事実である、我々は同僚委員があえて告発するわけですから事実と思っておりますが、そうだとすれば、明白な五百万円のわいろ提供という現実の犯罪であります。なぜ大胆不敵にも松原弘氏あるいはそれに指示を与えた人が現実に五百万円のわいろ供与罪になる危険を冒そうとしたのかといえば、五百万円のわいろ提供などは微々たるものである、より大きい重大な犯罪、それを隠すために本件犯行に及ぼうとしたというように考えるのが極めて常識的なことであります。これが、松原弘氏がただ単なる過剰忠誠心であるとかあるいはほんの勇み足であるとかということで数回にわたってこういうことを行うとは、常識的に考えられません。  そこで、私は総理伺いたいと思います。総理大臣としてだけでなく、本院に所属される衆議院議員として、国会を買収しようとした、国会質問を買収しようとしたと言われても仕方がない本件、しかもそれに、私が今述べましたように、江副氏が関与していると疑われるに足る事由を楢崎氏が挙げておられますが、これらの問題について政治家としてどうお考えになるか、まず伺いたいと思います。
  70. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 お尋ね事件につきましては、九月八日でございます、検察当局が告発を受理をした、こういうことでございますので、検察当局が捜査の上適切な措置を行われるものであろうというふうに原則的にはまず思います。  委員の感想はお述べになりましたが、私は行政府立場でございますので、コメントをすることは差し控えさしていただきたい、このように思います。
  71. 正森成二

    ○正森委員 行政府の長として御答弁を求めているわけではございませんで、同じように衆議院議員として同僚に対してこういうことが行われるという点についての感想を求めたわけですが、今総理から御答弁がありましたようなことで、それ以上は御答弁がしにくいようでございますから、これ以上求めるということはやめて、次の問題に移らしていただきたいと思います。  しかし、いずれにせよ、新聞経緯によりましても、池田社長は楢崎氏に対して誣告罪で逆告訴するとかあるいは損害賠償請求の用意があるとかということを新聞紙上で再々言われておりますが、江副氏がこれに近い反論をされたということは聞きません。また、池田氏も、江副氏については全く触れていないようであります。これらのことは、常識的に考えれば、松原氏とかつてその上司であった江副氏が、いろいろ御相談の上こういう大胆不敵な行為に及ばれたというように我々や世間が思われてもいたし方ないことではないかというように思わざるを得ないわけであります。  そこで、さらに私はこれに進みまして、本件が行われました五十九年の十二月以降のことでありますが、その同じ五十九年に重大な事実がございますので、この問題について質問をさしていただきたいと思います。  お手元に資料をお配りしていると思いますが、よろしゅうございますか。  その中の資料(2)を見ていただきますが、五十九年の六月から八月にかけまして一部上場のリッカーミシンが会社更生法の適用を受け事実上倒産したという経緯があるはずであります。このことを証券局は御存じと思いますが、ごく簡単にその経緯を御説明してください。
  72. 角谷正彦

    角谷政府委員 五十九年の七月にリッカー社が和議の申請を行ったわけでございまして、これを契機に、今御指摘の資料にございますようにその株式が暴落しているといった事実がございます。
  73. 正森成二

    ○正森委員 私は自分の方で関係のところにいろいろ伺いまして調べたわけでございますが、それが委員及び政府閣僚の皆さんにお配りしております、私が提出しました「リッカー(株)の売買取引状況」という調査項目であります。  その調査項目の一ページ目の「和議申請公表前」というところがございますが、横の月が六月のところを見ていただきます。  六月のところで、高値二百七十六円と出ておりまして、括孤二十三となっておりますが、これは六月二十三日のことであります。  二枚目を見ていただきますと、裏でございますが、「会社更生法適用申請公表前後の株価・売買高の推移」というのがあります。これが会社更生法が適用されるということになりましてから、八月二十一日のところを見ていただきますと、安値が二十一円で終わり値が二十五円というのが出ております。つまり、短期間の間に二百七十六円というところから一挙に二十一円ないし二十五円に下がりまして、その差額が実に二百五十円ということがこの資料を見ればわかるわけであります。  ところが、ここで、こういう事実の推移を事前に察知いたしまして、この間に二百万株あるいは二百五十万株という株の売買を行い、その結果五億円とも六億円ともいう、いわば情報を事前に知っておるがゆえの不当な利益、これは証券取引法五十八条の「不正の手段」あるいは「計画」「技巧」、こういうものを駆使しての金もうけであると言わなければならないのですが、そういうことをやった人物がいるのですが、証券局は御存じですか。
  74. 角谷正彦

    角谷政府委員 今御質問がございましたように、リッカーの株式が急落したといったふうなことから、当時東証におきまして、例えば証券取引法五十八条に該当するようなインサイダー取引があったかどうかといったことについて売買取引調査を行ったことは事実でございますが、私どもそれについて、あったということについての報告は受けておりません。  なお、特定個々人に係る取引内容、東証調査内容について御報告申し上げるのは御容赦いただきたいというふうに思います。
  75. 正森成二

    ○正森委員 この件につきまして、東京取引所の売買審査部が詳しく調査しております。私どもがこの資料を入手しましたのも、そういう関係で調べていたからこそ資料を入手することができたわけであります。  そこで、私がそれなりに調査をいたしましたところでは、この二百万株以上を売買いたしまして短期間に五億円以上の利益を上げたのは、今問題になっております江副浩正氏であります。なぜ江副氏がこういうことができたか。それは、いろいろ報道もされておりますけれども、リッカーミシンがどうも倒産だというので、その主要銀行である三井銀行がリクルートのところへ、この会社を引き受けてくれないかということで会社の詳細な資料を持って頼みに行ったわけであります。これが四月ごろであると言われております。ところが、そういう詳細な資料を見て検討した結果、これは助けるに値しないということでお断りになったそうであります。ですから、リッカーミシンがもうだめだということを知っているわけであります。ところが、六月の二十二日ごろの日経新聞にこのリッカーミシンが他の有力な会社と売買について提携をするという記事が出ましたために、一時非常に不安になっておりました株式が、この経緯を見ていただいたらわかりますように上昇機運になったわけであります。それが六月二十三日であります。  まさにそのときに江副氏は、自分の名義ほか一、二の名義を使われまして二百万株を、驚くなかれ売ったわけですね。自分は株を持っていないのに、信用取引で売ったわけであります。そして一、二カ月して、果たして自分の想像どおり倒産をするということになったときに、この株の値が最低になりました八月二十一日ないし二十二日、終わり値が二十五円で安値が二十一円というときに、二十円台で、自分の売りに対する手当てをするために買いを二百万入れる。証券取引を御存じの方はよく御存じでしょうが、こういう売り買いの実物の決済は六カ月以内にやったらいいということになっておりますので、それで十分間に合うわけであります。そういうことをやって、一株について二百五十円、二百万株ですから五億円以上、文字どおりぬれ手でアワでもうけたわけであります。  証券局長、私は、自分調査の結果間違いがないということで質問しているのですが、あなたが江副氏がこういうことをやったということをこの場で認めにくいのなら、仮にAならAという人がそういうことをやった場合には、これは証券取引法五十八条の「不正」あるいは「計画」や「技巧」によって株の値を操縦したということで、同じく証券取引法百九十七条で三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金というのが当然適用されてもいい犯罪行為に該当するものではありませんか。これが時効になるとかならないとかいうことはまた別問題として、お答え願います。
  76. 角谷正彦

    角谷政府委員 ただいま御指摘の、江副さんの取引かどうかという問題を含めまして、個別の取引の問題についてはやはり具体的な事実に基づいて、証拠に基づきまして判断する必要がございますので、私どもそれについて十分承知いたしておりませんので、特定個々人についてのお答えは御容赦いただきたいというふうに思います。  それから、こういう場合につきまして証券取引法の五十八条が適用できるかといった問題でございますが、御承知のように、証券取引法の五十八条は詐欺的な行為を防止しているわけでございまして、その構成要件が非常に抽象的であるといったふうなことから、なかなかインサイダー取引としてこの発動は難しいといったこともございまして、実は先般の国会でインサイダー取引について改正を行いまして、具体的なその実例としてインサイダー取引を規制を行ったところでございます。そういう意味で、この証券取引法五十八条にずばり該当するかどうか、そこは今までの扱いからいいますと非常に困難な面はあろうかと思います。ただ、御指摘のようなことで三年の時効ということでございますので、これは時効も完成しておりますので、これについてどうこう言うことは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論として、改正後の証券取引法ということで申し上げさせていただきますと、これはあくまで一般論でございますけれども特定の人が例えば会社の再建を頼まれた、そこでメーンバンクとかあるいはその会社の中からいろいろな情報を得まして、それに基づきまして重要な事実を知り得た、この企業は例えば近く上場廃止になるであろうとか粉飾決算があって実際に公表されているよりは利益がうんと少ない、そういうことがわかったといたしまして、それで取引を行ったとしますと、そういった場合におきましては、これは改正後の証券取引法におきましてはインサイダー取引になる可能性が極めて強いというふうに私どもは判断しております。
  77. 正森成二

    ○正森委員 証券局長も改正証券取引法ではインサイダー取引になる可能性が非常に強いということを言われましたが、同じく伺いたいと思います。  これは「金融財政事情」の六十三年三月十四日号に載りました記事でありますが、証券取引審議会の不公正取引特別部会座長の竹内昭夫さんという東京大学の教授がおられます。証券局長は役目柄もちろんよく知っておられる方であります。この方が証券取引法の改正に伴っていろいろ議論をしている、お考えがここに載っております。その中で、竹内さんは、こう言っておられるのですね。   従来から証取法五八条の規定がある。アメリカでは、五八条に当たる規定(一九三四年法の一〇条(b)項、SECルール10b-5)を使って内部者取引規制をしているから、日本でも、五八条でできなくないのかもしれない。   ところが、わが国では、あの規定はほかの法律と比べると漠然としていて起訴しにくいというので、起訴しやすい規定を書き加えることにしたわけだ。 云々というわけであります。これは証券局長が今言うたとおりですね。ところがその後で、   ただ、アメリカで広がっていった部分を つまり適用範囲が広がっていった部分という意味ですね。  日本ではいっさい放免にするというわけではない。というのは、もともと五八条で全部カバーしているはずだ。   だから、インサイダー取引に対する日本人の法感覚もだんだん鋭くなってくれば、昔は五八条のもとで不問に付されていたことが、五八条に当たると一般に考えられるようになるだろう。そうなれば、五八条の「不正の計画、技巧」という文言の意味も、アメリカで広がってきたように、日本でも広く解釈されるようになるだろう。 ということを言うておられます。  このことは、今度の改正によりまして、なるほど竹内教授は「コア」という言葉を使っておられます、核心になるような部分については非常に形式的に整備したけれども、だからといって五十八条がなくなったわけではない、日本におけるインサイダー取引の皆の怒りあるいは常識というものが広がってくれば、五十八条自体を適用するという場合もあり得るんだということを、この問題を審議した元締めである証取審の不公正取引問題の委員長が言っているのですね。  こういうことについて、江副氏は、私はあえて江副氏と言いますが、二百万株の取引をして、しかも、日本のことわざでは窮鳥懐に入れば猟師もこれを殺さずという言葉があるのに、自分のところに助けてくれと言ってきたその会社の資料に基づいてその会社を絞め殺すような売りを浴びせて、二十何円に下がったら買ってその差額をもうける、人間としても企業家としても言語道断のことをやっております。こういうことをやる人物だから今度の問題でも起こっているのです。  そこで、私は伺いたいと思いますが、この人物が税制問題の特別委員に任命されました。特別委員に任命されたときにどういうことを言ったか、大蔵省主税局は知っておりますか。
  78. 水野勝

    ○水野(勝)政府委員 六十年の九月に任命された当時、いろいろなお考えが新聞のインタビュー等で述べられてございます。そういったものを私どもは承知はいたしておりますが、直接そうした考え方について確認をしているということはございません。
  79. 正森成二

    ○正森委員 私は、時間がございましたら後でも伺いますが、ここでは一つだけ、昭和六十年九月十四日の朝日新聞に載っている記事から申し上げたいと思います。  そこではこう言っているのですね。「税の痛みを感じている側の代表として、積極的に発言する」、こう言っているわけであります。税の痛みを知っているとはよう言うたものだ。政治家に対してお金をばらまいて、あるいはその他の極めて自分関係のあるところにお金をばらまいて、一文も税金がかからない。自分自身は創業者利得で約二百八十万株売却して百五十億円とも、正確には約百四十六億円でありますが、利益を得て、一文も金を払っていない。そういう人が、税の痛みを感じる側として積極的に発言したい、聞いている国民はもうあきれると思うのですね。こういう連中が税制問題特別委員として今度の税制改革や消費税をつくった、そんなものが審議できるかという感じを持つのは当たり前のことだと思います。  そこで、私は国税庁に伺いたいと思います。  リッカーミシンのこの五億円の利益について、税法上はまだ追及し得る期間内のはずだと思います。これについて、江副氏は税金を納めておりますか。それとも、キャピタルゲイン課税の特例に基づいて税を納めなくてもいい場合に当たるのですか。
  80. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 お答え申し上げます。  特定の納税者に即しての答弁は差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げまして、キャピタルゲインにつきましては原則非課税というところでございますけれども、ある種のケースといいますか、一定の場合には課税になるというのは先生御案内のとおりでございます。もしそういうのに該当する場合でありますならば当然申告していただく必要がありますし、申告なき場合にはしかるべき措置が講ぜられるということでございます。  ただ、冒頭申し上げましたように、個別問題としての答弁については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  81. 正森成二

    ○正森委員 ある特殊な例というのを言ってください。
  82. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 一定の場合に課税されますのは、御案内のように継続的な取引とか特定の銘柄を一定株数以上譲渡するといったような場合がそれに該当すると存じます。
  83. 正森成二

    ○正森委員 今極めて抽象的にお答えになりましたが、最近は改正されましたが、それ以前では二十万株五十回以上とか、最近はそれよりもランクが下がっていると思いますが、そういうような特殊な場合しか税がかからないわけであります。本件についてはどうなっているのかお答えがございませんから、私は断定的には申し上げられませんけれども、今の答弁の仕方では、特殊な例外以外にはキャピタルゲインは税はかからないことになっておりますというのが答弁の主要な点であると思います。そうしますと、こういう証取法の竹内教授の御見解によれば、五十八条違反で場合によったら犯罪行為になるかもしれない。アメリカならボウスキー事件じゃありませんが完全に摘発されるというような事件でも、今までのキャピタルゲインの課税では税金がかからないわけであります。  ところが、そういうことをやって庶民が一生かかっても稼げないようなお金を稼いでいる人が、税制の特別委員に任命されて、そして新聞紙上で恥ずかしげもなく「税の痛みを感じている側の代表として、積極的に発言する」と言っている。こういう人物たちに審議された税制改革法案が庶民の願いにこたえるはずがないというのが私の意見であります。大蔵大臣、いかが思われますか。
  84. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ずっと長いことのお話がございまして、私はそのお話を全部そのとおりだと思って伺っているわけではないものでございますから、突然どう思うとおっしゃいましてもお答えのしようがございません。
  85. 正森成二

    ○正森委員 ふざけたことを言ったらいけませんよ。そういう答弁の仕方がありますか。これがほかの所管大臣のことを私が聞いているならともかく、証券関係のことで、キャピタルゲインに関係のあることで、税法に関係のあることで、税制改革法案にも関係があることじゃないですか。そういうことを、長々とお話しになりましたが私に関係がないことだと思ったから答えられないと。それじゃ、こういうことを言うのはいかぬけれども、十四日の与党の方の質問はどうですか。自民党が出した「税制改革Q&A」のテレビ版をおやりになったじゃないですか。長々と話したじゃないですか。それでもあなたは一生懸命答弁したじゃないですか。いや、私はそういう質問が悪いと言っているのじゃない。それはそれでおやりになったらいいと言っているのです。それに対してお答えになったのに、なぜ我々に対して答えないのです。それで総理大臣が十四日に、できるだけ審議をしていただきたい、誠心誠意お答えしたいと言われたのはうそですか。それとも、総理大臣はそう思っておられるが所管大臣である大蔵大臣は違うというのですか。閣内不統一です。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず第一に、証券取引法の五十何条というこの罰則は非常に挙証責任が、犯罪の構成要件が難しゅうございまして適用しにくいということを政府委員が申し上げました。これは正森委員も、しかしそれはインサイダー取引というものがだんだんこうやってわかってくれば今後ともそうであるとは決まらぬではないかという竹内さんのお話を御引用になって、それはなるほどそうかもしれないということが一つでございます。しかし、その五十何条に該当するんだということをおっしゃったわけではないのでございますね。大変そこは注意深く御質問になっておられる。  それから今度は、株式をこうこうしたということも、これはキャピタルゲインというのは原則としては課税になっていないんだ、法律がそうなっていないんだということを、これも御存じでおっしゃっていらっしゃるわけでございますから、立法論としてそれがいいかどうかという御議論は御議論といたしまして、そういう二つのことをおっしゃっていますから、そのお方が何か法を犯しているということを実はおっしゃっていないのでして、大変そこは注意深く御発言なものですから、したがってその結果、税調の委員として適格かとおっしゃっても、どうもその前の方が大変に注意深くおっしゃっていますから、お答えのしようが、最後のところでどうもしようがない、こういうことを申し上げようとしたのです。
  87. 正森成二

    ○正森委員 そういうように答えたいのならそういうようにお答えになればいいのです、何も答弁の自由を否定しようとは思っていないのですから。それをそういうことも言わないで、何か人をはぐらかしたようなことをお答えになるから、それは税制改革を一生懸命にやろうと思っておられる竹下総理のもとの大蔵大臣答弁としては不適切ではなかろうかということを言っているのです。  それから、念のために申しておきますが、私は証取法の五十八条、いろいろ議論があるということは知っております。しかし、竹内教授も言っておられますように、五十八条が頭から適用がないという前提で申しているのではありません。本件はまさにそれに匹敵するような、三井銀行を通じて助けてくれと言われた人がそれを悪用してもうけたとすれば、まさにこれに匹敵するような問題であるという問題意識で聞いておるということを念のために申し上げておきたいと思います。  それでは次に、一昨日、同僚の坂井委員からも御質問がございました。そして同時に、八月三十日に我が党の野間議員が決算委員会質問をさせていただきました。それは、NTTにかかわる問題であります。それはINSと呼ばれますが、インフォメーション・ネットワーク・サービスということだそうです。それからRCSというのですか、私は余りよく横文字を知らないのですけれども、リモート・コンピューティング・サービスというのですか、これらの二つのことについてリクルートとそしてNTTがいろいろ交渉をされまして、クレイ社のスーパーコンピューターなどを導入されたという問題がございます。その問題について私は伺いたいと思います。  まず第一に、御多用の中、通産大臣がお見えいただいておりますので、昭和六十二年に絞って聞きますが、昭和六十二年の四月に中曽根前総理がまさに渡米されようとするとき、この問題が非常に重大な貿易摩擦解消の一つの手段になりまして、アメリカの、ここに当時の新聞も持ってきておりますが、有力議員四人から総理に書簡が参りまして、その中で、例えばクレイ社のコンピューターの購入とかそういうことで貿易摩擦解消に役立ててほしいというようなこともあり、当時安倍幹事長も、当時は総務会長でございましたか、訪米されたということを伺っておりますが、所管の通産大臣としてこの問題をどういうように御認識なさっていたか、一言お答え願いたいと思います。
  88. 田村元

    ○田村国務大臣 今の御質問はスーパーコンピューターの問題でございますか、あるいはスーパーコンピューターを四人の国会議員がどうということでございますか、どちらの御質問でございますか。
  89. 正森成二

    ○正森委員 ちょっと私もあれでございますが、スーパーコンピューターの導入が経済摩擦解消という点で大きな意味を当時持っていたのではないかという意味で聞いております。
  90. 田村元

    ○田村国務大臣 それは確かにそのとおりでございまして、スーパーコンピューターの日本への売り込みというのがなかなか成功しない、いわゆる日本市場への参入というものが非常に難しい、日本の買い入れをもっとふやしたらどうだということは随分アメリカ政府から私どもに厳しく対応がございました。それに対して、我々も我々の言い分をずっと言い続けてきた。ただ、今のお話のどの国会議員かというのはちょっと私存じませんけれども。向こうのどういう国会議員がどうということは存じませんが。
  91. 正森成二

    ○正森委員 当時の新聞を持ってまいりましたが、「スーパー電算機問題 通産相と協議へ」とか、これはヤイター通商代表がおいでになったとか、いろいろ詳しく載っておりますが、時間の関係がございますので省略をさしていただきたいと思います。  そこで、NTTがお見えになっておると思いますが、来ておられますか。――そこで伺いたいのですが、当時、六十一年と六十二年の二回にわたりましてNTTがクレイ社のスーパーコンピュ-ターを御購入になり、それに対して一定のいろんなユーザーに使えるような設備を施した上でリクルート本社に転売といいますか、お売りなさったということだそうでございます。私の承知しておるところでは、クレイⅩMP216というのを昭和六十一年に購入なさいまして、NTTの横浜西の庁舎に据えつけてリクルートがお使いになれるようになさった。さらに六十二年にはクレイ社のXMP18というのを大阪の堂島の庁舎に設置なさったというように聞いております。さらに、それについては小口ユーザーに使えるような設備をなさると同時に、保守的契約等についてもお結びになりまして、全面的にバックアップされておるというように聞いておりますが、間違いございませんか。それらについて御答弁を願います。
  92. 鴨光一郎

    ○鴨参考人 お答えをいたします。  ただいま御質問のございましたクレイ社との関係でございますけれども、私どもスーパーコンピューターの設計、建設あるいはそれの受託工事を実施することによりまして、クレイの機器の検収試験あるいは基本ソフトウエアのはめ込み、そしてまたオンラインシステムの構築に関する技術支援等を行ってまいったことは事実でございます。ただ、こういった技術支援といったことにつきましては、私どもといたしましては、リクルートに限ったことではなくて、どちらのお客様からも御要望がございました場合には、NTTといたしまして可能な限りの私どものサポートをしていくというのも実態でございます。   それから御指摘の二点目の、横浜の西のビル、それから堂島ビルにございますリクルートのコンピュータの件でございます。御指摘のように、一方は、横浜西の方は昭和六十一年の十二月、それから堂島の方は六十三年の二月にリクルートとの契約を結んでいるというのが事実でございます。
  93. 正森成二

    ○正森委員 リクルートは、INSというのは、大容量の回線を借りまして、それを小口に分けてさらに再販売する、リセールと呼んでいるそうでありますが、そういうことをなさっている。それからRCSというのは、スーパーコンピューターを入れまして、それを末端のユーザーが使えるように接続いたしまして、一時間六十万円とか百二十万円とかで時間貸しをするというような内容のものだそうであります。  これは、情報産業でこれから二十一世紀にかけて非常に有望だと言われているようでありますが、こういう問題について、「電気通信事業分野における当面の競争政策上の問題点について」、こういう文書が昭和六十一年二月十九日、公正取引委員会事務局から出ております。この同種の文書が、私の承知しておりますには三回か四回出ているようでありますが、その中でこのリセール問題について、公正な競争上いろいろ考えるべきことがあるという点が二カ所ほど出ていると思いますが、公正取引委員会の方が来ておられるならば、わかりやすく説明してください。
  94. 柴田章平

    ○柴田政府委員 今先生から御質問の件でございますが、昭和六十一年の二月十九日でございますが、私どもの事務局につくりました研究会で今御指摘の問題についての考え方を明らかにしてございます。  その第一点は、専用線の単純再販、今先生がリセールとおっしゃった問題についてでございます。「現行の専用線の料金体系の下では、第二種事業者は、日本電電」これはNTTでございますが、NTT「から借りた専用線を細分して、第三者に対して安価で再販売することができるが、このような単純再販を行う事業者は、今後、専用線サービスを開始する第一種事業者と市場で競争関係に立つものと考えられる。 この場合、日本電電」NTT「が、保守、管理等の面でこれらの単純再販事業者を支援して第一種事業者の新規参入を阻害することのないように、注意する必要がある。」このようなことを申しているわけでございます。この考え方が明らかにされておりますのは、昭和六十年の四月でございますけれどもNTTが民営化され、同時に電気通信事業が自由化されたわけでございます。それで専用線の単純再販売、これが制度的に可能になったということでございます。  一方、第一種電気信事業への新規参入が事業を開始いたしましたのは六十一年の八月でございまして、上記の、今申し上げた提言が行われた六十一年の二月の時点ではまだこれらの事業者の新規参入が行われていなかったわけでございます。それで、専用線の再販売事業者は新規参入事業者と競争関係に立つものでございますので、NTTが保守管理等の面で再販売業者を支援して、第一種事業者の新規参入を阻害するのではないかという懸念が当時あったわけでございます。  このような問題意識のもとに今の件の提言をした、こういうことでございます。
  95. 正森成二

    ○正森委員 今公正取引委員会の御説明がありましたように、NTTがリクルートと結びました契約に基づいていろいろ便宜を図らっているわけですが、それらの問題については非常に公正な競争上問題になり得るという問題意識公正取引委員会が持っていたことは事実であります。  NTTに伺いますが、単純再販売、リセールと言ってもいいのですが、そういう問題についての今のリクルート取引上のシェアというのは六〇%を超えているのではありませんか。
  96. 鴨光一郎

    ○鴨参考人 ただいまの御質問でございますけれども、リセール業者と申しますのはいろいろな形で多様化したサービスを提供されておられる各社でございますけれども、私ども立場から申し上げますと、私どもの回線を御利用になっている会社が何社かあるわけでございますけれども、今御質問の、それがどれだけのシェアを持つかということにつきましては、他社の経営のことでございまして、私どもといたしましては把握をいたしかねているというのが実態でございます。
  97. 正森成二

    ○正森委員 余りいいかげんな答弁したらいけませんよ。私らが持っている市販されているものでそのパーセンテージも出ておりますし、リクルート社自身自分のところの雑誌などで、非常にシェアが大きくて頑張っているんだ、そのうちに朝日新聞やら何やらを抜いて日本でも有数のものになるんだと堂々と言っているじゃないですか。そんなものをつかんでないなんて、そんなことはまじめな答弁だと思えないですね。  だけれども、あなた方がそういうぐあいな答弁をされるというならよろしいが、長谷川寿彦という人がいるでしょう。この人は東京の一番偉い局長をしておられて、INS、それからRCSなどの問題が所管である事業本部長をしておられた方ではありませんか。
  98. 鴨光一郎

    ○鴨参考人 お答えいたします。  長谷川取締役が当社の取締役をいたしておりましたのは六十二年の五月まででございますが、その間に東京総支社長あるいはデータ通信事業本部本部長を兼ねていたことは事実でございます。
  99. 正森成二

    ○正森委員 長谷川さんのやっているこのデータ通信事業の本部長というのは、まさに先ほど申しました例えば大阪の堂島のスーパーコンピューター、こういうものを管理している、そういうまさに職務権限のある方ですね。この職務権限のある方が六十二年の五月におやめになっておるという事実があるはずであります。  この点につきまして、ある週刊誌に真藤会長が次のように言っておられます。「「リクルート」のシェアがどのぐらいか知りませんが、癒着などありませんよ。長谷川君は私が社長のころ、いろいろ問題があったので私が首を切った。辞表を書かせたんですよ。私の“懐ろ刀”というのは、彼が自分で言ってるだけでしょう。」というように言っておられます。つまり、長谷川さんは六十二年の五月ごろ取締役をおやめになったのですが、これは決して円満にやめたのではなしに、首を切ったというように世間で言われているわけであります。おやめになった事情についてお答えを願いたいと思います。  なお、その絡みで、郵政大臣にはお忙しいところをお見えいただきましたが、電信電話株式会社法によりまして、取締役の解任等はたしか郵政大臣の認可か許可が要るというようになっていると思いますので、後でその点について御答弁をお願いいたします。
  100. 鴨光一郎

    ○鴨参考人 先ほどお答え申し上げました長谷川取締役辞任の際の状況でございますけれども、本人から社会的にお騒がせをしたので辞任をしたいという申し出がございまして、それを受けまして、社としてその辞職を承認したということでございます。
  101. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  御指摘のありました、国会で六十年四月に民営化の実現いたしました電電公社に関しましては、日本電信電話株式会社法の第九条によって取締役、そしてまた監査役につきましては、選任、解任については郵政大臣の認可が要るということでございますが、これはいわゆる経営の自主性とか、そしてまた民営化しましたその意味での経営性を尊重していただきたいということで郵政省が事後に認可を与えるということになっておりますので、六十年の四月に取締役として就任をされ、それから六十一年の六月の二十六日に再任をされておられますが、その後、今答弁のありましたような事情によりまして、私どもが事後に承認をして、最初は選任をし、後、解任をしておるということでございます。
  102. 正森成二

    ○正森委員 何か今NTTの役員のお話によりますと、解任の事情は悪いことをしたかどうかじゃなしに、本人が世間をお騒がせしたということで辞表を出したという意味のことですが、その世間を騒がしたというのはどういう意味なんでしょうか。  その前に、時間の節約の意味で、これだろうと思うので、私の方から一定限度申しますと、六十二年の七月の二十七日に決算委員会で、同僚の社会党の委員でございますが、渡部行雄委員質問をしておられます。これを見ますと、長谷川寿彦という人は、名前は、これは外部で見ておられる方があるかもわかりませんので、実名はAという方にさしていただきますが、Aという女性がおられて、この人が長谷川寿彦氏と昭和五十九年四月ごろから交際されておる。普通の交際ではないようであります。この告発人が港区南青山のビアレストランのシテ青山というのを開店して、そこで、お客さんと行かれて何か親密な関係になられたようであります。そしてマンションまで借りられた。  ところが、そこまでなら、私どもはそれが道徳的にいいかどうかは別として、私生活にまで干渉しようとは思いませんが、そういうようにマンションを借りて生活費を出すのに一カ月六十万円要るのですね。この六十万円をNTTから出そうというので一緒に相談をして、この決算委員会質問によりますと、NTTが民営化されたので、宣伝やその他でいろいろノーハウが要るということでコンサルタント契約を結んだ。その相手が株式会社ケイプラスというので、一カ月に二百五十万円、一年三千万円、三年間の契約をした上で、そのうちの二五%をトンネルでクラヴィスというこの女性がつくった会社に、つまり月額六十二万五千円ですから、ばっちりそのアパート代と生活費が出てくるわけでありますが、それを流しておった。  そこまでだったらこの人はなかなか知恵がよかったのですけれども、、一年半してこの女性とけんかしたのですね。それで女性が義憤に燃えて、恐らくこの契約を解除されたのでしょう、だからけしからぬ、こういう人物は特別背任だと言うて、この当該女性が告発したのですからね。これは女性の恨みは恐ろしいといいますか、まず間違いないですね。第三者が推認に基づいてやっているのじゃなしに、私がその金をもらいました、私が世話を受けました、しかし、これはNTTの公金をこういうぐあいにごまかしているのですから特別背任じゃないですか、こう言うて告発したのですから、非常に信憑力があるのですね。伝聞じゃないのです、まさに当事者ですから。そこで、こういう事実があるから、それを世間を騒がしたと言ってやめているのですね。これが事実無恨なら、そんなばかなことがあるかと言ってそれは怒らなければいかぬところですね。怒らないところを見ると、事実を認めたのでしょう。   そこで、これは渡部委員によりますと、告訴されているのですね。昭和六十一年の十一月七日に警視庁の捜査二課に告訴、告発した。本人ですから告訴ですね、正確には。これについて捜査状況がどうなっておりますか、お答えください。
  103. 中門弘

    ○中門政府委員 現在、警視庁において鋭意捜査中でございます。
  104. 正森成二

    ○正森委員 刑事局長、申しわけありませんけれども、鋭意捜査しているのはいいのですが、私も弁護士ですけれども、こういう事件は捜査したら検察庁に送検しなければいけませんね。一年九カ月、十カ月も鋭意捜査したのですから、とっくに送検していると思いますが、その点はどうですか。
  105. 中門弘

    ○中門政府委員 現在捜査中でございまして、まだ送検には至っておりません。
  106. 正森成二

    ○正森委員 いいですか、総理あるいは国家公安委員長。こういう当の人が、ある意味では自分の名誉もあるだろうに、けしからぬと、それはいろいろな恨みもあったかもしれませんが、公務員あるいはそれに準ずる者の風上に置けないということで告訴、告発しているのですから、こんな確かなことはないのですね。それを調べて、あるいは嫌疑なしという場合もあるでしょう、あるいは情状酌量とかいろいろあるでしょうけれども、通常ならばそれを検察庁に少なくも送らなければいかぬですね。それを警察は握りつぶして、今刑事局長も、何かあれですね、余り元気のない答弁でしたね。鋭意捜査しているなんて言って、鋭意一年十カ月も捜査して、まだ検察庁にも送っていない、そんな鋭意捜査がありますか。  ところが、警察庁、大阪の具足みち子さんにかかわる猫ばば事件では、十五万円を届けた人を逆に犯罪人として取り調べるというときには、署長以下捜査を八名も置いて、妊娠している無実の女性を逮捕するために産婦人科十五軒に照会状を出す、近所でいろいろ聞いてまわる、ない証拠をでっち上げるということをやって、一カ月ほど一生懸命やったのでしょう。大阪府民だけでなく全国民が怒っているのです。こういうことはそれこそ鋭意一生懸命やる。ところが、長谷川寿彦というような人間は、鋭意やっておると言いながら一年十カ月何にもやっておらない。もってのほかじゃないですか。  法務大臣、あるいはお答えにくければ国務大臣としてでもいいですけれども、あの具足みち子さんにかかわる猫ばば事件、もっとはっきり言うならば犯人でっち上げ事件と言ってもいいと思います、それが今検察庁でお調べ中と聞いておりますが、このような事件について国務大臣としてどうお考えか、あるいはこの事件はどういうように処理なさるおつもりか、簡単にお答え願います。
  107. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 お尋ね事件は検察庁におきまして現在捜査中でございまして、事実関係を確定の上、諸般の情状を考慮して適正な処分をするものと考えております。  お尋ねの件が事実であるということでありますれば、一地域の治安と国民の安全を預かる派出所の警察官が届け出を受けた拾得物を収受するというようなこととは、国民信頼を裏切ること甚だしいと言わねばならないわけでありまして、二度とこのようなことがあってはならないと存じております。
  108. 正森成二

    ○正森委員 法務大臣がそういうようにお答えになるのは当然のことなんですね。そういうことについてはすこぶる迅速にやる。ところが、長谷川寿彦氏のことについては一年十カ月も鋭意捜査しながら送検もしないというようなことは、もってのほかだと言わなければならないのですね。  そこで、次に進みますが、一昨日同僚の坂井委員お尋ねになりましたが、この長谷川寿彦氏というのが、時期は確定しないとわかりませんが、おそらく五十九年の十二月であろうと言われておりますが、リクルートコスモスの株二万株の譲渡を受けまして、五千万円以上利益を受けておるというように広く言われております。私は、もしそういうことになりましたら、ほかにもいろいろ関係の公務員あるいは政治家の名前も出ておりますが、この長谷川寿彦氏の件については極めて具体的な贈収賄に当たる可能性が強い。しかも公正取引委員会の意見にもありましたように、公正な競争について問題があると言われていることについてリクルートに非常に便宜を図らうということをやりましたとするならば、それによって職務上必ずしも公正でない行為を取り計らった可能性もあるということになれば、単純贈収賄以上の重い犯罪になり得る可能性があるというように思います。  しかも、この人物は商業登記で明白でございますが、やめましてからすぐリクルートUSAというリクルートの完全な系列会社の顧問としてワシントン、ニューヨーク、ニューヨークが主だそうでありますが、あるいはロサンゼルスに本社があるそうですが、そういうところに行っておられたようであります。そして現在は、リクルートの完全な子会社でありますリクルート国際バン株式会社、ここの取締役、そして代表取締役に就任をされております。ここに持ってまいりましたが、六十三年の三月二十四日付、三月十六日に就任で二十四日に登録されております。  そうなりますと、この日本電信電話株式会社法というのは、ここへ移る前は、五十九年のことでございましたら刑法上は公務員として扱われます。そして電信電話株式会社法になりましてからも、今大臣がお示しになりました権限は九条ですけれども、十八条におきまして贈収賄罪の適用があります。そしてその第三項では、「会社の取締役、監査役又は職員であった者が、その在職中に請託を受けて、職務上不正の行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関して、わいろを収受し、要求し、又は約束したときは、二年以下の懲役に処する。」となっております。大審院以来の判例によれば、わいろというのは金銭に限らず未公開株の譲渡も含まれますが、例えば就職の世話あるいは会社への就職ということも当然欲望を満足させるわけですから、わいろの対象にもなり得るはずであります。  そこで法務省に伺いたいと思いますが、この長谷川寿彦なる人物の先ほど申し上げました商法上の特別背任、あるいは今新聞紙上に報道されておりますリクルートからの贈収賄の関係について、たしか十四日、視野に置いて捜査を開始していると思うという答弁がございましたが、その事実については間違いがございませんか。及び、私が申し上げました、ただ株式譲渡を受けたということだけでなく、その関係会社の役員についておるということが、今私が申し述べました条文に照らして、わいろの事後供与といいますか、普通そう呼ばれているようなものになり得る、私はこれがなるという答弁期待しておりません、法律上なり得る可能性があるかどうかについて御答弁を願いたいと思います。
  109. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま二つの問題を提起されましたので個々に御答弁申し上げますが、まず、第一の問題第二の問題を通しまして、私どもはそれが犯罪になるかどうか、あるいは疑いがあるかどうかというお答えをする立場にはないわけでございます。  まず第一の問題につきまして、一昨日も坂井委員お尋ねになりました。また八月三十日に野間委員が決算委員会お尋ねになっております。その件については、一昨日私が申し上げましたように、従来国会の御議論は検察庁も十分拝聴しておるわけでございます。したがいまして、拝聴した結果そういうことも念頭に置き、あるいは視野に入れてと言っていいかと思いますけれども、そういうことをいたしまして、十分検討をしていると考えております。  第二番目の点につきましても、繰り返すようでございますが、それが犯罪かどうかという点は差し控えますけれども、一般的に地位を与えるということもわいろ利益供与ということになり得るかと思います。しかし、繰り返して申しますが、その事件がどうだというわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。
  110. 正森成二

    ○正森委員 一般論としてでございますが、地位の提供もわいろの内客たり得るということで、もちろん具体的にではございませんが、そういう答弁がありました。そうしますと、この長谷川なる人物は現在リクルートの国際バンの代表取締役をしている、しかもそれは時効完成前であるということは明らかでありますから、私はこれらの問題を解明するためにも政府として十分に対応をしていただきたいと思っております。  そこで、この問題の締めくくりとして申し上げたいと思いますが、通産大臣から先ほど御答弁をいただきましたが、当時、コンピューターの導入という問題は日米間で非常に問題になっておりました。中曽根総理のところにアメリカの有力議員から直接に手紙が参っているということも、ここに持っております資料にございます。  そこで、これは三月四日の日経新聞でございますけれども、日経新聞にはこう出ているのですね。「江副リクルート会長と親しい中曽根氏が同社へ引き渡すことを条件に、NTTに購入を依頼したといわれている。中曽根氏側近は「リクルートは以前から導入を計画していたので、米国から入れてもらえばありがたいという話をした」と証言する。」というように報道されております。これは一新聞の記事でございますから、これが直ちにどうこうというわけではないにいたしましても、こういうように、長谷川寿彦氏がNTTに、あるいは別の件かもしれませんが解任をされる、そして今重大な疑惑が出ているという問題に絡んで、中曽根前総理リクルートに便宜を図らうようにということでNTTに働きかけられたということが、経済関係の日本で一流の新聞リクルート問題の発覚前に出ている、三月四日ですから、ということは非常に重大であるというように私は思わざるを得ないわけであります。     〔海部委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、こういう関係について竹下総理伺いたいと思いますが、今法務省からも御答弁がございましたが、いかなる意味でも権力によって捜査を押しとどめるというようなことがなしに、自然体で、もし違法行為があれば違法行為として捜査するという立場を鮮明にしていただければありがたいと思います。
  111. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 個人でございますから告訴ということに対して、鋭意捜査が行われておる。そして、刑罰法令に照らして適切な処分が、事実であるとすれば行われるであろう。非常に一般論でございますが、それに対して我々が指揮するというような立場にはないということをお答えをいたします。
  112. 正森成二

    ○正森委員 そこで、私は次にリクルート問題そのものについて、特に今回の株譲渡の問題について伺いたいと思います。  今、株譲渡について、七十六名の問題についていろいろ言われておりますが、証券局長伺いたいと思いますが、私はここに有価証券報告書と営業報告書を一そろえ持ってまいりました。これを見ますと、リクルートコスモスは、当初は株主は十七名しかおりませんでしたね。それが昭和六十年の四月三十日を見ますと、一挙に二百四十五名になっております。それがさらに昭和六十一年の四月三十日、ここからは有価証券報告書になっているのですが、十月三十一日に提出されております。これは店頭登録の日であります。これを見ま すと、二百五十名になっております。  そこで、そういたしますと、七十六名というのは、昭和五十九年の十二月に二回に分けて個人としてふえたのですが、それ以外に店頭登録のときには二百五十名、うち個人は百九十一名であった。そこで証券局長は、七十六名以外にも個人が九十三名いるというように言われたわけでありますが、九十三名のうち五名は昭和六十年の五月以降である、それ以外の八十八名は昭和六十年の四月三十日までであるということにこの営業報告書と有価証券報告書について調べてみるとなりますが、間違いありませんか。
  113. 角谷正彦

    角谷政府委員 突然のお尋ねでございますので、今のケース、正確に申し上げる資料を今ちょっと持ち合わせておりませんけれどもリクルートコスモス社株式につきましては、まず原初の株主が五十九年の四月段階で十七名いたと思います。その後、七十六名の五十九年十二月の譲渡がある。あるいは六十年二月あるいは四月にそれぞれ金融機関等二十六社あるいは事業会社その他個人で三十八社というものがふえております。そのほか、従業員持ち株会からその従業員がやめたといいますか、従業員持ち株会を脱会することによって個人名義に変わっておるものが相当数ございます。そういったことで今の株主数の増加は説明できるのではないかというふうに考えております。
  114. 正森成二

    ○正森委員 角谷証券局長、今あなた正確な数はと言われましたが、昭和六十三年八月三十一日に参議院で和田委員質問に対してあなたが答えているのです。ここに議事録があります。この議事録では、九十三名の差がある、七十六名を引いて。この九十三名につきましては、五十九年四月末から六十一年四月末までの間に云々ということで七十九名は従業員持ち株会だ、残り十四名ということになるが、それは調べてみたけれども相対売買で、証券取引法上の「募集又は売出し」に該当しない、こう言っていますね。  そうしますと、これは少なくも一点は間違っていますね。違うのですか。二百五十名というのはそれより後じゃないのですか。だから五名は別の機会じゃないのですか。
  115. 角谷正彦

    角谷政府委員 今、お答え申し上げたことに対応する正確な資料をちょっと手持ちじゃないものですからそうお答え申し上げたわけでございますが、いずれにしても従業員持ち株会が大半だったようでございまして、あと残り十数名というのが残るわけでございますが、いわゆる証券取引法で言う「募集又は売出し」に該当する五十名という規模のものではないわけでございまして、したがって、個別の相対取引について証取法上特に違法であるとかないとか、こういうことではないということを申し上げたわけでございます。
  116. 正森成二

    ○正森委員 その経緯につきましてなぜ私がこういうことを聞いているかといいますと、総理大蔵大臣の秘書が昭和六十一年の九月にそれぞれある経済人から譲り受けたんだということが事実といたしますと、二百四十五名から二百五十名にふえた五名の中に入っているのですね。非常に特殊なケースであるということでいろいろ伺わなければならないと思うので、その前提として伺ったわけであります。これについては、後ほどまた申し上げます。  そこで、七十六名を含む個人株主への株譲渡目的ですが、本委員会等でもあるいはその他一般にいろいろ言われておりますが、まず第一に安定株主のためである、決算対策のためであるという二点を言われましたが、安定株主というのが問題にならないということは証券局長もお認めになるでしょう、大部分がすぐ昭和六十一年の十月に売り抜けてもうけてしまったのですから。これは認めるでしょう。  それから、決算対策のためであるというように言われて、なるほど十三億余りそれで売却益を得たということは事実のようでありますが、同時に、これはあなたの八月二十二日の予算委員会、参議院ですが、久保委員に対する答弁においてこう答えていますね。「その当時勧誘されてその株式を買うことを引き受けられた方のうちの一部につきまして、リクルート社からファーストファイナンスという会社に対しまして融資を行い、そこで払い込みを行ってもらったというふうなことは事情聴取しております」云々と、こうなっていますね。これはまさにあなたの答弁であります。  そうすると、大体が、決算対策のためだというのに未公開株を個人に買ってもらって売却益を上げるなんということは極めて異例のことですけれども、その相当部分が融資を受けられなければ買えないような人物である、これもまた異例であります。その融資をしたのがだれかといえば、ファーストファイナンスというリクルートの子会社である、これもまた異例で、江副氏が返す返すも軽率だったと言っていることです。ところが、そのファーストファイナンスはどこから金が出たかといえば、とどのつまり、決算対策をしなければならないリクルートが融資したのだということになれば、これは完全な粉飾じゃないですか。自分で金を出して子会社を通じて融資して、それで株を買わせて自分のところは利益が多いということにするとすれば、こういう決算対策というのは通常あり得ないし、もしあったとすれば、普通、決算対策というのは赤字を隠すためにやるので、これは黒字の額を大きくするためにやったという希有の例ですけれども、同時にそのやり方も希有であって、決算対策なんというようなことはおかしいのじゃないですか、あなたの答弁自体から見ても。
  117. 角谷正彦

    角谷政府委員 五十九年十二月にリクルート社が行いましたリクルートコスモス株の売却でございますが、これは安定株主対策としての観点がなかったかどうかについては、なかったということは言えないかもしれませんけれども、私どもが事情を聴取した結果では、決算対策観点からこれが行われているというふうに聞いております。事実リクルート社は、それ以前何期かにわたりまして二けたの利益の伸びを計上していたわけでございますが、五十九年十二月期の決算におきましては、向こうの事情聴取の結果によりますと、やはり二けたの利益がとても出ないということで、今もお話がありましたように、リクルートコスモス社株式を十五億売却いたしまして十三億余の利益を得て、これによってやっと二けたの利益を確保しているという事実は、確かに事実問題として認められるわけでございます。  なお、ファーストファイナンス社から融資を受けたということは別の目的があったのではないかという御指摘でございますが、この点について私どもが事情を聴取した結果によりますと、リクルート社の決算というのは十二月期決算でございます。したがって、十二月三十一日までにそのお金が入ってこなければいけないという事情があったようでございまして、そういったことで、勧誘を行いましたのは、先般お話し申しましたように、十二月二十日から三十日という非常に短い期間でございますので、当座お金の持ち合わせのないような方に対しては、リクルート社は、ファーストファイナンスという金融会社からの融資をあっせんすることによって現金を入れていただいたという説明をいたしておりまして、それを覆すだけの事情は私どもも承知いたしておりません。
  118. 正森成二

    ○正森委員 証券局長、今の私の質問に全然答えていないじゃないですか。私が聞いているのは、その方たちがお金がないから融資をしたわけだというのはいいけれども、その融資をしたところが自分の子会社のファーストファイナンスだけでなしに、決算対策をしなきゃならない自分自身がファーストファイナンスに融資して、それが回り回ったんだとあなた自身が言うているから、そんなおかしな決算対策がありますかと言うているのですよ。何にも答えていないじゃないですか。
  119. 角谷正彦

    角谷政府委員 失礼いたしました。八月二十二日の答弁、ちょっと私今読み返しますと、私の答弁に間違いがございました。「リクルート社からファーストファイナンスという会社に対しまして融資を行い、」というふうに書いてありますが、融資のあっせんを行いということの間違いでございましたので、ちょっとこの議事録を今読み返しますと間違っておりましたので、訂正させていただきます。
  120. 正森成二

    ○正森委員 あなた、何かリクルートにかわって自信満々答弁しておって、それで余りおかしいから私が質問すると、ほかの委員の場合は五、六回抵抗してからやっと改めたけれども、私の場合は一回だけで改めたからその点は情状酌量せにゃいかぬけれどもリクルートが融資したというのとリクルートが融資あっせんしたというのでは、総理、全然違うのですからね。決算対策をやらなければならない会社が、金が余っておるのか知らぬけれども融資して、そして個人に株を買うのをやるというなら、そんなものは決算対策に全然ならないじゃないかというのは当たり前でしょう。そう言われたら、余り自分の言うことに矛盾があるから、失礼いたしました、あっせんが抜けておりましたと言って、そんなことを言うならそのときに改めにゃいかぬですよ。これは私がたまたま気がついて言うたからいいけれども、言わなかったら、角谷証券局長答弁というようなことでまかり通っているのですね。だから、そんなことを国会で軽々しく答弁して、議員を欺罔することをやったらいかぬですよ。あなたの答弁は、これからも言いますけれども、まだ随分問題があるのですよ。それで、あなたが何かリクルートのかわりに出てきて一生懸命弁護しておるというようなことで、事実上真相解明あるいは全容解明の防波堤の役割を果たしておるということはもってのほかだというように思わなければなりません。そこで、証券業協会来ておりますか。――証券業協会にお伺いいたしますが、店頭登録というのは大蔵省が直接許認可するものではなくて、証券業協会が申請協会員を通じていろいろ審査してよろしいということであれば、これは証券業協会が認めるということになっており、当委員会でいろいろ問題になりました特別利害関係者というようなものにつきましても証券業協会が、私の知っているところでは業務委員会内規、昭和五十五年六月十二日、委員皆さんにはお配りいたしましたが、それでお決めになっておるというように思いますが、そうですか。
  121. 関要

    ○関参考人 店頭登録の基準とか、ただいま先生御指摘の内規につきましてはすべて証券業協会で制定しております。
  122. 正森成二

    ○正森委員 そこで、それの第二項に「登録申請日の直前決算期日の一年前の日から六か月を経過する日までの間に、第三者割当増資を行っている場合」というのがございますね。そこの解釈ですが、(2)のところに「新株式の割当先に特別利害関係者等が含まれている場合。ただし、割当を受けた者の増資後の持株比率が五〇%以下であり、かつ、その持株比率が増資前の比率を超えない場合を除く。」こうなっております。この「かつ、」という部分ですが、これは今まで二%の比率だったものが三%になるという場合は五〇%以下の比率でもだめですよ、こういうことですね。このことは、逆に言えば五〇%以下であってもゼロのものが一%になる、二%になるということはこの禁止規定にかかるのじゃないですか。
  123. 関要

    ○関参考人 この規定は、そこに書いてございますようにあくまで特別利害関係者等が第三者の割り当て先に含まれている場合のものでございますが、その限りにおきまして先生の御指摘のとおりだと思います。
  124. 正森成二

    ○正森委員 私の解釈が間違っていないということを証券業協会の担当者が確認をされました。  そこで、角谷さん、またあなたの答弁を出して申しわけありませんが、八月五日に楢崎議員の質問に対して、この特別利害関係者についてあなたが答弁になりました。こう言っております。「六十年四月の取引先を中心といたしますところの第三者割り当ては、三十七社と一個人でございます。ただ、個人といいましても、これは政治家ではございません。それから、その割り当て先につきましては、これは主要株主に該当するほど大きなものはありません。そういう意味では第三者割り当ての中をごらんいただきましても、主要株主など特別利害関係人等に該当するものではないということは私がここではっきり申し上げていいかと思います。」こう答弁しております。  しかし、楢崎委員提出の資料あるいは私ども自身が他のルートを通じて調べましたところでは、三十七会社の中にはデン晴海だとか竜ケ森だとかあるいはリクルートコンピュータプリントですか、これらの会社が含まれておりますが、これらは完全なリクルート関係会社、子会社であり、しかも有価証券報告書によれば江副氏が代表権を有する取締役社長もしくは会長をしておられます。したがって、ここに言う特別利害関係者に当たることは明白なんですね。これは関さんも認めると思います。  そこで、私はあなたの答弁が間違っていると言っているのじゃないのです。そうじゃなしに、あなたはもし答弁するなら、昭和六十年四月二十五日の第三者割り当ては制限禁止期間の四月三十日より五日前でございますから特別利害関係人に該当するかいかんを問わず法律上違反の事実はありません、そういうぐあいに答えるならこれは証券局長として立派なもので、私が証券局長ならそう答えますね。ところがあなたはそう答えないで、踏み込まなくてもいいところまで踏み込んで、これらの割り当ての中には特別利害関係者はありませんというようなことを大見えを切るから、それなら特別利害関係者はいるじゃないですか。ただ五日間日がずれておって違うから、違法ではなくこの規則にはひっかからないということになるのじゃないですか。あなた、胸を張って答えるけれども、一々検討してみると、あなたの答弁というのは間違っているというか、不正確というか、不必要というか、あなたの答弁まで私が教えてえらい申しわけないですけれども、そういう筋のものじゃないですか。
  125. 角谷正彦

    角谷政府委員 今もお話ございましたように、制限期間の対象外であるという事実は確かにそのとおりでございますし、そういう意味でも証券業協会のルールには違反しておりません。  それから、第三者割り当ての中身につきましては、これは先般からお答え申し上げておりますように、公表しないということを前提として私ども提出を受けておるわけでございますので、個別の会社の内容等に立ち至って答弁することは差し控えたいと思います。  ただ、一般論として申しますと、これはむしろ証券業協会からお答えいただいた方がいいのかもしれませんけれども、証券業協会のルールに規定いたしますところの関係会社というのは、財務諸表等規則による関係会社、すなわちリクルートコスモス社から見まして、株式の過半数を所有する親会社あるいは子会社及び株式の所有が二〇%以上五〇%以下で経営に重大な影響を与えることができる関連会社等でございます。したがって、同一の企業集団でございましても、この定義に該当しない会社はいわゆる関係会社、証券業協会で言うところの特別利害関係人たる関係会社には該当いたしません。そういった意味で、私が楢崎委員答弁申し上げたのは別に間違っているわけではございません。そういったことを踏まえてむしろ利害関係人はないというふうに申し上げたわけでございます。
  126. 正森成二

    ○正森委員 あなたもなかなかあっさり認めませんね。あなたが今言うたのは証券取引法関係の法令にあって、親会社、子会社の定義から何から全部ここに書いてあるのですよ。これは証券業協会からもらったのですけれども。しかし、私が言いました三つについては、これは厳密に言えば特別利害関係者になるのですよ。だから、あなたとしては不必要な答弁にまで踏み込んだわけです。  そこで、証券業協会に聞きますが、その第三項で「決算期日の一年前の日以降に、当該会社の株集め又はこれに類する行為を行ったと認められるときは、登録申請を受理しない」こうなっておりますが、「株集め又はこれに類する行為」、特に「これに類する行為」というのはどういう意味ですか。なぜこういう規定を置いたのですか。
  127. 関要

    ○関参考人 証券業協会が店頭登録の一定期間前のそういう株の移動につきましてそういう内規を設けておりますのは、これは先生も御存じのとおり、特定の人に利益が偏るとかそういったことがないようにそういう規制をいたしているわけでございます。  ただ一方、店頭登録になろうという会社は、これはあくまで中小企業、小規模の会社でございます。しかも、そういう会社が公開を準備している段階というのはいろいろな事情もございます。したがいまして、全部の株の移動を全面的に禁止をするということは適当でありませんので、したがって株集めその他これに類する行為という表現を使っているわけでございます。したがいまして、例えば役員が従業員株主会に株を譲渡するとかそういったケース、合理的な理由がある場合にはその規則の範囲に入らない、規則の適用には入らない、こういうふうに……
  128. 正森成二

    ○正森委員 いや、入らないことを聞いているのじゃないので、「これに類する行為」というのはどういうことをいうのですかと聞いているのです。
  129. 関要

    ○関参考人 ですから、今申し上げましたように、そういう内規を設けた趣旨に反するような行為、これを認めない、こういうことになっております。
  130. 正森成二

    ○正森委員 株集めだけでなしに、売る場合も入るのですね、「これに類する行為」ということで。不公正なそういうやり方は禁止されるのですね。
  131. 関要

    ○関参考人 株集めだけでなくて、これに類する行為は入るわけでございます。
  132. 正森成二

    ○正森委員 非常にあいまいな答弁ですけれども、株集めだけでなしに、売る行為も入るということを認めました。  そこで、総理大蔵大臣伺いたいと思います。  総理大蔵大臣は、最初は秘書が秘書がとおっしゃいましたが、六十年の一月とか二月だ、こうおっしゃいました。ところがその後本委員会では、六十一年の九月というようにおっしゃっておられます。六十一年の九月としますとまさに六十一年の四月三十日以降ですから、特別利害関係者から株を譲り受けられている場合には「株集め又はこれに類する行為」ということになり得る可能性があるわけであります。私は、なるとは申しておりません。そこで、なぜこういうぐあいに変わったのだろうか。もし五十九年十二月もしくは六十年一月、二月ということになれば、この譲渡を受けた相手はリクルートであるということが非常にはっきりします。しかし、そうではなしに六十一年の九月ということであれば、これはよく調べてみないとわかりません。しかし他方、特別利害関係者であればまさにこの証券業協会の規則に触れ、登録申請が取り消される、あるいは受け付けないという重大なことであります。それが結局、総理大蔵大臣の秘書が一体どこから株の譲渡を受けたかということにかかっているわけであります。したがって、それを、私の生きざまからして名前が言えないとか、あるいはよく調べてないということで本委員会でうやむやにすることは許されないと思います。  もう時間が参ったという紙が来ておりますので、本当は証券業協会から聞くべきことですが、角谷証券局長が繰り返し、証券業協会が調べて特別利害関係者がいないということがわかっております、ここに議事録を持ってきましたが、二回も三回も答弁しておりますが、私が事前に証券業協会の方に聞いたら、証券業協会が調べるのは申請協会員、つまり野村証券とかそういう証券会社に聞くのであって、本件の場合はリクルートコスモスに直接聞くというようなことはやらないし、やっていないと答えています。それなら、結局何も調べていないのと同じじゃないですか。それなのに、証券業協会が言っているから特別利害関係人はいないんだというように国会で言っても、これはここにおられる委員やあるいは有権者を納得させることはできないというのは極めて明らかであります。  そこで私は、言うのは礼儀に反するとか商売上悪いとか生きざまだとか、そうではなしに、株の値段に重大な影響を与える総理として、そして大蔵大臣として、一体自分たちの秘書がだれから譲渡を受けたかということは、その行為が適法であるかどうかを明らかにする上でも重大な問題であるということで、明らかにされることを望みたいと思います。  最後にその御答弁を承りまして、委員長、私どもは十七名の証人の喚問を、江副氏を初めとして要請し、そして資料提出も要求しております。私は本日、それに加えてNTT関係の長谷川寿彦氏、この方を証人に喚問していただくことを要請したいと思います。これは後日、私もその一員として参加しております理事会で論議されることになっているようでありますが、その前に総理大蔵大臣の御答弁伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  133. 金丸信

    金丸委員長 正森成二君、実はもう時間が、あなたが一番超過いたしておるわけでありまして、まあ総理答弁あるいは大蔵大臣答弁もそんなに変わるもんじゃないだろう。その辺で御了承お願いいたしたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会