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1988-10-27 第113回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十七日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 森下 元晴君    理事 石渡 照久君 理事 木村 守男君    理事 笹山 登生君 理事 野呂 昭彦君    理事 若林 正俊君 理事 井上  泉君    理事 橋本 文彦君       井出 正一君    遠藤 武彦君       大島 理森君    斉藤斗志二君       桜井  新君    杉浦 正健君       園田 博之君    田邉 國男君       武部  勤君    渡海紀三朗君      虎島 和夫君    三ツ林弥太郎君       宮崎 茂一君    宮里 松正君       村井  仁君    持永 和見君       粟山  明君    川崎 寛治君       串原 義直君    沢藤礼次郎君       城地 豊司君    野坂 浩賢君       武田 一夫君    薮仲 義彦君       川端 達夫君    神田  厚君       安藤  巖君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤  隆君         国務大臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         国土庁防災局長 三木 克彦君         農林水産大臣官         房総務審議官  鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省畜産         局長      京谷 昭夫君         農林水産技術会         議事務局長   谷野  陽君         食糧庁長官   甕   滋君  委員外出席者         文部省学術国際         局学術課長   岡村  豊君         厚生省保険局国         民健康保険課長 大塚 義治君         農林水産省経済         局統計情報部長 海野 研一君         気象庁予報部長         期予報課長   嘉味田宗治君         建設省河川局防         災課長     佐々木賢一君         特別委員会第三         調査室長    中島  勉君     ───────────── 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   石破  茂君     渡海紀三朗君   大石 千八君     遠藤 武彦君   佐藤 敬夫君     宮里 松正君   川端 達夫君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     大石 千八君   渡海紀三朗君     石破  茂君   宮里 松正君     佐藤 敬夫君   神田  厚君     川端 達夫君     ───────────── 九月五日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願北村直人紹介)(第七〇二号)  同(保利耕輔君紹介)(第七〇三号)  同(牧野隆守紹介)(第七〇四号)  同(森田一紹介)(第七〇五号)  同(渡辺省一紹介)(第七〇六号)  同(渡部恒三紹介)(第七二七号)  同(奥田幹生紹介)(第七五八号)  同(玉生孝久紹介)(第七五九号)  同(田邉國男紹介)(第七九三号)  同(野呂田芳成君紹介)(第七九四号)  同(前田武志紹介)(第七九五号) 同月十二日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願小坂徳三郎紹介)(第八四五号)  同(若林正俊紹介)(第八七八号)  同(山口敏夫紹介)(第九二四号) 同月十六日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願田中直紀紹介)(第九八八号)  同(吹田愰君紹介)(第九八九号) 同月二十日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願新村勝雄紹介)(第一六五二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(昭和六十三年の低温等による災害等)      ────◇─────
  2. 森下元晴

    森下委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、昭和六十三年八月九日から三十一日までの間の豪雨及び暴風雨による災害並びに昭和六十三年の低温等による農作物被害について、政府からそれぞれ説明を聴取いたします。国土庁三木防災局長
  3. 三木克彦

    三木政府委員 お手元に配付しております資料に基づきまして、昭和六十三年八月九日から三十一日までの間の豪雨及び暴風雨による災害について御説明を申し上げます。  まず、Iの気象概況について申し上げますと、八月九日から三十一日にかけて、日本の南及び東の海上で台風や弱い熱帯低気圧等が連続的に発生いたしました。これらによりまして各地大雨が降りましたが、特に八月下旬には北海道岩手県など北日本中心大雨が降り続きました。  IIの被害状況についてでございますが、人的被害につきましては、死者九人、負傷者二十五人となっております。また、住家被害では、全壊九棟、床上、床下浸水合わせて約一万六千棟となっております。  施設等関係被害につきましては、公共土木施設関係で約一千五百億円、農林水産業関係で約六百七十億円、中小企業関係で約十九億円の被害報告されております。  次に、IIIの講じた措置等についてでございますが、災害対策本部は、四県及び百五十八の市町村において設置されております。  政府といたしましては、八月十二日に関係省庁による災害対策関係省庁連絡会議を開催し、中央防災会議会長から関係行政機関及び都道府県等に対し、「出水期における防災態勢の強化について」の通達を発しております。  資料の二ページ目でございますが、財政金融上の措置といたしましては、住宅被災者に対する災害復興住宅資金融資申し込み受け付けの開始、政府系中小企業金融機関災害復旧貸し付け発動を行うとともに、北海道及び岩手県下の十八市町村に対して普通交付税の繰り上げ交付を行っております。  また、激甚災害指定につきましては、農地等災害復旧事業等に係る補助の特別措置適用することとし、二十五日に閣議決定が行われたところであり、二十八日に政令公布の予定でございます。  以上でございますが、今後とも関係省庁と緊密な連絡をとりまして、対策に万全を期してまいる所存でございます。  報告を終わります。
  4. 森下元晴

  5. 鶴岡俊彦

    鶴岡政府委員 昭和六十二年の低温等による農作物被害につきまして、お手元に配付しております資料に基づきまして御説明を申し上げます。  まず、Iの被害概況についてですけれども、本年は六月下旬以降の記録的な日照不足異常低温等の不順な天候の影響農作物、特に水稲につきまして障害不稔やいもち病が多発し、東北関東地方太平洋岸中心に甚大な被害が発生いたしております。  現在までに把握しております被害状況は、十月二十七日現在で宮城岩手など十四道県からの報告によりますと、被害総額約二千五百四十四億円となっております。  作物別の内訳について見ますと、水稲千八百三十八億円、七二・二%、野菜が三百八十億円、果樹が九十九億円などとなっております。  県別に見ますと、宮城県が五百億円、福島県が四百九十五億円、以下青森県三百三十六億円、茨城県百九十六億円、栃木県百九十二億円、山形県百九十億円の順となっております。  次に、災害対策本部等設置状況でございますが、農林水産本省を初め東北関東の両農政局災害対策本部を設置しましたほか、東北県等にそれぞれ災害対策本部が設置され、災害対策に当たっております。  次に、既に講じました対策等でございますが、七月下旬以降数次にわたりまして関係県を通じ技術対策等について指導を行い、被害防止に努めてまいりましたほか、早急に措置する必要のある具体的対策につきましても、既借入制度資金償還条件緩和農業共済損害評価の適切な実施と早期支払い並びに損害評価事務費のための特別積立金の取り崩し、農林水産関係公共事業の施行に当たっての雇用確保対策等につきまして指導を行っているところでございます。  また、農作物被害実態調査につきましても、農林水産大臣がみずから十月一日に宮城県下、十月八日に福島県下を視察したのを初めといたしまして、深刻な状況を示しております各県につきまして、本省及び農政局による調査を数次にわたり実施してまいっておるところでございます。  最後に、これらの被害に対する今後の対策等の方針についてでございますが、被害状況の的確な早期把握に努めますとともに、被害実情に応じまして、災害金融制度農作物共済等災害補償制度等の各種の救済措置関係機関とも緊密な連絡をとりながら、可能な限り早い時期に構ずることにより、対策に万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。  以上で報告を終わらせていただきます。
  6. 森下元晴

    森下委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  7. 森下元晴

    森下委員長 本日は、特に昭和六十三年の低温等による災害等について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤武彦君。
  8. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 本日は、十月の二十七日であります。したがって、あす二十八日は全米精米業者協会等の新通商法三百一条の提訴についてUSTRの結論が出される、その前の日でありますし、また、ことしの低温、長雨、日照不足あるいは早いころの降ひょうといったいわゆる異常気象による農業災害農家経営地域経済についてかなり深刻な影響を与えている、こういう状況の中で、あす、あさってじゅうに新たな作況指数が発表されるやのごとく聞いているわけであります。  こういう重要なときに私に質問機会を与えていただいたことは、まことに責任の重さを痛感していると同時に、御高配を賜りました諸先生に心から感謝を申し上げる次第であります。殊に私は浅学非才でありますし、経験も不足でございますから、質問の内容も、これまで本会議あるいは衆議院農水委員会等で繰り返し繰り返し質問されたこと、議論されてきたことの範囲を出るものではありませんし、大臣等におかれましてはまたこの質問が、こう言われるかもしれませんが、私遠藤武彦個人じゃなく、いわば私を通しての多くの農家に対する答弁だ、こういうふうにお受け取りくださいまして、御懇篤なる御答弁のほどをよろしくお願い申し上げたいと存じます。  さて私は、稲作有意性とそれに伴います激甚災法適用等について、国土庁長官にお伺い申し上げたいのであります。  長官におかれましては、このたびの農業災害におきましても最も激甚とみなされる県の一つである宮城県の御出身であるわけであります。それだけに、災害現場実情については肌で感じておられることと存じますし、関係大臣としても非常に心を痛めておられることと存じます。そこで、このたびの災害をどのように受けとめ、また激甚災法適用についてどのようにお考えなのかを承りたいのでございます。
  9. 内海英男

    内海国務大臣 まず初めに、八月の大雨による災害を受けられた方々、さらに冷害による被害を受けられた農家方々に、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  ただいま遠藤委員からお話がございました激甚災害指定につきまして、八月の大雨による災害につきましては、先般閣議決定をいたして激甚災指定いたしました。冷害の方の激甚災指定につきましては、できるだけ早い機会にその措置をとりたいと思っておりますが、今もお話ございましたとおり、両三日中に十月の作況状況について発表になるというような段階になっておりますので、それらの集計を見まして天災融資法と同時に激甚災指定を早急に図りたい、こういうふうに考えております。
  10. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 ところで、冒頭に申し上げましたRMA等米市場開放要求の反論として、例えば、米及び稲作は、我が国にとって国土保全等多方面にわたって格別に重要な地位を占めているのみならず、日本伝統文化形成とも深く結びついているということを挙げておられるわけであります。それは確かにそのとおりでありますが、しかし米国を初めとする輸出する国の側からしてみれば、安い米を売る、ただこれだけの経済原理原則といいますか、それを前面に押し出してきているわけでありますから、なかなか理解し納得しがたいものがあるのではなかろうかと思うのであります。  国土庁長官におかれましては、稲作農業国土保全に果たす役割等についてどのような状況と御認識でおられるか、お伺いいたしたいのでございます。
  11. 内海英男

    内海国務大臣 災害から国土を保全し、生命と財産を守るということは、国としての基本的な責務である、こう考えております。そのためには、治山治水事業を初めとする国土保全事業その他の防災関連事業とあわせまして、安全で潤いのある国土形成という観点から森林、水田などの国土保全機能の活用を図っていくことは大変重要なことであると考えております。  稲作農業につきましては、我が国国民主食である米を生産するとともに、洪水調節などの機能もあわせ果たしていることでもございますから、水田我が国農地の過半を占めておるという実情からいたしまして、国土保全上も重要な役割稲作農業というものは果たしておる、こういう認識でおります。
  12. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 これまで激甚災害法などについていろいろ調べてきますと、このような冷害においてはまず初めに天災融資法ありきなんですね。さきの衆議院農林水産委員会では、佐藤農林水産大臣は、でき得る限り早く被害集計等手続を急いで早急に対処してまいりたい、こう力強く答弁なさっておるわけであります。  事務当局お尋ねいたしますが、それでは天災融資法激甚災害法等はいつどのように適用されるおつもりなのか、また被害集計進捗状況はどのようになっておるのか。さらに、その特定する期間はいつからいつまでを想定しておられるのか、事務当局からお伺いしたいと思います。
  13. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 お答え申し上げます。  天災融資法発動の時期についての御質問でございますが、天災融資法発動のためには前提となります被害額把握が必要になるわけでございますが、これにつきましては、農林水産省統計情報部出先機関におきまして対象被害県被害実情について十月十五日現在の段階での作況並びに被害調査を行っておりまして、既に十五日を経過しておるわけでございますが、現在その集計を早急にまとめるということで、統計情報部の方でその作業が行われておるわけでございます。  私どもの方がその被害額を受け取りまして、それに基づいて天災融資法発動するわけでございますが、天災融資法発動のためにはもう一つ被害を受けられた農家の方の資金需要把握する必要がございますので、この資金需要につきましては、現在対象都道府県需要額等把握につきまして依頼を申し上げておる、その需要額が上がってくるのを私どもは現在待っているという段階でございますが、これら二つの数字が私ども手元に届いた上で、できるだけ早急に発動するということになるわけでございます。  前にも申し上げたわけでございますが、五十五年の冷害の際には十一月十日に天災融資法発動がなされた例がございますが、ことしの被害態様を五十五年冷害と比較いたしまして、五十五年冷害のような十一月十日というのはなかなか困難であるというふうに見ておりますが、今申し上げたような作業の早急な取りまとめを前提にいたしまして、十一月中には政令発動ができるように最大限の努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  それから、ことしの異常災害の始期あるいは終期のとらえ方についてのお尋ねがございました。ことしの異常災害の特徴は、日照不足がかなり長期にわたった、それに加えまして七月の著しい低温があった、さらにかなり長期間にわたって雨が重なってきたというように、いろいろな被害態様が重なり合いながら出てきているわけでございます。その結果農作物被害が広範にわたって発生している実態がございます。  そこで、現在関係省庁とも協議、調整を行っているところでございますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げたようなことしの気象災害というものがもたらしている農作物に対する影響というものが、天災融資法発動に当たりまして対象として的確につかまえられるように対応いたしたいと考えているわけでございます。
  14. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 我が自民党が十月の上旬に災害現場の視察を行いました。その中で約二十項目の災害対策、対応の要望があったわけであります。そのいろいろな要望の中で、米そのものについて言えば、他用途米割り当て数量緩和措置であるとか規格外米政府買い入れあるいは明年度減反措置緩和、こういうふうな要望もあったわけでございます。  食糧庁にお伺いしたいのですが、農民感情としては、主食用米すら容易でないのに他用途米割り当てをそのまま据え置かれたのでは困る、こういう感情があると思うのであります。したがいまして、こういう冷災害時でありますから、他用途米割り当て割り当てとしても、このような状況にかんがみ契約数量を変更して何らかの意味で軽減してやるような措置が講じられるのかどうか、またその手順はどのようなものなのかを簡単に御説明願いたい。  また、一方において、今度の作柄には米に関係する食品関係の工業も相当注目をしておるわけです。例えば酒造業者などにおいては、作柄をもちろん心配していると同時に、とりわけことしの消費者米価がどうなるのかということを心配しております。できるだけ早く消費者米価決定していただかなければ、仕込みのときにできない。要するに、消費者米価は多分下がるであろうというような各首脳の談話が出ておりますから、酒米業者ども消費者米価は下がるものと考えて、どうせ下がるのならば仕込みの前にという強い要望があるのですが、この辺についても簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  15. 甕滋

    甕政府委員 まず、他用途米契約数量の問題でございます。  ただいまお話がございましたように、災害によりまして他用途利用米契約数量のとおりに出荷することが難しい、こういう事態があるわけでございます。この場合、通常におきましても、いわゆる作況調整によりまして契約数量の変更を行う道を開いております。ただ、今回の場合大変災害の規模が大きいということで、通常作況調整を超えまして、より大幅な減量ができないか、こういう問題として提起されておるように承知をしております。  この他用途利用米につきましては、委員も御承知のとおり、まず実需者との関係がございますし、制度趣旨等からいたしまして難しい問題がございます。ただ、今回のような場合に特別に何か工夫ができないかというふうに私どもも実は考えておりまして、一定の基準は当然必要であろうかと思いますが、特別に被害が著しい農家あるいは地域に対して何らか方途がないかということを今現在検討をしておるところでございます。その中でまた、お尋ねの、それじゃどういうふうな手続を経て行うのかといった点についても含めて考えてまいりたい、的確な基準、的確な手続、これを検討してまいるつもりでございます。  それから第二に、消費者米価の引き下げの点でございます。  消費者米価につきましては、基本的には生産者米価等を総合的に勘案いたしましてこれを適切に決定する、そのことによって広く国民の理解と支援を得ていく必要があるという認識を持っております。食糧管理法にも、家計費及び物価その他の経済事情に十分配慮し、消費者家計の安定を旨として適正に決定するという趣旨がございますから、そういった考え方で本年も臨みたいと思っております。  その決定時期でございますけれども、これは例年、米の作柄でありますとか予算編成との関連がございますので、十二月に米審を開いて決定させていただいてきております。ことしにつきましても、いろいろな諸事情を見きわめながら今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  16. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 要するに、他用途米数量緩和措置というのは作況に連動して変更する道がある、こういうことだと思うのですね。その作況についてちょっとお伺いしたいのですよ。作況指数というのは、例年のことでありますが、特に今回のような異常気象冷害等被害が深刻化する中で、統計情報事務所の職員の御苦労というのは大変なものであろうと思うのであります。行財政改革というか、それからマイナスシーリングというふうな予算の窮屈な中で、大抵の統計情報事務所なんというのは、全くこれが農林省の役所の出先かと思うほどぼろくそであります。老朽庁舎、そこに扇風機ががらがら回っているなんというようなところが多いわけでありますね。それ以上のことは申し上げませんが、かなりな建物があちこちにある。本当にそういう中でよく頑張ってくださっていると思って、心から私は感謝を申し上げるのであります。  しかし、このような冷害のときには特にそうでありますけれども統計情報事務所で発表する作況指数というものと、農民現場で稲を手にしてのいわば現実の作柄感というものでは、物すごく乖離があるわけであります。幾ら一カ月ぐらい前の作報だといっても、これじゃ納得しがたいという感情が出てくるのは当然のことでありまして、そういう怒りの声が強くて、ことしなどは、特に市町村などの行政農協が一体となってみずから坪刈りをやっておるのであります。しかも最近は、何か農協坪刈りの機械というのは、円形に刈り取ることができるという新兵器を利用しておるのであります。我々は坪刈りですからきちっと刈りますが、そういう独自の作報を出している。例えば統計情報で出しておる作報は九〇だが、我々が独自にやった感触としては四五だ、こういうわけでありまして、大挙して統計情報事務所に押しかけて一体何だという、こういう団体も中にはあったということですね。こういう乖離というのはやはり時期的なずれもあるものでしょうが、ひとつ誤解などを解くためにも、一体どうしてこういう乖離が生ずるのか、その手順等について、算定の基礎等について、難しいでしょうが、ひとつ簡単に、手短にこの際お願いしておきたいと思います。
  17. 海野研一

    海野説明員 お答え申し上げます。手短にとおっしゃいましたけれども、なかなか手短にまいらないかもしれません。  私ども、この作柄調査につきましては、県内水田を、収量水準でございますとか収量変動水準とかいうようなものに区分をしまして、各地に標本を配置いたしまして、それで調査をやるわけでございます。そのほかに、それ以外の水田についても常時巡回調査をやっておるわけでございます。  ただ、おっしゃるように、特に災害の出たとき必ず、作況指数はおかしい、こういう話が出るわけでございます。一つまず申し上げておかなければいけませんのは、実は作況指数というものは、むしろ全国でないしは県別にどれだけの米がとれるかということを頭に置いておりますものですから、この作況指数の分母になりますものはいわゆる平年収量でございまして、平年収量自身相当程度のいわば平均的な災害を含んでおりますので、いわば作況指数はそこから計算をするということがございます。特に、豊作が続いて急に災害が来たというときには、昨年に比べての災害感とは違っておるというのが一つあろうかと思います。  そのほかに、私ども、これは都道府県一本でなく、さらに県内を幾つかの区域に分けて出しますが、どうしてもその区域には、これは必ずどのような区域でも平場と山寄りとございます。そういう意味で、特に冷害の場合には山に入ったところほど被害を余計受けておりますので、山に入った市町村の感じと、その区域全体の平均とが合わないということがあろうかと思います。  それと、確かに先生おっしゃいますように、幾ら前のものだと言ってもと、こういうお話なんでございますが、ただことしの場合、特に現在出ております九月十五日以降、いもちの発生していたところでは、そのいもちがさらに天候不順によって進行したというような状況、それから昼と夜の気温差がなかったというようなこともございまして、地域によってはその後さらに相当悪化しているというようなことがございますので、その辺で、九月十五日現在の作況が、発表した九月二十九日には既に合わないというようなところもあったかと思います。いずれにいたしましても、特に早場地帯の場合はほとんど十月十五日に刈り取りを終わっておりますので、私ども実際に坪刈りをやった実際の数字に基づいて、この十月十五日については正確な作況を出したいと思います。  ただ、先ほど申しましたように、作況被害を必ずしもあらわしてはいない、被害というのはもう少し上のところから始まっているということを一応申し上げておきたいと思います。
  18. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 ここで、農業共済金の早期支払いということについて、特に私は念を押しておきたいのであります。  早期支払いということの声がますます大きくなるばかりであります。それだけ農民にとりましては、これ以上借金はしたくない、これ以上借金の上乗せみたいなやり方には、とてもじゃないが我々は力がない、そういう感じが強いと思うのですね。ですから、余計共済が頼りだという期待感のあらわれが早期支払いということに出てきていると思うのであります。  各県の農業共済組合の連合会では、損害評価の取りまとめに一生懸命であります。しかし、早期支払いが実現するか否かは、一にかかって国の再保険金の支出いかんなのであります。そういった問題を抱えて、経済局長からひとつその対応やいかんということをお聞きしたいと思います。
  19. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 共済金の早期支払いにつきまして、お答え申し上げます。  支払いのために、当然共済組合団体等におきましてまず調査をしっかりやっていただくということで、悉皆調査等のお願いをして、現在取り組んでいただいておるわけでございます。今回のように被害の範囲が非常に大きい、かつまたことしの災害の特色といたしまして、地域によりあるいは圃場によりかなり災害に差が見られるというようなことがございますので、それだけ損害評価をきめ細かく的確にやっていただく、と同時に迅速にやっていただくことが大事なわけでございまして、そのための関係県及び農業共済団体等の御努力を一層お願いするということで、私どもは対応いたしておるわけでございます。  今お話のございましたように、せっかく共済に入っておりながら、共済金の支払いがおくれるということで、そのために借金をさらに重ねなければいかぬということは、私どもとしてもできるだけそういう事態にならないようにしなければいかぬというふうに考えておりまして、共済金の支払いができれば一日も早く実現できるように、年内にその支払いが確実に行われるようなことになりますように、そのことを念頭に置いて、現在いろいろな事務を進めているわけでございます。  とりわけ、お話のございました国の特別会計からの再保険金の支払いが、最終的な共済金の支払いを行っていく上で大事なわけでございますので、その点についても早期に支払うという観点から適切に対処してまいりたいと考えております。
  20. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 農家及び農業団体は、今次冷害損害評価について特例措置適用されるものと、非常な期待を寄せておるわけであります。もちろん適用されるものと考えておるのですが、それでよろしいのかどうか。  また、この特例措置については、農民の多くはその内容をよく御存じないというか、熟知していないわけでありまして、現行一・七ミリの網目を一・八ミリ以上の上位段級に変えられるものだというふうに思い込んでいる節がある。これらの誤解を解くために何らかのPRというか広報というか、そういう措置が必要だと私は思っております。  さらに、この特例措置というのは、経済局長の、あなたの通達があって初めてできるわけでありまして、ただいまお答えがあった早期支払いについても密接に関連するわけですが、いつ通達を出されるおつもりですか。
  21. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 農業共済損害評価、基本的には災害によります被害収量が基本になるわけでございますが、ただいまお話のございました特例措置ということで、単なる量的な被害量だけではございませんで、被害によります低品質米の発生を量に換算するやり方を特例措置ということでやっておるわけでございます。  そのやり方につきましては、今お話のございました一・七ミリというふるいにかけた上で、そのふるいに残ったものにつきましても低品質米、具体的には政府の買い入れの対象になるかどうかという観点を加味をいたしまして、それの量的な減収に換算をするという手続をとることになっているわけでございます。  そういう特例措置のあることにつきましては、関係団体を通じて農民の方に周知徹底を図っているところでございますが、なおその点についても努力をいたしたいと思います。  その特例措置の実施については、ことしの被害態様から見まして、当然発動しなくちゃいけないというふうに考えておりますが、現在関係県から特例措置適用についての申請が農林水産省の方に上がってきておりまして、それを私どもの方が早急に分析をし、対応しつつあるわけでございます。収穫の比較的早い県八県分につきまして、そのとりあえずの措置といたしまして、本日付で特例措置の対応ができるような農林水産省としての方針を地元にお伝えすることにいたしておるわけでございます。
  22. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 今はしなくも経済局長から本日付でということで、どうかひとつ、農民の期待は相当高まっておりますし、農業共済の職員もまた評価員も報われるであろうと思います。よろしくお願い申し上げたいと思います。  また、ここで災害のときは物すごい被害の申告数なわけでありまして、組合によっては八割、九割の被害申告筆数だというところがざらにあるわけであります。ですから、評価員は延べ五日から六日も出動するということだってめずらしくありませんでした。兼業が当然だという今の農家経営実態からいうと、五日も六日も超過で出動するということは容易でないことなのであります。ですから、評価業務の経費の増大もまたばかにならない。  こんなことを申し上げてなんですが、職員だって不眠不休、日曜返上でやっているわけでありまして、こうした評価員等の事務費の増大についてはそれなりに対応していただくようにお願いしたいし、同時に、今日の職員の状況あるいは評価業務の物すごくふえたことによる事務消耗品費や通信費、そうしたものの経費であるとか、乾燥機を何台か購入してしまったとかいうような、いわゆる備品の購入なども相当の金額に達しているわけであります。  ですから、大蔵当局がいるかどうかわかりませんが、この際、従来の定額事務費に加えて、来年度は特別な措置を財政当局に強く要望しておきたいと思うのであります。特別事務費については、さきの自民党の冷害対策委員会において大臣の方から力強い御意向が示されたわけですが、経済局長、いかがですか。
  23. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 共済の損害評価に当たりまして、ことしのような事態でございますと、今お話のございましたように、評価をやるための人夫賃がかなりかかるというような事態があることは私ども承知をいたしておりまして、そのための損害評価特別事務費の活用につきまして、共済団体等が実測で行った抜き取り調査の実績に応じて、予算の範囲内でございますけれども、助成をするべく手はずを進めておるわけでございます。その抜き取り調査の実績を現在都道府県を通じて調査をいたしておるわけでございまして、その調査結果がまとまり次第、適切に予算額の配分が行われるように措置をいたしたいと考えております。  なおまた、共済組合及び連合会には特別積立金がございますが、今回のような事態に対応するべく、その取り崩しにつきましても既に十月十三日付で指示を行っているわけでございます。
  24. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 特に私は、直接的な冷害被害対応ではないかもしれませんが、ここで強調しておきたいのは、国民健康保険の問題であります。  農家のほとんどは、国保を利用しておられるわけであります。しかるに、国保会計赤字町村というのはふえる一方でありまして、昭和六十二年度は、三千二百六十九市町村中、国保税を値上げしなかった市町村はわずか九・六%、三百十四市町村にすぎないのであります。逆に二〇%以上も大幅なアップをした市町村は二百九十二団体、ほぼ九%に達しておるわけであります。また、私どもの山形県の例をとりますと、六十一年で一世帯当たりの保険料は十四万七千三百円でありまして、全国平均十二万四千七百円に比べまして二万二千六百円も高くついておるわけであります。このたびの冷害による農業所得の激減によりまして国保税の滞納などのおそれは十分にある、市町村の財政を圧迫するものと思われますので、国保会計については医療保険全体像の中で論ずべきだとは思うけれども、今その余裕がありません、当面する冷害に対応してどのような措置を考えておるか、厚生省来ておられますか、ひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  25. 大塚義治

    ○大塚説明員 先生御指摘のデータ、統計はおっしゃるとおりでございまして、市町村国民健康保険財政に対しましては、国といたしましても給付費の二分の一というかなり高率の国庫補助をいたしておりますけれども、医療費が増加をする、すなわち給付費が増加をするということで、これに伴いまして保険料が上がる。したがいまして、市町村によりましては保険料負担が重いあるいは被保険者の負担感が増しているという状況は事実であろうと考えております。  これまでも、国民健康保険の財政の安定化あるいは保険料負担の軽減という観点から種々の改正を行ってきておりますが、お尋ねの今回の災害に伴う措置でございますが、各地方公共団体におきまして、被害状況に応じましてそれぞれの条例等に基づいて適切に対処されるものと承知しております。国といたしましては、具体的には保険料の減免という形になると思いますけれども、減免額が一定規模以上になりました市町村に対しましては、特殊な事情ということを勘案いたしまして所要の財政措置を考えていく、こんなふうに考えておるところでございます。
  26. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 私は、ここで土地改良事業について触れないわけにはいかないのであります。  このたびの冷害対策要望の中で、土地改良の償還金の返済猶予及び利子の減免、そして水利施設等の維持管理経費に対する助成という一項があるわけであります。土地改良基盤整備事業が我が国の農業の生産性向上並びに地域経済の活性化に果たした役割というのはまことに大きいものがあると思います。しかし、現在の土地改良の状況はどうでありましょうか。この工事費が反当たり百万、いや百二十万、百三十万というのも珍しくないのであります。  昭和五十二年から六十一年にかけて、消費者物価は三五%アップしました。製造業の賃金は六〇%アップであります。しかるに米価は、六十一年までの十年間にわずか八・三%アップ、六十二年五・九五%マイナス、六十三年四・六%マイナス――いい悪いの問題じゃないよ。今後もこの抑制策は続けていくのだろうとは思います。にもかかわらず反当たり百万以上もかけてその分農民負担を重くして、なおかつ基盤整備事業を続けるつもりなのかどうか。やはりこれは見直していく必要があるのではなかろうかな、あるいはこんなべらぼうな高い工事費を押しつけておいて、農民が米価を高きに求めるのは当然のことではなかろうかなと私は思うのであります。  米自由化の圧力は今後も続くと思われますし、それに伴って、消費者の側からは消費者米価の引き下げの要求もまた強くなるものと考えざるを得ないのであります。しかし、生産性の向上をもってしても補い切れない工事費の増高というものに対しては、後年度に大いなる禍根を残すのではなかろうか。基盤整備、規模拡大、生産性向上、担い手の育成、こうしたお題目はいいのでありますが、私は、早晩償還金等の問題で支障が生ずるものと思わざるを得ないわけであります。  今や農家は借金をする力も失っております。とりわけ今度の冷害対策要望の中で、いろいろな金融対策の中で猶予、助成、融資、こういった要望が出されておりますが、農民負担が少なくて済むあるいは負担の軽減が図られる政策の実現、そういう哲学がなければならぬと私は思うのであります。  それぞれの農家には背負い切れないほどの借金がのしかかっております。しかもこれらの借金は、政府の政策的誘導を受け入れたことによって負担せざるを得なかった借金という意味合いもあります。たとえ農民みずから選択し決定したことであっても、政策誘導を図った我々政治家だってまるっきり責任がなしとは言い切れないのではなかろうか、政治に関与する者の自省すべき点かなと私個人としては思っておるのであります。したがって、今次冷害対策はもちろんでありますが、特に今後の農政の展開に当たっては、いかにして農家負担を少なくするか、これ以上農家に負担をかけない農政のあり方というのは何かという哲学的なものがなければならぬと思いますが、最後に農林大臣に御答弁をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  27. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど来いろいろ御質問されたことを私も聞いておりましたが、特に共済等の関係につきましては、現場における農業共済の責任者としてお務めになっておられる専門家の御意見として傾聴をいたしておりました。  いろいろ改善すべき点はございます。そして、国際化の中で内外とも厳しい、こういう中にあって、今はいいけれども、今は我慢するよ、しかし将来の展望だけははっきりしてくれ、これは共通した要請でございます。また、私自身もそういうことについてこたえるべきである。こういうことからいたしまして、昨年の四全総のフォローアップもしなければなりませんということも考えると、地域経済の活性化、その基本は何かといえば、農業、農村の活性化なくして地域経済、地方経済の活性化というのはないのである、こういう考え方を持って事に当たらなければならない、こう思っております。  それにしても、補助政策から融資への政策の転換と言われた時期もございました。いろいろ過去の経緯がございますが、現実、土地改良関係の負担については相当重いものになっておる、これを何とかしなければならぬのではないかという声が非常に多うございまして、計画償還制度とか償還円滑化特別対策事業の措置とか、いろいろな新しいこともやっております。やっておりますけれども、まだまだ大変であるという声が大きいことは承知をいたしております。そういうことについて負担を軽減しながら、どうやって農業が体質改善を図っていくことができるか。それは、私ども自身が農業者の立場に立って採算性の追求も必要であります。農業というものは経済合理主義だけでは済まぬ、先ほど国土庁長官からもお触れになりましたが、多面的な役割を持っておる農業あるいは稲作、こういうものについて我々は真剣に考えなければならない。そうしたときに、やはり負担軽減というものももう一つ一生懸命考えていかなければいかぬではないか、こういうことで今取り組んでおる次第でございます。  そういうことで、ただ、これが一括的な措置がどうとられるか、あるいはそれぞれの農業者の、企業農業と言ってはどうかと思いますが、それぞれの農業者の過程における経済の中でどう負担に耐え得るのか、あるいは耐えかねるのか、そういうことも分析しながら、農林水産省と県あるいは市町村あるいは生産者、農業団体等一緒になってひとつこれらの問題をこなしていかなければならないということを、私も就任以来事務方にも督励をいたしておるところでございます。
  28. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 御懇篤なる御答弁、ありがとうございました。質問を終わります。
  29. 森下元晴

  30. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 お許しをいただきまして、質問させていただきます。  まず最初に、本日御報告のありました二つの報告内容を拝見いたしまして、関係大臣を初め省庁の方々の御努力について敬意を表しておきたいと思います。  その中で、「低温等による農作物被害について」の報告の中に、「既に講じた措置等」ということで一から十一まで項目が示されましたが、これらの通達にはお目にかかる機会がちょっとないもので、大変残念に思いますが、後でいただけますか。
  31. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 後でお届けさせます。
  32. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私は、先日、十月六日に本会議冷害対策についての質問をさせていただきましたが、その御答弁は再質問がないという状態でございましたので、それについて若干再質問の形でフォローさせていただきたいと思います。  まず最初に、米の問題、米の自由化をめぐる問題でありますが、あのときのイスラマバードにおける外務次官の発言を取り上げて外務大臣の御答弁をいただいたわけですが、会議録を何度読み返してみても、すとんと落ちてきません。それで、本来ならば外務大臣においで願うところですけれども、きょうは冷害対策特別委員会でございますから、機会を改めてということで、担当農林水産大臣であられる佐藤大臣にひとつ質問を申し上げたいと思います。  これは新聞各紙でほとんど一斉に取り上げ、十月四日の紙面に、政府はウルグアイ・ラウンドの非公式閣僚会合で以下のことを表明したという記事がありまして、その内容は、具体的には、一、日本の米など輸入全面禁止産品について、輸入最低枠の設定を求める農産物輸出国グループ、ケアンズ・グループの提案を検討する。二、市場参入の検討対象として、基礎的食糧である米も除外しない。というのが政府が表明したという内容になっておるわけです。政府が主語であって、表明したが述語になっておるわけであります。したがって、その政府の中で重要な地位を占めておられる佐藤農林水産大臣、この報道の内容のようなことがあったのかどうか、事実かどうか、もしこれが間違っておるとすれば、報道をした各紙に訂正を求めなければならないと思う。大変なことだと思うんですが、どうなんでしょう。
  33. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 パキスタンのイスラマバードで、ウルグアイ・ラウンドの進め方につきまして主要国の会議が非公式の形で行われたわけでございますが、その際の日本政府代表として浜田外務政務次官が御出席になられたわけでございますが、ただいま十月四日付の新聞の情報をお取り上げになったわけでございますが、米について輸入最低枠の設定を求めるケアンズ・グループの提案を検討するということを日本政府が代表として発言したのかどうかという第一点につきましては、不正確だと思います。  ケアンズ・グループの提案というのが、農産物交渉の進め方に関するケアンズ・グループとしての提案として既に出されているわけでございますが、これは一つの提案として出されているわけでございまして、日本、アメリカ、EC等主要国がすべて農産物についてそれぞれの立場からの提案を出しているわけでございます。そのもろもろの提案のうちの一つとして、当然今後ウルグアイ・ラウンドを進めていくプロセスでケアンズ・グループの提案も関係国間の討議の対象になる。日本政府としても、今後ウルグアイ・ラウンドの農業交渉に取り組むに当たっては、日本の提案が既に出されているわけでございまして、日本としてはこれを基軸に当然交渉を進めるべきという立場で出しているわけでございますが、主要国の一つであるケアンズ・グループの提案についても当然検討をしていかなくちゃいけないというふうに思っております。そういう観点から発言をしているわけでございまして、米という具体的な問題についてリンクづけて対応しているわけでございませんし、さらにまた、ケアンズ・グループの提案自体も、特定の品目に結びつけて輸入枠の設定等を言っているわけではない、非常に一般的な形で提案なされているものでございます。  それから第二の、米についても討議の対象にするという点につきましては、再三大臣の方からも申し上げておりますように――市場参入の問題についての報道の関係でございますが、これにつきましては、そもそもウルグアイ・ラウンドでは、各国の農産物あるいは農業に関する困難なもろもろの問題をすべてテーブルにのせて討議する場合には、日本の米の問題についても討議をするにやぶさかではないというのが我が国の基本的な立場でございまして、アクセスの問題についてもその一環として討議を否定するものではないというのが我が国の立場でございまして、その旨をイスラマバードの会議におきまして外務政務次官の方から発言をした経緯はございますけれども、今の新聞の表現がその点を正確に伝えているかどうか、今先生の方からお話があった限りでは必ずしもよくわかりませんが、今私の方から申し上げたような内容の発言を我が政府代表としては行ったということでございます。
  34. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この前、私、本会議のときに、これは参考のために申し上げておくのですが、外務大臣に対しては、外務政務次官の発言は、米の完全自給の方針を放棄して米の割り当て輸入を開始するにやぶさかでないという意味にもとれるのだ、どうなんだという質問に対して、外務大臣は、アクセスが論議されたときはその問題に関して議論を回避するものではないという非常に間接的な答弁しか出てきてないわけです。  私は、外務省というところにはいろんな意味で随分頭のいい方がそろっておられるなということも感心したのですけれども、幾ら読み返しても、佐藤大臣がおっしゃっているようなニュアンスとはかなり違ったようなニュアンスに受け取らざるを得ない。この問題について大臣の所見をひとつお伺いして、この問題はそれで打ち切らせていただきます。
  35. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 外務省も頭がいいかもしれませんが、農林水産省におきましても私以外は全部頭がようございますので、そこで、私は決して冗談で言うわけではございませんが、ひとつまた御信頼もいただければありがたい、こう思うわけでございます。  私どもは、統一した考え方で申し上げるならば、我々は去年の春以降、ニューラウンドの場において新しいルールづくり、それに参加をする、そういうときに、困難な問題を抱えてきたそれぞれの地域、それぞれの国の主張というもの、困難な問題、そういうものを並べてそして議論をしよう、その際日本も加わるか、日本も加わります、それを避けるものではない、そういうことになりますと、困難な問題、いろいろ世間から言われている問題、グローバルに申し上げているわけでございまして、その中に、米だ米だと米が象徴的に報道されるに及んで、米も含まれるものである、こういう感覚で申し上げておるわけでございまして、決して議論は避けない、しかし正々たる議論を展開して我が国の主張を貫きたいという願望も私から申し上げたところでございます。  なお加えて、マスコミに対して、マスコミが間違っておるならばそれに反論すべきではないか。私は、当院の農林水産委員会におきましても、牛かん交渉等の場合でも、大変マスコミには失礼に聞こえたかとも思いますけれども、一部マスコミの報道には、率直に申し上げまして困惑をしておる。日米交渉について非常にやりにくかったという思い出は、私の頭から相当期間去るものではございません。頭の中にこびりついておるという、いささか感情的に聞こえるかもしれませんけれども、それぐらい迷惑をこうむった事実がございます。  そういう意味におきまして、さらに具体的に申し上げるならば、一々記事の中身を申し上げるわけじゃございませんけれども、見出しと中身と違う場合が非常に多かった。見出しでもって一つの雰囲気づくりがされるとするならば甚だ遺憾であるということ、しかしあわせて、言論統制をするほど私はファシズムではない、こう申し上げてきたところでございますので、しかるべく御理解をいただきたいと思います。
  36. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この問題は、また所を変えてといいますか、別の機会を得たいと思います。  佐藤農水大臣は大変率直に物を申されますし、真摯にお答え願っているその態度なり御性格というものを私は信用しております。国に帰っても、報告会ではおめず憶せずそのことは口にしております。ただ、政府全体となりますと、どうも不協和音が目立ったり、ニュアンスの違うように報道されたりするということがどうしても否めないのでございます。どうぞひとつこの問題につきましても、政府内の足並みを佐藤農水大臣に合わせるように努力していただきたいと思っております。  冷害対策について、幾項目か御質問申し上げます。  まず最初に、天災資金制度についてでありますが、総体的に制度資金については金利を低くしてほしいという声が大きいわけであります。というのは、市中銀行等も金利の自由化ということでかなり金利が下がってきております。ある企業に行って聞いたら、取引銀行なんかに行くと五%あるいは四%台でいつでも貸してくれるというふうな状況もあるわけで、そういう背景の中で、この制度資金あるいは天災資金制度のそれぞれの利率というものを低くしてほしいという声があるのですが、これについて何か御配慮なりお考えがあればお聞きしたいと思います。
  37. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 災害関係の資金制度の貸付金利についてのお尋ねでございますが、御承知のように、天災融資法に基づく天災資金と、公庫が融資をいたします自作農維持資金の災害関係の融資等がその主なものでございます。  天災融資法に基づく融資の貸付金利につきましては、被害の程度に応じまして三%ないし六・五%以内と定められておりまして、この範囲内で、そのときどきの政府関係金融機関災害制度資金の金利との均衡などを考慮して設定することになっているわけでございます。  それからまた、自作農資金の災害金融につきましては、現在四・〇%の金利が適用されることになっております。
  38. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 いただきました資料にも、今お答えになったように、「貸付利率は法定利率である。天災融資法発動の都度」云々、こう書いてありますので、これは利率も損害の程度によって、特別被害者が三・〇以内。以内だから、もっと低くてもいいわけですね。そうでしょう、以内ということは。それから、三割被害者等は五・五以内、その他六・五以内と、以内ということですから、法定利率であって、天災融資法発動の都度他との均衡を考慮して設定することができるという幅があるわけですね。そのように理解していいですか、三・〇以内、以下でもあり得ると。
  39. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、三・〇%から六・五%の幅の中で、法律では「以内」と定められておりまして、具体的には、そのときどきの政府関係金融機関災害関係資金の金利との均衡等を考えまして政令指定することになっておりますが、例えば三・〇%という金利は、政府系の金利といたしましては最も低い金利でございまして、現実にはそれをさらに下回る金利にするということは非常に困難があるというふうに思っておりますが、具体的には、その都度先ほど申し上げたようなことで政令で決めるという仕組みになっているわけでございます。
  40. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 法律用語は私は余りなれていないのですが、普通国語的に三・〇以内と言えば、三・〇よりも低いこともあり得るという解釈に立つのが普通じゃないかと思うのです。そういう意味で、ここでこれ以上申し上げませんが、低利で被災者農民に利用されますように、ひとつぜひ御配慮をお願いしたいと思います。  時間の関係もありますので次に進ませていただきますが、農業共済制度について一点御質問申し上げたいと思います。  適正な損害評価をしてくれ、そしてそれに応じて適正な共済金が欲しい、これが農民の一番の願いであります。この前も申し上げたのですが、制度資金金融を受けても、結局は借金だから返さなきゃならない、それよりも借りないで済む道を探りたい、その土台になるのは農業共済制度だ、これが農民の共通した考えであるわけであります。そういった意味で期待も大きいわけですから、いろいろな疑問もあるいは不満もたくさん聞こえてくるのです。  当たっているかどうかということをひとつこれから検証したいわけですが、その中に、かなりの農民、特に災害常襲地帯と言われる寒冷地の方から聞こえてくる声ですが、一律修正されたというのですね。つまり、組合で評価する、県の連合会との間に調整が行われる、そして連合会で今度は農水省との間に数字の突き合わせといいますか、調整があるわけでしょう。こういった段階で、最初の損害額よりも少なく調整されるというケースがある。足切りとは別ですよ。足切りはこれはもう制度としてあるわけですから、足切りとは別に、その収穫量というのですかあるいは損害量というのですか、それが二段階調整の中で削られる、低く調整される、かつて昭和五十二年、五十三年ころそうだった、そういう声があるわけですが、これについてどういうことなのか、もしお考えがあればお聞かせ願いたいのです。
  41. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 お答え申し上げます。  被害を受けた農作物についての損害の評価が最終的な共済金の額に結びついてくるわけでございますので、公正かつ的確に行う必要があるということから、私どもも、特に損害評価の進め方につきましてそごのないように、関係県を通じまして、共済組合、連合会段階の二段階における損害評価が的確に行われるように、すり合わせ、かつ指導を行っているわけでございます。  具体的には、農家段階で組合が評価地区ごとに損害評価員による悉皆調査を行うわけで、これがベースになるわけでございますが、それをさらに共済組合連合会の段階におきまして、組合等ごとに一定数を抜き取りの実測調査によりまして、組合等間の損害評価調整をやるというプロセスが一つございます。それからまた、連合会ごとの損害高が農林水産省に上がってきまして、私ども手元で農林省の統計情報部調査結果との突き合わせということでの調整が行われまして、そのことを通じて損害評価高が最終的に確定になるわけでございますが、確かに過去には、そういう連合会あるいは農林水産省段階における調整、チェックが、末端の組合段階損害評価とかなりそごが、食い違いが出てくるということもあったわけでございます。そういう過去の経験に照らしまして、そごのないように、末端の組合段階での損害評価、その段階から的確な評価が行われるように、私どもの意向も県を通じて十分組合の方にもお伝え申し上げ調整行動を行ってきておりますので、調整は行いますけれども、そのことによって一律に損害の修正が行われるというようなことはないというふうに考えております。
  42. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 立場によって厳しく感じたり、あるいはこれが当然だというふうな御発言があったりするのは自然かもしれません。ただ、私ども実地に回って聞いてみますと、今までも連合会と政府との間の調整というのですか修正というのですか、これは何回かあった。これはあったでしょう、当然。それで、その調整の結果、上がっていった数字よりもふえたことがあるかと聞いたら、これはない、減額がほとんどすべてだったというふうに聞いたわけです。ふえることもあって減ることもあってというのであれば、何となくわかるような気もするのですが、何か減らす、厳しく抑えられてくるというと、農民のサイドからすれば、一律修正を食った、実態よりも厳しく査定をされたという感情が現実に続いてあるわけなんです。  事実としてどうでしょうか。修正、調整というのですか、過去十年くらいさかのぼって考えてみて、何回くらい調整があって、減額、増額はどのくらいか、おわかりになりますか。
  43. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 今御指摘のありましたような実態が、今回の損害評価におきましてそういう食い違いがないように、私どもも最大限の努力を今やっている段階でございますが、仮にそういう実態があると、そういうことはないと思いますけれども、どうしても共済組合段階での損害評価というのは、組合員、つまり自分たちの仲間の農家の中から損害評価員を選んでいただいて、その方の評価を基礎にいたして組合段階の評価が行われるわけで、連合会段階あるいは農水省の段階調整が行われる際に下方修正が出てくるとすれば、そこら辺に一つの原因があるのかなという気が今お伺いして率直にいたすわけでございますが、再三先ほどから申し上げておりますように、基礎となります共済組合段階の評価がぴしっとなされることが一番大事なわけでございますので、そういうことについて一層すり合わせを行って、できるだけそごのないように努めていきたいと思います。
  44. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この件につきましては一点要望だけを申し上げまして、次の質問に移らせていただきますが、単位共済組合と県連合会との間の調整、突き合わせというのは、その現地での最高の、さっき局長おっしゃった公正、的確ということを旨にしながらなされると思うので、私は、連合会段階での調整一つの大きな信頼すべきデータとして、そこが中心になって共済事業が進められていくことを希望いたしたいと思うわけです。農水省段階での調整というのは何か数字の方が先行するような感じで、農民感情とすれば余りよくとられていない。非常に残念なことですが、ぜひ公正、的確な評価が行われますように要望を申し上げておきたいと思います。  次に、冷害対策一つの側面として、損害に対する補償ももちろんですし、公共事業等による収入増ももちろんでありますが、出費を少なくする、支出を少なくするということも冷害対策農家経営に対する一つの大きな重要な対策であろうというふうに考えます。  その観点から二つ、三つ御質問申し上げたいのですが、限度数量の予約した段階で前渡金を受ける、一俵三千円ということのようでありますが、これが実際、冷害、米がとれないということで返戻しなければならないという段階農家がかなり出ているわけです。私の近くの岩手県の沢内村というところが岩手では一番高冷地なわけですが、四十戸ないし五十戸の農家が予約金の分の返戻ができない状態まで追い詰められている、こういう実態があるわけで、こういったケースに対して、例えば償還期限を延長する、あるいは金利を減免するというふうなことを含めて措置ができないかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  45. 甕滋

    甕政府委員 米代金の予約概算金の問題で御指摘のような事態があろうかと思います。この件につきましては、政府買い入れ代金の前払いというものを返納しなければならなくなった事態に応じまして、これは天災融資法発動される被害の程度に応じまして、免除あるいは一定の基準によって返納金利子の軽減という措置を講ずることにいたしております。また、延納というお話がありましたけれども、期限までに返済できない農家方々に対しては農協等がかわって弁済することを認めておりますので、その仕組みを活用していただくことにしておるところでございます。
  46. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 次に、土地改良あるいは農用地開発の分担金、負担金の問題について質問したいと思います。  土地改良なり農地開発は、生産量をふやす、生産性を向上させるという意味では重要な施策だろうとは思います。ただ、現実に事業がスタートしてから計画されている期間内に終わらない。その間に物価は上がる、あるいは事業内容の変更があるということで、最後に到達したところが当初計画の四倍にも膨れ上がっておった。これは金額でですよ。こういう例が実は岩手県の須川パイロット、これは御存じだろうと思いますが、国営事業であります。ここにあるわけであります。  当初三十億で済む予定が百十八億、約四倍が必要だ。その内容を見てみますと、なぜ膨れ上がったかという原因はいろいろ見方があると思うのですけれども、年月が非常にたったために物価変動があったこととか、事業量の変更、工法の変更等があったということを資料として私はいただいておるのです。これを見ますと、とてもじゃないが負担金が大きくなる。大ざっぱに申し上げれば、最初の出だしは、一年間に償還するのを、ならして言えば一反歩の田んぼから一俵くらいの代金で大体済むということでスタートしたらしいのですよ。ところが最後になってみると、三俵か四俵の分出さないと負担金の償還ができないという金額に膨れ上がってしまったわけです。これは約束といいますか契約違反じゃないか、厳しい表現をすれば。しかも途中で代がかわっている。おやじさんが契約してもう死んでしまった。そして計画変更の承諾書に判こを押したのはつい二年前ですか、十七年くらいかかっている中で、そろそろ終わるころになって計画変更の承諾書が求められたというその途中経過も、これは土地改良区の責任もあるかもしれませんけれども、いろいろありまして、非常に負担が大きい、過重であるという実態があるわけです。  これは一つ例として申し上げたわけですが、土地改良事業、農地開発事業、ほとんどすべて似たような同じような傾向にあるんじゃないかと思うので、これに対する負担軽減ということについて何かお考えがないものか、それをお聞きしたいと思います。
  47. 松山光治

    ○松山政府委員 土地改良の負担金問題、今の厳しい状況の中の問題でございまして、私どもこれを厳しく受けとめておるわけでございます。須川地区の例での御質問でもございましたので、須川地区に即しまして私どもの考え方を御説明さしていただきたいと思います。  委員から御指摘がございましたように、まず工期がかなりかかったということ、その間における物価上昇、あるいは地元の要望もございましてパイプライン化するとか舗装するとかいろんな整備水準の向上もございまして、御指摘のような事業費の増高があったわけでございます。で、地元で今この農家負担の問題が問題になっておるということは、私ども承知はいたしております。  ただ、御案内のように国営事業はかなり高率の国庫補助を行っておるわけでございまして、この地区の例で申しますと、農地開発と区画整理、かん排の総合事業の形をとっておりまして、総合補助率の形で申しますれば七割近い補助率に相なっております。償還条件につきましてもかなりの長期の償還期間を設定しておるということで、国が直接これ以上に負担軽減をしていくということには、率直に申し上げて困難があるわけでございます。  ただ、この地区の場合は、国営の土地改良事業一般のやり方でございますけれども、国は県からまず負担金をいただきまして、県の方が土地改良区を通じまして農家から負担金を徴収していく、こういう仕組みに相なっておるわけでございまして、通常県においてもしかるべき負担が行われるといったようなこと、それから償還のやり方についてもそれぞれのやり方があるといったようなことで、現在まだ県の方がそれを決めてございません。今、年度内にそれを決めるということで検討中だというふうに聞いてございますので、今後県ともよく相談をしていきたい、このように考えでございます。  さしあたり本年度から償還が、これはまだ利子分の償還でございまして、そういう意味では金額的には通常の償還よりも小さいわけでございますが、始まるという問題があるわけでございますけれども、まあ全体としての災害対策の中で農家経済への緩和を図るということを前提にしながら、委員御案内のように、ことしから償還円滑化対策事業ということで、土地改良区が償還いたします場合に、農協等からその一部の資金を借りまして四%程度になるように国と県が利子補給するというような特別の措置も講じることにしてございますので、もし必要がございますれば、この地区におきましてもそういう措置も活用してひとつ対応していただきたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  48. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 まだ若干やりとりしたいのですけれども、与えられた時間がもう間もなくということで、大変残念ですけれども、この問題についてはまだ次の機会、農水委の中で論議をしたいと思いますが、ただ一つ前もってお話といいますか注文申し上げておきたいことは、この当初の計画と完了時の事業量、事業費を比較してみて気がつくことは、四倍に膨れ上がったということはさっき申し上げましたが、実際の農地造成とか用排水路とか配管とか、そういう工事関係のもの以外の測量及び諸経費等、この中には職員給料も入っておるわけですね。人件費も入っておるはずなんです。用地の補償とか職員給料とか自動車とかそういったものも入っておるわけで、その方を取り出してみますと、全体の事業費の約二五%になっておるわけであります。人件費がかなり大きいと思うのですがね。ですから、単純な農地造成なり区画整理なり用排水路なりということ以外の経費の中を精査していただきまして、少しでも軽減できるものがあったら検討していただきたい。  というのは、地元の市町村で幹線水路は持ってやろうかとか、幹線道路は一般道路としても使うから持ってやろうかというふうな善意の動きもあるわけです。それにこたえる意味でも、国営なんですから、当初計画から三倍も四倍もずれ込んだということは、私はやはり国も責任なしとはしない。それは大蔵省が悪い、財政が締めつけられた、行政改革だ、その時期にぶつかったという時代背景はありましても、やはり国営でやったわけですから、それに対する何らかの検証なり責任というものは、行政としてきちんと考えていただかなければならない。これは農民も考える、間に立つ県も土地改良区も考える、同時にやはり責任者である農水省も真剣にこの中身を検討して、どこかでどうする可能性があるかないかということをぜひ検討していただきたい。これは一つの今後の課題としてお願いをしておきます。  次に、大型家畜経営体質強化資金、農家の負債を軽減するという意味で検討になっていたはずですが、それがどのような作業状況になっているかをお聞きしたいということと、農家経営を圧迫している一つの要素として生産費があるわけであります。農機具、飼料、肥料等、特に農機具は生産費の約三一%というパーセントを占めているわけですが、こういったものの生産費を低くするという指導なり努力を抜きにして、農民に対しては生産費を落としなさいあるいは生産者米価を引き下げていきますよということでは、これは片手落ちではなかろうか。こういった生産費を引き下げるための御努力についての、大まかな点で結構ですが、御意見を賜りたい。  それから、時間の都合上最後にもう一つつけ加えて御質問申し上げますが、御報告ありました集中豪雨に伴う災害の復旧について、建設省の方にお聞きしておきたいと思います。  八月二十八日から二十九日の豪雨による金ケ崎地方を中心とする岩手県南部の土木施設の災害の復旧を早期に着工してほしいという声があるわけですが、見通しはいかがでしょうか。と同時に、その災害の原因の一つに、極端に蛇行しているという川の状況もあるわけです。しょっちゅうそこに突き当たっておる。この際、災害復旧をするときに、従来の原形復旧ではなくて改良復旧という措置をお願いできないか。そのときには、蛇行しておるところをほぼ真っすぐに持っていくわけですから、田んぼもある、そこを河川にして、そしてこっちの蛇行部分を代替地として田にする、こういう方法はとれないか。何か、これは開発だからだめだというふうな意見がどこかのレベルであるやに聞いておるのですけれども、まさかそんなにかたくなな態度ではないと私は信じているのですが、そのことも含めてお願いいたしたいと思います。
  49. 吉國隆

    吉國政府委員 まず、資材費節減の問題につきましてお答え申し上げます。  先生御指摘のように、生産性向上という点からは資材費の節減が非常に重要でございますので、私どもは、生産面あるいは流通面、利用面、各分野におきましていろいろな努力を行ってまいっているところでございます。  機械の例で申し上げますと、従来から、機械導入基本方針といったようなものを定めまして、適正な導入を指導していくということもやってまいっておりますし、また、農協等が中心になりました機械銀行方式による受委託形式による効率利用、こういったことも進めてまいっております。また、最近年におきましては、リース方式を導入していく、あるいは農協で既に導入されております機械の集中管理を進めていく、あるいは中古市場の整備、そういったことも進めて取り組んでまいっているところでございます。  流通段階では、農協もごく最近でございますけれども、機械の導入につきまして、農家の注文取りをして販売をするということではなしに、営農指導と結びつけまして低廉型の購買事業を進める、そういった方針転換も行ってまいっているところでございます。  また、メーカーサイドにおきましても、不必要な部品を省いたシンプルな機械の生産、それによって安価な機械をつくるというような努力も始めている状況にございますので、そういった努力を総合いたしまして今後とも努力をしてまいりたい。  また、肥料、農薬につきましても、施用段階できめ細かい土壌診断でございますとかあるいは病害虫発生予察、そういったものに応じたむだのない施用ということを考えていく必要があると思っておりますし、メーカーサイドに対しましても、今後経費の節減のために関係省庁とも協力をしながら指導に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  50. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  まず最初の早期復旧でございますが、八月二十八日から二十九日の豪雨災害、建設省所管の公共土木施設の災害は、岩手県分につきまして直轄災で三十八カ所、三十五億円、補助災害で千五百六カ所、百八十二億円、合わせて二百十七億円ということで報告を受けております。  これらの被災箇所のうち、特に民生安定上緊急に復旧が必要だというものにつきましては、査定を待たずに事前着工というようなことで、事前協議を受けて早期復旧に努めております。それから本復旧に当たりましても、緊急度に応じまして、地方公共団体の準備ができ次第災害査定を実施しておりまして、既に一部十月の初旬には終了しております。これらの復旧につきましては、既に着工もされております。今後も早期復旧に努めてまいりたいと考えております。  次に、改良復旧でございますが、確かに原形復旧というのが負担法上の原則でございますが、再度災害防止という観点から改良復旧の要望が非常に強いということも、私ども十分承知しており、建設省としても積極的に取り組んでいっております。既に災害復旧助成事業、災害関連事業等の要望が出ておりまして、これらの内容について現在担当レベルで協議を進めております。  先生御指摘の蛇行是正というようなことは、技術的に有効であるということと地元の用地上の協力が得られれば、私どもも積極的にやっておりまして、その点は御信用いただいて結構でございます。  以上でございます。
  51. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 大家畜経営体質強化資金の問題についてお答えを申し上げます。  この資金、御承知のとおり六十三年度からの新規事業としてその実施の準備を進めておるところでございますが、御承知のとおり、先般の牛肉自由化に対応いたしました緊急対策といたしまして、当初の構想につきまして若干の追加的措置を現在検討しておるところでございます。最終的な事業実施要綱等につきましては、この検討結果を織り込んで決定したいということで準備をしておりますけれども、末端における実務処理の便宜に資するために、実は今月の八日にその概要を各都道府県連絡をいたしまして、予備的な処理を各都道府県段階で進めていただくように指示をしたところでございます。いずれ実施要綱等の最終確定をできるだけ早くしまして、当初構想どおりの仕事が進めていけるように、よくまた検討を急ぎたいというふうに考えておるところでございます。
  52. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 要望一つ申し上げて、終わらせていただきたいと思います。  今建設省にお答え願いましたが、さっき申し上げましたとおり、真っすぐ通そうとすれば水田がつぶれる、こっちに代替をしたいんだということについて、いろいろ新しい開発だみたいなこともあるらしいのですけれども、農水省はそんなに意地悪いあれはないと思う、よく素直にやっていただけるものと思いますので、地権者はもうオーケーだそうですから、どうぞひとつ進めていただきたいと思います。  いろいろ御答弁いただきましてありがとうございました。私、六十分だと思いまして質問事項を少し多くそろえ過ぎまして、きのうお話し合いした中で質問をしないでしまった項目もございます。御準備していただいて大変恐縮でしたが、以上で終わらせていただきます。
  53. 森下元晴

    森下委員長 武田一夫君。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  54. 武田一夫

    ○武田委員 私は四十分ですが、さきに農水の委員会でも本会議でも質問させていただきましたので、余りくどいことを申し上げませんで、重点的に確認する事項だけ御質問したい、こう思います。  まず、最初に内海長官には基本的な災害対策の問題についてお伺いして、後ごゆっくりお食事などしていただけば結構でございます。  我が国というのは、自然災害に非常に弱い体質を抱えておるというように思います。それだけに長官としましては、国民の生命と財産を守るという観点から、災害対策というものにつきましての最大限の対応というか取り組みが必要であろう、災害なきことが最大の我々の期待、希望でございますが、現実は毎年のようにあるわけでございまして、長官に課せられた代々の長官の御苦労であろうと思うわけであります。  そういう意味でひとつお伺いしたいことは、特に現代は、非常に多様化する、こういう災害の発生というものもございます。地震あるいは洪水その他冷害ども一つのそういう中身になるわけでございますけれども、そういう多様化する現代社会における災害対策というものはどうあるべきか、そしてまたどういうふうな対応をするかということについての長官からの御所見と、具体的な対応をどうするかというお考えを最初にお尋ねしておきたいと思います。
  55. 内海英男

    内海国務大臣 先生も御承知のように、我が国は、その自然的な条件から、地震、台風、豪雨、火山噴火等極めて多くの災害発生要因を抱えております。したがいまして、毎年多くの生命財産を失っておるということは非常に残念なことだと思っております。また、ただいまお話がございましたように、近年、科学技術が進歩したとはいいながら、都市化、情報化という中で、科学技術の進歩したことによってのまた災害という多様な面が出てきておるということも言えると思います。これは、例えば先年、五十九年でしたか、世田谷のケーブル火災というのが起きまして、そのために情報その他いろいろな機能が停止して非常な災害を受けた、こういうように多様化しておることは御指摘のとおりでございます。  このような災害から国土を守り、国民の生命と財産を守ることは国としての責務であると思います。したがいまして、政府といたしましては国土保全事業の推進、大都市防災対策の推進に努めますとともに、地震予知等防災に関する科学技術の研究の推進、防災活動体制の確立、災害復旧事業の早期実施など、各般の施策を万全を期して推進していかなければならないと努力しておるつもりでございます。
  56. 武田一夫

    ○武田委員 続いて、長官農林水産大臣一緒にお尋ねします。大臣二人終わった後で関連質問を文部省にお願いしてありますが、それは後でやりますから、そのつもりでお願いします。  八月九日から三十一日までの豪雨暴風雨被害に対する激甚災指定が決まりまして、関係機関の皆さん大変お喜びでございまして、ありがたく御礼申し上げます。  まず、農業被害としてはどのくらいになるのか。佐藤大臣から十一月中ということがございましたが、ここでお二人たまたまそろっておりますから長官大臣で御相談をして、そろそろ十一月に入りますのでそのめどをはっきり言っていただいて、これは来年の農家の対応に十二分にかかわる問題でありますから、お二人の呼吸の合ったところで、激甚災指定あるいは天災融資法決定という問題をここで改めてお答えしていただいて、農家の皆さん方への安心の一つのくさびにしていただきたい。お二人からこの点について御答弁をいただきたいと思います。
  57. 内海英男

    内海国務大臣 今次の冷害対策につきまして、天災融資法なり激甚災指定ということをお尋ねでございますが、十月の作況指数等一両日中に出てくることになっております。したがいまして、作況指数等が出ました段階で、その集計をもとにして農林省とも御協議を申し上げて天災融資法と同時に激甚災指定を行いたい、こういう考えで鋭意努力をして関係当局と打ち合わせをいたしております。できるだけ早い機会にということでやや漠然としておりますけれども、できることなら十一月中に結論を出したい、こう思っておる次第でございます。
  58. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今国土庁長官から答えられたとおりでございますけれども、補足的な意味も兼ねて申し上げますと、現地でも申し上げたときに、武田委員も御同席でございましたが、一日も早い対応をいたしたいということで、天災融資法発動を示唆する発言を十月一日に私はいたしているわけでございます。その後、天災融資法発動による一番大きな期待はやはり天災資金でございますから、その実効を上げるためには激甚法の指定も同時に行われて三分資金の適用、こういうことになるわけでございますから、各県、現場において、いろいろお忙しいだろうけれども、その資金需要というものを早く出していただきたいというお願いをし続けておるところでございまして、それが集計され次第ということになりますと何としても十一月中には発動したいものだ、こういうことで国土庁と連携をとりながら行政のルートを通じまして督励をいたしておるところでございます。
  59. 武田一夫

    ○武田委員 どうか事務方の皆さん方におかれましても、現地の皆さん方にそういう実情お話しして、これは十一月中というようなことでなくて、なるべく十一月中旬くらいまでに出てくるということにしないと、今までのケースを見てみますと、結局十一月を越して十二月になる。年末になると農家の皆さん方の不安もこれあり、一日も早く安心して作業あるいは仕事に取り組めるということもまた大事な対応だろうということで、両大臣によろしくお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。あとはほかの問題に移らせていただきますので、どうぞごゆっくり……。  それでは、文部省にお尋ねをいたします。  今長官から災害対策に対応する姿勢について話がありましたけれども災害に関する基礎研究の重要性が指摘されまして、文部省としてもいろいろと力を入れているようでございますが、現在どういう状況なのか、どういうものに対する研究をなさっているのかというような問題について、具体的な事例を通しながら御説明をしていただけないかと思います。
  60. 岡村豊

    ○岡村説明員 お答え申し上げます。  文部省の所管いたします大学を中心とする学術研究におきましては、人文科学から自然科学にわたる非常に幅広いいろいろな研究がなされておるわけでございます。  その研究の中には、ただいま御指摘のございました自然災害関連する研究も相当数あるわけでございますが、我が国の置かれている立地条件等にかんがみまして、自然災害に関する研究というのは本腰を入れてやらないといかぬという感じを持っておりまして、そのための組織として、例えば北海道大学に低温科学研究所というのがございます。これは低温における科学現象に関する学理及びその応用の研究をやることを目的といたしまして設けられているわけでございますが、ここにおきまして例えば雪害科学ということで雪崩のメカニズムとか予測等に関する研究等もやられているところでございます。  それから、京都大学には防災研究所というかなりそのものに近い研究所がございます。これは災害に関する学理及びその応用の研究ということで、地震あるいは火山等の噴火のメカニズムとかその予測の方法、それから砂防、河川災害暴風雨災害に関する予測、メカニズム等に関します研究等を行っているわけでございます。  組織としてはそういう状況でございます。  それからもう一つ、私どもは科学研究費補助金というものを所管いたしておりまして、これはすぐれた学術研究に対して研究費を補助する制度でございます。その対象となりますものの中には当然自然災害に関する研究というのも含まれるわけでございますが、特に先ほど申し上げました我が国の立地条件等を考えまして、科学研究費補助金の中に重点領域研究というのがございます。これは社会的要請あるいは学術的要請上特に重点的に推進する領域を設定して、その領域に相当の補助をするシステムでございまして、昭和六十二年度から発足した制度でございます。  その領域の一つといたしまして、自然災害の予測と防災力という領域を設定いたしまして、先生方から出てまいりました研究計画を学術審議会という審議会で精査の上、それに相当の研究費を補助していく、こういうことでございます。
  61. 武田一夫

    ○武田委員 その際、各研究機関各地にあるわけで、研究の成果が上がっているようですが、この相互間の連携とかまた現場それから関係機関との連携の中で、それが効果的に活用、また発展的にさらに研究が進むというような横の連携、そういうものはうまくいっているものかどうか、そういう点の状況はどうでございますか。
  62. 岡村豊

    ○岡村説明員 お答え申し上げます。  自然災害につきましては、地震ですとか風水害ですとかいろいろあるわけでございますが、例えば地震とか火山につきましては、文部省だけでなくて関係省庁いろいろ事業を持っているわけでございます。これにつきましては関係省庁集まりまして、地震、火山噴火の予知のための五カ年計画というのを関連性を持たせて策定しているわけでございまして、そして常に地震予知連絡会とか火山噴火予知連絡会といったところに集まりまして、そのデータの交換等をやっているわけでございます。  それから、その他のものにつきましては、学術研究の側面でいきますと、例えば先ほど申し上げました重点領域の研究というのは、これは一人でやるのではなくて、研究者がチームを組んでやる、こういうことでございます。そして、その成果につきましては刊行物として世の中に広く出される、こういうことでございまして、ことしの五月に開かれました本委員会におきましてもその成果等が出されているということだと思います。  それから、自然災害に関する対応というのは文部省所管の研究所だけでやっているわけではございませんので、その成果その他についての他機関との連携というものは、適切に行われているのではないかと私ども信じておるわけでございます。
  63. 武田一夫

    ○武田委員 どうもありがとうございました。  次に、気象庁さんおいででしょうか。お尋ねします。  東北中心としたことしの異常気象というものは、冷害という形でいろいろ被害を与えているわけですが、ことしのこの異常気象というのはどういうふうに見たらいいのかという問題であります。世界的にも各地異常気象が発生しておりますから、これとの関係性というのはどういうふうにとらえているのか、またこれがことし限りのものなのかどうか、あるいは今後も予測して対応しなくてはならない問題なのかということは、これはもう農家の皆さんだけではなくて、関係者の皆さん方にとっては大変な関心事ではなかろうかと思うわけでございまして、そういう問題、見通しをどういうふうにとらえているかという問題が一つであります。  と同時に、こうしたものを事前に正確に把握できないかというのは、農家の皆さん方の切実な希望なのでございますけれども日本の気象観測というのは世界的にもこれは優秀であるというのが当委員会でいつも強調されるわけでありますが、優秀であってなおかつこの程度なのかと言われると、いかにも残念で仕方がありませんが、そういう意味で観測体制の充実強化、特に長期予報というものの提示の問題等々につきまして、またこれも地域的にきめ細かい天気予報といいますか、こういうものも必要ではないか。ことし各地を歩いてみたときに痛感することがございますので、こういう災害を未然に防ぐという観点からの対応というものについてはどうなさっているのか、なさらなければならないのか。その際、人的資源あるいは財政的な問題でいろいろとお困りの点があれば、この場ではっきり言っていただければ、我々も全力を挙げて御支援をしたいし、そういう対応をしておかないと、これはこういう委員会を開きながら、またいろいろとお尋ねをしなければならないという繰り返しでございます。  この問題は、何度もこの委員会あるいは農水の委員会などでも指摘されていることでございますので、きょうまた改めてお尋ねをしておきたいな、こういうふうに思います。
  64. 嘉味田宗治

    ○嘉味田説明員 お答えいたします。  まず、世界の異常気象の発生状況について御説明いたします。  この夏世界で発生した異常気象の主なものを挙げますと、春から夏にかけてのアメリカ中西部から東部での記録的な干ばつ、それから七月に発生しました中国南東部や地中海地方の異常高温、また八月、九月に発生いたしましたスーダンやバングラデシュの豪雨による洪水等がございます。  一方、日本では、この夏の北日本、東日本の気温の経過を見ますと、七月中旬から下旬にかけての記録的な異常低温がございます。また、七月から九月にかけては日照時間が平年に比べて著しく少なかったということがございます。  それから、こういった異常気象は今後も発生するかという御質問に対してでございますけれども、これは統計によりますと、世界的に見て異常気象が年々ほぼ同数程度発生いたしております。この夏が世界的に見て特に多かったということではございません。ですから、こういった異常気象は毎年世界のどこかで発生しておりまして、日本においても今後も発生する可能性があるというふうに考えております。  次に、異常気象の予測について説明いたします。  この冷夏など持続的な異常気象を引き起こす大気現象には、大気の運動ばかりではございませんで、海洋や地表の状態あるいは雪や氷の分布状態などが重要でございます。気象衛星など最近の観測技術の進歩によりまして、これらの全地球的な観測が可能になりまして、データが蓄積されてまいりました。気象庁におきましては、これらのデータの総合的解析と研究に取り組んでいるところでございます。それからまた、より客観的な力学的方法による数値長期予報技術の開発も進めておりまして、長期予報技術の改善に努めているところでございます。  以上でございます。
  65. 武田一夫

    ○武田委員 私は、ある農業試験場に行きまして――東北というのは、御承知のように、岩手県、宮城県、青森県を中心として、やませで毎年苦労しているわけですね。そのために、いろいろ品種改良をして、耐冷性のものの研究が進んでいまして御苦労をしているのですが、やはりことしのような場合もっと長期的な予報があったら対応できたのだがなというのが、この研究者の皆さん方とお会いしたときの心の底から出てきた期待感とため息だったわけです。また、今課長さんから、今後も発生のおそれがあるということになれば、そういうものが事前にキャッチできればそれなりの営農指導をできるのだという農林省側の対応もあるわけですので、ひとつ今後の対応として十分にその点に力を入れて、より正確な情報が提供できるような御努力をお願いしておきたい。  それで、金が足らないとか人が足らない。大体、人が足りないとみんな嘆いているのです。人が足りないというのは金が足りないということなんです。これはやはり災害に金を投資するならば、そういうところに投資した方がいかほどか建設的で前向きであるかわからぬ、こう思っておりますので、ひとつ頑張ってほしいな、こう思います。  それで、このやませの問題をちょっと一言お尋ねしたいのですが、これは随分研究をしているようでございますけれども、農業の一つの悲劇的な、宿命的な問題としまして、日本は米が余ってきたために、米を減らそう、つくらないようにしようというような動きをしてきたために、世界的には日本というのは、過去二十年、三十年、四十年前といったら米の収量の多い世界一の国だったのだが、最近は世界的には、大体世界で七、八番目くらいのそういう収量の少ない日本に落ち込んじゃったということで、やはり技術的な問題としてそういうものに対して、例えば品種の改良とかいろんな点の取り組みに手を抜いたというわけじゃないけれども、力を入れなかったんじゃないかという指摘があるのです。  そういうことを考えますと、やませ対策につきましても、この間盛岡の東北農業試験場に行ってきましたが、一生懸命やっておるわけでありますが、なかなか苦労しているということで、今後この問題は東北の特に米作地帯というものの農業基盤をしっかり支えていくためにもどうしても解決しなければならない大きな問題でございますので、このやませ対策について今後どういうふうに取り組んでいくかというその問題についての取り組み方、これを具体的に簡潔にひとつ聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  66. 谷野陽

    ○谷野政府委員 やませの問題は、東北地方におきます農業試験研究の極めて重要な課題であるというふうに私ども考えておりまして、ただいま御指摘のように、東北農業試験場を中心といたしまして、関係県の試験場と相協力いたしまして取り組んできたわけでございます。  体制といたしましては、昭和六十年に東北農業試験場にヤマセ対策研究官を設置をいたしまして、各研究部の連携を進めてきたわけでございますが、本年十月から試験場の組織を改正をいたしまして、地域基盤研究部というのを設置したわけでございますが、その中での重点的な項目といたしましてやませを取り上げて研究を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  ただいま米の耐冷性の品種の問題の御指摘がございました。米の需給あるいは嗜好の変化、こういうようなことで最近では食味のいい米に対する需要がふえておる、こういうことがございます。そういうことで、品種改良の方向もそのような需要の状況に対応して進めておるわけでございますが、この耐冷性と食味あるいは収量というのを両立させますことは、それなりに大変難しい問題がございます。耐冷性の遺伝子を入れますとどうしても食味が落ちる、こういうようなことがあるわけでございまして、なかなか三拍子そろった品種というのが、今日まで完壁なものができる段階には至っていないというふうなことは御指摘のとおりだろうというふうに思っております。  ただ、全体としての耐冷性の水準は、それなりに上がってきているという試験データが出ておるわけでございますが、このような状況のもとにおきまして耐冷性の品種ができますと、それをさらに厳しい条件のもとで栽培される、あるいは食味志向ということで食味に重点を置いた品種が選択をされる、このような状況があることも事実であろうというふうに考えておるわけでございます。  試験の目標といたしましては、ただいま申し上げましたような耐冷性、食味、収量、これらが相備わるようなことが大目標でございますので、そのような目標に向けましてさらに努力を続けてまいりたいというふうに考えております。  また、やませは自然現象でございまして、これがなくなるということは考えられないわけでございますが、地域的に見ますとかなりその影響に差があるということも、試験研究の結果わかってきておるわけでございます。むしろ場所によりましては、冷涼な気候を利用いたしました作物を選ぶ、あるいはそのような作付体系を使っていく、こういうようなことも必要であるというふうな分野もあるわけでございまして、そのような総合的なやませ対応の試験研究を、冒頭に申しました試験研究の新しい体制のもとで鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  67. 武田一夫

    ○武田委員 これは技術上の問題、対策というのは多岐にわたっております。それだけに、これから相当人的、財政的な対応をしなくてはいかぬなと、私は正直言って痛感してきました。現地の技術者の皆さん方も、そのことをはっきりとお願いをしたい、こういうことでございましたので、今後もっと力を入れてほしいな、こういうぐあいに思いますので、よろしく御指導、御鞭撻をお願いしたいと思います。  最後に、この間農林省には、農家の救済対策として、私たちは十二項目に対していろいろとお願い申し上げておりまして、一つ一つきめ細かな対応をお願いしたいと思うところでございます。  今後、損害も被害もふえてくるような気がしてなりません。宮城県では五百億間違いなく超すだろう、それから福島県は五百億くらいいくでしょう、岩手県も四百億いくのじゃないか、この間現場の人に会ったらそう言う。これからふえるということで、最後に一つだけまとめてお聞きしたいのです。要するに共済の問題なんですが、それと作況指数の問題です。  どうも作況指数の出し方に不満を持っている。現場とかなりかけ離れた評価をされる。間もなく十月も出るということですが、これをもう少し科学的に、そうした現場と出てきたものとの差が縮まるように、現場が納得いくような作況指数の出し方というのをこれから検討するべきじゃないかという問題が一つあります。  それから、共済の場合問題になってくるのは質の問題。特に東北の場合、良質米をつくっていることで、これが一つの収入の最大の柱でございますから、いい粒のもの、品質のいいものということでありますが、ふるいの網の目で、これはいつも網の目論争があるわけです。一・七、農林省は固執して動かない。農家は一・八か一・八五か九、この差で農家はかなりの収入が減る。規格外米が出てこれは困るという問題で、この点こういう災害があるたびごとに指摘される問題でありますが、特に今損害評価をやってそれで等級づけをして出すという段階になると、これが一番頭の痛いところです。  この問題を何とか努力をして、これはやはり保険ですから、掛金もしておるわけですけれども、何でもかんでも保険だからといって支払うわけにはいかないというのは我々もわかるのでありますけれども、その網の目の問題、それから作況指数損害評価とのかかわりを農家の皆さん方が納得できるような努力をぜひお願いしたい。ことしから、できればこの網の目なんかの問題では、今度の災害を契機にしてせめて一・七を一・八にする。これはそういう具体的なものを提示してやって救済の手を差し伸べていただかなければ、ことしの災害における被害というのは、さらに数にあらわれてこない被害というのは農家の台所にいたく打撃を与えるということが見えておるわけでありまして、この問題についてひとつ御見解というものを聞かせていただきます。  それで、いい答弁が出ればそれでおしまい、出なければもう一回聞く、こういうことにして、私の質問を終らしていただきます。
  68. 海野研一

    海野説明員 まず、作況指数についてお答え申し上げます。  作況指数、確かに災害地の実態に合わないということをよく言われるわけでございます。ただ、作況指数と申しますものは、何といいましても直接の目的は、全国ないしは県単位に米がどれだけとれるかということで計算をしているわけでございまして、そういう意味で、もちろん各統計情報事務所県内を幾つかに分けて発表いたしますが、これは考えてみれば、県単位の総平均を出すための積算基礎みたいなものでございます。しかも、それとてもどうしても県内をせいぜい四つか五つに割って発表するということでございます。そうすると、その中には平場も含んでいれば山の近くも含んでいるというようなことで、直接ここの田んぼとまでは言わなくても、ここの町村の被害とはどうしても違うというのがあろうかと思います。  さらに、この作況を指数にいたします場合には、分母に平年収量をとっております。これはいろいろな需給その他の計画が平年収量をベースにしてやっておりますので、それに対してどの程度振れたかということでやります。平年収量を分母にして指数を出しますので、平年収量自身がいわば平均的な災害織り込み済みの収量から計算をいたします。そういう意味で、もっと悪いんだというようなことがあろうかと思います。  ただ、ことしの場合、確かに無理もないなというような気がいたしますのは、私どもが発表いたしました九月十五日以降、特に地域によりまして、特にいもちのひどかった地域は、そのまま一日の昼と夜の気温の較差が小さい、日照時間が少ないということで、いもちが相当進行しております。そういう意味で、実は私どもが発表した時点で既に二週間ぐらい進行しておりまして、その後さらに進行したというようなことがあった地域ではさらに合わないというようなことがあろうかと思いますけれども、その後私ども今週いっぱいに十月十五日現在のを取りまとめますけれども、これは現実に刈り取り期に入ったところが相当ございますので、刈り取りを含めて大体最終的な被害まで全部織り込んだ数字が出ると思いますので、その正確な数字を出すように最大限努力いたしたいと思います。
  69. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 農業共済損害評価のやり方について御質問があったわけでございますが、この損害評価は、基本的には減収量把握するということでやるわけでございますが、今回の冷害のように相当広範囲に被害が及びかつ単なる量的な減収ということにはとどまりませんで品質面にも相当被害が及んでいるという実態があるような場合には、量の減収ということに加えまして、その低品質米の発生を的確に量に還元していくといういわゆる損害評価の特例措置というのをとる制度がございまして、既に被害県からもこの特例措置発動の実施ができるようにという御要望が出てまいっておりますので、収穫の早い県八県につきましては、先ほど遠藤委員からの御質問にもお答えしたところでございますが、きょう付でその特例措置を実施できるように措置をすることに予定をいたしております。その他の県につきましても、同様の御要望を踏まえながらできるだけ早く特例措置発動ができるように措置をいたしたいと考えております。  その場合の特例措置のやり方につきましては、損害評価の基本でございます一・七ミリメートルのふるい目で振り分けた上で、その目に残ったものにつきまして、具体的には政府買い入れ基準に達するかどうかという見地から、いわゆるそれに達しない砕け米でございますとかあるいは変色をした米、そういったものを振り分けた上で、さらに何段階かの段階を経て政府買い入れ基準に達しないものが量に入らないような、それが減収量として換算されるような特例措置適用することにいたしておりますので、今委員から御質問のあったようなことについては、そういう特例措置適用することによって実質的には対応できるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  70. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので終わりますが、これは農家の皆さんにとっては一番切実な今最大の課題でございますから、十分にその意を酌んでいただいて、農家の皆さん方がこうした大変な中からまた元気に立ち上がって、来年もまた頑張っていただけるような万々の御配慮をいただきたいな、このことをお願い申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  71. 笹山登生

    ○笹山委員長代理 神田厚君。
  72. 神田厚

    神田委員 私は、特に冷害救済対策につきまして御質問申し上げたいと思います。  過日、十月十三日に佐藤農林水産大臣に「農作物冷害救済対策に関する申し入れ」をいたしましたが、これらにつきまして、各委員会での発言もありますので多少重複するところがありますが、基本的な問題について御質問を申し上げたいと思っております。  現在、我が国農業は、農産物需要の低迷、減反面積の拡大、農業労働力の減少と高齢化、生産構造の脆弱化及び農産物の内外価格差、農産物輸出競争の激化による輸入圧力の増大等によりまして、極めて厳しい状況に直面しております。このような状況の中で、ことしの冷夏、日照不足等の異常気象は、稲を初めとする農作物の生育に甚大な被害を与えております。特に水稲作況指数が著しく低下をし、昭和五十五年、五十八年以来の大冷害となっております。また、我が党の行いました冷害調査におきましても、東北、北関東中心冷害が深刻化していることが報告されております。  そこで、現時点におきましてこの東北中心とした冷害被害がどのような状況になっているのか、また、これらについていつごろまでに正確な被害状況把握をできるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  73. 鶴岡俊彦

    鶴岡政府委員 現在までの被害報告につきまして、関係県からの報告によりますと、被害総額は二千五百四十四億円に達しております。作物別では、水稲が全体の約七〇%の千八百三十八億円、次いで野菜が三百八十億円、果樹が九十九億円、飼料作物が六十四億円というふうになっております。県別に見ますと、宮城県が最も大きく五百億円、次いで福島県が四百九十五億円、以下青森県三百三十六億円、茨城県百九十六億円、栃木県百九十二億円、山形県百九十億円の順になっております。  被害額の今後の見通しでございますけれども、既に被害報告を受けております十四道県につきましても、公表後時間が若干経過しておりまして、現在被害調査を続けております。それからまた、現在調査中の県が数県ございまして、被害額は今後増加すると思いますけれども、できるだけ早く被害把握して、所要の対策を講じていきたいというふうに考えております。
  74. 神田厚

    神田委員 次に、天災融資法の問題あるいは激甚災害法適用の問題でありますが、これらに対しましては、私どもは、融資条件の緩和を含めて早期貸し付けができるように要望しております。また、その間のつなぎ融資及び既貸付金の償還条件緩和については、行政指導を強化をしてそれらの要望に沿って措置をされたい、こういうふうに考えておりますが、この天災融資法並びに激甚災害法の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  75. 内海英男

    内海国務大臣 激甚災害指定につきましては、私の方の役所の所管でございますので、農林省と緊密な連絡をとらしていただいております。それで、今月中には十月の作況指数の取りまとめが出てくる予定のように承っておりますので、その集計をいただいた上で農林省と協議をいたしましてできるだけ速やかに激甚の指定を行いたい、こういった意味作業を続けております。
  76. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 天災融資法発動につきましては、結論から申し上げますと、十一月中には何としても発動をさせたいものだということで、資金需要額、これを集計した枠というものはいかがになるかということについて、今被害県、現場におきましては、お忙しいでしょうけれどもせっかくお急ぎをいただきたいということで、発動準備をするための大事な素材でございますから、その数字を待ちつつ督励を重ねておるところでございます。同時に、関係融資の条件緩和等、遺漏なきよう、できるだけ弾力的に対応するように督励をいたしておるところでございます。
  77. 神田厚

    神田委員 県から上がってくる数字がなかなか上がってこないということでありますが、大体刈り入れも収穫もほぼ終わった段階でありますので、農家の方としては早くしていただきたいということでありますから、ひとつそういう督励をしながら早い実施をお願いをしたい、こんなふうに要望します。  それから、共済金の問題でございますが、これももう既に何回か質問をしておりますけれども、共済金の早期支払いあるいは仮渡し、こういうことにつきまして現況どういうふうになっているのか、お聞かせをいただきます。
  78. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 農業共済金の支払いにつきましてはできるだけ早くやらなきゃいけないということで、現在農業共済団体等において悉皆調査等による被害実態の取りまとめをお願いをしているところでございます。この損害評価が連合会を経て農林省にも上がってくるわけでございますが、その作業をできるだけ急ぎ、的確な被害調査を取りまとめた上で、共済金の支払いが一日も早く行われるように、年内に支払いが行われることになるように作業を急いでおるところでございます。  また、仮渡しにつきましても、被害実態を見ながら適切に対応が行われるように指導しているところでございまして、現在既に、被害を受けられた県のうち二県四組合等で仮渡しが行われているという報告を受けております。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 神田厚

    神田委員 次に、こういう冷害でありますので、それらの救農土木事業、こういう言葉で言われておりますが、農家の雇用の拡大や農外収入の確保のために、救農土木事業として災害復旧事業予算の増額及び事業の早期着工による雇用拡大措置を講じるべきである、こういう希望が非常に大きいわけでありますが、これらについての今後の対応策、これをお聞かせをいただきたいと思います。
  80. 松山光治

    ○松山政府委員 農業基盤整備事業を初めといたしました農林水産関係公共事業、主として地方において行われているものでございますから、こういうことしのような場合にその実施に当たりまして被災農家の就労機会の確保を考えていく、非常に重要な点であるというふうに考えております。そういう観点に立ちまして、既にことしの事業は実行段階に入っているわけでございますが、今後の実施に当たりましては、地域におきます農家の就労希望を十分把握いたしまして、被害実態に応じまして農家の就労が円滑かつ効率的にいくように十分心してやってほしいという通達を関係先に発しまして、現在その指導を進めておるところでございます。  なお、農地とか農業施設につきましての災害の問題もあるわけでございますが、これは今現在、地元の態勢が整うのを待ちながら順次査定作業を進めてございます。査定を進めながら早期復旧に努めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  81. 神田厚

    神田委員 次に、規格外米政府買い入れ問題でありますが、御案内のように、冷害の痛手が大きい農家ほど規格外米の比率が高いわけでありまして、単収が低い農家ほど等外米が多くて、被害がひどい農家では大部分の米が等外の場合もある、こういう現状であります。したがって、被災農家規格外米政府買い入れを実施してほしいという要望が非常に強いわけでありますが、この点につきましてどういうふうにお考えてありますか。
  82. 甕滋

    甕政府委員 災害により発生いたします規格外米の件でございますが、政府が特例的に買い入れることにつきましては、現在の需給事情等からいたしまして、そういう方法ではなくて、自主流通米として円滑な流通を図るという方針をとっておるところでございます。このため既に、十月七日付でしたか、自主流通米としての取り扱いの通達を出しております。それを受けまして、各県ともに集荷業者あるいは卸業者等の間で合意ができまして、その手続が進行中でございます。一部の県につきましては一班に私どもの方にその取り扱いの承認申請がございまして、承認をしたというところもございます。その他の県についても申請があり次第速やかに対処して、遺漏のないようにしてまいりたいと考えております。
  83. 神田厚

    神田委員 次に、減反面積と被災農家関係でありますが、東北六県では特に四分の一が減反となっております。農家の間で減反面積の緩和を求める声が非常に根強いわけでありますが、水田農業確立対策による減反面積の配分について被災地に対して配慮をする、こういう考え方に立つべきだと考えておりますが、この点いかがでありますか。前の委員会その他で佐藤農林水産大臣は、冷害地に限っての緩和は難しいというようなお答えもあったのでありますけれども、何らかの対応策が必要ではないかと思いますが、その点いかがお考えてありますか。
  84. 吉國隆

    吉國政府委員 水田農業確立対策、先生よく御承知のように六十二年度にこの対策が発足をいたしまして、六十四年度、来年度は前期の三年目ということになるわけでございます。この対策の前期を通じます枠組みにつきましては、七十七万ヘクタールということで一応決まっているところでございます。来年度の転作目標面積を確定させる上で、なお全国の水稲作柄また米の需給動向、こういったものを見きわめた上で生産者団体とも相談をしながら決めていく必要があるという状況でございます。  ただいま冷害との関係についてお話があったわけでございますが、全体の米の需給について申し上げてみますと、米の持ち越し在庫の水準が依然として極めて高いという状況がございます。また消費の減退傾向が残念ながら強まってきているというような状況でございまして、この水田農業確立対策にさらに加えて、ことしから米需給均衡化緊急対策も上乗せをされて実施をされているというような状況にあるわけでございます。そういった点から、当然三たびの過剰発生を防止するという観点も踏まえて検討していく必要があると思われますし、また、この水田農業確立対策になりまして、特に生産者、生産者団体の主体的な取り組みということでいろいろと相談をしながら対策を進めてまいっておるわけでございますが、各年の各地域の米の作柄を毎年目標面積に反映をさせていくということにつきましては、やはり全国の公平感ということもあろうと思いますし、なかなか難しい点を含んでいるというふうに考えておりますが、なお、先ほど申し上げましたように、全国の作柄また生産者団体との協議というものを踏まえながら今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  85. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今局長から答弁いたしましたが、今の答弁を要約したものをこの間お答え申し上げたので、結論としては、非常に困難な事情はあるけれども、生産者、生産者団体と行政と一体となって話し合っていかねばならぬ、こう申し上げたところでございます。
  86. 神田厚

    神田委員 ぜひともそういう形で、被災農家の人たちは大変このことに関心もあり熱心に要望もしておりますので、おこたえをいただきたいと思っております。  それから、これは直接農林省ではありませんが、被災農家に対しての所得税の何らかの減免措置あるいは地方税に対し減免措置を行ってほしいという要望が大変強くありますけれども、これらは、わかる範囲で結構でありますが、現在どういうふうなことになっておりますか。
  87. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 農作物災害を受けました場合の税制上の特例措置、これは国税、地方税とも特例の措置の内容が既に決まっております。例えば国税につきましても、納税の猶予でございますとか第二期の予定納税を減額申請をすることができる、あるいは農業所得についての課税の場合の所得標準というのがございますが、その作成について被害実態が十分反映されるように配慮するといったような特例措置が既にございます。  農林水産省といたしましても、こういった特例措置が的確に適用されていくということを希望するという意味合いで、十月十三日付をもちまして、国税については国税庁長官、それから地方税については自治省の税務局長に対して、ただいまの特例措置の対応が適切に行われるように要請をしたわけでございます。これを受けて国税庁は十月十七日、自治省は十月十八日に、末端の税務関係部局に通達を発出して対応しているところでございます。
  88. 神田厚

    神田委員 それでは次に、予約概算金の返納利子を被害の程度に応じて減免してほしい、こういう要望がありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えてありますか。
  89. 甕滋

    甕政府委員 米の政府買い入れ代金の前払いとして概算金を支払ってございますが、これを返納しなければならなくなった農家についての措置でございます。これにつきましては、天災融資法発動される被害の程度に応じまして、一定の基準によりまして返納金利子の減免を行うことにいたしておるところでございます。
  90. 神田厚

    神田委員 以上、基本的に災害救済についての御質問をいたしましたが、減反、米価の引き下げ、また米の市場開放の圧力、こういう中で非常に日本の特に稲作農民が生産意欲を失って、稲作の将来に悲観的な考え方に立っております。何とかしてこの冷害という深刻な事態を政府の力によりましてバックアップをして、特に米どころであります東北稲作農家に対しまして適切な処置をお願いをしたいということを切にお願い申し上げます。  それで、ちょっと時間がありますので大臣に、通告はしておりませんが、RMAの日本に対する米の市場開放を求めたアメリカ通商代表部に対する提訴の問題がそろそろ結論が出る。これはきょうあすじゅうに結論が出るということになろうかと思うのでありますが、これにつきまして大臣としてどういう感触を得ているのか。今までの交渉の経過から見まして、これらについての考え方、予断はできないことであろうかと思うのですが、この見通しと、また、結論によってどういう対応をなさるのか、そのことについて一言お答えをいただきたいと思います。
  91. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 従来とも申し上げてきたところでございますけれども、一部報道によればいろいろな書き方もあるようでございますけれども、私ども承知をしておるところでは予断を許さない状況にある。私は、この問題につきましては、既に私が携わってからでもいろいろな経緯がございますので、取り扱いについて合意を見ておるという、詳しくはもう繰り返しませんけれども、そういう経緯の中で冷静、厳格に対応をしてきたところでございます。粘り強く要請もし、また却下されることを期待をしておる、こういうことでまさに冷静な対応を進めてきたところでございますので、四十五日以内に云々というなにもございますので、今明日中ということではございましょうけれども、ぎりぎりの段階まで私が冷静、厳格に対応しようとしておるときに、先様もまた冷静に対応をして却下していただきたいものだという期待は変わりませんので、そういう考え方でただいま現在もおるわけでございます。右にせんか左にせんか、そういうことについて、かくなればかくなるというようなことを申し上げる状況にはないということを御理解賜りたいと思います。
  92. 神田厚

    神田委員 終わります。どうもありがとうございました。
  93. 森下元晴

    森下委員長 藤田スミ君。
  94. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、六日の本会議でも、天災融資法激甚災害法発動あるいは共済金の早期支払い等々一通りお聞きをいたしました。きょうも政府対策について数々の御答弁を聞いていたわけですけれども、一応、重複もあると思いますが、それらを踏まえた上でお聞きをしていきたいというふうに思います。  私は、代表質問の後も山形県の方に調査に行ってまいりました。県当局も、ことしの被害は八〇年を上回るものではないか、こういうふうに言っておりましたし、県の米沢市や置賜地区では、昭和九年以来の大災害だ、こういうふうに農民の皆さんは口々に語っておられました。収穫して改めて被害のひどさに驚いているんだ、そういう点では刈ってがっかり、こいでがっかり、ひいてがっかりという言い方を繰り返しておられましたが、こういう実態を見るにつけ、改めて、被害実態というのは早く正確に把握をしなければいけないし、そのことこそ被害農家の救済対策の第一歩ではないか、その点で冷害の深刻さに比べて取り組みが大変おくれているということを痛感したわけであります。  例えば山形県でも、生産技術面からは六月ごろから、これは大変なことになると精力的に指導がなされていたことは事実です。しかし被害が明白になってきても、当初は産地のイメージダウンにつながるんじゃないかということで、対策本部の設置がおくれていたということです。また、秋田でも同じことで、あきたこまちの売り込みということもあって動きが鈍く、今では県も取り組みがおくれたということを反省しているということです。銘柄米の産地間競争を意識して取り組みがおくれたというのは、宮城県の方からも聞きました。災害災害と一言えないのは、米が厳しい状況に置かれている一つのあらわれではないでしょうか。また、栃木県北のある市では、もっと被害の集約を早くやりたかったけれども、年四回も現地を一筆ごと確認して歩く減反のチェックに職員の手がとられたから、そのためにおくれている、こういうことも率直に聞かされたわけでございます。  つまり、米価は下げる、おいしい米をつくって活路を見出せ、米は絶対に余らせるな、こういういわば米いじめと言われるような状況がこの冷害対策にも反映していると思えてならないわけであります。農家にとって生活のためのぎりぎりの緊急切実な冷害対策、救済策が、あれこれの理由で弱められたり後回しにされてはならないと思いますが、農林水産大臣政府の基本認識をもう一度お示しください。
  95. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今いろいろ御質問のお言葉がございましたけれども冷害に対する認識、これは厳しく受けとめております。しかし、結びのところで申された減反政策、我が方から言わせると水田農業確立対策、そういうことに追われて冷害対策の対応あるいは予測がおくれたのではないか、各県のことを一つ一つおっしゃいましたが、それぞれの県は、今日の農林水産省がとっておる政策に御協力をいただきながら一生懸命にやってこられた。しかし、この冷害は、一面考えますと天の災いてあることも事実でございます。天の災いなんだからしようがないということで申し上げるわけではございません。気象条件、状況について予測をするほど、私は気象についての知識はございません。気象庁の予測、見解をその都度待たねばならぬ状況にございますけれども、いずれにしても、私は今まで、この職にある前から災害対策に取り組んできて、随分いろいろな手だては昔よりは早くなってきたな、しかしそれに甘んじてはいけない、もっともっと努力しなければならぬ、こういう認識で厳しく自然災害、とりもなおさずこのたびの冷害に対応をいたしておるわけでございますので、どうか素直にそう受けとめていただければこれに過ぐる幸せはない、こう思っております。
  96. 藤田スミ

    ○藤田委員 私の言っていることにまともに答えていらっしゃらないというふうにも思うのですが、これは後の質問の中身で明らかにしていきたいと思いますのでこれ以上言いませんけれども、おてんとうさんのことを今言っているわけでもありませんし、県が努力をしていないとも言っているわけじゃないのです。今の米に対する政策が、例えば秋田でも県自身が認めているように、あきたこまちを売り込みたい、売り込まなければならない、そういうことがやはり足かせになって取り組みがおくれたと率直に語っておられることに対しで、今日進めている政府の政策がこういう状況をつくり出しているじゃないかということを言っていたわけです。  続けて質問をいたします。  対策のおくれを示す一つの問題に、他用途利用米の扱いがあるわけであります。我が党は、他用途利用米主食用に転用して限度数量まではとにかく政府が買い入れをするべきだということを言っているわけです。加工業者へは政府在庫からでもきちんと供給できるわけですし、ぜひそうしていただきたいという主張をしているのですが、少なくとも政府自身がいわゆる作況調整により契約変更を行う道を開いている。先ほどからも、せんだっての私の質問にもそういうふうに答弁をしておられるわけです。  しかし、今それにふさわしい処理がなされているか、こういうことになりますと、なされていないわけです。契約だからということで、真っ先に当初の契約どおり他用途米を出荷させている例がたくさんあります。これは栃木でも山形でも聞きました。また茨城県は、県南を中心に他用途米を出し過ぎた、そして主食用米が足りなくなった、こういうことから国に減額を要請している、こういうことであります。こういうところについてはきちんと減額申請を出させ精算をするんだ、このことをはっきりと言っていただきたいわけです。それから、先ほどから言われている特別に被害の著しい農家に対する特別な工夫というのは、いつ結論を出され実施されるのか、この際明らかにしてください。
  97. 甕滋

    甕政府委員 他用途利用米の御質問でございますが、他用途利用米災害によりましてなかなか契約数量まで出荷できないという声がございますし、そういった実態を私ども認識しておりまして、通常作況調整を超える減量についてもどういう方法があり得るか、今検討をいたしておるところでございます。これは関係方面、特に集荷に当たります指定法人との協議もございますし、関係方面との打ち合わせがございますから、それをなるべく早く調わせまして方針を出したいというふうに考えております。  なお、御質問の中に、他用途米が一般の主食用に先立って出荷をさせられているのではないか、こういった御指摘がございましたが、一般的に出荷の原則は、主食用と他用途利用米が平行して行われるようにということでございますので、そういったケースが一般的にあるとは承知しておりません。ただ、地域によっては、例えば他用途利用米として出荷される品種の作柄が早いとかいったような事情があった場合には、御質問のようにそちらの方が先に出るという事例が生ずることはあるいはあるのではないかと考えております。そういったケースについて事後的に他用途利用米の出荷の調整という事態も必要になるのではないかということでございますが、その点は、他用途利用米の今回の方針が定まりまして必要が生じました場合には、当然その出荷の調整といった観点からの措置もとっていく必要があろうと考えております。
  98. 藤田スミ

    ○藤田委員 調査では、先ほども言われておりましたように、共済についての強い期待と同時に不満や不信の声もたくさん聞かされたわけです。今もたくさんの借金を抱えて、これ以上の借金はごめんだという農民の皆さんの気持ちは、私も実態を聞けば痛いほどよくわかります。だから今回も、融資は返さなければならないから頼みの綱は共済だ、こういうときこそ共済の恵みを生産者に示してほしいということを言っておられるわけです。先ほど言いましたように昭和九年以来の災害だと言われる米沢なんかでは、共済の力を二〇〇%発揮してもらいたい、こういう表現をされ、そうでなければ組合の必要はないとまで言われているわけですけれども、この声にこたえなければならないと思います。そして、農家や共済組合が納得のいく適正な損害評価が大切なわけですが、最終的に担保するものとして国、県の保険審査会に異議申し立てをできるということになっていると思いますが、これは確認だけしておきたいわけです。
  99. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 農業共済金の支払いについては、損害評価を公正かつ迅速に行うということが大前提でございます。そういう観点から、共済組合あるいは連合会と農林水産省が一体となって損害評価把握に努めているわけでございますので、そういう損害評価を基礎としてできるだけ早く適切な保険金の支払いができるようにすることが第一の務めであるということでございますが、今御質問があった農業共済保険審査会というのが各県に設けられておりまして、共済組合が保険に関する事項につきまして訴訟を提起するという場合には、その前に審査会の審査を受けなければならないという規定が災害補償法の百三十一条にございます。したがって、そういった道は当然法律上の制度としてあることは御指摘のとおりでございますが、そういった措置はあくまで最終的な制度的な措置でございまして、冒頭に申し上げたように、適切な損害評価が行われることによりまして被害を受けられた農家に的確に保険金の支払いが行われるということが一番大事なわけでございまして、そういうことが確実になるように私どもは今努力をいたしておるところでございます。
  100. 藤田スミ

    ○藤田委員 適切な評価で的確な保険金の支払いというのは当然のことであります。最終的には各農家の収穫量は確定するわけですから、再評価も含めて数字の上で客観的な評価は可能なはずであります。ところが、九月二十一日の通達にもあるように、国の作況指数との検証をしろ、こういうことで組合の評価が抑えられているという声も聞かされています。共済の被害はもともと作況指数とは違うわけでして、さらに先ほど、きょうは八県に発動されたということですが、損害評価の特例措置で統計よりも多目に減収が出て当然のことであります。それらも十分勘案して、それこそ適切な評価、的確な支払いがなるように、農家実態、組合連合会の評価を最大限に尊重するように求めるわけでありますが、いかがですか。
  101. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 お答え申し上げます。  損害評価につきましては、共済組合においてまず被害を受けられた農家の圃場の悉皆調査をやっていただく、これが一番基本でございますが、共済組合間の損害評価のさらに一層の適切を期すという観点から、共済組合連合会の段階で抜き取り調査を加味することによりましてそういったことを行っているわけでございます。さらにまた、各連合会ごとの損害を農林水産省集計をいたしまして、それを統計情報部調査と突き合わせる、そのことを通じてより的確な損害の評価を行っていこうということで取り組んでいるわけでございますが、共済組合の段階被害実態が適切に把握されるということがこの制度を運営していく一番のかなめでございますので、私ども損害評価員による共済組合段階での評価が適切に確実に行われるように、各県あるいは共済組合連合会に対して指導を行っているところでございます。そのことによりまして今御指摘のありましたようなことが確実に実施されるように、さらに努力をいたしたいと思います。
  102. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう一回念を押しておきますが、その通達で言われる国の作況指数との検証をしろということは、組合の評価を抑えるという意味じゃないのですね。そのことだけ、イエスかノーかで結構です。
  103. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 そういう趣旨ではございません。
  104. 藤田スミ

    ○藤田委員 結構です。  厚生省にお越しをお願いしておりますけれども、既に国保税の減免条例を制定した自治体もあるわけですが、これはどのくらいになっているでしょうか。積極的に減免実施を働きかけて、通達も出していただきたいわけです。  それから、国保財政に影響が及ぶ自治体に財政補てんということも必要なわけですが、これはどういうふうになっておりますか。
  105. 大塚義治

    ○大塚説明員 先般のいわゆる冷害関連いたします状況でございますが、私ども都道府県を通じましていろいろ状況をお聞きしているところでございますが、東北地方で申しますと、青森、岩手宮城、山形、福島、そういった各県で減免の措置につきまして検討を始められておる、進めておられるというふうに承知をいたしておるわけでございます。  具体的な減免の措置につきましては、地方公共団体のそれぞれの条例等に基づき、また被害状況に応じまして適切な措置が講じられると考えておりますけれども、国といたしましては、減免額が一定規模以上になりまして市町村の国保財政に影響を与えるというような状況になりますと、その辺を特殊な事情、特別な財政事情というふうに勘案をいたしまして、所要の財政援助、財政補助を行うということを考えておるわけでございます。
  106. 藤田スミ

    ○藤田委員 八〇年の冷害では、東北北海道の百一の保険者に国の方から調整交付金約十六億円が出されているわけですから、ぜひともそういうことを踏まえてこの減免に対する財政補てんを強く要望しておきたいと思います。厚生省、ありがとうございました。  それでは、優良種子の確保の問題についてお尋ねをいたしますが、国の助成の要求は各地から政府に対して寄せられているものであります。答弁では、購入種子が一般化したから、だからもう国の助成はしないんだ、こういうふうに御答弁をいただいたわけですが、八〇年の冷害では三分の一の助成をしているのです。八一年、八三年にもこの事業が行われております。今回やらないというのは、これは明確に対策の後退だと言わざるを得ないわけですけれども実態を見てぜひ助成するべきだと考えます。御答弁ください。
  107. 吉國隆

    吉國政府委員 種もみの確保につきましては、量的な確保の面につきましては、各県あるいは団体とも十分な連携の上に、必要な優良な種が確保できるよう万全を期してまいりたいと思っているところでございます。ことしの場合、県間の調整をしていかなければならないものの量というのは、当初予想したほど多くならない見込みでございますが、なお作柄の推移に応じて必要な調整量について確保を進めてまいりたいと思っております。  農家の購入費に対する国の助成という点につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、購入した種子で植えつけをするというのが昨今の稲作事情からすると非常に多くなってまいってきております。そういったことから、一般の営農経費と選ぶところがないという性格になってまいっております。非常に零細な金額になりますので、行政実務上も非常に厄介だというような問題もあるわけでございまして、そういったことから、むしろ営農資金の手当ての中で吸収をして行っていくことが合理的ではないかというふうに考えている次第でございます。
  108. 藤田スミ

    ○藤田委員 やはり納得できないわけです。その態度は、もう頭から補助はしないと決めてかかっているというふうに思うわけですね。  農水省自身がまとめておられるこの「農林水産業災害対策質疑応答集六一」、これは一番新しい問答集ですが、ここでも予算補助として農作物の種苗の確保事業ということがきちんと書かれておりまして、これは予算補助としてはということで非常に大事な事業というふうな位置づけでわざわざ初めの方にきちんと書いているわけです。  今回、この災害で既にもう県によっては種もみを確保するために奔走しているというようなことも聞いていますし、それから種もみが品不足で値上がりするだろう、県下の種もみの田んぼがやられているわけですから。だから、そういう点では非常に不安の声があるわけです。どうしてこんな後退になるのでしょうか。非常に大事な問題ですよ。行政実務上煩雑になる、こんなものは論外の話です。農民の皆さん言われた。なるほどなと思ったのですけれども、どんなに災害で絶望していても、種を見れば生きる力がわいてくると言うのです。だから私は、少々事務的に煩雑であっても、その額が非常に個々に至ったら少ないものであっても、やはりこういうふうに位置づけているのだなとこの問答集を見たときに思ったのです。何でやらないのですか、今までやってきたのに。納得できないのです。
  109. 吉國隆

    吉國政府委員 関係農家方々なりあるいは地方公共団体からの要請には、確かに先生おっしゃいましたように、そういった御要請もございます。そのほかにも、例えば防除に要した経費を補助できないかとか、あるいは稲が倒伏をした、それによって稲刈りあるいは青刈りをしなければならぬ、そういった経費に対する助成はできないかといった御要望もあるわけでございます。そういったいわゆる一般的な営農経費とされるものにつきましては、営農資金の手当てというものが天災融資法を初めとしてございますので、種代ということになってまいりますと、全部種子を購入したとして十アール当たり二千八百円程度になるわけでございまして、五十五年のときは、先生おっしゃいましたように、被害の特に著しい人に限定いたしまして三分の一の購入費補助をやったわけでございます。  各農家被害の程度を把握をし、それからその方々がそれぞれどれだけの種子を購入されたか、それに応じてそういった金額の補助金を配るというのは大変な手続でございまして、五十五年のときは全国的な非常に深い被害であり、非常に大幅な種子の確保調整も行われたという実態に即してそのようなことが行われたと思いますが、先ほど申しましたように、種子に依存する率が高まってきているという実態も照らし合わせまして、農家の購入費に対して直接補助をするということは難しいのではないかと考えている次第でございます。
  110. 藤田スミ

    ○藤田委員 そういう御答弁では納得できないのです。大臣、私はさっきから、今度の冷害対策を後退させるということについて非常に問題視をして、最初にもそういう立場で物を言っているわけですけれども、まさに国の方からいえば零細なものでしょうが、しかし農民にとっては立ち上がりにとって非常に大事なこういう問題を後退させる姿勢が大変問題だということを私は言っているわけです。  このことは、規格外米についても言えるわけです。自主流通米として販売を促進するにしても、従来は最後は政府も買い上げをしてきた、この一貫した対策が大きく変わっていくわけです。政府買い上げをあくまでもしない、この間の答弁ではそういうふうに聞いたわけですけれども、これも冷害対策の後退だと言わざるを得ません。また、自主流通で全部さばけるのか、その点では大変心配をしているわけです。政府が相手先への協力依頼も含め、最後まで責任を持つ、手当てをしたと先ほどからの御答弁ありました。最後まで責任を持つとはっきり約束できますか。
  111. 甕滋

    甕政府委員 規格外米政府買い入れの御質問でございますが、私どもの考え方は、災害によっていつもよりは規格外米がたくさん出てくる、その処理を円滑にする必要があるということでございまして、そのために先般通達を発出いたしまして、自主流通米としてこれが円滑に流れるようにという趣旨を徹底させたところでございます。県レベルにおきましても集荷、販売両サイドから合意ができまして、現在自主流通米としてこれを取り扱う手続を鋭意進めておるところでございます。  かつて買い入れたのが後退ではないかという御指摘かと思いますが、ここ数年、米の過剰基調、在庫の累増、こういう事態の中で政府買い入れを行っておりません。自主流通としてこれを流し、農家としてできるだけ所得につながるようにという措置を講ずるということが、このたびの通達の趣旨でございます。
  112. 藤田スミ

    ○藤田委員 ここ数年そういうことをやっていないというのは、これはまたちょっと違うのですね。  それから、何か規格外米を自主流通米の方で流していく方が有利なようなこともおっしゃいますが、問題は、どんな規格を設定し、どんな価格で買うかということになるわけです。だから、そういう点では八三年のこの「災害規格外米について」という政府のいただいた資料を見ましても、未熟粒混入規格外玄米、青未熟粒混入規格外玄米、被害粒混入規格外玄米、こういうものの買い入れを政府がやっているわけです。ここで一万一千二百五円から一万一千八百三十一円という値がついているのです。自主流通米は、着色粒混入規格外玄米ということでここへいっているわけですが、これは政府の値に支えられて初めて一万二千円から一万五千円という値がついている。こういうことを見ましても、今回自主流通だけでこの水準で果たして処理が可能なのか、そういうことになってくるわけであります。いかがですか。これは手取りにかかわる問題ですからね。
  113. 甕滋

    甕政府委員 農家手取りの問題として、どういう措置をとるかによってどうなるのかというお尋ねでございますが、これは自主流通米として、集荷業者あるいは卸業者との話し合い、値段のつけ方がございます。また、仮に政府買い入れをするとした場合にも、どういう価格で買い入れるのかという問題もございますし、現時点で一概に申し上げるわけにはまいらないと思います。ことしの場合、まだ全体がはっきりいたしませんけれども、自主流通米として当事者間で話し合いのついておる価格は、一万二千円から一万六千円程度と承知をしております。ただ、おっしゃいますようにどこまでが自主流通で流れ、それ以外が特定米穀で流れるか、こういった問題もございますから、全体としてどうかということは一概には申し上げられないと冒頭に申し上げたとおりでございます。
  114. 藤田スミ

    ○藤田委員 いずれにしても、この六十一年の問答集を見ても、規格外来の政府買い入れというのも、これは真っ先にここに書かれているのですよ。違うのですか。真っ先にここに書かれている。つまり、これは長い歴史を持った制度なんです。それをどうしてこんなふうに冷たく切ってしまうような態度になっているのですか。こんなものは、過剰基調なんというようなものは、およそ説得力ありませんよ。それとも、もはや手引書は役に立たないんだ、最も新しい二年前の手引書ですが、しかしもうこれは役に立たないものなんだ、もっと後退したものなんだ、こういうことなんでしょうか。
  115. 甕滋

    甕政府委員 政府米として買い入れた経過は昭和五十八年産までございますが、それ以降、先ほど申し上げましたように、政府在庫が累増する、また食管制度の運営の中でこの需給問題というのが御承知のように大きな問題になる中で、これをどうするか、集荷団体、生産者サイドとも十分相談をいたしまして、現在の最も適切なやり方でこの集荷あるいは販売を考えてきているいきさつがございます。冷害対策としてこれが後退ではないかという御指摘でございますけれども、米全体の経済の中でどうするか、こういう側面もございまして、十分相談ずくで進めておる事柄でございます。
  116. 藤田スミ

    ○藤田委員 昭和九年以来だとか昭和二十何年以来だとか言われている、それこそ八〇年、八一年、八二年、八三年のあのときに比べてももっと深刻だという現地の声に対するそれが政府の態度なのかということが非常に残念であり、怒りを覚えるわけですが、続いて減反の問題に移ります。  これもさっきから、減反の見直し、特に米需給均衡化対策分の配分を軽減するようにという声もありました。私もこのことを強く要求するわけですけれども、八七年から水田農業確立対策で三年間固定すると言っていた七十七万ヘクタールもの大幅減反を、政府は二年目で約束を破ってふやした分が均衡化対策分であります。豊作の後は無理やりに減反上乗せをしたわけです。だったら今度は、東北地方などはことしの減収分を減反緩和してくれ、これは当然の声でしょう。今度の被害水稲分は、千八百三十八億円、こういうふうに言われているのです。そうしたら、単純に米価で割り出したらこれは六十五万トンを超える、そういう数量になるのです。  大臣、絶対に三年間はこれで固定化するという七十七万ヘクタールの大幅減反に、豊作だからといって六十万トン分上乗せをしたわけですが、その上乗せ分を上回るような減収に今度はなっているわけです。だったら、もう米需給均衡化対策というのは必要ないじゃありませんか。私はこの際これはもうやめるべきだというふうに思います。まして、被災地は来年は上乗せ分を除くことはもちろんですが、減収分を削除していくのは当然のことじゃありませんか。いかがでしょうか。
  117. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 前回の農林水産委員会におきましても、あなたの質問に対して私が答えたことのほとんどは、言うとおりには答えていないというお言葉をちょうだいいたしました。しかし、私は答えておるというつもりでただいまも答えておるわけでございます。  水田農業確立対策、この中にあって緊急対策を実施した。ただ、お話を聞いていると、農林水産省が役所として何か勝手にやったように聞こえるのでありますけれども、そうではございません。あなたの御質問が活字にそのままされるとするならば遺憾でございますので申し上げておきますが、関係団体とも話し合いをしながら、御協力をいただきながら、三たびの過剰を起こしてはならぬ、国民全体にまた御迷惑をかける結果になる、そういう中にあってぎりぎりの選択でお願いをし、そして二年間の措置として緊急対策を講じた、こういうことなんでございます。そして、このたびの冷害関連づけますならば、そういう状況に、それではもうそういうものは全部やめてしまえというような予測は立ちがたい。しかし、予想収量というものがある程度わかった上で、来年度の予約限度数量等そういうものについてはひとつ考えなければならぬ、その際は生産者、生産者団体そして行政一体となって考えねばならぬ、こういうことで申し上げているわけでございます。  なお、立ったついでに恐縮でございますが、先ほどあきたこまちの例を引き合いに出されました。あきたこまちの売り込みに一生懸命になったために冷害対策がおくれたと秋田県が言っておる、こういうお話でございました。そういうように聞きましたから、間違っていたら訂正してください。しかしあなたからは、この間の農林水産委員会において、農業、稲作の再生産資機材に関連をいたしまして競争原理を取り入れろ、こういうことを言われました。私は今それにストレートに結びつけるものではございませんけれども、消費拡大に向けてあきたこまちのおかゆの缶詰、こういうものも一生懸命に、私実際食べてみて、ああこれはいいぞと言っておるわけでございまして、冷害対策がおろそかになってはいけないけれども、そういう売り込みはまだ競争原理を生かしながら努力するのも大事なことである、これを申し上げておきたいと思います。
  118. 藤田スミ

    ○藤田委員 大変御答弁が長いために最後の一問にいたしますが、生産費の競争原理の導入は当然のことでありますから申し上げました。あきたこまちの売り込みのためにと言っているのではなしに、イメージダウンにつながるからということで非常に現地の戸惑いがあった、これは事実の問題ですからはっきり申し上げておきます。  また、七十七万ヘクタールに六十万トン豊作だからといって上乗せしたのなら、六十五万トン減収になっていることし改めてその減反の上乗せについて見直すは当然じゃないか、しかも冷害災害地に対してはなおさらのこと、その減反の見直しをやるのは当然ではないかということを申し上げているわけでございます。  大臣うなずかれましたので最後の一言ですが、米の需給計画というのは、災害も考慮したゆとりのあるものにしていくのは当然のことであります。一九八〇年のあの大冷害のときにその後続かないと言った冷害が三年間続きまして、そして八四年に韓国米の輸入ということになりました。あのとき日本国じゅう大変問題になり、安全性の問題についても消費者は声を上げまして、もうよその国から米を買い入れるなんて懲り懲りだという声になったのです。そして、米については今後外国からの供給に依存するようなことがないようにという国会の決議が行われたわけであります。つまり、災害が続いた、そして米が足りなくなった、しかし国民に米を供給しなければならない、だから輸入するというようなことは二度と繰り返してはならないというのがあの国会の決議の精神であり、これが我が国の大原則だと思うのです。しかし政府は、口を開けば三たびの過剰米処理を絶対避けなければならない、そのことがまるで国是であるようなことを言って、だんだん需給計画を厳しいものにし、あまつさえ今度のこの冷害対策においてもいろいろ理由をつけて過剰基調ということを優先させようというこの態度は国会決議に反している。余剰回避よりも米不足による輸入回避こそ政府に課せられた至上命令ではないかと私は考えるわけです。それから同時に、二度と米を輸入しないというあの国会の精神に沿うためにも、過剰とか財政事情とかいって災害対策冷害対策を後退させるというようなことは政府は絶対にやってはならないと考えるわけですが、最後の御答弁を求めて、私の質問を終わります。
  119. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 そういうことはやっておりません。国会決議は尊重しなかったことはないと私は承知しておりますし、今後も尊重し続けるということでございます。
  120. 藤田スミ

    ○藤田委員 終わります。
  121. 森下元晴

    森下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十五分散会