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1988-08-30 第113回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年八月三十日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 森下 元晴君    理事 石渡 照久君 理事 木村 守男君    理事 笹山 登生君 理事 野呂 昭彦君    理事 若林 正俊君 理事 井上  泉君    理事 滝沢 幸助君       井出 正一君    石破  茂君       大島 理森君    加藤 卓二君       斉藤斗志二君    桜井  新君       杉浦 正健君    田邉 國男君       渡海紀三朗君    虎島 和夫君       宮崎 茂一君    村井  仁君       持永 和見君    粟山  明君       石橋 大吉君    川崎 寛治君       城地 豊司君    野坂 浩賢君       山下八洲夫君    吉原 米治君       竹内 勝彦君    森本 晃司君       薮仲 義彦君    川端 達夫君       安藤  巖君    児玉 健次君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         国土庁長官官房         水資源部長   大河原 満君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         国土庁防災局長 三木 克彦君         消防庁長官   矢野浩一郎君  委員外出席者         内閣審議官   福島 忠彦君         北海道開発庁水         政課長     井上 喬之君         環境庁自然保護         局企画調整課長 大木 知明君         厚生省健康政策         局指導課長   松村 明仁君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   藤原 正弘君         厚生省社会局施         設課長     横田 吉男君         農林水産大臣官         房参事官    武田  昭君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     坂本  貞君         林野庁指導部造         林保全課長   田中 正則君         林野庁指導部治         山課長     岡本 敬三君         中小企業庁長官         官房総務課倒産         対策室長    河野 秀樹君         気象庁予報部業         務課長     原田  朗君         気象庁予報部予         報課長     山岸米二郎君         建設省河川局河         川計画課長   岩井 國臣君         建設省河川局治         水課長     齋藤 尚久君         建設省河川局開         発課長     山内  彪君         建設省河川局防         災課長     佐々木賢一君         建設省河川局砂         防部砂防課長  松下 忠洋君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      杉山 俊宏君         自治大臣官房参         事官      広瀬 経之君         消防庁消防課長 川崎 正信君         消防庁防災課長 仁科 英麿君         特別委員会第三         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 八月三十日  辞任         補欠選任   佐藤 敬夫君     渡海紀三朗君   串原 義直君     吉原 米治君   沢藤礼次郎君     石橋 大吉君   藤田 スミ君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   渡海紀三朗君     佐藤 敬夫君   石橋 大吉君     沢藤礼次郎君   吉原 米治君     串原 義直君   児玉 健次君     藤田 スミ君     ───────────── 八月十二日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願船田元紹介)(第一八三号)  同(古川雅司紹介)(第一八四号)  同(宮里松正紹介)(第二〇九号) 同月十八日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願奥田敬和紹介)(第三五五号)  同(池端清一紹介)(第三五六号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三五七号)  同(丹羽雄哉紹介)(第三五八号)  同(水田稔紹介)(第三五九号) 同月三十日  地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第五九三号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第五九四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(昭和六十三年七月中下旬の大雨等による災害等)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 森下元晴

    森下委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る八月四日、五日の二日間にわたり、昭和六十三年七月中下旬の大雨等による被害状況調査のため、鳥取県、島根県及び広島県に委員派遣を行いましたので、私が派遣委員を代表し、便宜、この席から調査の概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党石破茂君、笹山登生君、日本社会党護憲共同井上泉君、野坂浩賢君、公明党・国民会議薮仲義彦君、民社党・民主連合滝沢幸助君、日本共産党革新共同安藤巖君、そして私自由民主党森下元晴の八名であります。このほかに、地元選出議員として、鳥取県において、平林鴻三君、島根県において、石橋大吉君、広島県において、粟屋敏信君、岸田文武君の方々の御参加を得まして調査をしてまいりました。  去る七月十一日から二十八日にかけて梅雨前線活動が再び活発化し、西日本中心に局地的な大雨となり、死者二十三名、行方不明者四名を出し、各地において被害が続出したのであります。とりわけ、島根県西部及び広島県北西部中心に激しい集中豪雨に見舞われ、大きな被害が相次い で発生いたしました。このため七月十五日に島根浜田市、七月二十一日に広島山県加計町に対し災害救助法が適用されました。  以下、派遣日程により御報告申し上げます。  まず、第一日目の八月四日は、早朝、羽田から空路鳥取県入りをいたしました。鳥取県では、午前九時から、県庁において、知事海外出張のため知事職務代理者総務部長から今回の災害被害状況説明及び要望を受けました。  鳥取県では、戻り梅雨による梅雨前線活動に伴い、七月十三日から十五日にかけて最大時間雨量五十三ミリに達し、総雨量百ミリから二百ミリを超える大雨が降ったのであります。また、一週間後の七月二十日から二十一日にかけても再び大雨が降り、十三日からの期間の総雨量は百五十ミリから三百ミリの豪雨を記録いたしました。この二度の大雨により、県内において床上、床下浸水を初め道路河川農作物農地農業用施設などに被害が出たのであります。  調査時点での被害額は、公共土木施設被害で二十一億一千五百万円、農林水産業施設等被害で七億九千七百万円、その他学校や自然公園施設等にも被害が出ており、その被害額総計は二十九億一千八百万円余に上っています。  また、参考として県当局から昨年十月の台風第十九号による被害状況とその後の災害復旧状況があわせて述べられました。今回の災害は、昨年十月の台風第十九号による未曾有の災害に対して、その復旧全力を傾注しているやさきにまた起きた災害でありまして、県としては、現在全力を挙げて両方の災害復旧に努めているということであります。  なお、去年の災害について、青谷町長及び東郷町長からそれぞれ要望かたがたお礼あいさつがありました。  次いで、島根県に入り、県庁において、知事及び県議会議長出張中のため、副知事及び県議会議長から県下の今回の災害についての概況及び要望を聞きました。  島根県では、七月十二日以来、山陰沖梅雨前線が停滞し、県西部中心豪雨に見舞われました。県西部地域は、昭和五十八年、六十年と豪雨によって激甚な災害を受けており、その災害からようやく立ち上がったやさきにまた大災害を受けたのであります。  降水量を見ると、浜田市では十五日一時から七時までの六時間に五十八年豪雨の一日雨量三百三十一・五ミリを上回る三百四十二ミリを記録しております。また、三隅町では二十日に一時間最大雨量が百ミリとなり、二十日二十一時から二十一日の一時までの連続四時間雨量が三百八ミリに達しております。いずれも五十八年豪雨の一時間最大雨量六十九ミリあるいは連続四時間雨量二百三十四ミリを大きく上回っております。  この豪雨により死者二名、行方不明者四名の犠牲者が出ました。八月一日現在の県の集計によりますと、公共土木等施設被害総額は、九百十億六千二百万円に上っております。その被害内訳は、施設関係等被害で、教育施設一億円、農地農業用施設百十億九千万円、農作物等七億円、山林九十八億一千万円、土木施設が最も多く三百九十七億八千九百万円、水産関係一億一千九百万円であります。その他が二百九十四億四千八百万円でありますが、このうち商工被害のウエートが高く二百九十一億二千万円となっているのが特徴であります。民有建物被害は、住宅、非住宅の流失を含め全壊、半壊、浸水等合わせて八千四百四十二世帯であります。今後、調査の進展に伴って被害額はさらに増加するものと思われます。  このたびの豪雨は、短時間における記録的な集中豪雨であり、特に中小河川は、五十八年豪雨を上回る大出水となりましたが、こうした中にあって浜田川三隅川は、五十八年災害によって採択された改良復旧がほぼ完成しており、また、三隅川上流部に六十四年度完成予定の御部ダム上流から流れ込んだ水をせきとめて洪水調整機能を果たし、被害の軽減に大きな効果を発揮いたしました。  島根県では、五十九の市町村がありますが、そのうち五十五の市町村が今回の災害により被害を受けました。その中でも特に被害の大きかったのは浜田市であります。  浜田市役所においては、浜田市長三隅町長出張中のため同町助役から被害状況説明陳情あるいは要望がありました。また、島根県議会議員から陳情があり、このほか浜田市近隣の五市町から陳情が出されました。  浜田市では、七月十五日の日雨量は三百九十四・五ミリに達し、五十八年七月二十三日の三百三十一・五ミリを上回る集中豪雨に見舞われ、明治二十六年に浜田測候所が開設されて以来の記録となったわけであります。このため死者二名、行方不明者三名が出ましたが、五十八年豪雨災害後に設置した防災行政無線が活用されました。  三隅町では、二十日、二十一日の総降雨量は三百四十四ミリ、二十日二十時から二十一日一時までの連続五時間雨量は三百十一ミリに達し、行方不明者一名の犠牲であります。  この後、浜田市内被災地を副知事及び市長案内視察いたしました。浜田川上流、その他中小河川はんらんにより、家屋が浸水し、水田が冠水した痕跡が至るところで見られ、また、緑の山肌が、がけ崩れによってえぐられ赤い土を見せていました。一般国道号沿いの下府川の濁流で落ちた土穴橋など数カ所の被災現場を日没まで視察いたしましたが、いずれも今次災害すさまじさを物語っていました。  第二日目の五日は、中国山地を越えて広島県に入りました。広島県では、まず山県加計町の町民センターにおいて、広島県副知事からあいさつがあった後、加計町長及び筒賀村長から被害状況及び要望を聞きました。  加計町では、二十日から二十一日にかけて総雨量二百七十ミリとなり、これまでの太田川のはんらんによる災害と異なり、大規模な土石流による災害となりました。家屋被害が多く二百九十九棟に上り、残念ながら死者十一名、重軽傷者十名の犠牲者が出たのであります。農地被害も大きく、水田被害が三十三・五ヘクタールに上りましたが、これは加計町の利用面積百六十ヘクタールの約二一%に当たります。  筒賀村長からは人命にかかわる土石流災害未然防止のための治山砂防等について述べられました。  続いて、加計町の被災地を副知事及び町長案内視察いたしました。下殿河内の江河内地区は、殿畑山から流れ出る川幅わずか二メートルぐらいの江河内谷川沿い集落であり、その下流上堀地区と合わせて土石流の直撃により、二十一日に十名の犠牲者が出たところであります。JR西日本可部線殿賀駅近くから江河内谷川沿い江河内地区まで歩いて上り、その道々でも説明を受け、谷を削り取った土石流により、巨大な石などが散乱堆積しておりまして、土石流災害すさまじさを目の当たりにし、私ども胸が痛む思いでございました。  我が国の土石流危険渓流は、六十一年調査で七万四百三十四渓流ありますが、広島県では、六十三年四月調査で三千六百七十四渓流もあり、全国一位であります。江河内谷川もその一つであり、土石流危険渓流指定がなされていますし、砂防指定地になっています。被災地一帯は、風化した花崗岩質のいわゆるマサ土による急傾斜地であり、県では、江河内谷川上流砂防堰堤を入れていましたが、土石流がその砂防ダムを乗り越えあるいはダムの一部を破壊し、下流集落の民家を押し流し犠牲者が多数出たのであります。  次いで、山県戸河内町の町民センターにおいて、町長から被害状況及び陳情を聞きました。戸河内町では、二十日から二十一日にかけて総雨量二百七十六ミリの集中豪雨により、消防職団員を含む三名の犠牲者を出し、その他施設関係等被害が多く出ております。西中国山地国定公園特別名勝三段峡が町内にあり、町民の三〇%が何らかの形で観光事業に関与していることから、今回の災害で打撃を受けております。  この後、一般国道百九十一号の被災箇所及びその応急復旧状況、また太田川支流の柴木川の濁流によって落ちた落合橋などを視察いたしました。JR可部線土砂で寸断され、また、一般国道百九十一号が今回の道路災害で最も多く被害を出し、全面交通どめになったところもありました。  広島県庁においては、知事から県下災害についての概況説明及び要望を受けました。広島県では、七月二十日から二十一日にかけて県北西部中心に記録的な集中豪雨に見舞われ、この地方で多大な被害発生いたしました。この豪雨により、死者十四名、負傷者十一名、被災者が一千九百十二名に上り、家屋被害は六百二十七棟であります。また、八月二日現在、公共土木施設農地農業用施設等被害額は、百六十四億三千百万円に達しております。内訳として、土木関係百二十二億五百万円、このうち砂防が大きく六十六億七千六百万円、農水業関係二十六億八百万円、林業関係十四億五千万円、商工業関係一億八百万円等となっており、今後、調査の続行とともに被害額は増額する見込みであります。さらに六月一日から七月八日までの間に、五回にわたって大雨による災害発生しており、これらを含めた本年度の被害総額は、二百三十五億六千九百万円になります。  災害により県下の通行不能となった道路は、国・県道合わせて十二路線六十五カ所でありますが、そのうち九路線については、数日のうちに復旧を完了し、交通を確保いたしました。調査時点で三路線十一カ所が通行不能となっておりましたが、迂回をしておりますので孤立しているところはありません。  各県市町村からそれぞれ要望あるいは陳情が出され、特に広島県庁においては、知事から災害救助法による応急仮設住宅の費用の限度額などについて要望が出されました。また、関係当局から財政事情等厳しい中、応急対策あるいは復旧対策全力を傾注しているとの決意が述べられました。  なお、各会場及び視察現場におきまして、各委員及び現地参加議員から質疑あるいは意見が出されましたが、その内容につきましては時間の関係で省略いたします。  今回の災害特徴は、集中的な豪雨により、これまでの豪雨による河川はんらんによる災害と並んで、がけ崩れ土石流等土砂災害が局地的に発生したことであります。土砂災害対策重要性を改めて痛感するとともに、土石流災害対処するための治山砂防事業の促進と危険箇所を抱える関係市町村警戒避難体制のより一層の整備充実を図る必要があります。  報告を終えるに当たり、今回の災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。また、調査に御協力を賜りました鳥取県、島根県、広島県及び関係市町村関係各位に心から感謝を申し上げます。  以上で報告を終わります。  この際、お諮りいたします。  鳥取県、島根県、広島県及び関係市町村からの要望事項等につきましては、これを本日の委員会議録末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森下元晴

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔要望事項本号末尾に掲載〕     ─────────────
  4. 森下元晴

    森下委員長 本日は、特に昭和六十三年七月中下旬の大雨等による災害等について質疑を行います。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。石破茂君。
  5. 石破茂

    石破委員 ただいまの委員長の御報告にございましたように、先般の七月中下旬の西日本各地豪雨におきまして多大の被害発生をいたしました。不幸にして亡くなられました方の御冥福を心からお祈りを申し上げますとともに、御遺族にも心からお悔やみを申し上げたいと思います。また、被災地皆様方にも心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧を心から願う一人でございます。  私も先般、派遣委員の一人として鳥取島根広島の三県を視察をさせていただきました。その折々に感じましたことごとを災害防止の願いを込めまして申し上げたいと思います。どうか御答弁のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、最初に参りました鳥取県についてでございますが、今回多大の被害を生じました。幸いにいたしまして、人命被害等々はなかったわけでございます。昨年の十九号台風におきまして、人命を含めまして大きな被害を生じました。そのことにつきまして、政府におかれましては速やかに激甚災等々の指定をいただき、対処をしていただきました。現地におきましては、日々復旧にこれ努めておるところでございます。国の速やかな処置に対しまして心からお礼を申し上げますと同時に、初年度のみならず、ずっとこれが復旧いたしますまで、手厚い御支援のほどを心よりお願いを申し上げます。  また、島根県につきましては、本日当該地区選出先生方より御質疑があるようでございますので、全般的な問題を含めまして、主に広島中心にいたしまして質問を試みたいと思います。  まず、今回の被災地であります各自治体からは、激甚災の適用の要望というものが非常に強く出されております。被害早期復旧のためにもこの指定はぜひとも必要というふうに考えておりますが、この点についていかがな見通しがあるものかどうか、御所見を賜りたいと存じます。
  6. 三木克彦

    三木政府委員 今回の西日本中心とする豪雨被害状況につきましては、現在関係省庁におきまして調査を進めているところでございます。  現時点で把握しております被害額からいたしますと、農地等災害復旧事業等につきまして激甚災害としての指定基準を超える見込みでございます。今後、被害額精査を急ぎまして、早急に関係省庁と協議を進めて指定手続を行いたいと考えております。  次に、局地激甚災害指定関係でございますが、まず、浜田市の区域における中小企業等にかかわる災害につきまして局地激甚災害としての指定基準を超える見込みでございます。同様に被害状況精査を急ぎまして、早急に指定手続を進めたいと考えております。  公共事業関係局地激甚災害指定につきましては、この判断を行うためには各市町村におきます事業費査定を完了しないとできないわけでございます。早急に事業費査定を各関係省庁に行っていただきまして、同様に指定基準に照らして適切に対処をしてまいりたいと考えております。
  7. 石破茂

    石破委員 ぜひ御精査の上、早急な指定をよろしくお願いしたいと思います。  次に、気象庁にお尋ねをいたしたいのでありますが、なぜこのような雨が降るのかということでございます。今回の豪雨ですぐ想起をされますのは、五十八年に島根県を中心にして降りました豪雨の点でございます。あわせまして、四十七年の七月にも同じような雨が降り、多大の被害が生じておるわけでございます。すなわち、時期的に言いましても、また地域的に言いましても、これは決して偶然に起こったものではなくて、何か気象のメカニズムの上において何らかの必然性をもって起こったものであるというふうに考えるわけでございますが、その点はいかがなものかということをお尋ねいたしたい。  そしてまた、今回、被災地方々からも承ったわけでございますけれども、山間部気象というものは、わずか数百メートル離れただけで全く違う気象現象が生ずるわけであります。例えば、役場のところは非常にいい天気であっても、わずかそこから数百メートル離れた山の地区に行けば大 雨が降っておる。局地的というよりは、むしろ限局的とでもいうようなそういう気象発生をし、被害を生じておるわけであります。  そういたしますと、現在気象レーダー等々を使いまして気象予測というものをしておるわけでございますけれども、そういう限局的な豪雨について、これが予見できるものやらどうやら、これを今後どのように精度を高めていかれるものかどうか、その点を教えていただきたいと思います。それをするためにはどうすればよろしいかということであります。  加えまして、大雨発表基準、そういうものを見直す動きがあるやに聞いておりますが、その点はいかがなものか、御教示を賜りたいと存じます。
  8. 山岸米二郎

    山岸説明員 お答え申し上げます。  最初に、雨の降り方の問題でございますけれども、御案内のように、梅雨前線によって大雨が降ったわけでございますけれども、今回の場合も梅雨前線中国地方、主として日本海側に停滞いたしまして、前線が停滞しますと南から湿った空気が暖かい空気を吹き込むわけでございますので、そこで積乱雲発生します。積乱雲発生して、次々に同じような局地的領域を通過することによって大雨が降っておるわけでございます。  必然性があるかということでございますけれども、梅雨というのは季節現象でございますので、今後とも、そういう意味での強弱とか地域とか程度はいろいろ違いがありますけれども、そういう意味での大雨というものは自然現象として避けられない、そういうふうに考えておる次第でございます。  次に、こういう大雨レーダー等を使っても予想は不可能なのか、それはどういうふうにしているのかという御質問でございます。  レーダーというのは、降っている雨粒を観測するものでございます。また、気象衛星というのは、雲の分布を観測するもので、これ自体は予測に使うものではございません。気象庁では、レーダーとそれからアメダスによる観測とを、まずアメダス地上の雨を正確に観測しますので、空中の雨粒をはかったレーダーとそれから地上に降ってきた雨をはかるアメダスを合成しまして、そして降っている大雨を的確に把握する努力をしている次第でございます。これですと、大体五キロメートル四方の正確な雨を把握するというふうに考えております。気象庁ではこの合成図をもとにしまして三時間先まで大雨予測をしたいということでございまして、これをことしの四月から実用化しましたので、それを活用して注意報、警報の早期発表に努めている、そういうことでございます。  しかしながら、御指摘がありましたように、大雨というのは非常に局地的な現象でございますので、これをさらに半日あるいは一日程度に予知することはどうかということになりますと、これは例えば中国地方日本海側のどこかに大雨が降りそうだ、そういう可能性については言えますけれども、それ以上詳しいことは現在の技術では困難でございます。  なお、今後どうするかということでございます。私が先ほど申し上げましたレーダーアメダスを使った三時間先までの短時間予報でございますけれども、これは気象庁としては非常に力を入れまして、世界に先駆けて実用化したわけでございますが、残念ながら、まだこの短時間予報の技術では、積乱雲の移動というようなものは予知できますけれども、三時間先ぐらいの程度まで予知できますけれども、それが発達するのか衰弱するのか、急に発生するのかということになりますと、的確に予想する技術がまだ十分ではないという現状でございます。今後ともこういうものについての技術開発を続けて、その精度向上に努めてまいりたいというふうに考える次第でございます。  それから、大雨発表基準でございますが、私たちは、大雨によって災害が起こるおそれがあるあるいは重大な災害が起こるおそれがあるという場合には、大雨注意報あるいは大雨警報を発表しております。これは、ずっと昔ですと、例えば二十四時間何ミリ降ると予測しましたら注意報、警報を出すということでございましたけれども、近年は、例えば土砂災害等による被害が多発しておりますので、一時間雨量基準あるいは三時間雨量基準、そういうものを入れて、それが予測された場合には注意報あるいは警報を発表しておりますけれども、これは固定的なものではございませんで、災害の程度に応じて基準を見直す必要がありますので、毎年、必要に応じて各地方気象台で検討し、その結果を本庁に報告し、決まりますと自治体等にお知らせしている、そういうことでございます。
  9. 石破茂

    石破委員 よくわかりましたが、気象庁、もう一つお伺いしたいのです。  今回は、たしか梅雨明け宣言が出た後にこの雨が降ったんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  10. 山岸米二郎

    山岸説明員 お答え申し上げます。  御案内のように、梅雨現象というものは季節現象でございまして、比較的雨が降りやすい期間が続くということでございます。したがいまして、梅雨入り、梅雨明けというのは、なかなか日時を一日だけで特定するのは困難な場合が多いわけでございますけれども、いろいろ社会的に影響が大きいものでございますから、梅雨に入ったというふうに見られますあるいは梅雨が明けたというふうに見られますというふうに発表しますけれども、それは、これから四、五日先の天気のことも含めて予想に基づいて発表しておるわけでございます。  今回、一応西日本梅雨明けと見られますと予想した後でまた大雨が降ったわけでございますけれども、これも一つの季節現象として梅雨と我々が呼んでおるものと実質的には同じものである、そういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 石破茂

    石破委員 これは本題とは関係ございませんが、梅雨明けが宣言されますと、海水浴でありますとかエアコンディショナーでありますとか、そういうところはそういうものを見ながら仕入れをしたり準備をしたりするわけでございます。また、防災の観点からも、梅雨が明けたので大丈夫であろうという心理的な影響も多少はあろうかと存じますので、その点は今後考慮の余地がありはしないか。これは要望でございます。  また、確かに気象というものが難しいことはよくわかるのでございますが、質問の中で申し上げましたように、これはやはり必然的なものであろう、それは地形も非常に複雑に絡んでくるものであろうと思います。今後このようなことがまた起こることが決してないとは言えないわけでございまして、地形等々も含めまして今後一層の研究を御要望申し上げたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  次に、建設省にお尋ねをいたしたいのでございますけれども、今回、死者、行方不明十名、そういう犠牲を出しました広島加計町の江河内地区でございます。先ほどの御報告にもございましたように、ここは県が二年前からこの川の上流砂防ダムの建設を進めておったわけであります。これが来年の春には完成をする予定でありまして、ほとんど完成をしておった、でき上がっておったということでございますが、これの能力といいますか、キャパシティーをはるかにオーバーした土砂が流出をいたしました。聞きますところでは、建設中であった砂防ダムの容量は標準タイプの六千立方メーターであった。しかし、今回それを大幅に上回るものが流れた。したがって、この砂防ダムを悠々と乗り越えて被害発生をした。たまたま下流の方にJRの高架のコンクリートがございまして、それで土砂が食いとめられました。まさしくその下に民家があった。そのJRの堤防といいますか、高架のコンクリートの固めたものがなければ死者はもっとふえたであろうというふうに、現地に行きまして背筋の寒くなる思いがしたわけでございます。  広島県というのは、御案内のとおり、風化花崗 岩の地帯でありまして、土石流の非常に危険な地帯である。その危険箇所が三千六百七十四カ所、全国で一番多い。しかしながら危険渓流の整備率は六十二年度末で一七・七%、まだまだ完全に整備されたというにはほど遠い状況であります。したがいまして、この地区におきましても質、量ともに向上させなければ、またいつこのような被害が起こるかわからぬということを痛切に感じたわけであります。  この中国山地というものは、余りありがたい話ではありませんけれども、全国で最も過疎化の進んだところというふうに言われております。そういう観点からも、質、量ともにあわせた砂防対策、そういうものを整備するというのは、まさしく急務であるというふうに考えております。今回の災害を踏まえまして、今後どのような対策を講じていかれるか、その点についてお教えをいただきたいと思います。
  12. 松下忠洋

    ○松下説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の江河内谷川は、土石流危険渓流でございました。谷の出口付近に一基設置するという基本的な考え方に基づきまして、土石流対策ダムを高さ十メートルの規模で昭和六十一年度から着工いたしまして、ことしの十一月には完成するという運びになっておったわけでございます。今回、予想をはるかに超える流出土砂量が出てまいりましてあの災害になったわけでございますけれども、たとえ工事中とはいいましても、この砂防ダムはほぼ完成に近い状態でございまして、砂防ダムとしての最大限の効果は果たしたのではないかというふうには考えております。  それで、ただいま先生からお話がありましたように、今後の対策をどのように考えるのかということでございますけれども、広島県におきましては、土石流等災害の直後には、まず係官を現地に派遣いたしまして、現地調査を緊急に実施いたしました。特に江河内谷川には建設省でも開発いたしました土石流発生監視装置というものを直ちに設置しております。それから、渓流に堆積している土砂が次の出水によりまして容易に流下して、下流に著しい土砂災害を及ぼすおそれがあるようなところでは、緊急的に施工を要する箇所を災害関連緊急砂防事業ということにいたしまして、まず一次採択として広島県八渓流について実施することにしております。それから、砂防激甚災害対策特別緊急事業というものもございますので、それも現在、県において調査検討中でございまして、県の申請を待ってその対応を検討したいということで、災害防止に向けて積極的にやりたい、このように考えております。
  13. 石破茂

    石破委員 確かにそのとおりであろうかと思います。しかし、とにかく先ほど申し上げましたように一七・七%しか進んでおらぬというのは、そういう地帯に住む住民にとっては本当に恐ろしいことであろうと思っております。先ほどのお答えのように、確かにそのダムとしては十分な効果を発揮したということでありますが、現実に人がたくさん死んでおる。したがって、もう少し大規模なものをつくるような見直しが必要ではなかろうか。今回の教訓を踏まえまして、もちろん予算は有限でありますから、あちらこちらにつくる、緊急に全部の残りの地区をやって一〇〇%までいくことはなかなか難しいことはよくわかるのでございますけれども、どうか質、量あわせまして早急な見直しをしていただきまして、現地方々の不安を解消するようにお努めをいただきたいと思う次第でございます。よろしくお願いをいたします。  次に、消防庁に承りたいのでございますが、先般申しましたように、確かに万全という言葉は世の中にはなかろうと思っております。もし仮に、何年先かは存じませんが、最大限の努力をいたしまして、考えられる限りのダムをつくり、いろいろな対策を打ったといたしましても、相手がお天気のことでありますから、何が起こるかはわかりません。防災というものに、決して一〇〇%安全ということはなかろうと思っております。言葉をかえれば、予算は有限でありますし、災害対策の必要性は無限であります。したがいまして、いろいろな施設を整備するというハードの面と同時に、避難命令、避難勧告をどのように出すか、住民の訓練をいかに行うか、そしてまた防災知識をいかに高めるか、そのようないわゆるソフトの面におきましての対策というものを相関的に行うことが非常に重要であるというふうに考えております。  今回の豪雨におきまして鳥取島根広島三県が被害を受けたわけでございます。大変によい例という言葉が適切かどうかは存じませんが、被害を最小限に食いとめた例といたしましては、島根県の三隅町の例が挙げられようかと思います。  冒頭申し上げましたように、昭和五十八年の豪雨において島根三隅町においても多大の被害を生じた。したがって、町当局もそしてまた住民も、またいつこのような災害があるかわからぬ、我が身は我が身をもって守らねばならぬ、そういうような意識が住民にもあり、自治体にも非常な危機意識があったというふうに聞いております。  今回、その地区ではがけ崩れ等々で十三戸が被害を受けたわけでありますけれども、犠牲者はゼロであった。それはなぜかというふうに申し上げますと、前回の豪雨以来、町内会単位で再三にわたって避難訓練を実施したということであります。もちろん町当局もいち早く対策本部を設置し、かなり早い時点で避難勧告を行ったわけでありますけれども、その時点において住民はもう既に避難を開始しておったという実例があるわけであります。  今回、広島加計町の災害現地町長さんからいろいろお話を承りました。もちろん町の御当局としては考えられる限り最善の判断をなされたというふうに信じますし、まさにそのとおりなされたでありましょう。しかし、これはあくまで結果論でございますけれども、もし、もっと早い時点で避難命令、避難勧告がなされておれば、とうとい人命が失われることはもっと少なかったのではなかろうか。それよりさらに進んで、住民が自主的に避難をしておるというようなことがあれば、島根県の三隅町のようにゼロというわけにはいかなかったかもしれませんけれども、もっともっと少ない被害で済んだのではなかろうか、そういうふうな気持ちがしてならないのであります。  考えてみますと、避難命令なり避難勧告というものは町役場で出すわけでありますが、町といっても狭い町もあれば非常に広い町もあるわけでございます。私の選挙区に日南町という町がございますが、これは鳥取県全体の十分の一の面積を占めるような広い町でありまして、中四国の中では最も広い町でございます。そういうような広いところもある。先ほど気象庁の方にお伺いしましたときに申し述べましたように、わずか百メートルや二百メートル離れたところでも全然違う気象が起こるわけでありますから、町役場で町の関係の方が登庁なされて雨足を見ながら、さてさてそろそろ避難命令を出そうかな、避難勧告を出そうかな、いやまだこの程度であれば大丈夫であろうというふうに思っておりますときに、そこから離れた別のところではまさに人命の危険が伴うような大雨が降っておる、そういうことが現実としてあろうかと思っております。  決して避難命令、避難勧告が無意味だというふうに申し上げておるのではありませんけれども、そういうような原理からいたしまして、住民の自主的な判断というものをもっともっと重んじることが必要ではなかろうかというふうに私は考えておるのでございます。限局的、局地的な大雨に対しましては、そういうように地域住民の防災意識というものを高めて、そしてまた複雑な地形、土質等々につきましてはもちろん専門の官庁は御存じなわけでありますから、そういう方々にそういう知識を教えて、訓練を繰り返し実施する、そして自主的な判断も重要視する、そういうことが非常に重要ではなかろうかというふうに思っておるのであります。  しかし、特に地方の住民の中には、お上の言う ことといいますか、役場の言うことでなければ信用せぬ、役所が避難命令も出しておらぬのに、自治会やら町内会で逃げろといってもそういうことは信用できぬわい、そういう人もおられるでありましょう。オーソリティーという点におきましては非常に難しい面もあろうかと思いますし、言うはやすく、なかなかこれを周知徹底させることは難しかろうというふうには理解をいたしておるのでありますけれども、このことをどうしても教訓として徹底させる必要がありはしないかというふうに私は思っております。  繰り返しますが、予算は有限でありますし、災害予防の必要性というものは無限であります。考えられるすべてのことをなさねばならぬと思っておりますが、その点につきましての御見解を承りたいと思います。
  14. 仁科英麿

    ○仁科説明員 お答えを申し上げます。  土石流の予防対策とあわせて、住民が適切に自主避難を行えるよう日ごろから指導すべきではないかという御指摘でございますが、この点は、土石流被害を最小限にするために日ごろからそのような体制を整えておくことは極めて肝要であるということは御指摘のとおりであると思います。そのため、自治省におきましては、ことしの三月十五日付で土砂災害対策の強化につきましての通知を出し、この中でいろいろなことを指導しております。  まず、土砂災害危険箇所を再点検しまして地域防災計画へ明示する。そしてまた、それをあわせて周辺住民へ周知徹底するように努めること。第二番目に、地域の特性を考慮した警戒、避難基準をあらかじめ設定しておくこと。それから三番目に、地域の実情に即してあらかじめ安全な避難地や避難路を確保し、そしてまた避難方法あるいは避難誘導する人を定めまして、こういうものをあらかじめ地域防災計画に明示し、また住民にも周知をしていく。さらに、住民に対しまして土砂災害に関する知識の普及あるいは防災意識の高揚といったようなことについて指導しているわけでございます。  しかし、災害発生しあるいはまた発生するおそれが切迫しているという状況の中で、住民の生命や身体への危険も切迫しているという状況になったときに、どんな場合にも行政が適切に避難の勧告・指示、誘導といったことをすることが可能であるとは限らない場合もあることは御指摘のとおりでございます。災害発生時、特に夜間や休日といったときに、災害情報の収集・伝達、避難などにつきまして住民の自主的かつ組織的な防災活動が極めて有効になることが多いと考えられるわけでございます。したがいまして、日ごろから、住民に対する防災訓練や啓発の強化によりまして知識を普及させるとともに、地元の消防団等と一体となりまして防災訓練を繰り返し実施し、自主防災あるいは自主避難の体制を一層強化するように指導していきたいと思います。  こういうことは、言うにやすく行うはかたしでございまして、なかなか徹しない面もあるわけでございますが、消防庁といたしましては、これを推進するためにさらに具体的な施策につきまして検討していきたいと考えておる次第でございます。
  15. 石破茂

    石破委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。  こういう判断というのは非常に難しいものでありまして、いっときの逡巡が結果論からすれば大変大きな被害をもたらすということもあろうかと思います。私もいろいろな町長さんからお話を聞くことがあるわけでございますが、こういうものは非常に難しい。早目に避難命令を出して避難させたはいいけれども、何だ、何も起こらなかったじゃないか、避難箇所は設備も非常に悪くて飯も悪かった、どうしてくれるというような苦情が町長に行くわけでございます。災害が起こらなければそれで幸いなはずなのでありますけれども、早ければ早いと文句を言われ、おくれればしかられ、非常に厳しい、難しい面があろうかと思っておるのであります。  したがいまして、課長がおっしゃいましたように言うはやすく行うはかたいことでありますが、こういう島根県の貴重な教訓もあるわけでございますから、いろいろな機会を通じましてぜひそういう啓蒙運動を行っていただきたい。それによって住民の生命が救われるとするならば、こういうような対策を推進することを決して迷うべきではない、私はそういうように考えております。この点についてはよろしくお願いをすることを強調いたしておきたいと思います。  続きまして、林野庁にお尋ねをいたしたいのでございます。  今回の山崩れの地区でありますけれども、杉とかヒノキとかの針葉樹林、人工樹林、そういう地区におきまして被害が多発をしたというように聞いております。その上流には、七年、八年生から二十年生の比較的若い人工林が植えてあったということだそうでございます。これもあくまで結果論でございますけれども、これがもし仮に保水能力の高い広葉樹が植わっておったとすればどうであったか、また、もし仮に木が根を張るに十分な間伐というものがなされておったとすればいかがなものであっただろうか、そういう気持ちがするのであります。  林野庁が日ごろ力説をされますように、植林事業というものは災害防止の観点から非常に重要であると私も思っております。したがいまして、そういう事業をどんどん進めていかなければならぬ。私もその賛同者の一人であるつもりでございますけれども、今回の災害を踏まえましてこの点いかがお考えか、林野庁として御所見を承われば幸いであります。
  16. 田中正則

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  今回の集中豪雨によりまして、相当程度の土石流等が林地において発生しております。これは、局地的に集中して記録的な豪雨があったために発生したものと考えております。また一般的に、林地崩壊そのものは、植栽されております樹種によるというよりは、むしろ林地を被覆しております植生の状況とか、地形、地質、あるいは降雨といったものが複雑に絡みまして、こういった各種の要因が複合して発生するものというふうに考えられております。また、研究機関の報告によりましても、人工林と天然林との間で崩壊について顕著な差異はそれほど見られないというようなことも言われております。  しかし、私どもといたしましては、森林の適切な整備によりまして土壌保全能力を高度に発揮させるということは災害の防止上大変重要というふうに認識しておりまして、このため、森林の造成、整備に当たりましては、現地の立地条件に適した造林方法でありますとかあるいは適当な樹種の選定というようなことに心がけてやっているつもりであります。また、適正な保育なり間伐など、こういった森林の管理というようなものも推進してまいりまして、活力ある森林の整備に努めておるところであります。今後とも、先生御指摘のように、間伐の推進でありますとかあるいは広葉樹施業の導入といったようなことできめ細かな森林施業を実施いたしまして、災害にも強い健全な森林を造成してまいりたいというように考えております。
  17. 石破茂

    石破委員 これはいろいろ説があるようでございまして、難しい問題であろうかと思っております。ただ、現地の方からそういうお声もあったようでございますので、何にいたしましても専門家の林野庁の方々でありますから、防災の観点からもぜひよろしく推進方をお願いいたしたいと思います。  次に、これは環境庁の係かとは思いますが、今回重大な被害を受けました広島戸河内町、そこに三段峡という名勝があるわけであります。これは渓谷美で非常に有名な地区でございまして、西中国山地国定公園指定されておる特別名勝であり、また特別保護地区指定も受けておるわけでございます。戸河内町の就労者のうちの三五%は何らかの形でこの観光事業に従事をしておる、したがって、同町にとりましては財政上の観点から も非常に重要な資源であると聞いております。  この三段峡は、ポスターなんかでごらんになった方もあろうかと思いますけれども、三段になった三段滝、二段の二段滝、そしてまた三ツ滝というふうに珍しい滝が幾つも組み合わされまして非常に美しい渓谷美を醸し出しておるわけでありまして、ポスターなんかにも使われまして大いに宣伝をいたしておるところでありますが、今回の災害によりましてこの二段の滝が一段になっちゃった。二段滝と言っておったものが一段滝になってしまいまして、珍しくも何ともなくなったわけでございます。現地の人に聞いてみますと、「困ったな。二段滝のポスターを使っていたんだけれども、あれをどうするかね」「うーん、これから先、看板に偽りありなんてしかられたら困るね」なんという話をしておるわけでございます。  現在、その三段峡の地帯は幅員一メートルぐらいの遊歩道がつくられているわけでございますけれども、これもずたずたに破壊をされた。それで、この一帯は立入禁止になっておるわけでございます。この夏に子供たちを初め大勢の観光客を見込んでおったわけでございますが、観光客は全くのゼロ、旅館は閑古鳥が鳴きまして、一体どうしたらよかろうかということで悩んでおるわけでございます。こういう旅館等々に対しまして補償を含めた対策も講じなければならぬのではなかろうかと思っておりますが、このことはまた別の機会にお尋ねをいたしたいと思います。  私がお尋ねをいたしたいのは、今回被害を受けました特別保護地区復旧を急ぐ必要がありはしないかということでございます。秋の観光シーズンまでに何とか間に合わしてあげることはできぬであろうかという思いが非常に強いのであります。そうはいいましても、こういうようにハードな土木工事を伴うような復旧事業に対しまして、どちらかといえば調整官庁の色彩が強い環境庁にお願いをするということは実際難しい。事実予算も非常に乏しいということを私もよく存じておるわけでございます。しかし、それが名勝に指定され、特別保護地区指定をされましたのは、渓谷が非常に美しい、それに親しんでもらいたい、それに人が手を加えて破壊されることをどうしても防がにゃならぬ、そういうことで指定をされ、さまざまな規制をしておられるというふうに私は理解をするのでございます。  そうしますと、人が手を加えるのはいかぬけれども、災害が起こってそれが壊れちゃった、価値が滅失もしくは減却したような場合には、これはどうしようもない、天のなすがまま思うがまま、仕方がないんだ、これは人がやったんじゃなくて天災によって起こったものなんだ、そういうことになりますとどうもぐあいが悪いんではなかろうか、私はそのように思っておるのでございます。そういうように実際に困っておる人がたくさんおるわけでございます。したがいまして、災害によって自然環境が破壊された場合に何か手を打つことができないであろうか、そしてまた、今回破壊されましたいろいろな施設に対しまして今後どういうような手を打っていかれるものやらどうやら、そういうような点を伺えれば大変幸いであります。
  18. 大木知明

    ○大木説明員 お答えいたします。  御指摘の三段峡一帯でございますけれども、先生のおっしゃるとおり、西中国山地国定公園の中で特別保護地区として厳正な保護を図ってきたところでございます。ただし、滝そのものの復元ということにつきましては、現行の制度上は非常に問題があろう、こういうふうに考えております。自然景観そのものを復旧するということがいいのか悪いのか、そういう考え方自体の問題もあろうかと思いますし、あるいは技術的にそれが可能であろうかというようなこと、あるいは経費がどの程度かかるか、それをどこがどのように負担するか、こういった大きな問題と数多くの難しい問題を抱えている、そういうふうに考えておるところでございますが、環境庁としては、そういう場合が今後起こらないとも限りませんので研究に値する課題である、こういうふうには考えておるところでございます。  さらに、先生の御指摘にもございました公園施設でございます歩道等が非常に大きな災害を受けたということでございますが、それにつきましては災害復旧を急がなければいけないと思っておるわけでございます。現在、広島県と連絡をとりつつございますけれども、県におきまして復旧計画というものを検討中である、こういうふうに承知しておるところでございます。環境庁としてもそれに対してお手伝いできるかどうか、今後対応を進めていきたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  19. 石破茂

    石破委員 研究に値すると言っていただきまして、まことにありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたしたいと思いますし、これをやってくださるところは環境庁しかないわけでございますから、そういう点につきましてぜひ前向きな御検討をお願いいたしたいと思うわけでございます。  次に、ちょっと本題から外れますが、国土庁の方にお伺いをいたしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、ここは全国一の過疎と言われるところでございます。林業につきましては、価格が非常に低迷いたしまして非常に調子がよくない。農業につきましても、減反でありますとか米価の引き下げ、さらには貿易の自由化、そういった点で見通しとしては非常に厳しい状況にございます。  そういたしますとどうするか。そういうような状況の中で、工場を誘致するかということになりましても、円高とか税制とかの問題がありましてなかなか難しいことであります。高齢化だけがどんどん進んでいくという状況があろうかと思います。そういう中にあって観光の振興というものはぜひとも必要であろう、リゾート時代、週休二日時代を踏まえまして、そういうことは過疎地においてもぜひとも必要であろうというふうに今回再認識したようなことでありますけれども、その点についてどのようにお考えか、一言お聞かせをいただければ幸いであります。
  20. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 過疎地域におきましては、今委員御指摘のとおり、観光の振興ということは、その地域全体の振興あるいは活性化を図りますために地域から非常に大きな期待を寄せられておる問題であろうかと思います。そのような状況のもとで観光を柱といたしまして地域経済を維持してまいりましたところにおきまして、その中心になっておりました観光資源が災害によって棄損されたということは当該地元にとりましては大変大きな問題であろう、こういうふうに考えておるわけであります。  今後、技術的に可能でありますならば、関連施設等も絡めましてその復旧を当然検討していかなければいけないだろうと思いますし、そのために必要な努力は当然のことながら払っていかなければいけない、こういうふうに思っておるわけでございます。今後、その地域の資源を有効最大限に活用いたしまして地域皆様方の衆知を集めていただきまして、その結果に基づきまして私ども過疎法の中でできるものがありますれば全面的に御支援を申し上げたい、かように考えておりますので、お答えさせていただきます。
  21. 石破茂

    石破委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、大臣にお伺いをいたしたいのでございます。  今回の災害は、過疎地で起こりました。この問題は、過疎に悩みます同じ中国山地に住みます者の一人といたしましても、本当に悲しくて残念でならないわけでございます。ただでさえ地域条件が非常に厳しい過疎地に災害発生した、危なくてあんなところには住めぬ、過疎が過疎を呼ぶという言葉がございますけれども、そういうことによってますます人がいなくなる、そういうことは何としても避けねばならぬというふうに私は今回つくづく感じた一人でございます。防災担当大臣であり、そしてまた過疎の担当大臣でもあられます内海大臣から、今後の対策等々を含めまして、 御所見、御決意の一端を承りたいと存じます。
  22. 内海英男

    ○内海国務大臣 まず最初に、今回の災害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  御承知のとおり、我が国ではさまざまな災害によりまして毎年とうとい生命また多くの財産が失われておりまして、まことにその点残念にたえないところでございます。このような災害から国土を守り、生命と財産を保護するということは、国の基本的責務であると考えておるわけであります。  したがいまして、特に御指摘のございました過疎地におきましては、自然条件がお話のように大変厳しい環境にありまして、若年層の流出がどんどん進行いたしまして、したがって高齢化の現象が非常に高くなり、また高齢者の方々は、言うなれば災害弱者という言い方も言われておるくらい、災害に対しては対応ができにくい立場に立たれておるわけでございます。したがいまして、今御指摘のように、そういう過疎地を活力ある地域につくり直すというようなことも、国土庁としては考えて進めてまいったわけであります。  ただいまも地方振興局長からもお話がありましたように、例えばそういう観光地の資源を活用するためにリゾート計画というものによって若年層を呼び戻す、これがまた地域の活性化にもつながるということもあわせて、災害だけを考えるということではなくて、将来にわたっての地域の活性化、過疎地からの脱却ということを考えた大局的な長期的な観点に立って国土政策は進めていかなければいけない。もちろん、災害を受けた地域については早急に災害復旧を促進していくのは当然でございますけれども、そういう地域の活性化ということもあわせて国土政策の中で進めていかなければいかぬということを痛感いたしておるものでございます。
  23. 石破茂

    石破委員 ありがとうございました。終わらせていただきます。
  24. 森下元晴

  25. 吉原米治

    吉原委員 去る七月十五日に島根県西部地域、なかんずく島根県の浜田市を中心にして記録的な集中豪雨に見舞われまして、死者、行方不明多数の皆さん、あるいはまた公共施設に甚大な被害を実は受けておるわけでございます。御案内のように、当地方昭和五十八年と昭和六十年に引き続いての今回の災害でございまして、まさに災害常襲地帯だ、こう言っても過言でないような感じがいたしておるわけでございます。  このたびの災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げさせていただきます。また、森下委員長を団長として八名の委員の各位、遠いところ現地調査団を派遣していただきまして、地元議員の一人として深く敬意を表する次第でございます。  私の持ち時間は三十分ということになっておりますので、関係各省庁お見えいただいておりますが、大体一省庁一質問ぐらいにしたいと思いますので、簡潔に結論だけをひとつお答え願いたいと思います。  最初に国土庁にお尋ねをしたいわけでございますが、御案内のとおり、島根県の西部地域なかんずく今度の集中豪雨を受けたこの地域市町村は、軒並みに財政力の乏しい自治体ばかりでございまして、災害が起こるたびに関係の地元市長、首長挙げて激甚災害法の指定を強く求めておるわけでございまして、今回も引き続いての災害復旧に対して、少なくとも一般財源を持ち出すようなことになりますと、市並びに町村の運営自体が困窮することになるわけでございますから、どうしても激甚法の指定を早くしていただきたい、こういう要望が強いわけでございますが、国土庁、激甚法の適用についての見通しをひとつ最初にお答えを願いたいと思います。
  26. 三木克彦

    三木政府委員 今回の西日本中心とする豪雨被害状況につきましては、現在関係省庁調査を進めておるところでございます。  現時点で把握しております被害額から申し上げますと、農地等災害復旧事業等につきましては、激甚災害としての指定基準を超える見込みでございます。被害額等の精査を急ぎまして、関係省庁との協議を進めて指定手続を進めてまいりたいと考えております。  次に、局地激甚災害指定の見通しについてでございますが、まず、浜田市の区域における中小企業者等に係る災害につきましては、局地激甚災害としての指定基準を超える見込みでございます。同様に被害状況精査を急ぎまして、指定手続を進めてまいりたいと考えております。  公共土木施設関係局地激甚災害指定につきましては、該当するかどうかの判断をいたしますためには、各市町村におきます事業費査定を完了する必要がございます。関係省庁に早急に事業費査定を行っていただきまして、同様に局地激甚災害指定基準に照らしまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  27. 吉原米治

    吉原委員 国土庁、いろいろ御心配していただいておるわけでございますが、あと、局激にいたしましても本激にいたしましても、激甚法の指定を受けることによって各種の復旧工事に影響を与えるわけでございますから、一体いつごろこの指定の決定が、まだ事務的な作業が残っておるようでございますが、今現在で大体いつごろ決定していただけるか、見通しのほどを簡単にお答え願いたい。
  28. 三木克彦

    三木政府委員 本激と中小企業関係の局激につきましては、被災しましてから大体二カ月程度が今までの手続に要する期間でございます。したがいまして、早急にいたしますけれども、見通しといたしましては、九月中旬ぐらいにはできるのではないかというふうに考えております。  公共土木施設関係の局激につきましては、年度末に各市町村の状況を全部まとめまして指定をするということになっておりますので、この方は、指定手続は急ぎますけれども、全国取りまとめまして年度末に行いたいと思っております。
  29. 吉原米治

    吉原委員 できるだけひとつ急いでいただきたいと強く要請をしておきます。  続いて自治省にお尋ねをしたいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、財政力の非常に乏しい地方自治体ばかりでございますから、何としても特別交付税の増額方を強く関係自治体も要望しておるわけでございますが、これに対する自治省のお考えをひとつこの際明らかにしておいていただきたい。
  30. 広瀬経之

    ○広瀬説明員 お答えをいたします。  災害を受けました地方団体におきましては、災害復旧事業を初めといたしまして多大の財政負担が生じることになります。国庫補助金、地方債による措置を勘案いたしましても、なお地方団体の負担額は多額に上るものと見込まれますので、特別交付税の配分におきまして、災害復旧事業、災害対策事業、被災世帯数、農作物被害面積、このようなものを指標といたしまして特別交付税の算定を行い、これを交付いたしまして財政運営上著しい支障の生じないよう措置してまいる所存でございます。
  31. 吉原米治

    吉原委員 十二月と三月、二回に分けて特別交付税を出されておるわけでございますが、少なくとも十二月の段階にはひとつ格別の増枠の方向で御検討していただける、このように今のお答えを理解してよろしゅうございますか。
  32. 広瀬経之

    ○広瀬説明員 お答えいたします。  地方団体におきます被害の状況あるいは財政力の状況等をよく勘案をいたしまして、財政運営上の支障がないように、災害復旧事業等が円滑にまいりますように配慮いたしたいというふうに考えております。
  33. 吉原米治

    吉原委員 時間に限りがございますので急ぎますが、次は建設省にお尋ねをいたします。  特に今度の災害特徴的な点は、言われております二級河川——一級河川の方はかなり国費によって護岸の整備等々が進んでおりますが、二級河川と称する県管理の河川の堤防の決壊、はんらん等々による被害特徴的に今度の災害地に見られます。例えば下府川だとか浜田川支流青川川 等々典型的に、我々が過去二級河川の問題にもっと力を入れて改修、改良しなければならぬじゃないかということをたびたび、この災害が起きたたびに集中的にお願いをしておるわけでございますが、河川の激甚災害対策緊急事業だとかあるいは改良復旧事業等々を見ますと、従来原形復旧だということでやられてきた。言ってみれば継ぎはぎだらけの河川が多いわけでございまして、一カ所を補強することによってそうでないところが決壊をする、そういうことでございますから、ぜひこの際、改良復旧を重点にした河川の改修をお願いしたいと思っておるわけでございますが、河川改修のあり方について建設省のお考え方を聞かしていただきたい。  と同時に、浜田川上流に洪水調節ダムの建設をぜひお願いしたいということで、地元からも強い要望があるわけでございます。これは建設省の開発課の方で対応されるようでございますが、お考え方を聞かしていただきたい。  また、砂防堰堤、こういったものも実は強い要望が出ておりますし、急傾斜地の崩壊対策事業、これが今度の災害箇所では典型的に多い事例でございますので、そういった関連について建設省サイドからお答えを願いたいと思います。
  34. 齋藤尚久

    ○齋藤説明員 御説明申し上げます。  浜田につきましては、先生御指摘のとおり甚大な被害を受けたわけでございますが、その浜田市内を流れております浜田川の支川今井迫川と高佐川という川がございますが、これの溢水によってかなりの被害を受けております。それからもう一つ、浜田市内に下府川という川がございますが、これからも溢水いたしまして、かなりの被害を受けておるところでございます。  これらの対策につきましては、ただいま検討しておるところでございますけれども、島根県からは、これらの川につきましては、いわゆる激特事業、河川激甚災害対策特別緊急事業として採択するに足る要件があるというふうなことを伺っておりますし、さらに、それに採択されるように強い要望があるところでございます。ただいま我々といたしましては、その被害の実態その他を調査しておるところでございます。激甚な被害でございますので、これらの川の抜本的な対策について検討をしていきたいというふうに考えております。
  35. 山内彪

    ○山内説明員 ダム関係についてお答え申し上げます。  現在、島根県の方におきまして、昭和五十八年七月の豪雨などの規模の洪水に対応するために、既設、現在あります浜田ダムのかさ上げの可能性あるいはさらに新たなダムをつくるというようなことについて調査検討しているというふうに聞いております。建設省といたしましても、県から要望が出てまいりました時点で、これらのダムの建設等について前向きに検討してまいりたいと思っております。  よろしくお願いいたします。
  36. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  災害復旧事業でございますが、御承知のように、負担法では原形復旧が一応原則ということでございますが、災害の態様によりまして極めて激甚かつ広範囲に被害連続している場合には、一定災と我々は呼んでおりますが、災害復旧費によります改良復旧制度がございます。またさらに、災害復旧事業と改良費を合併いたします予算補助制度といたしまして、災害復旧助成事業、災害関連事業、こういった改良復旧事業制度がございます。  今回御指摘の各河川につきましても、それぞれ県におきまして検討し、また私ども建設省としましても、係官を現地へ派遣いたしまして指導に当たっております。既に現地調査等も一部進んでおります。これらにつきましては、災害査定を今後精力的に進めまして、その結果を見まして、県の要望等とも十分調整をとりながら改良復旧制度の積極的な活用をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  37. 松下忠洋

    ○松下説明員 砂防対策についてでございますけれども、浜田市におきまして要望がございました八渓流につきましては、災害関連緊急砂防事業ということで実施してまいります。  それから、今回の災害に関しまして浜田市等から砂防の激特事業の要請がなされておりますけれども、現在検討しておりまして、県の申請を待って対応を検討したいということで前向きに考えております。
  38. 杉山俊宏

    ○杉山説明員 お答え申し上げます。  浜田市におきますがけ崩れ対策についてでございますが、緊急的に施工を要する箇所につきまして、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業としまして十九カ所実施することとしております。
  39. 吉原米治

    吉原委員 続いて農水省。時間が切迫をいたしますので、農水省は一問だけにしたいと思います。  農地農業用施設災害復旧に対する高率補助の適用方についてでございますが、最初にお尋ねしたように、激甚法の適用がされるかされないかによってこの補助率が変わってくるわけでございまして、そういう意味で、この激甚法の適用が受けられれば基本補助率がどの程度上がっていくのか、そこら辺の説明だけをちょっと承っておきたい。
  40. 坂本貞

    ○坂本説明員 お答えいたします。  梅雨前線豪雨によりまして農地農業用施設の被災及び林道の被害は、八月二十九日現在でまとめました結果、箇所数にいたしまして約三万二千カ所、それから金額にいたしまして約四百七十四億円に上っております。このうち浜田市と島根県下におきます被害は、箇所数にいたしまして約八千カ所、それから金額は百二十五億円になっております。  また、激甚災害法に基づきます適用につきましては、今回の災害は過去の事例に照らしましても大変大きな災害となっておりますので、先ほど国土庁からの答弁にもありましたように、激甚災害指定につきまして速やかに関係機関との協議を進めていきたいと思っております。  なお、補助率につきましては、関係法令に基づきまして適切な算定を行いたいと思っておりますが、これも実際の算定をやってみませんと何とも言えませんが、過去の事例から申しますと九二、三%ぐらいにはなるのではないかというふうに思っております。
  41. 吉原米治

    吉原委員 幾らの補助率が九十何ぼになるか、説明してください。
  42. 坂本貞

    ○坂本説明員 農地につきましては基本が五〇%でございますし、農業用施設につきましては六五%でございます。それが、先ほども申しましたように最終的にはきちっと計算しないとわかりませんが、過去の事例でいきますと九二、三%のところまでいっておるということでございます。
  43. 吉原米治

    吉原委員 時間を気にしながら質問を続けたいと思いますが、次に林野庁。林野庁も実はたくさんお願いしたい点を準備しておったのですが、時間の関係で割愛をさせていただきまして、一問だけにとどめたいと思います。  災害関連の緊急治山事業、これは承りますと、第一次は既に八月十二日に箇所別の予算配分を決定されておるようでございますが、その後の第二次以降の見通し、あるいは島根県分は大体どのぐらいになるか、第一次も含めまして第二次以降の箇所別の予算配分の見通しをお尋ねしておきたいと思います。
  44. 岡本敬三

    ○岡本説明員 第一次につきましては八月十二日に連絡をしたところでございますが、第二次につきましては九月の中旬を予定しております。  それから、島根県分に関します災害関連緊急治山事業でございますけれども、箇所数にしまして三十カ所、事業費で約八億四千万円となっております。
  45. 吉原米治

    吉原委員 林野庁にはまだたくさん聞きたいことがございますが、また別の機会にさせていただきたいと思います。  中小企業庁おいでになっておると思いますが、今回の災害によって商工団地と称される卸団地が集中的に被害を受けておるわけでございまして、 そういう意味では中小企業の皆さんは大変な被害でございます。したがって、災害特別融資制度についてひとつ弾力的な運用と助成方を前向きで御検討いただきたい。その場合に、激甚災指定を受けた場合の金利あるいは被害の状況によっては低利の金利で融資制度があるようでございますが、こういった点についても格別の御配慮をひとつお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  46. 河野秀樹

    ○河野説明員 お答え申し上げます。  浜田市等におきましては、今回の集中豪雨によりまして被害を受けた中小企業者を救済するために、既に七月二十日付で政府系中小企業金融三機関に対しまして災害復旧貸し付けの発動を指示し、実施しているところでございます。  なお、浜田市の区域における中小企業者にかかわります被害につきましては、局地激甚災害としての指定基準を超える見込みでございまして、今後、関係省庁と連絡をとりつつ被害状況精査を急ぎまして、所要の手続を迅速に進めてまいりたいと考えております。  なお、激甚災害指定された場合には、融資面では貸付条件が大幅に緩和され、金利につきましては財投金利と同一水準のものが適用される見込みでございます。さらに、特に被害額の大きい特別被害者に対しましては、年三%の金利が適用されることとなっております。その他信用保証面におきましても、保証料の引き下げ、別枠の設定等の特別措置が講じられることになっております。  いずれにしましても、中小企業庁といたしましては、被災中小企業者の早期再建のためにできる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。
  47. 吉原米治

    吉原委員 次は厚生省。  災害地で一番困るのは、実はふだんでは考えられないごみの処理でございます。本来ならごみになってはならぬものが、災害を受けて、例えば水につかったテレビだとかいったものが大量に災害地の中では見受けられるわけで、関係自治体としてはこの処理が一番実は頭の痛いところなのです。  ところで、災害地のごみ処理の問題について国の補助率は二分の一となっておるようでございますが、実際に自治体が困っておりますのは、今度の場合一万六千立米と言われておりますごみの山の処理に、実際にはトラックで搬送する等々で費用が莫大にかかっておるわけでございますが、この査定を正しくやってもらわないと、二分の一補助が査定額が低いものだから実際は四分の一くらいの補助しかもらえないような現状だ、こういう点が災害地の自治体の皆さんの頭を非常に悩ましているわけでございます。そういう意味で、まだ査定に入っていらっしゃらないようでございますが、早急に正しい正確な査定をしていただきたい、こう思って厚生省にお尋ねをするわけでございます。簡単にお答えを願いたいと思います。
  48. 藤原正弘

    ○藤原説明員 お答えいたします。  災害に伴って発生しましたごみの処理に要する費用でございますが、廃棄物処理法の二十二条によりまして補助をすることとなっておるわけであります。補助率は先生御指摘のように二分の一でございます。補助対象事業の範囲は、市町村が実施しました廃棄物の収集、運搬及び処分に係る事業ということでございます。  災害に伴って発生する廃棄物の処理の事業の場合は、ほとんどの場合査定時にはその事業が終了しております。したがいまして、ごみの形態、量などは、写真などをもって確認するということになることが多いわけでございます。事業費査定は実績をもって行うということでございますが、適正な処理方法、単価ということでありましたら、申請どおり全額必要額として決定さしていただくというふうに持っていきたい、このように考えております。
  49. 吉原米治

    吉原委員 穴を掘って埋めるとか適切な処理をするわけでございますが、写真等で見られて、木の根っこのようなものも中にはあるかもわかりません。ひとつ、ぜひ正しい査定お願いをしたい。何か、災害による土砂等々については、建設省サイドで堆積土砂排除事業などと言われる事業があるようでございますが、なかなかこのごみの種別は難しいと思いますが、適切な査定をぜひお願いをいたしておきたいと思います。  時間が参りましたから、最後に国土庁長官にお尋ねをいたします。  過去何回か、私も災害地を見てまいりましたけれども、建設省、農水省もそうでございますが、原形復旧が原則だ、しかもそれは三年間で原形に復旧する。その進度も、初年度三、二年度五、三年で二と、三、五、二の割合で三年間に原形復旧すればいいんだという、そういう基本的な考え方もおありのようでございますが、とてもこれ、間もなく月がかわりますとまた台風シーズンがやってまいります。こんな悠長なことを言っておってもらったんでは、災害地の皆さんは、大変再災害の危惧にさらされておるわけでございまして、こういった進度にこだわらずに、せめて初年度に七割、八割方を完成するような、そういう意気込みで関係省庁国土庁長官として督促をしていただきたい。  長官の決意を承って、質問を終わりたいと思います。
  50. 内海英男

    ○内海国務大臣 先生御指摘のように、従来は三、五、二の比率で災害復旧をやってまいったわけでございますが、ここ最近は、先生御指摘のように相当考え方も変わりまして、災害復旧はできるだけ早期に着工し、早期に完了しなければいかぬ、こういう立場に立ちまして関係省庁と協議をいたしまして、昨年あたりは七〇%から八〇%初年度にやっておるというような状況でございますので、御要望の趣旨に沿うように関係省庁と協議をして進めてまいりたい、こう思っております。
  51. 吉原米治

    吉原委員 時間が参りましたから、後はひとつ地元の同僚議員に交代をいたします。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  52. 森下元晴

  53. 石橋大吉

    石橋(大)委員 引き続いて質問をいたしますが、まず初めに、八月の四日にはこの災害対策特別委員会におかれまして、森下委員長以下各党理事委員の皆さん中心現地調査をしていただきました。また政府におかれましては、七月の二十日に国土庁など関係六省庁、二十八日には国土庁の大原一三政務次官を団長として関係十省庁の災害調査団を派遣をしていただきました。非常に御多忙の中、しかも遠路親しく被災地視察をしていただくとともに、これが事後対策につきましていろいろと御高配をいただいておりますことに対しまして、まず地元を代表して改めて厚くお礼を申し上げる次第であります。  非常に限られた時間でございますので、質問もできるだけ簡単にまとめてさしていただきまして、答弁もひとつ簡潔にまとめてしていただきたい、こう思っておるわけであります。  まず最初に、国土庁にお伺いしますが、非常に簡単な初歩的な質問ですけれども、激甚災害法の適用の基準について、本指定と局地指定の判断基準はどういうところにあるのかということについて、複雑な問題かもしれませんけれども、ひとつ簡単にお伺いしたいということがまず一つ。  それから、時間がありませんからまとめて質問します。  二つ目は、公共土木施設災害復旧事業に関しては、先ほどの局長さんの説明によりますと、二月ごろになってからでないとはっきりした結論は出ない、こういう段階でありますけれども、現段階である程度想定はできようかと思いますので、国土庁でできなければ建設省でも結構ですが、公共土木施設関係激甚災害法の指定について、浜田、江津、那賀郡の金城、旭、三隅、それから邑智郡の桜江町、もう一つ美濃郡の美都町、こういう関係市町村から各省へも陳情が出されていると思いますが、できれば市町村ごとに状況を承りたい。あわせて、農林水産関係災害復旧事業の関係につきましても、今申し上げました市町村ごとにどうなるのか、こういうことにつきましてひとつ具体的にお答えをいただきたいと思います。  以上です。
  54. 三木克彦

    三木政府委員 本激と局激の指定基準関係でございますが、激甚災害指定は、激甚(じん)災害対処するための特別の財政援助等に関する法律第二条に基づいて行うものでございます。具体的には、中央防災会議の決定によります激甚(じん)災害指定基準に従って行っております。  そこで、いわゆる本激とは、この指定基準におきましては、全国的見地から被害規模が著しく大きく、かつ被害地域が広範囲にわたる災害を対象とするとされたものでございます。その災害復旧事業の査定見込み額や被害見込み額が、全国の標準税収入あるいは全国の農業所得推定額など決められました一定の基準を超える場合に指定をいたすものでございます。  これに対しまして局地激甚災害、いわゆる局激でございますが、全国的見地からは激甚災害指定に至らないものの、局地的に激甚な被害に遭ったものについて対象とするものでございます。市町村単位に見まして、その市町村における被害が当該市町村の標準税収入あるいは農業所得推定額などの一定の決められました基準を超えました場合に、当該市町村に対して特別措置を講じようとするものでございます。  考え方はこういうことでございますが、第二番目の公共土木施設関係につきましての現在の状況でございますが、関係省庁から特別なお答えがあれば別でございますが、現在のところ、先ほどお答え申し上げたところでございますが、事業費査定を急いでおるところでございます。被害報告事業費査定関係には通常若干の差異がございまして、この関係が局激の指定に非常に響くわけでございまして、現在、その関係を一生懸命調査しているという状況でございますので、各市町村別の見込みについてはまだはっきりしないという状態でございます。
  55. 坂本貞

    ○坂本説明員 ただいま私どもの方も査定作業を急いでおりまして、その査定作業が終わりませんと、最終的な被害復旧額あるいはそれに伴います補助率、そういったものの算定もできない状況でございます。したがいまして、現在目下整理中でございますので、もうしばらく待っていただきたいというふうに思います。
  56. 石橋大吉

    石橋(大)委員 先ほどの答弁でも、農林水産関係や中小企業関係については大体九月ごろに結論が出るんじゃないか、こういうことでございましたが、決定的なものでなくても結構ですから、もう少し具体的にひとつお答えを願えないものか、こう思いますので、その点を念のため再度質問しますが、どうですか。
  57. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 十分なお答えにならないかと思いますが、公共土木施設関係被害報告額を御説明いたしたいと思います。  七月豪雨によります島根県内の建設省所管の公共土木施設被害額でございますが、現段階で報告を受けておりますのは、直轄で十五億六千九百万、それから県の補助関係で二百三十二億六千万、合わせまして二百四十八億二千九百万余。さらに浜田市でございますが六十二億四千三百万、それから金城町で四十七億八千四百万、西郷町で十三億八千九百万、旭町で十三億三千四百万余、そのほか合わせまして、県全体の合計で四百六十五億六千百万余ということでございます。  ただ、これは現段階での報告額でございまして、これが実際に申請額になる段階で数字が変わります。それから、現実に査定が終わった段階でまた変わります。さらに、これは建設省所管分だけでございますが、他省庁のいわゆる激甚法によります二章グループ、これらを合計いたしまして決まりますので、現段階では、私どもとしてはそれ以上の判断がつかないという状況でございます。  以上でございます。
  58. 石橋大吉

    石橋(大)委員 農水省の関係につきましても本当は聞きたいのですが、時間がありませんから先に進みます。  気象庁からお出かけをいただいていると思いますが、御承知のように、五十八年、六十年、六十三年、こういうふうに山陰地方豪雨が続いているわけであります。私は昔のことは知りませんが、松江気象台発足以来の、こういう山陰地方を襲った豪雨の記録について若干の報告をいただきたいということが一つ。  もう一つは、今度の集中豪雨の期間中、約十日間の毎日の天気予報などをテレビで見ておりますと、中国大陸から朝鮮半島を通って島根県の上空へずっと梅雨前線が張りついて、しかも次から次へと弾丸のように雨雲の団塊が押し寄せる。そしてまた、土地柄が何千年来の火山灰土というようなこともありまして、非常に災害にもろい県土であるというようなこともありまして、甚大な被害をこうむっているわけでありますが、こういうことに関連をして、今後の災害復旧対策などを考える場合に非常に重要でありますので、ちょっとここで気象庁の見解をお尋ねしたいと思います。
  59. 山岸米二郎

    山岸説明員 お答え申し上げます。  最初に、中国地方日本海側で起こった、主として島根県のことかと思いますが、大雨の記録ということでございますけれども、比較的よく整理されております昭和二十年以降の記録によりますと、五月から十月の間に一応台風、低気圧、前線というものによりまして被害を伴う大雨がどれくらいあるかと申しますと、平均して年に二ないし三回という記録になっております。  このうち、中国地方日本海側で大きな被害を伴った大雨というものは、これから申し上げます四つがあるかと思っております。一つは、昭和二十六年十月十四日から十五日にかけての大雨でございますが、これはルース台風によるものでございます。それから二番目が、昭和三十九年七月十七日から十九日にかけての大雨でございまして、これは気象庁では昭和三十九年七月山陰北陸豪雨、そういうふうに呼んでおります。三番目が、昭和四十七年七月三日から十三日にかけての大雨でございまして、これは昭和四十七年七月豪雨というふうに私たちは呼んでおります。さらに四つ目が、先ほど御指摘にありました昭和五十八年七月二十日から二十七日にかけての大雨でございまして、これは昭和五十八年七月豪雨というふうに呼んでおります。以上申し上げましたように、非常に大きな被害を伴ったものでは四つありますけれども、そのうちの三つが梅雨前線による大雨であったというふうな記録でございます。  それから、一体梅雨前線による雨というものはどうかということでございますけれども、梅雨前線付近で積乱雲発生することがまず直接の原因でございますけれども、これが、積乱雲が一カ所に停滞して非常に大雨になる場合と、あるいは次から次へと同じ場所に移動してきてそこで大雨を降らせるというふうな、二つのタイプによって大雨発生するというふうに考えられております。  しかしながら、前線付近での積乱雲の振る舞いと申しますのは、前線の走向とか地形の影響等によって常に同一とは限らないわけでございます。したがいまして、梅雨前線に伴う大雨のその規模とか強さ、これは年によって変動するわけでございましていつも同じではございませんけれども、これは季節現象でございますから、これからも中国地方日本海側のどこかでそういうものがあり得るという可能性は常に残っているということでございます。  以上でございます。
  60. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今お聞きのように、昭和二十年以降、今四回と言われましたが、六十年、六十三年とことしのやつまでつければ六回ぐらいになるわけですから、大体十年に一遍はかなり大きな豪雨被害をこうむる、こういう状況になっているわけであります。  こういうことを考えたときには、やはり島根県、山陰地方に住む住民の立場からいいますと、災害復旧は原形復帰原則、こういうことでございましたけれども、できるだけ改良復旧をしてもらいたい、さらに言えば、百年に一遍ぐらいの記録的な豪雨にも耐えるぐらいな万全の災害復旧工事をやってほしい、こういう非常に切実な気持ちを持っておるわけであります。  この辺について、建設省なり国土庁なりのお考えを承りたいと思います。
  61. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 先生御指摘のように、改良復旧要望している県、市町村は非常に多いわけでございます。先ほどもお答え申し上げましたように、改良復旧につきましては幾つかの制度がございます。それらにつきまして、現在、県の方で市町村の分も取りまとめて検討しております。  私どもも、担当官を派遣して現地指導に当たっております。査定は八月の末から入りますが、何回かに分けて精力的にやる予定でございます。その査定の結果を見て、計画をまとめ、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  62. 石橋大吉

    石橋(大)委員 続いて農林水産省に伺いますが、今度の災害で、災害関連の緊急事業及び治山激甚災害対策特別事業の関係に採択をされるものが被災地域で具体的に何件あってどういうふうになっているかということ、それから、林地の崩壊防止事業の採択につきましてもひとつ具体的にお伺いをしたい、こう思っております。  それから、時間がありませんからもう一つ一緒につけ加えて言いますが、土砂災害危険箇所についてであります。  国土庁が三月十五日に防災会議において決定されました土砂災害対策推進要綱の中で、土砂災害危険箇所が明記されているわけであります。農林水産省、林野庁の危険箇所はどのぐらいあるのか、またその内容ごとの箇所数、それから六十二年度末における整備状況はどうなっているのか、ごく簡単に重点を絞ってひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  63. 岡本敬三

    ○岡本説明員 最初に、災害関連緊急治山事業及び治山の激甚災害対策特別緊急事業についての採択のお話でございますが、次期の降雨によりまして被害を受けるおそれがあるという箇所につきまして、災害関連の緊急治山事業としまして、本年度早急に復旧を図るということでやっております。その後のものにつきましては、次年度以降に順次計画をしてまいるということで実施をいたしているところでございます。  次に、激甚災関係でございますけれども、現在県におきまして調査をいたしておりますので、その調査が終わりまして計画の申請があり次第、関係省庁と協議を行ってまいりたいというふうに考えております。  次に、林地崩壊防止事業の採択でございますが、今回の災害激甚災害指定された場合につきましては本事業の採択が可能となるわけでございまして、現在県と協議をいたしておる段階でございます。  次に、山地災害等の危険地区関係でございますが、山地災害危険地区につきましては、昭和六十年、六十一年度に調査をいたしました結果を見ますと、全国で約十七万六千カ所ございます。これに農地関係の地すべりの危険箇所を合わせますと、全国で十七万九千カ所に及んでおります。  これの危険箇所の整備の状況でございますけれども、全国的に申し上げますと、山地災害危険地区につきまして現在およそその三四%に着手をいたしたという状況でございますし、農地関係につきましてもその着手率は約三八%ということでございます。  特に島根県につきまして申し上げますと、農地の地すべりを含めます地区数は、島根県におきまして約一万三千カ所というふうになっております。その着手状況は二九%ということでございます。  今後ともこの危険箇所の的確な把握に努めますとともに、治山事業、農地の地すべり事業を極力推進してまいりたいというふうに考えております。
  64. 石橋大吉

    石橋(大)委員 引き続いて建設省の関係につきましても、砂防激甚災害対策特別緊急事業の関係、それから災害関連の緊急急傾斜地崩壊対策事業、浜田市については先ほどいろいろお答えがありましたけれども、浜田市以外のものを含めてお答えをいただきたい。あわせて、災害復旧事業の査定設計委託費の補助金の交付の関係についてもお伺いをしておきたいと思います。
  65. 松下忠洋

    ○松下説明員 今回の災害に関しまして、島根県の浜田市、それから三隅町ほか十市町村を含めました地域におきましていわゆる砂防激特事業の要望があることは承知しております。その考え方であるとか内容等について現在県において調査検討中でございまして、県の申請を待ってその対応を検討したいということでございます。
  66. 杉山俊宏

    ○杉山説明員 お答え申し上げます。  島根県におきます災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業でございますが、県で二十七カ所を予定しております。
  67. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 査定設計の委託費についてお答え申し上げます。  建設省所管公共土木施設査定設計委託費補助でございますが、これはいわゆる取扱要綱によりまして、激甚災害指定された地方公共団体に対して交付されるということになっております。したがいまして、今後の調査によりまして、先ほど来お答え申し上げておりますように、激甚災害指定されるか否かというような要件等がございます。現段階では島根県及び広島県で幾つかの市町村がこれに該当するというふうに考えられますが、詳細については、先ほど来のお答えのように、二月ころの激甚災害、局激の指定を待って正式に決定したいと考えております。
  68. 石橋大吉

    石橋(大)委員 最後に、自治省にちょっとお伺いをしておきたいと思いますが、普通交付税の繰り上げ交付についてはもう既にやっていただいておりますし、特別交付税の増額につきましても私の方からもよろしくお願いをしておきたいと思いますが、単独災害復旧事業債の早期決定について、それから地方債の充当率の引き上げについて、この二つの点についてだけ自治省の方からこの際伺っておきたいと思います。
  69. 広瀬経之

    ○広瀬説明員 お答え申し上げます。  第一点の単独災害復旧事業債の決定でございますが、この枠配分の決定時期につきましては、地方団体の方からの申請を待って適切に対処をしてまいる所存でございます。  それから、二点目の災害復旧事業に係ります起債充当率の引き上げ、アップのお話でございますが、これにつきましては、受益者負担のあり方等を勘案いたしまして起債充当率というものを定めておるわけでございます。そういうわけでございますが、各地方公共団体の被害の状況あるいは財政状況を勘案いたしまして、災害復旧事業の遂行に支障のないよう、これも私どもといたしまして適切に対処をしてまいる所存でございます。  以上でございます。
  70. 石橋大吉

    石橋(大)委員 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、最終的に激甚法の適用をするということについて結論が出ていないということもありまして、おおむね県段階で調査中、これから申請を待って検討する、こういう段階できょうのところは時間もありませんから終わらざるを得ませんが、ぜひひとつ地元の要望に沿って最大限の善処をお願いしておきたいと思いますし、同時に、決定された段階で、具体的なそれぞれの事業について即またその決定の段階でひとつ御通知をいただきますようにお願いをして、終わりたいと思います。よろしくどうぞお願いします。
  71. 森下元晴

  72. 薮仲義彦

    薮仲委員 最初に、長官にお伺いしたいわけでございますけれども、先ほど来お話がありましたように、七月中旬から西日本一帯を襲った梅雨末期の集中豪雨によりまして、広島島根両県を初めとして各地に甚大な被害発生いたしました。しかも二十数名の方のとうとい生命が失われ、また数多くの負傷者を出すという大きな災害になったわけでございます。私は、亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、負傷された方の一日も早い御回復を、そして被災された方々が生活再建に力強く立ち上がってくださることを心から念じつつ、質問をさせていただきます。  そのためにやはり一番大事なのは、行政当局の力強い災害復旧への取り組みであろうと思うので あります。あの被災された方々は、私も現地を拝見させていただきまして、一日も早い復旧と安心して住める生活環境というものの建設が、復旧が何よりも要求されておりますので、冒頭に国土庁長官の国土防災に対する御決意と、今回の災害復旧への取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
  73. 内海英男

    ○内海国務大臣 先生御指摘のように、我が国では毎年、梅雨台風等により、とうとい人命や多くの財産が失われております。このような災害から国土を保全し、国民の生命と財産を守ることは、国の基本的な責務であると考えております。今回の災害の教訓を生かして、今後とも治山治水対策を初めとする国土保全事業の推進など、防災対策の推進に努めてまいる考えでございます。  今回の災害は、局地的な集中豪雨により土砂災害発生し、多くのとうとい生命が失われておるわけでございます。災害復旧に当たりましては、関係省庁と十分密接な連携をとりながら早期に災害復旧を図り、万全の対策を講じてまいるように努力してまいる考え方でございます。よろしくお願いいたします。
  74. 薮仲義彦

    薮仲委員 私、内海長官が建設大臣当時から何回かいろいろと御質問させていただいたわけでございますが、本日は時間の許す限り、私も十年間この災害委員としてここに籍を置いておりますが、北は北海道、南は九州まで、各地災害をつぶさに見てまいりまして、きょうここで何点か思いをいたすことを長官にまた質問させていただきたいと思うのでございますが、非常に時間が限られておりますので、これから関係省庁の方、御答弁のときに、大変失礼で申しわけないのですが、要点のみ簡潔にお答えをいただきたいと思うわけでございます。  まず、この梅雨末期の雨の降り方でございますが、梅雨末期に異常な豪雨発生しやすい地域というものはやはりあろうかと思いますが、気象庁、簡単で結構ですから、どの地域梅雨末期に集中豪雨にさらされるか、お答えいただきたい。
  75. 山岸米二郎

    山岸説明員 お答え申し上げます。  梅雨末期の大雨といいますのは、日本各地発生する可能性があるというわけでございますけれども、記録を調べますと、比較的多い地域は、九州、四国、中国地方、近畿地方などの西日本でございます。  以上です。
  76. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一つ気象庁、お伺いしたいのですが、先般、西日本一帯を襲った集中豪雨のときでございますけれども、広島あるいは島根両県に大雨洪水警報、この二県で結構でございますから発令した日にちと時間、内容は簡単で結構ですから、どの程度の雨量予測なさったか。それからもう一つは、これも何日の何時で結構でございますが、広島加計町、戸河内町が、降り始めてから連続雨量で百ミリを超えたのは何日の何時か、島根県の浜田市と三隅町の連続雨量で百ミリを超えたのは何日の何時か、簡単にお答えください。
  77. 山岸米二郎

    山岸説明員 お答え申し上げます。  まず最初に、島根県と広島県の警報の発表状況でございますけれども、気象庁の警報は、島根県の場合は隠岐島を除きますと東部と西部、それから広島県の場合は南部と北部に分けて、時には分けて発表します、時には一緒に発表しますけれども、今回の例でございますと、まず、浜田市を中心にした豪雨がありましたときには、浜田市を含む島根県西部、東部を同時に対象といたしまして、七月十四日八時三十分に大雨警報と洪水警報を発表いたしました。  それから、簡単な内容でございますけれども、このときの大雨警報では、東部、西部のところどころで一時間四十ミリ以上の雨が予想されます、明朝までに五十ないし百ミリ、多いところで百五十ミリ、総雨量は三百五十ミリに達するでしょう、そういう予想をしておりまして、内容としましては、中小河川の増水、低地の浸水、山崩れなどの大きな災害の起こるおそれ、そういうふうに申し上げております。  それから続きまして、広島県の加計町と戸河内町の方でございますけれども、これはやはり広島県全県を対象といたしまして、七月二十日二十三時○○分に大雨警報と洪水警報を発表いたしております。広島県の場合でございますけれども、二十三時○○分の大雨警報と洪水警報では、これから明朝にかけて局地的に一時間に四十ないし五十ミリ、総雨量は五十ないし七十ミリ、多いところで二百ミリくらい、そういうふうな内容が主体でございます。  続きまして、七月二十日の三隅町を主体とした豪雨の場合でございますけれども、この場合も島根県の西部、東部、これは隠岐島を除きますけれども、西部、東部を対象といたしまして、七月二十日二十時三十分に大雨警報と洪水警報を発表いたしております。七月二十日二十時三十分の大雨洪水警報では、東部、西部のところどころで一時間四十ミリ以上、あす朝までに五十ないし百ミリ、多いところで百五十ミリというふうな内容の警報でございます。  なお、このような警報を発表しましたときには、それを補足するものとして情報も随時発表いたしている次第でございます。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕  それから、積算雨量の件でございますけれども、先ほどのあれで言いますと、島根県の浜田市、これは十五日の未明に非常に強い雨が降ったわけでございますけれども、積算雨量が百ミリを超えたのは、七月十五日午前三時直後でございます。次に島根三隅町でございますけれども、これは七月二十日から二十一日の大雨でございます。積算降水量が百ミリメートルを超えましたのは、島根三隅町では七月二十日午後十時まででござます。それから、広島加計町では七月二十一日午前一時には既に百ミリを超えております。それから、戸河内町でございますけれども、アメダス戸河内町の内黒山に設置してございますけれども、ここでは二十一日午前一時には既に百ミリメートルを超えております。  以上でございます。
  78. 薮仲義彦

    薮仲委員 消防庁にお伺いしますけれども、これも簡単に時間だけ言ってください。  最初に、島根広島両県の災害対策本部の設置の時間、もうくどいことはいいですから、何日の何時だけ言ってください。それから、浜田市、三隅町、加計町、戸河内町の災害対策本部の設置時間、何日の何時、これだけちょっと言ってください。  それから、時間の関係で続けて言います。発災の時間、浜田市、加計町、戸河内町、三隅町、何時ごろ、例えば山崩れなり土砂災害あるいは床上浸水等が始まった発災の当初の時間は何時何分、これも時間だけ言っていただけば結構です。
  79. 仁科英麿

    ○仁科説明員 お答え申し上げます。  まず、災害対策本部の設置時間でございますが、島根県は県庁でございます。十五日の八時四十分でございます。それから、広島県は設置しておりません。ただし、二十日の二十三時に警報等が発令されたことに伴いまして、関係部局におきましてそれぞれ警戒本部、警戒体制をしいております。それから、市町村でございますが、島根浜田市につきましては十五日の四時十五分、それから三隅町が二十日の二十二時三十分、広島県の加計町が二十一日三時五分、戸河内町が二十一日四時ちょうどでございます。
  80. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、なぜ私が今こうやって警報とそれから災対本部の設置の時間を確認させていただいたかといいますと、これを整理しますと、私は何点か今後反省していただきたい点があるわけでございます。特に、広島県が災害対策本部を設置しなかった。これはやはり災害対策基本法上からいっても非常に問題があろうかと私は思うし、こういうことでいいのかどうか。  これを具体的に、例えば広島県の例で指摘いたしますと、広島県は災害対策本部を設置しなかった。加計町に大雨洪水警報が出たのが七月二十日の二十三時、災対本部を設置したのが翌日の午前三時〇五分、ここに約四時間あるわけでございます。発災は、災対本部設置の三時〇五分か ら——これはちょっと言いませんでしたが、私の方で消防庁から資料をもらっておりますので言いますけれども、三時二十三分です、当初の発災が。そうしますと、災対本部をつくってわずか十八分後にもう被害が出ておるわけです。戸河内町の場合は、七月二十日二十三時に警報が出ておるわけです。災対本部は翌二十一日の午前四時。ここに五時間おくれて災対本部をつくっております。発災は七月二十一日の四時四十五分。これは発災するまで約四十五分間です。  島根県に参りますと、島根県は、今お話しのように七月十五日の八時四十分に災対本部を設置した。じゃあ浜田市の現状はどうかといいますと、七月十四日午前八時三十分に警報が出て、災対本部設置が翌日の午前四時十五分です。約十九時間ぐらいあるわけです。先ほどの気象庁の情報のように、途中で何回も、大雨情報が二十数号まで出ているわけでございますが、これを読んでみますと、決して警戒を解いていいような状態ではないわけです。ここに十九時間、正確には十九時間四十五分あるわけでございます。災対本部ができて発災までどうかといいますと、災対本部設置と発災とは同じ時刻、災対本部を設置した四時十五分には当初の発災が起きた。果たしてこれで災対本部がどうなのかなと懸念をいたします。  次は、五十八年に被災のあった三隅町、ここは七月二十日二十時三十分に警報が発令されまして、災対本部は二時間おくれで二十二時三十分に設置いたしております。そして発災は七月二十日二十三時四十分、一時間十分おくれでございます。具体的には後ほど申し上げますけれども、三隅町等は五十八年の発災にかんがみまして、やはり緊急対応の措置はできていたのかなと考えるわけでございます。  そこで一番問題は、島根県の災対本部の設置でございますけれども、浜田市で災害が起きたのが七月十五日四時十五分です。県に災害対策本部ができたのは八時四十分でございますから四時間おくれで、もう市では災害が起きておる。県に災害対策本部ができたのはそれから四時間後だ。今国土庁長官が言われたように、生命、財産、身体を守るということは災害対策基本法に書いてあります。本部ができるできないは大したことないかもしれませんけれども、あそこにあるように避難命令を出したり、避難勧告をするのは首長です。しかも地方には地方の防災会議があります。中央は防災会議がありまして、国土庁と消防庁が事務方です。国土庁の次官が事務局長です。消防庁の次長は事務局次長です。国土庁、消防庁というのがやはり発災に対して速やかに対応する。しかも私は気象庁の予報をずっと拝見させていただいて、決して警報が出てから警戒を解いていいようなことではございません。すべて大雨が来ますよ、多いところで百二十ミリと書いてある。こういう梅雨末期の豪雨に対して、このように県で災対本部をつくらなかった、あるいは発災してから県が災対本部をつくった。こういうことは今後毎年起きるわけです。  私は、いつもこの委員会で叫び続けました。人が死なないようにしてほしい。あの五十七年の長崎の災害のときにも砂子田長官に私は言いました。あの五十七年の災害にかんがみて、人命尊重の見地から地域防災計画を見直してほしい。後ほどこの地域防災計画も消防庁長官にお伺いいたしますけれども、私は砂子田さん、関根長官、今回の矢野長官と三代続けて同じことを申し上げますが、本当に人命尊重の立場で地域防災計画が役に立たなければ、幾ら中央で言っても受け皿がないわけです。気象庁の警報に対して鋭敏に反応する、あるいは発災に対して十分な対応をする、その根っこの災対本部すらできていない。しかもできたときには発災をしている。これでは生命、財産を守ったとは言えないと思うのでございます。余りきついことを言うのもいかがかと思うのでございますが、今後の反省のために、災対本部設置がいいか悪いかというのではなくて、やはり対応だけはすべきであろうと私は思う。  私は静岡県です。国土庁長官が警戒宣言を発令いたします。空振りでも県民は地震に対して受けて立とうという決意でおるわけです。先ほどの気象庁のように、四国、九州あるいは山陰、山陽、この梅雨末期の豪雨が、先ほど来同僚委員質問の中にも出ておりますように初めてではないです。何回かあったし、私は気象庁の資料を全部いただきましたけれども、過去に何回もこの地域では被害が起きている。だったらば、もっとしっかりとした災対に対しての対策があってしかるべしと思うのですが、消防庁長官、いかがでございますか。
  81. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 災害発生に際しまして災害対策本部の設置、これはやはり一番基本になることであると考えております。それによって体制がすべて整うということを明らかに示すわけでございますので、一番大事なことだと思います。今回の場合のように災害対策本部の設置が災害発生よりもおくれるというようなことは、これは防災体制の考え方の上からいってまことに適当でないと考えております。私どもも十分そういった点は今度の経験にかんがみましてよく指導を重ねてまいりたい、こういう決意でございます。
  82. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官、どうかよろしくお願いをします、私は、いつも雨が降ると同じ痛みを心に感ずるわけでございますから。  災対本部の設置で、私は自分の会議録をちょっと見てみたのです。五十七年当時、松野国土庁長官に、ちょうど松野長官が岐阜の御出身でございましたから、岐阜の例を引いて私は質問をしております。五十七年のときの質問では、五十六年七月十二日から十三日にかけまして岐阜県下集中豪雨が降ったことがございます。八幡町、大和村、板取村で大きな被害があったのですけれども、このとき一人も死ななかったのです。  これは私、いろいろ現地の様子を聞いたわけでございますが、ここで非常に重要なことは、ちょっと長官にも今度、地域防災計画、自主防災という意味で御承知おきいただきたいのは、岐阜の災害で言いますと、「警報の段階ですが、「村長の集中豪雨による事故防止の呼びかけ、ならびに区長・消防団員による危険住宅への警戒・避難の呼びかけが行なわれた。岐阜県下大雨洪水雷雨警報が発令されたのは、役場に災害対策本部が設置されてから一時間三十分後であった。」」のですよ。災害対策本部ができてから気象庁の警報が出た。そのとき、もう村長は危ないと思って災対本部をつくった。  なぜこうやったかと言いますと、「この方々昭和三十四年の伊勢湾台風のときの洪水を経験していたから、雨の降り方から、伊勢湾台風のときよりも大洪水になるぞと、この地域の人はみんな思った、これが一つ。二つ目は、川の増水の仕方が異常であり、なかなか水位が下がらないので危険だなと思った。それから、ことしの冬の豪雪で山崩れが起きて、その崩れた土砂山間部にたまっているし、木の根も緩んでいるから危ないと思った。ガラガラという音がした。」こういうような事態を見て、村長も住民が危ないぞとやって、一人も死ななかったのです。  こういう事態を見て、やはり自主防災並びに災対本部というものが長官がおっしゃったとおり非常に重要でございますので、地域防災計画の中の対応は、後ほど長官に実は耳の痛いことを申し上げて恐縮ですが、やはりきょうは言わせていただきたい、私の十年間の思いを聞いていただきたいと思うのです。  私も中国新聞や山陽、山陰の新聞を取り寄せていろいろ見ました。この中にいろいろなことが書いてありました。社説の中では、「地区民への緊急避難命令が遅れたのも被害を大きくした」「江河内地区民の話では、緊急避難命令を聞いた時には、水が家の中にまで入り、出るにも出られなかった」、避難命令が出たときにはもう間に合わない。「その点、対照的だったのが島根県那賀郡三隅町。五十八年の豪雨禍を教訓にいち早く避難したため、がけ崩れなどによる十三戸の被害にもかかわらず一人の犠牲者も出さなかった。」これはやはり三隅町が地域防災計画——私、持っていま す。地域防災計画にもきちんと避難のことが書いてありました。避難地、避難路、どういう段階でと書いてあります。やはりこのわずかな立ちおくれが非常に危ないと思うのですね。  新聞の見出しだけ読んで非常に恐縮ですけれども、「遅れた避難命令「水出た後逃げられず」」、こういう見出しが出ています。やはりこれは大きな教訓にしていきたいし、また、これもちょっと大事な点は、江河内地区の方の談話が出ているのです。「二時すぎに他地区の名前を挙げて消防団の要請や注意の呼びかけはあったが、江河内の名前が出ず、まだ大丈夫かと思った」。そこへばさっとやられたわけです。地域によっては谷ごと土石流にえぐられるわけですから、こういう点での情報伝達はやはり非常に大事だと思うのです。ここでもやはり避難命令のおくれが出ています。この新聞には「対策本部は設置せず」と広島県のことが出ておりますけれども、こういうようにやはり避難の教訓というのは生かしていただきたいと私は思うのです。  もう少し具体的な問題で長官に御質問したいので次に移りますけれども、防災局長にちょっとお伺いしたいのですが、土砂災害対策推進要綱、昭和六十三年三月十五日中央防災会議決定、この中で、「自然災害による犠牲者の多くは土砂災害によるもので占められており、土砂災害の防止、被害の軽減を図ることが緊急の課題となっている。」最近の国土庁、建設省からいただいた資料で、一番人命が失われるのは、ここに示すとおり六割から七割が土砂災害です。やはり土砂災害に対してきちっとした対応が要望されている。私は、ここに書かれていることは非常に適切だと思うのです。  ただ、ここで一つだけ確認しておきたいのは、土砂災害のメカニズムというのはいろいろありますから、これは難しい。地震によって長野県の御岳の山が吹っ飛んだようなああいう土砂災害もありますけれども、通常の場合、やはり降水量といいますか、降雨が重要なファクターを持った要因の一つである。降水量というのは注意をしなければならないと思うのですが、この点はいかがですか。
  83. 三木克彦

    三木政府委員 土砂災害対策が非常に重要であり、要綱を定めましたことは仰せのとおりでございます。  そこで、降水量を基準にしていろいろな問題を考えたらどうかということでございますが、土砂災害は、降水量は非常に重要でございますが、その他の気象条件によりましても大きな影響を受けるわけでございます。また、それぞれの土地の地形や地質等の条件の組み合わせによりまして、複合的な要因として発生しているという理解をすべきであろうと思っております。  したがいまして、今後要綱で定めておりますような予警報体制や避難体制の整備を進めていくに当たりまして、ただいま仰せのとおり、一般的に土砂災害発生のメカニズムの解明を進めていくことは非常に重要でございますが、その地域ごとに置かれている条件につきましても研究を進めまして、降水量、これは中心でございますが、地形、地質といったようなその地域の自然的特性を加味いたしまして基準を考えていくべきではないかというふうに考えております。
  84. 薮仲義彦

    薮仲委員 降水量中心である、そのことだけでいいわけでございますけれども、私も土砂災害各地で見てまいりまして、やはり雨が引き金であることはただいまの御指摘のとおりだろうと思うのでございます。  私は、先ほども長官にちょっと質問させていただきましたように、地域防災計画の見直しをしてほしいということを言いました。そこでこの雨というものは非常に大事ですよということを申し上げたわけでございますが、土砂災害にかかわる雨量に対する警戒、避難の準備というのは一つの目安だと私は思うのです。消防庁もそのような指導をきちんとなさっていらっしゃるわけでございますが、これは数だけ事務方からおっしゃっていただきたいと思うのでございますが、いわゆる地域防災計画の中で雨についてきちんと記載してある県は、四十七都道府県中どれだけあるのか、また、市町村段階ではどれだけが書いてあるのか、パーセントで言うと何%か、簡単にその数字だけ言っていただけませんか。
  85. 仁科英麿

    ○仁科説明員 地域防災計画において雨量基準を定めている団体の数でございますが、詳細なところにつきまして土砂災害全般についての雨量基準であるかというような点につきましては、今後時間をいただいてさらに詳細に調査させていただかなければ正確には申し上げられないわけでございますが、一応今の段階でわかっている団体数といたしましては、都道府県におきましては十一団体が土石流についての雨量による避難基準を設けているという報告をいただいております。それからまた、市町村につきましては、同じような内容でございますが、三千二百六十八団体のうち約二〇%に当たります五百七十二団体で定めていると聞いております。
  86. 薮仲義彦

    薮仲委員 パーセントで言ってくださいと私は言ったのです。これから答えるときは、的確に答えてください。  十一団体で二三%、市町村段階は二〇%弱、一八%ちょっとだと思うのですが、いずれにしましても、雨について書いてあるのが四十七都道府県の中で十一団体しかない。しかも、今度災害がありました例えば鳥取広島島根、あるいは山口まで加えますと、こういうところで、では雨について書いてあるのは一体どこなんだ、これを申し上げますと、島根県だけがきちんと書いてありまして、あとは書いてない。  私は、災害が起きるといつも、加計町とか戸河内町あるいは三隅町の地域防災計画をこうやって見ておるわけでございます。三隅町、加計町それから浜田市の地域防災計画の中で、残念なことに加計町は雨のことに触れていません。しかし、五十八年に災害のあった浜田市と三隅町は、きちんと避難の雨量を書いてあります。やはりこういう被災のあったところは、この雨量があると危ないなと町でもわかるわけです。しかも県段階で、中央防災会議で、あれだけ土砂災害は危険ですよと言うのですから。  これを読んでみて、土砂災害に何て書いてあるのか。非常にきれいに書いてあります。でも、住民が生命、財産を守るためにこの地域防災計画が本当に役に立つかどうか。私だって、どこに書いてあるのですかと原局の消防庁に聞かないと、納得できないところがあるわけです。一体どの程度の雨で住民は避難すればいいのですか、どこへ逃げたらいいのですか、どこの道を通ったらいいのですか、どういうときに注意をすればいいのですか。これを読んでも、語句はきれいでありますし、整然と書いてありますが、それでも本当にこれで生命、財産が守れるのか。恐らくこれは、私の地元もそうかもしれませんけれども、役場の棚にきちんとあって、住民のために本当にこれが生かされているかどうかということを、私非常に懸念するわけです。  しかし、懸念だけではなく、これだけ集中豪雨や、これから九月に台風で雨にやられるのに、では四国四県の中で書いているのは一体どこなんだろう。徳島県だけです。九州の中で書いているのは一体どこだろう。長崎、熊本、鹿児島です。特に長崎は、私非常に関心を持って最近のものを見ていますけれども、県も市も土砂災害に対しては真剣に取り組んでいるなというのが文面からわかります。やはり被災されたところは真剣です。あとのところは、河川の増水等は書いてありますけれども、雨量、そして裏山のがけが崩れるとか、渓流土砂災害を起こさないかという注意については、関心がなさ過ぎる。  私は、これはもう長官にずっと言い続けて、ばかみたいに同じことを言っているのです。防災のことを、ずっと同じことを言っていますけれども、地域防災計画が本当に役に立つように見直していただきたい。この中で幾つか問題のあるのは、私承知しております。しかし、では何をやればいいのか。言ってもやらない、そうではなくて、 やはりやらなければならないと思うのです。  特に今年度発災した地域について、長官はもう具体的にこの地域防災計画を手にとってごらんになっていると思いますけれども、私も発災すると見ます。そして、これじゃいかぬと思います。まず発災した県と市町村について的確な指導をしていただければ、幾ら消防庁長官が通達を出されておっても県がやらない、そうかもしれませんけれども、発災したところから注意すれば、三年、五年、十年たつうちに、日本全国の地域防災計画は必ず消防庁長官の意図するところに沿った記載がなされていくと私は思うのです。今度の発災を無にしないでいただきたい。私は同じことを来年も言うかもしれません。再来年も言うかもしれません。でも一歩一歩、国民の生命、財産を守るためにこの問題に真剣に取り組んでいただきたい。  そしてまた、消防庁さんとの懇談の中で、私が地域防災計画を見直してくださいと言ったときに、砂子田長官を初め関根長官が地域防災計画の見直しに関する報告書というものをお出しになりました。この中で問題点として、十三ページにこういうことが書いてあります。  災害予防対策が必ずしも十分な内容になっていない背景には、地域災害危険性を行政当局がしっかりと把握していないということに一つの原因があると考えられる。言うまでもないが、我が国は災害多発国である。気象的にも地質的・地形的にも災害に脆弱な国土条件の下に置かれている。しかし、国土の全てが災害に弱いというわけではなく、災害に脆弱な地域とそうでない地域とがある。この災害に弱い地域をできるだけ明確に把握し、その地域に対し、災害予防対策、応急対策復旧対策の計画をあらかじめ樹てておくことが、地域防災計画の要諦である。 この消防庁のおやりになった研究成果の中に書いてあること、私も全く的確だと思うのです。しかも「第二に、市町村とりわけ町村においては防災行政を担当する専任の職員が少ない」「第三に、災害発生は各々の地域にあっては数十年、数百年に一度程度の頻度であり、災害発生について住民も行政もさし迫った危険を感じていないことにあると考えられる。」こうあるのです。  一つはマンパワーですね。私もいろいろ町村まで行きます。防災を担当している方は総務課の庶務係とか、たった一人の人が地域防災計画にかかわっているような町村が多くあるのは私もわかります。県の段階でようやくあるのかなと思うわけでございますが、やはりこの研究論文で発表しているように、消防庁あるいは国土庁が言っても、町村段階に行くと専門家がいない。  これは私の一つの考えですが、例えば雨による被害を受けるところは、九月一日が防災の日ですけれども、梅雨台風は九月一日では間に合わない。だったら、二月くらい前に、あるいは今度被害に遭われたところがその日を鎮魂慰霊の日とするならば、そのときに町は災害対策本部を設置して、避難誘導について担当者が集まり、あるいは地域住民が一回避難してみるとかサイレンを鳴らしてみるとか、そうやって今回被害を受けて人命を失った市や町村が、防災の日に国がやることもいいですが、今後こういう災害を起こすまいということで、防災を本当に自分のものとして、被災した町村がみずからやってもらえないか。また町村は、消防庁長官あるいは国土庁長官の指導によって防災を目途として災害対策本部のメンバーを一回集めてみる、そこでがけ崩れあるいは河川の増水はどうだろうかと、六月なら六月の段階でやってみる。そして、大丈夫だなと確認してだれか専門職員を一人つけておいて、国土庁なり消防庁から指示があった場合に、あるいは気象庁気象通報にも十分注意して、災対本部ができるできないは重要なことですが、雨が降るぞといったときに町長を初め関係のトップがきちんとその意識を持っていつでも役場や市役所へ集まれるという体制があれば、私はできると思うのです。そういう意味で、この中の研究発表の指摘は非常に的確だということで、私は賛成します。  と同時に、来年の災害で、土砂災害のときは、やむを得ませんから何とか人命だけは守っていただきたいと長官に切に切に私はお願いをするわけでございますが、いかがでしょうか。
  87. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 災害対策の基本になります地域防災計画につきましては、かねてより薮仲委員から再三にわたる御指摘また適切な御意見をいただいておりまして、消防庁といたしましてもこういった御指摘、御意見を踏まえまして、昭和五十七年以来地域防災計画の見直しに関するいろいろな分野についての研究を重ねてまいりました。これを踏まえまして昨年の六月、地域防災計画の全面的な見直しを行うべしという通達を出したところでございます。  その骨子となる考え方は、現在の地域防災計画が必ずしも実際的でないという点を踏まえ、県にいたしましても町村にいたしましても、その県内あるいは市町村内の地域によってまた状況がいろいろ異なるといった点を踏まえて防災アセスメントを実施する、それからそれに基づいて防災カルテをつくって警戒避難体制、予防対策等を具体化して、より実践的な地域防災計画をつくるということがその骨子でございます。  通達を出しましてから一年ちょっとでございますが、基礎データ等から積み上げてまいらなければならぬので、大変手間のかかることだと思います。現在、県においては、この通達に基づいてアセスメントから始めた、そして防災計画の見直しを完了したというところはまだございません。市町村におきましては、既にアセスメントを開始して、それに基づいて見直しをやっているところが三十数団体ございます。  こういった見直しにつきましては、ただいま御指摘のように大変手間のかかることであり、またそういうものでなければ実際に意味がないだろう、こう考えております。それに対して、特に市町村の事務当局、防災体制に専任する職員の数も大変少のうございます。これは防災対策そのものが予防と応急と復旧、この三つから成り立っておるということから、どうしても総務系統の課なり係あるいは担当者ということになろうかと思います。私は、これを本当に物にしていくためには、いささか我田引水かもしれませんけれども、消防機関の経験なり蓄積した知恵というようなものをもっと全面的に活用していく必要がある、そういう意味で消防機関自身の防災計画の見直しに関する積極的な参加をもっと進めていかなければならない、こう考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、この見直しにつきましては、私どもも、昨年六月に通達を発しましたけれども、通達を出しっ放しで済むような問題ではないと考えております。したがいまして、昨年の十一月から十二月、つまり通達を出しまして約五カ月後でございますが、全都道府県につきまして地域防災計画を中心としたヒアリングを行って、そのヒアリングを通じて状況を聞くと同時にこの見直しを強く求める、こういうことからまず始めております。特に御指摘のような現実に被害のあったところ、これはある意味で災いを転じて福となすべき一つのチャンスでございます。防災体制が十分でなくて大きな被害を出したようなところは特にその点を心がけて、私どもも具体的、実質的な指導に努めてまいりたい、このような考え方でおるところでございます。
  88. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかよろしくお願いをいたしておきます。  もっと質問をしたいのですが、もう時間がありませんので、ほかの点を質問させていただきたいと思います。  防災局長河川土砂害に関する世論調査、これは御承知ですね。これに対して何か御意見がございますか。あったら、お聞かせいただきたいのです。
  89. 三木克彦

    三木政府委員 御指摘の世論調査の中で、いろいろな観点からのお考えが推察できるわけでございますが、要約いたしますと、災害を防ぐために公共機関の手で安全対策をしっかりやってほしいということに尽きるかと思います。そういう意味 で、極めて重要な責任を感じておるわけでございます。
  90. 薮仲義彦

    薮仲委員 防災局長消防庁長官も、もちろん国土庁長官もこれは十分御承知のことでございまして、私が今さら申し述べることはないわけでございます。ただ、長官、これは大臣官房広報室の世論調査でございますので、角度を変えて、国民の声というものを正確に知っていただくという意味で申し上げるのですが、まず河川についてです。  いろいろあるのですが、私が言いたいことは何かといいますと、河川の浸水実績図、浸水しますよということを公表した方がいい、これをよいことだと受けとめている国民が八二・三%、よくないというのが五・二%です。それから、私の地域は水害がありますよと予想される地域を公表した方がいいかという設問に対して、公表した方がいいというのが八三・六、よくないことだというのが四・二です。ほとんどの国民は、浸水実績図あるいは水害予想地域を発表してくれということです。これが河川です。  土砂災害についてはどうかといいますと、時間がありませんからポイントのところだけいいますと、まず、居住地域において土砂災害危険箇所を知っていますかという設問に対しては、知らない方が八七・一%、知っている方が一二・九%です。ほとんどの方は、自分は大丈夫だと思っているのです。この世論調査の中でも、安全だと思っているのです。今まで災害がなかった。しかし今度のところは、とんでもない急流が一挙に三百ミリあるいは大雨によって出てくるわけでございます。知らないということは非常に危険だと私は思うのです。  と同時に、土砂災害の危険なところは公表する必要がありますかということに対して、必要がありますというのが八四・三%、必要がないというのはわずかに三%です。これは地価がどうのこうのという問題等も含めて、ごくわずかな方がそう言うだけで、すべてここにあるのは公表してほしい、八割以上の国民は水害であろうと土砂災害であろうとわかりやすく私たちに教えてほしい。  では、どうやったらいいのか。これは設問の仕方に私は問題あろうかと思うのですが、三つしかないわけで、役場に知らせる場所があればよいというのと、住民に市町村から知らせればいい、こういう設問の仕方ですから、それに対してそれぞれ三一・八、三三・六という答えが返っています。その箇所に危険の標識を立ててほしいというのが三三・三です。設問がそういう三つですからそのようになったと思うのですが、いずれにせよ公表し、しかもわかりやすく行政機関から徹底してほしいということなんです。やはり地域防災計画の中に、先ほどおっしゃったようにその地域の防災アセスメントをおやりになることは私は大事だと思うのです。  と同時に、私は歴代の長官に、防災のために住民にわかりやすく図形化したもので示していただけないか、将来はこれを国土庁のメーンコンピューターにインプットするような、地域の端末の情報も入ってきて、刻々の雨の情報、河川の増水、降雨の実態などがわかって、国土庁が本当の防災ペンタゴンになってほしいということをずっと言い続けました。しかし、その一番最初に、自分の地域の危険渓流はここですよ、浸水被害はここですよ、がけ崩れはこうですよ、避難場所はこうですよ、避難路はこうです。大体この土砂災害はやはり雨でございますから、時間雨量何ミリ降ったらここへ逃げてください、これぐらいになったらこうしてください。地震と違って、雨は二日か三日たてばどんな長雨でもやまぬ雨はないはずです。ちょっと避難するということが私は非常に重要なことだと思うのです。  そういう意味で、図形化した防災のマップと私は申し上げて、長官も予算を計上していただいていることに対して私は心から敬意と感謝をしておるわけでございますが、何とか津波と同時に土砂災害地域も拡大していっていただいて、土砂災害、どこか一カ所危ないですよ、これだけ雨が降ったらここへ逃げてください、こういうようなマップを、余り確度が高い低いということは申しません。雨量の避難基準と避難地と避難路とやってみますと、意外と避難路や避難地まで距離があったり逃げにくい場合もありますので、マップ化してそれを進めていただきたいということを、最後に国土庁長官に御答弁いただきたいのです。  その前に、消防庁長官、さっき私忘れておったのですが、消防庁が通達なさっている中で、これはこの際申し上げておきますけれども、見直しをちょっと御検討いただきたいと思うことが一つあるので、申しわけないのですが。  消防庁の通達は、いわゆる基準が出ているわけです。雨のときに百ミリを超えたらというのがここにあるわけでございます。前日雨量がゼロで百ミリを超えたら警戒態勢に入ってくださいよということが、「警戒態勢をとる場合の基準雨量例」というのがあって、「前日までの降雨がない場合」「当日の日雨量が百ミリメートルをこえたとき」とこれに書いてあるのです。しかし、今度の集中豪雨は、わずか十数ミリのものが一時間にばっと百ミリ、二百ミリ近くなってくる。ですから、ここの注意事項の中に、集中豪雨の場合は百ミリという基準をもう少し考え直していただきたい。これもちょっと余分なことで恐縮ですけれども、これはお含みおきいただきたい。今度のように十数ミリがわずか三十分か四十分で百ミリを超えますので、こういう雨の降り方があるということを御承知おきいただいて、これはお願いだけで結構です。  最後に長官に、ただいま申し上げました何とか住民に徹底できるようなマップを土砂災害でも検討いただけないか、このことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  91. 内海英男

    ○内海国務大臣 薮仲先生の多年にわたり防災問題に取り組んでおられるその真剣なお話に対しまして、心から敬意を表したいと思います。  ただいま御指摘がございましたように、住民に危険箇所あるいは避難路、避難場所、こういうものを周知徹底させるというソフト面からいきましてぜひ必要なことだ、十分認識をさせていただいたわけでございます。したがいまして、防災マップにつきましても、本年度から防災マップを地域に配るモデル事業というような形で国土庁としても取り組ましていただいております。これを全国的に危険な地域に各戸に理解していただけるように徹底するように指導して、今後とも防災意識というものを国民の皆さん方によく認識をしてもらうことが、現在防災週間でございますけれども、一番大事なことだと私はしみじみ感じておるものでございます。  大変貴重な御意見を承らせていただきまして、ありがとうございました。
  92. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官初め大変失礼なことを申し上げて、恐縮いたしております。何とぞよろしくお願いします。  それから、建設省、林野庁、おいでいただいて答弁いただかなくて申しわけないのですが、どうか災害復旧をよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  93. 笹山登生

    笹山委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ────◇─────     午後一時三十三分開議
  94. 森下元晴

    森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。滝沢幸助君。
  95. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、どうも御苦労さまです。政府の皆さん、御苦労さまです。  民社党から、先般の広島県を中心としました地域にわたります大雨災害につきまして、その対策等の経過等を承りたいと存じますが、まず初めに、党を代表いたしまして災害に遭われました方々に対する心からなるお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧全力を尽くして立ち上がっていただきますように御期待を申し上げたいと存じます。  さて、災害ということでありますから国土庁から先にお伺いさせていただきますが、あの災害を通じまして国土庁がとられた措置と学ばれたものは何であったのか、まことに抽象的な問いで恐縮でありますが、初めに一言おっしゃってちょうだいしたいと思います。  と申しますのは、災害は忘れたころにやってくるという言葉もありますが、実は忘れないうちにまたやってくる、これが最近の状況であります。ただ、どこにあるかが問題でありますが、そういう意味におきまして、私は、基本としては国土の均衡ある開発といいますか、人口があまねく国土に理想的に配置されているという状況が実現して、政治の恩典というものが普遍的にまんべんなく行き渡らないことには災害は絶えることがない。言うなれば、今日の日本は東京集中と申しますか、最近一極集中というような言葉になりまして、遷都論とか分都論とかいうような言葉も出てまいりますが、事ほどさように都市集中、都会に重く、僻地、田舎に薄い政治の恩典である。  何のことはない、人口といってもこれは要するに人様であります。その人様は甘いものがあるところ、いい御飯のあるところに集中するんでありますから、それはちょうどアリの群れと同じであります。えさのあるところに集中するわけでありますから、人口の分布を見れば政治の恵みの強弱がわかるということでありまして、そこら辺のところに対する国土庁の基本的な構え、四全総というものも示されているわけでありますが、ひとつ今申し上げましたような視点に立って今回の災害をどう反省され、将来に対するどのような構えを持っていらっしゃるか、承らしていただきます。
  96. 内海英男

    ○内海国務大臣 四全総では、東京一極集中から多極分散型の国土形成を目指すべきであるという方向が示されておりまして、さきの国会で多極分散型国土形成促進法というのを成立さしていただいたわけでございます。その方針に従いまして、今までの三全総までの間におきましてはそれを実行に移す法律の裏づけというものがなかったわけでありますけれども、四全総につきましては、明確に、多極分散型国土形成促進法というものを通していただきまして、それに基づいて国土の均衡のある発展を図ろうという目標に向かって政府一体となって努力をいたしておるところでございます。  先生も御承知のとおり、日本の国土は四分の一程度が平地で、あと四分の三が山地、山岳地帯というような地形でもございますし、したがって河川は急流である。北から南へ列島が非常に長く続いておる。地理的、地形的あるいは気象的、そういった自然的な条件からいきましても、日本特有の梅雨という季節もありますし、台風も常襲地帯である、火山も爆発がしばしばある、地震もある、こういうようなことで、世界的に見ても比較的災害が多い条件が日本の宿命的な課題だと私は思っておるわけであります。  したがいまして、それを解決していくハードな面で公共事業その他いろいろなことがございますけれども、言うなればソフトの面で、いかに災害を未然に予知し、あるいは避難、あるいは災害から難を逃れるかというようなことをこれからは地域住民に周知徹底をしていただいて、日ごろの心構えというものも相当強く持っていただく時期になってきておるのではないか。特に最近の災害土砂災害というものがありまして、鉄砲水のようなところから急に土砂が人家を襲って人的被害を及ぼす、こういうようなことでございますから、災害の予知あるいは大雨集中豪雨の予知というものを十二分に住民の方たちに告知する方法、予知させる方法、あるいは日ごろの訓練あるいは周知徹底させる方法ということについて今後とも積極的に取り組んでいかなければなかなか災害の根本的な解決にはならない、私はそう考えておるわけであります。私どもは、そういう面につきましても鋭意努力をして、機会があればできるだけ末端の地域皆様方にまでそういった考え方を浸透していただくように関係省庁挙げて努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  97. 滝沢幸助

    滝沢委員 今大臣おっしゃったのは、大原則として大変賢明なることであると存じます。ただ、見ておりますると、言うはやすくして行うはかたし。何といっても、政治は求める者が多ければその求めに応ずるわけでありますから、何といっても、何百万という人口の都市が要求すればそれは実現し、数百、数千という僻地が要求したものは実現しないということになっているところに問題があると私は思うわけであります。  そして、今おっしゃったような大きな方針にもかかわらず、実は官民二つの面から見てこれに逆行するものがある。その最たるものは、官の立場から申し上げるならば、例の東京湾の埋立工事であります。これは、東京をより大きくすることじゃありませんか。東京湾を埋め立てなくたって、背後、東北、山陰、どんどんこれを受け入れる条件があるわけでありますから、東京湾を埋め立てて、あのようないろいろと事故等もございましたが、あそこにより人口を集中せしめることに結果としてはなると私は思うものでありますから、いささかあの計画に疑問を持っているわけであります。さらにもう一つは、これは民の立場から申すのでありますが、東京が水が少ないということで、尾瀬分水というのがどうしても絶えず要求されてくるわけであります。  私は、この二つはともに愚かなることであって、自然に対する大きな挑戦だと考えまして、どちらもなさるべきではない、こういうふうに思うのでありますが、一つには東京湾の埋立工事、これはいかなる前提に立ってこれを是として政府は進めようとしているのか。一つには、尾瀬分水といういわば要求に対してきちんと終止符を打って、そのような大きな意味の流域の変更は自然に逆らうものである、水があるところに人間の方が帰っておいでになればいいと思うのでありますが、御所見を伺いたいと思います。
  98. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 ただいまの御質問の前半でございますが、東京湾の埋め立てということで御質問があったわけでございますけれども、ただいまの御質問の趣旨は、恐らくただいま東京あるいはその周辺で考えられております既存の埋め立てを中心としました港湾機能あるいは工業用地として予定しておりました土地の転換というものについての御質問かと存じますので、それについてお答えさせていただきたいと存じます。  戦後でございますけれども、昭和三十年代ごろから、やはり日本の工業化が国の振興の基本であるということで、東京湾等を中心といたしまして臨海部の工業地帯の造成あるいは港湾区域の港湾機能に対する埋め立ての港湾整備というものが進められてきたわけでございます。その後、産業機能あるいは社会構造の転換によりまして、現在相当程度の臨海部の工業域あるいは港湾として予定しておりました土地が余っております。その転換といたしまして私どもそれから建設省、運輸省あるいは地元東京都、通産省、郵政省等各省で御相談いたしまして、その転換を都市改造あるいは東京を中心としました国際機能にあるいは住宅不足に対する住宅用地としてそれを使用しようということで先般来検討してまいりましたのが、東京都の臨海部を中心といたします諸プロジェクトの展開でございます。  やはり東京の現在の姿を見ておりましても、一昨年あたりから急激に地価が高騰しております。これはやはり東京都の国際化とかあるいはオフィス不足とかによります需要というものが引き金となりまして土地の高騰を招いたわけでございます。やはりこれは早急に解決いたしませんと東京都を中心とする地価上昇というのが全国に波及するということで、それを冷やす意味からも東京周辺の臨海部の開発というものを大きく取り上げ、打ち出したという次第でございます。  これは、実際のプロジェクトの推進といたしましては、二十一世紀にわたりまして着実に実施してまいりますし、その内容も、オフィスばかりではございません、十数万人にわたります住民に対する住宅の供給、あるいは首都圏で絶対的に不足しております緑地とかレクリエーション機能、そ ういうものに対する手当てというようなものも総合的に含めまして、どちらかというとこれ以上人口をふやすという方向ではございませんで、現在ございます首都東京を中心としました首都圏の機能の改善あるいは国際化に対応するという方向で位置づけておるわけでございますので、その点御理解いただきたいと思うわけでございます。  以上でございます。
  99. 大河原満

    ○大河原政府委員 御質問の後半の尾瀬分水の問題にお答えいたします。  尾瀬分水でございますが、四全総と整合をとりながら昨年作成しました全国総合水資源計画におきましては、二十一世紀当初の関東地域の水需給につきましては、関東地域内で現在建設中のダムあるいはこれから新規に建設するダム等の水資源開発を進めることによりまして、また関東域内での水資源の有効利用の促進を図るということで、従来の計画基準に基づきます需要に対する供給が可能であるというふうに考えております。したがいまして、こういった関東地域内の事業を促進することが緊急の課題であるというふうに考えておりまして、全国総合水資源計画には尾瀬の分水というのは入ってないということでございます。
  100. 滝沢幸助

    滝沢委員 東京湾の埋め立てにつきましては、これはいろいろとありまするが、これ以上議論する時間もありませんから、後にまた機会をとらえて申し上げさせていただきます。  尾瀬分水につきましては、そのようなことであるならば政府の立場できちんとこれに対しての終止符を打つ手はずを整えていただきませんと、いつまでも両方の地域を動揺せしめるものであるということを申し上げまして、ひとつ明確なる指針を政府から出していただきまするように要望をいたします。  さて、建設省さん、今回のあの地域を拝見させていただきました。まさにこれは災害河川災害といいまするか、山の災害といいまするか、そしてまた道路災害とこうなるわけでありまするけれども、あの地域中心としてさらには全国を見渡しまするときに、危険区域というふうに、危険な場所なんだ、ここは災害があり得るであろうと既に予想されたところに起こってきた状況と、そうではなしに全く予想もしなかったところに起きてきた状況、いかがなものでありましょうか。さらにまた、危険だよということが予想される場所に対して既に工事が施工されつつあったのかどうか。危険は予想されるけれどもなお着工に至らずにおりまするものは全国に相当数あるものであろうかということを危惧するのでありますが、いかがなものでありましょうか。そういうことをまずお伺いをしてみたい、こう思います。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  101. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  先生御指摘の災害危険箇所という考え方でございますが、これは対象となる各公共土木施設によりまして判断基準がいろいろ異なっております。また意味合いも違ってまいりますので一概に同一の見方はできないわけでございますが、とりあえず全体的に島根県及び広島県における幾つかのデータを参考までに御紹介させていただきます。  まず土石流危険渓流ということで、島根県では二千八百三十渓流ございます。広島県では三千六百七十四渓流ございます。また地すべり危険箇所、これは島根県が二百二十九カ所、広島県で六十三カ所。それから急傾斜地崩壊危険箇所、これは島根県で二千二百五十カ所、広島県で三千八百五十五カ所。それから道路の要対策箇所ということで考えておりますのが島根県が一千七十七カ所、広島県で二千九十二カ所。さらに河川関係でございますが、河川関係につきましてはこういった危険箇所という概念に当てはまるかどうか、またいろいろ議論があろうかと思いますが、洪水による災害を防止するに当たりまして河川の整備と水防というものがいわば車の両輪ということでございます。水防という点で見ますと、重要水防箇所が島根県で四百四十二カ所、広島県で三百三十二カ所、こういうことに現在なっております。  これらの整備状況でございますが、個々の整備状況につきましてはそれぞれ同じような見方ができないわけでございますが、全国的な進捗率といいますかそういう目で眺めますと、土石流等につきましては昭和六十一年度末の整備率で、土石流危険箇所では一六%、地すべりについては一六%、それからちょっとデータが違いますが、昭和六十二年度で急傾斜地崩壊対策危険箇所について一八%の進捗率ということでございます。それから道路災害につきましては、六十一年度の防災点検に対して六十三年度末の整備率が約二四%ということでございます。また、河川につきましては、中小河川では時間五十ミリを当面の整備目標として、六十一年度末で中小河川で二八%程度の整備状況になっているということでございます。御参考までにお答え申し上げます。
  102. 滝沢幸助

    滝沢委員 災害復旧に原形復旧改良復旧という言葉が使われて久しいのでありますが、私は思想の転換が必要であろうと思う。災害が起きるようにできているから災害が起きたのでありますから、原形の復旧というのは意味がない、すべからく改良復旧こそ復旧であるというふうに私は思うわけであります。この思想の転換がない限り、私はさいの河原の石積みを繰り返すであろう、こういうふうに一つは思います。  もう一つは、これは後でお尋ねしようと思いましたが、お仕事の都合もありましょうからここで承りますが、日本の道路計画を見ておりますると、世界に類例を見ないただ一つの安全、のんき、平和の道路構造でありまして、世界のすべてと言っていい国が一朝有事の際に備えて、あるいは飛行機の滑走路に、あるいは大きな軍団の移動にということを想定した上に立って、構造物等を撤去し移動し得るように、あるいはまた直線コースをそれに計算したものになっておるというような配慮があるわけであります。これは河川についても実はそういうことでございますが、ただ一つ日本だけが、世界でたった一つ原爆を落とされた一番平和に対する疑問を持っていい国が、いつまでも戦争はあり得ないものだという前提に立っておりまして、このことをレク等のときに説明しましても答える省庁がないわけであります。答える言葉が用意されてないわけであります。これこそ全く、このような危険な国によくも一億二千五百万人が安穏と暮らしておれるものかと私は思うのであります。  答えにくいならば、国務大臣という立場で、国政の最重点が国の安全、国民の生命、財産の保全ということであろうと思うならば、災害は神様が雨を降らせる、戦争はよその国が大砲を落とす、これは同じですよ。人災か天災かの違いであります。「天才バカボン」という言葉もありまして、なかなかそううまくいきませんけれども、いずれにしましても、どうかひとつ、各局課長さんが答えられない、答えられるならば今日日本の政治に問題はない、答え得ないと思いますので、竹下内閣はこのようなことについていかなる覚悟と決意があろうか、承ります。
  103. 内海英男

    ○内海国務大臣 大変難しい御質問で、災害対策でこういう御質問が出ると私どもも予想しておりませんでしたけれども、国務大臣という立場で答えろ、こういう御指摘でございますので、私の考え方を述べさせていただきます。  日本は、戦後、戦争による国際紛争の解決の手段はとらないという平和憲法というものがございます。それを我々は遵守して今日の日本の平和と安全がある、こういう基本的な概念を持って政治に取り組んでおるという立場からいいますと、軍事的な目的に高速道路を利用するように構造的にやったらいいではないかというようなところまで飛躍した御議論に対しては、私どもはお答えするのもいかがかな。ただ、基本的な政治に取り組む姿勢としては、平和憲法を守り日本の安全と平和を期していく、これが私どもの政治の基本の姿勢であるということを御理解いただきたいと思います。
  104. 滝沢幸助

    滝沢委員 古来、政治の原点は、安きにいて危うきを思うということであります。日本は平和憲法で後戦争しないことに決めた、だからよその国 全部が日本に対して、ああそうか、あなたの憲法を読んでわかりました、さようなら、これはありませんよ。憲法にどう書こうと、国際紛争の解決の手段を向こうが実力で問うてくるときには、これにこたえざるを得ないでしょう。平和憲法一つ、各国の言葉に翻訳して送って見せてやればそれで国際関係が平和にいくなら、これは全く簡単な話であります。  私は、このようなことが国会の委員会の論議に出ないであろうと思っている大臣があったら、これは全く愚かと言わざるを得ない。災害委員会だから国防論は出てこないと思ったら大間違い。国防論というのは教育の中にも、外交の中にも、経済の中にもすべてあるのが国を守る、あるいは国が永存するための一つの基本だと私は思うのであります。  重ねて申し上げます。安きにいて危うきを思う、これが政治の原点であります。それがなくて安きにおります。アメリカからの脱脂粉乳、アメリカからの防衛援助によって安きにおるのではありませんか。そして危うきを思わずに、安きにいて安きを思っている。これが今日の竹下内閣の姿勢であるならば、私は歴史の中にこの愚政を問われてしかるべきである、こう思うのであります。  お答えがなかなかできそうもありませんが、どうぞひとつ閣議にお帰りになりましたら、民社党の滝沢幸助災害委員会で、すべての政治が国防につながらないならばいけないと申したというふうにお伝えを願って、閣僚諸賢の御見識を高めてちょうだいしたい、こう思います。  次に、同じようなことになりますが、自治省に消防のことをお伺いします。  今次の災害におきまして消防、特に地域自治消防の出動状況、そしてそれらの地域におきまする消防団の定員充足率等の状況、いかがなものでありましょう。
  105. 仁科英麿

    ○仁科説明員 今回の災害における消防職団員の出動状況について、私の方からお答え申し上げます。  七月十一日から三十日までの間の出動状況でございますが、広島県では延べ消防職員百五十二名、消防団員千七百六十九名が出動しております。また、島根県では延べ消防職員四百九十一名、消防団員三千八百五十一名が出動しております。
  106. 川崎正信

    川崎説明員 消防団員の充足の状況でございますが、各団体とも条例定数に基づいて実員を充足しておるところでございますが、全国的に平均いたしまして九七%程度で、大体充足いたしてございます。
  107. 滝沢幸助

    滝沢委員 課長、御存じだと思います。農村に行きますとほとんど若い人たちはいないのですよ。どこのうちでも、特に今回災害が起きたような地区においては、山の農家に至っては後継者がいない。そして「翁やひとり山田守るらん」ですね。そういうところに、消防団員といっても四十代、若い方ですよ。そういうことになっているのです。そして婦人消防隊というのがそちこちにできまして、そこに行ってみますと、ちょうど戦争中そのものですよ。ところが、都会はどうです。地域消防団、自治消防に入っている東京の青年は何%いますか。農山村は、四十代以下の若い、若くないのだけれども、一〇〇%その人たちが入っても、充足率が一〇〇%にならぬでしょう。ところが東京はどうですか。東京の青年たちの何%が自治体消防ですか。どうして農山漁村だけがみずからその地域の安全を守るために職を投げ出し、家庭を投げ出して奉仕をしなくてはならないのです。どうして都会はそれをしなくたっていいのです。  私は、その意味におきまして前々から提案しているのでありますが、自治体消防というのでありますから、今日自治体消防制度四十年を迎えたといっていろいろのお祝いの式典等もございますが、何よりも私は、自治体消防制度の改善、改組が必要であると思うのであります。そのような意味で一つの提案でありますが、私は、自治体の職員を全部義務として自治体消防に参加せしめるべきだ。役場の職員は公務員なるがゆえに消防団に入る必要はない、入らなくたっていい。そしてこの人は給料は全然変わりなく、判こ押しをしている時間にサイレンが鳴れば、農家は、青年がいないのですから青年ではないのですよ、四十代の人が腰を伸ばしてはっぴを着て出動していく、田んぼを捨てて出動する、あきんどはお店を捨てて出動する。なぜそれをしなくてはならないのです。そして表彰状で、大変御苦労であった、十年間御苦労であったということになるわけですよ。全く間違っております。こんなふうに制度を改善される考えはありませんか。
  108. 川崎正信

    川崎説明員 市町村職員、いわゆる役場の職員を消防団員にする、義務づけてはどうかという御提案でございますが、消防団員は、御案内のとおり非常勤特別職の公務員でございます。したがいまして、一般職の地方公務員が消防団員になるということは、現在の制度上も可能でございます。現に相当数の一般職の地方公務員が消防団員として活動してございます。消防団員の職業の産業別区分によります公務の割合が、六十一年四月現在におきまして六・八%でございまして、十年前に比べまして一・五%ほど増加してございます。  地域社会の消防力の確保充実を図るということに当たりまして、消防団が平時には地域住民に対して広報し、そして消防団活動への参加を呼びかけることが必要でありますし、また、発災時には常備消防のほか企業の自衛消防組織と連携をとりながら防御活動を行うことは極めて有効でございます。  消防庁といたしまして、消防団活性化総合計画策定要綱を策定いたしまして本年二月二十九日付で各都道府県を通じまして通知いたしたところでございまして消防団活性化対策を総合的、計画的に推進するよう指導しているところでございます。各市町村でもその地域の実情を踏まえまして、活性化のため消防団の人的な充実強化策を講じているところでございます。  消防団員は、通常は各自の仕事に従事しながら、災害発生した場合にはみずからの手で災害から郷土を守るボランティアであるという本来の性格から考えますと、過疎地域などの市町村の職員を消防団に加入することを義務づけるということにつきましては困難であろうかと存じますが、地方公務員が消防団活動の一翼を担うことは大変好ましいことでございます。したがいまして、今後とも地域の実情に応じまして地方公務員に消防団活動参加していただくよう、消防団の活性化対策を推進してまいりたいと考えております。
  109. 滝沢幸助

    滝沢委員 課長としてはそれ以上の答弁は無理なんでしょうけれども、義務づけることはできないとか、そして六%入っているとか。それは消防担当の職員が入った形になっているのです。そういう認識では、今後農山村、それは農村政策がきちんといって農村がどんどん繁栄しているならいいが、そうでないならば、これは消防団のための消防団じゃないですよ、それによっては国土、特に山村僻地の安全は保全できないということを申し上げているわけです。消防制度四十年の記念すべき時期に来たわけでありますから、根本的に自治消防の制度を検討されるべきだ。それは憲法にどう書いてあろうと、自治省が自治体の職員は地域消防に参加することが望ましいという見解を流せば、随分とふえるでしょう。中には憲法を盾にして入らない者が百人に一人あっても、それはどうということはないわけです。大きな発想の転換がなければ、今日の農山村、今回の水害が起きたような場所の安全は保全できないということを申し上げておきます。  次に、厚生省さんでありますが、今回の災害の起きました各代表的地域におきまする厚生医療施設を含めまして、特に僻地の医療体制はどのような問題点を今抱えていて、どのような反省を持っていらっしゃるのか。これも大臣、予想しなかったとおっしゃいましたけれども、私は、またともにそういう一朝有事の際の医療体制というものも国が検討されてしかるべきである。原爆は一度落ちたわけであります。二度落ちないという保証は決してないわけであります。原爆に至りませんで も、いわゆる平常兵器の侵入等は絶対になしと保証するわけにいかぬわけでありますから、こういう点についても含めてお答えをいただきたい。
  110. 松村明仁

    ○松村説明員 僻地医療の実態について御説明を申し上げます。  山村、離島等の僻地におきます医療の確保につきましては、従来から年次計画を立てまして、例えば僻地中核病院それから僻地診療所の整備、僻地巡回診療の実施、それからまた僻地勤務医師の確保対策等各種の施策を総合的に推進しておるところでございますが、いまだ無医地区と言われる地域が残されていることもございまして、また一方で医療水準というものについてもなお地域的な格差が見られますので、これまでもやってきたわけではございますが、昭和六十一年度を初年度といたします第六次へき地保健医療計画を策定して、僻地医療の推進を図っておるところでございます。
  111. 滝沢幸助

    滝沢委員 農水省さん、今回の災害地域におきまして、農業共済ないしは農協共済、いろいろあるのだそうでありますけれども、いずれにしましても保険制度はいかに効力を発揮したものか、承ります。
  112. 武田昭

    ○武田説明員 農業共済関係でございますが、このたびの災害中心はいろいろな施設関係、山の関係等でございますけれども、農作物についても災害発生してございます。これにつきましては現在被害状況等を取りまとめ中でございまして、損害評価を適正に行って、共済金の支払いにつきましても早期に行うように農業共済団体等を指導しているところでございます。  なお、一部仮渡しの関係でございますけれども、収穫皆無の水田につきまして一部仮渡しを行う予定で、現在作業を進めているところでございます。
  113. 滝沢幸助

    滝沢委員 実は私も全く同様の災害を十数年前に私の町で経験をしまして、今回の災害を拝見しましていわば非常に感無量といいますか、感ずるものがあったわけでありますが、そこの中でいろいろと、農協なりお役所の立場からいうと説明つくわけでありますが、農家の感情からいって説明つきませんことは、火災保険は入っていたものは一〇〇%、いわば全焼すればちょうだいできる。ところが、農協等の家屋共済等につきまして、一〇〇%ちょうだいできない経験を持っておりました。火災の方は、少なくとも土台石を残して焼けます。ところが災害は、今回の例を見ましても、どこが私の屋敷であったものか、お隣との境はどこであったものかもわからぬほどに、荒涼たる河原と化したりするわけであります。それなのに一〇〇%保険がちょうだいできない、まことに矛盾を感じているわけであります。  これは承れば、農協が経営する保険制度と農業共済組合が主催する保険制度、この共済組合の方はなかなか経営が容易でないといいますか、国も市町村役場に持ち込んでもいいような措置をとられまして、そのようなところが数々あります。これはむしろ私は農協の方に持ち込むべきであったのじゃないかな、こう思うのでありますが、要するにこれらを一本化すべきだ。農協制度の中の保険事業というものを一本化すべきだ。農業共済組合不要というのではありませんけれども、何も二つの看板でそれぞれやる必要はない。  そこで、この内容を分けたというのでありますが、メニューを分けただけではなくて、今日農村がこれまで追い詰められているならば、国鉄においてなされたように、たばこにおいてなされたように、農協の組織も単純化し、合理化し、冗費を節約し、人員の削減を図る、このことが前提にないならば、農協だけが太って、これはちょっと言葉が悪いね、悪いけれども、農協だけが繁栄して農家が滅びていく、こういうことじゃありませんか。  それはなかなか一緒にできないんだよということをせんだって役人さんがおっしゃいましたが、役人の立場からいうとそうであります。しかし今日の農協は、お葬式屋さんも旅行会社も保険会社も銀行さんも呉服屋さんも本屋さんも何でもやることができることになって、やっていらっしゃるわけですから、保険制度などは要するに一本化してきちんとなさった方がいい。特にこれは共済組合の方ですか、五百万未満を最高限度とした保険制度なんて、今ちょっとこれは考えられませんよ。こういうのを考えまするときに、農協の将来をトするものはむしろこのようなことで、農民の苦しみに先んじて農協が苦しむか、農民の悩みに先んじて農協が悩むか、このことにあろうと私は思うのでありますが、いかがなものでございましょう。
  114. 武田昭

    ○武田説明員 先生よく御案内のとおりでございますけれども、農業協同組合系統と農業共済団体と、建物の共済につきまして双方でやっておるわけでございます。両者の区分けとしては、原則として短期の建物共済については農業共済団体、それから長期の建物共済については農協団体が行うということで、農家のニーズに合わせましてそれぞれが仕事を分担するというような形でやっておるわけでございます。  両団体の合併統一云々というお話でございますが、これも先生御案内のとおりでございますけれども、やはり農業共済制度の方というのは当然加入制だとか国が再保険を行うとかそういうような仕組み、それに対して農業協同組合は自主的な協同組織ということで、両者の目的、性格からいたしましてこれを一緒にするということは非常に困難であろうというふうに思っております。ただ、農家のためにもといいますか、共済団体のためでもございますけれども、広域合併なりあるいは事務の機械化等私どもも強力に推進をいたしまして効率的な実施ということに努めておりますし、これからもこの点につきましては一層心がけてまいらなければならないというふうに思っております。
  115. 滝沢幸助

    滝沢委員 そうしますと、農業協同組合と農業共済組合の合併について国は否定するということですね。私は、両者がそれぞれの領域がある、それぞれの歴史がある、それぞれの利害得失があるのはわかっていますよ。しかし、国と国だって合併するのですよ。国鉄は六つに分けたじゃありませんか。やってできないものはないのです。法の定むるところあたわざるなしでありますから、国が法律一つを出してくれば、農業協同組合法の改正一つやればできるのでしょう。各県が五年であるとか七年であるとかというふうにやっておりまするが、各町村末端にいきますと、それを全部一緒にしてやることすら困難なんでしょう。それであなたの方では広域合併とおっしゃるわけです。こういうことでは今日の農家は救われない。  繰り返しますが、農協栄え、農林省栄えて農家が滅びる、こういうことになりますよ。それはしかし、農家が滅びればいずれは農協も役所も滅びますからね。繰り返しますが、今日の竹下内閣は農協の再編成について否定するというふうに聞いておいていいですか。
  116. 武田昭

    ○武田説明員 先ほど申し上げましたように、共済団体と農協とはその目的、性格、あらゆる意味で大変異なりまして、いかに法律を改正するといっても、これを一緒にするということは非常に難しいであろうというのが私どもの現在の考え方でございます。ただ、農協にいたしましても共済団体にいたしましても、仕事の効率化というようなことについては私どもも意を用いていかなければならないと思っておりまして、いずれももう先生御存じのとおり合併も進めておりますし、効率化ということについては精いっぱい努力をしていくつもりでございます。
  117. 滝沢幸助

    滝沢委員 それはわかっているのですよ。広域合併なんというのじゃだめだと言っているのですよ。ですから、両者の性格や何かからいってなかなか不可能だとおっしゃるのだけれども、不可能だというのは、我々とおっしゃいましたが、それはどこだ。竹下内閣と理解していいか、それともあなたの机の上のサイドか、どっちですか。
  118. 武田昭

    ○武田説明員 少なくとも、私ども農林水産省としてはそういう考え方でございます。
  119. 滝沢幸助

    滝沢委員 これについては大いに異論がありま す。しかし、きょうは災害についての質問でもあるし、あなたに聞いてもそれ以上のことは答えを出せないと思いますから、いずれ適当な機会に十分に議論させていただきますので、農林省においてその用意をしてちょうだいしたいと思います。  委員長、どうもありがとうございました。政府の皆さん、大臣、御苦労さまです。
  120. 笹山登生

    笹山委員長代理 安藤巖君。
  121. 安藤巖

    安藤委員 まず最初に、このたびの七月の集中豪雨広島島根両県でお亡くなりになった方々の御冥福をお祈りし、被災者方々にお見舞いを申し上げるわけであります。  これまでいろいろ質疑がなされてまいりましたので、できるだけ重複は避けてお尋ねをしたいと思うのです。  まず、激甚災害指定の問題につきまして、本激それから局激の問題につきましても質疑があり、御答弁がありました。私も、これは早急に査定をして、そしてほとんど全部指定をしていただきたいということを強く要望をするわけでありますが、どうも伺っておりますと、査定が終わるのが十一月あるいは十二月というような話のようであります。これじゃどうも遅いという感じがします。  ですから、それぞれの自治体もいろいろ計画を立てて復旧事業をおやりになるわけですが、農地関係については基準は超えておる、それから中小企業関係も局激の関係では被害は基準を超えているというお話を先ほど伺ったのです。そのほかはまだ査定をしてみぬとわからぬということですが、大体の見通しは立てられないのか、大体いけそうだということはどうか。それから、その見通しが立った段階で早急に関係諸機関に知らせていただくということが必要かと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  122. 三木克彦

    三木政府委員 本激並びに中小企業関係の局激の指定につきましては、早急に手続をとりたいと考えておるわけでございます。  公共土木施設関係の局激の指定につきましては、事業費査定が終わりませんと被害額が確定いたしませんので、局激の指定を個別市町村ごとにしにくいという事情がございます。したがって、事業費の確定を急ぎたいということで各省庁と御相談を申し上げておるわけでございますが、なるべく急ぐように努力をしていただきたいと思っております。その事業費の確定がはっきりしました段階で、政令の手続は年度末になりますけれども、いろいろな方法によりまして災害復旧事業を執行なさる市町村にはなるべく早くお知らせができるように取り計らいたいと思っております。
  123. 安藤巖

    安藤委員 これ以上お尋ねしても今おっしゃったようなことだろうと思います。できるだけ早急に査定を済まして、要望に沿うように御努力をお願いしておきます。  それから、これは自治省の関係でございますが、特別交付税の上乗せあるいは普通交付税の繰り上げ支給等々につきましては質疑がございましたので、私の方も強く要望をさせていただきます。そこで自治省の方、来ていただいておりますが、私は後で自治省の方には質疑をする予定はありませんので、お帰りになって結構でございます。  それから、先ほど来原形復旧改良復旧かという議論がなされております。そこで、この前委員派遣でお邪魔をしました島根県の三隅町長さんがじかにおっしゃったのですが、そしてこの要望書にもちゃんとあるわけでありますが、原形復旧をやってもらったところは、この前の災害のときに原形復旧したけれどもまたやられているんだ、こういう痛切なお話がございました。だから原形復旧ということでなくて改良復旧にしてほしいんだ、この関係広島県の要望書にもきちっと出ておるわけであります。ですから、改良復旧の大幅採択はきちっと積極的にやっていただきたいと思うのですが、この点はどういうふうに対処していただけるか、建設省ですか、お伺いします。
  124. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  災害復旧に際しまして原形復旧が負担法上原則になっているというのは、先ほど来申し上げておるところでございます。原形復旧のみで再度災害発生を防止することが困難であるという判断は、その災害の態様といいますか、激甚であるとか広範囲に被災しているとか、そういったような態様によりまして判断をするわけでございます。  今回も、島根県並びに広島県からそれぞれ市町村災害も含めまして改良復旧要望がたくさん出ているわけでございます。現在、原形復旧を超えて改良復旧ということにつきましては、単なる機能の拡大ということばかりではなくて、例えば災害の原因となっているところの障害物の除去、そのためには特定関連事業という制度もございます。また、改良復旧事業をやるについて、上下流に何か支障があるといったようなところにも、やはり災害関連対策特別事業といったような制度もございます。そういったものを含めまして、さらに施設災害関係なく一般災害ということになれば、一般災害が大きかったというようなことになりますといわゆる激特事業、そういったような制度を組み合わせながら積極的に再度災害防止に努めてまいりたいということでございます。
  125. 安藤巖

    安藤委員 今の改良復旧関係につきましては、先ほどいただいたのですが、島根県議会方々がおいでになって要望書を持参されました。この要望書の中にも「改良復旧の採択について」としっかり要望しておられるので、要望に沿うように御努力をお願いしたいと思います。  そのほか各種災害関連事業それから激特緊急事業等、これは前の委員の方の質疑にもありましたので、積極的に対応していただきたいということを要望しておきます。  それから、厚生省にお尋ねしたいのですが、応急仮設住宅関係です。  全壊になった場合、住めない状況になったという場合は応急仮設住宅の対象になるわけですが、半壊をした場合、半壊をしたけれども全く住める状態ではないというので、相当長期間にわたって避難しなければならぬという状況にある、現に私は浜田市でもそういう方にお会いをしてきたのですが、この半壊という場合の応急仮設住宅の対象になるかどうかという関係は、相当前向きに検討していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  126. 横田吉男

    ○横田説明員 御説明申し上げます。  応急仮設住宅が半壊の場合にもできるかということでございますが、応急仮設住宅を設置する場合は、通例滅失住宅を基準として設置いたしますので、通例はそのようなものは対象になっておりません。先生の御指摘になったような半壊のものにつきましては、普通応急修理という措置がございますので、そういった応急修理によりまして住めるようにして、そこで住むという措置がございます。  あと、実情に当たりまして全壊の認定の仕方があろうかと思いますけれども、そもそもそこに住めないようなものは全壊に近いのじゃないかというような実態に即した見方ができるならば、そういった方につきましては応急仮設住宅の道もあるということでございますので、私どもといたしまして、地元の実情を見ましてできる限り実態に即した対応をしてまいりたいと考えております。
  127. 安藤巖

    安藤委員 今お答えいただきましたように実態に即して、確かにどこで半壊か全壊かの線を引くかということは難しい話だと思うのですが、実態に即した対応をしていただきたい。要望しておきます。  それから、引き続いて応急仮設住宅の問題でございますが、今回の災害に当たりまして、広島県では応急仮設住宅を十九戸、そしてこれはバス、トイレつき。建坪九坪ですから約二十九・七平米。一般基準ですと、応急仮設住宅は規格では一戸当たり平均二十三・一平方メートル、そして共同便所であり、ふろはないということですが、広島県は今申し上げましたように応急仮設住宅をおつくりになったわけですね。そしてこの前委員派遣でお邪魔したときにいただいてきた要望書でありま すが、「救助法に基づく救助の特別基準の適用について格段の配慮を願いたい。」というようなこともきちっと書いてあります。  ですから、今の日本の住居の平均的な状況からすれば、幾ら災害復旧のための応急の仮設住宅だといっても、バス、トイレをつけるのは当然だろうと思います。それから、一般の規格の建坪では狭過ぎるということも御理解いただけるところだと思うのですが、こういうような状況に対してどういうふうに厚生省としては対応していただけるか、お伺いします。
  128. 横田吉男

    ○横田説明員 御説明申し上げます。  先生のお話にございましたように、広島加計町の場合、本来でございますと総滅失住宅が三十三世帯ということで九戸、それから標準面積につきましても、これは二人から三人世帯を標準といたしまして七坪というのが一般基準になっているところでございます。これにつきまして、私ども当該市町村の実情等を勘案いたしまして、設置戸数につきましても十九戸全部認めるような方向で検討しております。それから面積の点につきましては、当該地域の場合多人数世帯もかなりおりますことから、そういった多人数世帯につきまして特別の承認で面積を拡大する、それからふろ等の設置につきましてもできる限り地元の要望に添ったような形で認めるということで現在検討しております。
  129. 安藤巖

    安藤委員 しかるべく善処をお願いをいたしておきます。  ところで、次は建設省にお尋ねしたいと思うのですが、今回の場合、降水量の状況、それから避難のための情報の提供等について万遺漏がなかったかどうかという点につきましては、先ほど来同僚委員の方からもいろいろ御質問があったりしたわけですが、その点について具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  土石流の危険渓流というのがいろいろあって、そこで警戒あるいは避難のための基準というのをつくることになっておるわけですが、そしてこれは建設省の方から各都道府県に指導しておられるわけですが、今度人命被害なども出ました。これは私ども委員派遣で行きまして現地も見てまいったのですが、加計町の江河内谷川など今回の土石流発生した渓流のうち、今申し上げました警戒避難基準、これはつくられておったのかどうか、あるいは全部はつくられておらないとすれば、どの程度こういう避難基準というのが設定されておったのか、お伺いします。
  130. 松下忠洋

    ○松下説明員 土石流危険渓流周辺におきます警戒避難体制の問題でございますけれども、整備していくためには警戒避難を行うべき基準を設定することが重要であるわけでありまして、過去の土石流災害発生時の雨量であるとか研究機関の成果等を考慮して、原則として雨量によって設定するということで都道府県や市町村に対しても指導を行ってきているところでありまして、今後も引き続き強力に指導してまいりたいと考えております。広島県の場合でもこの災害直後に土石流発生監視装置を直ちにつけまして、これから避難体制の準備にかかるということの体制を整えつつあるというところでございます。
  131. 安藤巖

    安藤委員 ですから、その被害発生をした渓流で今申し上げましたような警戒避難の基準、これが設けられておったのかどうかということもお尋ねしているのです。
  132. 松下忠洋

    ○松下説明員 広島県として、警戒避難基準雨量を県内でいろいろ検討して、準備をしていたという段階だったと聞いております。
  133. 安藤巖

    安藤委員 準備をしておったという段階だとすれば、その基準はまだできていなかった。暫定基準というのを広島県当局としてはつくっておられたそうですが、それぞれの市町村が、それぞれの市町村のテリトリーの中の渓流について、そういう警戒避難基準というのはつくっておられないようですね。  その点について、これは先ほどお話がありましたように、原則として雨量を基準にしておつくりになるということなんですが、先ほどいろいろ指導しているというふうにおっしゃったのですが、もともとこれは既に昭和五十九年六月二十日に通達が出されておるわけです。「土石流危険渓流周辺における警戒避難体制の整備等について」、それから五十九年の同じ日付で「土石流危険渓流周辺における警戒避難基準の設定について」というふうに指示はしておられるのです。ところが、指示の出しっ放しになっているのではないかということを危惧するのです。  これは、昭和六十二年九月の総務庁行政監察局の「防災対策に関する行政監察結果報告書 土砂災害中心として」という勧告が出ておるわけなんです。この勧告には、「警戒避難基準の策定」、全部は申し上げませんが関係のところだけ申し上げると、「現在、建設省が進めている土石流危険渓流における「警報の発令と避難の指示のための降雨量設定指針」に基いて警戒避難基準を早期に策定することにつき、都道府県に対し、引き続き指導すること。」という行監の勧告が出ているわけです。だから、それ以後この勧告に基づいてきちっとした指導をしておられるべきであったと思うのですが、そういう指導はなされておったんですか。
  134. 松下忠洋

    ○松下説明員 土石流災害を防止するための警戒避難体制の整備ということでございますけれども、昭和五十二年に、建設省の河川審議会というのがございますけれども、そこで総合的な治水対策の推進とか、そういうことの方策が中間答申で出されまして、そうしてハードな対策工事に加えて、やはり現地で表示するとか、それから避難をするというような体制を整えていくべきであろうということが出てまいりまして、それから土砂災害に関する面、特に土石流に対しても省内で土石流技術検討会というようなものをつくって検討してまいってきたわけでありまして、そういう成果を踏まえて、昭和五十九年でございますけれども、ただいま先生のおっしゃいましたそういった整備要綱等についての指針の案でございますけれども、全国に出しまして指導してまいってきたわけでありまして、それを毎年私どもは機会あるごとに、そういうことが趣旨徹底するように、現地の方にも徹底するような指導はしてまいりました。また、毎年六月には土砂災害防止月間というのを、これはもう五年目でございますけれども設定いたしまして、あわせて住民の方々の防災思想を啓蒙するということを、建設省だけでなくて、関係機関も合わせたキャンペーンというものも含めて我々としてはやってきてまいっておるわけであります。
  135. 安藤巖

    安藤委員 ところが、先ほどおっしゃったように、広島県の場合準備中であったというお話ですから、もっとこれは強力に指導していただく必要がある。なぜ私がそういうことを強調するかといいますと、長官もよう聞いておいてくださいよ。今回の広島県の加計町の場合、加計町からいただいた要望書の中に、河川情報センターから受けた「加計観測所の毎時間雨量」というのがあるわけです。七月の二十一日午前二時、累加雨量百四十九ミリ、三時二百七ミリ、こうなっておるのです。そして同じこの資料によりますと、二時三十分に一部地域に避難命令、三時五分に町内全域の危険地域に避難勧告、こうなっておるわけですね。ですから、三時五分に避難勧告ですが、先ほど申し上げました時間雨量関係からすると、これはもう相当短時間にわっと降ったわけですから、三時に二百七ミリ、だから二時半から三時の間、これはもう二百ミリ近い状況にあったというふうに見ていいと思うのです。  そこで、私は加計町当局の避難命令が遅かったということを申し上げておるわけじゃないのです。こういう避難基準というのがちゃんとあったら、もう二時半の段階あるいは二時少し過ぎた段階で全町内に対して避難命令が出ておったのではないかということを思って申し上げるわけなんですが、これは建設省の土木研究所砂防砂防研究室の土木研究所資料にあるのですが、これはいろいろ全国の基準雨量を設定し、それから運用している、どういう状況にあるかということをアン ケート調査をして、そして得たのですが、避難基準雨量は全国平均で百六十ミリだ、それから大体百ミリから二百ミリに全体の三分の二が含まれているということにアンケート調査でなっておるのです。基準値は九州の方では高く、過半数が二百ミリ以上となっておるという説明もあるのですが、全国平均で百六十ミリ。  これを見ても、先ほど言いましたような加計町の二十一日の午前二時百四十九ミリ、三時二百七ミリ。だから三時、二時半ごろには、こういう基準というのが大体百六十ミリ平均だとすれば、設定されておれば、その段階でもう既に避難命令あるいは避難勧告が出ておったのじゃないか。そうすれば、家は動きませんからつぶされるのはやむを得ぬですけれども、少なくとも人命被害というのはほとんど防ぎ得たのじゃないか、こういうふうに思うものですから、先ほどの行監の勧告にもありますように強力に指導して、早急に、できればこれは各渓流ごとにそれぞれ状況が違いますからこの警戒避難基準というのを設定するように御努力をお願いしたい、強く要望しておきます。  そこで、これは時間がありませんから私の方から先に言いますが、これは長官にお尋ねしたいのですが、いろいろ警報があります。大雨洪水警報、高潮警報、波浪警報等々、浸水警報というのもあります。そこで、今度の加計町の場合で言いますと、太田川の増水が危険だ、前に被害に遭っていますからそちらの方を一生懸命警戒しておったところが、後ろの方から土砂崩れにやられた、こういう状況なんです。だからこの警報、これは気象業務法施行令でどういう種類の警報を出すかというふうになっておるようですが、私はこの際土石流警報というのを一遍考えた方がいいのじゃないかなという気がするのですが、この点いかがですか。
  136. 内海英男

    ○内海国務大臣 先生御指摘の御提案の点はよく私どもも理解をいたしております。ただ、具体的なことでございますので、局長の方から答えさせていただきます。
  137. 三木克彦

    三木政府委員 ことしの三月に中央防災会議において土砂災害対策推進要綱を決定しておりますが、その中で「気象注意報・警報等の内容の充実、活用」ということが一つの大きな項目になっておるわけでございます。先生御提案の土石流警報といったようなものは大変重要なことだと思いますが、具体的にどういう手法でどういう場合にやるかということについてはなお研究を要するものと思われますので、前向きに取り組んでいくべきであると考えております。  それから、先ほどお話しの予警報体制を整備するための基準でございますが、これにつきましても中央防災会議の決定で、同じように「地域の特性を考慮した警戒又は避難を行うべき基準の設定」を推進するということでございますので、要綱の趣旨にのっとりまして、前向きに検討していくべきものと考えております。
  138. 安藤巖

    安藤委員 事務的な考え方の範囲を超えて国土庁長官としての政治家としてのお立場から、今防災局長は前向きにというふうにおっしゃったんですが、これは長官も同じだと思いますので、これはそういう災害を事前にキャッチして、そしてそれをこういう災害が起こるのだということをやはり住民に知らせる必要があります。そういう意味からお伺いしておるわけでありますので、まさにお言葉どおり前向きに検討していただくよう要望しておきます。  そこで、気象庁にお尋ねしたいのですが、今度の場合これは広島県の関係ですが、広島県の北部に測候所がない。それで測候所をつくってほしいという国会請願があったのです。しかしこれは不採択になってしまっておるのですが、事ほどさようにそういう要望が非常に強いのです。前には加計町に通報所というのがあったのです。それは廃止されて、ないのです。だからやはり広島の県北部にひとつ測候所をつくっていただく必要があるのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  139. 原田朗

    ○原田説明員 お答え申し上げます。  広島県の北部に測候所をつくっていただけないかという先生のお話でございますが、広島県の地域における気象等の観測体制でございますが、これはまず静止気象衛星、それから気象レーダー観測網、それから地域気象観測網、これはテレビ、ラジオ等ではアメダスとも申しておりますが、これらの観測施設等によりまして、県内全域にわたりまして気象状況の常時監視体制がとられております。それから、やはり広島県の地域における予警報、予報それから注意報、警報でございますが、これらの気象情報のサービスにつきましても、豊富な資料を持っております広島地方気象台におきまして十分対応が可能であろう、こう思っております。したがいまして、新たに広島県北部に測候所を設けることは考えておりません。
  140. 安藤巖

    安藤委員 非常に冷たい答弁でありました。アメダスがある、それから衛星でやっておるのだとあれこれおっしゃるのですが、そんなの全部言っちまったら、気象台も何も要らぬことになってしまうのではないかという気がするのですね。だから、やはり広島県北部、この辺に測候所がないという点について住民の人たちは非常に不安に思っているわけですから、冷たいことを今おっしゃったのですが、状況の変化によって幾らでもこれは変えることができるわけですから、冷たい一点張りではなくて、温かい方向でもう一遍検討していただきたい。要望しておきます。  それから、いろいろそういう雨量等の情報があったときに、多くの気象台は同時送画装置でアメダスの図面なんかも含めて必要関係機関へ同時に送ることができる。ところが松江の気象台、ここには、ほかにもないところがあるそうですが、同時送画装置というのがないもので、一つ送って、また次へ送って、また次へ送って、こういうことをやっておられるようです。だからそれを早期に設置し、ほかのところもないところはやはり早期に設置をする必要があると思うのですが、この点はいかがですか。
  141. 原田朗

    ○原田説明員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃいますのは、同時に図面が放送できる装置ということではないかと思いますが、従来我々は音声による予報、警報の一斉伝達装置というものをもって運営してきておりましたが、近年、社会が情報化社会になってまいりましたので、一斉伝達装置のファクシミリ化を現在年次計画を立てて設置することを進めている段階でございます。
  142. 安藤巖

    安藤委員 いや、そのファクシミリ化はいいのですが、それが同時送画装置を設置することになるんですか、ストレートに答えてください。
  143. 原田朗

    ○原田説明員 お答え申し上げます。  ファクシミリ化は、予警報の一斉伝達装置のファクシミリ化でございます。
  144. 安藤巖

    安藤委員 せいぜい努力していただきたいと思います。  そこで、最後にお尋ねをしておきたいのですが、これは委員派遣のときにも広島県の知事さんにお尋ねしたことがあるのですが、特に中国山脈は花崗岩がしっかり中にあって、今その風化がされておって、あそこの山の土、表土だろうと思うのですが、マサ土といいまして、非常にざらざらっとしたもろい土に覆われているという状況です。  今度の雨でああいうような土砂崩れが起こった問題について、これは中国新聞の記事なんですが、上空から見た写真も載せて、「上空から見ると、天然林を皆伐した後の杉、ヒノキの植林地の谷筋に沿って、赤茶けた風化花こう岩質(マサ土)の地肌を削りとるように土石流発生」しておる、こういう指摘があるのですね。  それから、これはやはり新聞に載っておった記事ですが、広島大学の総合科学部の環境生態学専門の中根周歩先生が実際に現地を歩いて指摘をしておられるのですけれども、こういうことなんですね。これは先ほど言いました江河内地区の話ですが、「集落からはるか二キロ余りも山奥の正教山東側の「殿畑山」植林地から流れ出していた。」「ところが同じ正教山でも、ミズナラやクヌギな どの広葉樹が多い西隣の谷では、ほぼ同じような地形なのに、土石流は起きていない。」こういう指摘ですね。そして、「江河内地区上流の植林地では、谷に流れ込むピーク水量は、「今回のような集中豪雨の場合、広葉樹林の五、六倍に達しただろう」」という指摘。それから、人工林で「土砂をつなぎとめる力が極めて弱い。加えて杉、ヒノキの間伐があまり進んでいなかったことが、土砂の流出に拍車を掛けた。」間伐をしっかりやって、木を大事にして根を張るようにするということ、山の手入れがしっかりしていなかったのではないかという指摘があるのです。  だからこういう点について、そういうような土質であるだけに余計この辺のところは考えてやっていただく必要があると思うのですが、この点はどういうふうに今考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  145. 田中正則

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  今回の集中豪雨によりまして相当程度の土石流等が林地等で発生いたしておりますが、これは局地的に集中して記録的な豪雨があったためというふうに考えてございます。ただ、林地の崩壊は一般的に申しまして、天然林あるいは人工林、植栽された樹種の差ということも一部ございますけれども、むしろその林分全体を被覆しております植生の状況でありますとか地形、地質、降雨量等が複雑に絡み合って発生しているものというふうに考えてございます。しかしながら、先生御指摘のように保水力の強い森林を造成すること自身は森林の防災上大変重要なことでございますので、森林の造成、整備に当たりましてはその地域地域あるいは立地条件に応じた造林方法なり樹種選定といったものを進めておりますし、また必要な保育、間伐等につきましてもできる限り実施しているところであります。したがいまして、今後につきましても御指摘の間伐の推進を初め、複層林の導入でありますとか広葉樹の導入を心がけまして、きめ細かな森林施業をいたし、災害にも強い森林を造成してまいりたいと思っております。
  146. 安藤巖

    安藤委員 最後に、これは別な話ですが、災害遺児の問題についてお尋ねしたいと思います。  この関係につきまして、これは国土庁長官にお答えいただければいいのですが、ことしの二月十七日、予算委員会で竹下総理が答弁しておられるのです。災害遺児の育英基金の問題ですが、「間に合うように財源も含めて今内政審議室が中心で鋭意検討をしておるということを申し上げておきます。」そして同じくことしの三月二十四日、これは私どもの藤田スミ委員質問に対して奥野前国土庁長官は、「防災を担当している国土庁でございますので、機会がございますればそのような立場で」これは閣議の中でも物を言っていきたいということを言っておられる。それから、これはことしの四月二十二日、決算委員会、小渕官房長官。いろいろやっておるけれども、ほかの問題との比較論でなかなかうまくいかぬ、「しかしどこかでこれを断ち切らなければならないということになりますと、やはり政治的な判断といいますか決断といいますかそういうものが必要になってくるのではないか、」こうおっしゃっておるのですね。  だから、きょうは内政審議室の方からも来ていただいておるのですが、時間もありませんので、長官に政治的な決断をしていただくときにもうそろそろ来ていると私は思うのです。いろいろ内政審議室に御努力をいただいているということは聞いておりますが、まずこの省庁がこの基金のお金を支出するのに一番ふさわしいなと思うところ、一つか二つでもいいですが、そこから出してもらうように強力な政治的な指導をしていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、そのことをお尋ねします。
  147. 内海英男

    ○内海国務大臣 先生お尋ねの災害遺児育英制度につきましては、かねてから内閣全体の問題といたしまして対応してまいっておりまして、特に御指摘の内政審議室が中心になってこれを鋭意検討してまいってきております。  国土庁といたしましては、自然の災害の防災対策を担当するという役所の立場からいたしまして、早急にこの問題の結論が得られるように努力していかなければならない、こういう決意を持っておるわけでございます。したがいまして、関係省庁にもお願いをいたしまして、この推進をさらに図って早急に解決が得られるように全力を挙げてみたいと思います。
  148. 安藤巖

    安藤委員 残り時間を児玉委員にしていただきますので、よろしく。
  149. 笹山登生

    笹山委員長代理 児玉健次君。
  150. 児玉健次

    児玉委員 八月二十五日、二十六日、北海道で非常に激しい雨がありました。既に政府としては留萌市、沼田町、北竜町については災害救助法を適用してくださっているわけですが、空知支庁の沼田町の場合に、二十六日正午までに四百二十五ミリという降雨量でした。昭和五十六年の八月初旬に北海道では非常に甚大な水害がありましたが、今度は地域的にそれを上回るものがあります。一昨日、昨日、私そこに参りまして、きょう早速この委員会質問させていただくことを委員長初め同僚の委員が了解してくださったことを感謝いたします。  まず第一の質問、農水省にいたします。沼田町で私が町長や助役から伺ったところによれば、今農作物農地被害を懸命になって調査中ですが、判明している段階で農作物被害が約九億、農地被害を含めて二十億を上回る、調べれば調べるほどもっとふえていくだろう。北竜町も被害の甚大さという点ではほぼ同様です。私が会った農家の皆さん方は、激甚災指定に一縷の望みをかけております。農水省にこの点で積極的な検討を求めたいと思うのですが、いかがですか。
  151. 武田昭

    ○武田説明員 現在私どもも被害状況を鋭意調査中でございますけれども、今お話にもございましたが、道からの報告によりますと、八月三十日現在で農地農業用施設等で約十九億円、林地荒廃等で約十八億円などの被害報告されてございます。私ども農林水産省といたしましては、被害状況の的確な把握に努めまして、被害の状況に応じて農地、林地等にかかわる災害復旧事業、災害補償制度、災害金融制度を有効に活用しまして災害対策に適切に対処してまいりたいと考えております。
  152. 児玉健次

    児玉委員 次に国土庁にお尋ねしますが、留萌市というところがございます。そこは留萌支庁というところの中心の都市ですが、今度の北海道の集中豪雨で商店街が浸水する、倉庫等が水浸しで本当にひどい状態。激甚災指定について、八月二十五、二十六日の被害地域全体についてどのようにこの後検討を進めていただけるか、そのことを伺います。
  153. 三木克彦

    三木政府委員 今回の北海道の豪雨被害状況につきましては、現在関係省庁におきまして調査を始めたところでございます。現時点までに把握しております被害は、人的被害は生じなかったが、住家の床上、床下浸水合わせて約六千棟の被害報告されているところでございます。その他の点につきましてはまだ明確でございませんが、今後被害額等の調査を急ぎまして、激甚災害指定基準に照らしてこれに該当するかどうか、適切に判断をいたしたいと考えております。
  154. 児玉健次

    児玉委員 今私がちょっと紹介しました留萌という町は、七月末現在で人口三万四千七十七人、一万二千八百七十九世帯。この町で、両日の集中豪雨によって床上浸水が二千七百七世帯、七千四百三十五人、床下浸水が千二百四十三世帯、三千八百六十二人、非常に高率で水の被害を受けました。  建設省に伺いたいのですが、留萌川という一級河川があります。流域は狭く、そして河川の延長も短い。どしゃ降りがまとまって来たら水があっという間に出てきて、それが留萌市に突入したというのが今回の状況です。  私たちが承知しておるところでは、この留萌川の治水計画は、二日間の降雨量二百五十一ミリ、これを計画降雨量にして作業を進めていらっしゃいますが、今回の二日間の降雨量は三百二十六ミリに達しています。計画の見直しが必要ではないかと思うのが一つです。二つ目は、災害復旧のた めの重点的な工事を含めて治水工事の早期完工、そのことによって市民の不安を取り除く必要が緊急にあると思います。  この点で建設省に、関連して北海道開発庁にも同様のことについてお答えいただきたいと思います。
  155. 齋藤尚久

    ○齋藤説明員 御説明申し上げます。  現在までに得られました情報によりますと、今回の降雨は留萌川の流域で観測史上最高であったというふうに聞いております。また、留萌川につきましては計画高水位を超えた出水になったというふうに聞いております。  なお、今後計画を見直すかどうかにつきましては、雨量あるいは流量等の資料を詳細に調査し、さらには被災状況等も検討しながらどうするか判断していきたいというふうに考えております。  それから、次の当面の措置でございます。  市民の方々は非常に不安であろうと思いますが、それを取り除くためには、第一に、被災した箇所の災害復旧を早期にやるということが重要であろうと思っております。既に昨日留萌川の二カ所につきまして緊急災を決定しております。既に工事をやっております。さらに直轄の災害につきましても、早い時期に調査をいたしまして早期復旧に努めたいと考えております。  以上です。
  156. 井上喬之

    井上説明員 ただいま建設省の方でお答えがありましたように、現在開発局を初めとしまして詳細な調査検討を行っておるところでございますが、今後とも建設省とよく連絡をとりながら適切に対応してまいりたいと思っております。また、今後の事業につきましては、これも建設省とよく相談をしながら災害復旧を取り急ぐなど、全力を挙げて対応していきたいというぐあいに北海道開発庁としては考えております。
  157. 児玉健次

    児玉委員 それでは、時間も来ましたから、最後に一つお尋ねします。  石狩川水系の昭和五十六年八月の出水を一つのデータとして、建設省、北海道開発庁としては工事実施計画を策定されて、その一部については既に着手されております。さまざまな豪雨の形態が考えられますが、今回のように一部の地域に四百ミリを超す集中豪雨が、二日といいますけれども、実際には十二時間前後で入ってくる、そういったことを考えて、そして今度の被害の中で雨竜川などを含めた局地の被害が非常に深刻である石狩川水系の工事実施計画を見直すことが、後日に禍根を残さぬために今緊急に必要ではないか、そのように思いますので、この点建設省に伺って、質問を終わりたいと思います。
  158. 岩井國臣

    ○岩井説明員 石狩川水系の工事実施基本計画につきましては、昭和五十年八月出水、それと先生御指摘の昭和五十六年八月出水を契機といたしまして計画の検討を行い、五十七年の三月に現在の計画を決定したものでございます。  今回の洪水につきましては、石狩川本川では昭和五十年八月出水及び五十六年八月出水の規模より小さかったわけでございますけれども、雨竜川ではそれらの規模を超えた模様でございます。しかし、雨竜川の今回の出水が計画の規模を超えたかどうかにつきましては、現在調査中でございます。したがいまして、まずは雨量、水位、流量等水門データの収集、整理を急いで行うこととしたいと思っております。計画の見直しの必要性につきましてはその時点で判断してまいりたい、こういうふうに考えております。
  159. 児玉健次

    児玉委員 終わります。
  160. 笹山登生

    笹山委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十二分散会