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1988-09-08 第113回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年九月八日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 近江巳記夫君    理事 粟屋 敏信君 理事 加藤 卓二君    理事 片岡 武司君 理事 亀井 善之君    理事 柳沢 伯夫君 理事 関山 信之君    理事 正木 良明君 理事 伊藤 英成君       岡島 正之君    川崎 二郎君       北川 石松君    左藤  恵君       佐藤 静雄君    山村新治郎君       緒方 克陽君    永井 孝信君       新井 彬之君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         警察庁交通局長 内田 文夫君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       加美山利弘君         法務省刑事局長 根來 泰周君         運輸大臣官房審         議官      金田 好生君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省地域交通         局長      阿部 雅昭君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      清水 達夫君         運輸省港湾局長 奥山 文雄君         運輸省航空局長 林  淳司君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君         海上保安庁長官 山田 隆英君         建設省道路局長 三谷  浩君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     守屋 武昌君         防衛庁教育訓練         局訓練課長   柳澤 協二君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       山本  晃君         水産庁振興部沿         岸課長     本儀  隆君         建設省都市局公         園緑地課長   曾田ひさ嗣君         特別委員会第一         調査室長    諸岡 昭二君     ───────────── 委員の異動 八月十一日  辞任         補欠選任   玉置 一弥君     塚田 延充君 同日  辞任         補欠選任   塚田 延充君     玉置 一弥君     ───────────── 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(交通事故防止に関する緊急総合対策)  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 近江巳記夫

    近江委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、交通事故防止に関する緊急総合対策について政府から説明を聴取いたします。高鳥総務庁長官
  3. 高鳥修

    高鳥国務大臣 委員の皆様には、平素から交通安全対策推進につきまして格別の御理解と御協力をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  交通事故防止に関する緊急総合対策につきましては、八月二十二日交通対策本部におきましてお手元の資料のとおり決定し、翌二十三日閣議に報告をいたしました。  交通事故状況につきましては、本年に入ってから死者数増加が顕著となっておりまして、このまま推移した場合、年間の死者数が一万人を超えることにもなりかねないという憂慮すべき状況にございます。  このようなことから、当委員会におきましても去る五月、交通安全対策に関する御決議をいただいたところであります。  今回の対策は、このような状況を踏まえまして、当面、緊急に講ずべき施策について取りまとめたものでありまして、交通安全意識高揚高齢者交通安全対策二輪車事故防止対策シートベルト着用徹底道路交通環境整備及び交通指導取り締まり推進の六項目内容といたしております。  政府といたしましては、この決定に従い、今後とも関係省庁が緊密に連携して交通安全のための諸施策を鋭意推進していくことといたしております。委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願い申し上げる次第であります。  なお、対策内容につきましては、交通安全対策室長から説明をいたさせます。
  4. 近江巳記夫

  5. 加美山利弘

    加美山政府委員 交通事故防止に関する緊急総合対策について御説明いたします。  本決定は大きく分けて六項目対策で構成されております。  第一は、国民交通安全意識高揚であります。  その内容は、最近の交通事故の極めて厳しい状況について、国民の関心を高め、一人一人の交通安全意識高揚を図るため、  一 関係行政機関民間関係団体との密接な連携による広報啓発活動展開  二 重点を絞ったわかりやすい広報啓発活動展開  三 積極的な広報素材の提供  四 全国民的機運を盛り上げるため、報道機関協力要請 などの各施策推進することであります。特に、広報啓発活動内容につきましては、高齢者交通安全活動推進若者中心とした二輪車事故防止シートベルト着用徹底事業活動における安全運転推進などに重点を絞り、これを関係機関民間団体との緊密な連携のもとに推進するものであります。  第二は、高齢者交通安全対策の新たな展開であります。  その内容は、  一 高齢者交通安全キャンペーン実施  二 指導指針に基づく高齢者交通安全教育推進  三 機会をとらえての高齢運転者に対する運転適性診断推進 などの各施策を早急に推進することであります。特に、高齢者交通安全キャンペーン実施につきましては、新たに九月十一日から二十日までを高齢者交通安全旬間として実施する中で、各種行事街頭活動を集中的に行うものであります。また、以上に加えて、高齢者交通安全に関する総合的な対策を早急に策定することとしております。  第三は、若者中心とした二輪車事故防止対策の一層の推進であります。  その内容は、  一 運転者組織を通じるなどしての広報啓発活動強化  二 二輪車交通安全教育の充実とその推進  三 未組織輸車運転者組織化指導者の育成 などの各施策推進することであります。また、以上に加えて、二輪車事故防止のための総合的な対策の策定について早急に検討を進めることとしております。  第四は、シートベルト着用徹底であります。  その内容は、シートベルト着用効果に対する理解を深め、正しい着用の一層の徹底を図るため、広報啓発活動を強力に推進するとともに、非着用者に対する街頭指導強化を図ることであります。  第五は、安全な道路交通環境整備であります。  その内容は、現在実施中の第四次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画及び第四次地方単独交通安全施設等整備事業五カ年計画による事業をその達成に向けて着実に実施していくこととし、さらに、道路の新設、改築において歩道の設置等道路交通環境整備を積極的に推進することであります。  第六は、交通指導取り締まり効果的な推進であります。  その内容は、最近の事故発生状況を踏まえつつ、重大事故に直結する悪質、危険な違反などの取り締まり推進するとともに、交差点等における街頭保護活動効果的に実施することであります。  以上、簡単ですが、説明を終わります。
  6. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  7. 近江巳記夫

    近江委員長 これより質疑に入りす。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤卓二君。
  8. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 自由民主党の加藤卓二でございますが、交通事故防止に関する緊急総合対策について質問をさせていただきます。  昭和六十一年度に始まった第四次交通安全基本計画によれば、交通事故死亡者数を八千人以下に抑えようという目標を持っておりましたが、依然として死亡者の数は九千人を超えており、六十二年度において九千三百四十七人となり、本年は前年に比べて一〇%以上も増加して推移しておる現状であり、本年は恐らく一万人を超えるのではないかと予想されるようになりました。この時期に際して、当委員会交通安全対策に関する件を決議し、また、政府交通事故防止に関する緊急総合対策決定し、実行されることは、まことに時宜を得たものと考えます。  しかし、これらを実行するには種々の対策を講ずる必要があり、予算措置を伴うものも考えられますが、どのような措置が講ぜられておるか。例えば、一般会計における予備費使用、それから交通安全施設等整備事業五カ年計画における調整費都道府県公安委員会の分が二百億円、道路管理者分が二千億円、これらの使用も可能と考えております。また、この非常な事態ともいえる交通事故増加に対応するため勇断を持って対処する必要があると考えますが、この緊急対策によりどの程度交通事故が減らせるか、予算措置をどういうふうにするか、当局の見解を伺いたいと思います。各省庁にわたると思いますので、担当者お答えをお願いいたしたいと思います。
  9. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  交通事故死者数が一万人を超えることにもなりかねないというまことに憂慮すべき状況にかんがみ、当庁としましては、当面、交通事故防止に関する緊急総合対策についてを各省庁及び地方公共団体が一体となって実施していくことが最も重要と考えておるところでございます。  その対策のうち、大きな項目である1 国民交通安全意識高揚 及び 5 安全な道路交通環境整備に係る昭和六十四年度概算要求額については、次のとおりでございます。国民交通安全意識高揚につきましては六十四年度概算要求一億八千七百万円、安全な道路交通環境整備につきましては六十四年度概算要求一兆一千二百七十九億円でございます。なお、六十四年度概算要求における特定交通安全施設について事業費ベースで見ますと、公安委員会分二百四十四億円、これは対前年比二四・五%の増でございます。道路管理者分二千二百三十二億円、これは〇・一%の増となっております。その他、2 高齢者交通安全対策の新たな展開 3 若者中心とした二輪車事故防止対策の一層の推進 4 シートベルト着用徹底 及び 6 交通指導取締り効果的な推進 につきましては、昭和六十四年度総額一兆二千六百六十二億円に及ぶ陸上交通安全対策関係予算概算要求額を確保する中で、その推進に最大限努めてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  10. 内田文夫

    内田(文)政府委員 最近の交通死亡事故増加に対処するためには、安全施設整備等その他各種施策推進していくということが重要なことであるわけですが、その中でも特に安全施設整備重要性というものを強く認識をいたしているわけでございまして、来年度におきましても今年度の二四・五%増の百二十二億円、これは補助金ベースでございます、の予算を現在要求をいたしているところでございます。そのほかの各種施策を積極的に推進いたしまして、少しでも死亡事故の抑止に最善の努力をしてまいりたい、こう思っております。
  11. 三谷浩

    三谷政府委員 お答えいたします。  最近の交通事故発生状況にかんがみまして、また先ほどの交通事故防止に関する緊急総合対策についての決定、これらを踏まえまして昭和六十四年度概算要求におきましては、特定交通安全施設等整備事業重点的実施を図るために、事業費二千二百三十二億円の要求を行いまして交通安全施設等整備を行いたいというふうに考えております、またこれに加えまして、昭和六十三年度から第十次道路整備五カ年計画を発足させておりますが、地方道路整備臨時交付金によりまして、交通安全対策実施したいというふうに考えております。なお、昭和六十四年度概算要求額は五百十三億円でございます。このほか、交通環境改善に資します道路改築事業等についても積極的に行いまして、交通安全対策に資したいというふうに考えております。
  12. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 大都市における道路交通円滑化対策について御質問したいと思います。  大都市における交通渋滞を解消するため、本年四月十五日の閣議においてその対策推進する発言がなされて、六月十五日には大都市における交通円滑化対策に関する懇談会が発足し、その後数回懇談会が開かれて、種々検討されているようでありますが、例えば、車のナンバーの奇数、偶数により都心乗り入れの車の数を半分に減らすとか、あるいは都心乗り入れの車の有料化等検討されているようでありますが、どのような過程になっておるか、お伺いしたいと思います。  また、他の検討項目を見ると、道路工事方法適正化として夜間工事を集中して行う等も検討されておりますが、この点に関してはどのようになっているか、お考えをお尋ねしたい。都心の駅または高速道路等は大変難しい面もあると思うわけですが、特別な工事方法をお考えになっておられるのかどうか。  また、踏切立体交差推進についても検討課題となっており、これは昭和六十一年二月十二日の交通対策本部決定によりその促進が図られておりますが、これが完全に実施されますとかなりの円滑化効果が期待されると思いますが、踏切連続立体交差化単独立体交差化等計画がどのように進んでおるか、その状況について説明願いたい。  また、いま一つ、これらの工事施行に伴って狭い道路ダンプカーが通ったりなんかする工事、これは自動車が大変頻繁に通行する等の安全対策上の問題がどうなっておるのか。地域住民の不安も大変大きいと思います。地域意見も十二分に聞いていただけるかどうか。  具体的に申し上げますと、豊島区の池袋大変交通が渋滞する交差点がございます。これは埼京線乗り入れということで起きているわけですが、JR東日本埼京線明治通り立体交差化する新田堀踏切工事ということになっているわけでございます。これは大変な交通渋滞で、ぜひこれを解決したいという前向きの姿勢は大変評価されるものでございますが、この踏切をやる工事期間というのが大変長いように聞いております。五カ年または十年ぐらいかかるのじゃないかというような意見もあるようでございますが、その工事に伴って、立体交差にする場合に土砂の搬出があるわけで、残土搬出に関して池袋駅に一番近いところから出そうというのと、踏切のところから出すのと、大塚駅の国鉄の用地のあったところから残土を出そうということがございますが、非常に交通が煩雑な池袋周辺をダンプが通るということは不可能でございますので、こういうことに関してぜひ配慮してほしいという地元要請もあるように聞いております。また、このそばには公園があったりいろいろするわけでございますが、二十四時間態勢の駅周辺に対しての配慮をどんなふうに考えておられるか、お願いしたい。これはまた各省庁にまたがるようでございますが、各担当官の方、簡単で結構でございますが、一言お答えを願いたいと思います。
  13. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  大都市における道路交通円滑化対策につきましては、本年の四月十五日の閣議における御提案を受け、交通対策本部を構成する関係十七省庁検討を重ね、去る七月二十八日に決定を見たところでございます。その間、学識経験者方々から御意見をいただいたところでございますが、ナンバー制とか負担を求める制度は緊急的、臨時的なものであり、他のでき得る対策をまずやるべきであるというのが大方の御意見でございました。これらの点を踏まえまして、本決定におきましては、道路交通容量増大対策道路交通需要軽減対策を大きな柱といたしまして、また、ナンバー制などの総需要抑制策につきましては今後調査研究を進めることといたしているところでございます。  以上でございます。
  14. 三谷浩

    三谷政府委員 ただいまの御質問の中で建設省関係のものを順次お答えさせていただきます。  まず、道路工事改善方法について御質問がございました。  道路工事占用工事、こういうような車道の制限を行うような工事につきましては、例えば東京二十三区でございますが、この直轄国道、それから主要な都道等、こういうものにつきましては既に夜間工事実施しております。それから交通が非常に増大いたします特定時期、例えば年末、年度末でございますが、今まで年末はいろいろ制限しておりましたけれども年度末も抑制することができないかどうか、こういうことにつきまして関係機関と今調整を行っております。中でも幹線道路でございます首都高速道路につきましては、交通量が比較的少なくなります夜間に集中的に行う、こういうことがまず第一だと思います。  それから二番目に、いわゆる音が出る作業の効率を高めまして、できるだけ作業時間を縮める。そういうことのために、例えば集中的な工事実施によりまして工事日数工事規制の回数を極力減らす。さらに、事前のPR等交通周辺に及ぼす影響をできるだけ小さくするような効率的な実施方法、こういうものの改善に努めているところでございます。  それから、次の御質問踏切立体交差化事業等につきまして概略を申し上げますと、まず踏切道立体交差につきましては、昭和六十一年二月に決定されました第四次踏切道事故防止総合対策によりまして、昭和六十一年度以降の五カ年間におきまして、連続立体事業約三百キロ、それから単独立体交差事業約三百カ所、こういうものの事業に着手することになっております。このうち連続立体交差事業につきましては、昭和六十二年度末までに二百六十三キロの事業に着手しておりまして、そのうち二十六キロ完成いたしまして、現在二百五十一キロの区間について事業実施中でございます。また単独立体交差事業につきましては、昭和六十二年度までに百五十四カ所について事業に着手をいたしまして、うち三十五カ所完成いたしまして、現在百三十カ所で事業実施中でございます。
  15. 丹羽晟

    丹羽政府委員 運輸省でございますが、私どもといたしましては、立体交差化工事などの施行に当たりましては、地元関係者に迷惑がかからないようにできる限りの努力をするように鉄道事業者指導しているところでございます。  それで、御指摘池袋の横の新田堀踏切立体交差化計画の話でございますが、これは御高承のとおり、東京都、豊島区、それからJR東日本、その三者で構成いたします協議会におきまして、六十三年三月に立体交差に関する基本的な合意に達しまして、現在、その事業内容などの計画具体的内容検討している段階でございます。  それで、今の残土搬出計画につきましては、立体交差方法が、山手貨物線がそこにございますが、それを掘り割り式にするということでございますので、掘削に伴う土が出ますので、その残土を処理する必要があるということから、今の三者協議会JR東日本から提案された方法が先ほど先生が御指摘になられた点でございます。それで、この提案につきまして豊島区が住民説明しましたところ、池袋付近住民方々から、御指摘のように繁華街ダンプカー通行などについて不安であるという声がございましたので、現在、これらの意見を考慮しまして、JR東日本会社住民に迷惑をおかけしない方法検討しているというふうに聞いております。  私どもといたしましては、最初に申し上げましたように、工事施行に当たりましては地元関係者に迷惑がかからないようにできる限りの努力をするようということでJR東日本指導しているところでございます。
  16. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 高速時代に備えての立体交差、これはぜひ推進していただきたい。私たちもその面で予算の獲得なんかも、あらゆる努力を議会を通じてやっていきたい、こう思っております。  これは交通事故対策の中で大変大事なことなのでございますが、関東近県、特に東京、大阪は大変事故が多いというふうになっておりますが、中でも神奈川、埼玉、千葉の通過県のところは大変事故が多うございます。これは私たちも本当に残念に思うわけでございますが、死亡事故、引き逃げ事故というか引いていかれっ放しという形になるので、これに関しては万全の処置をお願いしたいと思う。  また、特に道路標識なんかを見てみると、道路標識設置枚数及び本数は着実にふえてはおりますが、利用者のニーズに合って整備されているかどうかというと、なかなか難しいのじゃないか。交通円滑化及び交通事故防止を図るために、道路標識設置の際には正確な情報や指示が伝わるよう、地域状況を考慮して利用者意見を十二分に反映するよう、極めてきめの細かい配慮当局に足りないのじゃないか、こう思うわけでございます。そういうと、私の埼玉県になりますが、どうもよその県に比べて道路標識が少ないのじゃないか、完備されてないのじゃないかというような感じがせぬでもない。というのは、人口が急増しておる割にはいろいろな意味でそういうものがおくれているのじゃないか。そういうことで、交通信号機だとか標識だとかはぜひ万全を期していただきたいな、こう思うわけです。  これは各省庁にまたがると同時に、監督官庁建設省であり、それから自治体であるというような問題点があって、その辺の意思統一や何かかどうもなされてないという問題点もあると思います。この交通安全特別委員会でできない問題かもしれませんが、今後そういう問題を含めて標識設置の見直しをどうすべきかについて、ひとつお答えをお願いしたいと思います。
  17. 三谷浩

    三谷政府委員 お答えいたします。  道路標識には四種類ございまして、案内標識、それから警戒標識、これは私ども担当をしております。この案内標識がまだ十分ではないということの御指摘でございまして、確かに、規制標識等に比べますとその枚数等についてもまだまだ不十分であるというふうに考えております。この標識整備につきましては、先ほど来の交通安全施設等整備事業というもので整備をしております。  なお、例えば標識基準であるとか、あるいはわかりやすい、それから国際化に対応いたしましてローマ字を入れることとか、こういうものにつきましては、いろいろ専門家の間で議論をいたしまして、逐次そういう基準に直しつつあるところでございます。昭和六十一年度に発足をいたしました第四次交通安全施設等整備事業では、特に、わかりやすいという意味で、大型案内標識補助を創設いたしました。今後とも、利用者等意見を入れまして、見やすく、わかりやすい標識整備に努めるとともに、ローマ字併記によりまして国際化に対応した標識整備に努めてまいる所存でございます。
  18. 内田文夫

    内田(文)政府委員 警察関係規制標識等担当しておるわけでございますけれども、近年、交通量が何分にも量的に膨大化してきている、それから質的にも大変多様化してきているということでございまして、地域の実情に応じましたより一層細かいいろいろな規制というものが必要になってきているわけでございます。そうしますと、それに応じまして規制が多様化してくる、標識も年々ふえてくる、こういうことになるわけでございますが、何といいましても、標識効果を最大限に発揮するためにはドライバーにとってもわかりやすいものであるということが絶対必要でありまして、そういった観点から標識大型化とか可変化等について現在指導をいたしておるところでございまして、今後とも見やすく、わかりやすい標識設置努力してまいりたいと思っております。  それから、先生の御指摘があったわけでございますけれども標識信号機等の数の問題、これにつきましても歩行者、車両の運転者等意見要望等を参考にしながら、現場の道路状況交通状況等を総合的に検討いたしまして、必要に応じた整備を進めてまいりたいと思っております。
  19. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 いま一つ、最近駐輪場の問題が大きく取り上げられておりますが、駅周辺等に放置されておる自転車の数が非常に多くなっていることは大変問題になると思いますが、これは歩行者交通安全に対して大きな問題で、この自転車駐輪場の整備等に関して各自治体が大変お骨折りを願っておると思いますが、駅周辺の土地の高騰等によって駅周辺関係者が大変苦悩しておると思います。こういう問題に関しては公共施設であるところの都市公園、公園法の規制もあると思われますが、公園の敷地の地下等をぜひ有効に使っていただけるような問題点に関しても一言お答え願いたいと思うのですが、よろしくお願いします。
  20. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 お答えいたします。  都市公園は、都市における貴重なオープンスペースでございまして、その整備はまだ不十分な状況にあるわけでございます。そのような観点からいたしまして、都市公園内に公園施設以外の施設を設置することにつきましては、公園利用者の利便であるとか都市公園の機能が著しく損われないこと等の条件が満たされる場合に限りまして都市公園を占用して設置できることになっているところでございます。したがいまして、都市公園の地上部を占用いたしまして公園施設以外の自転車駐車場を設置するということは困難ではございますけれども、都市公園の地下を占用いたしまして公共の用に供する自転車駐車場を設置するということにつきましては、一定の条件、技術的条件でございますが、それさえ満たされれば設置することができるということになっているところでございます。
  21. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 もろもろの質問の中で大変前向きな御答弁をいただきましたが、先ほども申し上げましたように、交通事故死亡者数昭和五十七年以来六年連続で九千人を超えるという憂慮すべき事態であります。このような交通情勢のもと、交通安全施設整備に関する国民の要望は高まるばかりであり、事業費の確保等を含め交通安全施設等に関し、第四次整備五カ年計画の達成に向けて、道路管理者と公安委員会とが一体となった最大限の努力を必要とするところでございます。  そこで、現五カ年計画の安全実施に向けて、特に予算措置に万全を期していただくように当局にお願いするものでございますが、最後におまとめを総務庁長官にお願いしたいと思います。高鳥長官、よろしくお願いします。
  22. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員から御指摘がございましたように、最近の交通事故における特に死者数増加というのは極めて憂慮すべき状態にあります。最近やや率が下がってきたかなという感じでありますが、いずれにいたしましても一〇%を超えるというような状況でございますので、今年の累計死者数が一万人を突破するのではないかという、先ほど申し上げましたように極めて憂慮すべき事態にございます。これは一つには高齢化ということが交通事故死者数にかなり影響しておること、それからまた最近車の登録台数も顕著に増加いたしておりまして、車の総数がふえていっておるということも影響があると思います。さらにまた若者の暴走による事故、これらも非常に多うございます。  それら施設の整備のための予算の獲得につきましてはもちろん全力を挙げて取り組みまして、完全な消化を図るという努力をしてまいりたいと存じますが、ソフトの面でももっともっといろいろと工夫をしなければならない点が多いのではないか、このように思います。  当委員会における御意見等を十分踏まえまして、一生懸命対処してまいりたい、このように思っております。
  23. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 質問を終わります。
  24. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で加藤卓二君の質疑は終了いたしました。  次に、関山信之君。
  25. 関山信之

    ○関山委員 初めに、第一富士丸の衝突事故についてお伺いしたいと思います。  本委員会も先ごろ事故現場並びに海上保安庁の横須賀保安部など現場を拝見させていただいたわけでございます。とりわけ横須賀の海上保安部など大変狭い事務所で、そう申し上げては大変失礼でございますが、事故対策に当たっては本当に大変だったのだろうなという感じを深くいたしました。この間の御苦労に心から敬意を表しておきたいと存じます。  ところで、九月二日に海難審判の申し立てが行われまして一つの区切りがついたわけでございますが、いずれにいたしましても、原因究明の問題は専門家の処理にゆだねるほかはないわけでございます。最終的にはそういうことなのでありますけれども、遺族補償、再発防止、救助、通報体制の改善など、急がねばならない対策どもたくさんあるわけでございまして、特にこの間、事故発生以来国会でもいろいろと審議が重ねられておるわけでございますけれども、一方でマスコミによる大変膨大な情報があるにもかかわらず、国会の中では肝心のところがなかなかきちんと説明されないまま事態が推移しているという感じもいたします。マスコミ等に明らかにされる情報の中にはもちろん直接当該の関係官庁の皆さんの情報以外のものも含まれる独自の取材もあるのでしょうけれども、まずは一義的に国会の中で基礎的なデータをきちっと明らかにされておかなければならぬだろう。そんなこともございまして、きょうは余り時間もございませんし十分な議論をするということではないのですが、今後の議論の展開の前提をつくっておきたいというような意味もございまして、以下若干お伺いをしたいと思うのです。  まず第一に、海上保安庁の方の刑事訴訟にかかわる捜査は今どのような段階にあるのか、それから、新聞等によりますと九月中旬にも送検といったような見通しなども伝えられておるのですけれども、一体いつごろこの取りまとめが行われて手続が進められるのか、お伺いいたしたいと存じます。
  26. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 海上保安庁といたしましては、事件発生以来本件衝突事故の捜査につきまして、横須賀海上保安部を中心といたしまして捜査員百名以上を動員し、さらに、これまでに潜水艦「なだしお」艦長、遊漁船第一富士丸の船長を初めとする両艦船の乗組員また第一富士丸の乗客等の関係者から事情聴取を行いますとともに、両艦船の損傷状況等に関する検証であるとか、「なだしお」の運動性能等に関する洋上の実況見分等を実施しているところでございます。今後、引き続き関係者の事情聴取あるいは検証結果の分析等を行いまして、できる限り早い時期に、両艦船の衝突に至ります航跡の解明であるとか過失の有無の認定等原因解明のための作業を終えたいというふうに考えておるわけでございます。  細かい捜査の内容につきましては、現在まだ捜査中でございますので、現段階においては内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただいま先生からお話がございました新聞等にいろいろ報道されているということでございますが、私どもはまだその捜査内容の機微に触れることにつきましては一切新聞に対しては公表していないわけでございまして、今後結論が得られた段階で可能な範囲でこれを公表したいというふうに考えておる次第でございます。
  27. 関山信之

    ○関山委員 今の段階では送検の見通しなどは立てられないということですか。
  28. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 送検の見通しにつきましては、ただいまの段階ではっきりしたことは申し上げられないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、今後引き続きまして関係者の事情聴取であるとか検証の結果の分析等を行いまして、できるだけ早く行いたいということでございます。
  29. 関山信之

    ○関山委員 分析だとか過失の有無の認定というのは時間がかかるのはわかるのですけれども関係者の事情聴取はいつごろ終わるのですか。
  30. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 事情聴取につきましても、何度も同じ関係者を対象にして行うことがございます。前の供述と変わった場合については改めてまた供述をとる、あるいは実況見分等の結果得られた事実と突き合わせるような必要がある場合にはさらに改めてまた事情聴取を行うわけでございまして、事情聴取につきましてもその結論が得られるまで行うということでございます。
  31. 関山信之

    ○関山委員 見通しが立たぬということですね。  きょうはちょっと法務省の方からおいでいただいているのですが、海保の刑事訴訟と、それを受けての法務省の立場と海難審判の裁決との相互関係といいますか、法律的にどういうふうにかかわるという意味ではないのですけれども、従来の海難事故等におきましては、きょうは裁判所の方の立場で委員会にはおいでをいただいておりませんけれども、司法サイドも裁判所のサイドも特殊な海難事故というものについてはそれなりにこれを重要視するといったようなことを私どもも承知をいたしておるわけでございますけれども、その辺の関係につきまして法務省としてはどんなふうなお取り扱いになるのか、この際お尋ねをしておきたいと思います。
  32. 根來泰周

    根來政府委員 この海難事故につきまして検察庁としてはまだ送致を受けておりませんので、これは具体的に申し上げるわけにはいかぬわけでございますけれども、一般的に、海難審判庁の海難事故についての裁決で示された判断というのがございますが、これは司法裁判所を拘束するものではないということは最高裁判所の決定にあるわけでございます。しかしながら、明治以来、これは明治二十六年に逓信大臣と司法大臣が協議したようでございますし、その後国会の附帯決議等にもいろいろ御要請がございますけれども、海難審判は海事の専門家によるものでございますし、またそれが訴訟類似の手続によって行われるということでございまして、捜査段階ではこれを尊重する趣旨でまず海難審判の手続を先行させて、原則的にはその結果を待って刑事処分を行うということになっております。しかし、これはあくまでも原則でございますので、過失が明白な場合とか時効が切迫している場合とか、あるいは被疑者が外国人である場合、こういう場合は刑事処分が先行することがございます。したがいまして、今回の場合についてどういうふうにするかということはまだ決定しておるわけではございません。一般的にはそういうことでございます。
  33. 関山信之

    ○関山委員 いずれにしろ、海難審判の申し立てあるいは審判の過程というものをそれなりに重要視していくということだと受けとめておいてよろしゅうございますか。  それで、先ほど来長官からは相変わらずの御答弁で残念なんですけれども、申し立てによりますと、「なだしお」の初認の位置あるいは右転の時点、そして衝突の時点というようなことがほぼ明らかになってきておりますし、特に衝突のおそれのあるとされた時点は、連合審査会の中で我が党の吉原委員とのやりとりの中にございまして、いつがそのおそれのある時点であったかということの認定がこの問題の非常に大きなポイントであるというふうになっているわけでございます。この点についても申し立てはかなりはっきり書いてきているということだと思います。この二つの点ぐらいは、それはいろいろ捜査もあるでしょうし、原因究明その他についてはこれからさまざまな仕事を重ねていかなければならぬでしょうけれども、そのくらいの基礎的な事実については海上保安庁としてはどうなのか。これは冒頭に申し上げましたように、いろいろな対策、対応、改善措置等を考える場合に、こういうものが不確かだと具体的な議論の展開がなかなかしにくいわけです。  例えば、あなたがやはり連合でお話しになっていましたけれども、あのとき潜水艦が思い切って横切っちゃえばよかったじゃないか、ゆっくりすればいいじゃないかという二つの議論がある中で、あなたは、場合によってはスピードを上げて横切っちゃった方がいいというような答弁をされているわけです。このあたりも、今度の事故の事実関係に基づいて対応策がとられなければならないということになりますと、せめてそういう基礎的な事実を海上保安庁としてはどういうふうに把握しているかぐらいのことはおっしゃっていただけませんか。
  34. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 今、視認の時点、それから衝突のおそれがあると感じた時点、この二つの時点の御指摘があったわけでございますが、この点は、おっしゃいますとおり、確かに本件の捜査にとって非常に重要なポイントであることは申すまでもないことでございます。  確かに海難審判庁の申し立て書ではそれらについての事実認定的なことが発表されておりますけれども、海難審判庁の申し立てに記載された事実関係と私どもがただいま捜査をして一応把握しております点と、若干食い違いもございます。必ずしも完全には一致しておりません。そういう点、私どもとしてはまだ捜査をする必要もございまして、ただいまの時点でそれらのことについて明確なことをここで申し上げるということは、まず、必ずしも正確なことを申し上げられないということもございますし、それから、ある程度のことについて申し上げるということは今後の捜査に予断を与える、あるいは支障を及ぼすおそれがありますので、大変恐縮でございますけれども、再々申し上げておりますとおり、この段階では差し控えさせていただきたいということでございます。
  35. 関山信之

    ○関山委員 あなたのお立場もわかるのですけれども、今、ある意味では非常に重要な御発言とも受けとめられるのです。初認の位置、右転の位置、おそれのある時点、衝突位置、この中で非常に大きな食い違いがあるとすれば、これは原因究明の方が先ですが、そこに違いがあるとすれば、随分大きな違いが出てくる可能性もあるのです。  今非常に抽象的な伺い方しかできないのかもしれませんが、つまり、先々この問題の原因究明に向けて二つの答えが出るほどの可能性を持った数字の違いなんですか。
  36. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 今私は大きな違いということは申し上げた記憶がございませんけれども、必ずしも完全に一致するわけではないということをこの時点では申し上げられると思います。それがどれほどの意味を持つかは今後の調査の解明をまってでないと何とも申し上げられないということでございます。
  37. 関山信之

    ○関山委員 なおしつこく伺いますが、せめてこれだけはどうですか。  衝突のおそれがあるとされた時点は、二千五百九十メートルで初認をしていると言っています、それから一分後ですから、大体一分間に三百メートルちょっとぐらい進んだ時点になるのですが、私もきちっと計算していませんからあれですけれども、直線距離で二千メートルぐらいでしょうか。その辺を申し立ては「横切る場合において衝突するおそれがあったが、」つまり、海上衝突予防法の七条に定められたおそれのある時点と私どもはこれを読み取らなければいけないのですが、そこらのことについての認識はどうですか。せめてそこらぐらいははっきりさせてください。
  38. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 私どもとしては、今捜査中であるということで大変申し上げにくいのですが、その辺についてそう大きな隔たりはないという程度のことはこの段階で申し上げられるかと思います。
  39. 関山信之

    ○関山委員 しようがないでしょう。  次の問題は、編隊航行について防衛庁はそういう事実はないという答弁をされておりまして、そうなのかもしれません。ただ、事実関係としてあったかなかったかということのいわば判断の問題なんですけれども、海難審判の関係で言えば第二潜水隊群が指定関係人になったことの意味も含めて、ここらあたりは現在の調査の段階でどういう御認識をお持ちなんでしょうか。
  40. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 防衛庁の編隊行動といいますか艦隊行動といいますか、今回の場合、確かに展示訓練から帰ってきて、幾つかの船が相前後して浦賀水道航路を通り、さらに横須賀港へ入ったわけでございますけれども、防衛庁の今までの御説明でも必ずしもいわゆる艦隊行動ではない、事実上ある程度グループをつくって入ってきたわけですが、あくまでも行動の場合の規範というか航行のルールはそれぞれ一船ごとで決められている、艦隊行動として特別な行動ルールに基づいているものではないというふうに理解しております。
  41. 関山信之

    ○関山委員 今グループとしてとおっしゃいましたね。そういう認識でいらっしゃると受けとめておいてよろしゅうございますか。
  42. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 グループといいますか、展示訓練に何隻か出て、それが相次いで横須賀港へ戻ってきたことは事実だと思います。
  43. 関山信之

    ○関山委員 それからもう一つ、これから進められる原因究明の前提として私ども承知しておきたいと思うことなんですが、実は事故後、捜査の初動時に防衛庁が組織的に虚偽を述べたと見られるという読売新聞の横浜支局の署名入りの記事があるのです。これは署名入りの記事ですからそれなりの根拠、それなりの責任を持ってお書きになっていると思うのですが、この事実については、当初の段階から自衛隊のお立場についてはいろいろな議論もありましたけれども、改めてこういう事実があったのかなかったのか、海上保安庁サイドとしてはどういうふうに御理解になっていらっしゃるのか。右転の時点についての問題だとかあるいはエンジンの操作を記した当直員のメモについても山下艦長の供述どおりに改ざんの問題だとか、かなり具体的に指摘をしているのです。あったと言っているのじゃないのです。そういう疑いがあるという記事ですが、そういう疑いがあると見られるような事実関係についてはどういう御認識でいらっしゃいますか。
  44. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 この新聞報道を私も見まして、こういう事実がもし仮にあるとすれば、これは非常に大変なことだと思います。ただ、それについて捜査の担当の方にも聞いたわけですけれども、現在まで私どもとしてはその御指摘のような事実というものは承知しておりません。
  45. 関山信之

    ○関山委員 それでは、再発防止の問題についてですが、根本的、総合的な対策というのは、今後改めてこの委員会でも十分な議論をしながらしっかりと対応しておかなければならぬと思うのですが、当面急がなければならない問題について以下若干伺っておきたいと思うのです。  まず、浦賀水道の横断の問題についてなんですが、ちょっと時間がありませんのでまとめて伺いますけれども、一つは、横断船の実態把握はできているのか。これは民間船、自衛隊船、米軍も含めて横断船の実態把握ができているのかどうか。今まで私が承知している限りでは、委員会レベルでの議論の中では明らかにされていないような気もするものですから、その辺のところが一つ。それから、航行上の対応について、これはさっきもちょっと申し上げましたけれども、横断船の基本的な航行方法として、まずは速度を落とすというようなことの提言、あるいは南下船が続いてそれも困難だというときには北上して浦賀水道を通り抜けた後リターンをして南下をするということ、このことについては山田長官も横断を禁止することも検討というような新聞での御発言もあるのですね。あるいは今の自衛隊の集団航行の問題です。自衛隊の内部的なルールによる編隊航行と言うか言わないか別として、いずれにしろ、グループをつくって入ってくるという認識であれば、これに対する一定の単独航行をルール化するとか、それから艦隊、船団航行の際の海上交通安全センターへの通報の義務、これは自衛隊の場合は通報義務を課するようになったようですが、そういったようなことの当面の幾つかの対策関係者あるいは当該の海員組合の提言などにも見られるわけですけれども、この辺の、とりあえず横断問題についての緊急的な対応策というものをおまとめになる必要があるのじゃないか、お考えを伺いたと思いますし、同時に、今の自衛隊の海上交通安全センターへの通報義務問題にしても、これはやはり海上交通安全法による法律的な担保というようなことも必要だとも思うのですが、その辺のところも含めてお聞かせをいただきたい。
  46. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 まず、実態把握の問題について申し上げますと、確かに今まで浦賀水道航路を横断して横須賀港へ出入した実態については調べた統計はなかったわけでございますが、今回の事故にかんがみまして、ことしの八月に海上保安庁で初めて浦賀水道航路から横須賀港に出入する船舶の調査をいたしました。これは二日間にわたって行ったわけでございますが、その調査結果によりますと、二日間で三十九隻、うち十五隻が自衛艦であった。その三十九隻が浦賀水道から横須賀港へ航路を横断して入ったという実態を把握しております。  それから、その航路の横断の方法でございますけれども、横断の方法といたしましては、現在、海上交通安全法なり衝突予防法でルールが決まってあるわけでございまして、そのルールに従って航行がなされれば私どもとしては今回のような事故も基本的には避けられるというふうに考えておるわけでございます。  先生指摘のございました、例えば横断船が速力を落とすということでございますけれども、衝突のおそれがあるときには速力を落とすなりなんなりの航法をとるのは当然でありますし、また逆に、衝突のおそれがない、対向船がないような場合には、どっちかというと航路はなるべく速やかに横断しろということも一つのルールになっておりまして、一概に速力を落とすことだけが安全確保につながるというふうにも考えられないわけでございます。  それから、横断禁止につきましては、私は今正確には覚えておりませんけれども、横断禁止について検討するということを申し上げた記憶はちょっとないわけでございまして、現在まで私ども考えているところでは、今回の事故というものは、先ほども申し上げましたように、基本的には両船が海上交通ルールを遵守すれば避け得たというふうに考えておりまして、現在の航路の横断方法そのものについては特段緊急に改善すべき問題点があったとは考えておらないわけでございます。ただ、今後さらに、もちろん原因究明を行いまして、あるいは政府対策本部等において関係省庁とも協議いたしまして、より恒久的な対策を講じていく段階にそういうことが出てくる、それは可能性がないとは申し上げませんけれども、現在までの私どもの承知している限りでは、今回の事故にかんがみれば必ずしも横断方法について特段改善する必要はないのではないかというふうに考えております。  それから、自衛隊のセンターへの通報の義務づけでございますけれども、今回の事故を契機といたしまして自衛艦からセンターへの通報が行われることになったわけでございます。これはまだはっきりとした取り決めはつくっておりませんけれども、今後、自衛隊と調整をいたしまして、そのルールを明確化していきたいというふうに考えております。現在までのところ、自衛艦からは、東京湾につきましては、八月一日以降九月四日まで二百九十隻、そのうち潜水艦四十隻でございますが、それらの位置通報がなされておりまして、ごく一部の小型船を除いてほぼ全数が通報されているというふうに理解をしておるところでございます。
  47. 関山信之

    ○関山委員 時間が迫りましたので、あと二つの問題は、細かなところはいいのですが、大まかな方向だけを、これは運輸大臣からお答えをいただきたいと思うのです。  一つは、けさもちょっとテレビの報道などがありましたが、プレジャーボート、遊覧船の問題ですね。私どもが現地を視察いたしましたときも、浦賀水道の真ん中に、あれはどのくらいいたのでしょうか、二十隻、もっといたのかもしれません。これは本当に一つ間違えば大変な重大事故にもつながる要因に、今回も間接町にはイブ号の存在なども影響しているというふうに言われているのですが、やはり相当思い切った規制法的整備をやらなければいかぬのじゃないかという問題が一つです。  それからもう一つは、第三海堡の撤去について、大臣の御発言もあるのですけれども、これも改めて委員会の席で大まかな方向についての御方針を伺っておきたいと思います。
  48. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 第一のプレジャーボートの問題でございますけれども、私も同感をいたします。夜間、特に遊漁船があの航路の中で非常にたくさん漁をしておりまして、いわゆる専業の漁業者と違ってレジャーで釣りをしておる船が非常に多いのですけれども、これは眺めてわかります、大変危険だと思います。そういうものを含めて、世界で有数の混雑をしておる水路でございますから、やはり規制をするなりして安全を確保しなくてはならないのじゃないかと思います。  それから第三海堡でございますけれども、基本的には五十三年に開発保全航路に港湾法で指定いたしまして、ゆえに第三海堡を撤去しようとしましたが、あそこは格好の漁場でもありまして、というのは、あそこら辺まで来ますといろいろな大きな船が残飯をあそこで捨てる。あそこにそれが滞積して非常にプランクトンがわいていい漁場になっているのですけども、それより中へ入ってやりますと捕まるものですから、みんな大きな船があそこで物を捨てるのです。そういうことで、遊漁船を含めて格好の漁場になったわけですけれども、漁師の方々が漁業権を主張されて折り合いがつかずに、中止といいますか着手できずにおりますけれども、やはり最悪の事態も考えられることでありますから、今後できるだけ早急に撤去の着手をしたいと思います。  漁業権の問題はいろいろな形でこれから問題になっていくと思いますが、今行革審でも法制局長官を務められた林修三さんなどは世界で例を見ない実態だということで、これはやはり制限していくというのが時代の趨勢だと思いますし、また、漁業ということで東京湾を考えましても、あそこで民間を含めて原子力船なりあるいはタンカーの大事故が起これば東京湾全体の漁場が壊滅するわけでありますから、やはりそういうことも漁業者にも考えていただきたいと思うわけであります。  以前でありますけれども、プレジデントラインの大きな客船のある船長に聞きましたら、あそこに第一、第二、第三海堡を放置しておくということは、彼の言葉にすると、まことに野蛮で非常に非文明的なことだということを肩をすくめて言っておりましたが、全く同感でございます。本当に高速道路に大きな石が三つ放置されておると同じことでありまして、この図、ちょっと遠くでございますけれども、ここに第三、第二海堡があるわけでございます。これがもし撤去されましたならば、今の二車線が四車線になるわけでありまして、こういうことは漁業者の方々にも国民としての理解をいただいて速やかに措置すべき問題だと私は思っております。
  49. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。  それでは、衝突事故の方はこれで終わりますが、緊急対策関係で一点だけ気にかかることがございますのでお尋ねをしておきたいと思うのです。  先ほどの御質問の中にもありましたが明確なお答えもないのですけれども、第四次安全施設整備計画では、初めて調整費公安委員会分二百億、道路管理者分二千億というものを設けて、三年後の見直しというのを閣議了解にしたわけです。当初はこの問題の扱いはもう少し別な事情だったのかもしれませんが、たまたまこういう時期に緊急対策を打ち出すということになりますと、事の関係でどういう対応をするのかということをやはりどうしてもお伺いせざるを得ない。  そこで、一つは総務庁としてどういう指導性を持つのかという問題もあるのですが、予算的に言えば、結局道路管理者分あるいは公安委員会分、それぞれ当該の建設省、警察庁の一義的な方針というものをまず押さえてということになるようでございますので、それぞれ警察庁、道路局長にお尋ねをしたいと思うのです。  この緊急対策との対応でこれをどうお考えになるのか、それから第四次の事業内容の見直しというものがこの時期あるとすればどういう見直しがあるのか、あるいはその調整費の執行にどのような方針をお持ちになるのか。  それから、特に地方単独事業の進捗状況について私どもも数字をいただいておるわけなんでございますけれども、いずれも地方の場合は、警察庁の分は六十一年、六十二年までしか数字が出ておりませんし、道路管理者分は六十一年度と、これは技術的な集計の関係でこうならざるを得ないのだと思いますけれども、この辺、六十三年度末の達成率の見通しを、もし出るようでしたら特定事業との対比でお聞かせをいただけるとありがたいのですが、いずれにいたしましても、公安委員会の分でこの六十二年度で三二・一%、仮に五カ年計画を二〇%ずつやっていくという二カ年の達成率四〇%の比でいけば八〇・二五%という数字でございますし、道路管理者分の方になりますと一年間一三%、二〇%分の一三%ですからこれは六五%という数字のおくれが気になります。  それから同時に、特に公安委員会の分につきましては、前の委員会でも御議論申し上げましたが、第四次において特定、地単の区分の見直しが行われておりますわけで、この点は本当に各都道府県の公安委員会で単独事業事業の確保が行われるのか。マクロでは自治省あたりは交付税で措置するとか地方債で面倒見てますよと言うのですが、各都道府県へ来れば、別に一万円札に色がついているわけじゃありませんから、それぞれの関係者が御苦労なさっておるということだろうと思うのでありまして、そこらあたりの、今申し上げたような数字も見ながら、財源確保について、これは特に公安委員会の方がそういう問題を少しより多く持っているのじゃないか。これは、申し上げますと、全体的な五カ年計画の流れの中で公安委員会分は第三次に比べて特定事業が千九百億から千三百五十億に減っている。その分逆に地方単独事業が三千五十億から三千六百八十億にふえている。つまり、これは地方へ追い出しているという感じなものですから、そこらあたりをこの時期、緊急対策をお出しになった時点での問題意識といいましょうか、今後の対処の方向をそれぞれからお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 内田文夫

    内田(文)政府委員 まず、調整費の扱いという点でございますけれども交通事故防止のためにこの安全施設整備というのは不可欠なものであるということは我々も強く認識をいたしておるわけでございまして、このような観点から現在の五カ年計画に基づきましてその計画整備に努めておるところでございまして、来年度におきましてもことしの二四・五%増という百二十二億円の要求をしてございます。一〇〇%計画の達成に努力をいたしているわけでございまして、今後とも交通安全施設整備努力していきたいと思っております。  調整費予算化という問題につきましては、計画実施によります今後の効果とかそういったものを見つつ、必要に応じて検討してまいりたい、こう考えておるところでございます。当面はともかく一〇〇%達成ということで最善の努力をしてまいりたい、こう思っております。  それから、地方単独事業の進捗率がおくれているという先生の御指摘でございますが、確かに国が一〇〇%達成しているのに地方の場合はおくれておる。今、先生六十三年度末までのおよその、大体どのくらいになるのかということでございましたけれども、これはまだ六十三年度の九月補正とかそういうものの集計ができておりませんので正確には言えませんが、現在といいますか九月補正の前の段階で計画達成率が、三カ年で達成する額を見ますと八六・六%達成しているわけですが、九〇%にはなるのだろう、こういう見通しはいたしております。しかし、いずれにしても国よりも低いということは御指摘のとおりでございまして、警察庁といたしましても、財政当局に対しましてこの安全施設整備の必要性に関する理解を深めるよう、さらに強く働きかけるなど各関係を督励してまいりたい、こう思っておるところでございます。  それから、新しい六十一年度からの五カ年計画で費用負担が変わったということでの問題でございますけれども、確かに信号機等設置につきましては、四十一年から始まりました第一次、第二次三カ年計画、さらに六十年までの第三次五カ年計画まででいろいろ整備してまいりまして、信号機の整備数としてはかなり整備されてきた、こう思っておるわけでございます。問題は、信号機を個々に運用するということで、信号機が多くなってむしろ交通の渋滞とかいろいろな問題があるという御指摘もかなり強くあるわけでございまして、これをお互いに関連性を持たせまして広域的に整備をする必要が高まってきている。そういった意味で国の特定事業といたしましては、交通管制センターの整備、それから信号機の広域制御、系統化、感応化等いわば性能向上といいますか、そういうものにウエートを移してきておるわけでございます。単独に信号機を立てる、こういうような問題は地方のそれぞれの実情に応じて地方単独事業で行ってもらういうことにいたしておるわけでございます。しかし、その際には、財源的には県の財政力に格差が生じないように、地財計画基準財政需要額に算入いたしまして地方交付税で措置をするというような手も打っておるわけでございますし、また、起債についてもこれを適債事業として行えるような措置を講じてきておるわけでございます。しかしいずれにしても、先生おっしゃいましたように、現在地方においては国に比べるとややおくれておるということで、今後ともこの安全施設整備について国と地方が連携して効果的に対処するよう我々も一層の努力をしてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  51. 三谷浩

    三谷政府委員 交通安全施設等整備事業につきましては、現在第四次を進行しておるわけでございますが、道路管理者分交通安全施設等整備事業、第三次の計画が九千百億円でございました。これを一・五倍ということで一兆三千五百億だったんですが、御指摘のとおり調整費が二千億入っております。先ほど金額を来年度二千二百三十二億円要求をしている、こういうことを申し上げました。もちろんこれから予算要求で大蔵省と折衝するわけでございますが、仮にこの額が認められたといたしますと、最後の六十四年度、それから六十五年度もかなりモデレートな要求で完全達成ができるというふうに考えております。  なお、交通安全施設等整備事業重要性にかんがみまして、この調整費の取り崩しとは別に、私ども第十次道路整備五カ年計画でいわゆる交付金で地元の要望に応じた交通安全施設等のいろいろな整備、こういうことも昭和六十三年度から始めております。これら両方で交通安全施設整備に邁進してまいりたい、かように考えております。
  52. 関山信之

    ○関山委員 どうもありがとうございました。
  53. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で関山信之君の質疑は終了いたしました。  次に、永井孝信君。
  54. 永井孝信

    ○永井委員 交通事故防止に関する緊急総合対策なるものが策定をされまして、この委員会で御説明がありました。今もその関係について同僚の議員からも質問が出ているわけでありますが、別表に出ておりますように、昭和五十七年以降、交通事故による年間の死者数は極めて高い水準を続けているわけであります。それが九月六日現在で六千六百八十三人、これは大変な数字なんですね。昨年の同じ時期に比べて一〇・七%もふえている。だからこそこの緊急総合対策なるものが策定されたのでありましょうし、当委員会においても特別に前国会の委員会で決議を行っているわけであります。  しかし、これを振り返ってみますと、交通安全基本計画で当初示された目標数値ですね、八千人以内に抑えるということを強調されてきました。現実にそうならなかった。緊急総合対策はそういう立場から出されているのでありますが、これについて初めに総務庁長官の見解を伺っておきたいと思います。
  55. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員指摘のように、今日までの交通事故による特に死者数増加というものは非常に顕著であります。事故件数そのものについては〇・五%程度の増加なんでありますが、死者数増加が非常に多いというのが特徴的であります。私ども、今の状況で推移いたしますと今年末には一万人を突破することは必至というような状況にあることを憂慮いたしまして、緊急対策を樹立して、関係省庁協調してやっておるところであります。  八千人の目標ということにつきましては、しばしば当委員会におきましても、八千人という目標はこれはもう達成不可能な数字ではないかということを言われまして、目標の見直しをしてはどうかというような御指摘もあるわけでありますけれども昭和五十四年の数字で八千四百六十六人というのが最低の数字になってございますので、私どもといたしましては、今後の努力次第では八千人台ということは不可能ではないのだと思いますので、なお一層真剣な努力を重ねてまいりたい、このように思っております。  それから、最近の事故の死者の状況を見ますと高齢者の死者が非常に多いということでありますので、近々に高齢者交通安全総合対策、特に高齢者中心にした総合対策をまとめましてこれを推進していきたいということで、ただいま準備中であります。
  56. 永井孝信

    ○永井委員 目標数値を非常に厳しくしてその到達に向けて努力するのは当たり前のことだと思うのですね。そのことを私どもはとやかく言っているのではなくて、現実にその目標と実際の数値が余りにも乖離があり過ぎる、このことを私は非常に心配するわけであります。  そこで、この緊急総合対策なるものが策定されたわけでありますが、今も同僚議員が聞いておりましたけれども、この対策を進めるについてはやはりそれだけの予算措置が伴わなければならないわけですね。非常に財政上厳しいときではあっても、第四次、第五次と続いていく総合交通政策の安全施設設置、こういうものと整合性を持たせながら、さらにこの緊急総合対策にふさわしい予算措置というものが来年度予算実施をされなければならない、こう思うのですが、それについての決意をお伺いしておきたいと思うのです。
  57. 高鳥修

    高鳥国務大臣 先刻来御議論も出ておったところでありますが、交通安全施設整備等につきましては、当面、計画の完全消化ということで、特に進捗のおくれております地方単独事業などについても都道府県の御協力要請しながら一層強力に進めたいと考えておりますし、来年度概算要求につきましては、先ほど警察庁の方からも御答弁があったわけでありますが、公安委員会分については大幅な増加要求をするというようなこともいたしておるところでありまして、各方面にわたりましてしっかり予算の確保を図っていきたいと思っております。
  58. 永井孝信

    ○永井委員 ひとつ不退転の決意でその計画実施されますように、大臣の一層の御努力を要望しておきたいと思います。  さて、高速道路網が発展をしてまいりまして、高速道路における交通事故が非常にふえてまいりました。七月三十一日までの高速道路における事故による死者数は百四十八人、これは昨年の九十一人に比べまして六三%ふえているという大変な数字ですね。とりわけ、その大半が大型貨物自動車などを中心とする営業車に集中しているというふうに私は思うのです。この大型貨物車あるいは普通貨物車などそういう物資を輸送するトラックの関係する死者が三十八人から七十二人、約二倍にふえています。これを考えてみますと、高速道路を夜走ったりするとよくわかるのでありますが、高速道路の通行における貨物車の占める割合、これは全体の走行車数の約一〇%前後ではないか、こう考えるわけであります。そういうことから考えると、この貨物自動車などを中心とした大型車の死亡率が極めて高いと言わざるを得ないと思うのであります。  その原因は、もちろんいろいろありましょう。過労運転もあるだろうしあるいは運転技術の問題もあるだろうし、ましてや一番問題なのは車間距離ですね。これはもう古くて新しい問題で、いつまでたってもこの車間距離の問題を具体的に解消することはできない、完全に守らすことができない、こういう状況だと思うのですが、こういう関係について、これだけ死者数がふえてきたのですから、関係省庁のトラック運送業界あるいは大型観光バスもありますからそういうバス会社などに対する運転者の安全走行についての意識を高めるとか遵守させるとか、こういうことについて運輸省の方から見解を聞いておきたいと思います。
  59. 清水達夫

    ○清水(達)政府委員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましては、高速道路におきます事故防止ということで、これまでもトラック業界など運送事業者に対しまして安全走行のための指導徹底を図ってきたつもりでございます。しかしながら、先生指摘のように、最近の高速道路におきます事故発生状況を見ますと、一層の指導強化が必要であろうと考えておる次第でございます。したがいまして、去る七月二十七日付で全日本トラック協会など関係団体に対しまして、運転者については適正な車間距離の保持、最高速度の厳守など、また運行管理者につきましては運転者の過労防止、点呼の確実な実施などを内容といたします地域交通局長名の通達を発しまして、高速道路におきます輸送の安全に万全を期するよう強力に指導したところでございます。  さらに、その後の事故発生動向にかんがみまして、全日本トラック協会に対しまして事故防止について緊急の会議を開催するように指示をいたしまして、来る九月十四日に全国の都道府県からトラック協会の安全対策の代表を招集いたしまして緊急の会議を開催することが決定いたしております。その会議には当省からも出席いたしまして、先ほど申し上げました通達内容の周知のほか、個々の運送事業者までさらには従業員一人一人に安全意識の向上等について徹底を図るよう努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 永井孝信

    ○永井委員 大型トラックの事故というのは主として追突事故が非常に多いのですね。乗用車の事故と違いまして、トラックの追突事故というのは第一当事者以外の人に対する死亡事故に発展している数値が極めて高いわけです。ですから、高速道路における安全運行ということを確保するためには、一般乗用車はもちろんのことでありますけれども、大型車に対する指導なり取り締まりというものを集中的にやっていかないと、高速道路における大型事故というものはなくなっていかないと私は思うのです。そういう立場で御努力を願いたいのでありますが、具体的に起きた自動車道の事故について一つ、二つ聞いてみたいと思うのです。  去る七月十五日、中国自動車道の境トンネル内においてトラックの追突事故が起きました。十一台の車両が衝突炎上して、死者が五名出ました。新聞も大変大きな報道をしたのでありますが、後でも触れますけれども、たまたまこの衝突事故の直後に例の潜水艦の衝突事故があったものですから、その方にすべてが集中してしまって、この自動車のトンネル内における追突による大事故については世間からどうしても忘れられがちになる、こういう状況が当時ございました。しかし、私はこれは見過ごすことのできない事故だったと思っているのです。もちろんこの第一当事者の不注意ということが一番の大きな問題でありましょうけれども、しかし、このトンネル内の事故でも、今私が指摘しましたように、もしも車間距離が確実に守られておったらあれだけの事故にならなかったということがまず一つ原因として言えますね。もう一つは、トンネル内における防災施設というものと無関係ではないと私は思っているのです。火災が発生して車から飛んで出て、そして自分が避難をしようというときに避難し切れずに死んでしまう。これは日本坂トンネルでそういう経験をしてきているわけでありますから、私はそういうことも含めて高速道の、とりわけトンネル事故については、もっともっと積極的な対応があっていいんじゃないか、こう私は思うのですが、まず初めに警察庁として、このトンネルの追突事故に対する捜査に当たった立場から見解をお伺いしてみたいと思うのです。
  61. 内田文夫

    内田(文)政府委員 先生指摘のとおり、こういった追突事故は車間距離の不保持、それとスピードの出し過ぎ、そういったことが大きな原因になるというのは一般的に言えるわけでございまして、今までのこういったトンネル内における多重衝突事故等においても共通した問題であるわけですが、本件につきましては、現在広島県警で捜査本部を設けて捜査をいたしております。事故関係者の取り調べ、交通事故の解析等が行われておるわけでございまして、事故が大変大規模であったということから、その時間的経緯とか過失責任の解明等まだ捜査を尽くさなければならない点も多々ありまして、この事件そのものにつきましてこれが明確に原因だったという断定は今ちょっといたしかねるのですが、一般的には、先生おっしゃるとおり、車間距離の不保持というのがこうした追突事故の一番大きな原因であるということが言えるわけであります。
  62. 永井孝信

    ○永井委員 私は非常に車間距離にこだわっているんですね。自分が車を運転してみて痛感をするんですよ。安全確保のために、例えば百キロのスピードを出しておってせいぜい三十メートルの車間距離をあけると——これだって違反ですよ。規則からいうと違反ですけれども、三十メートルくらいの車間距離をあけると、まず割り込んできますね。だから車間距離をあけたくてもあけられないということになってしまうという、そこのドライバーとしてのモラルの問題が一番大きな原因でありましょうけれども、この車間距離に集中して一遍取り締まってみたらどうか。スピード違反も大切だけれども、車間距離に集中して取り締まりをしてみれば少しは変わってくるんではないか。この取り締まり方法についても、私は再検討を求めておきたいと思うのです。  同じように車間距離が十分でなかったために起きた事故で、この九月六日、北陸自動車道の美川インター付近で、観光バスが三台、大型トラックと衝突しました。たまたま死者は出なかったのでありますが、五十二名の負傷者を出しているわけですね、観光バスに乗っておった人の負傷者。これは一歩間違えれば大変な大事故になるという事故でした。この原因はもちろん警察で取り調べをされていると思うのでありますが、雨が降っておったものですから五十キロに規制されておった、そこを八十キロ、九十キロというスピードを出しておったということが最大の原因かもしれませんけれども、しかし、その第一当事者が起こした事故を見て次の観光バスが停止をした、その次の観光バスが車間距離がなかったために追突してしまったという事故なんですね。だからひとつ、こういう大型事故に発展する可能性が極めて高い車間距離については、あえて私はここでもう一度強く警鐘を鳴らしておきたいと思うのですね。  もう一つは、広島の中国道の事故の後、広島県警がサービスエリアで五百人を対象にアンケート調査をされている資料があります。これを見ますと、大型トラックなどプロドライバーの七割近くが十分に車間距離をとっていないと告白しているのですね、アンケート調査に対して。私は、せっかくここまで調査したのですから、これが事故防止に役立つような指導にぜひ生かしてもらいたい、このことを特に強く求めておきたいと思うのです。  さてそこで運輸省、ドライバーだけの取り締まりじゃなくて、例えば大型トラックでありますと運送会社でありますから、運転手を雇用する事業主に対していろいろな意味指導はされているのでありましょうけれども、これだけ次々と高速道路などにおける追突事故が多発をしているときでありますから、業界に対してどのように指導を強めてきているのか、今後どう対応するのか、ひとつ運輸省としてお聞かせ願いたいと思います。
  63. 清水達夫

    ○清水(達)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、トラックの事故の背景にはそういう運送事業としての構造的な問題があるということも当然考えられるわけでございまして、私ども運輸省といたしましても、荷主の関係その他にいわゆる運送事業として適切な輸送を行うよう、かねがね関係局におきまして輸送の適正化に伴いまして安全を確保するよう指導をしてきておるところでございます。
  64. 永井孝信

    ○永井委員 言葉で言うと指導してきているとか指導しますとかということで終わるんだけれども、実効を伴わなかったら指導したといっても何にもならぬわけですから、実効の伴うような指導をしてもらいたい。  例えば、ここに社団法人日本自動車タイヤ協会というのが調査をしました資料があるのです。この資料で見ますと、これは車間距離の問題とは関係ないのですよ、車両整備の話でありますが、例えばタイヤの整備状況を調べてみると、不良率の一位はトラックの三四・五%、乗用車がその次で一二・八%、観光バスが一二・五%、こういう順位になっているのですね。こういうものが業界でも調査されている。このタイヤの摩耗したものを三四・五%もかえていないという実態が明らかになってきたことは、言いかえれば車間距離との関係で、あえて言うならブレーキをかけたときに制動距離が長く延びてしまうという、これも第二次的な問題点ですね。こういうタイヤの不良はあってはならないということは指導されているのだろうけれども、現実に業界が守っていないではないか。そのことは、業界にすれば営利が目的でありますから、利益を上げるためにあえてタイヤの摩耗に目をつぶって走らすということになっていくんではないか。だから、運輸省指導というものはそういうところまできめの細かい具体的な指導がないと、高速道路などにおける大きな追突事故をそう簡単に排除することはできない、なくすことはできないと思うのですが、どうですか。
  65. 清水達夫

    ○清水(達)政府委員 御指摘の点は、技術的にはまことにもっともなことでございまして、私どもといたしましては、いわゆる整備管理者という制度を通じまして、運送事業者に対しましても、かねてからそういう車のきちっとした整備をするように指導をいたしておりますが、たまたま経済性との兼ね合いでそういう傾向がなきにしもあらず、こういうことでございますので、そういった面につきます指導もさらに強化して徹底してやっていきたい、かように考えております。
  66. 永井孝信

    ○永井委員 これは、ひとつそういうものは厳しく指導を強めてもらいたいと思います。  さて、その次に、時間の関係がありますから細かく議論はできませんけれども、直接は道路公団かもしれませんけれども建設省にお伺いいたします。  車両火災が発生した場合、トンネル自体が焼却炉になってしまうという、これは日本坂トンネルで経験をしてきたことであります。そのことが今度の中国でも同じように起きた。この排煙設備など義務づけられている部分でありますけれども、長大トンネル以外のトンネルでも見通しの悪いトンネルなどについては防災設備が強化されなければならない、そういうふうに指摘をされてきていると思うのでありますが、これについて、その防災対策はどのように建設省考えているか、あるいは事故を起こした境トンネルでいいますと、そのトンネルの安全対策はそれ以降どのように考えているのか、お答えいただきます。
  67. 三谷浩

    三谷政府委員 トンネルの非常用施設とかあるいは技術基準、こういうものは私ども道路構造令の規定を受けまして基準として決めておるわけでございます。ただ、日々いろいろ交通状況は変わってまいるものですから、その都度いろいろ必要に応じまして、通報とかあるいは警報施設とか消火設備とか避難路とか、こういうようなものにつきましても昭和五十六年に規定しておりまして、こういうことで交通状況、ドライバーの行動等に関しまして継続して調査実施して検討しているわけでございます。  それで、今の広島県内の中国自動車道の境トンネルのこの問題につきまして、これは延長としてはそう長くはないのですが、例えばカーブであるとかあるいは勾配がある、こういうようなことでございますので、したがいまして、そういうようなトンネルにつきまして、全国の高速道路トンネルでございますが、道路公団で関係機関調査をいろいろするように命じたところでございます。まだ調査、点検中でございますが、その結果をもとに標識とかあるいは必要な交通安全施設対策についても検討を行おうというふうに考えております。  なお、この境トンネルについては、特に標識の視認性を高めるためにいろいろ大型化、さらに追加とか、それから車間距離の確認標識を新たに設置いたしました。それから、薄層舗装といいましてちょっと薄い舗装なんですが、要は路面に凹凸を少し与えて注意を喚起する、こういうようなことも安全対策を講じまして、この九月一日からまた再供用しているところでございます。
  68. 永井孝信

    ○永井委員 トンネルの話でもう一つお伺いしておきたいことがございます。  それは、八月十三日だったと思うのでありますが、これは私の地元でございますけれども、兵庫県の竜野市のところでございますが、トンネル内で渋滞をしたために十九名の人が脱水症状、酸欠症状を起こして救急車で運ばれるという事故がありました。このトンネルの距離は非常に短いのですが、お盆の帰省もあって三十キロもの大変な渋滞が重なって全く車が動かないという状況の中で救急車が出動するという事故が起きたわけですね。これは、トンネルが非常に短うございますから、一定の道路設置する場合の安全基準からいきまして、今定めている基準からいって、そこに排煙設備とかそういう換気装置をつけるところに到達をしていないことは事実ですね。しかし、このトンネルというものが一定のスピードで自動車が走り抜けるという前提で設計されておるものですから、一たび渋滞が起きるとそういう事故になり得る、こういうことですね。  私は、これからいろいろなトンネルの設置がふえていくと思うのですね。日本の地形からいって、山を越えていかないとこれからもう道路網を建設することができない、そういうことが非常に多くなってくると思われるだけに、トンネルに対する安全基準の確保というものは非常に重視をしなくてはいけないと私は思うのです。  例えば、この事故に関連して幾つか新聞が書きました。その中の部分的なものをちょっと紹介しておきますと、「基準基準として、問題なのは、トンネルを出て」、その事故を起こしたのは城山トンネルというのですけれども、そのトンネルのことを取り上げてみますと、これは自動車専用道路で、そのトンネルを出てすぐに在来の国道二号線に合流することになっているのですね。国道二号線が渋滞するからバイパスをつくっていったのでしょうけれども、まだ完全に山陽自動車道につながっていないものですから国道二号線におりる。だから、国道二号線に入るところで大渋滞を起こしてしまって、そのトンネルの中でそういう事故が起きた、こういうことなんですね。そのことを指してマスコミも報道しているのでありますが、慢性的渋滞を起こしやすいという固有の事情がそこに考慮されていない、こういう箇所は全国に随分とあるのではないか、こういうことが指摘をされています。私は当然なことだと思うのですね。完全に道路網が完成してしまった暁のことはさておいて、なかなか次の工事にかかれないという事情から考えると、そういう渋滞が慢性的に起きるようなところのトンネルについては特段の配慮があってしかるべきではないのか。そのことを私はここで指摘をして、ぜひひとつそれに対する具体的な対応というものを考えてもらいたい、こう思うわけですね。  もう一つは、この事故によって教訓を得たことでありますが、倒れた人がおって、それを見た人あるいは家族の人などが非常電話で救急車を呼びました。ところが、非常電話で救急車を呼んだのですが、それは消防署が知っているだけで、交通規制に当たる警察の関係も、あるいは道路の管理をする道路公団の方も、そのことについては全く知らなかったわけですね。だから、トンネル内の非常電話によってそういうことは救急車には伝達されたといたしましても、単に病人発生ということで独自の処理をしてしまう、そこには交通対策というものが機能していない、こういうことになってくるわけですね。公団や消防救急隊ももちろんマニュアルどおりにやったのだろうけれども、果たしてそういうことでいいのだろうか、もう少し事故が起きたときの対応策について連携がとれやすいように——話が飛んで恐縮でありますが、「なだしお」事件も同じでありました。衝突事件が起きて、実際に海上自衛隊の横須賀基地の最高責任者がそのことを知ったのは二十一分後だったという。何かにつけてそういう今のふくそうした多様な手段をもって行われる交通状態から考えると、単に個々のマニュアルだけではなくて、そういう連携がもっと緻密に、敏速に行われるようにすべきではないのか、こういうことも考えるのですが、これについて、その施設面とそういうマニュアルの見直しについてお答えいただきたいと思います。
  69. 三谷浩

    三谷政府委員 本トンネルは城山トンネルと言っておりますけれども、これは先ほどの事故とはちょっと違いまして、帰省利用者によります、通常時と非常に異なります大規模な渋滞によりこういうような事態が発生をしたわけでございます。  そこで、今回の事故にかんがみまして、こういうトンネルにつきまして早急に実態を把握して対策検討するために、まず、私ども検討会を設置いたしました。この検討会を踏まえまして、基準の運用、それから交通のあり方等を検討して必要な対策を講じていきたいと思っております。  もう一つの問題としまして、いわゆる交通流入をさせない、こういうことは時期が非常に特定されておる、そういうこともございますものですから、そういう込んだときにはなるべくトンネルを通させないというようなことで、これは道路管理者だけではできませんものですから、関係機関連携を図りつつそういうことを講じろということを通達をいたしました。ちょうどあれは帰省時でございまして、今度は、お盆が終わりましてまた帰ってくるときに間に合わせるように、また関係機関と連絡をしてそういうことをやりました。この次は例えばお正月等がそういう問題がありますものですから、やはりそういう交通管理、こういうものについてはいろいろ関係機関にお願いをしなければいけませんものですから、そういうこととあわせて議論をさせております。  それから、いわゆる連絡体制の問題につきまして、例えば被災者が非常電話で消防に対して直接頼んで、それで消防が運んでというようなことで、この連絡が非常に不十分であったのではないか、こういうような御指摘が幾つかございます。これらにつきましても、非常に異常事態で、私どもも、道路公団等でも反省すべきところが多々ございますものですから、それについてももう一遍見直しをする、こういうふうにしております。
  70. 永井孝信

    ○永井委員 全国にそういう同じようなケースのトンネルも数多いと思いますから、五百八十カ所もトンネルがあると聞いておりますので、そういう渋滞が慢性的に起きる、何か季節的に集中してそういう事故が起き得る可能性のあるところについては万全の対策をとってもらいたい。  道路公団に安全施設のことについてちょっと聞いてみました。これはお役所仕事と一緒でありますが、こうこうこういう基準があって、それに該当しないから自然換気による換気法をとっています、これだけじゃどうにもならぬですね。基準があるのを承知しているわけだから、基準に合致しないから換気装置もつけなくていいということではなくて、こういう事故が起きたんだからその場合にどうするかという視点でこの安全という面は検討するということでありませんと、これからも大変な事故が続発していくのではないか、私はこういう気がいたしますので、時間の関係でこれ以上触れることはできませんから、高速道路が発達していくという過程で幾つかの教訓を得ていくわけでありますから、それをぜひ生かし切ってもらいたいということをきょうは指摘だけにとどめておきたいと思います。  さて、その次の問題ですが、例の「なだしお」の衝突事故に関連をして最前も石原運輸大臣から、東京湾の第三海堡の撤去の問題について、同僚の議員の質問に答えて、非常に野蛮な、そして、どう言われましたかね、非文明的と言われましたかね、そういうこととしての認識をお答えになりました。そこで、私は、もう多くをそのことについては申し上げませんけれども、この第三海堡、私どもも現地を調査いたしまして、大臣の言をかりれば、高速道路の真ん中に石の山があるのと一緒だ、こういうふうに最前答弁されたところでありますが、そういうことがわかっておって、昭和五十三年にこれについて撤去をするという方向が一応政府の方でも決められている。ところが、事実、今までそのことが具体化していない。それには莫大な金が要るといういろいろなこともあったのでありましょうけれども、こういう事故が起きてみて、第三海堡があったから起きたということに直結はいたしませんけれども、あの航路から考えますとこれはまさに無用の長物であることは間違いない。だから、漁業者との関係もありますけれども、そこはひとつ漁業者の関係者に対して十分な理解を得ることと、必要な補償を講じて、交通安全の立場から思い切って撤去をするというふうに私はあえて一言だけ求めておきたいと思うのですが、これは運輸省になるのですか、お答えいただきたいと思います。
  71. 奥山文雄

    ○奥山政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、昭和五十三年に開発保全航路ということで指定してございまして、その時点で第三海堡の撤去、そのほか中ノ瀬航路の改良等々、航路の安全対策、船舶の安全対策を講ずるべく計画をつくって鋭意これを推進することとしたわけでございます。その後、諸調査もございましたが、例えば砲弾が放置されておるとかあるいは沈船が放置されておるというような事情がございまして、さまざまな調査に時日を要したわけでございます。そういった面につきましては、現段階では砲弾の撤去等すべて終わっておるのでございますが、本格的な第三海堡の撤去に関しましては、御指摘のとおり現在まだ着手できない状況にございます。これは主といたしまして、この第三海堡が現時点で暗礁場でございますが、別な面で魚類の生息に非常に都合のいい状況を呈しておるというようなことがございまして、事実上良漁場というような状況を呈しているわけでございます。したがいまして、この撤去に関しましてはそういった関係者との調整が要るわけでございますが、これにつきまして鋭意現段階まで進めてまいってきておるところでございます。さまざまな複雑な現地の状況もございまして、これが進展を見ないまま今日に至っているというのが実情でございます。  しかしながら、御指摘のとおりの安全上の対策としてどうしても必要だと私ども強く認識しているわけでございまして、これにつきまして今後とも漁業者との調整を積極的に進めて、できるだけ早急に工事に着手できるようにしたい、さように考えておるところでございます。
  72. 永井孝信

    ○永井委員 昭和五十三年に関係漁民の同意を得て運輸省により中ノ瀬航路及び浦賀水道航路が開発保全航路に指定されながら、なぜここまでもめているのか。新聞などによりますと、今度のこの撤去問題について漁民の方々が強い反対をされているという。それは生活がかかっておりますからわかりますよ。わかりますけれども昭和五十三年に関係漁民の同意を得てこうなっているのだけれども、実際どうだったのですか。どうしても撤去しなくてはいけないということを認識として持っていらっしゃるし、その行為を行おうとされているわけでありますが、それなら、例えばこの漁業補償などの問題についても具体的に検討が加えられているのか、あるいは撤去に関する調査費を含めて来年度予算予算要求をしているのか、どうですか。
  73. 奥山文雄

    ○奥山政府委員 五十三年以降さまざまな折衝を経ているわけでございますが、実は五十三年時点の関係漁業者との同意の内容は、浦賀水道それから中ノ瀬航路、この航路を開発保全航路に指定するという手続上の同意を得ているということでございまして、ここに実際に今度は工事に着手するにつきましては、実際的な漁業者への損害の問題等々ございますから、これは別途その時点で折衝しなければならぬ、調整しなければならぬ、こういう性格のものでございます。したいがいまして、その後具体的な漁業補償等の内容につきまして折衝を続けてまいっておるところでございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、現段階でまだ調整がついていないということでございます。  しかしながら、私どもは、これは六十四年度、来年度でございますが、来年度におきましては特に施工法の調査とかあるいは試験的な工事実施して、環境への影響であるとか、あるいは撤去材も相当の量に上る予定でございますのでういったものの捨て場の問題等々さまざまな検討事項がございますが、そのためにはどうしても試験工事というものを実施しなければならぬということでございまして、そういった費用を来年度は計上いたしたい、かように考えておるところでございます。
  74. 永井孝信

    ○永井委員 第三海堡の撤去については、私も、現地調査したときも現地でその実情を見て強く求めてきたのですが、もちろん関係する漁業の従事者、漁民の皆さんに対しては納得のいくような補償もしてもらわなければいけませんし、また、それだけのことがなされないとスムーズな撤去もできませんから、そこについては金を惜しむなとは言いませんけれども、必要なものは措置をするということで積極的に対応してもらいたいということを要望しておきたいと思います。  もう一つ、同じ海峡の問題で、非常に時間が切迫しましたから細かいことは言えないのでありますが、私の地元に明石海峡があります。いろいろ調べてみると、狭隘な水路を日本はたくさん持っているのです。例えば浦賀水道、伊良湖水道、明石海峡、備讃瀬戸東部あるいは備讃瀬戸西部、来島海峡、こういう狭隘な海路がたくさんあるのですが、その中で明石海峡というのは航行する船の数が一番多いところなんですね。例の浦賀水道の二倍以上です、航行船舶は。ところが、その狭い明石海峡に今、本四連絡橋公団が明石海峡の架設工事を始めているわけです。ちなみに、本四連絡橋公団で試算したところによりますと、この工事が本格的に着手されたら建設期間中の生産誘発効果が一兆一千八百億円、現在の価格で見込まれています。したがって、完成後の経済効果というのは確かに大きい。年間八千六百億円にも達する。これは地元にとっても非常に期待の大きい問題ではありますけれども、この工事施行される海域が日本で一番航行数が多いところ、しかも浦賀水道以上に狭隘な箇所なんですね。中央部の本船の航路幅は約一・五キロであります。一日の航行数はざっと千六百隻であります。しかも、その明石海峡を横断して朝から晩までフェリーボート、連絡船が通っているという、まさに横断しているわけですね、極めて危険な箇所であり、過去にも何回かそういう衝突事故を起こしてまいりました。  したがって、潜水艦「なだしお」の衝突事故を一つの契機にして、こういう狭隘な水路で非常に危険の高いところについて海上保安庁はどのように指導されているのか、まず初めにお伺いいたしたいと思います。
  75. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 明石海峡の大橋の建設に伴います安全対策につきましては、海上保安庁としても非常に関心を持っているところでございまして、現在、本州四国連絡橋公団が日本海難防止協会等に委託いたしまして、学識経験者、海事関係者あるいは関係行政機関から成る航行安全調査委員会というものを設けております。そういった機関を設けて検討しているところでございますが、それに対しまして、海上保安庁としても積極的に参加をいたしまして意見を反映させてきており、これらの検討結果を踏まえまして、本四公団に対しまして次のような安全対策指導を行っておるところでございます。  まず第一が、建設工事中でございますが、船舶交通の安全確保を図りますために、灯浮標による工事区域の表示、それから警戒船の配備、作業船の安全運航の管理、工事作業情報の周知徹底等、こういった対策を講じさせることといたしております。  それから、第二に、完成後における船舶交通の安全確保を図りますために、橋梁の適正な支柱間の長さであるとかけた下の高さ等の確保、それから橋梁灯、明かりでございますが、橋梁の明かり等の航行援助施設の設置など、そのほか工事作業の形態に応じまして、一般船舶の航行の制限及び巡視船艇によります哨戒を実施いたしまして、船舶交通の安全確保を図っておるところでございます。
  76. 永井孝信

    ○永井委員 今まで随分と、工事用のといいますか掘削のための、専門的にどういう言葉を使うのか知りませんけれども、そういう施設に対して船舶が衝突した事故が過去何回もありました。今回、本四公団が工事にかかる以前から、調査しておった段階ですね、もう十年も二十年も前からやっておりましたけれども。それだけに非常に心配をしているわけです。  もう一つは、これは非常に複雑な航路でございまして、大阪湾に入ってくる船、出る船があるのですが、これが適用される法律が、例えば航路の出入り口を境にして、海上交通法から海上衝突予防法に適用されるのが変更になるのですよ。だから、保安庁がいろいろな指導をされているのでありましょうけれども、船の運航にかかわる者は非常に神経をすり減らしておるというのが事実なのですね。  しかも重要なことは、ちょっと調査された資料を調べてみると、水先案内人の乗った船までが実は法律を守っていないという数字が出てまいりました。これは私は大変なことだと思うのですね。もちろん、ふくそうした航路で二つの法律が適用されるということでありますから、そのことに対して戸惑いもあるだろうし、どこから線が引いてあるわけではありませんから難しいかもしれません。だから海上保安庁は昭和五十年に勧告を出していますね。それは東側の海域での航行方法、西側海域での航行方法、これを指導いたしまして、これを遵守するように求めています。  ところが、それがなかなか守られないということで、五十三年三月二十七日に改めて第五管区海上保安本部の部長から通達が出されております。それは内海水先人会会長にあてて出されておるわけです。この中身を見ますと、この明石海峡を通る船のうちこの航法を守っている遵守率は五八・七%だ。そのうち、水先案内人が乗船していた船でなおかつ守っていないのが六一・三%を占めているという数字ですね。私は、一体これはどうなっているんだろう、水先案内人という者が乗りながらこういうことが起きるということは、一体どうなっているんだろうと思うのです。別途また、当時の行政管理庁は、こういう実情にかんがみて、具体的に、航路の出入り口を境にして法律がかわっていく、海交法から海上衝突予防法にかわるという特殊な事情があるから、これに十分に対応するようにということで特別に指導書面を出していますね。これは海上保安庁に対しても出されているわけでありますが、これらについて一体具体的にどのように対応されてきたのか、あるいは今後も起こり得る衝突事故を予防するために、海上交通法や海上衝突予防法が守られていないという現実にどう対応されていくのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  77. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 確かに明石海峡航路というのは交通量が非常に多いわけでございますし、これの安全指導については海上保安庁としても力を入れておるところでございます。  ただいまお話のございました、まず行政管理庁からの勧告でございますが、これは五十二年に出されておるところでございまして、その際の指摘では、明石海峡の航路の東口の航法の例では遵守状況が七〇%にとどまっておるということでございます。海難発生を防止する上で必ずしも十分であるとは言えないので、運輸省に対しまして、海交法上の航路の出入り口付近における船舶交通の安全を確保するため、航路の出入り口付近の航法に関する指導徹底を図るとともに、今後その法制化についても検討すること、こういう勧告を私どもいただいておるわけであります。  私どもといたしましては、それらの勧告に基づきまして、まず、これは五十五年になりますけれども、この海域に灯浮標を設置することといたしたわけであります。確かに海上交通法で定められております航路といいますのが、淡路島と明石側との間の割に短区間でございますので、その前後、東側と西側でその航路に出入りする船舶が交錯するところが問題だということでございまして、その航路への入り方あるいは航路からの出方を決めるものといたしまして、東側と西側にそれぞれ灯浮標を置きまして、そして、航路に入る場合に必ず灯浮標を回って入るようにしろ、なるべく航路を出入りする船舶が航路の出入り口付近で交差しないようにしよう、こういう指導を行ったわけでございます。そのための通達を五十五年の三月十日に「明石海峡航路付近の航行方法についての勧告」ということで、関係の団体等に出しまして、五千トン以上の船舶については今申し上げたような航法をとるようにということを通達をいたしました。そして同時に、常時巡視艇を配備いたしまして航法指導に当たる等安全の確保に努めているところでございます。  現在まで私どもが現場から聞いておるところによりますと、航路哨戒船が常時指導に当たっておりますが、最近では遵守状況はおおむね良好である、違反の事例がほとんどないということを聞いておるわけでございまして、行政管理庁の勧告では、同時に、今後その法制化についても検討することということが言われておりますけれども、現時点で私どもといたしましては、十分安全確保が図られておるというふうに考えておりますので、法制化は必要ないのではないかという考えでございます。
  78. 永井孝信

    ○永井委員 時間が来ましたから終わりますけれども、そういう海上の船舶が航行する場合でも、狭隘な航路の中で途端に適用法律が変わってしまうという、そういうことでまた非常に対応しにくい面もあろうかと思いますので、ひとつここは知恵を絞って船舶の航行の安全確保ができるように一層の御努力をお願い申し上げておきたいと思います。  最後に一言だけ、もう三十秒ほどですが、「船舶航行の安全に関する当面の措置」ということで、この前の潜水艦「なだしお」の衝突事件で閣議決定されまして自衛隊に対して指導強化がされているのですが、これが八月三十一日までの期間一カ月間で自衛隊の艦艇に対する指導とかなされることになって、その日にちが終わっているわけですね。担当大臣がいらっしゃいませんけれども、これはどういう効果を上げたか、その結果というものはやはり報告すべきだと思うのです。それだけお願いしておいて——そのことについて総務庁長官わかりますか、わかりませんか。一言だけ答えていただけますか、それで終わりますから。
  79. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 「なだしお」号事件に関連しまして当面の再発防止対策を八月一日から実施いたしております。これは関係省庁協力いたしまして、その出先機関あるいは関係事業者、それから船舶に対しましてできるだけ綿密に対策を講じてきたわけでございまして、この結果につきましてはまだ集計ができておりませんが、各事業者あるいは各船舶に航行安全対策重要性を認識してもらった効果があったと考えております。  なお、その効果等につきましては、その集計が終わった段階でまた御報告を申し上げたいと思います。
  80. 永井孝信

    ○永井委員 ありがとうございました。終わります。
  81. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で永井孝信君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  82. 近江巳記夫

    近江委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新井彬之君。
  83. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 初めに、交通事故防止に関する緊急総合対策についてお伺いをいたします。  我が国における道路交通事故による死者数は、昭和五十七年以降連続して九千人を突破し、ことしに入ってからの七月末までを見ても五千五百四十三人の死者数が発生し、前年に比べ一〇・四%も増加しておるわけです。今後もこの傾向が続くものと見られることから、ことしの十二月末には交通事故による犠牲者は一万人を突破することは確実な情勢となってきており、当委員会としても、この事態を何とか食いとめるため、去る五月十九日に交通安全対策に関する件の決議をいたした次第であります。政府は、これを受けて、八月二十二日に交通事故防止に関する緊急総合対策決定し、その具体策を全国に指示せられたところであります。その内容を見ますと、国民交通安全意識高揚高齢者に対する交通安全対策、また、若者中心とした二輪車事故防止対策が主眼となっており、これにより本年は何としても死者数を一万人以下とするという緊急対策を講ぜられたわけであります。  本年もあと数カ月を残す段階でこの目標が達成できるのかどうか甚だ疑問に思うわけでありますが、まず初めに、長官の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  84. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員指摘のように、今年の交通事故による死者数増加は大変憂慮すべき状況にあります。交通事故そのものの件数では〇・五%程度の増加でありますが、死者数は一〇%強の増加を続けているところでありまして、このままでまいりますれば一万人を突破することは避けられないような非常事態にあるわけであります。  私どもといたしましては、何としても一万人以下に抑え込みたいということで、今鋭意いろいろな施策を講じておるわけでありますが、この事故死の内容を分析してみますと、高齢化社会の進展に伴いましてやはり高齢者の被害者、加害者いずれも非常に増加をいたしております。それから若者二輪車事故が非常に多い。それぞれ三分の一ぐらいずつの比率になっておるわけでありますので、ひとつぜひそれらを重点的に啓蒙、啓発活動などを通じまして交通安全の思想の普及、徹底を図っていきたいというふうに考えて、特に高齢者のための緊急対策も近々中にまとめたいというふうに考えておりまして、鋭意努力してまいりたいと存じますので、なお一層の御鞭撻をお願いする次第であります。
  85. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 初めに「国民交通安全意識高揚」ということが取り上げられておるわけでございます。そこで、印象の薄れかけている交通戦争という言葉を改めて見直す必要があるのではないかと思うわけでございます。  交通戦争という言葉が使われましたのが昭和三十五年、死者数が一万三千四百二十九人、日清戦争での死者数が一万七千二百八十二人に比べて交通戦争ということが言われたそうでございます。昭和四十四年には一万四千二百五十六人と増大して、ベトナム戦争でのアメリカ軍の戦死者一万四千五百二十一人とほぼ同じになりまして、一万人を超えるということはもう戦争状況なのであるということになったわけであります。  昭和七年に愛知県警察部発行の交通事故統計表の序文には、「交通機関の進歩は文化のバロメーターと言われているが、事故がこのままの状態で増加するなら、交通戦争、交通殺人地獄というような熟語まで生まれ、せっかく人類幸福の具としてたたえられるべき交通機関の進歩発展が、のろいの種とはなりはしないか、憂慮にたえない」このように昭和七年にもう言われているわけでございます。この五十六年前の予感が今日現実のものとなっているわけであります。  今こそ、交通戦争という言葉を見直すとともに、徹底した一大キャンペーン運動を展開すべきであると考えますが、いかがでございますか。
  86. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  今日の厳しい交通事故状況に対応していくためには、御指摘のとおり的確な交通事故防止のための交通安全キャンペーンを展開する必要があると考えます。  このような観点から、去る八月二十二日に交通対策本部において決定された交通事故防止に関する緊急総合対策におきましても、第一に「国民交通安全意識高揚」を特記し、一人一人の交通安全意識高揚を図るため、民間の方々協力を得ながら、高齢者交通安全の推進若者中心とした二輪車事故防止シートベルト着用徹底事業活動における安全運転推進などに重点を絞り、積極的に交通安全キャンペーンを展開することとしているところでございます。  以上であります。
  87. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 当然この緊急提言については予算措置等も行われておると思いますし、来年度に対する概算要求等も出ていると思いますが、前年度と違ったような内容についてお答え願いたいと思います。
  88. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  交通事故防止に関する緊急総合対策の大きな項目でございます「国民交通安全意識高揚」及び五番目の項目の「安全な道路交通環境整備」に係る予算につきましては、次のとおりでございます。  「国民交通安全意識高揚」につきましては、六十四年度概算要求では一億八千七百万円、「安全な道路交通環境整備」につきましては、六十四年度概算要求てば一兆一千二百七十九億円でございます。なお、六十四年概算要求における特定交通安全施設について事業費ベースで見ますと、公安委員会分が二百四十四億円で対前年比二四・五%増でございます。道路管理者分につきましては二千二百三十二億円で〇・一%増となっておるところでございます。  その他、二番目の「高齢者交通安全対策の新たな展開」、三番目の「若者中心とした二輪車事故防止対策の一層の推進」、四番目の「シートベルト着用徹底」及び六番目の「交通指導取締り効果的な推進」につきましては、六十四年度総額一兆二千六百六十二億円に及ぶ概算要求額を確保する中で、これらの重点的なことにつきまして推進に最大限努めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  89. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 ただいま予算に関する説明がございました。それで一体何名に死者数を減らすということになるわけですか。
  90. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  先ほど来私どもの長官の答弁にもございますように、本年は大変交通情勢が厳しく交通事故死者が一万人を超えるのではないかというような状況にございますが、先般の交通対策本部決定のこの緊急総合対策に各省庁地方公共団体、そして民間の関係団体等の皆さん方のお力を結集しまして、私どもとしては一万人に到達するようなことのないようベストを尽くして交通事故死減少に努めたいという所存でございます。  以上でございます。
  91. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 本来政府は、昭和六十五年度までに交通事故による死者数は年間八千人以下に抑止する、こういう方針で今までずっときたわけですね。ところが、八千人近くなりましたけれども、それがだんだんふえまして、そして九千人になっている。私は今の答弁で、それだけの予算を組んだんだから当然一万人以下どころか九千人は切らしていただきますというような答弁があるのじゃないかと思ったのですけれども、一万人を何とか抑えるというのは今までの政府の目標からしても非常に下がっているのじゃないかな。「第一次、第二次の交通安全基本計画推進された十年間に、自動車保有台数は一・八四倍になった。だが、その自動車保有率の伸び率の二倍のペースで、信号機や道路標識、照明、歩道、横断歩道などの交通安全施設の充実がはかられた。事故死者数半減の目標が実現できた背景には、このような安全への投資という裏付けがあったのである。ところが、この五、六年は公共投資抑制基調の中で、安全施設への投資ペースは自動車保有率の伸び率を下回るようになった。その結果、事故抑止効果が落ち、死者数増につながったのである。もちろん、交通事故にはさまざまな原因がある。安全施設効果とは無縁の事故もあるだろう。だが、安全施設の充実が土台になければ、全体として事故を減らしていくことはできまい。」こういうようなこともあるわけでございます。  そこで、この予算の組み方といいますか、そういうものは一体どういうことで組まれるのか。  ここでひとつ、僕はさっき交通戦争と言いました。その戦争という意味について、総務長官どのように思われますか。どういう言葉に解釈されますか。
  92. 高鳥修

    高鳥国務大臣 何と申しましょうか、病気などではなくて、事故によって亡くなられる方が戦争で亡くなられた方々にも匹敵するほど多い、しかもそれが一年間のことであるということからいたしまして、まさに死屍累々というところをとらえてあるいは戦争という表現をされたのではないかというふうに思いますが、私は、平和主義者でありますので、余り戦争という言葉を使うことは好みません。しかし、戦争にもまさるような悲惨な状況が現にあるということをしっかり我々としては踏まえて取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  ただ、委員も御指摘になっておられますが、どれだけ金をかけたかということと交通事故死の増減というのは必ずしも比例していくものでもないと思われるわけであります。そのことは、昭和四十五年の死者数が一番多いわけでありまして、一万六千七百六十五人死んでおるわけでありますが、その後昭和五十四年には一番少なくなりまして八千四百六十六人に減少をいたしたわけであります。この間の減少の理由は何かといえば、やはりオイルショックの後、車はできるだけ経済効率よく走れというようなことで、例えばスピードをばかに出したら油の燃焼が非常に多いというようなことから、国民全体が抑制的なムードであったというようなことも大きくプラスになっているのではないかというふうに思われます。それに対しまして、昨年から今年にかけましては新車の登録台数が猛烈な勢いで増加してきておるというようなことでありまして、全般的な景気の好調というものも事故増加につながってきておるのではないか、そうしたことで、運輸関係でも貨物の輸送などでも非常に過密な状況が続いておるというようなこともあるいは事故につながっているのではないかというふうに思われます。いずれにいたしましても、そのような厳しい状況を踏まえまして最善の努力をするよう関係省庁で協調して努力してまいりたいと思っております。
  93. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 長官の御答弁は丁寧な御答弁でございますが、私の言っておりますのは、要するに八千名まで抑制するということが一つの大きな課題である、それをとりもなおさず九千名に抑える、これがまた緊急の課題である、こういうふうな認識をした場合に、戦争という言葉はいろいろありますけれども、今までの過去の戦争というものを考えたときには、それに対して全力投球をする。例えて言いますと、予算の伸び率は二%でいきましょう、五%でいきましょう、一〇%でいきましょうというようなことではなくて、要するに、それを撲滅するためにはどれだけの予算が必要であるのか、逆に言えば支出を考えずにやるというのが今までの戦争ということに対する対処の仕方であったのではないのかと思うわけでございます。したがって、テレビなどでもいろいろ放映されておりますけれども、あそこの信号は非常に見にくい信号である、あるいは一方通行の入り道が非常に入りにくい、そんなようなことも、小さな声ではあろうかとは思いますけれども、なかなかすぐには、ああ、わかったよと言って変えるようなことはない。あるいは日本の歩道の状況を見ましても、小学校、中学校に行くところに歩道がない。そこで、危ないから何とかそこへ歩道をつけてくれという陳情は去年だけでももう山ほど来ているわけですね。そうしますと、そういうような今までよく事故を起こした地域、直さなければならないような地域、これだけはやっていただきたいというような要望が、警察の最末端で苦労されている方からもあるいは市町村長からも、いろいろなところからたくさん来る。極端に言えば、ことしはわりかた雨が降って事故もありましたけれども、とにかく山崩れの危険性のある箇所は幾つかあるんだ、六万一千カ所ぐらいあります、そういうのを総点検しまして、そして、予算がないから順次やりましょう……。したって、そういうところは雨が何ミリ降ればもう避難してもらおうとかということで今やっておるわけでございますが、やはりそういう現場でやられている一人一人の方々の意向というものが受け入れられて、そして、それは直さなければいけないということで予算が組まれておる。僕はこういうことは非常に大事だと思うのですけれども、その予算の組まれ方はどうなっていますか。各省庁お願いします。
  94. 三谷浩

    三谷政府委員 建設省では、交通環境整備ということで交通安全事業を進めております。  昭和六十一年度から第四次交通安全施設等整備事業が始まっておりまして、六十四年度事業費として二千二百三十二億円を計上しております。内容交通安全施設整備ということでございますが、特に道路環境の整備の観点からは、例えば交通弱者であります歩行者事故あるいは自転車事故が四〇%近くございますから、こういう交通弱者のための交通環境整備を最重点にしておりまして、先ほどお話がございましたように、歩道の整備あるいは自転車道等の整備を最重点にやっております。その際、もちろん計画に基づきまして地元要望等を伺いながら行っております。  なお、そのほかに私ども第十次道路整備五カ年計画昭和六十三年度から発足させておりますが、そこで特定交通安全施設等整備事業に加えまして地方道路整備臨時交付金という制度をつくりまして、これは小規模な改築で、特に地元計画に従いまして交付金を交付する制度でございますが、こういう意味昭和六十四年度につきましては概算要求額五百十三億円で実施をする、こういうようなことで交通安全にぜひ資するような事業を進めてまいりたい、かように考えております。
  95. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 内容的にこれが幾らだ幾らだというのは後で表にしていただいたらよかろうかと思いますけれども、私の感じは、例えて言いますと、今言ったように、危険な区域で子供さん方が通学路にしている、そこに歩道をつくっていただきたい、事故も一回や二回起こっております、そういうようなところについてたくさんの要望が来ているはずなんですね。だから私とすれば、例えて言うならば、道路局長が受けられる立場において、本来はこれに対して五兆円要るんだ、しかし本年度はそうじゃなくて、倍額の一〇〇%増しの予算を組んでもらったからありがたいんだという考え方では、これは戦争でもなければ緊急措置でも何でもないんです。そうじゃなくて、これは五兆円要りますよ、しかし今回一兆円でやりましょう、そのほかの手だては交通安全指導員でというようなことで手を打ちましょう、言ってみれば、そういうきめ細かないろいろなことに対してやっていただきたい、そういう意味なんです。あるいはまた警察庁にお願いするとすれば、信号をつけていただきたいというのがあちこち物すごいんですね。そうかといっても、いや年間何基ですよ、何基ですよ、こう言っておるわけです。危ないからつけていただきたい、連合自治会そろってお願いしても、いや、そこは順番が違う、あなたのところなんかこっちと比べたらまだいい方だ、こういうような形になっている。これはとりもなおさず、やはり予算というものの制限がある、これはよくわかるわけでございますけれども、それで交通戦争です、さあなくしましょう、どうしましょう。金の面だけじゃありませんよ。さっきも私が言いましたように、金の面だけじゃないけれども、少なくとも緊急提言をする、あるいは交通戦争だ、戦争だという認識があるなら、今の内閣、総理初め全部の方々がとにかく九千名以下にするんだあるいは八千名以下にするんだというものがなければ、これはそんな口先だけで解決するようなものじゃないのです。  今も総務庁長官からいろいろお話がありました。いろいろの要素があるわけでございますから、それに対する腹構えはつくる、そのつくった結果として予算もだっといく。その予算は、地元のそういういろいろな問題に対して、どんどん出てきたものに対して、今これだけありますよ、それが概算要求に生かされているのか生かされていないのか、そこが今回の緊急提言の根底をなす一番大事な問題ではなかろうか、私はこのように思うわけでございますが、総務庁長官、この件についての私の意見は間違いでしょうか、それだけお伺いしておきたいと思います。
  96. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま建設省関係については道路局長から御答弁がありましたが、警察庁関係ども含めまして、来年度のそうした概算要求の面においては十分配慮するように、私の方からも要請をいたしているところであります。
  97. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そういうことで、どうぞとにかくこの九千名だけはなくしていただきたい。これはもう国民全体の願いでございますし、被害者、加害者一緒になっておるわけでございますから、とにかく全力を挙げてみんなでなくしていかなければいけない、そういう決意でひとつ私もやりたいと思いますし、皆様方もよろしく御苦労のほどをお願いしたいと思います。  時間が余りありませんものですから、次に、ちょっとこれだけどうしても聞いておきたいなと思うものから順番にまいります。  潜水艦と遊漁船の衝突事故についてでございますが、これは七月二十三日、東京湾の横須賀港沖において潜水艦「なだしお」と遊漁船第一富士丸が衝突し、乗員、乗客二十九名が死亡する海難事故が発生したわけでございます。事故直後の海上自衛隊の連絡通報のおくれが海上保安庁の救護、捜索活動等に影響を与えたとして、その態勢のあり方が問題になったわけでございます。これは別に潜水艦と遊漁船ということじゃなくて、今後こういう事故が起こらないために、船が衝突いたしました、何人かが海上でおぼれております、そういうときにどういうような救護活動とか通報の仕方があるのか。一般論として教えておいていただきたいと思います、海上保安庁。
  98. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 海難事故が起きた場合には、船員法では、まず船長に救助義務が定められております。それから通報の仕方としては、できるだけ早く最寄りの海上保安官署へ通知していただく、それを受けて私ども所要の措置をとるというのが一般的なやり方でございます。
  99. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そうしますと、専門的には私ちょっとわからないのですが、とにかく衝突をいたしますと、通報義務というのは、近くにいる船に対しては何もやらないのですか。
  100. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 一般論としては、当然まず遭難船舶は救助の要請をすることになっています。それから遭難があったということを知った船も直ちに救助の義務があるということでございます。
  101. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 ちょっとわかりにくいのですけれども、この事故が起こりまして国民方々からいろいろ聞かれたわけですね、なぜこんなことになっているのですかと。私もわからないわけです。私も船に乗ったときに、よしんば沈むときにその船がどういうふうにしてくれるのかということも知っておけば、そのときに、近くの人にだけでも、安心しろ、今向こうの船が来るとか言ってあげられるわけでございます。とにかく私の認識では、何も知らない。自動車とかそういうものを運転している認識では、船の場合だったら、衝突いたしますね、そうしますと、汽笛かあるいは発煙筒か何かたくなり鳴らすなりすれば、そこで海難事故が起こっている、救助を求めている人がいるよ、それは沈む船がやれといってもやれない場合もあるだろうしやれる場合もあるかと思いますけれども、そういうことである。それからすぐに救命ボートをおろすなりあるいは浮き輪を投げてあげるなり飛び込むなりして、まず救援活動をする。通報というのは当然海上保安庁にも行って、巡視艇なんかすぐ駆けつけてもらわなければいけない。こんなことでよろしいのですか。間違っていたらおっしゃってください。
  102. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 大筋では今おっしゃったとおりでございます。  通常ですと、遭難船はまずSOSの救助信号を発信いたします。私どもそれを受けますと、最寄りの巡視艇等を出動させて救助に当たらせますし、同時に、近くに船舶がいないかどうかということを調べまして、近くに船舶がいることがわかればその船に救助を要請するというようなこともいたすわけでございます。それから遭難船以外に遭難を知った船舶、付近にいて目撃したりあるいは救助信号等を傍受したりしてそういう遭難を知った船がいれば、近くにいて救助ができる場合には、それも当然救助に赴くことになりますし、それから自分自身が救助できないような場合には、保安庁に通知したりあるいは遭難船の付近の船舶にできるだけ連絡をとるようにして救助してもらうように要請するというのが通常のやり方だと考えています。
  103. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そうしますと、今いろいろな方から聞かれて私も一番わからないなと思いますのは、そういう形、今言われたとおりだと思うのですけれども、今回の場合みんなの意識が非常になぜだと思ったのは、自衛隊の方、陸上、海上、航空ございますけれども、どの自衛隊の方でありましても、我々とすれば非常に頼もしい、あるいは災害のときであれ何であれ、よしんば何があってもすぐ助けてくれるのではなかろうか。私も昔の軍隊も知っておりますので、非常に頼もしいというか信頼感といいますか、とにかく命を捨ててでもやっていただけるというものを大変持っておるわけです。ところが、今回のテレビなんかで聞きますと、助けてくれと言うのに助けてくれなかった。陸上自衛隊ならそれは無理もないけれども、海上自衛隊の一番のというか専門的な立派な潜水艦にお乗りになっている方が、助けてくれと言うのを目の前にして、泳いで届くかどうかは別にして、何でそのままいたのだ。また少なくとも何メートルかですから、あれだけ十何ノット出るわけですから、助けろと言えばすぐ行っただろうと思うのですけれども、そこら辺が今後事故があった場合にこの前と同じような状況でいいのかどうか、一遍ちょっとその辺の判断を防衛庁とそれから海上保安庁とで御答弁願いたいと思います。
  104. 守屋武昌

    ○守屋説明員 お答えいたします。  今回の潜水艦事故に際しまして私どもの「なだしお」がとった救助活動についていろいろな御批判があることは、防衛庁といたしましても十分承知しておりますけれども、これは「なだしお」が衝突前の回避措置によりまして一たん衝突現場から離れてしまったということが大きな原因でございます。我々といたしましては、艦長や乗組員の話では、助けてくれという叫び声は聞こえておったわけでございますが、そういう衝突現場から離れてしまったことが一番大きいことでございます。それで、そこに参りますのに潜水艦や護衛艦が進出するということは、自衛艦のスクリューとかそういう問題がございまして、かえって遭難者を傷つけるおそれがあったということが二番目の要因でございます。それから三番目は、潜水艦は普通の水上艦艇と異なりまして、機動力のある救命ボートを持っていなかったということでございまして、さまざまな制約のある中で我々の「なだしお」が救助活動をせざるを得なかったというのが実情でございます。  以上でございます。
  105. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 救難態勢につきましては、ただいま自衛隊の方からお話しございましたが、自衛隊としてもいろいろ改善方策に取り組んでおられるというふうに承知しております。  それから、一般に、自衛艦に限らずこういう場合にどういうふうに対処するかということは、確かに非常に難しい問題だと思います。平常の訓練等を一生懸命やるということが非常に大事なのではないかと思いますが、私どもは今回の「なだしお」の事故も教訓といたしまして、今後安全指導の一環の中で救難態勢についても改善すべき点があれば改善するように検討していきたいというふうに考えております。
  106. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そうしますと、今の答弁を聞く限りにおいては、そのときそのときの判断は間違いなかったというぐあいに幕僚の方も言われておるわけでございますから、それはそのときそのときの艦長の判断は間違いなかったと思うのですけれども、助けてくれと言っている側から見ますと、どのくらい距離があるかわかりませんが、飛び込んででもいいから助けに行く、そうすればおぼれておる方だって、ああ、来てくれているんだからもうちょっと我慢しようというようなこともあるのじゃないか。しかし、じっと見ているとは何だ。それで、本当は沈まなくてもいいのに沈んでしまったというような、その瞬間をとらえての事故のときの対処というのがあろうかと思うのですね。  そういうことで、確かに専門分野的にやる。今回も防衛庁はブイを向こうへ打つ機械をあれするとか、いろいろなものを装備して万遺漏なきようされるということだと思いますが、しかし、やはり何といったって泳げる人で自分が浮き袋をつけていれば飛び込んじゃおうということになるのじゃないか。ましてこれが僕らが信頼している自衛隊の、海軍の、それも潜水艦に乗っておられる方だ、これならだれが見てもそう思うのですけれども、長官、こんな考えは間違いでしょうか。
  107. 高鳥修

    高鳥国務大臣 実は総務庁は、陸上の交通安全に関しまして調整指導しなければならない立場にありますが、海上の安全につきましては関係の官署が少ないものですから、私どもは、いろいろな情報がありました場合に、その情報を提供するという役割だけを課されておりまして、それ以上の調整権がございません。さはさりながら、ただいま新井委員がおっしゃいましたことにつきましては同感であります。
  108. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 実は前の連合審査のときに、「なだしお」の艦長の救助義務違反について捜査をしないのかという御質問がありまして、そのときに、当然、船員法による義務違反があったかどうかは捜査の過程で対象となり得るというお話を申し上げたわけです。私どもといたしましては、潜水艦「なだしお」が救助義務を果たしたかどうかということは現在捜査しておりまして、その結果についてはまだ結論を得ておりませんので申し上げる段階にはございませんけれども、そういった中で、今お話がございましたように、明らかに目の前にいて救助すればできるはずであったのを救助しなかったというようなことであれば、それは問題があろうかと思います。  ただ、どういう状態になっていたか、私どもも新聞情報なりあるいはテレビの情報で知るところでございまして、常識的に言いまして、シーマンとして目の前におぼれている人がいて助けないということは、私としては信じられないというふうに思っております。
  109. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 それで、ここに自衛艦乗員服務規則というのがあるのですけれども、第四十条で「艦長は、その艦が他艦船と衝突したときは、互いに人命及び艦船の救護に必要な手段を尽くし、事後、連の定めるところにより、海上幕僚長及び上級指揮官並びに所要の向きに報告・通報する」というようなことがあります。いろいろ決められているのですが、例えて言うと、あの当時は戦時でも何でもありません。別に訓練に入っているわけでもないし、戦時活動をやっているわけでも何でもないのですね。そういう中で一つの服務規定がある。これは当然のことだと思います。したがって、潜水艦からもし飛び込むようなことをだれかがするということはこういう服務規定にも反しているだろうし、そのかわり、艦長が飛び込めと言ったらみんな飛びこんじゃうとかそういうような艦長としての判断、あるいは個人として飛び込みたかった方もたくさんいらっしゃるんだろうけれども飛び込めなかったとか、そういうようなこともあろうかと思いますが、その点自衛隊の方ではどうなっていますか。
  110. 柳澤協二

    ○柳澤説明員 当時の状況については、私どもも乗組員、艦長等からいろいろ様子を聞ける限りで聞いております。  先生が今御指摘になりました自衛艦乗員服務規則の中で、衝突等の場合にはまず人命及び艦船の救護に必要な手段を尽くせ、しかる後に所要の向きに報告しろということになっております。また一方では、艦船事故の報告に関する訓令という決まりもございまして、これは、要すれば救難等の措置を講じ、さらに上級部隊やらあるいは水難救助関係官署等にしかるべく通報しろというような規定がございます。問題は、通報の面について申しますと、先生言われましたようにいろいろな決まりがそれぞれにございまして、その辺が十分整合性がとれて、乗員が見て、いわばこういう臨機の緊急事態でございまして、通報も救助も、あるいは自艦の損傷があるとすればそこの手当ても全部一度にしなければいかぬ事態であったであろうと思います。その点の行動が今回どうであったか。それから、そういう規則類に不備はなかったかというようなことも現在私ども検討はしております。  それから、溺者救助の関係につきましては、「なだしお」の艦上から直接飛び込んで一人お助けしているということはあるわけでございますが、やはりその現場の状況で、これは先ほど海上保安庁の長官からもお話がございましたが、やみくもに飛び込みたい気持ちはあっても実際助けられるかどうか。自分が遭難するおそれもあるわけでございますから、その辺はその場の状況で果たしてどうであったかということをじっくり調べまして、改善すべきところは改善しなければいかぬ問題であろうか、かように考えております。
  111. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 これは不幸中の幸いと申しますか、昼間でございました。波もそんなに高くございませんでした。それから、近くにたまたま船が通っておった、こういうような状況であります。しかし、訓練とかいうものについては、そういうことが起こり得る限りの訓練というのはされるかと思いますので聞いておきたいのでございますが、これがもし夜間であって船が通ってなかったらどうなったか。要するに、潜水艦とその船だけの衝突でああいう事故があって、夜間であったというときだともっと大変な災害にも結びついておったなということを思うわけでございます。そういうことで、僕も余りきょうは時間がありませんから申し上げられませんけれども、あらゆる問題に対して今後とにかく人命救助第一ということでお願いしたいな、このように思うわけでございます。  ただ、潜水艦というのは、この前ちょっと専門家に聞きましたら、非常にもろい部分があるようでございます。ペルー沖で逆に今度はあれだけ大きな潜水艦が小さい船と衝突して沈没してしまったというようなことがあるわけでございますが、潜水艦も今度逆にああいう形になった場合に、艦内に閉じ込められるかあるいは出られるか、いろいろの想定があろうかと思いますが、ペルー沖のような状況になった場合、海上自衛隊の方としては同じように救えるようなものを持っておるのですか。いかがですか。
  112. 柳澤協二

    ○柳澤説明員 海上自衛隊も、潜水艦部隊を持っております以上、潜水艦救難のための装備は一通りのものは持っておるというふうに、直接の担当でございませんが承知しておりまして、そのための訓練も、これは海面等関係がございまして必ずしも十分ではありませんが、実施しておるところでございます。
  113. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 それからもう一つ私は聞いておきたいのでございますが、今回の第一富士丸はたまたま保険にかかっておったようでございますね。額は明確ではないのですけれども、一人四千万ですか、そういうことで保険にかかっておった。今自衛隊の方も遺族に対する補償問題というのを進められようとしておるわけでございますが、これがたまたま自衛隊ですから責任を持ってそういうことの解決ということも図られようかと思いますが、民間船同士でそういうような事故に遭った場合に、保険を掛けているのかいないのかということは一般の釣り舟にわかるのですかね。例えて言いますと、私たちが飛行機に乗せていただきますと、落ちれば大変なことなのですけれども、それでも遺族補償というのがあるでしょう。あるいはタクシーに乗ってもバスに乗っても、これは運転手のミスであれ何であれ、けがをした人の救済とか亡くなった方の補償というものはある程度保険でちゃんとカバーされるようになっていますが、船の場合についてはそれが一体どうなっているのかお伺いしておきたいと思います。
  114. 阿部雅昭

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  私どもが所掌しておりますいわゆる海上運送事業、海上運送法に基づきます旅客の定期あるいは不定期航路事業につきまして、旅客定期航路事業は免許あるいは不定期航路事業につきましては許可制あるいは届け出制というような若干規制の違いはございますが、免許あるいは許可の際には保険契約を義務づける、そういう条件をつけまして、現在、定期航路事業の場合ですと最低一人当たり二千五百万円以上、不定期航路事業につきましても同様の加入を義務づけて加入させるように指導いたしております。ただ、不定期航路事業の中でも届け出事業者についてはそこまでの条件はつけられませんが、我々鋭意指導しておりまして、実際上はそのような保険に入っているのが実情だというふうに考えております。
  115. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 そうしますと、私たちがタクシーに乗ったりバスに乗ったりするときは、もう一々聞かなくたって、これは保険に入っているということはわかりますからよろしいのですけれども、こういう遊漁船は全部が全部入っているわけでもないみたいなんですね。そうしますと、優良マークというのじゃないのですけれども、これは保険に入っていますよ、これは保険に入っていませんよ、入っていないのだから、その船に乗って事故に遭ったら自分の生命保険か何かでやってくださいというくらいきちっとしておかないと、もう補償を払えるような金額じゃありません。小さい会社だと全部財産を売って、社長も借金をして返すといったって返せるような金額でない場合があると思う。したがって、そういうところの事故というのはこれから想定されるわけでございますから、とにかく全部が入っていればよろしいですよ。タクシーみたいに、入っていないなんといったらタクシー会社が全部損害賠償やってくれるならよろしいけれども、そうじゃなくて、入ってもいい、入らなくてもいいというなら、入っているもの、入っていないものの識別をするぐらいでないと、みんなが魚釣りに行くのはそれこそレジャーでございますから、年に一回行ったってわかるぐらいにしておいてあげないといけないと思いますが、いかがでございますか。
  116. 本儀隆

    ○本儀説明員 お答えいたします。  遊漁船につきましては、旅客船等と違いまして、あるいは届け出制とかそういうものが今ございません。また、保険を義務づけるというような制度もございません。ただ、私どもとしましても、業を指導するという観点から、遊漁案内業者の組織化とかそういうことを進めておりまして、そういう中で保険に加入する指導を強めてまいっております。一時、五十八年ごろの調査では三割ぐらいが入っているというような結果もございますけれども、その後、数字的にはつまびらかではございませんが、大分ふえているとは考えております。ただ最近、幸いなことに、富士丸の事件は全くあれなんですが、遊漁船が沈んだり何かで保険に入っていないから補償ができないといったようなことは余りなかったこともございます。いずれにせよ、我々としては、そういう組織化を通じながら保険加入率を高めていく、またあるいはそういう中でマークといったようなものも検討させていただきたいと思います。
  117. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 今のようなお話でございますが、とにかく強制的に入るならどの船に乗ってもいいのですけれども、少なくとも人を乗せる、お客さんを乗せる船については当然全部が入るようにするのか、要するに自賠責方式にするのか、あるいはしないなら、入っている船はこれですよ、入っていない船はこうですよと、後になって問題が起こらないようにしておかなければいけない。これはやはり今ここまで来て、これからレジャー、バカンスの時代に入るのです。そうしますと、船は幾らでも出てきますよ。これから衝突事故だって起こすなといったって、海上レジャーは物すごくふえてくるはずでございます。そうしますと、おくればせながらやるのか、それとも諸外国の例を見てこれは当然こうしておかなければいけないといって先手を打ってやるのか、どっちかなんですよ。だから、問題が起こったからやりましょうというのじゃなしに、全世界のレジャーの場所をずっと調べてみてください、大変いろいろな問題が起こっております。そういうわけで、こういう問題については先手を打ってどっちかきちっと、今言ったように全部入るか、それとも明確にしてあげるかぐらいのことは決断をしなければならないときに参ったと思うわけでございますが、その点、先ほどそういう方向だと答弁がありましたので、それで間違いなければ次の質問に進みたいと思いますが、いかがですか。
  118. 本儀隆

    ○本儀説明員 そういう方向で検討させていただきたいと思います。
  119. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 時間が余りなくなってしまったのですけれども、瀬戸大橋周辺海域における船舶交通安全対策ということについて質問と問題を提起いたしておきますので、きょう時間がなければまたよろしく御検討願いたいと思います。  瀬戸大橋は本州—四国を結ぶ夢の大橋として多大の期待を持たれながら、九年六カ月の歳月と多大な人材、資材を投入し、去る四月十日開通をしました。このように未来を開く夢の大橋としてスタートした瀬戸大橋でありますが、観光を目的とした観光船、プレジャーボート等が増加しているが、瀬戸大橋周辺海域における船舶交通の安全性について簡単に一言お答え願いたいと思います。
  120. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 お話しございましたように、確かに瀬戸大橋が開通いたしましてからその周辺における観光船等がふえておるところでございます。それにつきましてその安全対策をどうするかということでございまして、海上保安庁といたしましては、あらかじめ観光船の流れというものを決めたわけでございます。整流を図るための観光船の周遊ルートを設定いたしまして、瀬戸大橋の周辺では観光船は必ず時計回りと逆方向に回るようなルートを設定して安全指導に努めております。  それから同時に、関係の観光船の団体の設立を働きかけまして、その結果として、ことしの三月までに香川県と岡山県にそれぞれの事業者を中心とした協議会が設立されまして、その協議会を通じまして今のようなルートの設定であるとか、厳重な見張り、慎重な操船、安全な速力の確保等の安全運航の指導徹底を図っております。  また、橋自体につきましても構造物の存在を示す灯火等の航行援助施設及び緩衝施設というものを設置して、その安全確保に努めておるところでございます。
  121. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 時間がありませんからこっちでどんどん申し上げます。  この瀬戸大橋にかかわるいろいろな事故で、ございますが、昭和海運所属の観光船「ぶるーほぅく2」が暗礁に乗り上げた。あるいはまたこのような場所は、現場海上は満潮時には岩が海中に隠れる暗礁の多い場所である。それから、瀬戸大橋周辺では開通前から橋目当ての観光船が急増し、約百隻の観光船が周遊している。五月十六日には、現場近くの海上で関西急行フェリーの観光船が暗礁に接触、浸水する事故が起きている。定期観光船は一定のコースを航行しているが、不定期のチャーター観光船はコースを変えることもある、こういうことです。  そういうものに関連いたしまして、これは八月十二日の朝日新聞の「論壇」でございます。これに本郷さんという内海水先人、前国際パイロット協会副会長が投稿されているのですけれども、   先日、私は岡山県の水島港で原油を陸揚げした十万重量トンのタンカーを神戸沖まで誘導した。この航行経路には、本年四月に完成した瀬戸大橋がある。出港した船は、水島航路を南下してほぼ直角に針路を変えて東に向かうことになるが、この変針直後に瀬戸大橋の下を通過する。   ところが、その付近に多数の漁船が操業中で、何度も汽笛を鳴らして注意を喚起したが、なかなか通航路を開けてもらえない。そのため針路を変える時期が遅れ、そのうえ当時相当に速い西向きの潮流があったので、船首が西に押され、必死の操船にもかかわらず、船体が航路の南側にある橋脚に「あわや」というところまで接近し、全く生きた心地がしなかった。   橋脚には緩衝装置があるが、十万トンものタンカーが衝突した場合どうなるであろうか。橋脚は間違いなく破壊され、船の油タンクも破損は免れないであろう。この場合、タンク内から噴出した引火性ガスに着火したら、大爆発が起こり、巨額の建設費と十年の歳月を費やした瀬戸大橋は使用不能におちいり、その被害は膨大 なものとなる。この危険に、関係者はどのような具体策をもって対処するつもりであるのか。似たような事例は多数報告されており、その資料を各水先人に周知して事故防止に役立たせているが、現場での努力だけではもう限界にきている。   このような通航船と漁船との衝突を予防するため、わが国も既に批准している国際海上衝突予防規則の中では「漁労船は、狭い水道または航路筋の内側を航行している他の船舶の通航を妨げてはならない」と規定している。   ところが、わが国の海上衝突予防法では「航行中の船舶は、狭い水道等では漁労船の進路を避けなければならない。ただし、漁労船が狭い水道等の内側を航行している他の船舶の通航を妨げることができることとするものではない」と規定しており、全く反対とも受けとられるような表現になっている。これが現場において、通航船と漁船の航法関係を混乱させている原因だ。この「通航を妨げてはならない」の解釈について多少疑義があり、昨年、前述の国際規則に新しく条文が追加され、来年十一月から発効することになった。それによると「早期に、他の船舶が安全に通航できる十分な水域を開けなければならず、この義務はその船が衝突するおそれがあるほど接近しても変わらない」と明確にされた。   私たちは、これにより事態の改善が一歩前進するものと思い、この分かりやすくなった規定が国内法にとり入れられることに大きな期待を寄せている。   なお、多数の漁船が操業している狭水道等の実態を考えると、この規定を追加するだけでは不十分と思われる。規定の趣旨を徹底し実効を期すためには、現場での強力な指導体制による安全な通航路の確保が絶対に必要で、これがなければ瀬戸大橋に船舶が衝突する危険は解消できないと思う。関係当局理解と積極的な対応を希望する。 こういうことに対して保安庁長官はどのようにお考えですか。
  122. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 ただいまの先生お読み上げになりました「論壇」につきましては、私も承知しております。  まず、国際衝突予防規則の改正の関係でございますが、その明確化のため国内法の改正を行うべきだという意見がこの「論壇」のほかにもあることは私ども承知しているわけでございまして、今後漁業者と関係者の意見ども考慮しながら、それについての検討を進めてまいりたいと思います。  それから、瀬戸大橋周辺の一般的な航行安全確保の対策でございますけれども、先ほど申し上げましたように、観光船等については航行安全策をとっているところでありますが、さらにこの付近を航行する大型タンカー及び漁船の航行の安全につきましては、海上交通安全法及び海上衝突予防法に定めます交通ルールに従い安全が確保されますよう指導を行ってきているところでございますが、さらにこれに加えまして、同海域付近に巡視船艇を常時配備いたしまして航路内通航船舶の整理であるとか航法指導等を行いますとともに、六十二年七月から備讃瀬戸海上交通センターを設置したわけでございまして、そこにおいて各種情報の提供と航行管制を一元的に実施すること等によりまして一層の船舶航行の安全確保に努めているところでございます。今後とも、こういった施策を通じまして船舶航行の安全の確保に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  123. 新井彬之

    ○新井(彬)委員 時間が来ましたので質問を終わりますが、要するに、大きな事故が起こるというのは、いろいろ様子を見ますと一の法則があることは有名ですけれども、三百三十回ありまして、そのうち三百回はほとんど小さな、航空機事故でもニアミスとかそんなので終わっているようですね。ところが、二十九回は小さな事故で、一つは大きな事故が起こる。したがって、いろいろな小さなときの危ないものを集めてそれをとめることがその三百三十回のたった一回の事故をとめることになる、こういうふうな法則もあるわけでございまして、どうぞこの専門的な御意見に対して、その方々がなるほどと思うように法改正並びに行政指導をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  124. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で新井彬之君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤英成君。
  125. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 最近の交通事故死者数増加傾向が著しくて、本年にも死者数が一万人を超えることになりかねないという憂慮のもとに交通事故防止に関する緊急総合対策がとられたわけでありますけれども、それに関連して、最近の交通事故状況をデータに基づきながら申し上げ、その対策について考えたいと思うわけであります。  まず最初に、ことしの交通事故状況は、六十三年七月までに事故の発生件数が三十三万四千六百二十二件と対前年比〇・四%増、そして負傷者数が四十万九千二百七十一人と対前年比〇・五%増、微増という状況に対して死者数が一〇・四%増となっているわけであります。このように事故の発生件数あるいは負傷者数が微増なのに対して死者が大幅に増加しているのはどういう要因によるものであろうか。そしてまた、この事故死者の年齢別及び発生時間別の特徴がどのようになっているかということについてまずお伺いをいたします。
  126. 内田文夫

    内田(文)政府委員 最近の交通事故の死者の特徴を見てみますと、二十歳から二十四歳代のところが大変大きく伸びて二〇%ぐらい死者が多くなっているわけであります。それと十六歳から十九歳まで、そういった若い層が大変大幅にふえているということが一つの大きな特徴になっております。それと、時間別に言いますと、午前零時から早朝四時ごろまでにかけてといった時間帯がふえている。その前後の時間帯もふえているわけですが、そういった夜間といいますか、それが全般的にふえているということが一つの大きな特徴であるわけでございます。  そういったことから見て、先生の御指摘がありますように、発生件数だとか負傷者数がそれほどふえてない、横ばいなのに死者がふえているということを考えてみますと、殊に若い者の死者というのが、車に乗って暴走するといいましょうか、二輪車の事故も含めて大変ふえておるわけですが、そういった若者の二輪車志向とかいうようなことが一つの大きな原因になっている。それと、夜間がふえておるということは、昔から事故が起きましても、致死率といいますか死者が出る率は夜間が高い。どうしても夜間になるとスピードを出して走る。したがって、事故が起こった場合にも死ぬ率が非常に高いわけですが、死者がふえているということは、最近の社会全体の生活のパターンといいましょうか、夜の活動が大変多くなってきている、そういう生活パターンになってきていると思うのですが、そういったことから夜間事故がふえているのじゃなかろうか。そういうことがひいては今言いました死者の増加ということにつながっているんだ、このように考えておるところでございます。
  127. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今御説明してくださったのですが、私なりにもうちょっと数字で申し上げます。  これは警察庁の資料によっているわけですが、七月までの状況について見たときに、今言われたうちの例えば夜間の問題について考えたときに、夜間死亡事故がどんなふうに発生しているかと申し上げますと、時間帯別に見ますと、夕方の六時から朝六時までの状況を見てみますと、今回の死亡事故増加件数が前年同期に比して四百五十五件だと私は思うのです。全部のうち、四百五十五件ふえたうちで先ほど申し上げた夕方六時から朝の六時までの増加件数が、夜間が三百二十七件ふえておる。したがって、四百五十五件のうちの三百二十七件、すなわち七二%、増加したうちの七二%はこの夜間に発生をしているということです。  このことは今緊急対策としてここに言うわけでありますが、私はまさにこういう視点が必要だと思うのです。そして、それは実際に過去の経過を振り返ってみても、昼夜別に死亡事故の発生割合の年ごとの変化を見てみますと、五十三年には四八・六%であったのが六十三年の上期には五六%まで増加している。年ごとに追ってでもそうなっている。そして、先ほど申し上げたように、六十三年、ことしの死亡事故がばっとふえた。そのふえたうちの七二%は夜のうちに発生しているということです。それは先ほど言われたようにいろいろな生活のパターンの変化等もあったと思うのですが、そういうことも背景になって今申し上げたように夜の時間に発生している。したがって、緊急対策考えたときに、こういう点について焦点を絞ってもっとやらなければならぬと私は思うのです。そういう意味で、今回の緊急総合対策の中には夜間事故発生の多さを意識したものがちょっと少ないのじゃないか、ほとんど見当たらないと私は思うのです。そういう意味で、いわゆる夜間の運転、そしてまた一方ではそこにおける歩行者ということもあるのですが、そうした対策が必要だろうと思うのです。具体的には教習所で指導をするときに、例えば夜間の運転ではどういうふうになるんだというような映画を見せることを義務づけるとか、あるいはテレビやラジオなんかでも夜間にもっともっとこういうふうに事故が発生するんだよ、だから注意をせよというような警告をするとか、あるいは最近みたいにコンビニエンスストアがどんどんできているという状況、そういうところにもっとPRをするとかいうような具体的な広報活動あるいは啓蒙活動が必要だと思いますが、いかがですか。
  128. 内田文夫

    内田(文)政府委員 最近の情勢からかんがみまして、夜間におけるいろいろな緊急対策といいましょうか、対策を講じなければならないというのは先生指摘のとおりだと思うわけでございます。そういった意味で、我々といたしましても、確かに緊急対策の中には具体的に夜間の問題を取り上げているあれはないわけでございますが、警察庁といたしましても、交通安全施設夜間における視認性の向上を図るとか、あるいは今までも警察官の街頭監視活動というのはどちらかというと昼間がどうしても多くて夜が少ないということをよく御指摘を受けるわけですが、我々としては、やはりそういう事故の発生実態に応じた、夜間にもウエートを置いたシフトといいましょうか、そういうことを今各都道府県に指導をして進めているところでございます。それから、やはり同じ取り締まりをやる場合でも夜間にウエートを置いた取り締まりをやっていく、こういうことを今進めております。  それから、先生からお話がありました指定教習所の教習の問題でございますが、これにつきましても、これはなかなか強制をするというわけにまいらないのですが、極力その教習生に夜間における運転だとかあるいは雨が降ったときの運転を実際に行わせるというように、各教習所にもそういった方向で努力してもらう、そしてまたその教習生にも協力してもらうという指導をいろいろといたしております。  それから、いろいろな交通安全の啓発のポスターとかそういうような問題につきましても、夜間人が集まる場所に掲示数をふやしていくということも進めてまいっているわけでございまして、今後とも夜間を考慮した対策をいろいろと進めてまいりたい、こう思っております。
  129. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ラジオやテレビの集中スポットなんかは考えておられますか。
  130. 内田文夫

    内田(文)政府委員 例えば、今度秋の安全運動が行われますが、その際にいろいろとテレビのスポットとかいうことを関係団体にも協力をいただきまして考えておるわけでございます。時間的にも深夜帯といいますか、そういうものにウエートを置いてやっていくように現在いろいろ検討をいたしておるところでございます。
  131. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 総務庁の方は何か御意見ありますか。
  132. 加美山利弘

    加美山政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、国民生活の行動パターンの変化等を踏まえた交通安全対策交通安全キャンペーンを展開する必要があろうかと存じます。このような観点から、去る八月二十二日に決められました交通対策本部決定交通事故防止に関する緊急総合対策に基づきまして、各種広報媒体の積極的な活用により多種多様な交通安全対策交通安全キャンペーンを展開することといたしているところでございます。  以上でございます。
  133. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先ほど申し上げたように、夜間の問題は、今交通事故の発生している状況から見れば明らかなように、夜間に焦点を合わせなければならぬということでありますので、ぜひよろしくお願いします。  同じように、シートベルト着用状況ですね、この緊急対策の中にも触れられておりますけれども、自動車乗車中の死者数のうちの約七割がシートベルトの非着用者であるというふうになっておりますが、夜間状況はどういうふうになっておりますか。
  134. 内田文夫

    内田(文)政府委員 シートベルト着用率等につきましては、春秋の全国交通安全運動期間中にいろいろ実態の調査をいたしておるわけでございますが、これは外で車の走っているのを見て着用率を見るということになりますと、夜間では本当に締めているのかどうかわからないものですから、とめて調べなければいかぬ、大変迷惑をかけるということもありまして、実際、調査は昼間しか行ってはいないわけでございます。ただ、夜間に一部の県でサンプル的にやったのを見ますと、やはり昼間と比べると五%ぐらい着用率が下がっているという結果が出ておりますので、全国的に見ても夜間の方がやはり着用率が下がっているということは間違いない事実だろうと思っております。それから、実際の死亡事故発生状況等を見ましても、夜間における死者の中での非着用率がぐっと高くなるという傾向がございまして、これからこの秋の全国交通安全運動でもシートベルト着用率の向上ということを一つの柱にいたしておるわけでございますが、特に夜間着用率の向上ということに重点を置いて取り組んでまいりたい、こう思っておるところでございます。
  135. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 それでは、死者のうちのデータで、年齢別に見たときにいわゆる若年者の着用率というのはどのようになっておりますか。
  136. 内田文夫

    内田(文)政府委員 ことし上半期の自動車に乗っていた者の死者が千七百八十五入おるわけですが、これを見てみますと、この中の約七〇%がシートベルトを締めていなかったということになっております。その中で、十六歳から二十四歳までの非常に事故率が高い若年層でございますが、これが非着用死者の中の約四〇%を占めておるということでございまして、やはり若者が夜締めないという傾向が大変強いということがうかがわれるのではないか、こう思います。
  137. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私の持っているデータですと、年齢別に見ても、例えば十九歳未満の人になりますと死者のうちでも八割ぐらいが非着用者というふうになっていると思います。そういう意味でも、そういう若い人たち、そして先ほど申し上げた夜というか深夜、このときに今回の事故がふえているその最大の層というか、そこに集中しているわけです。そういう意味で、先ほども申し上げましたけれどもシートベルトの問題にしてもあるいは事故防止のためにしても、この夜間、深夜、こういうところに焦点を絞った啓蒙活動をしなければならぬということだと思うのです。  改めてお伺いしますけれども、そういう意味でその決意をもう一度お願いします。
  138. 内田文夫

    内田(文)政府委員 最近の死者の状況から見て、夜間に特に若い者がシートベルトを締めないということでございまして、これからのシートベルト着用推進というものの重点若者夜間ということに置いて積極的に取り組んでまいりたい。先ほど申しましたように、今、これから取り組みます秋の全国交通安全運動のためにもシートベルト着用徹底するための啓発ポスターをつくっておりますが、これを特に夜間若い者が集まる場所、そういうところに重点的に張ってまいりたい、こういうように思っております。
  139. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 それで、私が何度も申し上げるのは、今回の緊急対策に、まさにこういうようにふえた、そのために緊急に対策をとらなければならぬといったときに、今申し上げたような視点がほとんど見られない。だから、そういう意味で、そういうところに重点を置いて、焦点を当てて対策をとらなければ、その対策効果は何もないのじゃないだろうかとさえ思うので、よろしくお願いします。  それから、この緊急対策の中に触れられております高齢者安全対策の問題についてでありますけれども高齢運転者に対する運転適性診断推進するというふうになっていますが、具体的にはどういうことなのか。これは結論だけで結構です。  それから、さきに、広島県警だと思いますが、ある新聞に、運転免許の資格年齢を七十歳をめどとする免許証の定年構想というのを提唱したというふうに報道されております。私は、この報道はひょっとしたら誤報じゃないのだろうか、こういうふうに思いますけれども、どうなのか、どのように考えられるのかということについて、簡単に結論をお願いします。
  140. 内田文夫

    内田(文)政府委員 高齢者の適性診断ということを、免許証の更新時あるいは高齢者が希望する場合には随時行ってきておるわけでございますが、これは、目的は、高齢者は年をとりますとやはりいろいろな心身の機能が低下をしてくる、そういうことで、高齢者の運転者の方がそれを自覚して運転をされるということによって事故防止を図ろう、こういうことからこれに取り組んでいるわけでございます。  具体的なものといたしますと、幾つか申し上げますと、速度見越し反応の検査というのをやっておりますが、これは運転中にいわゆる速度感覚が的確に判断ができるかどうか、例えば相手の車の速度感覚とかそういったものの検査でございます。それから重複作業反応検査というようなものを行っておりますが、これは運転中にいろいろ起こってくる変化する事象に対して正しく素早く対応ができるのか、いわゆる反射神経でございますね、そういうものがどうなんだろうかというようなこと。それから処置判断適性の検査というふうになっておりますが、これは運転中における注意力の配分や注意力の持続というものができるかどうか、若い人と比べてどうなのかというようなこと。それから動態視力の検査というようなことで、動いているものを見たときの知覚というものがどのくらい衰えてきているかというようなことのいろいろ検査をいたしておるわけでございます。ただ、これを検査いたしまして高齢者の方を運転の場から排除するという目的では全くございませんで、そういう点が衰えていますよということを認識をしていただく、そしてそういうことに気をつけた運転をしていただくということに努めておるわけでございます。  それから、先生今お話しありました広島の報道の件でございますが、これは我々の方もびっくりしまして、報道が出たときすぐ広島県に聞いたわけでございますけれども、そういう事実はないということでございます。早速その新聞社の方にはそういう申し入れをいたしたということでございます。  今申しましたように、我々としては、お年寄りの方々というのは今のいろいろな生活の中においては車を運転しなければならない要素というのは若い人たちよりもむしろかなり強いのじゃないか、だから、排除していくというのではなしに、そうした中でいかに安全にしていただくかということでいろいろ適性検査をやったりしてサポートをしていくといいましょうか、そういう努力をしていかなければならないものだ、こう考えておるわけでございます。
  141. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 これは長官にお伺いをいたしますけれども、基本的な考え方にかかわる問題でありますが、これから高齢者の問題についても啓蒙活動等を含めていろいろ対策をとっていくわけでありますが、まず十分に認識すべき話として私が思いますのは、この六十三年の一月から七月までの事実関係からいきますと、例えば六十歳以上の方の死者が全部で千四百六十二名であります。そのうちで歩行者と自転車に乗っている人たちが千四百六十二名のうちの七二%を占めている。要するに、こういう人たちが七〇%以上なんですよということが一つです。それから、今緊急対策としてやっているわけでありますが、六十歳以上の死者の増加した分、対前年同期で増加したのが百三十四名であります。そのうちで歩行者と自転車乗車中を合わせた人が百二十一名、九〇%以上はこういう人ですよということであります。そのことを十分に認識をして高齢者の問題については考えなければならぬということであります。  だから、そういう意味考えなければいけませんし、高齢者への交通安全指導強化とともに、老人でも安心して楽に歩ける歩道づくりだとか自転車道の整備をするのだとか、そうしたいろいろな交通安全施設をちゃんと充実をしなければいかぬ、そういうことによっていわゆる高齢者の移動の自由をできるだけ保障するような形をとらなければならぬ、それがこれからの高齢化社会への対応ということであり、長寿社会を喜べるような形にするということだと思うのです。本日配られております「人と車」の特集の中の最後のところに、岡野先生が「高齢者事故防止への提言」として、一番最後の結論が楽しい高齢化社会を迎えるためにということで書いておりますけれども、まさにこれが高齢化社会に対する考え方だと私は思うのです。そういう意味で長官に基本的な考え方をお伺いいたします。
  142. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員から詳細なデータに基づいての御意見がございましたが、私どもも同様に考えておりまして、特に、近く高齢者交通安全の総合対策について閣議で御決定をいただくことにいたしております。私どものところでは、一応まだ素案の段階でございますが、そういう中におきまして、特に道路交通環境整備ということを高齢者交通安全の確保を図るために積極的に進めるべきであるということを考えておるところであります。  なおまた、加害者になるケースはさほど多くはないとは思いますけれども、現実問題としては七十歳以上の免許の取得者というのがこの五年くらいで倍にふえてきておるということでありまして、私自身もずっと車の運転はしてまいりましたが、自分自身反省してみますと、やはりだんだん反応が鈍くなっているのかなという感じもいたしております。したがいまして、私どもとしては排除をするという考え方は全く持っておりません。これからはまさにエージレス社会であるとも言われておりますので、お年寄りの方々から積極的な社会活動をしていただく一環として車を運転されることは当然のことでありますので、排除をする気持ちは全くございませんが、お年寄りの方もみずからの年というものをお考えになって自発的に免許証を返上されるというかあるいは更新されないというか、そういうケースもだんだんふえてくるのではないかというふうに思っております。
  143. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に、私がこの委員会でも何度も取り上げている問題でありますけれども、自動車賠償責任保険の問題であります。  医療費の適正化の問題について診療報酬基準案の作成を私からも強く要請し、合いろいろと作業をしてくださっていると思いますけれども、その進行状況、それから作成のめどについてお伺いをいたします。
  144. 山本晃

    ○山本説明員 お答えをいたします。  診療報酬基準案の作成につきましては、六十年の八月以来、損保業界と日本医師会との間で鋭意協議を進めておりまして、これまでに三十余回にわたりまして協議を重ねているところでございます。既に、診療報酬基準案の実施のための前提条件及び診療項目内容については損保業界側と日本医師会側との間で大筋において合意に達しておりまして、現在、診療項目ごとに料金の問題について協議をしているところでございます。しかしながら、損保業界は基準案を医療費支払いの適正化を図るために策定するものであるという主張をしているのに対しまして、日本医師会は現状より低い水準では会員の医師の納得が得られないとしており、料金水準については両者の主張にはまだ相当な乖離がある状態にございます。  本年の四月に日本医師会の担当委員の改選が行われましたが、その後二度の協議を行いまして、近く再度協議の場を持つと承知をしております。日本医師会、損保業界ともに精力的に交渉を行っていく意向でございますが、私ども行政当局としても早期に合意を得るよう双方に一層の努力を促しているところでございます。
  145. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 作成のめどはどんな感じになりますか。
  146. 山本晃

    ○山本説明員 今この場でいつまでにということは申し上げる段階に至っておりませんが、私どもとしてはできるだけ早期に合意を得るよう努力を重ねてまいりたいと考えております。
  147. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私はこの問題は何度も申し上げているのですが、自賠責審議会で最初にこれを提起されたのは、私が知っているだけでも昭和四十四年からであります。そのときから考えますと既に約二十年たっている。もちろん最近に至っても関係者の方が御努力をされていると思いますが、今話されたとおりの状況です。しかも、これは私が昭和六十年の予算委員会でお伺いしたときに、当時大蔵省は「六十年度中を目途に最大限の努力を傾注してまいりたい」こういうふうに答えておられます。そして、ことしの二月の予算委員会でこの問題が遅々として進まない状況についていろいろとお話をし、各省間の調整の問題を含めなかなかうまくいっておらぬという状況を見られて、そのときに副総理であります宮澤大蔵大臣がいろいろとお話をされた後で、「閣僚間で相談をさせていただきまして、なるべく事態が早く片づくように努力をさせていただきたいと思います。」というふうに言われました。そのときに、この前段で、大蔵大臣がその質疑のやりとりを聞いていて「これはちょっと政府の中でやはり少しお互いに話をしてみる方がいいように思います」ということを言われまして、先ほど申し上げたように閣僚間で相談をさせていただきたいというふうなことまで言われた。本日は、この後閣僚間でどういう話をされたのかということは、時間がありませんので割愛させていただきます。  しかし、一つだけここでお伺いをしておきますが、この自賠責の診療報酬の問題を考えるときに、今や健保とか労災と同じように法律によって定めるときに来ているのではないかという印象を私は抱きます。それについてのお考え方を運輸省、大蔵省にお伺いをいたします。
  148. 阿部雅昭

    ○阿部政府委員 基準案の作成につきまして大蔵省でいろいろ努力していただいて、私ども関係者として側面的にといいますか、いろいろ協議をし相談していることは先ほど大蔵省の方から御答弁があったわけでございますが、一方的にといいますか、何らかの方法基準をつくって押しつけ的なことをやろうといたしましても、実際には合意がないまま実施しようとしても円滑な運営は期待できないということで、かえって被害者救済に反するといいますか、そのような問題も起こることが予想されますので、現在続けられております協議につきまして、なお早急に結論を得られるよう努力すべきことが第一ではないかというふうに私どもとしても考えております。
  149. 山本晃

    ○山本説明員 昭和五十九年の自賠審の答申では、自動車保険料率算定会及び日本損害保険協会において、日本医師会の協力を得て診療報酬基準案を作成し、これが全国的に浸透し、定着化した段階で制度化を図るよう求められているところでございます。  診療報酬基準案についての損保業界と医師会との交渉はいまだ合意には至っていないわけでございますが、部分的には進捗を見ているものもあるわけでございます。したがいまして、先ほどもお答えしたわけでございますが、私どもとしましては早期に合意を得るよう損保業界及び日本医師会双方に一層の努力を促すこととし、制度化の問題につきましては、五十九年の答申が指摘しておりますように、診療報酬基準案が作成され、これが全国的に浸透し、定着化した段階で検討することが適当と考えております。いずれにいたしましても、五十九年答申が指摘しているわけでございますが、制度化の問題をどう考えるかは将来の問題の一つと考えております。
  150. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 この問題は以後またいろいろな場面で取り扱っていきたいと思いますけれども、よろしくお願いをいたしまして終わります。どうもありがとうございました。
  151. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で伊藤英成君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  152. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず最初に海上自衛隊の「なだしお」と第一富士丸の衝突事故の問題でお尋ねをいたします。  初めに、亡くなられた方とその御家族の方に深い哀悼の意を表して、質問を進めたいと存じます。  この問題では、今度の国会で何度か審議をされるという状況の中でその実態が明らかになってまいりました。私ども、連合審査で中路議員を初め、衆参の予算委員会で松本議員、上田議員が質問をしてまいりました。その中で「なだしお」の責任の重大性、そうして艦長個人の判断でありますとか行動、そういう問題だけではなしに、自衛隊そのものの体質といいましょうか構造といいましょうか、軍事優先、民間軽視、安全や人命の軽視という構造的な問題についても追及をし、明らかにしてきたところであります。また、横須賀基地の撤去の問題も要求してまいりました。私も、先般当委員会の視察であの浦賀水道の現地などを見せていただきましたが、本当に船のふくそうする危険な海域だな、水道だなということを見てまいりました。また、そこを横切る自衛艦あるいは米軍艦隊というものの危険性を改めて認識したわけでございます。  そこで、運輸大臣にお尋ねをいたしたいわけでありますが、運輸省が海上交通の安全行政に責任を負っていただいているわけです。先ほど申しましたように、海上自衛隊の軍事優先、安全軽視、人命軽視を許さない、こういう点で厳正に指導していただきたい、そうして海の安全を確保していただきたい、このことを強く求めるわけでございます。運輸大臣の御見解を賜りたいと思います。
  153. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 「なだしお」の衝突事件に関しまして海上自衛隊側に果たして軍事優先、安全軽視という姿勢があったかどうかということは、これは予断を許さないことでありまして、ただいま調査中であります。しかし、一般論から申しますと、有事の際は別にして、平時に海上自衛隊の艦船と民間の艦船が海上の航行に関してどちらが優位、どちらが劣位ということは全く言えませんで、あくまでも対等な立場でございますから、自衛隊の艦船も民間の船もともに海上交通安全法と海上衝突予防法を遵守していただきたいと思いますし、また、今回の事故に関して海上自衛隊もさらに安全維持の対策を講じて進められるようでありますけれども、これが完全に履行されることを運輸省としても願っております。
  154. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういう答弁をされたわけでありますが、実態はやはり民間軽視、軍事優先ですね。あるいは、あの災害が起こった後の自衛艦の姿というのは、私はどう見ましても人命軽視の姿だったと言わざるを得ないわけであります。これはやはり本質的な問題ではないかというふうに考えるわけでありますが、ぜひ厳正な指導をしていただきたいということを重ねて要望して、次の質問に移りたいと思います。  この海難事故の処理を厳正にやることとあわせて、今回の事件の発生した浦賀水道を初め瀬戸内海などの混雑する航路、こういう危険な航路の安全確保は重大な問題であります。今回の事件を教訓にどのように改善、対処されるのか、伺いたいと思います。
  155. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 現在、この事故にかんがみた事故再発防止のための安全対策というのが政府の第一富士丸事故対策本部におきまして検討されておるわけでございます。先般、とりあえず当面の措置ということでの対策は出されたわけですが、今後さらに中長期的な事故再発防止対策検討を精力的に進める旨の申し合わせが行われたわけでございまして、これを受けまして現在具体策を検討しておるところでございます。これらの対策につきましては、技術的に詰める事項もありますし、また関係者との調整も必要でございますが、私どもとしてはできるだけ速やかに成果が得られるよう努力してまいりたいと思っております。  これは関係省庁にわたることでございますが、海上保安庁として現在検討中のものといたしましては、とりあえず六十四年度におきまして、東京湾海上交通センターの機能の充実あるいは横須賀沖への巡視艇の配備、こういったようなものを考えておるところでございます。
  156. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な、積極的な対応をしていただきたい。お願いをいたします。  次に、遺族補償の件について運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思います。お願いをしたいわけであります。  まず、遺族の要求を十分聞いて対応していただきたいということであります。そして、早期に補償問題が解決されるよう運輸大臣に積極的に御努力をいただきたいと御要請をする次第であります。御見解を聞きたいと思います。
  157. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 補償の際の当事者はあくまでも防衛庁でございますけれども、私は対策部長をしておりますからその立場で申しますと、この事故の責任関係の比重はいまだに明らかにされておりませんが、防衛庁が責任の当事者であることは間違いないことでございまして、その見地からも、補償の際のしんしゃくの準備を御遺族の立場を配慮しながら早期に開始すべきであるということで、今その準備の作業を始めたところでございます。  おっしゃいますとおり、補償の際には御遺族の方々の立場を念頭に置いて、及ばぬことではございますけれども、補償によって亡くなった生命は戻りませんが、十全の誠意を尽くすべきだと思っております。
  158. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、本日説明がありました交通事故防止に関する緊急総合対策に関連をして質問したいと存じます。  このまま推移をすればことしは死者数が一万人を超えることにもなり憂慮すべき状態にある、こういうふうに述べられておるわけであります。一万人を超えるということは十三年ぶりであります。第四次交通安全基本計画の六十五年までに死者数を八千人以下にするという目標からすれば、本当に大変な状態、まさに第二次交通戦争の時代に入ってきたのではないか、私はこういう心配もするわけでございます。  そこで、ことしの交通事故死者の増加原因をどのように見ておられるのか、また、死者数状況はどのようなところにどのようにふえているのか、お伺いをいたします。
  159. 内田文夫

    内田(文)政府委員 ことしの死亡事故年度当初からかなりの率でふえて、きょう現在でも昨年に比べて約一割ふえているわけでございまして、このまま推移すれば、昨年九千三百四十幾つだったですか、その一割ということになると一万人を超えるということになるわけでございます。  どうしてそれだけふえているのかということでございますが、これも絶対的に決め手になるこれというのはなかなか出てこないわけでございますけれども、今我々が考えておりますのは、何といっても交通量がふえておるということ。いわゆる社会経済活動が大変活発化してきております。そういった意味で主要交差点等あるいは高速道路、そういうものの交通量を見ましても大幅にふえてきている。それからガソリンの消費量といいますか販売量も昨年に比べてかなりふえてきている。そういうようなことから全体的に交通量がふえているんだということが一つ大きな要因になっているんだと思います。そのほかに、若者事故がふえてきているということ。その中で若者の二輪車の事故がふえてきているわけです。四輪車もそうなんですけれども二輪車の事故がふえてきている。若者の二輪車志向というものはますます強まっているということです。それから、夜間事故が大変ふえているということ。夜の時間の活動というかそういう生活パターンに社会がだんだんなってきている。夜の事故というのはどうしても死傷の発生する率が非常に高いわけでございます。それと、レジャーを目的とした交通増加ということで土曜日、日曜日の事故というものが大変ふえてきているわけですが、これもやはり死傷率が高い事故が多いわけでございます。そういったものがふえてきていることがことしの死亡事故が大変ふえている最大の原因ではなかろうか、そう思っているわけでございます。
  160. 辻第一

    ○辻(第)委員 春の交通安全運動のときにももう既に大分ふえておりまして、当委員会でもいろいろと論議がありました。当委員会は、委員長が非常に熱心で、何度もこの問題を論議してきたと思うわけです。私はちょっと認識が足りなかったのか、春先でうまくおさまってくれればなという淡い期待も持っておったわけでありますが、五月でしたか当委員会で決議もやらしていただきました。皆さん方にもいろいろ要請してきたということがあるのです。ところが、ほとんど減っていませんね。この四月ぐらいと比べて八月まで減っていないという状況です。いろいろ具体策をおやりいただいたとは思うのですけれども、結果としてそんなに効果を上げていないという実態です。  そういう状況の中で今の深刻な事態を迎えているわけでありますが、その中でこの緊急総合対策を立てていただいたということですね。「国民交通安全意識高揚」や「高齢者交通安全対策の新たな展開」を初めとする六つの柱、これを一つずつ読ましてもらうと、もっともなことだな、これはぜひ強力にやっていただきたいなということを考えているわけです。しかし、実際にこれが本当に十分機能して的確な効果を示すのかということになりますと、もう一つうまいこといかへんのではないかという心配もするわけです。ことしの参考人への質疑のときにも参考人の方からお話がありましたけれども交通安全を本当に推進するためにはお金がかかりますよというお話がありました。実際に事を積極的に進めていく裏づけとしては財政の問題がかかってくるのではないかと考えるわけでございます。  そこで、この六つの柱の中でも一番お金のかかるのは安全な道路交通環境整備ではないか。ほかのものもいろいろ予算を一層増額していただかなければならないと思いますが、特にお金がかかる問題ではないかと思うのです。交通安全施設整備拡充という問題も非常に重要な問題だと私は考えているわけであります。先ほど来も同じようなお話があったのですが、今の緊急対策をもっと積極的にやっていただくと同時に、来年度予算に十分な対応をしていただく、十分な増額をしていただく努力が必要ではないかと考えるのですが、その点についての御対応はいかがなものか、お尋ねをいたします。
  161. 内田文夫

    内田(文)政府委員 先生おっしゃいますとおり、交通事故防止のためには安全施設の喫緊の整備が不可欠なものであるということでございまして、我々としてもそういった観点から、現在の交通安全施設等整備五カ年計画がございますが、これの完全なる達成ということに努力をいたしてきておるわけでございまして、来年度におきましても、財政事情は大変厳しい中で本年度の二四・五%増の要求をいたしておるわけでございます。今後とも安全施設整備に一層努力をしてまいりたいと思っております。
  162. 三谷浩

    三谷政府委員 私どもも、公安委員会と一緒になりまして交通安全施設等整備事業道路管理者分実施しております。今度の昭和六十一年度からの特定交通安全施設等整備事業は、前回の計画に比べて一・五倍増しの一兆三千五百億で鋭意実施しております。来年度事業費として二千二百三十二億円を要求しております。  なお、そのほかに第十次五カ年計画が、交通安全の五カ年計画とちょっとずれておりますけれども昭和六十三年度から発足させておりますので、その中で、交通安全施設等整備事業に加えまして、地方道路整備臨時交付金によります交通安全対策を六十四年度五百十三億円要求しております。そのほかにいわゆる交通安全に資する改築事業実施することとしております。
  163. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ御努力をいただいているということでありますが、六十二年度交通安全白書にも、「昭和五十五年以降、道路交通環境を取り巻く状況が全般的に悪化する中で、例えば交通安全施設整備についても、公共投資の抑制基調が続いた結果として、その事故抑止効果が相対的に低下するなど、各般の交通安全対策が必ずしも十分な効果を挙げるに至らず、」と述べています。「今後の交通安全対策は、このような経緯からみて、交通安全施設等への投資の拡大と、交通管制システムの高度化、」等々述べてあるわけであります。予算の面でも一定の御努力をいただいているというふうに思うわけでありますが、さらに御努力をいただく。これから大蔵省との折衝などもあろうかと思いますけれども、ぜひひとつ頑張っていただいて、さらにさらに交通安全施設整備拡大に御奮闘いただきたいということを要望しておきたいと思います。  最後に、トンネル事故の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  ことしの夏、トンネルでの二つの大きな事故があったと思います。一つは、七月十五日の広島県下の中国自動車道境トンネルで発生した火災事故、もう一つは、八月十三日に兵庫県太子町の国道二号線太子竜野バイパス城山トンネルで発生した酸欠、一酸化炭素中毒事故ということでございますが、この事故の概要はどうだったのか、お尋ねをいたします。
  164. 三谷浩

    三谷政府委員 お答えいたします。  八月に兵庫県内でトンネル内の交通渋滞に起因する事故が、また、七月は広島県内におきましてトンネル内の火災事故が発生をしております。  まず、八月十三日に兵庫県内で発生したトンネル事故は、日本道路公団の一般有料道路であります国道二号線の太子竜野バイパスが帰省車両等によって一時は約三十キロの渋滞となりまして、このバイパスの中の城山トンネルの中で、渋滞中の車両に乗っておられた方々のうちの十九名が暑さと排気ガス等によります被災を訴えまして病院に搬送、治療を受けられたものでございます。  それから、もう一つは、七月十五日の事故でございます。これは中国自動車道の上り線境トンネルと申しますが、このトンネルにおきまして車両十一台によります事故が発生をいたしまして、そのうち十台が炎上した。事故によります死傷者は、死亡者が五名、負傷者が五名というふうに伺っております。
  165. 辻第一

    ○辻(第)委員 中国自動車道境トンネル、この高速道路のトンネル事故でありますが、日本坂トンネルの事故の教訓が生かされていなかったのではないか、そういうようなことも言われているわけでございます。そういう問題も含めて、今度のトンネル事故の教訓、それからこれからの対策についてどのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたします。
  166. 三谷浩

    三谷政府委員 まず、七月の方の広島県内の中国自動車道の境トンネル内での事故でございます。  このような事故につきまして、直ちに全国の高速道路につきまして調査道路公団に命じております。ちょうどカーブがございまして勾配、こういうようなトンネルにつきまして、関係機関連携を図りつつ事故発生状況、それから交通状況、それから交通安全施設整備状況、こういうものを調査、点検をするように指示をいたしました。現在、調査、点検結果をもとに標識等必要な交通安全対策につきまして検討を行っているところでございます。また、この境トンネルでございますけれども、この九月一日に修繕をいたしまして供用いたしたわけですが、現地におきまして、まずその標識の視認性を高めます標識の改良、これは大型化をしたりいろいろなことをしております。それから、先ほどから議論がございましたように、どうしても車頭間隔が非常に短くてこの事故が起こったということも予想されますので、車間の距離あるいは確認標識、こういうものを設置いたしました。それから舗装、非常に高速交通であったかもしれないわけでございますので、なるべく運転者にそういう自覚をさせるために、薄層舗装といいまして、薄い舗装をトンネル内の車道に行いまして凹凸をつけて運転者にそれを意識させる、あるいは視線誘導標の設置、こういうような考えられるような交通安全対策実施しまして供用したところでございます。  それから、もう一つの方の城山トンネル、これは事故がさっきと全く違うわけでございますけれども、これは帰省渋滞中で非常な大渋滞、余り例がなかった事故でございます。緊急対策といたしましては、いずれにしましても渋滞対策、渋滞を防止しなければいけません。つまり、トンネルの中に車を渋滞の状況で入れないということがまず緊急的に重要でございますので、これは私ども道路管理者だけというわけにはいきませんので、いろいろな関係機関連携を図りつつ、地方建設局あるいは都道府県、もちろん道路公団もしかりでございますが、例えばある期間だけ非常に渋滞が起きそうなおそれのあるトンネルにつきまして、そういう連携を図って、その交通管制といいますか管理をするように指示をいたしております。したがいまして、このようなトンネルにつきましてもほかのトンネルにつきましても早急に調査をいたしまして実態を把握するとともに、いろいろな道路基準等の運用あるいは交通管理のあり方、それから利用者に対するPR、こういうものについても検討すべく私ども部内で委員会をつくって今検討しております。  いずれにいたしましても、両方のケース、いずれもトンネルの事故がこれからもできるだけ起こらないようにあらゆることを実施しようということで検討しているところでございます。
  167. 辻第一

    ○辻(第)委員 トンネルの中でとにかく事故が起こりますと非常に危険な、本当に危険な状態になる。先ほど来お話がありましたように、かまどというのですか、そういうような状態になるわけですね。そういうことでありますので、ぜひぜひトンネルの安全対策というものを積極的にやっていただきたいというふうにお願いをするわけでございます。  それから、長官に最後にちょっとお尋ねしたいのですが、今度の交通事故増加、その原因の中に自動車の増加、社会経済活動の活発化というような状況の中での自動車の増加というようなお話がありました。私はやはりこれからも自動車への依存度は高まっていくというふうに思うわけであります。しかし、それではまた交通事故がふえる、そういうことになるわけであります。そういうところでやはり総合的な交通輸送体系というようなものを見直すべきではないか、大量公共交通、そういうものをもっと見直すべきではないか、そういうような考え方を持つわけでありますが、そういう点についての長官の御所見を伺って終わりたいと思います。
  168. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま将来の交通体系についてということでお尋ねがございましたが、それらの問題については本来運輸省の所管であろうと思いますけれども、あえて申し上げますならば、今回の交通事故増加についてはやはり運転マナーの悪さというものがかなりのウエートを占めていると思います。私どもも車で走っておりますと、やはり暴走的な走り方をしている車も非常に多うございますし、きょうはまた車間距離の問題についてもいろいろ御指摘がございましたが、ぴったりくっついていくというような、高速道路などで相当そのような運転が行われておって、それが追突事故につながったというようなケースも多いようであります。したがいまして、交通安全施設整備とともに、やはり運転マナーの向上ということについてももっともっと啓発活動を続けていかなくてはならないのではないかというふうに思います。  なおまた、将来を展望しての交通輸送体系については、私もやはり公共輸送機関によるよりエネルギーの消費の少ない大量輸送というものに依存していくべきものであろう、このように思っております。  それから、先ほど伊藤委員お答えをした中で、私は高齢者に対する交通安全対策について閣議決定をするというふうにお答えをいたしましたが、これは交通対策本部決定閣議に報告でございますので、大変恐縮でありますが、訂正させていただきます。
  169. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
  170. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、 本日は、これにて散会いたします。     午後三時六分散会