運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-11-08 第113回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月八日(火曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 衛藤征士郎君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君 理事 小沢 貞孝君       天野 光晴君    岡島 正之君       木村 義雄君    園田 博之君       中島  衛君    林  大幹君       古屋  亨君    渡辺美智雄君       小川 国彦君    渋沢 利久君       新村 勝雄君    小川新一郎君       古川 雅司君    大矢 卓史君       野間 友一君    東中 光雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 中島源太郎君         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         農林水産大臣  佐藤  隆君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         郵 政 大 臣 中山 正暉君         労 働 大 臣 中村 太郎君         建 設 大 臣 越智 伊平君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      粕谷  茂君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 田澤 吉郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         宮内庁次長   宮尾  盤君         総務庁人事局長 勝又 博明君         防衛庁参事官  小野寺龍二君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         法務省民事局長 藤井 正雄君         法務省刑事局長 根來 泰周君         外務大臣官房長 藤井 宏昭君         外務省アジア局         長       長谷川和年君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省経済局長 佐藤 嘉恭君         外務省経済協力         局長      松浦晃一郎君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         大蔵大臣官房審         議官      尾崎  護君         大蔵省主計局次         長       藤井  威君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省食品         流通局長    渡辺  武君         食糧庁次長   近長 武治君         林野庁長官   松田  堯君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       高橋 達直君         通商産業省通商         政策局次長   南学 政明君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省道路局長 三谷  浩君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治省財政局長 津田  正君  委員外出席者         警察庁長官官房         会計課長    半田 嘉弘君         総務庁長官官房         会計課長    稲葉 清毅君         北海道開発庁総         務課長     三浦 琢右君         経済企画庁長官         官房会計課長  安田  靖君         科学技術庁長官         官房会計課長  石田 寛人君         環境庁長官官房         会計課長    梅沢  泉君         沖縄開発庁総務         局会計課長   山城  勉君         国土庁長官官房         会計課長    嵩  聰久君         大蔵省主計局司         計課長     緒方 信一君         文部大臣官房会         計課長     吉田  茂君         農林水産大臣官         房経理課長   高橋銑十郎君         通商産業大臣官         房会計課長   細川  恒君         運輸大臣官房会         計課長     永井 隆男君         労働大臣官房会         計課長     椎谷  正君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         自治大臣官房会         計課長     富永 栄一君         会計検査院長  辻  敬一君         会計検査院事務         総局次長    秋本 勝彦君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第四局長  山本  正君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         決算委員会調査         室長      加藤  司君     ───────────── 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   金丸  信君     中島  衛君   松野 頼三君     園田 博之君   渡辺美智雄君     木村 義雄君   野間 友一君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 義雄君     渡辺美智雄君   園田 博之君     松野 頼三君   中島  衛君     金丸  信君   東中 光雄君     野間 友一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。  質疑に入るに先立って、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせ時間を厳守し、超過をしないようにお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
  3. 衛藤征士郎

    衛藤委員 本日の質疑に当たりまして、他の委員会との関係で中座をされます大臣がいらっしゃいますので、若干順序が異なると思いますが、そういう関係でまず農林大臣にお伺いをいたしたいと思います。  御案内のとおり、農業を取り巻く環境は大変厳しいものがございまして、もう私がるる申し上げるまでもありませんが、全国津々浦々どこに参りましても、日本農業はどうなるのか、あるいは日本を支えておるいわゆる農村あるいは山村は将来どうなっていくんだろうか、そういう声が聞こえてまいります。  このときに当たりまして、農産物十二品目、あるいは牛肉オレンジ、また米の自由化に向けての動きもあるわけであります。こういう外圧が日本農業に対しましても多大な脅威を与えておる。このときに当たりまして、私は、担当大臣といたしまして、我が国農業を守り抜く所管大臣決意をまずお伺いいたしたいと思うのであります。
  4. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 従来から申し上げておりますように、さきの農政審議会報告基本として農政展開してきているところでありますが、報告後の事態の推移を踏まえて、今後の基本的な政策あり方について検討を行い、先般「国際化への対応農業・農山村活性化のための政策基本方向について」、これを取りまとめたところでございます。  今後は、この基本方向に則し、関係方面意見も聞きながら、農業長期展望の確立、農業構造の改善、農山村地域活性化等諸般の施策を充実し、守りだけではない、より積極的な農政展開し、農業者が将来に希望を持ち営農にいそしめるよう努めてまいる所存でございます。
  5. 衛藤征士郎

    衛藤委員 米についてお伺いしたいのでありますが、米というのは我が国農業の象徴的なものでもありますし、単に農業だけではなく、農村社会の、あるいは山村社会のあらゆる価値観が凝縮、集約された一つの物差し、メジャーみたいなそういう性格を持っておるのが米だと私は思います。ある大臣は、米は宗教のようなものだという御発言をされた大臣もありますが、私はそれほどのものであろう、このように考えておりますが、この米が自由化されるのではないか、そういう懸念が農家皆さんにあるわけであります。  折しも、RMAのこの提訴が却下されたとはいえ、御案内のとおり十二月の五、六、七でございましたか、モントリオールでウルグアイ・ラウンド中間レビューがあるようになっております。これについては外務大臣並びに通産大臣が御出席かと聞いておるわけでありますが、これにつきまして農林大臣から、この米問題に関する対処、方針につきましてのお考えを承りたいと思います。
  6. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 米問題についての我が国の立場は、現在進行中のウルグアイ・ラウンドの場で、参加する各国がそれぞれの抱える困難な問題及び制度について議論を行う段階になれば、我が国としても米の問題を含むあらゆる農業問題を討議するにやぶさかではないということを繰り返し申し上げておるところでございます。  我が国としては、既にウルグアイ・ラウンド農業交渉において日本提案を示し、その進展に積極的に貢献しているところであり、今後ともこれらの方針について国際的に理解を求め、遺憾のないよう対処してまいる所存であります。  十二月初旬に行われる中間レビューにおいてはどのようなことが討議をされるのか、そういうこともまだ明らかにはなっておりません。全体的には明らかになっておりません。で、私は今のところそこに出向く予定はございません。
  7. 衛藤征士郎

    衛藤委員 大臣は御出席予定がないようでありますが、当然農林省からどなたかが出席をすると思いますが、ただいまの大臣の趣旨を十分踏まえまして、中間レビューウルグアイ・ラウンドに臨むようにしていただきたい。  また、通産大臣また外務大臣におかれましては、ぜひ先般の衆参両院における米自由化反対決議の精神にのっとりまして、十分なるフォローといいますか対応を力強くやっていただきたい、このことを特にお願い申し上げたいと思います。  今日、農村山村を回っておりまして一番気になることは、日本農業を一体だれが守り抜いてくれるだろうか。わかりやすく言うと、日本農業を守る守り神といいますか、それを引っ張っていく、牽引していくリーダーといいますか、それは一体だれなんだ。例えばウルグアイ・ラウンドあるいはガットあるいはRMA、横文字ばかり並んで、わかったようなわからないようなどうもすっきりしない。だれかがどこかで、日本農業はおれに任しておけ、おれが引っ張っていく、米の問題についてもおれに任せろというような発言をしてくれないものかな、そういうような意見がほうはいとして起こっております。この点につきまして、農林大臣内閣総理大臣のお考え、または決意を承りたいのであります。よろしくお願いいたします。
  8. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 これからの農政展開については先ほども基本的な考え方を申し上げたところでございますが、私は、昨年策定された四全総を見ましても、それぞれの地域においてその特性を生かした農業の振興、これが地域経済にどう影響するか、農業農村活性化なくして地域経済活性化はない、こういうふうに私自身は考えております。  その責任者はやはり農林水産大臣である私でございますし、私の肩書がどうであろうとも、私ども時代において策定をしたことをフォローアップしていくという責任もまた将来にわたってあるわけでございまして、どうか将来を目してやっておるわけでございますから、目先だけではなくて、今かいた汗は将来必ず実るという確信を持って進めておるわけでございますので、まあ一部の報道あるいは一部の方々から言わせれば農業はなくてもいいような言葉も聞かれますけれども、私はそうではない、主要食糧はできるだけ国内で自給をしていく、足らざるところは安定的な輸入体制をもって国民に安定的な食糧の供給を行っていく、この基本に立って進めているのでありますから、どうぞついてきてくださいという威張った言い方はいたしませんけれども、信じていただきたい。
  9. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 基本的には農林水産大臣か らお答え申し上げたとおりでございます。私どもが特に米の問題についていつも念頭に置かなければならないのは、今も衛藤委員から御指摘があった衆参両院における決議が厳然と存在しておる、この事実を踏まえていなければならないと思っております。  確かに、十二品目あるいは牛肉オレンジ等々につきまして皆さん方の御協力で法律を提出することができ、そしてまた、これに対する具体的な方策についてせっかく農家皆さん方に説明ができる段階になったのに、その前に質問が、それはそれとして一体今後の農政、なかんずく米はどうなりますか、こういう質問の方が先に出かけてしまうというような状態にあることは、私ども十分承知をいたしておるところであります。  したがって、農林水産大臣からお答えいたしましたように、将来にわたっての農政あり方につきましては、基本的には一昨年暮れの農政審議会答申等が存在しておるわけでございますが、農家皆さん方とともに考え、これが健全なる発展について期していきたい、このように考えておるところであります。
  10. 衛藤征士郎

    衛藤委員 次に、運輸大臣にお願いいたしたいと思います。  御案内のとおり、四国新幹線豊予海峡付近地形地質調査報告書ができておるかと思うのでありますが、これはいつ提出される予定でありましょうか。この四国新幹線豊予海峡付近、いわゆる豊予海峡トンネル九州四国海底トンネル地形地質調査は、昭和四十九年から始まりまして、九年間を既に要し昭和五十七年に完了しているわけでありますが、この間、国の予算を十七億円要しておると思うのであります。しかしいまだにその調査報告書が公に提出されてないのでありまして、これはどういうわけなのか。また、一体いつまでにこの調査報告書は提出されるのか、明確にその時期をお答え願いたいと思います。
  11. 石原慎太郎

    石原国務大臣 御指摘のように、日本鉄道建設公団が九年かかって調査をいたしました。今聞きますと、報告書提出のための最終的な整理を行っているそうでございまして、本年じゅうにでも提出させますよう指導するつもりでございます。
  12. 衛藤征士郎

    衛藤委員 地域皆さんが待望してやまなかったこの報告書が、ただいま大臣の御答弁で本年中には提出させるということであります。まことにありがたいことであります。  本年じゅうといいますと、十二月末まで、こういうことで理解してよろしいですか。
  13. 石原慎太郎

    石原国務大臣 本年中と申しますと、十一月、十二月でございますけれども、ですから、本年中にでもとにかく提出させるように強く指導いたします。
  14. 衛藤征士郎

    衛藤委員 「本年中にでも」という「でも」が余分でございまして、もし「でも」がつくならば、大臣、ひとつここは年度末なら年度末と明快にお答え願いたいと思います。本年の十二月までにそれが提出できなければ六十三年度末、昭和六十四年三月三十一日までには必ず提出させるということをお答えいただければ結構ですが、もう一度お願いいたします。
  15. 石原慎太郎

    石原国務大臣 長年かかってやってきた調査でございますから膨大な資料もあると思いますけれども、いずれにしろ待っていらっしゃる方も大勢おられると思いますので、おっしゃるようなタイムスパンでこれが提出されるように強く指導いたします。
  16. 衛藤征士郎

    衛藤委員 ありがとうございました。早ければ十二月末、遅くても来年の三月三十一日までに必ず提出するというお答えをいただきまして、大変力強く思っております。ありがとうございました。  次に、建設大臣お尋ねをいたしたいと思います。  御案内のとおり、我が国国土を開発する幹線自動車道につきましては、国土開発幹線自動車道法に基づく国土開発幹線自動車道建設審議会があるわけでありますが、この国幹審が早ければ年末かあるいは年明けか、こういうことも承っております。この国幹審が次回はいつ開かれるのか、その予定、またその次々回はいつごろ開かれる予定なのか、お尋ねいたしたいと思います。  また、そういたしますと、新たに予定路線基本計画路線に繰り上げになりましょうし、また基本計画区間整備計画に繰り上げになる、こうなるのでありますが、当然地域皆さんは、この整備計画を一刻も早く着工してもらいたいと願っている。そのためには言うまでもなく道路財源確保が不可欠でありますが、この整備を一〇〇%計画どおり進めるために、建設大臣のお取り組み決意をお伺いいたしたいと思います。
  17. 越智伊平

    越智国務大臣 次の国幹審年度内に開催をいたします。なお、次々回はなるべく早く国幹審を開きたい、こういうふうに思っております。でき得れば一、二年先に進めたい、こういうふうに思っております。  それから財源の問題でありますけれども、御承知のように第十次の五カ年計画五十三兆円、これの財源確保につきましては鋭意努力をいたしておりますが、今後とも完全実施ができるように努力をしてまいりたい。そのためには何といっても財源でありますので、今後大いに努力をしてまいりたい、かように考える次第であります。
  18. 衛藤征士郎

    衛藤委員 年度内国幹審が開かれる予定だ、これもまた心強い限りでありますし、また大臣の御答弁だと、それからさらに一、二年先には次々回の国幹審が開かれるだろうということであります。  今まで国幹審は大体二年から三年の期間で行われていたのでありますが、この国幹審は、御案内のとおり国道昇格の件とかあるいはこういう高規格幹線道あるいは高速自動車道等々の絡みでありますから大変関心が持たれております。このようにできるだけ小刻みにやっていただくことが最も好ましいかと思うのでありまして、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。  さて、次回の国幹審に、北九州から大分通り宮崎を抜けて鹿児島に行く、約四百三十キロメートルの東九州自動車道といいますか高規格幹線自動車道といいますか、これの予定路線基本計画路線に編入されるのではないか、このように理解をしておるわけでありますが、この点につきましてお尋ねをいたしたいと思いますし、特におくれておりますこの大分区間が、小さなことで申しわけないのですが、これが次回の国幹審に出てくるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  19. 越智伊平

    越智国務大臣 今お話しの東九州自動車道、これは必ず次の国幹審に間に合うようにいたしたい、こう思っております。ただし、最も重要なところから、全体がいかにできるかできないか、一回にできない方が確実であろう、こう思っておりますが、今鋭意調査をいたしております。特に急ぐところから進めてまいりたい、こういうことで、今鋭意調査を進めておるところであります。
  20. 衛藤征士郎

    衛藤委員 大分県が先とは言いませんが、福岡県、大分県、宮崎県、鹿児島県ぜひ横並び、一線でお願いを申し上げたいと思います。  なお、先ほど運輸大臣お尋ねいたしました九州四国のいわゆる豊予海峡トンネルでございますが、これは新幹線絡みでありましたから運輸大臣、いわゆる運輸省主管事項だとは思いますが、先般、西瀬戸内経済圏の一環といたしまして、国土庁の絡みで、また建設省の絡みでこの豊予海峡トンネルについての、国道トンネルについての調査といいますか、その調査費昭和六十三年度予算に約一千万ぐらい計上されたかに聞いておるわけでありますが、建設大臣、この点についていかがでございましょう。
  21. 越智伊平

    越智国務大臣 今調査費をちょうだいいたしております。でございますから、各省庁とよく連絡をとりながら調査を進めていきたい、かように存じておる次第であります。
  22. 衛藤征士郎

    衛藤委員 ぜひこの豊予海峡トンネル、いわゆる四国新幹線豊予海峡付近連絡道につきましては、運輸省並び建設省におかれましても鋭意前向きにお取り組みをお願い申し上げたいと思います。  次に、自治大臣お尋ね申し上げたいと思います。  多極分散型国土形成促進法、言うまでもなく、地方時代を真に地方時代にしよう、また高齢化社会が参りましても十分乗り切れるようにしようということでありましょうが、心配なのは地方財源でありまして、地方交付税、これは地方自治体の主たる自主財源に匹敵するものでありますが、現行は国税三税の三二%であります。この三二%を変えるお考えが全くないかどうか。また、この率を変えないで、今の仕組みのままで地方財源確保は大丈夫とお考えか。これを自治大臣お尋ねいたしたいと思います。
  23. 梶山静六

    梶山国務大臣 委員指摘地方財政でございますけれども、今回の税制改正は所得、消費資産等の間で均衡のとれた望ましい税体系を構築するために行われたものでございまして、国民税負担あり方との関係において税制そのものを見直そうとするものであって、国、地方の減税の補てんをいかにするかの観点から、消費税収入の国、地方配分が行われたものでございます。  この結果、交付税国税三税の三二%に加え、消費譲与税を除く消費税の二四%の額となります。しかしながら、今後国、地方の間の事務配分見直しあるいは積極的な四全総展開等が行われる等、国と地方税財源配分見直しを行う必要が生じた場合においては、消費税を含めあるいは交付税をひっくるめて税財源の再配分について検討されることがあると考えております。  今後、住民に身近な、しかも多様な行政需要が見込まれるので、地方自治団体にあっては、国からの財源配分以前の問題として、地方行革による減量と、それに基づいて新しい行政需要に対応できる体質をつくらなければなりませんし、特に今言われている自主財源、これは特に普遍的な一般財源である都道府県税にあっては法人住民税、あるいは市町村税にあっては固定資産税等の増収が期待というか要請をされるわけでございますから、国政や地方行政を通じまして景気や所得の安定的な向上をもたらすような政策展開を行いながら増収を図ってまいることが第一義であり、その以降において、国、地方の権限や事務分担の割合に応じて国と地方税財源配分についてさらに見直しを行う必要があれば、やらなければならないと考えております。
  24. 衛藤征士郎

    衛藤委員 ただいま大臣から、さらなる国、地方税財源配分を検討してみる必要があるかのような発言がございました。これは決算委員会ですからこういうことをお尋ねするのはいかがと思いますが、心配でありますからお尋ねをしたいのであります。  今臨時国会で消費税の導入が成るといたしますと、消費税導入後のいわゆる地方財源はどうだろうか。現在のままの地方財源、さらに消費税が導入された後の地方財源は一体どうなっていくのだろうか。具体的には昭和六十二年度、さらには昭和六十四年度、こういう年度とを比較してみた場合にどうなっていくのだろうかというのが地方の心配の声であります。ただいま大臣から、これについては心配な点については検討する余地もあるというようなお話がありましたが、もう一度大臣に、消費税導入後の地方財源確保についてのお取り組み基本姿勢をお尋ねいたしたいと思います。
  25. 梶山静六

    梶山国務大臣 前段の質問に対しての答弁に舌足らずのところがあったかと思います。それは、国と地方の権限や事務量、こういうものの見直しを行う際に、地方にたくさんの事務量、仕事量がふえる場合においてはさらに税財源見直しを行わなければならないという意味で申し上げたのでございますが、現在の状況から見ますと、国と地方のそれぞれのバランスに合った税財源配分がなされておるということは御案内のとおりであります。  今回の税制改正における地方に係る税財源の措置としては、地方間接税の減収分についてはおおむね消費譲与税で措置をし、地方交付税の減収分についても消費税地方交付税の対象税目とすることにより措置をすることといたしておりますが、住民税の減税についてはその一部についてのみ消費税を対象税目とする地方交付税により措置をすることにいたしておるために、地方においては七千九百億円前後の減収超過額が生ずることとなっております。この減収超過額については、最近の地方税の動向を勘案すれば総体的には地方財政運営に支障がないものと考えておりますが、自然増収の少ない地方団体については、地方交付税配分を通じて財政運営に支障を生じないように適切な措置を講じてまいるつもりでございます。  なお、委員指摘の、今回の税制改革に伴う減収額に対する消費税配分額の割合は国六七%に対して地方七三%になって、むしろ地方に手厚く行われているという現況になっております。先ほど申しましたように、歳出面から見ても、今回の国、地方税財源配分については一応妥当なものと考えております。
  26. 衛藤征士郎

    衛藤委員 最後に、大蔵大臣お尋ねをいたします。  財政計画についてお尋ねをしたいのでありますが、言うまでもなく高齢化社会が目の前に迫ってきておりまして、それを見越して社会資本の充実を図らなければならない、もっともなことでございます。しかし、公債残高を見ますと、昭和六十三年度末約百五十九兆円、また対一般会計比率が二〇・三%ということにもなっておりますし、また特例公債残高を見ましても昭和六十三年六十九兆円になろうかと思います。昭和六十五年度の特例公債脱却に沿いまして新規財源債を圧縮しても、借換債を含めまして毎年二十兆円以上の公債発行が必要になろうかと思います。  こういうときではありますが、四全総を初め、また四全総の中に盛り込まれております例えば第十次道路整備五カ年計画、下水道の計画、港湾の計画、漁港の整備計画とか各種の中長期の計画があるわけでありますが、そういうものを確実にクリアしていただかなければならない、大変なことであります。  今回、臨時国会で消費税が導入されたということになりまして、私ども消費税導入後の景気がどうなるだろうか、国の景気はどうだろうか、地方の景気はどうだろうか、あるいは暮らしと生活の方はどうなっていくだろうかということが大変心配になっておるのであります。  そこで、かねてより内閣、政府は昭和六十五年度の特例公債脱却が公約になっておるのではありますが、消費税を導入した、しかし消費税導入後一年目、二年目、三年目とどうもうまく景気が浮上しないというようなことになりますと、大変な問題だと私は思います。また、ただいま税収の弾性値が一・一のところが三・三でございますか、大変結構な兆候も出ておるのではありますが、消費税導入後どうなるだろうか、また世界の景気との絡み合いでどうなっていくだろうかという不安材料もありまして、これは私、一国会議員としての大蔵大臣に対するお願いでありますが、消費税導入後三年なり五年、むしろ国の予算が持つところの景気調整能力を生かすような、つまり六十五年度特例公債脱却に余りこだわらずに、もう少し緩やかなソフトランディングによって景気調整をしていく中で、消費税の導入を成功させ、また、しっかりとした四全総や各種の施策を遂行できる財源確保ができるような道をとることはできないだろうか、こういうことを大蔵大臣お尋ねをいたしたいと思います。
  27. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように、一般会計における国債費が依然として二〇%ございます。これは、既発債の利払いをするということになりますと急にこの数字を下げていくわけにはいかないわけでございますが、そうしますと、財政の弾力性というものが実は非常に失われた姿になっている。やはりこれは新しく借金をすることをやめていくしかどうも王道はないわけでございますので、六十五年度には特例公債の発行は何としても私はやめたい。それは、ただの財政至上主義というつもりじゃございませんで、衛藤委員のおっしゃいますように、財政というのはいろいろな大き な、社会資本充実のようなことをやっていかなければなりません。やはりそのための力をつけていかなければならないという気持ちからでございます。  ただ、その次に、消費税の導入が我が国の景気なり経済運営にどういう影響を与えるだろうかということでございますが、私は概してプラスの影響が多いだろうと考えますのは、所得税が非常に大きな減税になります。法人税もさようでございます。消費税そのものは一・一%あるいは二%の物価上昇の影響をマクロでは持つと言われておるわけでございますけれども、全体がネットで二兆何千億円の減税でございますから、税制改革そのものが減税となっておりますから、これが経済、景気に悪い影響になると考える理由はないと私は思うのでございます。衛藤委員の、いろいろそういう財政の問題はあるけれども、しかし、これからの経済運営あるいは景気の維持というものは財政が持っているいろいろな調整能力を上手に発揮させるということに重点があるのではないかとおっしゃいますことは、私はまことに御同感でございまして、そういうふうな経済、財政運営をやっていかなければならないと思っております。
  28. 衛藤征士郎

    衛藤委員 時間が参りましたので、以上で質疑を終わります。
  29. 野中英二

    野中委員長 渡部行雄君。
  30. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、まず、質問に入る前に、天皇陛下の御病気に対し心から御快癒をお祈りする次第であります。  そこで、この御病気とは直接関係ございませんが、現在の皇室典範は憲法とのかかわりの中で憲法の拘束を受けるのか、憲法の外にあるのか、この辺の関係について明らかにしていただきたいと存じます。
  31. 味村治

    ○味村政府委員 皇室典範は、昭和二十二年法律第三号として制定、公布されたものでございまして、形式的意味の法律に属しておりまして、当然に国の最高法規である日本国憲法の下にあるものでございます。
  32. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、皇室典範をよく読んでみると、どうも憲法の精神と合わないような、整合性がないように思われる点も多々ありますし、また、近代法の立場からいいましてもこれは改定する必要があるのではないか、こんなふうに思われてならないのでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
  33. 味村治

    ○味村政府委員 皇室典範が日本国憲法の下位の法形式であるということは先ほど申し上げましたとおりでございますが、皇室典範が日本国憲法の趣旨に反しているというようなことはございません。
  34. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 趣旨に反しているということはございませんというお答えですが、私は具体的な内容にはなるべく入りたくないと思っているのです。男女平等の問題とかあるいは摂政をどういう場合につくるとか、具体的なものに入れば入るほど非常に疑問がわいてくるわけであります。  そこで、皇室会議の議長ともなるべき総理大臣のお考えはいかがでしょうか。
  35. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 現行の皇室典範につきまして、先ほど原則的な答弁がまず法制局長官からございました。渡部委員の御指摘、いわば憲法第十四条との問題、あるいは摂政要件の問題等をあるいは御念頭に置かれてのお尋ねかというふうにも、私なりに拝察をさせていただきました。  憲法十四条の問題につきましては、皇位の継承について皇室典範が我が国の伝統に従い「男系の男子が」皇位を継がれると規定するということは、これは私は平等の原則に反するものではないというふうに考えております。  それから皇室典範の第十六条第二項の問題でございますが、いわば「摂政を置く」という規定がございます。内閣の助言と承認によって国事に関する行為を皇族に委任して臨時に代行させることができるという規定等においてクリアされておって、私は今皇室典範の改正ということは全く考えていないところでございます。
  36. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題はこれ以上踏み込まないことにいたします。  次に、竹下総理が内閣総理大臣になってはや一カ年が経過するわけでございますが、この経験の中で、一国の宰相としてあるべき姿を一体どういうふうにお考えになっておられるか、これを要領よく御説明願いたいと思います。
  37. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 確かに、去る六日で私は御指名いただきましてから一年を経過したわけでございます。  振り返ってみますと、常に肩を怒らさないように平常心でもって事に取り組もう、しかしみずからを振り返るとやはり緊張の連続であった、したがって、あっという間に過ぎたという気持ちとやっとここまで来たという気持ちとがこもごも交錯しておるというのが私の素直な感情でございます。  二年目を迎えた今日、先ほど委員からもお話がございましたが、ただいま天皇陛下の御平癒をともどもにお祈りいたしますとともに、今現在は、税制改革をお願いするために国会を召集させていただいたわけでございますので、ぜひ今国会でこれが成立をお願いしたいという気持ちでいっぱいでございます。  内外の問題につきましては、世界に貢献する日本ということで、あるいは平和への協力、あるいは経済協力、文化協力等を掲げておるわけでありますが、いま一つ、私は、国民皆さん方が二十一世紀に向かって夢を持ちあるいは意欲を持って取り組んでいただける「ふるさと創生」というようなものを本格化したいという気持ちでございます。  そこで、私自身が宰相像を語るほどの資格があるとは思っておりません。ただ、普通の人が普通にして、こういうふうにして内閣の首班を院の指名によって受けておることを考えますと、民族長い悠久の歴史の中にあって、しょせんは歴史の一こまにすぎないものであっても、二十一世紀に向かって国民全体が歩いていかれるに対し誤りを犯してはならぬ、着実にその方途に対して奉仕しなければならないという気持ちでいっぱいであることを申し上げて、お答えとさせていただきます。
  38. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 総理の感傷としてはわかりますけれども、一国の宰相の心構えとしては私はまことに不満足でございます。だれしも歴史の一こまでしかありません。しかし、少なくとも国を治める、国民を治める、そして世界の中をどうするか、こういうことを考える重大な任務を持つ宰相というものは、やはり確たる確信を持たなければならないと私は思っております。  しからばどういうことをすべきか。それはまず国民に対して範を垂れることでなければならない。そして、国民から敬慕の念を持って尊敬される立場にあらねばならない。次に、時代の先見性、洞察力というものを兼ね備えなければならないと思います。そして、事に当たるについては不惜身命、つまり命がけで国政に当たる。そして最後に、たくましい実行力を国民に示して国民に安堵感を与えていく。こういう要素を持ってこそ真の宰相と言えるのではないか。しかるに、私には宰相たる自信がないなどということを口にされたのでは、国民は一体だれを頼っていいのかわからないと思うのです。  そういう点について、ひとつもっと確信を持った御答弁をお願いしたいと思います。
  39. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 国権の最高機関たる国会で指名を受けておりますから、自信がないなどということを申し上げる考えは全くございません。ただ、私自身がずば抜けてすぐれた識見を持っておるというおごりが、国権の最高機関で選ばれた者としては最も慎まなければならないことであると、常日ごろみずからに言い聞かせておるつもりでございます。  今おっしゃいました範を垂れよ、先見性を持て、そして事に当たっては命がけでやれ、そのことが国民に安堵感を与えることだ、私も宰相たるべきの心構えとしてはみずからに言い聞かせておるつもりでございます。それをやはり、渡部委員のように私に指摘していただいて、私の決意を促 していただくことに対しては、心から感謝を申し上げます。私自身がかく思う、皆さんついてきてくださいなどという姿勢であってはならないということも、一面私の一つの生きざまであるというふうにお考えいただければ結構でございます。
  40. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、先ほど指摘した一、二の問題は、総理の人格にかかわる問題でもありますのでここでは余りそういう問題には触れないで、今一番何が大事かという問題でお聞かせを願いたいと思いますが、それは、国じゅうを騒がせているリクルート疑惑の問題を総理はどのようにこれを受けとめておられるのか、その認識の中身についてお伺いしたいと思います。
  41. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今具体的に御指摘がございましたいわゆるリクルート問題についての考え方でございます。長い間国会でも御議論をいただいておりまして、私なりに行政府の立場、いま一つは政治家としての立場から、四つにこれを分類をいたして見ております。  一つは、これは証券取引に関する問題であります。二つ目には税法上に関する問題であります。三つ目は刑法上の問題でございます。四つ目が私を含む政治的、道義的責任の問題、あるいはこれは綱紀粛正の問題にもつながろうかと思うわけであります。  したがって、最初申し上げました証券取引に関する問題、これは日本の証券市場が今日まで発達してきますに一体行政がこれについていけたかどうかという、私なりに基本的な反省をしてみなければならぬと思っております。したがって、各党の御協議もいただきながら、これが法改正について対応をしていかなければならないと思います。  それから、二番目の税法上の問題でございます。これにも歴史的経過は渡部委員案内のとおりでありますが、今この問題が税法上の問題として、なかんずく不公平税制の一つとして指摘されておる課題でありますので、これについては法律的な措置を含めきちんとした対応をしなければならないと思います。  三つ目の問題は、これはまさに検察当局そのものが私は適切に対応しておるというふうに考えておるところであります。  四つ目の問題につきましては、私もいろいろなことを考えてみましたが、結局、長い間お互いが議論いたしました政治家としての倫理綱領というものがございます。これをやはりお互いが絶えず反復復唱して身を処していかなければならない問題が基本的には存在するであろうというふうに考えておるところでございます。  したがって、今度の問題が一つの起点となりまして、性格は違いますが、分析いたしました四つの問題につき、やはり国民の皆様方に納得がいかれるような措置について十分検討し、対応していかなければならない、このように考えておるところであります。
  42. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、国会議員と秘書の関係についてお伺いしますが、秘書というのは議員の表見代理者としての資格を一般的に持っていると解されていいのかどうか。社会的に表見代理者として認められているのではないか、こういうふうに私は思いますが、この点についてお伺いいたします。
  43. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私が答弁することが必ずしも適切であるかどうかわかりませんが、私も、私個人の考え方を述べるといたしますならば、渡部委員考え方と一緒でございます。いま一つ、どういう表現が適切でございましょうか、お互いの政策等を立案するためのスタッフあるいはアドバイザーという立場もあるのではなかろうか、このような感じを持っておるところでございます。
  44. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これが表見代理者として認められるとすれば、その秘書のやったことはやはり代議士あるいは国会議員がその責めを負わなければならない。これは刑事事件は別といたしまして、民法その他社会的、道義的な立場から考えるとそういうことになるわけでございますが、その点はいかがでしょうか。これは法務省からも御答弁を願いたいと思います。
  45. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 表見代理について民法の立場から申し上げますと、これには幾つかの類型がございますが、典型的には、代理人が自分の権限を超えてある取引、すなわち法律行為をした場合に、一定の要件を備えたときはそれを本人に効果を帰属させるという法理でございます。  そこで、今も申し上げましたように、これが適用されるためには、まずその代理人が本人から何らかの代理権を与えられているということが前提となるわけでございますが、国会議員と秘書との間において代理権、これは法律行為についての代理権でございますけれども、そういうものが一般的に与えられていると言えるのかどうか、これはその議員と秘書との間の契約関係によることでございますから、私ども具体的にそれをどうであるということは承知しないわけでございますけれども、一般的には余りそういうことは考えられないんじゃなかろうかというふうに思います。  基礎となる代理権が存在する場合に、それを越えて行った行為について、相手方から見て代理人の行為と信ずるに足る正当な理由があれば、本人に効果が帰属するということに相なります。
  46. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私は、法律的にはただいまの答弁であろうと私自身も思っております。しかし、お互いが秘書さんを指名いたしますに際しましては、何よりも信頼関係があってこそ指名するわけでございますので、心の中では渡部委員が御指摘なすったような気持ちであらなければならないというふうに思っておりますので、先ほどそのようなことをお答え申し上げた次第であります。
  47. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題は今に始まった問題でなくて、明治の初めから、議会政治ができたときから秘書と国会議員の関係というのはありましたし、歴史的な慣行というのもありますので、裁判官的な判断は具体的な事象を通してでなければできませんから、この点についてはこれでやめます。  次に、竹下総理の首脳外交というものについてどのようにお考えなのか。最近、特にレーガン、ゴルバチョフあるいはサッチャーあるいはミッテランその他、もう相当首脳外交で点数を上げ、また世界の重要な問題を一つ一つ手がけておるようでございますが、竹下総理も最近外交がまあまあと言われるようなことが書かれておりますが、これに対する一つの心構えというか、これからどうしようと考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 確かに振り返ってみますと、私はこの一年で九回、五十九日間でございますから、ほぼ二カ月を外国訪問に費やさせていただいたわけでございます。その都度感じますことは、我が国に対するいわゆる国際社会の評価が高いということであります。したがって、国際社会に貢献するための日本ということを実現しなければならないということで、およそ三つのことを申し上げております。  一つは、平和に対する協力でございます。具体的に言いますならば、今までも国際連合等、特別拠出金等のことについては協力をしておりますが、いわゆるシビリアンの派遣というようなことにも踏み切ったのも一つの事柄であります。  二番目には、文化協力の問題であります。かつて、フルブライト留学生等多数の留学生が我が国から出ておりました。しかし、今日我が国の国際的地位を思いますと、前総理が、二十一世紀十万人、こういうことでありますが、今二万数千人にまで達しておりますが、それらを含め国際的文化協力をしなければならぬ。  三つ目の問題は、経済協力の問題でございます。  そのようなことを考えながら、やはり私は、首脳同士が話し合うということは個人的な信頼関係を高めていくことも事実でございます。と同時に、やはり考えていかなきゃならぬものは、大きな行為として首脳外交というものがございますが、それを実践に移すための外交体制の充実というようなことも絶えず念頭に置いておかなければならない課題だ、このように考えておるところで あります。
  49. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この外交というのは、首脳外交ばかりでなくすべてが、その裏づけというものがより大事だと私は思います。今確かに海外協力等については非常にすばらしい発展を見せておりますが、しかし、日本の外交陣容という立場からこれを眺めると全くお恥ずかしい次第なのでございます。  これは、十一月八日付の「アエラ」No・25を読んでみればわかるとおり、時間がありませんからここで一々私はこの数字を申し上げませんが、例えば「国連機関に働く職員の望ましい国籍別人数と実際の人数」こういう表が出ておりますが、これでも全く問題にならないし、「仕事は増えても人は少ない外務省」こういうことで、まさに日本の外務省の陣容というのはイタリア以下なんですよ。そういうことを考えた際に、ここには大蔵大臣もおられるし、外務大臣もおられるし、しかも最高峰の総理大臣がおられるのだから、もっとしっかりとこの外交陣容を固めて強化していかなければならぬと私は思うのですが、その点の決意はいかがでしょうか。
  50. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 その御指摘、私にもよくわかります。したがいまして、先ほども外交実施体制の強化、こういう言葉でもって表現をしたわけでございますが、私も長い間予算関係に携わっておりましたが、確かに今おっしゃいましたイタリア並みという問題、また国際機関における日本人職員の数の問題等、これからも努力しなければならないことである。行政改革、人員削減という一つの課題を抱えながら、ぎりぎりの範囲内で今後とも充実に努めていかなければならない、このように考えております。
  51. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次に、これからの外交問題でございますが、レーガン、ゴルバチョフの会談以来、INF条約の中距離ミサイルの全廃以来、世界の外交は大きく方向転換をしたと思うわけでございます。しかも、今ソ連は日本に対して大変その友好親善を願い、協力関係を強化しようと考えておるようでございますし、またお隣の中国も、中ソ和解ができて、そして恐らく来年の初めにはゴルバチョフ、鄧小平の会談が実現されるだろうと言われております。その他いろいろ世界の事情が変わってまいりまして、徐々にではありますが、平和の方向に間違いなく歩んでいると思うわけであります。  こういう中で、今ソ連のシュワルナゼ外相を迎え、あるいはこれからゴルバチョフを迎えようという努力がなされておるようでございますが、この外交の中で一体領土問題をどのように考えておられるのか。しかも、領土問題だけを切り離して外交問題にすれば、これは問題にならないということは今までの経過のとおりでございます。しかし、ソ連においても、この領土問題を今度は話をしましょうという態度に変わってきた。今までは玄関払いであったが、今度は総体的に、人類の立場で、グローバルな考え方で、ひとつこの問題を話をしましょうと、この間の第六回日ソ円卓会議の中でも話されましたし、そういう考え方がソ連にようやく出てきておるわけでございますが、これらを考えたときに、日本外交はどのようにこれに対応しようとしておるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  52. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 ゴルバチョフ書記長が登壇されましてから確かにソ連のあらゆる政策は変わりつつある、こういう認識を持っております。特にペレストロイカ、まだまだ国内に反対者も多いと聞いておりますが、書記長は、そのペレストロイカを推進したい、またグラスノスチ、情報公開も大いにやりたい、こういうふうな姿勢で臨んでおられまするし、先般の円卓会議でもさようであったように、私が接触いたしておりますソ連要人もそのことを特に強調されております。したがいまして、十二月の外相会談はその意味におきましても非常に大切な会談である、私はさように心得ております。  もちろん、ペレストロイカそのものが今日本にどのような影響を与え、またどのような具体的なことをもたらしたかということになりますと、まだまだこれは評価しがたい問題がありますが、しかし、お互いに話し合うということが大切であります。米ソ間につきましても対話の継続、これを私たちは高く評価し、その対話の継続が言うならば世界的な繁栄並びに世界的な安定、これに大いに力を与えておるということを考えますと、やはり私たちといたしましても、大切な隣国でございますから、十二分にお話をしたいと思います。もちろんその内容の中には、我が国固有の領土である北方四島が含まれておることは当然でございます。と同時に、ソ連からもいろいろな話が出るでございましょう。一回限りの会談で終わりというのじゃなくして、私たちといたしましては、極力お互いに近づくという方向を粘り強く模索しながら十二分な会談の内容を盛り上げていきたい、そして我が国の主張も貫いていきたい、これが日本のソ連に対する今日の外交方針でございます。
  53. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今外務大臣からお答え申し上げたとおりでございます。そして、国際問題に対する認識そのものについては渡部委員が御指摘なすった点と私とに相違はございません。
  54. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が参りましたので、最後に、この決算のあり方でございますが、今はコンピューター時代で、しかも情報化社会と言われている中で、こういう明治以来の決算をそのまま続けているというのはいかがなものでしょうか。もっと機敏に事実に対応できる体制をつくるべきではないか。したがって、中間報告等によって現状を把握しながら、それが次の予算に生かされ、あるいは政策に生きていく、そういう連動性を持った決算のあり方にすべきではないかと思いますが、この点いかがにお考えでしょうか。  これで私の質問を終わらせていただきます。
  55. 藤井威

    藤井(威)政府委員 決算業務の適正化あるいは現代の要請に応じたものにしていくという努力は、事務的にはいろいろと行っております。会計の機械化等の努力も進めております。ただ、決算というものの持ちます財政上の非常に重要な意義あるいは政治的に持つ重要性等から、現在のような慎重なやり方というものを根本的に改めるということにつきましてはかなり問題があるということで、現在のやり方をやっておるところでございます。  ただ、決算上あらわれてまいりましたいろいろな問題点を速やかに財政上の問題にフィードバックしてこれを参考にしていくという姿勢は、今後とも続けていきたいというふうに考えております。
  56. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 終わります。
  57. 野中英二

    野中委員長 新村勝雄君。
  58. 新村勝雄

    ○新村委員 まず総理大臣にお伺いをいたしますが、総理はもちろん国政の基本についてしばしば我々にお示しをいただいておるわけでありますけれども日本基本的な政策、昔は国策と言いましたが、あるいは国家戦略というような言葉もありますけれども、そういう意味での日本基本的な方針政策、これを簡単にお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
  59. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まず基本的には、私は、憲法そのものに示されておる事柄についてそれぞれ政策として実行していくということであろうと思っております。  具体的に申しますならば、その考え方を含めて、例えば非核三原則とかあるいは専守防衛とかいう言葉が防衛政策上には存在するでありましょうし、そして、外政全体の中においては平和への参加ということでありましょう。内政にありましては、いろいろな角度はございますが、まず一人一人の人権の上に立ってバランスのとれた平和国家というものを打ち立てていくということが、私ども基本考えであろうというふうに考えておるところであります。
  60. 新村勝雄

    ○新村委員 そこで次に、具体的な幾つかの点をお伺いしますが、既にリクルートについては論議がありましたけれども、重ねてリクルート問題について、総合的に総理の御認識、この問題につい てどう認識をなさっているのか、またこれからどうされるのかというようなことについてまずお伺いをしたいと思います。
  61. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 渡部委員にもお答えいたしましたが、私はおよそ四つに、長い間の国会の議論を通じながら整理をいたしました。一つは証券取引上の問題であります。二つ目は課税に関する税法上の問題であります。三つ目は刑事上の問題であります。四つ目は道義的責任、綱紀粛正に伴うもの、これらであろうかと思う次第であります。  一、二につきましては、深い議論の中に過去の経過を踏まえながら、私はそれぞれ法律の改正あるいは法律の執行上のあり方によって対応できるものにしなければならないと思っております。刑法上の問題につきましては、検察当局がまさに適切な判断でこれに当たっておるということを確信をいたしております。  四つ目のいわゆる道義上の問題でございます。いろいろなことを私自身も考えてみましたが、長い時間を費やして、本院においてもまた参議院においても、我々の倫理綱領でありますとかあるいは行為規範というものができております。やはりこれを反復復唱しながら絶えず念頭に置いて我々一人一人がそれに対応していかなければならない問題である、そのことによって国民の皆様方の信頼を回復していかなきゃならぬ課題だというふうに、基本的には考えておるところであります。
  62. 新村勝雄

    ○新村委員 総理は今四つの問題とおっしゃいまして、この問題については見事に分析をなさっていらっしゃるわけであります。それともう一つあると思うのですけれども、これは後でお伺いしたいと思います。  そういった幾つかの要素が確かにあると思いますが、そういったこととは別にして、この問題の本質がどこにあるのか、本質的にはどういうものであるかという観点からごらんになった場合にはどうでしょうか。
  63. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私も政治家の一人であります。政治家という立場にありますと、なかんずく内閣総理大臣で今日はございますが、いろいろな情報が非常に集まりやすい立場にある、私自身そう思っております。したがって、より政治家としては倫理綱領に徹した考え方を持ち続けていないと今日のような問題も起こり得るのではないか、こういう反省の上に立ってすべてに対応すべきであるというふうに考えております。
  64. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題は、総理が分析をされましたように多くの要素を含んでいると思うのですが、まず考えられるのはやはり証券取引の問題だと思うのです。そういう点で、大蔵大臣はこの問題についてどういうふうな御認識を持っていらっしゃいますか。
  65. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど総理が四つの面をお挙げになりまして、まことにそのとおりと存じております。一、二は私の所管にも関しますことでありますし、四の点は私も深く反省をいたしております。  それで、御指摘の証券の問題でございますが、いわゆるインサイダー取引等につきましては、証券取引法の改正をしていただきましたが、今度起こりましたことを見ておりますと、やはりいろいろな点について十分でない点がある。したがいまして、九月に、証券取引審議会の不公正取引部会というものに対しまして、今後これらの点についてどのような改善を加えるべきかということについてできるだけ早く御意見をいただきたいと。それによりましてこれからのことを改めていかなければならないと思っております。  税法につきましてもまた、御承知のとおり、ただいま政府が御提案を申し上げ、また与野党の間で、キャピタルゲイン等々につきましてただいま御議論がかなりまとまりつつあるというふうに存じております。
  66. 新村勝雄

    ○新村委員 これは、いわゆるインサイダー取引といいますかその性格が濃いと思いますけれども、大蔵大臣はそういう御認識ですか。
  67. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 インサイダー取引と申しますのは、公開の市場、つまり取引所に上場されておりますところの市場において行われた行為につきまして規制するものでございまして、今回のリクルートコスモス株のように、公開に至る前の非公開会社の株式につきまして相対で行われた取引といったものは、いわゆるインサイダー取引の対象の外でございまして、通常言われるインサイダー取引には該当しないというふうに法律的には考えられるわけでございます。
  68. 新村勝雄

    ○新村委員 これは、リクルートの株を買った方々は一般の投資家とは違うわけですね。特別のルートあるいは特殊な情報を提供されたか、あるいはそういう立場にある人たちの行動だと思いますから、そういった面では、今のお話のようにしゃくし定規といいますかそういうことではなくて、やはりインサイダー取引的な事態である、こう言ってよろしいのだと思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 ちょっと若干敷衍して申し上げますと、インサイダー取引と申しますのは、取引所等のいわゆる有価証券市場におきまして広く株式が流通される段階におきまして、その情報を特定の内部者、それが独占いたしまして、いわばマージャンでいいますとパイを積み込んだような形でゲームをするというのは非常に不公平である、こういうことでございます。そういう意味で、その情報につきまして一般的に公開するまでは、それを内部関係者は取引してはいけない、こういった趣旨のものでございます。  一方、非公開株式につきましては、そもそも上場されておりませんので、これにつきましては一般投資家というものが存在しないといったふうな意味で、いわゆるインサイダー取引というものとは法律的な意味では概念を異にするわけでございます。  ただ、今先生御指摘のように、この問題につきましては、公開に関連いたしまして特定の者があらかじめ株を取得することによって、上場時点に高く売り抜けるといった意味で、いわゆるそういう意味では不公平ではないかという問題は確かにあるわけでございまして、そういった意味では、先ほど大臣から申し上げましたように、公開市場のあり方としてその不公平感をなるたけなくしていく方法はないか、そういったふうな意味での改善策を現在証券取引審議会等において検討させていただいている、こういうことでございます。
  70. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから取引的と申し上げたわけですけれどもね。「的」というその言葉が当たるケースではないかと私は思います。  そこで、この問題について法務大臣はどういう御見解ですか。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、衛藤委員長代理着席〕
  71. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 検察当局といたしましては、国会の議論や各種報道等の問題点につきましては、真剣に受けとめまして、もし犯罪の嫌疑がありとしましたならば、厳正公平な立場から適切に対処するものと思っております。  検察庁を所管する私といたしましては、検察に対し予断を与えるような見解を申し述べることは適当でないと存じまするので、差し控えさせていただきたいと存じます。
  72. 新村勝雄

    ○新村委員 法務大臣に重ねてお伺いしますけれども日本の政治史にはかつて指揮権発動という事態が実はあったわけですよ。この問題は、この本質について法的に議論することは今の段階ではできませんけれども、総理もおっしゃるように、第三点として刑法の問題があるというようなお答えがありました。そうなりますと、当然これはその全容にわたって司直の手が入るということも考えられますし、また今ある部分については既に入っておるわけでありますけれども、そういう場合に、法務大臣はその検察の捜査にストップをかけるとかというようなことはないと思いますけれども、その点はいかがですか。
  73. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 私は検察を深く信頼をしておりまして、具体的事件の捜査や処理に関しましては、検察権の行使に不当な制約を加えるようなこ とはいたさない所存でございます。
  74. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  そこで、もう一つお伺いしたいのですが、総理は先ほど、この問題について立派な、見事な分析をなさっておりまして四つの要因があるというふうにおっしゃっておりますが、もう一つ、これは要因というか、この問題に対する総理あるいは政府、関係皆さん方対応の仕方に私は非常に残念に思う点があるわけであります。  というのは、この問題が発覚といいますかわかりましてからもう既に久しいわけでありますけれども、総理初め政府あるいは自民党の皆さんもそうでありますが、この問題について率直に全容を国民あるいは国会に開示をして、示して、それで陳謝をすべき点は陳謝をする、陳謝をしなくていいとすれば陳謝をする必要はありませんけれども、とにかくこういう国民的な疑惑が起こったわけでありますから、国民に対してこの全容を示して国民の判断あるいは国会の判断を求める、こういう態度が実は欲しかったわけであります。ところが、国会のたび重なる証人喚問あるいはリストの公開というようなことについても、残念ながら政府にはその誠意といいますかお考えがなかった。これはどういうことかということを我々は深く疑うとともに遺憾に思っておるわけでありますが、その点で、今度は、四つの問題のほかにもう一つ、この問題に対する対処の仕方で非常に残念であったと思うのでありますけれども、その点については総理はどうお考えですか。
  75. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 四つのことを申し上げ、その四つの点についてそれぞれ対応すべき方向ということは常日ごろ申し上げておるところでございますが、言ってみれば、ただいまの問題は、せんじ詰めれば国政調査権に対する行政府としての御協力を申し上げるあり方ということではなかろうかと思います、資料提出とかそういうことにいたしたといたしましても。それは、国権の最高機関たる国会の国政調査権に対しては最大限の協力をすべきものであると思っております。ただ、たびたび議論がありますように、いわゆる三権という立場からする法制的な、あるいは守秘義務等に関する問題もときにはあろうかと思いますが、これに対しては最大限の協力を申し上げるべきことであろうと思っておるところであります。  それから、証人喚問とかいう問題になりますと、これは私も長い間そういう勉強をさせていただいておりましたけれども、ただいまは行政府の立場を代表してのお答えを申し上げておるところでございますので、国会そのものでお決めになることであるというふうにお答えするのが限界であろうというふうに考えておるところでございます。
  76. 新村勝雄

    ○新村委員 情報公開というか、一つの問題が起こった場合に、その全容を国会なり国民に示すということがこれは先決ではないかと思うのですね。  それで、今総理が言われたように、いろいろ立場の問題あるいは権限の問題はあるでしょうが、総理は日本の現在の政治体制の中では政治的にはトップにいらっしゃるわけですよ。あらゆる情報を持っていらっしゃる、あるいはあらゆる情報を即座に集めることができる立場にいらっしゃるわけですね。それで、内閣の首班であり、同時に天下党である自民党の総裁でいらっしゃるということでありますから、不可能なことは何一つないわけです。何でもできる。政治的に不可能なことは何一つないわけですよ。ですから、今お答えになったようなお気持ちであれば、それは証人喚問でもリストの公開でも何でもできるわけですよ。それから、リクルートの問題の全容を直ちに国会に示すこともこれはいとも簡単にできるはずであります、やる気がおありであれば。ところが、そういうことが行われないために国民の間に無用の疑惑を生む、あるいはマスコミの間にもこれは疑惑を生む。疑惑であるか実際であるか私にはわかりません、我々にはそういう情報を得る能力がございませんし、立場にもないわけでありますから。しかし、少なくとも総理はすべてのものを握っていらっしゃる。そういう状況の中で、今日までリクルートの全容が全くわからないわけですよ、我我にも国民にも。わからないから揣摩憶測、疑惑が生ずるということだと思うのですね。  そこで、一つの例を、これは他国の例でありますけれども、一九八六年の末にイラン・コントラ事件というのがアメリカで発覚をしました。この問題についてアメリカの国会で調査をしてそのことが明るみに出たわけでありますけれども、そのときにレーガン大統領は、時を移さずテレビに出て、その問題の全容を全米に説明をして、そして、申しわけありませんでした、私を信用してください、これからはこういうことをしません、また必要な措置はとります、ということをテレビを通じて全米に放送したと言われております。それで、それまでこのコントラ事件が起こってからレーガン大統領の人気はがた落ちになったそうでありますけれども、そのテレビ放送によって全米の国民はレーガン大統領に対する信頼を回復してその支持がまたもとに戻った、こういうことを我々は聞いておるわけであります。  ですから、一つの問題が起こったら、もちろんこれは洗いざらいというわけにはいかない場合もありましょうけれども、今回のリクルート問題などは洗いざらい国民に示して、それで国民の批判を求めるということが正しいのではないかと思いますが、我々が見ておるところによりますと、この問題が起こってから、総理初め政府あるいは自民党の首脳の方々、皆さんがこれを隠す一方なんですね。何とかして隠そう、隠す一方であるというふうに私は、また国民は見るわけであります。そのために、この問題が私にはいいか悪いか、あるいはその全貌がわかりませんので評価をする力はありませんけれども、とにかく「こういった問題で全国民に大変心配をかけておると思う」ということなんですが、その対処の仕方において、総理は、今までの対処の仕方がよかったとお考えですか、それとももう少しフランクでやった方がよかったというふうにお考えですか、いかがでしょうか。
  77. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 大変お答えが難しい問題でございますが、一つ考えなきゃいかぬのは、確かに今先生おっしゃったように非常に情報の集まりやすい立場にあることは事実であります。しかし、そこにおのずから三権にわたる節度というものは私なりに持っていなければならぬ課題だと思っております。なかんずく、刑法上の問題について私がいろいろな報告を聞きますことそのものも、先ほど御懸念のあった指揮権は総理大臣にあるわけじゃございませんけれども、そうした捜査に影響を与えるようなことがあってはならぬということを思いますので、私も報告を求めるなどというようなことをしていないというのが実情でございます。  ただ、御指摘ありましたように、それはいろいろな立場がございましょうが、可能な限り、よしんば部分的にでもあろうと国民の前に明らかにして、正すべきは正し、わぶべきはわびるという考え方は、私にも大変参考になる御意見であったと思います。
  78. 新村勝雄

    ○新村委員 政治問題、社会問題では、やはりわからないために疑心暗鬼でいろいろ揣摩憶測をするというのが多いのですね。ですからこのリクルート問題にしても、その本質は私にはわかりません、全貌がわかりませんから。わかりませんけれども皆さんが隠していらっしゃる、隠していらっしゃるからこそ、この問題はますます大きくなっていくということではないかと思うのです。一つの事実、この事実は一つですけれども、その事実の扱い方いかんによっては、その事実がますます悪い方へ拡大していくという場合もあります。あるいはいい方へ収束していくという場合もあります。このリクルートはまさに、隠しているために悪い方へ拡散していく、拡大していく一つの例ではないかというふうに私は思うのですね。ですから、これからの対処、まだリクルート終わったわけじゃありません。これからどういうことが出 てくるか私にはわかりませんが、今後はぜひひとつ、今も総理おっしゃいましたけれども、誠意を持ってこの問題に当たっていただきたいわけであります。  この問題のすべての全貌が明らかになった場合に、あるいはそれは傷つく人がいるかもしれません。あるいは総理にとって必ずしもいいことばかりじゃないかと思いますけれども、しかし、そういった形で誠心誠意事に当たっていくということであれば一つのことは残りますよね。政治への不信もあるいは増幅されるかしれませんけれども、たった一つ残りますよ。それは誠実さということですよ。誠実さということが少なくともそこに残る。一つ残る。この一つでも残るということは、日本の政治にとって大変貴重なことではないでしょうか。そういう意味で、ぜひひとつお願いしたいと思いますけれども、そういう点で副総理、宮澤大蔵大臣のお考えはいかがですか。     〔衛藤委員長代理退席、谷津委員長代理着席〕
  79. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど総理がお答えになられましたとおりでございますが、私の所管する行政といたしましても、提供し得る許される資料、情報等はできるだけこれからも差し上げてまいりたいと思います。また、必要な制度の運用、その改良あるいは改正等につきましても努力を続けてまいります。
  80. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、今の国会は税特を中心にして消費税初め関連六法案にまさに入ろうとしている段階でありますけれども、このリクルート問題に関して証人喚問をぜひお願いしたいということを我々お願いしているわけですね。この証人喚問については今が初めてじゃありませんけれども、今までしばしばお願いをしたのですけれども、それがかなえられなかったわけであります。  この証人喚問については、総理は、先ほども申し上げましたように、内閣の首班であり天下党である自民党の総裁でありますから、総理がその気になれば何でもできるわけですよ、政治的には。三権の分立ということがありましたけれども、証人喚問をすることによって憲法上の三権分立が著しく阻害をされるということは私には考えられません。そういったことを踏まえながら、この証人喚問あるいはリストの公開、リストにしても、仮に守秘義務があったにしたって、これは日本の政治のかなえの軽重が本当に問われるような大事件であります。それと守秘義務なんというのは、比較を絶する重さがこっちにはあるわけですね。そういう場合に、総理あるいは副総理、あるいはそこに並んでいらっしゃるほかの大臣方、自民党の方々、それでもあえて、リストも出さない、証人喚問にも応じないということであるとすると、これは本末転倒も甚だしいということになりますけれども、総理はいかがでしょうか。
  81. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今、守秘の範囲ということを、昭和四十七年でございましたか、私が内閣官房長官でありましたときに議論した記録を私も何度か読み返したことがございますが、今の委員おっしゃいました守秘といわゆる国政調査権に対する協力の兼ね合いの問題にはある種の裁量の範囲があるというふうなお答えもしたことがございますので、その点については十分聞かしていただいたわけでございます。  いま一つ、証人喚問の問題については、私もその道に携わっておりましたから昭和二十二年以来の経過をそらんじておりますけれども、今自由民主党総裁という御指名はございましたが、やはり国会において立った場合は行政府の代表としての答弁の範疇を出るわけにはいかない、三十年以来私もそれを守っておりますので、これはまさに国会でお決めいただくことと思います。自由民主党におきましても、私は総裁でありますが、それぞれの機関で物事は決するような仕組みになっておりますので、行政府の長としてのお答えの限界はやむを得ないことではないかなというふうに御察し賜りますようにお願いをいたします。
  82. 新村勝雄

    ○新村委員 それは筋は筋でしょうけれども、やはり議院内閣制、そして多数党から総理を出す、そこで政権を担当する、内閣も組織するという制度上からすれば、今総理がおっしゃったことは違うのではないか。国政の上で大きな問題が起こっている、そういう場合には、与党の総裁でもあり、そして与党の総裁であるがゆえに総理になっているというお立場からすれば、それは総理が決断をされて党を指導されるあるいは内閣を指導される、そのことによってこの問題の全容を国会に明らかにしていくことはできるはずでありますし、また、仮に国会で決めなければ証人喚問ができないということであれば、これは大変失礼なんですけれども竹下さんもそれから宮澤さんも御本人じゃないということになっております、秘書さんが買ったということになっておるわけです、そういう問題について、御自身がみずから進んで、本会議でもいいしここでもいいしどこでもいいですが、その全容を明らかにされてはいかがでしょうか。  先ほどもおっしゃっておるように、総理というお立場はすべての情報が集まる、また集めることができるお立場にいるわけですから、リクルートの全貌なんというのは、これは二日三日すれば全貌がわかってしまうわけですよ。もうわかっていらっしゃると思いますけれども、わかる立場にいらっしゃる。だから、わかる立場にいらっしゃるのですから、そういう情報を集めてこれを国会にお示しになる。国会から喚問、喚問と言うと失礼かもしれませんけれども、総理を喚問するのは失礼かもしれませんけれども、そういう国会の要請がなくても、先ほどレーガン大統領の例を申し上げましたが、レーガン大統領はそういう議会の要請がなくてもテレビ放送をしたというのです。これは他国の例ですけれども、そういうことをなさった方が日本の政治のためではないかということを申し上げておるわけなんですけれども、いかがでしょうか。
  83. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 新村委員おっしゃっていることは私にもよくわかるのでございますが、本当に長い間、行政府の長としての立場で国会には臨むという慣習が定着しておるのではないかと私は思いますので、例えばおまえの経験はどうだったかと言われたときは言ってもいいのかなと思いますが、その辺の国会の権限に係る問題に対して行政府からのコメントというのは差し控えるというのが、これは戦後の民主主義の中で長い間練られてきて結果としてそうなっておるということでございますので、おっしゃる意味は私には十分理解できますが、やはりその辺が私の限界ではないかな、こういう感じでございます。
  84. 新村勝雄

    ○新村委員 時間が参りましたので以上で終わりますけれども、総理の御健闘をお祈りすると同時に、この問題についての全容の解明をひとつぜひ総理の立場から国民に向かってお願いしたいと思います。終わります。
  85. 谷津義男

    ○谷津委員長代理 小川新一郎君。
  86. 小川新一郎

    小川(新)委員 私の質問は極めて短時間でございます。また、神経のぎりぎり痛む質問でもございませんので、明確に御親切に御答弁を総理、お願いしたいと思います。  政府関係機関の移転問題でございますが、政府は七月十九日の閣議で、竹下内閣の公約であります政府関係機関の地方移転を正式に決定いたしました。千葉、埼玉、神奈川など、誘致したいという要望が出されております。  特に埼玉県では、内陸関係都市としてこの問題を重要視いたしております。そして、いち早く関係委員会をつくり、六十六機関を選定し、旧国鉄大宮操車場跡地など六十四カ所の候補地、面積にして千五百ヘクタールを用意してお待ちしております。しかし、地元としては、いつごろどの機関が来るのか来ないのか、一向にはっきりしてもらわないのでは、大変に財政上、また都市計画上、土地対策上、また通勤問題等、多くの都市問題を抱えながら困惑をいたしておりますので、まず御明快な御答弁をお願いします。
  87. 内海英男

    ○内海国務大臣 ただいまの御質問に対しまして、現在国土庁並びに政府がとっておる点につきまして申し上げます。  国の行政機関等の移転につきましては、先生のお話のとおり本年七月閣議決定をいたしました。  先般九月二十六日に、国の機関等移転推進連絡会議、これは石原官房副長官を座長としております関係事務次官が加わっておる会議でございますが、その会議におきまして、できるだけ速やかに移転先等の検討を行い、それぞれの機関の移転の条件等が整備され次第逐次移転を進めていくことなど、移転の具体的な進め方を定めたところでございます。その中で、移転先地の選定につきましては、既に移転計画が進行しているものもございます。本年末までにその他のものについてもできる限り進めていきたいと思いますが、その他のものにつきましても来年度予算概算要求の時点あたりまでにめどをつけたい、こういうことで進めておるところでございます。     〔谷津委員長代理退席、魚住委員長代理着席〕  なお、埼玉県にも業務核都市というような形で数カ所の都市を指定をいたしておりますが、業務核都市等は移転先の有力な候補と考えられるところでございまして、円滑な移転が行われるよう地元の公共機関等とも十分連絡をとりながら進めてまいりたい、こう考えております。
  88. 小川新一郎

    小川(新)委員 総理、この問題につきましてお願いしたいと思うのですが、私どもの本県におきましては、今用意しておる土地、そして地方公共団体の話し合いも済んでおります。あとは、知事さんと総理と、また関係機関の政府筋とのお話し合いがきちっと詰めば、いつでも結構でございます、御決断のほどを。
  89. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 大筋は、ただいま国土庁長官からお答え申し上げたとおりでございます。今小川委員のおっしゃいましたような環境の整備ができておることも、私も知らされておるところでございます。今お話がありましたように、率直に申しまして、ことしは本当は予算がないわけでございます。概算要求期間ももう過ぎております。したがって、おのずから予算措置のできる時期というようなことで、国土庁長官からお話があったということで進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  90. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、来年の予算の中に組み込まれて、これらの計画が直ちに実行できるのですか。
  91. 内海英男

    ○内海国務大臣 この計画が立ちます前から移転をするという考え方に立っておった機関もございますので、それらにつきましては本年度内に移転先というようなことも決定ができるかと思います。その他のものにつきましては、ただいまもお答え申し上げましたとおり、来年度予算概算要求時の八月末までに概算要求ができるように、移転先地等も検討して条件を整えて予算要求を図ってまいりたい、こう考えております。
  92. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、イランと日本の合弁事業、IJPCプロジェクトについてお尋ねいたします。  外務大臣並びに通産大臣のところへ、三井物産グループの首脳はバンダルホメイニの視察の報告、写真等の提示、ございましたか。
  93. 田村元

    ○田村国務大臣 私のところへ直接はまだ話がございません。事務方に聞きましたところ、担当部長のところへいらしたそうですけれども、単なるごあいさつということでございました。
  94. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 私のところも、今通産大臣おっしゃったようなことであります。
  95. 小川新一郎

    小川(新)委員 国家の資金も約二百五十億を超えるほど投下しております。私どもは、三井グループが約八千億近い金をつぎ込んで、八年間の戦争の犠牲となって、我々の税金もここに投下されたものが一体どうなるのかという問題でございますので、一企業の擁護のために申しているのではございません、このことははっきりさせていただきますが、何回聞いても、両者の言い分を煮詰めた上でと。両者というのは政府が入らないのですか。政府も金を投資した以上、私は、三井やイラン当局だけでなく日本政府も当然入るべきであると思いますが、当事者が話を決めてと。その決め方はどうするんだと言ったら、一つ一つを煮詰めて両者が話し合って、まずこの調査報告を政府にしたい、そして政府の、その報告を見てどういう決断をするのかを見たい、こういうことでございます。  ところが、三井の本心は、もうここに事業を拡大したくないし、やめたい、撤退したい。ところがイラン側では、何とか継続をしてくれと言う。全面的にだめならば部分的で結構。十三ある、何といいますかパイプとかその他の機能について、壊れていないところ、軽傷なところ、その部分的な再建ならば今でもできる。ただ、三井側の思惑は、政府が今まで出した八千億対二百五十億ではバランスがとれない、少なくとももう少し政府資金を投入して、部分部分の再建をするにはある程度は乗ってもいいんではないかというような声も上がっている。一体、決断のポイントというのは政府は何でしょうか。
  96. 田村元

    ○田村国務大臣 これはやはり、あくまでも両者の話し合いというものを我々は見詰め、見守っていかなければなりません。まず当事者から十分な分析評価に基づく報告を受けて、またその後の両当事者間の話し合いの推移を見守りながら、政府としてこのプロジェクトの取り扱いについて必要な検討を加えていくということになろうかと思います。  ただ、一つ一つを煮詰めてということに奇異の感をお持ちかもしれませんけれども、率直に言いまして、これだけ大規模なプラントの、しかも複雑多岐にわたる個々の設備、装置につきましてその被害状況の分析評価を行うものでございまして、あれだけの戦争で破壊し合ったのですから、またイラン側との共通な認識を、建設するためのすり合わせも必要でございます。三井側といいますか日本側とイラン側の思惑の違い、考え方の違いもございましょう。その作業が終了するのには相当な時間を要することも事実でございます。我我は腕をこまねいてただ傍観しておるだけではありません。十分にその推移を見守りながら、あくまでもこれは三井の決断というものが中心になる。我々がまさか三井を抑えるわけにはいかない、我々の思惑のとおり動かすわけにいかない、こういうことでございますので、いましばらく経過を見たいと思っております。
  97. 小川新一郎

    小川(新)委員 まあ大臣責任でもないし三井側の責任でもございませんが、イラン・イラクという不毛の対決のために、戦争のために我々の税金まで水泡に帰す。しかも当事者にとっても大変な被害、損害。それをただ見ているということでありますが、やはりその決断のポイントというものがあるはずです。  しかも大臣のところにごあいさつにも来ない、写真も明示しない。政府のお役人さんは同行してないのですから、両大臣に少なくとも報告ぐらいは、きちっと礼儀を尽くしてしかるべきだと思います。我々の金も投下されているのですから、もう少し厳しい姿勢が企業側にあってしかるべきである。  また政府側にとっても、それではすり合わせた結果どんな要件でものむかということになってしまう。もっと金を出せ、出せと両者がすり合わせて合意した。大臣、それにお乗りになったのでは、まことに失礼な言い方かもしれませんが、またどんなことが起きるかわからないこの地域の特異性、こういう問題を考えたとき、いかがでしょうか。     〔魚住委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 田村元

    ○田村国務大臣 確かに小川議員のおっしゃるとおりなのです。それは私も反論することはできません。しかしながら、自由経済、民間の問題がまず中心になりますから、十分話し合ってもらわなければなりません。そして政府が、つまり通産省なり外務省なりがくちばしを入れることは大きな影響を与えるものでございます。  率直に言いまして、私はこういう一特定企業の問題につきましてどうも憶病な方でございまして、こちらから言葉を先に持っていく手法をとらない性格がございます。時節柄でもございますの で、なおさら憶病になっているというところもございます。その点は反省をいたしておりますけれども、一度十分に報告を求め、またその写真等があれば拝見いたしたいと思います。
  99. 小川新一郎

    小川(新)委員 私も国会で発言した以上、まさか三井から政治資金をもらうわけにもいきませんし、一生懸命やったから何かしてくれということも言えない立場でございます。大臣も同じでございます。ただ国家国民のために、また日本の外交政策上対外援助というものがどうしても必要であれば、この問題とは切り離してでも、イランの問題に取り組まねばならない先進国としての責任があるのではございませんか、外務大臣。そういう問題を踏まえて外務大臣に一言お願いを申し上げます。  残念ですが、時間が来ました。もっと一時間も二時間もやりたいのですが、できませんので、お願いいたします。
  100. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 イラン・イラク紛争は、国連事務総長のあっせんで一応終戦というところまで行っております。しかし、五九八決議のとおりに停戦、撤兵、さらには捕虜交換という段階にまで行っておりません。だから、そうした問題についてそれぞれが懸命の努力をしておられる最中でございますが、戦後復興については日本ひとつ頼むということを、先般も政府の責任者が来て率直に言っておられるところでございます。だから、ODA等々、そうした問題はそうした問題としてやっていかなければならないことがあると思います。今の問題に関しましては、通産大臣が明確に自分の考え方を申し述べられましたとおりでありますので、これとODA等とは全く別の問題として、それはそれとして私たちもまた戦後復興にも力をかさねばならぬ、かように思っております。
  101. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わらせていただきます。
  102. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  103. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず最初に、総理にお伺いをいたします。  いよいよきょう八日、米大統領選挙が始まるわけでございます。いずれの新政権になったとしても、今日、米国の財政赤字の状況が悪化しているだけに、当然のことながら、貿易・経済摩擦問題での対日要求、あるいは軍事費の日本側負担分の増額等の問題が出てくる非常に重要な時期に来たのではないか、こう思います。いずれ総理も訪米されると思うのでございますけれども、とりあえずただいまの見解をお伺いしたい。同時に、もしわかれば、いつ行かれるのか、お考えの内容がございましたらお伺いをしたい、こう思います。
  104. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 恐らく、明後日の午後になれば結果もわかるかと思います。いずれにせよ、レーガン大統領の任期が来ておりますから、新政権が誕生することは事実であります。したがって、日米関係我が国外交の基軸でございますので、今後とも確固たる関係を維持していかなければならぬと思いますので、可能な限り早い機会に訪米をすべきだという考えは持っておりますが、外交日程そのものにつきましては、今は国会開会中でもございますが、今後の検討課題であるというお答えが限界ではないかなと思っております。  御指摘なさいましたとおり、双子の赤字に対する問題、それからいわゆる防衛費のみならず国際社会に対するよく言われるバーデンシェアリングの問題等が、どの政権、どなたが新大統領になられましょうとも、大きな課題であるという問題意識はひとしくいたしておるところであります。
  105. 草川昭三

    ○草川委員 第二番目の質問ですが、これは運輸省にお伺いします。  現在、地価高騰地域における国鉄の清算事業団用地の売却の入札について、国土庁を初めとする関係省庁でいろいろと問題を煮詰めていられる、こういうふうに聞いております。そこで、従来売却を見合わせてきた用地については、いずれにしてもこれも売却の入札を始めなければいけないと思うのでございます。全国で十数カ所というような計画も出ておりますが、例えば笹島、稲沢地区の事業団用地はどのように処分をされるのか、お伺いをしたいと思います。
  106. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の笹島、稲沢地区の問題でございますが、ここは大変大規模な用地でございます。しかも、都市に残されました貴重な開発空間でございますので、地域整備の核ともなり得る用地だと思っております。そういうことから、昨年九月に、清算事業団にございます資産処分審議会に対しまして土地利用に関する計画の策定を諮問いたしておりまして、現在、その審議会の下部機関でございますけれども地域計画部会というのがございますので、その地域計画部会におきまして、愛知県など関係地方公共団体の参加もいただきまして検討を進めておるという段階でございます。  それから、そのうちの笹島地区につきましては、笹島地区を含めました名古屋駅の周辺地区を対象といたしまして、国土庁建設省、私どもも入りまして、関係の五省庁で共同調査を行うこととなっておりまして、先般その第一回目の委員会を開催したところでございます。  運輸省といたしましては、地方公共団体の意見も聞きながら、町づくりにも配慮いたしました計画を策定した上で適切な処分が行われますように清算事業団を指導してまいりたい、かように考えております。
  107. 草川昭三

    ○草川委員 今も答弁がありました笹島ばかりではないと思うのですけれども、大規模用地は民間のデベロッパーに切り売りをするということのないようにしなければいかぬと思うのですね。後で気がついてみたら風俗営業というような地区になっても大変であるわけであります。  そこで、一つの案だと思うのですけれども、清算事業団も、地方公共団体の方々と一体になって一種の第三セクター、出資会社等をつくって一体化した町づくり、いわゆる設計コンペ等、計画コンペというのもあると思うのでありますけれども、そういう上に立っていろいろな方式を採用されたらどうだろうと思うのですが、その点はどうお考えになられるのか、大臣から見解を求めたい、こう思います。
  108. 石原慎太郎

    石原国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、事業団が抱えている特に大都市のそういう貴重な開発時間をただ切り売りしたりすることではなくて、この間杉浦理事長ともお話しいたしましたけれども、事業団の方もただ籠城して待つということではなくて、自分たちなりのノーハウを開拓しながら、また他の民間の知恵もかりて、そしてさらに地方公共団体とも組んだセクターをつくって、いろいろな形で持てる土地の整備といいましょうか解決をしていきたいという意欲を披瀝されまして、運輸省としましても、そういった方法を含めて検討しながら、何といっても貴重な空間でございますから、その地域の役に立つような再開発を心がけるように指導してまいるつもりでございます。
  109. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁にありますように、ぜひしっかりとしたプランの上に、関係省庁と御連絡の上、対応を立てていただきたいということを要望しておきたいと思います。  第三番目の問題は、これも通産大臣あるいは外務大臣、総理にお伺いをしたいわけでありますけれども、現在、二十一世紀の初頭を目指して名古屋圏で二十一世紀万国博覧会を誘致をしようという構想が、地元の自治体あるいは財界に盛り上がってきております。私たちも、これは大きくは中部圏あるいは名古屋圏の活性化のために、世界の目を名古屋圏に向けさせ、二十一世紀早々に、これはぜひ今問題になっております新空港、あるいはリニア中央エキスプレス、あるいは第二東名・名神など大プロジェクトが同時に着工できることを願っているわけでありますが、そういう時期を目指した万国博構想というのは非常に意義が大きい。しかも、テーマも「二十一世紀の平和と文明」という非常に壮大なものを訴えておるわけであります。  しかし、万国博というのは何といっても政府が主催者であります。こういう地元の非常に盛り上がっておる熱意を担当大臣はどのように受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。
  110. 田村元

    ○田村国務大臣 我が国におきましては、これまで大阪の万博を皮切りに三度の国際博覧会が開催されました。これらの博覧会はいずれもすばらしい成功をおさめております。経済的側面のみならず、文化的側面においてもさまざまな成果を上げてまいりました。国際社会における日本の貢献がますます期待されます中で、地元の私が言うのもちょっとおかしいのでありますけれども、この国際博覧会が開催されますならば、新たな時代我が国からのメッセージを世界に向けて発信することができて、中部圏へのインパクトというものはもとより、我が国全体にとってみましてもまことに有意義なものと考えられます。  愛知県知事を初め関係皆さん方が、地元のさらなる発展を期して一大イベントを挙行されるという熱意に触れまして、私は国際博覧会の担当大臣として、誘致に向けて可能な限りの全力投球をいたす決意でございます。
  111. 草川昭三

    ○草川委員 全力投球をぜひお願いをしたいわけです。  続いて外務大臣あるいは外務省にお伺いをいたしますが、国際博覧会条約という条約に基づいてこれが行われるわけで、特にこれは、二十一世紀初頭にこういうアピールをすることはまず問題はないと思うのでございますが、まずそれがどうかということ。あわせて次に、国際博覧会の開催希望の国は非常に多いと聞いておりますけれども、一九九〇年代の開催希望国は一体どこがあるのか、外務省として承知しておる点をお伺いをしたい、こう思います。
  112. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 大阪万博が一九七〇年に開かれまして、そして、あのような大規模な万博を同一国内において行うときには二十年を経過しなくちゃならぬということですから、一九九〇年ならばもう大丈夫ということが言えます。ただ異国間の場合には十年という取り決めがありますが、ちょうどその間の一九九二年にスペインにおきまして、セビリアでございますか、万博が開催されるということになりますので、したがいまして、今草川委員がお考えになっておられる二〇〇二年以降ならば大丈夫である、こういうふうに申し上げて差し支えないと思います。  その次でございますが、一九九二年に開催されることになっているセビリア博、ジェノワ特別博、ハーグ園芸博以外では、一九九五年にオーストリアとハンガリーが共同でウィーン・ブダペスト博、一九九八年に西独がハノーバー博、二〇〇〇年にイタリアがベネチア博をそれぞれ開催したいとの意向を固め、またカナダが二〇〇〇年にオタワまたはトロントで万博の開催を検討している、これが現状でございます。
  113. 草川昭三

    ○草川委員 現行条約の改正の動きがあって、一つのリズムを短くするという動きもありますので、それもあわせてお伺いをしたいわけであります。  実は、名古屋というのは前回オリンピックの誘致に失敗をしておるわけであります。当時私は、たしか園田外務大臣のときにも、外務省のバックアップが非常に足りぬのではないか、こういう大変きつい非難をしたこともございますが、今申し上げた、愛知県が二十一世紀初頭に開催を計画するこの国際博覧会に関する外務省の支援というものは非常に強く求めなければいかぬと思うのですが、外務大臣の見解を求めたいと思います。
  114. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 これは、先ほども草川委員みずから申されましたとおりに、地域活性化、さらには国際化の今日でございますから、当然中部圏といたされましても、大きな行事として推進されることに我々といたしましては賛成申し上げたいと思います。特に国内問題で、中部圏と他にいろいろ候補者があるかもしれませんが、しかしそれは御努力によりましてコンセンサスを得ていただくならば、我々といたしましても、このことは大変必要な、大切な行事である、こういう認識で進みたいと思っております。
  115. 草川昭三

    ○草川委員 この問題については総理に見解をお願いしたいわけでありますが、今両大臣からそれぞれ大変力強い展望のお話がございました。これは総理として、また一人の政治家としてもあるいは自民党の総裁としても、地元がこれだけの熱意を持っているわけでございますから、どのようなお考えを持っておみえになるのか、あるいは助言があるのか、お答えを願いたいと思います。
  116. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 地元において二十一世紀初頭に国際博覧会を開催しよう、その意気はまさに壮たるものがございます。と同時に、ソウルのオリンピックを祝福する気持ちはございますが、名古屋において反省もあるということも十分承知しております。その反省がまた大きな糧となるのではなかろうか。  私自身、私事にわたりますが、筑波万博の超党派の議員連盟会長をいたしておりまして、日本は大変に博覧会が上手であります。と同時に、博覧会というのはまさに、すべて受信でありがちな我が国が発信に変わっていく大きな機会になるということを確信いたしておりますので、両大臣からこもごも決意が申し述べられましたが、私どもも、その決意と同じ考え方に立って推進し、協力してまいりたい、このように考えております。
  117. 草川昭三

    ○草川委員 総理として、この世界万博の問題について初めての御見解を賜ったわけでありますが、地元も大変な協力をし、あるいはまた問題点があればそれを克服し、一体になって推進をしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後になりますが、これは主として農林水産大臣それから総理の見解もお願いをしたい、こう思います。  実は、昨年の決算委員会の附帯条項の中に、蚕糸砂糖事業団の在庫放出、これはかねがね臨調からの指摘もあり会計検査院からの指摘もある、そういう立場から問題提起をしておるわけでありますけれども、なかなかこの関連する問題が解決いたしておりません。  そこで、きょうは具体的に、最近の生糸価格というのは下がっていないのでございますけれども、そもそもこれは行政価格の設定の仕方に見通しに甘さがあったのではないか、こう思いますが、どのような見解か、お伺いします。
  118. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 生糸の行政価格は、生糸の生産条件のみならず生糸の全体需給、内外の価格差等を総合的に判断して設定しており、今後とも蚕糸絹業がともに発展をしていくことのできるよう適切に設定するとともに、相場に振り回されないよう、関係業界や団体の理解協力を得ながら生糸の需給と価格の安定を図るべく、一層の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  119. 草川昭三

    ○草川委員 実は、この前の決算委員会のときに大臣からも同様な、相場に振り回されることがないようにしたいという答弁があったわけでありますが、きょうはもう時間がありませんので細かいことは申し上げませんけれども、事態は一向に改善されていないという立場からの発言であります。  第二の問題でありますけれども、生糸価格が下がらないのは事業団の運営や制度自体に問題があるのではないか、本質的にそこに行きつくのではないか、こういう疑問があるのですが、その点はどうでしょう。
  120. 吉國隆

    吉國政府委員 事業団の制度、運営の実態につきまして、まずお話を申し上げたいと思います。  事業団の生糸の売り渡しは、そのときどきの相場、価格水準を考慮して行うことはもとよりでございますが、生糸の市中在庫の状況は、先生御承知のように最近事業団の放出がかなり行われたこともございまして、市中の民間在庫がかなりの高い水準になっているという実態もございます。また、生糸なり絹織物の流通状況も最近やや荷動きの停滞傾向が見られるような状況になっておるわけでございます。こういった価格変動に影響を及ぼします幾つかの要因を総合的に配慮しながら、私ども考え方としましては、可能な限り持続的に価格の安定を図っていくという心構えで運営をいたしているところでございます。こういった考え方で、事業団といたしましては、昨年の秋以降約六万俵の売り渡しを行っておりまして、これは 国内生糸生産量の半分を超える量に実は相なっておるわけでございます。また、量的のみならず質的にも、再検査糸を供用品として適格なものとして売り渡すといったような工夫も行ってまいっておるところでございます。  こういった状況で生糸の需給の実勢も若干変化をしてまいっておると思っておりますし、また相場のエネルギーも変化をしてきておりまして、一時のパニック的な高騰状況からはかなり脱してきていると見られるのではないかと思っている次第でございます。  私ども、今後とも、価格並びに需給の動向をよく見定めながら適時適切な売り渡しを行って、価格の安定に一層の努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  121. 草川昭三

    ○草川委員 今の大臣あるいは局長答弁は非常に不十分、不満足なんです。時間がありませんから余り詳しくやりませんけれども、せっかくの制度で決めてあるところから飛び越して、上限のところで相場が決まる。そして糸を買って機屋さんが反物をつくる、織物をつくる。そこでは、原料高・製品安ですから何ともならぬという不満が非常に強いわけです。  細かいことは言いませんけれども、一言で言うならば、いわゆる繭あるいは糸の先物市場はばくち場、ばくち相場に化しているのではないかというのが関係業者から言われているわけでありますし、取引員の協会長自身が、今のようなことではもうだめだ、採算を無視するような相場の異常ということはもう解明できないのではないかというような通達を取引員にも出しておるわけでありますが、一回業界の姿勢というのを農水省は徹底的に正す、そしてその正常化を図るべきではないかと思うのですが、一体何を指導しているのかお伺いしたい、こう思います。
  122. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のような最近の繭糸先物市場におきます市場の情勢にかんがみまして、私たちもいろいろ指導しておるわけでございますけれども、それを受けまして、関係取引所におきましては、市場管理要綱等に基づきまして、建て玉制限の強化とか委託証拠金の引き上げ、あるいは商品取引員に対する自粛の要請等々、各般の市場管理措置を講じているところでございます。  申し上げるまでもないことでございますけれども、商品先物取引が持っております本来の機能、要するにリスクヘッジあるいは公正な価格形成という役割を市場が十分に果たしていきますためには、まず何よりも先物業界の社会的信用の向上を図ることが不可欠であるというように考えておりまして、私たちといたしましては、今後とも、一つは、商品取引員あるいはその団体に対しまして適正な受託業務の徹底を指導してまいりたいと思っておりますし、第二に、商品取引所に対しましても市場管理には細心の注意を払って適切な措置が講ぜられるように指導してまいりたいというように考えておるわけでございます。特に他人名義とか空き口座を使用するなどの不適正な受託行為、そのようなものが見られます場合には一層厳正に対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  123. 草川昭三

    ○草川委員 今他人名義、空き口座を使用するというようなことのないように、あるいは先物取引業界の社会的な信用が必要だ、これは基本的な前提だと思うのですね。ですから、私どもは、これからは金融先物あるいは債券先物、あらゆるものにとりましても、先物というのは非常に重要な市場性を帯びてきておると思うのです。そういう中で農水省所管の業界というのはこのままではもう当然行き詰まる、そればかりではなくて、農政全体をかえって混乱させることになるのではないかという強い不満があるからこそ、ロングランで私はこの問題に取り組んできているわけであります。  そういう上に立って乾繭、生糸、こういうものを見ていきますと、国内の繭生産というのは三万トンを割り込んでおります、落ち込んでいます。こういう非常に小さいボリュームになってくると、先物取引としての上場の意味もない、あるいは国際性がなくなってくる、こういうことになりますと、もう思い切って上場商品から外してしまって、生産取引の規模が大きい、あるいは国際的に必要とされる商品を新たに追加をするなどして、上場商品を見直すべきではないか、こう思うのですが、その点はどうでしょうか。
  124. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど御指摘のあったことに一言だけ触れておきたいと思います。  九月六日当委員会におきまして、私から、いやしくも相場によって政策が振り回されるようなことのないよう知恵を出すべきである、こういうことを私は考えておることだけを率直に申し上げます、こう申し上げたわけでございますが、その後、言いわけはいたしませんけれども、いろいろなことに追われてなかなかまたいい知恵も出てきません。しかし、何としても知恵を出せということで督励をいたしておるところでございます。  ただいまの問題についてお答えをいたしますが、商品先物取引市場はリスクのヘッジ及び公正な価格形成という重要な経済的機能を有しております。上場商品については、基本的には、それぞれの商品特性に応じてこの商品先物取引の持つ機能が必要であるかどうかとの観点に立って判断する必要があり、国内生産規模のみならず、生糸のように流通加工過程の長い商品の価格変動によるリスクのヘッジ等の要請にも配慮する必要があるかと思います。また、御指摘のように国際的に必要な商品の上場追加の問題につきましても、関係取引所におきまして種々検討されているところでありますが、関係業界の意見も考慮しつつ、我が国商品先物取引市場の健全な発展を図るとの観点に立って対処してまいりたいと考えております。委員おっしゃるような御指摘は、ほかからも私自身耳にいたしております。真剣に対応してまいりたい、こう思っております。
  125. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ましたので、最後に総理にお伺いしたいと思うのですが、今のような答弁も踏まえまして、生糸、繭の先物取引の市場というのは極めて不安定な状況になっております。問題が多いということは今も大臣もお認めになったわけでございますが、総理として、生糸あるいは乾繭等の先物市場のあり方を見直すべきではないか、こういう指導をすべきではないかと思うので、お答えを願いたいと思います。  同時に、実はこれも決算委員会、去年の四月二日でありますけれども、宮澤大蔵大臣に私はこういう質問をしておるのです。自由民主党の中のことを申し上げて大変恐縮でございますけれども、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案の与党の党議決定が昭和五十一年の三月に行われているわけですが、これもいわゆるお蚕さんの立場の方々といわゆる機屋さんの立場の方々との対立がある、こういうことを私が指摘をし、宮澤さんも、「この問題につきましては、おっしゃいますように私ども与党の中にも対立した議論がございまして、正直のところ、行政はその中にありまして両方を少しずつ手当てをするような形をやってきておる」というような答弁もあるわけであります。こういうことを今さら大蔵大臣に聞くという気はございませんので、これは総理に時間が来ましたのでお伺いをしたいと思うのですが、先ほど申し上げましたように、先物市場というのは非常にこれからあらゆる面で重要な位置づけになってきておるわけです。しかも国際的な関係というのが出てきておるわけでありますので、今のような形でこれを放置することは許されるべきではない、こう思います。どうかひとつ、非常に重要な話でありますので最後に総理から答弁を聞いて終わりたい、こう思います。
  126. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 草川委員からは、繭糸先物市場問題について、これは国会法に基づきます質問主意書をたびたびちょうだいしておる、この事実は私も承知しております。  そもそも先物市場、今おっしゃいましたように、金融先物というようなこともこれからますます国際化してくる、本当にどのように機能すべきかということについては私どもにも関心があるこ とでございますが、今の御指摘等を踏まえながら十分これに対しては検討をさせていただきます。
  127. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  128. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。
  129. 大矢卓史

    ○大矢委員 私ども政治の末席を汚す者といたしましては、現在のこの国会のいろいろな論議をいたしましても、何かそこに政治不信ということで国民の目が向けられておるわけであります。一日も早くこの全容を明らかにすることが私どもの一番の責務であろうと思いますが、まず林田法務大臣、私どもの米沢委員質問に対しまして、中間報告と申しますか、事件が進行いたしましたその状況を見ながら報告をされるということですが、現在特捜部において大変な御努力を願っておるわけでございます。その検事さんの一人が、この事件を担当するに当たりまして、ロッキードの布施検事総長の墓前にも参られたという非常な決意で臨んでおられるようでありますが、まず法務大臣決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  130. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 ただいま検察におきましては、楢崎議員の告発を中心にいたしまして捜査を続けておる段階でございまして、これからも国会の御議論とかあるいは報道とかそういうものを考慮に入れまして、犯罪の疑いがありましたならば捜査をするということでございます。
  131. 大矢卓史

    ○大矢委員 農水大臣いらっしゃいますか。何か農水大臣の希望で、委員会をやっていらっしゃるのでまず冒頭に質問してくれということでございますので……。  今、楢崎議員からの告発に基づいていろいろな司法の手の解明が進められておりますけれども、その中に、株の取得をめぐりましてそれが職務権限に当たらないかどうかということで、その当時関係しておられました、大臣はもちろんのことでございますけれども、その省庁の役人の方々も各省庁でいろいろ内部的に調査もしていらっしゃると思いますけれども、安比総合開発、この計画について、やはりその当時の農水大臣でございました加藤さんが視察に行かれた、そして、加藤さん自身が株の取得というかそういうものに関係をしておるということでやはり疑惑の目で見られておるところもあるわけであります。そういうことで、このことについてまず御説明を願いたいと思います。
  132. 野中英二

    野中委員長 今農水大臣はいないので、松田林野庁長官
  133. 松田堯

    ○松田(堯)政府委員 安比総合開発につきまして、森林空間を活用してレクリエーション等を行いたいという国民の要望が非常に高まっておりますので、それを、国有林を活用して施設整備等を現在行っているところでございますが、安比総合開発につきましては、四十年代後半から構想あるいは必要な調査等を行いまして、必要な手続、手順を踏まえまして、五十六年から事業に着手をいたしておるところでございます。  事業の主体は、十七団体から成ります第三セクター、安比総合開発株式会社が行っておるところでございまして、年々活用する方が非常にふえております。昨年度の実績を申し上げますと、八十六万人の方々が利用するといったような状況になってきておりまして、地域の振興にも大きく貢献している、このように考えておるところでございます。
  134. 大矢卓史

    ○大矢委員 これが第三セクターで行われているということでございますけれども、第三セクターの定義からいたしますと、やはり地方公共団体や国と民間との共同出資で設立する。私ども地方議会に関係をいたしまして、普通そういう場合でございましても国なり地方自治団体が五一%以上を持っておるということが当たり前だと思いますけれども、この会社の資本構成を見てみますると、リクルートさんが二億八千八百万で四八%持っていらっしゃる、そしてほかの民間の企業三社とリクルートを合わせますと五一%を超えるわけであります。このような形でやられておる、そこに私は非常に不可思議なものを感じるのであります。そして、このように元農林大臣に株が渡っておるということでございますので、それらも含めて私は、職務権限等がもしありといたしますならばこれは問題が出てこようかと思いますし、またそうでなくとも、もし職務権限がございます農林省の中のだれかがまたこれからの発表で出てくるというようなことがありますと、これまた問題でございます。各省庁非常に気を使ってやっていらっしゃいますけれども大臣は内部的にこのようなことをどのようにやっておられるのか。もし調査していらっしゃらないといたしましたら、これから調査されるお気持ちがあるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  135. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 前任者のことについていろいろ名指しをされておられたようでございますが、それは先ほど来林野庁長官からお答えをしておると思います。この後何か推察をさせるようなお言葉がございましたように聞き受けましたけれども、いささかも疑惑を受けることのないように念じておる次第でございます。
  136. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が限られておりますので、またそういうことのないように私は祈っております。  それでは、NTTの関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  これまた、今回のリクルートコスモス株の譲渡の問題で一つの大きな疑惑とされておるのがNTT役員への株の譲渡だと言われておりますが、この点についてどのような調査をされておりますか、郵政大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  137. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  大矢委員初め国民の皆様方に大変御心配をかけておるようでございまして、このNTT、昭和六十年四月に民営化をされました後、大いに国民の信頼を受けて、就職戦線などでも大変評判のいい会社だということでございましたし、千五百六十万株のうち今五百四十万株を売り出しておりますので、千二十万株という多数の株を国家として保有しているわけでございまして、その売却益でいろいろな国民的な事業も推進されている中に、今度の事件と申しますか問題が起こったのでございます。  最初の長谷川寿彦と言われる方は、六十二年五月に既にNTTをやめておられる方でございます。その後の式場さんに関しましては、関係委員会で何度も御答弁を申し上げておりますが、自己資金で長期保有という形でまだ売っておられないということでございますので、民営化されたことに関して、お得意に対するいろいろな配慮でそういう行動に出られたのではないか、私自身はそのことに対して善意に解釈をしております。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕 それから真藤会長の秘書の村田幸蔵氏でございますが、私が報告を受けておりました限りにおきましては問題はないということでございましたが、五日の夕刻になりましてそういうことが御本人から電話で通告があった、そして、六日の日曜日の朝八時ごろに山口社長から私に電話で連絡がございました。それから、記者会見が終わりました十時半ごろにも、私に真藤会長から、いろいろ御心配をおかけして申しわけないということの御連絡があったわけでございますが、私ども、NTTに対しまして適切に対処してほしいと申しておりました結果、四日の日に内部的な調査の機関をつくっていただいたところでございまして、今後密接な連絡をとって、国民の皆様方に御信頼を維持していけるような企業になってもらいたいと念願をいたしております。
  138. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の式場さんですか、そういう人の話の中にございましたようにまだ売却益を得ておらないということがございましたが、もしこの人が職務権限での便宜また利益供与がございましたら、たとえそれが利益を得てなくても、その株を取得した時点で贈収賄になるのだということは、殖産住宅の最高裁の判決でもおわかりのことだと思います。そういうことでございまして、それらの問題が発覚いたしましてから、真藤さんの秘書、これの問題に至りますまで、なかなか自浄能力を発揮しておらない会社でございますので、今お伺いいたしましたところでは、郵政大臣調査をするようにということで調査をされたようでご ざいますけれども、なお、NTTの今の大株主は大蔵大臣でありますので、大蔵大臣がNTTに対してもっと積極的に調査をして国民の疑惑を晴らしていくという必要があろうと思いますけれども、いかがでございますか。
  139. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 民営化されましたので、国庫大臣と申しますか、そういう形でNTTの株をお預りさせていただいておりまして、市場に売らしていただいておるということはさようでございますが、事業そのものといたしまして、いわゆる大蔵大臣という形で監督をいたしておるわけではございませんので、その点はやはり所管大臣にお願いをいたすべきものかと思っております。
  140. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の大株主は大蔵大臣、あなたですよ。いかがですか。
  141. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大株主であることはもうそのとおりでございますけれども、ただいまお話しのようなことは多分事業の運営の方に関することかと存じます。
  142. 中山正暉

    ○中山国務大臣 六十年四月までは、御承知のようにNHKに似た組織でございますけれども、経営委員会がございまして、そこで選ばれた総裁を総理大臣が任命されるということでございましたが、民営化後は私ども郵政省が所管官庁としてこれの管理監督をいたしておるということでございまして、新しい電信電話株式会社法によりまして、私ども第十五条で、改善命令その他、事業の内容に関しまして私どもが管理監督する権限を持っておりますので、その責任を全ういたしたいとここにお誓いをいたしておきたいと思います。
  143. 大矢卓史

    ○大矢委員 このNTTの疑惑の中に、スーパーコンピューターが転売されておる、その購入の価格、NTTが買われた価格、そして転売価格、転売までの減価償却率、それはプログラムも含めましてどうなっておるのかということでお聞きをいたしましたところが、なかなかわかっておらない、ただ五%だけ上乗せして売ったのだということだけであります。そういうことになりますと、私どもいろいろな計算をしてみましても、これはやはりそこに便宜供与をしたものがあるのではないかという疑点が残るわけであります。そういうことのないように、郵政大臣の方で十分に御調査を願えればそれで結構でございますし、そうでないというなら、大蔵大臣は大株主でございますから、株主としての立場でしっかりとこの究明をしていただきたいということを申し上げておきます。  時間がございませんので、次にこのリクルートの借入金の問題でございますけれども、大変な借入金をしておるということを言われております。一兆五千億とも一兆七千億とも言われておりますけれども、このことについて、庶民の方は、金融機関から中小企業者が借りますときには、もし根抵当がついておりましたら二〇%増しの担保までとられる。にもかかわらず、この私が調べました新大阪のビルについては、リクルートコスモスの建物には担保も何もついておらない。そして、今申しましたような巨額の融資が各銀行からされておるわけであります。  そういうものが果たして庶民の感情からして一体どうなのか。今言われておりますような規制がありながら、総資本の二〇%の銀行でございますとか三〇%の信託銀行でございますとかいろいろなことを言われておりますけれども、そういうものに金が流れる。私は最初、このリクルートコスモスというのはどういうものかわかりませんでしたけれども、非常に上品な名前で立派な建物が建っておりますけれども、言ってみれば時流に乗った地上げ屋なんですね。それにそのような多額の金が融資をされている。これは厳密に言えば、それを規制どおりと申しますか、そういう規制の中で集中的に貸し付けをしていくことはこれは好ましくないことである。それがそういうことだけでなしに、この規制の範囲を大きく広げて、そういうこともいいのだということを大蔵省自身がもしも認めているということになりますと、私どもはそういうことがないことを望んでおりますけれども、今宮澤大蔵大臣がいろいろな国会の中での疑いをかけられており、そして、まだ完全に秘書の方であるとか河合さんとかいう方が出てきてあなたの潔白を証明しておらないということになりますと、そういうことも含めまして、これは国民はますますおかしい目でこれを見ていくのではないかと思いますので、この点、大蔵大臣にもう一度お答え願いたいと思います。
  144. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの点は銀行行政に関することでございますので、銀行局長から申し上げることが適当かと存じますが、その前に、銀行法あるいは施行令によりまして、銀行は広義の自己資本の二〇%を融資が超えてはならないとか、あるいは銀行局長の通達等とか、いろいろ規制をいたしております。銀行に対しましては、常に厳正に銀行行政としては指導してまいりますし、万一問題点のあることがあれば是正してまいることはもちろんのことでございます。  銀行局長から御答弁いたします。
  145. 大矢卓史

    ○大矢委員 いや、時間がございませんので。  総理にお尋ねいたしたいのでございますけれども、先ほどからのお話で、やはり議会人は議会で決めるのがルールだということをよくおっしゃいますけれども、少なくとも私は、現職閣僚ということになりますと、これは内閣総理大臣、あなたがお決めになることだと思います。  そこで、資産公開ということでございますので、これは義務的ではなしに公開をされておるようでありますけれども、私どもも、一般の人が二千万以上の収入がありましたら、税務署の方にはその資産を届け出しなきゃならぬというようなことがあるようであります。ましてやはり総理大臣以下国務大臣皆さん方がその資産の公開というものをまず義務づけていただきたい。そしてそれが、就任をいたしたときだけでなくして将来おやめになったそのときまでも、大臣の間に果たしてその資産がおふえになったのかどうかということも含めてやっていただきたい。イギリス等におきましては、現職の大臣、閣僚は株の売買等は法律で禁止されておるようであります。処罰をされるようであります。そういうことでございますので、少なくとも、これだけ疑惑を抱かれていろいろなことを言われて、それがまだまだ解明されておらない、そして、最後は政治家個人個人の政治倫理だということがございますので……
  146. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 大矢君、時間です。簡潔にお願いします。
  147. 大矢卓史

    ○大矢委員 ……その点、私どもも一人一人はやはり政治倫理に従って行わなきゃなりませんけれども、総理、今申しましたように、少なくとも株の売買だけはこれから禁止をしていく、また資産の公開をしていく、おやめになったときもやるということの決意を聞かせていただきまして、私は終わらせていただきたいと思います。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  148. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 閣僚の資産公開、これは第二次中曽根内閣、昭和五十八年十二月二十七日以降、閣僚の申し合わせにより、組閣、改造のたびに実施されて、今日に至っておるところでございます。  今の、やめた後の問題も引き続きやるべきだ、こういう一つの御見識でございますが、そうすると、全国会議員の資産公開でございますとかあるいはそれぞれ指定した公務員の資産公開でございますとか、いろいろなところへ議論が当然展開されていくものではないか。したがって、この問題につきましては従来からも、国会の方で御相談いただこう、こういうことになっておるわけでございます。したがって、今日の段階におきましては、第二次中曽根内閣以来行っております閣僚の資産公開、こういうことは引き続き行われるであろうというふうに思っておるところであります。  それから、在任中における株式売買等の問題については、御意見は私にも理解できるところでございますので、どのような形でそれを整理するかということはいましばらく勉強させていただきたい、このように思います。
  149. 野中英二

  150. 東中光雄

    東中委員 私は、天皇の代がわりに伴う、憲法 七条による国事行為としての諾儀式についてお伺いをしたいと思います。  主権在民と政教分離の原理が明記されております日本国憲法下において、天皇の代がわりの儀式がどのように行われるのか。憲法第七条の「天皇の国事行為」として行われる儀式はどういう儀式があるのか、お伺いをしたいと思います。
  151. 味村治

    ○味村政府委員 法律上の事柄について申し上げますが、憲法第七条は天皇の国事行為を限定列挙しているわけでございます。そして、その十号に「儀式を行ふこと。」というのがございまして、ここに言う「儀式」というのは、天皇が主宰されまして国の儀式として行うにふさわしいものを言うというふうに考えております。  ところで、皇室典範第二十四条には、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」と規定しておりまして、また同じく、皇室典範の二十五条には「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」こう規定しております。これは皇位の継承及び天皇の崩御がございました場合には、憲法第一条が規定いたしておりますように、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であることにかんがみまして、国事行為たる儀式として、即位の礼及び大喪の礼を行うことを予定したものと解されるわけであります。
  152. 東中光雄

    東中委員 国事行為として行われる即位の礼、それから大喪の礼、新皇室典範に書いてあるその儀式の具体的内容をお聞かせ願いたいと思います。
  153. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 皇室典範に定める即位の礼及び大喪の礼の儀式は、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものになると考えておりますが、具体的内容につきましては現在お答えのできる段階ではございません。
  154. 東中光雄

    東中委員 今まで政府は、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重してということを言われておって、そうしたものにたると質問主意書に対する答弁もそう書いてあります。  問題は、皇室の伝統等を尊重すると言っておるその伝統というのは一体何なのかということに結局帰着するわけでありますが、帝国憲法と旧皇室典範では、名前は同じ天皇ですけれども、天皇は天照大神から授かった祖宗の神器を受ける、これは旧皇室典範に書いてありますね、受けた万世一系の神聖不可侵の現人神で、国の元首にして統治権の総攬者である、陸海軍の統帥権者である、こういう絶対的な天皇であったわけです。その天皇の代がわりの場合には、帝国憲法と旧皇室典範に基づいてつくられた皇室令、登極令なり皇室喪儀令なり、こうした皇室令に基づいて天皇代がわりの儀式がやられてきたわけであります。大正から昭和に代がわりしたときの儀式は、践祚の式として四儀式、大喪の儀として二十九儀式、即位の礼及び大嘗祭として二十八儀式、一年余にわたって合計六十一の儀式がとり行われてきた。このことは、宮内庁なども、我々の方に七九年の内閣委員会のときなどで資料で出されておるところであります。  そこで問題は、この皇室令というのは、日本国憲法によって、その九十八条の趣旨からいっても、帝国憲法及び皇室典範が現行憲法に反する、原理が反するものだとして廃止されたものですね。だから、皇室令に基づいてやられた明治以後の儀式というのは、皇室の伝統じゃなくて、帝国憲法に基づいた、旧皇室典範に基づいた皇室令によってやられたものであって、それは今や廃止されているものであります。だから、主権在民で、しかも政教分離の原理をちゃんと出している中では、さきに皇室令に基づいてやられた儀式を踏襲するということは、憲法原理がまるきり違いますから、私は許されないことだと思うのですが、その点についての政府の御見解を承りたいと思います。
  155. 味村治

    ○味村政府委員 旧皇室令が新憲法の施行と同時に廃止になっておりますことは、委員の御指摘のとおりでございます。しかし、旧皇室令によって行われておりました御喪儀なり即位の礼が、伝統でないということにはならないと存じます。したがいまして、今回の、先ほど申し上げました即位の礼なり大喪の礼につきましては、新憲法のもとで新憲法の趣旨に沿うような形で、しかも伝統を尊重して行われる、このような、先ほど官房長官の申されたとおりのことになるわけでございまして、およそ新憲法に違反するような儀式というものは国の儀式として行われることはないと申してよろしいと存じます。
  156. 東中光雄

    東中委員 天皇代がわりに際して行われる最初の国事行為としての儀式は、どういう儀式ですかい。
  157. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 旧憲法下におきましては、践祚の式といたしまして、賢所の儀、皇霊殿・神殿に奉告の儀、剣璽渡御の儀及び践祚後朝見の儀というものが行われております。
  158. 東中光雄

    東中委員 何を言うていますか、あなた。新憲法、現在の憲法で最初にやられるのは何ですかと言うて聞いておるのであって、あなたの言われたいわゆる践祚の儀としての四つの儀式、それは旧憲法の皇室令に基づくものですね。だからそんなもの先刻承知なんですが、それをやるつもりですかということを聞いているのです。  ところで、現行の皇室典範によりますと、践祚という概念は既にありませんということを内閣法制局長官が既に答弁をしています。践祚の概念は現行法上ないのですから、践祚の儀式というものはあり得ないわけですが、その点はいかがですか。
  159. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 先ほど申し上げましたように、旧憲法下におきましては四つの儀式が行われたわけでございますが、皇位継承があったときに行われます諸儀式のうちで国事に関する行為としての儀式は、憲法の趣旨に沿いまして、かつ、皇室の伝統を尊重したものになるというふうに考えておりますが、その具体的な内容につきましては現在お答えをする段階にはございません。  なお、践祚という言葉は現在の憲法、法律のもとでは即位という言葉になっております。
  160. 東中光雄

    東中委員 法制局長官が、践祚の概念は現行法制上ございませんという答弁をしたのは、七九年四月十七日の内閣委員会でそういう答弁をしています。宮内庁がそれを変えると言ったって始まらぬわけで、即位という言葉は前からもあったのです。それで、現行法の即位の言葉と前の即位の言葉では違う、践祚の概念は現行法上ない、しかし践祚の儀式はやるんだというのか、やらないというのか、ここが今の話でははっきりしないわけです。  改めてお伺いをしますけれども、先ほど宮内庁からお話のあった剣璽渡御の儀、現在は言葉をかえて剣璽等承継の儀という言葉で、いわゆる三種の神器などの承継儀式をやるというふうに準備をされているということが、一部もう既に報道をされておるわけです。その後、践祚後朝見の儀というのが即位後朝見の儀というふうに名前を変えてやろうとしているというふうなことが、既に情報として報道をされております。それで私はお聞きしたいのですが、剣璽渡御の儀あるいは即位後朝見の儀というふうなものは、名前を変えても実質的には同じようなことを国事行為としてやることは許されないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  161. 味村治

    ○味村政府委員 先ほどの、現在の法制度のもとでは践祚という概念がないということを前の法制局長官が答弁したということでございますが、実は私その答弁を持ってきておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、旧憲法のもとにおきましては、践祚というのは皇位の継承である、天皇の位を継承することを践祚と言い、そして、天皇の位を継承したということを内外に宣明することを即位と言ったというふうに、私はそのように理解をいたしております。現在は、先ほど宮内庁の方からおっしゃいましたように、践祚は即位と申しますか、践祚という言葉はございませんで、皇位を継承することはすなわち即位であるというように考えている次第でございます。また、皇室典範もそのように規定をしているものと存じます。  ところで、先ほどの剣璽渡御の儀等についての御質問でございましたが、これは先ほどから御答弁がございますように、皇位の継承があったときに行われます諸儀式のうちでどのような儀式を国事行為として行うかということについては、答弁できる段階にございませんということでございますので、それにつきましてまた御質問にお答えするということはできかねるということは、御理解いただけると思います。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、憲法に反する儀式を国の儀式として行うことはあり得ないわけでございます。
  162. 東中光雄

    東中委員 準備してないんだそうですが、私ここへ持ってきておりますので、先ほど言いました昭和五十四年四月十七日衆議院内閣委員会、当時の真田政府委員、法制局長官ですが、  現行の制度で申しますと、践祚という概念が実はないわけなんでして、先ほどお読みになりました皇室典範の第四条で「皇嗣が、直ちに即位する。」ということと、云々 とあって、次に、  この「即位の礼を行う。」という場合の即位の礼は、憲法の規定に照らせば、憲法第七条の国事行為の末号にある「儀式を行ふこと。」という儀式に入るのだろうと思いますが、践祚という概念はもうございません。 と、はっきりそういうふうに言っているので、私が勝手に言っているわけでも何でもないのです。だから、今言われていることを、践祚という言葉がなくなったと、今法制局長官はそう言いました。ところが、ここは私は言葉のことを言っているのではなくて、そういう概念はなくなったんだ、現行制度上、概念はなくなったんだと前の法制局長官は言っているんです。そういうことをごまかしたらいかぬです。その点を指摘しておきます。  だから、践祚の概念がなくなったんだから、践祚の儀式というのはなくなるのが当たり前なのです。それをなくするのか、なくさないのかということについてはっきり言わないというのは、私はこれは非常に重要な問題を含んでいると思うのです。  といいますのは、いわゆる剣璽渡御の儀といいますのは、剣はいわゆる草薙剣というか天叢雲剣というものですね。それから曲玉ですね。それから、鏡の方は三種の神器の中に入るけれどもここには具体的には入らないようですが、そういう剣璽の神器を渡すのは、旧皇室典範には十条ではっきりと「祖宗ノ神器ヲ承ク」というふうにちゃんと書いてあるのですね。ところが、今度の皇室典範ではその部分が削られておるのですから、ないのですから、なくなっておるものをやっちゃいかぬ。  なぜなくなっておるかといえば、三種の神器の承継といいますのは、神話に基づいて天照大神から授けられた神器を新天皇に引き継ぐという儀式で、そして神格性を新天皇に持たせる。だから「神聖ニシテ侵スヘカラス」という旧憲法の天皇にはこれが要ったわけです。しかし、今の新天皇ではそういうものは一切ないのですから、「国民の総意に基く。」という象徴天皇なんですから、だから、そういうものをここへ持ってくるということになれば神話の世界を持ち込む。国の行為としてそれを持ち込むということになれば、これは主権在民の、しかも政教分離の原則をうたっている憲法上そういうことは許されないんだ。  憲法の趣旨に沿ってと言うなら、憲法の趣旨に沿ってこれはやめるべきであるというふうに思うのですが、改めてもう一回御見解をお伺いしたい。
  163. 味村治

    ○味村政府委員 先ほどから申し上げますように、具体的な問題についてお答えをできる段階ではございません。この儀式につきまして一番問題となりますのは、憲法第二十条第三項の政教分離の原則でございます。この憲法二十条三項の政教分離の原則につきましては、有名な地鎮祭に関する最高裁の判決がございます。私どもといたしましては、この最高裁の判決を尊重いたしまして、二十条三項に違反するかどうかということを絶えず判定している次第でございます。
  164. 東中光雄

    東中委員 もう一つ、即位の儀式に関連しまして。大正から昭和に移ったときは、先ほど申し上げたように、即位及び大嘗祭ということで、ここで大嘗祭の儀式が二十八のうちの相当部分を占めています。この大嘗祭については、国事行為の儀式としてあり得るということなんですか。そういうことは現行憲法上は許されないということなんですか。その点、前の真田法制局長官は、先ほど述べました答弁の続きで、「それから、大嘗祭については現在もう規定はないというふうにお考えになって結構だと思います。」という答弁をしています。  といいますのは、この大嘗祭といいますのは、万世一系の天皇が、神聖不可侵の国家統治の大権を持つ元首として、現人神としての位置につくというためにやられる大嘗祭なんです。大嘗祭がなかったら神格を持てないんだというふうに、これは歴史的には解明されていることですね。そういういわば皇室神道の中核的な呪術的儀式なんです。それを大嘗祭という形で、国家行為としてですよ、内閣の助言と承認によって行われる天皇の国事行為の儀式としてやられるということになりますと、まさに天皇神格化に結びつく。そして皇室神道をそのまま国家行事としてやってしまうということになるので、これは憲法の二十条はもちろん、これは天皇を主権者に押し上げていこうとするそういう動きと関連していきますので、私たちは憲法上絶対許されないというふうに考えております。  大嘗祭についていかがお考えてありますか、改めてお伺いしたいと思います。
  165. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 大嘗祭は、皇室に長く伝わっております極めて重要な伝統的儀式でございますが、その性格づけ等につきましては今後慎重に検討すべき問題でございまして、どのようにこれを行うかということについては現在お答えをする段階にございませんので、御了承いただきたいと思います。
  166. 東中光雄

    東中委員 今、代がわり――要するに日本国憲法ができてもう四十年なんですね。そして、明治憲法の場合の代がわりのときには、例えば登極令は明治四十二年にできていますね、儀式のやり方について。そしてもう一つ、大喪礼については、この皇室令は大正十五年にできています。いずれも儀式をやる前にちゃんとできているのですよ。ところが、今度の場合は初めてでしょう。しかし何にも言わない。検討中とか言ったり、憲法の趣旨と伝統を尊重してなんということを言って明らかにしないというのは、非常に異常であるということを私は指摘をし、今申し上げたような大嘗祭とそれから践祚の儀、これは一切許されない、それから即位の礼と大喪の社もやり方によっては政教分離の原則に反するようなことは、そして、主権在民の原則に反するようなことは許されないということをはっきり申し上げまして、私の質問を終わります。
  167. 野中英二

    野中委員長 これにて、昭和六十年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。  大蔵大臣及び議決案に関係する大臣はお残りください。そのほかの大臣は御退席をいただいて結構でございます。     ─────────────
  168. 野中英二

    野中委員長 昭和六十年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。     議 決 案   昭和六十年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていないの は、まことに遺憾である。  一 昭和六十年度決算審査の結果、予算の効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。    左の事項がその主なものであるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会に本院にその結果を報告すべきである。   1 公益法人の運営については、その設立の趣旨に沿うよう、一層適切な指導監督を行うべきである。   2 国土の開発及びその利用に資するため、不可欠な基礎資料である地籍調査が大幅に遅れていることは極めて遺憾である。したがって、科学的、総合的国土開発の促進に供するべく早急に地籍調査の実績をあげるよう努めるべきである。   3 近年の異常な地価高騰が国民生活に及ぼす影響の重大性にかんがみ、地価抑制のため一層適切な措置を講ずべきである。   4 聴力障害者の社会参加と平等を促進するため、手話通訳の制度化を図るために努めるべきである。   5 昭和六十六年度以降の牛肉輸入割当制度の撤廃を控え、国内における牛肉の生産、流通の安定合理化が図られるよう所要の対策の実施に努めるものとし、特に輸入牛肉の流通に関しては以上の政策目的に沿うよう、一層の指導、監督に努めるべきである。  二 昭和六十年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。 以上が議決案の内容であります。     ─────────────
  169. 野中英二

    野中委員長 これより昭和六十年度決算外二件を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  170. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和六十年度決算につき、ただいま委員長が御提案になりました議決案のとおり議決することに賛成の意見を表明するものであります。  当委員会は、予算の効率的執行、行政運営に関する問題について、各省庁別に順次審査を行ってまいりました。  ただいま委員長から、委員会の審査の内容をとりまとめて御提案になりました議決案に示されておりますように、予算の効率的使用が行われずに、所期の成果が十分に達成されていないと思われるものが一部見受けられ、特に留意して適切な措置をとるべき事項として「国土の開発及びその利用に資するため、不可欠な基礎資料である地籍調査が大幅に遅れていることは極めて遺憾である。したがって、科学的、総合的国土開発の促進に供するべく早急に地籍調査の実績をあげるよう努めるべきである。」などの五項目について指摘されております。  また、昭和六十年度決算検査報告において、不当事項百十七件、改善処置要求事項等二十九件の計百四十六件、金額にして百九十一億八千八百四十七万円の指摘が行われていることは遺憾であります。  また、議決案には指摘されておりませんが、各省庁別審査の過程において、我が党委員から、外務省予算の増額及び諸外国において我が国をよりよく理解してもらうための海外広報活動の充実強化、我が国農林・水産業の振興対策、科学技術振興のための研究費の国庫負担の増額及び基礎研究における研究環境の充実等について問題を提起してまいりました。  政府は、議決案の指摘事項及び会計検査院の指摘事項や委員会の審査過程において提起された問題を、今後の予算編成に反映させるとともに、予算の執行に当たっては効率的かつ厳正に行うべきであります。  次に、昭和六十年度の国有財産関係の二件につきましては、是認するべきものと議決することに賛成いたします。  以上をもちまして、賛成討論を終わります。
  171. 野中英二

    野中委員長 新村勝雄君。
  172. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま委員長から提出されました昭和六十年度決算につき、その議決案に対し反対の意を表明するものであります。  具体的には、議決案の一つである不当支出の根絶と効率的執行を促す特別の措置を要求した指摘事項及び会計検査院が指摘した不当事項については我が党も賛成であります。しかし「前記以外の事項については異議がない。」という決算総体を認めるかのような態度はとらないことから、結論として我が党は本議決案に反対するものであります。  顧みると、昭和六十年度予算執行当時における内外の経済情勢は比較的安定的に推移していたにもかかわらず、中曽根内閣はそれまでの行財政秩序を後退させ、あるいは跛行させるような、いわゆる規制緩和、民間活力導入政策を突出させ、結果として、翌昭和六十一年度に、政府不在とまでいわれた土地狂乱という空前の経済混乱を招来したことは、大臣各位も御記憶のことでございましょう。この土地狂乱という社会現象は、今さら申し上げるまでもなく、それは悪徳不動産、地上げ屋等を横行させ、平穏な家庭を脅かすと同時に公共事業における用地費を極大化し、また一方、土地税制が不備なため増加益を国や地方自治体に吸収することもできず、未曾有の金余り現象を誘発、そして海外のビル、土地、絵画まで買いあさって、新たなジャパンバッシングを招いたことも、残念ながら否定できない事実であります。  こうしたことから、我が党はマクロ的に見て、これらは中曽根内閣の行財政運営、とりわけ中曽根民活と称する予算の執行が明白な失敗だったと指摘せざるを得ないと結論づけるものであります。  思うに、会計検査院が地方の僻地・寒村での補助金使途にかかわる不当事項の指摘もそれなりに結構でありますが、本決算委員会は、さらに高い立場から、前述した中曽根民活支出をマクロ的な不当事項として厳格に指摘し、改めて警告したいのであります。今日・民活や民営化が政・官界にどのような余波をもたらしたかは、今や全国民から非難されているリクルート疑獄事件を見れば一目瞭然ではないでしょうか。それはマスコミによるとリクルートは中曽根王朝時代とか、民営化につけ込むNTT抱き込みとかというように、中曽根民活路線はまさにリクルート的構造汚職に帰結する反国民的な道だったのではないかと指摘せざるを得ないのであります。  したがって、本決算委員会は、この疑獄事件の解明にも関心を持たなければならないことを付言して、私の議決案についての反対討論を終わります。(拍手)
  173. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  174. 草川昭三

    ○草川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和六十年度決算に対して、是認できないことを表明し、ただいま委員長より御提案されました議決案に対し、反対の意思を表明するものであります。  以下、反対の主な理由を申し上げます。  まず第一は、議決案に「前記以外の事項については異議がない。」とされておりますが、政府に対し、この事項以外にも、本委員会指摘したように数多くの異議があるからであります。  第二は、会計検査院の指摘事項が、昭和六十年 度決算報告によると、百四十六件、百九十一億八千八百四十七万円と、国費のむだ遣いが依然として続いている点であります。特に、補助金に関するものが、五十九件、百二十五億七千二百万円にも及び、効果的使用がなされていないのが顕著になっているからであります。  第三の理由は、本委員会において我々が数多く指摘した問題点に見るように、行政の不公正、むだが余りにも多過ぎるからであります。  さらに、本委員会において指摘しました株式をめぐるインサイダー取引や株価操作など不公正な取引は、現実の問題として、リクルート疑惑に発展をしているのであります。また、国有地の等価交換問題を初めとする国公有地の処分問題の指摘は、今後の国民生活に重大な影響を与えるものであります。残念ながら、政府の対応は極めて不十分で満足できるものではありません。政府は、国民の血税が生かされていない実態を重視し、予算の効率化、適正化に最大限の努力をし、速やかな対策の実施を要望し、反対討論を終ります。(拍手)
  175. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。
  176. 大矢卓史

    ○大矢委員 私は民社党・民主連合を代表して、昭和六十年度決算について、ただいま委員長より御提案のとおり議決することに反対の討論を行うものであります。  反対する第一の理由は、既に破綻が立証されたこれまでの縮小均衡型経済運営を早急に転換し、昭和六十年度予算を「増税なき財政再建」による拡大均衡型予算とするように強く求めた我が党の主張を無視し、縮小均衡型の経済運営に固執している点であります。  昭和六十年度の実質経済成長率は政府目標の四・六%に対し四・四%、そのうち内需は当初目標の四・一%に対し三・七%にとどまりました。我が党が主張した大幅所得減税、投資減税、公共事業の拡大等を盛り込めば、実質五%の成長は達成できたと考えるものであります。このような過去のずさんな経済・財政運営が今日の、経済大国ではあるが国民の実生活はそれほど豊かではないという状況をつくり出してきたのではありませんか。  我が党は、社会資本整備のための諸計画がおくれている状況にメスを入れるため、建設国債や自動車重量税の流用分の繰り戻しなどを財源とする公共事業の名目成長率程度の増額により、社会資本整備と景気拡大を図ることを強く求めておりました。しかるに、社会資本整備は抑制され、道路は何%、港湾は何%といった固定的シェアによる縄張り的予算編成が行われたのであります。これでは、先進国にふさわしい住環境が完全に整備されないのは当たり前ではありませんか。  反対の第二の理由は、財政再建のかなめであり、国民的課題である行財政改革が極めて不十分なものとなっている点であります。補助金の統廃合、公務員定数の大幅純減などの行財政改革を不十分にとどめる一方で、住宅金融公庫利子補給金の繰り延べなどの赤字国債発行に等しい見せかけの歳出抑制が行われていることは、断じて容認できないものであります。  反対の第三の理由は、社会保障の理念や展望を明らかにしないままに福祉切り捨てが行われている点であります。政府管掌健保の国庫補助率の削減、生活保護費等に対する地方負担の増大、児童扶養手当制度の改悪など、福祉の後退が行われたことは極めて遺憾であります。  以上の理由により、私は六十年度決算に反対をいたすものであります。  また、昭和六十年度の国有財産関係二件につきましても、是認することについて反対の意を表明して、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)
  177. 野中英二

  178. 野間友一

    野間委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和六十年度決算を議決案のとおり決するに反対の意を表明いたします。  本決算は、軍備拡大と財界・大企業奉仕という二つの聖域をあくまで温存し、これらの犠牲をすべて国民地方自治体に押しつけるものとなりました。  第一に、軍事費は初めて三兆円の大台を超える五年連続の異常突出となり、これは一千海里シーレーン防衛を初めとするアメリカの核戦争戦略の一翼を担うものにほかならず、核兵器廃絶と軍縮を願う国民世論に真っ向から逆行するものであります。  第二に、政府は財界のためには新たな助成機構の設立や出融資を大幅に拡充する一方、臨調行革の名のもとに、地方自治体に対するいわゆる補助金一律カットを一年限りの特例などと称して強行し、生活保護などの民生関係費や地方道などの生活に密着した公共事業関係費を大幅に切り捨て、国民に新たな負担と犠牲を押しつけてきました。  第三に、国債費が十兆円の大台を超えて最大の歳出項目となり、政府の言う「増税なき財政再建」が破綻したことは明らかであります。また、今日、消費税という名の大型間接税によって国民大収奪を図ろうとしていることは、断じて許されないのであります。  以上の理由で、昭和六十年度決算についてごく限られた指摘事項のほかは異議がないとする本議決案には、到底賛成することはできません。  次に、昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書は、国有財産の純増加要因として、軍拡路線を反映した防衛庁の艦船、戦闘機の新造や武器等の装備品を含んでおり、このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。  同年度国有財産無償貸付状況計算書については、制度自体の意義は否定しませんが、管理運用の一都に重大な疑惑がある事態が残されたままとなっており、これを是認することはできません。  以上で私の反対討論を終わります。
  179. 野中英二

    野中委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  180. 野中英二

    野中委員長 これより順次採決いたします。  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算昭和六十年度特別会計歳入歳出決算昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書及び昭和六十年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 野中英二

    野中委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。  次に、昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 野中英二

    野中委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  184. 野中英二

    野中委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。小渕内閣官房長官
  185. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ただいま御決議のありました公益法人の運営に対する指導監督につきましては、これまでも公益法人の運営に関する指導監督基準を策定するなど鋭意努力を重ねてきたところでありますが、今後とも御決議の趣旨に沿って一層努力してまいる所存であります。
  186. 野中英二

    野中委員長 次に、内海国土庁長官
  187. 内海英男

    ○内海国務大臣 ただいま御決議のありました地籍調査及び地価対策につきましては、従来から所要の措置を講じているところでありますが、御決議の趣旨に沿い、今後とも一層の努力をしてまいる所存であります。
  188. 野中英二

    野中委員長 次に、藤本厚生大臣
  189. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 ただいま御決議のありました手話通訳の制度化につきましては、御趣旨を体して、手話通訳技能にかかわる公認試験の制度化を図り、聴覚障害者の社会参加等の一層の促進に努めてまいる所存であります。
  190. 野中英二

  191. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 ただいま御決議のありました牛肉の生産、流通の安定合理化につきましては、御決議の趣旨に沿うよう今後とも努力してまいる所存であります。
  192. 野中英二

    野中委員長 以上をもちまして、各国務大臣からの発言は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会