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1988-11-01 第113回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月一日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 衛藤征士郎君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 草川 昭三君       天野 光晴君    井出 正一君       谷垣 禎一君    玉沢徳一郎君       中島  衛君    林  大幹君       山口 敏夫君    古川 雅司君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 萩原 兼脩君         建設省道路局長 三谷  浩君  委員外出席者         国土庁長官官房         会計課長    嵩  聰久君         大蔵省主計局司         計課長     緒方 信一君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         会計検査院事務         総局第三局長  大沼 嘉章君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         決算委員会調査         室長      加藤  司君     ───────────── 委員の異動 十一月一日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     中島  衛君   金丸  信君     谷垣 禎一君   古屋  亨君     山口 敏夫君   松野 頼三君     玉沢徳一郎君   渡辺美智雄君     井出 正一君   野間 友一君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   井出 正一君     渡辺美智雄君   谷垣 禎一君     金丸  信君   玉沢徳一郎君     松野 頼三君   中島  衛君     岡島 正之君   山口 敏夫君     古屋  亨君   中島 武敏君     野間 友一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十一年度政府関係機関決算書  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管国土庁)、建設省所管住宅金融公庫〕      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、日本社会党護憲共同、民社党・民主連合日本共産党革新共同所属委員出席を要請いたしましたが、出席を得られませんので、やむを得ず議事を進めます。  昭和六十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管国土庁建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、国土庁長官及び建設大臣概要説明会計検査院検査概要説明住宅金融公庫当局概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十一年度歳出決算に関する概要説明                    国土庁  国土庁昭和六十一年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十一年度の当初歳出予算額は二千三百三十八億三千七百四十五万円余でありましたが、これに予算補正追加額五十七億五十六万円余、予算補正修正減少額四億千八十万円余、予算移替減少額千百六十八億千九百八万円余、前年度繰越額九億七千八百八十九万円余を増減いたしますと、昭和六十一年度歳出予算現額は千二百三十二億八千七百二万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額千二百十七億三千八百九十六万円余、翌年度繰越額十一億八百三十二万円余、不用額四億三千九百七十三万円余となっております。  次に、支出済歳出額のおもなものは、離島振興事業費三百八十九億千六百十万円余、水資源開発事業費二百六十六億千六百八十五万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百二十一億四千三百万円、国土庁百三十六億九千九百九十七万円余、国土調査費八十四億六千九百三十六万円余、国土総合開発事業調整費五十八億二千二十四万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十九億八千四百万円、小笠原諸島振興事業費十八億五千九百六十万円余、離島振興特別事業費八億二千三百八十六万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越したおもなものは、離島振興事業費九億千六百九十八万円余、水資源開発事業費一億千四百十三万円等であります。  また、不用額のおもなものは、防災集団移転促進事業費補助金一億二千二百十六万円余、地域振興整備公団補給金一億千五百四十七万円余等であります。  以上が昭和六十一年度国土庁歳出決算概要であります。  最後に、昭和六十一年度決算検査報告におきまして指摘を受けた事項がありましたことは誠に遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十一年度決算国土庁についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。  これは、地籍調査事業実施等に関するものであります。  地籍調査事業は、地籍明確化を図るため地籍図及び地籍簿を作成し、その成果が広く国土開発 等に利活用されることを目的として実施されておりまして、国土庁では、毎年度多額国庫補助金事業主体に対して交付しておりますが、補助事業範囲が明確なものとなつていないなどのため、調査測量後において、その成果であります地籍図及び地籍簿が作成されていなかつたり、成果は作成したもののその後の所要の手続きを行つていなかつたりしているなど、事業実施が適切でなく、また、事業効果があがつていないと認められました。  したがいまして、国土庁におきまして、補助事業範囲を明示するとともに、事業主体に対し地籍調査の趣旨を周知徹底するなどして、地籍調査事業の適正な遂行と事業効果早期発現を図るよう是正改善処置を要求いたしたものであります。  また、土地改良事業及び土地区画整理事業においても地籍調査に類似する測量実施されておりまして、これらの測量成果について地籍調査にも活用できる制度が設けられておりますが、この制度周知徹底が十分でなかつたなどのため、所定の手続きを行つていないものが多数見受けられ、その活用が図られていないと認められました。  したがいまして、国土庁におきまして、これら事業成果を活用することについて、広くその周知に努めるとともに、関係省庁に対して一層の協力を要請するなどして地籍明確化の進展を期するよう意見を表示いたしたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十一年度建設省所管決算概要説明  建設省所管昭和六十一年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済歳入額は、一般会計四百三億二千百万円余、道路整備特別会計二兆七千七百八十三億八千八百万円余、治水特別会計治水勘定九千七百三十六億三百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千二百四十五億八千百万円余、都市開発資金融通特別会計六百八十億千九百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済歳出額は、一般会計四兆五千二十五億三千九百万円余、道路整備特別会計二兆七千三百九十九億三千九百万円余、治水特別会計治水勘定九千六百三十七億千八百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千百五十三億四千万円余、都市開発資金融通特別会計六百七十九億九千四百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分百三十四億九百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第六次治水事業五箇年計画最終年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川中小河川改修事業七百六十河川について工事実施し、ダム事業では、直轄五十三ダム補助百三十四ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄四百七十七箇所、補助三千六百九十一箇所の工事実施いたしました。  海岸事業では、第四次海岸事業五箇年計画初年度として、直轄十一海岸補助八百七十二箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の第四年度として、二千二百六十一地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ復旧事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第九次道路整備五箇年計画の第四年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道改良三千二キロメートル、舗装三千百十九キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業維持修繕事業等実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第四次都市公園等整備五箇年計画初年度として、国営公園十二箇所、都市公園二千四百四箇所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第六次下水道整備五箇年計画初年度として事業実施し、管渠二千七百五十一キロメートル、終末処理場施設二百八万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、百二十三地区事業実施いたしました。  都市開発資金貸付事業につきましては、六十七箇所の買取りに対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第五期住宅建設五箇年計画初年度として、公営住宅四万千八百五十六戸、改良住宅三千二百七十三戸、住宅金融公庫資金住宅五十二万二千六百二士二戸、住宅都市整備公団住宅二万百三士二戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百六十三箇所の工事実施いたしました。  以上が、昭和六十一年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算執行当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、昭和六十一年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことは、誠に遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十一年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号九七号から百五号までの九件は、補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、工事設計等又は工事費の積算が適切でなかつたり、工事施工設計と相違していたりなどしていたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給事業実施に関するものであります。  建設省では、住宅不足の著しい地域において、居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、水田の宅地化に資することを目的として、農地所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅建設等に要する資金を融通する融資機関に対し利子補給金を交付しております。この利子補給の対象となる賃貸住宅は、大都市等の市街化区域内において建設される賃貸住宅であることのほか、法令で定める敷地面積住宅戸数等要件を充足する団地住宅の全部又は一部をなすと認められるものであることとされております。  しかしながら、賃貸住宅建設する農地所有者等において、計画の策定に当たつて、賃貸住宅に対する需要動向の把握、関係者との合意形成が十分でなかつたり、県において、計画に対する審査 が十分行われていなかつたり、団地建設着手後の指導監督が十分でなかつたりしていることなどのため、多数の団地団地建設着手後長期にわたり団地要件を充足しないままとなつており、事業実施改善を図り、利子補給目的の達成を期する要があると認められました。  この点について当局見解をただしましたところ、建設省では、六十二年十一月通達を発して、都道府県において、農地所有者等が適切な計画を策定するよう指導を強化し、農業協同組合等融資機関から意見書を徴するなどして審査を充実するとともに、団地建設着手後の指導を適切に行うよう指導するなどの処置を講じたものであります。  その二は、下水道工事設計における鋼製セグメント材種の選定に関するものであります。  建設省では、下水道整備を推進するため、下水道事業実施する地方公共団体等に毎年度多額国庫補助金を交付しておりますが、このうち、六十一年度シールド工法により施工している下水道工事鋼製セグメント設計当たり、一部の事業主体では、鋼製セグメントに使用する鋼材材種一般SS四一と称している引張り強さ四一kgf/mm2以上の一般構造用圧延鋼材を使用することとして設計施工しておりました。  しかしながら、近年、この種工事においては、一般SM五〇と称している引張り強さ五一kgf/mm2以上の溶接構造用圧延鋼材が広く使用されてきております。これは、SM五〇はSS四一に比べ単位重量当たり鋼材価格はやや高価でありますが、引張り強さが大きいために使用鋼材数量が少なくて済み、セグメントリング一m当たり価格SS四一を使用した場合に比べ安価となるのが通例で経済的であり、施工性等についても特に問題がないことによるものであり、この種工事における鋼製セグメント設計に当たつては、経済性等を十分考慮する要があると認められました。  この点について当局見解をただしましたところ、建設省では、六十二年十月に各地方公共団体通達を発し、鋼製セグメントを使用する工事設計に当たつては、経済性等を十分考慮したうえでセグメント材種を決定することとする処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和六十年度決算検査報告に掲記いたしましたように、公営住宅新築空家等について処置を要求いたしましたが、これに対する建設省処置状況についても掲記いたしました。  以上をもつて概要説明を終わります。     ─────────────    昭和六十一年度住宅金融公庫業務概況  住宅金融公庫昭和六十一年度業務計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金付け三兆九千九百六十五億三千万円、関連公共施設等資金付け五十億円、宅地造成等資金付け一千三百八十四億三千八百万円、財形住宅資金付け一千億円、合計四兆二千三百九十九億六千八百万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を、住宅等資金付け四兆一千三百七十二億一千七百万円、関連公共施設等資金付け九億九千六百万円、宅地造成等資金付け一千二百三億八千七百万円、財形住宅資金付け一千億円、合計四兆三千五百八十六億円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約実績は、住宅等資金付け四兆一千三百五十八億六百八十万円、関連公共施設等資金付け九億九千五百六十万円、宅地造成等資金付け一千二百三億三千七百十万円、財形住宅資金付け九百六十四億七千五十万円、合計四兆三千五百三十六億一千万円となったのでございます。  資金貸付予定額は当初、昭和六十一年度貸付契約に係る分二兆三百七十一億八千五百万円、前年度までの貸付契約に係る分一兆八千四百七十七億九百万円、を合わせた計三兆八千八百四十八億九千四百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計四兆六百五十八億人百三十八万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金借入金三兆八千四十三億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金借入金四百億円、財形住宅債券発行による収入六百八十九億三千五百二十五万円、住宅宅地債券発行による収入二百十五億二千万円のほか、貸付回収金等から一千三百十億五千三百十三万円余をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金付け三兆六千七百十九億四千六百八十六万円余、関連公共施設等資金付け十億八千六百五十万円、宅地造成等資金付け一千百二十六億五百八十五万円、財形住宅資金付け七百五億三千四百三万円、合計三兆八千五百六十一億七千三百二十四万円余となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと六千二百七十三億三千六百六十万円余、率にいたしまして十九・四パーセント増となっております。  また、年度間に回収いたした額は一兆九千五百十三億四千六百七十九万円余でありまして、前年度に比べますと五千四百二十八億一千三十三万円余、率にいたしまして三十八・五パーセント増となったのでございます。この結果、年度貸付残高は二十六兆九千八十三億八千八百十六万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと一兆九千六十七億九千七百六万円余の増加となったのでございます。  貸付金延滞状況につきましては、昭和六十一年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は二百二十九億五百九十九万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは百五十八億一千二百九十六万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、昭和六十一年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千四百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千百六十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは六百九十一億四千二百八十万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額一兆八千五百四十億五十五万円余に対し、一兆八千百十一億二千三百七十五万円余となりました。支出済額は、支出予算額一兆九千六百九十億三千七百七十九万円に対し、一兆八千七百九十一億八千三百八十七万円余となり、収入より支出が六百八十億六千十二万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益二兆一千六十二億三千七百七十二万円余、総損失二兆七百九十七億二千二百五十三万円余となり、差し引き二百六十五億一千五百十八万円余の利益金を生じましたが、これは住宅資金融通事業に係る利益金二百五十九億円、住宅融資保険特別勘定利益金六億一千五百十八万円余によるものであります。  このうち、住宅資金融通事業に係る利益金は、住宅金融公庫法附則第十三項の規定により、特別損失を埋めるため一般会計から受け入れた交付金により生じた利益金でありますので、同法附則第十四項の規定により特別損失を減額して整理することとし、住宅融資保険特別勘定利益金は、同法第二十六条の二第三項の規定により同勘定積立金として積み立てることとしました。  なお、昭和六十一年度において、同法附則第十一項の規定により特別損失として整理した額は一千八十四億円でございます。  以上をもちまして、昭和六十一年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    昭和六十一年度決算住宅金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                  会計検査院  昭和六十一年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指 摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  これは、公庫貸付けを受けて購入した団地住宅第三者賃貸等防止に関するものであります。  住宅金融公庫では、貸付業務の一環として、民間業者計画的、集団的に建設した分譲住宅を購入する者に対し、団地住宅購入資金の貸付けを行つておりますが、この貸付けは、住宅金融公庫から貸付けを受けなければ住宅の取得ができない者が自ら居住するために住宅を購入する場合に貸し付けることとされております。この貸付けについて調査いたしましたところ、貸付けを受けた者が自ら居住することとして住宅購入資金の貸付けを受けていながら、購入した住宅第三者に賃貸していたりなどしていて適切とは認められないものが多数見受けられ、速やかに体制を強化し貸付契約内容を変更するなどして第三者賃貸等防止に努める要があると認められました。  この点について当局見解をただしましたところ、住宅金融公庫では、不適切な貸付けについてすべて繰上償還措置を講ずるとともに、六十二年十一月に通ちょうを発するなどして、第三者賃貸等防止を図るための体制を強化し契約内容を変更するなどの処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷津義男君。
  5. 谷津義男

    谷津委員 それでは、まず建設省に、道路公団料金改定についてから質問をさせていただきます。  道路公団は、東名、名神、中央などの料金改定する検討をしておりまして、年内には新しい料金額案建設運輸両省に申請する予定だというふうに聞いておるわけでありますけれども、この件につきましては、道路審議会の答申を受けて公団はその改定をする。ところが、その改定当たりまして、普通車をオートバイ・軽自動車、それから普通車中型車に分けて、大型車、それから特大車に分けて、五つの区分けにする方針だというふうに聞いておるわけであります。車種間の料金の格差も、普通車の一に対しまして軽自動車等については二割安、中型車は二割高、大型車は一・六五倍、特大車は据え置きの方針であるというふうに聞いておるわけでありますが、この料金割引制度についていささか問題があるのではなかろうかというふうな話も出ておるわけであります。  まずお聞きしたいのは、トラックについては恩典が大きくて乗用車は低い、しかし料金収入の約半分が乗用車で賄われているというふうに私は思うわけでありますが、この点につきましてお考えを聞きたいわけであります。と申しますのは、マイカー族に対する料金制度といいますか、これを考える必要があるのではなかろうかなという感じが持たれるわけでありますが、この点について、まず建設省ではどういうふうにお考えになっておりますか、その辺のところからお聞かせいただきたいと思います。
  6. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  去る十月七日に、高速道路の整備と採算性の確保についてという問題につきまして、道路審議会から建設大臣に対しまして答申が出されております。  主な内容は、大きく分けまして、まず昭和六十二年の九月に追加されました国土開発幹線自動車道の予定路線、これは三千九百二十キロございますが、この整備のあり方、それから今御指摘がございました、より公平を確保する観点からの車種区分、車種間料金比率のあり方、それから三番目に、料金割引制度についての利用者ニーズヘの対応、こういう観点でございます。  特に、御指摘の車種間の問題、これにつきましては、車種間の料金負担の公平性をより一層確保するという観点から、現行の三車種区分を五種類に分けまして、新たに、現時点での望ましい車種間料金比率ということにつきましての提案がなされたわけでございます。  この車種間比率の検討に当たりまして、審議会では、例えば高速道路を通ります自動車の占有者負担のあり方、原因者負担あるいは受益者負担のあり方、こういうようなことを総合的に検討いたしまして、車種間料金比率につきましては、二輪自動車それから軽自動車については従来一・〇でございましたものを〇・八、あるいは普通車は一、中型車は従前の一・〇を一・二、大型車は従前の一・五を一・六五、特大車は従前と同じ二・七五とする、こういう提案をいただいたわけでございます。  道路公団は、現在これにつきまして料金の見直しを含めましていろいろ検討をしている、こういう段階でございます。
  7. 谷津義男

    谷津委員 そこで、いろいろな意見もあるわけですが、例えば料金割引制度につきましても、トラックなどの大口利用者には割引の恩典が大きくて、乗用車には少ないんじゃなかろうかというふうな話もあるわけですけれども、先ほども申し上げましたように、料金収入の半分強がいわゆる乗用車である。そういう面から考えた場合に、旧来のあの企業優先のような感じがなきにしもあらずということで、最大のお客さんは、そう言ってはなんですがマイカー族、いわゆる乗用車に乗っている人たちではなかろうかというふうなことがあるのです。この辺、料金制度の今回の改定でもう少し工夫があってもよいのではないかというふうな考えを持つわけでありますが、この点については建設省、何かお考えはありませんか。
  8. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず、公平化を図る観点から、車種区分につきましては、先ほどの三種類から五種類ということを御提言いただいております。  それから、今御指摘の利用者ニーズヘの対応という観点でございます。これにつきましては、現在道路公団では通行券を磁気カード化をしてきております。それから、いわゆる利用者ニーズヘの対応という観点から、例えば、長距離利用者に対する料金制度とかあるいは多頻度利用者に対する料金割引制度、こういうものについてのいろいろな検討が提言されておりますが、特に御指摘がございました乗用車、こういうものにつきましては、乗用車など小口の多頻度利用者に対する料金割引については、区間の組み合わせが極めて多数にわたりますので、回数券というものもなかなか導入をそのまま広げていくというわけにもいかないのでございます。  こういうことで、審議会でもいろいろなこれについての割引制度、こういうものについて充実を求められております。当面、例えば料金前払いカード、ハイウエーカードでございますが、こういうものを早期に全国的に導入をいたしまして、この割引率、こういうものについてもまた検討を進めていく必要があるだろう、こういう御提言をいただいております。この辺につきまして、道路公団でも今いろいろ検討しているというふうに伺っております。
  9. 谷津義男

    谷津委員 審議会の答申によってやるわけでありますから、その辺のところは十分わかるわけでありますけれども、こういった国民の希望もかなりあるというふうに聞いておりますものですから、その辺のところにも御配慮いただいて今後の料金改定について決定をしていっていただきたいと思います。  次に、料金の全国プール制についてでありますけれども、この点につきましては、黒字路線も赤字路線も一つにして全体の収支を計算するという形でありまして、北海道とか非常に交通量の少ないところに当然国全体でその辺のところを見ていくということはよくわかるわけでありますけれども、一方におきましては、東名や名神などの利用者がなぜそういうふうなところまで我々が負担しなければならないかという強い疑問もあるというふうに聞いておりますし、私もそういう考えがある人の気持ちもわかるわけでありますけれども、この件については建設省はどういうふうにお考えですか、考えを聞かせていただきたいと思います。
  10. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  高速自動車国道につきましては、整備を早急に完成をするということが極めて重要でございますけれども、非常に投資の額が多い、それから早期に完成をする、この観点から、借入金を導入しまして利用者の料金によってこれを返済するという有料制を今採用しておりまして、昭和四十七年から全路線が一体となって、全国的な枢要自動車交通網として機能するような料金の額を設定をいたしまして、徴収期間につきまして一貫性、一体性を持たせるためのプール制を採用してきているところでございます。そのプール制を採用せずに個別に料金を設定をするということを仮にいたすとすれば、後でできます後発路線、これは、高速自動車国道のもたらすサービスというものがおくれて、しかも個別でございますと料金が高くなる、こういうことも起こるという、これまた一つの問題がございます。プール制を採用いたしますと、全体としては、安定的で穏やかな料金改定によって整備に要する費用、資金の円滑な償還を行いながら、高速自動車国道の建設が推進されてくるということがございます。  さらに、御指摘がございましたように、例えば先発路線の東名、名神についてもまたサービス水準の改善というのが非常に必要でございます。私ども建設省も、道路公団指導しながら、六車線への拡幅、こういうような事業を進めてきております。  それからもう一つ、採算の余り好ましくないこういう路線については、プール全体の採算性を確保する観点から種々の、例えば建設費の節減であるとかあるいは国費の助成、あるいは一つの例としまして資金コスト三%路線の拡大等、こういうことを実施してまいったわけでございます。  こういうようなことで、全体としてプール制度、こういうものをやはり進めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、これにつきましては道路審議会等でもいろいろ御提言をいただいておりまして、例えば先発路線利用者に対するサービスの向上、あるいはプール制やその仕組み、こういうものについてもよく理解を求めること、あるいはその他必要なことについてできるだけの処置をすべきであるというようなことで、いろいろ御提言をいただいております。これらにつきまして、我々もこの御提言を受けまして、助成の強化とかあるいは全体としてのバランス、こういうものについても国民の理解を得るように努力してまいりたい、かように考えております。
  11. 谷津義男

    谷津委員 道路料金の問題について一言だけ建設大臣にお聞きしたいのですけれども、こういう今の説明を聞いておりますとよくわかるわけでありますけれども、常に東名とか中央とかそういうところを利用している人たちに全国のプール制ということについての疑問というのがあるのも確かだろうと思いますので、こういう問題については、国民にわかるようにきちっと長期的な展望に立った納得のいく説明というのが大事だろうと思うのですけれども、その辺のところを大臣はどのようにお考えですか、聞かせていただきたいと思います。
  12. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今道路局長からお答えいたしたとおりでありますけれども、きょうは国土庁長官も見えておりますが、やはり均衡ある発展、このためには道路がぜひ必要、特に高速道路が必要ということであります。  基本的には、三十年で償還というところで計算をいたしておりますけれども、東名、名神、これは非常に利用率が高い、北海道や日本海沿線になりますと利用率が低い、こういうこともございますし、また建設の時期によって建設費も随分違うわけであります。  例えば東名、名神にいたしましても、今第二東名・名神をいろいろ議論されておりますけれども、それでは今度第二東名なり第二名神ができますと、そことは料金が違うようなことになったのでは安い方を余計通るということで片づかない、こう思いますので、やはりこれはプール制で御理解をいただきたい、こういう基本姿勢で今やっておる次第であります。
  13. 谷津義男

    谷津委員 次に、尾瀬分水につきましてお聞きしたいと思うのです。  尾瀬分水というのは非常に古い歴史を持っておる問題でありまして、大正十一年に福島と新潟と群馬県の三県の知事が、只見川の水を六・一二トンですか、流域変更する許可を得たときからその長い歴史が始まって、今日まだ問題になっておるという経過があるわけであります。その後、昭和四十一年の四月一日に、一級水系ということでこの処分が建設大臣にゆだねられてきたということでございます。当初はこれは発電計画ということで流域変更がなされたわけでありますが、最近では首都圏の飲料水、生活用水、また場合によっては工業用水、こういうものの確保も含まれる大きな問題になってきたわけであります。しかし、この問題につきましては、新潟県、福島県、そしてまた片方の群馬を中心とする首都圏側と対立するような格好で今日まで来ておるわけでありますが、建設省はこの問題についてはどのように考えておられるのか、まずその辺のところからお聞かせいただきたいと思います。これは河川局長ですか。
  14. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをさせていただきます。  御指摘のように、当初発電計画で水利権の認可もされているものでございますが、特に最近は首都圏の水資源の確保の観点からいろいろ議論をされております。私どももそういう問題のとらえ方として一つの方法であろうという認識を持っております。ただ、自然保護等の問題、あるいは大きな流域同士の流域変更ということでございますと大変重要な問題を中に幾つも含んでございますので、御指摘の三県の意見を十分に聞かせていただきまして、その意見を尊重して私どもも対応していかなければいけないというふうに考えております。
  15. 谷津義男

    谷津委員 この問題は、三県と言いましたけれども、首都圏対新潟・福島というような問題だろうと思うわけでありますけれども、いずれにしましても建設大臣の所管事項になってきたわけですね。各県の意向というのも非常に大事だろうと思いますが、建設省としての独自の考えもあってしかるべきだと思うのですよ。これはなかなか言いづらいことかもしれませんけれども、そういう国家的な見地から考えた場合に、建設省としての考えというのもあろうかと思うのですが、その辺のところは大臣はどのようにお考えですか。
  16. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今、局長からお答えした基本的な考え方で進めております。  水利権の問題は、もう御承知のとおり非常に複雑な問題でありますから、関係県の御理解をいただいて進めなければならない。もちろん今の生活用水、飲料水、非常に大事なことはよくわかりますし、私どももその点は十分留意している点でありますけれども、基本的にはやはり水利権の問題は各県の御了解を得てやらないと、建設省でこうだということを打ち出すのはなかなか時期尚早でないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  17. 谷津義男

    谷津委員 この問題は、余り聞くと——いらっしゃいますから、まあやめておきましょう。  それでは、次に労働対策についてお聞かせいただきたいと思います。  最近、建設技能労働者が非常に手不足というか人手不足になってまいりまして、特に住宅建設を中心にして、大工技能者を核にして板金、塗装とかいういわゆる技能労働者が不足をして、契約の延期とか工期の延長が多発しているというふうな話を聞くわけでありますけれども、建設省ではこの問題についてはどんな情報が入っておりますでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設省におきましては、毎月、全国にわたりまして職種別、地域別に建設労働需給調査というのを実施いたしております。こういった調査の結果を見ましても、昨年度来旺盛な建設活動の展開される中で、建設技能労働者、先生今御指摘のように大変逼迫傾向にあるということを認識しております。中でも、民間の活発な建築活動にかかわりまして、建築関係の型枠工ある いはまた鉄筋工、こういったところが非常に深刻である、こういうふうに認識いたしております。さらに、今お話のありましたように木造住宅の関係の大工等の不足、これもいろいろと言われていることを承知いたしております。  こういった状況の中で、現在、業界では、率直に申しまして勤務時間、労働時間の延長、あるいはまた業者間とか地域間で広域的に融通し合う、確保する、こういったようなことで対応しているというのが現状でございます。  そういったことで、私ども、当面はそういった対応策というものが講じられていることで問題は一つずつ解決されているわけでございますけれども、やはりこの問題は、建設建築活動にかかわる技能工をどうやって確保していくかという基本的な問題がございます。そういった中で、これは単にやりくりということを越えまして、やはり、今後建設業というものが本当に魅力のある職場として若者、技能労働者たちが積極的に入ってくるような職場づくり、こういったことから構造的な対策を大いに急ぐ必要がある、こういう認識で今取り組んでおるところでございます。
  19. 谷津義男

    谷津委員 ただいま構造的な対策をという話があったわけですが、まさにそのとおりだろうと思うのです。それならば今後どういうふうな、対策の具体的な面が何かあるのでしょうか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 望月薫雄

    ○望月政府委員 この問題につきましては、中央建設審議会の方からも先般御答申をいただきまして、建設業の構造改善対策を今後精力的に展開するようにという御提言がございます。私どもも、その御提言をまつまでもなく、この問題は単に建設業の中の世界の話ばかりでなくて、今後公共事業あるいは建設活動を支えていくために非常に重要な課題であるということで、端的に言いまして、構造改善ということになりますと非常に幅広の問題でありますが、一言で言えば魅力ある職場づくりということになりますので、そのために必要な元請、下請の関係、あるいは優秀な若年労働者が入ってこれるような労働条件の改善などに結びつく施策を総合的に詰めていこうということで、現在取り組んでいる次第でございます。
  21. 谷津義男

    谷津委員 魅力ある職場ということのお話もあるわけですが、これは実際具体的にやってみますといろいろと対応策があろうかと思うのです。そこで、関係団体ではこの技能者の社会的な地位の確保ということについて法体系の整備も期待しているような話を随分聞くわけでありますけれども、建設省はこの点をどのようにお考えでしょうか。
  22. 望月薫雄

    ○望月政府委員 おっしゃるとおり、技能労働者にとってはやはり社会的評価というものが非常に高まることが当然大事なポイントだというふうに認識しておりましょうし、私どもも承知しておりますが、そういった中で、今、先生おっしゃったような一つの資格制度というものにつきまして法律上の制度もあるいは必要な場面が出てくるかもしれませんが、現在、関係業界団体におきましても、建設大臣との関係を深めまして認定制度等をやっている分野も実はたくさんございます。そういったふうな現実的な認定制度を大いに活用していくとか、あるいはまた、そういった上にさらに必要な問題があればそのときにはまた私ども検討させていただきたい、こんな構えで、いずれにしても資格者制度というものを大いに充実してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 谷津義男

    谷津委員 確かに資格者制度を充実させていただければ誇りを持って仕事に入れるだろうというふうに考えておりますので、その点について大臣にもお聞きしたいのですけれども、そういった面で、今までの体系からいいますればいま少ししっかりしたものをつくり上げることによってそうした技能労働者をきちっと確保する、これが社会全体の構造上大切なことだろうと思うのですが、大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 越智伊平

    ○越智国務大臣 技能者の資格問題、非常に大事であります。でございますから、極力今実施をいたしております。  もう一点は、この技能者、資格も非常に大事でございますが、やはり待遇の問題もよくなるようにしてやらないと、ホワイトカラー、ブルーカラーの問題で、これは待遇がよくなれば自然ふえてくる、こう思います。  それからもう一点、仕事をピークのないように年間を通じて平準化していく、このことも大事だ、かように思っております。  この平準化をしていく、それから資格とかそういうものについても十分配慮をしていく、さらにブルーカラーの待遇がよくなるように進めていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  25. 谷津義男

    谷津委員 次に、国土庁にお聞きいたしたいと思います。  まず、旧国鉄用地の処分の問題につきまして、最近大蔵省や運輸省あたりから、できるところから競売にかけていってもいいのじゃないか、一般競争入札によってもいいのじゃないかというふうな話が出てきているようであります。処分の凍結を年内にも解除しろというふうな話もあるようでありますが、まず国土庁はその辺についてどういうふうに考えておられるか、長官の考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 内海英男

    ○内海国務大臣 最近の土地対策閣僚会議等におきましても、旧国鉄用地の売却問題につきまして、一般競争入札による売却が原則であるという原則論から、早急に売却をして累積債務を早く処理いたしたいという発言もございました。  しかし、私どもといたしましては、東京を中心とした区部の地価はやや鎮静化の傾向にあるとはいえ、ここで一般競争入札というようなことが政府みずからの関係機関において行われるということになりますと、せっかく地方公共団体の御協力も得ながら、国土利用計画法の監視区域の機動的運用によってやや鎮静化の傾向にあり、場所によっては多少値下がりを見たというところもある中でいきなり一般競争入札をやるということになりますと、地価の高騰を再び招くおそれが非常にあるという観点からいたしまして、旧国鉄の清算事業団の債務の解消について非常に御苦労なさっていることは私どもも十分理解をいたしておりますけれども、野放しの一般競争入札による売却ということについては反対である旨を申し上げまして、その他の関係の機関の責任者の方からもいろいろ御発言がございましたが、官房長官の手元で、関係省庁の方々が知恵を絞って地価の高騰を招かない方法による何らかの工夫等、考えを出し合ってみたらどうだというようなことに相なっておるわけでございます。したがいまして、その結論を得て、地価の高騰に響かない方法があれば処分ということも考えられますけれども、今のところ、一般競争入札による野放しの売却については私どもは反対ということで貫いておる次第でございます。
  27. 谷津義男

    谷津委員 東京圏なんかの地価の鎮静化が最近出てきた、今長官のおっしゃるとおりで、その傾向を示しているというのは非常にうれしいことであります。  問題は、この鎮静化の方向がだんだんと進んでまいりまして、これがある程度恒久的な方向になってきたというふうなときに、今のお話の監視区域の土地の処分という問題が出てくるだろうと思うわけでありますが、国土庁は、そういった鎮静化の傾向、今のままですとここで競売にすればまたもとに戻るという心配が十分にあることは私もわかりますが、その後こういう鎮静化が恒久化してくるという判断をしたときには、いわゆる監視区域の土地はどのように御処理するつもりであるか、この辺のところをお聞かせいただきたいのであります。
  28. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 監視区域の今後の取り扱いでございますけれども、これは今後の地価の動向をどう判断するかということに左右されるものと思っております。  東京の都心部を初めとして鎮静化傾向にはございますけれども、東京圏で見ますと、まだ周辺部 ではかなり地価高騰状況が続いている、特に茨城県とか、最近では栃木県とか群馬県とかいうところでも地価上昇が続いておりまして、監視区域を拡大するというようなことも行われているような状況でございます。それからまた、東京都心部の中でも高度商業地につきましては需要は非常に堅調でございまして、なかなか下落傾向が見られないといいますか、場所によってはじりじりと上がっておるところもあるというような状況もあるわけでございます。それからまた、低金利、金余りといったような金融全般の緩和状況ということも継続していることもございまして、私どもといたしましては、現段階で監視区域の指定を解除するというようなことにつきましてはいろいろ心配があるのじゃなかろうかというふうに判断しているわけでございます。  そういうことで、監視区域の指定とか解除という権限は、都道府県知事なり政令指定都市の場合には市長さんに委任してございますけれども、私どもといたしましては、現在のような地価動向を十分注視しながら関係地方公共団体指導に当たってまいりたいと思っている次第でございます。
  29. 谷津義男

    谷津委員 最後に、局長にもう一度お尋ねしますが、国土庁としましては、一般競争入札が可能な基準、どういう場合が起きたときにこれは解除すると考えておるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 清算事業団の用地の一般競争入札につきましては、私どもと運輸省の方で緊密な連絡をとりながら対処しているわけでございます。六十二年度もまた六十三年度に入りましても、場所によりましては一般競争入札による売却ということも実行いたしておるわけでございます。それでございますから、私どもは、今後とも運輸省なり国鉄清算事業団とも十分連絡をとりながら、地価の動向を注視しながら、地価に悪影響を及ぼさないようなところでは一般競争入札ということも十分考えられるのじゃなかろうかと思っております。
  31. 谷津義男

    谷津委員 終わります。どうもありがとうございました。
  32. 野中英二

  33. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 建設大臣、また国土庁長官、御苦労さまでございます。時間が三十分と限定されておりますので、本日は建設大臣建設省についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、第四次全国総合開発、いわゆる四全総でございますが、この四全総というのは、昭和六十年を基準年にして昭和七十五年、つまりこの十五年間に公共事業等々、NTTというようなものも含まれるのですが、こういうものをいたしまして、公共事業で約五百兆円、それから民間活力といいますか民間事業で約五百兆円、約一千兆円の国づくりをしよう、大まかに言えばこういうことになっていると思うのでございます。  そういう中にありまして、一千兆円の国づくりをするその目玉は何かと言えば、やはり国土軸となるところの道路網だろう、このように私は思うわけでございます。国土開発幹線自動車道建設法に基づく国土軸になる幹線道路もありましょうし、また都道府県道あるいは地方道、市町村道がそれにネットワークされていくものでもありますが、いずれにいたしましてもこれは高齢化社会を迎えて七十五年度までに速やかに完成をさせるべきものではありますが、心配なのはその財源でございます。  この財源が、いわゆる歳出抑制のもとで自動車重量税の未充当が生じておることを大変懸念しておるものでございます。本来は道路に充てるべき特定財源が道路整備に充てられてないということでもありますが、この問題につきまして、建設大臣のこの道路財源確保についての見通しなりあるいはそれに取り組む大臣の強い決意なり、そういうものをお聞かせいただきたいと思うのであります。
  34. 越智伊平

    ○越智国務大臣 道路財源につきましては今のお説のとおりであります。しかし、先ほども申し上げましたが、やはり均衡ある発展といいますのは何といっても道路が大事であります。でございますから、今も十次の五カ年計画を進めておるわけでありますけれども、この財源問題は非常に大事なところであります。景気の動向等も影響いたしますが、何としてもこの財源だけは確保をして、今以上に進めてまいらなければならないと思っております。  将来の問題につきましては、いろいろ税制論議等もいたしておるときでありますから私から申し上げるのはどうかと思いますけれども、道路財源だけは是が非でも確保していかなければならない、その点についてはひとつ先生方の御協力もいただいて進めてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  35. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 たしか、昭和五十七年度から五十九年度、この間は道路整備が特定財源税収を下回るという未充当の問題が起こったと思うのでありますが、道路局長、この問題につきましていかように手当てをしてきたのか。また、御案内のとおり一般会計繰入額と直入金の合計との差額等の手当てにつきましても、あわせてお答え願いたいと思います。
  36. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり厳しい財政事情のもとで一般会計歳出が非常に抑制されて、昭和五十七年から五十九年の間に道路整備費が特定財源税収を下回る、四千百八億円でございますが、いわゆる未充当の問題が生じております。  そこで、昭和六十年度から揮発油税収の十五分の一を道路整備特別会計に直入するとともに、資金運用部からの借り入れを行いまして、特定財源税収に見合う道路整備費を確保したところでございます。  さらに、第十次道路整備五カ年計画、これは昭和六十三年度から発足しておりますが、道路特会への直入措置、これを揮発油税収の十五分の一から四分の一へ拡充したところであります。  これによりまして、自動車重量税を含む特定財源税収のほぼ全額が道路整備へ充当されることとなったわけでございます。  また、一般会計繰り入れとそれから直入額との合計との差額、これにつきましてもNTT財源をもって充当することとされておりまして、資金運用部資金の借り入れを行わずに、道路特定財源税収の全額を道路整備へ充当できたというふうに考えております。  御指摘のとおり、特定財源は当然その全額が道路整備に充てられるべきでございまして、六十四年度の道路予算におきましてもこの原則を堅持して、第十次道路整備五カ年計画の達成に向かって努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  37. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 ただいま道路局長から、昭和六十四年度予算につきましても十分な取り組みをするという意思表示がございましたが、ぜひこれはひとつ満額確保していただきたいと思います。地方にありましては、福祉というものは何かというと、とどのつまり、それは道路整備だ、道路そのものが福祉だ、このようにお答えする方が多いわけでございます。そんなことを考えましたときに、地方市町村の住民の道路整備に寄せる熱い期待がそこに見られるわけでありまして、大臣ひとつ、この道路整備については、ただいま大臣の決意どおり、四全総あるいは第十次の道路整備五カ年計画、これを満額、一〇〇%達成していただきますように特段の御努力をお願い申し上げたいと思います。  次に、第四次都市公園等整備五カ年計画の中の重要な課題といたしまして、グリーンフィットネス・パーク、つまり健康運動公園が取り上げられておりますが、これは、これから高齢化社会を迎えるに当たりまして極めて時宜を得たいい事業だと思うのでございますが、その整備の考え方等々をまず承りたいと思います。
  38. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  昭和六十一年度初年度といたしまする第四次都市公園等整備五カ年計画におきましては、国民 の健康づくりのための運動の場を確保するために健康運動公園、すなわち、だれでも手軽に日常的に運動が行えるコミュニティー体育館、コミュニティープール、ジョギングコース、多目的広場等の施設を備えた都市公園を積極的、計画的に整備してまいりたいというふうに考えております。
  39. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 この整備状況について若干伺いたいのでありますが、大分市におきましても健康運動公園として畑中公園の整備が進んでいる、このように聞いているわけでありますが、その整備状況をお尋ね申し上げたいと思います。  たしかこれは全体事業費は約四十億円、それから全体計画面積は十四・三ヘクタール、それからこの中で事業年度昭和五十三年から六十五年度、このように聞いております。主たる施設は、移動屋根式のプールであるとかあるいは多目的広場、敬老広場、児童広場等々、このように承っておりますが、今日までの整備状況、また、昭和六十四年度に向けての大枠の事業費等々をお聞かせいただければと思います。
  40. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  大分市の畑中公園につきましては、天皇陛下御在位六十年記念の運動公園として昭和六十一年十二月に指定したものでございまして、その全体計画は今先生お示しのとおりでございます。  現在までのところ、移動屋根式のコミュニティプールとか多目的広場を含めて三・一ヘクタールが供用され、市民の方々に御利用願っているというふうに伺っております。六十三年度につきましては、事業費二億八千三百五十万をもって整備を進めているところでございますが、六十四年度につきましてもさらにその整備を強力に進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  41. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 この健康運動公園、つまりグリーンフィットネス・パーク、これは市民が大変期待をしている運動公園でございまして、計画どおり事業年度に完成を見るように、また単に大分市の問題だけではなく、全国のグリーンフィットネス・パークのそれぞれの計画計画年次に達成できるように特段の御努力をお願い申し上げたい、このように思います。  次に、具体的な件でありますが、熊本県の球磨川における砂利採取等々の問題につきまして、建設省にお尋ねを申し上げたいと思います。  球磨川というのは、御存じのように日本の三大急流の一つでありまして、流程は約百十キロメートルございます。中でも、全国で第一等の大きなアユがそこで採取されるということで、北は北海道から南は沖縄までそれぞれのアユ釣りのファン等々がこの球磨川に押しかけておるという、今こういう状況でもありますが、最近、この球磨川の河川環境というものが維持されていないのではないか、そういう声が私のところに届いておりまして、大変心配をしておるのでございます。  この球磨川における問題で何が一番問題かといえば、砂利の採取が問題でございまして、これは急流であるだけに、つまり魚が、アユ等々が産卵の場をどこに求めるかあるいはえさ場をどこに求めるかということでありますが、この急流の球磨川にダムが二カ所、河口より十五キロメートルのところに荒瀬ダム、二十キロメートルのところに瀬戸石ダム、それから河口から五キロのところに同じくせきがあります。球磨川堰、それから六キロメートルのところに同じく遙拝堰がございますが、二カ所のせきと二カ所のダム、しかもこれは急流でありますために、特に河口から十五キロの荒瀬ダムと二十キロの瀬戸石ダム、これは中流域に完全に閉鎖されたダムでございまして、いわゆる上から砂利等が流入するということがないわけでございまして、この球磨川の砂利を採取いたしますと、つまりアユの産卵場がなくなってしまう、そういうようなことでありまして、またえさ場もなくなる、こういう問題等が生じておりますし、また河床が低下しておるために、つまりせっかくの魚道がついておるのでありますが、河床が低下してその魚道の方が上に上がってしまう、そういう状況が出てくるものですから、これまた魚道の十分な役割も果たしていないというような問題も起こっておるわけでございまして、大変切実な問題であります。  わけても一番の問題は、砂利採取の問題にあるようでございまして、この球磨川における砂利採取の実績とか今後の許可の計画とか、あるいはいかようにして河川管理者が砂利採取業者に許可を与えているのかとか、こういうことについてお尋ねを申し上げたいと思います。
  42. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  球磨川につきましての御質問でございますが、一般に、私ども河川を管理しておりまして、砂利の需要がございまして砂利の採取を許可いたします場合には、当然その川におきます治水、利水等に悪い影響が出るような採取の許可はできないわけでございますし、また、河川の持っております環境、これは水質でございますとか河岸の条件等もその中に入ろうと思いますし、当然魚族の保護ということもその考え方に入ろうかと思いますが、そういう点につきまして十分配慮をいたしまして、できるだけそういう影響のないということを見きわめながらその都度許可しておるわけでございます。  ただ、現実には、球磨川につきまして申しますと、最近の三年間で、一年間の平均にしますとほぼ十一万立方メートルほどの砂利の採取実績が現にございます。業者の数にしましても、年間二十五業者ほどが川筋に入っておるようでございます。したがいまして、私ども管理者として当然そういうことに注意をしながら許可をいたすわけでございますが、実際に砂利業者の方が掘られる場合には、万一漁業権者との間でそういう影響が出るというようなことがあれば、協議をして適切な措置を講ずるようにという条件を付しまして、許可しているという実態でございます。  そのようなことで、御指摘のような悪い影響ができるだけないような配慮をして許可しているつもりでございます。
  43. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 ただいま、二十五の業者に対しまして、年に十一万立方メートル程度の採取許可を与えているということでありますが、これは最近三年間の年平均の実績ですね。  そこで、これは建設省の八代の工事事務所の資料を見ますと、昭和四十一年から昭和六十年までで球磨川の流域の砂利採取量が六百八十六万九千七百立米、このように資料が出ております。また、今後砂利採取の可能量として二百四十三万三千五百立米という数字を建設省の八代工事事務所が出してきておるわけでございますが、この数字は大体これで間違いございませんか。
  44. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  四十一年から六十年までの実績はちょっと手元に数字がないのでございますが、一般に一級河川の砂利の採取の状況といたしまして、四十年代は年間の採取量が大変大きゅうございました。したがいましてそのくらいのオーダーになっておろうかと思います。  また、今後幾ら掘れるかということで二百四十万何がしという数字をお挙げになりました。私どもその数字を横に見ながら、何といいますか、全く悪い条件を与えずにほぼ掘れる量はというような数字をつかんでおりますが、それが百七十万立方メートルほどかと考えておりますので、俗に言う採取可能量というのはあるいは二百四十万というような数字で事務所は押さえておるかもしれないと考えます。
  45. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 河川局長は、これからの採取可能量はいわゆる百七十万立米ぐらいがいい線ではないか、こういうようなお答えでありますが、現場の八代工事事務所は、これから先で二百四十三万立米だ、こういうふうにかなりの乖離があるわけでございますが、今御指摘いただいたように、局長のおっしゃる百七十万立米程度が常識のこれからの採取可能量ではないかと思いますから、先ほど私が申し上げましたいわゆる球磨川の魚類の資源保護と、それから環境を守るという立場からいたしましても、ただいま萩原局長の御答弁どおり、この百七十万立米という線を一つの基本として現 場の方にもぜひひとつ適切な指導等をしていただきたい、できるならば指導をし、なおかつ、監督ということについても留意をしていただきたい、そのことをお願いいたしたいと思います。  次に、先ほど申し上げましたとおりに魚道の整備の問題についてお伺いしたいのでありますが、漁業資源の保護のためには、言うまでもなく、川をさかのぼる遡河性のアユ等々の魚類の保護のためには、生育のためには魚道の整備が不可欠でございますが、魚道の整備につきまして過去どのような実績をここにつくってきておるのか、また将来の具体的な球磨川における魚道整備計画があるのか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  46. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  一般に、川におきましてダムあるいはせきを数多く建設させていただいておるわけでございますが、これは私ども建設省河川管理上つくっておるせきもダムもたくさんございますし、また利水者の方がその目的に応じてつくっておられるせき、ダム等たくさんあるわけでございます。  一般に、せきにつきましては魚道の設置が大変有効でございますので、私ども自分たちでつくります場合にも可能な限り魚道を設置しておりますし、利水者の方がその目的のためにせきをつくられる場合にも魚道を設置されることを勧めてきておるわけでございます。ただ、ダムにつきましては、高さの関係で現在の技術では魚道の設置が大変難しゅうございますので、一般的には、漁業補償の問題として問題を解決させていただいて建設させていただいているということが一般かと思います。  球磨川でございますが、先ほど先生もお名前を挙げられました比較的平野部にございます球磨川堰、あるいは遙拝堰につきましては魚道がついておろうかと思います。  それから、中流部にございます荒瀬ダムあるいは瀬戸石ダムでございますが、これはいずれも発電事業者がおつくりになっているダムと聞いておりますが、堤高、ダムの高さが二十五メートル以上それぞれございますので、現況では魚道がついておらないかと思います。  それから、おっしゃいますそれより上流のアユ漁は、恐らく現在のところはいわゆる稚アユの放流で漁獲量を確保しておられるのではないかと考えるわけでございますが、ただ全国的に申しますと、やはりその程度の高さのダムにつきましても魚道設置を研究すべきではないかという声を全国的にたくさんいただいておりますので、私どももダムは無理だというふうにあきらめてしまいませんで、魚道設置の可能性、またどういうタイプのものならというようなことを現在いろいろ勉強している最中でございますし、現に、ダムと名づけられますものにも、全国的に見ますと、二十四、五メートルの高さのものに魚道を設置いたしましたり、あるいは設置いたす計画で現に進んでいるもの等もございますので、引き続きいろいろ研究してまいりたいと考えております。
  47. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 ただいまの局長の御答弁、ぜひとも魚道の整備については万全を期していただくように前向きのお取り組みをお願いいたしたい、このように思っております。  最後にもう一度、砂利採取について漁業組合等々とのいわゆる調整といいますかあるいは指導といいますか、その現状といいますか実態ですね、それがどのようになっておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  48. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  私ども河川管理者といたしまして、当然内水面の漁業に対しまして、いわゆる河川の環境、機能の保全という範囲で、いろいろまず河川管理者自身として気を使わなければいけないわけでございまして、例えば私どもで改修工事をやりますときに、俗に魚巣ブロックと申しますか、魚の産卵しやすいようなブロックを使用して河岸を整備していくというようなことを現にやってございます。  また、砂利を取られる方と内水面漁業との調整でございますが、やはり原則は、例えば砂利を掘ります工法でございますとか、場所でございますとか、それから掘ります時期とか、そういう点で、なるべく漁業に影響がないようにという判断をまず私ども河川管理者が自分でするようにいたしております。なお、ただそうは申しましても、相当数の方が川に入り込まれて実際に砂利を掘られるわけでございますから、万々が一それでも漁業権者との間でいろいろ御異議が出るときには、当事者同士で御協議をいただけないかという条件を付してやらせていただいているのが現状でございます。やはり内水面の方も漁連を結成しておられますので、そういう組織体とは私ども河川管理者も折に応じまして会合の場を持ってございます。どういう御意見を持っておられる、また私ども管理者としてどう考えるというような意見交換を活発にやらせていただいているところでございます。そういうことで、できるだけ事実上のトラブルのないようにこれからもしてまいろうかと考えておるところでございます。
  49. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 この漁業組合が、砂利採取業者に対していわゆる賦課金といいますか、砂利採取料といいますか、そういうものをお願いをしておるようでございます。その過去の実績等々も手元にありますが、業者に対するかなりの採取料金をちょうだいしておるようでもございます。これは砂利採取同意手数料、こういう名目でちょうだいもしておるようでございますし、例えば昭和五十九年は三千万円の砂利採取同意手数料を漁業組合がもらっておるわけでございます。また、漁業補償金という名目でもかなりの金額が入っておりますし、また、河川工事に同意をするという、河川工事の同意料というものも漁業組合に入っておるわけであります。わけても、やはり突出しているのはこの砂利採取同意の手数料でありまして、こういうものが漁業組合に入るということになりますと、お願いしますとくれば結構です、こうなるわけでありますから、その辺のところを管理者としてよく指導をし、そして、現場の八代工事事務所といたしましてもこれらを監督をするというような基本姿勢がないと、急流であるだけに球磨川の川は守れないのではないかな、私はこういう感じがするわけであります。  私は、当然国土の開発のためのまさに礎となる砂利の問題ですから、その採取はだめだと言っているわけじゃありません。しかし、先ほども萩原河川局長の御答弁のとおり、これから約百七十万立米かな、現場の方は約二百四十三万立米かな、こういうことで、現場の方がやっぱりえらい大きく見ているわけであります。中央官庁である建設省局長から見ると約百七十万、こんなものかな、そういう乖離もここに出ておるわけでありますから、きょう私が決算委員会で質疑をさせていただきましたこの質疑等の内容を踏まえて、現場の熊本の八代工事事務所の方にも局長としての指導というものをぜひひとつお願いできればと、このように思いますが、この点についてもう一度局長の御答弁をお聞かせください。
  50. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  管理者として砂利採取の許可について十分意を用いているつもりでございますが、実態として、御指摘のような手数料的なものが両者の協議の中で出ておるということも事実のようでございます。ただ、私どもは実態をつかんでおりませんので、金額の多寡等についての詳細な数字はないわけでございますが、当然、砂利採取の許可に当たりましては治水上、利水上、環境上、いろいろな立場から、川自身にマイナス要素が出ることを最小限に防ぐという努力は終始いたしておりますので、球磨川につきましても今後とも御迷惑のかからないように努力をしていこうと思います。  また、多少の数字の違いは、私どもがどうということよりも、私が申しました百七十万という数字も事務所がはじいた数字でございまして、ある条件を付しまして機械的に掘れる量を拾うと二百四十三万という数字が出てくるかもしれませんし、その中からいろいろ、多少人間の目で見てのける分ということがあって百七十万になったのかもしれませんし、私ども本省と出先とで考え方が 違うということではないわけでございますが、いずれにいたしましても十分協議をいたしまして、いろいろ御迷惑をかけることのないよう河川管理をやらしていただこうと思っております。
  51. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 最後に大臣にお願いがありますが、きょうはたまたま球磨川の問題を取り上げましたが、これは単に球磨川だけの問題ではなく、同じような問題が全国の河川等々にもあるわけでございまして、河川を守るというのは管理者の建設省の大きな事業の一つでもあろうと思いますが、河川を守るということについての建設大臣のお考えをちょうだいいたしまして、私の質問を終わります。
  52. 越智伊平

    ○越智国務大臣 河川は、やはり治水、利水、これを全うすることが第一義であります。しかし、環境保全あるいは漁業権が設定されておりますと、漁業についても守っていかなければいけない、かように思う次第であります。また、お説にありましたように砂利の採取、これも河川の管理上支障がなければ許可する必要がある、かように思う次第であります。  そういうものを総合的に考えまして、河川局長からお答えをいたしましたように、よく連絡をとり、やっていかなければいけない。  先ほどお話がございましたが、例えばいろいろ河川管理上必要な工事等をいたしますと、それに対して補償というようなことも、これは私はどうかな、かように思うのであります。もちろん、その際にいろいろ漁業に直接大きい影響を与えればそれは補償もやむを得ないかと思いますけれども、一般的に言って河川管理上必要な工事等の補償はどうかな、こういうふうに思う次第であります。また、今の砂利を取って魚道等に支障を来した場合には、その原因者が復旧をしてちゃんと魚道は魚道の役をするようにしていかなければならない、かように思うのであります。  でございますから、河川局長が申し上げましたように適切に指導をし、また、砂利も大事な資源でありますけれども、河川管理上支障があるということになれば、これはもう支障のない範囲の許可をする、こういうことで進めて、河川管理上全般的に万遺憾のないよう指導をしてまいりたい、かように考える次第であります。
  53. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 極めて適切な御答弁、大臣ありがとうございました。時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  54. 野中英二

    野中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕