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1988-08-30 第113回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年八月三十日(火曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 衛藤征士郎君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君       岡島 正之君    林  大幹君       古屋  亨君    小川 国彦君       川俣健二郎君    新村 勝雄君       小川新一郎君    古川 雅司君       大矢 卓史君    野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 柴田 章平君         公正取引委員会         事務局審査部長 植木 邦之君         経済企画庁調整         局審議官    長瀬 要石君         経済企画庁国民         生活局長    末木凰太郎君         経済企画庁物価         局長      勝村 坦郎君         経済企画庁総合         計画局長    海野 恒男君         経済企画庁調査         局長      冨金原俊二君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       高橋 達直君         通商産業省通商         政策局長    鈴木 直道君         通商産業省通商         政策局次長   南学 政明君         通商産業省貿易         局長      熊野 英昭君         通商産業省産業         政策局長    児玉 幸治君         通商産業省機械         情報産業局長  棚橋 祐治君         工業技術院長  飯塚 幸三君         資源エネルギー         庁長官     鎌田 吉郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       向 準一郎君         資源エネルギー         庁石油部長   坂本 吉弘君         資源エネルギー         庁公益事業部長 堤  富男君         中小企業庁長官 松尾 邦彦君         中小企業庁計画         部長      三上 義忠君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君  委員外出席者         公正取引委員会         官房企画課長  高橋 祥次君         警察庁刑事局捜         査第二課長   垣見  隆君         経済企画庁長官         官房会計課長  安田  靖君         法務省刑事局刑         事課長     古川 元晴君         大蔵省主計局司         計課長     緒方 信一君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 太田 道士君         通商産業大臣官         房会計課長   細川  恒君         運輸省運輸政策         局政策企画官  茅野 泰幸君         運輸省国際運         輸・観光局観光         部振興課長   佐藤 正紀君         運輸省地域交通         局交通計画課長 大森 寿明君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         中小企業金融公         庫総裁     渡辺 喜一君         決算委員会調査         室長      加藤  司君     ───────────── 委員の異動 八月三十日  辞任         補欠選任   渋沢 利久君     川俣健二郎君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     渋沢 利久君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管経済企画庁)、通商産業省所管中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫〕      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管経済企画庁通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  この際、経済企画庁長官及び通商産業大臣概要説明会計検査院検査概要説明中小企業金融公庫当局及び中小企業信用保険公庫当局資金計画事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度経済企画庁歳出決算説明  昭和六十年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十年度の当初歳出予算額は三百九十九億九千六百四十一万円余でありましたが、予算補正修正減少額一億五千七百三十五万円余、予算補正修正追加額二千三百三十九万円余、予算移替減少額十五億四千二百三十八万円余、予算移替増加額六百四十六万円余、流用等減少額一億七千四百九十万円余を増減いたしますと、昭和六十年度歳出予算現額は三百八十一億五千百六十三万円余となります。  これに対しまして支出済歳出額は三百七十九億一千六百四十二万円余であり、歳出予算現額との差額二億三千五百二十万円余は、不用となった額であります。  次に、支出済歳出額のおもな内訳は、経済企画庁七十一億九千四百九十八万円余、海外経済協力基金交付金二百九十五億一千四百二十万円余、国民生活安定対策等経済政策推進費五億一千九百六十八万円余、経済研究所六億八千百十六万円余等であります。  また、不用額のおもなものは、国民生活安定対策等経済政策推進費でありますが、これは、総合的な物価対策を要することが少なかったこと等によるものであります。  以上、昭和六十年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。何とぞよろしく、御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度決算経済企画庁についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和六十年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十年度歳入歳出決算概要説明書                通商産業省  昭和六十年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして、御説明いたします。  通商産業省主管歳入につきましては、当初予算額は七十七億七千二百十八万円余でありますが、予算補正追加額十億二千五百九十九万円余の増加がありましたので、歳入予算額は八十七億九千八百十七万円余となっております。  これに対しまして、収納済歳入額は百五十一億九千五百十九万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと六十三億九千七百一万円余の増加となっております。  これは、アルコール専売事業特別会計から一般会計への納付金予定より多かったこと等の理由によるものであります。  次に、通商産業省所管歳出につきましては、当初予算額は七千九百四十一億七千三百八十一万円余でありますが、皮革及び革靴製造業等経営安定特別対策に必要な経費等として予算補正追加額四十億三千三百九十万円余、既定予算節約等による予算補正修正減少額七十億九千九百一万円余、水資源開発公団の建設する水資源開発施設のうち、工業用水道事業の負担に係る部分に関する事業費の一部を補助するために必要な経費等について、総理府及び文部省所管から移し替えを受けた額百七億九千四百六十八万円、前年度からの繰越額七十五億四千九百三十九万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は八千九十四億五千二百七十七万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は七千七百六十九億二千五百六十六万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は三百二十五億二千七百十万円余となっております。  この差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は、三十五億六千百八十七万円余でありまして、不用となりました額は二百八十九億六千五百二十三万円余となっております。  六十年度における経費執行につきまして、その主な事項大要を御説明いたします。  第一に、エネルギー対策費であります。その支出済歳出額は四千三百五十二億二千百三十二万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、石油税財源石油及石油代替エネルギー対策費であります。  この経費は、エネルギー対策緊要性にかんがみ、石油安定供給確保の観点から、石油資源開発及び石油備蓄増強等事業並びに石油代替エネルギー開発及び利用を促進するための施策財源に充てるため、一般会計から石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石油及び石油代替エネルギー勘定へ繰り入れるためのものでありまして、四千三百億円を支出いたしました。  次に、新エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、エネルギー長期安定的供給に資するため、太陽エネルギー地熱エネルギー等の新エネルギー利用技術開発するためのものでありまして、二十九億一千四百九十七万円余を支出いたしました。  次に、省エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、エネルギーの効率的な利用と未利用エネルギー有効利用を図るため、省エネルギー技術研究開発を推進するためのものでありまして、高効率ガスタービン等大型省エネルギー技術開発民間技術開発への支援等を行うためのものでありまして、十二億一千五百三十六万円余を支出いたしました。  第二に、中小企業対策費であります。その支出済歳出額は一千四百四十八億六百三十三万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、中小企業事業団運営費であります。この経費は、中小企業構造高度化を促進するために必要な指導資金の貸付け及び共済等事業を行うための出資金及び補助金でありまして、四百九十二億七百九十二万円余を支出いたしました。  なお、同事業団が行った貸付事業実績は、一般高度化事業資金三百二十一件、特定高度化事業資金二百六十九件、繊維工業構造改善事業資金三十七件等であります。  次に、小規模事業対策費であります。その支出済額は三百八十一億四千七百八十七万円余でありまして、この経費により商工会商工会議所等小規模事業者に対して、六百十万件余の経営指導、相談を行いました。  次に、小企業等経営改善資金融資制度であります。この経費は、小企業者等に対する経営指導金融面から補完し、実効性を確保するため、商工会商工会議所及び都道府県商工会連合会の長の推薦に基づき、国民金融公庫が、無担保、無保証人、低利による融資を行うためのものでありまして、貸付金として百十一億円を支出いたしました。  なお、同公庫が行った融資実績は十四万件余、三千四百六十一億円余に達しております。  次に、中小企業近代化促進費であります。その支出済額は七十二億七千四百四十四万円余でありまして、設備近代化補助金七億二十二万円余、中小企業機械類貸与補助金二十一億三千六百十九万円等を支出いたしました。  次に、中小企業指導事業費であります。その支出済額は九十九億二千四百二十三万円余でありまして、診断指導技術指導及び研究促進等事業の一層の強化を図っております。  このほか、組織化対策費三十九億六千二百四十万円余、信用保証協会基金補助金三十億円、中小企業金融公庫補給金百四十五億六千二百万円等を支出いたしました。  第三に、科学技術振興費であります。その支出済歳出額は六百十二億一千六百九十九万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、大型工業技術研究開発費であります。この経費は、将来の技術開発の核心となり、技術的波及効果の大きい大規模な産業技術につきまして、産・学・官が一体となった研究開発体制のもとで、その開発を行うためのものでありまして、六十年度においては前年度に引き続き「光応用計測制御システム」等九テーマ研究開発を推進しまして、七十二億八千八百八十二万円余を支出いたしました。  次に、電子計算機産業振興対策費であります。この経費は、我が国電子計算機産業技術力の向上並びに振興を図るため、新しい理論・技術に基づいた第五世代コンピュータ研究開発を行うためのものでありまして、四十六億八千百八十万円余を支出いたしました。  次に、次世代産業基盤技術研究開発費であります。この経費は、我が国が今後、技術立国を実現していくため、基礎的段階産業技術研究開発、とりわけ、九十年代に発展が期待される次世代産業の確立に必要不可欠な基盤技術の中から、新材料、バイオテクノロジー及び新機能素子の三分野十三テーマについて、産・学・官の協力の下に、研究開発を推進するためのものでありまして、六十二億五千六百八十三万円余を支出いたしました。  このほか、通商産業省試験研究機関特別研究費二十五億五千百五十一万円余、試験研究設備及び施設整備費十億二千七十万円余等支出いたしました。  第四に、公共事業費であります。その支出済歳出額は百六十三億一千五百十六万円余でありまして、その主なものは、工業用水道事業費補助であります。その支出済額は百六十一億七千百五十万円余でありまして、この経費により、地方公共団体において継続事業六十二箇所、新規事業六箇所の工事を、水資源開発公団において継続事業九箇所の工事を実施いたしました。  第五に、経済協力費であります。その支出済歳出額は百五十八億七千六十万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、海外経済協力費補助金であります。この経費は、発展途上国に対する経済協力を推進するため、経済協力関係団体が行う海外技術者受入等研修事業等に対する補助金でありまして、五十二億五千七百八万円余を支出いたしました。  次に、海外開発計画調査委託費であります。この経費は、発展途上国における鉱工業資源等分野における開発計画を策定するための調査等技術協力関係団体に委託して行うためのものでありまして、六十四億八千五百万円余を支出いたしました。  次に、繰り越し及び不用について御説明いたします。  翌年度へ繰り越しました経費のうち主なものは、民間輸送機開発費十一億五千百四十一万円余でありまして、民間輸送機開発費補助金につきまして、市場や技術などの動向が変化し、これに適確に対処するため、開発計画を変更したことにより、年度内に支出を完了することができなかったため、経費を翌年度に繰り越したものであります。  また、不用額を生じました経費のうち主なものは、石油税財源石油及石油代替エネルギー対策費二百五十億円でありまして、石油公団が行う探鉱等投融資事業予定を下回ったこと等のため、石油税石油及び石油代替エネルギー対策出資金等財源石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計へ繰入を要することが少なかったこと等により不用となったものであります。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。  次に、通商産業省所管の各特別会計昭和六十年度決算につきまして御説明いたします。  第一に、電源開発促進対策特別会計であります。  電源立地勘定につきましては、収納済歳入額は一千四百三十四億八千六百八万円余、支出済歳出額は六百四十七億三千六百九十八万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は七百八十七億四千九百十万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は四百三十三億五千二百六十三万円余、剰余金は三百五十三億九千六百四十七万円余となっております。  六十年度における経費執行につきまして、その主な事項大要を御説明いたします。  電源立地対策費でありますが、この経費は、電源立地地域における公共用施設整備電源立地促進のための特別対策事業電源立地地域における安全対策等推進等に必要な事業費に充てるため、地方公共団体等に対して交付するためのものでありまして、六百四十四億一千四百四十三万円余を支出いたしました。  電源多様化勘定につきましては、収納済歳入額は二千百九十億七百九十二万円余、支出済歳出額は一千四百六十五億四千六百七十五万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は七百二十四億六千百十六万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は三百六十七億四千九百七十八万円余、剰余金は三百五十七億一千百三十八万円余となっております。  六十年度における経費執行につきまして、その主な事項大要を御説明いたします。  電源多様化対策費でありますが、この経費は、水力・地熱資源開発石炭火力発電所公害防止技術の実証、太陽光発電などの新エネルギー技術開発原子力発電推進のための技術開発等施策を行うためのものでありまして、一千四百六十二億六千二百八十四万円余を支出いたしました。  第二に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計であります。  石炭勘定につきましては、収納済歳入額は一千四百九十一億九千四百七万円余、支出済歳出額は一千百八十二億八千二百五十三万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は三百九億一千百五十四万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は百四十七億九千五百六十一万円余、剰余金は百六十一億一千五百九十二万円余となっております。  六十年度における経費執行につきまして、その主な事項大要を御説明いたします。  まず、石炭鉱業合理化安定対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う炭鉱の整備事業に対する補助及び同機構が行う近代化資金の貸付けのための補給並びに石炭鉱業生産体制改善、経理の改善、保安の確保等施策を実施するためのものでありまして、三百四十八億六千九百二十三万円余を支出いたしました。  次に、鉱害対策費であります。この経費は、石炭鉱害事業団に対する鉱害復旧事業資金補助及び同事業団が行う鉱害賠償資金等の貸付けのための出資等を行うためのものでありまして、五百五十七億六千百九十七万円余を支出いたしました。  次に、産炭地域振興対策費であります。この経費は、産炭地域において鉱工業等振興に必要な業務を行う地域振興整備公団に対する出資石炭鉱業終閉山により財政状況が悪化している産炭地域市町村に対する交付金交付及び産炭地域小水系用水開発事業等施策を行うためのものでありまして、七十三億六千六百十六万円余を支出いたしました。  石油及び石油代替エネルギー勘定につきましては、収納済歳入額は五千七百八十二億六千百七十万円余、支出済歳出額は三千七百五十二億七千七百七十三万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は二千二十九億八千三百九十六万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は一千六百四十六億八千百十三万円余、剰余金は三百八十三億二百八十三万円余となっております。  六十年度における経費執行につきまして、その主な事項大要を御説明いたします。  まず、石油安定供給対策費であります。この経費は、石油公団が行う石油及び可燃性天然ガス探鉱等に対する投融資及び公団備蓄事業等に充てるための同公団への出資、同公団に対する交付金交付石油備蓄増強等施策を行うためのものでありまして、三千百二十二億五千六百八十六万円余を支出いたしました。  次に、石油生産流通合理化対策費であります。この経費は、石油流通合理化及び生産技術研究開発等を図るための石油備蓄技術調査石油製品需給適正化調査及び重質油対策研究開発等施策を行うためのものでありまして、百五十九億六千七百九十九万円余を支出いたしました。  次に、石油代替エネルギー対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う海外炭探鉱に対する融資等に充てるための同機構への出資、日本開発銀行が行う石油代替エネルギー利用促進融資の原資の一部に充てるための同銀行に対する貸付金ソーラーシステム普及促進石炭液化ガス化等石油代替エネルギー技術開発等施策を行うためのものでありまして、四百六十四億七千二十六万円余を支出いたしました。  第三に、アルコール専売事業特別会計であります。収納済歳入額は三百七十八億一千二百五十万円余、支出済歳出額は二百六十九億六千三十六万円余であります。  この会計損益計算上の利益は百九億八千九百十五万円余でありまして、期末資産増加相当額一億七千五十八万円余を控除した残額百八億一千八百五十七万円余を一般会計に納付いたしました。  第四に、輸出保険特別会計であります。収納済歳入額は二千五億五千百二十八万円余、支出済歳出額は一千七百五億三千三百九十八万円余であります。  六十年度における保険引受件数は六十一万八千件余、その保険金額は十兆四千五百二十九億円余でありまして、前年度に対し一千十億円余の増加となっております。  第五に、特許特別会計であります。収納済歳入額は四百六十四億九千三百六十三万円余、支出済歳出額は三百二十六億五千九百八十六万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は百三十八億三千三百七十六万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は四億二千五百七万円余、剰余金は百三十四億八百六十八万円余となっております。  以上をもちまして、昭和六十年度における通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わります。  最後に、昭和六十年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院から不当事項として十一件の指摘を受けたものがありますことは、誠に遺憾に存じております。  これらの指摘された事項につきましては、直ちに指摘金額の全額を返還させる等、その是正の措置を講じたところであります。  今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督を行う所存でございます。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十年度決算通商産業省についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和六十年度通商産業省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項十一件であります。  これらは、中小企業設備近化代資金の貸付けが不当と認められるものであります。  この資金貸付事業は、都道府県が国から交付された中小企業設備近代化補助金等財源として中小企業者設備近代化に必要な資金を長期間無利子で貸し付けるものであります。  六十一年次の検査におきまして、その貸付けの適否について調査いたしましたところ、貸付対象設備を貸付けの対象となった事業費より低額で設置しているのに貸付対象事業費どおりの価格で設置したとして貸し付けていたものが七件、リース契約により賃借したものに貸し付けていたものが二件、設備設置代金のうち貸付金相当額を条件に違反して貸付年度中に支払っていなかったものが二件ありました。  これらはいずれも本資金の貸付けとして、適切を欠いており、ひいては補助の目的に沿わない結果になっていると認められたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十年度の業務の概況について             中小企業金融公庫  昭和六十年度における中小企業金融公庫の業務について御説明申し上げます。 一、当公庫昭和六十年度貸付計画は、二兆一千六十六億円と定められました。  これに対し、中小企業者に対しては二兆八百四十八億一千六百八十七万円余の貸付を行ったほか、設備貸与機関に対しては二百十二億八千三百万円余、また、中小企業投資育成株式会社に対しては五億円の貸付を行い、総額では二兆一千六十五億九千九百八十七万円余の貸付実績となりました。  中小企業者に対する貸付契約額のうち、設備資金は三十九・一パーセントに相当する八千二百四十八億三千三百九十八万円、運転資金は六十・九パーセントに相当する一兆二千八百二十八億二千八百六十四万円となっており、また、直接貸付は七十二・三パーセントに相当する一兆五千二百三十七億七千三百二十八万円(三万一千百九十三件)、代理貸付は二十七・七パーセントに相当する五千八百三十八億八千八百三十四万円(三万三千五百二十四件)となっております。  なお、昭和六十年度末における総貸付残高は五兆二千四百九十億八千七百六十二万円余でありまして、前年度末に比較して、四百三十六億九千三十三万円余、〇・八パーセントの増加となっております。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和六十年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は九百六十一億二千二百四十万円余でありまして、このうち一年以上のものは八百四十五億二千七百二十二万円余、総貸付残高の一・六パーセントとなっております。 二、昭和六十年度融資に当たりましては、需要の多様化・高度化技術革新、情報化の進展といった変化の激しい経営環境の中におかれている中小企業者に対し、その事業基盤の強化に資する資金について積極的に対処してまいりました。特に、年度後半からの急激な円相場の変動により影響を受けている中小企業者の企業経営の調整及び事業の転換を図るための貸付制度を新設したほか、構造改善貸付制度、先端技術振興貸付制度等の拡充を図るなど中小企業者の環境変化に適応するための資金についてもきめ細かい配慮を払ってまいりました。  また、流通機構近代化、合理化のために必要な資金及び産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金についても配慮してまいりました。  なお、昭和六十年度におきましては、中小企業者の一層の利便に資するため、天王寺出張所を支店に昇格させました。 三、次に、当公庫昭和六十年度の収入、支出決算及び損益計算について申し上げます。  収入、支出決算について申し上げますと、貸付金利息等収入済額は四千六十一億九千五百八十五万円余、支払利息等支出済額は四千八十五億六千五百二十六万円余となりました。  損益計算について申し上げますと、貸付金利息収入等の総益金は四千九百二十億四千八百六十八万円余、借入金利息、事務費、業務委託費等の総損金は、四千九百二十億四千八百六十八万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。 四、最後に、昭和六十年度決算検査報告におきまして不当事項として職員の不正行為に関するものについて指摘を受けましたことは、誠に遺憾に存じております。今後、この種の不正行為の根絶を期するため、綱紀粛正の徹底を図る所存であります。  以上をもちまして昭和六十年度における中小企業金融公庫の業務概況についての御説明を終ります。                  以  上     …………………………………    昭和六十年度決算中小企業金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和六十年度中小企業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。  これは、職員の不正行為による損害を生じたものであります。  中小企業金融公庫では、中小企業者の行う事業振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通するために貸付けを行っておりますが、六十一年三月、同公庫浦和支店副長田宮某が融資業務に従事中、他の職員による資料等の確認や照査が形式的で、事実上貸付手続を単独で処理できることなどに乗じて、商業登記簿謄本、印鑑証明書等を偽造し、虚偽の相談カード及び貸付けりん議書等を作成して、架空の会社から借入申込みがあったように装い、これらがいずれも真正あるいは内容の真実なものと支店長等を誤信させて貸付決定させるなどして架空会社名義の普通預金口座に八千万円を振込送金させ、これを領得したものであります。  なお、本件の損害額につきましては、六十一年十一月末までに、田宮某から三百五十万円、共謀した部外者等から八百七十二万一千九百五十九円が返納されております。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十年度の業務概況について           中小企業信用保険公庫  中小企業信用保険公庫昭和六十年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  昭和六十年度におきましては、国の一般会計から中小企業信用保険事業の円滑な運営を図るための原資として中小企業信用保険準備基金二百九十億円、信用保証協会の保証活動の円滑化を図るための原資として融資基金百四十億円、合計四百三十億円の出資が行われました。  まず、中小企業信用保険事業について見ますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で九十九万二千件余、金額で六兆六百七十八億八千四百六十六万円余になっており、これを前年度に比較いたしますと、金額で八%の増加になっております。  この結果、昭和六十年度末の保険引受残高は、件数で二百八万九千件余、金額で十二兆一千九百十六億五千六百七十一万円余となっております。  なお、中小企業信用保険保険金の支払いは一千四百七十八億三千五百九十五万円余になりまして、これを前年度に比較いたしますと、二%の増加になっております。  信用保証協会に対する融資事業につきましては、昭和六十年度に国の一般会計から新たに出資されました百四十億円及び既往の貸付にかかる回収金等二千六百四十五億円、合計二千七百八十五億円をもちまして、二千五百九十九億一千百万円の貸付を行いました。  この結果、昭和六十年度末における貸付残高は三千百六十九億一千百万円になっております。  機械類信用保険事業につきましては、公庫が機械類のリース業者等との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で二十六万四千件余、金額で一兆四千六百一億三千八百十三万円余となっております。  この結果、昭和六十年度末の保険引受残高は、件数で七十八万四千件余、金額で四兆九千九百五十六億八千四百二十八万円余となっております。  なお、機械類信用保険保険金の支払いは四十一億四百九十三万円余となっております。  次に、収入支出及び損益の概況について申し上げます。  まず、収入、支出について申し上げますと、収入済額は一千四百八十六億五千三百五十九万円余、支出済額は一千五百五十七億一千五百四十八万円余でありまして、差し引き七十億六千百八十九万円余の支出超過になっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等の整理を行いました結果、総利益は一千八百三十八億三千六十八万円余、総損失は一千九百六十四億七千百七十四万円余となり、差し引き百二十六億四千百五万円余の損失金を生じましたが、これは中小企業信用保険・融資事業に係る損失金百十一億一千八百万円余、機械類信用保険特別勘定の損失金十五億二千三百五万円余によるものであります。  このうち、中小企業信用保険・融資事業にかかる損失金は、中小企業信用保険公庫法及び同法施行令の規定に基づき、中小企業信用保険準備基金を減額して整理いたしました。また、機械類信用保険特別勘定の損失金は、機械類信用保険法の規定に基づき、損失の繰り越しとして整理いたしております。  以上、簡単でございますが、昭和六十年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。     …………………………………    昭和六十年度決算中小企業信用保険公庫についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和六十年度中小企業信用保険公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉山憲夫君。
  5. 杉山憲夫

    ○杉山委員 きょうは、通産、企画庁両大臣初め皆さんには、御苦労さんでございます。なお、お二方、両大臣におきましては、政党政治家として先見性の非常にある政治家であるというように思われるわけでございます。ゆえに、役人的発想答弁よりも、政党政治家として実のある適切な答弁が期待されると非常に感慨深く思っている次第でございます。  それでは、最初に経済企画庁長官にお伺いいたしますが、六十年九月のプラザ合意以降、対ドル百円以上の円高になっております。円高は当初輸出産業中心に日本各企業に大きな打撃を与えました。当時は、日本経済は一ドル百八十円ならば倒産続出、また国の財政破綻等、大変な混乱、騒ぎになったことは記憶に新しいところであります。しかし、現在、民間消費また設備投資中心に経済状況はかなり順調に推移し、法人決算も良好であります。一体この短期間になぜ日本経済はこのように力強く回復、拡大を見せたのか、その理由をお伺いしたいとともに、また、急速に回復、拡大しただけにこの反動が来るのではないかと心配されるわけでございます。この点に対し、政府は今後の日本経済の景気の先行きをどのように見ているのか、お伺いいたします。
  6. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 杉山委員にお答えをさせていただきたいと思います。  大変こちらの専門家でもあり、御勉強家で知られております杉山委員でございますから、特につとにもこのような問題は御高承のことと思いますけれども、あえて御質問でございますから、私からも大変グローバルな質問だけに大ざっぱながら御説明させていただければと、このように思う次第でございます。  今回のまさに急速な景気上昇の要因として挙げられますことは、ただいまも御指摘賜りました円高といった環境変化に対する民間部門の積極的な適応がある、こう申せるかと思うのでございます。すなわち、企業の経営努力、あるいはまた新製品や、あるいはまた販売努力、また新製品そのものの開発、そのための設備投資、あるいは消費者の高級化・大型化志向、こういいましたような消費意欲の高まりなどがその一つの事例かと思うのでございます。  第二点といたしましては、円高並びに原油価格低下のメリットが大きな意味で波及をしたことではないか、このように考えるものでございます。卸売物価の低下を通じまして、最終財の価格低下や企業利益の改善へとこれが及んでいったということは申すまでもないことかと思うのでございます。  第三点としてあえて申し上げますならば、財政金融政策でありまして、なかんずく、昨年五月末に決定されました六兆円規模の緊急経済対策というものの効果を忘れては相ならぬのではないか、このように感ずるものでございます。実際の支出の効果につきましては、もう大変に大きなメリットを呼んだことは申すまでもないわけでございますが、それに加えまして、実質の支出の効果に加えて企業家の先行きの見通しを好転させていくなど、波及効果も大変に大きなものがあったということが言えるのではなかろうかと思う次第でございます。  以上総合いたしまして、今回のこの先生御指摘のような景気上昇をもたらしたものというのが大きな原因の一つに考えられるのではないか、このように御指摘させていただきたいと思っておる次第でございます。  また、ただいま御指摘賜りました、では景気の動向が一体ずっと続くのかどうかというような御指摘であったかと思うのでございますが、これは、外需が引き続きマイナスに寄与するということは一つの大きな政策方針として打ち出されておるわけでございまして、そういう意味では、一つには、個人消費が雇用者所得の増加等を背景として堅調に推移するものと見込まれている点が一つ、それから第二点は、設備投資については、堅調な国内需要というものを背景といたしまして本年度下期にかけて着実な増加が見込まれているということなどからして、全体として我が国の経済を論ずるというならば、大体年度後半にかけて内需を中心とした着実な動きというものが持続するということの堅実な見通しが成り立つのではないか、そして、短期間における急速な景気拡大の反動から景気が先生の御憂慮されておりますように急激に落ち込むということはないのではないか、このように考えているものでございます。  以上、雑駁ではございますけれども、一つ一つ御指摘を受けました問題点について論断させていただいたつもりでございます。ありがとうございました。
  7. 杉山憲夫

    ○杉山委員 経済成長と円高の進展により我が国の一人当たりの総生産は世界最高になったわけでございます。今長官がおっしゃったように、円高メリットというものが出てきておるということでございますが、しかし国民一人一人見たときに、先日の総理府の調査によっての発表によりましても、四〇%ぐらいの人は円高メリットを感じておらない、輸入品は安くなっておらないという答えが出ております。円高メリットだけでこのように景気が急速に回復したということならば、一体円高メリットの国民が感じていない部分はどこに感じられるかということが思われるわけでございますが、このように国民が感じない円高メリット、どこに感じておるかということがおわかりでございましたらお教え願いたいと思います。
  8. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 杉山委員は、議員であられると同時に、多角面にわたってお仕事といいますかビジネスの方も御展開をなさっていると承っておりますし、私も承知しておるわけでございます。それだけに肌身に感じてそういう点を感ぜられるのではないかな、それだけに質問も大変に的確な御質問をなさっておられるなと感ずるわけでございますが、これも私に言わせるならば、確かに思い当たる節がないわけではございません。ありとあらゆるテレビ討論会であれ、あるいはまたその他であれ、エコノミストの間においてもそれが一番の実感としてとらえられなければならぬ問題ではなかろうか、こういうような御指摘もあるわけでございまして、御質問の趣旨はよくよく踏まえておるつもりでございます。  我が国の一人当たりのGNP、GDPそのものでございますか、特に近時の円高を反映いたしまして、為替レートでは単純に換算いたしますとまさに世界最高水準となっておるわけでございます。しかし、国民の生計というものに対しましては、諸外国に比べまして割高な土地、言いにくい言葉ではございますが、円高メリットの中においても物価水準そのものがやや高値安定、こう言われておるようなすなわち割高な土地であり、サービス等の貿易の対象となりにくいというもの、かかることなどのために、我が国の実質的な所得水準は、国際的に見ますると為替レートで換算したものほど高くはないという御指摘はむしろ当たっておるのでないか、こう思うのでございます。  我が国の国民生活を分野別に見ますると、失業率が御案内のとおり二・五%というようなわけで比較的に低い。各国に比べますると、アメリカが六%をちょっと切りますか、それからヨーロッパが九から一一%のところであるというところを考えますると比較的低いということになりますが、平均寿命、犯罪から見ました暮らしの安全度面ということになりますると欧米先進諸国以上の水準にある一方、住宅、社会資本の整備状況あるいはまた長い労働時間、高い食料品の価格、余暇関連費用、あるいはまた先ほど申しました土地の問題等、欧米諸国に比べまするとやや劣っているということは否定できない事実である、こう考えるものでございます。  こうした状況を踏まえまして、政府といたしましては、去る五月に閣議決定を見ました「世界とともに生きる日本―経済運営五カ年計画―」に特に示しておりますように、豊かさを実感できるような多様な国民生活の実現に向けまして、土地対策の推進、住生活の充実、あるいはまた労働時間の短縮、御案内のように二千百時間を千八百時間にというような問題点も含めてでございますが、自由時間の充実、内外価格差の縮小というものを目指しました物価構造の是正、あるいはまた消費生活の充実等に全力を挙げて取り組んでいくことが今からの五カ年計画における最大重点事項である、こう申せるかと思うわけでございます。  私どもも、先生の御指摘を十分踏まえまして、全力を挙げてその方向に取り組んでいくことをかたくお約束を申し上げたいと思っておる次第でございます。  以上でございます。
  9. 杉山憲夫

    ○杉山委員 大変適切な御答弁、ありがとうございました。また後で私の意見も少し申し述べたいと思います。  そこで通産省に、今の長官の答弁を踏まえまして、いろいろ実務的な形の中でもまた大臣の所信等もお伺いしたいというように思うわけでございます。  去る八月二十三日にいわゆる第二包括貿易法案が成立、発効をいたしました。この法案には三〇一条の強化、ココム違反に係る外国企業の制裁条項等、自由貿易の維持などの観点からは問題の多い規定を含んでおります。政府はこれまで、本法案の保護主義的な条項の削除のために努力されたと聞いております。通産省はどのような努力を行い、また今後この法律に対してどう対処していかれるのか、まずお伺いいたします。
  10. 田村元

    ○田村国務大臣 どのような努力、あらゆる努力というお答えが一番正確かもしれませんが、我々としては、こういう保護主義色の強い法律が、一番大きな経済関係、あるいはその他いろいろな面での関係の深い友好国アメリカで成立をするということは耐えがたいことであり、また世界的に見てもこれは肯定できることではございませんから、事あるごとに私どもはこれに対して厳しい批判をし、またその阻止のためにあらゆる努力をしてきました。私もアメリカへ行きまして、アメリカ要路の方々あるいは国会議員の方々にもお目にかかり、向こうからも国会議員の方がいらっしゃる、向こうの閣僚がいらっしゃる、そのたびに随分申し上げた、もういいかげんにしてくれと向こうが言うぐらい私はいろいろと申し上げてきたわけであります。この包括貿易法というものが保護主義などの問題のある条項を含んだまま成立をすることのないようにというのが我々の願望でございまして、談話の発表と伝達、それから主要閣僚への書簡の発出、私は主要閣僚にも手紙を出しましたし、アメリカのすべての国会議員にも手紙を出しました。私の名前で出しました。アメリカへも行く。可能な限りの機会をとらえて、アメリカに対して我が方の懸念を伝えてきた。  そこで、率直に言いまして、こういうものができたということはまことに残念でございますけれども、相当改善されたこともまた事実であります。例えて申しますならば、ゲッパート条項というのが削除されました。これは、大幅な対米黒字国を特定して強制的に黒字幅を毎年一〇%削減させるという非常に厳しい内容であります。これは削除をされました。それから外国企業制裁条項の改善がありました。いわゆるガーン修正条項の削除であります。これは、ココム違反企業の親会社である東芝からの二年ないし五年間の輸入禁止が改められまして、東芝機械からの三年間の輸入禁止、それから東芝については三年間の政府調達禁止という点でぐっと弱まったということは事実であります。この法律が成立しましたことはまことに残念でございますけれども、これらの条項に対しまして、引き続き米国政府に対して我が方の懸念を訴えていくという立場には変わりはございません。また、仮に本法が自由貿易上の問題を生じるような運用をされた場合には、私、大臣談話を出しましたが、この大臣談話でも明らかにしましたように、いつでもガットなどの場で対応するという立場を鮮明にしておるところであります。  ただ、ここで一つ申し上げたいことは、この法律案にレーガン大統領がサインをいたしましたときに談話が出たわけでありますが、その談話の中にこういうところがあります。「正直に言えば、この法案には気に入らない部分がある。本法案のもとでは、国際法上違法であり、世界の自由貿易を達成するという我々のゴールにも反する輸入課徴金の導入に至る可能性があること。本法案が行政府に、外国と特定の貿易上の問題について交渉することを要請している点は、米国憲法の原則に違反する。」憲法の原則に違反するものに署名というのも我々日本の政治家としてはちょっとわかりにくいところですけれども、三権分立の立て方が違いますからこういうことなのかもしれません。「本法案は、国際貿易委員会に、議会の一つの院の委員会を通過した決議に対応して調査を行うことを求めているが、これも米国憲法の原則に違反する。本法案は、特定の権限をUSTRのような行政官に与えているが、すべての行政官は大統領の指示と管理のもとにあるのであり、」つまり大統領の直属の部下である、だから、行政官に与えられても大統領が最終的な権限は持っておるんだ、こういうことを明確にしておる。「私は、署名するに当たり、憲法に沿った形で運用されることを表明する。」  それからヤイターが言っておりますのは、「新法案は、無論保護主義的運用が可能ではあるが、それは現行法のもとでも可能である。レーガン政権は、新法案を保護主義的にならないように運用し得るし、新政権もそうであることを希望する。」  アメリカの行政府の長、大統領と、USTR代表が、このように極めて明確にこの法律の持っておりますあしき面といいますか、気に入らないと言うのですからあしき面というのでしょうが、それを指摘し、その運用の慎重であることを次代の大統領あるいは行政官に対して強く求めておるということは特筆に値することだと思っております。
  11. 杉山憲夫

    ○杉山委員 今、大臣の答弁があったように、米国では特に議会が保護主義的立場を強くとっておるわけでございます。言うならば少し感情的になっているのではないかというように考えられるわけでございますが、そこでこの引き金になりましたココム違反の東芝の件でございますけれども、これを引き金にして相手が余り感情的になってくる、そういう中で通産省としてはどのような体制を整備し行ったか、また今後行うことはどういうことであるか、また民間ではどのような体制整備が行われているのか、また行われようとしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  12. 田村元

    ○田村国務大臣 この法律はココムだけが問題になっておるわけでもないのでありますが、その中の一つにココムの東芝問題があったということでございますけれども、具体的なことは政府委員から答弁をいたさせますが、我々は、東芝機械問題が出まして、あれ以来真剣にこの問題と対応いたしました。率直に言って、基本的にはアメリカと日本、つまりアメリカ人と日本人との間において防衛ということに対して、安全保障ということに対して考え方のギャップがあり過ぎた。アメリカは、アメリカはというよりむしろ諸外国はと言った方がいいかもしれませんが、安全保障というものに非常に敏感であり、真剣であります。日本はその点は割合に平和主義でありますから、彼らから見れば悠長なところがあったかもしれません。しかし、我々はそういうことも踏まえていろいろなことをやりまして、例えば外為法の大改正をやりました。罰則の強化を主にしたわけでありますけれども、戦略物資輸出管理に携わります人員が全然足りないというので、これも二倍半にふやしました。百三人に増員した、三けたにしたとかいうふうにして、輸出管理体制の準備に万全を期してきたところでございます。  これからも我々大いにやりますが、民間においても、昨年の通産大臣からの要請、つまり私の要請等を受けまして、戦略物資の輸出を行っている企業のほとんどすべてであります約二千二百社におきまして、輸出関連法規遵守のための社内管理規程が作成されますなど、着実に体制整備が進められているものと私は認識をいたしております。  通産省としましても、官民一体の実を上げるべく万全を尽くしたいと考えておりますが、ここまでやってまた悪いことをするやつが出てきたということであれば、残念ながら性悪説を感ぜざるを得ない。ここまでやったら恐らく少しく営業マンも各社みんな自粛してくれるものと、私は日本の企業といいますか企業に携わる人々といいますか、そういう人々を信じたい。今の気持ちは、信じたい、裏切られたら許さぬというのが実は私の今の心境でございます。
  13. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 ココム違反の問題に対します通産省の体制整備あるいは民間における整備の状況については、ただいま大臣から詳しく御答弁いただいたとおりでありますけれども、なお若干つけ加えさせていただきますと、例えば外為法の罰則の強化につきましては、刑事罰の上限を従来三年でありましたものを五年に引き上げるとか、あるいは違反をいたしました企業に対して輸出禁止を命じ得る行政制裁があるわけでございますけれども、この最長期間を従来の一年から三年に延長する、こういう内容でございます。  それから、外為法の施行に伴いまして、いろいろ輸出許可をやる際の運用についても細かい強化をしております。大変細かくなりますけれども、例えば輸出許可申請の際の契約書原本の添付でありますとか、あるいは契約書中へ、従来は求めていなかったのでありますけれどもサブジェクト・ツー・ガバメント・アプルーバルの規定、要するに政府の許可を前提とするような規定を挿入させるなどのことをやっております。  それから、これを機会に関係省庁間の実効ある協力体制の確立ということで、閣僚会議のレベルから担当者のレベルに至るまで、各省とのいろいろな連絡の場等も設けてきているところであります。  その他、省内の審査体制につきましても、省内に戦略物資等輸出審査会というものを設けまして、毎週一回ここで厳重な審査をする、これらの措置を講じているところであります。
  14. 杉山憲夫

    ○杉山委員 今の日本の産業・経済というものは、非常にアメリカと深い関係にあるわけです。しかし、今アメリカとの問題も少しお聞きしたわけでありますが、それよりもこれから大事なことは、NIESとの関係がこれから大きな問題になってくるのではないかというように考えられるわけでございます。  その中で、輸出について経済的側面ばかりを追っていきますとまたそれぞれの個々の問題が出てくる。やはりその裏では、人的技術交流とか文化交流とか、そういう形の中で友好を結びながら、そして経済交流、経済関係を結んでいくということにすることが肝要ではないかと思うわけでございます。考えてみますと、どんどん追い上げてこられて、前門のオオカミと後門のトラになるというような感じがするわけでございますが、その点に対して通産省のお考えをお伺いしたいと思います。
  15. 南学政明

    南学政府委員 今先生御指摘のアジアのNIESの問題でありますが、先進国の一部には、このアジアNIESの経済発展を脅威として見る見方もございます。しかし、私どもは、アジアNIESの経済発展は、アジア・太平洋地域のみならず世界経済全般に刺激を与え、そのさらなる発展の機会をもたらすものと評価いたしております。  このような観点から、私どもとしては今後ともこのアジアNIESの発展協力していくべきと考えておりまして、このために、御指摘のとおりアジアNIESとの間で専門家の派遣、研修生の受け入れ等の人的交流を一層推進するとともに、直接投資あるいは技術移転等の産業協力を促進し、アジアNIESの経済の有する脆弱性を克服する、その点に協力をしていく必要があるわけでありますが、そうした協力をしながらアジアNIESとの間で水平分業関係を基本とする経済関係を構築していきたいと考えております。  通産省として、今後ともこうした方向で協力をし、努力を続けていく考えであります。
  16. 田村元

    ○田村国務大臣 一言だけちょっと別の観点から私がつけ加えて申し上げますならば、今南学次長が、これはアジアNIESの研究の第一人者でございますが、脅威ととらえないで機会、オポチュニティーとしてとらえるということを申しました。それは、その裏にありますのは、なぜ脅威としてとらえる必要がないのかといいますのは、アジアNIESは、各国ともに世界の経済に占めるシェアというものは、一国たかだか一%か二%でございます。そして一人当たりのGNP、これもOECD加盟の経済先進国、日本やアメリカなんかとは全然違う普通のOECD加盟国に比べても四分の一ぐらいでございます。  でございますから、しかもアジアNIESは、特に韓国なんか見ましても、経済構造というものが実に六〇%もの高いシェアで輸出に頼っておるというようなところがございますから、もし仮に、これに対して一部の経済先進国が言っておりますような過酷な対応をしたならば大変なことになって、政治的にも経済的にも大きなた打撃を与える。そしてそれはとりもなおさず、日本にとって近隣諸国の政治、行政あるいは安全保障等についての不安を醸し出すおそれもある、こういうこともやはり日本人は考えるべきではなかろうかということだけ、ちょっとつけ加えておきたいと思います。
  17. 杉山憲夫

    ○杉山委員 今いろいろと御答弁の中で、円高が定着して大変に見通しもいいというお話がございました。  確かに、大企業を初め法人が軒並みに好決算になっております。こうした大企業が好決算を上げておる中で、中小零細企業は円高等により苦境に陥っているものもあるということでございます。このような中小零細企業に対して、政府はどのような対策を講じておられるか。  また一方では、基本的には円高はまだ進むだろうという見方もあるわけです。百円ちょぼになってしまうではないかというように言われておることもあるわけです。こういう円高の中で、しわ寄せがそういう中小零細企業に来るということはあり得ることなのです。こういうものを踏まえて、政府はそういう対策に対してどのようなお考えを持っておるか、またどのような処置をしておるか、お伺いしたいと思います。
  18. 田村元

    ○田村国務大臣 具体的なことは政府委員の方からまた必要とあらば御説明させますが、私から大枠的なことを申し上げたいと思います。  中小企業の景況というものは総じて回復基調にございます。しかしながら、輸出型中小企業とか、とりわけ輸出型産地、企業城下町などにおきましてはまだ今もってはかばかしくない面もございます。このような中小企業が円高の定着なと厳しい経済環境に対応していくためには、内需志向の事業転換を通じて構造転換を図っていくことが何よりも重要なもの、このように思います。さはさりながら、日本企業の、それが零細企業といえども、英知とバイタリティーというものが本当にあれだけの、私は、着任したときは、今から二年余り前はどうなるかと本当に心配いたしましたけれども、見事に円高のデメリットというものをメリットに転換していった面が多かったということは高く評価しなければなりませんが、その中にもなお円高デメリットで大変泣いておる人々がいる、企業がいるということは放置できないことであります。通産省としましては、中小企業の円滑な経済転換を支援するために、新転換法、それから特定地域法というものを制定いたしまして、所要の予算措置などによりまして中小企業の構造転換対策を総合的に講じてまいったところでございます。  なお、ちょっとお触れになりましたが、円高がさらに進んで百円を切ってくるんじゃないかというようなお話もございましたが、御意見として承っておくということ、私がまさかそれに対してとかく申すわけにもまいりませんので。しかし私は、アメリカの経済の姿から見ても世界の趨勢から見ても、アメリカの将来の生きざまというものから見ても、それほど大きな円高、二けた台への突っ込みというような円高にはなるまいというふうに考えております。
  19. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま大臣が申されましたように、中小企業が円高の定着の中でどのように今後活路を開いていくかにつきましては、ただいまのお話にもございましたように、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、特定地域中小企業対策臨時措置法の二つの法律を六十一年に制定、施行させていただきまして、業種別、地域別の実情に応じました円高に苦しむ中小企業の方々の構造転換を円滑に進めるような施策を、法律をてこにいたしまして所要の予算措置、税制措置等によりまして推進してまいったところでございますが、六十三年度におきましても、これらの施策を拡充すると同時に、新たに、御案内と思いますけれどもいわゆる融合化法、異分野中小企業者の知識の融合化によります新分野の開拓の促進に関する臨時措置法を制定、施行させていただきまして、異なった事業分野の中小企業の方々が寄り集まって中小企業らしい新しい分野への展開を図っていく、新たな構造転換の政策の柱を設けることといたしたわけでございまして、これらの諸施策を通じまして、現在、中小企業の方々は可能な政策手段を活用されたから、先ほど大臣の申されました英知とバイタリティーを何とか発揮してこの難局を乗り切ろうとされているところでありまして、私どもといたしましては、この円高等の状態が定着する中で、中小企業の方々は今後も一段とその構造転換に息の長い対応をしなければならないと存じますので、引き続き、財政事情等は厳しゅうございますけれども、六十四年度以降につきましても諸般の施策の拡充に鋭意努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  20. 杉山憲夫

    ○杉山委員 企業の海外進出に伴いまして雇用問題を招くおそれがあると思いますが、この点に対してお伺いしたいと思います。
  21. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 最近、円高その他、日本をめぐります経済情勢がどんどん変わってまいりまして、先生御指摘のように海外直接投資が急速にふえております。  製造業などで申しますと、昨年は一昨年に比べまして倍増というふうな状況でございます。ただ、これは、日本の経済がバランスのとれた形で今後進んでいくためには、ある程度この海外投資がふえていくのはそれはそれで私どもとしては推進していかなければならないと思うわけでございます。しかし、仰せのように、その投資がもし国内で行われたとすれば雇用の機会があったのではないかとか、あるいは日本でつくったものが海外へ出ていったために雇用の機会が失われるのではないかというふうな問題がないかと言われますれば、そういうおそれがあるわけでございます。そういった意味では、やはり何と申しましても、内需を中心といたしました国内経済の順調な発展というものを引き続き続けていくことが大変重要でございます。  現在の経済状況の中で、先生御承知のように、例えば完全失業率にいたしましても、有効求人倍率にいたしましても、大変いい姿になっているわけでございまして、こういった状況を今後も持続していかなければならない、そのためには通産省といたしましても、新しい産業分野を開拓して新しい雇用機会をふやしていくということに全力を挙げていかなければならないと思っております。  具体的には、産業構造転換円滑化臨時措置法というものができておりまして、これに基づきまして諸般の施策を進めておりますけれども、そのほか、地域の活性化のための諸施策、さらにはただいまも申し上げました内需型の新規産業の育成、あるいはもう少し長い目で見まして日本の将来の産業の芽になります技術開発、こういったものを強力に推進いたしまして雇用の安定に努めてまいりたいと考えております。
  22. 杉山憲夫

    ○杉山委員 親企業の海外進出に伴いまして、従来の日本の下請、この下請の取引が減少される懸念がありますが、このような問題に対してはどのように考えておるか。また、下請企業の取引の減少に対して、国際化の一層の進展により、輸出型地場産業に対し転廃業対策を進めるなどのためにも、各都道府県で推進している下請取引情報のオンラインネットワーク化が必要と思いますが、この点に対してお伺いいたします。
  23. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、親企業の海外直接投資が増大してまいりますれば、だんだん時間をかけまして親企業の海外生産がふえる、あるいは海外での部品調達が増加するということになってまいりますと、国内下請中小企業に当然いろいろな影響が生じてくるのではないかと考えるわけでございます。私どもといたしましても、この点については大きな関心を持って、どのように具体的に影響が生じてくるかにつきまして、まず実態の把握に努めることが必要だと考えておりますけれども、下請企業の側におかれましても、こうした親企業の海外進出等の状況に対応するために、新しい事業分野を開拓するとか、従来の取引先以外の企業にも取引を広げていくとかいう自助努力をいろいろ図っておられるところでございます。  私どもといたしましては、いずれにいたしましても、我が国の効率的な下請生産構造というものが、製造業を中心といたします我が国産業全体の発展を支えているという、この基本認識に立って物を考える必要が当然ございますわけでございまして、そういう意味で、下請企業の構造転換を今後積極的に支援してまいりますためには、もとより先ほどの御答弁にもありましたような高目の経済成長が基本的には維持されていることが必要でございますけれども、そのような環境のもとで新しい転換法、先ほど申し上げました法律を核とする事業転換対策、あるいは下請企業の構造調整を円滑化するための低利融資制度、あるいは下請企業に特に気配りをいたしました技術開発助成などもいたしておるところでございます。  今後ともこれらの施策の拡充を図ってまいりたいと思いますが、さらに、先ほど先生がお述べになられました下請企業振興協会を通じます取引のあっせんにつきましては、御指摘のように、これから下請中小企業の方々あるいは輸出地場産業の中小企業の方々が新しい取引の拡大、新しい分野への進出を図る上では大変重要な役割を果たすものではないかと考えております。したがいまして、この下請取引の広域化に対応いたしまして、広域的なあっせんを迅速的確に行っていかなければならない。現在も県域を越えたあっせんは行われておりますけれども、全国的な立場で行われますよう、下請取引情報化のオンラインネットワークシステムづくりにつきまして六十三年度に着手いたしまして、六十五年度までには完成させて、六十六年度以降全国的に着実な展開を図れるように、稼働してまいりますように今予定いたしておりまして、一生懸命努力したいと思っておるところでございます。
  24. 杉山憲夫

    ○杉山委員 海外進出企業、投資摩擦でございますが、この点につきましては、先ほどから少なからずお話を聞いておりますので、投資摩擦がないように関係各省でぜひ御努力を願いたいと思います。  そこで、時間を急がれておりますので、最後に、昨今の地価高騰などにより相続倒産が起こらないよう生前相続の特例、特別な控除制度を設けるなど、中小企業の事業継承がスムーズに行われるような配慮が必要と思われますが、どのように考えておりますか、お伺いいたします。
  25. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 御指摘のように、中小企業にとりましては事業継承の問題は極めて基本的な大事な課題でございます。御案内のように五十八年度改善が行われた後、今般の税制改革におきましても、昨今の地価の高騰によります相続税負担の増大という状況を踏まえまして、一つには、相続税の基礎控除額の倍額への引き上げ、二番目には、小規模宅地等に対します評価を減額する率の大幅な引き上げを行うこととなっているわけでございます。  私どもといたしましては、この事業継承問題の重要性にかんがみまして、さらに、今仰せになられましたような農地と同様の生前贈与の特例制度を設けること、あるいは同族会社等取引相場のない株式の評価方法につきまして、あるいは地価の高騰の影響を緩和するような一層の改善を加えることも必要ではないかと考えておりまして、今後これらの点を含めまして、今般の税制改革とあわせ来年度税制改正要求にも盛り込んで推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  26. 杉山憲夫

    ○杉山委員 先ほど来企画庁長官並びに大臣に御答弁願いまして、今後の経済の先行き、非常に安心するわけでございますが、私、農学校を出ましてすぐ百姓をやりました。おじいさんが私に言ったことは、一生懸命真っ黒けになって生計を立てようと思っている私に対して、百姓は幾ら頑張っても大きくならないよ、農業相手の商売は大きくなる、こういうことを当時言いました。一生懸命働いている僕にどうしておじいさんはこんなことを言うのかなと思ったら、今になってようやくそれがわかってきました。確かに農業自体は大きくなるどころじゃなく、今悲鳴を上げておるということでございます。  先ほど長官からお話がございまして、先行きもう大丈夫ですよということをお聞きして安心するわけでございますが、私が心配するのは、二百六十円のときに日本経済は一体どうであったか、一体努力しておらなかったのか、または財政投資もちぐはぐな形の中で政府はやっておったのかということでございます。そして、あれだけ短い、一年半余の間にこれだけの回復をしたということは、私はそのおじいさんの言葉からいってもなかなか納得ができないわけです。  ですから、長官は安心するようなこと言っていただきました。しかし、担当する通産省の田村大臣からも、この点に対して、日本の経済はこういう見通しだよ、統計上、今企画庁長官が言ったようなことの裏づけはあるよと言うと同時に、やはり合理化をしたしわ寄せが下請とか小さい弱い者に来るということのないように、これは通産省としてぜひしっかり見きわめていただきたいと思いますので、通産大臣のその決意のほどをお伺いしたいと思います。
  27. 田村元

    ○田村国務大臣 中尾長官が答弁いたしましたことで尽きておると思いますけれども、私は先ほど日本企業、日本人の英知とバイタリティーという言葉を申し上げました。一部気の毒な中小企業、とりわけ零細企業等あることはお互いに認識して、その対応を進めなければならぬことは申すまでもありません。しかし私は、災い転じて福となすという言葉を日本人は実際にやってのけたというのが偽らざるところだろうと思います。  あの円高というものが急速にやってまいりまして、それによって日本の企業は一応腰を抜かしたわけであります。しかしすぐに立ち直って、まず合理化を図りました。それから構造調整をどんどん進めて、内需型産業への対応ということを進めていきました。政府もまた、六兆円を上回る財政出動をして内需拡大を進行せしめました。そして、その内需拡大策は今もって継続されておりますし、今後も継続されるものと思います。また、しなければならないと思います。  ところが、本来ならばここが日本の運のいいところでもあるわけでございましょうが、本来ならば経済拡大政策をとるときにはインフレーションというものをおそれなければならない。ところが、日本には今インフレのイの字の懸念もございません。それは円高のメリットというものが相当浸透しておるということでございます。  率直に言いまして、企画庁の統計をかりて恐縮ですが、プラザ合意以来昨年末までの円高というもののメリットは二十九兆五千億円と言われております。そのうちの約七〇%が還元されたと言われております。  例えば、私の所管いたしております問題でも大きなところで言えば電力・ガス等の料金の引き下げを断行いたしました。これは二兆六千億円の料金引き下げでございますから、二兆六千億円という実に大規模な所得減税あるいは法人減税が行われたことと同じだと思うのです。例えば一般的な平均家庭において、夫婦子供二人のサラリーマン家庭でも年間三万円の料金引き下げになっておるはずでございます。  その他、原材料が非常に安く入ってくるようになりました。そこへもってきて油なんかが本来安くなっておるというようなところもあって非常に日本は助かったわけでありますが、それが物価高を抑え、消費活動をどんどんと促進せしめておる。  ちょっと簡単に申しますと、消費者物価指数が七月の対前年同期比がわずか〇・五%上昇したにすぎません。全くこれは横並びと言ってもいいと思います。そして、今から三年前の昭和六十年を一〇〇とした場合に七月の消費者物価指数は一〇一・八であって、三年たってなお一・八%しか上がっていないというようなことでございますから、今後ともこの円高メリットの一層の還元ということに努めながら内需拡大策を推し進め、健全な、特に消費や設備投資というものを中心とした健全な、キャピタルゲインとか土地とかというようなことに頼るような愚かなことをしないで、正攻法の健全な経済発展を我々は図るべきであろうと思います。幸いにしてインフレの懸念もない今日でありますが、しかし、だからといってインフレーションに対して十分の警戒は怠ってはなりません。これは当然のことでございます。  そういうことで、実は中尾長官が触れました御答弁とダブらないようにと思ってちょっと違う側面からお答えをしてみて、ちょっと思いつきでお答えをしたわけでございますけれども、まあ答弁になりましたか、御参考になれば幸いと存じます。
  28. 杉山憲夫

    ○杉山委員 ありがとうございました。  以上をもちまして、質問を終わります。
  29. 野中英二

    野中委員長 小川国彦君。
  30. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、最初に輸入牛肉の流通をめぐって御質問したいと思います。  輸入牛肉の割り当ての中でホテル枠というのがあるのでございますが、これはどういう趣旨でホテル枠というのが組まれて、そして一番新しい六十二年度あるいは六十三年度ではどの程度の数量が割り当てられているか、お伺いしたいと思います。
  31. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 牛肉の輸入につきましては一般枠と特別枠とございまして、特別枠の中にただいま先生御指摘のホテル枠というものが設けられております。これは正確に申し上げますと、「ホテル用牛肉の輸入割り当てについて」という形で輸入発表をいたしております。  中身はどういうことかと申しますと、国際観光ホテル整備法に基づくホテル業者から全国食肉事業協同組合連合会のメンバーに発注をいたしまして、その限度は、農林省において畜産局長が発注限度内受書というのをこの連合会に出しておりますその限度内において、これらのメンバーから輸入業者の方に発注をされ、輸入業者から通産大臣の方に輸入割り当て申請が行われることになっております。  趣旨は、牛肉につきましては、ホテルのお客様であります外国人等に外国と同等の牛肉を供給するということが元来の趣旨であったようであります。数量につきましては、今年度六十三年度は上期に二千トン、下期に八千トン、合計一万トンを予定しております。ちなみに六十二年度は上期二千トン、下期二千トン、合計四千トンでございました。  なお、詳細な仕組みについては農林省の方で所掌しておられますので、必要があればそちらから答弁していただきます。
  32. 太田道士

    ○太田説明員 ホテル枠につきましては、農林水産省が全国食肉業務用卸売事業協同組合連合会に対しまして発注限度内受書を交付いたします。その交付を受けた連合会が輸入商社に対しまして発注を行いまして、輸入商社は通産省から輸入割り当てを受け、それに基づきまして輸入を行う、それで同連合会に売り渡しまして、最終的にはホテル業者に配分されるという仕組みになっております。  ホテル業者への配分は、過去の実績なりホテルの規模、そういうものを勘案して配分されておるというふうに了知しております。
  33. 小川国彦

    小川(国)委員 昨年度で四千トン、ことしは一万トンと大分ふえて割り当てがなされておるようでありますが、このホテル業者への過去の実績とか規模を見て配分を決めるというのはどこで決めるようになっておりますか。
  34. 太田道士

    ○太田説明員 六十二年度のホテル枠は、特別枠といたしまして四千トンでございます。それで今年度につきましては、日米合意もございまして一万トンの配分を行うということになっておるわけでございます。  それで、現実にこの配分は、全国食肉業務用卸売事業協同組合連合会におきまして、先ほど申し上げましたように過去のそれぞれのホテルの実績、ホテルの規模、そういうものを勘案して配分しておるということでございます。
  35. 小川国彦

    小川(国)委員 ホテル枠については毎年審査会が行われておるそうでございますが、その審査会の構成メンバーはどういうメンバーで構成されておりますか。
  36. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 ただいま詳細に調べておりますけれども、関係省庁で構成しておりまして、輸入割り当てを行います通産省、それから中身について担当しております農林省、それからホテルを所掌している運輸省の担当者で構成しているものと承知しております。
  37. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一度伺いたいのですが、このホテル枠を割り当ててあげるという趣旨はどういう趣旨なのでございましょうか。これは通産省、農水省それぞれ御答弁願います。
  38. 太田道士

    ○太田説明員 ホテル枠ができましたのは昭和四十四年というふうに聞いております。これはそもそもの趣旨は、ケネディ・ラウンドのときに、日本に参ります外国人に対しましてそういう観光ホテルについて外国と同等のような肉の供給が可能になるということを趣旨としてホテル枠の配分が行われてきた、当初の発足はそうであるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  39. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 ただいま農林省から答弁のあったとおりであります。
  40. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは、この四千トンの牛肉は、ホテル業者に対してどういうふうに観光客に対して良質の低廉な肉を供給するように指導しているか。運輸省の国際観光局ですか、ちょっとそちらの方でこれについてどういう御指導をしているか伺いたいのです。
  41. 野中英二

    野中委員長 まだ来ておりませんので……。
  42. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは到着し次第伺いますが、一般の牛肉が仮にキロ八百円としますと、消費者に渡る牛肉は畜産振興事業団が大体キロ当たり四百円調整金を乗せている、千二百円、こういうふうに私ども理解しているのです。農水省の方、そういうふうに理解していいですか、大体八百円で輸入された牛肉が調整金が約四百円乗って千二百円で売られると。
  43. 太田道士

    ○太田説明員 総体的に申し上げますと、現在事業団が輸入している牛肉が大体七百円ぐらいではないかというふうに思っております。それに対しまして、畜産振興事業団のいわゆる調整金の乗せ方というのが大体三百円弱というふうに私どもは理解しております。
  44. 小川国彦

    小川(国)委員 このホテル枠の方は事業団の調整金が乗らない民間貿易分ということですから大体七百円で輸入されている、七百円で業者に渡されている、こういうふうに理解してよろしいですか。
  45. 太田道士

    ○太田説明員 部分肉の状態で輸入されるわけでございますけれども、その間に当然最終の消費の形態に変えていかなければいかぬということになりますと、それなりの処理過程というものを経るわけでございますから、当然その取扱業者のマージン等もございますし、それから、そういう処理関係の業務ということも当然それにかかわってくるというふうに理解されるということでございます。
  46. 小川国彦

    小川(国)委員 ともかく結論からいうと、ホテル枠には事業団の調整金は乗っていない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  47. 太田道士

    ○太田説明員 事業団を経過してないということは事実でございます。
  48. 小川国彦

    小川(国)委員 ということは、もう三百円安いということなんですが。  運輸省お見えになったので伺いたいのですが、運輸省も加わってこのホテル枠を、各国際ホテル業者約五百社ですか、そちらの方が数字は御存じと思いますが、全国のホテル業者の中で国際観光ホテルの指定を受けている人たちにことしは約一万トンの牛肉を割り振るわけであります。この牛肉は幾らで消費者に提供するようにという御指導とか、そういうことについての御相談にあずかっているのかどうか、あるいはまたそういう指導はしているのかどうか、その点ちょっと運輸省から。
  49. 佐藤正紀

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  ホテルから消費者に対しまして提供いたします価格につきましては、特に指導等いたしておりません。
  50. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、通産省と農水省でこれだけの安い牛肉をホテルに提供しているわけであります。提供している国際観光ホテルのホテル数は幾つになっておりますか。
  51. 佐藤正紀

    ○佐藤説明員 国際観光ホテル整備法に基づきまして政府に登録されておりますホテルの数は五百六十八でございます。
  52. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、この五百六十八のホテルには、一般の消費者に提供されるよりも、まず事業団の元値から見てもう三割安い牛肉が提供されている、こういうことになるわけでございますね。  ちょっともう一遍伺いますが、提供されている国際ホテルの数は五百六十八でございますか、はっきりそこで答弁してください。
  53. 佐藤正紀

    ○佐藤説明員 現在登録されておりますホテルの数は五百六十八でございます。
  54. 小川国彦

    小川(国)委員 農水省か通産省か運輸省でいいのですが、その五百六十八の登録されているホテルのうち、事業団を通さない特別枠の牛肉を提供されているホテル数は幾つですか。
  55. 太田道士

    ○太田説明員 私どもが聞いておりますのは、全部が希望するわけではございませんので、そのうちの約九割のホテルに輸入牛肉が供給されているというふうに理解しております。
  56. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、四千トンと言い、ことし一万トンと言い、これに三百円の額をざっと掛けただけでも大変な安いお金の牛肉がホテルに提供されているのですが、今運輸省の観光の方で伺うと、別にそれをどういう指導もしてないというのです。それでは、割り当てをしている通産省や農水省は、外国のお客さんなり、あるいはホテルの利用者は大半が日本人だと思うのですが、そういう人たちに安く提供した牛肉が一体どういうふうに提供されているか、こういう実態については把握なさっていらっしゃいますか。
  57. 太田道士

    ○太田説明員 もちろん、つぶさに具体的には把握はしておりませんけれども、ただ一言言えますのは、ホテルのそういうレストランにつきましても輸入牛肉のメニューだけではございませんので、他に要するに国内産のものもございますし、あるいはそのホテルのイメージアップということでかなりの高級な牛肉も提供されるということであるというふうに理解しておりますから、当然そういうものが全体的にプールされて末端価格の形成というものが行われているのではないかというふうに私どもは理解しております。
  58. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、これは極めてずさんな牛肉の売り渡しだと思うのですよ。私の方でも、全国のホテルの一覧表、五百六十八ですか、そのうち約五百のホテルが提供を受けているということですが、どこのホテルに参りましても輸入牛肉がそのもので食卓に供せられることはだれしもが御存じのところで、これは輸入牛肉ですから、しかも国民に提供するよりも三割も安い値段で提供された肉ですから外国の観光客には三割引きいたします、仮に国際的にそういう措置をとっているなら私はまだ感心した措置だと思えるのですが、日本じゅうどこのホテルに行っても、この輸入牛肉を三割も安く卸業界を通してホテルに提供していても、安く提供されているという事実はどこにも見当たらないのですよ。そうすると、これは何十億もの利権をホテル業界のための牛肉を取り扱っている卸売団体とホテルに与えているというふうにしか理解できないのです。この辺をどういうふうに説明なさいますか。
  59. 太田道士

    ○太田説明員 一般的にホテルのメニューは確かにそう安くないということは私どもも十分認識できるところだというふうに理解しております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、やはりホテルといたしましてはいろいろな形でのお客様に対するサービスがあるのだろうというふうに私どもは理解するわけでございまして、当然に輸入牛肉もその中の一つのメニューになるでしょうし国産牛肉によるそういうメニューも出てくる、そういう中で、全体的にプールされた中で一つの合理的な価格形成といいますか、そういうものが行われてくるのではないか。といいますのは、私どもとしましては、外食産業の現在の実情から申し上げますと、相当多元的な競争が行われている状況にございますので、そういう中からいいますと、やはりそれなりの価格形成がされていっているのではないかというふうに理解しております。
  60. 小川国彦

    小川(国)委員 約一万トンの牛肉に仮に三百円ずつ値引きしたものをやると三十億円安いのですよ。三十億ものものを五百のホテル業者に安く売り渡して、それが合理的というふうにお答えになるけれども、どなたでも、万人が万人、ホテルへ行って、輸入牛肉が安くホテルに渡されて、それが外国人、日本人含めて良質な牛肉が安価に提供されていると思っている人は一人もいませんよ。思っているのは農水省のあなただけかもしれませんよ。  そういうふうにお考えにならないと、ホテル牛肉の割り当てというのはまさに利権じゃないか、こういう牛肉の売り渡しをしているところには国際的な信頼も国民的な信頼も生まれてこないのではないかというふうに私どもは思うのですが、大臣、いかがでございますか。お聞きになっていらっしゃって、こういう牛肉の売り渡し状況について、貿易を担当する通産大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。
  61. 田村元

    ○田村国務大臣 ちょっと私にはそぐわない御質問になるわけでございましょうけれども、私は実は伊勢の松阪の出身でございまして、肉どころの出身でございます。それだけに肉に対する関心は人一倍深いわけでございますけれども、伺っておりまして、キロ三百円、四百円、高級レストランで扱うのは百グラム単位というふうに考えますと、大きな影響がないのかな、それならばそういう肉、つまりコストの上乗せをしていない肉をもっと庶民に放出したらどうなのかな。偽らざる私の気持ちを申し上げれば、輸出がどうの、貿易がどうのという通産省的なへ理屈も飛び越えまして一個の人間として申せば、何か割り切れない感じはいたさないでもございません。
  62. 小川国彦

    小川(国)委員 これは通産大臣と農水大臣と十分お話し合って、こうした問題を、その偽らざる心境のようにひとつ行政指導なり措置をなすっていただきたい。そうでないと、牛肉の輸入をめぐるさまざまな問題の多い中で、国民的な不信を非常に買っている行政の問題ですから、御検討を願いたいと思います。  さらに通産省、農水省にもう一つお聞きいたしたいのですが、ハムとソーセージの材料としてやはりこれも約四千五百トン、三百円安い輸入牛肉が日本ハム・ソーセージ工業協同組合と日本食肉罐詰工業協同組合に割り当てられているわけなんです。私が伺っているのでは四千五百トンと承っておりますが、六十二年度、六十三年度実績はどのような数字になっておりましょうか。
  63. 太田道士

    ○太田説明員 六十二年度の民貿分のハムソー組合の扱い量が約三千九百トンでございます。それから、食肉罐詰組合が約二千トン弱というところでございます。
  64. 小川国彦

    小川(国)委員 六十三年度の割り当てもお聞かせ願いたいと思います。
  65. 太田道士

    ○太田説明員 六十三年度は現在のところ上期しか割り当てておりませんが、上期につきましてはハムソー組合が千八百トン強、それから食肉罐詰組合が九百トン強でございます。
  66. 小川国彦

    小川(国)委員 これもやはり先ほど伺いましたように特別枠でございますから、畜産振興事業団の調整金は乗っていない輸入牛肉だ、こういうように理解しているのですが、よろしゅうございますか。
  67. 太田道士

    ○太田説明員 事業団を経由していっていないことは事実でございます。
  68. 小川国彦

    小川(国)委員 楽業団を経由しないということは調整金が課されていないということでございますから、これも三割安い牛肉が割り当てられている、こういうことでございますが、これのハム・ソーセージの組合なり罐詰の組合なりの内部割り当てはどういうふうになすっていらっしゃるのですか。
  69. 太田道士

    ○太田説明員 内部における各企業ごとの配分につきましては、加工品の生産量なり、それからJASの受検数量というものを勘案して内部で配分しておるというふうに了知しております。
  70. 小川国彦

    小川(国)委員 この割り当ては各加工品の製造の数量とかJASの数量とかに応じてやっているそうでございますが、通産省、農水省、この売り渡しに当たって一般の国民の食卓に回ってくる牛肉よりも三割安い牛肉が、ハム・ソーセージそれから食肉罐詰、いずれも会社を見ると日ハムから始まってみんたそうそうたる大企業でございますね。そういうところへこれも安い牛肉を割り当てしているのですが、そういう業界に対して、これは輸入牛肉を三割安く売り渡しているのだから消費者に売るときは三割安く品物の価格表示をして売りなさい、そういう御指示はなすっておりますか。
  71. 太田道士

    ○太田説明員 具体的には民貿分のものを特定して云々ということで指導しているということはございません。と申しますのは、実はハムソー組合なり食肉罐詰組合がこの民貿分で手当てしております原料、要するに輸入原料のほかに、例えばハムソー組合でございますとそれの約五倍近いものがやはり事業団の方から売られているというふうに聞いておりますし、それから食肉罐詰の関係につきましてもやはりその三倍強ぐらいのものが事業団からの牛肉というものを利用するということになります。当然国内のすそ物というものも原料肉に回るわけでございますから、そういう全体の中で加工品の原料価格というものは実現していくわけでございますけれども、できるだけやはり円高差益還元をやらなければいかぬという状況もございまして、加工品についてもできるだけ値下げを行うように関係業界を指導しておるということでございます。
  72. 小川国彦

    小川(国)委員 ハム・ソーセージの協同組合や食肉罐詰に事業団から相当な数量が行っていることは私も知っておるのですよ。それは通常の形で日本国民の九割は畜産振興専業団の経由した肉しか買えないのですから、特別に高いものをハムソーの協同組合とか食肉罐詰が買っているわけじゃない。ある場合によっては、それは市場を通ってくる庶民の買う肉よりも安いものを団体仕入れで買っているかもしれないのです。私はそういうふうに思うのです。ハムソーが五倍買っている、食肉罐詰が三倍買っている、それは当然のことですよ、みんな事業団を通さなければ肉は手に入らないんだから。そうじゃなくて、残った畜産振興事業団を通さない一割の割り当ては、今言ったようにホテルに三割安いのが行っている、その次にこのハムソーの協同組合にそれぞれ行っている。いずれも日本のそうそうたるハム・ソーセージの加工の大企業に三割安い牛肉をやって、それが国民的にどう還元されているのかというのです。そこの筋道はどう説明できるのですかと聞いているのです。
  73. 太田道士

    ○太田説明員 私どもは、先ほど申し上げましたとおり、それの特定した形での追跡調査ということはしたことはございませんけれども、ほかの輸入牛肉なりあるいは国産品を全体的に扱った加工品、そういうものの品質の向上、それから価格の安定というようなことで業界を指導しているというふうに御理解いただきたいと思います。
  74. 小川国彦

    小川(国)委員 仮に六十二年度ハムソー両方で五千九百トン、大まかに六千トンと見ると、これはちょっと計算してみると三百円安いものというのは十八億円になると思いますね。それだけ安い輸入牛肉をハムソーに与えました、しかしそのハムソーがその輸入牛肉でつくったハムやソーセージを消費者に提供しているというのは跡形もないのですよ。これも私は大変な問題だというふうに思いますよ。  ハム・ソーセージの協同組合に私も伺って、皆さん、農水省から去年でいえば五千九百トン割り当てを受けているけれども、これを消費者に安く提供することについて農林省から何か指示か指導を受けていますかと聞いたら、そういう指導はございません、そういう期待はあるかもしれませんけれども指導は受けてないと言うのです。言われてないからもうけさせてもらっています、早く言えばこういう話です。国民は国内の生産者を保護するために高い牛肉を我慢して食べてください、そういうことで国民にも納得してもらっているわけでしょう。ところがそうじゃなくて、現実には輸入した牛肉をそういうホテル業界なりハムソーの業界に特別安いものを提供して、もうけほうだいもうけさせている、ちっとも消費者のところに戻ってこない。これでは消費者も納得しなければ国内の畜産生産者も納得しないと思うのです。私は、農水省がこういうことをやっているから、きょうも大きく取り上げられているような畜産振興事業団のような問題が出てくる、こう思うのですね。  大臣、所管が違いますけれども、これは通産省もひっかかっているのですよ。農水省だけじゃないのですね。いつも相談のときにはちゃんと通産省も入っていますからね。主流は農水省ですけれども、やはり貿易行政と見れば通産省もかかってくるので、この点もひとつ大臣としてどういうふうにお感じになるか、見解を求めたいと思います。
  75. 田村元

    ○田村国務大臣 レストランなどの場合は材料をたたき台にした付加価値というものが非常に大きくなるのでしょうから、還元しておると言われればそうかなと言わざるを得ないでしょうし、我々から見れば、こんな高いステーキ食わせて還元されておるのかなという割り切れない気持ちがあることは当然だと思いますし、ハム・ソーセージでも、今小川君おっしゃったことを私、承っておりまして、所管大臣直接ではないかもしれぬが、通産省も貿易に関係があるんだから、大臣、自分の考えを述べてみろというお話ですが、なるほどもっともな話だなと思って実は私、聞いておったわけです。他省庁のことについて私からとかくくちばしを入れることは差し控えますけれども、しかし牛肉の輸入というものの、オレンジでもそうですけれども、特殊性というものがありますし、そして今日の還元というのが二つ、それは為替レートによる還元もありますが、同時に、それだけ安く売ったものという、売ったというそれだけのメリットの還元というものは当然あってしかるべきものと私は思います。でございますから、本来なら追跡調査をしてでもその答えを求めていくべきではないでしょうか。  ただし、私は農林大臣ではありませんし運輸大臣でもありませんから、これは農林省が中心なのかあるいは国際レストランなどの問題になりますと運輸省が中心なのかわかりませんけれども、私も運輸大臣をしましてそういうことを聞いたこともありましたが、いずれにしても、政治や行政は庶民から見てわかりやすくというのが一番いいのではないでしょうか。
  76. 小川国彦

    小川(国)委員 今大臣がおっしゃられましたように、三割安く売り渡された牛肉というものは庶民のところにやはり三割安く届く、行政当局が、農水も通産も運輸も含めて、ホテル枠もあるいはハムソー枠も追跡調査をして、そういうものがきちっと消費者に安く渡される、こういう確認がないと、割り当てをしっ放し、輸入をしっ放しという行政になってしまうのではないか。この点はひとつ通産大臣においても、所管は違いましても、農水大臣と十分御協議して御指導いただきたいと思います。  それから牛肉流通の問題では、現在輸入商社というのはたしか三十六社ですか決められております。この輸入商社がきょうも談合の問題で大きく取り上げられておりますが、先般、私は岡山県内連の肉の横流しに関して質問しました。昭和五十七年から六十一年にかけて二十三回にわたって岡山県に割り当てられた輸入牛肉が、岡山県の組合に全く配分されずに株式会社ゼンチクという輸入商社に転売されて、そこで約十三億円、転売利益だけで三億六千万円もの不当利益を上げている。このゼンチクはその後さまざまな問題を起こしているわけであります。  三年後に自由化の問題も控えているわけでございますが、この輸入商社の指定を自由化の段階ではどういうふうに取り扱われるおつもりなのか。通産でも農水でも結構ですが、御答弁いただきたいと思います。
  77. 太田道士

    ○太田説明員 当然三年後に私どもはIQ制度というものを廃止することを考えているわけでございまして、そのIQ制度が廃止になりますと指定商社という制度も当然なくなるというふうに理解しております。したがいまして、そういう食肉関係の商売については、一般的にいろいろな方がやりたいということになればそれに携わることができるということになるというふうに理解しております。
  78. 小川国彦

    小川(国)委員 通産省はこの点についてどういう御見解をお持ちですか。
  79. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 基本的には輸入自由化に向けて体制が漸次整備されていくことが必要であると思いますけれども、いずれにいたしましても農林省と協議をしながら対応していきたいと思います。
  80. 小川国彦

    小川(国)委員 警察庁と法務省に伺いたいのですが、岡山県におけるミートフェアの不正事件について、その後の捜査結果はどういうふうにたっていらっしゃるか、あわせて会計検査院もそれぞれの取り組み状況を御報告願いたいと思います。
  81. 垣見隆

    ○垣見説明員 御指摘の事象につきましては、本年二月に岡山県警察におきまして告訴を受理し、三月に岡山地方検察庁に送付したところでございます。
  82. 古川元晴

    古川説明員 御質問の事件の関係につきましては、突然のお尋ねでして、恐縮ですけれども、私どもは十分承知いたしてはおりませんけれども、ただいまの警察の方の御答弁によりますと、送検されているということであれば、それなりの適正な捜査はされているものというふうに確信いたしておるところでございます。
  83. 小川国彦

    小川(国)委員 厚生省が参っていると思いますが、病死肉の取り扱いについて、厚生省で、たしか私の記憶では、大手の商社も病死肉の取り扱いをしたという報道を受けておりますが、この事実についてちょっと簡潔に御答弁願いたいと思います。
  84. 難波江

    ○難波説明員 お答え申し上げます。  本事件は、警察当局において捜査が進められた事件でございまして、具体的な事例については、私ども事実関係については承知しておりません。
  85. 小川国彦

    小川(国)委員 農水省に伺いますが、たしか株式会社ゼンチクがこの病死肉を取り扱ったということが報道されたように記憶しておりますが、その点については御調査なさっているかどうか。
  86. 太田道士

    ○太田説明員 ただいま先生御指摘の、ゼンチクなりの名前が新聞で報道されたということは私ども了知しております。
  87. 小川国彦

    小川(国)委員 この問題については、ちょっと時間がございませんので次回に改めてただしたいと思いますが、きょうの朝日新聞の報道で、輸入冷凍牛肉で三十六の指定されている輸入商社が高値で畜産事業団へ売り渡して過剰利益で二十億を超すであろう、公正取引委員会の対応が注目される、こういうことが報道されているわけでございますが、こういう事実について公正取引委員会としては、こういう事情をどういうふうに受けとめ、対処するお考えがあるのかどうか。
  88. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の本日の朝日新聞の報道でございますけれども、私どもは、新聞報道も含めまして、独占禁止法違反の疑いがあるというようなことがございますと、それについて情報を集めまして、それでその情報の結果、これは独占禁止法に違反するんじゃないかということになりますと審査を行う、そしてその結果によりましては措置をするというような形で、厳正に対処してまいるという考えでございます。
  89. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、公取の対応は、こういう事実関係を皆さんが独自で調査なさるのか、あるいは申し立てによってなさるのか、その対応はどういうふうになさるわけでございますか。どういうケースが想像されるわけですか。
  90. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答えいたします。  私どもは、もちろんいろいろな関係の方が私どもに独自に言ってこられるというようなこともありますし、それから新聞、これは私どもの専門用語で恐縮でございますけれども、探知と申しますが、そういうように申しますが、そういうようなことで、私ども独自の立場で調査をしながら、違反事実があるかないかということを調べていく、両方の場合がございます。
  91. 小川国彦

    小川(国)委員 今回のこの三十六商社の談合の疑いについては、どういうふうなお取り組みをなさるというお考えになっておりますか。
  92. 植木邦之

    ○植木政府委員 先ほども申し上げましたように、新聞にこういうように出ておりますことを我々が放置するということもおかしな話でございますから、事実関係を情報を集めながら解明していきたいということでございます。
  93. 小川国彦

    小川(国)委員 質問を終わります。
  94. 野中英二

    野中委員長 新村勝雄君。
  95. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、最初に消費税に関連をして、価格の転嫁カルテルが容認をされるという問題についてお伺いをしたいわけでありますが、消費税の大きな問題点として、転嫁が非常に難しいという点が指摘をされておるわけであります。  これは帳簿方式あるいは簡易課税制度、こういったものからくる当然の問題発生でありますけれども、これを解決をするために、一方でカルテルを容認してこの転嫁を容認する、こういう措置がとられるようであります。この点について、全く矛盾をする二つの要素を一つのシステムに入れるわけでありまして、大変矛盾を感ずるわけであります。一方では転嫁が困難な仕組みをつくっておきながら、一方でカルテルの容認、独禁法を緩和する、こういう措置がありますね。こういう矛盾を含んだ政策について大変疑問を感ずるわけでありますが、これについてまず大臣のお考えを伺いたいと思います。
  96. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 ただいま消費税の転嫁の難しさにつきましてお尋ねがあったわけでございます。  消費税そのものにつきましてはこれから国会で御審議をいただくことでございますけれども、消費税に関しますいろいろな懸念の中の一つに転嫁がきちんと行えるかどうかということがあるのはそのとおりでございまして、この消費税の性格から申しまして、ただいま先生もおっしゃっておりましたように、税制改革法案の十一条の中にも消費税に関する基本的な考え方が書いてあるわけでございます。  一方、考え方を明らかにすればそれでうまく転嫁がいくかということになりますと、これはまた別な問題があるわけでございまして、特にマーケットにおきまして価格形成力が弱い中小企業等の場合に本当にうまくいくのかどうかという問題があるわけでございます。そういったことから何か一つの工夫が要るだろうということでございまして、消費税法案の附則の中で独禁法についての特例を設けているわけでございます。  御案内のように、中小企業に限りまして消費税の転嫁の方法の決定に関する共同行為、また一般的に表示の方法につきましては共同行為ができるというふうなことを、期限を定めました暫定的な立法措置ということでやっているところでございまして、この辺のところが消費税法案の中で、この転嫁につきまして一つの環境整備をするという考え方に立った適切な措置ではないかというふうに私どもとしては考えておるところでございまして、法案が成立の暁には、こういった仕組みも活用して中小企業の方々が適切に転嫁をしていただくことを期待しておるところでございます。
  97. 新村勝雄

    ○新村委員 独禁法については、この独禁法の存在が、消費者にとってあるいは消費者の利益を守っていくという役割を果たしてきたわけでありますし、その健全な運営が国民生活に極めて有効な作用をしてきたということは事実であります。  ところが、これに対して、この措置が容認されますとその部分については明らかに自由競争が排除をされるわけであります。したがって、そのことが資本主義の一番すぐれた点であると言われている公正な自由競争、そのことによって資本主義の発展あるいは活力が維持されるということが言われておるわけでありますけれども、そういう基本的な問題に対して真っ向からブレーキをかける、そういう政策だと思います。したがって、これは当然消費者に対する不利益が発生をしてきますし、自由主義経済というか資本主義経済そのものの本質を侵す重大な政策ではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  98. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 我が国の経済はこれからも自由な市場を中心として発展していくべきで、先生の御指摘のとおりでございまして、私どもも、二十一世紀に向かいまして日本の産業が生き生きとした体質を持ち続けることは大変重要であると考えておるところでございます。  ただいま、そういったことについて、今回独禁法の特例を設けることが非常に大きなマイナスになるのではないかという御懸念であろうかと思うわけでございますが、そういった点も実は考慮いたしましても、もともとこの税法導入に伴います一回限り発生する現象についての対応でございますので、独禁法の特例につきましても期限を定めているわけでございます。  また、消費者が負担する場合に、本来の税負担以上の負担がこの共同行為を認めることによってもしかかってくるということになりますと、これは大変問題になるわけでございまして、いわゆる共同行為を手がかりとする便乗値上げというふうなものがあってはならないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてもそういったことがないように厳正に対処してまいる所存でございます。
  99. 新村勝雄

    ○新村委員 そこで、便乗値上げが最初から懸念されるわけでありますけれども、便乗値上げが当然起こるであろうという心配があるわけでありますが、これを抑える、あるいは防止をする有効な手、有効な方策をどのようにお考えですか。
  100. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 これは私どもだけではなくて、公正取引委員会の方にも関係のあることでございますけれども、まず共同行為をいたします場合には公正取引委員会に届け出をすることになっておるわけでございます。したがいまして、そういう共同行為が具体的にどういうふうに行われているかということにつきましては状況を把握できる体制になっているわけでございます。  また、私ども通産省といたしましても、私どもの組織を活用いたしまして、どういうふうな共同行為が行われているかということにつきましては、いろいろな情報を入手いたしまして、万一便乗ということが起きているようなことがあります場合に、あるいはそういうおそれがあります場合には、十分にその情報に基づきまして適切な対応をしてまいりたい、こう思っております。
  101. 新村勝雄

    ○新村委員 企業あるいは営業者にとって競争というのは大変なことでありますけれども、競争をなくしてカルテルの結成をしていくということは企業にとっては麻薬であると言われております。したがって、たとえ時限立法にしてもこういったことを許すということになると、当然カルテル体質が残って後々まで累を及ぼすというふうなことが懸念をされるわけでありますけれども、そういう点ではどうですか。
  102. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 先ほども申し上げましたように、この独禁法の特例は期限つきのものでございまして、一度限りの、税法の改正にどういうふうに円滑に対応するかということを頭に置いて考えた制度でございます。したがいまして、その過程で新しい税制に習熟いたしますれば、もはやそれ以後特別にこういう手当ては要らないわけでございますけれども、ただいま先生御指摘のように、共同行為をやりまして期限も来まして、その後に万一にもそのカルテル行為まがいのものが残っているというふうなことがないように私どもとしても十分注意をしなければならないわけでございますし、先ほども申し上げましたように、実際に行われました共同行為というものは届け出によってどこでどういう行為が行われたかということがわかっているわけでございますので、そういったものについてのアフターケアは十分にしてまいりたいと思っております。
  103. 新村勝雄

    ○新村委員 これはそもそも中小企業の保護というか、中小企業を対象とするものであると思います。大企業については価格形成の力がありますし事情は別であります。中小企業の問題でありますが、三分の一は大企業の参加も許されるということでありますから、したがってそこからこのカルテルが大企業にも拡大をしていく、こういうおそれがなきにしもあらずということで、カルテルが予想以上に拡大をするという心配がないかどうか。
  104. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 中小企業の定義をいたしました場合に、ただいま先生仰せのように構成員の三分の一まで大企業が入っておりましても中小企業の団体と認めよう、あるいは中小企業者の申し合わせというふうに認めようという規定を準備いたしているわけでございますが、これは今回の独禁法の特例に関して格別の規定を置いたということではないのでございまして、一般的に中小企業関係の各種の法律の中で中小企業団体等についての定義を置いておりますけれども、その中に一般的に置いてある規定でございます。  そこで、むしろ、なぜ今までそういうことをしているかということでございますけれども、ある一つの業種をとらえてみた場合に非常に中小企業性が高くて中小企業だけしかない業種というのもあるわけでございますが、同じ業種の中に中小企業、大企業が混在しているケース等もあるわけでございまして、そういう場合には、むしろ中小企業の中に大企業も巻き込んだ形で一緒に話し合いをしていかないと十分に効果が上がらないということがあるわけでございます。  そういったことで、従来から中小企業政策の中ではこういう団体行政、共同行為等については同じような規定を置いているわけでございまして、この規定自身は、大企業に共同行為を許すという意味で範囲を拡大しているというよりは、中小企業が実効のある共同行為ができるようにするための規定であるというふうに私どもは了解しているところでございます。したがいまして、今回のこの規定につきましても、この規定を手がかりにして大企業に共同行為がどんどん広がっていくというふうには決して考えておりません。
  105. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣にお伺いしますけれども、消費税という新しい税制を導入するために、公正を確保するシステムなり政策にブレーキをかけるような、真っ向から逆の影響を与えるようなそういう現象が生ずるということ、これは政策的に大変まずい話だと思うのですけれども、そういう例は今まで日本にもなかったと思いますし、外国にはそういう例がございますか。今まで政府がとっておった公正を確保するための政策に真っ向から矛盾するような政策をこれからとろうとするという、例えば税制についてもそういう例がございますか。
  106. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 ちょっと御質問の趣旨を私が取り違えておったら申しわけございませんけれども、先ほど申し上げましたように、私どもは日本の産業が十分自由主義経済秩序のもとで生き生きと活力を持って発展していかなければならないと考えておるわけでございまして、今回のこういう独禁法の特例というものがそういった基本的な体質に影響を及ぼすというふうには全く考えていないわけでございます。と申しますのは、先ほども申しましたように、範囲が非常に限定され、かつ、時間が限られておりまして、なお、仮にも便乗的なことがあった場合には、これについては十分の手当てをしようと考えているからでございます。
  107. 新村勝雄

    ○新村委員 時間と範囲が限られているとは言いながら、そのことが予想以上に影響が拡大し、あるいは後にそういう累を及ぼすようなことがないかどうかということでありますけれども、大臣はいかがですか。
  108. 田村元

    ○田村国務大臣 あくまでも中小企業等がこういう問題で不利にならないようにということの配慮でございますから、これはまあやらなければしようがありませんけれども、しかし、だからといって、先ほどおっしゃったように、これが惰性となって定着していくようなことがあってはいけない。でございますから、我々は今後の運用に十分の、細心の注意を払っていく必要があろうかと思います。
  109. 新村勝雄

    ○新村委員 これが実施をされるということになりますと、公正取引委員会の所管でしょうから、相当な事務量の増加にもなるでありましょうし、件数についても大変な件数を処理をするということになると思いますけれども、その予想される件数あるいは事務量、それに必要な機構の問題等についてはどういう予想を持っておられますか。
  110. 高橋祥次

    高橋説明員 お答えいたします。  先ほどの消費税法の附則に伴います公正取引委員会の届け出がどの程度出てくるかについては、まだ私どもも予想はしていないわけでありますが、私どもに与えられた人員あるいは予算等その範囲において十分に効率的に対処してまいりたい、かように考えております。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 このカルテルは各分野ごとに、その地域ごとに、あるいは業者ごとにやるわけでありましょうから、どの程度の届け出があるのかあるいは事務量があるのか、これが今わからないということはないと思いますけれども。
  112. 高橋祥次

    高橋説明員 こういった消費税の転嫁についての届け出というのは私どもも初めての経験でありますので、どの程度の事業量が出てくるかということについては、今存在いたします中小企業団体等の実態等からある程度いろいろ調査をしてみたいというように思っておりますが、今の中小企業団体のほかにも事業者団体が任意でできるというようなこともありますし、そういったことを勘案して十分に対応してまいりたいと思っております。  ただ、私どもにも地方事務所等々ありますので、そういった地方事務所の人員、組織等も活用しながら効果的、有効に対処してまいりたい、このように考えております。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、金利政策の問題でありますけれども、数カ月前には円安が若干進んで、日銀としては金利をこの際高目に誘導すべきである、こういうふうに金利政策が若干そこで変わったということが報道されておりました。大蔵もそういう考えで臨むというようなことが言われておったわけでありますけれども、その後西ドイツで金利の引き上げがあった、それからまたヨーロッパ諸国でもそれに追随する動きが今出ておるということでありますけれども、そういう各国の金利政策あるいは金融情勢をどのように認識されておりますか。――それでは運輸省にお伺いをいたします。交通政策の問題として、実は東京の東側が放射線も大変少ないし、鉄道網が大変に疎であるということで、かねてから問題になっていたわけでありますけれども、運輸政策審議会で第二常磐線の建設が答申をされたわけです。ところが、その後この問題についての対応が大変おくれておりまして、我々残念に思っておったわけでありますけれども、最近になりまして第二常磐線を至急にというか二年以内ですかに建設の正式決定をするという報道がなされておりますが、この第二常磐線建設の方針等について伺いたいと思います。
  114. 大森寿明

    ○大森説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の常磐新線につきましては、一都三県にまたがる路線でもありまして、多額の建設資金、それから長期間の工期等を要することから、その整備に当たっては、資金調達の方法あるいは具体的な整備方策、さらには開発利益の還元等といったようなさまざまな課題を解決する必要があると考えておるわけであります。このため、現在、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県の一都三県、それからJR東日本、それから運輸省から成ります常磐新線整備検討委員会というものを設けておりまして、これらの問題について鋭意検討を進めているところであります。  運輸省といたしましては、そこでの検討結果等を踏まえまして、同線の整備を図っていきたいと考えているところであります。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 建設の基本的な方針が決まったという報道でありますけれども、その点はいかがですか。
  116. 大森寿明

    ○大森説明員 ただいま申し上げましたように、整備検討委員会の場で現在鋭意検討を続けているところでございまして、まだ最終的な方針が決まったという段階には至っておりません。
  117. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、いつごろ正式にこの路線が決まるのか。あるいは路線が実際に図上に落とされて正式な路線が決まる、こういう時期はまだいつだかわからないわけですか。
  118. 大森寿明

    ○大森説明員 整備方策等につきまして、申し上げましたように、現在整備検討委員会の場で検討いたしておりまして、そこでの検討結果等を踏まえまして、鉄道事業法等の必要な諸手続を経まして最終的なルート等が決定されるということになっておるわけでございます。
  119. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、その決定の時期は今のところまだわからないということですか。
  120. 大森寿明

    ○大森説明員 ただいま検討中であるということでございます。
  121. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、第二常磐の重要性、それからまたその経済的な効果等についてはどのように認識をされておりますか。
  122. 大森寿明

    ○大森説明員 先ほど先生御指摘の六十年七月の運政審答申にも盛り込まれておりますように、非常に重要な路線であるというふうに考えて対処してまいりたいということでございます。
  123. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題については運輸大臣もその重要性を認識されておりまして、その実施については必要によったら特別法をつくってもやりたい、こういう答弁も前にいただいておるわけでありますが、それにはやはり沿線の開発と一体と考えて宅地開発等も一体の事業としてやりたい、こういう答弁もあったわけでありますが、そういう点についてのもう少し具体的なお考えを伺いたいと思います。
  124. 大森寿明

    ○大森説明員 お答えいたします。  御指摘のように沿線開発と一体的に進めるということが必要だというふうに認識は持っておりまして、その具体的な措置といたしましては、宅地開発と鉄道整備とを整合性を確保して進める、そういった仕組み、それから円滑な用地取得のための手段、開発利益の還元といったようなことを図るための方策等が必要となるわけでございまして、これらの具体的内容については現在運輸省と建設省を中心としまして検討を続けているということでございます。立法措置も含めて検討しておるということでございます。
  125. 新村勝雄

    ○新村委員 それに伴って、工事についても、大部分については市街地を通ることになるわけでしょうから、いわゆる大深度の、非常に深い深度の地下鉄にする、こういうことも言われておるわけでありますが、このいわゆる大深度開発についてはどういう検討がされておりますか。
  126. 茅野泰幸

    ○茅野説明員 お答えいたします。  大都市圏における鉄道整備を推進するため、大深度地下鉄道の整備に関する調査研究委員会を設けまして諸問題の検討をお願いしてまいりましたが、本年三月にこの委員会から報告をいただきました。この報告によりますと、法制的に見まして土地所有権の及ぶ範囲は法令によって制限できることとなっておりますので、法律を定めまして、土地所有者が通常利用しない極めて深い地下空間の利用権を公企業特権の一種として鉄道事業者に付与することは立法論として十分に考えられる、こういった積極的な結論をいただいたところではございます。  運輸省といたしましては、この結論を踏まえ、立法化に向けての検討を現在行っているところでございまして、大都市圏における鉄道整備の緊急性にかんがみまして、次期通常国会に本法案を提出できますように準備を進めてまいることとしているところでございます。
  127. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、東京の東側が鉄道が非常に少ないということを先ほど言ったわけでありますが、これが第二常磐ができますとそこに大きな一本の幹線ができるわけであります。その幹線に関連をして、たくさんの私鉄があるわけでありますが、仮に第二常磐ができた場合に私鉄との関連をどうするのか。私鉄と相互乗り入れをすることを地元では大変期待をしておるわけでありますが、そういったことについて、沿線の私鉄との相互乗り入れの技術的な可能性なりあるいはそういう構想を現在既に持っておられるかどうか、その点はいかがですか。
  128. 大森寿明

    ○大森説明員 お答えいたします。  ただいま、いわゆる常磐新線についてどうやって整備を進めていくかということについて検討をしている段階でございまして、そのめどがついたといいましょうか、ある程度の形ができてくれば、沿線というか、クロスする鉄道等をどういうふうにつなぐのかといった議論になっていくのかなというふうに考えておるところでございます。
  129. 新村勝雄

    ○新村委員 そういう問題について関連の私鉄との話し合いなりあるいは申し入れなり、そういうことはまだされておりませんか。
  130. 大森寿明

    ○大森説明員 ただいま申し上げましたように、現在常磐新線そのものをどうやってつくるのかということに全力を挙げて検討している段階でございまして、でき上がった後どういう形にするのかということについてはまだ検討の段階に至っていないということでございます。
  131. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、ほとんどまだ実現についての具体的なものは何もない、すべて検討中だということなんですか。それならば、これからどういうふうにそれを進めていくのか、もう少し、できるだけ具体的にその見通し等について伺いたい。
  132. 大森寿明

    ○大森説明員 現在、先ほど申しましたように常磐新線整備検討委員会の議論と並行的に国としてもいろいろな調査を進めなければいけないということで、来年度予算で一千万円の調査費を概算要求に盛り込むことにしておるところでございます。
  133. 新村勝雄

    ○新村委員 一千万の調査費、そうしますと、その調査はどこが主体になって調査をするのか、どういう形でそれを進められるわけですか。
  134. 大森寿明

    ○大森説明員 運輸省がいろいろな行政判断をするための資料を準備するということで、運輸省が主体となって検討をする調査費でございます。
  135. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題については長い間地元の強い要望があるわけでありまして、推進についても重ねて当局にお願いをしておるわけでありますから、この調査費の計上を機会にして、ぜひ具体的に強力に進めていただくように特にお願いをしたいと思います。  それから、委員長、関連質問がありますので、これを時間の範囲内でお願いします。
  136. 野中英二

    野中委員長 この際、川俣健二郎君から関連質問の申し出があります。新村君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。川俣健二郎君。
  137. 川俣健二郎

    ○川俣委員 とっさの質問で申しわけありませんが、委員長理事の皆さん方の御了解をいただいて、今の新村委員と後の渡部委員の三分ぐらいずつもらって、ちょっと質問さしてもらいたいのであります。  というのは、大臣もお聞きになっておりますので、我々政治家として耳に入る言葉の一つに、どうも物価は安くならない、というのは、円高の差益はどこへ行ったんだろうというのが予算委員会からずっと言われておりました。きょうはまた決算委員会で、自民党さんの円高差益還元の問題やら、牛肉の問題やらが我が党の問題等で出ておりますので、ちょっとだげお願いを含めた質問をしたいと思います。やはりちまたの声にこたえるというか、何とか円高を庶民に少しでも返していただきたい、こういう気持ちであえて質問に立ったわけでございます。  そこで、物価局長お見えになっておりますので、果たして円高差益が還元されておるということを数字で示すとどういうことになるでしょうか。
  138. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 円高差益でございますが、六十一年以来ずっと円高が続きまして、昨年十二月までの段階の数字でありますが、差益の総額といたしましては約三十兆円というふうに一応推計をいたしております。ただ、これは国内物価、特に消費者物価がその円高が始まります以前の約二%の上昇率で推移をすればという前提がございますので、個別に積み上げたものではございません。それでやはり、昨年十二月までの段階でそういう前提で消費者物価にどれだけ還元されているかということを計算いたしますと、約七〇%が還元されている、こういう数字になっております。
  139. 川俣健二郎

    ○川俣委員 今局長説明されたのを私も持っております。「円高差益の還元状況等について(試算)六十三年一月二十九日」。六十二年十月から十二月の三カ月間にわたる平均は、還元率が六九・六%。確かに油などは我々も感じます。砂糖、塩それからウイスキー等はうんと感じます。ところが、たまにいただきたいという牛肉がなかなか感じ取れない。アンケートも確かに牛肉に非常に集中しておる。何でこんなに安くならないのだろうか。さっきから農林省からも話が出ておりましたが、こんなにあるのに輸入牛肉が何で下がらないのだろうかということをよく言われます。  そこで、六九・六%というのはこれは勘ではじいたものじゃなくて、一つ一つ積み重ねたものの総合の計算だと思うが、牛肉はどのぐらいを考えればいいのでしょうか。
  140. 太田道士

    ○太田説明員 牛肉につきましては、円高差益還元といたしまして過去五回にわたって約三〇%、事業団の売り渡し価格を引き下げておるということでございます。この間に為替の変動が約三七%ございまして原産地価格が約一五%程度上がっておりますので、私どもといたしましては、その原産地価格が上がった分を為替で下がった分から引きますと約二二%でございますので、その分から見ますと相当円高差益還元は進んでおるというふうに理解しております。
  141. 川俣健二郎

    ○川俣委員 農林省の数字は予算委員会でよくわかっておるが、物価局長、六九・六%というのはいろんな物価の構成でできた数字でしょう。だから、そのうちの牛肉はどのくらいあるのだろうか。
  142. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、私どもが計算しております円高差益並びにその還元率と申しますのは、輸入段階の輸入物価の変化、それから国内の消費者物価全体の変化の差としてとっておりますものですから、個別価格の引き下げの積み上げではございません。そういう計算を私どもはいたしておりません。したがいまして、せっかくのお尋ねでございますが、そのうちの牛肉分がどれだけかという計算はちょっと私どもといたしましてはお答えいたしかねます。
  143. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それは予算委員会でも出ましたが、個別にいたしておりません。――いたせばいいじゃないですか。個別にいたさなきゃ庶民の感覚にこたえることはできない。牛肉が果たして一体どれくらい還元されているかというのが庶民の声なんです。だから、そんなものはいたしておりませんということだけじゃ、局長だめなんです。したがって、きょうは時間がない、いや、別に時間がたっぷりある、ないということではなく、これは予算委員会の仕事だと思うが、農林、物価、通産、総合的に検討しなければならないと思います。  そこで、時間がありませんから私の方から問題だけ投げかけておきますが、コピーをとる暇もたい、朝日の朝刊ですけれども、「輸入冷凍牛肉で談合の疑い 三十六商社が入札調整 高値で畜産事業団へ売り渡し」「事業団は、六十二年度で見ると、十回の入札でそれぞれ八千五百トン―一万五千トン、計約十二万トンを買い入れた。入札は一キロ当たりの単価で行われており、商社にとっては入札価格が一円上がっただけで、一億二千万円のもうけになる。」したがって、私もずっと追跡調査しているわけじゃありませんので、もしあれならこの見出しは訂正してくださいよ、「過剰利益年に二十億円超す」であろう、こういうことで皆さんもお目にとまったと思います。それから、産地で非常に情報を入手してくるものですから、それは当然商社活動の一環だと思います。しかし、この新聞記事を見ると、入札している商社マンと一緒になって追跡しておるのですね。だから、高値牛肉を支えておるというのは競争入札じゃなくて「儀式」と書いてあるのですよ。儀式というのは言い過ぎかもしらぬが、これを読むとさすがに儀式のように思われる。三十六社で高値で談合されたんじゃもうどうにもならない。やはりこの辺が、ちまたの声のなぜ安くならないのだろうか、こういうところにつながるのではないだろうかと思っておるわけでございます。  したがって、この辺はやはり、公取の方も来てもらっておりますが、何かこれに対する意見はございませんか。この新聞に対してどうですか。
  144. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答えいたします。  本日の新聞を私も見ておりますが、こういうようなカルテルがあるというような手がかりといいますか端緒といいますか、そういうことがありますと、私どもは実態を調べて、そして独占禁止法に違反するというようなことがある場合にはそれに対する排除の措置をとっていくということになろうかと思います。  ただ、ちょっとお言葉を返すようで申しわけございませんけれども、私どもは、各業者が共同して、連絡し合ってそれで輸入数量なり値段なりを決めていくということを独占禁止法で問題にするわけでございまして、差益というような面については私どもの所掌の外でございますので、お許しいただきたいと思います。
  145. 川俣健二郎

    ○川俣委員 商社の益はこれは商社の努力なんでございますからこれはいろいろと論議があるだろうと思いますが、問題は、三カ所の記事をつなぎ合わせると、談合しているという疑いを私はずっと一貫して持った。したがって、今部長が一遍調査してみる必要があるということをおっしゃるので私はこれでいいと思いますが、月に一回か二回、三カ月に二回か、そういう入札だろうから、やはりそれは調査するという姿勢を示さないとカルテルとして本当に違反しているかどうかというのはわからぬと思うのですが、その点はいかがですか。一遍やってみたいというのですけれども、どうですか。
  146. 植木邦之

    ○植木政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもはこういう独占禁止法違反があるんじゃないかというような手がかりがございますと、これは当然ながら調査いたすわけでございます。
  147. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで、この問題は単なる新聞記事だということで通すわけですか。
  148. 植木邦之

    ○植木政府委員 推測記事かどうかは、これは新聞社が書かれたことでございますからとやかく申し上げませんけれども、私どもは、こういうことがありましたら、それが実態的にどういうものであろうかということをそれを手がかりにして調べるわけでございます。ですから、そういうことも含めて調べていきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  149. 川俣健二郎

    ○川俣委員 わかりました。そういう姿勢であればいいですけれども、私の方もいろいろ資料を持っていますから、いつか時間をたっぷりいただいた委員会、物特かあるいは予算などでお伺いしたいと思いますので、ぜひそういう姿勢を持っていただきたいと思います。  それで、最後に大臣に一言だけ。  この三十六社の商社というものを指定するのは通産省ですね。通産省は商社を指定認可しただけであとはもう畜産事業団に任せっきり。そうでしょう。やはりそれじゃいかぬと思うな。時々チェック機能を持たなければだめなんじゃないでしょうか。その辺はどうですか。
  150. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 ただいま先生のお話にありました輸入牛肉の大宗を占めております畜産振興事業団の部分につきましては、畜産振興事業団から発注を受けました輸入商社に対して輸入割り当てを与えているというのが現状でございます。その後の国内流通の問題につきましては、私どもの所掌ではなくて農林水産省の所掌になっているということでございます。
  151. 川俣健二郎

    ○川俣委員 まだまだ聞きたいのですけれども、通産大臣の御所見も聞きたいのですが、この問題について何か一言ありませんか、それで終わりますから。
  152. 田村元

    ○田村国務大臣 朝日新聞の記事につきましては私もけさ読んだばかりでありまして、非常に関心は持ちましたけれども、率直に言いまして、総合商社というのは通産省の所管部門が非常に大きゅうございますが、あの記事を読んだ範囲内では、公取の方が御調査されるものならばされる、公取が恐らく非常に客観的にあれを判断するでしょうからしばらくそれを見なければならぬかな、もし仮にああいうことが事実であったとすれば、通産省の直接の関係であろうとなかろうと通産省の所管の企業でありますから、これはある程度厳しく御注告も申し上げなければならぬかな、そういう感じで新聞を読みました。
  153. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ありがとうございました。  終わります。
  154. 野中英二

    野中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  155. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡部行雄君。
  156. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最初に経済企画庁長官にお伺いいたしますが、この年次経済報告の中にありますように、国際経済のバランスを図るということは大変重要なことでございますが、今アンバランスになっておる問題点についてどういう認識をされておるか、またそういう問題に今後どう対処されるのか、その辺に関することについてお伺いいたします。
  157. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 まず冒頭に、渡部先生には大変に御勉強賜りまして、この経済白書をお読みいただきましたことを感謝申し上げたいと思う次第でございます。  現状、そういう原因、特にバランスの問題についての御質問かと思いますので、概略ながら、所感を交えたから申し上げてみたいと思います。  現在の世界経済の不均衡には、先進諸国間の対外不均衡と累積債務問題を中心にしたところの途上国の対外不均衡、この二つに分けられて考えられるのではないか、このように認識を持つものでございます。  このうちの二国間の不均衡の点から先に触れてみたいと思うのでございますが、最大のものは日米間の対外不均衡、特にレーガノミックスと申しましょうか、日米間の対外不均衡の問題でございまして、八〇年代に入って急速に加速度的にアクセルが踏まれた、こういう感じがするわけでございます。  その要因としましては、まず第一に、八〇年代そのもののアメリカでは財政赤字の拡大が見られるのに対しまして、我が国では財政収支の改善努力がなされたという点。第二点は、景気のずれ違いが生じたという点。特に第三点におきましては、日米間の経済構造の差というものが反映されておるという問題点。第四をあえて言うならば、以上を背景にして八〇年代前半著しいドル高が進行しだということが挙げられるのではないか。このように考えられるわけでございます。  なお、八五年九月のG5、すなわちプラザ合意以降の円高・ドル安の進行、あるいはまた八七年二月のルーブル合意と言われているG7での各国の緊密な経済政策協調につきましての合意を経まして、現在、日米間の貿易不均衡は、あえて申し上げますならば、緩やかながらもやや縮小傾向にあると申せるのではないか、このように判断するものでございます。  それへの対応策につきましては、特にバランスのとれた対応策と申しましょうか、まず第一には、以上のような貿易不均衡問題の対応に当たりまして、我が国としては、自由貿易体制を維持しながら世界的に開かれた日本市場を形成していく、これが極めて肝心なことではなかろうか。我が国経済を内需主導型に転換していくことが基本的な方針でなければなるまい、このように感ずるものでございます。  また、第二点といたしましては、我が国としましては、これまでの緊急経済対策、経済構造調整推進要綱あるいはまた俗に言うアクションプログラムなどによりまして内需拡大あるいは経済構造調整あるいは市場アクセスというようなものの改善に全力を挙げて現在取り組んでいるところであることも申し添えたいと思うのでございます。  多少抽象的ではございますが、第三点を申し上げさせていただきますれば、今後とも我が国の国際的任務あるいは責任を果たすためには、これら各般の施策を推進するとともに、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めてまいりたい、このような決意を持つものでございます。  以上でございます。
  158. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 今、大臣から国際的な一つの問題点が指摘されました。確かに、例えばメキシコ、ブラジル、アルゼンチン、その他大きな債務国――アメリカも最近債務国になりましたが、債権国と債務国の問題点、今後これをどうして直していったらいいのだろうかということもあるわけです。さらに貿易の摩擦はいまだに解消されておりません。  そういう中で、アメリカは貿易の自由化と言いながら実態は保護色を強めておるわけでございます。日本は自由貿易というものを声を大にして言っておりますが、今日までの国際経済を見てまいりますと、歴史的に、その国の経済が膨張していくときにはみんな自由貿易という旗印のもとでやってくるわけですが、一たん拡大基調が揺らいで落ち込んでくると保護貿易ということにならざるを得ない。このような点をどういうふうに見ておられるのか。保護と自由との関係を本当に国際的に解消していくにはどうしたらいいのか、こういう点についてお伺いいたします。
  159. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 これは先生御指摘のとおりでございまして、ある意味においては、その国がその国のシチュエーション、立場に応じて時に保護的になり、時に自由貿易的な体制をとる、こういう形は間々見られるわけでございます。なかんずく、今までの日本とアメリカとの経済貿易あるいはまた経済構造を考えてみますと、特に現在と比べてみると格段の差で、日本の一方的な貿易ラッシュといいますか輸出ラッシュと申しますか、そういう傾向が見られたことは現実の事実でございます。しかるがゆえに、今から十数年前、たしか私の記憶が正しければ、わずか八十億ドルの貿易インバランスであったものが、今や日米間のインバランスだけでも五百数十億ドルになんなんとするものになってきた。これ以上はとても助かり得ないということをアメリカも意識をし、同時にまた、それがアメリカの議会をしてある程度刺激をせしめて保護主義的なものに走らせているということも厳粛なる事実であることも率直に認めなければなりませんし、同時にまた、日本はかつてはある意味における官業機構や、経済の構造、機構の中において相当に対外関係においては保護された形の中で今日の発展というものが見られたということも、これまた間違いない事実であろうと思います。それがある意味においては、先ほど私が申し上げましたように、多少食い違いといいますか、歯車が違ってきたような状況が見られまして、日本は非常に大きくプロスパリティーを持って栄えてきた。アメリカの方はどちらかというと、貿易を含めまして財源赤字というものが双子の赤字に提示されるように大きな問題を提示してきた。これが多少、アメリカなりとも、経済的な専門的な立場で言うならば、財政赤字、貿易赤字がこれだけ赤字をきわめて、二つを総合すると三千二百億ドル以上になってしまう、これはもう国の存立の、レーゾンデートルの問題であるというような立場も考えられたでありましょう。  そういうような意味において、これをどのような形でお互いに均衡を保っていく方向にするかということが今からの課題であり、そのためには、日本の国としては、先ほども私が申し上げましたような、世界的な一つの流れではございますが、内需を思い切って大いに伸ばすことも結構ですが、外需というものをむしろマイナスの寄与度に持っていって、そして内需の振興を図っていってお互いに世界のバランスに寄与していくということ以外にはなかろうか、このように考え、なおかつその方向に、向こう五カ年計画である新経済計画「世界とともに生きる日本」にも反映させたというのが実情であることも申し添えたいと思う次第でございます。
  160. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 このアンバランスを内需拡大で何とか処理したいという趣旨のお答えでしたが、私は、この国際経済の一番の矛盾というか問題点は、一つには通貨制度にあると思うのです。それからもう一つは貿易の体制、貿易制度といいますか、その国々の違い、そういうものが一つには影響しているのではないか。それから第三番目は先ほど言った南北問題。こういう三つの問題がそれぞれ貿易に対するその国々の事情によって考え方が異なっている。  そこで、日本は貿易振興よりも内需拡大でいくのが正しいのかどうかという問題になるわけですが、私は必ずしも貿易振興をやめる必要はないと思うのです。日本はやはり資源のない国であって、外国から原材料を持ってきて、そこに付加価値を加えて、そしてこれをまた外国に売り出して日本の繁栄を図っているわけですから、そういう意味では貿易というのはやはり依然として重要であり、貿易を振興させるにはどこの国、どこの国民から見ても魅力ある商品をつくるということが一番大事だと思うのです。  そういう意味で、それでは日本が貿易に強くなって黒字になった分はどうするか。それはやはりもっと日本の国民に還元する。そして、なおかつ問題のある点は、発展途上国といいますかそういうところに援助をしていく。この援助も、金さえ与えればいいというものではなくて、やはり本当にそこの国民が日本によって助けられたとありがたがるようなきめ細かい援助を考える必要があるだろう、こういうふうに考えると、今のこの通貨変動というものを考えると、またいろいろと疑問点も出てくるわけです。  というのは、通貨というものを一つのゲームの道具にしておる。こういう制度がある限り、これは非常に予測しがたい面が出てくるのは当然で、例えば日本の企業がきょう、あす、そんなに変わっていないのに円が高くなったり安くなったり変動する、株価も一日一日、一刻一刻変動していく、これはなぜだろうか。そんなに企業実績や何かが変わってはいないわけですよ。それなのにそういう変動が起こるというのは、通貨というものを通していわゆるマネーゲームというのがもはや国際化しておる、あるいはそういうものが一つの専門家の手にゆだねられて、そしてその被害を一般庶民が受けている、こういう体制があるからではないでしょうか。その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  161. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 御趣旨のほどは、カレンシーといいましょうか、通貨問題における多少そういう考え方が、日本の現在の、先生の御指摘によりますと余り変化のない貿易体制であるにもかかわらず、あるいはまた経済の構造であるにもかかわらずこれだけの変動が生まれてきておるというのは、マネーゲーム、通貨ゲームじゃないのか、こういう御指摘のようにお聞きしたわけでございますが、私は、それだけではなく、やはり世界の経済を大まかに見てみましても、日本の経済は、四十三年前の疲弊し切った、あのバラック小屋あるいはまた復員軍人がうちを建て直すのに精いっぱいであったというような素朴な建て直しのときから今日までの発展を考えてみますると、まさに先生御指摘のとおり、言うなれば日本の国は資源がないのでございますから、そういう資源の輸入をし、それを再加工し、それを輸出して買ってもらう、それが日本の経済の原点であり発展の原点であった、こういうのはもう確かに御指摘のとおりであろうと思うのでございます。それだけに、その行動をあるいは行為を変える必要はないのではないか、これも確実でございましょう。  ただ、世界の全体の動きから見てみますると、そういうことによって日本だけが、どこの国との貿易をとらえてみても大体貿易インバランスは日本の方が黒字基調である、そして対外的に見ますると、その相手国の方がほとんど日本の商品を買いまくっておるという傾向がこれだけ顕著に世界的にあらわれてきますると、どうしても日本が世界の中におけるバランスを崩していく、外国から見ると、何か一種の黒い竜巻が太平洋の一角にぐっと出てきておる、それがアジアNIESの以前に日本の底力だというように世界は見て当たり前であろう、私は客観的に見るとそう感ずるのでございます。  したがいまして、それだけでは世界の均衡バランスにはなり得ませんので、これは、田村通産大臣あるいは宮澤大蔵大臣ともども私もOECDに出ますると、そこで指摘を受けましたことは、日本は何としてでも日本の製品は日本の中で需給し、そしてまた外需というものをマイナスの寄与度に持っていってもらいたいということが私どもの願望であったものが、少なくとも今年度からその方向に展開してもらったということは感謝すべきだ、こう言われた大きな原因になるわけでございまして、世界協調を考えますると、やはり先ほども言いましたような単なるカレンシーの変動だけでなくして、日本が今まで売り手市場であったものが今度はやや買い手市場に回り、そしてまた日本の内需を拡大し、外国に対するラッシュ的な輸出というものをマイナスの寄与度に持っていくといいましょうか、そういう方向が日本の生きるべき道の一つの示唆ではなかろうか、このように私は感じてならないのでございますが、そのようにお答えさせていただきたい、こう思っております。
  162. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この貿易に対する考え方ですが、貿易インバランスというのはそれほどたまげる必要はない、これは自然現象であって、決して人為的につくられたものじゃない、ただ国際収支のバランスを欠くことが大きな問題じゃないか、したがって、貿易で黒字になった分をその他の課題で処理して国際収支という面でバランスをとっていくことがいいのではないか、そんなふうに考えられるわけです。ただ、貿易の場合は直そうと思えば簡単だと思うのですよ。いわゆる外国に売ることをやめて、そして外国からどんどん買えばこれはもうすぐにでも直るわけです。だから、そういう問題をただ人為的に調整するだけでは本当の意味での国際経済の解決にならないと私は思う。国際経済というのはやはりもっと根本的に、物が自由に地球上を流れるし、そして金も地球上を流れていく。この自由に対してそれを束縛しているのは何か。それは国境なのですよね。だから、今やもう国境は要らないくらいの経済の進展が見られるわけなのです。そういうものに人間の思想が合ってない。合ってないから、共産主義のように全部共産化しなければ世界は一つにならないという思想が出てくるのであって、むしろ今は情報化社会の進展によってさらに現実的に世界は統一されなければならない、そういう条件がだんだん生まれつつあると私は思うのです。この世界の流れについて日本がどういうイニシアチブをとるかというのが大きな問題じゃたなろうか、こんなふうに考えるのですが、時間がありませんので本当に私は残念なのですが、こういう基本的な問題をもっともっと掘り下げたいと思うのです。この点が一つ。  それから、産業発展の起動力の追求ということがうたわれております。この起動力の追求にいわゆる内需拡大、これを考えておられるようですが、しかし今、一方では産業の空洞化あるいは雇用情勢の悪化というようなことも出ておるし、それから外国人の雇用問題等も絡み合ってきておる、こういう情勢の中で、この起動力の推進というのをもっと具体的に考えた場合はどういうふうになるのでしょうか。
  163. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 先ほどの先生のお話は、大変に深く洞察していくべきだたという、考え方は同感でございます。そういう意味において私も幾ばくかいろいろ意見を述べたいと思うのでございますが、直接的な先生の見解と御質問が今ございましたから、そちらの方に移動させていただきたい、こう思います。  まず、白書の中に、円高下における民間企業が新しい発展の源泉を追求したことが日本経済の力強い発展の起動力となった。これは非常に何か抽象的でわかりにくい点のような言葉にも感ずるわけでございますが、これは意味するところ、今回の急速な景気上昇の要因といたしまして、円高あるいは原油価格の原油安と申しましょうかこのメリット、あるいは六兆円規模になんなんとする緊急経済対策の効果というものに加えまして、円高といった環境変化に対する民間企業の積極的な対応などが挙げられるのではなかろうか、このように感ずるわけでございます。  中でも、円高のもとにおきまして民間企業が今後の発展を可能にするために各般の内需開拓努力を尽くしたことが大きな要因になっておると考えておる次第でございます。具体的には、国内販売努力を強めるということが一つ。そしてまた同時に、多角化、新規の事業分野への進出や新製品開発などを積極的に行うという点などを二つ目として挙げさせていただいて指摘ができるのではなかろうか、こう思うわけでございます。その結果が、六十二年度というものにおきましては実を結びまして、内需主導の力強い成長の実現に大きく寄与したのではなかろうか、このように考えるものでございます。
  164. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 まだまだたくさんあるのですが、大体このくらいにして。ただ、内需拡大の中で特に私が強調したいのは、今の農業者についてでございます。  農業所得は年々減ってきて、今大変な事態に来ておるわけです。それで、何とか総合所得で支えているのは農外所得があるからでございまして、これでは農民は内需拡大の恩恵をなかなか受けられない、そして日本のいわゆる資産形成の一つの枠からはみ出させられてしまう、こういう点を今後十分考慮して政策検討をしていただきたいと思います。ここで一言お願いします。
  165. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 まさに先生御高承のとおり、経済の大きな発展、国民所得で言うならば、円高を換算に入れましても世界一位になり、スイスを超したと言われておる日本の経済構造の中において、農業はあらゆる分野で多少問題を残しておる。あらゆる分野といいますのは、一つは対外的にもこのような圧力を受けておる、同時にまた、対内的においても全く恵まれない立場に置かれておるということは、私も長い間農林をやらしていただいておりまして切に切に先生同様に感ずるわけでございます。それだけに私どもといたしましては、この点でも鋭意努力を払いまして、今多少たりとも問題点になっております農業の個別的な品目の問題あるいはまた総合的なグローバルな農業構造というものを日本の経済の中においてどういう形で位置づけるかということも基本的に大事な問題でございますから、私どももその点は鋭意努力を払ってきめ細かい政策に反映をさせたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  166. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次に、通産省の関係をお伺いいたします。  まず、最近相次ぐ原発トラブルというものが報道されておりますし、またアメリカ等でもそういうことが非常に重視されてきておるわけです。この原発トラブルというのは、大体経年劣化が進んでいる、こういう原因を指摘する学者もおるわけですが、この経年劣化というのは、原発を始めてから相当年数を経ておるのでございまして、そこで、この経年劣化に対する対策としては、もっと点検の回数を多くする必要があるのではないか、こういうことが言われておるのですが、その点はいかがでしょうか。
  167. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 最初に、最近の原子力発電所のトラブルの動向についてお尋ねがあったわけでございます。本年度に入りまして今日までの我が国の原子力発電所におきまして発生しました故障、トラブルの件数でございますが、法律に基づく報告対象八件、法律に基づかない軽微なもので、大臣通達によりまして特に報告対象とされているもの十三件、合計二十一件でございます。昨年の四月から昨年の八月末までの件数が、ただいま申し上げました分類に応じますと八件と十件、合計十八件でございますので、特に増加はないというふうに考えておる次第でございます。  ただ、従来は、法律に基づく報告対象につきましては、通商産業省からその都度一般に公表しておったわけでございますが、後の方で申し上げました法律に基づかない軽微なものにつきましては、一年ごとにまとめて公表しておったわけでございます。その点を、迅速な広報活動を強化するという観点から、本年六月以降、軽微なものにつきましてもその都度公表するということにいたしたわけでございます。そんなこともございまして、当庁の行うトラブル、故障の公表の回数は従来に比べて大変ふえておる、こういう事情でございます。  そこで、経年劣化の話でございますけれども、原子力発電所のこれまでの運転期間の長短別に今申し上げました故障、トラブルの発生件数を見てみますと、運転年数が長いからといって故障、トラブルの件数が増加している事実はございません。故障、トラブルについては、それぞれ固有の原因がその都度確認されておりまして、単に運転年数が長くなったということで生じた事故、トラブルというのはないというような状況でございます。  ただ、今先生御指摘ございましたように、原子力発電所の安全性、信頼性の問題は大変重要でございます。従来から定期点検ごとに機器、部品のチェック、場合によっては取りかえ等やってきておるわけでございますが、今後ともこういった点、さらに励行してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  168. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そういうことはないとあなたははっきり断定されましたけれども、経年劣化がないなどということは学問的に信用できませんよ。それは、この前の日航の飛行機事故だってそうでしょう。あれは物すごい振動が重なって材料が劣化して起きた事件でしょう。何でもそうだけれども、これだって、とんとん軽く何万回か何億回たたいていたらいつかぱかっと割れますよ。その割れる瞬間までわからないのですよ、劣化しているか、していないか。物質というものはそういうものなので、経年劣化がないなどということは信頼できません。  それはなぜか。専門家がこう言っておる。「原発安全の見張り役である原子力安全委員会の内田秀雄委員長も「定検は万能ではない」という。「トラブルの原因が経年劣化に移っているのは確かだ。きちんと実施していかなくてはならない」こういうふうに話をされているのですよ。認めているのですよ。それをそういう感覚で受けとめられたら原子力の安全性というのは信用できなくなってしまうのじゃないですか。権威者がこういうことを言っているのです。  そこで、早速、次に移ります。福島の第一原子力発電所の四号炉に重大な欠陥があると衝撃的な報道がされましたが、あなた、その後これに対してどのような処置をされたか。発電所をとめて点検をされたか、あるいはこの欠陥を指摘された方を呼んでその事情聴取などをされたのか。これについては一体どういうふうにその後対処されたか、お伺いいたします。
  169. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  東京電力株式会社福島第一原子力発電所四号機の原子炉圧力容器につきまして、先生今御指摘ございましたが、その製造過程で寸法、真円度でございますが、それが許容値を上回ったということでステーを張り、焼鈍を行って修正をしたということでございます。  それで、本件の作業の具体的内容でございますが、ジャッキを用いまして、ステーを挿入して固定した。それから、固定後ジャッキを取り外して、約六百十度C、約三時間の焼鈍を行いまして、ジャッキにより加えられました応力の除去、それから弾性ひずみの永久ひずみ化によります真円度の修正等を行ったものでございます。  それで、本件につきましては、通産省といたしましても調査をいたしまして、その結果、ステーによる矯正、それから追加焼鈍等技術的妥当性、それから電気事業法等法令の適合性等の観点から問題のないという確認をしておりまして、当該原子炉の安全上問題はないものというふうに考えております。  以上でございます。
  170. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはこの本によく書かれているのですよ。そして実際、これから福島第一原子力発電所の四号炉をF四号炉と言いますから、そのようにお願いしますが、このF四号炉の欠陥を指摘した方は、F四号炉のメーカー、バブコック日立の原子力設計部で応力解析グループの主任を務めた田中三彦氏であるわけですよ。圧力容器をジャッキで直したのはこの方だそうです。この設計は別な人がやったそうですが、この圧力容器を直す作業を頼まれて、この方がやった。そのときの真円のいわゆるいびつのあれは四十九ミリだそうです。だから、それを今度、その楕円形を真円に直していく過程でジャッキを使ってやったけれども、これでは十分でないと言っているのですね、今あなたが言ったような方法でやって。そういう専門家が十分でないというのを、この方と話もしてみない、なぜ十分でないかを聞いてもみない、そして点検もしてみないでどうしてわかるのですか。
  171. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の田中氏、この作業の一部に関与されたというふうに我々も聞いておりますが、問題提起されておりますポイントが二、三ございます。  具体的に申し上げますと、まず焼鈍時間が、スペックとして四十時間以内というふうに決めていたわけでございますが、これが超えていたおそれがあるという指摘があるわけでございますが、我々これを調査しました結果は三十六、五時間ということで、四十時間の仕様の中に入っているという確認をいたしております。  それから、ジャッキによりまして応力が発生するのではないかということでございますが、それらの応力も計算いたしますと十四キログラム・パー・平方ミリメートル、ひずみも約〇・〇七%ということでございまして、これを焼鈍によって処理をしたわけでございますが、この焼鈍による処理といいますのは、溶接部の残留応力等を低減します応力焼鈍と技術的には同じでございます。そういう観点から、我々としては、本件について技術的にいろいろチェックいたしましたが、問題ないというふうに確認しております。
  172. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 もう時間がありませんので、まだまだたくさんあるのだけれども、最後に一つ別な点でお伺いいたします。  白島の石油備蓄基地が昭和六十二年の二月三日、大しけに遭って大破した。これには国費が約五百億円もかけられているのですが、そのまま今は中断されているやに聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
  173. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 お答え申し上げます。  白島備蓄基地の現状につきましては、今渡部委員指摘のとおりでございまして、現在越冬工事を中心といたしまして必要最小限冬を越すための工事をやっております。そして、別途今後の対応策について検討をいたしているところでございます。
  174. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは、ただ五百億も捨てるばかはいないのですから、これをどういうふうに位 置づけて今後対策をするのか。もう相当時間もかかっているわけですよ。一年以上もかかっているわけですからね。ですから大体、このまま中断して中止して捨ててしまうのか、これを修理して、どのくらいかかればこういう修理はできる、そして生かしていくのか、この方向性くらいはっきりしてくださいよ。
  175. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 今後本件をどのように扱っていくかということにつきましては、ことしの六月に被災原因というものの究明を終わり、それを港湾管理者の立場から妥当であるという判断をいただきまして、過去の被災原因の究明を踏まえましてもう一度、これについて新たな自然条件を設定し、それに対して気象、海象あるいは港湾土木、そういった角度から新たに設計の手直しという点を、今専門家のチームを石油公団につくっていただきまして、鋭意検討いたしているところでございます。いずれにせよ、被災が起こったという事実を踏まえまして、今後工事を再開する場合にも、安全の上にも安全を期して、今後こういった事故のないように万全を期したい。また、こういった事業を進めるに当たって、やはり経済性の観点も含めて再度総合的な立場から検討いたしたいという立場で、現在せっかく専門家の皆様方に御検討いただいているところでございます。
  176. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最後に大臣に、こういう問題が起きていることについて、これは検討、検討という答えばかり来るのですが、検討するということは、再開したい、このまま継続してさらに推進したい、こういうふうにとっていいのでしょうか。
  177. 田村元

    ○田村国務大臣 御承知のように、これはたしか五百万キロリッターですか、大変な量の備蓄でございます。かつて瀬戸内海で一万キロリッターぐらいの油が流れて大騒ぎがございました。もしこれが悪い方向で被害を出した場合には、その被害度ははかり知ることができません。それほど大変なことでございます。さりとて、技術家が自信を持ち、そして石油の国家備蓄という、まあ言うなればエネルギー資源について非常に脆弱な体質の日本、これはもうやらなければならぬ、好むと好まざるとにかかわらず石油備蓄はやらなければならぬ。オイルショックのころを考えますと背筋が寒くなる思いであります。そういうことになりますと、検討、検討ということが必要なんじゃないでしょうか。  しかも、もし仮にこれを進めるとすればどういうような強度保持をするのか、あるいはこれをやめるとすれば漁業者に対してまたこれをもとの姿に戻してお返ししなければならぬ。いずれにしても大変大きな問題でございますから、私はエネ庁に対して、軽々に結論を出すことなく、徹底的に専門家の調査、意見を聞いて、これを待って慎重に結論を出すように、お国のお金であるし、同時に日本の大きな政策の問題であるし、地元の漁民、大衆への思いやりも考えなければならぬから、軽々に結論を出すべきでない、十分の慎重な検討をなすべし、こういうことを申しております。  私は、検討、検討と言ってずっと今日まで来ておることはむしろ当然のことだ。こんなものを速やかに結論を出してまた妙なことになったら大変。しかも、五百億円からのお金をそれこそ海ということになりますか、海に捨てるというのもいかがなものだろうか、国民のお金でございますから。そういう点で、いましばらく専門家の検討をお待ちいただきたい。通産省の検討じゃございません、専門家の検討でございます。
  178. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が過ぎましたのでこれで終わりますが、ぜひひとつ早急に、慎重に、しかもなおかつ早急に検討の結論を出していただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  179. 野中英二

  180. 小川新一郎

    小川(新)委員 極めて短時間でございますので、重要な国策、外交問題を踏まえた中でお尋ねいたします。  イラン石油化学計画、IJPCプロジェクトについて、まず通産大臣、それから経済企画庁長官のお考えを一言ずつお尋ねいたします。  八年間に及んだイラン・イラク戦争も八月二十日に停戦いたしました。現在その詰めを行っている段階でございますが、通産大臣として、また経済企画庁長官として、今後イラン、イラクに対する経済復興、外交問題の中の大事な経済復興についてどのような方針で臨まれますか。
  181. 田村元

    ○田村国務大臣 経済復興につきましては、私は、それこそ経済大国であり黒字大国であり、しかも平和主義、人道主義の考え方の基盤の上に立っておる我が国としてはでき得る限りの努力をすべきである、貢献をすべきである、このように考えております。具体的にはということになりますと、これは当然外務省あたりが窓口になって関係省庁の意見を聴取するということになろうかと思いますので、私は部下に対していつでも対応できるように今から十分の勉強をしておくようにということで言ってございます。  それからIJPCの問題でございますけれども、これは要するに、結論からいえば当事者同士の話し合いをしばらく見る以外にないという答えになります。イラン、イラク両国の戦後復興につきまして、通産省としては、もう既に明らかにしておりますように、戦争終結の暁には関係省庁とも密接な連携をとりながらできる限りのことをやっていこうというわけでございます。とにかく当事者双方が、今後何か近いうちに調査に入るとかなんとか聞いておりますけれども、十分に話し合って、その上で進むもよし、また退く場合にはその面でも我々として対応しなければなりませんが、今通産省としては、一応当事者間の話し合いを見るという点で無思想、無定見で眺めたいというふうに考えております。余り政治の圧力をかけるのはいかがなものであろうかというふうに考えております。
  182. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 ODAそのものの基本的な対応策は先ほど通産大臣御指摘のとおりでございますが、なかんずく私どもの基本理念といたしましては、クローズドソサエティーといいましょうか閉ざされた社会というものをオープンにして、オープンソサエティーにした上で、なおかつ、私どもの自由主義圏内において大いに取引もし、また私どもの発展拡大にも寄与していただく、同時に彼らにも、最貧国を含めまして大いにこちらが寄与する、こういう前段であろうと思うのでございます。  したがいまして、当然のことだから、これの担当省は通産、大蔵、経企、外務となりますが、私どもも、そういう中で、サーベイランスを行いましたり、その国の実態を調べた上で適宜適応の応援体制というものは今からも続けなければならぬと思います。なかんずく、IJPCの問題は三井も絡んでいることでございますからその動向等を判断しながらやらなければなりませんが、特に現今の中でこの問題は深刻な問題でもございますから、十分に配慮し検討した上で万遺漏なきように取り計らいたい、このように考えている次第でございます。
  183. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま両大臣から御見解が述べられたわけでございますが、ナショナルプロジェクトとして、民間プロジェクトを超えた範囲で、私たちの大事な税金すなわち国費を投入しておる関係上、大物中の大物の両大臣でございますから相当なる御意見をお持ちであり、またイラン、イラクの立場に立っての外交的配慮というものは当然竹下内閣閣僚としての責任の中で問われるものでございますけれども、日本の立場に立って、イラン、イラクの立場を超えた利害というものも当然あるわけでございます。  そこで、このIJPCプロジェクトというものは、一九七二年、パーレビ国王の時代に、日本とイランの合弁事業として、当時の石油我が国に及ぼす背景等々を考えた中でスタートして、まず民間の三井グループが投資をしてスタートしたわけでございますが、イラン革命を経て、イラン・イラク戦争に巻き込まれるなど不幸な経過をたどりながら、一九七九年に国費を投入してからはナショナルプロジェクト、国家的事業ということになったわけでございます。  そこで、IJPCプロジェクトを今後とも継続をするかしないか、断念するのかという問題について、今まで一体国費をどれぐらいこの企業プロジェクトに投下されているのでございましょうか。
  184. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 先生御指摘のとおり、IJPCプロジェクトにつきましては、当初民間ベースで進んでおったわけでございますが、イラン革命という契機から事業経営が大変困難な状況に直面いたしまして、事業継続自体が難しくなったわけでございます。その後、イラン政府からの工事再開、早期完成という強い要請がございましてから、私どもも、資源エネルギー確保の長期的観点あるいはまたイランとの友好関係の維持増進という観点から支援を行ったわけでございますが、現在まで、総事業費七千三百億のうち、我が国、日本側として計画されておりましたのが四千三百億円、うち現在まで日本側が実行いたしましたものが約三千二百億でございます。
  185. 小川新一郎

    小川(新)委員 この三千二百億というのは民間資金を含めた金額でしょうか、純粋たる国費、すなわち海外経済協力基金などを通じて出されたものなんですか。
  186. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 お話しのとおり、政府関係資金及び民間資金を合計したものでございます。政府関係資金について申し上げますと、いわゆる輸銀、輸出入銀行からの融資は、現在既に相当程度の、当初計画いたしまして実施されたものが千九百億ぐらいございますが、そのうち約千五百六十億は返済されておりまして、残りが残額となっております。経済協力基金は約五十四億円出しておりますので、残りの部分は民間でございます。
  187. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、これは経企庁長官にちょっとお尋ねしたいのですが、イラン政府はこれを継続するということをあなたは認識しておりますか。
  188. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 現在のところ、イラン政府からは正式に私どもに対して意思表明はございません。現実の状況を申し上げますと、当事者間での話し合いが始まったところという状況でございます。
  189. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 イラン政府からは正式なる判断、通達はない、こう承知しております。
  190. 小川新一郎

    小川(新)委員 通産大臣にお尋ねしますが、向こうの高官が公式、非公式を問わず、このバンダルホメイニ計画について、国策的プロジェクトとして彼らが認識している以上、継続するという意思を何らかのところで表明したことがあるのでしょうか。
  191. 田村元

    ○田村国務大臣 私は具体的に直接それを公的あるいは事務的に聞いたことはありません。ただ、報道なんかによって、イラン側が継続したいという意向を持っておるというようなことは見聞きをいたしましたけれども、これはあくまでもマスコミを通じての私の知識であります。いずれにいたしましても、イラン・イラク戦争は八年間続いて、本当にうまくいってよかったのですけれども、抜本的な終結にまで至っていない、そういうことの見きわめも要るでしょうし、それから巨額のお金の問題でございますし、確かにおっしゃるように国家的なプロジェクトであると言われればそのとおりでございますし、小川委員の今まで発言された一連の御意見は私はそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、しかしながら、やはりしばらく当事者間の話し合いというものを注目する必要があるのではなかろうか。むしろ、場合によったら、通産省がする仕事といえば、三井の側に、なるべく早く話し合ったらどうかいというような慫慂というものはあるいは必要かもしれません。しかしながら、今、実は私も通産大臣であり政治家でありますから、意見が全然ゼロだと言えばうそになるかもしれません。しかしながら、それを私が今言うべき時期ではない。やはり今私がとらなければならない態度というのは、この問題については、先ほど申し上げた、ちょっと言葉が悪いかもしれませんが、無思想、無定見であるというような対応を一応しなければしようがないのではなかろうかという感じでございます。
  192. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは経済企画庁長官にお尋ねしますが、日本政府として、当事者間と今田村先生がおっしゃっておりますことは、当事者間とはイラン、イラクを指しているのだと思うのですが、我々が当事者間と理解するのは、その話の段階と、もう一つ、イラン側と三井側、それから三井と日本政府、これはお金が三者出ておりますので、金額の多い少ないは別といたしまして、我々が一番注目しますことは、貴重な国民のお金がこの援助資金として使われていることです。  そうなりますと、経済企画庁長官としての御見解は、日本政府としてイラン政府とIJPCプロジェクト問題について話し合うという基盤は、当事者間、イラン、イラクの話し合いが完壁に済んだときを指すのか、それとも、ある程度のめどをつけたら、その話し合いの前段として三井を、また政府を調査に行かせるのか。そういう段階でなければ話し合いというのはできませんね。いかがなものでしょう。
  193. 田村元

    ○田村国務大臣 長官の前にちょっと私から申し上げますと、イラン、・イラクの今後の和平への努力という点では当事者はイラン、イラクでございます。IJFCに関しましての当事者という言葉を私が使いましたのはイラン側と三井ということでございます。でございますから、つまり結果は別として話し合いというものを少し進めた方がいいのではないか、そういうことを言わなければならない時期があるいは来るかもしれませんねということを私が申しましたのは、これは三井に対してでございまして、イラン、イラクという意味ではございません。  ちょっと念のためにそれだけ申し上げておきたいと思います。
  194. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 総括的な話は今通産大臣が言われたとおりかと思います。  問題点は、イラン、イラクともども戦争をしておるわけでございますが、戦争をしている、していないにかかわらず、私どもとの問題点は、イラクとは関係なく、むしろイランとの関係でございます。この問題において三井をして最初にその起爆的な形が生まれ、その延長線上の中における、先生のお言葉をかりて言うならば先生の御専門であるナショナルプロジェクトの問題になってくるわけでございますから、当然のことながらその点において私どもが十分にこれを洞察し、またこの問題に対しての見解を持たなければなるまい、このように考えておる次第でございます。
  195. 小川新一郎

    小川(新)委員 田村大臣、この話し合いのめどのことですが、政府は、ある一定の目安がついたとき三井と一緒に調査団を派遣するのか。もしくはどのような被害に遭ったのか。また、約八年間という長い間そのままになっております。御案内のとおり八五%でき上がっておる。ということは、戦争がなければ本当にあと一年か二年で機能が完全にできた状態の中で不幸な戦争が起きた。しかも、伝え聞くところによると、十九回とも二十回ともお互いに爆撃したりミサイルを撃ち込んだり、相当な被害、相当な破壊もされておるやに聞いておりますから、これを復活するに当たっては相当額の予算のオーバーも考えられるでしょうし、またそういう中で、まず何といっても調査をしなければならない、見に行かなければならない、そこで今度専門的な部分で積算をしなければならないということになれば、これは田村先生、重要な御発言力を持つ有力大臣でございますから、当然竹下総理に、日本の国策上、こういった大きなナショナルプロジェクトという認識、位置のもとに立って、今御省がなされんとすること、また中尾先生の企画庁がなされんとすることを提言すべきであり、また調査をすべきであると思いますが、先生いかがでしょうか。
  196. 田村元

    ○田村国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本とイランの両当事者、つまり正確に申しますと、三井と言いましたのはイラン化学開発株式会社、ICDC、イラン側の法人はイラン日本石油化学株式会社、IJPC、この当事者間の話し合いをこれから進めてもらわなければなりませんし、もちろん当然のこととして調査ということになるのでございましょう。結果がどうあれ調査ということになるのでございましょう。また、その進展状況を見まして、これだけの大きな、ナショナルプロジェクトと言ってもいいわけでございますから、これはもう私から竹下総理に逐一詳細な説明と、また自分の意見の開陳もしなければなりませんでしょうし、総理の指示を仰がなければならぬことは当然のことと思います。
  197. 小川新一郎

    小川(新)委員 そして、被害の調査が終了した時点で、継続するのか、縮小するのか、全く断念せざるを得ないのか、これは当然判断が要求されてくるわけでございます。しかも、その援助について、例えば継続する時点においての金の出し方がまたバランスを崩さなければならぬ場合もあるでしょうし、そういう判断の基準というものは、今ここで私が御質問しても恐らくお答えできないでしょうけれども、どのような基準というかそういう物差しというものをお持ちでございますか。
  198. 田村元

    ○田村国務大臣 もしやるとすれば、資金の面でどういうふうにしなければならないか、もし引き上げるとすれば貿易保険等どういうふうに発動しなければならないか、これはなかなか難しい問題でございます。そういうことも含めて当事者間で話し合ってもらう。当然、先ほど申し上げたように、その話し合いというものは調査なき話し合いということはあり得ないと私は思いますけれども、そういうような話し合いを進めていただく、その話し合いの模様というものは可能な限り早く私どもの耳に入れていただく、そして我々も対応というものに対して十分の検討をしていく、こういうことであろうかと思います。
  199. 小川新一郎

    小川(新)委員 本来外務大臣も来ていただきたいところなんですが、これは中尾先生にちょっとお尋ねしたいのですが、民間ベースでは事業の採算性が主たる基準になると思います。これは当然だと思います。三井グループといえども私企業である以上は、これに対する事業の採算性というものを計算してやっておられると思います。政府としては、原油資源の確保などの国家安全保障あるいは海外援助政策上の配慮、これらを加えますと、ただ単なる損害だけ、損得だけでは割り切れないものも出てまいると思うのです。しかも、八五%はもうでき上がり、六千億から七千億という膨大な金が両国並びに企業から出ている。約一兆円になんなんとする金がみすみすここでゼロというわけにもいかないでしょうし、また日本が、経済のことばかりを言って、もうかるからやるんだ、損するからやらないんだ、そんなことだけを議論していれば、イラン、イラクに対する、中東に対する重油の供給を受ける立場に立つ日本政府が、大きな海外援助政策上の問題点としてかなえの軽重を囲われかねない。こういう問題を踏まえた上での援助という考えは、今私が申し上げた損得ベースを超えたものがあるということを今話しているのですが、それを加味した上で、経済企画庁長官としては関係省庁の中での御発言をなさるのですか。
  200. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 これはもう日ごろ大変に含蓄の深い小川先生のお言葉でございますから、むしろ、今先生が御指摘のとおりに考えていくべきかなと私自身も感ずるわけでございまして、採算ベースの問題というのは、ただ単に、現在数千億円の金がかかるから、したがってそれの採算の見通しが立たないから日本が損であるという考え方に立つべきなのか、あるいはまた将来ともに、現在原油安ではございますけれども、将来の日本の石油に頼っている現状というものから考えてみまするならば、いかに重要なる門戸であるかということを十分踏まえながらこれを採算として考えていくかというところの判断にかかるわけでございますから、これはもう私どももそういう点を十分に熟慮しながら、サーベイランスを行いながらこれを続行していきたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 田村大臣も御同様なお考えだと思いますが、お二人の有力大臣が御協力した上で今のお話をお進めになる御決意がございますでしょうか。大臣、いかがですか。
  202. 田村元

    ○田村国務大臣 現在まで日本、イラン当事者間で、日イ共同で現地サイトの状況の正確な把握が必要であることについて合意がなされた、近々合同調査が行われるらしいということでございます。でございますから、もちろんこれを見守らなければなりませんけれども、ただいま企画庁長官が御答弁申し上げたことは、私と考え方は変わっておりません。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは専門官で結構ですが、保険はどうなっているのですか、損害保険、貿易保険。それから、三井グループは毎年毎年の決算上、欠損を出していることを株主総会で報告していると思いますが、それらの関連の中で保険というものは毎年の年度の一年ずつの契約の中で清算されるものなのか、それとも、金利等いろいろかさみますね、そういう問題から、断念した場合の損害の金額、継続するに当たっても年度年度の損害の補償についてはお金がいただけるのかどうか、しかもそのいただいた金はどこへ入るのか、政府はどうなのか、その辺のところをお願いします。
  204. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 通産省とIJPC関連企業との間には海外投資証券及び輸出代金保険という、総称して貿易保険と申しておりますけれども、保険契約が締結されております。この保険金額の総額、保険金額と申しますのは保険者が責任を負っておりますところの最高限度額のことをいいますけれども、この総額は約千八百億円になっております。  保険そのものにつきましては、被保険者の方から保険金の請求があった後に保険者たる通産省が正式な検討を開始する性格のものでありまして、ただいま先生お尋ねのように、年度年度で請求があるとか、そういう性格のものではございません。現時点まで何らの保険金請求は受けていないわけであります。したがいまして、現時点でこれにどうこうということを申し上げる立場にはないということを御理解賜りたいと思います。
  205. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がございませんので、この問題につきましては後日また、状況の変化等に伴い、逐次田村先生並びに中尾先生にお尋ねしたいと思っております。  そこで、通産大臣にお尋ねするのですが、時間がございませんので総括的に読んでまいりますから、お答えいただきたいと思いますのは、改正訪問販売法の施行についてでございます。  さきの通常国会で訪問販売法の改正が行われ、五月十七日公布、十一月十六日までに施行することになっておりますが、政令や省令にゆだねておられる部分が非常に多いわけです。駆け込みの悪徳商法をなくするために、その内容を具体的に早期に明示すべきであると思いますが、まずいかがでございましょうか。  その次に、第二条の規制の範囲について、改正法では指定役務の提供、指定権利の販売を追加しておりますが、その内容がはっきりしておりません。サービスを装って品物を買わされる、または高い料金、サービスについてはどうなのか。シロアリ駆除、サンテラス工事、屋根工事、ゴルフクラブ、レジャークラブ、リゾートクラブの会員権、これらなどが入るのかどうか、これが二点目でございます。  それから、この悪質の業者がクレジットの対象としておりますが、これにはクレジット、信販等とこれらの会社が提携しておって、関係していたクレジット、信販会社等は、重複を含めると大体四十九社、単独では十九社、これは警察庁の調査による昭和六十二年中に検挙した訪問販売等の事件の中の二百三十五件のうちの内容であります。消費者、クレジットを利用する者を保護する立場からは、悪徳業者とクレジット会社、信販会社との提携はしない方がよいと思いますが、そういう面における行政的な制裁というものはいかがお考えになっていらっしゃるのかということです。  それから、第四点目は裁判の問題ですが、こういったトラブルが起きたときに、信販会社、クレジット会社が消費者にそのお金を支払ってありますから、それを裁判にかけていろいろと取れる、取れないの問題を行うときに、簡易裁判所がクレジット、サラ金の焦げつき債務取り立て機関と化している、こういう批判を受けているのでございます。しかもその裁判が、東京に本店を置くクレジット会社中心の、地方で起きた人たちも裁判を行うときには東京へ出てこなければならない、わずかな金額の損害に対しても、泣く泣く東京まで汽車賃や交通費を使って裁判に出てきてクロシロをつけるという、こういった問題を解決する考えがないのか。  この四点についてお尋ねします。
  206. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 ただいま小川委員から、四点につきまして御質疑があったと理解しております。  第一の改正訪問販売法の点でございますが、御指摘のように、前回の通常国会におきまして訪問販売等、法律を改正をしていただいたわけでございますけれども、法律上の施行期日は十一月十六日までとなってございますが、私どもも鋭意準備をいたしまして、できるだけ早期にその施行に踏み切るよう努力をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。  また第二に、改正訪問販売法の中に役務の点を追加をしていただいたわけでございますが、その内容について、これは政令指定になるわけでございますが、ただいま関係方面、いろいろと実態調査をしておるところでございまして、トラブルの実態調査をおおむね終了した段階でございますので、ただいま先生からシロアリ駆除の例が出されましたけれども、それらのものも含めまして今後立案作業に入りたいというふうに思っておりまして、消費者保護の点で万全を期してまいりたいと考えておるわけでございます。  第三に、クレジットによります訪問販売その他のそういった新しい形態の販売の問題でございますけれども、この点につきましては別途割賦販売法におきまして、訪問販売法と同趣旨の消費者の保護の規定が置かれているわけでございますので、割賦販売法と相まちましてその運用に遺漏のないように期してまいりたいと考えているわけでございます。  最後に、裁判の管轄の問題についてお尋ねでございましたが、御指摘のように、訪問販売業者が、例えば購入者にとりまして非常に遠い、販売業者の本社所在地の裁判所だけを裁判の管轄の裁判所とするというようなことがあるとすれば、それは事実上、購入者にとりまして不利となるわけでございます。このような記載につきましては判例によりまして無効というケースもあるわけでございますが、たとえ無効にならないまでも、消費者に裁判による救済がこれでだめなのかという意欲を失わせる可能性もございますので、先生御指摘の点も踏まえまして、私どもとしてもその対応策につき検討をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  207. 小川新一郎

    小川(新)委員 これで時間が来ましたので終わらせていただきますが、最後に大臣、この消費者教育に必要な教材や資料、そして知識や技術を集めて消費者教育を行いたい現場の先生に、希望する教材を直ちに提供したり、先生のための研修、訓練の講座を開設したりする消費者教育のカリキュラムテキスト開発などに取り組む財団法人日本リソースセンター(仮称)の設置を促進すべきであると思いますが、御決意はいかがでしょう。これでもって終わらせていただきます。
  208. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 まず、これは先生も前からこっちの大変専門家であることは私も知っておりますけれども、私の口から、リソースセンターの問題でございますから申し上げさせていただきますならば、消費者被害の未然防止等より合理的な消費生活の実現のためには、主体性を確立した消費者を早い段階で育てる必要があるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。このような観点から、まず非常に大事なことでございますが、学校における消費者教育が特に重要である、このように認識するものでございます。  本年三月の消費者教育を考える研究会の報告書を私も読ませていただきましたが、この観点からも、まず学校における消費者教育を支援するために、アメリカのリソースセンターを参考にしながら、いわゆる日本版のリソースセンターの設立の必要性が指摘されているところではなかろうかと承知しているところでございます。  そこで経済企画庁といたしましては、同報告書の指摘をも踏まえまして、学校における消費者教育の指導方法の検討がまず第一点。それからまた、各種資料の作成、教員研修の実施などを第二点というような形で行いまして、中核的な設立構想の具体化の検討をまず進めていくべきではなかろうか。このような形で前向きに取り組んでいることを承知願いたいと思う次第でございます。
  209. 小川新一郎

    小川(新)委員 どうもありがとうございました。
  210. 野中英二

    野中委員長 古川雅司君。
  211. 古川雅司

    古川委員 初めに、通産大臣にお尋ねいたします。  アメリカの包括通商法が八月二十三日に発効いたしました。けさほど来いろいろな御議論がございましたが、その影響につきまして、特に日本の産業、経済界に及ぼす影響についていろいろと懸念をいたしますとともに、危機感を感ずるわけでございます。これに対する日本のいわゆる通商政策の構築を急がなければならない、そういう立場からお伺いをしていきたいと思うわけでございます。  申すまでもございませんが、アメリカといたしましては、日米間など二国間自由貿易協定締結の動きとあわせまして、この包括通商法の発効がアメリカの大きな戦略でありますし、その照準は当然日本と、さらにアジアの新興工業国地域群、いわゆるNIESの中のなかんずく韓国と台湾であるかと思います。  この対応でありますけれども、この包括通商法の条項の中で、特に日本やNIESにとり最も大きな影響があるのは、不公正な貿易慣行を残す国への報復措置の強化を義務づけたスーパー三〇一条、さらに知的所有権の保護、強化をねらった関税法の三三七条の改正にあるというように言われているわけでございますが、この運用によりましては、将来さらに摩擦の深刻化は避けられないのじゃないかというように、まずそういう懸念を持つわけでございますけれども、大臣のその点に対する一つの御見解を伺いたいと思います。
  212. 田村元

    ○田村国務大臣 このアメリカの包括貿易法が保護主義などの問題ある条項を含んだまま成立をしたということは、私どもは大変残念に思っております。随分努力をいたしましたけれども、あらゆる機会を通じてアメリカの閣僚あるいは有力な国会議員との話し合い、また私の再度にわたる渡米、あるいは先般、だから結局三回か四回になりますが、それから国会議員全員、上院、下院全部の国会議員にも手紙を出したりして随分努力をいたしました。まあその結果がどうか、とにもかくにもこの法律についてある程度改善が行われたこともまた事実でございます。  ゲッパート条項の削除とか、あるいは外国企業制裁条項の改善、いわゆるガーン修正条項の削除とかいうようなことは確かに評価していいんじゃないかと思いますけれども、しかしながら、この法律自体、私は、こういう保護主義の思想が流れておる危険な、つまり懸念材料の多い法律自体が成立したことに対しては、これはまことに残念、これからも機会あるごとにどんどんと働きかけていきたいと思っております。  今おっしゃいました問題、確かにいろいろ問題がございます。けれども、私どもは米国政府がその良識を失うということは恐らくないだろうというふうに信じておりますが、仮にこの法律が自由貿易上の問題を生じるような運用をされた場合には、先般私が発表いたしました通産大臣談話というものの中身でも明瞭なように、いつでもガットなどの場で対応するという立場をとっております。  そこで、私がなぜアメリカの政府も良識を失うことはあるまいというふうに思っておるというこ とを申したかと申しますと、この法案に大統領がサインをいたしますときに、いわゆる大統領談話というものが出たわけでございますけれども、その中にこういう言葉がございます。  「正直に言えば、この法案には気に入らない部分がある。本法案のもとでは、国際法上違法であり、世界の自由貿易を達成するという我々のゴールにも反する輸入課徴金の導入に至る可能性があること。本法案が行政府に、外国と特定の貿易上の問題について交渉することを要請している点は、米国憲法の原則に違反する。本法案は、国際貿易委員会に、議会の一つの院の委員会を通過した決議に対応して調査を行うことを求めているが、これも米国憲法の原則に違反する。本法案は、特定の権限をUSTRのような行政官に与えているが、すべての行政官は大統領の指示と管理のもとにあるのであり、」つまり自分の直属の部下だから、行政官が自分を無視して勝手に決めるわけにはいかないのだという、レーガン大統領のいわゆる大統領という地位の権威をここで明確にしたわけであります。  それで、「私は署名するに当たり、憲法に沿った形で運用されることを表明する。」つまり自分で決断するというようなことをレーガン大統領が談話で出しております。これはカリフォルニアで署名したときの有名な発言であります。  それから、ヤイター通商代表のプレスブリーフィングの中でこういうことを言っております。「新法案は無論保護主義的運用が可能ではあるが、それは現行法のもとでも可能である。レーガン政権は、新法案を保護主義的にならないように運用し得るし、新政権もそうであることを希望する。」クレイトン・ヤイターがこれをブリーフィングでやっておるわけですが、私は、これがアメリカの行政府の一貫した姿勢であり、考え方であると思っております。しかし、だからといって、凶器が横たわっておるようなものですから、これは我々は徹底してお蔵入りにしてもらうように努力しなければならぬと思っております。
  213. 古川雅司

    古川委員 アメリカという相手があるわけでございますから、今後どういう影響が具体的に出てくるのか予測のつかないところもございますが、いずれにいたしましてもいろいろな懸念を一応想定しなければならない。それも、単に受け身の対応だけじゃなくて、通商政策としての積極的な一つの見直しもこれから考えていかなければならないのじゃないか、そのように私は思うわけでございます。  例えば、日本やNIESに将来大きな影響を与えかねない一面といたしまして、外国企業がアメリカ企業の持つ知的所有権を侵害したと判断した場合、被害立証なしにその製品の輸入差しとめを求め提訴できる、これがさっきも申し上げました関税法三三七条の改正でございます。これは技術移転に対する日本の将来に対する対応策とも絡めて極めて重要な問題ではないかと思うのでございますが、この点も具体的に大臣の御所感をお聞かせいただきたいと思います。  さらに韓国におきましては、ジェトロのソウル事務所によりますと、この包括通商法の成立を受けて政府が直ちに通商産業政策の見直しに動き出したという報道がなされているわけでございますが、韓国と我が国と対比しながら、我が国の通商政策の見直しないし再構築にどういうお考えを持っていらっしゃるか。  もう一つつけ加えますと、これから行われますアメリカの大統領選挙の先行きとこの問題の取り扱いについて何か御感想をお持ちかどうか。  以上、お伺いをいたします。
  214. 田村元

    ○田村国務大臣 大統領選挙については私も何とも言えません。ブッシュ副大統領の考え方は大体わかっておると思いますけれども、デュカキスさんの場合は会ったこともありませんので、これは比較することはちょっと無理だと思いますので、あえて保留させていただきます。  それから三三七条の問題でございますけれども、実際には特許侵害があるかどうかの判定は非常に困難な場合が多うございます。この現行法におきましても乱用が問題になっております。でございますから、さらに今回の法改正によって被害がなくとも輸入差しとめが可能となって、本条に基づく米国企業の提訴というものが増加してくるのじゃないか、それが予想されるということでございますから、今後もあらゆる機会を通じてアメリカ側、特にこれからはとりわけ行政府に対して強く働きかけをしていかなければならぬ、このように考えております。日本だけの問題ではございません。  それから、通商政策の見直しをすべきではないかということですが、私は大きな曲がり角に今来ておると思います。この貿易法だけの問題ではなくて、世界の貿易の流れからいっても、あるいは日本の置かれておる特殊性からいっても、通商政策というものはやはりドラスチックに変更することは不可能でしょうけれども、中長期的に考え直していかなければならぬ。まず我々は、地域協定に対してどう対応していくのか、米加に対しあるいはECに対しどう対応していくのか、アジア・太平洋経済協力というものに対して我々はどのように対応するか、あるいはイニシアチブをとっていくのか、いろいろな問題を考えていかなければならない。  それから、例えばドイツの場合は、アメリカが何かクレームをつけましてもあるいは要求をしても、それを非常に強くけ飛ばします。ところが我が国はそれができません。なぜならば、我が国は対米依存度が、確かに減りはいたしましたけれども今なお三六・五%という依存でございます。それこそ報復を受けたら一も二もないというような体質があります。ドイツの場合はたかだか一〇%そこそこでございます。ECという膨大な大マーケットの中に、しかも先進国のマーケットの中にドイツはみずからが生活をしておるわけでございます。そういう点で、今はやりの言葉を引用するわけにもいきません。まさかアメリカに対し、一極集中はやめたよ、多極分散だと大見えを切ることもなかなか難しい面もあります。しかし、このように過度にアメリカに依存しておっていいのだろうかという問題がございます。  そこで、当然日米欧という三極の拡大均衡ということを図っていかなければならぬし、日本の貿易の方向、つまり矢印を徐々に変えていかなければならぬということもございますし、アジア・太平洋地域、とりわけASEANや中国等あるいはNIES等の一層の高度化、いわゆる産業の高度化、輸出、特にASEANや中国は一次産品の輸出にほとんどを頼っておりますけれども、これをより高度な製品輸出ができるように我々が技術移転をしていく必要もあるだろうし、私が申しておりますニューAIDプランというものをどんどん進めて、あらゆる面でのノーハウを供与し、そして、まず日本が魅力あるマーケットになってこの国々に対して貢献をしていく、それが大経済国であり黒字国である日本の一つの務めでもあろう。  言い出せば切りがございませんけれども、そのようないろいろな点から考えましても、これからの通商政策というものは短絡的、ストレートの考え方ではもう立っていかなくなった。今おっしゃるとおり、まさに通商政策が微妙に複雑化し多様化し、そして我々の矢印も徐々に振れていかなければならぬ、そういう時期であろうと考えます。  御質問が大きかったものですから答弁が少し長くなりましたけれども、あしからずお許しを願いたいと思います。
  215. 古川雅司

    古川委員 では、次の問題に移らせていただきます。  会計検査院においでいただいております。言わずもがなでございますが、今国民の大きな関心は税金に向けられております。これは税金をどれだけ納めるかという話の方でありますが、同時に、税金がどのように使われているかということにも関心は絶えたことがございません。  昭和六十年度決算検査報告を拝見いたしますと、ここに示されておりますとおり、税金の使い道に関係のある役所、事業所四万九百余の八・七%に当たる三千五百余カ所を調べただけで、不 適正と指摘されたのは百四十一件、百九十一億円余に上った。これはマスコミを通して報道もされているわけでございますが、これは、不正な経理は論外でありますけれども、行政官庁とすれば政策の立案、予算の獲得、その施行には非常に御熱心でありますけれども、予算の使い方、効果、効率についてはいろいろ問題点があるわけでございます。  会計検査院としては、この報告書を年々お出しになっているわけでございますが、制度や政策の問題点は指摘するわけでございますけれども、改廃や新しい施策までには言及していない、また言及できないのか。その辺が会計検査の今後のあり方、また強化、その方向性を考えますときに非常に気にかかるところでありますが、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  216. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院は、検査を通じまして個々の会計経理につきまして不当な事項の発見に努めておりますけれども、同時に制度全体につきましても、これは税金の効率的な使用の見地から、検査を通じまして問題点が発見された場合には制度そのものにつきましても物を言うことはございまして、そういう見地からの指摘も従来なされてきているところでございます。
  217. 古川雅司

    古川委員 こうした決算検査報告を見ますと、素人考えで、国民の率直な感想は、これだけしか調べていないのにこんなにむだや不正がある、これを全部調べたらどのくらいになるんだろうかということをよく聞かれるわけでございますが、これは調べ方にもよりますし、ピックアップする事例にもよると思いますけれども、検査の体制としては、さらに検査の体制を強めていけばこの不適正と指摘されるような金額はもっともっとふえていくものなのか。非常に素人っぽい、また率直な疑問でありますけれども、どうお考えになっているのか。  さらに、会計検査院としては、今後の検査の方向や、あるいは制度や政策の経済性、効率性、有効性、そういう点について力点を置いていく、コンピューター化もしていく、あるいはまた政府関係機関の融資先まで、これは検査権は認められていないわけでありますけれども、これまでになく検査の範囲も広げていきたいというふうにお考えになっているようでございますが、その辺はいかがでございましょう。
  218. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 初めに、現在八・七%の実地検査の施行率でございますが、これをもっと広げたらばもっと指摘金額は大きくなるのではないかというお尋ねでございますが、これはそのとおりというふうに考えております。ただし、問題のありそうなところを重点的に従来も検査してきておりますので、比例して指摘金額がふえるということにはなりませんけれども、やはりもっと検査の範囲を広げれば指摘額はふえていくのではないかというふうに一応考えているところでございます。  それから、二番目の問題でございますが、ただいま大変御理解のあるお言葉をいただいたわけでございますけれども、会計検査院といたしましても、先生御指摘のとおり新しい時代に合わせまして、その時期その時期に問題のありそうなところを、新しい検査分野を開拓、発見することに努めておりまして、またそれにあわせまして、検査の手法の開発、この点にも努めておるところでございます。
  219. 古川雅司

    古川委員 来年度からは医療費や海外経済援助などの分野にも本格的に取り組もうとしておられるというふうに伺っておりますが、そのとおりなのかどうか。ということは、今まではそこは立ち入れない場所だったということになると思いますが、これまでも義務教育の生徒数の水増し、これは何回も指摘を繰り返しているところ。あるいは私学教員の補助算定にも不当な点があった。それもまだまだ指摘し切れない、いわゆる体制の弱さといいますか、検査院としては歯がゆい思いをしながら手が出せなかった、力が及ばなかったという面がたくさんあったのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。  さらにそれにつけ加えまして、「会計検査情報」によりますと、先般、八月二十五日でございますか、辻検査院長が全国都市監査委員会の本年度の定期総会で「会計監査の最近の動向」として特別講演をなさっておりまして、その内容が今非常に注目をされております。  ここで院長は検査に関する十二章を示されまして、会計検査院に対する各省各庁の声あるいは思惑、あるいは国民の会計検査院に対する批判、要望、希望といったことも含めて十二章に分けてそれに答えておられるわけでございますが、こういう指摘をされるまでもなく、会計検査院の立場というのはこれからどうなっていくのかという聞き方は非常にまずいかもしれませんけれども、このように国民の皆さんの関心のますます高まっているときでございますので、その対応、御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  220. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 お尋ねの第一点でございますが、たしかに医療費などにつきましては、従来はどうもやはり専門的な分野でございまして、これが例えば過剰な医療費の請求があるのではないかというようなことにつきましてはなかなか私どもの力が及ばないところがございますので従来手をつけていなかったところがあるわけでございますけれども、そういった面につきましても、これだけ医療費の支払いが多額になりますと、何とか私どもの方でも少し医療費の分野にも切り込むように工夫、努力をする必要があるのではないかということで、ここ近年いろいろ研究をいたしまして少しずつそういった面での指摘は出てきているところでございます。  なお、今後検査院についてはどうなるのかという非常に大きなお尋ねでございますけれども、特に昨今、このように税金の使い道について国民に大きな関心が持たれている時期に、私どもの使命を十分わきまえまして国民の皆さんの御期待にこたえるように今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  221. 古川雅司

    古川委員 検査院の体制を強化して検査をより徹底すればするほどいろいろな不適正事項がどんどん出てきてしまう、これは困ったことだという一面もどこかにはあるわけでございますけれども、私どもが会計検査院検査報告を毎年拝見をいたしましていつも気がつくことは、同じ指摘が繰り返されるということ。これはどうして改善をされたいのかということが一番気になるわけでございますが、きょうは通産省の所管でございますので、例えば通産省の中小企業設備近代化資金、それから中小企業事業団の中小企業高度化資金についてはこれまた毎年指摘をされているわけでございます。これは六十年度決算検査報告に記載をされているその概要を簡単にお述べいただいて、どういうことになっておるのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  222. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 先生御指摘のとおり、昭和六十年度決算検査報告におきましては、中小企業設備近代化資金の貸し付けにつきまして十一件、中小企業高度化資金の貸し付けにつきまして八件の不当事項を掲記いたしております。  まず中小企業設備近代化資金について申し上げますと、この資金は、都道府県が国から交付された補助金などを財源といたしまして中小企業者設備近代化に必要な資金を長期間無利子で貸し付けるものでありまして、不当事項として掲記いたしました十一件につきまして態様別に見ますと、まず値引きがあったり契約額を水増ししていたりしまして、貸し付けの対象となった事業費よりも実際は低い金額で設備を設置しておりますのに、借り主が貸付申請において申し出た金額をそのまま貸付対象事業費として過大に貸し付けている、こういったものが七件ございます。それから、貸し付けの対象となる設備は、本来購入または請負によって設置されるものでなければなりませんのに、リース契約によって賃借しているもの、こういったように貸し付けの対象とならないものに貸し付けているものが四件というふうになっております。  このため、十一中小企業者に対する一億一千六百九十一万円の貸し付けにおきまして六千八百四十余万円の貸し付けが適切でないと認められまして、ひいては、これに対する国庫補助金相当額三千四百二十二万余円が補助の目的に沿わない結果となっているものでございます。  次に、中小企業高度化資金について申し上げますと、中小企業事業団では、中小企業者に低利かつ長期の中小企業高度化資金の貸し付けを行う都道府県に対しましてその財源の一部を貸し付けております。また、同事業団では、転廃業をする中小企業者の不要な設備を買い上げた上、破砕する中小企業団体に対しても、買い上げの財源の一部を無利子でかつ長期で貸し付けをいたしております。  不当事項として掲記いたしました八件について態様別に申し上げますと、借り主である中小企業者が大企業及びその役員から資本金の五〇%以上の出資を受けていたりなどいたしまして、貸し付けの対象とならないものに対して貸し付けているものが四件、それから、値引きにより貸付対象事業費よりも低額で事業が実施されていたものが三件、貸し付けの対象となった土地の一部を無断で売却しているものが一件となっております。  このため、八件、二億四千七十万余円の事業団貸付金が適切でないと認められたものでございます。  以上、概要でございます。
  223. 古川雅司

    古川委員 今度は通産省にお伺いをいたします。  今中小企業設備近代化資金の貸し付けが不当と認められているもの、これを一例に挙げたわけでございますが、これに対して通産省の方としては、「その適正化を図るため、都道府県に対し、借受申請者に対する説明会の充実、事前調査及び完了検査を厳重に行うよう会議等の場を通じ指導してきたところであるが、なお指摘のような不当事項を生じたことは、誠に遺憾である。」というように述べておられます。また、通産省部内とされましても、例えば六十三年度会計監査方針で随意契約の適正状況などを重点事項にしたりして、それぞれこうした不適当な事態が起こらないように配慮はしておられるようでありますが、どうしてこういう事態が繰り返されていくのか、この点について通産省御自体の、あるいは中小企業庁の御見解を伺いたいと思います。
  224. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生御指摘設備近代化資金それから高度化資金の貸し付け、いずれも厳しい環境変化に対応いたしまして中小企業が存立、発展していくための大切な政策手段でございまして、いずれも主として都道府県設備近代化資金につきましてはすべて都道府県高度化資金につきましては主として都道府県が窓口となって貸し付けを行っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、貸し付けに先立ちます経営診断あるいは指導、そして貸し付けに当たりましての厳正な審査等につきましては、私どもとしては遺憾がないよう心がけてまいってきたつもりでございますけれども、ただいま御指摘のありましたように、不当事項として指摘されたものが引き続き出ておりますこと、まことに遺憾に存じております。  ただいまお話に出ましたように、私どもといたしましては、都道府県に対しまして、貸し付けに当たっての審査、貸し付け後の債権管理等につきまして一段と適正化について指導強化を図りまして、今後このような遺憾なことが再発することのないよういたしたいと考えてまいったところでございますし、不当な貸し付けが現に生じてしまったものにつきましては、貸付金の返還とか違約金の徴収等の措置を講じてまいってきております。  今後は、先ほど先生も仰せられましたような私どもなりの一段の対応措置を講ずることといたしまして、診断指導、完了検査等の充実を図りまして不当貸し付けの発生防止に向けてさらに努力して、今後このようなことの再発をぜひ防止してまいりたいと考えているところでございます。
  225. 古川雅司

    古川委員 御説明までもなく、通産省御当局としても決してこういう事態を軽視しているわけではなく、非常に真剣にその対応に取り組んでいらっしゃることはよくわかるわけでございます。  これも「会計検査情報」によるところでございますが、「会計検査院は、中小企業事業団の中小企業高度化融資資金の多額の詐取事件が発生したことから、事態を重視し、これまでに第一陣ともいえる現場検査を実施し融資金の不正取得の感触を得たため、現在進めている」云々という事態がここに紹介をされております。  このことにつきまして、きょうは法務省から刑事課長においでをいただいておりますので、この事実関係について御認識であれば御説明をいただきたいと思います。
  226. 古川元晴

    古川説明員 御質問の件は、いわゆる大阪資源開発協同組合の元役職員によります高度化資金融資詐欺事件の件かと思いますので、その件について申し上げます。  この件につきましては、大阪地方検察庁におきまして、昭和六十一年十月十五日に、この組合等から元代表理事でございます鈴木基弘らに対する別件背任罪の告発がなされたことに基づきまして、所要の捜査を行った上で、昭和六十三年五月十二日から同月二十八日までの間に、この鈴木基弘元代表理事ら四名を逮捕いたしまして、昭和六十三年六月一日から同月十八日までの間、鈴木元代表理事ら三名を、大阪地方裁判所に対しまして、大阪府からいわゆる高度化資金の貸付名下に九億円余りを詐取した詐欺罪等で公判請求をいたしまして、現在同裁判所に公判係属中でございます。  なお、この鈴木元代表理事に対します公訴事実の要旨を申し上げますと、同人は昭和五十九年九月から同六十一年四月までの間同組合の代表理事を務めていたものでございますが、昭和六十一年三月五日ごろ、大阪府商工部長らに対し、真実は設備投資計画として必要な資金は九億七千二百三十一万五千円であり、資金調達計画として出資金を徴収すべき組合員は存在せず、出資金による資金調達の意思も能力もないのに、設備投資計画として必要な資金は十三億九千六百三十万円であり、資金調達計画として必要な資金のうち四億五百万円は組合員からの出資金をもって充てる旨の虚偽の事業実施計画書を提出し、同月六日ころ同事業計画は適当である旨の大阪府知事の承認を得た上、同月二十四日ころ商工部長らに対し高度化資金貸付申込書を提出して、九億七百二十万五千円の借り入れ申し込みを行い、よって、同月二十八日大阪府から、高度化資金貸付名下に組合名義の口座に九億七百二十万五千円を振り込み送金させて、これを騙取したという事実でございます。  以上でございます。
  227. 古川雅司

    古川委員 先に刑事課長から事実の御説明をいただいたわけでございますが、この件に関しまして中小企業庁、それから会計検査院としての御所見を伺っておきたいと思います。
  228. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま御報告のありました大阪資源開発協同組合の高度化貸し付けの件につきましては、これは先ほども申し上げました高度化融資の中で大阪府が窓口となりまして貸し付けを行う事業でございますので、私ども早速大阪府とも本件につきましての概要、対処方針について聴取し、打ち合わせをいたしてまいっているところでございます。  この件につきましては、ただいまのお話にもありましたように、大阪府なりに厳重な審査等を行ったのではございますけれども、関係書類の一部に信憑性に疑いが持たれているというような指摘があったわけでございます。そういうわけで、本件につきましては、大阪府におきまして、本件が明らかになりました段階で、この種の事故を防止するための対策の検討委員会を直ちに五月に設置いたしまして、大阪府の職員に限りませず学識経験者等を集めまして、本件の事実関係等の究明あるいは今後の対策を綿密に打ち合わせをいたしておりまして、来週、九月九日にもその委員会としての結論を出す予定というふうに承知しておるところでございます。  私ども中小企業庁といたしましては、本件融資につきましては、このような大阪府だとの調査によりまして事実関係が明確になり次第、大阪府や中小企業事業団とも協議いたしまして適切な対応措置、例えば繰り上げ償還等の措置をとらせますとともに、高度化融資制度の運用において果たして本件の対応が適切であったのかどうか十分吟味、解明いたしまして、再発防止のため必要な措置を早急に講じてまいりたいと考えております。
  229. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 ただいまの大阪府の高度化資金の貸し付けにつきましては、私ども、ことしの五月に大阪府下の高度化事業検査に参ったときに、当組合に対しましても会計検査を実施いたしてございます。  現在、その後の資料収集あるいは関係当局に対する事情説明、こういったような事務が続いておりますので、言うなれば検査続行中ということでございますので、ただいまの段階では見解を申し上げるわけにはまいりませんけれども、ことし暮れの検査報告の時期までには結論を得たいというふうに考えております。
  230. 古川雅司

    古川委員 この件に関しまして、大臣に御所見を伺っておきたいと思います。  こうした事実が繰り返されるということは、一体どこに問題点があるのか。その一つに制度、例えば今の貸し付けの事務の流れといったことに問題があるのか。最高の責任者としてどのようなお考え、御所信を持っていらっしゃるか、御披瀝いただきたいと思います。
  231. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 技術的な点について御説明させていただきますと、高度化融資制度自体は、先生も御高承のとおり、厳しい環境変化の中で中小企業が存立、発展していくために力を合わせて事業を進めることを助成する制度でございまして、私どもとしましては、この制度の的確な運用を通じて中小企業の健全な発展を図ってまいりたいと考えております。  ただ、おっしゃいますように、本制度につきましての種々の会計検査院指摘、その他本件のような事例が出てくる背景につきましては、私どもとしては、都道府県、中小企業事業団とともに手続の厳正な運用を図ると同時に、今後も問題がありますれば早急に制度の改善も図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  ただ、本件そのものに関して申し上げますと、先ほども申し上げましたように、せっかく提出した書類につきましても欺瞞性があると疑われるような書類であったという特殊な事情もあったわけでございます。したがいまして、この点をもって一般的にすべての案件を議論するわけにまいらないと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、本制度が的確に運用されますよう引き続き鋭意関係者とも相談の上、厳正を期してまいりたいと考えております。
  232. 田村元

    ○田村国務大臣 実は私も、本件に関しまして報告を受けましたときに、とにかく再発防止のためにあらゆる検討をすべしということを命じておきました。構造的なものなのか、あるいは制度的なものなのか、あるいは全く単発的なものなのか、そういう点で、この問題だけではありませんから、いろいろな面で我々は目を光らせていかなければなりませんから、そういう点で十分の検討をするように、そしてまた綱紀の引き締めということを強く指示しておきました。
  233. 古川雅司

    古川委員 限られた時間でございますので、次の問題に移らせていただきます。  資源エネルギー庁から審議官においでをいただいております。長期エネルギーの需給の見通しの改正について若干お尋ねをしたいと思います。  まず最初に、いわゆる経済成長、GNPの伸びとそれからエネルギーの需要の動向、第一次石油ショック、第二次石油ショックから非常に傾向が変わってきたというふうに言われておりますが、その点をまず確認をしておきたいと思います。
  234. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 お答え申し上げます。  エネルギーの需要の伸びのGNP弾性値でございますが、ただいま先生御指摘ございましたように、第一次石油ショックまではGNPの伸びを上回る伸びでエネルギーの需要が伸びておったわけでございます。ところが、第一次石油危機を契機にいたしまして両者の相関関係が大きく変化しております。GNPの伸びに比し、エネルギー需要の伸びは低い水準で推移しているというのが状況でございます。これは省エネが進展したということのほかに、産業構造が変化いたしまして、エネルギー多消費型の産業でございます基礎素材産業のウエートが下がった、こういうことが大きいのではないかというふうに考えている次第でございます。
  235. 古川雅司

    古川委員 確かにそういうことをこの長期のエネルギー需給の見通しの中で示しておられるわけでございます。昨年十月十四日にお出しになりましたこの見通しの総括として、三項目にまとめていらっしゃるわけですね。  「この見通しは、民間の最大限の理解と努力のもとに、政府の総合的なエネルギー政策の重点的かつ計画的な遂行を前提とした場合のエネルギー需給見通しを示すものである。」二番目に、「今後の経済社会情勢は流動的であり、一方、エネルギー政策には現実的かつ弾力的な対処が要求されることに鑑み、この見通しにおいて定められる目標値は、硬直的なものとしてではなく、幅を持って理解すべきものである。」三番目に、「昭和八十年度エネルギー需給見通しは、エネルギー政策の長期的性格に鑑み、ひとつの試算として将来のエネルギー需給構造の方向を示したものである。」と締めくくっていらっしゃるわけですが、極めて見通しがつかない、非常に幅を持った見通しであるというふうに受け取られるわけでございます。  これからエネルギーの需要また供給に対して状況の変化というのはいろいろあると思うわけでございますが、GNPが多少ながら伸びつつもエネルギーの需要がそれに必ずしも比例をしない、むしろ減少傾向であるということになりますと、供給の側でもそんなに高く供給の必要を認めなくてもいいんじゃないかという声がございます。特に最近問題になっております原子力発電の占める位置、そう高く見なくても十分供給は可能ではないかという見方が一つあるわけでございますが、この辺がエネルギー庁のお考えと多少、そうした今私が申し上げたような考え方にずれがあるんじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  236. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 昨年十月総合エネルギー調査会の答申を得まして、長期エネルギー需給見通しの改定を行ったわけでございますが、これは一昨年来原油価格が二十九ドルから一時は十ドル以下まで下がり、さらにまた現在十五ドル前後でございますけれども、そういった原油価格の変動、それから経済構造調整の進展、こういった情勢変化を踏まえまして見通しの改定を行ったわけてございます。  今後のエネルギーの需要の見通しでございますが、今先生特にGNP弾性値のお話があったわけでございます。実は今回の改定ではGNP弾性値は〇・四というふうに抑えでございます。ところが、実績はどうかということでございますが、この五十七年度から六十二年度の六年間の実績を見ますと、エネルギーのGNP弾性値〇・七でございます。実は昨六十二年度が大変エネルギー需要が伸びた年でございます。六十二年度を仮に外しまして、五十七年度から六十一年度まで見ましても〇・六、こういうことでございまして、私どもとしては今後とも省エネルギー努力と申しますか効率的なエネルギーの使用を十分推進していく、こういう前提で、どちらかというと低目に抑えたつもりでございます。  それから電力の需要につきましても、実は六十一年度から七十五年度の発電電力量二・六%程度、毎年伸びを見ておるわけでございますけれども、これも最近の五年間の実績は四・〇というようなことでございます。電力需要は着実に伸びておるわけでございまして、こういった中で安定した供給を図っていくためには、日本の置かれておりますエネルギー供給構造の脆弱さを考えます と、原子力発電を中核として進めていかざるを得ない、こういう状況でございます。御理解を賜りたいと思います。
  237. 古川雅司

    古川委員 個別でありますけれども、エネルギーの供給目標を見ますと、石油昭和六十一年度の五六・八%から昭和七十五年度には四五・〇%に低下し、それから石炭が一八・三%から一八・七%、わずかふえております。原子力につきましては、九・五から一五・九%と非常に着実といいますか増加をしているわけでございます。これは先ほど渡部委員の御指摘にもございましたけれども、いわゆる原発トラブルが相次いでいる中で、これからその動向がどうなっていくのか、経年劣化の問題も非常に浮き彫りにされてまいりましたし、検査体制の見直しの必要性も強く叫ばれております。それから市民団体の動きも非常に活発になってまいりました。それからさらに挙げれば、廃炉の処理ですね。これについても国民を理解させ、納得させるだけの十分な体制がまだ示されていない。そういったことを含めて考えますと、先ほどの御答弁にもございましたけれども、電力について原子力を中心にそこに依存せざるを得ないということには非常に厳しさがあるんじゃないかというように考えるわけでございますが、この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。これは同時に大臣にもお考えをお聞きしたいと思います。  時間になりましたので、もう一つだけ伺います。関連をいたしまして、来年度の各省庁の概算要求の中で、原子力発電の安全性についてのいわゆる広報費、これは資源エネルギー庁長官の談話も新聞にコメントしておられるわけでございますが、石油代替エネルギーの本命である原子力の必要性を強調していくという意味から、今までになく広報宣伝費の大幅な増額を要求していらっしゃるというふうに伺っておりますし、各電力会社におかれましてもそれぞれその安全性を強調する宣伝に相努めているわけでございます。その宣伝をするだけ安全性というのは確立したのかどうか、これは議論すれば大変時間をとるわけでございますけれども、電力料金といえども国民が支払っているものでございますし、政府が宣伝をなさろうとする広報宣伝費ももとをただせば税金であります。そうした手間暇よりも、もっと安全性をさらに追求をしていく、確固たるものにするための方向にもっと力の重点を置くべきではないかという考えを私は持っているわけでございます。  二点にわたりましたけれども、大臣とエネルギー庁の方の御見解を賜りたいと思います。
  238. 田村元

    ○田村国務大臣 個々の問題につきましてはエネ庁長官から答弁をいたさせます。私は基本的な問題について一言申し述べたいと思います。  今後の電力需要は、内需を中心としたこの安定的な経済成長に伴いまして着実に増加していくでありましょうし、また、我が国エネルギーを必要とする国の体質はまことに脆弱でございます。でありますから、私たちは、そういう面とそれから世界のエネルギーの動向というものをしっかりにらんで、そして中長期的、あるいは長期的と言ってもいいのかもしれませんが、今後の我が国の対応と言いますより、むしろ人類の対応というものを考えていかなければならないと思うのであります。  率直に言いまして、石油の寿命はあと四十年程度と言われております。もちろん鉱脈を探る探鉱ということも行われるでしょうけれども、それにしても四、五十年が寿命と言われております。そしてなお、ペルシャ湾の情勢というものも完全に安定するのかどうかということもなかなか微妙な問題があると思います。そこで我々は、いずれにしても、好むと好まざるとにかかわらず石油に対する代替エネルギーというものの開発をしていかなければならぬ。コストが高くなるということは国民的合意があればいいことでございますから、これは第二の問題として考えてもよかろうかと思います。けれどもエネルギー、油がなくなるんだということになれば、私どもが生きておる間は大丈夫でしょうけれども、将来なくなるんだということになれば、これは真剣に我々は考えなければいけない。  では石炭はどうか。これは酸性雨というものの影響というものは恐らく世界の人々が許しますまい。日本人も許しますまい。太陽熱だ、あるいは波力だ、地熱だ、何だと言っても、これが大規模エネルギーとして我々の役に立つ日がそう早く来るかどうか、これも疑問であります。もちろん今必死の研究開発をいたしておりますけれども、しかしながら、今日そういうふうに考えますと、我々としてやはりコストの低廉性あるいは安全性――安全性といいますのは環境ということでございますけれども、ポリューション等に対して割合に安全である、そういう点で原子力というエネルギーに依存せざるを得ない、しかしこれにはいわゆる安全性の確保が絶対条件である、こういうことが言えると思うのであります。  私の地元にも原子力発電の問題でもめておる場所がございます。自分の地元でありますだげに、特に前の官房長官でありました藤波君の御尊父の御郷里でございますけれども、私どもも我が事でございますから無関心ではおれません。時に原子力問題で悩むこともございますけれども、しからば、私たちが我々の子孫にどういうふうに安定したエネルギーをつないでいってやるのか、渡していってやるのかということについて、やはり簡単に答えが出ないのであります。  原子力発電反対、いや安全性の確保に一生懸命にやります、しかしながら反対である、こういう論をなす人もおりますけれども、それはもちろん一つの意見でございましょうから、自信を持っておっしゃっておるんでしょうけれども、それならば私はあえて聞きたい。これから五十年、百年、我々が子孫に残していかなければならぬエネルギーを何に求めようとしておられるのか、私はそれを教えていただきたいのです。教えていただいて、それがすばらしいエネルギーだとわかりましたら、私は職権でもって原子力発電をとめます。  けれども、今、そういうようなすばらしいエネルギーもまた見つかりにくい。なかなかありません。石炭石炭と皆さんおっしゃいますけれども、酸性雨なんかで山野がめちゃくちゃにされたらどうなるかということもございます。そういうことをどうかひとつ御勘案を願いたい。私は、この原子力発電に関しましては、今申し上げたようなことをのみ答えております。我々には、後代、いわゆる我々の子孫のことを案じてやらなければならない責任があるのでございます。どうか、その点御理解をいただきとうございます。  残余の件は担当者から御説明を申し上げます。
  239. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 ただいま大臣の御答弁で大方お答えいただいておると思うのでございますが、一点だけ、広報対策の強化について私から御答弁をさせていただきたいと思うわけでございます。  先生御指摘のとおり、原子力発電の推進に当たりましては、国民の理解が何よりも不可欠な前提でございます。また、そのためには、安全な運転の実績を積み上げるということが一番大切なことだということを私ども十分認識しておるつもりでございます。そういった意味で、今後とも原子力発電所の安全性、信頼性の向上につきまして、一層努力してまいりたいと思うわけでございます。  ただ、それと同時に、原子力発電をめぐる問題につきまして、国民の立場に立ちまして、わかりやすい広報ということも非常に大切なことじゃないかというふうに思うわけでございます。特に最近、反原発運動が広がりを見せつつあるわけでございますが、従来は、どちらかというと、原子力発電所がございます立地地点で住民の方がいろいろな御意見を出された、こういうことでございますが、最近は都市部等々で、家庭の主婦等も入ったような形で反原発運動が出ておるわけでございます。そういった意味で、やや草の根的な広報活動と申しますか、本当の意味でわかりやすい、国民の立場に立った広報活動をさらに強化する必要がある、こういうことで広報活動の強化に今後努力してまいりたい、かように考えた次第でござい ます。
  240. 古川雅司

    古川委員 お約束の時間を大幅に過ぎました。  以上で終わります。
  241. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。
  242. 大矢卓史

    ○大矢委員 まず、この八月に総務庁から出されました「特殊法人に関する調査結果に基づく勧告」、中小企業金融機関関係ということで、中小企業金融公庫に対して、また国民金融公庫に対して勧告がなされております。その全般につきましては、時間がございませんので御意見は差し控えたいし、またいただくことも時間の関係で結構でございます。  ただ、この第一点の「直接貸付における民間金融機関との連携の強化」というところでいろんなことが言われておりますけれども、報道で聞きましたところによりますと、何か民間融資できるところは民間でやってもらって、それ以外のところをやればいいではないかというふうに私は聞いたのでありますけれども、そういう内容でもないようであります。しかし、やはりそれと相似通ったようなことも指摘されておるようでございますので、この点どういうふうに通産省は受けとめられ、また中小企業金融公庫は受けとめていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  243. 三上義忠

    ○三上政府委員 お答えを申し上げます。  総務庁の勧告につきましては、今先生から御指摘がございましたように、民間金融機関との一層密接な連携を図る、それから利用実績の低調な特別貸し付けの整理合理化等、その他手続の簡素化等、こういったことが指摘をされておるわけでございます。  中小企業は、御高承のとおり、信用力あるいは担保力が乏しいこと等資金調達面におきまして大企業に比べまして大変不利な状況に置かれているわけでございまして、このような状況にあります中小企業に対しまして、長期かつ低利の安定的な資金を供給することによりまして中小企業者振興発展を図っていく必要があるということで、従来も各種の施策を私ども講じているわけでございます。  このような状況の中で、単に民間からの借り入れが可能である、こういうことでこれを公庫の貸し付け先から除外するというようなことになりますと、中小企業者は、今申しましたようなことでございまして、一般的には政府関係機関等に比べますと民間の場合にはどうしても金利、期間等につきまして不利な条件のもとで借り入れを余儀なくされてしまう、こういうおそれが大変強いわけでございます。  また、特に、昨今の情勢のもとにおきましては、構造転換でございますとか、あるいはそれに伴いまして新規事業等に転換をいたします新事業への進出でありますとか、あるいは非常にリスクの大きな投資をせざるを得ない、こういうような条件のもとに置かれておりますと、どうしても民間金融機関からの融資というのがなかなか受けられにくい。こういう意味で、政府系中小企業金融機関の果たす役割というのは従来にも増して大変大きいというふうに私どもは認識をいたしておる次第でございます。  また、さらに、実際の公庫の貸し付けに当たりましても、借入申込者の取引金融機関との連携でありますとかそれから協調融資、こういうのが大変重要なことでございまして、今後とも、こうした観点からもさらに一層民間金融機関との連携を図っていくように指導してまいりたいと存じております。
  244. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 金融というものは非常に流動的でございまして、金融環境というものは決して固定しているわけではございません。非常に逼迫した時期があると思えば、やがてまた緩和するということを繰り返しておるわけでございます。したがって、企業経営の環境というものも非常に流動しておるわけでございまして、そういうことを勘案いたしますと、ある時期にある企業が非常に業績がいい、金融機関からの借り入れに全く不自由がないというだけの理由で、政府系金融機関の融資を排除すべきであるということには決してならないと思うわけでございます。  特に、中小企業というのは、何と申しましても経営基盤が脆弱でございます。また資金ニーズというのは非常に多種多様でございまして、民間金融機関には民間金融の非常にいい点もあります。と同時に、政府系金融機関には政府系金融機関の特有の性格があるわけでございまして、いろいろなそういう金融をそれぞれのニーズに応じて調達していくというのが、民間企業といたしましてはぜひ必要なことであると考える次第でございます。極端な言い方をいたしますと、政府金融機関に対する資金ニーズがあるということは、政府金融機関の存在の意味があるということではないかとすら思うわけでございます。  御案内のように、中小企業金融公庫は、長期固定金利でしかも比較的低金利で資金を融通するという使命を負っておるわけでございまして、この使命というのは恐らく民間金融機関だけでは達成できない使命、役割であるわけでございます。当然ながら、私どもは補完金融機関といたしまして、民間金融機関とは密接に連携連絡をとりつつ業務を執行しておるわけでございます。各段階に応じましてそれぞれ密接な連絡をとり、情報交換をしながら業務を行っておるわけでございまして、今回の勧告の内容もまさにそういう意味で私どもは受け取っておるわけでございます。これからますます民間金融機関との連絡を密にしながら、非常に今の厳しい情勢に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  245. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が限られておりますので、質問に応じてそこは適切にお願いをいたしたいと思います。  そこで、中小企業金融公庫が中小企業のために果たしている役割というのは非常に理解できますし、これからもこういう何かわかったようなわからぬような勧告に左右されることなくして、今後も努力してもらいたいと思います。  そこで、中小企業金融公庫の業務方法書ですか、これでもございますように、非常に従来の金融機関のように地べただけを対象に金を貸して地上げに利用されるということではなくして、本当に中小企業のために、これからの新しい産業分野、いろいろなソフトの面も含めて取り組んでいこうという姿勢が見えるわけであります。そういうことで、担保につきましても必ずしも不動産云々ということでなくして、その企業の将来性、またその経営者の手腕、それらによって新しい分野の金融の部門も担当していこうという意欲が十分に見られるわけであります。そこで当然、担保にこだわらないということが書かれておりますので、そういうことはなかろうと思いますけれども、やはり最小限度担保要求をされました場合に、抵当、根抵当というのがございますが、原則的に抵当権というもので、これは根抵当なりに、根抵当でやります利便、これに基づいて根抵当はされるべきであると私は思いますけれども、原則的には抵当でいいのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  246. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 根抵当にはそれなりのメリットもデメリットもあるわけでございまして、したがって、そういう点に関しまして私どもは借入先に詳しく説明を申し上げまして、根抵当を設ける場合にはこういうメリットがあります、また一方、こういうデメリットもございますということを申し上げまして、根抵当をとるか、あるいは普通抵当でいくかということは、できるだけ借入先の意思を尊重していくというような方針で行ってまいっております。
  247. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことで、説明をしていただいて納得していただくということですから、非常に結構でございます。  ただ、念のためにお聞きをいたしますけれども、根抵当をおとりになるときに額面はどういうふうになりますか。
  248. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 抵当物件の評価につきましては、原則として時価という考え方でございます。ただ、時価と申しましても、例えば土地の場合に、近隣の土地価格をそのまま持ってくるということではございませんで、それを参考にしつつ、その当該物件の特殊性、立地条件その他、いろいろな要素を勘案いたしまして評価をいたしておるわけでございます。結果として、一般金融機関の抵当物件評価と比較してどうかということははっきりいたしませんが、まあそう大きな違いは生じていないというふうに考えておる次第でございます。
  249. 大矢卓史

    ○大矢委員 私のお聞きしているのは、抵当はもちろん一〇〇%でございますけれども、根抵当の場合に一〇〇%であるのか、それ以上おとりになるのかということであります。
  250. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 根抵当の極度額を決める場合には、原則といたしまして元本金額にプラス大体二年程度の遅延損害金ぐらいを頭に置いて、それをプラスする形で極度額を決めておる次第でございます。
  251. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことになってまいりますとまたこれは問題でありまして、中小企業金融公庫と一緒に通産省が指導していらっしゃいます信用保証協会、この担保のことについてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、先ほど抵当権と根抵当とで中小企業金融公庫は十分にメリット・デメリットを説明した中で御選択を願うということでありますが、保証協会の方はいかがでございますか。
  252. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 信用保証協会につきましても、ただいま中小公庫において御説明を申し上げましたと同様、企業者の実情に応じまして選択によりまして、根抵当の場合あるいは普通抵当の場合を選んで適用して設定していくことにいたしております。
  253. 大矢卓史

    ○大矢委員 中小公庫と同じようにこれは十分に説明をされるということですか。そういうことでいいですか。
  254. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 各信用保証協会にそのように対応するようお願いをして、現にそのようにやっていると承知しております。
  255. 大矢卓史

    ○大矢委員 この抵当権をつけるという場合には、大体が設備資金と長期の場合が多うございます。ですから、そういう場合には私は原則的に抵当でいいのではないか。それがしょっちゅうしょっちゅう手形を、二カ月、三カ月で毎月毎月その手形が回ってきて、それが枠があいてきてそれを利用するというような場合は別でありますけれども、ある一定の三年、五年という長い年月のものにつきましては、これは抵当でいいのではないか。と申しますのは、今中小公庫も言われましたように、二〇%を現実にとるんだということになっておるようであります。この二〇%増しをとることに私は非常な不満を持っておるのであります。なぜ二〇%とらなければならぬのか。それは今も少し御説明のあったように、ちょうど四十六年に民法が改正になりまして、そして根抵当というものができたわけであります。その条項ができました。抵当につきましては、その抵当権の中で、さかのぼって二年の金利が取れるんだ、だからこの根抵当につきましても二年間さかのぼって取る。一年間一割と見て二割、二〇%増しをまず確保しておくということのようであります。  しかし、ここで現実に、この前の大蔵委員会でございますか、そのときに資料を出していただきまして、その当時はその年度に保証した額、そして、その年度に事故が起きたその額の割合は幾らだということを申しますと、三・一%だということであります。それが間違いでございましたということで訂正してこられまして、〇・一%だということであります。そういいますと、千分の一の事故率だということであります。  それは、まず三年で計算をいたしますと三十六回、その三十六回の二〇%といいますと大体七カ月であります。五年でいきますと六十カ月、これの二〇%は十二カ月、一年であります。最長一年といたしましても、この一年の間に事故が起きる率が今大蔵省から出てまいりました〇・一%だという。ですから、言うならば千件保証して一件事故が起きるために、九百九十九件が二〇%増しの担保提供を強いられておる。中小企業のためにやっておる役所として、中小企業者を守るために民間よりもいい条件で貸していくということはもちろんであります。ただ金融機関なり保証協会を守るためにやっておる政策ではなかろうと思います。そうなってまいりますと、九百九十九件の人たちがただ〇・一%、千分の一の事故がこの一年間に起きるために、それを永久に返済するまで二〇%増しを担保提供されておる。これが抵当であるならば、返していった金額だけ減っていくわけであります。そうでなしに、ずっと完済するまで拘束されておる。そういうことが果たして中小企業者のためであろうかどうかということを考えるとき、私はこの問題だけは何としてでも除去してもらわなきゃならぬ。  この問題について、かつて岸田中小企業庁長官、この方が大阪府の商工部長をしていらしゃった関係もあって大阪に来られたときに、私がこの実情を申し上げますと、一諸になって、けしからぬことだ、そんなばかなことがあっていいものかということで、帰って調べましたら、中小企業庁の方で指導いたしておりましてまことに申しわけございませんと言ったまま中小企業庁長官をおやめになって、今議席を持っていらしゃいます。そういう経過もございますけれども、今お聞きをいたしますると、中小企業庁はそういう指導はしておらない、ただ保証協会の連合会がそういう申し合わせをしておるようだということであります。  しかし、そういうことが果たして正しいのか。今私が数字を示しましたように、これは私の数字ではなしに大蔵省から出てきた数字〇・一%というのが正しいということであるならば、今申しましたように、千件のうちの一つのためにあとの九百九十九がこれを返済するまで永久に二割増しの担保を強いられておる。こういうことは商業ベースならわかります、銀行ならわかります。しかし、中小企業のための金融機関なり保証協会がこういうことをしておっていいのかどうかということ。私はこのことだけは絶対に指導していただいて撤廃していく。実害がないのにもかかわらず、完済するまで永久に二〇%増しの担保で縛られておる。中小企業が一銭でも多くの金を借りて次の事業につぎ込みたい、そのための担保力が保証協会ではやはり不動産ということになってまいります。その唯一の不動産が二割も余分にとられておるという理状。これは今申されましたように、二割と申しましても、その元は時価で換算するのではなくして、恐らく八割とかいうぐあいで、もともと担保力はあるわけであります。担保力を補うためではなくして、もしその千分の一、万が一ということがあったときに、金利を二年さかのぼって取りたいということだけであります。私は、その利用者がもし不幸にしてよそからのあおり等を受けてこの一年間に支払い不能になった場合でも、そういう金利を追いかけていくというような高利貸し的な感覚でやるべきでない、こういうことを思いながらずっとこれを申し上げておるわけでありますけれども、その点についてもう一度御答弁願いたいと思います。
  256. 三上義忠

    ○三上政府委員 お答え申し上げます。  信用保証協会の担保につきましては先生御指摘のとおりでございまして、根担保というのが非常に多いわけでございます。これはここで私が改めて申すまでもないわけでございますが、普通の担保の場合と根担保の場合にはそれぞれメリット・デメリット、長所・短所等がございまして、実際は、今申しましたように信用保証協会の保証制度を利用されている中小企業の方々は根担保を採用されている、こういうことでございます。  これは先ほど長官あるいは総裁からも申し上げましたように、基本的に最初の段階でどちらの仕組みを選択するのか、これは中小企業の方々の御意見をよく承りまして、その要望におこたえする形で決めておりますし、さらに、一たん根保証、根担保を選択された場合におきましても、その後の情勢の変化等によりまして限度額に余裕が出てきた場合にはこれを減額するとか、そういうようなこともやっておりますし、従来も、中小企業の方々の実情等を踏まえまして、できるだけそうした方々の実態に応じた形で運用をいたしておるというふうに承知をしております。  それで、事実、理論的には確かに初年度に代位弁済が発生するという比率は非常に低いわけでございます。理論的にはそういうことで先生のおっしゃるような点もあろうかと思いますが、そういうことで仮に二割増しとかいうことをやめまして一〇〇%という格好になりますと、物によりますとやはり担保不足というのが生ずる可能性もこれまたあるわけでございまして、これが最終的に理論的にどのくらいの形でだれがどういう格好で負担するのか、これは大変難しい問題でございまして、それがある程度の額のウエートになりますと保証率の問題にはね返ってきますとか、あるいは保険料の問題になりますとか、あるいは国の財政支出の問題になりますとか、だれがどういう形で負担するかという問題も出てくるかと思いますし、その辺のところは大変難しい実態だと思います。  なお、私ども、今申しましたように事業者の方々の御要望につきましてはできるだけ誠心誠意ふだんから伺うようにしております。それと同時に、各種の中小企業施策につきましても、できるだけその中身については詳細に御理解いただけるように施策の普及に努めておりますが、なお誤解のないようにできるだけ正しく御理解いただいた上で制度を中小企業の方々にお使いいただきますよう、これからも万全を尽くしてまいりたいと思っております。
  257. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の答弁の中で私が非常に不満に思いますのは、担保不足が起きるということを言っていらっしゃいますけれども、一体どういう原因で起きるのですか。一〇〇%のものを一〇〇%とらないで、大体八割しかとらないわけであります。それにもかかわらず担保不足が起こるというのは、担保をとられるときの調査が不十分であったからそういう担保不足が起こるということはあり得ます。また、知っていながら全然値打ちのないものを引き取らされるというような何らかの圧力でやられる場合は別としても、正常にやっておって担保不足が生じるというのはどういうことなんですか。そういう理由でそれができないというのは理由にならないじゃないですか。
  258. 三上義忠

    ○三上政府委員 ちょっと私の御説明が舌足らずであったかと思いますが、今御質問を伺っていまして考えましたのは、例えば一〇〇%とっております場合に、最初の段階で代位弁済等が生じますと、その後の回収期間等を考えますと、当初一〇〇%ではちょっと足りないのではないかな、こういうことを考えたものですからそのように申し上げたところでございます。
  259. 大矢卓史

    ○大矢委員 その日に保証してその日につぶれるというようなずさんな保証の仕方はしていらっしゃらないと思います。しかし、先ほど申しましたように、ほかの方の要因で万が一、一年の間にもそういう不測の事態が起こるということは、これはあり得ることでございます。しかし、おたくの方のそれを調べる調査能力が落ちているから一年間でそういう事態が起きた、それが担保不足につながるというようなことは説明にならぬと思います。  そういうことでなしに、中小企業者がいかに苦労して金融について努力していらっしゃるのか。町の金融機関ではもういっぱいで借りられない、そういう人たちがやはり保証協会の保証料を払って金融を受けておるわけでありますから、それについてその二〇%でなければならぬという根拠はどこにもない。万が一それが不幸にして支払い不能になったときでも、なぜそこへ二年間もさかのぼって追いかけて金利を取ろうとする姿勢を持たなければならぬのか、それが私は非常に不思議で仕方がない。それも、今数字で示されましたように、私が出した数字じゃなくして、大蔵省から持ってきた数字が〇・一%だ。その〇・一%、千分の一に対してなぜ九百九十九人の人たちが二〇%も負担しなければならぬのか。  そういうものを考えると、全体で余分に押さえられているのは一体幾らあるのだ。保証協会だけでも全体の保証残高十兆円だと言われております。それの千分の九百九十九、それだけが二割増しをとられておる。これはもういろいろな数字で、無担保、いろいろなものを省いていったらそうはならないと思いますけれども、非常な金額がそうなっておるということを考えますときに、これはやはり考えていただかなればならぬ。そして、本当に中小企業のためのそういう中小企業庁であり、またそういう金融機関であるというなら、この二〇%のことは私は断じて容認できない。このことについて大臣の御所見を承りたいと思います。
  260. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 確かに信用保証協会の場合には根抵当の利用がかなりあるようでございますけれども、これはどちらかといいますと保証を利用される中小企業の方々が、必ずしも新規の保証が多いわけではなくて、繰り返し保証を受けるケースが多いこともありまして、抵当権の設定に係る費用の節約とか手続の簡素化の観点から根抵当の方を選ぶ場合が多いように承知いたしておりますけれども、その際、先生の保証元本の二割増までとるのがどういう意味なのかという御指摘、私どもも先生のおっしゃる意味はわかるわけでございます。  ただ、確かに、私どもとしては、担保の問題につきましては担保の範囲をできるだけ広くとるとか、担保の評価につきまして弾力的に行うようにお願いするとか、そういったことはいろいろ進めておりますけれども、この根抵当の運用に関します保証元本の二割増程度まで、これは幅があることでございますけれども、とることにつきましては、特に。保証協会において特別厳しくしているというよりも、私どもの承知している限りでは、金融機関におきまして一般的に行われていることの中で保証協会もそのような運用の仕方をしているということのようでございます。  もとより保証協会は、先ほど来先生御指摘のように、中小企業の信用補完のための政策的な役割を担っているわけでございますから、今後ともこの根抵当の設定、運用につきましてはその役割に応じた運用がぜひとも必要だと思いますけれども、私どもといたしまして先生の御指摘のすべてにおこたえできることには必ずしもなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、保証協会を利用する中小企業の方々は、まず入り口の段階で普通抵当を選ぶのか根抵当を選ぶのかということのほかに、返済がある程度進んだ段階で極度額に当然余裕が生ずることは先生御指摘のとおりでございますので、そういう場合、しかも、今後その中小企業の方々がそうした根抵当権を担保とした取引を引き続き行う見込みもないような場合には、当然中小企業者の方で申し出られますれば極度額の減額など弾力的な対応を行っているように承知しております。  今後とも、必要に応じまして、中小企業者の御意向が十分反映されるよう引き続き指導いたしてまいりたいと考えております。
  261. 田村元

    ○田村国務大臣 現在この制度を利用する中小企業者は、既に百三十四万企業にも上っております。中小企業の五企業に一企業はこの制度を利用いたしておるわけでございますが、今後とも幅広い中小企業者のニーズにこたえていけますように、保証の弾力的対応と信用補完制度の充実に努めてまいる所存でございます。
  262. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣の今後の御健闘を期待いたしましてこの問題は一応終わらせていただきますが、後々も対応次第によってはずっとこの問題をやらせていただきますので、御了承願いたいと思います。  私も下請の協同組合の理事長等もやっておりました関係で、下請代金支払遅延等防止法の下請の立場に立ってお伺いをするのでありますけれども、この法律は昭和三十一年に制定をされましたが、果たして法に決められましたようないろいろなことがどれだけ実行されておるのか、またそれによって具体的に改善をされた件数、また改善をされずに公表された件数等でございましたらお知らせ願いたいと思います。
  263. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま御指摘の計数につきましては、ただいま調べておりますけれども、下請 代金支払遅延等防止法の運用につきましては、中小製造業の約七割が下請企業でありまして、この下請企業としての地位が取引上親企業に種々制約を受けることがあり得る可能性にかんがみまして、公正取引委員会とも重々協議をいたしまして厳正な運用に努めているところでございまして、お尋ねの計数につきましては後ほどお答えさせていただきたいと思います。
  264. 大矢卓史

    ○大矢委員 下請と親会社というのは車の両輪だとよく言われるのですけれども、実際問題として全然力関係が違うわけであります。もし下請の方からこういう問題を提起いたしますと、取引をもうやめるのだということの腹を決めないと一切役所の方には伝わってまいりません。そこで、積極的にこの親企業と下請というものが当てはまる企業について常に監視をし、またそこに参られていろいろな調査をして、実際にこの法律で言われているようなことが決められておるのか、またそれが実行されておるのかということを十二分に監視をしていただかないと、絶対下請の方からは問題提起がございません。そういう点で、実際すばらしい法律ができました。しかし、それが実際の運用の面で何か効果を出しているのかどうか、私は非常に疑問であります。そういうことを今件数で聞いておったのですけれども、その件数を聞きましても恐らくどうという答えは出てこないと思います。  時間がございませんので、ただ、この支払いの期日の問題でお伺いをいたしたいのですけれども、これは第二条の二に、納品をしてから六十日以内に払いなさいということを言っておるのですか。
  265. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 御指摘の点、そのとおりでございまして、下請代金の支払い期日に、つきましては、六十日の期間内におきまして、かつ、できる限り短い期間内におきまして定められなければならない旨、規定されているとおりでございます。
  266. 大矢卓史

    ○大矢委員 それから、割引困難な手形というのは期日が百二十日を超えるものだというふうに、この割引困難な手形の交付の禁止の中で示されておりますけれども、そういうことなんですか。
  267. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、一般的には支払い期日百二十日以内ということでございますが、業の特性にかんがみまして、繊維につきましては九十日以内にするよう指導いたしているところでございます。
  268. 大矢卓史

    ○大矢委員 百二十日といいますと四カ月である。九十日といいますと三カ月。納期から支払いまでが六十日、逆に言いますと六十日以内に払いなさいよということですから、六十日間待たされても仕方がない。そうなりますと、この百二十日でいきますと半年間です。六カ月間の間に現金化されるものであったらそれがいいんだ。今おっしゃいましたように九十日という指導でありますと五カ月であればいいんだ。中小企業者が自分で物を仕入れて、そして製品にして納めて、六十日以内に手形をもらって、そして九十日以内、百二十日という手形をまた現金化して、そういうことになりますと、やはりこの法律の中の運用の期日そのものが非常に問題ではないか。ただ、このことすらも守られておらない企業があるのではないか。その点はいかがですか。
  269. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 おっしゃいますように、下請企業の立場は親企業に対しまして非常に制約があるわけでございますので、私どもといたしましては、親企業につきましては、公正取引委員会と分担をいたしまして、合計六万に達する企業につきまして法律上問題がないかどうか悉皆調査をいたしております。そのような過程を通じまして、問題の生ずる案件につきましては代金法の定める手続に従いまして所要の処理を行っているところでございます。
  270. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは法律ができてから、三十一年にできたのですから、そういうことがもっともっと改善をされていなければならぬし、そういうことを問われる企業が全然ないということは当たり前でしょうけれども、現実、私はそうではないと思います。これを早急に、そういう企業全体について、まずいろいろな備えなければならぬものがあるかどうか、これは調査をして提出をしていただく用意がございますか。
  271. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 経済の国際化の中で親企業、中小企業ともに非常に厳しい環境の中にありますので、こういうときこそ代金法につきましては厳正な運用が必要だと存じますので、今後とも十分公正取引委員会とも打ち合わせをいたしまして、目を光らせてまいるようにいたしたいと考えております。
  272. 大矢卓史

    ○大矢委員 第三条に注文書の交付義務、それから書類の作成、保存義務等いろいろなことがあるわけですけれども、これは下請に対しては電話一本で、いつ幾日納めてくれ、書類は後から来るわけであります。  そういうことで、最後に、週休二日制なり長期のレジャーというのは、これは時の流れ、趨勢でありまして、大型レジャー化等、週休二日制も含めてこれは労働省も大いに推進をしておるところだと思います。しかし、親会社と下請というのはそういう関係にないわけであります。親会社の方は週休二日制があり大型レジャーがありましても、これは十分に休めますけれども、その親会社なりそういうところが何日から仕事を始めますからと言いますと、それに合わして、その下請は、その間は休まずに、その製品をつくって納めなければ今度は親会社が回らないというようなことがございますので、そういう国の施策を遂行していくためにも、やはりそういう下請も一緒になって週休二日制なりまたレジャー化が進む、その中で親会社と一心同体で、車の両輪で本当にやっていけるような状態をつくるべきだと思いますが、その点お答えを願いたいと思います。
  273. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生御指摘のとおり、今後労働時間の短縮あるいは週休二日制の導入等、中小企業に働く方々にとりましても、大企業に働く方々と同様に推進していかなければならない労働問題の課題があるわけでございますが、確かに、親企業に比べますと下請企業の場合には、どうしても親から注文が来れば休みを返上してでもつくらねばならぬ、あるいは残業しなければならぬということに追い込まれがちでございます。私どもといたしましては、今後豊かな生活を実現していくためには、中小企業の分野におきましても労働環境の改善がぜひとも必要だと考えております。  現在、私ども、下請中小企業振興法に基づく振興基準を定めておりますけれども、その振興基準の中には、親事業者が下請事業者の週休二日制その他休暇の実施、労働時間の短縮が可能となりますよう発注の時期、納期等につきまして十分に配慮すべき旨を定めておりまして、これにつきまして種々講習会で普及を図る、あるいは必要に応じまして所管大臣からの指導助言を行う等によりまして、先生御指摘の点につきましては今後着実に推進を図ってまいりたいと考えております。
  274. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が参りましたので、大臣、こういう内閣を挙げての世界に対する日本の公約でもございます今後の週休二日制なり大型レジャー、これは一つの大きな道だと思いますので、中小企業もともにその道に進めるように今後努力をしていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
  275. 野中英二

    野中委員長 郵政省関係の政府委員、それから説明員の方は、野間君のNTTに関する質問があると思いますが、ぜひ支障のないように答弁をお願いします。  それでは、野間友一君。
  276. 野間友一

    ○野間委員 まず最初に、通産大臣にお聞きをしたいと思います。  午前中にも質疑がございましたけれども、けさの朝日新聞の三十六商社の入札にかかわる価格カルテルあるいは数量カルテル、こういう疑いの問題ですが、これが事実であるとするならばこれはゆゆしき問題だと思うのですね。やはり商社としてのビヘービア、社会的な責任を云々する前に刑法上の談合罪にもなりますし、これはとんでもないことだと思うのです。輸入冷凍牛肉、こういうことについての調査と厳しい措置がぜひ必要だと思いますけれども、まず田村通産大臣の所感を承りたいと思います。
  277. 田村元

    ○田村国務大臣 大変申しわけないのですけれども、商社といえども、貿易問題は通産省、私の所管でございますけれども、入札というのは実は私とは何の関係もないことなんです。でございますから、ここで私がとやかく申し上げることは御遠慮申し上げますけれども、何といっても商社というのは私の所管でございますから、その意味では、この事実が農林省その他の関係官庁で仮に明らかになりました場合には、私なりの判断で何らかの行動をするかもしれないというふうに申し上げておきたいと思います。
  278. 野間友一

    ○野間委員 これも午前中、公取に対する質疑がありましたけれども、この事実をやはり早急に調査をして、しかるべく法にのっとった措置をするべきだと思いますが、いかがですか。
  279. 植木邦之

    ○植木政府委員 お答えいたします。  御指摘の新聞報道については当然承知しておりまして、その実態がどうなっているかということを情報収集を重ね、そうして、独占禁止法上問題になるというような事実があるということになりますと、私ども審査を行いまして、違反が認められましたらそれに相応する措置をやっていかなければいかぬ、そういうふうに思っております。
  280. 野間友一

    ○野間委員 それでは、輸入肉の問題についてはこれで終わりたいと思います。  今から私がお聞きしたいのは、通産省サイドと申しますか電気通信事業、これは通産省にも非常に深いかかわりがありますけれども、これに関するリクルートのさまざまな疑惑の問題を取り上げて質疑をしたいと思います。  リクルートといいますともう既に御承知のとおり、グループの総数が二十数社、総売上高が四千三百億円、総従業員数が一万人と非常に大きなグループであります。これは経過からしても、御承知のとおり「住宅情報」あるいは「とらばーゆ」こういういわゆる出版事業社から、あるいはコスモスに見られますような建設あるいは不動産事業、こういうものでずっと大きくなってきたわけですが、最近では情報産業あるいは通信事業、こういうようなことに入りまして急速に伸びてきた企業でもあります。  このリクルート疑惑の発端も、川崎市のいわゆるテクノピアビルの、市の小松助役にかかわるああいう問題でありますが、このビルは、江副さんの話によりますと、リクルートの命運をかけるというRCS、リモート・コンピューティング・サービスといいますが、スーパーコンピューターの時間貸し、こういうものの拠点としてこれがつくられたわけであります。  そういうことを前提にいたしまして、まず通産省にお聞きしたいのは、通産省はスーパーコンピューター、この産業に今まで非常に力を入れてこられました。その結果、国産のスーパーコンピューターも非常にふえました。私の知識では、今国内で使っておるスーパーコンピューターの中で国産が八十五台、外国産が約十五台というふうに理解をしておりますが、こういうのを前提にいたしまして、リクルートが一体スーパーコンピューターを何台持っておるのか、御承知かどうかお聞きしたいと思います。
  281. 棚橋祐治

    ○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。  今、先生御指摘のリクルートは非常に広い意味での情報産業に参入はしておりますが、正直なところ、計算をする場合にコンピューターを時間貸しをしておるという程度の事業かと承知いたしております。
  282. 野間友一

    ○野間委員 RCS、まさしく時間貸しをやっておるのですけれども、これは社内報もありますしそれから新聞報道にもありますけれども、スーパーコンピューターを現在四台所有して営業しておるわけですね。これは日本ではまず例のない非常に大きな保有台数であります。今申し上げましたRCS事業、それから通信回線、NTTから大束を受けましてこれを小口化してユーザーに又売りするといういわゆるリセール、これがリクルートの二つの大きな今後の企業の目玉のようでありますが、非常に成長してきております。これは単に、リクルートが目先がきくとかあるいは商売上手と申しますか、時代の波に乗ったというふうなことだけで、まあいわば素人ですからね、新規参入でありますから、こういうものが今では他の追随を許さない、そういう大きな企業にどうしてなったのか、これは私も非常に不思議に思っておりましたし、またいろいろな物の本にも書いてあるわけであります。  これについて結論から言いますと、NTTとの関係ですね、これを抜きにしてこれだけ大きく急速に成長したということは考えられない、こういうことになります。  そこで順次お聞きするわけですが、郵政省、局長、RCS事業、そのためのスーパーコンピューター、特にその中で二台はアメリカのクレー社から入っておると思いますが、この点についての事実確認を求めたいと思います。
  283. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねのスーパーコンピューターでございますが、私どもが掌握している事実によりますと、NTTがこれをアメリカから購入いたしまして、NTTとしては四台購入しております。このうち二台をNTTの武蔵野通研で使用しておりまして、あとの二台、これを今先生おっしゃいましたようにリクルート社に再販をいたしておる、こういう状況でございます。
  284. 野間友一

    ○野間委員 そうなんですね。これは日経新聞のことし三月四日付、これにも書いてありますが、要するにこれは経済摩擦の絡み、政府調達の絡みでいろいろ問題があったのですけれども、中曽根総理が去年の四月に訪米したときに、NTTはもともと処理能力、電通研であるわけですね、一台のクレーで。それで、これはもう必要ないものをあえてNTTがリクルートから依頼を受けて買うことにした。これについて言いますと、三月四日の日経にもありますように、中曽根総理がそういうような要請を受けて実は買い付けをしたということのようですね。私はこのこと自体が大変大きな問題があると思うのですね。まさしくこの市場開放というのは内外無差別、とりわけ、仮にアメリカから入れる場合でも、特定のクレーから入れるというようなことで指名してそういうものをNTTをトンネルにしてリクルートが買い受ける、これに政治家、中曽根さんが介入したということになりますと、これ自体大変問題になりますし、私は、リクルート疑惑で中曽根元総理の名前も出てきておりますけれども、これもこれから重視をして追っていかなければならぬ問題ではなかろうかというふうに思うわけであります。  ただ、これは今指摘だけにとどめまして、時間の関係で進めますけれども、今言われたスーパーコンピューター、クレー社ですね。これはリクルートが買い受けておるわけですが、これは一体どこに置いて使っておるのでしょうか。
  285. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 リクルートの所有しておりますスーパーコンピューターでございますが、二台ございまして、一つはNTTの横浜ビル、もう一つはNTT堂島ビルに設置しております。
  286. 野間友一

    ○野間委員 これは新聞報道にもありますから間違いありません。特に堂島ビルの方はことしの四月にNTTを介して購入した。一番新しい購入だと思うのです。これは後からまた触れますけれども、NTTがみずからの庁舎、今では社屋かもわかりませんが、結局NTTを介してリクルートが買い受けたスーパーコンピューター、クレー社ですね。これはどこに置くかといいますと、今も答弁されましたように横浜の西区と大阪の堂島、この二カ所のNTTのビル、庁舎の中にこれを据えつけて現在使っておるということです。NTTの中でこれを設置して使うということになりますと回線が全く要らないわけです。ほかなら、リクルートは自分の独立の社屋を持っておりますと、そこにコンピューターを置いて、NTTから回線を受けてコンピューターの時間貸しをしなければならぬということになりますから、非常に便宜が図られておるということですね。特にスーパーコンピューターについては、通産省もその設置についてのガイドラインを置きまして、特殊な構造、設備が要求されるわけです。普通の並のビルではもたない。耐震性の問題あるいは防火・防水等々、いろいろなガイドラインもつくられておるわけです。ところが実際に、今言われたNTTの堂島とか横浜というところはデータ通信のビルですから、もう既にNTTがコンピュータービルとして使っておるということになりますと非常に格好のものが提供されたことになりますし、それから、みずからのビルでありますと、今申し上げたようにNTTから回線を引かなければならぬ、この手間暇が全く省けて、いながらにしてNTTの中にコンピューターを置いて時間貸しができる、こういうことになるわけです。だから非常に便利であります。今でも通信の秘密は、公社時代だけじゃなくてNTTにもあるわけで、私はこのこと自体非常に疑問に思うのです。保守の問題もあったり、いろいろな問題があります。それをNTTのビルの中に置いて、そこへ来てリクルートが商売する、こんな妙味が図られておるということが明らかになったと思うのです。  それからもう一つ、商売の目玉としての回線リセールですね。先ほど申し上げたように、六メガビットですが、大きな回線の束をNTTから借りて、それを交換機にかけて非常に細分化してこれを各ユーザーに売っている、こういうことです。  この回線リセール市場を私もいろいろ調べてみますと、これはことしの七月十一日付の日経コミュニケーションズの中にもありますけれども、六月現在で回線リセール業者はリクルートあるいは共同VAN、日本通信ネットワーク等々十一社あるわけです。そのトータルの契約会社数は三千百五。これは多少アバウトかもわかりませんけれども、この資料にはそうあります。契約回線数は一万六百十三回線、これは一部不明でありますが、そういう表が出ております。そのうちリクルートが一体どれだけのシェアを持っているのか、これもありますが、契約の会社数で千八百社。三千百五社のうち千八百社、もう圧倒しておるわけですね。契約回線数を見ますと七千回線、これは六六%になるわけです。全くダントツですね。  ですから、申し上げておるように、本当にわずかな間にこれだけ急速にのし上がったということは、NTTのおんぶにだっこというような庇護がなければ、いわば素人の新規参入者のリクルートがここまで大きく伸びることは非常に困難であったというふうに言わざるを得ないと私は思うわけであります。  この回線リセール事業について、リクルートは二種事業者ですね。六十年の四月にとっておりますが、この回線リセール業、金もうけのためにもNTTはその局舎ですか社屋、こういうものを使用させておると思いますが、いかがですか。
  287. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 NTTも日本電信電話公社から民間会社にかわりまして、経営ということについて非常に心いたしておるように察せられますけれども、こういった点、不動産の有効活用を図るという観点から、子会社などに対してその事務所等に当てるための局舎の貸与を行っているというようなことも承っております。  今、先生の御指摘の問題でございますけれども、データ通信等のお客さんに対しましても、これはデータ通信ということで附帯的な設備もいろいろ要しますし、その便宜を図るということで、センター設備、コンピューターなどのセンター設備でございますが、こういうものの設置スペースに供するために、要望に応じて、可能な場合は局舎の貸与に応じている。もちろん公平な条件で貸与に応じているというふうに私ども承っているところでございます。
  288. 野間友一

    ○野間委員 何カ所ぐらいになりますか、リクルートに貸しておるのは。私が知っておるのは大阪の北区に庁舎がありますが、どうなんでしょうか。
  289. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 私ども、会社としてそういうやり方で便宜供与といいますか施設の提供を行っているという一般的なことを承っているわけでございまして、特定の会社に施設を幾つ提供しているかということについては存じておりません。
  290. 野間友一

    ○野間委員 子会社、孫会社でなくて、リクルートはNTTとは独立した会社ですね。これに対して局舎というか今は社屋ですね、これを貸してそこに交換機を置いて、そしてTDMあるいはモデム、これも全部リクルートのものですが、そういうワンセットで、そして束を分けて大口を小口にしてユーザーに、こういうようなことをしておることはお認めになるでしょう。
  291. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 回線のリセールといいますか大束の回線をNTTから借りて、そしてそれを細分化してといいますか、交換装置を自分のところでつけてそして一般のユーザーに提供しているという限りでは、そういった特定の施設を必要とするということについては承知しております。
  292. 野間友一

    ○野間委員 これは今認めましたけれども、結局NTTの社屋を使わなくたってリセールはできるわけですね、回線さえ入れれば。そうでしょう。だから、私は今RCSについてもお聞きしたのですが、リモート・コンピューティング・サービスですね、このリセールについても同じようにべたべたNTTが貸しておる。これは私も非常に異様に思うわけですね。  さらに、電経新聞等にもありますけれども、保守契約です。今申し上げたTDMあるいはモデムはいずれも交換機ともどもリクルートのものです。これはNTTの社屋の中にあるわけです。そういう専属の保守契約まで結んでNTTが面倒を見ておる、こういうことでしょう。
  293. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 その辺のお尋ねのくだりになりますと、これはNTTという会社とそれのユーザーの一つであるリクルートとの個別具体的な契約の内容ということになりますので、他の会社同様私どもとしては承知しておりません。
  294. 野間友一

    ○野間委員 うそを言ってはだめだよ。電経新聞、これは普通の業界紙、専門紙にいっぱい出ていますよ、そんなことは。イロハでしょう、保守契約までして面倒を見ておるということは。これはあなた、このくらいのことを言ったっていい、みんな出ていますからね。
  295. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、個別具体的な契約の内容については承知しておりません。
  296. 野間友一

    ○野間委員 やはりこの保守契約まで言うと非常に答えなくなったのですけれども、これも大変なことなのですよね。結局、俗な言葉で言うと人のふんどしで相撲をとると言うわね。すべておぜん立てするのがNTTでしょう。庁舎しかり、そして補修しかり。別の場所でやりますと、回線を全部引いてやらなければならない。その必要は全くないわけですね。補修までやっておる。  あるところでは、私の調査したところによりますと、この補修・修理について言いますと、リクルートの回線だけがRというステッカーを大きく張って、直ちにそれを優先的にバックアップするという態勢までとっておりますよ、知っておるでしょう。
  297. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 残念ながら存じておりません。
  298. 野間友一

    ○野間委員 知らないと言うけれども、実は知っておると思いますが、これは大変なことなのですね。  そこで、私は公取にお願いしておるのですが、電電公社が民営化ということになった場合に、これが一体どのように競争政策上問題が出てくるのかということで、公取が専門家の研究会、情報通信産業分野における競争政策に関する研究会、これを開きまして二つの提言と一つの意見が出されております。  この最初の提言ですが、これは六十一年の二月十九日、民営化直後にやられたものですけれども、私がるる今まで指摘した問題、これは、局長は存ぜぬと言うけれども、あなたはプロで、こんなの百も承知の上でうそをついているわけですが、この中でも今私が指摘したようなことを全部危惧として書いてあるわけですね。  例えばこういうのがありますよね。   日本電電は、他の電気通信事業者とそれぞれのサービス分野で競争関係にある一方で、市内回線との接続において他の第一種事業者から、回線の貸与において第二種事業者から、それぞれ取引を求められる立場にある、 というようなことからずっと書き出してありまして、それから今指摘しておりますリセールについてはこう指摘しておりますね。専用線の単純再販、これはリセールですね。   現行の専用線の料金体系の下では、第二種事業者は、日本電電から借りた専用線を細分して、第三者に対して安価で再販売することができるが、このような単純再販を行う事業者は、今後、専用線サービスを開始する第一種事業者と市場で競争関係に立つものと考えられる。   この場合、日本電電が、保守、管理等の面でこれらの単純再販事業者を支援して第一種事業者の新規参入を阻害することのないように、注意する必要がある。 ですから公正取引、自由競争の点から、公取は学者を呼んで勉強会まで開いて、私が今るる申し上げたことを全部指摘しておるわけですね。  公取にお聞きしたいと思いますが、今の郵政省とのやりとりの中で、少なくとも、本来ならば用意ドンで、民営化された、スタートする、平等の立場でそれぞれが競争し合う。産業政策、独占禁止法の建前からもそうなんで、ところが実際にはおんぶにだっこで、何から何までこのようなサービスを受けて、これは私は、この提言の中に言うまさしく独占禁止法上も大きな問題があるというふうに言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  299. 柴田章平

    ○柴田政府委員 電気通信事業分野、自由化が行われました趣旨というのは、基本的には、競争原理の導入による市場成果の達成ということを一番大きな目標にしてなされているというふうに私は考えております。このような目標という点から顧みますと、今用意ドンで自由化をしていくという問題でございますが、この際一番の問題は、日本電電公社あるいは国際電電株式会社といったような、市場支配力の乱用といったようなものが一つ問題になるのではないか、あるいは新規参入が阻害されないように既存事業者の行動に注意することが必要だ、基本的に私どもはそのように考えていたわけでございます。そこで……
  300. 野間友一

    ○野間委員 そこで、時間がありませんので、この書き物の中にあります単純再販について、注意事項として指摘しておるでしょう、この絡みで私はお聞きしておるのですが、いかがですか。事実関係は今申し上げた……。
  301. 柴田章平

    ○柴田政府委員 そこで、今申し上げたように、NTTがそういう意味では特別な地位に立っていることは私ども十分承知をいたしておりまして、競争条件を整備していく上の重要なポイントとして、競争相手の他の事業者にはNTTとしては公平な取り扱いをしていただくのが非常に重要なポイントではないか、こういうふうに考えていたわけでございます。
  302. 野間友一

    ○野間委員 そうなんですよ。これは郵政省、実際えらいことでっせ。だから先ほど数字を挙げましたけれども、もうダントツなんですよ。これはコミュニケーションリポート、ことしの七月十一日付、これはもう繰り返しませんけれども、シェアが六割―七割、あとはほんまに小さなところばかりですよね。伸びないのですよ。しかも価格ですけれども、これが非常に安いのですね。びっくりしました。これはまた後で触れますけれども。  今、公取からも指摘がありましたように、実際にはこういう大きな巨大独占がそういう一つの企業に対してだけ肩入れする、何から何まで手当てをして、そして今申し上げたようにうんと大きくするということは、普通の常識では考えられないわけですね。だから、そこは郵政省の所管なんですが、郵政省は一体どう考えているのか。私は今実は非常に不思議に思っておるわけなんですね。しかもこれは、単に用意ドンというか、その前後でこのような深い結びつきが始まったものではないわけです。  そこで、委員長のお許しをいただきまして、ちょっと資料をお配りしていただきたいと思います。  これはNTTの大阪西支社がつくった文書の一部なんですが、六十一年の春につくったものですね。「リクルート社回線リセールの概要設備対応について」こういうのがあります。これを見ますと、経過ですが、五十八年十一月ですから、これは電電公社の時期です。リクルート、NTTが勉強会を始めていますね。それからずっと、ここにありますように「リクルート・NTT社長間でレター交換」「企業INS(IPC・INS)提案」INSというのはリセールも含めたいわゆる付加価値通信網の問題ですね。それから「JONの高度化」それから「コンピュータマップス提案」、これは後で出てきますが、MAPデータ社の設立、これは六十年三月ですね。こういう経過がずっとあります。それから再販、リセールについては六十年八月、これは括弧で囲んでありますね。  ずっとこの経過を見てもわかるように、民営化が六十年四月ですよ。用意ドンでスタートするのではなくて、五十八年の十一月の時点からずっと、NTTとリクルートの間でこういうさまざまな問題についての準備が水面下でもう進められてきた。これはとんでもないことだと私は思うのですね。  それから、下の②のところに「料金等」とあります。NTT価格というところは、NTTが仮にユーザーに売った場合の一カ月の価格四十二万五千円。リクルートがこれをユーザーに売る価格が三十一万八千円。これはリセール、再販ですから、安くして売っているわけですね。括弧の中に書いてあるのはNTTへの支払い分、三万四千円ですよ。つまり、NTTがあるユーザーに売る場合に四十二万五千円取る。ところが、それから再販、つまり大束を受けて小口細分化してリクルートが売る価格が三十一万八千円。しかし、そのうちでNTTに払う分がわずか三万四千円。これはぬれ手にアワなんです。べらぼうにもうかる。こういう仕組みなんです。これまで既にこのような準備が具体的にずっと進められてきた。これでは到底、用意ドンで競争してほかの会社が勝つわけがない。これは子供でもわかるわけです。こういうことまでやっておる。  私は、公取も十分この点を踏まえて、競争政策上果たして問題があるのかないのか、ぜひ御調査をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  303. 柴田章平

    ○柴田政府委員 お答えいたします。  今資料を初めて拝見させていただきました。私ども、やはり事実かどうか、そういう意味で私どもなりにもう一度検証してみる必要があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、私どもこの電気通信事業分野での自由濶達な競争が公正に行われることを念願いたしておりまして、そういう意味ではNTTの行動というのは常に非常に関心を持っているわけでございますので、その一環として、今御指摘いただいた点を含めて勉強させていただきたい、こう思っております。
  304. 野間友一

    ○野間委員 日経コミュニケーションの去年の二月二日付にインタビュー記事がありまして、江副氏はこう言っております。「私はNTTグループと考えており、有利、不利にかかわらず、NTT回線を使っていきますよ。」それから「一部で電話局の局舎を使わせてもらっているなど、事実上、一体ですからね。」だから、NTTグループと考えているということがこの日経コミュニケーションの中に実は書いてあるわけです。  ついでに言いますと、マップデータの会社の設立ですけれども、私は謄本も持っておりますが、これは本社が日経新聞社の中にありまして、重役、取締役の中に江副氏の名もありますし、それから例の株のばらまきで問題になりました森田さん、この人も重役として出ております。結局、単に先輩、後輩、ダンスの仲間ということだけじゃなくて、こういう深い結びつきがNTT等三者の間でやはりあったんだということが、こういう一連の経過の中でも明らかになっております。  それから、電電公社のかつての社長の真藤さん、この方も江副氏に対してうんと褒めています。一言でいえば、こちらの頭が一回転している間に十回転させている男ですね、江副君という人は。」これは雑誌「財界」のことしの四月五日号のコピーですけれども、こういう間柄で、だからうんとのしてきた、こういうふうになるわけですね。  そこで、質問を変えます。  ことしの八月十一日付の毎日新聞ですが、「NTT元役員も売却益」、リクルートから「二万株譲渡され五千万円非公開のコスモス株」「リクルート関連会社に「天下り」」、こういうような記事がありますが、これは郵政省は御存じのはずですが、いかがですか。
  305. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 そういう新聞記事が出ているということは承知しておりますが、記事の内容は存じません。
  306. 野間友一

    ○野間委員 ここで言う元役員というのは、私もいろいろ調べてみました。これは当決算委員会の中でも渡都議員の方からほかの問題で、告発されている問題について指摘がありまして、愛人関係に端を発した問題ですが、長谷川寿彦という人です。この人は一貫してデータ通信の畑をずっと進んできた人であります。私は電電公社の名簿からいろいろ拾い出してみたのですが、五十三年四月にデータ通信本部の総括部調査役、五十四年四月からデータ通信本部の第三データ部部長、五十七年四月データ通信本部副本部長、五十九年一月東京電気通信局長、六十年四月民営化後NTTの取締役、東京総支社長、六十一年六月データ通信事業部長、それから去年の五月に退社。その後の経過を言いますと、リクルートのアメリカの関連会社、リクルートUSAの顧問として迎えられて、今はリクルート国際バンの社長なんですね。私は登記簿謄本を取ってまいりましたけれども、今は社長をやっております。  それから、その前に一つ聞きますが、今申し上げた長谷川氏の略歴というか経歴から見ますと、データ通信事業、先ほど申し上げたRCS、リモート・コンピューティング・サービス、これはNTTの機構からすれば直接データ通信の所管に属すると思いますが、いかがですか。
  307. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの人物がNTTのデータ通信本部に在籍したということは承知しております。ほかのことについては存じません。
  308. 野間友一

    ○野間委員 いやいや、NTTの機構では、これは公社のときでもそうですが、RCSを管轄するのはデータ通信事業本部であるということについての確認なんです。
  309. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 その辺につきましては、ちょっとここで確たる御返事は申し上げられません。調べましてから御返事いたします。
  310. 野間友一

    ○野間委員 いや、部屋へ呼んで聞いたら、ちゃんとあなたの部下は認めたわけです。これはイロハですよ。濁す必要はないですよ。  この長谷川氏という人は、いろいろ中で問題があって取締役を解任された。だから、私もいろいろ聞きましたけれども、この人ならコスモスの株を受けたって当たり前だろう、この人ならやりかねぬというのが大方の感想でした。  私は、こういう点から考えますと、要するに公社以来ずっとデータ通信の仕事、役職についておった、まさしく職務権限がある。それからRCSについて言いますと、まさしくおんぶにだっこで、局舎を貸すわ、保守契約も結ぶわ、いろいろな形で便宜を図ってきた。そこへもってきて、リクルートから二万株を譲り受けて五千万からの利益を上げたということからして、これは明らかに汚職が成立すると私は思うのです。これは今の会社法になってからも、法律十八条では汚職事件については公務員の扱いでしょう。  法務省、こういう新聞報道について読んだかどうか、そして捜査したのかどうか。同時に、今私がいろいろ申し上げたことを踏まえてぜひ捜査すべきだと思いますが、いかがですか。
  311. 古川元晴

    古川説明員 いわゆるリクルート問題につきましては、各種の報道や国会におきます御論議がなされておるところでございまして、法務当局といたしましては、そこに刑罰法令に触れる事実があれば、検察を含めた捜査機関において適切に対処するものと考えておるところでございます。ただ何分にも、具体的犯罪の成否あるいはその捜査関係の内容等につきましては、具体的な事案にかかわりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。
  312. 野間友一

    ○野間委員 新聞報道でも本人は否定していないわけです。こういういろいろな絡みの中で、私はやはりもらっておるという疑惑を非常に強く持つわけですね。  もう時間が迫ってまいったわけですけれども、通産大臣にリクルート問題についてお聞きします。理屈から言えば法にはひっかからないが、江副さんに何らかの思惑があったとすれば、実質は汚職ではないかと思う、徹底的にうみを出した方がよい。これについて我が党の松本質問に対して予算委員会の中でお答えになっておりますけれども、今お聞きのとおり、これは通産省としても、電気通信産業ですね、特にコンピューター産業の振興というのは非常に大きな目玉でございますし、そういう中で今度電電が民営化されてNTTになりましたね。その中で、本当に自由競争の中でこれをやはり発展させるという点では通産省も非常に深いかかわり合いがあると思うのですね。ところが実際には、用意ドンのときにはもう全部結論が出ておった。リクルートはダントツで、あとは追随ができない。しかも、リセール業というのはVAN、付加価値通信網に続きますから、これは独占的な事業ですね、ほしいままにできる。公取もいろいろな勉強会の中でそういう問題点を指摘しておる。そういうことの中で長谷川氏というのがリクルートからコスモス株を受け取った、五千万の利益を得たという報道もあって、これは長谷川氏自身があえて否定していないということですね。  ですから、こういう点を踏まえてやはりうみを出していく。特にこういう分野における産業の発展振興、そういう点から本当に、直接の所管ではございませんけれども、私は、所感も含めて通産大臣の御所見を承りたいと思います。
  313. 田村元

    ○田村国務大臣 一般論として申せば、まさに李下に冠を正さずということで、嫌疑を受けるというか疑いを受けるようなことはしないにこしたことはないわけでございます。  あれは予算委員会か何かで、あるいは本会議か何かで、冠の中にいっぱいナシだか桃だかが入っておるだろうと、どちらだったか忘れましたけれども言われた方がありましたが、あれはスモモのことでございますけれども、そういうことで、スモモの木の下で冠を直せば、ひょっとしてあいつ盗んだのじゃなかろうか、冠に隠したのじゃなかろうか、そういうことだと思いますけれども、嫌疑を受けるようなことはしないがよろしい、これはもう当たり前のことでございまして、何省の所管でありましょうと、これはもう別に特に力む必要も何もない、みずから直くんば千万人といえども我行かんで、皆が素直に生活していけばどうということはないのだろうと思いますけれども、十分気をつけるようにいたしたいと思います。
  314. 野間友一

    ○野間委員 それでは最後に、これらの所管が郵政省でもありますし、私は本当にいろいろ具体的な事実を調べた上で申し上げておるわけで、それを踏まえますと、公取の答弁じゃありませんけれども、これはどうもやはりいろいろ問題がある。しかも、こういう問題がある中でリクルートからコスモスの株を受け取った疑惑がある。これはあなたは所管ですから、こういう点の事実の有無も含めて調査すると同時に、やはり自由競争を保障するというような点での監督指導上の責任があると思うのです。その点についての局長の見解を聞いて、質問を終わりたいと思います。
  315. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 先生おっしゃいますとおり、電気通信事業も自由化されまして、いろいろ新しいサービス、それからそのサービスが安い料金で一般のお客様に御利用いただけるということが私どもの政策の目指しておるところでございまして、そのための一環としてこの再販ということも、これはもともとそういう専用線というような企業が大口に使うためのものをばらして安く提供する、それではうちも使ってみようかというごく小口のユーザーもそういうものにあずかるということでございまして、この辺につきまして、そういうような再販サービスがやれるということは、私ども決して公取からいただいております御提言の趣旨からも外れないと思っております。いずれにしましても、そういう自由な競争が公正で透明性を持って皆さんの納得いく形で提供されることが望ましいわけでございまして、その点につきましては先生の御趣旨、御提言を十分受けとめてまいりたいと思っております。
  316. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  317. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る九月二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会