運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-09-13 第113回国会 衆議院 環境委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十三年七月十九日)(火曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 吹田  愰君    理事 衛藤征士郎君 理事 小杉  隆君    理事 武村 正義君 理事 平林 鴻三君    理事 山崎平八郎君 理事 川俣健二郎君    理事 春田 重昭君 理事 滝沢 幸助君       石破  茂君    江崎 真澄君       齋藤 邦吉君    園田 博之君       田澤 吉郎君    中村正三郎君       平泉  渉君    金子 みつ君       新村 勝雄君    土井たか子君       遠藤 和良君    斉藤  節君       大矢 卓史君    岩佐 恵美君       田中 角榮君 ────────────────────── 昭和六十三年九月十三日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 吹田  愰君    理事 衛藤征士郎君 理事 小杉  隆君    理事 武村 正義君 理事 平林 鴻三君    理事 春田 重昭君 理事 滝沢 幸助君       園田 博之君    金子 みつ君       新村 勝雄君    遠藤 和良君       斉藤  節君    大矢 卓史君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君  出席政府委員         環境政務次官  石井 道子君         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      岩崎 充利君  委員外出席者         総務庁長官官房         参事官     堀  才大君         国土庁地方振興         局総務課長   吉原 孝司君         文部省学術国際         局研究機関課長 山田 勝兵君         文化庁文化財保         護部記念物課長 大澤 幸夫君         厚生省保健医療         局疾病対策課長 金森 仁作君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   坂本 弘道君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      関口 洋一君         林野庁指導部造         林保全課長   田中 正則君         工業技術院総務         部地域技術企画         官       広田 博士君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部施設課長   澤田  諄君         運輸省地域交通         局交通計画課長 大森 寿明君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部技術企画課長 堀込 徳年君         建設省河川局河         川計画課長   岩井 國臣君         建設省道路局有         料道路課長   松延 正義君         建設省道路局国         道第一課長   堀  泰晴君         建設省道路局企         画課道路経済調         査室長     橋本鋼太郎君         建設省道路局企         画課道路環境対         策室長     加賀田晋成君         自治大臣官房参         事官      広瀬 経之君         環境委員会調査         室長      川成  昭君     ───────────── 委員の異動 七月二十八日  辞任         補欠選任   石破  茂君     小渡 三郎君 同日  委員小渡三郎君が死去された。 八月二十四日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     瓦   力君 九月九日  辞任         補欠選任   園田 博之君     河本 敏夫君   新村 勝雄君     五十嵐広三君   大矢 卓史君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   河本 敏夫君     園田 博之君   五十嵐広三君     新村 勝雄君   川端 達夫君     大矢 卓史君     ───────────── 七月十九日  水俣病問題総合調査法案馬場昇君外二名提出、第百九回国会衆法第二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  環境保全基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 吹田愰

    吹田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  環境保全基本施策に関する事項  公害の防止に関する事項  自然環境保護及び整備に関する事項  快適環境の創造に関する事項  公害健康被害救済に関する事項  公害紛争処理に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吹田愰

    吹田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  4. 吹田愰

    吹田委員長 この際、去る七月二十二日、環境政務次官に就任されました石井道子君から発言を求められておりますので、これを許します。石井環境政務次官
  5. 石井道子

    石井(道)政府委員 このたび環境政務次官を拝命いたしました石井道子でございます。  環境行政は、公害を防止し、かけがえのない自然環境保全し、さらに快適で潤いのある生活環境を創出いたしまして、国民の健康で文化的な生活を確保するという極めて重要な使命を持っていると存じます。  私は、このような責務を深く認識いたしまして、健全で恵み豊かな環境国民共有の財産として後世に引き継いでいけますように、堀内長官を補佐いたしまして、環境行政推進に全力を傾けてまいりたいと存じております。  委員長初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)      ────◇─────
  6. 吹田愰

    吹田委員長 次に、環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武村正義君。
  7. 武村正義

    武村委員 堀内大臣は、先月アメリカカナダ訪問されまして、新聞で伺いますと、EPA長官NASA本部訪問され、カナダでは資源大臣等々にお会いをされまして、環境問題について幅広く意見を交換されてこられたようでございます。まず冒頭、この旅の御感想をいかがであったか、率直にお聞かせをいただければありがたいと思います。  私どもも、小杉理事と一緒に先々月アメリカカナダへ参りましたが、確かに、大気汚染等々をめぐって日本対策が欧米よりも進んでいるという非常に高い評価を最近受けておりまして、我々もある一面大変うれしく思っております。しかし、水処理、特に富栄養化対策等水処理とか自然保護とか景観対策等では、まだまだ日本はおくれをとっている分野も少なくないというふうな大まかな認識を私は持っておるのですが、その辺についての御感想を含めて一言お願いいたします。
  8. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今お話しのように、去る八月十三日から一週間、アメリカカナダ訪問いたしました。  私は、現在の地球環境保全アメリカ合衆国と我が国とが半分までその責任を負うべきだ、今日の科学技術の進展からいろいろな地球環境懸念が出ております、それらの原因はほとんどアメリカ我が国が半分以上占めておる、だからこの二カ国が責任を持って、地球環境保全に力を尽くすことが一番大事だというような観点から訪問したのであります。たまたま、アメリカへ行くわけでございますので、カナダ政府に聞きますと、ぜひカナダにも寄ってほしいというようなお話がございましたので、両国訪問が決定されました。  訪問に先立ちまして、竹下総理にこのことのあいさつに参りました、そのときに竹下総理は、国会議員方々からも地球環境保全についていろいろなお話があったんだけれども、どうだろう、国際会議なんかやれぬだろうか。これは極めて率直な話でございまして、当時概算予算編成の最中で、私は、予算などを見ておりますと、マイナスシーリングということになると、小さい庁に至ってはもう身動きがとれない状態で、予算を懸命に重点配分することに精いっぱいなんだという話をすると、その費用は別枠で考えてもいいじゃないかという言葉もいただきました。それで、私はむしろあなたが行くというのだから、お土産のつもりで言うているんだというようなお言葉もいただいたのであります。  そのために、向こうへ行ってトーマスEPA長官と会ったときには、両国がこの責任を負わないと地球環境保全などは難しいんだということをむしろ強調したつもりであります。また、国際会議をぜひ我が国でやりたいからという根回しもともにしたわけでございますが、感触といたしましては、向こうの方からそれより先に使節団が来ておりまして、オゾン層破壊懸念モントリオール議定書時分よりもさらに進んでおるということで、私の方にそのことの注意喚起がありました。向こうへ行ったときもそう言うております。  あの当時マスコミから詳しく、皆さん方知っておられるでしょうけれども、ここでちょっと突き進んで申しますと、向こうでは、条約締結をするが早いか、もうすぐにもっと強い制約をやりたいというような意見がむしろ中身としてはございました。しかし、モントリオール議定書条約がまず来年の初めにでもできないと話にならぬということで今まで懸命に努めておる、そのやさき、さらに強いと言われても戸惑うような感じもあったわけでございますが、そういう受けとめ方をむしろいたしました。  NASAフレッチャー長官とは、向こうの方はレーザーレーダー二つを早くから上げておるわけだし、また衛星による観測もしておるわけですから、まさに世界一の地球環境に対する知見を持っておられるところでございますから、そういう意味でむしろお会いしたし、向こう専門家も同席させて詳しい内容についての話もございました。  詳しい話は、同行者もありますから私からは省きますけれども、結局私どもの国で将来、五年後、九三年ごろになるんじゃないかと思いますが、衛星の打ち上げの計画がございますから、そこへSAGEの方のセンサーを入れる話、これは向こうが希望しておるわけです。環境庁も、なかなかこれは予算の上で、とても前の国会皆さん方にお答えするのも私ははばかっておったのですけれども、ようやく予算上、一番小さいと言うていいのか、SAGEを組み入れられるように今予算措置をしてきたわけでございます。これは、来年度の予算皆さん方の御審議を得られることと思いますけれども、私どもの入れるSAGEというのは、北極、南極の上のオゾン層調査をやる機械でございますが、向こうはTOMS、前からやっておりますけれども、これは大気圏の調査をやってくれる。さらに海の方の、これは海の流れというのですか、そういうもののセンサーを入れたいというのが向こうの希望のようでございます。  これは、科学技術庁にお願いしなければならぬわけですけれども、ぜひ実現して、これを衛星センサーとして入れたいと思っておるのです。全然働きが違うわけですから、これらの情報を交換して初めて全体の感じがわかるわけでございますし、またレーザーレーダーも、みんな上げておる、世界的には五カ所あるわけですが、我が国のもようやくこれの情報も入っておるわけですから、特にNASAとは情報交換によって知見を高めようというのがねらいであったわけでございますが、それについては私は成功できたのではないか、こういうふうに思っております。  また、カナダの場合はちょうど環境庁長官おられませんで、だから事務方の役員の方は全部出てもらったわけで、私の方も相当成果はあったわけですが、大臣としては先ほどおっしゃっている鉱山エネルギー省大臣が出たわけですが、この人は、やはりエネルギー問題からいうと、地球環境ということを非常に懸念しておられるわけでございます。そういう意味からいうと、私ども環境庁長官がこれを一生懸命やるほかに通産大臣もやらなければならぬ、運輸大臣もやらなければならぬでしょう、いわゆる大気についての状態運輸省が所管しておるのですから。いろいろなところがやらなければならぬという意味からいうと、カナダも、直接の長官じゃない資源エネルギー大臣がこれについて深い関心をお持ちだということで、やはり国を挙げてこういう問題は取り扱わなければならない問題だなという感を深くいたしたわけであります。  また、たまたま向こう国立公園を直接見せていただきました。大規模でございますから、日本の方もたくさん行っておられるようでございますので、割合に情報は豊かでございますけれども、これで思ったのですが、我が国国土の一四%まで国立公園あるいは国定公園自然公園等で規制しております。向こうは、広いのだけれども国土が何しろ広いわけですから、アメリカカナダでも三%ぐらいの規制しかしていないのですね。そういう意味からいうと、我が国自然環境保全に格段の力を入れておるのだなという感じで、先輩方がいろいろ御努力いただいているのだなという感じを強く持ちました。また、竹下総理も、日本公害対策というのは世界一なんだなという話を出る前おっしゃっておったわけですが、いろいろ問題はあろうと思いますけれども、まさに話している間に向こうでは海洋投棄したものが海水浴場に流れ込んできて大変な騒ぎになったとか、あるいは我が国はちょうど恵まれた国土にあって、周辺が海で隣国というのは陸続きじゃないわけですので、そういうような有害物質越境問題等で苦労しているというように、私たちが平生思わないようなことをいろいろ聞かされて非常に参考になったように思います。
  9. 武村正義

    武村委員 ありがとうございました。恐らく環境庁長官として国外へ出られて、日本長官が積極的に地球環境の問題について意見を披瀝され、意見交換されたのは初めてだろうと思います。敬意を表しながら今後の御活躍を期待を申し上げます。  そこで、今話のありました竹下総理関心を持っていただいております地球規模環境に関する国際会議を来年にでも開こうという動きが、私ども官邸へ行って数人で要請をしたわけでありますが、そういう動き新聞にも報道されておりますが、環境庁として今どの辺までこの問題を御検討いただいているのか。恐らくまだ具体的な案は決まっていないと思いますが、長官としてのこの問題に対する基本的な考え方、ごく簡単にお教えいただけませんか。
  10. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 事務的な点についてお答えをさせていただきます。  大臣から先ほど御答弁申し上げましたような経緯がございまして、私ども地球環境問題についての国際会議を来年度開催する方向で検討を開始いたしました。ただ、地球環境問題と申しましても、オゾン層破壊の問題ですとか地球温暖化の問題、熱帯雨林の減少の問題、砂漠化その他非常に多くの問題がございます。この中のどの問題を議題として取り上げたらいいか、それとの絡みでどういう方々の参加をお願いしたらいいのか。それから、地球環境問題に関する国際会議がいわばメジロ押しに予定をされております。こういう他の関係会議との調整をどうするか、こういう問題がございますので、私どもプロジェクトチームを組みまして、いつ、どのようなテーマで、どういう形で会議を開くのが一番いいのかということを目下鋭意検討しておるところでございます。
  11. 武村正義

    武村委員 次に、新石垣空港について簡単にお尋ねをいたします。  先般、新聞にこういう意見広告が出ておりました。大臣もごらんになりましたか。ひとつ、この意見広告に対する御感想をまずお伺いいたします。
  12. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 意見広告のところで大来先生の名前も出ております。そのように、二月十日ごろでしたか、IUCN意見も出ました。だから、そういうものを見ると、世界じゅうの関心が集まっているというふうに考えております。
  13. 武村正義

    武村委員 この意見書にもかかわるわけですが、ことしの二月でございますか、コスタリカで国際自然保護連合の総会があったようでございますが、ここで白保サンゴ礁に関する決議案全会一致採択をされたようでございます。その採択文の一部に、この白保サンゴ礁について「北半球において、今までに発見された中で最大、かつ最古アオサンゴを含めて、科学的に貴重な多くの生物相を有する豊かなサンゴ礁の特に顕著な例である」、こういう文面があるわけであります。これは学問的な一つ評価認識だろうと思うのでありますが、この表現について環境庁としてはどういうお考えでしょうか。これは率直にお認めになりますか。
  14. 山内豊徳

    山内政府委員 ただいま御指摘の第十七回のIUCN決議で、白保サンゴ礁について確かに御指摘のような決議文があるわけでございますが、私どもは実は二つ考えておりまして、北半球で我々つまりIUCN関係者が今まで知るところでは最大あるいは最古と思われるアオサンゴの群落がある、これについては私どももかねてから認識を一にしておりまして、後ほど御答弁があるかと思いますが、沖縄県当局におきましてもそれを保全するために空港計画を縮小するということもあったわけでございます。  ただ、あわせてこの決議では、アオサンゴに限らず白保のこのあたりのサンゴ礁をどういうふうに評価するかという点につきまして御指摘があることは事実でございます。確かに、この決議の前に海外の専門家が二週間程度現地調査されたようでございますが、アオサンゴにつきましては、我々も沖縄県当局を通じていろいろなデータを持っておりましたが、その他のサンゴ礁全体をどのように評価するかにつきましては、たしかIUCN決議におきましても、非常にユニークなものではないかという問題提起はなさっているわけでございますが、これをどのように認識評価するかにつきましては私どもとしてもなお知見を得ながら判断をしていきたい、そのように考えております。
  15. 武村正義

    武村委員 私も、地方でいささか環境問題を経験してまいりましていつも困りましたのは、開発保全かという一般的な意見対立というよりは、住民生活がかかっている、経済がかかっている、あるいは経済開発に対する生々しい期待がかかっておって、一定の開発を進めようとするときにいわばその関係者は積極的に開発期待されます。確かに、自然保護の面からいささか問題があってもやはり生活なり経済が大事だという、そういう利害から開発期待の声はいずれの場合も非常に強いわけですね。  しかし、なるたけその地域から遠い方、住まいの空間からいえば、琵琶湖の問題でも琵琶湖の湖畔に住んでそこで漁業をやっている人、毎日琵琶湖とかかわって生活をしている人よりも、一般県民意見は圧倒的に琵琶湖を守ろう、例えば埋め立てはするなとかヨシは残そうとか、こういう意見であります。ましてや日本国民から見れば、もっと遠い方から見れば、圧倒的に日本最大琵琶湖は守るべきだという意見に集約されるわけですね。湖岸を埋め立て琵琶湖洪水になったときに堤防を築く。洪水対策として堤防を築いて、その上を道路に活用しようという琵琶湖総合開発の事業があったのですが、この堤防ないし道路をどこへつくるかという議論地元県民に聞きますと、みんな琵琶湖の中へ出してくれ、騒音でうるさいですから排気ガスもありますから、できたら我々の住まいよりなるたけ遠い沖の方へ出してくれ、その間は埋めてくれ、圧倒的にそういう意見が出てくるわけですね。地元民主主義でいえばみんなそういう意見。  ところが、大方県民なり琵琶湖関心のある一般方々は、そんなことは絶対してはいけない。どうしても洪水対策として堤防をつくり道路をつくる必要があれば、むしろ陸地に上げて堤防をつくる。陸地に上げればやはり土地を買収しなければならない。道路がそばへつきますから、いろいろな利害が出てきてどちらかというと迷惑だという地元の人からは厳しい批判が出る。そういう二つ世論はざまで非常に行政は苦労するわけですね。  例えば、山に電力会社鉄塔を通すという場合も、山の景観からいえば、貴重な山の中腹にどんと鉄塔が通れば、高圧線が通れば非常に景観が悪くなる。当然下へおろしたいのですが、下にはやはり民家があり田んぼがあり畑があり暮らしがございますから、住民はなるたけ実害のない山の上へ上げてくれと言うわけです。しかし、遠い大方県民は、山に上げれば景観が悪くなると反対される。こういうふうに、そこに住まわれる方の意見一般の方との世論二つの大きな対立ができて、そのはざま行政当局が大変苦労しながら決断をするということになりがちであります。今回の場合も、そういうケース一つであろうかと思うのであります。  私は、沖縄県当局石垣島の市当局からじかに陳情その他を受けていませんで割合軽い気持ちでいるのかもしれませんが、こういう新聞の訴えその他さまざまなこれを守ろうとする方の声をいささか耳にし、勉強させていただきますと、どうしても気持ちとしては何とかならぬのかな、残せないかな、できれば、狭い島とはいえあれだけのスペースがあるわけですし、現に空港も千五百メーターあるわけですから、何とかその千五百メーターをもう五百メーター延長でうまくいかぬかな、それがいかなければほかの陸地で、山も多いのですからどこかで新しい場所を見つけるわけにいかぬだろうか、そんな考えに傾くわけであります。  事実調べてみますと、五十一年ごろは内陸部に二カ所そしてこの白保三つ候補地に挙げて、県当局検討を始めたのだそうです。最初は三つ候補地があった。いろいろな利害から、結局海岸の埋め立てに県は方針を決めたようであります。もう一度ここでできることならば、これだけ貴重なかけがえのない資源でありますし、このサンゴそのものが金額でどうこう表現できないものでありますが、これ自身が非常に貴重な資源であるということと同時に、これだけ世間が関心を持ってきますと、国内に大きな関心が高まりますと、これを守るか守らないかというのは、いわば自然保護の教材として全国民が注目するわけです。そういう瞬間にこの問題は、単なるその地域の具体的な一つ環境保護ケースというよりも、全国民の、あるいは世界が注目する環境問題の処理という認識に変わってきている。いわばそういう意味では、まさに政治的なケースになってきている。  そこで、これを守るか守らないかというのは、環境庁長官が努力されて、あるいは政府が英断を下して守れば、その他のさまざまな国民の身近な生活の舞台である環境を守るか守らないかというテーマ全体に大きな影響、いわば激励する影響を与えるし、これが守られないとなりますと、ひとりこの問題だけではなしに環境を守っていこうという全国のさまざまな努力が挫折するというか、政府もそうなんだな、やはり言ってもあかんな、こういう気持ちになってしまうという意味でははかり知れない大きな影響を与える。だから私は、知床でも個々に言えばいろいろな議論があって、あるいは環境派の言い分の方がややラジカルで筋が通らないということも多いと思うのですが、しかし問題が大きくなったときには、そういう環境を守るか守らないかの大きな教材だという認識政府は最終判断をすべきではないか。やや環境派に立ってできるなら決断をすべきではないか。この場合も私は、具体的に代替案、要するに陸地で今からでも仕切り直して空港の用地が見つかるのかどうかはっきりわかりません。自信はありませんが、しかし本当にないのかどうか、その辺は改めて政府県当局地元市当局も、もう一度真剣に考えてもらいたいなというふうに思っているわけであります。  宍道湖は、二十五年かかって八百億円という金を投じたあの大きな干拓事業、淡水化事業を断念することになりました。これもいろいろな批評があると思うのですが、ある意味ではよくやったな、よく断念したな、これは県当局や農林省、随分もたもたしたにしても、私は大英断として大いに評価したいと思っています。行政というのは、一たん決めるとメンツがありますから、なかなか変えたくはありません。それは、決めてきた市長や知事のまさに政治的な責任にかかりますから、少々のことでは一たん言い出したら変えないのが通常であります。しかし、そこであえて過ちは改むるにしかずで、やはり変えるときは変える。その変える決断を大きく評価するということも必要でありますし、そんな中でこの問題を注目したいと思っているわけです。  長官、これから建設省に埋め立ての認可申請が上がってきて、長官意見照会があるというその段階まで、手続上はどうこう発言されなくてもいいわけですが、やはりこういう大きな問題として今から最終の結論を目指して、水面下の活動、行動ももちろんあっていいと思うのでありますが、どんなふうに対処されるのか。私は、私個人としては、ぜひ守る方向で環境庁長官としては精いっぱいの努力をいただきたいということを希望しながら、最後にお尋ねを申し上げます。
  16. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今武村委員のおっしゃっているとおりだと思います。私も二月十日にIUCN決議が出た当時、なぜここが制約の地点じゃない、無指定地域なんだ、また、アオサンゴがそれだけ大事なら、なぜこれに対する保護の制約がなかったのだろうかということですぐ調べました。すると、やはり国立公園がちゃんとあって、大事なサンゴ礁のあるところはちゃんと制約をしておるのです。ところが、ここは制約されてない。立派なサンゴはあったのだけれども、オニヒトデが来て全部食べてしまったものだからだんだんと今の状態になって、オニヒトデのえさにならなかったアオサンゴだけが偶然残ったんだというような状態。とにかく先ほども申しましたように、国土の一四%まで制約しておるのにこの一帯は無指定地域であるから、沖縄県が石垣島の空港考えたのも動機としては無理なかったのだろうなということを思いました。  しかし、現在のところ、御承知のように政府の手続の上では、いわゆる事業者が環境アセスをするようになっております。そういう段階でありますから、私は、今即座に政府としてどうだと言うことは差し控えたいと思いますが、しかしこの場合は、次の段階にいわゆる公有水面埋立法によって、これは建設大臣環境庁に諮問することになってきますから、これは二重になっておりますので、その段階においては私どもは、やはり科学的知見に基づいた決定をしなければならないと思っております。
  17. 武村正義

    武村委員 ぜひ、建設大臣から意見照会のときには、それぞれ大臣大臣、つかさつかさで役目があるわけですが、まさに日本環境を守るという当然のことでありますが、その一点に焦点を合わせて、ぜひこの問題でしっかりした御判断を下していただけるように希望申し上げておきたいと存じます。  ありがとうございました。
  18. 吹田愰

  19. 園田博之

    園田委員 私は、初めに開発自然保護について御質問させていただきたいと思っておりますが、その前に、たまたまこれは九月十一日、おとといですか、これは熊本で見たので全国版じゃないかもしれないのですが、朝日新聞に大変大きな記事で「阿蘇の農地開発「待った」」、こういう記事が出ております。阿蘇の原野を農用地に転用を認めておったらその後農用地が次々に開発されていく、これでは何にもならぬじゃないか、こんなことで現地の国立公園理事務所がそういう意見を出されたというふうに記事が出ております。  私も熊本に住んでおりまして、ついぞこういうことも知りませんでした。この件について若干御説明をいただきたい。  それから、「待った」というのはいわゆる開発に待ったをかけておられるのか、農用地に転用するのも待ったをかけておられるのか。その辺もちょっと御説明をいただきたい。
  20. 山内豊徳

    山内政府委員 御指摘新聞報道を実は私も昨日拝見したばかりでございますが、阿蘇くじゅう国立公園と申しておりますが、阿蘇の草地の景観というのが非常に重要な景観なので、所によってはこれを特別地域として非常に保護を図っておる。今回、農用地整備公団が草地改良事業、これは、いわば原野のままであったところを酪農用の農地として転用する協議をいただいたわけでございます。二番目の質問にも絡むのでございますが、事務所としましては、かつてこれまでに農地に転用したところが、どうもサーキット場とか場合によっては公園区域外のゴルフ場になるというようなことで、このままいくと農地に転用して、さらにそれがまた次から次へと開発に向かうのではないかということで、阿蘇の草地景観をある程度守る立場からは今後の全体計画を知りたいという意味で、県の農政当局の主として説明を求めたようでございます。  それに対して、どうしても十分な御説明がなかったものですから、出てきた草地改良事業については十分な説明がつかないのでということで取り扱ってございますが、おっしゃるとおり個別に出てきました草地改良事業、これは今申しましたように原野を牧畜用に変える事業でございますが、これ自身の判断よりは全体的な今後の見通しを含めてデータを得たいということで、待ったをかけたという形になっております。  ちなみに、昭和六十年は年間で三・五ヘクタールぐらいの農地転用だったようでございますが、六十一年度に七十六ヘクタール、それから昨年六十二年度になりますと一挙に百六ヘクタールの転用が出ております。そんなところから事務所としては、このままいくと公園内の草地がどのようになるかということに懸念を持った結果かと存じております。
  21. 園田博之

    園田委員 わかりました。  この件は私初めて知ったわけですが、こういうように開発自然保護というのは大変困難な問題で、今御説明によりますと、確かに警告を発するだけじゃなくて全体の開発計画を知りながら指導していく、これが一番大事なことだろうと思うのです、開発そのものを無視するわけにいきませんから。そういった意味では、そういった姿勢で今後も取り組んでいただきたいと私は思っております。  さて、こういう問題に関連いたしまして、リゾート整備法といいますか一つの法律ができまして、長期滞在型のリゾート地を民活によって促進しよう、これを国の法律をつくって促進していこう、こういう法律ができて以来、全国で開発計画が組まれているやに聞いております。その際、ほとんどの地域が、こういうリゾートをつくろうというぐらいですから、国立公園なり国定公園なり、こういう地域指定の地域になっているところがやはり多いと思うのです。実際、自分が住んでおります熊本県の天草というところもその例なんですが、自然公園法との関連で開発計画そのものが非常に組み立てにくくなっている、こういうふうに聞いております。この点、リゾート法に関連して自然保護とリゾート開発というものの考え方について、環境庁の基本的なお考え方をぜひ大臣からお聞きしたいと思います。
  22. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私どもがリゾート法によってする場合に、環境庁国土庁の間にちゃんと相談がございますから十分理解しておるつもりなんです。ただ、先ほど来何回も出ましたように、国立公園国定公園自然公園等一四%も規制しておりますから、リゾートをやると必ずそれはひっかかってくると思います。  これは、こう考えていただいたらいいのじゃないかと思うのですが、リゾートをやるために変更はできない、国立公園とかその大事なところの変更は別個の問題として、長い間、例えばあなたらの方の場合、何十年も見直しを一つもしてないというようなところもあるようでございます。そういうところは、国立公園の審議会においてこの見直しをやっていくという立場はとっても、リゾート法によってこれを見直すという立場はとらない、そのためにいろいろトラブルが起きてくると思うのです。だから、極端に言うと、リゾートをやられる方は国立公園の将来計画を十分知ってもらって、そこで調整してもらったら一番うまくいくのじゃないかなというふうに考えております。だから、リゾートがあって国立公園を変えるのじゃなしに、国立公園国立公園として、変えなければならぬのは国立公園の立場で変えておるだけのことで、リゾートによってその変更を加えるということはあり得ない。だから、国立公園の法を変えるのは、どういうふうに変わってくる、それに対応してリゾート法をうまく適用していただければ一番いいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  23. 園田博之

    園田委員 今大臣からは、国土庁ともよく連絡をして考え方は一致させながらというお話があったのですが、それでは、一方、リゾート開発の方の窓口になっておられる国土庁の方のお考え方をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  24. 吉原孝司

    ○吉原説明員 リゾート法にも書いでございますが、リゾート地域整備するという場合に自然条件、自然環境というのは、むしろ資源だというふうに私ども認識をいたしております。したがって、リゾート整備に当たって、自然環境破壊した上でリゾートが成立するということはまずないというふうに思っております。したがいまして、基本構想の諮問に当たりましても、その点特に環境庁とのすり合わせが必要ということで、環境庁長官と協議するというようなことにもなっておりますし、また、基本構想の策定に先立ちましても、県の環境部局とも事前に十分調整をして、基本構想をまとめるようにというような指導もさせていただいております。  今、環境庁長官からの御答弁もございましたが、ことしの七月九日に第一次承認といいましょうか、三重、宮崎、福島の三県でリゾートの基本構想の承認があったわけでございますが、この地域におきましても、御指摘のとおり国立公園あるいは国定公園との調整が必要になりまして、そういう観点から事前にそれぞれの審議会において十分な審議があり、所要の調整も図られて、七月九日の承認になったというような次第でございます。
  25. 園田博之

    園田委員 そのように基本的な考え方といいますか、抽象的に言葉で言えば整理がつくようなんですが、これがなかなかうまくいかないのですね。今武村先生もいろいろお話がございましたが、地域方々のほとんどは、この地域は自然公園法で特別保護地域に指定されていて一切手がつけられないんだ、こういうことを説明しますと、こんなところが何で特別保護地域なんだ、じゃ一体特別保護地域として指定されて、この町がどういう恩恵があったのかということを言うわけですね。これはもう単純に率直な地域方々気持ちだろうと思うのです。というのは、片っ方ではやはり過疎化で悩んでおるものですから、私のところの天草の例で言いますと。リゾート開発に相当期待をかけておる。これによって過疎化に歯どめをし、地域経済も活性化させたい、こういう期待があふれておるわけですね。そういう一方でこういう問題が起きたものですから、なかなか調整がうまくつかないということだろうと思うのです。  私は、今国土庁からもお話がありましたが、地域方々も間違ってはいけないのは、天草という地域がリゾート地域として指定を受けるためには、やはりそれらしいものがなければいかぬ。それは何かというと自然なんですね。天草の自然を守りながらその自然に親しんで心も体も休めてもらう、こういうリゾート地にしなければ何の意味もないわけでありまして、全国のどの地域でもそういった意味では、その地域らしい特色は生かしながらということは自然を守りながらということだろうと思うのですね。そういった意味で基本的にはおっしゃるとおり、その精神というのをきっちり生かしてやらなければいかぬと思うのです。ただ、一方でそういう問題もありますので、そういった意味では自然がこれからも未来永劫に守っていけるように、しかし一方では、ある程度の設備をつくっていかなければリゾート地域としての設備ができないわけですから、ある程度柔軟性を持たなければいかぬ、こういうことだろうと思うのですね。  そこで環境庁の方に、たまたま熊本県の天草を一つの例にして、具体的にどういう問題があって、どういうふうに今進んでいるのか、ちょっとその辺をお聞かせいただけますか。
  26. 山内豊徳

    山内政府委員 実は、具体的な天草地域のいわゆるリゾート法に基づきます整備構想と申しますか基本構想につきましては、県内部で検討がなされている段階と伺っておりまして、私どもも、できる限り早いうちに自然公園との関係を理解させていただきたいものですから、私どもの自然公園制度を所管する担当官の方には、十分関係部課の方と連絡をとるように指導しておる段階でございます。今のところ、私の手元には具体的な図としては上がってきておりませんが、そのような段階にございます。  それからもう一つ、あるいはお尋ねの趣旨は、先ほど大臣から申し上げましたように、リゾート開発考える方も国立公園の姿をよく理解していただきたいという点で、実は率直に申しますと先ほど大臣も申しましたように、三十一年以来見直しをやっていなかったせいもございまして、途中過程で県の方で御説明しました公園の中の保護地域の色分けが少し間違った図で住民の方に御理解されたということもございまして、御迷惑をかけた点もあるのでございますが、端的に申しますと国立公園というのは、一切工作物を認めない特別保護地区は別としまして、特別地域の中でも一種、二種、三種とそれぞれ色分けがございます。特に三種のような地域であれば、場合によっては工作物を積極的に認めることもございまして、公園計画と申します場合には、保護だけの計画ではなくて利用のための計画もつくっております。  ただいま大臣御答弁申し上げましたように、天草の場合を申しますと、そういった保護計画、利用の計画が果たして三十一年につくったままでいいだろうかということで、現段階では国立公園理事務所の段階で県なり市町村とも御相談しながら、大きな意味での天草の国立公園の見直しの絵をかく作業を今始めておるところでございます。これはリゾートのための見直しではございませんが、当然それは社会的条件からある地域に宿泊施設をつくってはどうかということにも返ってきますので、まずはやはり公園行政サイドで天草国立公園のあり方としてどういう絵をかいていくかが今問われている段階と理解しております。
  27. 園田博之

    園田委員 そういうことで自然公園法で地域指定、特に特別保護地域などを指定されておったら、これは法律で定められておるわけですから、開発は一切まかりならぬということになるだろうと思うのですね。  段階が分けられているという御説明であったのですが、先ほど大臣からもちょっとお話をいただきましたが、たまたまきょう聞いてみたら、天草の場合にはずっと見直しがされていなかったようなんですね。これは、どこに問題があってその見直しがされなかったかわからないのですが、結局そういう問題があって、現実にあなたのところは特別保護地域なんだ、あるいは第一種地域なんだ、こう言うと、地域方々は、ええっ、こんなところがというふうに、感覚の差があるぐらいに、つまり地域環境もこの何十年かの間に変わってきているし、いろいろな変化がやはりあるだろうと思うのですね。  そこで、見直しをしていただくということだろうと思うのですが、今おっしゃったようにリゾートのために見直しをするのではない、これはもちろん当たり前の話なんですね。そうじゃないのですが、ただ一方ではリゾートの計画の方が、地域方々にしてみれば早く地域指定を受けて取りかかってほしい、こういう希望もありますので、なるべく早く見直しをやってほしい、見直しに立った上でこの計画を組まなければいかぬわけですから、そういった意味では作業を早く進めていただきたいというのが地域方々の希望だと思いますが、その辺のスケジュールは一体どうなっておりますか。
  28. 山内豊徳

    山内政府委員 この見直しは、実は県だけではなくて、今お話のございました地元の市町村の御意向も伺いながらということで、かなり手順を踏んでまいりますために、ちょっと私、今の段階で何月ぐらいまでにということが申し上げにくい段階でございます。  ただ、何度も申し上げるようでございますが、三十一年以来見直しをしていなかったということは、やや長過ぎる経過もございますので、大まかな私どもの見当としては、来年の春に開かれる私ども自然環境保全審議会に御相談できるようなスケージュールでぜひやりたいと思っております。  なぜ、今まで見直しが行われなかったかという点は、必ずしも詳細な事情を私も存じておりませんが、一つには御案内のように、四十二年に天草五橋沿線が公園区域に新たに追加された、それから四十五年に海中公園が三地区天草地区に設定されたということで、どちらかといいますと雲仙天草を通じて公園を広げる方に力を入れてきたせいではないかと思います。ただ、御指摘のように社会的状況も変わっていることは事実でございますし、必ずしもこの天草国立公園は特別保護地区が多いというわけではございませんで、パーセントにしますと一%に満たないようなところを特別保護地区にしておりますが、私どもが見まして、客観的に自然景観の上で必ずしも特別地区に進めなければならないかどうかということの吟味は、もちろん中に加えながら見直しの作業をしておりますが、一面、やはり将来に向かって保護地区として残すべきところも追加していくということも見直しの大事なポイントでございますので、そういうバランスを考えながら事務所を中心にやっておる段階でございますので、先ほど申し上げましたようなタイムスケジュールで御答弁申し上げるのが現状でございます。
  29. 園田博之

    園田委員 そんなことで、地域方々の希望を察してなるべく早くやっていただきたいと思っているわけですが、この問題、一番最初に阿蘇の問題でちょっと申し上げましたけれども、結局こういう開発計画をして、それについて環境庁が、ここはいかぬぞなどといういわゆる消極的なことじゃなしに、やはり全国各地でこうやってリゾート計画が進んでいっても、その地域地域の特色が生きなければ、このリゾート整備法そのものも生きてこないわけですから、環境庁としても、これは熊本だけではなくて全国の計画も早目に知りながら、自然保護あるいはリゾートを成功させるという意味からも積極的に意見を言っていく、こういう姿勢をお持ちいただきたいと思います。  それから私は、次に水俣病について質問をさせていただきたいと思っております。  この問題につきましては、これまでも当委員会でも種々議論もされ、対策にも苦慮してこられたと思いますし、公害病と認定されてから二十年以上たっていろいろな経過を経てきているわけですが、いずれにしろ、早い時期にすべての面でこの水俣病が終結できるように当局にも御努力をしていただかなければならぬ、こう思っているわけです。そのためには、水俣病によって大変な被害を受けられた患者の方々に対する対応はもちろんのことでございますが、一方では水俣という地域、ここは大変な傷跡を残しているわけでありまして、この地域を再生しなければ、水俣病という公害病を完全に解決したというふうにはいかないわけであります。  たまたま、患者の方々に対する補償問題だとかあるいは水俣湾の埋立事業、これは原因者であるチッソという企業がやらなければならない、こういうことになっておるわけですが、チッソにそれだけの力がないために、御案内のとおり熊本県が地方債を発行してチッソに貸し付ける、こういうやり方をずっと続けてきておるわけです。これは熊本県では、三年ごとの切りかえ時期のたびに大変な問題になるわけでありまして、なぜ熊本県でこういうことをしなければいかぬのか、むしろこれは、原因者たる企業にあることはもちろんだけれども、企業でできないのであれば国がやらなければいけないのじゃないか、こういう議論になって大変な騒動になって、環境庁あるいは国土庁あたりにも陳情に来て、そのたびに一定の了解を得て、また戻ってきて県債を発行する、こういうことになっておるわけです。  その際に、水俣病関係閣僚会議というものを開いていただいて、申し合わせ事項を幾つかつくっていただいているわけです。県債に対する資金的な負担をなるべくかけないようにとか、あるいは何かあった場合には国がちゃんと責任を持つからとか、こういう申し合わせ事項があるのですが、その中に、水俣地域についても地域振興を国で一生懸命支援していこうじゃないか、こういう申し合わせ事項があるのです。  ただ、この申し合わせ事項は五十何年からずっとあるのですが、地域振興がどのようにされているかということをちょっと見てみますと、これというものがないのですね。これはもちろん、熊本県や水俣市にもそれだけの積極的なものが足らなかったかもしれないのですが、水俣・芦北地域地域振興策といいますと、たまたまその年に上がった予算関係各省で、これは水俣・芦北地域地域振興策として認めていこうじゃないか、なるべく予算をとってやろう、こんなことで終わってしまっているわけです。これでは水俣・芦北地域が本当に水俣病から立ち直って、今非常に暗い町になっておりますから、かつての明るい、環境のいい町にはなかなかなり切れないわけであります。  このことは、関係閣僚会議に担当大臣として出ておられる堀内長官ももちろん御承知のことと思いますが、この水俣・芦北地域地域振興策についてどのようなお考えを持っておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  30. 安原正

    ○安原政府委員 水俣・芦北地域地域振興の問題についてのお尋ねでございます。  その前に、水俣病対策についてのこれまでの経緯につきまして園田委員より御説明がございましたが、そのとおりであると考えております。  地域振興の問題につきましても、環境庁といたしまして、水俣病対策の観点からも重要な問題であるという認識に立っております。先ほど御指摘がございましたように、その問題につきましては、昨年十二月に開催されました水俣病に関する関係閣僚会議の中でも取り上げられて申し合わせが行われておるわけでございまして、私どもとしましてはその趣旨を踏まえまして、関係省庁ともども熊本県の意向を十分に把握、調整して、同地域の振興が図られていくように今後努力を重ねていきたい、こういう考えでございます。
  31. 園田博之

    園田委員 よろしくお願いしたいと思うのです。  水俣・芦北地域地域振興のための窓口が国土庁になっているというふうにお聞きをしておりますが、この水俣・芦北地域地域振興策は具体的にどういうふうな取り運びになっておるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  32. 吉原孝司

    ○吉原説明員 水俣・芦北地域の振興については、かなり前から閣議了解というような格好で進められているわけでありますが、御承知のとおり、五十三年六月の閣議了解におきまして、「熊本県の具体的提案を待って対処する。」その対処する窓口が国土庁というような位置づけになりまして、以来国土庁が窓口となりまして、県が策定をされました振興計画の円滑な実施に向けまして、計画の策定に当たっての説明会を国土庁で主催をしましたり、あるいは予算の重点配分について各省庁への依頼を行うというようなことで、各省庁の理解と協力をずっと求めてきたわけであります。  特に六十五年には、水俣湾の公害防止事業による埋立工事が終了するということがいよいよ間近な問題になってまいりまして、県御当局にとりましては、埋立地の活用というのが重大な関心事になってきたわけであります。そういう中から県では、埋立地を活用いたしましたイベントの開催とかあるいはマリンタウン・プロジェクトの推進というようなことで幾つかの提案がなされております。県御当局にお伺いいたしましても、まだ具体的な詰めまでは行ってなくて、今の段階ではまだ提案であるということでお含みおきいただきたいというようなことを聞いておりますが、いずれにいたしましてもそういう御提案を受けまして、先ほど環境庁からも御答弁がありましたように、去年の十二月の関係閣僚会議におきまして、県の新たなる構想については、検討の上、適切に対処するという趣旨の申し合わせがあったわけであります。  したがいまして、国土庁といたしましても、これらの幾つかの県からの提案にかかわる事業につきまして、関係省庁との間においてその具体化が一層進むように促進するというのが国土庁の役割だと思っておりまして、そういう意味関係省庁との間での調整をさらに進めつつ、今後とも本地域の振興が図れるように国土庁としても努力していきたいと思っております。
  33. 園田博之

    園田委員 今の御説明によりますと、六十五年度ですか、水俣湾の埋立事業が完了した次の一つの施策として、これを一つの基盤として熊本県でも考えておるのでしょう。ひとつ、熊本県の提案あるいは水俣市や芦北地域方々のまとまった御提案を受けていただいて、積極的にどころかとにかくそれを実現する、こういう前提でお取り組みをいただきたいと思いますし、また環境庁にも、関係省庁にぜひそういう姿勢でお取り組み方を御依頼いただきたい、こんなふうに考えております。  ところで、地域振興ということになりますと、どうしても交通という問題が出てまいるわけでありまして、水俣・芦北地域は、水俣病に直接関連はしませんが交通基盤が恵まれてないものですから、そういった意味でも地域振興がやりにくいという面が一方ではあるわけであります。たまたま、数年前から高規格道路網、今福岡から八代まで縦に高速道路がつながっておるわけですが、今度は八代から人吉に向けて、山側に向けてはさらに工事が進んでおりまして、これが六十四年度には完工することになっております。ただ、この八代から水俣に向けての海岸を通って鹿児島へ抜ける道路、これが一つのネックになっておるわけです。これは自動車専用道路ということで、四全総ではお認めをいただいたわけでございますが、これを早く着工し完工しないことには、どんな施策をつくってもなかなかそれが生きてこない、こういうことになるわけです。  建設省にもそういった観点で、この道路を早く着工、完工していただくようにお取り組みいただきたいと思っておるわけですが、現在の状況あるいは建設省としての考え方をお聞かせいただければと思っております。
  34. 橋本鋼太郎

    ○橋本説明員 水俣・芦北地域地域振興につきましては、道路整備が大変重要だと我々も認識しております。そういう意味で、国道三号線等、主要地方道も含めて現在道路整備を進めておりますが、御指摘の高規格幹線道路の南九州西回り自動車道につきましては、この路線は、八代から水俣市付近を通って鹿児島に至る延長約百四十キロの路線でございます。現在、そのうちの八代日奈久道路あるいは鹿児島県の鹿児島道路について事業を進めておりますが、その他の区間、水俣地域を含めて六十三年度から高規格幹線道路調査を積極的に進めているところでありますので、この地域についても積極的に調査推進していきたいと考えております。
  35. 園田博之

    園田委員 水俣病に関連して、早くやらなければならぬ、この地域を再生するためにもこの道路を優先してやる、こういうことで建設省にもぜひお取り組みいただきたいと思います。  以上、質問を終わります。
  36. 吹田愰

  37. 新村勝雄

    新村委員 まず、大都市の交通問題についてお伺いをいたしたいと思います。  大臣には、環境維持のために大変御尽力をいただいておりまして敬意を表するわけでありますが、環境問題を考える場合に、これは前にも申し上げ、大臣もそのとおりであるというふうにおっしゃっておりますけれども一般的に申し上げて、科学文明の進歩あるいは地域開発というものと環境維持とは、よほどそこに工夫をし調整を図っていかなければ相矛盾する要素があるということが言えると思うのであります。科学文明は、一方では我々人類を幸せにするわけでありますけれども、同時に地球の環境を汚染していくという大変矛盾した性格を持っておりますが、交通の問題についても同じようなことが言えると思うのでありまして、交通の利便を図るためには新しい道路を建設し、開発していかなければならないと同時に、それがそのまま環境汚染につながっていく危険が大変多いということでありまして、そこには慎重な計画検討環境汚染を進めないための慎重な施策が同時に行われていかなければいけないと思うわけであります。  そこで、今、環境問題と交通の問題について大変深刻な事態が各方面に出ておるわけでありまして、東京あるいは大阪、大都市の中心部における交通渋滞が既に限度に達しておるということでありますが、同時にまたそれが環境汚染を進めておるということでありまして、NOXの環境基準がなかなか守られない、あるいはまた災害時の万一の場合の被害が交通渋滞によって増大するのではないか、こういう懸念があります。また、交通渋滞によって都市機能が著しく低下しているということも指摘されておるわけであります。  これらについて環境庁におかれましても、特に大気汚染の問題について、八月二十六日その対策を発表されておりますが、「二酸化窒素に係る大気汚染の現状は、大都市地域を中心に依然として改善の傾向をみせず、昭和六十二年度における総量規制三地域の測定結果では、前年度に比較して、環境基準非達成局が増加している状況にある。こうしたことから、対策の充実強化が強く求められている。」ということで、いろいろ対策を示しておられるわけであります。それからまた、「各省庁に対し、窒素酸化物による大気汚染の改善に資する各省庁所管の施策実施についての特段の配慮並びに季節大気汚染対策及び都市大気汚染防止キャンペーンへの協力を要請する」こういうことでありまして、環境庁におかれましては大変努力をされておるわけでありますが、同時にまた各省庁に対してもこれに対する協力を要請している、こういう実情でございますが、なかなかその環境基準が達成されないということでありますけれども、現状に対する大臣の御認識はいかがでございましょうか。
  38. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございます。最近発表いたしました大気汚染状況は、東京圏、横浜圏、大阪圏等総量規制をしている地域においては、環境がだんだん悪くなっておる、環境基準をオーバーしておるという状態でございます。  ただ、私どもがこれを考えてみた場合に、個々の発生源に対して一生懸命にそれの制約をし、まさに世界一だと言われていながらなぜこういうことになるのだろうか、こういうことをいろいろ検討いたしました。本年度は特に、昨年度から内需振興を目指してまいりまして、内需の振興即いわゆる発生源、それだけ需要が高くなったということが原因しておると思います。しかしながら、今おっしゃっておるのは競争みたいなもので、発生源をできるだけ制約していくという仕事と、車がふえるあるいは産業が大きくなるということの兼ね合いのような状況が現在じゃないかと思います。  実際、もっと詳しく国民にその内容を公表すればいいじゃないか。まともに公表すれば、皆さん方が安心される面もあるだろうし、またこの時期はもっと気をつけなければならぬという面も出てくる。私は、テレビなんかで見ると、いつも気象なんかくどいぐらい雨が降るあるいはどうだ、それも当たらぬときもある、いろいろ出ておるけれども、NOXが今悪いのだとかいうことがこういう面に出てもいいのじゃないかというようなことまでみんなに言っている、そういうことの調整が足らぬのじゃないかということを言っておるのです。  一年間を通じて見ますと、一番悪い時期というのは二カ月ぐらいなのですね。例えば今ごろはそんなに悪くない。悪いときというのは十二月あるいは一月、それも正月三日は全然きれいなのですね。だから、交通量の特にひどいあるいは産業の特に活発な時期、そういうときが一番悪い。それが全国平均で出てくるものだから、うんと悪くなったというような印象を受けられる方もあるし、いろいろあるから、一番悪い時期、そういうときには一番影響を受けるのは子供じゃないか、あるいは年寄りじゃないか、そういう地域状態はどうなんだろう、あるいは生活環境はどうなるかということを、もっときめ細かくその時期について調べたらどうかとか、いろいろなことを我々内部で検討して、少なくとも国民が、総量規制を受けるところは人口集中地帯でありますから、たくさんの方がおいでになるのだから、その方々の健康を自分でも守れるようにもっと情報を出したらどうかというようなことも、今検討させているところであります。
  39. 新村勝雄

    新村委員 総量規制というお話もございましたが、地球の空間あるいは条件というものは有限であります。したがって、結局基本的には、この地球上において人類がどういう活動をしていくかということについても、総量規制していかなければいけないのじゃないかと思います。そういう意味では、地球の有限性あるいは資源の有限性に対しての総量規制ということ、その基本的なものはやはり人口だと思います。例えば、有限な地球の上に百億あるいは百五十億の人口が果たして良好な環境のもとに生存できるかということになりますと、これは大変疑問であります。そういう意味では、人口を理性的、合理的にコントロールしていく、そういう基本的な総量規制が必要だと思います。  同時にまた車の問題にしましても、この狭い日本にどのくらいの車が許容されるのか、許されるのかという意味での総量規制も、そろそろ検討していかなければならない段階ではないか。現在、日本の自動車は約五千二百万台と言われます。アメリカは一億数千万台と言われておりますがアメリカの空間と日本の空間は全く違うわけであります。そういう意味でやはり自動車についても、人口問題は非常に難しい問題でありますからしばらくおくとしても、車の総量規制、そういったことについても長官としては念頭におありでございますか。
  40. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 この問題は非常に難しい問題になると思います。今まで総量規制と言ったって、いわゆる産業はどんどん伸ばしていく、その中で固定発生源で公害をまき散らした、だから、こちらからいうと管理しやすかったわけです。どこどこの工場がNOXをたくさん出しているから気をつけろ、あるいはどうしろと言うことができたわけですけれども、今総量規制の中で一番は産業界だろうと思う。産業界は固定発生源をうんと小さくした。今大きくなっているのは、国民みんなで汚しているのじゃないか。車に乗ってみんなが汚しているのであって、産業界ばかり言うなと言うぐらいのことで、むしろ総量規制を解除してくれというのが産業界から出ておる。しかしながら私どもの中では、三〇%はやはり産業界が出しているのだ、七〇%まで国民が原因であっても、出しているのだから総量規制をやれというふうに言うておるわけです。  しかし、その七〇%の規制というのは大変なことなんです。その中で一番しやすいのは、いわゆる普通の乗用車の分は随分規制ができておるけれども、大型車、トラックあるいはバスというようなディーゼル車について、いわゆる軽油をもとにしておる車についての規制が、いわゆるガソリン車に比してまだ非常にやっていくことができる、もっと規制できるということで、私どもは今、この三年間においてこの規制を二〇%ぐらいやりたい、あるいは一五%以上はやりたいということで努力しておるというのが現状でございます。  この方向でもう一つ、今先生がおっしゃるように交通量の制約とかいろいろな方法があるだろうと思うのです。これも手がけてはおるけれども、私自体どれぐらい効果がすぐに上がるかということになると問題だろうと思う。しかし、そういうこともしなければならない段階に来ているということを国民方々に知ってもらわなければならぬという状態だと思います。
  41. 新村勝雄

    新村委員 自動車の利便性あるいは快適性、これは近代文明の中で最大のものだと思うのです。自動車くらい便利なものはない。同時に、それだけにその反面公害の原因になるし、またいろいろなマイナスの要素の原因になっておるわけでありまして、自動車のために一年間に一万人近くの人が死んでいる、あるいは数十万の負傷者を出しているということからしても、自動車の快適性あるいは利便性の反面、いかに我々が大きな犠牲を払っているかということも言えるわけです。ですから、単に反対ということではなくて、自動車と我々人類とがいかに調和のとれた状況で共存できるかということを追求していかなければいけないと思うのです。  一般に自動車については、すべての人がその快適性を享受している、同時にまたその害悪、マイナスの面も提供しているといいますか、要するにすべての人が加害者であり被害者であるということがよく言われますけれども、必ずしもそうではない傾向が出ているわけです。というのは、今自動車と日本人との関係を示す一つの指標といいますか、人口を分母として自動車の台数を分子にしたその指数、これはその地域で人口に対して自動車がどのくらい保有されているかということを示す指数になると思いますけれども日本全国においては一億二千万分の五千二百万台、指数であらわせば約〇・四三という数字が出ると思います。ところが人口稠密地帯、特に住宅地帯においてはその指数が〇・二二、あるいは〇・二三ぐらいなんですね。それから東京の二十三区でその数字を出すと、〇・三あるいは〇・三一くらいだと思います。つまり、この指数が少なければ少ないほど自動車の保有台数が少ないということです。これに比較をして農村部は、恐らく一に近い地域があるのではないかと思います。一人が一台持っているということです。そういうふうに、地域によってあるいは住民の社会的な立場、住居の条件によって車をたくさん持っている地域の人たち、階層、職業と、車を持ってはいるけれども比較的少ない地域あるいは職業の人たちがいるわけであります。  そうしますと、例えば人口稠密地帯の住居地帯の人たちは、これは交通条件等が違いますから車を持たなくてもいい条件があるわけでありますけれども、車からの被害という点から考えれば、常に被害者の立場に立っているということが言えると思うのです。たくさん車を持っている地域、職業の人たちは、これは言い方は適当ではないと思いますけれども、言ってみれば自動車公害を余計提供している人たちであるということが言えるわけでありますから、そういう面で常に加害者イコール被害者であるということではなくて、今や加害者と被害者が分かれているということが言えると思うのです。そういう意味では、東京に住んでいらっしゃる皆さん方は被害者ですよ。それから周辺からたくさん集まってくる人たち、これはそう言うと失礼ですけれども、自動車公害をその地域にまき散らしているという形になるわけでありまして、そういう点からしてもやはり自動車公害については、極力減らしていかなければいけないということが言えるのではないかと思います。その最大の問題はやはり大気の汚染でありまして、大臣もおっしゃっておりましたけれども、NOX、NO及びNO2の被害でありますけれども、これが一向に環境庁さんの基準を達成していないわけであります。大臣お話ではありませんけれども、常にテレビにNO値が出るようにしたらどうか、ごもっともでありまして、ぜひそうしていただきたいわけであります。  最近の調査によりましても、東京都においてこの基準を達成しているところは非常に少ないわけですね。年平均値が東京の千代田で〇・〇四七、それから環境基準を超えた日数が五十八でありますから、環境基準の日数、これはいわゆる九八%値ということになれば八日以上超えればもう基準を達成していないわけでありますから、そういう意味では基準達成率が非常に少ないということが言えると思います。そういうことで、何としても大気汚染を解決していかなければいけない、特にNOXの汚染を解決していかなければいけないという強い要請があるわけでありますが、これについては自動車の排出の規制等が行われまして格段の改善をされていると思います。恐らく世界でもトップの改善だと思います。しかし、世界でトップであるといっても、自動車の密度が断然トップでありますから、そういう意味からいって、規制がトップであるということだけに満足すべきではなくて、一層の技術的な改善が必要であると思います。  総務庁におきましても、いろいろ交通問題について検討されておるようであります。総務庁で検討されておりますいろいろのアイデアがあるようでありますが、まず交通渋滞についての解決の方法、これについての実行のできるアイデア、やれるアイデア、こういったものにどういうものがあるか、伺いたいと思います。
  42. 堀才大

    ○堀(才)説明員 お答えいたします。  大都市における道路交通円滑化対策につきましては、本年四月十五日の閣議における御提案を受けまして、交通対策本部を構成する関係十七省庁で検討を重ねまして、七月二十八日に交通対策本部決定を見たところでございます。今後関係省庁と十分連絡をとりつつ、本決定の実現に努めてまいりたいと考えております。  大きな柱は、道路交通容量増大対策道路交通需要軽減対策でございますが、ナンバー制等につきましても総需要抑制の手段でございますが、今後調査研究を進めてまいりたいと考えております。
  43. 新村勝雄

    新村委員 新聞報道によりますと、これは総務庁で決めたことかどうかわかりませんが、例えばナンバーを奇数ナンバー、偶然ナンバーの二つに分けて都心に乗り入れをすることを分けるとか、あるいはまた空車を規制して、一人しか乗っていない、あるいは二人しか乗っていない車については途中でストップをかけるとか、また都心の地域を走行した距離によって負担金をかけるとか、いろいろな構想があるそうであります。外国では、既に実現をしているところがあるような報道もありますけれども、そういう具体的な構想なり実効の上がる方法等はないものでしょうか。
  44. 堀才大

    ○堀(才)説明員 お答えいたします。  道路交通容量増大対策の中身といたしましては、短期的対策、これは三年ぐらいでやるものでございますが、交差点の立体交差化とか交差点改良、それから踏切対策推進、都市高速道路の改良――都市高速道路の改良といいますのは、オフランプをつくりましたり、部分的に二車線を三車線にするというものでございます。それからあと、既存の道路、今ある道路を有効に利用する対策といたしまして、交通管制の高度化とか道路交通情報提供の充実、その他いろいろございますが、事故処理の迅速化、道路工事方法の改善等がございます。  それから、道路交通需要軽減対策、乗る車を少なくするという対策でございますが、公共輸送機関のサービス向上、時差通勤通学対策の促進、輸送の効率化、それから持ち帰り車対策、そういうものがございます。
  45. 新村勝雄

    新村委員 基本的には、何といっても車の総量を規制することが一つの条件だと思いますが、規制といっても権力的に法で規制をするということは最後の手段でありまして、避けるべきだと思います。政策的な誘導によってこれを何とかできないものかどうかということであります。それと、今お話がありましたように大量公共交通機関、鉄道でありますが、バスも望ましいのでありますけれどもなかなかバスは動けないということですから、大量交通機関の充実であります。そこで今考えられるのは、鉄道の輸送力をどう強化するかということであります。新しい鉄道を敷設するということについては、資金の面からしても時間的にも大変な問題でありますから、現在の路線で、現在の条件で輸送力があとどのくらい増加できるのかということが、一つの課題だと思うのです。  例えば山手線、現在一番ラッシュ時、八時ですが、八時の時間帯で二十四本だと思いますが、そうなってきますと、これは割合からすると二分三十秒ということであります。最近の技術によりますと、これをさらに短縮することができると言われております。信号機、いわゆる閉塞ですね、これを改善することによってこの半分ぐらいにすることができる。ですから、二十四本のところを四十八本、極端ですけれども、限度でしょうけれども、四十八本ぐらいにすることができる。ということになりますと、単純に考えれば山手線は輸送力が倍加するということであります。そういう技術もほぼ完成に近づいているということが言われております。先日も鉄道技術研究所でいろいろお話を聞いたのですけれども、自動閉塞という方式をとれば現在の間隔を半分ぐらいにすることができるということも言われておるわけでありますが、そういった面での技術開発あるいは技術の改善、こういった展望についてはいかがでしょうか。
  46. 澤田諄

    ○澤田説明員 御指摘のいわゆる閉塞区間の改善による列車運転間隔の短縮ということにつきましては、現在種々技術開発を行っておるところでございますが、特に御指摘の点は、移動閉塞装置の技術開発の程度ということではないかと思います。この移動閉塞装置といいますのは、まず閉塞というのは難しい言葉でございますが、線路上の一定の区間に一列車しか入れないようにして安全を確保する運転方式ということでございまして、現在の新幹線あるいは在来線鉄道においては一定の区間を固定した閉塞方式でございますが、この閉塞区間の境界を列車の位置や速度に応じて移動させまして、より多くの列車がより短い間隔で走れるようにする運転方式といいますのが移動閉塞装置でございます。  これにつきましては、レールに信号電流を流す方法ですとかあるいは無線による方法などが考えられまして、現在この基礎的な実験を行っている段階と聞いております。列車を正確に制御できるようになり実用化され、その導入が図られますれば相当の効果――これは閉塞装置の改良による効果はございますが、別途運転時隔を短くすることは、停車場での乗降人員の容量等々の問題がございまして、それらの改良とあわせますと、御指摘のように相当な効果があると思われます。  またもう一つ、最近新聞で報道されましたいわゆる新型ATSというものにつきましては、これは先ほど述べましたような移動閉塞というような抜本的な方策ではございませんが、現在使われておりますATSをさらに改良し、それと同時に分岐器の取りかえですとか信号機の増設、あるいは車両のブレーキ力の向上というようなものを行うことによって運転時隔の短縮を行う計画を最近JR東日本で確立しまして、今後数年間かけて工事を行い、現在よりも混雑緩和をさらに緩和すべく努力したいというふうなことで報道されたものでございます。  以上でございます。
  47. 新村勝雄

    新村委員 今、自動閉塞と言ったとすれば移動閉塞の間違いでございますので、訂正をしたいと思います。  それからもう一つ、総務庁にお伺いしたいのですが、総務庁としては、先ほどお話がありましたが、実現可能な、実行可能な具体的な方策について何らかの成案はないのですか。
  48. 堀才大

    ○堀(才)説明員 お答えいたします。  交通対策本部で七月二十八日に決定しましたいろいろなメニューがございますが、これはすべて実行可能なものを決定したものでございます。
  49. 新村勝雄

    新村委員 その中には、先ほど申し上げたような具体的なアイデアといったようなものはないように思うのですけれども、例えば都心に乗り入れる車について具体的に合理的な基礎に立った制限方法、そういったものが実現可能であるのかどうかということです。
  50. 堀才大

    ○堀(才)説明員 お答えいたします。  ナンバー制とか混雑税とか、抑制対策がいろいろございますが、私ども、学識経験者の懇談会を開きまして先生方の御意見を聞きましたところ、まだその段階ではない、ここに掲げましたようなきめ細かな対策を打っていくことがまず先決ではないかという御意見でございました。
  51. 新村勝雄

    新村委員 一層工夫をお願いしたいと思います。  総務庁さんはお帰りになって結構でございます。  そういうことで、公共機関の輸送力増強ということが一つの大きな要因だと思いますが、ただいま運輸省の方から可能性は十分だということでございます。特に移動閉塞方式は、専門家に聞いたところによりますとほぼ完成の域に達している、もう準備をして実行に移す段階に近づいているというようなことも言われておるわけであります。それには一定の投資をして、駅の改善あるいは途中の信号機の改善とかいろいろあるでしょうけれども、これは新線の建設よりははるかに経済的なわけでありますから、この最新の技術を生かして東京に入ってくる人たちを車から鉄道にシフトさせていただく、そういう政策をぜひお願いしたいわけであります。  そこでお伺いをしますが、そういうふうにいろいろな技術を駆使して鉄道による輸送力を増強した場合に、どのくらい自動車から鉄道にシフトしてもらえるのか、その関連についてはどういうお考えですか。
  52. 大森寿明

    ○大森説明員 お答えいたします。  鉄道の輸送力が一定数ふえた場合に、自動車の総量がどのくらい減るのかといった具体的な数字につきましては、それぞれの輸送機関が持っております特性とか、年々都市の人口が増加するというようなこと、要するに交通を取り巻く条件が変化しているといったようなことから、その具体的な算出は非常に難しいものと考えておるわけでございます。  ただ、一般論として申し上げますと、他の条件が全く同一であると仮定をいたしますれば、鉄道輸送力の増強をすれば鉄道のサービス水準が向上することになるわけでありますので、その結果自動車から鉄道への転換がかなり期待できると考えておるわけでございます。  以上でございます。
  53. 新村勝雄

    新村委員 これは、鉄道のサービスが向上し輸送力が増強すれば、当然ある程度の自動車から鉄道へのシフトが期待できると思うのです。そこで、新線建設は望まれておりますけれどもなかなかできませんから、現在の路線で技術的な改良をした場合に、現状に比較をしてどの程度の輸送力の増強ができるとお考えですか。
  54. 澤田諄

    ○澤田説明員 先ほどお答えいたしました新型ATSの実施によって、常磐線等におきまして輸送力増強を行うことを考えておるわけですが、同時に、ポイントの取りかえとか変電所の増強、車両の改造等を行いますならば、二、三割程度の列車の増発が可能であるということでございます。
  55. 新村勝雄

    新村委員 現状に比べて二、三割程度の増強でありますから、これはかなり大きな輸送力の増強になるわけですね。ぜひ、その実現の一日も早からんことを御期待申し上げるわけでございます。  鉄道関係の方はお帰りになっても結構でございます。  次に、道路建設についてお伺いしたいと思います。  道路交通については、道路網の合理的な整備ということが必要でありますから、東京に対する放射線だけではなくて、環状線の整備が必要であるということは認めなければなりません。これは必要だと思います。  そういうことで、道路建設について基本的に否定をする意味ではございません。ございませんけれども、やはり一方には環境庁環境基準というものが厳然としてあるわけでありますから、その環境庁のお決めになった環境基準については公共事業といえども必ずこれは遵守をしていただかなければいけない、こういう原則があると思いますけれども大臣はいかがでしょうか。
  56. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 ことしは、我が国沖縄を除いて車で全部通れる道が完成された記念すべき年だと思います。そういう意味からいうと、道路計画は、産業道路として優先された時代はわかりますけれども、今日に至っては新しい道路をつくる場合には環境基準を最も重視しなければならない、そういう意味で本年の新道路五カ年計画では、私から特に新道路五カ年計画道路建設には環境を重視してほしいという発言をいたしまして、建設大臣はそのとおりにしますということで閣議決定をされたものであります。したがって、新しい道路をつける場合、御指摘のように環境アセスを十分してつけるべきだという考えに立っておるわけであります。
  57. 新村勝雄

    新村委員 大臣の御答弁をいただきまして、まことにそのとおりであると存じまして、敬意を表するわけであります。  そこで、国道二百九十八号線というのが今計画をされているわけであります。これは東京の外郭の環状線でありまして、環七の外側につくるということでありますから、道路政策として、あるいは交通対策としてはこれは否定をすることはできないと思います。ただ、それを実施する場合に、やはり万全の配慮をしていただかなければならないわけであります。路線の決定、これは路線を決定してからであっても、建設省のメンツにこだわることなく、それをも含めた再検討が実は必要ではないかと思うわけでありますが、それからこれを建設した場合の環境アセスの問題、これらについては徹底した検討が必要だと思います。  ところが、二百九十八号線というのは、交通事情にしてもあるいはその工事をする地域の状況からしても、現状とははるかに違う過去において決定されたものでありまして、その後の周囲の環境がかなり変わっておるわけであります。こういう状況の中で確かに一部の計画変更はされておりますけれども、この工事を強行した場合には、これは決して反対のための反対をするわけではありません、不測の事態といいますか、建設省が予定をしておるような円滑な工事が果たしてできるのかどうかという点で、大変深刻な懸念が今示されておるわけであります。  それは、環境基準を守るということが一つの問題であります。同時にまた、その土地に住んでいる人たちの居住権ということも必要でありますし、その地域の歴史あるいはその自治体の歴史、そういったことも同時に配慮をしていかなければならないわけでありますが、そういうことから総合的に考えた場合に、果たしてこの工事が、住民に対してその受忍を強制するに足るだけの合理性があるのかということについて大変疑問に思っておるわけであります。そういう点で、まず建設省、これは大臣にお伺いしたいわけでありますけれども大臣がいらっしゃらないので、そういう基本的な点について先にお伺いしたいと思います。
  58. 堀泰晴

    ○堀(泰)説明員 先生御指摘の東京外郭環状道路は、首都圏の十五キロ圏を取り巻く延長約八十五キロの環状道路でございます。首都圏の体系的な道路網の確立のためには、必要不可欠な幹線道路であるという認識をしております。  特に松戸市、市川市内の外郭環状道路につきましては、実は四十四年に都市計画決定をいたしました。これは、四十メーターの幅の中に高架で専用道路を入れるという構想であったわけでございますけれども、その後この計画について反対がございまして、五十三年には千葉県知事から、根本的な検討をいただきたいという要望をいただきました。その後検討してまいりまして、昨年の十月に、関東地方建設局長から千葉県知事に対して検討の結果を提示したわけでございます。  この道路につきましては、市川、松戸地区について申し上げますと、南北交通の交通軸を形成するとともに、時間短縮はもとより、現在非常に町の中が混雑して生活道路の機能が失われておるというような状況がございますので、そういった生活道路の機能回復であるとか、あるいは地域環境の改善等の都市構造の改善のために不可欠な機能を有しておるというふうに考えておるわけでございます。  千葉県知事にお示しいたしました案は、当初の高架構造を半地下構造にするとともに、環境施設帯を設置するなどをしておりまして、環境保全には配慮をしたものとしております。今後、都市計画決定の変更をしなければならないわけでございますが、その手続の中で環境影響評価を実施し、環境基準を守るという枠組みの中で環境保全対策について十分検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  59. 新村勝雄

    新村委員 この道路は、住民意識あるいは地域の状況、そういったものを捨象して、単に道路政策あるいは道路網の整備、交通対策、こういう観点から考えれば確かに必要なものであります。しかし、これは先ほど大臣からも御答弁があったとおりでありまして、まず環境基準を達成しなければいけないという問題がありますね。それからまた、これは環境とは若干違いますけれども住民意識といいますか、住民の納得を得なければならないという問題があります。これはむしろ地方自治の問題だと思いますけれども、そういった問題があるわけでありまして、単に技術的に道路政策あるいは道路網の整備という観点からだけで考えることができないということは当然だと思います、それは政治でありますから。そういうふうに考えた場合に非常に問題が多いわけでありまして、そのうち一つの点として環境汚染の問題一つをとってみても、住民を納得させるに足るものが全くないということなんです。  環境汚染、そのうちでNOXだけについて見ても、実はこれは東京と同じように、千葉県、特に市川等におきましては、現在でも既に環境基準が達成できないという状況になっているわけなんです。その一つの例を申し上げれば、市川市内には一般局が八つありますか、そのうちで環境基準を達成しているところが二カ所、しかもその趨勢としてはこの数年間悪化しているわけなんですね。こういう現状があるわけです。そこへさらに道路ができると、建設省の説明によりましても〇・〇〇七新しく寄与する。寄与といってもこれはマイナスの寄与、悪いことに寄与するわけであります。〇・〇〇七増加をするということでありますから、そうしますと、現状でそういうものがなくても、趨勢としては毎年若干ずつ悪化をしておる。そして、八カ所のうちで二カ所しか環境基準を達成していないというこの現状がさらに悪化をするということになるわけでありますから、そういう点で住民の納得が極めて難しい、こういう事情がございます。  また、これを実施するに当たっては地元県、市あるいは住民の同意が得られた段階でアセスを改めて行う、そしてそれに基づいて都市計画決定をし直すということでありますが、順序がどうも逆なような気がするわけでありまして、決定をしてからアセスをするということについては大変疑問があるわけでありますけれども、これはどうなんでしょうか。もし決定をしてアセスをやって、どうも環境基準にこれは合いそうもないということになった場合には、一方ではどんどん手続としては都市計画決定をやり、手続が進行し事実も進行していく。その進行の過程で、どうもこれは環境基準を満たし得ないということになった場合には、それを中止することができるのでしょうか、どうなんでしょうか。
  60. 安原正

    ○安原政府委員 道路計画とアセスの手続の関係につきまして御説明申し上げたいと思います。  先ほど、建設省の方から御答弁がございましたように、道路計画そのものにつきましては建設省において種々の角度から検討がなされるわけでございまして、その道路計画一般国道の場合で四車線以上で十キロメートル以上という延長の場合には、閣議決定に基づく環境アセスの対象事業になるわけでございます。そうしますと環境アセスの手続に入るわけでございますが、この中で、委員が御指摘になっておりますような二酸化窒素の大気汚染の状況とか周辺の道路交通騒音の問題等につきまして、検討が行われるということになるわけでございます。  それから環境庁との関係でございますが、道路の場合主務大臣は建設大臣でございますが、この場合、その方から意見が求められますれば、環境庁といたしまして、公害防止とかあるいは環境保全の見地から意見を申し上げるということになるわけでございます。このように、アセスの手続自体は、事業者に主体的に適切に行っていただくということになるわけでございます。
  61. 新村勝雄

    新村委員 その問題については後にしまして、実は建設省から地元に提示された「環境の概略の検討について」という文書の中に、推定値として道路の寄与度が〇・〇〇七だというふうに言われておりますけれども、この〇・〇〇七寄与するということの根拠はどういうところでありますか。
  62. 加賀田晋成

    ○加賀田説明員 お答えいたします。  先生ただいま御質問なさいましたものにつきましては、建設省があくまでも概略の見通しを立てるために試算したものでございますが、その内容は、東京外郭環状道路の市川区間の交通量といたしましては、専用部は一日当たり四万一千台、それから一般部は一日当たり三万八千台と仮定いたしまして、その上走行速度は、専用部は設計速度の八十キロ・パー・アワー、それから一般部につきましては法定速度の、小型車は六十キロ・パー・アワー、大型車は五十キロ・バー・アワーを用いまして、予測式としては建設省所管の道路事業環境影響評価技術指針に定める式によったものであります。
  63. 新村勝雄

    新村委員 それだけの御説明では納得できないし、また、技術的な算定ということについて実は我々に有効な反論の能力がないわけでありますけれども、しかし簡単に考えても、現在既に市川におきましては、八カ所のうちで環境基準を達成しているところが二カ所しかない。六カ所は環境基準を現在オーバーしているわけなんです。それで趨勢として毎年若干ずつ悪化しているという状況の中で、たとえ〇・〇〇七にしても新しい寄与をそこに加えた場合に、心配がないのかどうかということについては大変不安なわけであります。それらについての合理的なあるいは自信のある御説明はできますか。
  64. 加賀田晋成

    ○加賀田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、千葉県の発表によりますと、六十二年度の市川市内のNOXの濃度につきましては、一般局、自排局合わせて八測定局中、六局が環境基準を超えているというふうに聞いております。NO2につきましては、自動車エンジンの排出ガス規制の強化あるいはビル、工場の排出ガス規制の強化等発生源対策が進められておりまして、今後その効果もあらわれるものと考えております。  東京外郭環状道路市川区間の建設に当たりましては、先ほども申し上げましたとおり道路構造を半地下構造とするとともに、環境施設帯を設置して十分な環境保全空間を確保することとしておりまして、環境上十分に守られ得るものと考えておる次第でございます。  また、さらに今後実施することとなる環境影響評価の結果を踏まえまして、必要に応じまして適切な環境保全対策を講じてまいりたい、かように考えておりますので、御理解のほどをお願い申し上げます。
  65. 新村勝雄

    新村委員 今の御説明では、ちょっと説得力がないのではないかというように考えるわけであります。  そこで、ひとつ大臣にお伺いしたいのですが、この事業というのは関連の工事を含めますと、移転戸数が約三千を超えるわけです。それから、その中に公共施設もあるし学校もあるし病院もあるし、たくさんの公私の施設があるわけです。こういう事業については、これは他の大プロジェクトと同じような社会的な影響力あるいは重要性があるわけです。ですから、こういう事業については各省間の密接な連絡をおとりになって、できれば各省の大臣とは言わないまでも、次官あるいは局長クラスの打合会くらいはつくって、それでこの工事についての検討をするという、その程度の配慮をされなければいけないのではないか。  今日本行政で、縦割り行政と言っては失礼ですけれども、縦割り行政の弊害というものがしばしば指摘をされますけれども、これもやはり縦割り行政の弊害があるいはあらわれるのではないかという一つケースだと思うのですよ。一方で環境庁では、立派な基準を設定しておられるわけでありますが、一方では建設省さんは、道路行政あるいは道路網の整備、交通対策というようなことに主眼を置いておやりになるわけですから、どうしても環境問題は、これは考慮はされているでしょうけれどもわきへやられるという危険がございます。そういうことを考えた場合には、建設省、環境庁あるいは運輸省、そういう交通に関係をする各省がこういう大きな仕事をする場合には事前に、計画を固めてしまう前に各省で中堅クラスの専門家がお集まりになって、この路線は果たして合理的であるのかどうか、あるいは実際にやることができるのであろうかどうかということの検討をすべきではないかと思うのですよ。そうでないと、こういう問題について一方的に決定をして強行した場合には、これは成田空港の二の舞にならないとも限らないわけですよ、三千戸からの移転戸数があるわけですから。そういう点で、縦割り行政を補完する意味での各関係省庁間の協議、そういったことについて大臣はどうお考えですか。
  66. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 二九八のこの環状線については私はまだわかりませんが、一般的に言うと、事業者が環境アセスをするという仕組みになっておりますので、私はそれ以上の答えはできませんけれども、今おっしゃる話、いわゆる総合的に千葉のあの地域というのは非常に重要な地域でございますから、いろいろな施設が入り組んでおるということであれば、それだけの問題点が出てきて当然だと思います。その問題が出てきた段階において、各省庁が打ち合わせなければならない環境問題が出てくるというときには、当然それらのことは行われると考えます。
  67. 新村勝雄

    新村委員 そういう点で、二九八は一つの例として申し上げたわけでありますけれども、大プロジェクトについてはぜひ環境庁指導的な立場にお立ちになって、後顧の憂いのないような事前の検討なりあるいは計画なりの立案をひとつおやりをいただきたいということをお願いをいたしておるわけであります。
  68. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 一般論として、今おっしゃっておる話は当然のことだと考えております。
  69. 新村勝雄

    新村委員 次に、埋め立ての問題についてお伺いをいたしますが、戦後の高度成長期以降、内湾特に東京湾の埋め立てが大規模に行われたわけであります。現在までに行われた東京湾の埋め立ては、その所要土量が約三億立方メートルと言われております。この三億立方メートルという土量の大部分は、一部海の砂を使っておりますけれども、陸上の土砂を運搬をして埋め立てをいたしております。三億立方メートルといいますと、縦横高さ一稜の長さが百メートルの立方体が百万立方メートルでしょうから、それが三百個ということでありますね。まさに膨大な土量でありますけれども、この膨大な土量が主として千葉県の山から搬出をされて埋め立てをされたわけであります。  これに基づくいろいろの問題がございまして、千葉県の房総半島の中ほどの地域では小さい山が幾つも完全に消滅をしたと言われておりますね。そういう大規模埋め立てがされたわけでありますが、一方では、その埋め立てのためにいわゆるダンプ公害という被害を受けたところがあるわけであります。  それからまた環境問題では、山がなくなるくらいですから、その近辺の環境はもう一変してしまっておるわけですね。山といっても、岩石の山ではなくて砂山ですから、木が茂っておってその地域景観を添える要素になっておりましたし、またそれだけではなくて、いろいろな意味地域住民に安らぎと潤いを与えていた。その山が一挙になくなってしまうわけですから、環境破壊はきわまれりということになるわけでありますが、一方でその運搬のための沿道のダンプ公害、これがまた大変な事態になったわけであります。  そこで土砂の採取、今まで東京湾の水面の面積の一八%は戦後埋め立てをされたと言われておりますから、これは大変なものであります。それによる漁業の影響も甚大でありますし、いろいろの意味で大きな影響を与えたわけであります。最も大きな問題としては、土砂の採取による環境破壊それからまたその運搬による住民の被害ということでありますが、この土砂の採取によって自然破壊をされたあるいはダンプ公害を受けたということの実情について、環境庁ではどういうふうに把握をされておりますか。
  70. 安原正

    ○安原政府委員 事京湾の土砂の関係の問題につきまして、今手元に全貌をお示しするようなものを持っておりませんので、改めまして調査の上、機会をいただきまして御説明させていただきたいと思います。
  71. 新村勝雄

    新村委員 この三億立方メートルの土砂の搬出によって、大変な被害を受けたわけであります。これについては後でひとつ御検討いただきたいと思いますが、これはそれによってとどまるものではないわけでありまして、さらに将来それあるいはそれ以上の埋め立てが行われるという予想もされておるわけであります。  当面、埋め立ての必要なのは東京湾の横断道路であります。この東京湾の横断道路についてお伺いをしたいわけでありますが、この横断道路の工事について所要土砂の量はどのくらいであるのか、これを伺いたいと思います。
  72. 松延正義

    ○松延説明員 お答えいたします。  東京湾横断道路の人工島、これは川崎人工島でございますとか木更津人工島それから浮島の埋立部、そういったものの盛り上あるいは地盤改良等に使用する土砂につきましてはすべて山砂を予定しておりまして、その量は、現在のところ約千二百万立米ぐらいになるのではなかろうかというふうに聞いております。
  73. 新村勝雄

    新村委員 大臣十二時過ぎましたので、どうぞお昼をお上がりになってください。  ということで、千二百万立米、これは横断道路だけですよね。ですから、そのほかにも相当のプロジェクトが予想をされておるということでありますが、まず横断道路についてだけでも千二百万立米ということになりますと、さっきの百メートル立方の立方体が十二個だということでありまして、これまた大変なことであります。東京湾の埋め立てについては、かつて海の砂を使用したことがございますけれども、これは海の砂を利用することはできないのですか。
  74. 松延正義

    ○松延説明員 埋め立てに使います山砂等につきましてはいろいろ技術的な問題がございまして、例えば粒径でございますとかそういったものを考えますと、やはり山砂を使うのが一番適切ではなかろうかと聞いております。
  75. 新村勝雄

    新村委員 かつて行われた埋め立てで、海砂を利用してその後へ製鉄所の高炉ができたということも聞いております。それから、かなり大きな建築物がその上にできておるようでありますけれども、それからまた市街地はもちろんできております。こういう過去の実績からして、海砂ではどうしてもまずいという技術的な理由がございますか。
  76. 松延正義

    ○松延説明員 先ほど申し上げましたように、まず均質で良質な山砂が供給可能であること、あるいは先ほど申し上げましたような千二百万立米という大量の土砂を使用いたしますのでその供給が可能なこと、あるいは運搬に当たりまして周辺環境へ与える影響が少ない、こういったものを総合いたしますと、やはり山砂以外にはないのではなかろうかというふうに聞いております。
  77. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと山砂、陸上の土砂、この採取予定地はどこですか。
  78. 松延正義

    ○松延説明員 採取予定地につきましては、千葉県富津市桜井地先を候補地としているということを東京湾横断道路株式会社より聞いております。    〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕
  79. 新村勝雄

    新村委員 富津市桜井ですね。そうしますと現場まで、埋立地まで輸送するその方法はどういうことになりますか。
  80. 松延正義

    ○松延説明員 土砂の運搬方法につきましては、採取場所より船積み箇所まで既存のベルトコンベヤーがございましてこれを利用し、海上部は土運搬船により運搬する予定と聞いております。
  81. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、ダンプは全く使わないということになりますか。
  82. 松延正義

    ○松延説明員 採取現場の中では、あるいは小運搬程度にダンプは使われるかもしれませんが、一般の公道等を利用するようなことは少ないのじゃなかろうかというふうに聞いております。
  83. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと住宅のあるところは、一般道路は使わないということでよろしいわけですね。
  84. 松延正義

    ○松延説明員 全くないとは言い切れませんが、そういったことは極力少ないのじゃなかろうかと予想しております。
  85. 新村勝雄

    新村委員 全くないわけではないと。もし住宅の近所を通る必要がある場合には、被害の及ばないような万全の予防措置をぜひとっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  86. 松延正義

    ○松延説明員 そういった場合につきましては、交通安全の問題でございますとかいろいろな問題がございますので、東京湾横断道路株式会社の方をそういった面で十分配慮するように指導していきたいと考えております。
  87. 新村勝雄

    新村委員 土砂を取る場所ですが、先ほど富津市の桜井というお話でありましたが、富津市には国有地がありますね。鬼泪山という山があるのですけれども、鬼泪山の一部の土砂はかつて取られたことがあると思いますが、この鬼泪山については予定地には入っておりませんか。
  88. 松延正義

    ○松延説明員 先生おっしゃいますように、東京湾横断道路の建設に必要な土砂は主に鬼泪山の国有林から採取する予定であるというふうに聞いております。
  89. 新村勝雄

    新村委員 そうすると桜井というのは、桜井に鬼泪山がある、鬼泪山から土砂を取る、こういうことですか。
  90. 松延正義

    ○松延説明員 先生おっしゃるとおりでございます。
  91. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、全量をこの鬼泪山から取るということになりますと、その払い下げの値段の決定であるとかあるいは払い下げの方法であるとか、そういったことについてはどういうことになりますか。
  92. 松延正義

    ○松延説明員 まず土砂の採取方法は、先ほど申し上げましたように機械掘削を行いまして、運搬はベルトコンベヤーを利用し、またその後は土運搬船を利用いたします。  それから山砂の価格でございますが、これは工事を請け負いました請負業者と山砂採取業者との間で協議されるものと聞いております。なお、東京湾横断道路株式会社が工事を発注する際のこういった予定価格に用います山砂価格等につきましては、会社がいろいろな実態調査あるいは物価資料の価格等、こういったものを参考にしまして、今後十分検討する予定であると聞いております。
  93. 新村勝雄

    新村委員 これは国有地でありますから林野会計には大きく寄与するとは思いますけれども、その価格の決定についてはぜひ慎重を期してもらいたいと思うのです。この払い下げはどういう形になるのですか。この払い下げは、土建業者に国から払い下げをするということになるのですか、それとも対会社ということになるのですか、その点をお伺いします。
  94. 松延正義

    ○松延説明員 御指摘の点につきましては、土砂の採取業者と国有林を管理しております関係官庁の方で協議されると聞いております。
  95. 新村勝雄

    新村委員 払い下げについてはぜひ公明正大な形で、疑惑のないように特にお願いをしたいと思います。  それから工法でありますけれども、この工事の進め方は概略どういうことになりますか。
  96. 松延正義

    ○松延説明員 東京湾横断道路の工事の進め方でございますが、人工島、橋梁、トンネル、こういった構造別に全体工程及び工事の必要期間をいろいろ考えまして、それをまた工区割りをしまして順次発注される予定でございます。それで主要な工程としましては、川崎人工島を六十三年度から六十八年度、浮島取りつけ部を六十三年度から六十八年度、木更津人工島を六十三年度から七十年度、橋梁につきましては六十三年度から七十年度、シールドトンネルにつきましては六十五年度から七十年度、こういった工程で今後進めてまいりたいと思っております。
  97. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、木更津人工島、川崎人工島、川崎取りつけ部、この三カ所が主要な埋め立ての箇所になると思いますが、この三カ所に分けた必要土量はどのくらいになるのでしょうか。」
  98. 松延正義

    ○松延説明員 浮島取りつけ部につきましては五百万立米、川崎人工島につきましては二百万立米、木更津人工島につきましては五百万立米、計千二百万立米になっております。
  99. 新村勝雄

    新村委員 伝えられるところによりますと、木更津人工島は橋梁に必要な人工島だけではなくて、それに付設をしてかなり大きな埋め立てをする、いわゆる多目的の人工島をつくるというお話がありますけれども、その構想はもう決定しておりますか。
  100. 松延正義

    ○松延説明員 木更津人工島につきましては、この区間からトンネルから橋梁に移行しますので、どうしてもある程度まとまった規模の人工島になりまして、いずれにしましてもこれは道路の通行上必要な施設と考えております。
  101. 新村勝雄

    新村委員 そのほかにシーバースをつくるとかヨットハーバーをつくるとか、島の上へいろいろな施設をつくる、そういう橋梁に必要な島ではなくて、それに付設をしてかなり大規模な別の多目的の島をつくる、こういう構想はどうなんですか。
  102. 松延正義

    ○松延説明員 現在のところは考えておりません。
  103. 新村勝雄

    新村委員 次に、シールド工法による、あるいはまた他の部分についても地盤改良もするということになりますと、そこからかなり廃止、汚泥、そういったものが出るんじゃないかと思いますが、その処理はどうなりますか。
  104. 松延正義

    ○松延説明員 シールドトンネルを掘削しますと、先生御指摘のように土砂が発生してまいりますが、その処分の方法につきましては、今後詳細に土質調査あるいは工法等の検討結果に基づきまして性状に応じた、土質によっていろいろ性質が違いますのでそういった性状に応じまして、処分方法をこれはまた関係機関と十分調整し行うこととしておりまして、その際には環境保全には十分配慮するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  105. 新村勝雄

    新村委員 廃止、汚泥の量は大体どのくらいであるのか。それから、その処分についてはこれから検討するということでありますが、原則としてはやはりその地域の外へ持ち出していかなければいけないと思うのですね、その地域の中で処理をするということは難しいわけでしょうから。ですから、それを東京湾あるいは東京湾岸の地域外に持っていかなければならないのですか、それともその地域の中で処理をしようとするのですか。
  106. 松延正義

    ○松延説明員 量でございますが、五百九十万立米ございます。それで、この処分の方法につきましては、やはりその中では処理はできないと思いますので、外の方に持っていくということになろうかというふうに思っております。
  107. 新村勝雄

    新村委員 五百九十万立米、これは良質の山から出る土砂とは違いまして汚泥でしょう。ですから、これは簡単にその辺に山積みしていくわけにもいかないし、これを処分するには相当の面積、また十分配慮された手続によらなければいけないと思いますけれども、大体どういう方向なんですか。
  108. 松延正義

    ○松延説明員 先ほどお答えしましたように、性。状に応じまして処分方法等、これから関係機関と十分調整しつつ行っていく必要があると考えておりますが、例えば東京湾内の埋立地の埋立用材として処分するということもあろうかと思っております。
  109. 新村勝雄

    新村委員 地盤改良についてはいかがですか。これはシールド工法でトンネル部分の廃止、これが五百九十万ということでしょうから、やはり地盤改良による廃止、汚泥というようなものが出るはずでありますけれども、それはいかがでしょうか。
  110. 松延正義

    ○松延説明員 先ほどの答えでございますが、大変失礼いたしまして量をちょっと間違えておりまして、シールドトンネルから出ます量は二百九十万立米でございます。先ほど五百九十万立米と申し上げましたが、二百九十万立米でございます。おわびいたします。  それから地盤改良につきましては、二百二十万立米の発生土砂が出てまいります。
  111. 新村勝雄

    新村委員 そういった土砂の処分の方法がまだ決まっていないという一つの大きな問題があるわけでありますが、そのほかに、この建設についての諸資材は種類別にどういう主要な資材があるのか。それからまた、その運搬の方法、現場にそれを持っていくまでの運搬の方法はどういうものでございますか。
  112. 松延正義

    ○松延説明員 主要資材でございますが、現在のところ鋼材が約四十万トン、コンクリートが約百五十万立米見込んでおります。  これらにつきましては、木更津側の約二キロの水深の浅い区間の橋梁に使用するもの以外は、船舶で海上輸送する予定でございます。なお、陸上部の輸送につきましては、これはいろいろな発注形態によりまして変わってまいりますので、ちょっと今のところはつかんでおりません。
  113. 新村勝雄

    新村委員 そういった資材の運搬についても、沿道に迷惑のかからないような方法、ぜひ事前に万全の準備をしていただきたいと思います。  東京湾の横断道路関係の方はお帰りになっても結構です。  次に、ゴルフ場の問題であります。  今、日本にはゴルフ場が約千六百程度あると思いますが、あと数年のうちに五百から六百程度が新しくつくられるであろう、こう言われております。ゴルフ場そのものについては、環境汚染ということは従来は心配なかったわけであります。しかし最近になりまして、農薬の使用ということが言われております。そういったこともございますので、ゴルフ場の現状及び近い将来の見通しはどうなっておりますか。
  114. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 ゴルフ場の数等々、見通しにつきましては私どもつかんでございませんが、ただ先生御心配の農薬問題につきましては、農薬が適正に使用されている限りにおきましては環境汚染等々の心配はないということでございまして、農薬の適正指導等々につきまして関係省庁とも十分詰めている、こういうことでございます。
  115. 新村勝雄

    新村委員 ゴルフ場で使っている農薬の問題が、最近ゴルフ場の近傍で問題になっているわけです。ゴルフ場については、アメリカでは一ゴルフ場当たりの人口が一万七千だそうでありますが、日本では七万五千ということでまだまだ少ない。しかも、ゴルフ人口が最近急激に増加をしている現状からしても、まだまだ相当のゴルフ場がこれからつくられるのではないか。全国であと二千ないし三千カ所くらいはあってもいいのじゃないか、こういう見方もあるそうでありますが、一方、ゴルフ場の農薬使用というような従来余り注意をされていなかった面について、今注意が喚起されているというようなことがあるわけであります。  これは、農水省の農蚕園芸局長から北海道知事、各地方農政局長沖縄総合事務局長にあてた文書で、「ゴルフ場における農薬の安全使用について」ということで通知が出されております。「農薬の安全使用に関する指導については、従来より農薬危害防止運動等を推進するほか、」「(昭和六十三年四月二十六日付け六十三農蚕第二六九八号農蚕園芸局長通達)に基づき、登録農薬の販売・使用の徹底を図ってきたところである。近年、ゴルフ場の増加等により、ゴルフ場における病害虫の防除等に使用される薬剤について社会的関心が高くなっているところであるが、ゴルフ場等、当該地域内に芝、樹木等の農作物等が栽培管理されている場所における病害虫の防除等について」云々という通知がありますが、農水省においてもゴルフ場における農薬使用については今関心を持っておられるわけですわ。農水省、来ていらっしゃいますか。この問題についてどう思いますか。
  116. 関口洋一

    ○関口説明員 先生今御指摘の、ゴルフ場におきまして使用される農薬が周辺等に影響を与えないためには、安全性に関する厳正な検査を受けた農薬を、環境条件を考慮しつつ適正に使用することが一つの要件でございます。農水省といたしましては、このような趣旨を踏まえてこれまでも農薬危害防止運動を通じてその指導を行ってきたところでございますけれども、最近のゴルフ場の増加にかんがみまして、先般、先生今御指摘の通達、「ゴルフ場における農薬の安全使用について」ということでより一層の徹底を図るように指導したところでございます。都道府県におきましては、この通達の趣旨を踏まえて、ゴルフ場関係者に対する講習会の開催等を通じて指導の徹底がなされるというふうに考えております。今後ともこのような面で農薬の安全使用について指導を行ってまいりたいと考えております。
  117. 新村勝雄

    新村委員 ゴルフ場に使用されている主な薬剤には現在どういうものがありますか。
  118. 関口洋一

    ○関口説明員 ゴルフ場で使用されている農薬は、非常に種類が多うございますので全部のものを申し上げるわけにまいりませんが、ダイアジノン、DEP、TPN、キャプタンといったものが比較的多く使われていると承知しております。
  119. 新村勝雄

    新村委員 これらの薬剤は農業においても使われているわけですか。そうしますと農業において使われているのだから特に必要ないという意見もありますけれども、農業に使われている農薬についても一定の使用の基準があるし、必要な十分な注意をしなければいけないことになっているわけでありますから、農薬であるからゴルフ場で使ってもいいんだということにはならないと思います。それらの指導はどうなっているのですか。
  120. 関口洋一

    ○関口説明員 ただいま申し上げました比較的芝に多く使われている農薬については、農業においても使われているものでございます。例えば先ほど申しましたダイアジノンにつきましては、稲、いろいろなその他の野菜などにも使われております。当然芝につきましても使用の基準がつくられておりまして、これに沿って使われることが重要であると考えております。
  121. 新村勝雄

    新村委員 そこで、農水省では各都道府県に対してゴルフ場で使われている農薬についての調査をされているということでありますが、全国的にも千葉、長野、奈良等がゴルフ場が多いと言われておりますが、その調査の目的なり、現在その調査がどういうふうに進められ、どういう集約がされておりますか。
  122. 関口洋一

    ○関口説明員 農薬の使用につきましては、地域的に一定の傾向と申しますか、趨勢と申しますか、地域性がございます。そういう意味で、私どもといたしましては、全数の調査をするといったことまでは考えておりませんが、先ほど申し上げました都道府県レベルにおきます農薬の安全使用の指導に当たりましては当然現場の使用実態に合わせた指導がなされるというふうなこととなるわけでございます。私どもといたしましては、これらの指導段階を通じまして全国の実態を十分把握するというふうなことを考えておりまして、そういった意味での努力をしてまいりたいと考えております。
  123. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、地方自治体の協力を得て実施をされておるわけでありましょうが、この調査に基づく行政指導、安全使用の指導ですね、これが万全でなければならないわけでありますが、これについての指導それからチェックの方法はどうされますか。
  124. 関口洋一

    ○関口説明員 先日の通達に基づきまして、都道府県におきましてはゴルフ場の関係者を集めて講習会を開くあるいは現地に指導に行くといったふうな安全使用の指導をするというふうに聞いております。
  125. 新村勝雄

    新村委員 環境庁としては、この問題はどういうふうにお考えですか。
  126. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 農薬につきましては、安全性の評価を受けたものが農林水産大臣の登録を受けて販売される、こういうことになっております。環境庁といたしましても、農林水産大臣が農薬を登録するかどうかの判断をする場合の基準につきまして、農薬の人畜とか環境への影響を未然に防止するという観点から保留基準というものを定めている形でやっておるわけでございます。したがいまして、登録されました農薬が適正に使用されているということでありますれば環境汚染等々の問題を生ずるということはないというわけでありまして、これにつきましては、先ほど農林水産省の方からお答えがありましたように、私ども関心を持ちまして、指導についての万全を期するように農林水産省の方にもお願いしているということでございます。  なお、全体といたしましてゴルフ場周辺の水質問題等々につきましては、必要に応じまして都道府県の方でその水質等々につきましての実態把握についても県等にもお願いしているということでございます。
  127. 新村勝雄

    新村委員 ぜひ万全の備えをしていただきたいわけですが、それにはやはり農水省そして環境維持ということで環境庁責任があると思いますから、ぜひ環境庁、農水省が共同で、できれば調査チーム等をつくるくらいの気持ちでお互いに協力をされて万全の備えをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  128. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 そういう気持ちで私ども一生懸命やっていきたいと思っております。調査のやり方等々につきまして、実態のつかみ方等々につきましてはそれぞれでやるという形になってこようかと思っておりますが、気持ちとしてはそういうつもりでやっております。     〔小杉委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 新村勝雄

    新村委員 次の問題でありますが、新聞報道によりますと、千葉県君津市で市営の水道の水源になる地下水が発がん性を有する物質、有機塩素系の溶剤トリクロロエチレンで汚染をされていたということが報道されているわけですね。この点については、かつて昭和五十九年八月二十二日、環境庁の水質保全局長名で、各都道府県知事、十大政令市長に通達が出されております。「トリクロロエチレン等の排出に係る暫定指導指針の設定について」、こういう通達が出されておりますが、トリクロロエチレン等による地下水の汚染については、環境庁昭和五十七年度地下水汚染実態調査により、その広範な汚染が判明した。この時点でかなり広範にトリクロロエチレンによる汚染があるということが確認をされたということが言われておるわけでありますが、これに基づいて地下浸透の防止あるいは公共用水域への排出の規制ということについて指導がされておるわけですね。ところが、最近に至ってこういう事態が発生しておりますけれども環境庁はこれについてどう把握しておられますか。
  130. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 君津市の問題につきましては、君津市の調査によりまして、昭和六十二年三月にトリクロロエチレン等によります地下水の汚染が確認されまして、その後六十二年五月、六十三年六月、引き続き君津市において調査を行ったということでございます。  それに対応します県、市の対応につきましては、基準値を超えた井戸の飲用者に対しましては、煮沸飲用とか市営水道への水源転換等の措置、それから水道水源につきましては現在除去施設を建設中だ、それからトリクロロエチレン使用事業場につきましては立入検査等を実施いたしまして、適正利用の指導を行っているということでございます。
  131. 新村勝雄

    新村委員 これは発生源はIC工場なんですね、そういうふうに伝えられているわけです。この発生源対策あるいは市水道の運営、そういった点について何か緊急の措置は必要ではないのですか。
  132. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 ただいま申し上げましたように、水道水源については、現在除去施設というのを、曝気装置等々をつけた形で支障がないような形での工事を今やっておるということであります。とともに、工場につきましても立入検査等も実施しながら、そういうことが再び起こらないような形での施設整備その他について県、市で指導していくということでございます。
  133. 新村勝雄

    新村委員 立入検査ですけれども、その検査の結果どういう措置がとられているのか、あるいはとろうとするのか、現状でもまだ操業は継続されているのか。それから水道については、これは一部は停止をされておるのかどうか、そういった点はどうなんでしょうか。
  134. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 県、市におきまして、事業場等に立ち入り等々をやったところでございますが、それにつきましての施設等々とか使用の仕方等々についての指導をしているというふうに承っておるわけでございます。
  135. 新村勝雄

    新村委員 大臣にお伺いしますけれども、実は今大臣お留守中だったかどうか知りませんが、千葉県でIC工場から排出をしているトリクロロエチレン、これによって水道が汚染をされたという報道があり、これについては環境庁でも把握をされて対処されておるということでありますが、こういった不測の事態がほかの地域で再び起こらないような万全の指導を願いたいということと、それから、不幸にして君津市の水道が汚染されたということでありますけれども、これについての十分の、万全の、これは事後でありますけれども、措置をとるようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  136. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 現在はIC等の洗浄についてはむしろフロンガスを使っておるのが常態でございまして、それまでの段階でああいう毒性の強い、いわゆる地下水等が汚染するという危険があったので、それでフロンに変わったというのが現状でございますが、その場合に管理さえ十分にやればああいうことは起きないのが普通のようでございます。先般あの問題が出たときに私ども調べたのですけれども、やはり管理上の問題がある、あるいは施設がもう大分古くなってきているためにその施設の改変に問題があるのじゃないか、だから通産省とも十分協議して、通産省からこれらの問題について十分管理するようにということをこちらから言うようにという指示をしてございます。
  137. 新村勝雄

    新村委員 今後万全を期していただくように特にお願いをしたいと思います。  終わります。
  138. 吹田愰

    吹田委員長 次に春田重昭君。
  139. 春田重昭

    春田委員 私は、限られた時間でございますけれども三つの問題につきまして御質問していきたい、こう思っております。  まず第一点は、午前中も出てまいりました沖縄石垣島のいわゆるサンゴ礁の自然破壊の問題でございます。新空港建設計画が上がって、何といいますか、非常に佳境に入っているわけでございますけれどもサンゴ礁影響を与えるかどうかで議論が分かれているわけでございますが、現時点におきまして、環境庁の対応といいますか見解といいますか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  140. 安原正

    ○安原政府委員 この問題につきましては先ほども議論をいただいたわけでございますが、手続面をまず御説明させていただきたいと思います。  新石垣空港建設に伴いまして埋立事業を行うということになっておりまして、これにつきましては、閣議決定に基づきましてアセスが実施される対象となっておるわけでございます。それをただいま沖縄県が事業者としてやっているという状況でございます。環境庁といたしましては、したがって、現段階では沖縄県が環境アセスをやっておるという状況でございますので、形式的に申しますと関与はないわけでございますが、ただ、事業者が行います調査とか予測とかあるいは評価があるわけでございますので、沖縄県の求めに応じまして、これらの手続に関する助言とかあるいは必要な調査手法あるいは予測手法に関しまして技術的な助言を行ってきておるということでございます。  仮にこの沖縄県による環境アセスメントの手続が終了いたしますとその後どうなるのかということでございますが、公有水面埋立法の手続に入るわけでございまして、この手続の中で、環境庁長官は主務大臣である建設大臣の方からこの法律の第四十七条に基づきまして環境保全上の観点からの意見を求められるということでございます。したがって、ただいま県がそういう環境アセスを行っている段階でございます。
  141. 春田重昭

    春田委員 環境庁としては技術的なアドバイスをしている。今まで環境アセスメントの準備書、それから知事意見等が出されてきたわけでございますが、これらのアセスにつきまして、また意見に対しまして、地元住民やそういったいわゆる環境保護団体からは、ずさんである、非常に厳しい批判の声が上がっているわけです。環境庁としても、この問題につきましては、いわゆる国際自然保護連合決議によりまして、ことし二月、アオサンゴ影響を与える、したがって空港は中止せよということが決議されたわけでございまして、総理並びに現地の知事にもそういったいわゆる連合から要望書が出されているわけです。そういった面で、現在までは余りタッチできないから環境庁はそういった技術的なアドバイスしかできないということでございますが、私はやはりこういった住民皆さん方が、また自然保護団体の方が納得できるような、そういったアセスをつくらなかったならば、これは本当に正確な議論はできないと思うのです。そういった面で、私は環境庁はもっと前向きにこの問題については取り組むべきである、こう思います。  そこで、現在沖縄県が環境アセスメントの評価書を作成中と伺っておりますけれども、事業主体が環境アセスをつくるのはわかりますけれども、そういった批判にこたえるためにも、環境庁がもう少し前に出るべきではないか、こういった考え方を持っておるわけでございますが、まずこの点についてお答えいただきたいと思います。
  142. 安原正

    ○安原政府委員 ただいまも申し上げましたように、閣議決定に基づいてアセス手続をやるということになっておるわけでございまして、その中では事業者がアセスをするということになっているわけでございます。この趣旨は、事業者がみずから自主的にその状況を把握しまして環境保全の有効な対策考えていく、そのことがこれを実施に移す上でも適当ではないかという考え方でできているわけでございますので、そういう趣旨で決まっておる手続でございますから、我々はそれを尊重していくという立場にあるわけでございます。  そのアセスの中身によりまして、先ほども申しましたように、技術的な観点からこういう手法をとったらどうかとか、あるいはこういう点につきましてきちっとやった方がいいとか、そういう点がございましたら沖縄県とよく連絡をとりながらアドバイスをしている、そういうことでございます。御理解をいただきたいと思います。
  143. 春田重昭

    春田委員 そのアセスが正確だったらいいんですよ。正確でない、公平でない、拙速であるということでそういった自然保護団体や地元住民から批判の声が上がっておるわけですから、あなた任せにしないで、沖縄県任せにしないで、環境庁としても納得のいくアセスをつくるべきという行政指導をしてもいいんじゃないか、私はこう思うのです。長官、どうですか。
  144. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 できるだけの努力をします。
  145. 春田重昭

    春田委員 そこで、環境庁が直接関与できるのは、これから公有水面埋立法により免許申請が行われる、当然運輸省が直接のタッチをするわけでございますが、やはり環境庁意見を求める、これが環境行政の大きな決め手になってくるわけですね。先ほども長官は、環境庁としてはいわゆる科学的知見に基づいてそういった意見を述べたい、こうおっしゃいました。これはどういう意味ですか。
  146. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 自然環境保全するためには、科学的知見が要るわけであります。環境庁としては一般論として我が国の科学的知見に基づいて決定をするということであります。したがって、具体的に言うとサンゴについての研究者というものは限られております。沖縄県がほとんどサンゴのある地域でございますから、沖縄県の知識、科学的知見というのは琉球大学とか沖縄大学等にあるわけでございますから、この方々専門家方々の科学的な知見が一番参考になると考えております。
  147. 春田重昭

    春田委員 確かにそういった学者の皆さん方の御意見、いろいろな書類等で御判断をされるわけでございますけれども、やはり百聞は一見にしかずで、環境庁がみずから現地に行って、この公有水面の埋め立て意見を求められた段階では、私はやるべきじゃないか。このサンゴ礁破壊されるかどうかという問題、いろいろな意見があるんです。いや、そうじゃないんだ、いや守られないんだ、沖縄県の知事意見の中でも、十項目出ておりましたけれども、その中では、工法次第によっては守られる、しかし環境破壊されるかもわからない、そのときは工事を中止します、非常に抽象的で、全く心配、懸念が払拭されたわけじゃない、そういったことがあるわけでございますから、私は、環境庁がやはりみずから現地へ行って調査する。沖縄県でも土木は今つくっているわけですよ。環境はやはり意見があるんだけれども、どうしても土木の方に意見がまとめられてしまいますから、それは総体として沖縄県の意見になっちゃうわけですから、そういった面で、私は、現地に行くべきである、こう思いますが、長官どうですか。
  148. 安原正

    ○安原政府委員 ただいま申し上げましたように、いずれ沖縄の県の段階でのアセスが終了しましたならば、公有水面埋立法に基づく手続に入ってくる、その過程で環境庁長官意見が問われるということでございます。その場合に、基本的には既存の文献とか各種の資料等から知見を収集いたしまして、それに基づいて審査するということになるわけでございますが、ただいま先生が御指摘の一現地を見てはどうかという点でございますが、これは実は直接担当している者は、少し前でございますが、現地は見ておるわけでございます。ただ、中身の審査になりまして、どうしても必要であるというような判断がされました場合には、改めて現地を調査することも考えなければならないこともあるかもしれない、そういうぐあいに考えております。
  149. 春田重昭

    春田委員 それから、鹿児島県の奄美でも空港ができまして、やはりサンゴ礁があるわけですね。工法が同じようで似ている、こういった点でも、鹿児島県は影響が現時点では出てない、しかし自然保護団体の方たちは影響は出ている、こういった意見がある。沖縄県からも海中調査なんかやったみたいでございます。地元の方たちはそれぞれ調査をやっておるみたいでございますが、非常に似通った空港、工法、サンゴ礁もあるわけでございますから、こちらの方にも環境庁がじかに行って調査をすべきではないか、私はこう思いますが、どうでしょうか。
  150. 安原正

    ○安原政府委員 先生御指摘の新奄美空港の周辺のサンゴの状況につきまして、環境庁としても重大な関心を持っているところでございます。したがいまして、実情の把握に努めておるところでございますが、現在そのために鹿児島県の担当部局から事情の聴取を鋭意進めておるというところでございまして、この結果を整理しました上で、環境庁としましても直接現地の確認ということで調査をしたいというぐあいに考えております。
  151. 春田重昭

    春田委員 必要あれば行くということでございますが、環境庁の職員の方が行くことも環境庁が行ったということになると思うのですが、これだけ世界的な問題、課題になっているわけですから、長官アメリカカナダにも行かれた方でございますから、少なくとも国内のこういう問題につきましては、長官みずからも足を運んではどうかと私は思います。それが自然を守る長官の使命ではないかと私は思いますが、どうでしょうか。
  152. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私は専門家でもないが、ただ新聞サンゴ礁が新奄美空港の建設によって相当被害を受けている、もうリアルな報道を見ました。だから私はすぐに石垣島のことを連想しましたから、この調査をやれ、また石垣島の空港についてもこれの調査をアセスの中に入れよという指示をすぐしたところであります。
  153. 春田重昭

    春田委員 かねてから長官は、いわゆる環境を守ることについては歴代の長官の中では本当にトップクラスの長官ではなかろうかと私は思っているのです。そういったことで今本当にこの石垣島が、先ほど、午前中もありましたけれども石垣島の問題でなくして国内、そして世界的な大きな問題になっているだけに、専門家じゃないという意見でございますけれども、いや、長官は本当にいろいろな勉強をなさっていますよ。そういった面では長官が行くべきではないか、私はこう思っております。  最後になりますけれども、現空港が一千五百メーター、非常に需要に対応できない、またジェット等が入ってきても非常に危険な状況であるということで、そのためにも新しい空港が必要であるということは私も理解するわけです。しかし、やはり貴重なアオサンゴもこれは守っていかなければなりません。そういった面で場所も含めて再検討する必要があろうし、今年度に何か調査費がついて今年度にやらなかったら来年度はもうつかないんだという話も出ておりますけれども、そういった予算等の配分等に決して惑わされないで、拙速主義に陥らないで慎重に、正確に、公平にひとつ環境庁意見を堂々と述べて、できることなら自然を守っていただきたい、私はこういう強い要望をしておきます。よろしくお願いしたいと思います。  それでは第二点でございますけれども、イオン工学センターの問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  関西に文化学術研究都市が決まったわけでございまして、この地域にイオン工学センターの誘致が決定されたわけでございます。今後の建設計画につきまして通産省から簡単にひとつ答えていただきたい、こう思います。
  154. 広田博士

    ○広田説明員 お答えいたします。  イオン工学でございますけれども、これは物質のイオン状態という状態を利用いたしまして素材の表面の微細加工であるとかあるいは新しい素材の開発、こういったものに応用が見込まれておる新しい技術でございまして、産業の新しいフロンティアを開くものということで大いに期待されておるものでございます。  関西地方におきまして地元の企業あるいは地方自治体、こういったところが大変熱心でございまして、通産省といたしましてもこれに対する支援をするということでございまして、実は関西を中心にそのイオン工学センターの設立のための準備会というものが七月末に開催されたわけでございます。ここでいろいろ具体的な運営面とか技術面の検討がなされておるわけでございまして、今年中にセンターを設立する、会社をつくるということでございますけれども、今年中に会社をつくりましてできるだけ早い段階で工事にかかりたいというふうに考えております。
  155. 春田重昭

    春田委員 そこでいろいろな設計が行われて、これから着工されるわけでございますが、地元では非常に歓迎する面もございますけれども、また一面、公害の問題で心配される面もあるわけでございます。そこで、この公害の問題について、三点にわたりまして地元から心配される点がございます。  まず第一点は、放射能の放射線の被害があるのではないかという点。第二点としては、洗浄剤として。トリクロロエチレンを使用いたします。これは発がん性の疑いがあるという有害物質でございますが、これが河川や、また地下水や用水に流れて、人間や農作物に影響を与えるのではなかろうかという懸念。三番目には、有毒ガスでございますアルシンガスを使用いたします。このガスは、イオン注入時に、また半導体の洗浄用としても一部使うわけでございますが、二〇ないし五〇ppmで致死量に達すると言われております。ある新聞では、昭和四十九年にも二名が死亡している大変危険な有毒ガスでございます。  以上三点が公害問題として非常に心配であるということで、地元から問題が持ち上がっているわけです。それで、このイオン工学センターと道路を隔てて約三千人規模の大阪府の供給住宅が建設されることになっております。そういったいわゆる住宅街にこの工学センターが建設される。さらに、搬送用の道路が国道三百七号線といって非常に狭いんですね。しかもこの道路はダンプ街道といいまして、しょっちゅうダンプが往復しているような非常に混雑する道路であります。したがって、万一輸送中事故が起きた場合、こういった有害物質が漏れて周辺に影響を及ぼすのではなかろうかという懸念もあるわけです。  したがって、このセンター内でのそういった問題、また搬送、輸送中におけるそういった事故について住民の不安があるわけでございますが、通産省としてはいかなる対応をお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  156. 広田博士

    ○広田説明員 イオン工学センターで利用いたします化学品とかガス、こういったものでございますが、確かに今先生がおっしゃったようなものが可能性としてあるわけでございます。ただ、こういったものは既に大学の研究所であるとか関連の工場で使用をされておることも事実でございまして、これは使用の問題といたしまして、適切に管理をいたしまして十分に注意をするということで問題を起こさないようにいたしておるというふうに理解をいたしております。  各種の法令、こういった規制のあるものにつきましてはこれを遵守することが当然でございますし、また常にセンターを運営していくに当たりましても謙虚に万全を尽くしてやっていくということが当然でございますので、私どもといたしましてもそういった点を十分関係者指導していきたいというふうに考えております。
  157. 春田重昭

    春田委員 万全を期してもらいたいわけでございますが、こういった有害物質の使用量、研究センターでございますから一般のメーカーみたいに大量には使わないという意見もございますけれども、現時点でどれくらい使うのか、その辺の量がわかればお聞かせいただきたいと思います。
  158. 広田博士

    ○広田説明員 先ほどもお答えいたしましたように、イオン工学センターで使用する装置あるいは化学物質、こういったものにつきましてはこれから具体的に検討を続けてまいるところでございますので、現在のところ、具体的な使用数量等、私どもちょっと持っておりません。
  159. 春田重昭

    春田委員 それじゃ環境庁にお伺いしますけれども、これが建設されまして研究活動が始まる。その段階でもちろん公害防止や環境保全の立場で調査を行う必要があるとすれば、環境庁としては乗り出す意思があるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  160. 安原正

    ○安原政府委員 イオン工学センターにつきましては、ただいま通産省の方から御説明があったとおりでございまして、具体的なイオン工学センターにおける装置とか実験の内容については今後の検討項目になっておりますので、まだ詳細は承知してないわけでございます。  そこで、御指摘のように、仮にアルシンとかトリクロロエチレン等が使用されるということがありましても、先ほど通産省の方からも御説明ありましたが、これらの物質は、例えば現在でもIC工場等で使われている事例があるわけでございまして、排水等の適切な管理をすれば環境汚染を防止することは十分可能であるというぐあいに考えております。それからまた、このセンターに対しましては、通産省あるいは地元公共団体の十分な指導があるものと考えております。したがって、今後の問題でございますが、環境庁といたしましても、通産省あるいは地元公共団体と必要に応じて十分な連絡をとりまして、その時点その時点で適切に対応していきたいと考えております。
  161. 春田重昭

    春田委員 それでは最後に、水の問題についてお伺いしたいと思います。時間がございませんので、ひとつ答弁者は簡潔にお答えいただきたいと思います。  最近の飲料水は非常にまずい、カビ臭い、また有害物質を含んでいるのではないかという危険なそういった話まで出てまいります。しかし、かつて我が国は、山紫水明という言葉があるように、非常に水につきましては、おいしい、うまい、こういった水もあったわけでございます。ところが近年は、都市部におきましては人口増、工業用水の需要増でこういった需給のバランスが崩れて、こういった問題等が発生してきているわけです。  そこで、飲料水としていわゆる使用している水道水、それから井戸水があるわけでございますが、この辺の割合をひとつ厚生省の方からお伺いしたいと思います。
  162. 坂本弘道

    ○坂本説明員 今全国で水道に使っております水量は年間約百五十億トンでございますが、そのうち二五%ぐらいが地下水でございます。
  163. 春田重昭

    春田委員 人口割合でいったらどんな割合になりますか。
  164. 坂本弘道

    ○坂本説明員 地下水は主に小規模な水道で使っております。いわゆる簡易水道と言っておりますが、それが大体全体の一割程度あるのではないかと考えられます。
  165. 春田重昭

    春田委員 この前の厚生省のレクのときは、水道水が九三・六%、井戸水が六・四%という数字を示してくれたわけでございますが、井戸水は六・四%あれば大体七百八十万から八百万の方が利用している、こうなるわけです。そこで、水道水と井戸水の暫定の水質基準がございます、これをお示しいただきたいと思います。
  166. 坂本弘道

    ○坂本説明員 お答えいたします。  今先生おっしゃいました点につきましては、トリクロロエチレン、これが〇・〇三ミリグラム・パー・リッター、テトラクロロエチレン、これが〇・〇一ミリグラム・パー・リッター、それからもう一つ、1・1・1トリクロロエタン、これが〇・三ミリグラム・パー・リッターでございます。
  167. 春田重昭

    春田委員 そこで、先ほど御質問ございましたように、先日千葉の東芝のIC工場の周辺の井戸水から発がん性の疑いがあるトリクロロエチレンが検出されたわけです。四十三本のうち十本が基準値、今おっしゃいました〇・〇三ミリグラム・パー・リッターをオーバーして、最高の濃度は七・一ミリグラム・パー・リッターでございますから基準値の二百三十七倍に値する、大変な数字でございます。したがって、この井戸水は飲用としても使用されているわけでございますから、まことに危険きわまりないと私は思っているわけでございます。  環境庁の六十一年の調査によりますと、全国一千六百二本の調査のうち六十九本、四・三%がトリクロロエチレンで基準値をオーバーしております。しかも、六十年が二・五%でございますから、六十一年度は相当上回っている。厚生省は厚生省で一般飲用の井戸水の調査をなさっておりますけれども、全国三千五百四十一本のうち二百十五本、六・一%は基準値をオーバーしている、こういったように確実に全国的に井戸水のいわゆる有害物質は広がっているということを示しているわけでございますが、この飲用のいわゆる井戸水、約八百万人の方が使用しているわけです。厚生省としては、そういったことにつきましていかなる対策を持っているのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  168. 坂本弘道

    ○坂本説明員 地方公共団体により行われました一般飲用の井戸に係るトリクロロエチレン等による地下水汚染につきまして、最近の調査結果によりますと、依然としてこれら有害物質による地下水汚染が見られている、こういう状況でございます。  そこで、厚生省といたしましては、六十二年の一月に家庭用井戸など飲用に供する井戸につきまして、その総合的な衛生確保を図るということで、飲用井戸等衛生対策要領というものを策定いたしました。本要領に基づきまして、都道府県等は井戸の設置者に対しまして、施設の適正管理、それから定期的な水質検査の実施を指導しますとともに、汚染判明時における水道加入等の措置を指導することになっておりまして、引き続き本要領に基づきまして適切な対策が実施されますよう都道府県等を指導してまいりたいと存じております。
  169. 春田重昭

    春田委員 遅まきながらそういった対策が出てきたわけでございますけれども、要するに設置者が定期的な検査をやるのですね。そういった面で、必ずしも全部の井戸が定期的な検査がされるわけではない。厚生省としては今調査を行っているみたいでございますが、行政がもっと積極的に、年に少なくとも一回ないし二回は定期的な検査を行う、こういったいわゆる前向きの姿勢が大事じゃないかと私は思うのです。設置者だけにやりなさいよという行政指導では弱い、こう思います。そういった点でどうでしょうか。
  170. 坂本弘道

    ○坂本説明員 検査等につきましては、ただいまお答え申し上げた点でございますが、私ども厚生省といたしましては、全国民の皆さんに安心して飲んでいただける水道を普及させよう、こういうことを考えておりまして、先ほどの九三%をもっと高い基準にまで近々持っていくよう水道の普及に努めてまいりたい、かように考えております。
  171. 春田重昭

    春田委員 そこで環境庁にお伺いいたしますが、このトリクロロエチレンというのは分解しない、一たん地下に流れ込むと蒸発しない、永久に消えないというそういった性格です。ところが、このトリクロロエチレンは現在の水質汚濁防止法では規制の対象になっていないのですね。したがって、発がん性の疑いがある、こういうところで終わっているわけでございます。地下水は、水道水と違いまして流れも非常に遅い、そういった面で一たん汚染されてしまえば復元するのは非常に難しい、こういったことで、先ほど数字を言ったように、全国的に非常にこのトリクロロエチレンの基準値をオーバーした井戸がふえておりますので、この水質汚濁法の中に含めて今後規制すべきではないか、こう私は思いますが、環境庁の御所見をお伺いしたいと思うのです。
  172. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 先生御指摘のとおり、水質汚濁防止法ではトリクロロエチレン等についての規定を設けてございませんが、ただ地下水汚染の問題につきましては私ども重大な関心を持っているところでございまして、これも先生御指摘がございましたが、五十九年八月、暫定指導指針というものを定めまして、各都道府県等に対して工場、事業場等の指導に当たるように通知する、また関係省庁とも連絡をとりながらその汚染の防止に努めているところでございます。  ただいま御指摘がございましたが、私どもといたしましても、これから地下水質をどう保全していくかということ等につきまして幅広く検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  173. 春田重昭

    春田委員 研究ばかりやって結果が出なかったら何もならないわけですが、このトリクロロエチレンというのが発がん性の疑いがあるというのは、例のアメリカのシリコンバレーで事故が発生して、これは一九八〇年の初めですね。それから既に八年前後たっているわけですよ。アメリカのこの周辺では、小児がんや皮膚がんやそういった非常な重症の障害者が出ているという結果も出ているわけですよ。そういったことで、環境庁が先頭に立って厚生省とともにこのトリクロロエチレンの研究をやって、その規制の対象にしていただきたい、私はこう要望しておきます。  さらに水濁法では、この有害物質を含む汚水が地下にしみ込まないように適切な処置をとる、一応こうなっております。ところが罰則はない、ペナルティーはないわけですね。そういった点で、IC工場の汚染の問題、汚水の問題というのは千葉に限らず全国的に、九州でも、いろいろなところで広がっているわけですよ。そういったことで、今後ますますこのICの工場における有害物質が問題になってきますので、そういった罰則を設けたらどうか。それから、地方自治体の立ち入りも認めて、もう少し厳しく監視する必要があるのではないかと思っておりますけれども、この二点につきまして御答弁いただきたいと思います。
  174. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 先生御指摘のとおり、水濁法上はそういう規定がございません。それで、現在は暫定指導指針というのを定めまして行政的にやっておるということでございますが、先生の御指摘等々も私どもこれからいろいろ幅広く検討していきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
  175. 春田重昭

    春田委員 そこで、飲料水としては水道水があるわけです。この水道水も地下水に限らずいろいろな問題を含んでおります。六十二年度の東京都の都立高校での水道水の検査を行った結果、赤い水が出たり鉄分や細菌が含まれたりして水質基準をオーバーしているところが七校に一校ある、こう出ているわけです。  そこで、厚生省としては今おいしい水、うまい水を何とか供給しようということでいろいろな苦労をなさっているみたいでございますが、一つは高度浄水施設の促進を図るということで、六十三年度から十六億円を補助金としてつけるみたいでございます。高度化処理でオゾン処理とかいろいろな活性炭を入れて、現在塩素処理だけのこういった臭い水ですね、これをなくそうとなさっているみたいでございますが、大阪府もこれに取りかかって非常に期待しているわけでございますけれども、十六億円といったら少ないですね。そういった面で、補助率も三分の一でございますから、補助率も高くして対象範囲も広くして、このおいしい水、うまい水を供給するのは私は行政責任だと思うのです。空気と水はただみたいなものでございます。それが今浄水器がどんどん売れる、そしてまたミネラルウォーターがどんどん出ているという、これは行政の怠慢だと思うのですよ。そういった面で、厚生省が考えている補助制度をもっと大幅にやっていただきたいと私は思いますが、どうでしょうか。
  176. 坂本弘道

    ○坂本説明員 水道水の異臭味対策につきましては、基本的には水源の水質が改善されるということが必要でございます。ただ、水源の水質改善というのは極めて長期間を要する例が多くございます。水道におきましても、異臭味等の問題を生じないよう所要の措置をとることが必要となってきております。したがいまして、先ほど先生御指摘のとおり、六十三年度に新たに異臭味等を除去するための高度浄水施設に対する国庫補助制度を創設いたしまして、必要な浄水場におけるオゾン処理それから活性炭処理等を行う施設の整備推進することにいたしました。  問題が生じている、または生ずるおそれがある浄水場につきましては早急に所要の検討を行いまして、高度浄水処理施設整備の必要なものについては計画的に整備を行うよう指導してまいる所存でございますし、また十六億円では非常に少ないという御指摘でございますが、この点につきましても、必要なところは順次積極的につけていくという姿勢で臨みたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  177. 春田重昭

    春田委員 最後になりますけれども、水道水の汚染源としては河川の汚れが大きな原因になるわけです。我が関西には京都、大阪、兵庫一千三百万人の水道水源でございます淀川がございます。環境庁が毎年河川の調査をやっておりますが、大きい川ほど徐々によくなってきているけれども、小さい河川が一向によくならないという結果になっております。この淀川の枚方地点、鳥飼地点でも環境基準を大きくオーバーしているわけでございまして、私はその水を飲んでいるわけでございます。どうかひとつ河川の浄化を早急にやっていただきたいと思っているわけですが、この淀川は現在洪水調整のため河川改修が行われております。この河川改修と自然生態系の調査がここで必要になってくるわけです。  そこで、建設省の方にお伺いいたします。私は淀川を将来、今でも魚はすんでおりますけれども、もっともっと多くの魚がすんで蛍が飛び交うような河川に浄化したい、そんな願いを持っているわけでございます。国としてもそういった河川の浄化に最大限の力を注いでもらいたいわけです。とともに、釣り仲間の楽しみであるワンドというのがあるのですね、これを、自然を残すという意味でもぜひとも残してもらいたい。また釣り仲間として、こういったことを楽しむためにもワンドをぜひ新しく設置していただきたい。こういった要望が強いわけでございますけれども、建設省としては淀川の河川流域でどんなお考えを持っているかお聞かせいただきたいと思います。
  178. 岩井國臣

    ○岩井説明員 河川事業は、洪水を安全に流下させ、とうとい人命や財産をその被害から守ることを最重点課題として進めてきておるわけですけれども、河川はそれ以外にも多種多様の機能を持っております。特に自然環境保全を初めとして可能な限りいろいろな機能が、調和のとれた形で保全あるいは整備されていくことが大事でございます。そういうことを十分配慮いたしまして事業を実施しておるわけでございます。  淀川のワンド等の問題でございますが、淀川の生態環境としての役割は非常に大事であるということですので、そういったことにかんがみまして、治水上支障のない範囲で、国営の淀川河川公園計画と整合をとりながらその保全を図ることとしております。具体的には文化庁等関係機関とも協議いたしまして、城北地区、豊里地区、庭窪地区、唐崎地区及び樟葉地区の五地区においてワンド等の保全及び新設を行うこととしております。一部城北地区、庭窪地区につきましては、その整備を実施しておるところでございますが、樟葉地区等その他の地区につきましても、今後河川改修等の進捗にあわせまして逐次整備を進めていきたいというふうに考えております。
  179. 春田重昭

    春田委員 限られた時間でございますけれども、はしょって質問いたしました。十分意のあるところを酌んでいただきまして、ひとつ環境庁、努力していただきたいと思います。  終わります。
  180. 吹田愰

    吹田委員長 次に、遠藤和良君。
  181. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私は、短い時間でございますので、地球的規模環境問題に絞りまして質問をさせていただきます。  国連の環境開発に関する世界委員会が昨年四月、三年間の活動を「我ら共有の未来」と題する報告書にまとめて公表しておりますけれども長官はこの報告書をお読みになりましたか。
  182. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 ざっと目を通しております。持続的開発がその根本に流れておる考え考えております。
  183. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 この報告書をまとめた委員長のブルントラント・ノルウェー首相は、女性の首相ですね。私も去年東京でお会いしたのでございますけれども、国連事務総長からこの委員長に要請をされたときに、御本人は国内のいろんな政治課題もあるからということでちゅうちょされていたようでございますけれども環境大臣として数年間国の内外で奮闘した上で一国の首相となったのはあなただけです、これは環境保全問題は政治的意思決定においていつまでも傍流たる地位に甘んじてはいけないという若干の希望を与えてくれます、このように国連事務総長から説得されてこの仕事を引き受けたと述べているのでございます。  確かに、環境問題というのは、私は政治の傍流ではなくて政治の主流にならなければならないと考えるのでございます。我が国におきましても、大蔵大臣の経験者が総理になることはよくあるのでございますけれども環境庁長官を経験した人でなければ日本の総理になれないというふうな時代をつくらなければならないと考えるものでございます。  この報告書の中身は大変多岐にわたっておりまして、例えば、地球は一つから世界は一つへとか、脅かされる未来、持続的な開発に向けて、国際経済の役割、人口と人的資源、食糧安全保障潜在生産能力の維持、種と生態系開発のための資源、エネルギー―環境開発のための選択、工業―少をもって多を生産する、都市問題、共有財産管理、平和、安全保障、開発環境、共同の行動に向けてと、目次だけを見ましても大変広範囲にわたった報告書である、力作であると私は理解ができるのでございます。  この国連の環境開発に関する世界委員会は、もともと我が国が提唱したことがきっかけになりまして誕生したものでございますが、この報告書を我が国はどのように受けとめ、行動してきたのか、この経過を明らかにしていただきたいと思います。
  184. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 昨年の二月にこの世界委員会が最後の会合を東京で開きまして、その報告書が四月にまとまりました。私ども環境庁では、実はこれに先立つ五十五年のことでございますが、地球的規模環境問題に関する懇談会、大臣の私的諮問機関としての懇談会を設けていろいろと御議論、御検討をお願いし、先生御指摘のように、五十七年、UNEPの管理理事会の特別会合で当時の原環境庁長官が特別委員会の設置を提唱した。これがきっかけになりまして、国連総会で環境開発に関する世界委員会という特別委員会の設立が承認されましたのが五十八年十二月でごさいました。その間終始、大臣の諮問機関であります地球的規模環境問題に関する懇談会は世界委員会動きと並行していろいろと検討を続けてまいりまして、昨年四月に世界委員会が報告書を出しました後も、私どもの懇談会はその報告書を受けまして、今後日本としてどう対応していったらいいかという検討を続けまして、本年の六月に、懇談会としては四度目の御提言をまとめられたわけでございます。  この地球的規模環境問題に関する懇談会の御提言は、改めて地球規模環境問題にはどういうものがあるか、その背景は何か、それへの対応はどうしていったらいいかということを整理したものでございます。私どもとしては、この六月の懇談会の御提言を踏まえて、これからその内容の具体化に努めていきたいと考えているところでございます。
  185. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 ことしの環境白書を見ましても、「地球環境保全に向けての我が国の貢献」という副題がついています。これは、環境庁発足以来、環境白書の中にグローバルな環境問題を扱うというのは初めてだと思うのですね。かなり意気込みを感ずるわけでございますし、また、来年度の予算要望におきましても、地球的規模環境保全に対して大きな重点を置いておる、このように伺っているわけでございますが、じゃ具体的に何をしようとしているのか、この辺のアクションプログラムがいま一つ明確ではない、このように思うわけでございますが、この辺はどうなっていますか。
  186. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 先ほど申しましたように、世界委員会の後を受けた地球懇、世界委員会の中には大来佐武郎さんが委員として入っておられるわけで、この方を座長とした十二人委員会が私の諮問機関の地球懇でございますが、茅東大教授を小委員長としたプロジェクトチームでこれを受けた新しい見解を出したわけなんです。これは今度アメリカカナダに行ったときに、英訳しまして、我々はこのように取り組むということで両大臣にも手渡したものであります。  この内容は、御承知のように、まず、科学的知見の強化、第二番目には啓発、教育、訓練、三番目には諸事業の推進、例えば砂漠化するのをどういうふうにして食いとめていくかというようなこと、最後に、これらに対応する行政及び民間の組織の再編というようなことどもを受けたわけなんです。  私どもの方は、御承知いただいておるように人数も少ないし、予算も限られておるので、これらを受けて全面的に取り上げるためにはどうしても兼職をさせなければならぬということで、次官以下幹部をほとんど兼職の発令をして、対応を具体的にしたところであります。  また、予算においても、三つくらい重点に置いておるのは、さきに今度の説明をしておりますけれども、いわゆる宇宙衛星計画がございますが、ここのセンサーに初めて具体的にSAGEを入れるというようなこと、また、一番知見の確立するところの中央公害研究所の機関を充実させていくということ、さらに私どもは、これも先ほど説明しましたけれども、ODAの予算の中に環境問題を大きく取り上げていって、今度は初めて一億台まで持っていったというようなアクションを起こしつつあるところでございます。
  187. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 例えば、啓発、教育活動でございますけれども、地球的規模環境問題というのはなかなか目で見るのが難しいわけでございまして、我が党でシンポジウムをやろうということになりまして、何か映画かビデオのようなものを探したのでございますけれども、まだ大変少ないのですね。映画が一本でビデオは五、六本というふうな数でございまして、こういう啓発、教育をやるのであれば、ぜひ環境庁がみずから予算を組んでビデオをつくる、それは大変難しいかもしれませんが、どのようなビデオがあるのかビデオライブラリーを環境庁が持っている、あるいはフィルムライブラリーを持っている、そして、地球的規模環境問題に対して関心のある方々にはどんどんと貸し出しを行って、啓発、教育運動を推進をしていく、こういうこともぜひ考えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  188. 安原正

    ○安原政府委員 環境教育を今後積極的に推進することが極めて重要であると考えております。この関係では、本年の三月に加藤一郎成城学園学園長を座長といたします環境教育懇談会から報告を受けたところでございまして、この中でも、環境教育を今後推進していくべきだという背景としまして地球的規模の問題がクローズアップされてきているということが述べられているわけでございます。  そこで、環境庁といたしましては、この報告の趣旨を踏まえまして、地球的規模環境問題につきまして広く国民方々の理解を深めていただく、そして、自覚に基づく社会的認識あるいは合意の形成を図っていくことが何よりも肝要であるというぐあいに考えておるわけでございまして、ただいま、今後具体的にこの環境教育をどういうぐあいに推進していくべきか検討を重ねておるところでございます。  先ほど申しましたこの懇談会の報告の中でも、先生がおっしゃっておりますように、何か環境教育の拠点になるようなものをつくりまして、そこが情報を提供する、そこへ行けば情報がわかるようにするというようなことも考えるようにと言われております。今後積極的に検討してまいりたいと考えております。
  189. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 時間がないので、できるだけ短く答弁をお願いしたいのですが、一つは、長官アメリカカナダに行かれまして、来年度ですか、日本でこの地球的規模環境問題の解決を目指す国際会議を行いたい、こういうお話のようでございますが、我が党としても、先般政府に申し入れを行いましたが、ぜひこれを実現をしていただきたいと思います。  それから、ODAの関係になるのですが、今お話がありましたようにODAが年間一兆円を超えると、円高の関係もあるわけでございますけれどもアメリカを抜いて世界最大規模になります。ODAというのは世界に貢献する日本の大きな役割の一つですね。しかし、このODAの効果的な運用ということになりますと少し勉強するところがあるのではないか、こう思うわけでございます。今ODAは外務、大蔵、通産のいわゆる三省が所管しておるわけでございますが、環境庁もこのODAに対して主体的な取り組みを行うべきであると私は考えます。そして、例えば公害防止であるとか、環境管理の問題であるとか、砂漠化の防止とか植林とか省資源とか省エネルギーあるいは廃棄物の処理とか、環境保全に関する援助とか、こういう問題に対して、環境庁はこのODAに対して主体的に取り組みをするべきではないか、これが一つのアクションになるのではないか、こう思いますが、長官いかがですか。
  190. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私もそのように思います。  特に、今度竹下総理が中国を訪問されて、そして十周年の記念の事業ということで中国側が要望したのは、今度は環境に関する事業ということであります。これは、今の総理が環境関係の主任をなさった経験をお持ちなので特にそういうことになったのではないかなと私も感銘を深くしておる、非常に感動もしております。こういう問題も環境庁は積極的に取り組むように、総理から具体的な話が出た場合に環境庁もひとつ積極的に取り組んでほしいという話が閣議でございました。  こういうふうに、いろいろな問題について地球環境規模について各国ともだんだんと関心を深めてくるときに来たのではないか。特に今、人口問題、先ほど話が出ておったのですけれども、これとは密接な関係が出てくると思います。そういう意味において、これから一段と腹を決めてしなければならないと考えておる次第であります。
  191. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 いわゆるODAの対象でございます発展途上国の実情と申しますか、それはやはり貧困からの脱却というのが大きいテーマだと思います。そうしますと、必要な外貨を得るためには、やはり主要な輸出財というのは一次産品に頼るところがあるわけですね。そうすると、やはり自然破壊ということとつながるわけです。  統計によりますと、熱帯雨林は毎年千百万ヘクタールが破壊されている。これは日本でいえば本州の半分ぐらいの面積ですよ。あるいは砂漠化によりまして毎年六百万ヘクタールですから、四国と九州を合わせた面積ぐらいの土地が世界じゅうで砂漠化している。このほかにも、例えば東南アジアの国々では今マングローブという林が伐採されましてそこでエビを養殖しておる、そのエビは全部と言っていいほど日本人の胃袋の中に入る。こうなってくると、今、日本の国が大変豊かでございましてグルメブームだと言われているのですが、日本人が諸外国からいろいろ食料品を輸入しているその背景には発展途上国の環境破壊がある、こういうことになるわけですね。これは、資源のない日本の国ですから、資源の大半を外国に頼っているわけです。したがって、こういう意味からすると、日本の国として諸外国の環境問題に特に熱心でなければならない、こういうことが言えると思います。  それで、ODAの話になるわけでございますが、我が国が関与する政府開発援助につきましては環境アセスメントを必ずやるべきである、こういうことを義務づけたらどうか、こう考えるのでございますが、長官の所見はいかがですか。
  192. 安原正

    ○安原政府委員 我が国経済活動を通じて後進国の環境影響を与えているという御指摘でございます。今後の行動といたしまして、政府開発援助にしろ企業の海外進出による直接投資にしろ、相手国の環境を損なわないように環境に配慮を加えていくということは極めて重要なことだと思います。そういう活動そのものの長期的な実効性を上げていくための必要な要件であろうというぐあいに考えております。  この政府開発援助における環境配慮の問題につきましては、環境庁におきましても検討会を設けまして御審議を願い、先般その報告書もいただいておるわけでございます。この報告書の趣旨に沿いまして、現行の援助システムの中に環境への配慮というものが組み込まれていくように関係省庁に、例えば外務省等でございますが、現在働きかけをやっているところでございます。関係省庁におきましてはそれを受けまして、例えば外務省の関係でございますと国際協力事業団の方で研究会を発足させまして、具体的な実施方策をただいま検討していただいているというぐあいに聞いております。
  193. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 政府の行う開発援助以外にも、例えば日本企業が、民間の企業が海外進出する際には十分な環境対策を講じるように、産業団体が自主的に環境のガイドラインをつくるように行政指導するという手もあるわけですね。こういうことも行っていくことが長い期間世界の国々とおつき合いをするという意味で大変大事なことではないか、このように考えますが、どうでしょう。
  194. 安原正

    ○安原政府委員 その点につきましても遠藤委員指摘のとおりでございます。企業が海外に出て直接投資をする場合、現地の主体性を尊重しまして、その事業活動が行われる国の環境保護の方針に配慮していくということを考えるべきであるというのが国際的には一般的な考え方でございます。OECD等の勧告の中にもそういう趣旨が盛り込まれておるわけでございます。  そこで、必要なことは進出先の国々も含めたそういう点についての国際的なコンセンサスづくりであろうかと考えるわけでございます。そこで、我が国としましても、この点につきましての国際機関の取り組みに積極的に協力していきたいと考えております。我が国の海外へ進出する企業に対する直接的な働きかけにつきましては、関係省庁と今後十分連絡をとってまいりたいと考えております。
  195. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、いわゆる公害問題に対する知見という意味からいいまして、いわゆる発展途上国の公害問題に対する知見というのは、日本がかつて、十年前、二十年前に経験した知識というのが十分に役立つ。その知識を持っている人は地方自治体の職員の中にたくさんいらっしゃる。現場で直接公害問題と対処してきた方々地方自治体の中にはたくさんいるわけでございますが、そういう地方自治体とか民間企業の方々を、環境アセスの問題であるとか公害と関連をするODAの事業に対して国は積極的に人材の派遣を考えるべきである。あるいは現職の方々ばかりじゃなくて、地方自治体のOBの皆さんの派遣というものも考えてはいかがか。海外派遣というと若い人たちばかりが焦点になっているわけでございますが、そうした知識を持つ方々ですね、そういう方の派遣というものに対してもっと政府は積極的であるべきであると思いますが、いかがですか。
  196. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 先生御指摘のとおり、日本公害対策技術はやはりその第一線を担っております地方公共団体に蓄積をされているわけでございます。地方公共団体の協力も得まして、このほど地方公共団体職員等の環境専門家の登録制度、いわゆる人材バンクというものを設けまして、開発途上国からの要請に迅速かつ的確にこたえられる体制を整備しているところでございます。また、過去の深刻な我が国公害対策に携わった経験のあります公害行政のOBの人々の活用ということも非常に大事なことでございまして、おっしゃるような方向でその条件の整備、条件づくりというものに努力していきたいと思っております。
  197. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 時間が参りましたので、最後に一問だけお願いします。  竹下総理が中国の敦煌に参りまして大きなおみやげを置いてまいりましたが、敦煌ばかりじゃなくて、カンボジアのアンコールワットだとか、私写真を持ってきているのですが、イラクのバビロン、これはメソポタミア文明のチグリス、ユーフラテス川の大都市ですね。あのアレキサンダー大王が亡くなったという歴史的な場所らしいのですが、こういう世界的な文化遺産の保存に対して日本政府はもっと積極的であるべきだと私は思うのでございます。イラン・イラク戦争、国連の決議を受け入れまして停戦になったわけでございますけれども日本政府として、おめでとうございます、このバビロンの修復にお使いください、こういう形でODAを利用していくというのも世界における日本の役割ではないか、このように考えるわけでございますが、こういう発想を長官は閣議でお述べになる気持ちはございませんでしょうか。
  198. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 すべての文化遺産は、今日の我が国発展のほとんどの肥やしになっておると思いますから、大切にすべきものと考えます。
  199. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今、奈良でシルクロード博が行われているわけですが、このバビロンはシルクロードの一つの出発地なんですね。それで文化が敦煌を通って日本に来たというような経路もありまして、ぜひ御研究をしていただきまして、こうした世界的な貢献を日本は文化的な面から大いに行っていくという意識をぜひお持ちいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  200. 吹田愰

    吹田委員長 次に、滝沢幸助君。
  201. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、御苦労さまです。大臣初め皆さん、御苦労さま。  朝ほど長官より、地球環境保全あるいはまたオゾン層破壊をいかにして防止するか、モントリオール議定書のことにも触れて高次元の所信の披瀝をいただきまして、敬意を表する次第であります。  ところで長官、しかしそのような大きな理想は、実行という面からいうと、本当に小さな細かい足元からのいわば国民生活実験の中から出てこなくてはならないというふうに思うのであります。  ところで、この人間の体は、いわゆる一般の音は右の脳で処理される。ところが、人間の言葉というのは左の脳で処理される。虫の昔や鳥の声、動物の鳴き声というようなものも、そういう意味では一般の音と同じように右の脳で処理されると一般に思われていた。事実、西洋人の体はそうである。しかし日本人の体は、鳥の声や虫の声、動物の鳴き声をも人間の言葉と同じに左の脳で処理されるということが発見された。これは日本人であれば血液的にだれでもが、ヨーロッパに生まれてヨーロッパに育ってもそうかというとそうではなくて、日本語を語っている、日本語を聞いているところに、いわば日本語が非常に母音が豊富であるというところに原因があるというふうに言いますと、私が大変学のあることを申すようでありますが、実はそうではありませんで、これは東京医科歯科大学の角田忠信先生が数年前にイギリスの学会の雑誌に発表され、このほど「日本人の脳」ということで単行本にまとめられた中に書いてあるわけであります。  ところで、これをさらに敷衍されまして、石井教育研究所所長の石井勲先生という方は、それはそうであろう、だけれども鳥の声や虫の音も人間の言葉同様に左の脳で処理されるということは、日本語を語ればということだけではないのではないか、その日本語というもののとらえ方は、例えばウグイスはホーホケキョと鳴く、これは法華経というお経の題目だというふうに昔から言われていた。だれが聞いてもホーホケキョと聞こえる。あるいはまた秋、今ごろになりますとツヅレサセ、ツヅレサセと虫は鳴く、そこでお母さん方は冬物の支度を、お布団を繕ったりするのだ、こういうふうに子供のときから教わって、そういうふうに聞いているわけであります。あるいはまたブッポーソー、あれはミミズクの一種でありましょうが、ブッポーソーと鳴くんだということになっている。でありますから、日本人は子供のときから虫の鳴く音も鳥の声も人間の言葉として聞いているものですから、人間の言葉と同じに左の脳で処理する、こういうふうなことをおっしゃっておりました。なるほどそうであろうかと私も思うのでありますが、要するに日本人の心というものは西洋人のそれとは非常に違っている。  何が違うかというと、自然と人間との関係というものを西洋人は、例えば登山、ヒマラヤを征服した、あるいは海を越えて航海するにもこれを征服したという言い方をする。しかし日本人はそうではなくて、お山は晴天、六根清浄、あるいはまた山の木、森にはこだま、魂があるというふうにとらえておりまして、日本人にとりましては自然即人間、西洋人にとりましては人間と自然は相対立し、相征服し合うもので、対決するものだというとらえ方というふうな違いがあると私は信じて疑わないわけであります。しかも日本人の宗教というものは、これは万有皆仏、皆、仏でありまして、やおよろずの神とも申すわけであります。西洋人は一神教でありまして、神は人間を統率したり刑を与えたりする神だ、恐れの神だということになる。日本の方は融合の神、和合の神というふうにとらえている。仏に対しても日本はいわゆるほどける、解放というふうに説いているのでありまして、そもそも日本文化と西洋文化の違いが認識されるところに、私は日本人が環境に対してどのように生きておるかということの基本があるのではないかというふうに――けさほどの大臣お話のごとく、日本こそがアメリカとともどもにとおっしゃいましたが、経済とか政治という面においてはそのとおりだけれども、精神的には、日本こそが地球環境自然環境保全する使命を神より託され、日本人自身もそのようにあるべきだと思うわけです。  ところが最近、食生活が西洋と大体同じになって、住生活もそうなりまして、しかも日本語を、言葉というものを非常に軽んじて、学校においても日本語の教育時間と英語の教育時間が同じ、ないしは英語の方が多いみたいなことになってきまして、非常に豊かな日本語、日本人の心、これが西洋並みになりつつある。しかもそれが文化のごとく、進化のごとく誤り理解されている面もありまして、まことに残念である、こう思うのであります。  そのようなことをまずもって申し上げながら、環境行政というものがそのような高い心、文化に対する基本的な認識と相一致しまして、きょうは文部省の方も見えているはずでありますが、教育の面でもそのようなものを失ったならば、単なる西洋のものはもうそろそろ日本は卒業して日本本来のものを教育の面でも取り戻す、これがまたあわせて環境保全の原点でもあるというふうに思うわけです。  私は、環境行政を進める中で、一つには今申し上げました教育面との接点をいかにしようか、もう一つは、県市町村などとの関係あるいは民間団体との協力関係というものを基本的に見直していかないことにはいけないのではないか、このように思うのでありますが、大臣、いかがな御所見でございましょうか。
  202. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 先ほど先生御指摘のように、我が国は自然の恵みを大切にして、自然をとうとび神としてあがめて今日まできたわけであります。ところが、今世紀初め十五億の地球人口が百年たたない今日五十億突破というような恐るべき地球に変わっているわけでありますから、私どもがここでどうあるべきかということを考えないと大変な問題に逢着すると思います。特に科学技術の進歩というものは、先ほど御指摘のように、自然を克服できるんじゃないかというような錯覚と恐れを知らない驕慢とにとらわれて大変な時代を迎えたという反省がようやく今起きてきて、自然とともにやっていかなければならないという気持ちに全部がなってきたところだと思うし、そうでないと二十一世紀は開かれないと思います。したがって教育面においては、私どもが本当に謙虚な気持ちで、自然とともにしか人間の生存はあり得ないという基本的なことを取り上げていかないと新しい二十一世紀を開くことはできない、その子供たちが次の時代に行くためには、自然こそ私たちの唯一の生けることの実証をさせていただくものだというような気持ちでなければいけないと思います。したがって、環境行政についてもこの教育というものは非常に大事な問題だ、これとともにやっていかなければならぬということで、さきにここでも質問が出ておりましたけれども、教育啓発問題についても、私ども特に懇話会をつくって出発したところであります。  また、地方行政とのかかわりでございますが、いろいろな環境の原点は各地方にあるのではないかと思います。そして地方自治体が一番よく知っているのではないかというようなことから、我々は地方と密接な関係のもとに自然環境保全に力をいたさなければならないと思います。そのために今知事の代表の方々環境庁は毎年懇談会を持って、地方と密接な行政情報交換等をもとに自然環境保全していく決意でございます。
  203. 滝沢幸助

    滝沢委員 大変立派な、高度な環境行政に対する御所信、敬意を表する次第でありますが、どうぞ大臣も、この教育というような面につきましても積極的に機会をとらえて御発言をいただきまして、相ともに、むしろ文部省をリードする、指導するというくらいの気迫で、自然と人間、これが教育の原点だというようなぐあいに御指導をちょうだいしたいと思います。  ところで、午前中もいろいろとお話がありましたが、私の福島県というものは、三重や宮崎とともども、リゾート法によりまする地域指定を先ほど受けたわけであります。これにつきましては、やはり開発自然保護との協調といいますか、というよりは、むしろ今ほど私も申し上げ、大臣も同様おっしゃっていただきましたとおり、リゾート構想というものは、自然をより豊かにし、より大事に保護するというのが原点だ。むしろリゾート構想というものは、保護に対して一つの制約を加えるものではなくて、自然を守ることが即リゾート構想なんだというものにしていただきまして、このリゾート構想のために、自然公園、県立公園、国定公園等の計画を変更することはないとおっしゃいましたが、まさにしかあるべきでありまして、この際に、むしろ強く自然の豊かさを守る、それこそがリゾートなんだというふうに、いわば先ほどの、おっしゃっていただきました地方自治体、県、市町村を指導していただきたい。それあってこそ、自然というのは、何といっても第一義的には、その地方に住む、そこに生まれた者のものでありますから、これがただ単なる観光、お客さん等の中で荒廃するというようなものではいささかもあってならぬというふうに私は考えまして、このことを要望し、ひとつ御見解を御披瀝願いたいと思います。
  204. 山内豊徳

    山内政府委員 福島県につきましては、既に御案内のように、県がお立てになりました基本構想が国土庁ほかの所管省から既に承認されております。その中身をつくります過程で、私ども、かなり細かく協議をいただきまして、率直に申し上げまして、国立公園、自然公園のあり方にかなり即した計画がまとめられたと考えております。一つは、スキー場を国立公園の中に設けることが中心になっております。  ただ、先生今御指摘のように、ただお客を寄せるための、建物をつくるためのリゾートであってはならないということでございますので、今後とも手続上も、国立公園内は、個々の建物の許認可に当たりましては、御相談を受ける関係もございますので、また県当局も、もちろん御自分の御判断を持って御指導なさっていると思いますが、今後とも十分留意をしてまいりたいと思います。
  205. 滝沢幸助

    滝沢委員 厚生省から見えていただいているはずでありますが、厚生省も含めて環境庁にもお尋ねをいたしたいのであります。  桜島、これは国立公園の指定を受けている地区であると理解しておりますが、この数年間、降灰が甚だしくて、住民が大変苦労をしております。そこで、考えなくてはならない一つの課題は、それそのものが、国立公園としてのいわば条件、例えば樹木あるいはまた山そのもの、形態というものを変更し、あるいは破壊するというようなおそれがないものであるかどうか。富士山が、欠落、崩壊が大変甚だしくて、いろいろと工事等が進められていると聞きましたが、その後いかがになっているものか知りませんけれども、我々は自然を自然のままに、そのままに任せるという意味自然保護ではなくて、さらにその自然を守り育成するというものにならなくちゃならぬというふうに思うものでありますから、第一義的には降灰というものがこの桜島の自然公園としての条件を変更するようなもの、あるいはまた破壊するようなものにはならないのかどうか、この点に対する御関心と御理解。  さらには、これは大変地域で大きな課題になっておりますが、この灰というものが人体に悪影響を、例えばぜんそく等の原因にならないものかどうか。これにつきましてはいろいろと調査の機関も組織されまして、県も市町村も御苦労されているようでありますが、これに対する厚生省としての見解と経過。そうしてこれはひとつ思い切った奮発した予算等の措置をなさっていただかなければならぬということでありますので、この点の見解。これは文部省もあわせまして三省の御見解を承りたいと思います。
  206. 山内豊徳

    山内政府委員 まず国立公園関係で申し上げますが、確かに桜島一帯は霧島屋久国立公園の一部で、特に桜島の場合、噴火によりますところの溶岩流の景観というものが国立公園指定の中心になっているわけでございます。  御指摘の噴火による降灰、灰が降ってまいりますことにつきまして、公園の自然に今のところ影響はないとはもちろん言いませんが、特に問題となるような影響はないと管理事務所あるいは県から聞いておりますが、今後ともこの点は十分見守りながら対応してまいりたいと思っております。
  207. 金森仁作

    ○金森説明員 桜島の降灰による人体影響についてでございますが、厚生省は、昭和五十三年度から専門家から成る研究班に委託いたしまして調査研究を進めてまいったところでございます。これまでの調査結果では、現時点では降灰、ガス等と直接因果関係があると思われる疾患、今御指摘のありますようなけい肺またはじん肺等でございますが、このような疾患、病気は認められていないというのがこれまでの報告でございまして、引き続き健康状態を把握する必要があるという御結論をいただいているのであります。  そこで今後の対策いかんということでございますけれども、私も今年の初め現地を訪れさせていただきましてつぶさに見せていただき、また関係者からいろいろ御意見を承ったわけでございます。特に御承知のように、これはまさしく自然の災害といいますか、でございまして、人為的なものではないのでございます。また、鹿児島県は百八十万ぐらいの人口がございますが、この降灰等による影響は恐らく百万近いのではないかというように大変大きな影響を受けておるわけでございますし、また四十年の後半からこの火山活動が起こりまして、特に近年かなり大規模な噴火等ということで住民の不安も大変強いのでございます。  先ほど申しましたように、過去の調査結果等も参考にさせていただきまして、火山等による人体影響につきましては長期的な視点から総合的な調査をさせていただきたい、こう考えておるところでございます。
  208. 山田勝兵

    ○山田説明員 桜島関係につきましては、御承知のように京都大学の防災研究所の桜島観測所が設置されております。しかしここでは噴火のメカニズムの解明とか予知手法等の開発などの基礎研究が行われているところであります。  一方、先生御指摘の降灰による人体への影響に関する研究につきましては、鹿児島大学の医学部の研究者などが、火山活動による大気汚染の疫学的研究等について、科学研究費補助金等により行っているところでございます。  それから、いろいろな関係機関から大学にもいろいろの要請がございますが、このような研究につきまして大学の研究者に協力要請があった場合には、文部省といたしましても必要に応じて関係大学に協力を要請してまいりたい、かように考えております。
  209. 滝沢幸助

    滝沢委員 ついでに文部省さんに、これらのことについて県、市町村のいわば教育委員会と申しまするか等からの協力の状況、さらにもう一つ、私はこのことだけではなくて常々思うのでありますが、学界、わけても国立の大学等につきまして、国家目的という言葉はちょっとかたいのでありますが、時代の要請といっても過言ではないでしょう、あるいはがんの研究ならがん、エイズならエイズというようなものに対して、いついつまでにこれだけのものを開発、発明、研究してくれということで思い切った予算を出しまして、いわば学問の自由と国家的課題ということについて、決してこれは学問の自由を侵すものではないというふうに思いまして、むしろそういうシステムがないのは日本だけじゃないのかなと思うものでありますから、そのようなことについての御見解をひとつ承りたいと思います。  時間の関係がありますからお伺いを重ねていきまするけれども、文化行政の中で史跡あるいは文化財等が指定されている。しかし、これは大きな意味で、この地域国定公園国立公園その他に指定されている場合が少なからずあります。そのときに両省の、ないしはまた地方との協力関係というものはなかなか微妙なるものがございます。特に、私は京都に参上しましてもあるいはまた私の故郷の会津鶴ケ城を見ましても、それそのものは史跡なりに指定されましても、しかし隣は一般でありますから、ここに高層ビルが建ってもいかなる職業のいかなる施設ができてもこれを拒むことができない。ところが、御存じのごとく、庭園なんというものは、朝あそこに太陽が出るときにこの池にどう映るかということが課題であったりするわけでありますから、借景などと言いますが、そのときにここにビルが建ってしまったのではだめなわけです。  皇居につきましても、そのようなことも言われた時代がありまするけれども、そのような意味で、史跡なり文化財に指定されたその周辺について、ここから何キロ、建物の高さの制限とか美観の調和というものができない限り本物にはならないというふうに私は思うのでありますが、この間の消息はいかがでございましょうか。
  210. 山内豊徳

    山内政府委員 これは文部省からのお答えの方が適切かと思いますが、今例示に挙げられました、特に都市地域の中での史跡の周辺の保全という点になりますと、大きくは自然と申しますか環境になるかと思いますが、今お話を伺いました限りでは、何か都市計画の上でそういった制限を加えることが可能かどうか検討していくべきものではないかと思います。  私どもで具体的に文化財との関係で問題になっておりますのは、せいぜい、県の自然公園の中に入っているような場合には私ども行政指導でかなりそこをつづめた例があるようでございますが、全く自然公園制度のなってないところの中での史跡の保存、広い意味での保存をどうするかにつきましては、関係当局の方にむしろ私の方から伝えさせていただきたいと思います。
  211. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 まず、先生お尋ねのように自然を対象といたします文化財というものは、御指摘国立公園なりあるいは国定公園というものとのかかわりが大変深いわけでございまして、現在の文化財保護法といいますか、法制度の上におきましても、お話しの環境庁との連携を十分保つように、こういう制度的な担保措置もございまして、そういう趣旨を踏まえて臨んでおるところでございますけれども、今後とも一層御指摘の精神を踏まえて努力をしてまいりたいと考えるわけでございます。  それからもう一点ございました文化財の指定に関しまして、確かに先生おっしゃるように従来はともすれば、概して個々の対象に着目をしたいわば点的といいますか、個々の文化財物件に着目をした限定的な手法による指定ということが多くあったわけでございます。しかし、おっしゃいますように、文化財というのはやはりそれが置かれました環境とのかかわりの中、ひいて言いますと、そこにおける人々の営みとのかかわりの中でその意義を有するわけでございますので、できるだけそういった個々の対象物件を含めて包括的な保護なり保全のありようというものを今後重視をしてまいりたい、基本的にはそういう考え方に立っているわけでございます。  ただ、そうなりますと、お話しのように例えば自然公園なり都市公園なり、あるいは先ほど環境庁からのお答えにございました都市計画制度とのかかわり、もろもろのかかわりが出てまいりますし、あるいはまたおっしゃいますように地方公共団体におきますところの相互の関連する部局とのかかわりという側面が多々出てくるわけでございますので、私どもとしてはそういったところとの連携なり協力というものを基本に据えながらの包括的な保護のありようを目指してまいりたい、こういう考え方でございます。
  212. 滝沢幸助

    滝沢委員 林野庁と自治省からお見えいただいています。  鳥獣保護と言うのでありますが、これはとても大事なことであります。冒頭申し上げたようなことであります。しかし、これはややもすれば犬公方になりやすいのであります。私の地域のごときも、ことしはとにかくスイカにしろトウモロコシにしろ、タヌキや鳥に全滅的に侵されております。あるいはまたせっかく植林した山がカモシカにほとんど若芽を荒らされるということもあるわけであります。しかし、これが人間よりもカモシカの方がとうといということになりかねないわけでありまして、ここら辺を生きた行政をしないといけないというふうに思うわけでありまして、ひとつ所見を承りたい。  とともに、松くい虫駆除のことにつきましては先般いろいろと議論をし、また法の延長等もなさったことでありますが、その後も私に対していろいろと注文、投書等があります。そこで、私が非常に疑問に思いまするのは、ゆえに自治省にもおいで願っているわけでありますけれどもアメリカシロヒトリのごときは町内会がずっと協力をしまして、私の事務所の職員なんかも、あしたはアメ消毒でありますので午前中お休みをいただきますというようなことがまかり通っているわけであります。しかし、松くい虫の駆除のためにということは全然聞きません。どこのお庭にも松の木があります。この駆除をしなければ大変であります。  このごろ私は島根県を訪ねる機会がありました。竹下総理大臣のおひざ元、ものすごい松くい虫で、松これ枯れざるはなしと言ったら過言でありましょうか、竹は栄えて松は滅びるというようなことであろうかと思うのであります。それではやはりいけませんで、やはり松、竹、梅三位一体とならなければいかぬ。そこで、何かこのアメ消毒のために町内挙げて協力ができるようなものが松くい虫にもできないものかどうか。それができるとして、無計画と言ったら、これはしかられます。計画はあるんでありましょうが、無差別と言ったら、これも無差別じゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、いわゆる空中散布とばかの一つ覚え、これてはいけません。どうかひとつ、やはり地域住民の大きな協力があってこそ自然保護は可能なわけでありますから、この点につきまして工夫をしてちょうだいしますように望みたいと思います。  なお、自治省さんに対しましては、今まで数々申し上げました中で一々地方自治体の協力等も申し上げている、特に、桜島の降灰等についてはそういうことでありますので、そういうことにもさかのぼって御答弁を賜ればありがたいと思います。
  213. 田中正則

    田中説明員 松くい虫の被害対策の実施に当たりましては、確かに先生御指摘のように地域住民方々の協力と理解というものが不可欠でございます。このために、いろいろな対策を立てます計画段階におきまして、地域住民の代表者で構成されます松くい虫被害対策推進連絡協議会などを開催いたしまして、地域住民方々の意思といったものを十分反映させておる次第でございます。また、具体的な実施に当たりましては、地元説明会の開催などを通じまして森林組合を初めとします地元の協力を賜っているところであります。また、地域方々の自主的あるいは自発的な防除意欲といったようなものも大変大切でありますので、六十三年度からはこれらの動きを側面的に支援いたします松くい虫自主防除普及育成事業といったものを実施しておりまして、今後とも国の考え方あるいは事業の必要性などについて広くPRを申し上げ、地域の協力体制が得られるように努めてまいりたいと思います。
  214. 広瀬経之

    ○広瀬説明員 お答えいたします。  桜島噴火の降灰でございますが、あるいは先生御指摘の松くい虫防除の点でございますけれども関係地方公共団体におきましては、国の補助金等を受けまして、あるいは、みずからの事業といたしましてその対策を鋭意進めておるところでございます。自治省といたしましても、その被害の状況あるいは各地方公共団体の財政状況等を勘案いたしまして、当該地方公共団体の財政運営上支障が生ずることのないよう、円滑に事業が実施することができますように、地方債、特別交付税等の配分において適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  215. 滝沢幸助

    滝沢委員 質問を終わりますが、林野庁さん、松くい虫につきましてもアメリカシロヒトリ並みの協力体制ができますというふうなお答えと理解して帰りますので、どうかひとつそのようにお手配を願いたいと思います。委員長どうもありがとうございました。大臣どうも御苦労さまでした。
  216. 吹田愰

    吹田委員長 次に、岩佐恵美君。
  217. 岩佐恵美

    岩佐委員 あした当委員会として環七等視察をするわけでありますけれども、きょうは大気汚染の問題について質問をいたしたいと思います。  先月発表されましたNO2の測定結果は、東京、神奈川、大阪の三県とも昨年よりも悪化して深刻な事態となっております。東京二十三区の場合、二十ある一般環境測定局の中で環境基準の上限値の〇・〇六ppmを下回ったのはたったの二局でございます。残りの十八局、九割が環境基準をオーバーしていて、自動車ガス測定局に至っては二十五局すべてが基準をオーバーしている。最高地点の松原橋では〇・一〇二ppmと環境基準の倍近い状況になっております。  一年前に公健法の指定地域解除についてこの委員会議論したときは、私は、大都市部ではNOxの汚染は改善されていない、ますますひどくなっているので、もし指定地域を解除したら歯どめが外れて、さらに悪化して患者さんもふえる、こういう指摘をいたしましたけれども、当時環境庁は、いや、最近は横ばいの汚染だから大丈夫なんだ、長期的に見ればよくなるんだ、こういうような答弁をしておられました。ところが、今回の結果というのは、今申し上げたように一般局は十年前に戻ってしまって、そして自排局に至っては最悪の事態、こういうふうになっているわけであります。  先般、私、お見舞いを申し上げたのですが、東京の公害患者会の事務局長をやっておられます鈴木好枝さんという方がおられます。この方は、公健法のときに何度も国会にも傍聴に来られた方でありますけれども、先月の末病状が悪化いたしまして緊急入院して、大変危ないということで親戚の方々が呼ばれるという事態に相なったわけであります。私、お見舞いに伺ったときに酸素を吸入されておられる状態でしたけれども、ちょっとお話をすることができて、何を言うことありますか、きょう委員会がありますよということでお話ししたら、環境庁にぜひ殺さないでと言ってほしいということを言われてまいりました。幸いその後病状は持ち直して、一命は取りとめたという状況だということであります。  私は、今鈴木さんが言われた殺さないでくれ、本当に健康で生きたいんだというのが、患者さんの切実な願いであるというふうに思います。しかし、今のような大都市圏における環境破壊、これはもうまさに患者さんの首を絞める、そういうことになってしまうわけであります。こういう患者さんの悲痛な叫び、このことを大臣としてどう受けとめられるのか、お伺いをしたいと思いますし、指定地域については、これは解除しても、もし環境が悪くなれば再指定する、こういうような答弁もあるわけであります。こういうこととあわせて、さらには、今後の大気汚染の問題、これについてどういうふうに基本的に対処していかれるのか、基本姿勢についてまず大臣からお伺いしたいと思います。持ち時間が三十分でございますので大変恐縮でございますが、答弁の方御協力をいただきますようにお願いを申し上げます。
  218. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今のお話を聞くと、非常に胸が痛みます。  御指摘のように、総量規制をしている三地域においては、環境基準をオーバーする状態が続いているばかりでなしに、環境が悪化しております。事実でございます。私どもは、その原因をいろいろ話し合いました。結局内需振興ということがこのような状態になってきたという結論であります。しかしながら、私どもが調べたところでは、一年じゅう環境が悪いんじゃない、環境基準をオーバーしているというのは十二月あるいは一、二、三月の冬の期間がオーバーするときがあるわけで、そのために平均値が非常に上がったような印象を受けるという結果も見詰めました。したがって、冬場についての環境汚染状態、それとこれらの道路脇における観測地域での影響が、住環境は一体どうなっているんだろう、特に、子供やお年寄りについては特にNOxの影響は強いわけであるから、学校はどうなんだろうか、あるいは年寄りの多い地域はどうなんだろう、そういうことも詳しく調べて、そして、みずからも守れるような体制にする必要があるということで、これらの調査を格別に命じておるところでございます。
  219. 岩佐恵美

    岩佐委員 環境庁としては、NOxが悪化したのは天気のせいだとか、あるいは景気が上昇したからだ、そういうような分析をされているようでありますけれども、気候や景気のちょっとした変動で住民の健康が守れなくなるような汚染が発生する、これではどうしようもないということであります。  そもそも一九七八年に環境庁自身が経済界の要求もあってそれにこたえる形でそれまでの環境基準〇・〇二ppm、これを〇・〇四から〇・〇六ppmと、二倍から三倍に緩和をしてしまいました。その姿勢が、私は今日の事態を生んだ根本原因であるというふうに思います。つまり、規制値を現実の汚染に合わせて緩めていく、そうすればその環境破壊というのは限りなく進行していく、そういうふうに思います。ですから、今大事なことは、あるいは必要なことは、汚染の原因をはっきりさせて、それを取り除いていく、具体的に実現をしていくということだというふうに思います。そういう視点から少し議論をしたいと思います。  東京の場合、汚染の原因の約七割が移動発生源、つまり自動車によるものだというふうに言われています。特にディーゼル車による汚染が指摘をされています。  まず、運輸省に伺いたいと思いますけれども、ディーゼルの乗用卓の生産台数の伸び、この十年間の数字をお示しいただきたいと思います。同時に、乗用車全体に占める割合もお示しいただきたいと思います。また、トラック、バスの直噴式の伸び、それから副室式の伸び、これは便宜五年間でどうなっているか、その点について数字をお示しいただきたいと思います。
  220. 堀込徳年

    ○堀込説明員 お答えいたします。  ディーゼル乗用車の生産台数につきましては、先生御指摘の十年前の五十三年の数字でございますけれども、約五万四千台でございました。この数字が、六十二年では三十万七千台となっております。五・七倍ほどになっております。ディーゼル乗用車の全乗用車の生産台数に占める割合でございますけれども昭和五十三年には一・八%でございましたけれども昭和六十二年には九%となっております。  それから、二番目のディーゼルのエンジン別の生産台数でございますけれども、ちょっと六十二年の数字がまとまりませんので、五十七年と六十一年という意味での五年間の比較で説明させていただきたいと思います。まず、直接噴射式のディーゼルトラックの台数でございますが、昭和五十七年におきましては、約十四万台でございました。これが、五年後の六十一年には約二十四万四千台でございまして、一・七倍ほどでございます。それから、直接噴射式のバスの生産台数でございますけれども、五十七年におきましては約一万台でございましたが、六十一年には一万五千台と約一・五倍の伸びを示しております。次に、副室式のディーゼルトラックの生産台数でございますが、五年前の昭和五十七年におきましては約三十三万七千台でございましたが、六十一年には約三十一万九千台と若干減少しております。それから、副室式のバスの生産台数につきましては、五十七年の約一万二千台に対しまして、六十一年におきましては約六千台ということで半分になっております。
  221. 岩佐恵美

    岩佐委員 今の数字からもはっきりいたしますように、ディーゼル車の車の台数がふえています。それから、直噴式が非常にふえてきているわけですね。それで、ディーゼル車の場合、ガソリン車に比べまして排出基準が何倍も緩くなっています。乗用車や軽量トラックの場合、最新の規制でも同じ大きさのガソリン車の二倍以上になっています。しかも、実際に出されているNOxの量はもっと差があると言われています。特に、東京のように渋滞が多いところで問題になる低速走行時にはこの差が大きいのです。東京都の環境科学研究所のデータによると、ディーゼル乗用車は低速時にガソリン車の三倍近く、直噴式ディーゼルの二トントラックは同じ大きさのガソリントラックの三倍以上のNOxを出します。十トン以上の大型のディーゼルトラックは、低速時にはガソリン乗用車三十一台分にも匹敵をする、そういうNOxを出すわけです。一台の直噴式のトラックが走るということは、三十一台のガソリン式の乗用車が走っているということになるわけです。低速時にNOxが多いのは、一つには、もともとディーゼル車はアイドリング時のNOx量がガソリン車に比べて多い。もう一つは、現在のシックスモード法という検査方法に問題があると言われています。シックスモード法では、エンジンの回転数と負荷の組み合わせで六つのポイントでNOx濃度を測定しています。その際、高回転数、高負荷の領域、つまり高速運転領域が重視されているので、自動車メーカーはテストをクリアするために高速領域のNOx対策には力を入れても、低速領域の対策には目を注がないということになっているわけであります。ですから、シックスモード規制では十分合格している車が都内の渋滞の中を実際に走ると、大量のNOxをばらまくということになってしまうわけです。  検査方法を改める必要があるということで、東京初め大都市の自治体からもガソリン車のような重量規制に変えるべきだという要望が何回も繰り返し出されていますし、また、八六年の中公審大気部会自動車排出ガス専門委員会の中間報告でも、「排出ガスの試験方法については、現在濃度規制を行っている車種について、今後採用される排出ガス低減技術を適正に評価するため、排出重量による規制に変更することが望ましいと考える。」ここにありますが、こういう指摘がされているわけであります。この点について、環境庁のお考えを伺いたいと思います。
  222. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  先生からいろいろ数字の説明があったわけでございますが、基本的には現在のディーゼルあるいはがガソリン車のはかり方についてのお尋ねかと思います。先生からお話がございましたように、ディーゼル車につきましては、シックスモードという形で、高負荷の場合あるいは低負荷の場合を想定して、それぞれの場合におきます排ガス量を計算して出すという仕組みになっているわけでございます。それから、ガソリン車につきましては、テンモードという形で試験を行っているわけでございますが、こういうシックスモードあるいはテンモードといいますものは、つくられましたのがかなり古い時点でございまして、それ以降におきましては、いわゆる高速自動車道の延長の問題あるいは自動車のスピードの問題等も相当変わってまいっているわけでございますので、環境庁におきましては、ここ数年、交通実態といいますものを調べた上で、現在は中公審の中におきまして、そういう交通実態を踏まえながら新しい走行モードの見直しをやっているところでございます。  それから、濃度規制か重量規制がという問題につきましても、先生からお話がございましたように、前の中公審答申等もございますし、各自治体からの要望もございますので、私どもとしましては、それから審議会の先生方も、できるだけ濃度規制をやめて重量規制という形で検討しようということで、審議会でいろいろ御検討いただいているところでございます。一応私どもとしましては、いろいろ問題もありましてなかなか答えを出すには容易でないというぐあいに思うわけでございますけれども、こういう事態でもございますので、できるだけ早く、来年度の半ばを目途に新しい形の走行モードあるいは規制の方式といいますものについても御検討いただきたいということでお願いしているところでございます。
  223. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほど数字を申し上げましたように、ディーゼル車が非常にふえている、ディーゼル車の中でも直噴式がふえている。直噴式の場合には、副室式に比べましてNOxの排出量が一・五倍から二倍になっているわけですね。これは燃費が安いとか効率がいいとかそういう経済性を優先させたことからこういう方向に行っているわけでありますけれども、このような公害車がふえるということは、やはりどこかできちっと規制していかなければいけないということだと思います。そういう点では、現在、直噴式と副室式あるいはディーゼル乗用車とガソリン乗用車、この間に規制値に差があるわけですね。つまり、ディーゼル乗用車の方が緩いとか直噴式の方が緩いとか、公害車を優遇するような規制になっているわけです。ここに問題があると思います。こういう点についてもきちっと対応していくべきだというふうに思いますが、この点のお答えをいただきたいと思います。
  224. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 乗用車に関しましてはディーゼル車と普通のガソリン車の間の基準値の問題、あるいはトラック等におきますディーゼル車にかかわります直噴式と副室式の規制値の関係につきましては、先生の御指摘のとおりに数字の上では確かに乖離はございます。  私どもとしましても、そういう面では非常にいろいろ問題があるということで、先ほど申し上げました中公審の先生方の審議の中におきましては、特に直噴式につきましては、副室式にそろえるということではございませんけれども、できるだけ規制を厳しくする方向でいろいろ御検討していただきたいということで、六十一年の中間答申におきます数値におきましても、副室式の規制値の見直しよりも直噴の見直しの方がきつかったという経緯もあるわけでございますので、そういう面で先生の御指摘を踏まえながら、私ども中公審の先生方に十分御議論をしていただきたいというぐあいに思っております。  それから、ディーゼル車の乗用車につきましては、現在第二段階の規制を行うということで手続を行っているところでございますけれども、六十五年以降現在のディーゼル乗用車の数値につきましては三〇%削減ということで規制強化を予定しているところでございまして、このための手続を現在行っているところでございます。
  225. 岩佐恵美

    岩佐委員 ディーゼルの乗用車についての伸びというのは、さっき数字で示しましたようにこの十年間で大体六倍にふえていて、もっとふえると思うのですね。規制値はガソリンに比べて倍緩いわけですから、この辺はもっと真剣に考えていく必要があると思います。  それからもう一つ、最近はほとんどの車に冷房がついています。冷房車は、乗用車では大体八割強になっていると言われていますし、トラックでも四割強だということです。クーラーを使いますとNOxの量は増加をすると言われています。例えばガソリン車でクーラーをつけると、テンモードの測定でNOxが四〇%増加をすると言われています。それから低速の、車速五から十キロのときにはNOxが二倍以上になる、そういう研究報告もされているわけであります。また、冷凍車も最近ふえていて、昭和六十二年三月では九万台に達しているそうでありますけれども、こういう冷凍車もNOxの排出にかなり大きな寄与をすると言われているわけであります。  それから、東京都で指摘をされております過積みといいますか荷物の積み過ぎの車、この排ガスも大都市部では大問題になっているわけです。こういうことによるNOxの増加も計算に入れていかないと、やはり見通しを誤るということになると思います。この点も総合的な対策の中できちんと位置づけをされていくべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  226. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 まず第一点目の冷房車の関係でございますが、冷房車は確かに年々ふえているわけでございますが、冷房することによってNOxに与える影響といいますのは、私どもの試算ではそういう大きなウエートではないというぐあいに理解いたしておるわけでございます。乗用車系で申し上げますと、出力に対する割合が〇・数%ということで、NOxに対してはそう大きな影響を与えているというぐあいにはちょっと理解いたしていないところでございますが、なお詳細を調べてみたいと思っています。  それから過積載につきましては、御指摘のように荷物を多く積みますことによって出力が必要でございますので、そういう面でのNOxの量はふえるということはかねがね言われているところでございます。こういう面で、私どもは基準をつくる場合におきましては過積載を想定してつくるわけにもまいりませんけれども、そういう実際の運行に当たりましては、過積載につきましてはそういうことのないようにということで、関係省庁と十分連携をとって対応いたしているところでございます。
  227. 岩佐恵美

    岩佐委員 今の大気汚染がひどくなってきているその原因の大きな一つは、大都市に道路が次々とつくられ、自動車の交通量がどんどんふえているところにあると言われています。道路をつくる際にはアセスメントが行われるわけでありますけれども、この予測が、悪いのですけれども当たったためしがないというふうに言われています。  例えば板橋の大和町交差点、ここは全国でも有数の汚染地点でありますけれども、ここに首都高速五号線をつくるときに公団の行ったアセスでは、NO2は年平均で〇・〇一六ppmになると予測をしていました。今どのくらいかといいますと、年平均で〇・〇五九ppm、つまり約四倍になっているということであります。大体その計算のもとになる交通量が予測より何倍も多くなる、これはもう各道路でよく起こっていることでございます。  環境庁は本年度の予算で本四架橋などアセスの予測が狂ったところについて追跡調査をやるということでありますけれども、こういう道路についても、交通量予測とその後現実にどういう交通量だったのかという差の追跡調査を行うべきだと思います。この点はもう毎回この委員会でもかなり指摘をされてきたところでありますけれども、この点について環境庁のお考えを伺いたいと思います。
  228. 安原正

    ○安原政府委員 環境アセスを実施しました案件につきまして、その後の環境の状況をフォローアップするということは重要なことであると考えておりまして、六十四年度の概算要求の中でそういうフォローアップができるように要求を行うこととしたところでございます。今後予算編成の過程でその要求につきまして検討が重ねられていくわけでございます。  そこで、この新しい要求に関連しまして、道路事業についてもそういうものを対象にしていくかというお尋ねでございますが、何しろまだ概算要求したばかりでございますので、対象事業につきましては今後予算編成の過程で検討していきたいと考えております。
  229. 岩佐恵美

    岩佐委員 再度重ねて、その点についてはきちっと位置づけていただくように要望をしておきたいと思います。  それから道路をつくる際に、大気汚染については道路からの影響とバックグラウンド濃度との両方の予測値を合計して予測値を出しているわけです。ところが、このバックグラウンドの予測が今大問題になっています。例えば東京の高速道路王子線の場合、一九八四年にアセス案が出されたわけですけれども、このときの予測は、環境庁が、一九八五年までに環境基準を総達成します、そういう約束をしました。そして、その約束に基づいた都の削減計画を前提にしてバックグラウンドが計算をされているわけであります。ですから、その計算によって環境基準をぎりぎり満たすようになっていたわけです。  ところが、その八五年までに達成は無理だということが明らかになって前提が崩れてしまったわけです。当然アセスはやり直すべきだったわけですけれども、それをやり直さないままに八六年二月に都市計画決定を強行してしまったわけであります。このときの事業者の言い分は、八五年十二月に環境庁が出した「大都市地域における窒素酸化物対策の中期展望」によれば大丈夫であると予測できるということがあったからというものでした。この「中期展望」では、一般測定局では環境基準未達成局が当時の半数くらいに減って達成局数が増大をする、そういうふうな予測をしていたわけであります。ところが、現実は全くそうはなっていないわけで、「中期展望」の破綻は明らかであります。  結局、王子線の場合、環境庁の約束というのが住民をだますために使われたのだということで、住民環境庁に対してかんかんになって怒っているわけですね。そういう点で、環境庁はこの責任をどう考えられるか、バックグラウンドについて達成されない、それがこういう影響を与えているということについてどう考えられるのか、お考えを伺いたいと思います。
  230. 安原正

    ○安原政府委員 道路計画の基礎になっておりますバックグラウンド予測の問題でございますが、一般論といたしまして、いわゆる予測のやり方でございますが、その時点における現状というものをベースにしまして、現在の汚染物質の排出量、それからさらに各種大気保全対策をとる予定になっておりまして、それを織り込んで将来の汚染物質の排出量がどうなるか、そういうような諸元を用いて予測することになっておるわけでございますが、もちろんその予測する時点における最新の知見を用いるというものでございます。予測をする場合今申しましたような方法しかないわけでございまして、一般論としては適切なものであると考えております。  今御指摘の王子線については、そうすると随分食い違ってきているじゃないかということでございますが、その時点におきましては、今申しましたような正当な手続によってもうアセスメント手続が完了して事業実施段階に入っておりますので、今の段階になって改めて事業計画の変更を求めるということはなかなか困難ではないかというぐあいに考えております。
  231. 岩佐恵美

    岩佐委員 これは重大な問題なんですね。できもしないような数字を前提にして、バックグラウンド濃度を予測してこういうアセスがやられ、そして結局強行されていくということになるわけですから。  この王子線のさらに延長として、現在首都高新宿線の建設が計画をされています。最近そのアセス案が発表されたわけですけれども、ほとんど地下をトンネルで通すようになっているわけですが、既存の高速道路とのインターチェンジは地上につくられます。その一つである目黒の大橋地域、ここは私、先日行ってまいりました。大橋の高速道路の下に立ちますと、私には大変大気汚染のにおいがつんとするようなそういう地域でございました。ここはそばにある大坂橋というところが測定局になっていますが、昨年都内のワースト四位、年平均〇・〇五二ppm、そういう大変汚染のひどいところであります。今三重の立体交差になっているのですけれども、ここにインターチェンジが持ってこられるということで本当に大渋帯になって大変な排ガスの影響を受けるということで、地域住民方々は大変抵抗しておられる地域であります。現在環境基準を超えていることから言うと、排出量を大体四〇%ぐらいカットしなければ環境基準を達成できないだろう、そういう地域であります。そこへ道路をつくっても大丈夫ということでありますから、どうしてそういうことになるのかということでいろいろ調べていくと、結局バックグラウンド濃度の計算ということにぶち当たっていくわけであります。  そういう点で、都の環境科学研究所の研究者も、六十五年以降ディーゼル車のNOx低減については現状では見通しは暗いんだというふうなことを言っていて、長期の見通しというふうになった場合には、環境基準の達成ということについては東京都の研究者自身も大変だと言っているわけであります。環境庁としてこういう点について、やはり現状の汚染というのを踏まえた上で、一たん行われた環境アセスについてもそれは見直しをするとかその基準について、バックグラウンドについて修正をしていくとか、そういうふうなことをやっていかなかったら、これはもう汚染の屋上屋を重ねることになってしまうというふうに思います。その点について御見解を伺いたいと思います。
  232. 安原正

    ○安原政府委員 御指摘の首都高速道路の新宿線につきましては現在環境アセスメント手続が進行しているわけでございまして、縦覧を終えまして住民意見の聴取も行われているという段階でございます。今後、住民意見等に対しまして事業者としての東京都の見解が出されることになっておりますし、さらに、東京都の環境影響評価審議会における審議も予定されておるわけでございます。今後そういうことで検討が進んでいくものと考えております。  一般論として申し上げますと、環境保全対策を講ずることによりまして、当然環境基準を達成した形になるようにしていくということが求められているわけでございます。今後、適切な環境アセスメント手続が実施されるよう環境庁としては見守ってまいりたいというぐあいに考えております。
  233. 岩佐恵美

    岩佐委員 現状でも、この王子線の環境基準の破綻ということを見てもわかるように、今の新宿線の問題については重大な問題があるわけでありますけれども、ここにもう一つ大きな問題があります。  このアセス案では、こうした架空の前提で計算をいたしましても、なお一九九五年の供用時点では、大橋を初め三カ所で環境基準〇・〇六を上回るという予測がされているのです。例えば大橋と豊島区の長崎では〇・〇六二になると言っています。渋谷区の初台交差点では〇・〇六五になる、こういうふうな予測をしている。こういうアセスというのはまさに前代未聞なのですね。環境基準なんかどうでもいいというような全く住民を無視したというか、環境を無視したというか、そういうとんでもない中身になっているわけであります。  先ほど大臣は国道の建設について、新しい道路については環境基準を守るようにということで、これは閣議でも了解されたというお話でしたけれども、これは東京都の問題ではありますが、いずれにしても、先の見通しで環境基準をオーバーするということがはっきりしているようなアセスを出してくるということはとんでもない話だということで、国自身も何らかの対応をしていく必要があるというふうに思います。その点、最後に大臣のお考えを伺いたいと思いますし、また環境庁は、今の大気汚染を防止するための中期展望を計画されておられるようでありますけれども、そういう中期展望もきちんとこうした点を踏まえてつくっていかれるようにぜひお願いをいたしたいというふうに思います。大臣のお考えを伺いたいと思います。
  234. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 国が豊かになればそれだけ環境が悪くなっている、あるいは夏涼しい車にみんなが乗るようになるとそれだけ環境が悪くなっている、経済が発展すればそれだけ環境が悪くなっている、そういう状況であります。また、先ほど来聞いておると、その当時の知見を幾ら出しても一番肝心の車が倍も走ると基準を突破するのは当たり前のことであります。そういう状態の中で我々はどうしていかなければならぬかということは、国民個々に考えなければならぬのじゃないか。今までだったら、固定発生源、経済発展のために産業界がほとんど公害を出しておったのだという時代から、国民全部が公害を出している、そうして被害者であり加害者であるという状況の中でどういうふうにしていくかということは私たちみんなの気持ちの問題にかかっていくように思います。したがって、環境基準を出す限り、それを守っていくような計画が、我々みんながそういうふうにしていかないと、この国がどこへ行ってしまうのかわからぬというようなことではいけないと思いますので、私は、自然環境を守っていく立場はこの環境庁しかないんだというつもりで、強い決意で守らせるように努力をいたします。
  235. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  236. 吹田愰

    吹田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十分散会