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北川(石)
委員 ただいまの御
報告を聞きながら、去る七月十二日にサハリンにおきます
日ソサケ・マスふ化の事業の調印をされたと聞いております。私は、これは大変結構なことの反面において、ある意味におきましては、
北方領土水域におけるところの漁業にあわせて
北方領土は
ソ連の固有
領土であるというような認識をあるいは与えようとするところの意図がないとは言えない。
領土よりまず魚だ、こういう空気が出ておることも事実であります。
ソ連の巧みな誘いの中に、合弁事業という甘い誘いに乗りながら、
領土返還に水を差すようなことがあってはならない、こういう
思いをいたしますので、
外務省にこれはよく注意を喚起しておきたい。利権に走ってしまって国を忘れ民族を忘れてしまってはいかない、このことを忠告をいたしておきたいと
思います。
また、
北方領土に絡みますが、
ソビエトは非常に見事にくせ球を投げてきよる。私は野球が好きだから言うんだが、くせ球を投げてくる。
ソ連外務省の発行誌「国際生活」七月号におきまして、科学アカデミーのペトロフ極東研究所
日本部長の
北方領土問題の存在を認める記事が載っておる。次いで七月下旬にプリマコフ氏が所長である
世界経済国際
関係研究所のクナーゼ
日本社会
政治課長が唱えた
北方領土の共同統治案、九月に入ると、
北方領土とサハリンの租借権を与えるというような租借権方式の構想をヨーロッパで非公式に
我が国の
政府高官に、これは大蔵省幹部と聞くが、打診してきたというが、こういうことが
ゴルバチョフ書記長が
中曽根さんとの
会談において何かを考え出さなければならないと云々したことと妙に符合してくる。こういう
日本側の反響を見ようとする彼の、先ほどくせ球と言いましたが、
ソ連流のしたたかな包括的対策に惑わされてはならない。
これは
ゴルバチョフ政権が、
ペレストロイカといいますか、これは難しい、舌をかむような言葉だが、これらの成果を上げるための経済協力を
日本に求めたって、
日本がしっかりとしなくてはいけない。例えば
ソ連の経済成長率が八六年の四・一%から八七年二・三%に低下しておる。この要因はいろいろあると思うが、私は余り長らくこの点について言っておると大変時間を費やすので言いません。
ソ連は
北方領土問題のかたくなな
姿勢を少し柔軟に変化したように見せかけながら、その一方では国後島東南海域において、独断で流し網によるサケ・マスの漁獲の水域を強く規制しておる、十一月十五日まで。海上保安庁が受信した中において、こういうことが警報の中に言われておる。モスクワの
日本大使館が九月二十二日、
ソ連外務省太平洋南
アジア諸国部に、
ソ連が設定した操業水域は
我が国固有の
領土である国後島に接続する
日本領海を含んでおり、これは明らかに不法行為であると強く抗議するとともに、
ソ連側の操業を中止するよう要請したが、
ソ連側は
日本の抗議は受け入れられないと突き放したと聞いておる。かくのごとく
ソ連の態度は一向に変わっていないことを証明することを申し添えておきたいと
思います。
外務省、どうですか。こういういろいろなものを私は提案しながら
外務省の
姿勢というものをお聞きしておるのですが、いかがですか。