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1988-11-22 第113回国会 衆議院 科学技術委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十三年七月十九日)(火曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 大坪健一郎君   理事 榎本 和平君 理事 小宮山重四郎君    理事 佐藤 敬夫君 理事 粟山  明君    理事 若林 正俊君 理事 上坂  昇君    理事 貝沼 次郎君 理事 小渕 正義君       唐沢俊二郎君    栗原 祐幸君       櫻内 義雄君    中山 太郎君       羽田  孜君    原田昇左右君       箕輪  登君    山下 元利君       上田 利正君    野坂 浩賢君       村山 喜一君    近江巳記夫君       春田 重昭君    矢島 恒夫君       佐藤 孝行君 ────────────────────── 昭和六十三年十一月二十二日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 大坪健一郎君   理事 榎本 和平君 理事 小宮山重四郎君    理事 佐藤 敬夫君 理事 粟山  明君    理事 若林 正俊君 理事 上坂  昇君    理事 貝沼 次郎君 理事 小渕 正義君       櫻内 義雄君    羽田  孜君       原田昇左右君    山下 元利君       上田 利正君    小澤 克介君       野坂 浩賢君    村山 喜一君       春田 重昭君    児玉 健次君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     見学 信敬君         科学技術庁長官         官房審議官   須田 忠義君         科学技術庁科学         技術政策局長  石塚  貢君         科学技術庁科学         技術振興局長  緒方謙二郎君         科学技術庁研究         開発局長    吉村 晴光君         科学技術庁原子         力局長     平野 拓也君         科学技術庁原子         力安全局長   村上 健一君  委員外出席者         外務省北米局安         全保障課長   重家 俊範君         外務省国際連合         局原子力課長  中島  明君         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      森  正直君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 松田  朗君         工業技術院総務         部研究業務課長 向井  保君         資源エネルギー         庁長官官房省エ         ネルギー石油代         替エネルギー対         策課長     大津 幸男君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   大宮  正君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  横江 信義君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     三角 逸郎君         建設省住宅局建         築指導課長   鈴木 俊夫君         消防庁特殊災害         室長      原  純一君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      福原 元一君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      橋本 好一君         科学技術委員会         調査室長    菊池 敬三君     ───────────── 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   上田 利正君     小澤 克介君   矢島 恒夫君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     上田 利正君   児玉 健次君     矢島 恒夫君     ───────────── 七月十九日  海洋開発基本法案貝沼次郎君外二名提出、第百八回国会衆法第一六号)  海洋開発委員会設置法案貝沼次郎君外二名提出、第百八回国会衆法第一七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 九月十四日  北海道天塩郡幌延町の高レベル放射性廃棄物貯蔵工学センター立地反対に関する陳情書(第一一四号) 十一月七日  大型放射光施設の誘致に関する陳情書(第一七三号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 大坪健一郎

    大坪委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する事項  原子力開発利用とその安全確保に関する事項  宇宙開発に関する事項  海洋開発に関する事項  生命科学に関する事項  新エネルギー研究開発に関する事項 以上の各事項につきまして、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大坪健一郎

    大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  4. 大坪健一郎

    大坪委員長 次に、科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、伊藤国務大臣から国際原子力機関運転管理調査団による調査結果について報告を求めます。伊藤国務大臣
  5. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ただいま委員長から御披露がございました国際原子力機関IAEAOSART運転管理調査団といいますけれども、そのOSARTによって行われました関西電力高浜三及び四号機に関する調査の結果につきまして御報告を申し上げます。  OSARTは、先生方篤と御承知でございますけれども、改めて申し上げますと、世界原子力発電所の一層の安全性向上に寄与するため、IAEA加盟国からの要請に基づきまして、要請国原子力発電所運転管理状況調査するチームのことでございます。  OSARTによる調査は一九八三年に開始され、今回を含めまして十六カ国二十六発電所に対し調査が実施されておりまして、我が国からもこれまでOSART専門家派遣してきたところでございますが、我が国発電所OSARTを受け入れたのは今回が初めてでございます。  我が国OSARTの受け入れは、日本原子力発電所の良好な運転実績を広く諸外国に紹介するとともに、各国専門家との交流を通じまして、世界の国々の原子力発電所運転管理の一層の充実に貢献するものでございます。  このため、我が国は、昨年九月のIAEA通常総会において我が国へのOSART派遣を表明するとともに、同年十月に高浜三、四号機への派遣を正式に要請し、今回の実施に至ったものであります。  今回の調査団は、IAEA、アメリカ、西ドイツ等の十五名の専門家から構成され、運転保修等につきまして、十月三日から二十一日までの三週間にわたって調査を実施しました。  その結果につきましては、お手元にお配りしてございますIAEAプレス発表文にありますように、高浜発電所は、安全意識の高い従業員運転保修等全般にわたってすばらしい実績を上げており、最高水準安全性をもって運転されている等の極めて高い評価を受けております。これは、これまで我が国においてとられてまいりました安全確保のための努力が、今回のOSART調査により実証されたものと理解をしております。  もとより、原子力の安全は一国のみで確保すればよいというものではなく、世界レベル安全性向上が図られることが必要であります。今回のOSARTの成果が各国における原子力安全性向上に資することを願うとともに、我が国においてもこの高い評価に慢心するということなく、今後とも一層の安全性向上に努めてまいる所存でございます。     ─────────────
  6. 大坪健一郎

    大坪委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事福原元一君及び同理事橋本好一君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大坪健一郎

    大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  8. 大坪健一郎

    大坪委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬夫君。
  9. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 きょうは、大分時間がかかりましたが、委員会を開いていただきましてありがとうございました。  時間が三十分でございますので、三点について御質問させていただきたいと思います。  一つは、六ケ所村に今度新しく計画されております再処理施設など三施設の問題についてであります。あと二つの問題は、それぞれ、原子力発電所に対する反対運動がいろいろな意味で高まってきておりますので、それらの問題について大臣並びに関係当局皆様方のお考え方をひとつお聞きしたいというようなことでございます。限られている時間でございますので、どうぞひとつ簡潔に、なおかつ具体的にお答えをいただきたいと思います。  こういう中で、いろいろな問題が確かに議論されておるわけでありますが、いわゆる安全性ということは、原子力発電を進めていく上にどうしても避けて通れない道だというふうに私は感じておるわけであります。しかし、反対派人々自体が求めているものも、かつての時代のようないわゆる電力供給の不安定なところへ逆行していこうということを求めて反対しているのでは決してないというふうに私は思うのです。つまりは、チェルノブイリのような二番せんじをしてはならないということにその運動一つの大きな背景があるのではないかというふうに私は理解をしたいのであります。  そういう意味からいきますと、どうしても政治がやはりこれらのものに対する安全性に対してたゆまない努力を続けていかなければならないし、そしてそのために、いわゆる研究の推進をさしていくということに対する経済的な裏づけもこれから大変に重要なことになってくるのではないかな、そんなことを含めて、その問題に入っていく前に、これらの核燃料サイクル事業必要性及び国の施策に対する位置づけは一体どういうところを基点にして進めていかれるのか、この大義をまずお聞きしたい、こういうふうに思います。
  10. 平野拓也

    平野政府委員 お答えを申し上げます。  現在の我が国原子力発電は、総発電電力量の約三〇%ということになっておりまして、まさに基軸エネルギーとしての位置づけがしっかりできていると考えております。今後これを二〇〇〇年ごろまでには四〇%ぐらいにまで持っていきたいというのが政府考え方でございまして、この考え方が出ましたのは、現在一見エネルギー事情というのは非常に安定して、需給もよくバランスがとれている、石油も安い、こういうことはございますけれども、長期的に見ますれば、例えば世界の人口、昨年で五十億人を突破したわけでございますが、あと三十年もすればその六割ぐらいはふえる、三十億人ぐらいふえるというようなことも予想されております。こういうことになりますと、当然世界エネルギー事情大変窮屈になってくるということは明らかでございます。そういう観点から、我が国としてはやはりその技術あるいは資本を持っているという立場もございまして、高度なエネルギー源でございますけれども原子力を着実に進めていかなければならない、こういうことが背景にあるわけでございます。  そこで、我が国原子力発電体系を見ますと、いわゆる核燃料サイクルにつきましても、その大部分を現在残念ながら海外に依存しているという状態でございます。すなわち、天然ウランもすべて海外に依存しておりますし、それからウラン濃縮もほぼ全量と言っていいほど海外に依存しております。それから再処理につきましても、東海村の動燃の再処理工場で若干行っておりますけれども、大部分海外に依存しておる、こういう状態でございます。したがいまして、今後とも原子力発電を長期的に推進し、かつ安定的に進めるというためには、できるだけ自主的な形で早期に核燃料サイクルを確立いたしたいというのが私どもの願いでございます。  そういう意味におきまして、現在青森六ケ所村におきまして民間のいわゆる核燃料サイクルという事業が進められておりますけれども、私どもといたしましてもこれを全面的にバックアップして、できるだけ自主性を持った原子力発電体系を構築いたしたいというのが私ども立場でございます。
  11. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 それでは、六ケ所村に計画されている核燃料サイクル安全規制状況というのは現状どうなっておりますか。
  12. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  青森六ケ所村に計画されております核燃料サイクル施設は、御案内のとおり、日本原燃産業株式会社によりますウラン濃縮施設及び廃棄物埋設施設、並びに日本原燃サービス株式会社による使用済み燃料処理施設及び廃棄物管理施設でございます。  これらの施設につきましては、原子炉等規制法に基づきまして事業許可または再処理施設の場 合は指定でございますが、申請がなされまして、これに対しまして科学技術庁行政庁審査を行い、さらに、この行政庁審査結果を原子力安全委員会及び原子力委員会がダブルチェックするということになっております。また、許可もしくは指定を行いました後にも、詳細設計段階等審査等が進められるわけでございます。  このうち、ウラン濃縮施設につきましては、規制法に基づきます加工事業許可申請が昨年五月になされまして、私どもどいたしまして厳正な審査を行い、本年八月に許可を行いました。十月に建設工事に着手されたところでございます。今後とも引き続き、詳細設計に係る設計及び工事の方法の審査施設検査等を行うことにしております。  また、廃棄物埋設施設につきましては、規制法に係ります廃棄物埋設事業許可申請が本年四月に出されまして、現在科学技術庁において行政庁審査を行っているところでございます。  なお、使用済み燃料処理施設及び廃棄物管理施設につきましては、規制法に基づきます申請はまだなされておりませんで、現在申請予定者において申請書作成等申請に向けて準備が進められているものと承知しております。
  13. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 それは三施設ともに、同じ場所設備がつくられるわけですね。
  14. 村上健一

    村上政府委員 近接しておりますが、地理的には同じ場所だというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  15. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 実はどうも私ども、こういう原発反対運動とそれから国の皆さんが発言される部分で、マスコミやテレビやいろいろなもので宣伝されているあるいは論評されているのを見ますと、実際名前を挙げますと広瀬隆さんのような方が大衆に対して説いている説法というのは、新聞でいいますと社会部的な発想で説いていきますし、皆さんお答え政治部が書くような原稿みたいな答え方で、何となく、大衆にするとどうもそこで意見がかみ合わないのですね。まあ賛成、反対二つ意見があることは間違いないのですが、本来、科学技術的にきちっと論理を示して、原則を示して語るという部分についてやるのだったら、やはり我々が長く続けてきた両側の科学者をきちんと対立させてそこできちんと説いていく舞台を用意するとか、ある程度、ああいう大衆運動化して社会部的に何となく、だれかがこう言った、多分このことがこうなる、例えば人形峠の魚の骨が曲がっちゃっているなんというのは、実際にそれが本当にその施設のためなのか、あるいは江戸時代から続いていた廃鉱のいろいろなものが出ていてそれが川に流れている、たまたまその魚が一匹骨が曲がっちゃったのか、こういうことまで含めて全部今の設備のせいなんだという論調を例えば持ってきたときに、これは余り科学技術的にこうだ、ああだという難しい議論をしても、それは理解させにくいことじゃないかと思うのですね。そういう意味で、皆さんの、同じ行政側から対しても、その問題別によってきちんと説得をするということをもう少し研究された方がいいのじゃないかと思うのです。  例えば、六ケ所村の問題というのは、こういう本に、青森の県議会や何かでも、新聞報道皆さんも御承知だと思うのですが、その施設に対して、実際にある専門家科学技術庁担当官が行って建築の申請を出す前の事前レクチャーをしたということが問題になっておりますね。そしてそれが内部資料として、抜粋の形でこういうふうに出ている。活断層があります。それが、今言ったように最初許可してしまった位置、あとは、これから二つ施設が出ていく真ん中のところに、こういう図面から何から全部出ておるわけですね。そうすると、大衆としたら、いつ活断層になるのかな、そう言われれば、本当にそうかな、こう思うわけでございます。こういうものに対して、今後皆さんはどんな形でこれを説得し、本当に安全なんだということを訴えていくつもりなのか、この辺のことをひとつ……。  今言ったことが少し長過ぎるので、答えにくかったら、まず最初に、この担当官とのやりとりの事実があったのかどうか、そのことについてちょっとお伺いさしてください。
  16. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、安全審査といいます私ども行政庁の行為は、申請書が受理された時点で開始されるものでございます。したがいまして、巷間言われておりますような審査にかかわるようなことをこれまで行ったことはございませんし、したがって申請前にいわゆる事前審査を行うようなことはございません。ただ、申請書等構成、それから法令指針解釈等につきまして、申請前に申請予定者の要望によりまして予備聴取に応じることはございます。特に、御案内のとおり今回申請が予定されております再処理施設につきましては、我が国初めての民間商業用の再処理施設ということもございまして、恐らく申請段階では本文、添付書類等数千ページに上がるような膨大な申請書になろうかと思いますけれども、そのような申請書構成法令指針解釈等につきまして申請予定者が相談に来ておりまして、これに私ども応じている、これは事実でございます。
  17. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 先ほど申し上げましたように、いろいろなこれらのものがより安全にということであれば、私はこの抜粋した文章を見たのですが、別にこんなことがあったって関係ないのじゃないですか。むしろ、もっとより丁寧に、もっとより公開型にしていって、そしてきちんとした申請をする。例えば試掘、ボーリングする場合だって、一カ所ではだめだな、やはり四カ所か五カ所やってもらわなければいかぬなということを、許可を出す前に必要なんだというのだったら、こんなもの、事前であろうが、担当官であろうが何であろうが、僕は必要なものはやるべきである、こう思うのです。ですから、こんなことがなぜ内部資料で大事件になって、いかにもリクルートの名前の出てないようなものを出したみたいな騒ぎになるのか、その辺のところがよくわからないのです。ただ、一般大衆とすればこういう誤解をするのですね。要するに試験前に、受験をする子供に教師が先に行って問題を教えたようなことだ、こういうイメージを町の人たちが持っているわけですね。中身を見てみるとそんなことではないのですね。原子炉安全専門審査会審査委員北村さんのお話しされていることであっても、科学技術庁原子力安全技術顧問の衣笠さんの話していることでも、別に内密なことを隠してこうしてやればいいというようなことをちっとも言っていないわけですね。ですから、日本原燃産業株式会社のどういう担当の人がこういうものにかかわられているのかわかりませんけれども、一体こんなことを内部資料だということで出してくるようなそんな体質を持っている会社ではなく、今後本当にこういう全体のものを長い時間をかけてやっていくのに、内部の組織とか機構とか自分たち使命感というものをもう少し会社役員人たちがきちんと会社内部に徹底させるようなことをしていかなければならぬと思いますよ。何かお答えがあれば……。
  18. 村上健一

    村上政府委員 先生指摘の原燃サービス株式会社内部資料が外に漏れましたのは事実でございます。先生の御指摘を、御注意を会社の方に十分に伝えて、厳正に対処してまいりたいと思っております。
  19. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 伝えてもらってもしょうがないので、要するに、これは電力会社がみんな集まってつくっている会社なんでしょう。そうすると、その下に働く人は実務的なこととして、これから将来の核燃料サイクルシステム日本に実現するために、あるいは廃棄物処理の低レベルのものの倉庫を確保していくために、あるいはもっと必要な部分のものを、これからだって附帯設備としていろいろなものが出てくるかもしれない、それはもう上の役員人たちじゃなくて、現実にその中に携わる人たちが将来ともにやっていくわけでしょう。そうしたら、そういう者はただ単におもしろおかしく反対運動の方を茶化すようなそういう働き手じゃなくて、本当に将来日本のためにあるいは人類全体のためにもこういうものを成功させていくことが必要なんだという使命感に燃え たような働きをしてくれるように、やはり経営者が社員に対する説得とか対応とかいうものをもっと真剣にやってもらいたい。人間これからは資源エネルギーではだめなんだ、これからは技術エネルギーを中心にして、将来核融合という人類にとって一番安全なエネルギー源を獲得するまでの道のりとして今通らなければならないこの原子力発電所というものの施設を、本当に安全性を高めるために我々は何をすべきかということを真剣に考えてもらうような従業員体質にして、私どもがこうやって国会でいろいろ大きなお金をかけてやっていることが本当に無にならないような形で一体になってやることを会社としても考えてもらおうということを担当局の方からも御指導しておいてください。お願いいたします。  最後に、これは一言大臣に、そういう問題も含めて六ケ所村の今後の核燃料サイクル施設安全確保について、大臣としての御決意をひとつお伺い申し上げたいと思います。
  20. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 まず、先ほど来先生指摘の点は私は全く同感でございまして、実際に仕事をやるのは会社でございますから、会社自分がやろうとする仕事使命感に徹して、また責任感を持って、そしてまたやるからには地元の一層の御理解を得なくてはなりませんから、そういう使命感なり責任感に基づいてしっかりこの仕事体当たりでやるように十分指導してまいりたいと考えております。  そういう観点で今の御質問にお答えしますけれども先生段々のお話のとおり、原子力開発利用というのは安全の確保がもう大前提でございますから、安全の確保なくして原子力開発利用はあり得ないわけでございますから、これはまた原子力基本法にもしかとうたっておるわけでございまして、この法の精神をしっかり守りまして、核燃料サイクル施設、御指摘のとおり段々準備を進めて、それぞれ事業認可等やっておりますけれども安全確保にさらにひとつ厳しい規制を実施して万全を期してまいりたい、このように考えております。そしてまた、先生の御指摘にありましたけれども、この道は我が国エネルギー確保のために、資源エネルギーでなしに日本技術エネルギーをつくるという、技術エネルギー確保するためにはどうしても通らなければならない道でございますので、この道を安全に通っていくように、しっかり行政指導もし、また行政も進めてまいりたい、このように考えております。
  21. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 それで先月の二十六日、原子力の日は十月二十六日でございますね、二十五周年を迎えたわけですね。ただしかし、現実の問題として原子力についての国民の理解を得ていくということは本当に難しいような気がするのですね。全部をきちんと説得をするなんということはなかなかあり得ないし、絶対安全なんという、広瀬さんのような運動の論理でいくとこれは神様の判断を伺わなければならないようなことでもあります。しかし、我々は人間、人類としてこれからいかに磨き上げて、何十億という年代の間炭酸ガスを地球の中に入れ込んできた、そして人類が生存してきた、その炭酸ガスを全部表へ引っ張り出して、石油だあるいはウランだ、そういうしまい込んで人類が生存してきたものを逆に全部外へ引っ張り出して、人間が新しい文化というものを享受する時代になってきた。それによって技術エネルギーへ向かって今一歩二歩と進歩しているわけでありますけれども、しかし依然として地球全体の中には、木材を切って燃やしたり石油を掘って炭酸ガスをたくさん放出したり、酸性雨の問題とかCO2の問題とかいろいろなことが出ておるわけですね。こういうことをやはりきちっとわかりやすく一般家庭の中にもPRしていくということは、むしろ今原子力に対する反対運動が起きていることを一つの大きな試金石として、これをだめだと説得するというその運動に対してじゃなくて、もう少し違う立場から、こういう原子力必要性なりそれから我々が人類として追い求めていく究極のエネルギー体系というものを明らかにしていきながら、やはり人類全体の良識というものをつくり上げていかなければならぬだろうという気がしてならないのです。今後こういう国民の理解を得ていくために、確かに伊方、チェルノブイリ以降電力会社は十億円ぐらいの広報費を用意して、新聞だとかチラシとか盛んにいろいろなものを出しておりますね。しかしどうも効果が余り見えてこない。こういうものに対して今後政府はどういう方法で広報活動を続けていくのか、その辺のことについて御意見があったらひとつ聞かしていただきたい。
  22. 平野拓也

    平野政府委員 お答え申し上げます。  今の原子力の広報という問題、先ほど先生もおっしゃいましたように、私ども従来からいろいろ努めてまいっているつもりでございますけれども、先般のある新聞の世論調査によりましても、その八割はまだ政府あるいは事業者の広報が足らない、こういう厳しい御批判がございます。私どもも深く反省をいたしておるわけでございます。ただいまの広報のやり方、あるいはただ安全でございますというだけではなくて、やはり何ゆえに原子力が必要かということを広く世界的視野あるいは長期的視野に立って広報に努めるということは、私どもあるいは電気事業者等も現在進めておるわけでございますけれども、先ほど先生のお言葉にもございましたように、なかなか私どもの言葉は正確を期するために非常にかたい、すっと頭に入らないというようなこともございます。そういうことはいろいろ私ども反省をしながら、積極的に一般の方々の言葉として語れるような、そういう体制といいますか、そういう努力を続けておるわけでございます。  科学技術庁といたしましても、従来のいわゆるパンフレットとか映画、テレビといったもののほかに、直接生の形で一般の方々に対話方式といいますか、出かけていきましていろいろそういう御疑問に答えて話し合いをする、そういう場もつくっておりますし、こういう努力は地道な努力でございますけれども、長く続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 時間がないので少し質問をあれします。  きょうIAEAのプレスリリースが配られましたけれども、このとおり日本原子力発電施設というものは大変もう見事なぐらい安全性の高いものだということを評価いただいておるわけですね。しかし、例えば原子力発電所をつくろうというと非常に長い時間がかかる。政府からいろいろな補償や何かをするわけでありますけれども、それが一つ済むとまた同じような反対運動が起きて、それにまた経費をかけていく。一基大体何十年、十年とも十五年とも言わないぐらい完成まではかかっていくというようなことですね。  一方、安全の問題で、昭和六十二年度原子力開発利用基本計画という、原子力ポケットブックでその中を見ますと、「安全確保対策の強化」という項目の中で「原子力安全規制行政の充実」とか、項目によって「安全研究の推進」「①工学的安全研究」とか「②環境放射能安全研究」「③放射性廃棄物安全研究」、「防災対策の充実・強化」というのはやっと三番目ぐらいのところに出てくるのですけれども、事故が起きたときにこういうものに対するいろいろな気配りがあるのですけれども、例えばその村に対してとりあえず何分間の間はシェルターの施設をつくってそこに潜らせてというようなことは一つもないわけですね。もうそろそろ、その村あるいは町に原子力発電所をつくろうといったら、町全体を、下手な補償費とか何かじゃなくて、そういう本当に住民がいざというときに、すっと囲い込むことのできるシェルターの設備や何か常設しますなんという発想は出てこないものなんですか。
  24. 平野拓也

    平野政府委員 シェルターの問題というのは、これは私どもというよりもむしろ地元の公共団体等がお考えになることではなかろうかと思いますけれども、現在のところまだそういう御要望といいますか、そういうものを私ども承知しておりません。
  25. 佐藤敬夫

    佐藤敬夫委員 僕はやはりそういう発想がい かぬと思うのです。逆に言えば、もうそういう住民の命をどう守るかというところに向かって科学技術庁自体が物事を考えていく、それで、そこから安全性というものに対してとりあえず皆さんの命は安全に守るのですよということを積極的に問いかけていく姿勢からこの問題を解決していかなければならぬと思うのです。  もう時間がありませんのでお答えいただかなくて結構でありますが、例えば総理府の昨年に実施しました原子力に関する世論調査では、国民の八六%が原子力に不安を感じているのです。しかし、あなたは不安ありますか、不安を感じますかと言われたら、イエスと答えるのは当たり前だと思うのですわ。私だって、それは確かにそういう不安はあるなということを感ずると思うのですね。イエスと答える方が正常だと思うのです、逆に言うと。ですから、八六%不安ということは、私は非常に正常だと思うのです。しかし、これからの日本の主要電源というのはじゃ何ですかと聞くと、その八六%不安だと答えた人たちが、原子力発電ですと答えているわけですね。そうすると、まあ現実はやむを得ないのかなと。そうしますと、やはり低レベルの廃棄物の問題だとか高レベルの廃棄物の問題だとか、いろいろこれから生み出すそういう国民が生活に不安だと思っていることに対して、科学技術庁がより強くその方針を掲げて、そして若干の不安はあるけれども、人間の生み出す科学技術の力と理性を信じて、これだけの文化国家というものをみんなでつくり上げていこう、そういう合意をつくっていただく運動のようなものを、やはりもう一方で旗を上げていくようなことを、電力会社を含めてみんなで知恵を絞っていくことをひとつどうかこれから考えていただきたい。お願いを申し上げまして、時間でございますので質問を終わらせていただきます。
  26. 大坪健一郎

  27. 野坂浩賢

    野坂委員 きょうは私は、地元の人形峠に絡む放射性廃棄物の処理の問題と、中性子脆化による破壊の問題について質問をしたいと思っておりますが、参考人として福原さんなり橋本動燃理事に来ていただいておりますので、その問題から先に質疑をしたい。きょうはお二人にお出ましをいただきまして大変恐縮でございます。十分御説明をちょうだいしたいと思っておるものであります。  まず最初に、科学技術庁長官と動燃を代表するどちらかにお答えをいただきたいと思うのでありますが、先ほどの質問の中でも伊藤長官は、原子力については十分人類の福祉ということを考えて、法律に違反をしないように措置を進めていかなけれぱならない、こういうお話がございました。お話しのとおりに、原子力基本法の第一条の末尾には「もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与」しなければならないということが明記してあります。第二条の「基本方針」には、原子力問題については自主、民主、公開の三原則で進めなければならない、このように明記してあるわけでありまして、このとおり科学技術庁は動燃初め原子力の問題等についてはお進めになってきたし、今後もこの三原則を遵守して進めるという考え方に間違いはないと思いますが、あえて確認をする意味で、基本ですから長官にお答えをいただきたいと思います。
  28. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 法の精神を誠実に履行して、原子力の平和利用のために推進をしてまいりたいと思っております。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 動燃側にもお答えをいただきたい。
  30. 福原元一

    福原参考人 動燃事業団といたしましても、核不拡散あるいは核物質防護等の観点から配慮しなければならないところもございますが、基本的には大臣おっしゃいましたとおり、我々の成果というものは広く公開に努めていくというのが本分であろうと思っております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 十月二十八日の朝日新聞に、韓国の中央日報なり京郷新聞がこういう報道をしておりますね。一九七六年、原子力研究所で放射能漏れ事故が起きて、実験中の大学院生一人が死亡した。韓国で放射能被曝が伝えられたのは初めてである。この死亡が報告されたときは朴正煕政権の時代でありました。事故が公表されれば米韓原子力協力推進の障害になると判断、事故記録、調査報告などをすべて廃棄、事故隠しをしたということが、政権がかわってからすっぱ抜かれておりますね。  今私が申し上げたことをお聞きになって、大臣はどのように考えられ、動燃はどのようにお考えになるか、お聞きしたい。     〔委員長退席、榎本委員長代理着席〕
  32. 平野拓也

    平野政府委員 韓国の件につきましては私どもはつまびらかにいたしておりませんけれども、やはり事故隠しといったようなことは、これはするべきではない、かように考えております。
  33. 福原元一

    福原参考人 ただいま先生お話しございました点につきましては、私、承知しておりませんでしたけれども、そういう研究過程における事故隠しというようなことは、動燃としても、あってはならない、このように考えております。
  34. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。  それでは、私の地元及び岡山県にまたがっておる人形峠へ問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  人形峠というのは昭和三十二年から探鉱、採掘を始めて、四十六年に中津河というのを廃止しており、その間に鳥取県側では東郷町の方面、麻畑、三朝町における神倉あるいは倉吉の円谷、こういうところが探鉱、採鉱をやられた。その間の経緯と廃棄物について、皆さん方は捨て石と呼んでおられますけれども、それらの処理と監視経過について伺っておきたいと思います。
  35. 福原元一

    福原参考人 人形峠鉱山の探鉱あるいは採掘、これに伴います捨て石の経過について御説明申し上げます。  人形峠は、先生おっしゃいましたとおり、三十一年の暮れから探鉱作業を開始いたしまして、人形峠鉱山、東郷鉱山、倉吉鉱山、この三つの鉱山を開設いたしまして、ウランの探鉱並びに採掘を進めてまいりました。  採掘に当たりましては、いきなりその鉱床へ入るというわけではございませんで、いろいろ地表調査、地質調査をいたしました後、必要な坑道を切り始めまして鉱床に至るという過程を経るわけでございますが、その坑道を掘進して鉱床に至る間に岩石を掘り出します。これを坑口近くに堆積いたします。これを捨て石堆積場といたしまして、私どもは幾つかの堆積場を持っておったわけでございます。三鉱山すべてで堆積場といたしまして二十四の堆積場を持っております。これらにつきましては、一部の坑道につきましては鉱床に当たりまして、鉱石を掘り出して、これを人形峠あるいは東海村へ運びまして試験その他を実施したものでありますが、また幾つかの坑道は、掘進いたしましたが、結局鉱床に到達しないで、堆積だけで終わったというものもございます。  この堆積場の管理に当たりましては鉱山保安監督部の監督を受けておりまして、鉱山保安法に基づきます金属鉱山等保安規則に鉱害の防止あるいは放射線障害の防止という規定がございます。これにのっとりまして私どもは管理をいたしておったわけでございます。
  36. 野坂浩賢

    野坂委員 あなた方が堆積をしておった産業廃棄物は二十四ございますね。そのうちの十カ所については通産局の鉱山保安部の方に報告をしておりますが、あとは無認可でやっておるという、そういうことを確認しておきたいと思います。
  37. 福原元一

    福原参考人 堆積場の認可、不認可についてでございますが、金属鉱山等保安規則によりますと、捨て石堆積場につきましては、認可を要する堆積場と認可を必要としない堆積場がございます。が、いずれもこれは鉱山保安法に基づきまして所要の管理を行わねばならないということになっております。  この認可を必要とする要件と申しますのは、堆積場の地盤面から直上の捨て石面までの鉛直の高さの最大値が十メートル未満であるものは認可を心要としないということになっております。したがいまして、人形峠の堆積場におきまして認可を必要とする、すなわち十メートル以上の高さにま で積み上げた堆積場が鳥取県側で七カ所、岡山県側で三カ所でございまして、認可を必要としない堆積場は鳥取県側が八カ所、岡山県側が六カ所ということでございます。
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 通産省の方に出した認可の申請書というものは、我々にそのままのものを御報告をいただきたいと思います。これはまずお願いしておきます。後で答えてください。  八月十六日でありましたか、新聞に報道されてからこれは大きな問題になったわけでありますが、岡山県側の中津河の問題ですね。六百八十マイクロレントゲン、平均すると百八十という報告をしておられますね、おたくは。鳥取県側の方面の二坑口あるいはその付近は三百二十が平均。これはあなたも現場においでになりましたけれども、局部面で我々はかったところでやりますと、七百くらい出ておるわけですね。なぜ二十年間も放てきをして、そのまま堆積をして、ほとんど問題にされなかったのか。どのような対策をずっと立てられたのか。問題が出てから中津河では鉄線を張ったり、そういう措置をしておられるけれども、それまでなぜ何にも住民には公開をしないでそのまま投げ捨てておられたのか、その辺の意図というものがよくわからぬので、まず聞いておきたい。
  39. 福原元一

    福原参考人 私どもは堆積場の管理は、金属鉱山等保安規則に従いまして、その堆積物が崩壊あるいは流出することを防ぐための措置、これは扞止堤の設置であるとか沢水の排水路及び山腹水路の整備をする、あるいは堆積場ののり面の整備をする、あるいは植栽をするというようなことをいたしますと同時に、巡視を定期的に行いまして、これらの堆積場が傷んでないかというようなことを点検をしておったわけでございます。  また同時に、これは規則には定められておりませんが、周辺の居住区域に環境モニタリングを実施いたしまして、沢水等の測定、これの分析等を行いまして、周辺の皆様方に御迷惑をかけるというようなことのないように努力してまいったつもりでございます。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 周辺の皆さんに迷惑をかけなかったと言いますが、大きな迷惑をかけておるというのが現実なんです。  そんな答弁をされるなら、具体的にいろいろと質疑をしたいと思いますが、まず、当時の労働者の健康状態について聞きたい。  原子燃料公社年報というのがありますね。あなた方の報告によりますと、十分なことをやったと言いますけれども、この新聞をごらんいただきたいと思うのですね、委員長も。三十二年当時に働いておる労働者は許容基準の千倍から一万倍のラドンガスを吸っておったという現実があるわけです。だから、阪大の先生方も、このラドンを二週間も吸えば間違いなく肺がんになりますよということを言われておるわけです。二週間働けば肺がんで死ぬと書いてある。一面トップですよ。こういう状態があったという事実はお認めになりますか。
  41. 福原元一

    福原参考人 昭和三十年代の坑内ラドン濃度が非常に高かったという新聞報道、ただいま先生お示しのところ、私ども新聞報道承知しておるわけでございますが、これの記事に、昭和三十二年当時の原子燃料公社の資料を根拠としているようでございますが、ちょっとこの資料の意味を御説明さしていただきたいと思います。  私どもは坑道を掘進してまいります前に、まず発破をかけます。それで、岩石中にたまりましたガス、ラドンガスが発破によりまして開放されます。そのときの濃度というものはどの程度の濃度であるのか、それからしばらく時間を置いて自然の通気が行き通ったときにどのくらい薄まっているか、あるいはこれをさらに扇風機をかけて排除したならばどのくらい薄くなるであろうかというようないろいろな実験をやってまいりました。この資料で書いてありますのはこのような実験の過程のデータでございまして、一万倍とかいうような数字はまさに発破をかけた直後でございまして、何らまだ通気を施してない、地中のラドンが開放された直後の濃度でございまして、それをしばらく時間を置きまして空気に薄められたというのがその次の濃度でございまして、この辺で人が働くというところに差し支えなければそこで作業を始めますが、さらにまた若干高いということであれば、扇風機を通すとかあるいはコンプレストエアを放出するというようなことで薄めまして坑内の作業に入ったというのが実態でございます。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 そういうことは年報のどこにも見当たりませんね。何にも書いてありません。どこの資料にも書いてありませんが、あなた方はこれらのことが発覚をすると、この新聞にも写真入りであなた方の下僚が出ておりますが、岩田さんと津浦さんですか、その方が間髪を入れず記者会見をしていますね。こう言っていますね。機械通気を合理的に行えば、安全な限度までラドン濃度を低減することは容易なことのように思われる、三十三年度は通気施設を整備してやる、と書いてある。言うなれば、いわゆる動燃の説明にもそういう条件がデータの中に全然書いてないのです。どこにもないです。三十三年度にやればいいじゃないか、やると、あなた方の責任者もそう述べておるのじゃないですか。  それならば、年報にどこにそういうことが書いてあるかということを私に示してもらいたい。
  43. 橋本好一

    橋本参考人 お答えいたします。  年報につきましては、先生の御指摘の前段の年報につきましては、備考のところに、「探鉱坑道掘さく途上における値」「機械通気を行わないときのさく岩箇所における値」ということで記してございまして、先ほど福原が御説明いたしました発破直後の状況ということは記されておりますし、それから、後の数値につきましては「坑道掘さく完了後の自然通気時における値」ということで値の差を明示してございます。  それから後段の御指摘につきましては、年報には確かに明記されてないというところはございますが、私は三十二年の四月から三十四年までこの場に勤務いたしまして、この状況の中におったわけでございますが、その当時から既に、坑道の掘削に関しましては圧搾空気を利用いたします掘削方法をとっておりました。そのために、作業を開始いたします前には必ず圧搾空気を開放いたしまして通気を行い、そして低減化を図った後で作業に入っていったということが、私の経験、それから当時坑内の保安係員をしておりました者どもの証言でも確かでございます。  以上でございます。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 橋本さんが当時あそこにおられたということはよく承知をしております。とても元気そうですから結構だと思うのでありますが。言うなれば、当時はあなた方はフィルムバッジをちゃんとつけておったのですね。作業員は、新聞に見られるように、鉱山保安法や規則にも、防じん対策として、ラドン対策として手袋やマスクはしなければならぬと書いてありますね。あるいは作業員については十分教育をして保安対策をしなければならぬということが法律に決まっておりますね。  当時我々は、作業員の皆さんもそうですけれども新聞に載っておりますように、ウランというのは非常に体にいいというふうに理解しておりますね。そしてみんなウラン鉱の鉱石を作業員は持って帰って、ふろの中へ入れて、これで健康になると言ってやっておったのです。ちゃんと新聞にも出ておる。これがあなた方の教育の姿なんですよ。しかもマスクをさせない、裸でやらしておる。こういうことで、作業員の諸君たちに聞くと、当時橋本さん以下、一時間ぐらいは入っておるけれども、出ていく、おれたちは毎日九時間、十時間裸のまま、手袋もしないで、マスクもしないでガスをいっぱい吸っておる、だから最近は体の調子が悪いということを言うのですね。この現状というものは、あなた方にこの写真を出したら、こう言ったですね。それは写真で自分の顔を写してもらいたいので、そのときだけは全部マスクを取ったのだ。こんなことの答弁では納得ができません。現実にそのようなことであって、法律の違反を随 所にやっておったということです。これは大変だから持って帰ってそんなことをやっちゃいかぬと言うようなことは一遍もない。みんな、ラジウム温泉だと言って自分のふろで使っておった。役場にまで持っていって、棚の上に飾っておる。それで教育ということができておるというふうに私は思わない。  そのことはおいておいて、この仲間の皆さん方の名簿というものは、それらの状況、濃度というものを考えて、この名簿は保管しておらなければならぬということが法律に明記してありますね、鉱山保安法及び規則、規程に。当時の労働者の名簿等は全部管理してありますか。
  45. 福原元一

    福原参考人 鉱山労働者の名簿につきましては、当時は私ども直轄だけではなくて、請負あるいはさらにその下の請負というような人たちに働いていただいておりましたので、必ずしも現在に至るまでこれらの名簿を保管をしておるとは今日ただいま申し上げられませんが、これは何分、三十一年、三十二年当時の資料でございまして、コンピューター等もございませんで整備されておりません。現在いろいろ探させてはおりますが、見つかったものからいろいろ御報告はしておるわけでございますが、まだ見つけかねるというものもございまして、大変御迷惑をおかけしているというところが大変申しわけなく思っております。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 名簿はやれと書いてあるじゃないですか。そういうところの危険な箇所に働く労働者の名簿等はちゃんと全部持っておるというのが当然じゃないですか。法律違反をやっておるわけですか、あなた方は。どうです、名簿はあるかないか。
  47. 福原元一

    福原参考人 当時の名簿につきまして、申し上げましたとおり、まだ確認に至ってないものもございますが、当時の法律には名簿の保存期限というものはまだ明示されておりませんでした。四十七年かと思いますが、保存期間五年というふうに労働安全衛生法で決められたと承知しております、それ以後のものにつきましては、法律どおり保存はしておるわけでございます。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 保安規程に、被曝放射線量及び集積線量の測定の方法及び時期、すべてその人の名簿を、記録に関することは残さなければならぬと書いてあるじゃないですか。  それでは、そこの作業員はどの程度の名簿があるわけですか、みんな廃棄したのですか。ありますか、ありませんか、どの程度までありますか。それを聞きます。
  49. 橋本好一

    橋本参考人 当時のフィルムバッジをつけまして作業いたした者の記録は残っております。
  50. 野坂浩賢

    野坂委員 それはあなたのところの職員ですか。
  51. 橋本好一

    橋本参考人 いえ、フィルムバッジをつけましたのは職員及び作業員の代表者ということで、作業員の場合は主として先山と申しまして坑道の引っ立てで坑道掘進の先端におりまして、一番長時間そこにいると思われる代表者につけさせました。その方々の記録は残っております。
  52. 野坂浩賢

    野坂委員 極めて遺憾ですね。一番過酷な労働をするのは班長さんやあなた方の管理者ではなくて、本当の意味の労働者です。もう一遍再調査をしてもらいたい。そのことを要請をしておきたい。監督官庁もそれについては十分対応してもらいたい。  言うなれば、こう言って書いてありますね。「三十四年春ごろから東郷町方面鉱山で働いた倉吉市内のBさんは、働き始めて間もなく貧血の症状が出て、現在も通院している身だ。Bさんは「報道された通り、当時のわれわれは放射能に対する予備知識がまるでなく、坑内ではマスクもつけなかった。原燃の職員はフィルムバッジまでつけていたのに」と憤りを隠さない。「ウラン鉱石の持ち出しも自由でふろに入れて〝ウランぶろ〟として入ったことも」」毎日あった、こういうことが私は当時から想起をして非常に問題があるだろうと思うのです。だから少なくともその名簿は、公開の原則ですから、それは本日冒頭に確認したわけですから、我々に提出をされたい。いいですね。
  53. 福原元一

    福原参考人 名簿の提出につきましては、プライバシーの問題等もございますので、差し控えさしていただきたいと思います。
  54. 野坂浩賢

    野坂委員 あなた方は、先ほど自主、民主、公開の原則を確認をしながら、そういう健康の問題等で人類の福祉に一つも貢献せぬじゃないですか。むしろ隠して、それは出しません。住民が現実に貧血になり、あなたや私のように頭の髪が薄くなり、ということになればそれは自然現象ですけれども、そういう方々は本当に重大な問題ですよ。それを名簿は出しません、健康のことは知りません、こういうことでは公開の原則に反する。科学技術庁長官は指導監督者としてどう思いますか。あなたに聞きたい。
  55. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 自主、公開、民主の原則は守らねばなりませんけれども、資料等で出せるものと出せないものがありますので、よく事務当局と相談させていただきます。
  56. 野坂浩賢

    野坂委員 出せない理由を言ってください。
  57. 平野拓也

    平野政府委員 動燃事業団等からの報告によりますと、当時の労働者の方々の安全性というのは十分確保されているということでございます。そういうことで、その名簿の提出ということはプライバシーの問題等もあるということでございますので、それはやはり差し控えるという方針で事業団がいるわけでございまして、私どももそれは十分理解できるところでございます。
  58. 福原元一

    福原参考人 先生から、私どもは坑内労働者の保安に対する教育についてマスクの着用等の義務が法律にあるにもかかわらず、これをさせなかった等々のお話がございましたが、私どもといたしましても、これは金属鉱山等保安規則にございますので、会社あるいは当時の原燃公社といたしましても当然これの指導徹底には特に力を入れておったわけでございます。先生、写真でお示しのとおり、粉じんマスクというのは坑内で作業をいたしますと非常に苦しいものでございますから、えてして外してしまうということが、当時の人形峠だけでなくて一般の鉱山であるとかセメント工場であるとか、そういうところで非常に多かったわけでございますがこれは私どもといたしましても、当時の保安規程を見ましても厳重に注意するようにということで指導には力を入れておったというふうに私は思っております。そのためには請負あるいは公社の保安係員によって巡視、指導等も行いましたし、あるいは保安懇談会というようなこともやりまして指導徹底を図ったということが記録されております。  それからフィルムバッジにつきましては、先ほど橋本参考人から申し上げましたように、その作業箇所を監督いたします職員並びに老練な労働者でございます先山というものにフィルムバッジを持たせまして、これで被曝線量の測定、それによりまして濃度と労働時間の関係というものを調節いたしまして、保安には万全の注意を払ってきたというふうに私は考えております。  当時の坑内のラドン濃度の測定並びに労働者の被曝の現状というものはフィルムバッジの結果からも私ども今日わかるわけでございますが、当時の外部被曝、内部被曝合わせましていずれも、規則で定められております三カ月間三レムあるいはICRPで言われております年間五レム以下の数値に入っておったということを当時のフィルムバッジをもちまして私どもは確認しておりますので、安全対策ということにつきましては当時の原燃公社も十分努力しておった、私どもはそう信じております。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 福原さん、あなたの言っていることは答弁になっていないのですよ。防じんマスクをつけよと言ったけれども、苦しいから外すのです、これはどこでもあることだ。そんなことをしてはいかぬ、ウランは大変な鉱石であるからこれを外すようなことがあってはいかぬと言ったけれども、守らなかったからしょうがないじゃないか。しかも大学の先生は、ここで二週間働けば肺がんで死ぬとちゃんと書いてあるのですよ。その者の健康調査もやらない。名簿も提出をしない。貧血になって胸が苦しい、そう言って訴えておるのも知らぬ顔だ。これが人類福祉に貢献するいわゆる エネルギー政策、原子力政策の一環ですか。すべてそういう姿でやられておる、こういうふうに理解しなければならぬと思うのです。  そこで、これらの人たちを、あなた方はそんなことはない。そんなことはないと言うならば、ちゃんと医者につけて健康診断をやって、このとおりでございますということを国民に明らかにしなければならぬじゃないのか。例えば、今佐藤さんが自民党の立場での質問をして、こうだこうだということになれば住民は不安感と危険感を持っておるというのは、先ほども確認されたとおりなんだ。それを隠ぺいして何も公開もしないで、隠して隠して知らぬ顔だ。名簿も出さなければ健康診断もやらない。我々は大丈夫だ、マイクロキュリーだとか、やあレムだとか言って、それを隠してしまう。専門家だからそれでいいかもしれないけれども、一般の人たちは不安と危険感が増幅して、地元は異常な状態なんです。その人たちをきちんとやっぱり健康診断等をして措置をして、天下に公表して大丈夫だという認識をするというのがあなた方の責務とは違いますか。科学技術庁も、動燃がこう言っておりますからそれを信じて結構でございます、これでは国民は納得しませんね。私は断じて了承できない。答えてください、それは出すか出さぬか。
  60. 福原元一

    福原参考人 私どもといたしましては、御説明申し上げましたように、作業に当たりましてはラドン濃度の低減化あるいはマスクの着用指導あるいは健康診断あるいはフィルムバッジの使用あるいはラドン濃度の測定というようなことを行いまして、坑内の作業場の安全には十分な管理を行ってきた所存でございます。しかも、そのフィルムバッジの結果を見ましても、規則に触れる数値よりもはるかに低いところに実績があったということで、私どもといたしましては健康診断を行う必要はないというふうに考えておるわけでございます。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんから多くを申し上げませんが、本人は先ほど読み上げたとおりの病状がございます。京都大学の原子炉実験所の小川助手も「ラドンは肺がんを誘発する危険性が非常に高く、一リットル当たり十万ピコキュリーの濃度の中で一カ月間作業すると、肺がんの発生率は通常の十倍にも上ると推計できる。」と明確にしておるわけですよ。だからそれなれば、健康診断等をやるのは愛情ある政治の姿としても私は当然だと思うのですよ。それも何にもやらない、危険を訴えてもわしは知らぬ、低い低い、こう言って逃げるのが原子力行政の本旨ですか。科学技術庁長官に、局長ではなしにあなたに、この現状をどう見るか、そのようにして措置をしたらどうなのかということの私の意見については非常識ですか、長官にお答えをいただきたい。局長は結構、属官はいい。
  62. 平野拓也

    平野政府委員 まず私から先に申し上げますが、事実関係で、先ほどから動燃事業団の御答弁をお聞き取りいただきましたように、専門的に見まして健康に心配がないというふうに考えておりますけれども先生おっしゃいますように、もし御不安を感じていらっしゃる方々がいらっしゃいますれば、それについて御相談申し上げるというようなことはあるいは必要に応じてやるというようなことも考えられると私は考えております。
  63. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。
  64. 橋本好一

    橋本参考人 先ほど先生から御指摘いただきました一万倍という数字は、先ほど福原参考人が申し上げましたように発破直後の数字でございまして、その数値を用いて、先ほど小川先生とおっしゃいましたが小出先生じゃないかと思いますけれども、小出先生が推論しておられるということでございまして、そういう状況下で長期間作業さしたということはございませんので、そういう意味で、すぐ肺がん死ということが起こるということが言われておるわけでございますが、そういうことはないというふうに私どもは考えております。  それからもう一点、これはまた私個人のことになって大変恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、三十二年当時おりましたそのときは、先ほど先生、私が一時間で坑外へ出るのじゃないかとおっしゃいましたけれども、実は私の仕事は坑道のスケッチを担当しておりまして、これは掘っていくのを全部詳細に記載することになっております。ウランの鉱床がどういう形で胚胎するかということを記録するわけでございまして、これは詳細にとっていきます。そういうことで、仕事が終わった後も、先山それから鉱夫の皆さん方が退出された後も私は残って記録をとったということもございまして、彼らよりも私の方がはるかに長く坑内にいたということが現実にございました。ですからそういう意味で、私自身の被曝の記録もあるかと思いますけれども、それよりも皆さん方の方が低いのじゃないかというふうに思っております。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたのような人もあるだろうと思いますがね。体の異常をやる場合、あなたは立っておるだけですけれども、相手は削岩機でがあっとやって、それを一挙に吸うわけですからね。あなたは後ろの方で、昔の日本軍の将校みたいなものです。その場合とは若干の違いがあるだろうと思います。  今原子力局長がお話しになったように、必要に応じて対応するということでありますから、監督官がそう言っておるわけですから、県やその出身の町村の首長に、プライバシーというものは私たちも尊重しなければならぬと思っております、そういう点については十分配意をして措置をしてもらいたいが、今そうおっしゃっておるわけですから、動燃は措置をされますか。
  66. 福原元一

    福原参考人 先生おっしゃいましたように、確かに具体的になりますとプライバシーの問題ということも出てまいりましょうし、それから現在体のぐあいが悪いと言われる方は当時の三十年前の作業に起因するものであるかどうか、これはするという方もしないという方もなかなか立証は難しい、因果の特定は非常に難しいと思いますが、先生の御指摘あるいは局長の御示唆もございましたので、私ども関係の機関、特に放射線の医療関係、医学関係専門家を含めました方々とよく対応を協議してまいりたい、このように思っております。
  67. 野坂浩賢

    野坂委員 健康の不安を訴えておる人たちに対しては、健康診断等を含めて十分対処し善処するというふうに確認しますが、いいですね。
  68. 福原元一

    福原参考人 方法等を含めまして、中立の方々、専門家の方々を含めまして慎重に検討してまいりたい、このように思っております。
  69. 野坂浩賢

    野坂委員 検討するということは、やるという前提でお話し合いをされるわけですね。
  70. 福原元一

    福原参考人 しかるべき方法を見出すということを含めまして検討してまいりたい、こういうことでございます。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 歯切れ悪いな、本当に。言ったことがさっぱりわからぬね。時間ばかり稼いでおるじゃないですか、そっちは。  それから、社会党もあるいは現地の被曝者を含めた皆さんも、そして原子力に対して非常な恐怖感を持っておる多くの人たちが文書であなた方に九項目の申し入れをしておるわけです。県の社会党あるいは労働者の代表の皆さんにそれはいつも文書回答しないですね。そして、いつも交渉は決裂をする。私はこういうことではいかぬと思うのです。  九項目一つ一つ確認しておりますと時間がたってできませんから多くを申し上げませんが、なぜ文書回答ができないのかということですね。監督官庁の許可を得なければできないのですか。公開の原則ですから、あったことをありのままに文書で回答すればいいじゃないか、私はそう思うのですよ。いつも決裂をしておる。だから福原さん、例えばやりとりをしますと、いつもやる玉虫色みたいな話になるとあなた方は勝手なことを言う、我々の側も自分の感じたことを言うということになると常に平行線になってくる。文書だったら動かすことはできぬのですよ。その方が皆さんのためになり、解明されると思うのです。いつも議論の入 り違いということになれば、それぞれ勝手なことをやって不安感の増大だけなんですから、これからは文書で出すということに、すぐにではなくて、例えば三日なら三日、四日なら四日。私はどうもあなた方の話を聞いておると、こっちを見たりあっちを見たりして、科学技術庁や通産省の顔を見て許可を得てからでないと文書回答ができぬじゃないかというような、これは私の憶測ですけれども、そんな感じがする。だから、玉虫色にならないためにも、動燃側の立場を明らかにするためにもできるならば文書回答として、さらに説明であれば呼んで口頭説明をされるということになるとぴしっとした回答ができるわけです。常に玉虫色で、いつも違ったような関係では困る。今後はそのようにしてもらいたいということを要望しておきますが、御返答いかん。
  72. 福原元一

    福原参考人 人形峠事業所が社会党、鳥取県の方に大変御迷惑をおかけしておるということは本社といたしましても大変恐縮に存じますが、先ほど申し上げましたように三十年前の資料でございますので、探すのに時間がかかりまして手間取ったということも一つあるかと思います。その間に、今回の一連の人形峠の問題につきましての対応については地元の方との御相談も今後の対応で非常に重要でございまして、現在これらの調整を進めておる段階でございまして、調整が終わりましたら私どもも最終的なこういう方向にいたしますということは十分御説明申し上げたいと思いますし、それに関連いたしまして、必要な資料をまとめて御説明をし、御理解をいただきたいと考えております。ただ、先ほどの、一万倍で二週間でがんになるというような数字がひとり歩きするということは私ども非常に心配しております。その辺の御説明は十分させていただきながら、必要な資料は取りまとめさせて提出するようにいたしたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  73. 野坂浩賢

    野坂委員 だから文書で回答しなさいと言っておるのですよ。一万倍とか千倍とかいうことになればひとり歩きしますとあなた方は不安を漏らしておりますけれども、三十二年の年報はこういうことですよ。ちゃんと備考にこのように書いておりますということを明確にしないから問題があるわけですから、これからは文書で回答できないものは、調査、相談の上何月何日までに回答しますということを文書で書いておけばいい。そうすれば誤解もない。あなた方のために地元は大きな不安と危険感が増幅しつつある、このことを申し上げておきたいと思うのです。  その次に質問したいのは、鉱山保安法の規定にも規則にもありますように、土砂の崩れあるいは水の流出、そういうものはさせてはならぬと規則、規定に書いてありますね。そこで、我々は鳥取県東郷町方面の二号坑口から出る水のところの水田の水中のラドンがどの程度あるかということをやってみた。相当数量のラドンが出てきた。その水系でないところを調査したら何にも出なかった。二十世紀ナシの方には別に出なかったというのが報告をされたわけであります。マイクロキュリーとかそういうものを使うとわかりにくくなりますので、わかるようにお話をしますけれども、あなた方はそれは許容基準の範囲内だと言っていますが、また大学の先生に聞いてみると危険だとおっしゃる。水は谷川を伝って流出をしたのですね、片一方の水系はないわけですから。それらについて規則でとめ場その他はつくらなければならぬと書いてありますのに、その堆積場をなぜやらなかったのですか。
  74. 福原元一

    福原参考人 堆積場の安全管理につきましては先生指摘のとおりでございまして、鉱山保安規則に明記されております。私どももそれに従いまして管理をいたしておるところでございますが、先生指摘の稲につきましては京大の研究所がされたというふうに新聞で聞いておりますが、私どもも同じ水系の稲をとりまして分析いたしました結果、許容限度に達していないというよりも、むしろ検出されない、検出限界内であったという分析でございますし、京大の先生がおやりになりましたのは、茎も葉もすべて一緒にして分析されたということでございます。私どもは、食べるのは米でございますので本来精米を分析すればよろしかったわけでございますが、当時まだ精米になっておりませんで、もみで分析いたしました結果、有意な数字は検出されなかったということでございます。同様に岡山県等も定期的に米とか野菜の分析をされておりますが、これもいずれも許容値以下であったという報告を私どもは受けておりますので、これもまた、再度で恐縮でございますが、その辺私どもの御説明も足らなかったかと思いますが、そのデータがひとり歩きというようなことを戒める意味でも私ども今後関心を持ってまいりたい、このように考えております。
  75. 野坂浩賢

    野坂委員 あなた方は、大学の先生と私と、ひとり歩き論ばかり言って、自分の非は全然認めないのですが、例えば「方面の坑口下流で栽培されている稲を採取。放射性物質について調査した結果、検体から一グラム当たり〇・二〇ピコキュリーのアクチニウム228と同〇・〇二六ピコキュリーの放射性鉛、同〇・〇二一ピコキュリーの放射性ビスマスを検出した。」「動燃は「放射性物質が検出された米を一日三百グラムずつ毎日食べたとしても、年間の被ばく線量は国が定めている年間被ばく線量に比べ全く問題にならない数値で心配ない」」こうおっしゃっております。大学の先生に聞きますと、「科学技術庁告示による水一CC許容濃度で試算すると、三千倍のラジウム228が含まれていることになり、この米を毎日三百グラムずつ一年間食べた場合、ラジウム228の被ばく線量は一九五ミリレムになる。また、ラジウム228では六、四三五ミリレムの被ばく量に相当し、国が定めた現行の年間許容被ばく線量五〇〇ミリレムの約十三倍に当たる」、明確にしておるわけです。しかも、今の五レムが来年の四月からは一レムになる。被曝線量は下げなければならぬ、世論、世界の情勢からしてそういうことになるのに、大丈夫だ大丈夫だということであります。  百歩譲って、大丈夫だといってその米を皆さんに売ろうとすると、皆さん方、その人たちは決して買わないのです。一般の人たちは買わない。なぜかというと、いや、大丈夫かもしらぬけれども、あそこは危ないということになれば、科学技術庁なり動燃の職員がそこの田んぼの稲はみんな買ってくれますか、ナシも。あそこは危ないからと言われたら、みんな買いますか。だから、買わないとすれば、絶対にそういうところはないということを明記する方法を考えてもらわなければならぬ。そうしないと、百姓は大変迷惑しておる、農民はあなた方のおかげで本当に迷惑しておるのです。あなた方はそうじゃないと言っても、具体的に新聞その他で報道されれば、一般の諸君は買いたくないという事実が出てくれば、その農家だけが大きな迷惑を受けなければいけない。その迷惑を取ってもらわなければならぬ。どういう具体的な措置をするかということです。
  76. 福原元一

    福原参考人 現地の住民の方々に御心配をかけるということは私どもといたしましても全く本意ではございませんので、堆積場につきましても、先生おっしゃいましたように来年からICRPの勧告に従いまして管理限度も引き上げるやに伺っております。私どもこれらに適合いたしますように管理を強めてまいりたいと考えております。同時に、先生おっしゃいましたような御心配をなくするために、今後とも地元の方々と密接に御相談させていただきたい、このように考えております。
  77. 野坂浩賢

    野坂委員 事件発覚から三カ月、何にもしないで、検討するという言葉だけ。具体的にどうするかということが問題です。例えば、金属鉱山等保安規制の三百三条でも「たい積物の崩壊又は流出を防止するため、よう壁、かん止場等適当な防護施設を設けなければならない。」ということを明記しておるわけです。あなた方は怠っておるのですよ。それで流れてきたということで、大丈夫だ大丈夫だと言われるけれども、大丈夫でない。大丈夫にするためには、その堆積場にある放射性物質をどうするかということです。どうしてくださるのですか。全部ドラム缶に入れて撤去してもらいたいというのが地方住民の声です。当面どのよ うに措置をされますか。
  78. 福原元一

    福原参考人 事業団といたしましては、金属鉱山等保安規制に従いまして堆積物の崩壊並びに流出の防止に努めるわけでございますが、具体的には扞止堤の設置あるいは沢水排水路、山腹水路、堰堤等を設置することによりまして堆積物が流れるというようなことを防ぐことに万全を期してまいりたいと思います。さらに、従来巡視が六カ月に一回というものを、三カ月に一回というふうに改善をいたしたいと考えております。  今回、鉱山保安監督部の総点検もいただきまして、私ども十分詳しく点検いたしました。この結果を踏まえまして、先生御心配のないように措置を考えてまいりたいと思います。
  79. 野坂浩賢

    野坂委員 心配のないように措置をするということですから、それで私は満足をします。  具体的なことはわかりませんが、言うなれば、あなた方は今まで抗弁をしてきたことは、あれは花崗岩です、あれは礫岩です、あれは頁岩です、だから捨て石なんです、こういう理論展開ですね。そうするとマイクロレントゲンからやって、これらの問題の放射性物質を取っていくということにしますね。取っていくということになりますと、ドラム缶で取ってもらうことになるだろうと思うのですけれども、下に流れないように、崩壊や谷川に落ちないように、そういう措置を万全の体制を当面して、恒久対策はまたこれから地元の皆さん方とも相談して、我々の心配が完全に払拭された措置になるということですね。いいかげんな答えじゃなくて、ちゃんと答えてくださいよ。
  80. 橋本好一

    橋本参考人 今福原参考人が御説明いたしましたことは、既になしていることと今後やることを同時に御説明したわけでございますが、現在の捨て石堆積場に関しましても扞止堤等の措置、沢水排水路、山腹水路、堰堤等の設備はございます。しかし、今回のことにかんがみまして、総点検をいたしましてなお万全を期すべく努力をしたい、そのための方策を監督官庁等とも御相談し、また地元とも御相談をしてやっていきたいと思っております。
  81. 野坂浩賢

    野坂委員 その完成、でき上がるというのは、早急に決めて、何月何日までにやりますということを私の方まで、あるいは県に御報告を下さるようにお願いしておきます。  もう一点。岡山県とはこれらの問題について協定がされておりますね。御存じのとおりですね。鳥取県も非常に不安感が出てきた。監視の回数を余計やるとかいろいろなことが言われておりますけれども、非常に心配だ。したがって、そういう方々、地域からは、県も動燃側とは協定を結んだ方がいいじゃないかという声がありますね。そういう声があるのを受けて、鳥取県側が協定を結びたい、結んでほしいということになれば、動燃側はこれに応じていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  82. 福原元一

    福原参考人 お話しのとおり、岡山県とは五十四年以来協定がございまして、私どもの環境測定に並行いたしまして岡山県も環境測定をされておられるわけでございます。これは、私どもの測定は県に報告いたしまして、県の技術委員会というものもございまして、この技術委員会評価されまして公表されるということになっております。  鳥取県とは、従来申し合わせというものはございましたが、それに基づきまして環境の測定データは報告はしておりましたが、そこまでという状態でございました。今後、私どもも鳥取県と御相談いたしまして、岡山県のようなああいう評価委員会をつくっていただいて、そこで評価していただいて公表していただくというようなことになれば、先生指摘のような資料の公開というようなことにもなるかと思います。これは県と十分相談してみたいと思っております。
  83. 野坂浩賢

    野坂委員 協定とか覚書とかいろいろありますが、県の要望にこたえるということだけは約束できますね。そのことをもう一遍明確にしてください。
  84. 福原元一

    福原参考人 県と十分相談することをお約束いたします。
  85. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が迫ってまいりましたので、中性子脆化問題はこの次に回すとしまして、一点だけ聞いておきます。  これはあなた方頑強に抵抗するからなかなか一致点が見出せぬと思います。例えばあなた方の捨て石問題、私たちは放射性物質、こういう認識の違いが基本的にはあるのです。そこで、基本法には「「核原料物質」とは、ウラン鉱、トリウム鉱その他核燃料物質の原料となる物質であって、政令で定めるものをいう。」と書いてありますね。この「もの」については、核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則のところには「核原料物質又は核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物で廃棄しようとするもの(以下「放射性廃棄物」という。)」これが放射性廃棄物なのですね。放射性廃棄物ではありませんかと言っておるわけです、この人形峠の鉱滓あるいは今マイクロキュリーでどんどん出ておる放射線は。これを捨てたものは捨て石ではなしに放射性廃棄物ですと私たちは認識しておるのです。放射性廃棄物だということを認定しますか。福原理事さん、どうですか。
  86. 村上健一

    村上政府委員 お答えします。  先生指摘の問題は、本堆積場の捨て石が原子炉等規制法に基づき放射性廃棄物として規制すべきである放射性廃棄物であるかという御質問だと思いますが、御案内のとおり、原子炉等規制法の目的の中にいわゆる採鉱という概念は入っておりませんで、したがいまして、原子炉等規制法規制の対象外であるということで運用してまいっておりますので、原子炉等規制法に基づきます放射性廃棄物ではございません。
  87. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは局長さん、坑口から穴をあけて鉱脈にぶつかった、ウラン鉱石を取ってきた、そこでこれは選鉱しておるわけです。そして人形峠の工場の中に入れる。そこでは濃度の低いものは選鉱の中で捨てていく。これは産業廃棄物ではなしに放射性廃棄物ですということになりますね。そうすると、残ったところではたくさんの放射線が出ておるというのが今までやって問題になってきた。中で捨てるものは低いものであっても放射性廃棄物、山でやっておったものはそれよりも高くても捨て石だ、こんな理論は通らぬですよ、ちゃんと明記してあるわけですから。核原料物質で廃棄したものは放射性廃棄物だということは法律で明記してあるでしょう。だからその中で、選鉱場まで持っていったら捨てたらだめで、それは放射性廃棄物だ、山にあったのは捨て石だ、こんな理屈は絶対に通らない、私はそれは納得できません。
  88. 村上健一

    村上政府委員 御意見理解できるわけでございますが、いわゆる原子炉等規制法規制してないと体系上なっておりますのは、原子炉等規制法が鉱山保安法よりも後からできました法律でございまして、いわゆる二重規制を排除するという観点から原子炉等規制法の放射性廃棄物で対応することになっておりませんというのが趣旨でございます。ただ、先生御心配の核原料物質における放射線障害の防止につきましては、鉱山保安法の関係法令に基づきまして規制されておりますので、この点は御心配ないことだと思っております。
  89. 野坂浩賢

    野坂委員 もう時間が参りましたからこれでやめますけれども、御心配があるから質問しておるのですよ、局長さん。健康の問題、稲の問題、二十世紀ナシの問題、心配がいっぱいだから、これは放射性物質だと地元はみんな言っておるわけです。いわゆる原子炉等規制法の中で見るとこれは放射性廃棄物だ、鉱山保安法で見ると捨て石だという立て分けをしますけれども、こっちの山に捨ててあった廃棄物の方、あなた方の立場で言えば拾て石の方が、中に入っておる放射能が余計抜け出ておるわけですが、これは捨て石で害がない、この中のものは放射性物質、同じものでもこんなに違うかということですよ。放射性廃棄物で統一したらどうですか。  伊藤科学技術庁長官は最高の権威者ですから、あんな局長からではなしに、今言った議論から見て、これらの問題については放射性廃棄物だと私 は思う。法律の矛盾と問題点がある。同じものであっても使い分けをするということはこれからの運営にも支障を来すと私は思います。そういう意味でこれらの問題については整理して、統一見解をやはり示していくということにしなければならぬと思いますが、それに対する御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  90. 村上健一

    村上政府委員 私の方からもう一度御説明申し上げますが、原子炉等規制法の対象になっておりませんのは先ほど御説明申し上げました理由からでございまして、御心配の点は鉱山保安法の関係法令の中において適切に対処し得るものと考えております。
  91. 野坂浩賢

    野坂委員 もう一遍。適切に対処してありません。したがって政府の統一見解を私は求めます。  言うなれば鉱山保安法といわゆる原子炉規制法とは、この一つのウラン鉱問題だけを見ても見解は分かれるということは納得できない。こういう点については放射性廃棄物であるということを公開の原則から見て明確にすべきだ。長官はどう思うか、最後に御答弁をいただいて終わります。
  92. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生の御指摘をも踏まえ、また関係当局との意見も調整をして、私が必要と認めた場合には検討してまいりたい、このように考えます。
  93. 野坂浩賢

    野坂委員 終わります。
  94. 榎本和平

    榎本委員長代理 両参考人、どうもありがとうございました。どうぞ御退席なさって結構であります。  小澤克介君。
  95. 小澤克介

    小澤(克)委員 下北の六ケ所村における核燃料サイクル基地につきまして、各施設について事業許可であるとかあるいはその申請等が次々と行われている状況がございます。そこで、これに関連いたしまして、主として安全面の方から若干お尋ねをしたいと思います。  まず、基本的なことについて伺いたいのですが、この原子力施設あるいは各事業についての許可であるとかあるいは事業指定等について、その前提として原子力安全委員会による安全審査が行われるわけでございますけれども、この安全審査というもののそもそもの目的は一体どの辺にあるわけでしょうか。
  96. 村上健一

    村上政府委員 先生案内のとおり、行政庁の安全審査もそれからダブルチェックの際の安全審査も同じ安全審査という言葉を使っておりますが、原子炉等規制法許可の適合基準、すなわち災害の防止上支障がないものであるということを確認すること及び運転者が技術的能力をあわせ持っているかということの両方の適合基準に適合するかということを検討することを目的としております。
  97. 小澤克介

    小澤(克)委員 要するに、安全が確保されるか、当該施設によって危険が生ずることはないか、安全が十分担保されているかということを審査するということだろうと思いますけれども、実際には各事業者等に対してある一定のお墨つきを与える、反対派あるいは反対運動等批判を封ずる、またさらには裁判等が予想されることに対してそれに備える、そういった観点から実際の安全審査というのは行われているのではございませんか。
  98. 村上健一

    村上政府委員 そういうことはございません。
  99. 小澤克介

    小澤(克)委員 それから、安全審査というのは、客観的に本当に安全性が担保されているかどうかを審査するそういうプロセスなのか、あるいは国民に対してあるいは地域住民に対してこれらの施設は十分安全であるということを説得するための手続なのか、それについてはどういう御認識でしょうか。
  100. 村上健一

    村上政府委員 先ほど申し上げましたように、規制法許可の適合基準を判断する行為でございますので、国民を説得するという行為はそのものの中には含まれてないものと理解しております。
  101. 小澤克介

    小澤(克)委員 目的についてはそういうふうに伺っておきますが、実際の審査の作業ですけれども、これはどういうふうにやるのでしょうか。安全審査指針などというものがあるようでございますが、こういった一般的な指針をまず設けて、それについて各申請が、その申請内容がこれらの指針に適合しているかということを一つずつ審査していくというような作業にとどまるものでしょうか、あるいは、およそ事安全性にかかわる要素等についてあらゆる角度からあらゆる資料を収集した上で検討するということなんでしょうか。これは基本的な姿勢の問題でございますが、基本的姿勢というよりは実際の作業はどういうふうに行われるかということなんですが、いかがでしょうか。
  102. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  根拠規定につきましては先ほど御説明したとおりでございますが、これに適合するかどうかを判断するためには指針類が設けてございます。  この指針類は、例えば再処理施設でございますと、原子力安全委員会が定めました「再処理施設安全審査指針」というものと、同じく原子力安全委員会が定めました「核燃施設安全審査基本指針」、それから原子力安全委員会が同じく決定いたしました「核燃施設の立地評価上必要なプルトニウムに関するめやす線量について」という指針がまず三本ございます。そのほか、核燃料サイクル施設原子力発電所に使われる指針類を準用しなさいという同じく原子力安全委員会の御決定に基づきましたものがその他七本ほどございまして、行政庁審査の場合は科学技術庁担当官、ダブルチェックの場合は原子力安全委員会の専門審査会でございます核燃料安全専門審査会というところで安全委員長の御指示により調査審議が進められまして、そこで調査審議が進められましたものを原子力安全委員会がお決めになる、御判断になる、こういう仕組みになっております。
  103. 小澤克介

    小澤(克)委員 いや、私の質問は、実際の審査作業というのは、一つ一つ安全審査指針に適合しているかどうかを審査し、一応適合していればそれでおしまいということなのか、それともこの安全審査指針に必ずしもとらわれずに、事安全にかかわるような要素等についてはすべてあらゆる角度からあらゆる資料を収集した上で検討し判断をしていくのか、そういう実際の作業はどういうふうにやるのかという作業手順について聞いているわけです。
  104. 村上健一

    村上政府委員 安全審査の公正中立性を保つために、原子力安全委員会では日々新たな知見を可能な限り収集して指針をつくって、それを行政庁及び安全専門審査会が判断の目安に使うということに仕掛け上なっておりますので、ありとあらゆることといいますのは実際は物理上不可能でございまして、その時点その時点で安全委員会が定めました指針類がベースになるというのが大前提でございます。もちろん、その過程におきまして行政庁の審査官の自分の知見それから安全専門審査会の審査委員の知見に基づく助言に基づきまして安全委員会が御判断になる、こういう仕掛けになっております。
  105. 小澤克介

    小澤(克)委員 最後のところの趣旨は、必ずしも安全審査指針にのみとらわれることなく、新たな知見等が得られれば早速それに従って判断をしていくということだろう、そういうふうに理解してよろしいかと思います。  それで、そういった方法で審査作業というのは行われるのでしょうが、実際に例えば各施設であるとか設備それ自体については申請する段階ではまだこの世の中に存在してないわけですから、結局、その申請書に記載してある、予定の施設設備の構造であるとか材質であるとかあるいは作動する機能であるとか、そういったことを前提に、そこに書かれているものを前提に各専門家の持っておられるいろいろな知見、法則的事実の認識等に基づいて、それが安全である、十分安全が担保されているかどうかを判断していくということにならざるを得ないと思うのですが、それらの施設設備それ自体ではなくて、それらが存在するところの自然条件といいますか、例えば地質であるとか気象とか地下水の状況とかいろいろな要素が考えられますが、そういった自然条件、それらの諸特性については、現実にこれは既に客観的に存在しているわけですね。こういうものに関してはどうなるのでしょうか。申請書に添付されている資 料等に限られず、独自に資料を収集したりあるいは独自に試験をしたり、そういったことを行って安全性審査をすることになるのでしょうか。それとも、申請書に含まれる書類等も含めてその範囲内を審査すれば足りるということになるのでしょうか。これはどっちなんでしょうか。     〔榎本委員長代理退席、若林委員長代理着席〕
  106. 村上健一

    村上政府委員 基本的には受け身であると申し上げた方が適切かと思いますが、申請書及び添付書類に記載してありますことを中心に審査をいたしまして、もし審査の際に担当官もしくはダブルチェックの際には安全審査委員が必要だと思えば申請者から必要な資料を提出させまして、それでそれが判断する上に申請書の中に織り込んでおく必要がある、言いかえれば、申請の時点では申請者はこれが最低でいいと思って記載してきた内容が、実際は判断の際にこれも追加しておくことが必要だという判断が下りました場合は、ちゃんとした手続をとりまして補正という形で残すことになっております。
  107. 小澤克介

    小澤(克)委員 そうすると、申請者の収集した資料あるいは検査した分析結果等以外に、独自的に行政庁の方であるいは安全委員会等で資料収集したり試験をしたり、独自に知見を得て云々ということはないということになりますか。
  108. 村上健一

    村上政府委員 ございます。  まず第一点の方は、現地調査を行いまして、現地調査で、これも実際は申請者が出してきました事実関係の確認ということが多うはございますけれども専門家が現地に行けばその点でみずからいろいろ考えることもある、こういうことが一つございます。  それからもう一つは、その都度それぞれの専門家自分の個人的な研究の成果で持ち寄るということも学識経験者でございますので非常に適切かと思いますけれども、できるだけ中立性を保つために、先ほど申し上げましたようにできるだけ最新の知見が盛り込まれた指針原子力安全委員会がおつくりになって、それを我々行政庁なり安全審査委員に下して、それをベースにしてほしいという仕掛けになっておるわけでございます。
  109. 小澤克介

    小澤(克)委員 安全審査の大体の仕組みはわかりましたが、要するに安全審査というのは本当に安全性が担保されているかどうかを審査するということであろうかと思いますので、これは言うまでもないのですが一応確認しておきますけれども、いろいろな許可申請事業指定等の申請に対して、場合によっては、これは安全性が担保されているとは言えないという観点から不許可あるいは指定をしないというようなことも十分あり得ることだろうと思いますが、その点いかがでしょうか。
  110. 村上健一

    村上政府委員 御案内のとおり、許可、不許可指定、不指定の行為を行いますのは行政庁でございまして、安全委員会からの御意見に従って判断をすることになっております。
  111. 小澤克介

    小澤(克)委員 だから、不許可もあり得るのかと聞いたのです。
  112. 村上健一

    村上政府委員 ございます。
  113. 小澤克介

    小澤(克)委員 それで、現在下北について日本原燃サービスでしたか、それから、再処理施設についての事業指定申請準備がされている、一説によると十一月、今月中にも何か申請が出される予定であるということも聞いているわけです。そんなことも聞いておりますので、これに関しまして若干お尋ねしたいのです。  ちょっと細かいことをお尋ねしますが、北村信という東北大学の名誉教授と聞いておりますが、こういう方がいらっしゃるようです。この方は何らか行政庁に、科技庁、通産なども含めまして、あるいは文部省はどうでしょうか、特に安全審査関連の業務に何らか関与、関係しておられますでしょうか。
  114. 村上健一

    村上政府委員 御指摘先生は、北村信東北大学名誉教授のことかと考えます。北村先生には昭和五十七年七月から原子力安全委員会原子炉安全専門審査会委員をお願いしております。
  115. 小澤克介

    小澤(克)委員 この方が再処理工場の予定地を、現地を視察したことがございますでしょうか。そういう報告を受けておられますでしょうか。
  116. 村上健一

    村上政府委員 北村炉安審委員が再処理施設予定地に行ったか否かの事実関係については、私どもとしては事前には承知しておりませんでしたが、新聞報道等からそのようなことがあったと承知いたしております。
  117. 小澤克介

    小澤(克)委員 この視察について、何らか記録が作成されたというような報告を受けておりますでしょうか、事後で結構です。
  118. 村上健一

    村上政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、おいでになったことは承知しておりますが、議事録等その他については承知しておりません。
  119. 小澤克介

    小澤(克)委員 議事録が作成されたかどうか、本当に聞いておりませんか。
  120. 村上健一

    村上政府委員 内部資料が漏えいしたということで、その中で議事録というようなことで何か書かれてあるというのは承知しておりますが、いわゆる正式な意味での議事録をつくられたということは、私ども承知しておりません。
  121. 小澤克介

    小澤(克)委員 正式な議事録というのは何を意味するのかよくわかりませんけれども、原燃サービスの方から何らかの記録が作成されたかどうかについては当然報告を聞いているはずだと思うのですけれども、どうなんですか。
  122. 村上健一

    村上政府委員 私どもは、原燃サービス株式会社からいわゆる内部資料が漏れたということを聞きまして、その漏れたと思われる資料につきましては報告を受けております。ただ、先ほど正式な議事録云々というお話がございましたけれども、私どもとしては、その資料は、同社によりますと、同社の敷地内の地質について専門家との打ち合わせにおいて使用された資料及び同社関係者の個人メモというふうに報告を受けておりますので、議事録は承知していないと申し上げた次第でございます。
  123. 小澤克介

    小澤(克)委員 質問をよく聞いてくださいよ。この視察に関して何らか記録が作成されたかと聞いたのですから、個人メモだろうが何だろうが、作成されているなら作成されていると答えれば一言で済むでしょう。時間がむだですよ。こんなもの、漏れたとか漏れないとか、そんなこと一言も聞いていないでしょう。端的に答えてください。  それで、何らか記録が作成されたことは事実のようです。これはいつごろ視察したのか、どういうふうに聞いておりますか。ちょっと待ってください。一遍に聞きましょう。  いつこの視察が行われたか、視察に至るにどんな経過でこの視察が実現したのか、視察の目的は何か、それから当然費用もかかったでしょうが、これはだれが負担したのか、それから報酬等の支払いがあったのかどうか、これらについてお答えください。
  124. 村上健一

    村上政府委員 視察をされたことにつきましては先ほど申し上げましたように承知しておりますが、それ以外のことについては何も承知しておりません。
  125. 小澤克介

    小澤(克)委員 この件についてきょう伺うと言ってあったでしょう。全然聞いていないのですか、原燃サービスから何の報告も受けていないのですか。これについて細かく伺いますよと言ってあったでしょう、この視察の件について。
  126. 村上健一

    村上政府委員 私どもといたしましては、先生の個人的な問題ということにかんがみまして、立ち入ったことをするのはいかがと思っておりまして、聞いておりません。
  127. 小澤克介

    小澤(克)委員 この視察に関してだれがどういう行動をしたのか、人の行動について細かく聞きますよと言っておいたはずですよ。きょう質問できないじゃないですか。これからどうするのですか。全然質問できないですよ。何の報告も受けていないのですか、どうなんですか。
  128. 村上健一

    村上政府委員 北村先生の件につきましてはそのようなことでございまして、先生の個人的なことでございますので、立ち入ってはいかがかということで聞いておりません。
  129. 小澤克介

    小澤(克)委員 事前に、この方について、いか なる行動をなされたのかについて詳しく伺うから原燃サービスからよく報告を受けておくようにということはお話ししておいたはずですので、それを前提にきょう質問に来ているわけですから、これでは質問になりません。  困りましたね。もう一遍この質問の機会を委員長にお願いしてつくっていただくか、あるいは若干隔靴掻痒の感じもありますので、この日本原燃サービスを参考人として来ていただくか、どっちかしかないと思いますが、委員長、この辺について何かお取り計らい願えませんでしょうか。
  130. 若林正俊

    若林委員長代理 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  131. 若林正俊

    若林委員長代理 では、速記を戻してください。  小澤君。
  132. 小澤克介

    小澤(克)委員 困りましたね。では、個人的なことだということのようですから、後日、お調べ願ってまたお答え願うことにしまして……。  ことしの七月四日、五日に、私の方で調べたところによりますと、この方が現地を視察しているようでございます。  それでは、原燃サービスの方がどういう対応をしたかについては、これは御報告願えるのではないかと思いますけれども、原燃サービスの方からこの調査にどんな方が参加したか、あるいは原燃サービスに限らず、調査等の委任を受けた業者等も含めてどういう対応をしたか、報告を受けておられますか。
  133. 村上健一

    村上政府委員 会社の方、原燃サービス株式会社の方で対応しました者は、調査部から二名、それから建築の方の部から五名、それからジョイントベンチャーの会社から四名の方が立ち会われたというふうに聞いておりますが、内容についての確認はしておりません。
  134. 小澤克介

    小澤(克)委員 ジョイントベンチャーというのは何のことでしょうか。
  135. 村上健一

    村上政府委員 会社の話によりますと、地質会社のジョイントベンチャーだというふうに聞いております。
  136. 小澤克介

    小澤(克)委員 地質学会社というのは応用地質というところとダイヤコンサルタントというところかと思いますが、そのとおりでしょうか。
  137. 村上健一

    村上政府委員 そのようでございます。
  138. 小澤克介

    小澤(克)委員 弱っちゃったな。  それでは、もう一人、衣笠善博という方がいらっしゃるようですが、この方はどういう方か。仄聞するところによると、何か通産省の関係の方だというふうに聞いておりますが、科学技術庁にも関係しておられるというふうに聞いております。これはどういう方なのか。これは通産でもどちらでも結構ですから御説明ください。
  139. 村上健一

    村上政府委員 先生指摘の衣笠さんは衣笠善博さんでございまして、工業技術院地質調査所環境地質部の地震地質課長でございます。  同氏には、科技庁の庁議決定に基づきまして原子力安全技術顧問というものを置くことになっておりますが、この原子力安全技術顧問昭和五十八年三月から御就任していただいております。
  140. 小澤克介

    小澤(克)委員 この方が現地を訪れたことがあるかどうか、あるとすればいつごろか、どんな経過でそうなったのか、あるいはその目的、費用はだれが負担したのか、報酬等を受け取ったのか、これについてはいかがですか。
  141. 村上健一

    村上政府委員 衣笠顧問は、本年七月二十八日に再処理施設予定地においでになりました。  同顧問につきましては、科学技術庁の用務で青森県に御出張いただきましたときに、時間的な余裕があるので、個人的な学問的関心から見たいというふうに私どもにお話がございましたので、私どもから会社の方に話をしまして御視察が行われたというふうに存じております。  それから、私どもお願いしました出張の目的は、日本原燃産業が、けさほど御説明申し上げましたとおり、現在埋設事業事業化の申請をいたしまして、私どもといたしまして今安全審査を実施中でございますが、この現地調査に行っていただいたのが目的でございます。したがいまして、出張旅費は科学技術庁が負担しております。(小澤(克)委員「報酬は」と呼ぶ)出張旅費と申しますのは、私ども通常、日当というものも含めて申しているわけでありますが、日当も科学技術庁で出しております。
  142. 小澤克介

    小澤(克)委員 私が聞いているのは、この原燃サービスさんの方の敷地を視察しているようですから、これについてはどうかと聞いているのです。報酬であるとか費用だとか、いかがですか。
  143. 向井保

    ○向井説明員 地質調査の衣笠課長の二十八日の出張につきましては、ただいま科学技術庁の御答弁がありましたように、往復の旅費あるいは日当等につきましては科学技術庁から支払われております。  なお、当日、原燃サービスの再処理のサイトを見学したわけでございますが、原燃サービスからは一銭も金銭等は支払われておりません。
  144. 小澤克介

    小澤(克)委員 それで、先ほどのお話では、衣笠さんに関しては学問的興味から視察をしだということですが、それで間違いないですか。学問的興味からここの地質がどうなっているかをただ単に調査をし、みずからの知見にした、こういうことですか。間違いないですか。
  145. 村上健一

    村上政府委員 本務の出張をお願いしましたのは私どもでございますので、私どもから先にお答え申し上げますが、本人から学問的理由であるというふうに聞いております。
  146. 向井保

    ○向井説明員 若干、学問的興味の中身をごく簡単に申し上げますと、御本人は特に下北半島及び北海道の第四紀層という地層年代に極めて御関心をお持ちでございまして、また、学会におきましては当下北半島及び北海道につきましては幾つかの論文が出されておるということで、本人はこの付近の地層の形成年代については特に強い御関心があったということで、この機会に二十八日にサイトを見学されたということでございます。
  147. 小澤克介

    小澤(克)委員 単なる学問的興味からこの地層を見たとは到底考えられないやりとりがなされているようでございます。  まず最初に、いろんなことを質問しているのですけれども事業指定申請に関してどうしてこういう見解をとっているのかという質問をしているのですね。例えば、f―2という断層があるようですが、「f―2断層横の軽石凝灰岩を中部層とした根拠は何か」、つまり原燃サービスがある一定の解釈をした、この根拠は何かとまず聞いているわけですね。この原燃サービスの申請書準備作業に関して聞き、それについていろいろアドバイスをしている、こういうことじゃないでしょうか。
  148. 村上健一

    村上政府委員 御指摘のメモは、先ほど御答弁申し上げましたように、日本原燃サービスによりますと担当者の個人的メモであり、公式のものでないということでございます。したがって、メモの内容自体が必ずしも事実であるとは限らないと考えておりますが、仮にそのような趣旨の発言があったとしても、学問的な個人的見解を述べているラインの中であると考えておりまして、私どもは問題ではないというふうに考えております。そういうこともございまして、私どもは衣笠顧問御本人から事情等を聞いておりませんので、発言の意図等については承知しておりません。
  149. 小澤克介

    小澤(克)委員 例えばこういうことを言っているのですね。ピット(1)という、これは何なのでしょうか、地質を調査している地点だろうと思いますけれども、「今の状況証拠だけでは、第三者から活断層といわれたら十分説明できない。したがって、他の証拠をそろえた方がよい。例えばT層」、下層というのは何らかの地質の層の略語のようでございますが、「下層の上限面に段差がないかどうか調べる方法がよいのではないか」、これは何ですか、これは学問的興味からこんなことを言っているのでしょうか。
  150. 向井保

    ○向井説明員 まず、御指摘のメモでございますが、私ども資源エネルギー庁の方から入手しましたところ、また衣笠課長に確認いたしましたところ、当日は現地のサイトを約数時間、四時間にわたりまして見ながらいろいろな専門的なディス カッションをされたということでございます。したがいまして、細かいやりとりはたくさんあったようでございますが、メモそのものは必ずしも、本人の記憶によりましたら、ディスカッションに沿って忠実に記録したものではないというようなことで申しておるようでございます。  ただ、御指摘の点でございますが、このメモにつきましては、本人の記憶によれば、ここにございますようにtr2のひげといったようなところは、地層の中に若干のひげみたいなところがあったようでございますが、どうしてこのひげができたかということに関しましていろいろな専門的ディスカッションがあった、本人としては、本人の衣笠課長の専門的知見によれば、このひげは地形に沿ったクリープ性のものであると本人は考えておるようであったというようなディスカッションがなされたということで、そういうディスカッションを横で聞いておられてこのようなメモをとられたのではないかと考えておるわけでございます。
  151. 小澤克介

    小澤(克)委員 ですから、「第三者から活断層といわれたら十分説明できない」、こういうことをおっしゃったのでしょう。どうなんですか。
  152. 向井保

    ○向井説明員 ここの記憶は、本人によりますと、実はサイトを見ながら、同時に原燃サービスであらかじめ地層図というのをつくっておりまして、地層図とサイトを見ながら技術的、専門的ディスカッションをやったわけでございます。それで、衣笠課長はその際に、彼の記憶によれば、その場にあった、すなわち原燃サービスがつくられたそのまさに地層のスケッチというものが衣笠課長が現にその地層を見られた状況を十分反映していないというようなコメントはされたということは記憶しておるようです。ただ、このメモにございますような「記載」云々とか「第三者」云々というような発言はしなかった、ただ、結果としてこういうメモが残っておるということを考えますと、先ほど申しましたようにそばでやりとりをメモをとっている人がこのような誤解をされたということは、本人を含めまして極めて残念であったと我々は考えておるところでございます。
  153. 小澤克介

    小澤(克)委員 さっぱりわからなかったのですが、どうなんですか、結論として「今の状況証拠だけでは、第三者から活断層といわれたら十分説明できない」と言ったのですか、言わないのですか。どっちなんですか。言わないことをメモされたのですか。
  154. 向井保

    ○向井説明員 このとおりのことを発言したということは記憶にないとのことでございます。
  155. 小澤克介

    小澤(克)委員 記憶にないというわけですね。要するに否定も肯定もしないというわけですわ。  それじゃ、もう一つ伺いますが、ピット(1)、これに関して「自分としても構造性の断層とは思わないが、将来裁判になった時などにこのままの証拠で活断層でないとは言い切れない。したがって、追加調査をお考えならTまで変位が及んでいないことを下層の段差がないことによって確めておくことがよい。」こういう発言はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  156. 向井保

    ○向井説明員 ここの部分につきましても、裁判といったような発言をしたような記憶は本人には全くないということでございます。  それで、この部分についての現地でのディスカッションで本人が記憶に残っておるところを申し上げますと、本人の趣旨というのはあくまでも、一流の専門家同士がこの地層を見てディスカッションした場合に、本人が当時見た場合においては必ずしもこういうことは言えないのではないかというような趣旨で発言したのではないかということのようでございます。
  157. 小澤克介

    小澤(克)委員 それでどうなんですか、「追加調査をお考えなら」云々、「確めておくことがよい。」こういうサゼスチョンはしたのでしょうか、しないのでしょうか。
  158. 向井保

    ○向井説明員 衣笠課長の個人的知識に基づきますと、この層につきましての成因を明らかにするということでは追加調査は必要ではないかと本人は考えられたようでございます。
  159. 小澤克介

    小澤(克)委員 衣笠さんに関してちょっと、先ほど質問しなかったのですが、現地視察の際に記録がつくられたかどうか、それから原燃サービスの方としてどういう対応をしたのか、どんな人が一緒にこの視察に参加したのか、これについてどのように報告を受けておりますか。
  160. 村上健一

    村上政府委員 衣笠先生がおいでになりましたのは、先ほど御報告申し上げましたように七月二十八日でございます。対応いたしましたのは、原燃サービス側は調査部三名、建設準備事務所二人、技術部五人、それから先ほど御指摘のございましたジョイントベンチャーが四名でございます。
  161. 小澤克介

    小澤(克)委員 電中研の方もいたのじゃないでしょうか。
  162. 村上健一

    村上政府委員 申しわけございません。電中研から二名立ち会っております。
  163. 小澤克介

    小澤(克)委員 単なる学問的研究、好奇心といいますか関心からちょっと現地を見せてもらったということにしては、電中研から二名、電中研ですから恐らく東京から行ったのでしょう。それから原燃サービスの調査部から三名、建設準備事務所から二名ですか、とにかく地質調査の専門会社も含めて合計十五名で出迎えて、一緒に調査をしているのですね。学問的研究からの調査にこれだけの人がつき合うということは常識で考えられますか。しかも業者までが、地質調査の。
  164. 向井保

    ○向井説明員 原燃サービス側でどれだけの人をそろえるかということは、本人は現地に着くまでは承知していなかったようでございます。本人はあくまでも若干の現地を知っている人の案内でサイトをじっくりと見せていただくという形で現地に行った。ただ、御指摘のように、現地に着いてみると午前の最初のディスカッション及び午後のディスカッションにおいて多数の人がいたということは、本人が記憶しておるようでございます。ただ、あくまでも本人は、先ほど申しましたように、当初のあれでは若干の、本人はこのサイトへ行くのは初めてでございますので、案内を受けて現地を見るというのが本人の意図であったと聞いております。
  165. 小澤克介

    小澤(克)委員 北村さんについてはどういういきさつかよくわからぬ、報告を受けてないということだったのですが、どうなんですか、中でどんなやりとりがあったかについては多少報告を受けておるのでしょうか。それだったら少し聞きますけれども
  166. 村上健一

    村上政府委員 まことに申しわけありませんが、担当官先生の御趣旨を十分に把握してなかったようでございまして、私どもとしては聞いておりません。
  167. 小澤克介

    小澤(克)委員 それじゃ確認しておいてください。  例えば、ピット(1)というものに関して、「露頭から受けた印象では構造性の断層ではないと思う。」図面があるのですけれども、しかし「このような構造ができる成因がよくわからない。」「一般的な地すべりならこういう形態になるだろう。」といって、またこれは別の図面がかいてあるのですけれども。  それから、「面の方向からみると、五メートル道路のある尾根を横断して延びているような印象も受ける。」「上記のような点を考慮すると、構造性の断層とはいえないものの、明快に地すべりであるとも言い切れないところがある。」「従って、地すべりであることを説明するため、地すべりとしてのモデル的な構造を調査して確認しなければならないと思う。」「露頭をみると地下水が少なく、ドライな環境で生じた形態ととれ、地下水の影響が強い地すべりより急傾斜崩壊に近いものではなかったか。ゆえに〝地すべり〟より〝急傾斜崩壊〟が言葉として適切ではないか。」  こんなことをいろいろサゼスチョンしているようですが、この点について、こういう発言をしたのかどうか、確認願えますか。
  168. 村上健一

    村上政府委員 今御指摘のありましたような内容は、実にまさに安全審査の際に地質、地盤関係で議論する中身でございますので、私どもとしては立ち入ることはできるだけ避けたいと思っておりますが、先生の御趣旨でもございますので、 原燃サービスの方に問い合わせて、可能な限り入手するようにしたいと思います。
  169. 小澤克介

    小澤(克)委員 いやいや、だって科技庁に関係しておられる方なんでしょう。聞けばいいじゃないですか。確認してください。
  170. 村上健一

    村上政府委員 先生は、先ほど御説明申し上げましたように原子炉安全専門審査会委員ではございますが、本件の審査とは直接何も御関係のない先生でございまして、恐らく個人的に行かれたものと思いますので、私どもとしては詳細に立ち入るのはいかがかということで実は何も聞いてない、こう申し上げた次第でございますが、先生の御趣旨でもございますので、どういうことであるかということを事前審査にならない範囲において調査したいと思っております。
  171. 小澤克介

    小澤(克)委員 この北村さんという方、学者さんのようですけれども、これは先ほど御説明あったように科技庁にいろいろ関与をしておられる方のようでございます。それから衣笠さんという方は、通産省、工業技術院ですかに籍のある方で、かつ科技庁の安全審査等にも関与しておられる方のようでございます。こういう方が現地に行きまして、いろいろなことをおっしゃっている。この原燃サービスという一民間業者に対してあれこれとサゼスチョンしている。  ちょっと中を見ますと、確認できないということですのでしょうがない、こちらから指摘するしかないのですけれども、例えば先ほども読み上げたとおり、この再処理工場予定地の地質調査をやっているピット(1)というところに関して、これは北村先生のようですけれども、「露頭から受けた印象では構造性の断層ではないと思う。」「このような構造ができる成因がよくわからない。」「面の方向からみると、五メートル道路のある尾根を横断して延びているような印象も受ける。」「上記のような点を考慮すると、構造性の断層とはいえないものの、明快に地すべりであるとも言い切れないところがある。」そして、形態図があるのですが、「一般的な地すべりならこういう形態になるだろう。「従って、地すべりであることを説明するため、地すべりとしてのモデル的な構造を調査して確認しなければならないと思う。」それから、先ほど言いましたとおり、「〝急傾斜崩壊〟が言葉として適切ではないか。」こんなことを言っておられまして、要するに、この再処理工場の予定地にある断層に関して、活断層ではないということを何とか言いたいがために「褶曲や断層などの構造形態を作った地殻運動とは無関係に起こった地すべりあるいは急傾斜崩壊」、要するにがけ崩れだろうと思いますが、「として片付けたい」、こういう観点からいろいろなサゼスチョンをしている、このようにしか読めないわけですね。  しかし、この北村先生自身が言っておられるように、地すべりや急傾斜崩壊でこのような構造ができる成因がよくわからぬ、疑問は疑問のままになっているわけです。要するに、活断層である可能性が全然否定できていない。それにもかかわらず、こうやって何とか、構造形態ではない、単なる地すべりあるいはがけ崩れだというように解釈するよう、いろいろと指導をしているとしか思えないわけですね。  それから、衣笠さんに関して言えば、tr2という地層があるようですけれども、ここにf―1という断層が何らかの影響を与えている。このことについて、このf―1の断層について、「tr2のヒゲ」これは小断層という意味のようですが、「ヒゲがある。問題ないが、第三者から活断層といわれないように、きちんと記載して、地形に沿ったクリープ性のものとか注意書きをしておく必要がある」「f―1断層は、tr2を切っていないので問題ない。ただtr2中のヒゲについては記載をして、成因の説明ができる資料を用意しておいた方がよい」。このような形で何とか活断層ではないという印象を与えるように申請書記載方法について細かく指導をしているわけですね。  こういうことについて、どうですか。通産の方でも科技庁の方でも結構ですが、こういうことについてどう思いますか。
  172. 向井保

    ○向井説明員 今回とりました地質調査所の衣笠課長の行動についてでございますが、先ほど申し上げましたように、衣笠本人といたしましてはこの下北半島及び北海道といったような地層の形成年代に対して学問的興味を持っており、先ほど申しました機会に原燃サービスの案内で現地を、サイトを見学したということでございます。また、こういった地層が大規模に露頭しておるというようなところを見学できるチャンスというのは我が国では極めて限られておるわけでございまして、衣笠課長のこういった学問的見学というのは私どもとしてはやむを得なかったのだと考えております。  また、衣笠課長研究職の一般公務員でございますが、もちろんこの場合は見られながら一部現地の専門家とディスカッションされたわけでございますが、一般的に申しまして、国立試験研究所の研究者が自分が持つ知識というものをあるいは科学的な判断ということを人々に提供するということは、私どもは本来研究者に期待されておるものと考えておるわけでございます。  ただ、今回ここに、どなたがメモをとられたか、衣笠本人も存じないわけでございますが、仮に先生指摘されるような誤解を、あるいは申請書云々について指導してはいないかというような誤解を招いたということについては私ども極めて残念に思っておりまして、今後はかかるような誤解を招かないように、仮にいろいろなところを見学されてもその発言については十分慎重になるよう十分配慮するように指導をしていきたい、かように考えておるところでございます。
  173. 小澤克介

    小澤(克)委員 北村さんに関してですけれども、ある断層について、f―2断層というものについて、S1というのはある地層のことを言うのですが、「f―2がS1を切っていないことがこのピットで明らかであり、」このピットというのはピット(3)のことでしょう。「この点を強調すべきだ。」と述べて、それから「老部川露頭」という露頭があるようですが、「で見られるこの断層の北方延長部について、「f―2は一本の断層ではなく、雁行する数本の断層から成る可能性が高い。ただ、活動性を論議する場合、ピット(3)でS1に変位を与えていない事実がはっきりとらえられているので、むしろ一本の断層として取扱った方が活動性を否定する上で説明し易くなる」」こんなことを言っているのですね。  要するに、巨視的に見れば一つの断層であっても、雁行する細かい断層から成っている場合に、その一つが活動性がないからといって他の小断層について活動性があるかないかについては、これだけではわからぬわけですね。ところが、このことを利用してこの北村先生は、これを一本の断層としてしまえ、そうすれば活動性がすべてについて否定されるではないか。こんな、まさに活断層隠しのテクニックを細かく指示している。これは確認できていないということだからしょうがないですけれども、私の方の調査ではこういうことを言っているわけです。  こんなことで、こういう方が安全審査の、部門は違うといっても何らか関与しておられる。これで本当に国民から信頼される、安全性を本当に担保するところの安全審査ができるだろうか、非常に強い疑問を持つわけです。  しかも、この安全審査手続というのは、客観的に判断が間違っていなければそれでいいということではなくて、手続そのものが公正らしさを担保できる、だれが見ても手続それ自体が公正さを担保できる手続になっていなければいかぬと思うのですよ。いかがでしょうか。これは長官に伺いたいのですが、このようなことで本当に国民から信頼を受ける安全審査が可能だろうとお考えでしょうか。
  174. 村上健一

    村上政府委員 大臣の前に一言私の方から申し上げておきますが、北村先生も衣笠先生も、先ほど御説明申し上げましたとおり、日本一の、いわゆる特に四紀層についての地質についての権威でおられまして、一般的に申し上げまして、学識経験者が自分の知見を広く流布するということにつ いては決して適当でないことではないと思っております。したがいまして、衣笠顧問の方につきましては、私どもの顧問ではございますが、直接安全審査をやりますのは私なり担当課長でございまして、先生はアドバイザーでございますので、いわゆる学問的知見を高めるためにおいでになって、いろいろディスカッションがあったことについては私どもとしては何ら問題がないことだというふうに理解しております。  いずれにいたしましても、特に先生調査の結果をお話しになりましたが、そのこと自体が安全審査の、まことに地質、地盤についての核心をつくような話でございますので、まだ申請も出ていない段階で内容について云々することは差し控えさせていただきますけれども、特に北村先生の場合につきましては、先ほど先生指摘ございましたように、事前審査に立ち入らない範囲において、内容はいかなるものであったかということを会社を通じて調べたいと思っております。
  175. 小澤克介

    小澤(克)委員 時間が来ましたので、甚だ不満でございますが、とりあえずきょうはやめさせていただきます。  先ほど委員長に要望したわけですけれども、この文書に記載されている事項について細かく伺うからということは事前に言ってあったはずでございますので、全然報告を受けていない、これではまるっきり、せっかく質問の機会をいただいてもほとんど意味がないということになってしまいます。再度の質問の機会をいただけますことを強く要請をいたしまして、とりあえず終わらせていただきます。
  176. 若林正俊

    若林委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ────◇─────     午後二時二十五分開議
  177. 粟山明

    粟山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  178. 春田重昭

    春田委員 何点か質問しますが、まず、防災訓練についてお伺いしたいと思います。  北海道庁の泊原子力発電所の試運転前に行った原発の防災訓練につきましては、さまざまな御意見が出ておりますけれども、まず科技庁としての御見解をお伺いしたいと思います。
  179. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 原子力の防災訓練につきまして、北海道の泊原子力発電の防災訓練に関連いたしましての御質問でございますけれども原子力防災訓練につきましては、原子力防災の特殊性及び一般防災との共通点に着目した上で防災業務関係者の訓練を中心に行うこととしているところでございます。  今回の住民参加を含む訓練については、北海道が地域の実情に応じて実施をしたわけでございまして、おおむね訓練の目的は達せられたとの評価があるものと承知をしております。私といたしましては、住民参加の形態をとった訓練は不可欠なものとは考えておりませんけれども、北海道の判断で行ったものでございまして、特に問題はないものと理解をしております。
  180. 春田重昭

    春田委員 過去、こうした地域住民を巻き込んだ原発のいわゆる防災訓練を行った都道府県というのはどういう県があるのかどうか、ありましたならばお示しをいただきたい。そして、どういった規模で行われたのか、あわせて御説明をいただきたいと思います。
  181. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  北海道の十月十五日に行われました防災訓練以前に地域住民が参加した避難訓練の例は、ハプニング的には一件ございましたが、いわゆる本格的なものというのは北海道の例が最初でございました。すなわち、本年の十月十五日、北海道の泊原子力発電所に係る道の防災訓練におきまして、地域住民約四百七十名を含めた避難訓練が実施されたわけでございます。  従来の他県におきます退避等訓練におきましては、地方自治体の職員、消防団員等を、私ども模擬住民と申しておりますが、模擬住民とした退避等の訓練が実施されてきております。ちなみに、福島県、茨城県、静岡県、佐賀県、鹿児島県で複数年度にまたがりまして模擬住民での訓練が行われているところでございます。  なお、先ほどハプニングと申しましたのは、本年一月に実施されました福島県の原子力防災訓練におきまして、当初の計画では地域住民の参加の予定はなかったのでございますが、直前になって一部の住民の方、九名でございますが、自発的に退避訓練に参加したということがございました。  以上でございます。
  182. 春田重昭

    春田委員 地域住民を巻き込んだ防災訓練は今回の北海道が初めてである、本格的な訓練は初めてである、こういう御答弁だろうと思います。  そこで、原発の緊急時における防災訓練につきましては、昭和五十五年六月に原子力安全委員会で出した「原子力発電所等周辺の防災対策について」、こういった指針があるわけでございますけれども、この指針の内容は、先ほど大臣から御答弁いただきましたように、防災の業務関係者を対象に訓練を行うように指導がされているわけでございます。しかし、諸外国では住民の避難計画を実施したり、さらにそういったいわゆる研究等が相当進んでいる、こういったことを伺っておるわけでございます。  大臣のただいまの御答弁では、科技庁としてはそう問題がない、こうおっしゃっておりますけれども、いろいろな新聞論調を拝見いたしますと、科技庁の御案内は従来の昭和五十五年の指針どおり防災関係者のみを対象とした訓練であって、地域住民を巻き込んだ避難計画といいますか、また防災訓練というものは、いたずらに原発の不安を助長するものであるといった感じで、余り好感を持っておられないみたいでございますが、住民の原発に対する信頼を得るためにも、この防災訓練というのは徹底的に行うべきでありますし、情報の公開とともに、この防災計画、訓練というものはやはり諸外国の例に倣って現実的な計画であり訓練でなければならない、こう私は思うわけでございますけれども、再度大臣の御答弁をいただきたい、こう思います。
  183. 村上健一

    村上政府委員 私の方から先にお答え申し上げます。  今先生指摘のとおり、原子力の防災訓練につきましては、昭和五十五年の原子力安全委員会が定めました「防災対策について」という指針に基づいて実施されておりまして、御指摘のとおり、原子力防災の特殊性及び一般防災との共通点に着目した上で、防災業務関係者を中心に、原子力防災特有の訓練、例えばモニタリングとか除染等を行うことが適切であるということで実施されているのは御案内のとおりでございます。  また、国際的にも世界各国で大がかりな住民参加を義務づけた防災訓練を実施している国はないやに聞いておりますし、また国際的なIAEA等の基準等でも、必ずしも住民の大規模な参加を義務づけた防災訓練は必要であるというふうにはなっていないものと承知しております。  しかしながら、具体的な防災訓練の実施方法につきましては、地域防災体制の整備状況など、それぞれの地域の実情に応じて、かつ地域防災計画に従って、実施主体である地方自治体の判断に基づいて防災訓練が行われているものと認識しておりまして、当庁としては、今後ともこうした地方自治体における防災訓練が充実されるよう指導方に努めてまいりたいと考えております。  また、防災訓練の実施主体である地方自治体が、防災業務関係者の訓練に加えまして住民参加の避難訓練を実施されるということであれば、当庁としては、住民参加の形態をとった訓練は、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、不可欠なものとは考えておりませんけれども、これに協力することはやぶさかでない、こういうふうに考えております。
  184. 春田重昭

    春田委員 ぜひともひとつ積極的な協力をしていただきたい、こう思っているわけでございますが、この防災指針なるものは、文書による指導でなくして口頭によって指導されているわけです ね。そういった面でも、やはりこの徹底方をするためにも文書でさらに徹底する必要があるだろうし、さらに、昭和五十五年にこの指針が出ているわけですね、特に原発につきましては最近とみに反対運動が高まっているわけでございますので、こういったいわゆる八年前のは相当見直す必要があるのではなかろうか、こういった考え方も持っているわけでございますけれども、その辺どうお考えになりますか。
  185. 村上健一

    村上政府委員 チェルノブイリ発電所の事故がありました後、原子力安全委員会では事故特を組織いたしましていろいろ検討をお願いし、事故特の答申の中には、既に対応はできておるけれども改めて心に銘ずべき事項ということで、幾つかの項目について御指摘をいただいておりますが、その一環として、私ども現在、安全委員会の方で指針の見直しを行っているところでございます。
  186. 春田重昭

    春田委員 それでは、第二点にお伺いしたいのは原子力安全委員会の問題でございます。  原子力安全委員会が発足して十年になります。この原子力安全委員会は、昭和五十三年の十月、原子力委員会と分離される形で、特に原子力安全規制を重点に置き設置されたことは御案内のとおりでございます。この十年の歴史を振り返るときに、原子力安全委員会の果たされた功績は非常に大きいと私は評価しているわけであります。しかし、十年の歳月を経て、原子力安全委員会のあるべき姿について種々論議が出されているわけでございます。  そこで、原子力安全委員会の監督官庁でございます科技庁の方にお伺いをしたいと思いますが、原子力行政、特に原子力発電に対する国民の意識がこの十年間大きく変化してきていることは、昨今の原発論議でも御存じのとおりでございます。ある新聞社の原発に対する世論調査が出ておりましたけれども、十年前、一九七八年の第一回調査では、原子力発電に対して賛成が五五%、反対が二三%であったそうでございます。そうして翌年の一九七九年の春、米国でスリーマイル島の原発事故が発生したわけでございます。その直後の調査では、賛成が五〇%であったそうでございます。まだ過半数は賛成の方があったわけでございます。そして、その年の一九七九年の末、第二次のオイルショックが起こった。そのときの調査では、賛成が実は六二%にはね上がった。その後の調査でも、何回か行っていますけれども、一九八六年、ソ連のチュルノブイル原発事故が起こった。その直後の調査では、賛成が一挙に三四%に減っているのですね。反対が四一%になり、反対が賛成を上回った。こういったいわゆる世論調査が出ているわけでございます。そして最近の、直近の調査では、さらに賛成が二九%、反対が四六%と、いわゆる反対の方々が賛成を大きく上回って、厳しい世論調査となってきているのでございます。時とともに国民の原発に対する意識は、ますます不安といいますか不信といいますか、危惧の流れになってきている。  こうした流れの中で、毎年一回原子力安全委員会原子力安全年報、白書なるものをまとめてお出しになっております。ところが、この白書を読みますと、こうした世論の厳しい声に対して、安全のみを強調する嫌いがあるのではなかろうかという批判が出ております。ことしの白書を見ても、安全が確保されたことを理解してほしいと訴えております。先ほど言っているとおり、私は原子力安全委員会のこの十年の歩みを振り返ったときに、相当安全の面に払った努力評価いたしますけれども原子力安全委員会原子力委員会と分離されて設置されたそういったいわゆる経過からして考えると、安全のみを強調するのはいささか迫力不足といいますか、そういったものを感ずるものでございますが、大臣の御見解を承りたいと思うわけでございます。
  187. 村上健一

    村上政府委員 安全委員会は安全面を強調し過ぎたりしているのではないかという御指摘だと思いますが、御案内のとおり安全委員会は、厳格な安全審査の実施、地元住民の方々の御意見審査に反映すべき公開ヒアリングの開催、それから安全審査をより客観的、合理的なものにするための基準、指針類の策定、常に最新の知見を踏まえ安全規制を実施するための安全研究の計画の推進など、安全規制のかなめの役を果たすとの認識のもとに、安全確保上重要なことは全面的に関与して地道に努めてこられたものというふうに認識しております。  先生指摘のとおり、特に本年顕著となりました原子力安全性に対する国民の不安、関心の高まりの背景には、一昨年のチェルノブイリ事故の影響があると考えますけれども、この事故の分析及び我が国原子力発電所安全確保対策へ反映すべき事項等についても、先ほど御説明申し上げましたとおり、特別委員会を設置して報告書をまとめ、公表してきたところでございます。原子力委員会から安全委員会が分かれてできました本来の趣旨から考えますと、安全委員会は安全の宣伝をするのが役目でないことは御案内のとおりでございまして、安全を確保するという実績によって国民の信頼を得ていくべきとの考えを発足以来堅持してきたところでございます。  なお、安全委員会の権限の一つに、関係行政庁に対して勧告を出すということがございまして、実は設置以来まだ一度もこの勧告を発動したことはございませんけれども、これはただいま申し上げましたような原子力安全委員会のいわゆる実績といいますか、にらみを実は行政庁が外しまして、安全委員会の勧告が出る前に、例えば昭和五十四年のTMI事故に際しての大飯原子力発電所一号炉の停止とか、昨年末の金具の脱落事故の際のような行政庁のみずからの勧告前の行為といいますのは、安全委員会実績といいますか、にらみの結果によって行われたものというふうに理解しております。しかしながら、先生の御指摘もございますので、必要な場合にはいつでも勧告等の手段を行使して、我が国原子力安全確保のために邁進されるものというふうに認識しております。
  188. 春田重昭

    春田委員 原子力委員会というのは原発の推進側でございますし、原子力安全委員会はむしろこうした推進論に対して厳しい提言といいますか苦言をするのがやはりその仕事といいますか使命であろう、私はこう思っておるわけでございます。現に年間五十数件の事故、トラブルが報告されているわけでございまして、そういった面から考えても、やはり原発推進にある意味ではブレーキをかけていくといいますか、厳しい規制をしていくのが原子力安全委員会立場でなかろうかと私は思っておるわけでございます。  今、局長おっしゃったように、原子力安全委員会は原発に対しまして関係行政機関に対して勧告することができることになっておりますけれども、原発が稼働されましてもうことしで二十五年になりますし、既に三十六基が稼働しているわけでございますが、過去一回も勧告がされてない。こういった点から考えて、本当に勧告するような問題がなかったかどうかという点でも疑問が起こるという声が出ているわけでございます。そういった点で、今後ともいわゆる安全委員会の本来の使命に立って、ひとつ厳しいそういったものをしなければならないんじゃなかろうかと思っているわけでございます。  そこで、御提案いたしますけれども原子力安全委員会は総理大臣の諮問機関となっているわけでございます。これでは十分な機能を発揮できない、そういった声もございますので、提出された資料やデータを独自でチェックできる体制、つまり権限を強化した行政委員会に改組すべきである、こういった意見もあるわけでございますけれども、これに対してはどういう御見解でしょうか。
  189. 村上健一

    村上政府委員 原子力安全委員会のあり方につきましては、先生案内のとおり内閣総理大臣のもとに開催されました懇談会でございます原子力行政懇談会において十分審議が尽くされ、その結果、諮問機関として行政庁から離れた立場安全審査等を行う方が客観的かつ中立的立場確保できるとの御判断がございまして、法律の改正をお願いいたしまして、政府としてもそれを尊重して法改正案を準備し、八十四回の通常国会において 成立を見たものでございます。  御質問の安全委員会を行政委員会とすることにつきましては、原子力安全委員会のみが行政機関として安全審査を行うよりも、行政庁が第一次的に審査を行って、それをさらにダブルチェックする方がより慎重かつ客観的に安全規制が行い得るのではないか、それから、発電施設、船舶の構成部分たる原子炉のみを抜き出して行政委員会安全規制をするということになった場合には、他の部分安全規制との有機的な、一体的な連携を欠くこととなるというようなことも考えられる次第でございます。  また、安全委員会は、他の通常の諮問委員会とやや異なっておりまして、みずから審議、決定を行う権能を許されておりまして、しかも、私どもは十分尊重委員会という名前をつけておるのでございますが、その結果につきましては内閣総理大臣初め関係行政機関の長は意見の尊重を十分に行う義務がございまして、その勧告権等を含めまして通常の諮問機関より強い権能を付与されでございます。また、専任の事務スタッフと原子炉安全専門審査会等を初めとする多数の専門家から成る調査、審議、助言機能も付与されておりまして、先生指摘の行政委員会ではないものの、他の諮問機関よりもより強力かつ充実した機関となっております。  そういった観点から、私どもとしては現在の安全委員会を行政委員会に変える必要はないものというふうに判断しております。
  190. 春田重昭

    春田委員 長官の率直な御意見をお伺いしたいと思うのですが、かつて、元総理の福田さんは行政委員会にすべきである、中曽根さんはこの諮問委員会でもいいのだ、こういうお考えがあったみたいでございますけれども、伊藤大臣としてはどのようにお考えになっていますか、率直な御意見をいただきたいと思います。
  191. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ただいま政府委員からお答えしたことは、その長として同意見でありますけれども、従来の経緯をいろいろ勉強いたしまして、また春田先生の御意見等も十分尊重して今後の検討課題としたいと思っております。
  192. 春田重昭

    春田委員 時間がなくなってまいりましたけれども、最後にもう一点、宇宙衛星の問題についてお伺いしたいと思います。  現在、宇宙空間には世界各国が打ち上げました衛星が約七千体、ロケットの爆破や衛星攻撃の実験による破片等を加えれば数万個に達すると言われております。特に米ソ両国で行われている実験による破片は上空数百キロメートルから数千キロの低高度空域にあり、非常に危険である、こういった声もあるわけでございます。しかも、ある雑誌によりますと、こういった破片等は十年間で四倍にふえるのではなかろうかというふうに指摘する声もございます。  将来もかんがみて、この国際化に対して科技庁としてはその予防策を訴える必要があるのではなかろうかと考えますが、科技庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  193. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 ただいま先生指摘のとおり、宇宙空間には現在レーダーでアメリカが追跡をしておるものだけで約七千二百個の衛星ロケットの破片等が存在をするということでございます。それで、こういったことを宇宙汚染という言葉で雑誌等では表現をされておりまして、今後の宇宙開発に当たって非常に大事な問題であると御指摘をいただいておるわけでございますが、現時点に立ちまして評価をいたしますと、これらのものにつきましては、大気圏に落ちますときにはほぼ燃え尽きるであろう、そういった意味で地上に悪影響を及ぼす可能性は非常に少ないというふうに理解をいたしておるわけでございます。  宇宙活動という点から見てみますと、こういったものが通常、ロケットの打ち上げの際に衝突をするという可能性は、全体の数、それから宇宙空間は大変広うございますので、そういった意味から非常に小さいとは思っておりますけれども、現在計画中の宇宙ステーションの場合には、これ自体が非常に大きいものでございますし、終始地球の周りを回っておるということもございまして、こういったものに当たる可能性もないわけではない。しかも、人間が乗っておるということもございまして、宇宙ステーションの設計に当たりましては、大きな宇宙のごみといいましょうか、そういったものにつきましては、近づいてきたときに避けることを考えておる。それから非常に小さいものにつきましては、バンパーのようなものをつけまして、衝突をしても差し支えがないようなことを考えておりまして、そういう意味での設計の対策を考えておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、今の時点におきましてはそういった宇宙活動に直接支障があるということではございませんけれども、非常に長い目で見ますとやはり将来、問題を投げかけるおそれもございますので、我々といたしましては、欧米や国際連合等におきます本件の問題につきます取り組みの動向も見ながら、適切に対処をしていきたいというふうに思っております。
  194. 春田重昭

    春田委員 最後になりますけれども、原子炉衛星について若干お伺いしたいと思います。  この原子炉衛星、過去、コスモス954の金属破片がカナダに落下いたしました。その破片から放射能が検出されているということで大変な問題になりました。最近になりますと、十月の四日、五日前後でございますか、コスモス一九〇〇が落下するのではなかろうかということで、世界的に大きな問題になったわけでございますが、最近の原子炉衛星というのは、他の部分と切り離しまして、他の部分は大気圏に突入して燃え尽きてしまうということが言われておりますけれども、本体そのものは耐熱構造のために爆発するおそれがあるのではないか、それによって放射能が拡散する懸念が全くないと言えないのではないか。また、この原子炉衛星が高い高度の打ち上げに失敗すると、例えばこの原子炉が地上に落ちてくる懸念もある、こういった指摘もあるわけでございます。  そこで、一原子炉本体の回収が、きちっと安全に回収といいますかそういった技術がまだ確立されていないわけですね。そういった面で我が国としては、国連等の国際機関を通しまして原子炉衛星の打ち上げにつきましては禁止を他の国に先駆けて呼びかける必要もあるのではないか、私はこう思っておりますけれども、科技庁の御見解をお伺いしたいと思います。
  195. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 御指摘のとおり、原子炉衛星の問題につきましては、昭和五十三年にコスモス954がカナダに落下しましたときから各国の関心を大変呼んでおるところでございまして、その際、我が国におきましても大変厳しい議論がございまして、国会の決議などもいただいておるところでございます。それを受けまして、私どもとしましては、国際連合に宇宙空間平和利用委員会というものがございますので、その場におきまして、原子炉衛星の安全確保について国際的規制を行うべきであるといった趣旨の、そういった意味での検討をやるべきだということを、私ども、衛星が落ちましたカナダとか環境問題に関心を持っておりますスウェーデンといった国と一緒に歩調を合わせながら努力しておるところでございます。  現時点におきましても、その宇宙空間平和利用委員会でいろいろな議論がされておるわけでございますが、残念ながら、そういった原子炉衛星を使いたいという非常に強い意思の国があるということもございまして、合意に至ってないというのが実情でございますが、今後ともそういった場を通じまして、原子炉衛星の打ち上げの規制につきまして合意を得べく努力させていただきたいと思っております。
  196. 春田重昭

    春田委員 同じ問題につきまして、大臣の御決意をいただきたいと思います。
  197. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 今、政府委員から答えたわけでございますけれども、重大な問題でございますし、国際社会における日本立場からも、今後国際連合に対して強く働きかけていくという政府委員の答弁を私ども支持したいと思います。
  198. 春田重昭

    春田委員 終わります。
  199. 粟山明

    粟山委員長代理 続いて、貝沼次郎君。
  200. 貝沼次郎

    貝沼委員 初めに大臣にお伺いいたします。  このたび、米国におきましてはブッシュ新大統領が決定いたしました。来年一月に引き継ぐということでございますが、アメリカにおいては国際競争力のかなめとして科学技術政策がますます重みを増すというような報道がされております。特にNSF、全米科学技術財団でありますが、この予算なども非常にふやしていく、倍増計画をしていくというふうに報道されております。したがいまして、同じ先進国同士、しかも今まで科学技術技術移転その他の問題でいつも摩擦がありました日本と米国の間で、やはり問題は真剣に考えなければならないと思います。我が国も当然、科学技術立国として立たなければなりません。そういう観点から、ブッシュ新大統領の科学技術政策を我が国としてはどういうふうに受けとめておられるのか。また、我が国と米国との間で問題となっておる知的所有権問題などを今後どういうふうに考えようとしておるのか。そしてまた、新しい大統領に対する科学技術政策上の観点から、期待あるいは要望などがあったらここで述べていただきたいと思います。
  201. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ブッシュ新政権が間もなく発足するわけでございますけれども、これからの政権構想につきましてまだ明確にもなっておりませんので、正確に私が申し上げる段階ではないと思いますけれども、ただ、大分前でございますが、五月の連休に日米科学技術の協議のために私がアメリカに伺ったときに、何人かの関係者にお会いしたときには、ブッシュになってもそれほどレーガン時代とは変わらないだろうという基本的な情報を得ております。ただ、今先生指摘のとおり、科学技術面において相当力を尽くすだろうというその後の情報もあります。また、御指摘のとおり、我が日本も科学技術で立国する以外には進むべき道はありません。一本道であります。そういう両国の関係、さらに、言われておりますところの科学技術摩擦、貿易摩擦の後は科学技術摩擦ということもあります。そういういろいろ厳しい問題もございますけれども日本としてはやはり日米で科学技術面においてもこれからの協力の大きな柱にしなくちゃならぬ、基本の柱にしなくちゃいけないという認識は先生同様私は持っておりますので、そういう方向を踏まえながら、これからブッシュ政権の動向、その政策展開を慎重に見守って、それとの提携を図ってまいる方向に進めてまいりたいと考えております。  また、知的所有権の問題につきましては、これまた先生方に御協力いただきました新しい日米科学技術協力協定において大筋の決着を見ておりますけれども、今後ケース・バイ・ケースで協議をするという若干の余地も残されておるわけでございます。この知的所有権というのは、今後経済のハイテク化という方向で進んでいるわけですから、その方向の中で知的所有権の保護というのは今までより以上に一層重要性が増してくるわけでございまして、権利の保護と公開の接点を求めながら、両者のバランスをとりながら配慮していくということで、知的所有権の問題については対処をしてまいりたいと思っております。  新しい政権についてのいろいろの期待を我々は持つわけでございますけれども、先ほど私も触れました新しい科学技術協定が本年の六月に締結をされ、先生承知でございましょうけれども、十月にはその協定に基づいた第一回目の高級閣僚委員会を開きまして、私も三日間議長として出席をいたしました。非常に友好裏に会議が進められまして、今後の協力の方向づけがなされました。新大統領におきましてはぜひこの方向を守っていただいて、日米両国相まって、科学技術政策を中心として国際社会に貢献するという協力体制を固めていきたい、このように考えております。
  202. 貝沼次郎

    貝沼委員 今までのことはわかりましたが、今度は、そういう状況を踏まえまして、今後大臣は、米国大統領府になるのかわかりませんが、米国側と何らかの行動あるいはいろいろな場を通じての話し合い、そういうようなことをする計画、日程等が考えられておるかどうか、この点をお伺いいたします。
  203. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生のお話、私は全くそのとおりでございまして、私としてもそういう意欲は持ってないわけではございませんけれども、今のところ具体的な日程その他はございません。  ただ、今御披露申し上げました日米科学技術協定に基づく高級委員会に基づいての諮問委員会を、先般の科学技術会議のときに、アメリカ側はぜひひとつ年内にやってほしいということで我が方もそれに協力する体制をとっておりましたけれども、両国間の日程が決まりませんで、ことしは無理だということで来年の一月に開くということです。そうなりますと、そろそろ新しい政権もできようとしているころだと思いますので、その場で日米間の科学技術協力関係が新しい段階で始まるように、そういう段取りを進めてまいりたいと思っております。
  204. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、これに関してもう一点だけ感想をお聞きしたいと思うのですけれども、NSF、全米科学技術財団に対して倍増の予算がつくということは、大変力が入ったという証拠ですね。そしてさらに、知的所有権の問題で摩擦があることは、先ほど大臣が御答弁になったとおりだと思います。しかし、アメリカの場合は軍事が絡んでおりますので、非常に難しい問題がある。そういたしますと、私ども民生の技術を高めていく日本の科学技術立国の方向からいきますと、やはり日本の国に多くの研究者なりそういう人材が来て日本研究してもらって、そして、属地主義にいたしましても日本の国における例えば知的所有権の確保ということが即オープンになりますので、平和のためには大変必要ではないか、そのためには日本国としてもその方面の予算の獲得にもっと力を入れるべきではないかと私は考えるわけでありますが、いかがでございますか。
  205. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 全くそのとおりでございまして、この間もアメリカの財団の総裁が来まして、私も会食を含めまして何度か会議を持ちましたけれども、今、日本の方からその財団を通じましてアメリカの若い学者にできるだけ多く来ていただくようにお願いをし、またその作業を向こうで進めていただいております。人数もそのうちまとまると思いますけれども、その中で支障になるのは、来ていただいた方の住宅の問題、それから日本語を早く習熟させる、そういう面での配慮が足りませんとどうしても外国人の学者に来てもらうわけにまいりませんので、住宅、日本語の問題を保証するような予算を、今も大分獲得させていただいておりますけれども、ひとつ来年度は十分とりまして、大手を振って御招聘できるようなそういう予算面、施設面の拡充を図っていかなければならないと考えておりますので、どうかこの上ともの御協力、御支援をお願いしたいと思います。
  206. 貝沼次郎

    貝沼委員 私としては日本にもそういうNSFみたいなものをつくった方がいいという主張はありますが、どうせすれ違いになりますから、これはきょうはお尋ねいたしません。  では、次の問題といたしまして、核燃料、ウランが南アフリカのナミビアから購入されていたことが先般来問題になっておりました。その後どのようになったのかという点、またこの南アフリカからの輸入行為をどういうふうに判断されておるかということですね。そして、これをやめることになりますと、輸入先は今後どちらの方に、どういうふうに対応されようとなさっておるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  207. 大宮正

    ○大宮説明員 まず、ただいま先生から御質問のありました南アフリカのナミビアからの問題でございますが、我が国電力会社がナミビア領域内の鉱山会社とウランの購入契約を結び、ナミビア産のウランを買っておる、こういう事実はまずございません。  それで、御指摘の問題点は、我が国電力会社がイギリスのリオ・ティント・ジンク、RTZと言っておりますけれども、こちらから購入しているウランにナミビア産のウランが含まれているのではないかというのは若干新聞、ラジオ等でも報道されておりますが、この購入契約はいわゆる UF6炉といいますか、こういう格好でイギリスのRTZ社との間で契約をしておりまして、契約上各電力会社とも原産国を知り得ない、こういう状況にございます。  なお、そういう状況下で我が国電力会社は、今後ウランの購入契約を締結する場合には、ウラン原産国がナミビア以外であることが明らかな契約をするという方針である、こういうふうに承知しております。  それから、ただいま先生からお話がありました、もし今後新規にやらない場合どうなるのかということでございますが、ウランにつきましては輸入割り当てになっておりますけれども、まだこれは先の問題でございまして、私どもとして具体的にどうするかということは、これはむしろ各社のその後の契約がどうなるかという問題になってくると思います。
  208. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、次の問題に移ります。  きょうは原子力の話が多いですから原子力の話をさせてもらいたいと思います。かなりいろいろな角度から議論がありまして、一般の方から見ますと混乱している面もないとは言えません。  そこで、端的にお尋ねいたしますが、原子力発電というのは本来安全なものなんでしょうか、それともそうでないものなんでしょうか。
  209. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  原子力発電に限らず、原子力そのものについて潜在的な危険性があるかどうかということでお答えしたいと思いますが、御案内のとおり、原子力施設にはいずれの場合もその中に放射性物質を内蔵しておるという特徴がございます。例えば、百万キロワットの原子力発電所がある一定レベル運転を続けまして飽和いたしますと、大体大ざっぱに百億キュリーの放射能が中に入っておることになります。それから、大型の再処理施設が定常運転する場合には、けた数でいきますと大体十億キュリーの放射能がございます。それから、ウラン濃縮工場みたいな、私どもは放射能的には活性化されてないという言い方をしますが、そういうものは非常にけた数も少ないわけでございますが、やはり放射能がございます。それから、燃料が運搬される場合も、当然でございますが、放射能を含む物質が動いておりまして、それぞれの段階でございますが、その放射性物質を内蔵しているという意味においては潜在的に危険なものであるというふうに認識しております。  ただ、この潜在的な危険性をどういうふうに御して活用するかというところが原子力の利用を安全に行うというポイントでございまして、安全対策としては、平常時においては内蔵する放射性物質を封じ込めようとするような多重な障壁を設けて行う等諸種の措置をとっているわけでございますが、繰り返しになりますが、潜的在に放射性物質を内蔵するという意味では危険なものだというふうに認識しております。
  210. 貝沼次郎

    貝沼委員 潜在的には危険性がある、それを御していかにして活用するか、そこに封じ込めをして活用していくところに技術がある、安全性の問題があるということだと思いますが、封じ込めるというのは、私は技術的には、例えばある場合にとめる、あるいは冷やす、あるいは封じ込めるというようなことにざっと分かれるのではないかと思いますけれども、これは大ざっぱなところで、そういう面で我が国技術はまずほとんど完全であるという認識ですか、それともまだまだちょっと問題があるという認識ですか。
  211. 村上健一

    村上政府委員 いろいろな物の見方があろうかと思いますけれども、特に原子力発電所技術に関しましては、信頼性を含めまして世界で一級の技術に到達しているものというふうに認識しております。
  212. 貝沼次郎

    貝沼委員 それは一級の技術だと私は思っていますけれども、ただ、さっき言ったように、大体これで完全に近いぐらい安全性について高い技術日本は持っておると思うのか、まだまだこれから研究しなければならぬ部分がたくさんあるという感覚が、その辺のところをちょっと……。
  213. 村上健一

    村上政府委員 お答えします。  これからも不断の努力を続ける必要があると思っております。
  214. 貝沼次郎

    貝沼委員 先ほど同僚議員からも話がありましたけれども、官庁とか電力会社とかからは、とかく安全である、大丈夫です、大丈夫ですという言葉が出てくる。だから、危ないからあれほど一生懸命言うのではないかという議論があるわけですね。ですから、ただいまのように率直に、これはまだまだ研究していかなければならない部分がたくさんあるんだということや、現在ここまで大丈夫、なんだということ、この辺のところはやはりよく言っていかないと私はわからないと思います。  そこで、原子力発電を判断するのは、いろいろな技術的な問題がありますので素人では難しい。そこで六つの条件を私は考えてみました。  一つは、人間の過失に耐え得るものでなければならない。これからどういう人間がオペレーターになるかは知りません。過失があっても事故は起こらない、事故というのはいろいろな意味があると思いますが、要するにそういうものに耐えるものでなければならない。二番目は、いかなる状況下においても、住民、環境を脅かす放射能を放出してはならない。放出しないということですね。三番目としては、信頼性は複雑な技術的対応で確認されるよりも、単純な法則に基づく方がよい。何かすとんと落っこちるとか、そういうことです。四番目、異常事態に際して、それ自体で自然に停止しなければならない。五番目は、冷却材の喪失があっても、炉の溶融があってはならない。六番目、いかなる化学爆発や火災もない。こういう六つの条件を私は考えてみました。  現在、日本原子力発電所はたくさんあります。いろいろな型のがありますが、この六つの条件を発電所は満たしておりますか。
  215. 村上健一

    村上政府委員 お答えします。  御案内のとおり、我が国原子力発電所安全性につきましては、従来から多重防護の考え方に基づきまして、念には念を入れた対策が講じられているところでございます。この考え方は、そもそも事故の原因となる故障や誤操作を起こさせない、たとえ故障や誤操作があったとしても事故へ発展させない、仮に事故に至ったとしても周辺環境に影響を及ぼすような放射性物質の放出がないよう措置をするという、三段階にわたっての防護をするという簡明な考え方に基づいておるわけでございます。このような安全確保考え方は、先生が今御指摘になりました六。つの考え方と基本的には同じ立場であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、現状に甘んじるところなく、今後とも不断の努力を続けていくことが重要であると考えておりまして、今後ともむ安全性の一層の向上努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  216. 貝沼次郎

    貝沼委員 発電所としては満足していますか。
  217. 村上健一

    村上政府委員 満足していると思っております。
  218. 貝沼次郎

    貝沼委員 発電所としては満足しておる。そうすると、発電所をこれから議論するときは、この物差しでそうなってない場合はどうかという議論になるわけですよ。初めから言っておきますから。  それから、では発電所ではなく発電炉、発電機といいますか、そこまではっきり言えば発電炉、その範囲では、例えばこの六つの条件は満たされておりますか。ではもうちょっとはっきり言うと、例えば加圧水型では満たされておりますか。
  219. 村上健一

    村上政府委員 お答えします。  満たされておるものと考えております。
  220. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうですか、満たされていますか。では聞きますよ。  例えば加圧水型で、一番は人間の過失に耐え得るものでなければならないとなっておりますが、人間に過失があっても、変な人間が途中おかしくなっても加圧水型は大丈夫だということですか。
  221. 村上健一

    村上政府委員 ちょっと先生の御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、ミスを犯しても対応できる方策がとられているという意味での加圧水型炉という意味では、満足されていると思っております。
  222. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、私は初めから二つに分け ているのです。発電所というのは敷地も入っての話です。これ全体としては、あなたがおっしゃるように多重防護の考え方でもうちゃんと手当てしておりますということなのですね。それなら今度はもうちょっと小さくして、炉そのものはどうですか、こういうことを今お尋ねしておるわけです。炉そのものでこの六つの条件は満たしますか。加圧水型あるいは沸騰水型、いろいろありますけれども日本にある原子力発電所の炉は、それはこの条件を満たしますかということをお尋ねしております。
  223. 村上健一

    村上政府委員 先生の御指摘のような意味合いにおきましては満たしていないと思っております。
  224. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうなんですね。ですからそこをきちっとして説明をしないとこんがらかってくると私は思います。  それからもう一つは、先ほどから事故という言葉が出ましたので、その事故の定義をちょっと聞いておきたいと思いますが、どういう意味で事故という言葉を使っておられますか。
  225. 村上健一

    村上政府委員 事故の定義はなかなか難しゅうございまして、国際的にもこれといった定義があるわけではございませんが、我々の使っております事故は、予想しておらなかった事態が生じた場合、すなわち、程度問題はいろいろあろうかと思いますが、予想していなかった事態が発生した場合を故障、トラブル、ふぐあい、いろいろ言っておりますが、それのかなり厳しいところを事故というふうに言うことに使っております。
  226. 貝沼次郎

    貝沼委員 ああそうですか。それはちょっと雑過ぎるのじゃありませんか。予想しないといったって何を予想しておったのかわかりませんが、とにかくそれははっきりしておかないといけませんね。事故というのは、僕は随分長いことこの原子力の話を聞いてきましたけれども、例えばその敷地内から、区域内から外に何らかの影響があったとか人体に影響があったとかという場合が事故であって、中のはトラブルだとかいろいろ言われてきましたよ。あるいは電力会社から見れば、一定の電力をきちっと出しておることができない、とまる、それは電力を出すという意味で事故なんですよ。ですから、今みたいな答弁で事故の定義をされたら、もう新聞で事故という字をどういうふうに使おうか、これはわからないですよ。もうちょっと正確に事故の定義をしておいてくれませんか。――では、それは見つかったら後で答弁のとき言ってください、時間がありませんから。  そういうぐあいに一つ一つやっていきますと、今までのはここまで、そういう限度というものをみんなに知ってもらって、だからここは努力しておるのですというようなことをはっきり示していかないといけないということなのです。それをやらないから資料が提出され、いろいろな議論が出てくるということを申し上げたいわけでございます。  したがって、こういう六つの条件を今満たすと言われておる原子炉もあるわけでしょう。例えば、先般西ドイツからソ連が購入しようと調印までした原子炉、これは高温ガス炉でしょう。日本の原研でも高温ガス炉をやっていますね。私たちがアメリカへ行っていろいろ視察をしてきたのも高温ガス炉でした。したがって、高温ガス炉などは炉自体がこの六つの条件を満たしておるのじゃありませんか、どうなんですか。
  227. 平野拓也

    平野政府委員 お答え申し上げます。  高温ガス炉は、先生案内のとおり一次冷却材にヘリウムガスを使うというようなことで、これは非常に化学的に不活性なガスでございますから放射化がされにくいとか、あるいは燃料にいたしましても、通常仁丹燃料などと言っておりますけれども、セラミックスの非常に核分裂の生成物の保持能力が高い燃料を使うというようなこと、それから炉心等に使います黒鉛につきましても非常に高い熱容量等を持っておるというようなことで、いわゆる固有の安全性というものが非常に高いものであるというふうに承知しております。
  228. 貝沼次郎

    貝沼委員 したがって、その炉の型によっていろいろと特徴があるわけです。それらをよく説明しないと、ただ原子力発電の安全といったら、何か炉が一つしかないみたいな議論が往々にしてある。したがって、その辺をもっともっと一般の方々にわかるようにひとつ説明を考えていただきたいと私は思います。私は何も原子力賛成論者とか反対論者、そんなことを言っておるのじゃない。これはもう冷静な立場できちっと現実をわきまえて議論はしなくちゃいかぬということを今申し上げたいわけでございます。  それと似たような問題で、定性論と定量論というのがございます。例えばどこどこでは何十倍出たとか、一体何の何十倍か、もとは全然わからないとか、あるいはそれはどれだけの量ですかと言うとわからないとか、いろいろそういう定性論と定量論とがごちゃごちゃになっているときがあります。  例えば、私は原子燃料公社におった当時、山を歩きまして、そしてガイガーでいろいろはかりましたけれども、ある場所に行くとガーと放射能が出る場所があります。ああウランだなと喜ぶと、そうじゃないのですね。これは昔鉄をとった、いわばそのかす、鉱滓というのですか、こういうものがありますと、ラドンか何かの関係で物すごく出てくる。あるいは花崗岩が出ているとわあっと出てくるとか、そういうところがあります。しかし、これは何がどれだけあるかという議論によって余り問題になりません。それから、ガイガー計数器の例えば調整をするときに、テストピースというのを使うのですけれども、それを持たないようなときは夜光塗料の時計でもって大体やるわけですね、自分ではかっておいて。だから、夜光塗料をはかりますとそれは物すごく放射能が出ております。  そういうようなことがありますので、何から出た放射能であり、それはどういう放射能であって、そして量はどれぐらいあるのかというようなことをきちんとわきまえて議論しないとわからないのではないか、私はこういうふうに思って今お尋ねしておるわけですが、この考え方についていかがですか。
  229. 平野拓也

    平野政府委員 仰せのように、一般に原子力の問題を議論いたしますときに、定性的な問題だけで議論いたしますと非常に誤解を招くというのはそのとおりでございます。殊に最近いろいろ原子力に批判的な方々のお話の中には、非常に定性的な物の言い方だけで、量というものを余り考えないで議論していらっしやるというようなことで、それが一般の不安を非常にかき立ててきているというふうな事実もございます。  私どもは従来から、できるだけ定性的だけじゃなくて定量的な数値等も御説明しておるわけでございますけれども、何分非常に高度な技術的な内容も含むものでございますので、非常におわかりにくいというようなことがございます。こういうことにつきましては、私どもも常にわかりやすい説明ということを十分念頭に置きまして、わかりやすい例えを使うとかいったようなことも含めて今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  230. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで一つ例を、例と言ったらなんですが、ラドンの問題をちょっと取り上げたいと思います。  病院で放射性物質を扱う、治療に使う、同位元素ですね、そういうのを扱っているときは病院の中の放射線量は少ない、そして仕事が終わって帰って、夜中になると放射線量は上がる、そういう事実があるのですね。何でそんなことになるのか。使っているときは上がらない、そうして後ではかってみると、戸を閉めたためにラドンがふえるのですね、その線量の増加がある。したがって、こういうふうに密封しておりますと、今はラドンはかなり上がっているはずですね。ですから、このラドンの出す放射線による影響、こういうものが今国連の方でも問題になってきておりますね。非常に微量ではあるけれども問題になってきておる。しかも、詳しいことは一々申し上げませんが、このラドンの娘核種の方が大変悪いことをすると いうようなことでございます。  ラドンが例えば土地自体から来る、あるいはこのコンクリートとかそれから水道の水ですね、そういうようなことがありまして、スウェーデンとかフィンランドなどは、家屋と室外と比べると家屋の方が五百倍も高いとか、あるいは英国、米国でもそういうような、むしろ家の中の方が高い。それから明礬頁岩を入れたコンクリートでつくった家なんというのは随分と高い。それから、こういう先進国の家と例えば南方の家と比べると、先進国の方が高い。南方の方は戸をあけておりますので割といいというようなことであっても、ラドンのことがコンクリートあるいは建材等で問題になりつつある。  さらに今度は、ついでに放射線の話をいたしますと、宇宙線によるものがありますので、我々この地上におる人間よりは、例えばパイロットあるいはスチュワーデスというものが常時上におりますので、これは地上よりもどんと高い線量を浴びるわけでありますので、この辺がまた、長い時間ですから問題が出てくる。直接ラドンとは関係ありませんけれども、そういうこと。それから例えば石こうの問題とか、いろいろなところにあるわけでございます。  そこで、例えばラドンそのものはプロパンガスなんかと同じように空気よりも重いですね、大体七・五倍ぐらい空気よりも重いですね。したがって、ラドンというのは上に行かない。そして、七分ぐらいじゃあっとシャワーを浴びますと、たちまちラドンの量がずっと上がってまいりまして、三十七倍ぐらい上がってきますね、定性論でいきますと。そうしてその放射線が当たるというようなことで、この対策はまず、時々そういうものに当たる人はいいけれども、ただ職業として、例えばラドン温泉に勤めておる人たちがどうとかということになりますと、常時そういう多いところにおらなければなりませんので、この辺の対策も実は考えていかなくてはならないところだと思っておるのですけれども、その辺については研究されてその結果どうなっていますか。
  231. 平野拓也

    平野政府委員 ラドンの問題でございます。先生仰せのように、最近国際的にも非常に関心が高うございます。私どもといたしましても、これにつきまして現在研究計画を立てまして、関係研究機関におきまして研究を続けているところでございます。  具体的に申し上げますと、例えば放射線医学総合研究所におきましては、全国の一般の住宅、居住環境の中のラドンの濃度の調査を行っております。それから厚生省の公衆衛生院でございますが、ここでも一般の住宅空間におけるラドンの濃度、あるいはそれを空調方式を変えるとどうかとか、あるいは温度、湿度等の関係はどうかといったようなことの研究を行っております。さらに建設省の建築研究所におきましては、各種の建材のラドンの放出率とかラドンの透過率の調査研究を行っておる。それから日本原子力研究所におきましてもやはりラドンの研究を行っておりまして、実験家屋を用いまして、ラドンが家の中で一体どういうふうに動くかというようなことを行っております。それから動燃事業団におきましては、ウランの鉱山跡からのラドンの周辺影響を把握するためにそういう調査を行っているといったように多方面にわたって研究を行っておりますけれども、まだ研究の途上でございまして、日本人が一体どれくらい年間ラドンによる被曝をするかといったようなことの結論はまだ出ておらないという現状でございます。
  232. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、結局は換気することなんですね。省エネでもって余り空気を入れかえない方が得だという発想がありまして、換気に力が入らなかった。そうするとどっとふえたのですね。そして今度は、換気すると温度が下がるわけですね。その辺の問題があるのです。早い話が換気扇なんです。換気扇を回しますとどっと下がるわけですね。ところが、日本の換気扇の場所なんです。大抵上についている。だが、これは空気より七・五倍くらい重たい。ですから、換気扇を上につける発想、何でもガスは軽いんだという考え方はやめて下の方へ換気扇をつけるわけですね。そうすればすぐ抜けるわけですよ。こういうことはやはり建設省の方で、さっき空調の何とかと言いましたけれども、方式を変えるというのは下の方で引くというようなことも入っているのですか、どうなんですか。  例えばトイレだって、あれはガスで空気よりも軽いのはアンモニアぐらいのものであって、あとにおうのは皆重たいのです。それをわざわざ上の方に換気扇をつけて上に引っ張り上げて、そして入っていくわけですね。だから入るときは換気扇を消してから入った方が正しいのですね。まあそれはいいですけれども。  とにかく、去年は居住年ですか、そういうふうに住居の換気の仕方、特に換気扇の場所は上じゃなく下の方、そういうようなことも考えに入れなければならない、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  233. 鈴木俊夫

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  ラドンの分布につきましては、先ほど来お話ございますように、まだ室内でどういう分布になっておるか、かなり微量で拡散されているのではないかと考えておりますが、換気そのものにつきましても、通常の日本の室内の換気を行っておりますと、既往の研究報告では、大体一立方メートル当たり十三から七十ベクレルぐらいというふうな数字を聞いております。そういう点からは、現在通常の換気が行われておりますれば余り問題はないというふうに考えておるわけでございます。換気効率の上からは部屋の上方からの排気が従来非常に有効というふうに考えておったわけでございますが、ただ、今御指摘のように、これからの関係方面の調査研究を待ちまして、室内でラドンがどういうふうに濃度分布しておるのかということも含めまして今後の研究成果に注目してまいりたいと思っております。
  234. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから今度は文部省の方に、これも注文みたいで大変恐縮なのですけれども、今原子力に関する議論が随分行われておりますが、それならば放射線量をはかったことのある人、こういう体験のある人はどれだけおるのか。例えば物の重さとかそういうものは全部自分で体験しておりますけれども、放射線は見えない、色もない、においもない。そういうものをどうやって体験するかというと、はかってみるしかないわけですね。それが今の学校で行われておるのか、義務教育で一回でもはかったことがあるのかということが実感を持つか持たないかの大事な点ではないか、こう思います。したがって、そう高いものじゃありませんし、はかるぐらいのことは簡単なことですから、そういう実験もできるような一つの体制といいますか、そういうことを文部省でもお考えになったらいかがか、こう思いますが、どうでしょうか。
  235. 森正直

    ○森説明員 御説明申し上げます。  今先生おっしゃいましたように、学校教育におきましてそこら辺のところがどういうふうになっているかと申しますと、まず中学校、高等学校段階で放射能に関する教育をいたしておりまして、社会科では原子力利用ですとか原発に関する知識について学ばせているわけでございますが、今おっしゃいましたガイガーカウンターですとか、そういったたぐいのことにつきましては理科教育の方で対応いたしております。高等学校で全生徒に必修になっております理科Iという科目がございますが、その中で理論的な面はもちろん教える、それから中学校の理科、これももちろん必修でございますが、エネルギーと人間生活とのかかわりというところで原子力利用について学ばせるというふうにいたしております。ただ、生徒の発達段階がございますので、物理的性格等、例えばアルファ線、ベータ線、ガンマ線ですとか、そういったこと等につきましては高等学校の理科Iにおいて履修させております。  そこで、設備に関してでございますけれども、理科教育振興法というのがございまして、それに基づいて中学校、高等学校の理科設備の基準とい うものを文部省令で定めておりまして、そこでお話しのガイガーカウンターですとかあるいは霧箱といったものを備えるように、もちろん体験的に学ばせるようにということをいたしております。ですから、実際の数値は調べておりませんけれども、高等学校段階の理科I段階では生徒たちにこれを全部体験させるというような状況にはなっております。
  236. 貝沼次郎

    貝沼委員 やはり義務教育でやらなければいけませんね。そんな恐ろしいことじゃないのですから、その辺のテストピースでシャ’とやって、放射能は大体これくらいのものだ、例えば夜光塗料のついた時計だと大体これくらいのものだ、テレビからはどれくらい出ておるとか、そういうのをちゃんと実感で持つことが私は大事ではないか、こう思っておるわけでございます。  それから、同じようなことですが、食品の汚染問題が先般来ございました。厚生省はこれをずっとヨーロッパから来るものを測定したりやってまいりまして、先般発表いたしまして、そしてこの体制をこれからどうするか、また一年間延期しましょう、こういうことになりましたわ。それは、私、結構だと思います。半減期の長いものが多いですからそれはそれで結構だと思いますが、ただ、一年とか二年とかただくっつけていくようなものではない。やはり半減期が長いということは、ある期間思い切ってこれをやっていくという体制をつくらないと国民は納得しないと思いますので、これを一年二年くっつけていくのではなしに、それをずっと続けるという方向に変える気はないかどうか、そこをお尋ねしたい。
  237. 松田朗

    ○松田説明員 お答えいたします。  チェルノブイリの原子力発電所事故につきましては、一昨年四月下旬発生したわけでございますが、それ以降検疫所あるいは国立衛生試験所等において検査をいたしまして、我が国で決めました三百七十ベクレル以上のものについては対処してまいったわけでございます。御指摘のように、それ以下のものにつきましても先般データを公表したところでございますが、そういう過去約二年間余りのデータを専門の先生方に検討していただきまして、大丈夫ではあろうけれどもしかし引き続きやっていきましょうということで、今月十一月から一年間今までと同じような体制でやることになったわけでございます。  御指摘のように、これを恒常的にすべきでないかということにつきまして、私どもとしてはやはり現在専門家から成る検討会を持っておりますので、その直前の期限が来るまでに集積されましたデータを勘案しながら、現在の暫定基準値でいいかどうかというものも勘案しながら、それから検査体制も含めまして御意見を聞いて、検査体制をしきたいと思っております。したがいまして、いずれにしても国が定めましたその三百七十ベクレルという基準値を超える食品が輸入されないように、必要に応じて検査の継続を実施するという建前でいきたいと思っております。
  238. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がもうほとんどありませんので、あと三分ぐらいありますか、まとめてお伺いいたします。これは大したことではございません。  一つは、原賠法の問題でございます。報道によりますと、中身の改正が行われるやに聞いておりますけれども、これがどういうふうになるのか、それを簡単にお願いしたいということが一点。  それからもう一点は、国際交流関係でお尋ねいたしますが、例えばソ連でああいう問題が起こっても地球全体が問題になる、どこの場所で起こっても地球規模の問題になるというようなことを考えますと、原子力発電を持っておる国の総理大臣とかそういう方々がやはり責任を持たなければなりません。そのためにはそういう方々が集まって、俗に言えば原子力サミットみたいなものをやるべきではないか、そしていろいろな情報交換をすべきではないか、こういうふうに私は考えておりますので、これについて果たしてどう考えるかということを大臣から答弁いただきたい。  それからもう一点、膨大な部品で組み立てられております原子力発電所でありますからその部品の管理体制は大変だと思います。しかも原子力発電のために得たそのノーハウ、技術、こういうものもまた膨大なものがございます。そこで、これを他の分野、産業の分野にそのノーハウを利用するということはどんどんやられてはおると思いますけれども、さらにデータベースを完備してその技術移転がスムーズに行われるようにすることが大事ではないか。しかもそれは、日本国内は当然といたしまして、アジアの国々がそのデータベースを利用できるようなことは考えないかどうか。この二点だけお願いいたします。
  239. 平野拓也

    平野政府委員 まず最初原子力の損害賠償制度でございますが、この制度は昭和三十六年に法律が制定されまして、その際に、内外の諸情勢の変化等に対応するという観点から、おおむね十年ごとに所要の検討を行うということで、現に行ってまいったわけでございます。今回は、昭和五十四年度の法律の改正以来約九年たっておりますので、この間のいろいろな情勢の変化等を考慮いたしまして現状にふさわしい損害賠償制度を確立しようということで、本年の八月から原子力委員会原子力損害賠償制度の専門部会を設置いたしまして、現在まで四回の部会を開きまして検討をいただいておるわけでございます。  主な検討事項は、まずこの法律の中心的な制度でございますが、原子力事業者に義務づけます民間の保険会社との間の責任保険契約というのがございますが、これでカバーし切れない分については政府との間で補償契約を結ぶわけでございます。これに損害の賠償の措置額というもの、現行は百億円、これが定められておるわけでございますが、これをアップ・ツー・デートに見直そうということが一つございます。  それからもう一点は、政府との間の補償契約と、それから賠償措置額以上の損害が仮に発生したというときには、必要に応じてその賠償につきまして国会の議決をいただきまして政府が援助を行うことができるという規定がございますが、この期限が来年いっぱいで切れるということがございますので、それを延長するか否かといったようなことを見直そうというのが主な内容でございます。先ほど申し上げましたように、この審議は現在まで四回ほど行っておりますけれども、本年末をめどに報告書を取りまとめたい、かように考えておる次第でございます。  それから三つ目でございますが、原子力技術あるいはノーハウといったものを、他の分野あるいは国際的に共用できるようなデータベースを構築すべきじゃないかという御指摘でございます。まことにごもっともなことでございまして、私どもといたしましても、原子力の文献の情報とか事故の情報とか運転状況とか核データ、こういったものはIAEAあるいはOECDのNEAといったようなところを通じまして世界的なレベルでデータベース化しております。それから、途上国はIAEAの活動へ参加することによりましてこれらのデータベースにアクセスすることは可能でございますが、なお一層こういうデータベースの構築を積極的に進めてまいりたいということでございますし、今後アジア地域において要請が強くなるということも当然考えられますものですから、この場合には核不拡散あるいは商業機密とかいったことには十分配慮しなければなりませんけれども、そういうことを配慮しつつ積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  240. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 人類の英知が結集してつくり上げた原子力の平和利用、これをこれからもなお一層安全性を、我々は十分安全性確保したと思っておりますけれども、現状に満足しないで、より確実な安全性確保するためにも、またこのPRについても一国だけではとても、チェルノブイリ事故とかスリーマイル島もありますので、自分の国だけではとてもPR、パブリックアクセプタンスというのを確立することはできません。世界的にみんなで原子力安全性確保しながら、そのPRについてもPAについても協力していかなければ、これからの原子力の平和利用が順調に進むわけにはまいりませんので、先生指摘のような 原子力サミットというような御趣旨には私も賛成であります。そういう機会等をつかまえて、そういうことを実現の方向に持っていくように、微力でございますけれども努力をしてみたい、このように考えております。
  241. 貝沼次郎

    貝沼委員 ありがとうございました。
  242. 粟山明

    粟山委員長代理 次に、小渕正義君。     〔粟山委員長代理退席、若林委員長代理着席〕
  243. 小渕正義

    小渕(正)委員 限られた時間でありますので、特に最近社会的に大きな関心を呼んでおり、現在本委員会でも大きなテーマになっております原子力の平和利用の問題で、数点お尋ねしたいと思います。  先ほども原子力発電所の事故の定義についての議論がされておりましたが、特にチェルノブイリの一昨年の事故以来、俗に言う広瀬隆現象といいますか、そういう形の中で、国民の間にまた原子力平和利用の問題についての大きな関心と不安があるわけであります。特に最近の原子力発電所における事故といいますかトラブルについての新聞記事が本年は非常に多く目につくわけでありますが、これは何か聞くところによりますと、本年六月から、従来発表されてなかった軽微なものも発表しているということで、特にこのような原子力発電所のトラブルといいますか、そういうものが新聞記事をにぎわしておるというふうなことも聞くわけでありますが、実際の状況はどのような状況であるのか、まずその点をお尋ねいたします。
  244. 村上健一

    村上政府委員 先生指摘のとおり、先ほど貝沼先生からの御質問に事故の定義がございましたが、規制法に基づきます事故の定義によって報告されるものを私ども法令に基づく事故というふうに実は申しておりますが、これは規則にはっきりと事項別に書いてございまして、これを法令に基づく事故と呼んでおります。  それで、今先生指摘ございましたように、これまで原子力発電所の事故につきましては、ふぐあい等を含めまして通産省の方から原子力安全委員会の方にいろいろ御報告等いただいておりますが、従来は法令に基づかない報告につきましてはまとめて御発表になっていた次第でございますが、ことしの六月から、先生今お話しございましたように、いわゆる法令に基づかない事故の方も御発表になるようになりましたので、新聞紙上等で非常にいわゆる事故がふえたというふうにあるいはお考えの方がふえていらっしゃるかと思いますけれども、実際は法令に基づく事故はそんなにふえているわけではございません。
  245. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明申し上げます。  最近の原子力発電所の故障、トラブルでございますが、先生案内のように、具体的に法律は原子炉等規制法それから電気事業法の規定に基づきまして電気事業者から通産省の方に報告された件数といったようなことで、これは我々故障、トラブルの件数と言ってございますが、年々減少傾向にありまして、去年の年度、つまり昭和六十二年度におきましては、全発電所で原子炉一基当たり大体〇・五件、つまり二つ原子力発電所で年一回ぐらい、一基で言えば二年に一度ぐらいかなという感じでございますが、なおことしの最新のデータによりますと、昭和六十三年度でございますが、この四月からきょう現在までということで、法律に基づきます報告は十二件でございます。ちなみに、去年、おととしと大体十二件、十件程度でございまして、ほぼ同程度であろうかと思いますが、今後とも通産省としては、原子力発電所のトラブル、たとえトラブルでも起こさないようにということで、電気事業者を厳しく指導していきたい、かように考えてございます。  以上でございます。
  246. 小渕正義

    小渕(正)委員 法令に基づかないトラブルというか事故というのは大体どういうものか、具体的な内容をひとつお示しいただければと思います。我々も新聞等で読んでおりますと、例えば循環冷却水ポンプの締めつけボルトにひびが入っておったとか、そういうたぐいのものも出ておるわけでありますが、実際に法令に基づかないトラブル等も含めて現在いろいろ発表されておるようでありますが、どのような種類のものがそれに該当するのか、その点いま少し具体的にお示しいただきたいと思います。
  247. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明を申し上げます。  もうちょっと詳しく、個々具体的なものがいわゆる通達、法律で報告を求めざるものに当たるかということでございますが、例えば今御指摘のPWRでございますが、一次冷却材ポンプ、これは一次冷却材を回す道具でございますが、その装置の流れを変える変流翼というのがございます。このボルトにひびが入ったような例だとか、それ以外にも代表的な例は、出力が低下するような例がございます。例えば加熱器、これは原子炉の中枢なものではございませんけれども、給水加熱器という、だんだんと温めて最終的には原子炉に入るものでございますけれども、その細管に若干の損傷があったため出力低下を余儀なくされたといったようなこと。つまり、おおむね出力が低下したりもしくは出力を抑制するといった場合につきましては、法律というよりもむしろ通達と申しますか、そういうことで我々としてはとってございます。  いずれにしましても、我々としてはできる限り軽微なものも含めて把握する、把握すれば迅速にそれを公表する、そういうことでより理解を深めていきたい、こんなふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  248. 小渕正義

    小渕(正)委員 いろいろな事故の報道がされておりますが、その中で特に最近、PWRの蒸気発生器の細管の損傷というものが非常に報道されておるわけであります。例を挙げますと、十月七日の大飯の原子力発電所で細管二十一本が腐食したとか十月十八日に高浜原子力発電所では細管六百二十八本が損傷したとかなど、この蒸気発生器の細管の損傷については昭和四十七年から五十一年ごろに多発し、その原因、対策が究明され、一応この種問題は解決したというふうに理解しておったわけでありますが、今回このような事故がなお発生した原因は一体どういうものなのか、また、従来と同じようなものというふうに考えていいのか、ここらあたりについての安全性の確立という点ではどのようにお考えなされておるのか、まずその点をお伺いいたします。
  249. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明申し上げます。  お尋ねの蒸気発生器の細管の損傷でございます。これは御指摘のように美浜の、当時昭和四十年代の後半からいわゆる損傷事例があったわけでございますが、我々認識してございますのは、損傷には大体三種類ほど、原因との重ね合わせでございますが、ございまして、一つは応力腐食割れと称されるものでございます。これは伝熱管、熱を伝達する管がございますが、一次側から発生する応力の腐食割れ、主として製作の加工のときに生じた応力が原因だといったようなことでございます。二次側からの応力腐食割れ等もございますが、これにつきましても運転中の応力がさらに重畳したものといったようなことがございます。このような形態のものにつきましては、御指摘のように種々の対策、洗浄だとか再拡管等々しまして、新たな発生はほとんどないという認識でございます。  それから、二番目の損傷原因につきましては、減肉というのがございます。これは過去に燐酸ソーダ等が入りまして、管を支えている部分がございますが、そこで局部的に濃縮を繰り返しましてその結果生じたものということでございますが、これにつきましても、水処理方法を変えることによりまして、昭和五十年代に入りましては新たな損傷は出てございません。  ただ、今回御指摘の大飯、高浜等の部類にございましては、実は粒界腐食というのがございます。これは、原因と申しますのは固定されてございまして、補給水中に極めて微量ではございますけれども苛性ソーダ等がまじって、それが管の支持板部等で局部的に濃縮等を繰り返すということで、一方では酸化性の雰囲気、これをもたらしている のは酸化銅等でございますけれども、そういうことと相まって発生しているということでございます。これにつきましても、その損傷のメカニズムは把握されてございます。  今後ともその損傷の発生の抑制ということについては、特定のプラントに限定されておるわけでございますけれども、原因の解明はなされてございますので、抑制対策ということで、例えば温水洗浄だとか硼酸水の注入等々の強化管理を行っていこうということで環境改善対策を鋭意進めておる、こういう状況にございます。  以上でございます。
  250. 小渕正義

    小渕(正)委員 四十七、八年ころ多発した上に立ってのいろいろな対策が検討され講じられて、なお若干また新しいケースとして発生しておるわけでありますが、これらについてはメカニズムはわかったということでございますので、今後とも、現状に甘んじることなく、これらの対策の万全を期すためのいろいろな研究をぜひやっていただきたい。これはお願いしておきます。  次に、原子力安全性の問題に対する、どちらかというと広報活動といいますか、この安全性について議論が非常に高まっているわけでありますが、その中で、どこが中心になって国民の理解を求めていくのかというのが非常に大事なところだと私は思うわけであります。  このたびの、本年十月出されました原子力安全年報、これでは従来と違って異例の、第一章付録でQアンドAの問答式で安全性の問題について触れられておりましたが、これは今までと違った一つのやり方でありますが、これらの意図はどういうことだったのかということと、あわせて、原子力安全年報というものはどの程度のところまで出されているのか。何か実際にこれが配付されるのは限られたところだけではないかというような話も聞いておるのでありますが、この点についての状況を説明していただきたいと思います。
  251. 村上健一

    村上政府委員 本年の年報の作成に当たりましては、原子力安全委員会が設置されましてから十年間たったということもございまして、これからの十年を臨むに当たりということで、過去十年の活動を振り返り、これを踏まえて新たな一歩を進めていくということを念頭に置いて編さんされた次第でございます。また、先生案内のとおり、本年は原子力安全性に対する国民の関心が非常に高まりが見られたこともございまして、今御指摘がございましたように、本年報では国民の方々に原子力安全委員会が過去十年間行ってきた活動を整理した形で御提示するということが意義深いと考えて編さんされた次第でございます。  加えまして、原子力安全性確保の充実のためには、まず原子力安全性に関する国民の理解が深まることが重要であると考えておりまして、この一助となることを期待して、過去安全委員会が主催いたしました公開ヒアリングの中で地元の方々から出された御質問を中心として、原子力の安全に関する基本的な事項と考えられる十問を選びましてQアンドAの形で御提示を申し上げた次第でございます。  原子力安全年報は、三千部を国会図書館を初めといたしまして国内の所要のところにお配りしておりますが、一部の方々から、簡約のものでもいいので、国際協力にも資するので英文にして出したらどうかという御意見もございまして、そういうことも踏まえて、この安全年報のいわゆる周知方に今後も努めていきたいと思っております。
  252. 小渕正義

    小渕(正)委員 国民により理解を求めていくためには、まず何といいましても信頼関係といいますか信頼が第一でありますので、そういう意味で、国民の理解を深めるための一つの信頼されるものとしては、原子力安全委員会等がもう少し具体的な何らかのアクションを起こす必要があるのではないか。現在こういった年報を出す程度でなしに、もう少し国民にわかりやすいそういう意味での一つの何らかのアクションを起こすこととしては、原子力安全委員会等がもう少しそこらあたりでは積極性があっていいのじゃないか、非常にそういう感じがしておるのであります。この点についての見解と、先ほどちょっとお尋ねいたしましたが、政府としては、大体どこが総合的にこういった原子力平和利用についての国民に対する広報活動の中心となって、責任的な所管というのはどこが中心になってやっているのか、その点もあわせてひとつ状況を御報告いただきたいと思います。
  253. 村上健一

    村上政府委員 前半については私の方からお答え申し上げまして、後半の部分については原子力局長がお答え申し上げます。  御指摘のとおり、原子力の安全行政を行うに当たりましては国民の信頼を得ることが不可欠だと考えております。十年前の原子力安全委員会の発足は、御案内のとおり、「むつ」事件以降の原子力規制行政に対する国民の不信に対応することとして安全委員会が設置されたわけでございますが、以来安全委員会がとってきましたポジションは、先ほども御説明申し上げましたけれども、いわゆる安全性は宣伝すべきものではなくて、実績に基づいて理解と信頼を得るべきという認識に立って、安全審査の厳格な実施、地元の方々の意見等を安全審査に反映させるための公開ヒアリングの開催等、安全委員会としては任務を遂行してきたわけでございます。また、我が国のみならず国際的な原子力安全性に対する一般の人々の関心の高まりに対応しまして、昨年末には原子力安全国際シンポジウムというものを開催しましたし、また、先月には原子力安全の集いというものを主催して、国民の理解を得ることに努力をしてまいりました。  しかしながら、先生指摘のとおり、このような安全委員会の活動はややもすると地味でございまして、個々の安全上の案件について委員会が何を考え、どのように判断してきたかということが外から見えにくい面もあったのではないかというふうに安全委員会としては反省をしておられるわけでございまして、このため、今後、安全委員会の判断や活動などがより多く国民の目から見えるように工夫をされていくものというふうに考えております。
  254. 平野拓也

    平野政府委員 後半の部分でございますけれども原子力の広報につきましては、どこが所管というよりも、むしろ原子力に携わるそれぞれの官庁あるいは事業者がそれぞれの立場で広報すべきものであろうということでございます。  しかしながら、この間、やはり相互の連絡といいますか意見の交換、そういうことが必要であろうということでございまして、現在、私どもあるいは通産省資源エネルギー庁、それから電気事業者あるいは原子力文化振興財団といったような民間の団体、そういうものとの間で随時連絡あるいは意見の交換を行いながら進めているというのが現状でございます。
  255. 小渕正義

    小渕(正)委員 総合的にはそれぞれの関係者で努力されておるでしょうけれども、従来からの一つの流れを見ていますと、電力事業者の人たちがほとんど表に出てしまって、それでそういう人たちの対話その他いろいろあれをやられておるわけでありますが、由民の側から見ると、電力を売る会社事業所のそういう電力会社関係よりも、極めて権威のあるような第三者機関か何か、そういうところがこういう問題を中心に取り扱わないことには国民の信頼関係がどうしても薄れるのじゃないかという気がするわけでありますので、そういう点ではぜひひとつ一工夫考えるべきではないかと、これは意見として申し上げます。  私もテレビで見ていましても、一部マスコミがこういう原子力平和利用の問題をテーマとして出したときに、片一方側の考え方を持った人だけを登場させて、そしてやっているという場合があるわけですよ。だから、明らかに国民の側から見ればもうそっちだけしか頭に入っていかない、公平なマスコミの報道のあり方としてはどうかなという感じのするのがしばしば見受けられます。だから、これは非常に難しい問題でしょうけれども、やはりそこらあたりも公平にこういう問題については国民の皆さんが判断できるような素材を提供していくのも一つのマスコミのあり方だと私は思うし、そういう意味で、いろいろな難しい要素を はらんでいるかもしれませんが、ぜひひとつそこらあたりも注意というか研究しておいていただいて、いやしくも公平公正な報道という立場からのもし何か意見でもあれば、やはりそういうものを言うというようなことも必要ではないかという感じが私は強くしましたので、その点を特に指摘しておきたいと思います。  それから、本日の委員会の初めにも出ましたが、今回のIAEA高浜原子力発電所の三号、四号機の査察によって、まさに異例ともいうべき高い、異例という言葉は悪いかもしれませんが、非常に高い評価を受けておるわけですね。二十六回目がちょうど我が国の今回のあれだと聞いておるわけですが、このような非常に高い評価を受けたのが、今までのIAEAのこういった査察の中での事例として、ほかにもあるのかどうかということが一つ。  それからあと一つは、先ほどの広報活動にも関連するわけでありますが、やはり政府が任命した原子力安全委員会とかなんとかいうことになると、どうしても色目で見られがちだという面も国民の中にありますから、公平な第三者的な機関を設置して、そうしてそういうところがこの種問題に真剣にいろいろ取り組んでいくということも必要ではないかと思うし、そういう第三者機関によるそれぞれの原子力発電所の査察といいますか、まあ査察というとちょっと技術的なことになりますけれども民間というか、そういう人たちの何か第三者的な機関の中でそういう査察に準じたようなこともやるという、何かそういうことを考えるべきじゃないか、私はそういう考え方を持っているわけでありますが、この点に対しての見解をひとつお伺いしたいと思います。
  256. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明申し上げます。  先般のIAEAOSART、これは高浜発電所の三、四号機でございますが、先生指摘のように、これまでOSART世界で二十六回繰り返されて実施されてございます。そこでは、御指摘のように、すぐれているとの評価がなされた発電所もあると私どもとしては承知してございまして、報告書としてのサマリーレポートの中での書きぶりとして、いわゆる平均以上ですといったような発電所評価が出ているということもあろうかというふうに承知してございますが、高浜の三、四号機の運転の管理につきましては、いわゆるアマング・ザ・ベスト・ワールドワイド、つまり世界で第一級のものである、最優秀のものであるとの評価でございました。そういう意味で、日ごろ日本として、電力会社はもちろんでございますが、努力してきたことが国際的なレベルでもそれなりの評価は得られたものというふうに考えておるところでございます。  しかし、先生指摘ではございますけれども、やはりこういうことは毎日の努力の積み重ねでございますので、この結果をより長く維持し、かつ、より完壁なことになるように努力を続けていきたいというふうなことでございます。  二点目に申されましたことに関しましては、OSARTは、もう先生案内のように、検査、イシスペクションだとか査察ではございません。IAEA運転経験でございますか、これを国際的に相互に交流し合うということの目的のために行っている事業だと認識してございまして、この間、三週間にわたる専門家同士のディスカッション、意見交換等を通じまして、このような内容が日本原子力発電所の安全運転のより一層の完壁さに役立つとともに、今回の安全なありようと申しますか、それについて世界によい点が広まってもらえればということと考えてございます。  以上でございます。
  257. 小渕正義

    小渕(正)委員 第三者機関的なあれはどうですか。
  258. 平野拓也

    平野政府委員 第三者的な機関を置いて評価という御意見でございます。そういう考え方もあろうかと思いますが、現在、例えば原子力の両委員会は、原子力委員会の方は科学技術庁長官委員長でございますが、他に学識経験者がいらっしゃいまして、この方々は国会の御承認を得た識見のある方々でございます。それから、原子力安全委員会の方も、やはりその任命に当たりましては国会の御承認を得た権威のある方々でございますので、私どもは、現在の体制ということで、第三者機関とは言えないかもしれませんが、評価するには十分ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  259. 小渕正義

    小渕(正)委員 私の口からちょっと言いにくいわけですが、国会承認を得たから権威ある機関というのは、建前はそうでしょうけれども、中身を見ますとその委員のメンバーの中にはいろいろ異論を差し挟むような、そういう意見もありますのでちょっと申し上げたわけでありますが、いずれにいたしましてもそういう機関がもう少しきちっと、ただ単なる雲の上にだけおるのじゃなしに、現実的なこういう問題にもう少し具体的なアクションを起こすようなことも、ぜひひとつ取り組むように検討していただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。  それから、先ほどもちょっと議論が出ておりましたが、六ヶ所村の問題であります。  あれは核廃棄物処理で、一昨年ですか、国会で法案が審議されまして、現在立地が決められてその作業がいろいろ進んでいるわけでありますが、断層帯が地下にあって非常に危険だというような一部の報道等がありまして、関係する関心をお持ちの皆さん方、非常に重大な関心を持ちながら、どうなっているのかということをよく聞くわけであります。少なくとも、この立地を決める際に当たりましては、そういう意味ではかなり慎重なそこらあたりの徹底的な探査といいますか調査等が行われてあの立地が決定したのではないかという気が私はするわけでありますが、そこらあたりについてどのような状況なのか、その点をお尋ねいたします。
  260. 村上健一

    村上政府委員 御指摘日本原燃サービス株式会社が予定しております再処理施設につきましては、まだ原子炉等規制法に基づきます指定申請もなされておりませず、まだ国として同施設安全性について審査を開始していない段階でございます。したがって、同施設に関する具体的な事項についてはこの場でお答えできる段階にございませんが、一般的には、断層はその活動度や規模、また地震等により動き、施設に直接影響を及ぼすか否かが安全上問題とすべきことでございまして、断層が存在するからといって直ちに安全上問題というものではないわけでございます。もちろん、再処理事指定申請がなされれば、法令指針等に基づきましてまず私どもが、行政庁が審査をいたしまして、これをさらに安全委員会がダブルチェックするという、念には念を入れた審査が行われることとなります。  断層について具体的に述べますと、この審査の中で、再処理施設につきましては、原子力発電所と同様、立地地点及びその周辺の相当の広範囲について活断層の有無が調べられ、活断層がある場合にはこれを起因とする地震に関する評価を行うとともに、地震等により断層が動いて施設に直接影響を与えないかどうかの地盤の安定性に関する評価を行う等、厳正な審査を進める予定でございます。
  261. 小渕正義

    小渕(正)委員 建前からいけば、そういうことがきちっとされて、申請が出て初めて国の行政としてはいろいろ審査していくということのようでありますが、そうしますと、そういう立地を決めて本格的な申請がされるまでは、事前の予備審査は抜きにしても、そういう相談もなしにすべてこれは、今回の場合は原燃サービスですが、そういう会社が独断でどこに立地しようが、そういうことは申請が出てきて初めて我々はそれから取り組むんだ、そういう姿勢で今日まで来られておるわけですか。何らかの形での間接的な行政指導等については全然行われてないというような感じがするのですが、その点どうですか。
  262. 平野拓也

    平野政府委員 お答え申し上げます。  核燃料サイクルの立地につきましては、基本的には今安全局長がおっしゃったようなことでございますが、その立地に当たりましては、私どもも、 母体となりました電力業界あるいは今の原燃二社というようなところから具体的にこういうところを考えているという報告は受けております。
  263. 小渕正義

    小渕(正)委員 報告を受けた程度かどうか知りませんが、ともかく今のような、そういう官僚、お役所答弁では国民は非常に不安になりますね。その点だけはきちっと、何も、事前にいろいろな相談があって、それにいろいろと相談に乗ったとか、いろいろそういうことをやることについて厳しく我々としては糾弾するとか批判するということではないわけでありまして、逆に、より安全という立場から見て、事前からもっと一緒になっていろいろそういうことをやるべきだという感覚だけで物を言っているわけでありますから、そういう意味行政側も受けとめておっていただかないと、お役所答弁ばかりでは非常に我々は不信感を持ちますから、その点一つだけ申し上げておきます。  それから、時間もありませんが、代替エネルギー関係についてお尋ねしたいのですが、今、原子力平和利用の問題が非常に大きな社会的関心を呼ぶと同時に、この原子力にかわるべき代替エネルギーとしては果たしてどういうものがあるかということも大きな一つの国民の皆さんの関心であります。現在まで石炭、石油原子力、それが一次エネルギーの大きな一つの中心でありますが、これにかわるべき代替エネルギーについては、通産省としてもいろいろな計画をお持ちの中で今日まで取り組んでこられておるわけでありますが、その研究開発の現状と見通し等、ひとつそこらあたりの状況を御説明いただきたいと思います。
  264. 大津幸男

    ○大津説明員 お答え申し上げます。  現在開発中の石油代替エネルギーとしては、太陽光発電、風力発電、それから燃料電池等があり、これらのエネルギーについては現在いろいろな機関を通じまして技術開発を行うとともに、実用化のめどのついたものにつきましてはその導入を促進しています。  昭和六十一年度末現在でそのような新しい石油にかわるべき代替エネルギーの比率でございますが、現在のところは全体の一次エネルギー供給源のわずか一・三%程度にすぎませんが、中長期的にはいろいろな利便性とかコストのダウン等も考えられまして供給の増加が期待されて、昨年の十月に「長期エネルギー需給見通し」というのをつくったわけでございますが、それによりますと、二〇〇〇年には全体の四・五%まで拡大するというように見込んでいます。通産省としましても、今後ともこういう新エネルギーの開発、導入につきましては積極的に推進をしていきたいと思っています。以上でございます。
  265. 小渕正義

    小渕(正)委員 二〇〇〇年で四・五%ですか、一応そういう目標だということですが、当面すぐは大きな期待を持てない現状なような気がしますが、しかし、これからもぜひその点は強力な研究開発にひとつ頑張っていただきたいと思います。  次に、質問事項がちょっとテーマが広過ぎるんですが、お隣の中国の原子力発電の平和利用の状況について、情報をお持ちであればちょっと教えていただきたい。  なぜこういうことを言うかといいますと、過日ちょっと新聞記事、はっきりした期日は不明でしたけれども、中国が今度アメリカあたりから原子力発電所の、新規じゃなしに、しかし原子力の場合に中古を使うということはあり得ないわけですけれども、何かそういう新しい原子力発電をアメリカあたりから導入しようというような動きがあるようなことがちょっと新聞報道に一部出ておったように記憶するのでありますが、いずれにいたしましても、中国の原子力発電所のもしもトラブルがあれば、真っ先に被害を大きく受けるのは我が国になることは間違いないわけでありますし、現在でもお隣の韓国では中国の石炭火力の影響で酸性雨の影響をかなり大きく受けておるというようなそういう報道も一部聞くこともありますし、そういう意味では重大な関心を持たざるを得ないわけでありますので、そういう角度から、もし中国の原子力平和利用についての状況についての把握があればお示しいただきたいと思います。
  266. 平野拓也

    平野政府委員 中国では電力が非常に不足しているということで、産業活動の発展に悪い影響があるというようなことが言われておりまして、発電量の増加が非常に急務になっているというふうに承知しております。  現在私ども承知しておりますところでは、中国の電力事情というのは、大ざっぱに申し上げまして火力が八割弱、水力が二割強といった割合というふうに聞いておりますが、そういうことで原子力発電は現在はございません。  それで、現在建設中のものがございまして、これは広東に二基ございます。それから上海の近くの秦山というところで、これは自力開発ということでございますが、一基。出力にいたしまして合計で二百十万キロワット程度のものを今建設中であるというふうに聞いております。これにつきましては、いろいろ建設の資金の問題とか困難な問題もあるようでございますけれども、中国としては二〇〇〇年時点で電力の数%程度を賄いたいというようなことで努力しているというふうに承知しております。
  267. 小渕正義

    小渕(正)委員 次に、先ほど一つ話題に出ておりましたラドンの汚染の問題についてちょっとお尋ねしますが、時間がありませんので簡単に申し上げますが、最近JCRPの報告で、我が国もその制度を導入して国内の関係法令用語の改正が行われたということを聞いております。その中で放射線に関する単位が、例えばキュリーからベクレルに、レムがシーベルトに変更されたというふうな、私専門家じゃないのでわかりませんけれども、そういうふうに単位の表記が変わってきたということが言われているわけでありますが、放射線の被曝量をあらわす単位として長年我が国ではレムという一つの単位がようやく一般的になじんできたような感じもするわけであります。そういう中でこれがこのように変わることになると、また、原子力関係のPR関係からいってもちょっとまた混乱するのではないかという気もするわけでありまして、ここらあたり何か一工夫があってもいいのではないかなという感じもしているわけでありますが、この点についてはどのようにお考えなのか。
  268. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  ICRPの新勧告の関係法令への取り入れということで、御指摘のとおり、放射線防護関係の単位について来年の四月から国際単位系を用いることに決まっております。実は本単位系は既に国際的に逐次採用されておりまして、我が国におきましてもこの国際単位系の導入は昭和五十三年より計量法における計量単位として採用されてきているところでございます。ただ、御指摘のとおり、せっかく今までなれ親しんできましたレムとかミリレムといったようなものが変わるわけでございまして御心配の向きもあるかと思いますので、私どもといたしましては、来年四月一日施行するまでの間の周知期間において広くPRを行うほか、施行後も当分の町は旧単位を括弧書きで併記することを認めるなど、新単位への移行が円滑に行われるよう配慮していくところでございます。
  269. 小渕正義

    小渕(正)委員 最後になりましたが、ここでちょっと、質問事項の通告の中に入っておりませんでしたが、大臣に御見解を承りたいと思うのです。  実は、今こういった原子力平和利用につきまして国民の間で非常に大きな関心を持っていろいろ議論されているわけでありますが、非常に情緒的な議論ばかりで、それぞれの専門分野における議論というよりも、もちろんそれは国民になじみがないわけでありますが、何か非常に情緒的な議論だけですべてがいろいろされているという感じがするわけであります。そういう現在の状況の要因はどこにあるかというと、一つのこれは見方でしょうけれども、最近の我が国における学校教育の中で、英語とか国語とかいう授業時間はどんどんふえていくけれども、そのかわりに理科、社会という時間、単位がどんどん減らされていく。小学校では理科の時間が半減したとか、中学校では理科の時間が削減される、高校の物理等についてはもう選択制になってしまうとか、科学する心というか、科学という立場から見た場合のこういっ たものがだんだん我が国の学校教育の中で授業の単位が小さくなっていく。こういうことでいいのか。やはり技術立国を我が国が表明してこれからもやっていこうとするからには、もっとそこらあたりにも考え方、視点を置いてやらないと、こういう原子力平和利用についても単なる情緒的な議論ばかりでいろいろ揺れ動くということの要因の一つでもあるのではないかという、これはある人の指摘もありましたけれども、いずれにいたしましても、こういう科学技術立国という我が国の行き方からいって非常に将来を憂えられている意見等も我々お聞きしておるわけでありますので、ここらあたりは国の政策の中で、文部省との関係もありましょうけれども、やはり科学技術庁としてはもう少し関心を持っていただいて力点を置いてやっていただくことをぜひ期待したいのです。その点に対する長官の御見解をお尋ねして、終わりたいと思います。
  270. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 文部省の所管の問題でございますけれども、国務大臣として、先生同様私も日本の教育の現状について重大な関心を持たせていただいております。先ほど貝沼先生からも御指摘がございましたけれども、放射線なども、小学校、むしろ義務教育の段階でこういうガイガーですか、これを学校に備えつけて日常の生活の放射線などをはからせることも私は一つの大きな意義のあることだと思って先ほど拝聴しておりましたけれども小渕先生の御指摘にも、どうも英語とかそういうものだけで、日常の生活に密着した科学や理科等についての授業が不十分なように私にも見受けられます。したがって反対運動も、そういう科学的な根拠に基づかないで非常に情緒的に、感情的に、また、いろいろな報道も、先ほど佐藤敬夫先生の御指摘にもありましたけれども、社会部的な感覚で報道もされておりますし、もっと科学部のようなそういう報道も欲しいと思っておりまして、御指摘もっともでございまして、例えば放射線なども、テレビの近くで毎日一時間テレビを見ますと一年間で二ミリレムになるわけでありまして、原子力発電所の年間のこれ以上上げないようにする目標が五ミリレムでございますから、いかに厳重な管理目標を我々が原子力発電施設に持っているかということがテレビとの比較でもわかるわけでありますし、また、東京からサンフランシスコに飛行機で行きますと一回だけで四ミリレムになるわけでありまして、そういう具体的な数値を用いて原子力施設あるいは原子力安全性について国民の皆様方理解を求めるということの必要性を私も重々感じておりますので、科学技術庁だけでなしに、あるいは文部省、あるいは内閣全体として、あるいはまた電力会社等も含めまして一体となって、そういう科学技術の振興、あるいは科学技術教育の振興等にも努力をささげてまいりたい、このように思っております。
  271. 小渕正義

    小渕(正)委員 では終わります。
  272. 若林正俊

    若林委員長代理 児玉健次君。
  273. 児玉健次

    児玉委員 委員長それから同僚の委員皆さんの御了解をいただいて、この委員会で質問できることを大変喜んでおります。  最初科学技術庁長官にお伺いしたいのですが、この十月十五日、北海道泊原子力発電所の周辺町村で約四百七十人の住民が参加して防災訓練が行われました。この訓練は直接国が実施されたものではありません。北海道、周辺市町村でやったものですが、いろいろと問題点があったと私は思っておりますが、この防災訓練について国はどのように受けとめていらっしゃるか。改善すべき点や今後への教訓、そういうことについてまずお伺いしたいと思います。
  274. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生の御指摘にもございますように、北海道道庁でやられたわけでございますから、国が直接関与したわけではございませんけれども、また、先ほどもこの問題について何人かの先生にもお答えをいたしましたけれども原子力の防災訓練につきましては、原子力防災の特殊性及び一般防災との共通点に着目した上で、防災業務関係者の訓練を中心に行うということにしているところでございます。  しかし、今回は住民の参加を含む訓練ということで北海道が地域の実情に応じて実施したわけでございまして、訓練の目的は達せられたという評価もされておるように承知しております。科学技術庁といいますか、私といたしましては、このような住民参加の形態をとった訓練というものは、法制上といいますか、災害対策の指針の中では不可欠なものではございませんけれども、北海道の判断で行ったということでもございますし、特に問題はないというふうに理解をしております。
  275. 村上健一

    村上政府委員 若干補足説明をさせていただきたいと思いますが、今回の訓練については現在北海道の方でも最終的な評価の取りまとめを行っておられるということでございまして、具体的な内容について当庁として評価を下す段階ではございませんけれども、ただいま大臣の方からお答え申し上げましたように、本件は多数の防災関係機関が参加した総合的な防災訓練として、大きな混乱はなく、訓練は予定どおり終了して、北海道はおおむねその目的を達したというふうに評価しております。
  276. 児玉健次

    児玉委員 通産省においでいただいていると思いますが、北海道電力泊原子力発電所の試運転、現在それがどのようになっているかお答えいただきたいと思います。
  277. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明申し上げます。  泊発電所の試運転状況いかんということでございますが、北海道電力の泊発電所の一号機につきましては、昭和六十三年の十月十七日に燃料の装荷を開始いたしまして、十一月十六日、いわゆる核分裂反応が連続的に行われる、初臨界といったようなことでございます。なお、来年の六月には営業運転を開始するというふうに承知してございます。  以上でございます。
  278. 児玉健次

    児玉委員 消防庁においでいただいていると思うのですが、例えば石油コンビナートや化学工場、そういったところでの危険物規制と防災計画、それらは消防庁の皆さんの言葉で発災、重大な災害が発生する、それを前提にして計画が立てられているというふうに伺いますが、いかがでしょうか。
  279. 原純一

    ○原説明員 お答えいたします。  御指摘石油コンビナートを初め一般に、防災という観点からは、災害が発生しないよう最善の努力をするのが第一義的であるということは言うまでもございません。しかしながら、万一の場合のことも考えた上で、災害による被害を防止し、あるいは軽減するための対策を講じておくこともまた必要不可欠であると考えております。現在、このような考えのもとに各種の災害に備えた種々の対策が講じられていると理解しております。
  280. 児玉健次

    児玉委員 恐縮ですけれども、私が伺ったのは重大な災害が発生することがある、そのことを一つの前提といいますか、それで皆さんの防災計画はつくられる、こう伺っているのです。
  281. 原純一

    ○原説明員 私ども立場からいたしまして、災害対策を考える場合には万一ということを考えて、それを前提にして考えております。
  282. 児玉健次

    児玉委員 よくわかりました。  そこで、まず私は防災計画の問題についてお伺いをしたいと思うのですが、今も長官から、住民参加の形での防災計画は日本では不可欠でない、そして十月十五日に行われた訓練について言えば特に問題はなかった、局長は大きな混乱もなくというお言葉を使われたと思うのですが、さて、実際にあの防災訓練がどうであったか。例えば泊原子力発電所の直近、まさしくおひざ元です。私も今までもう十数回そこに行きましたが、堀株という部落があります。この堀株部落にはコンクリートの建屋がありませんので、住民の集合場所は堀株小というふうに指定されております。  さて、そこに住民の皆さんが集まる。集まって、この事故が避難を要する、そういう事故であるとすれば、どこに避難するのかが防災計画では示されておりません。風向きや汚染、そして濃度によって避難先が変わるのは当然ですが、風向きをさまざまに予想しながら幾つかの条件に応じた防災計画を立てて、そして避難先もそれぞれに応じ て明示する、これが必要だと思うのですが、いかがですか。
  283. 村上健一

    村上政府委員 防災計画につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、地方自治体の計画に基づいてなされるわけでございますので、それぞれの事情に応じて、風向き等によって計画が組まれる場合もございましょうし、他の理由によって他の計画でなされる場合もあるかというふうに承知しておりますが、本件につきましては詳細なことは承知しておりません。
  284. 児玉健次

    児玉委員 今のお答えは、後からお読みになったら変だということに御自分で気がつくはずですよ。佐賀県であろうと福井県であろうと北海道であろうと、あるところは西風ばかり吹くというわけではないので、風向きは随分変わってきます。そして過酷な事故が起きた場合にどちらの方向に避難するのかというのは当然そこから出てくるので、地域的な特殊状況というのはほとんどありません。私が言っているのは、そういった幾つかの自然の条件ですね、それを見越しながら適切な避難計画をつくらせる、どうしてもそれが必要なのではないか。  そして、先ほどの泊原発の防災計画について言えば、周辺十キロメートルでしかそれがつくられていない。そして、そこの住民全体が避難するのに要するバスは、計画によれば五百八十九台です。この点、私は特に長官に御注意いただきたいのですが、五百八十九台のバスを過疎が進んでいる後志というところの泊周辺に集める、台数は書いてあるけれどもそれだけのバスを組織することについては具体的な計画がない、そして、例えば泊というところは風向きがもしよろしければどの町に避難するのだということも示されていない、これは非常に問題だと思いますね。いかがでしょうか。     〔若林委員長代理退席、粟山委員長代理着席〕
  285. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  風向きの問題につきましては、先生も御承知のとおり風は一年間いろいろな方向で吹きますし、それから平均的にどっちが一番多いというようなこともございますので、私先ほど、それぞれの地方自治体の環境の実情に応じて防災計画が立てられることが適切であろうと申し上げた次第でございます。  輸送手段につきましては、緊急輸送車両として、道は、追及び関係町村の車両の確保のほか、自衛隊や公共輸送機関に応援を要請したというふうに私どもとしては承知しているところでございます。
  286. 児玉健次

    児玉委員 私、今手元に、アメリカのニューハンプシャー州シーブルックという原子力発電所がありますが、そこで「原発事故が起こったら」、エマージェンシープログラム、緊急避難計画とかというふうに言うのでしょうか、それの仮訳を持ってきております。その中で、今ちょっと議論になった点ですが、例えばシーブルック発電所の周辺それぞれのところにとりあえずの受け入れセンターがあって、その受け入れセンターではどういう風のときはどの方向で、そして避難の受け入れ先は何という町村だということが明示されています。移動について言えば、これはアメリカと日本では状況が違いますが、「自動車の使用は、一家族一台限りにして下さい。もし座席に余裕があれば、乗る必要がある人がいるかどうかを調べて見て下さい。」「カーラジオを緊急事態放送システム局に合わせておいて下さい。」そして、カーラジオでそのときの風向き、事故の状況などに合わせて最も適切な避難先を常時流しておくというふうになっています。  こういった防災計画に学ぶ必要があるのじゃないでしょうか。いかがですか。
  287. 村上健一

    村上政府委員 私ども先生今御指摘のアメリカの防災計画を承知しておるわけでございますけれども我が国原子力防災計画の作成につきましては特に問題があるとは考えておりませんが、米国等諸外国の防災計画について参考にする点があれば、今後の地域防災計画の充実に際して必要に応じて充実してまいるように努めてまいりたいと思います。
  288. 児玉健次

    児玉委員 先ほど科学技術庁は、それぞれの条件に応じてといいますか、そういうお話で、風向きは随分さまざまですが、地形というのは変わりがありません。それで、今のこととも関連してもう少し私は具体的に述べたいと思います。  泊原子力発電所があるのは積丹半島という半島です。半島の南側のつけ根にございます。そして、この半島は北側と南側にそれぞれ道路がありますが、道路は、半島の先端部にはまだ工事が進んでおりませんから、行きどまりになっています。もし泊原子力発電所で事故が起きた場合、原子力発電所より半島の海側にある人たちはどうやって避難をするかといえば、当丸峠という峠を通って古平というところに抜ける以外に道がありません。そして、当丸峠は冬季積雪のために通行ができません。  そこで、私は外国の例で一つ申したいのですが、アメリカでは周囲十六キロ四方の住民を対象とした避難計画の作成が不可欠です。そして、ニューヨーク州ロングアイランドのショーラム原発、ここは事故が起きた場合に住民は三つの橋を通って避難する以外に道がありません。そこでニューヨーク州知事のクオモ氏は、住民の安全を保障する避難計画の作成が困難である、こういう理由でショーラム原発の閉鎖を決定しておりますが、この点御承知でしょうか。
  289. 村上健一

    村上政府委員 詳細には存じておりませんが、そのようなことがあったということは承知しております。
  290. 児玉健次

    児玉委員 三つの橋を通る以外に避難計画が立たないからというのでアメリカでは閉鎖した。柏原子力発電所の場合は、地形の特殊性から、少なくとも冬で言えば当丸峠の通年通行を可能にしない限り避難ができません。それで、北海道ではいろいろな議論がありましたが、古平―神恵内線いう道道、本州で言えば県道です、そこが冬季通れるようにするというので工事計画がつくられていますが、その工事計画は六十三年、六十四年、六十五年に及びます。例えばスノーシェルター、工事計画のナンバーセブンですが、延長二百三十メートル、これは六十四年にならなければ完成しない。六十五年までの計画のものも随分あります。私は北海道から資料をいただいたのです。  そうなりますと、先ほど通産省のお話のように既に臨界に達している、この状況で試運転を放置するというのは非常に危険であり、かつ無責任ではないか。先ほど情緒的という言葉もありましたが、もし科学に立脚するとすれば、少なくとも四季を通じて避難が可能になるまでは試運転を行わせるべきではない、こう思うのですが、いかがですか。
  291. 村上健一

    村上政府委員 先生指摘の神恵内村につきましては、御承知のとおり我が国の防災指針に基づきます重点的に対策を講ずべき範囲といいますのは半径八ないし十キロメートルを目安にすることとなっておりまして、この指針を目安にされまして道の方も適切な防災計画をお立てになったことと承知しておりますけれども、神恵内村につきましては、この防災対策を重点的に実施すべき地域の外側にございまして、住民の避難を必要とするような事態が発生することは非常に考えにくいことだというふうに私どもは思っております。また、仮に神恵内村にまで影響が及ぶと仮定いたしましても、万一の放射性物質の放出による影響が及ぶまでにはかなりの程度の時間的余裕があることを考えますと、対応可能だというふうに考えております。
  292. 児玉健次

    児玉委員 科学技術庁、無理もないかもしれませんが、神恵内村というのは、泊のまた日本海側にある最先端の部分です。神恵内村も問題ですが、泊の地域の人は本村と言っていますが、役場のあるところ、そこ自体が泊原発より海に向けて存在しているのですよ。だから、その人たちは距離も直近です。当丸峠を通る以外に避難の道がないのですよ。この状態で放置していいのか、考えてみてください。どうですか。
  293. 村上健一

    村上政府委員 神恵内村の一番近いところでも、 先ほど申し上げましたように八ないし十キロの外側にあると承知しておりまして、それで必要に応じて自衛隊等の協力があるものというふうに私どもは道の方から聞いております。
  294. 児玉健次

    児玉委員 先ほどの議論の中で国際的な知見という言葉も出てきました。さっき私が、エマージェンシープログラムを紹介したシーブルック原発、ここも御承知のとおり地域の住民が防災計画の作成に協力を拒否して、原子力発電所の筆頭株主であるニューハンプシャー公共サービス社は倒産宣言を出しています。どれも過酷事故が発生した場合に住民の避難が安全裏に行われないというその判断から、巨費を投じた原子力発電所の閉鎖、それをも決めている。ところが、あなたの今の話だと、半島のつけ根のもっと奥にあっても自衛隊その他があるから大丈夫だろうと。では、その自衛隊はどうやって泊本村や神恵内に行くのですか。どうやって行くのですか。
  295. 村上健一

    村上政府委員 この場でお答えできるような詳細な内容を持ち合わせておりませんので、道の方からよく話を聞きたいと思います。
  296. 児玉健次

    児玉委員 では先に進みたいと思います。  原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約というのがございます。最初に外務省にお伺いしたいのですが、昭和六十二年七月一日ということでこれは公布されておるわけですが、日本も当然この条約には入っております。条約の第二条「援助の提供」の中で、「締約国は、可能な範囲内で、原子力事故又は放射線緊急事態の場合における他の締約国に対する援助の提供のため利用可能となることがあり得る専門家、機材及び資材を、当該援助を提供し得る条件、特に財政的条件とともに明らかにし、機関に通報する。」となっております。日本は、今出てきました援助のために大いに役に立つ専門家、機材、資材、そういったものがこの程度緊急の場合に提供できる、それを既に通報しているでしょうか、お答えください。
  297. 中島明

    ○中島説明員 お答え申し上げます。  我が国はこの協定第二条四項に基づく通報はまだ行っておりません。
  298. 児玉健次

    児玉委員 ちょっと外務省、このことに関連する省庁としてはどんな省庁がございますか。
  299. 中島明

    ○中島説明員 この条約の実施に関係する省庁といたしましては、第四条に「権限のある当局及び連絡上の当局」というものを締約国がIAEAに通報することを定めておる規定がございますけれども、外務省及び通商産業省、それから科学技術庁、国土庁、これがこの第四条にございます権限ある当局ということでIAEAに通報されております。
  300. 児玉健次

    児玉委員 条約が締結されて日本がそれを公布してから既に一年以上経過しているわけですが、外務省に私は要請したいんですが、今の関係省庁などの連絡会議、それから緊急な事態の場合に日本から専門家、機材、資材などをどのように提供するか、そのことについてのマニュアルの検討ですね、こういったことについて直ちに着手されるべきだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  301. 中島明

    ○中島説明員 この条約に基づきまして我が国に対する援助要請というものがあった場合には、外務省といたしましても、関係省庁と緊密な連絡をとりつつ適切に対処するという所存でございますけれども、そのための具体的な対応ということにつきましては、先生指摘のいろんな方法も含めて検討していくことにしたいと思います。
  302. 児玉健次

    児玉委員 恐縮ですけれども、長官にちょっと、今の点はやはり国務大臣として私御要請したいんですが、これはもうすぐれて人道的な問題でして、そして科学技術庁は、いろいろ私伺うところによれば、この条約についてやはり最も重要な責任をお持ちの官庁でもございますから、今外務省の方はその着手について検討するという趣旨のことを述べられましたが、長官としてもその点での御尽力をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  303. 平野拓也

    平野政府委員 私から先にお答え申し上げますけれども我が国におきまして原子力災害が発生した場合に、万一の場合でございますが、私どもは傘下の原子力研究所あるいは動燃事業団、放医研等の専門家を防災用の機材を準備して派遣する、そういう体制をとっておるわけでございまして、当庁としましては、この条約によりまして海外から援助の要請があった場合にも、やはりこういう現在の体制を基本的に活用して海外からの要請にこたえていきたい、かように考えておるわけでございます。
  304. 児玉健次

    児玉委員 長官の答えをいただきたい。
  305. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほど貝沼先生小渕先生に申し上げましたとおり、原子力の問題は一つの国だけでどうということではありませんで、やっぱり国際的に、特に原子力を進めている先進国がもうお互いに力を合わせて安全性確保、それから災害の場合のアフターケアですね、もう本当にお互いに虚心坦懐に国の門戸を開いて協力体制をつくるべきだと私は思います。そのことが原子力安全性確保、平和利用につながるというように思いますので、私自身もぜひそういう方向に進ませたいということで微力を尽くしてまいりたい、このように考えております。  今度ようやくソ連も門戸を開いて、日本専門家をチェルノブイリに招聘してくれるということで、ようやく出かけることができまして我々非常に喜んでおります。今行っているようでございますから、帰ってきましたらチェルノブイルの実際の模様を、日本人の科学者の目で見た模様をよく聞きましてこれからの協力体制、援助体制の確立のための一つの資料にしたいと思っておりますので、まとまりましたら先生方にも、委員各位にも御報告したいと思っております。
  306. 児玉健次

    児玉委員 そこで、国際的な協力のために必要な専門家、資材、機材などをきちっと整備していつでもそれが使えるようにマニュアルも準備しておく。それは国際協力だけでなく、国内における過酷事故のときに大いに役に立ちます。  それで、アメリカでは一九八〇年の八月に、アメリカ原子力規制委員会、NRC新緊急時規制を発表して、事故のシナリオにより自治体が訓練を行う、今のエマージェンシープログラム、それに従って自治体、住民が訓練を行う、これが運転許可条件の重要な一つになってきています。私どもの考えというのは、原子力発電所安全性は未確立である、新増設の中止、重大事故を想定した新しい厳しい安全基準をつくって既発の原発の総点検を実施する、運転中止を含めて規制の措置をとらせること。もう一つの柱として二つ目は、緊急に本格的な避難対策、防災対策を確立させる。これが重要だと考えておるのですが、アメリカのNRCの経験に学んで、日本でも過酷事故が起こり得るという前提で事故時の被害予測の科学的想定をもとにしたエマージェンシープログラム、防災計画を原発個々に作成することが今重要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  307. 村上健一

    村上政府委員 お答え申し上げます。  まず最初、アメリカのNRCの規則の問題でございますけれども、私ども承知している範囲では、NRCの規則で緊急時計画は住民の退避訓練が義務づけられている、すなわち英語でマンダトリーという単語が使っでございますが、これにはなってないというふうに承知しております。  それから、シビアアクシデントの件についてでございますけれども、御案内のとおり防災計画は原子力安全委員会が定めました指針に基づいて作成されているわけでございますけれども我が国原子力施設は何重にも安全対策を施すという多重防護の考え方で、私どもとしては十分に安全は確保されているというふうに考えておりまして、放射性物質の大量放出が起こるような事態の発生は極めて考えにくいというふうに考えております。しかしながら、安全委員会指針にもございますように、なお万が一の場合に備えて、放射性物質の大量放出による影響をできる限り低減するための対策として原子力防災対策を講じることとなっておりまして、この放射性物質の大量放出というのは、指針の中で先ほど御案内申し上げましたように重点的に実施すべき範囲という八ないし 十キロメートルの距離を目安として出しておりますが、これの根拠は安全審査の際に想定しました量を相当上回る量を実は仮定しておるわけでございますので、シビアアクシデントという固有名詞で対応はしておりませんが、この防災計画の前提となります事故は相当大きなものを前提にしておる、こういうことを申し上げたいと思います。
  308. 児玉健次

    児玉委員 今のお話をお聞きしておりまして、スリーマイルの事故が起きてからちょうど十年たちました。ここに大統領の「TMI原発事故報告」いわゆるケメニー報告というのがありまして、繰り返し繰り返し読んでおるのですが、その中で、ケメニー委員長を中心とした委員会皆さん方の重要なあの事故からの教訓、その一つは、ちょっと読みましょう。「証言のなかで、我々は一つの言葉が繰り返し使用されたのを覚えている。それは「思いこみ」という言葉である。」安全だと思い込んでいる。「運転員がおれば大丈夫だと思いこんでいました。」例えばこういう発言があった。まさに情緒的ですよ。安全だと思い込んでしまっている。そして、この報告書の結論部分はどうか。「我々は、我々の人間としての限界いっぱいに、また我々に許された時間のすべてを投入して、米国大統領の委託を良心的に遂行してきたと確信している。」そして「将来的に重大な原子力事故が発生しないと保障してくれる魔法の杖は発見できなかった。」消防庁がおっしゃったように、重大な事故が起きるということを前提にして防災計画を立てなければだめだ。万一であることはそれは確かに望ましいことですが、そういう立場でやらなければいけない。思い込みと、日本は安全だという過信が極めて危険だということを私はあえて指摘しておきたいと思うのです。  そこで、通産省にお伺いしたいのですが、電力需要の予測が下方修正されている。北海道の場合で言えば、石炭の火力発電所を維持し、そして伊達の火発の操業率を上げれば泊原発は必要としないと私たちは考えておりますが、さて、電力需要の伸び悩みの中で、負荷変動に追従しない軽水炉で出力調整試験を行うという試みが御存じのように伊方で行われました。この伊方原発の出力調整試験に北海道電力も参加しておりますが、そういうことがあってはならぬと思っているんだけれども、泊原発がもし営業運転に入ったとすれば泊原発でも出力調整を行うのでしょうか、お聞きしたいと思います。
  309. 横江信義

    ○横江説明員 先ほど三角原子力発電安全管理課長からお答えしましたように、営業運転は、それまでに所要の検査等の手続が終わりますると来年の六月に一号機で予定されております。これにつきましては全体の需要の一部を満たすというだけにすぎませんので、出力調整運転を行う予定は当面ございません。
  310. 児玉健次

    児玉委員 皆さん方はローリングを十年単位でなさるわけだけれども、当面というのはあなたはどのくらいを考えていらっしゃるのか。
  311. 横江信義

    ○横江説明員 正確さを欠きまして申しわけございませんが、施設計画において出力調整運転を行う計画はございません。
  312. 児玉健次

    児玉委員 そこで、三つ目の問題なんですが、原子力施設への航空機の墜落対策の問題に入らせていただきたいと思います。  今、東北と北海道ではF16の超低空飛行について住民の不満が高まっています。F16というのは大変よく落ちる飛行機でして、ヨーロッパに配備されてから七年間で二十件の墜落事故が既に起きています。日本でも昨年三月八戸の沖、ことしの九月二日岩手県、これらは記憶に新たなところです。  そこで、三沢基地からわずか二十七キロのところに青森県の六ケ所村があります。きょうも何回か議論がありました。核燃料基地の事業者である日本原燃産業の調査によれば、六ケ所村の上空をF16が飛行する頻度が極めて高い。この状況を放置しておいていいのかどうか、外務省に伺いたいと思います。
  313. 重家俊範

    重家説明員 お答えいたします。  御指摘のようなことが一部の雑誌に書かれておったということは私ども承知しておりますが、右の雑誌によります調査は必ずしも正確なものではなかったというふうに聞いておるわけでございます。  いずれにしましても、原子力燃料サイクル施設は三沢の対地射爆場から約十キロメートル離れた場所に設置される予定だと承知しておりますけれども、米軍機がこの射爆場を利用する訓練に赴きます場合には、通常、原子燃料サイクル施設予定地の上空は飛行しておらない、近くに鷹架沼というところがございますが、それより南の空域を使用しておるというふうに承知しておるわけでございます。  しかしながら、米軍施設区域たる三沢対地射爆場の円滑な維持運用ということも他方でございますけれども、それをまた安全に運用していかなければいけないということでございますので、今後原子力燃料サイクル施設安全性等につきまして技術的な検討が行われていく段階において、私どもといたしましても必要に応じ関係省庁あるいは米側と連絡調整を図っていきたいというふうに考えております。
  314. 児玉健次

    児玉委員 雑誌云々というのは私は承知しないここで、今の御答弁には大変問題がありますが、ちょっと時間がないので、次の機会に譲りたいと思います。  外務省は、一九八一年六月七日、イラクのバグダッド近郊のタムーズで建設中であった原子炉に対して、イスラエルのF16八機がレーダー網をかいくぐって超低空で飛来して、一撃のもとにそれを破壊した、このことについては園田外務大臣が暴挙であるという談話を出しておりますが、このことについては当然御承知だと思うのです。  そこで伺いたいのですが、絶対にあってはならないことですが、しかし三沢基地の司令ジョン・ローバー大佐は、F16は実戦的に飛ばなければ強くなれない、空対地訓練の目標は道路、鉄道、橋、レーダー基地などであるというふうに述べている。万が一にもこのF16が原子力施設を対地攻撃の標的にするようなことがあってはならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  315. 重家俊範

    重家説明員 本件につきましては、我が国は現在、航空機による原子力施設に対する災害を防止するために、約七十カ所でございますが、原子力施設付近の上空の飛行はできるだけ避けるという旨の飛行規制を行っているところでございます。これを航空情報として公示しておるわけでございますが、米軍もこの公示を尊重して飛行を行っているというふうに承知しております。  また、六月二十五日の伊方での事故が起きました直後、私どもは、日米地位協定で設けられております日米合同委員会におきまして再発防止に万全を期すべき旨米側に強く申し入れを行っておるわけでありますが、米側から、従来より日本側の航空規則を遵守してきているけれども、今回の事故を契機に改めて在日米軍内に右を徹底するよう措置するということを回答しておるわけでございます。したがいまして、私どもはF16が原子力施設を目標として飛行訓練を行うようなことはないものと考えておる次第でございます。
  316. 児玉健次

    児玉委員 最後に長官に私は強く要請をしたいのですが、先ほどいろいろ議論をしましたように、当丸峠について言えば通年通行という事態になるのは早くて昭和六十五年です。そういう状態の中で既に試運転が行われて臨界に達している、非常にこれは危険なことだ。このような試運転は中止させるべきだ、こう考えるのですが、いかがでしょうか。
  317. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 防災の問題は大事でございますけれども、私、現場の事情がよくわかりませんので、防災の問題については、道側の事情をよく調査をして万全を期すようにしたいと思います。  ただ、それと原子力発電運転を中止させるということは別個の問題でございまして、日本の電力事情、エネルギー事情から見まして、我々はぜひ日本基軸エネルギーとして原発を位置づけ、西暦二〇〇〇年には四〇%台の発電量まで持っていきたいという計画を進めております。その一環 としての泊の原子力発電所でございますので、安全性確保をさらに強めさせながらこの運転は続けさせることにしたいと思っております。
  318. 児玉健次

    児玉委員 それでは原子力の平和利用、その点での安全の確保についての国際的な流れから孤立することになるということを私は強く述べて、質問を終わりたいと思います。
  319. 粟山明

    粟山委員長代理 次回は、明後二十四日木曜日委員会を開会することとしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十七分散会