-
-
-
-
○
委員長(
原文兵衛君) 御
異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────
-
-
○
委員長(
原文兵衛君) 御
異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────
-
-
-
-
-
○
大木正吾君 税収の一割を占める
部分を株の売却で賄っている
状態でもございますから、この種の問題が起きますと株価にも
影響するかもしれませんし、
財政上の困難あるいは
事業の
ネットワークの
混乱、そういった問題がございますから、不注意な
記事については
内閣といたしましても
担当大臣としても十分に厳正に対処してもらうことを希望しておきます。
それでは本論に入りますが、
中山大臣にまず伺います。
あと一週間後にマル優が
廃止をされる予定でございまして、いよいよ
民間の
金融機関を含めて大変な
貯金獲得合戦が始まっているようでございますが、最近
郵貯の伸びの
減少傾向等もありまして、言えばそういった
意味合いでもって
郵政省はどういうふうに対応の仕方について原則的に考えておられるか、これについて伺います。
-
-
○
大木正吾君 そこで
大蔵省に尋ねたいんですが、
市場金利連動型預金につきましては、たしか六十年十月から始まっているわけでありますが、当初十億から始まって現在では一千万まで行っているはずであります。これについて
郵政省と本年の二月ぐらいまで
相当協議があったようでありますが、その
協議の模様あるいは結果、同時に今後の
方向について
大蔵の方からまず
意見を伺いたいと思います。
-
○
政府委員(
平澤貞昭君) いわゆる
預貯金金利の
自由化は世界的な大きな趨勢でございますので、
大蔵省としましてもその
方向で今まで努力してまいったわけでございます。特に、
自由化に当たりましては
小口MMCから入っていくのが適当であ
るというふうに、従来からもその路線で進めてきているわけでございます。
そういたしますと、現在一千万まで参ったわけでございますが、さらにこれを
小口化していくという場合には、今
委員が御指摘ございましたように、当然
郵貯との
関係をどうするかという問題があるわけでございます。したがいまして、
郵政省とはこれまでこの問題につきまして鋭意
意見交換を進めてきております。まだ結論を得るに至っておりませんけれども、
先ほども申し上げましたように、大きな
方向の中でこの問題を前向きに解決していきたいというふうに考えておる次第でございます。
-
○
大木正吾君 抽象的でわかりませんので、もう少し話し合いの
ネックになっている問題について話をしてください。
-
-
-
○
政府委員(
平澤貞昭君)
定額貯金につきましては、その
商品性につきまして現在両省で議論しております。 したがいまして、具体的に現在どのように
方向づけていくかという点につきましては、まだ話が煮詰まっていない
状況でございます。
-
-
-
○
大木正吾君
大蔵省にまた伺いますが、半
世紀近いもので
国民の
方々がほとんど利用されておられる、特に
高齢者等の
方々も利用されておられる。そういったものについて根幹的な見直しをせよと迫る
大蔵省に無理がありませんか。 その辺はどうですか。
-
○
政府委員(
平澤貞昭君)
金融資産相互間の
商品性の問題というのは非常にデリケートな問題でございまして、
御存じのように、前にグリーンカードを採用するという場合にも、
民間から
郵貯に数兆円の
シフトが起こったこともあるわけでございまして、したがって、
小口預金金利の
自由化に入ります場合には、やはりその間の資金の
シフト等にどういう
影響を与えるかということを慎重に
検討していくことは非常に重要なことだと考えているわけでございます。
そういう中で
郵貯の
定額貯金、これにつきましてどう考えるかという点は、
先ほど申し上げましたように、
行革審あるいは
臨調答申にも指摘されておりますように、非常に大きな問題であるというふうに考えている次第でございます。
-
-
○
政府委員(
中村泰三君) 最近の
郵便貯金の
増加状況でございますが、いわゆる
預入から払い出しを差し引きました純
増加額といいますのは、最近年々
低下をいたしている
状況でございます。特に五十三年以降、この十年間を見てみましても、五十五年のいわゆる
金利天井感の年は別でございますが、五十六年以降は毎年
低下をしていっているという
状況でございまして、昨年の純
増加額で申しますと一兆一千億ぐらいでございまして、五十四、五年ごろからいいますと五分の一ぐらいに下がっております。特に六十二年度の
状況も、二月末現在では昨年の実績から一割ばかり下がっているということでございますが、そういう
意味で、純増額というものは伸び悩んでいるという
状況でございます。
-
○
大木正吾君
手元に資料がございますけれども、六十一年度、六十二年度だんだんと
郵貯が下がってきて、六十年度をピークにして落ち込んできていますね。こういった問題、さっき
大蔵から話がありました
シェアの問題とも
関係はするでしょうけれども、私ども見まして、やっぱり
郵便貯金というものは
国民の非常に零細なといいますか、
国民全体に対しましての老後の不安とかあるいは病気の
問題等を考えられてこつこつためられている
貯金ですから、そういった
観点に立って、
金融市場の問題もありましょうけれども、もう少しやっぱり
国民の立場に立った
大蔵の
考え方が望ましい、こういう
感じがするんですが、
大蔵省、
郵貯の
MMC導入に絡んでの、なぜ
郵貯に
MMCの
導入ができないのか、それについてもう少し明確に答えてください。
-
-
○
大木正吾君 非常に
答弁があいまいもことしてわかりません。
内容的なことをもう少し詳しく述べてもらいたい。
傾向としてという話などでは国会のこの
予算委員会の
質問の
答弁には余り整合しませんから、中身についてもうちょっと細かく、例えば
郵便貯金の
限度額五百万までになりましたね、そういった一千万のものを五百万にするというような話とか、あるいは
シェアの問題が何%ぐらいになればいいとか、
定額のどこがどういうふうにいけないのかとか、そういった問題が論争の中にあるはずでありますから、そういったことを述べてください。
-
○
政府委員(
平澤貞昭君)
先ほどもお話がございましたように、現在
MMCは一千万まで
単位が下がってきているわけでございます。
郵貯がこの四月から三百万が五百万に上がるわけでございますので、漸次
MMCの
単位を下げていくという場合に、
一つの
考え方といたしましては、今
委員もおっしゃいましたように五百万までの間でもう一遍下げるということも考えられる案でございます。ですから、場合によりましてはさらに
小口化するということも案として考えられるわけでございます。その場合に、今までの御議論の中にございますように、
郵貯との
関係のほかに
民間金融機関の中で急速に
小口化を進める場合に、特に
中小金融機関、
農協、
信用組合等の経営にどういう
影響を与えるかという点も非常に重要な
観点でございまして、それらもやはり頭の中に置きながら進めていくということが重要なポイントになろうかと思います。
御存じのように、現在
MMCの
金利は
規制金利より若干上でございますので、これを一気に
小口化いたしますと、当然のことながらそういう
農協、信用金庫、
信用組合等のコストが大幅にアップいたしますので、アップいたしますと当然のみ込めない
部分は
貸出金利にはね返ってくるという問題もあるわけでございまして、そういう点も考えながら、かつまた
郵貯の問題も
先ほど申し上げたような
観点を考えながら、現在精力的に
郵政省と話を進めているというのが現状でございます。
-
○
大木正吾君
考え方が逆転じゃないかという
感じもしないでもありませんが、
自由化をしてそして
MMCを始めてから約二年余りになりますね。そして、むしろ私たちが見た場合には、これは例
えば労働問題で申し上げますと
労働基準法の問題などとも匹敵をするのでございますけれども、とにかく
中小金融機関全部が追いついていける
状態までいかなければできないと、こう言うんだったら、これは何も国の方の
制度化、そういったものを待つことはないわけですよ。
しかし、ある一定の限界が来ましたら、例えば五百万、百万、十万、こういった
切り方がありますが、百万で切ってみて、そして
MMCの
導入を
限度額を下げてみて、そしてついてこれるかどうかという問題については、むしろまた
関係の
信金等は努力しながら追いついていく、こういったこともしなければ、待っておったのではいつまでたっても私はできないと思うんですよ。ですからその辺の問題について、言えば余りぼやかさないで、いつごろからどうしたいんだということについてもう少し明確に
お答えできませんか。
-
○
政府委員(
平澤貞昭君) この
預金金利の
自由化につきましては、諸外国を見てみますとやはり数年かかって慎重に進めてきているわけでございまして、アメリカの場合も七、八年かかっております。ある段階で非常に急速に進めました結果、
金融界に
混乱が起こりまして二年ほど若干逆戻りするというようなことも起こっているわけでございまして、やはり金融は信用の秩序の維持ということも非常に大きな問題でございますので、そういう
意味で進め方としては慎重に、しかし気持ちの上ではできるだけ早く、そういう中で答えを出していくということでやっていくべきものと考えている次第でございます。
-
○
大木正吾君 いずれにしましても、この問題については
郵貯はじりじり減っているという
状態、あるいは今の
貯金獲得戦争、こういった面からぜひ早急にひとつ結論を出すように大臣の方にも希望したいんですが、大臣、所感ありますか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) ただいま銀行
局長から申し上げましたように、
郵貯を別にいたしましても、つまり言ってみれば船足の速いもの、遅いものといったような問題が
農協とか信用組合の方にあるわけでございますが、さらに
定額貯金という問題がございますので、よく各方面と話をしながら、御承知のようにこれは右向け右と言ったら右を向く話と違いまして、気がついてみたら全然違う方へ行っているというような大変にセンシティブな行政でございますから、よくよくその辺も気をつけながらやらせていただきます。
-
○
大木正吾君 今の問題はぜひ早期の解決を
大蔵を中心としまして両省に期待いたしまして、次の問題に入ります。
行革審の指摘の中で、財投原資の供給につきましての見直しについての指摘がありますが、これについて
大蔵はどう対応するおつもりでしょうか。
-
○
政府委員(足立
和基君) 昨年七月十四日の
行革審の答申で、
財政投融資につきましては御承知のように、「引き続き対象
事業の見直しを推進するとともに、内需拡大、経済構造調整等の政策的必要性を踏まえ、資金の重点的・効率的配分を図る。」、このような答申をいただいてございまして、この答申の趣旨に沿いまして六十三年度の財投編成を行い、現在御審議をいただいているところでございます。
さらに一昨年の六月に、いわゆる中間報告と言われております「行
財政改革の基本
方向」におきましても、
郵便貯金につきましては「資金運用部預託利率を国債の利回りを基準とする
金利等に連動させる。」という
方向をお出しいただいておりまして、これにつきましては、御案内のようにそのような法律改正をいたしたところでございます。
さらにその報告におきましても、「
財政投融資については、社会経済情勢の著しい変化等に即応して、その役割を有効・適切に果たしていくため、当面、統合運用の現状は引き続き維持されるべきであるが、その運用及び対象
事業について徹底した見直しを行う。」というやはり御指摘をいただいておりますので、その
方向で対処いたしておるところでございます。
-
○
大木正吾君 今の
答弁も一分の理由がありますが、むしろ行革の方から指摘されている問題は、ある
意味では
金融自由化問題と現在の各
金融機関が扱っています問題、特に財投に絡む問題について最近二、三の矛盾点といいますか問題点がありますので、そういったものについての総合的な面からの御指摘、こういうふうに考えますが、
最初に、財投の不用額が最近ふえていますが、これについて答えてください。
-
○
政府委員(足立
和基君) 一番新しい数字といたしましては六十一年度でございますが、六十一年度について申し上げますと、財投の不用額が六千五百五十億円でございます。
-
-
○
政府委員(足立
和基君) 五年前から申し上げます。五十七年度二千二百九十七億円、五十八年度二千二百十七億円、五十九年度一兆三千四百六十四億円、六十年度三千七百八十六億円、六十一年度は今申し上げました六千五百五十億円でございます。
-
○
大木正吾君 かつて財投資金で開銀がホテルをつくったという話が国会で議論されたことがございますが、これについての反省といいましょうか、財投なり
関係の開銀に対しましての御指導はされたんですか。
-
○
政府委員(足立
和基君) 確かに開銀の融資につきましてはいろいろ御批判をいただいてございまして、例えばホテルというような不要不急のものについて、できるだけそれは抑制すべきでないかということでございます。
一概にホテルと申しましても、確かに一般的に不要不急であると思われるものもございますし、それからまた大変大きな観光資源としてどうしても必要だというようなものもございますので、なかなか
一つの基準としてはっきりとホテルは絶対いけないというわけにはまいらないわけでございますが、そういったホテルを含めまして不要不急のものにつきましては極力抑制するよう指導し、そして今
行革審の答申にもございましたように、資金の効率的、重点的配分を行って使用するということでございますから、その従来ホテル等に向けられておりました融資をほかの緊急なものの融資に向ける、こういうような見直しは絶えず行っておるところでございます。
-
○
大木正吾君 次の問題は、財投の効率化の問題に絡む問題ですが、例えば日本開発銀行と北海道東北開発公庫の業務は類似しておりますね。同時に、
住宅金融公庫、年金福祉
事業団、雇用促進
事業団、いずれも
住宅関係の問題について扱っているわけでございます。さらに、中小企業金融公庫と商工中金、中小企業
事業団、これも類似しておりますね。こういった言えば重複というかダブるというか、こういう問題について、もう少し効率的なというかまとめた、
国民に対しましてもっと物のわかりやすいような形の言えば運用についてなりあるいは財投の使い道についての仕方はできませんか。
-
○
政府委員(足立
和基君) 今御指摘の各政府
関係機関等につきましてそのような御
意見があることは承知をいたしておりますし、臨調、
行革審等の場でもそのような御
意見、御議論があったわけでございますが、しかし、いずれもいろいろな経緯等もございますし、またそれぞれの目的が必ずしも同一でない、こういうことで、それの統合あるいは
廃止、こういったものについての具体的な
方向というものは出ておらないわけでございます。
私どもは、そのような既存のいろいろな機関に対しましてむだな融資を行わないよう、そしてまたその機関が有効な活動ができるような資金供給を行うという
観点から
財政投融資を考えておるところでございます。
-
○
大木正吾君 基本的な問題といたしまして、
預金金利の
低下あるいはマネーサプライの増加、さらには金がだぶついて市中に大分回っていますから、そういった
傾向との
関係におきまして財投について根本的に見直す、こういった問題、そこにやっぱり根っこがあって恐らく
行革審の答申は出ている、こういうふうに考えるわけでございます
が、大臣、そういったことについて、
自由化に向けた中での金融のいわゆる市場の
あり方ですね、こういったものとの整合性という面から見まして、財投そのものの根幹について考え直すことは必要ありませんか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君)
先ほど政府委員から財投の不用額について
お答えを申し上げましたが、ここ何年かかなり金がだぶついてまいりましたし、また
金利は史上最低の
金利に今なっておるわけでございます。したがいまして、市中
金融機関は当然に、景気も最近まで非常に沈滞しておりましたから、貸出先を発見することになかなか苦労する。そういうときに実は政府
関係金融機関とのある
意味での競合が起こるといったようなことは現実にございました。
問題は、しかし、こういう金融緩和あるいは低
金利というものはいつまでもこういう
状況であるということでもございますまいと思いますから、一時の現象とそうでないものとはやはり分けて考えておく必要はあると思いますが、しかしいずれにしても、我が国の経済体制は基本的に自由な市場経済でございますから、政府機関というものはその補完的な役割を本来果たすべきものであって、正面から競合すべきものではないということは基本だと思いますので、そういうことも考えながら、臨調が言われましたことはよく私ども反省をしていかなければならないと思っております。
-
○
大木正吾君 私は、総括のときにはむしろそういったことの懸念を持ちながら将来の
財政の
あり方についての
質問をしたつもりなんであります。今の大臣の
答弁でも、まさしく私が心配します四、五年先の経済動向、金融動向、そういった問題につきまして、言えばことし、来年ぐらいまでは、相当に税収も多いし、三年間は電電の株を売れるわけですから、そういった面で思い切ったことはできるかもしれませんが、一体先行きどうだということを私大分聞いたんですが、余りはっきりした
答弁が返ってこなかったんです。
むしろ大臣の意識の中には私が心配したと同じような
考え方があるとしますれば、そのようにやっぱり一貫した考えを持っていただきたいし、同時に財テク型、あるいは
金融市場型、東京におけるオフショア市場の問題とか、そういった面で日本経済なりあるいは世界経済自身がいろんな形でもって転換していくという展望に立てば、当然これは財投問題についても見直し、同時に
郵貯の
あり方についても根本的に考えなきゃならぬ、こう思うんですが、その辺はどうですか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) ただいまのような公定歩合というのは史上いわば最低でございますから、いつでもこういうことだと考えるわけにもまいりますまいし、また経済の動向いかんによりましては資金需要も
民間金融機関に対して出てくるというようなことも、これも考えておかなきゃならぬことでございますから、やや長い目で物は考えていかなきゃいかぬと思いますが、それにいたしましてもずっと長いことやってまいりました
制度、物の
考え方というのは、殊にこのように金融の
自由化がございますと、いつまでも同じことをやっていていいわけではない、そういうことはやはり絶えず考えておかなきゃならないことで、ここは
一つのそういう
意味での大きな曲がり角ではないかという御指摘かと思いますが、そういうこともやはり考えておかなきゃならない
一つであろうと思います。
-
○
大木正吾君 なかなか先行きの見通しをきっちり決めることはできないだろうと思うんですが、ただ問題は、
大蔵省の意識の中には、
郵便貯金の
シェアが大き過ぎる、同時にこれはむしろ国がバックに信用があるから割合に安定している、同時に私が預けたものは、一遍
郵便局に預けますと
郵便局から今度は資金運用部に行きまして政府の金になるんだと、こういう意識が
大蔵にはあるんじゃないですか。政府の金なんだと、私個人のものですよ、これはね。
今の
国民の気持ちというものは、ちょうど戦争中に国債を買わされました、あるいはどんどんどんどんいろんなあれでもって
国民の資金が提供されていきましたけれども、そういったものじゃないと思うんですよ。やっぱり
金利選好型でもって
金利のいいものに対して追っかけていく、こういう
傾向を持っていますね。
郵貯も例外じゃありませんよね。そうしますと、根本的に
大蔵省の物の
考え方の意識のところをもう少し緩める。
中山大臣いますが、
郵政省は
自主運用ですね、そういったものについてやっと始まったばかりのようですけれども、そういった面についてやりませんと、金融戦争には
郵政省は勝てないんじゃないですか。同時に、財投にもやっぱり響くんじゃないですか。その辺はどうですか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君)
郵貯問題というのは、
郵貯がいかにあるべきかということはいろいろな
意味での懇談会あるいは審議会等々で各方面からいろいろな御議論がございまして、資金運用部の立場からいいますれば、これはいわゆる
国民経済のために一元的にできるだけ運用させていただくことが望ましいということなんでございますけれども、そうばかりも言っていられないという
郵政省側のお立場も実際ございますでしょう。でございますから、事実はある程度それについてのその都度のお話し合いでやっていくということなのでございますが、しかし、やはり国という信用のもとに集まってまいります資金でございますから、それはできるならば
国民経済に一番いい方法で、これは決して
預金者の利益を害するということでなく、利害の調整を図りながら
国民経済全体のためにどういうふうに運用したらいいかということはやはりこれは考えていいことではないか。
その場合、原則的には一元的に運用させていただくことがいいのではないかというのが
大蔵省の考えでございますし、
郵政省としてはそうばかりも言っていられないのではないかという、その辺のところでお話し合いをしながらやっていくということかと思っております。
-
○
大木正吾君
中山郵政大臣、遠慮しないで答えてもらいたいんですが、今のような十五兆円程度までいける
自主運用ですね、これも言えば資金運用部に入ったものを借りるんです、おたくで。 そういったような何か手品というとおかしいんですけれども、曲がりくねった形でもって入ってきてそしてまた使わせてもらう、わずかなものですがね。十五兆ですから総額に比べれば十数%になると思いますが、これについて、それでもって金融戦争に勝てると思いますか。
-
○
国務大臣(
中山正暉君) 結果的には国の統合運用のもとに置くという基調の中でいろいろ
大蔵省ともお話をいたしておりますが、六十三年度の
予算の中でも
郵貯から七兆九千億、簡保から四兆五千億というのが財投の方に回っておりますし、特に明治八年に
貯金という名前がついております。これは一般の
金融機関にはこの
貯金という名前は使わせなかったようでございまして、一般の
金融機関が
預金、それから郵便の方、
郵政省の方でやっております、そのころは逓信省でございましたが、
貯金という名前を使っておりますところが、私はやっぱり国家のために、特に二万四千カ所の
郵便局でいろいろな
方々の御努力のうちに今百十七兆円の
貯金残高がありますし、それからまた簡保百一兆円の契約高というような大きな
国民のお金をお預かりしておるという立場から、六十二年から
自主運用、六十六年までで十五兆ということでお決めいただいておりますが、
大蔵省の傘下の中にもいわゆる金融シンジケートから国債、公債を買っていただいて、その残高が三月の末になりますと百五十九兆円ということでございますから、いずれにしてもこの国家のための財投に大きな
郵政省関連のお金がお役に立っておることでございます。
国家的見地から
大蔵省と協調をしながら、特にさっきの
定額貯金の見直しの問題なんかがありますが、
郵政省としてはこの
貯金の九〇%が
定額貯金でございますので、我々に期待をしてくださっている
方々に対しても、また前線で頑張っていてくださる
方々に対しても、我々が主張はちゃんとひとつ
大蔵省としっかりした
協議をさせていただかなければならないなと、かように思っておりま
す。
-
○
大木正吾君 両大臣の
意見を伺いましたので、これは
国民の
貯金ですから、その
意味合いで時代の趨勢に合った
金融自由化時代の
あり方について、もう少し積極的にぜひ両省でもって詰めてもらいたいということを希望しておきます。
次の問題に移ります。
これは
質問の通告をいたしませんでしたが、
新聞の題材でございますから
大蔵大臣に御了承いただいて答えてもらいますが、政府税調の方の答申も両方そろった形ですし、自民党税調も、山中
会長は今国会にも法案の提案ができるなんていうことが
新聞記事になっていましたね。同時に、一方では今度自民党と共産党さんを除く野党が話をしています方の減税問題については何かすったもんだして、時々山中税調
会長等が茶々を入れながら全然話が進んでいないと、この辺の問題がぐっと三月末になって集まってきているのですがね。
一つ伺いたいのは、まあ政党間の話し合いだから
関係ないというふうに大臣おっしゃるかもしれませんけれども、減税問題の話については、大臣の方には相談がないのでしょうけれども、あれについては誠意を持って進めるべきだというふうにお考えですか、どうですか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) 衆議院の各党の国会対策
委員長の間でお話し合いがまとまりまして、政策担当者が会合を重ねておられるわけでございます。所得税、法人税、相続税等々の減税をやるべきであるということで、その財源をどうするかということで御
協議が続いておるようでございます。御
協議の帰趨はまだ見定めることができませんが、もちろん各党間でお話し合いができましたら、政府としてはそれは誠実に実行方法を考えなければならないわけでございますけれども、ただいまのところまだお話の途中でございますので、推移を見守っておるところでございます。
なお、お話しのように、政府税調におきましては多分本日、一応このたびの税制改正についての素案というようなものを総会を開いてお決めになろうと、そういう予定をしておられるようでございますが、これは文字どおり素案ということで、政府税調としてこれからこれをもとになお
国民のいろいろな御
意見を聞きたい。過般いたしました公聴会、全国で二十カ所ほどいたしましたが、それは案を持たずに、いわば自由に御
意見を聞くということでございましたので、このたびは、まだ幾らか選択の幅を広く持っておりますが、素案というものを具して御
意見を聞きたい。その上で慎重に最終的な答申をお考えになるということと存じますので、まだその時期等については見通しが立っておらないということでございます。
-
○
大木正吾君 いずれにいたしましても、年度がわりでありますから、この問題の話し合いも私たちは極めて国会の審議と並行しまして注目いたしておるわけでして、もし誠意がなければ、場合によってはこれは日切れ法案等につきましても
影響が出るかもしれないと、こういうふうなことにもなりかねませんので、これは
大蔵大臣からまさか向こうの政審
会長、政調
会長等に言うことでもないかもしれませんが、
大蔵省は重大な関心を持ちながら、この問題については暫定
予算等も準備しているのだと私は思いますが、やっていないかもしれませんけれども、やったふりをしているかもしれませんが、この問題についても
理事会で話し合いをしてやっているわけですから、そういう点も含めて、
国民から見ますと、こういったものは、一方じゃ野党も少し気張っていますが、二兆九千四百億円のものを出していると、自民党もそれに新型間接税の問題も含めたら云々と、こういうやりとりがありまして、一方期待感が膨らんでいるんですよ。
きょうまた出ます政府税調は四兆から五兆の所得税減税、こう言っているんですよね。言えばこれが重なってきますから、ますますもって問題は
混乱してくるんです。そういった
意味合いでもって、この国会に政府自身が新しい税体系の
あり方につきまして出しまして、臨時国会に継続して持っていく、そういったような扱い方も考えておられるんですか、どうなんですか、この辺は。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) これは以前にも申し上げたことでございますが、税制調査会に
諮問をいたしましたときに、いつまでの答申をというふうにお願いをいたしておりません。非常に精力的にはやっていただいておりますが。したがいまして、その時期をいまだに見通しを立てることができませんで、政府といたしましては、税制改正法案につきまして、抜本改正につきましては、今国会に御提出するかどうかについては
検討中ということで議院運営
委員会に御報告を申し上げておりますが、その
状況は今日まだ変わっておりませんので、ただいまのお尋ねにいずれとも明確に
お答えできる段階にございません。政府税調としては精力的に御審議を願っておるということだけは間違いございません。
-
○
大木正吾君 善処を要望いたしまして、そして別の問題に入ります。
国土庁長官に伺いますが、地価が一部下がっているという話でございますが、これの
状況について御報告ください。
-
○
国務大臣(奥野
誠亮君) 地価の動向調査を四半期ごとにやっておりまして、昨年の十月一日からことしの一月一日までを見ますと、東京都の
住宅地区について申し上げますと一%内外の下落になっておるわけでございます。神奈川県は、
住宅地区について見ますと一%内外の上昇になっているわけでございます。しかし、一年間を通じて見ますと、近く地価公示の発表があるわけでございますけれども、東京都全体の
住宅地区では七割近い、七〇%近い上昇を示しておるわけであります。また、神奈川県全体では八〇%を超える上昇を示しているわけでございます。そういう
意味で、東京都周辺においては昨年の暮れ以来逆転して鎮静化に向かい始めたと、こういうふうに思っているわけでございます。
-
○
大木正吾君 高値安定のままでもってほうっておくおつもりですか。
-
○
国務大臣(奥野
誠亮君) けさ八時二十分から
総理大臣を座長にする土地対策
関係閣僚会議を持ちました。そのときに事務当局が、鎮静化に向かっていると、こう申し上げたものでございますから、東京の地価は何倍にも上がっているじゃないか、鎮静化ということは高値安定になるじゃないか、これではとんでもないことだと、こういう指摘がございました。
それに対しまして、そのとおりでございますし、なお東京の地価を下げていきませんと地方の地価が上がってくるわけでございますので、今政府・党一体となって取り組んでおります地価対策、これを緩めないでなお強力に進めていきたい、こんな話し合いをまとめたところでございました。やはり東京の地価は下げていく努力をなお続けていかなければならないという強い決意で臨んでいるところでございます。
-
-
○
国務大臣(奥野
誠亮君) 土地供給をふやしていくという
意味でいろんな法律が国会に提案されております。租税
制度においてもそのことが行われておるわけでございます。また、国土利用計画法に基づく監視区域の指定も行われておるわけでございますし、これは下落に向かったからといって
廃止する意思はございません。
これらの運用をさらに強化いたしまして、標準的な地価につきましても時点修正で場合によっては引き下げるというような対応もしていかなければならないと、こう考えておるわけでございまして、あらゆる施策を通じまして努力をしていきたいと考えております。
-
○
大木正吾君 分科会でまた伺うことにいたしまして、次に自治大臣に伺います。
東京都とのやり合いについて、若干同僚
委員等からも
質問がございましたようですが、激変緩和についてとった東京都の措置については自治大臣は極めて不満でございますか。
-
○
国務大臣(梶山静六君)
委員御案内のとおり、都市計画税は、都市計画
事業等の実施により一般的に課税区域内の土地及び家屋の利用価値が向上するという事実
関係に着目して課する目的税でご
ざいます。当該区域内の土地及び家屋に対して一律に課することが適当であると考えられるものであり、今回東京都において提案をされた小規模
住宅地のみについて不均一な形で課税を軽減するというのは、地方税法第六条第二項での解釈としては違法ではございませんが、必ずしも適当であるとは言えないので、東京都に対しまして、照会があった際にその旨を答えたところであります。
ただ東京都は、この激変緩和ということを不均一な形の軽減、いわゆる小規模宅地で二分の一ということで、それ以外のことは据え置きのままでやっているわけでございますから、
先ほど申しました都市計画税の目的で言うそれぞれの利用価値を向上させるということになりますと、片方の方たちが費用を負担して一部の
方々の費用の肩がわりをする、そういうことになりますので、形の上では公平、平等な形ではないので不適当であるという旨を申し上げたわけであります。
-
○
大木正吾君 あの東京都の要請書、
手元にございますけれども、これを拝見いたしますと、これらの問題について固定資産税、都市計画税ともどもに法改正を希望されている、こういうふうに出ておりますが、これについてはどうですか。
-
○
国務大臣(梶山静六君) まだ私の
手元で精細にあれをしておりませんが、都市計画税については、御案内のとおり制限税率という形で〇・三%を上限とすることで設けられておりますので、市町村が具体的にその税率水準をどの程度にするかということは自主的に定めることができるようになっております。ただ、固定資産税はやはり標準税率をとっておりますので、市町村間でまちまちになることはいかがなものかという体系上の問題もございますので、私個人の考えとしてはまちまちにできることは望ましい形ではないというふうに理解をいたしております。
-
○
大木正吾君 これも時間がありませんからまた分科会等でもってやらしていただきますが、相続税について、これは
大蔵から伺いたいのでございますが、相続税の特別措置、
宮澤大蔵大臣はよく二割、三割、四割、こういう話をされるのでございますけれども、具体的に、例えばの話でありますけれども、東京都内に住んでおりまして公示価格が大体、平米で言いません、要するにトータルで申し上げまして、結果的には平米百万ですね、そして仮にこれが土地の面積を掛けまして二億と仮定した場合の相続税はどれぐらいになるというふうに試算できますか。
-
○
政府委員(水野勝君) 公示価格が百万円でございますと、公示価格に対する全国平均でございますと六割ぐらいの水準でございますが、都内になりますとちょっと低くなります。したがいまして、その百万円というのをどのように用いるかちょっと、現実には恐らく百万円の半分なり三分の一ぐらいになろうかと思いますけれども、仮に
委員御指摘の――では相続税の評価額が百万円ということでもよろしゅうございますか。それとも公示価格が百万円なら、評価額は恐らく都内でございますと五割を切っているだろうと思いますから、五十万円ぐらいになります。二百平米でございますと一億円でございます。仮に一億円の課税価格と、ただほかの財産がどうかということもございますが、仮に御指摘のように、土地だけの財産として一億円の場合と二億円とで申し上げますと、仮に課税の遺産価格が一億円でございますと、それからまた、相続人としては奥さんとお子さんが二人おられるというというときには、一億円でございますと八百万円の税額になります。二億円になりますと二千八百万円という数字に相なります。ただこれは奥様がいる場合で、奥様が半分をとられてその分は非課税になるという、その分も織り込んでおるところでございます。
二百平米でそれを三割引く場合には、それのまた例えば一億円でございますと七千万円になります。七千万円でございますと、奥さんとお子さん二人ですと三百六十五万円ぐらいの税額になります。
-
○
大木正吾君 男子と女性の平均寿命が十歳違いますから十年間はいいわけだ、それで。私はそんなような形でもって考えていないんです。やはりむしろ七十何歳の方が両方が消えた、こういう形でもって計算したときどうなるか、こういうことを聞きたいんですが。
-
○
政府委員(水野勝君) もう今度はお子様だけになっているということで仮定しますと、三割引きで参りますと、一億円でございますとお子さんが二人という場合には九百五十万円の税額に相なります。
-
○
大木正吾君 私はこれを計算してみたんだけれども、平米百万、二百平米ですね、公示価格で二億という形でもって一応出してみました。 大臣おっしゃるように三割引く、こういう計算も六千万円引きましてやってみて、課税、奥さんと子供二人といたしまして三人ですね、これが大体三千二百万。そういう形でもってやっていきますと、預
貯金、株等が二千万というような計算を入れまして、大体三千万から四千万近い相続税、こうなるわけです。
しかも、土地が仮に二百平米ですと六十坪弱ですから、土地のど真ん中にうちがありますよ。そうしますと、もし相続人が三千万近い金が用意できなかった場合には土地を売らなきゃいけませんね。土地を売るということは、結果的には自分は立ち退いて別のところに移らなきゃならない。仮に切り売りをすれば、うちを壊してまた建てなくちゃいけない。うちを建てれば最低二千万ぐらいかかりますから、どんなにちっぽけなうちでも。そういったことを考えたことがありますか。
-
○
政府委員(水野勝君) やはり二百平米でございましても、その時価はそれこそ二億円にもなり三億円にもなる。その二億円なり三億円というものを例えば株式なり社債で持っておられたという方は、まさに三千万なり四千万の相続税がかかる。また、地方におられまして、二億円、三億円のものを土地なりなんなりで持っておられれば、やはりそれだけのものがかかる。都心におられましても、同じように二億円、三億円というもの、遺産を相続されたという方につきましては、ほかの形で財産を持っておられる方、あるいは地方で持っておられる方とのバランスということはやはり考える必要があるのではないか。その二億円なり三億円なりというそれだけの、三千万円なりの相続税を払えばとにかくその三億円なりのものが入手できる。それをほかの
方々と比べてどのようにそこのバランスを考えるかという基本的な問題があるわけでございます。
しかしながら、ずっと家族で住んでおられたところを税の
関係で移転されるとか切り売りという、そういう事態もまたやはり
一つの問題であろうかということで、現在三割ないし四割という特別控除で配慮をいたしておるところでございます。居住用でございましたら三割でございますが、それがどのあたりまでが公平の感覚に合うのかということでございますので、なかなかこれは難しい問題でございます。
しかし、これは
先ほどお触れになりました税制調査会の素案の中でも、こうした問題はやはり
検討する必要があるということで
検討の課題には対象とされているようでございます。
-
○
大木正吾君 これも時間がありません、余り細かい議論ができませんが、結果的に三千万円という話題が
新聞等に報道されておりまして、これは東京、大臣御出身の広島とか岡山とかあるいは島根とかそういったところと同じような形でもっていきますと、地方の場合にはほとんどもう相続税は要りません、大都市はかかります、こういう問題が逆にまた起きてきまして、そういった
問題等についても、どうせ主税局は税調の問題を受けましてまた
検討されるでしょうから、そういった手は十分に地域的問題については配慮してもらいたい、こう考えている問題なんです。
それから、会社問題についてちょっと伺いますが、同族会社は幾つぐらいありますか。
-
○
政府委員(水野勝君) 国税庁の調べでございますと、
昭和六十年、最新の数字でございますが、最新の数字でございまして、百五十八万一千七百五社ございます。
-
○
大木正吾君 五十二年に百二十万台だったものがなぜこうふえたんですかね。その理由がわかりますか。
-
○
政府委員(水野勝君) 法務省の方の統計の数字を拝借いたしますと、大体平均いたしまして株式会社、有限会社一年に十万社ぐらいが設立されているようでございますが、一方また倒産とかあるいは合併とか廃業とかということもございまして、国税庁の方の統計で見ますと、法人全体としては一年平均三万から五万近くの会社がふえているようでございますが、これは必ずしも純増、増加数がふえていくということもございません。おおむね純増ベースとしては三、四万あたりで推移してきているのが現状でございます。
-
○
大木正吾君 相続税の税収はどういう推移をしていますか。
-
○
政府委員(水野勝君) この約十年間と申しますか、
昭和五十年以来相続税については基本的な改正が行われてございませんので、相続税の税収の規模といたしましてはかなりなものになってきておりまして、現時点では国税の中では四・六%のウエートとなっております。
昭和五十年前後では二%弱のことでございますので、税収規模としては相対的に二倍以上のものになってございます。
-
○
大木正吾君 いずれにいたしましても、不思議でならぬのは、同族法人がどんどんふえている問題でございまして、結果的には節税という形の本が随分とあちこちで売られておりますけれども、そういった問題についても、不公平なり公平の
観点からいたしまして、土地をそういう形でもって利用する
方々が東京都内にふえていますから、私も随分世話をした人がございますから、だからそういった面については、やっぱり
大蔵省といたしましても、単なる自然に会社の同族がふえているわけじゃないぞという問題の視点から見てもらうことが必要だと、こう考えております。
問題を次に移します。
文部大臣、伺いますが、神奈川県にありますUHF局のテレビ神奈川でございますが、これが中学生の公立高校に対する受験番組を夜中の零時十八分から約一時間流しているわけでございますが、これに対してどういう所感ですか。
-
○
政府委員(國分正明君) お尋ねの件でございますが、私ども問い合わせましたところ、神奈川県のUHF局のテレビではこの四月四日から週四回深夜零時十分から一時間、中学校の二、三年生向けの受験番組を放映する、こういう予定と承っております。生活時間につきましては、個人差がある問題でございますが、一般的には中学生はこの時間にはもう寝ておるということが望ましいことではないかと、こんなふうに考えております。
-
○
大木正吾君 受験戦争とはいいながらも、とにかく中学生が深夜の零時十八分から大体二時近くまで勉強する、こういうような
状態でもって昼間学校に行って勉強できるかどうか、これは大変な問題だと思うんですが、どうですか、放送
関係を監督される
中山大臣はどうお考えですか。
-
○
国務大臣(
中山正暉君) 放送法の第三条で放送の中身には私ども触れられないということにはなっておりますが、私も十七歳のせがれを持つ父親として考えてみますと、これは栄養学の方に伺ったのでございますが、夜中に勉強すると骨の中にあるカルシウムが溶け出す、そういう話を聞いております。カルシウムが不足すると非常に暴力的になるそうでございます。中学生に対しては、一番骨の形成に必要なときで、うんと睡眠をとって、そしてお父さんお母さんがだしじゃこで天然のカルシウム、かつおぶしをすって飯を食わせる、そういうのが本当の教育じゃないかと思っております。
-
○
大木正吾君 それじゃ、話題を最後の問題に移します。
三宅島問題について、きのう同僚議員からも厚木の問題の話があったのでありますが、これについて伺います。まず運輸大臣に伺いますけれども、
民間空港をつくるという
意味合いでもって去年とことしに
予算がついているはずでございますけれども、これは事実でございますか。
-
○
国務大臣(
石原慎太郎君) ついておりません。現空港の改良、更新のための
予算はございますけれども、
委員が指摘されたような
予算はついておらないはずでございます。
-
○
大木正吾君 それじゃ運輸省の方はNLPとは
関係ないと、こう考えてよろしゅうございますね。
-
-
○
大木正吾君 空母の発着訓練基地の問題との関連で伺っているんです。
-
-
○
大木正吾君 アメリカの空母の訓練基地との
関係の問題でもって、これは
関係ないかどうか。
-
-
-
-
○
大木正吾君 おたくの空港建設とこの問題とは
関係ありませんかと。
-
-
○
大木正吾君 それじゃ、
関係ないということでございますから本論に入りますけれども、
環境庁長官はいろいろ環境問題について責任がありますが、防衛庁との
関係で合意された幾つかの問題がございますが、どのような根拠に基づいてやられましたか。基準について主として聞かしてください。
-
○
国務大臣(堀内俊夫君) 基準というとどういう
意味の基準をお聞きなのか私ちょっと理解しにくいんですが、三宅島は国立公園であるということでございますから法律によって厳しく制限されておりますし、またここには国立公園に対する
委員会もございますから、こういう知見に基づいてすべて政策を決定するようになっております。
-
○
大木正吾君 どうも答えがわかりませんが、いかなる基準ということにつきましては、自然公園でありますと同時にここは野鳥のすみかとしても大変いいところなんですが、そういった問題について防衛庁の方と
協議する場合には、どのような基準でもってやったかというその基準ですよ。
-
○
政府委員(安原正君) 先生の御指摘は、まず第一点は三宅島が国立公園であるということかと存じますが、国立公園ということで指定されておりますのは、三宅島が火山島でございまして、火山活動に基づいた特徴的な地形、それから動植物、景観が見られまして、そういうことで国立公園に指定され、保護が図られておるということでございます。したがいまして、私どもとしましては、その地域のすぐれた自然を保護していくために必要な対応をしておるということでございます。
-
-
○
政府委員(安原正君) 三宅島の飛行場の建設計画につきましては、防衛施設庁の方から私ども具体的な計画を聞いておりませんので、現在のところその
内容については承知していないわけでございます。
先ほども申しましたように、三宅島のその大
部分の地域が国立公園に指定されておりますので、仮に計画が具体化しまして環境庁に判断が求められるということになりますれば、国立公園のすぐれた自然の保護の
観点から慎重に対処していくことになるものと考えております。
-
○
大木正吾君 話の中身がさっぱりよくわかりませんが、わからない話を何で許可したんですか、これ。
-
○
政府委員(安原正君) 御
質問の趣旨がよく理解しかねるわけでございますが、環境庁としては、この飛行場の計画は現段階におきましてはまだ防衛施設庁の方から聞いていないわけでございます。
-
○
大木正吾君 納得できませんね、これは。そういうばかげたことがありますか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) ちょっと事情を私どもの方から御説明申し上げたいと思いますが、環境庁さんに今いろいろお願いを申し上げておりますのは、実は三宅島の着陸訓練場、これは立地条件として私ども非常にすぐれておるということでございますが、具体的に訓練場を設置するというための事前の調査をやりませんと果たして訓練場ができるかどうかはっきりしたことがわかりませんし、位置
関係もわからない、こういうことで現在気象調査を昨年の九月から実施いたしておりますが、その際気象観測柱を建設いたします場所がちょうど国立公園の区域に入っておるということで、このための
協議をお願いする、あるいは、今後ボーリング調査等地盤の調査もやりたいということでございますので、その
関係の土石の採取、こういった関連について環境庁さんの方へお願いをしておる、こういう
状況でございます。
-
○
大木正吾君 じゃ防衛庁はNLPをつくる計画はないわけですね。まだはっきりしてない、こういうことですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私どもとしましては、累次この
委員会でも御説明をいたしておりますが、現在厚木で実施をいたしておりますNLP、ナイト・ランディング・プラクティスでございますが、これが非常に訓練効率も都市の近郊でよくない、あるいは騒音の被害が大変大きい、こういうことで、こういった訓練の十分可能な場所を代替施設として探しておるわけでございますが、その候補地として三宅島が最も適切な立地条件にあるということで考えておるわけでございまして、こういった事前の調査を了しましてここに飛行場が建設できるということになりました場合にはお願いをしたいということで、現在いろいろ着陸訓練場の設置等についてのお願いを三宅島にいたしておるところでございます。
-
○
大木正吾君 とにかくはっきりしてくださいよ。気象問題についてのあれは環境庁に話をしましたと。そして防衛庁自身がまだNLPをそこにつくるかどうかについては最終結論を出していない、そういうふうに考えていいんですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 最終的に飛行場の建設というところまでまだ作業が進んでおりませんで、そのためには、飛行場として気象上問題がないか、あるいは地盤に問題がないか、こういった点もやはり私どもとしては事前に十分調査をして決定をする必要がある、かように考えておるところでございます。
-
○
大木正吾君 事前の調査、事前の調査と言ったって、これだけ
新聞やその他でもってわいわい騒いでいる問題について、NLPをつくる計画がないというふうにはっきり言えるんですか、ここでもって。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私どもとしては、
先ほども御
答弁申し上げましたが、立地条件として極めてすぐれておる、騒音の
影響、あるいは訓練効率、こういった点、あるいは厚木からの距離、こういったものを総合的に勘案いたしましてここへ訓練場をつくりたいということでお願いをしておるわけでございますが、そのためにはいろんな条件を調べていくということが必要になるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
-
○
大木正吾君 御理解を賜るなんて言ったって、NLPをつくるかつくらぬかはっきりしないなんてことを言われて御理解ができるわけがないじゃないですか。はっきりしてくださいよ。つくる意思があるんでしょう。
-
○
政府委員(
友藤一隆君)
先ほどからも御
答弁申し上げておりますように、私どもとしてはここに着陸訓練場をつくりたいということで現在そのための準備の作業をいたしておる、調査をいたしておる、こういうことでございます。
-
○
大木正吾君 言葉のあやだけれども、余りばかにしたことを言っちゃいけないよ、あなた。つくりたいということでもって気象
状況の調査の三本のくいを打ちに行った、今度はボーリング調査をやろうとしている。そういったことは一体どういうことを
意味するんですか。じゃ、やらないということがあり得るわけですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) まだ気象調査の結果も出ておりませんし、地盤の調査もやっておりませんので、こういった技術的なデータを私どもとしては十分調査いたしまして、ここでNLPと申しますか、着陸訓練が可能であるということが出まして初めて正式にここへつくるという決定ができるというふうに考えております。
-
○
大木正吾君 地元の
新聞に堂々と南雲君が書いているじゃないですか、一番適当だからつくるんだって。こういうことはどうするんだ、一体。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私どもとしましては、
先ほどから申し上げておりますように、立地条件として位置的な
問題等を含めまして非常にすぐれた場所であるというふうに判断して現在調査をいたしておりますが、現地の方には事前にそういった問題についていろいろ御説明をしたいということで、島の方にも私ども初め幹部あるいは担当者が参りましていろいろ御説明をし御理解を賜るようにお願いをしておるわけでございますが、なかなか反対と申しますか御理解をいただけない面もございまして、憶測に基づきます誤解でございますとかそういった面もございまして、いろいろな情報が飛び交っておるということは私どもも承知をいたしております。
-
○
大木正吾君 納得できませんよ、
委員長。これを見てください。防衛施設庁の南雲君が、三宅新飛行場建設に関する諸問題についてずっと並べていますよ。これは本人じゃないんですか、だれか別の人が書いたんですか。本当に決めてないなんて、うそをつくなよ。こんなことでは審議できないよ。これだけ確定的な問題について、何てことを言うんだ。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 東京の防衛施設
局長が投稿されたというふうに聞いております。
-
○
大木正吾君 いずれにしても、これは瓦長官に聞きますが、三宅島にNLPをつくる意思はないんですか。
-
○
国務大臣(瓦力君) ただいま施設庁長官から
答弁をいたしておりますが、三宅島のNLP建設につきましては、私どもといたしまして、最良の適地であると、かような
観点から、三宅島の住民の
方々に理解をちょうだいしながら、飛行場建設のための気象条件であるとかあるいは地質の問題を調査しなければなりませんので、それらのことを収集する
意味合いにおきましても三宅村の
方々に理解を求めてそれらの仕事をさせていただきたいと、そういう過程にあるわけでございまして、私どもといたしましては三宅島におきましての離発着訓練場を設置したいという願望を持っておることは、
先ほど以来申し上げているとおりでございます。
-
○
大木正吾君 願望とかなんとか言うけれども、説得の中身は、結果的には飛行場をつくらせてもらいたい、こういうことなんでしょう。
-
○
国務大臣(瓦力君) そのとおりでございまして、私どもといたしましては、日米安保体制を堅持してまいるということからいたしましても、この艦載機の着陸訓練というのは極めて高度の技術的なものも伴いますので、厚木の事情等も踏まえ、そういたしますと三宅に飛行場を設置することが望ましい、かような考えをもちまして調査を進めさせていただきたい、かように取り組んでおるところでございます。
-
○
大木正吾君 さっきの
答弁と違うじゃないですか。適当かどうかについて調査している、こういう話だったんですよ。今の長官は望ましいと、こう言っているんですよ。どっちが本当なんですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私ども、まだ十分な調査をいたしておりませんので、確定的にここに飛行場ができるかどうかということについては申し上げることはできないわけでございまして、位置的に、あるいは立地条件的、地政的、いろいろなそういった面を総合的に勘案いたしますとここが一番の候補地となるということで、具体的に果たして飛行場としての地盤なりあるいは気象条件なりを備えたものかどうかということについて現在調査をやっておるということでございまして、こ
こにNLPの訓練場を設置したいという希望については
先ほど来大臣も申し上げておるとおりでございます。
-
○
大木正吾君 とにかく、つくるという意思があることは間違いないわけでしょう。再確認しますよ。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 調査結果が可能であるという結論が出まして、さらに私どもといたしましては、
先ほども大臣から申し上げましたように、できるだけ地元の御理解を得て建設をしたい、かように考えております。
-
○
大木正吾君 地元の御理解は得られませんという結果が出ましたね。どうお考えですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君)
先ほども申し上げましたが、現在非常に反対というようなところが強いわけでございますけれども、私どもといたしましては、着陸訓練場を、代替施設建設をするという防衛上の必要性は大変重要でございますので、その辺の事情、あるいは訓練場の性格、仮にいろいろ
影響があるとしますればそういった
影響についての御疑問、さらにはそれに対する対応策、こういった面を含めまして十分御理解が進むように御説明をしたいということで現在努力いたしておるわけでございまして、まだなかなか話し合いの機会を十分持たせていただいておりませんでいろいろ憶測に基づく誤解等で反対論も強うございますが、誠意を持って御理解をいただくように努めてまいりたい、かように考えております。
-
○
大木正吾君 憶測に基づくとは一体どういうことですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) これは、例えば島じゅう騒音だらけになるとか、あるいは核基地になるとか、そういうようなことが喧伝をされる、一例を申し上げればそういうようなことでございます。
-
○
大木正吾君 私三回も行っているけれども、あなた、あそこが核基地になるとはだれも言っていないよ。あなた方が三宅島に飛行場をつくることを前提にして話をしようというから、話をしない、こう言っているだけじゃないですか。もう少し中身をはっきり聞かしてくれよ。初めに飛行場ありきじゃだめなんだよ。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) この件につきまして、私どもは村当局にも正規に防衛施設庁として、訓練場の必要性を初め、どういった性格のものか、仮に建設するとした場合にこういうものになりますよということについて十分御説明をしたいということでお願いしておるわけでございますけれども、なかなか反対が強いという
状況でございまして、まだそういった御説明、話し合いの機会を得ておりませんが、私どもとしましては、こういった点、十分御納得のいく説明をして御理解を賜りたい、かように考えておるわけでございます。
-
○
大木正吾君 反対が強けりゃやめるんですね。反対が強けりゃやめるんでしょう。
-
○
国務大臣(瓦力君) 三宅村におきましての住民の反対の意思が強いことも承知をいたしております。また、
委員御指摘のように、さきの選挙の結果も踏まえておるわけでございますが、私どもは誠意を持って住民の
方々との対話に努めていかなければならぬと心得ておりますし、まず、
先ほど以来申し上げておりますとおり各種の調査を進めさせていただくための理解もいただきたい、このことで努力を重ねておるわけでございまして、いろいろ今日までの経緯もございますが、誠心誠意、誠意を持って当たればおのずから道が通ずる、努力を重ねてまいりたいということで取り組んでおることを御理解いただきたいと思います。
-
○
大木正吾君 瓦長官に伺いますが、三宅島には我が社会党の大先輩が、凶刃に倒れた方がいられますけれども、そのことを知っていますか。
-
○
国務大臣(瓦力君) 浅沼稲次郎先生のことはよく存じております。また、日比谷公会堂におきましての不幸な事件もございましたし、また、浅沼先生の政治活動はたしか「驀進」という写真集につくられた、かようなことも承知をいたしておりまして、浅沼先生につきましては、私どもも多感な時代でございましたが、よく承知をいたしております。
-
○
大木正吾君 気象観測のときにも強行したんですが、今度ボーリングする場合にも、これは村民との話し合いがつかない場合でも強行するということですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君)
お答えいたします。
気象調査を現在やっておりますが、地質調査、これはボーリングをやるわけでございますが、適地選定に必要な資料を収集するという、
先ほど申し上げました事前の予備調査の一環でございます。
関係の土地を借り上げまして、自然公園法上の所要の手続を行いました上で事務的に実施をするという性格の一種の調査工事でございまして、
先ほどから申し上げておりますように、建設そのものということではございませんので、その辺御理解をいただきたいと思うわけでございますが、これの実施につきましては、先般の気象調査は大変いろいろ
混乱をいたしましたが、私どもとしましては気象調査を含めましてできるだけ平穏裏に行いたいということで、随分時間もかけて説得をし、そのための努力もしておったわけでございまして、地質調査におきましてもそのための努力を十分行って準備が整えば実施をいたしたい、かように考えております。
-
○
大木正吾君 現状でもって、ことしじゅうぐらいに、あるいは来年もそうでしょうけれども、これが納得のできる
状態にいくはずはないですね。そういった中でもって地質調査をやるとなれば、必ず強行するしかないと思うんです。けが人も出ますよ。あそこの女性の
方々は、年輩の四十歳以上の
方々は物すごく強固な意思ですからね。言えば、恐らく警官隊を相当持っていってやりましても死者も出るかもしれませんよ。そういった中でやりますか。どうですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私ども、そういう事態になることは本意でございませんし、できるだけ調査についての御理解をいただきながら実施をいたしたい、かように考えております。
-
○
大木正吾君 そういうことは絶対にあり得ない。だって私は三回行っているからね、あそこへ。現地に乗り込んでいって話もしてきているんだから。何としてもあそこでもって、あの村でもって、静かな自然の中、自然公園ですから、そういった中でもって暮らしたい、こういう気持ちが圧倒的に強いんですからね。そのことは村議選の結果でも明確なんだから。結果としてその後ますます反対の
意見が強くなったんですからね。
そういった中で、今島民が用意していますことは、年度が変わった四月一日以降いつ来るか、こういう構えなんですよ。あなた、それで説得する自信がありますか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 最大限私ども努力をいたしたいというふうに考えております。
-
○
大木正吾君 最大限ではだめなんじゃないですか。強行するつもりなのかどうかなんだ。説得した上でもって、納得されないときには強行するんですね。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私ども誠心誠意努力してまいる、こういうことでございます。
-
○
大木正吾君 我が党の国会議員団にいたしましても、あるいは関東周辺の県あるいは市議団全員、そろって島民とともに座りますからね。どうぞもし強行するんならしてみてくださいよ。一戦交えましょうか。あれだけ反対しているところにもってきて、そんな強行するなんてばかな話があるか。やめるということをはっきりしてもらいたいんだよ。
押し問答ですからやめます。
-
-
○久保亘君 文部大臣、後ほどの私の質疑の時間には御
出席願えないかもしれない
状況もございますので、ここで
質問さしていただきたいと思います。
昨日上海で起きました列車の衝突事故は、まことに痛ましいことでございます。 この列車事故に高知学芸高校の修学旅行団が遭遇をいたしましたことは、まことに残念であります。犠牲になられた高校生初めたくさんの
方々に心からお悔やみを
申し上げますとともに、負傷された
方々の御回復をお祈りし、御家族の
方々にもお見舞いを申し上げる気持ちを込めてお尋ねしたいと思うのであります。
文部省はこの高校生の修学旅行団の事故に対してどのような対応をなさっておりますか。
-
○
国務大臣(
中島源太郎君) 昨日、高知学芸高等学校の修学旅行生が中国の上海近郊で列車事故に遭われました。大変痛ましいことでございまして、今詳細は情報を収集中でございますが、残念ながら死者、負傷者多数に上っておるということでございますので、私からもまず冒頭に、お亡くなりになりました方に対しましては哀悼と御冥福をお祈りいたしますし、負傷されました方の御回復をお祈りいたしますと同時に、また御父兄、
関係者の御心痛に対しまして御慰労申し上げるところでございます。私自身も大変心痛む事件として受け取らしていただきました。
起こりましたのは
御存じのように日本時間で三時半近くでございましたが、夕刻情報を聞きましたので、まず、これは外国で起きたものでございますので御心痛の点もございますが、文部省といたしましては直ちに外務省並びに運輸省の方に御連絡をいたしまして、快く万全の態勢をとるという御協力もいただいております。外務省の
方々には現地の情報、その他大使館あるいは領事移住部を経まして、現地の情勢はもちろんでございますが、あるいは旅券、ビザの発給に速やかに対応していただくこと、あるいは運輸省の方には、帰れる
方々は速やかにお帰りいただかなければなりませんし、その事後処理、またこちらから現地へ飛びたいという御心痛の方も多いと思いますので、それがスムーズに行われますように、それも含めてお願いを申し上げ、御協力をいただいておるというところでございます。
なお、昨日私からは高知学芸高等学校にお電話を申し上げ、それからとりあえず、高校でございますので高知県知事さんに直接お電話をいたしまして、不幸な事件でありますが事後処理がつつがなく行われますように、また政府でできますことは
関係省庁と連絡を密にいたしまして全力で対応いたします、何なりとこちらへおっしゃっていただきたいということも含めて御連絡を申し上げたところでございます。なお、本日、担当官をとりあえず高知に差し向けまして、そして学校を中心といたしまして現地とまた政府側との連絡が密にできますように、もう既に立っておるところでございます。
それから中国現地の方でございますが、これは
内閣官房とも御相談いたしまして、文部省から早速現地へ行くように人選を終わりました。また
官房といたしましても、グループと申しますか、
関係各省庁で人選をいたしまして直ちに現地へグループとして派遣をする、その中の一人に文部省から係官を差し向ける、その人選を終わったところでございまして、準備を急いでおるところでございます。
いずれにいたしましても、痛ましい事故の事後処理に万全を期したいということで鋭意手続を進めておるところでございます。
-
○久保亘君 文部省が高校生の海外への修学旅行をお認めになったのはまだそんなに古いことではないと思います。国際化時代ということもありまして、最近私立高等学校を中心に海外への修学旅行が大変ふえてきておりますが、修学旅行の
あり方も含めて、今度の事故を教訓として文部省としていろいろお考えになることがございますればお聞かせいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(
中島源太郎君) 基本的なことをまず私から申し上げまして、具体のことがございますれば
政府委員から
お答えさせます。
おっしゃるように、最近海外への修学旅行がふえております。ちなみに六十一年度で見ますと、百三十四校、二万八千九百四十名ばかりが日本以外へ修学旅行に出ておるわけでございます。
修学旅行の実施にかかわります指導といたしましては、先生
御存じのように、
昭和四十三年十月二日に通達を出しまして指導いたしておるところでございますが、その後旅行の形態がまた変わってまいりました。例えば、以前は鉄道を使っておりましたけれども最近は航空機を使うということもございますので、その点で指導をさらに高めなければいかぬだろうということで、ことしの一月十九日でございますが、これは都道府県教育
委員会等の指導事務主管部課長会議、この席を通じまして、航空機の利用その他を含めまして、数点ございますが要点を申しますと、健康上の問題、安全の問題、それから御父兄との合意の問題、これをさらに密にするように、特にその点をこの一月に指導を強化したところでございます。
せっかく強化をお願いした直後にこのような事故がありまして大変残念でございますけれども、今後その点をさらに重ねて指導いたすようにしたいと思っております。
ただ、これだけ海外修学旅行がふえております。その趣旨としては、やはり海外へ出ましてそれなりの体験、それから識見を高める、そういう御意思には意義があると思いますので、その御意思は確かめつつ、しかし、健康上安全上には十分気をつけていただき、そして御父兄の合意は十分おとりいただくようにと、こういう点を一月に出したばかりでございますが、さらに強化してまいりたいと思っております。要点はそのようでございますが、具体にございましたらば
お答えさせます。
-
○
政府委員(西崎清久君) 大臣からの
お答えで尽きておるわけでございますが、若干補足させていただきます。
昭和四十三年時点での修学旅行の通達は、航空機の利用と海外修学旅行には触れておらなかったわけでございます。当時はそのような
状況でなかったわけで、ただ、県の段階で、航空機の利用とそれから海外への修学旅行はそれぞれ禁止する県がかなり多数ございました。ところが、ここ近年九州を中心といたしまして、県段階で修学旅行について海外も含めるというふうな機運が起きてまいりまして、文部省へも若干
協議の県がございましたので、大臣から御説明しましたように、一月段階で県教委の担当者、それから知事部局の私学担当課長等を集めまして、日はちょっと異なりますが、今申し上げたような形でそれぞれの留意事項を文書で資料として配りまして、そして各設置者なり学校なりの適切な判断のもとに海外の修学旅行等も計画実施をしてほしいと、こういうふうな指導をしておった時点でこういう事件が起きたわけでございます。
やはり、修学旅行につきまして海外の意義もあるわけでございます。しかし、片やこういう事件も起きましたので、私どもとしてはこの事件について十分調査をしまして、従来の海外修学旅行の留意事項になおつけ加えるべきものがあるかどうか、そういう点十分
検討いたしまして今後対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○久保亘君 今回の事故につきましては、今大臣からいろいろおとりになっている対策も伺いました。ぜひ十分な対策を進めていただくようにお願いをいたしておきますし、また修学旅行の安全対策、それから今日の交通の
状況の中では事故が起こり得ることがあるわけでございますので、そのような場合に対する対策とかあるいは修学旅行の全体的な
あり方、そういうものについても十分に今度のことをまた
一つの教訓にして御
検討いただきますようにお願いをいたしておきます。
終わります。
-
○
大木正吾君 瓦長官にこれは最後にお願いしておきますが、きょうのやりとりを見ていますと、
新聞その他報道
関係あるいは現地の
状態にいたしましても、NLPをつくることは既成事実的にほぼ
国民の
方々もわかっていると思うんです。そういった中で、あくまでもそういったことはいわば積み重ね的にやっていくんだ、こういう話でもって、まだ最終的にやるかどうかということはわからぬという答えが何遍も返ってきましたけれども、私はこういった議論というものは、防衛庁といえどもある程度、適と認めたからには、おたくの中の
局長さん方が書いた文もここにあるわけで
すが、天然資源をどうしようかとかいろいろなことが書いてあるわけですよ。
そういったことでもって話しているときに、そんなことは決めていないというごときの話は私はやっぱりやめてもらいたいと思うし、同時に、この種の問題についてもし強行を、あえてボーリングをやれば不祥事が起きることについては避けられないだろうと、こういう
感じがいたしますので、最後にあなたの見解を承って終わります。
-
○
国務大臣(瓦力君) 長い年月もかけながら実は取り組んでおる問題でもございますが、三宅村の住民の皆さんに理解をいただくことがまず大切でございますし、また三宅島の持つ自然というものも十分私どもも踏まえてまいらなきゃならぬことは当然でございますが、まず今日のところ、
先ほど申し上げましたように、地質並びにもろもろのことを調査させてもらいたいということでございますが、ぜひつくりたいという願望はもちろん持ちながらお願いをしてまいっているところでございます。
よって、場周飛行といいますか、そうしたことについても頭に描いておかなきゃならぬことでございますのでこの空港、もし可能とすればそれは海の方に飛行する問題であるとか、あるいはこれからジェット機化していく中で交通の利便を考えれば、年間七、八十回の使用になるわけでございますが、十分三宅村に対する交通の利便も考えてまいらなきゃならぬとか、周辺もろもろのことについて御協力できることはどうかということももちろん計画を持つ者といたしましては踏まえながら、地域の理解を得べく、自然を守るべく、そうしたことも勘案いたしまして取り組んでまいりますし、今
大木先生から御指摘のように、強行するというようなことは、私どもはいかなることがあっても避けていかなきゃならぬことだと思っております。
ただ、理解をいただくための対話といいますか、そういったことにつきましてはぜひ住民の
方々の御協力を得たいと思っておりますので、先生からわしも行って座り込むぞと言われますと、大変御理解を賜りたいと。せっかく住民との話し合いをぜひ私どもも誠意を持って取り組みたいと思っておりますので、その機会をお与えいただきたい、こういうような気持ちで
答弁をさせていただいておるわけでございます。ぜひ、強行をするというようなことではなくて、誠意を持って村民との話し合いをひとつさせていただきたい、このことを申し述べさせていただきたいと思います。
-
-
-
-
○
高木健太郎君 ただいま久保議員からお話がありましたように、高知の学芸高校の修学旅行で、上海におきまして列車の正面衝突ということで、百七十三名の生徒を乗せた列車が衝突いたしました。 まだ事故者の総数も、あるいは列車内に残っている人もあると聞いております、詳細はわかっておりませんが、まことに痛ましい事故でございまして、楽しかるべき旅行あるいは意義あるべき旅行がこのようなことに終わったということは、まことに哀悼の意にたえないところでございまして、衷心より御家族あるいは
関係の皆様にお悔やみを申し上げたいと存じます。
ところで、
先ほどもお話しになりましたように、最近、高校生の海外旅行が大変ふえております。海外旅行へ行きますといろいろの疾病が起こると思いますし、特に未開発国家に行きました場合には、非常に原因不明の病気にかかることもございます、あるいはいろいろの傷害も起こると思いますが、この際、学校医としまして普通の学校医でいいのかどうか、あるいはまた、そういうことが起こりました場合に、各地の病院との連絡が十分とれているのかどうか。また、海外旅行は旅行社に任せるわけでございますが、その場合に傷害保険その他が確実になされているのかどうか、その点万全の対策を講じておられるかどうか、ひとつこれ、
宮澤副
総理にお聞きいたしたいと思いますが、もちろん文部大臣にもお聞き申したいと思います。
-
○
国務大臣(
中島源太郎君) まず、このたびの高知学芸高校の中国修学旅行生の事故は、大変突発的なことでございますが、痛ましい事故でございまして、詳細は今情報を収集中でございますけれども、お亡くなりになった方も負傷者も多いようでございますので、お亡くなりになりました
方々の御冥福、また負傷された
方々の御回復をお祈りいたすところでございます。
また、
関係省庁と連絡を密にいたしまして事後処理がスムーズに行われるように万全を期すこと、また努力しておりますことを申し上げまして、今の具体のことは
政府委員から御
答弁させます。
-
○
政府委員(西崎清久君) 御指摘の点、大変大切なことでございまして、二つに分けて
お答えを申し上げたいと思います。
第一点は、一月の会議におきまして私どもが海外修学旅行での留意事項の中で、健康管理や安全の確保という点を強調して、資料にも記載して指導している点が第一点でございます。
第二点といたしましては、
昭和四十三年の修学旅行に関する一般的通知の中で、保健衛生に関する事項という事項を一項立てております。 その中にはやはり、事前には一人一人の児童生徒の健康
状態を調べるということ、そしてもし無理であれば参加については見合わせるというふうないろんな配慮が必要だと。それから次には、
関係の保健所との連絡をとり、目的地等の衛生
状態の調査、衛生監視についても協力を求めなければいかぬよということとか、あるいは実施中の健康管理を徹底するために養護教員または学校医を参加させること、その他細々と、例えば生徒の健康
状態を実施中もいろいろと配慮し、飲料水その他食事等にも気を配る必要があるということを、若干きめ細かくなっておりますが、修学旅行の一般的通知の中で提示しておるわけでございまして、これらの点は修学旅行の海外の場合にも当然より以上の配慮を持って適用されるべきだ、こんな
考え方で指導しておるところでございます。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) まことに残念なことでございまして、御心配をおかけいたしております。
ただいま文部大臣並びに文部省の
政府委員から御報告を申し上げたとおりでございますが、なお、このたびのことを教訓にいたしまして今後とも遺漏なきを期したいと考えております。
-
○
委員長(
原文兵衛君)
高木健太郎君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時五十分まで休憩いたします。
午後零時二分休憩
─────・─────
午後二時四十二分開会
-
-
○
高木健太郎君
先ほどの上海の事故は、ニュースを見ましたけれども、ますます大きいようで大変痛ましいことであると思いますが、ちょっと加えてお聞きしたいと思います。
御家族の方がおいでになるということはこれは当然のことでございますが、外国で病気をしましたときに一番問題になるのは、いろいろのデリケートな訴えを聞いてくれる人、そういう人がなかなかなくて心細い思いをするわけなんです。御家族と御一緒に日本のお医者さんがお見舞いがてらに何人か派遣をされるというようなことはお考えいただけないでしょうか。文部大臣あるいは厚生大臣でも結構でございますが。
-
○
国務大臣(
中島源太郎君) お心配りの御指摘だと思います。
それで、本日夕刻五時過ぎのチャーター機で外務政務次官、それから文部省からは中島章夫大臣
官房審
議官初め、一度高知へ入りまして学校へお寄りしまして、それから保護者の
方々、
関係者と御一緒に上海へ入ることになっております。そして万般御相談に乗るわけでございますが、それと文部省からは二人ばかり既に高知へ入っておるわけでございます。大澤企画官、
中山高等学校課長補佐、この二人を高知の学校の方へ行かせまして現地で指揮をとらせております。
そして、確かにお医者様ということでございますが、あちらに情報によりますと幸い日本語を理解されるお医者様もいらっしゃるようでございますので、そうであればありがたいと思っておりますが、お心配りはわかりますが、とりあえずそういうメンバーで行きまして、今こちらからお医者様ということは聞いておりませんが、
一つのお心配りとしては拝聴いたしておきますけれども、今そのメンバーにお医者様がいらっしゃるようには聞いておりません。
-
○
高木健太郎君 校医の方もついておいでになると思いますけれども、外科的の傷害でございますから、そういうこともひとつ御配慮願いたいとこう思います。
それでは本論に移りたいと思いますが、
最初に順序としまして、私は医者でございますので、一般人の立場から脳死に関して広中
委員から、二、三
質問をしてもらいまして、その後で私から脳死と移植に関する御
質問をしたいと思います。
-
-
○
広中和歌子君 まず
最初に、高知学芸高校の生徒さんたちが修学旅行中上海郊外で列車事故に遭遇され、そして多くの死傷者が出たことに大きな驚き、深い悲しみを
感じております。御遺族の方方に深い哀悼の意を表するとともに、けがをされた
方々の一日も早い回復を祈っております。
そうした大災害の中で生命と死という問題を扱うのは実に気が重いのですけれども、与えられた時間、人間の死について
質問させていただきます。
現在、脳死か心臓死かという問題が臓器移植とのかかわりから主に論ぜられておりますが、私は臓器移植とは切り離した立場で死をとらえ
質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、脳死の医学的定義につきましてお伺いいたします。
-
○
政府委員(仲村英一君) 脳死とは文字どおり脳が死ぬという
状態でございまして、現在我が国の医学界におきましては、脳髄、脳といいましても大脳それから小脳、脳幹等がありますけれども、この全部が不可逆的に機能が喪失した
状態。今申し上げました脳幹、それから物を考えます大脳とか、そういうものの全脳髄の機能が失われまして二度ともとへ戻らない
状態ということで言われております。
-
○
広中和歌子君 脳が死んだ
状況、そういうものは人間の目で見えるのかどうか。そしてまた、どういう形でそれをとらえることができるのか、お伺いいたします。
また、ついでに伺いますけれども、その判断を下せる人はだれか。
-
○
政府委員(仲村英一君) 脳死にはいろんな判断基準があり得るわけでございますが、私ども厚生省が研究班にお願いして決めていただいた脳死の判定は、医師が行います意識あるいは呼吸、反射などの神経学的な診察のほかに、CTで検査をするとか脳波を調べるとか、機械を用いた検査を組み合わせて判定することになっておりますので、目で見てこの方が脳死の
状態であるかそうでないかというのはなかなかわかりにくい場合があるわけでございます。
それを判定するにつきましては、どの医者でもというわけにはなかなかいかないわけでございまして、十分な経験を持つ脳神経外科医でございますとか神経内科のお医者さんとか、いろいろの診療科がありますけれども、経験のある方が少なくとも現在の判定では二人以上で判定すべきではないかということで決められております。
-
○
広中和歌子君 脳が死んだときに、他の人間の
部分でございますね、皮膚とかつめとかそれから心臓とかその他いろいろ臓器がございますけれども、それはどういう
状態になっているんでしょうか。
-
○
政府委員(仲村英一君) 脳が死にますと、脳が死ぬという
状態、つまり全脳髄が死んだ場合には自発的な呼吸がとまりまして酸素が欠乏いたしますので、心臓を含めました各臓器もその機能はいずれは停止するということになりますが、それは部位別に若干の差があるわけでございまして、これは脳の死に限らず、ただいま一般に広く行われております心臓死の場合でも、例えばつめが少し伸びるとかひげが伸びるということもございますので、そういう点では若干の差はありますけれども、いずれにいたしましても酸素欠乏
状態になりまして最後は個体が亡くなるということでございます。
-
○
広中和歌子君 脳が死んだといたしましても、人間、普通のお医者様の目でも見にくいというようなことがあって機械を使う、機械によって心臓を動かすということがあるわけでございますけれども、脳が死んだ後でもどのくらいの時間あるいは日数あるいは月日、心臓は機械によって人工的に作動し得るのでしょうか。
-
○
政府委員(仲村英一君) 脳死でございますのでいずれは亡くなるわけでございますが、人工呼吸器などを装着いたしまして、いわゆる生命維持装置でございますが、大体一週間から二週間程度は人工的に心臓を動かして生かし続けることができると言われておるようでございます。
-
○
広中和歌子君
先ほどちょっと触れられたんですけれども、もう一度確かめる
意味でお伺いいたします。
仮に、脳が死んでそして心臓を動かし続けた場合、動かし続けることによって脳が再び生き返るということはあり得るのでしょうか。
-
○
政府委員(仲村英一君) もしそういうふうになるとすればそれは脳死ではございませんで、まあちょっとトートロジーですけれども、絶対にもとへ戻らない
状態を見きわめるためにいろいろの検査とか判定基準があるわけでございまして、それは戻ることはあり得ません。
-
○
広中和歌子君 つまり、
先ほどおっしゃった、脳死というのは不可逆的死ということで、つまり脳死というのは医学的に見て死であるということでございますね。
-
○
政府委員(仲村英一君) 人間の死というのは連続的でございまして、脳の死から心臓の死へということで連続的につながるわけですが、全部の人が一遍脳死になって心臓死になるわけでないわけでございまして、これは一%以下でございまして、むしろ極めてまれと言ってもいいぐらいなんですけれども、必ず死ぬということについては間違いない。つまり、そこで間違っては大変でございますので、そういう
意味では二度と再生しない、不可逆的な現象ということでございます。
-
○
広中和歌子君 よく私どものような素人は間違いやすいんですけれども、脳死とそれから植物人間ということがございますけれども、その
状態の違いを御説明いただきたいと思います。
-
○
政府委員(仲村英一君) 言葉が適当かどうかわかりませんが、植物も生きておるわけでございますが、物を考えることはできないわけでございます。ただし、生物であることはあるわけでございます。それで植物人間というのは、そういう植物的機能と言っております呼吸とかそしゃく、消化それから排せつとか、そういういわゆる植物的機能だけが残存しておって脳幹が生きておる
状態でございまして、
先ほど御説明いたしました脳の死というのは、脳全体が死んで、若干の期間補助装置を使えば生き続けることができるという
状態でございまして、脳死の場合は必ず亡くなりますが、植物人間の場合には一定期間、自発呼吸もありますので、生きることができるわけでございます。
-
○
広中和歌子君 伺っておりますと、脳死というのは死への第一歩である、そういうふうに考えて
よろしいでしょうか。
-
○
政府委員(仲村英一君) 普通、例えば交通事故で、大事故でぶつかったりいたしますと脳死に至る前に全体が既に死亡してしまうということもありますので、すべての死が
先ほどちょっと申し上げましたように一遍脳死になって死ぬということではございませんで、それはごく一部でございますが、脳死の場合には、脳死と判定されればその方は間違いなく亡くなるという過程の上にあるということでございます。
-
○
広中和歌子君 法務大臣にお伺いいたしますけれども、医学的死とか、それから最近社会的な死とか、それから法的な死とかというふうな言葉が使われるわけですけれども、法律的に見て死というのはどういうふうにとらえられているんでしょうか、現在の日本の法律で。
-
○
国務大臣(
林田悠紀夫君) 死につきましては、外国にもいろいろ法令がありまして、脳死をもって法律上死としておるところもあります。また、法律上死の定義をしていないところもあるわけであります。 我が国の法律におきましては、死の定義をしておりません。しかし、従来一般的に三徴候説と申しまして、それをもって死であるというように認められておるわけでありまして、法律もそういう一般的な認定に従っておるわけでございます。
-
○
広中和歌子君 医学の進歩によって治らないと考えられていた難病が治り、またそれが延命につながって日本人の平均寿命というのが著しく延ばされ、そのことについては非常に喜ばしいことだと思いますけれども、それと同時に医療技術の進歩、延命機器の使用、そうしたものが死の境界をぼかしてしまっている、そのような気がいたします。
私ごとで大変恐縮なんでございますけれども、私の父は三年前に亡くなったわけですけれども、二つの死を経験したような気がいたします。
一つは、まず脳が機能しなくなり、そしてその後機器によって心臓が動いていたわけですけれども、一日後に亡くなったわけでございます。なぜ二つの死があったのか、それについてよく後から思うわけですけれども、医者の家族への思いやりもあり、また私たちも少しでも呼吸しているところを見たいというようなところで家族のエゴもあったのではないかと思います。しかし、やはり父の立場からすれば、命の尊厳というようなことを考えましたときに、いたずらに延命策をとったことが果たしてよかったかというふうに反省しているわけでございます。
それで、死という人生の締めくくりでございますけれども、生きている人間にとって避けられるものなら避けたいものでございますけれども、しかし、こうして医学の進歩が加速する中で、医学的見地を踏まえた上で死を直視し、法的
観点また社会的通念に再考を促すことが必要ではないか、そんなふうに思う次第でございますけれども、厚生大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(藤本孝雄君) 脳死の問題でございますが、脳死で人間の死であるということを認めるという最終の報告が先般日本医師会の生命倫理懇談会から出た、これは医学上の専門的な見解。それから世界の先進国の大勢もそういうふうに今向いておるわけでございます。
ただ、日本の場合を申し上げてみますと、昨年の六月の
総理府のこの問題についての世論調査の結果を拝見いたしますと、脳死を人間の生命死と認めると、それに賛成している人と反対している人と全く同数でございます。そういう
状況を見ますと、これはなかなか今
国民の皆さん方の中で脳死が人間の死であるというふうにはコンセンサスを得ていない、つまり理解と納得を得ておらない段階でございまして、そのことと今言われました医学上の進歩、また医学上の技術進歩によって生命と直接触れてくるという人間の生命と尊厳のかかわりが出てきているわけでございまして、そういう非常にまだギャップがある段階でございますので、私どもとしては、つまり行政の立場でそれについてどうこうと言うのはまだ早い。むしろ
国民の皆さん方が正しく御判断いただけるような情報なり知識なり、そういうものを厚生省としては現在提供させていただきまして、しばらくそういう
国民の皆さん方の世論の動向というものにつきましても慎重に
検討してまいる、そういう段階だろうかと思っております。
-
○
高木健太郎君 私は、脳死と臓器移植の
関係について御
質問申し上げたいと思います。
脳死というのは即、死である、死であるとすぐに臓器移植をする、そういう危惧を有している人が非常にたくさんございます。それは全くの誤解でありまして、たとえ脳死になられましても、本人または遺族の承諾がない限り臓器を取り出すというようなことは絶対にあり得ないということをまず
国民の皆さん方に知っていただきたいと思います。
また、死は万人に例外なく訪れる
一つの生物学的、社会学的な現象でございますけれども、また一方において、死は各個人にかかわる問題でもあるということも私はぜひ
最初に強調しておきたいと思います。
そこで、大臣に
お答えいただく前に、いろいろ数字について
政府委員の方から
お答えいただきたいと思います。
まず第一は、脳死
状態で移植を行っている国、いない国、どういうふうでございましょうか。
-
○
政府委員(仲村英一君) 脳死を死とする明確な法的な根拠を持っております国は、羅列させていただきますと、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、カナダ、チェコスロバキア、フィンランド、フランス、ギリシャ、イタリア、ノルウェー、プエルトリコ、スペイン、スウェーデン、それからアメリカ合衆国のうちの三十三州ということで私ども把握しております。
それから、脳死を医学的に死と容認しておりますけれども法令による規定がないという国で、ベルギー、西ドイツ、イギリス、インド、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、南アフリカ連邦共和国、大韓民国、スイス、タイ、アメリカ合衆国の州の幾つか等、これらの国では臓器移植が行われているというふうに考えておりますが、若干の国では、その医療レベルの問題があってそう頻繁に行われているかどうかということはわからないわけでございますけれども、今申し上げた国々は行われているようでございます。
脳死を認定していない国といたしましては、日本のほかに――日本はまだ今議論の途中でございますけれども、デンマーク、イスラエルということで承知しております。
-
○
高木健太郎君 私も、していない国というのは――中国はしておりますが、イスラエル、ポーランドというふうに聞いておりまして、世界のいわゆる主要な国におきましてはほとんどが脳死を死と認めている、そういうふうに考えております。これ以上こういう
状態ということは、日本は世界の中で名誉の孤立を守っている、そういうふうにも私は言えるかと思います。このように多くの国が認めているということは、脳死を死とするということはいわば国際的なコンセンサスは得ているんだ、こういうふうに思うわけでございます。
次いで、脳死患者の一日の治療費というのはどれぐらい――治療費というのはおかしいんですけれども、一日生かしておくと、いろいろの場合がありましょうけれども、大体どれぐらい費用がかかるものでしょうか。 あるいは年間どれぐらいかかるとお考えか。年間というのは、一日生かしておくのにどれぐらいかかるかということを伺いたい。
-
○
政府委員(仲村英一君) これは鹿児島大学の澤田助教授が行われた試算を引用させていただきたいわけでございますが、脳死と判定された後一週間ICU、集中治療室で心臓を動かし続けるケースを仮定いたしますと、いろいろな検査でございますとか薬剤料等を合計いたしまして約百六万円の費用がかかるというふうに御報告されております。
それで、これを仮にこの百六万というのを前提
といたしまして、かつ全国で一年間の脳死
状態が発生するのを、
先ほど申し上げましたけれども、日本の場合に年間七十数万亡くなっておりますが、それの一%弱ということで、これはちょっと多目かもしれませんが、七千人と推定いたしまして今の単価で掛け合わせてみますと、合計七十四億二千万円という数字がはじき出されます。
-
○
高木健太郎君 次にお尋ねしますのは、移植をすれば助かったと思われる年間の死亡者数はどれぐらいでございましょうか。
-
○
政府委員(仲村英一君) これは北海道大学の相沢教授外の報告を引用させていただきますけれども、死後解剖の剖検の統計から逆に考えまして、移植の適用があったのではないかという症例を年間の死亡者の中から推定いたしますと、心臓疾患の場合に二千八百例から五千例、肝臓疾患では六千百例から二万七百例、膵臓疾患では千二百例から二千百例ということが推計されておるようでございまして、全体では約一万人から二万八千人の死亡者が臓器移植を受ければ助かったのではないかということで推定されております。
-
○
高木健太郎君 また、現在血液透析あるいは腎透析で治療中で腎移植を希望している患者さんはどれくらいおいででしょうか。
-
○
政府委員(北川定謙君) 人工透析を受けております腎不全患者、これは
昭和六十一年現在の数字でございます。日本透析療法学会の調べで七万三千五百三十七人。このうち腎移植を希望して腎移植センター、これは国立佐倉病院に置いてあるわけでございますが、そこに希望登録をされている者は、六十三年の一月末現在で九千三百七十二人となっております。
-
○
高木健太郎君 透析患者数はますますふえていくというふうでございますが、年間どれぐらいふえているんでしょうか。
-
○
政府委員(北川定謙君) これは概算でございますが、新たに透析に
導入される数が約一万、そのうち透析をしていて死亡していかれる数が約五千ということで、実増五千人と推定をされております。
-
○
高木健太郎君 海外で移植をされる日本の方が多いわけでございますが、その海外における移植の種類とそれから数、現在までどれぐらい行かれているか。
それから、その成功率がだんだん上がっていると聞いておりますが、それはどのようになっておりますでしょうか。
全部と申し上げてはあれですから心臓、肝臓で結構です。
-
○
政府委員(仲村英一君) 国際心臓移植学会あるいは肝移植研究会等のデータをお借りいたしまして、海外におきます一九八六年末までの臓器移植の件数を累積で申し上げさせていただきますと、心臓移植の場合は四千例、肝臓移植の場合は三千例、膵臓移植が千例、心肺移植、これは百五十例程度でございます。
これらの手術成績でございますけれども、肝臓の移植の場合の五年生存率を見ますと、一九八〇年以前は約二〇%でございましたけれども、最近の報告では六〇%まで向上しておるということでございます。それから、心臓移植についての五年生存率につきましても、一九八〇年以前は四〇%程度でございましたけれども、最近は七五%と向上しておるわけでございまして、いずれも移植手術におきます免疫抑制剤の改良などでこのように手術成績は著しく向上しておると考えておるところでございます。現在、なお新しい
状況につきましては、私ども研究費を支出いたしまして調査を行っておるところでございます。
日本人が外国へ行って臓器移植を受けるという手術件数は、私ども必ずしも正確な統計をとっておるわけではございませんけれども、
新聞報道等によりますと、米国において心臓移植は一例、肝臓移植は約十例、英国において肝臓移植は三例というふうに聞いておるわけでございます。
-
○
高木健太郎君 もう臓器移植というものはほとんど外国では医療として定着していると私は考えております。日本ではその点が、札幌におきまして行われた心移植のためにそれがタブーとなりまして、それ以後ほとんど行われていないということは私にとって大変残念なことだと思うわけでございます。
それで今、移植の数を仲村
局長からお話がございましたけれども、子供さんの肝臓移植でアメリカに行かれることが非常に多いわけでございます。日本で肝臓移植が受けられないために子供がだんだん弱って死んでいくということを親が目の前に見る、非常に情けない思いをされているわけでございまして、その数も今の中に、はっきりはつかめておりませんが、
最初にお話しになりましたいわゆる受ければ助かったかもしれないという数の中に入っているわけでございまして、医学が十分発達していてそういう技術を持っているのにそれができない。そこで、患者の会では、患者が会をつくりまして政府にも訴え、藤本厚生大臣の前の斎藤大臣にもお願いに上がったことがあるわけでございます。
ここに、移植を受けてどういうふうであったかという
一つの論文がございます。これはイギリスで平井というお医者さんが受けられたそれの
一つの報告でございます。読んでいる暇はございませんので、これは厚生大臣に差し上げますので、十分読んでいただくと。医者がこういうふうに考えているということに私は非常に
意味があるので、ぜひお読みいただきたいと思います。その他のことはもう十分藤本厚生大臣も
御存じのことだと思いますので、ここでは省略させていただきます。
また、移植に際しまして、賢移植をやりましたために成人T細胞白血病、ATLの病原ウイルスに感染をしたということが報告されております。また、それは相当大量にかかっているわけです。それからまた、昨年の二月にアメリカで腎移植をしまして、日本人の男性ですが、エイズに感染したという報告もなされているわけです。それからまた、最近はフィリピンにまで出かけて、そして移植をしている。これにはいろんな、東京にもある、岐阜にもある、各所にございまして、それがツアーではございませんが、そういう募集をしている、こういうことも報ぜられております。
ここに患者から私にあてまして、ぜひ一日も早く臓器移植を日本でやっていただくようにという、こういう手紙が来ておりますし、移植学会の先生方にお会いしますとたくさんの手紙が来ております。また、それと同時にここに、私の腎臓を一億円で売りますというこういうはがきが、これは
方々の病院に出したんじゃないかと思いますけれども、自分は非常に健康な男子で、自分の腎臓を片一方やってよろしい、そのかわり一億円で買ってくださいと、こういうことが来ているわけです。
これらもすべて、日本においては臓器移植が行われない、心、肝、膵というようなそういう移植が行われないというところから来ているのではないか、こういうふうに思います。また、移植するために危険性があるということも十分考えなきゃいけないし、それから臓器の売買がこうやって行われてくるということも考えなければいけないことじゃないか、こう思いますが、厚生大臣どのようにお考えでございますか。
-
○
国務大臣(藤本孝雄君) 生理学の世界的な権威でいらっしゃる高木先生に
お答えすることはまことに恐縮でございますが、段々御指摘がございました御
意見も私なりによくわかります。ただ問題は、臓器移植のまず前提に人間の死、脳死をもって人間の死と認めるというところがあるわけでございまして、その点については医学上の判断としては今最終報告が出ておるわけでございまして、厚生省としてもその
意見はそれなりに尊重しておるということでございます。
ただ、
先ほどお答え申し上げましたように、
国民的に見た場合に、まだ脳死をもって人間の死と認めるということにつきましては賛否が全く同数だと。法的に見ましても倫理的に見ましても、社会的に見ましてもそういう段階でございますから、これがもう少し
国民の間で脳死をもって人間の死と認めるというところへ来るまでは、やはり
十分にお考えいただかなきゃならぬのではないかというふうに考えておるわけでございます。
-
○
高木健太郎君 そのことについてはまた後でお伺いしたいと思いますが、米国で肝臓の移植あるいは腎臓の移植ということが行われているということはよく
御存じのとおりでございますが、もう外国では大変ひんしゅくを買っているということは事実でございます。
ここに、この間日本にも来日しましたバカンチーという人、これはボストンの助教授でございますが、その人から手紙が来ておりまして、それによりますというと、向こうにはUNOSといいましてまあ連邦政府でございますけれども、連邦政府は外国人に移植をするという数に対しまして非常に厳しいガイドラインを引いております。そのためにバカンチーの病院でも、昨年肝臓の移植を二例やりましたので、近い将来、このお手紙をやられた木下という人への返事でございますが、ことしはもうできないからという返事で、あなた自身の国で移植が始められるように一生懸命努力しなさい、こういう返事が来ているわけで、貴国の自身の医師が必要としている子供の移植を始められることを切に希望するんだ、こういうことをこのバカンチーという人が言ってきているわけです。それで、これに加えてUNOSの書類をつけてきておる。他人から言われて、あなたのところは立派な医者がいるじゃないか、何をしているんですかと言わんばかりの手紙でございまして、私はこれではいかぬなというふうに思うわけでございます。
それから、もう
一つお尋ねしますが、日本では腎臓の疾患が非常に多くて、それで世界一腎臓疾患が多い。慢性の腎臓疾患が多い。そのために亡くなる人も非常に多いんですが、実際に移植をしている人は三%しかない。九七%の人は腎透析をやっているということですね。これは欧米のどこの国に比べましても格段に透析が多いと。一日の透析料はどれぐらいかかるのか、一年どれぐらいかかりまして、透析をしている人の数はどれくらいおありでしょうか。
-
○
政府委員(北川定謙君) 人工透析の患者数は、
先ほども申し上げましたように、日本で約七万四千人でございます。その年間の医療費についてどう考えるかということでございますが、患者の病態等で医療
内容がいろいろ違いますが、
一つの典型的な例として人工透析を受けた場合、外来治療ですと約五百万円、これは年間五百万円でございます。それから入院治療で約八百万円というような金額が考えられております。
-
○
高木健太郎君 それに七万五千人いるとしますとどれぐらいになりますか。
-
○
政府委員(北川定謙君) これを今、大体の概算でございますが、仮に五百万円の場合ですと約四千億強というような数字になろうかと思います。
-
○
高木健太郎君 結局今の数字からわかりますように、腎透析をしていると大体四千億から五千億がそれに費やされる。その上、腎透析をなさっている方は非常に生活が不便でございまして、一日越しに病院あるいは外来に行かなければならぬということで、その人たちは非常に生活意欲というものをなくしている。それで自殺率をよく聞きますけれども、普通の人に比べて約十倍の自殺率がある、非常に暗い人生を送っておられる。それで、藤村志保さんのドキュメントがございますが、腎移植をした人が野球をやっておった。非常にその子供が移植をして楽しそうにしておる。 一方引きかえて、ここにしょっちゅう血液の透析をしているというようなことは、どうも移植の方に、自分は脳死というものは承認せざるを得ないんだというようなことを書いておるのは皆さん方よく
御存じのとおりでございます。
次にお尋ねしたいのは、臓器をいろいろ輸入しているわけでございます。血液も私は臓器の
一つであると思いますが、一体血液を、いわゆる血液としては輸入しておられないでしょうが、血液製剤としてどれぐらい日本は輸入しているかということですね。
それから、そういう血液の輸入に関しましてWHO及び国際血液輸血学会の総会、第十六回のモントリオールの総会でございますが、そこで決議をしているわけでございますが、その点についてどういうことであるかお伺いします。
-
○
政府委員(坂本龍彦君) 日本におきまして現在手術などに使用する全血製剤あるいは血液成分製剤というものにつきましては全部国内の献血で賄われておりますが、アルブミンなどの血漿分画製剤につきましてはその大
部分、ほぼ九割を輸入に頼っているという
状況でございます。
また、WHOの総会における血液及び血液製剤に関する勧告の趣旨といたしましては、無償の献血を基本とする国の血液
事業を推進すること、こういうことでございますし、さらに
昭和六十二年三月に、日本輸血学会における献血による血漿分画製剤の使用についての決議の趣旨は、血漿分画製剤を国内の献血で自給することということであると承っております。
-
○
高木健太郎君 今お聞きのように、WHOあるいは国際血液輸血学会で決議したことは、自分の臓器は自分で供給するように努力をすべし、こういうことであると思いますが、血液の血漿分画製剤は九〇%を外国に頼っている、また臓器までも、その他の臓器についてもそうであろうと思いますが、血液でそういうことが言われる以上、他の臓器に対しても自給自足であるべきだ、それが本来の姿である、こう思います。
また、そういう臓器の輸入によりまして、血液分画製剤によりまして血友病の患者にエイズが発生したということは
御存じのとおりでございまして、これはいずれまた問題になるかと思いますけれども、腎臓その他のものを輸入するということについても、またその危険性がないとは私は言えないと思うわけでございまして、将来とも臓器を他国からもらうということは早く清算をして、そして自国自給でやるという体制をとりたいと私は思いますが、厚生大臣、どのようにお考えでございましょうか。
-
○
政府委員(北川定謙君) 基本的には
委員御指摘のとおりであろうかと私どもも考えておるところでございまして、現在我が国において一番普及をしておりますのが腎移植であるわけでございますが、これも諸外国と比べるとまだまだ非常に例数が少ないわけでございます。厚生省もこの点に非常に注意をいたしまして、毎年十月一カ月間を腎移植推進月間というようなことを設けまして、
国民の理解を深めるためのPR活動をやっておるわけでございます。
そのねらいは、腎疾患に対する予防及び腎移植に対する理解を深めていただき、さらには進んで万が一の事故があった場合にその方の腎臓を腎不全の患者さんのために提供をしていただく、いわゆる腎登録をしていただく、こういうようなことを促進する、まずそこから始めていこうということで、毎年こういうことを進めておる段階でございます。
-
○
高木健太郎君 実際私お聞きしたかったのは、腎臓だけじゃなしに、いわゆる脳死というものを早くけりをつけて、そして他の臓器についても自国で自給すべきでないか、こういうことを申し上げたかったわけでございます。
それじゃ次に、新しい死の概念についてお聞き申し上げたいと思いますが、
先ほどもお話ありましたように学術会議あるいは日本医師会で生物学的にはあるいは医学的には脳死をいわゆる死とすると、そういうことでございました。で、脳死の判定基準が厚生省から出されておりますが、この判定基準について厚生大臣は是認をしておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(藤本孝雄君) 最低の基準であるというふうに承知をいたしております。
-
○
高木健太郎君 もしも脳死が死であるとしますと、死の定義が心臓死と脳死という二つになると、こういうことが
一つの反対の理由になっております。
確かに法律家にとりましては、あるいは相続とかその他の点におきまして面倒が起こると私も思います。ところが最近スウェーデンで、昨年人の死の判定基準ということが出ておりますが、それ
はどういう
意見でございますか、お聞きしたいと思います。
-
○
政府委員(仲村英一君) スウェーデンでは、一九八七年の五月に議会が二百十六対九十六という表決で人の死の判定の基準についての法律というのを制定したようでございまして、脳の全体の機能が完全に不可逆的に失われたときに人は死んだものとするという条項を含んだ法律でございます。
-
○
高木健太郎君 それだけじゃないと思いますね。それだけでは
一つにならないわけですね。
脳死を死とするということにまずしておきまして、それで、人工的に心肺を動かしているという場合には脳の機能の廃絶を測定によって調べて、そしてそれを死とするんだ、だから心臓の死、脳の死というふうに二つにならないというところに私はこれ非常に進歩がある、こう思いますので、この点よくお調べになっていただきたいと思います。将来何かやられるときにこれは大きな参考になるんじゃないかと思うわけです。
それから、その次にお聞きしたいのは、日本においては移植といいましても主として生体腎でございまして、死体腎からもやっております。法律は死体腎と書いておりますが、生体の腎移植ということがどういう法律のもとでそれは許されているんでしょうか。
-
○
政府委員(北川定謙君) 現在、生体腎の移植について法的な根拠は我が国においてはございません。
-
○
高木健太郎君 法律にないことはやってもよいということでございますか。
-
○
政府委員(北川定謙君) これは医師免許にかかわる問題であろうかと思いますが、人の生命を救うということの
観点から医師の判断が特に認められているところであるというふうに理解をしております。
-
○
高木健太郎君 人の生命を救うんじゃなくて人の腎臓を取っちゃうわけですから、その人にとってはちっとも治療にならないと思いますけれども、それはどうお考えですか。
-
○
政府委員(北川定謙君) これは非常に微妙な問題になろうかと思いますが、自己の臓器を提供するということは容易にできることではないわけでございまして、生体腎の場合などはやはり非常に親密な親族
関係ということがその根底に当然あるわけでございます。
-
○
高木健太郎君 これだけで時間がなくなりそうなんですけれども、とにかく生きた人からその人の承諾があれば腎臓を取ることは黙認されている。法律にはないけれども黙認されている。それならば、脳死になる人が生前に、自分は脳死になったならば腎臓を取ってもよろしいと、こう言われたときにはどうしますか。それを取ったらどうなるんですか。
-
○
政府委員(北川定謙君) これはイエスかノーかという議論ではなくて、社会がそういうことを認容するかどうかということが基本にあるのではないかというふうに考えております。
-
○
高木健太郎君 私は社会じゃないと思うんです。その人が構いませんと言ったときにどうするかと、こう申し上げているんです。お母さんが自分の腎臓を子供さんに上げるときに、そのお母さんがよいと言えば上げているわけです。自分が死んだらその腎臓は人に上げてもよいですよ、脳死になったらよいですよと言ったら、それはどうなりますか。生体腎のときと同じじゃありませんか。そういうことをお聞きしているんです。
-
○
政府委員(北川定謙君) 基本的には、
委員がおっしゃるような基本的な
方向で今後とも進展をするというふうに考えておるわけでございますが、現段階においてはそれはそれとして、脳死というものについてまだ社会が必ずしも全面的に認めていない。これは
先ほど厚生大臣から
お答え申し上げたとおりでございますが、これはその脳死の判定の問題、あるいはさらにはまた脳死が完全な死ではなくて生き返るではないのか、そういう周辺の心配がいろいろあるという現状からそういう
状況が起こっているのではないかと思うわけでございまして、そういう点については私どもとしては科学的な知識の普及という
観点で今後さらに努力する必要があろうかというふうに考えております。
-
○
高木健太郎君 その点はひとつ十分お考えいただきたい。私は同じことじゃないかと思うわけです。近親者の愛情といいましても、我々はもう国際国家になっているわけでございまして、アメリカは自分のところの脳死で亡くなった人の腎臓を私たちにくれているわけです。同じことが日本人の間で、近親者じゃなくても、やってよろしいというものはそれは許されることじゃないか、私はそう思いますので、この点十分ひとつ御研究になっていただきたいと思います。
もう
一つお聞きしたいのは、脳死腎移植という、脳死の
状態で日本ではもう既に移植が実施されておりますが、これについてはどのように把握されておりますか。
-
○
政府委員(北川定謙君) 学会等の雑誌に発表されましたアンケート調査によりますと、心拍動が停止する前に摘出したことのある施設は死体腎摘出経験施設の約半数に見られるというようなことが言われておりますが、私どもとしては詳細についてはまだ承知をしていないところでございます。
-
○
高木健太郎君 だから、既に脳死
状態で腎は摘出されているということであろうと思いますが、そう考えてよろしゅうございますね。
-
○
政府委員(北川定謙君) 実際にはそういう
状況が起こっているのではないかと推察をされます。
-
○
高木健太郎君 角膜及び腎移植の法律では「死体から」と書いてありますが、これは死体ではないというふうに思いますが、どういうふうにお考えになりますか。
-
○
政府委員(北川定謙君) 現段階では、厳密にそこを議論を始めますと、現行の医学の常識は心臓死をもって死とする、こういうことになっておりますので、
委員がおっしゃるようなことになろうかとも思いますが、しかし一方では、脳死を死と認めるということが医学界においても当然の課題として認知をされてきつつあるわけでございますので、そこのところは今後流動的に進展をするのではないかなというふうに思います。
-
○
高木健太郎君 医学界が流動的にやればよろしいということであれば、何もこういう立法府でこれを議論する必要はないのでありまして、その点は、こういう
状態になっているから事実が先行してしまって、その後で法律が追っかけるというのではなくて、もしもその中で悪いことが起こってはいけない、だからそういう歯どめをかけながら私たちは立法をすべきじゃないか、そう私は考えるわけです。実際にもう行われているんだから何とかしなければいけないんじゃないかというのが私の考えでございます。
そこで、本人の生前の意思があって、そして遺族の反対がなければ、一定の正しい手続を踏んだ移植は許されてよいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
-
○
政府委員(北川定謙君) この問題は、さらに専門の分野で議論が進展することが望ましいというふうに現段階では考えるものでございます。
-
○
高木健太郎君 かなり議論はし尽くして、もう出るものは出てしまって、本なんか物すごくたくさん出ておるし、文献も出ているわけです。だから、これは厚生省なりあるいは関連の省庁が集まって、自分でもうある程度の法案なりあるいは規則をつくっておかなければならない問題ではないかと思いますので、一層の努力を切に私から希望しておきます。
また、例えば腎臓以外のものを取ったという場合にも、腎臓で許してほかの臓器は許さない、そういうこともおかしいわけでございますが、もしもこういう本人の意思が明確である場合には、これは違法性とは言えませんね。法律はないんだから、違法性とは言えませんけれども、違法性阻却になるのではないかと思いますが、法務大臣どのようにお考えでしょうか、このような場合。
-
○
政府委員(岡村泰孝君) 一般的に申し上げまして、被害者の同意があります場合に、その同意が
犯罪の違法性を阻却するかということが刑法上の大きな問題であるわけでございます。
ただ、ここで言います同意と申しましても、単に形式的に同意があったというだけでは足りないのでございまして、同意を得た動機とか目的、あるいは身体に傷つけました際の手段とか方法、あるいはその程度、その他いろいろな事情を考慮いたしまして、正当な医療行為として許される限度の行為かどうかということが判断されなければいけないというふうに思っております。
-
○
高木健太郎君 違法性を阻却してよいかどうかということは、どこでどのような手続によって決められるものでしょうか。
-
○
政府委員(岡村泰孝君) 刑事法の分野で申しますと、その事件が例えば告訴されるなどいたしましたときに検察官が判断するということになるわけでございます。その判断に立って、さらに裁判所が判断するということにもなるわけでございます。
その場合の判断の基準といたしましては、
先ほど来申し上げましたように、正当な医療行為として許される限度のことかどうかというようなことが考慮されてくるわけであります。
-
○
高木健太郎君 そういう裁判の結果、違法性阻却になったとしましても、またそれを上告するということになって裁判が長引けば、そのようなことが判例として示されるまでは何もしないということであれば、これから五年も十年もかかるわけでありまして、その間に助かるべき人が死んでいくということは私には耐えられない、こう思いますので、ひとつ法務、厚生力を合わせて、この点どのように取り扱うかをひとつお決めいただきたいと思います。できれば、現在の移植法の中に他の臓器を含むと、そして一定の歯どめをかけるというようなこともこの際お考えになった方がいいのではないかと私からお願いを申し上げるわけです。
最後に、もう時間も大分迫ってまいりましたので、
国民的なコンセンサスということをひとつお聞きしたいと思いますが、文芸春秋で加藤一郎さんが、コンセンサスを得るなんというのは蜃気楼だというようなことを言っておられます。
まず、昨年十月に
総理府から世論調査の結果を発表されましたが、それについてちょっとお聞きしたいと思います。
-
○
政府委員(宮脇磊介君) 御指摘の世論調査は、昨年
総理府が厚生省の依頼によりまして実施したものでございますが、脳死に対する関心、脳死を人の死とすることについての是非及び臓器移植に対する意識を尋ねたものでございます。 その結果は次のとおりでございます。
まず、脳死についての関心でございますが、関心があるが六一%、関心がないが二九%、わからないが一〇%でございました。
次に、脳死をもって人の死とすることにつきましては、まず脳死をもって人の死と認めてよいが二四%、本人のそれまでの意思や家族の意思に任せるのがよいとする者が三七%、また心臓がとまるまでは人の死と認めないとする者が二四%、わからないが一六%でございました。
次に、脳死の
状態で臓器を提供することにつきましては、脳死の
状態で臓器を提供してよいとする者が一八%、本人のそれまでの意思や家族の意思に任せるのがよいとする者が五二%、脳死の
状態で臓器を提供するべきではないとする者が一四%、わからないが一七%でございました。
なお、脳死
状態で臓器移植を提供することにつきまして、これを肯定された方及び本人または家族の意思に任せると
お答えになった
方々、これは全体の七〇%でございましたが、その
方々に対しまして、仮に自分が脳死
状態になったとき臓器を提供してもよいかと尋ねましたところが、これにつきましては、提供してもよいが五三%、提供したくないが二三%、わからないが二三%でございました。
以上でございます。
-
○
高木健太郎君 脳死は死であるかどうかということがわからないというパーセントを除きますというと、脳死を人間の死としてよいというのは七〇%以上あるわけでございます。 私はこれはもうほとんどコンセンサスを得ていると思いますけれども、大体これが何%ぐらいになればコンセンサスを得たとお考えでしょうか。あるいは、これ以外の方法で何か具体的にどうやってコンセンサスを得ようとお考えでしょうか。
-
○
政府委員(仲村英一君) 世論調査で何%以上の賛成があればコンセンサスかということにつきましては、その数字の根拠というのはまず見つけ出すことは非常に難しいかと思いますが、あるいは国会の議決があればよいという性格のものでもないような気もいたしますし、現にこの
委員会で昨日も賛成でない御
意見の御質疑もあったように私考えておりますので、そういう
意味ではなかなか私ども行政府といたしましては、ある医療行為について、それがいい悪いという判断を行政当局がするということは非常に難しい問題ではないかというふうなことで考えているわけでございますが、
先ほど大臣から申し上げましたように、脳の死について植物人間と混同するとか、あるいはすべての方の死が一遍は脳死になってその後で亡くなるというふうなことの誤解は、できるだけ解くような努力を行政府としてはやっていかなくてはいけないのではないかと考えているところでございます。
-
○
高木健太郎君 時間がなくなりましたので、実際は文部大臣及び厚生大臣に御所見を承りたいと思いましたけれども、もうただでさえ一時間おくれておりますので、これでもって私の
質問を終わりたいと思います。
-
-
-
○野田哲君 まず、文部省の
所管のことについて
最初に伺いますが、外国に在住する日本人の子弟のための教育施設で働いている教職員の数は今どのぐらいいらっしゃるわけですか。
-
○
政府委員(加戸
守行君) 日本人学校あるいは補習授業校と呼ばれております在外教育施設に対しまして文部省ではいわゆる教員を派遣しておるわけでございますが、国の負担において派遣をいたしております教職員の総数は
昭和六十二年度で千三十九名でございます。
-
○野田哲君 この人たちはどのような方法で選考されて外国へ赴任をしているわけですか、この人事管理の
内容について御説明いただきたいと思うんです。
-
○
政府委員(加戸
守行君) 毎年、四月当初でございますが、各都道府県教育
委員会それから国立大学並びに学校法人に対しまして派遣教員の候補者の推薦を依頼申し上げまして、各都道府県教育
委員会等から選考を経て推薦されました教員につきまして、文部省サイドで面接等の選考を行いました上で派遣教員を決定している
状況でございます。
-
○野田哲君 この外国で勤務する教職員の方たちの給与
制度はどういうふうになっておりますか。
-
○
政府委員(加戸
守行君) 派遣されます教員は三通りございまして、公立学校教員、国立学校教員、それから私立学校教員でございます。そのうち、公立学校教員並びに国立学校教員につきましては給与の全額が国内給与として支給されております。それから学校法人から派遣されます教員につきましては、その学校法人の定めによりまして、全額あるいは一部というようないろいろばらつきがございます。
それから外国での手当でございますが、いわゆる在勤手当と呼んでおりますものでございます。その在勤手当のうちに三種類ございまして、在勤基本手当並びに住居手当、それから家族手当、この三種類の給与を外務公務員に準じまして支給いたしておるわけでございます。
-
○野田哲君 外務省の方の在外公館勤務の外交官の給与
制度はどのようになっておりますか。
-
○
政府委員(
藤井宏昭君) 在外の外務省職員の給与につきましては、在外職員の生計費を調査積算
いたしまして、これを基礎として給与を決定しております。またさらに、その基準の以外に、外交官としての体面を維持するにふさわしい住居を確保するための住居手当、それから在外子女教育にかかわる経費に充当するための子女教育手当などをあわせて支給しております。したがいまして、主に在勤基本手当、住居手当、子女教育手当と、この三つが主としてあるということでございます。
-
○野田哲君 この外交官の場合の標準的なワシントン在住の三号という等級の方ですか、この方が
一つの基準になっているようでありますけれども、この
方々の手当は、今述べられた勤務地の
関係の手当、住居、それから子女の教育、これはどういう金額になっておりますか。
-
○
政府委員(
藤井宏昭君) 先生御指摘のように、ワシントンの在米大使館の一等書記官クラス、三十五歳、妻、学齢子女二名同伴という者の給与、これを基準にしております。これを基準にいたしまして在勤地等によりまして変化があるわけでございますが、この基準につきましては、本俸、在勤基本手当及び配偶者の手当の合計としては七十三万五千三百八十円、子女教育手当としてさらに三万六千円を支給しております。なお、住居手当の
限度額は千五百六十米ドルの範囲内における実額ということでございます。
-
○野田哲君 外国の教師の場合は、今の外務省の報告と比較をしてどうなんですか。
-
○
政府委員(加戸
守行君) 外交官と学校の教諭のいわゆる職務
内容も異なりますし、また給与の比較がいいのかどうかという問題がございますが、ただ、今ワシントン三号俸の例を外務省の方で申し上げましたので、仮にワシントンで在外教育施設に派遣されている勤続十三年、つまり同一勤務年数の教諭が、妻と子供二人を同伴して行ったと同様なケースで計算をいたしますと、国内給与それから在勤基本手当、家族手当合わせまして金額が六十三万一千八十四円でございます。 それから、ワシントンにおきます住居手当の
限度額が千二百四十八米ドルでございます。
-
○野田哲君 かなり安いんですが、日本に在勤している場合には外務省の職員も公務員として教員とこんなに変わらないと思うのですが、どうして外国へ勤務すればこんなに格差がついているんですか。
-
○
政府委員(加戸
守行君) ただいまの給与の比較が外務省の場合でございますと、外交官上級職試験に合格された方でございますし、また職務
内容自体が外交活動を展開したり、あるいは外交上の体面を維持する等の性格も帯びております。また職務
内容も異なっております。 教諭の場合につきましては、
先ほど申し上げましたように、一応国内給与はそのまま保障した上で、外国におきます勤務の形態、あるいは生活、衣食住のための生活保持、体面維持の仕方等が、外務公務員に準じて計算をしておるわけでございますけれども、確かにおっしゃいますように外交官上級職試験合格者との間には、今申し上げたような格差は出ている実態がございます。
-
○野田哲君 文部大臣、日本では公務員としては全然ほとんど差がない扱いになっているのが、外国へ勤務するとこれだけの差がある。かなり大きいです、これね。これ、是正をするお考えはありませんか。
-
○
国務大臣(
中島源太郎君) いろいろ細かい
内容を今伺っておりました。また、勤務の態様その他があるということも
局長から答えておりましたけれども、今現在は本給はともかくそういう手当の面で差があるようでございます。私も、はっきり申しましてその比較の細かいところを照らし合わせたわけではございませんけれども、よく勉強してみたいと思います。
-
○野田哲君 これからますます在外勤務の日本人の子弟はふえると思うんです。これは余りにも差が大き過ぎる。外交官の体面というようなことが理由にあるようですけれども、だからといって、日本人学校の教師に体面を保つ必要がないというわけでもないと思うんです。ぜひこれは
検討をしていただきたいと思いますが、甲子園へ行かれることで焦っておられるようでございますので、甲子園でひとつぜひ暴投しないように、ストライクを投げて頑張ってきていただきたいと思います。私はこれで文部大臣への
質問は終わりますので。
-
○
国務大臣(
中島源太郎君) よく、
お答えいたしましたとおり細かく勉強してみたいと思います。
また、気配りいただきましたけれども、今私の中ではあの例の上海の事故のことでいっぱいでございまして、きょう、あるいは時間がなければあす高知の方へ、学校の方へ行かせていただくつもりでございまして、またよく
皆様方の御心配もお伝えをし、対策に万全を期し、また御報告することがあれば個人的にも御報告をいたしたいと思います。
-
○野田哲君
防衛庁長官に伺いますが、あなたは先日の所信表明の中で、引き続いて中期的な防衛力整備計画を策定することが望ましいと、こういうふうに述べておられるわけですが、
昭和六十六年度以降の防衛力整備計画については、いつごろからどのような手順で作業に入る、策定に入る予定でありますか、まずそこから伺います。
-
○
国務大臣(瓦力君)
お答えいたします。
先日の参議院の
内閣委員会で申し上げたわけでございますが、中期防後の六十六年度以降の防衛力整備の
あり方についてでございますが、具体的にいかなる方針について取り組むかということにつきましては、ただいまのところまだ述べる段階ではないわけでございますが、私といたしましては、長期的な視点に立って計画的に進めるべきとの
観点から、現在の中期防のような中期的な防衛力整備計画が策定されることが望ましいと、かように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、安全保障会議にお諮りした上で、年内にもその
検討に着手いたしたいと考えております。
-
○野田哲君 つまり、そういたしますと、年次計画ではなくて、五年というサイクルで
検討していきたいと、こういうことを考えておられるわけですか。
-
○
国務大臣(瓦力君) ただいま申し上げましたとおり、ある期間といいますか、長期的な期間といいますか、そうした期間で考えた方が望ましいと、かように思っておりまして、三年がいいか五年がいいか、そういったことも踏まえなければななぬわけでございますが、そうしたことをいろいろこれから
検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
-
○野田哲君 その場合に、この防衛計画の大綱、大体今の中期防が終わると大綱の別表はほぼ完了するわけでありますけれども、あの別表は引き続いて変えないで守っていく、こういうことは基本に考えておられますか。
-
○
国務大臣(瓦力君) 中期防は大綱の基本的な枠組みのもとでこれに定める防衛力の水準を達成する、こういうことを図ることを目標としておるわけでございますが、この計画が達成されれば大綱に定める防衛力の水準を一部を除きおおむね達成することができると、かように考えておるわけでございます。
なお、防衛力整備ということは、目標とすべき水準が達成されたといたしましてもその水準を維持するということは大変なことでございますので、そうした努力を要することは
委員御承知のことでございますが、そうしたことを踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。
-
○野田哲君 量的な定めである大綱の別表はそのまま守ると、こういうことですね。
-
○
国務大臣(瓦力君) ただいまも申し述べさしていただきましたが、六十六年度以降の防衛力整備の
あり方については、中期防終了までに改めて国際情勢、あるいは経済、
財政事情等を勘案いたしまして、専守防衛の我が国の基本方針、このもとで決定を行うべきものと考えておりますが、大綱の前提となる国際情勢に基本的な変化がない限り大綱の基本的枠組みを見直す必要はないと考えますし、別表についてのお尋ねでございますが、別表に弾力的な
考え方もありますので、そうしたこ
とも踏まえながらこれから研究をしてまいるということになると思います。
-
○野田哲君 国際情勢の変化がない限りは枠組みは変える必要はないということですが、最後がちょっとあいまいなんですが、別表は変えないと、こういうことであれば、そしてまた大綱は変えないと、こういうことであれば、大綱と一緒に決定をされた防衛費の枠組み、GNPの一%以内、これは守っていく、こういうことですか。
-
○
国務大臣(瓦力君) 中期防後の六十六年度以降の防衛力整備の
あり方についてでございますが、その具体的な方法につき述べられる段階ではないわけでございますが、いずれにいたしましても、中期防後において節度ある防衛力の整備を行うという精神はこれは尊重してまいらなければなりませんし、また効率的な防衛力整備、このことを心がけていくべきことだと、かような
考え方に立っております。
-
○野田哲君 そこで、その場合に国際情勢を今どう見るか、こういう問題になりますけれども、問題は、
防衛庁長官も所信表明の中で極東地域のソ連軍の増強が潜在的脅威だと、こう述べておられるわけです。
そこで、最近ソ連の軍事ドクトリンについてヤゾフ・ソ連国防相が論文を発表しているわけでありますけれども、社会主義と平和の守り、こういう表題の論文でありますけれども、この中で述べていることは、明確にソ連の軍事ドクトリンは防衛的なものであると、こういう表明をしているわけであります。そして、具体的にはアフガニスタンからの撤退、あるいはモンゴルからの撤退、こういう形があらわれているわけでありますけれども、このソ連の現在の軍事ドクトリンについて、まず防衛庁の長官としてはどのような評価をしておられるのか。
-
○
国務大臣(瓦力君) ソ連の国防相がいろいろ見解を表明いたしておりますことは承知をいたしておりますし、私どもも注目をしておるところでございます。しかしながら、我が国周辺の現実の軍備の
状況について見れば、極東ソ連軍は一九六〇年代半ば以降一貫して増強されておると。最近においても増強の趨勢に変化が見られないわけでありまして、この地域に巨大な軍事力を展開しておる。こういうようなことを受けてさきの所信表明、事実を踏まえて行ったわけでございます。また、具体的な動向等に関しましては
政府委員をしし
答弁させてもらいたいと思っております。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) ソ連がゴルバチョフ書記長になりましてから、例えば防勢的な軍事体制とか、最近ではまた奇襲能力をお互いに削減しようというような提案を行っている点、それからさらには合理的十分性という概念を打ち出しております。これはいずれも注目すべきことだと我々も考えております。
ただ、ソ連は過去においても決して攻撃的であるということをみずから言ったことはございませんで、常に防御的であるということを主張してきたわけでございます。それにもかかわらず、過去におけるソ連の行動というものを見てまいりますと、一九五三年のベルリン事件、一九五六年ハンガリー、一九六八年チェコスロバキア、一九七九年アフガニスタンというような軍事力による介入ということが何回も行われておるわけでございます。それに加えまして、我が国固有の領土である北方領土におきましても、一九七八年、七九年以来再び地上軍の配備をいたしまして、今や一個師団規模と推定される軍隊が駐留している、そういう現実というものがあるわけでございます。
軍事体制につきましても、例えば核の分野におきましても、ソ連の戦略核というのは非常に第一撃能力を持つというような形になっておりますし、地上軍におきましては、これは特にヨーロッパにおいて問題だろうと思いますけれども、非常に速いスピードで相手の奥深くに進攻できる戦車というものに重点を置いている。それから海上におきましては、攻撃潜水艦ないし、最近では非常に大型の水上艦船というような攻撃的能力を持ったそういう体制をしいているということ、これもまた見逃し得ないわけでございます。
現在のところ、いろいろな新しい
考え方というものが打ち出されておりますけれども、その結果として軍事体制に変化が見られるということは今のところございませんので、この点は今後我々としても十分注目していかなければならないということだと存じます。
-
○野田哲君 外務大臣は、今のソ連の軍事的な動向、軍事ドクトリン、この辺についてはどのような見解をお持ちですか。
-
○
国務大臣(宇野
宗佑君) ちょうど今の話と前後いたしまして、昨年ですか、ゴルバチョフ書記長がソ連共産党大会で次のように述べております。他国以上の安全を目指したりはしないが、他国に劣る安全には甘んじない、こういう路線で恐らく軍事ドクトリンにおきましても今申されましたように防衛的なものであると言われたのではなかろうかと私は思いますが、これは今後の実際のソ連の動き等々を注目していきたいと、かように思っております。
現在はINF等々ああやって努力をしている最中でございますから、私たちはあえて水をかけたいとは思いませんが、過去の例によりますると、SALT交渉の最中にアフガン侵攻があったと、そのアフガンが今度は地域紛争として収拾の
方向に向かっておるというようなことでございますから、やはりソ連の実際の行動というものを十二分に今後私たちもうかがう必要があると、かように考えております。
-
○野田哲君 六十二年の外交青書、これを見ると、やはりソ連の動向について、アフガンからの撤退とかあるいはモンゴルからの撤退とか、柔軟な姿勢を見せつつあると、こういう評価をされているわけでありますが、防衛庁の方は一貫して軍事力の増強、脅威と、こういう評価をされて、若干そこに外務省の見方と防衛庁の見方に違いがあるんじゃないかと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(宇野
宗佑君) その時点その時点におけるそうした行動に対しましては、私たちは評価をいたしておるものでございます。
-
○野田哲君 具体的には、私が指摘をいたしましたように、最近ソ連の国防相が論文で、ソ連の軍事ドクトリンについて防衛的なものにすると、こういうことを明確に示しているわけですね。これから後でこの極東における軍事力の問題にも入っていきますけれども、一体防衛庁なり外務省としては脅威について、軍事力はどういう形になり、あるいはまた国家としての意思がどういう形が示されれば脅威はなくなったと、こういうふうに見るわけですか。現在、一国の国防相が防衛的なことに徹すると、こういう表明をしているし、軍事力についても私は、
防衛庁長官が言うほど極東においてはふえてはいない、こういうふうに思うんですが、一体どこまで減り、どういう意思表示がされれば脅威はなくなったと、こういう判断をされるわけですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 政府としてかねがね申し上げているとおり、脅威というのは、
一つは能力に着目する必要があるということを申し上げていると思います。能力とそれから意図というものが結びついて初めて脅威になるんだということを申し上げておりますが、先生御承知のように、またかねがね政府が申し上げているように、意図というものは極めて変わりやすい。もちろんどんどん変わるということではございませんけれども、
状況によっては変わり得るものである。一方、能力については、ある軍事力というものを建設するには相当な期間がかかるものでありますので、我々としてはやはりその動きにくい能力といいますか、軍事力そのものに着目しておく必要があるだろうということをかねがね申し述べておるわけであります。
一方、それではその軍事能力というものがどうなればという今御
質問でございますが、少なくとも今御
質問の例えばソ連の軍事力ということを見ますと、引き続き近代化が進み、かつ量的にも決して減っていない、減るどころかややふえていく
傾向すらまだ続いておるということでございます
ので、やはり現在のそういった
状況というものが逆転をして逐次兵力が減る
方向になる、そしてある攻撃的な性格のものという、軍備というものが相当削減された段階でないとなかなか我々としては安心した段階にはならないのではないかというように考えているわけでございます。
-
○野田哲君 今の能力と意思ということですけれども、能力については、今まで防衛庁がソ連の軍事的脅威の真っ先に挙げていた極東配備のINFが削減の合意をしたと、これだけでも私は軍事力の大きな削減ではないかと思うんですが、そういう評価はしないんですか。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) 昨年の防衛白書におきましては、構成上戦略核、それからそれよりも距離の短い中距離核、それから在来兵力というそういう順序でソ連の能力について分析をして発表しているわけでございます。
したがいまして、我が国に近いところでは中距離核、すなわちSS20等のINFが真っ先に出てきているということはそのとおりでございますけれども、それが脅威の第一であるという、そういう評価を防衛白書でやっているということではございません。それから、もちろんSS20がなくなりましても他の核兵力というのは依然として残るという点は、これは
委員御承知のとおりでございます。
-
○野田哲君 軍事力の削減とは見ないんですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) INF全廃条約の締結については私ども大変高く評価しておるわけでございますが、二つの点お考えいただきたいんですが、
一つは、まだ現実にINFそのものが減らされてはいない、減らすという
方向は決まったということです。
-
○野田哲君 減らす意思を表明した。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 意思は出たけれども、現実にはまだ減っていないということが
一つあろうと思います。
もう一点申し上げたいのは、かねがね申し上げておるとおり、私どもの防衛力というのは限定的な事態、限定的と申すものの中には、核でない通常兵器の事態というものを対象としておりますので、防衛力が直接対象としている、あるいは防衛力が考えておる脅威の範疇からはINFの
部分、いわゆる核の脅威というものは外れておりまして、それは日米安保に期待してある
部分だというふうに御理解いただきたいと思います。
-
○野田哲君 それじゃここ書かなければいいんだ、脅威だ脅威だと、INFを。
それじゃ通常兵力の問題についてただしたいと思うんですが、防衛白書の中では極東ソ連軍の地上兵力は四十三個師団三十九万人、こういうふうになっているわけですが、その根拠を示してもらいたい。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君)
委員御
質問の兵力と申しますのは、防衛白書におきまして四十三個師団というのは、バイカル軍管区以東のソ連にあります師団について我が方の見積もりを行ったわけでございます。
それから師団と同時に、兵員数というものもこれを正確を期するために三十九万人という数字を見積もったわけでございます。
-
○野田哲君 ミリタリー・バランスによったと、こうなっているわけですが、ミリタリー・バランスでどの範囲までを極東としてこの四十三個師団三十九万人としているわけですか。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) 私の承知しておりますところでは、ミリタリー・バランスでは極東という概念では必ずしも書いておりませんで、中央アジアを含んだ兵力として一九八七年―八八年については五十六個師団という数字を挙げていると承知しております。我が方の四十三個師団というのは、
先ほど申し上げましたとおりバイカル軍管区以東のソ連軍についての数字でございます。
-
○野田哲君 防衛白書ではバイカル湖以東を四十三個師団三十九万人と、こう言っているわけですが、これをミリタリー・バランスによると、私のミリタリー・バランスでは、ザバイカル、これが十一個師団、それから極東軍管区、これが二六・五ですよ、これは。一旅団がありますから、それを入れても二十七個、三十八、こうなるわけですけれども、四十三というのはそれはモンゴルまで入れているわけですか。
-
-
○野田哲君 確かにモンゴルにはミリタリー・バランスによると五個師団いることになっているわけですけれども、モンゴルにいる五個師団、これはモンゴルと日本の間はあの広大な中国という国があるわけですよ。それを挟んだモンゴルに駐留しているソ連軍がどうして日本の脅威に当たるわけですか。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) その範囲のとり方というのは、これはいろいろ見方があるかと存じます。これも必ずしも我が日本国にとって直接の脅威になる師団が何個という数え方をしているわけでございませんで、一般的に申しまして、北東アジアにおいて
影響を及ぼし得る軍事均衡という
観点から師団を数えたということでございます。
-
○野田哲君
防衛庁長官は所信表明で、ソ連の極東軍増強が続いているから脅威なんだと、こう述べているわけです。そして、防衛白書を見ると、その極東におけるソ連の地上軍というのは四十三個師団、こうなっているわけです。それで、よくよく聞いてみると、モンゴル駐留の五師団まで入れてこれが脅威だ脅威だと言うのはいかにもこじつけで、これは不動産屋の写真みたいなもので、よその屋敷まで写真にして売りに出しているようなものですよ、これは。
それでは、一体この極東のソ連軍一個師団は編成はどういうふうに、何人で編成されているというふうに見ているわけですか。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) ソ連軍一般につきましては、機甲化師団、タンク師団とそれから機械化歩兵師団によって編成が多少違っております。約一万人ないし一万二千名というのが一個師団というふうに考えられております。極東につきましては、よくミリタリー・バランスでも引用されておりますけれども、カテゴリーがIとかIIとかIIIとかということで、充足率が非常にばらばらでございまして、充足率の低いものもございます。したがって、一個師団がそれぞれどれだけ持っているかというのはちょっと数字は挙げにくいと思います。
-
○野田哲君 今の説明でどうして三十九万人になったのか私は不思議でならないんです。ミリタリー・バランスによったと、こう言っているんですが、ミリタリー・バランスの中でははっきりとカテゴリーI、カテゴリーII、カテゴリーIII、こうなっていって、カテゴリーIは、これが完全装備をして二十四時間以内の通告で完全充足した態勢。カテゴリーII、これは戦闘用車両を完全装備し、定員の五〇ないし七五%の兵力を充足した態勢。完全充足に三日を要す。そして、三十日で完全に作戦可能となる。カテゴリーIII、旧式装備を完全装備をしている。基幹要員――定員の約二〇%を充足した態勢。完全充足には八ないし九週間、つまり約二カ月を要する。こういう分類がある、これは間違いありませんね。どうもあなたの方のミリタリー・バランスと僕の読んだミリタリー・バランスは違うんじゃないかと思うんですが、どうですか。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) ミリタリー・バランスに書いてありますのは
委員御指摘のとおりでございます。
ただ、師団というのは、四十三個師団と申しましても必ずこれは師団等でございまして、砲兵とか、それから空挺隊とか、支援部隊等はいわゆる師団の中に数えていないわけでございます。
それからちょっとソ連全体から言いますと、約二百十一個師団二百万人ということを言われておりますけれども、これはですから、まさにその極東におけるその充足率がソ連の平均よりも以下であるということを示していることだと思います。
それからもう
一つ、ちょっと比較をさしていただきますと、もちろんその編成は非常に違いますけれども、例えばドイツ軍ですと陸軍兵力が三十数万人いるわけでございますけれども、これは十
二個師団でございます。ですから、師団掛けるその一個師団の兵員数というものでその数字が出るという性質のものではないという点だけ御指摘させていただきたいと思います。
-
○野田哲君 ミリタリー・バランスではこういうふうになっているんです。ソ連極東部、中央部及び南部にある百四十八個師団の約六〇%に当たる八十三個師団はおよそカテゴリーIIIである、こうなっているわけですよ。そして、さらに極東のところにはこうなっているわけです。極東地上軍の師団の即応態勢は三五%がカテゴリーIまたはカテゴリーII、つまり二〇%の充足率で戦闘態勢に約二カ月かかるカテゴリーIIIが全体の六五%を占めている、こういう説明になっているわけなんですよ。これはどうですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) ミリタリー・バランスはそのとおりだと思いますが、先生のおっしゃるとおり、あるいはミリタリー・バランスに書いてあるとおり、私はそういう
傾向にあることは間違いないと思います。
そして、我々としても現実にどこに駐屯しておる師団がどういうカテゴリーであるかということについては非常に関心を持ってある程度の情報も得ておりますが、個々に申し上げることは控えさせていただきますが、いずれにしましても、現在の極東ソ連軍のすべてが一〇〇%充足で直ちに戦闘できる
状態にないということは間違いないわけでございますが、何せソ連邦というのは徴兵制の国でございますので、今お話がありましたように、カテゴリーIIIの師団ですから二カ月ぐらいで戦闘
状況に入れるということでありますので、我々としても当然のことながら、そういったものを念頭に置いた防衛力整備なり、あるいは防衛計画、年度の防衛計画というものを立てておる次第でございます。
-
○野田哲君 その六五%がカテゴリーIII、充足率二〇%、これでどうして四十三個師団三十九万人という数字が出てくるんですか。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君)
先ほど申し上げましたとおり、兵力というのは師団掛けるその一個師団分の兵力ということではございませんで、それに、その周辺というか、まさに砲兵とか、空挺とか、それから後方支援部隊というような膨大な兵員を周りに備えているわけでございます。というのは、ですからどこの国の軍隊を見ましても、決して師団掛ける兵力ということではなくて、その何倍かの兵力を持っているのが普通でございます。したがって、ソ連の場合にその四十三個師団三十九万人という数字自身が、これは充足率が低いということを示している、もうまさにそれを示している数字と言えるのではないかと存じます。
-
○野田哲君 六五%が充足率二〇%以下のカテゴリーIIIでどうして四十三個師団三十九万人というのが出るのか、これ具体的に数字を示していただきたいと思うんです。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 我々もソ連の現在の充足
状況、各部隊についての充足
状況を知り得れば知りたいわけでございますが、まだ十分知り得ない点もありますが、自衛隊の例から申し上げますと、御承知のように陸上自衛隊十八万人ございますが、そのうち、いわゆる師団に属する兵員というのは約半分ぐらいというふうにお考えいただきたい、十万以下でございます。つまり、八万というものは司令部要員であり後方支援要員であるということであります。かつ、平時の充足率で申し上げますと、陸上自衛隊全体としては八十数%、八五%ぐらいの充足率でございますが、平時から司令部要員であるとかあるいは後方支援部隊、情報部隊、そういったところは満杯になっておるということで、第一線の師団の充足率は、日本のような志願制
制度のもとであって、どうしても高い充足率が必要な
状況であってもなおかつ七〇%ぐらいになっておるという
状況でございますので、全体として四十数個師団で今国際参事官が申し上げた数字というものは、当然そのくらいになろうかなという数字だろうと思います。
-
○野田哲君 瓦長官、私は、防衛白書にソ連の極東軍事力というのがいろいろ書いてあるから、これを調べてみると、ミリタリー・バランスによってこういう数字になるんだ、こういうふうに書いてあるから、私自身がミリタリー・バランスを全部隅から隅まで調べて今申し上げたわけです。
そうすると、ミリタリー・バランス以外にも私どもは情報を持っている、こう言われるんだったら、その情報もはっきり説明してもらいたいと思うんです。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君)
委員、防衛白書がミリタリー・バランスを根拠としているというふうに御指摘でございますけれども、もちろんミリタリー・バランスは非常に権威のある国際的な研究所の作成しているものでございますけれども、我々としてはミリタリー・バランスだけに従っているわけではございませんで、そのほかの入手可能な各種情報、資料及びみずから持っている情報に基づいていろいろ見積もりを行っている次第でございます。
-
○野田哲君 だから、ミリタリー・バランス以外にも資料があってこういう数字になっているんだったら、そのミリタリー・バランス以外の資料も説明してもらいたい、それだけのことなんです。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) ただいま申し上げましたとおり、ミリタリー・バランス以外の資料について、それから独自の情報に基づいて見積もりを行っているわけでございますけれども、
先ほど先生の御指摘のミリタリー・バランスに書いてあることと白書に書いてあることと、私は大きく矛盾しているところはないというふうに存じております。
-
○野田哲君 六五%がカテゴリーIIIとはっきりミリタリー・バランスに書いてあるんだから、師団数とその充足率を合わせると、どう計算しても防衛白書に書いているような四十三個師団三十九万人にはならない。私のミリタリー・バランスの読み方としては、まず師団数については三十八、そして人員については十八万人にしかならない、こう思うんです。だから非常な食い違いがあるから、ほかの資料もあるのであればほかの資料を示してもらいたい、こう言っているんです。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君)
先ほど来指摘いたしておりますとおり、師団掛ける師団におります人員というものがその全体の数字になるものではございません。例えばソ連地上軍の場合には、師団のほかに対戦車旅団とか防空――地対地ミサイル、高射砲旅団、工兵旅団、通信連隊、電子戦連隊、重戦車輸送連隊、核・生物・化学防護大隊、化学戦大隊、支援部隊というように、もろもろの部隊がその師団のほかにいるわけでございます。そういうものを合計して三十九万人という数字に達したわけでございます。
この点につきましては、極東ソ連軍だけではなくて、いかなる軍隊においても同じような
状況にございまして、師団掛ける師団の部隊、それよりも何倍かの兵力というものを普通のどこの軍隊でも持っているという、そういう性質のものでございます。
-
○野田哲君 だから、それはどういう資料によったのかと、こういうことを聞いているんですよ。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) 我々が利用いたしております資料の中にはジェーン年鑑のようなものもございます。我が方自身の情報については、ちょっと公表するわけにいきませんので、御勘弁願いたいと思います。
-
○野田哲君 我が方自身の情報というのはどうして説明できないんですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 御承知のように、情報源というものがはっきりしますと以後情報がとれなくなりますので、その辺、手のうちを明かすことは御勘弁いただきたいと思います。
-
○野田哲君 国会で説明できないようなものを我が方には別の情報があるんだということで、そうしてソ連の軍事的脅威ということで、そして重い負担を
国民に課して防衛力の増強、これでは
国民は納得するわけにいかないと思うんですよ。 必要があるのなら、こういう脅威があるんだからこれだけ必要なんだと、これでなければ説得力はないと思うんですよ。
この問題だけ押し問答しても始まりませんか
ら、私どもはこの防衛庁の示している数字、ミリタリー・バランスではそうはならない。だから、これは信じるわけにいかないということだけ指摘をしておきたいと思うんです。
次に、日本有事の際の米軍の迅速な来援について、装備の事前集積を含めて研究を行う、こういうことになっているわけですが、日本の有事がどのような
状況のもとで発生するのか、その国際的な判断として、日本への侵攻の相手国、予想される地点あるいは侵攻の兵力、そういうものについてどのような想定があるのか、これを示していただきたい。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) これはまたたびたび
お答えしておると思いますが、日本に対する侵攻予想というのは千差万別であります。
なお、我が方の防衛計画、年度の防衛計画なり、あるいは日米で行っております作戦計画の研究等の想定がどうなっておるかということは、まさに我が方の防衛の手のうちを示すことになるので、具体的に
お答えすることは御勘弁いただきたいわけでありますが、一般的に申し上げまして、日本に対する侵攻というものは、まず直接侵攻の態様としては、着上陸侵攻、航空侵攻、海上侵攻というものが同時並行的に行われる場合というのがございますし、あるいは海空軍力のみで海上交通が破壊が行われるという場合もあろうと思います。さらに、今申した海空の海空軍力あるいは空軍力というものが時を置いて順次エスカレートするといいますか、空軍、航空攻撃から始まって逐次着上陸侵攻に至るという時間差のあるものも当然あるということで、態様としては、何度も申し上げるようですが、いろいろな
状態があるということでございます。
なお、有事来援研究についてどういうことになるんだというお尋ねでございますが、これまたこれから具体的にやることでございますが、本
委員会でも
お答え申し上げているとおり、今回の来援研究というのは作戦計画研究の一環あるいは延長線上のものだというふうに申し上げております。御承知のように、既に作戦計画研究については
一つの想定についてのものが行われております。当面は恐らくその想定の中の来援研究ということになろうかというように考えております。
-
○野田哲君 装備の事前集積ということを研究していくということになると、その対象はいわゆる着上陸侵攻ということになると思うんです、陸上部隊の装備を集積することになるわけですから。その着上陸侵攻の予想される場所を想定していなければポンカスの場所を決めるわけにいかないでしょう。一体どこを予定地として考えているのですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 具体的にどこに上陸があろうかということになりますと、これは蓋然性なり可能性の問題だろうと思いますが、御承知のように、今の日本のような島国でありかつ細長い地形でありますから、仮に我が方が洋上で撃破する能力というものがなければどこにでも来れるわけでございます。
〔
委員長退席、理事林ゆう君着席〕
御承知のように私どもFSXとか現在持っているF1というように、相手方が相当長い航海をしてくるといいますか、相当時間をかけて洋上におるということになりますと、その期間にかなりの要撃チャンスが得られるだろうということになりますと、現状で他国と非常に近づいているということになりますと、例えば北部日本というように、相手方の策源地から時間のそう長い期間洋上にいなくて済むところというものが最も着上陸侵攻の可能性の高い地域というようにお考えいただいて結構だと思います。
-
○野田哲君 そういたしますと、洋上がそう長い期間かからないところということになると、これは外国の領土と一番近いのは北海道なんですが、ずばり北海道を想定していると、こういうことなんですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) その御
質問にすぐ
お答えする前に二、三申し上げておきたいんですが、私どもポンカスといいますと、まさに先生の御
質問のように、陸軍部隊の部隊編成
単位の装備の蓄積、事前集積のことだと思いますが、そういったものにまで研究というか、お互いの
意見が一致した形で研究が実るかどうかということについては十分なまだ見通しを持っておりません。
ただ、事前集積一般ということになりますと、空軍部隊についても非常に多くのものがある。これはヨーロッパの
状況をお考えいただいても、陸軍につきましては六個師団分であると同時に、航空部隊の戦闘飛行隊について六十個飛行隊とか、そういった事前集積といいますか、そういったものの受け入れ準備というものがなされておるということで、決して陸軍だけとは考えておりませんが、そういったことを抜きにしまして先生の御
質問に端的に
お答えすれば、北海道というものが非常に可能性の高い地域であるということは間違いないと思います。
-
○野田哲君 外務大臣にお伺いいたしますが、きのうですか、報道の中で、平時の兵たん支援協定の締結に向けて既にアメリカ側から提起があった、こういう報道がありますが、これは事実ですか。
-
○
政府委員(有馬龍夫君) 先生が御指摘の件は、米国のNATO相互支援法についてのことと存じますが、これは米国の国内法でございます。これは一昨年の改正によりまして国防長官に、特定のNATO諸国以外の国につきましても、それらの政府から兵たん支援供給品及び役務を購入する権限、相互物品役務融通協定とでもいいますか、クロス・サービシング・アグリーメントと呼んでおりますが、これを締結する権限を与えたものと承知しておりますが、当方といたしましては、このような経緯、すなわちその範囲が広がったというようなこと、これは日米間の事務レベルで日常行われております一般的な
意見交換の中で米側から説明を受けております。しかし、日米間におきましてNATO相互支援法が想定する協定締結につき具体的な
協議が行われているということはございません。
-
○野田哲君 説明を受けたということはどういうことなんですか。用意をしてくれ、こういうアプローチなのか、単なる法律のことを説明があっただけ、こういうことなんですか。そこのところをもう
一つ明確にしていただきたい。
-
○
政府委員(有馬龍夫君) 後者でございます。そういうものがあるという説明を受けたという次第でございます。
-
○野田哲君 今、かなり具体的にそういうものがあるということの説明があったということですが、アメリカの今説明された法律、これを受けて協定を締結するということになってくると、この
内容は今の日本の現行法のままではできないと思うんですが、その点いかがですか。
〔理事林ゆう君退席、
委員長着席〕
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 実は今北米
局長から
お答えになった件については私も聞いたことがあるんですけれども、そのときの話は、ホスト・ネーション・サポートという受け入れ国側の支援のほかに、NATOのそういった双務的なものがほかにも適用されたので、そういう一方交通じゃなくてできるようになりましたよという話を聞いたことがあります。したがって、向こうとしては日本側にとってより有利なことができるんじゃないかという
意味でお話があったと思って、私どもそれ以後さほど関心も持たず勉強してないわけで具体的なことは申せないわけでありますが、現状において日米間で、例えばこれは平時の訓練その他を通じてある程度こちらから
サービスをするというような問題については、現在は自衛隊法の百十六条の二というのがございまして、自衛隊の飛行場に、これは米軍機に限りませんけれども、着陸した飛行機に対して燃料等を支給する。これは無償で貸し付ける格好になるわけですが、そういった根拠が
一つあります。
そのほか、自衛隊法の附則でございますけれども、これは自衛隊と米軍とが同じ場所にいるというときに、他に方法かない場合に、自衛隊が給水だとか給電とか、そういったことをやってやれる
というような規定もございます。さらには、例えば日米が洋上で共同訓練をするといったようなときに、片方が訓練中に油がなくなり片方が給油艦を持っておったというようなときに一時的に貸し付けるということを現在やっておりますが、これらの根拠規定は物品管理法の貸し付けに基づいているというようなことで、現在我々として必要だと思えるものについては、そのための立法をしてあるものもあれば既存の一般的な法律に根拠を置いてやっているものもあるということで、新たにやる場合にどういうものがさらに出てくるかということについては、ちょっと研究しておりませんので、はっきりしたことは申し上げられないということであります。
-
○野田哲君 例えば役務の提供について、自衛官あるいは予備自衛官を招集してこれによって提供していく、こういうことは現行の自衛隊法ではできないですね。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 役務の提供について、
先ほど申し上げたように幾つかの提供し得る根拠のあるものもございますが、今先生のおっしゃられた予備自衛官を例えばわざわざ招集をしてそれを米側の何かに供するというようなことはできないというように考えております。
-
○野田哲君 それで、今アメリカ側からアメリカの法律が変わったことについての説明があった、こういうことですが、つまりこれは、NATO以外の地域に対してもNATOで受けていると同じような支援協定を持ちたいという法律になっているわけでありますけれども、日本側としては説明を受けたんだけれども、これには応ずる意思があるのかないのか、この点は両大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(宇野
宗佑君) NATO相互支援法の話は聞いた、しかしながら実態は動いておらないわけでありまして、
協議も何もいたしておりません。だから、一部におきましては今
西廣局長が申されたようなことでございましょうが、本当にそうしたことがいいのか悪いのか、これは当然研究をしてみなくちゃわからないことである、かように存じております。
-
○
国務大臣(瓦力君)
先ほど防衛
局長からも
答弁ございましたが、防衛庁として特に
検討はまだしていないということでございますが、米国から具体的な要請があった段階で同協定を結ぶいわゆるメリットがあるかどうか、そういったことも含めまして
検討をする必要がある、かように考えます。
-
○野田哲君 これは瓦長官、あなたが一月十九日にペンタゴンでポンカスを含めた有事来援について具体的な研究をしようと、これを申し出たということは、私はもうアメリカ側から説明のあった兵たん支援協定、これは今まで衆参の
予算委員会で議論されているが、これは避けられない。当然、有事来援のポンカスを具体的にやりましょうと言った国が、アメリカ側から兵たん支援協定をまず結んでくれと言われたことをこれは避けられるはずはないと思うのですが、その点そうはお考えになりませんか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 間違っておりましたらあるいは外務省の方から御訂正あるかもしれませんが、私はこの協定というのは平時の問題ではないかと。いわゆる有事来援あるいは有事における行動に伴うものではないのではないかというふうに理解をいたしておりまして、それとは別個の問題であろうというように考えております。
-
○野田哲君 結局、アメリカ側の意思としては、国防報告を見ても軍事情勢報告を見ても、日本をNATOと同格の戦略的な位置づけをしていこう、こういう意思があらわれていると思うのです。そういう
状況の中で、NATOに今行われている有事における装備の事前集積、これを日本側から持ち出したということは、日本側もNATOと同じような戦略的な位置づけをみずからが望んだ、こういうことになるんじゃないですか。当然、そういうことになった場合には、今までNATOを対象にしていた支援協定、平時のホスト・ネーション・サポート協定、ウォータイム・ホスト・ネーション・サポート協定、これがもう必然的なものになってくる、これはもう避けられないんじゃないですか。そういう認識は一月十九日のペンタゴンではお持ちになっていなかったわけですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 実は長官同士の首脳会談に先立って私ども事務的な話し合いをしたわけですが、その際に向こう側からもはっきり言われておりますのは、今先生がお尋ねのように、ポンカスあるいは事前集積、そういったものを議題にするということについてはそれは困る、それはできないということははっきり向こうからくぎを刺されておりまして、あくまで今回の研究というのは、現在既に行われておる作戦計画研究、その中の重要
部分である米軍来援の
部分についてより研究を深めたいということについて合意を得たんだということを御理解いただきたいと思います。
-
○野田哲君 「「指針」第三項に基づく研究について」、こういうのがあります。「日本以外の極東における事態で、日本の安全に重要な
影響を与える場合の米軍に対する便宜供与の
あり方の研究については、
昭和五十七年一月八日の日米安全保障
協議委員会において、研究を開始することで
意見の一致がみられ、現在、日米間で研究作業が進められている」、これはどういう研究作業が進められているわけですか。
-
○
政府委員(有馬龍夫君) これにつきましては、この
委員会でも何回か御説明申し上げておりますけれども、「日米防衛協力のための指針」の第三項に申します「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な
影響を与える場合に日本が米軍に対して行う便宜供与の
あり方」についての研究、すなわちいわゆる六条事態研究作業につきましては、
昭和五十七年一月以降、
関係省庁の審
議官クラスの研究グループの会合を三回開催いたしまして、その後必ずしも進展は見られておりませんが、日米間の種々のレベルにおきまして接触を行い、研究作業の進展を図る努力は行っております。
この研究作業の
内容につきまして、その公表は米軍の行動等にかかわる種々の機微な側面をも明らかにすることになりまして、それに加えて、あり得べき便宜供与の分野における日米間の協力体制をあらかじめ明らかにすることになるものですから、その結果日米安保体制の効果的運用に支障を来しかねないということでございまして、日米間ではこれを公表しないということで合意ができております。この点御理解を何とぞいただきたいということでございます。
いずれにいたしましても、現在進められているのはあくまでも研究でございます。
-
○野田哲君
国民が一番知りたいことは、これは外交上の問題だから公表するわけにいかない、これでは国会は一体どうしてシビリアンコントロールの役割を果たせばいいんですか。外務大臣、いかがですか、これは。
-
○
国務大臣(宇野
宗佑君) 今の三項の問題でございますが、今
局長が
答弁したとおりでございます。
ここで、ちょっとまた議論が錯綜すると困りますから、私から先に申し上げておきますが、今回の有事来援の勉強はあくまで五条、日本有事の場合に限るので、これもガイドラインの中の一環であって、今の三項は全然それとはまた別の話だ、こういう
意味でひとつ御理解願いたいと思いますし、今申し上げましたとおり、日米でいろいろ勉強しておることでございますから、極東に関して。したがいまして、お互いに発表することはよしましょう、やらないということを約束しておる以上、これは仕方がない問題であると私は思います。やはりそれぞれ国の安全のためには守るべきところは守らなくちゃならないのじゃないだろうか、こう思いますので、そうしたことで御理解賜りたいと思います。
-
○野田哲君 これは約束していることだからと言われたって、私どもが別に相談を受けて約束されたことではないので、あなたがたの方が独自の判断でアメリカと約束して、国会に対しては約束事だから公表できない、こういうことではシビリアンコントロールの機能は果たせませんよというこ
とを私は言っているわけです。
もう一回ポンカスの方に返りますけれども、アメリカの国防報告によると、この事前集積は既に一九九二年まではヨーロッパに六個師団、それから南西アジアに海上事前集積、これが決まっている。そうすると、今回この日本側から提起したのはそれ以降、つまり一九九三年以降のアメリカの計画の中にこれを具体化する。日本の計画では六十六年以降の、いわゆる冒頭に話のあったポスト中期防の中で予定をしていく、こういうことになるわけですか、その点いかがですか。
-
○
国務大臣(瓦力君) 有事来援研究は、時宜を得て米軍の来援が得られるかどうかということにつきまして定義をして、その研究はガイドラインの枠内で取り組んでまいると、こういうことで研究を行うわけでございまして、ポンカスが取り上げられるというようなことは、この研究の中でそうしたことも含めて研究がなされるであろうというようなことも
答弁の中では申し上げてきておるところでございますが、この研究については、一定の時期にポンカスを実施することを前提として研究スケジュールを立てる、こういった
考え方ではないわけでございます。
-
○野田哲君 これはもっと明確にしてもらいたいんですよ。あなたの方からワシントンで有事の早期来援のために具体的な研究を始めましょうじゃないかと、こう言って、アメリカ側もこれをオーケーとした。それで国会でいろいろ聞いてみると、その有事来援研究の中にはポンカスもある、そのポンカスというのは一九九二年までアメリカの計画ではもう決まっている。アメリカの計画に入れるためにはかなり前もって
協議を整えておかなければならない。だから私は一九九三年以降、日本側の計画で言えば今の中期防の後のポスト中期防、この中へ入れるつもりなんですかと、
協議が整えば。こう聞いているんです。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 先生御指摘のように、米側にとっては九二年までのポンカスといいますか、事前集積計画というものは決まっておりまして、その中に日本が入っていないということも事実であります。したがいまして、米側として現状において日本に事前集積を行うという
考え方を持っていないということもまた事実であります。
とすると、それでは仮定の話でございますが、今回研究した結果、仮に何らかの事前集積というものを行う必要があるというような両者の認識があり、かつそれがそれぞれの政府で政策としてとられるというようなことになったらどうなるかというお話だろうと思うんですけれども、その際にそれが次期防にすぐのってくるものであるのか、あるいはアメリカの一九九二年以降の新たなそういう事前集積計画というようなものが決められるのか、あるいはそういうことではなく個別に決まっていくものなのか、その九二年までの間であろうが。そういうことについては実は私どももそこまで先を読んでといいますか、ある特定のねらいを持ってやっておるわけでございませんので、何とも申しかねるわけであります。
いずれにしましても、今回の研究は、
先ほど来
防衛庁長官が申し上げているように、現在の作戦計画研究の一環の中で米側の来援というものが我々の期待する時期というものに合って来れるものであるかどうか、そういった点、あるいは来れないとすれば何がその障害になっているかどうかという研究をまずやってみたいということでありまして、まだその先の問題についてまで思いが及んでいないというのが現状でございます。
-
○野田哲君 最後に
宮澤大蔵大臣、突然のことですが伺いますが、私ども参議院の社会党、公明党、民社党三会派が先般自由民主党の方に対して幾つか申し入れをしておりました。
一つは、減税
協議の財源の早く回答をしなさいということと、二つ目には、
予算の空白期間が生じるんだから暫定
予算の用意をしなさいと、こういうようなことを申し入れをしていたんですが、きょう何か自由民主党の方から回答が寄せられているようですが、その中では、
昭和六十一年三月二十八日の安田
委員長見解を尊重する立場から、念のため政府に対し暫定
予算の準備に入るよう要請したいと、こういう回答になっているんですが、参議院の自民党の方からそういう要請がございましたか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) 私がここに入っておるかげんかと思いましたが、確認いたしましたら、まだそのようなことを聞いておりません。
-
○野田哲君 そうすると、これは架空のものだね、
大蔵大臣に届いていないということは。まあ、これ以上
大蔵大臣とやりとりをしてもしようがないんで、時間が来ましたから、これで終わります。
-
○
委員長(
原文兵衛君) 以上で野田哲君の質疑は終了いたしました。
─────────────
-
-
○久保亘君 ただいま野田
委員から
大蔵大臣に
質問ございました社、公、民三党国対
委員長からの申し入れに対して自由民主党国対
委員長からの回答が参っておりますが、
大蔵大臣、参議院の
予算審議の現状から見て、
予算の年度内成立は不可能となったということについてはお認めになりますか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) これは当
委員会の御審議にかかわることでございますので、何とも私から申し上げるべきことでないと存じますが、私どもとしては全力を尽くしまして
委員会の御審議に御協力を当然のことでございますがいたしまして、一日も早く
予算の成立をさせていただきたいと念願をいたしております。
-
○久保亘君 いや、そんなことじゃなくて、じゃ
官房長官に聞きましょう。
内閣として、今の参議院の
予算委員会の審議の実情、現状を見て、年度内成立が困難となったということについての認識を持っておられますか。
-
○
国務大臣(小渕恵三君) 今
大蔵大臣が御
答弁申し上げましたように、現在この
委員会室で熱心な御審議をちょうだいいたしておりますので、政府としてはぜひ年度内にこれは成立のできるようにお願いをひたすらいたしておるところでございます。
-
○久保亘君 そんなことを聞いておるんじゃないですよ。既にもう一週間も残っていないんで、この審議日程というのもきちっとあなた方よく承知しておられるでしょう。だから年度内に成立しなくなったということはわかっているでしょうねと聞いているんです。
-
○
国務大臣(小渕恵三君) 年度内といいますと三月末日でございまして、日にちもまことに切迫をいたしておりますことは承知いたしておりますし、大変厳しい日程と承知をいたしております。私も長らく議院運営
委員会に相務めておりますので、また
予算委員長も衆議院でさせていただきましたので
予算審議の
状況については十分承知をいたしておるところでございますが、日程的には大変厳しい
状態ではございますが、ぜひひとつ成立をさしていただきますようにひたすらお願いをいたす次第でございます。(「うまい」と呼ぶ者あり)
-
○久保亘君 別にうまいことはないんでね。現状認識がそんなことでいいんですか。衆議院から送られてきて、四月八日までの日程でやってきて、既に三月三十一日までのこの
委員会の審議日程が決まっておるんですよ。だから、年度内という厳格な
意味での成立は難しくなったということはわかっていなければだめじゃないですか、
予算を提出した政府として。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) これはやはり
官房長官の言われたとおりでございまして、
委員会としてせっかく日に夜を継いで御審議いただいておりますことはよく存じておりますので、私どもとしてはこれはもうとても間に合わないというようなことを思えるものでもありませんし、申せるものでもございません。
-
○久保亘君 じゃ、
予算案を提出する側として、暫定
予算の準備に入らなければならなくなったという認識は持っておるんですか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) 従来この点は当
委員会におきましていつも非常に御苦心をしていただく
ところであり、かつて長田
委員長の御発言もあり、また一昨年安田
委員長の御発言もありまして、非常にそういう難しい問題を含んでおりますことは私どももとよりよく承知をいたしておりますが、ただいまの段階におきましては何とか当
委員会におきまして年度内に成立をお図りいただけるものではなかろうかと念願をいたしておるわけでございます。
-
○久保亘君 既に自由民主党国対
委員長から、安田
委員長見解を尊重する立場からというのは、これは年度内成立が困難となった場合には
財政法三十条に基づいて措置すると、そういうことです、その立場から念のため政府に対し暫定
予算の準備に入るよう要請したいという回答を寄せられております。この点について当
委員会として
委員長の方でぜひ適切な御措置をおとりいただきたいと思います。
-
-
○久保亘君
最初に
官房長官、この
委員会においても衆議院の
予算委員会においてもしばしば論議がございました災害遺児奨学
制度について、
総理大臣の約束でございます、四月に間に合うよう財源を含めて内政審議室において鋭意
検討させる、鋭意ですよ、
検討させる、この四月に間に合うようということについて、もう日にちがございませんがいかがに相なっておりますでしょうか。
-
○
国務大臣(小渕恵三君) 御質疑のありました災害遺児育英
制度につきまして久保
委員も大変御熱心にこの
制度の創設について御関心を持っておられるわけでございますが、今お話のようにこの問題につきましては当初文部省の
関係いたしております育英
制度との関連もこれあり、また、その他この
制度の創設につきましては、他の原因によって進学が経済的に困難になった者との均衡もありまして、そうしたもろもろのことを
検討いたしてまいったわけでございますが、昨年今次
予算編成に当たりまして党首会談が開かれまして、そのときに自民党の党首からも御返事を申し上げておるところでございます。
そこでお話のように、内政審議室におきましてそれこそ鋭意
検討いたしてまいりまして、何とかお約束のような成果が得られるように最後の詰めを今いたしておるところでございます。しかしながら、まだ若干の点におきまして詰まっておらない点もございますのでこの場所で正確な御返事ができませんが、御
質問の趣旨は十分踏まえましてこのお約束が果たし得るように努力をいたしてまいりたいと、こう考えております。
-
○久保亘君 少なくとも当
予算委員会が終わりますまでには結論をきっちり約束の
方向でお示しいただけるものと考えてよろしゅうございますか。
-
○
国務大臣(小渕恵三君) 言うまでもないことでございますが、国会というところはいろいろ手続その他順を追うて行わなければならないところでございまして、この問題につきましては実は
先ほど申し上げましたように党首会談ということを経て、それぞれの各党の強い要請も出ておりますので、一応政党同士のお約束ということもまたあり得るのじゃないか、こう思いますのでそれぞれの手順を踏む。例えばそれぞれ政党間の政策
関係の皆さんにもお話も申し上げなきゃならぬと思いますので、万般の手続も十分経た上で最終結論を得るような努力をいたしてまいりたいと、今こう思っております。
-
○久保亘君 できるだけ早く
関係者の要請にこたえられるようにきっちり結論を出してください。
それでは、きょうは文部大臣にも教育改革についてお尋ねをする予定でございましたけれども、当
委員会で了承いたしました御日程のために時間がおくれましたので文部大臣の御
出席をいただけなくなりましたので、インサイダー取引規制についてのみ
質問をさせていただきます。
谷村会長、どうも御苦労さんであります。インサイダー取引規制の強化というのは一般投資家の保護のために当然のことでございますが、今回規制強化の法改正を行おうとされるねらいはどういう点にあるのか、まず
証券取引審議会の
会長の方から御
意見を伺いたいと思います。
-
○
参考人(
谷村裕君) ただいまの御
質問のとおり、証券取引、特に公開され広く多くの人々に参加していただいております市場における取引では投資家の保護ということが大事であり、そこで公正にかつ健全に取引が行えるようなことでなければならない、御
質問の趣旨のとおりでございます。
ところで、例えば有価証券の発行会社の役員等で投資家の投資判断に
影響を及ぼすような重要な情報についてその発生に自分が関与しておるあるいは容易に接近し得る立場にあるそういう方が、その地位を利用しその情報を利用して他の一般の
方々がまだ知らないときに取引をされるようであってはこれは証券市場の公正さが維持できないと、かようなことから既に早くからこの問題は議論もされておったところでございます。各国におきましてもそういう対応を最近とみに強めてまいりましたし、また私どもといたしましてもそういうところに関心を持っておりましたところ、
大蔵御当局の方からも最近起きました国内でのある事件との絡みにおいてもこの問題を至急ひとつ
検討してもらいたいと、さようなお話がございましたので、私ども審議会といたしましてはその審議にかかったわけでございます。
そして、特に、御
質問がございましたように、従来の法制だけで十分ではないという見地から、新たにやはり未然防止を図るいろいろな措置をとるようにしつつも、なおかつある程度刑事罰をもって臨み得るような法制を整備する方がよろしかろうというのが多くの審議に参画された
方々の御
意見でございましたので、さようなように御答申を
大蔵大臣に申し上げたわけでございます。
-
○久保亘君
谷村会長にもう
一つお伺いいたしますが、日本の証券市場はインサイダーがアウトサイダーを食って発展をしてきたんだという、そういう専門家の論評がございます。また、証券業界にはインサイダーこそが営業の最もすぐれた武器だということが通用してきたのではないか、そういうことについてどのようにお考えになっておりますでしょうか。
-
○
参考人(
谷村裕君) ただいまの御
質問は
証券取引審議会の
会長としての私が
会長の立場において正式に
お答えする問題として果たして適切であるかどうか自分でもよく判断いたしかねますが、私は過去約八年間にわたって東京証券取引所の理事長も務めさしていただきましたし、またそれ以前におきましても証券行政に携わってまいりました経験から申し上げますと、言葉の問題、表現の問題でもございましょうが、東京あるいは日本の証券市場というものが今おっしゃったような
意味での不公正が渦巻きあるいは不健全が横行するというようなことを言われるようなものであるとは私は思いません。
しかし、ああいう場所でございますから、いろいろな情報というものが駆けめぐります。そしてまた、情報こそは、証券取引をする場合のいろいろな判断をそれぞれがなさいますときのいわば基礎になるものでございます。その情報が正しく間違いなく広く早く行き渡ることを私どもは望んでおりますが、一部、例えば外国の
方々の論評に、言われましたような
意味においてそういうことがあったというふうに、それが非常にびまんしておるかのごとくに言われるのは甚だ私としては心外でございます。と同時にまた、証券会社の一部の方が仮にそういうようなことをおっしゃったかどうか存じませんけれども、いやしくも証券会社は、証券取引法あるいはまたその他の取引所の定款、業務規定等によってその行動というものは十分に規制もされ、またみずからも顧客の信頼、発行会社の信頼を損なうことなくやってまいるという立場をとっておるものだと思いますので、口さがない方があるいはそういう内部者情報こそは武器である、それなくしては取引はできないなどとそれはおっしゃるかもしれませんけれども、たまたまそういうことがあり得たかもしれませんが、あってはならないことであり、私は日本の証券市場がそのような姿にあるというふうには思ってお
りません。
ただし、どこにも必ずどこかにはごみがあったり何かあったり世の中というものはございますから、そういうものが皆無であるとは申し上げられません。今回の改正が少しでも
委員御指摘になったような今までの妙な口さがない物の言い方を改めて、証券取引というものはかくかくあるべしというふうにすべて投資家の方も
関係者の方も思っていただけるようなことの一助になれば私どもは大変幸いである、望ましいことである、さように思っております。ありがとうございました。
-
○久保亘君 口さがない連中の評価というのは私は少し当たらないんじゃないかと思っております。今インサイダー取引規制のために法改正をやってまで規制をしなければならぬということは、やっぱり必要とする
状況が現在あるからそういうことになってきたのではなかろうかと思うんですが。
大蔵大臣、現行の証券取引法においてもインサイダーの規制や株価操作の規制はかなりできるのではないかと思うんですが、これができなかったとすればそれはどこに原因がありますか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) この点は今お話しされました
谷村会長初め審議会の皆様、部会もつくっていただきましたし、あるいはまた私どもの役所あるいは法務省等々、
関係者の皆さんが随分
検討していただいたことのようなんでございますが、規定そのものがやはり非常に抽象的と申しますか一般的と申しますかで、
一つ一つのことを挙証しなければならないという段になりますと、どうも規定そのものではなかなかきちっと痛いところを押さえられないと申しますか、これは私は素人でございますから本当は
政府委員がもう少し正確に申し上げるべきだと思うのでございますが、どうもこの規定だけでは実際の不正行為を有効に防止するのに不十分だという判断であったと聞いております。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) ただいま大臣御
答弁ございましたように、証取法の五十八条におきましても、証券取引をする場合には何人も不正の手段、計画または技巧をなしてはならないという規定があるわけでございます。この規定も決してインサイダー取引につきまして役に立たない法律ではないと思います。この規定に該当するような場合もあろうかと思いますけれども、いざこれを適用するということにいたしますと余りにも規定の表現が抽象的でございます。しかも、証券取引というのは御承知のように、一般の大勢の人が参加して取引をするわけでございますので、こういう非常に抽象的な規定を適用して取り締まりに当たるというよりも、この際どういう取引をしてはいけないのかというふうに明確な規定をもって取り締まりに当たるということの方が取引の安定にも資するのではないかという
観点から今回の立法を考えた次第でございます。
-
○久保亘君 法改正をやりまして、例えば刑事罰を科する、罰則を強化するということになりますと、そのことでもって未然防止の役割がある程度果たせる、そしてやったら刑事罰にする、それはいいでしょうが、しかし行政対応力というのがなければ法律を幾らつくってみても、実際にインサイダーというのは目に見えるものじゃないんですから、これは非常に難しい問題です。だから、アメリカのSECのように行政対応力がないところに現行の証取法をもって
大蔵省が手も足も出ない、こういうことなんじゃないかと私は思うんですが、SECというのは一体どれぐらいの陣容をそろえているんですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 米国のSECは私どもが存じます限りでは約二千人余りの職員を有しているようでございますけれども、インサイダーとかいわゆる市場の不正取引にタッチしている者、これは六百人から七百人程度であるというふうに言われております。
-
○久保亘君 それに対応する
大蔵省の陣容は今何人ですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君)
大蔵省の陣容と申します場合になかなかこの範囲は難しゅうございますけれども、直接株式の売買の監視機構に関与し得る立場にある者ということで申し上げますと、流通市場課という担当の課の職員が十七名、それから取引所監理官、これは
大蔵省から取引所に出向している者でございますけれども、これが十一名、その他
大蔵省と財務局に検査官がございまして、これが約百六十名、合計いたしますと約百九十名ぐらいの者がこれに関与しているわけでございます。
-
○久保亘君 アメリカでは法も整備をされておって、二千人の陣容をそろえて、そういうインサイダーの取引を防止する。日本では
大蔵省がその二百人にも足らない陣容で、しかも今までは非常に甘い法律でやってきたというところに、行政対応の問題として実際には問題が非常に大きくあるのではないかと思うんですが、
大蔵大臣、
谷村会長、どうお考えになりますか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) それは行政側もいわば手薄であると申しますか、十分でないということがあるいはあるかもしれませんが、私の聞いておりますのは、やっぱりアメリカなんかではかなり長い
歴史もあって判例が積み重なって、したがいまして、その上で、規定そのものはある程度抽象的であってもかなり動いていけるという要素があったのではないか。我が国の場合は、
一つは、これは鶏と卵みたいなことでございますけれども、そういう過去の
歴史がないということと、あるいは多少司法の
制度も我が国とアメリカでは違っておるということにも
関係しておったかもしれないと思います。
-
○
参考人(
谷村裕君) 私の立場から申し上げれば、法整備をいたしましてもそれに対応する行政力がなくてはだめだとおっしゃいます
委員の御発言、そのとおりではございますが、さらに、取引所というようなところもこれも公的な立場におりますし、そして取引所あるいは証券業協会といったようなところは、ある
意味では公的な立場においていろいろな例えば取引についての啓発と申しますか、あるいは宣伝と言うと言葉が悪いんですが、こうこうこうでございますよということも言える立場でございますので、それらをすべてできるだけ未然防止、ルールの確立というような面に向けてこれからもしっかりやっていただければ、その人員、特に行政官を余りふやしてやるということでないような形で進んでいっていただきたいと。これは余計な話でございますけれども、私かつて行政改革の
関係で五年ほど臨調、
行革審の方にもおりましたものですから、どうもやっぱり行政官をやたらふやすということでは、それも必要があれば大事ですけれども、それをできるだけないようにして何とかひとつやれないものかと、余計なことを申しまして恐縮でございますが、そういう気持ちでございます。
-
○久保亘君 私は、法改正を行って、それでインサイダー取引規制が未然に防止されて、一般投資家が十分に保護されるということであれば、行政官をふやすなどということをやる必要はないと思う。ただ、行政対応力というのがほとんどなくて、それで法律だけつくってみても、実際には実効性が伴わないのではないか、こう思ってお尋ねをしているわけです。
それで、
会長にもう
一つお聞きしておきたいんですが、政治銘柄、私もずぶの素人でありますからよくわかりませんけれども、政治銘柄というのが日本ではよく使われますが、政治銘柄というのはあなた方御専門家の間ではどういうふうに解しておられますか。
-
○
参考人(
谷村裕君) ただいまの御
質問、これまた
大蔵大臣の
諮問機関であります
証券取引審議会の
会長として
お答えする立場ではないと思いますが、私がかつて勤めておりました証券取引所における経験から申しますと、それはいろんな
意味で、市場
関係者あるいは市場
関係の報道の方がいろいろなネーミングをおつけになって、例えば市場における値動きあるいは取引の
状況、それを説明されたりあるいは描写されたり、そういうことはございますが、それが、受け取られているような
意味で、だれそれについてこれは
関係している
銘柄の株であるから、だれそれがどうとかすればどうなって、こう上がってとか、そういうような
意味における動きというものは、私約九年近く取引所におりましたけれども、言われるほどに私はそういう形において存在しているとは思っておりませんということを、いつも聞かれると申しております。ここでもさように申し上げておきます。
-
○久保亘君 さすがに東証の元理事長の
お答えだと思いますけれども、私はしかし、
会長、政省令の決定権を持つ立場の人、それから政策を決定できる立場にある人たちというのは、少なくとも今の資本主義社会において株式市場に大きな
影響を与え得る立場にあるということは事実だと思うんですね。だからこういう者はインサイダーの変形した一種ではないかという気持ちを強く持つんですが、実際にその道に携わっておられてそういうふうにお
感じになることはございませんか。
-
○
参考人(
谷村裕君) 再度過去の私の立場から、経験した者として申し上げますと、例えば経済
状況の変化に応じて、この際ある程度政府としては投資的経費を拡大し公共投資をふやすことにしようとか、あるいは
住宅政策を云々しようとか、さようなお話が出ることはこれは当然でございましょう。そしてそういうことが暗々裏に、まだ話にもなっていないときに、例えばある建設会社の株を買うとか道路会社の株を買ってみるとかいう動きがあるのかといったら、私はさようなことは、それは
一つのかけとしてなさる方がいらっしゃるかもしれませんけれども、そういくかどうかわかりませんし、そういうことで私は動くということは余りないと思います。一般的に日本経済がどう動いていくかということを多くの
方々が判断されて、そうして例えば建設株を買う、道路会社の株を買うというようなことがあるとすれば、それは
一つの判断としてあったろうと思います。しかし、それが某々会社の株とか、某何と結びついてどうだとか、そういう
意味のことではないと思います。
確かに、要路の方がいろいろ御
検討になることが毎日のように
新聞に出ますから、それは時に行き過ぎた表現であるかもしれませんけれども、それで右往左往確かにしております。しておりますけれども、だからといってどうというふうに、私はそれがまた
一つの取引の姿であろうかなと思って、よほどひどくならない限りはじっと見守っておったというふうなことでございました。
大変失礼いたしました。
-
○久保亘君 ちょっと並みの大臣よりもなかなかお上手な御
答弁……、ただしかし、政治銘柄とか、それから最近政治資金の調達に株式の取引が使われるというようなことは、もう
国民の間には
一つの常識的なとらえ方になってしまっている。また、現にいろいろな株式の新たな上場などをめぐって政治家絡みの事件等も従来なかったわけではありません。
大蔵大臣にお聞きしたいのは、この際、インサイダーの規制強化ということとも関連して、政治銘柄と呼ばれたり、政治家がその政治資金調達に株の取引を利用するというようなことは望ましいことではないと私は思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) そのようなことが事実どの程度にございますのか、今元理事長の立場でお話しになりましたところでは、必ずしも伝えられているようなことではないようでございますけれども、本来これはむしろお互い政治にある者のモラルといたしまして余り好ましいことではないと存じます。
-
○久保亘君
大蔵大臣、先般アメリカのSECのルーダー
委員長が来日されましたが、この目的は何だったんですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 私ども証券局とSECとの間におきまして、定期的にいろいろ情報を交換し合おうという取り決めを結んでおります。第一回目を米国で一昨年五月に行ったわけでございますけれども、今回第二回目の会合を行いました。今度は日本の番だということでルーダー
委員長が来日されたと、こういうことでございます。
-
○久保亘君 話し合われた
内容の主な点を説明してください。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) たまたまSECと証券局との定期
協議が、昨年の十月十九日のいわゆるブラックマンデー、株価暴落の直後であったということもございまして、日米の株価市場の分析、それからさらには株価市場の動向、あるいはその規制について相互に一層連絡をし合うことの必要性、そういったものに加えまして、米国はインサイダー取引の先進国でございますので、私どももそういう先進国としてのいろいろ規制を教わりました。一方、また日本の株価につきましては、米国に比べまして比較的健全に推移しております。そのためにいろいろと、いわゆるサーキットブレーカーと申しましょうか、株価の下落を防ぐための仕組みというのが、日本の場合、値幅制限とか、そういういろいろ技術的な問題でございますけれども、仕組みがかなり完備しておりまして、そういったことについてSECの方からいろいろお問い合わせがあり、約一日間、朝から晩までにわたっていろいろと
意見の交換を行ったわけでございます。
-
○久保亘君 インサイダー規制の問題について話がございましたか。
-
-
○久保亘君
大蔵大臣、日本の四大証券というのはもうかなり世界的にも大きな資本を持つわけですが、この四大証券がニューヨーク市場に自社株を上場しない理由は何ですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 確かに
委員御指摘のように、日本の四大証券、ニューヨーク株式市場に上場しておりません。その理由といたしましては、上場に伴いましていろいろ、例えば上場証券会社としてのプレスティージが高まるとか、そういう問題もございますでしょうけれども、一方また、上場の
一つの目的としては、米国市場で資金を調達する場合に、その株式取引が行われることによって、その地の投資家に対して非常になじみがあるというような
考え方もあろうかと思います。ところが、この資金調達のサイドにつきましては、ユーロ市場が拡大いたしまして、我が国の企業は米国市場よりもほとんどユーロ市場で資金を調達しております。したがいまして、四大証券の、そのうちたしか三社はアムステルダムとかヨーロッパの市場では上場をしておりますけれども、ニューヨーク市場では上場していないということだというふうに説明を聞いております。
-
○久保亘君 これは企業の意思でもございましょうが、
大蔵省としてはニューヨーク市場に上場させることについてはどうお考えですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) これは、ただいま御指摘ございましたように、
民間企業がみずからの判断で決めることでございますので、私どもがいいとか悪いとかという問題ではないのではないかと思います。
ちなみに外国の銀行がどの程度米国ニューヨーク市場で上場しているかということを調べてみますと、イギリスの銀行が二行、スペインの銀行が二行、合計四行であるということで、比較的米国市場においては銀行が、資金調達の問題も恐らくあるのだと思いますけれども、余り上場について魅力を
感じていないのではないかという印象を私どもは持っております。
-
○久保亘君 少し話題を変えて、今、インサイダー規制を強化しようと言いながら、現実に証券市場にそんなに問題があるわけじゃないんだという
意味のようなことを
会長はおっしゃっていましたが、私は今度のインサイダー規制の強化をやろうという
一つの引き金になったのはタテホ化学の財テク失敗事件があると思うんですが、このタテホ化学の財テクによる失敗が発表をされるのが六十二年九月二日の午後のことでございますね。そう
すると、その直前にタテホ化学の主力銀行である阪神相銀が同じ人気株である化学株を売り抜けたということがございますが、こういうことについては
大蔵省は御承知になっておりますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 本件につきましては、大阪証券取引所を通じまして、タテホの株式の取引をたしか約二カ月間、すなわちタテホの債券投資による損失が発表されました九月二日以前約二カ月間にわたって、これを取り扱った六十数社の証券会社全部につきまして、その顧客の取引について調査を行いました。その中に、今御指摘のございましたように、タテホの一取引銀行がタテホの損失が発表される直前に保有株式を売却したという事実があったという報告は大阪証券取引所の方から受けております。
-
○久保亘君 これは証取法に基づいて
大蔵省として何らかの措置をすべき問題ではなかったのですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) これは事実
関係がいかんということとも絡んでくるのだと思いますけれども、大阪証券取引所の調査によりますと、当該取引銀行が株式を売却いたしましたのは、事前にタテホ化学から株式の債券投資に伴う損失についての報告を受けたということに基づくものではなくて、タテホの株価の動向、こういったものを判断して売却したのであるという説明でございます。そういう
意味では証取法違反という明確な事実は私どもとしてもなかなかこれを認定するのが難しいということで、特に証取法違反ということはいたしません。ただ、事前に取引銀行がそういう株式を売却するというような行為につきましては、いろいろと証取法違反の疑いを受けるということもございます。大阪証券取引所の理事長の方から、上場企業がそういう疑いを受けるような行為は好ましくないということで注意はしていただきました。
-
○久保亘君 この売却しました株は、この日九百九十二円で始まって、そして千円まで上昇していっております。ところが、九百八十円のところで売り抜けるわけです。そして、その日の終わり値は九百五十五円でとまるわけです。これは明らかにそういう九百八十円で売却してしまう株ではなかったのじゃないですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 株式を保有している企業あるいは銀行が株式の売却をいつ行うかというのは、まさにその企業なり銀行の判断の問題であろうかというふうに思います。
証券取引法違反になるかならないかという問題につきましては、それが非常に不正に行われたかどうかということでございまして、売却したという事実をもってして直ちにこれが不正であるというふうに断定をするわけにはいかないのではないかと考えております。
-
○久保亘君 今の
大蔵省のお考えをお聞きしておりますと、結局インサイダーというのは、法律をつくっても、実際にこれを摘発し、一般投資家を守るということは容易なことではないということがわかるわけです。
同じようなことは東京電力の株についてもです。昨年、この株価が一万円から二万円になるという宣伝が盛んにやられた時期がございます。そういうときに、やはり大証券が非常に巧みな方法で全国の支店を使いながら株価を上げていく手段をとった、こういうことを私どもはいろいろなところから聞くわけですが、そういう証券会社のやり方というものについてあなた方は実際に調査をされたことがございますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 一般論として申し上げますけれども、証券会社の売買手口につきましては、東京証券取引所あるいは大阪証券取引所で連日、毎日の動きを細かく把握しておりまして、例えば今御指摘のございました東京電力の株式であれば、その株式をどこの証券会社が何株売買をし、どこの証券会社が何株売買をしたということはつぶさに、しかも売買の時点がいつであったのか、終わり値にかけてであったのかそうではなかったのか、そういうことまで非常に細かくフォローをしておるわけでございます。
したがいまして、そういう動きの中で、極めて異常である、すなわち例えば株価操作の疑いがあるとかいうような場合には、まず取引所においていろいろと当該企業を呼んで話を聞きますし、また証券会社の方からも話を聞きますし、必要であれば私どもの方からも事情聴取をするというような形で調査を進めております。
-
○久保亘君 例えば支店を通じて大量の成り行き買いの注文を出しておいて、値をつり上げておいて、そしてある段階で一斉に買い注文を取り消す、そして一般投資家を高値に寄せる、こういうことを繰り返していくというようなことが実際に行われているのではないかという疑問があるわけです。また、大証券同士で株をずっと受け渡していくというやり方をやることによって株価をつり上げる。そういうようなことについて調査をしてみられたことがございますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) これもあくまでも一般論でございますけれども、
先ほど申し上げました日々の証券取引につきまして異常な事態があれば、
先ほど申し上げましたように、証券会社の方から事情聴取を行うということもやっておりますし、それから証券会社に対しましては、
大蔵省検査官を動員いたしまして、原則として二年あるいは三年に一回非常に細かく検査をやっております。その場合にも、売買手口の調査については我々としてはできる限りの調査をやっておるつもりでございます。
-
○久保亘君 まあ指摘だけにとどめておきましょう。
次に、一般投資家が大証券を信用して、そしてその売買勧誘に乗ったことによって被害を受ける、特に売買勧誘に不公正な営業行為が行われたということについて、当事者たちから
大蔵省に何らかの申し立てが行われていることがございますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 証券取引に伴います、今御指摘のございましたような問題取引と申しましょうか、そういったものにつきましては、証券業協会に相談の窓口がございまして、一義的にはそこで処理をするということになろうかと思います。ただ、物によっては私ども
大蔵省の方に直接御相談に来られるようなケースもございまして、そういったものは私どもが御相談に応じておるということでございます。
-
○久保亘君 それでは、野村証券の池袋西口支店にかかわって、
大蔵省は何か申し立てを受けておられることがございますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 野村証券の御指摘の問題につきましては、取引顧客より野村証券に対して公開
質問状が提出されまして、その写しが私どものところに送付をされてきております。
〔
委員長退席、理事林ゆう君着席〕
-
○久保亘君 送付されたものについてどういうふうに措置されましたか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 私どもといたしましても、直ちに担当者あるいは
関係者を召喚いたしまして、公開
質問状に記載してあるような事実が存在しておるのかどうかということの調査はいたしました。
-
○久保亘君 その調査の結果はどうなっておりますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 公開
質問状によりますと問題は二つあったのではないかと存じます。
まず
一つは、ある株式につきまして、一定の価格までは必ず上がるというふうな勧奨を受けて顧客がその株式を買い付けたということ。それからもう
一つは、その場に列席をされた方が野村証券の退職者であるにもかかわらず、現職の役員であるかのような誤解を招くような行為が野村証券サイドにあったという二つが、たしか公開
質問状には指摘されておったと思います。
この点について私どもが確認をいたしましたところ、まず第二番目の問題でございます退職した役員が列席し現職であるかのごとく振る舞った行為につきましては、担当の次長の方から、初めて会った際に、既にこの方は野村証券を退職している旨、顧客に明確に説明をしたという説明でござ
いました。
それから、特定の価格まで上昇するという一種の過大勧誘と申しますか、行き過ぎた勧誘行為によって株式を売却したということにつきましては、顧客がこの常務、元役員という方と会われたのはその日の夕刻でございまして、既に顧客は午前中に当該株式を買い付けておったと、したがって、その元役員が価格が上昇するというようなことを言ったことが顧客の買い付けの動機になったものではないはずであるという説明を私ども受けております。
-
○久保亘君 今の点については、公開
質問状を発した人たちの
意見、言い分もお聞きになっておりますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 私どもといたしましては、公開
質問状は証券会社を通じて私どもに写しが送付されてきておるわけでございます。 したがいまして、もし顧客が直接私どもの方においでいただきましてお話をされるということであれば喜んで承る用意はございますけれども、私どもの方から積極的にお呼びしてお話を承るということについては、あくまでも顧客と野村証券との間でいろいろ話が進んでおるという前提で来ておると思いますので、私どもは監督する立場にある野村証券の方からだけ話を聞いたということでございます。
-
○久保亘君 それは大変片手落ちじゃないでしょうか。私は何もこの取引に関して、どちらが正しいのかというようなことについてはこれはそのことを判断できる立場の人にやってもらえばいいんで、どちらの味方をする気もありません。しかし、会社側の言い分だけ聞いて、それで
大蔵省は納得と、これではぐあいが悪いんじゃないでしょうか。
法務省にお聞きいたしますが、この点について、既に一年以上も前に起こった事件にもかかわらず、会社側は公開
質問状を送った側に対して回答を寄せていないようであります。そのことが非常に不誠実ということで告発の手続をとったのではないかと言われておりますが、そのような事実はございますか、法務省。
-
○
政府委員(岡村泰孝君) 私は、今の段階ではそういう告発の事実があったということは承知いたしておりません。
-
○久保亘君 これはお調べいただけますか。
-
-
○久保亘君 もしこの公開
質問状に述べられているような、
先ほど証券
局長が
答弁をされたような事実があるとすれば、これは明らかに証券取引法の五十条に抵触いたしますね。
それから、経歴の詐称については、これはやっぱり犯罪を構成しますね。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) もしただいま問題になっておりますような行為があったといたしますと、まず株価が三千円まで上昇いたしますというふうにはっきり申し上げて勧誘する行為は、有価証券の価格の騰落につき「断定的判断を提供して勧誘する行為」、証取法五十条第一号に違反いたします。
それから、現職の役員でないにもかかわらず現職の役員であるかのごとき経歴詐称を行ったというか、振る舞ったというような場合には、有価証券の売買につき虚偽表示または重要事項につき誤解を生ぜしめるべきことをやったという
意味で、やはり証券会社の健全性の準則等に関する省令の第一条第一号に違反いたします。
-
○久保亘君 そういう法律に触れる証券取引の行為にかかわって公開
質問状が発せられているものについて、会社側だけの言い分で問題を済ませるというのは
大蔵省としては適切な措置ではないと思うんですが、大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) この事実
関係についての主張は大変に違っておりますから、果たしてどういうことであったのか、私どもとしては証券会社を監督しておりますから、証券会社に明らかに問題にすべき点が、疑いがあるとすればそれは証券会社からよく事情を聞きますが、そういう
意味では、検察当局でもございませんしいたしますから、公開状を発したその某氏においでを願って事情を聞くような立場には私どもはないと思います。
-
○久保亘君 そうすると、証券会社がそのような事実はないと言えば
大蔵省としてはもうそれ以上はどうにもならぬ、こういうことですね。
-
○
国務大臣(
宮澤喜一君) それは事実
関係によると思うのでございますね。どうも聞いてみて、いかにもこれはあったことではないかという、いろんなことを判断ができるかできないかということ、これは事実を全然存じませんので私はこれに即して申すことはできませんけれども、世の中にいろんな立場のいろんな人がおられますから、真相というものはどういうものであったのか、本当にこれは非常に疑わしい問題がありそうだということであればまた別かと思いますが、今の段階でその御当人にわざわざ来てもらってどうですかと聞くようなことではないというふうに事務当局は判断しているのだと思います。
-
○久保亘君 この公開
質問状が証券会社の社長あてに届けられた後、証券会社は、調査のためにしばらく時間をかしてくれという回答を寄せているんです。そして、そのことに対してまた当事者たちが、それではいついつまでに回答をくれというのを出して、それから後は全く何の回答も寄せられない、こういう
状況が一年余にわたって続いている、こういうことのように私は聞いております。
私はその事実
関係を、どちらが正しいかわかりません。だから、どちらが正しくてどちらが間違っているということをここで申し上げるつもりはありませんが、こういうようなトラブルが一体証券業協会にどれぐらい寄せられているものですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 年によってかなり違いますけれども、最近の時点でございます、これは証券会社の決算期に合わしてございますから、六十一年十月から六十二年九月までの件では百七十四件。ちなみに六十一年度では百八十一件。大体百件から二百件の間ぐらいの苦情が寄せられております。
-
○久保亘君 これはほとんど一般投資家からのものですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 苦情の
内容につきましても、
先ほど申し上げましたように、証券会社の勧誘態度がどうであったかとか、それからさらに売買取引に伴う代金の決済がどうであったかとかいうような苦情が中心でございまして、一般の投資家からの苦情が大半でございます。
-
○久保亘君 時間がなくなりましたけれども、このようなことが頻繁に起こっている中でインサイダー取引の規制ということを法律の条文でやりましてもなかなか実効が上がらない。もちろん、そのことは必要なことです。しかし、もう
一つ日本の証券業界の場合には、総合証券会社と称して自己売買、引き受け、委託、仲介、こういうものがみんな一緒に営業できる、業務ができるところに問題があるのではないかという
意見がありますが、どうですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 総合証券会社と申しますか、証券会社の業務
内容には、自己売買、顧客との売買、それから企業の社債、増資等の引き受け、いろんな種類がございますけれども、こういったものを総合して営んでいくというのは大体世界一般的な形の証券業務の経営方法であろうかというふうに思います。
ただ、御指摘の問題につきましては、例えば会社部門すなわち引受業務を担当している
部分にはどうしても会社の情報が集まりやすい。その情報を利用して個人の営業部門あるいは自己の営業部門にその情報を用いて取引をするということになりますと、証券会社の立場としては非常に有利な情報を使用して証券売買ができるということになるわけでございます。
この点につきましては私どももかねてから非常に問題視しておりまして、やはり証券会社の中に情報管理体制をきちっとしていただく、これはチャイニーズウオールと称しておりますけれども、
中国におきます万里の長城のように会社法人部門と個人部門と情報の切断をして、そしてその情報の切断がうまくいっているかどうかということを売買管理部というところで厳格にチェックをするという体制をかねてから進めてまいりました。このインサイダーの問題を取り上げます機会に、そういう仕組みを一層強化するように証券会社とも今相談をしながら考えておるところでございます。
-
○久保亘君 アメリカの証券会社は、やっぱり総合証券会社ですべてのことを取り扱わしていますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) アメリカの証券会社にはいろいろございます。例えばメリル・リンチのような、これはまさに総合証券会社でございます。ところがソロモン・ブラザーズのようにむしろリテール業務と申しますか、お客との取引は行わなくて、大口機関投資家との売買あるいは社債の引受業務をやるところ、それから非常に小さな証券会社のように顧客との取引だけをやるところというふうに分かれておりますけれども、やはりメリル・リンチのように総合的に証券業務を営む証券会社の力が徐々に強くなってきておるというふうな
状況であろうと思います。
-
○久保亘君 チャイニーズウオールをわざわざ設定しなければならぬところに、実際は非常に問題があるからそういうものを設定するわけなんで、チャイニーズウオールをつくらなくてもいいように
制度を考えるというようなことは、やっぱりこの際インサイダー規制の問題とあわせて必要なんじゃないですか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 日本の証券会社も現在、その業務の相当大きな
部分を海外業務に依存しておりまして、また海外の証券会社の日本への進出も非常にふえているということで、証券会社としての国際競争力というのは、これは企業が生き残れるか生き残れないか非常に重要な問題でございます。そういう場合に、今御指摘ございましたように証券会社の各業務のセクションを分離いたしますと、やはり証券会社の体質と申しますか、こういったものに対して相当大きな
影響を与える問題でもございますので、なかなかそれが
国民経済的に見ていい
制度なのかどうかということにつきましてはやはり相当疑問が残るのではないかと私どもは思っております。
-
○久保亘君 時間が来ましたので、最後に
一つだけお聞きして、また改めて続きをやりたいと思っておりますが、コーリン産業による国際航業の千七百万株の買い占め事件というのが報道をされておりますけれども、この買い占めに対して会社が自社株の防戦買いをやるというのは、これは証取法上どういうことになりますか。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) 買い占めあるいはその防戦買いに対します道徳的な批判とかいうものは、これはいろいろあろうかと、特に買い占めに対します批判というのはいろいろあろうかと思いますけれども、法律的に申し上げますと、証券取引法では買い占め及びその防戦買いにつきまして、これを特に規制する規定は……
-
○久保亘君 自社株の防戦買いは規制されていないの。
-
○
政府委員(
藤田恒郎君) それは商法上の問題でございます、ちょっと私どもの
所管ではございませんけれども、商法上は自社株の取り扱い、購入は禁止ということになっております。
〔理事林ゆう君退席、
委員長着席〕
したがいまして、一般的に防戦買いを買い占められている企業が行いますときには、系列の企業あるいは取引先銀行等に依頼して防戦買いを行っておるというふうな事情でございますが、こういう形をとっております限りは証取法には触れないということでございます。
-
○
委員長(
原文兵衛君) 以上で久保亘君の質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
-
○
委員長(
原文兵衛君) この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宇野外務大臣。
-
○
国務大臣(宇野
宗佑君) 昨日の本
委員会における和田
委員の御
質問に対する遠藤科学技術審
議官の
答弁について一言補足説明させていただきます。
三月十六日の伏見
委員の
質問に対する遠藤科学技術審
議官の
答弁の趣旨は、本件日米科学技術協力協定交渉の
内容につきましては、国会の場でも、また、いかなる他の場でも御説明するのは差し控えさせていただきたいということであります。
なお、
内閣として憲法第六十三条の規定の趣旨を尊重すべきことは当然と考えます。
以上でございます。
─────────────
-
-
○
峯山昭範君 それでは、私は初めに
住宅問題についてお伺いをいたします。
これは建設大臣並びに
大蔵大臣にもちょっと一言聞いていただきたいのでございますが、最近の地価の高騰というのはもう大変な
状況にございまして、私どもいろんな
新聞報道等を含めまして大変心を痛めているわけでございますが、東京周辺だけではございませんで、
御存じのとおり地方都市にも波及をいたしております。最近少しずつ鎮静してきたとはいえ、高値安定というような形でございまして、大変な
状況にございます。そこで、私はまず地価高騰あるいは狂乱の一番の被害者は一体だれなんだろうかということを、これは建設大臣と
大蔵大臣に初めにお伺いしておきたいと思います。
-
○
国務大臣(越智伊平君) お尋ねの地価高騰の被害者がだれかと、こういうことでありますが、被害者は
国民全般でありますし、特に勤労者、低所得者、こういうところにしわ寄せが多い、かように認識をいたしております。
-
-
○
峯山昭範君 確かに今お述べのとおり、私は、それは中堅のサラリーマンであり、やはり何といいましても持ち家ということで相当頑張ってまいりましたサラリーマンの皆さん方ではないかなと、こういうふうに思うわけです。
そこで、実は私の
手元にもいろんな資料が届いているわけでございますが、全民労連の世論調査、これによりますと、首都圏のサラリーマンの四割が持ち家は困難になったと、こういう世論調査があります。また、同じく太陽神戸銀行の首都圏と関西圏に住むサラリーマンの皆さんの世論調査によりましても、やはり首都圏のサラリーマンは四〇%が持ち家はもう絶望的である、こういうふうな
意味の調査
内容が随分出ているわけでございますが、これに対しまして建設大臣はこの点どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ここら辺の御見解をお伺いしておきたいと思います。
-
○
国務大臣(越智伊平君) 確かに大都市圏では持ち家、この夢がかなわないという
方々が多いと、かように思います。そこで私どもは地価を、少し下がったようでございます、東京ではですね、しかしこれはもうわずかで、何としてでも引き下げないといけない。それから交通の便を図って少し通勤距離は長くても時間を短くして郊外へ持っていくようにしなければいけない、基本的には大都市圏の地価を下げなくてはいけない、こういうことで今努力をしておるような次第であります。
-
○
峯山昭範君 大臣、従来から持ち家政策というのを重点的に進めてきたわけでございますが、現在のこういうような
状況で考えてみますと、これはとても無理ということになるんじゃないかと私思うんです。
そこで、やっぱり建設省の政策として、例えば借家を重視するとか、あるいは公的賃貸
住宅の供給をふやすとか、こういうことが非常に私は大事であると思うんですが、そういう点を含めまして、これからの建設省としてのいわゆる
住宅政策、
考え方、こういう点についてどういうふうにこれから取り組んでいかれるか、お伺いしておきたいと思います。
-
○
国務大臣(越智伊平君) 持ち家政策、このことも非常に大事でありまして、いろいろその施策も講じております。税制の面、融資の面、これも講じておりますが、非常に持ち家、お話のように大都市圏では難しくなった。でありますから、公的
住宅、公団とか公庫、また
民間におきましても農住
住宅、こういうことで低所得者が入れるような安い家賃で公的
住宅を初め
住宅が供給できるように努力をいたしたいと思っております。
-
○
峯山昭範君 それでは建設省、六十三年度のいわゆる公的
住宅の建設計画、大体どういうふうになっているか御説明いただけますか。
-
○
政府委員(片山正夫君) 六十三年度の公的
住宅につきましては、補助
住宅であります公営等、これが公営の四万八千戸を含めまして五万七千戸、それから公庫
住宅、これは個人の分譲、建設、賃貸等を全部含めまして五十四万五千戸、公団
住宅が賃貸
住宅それから賃貸用特定分譲
住宅などを含めまして二万五千戸、それから次に農住あるいは利子補給等の
住宅が四千戸と一万五千戸などで、全部合わせまして六十五万一千七百二十戸になっております。
-
○
峯山昭範君 私の
手元にも資料が届いております。きょう公団の総裁にお見えになっていただいておりますが、特に私は公団の方にもお願いをしたいのでありますが、公団
住宅の六十三年度の計画は、ただいま説明がございましたように二万五千戸ということでございます。これは公団が非常に端的でわかりやすいし、またいろんな面で中堅サラリーマン層が借りれるいわゆる公団
住宅、これがやっぱりどうしても必要なんじゃないか。 そういうような
意味では、現在のいろんな情勢から考えて、この二万五千戸というのは私は五万戸ぐらいつくれるんじゃないかというお話もお伺いしたことがあるんですけれども、ここら辺の
状況等を含めまして最近の
住宅事情を御説明いただければと思います。
-
○
参考人(
丸山良仁君) ただいま先生からお話のありましたように、来年度の計画でもまたことしの計画でも、当公団におきましては二万五千戸の
住宅を建設することになっております。ところが残念なることに、一昨年までの実績を見ますと二万戸ちょっとというのが実績でございます。 本年度におきましては、精いっぱいの努力をいたしまして、何とかこれを一割増しぐらいの二万二千戸程度まで持っていきたい、このように考えているわけでございます。
来年度におきましてもやはり二万五千戸の計画を何とか達成したい、こう思っておりますが、問題は用地の取得でございまして、なかなか適切な用地の取得ができないということが最大の問題でございます。それから、もし用地の取得ができましても、これが値段が高過ぎて中堅勤労者の所得でお入りいただきあるいはお買いいただくような
住宅の供給が大変困難である、こういう
状況にあるものですから、我々といたしましては、例えば国有地を積極的に使わしていただくとか、あるいは買収だけでなくて借地方式でやるとか、いろいろの知恵を出しながら戸数の拡大に努めているところでございます。
-
○
峯山昭範君
公団総裁、公団が目的としている供給する層ですね、これは中堅サラリーマンであろうと私は思うんですけれども、そこら辺のところについては総裁どういうふうにお考えでございましょうか。
-
○
参考人(
丸山良仁君) おっしゃるとおりでございまして、御承知のように、公営
住宅は低所得者層、それから当公団が供給いたします
住宅は中堅勤労者を対象としておるわけでございます。
-
○
峯山昭範君 細かいことをお伺いして申しわけないんですが、例えば家賃の水準で言えば大体十万円ぐらいなんでしょうかね。 それから例えば
住宅の規模で言いますと三LDKで七十平米ぐらいが標準なんでしょうか。その程度のところが目標なんでしょうか。これはこれでいいかどうか、そういう点を含めまして、ここら辺のところを目標と、例えば年収についてはどのくらいのところを目標と、そこら辺のところを一遍ちょっと教えていただけませんか。
-
○
参考人(
丸山良仁君) 中堅勤労者を対象にいたしておりまして、我々は、中堅勤労者の所得は大体四十六万六千円というのが月収でございます、これは中間値でございますが。それに対しまして家賃負担率は大体一六・七%という
考え方を持っているわけでございます。これは
住宅宅地審議会等でもそのようなことがオーソライズされているわけでございますが、そういう
考え方のもとに当公団といたしましては、例えば本年度供給いたしております賃貸
住宅は十二月までに七千四百戸を供給しておりますが、その平均家賃は七万四千七百円でございまして、ちょうどその四十六万六千円に対しますと一六%という形になっております。
また分譲
住宅につきましては、やはり十二月までに四千九百戸余り供給いたしておりますが、この平均価格は三千万円でございまして、今の平均勤労者の所得に比べますと、これは年収に直しますと五、六百万円になりますが、これに対しまして五倍ないし六倍ということでこれも適正な価格の
住宅を供給している、このように考えております。
-
○
峯山昭範君 これは建設大臣にちょっとお伺いしたいんですが、ただいま臨時行政改革推進審議会でも公営
住宅の問題が、いわゆる最終の答申の試案ができているようでありますが、
行革審の中の土地対策
検討委員会の試案ですね、これによりますと、その中に公的
住宅の供給の推進という項目がありまして、その中に、中堅所得層向けの公的賃貸
住宅の供給に重点を置くべきであるという項目が一項目あるんです。
そういう点からいたしますと、今総裁の方からもお話がございましたように、賃貸
住宅の場合は中堅サラリーマンで月収が四十六万六千円と今おっしゃいました。それで家賃が大体平均で七万四千七百円というお話がございました。それから分譲の場合は大体三千万円がめどというお話がございましたが、こういう点を含めまして、当然私は建設省としても、答申の中に盛り込まれるような雰囲気にあるわけでございますので、この中堅サラリーマン向けの
住宅という問題に広さとか家賃とかいう問題も含めてこれから慎重に取り組んでいかなきゃならないと思うんですが、建設省としてのお考えをこの際お伺いしておきたいと思います。
-
○
国務大臣(越智伊平君) ただいま御
質問がございました御
意見のとおりであります。ただ、宅地の取得が非常に難しい、また宅地が高い、こういうことで大変難しい問題でございます。これは
国土庁長官もおっしゃっておるわけでございますけれども、公有地等で公用に供しないようなところは地方自治体、それと一緒に公団にもぜひいただいて、適当な価格――適当といいましても安い方でいただいて、これを公団あるいは地方公共団体では公営
住宅、こういうところにぜひ持っていきたいものだ、こういうふうに思います。お説のとおり、中堅サラリーマンは公団の
住宅、さらに低所得者は公営
住宅、こういうことで供給をしていくように努めてまいりたい、かように存じます。
-
○
峯山昭範君 さてそこで、これは総裁、まことに申しわけないんですが、先般からどうももう
一つすとんと落ちないところがある問題です。公団
住宅のいわゆる分譲
住宅、これが最近非常に高くなっているということで
新聞でも報道されております。昨年の暮れ、東京の多摩ニュータウンでは分譲したものが七千六百三十六万円と報道されておりますし、大阪の箕面では金額が九千九百八十八万円。これは一体、
先ほどからお話をお伺いいたしておりますと、中堅サラリーマンというお話でございますが、こんな高いすごいのはだれが買うんですかね。
それで、本来の使命という点からいきましてももう
一つすとんと落ちないところがあるんですけれども、これはどういういきさつでこうなったのか、そういう点も含めまして
お答えいただければと思います。
-
○
国務大臣(越智伊平君)
公団総裁に後で説明をいたさせますが、私もこういう
新聞を見まして、
公団に来てもらっていろいろ
検討をいたしました。この箕面の分は一億円とかいうことで非常に高い。そこで、どういうことかと言いましたら、
一つには、地元がぜひ立派なものをつくってくれといって、市の方から要望があったというのが一点。それから、全般的に今七千万とか一億というと非常に高いのでありますけれども、当時といたしましては、マンション等を持っておって古いのを売却した場合に、もとは二千万なり三千万で買っておるのが七千万とか、そういうところが値上がりをして、家族が多くなって広いところへ入りたいというので、買いかえのような場合が非常に多い、こういう話がございました。
なるほどそれもそうかということで聞いたわけでございますが、公団としては今後は、そういう
新聞が出たりいろいろいたしますと、
国民から見ると公団は何をしておるかということを言われるから、ぜひとも中堅サラリーマン以下のをいずれにしてもやるべきだ、こういうことで連絡、打ち合わせをいたしまして、今後そういうことに努めていこう、こういうことになっておりますので、私から先に一言御回答を申し上げたらと、かように思う次第であります。
-
○
参考人(
丸山良仁君) 今大臣から
お答えのあったとおりでございまして、これにつけ加えることはございませんが、
先ほどから申しておりますように、平均としては三千万円ということを目標にしてやっているわけでございますし、五千万円以上の供給実績は本年度で見ましても百戸足らずということでございます。
ただ、
先ほどから御議論のございます例えば箕面市の場合を考えてみますと、どうして一億円近くになってしまったかということでございますが、あの地域は立地条件がいい地域でございまして、宅地の原価がそもそも高かったということでございます。これは、単価が平米当たり造成した暁に二十五万円になっております。それから、たまたま区画割りの
関係であの土地が二百八十九平米という面積になってしまったわけでございます。市からの要望は二百平米以上にしてくれ、こういうことであったわけでございますが、たまたま二百八十九平米より切りようがなかった、こういうことで、これを掛け算しますと土地代だけで七千百万円になってしまうわけでございます。したがいまして、それに上物をつけますと御
質問のような値段になってしまった、こういうことでございますが、私といたしましては、現段階においてやはり一億円近くの
住宅を供給するということはいささか軽率であったと反省しているところでございます。
-
○
峯山昭範君 建設大臣も
先ほど前段にお話がございましたけれども、建設大臣はえらい物わかりがいいといいましょうか、そのお話をお伺いして、地元の方から立派なものをということでお話があって、ああそうか、そんな地元から立派なものをというお話があったら、一億円もするやつは何も公団がやらぬでもよそでやらせればいいんで、お金のある人につくってもらえばいいんです、本当を言うたら。そういう
意味で私は、やはり本来の公団としての使命というものをこれは踏み外さないようにしなくちゃいけないんじゃないか、そういうふうに思うわけです。そういうような
意味でこれからはそういう適正な家賃、そして適正な分譲価格、これは私は公団の総裁にもちょっとお願いしたいんですが、やっぱり自主規制みたいなもので、公団自身として大体この程度のもの、これから上はちょっと公団じゃなしによそでやってもらうというふうな何らかの基準みたいなものがあってもいいんじゃないか、私はそういうふうに思うんですが、そういう点をあわせてお伺いしておきたいと思います。
-
○
国務大臣(越智伊平君) その点については十分打ち合わせをいたしております。いずれにしても、九千万とか一億とかそういうものは公団としては今後はやらないように十分連絡をいたしております。土地の土地割り等で少しは高くなったりいろいろする場合もあるかもわかりませんが、少なくとも八千万円とか九千万、一億というようなものは公団としては御遠慮願いたい、こういうふうに言ってあります。
-
○
参考人(
丸山良仁君) もう
先ほど御
答弁申し上げたとおりでございますけれども、ただ一言申し上げたいのは、どこまでも重点は三千万円前後の分譲
住宅を供給する、こういうことでございますが、大臣からもお話のございましたように、
先ほど、例えば多摩ニュータウンの例を見ますと、分譲
住宅を買われる方の七一%が買いかえでございます。したがいまして、三千万なり四千万の
住宅を持っておられる方がこれを売りますと、それに三千万を足せば七千方円ぐらいの
住宅は買えるわけでございますから、やはり立地条件のいいところでやりますとその程度にはならざるを得ない、こういうこともございますから、すべて三千万円前後の
住宅で当公団がやるということはいささかどうか、このように考えておりますから、その辺は御了解いただきたいと存じます。
-
○
峯山昭範君 いや、総裁ね、それは了解してくれいうて、私は何も、したからどうのこうのと言うわけではないんですがね。三、四千万円で、それであと三千万円を足して七千万円で買えるという人はもう自分で買え、公団が応援しなくてもと、私は本当にそう思うんですよ。そのことを含めて
先ほどから申し上げているわけです。これ以上は言いませんか、よろしくお願いしたいと思います。
それから建設大臣、最後に例の
住宅基本法の問題、これは私どもの党でも出して、随分つくって
検討し、また国会の中でも議論をしているわけでございますが、当然私はこういうふうな時代になってまいりますと、潤い、とゆとりのある
住宅というのが非常に大事でございますし、そういうような
意味で
住宅基本法というのはやっぱり必要じゃないかなと思うんですけれども、現在の
検討状況等を含めましてどういうふうになっているか、この点をお伺いしておきたいと思います。
-
○
国務大臣(越智伊平君)
住宅基本法の問題は各党でいろいろ御
意見があります。それぞれ御承知のとおり御
意見がございますが、まだ残念なことに全体の合意というところまで至っていないのは御承知のとおりであります。人間の生活、衣食住、衣も食も十分にもう満たされておりますので住の問題であります。でございますから、先生の言われることを十分体しまして今後努力をしてまいります。ただ、みんなで合意するようなことにならないと非常に難しい、これがただいまの
状況であります。
-
○
峯山昭範君 それでは防衛庁にお伺いいたします。多少
質問の順番を変えまして、先般の
防衛庁長官の訪米の問題についてお伺いをしたいと思います。
大臣、一月二十日、訪米をされまして首脳会議に臨んで、そしてまたいろんな成果を上げてこられたわけでございますが、その中で私は、私の
手元にも「訪米について」というメモが届いておりますが、これの第二項目、いわゆる「カールッチ長官との
協議の概要」の中の五項目のところについてお伺いをしたいのであります。これはFSXのいわゆる共同開発だけではなしに、その他の武器の技術についても共同開発を推進するというふうなことを提案して、これに対して米側も同意をしたということを書いてあるわけでございますが、この点、どういう意図があるのか、御説明いただきたいと思います。
-
○
国務大臣(瓦力君)
お答えいたします。
さきに訪米いたしまして米国防長官と会談をいたしたわけでございますが、その際、FSXにとどまらず各種の装備について日米間で共同開発を推進してはどうかと、こういうことにつきまして申し上げたわけでございます。このことは、日米間の技術、そうしたものは、今日の装備品で先端技術というものが広く使われておるわけでございますし、日米間の健全な協力
関係、こうしたものを発渡させる、そういう
観点からも重要であると、こういう認識のもとで申し述べたわけでございます。このことにつきまして、米国防長官からもさように進めょうというようなことで合意を得たことでございます。私は、現時点においてFS
X以外に日米共同開発に関する具体的なプロジェクトが
検討されているわけではございませんが、今日の技術の進歩に伴いまして装備品等につきまして日米間で協調していく、共同して開発をする、こういったことは大切なことだ、かように心得ておるものでございます。
-
○
峯山昭範君 これは大臣、私はとてもじゃないけれども納得できないんです。
それは何でかといいますと、大臣の報告についての中身を読みますと、いわゆる「カールッチ長官から、次期支援戦闘機(FS―X)の日米共同開発は非常に重要である」、こういう認識が述べられて、それに対して「私から、」――大臣から「FS―Xの共同開発は、初めて装備の共同開発を行うものであり、日米の武器技術交流に新しい道を開くものであると高く評価する」、ここまではいいわけですよ。何でかというと、FSXについてはいろいろな角度で議論もされましたし、閣議でもやっぱりそういうことは議論されていると私は思うんですよね、きっと。ところが、その次ですわ。「FS―Xにとどまらず」、何を想定しているのか私知りませんが、「各種の装備について日米の共同開発を推進していくことは、先端技術に関連して日米間に生起し得る種々の問題を克服し、より健全な日米の協力
関係」の云々と、こうずっと出てくるわけですね。ということは、逆に言えば、それに対してまたカールッチが「今後、装備の共同開発の推進を図っていくことで
意見が一致」したと。大臣がおっしゃったことに対して一致、こうなっているわけです。ということは、FSX以外に何をいわゆる共同開発しようとお考えになっているのかという点、それから、このFSX以外に具体的に閣議とかそういうところでしかるべききちっと了解を得ておっしゃっているのかということ、これはどうですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 具体的な共同開発の項目があってやったわけではございませんで、御承知のように、日米の技術交流についてはさきに協定というものが結ばれまして、お互いに技術交流をしていこうことになりました。
一方、FSXについては、先生御承知のように、いろんな選択肢の中で共同開発をするという選択をしたわけでございますが、現在の情勢というのは、ハイテク技術に関連して
民間サイドでいろいろ問題も起きてくるわけでございますが、日米の防衛当局間においては、今後とも共同開発ということでお互いに協力しながらやっていこうという趣旨のものでございまして、特段閣議で何か決めていただくというものではないというふうに考えております。
-
○
峯山昭範君 ということは、逆に言えばFSXに関連してのいろんな武器というならすぐわかりますが、それ以外の他の武器技術ということになるとどういうものを想定し、何を考えていらっしゃるか、これはどうですか。
-
○
政府委員(山本雅司君) 具体的な武器技術共同開発の対象は、
先ほど長官からも御
答弁申し上げましたように、また決まっているわけではございません。今後、やはり装備品の中に占める先端技術の地位というのはますます高まってくると考えられます。さらにこの技術開発につきましては、何と申しましてもアメリカが先進国でございまして、私ども懸命の努力をしておりますけれども、必ずしもすべての分野で追いついているという
状況ではございません。
したがいまして、アメリカ側の本当に進んだものはぜひそれも利用したい、さらにこちらで進んだもの、協力できるものがあればこれは対米武器技術供与の枠の中で協力していこう、そうすることでやはりこれから
財政的にもいろいろ問題がある両国といたしましてはより効率的に技術開発ができる、現在こういう一般的な
考え方でおるわけでございまして、具体的な案件が出てきますれば、その都度具体的にその共同開発の可否、あるいはお互いの資源の有効利用の問題も含めて
検討することになると考えておるところでございます。
-
○
峯山昭範君 ということは、具体的には何もないということですか。
-
○
政府委員(山本雅司君) 御指摘のとおり、現在のところ、具体的な案件としては上がっておるものはございません。
-
○
峯山昭範君 それでは、本当に何にもないのにそんなことを先走って言うことはないと私は思うんです、大臣。――まあしゃあないわ、これはもうほんまに。言っちゃったんだから。
それでは、FSXの共同開発について、どういうふうな役割分担でやろうということになっているのか、そのスケジュール等も含めて御説明いただきたいと思います。
-
○
政府委員(山本雅司君) FSXの共同開発につきましては現在御審議をお願いしております六十三年度
予算に計上してございますが、まだこれが成立しておりません。したがいまして私どもといたしましては、この
予算が成立したら、できるだけ早い機会にアメリカ側と正式に交渉いたしまして、その具体的な枠組みを決めたいと考えております。
なお、スケジュールといたしましては、六十三年度に研究開発に着手いたしまして、七十一年度に終了したいと考えております。その中間でございますが、現在のところ、できれば六十八年の夏ごろに試作機の初フライトと申しますか、初飛行を行うことにしたいと考えておりまして、そういう形で今後六十三年から七十一年にかけまして具体的な開発、設計それから試作機の製作ということに持っていきたいと考えているわけでございます。
なお、
最初に先生から御指摘の、具体的な役割分担でございますが、これは
先ほど申し上げましたように、今後アメリカ側と詰めることになっておりますけれども、基本的に共同開発の実を上げるように、できるだけお互いの得意な分野を持ち寄って開発をしていきたいというように考えている段階でございます。
-
○
峯山昭範君 あと、それから先についてはまた違う
委員会でやりたいと思っていますので……。
このFSXですね、F16を改造してつくるということになっているわけでございますが、F16は既にアメリカが世界じゅうにもう二千機以上を販売しているわけですね。ということになりますと、今回このF16改というのか何というのかわかりませんが、そういう名前になるこのFSXは、日本の航空自衛隊がこれからF1の後継機としてつくるにしても、大体二百機もつくることはないわけですよね。今のいろんなあれからいきますと百三十機ぐらいと言われているわけですが、ということになりますと、これはアメリカとしては、そういうふうにして開発した航空機をやはり世界じゅうに販売したいというふうなことが出てくると私は思うんですけれども、そういうふうなことはこれはあり得ないと言えるのかどうか。この点についてどうですか。
-
○
政府委員(山本雅司君) 実は、FSXの研究開発はこれから着手しようという段階でございます。私どもといたしましては、ぜひこれを成功させたいと考えておるわけでございます。
ただ、今
委員御指摘の点につきましては、成功した場合に、今度はその技術をどうするかということでございまして、現段階ではできるだけアメリカ側が欲しがるような技術を開発したい。というのは成功したいと、こういう
意味でございます。成功した暁にその技術をアメリカが
導入したいという場合には、具体的に対米武器技術供与の枠組みに従って私どもとして自主的に判断する、こういうことを考えている
状況でございまして、それ以上のところはまだ、その対米武器技術供与でやるかどうか自体は今後アメリカ側との
検討で合意したいと考えておりますが、私どもとしては、少なくともそういう方針で臨みたいというのが現在の
状況でございます。
-
○
峯山昭範君 これは装備
局長、成功する前の今議論しないといけないわけですよ。成功しちゃってからじゃ遅いわけです、ほんま言うたら。だから私はこれは今きちっとやっておかないといけないと思うんですが、実際問題として、アメリカがいわゆる武器の輸出――武器輸出じゃありません
ね、例の交換公文ですね、交換公文に基づいて、これの事前の同意を当然申し出てくることになると私は思うんですがね。その場合に、防衛庁としてはそれをどういうふうに扱うか。これはどうですか。
-
○
政府委員(山本雅司君) ただいま先生御指摘の点は、実は対米武器技術供与の後の、今度はそれが第三国に移転する場合の同意のお話ではないかと了解するわけでございます。それにつきましては、やはり対米武器技術供与の枠組みの中で第三国にそれを移転する場合には事前に同意をとる、こういうことになっておるわけでございまして、その事前の同意をこちらにもし申し入れてきた場合には、その具体的な案件に従いまして、日本の武器技術といいますか、武器輸出三原則という方針もございますから、総合的に慎重に判断する、こういうことになるかと考えております。
-
○
峯山昭範君 いや、これは
局長、今おっしゃった
答弁は衆議院の
予算委員会でやっておるわけですよ。それは承知の上で私やっておるわけであります。今おっしゃったことはもうそこまではおっしゃっている、それから先を私聞きたいわけです。当然今おっしゃったように、第三国へ輸出するということになれば、当然武器輸出三原則という点からいきますと、これはそれに同意するわけにはいかぬわけですよ、今の
状況で言えば。したがって常にノーということになるわけですね。違いますか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君)
先ほど来の先生の御
質問を伺っておりまして、装備
局長と若干食い違っている点は、先生の方の御
質問は、今回日米で共同開発する航空機そのものが数が少ないので、それをアメリカが生産をし輸出することがあるのじゃないか、その武器の完成体としてですね。というような御
質問ではないかというふうに私は受け取ったわけでございますが、このFSXというのは御承知のように日本の運用に合ったように、つまり対艦攻撃ができ対地攻撃あるいは防空戦闘機も兼ねるというような非常に多目的な形でつくられておりまして、この種航空機を必要とする国というのはございませんで、アメリカ自身がこの航空機を生産するという考えを持っていないということはまた事実でありますし、アメリカが今後F16改という形で欧州諸国その他に販売をしようと考えている航空機は別途またございますので、そういう形の輸出、第三国への輸出ということは私はないというふうに考えております。
装備
局長が
お答え申し上げているのは、開発の過程で、ある特定技術というようなものが新たに日米共同によって開発される可能性があります。そういった個々の技術、あるいはある部品なりコンポーネントに関する、あるいは素材に関する技術というものが出てきた。そういったものがどう扱われるか、米側としてそれを使いたいということがあるかないかという問題であろうと思いますので、いわゆる航空機という形でFSXが他国へ渡る、あるいはアメリカが生産をするということはないというように私どもは考えております。
-
○
峯山昭範君 これは大事な問題ですから、両方に分けて今おっしゃいましたが、それはFSXそのものの問題もありますし、もう
一つはそれに伴う技術、これは当然両方あると私は思うんですよね。したがって両方含めて私は話をしているわけでありますが、いずれにしても今防衛
局長は、要するにアメリカは欲しがらない、そういうことはないとおっしゃっているわけですね。FSX、F16改というようなものを、日本が生産する以上にアメリカで生産して、あるいはその技術を使ったものをつくって第三国へ出すということはあり得ないとおっしゃっているわけですね。そうですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 私どもが開発をし生産をしようとしている戦闘機、いわゆるFSXでございますが、完成機としてのものをアメリカ自身が生産をしたり、それを第三国に輸出をするという考えを持っていないということを申し上げております。
-
○
峯山昭範君 もう一回確認します。
それは日本と全く同じものであると言っているわけじゃないわけです。全く同じものでなくたって、そのいわゆる開発の途中で出てきた技術を使った航空機、これもないんですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) そこのところが、
先ほど来装備
局長が具体的なものにならなければ判断できないと申し上げていることだと思いますが、いわゆる汎用的なものというものがあろうかと思います。単に戦闘機のみに使われるものでないとか、そういう汎用的な技術その他も出てまいると思いますが、それらについて個々具体的に出てみないと判断ができないということを申し上げておるわけでございます。
-
○
峯山昭範君 そういうふうに言って逃げてしまうと――それは汎用といってもどれが汎用か、また特殊なのかわかりませんよ。しかしながら、FSXの開発の中で出てきたものというのはそれなりのものだと私は思うんですね。そういうような
意味で、防衛
局長が、FSXそのものでないにしても、ほんの一部だけ外してという
感じで汎用というふうにとられたんじゃ私は困るわけです。これはもう一回
お答えいただきたい。
-
○
政府委員(
西廣整輝君)
先ほど来申し上げておりますが、何が現在の武器技術交流の枠組みの中でできるかということは、個々具体的に、現実にそういう問題が出てきたところで判断しなくちゃならないということは
先ほど来申し上げているとおりでありますが、例えば現在アメリカの航空機、これは
民間機であろうが軍用機であろうが、その中に使われておる例えばICであるとかその種のものは、たくさんの日本で生産された部品というものが使われておるわけでありますが、しかしそれは武器ではない、いわゆる汎用品であるということで使われておるわけでございまして、その種のものであれば、あるいは従来行われていたと同じようにアメリカが使用することもあり得るであろうし、これは武器であるという判定をされるものであれば困難であろうということでありまして、それはやはり個々具体的に、その技術がどんなものであるか、どういうものであるかということが判定できないと一概には申し上げられないということを申し上げておるわけでありまして、御理解いただきたいと思います。
-
○
峯山昭範君 防衛
局長、汎用って、ICは汎用です、確かにそういうものは。そんなわかり切ったことを言わんといてくださいよ、短い時間でやっているんですから。そんなわかり切ったことじゃなしに、FSXの開発の中で、要するに航空機並びにその航空機を飛ばすことによっていろんな関連した技術が出てくるわけでしょう。そういうところに使うICなんというふうなものは、それは汎用でいっぱいありますよ。そういうものじゃない。開発の途上で出てきたものと言っているわけですから。それが
一つ。
それからもう
一つは、あなたはFSXで開発したF16改というのは米国はつくらないと、こうおっしゃいましたが、それはアメリカが約束しているんですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 別に紙を交わしたということじゃございませんが、つくる気はないということは申しております。
-
-
○
国務大臣(瓦力君) 今ほど防衛
局長からも
答弁がございましたが、地理的条件とかいろいろな条件に基づいた開発もございますので、米側との間ではそれを求めることがないという防衛
局長の
答弁に変わりございません。
-
○
峯山昭範君 それはアメリカのだれが言っておるんですか。まだはっきり具体的に何も決まっていないのに、もうつくりませんなんて言われて、どういうことなんですか、一体これは。だれが言っているの、アメリカの。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) FSX問題につきましては、アメリカの技術の方の責任者と、それから運用のサイドの空軍の方の責任者、それから国防総省の政治レベルの責任者、三者とそれぞれいろんな場面でたびたび私ども話し合いをいたしておりますが、すべてが申しておりまして、ということは、我々が求めておるFSXというものは日本
独自の運用構造に基づくものでありまして、だからこそ現在あるアメリカなりあるいはヨーロッパなりで既にできておる航空機ではそのまま使えない、あるいはそれの改造をしようと彼らが考えているものではマッチしないからこそ新たに開発しようとしているものでありまして、それらのものは各国の所望と必ずしも合致をしないということで、これについて米側が生産をしようというような
考え方は持っておりません。
-
○
峯山昭範君 その点については後ほどまた違う
委員会でやりたいと思います。
それではもう
一つ、詰めておきたい問題があります。
当然、日米間におきましては武器の共同開発というのはこれは可能ですね。しかしながら、共同生産というのはできないはずですね。これはどうですか。
-
○
政府委員(山本雅司君) これは具体的にいろいろ要素に分解してみないとわからないと思いますが、基本的には現在武器に関して我々がアメリカに対して供与できるのは、対米武器技術供与の枠組みにのっとったものでございます。したがいまして、その枠組みにのっとった形でのいわゆる武器技術供与に伴う物品の供与と、必然的に伴うものはできるわけでございますが、それと離れて武器そのものというのは現在全く予定しておりません。
-
○
峯山昭範君 いや、そういうことじゃなしに、日米間においては武器の共同開発、過去のいろんな
答弁によりますと、
総理のいろんな言明もあるわけでありますが、試作品まではできるけれどもそれから先の共同生産はできないというはっきりした
答弁もあるわけですけれども、これはこのとおりですねということです。
-
○
政府委員(山本雅司君) 今のところは、私は日本からアメリカに持っていくというところを中心に
お答えしたわけでございますが、実はアメリカから日本に持ってくる場合にはいろいろの形の供与を受けておるわけでございます。したがいまして、その形態にもよりますけれども、どういう形の共同生産かということによって実は変わってくると思いますが、現在日本で仮に共同生産するという場合には、これはむしろ主としてアメリカ側の規制の問題でございます。私どもとしては、現在のところ日本で武器をアメリカと共同生産するという案件があるわけではございませんが、それについて一義的にこれは禁止されているとか、あるいは現在の
制度では不可能であるとか、そういうことは現在申し上げられる段階にないのではないかと考えておるわけでございます。
-
-
○矢原秀男君 在韓米軍の
関係について若干の
質問をいたします。私も朝鮮半島の南北の平和、これを願っている者でございますけれども、現実的な具体的な問題を数点伺ってみます。
まず、
防衛庁長官にお尋ねいたしますけれども、今年の一月訪米をされました際に国防長官及びその他の軍
関係者と会談をされたとございますけれども、韓国情勢についての会談というものはどうだったのでございましょう。
-
○
国務大臣(瓦力君)
お答えいたします。
韓国を含め、我が国周辺の国際情勢につきましては、私といたしましても我が国防衛の
観点から注目をしてまいっておるところでございますが、さきに訪米時におきましては、韓国情勢につきまして、ハワイでヘイズ太平洋軍司令官と
意見交換を行ったわけでございまして、カールッチ国防長官との会談では特に韓国情勢についての議論まで及びませんでした。
-
○矢原秀男君 今、韓国情勢については、当時は大統領選の行方、そうして米国の国防費の削減に伴う在韓米軍の維持の問題、また大韓航空機の問題、ソ連機の日本領空権侵犯の北朝鮮飛来の
問題等々ですね、非常にいろんな問題が現実的に山積をしているわけでございます。そういう中でアメリカの真意を、アメリカの姿勢の真意を伺う、または聞いておく、そういう中で情勢分析をするということはこれは長官として私当然だと思うのでございますけれども、この点、重ねていかがでございますか。
-
○
国務大臣(瓦力君) 今ほど
お答えをいたしましたが、おのずから時間の限度もございますし、一般的に国際軍事情勢等、いわゆるINF後の国際軍事情勢であるとか、そうした問題につきまして米国防長官からもお話を伺うことがございました。
今、韓国情勢につきまして私どもも周辺国として関心を持っておるところでございますが、そうした問題につきまして、今般の訪米時におきまして格別この問題に言及するというようなことはなかったわけでございます。
-
○矢原秀男君 外務大臣にお伺いしますけれども、今、アメリカの一九八九年の会計年度版の国防報告、対韓軍事援助継続の
問題等々について議論がなされていますけれども、一方、米国の
財政赤字の解消をめぐる次期大統領選の大きな公約の
一つの動きというものもございますし、そういう中で、カーター政権時代以来の在韓米軍の撤退問題、再び派生することがあるのかどうか、これは外務大臣の見解を伺いたいと思います。
-
○
国務大臣(宇野
宗佑君) カーターさんのときには確かにおっしゃるようなこともあったと思いますし、また現在米国の一部では、在韓米軍撤退という声も決してないわけではありません。しかし、最近における責任者の言葉として一番私たちがそれを考える場合に参考になる言葉がございますが、御承知のアミテージ国防次官補が先般演説をいたしております。その中におきまして、米国の防衛上の役割を廃棄すべしという主張、つまり韓国における、これは無責任かつ潜在的に有害であり、米国政府の見解を示すものではないと、こういうことをアミテージさんが申しております。これは米国の国防大学の講演、そして日時は本年二月のことでございます。新しく第六共和国として誕生いたしました盧泰愚大統領も、やはりこの点に関しましてははっきりと、米軍は撤退すべきでないということを申しておられますし、そうした線で、当然この問題は我々といたしましてもそれが一番いいのではないだろうか、かように考えておる次第であります。
-
○矢原秀男君 外務大臣にもう一点伺いますが、先般韓国を訪問されました。報道によりますと、非常にその目的と成果についても評価をされているようでございます。ピアノで芸術家的な外交もやっていらっしゃったようでございますけれども、その目的と、あなたが考えていらっしゃる成果ですね、そういうことについて論じていただきたいと思います。
-
○
国務大臣(宇野
宗佑君) 韓国における第六共和国というのはナンバーでございまして、言うならば、韓国そのものはあるけれども、政治体制からすべて憲法も変わったと、こういう評価を私たちはしたいと思います。だから、第三回外務大臣会議ではございましたけれども、私はさような
意味で第六共和国の誕生に敬意を表し、祝意を表し、その
意味では日韓外相会談の第一回目でございますと、こういうことでお話しを申し上げました。
もちろん、その中にはソ連に関する問題あるいは中国に関する
問題等々もございましたし、また朝鮮半島の情勢分析等々をお伺いした次第でございますが、軍事問題は全く触れておりません。そのほかは、両国におけるところの経済協力等々の問題であり、一番大きなのは、ひとつこの五年間に双方四千人ずつ八千人の教員の交流をしたい、こうしたことを韓国から提案された。これは忠実に実行できるようにその体制を整えなければならないだろうと、こういうふうなことで帰ってまいった次第でございまして、さような
意味合いにおきましては、最もよき隣国と新しい体制をまた構築することに
一つの大きな
意味があったと、かように考えておる次第であります。
-
○矢原秀男君 防衛庁に伺いますけれども、米軍事情勢報告を分析、解明をされて三月十八日に、米軍が韓国にあらかじめ資材、装備を置く事前集積を進めている、こういう分析をされていますけ
れども、事実でございますか。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) 一九八八年、八九年の米軍事態勢報告の中にそういう箇所がございます。韓国との間で事前集積というものを進めているということが書いてございます。
内容については我々まだ承知しておりません。
-
○矢原秀男君 この事前集積ということは、米軍の規模縮小、こういうふうに考えていいですね。
-
○
政府委員(
小野寺龍二君) 事前集積が行われることによって、その在韓米軍が減るということは必ずしも結びつくものではないと存じます。ヨーロッパにおきます事前集積というものも、現在進められているのは米軍の撤退を別に前提にしているわけではございませんで、増援の方を前提としたものかと存じます。ただいま外務大臣からもお話がございましたとおり、
先ほど長官からハワイにおける話というのがちょっと御説明ございませんでしたですけれども、長官がハワイで極東軍司令官という話をいたしましたときも、現在のところ、アメリカとして韓国における体制を変えるという意図は全くないというそういう説明でございました。
-
○矢原秀男君 最後にもう一点、
防衛庁長官に姿勢を伺っておきたいと思います。
私は米の
財政規模から見て、米軍の規模縮小、代替措置というものが
検討されているのではないか、こういうことで、
一つだけちょっと最後に伺っておきたいんですが、日本の次期防衛力整備計画、この策定に当たって、
先ほど論議をしておりますけれども、これらの事態を十分配慮して、日本の軍事的な関連の増大というものを米側から要請があったのではないかということを伺うわけでございますが、この点いかがでございますか。
-
○
国務大臣(瓦力君)
委員御指摘のような、さような要請は一切ございません。
-
○
峯山昭範君 私は、あと時間も少なくなってまいりましたので、
官房長官にお伺いをいたします。
官房長官は
総理府の事務を担当していらっしゃるわけでございます。特に世論調査の問題が所掌の中にあるわけでございますが、
官房長官は世論調査の基本的な
あり方についてどうお考えでございますか。
-
○
国務大臣(小渕恵三君) 民主政治の基本は、
国民世論の動向を踏まえて政治を遂行しなきゃなりません。そのためには
国民の皆さんがどのようなお考えを持っておるかということを常に政府としても把握しておく必要がある。そのためには世論調査という手法も極めて効果的なものだというふうに考えております。
-
○
峯山昭範君 大臣ね、これは
総理府の
予算の説明の中に「世論調査等」というところであるんですが、これによりますと、「政府の施策等に対する
国民の考えを公正な立場で科学的に把握分析して」、科学的ですよ、「これを国政の基礎資料とし、あわせて政府の施策に反映させるため、各種の世論調査を実施する。」、こうなっておるわけです。
そこでお伺いしたいのでありますが、先般から問題になっております今のこの税制改革に関するいわゆる今大事なときに差しかかっているわけでございます。今回のこの世論調査、これは世論調査じゃないとおっしゃるかもしれませんが、有識者の意識調査と言いかえても結構でございますが、これは一体、本来、私が調査したところによりますと、
総理府のこの世論調査の中に入っていなかった、六十二年度の計画の中に入っていなかった、
大蔵省の要請で急遽これも実施されたと、こういうふうに聞いておりますが、その中身とあわせましてお伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(宮脇磊介君)
峯山委員ただいま御指摘の有識者調査でございますが、この調査は二月の十三日から三月の四日まで行ったわけでございます。ちょうど、時あたかも政府税調の地方公聴会と並行して行われたわけでございますが、九つのグループに対しまして実施したものでございます。これはこれまで厚生省の年金局が
昭和五十七年から五十八年にかけまして二十一
世紀の年金に関する有識者調査ということで実施いたしましたのを参考として、御指摘のように
大蔵省の要請によって、依頼によってやったものでございます。
そこで、まずもって御理解を賜りたいことでございますが、ただいま
峯山委員のお言葉の中にもございましたけれども、今回のこの調査は世論調査とは異なる異質の調査でございます。すなわち、世論調査といたしまして
総理府でこれまで行っておるものは
国民全体のトータルな世論動向を把握しようという目的のもとに行うものでございまして、これは御案内のように
総理府では層化二段無作為抽出方法という方法でずっとやってきております。
昭和二十二年来既に四十一年の
歴史と伝統を持っておるわけでございます。
ところで、今回のこの有識者調査、千人、九つのグループに対して行ったのでございますが、これは高い関心を持ち、あるいは専門的な知識を持っておられる
方々を主たる対象といたして実施いたしました。それぞれ
国民のおのおのの立場で
意見を異にしているその各界の
意見がどういうものであるか、あるいはまたそれぞれの
意見がどういうふうに異なるかということを承知するために行ったものでございます。したがいまして、これの
意味につきましては、各界についてこれこれのやり方で選んだ
方々についてはこういう結果であったということに
意味を持つものでございます。そういうことで、それなりに評価をいただきたい、その点を御理解いただきたいと思うものでございます。
-
○
峯山昭範君 これは
官房長官、何のためにやったんですか、実際問題として。
-
○
国務大臣(小渕恵三君) ただいま広
報室長が
答弁申し上げましたように、税制改革につきまして九ジャンルだったと思いますけれども、一応そういうふうな分け方をいたしまして、それぞれのジャンルの
国民の皆さんがこの税制改正につきましてどのような
考え方を基本的に持っておるかということの意識を調査する、こういうために行ったものでございます。
-
○
峯山昭範君 確認しておきたいんですが、厚生省の例を挙げましたが、国の
予算で世論調査ということでかっちりその目的と根拠をうたったのは
総理府しかないわけですよ。そういうふうな
意味では今回のこういう調査は初めてですね。
-
○
政府委員(宮脇磊介君)
総理府といたしましては、
国民の
皆様方の御
意見を広く集めるという、いわゆる広聴活動といたしましては、世論調査を初めといたしましていろいろな方法で行っております。今回のはその一環として行ったものでございます。
-
○
峯山昭範君 その原則は、やはりあなた方の
予算書に書いてあるとおりの、いわゆる公正で科学的な把握分析というのが必要だと私は思うんですね。ところが実際問題として、選出された代表の皆さん方を見てみますと、青年、婦人のところも、結局送った皆さん方というのは青年の船に参加した青年を中心にしているとか、非常に人選も偏っているという点、これは非常に問題だと私は思います。
さらにもう
一つお伺いしておきたいんですが、この設問はだれがつくったんですか。
-
○
政府委員(宮脇磊介君) 私どもの方で
大蔵省と相談しながらつくったものでございます。
-
○
峯山昭範君 これは設問の仕方でその結論が出てくるわけですよ、大臣ね、
官房長官。同じ
質問でも、例えば
総理府が
昭和六十一年の二月に「税金に関する世論調査」というのをやっているわけです。直接税の「累進課税について」の考えのところですが、そのときの調査では「所得が大きい人ほど生活のゆとりは大きいのだから、低所得者よりも高い税率で税金を支払うのは当然であり、税率にかなりの差があってよい」、これはどうかというと、これはもうたくさんの人が賛成しておる。ところが今度の場合は、今度は同じことでも、「我が国の所得税は所得が増えるほど税率が上がる度合いが先進国の中で最も強くなっていますが、これについてどうお考えですか。」、こうなってくると、同じ
質問でも大分違う。これはまさに
質問のつくり方、これも
大蔵省と相談してやったということになると、これはもう意図的なものじ
ゃないかと私は思いますね。
それからもう
一つは、これは時間がないから言ってしまいますが、郵送したというんですが、郵送の資料、これは政府税調の地方公聴会用に用いた
大蔵と自治両省の資料を同じ封筒の中に入れて送ったというわけですよ。ということは、それを読んで、その答えを出せという世論調査ですから、これはもう出てくる中身が非常にわかっているわけですよね。こういうやり方はちょっとやっぱりこれはいかぬと私は思うんです。きちっとこの点についての御
答弁をいただきたい。
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政府委員(宮脇磊介君) ただいま御指摘のように、確かに私どもの調査におきましては、今お示しの「いっしょに考えませんか。これからの日本とこれからの税。」という税制調査会地方公聴会の参考資料を同封いたしております。
これは、アンケート調査を有識者等にいたしますためには、それぞれの
方々に理解なり知識の濃淡の度合いがございます。そういう
方々に十分なる御
検討と御判断をいただくということで具体的な客観的な事実を提供するということは多くの場合やられておるところでございます。また、正しい方法であると確信をいたしております。予断なりあるいは推論なり、そういうのに基づいて
一つの
方向に持っていこうというものではなくて、具体的な事実をもってお示しして御
意見を賜るということでさしていただいたものでございまして、よろしく御理解、御協力を賜りたいと思います。
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峯山昭範君 これは
委員長にちょっとお願いでございますが、政府税調のいわゆるこの
大蔵、自治両省の資料とそれからアンケートの用紙とか、そういうような資料は一遍この我が
予算委員会に提出していただきたい。お願いします。
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峯山昭範君 時間が参りましたので終わりますが、これは
新聞報道で、事実かどうか私確認したわけではございませんが、自民党の執行部の中にも今回の世論調査の問題についてコメントした点があります。それによりますと、
官房長官、「下手な工作はせず批判の余地のない公正なものにしなければ、かえって逆効果」である、こういう声もあると、こういう
新聞報道があります。そういう点からいきましても、ぜひこれからのいろんな取り扱い、これは非常に私は世論調査、大事な問題でございますので、これからも慎重にやっていただきたいことを
官房長官にお願いし御
答弁をいただき、私の
質問を終わります。
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国務大臣(小渕恵三君) 念のためでございますが、広
報室長、これは意識調査でございまして、世論調査という形で従来
総理府が採用いたしてまいりました手法によらざるものだということを御理解いただきたいと思います。
それから自民党の中にいろいろな御
意見のありましたことも、私も
新聞で拝見をいたしました。なかなか数の多い政党でございますので、種々御
意見をちょうだいすることもあろうかと思いますが、公正な世論の吸い上げということは常に行わなければならないことだと思います。
先ほど室長が申しましたことを信頼する、私のところの部下でございますので、ぜひひとつ御理解のほどをいただきたいと思います。
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委員長(
原文兵衛君) 以上で
峯山昭範君の質疑は終了いたしました。明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時三十四分散会