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1988-03-19 第112回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月十九日(土曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十八日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     田中 正巳君      石本  茂君     斎藤 文夫君      梶木 又三君     田辺 哲夫君      坂元 親男君     永野 茂門君      寺内 弘子君     岩上 二郎君      中曽根弘文君     小野 清子君      野沢 太三君     佐藤謙一郎君      坂野 重信君     出口 廣光君      内藤  功君     神谷信之助君      下村  泰君     青島 幸男君  三月十九日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     秋山  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         原 文兵衛君     理 事                 伊江 朝雄君                大河原太一郎君                 小島 静馬君                 林  ゆう君                 吉川 芳男君                 久保  亘君                 矢原 秀男君                 吉川 春子君                 三治 重信君     委 員                 石井 道子君                 岩上 二郎君                 小野 清子君                 金丸 三郎君                 工藤万砂美君                 佐藤謙一郎君                 斎藤 文夫君                 志村 哲良君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 出口 廣光君                 永田 良雄君                 永野 茂門君                 林 健太郎君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 松岡滿壽男君                 宮崎 秀樹君                 稲村 稔夫君                 小川 仁一君                 大木 正吾君                 千葉 景子君                 野田  哲君                 安恒 良一君                 及川 順郎君                 広中和歌子君                 和田 教美君                 神谷信之助君                 勝木 健司君                 秋山  肇君                 青島 幸男君                 青木  茂君    国務大臣        外 務 大 臣  宇野 宗佑君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  中島源太郎君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    梶山 静六君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  瓦   力君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       伊藤宗一郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  奥野 誠亮君    政府委員        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        給与局長     中島 忠能君        人事院事務総局        職員局長     川崎 正道君        内閣総理大臣官        房審議官     本多 秀司君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       長谷川 宏君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  日吉  章君        防衛庁装備局長  山本 雅司君        防衛施設庁長官  友藤 一隆君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        防衛施設庁施設        部長       鈴木  杲君        科学技術庁長官        官房長      見学 信敬君        科学技術庁長官        官房会計課長   武田  昭君        科学技術庁研究        開発局長     川崎 雅弘君        科学技術庁原子        力局長      松井  隆君        科学技術庁原子        力安全局長    石塚  貢君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        会計課長     佐々木 徹君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        法務省刑事局長  岡村 泰孝君        外務大臣官房審        議官       遠藤 哲也君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君        外務省情報調査        局長       山下新太郎君        大蔵省主計局長  西垣  昭君        大蔵省理財局長  足立 和基君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        文部省学術国際        局長       植木  浩君        文化庁次長    横瀬 庄次君        通商産業省生活        産業局長     鎌田 吉郎君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省航空局長  林  淳司君        運輸省航空局技        術部長      中村 資朗君        海上保安庁長官  山田 隆英君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君        自治大臣官房審        議官       湯浅 利夫君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   山口  繁君    事務局側        常任委員会専門        員        宮下 忠安君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付) ○昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付) ○昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。  昭和六十三年度一般会計予算昭和六十三年度特別会計予算昭和六十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────
  3. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) まず、一般質疑に関する理事会協議決定事項について御報告いたします。  一般質疑は五日間分とすること、質疑割り当て時間は総計七百分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党護憲共同それぞれ百八十八分、公明党・国民会議百八分、日本共産党八十一分、民社党・国民連合五十四分、新政クラブ税金党、二院クラブ・革新共闘及びサラリーマン新党・参議院の会それぞれ二十七分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) それでは、これより一般質疑を行います。小川仁一君。
  6. 小川仁一

    小川仁一君 前回に引き続いて、日米原子力協定問題から質問に入ります。  最初に、私の質問も適切でない面があったかと思いますが、政府側答弁の中にも矛盾あるいは答弁の言い違い等があったようにも見受けられますので、その点について、科学技術庁の方でありましたらお話しを願いたいと思います。
  7. 松井隆

    政府委員松井隆君) 昭和六十三年三月十六日に開催されました本予算委員会における小川仁一先生質問で、国内飛行場に着くとき領空内で飛行機の警備、警護は行うのか、こういった御質問がございまして、それに対して私は、日米の新協定によりますと飛行場での具体的な警備が必要ということはございませんと答弁いたしました。それで、これは新協定実施取り決め附属書には飛行中の航空機の護衛の要件が示されていないということを答弁申し上げようとしたわけでございますが、「飛行中」と申し上げるべきところを「飛行場」と申し上げましたので、この場においてその点を訂正させていただきたいというふうに考えております。  なお、飛行場における核物質防護に関しましては、同じく協定実施取り決め附属書に示された要件について、一定の距離を離隔しろとか、あるいは人が近づかないようにしろとか、そういった基準がございますと答弁させていただいております。  以上の事情を御理解いただきまして、私の答弁の訂正とさせていただきたいと思います。
  8. 小川仁一

    小川仁一君 それ以外にありませんか。  今までのずっとあなた方が答弁をされた点の中で、きのうの答弁との食い違い、それは前からの科学技術庁や何かの答弁を含めてのことを言っています。
  9. 松井隆

    政府委員松井隆君) それはございません。
  10. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ続いて、まず濃縮ウラン及びプルトニウム軍事利用問題について言いますが、三月十六日の私の質問に対して――私はこういう質問をしました。プルトニウム原爆材料になるか、こう質問をいたしましたら原爆材料であると答えられたが、それでよろしゅうございますか。
  11. 松井隆

    政府委員松井隆君) 一般的にプルトニウム原爆材料になり得るものであるということについてお答えしたわけでございます。
  12. 小川仁一

    小川仁一君 それじゃ、ちょっと古い話になりますが、これは外務委員会昭和五十年、それからこれは外務委員会内閣委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査昭和五十年、それからさらには決算委員会会議録昭和五十六年、これを見てみますというと、どれにもプルトニウム軍事利用を否定しているような発言があるんです。  五十年の分を申し上げますと、「○佐々木国務大臣 発電炉からただいま出ますプルトニウムの質はそのまま、九十数%を要する爆弾をつくるプルトニウムにならぬことはもう御承知のとおりでございます。」、こう明確に答えられておりますし、五十年の半澤政府委員は、「核爆弾の原料と言われておりますのは、兵器品位プルトニウム高濃縮ウランと言われております。先生案内のように、プルトニウムは再処理施設から抽出しないと、プルトニウムという形で出てまいりません。日本の再処理施設は、現在東海村で建設が」と言って、「ただしこれはいわゆる兵器品位よりはだいぶグレードは落ちますけれども、」と、こういったような形で答弁をしております。  今、日本国内にあるフランスから送られてきたプルトニウムを使って原子爆弾をつくることは現在の技術で、技術論としてですよ、政治論じゃありませんよ、技術論として可能かどうか、この二点をお聞きします。前の議事録との食い違い、言ってください。
  13. 松井隆

    政府委員松井隆君) まず最初前提でございますけれども我が国原子力研究開発利用原子力基本法に基づきまして平和の目的に限ってこれを進めてきておるわけでございます。また、さらに国際的にも核不拡散条約を批准するなどいたしまして、我が国原子力平和利用に徹する姿勢、これは鮮明にしているということでございます。  まずそういう前提条件がございまして、それで私、ただいまの先生のあれにつきまして全部の議事録を詳細に念査したわけでございませんけれども、一般的に、具体的にプルトニウムと申しましても幾つかの同位元素と申しますか、そういうものがございます。それで、普通の再処理から出てくるプルトニウムにつきましても、それは再処理に持っていく前の燃料の燃やし方等によりましてその中の内容が変わってくるわけでございます。ただ、私ども聞いているところでは、商業炉から出てくるプルトニウムというものはプルトニウム238とか240、241、242、そういったものが相当多く含まれる、つまり不純物になってしまうというふうに理解しておるわけでございます。
  14. 小川仁一

    小川仁一君 だから、どうなんですか。
  15. 松井隆

    政府委員松井隆君) したがいまして、私ども原爆生産、そういうことを研究したわけでございませんから、そういう意味では多少不正確さはあるかもしれませんけれども、一般的に言われているところから見ると、ウランの239が一番核分裂はいいという話から判断いたしますと、そういう意味では不純物が非常に多くてすぐそのものがそのとおりなるかどうかということについては、先ほど申しましたように、そういう研究をしたわけでございませんからはっきりしたことは申し上げかねますけれども、すぐそれが原爆になるというそういうものではないのではないだろうかというふうに考えておるというところでございます。
  16. 小川仁一

    小川仁一君 もう一遍はっきり聞きます。  フランスから送られてきたプルトニウムを使って原子爆弾をつくることが技術として可能かどうか。私は政治論では平和利用を知っていますから、技術論を聞いているんです。
  17. 松井隆

    政府委員松井隆君) 我が国は、先ほど由しま したように平和利用に徹して研究開発利用を進めておるわけでございます。それでプルトニウムを扱っているわけでございますけれども、その際、先ほど申しましたように、基本法に基づきまして厳に平和目的に限ってこれを進めておるというのが現状でございます。したがって、私ども技術論といたしましても、軍事利用目的とする核兵器について、その仕組み等について検討したことはございません。したがって、御指摘能力について判断することは非常に困難であろうというふうに思っております。  御理解いただきたいのは、我が国としては原子力研究開発利用はあくまでも平和目的に限って行っておるということで、技術論としていろいろと恐らく難しい問題もあろうかと思いまして、その辺は我々はよく知らないわけでございますから、したがってその能力について云々することは非常に難しいので御容赦いただきたいというふうに思っております。
  18. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、現在使用済み核燃料を再処理し、抽出したプルトニウムを使って原子爆弾を製造している国がありますかどうか、世界中に。
  19. 松井隆

    政府委員松井隆君) 私どもそれにつきましては、商業利用をどういうふうにしているかということはいろいろと承知しておりますけれども、それから爆弾をつくったかどうかということについてはつまびらかに承知しておりません。どうなっているかというのはよくわからないというところでございます。
  20. 小川仁一

    小川仁一君 再処理されたプルトニウムを使って原子爆弾をつくっている国はないというふうに私はいろいろ調べてわかりましたが、それでいいですか。それともやっぱりやっている国があるというふうにあなた方は認識しておられるのか。その点はっきりしてください。
  21. 松井隆

    政府委員松井隆君) これまた極めて一般論になりますけれども、普通のいわゆる商業的な再処理工場、そういうところから出たものはやはり普通、平和利用に使っているというふうに聞いております。ただ、私も見たことはございませんけれども、いわゆるプルトニウム生産専用のそういう施設があるやにも聞いておりまして、一般的には普通の商業施設でつくったものはそういうものはつくらないものであろうというふうに私ども考えております。
  22. 小川仁一

    小川仁一君 私は前提を置いて聞いているんですよ。再処理されたものでという言い方をしている。一般論で聞いているんじゃない。アメリカやソビエトは再処理工場から出てきたプルトニウムを使って原子爆弾をつくっていないというふうに聞いている。別途にプルトニウムを明らかにして軍用炉でもってこれをつくっていると、こういうふうに聞いているが、この点もう少し一般論じゃなくて具体論答弁してください。そうじゃないと、次の核ジャックの問題の質問に影響してきますから。次の話までしてちょっと恐縮だけれども
  23. 松井隆

    政府委員松井隆君) 私ども、これは話として聞いている話でございますけれども、普通の炉で燃料を燃やしまして、プルトニウムを再処理し、そのプルトニウム爆弾利用しているという、専用のものでやっているということがあるということは聞いたことはございます。
  24. 小川仁一

    小川仁一君 何だ、これは一般論で聞いているんじゃないんだよな。フランスから持ってくる再処理されたものでという前提がついて聞いているんです。
  25. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) わからないものはわからないでいいんだから、はっきり答えなさい。
  26. 松井隆

    政府委員松井隆君) 先ほどから申し上げておるとおり、私ども原子力平和利用ということでは一生懸命いろいろな研究開発をやっておりますけれども、そういう軍事利用についてはよく承知していないということが現状でございます。
  27. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、ちょっと防衛庁の方へ話を変えて聞きますが、防衛庁はこういうふうな原子爆弾その他知識がございましたら、もう一度聞きますけれども使用済み核燃料を再処理して抽出したプルトニウム原子爆弾をつくる能力を持っている国があるかどうか、防衛庁でもしおわかりになっていたらお答え願いたい。
  28. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御承知のように、防衛庁通常兵器による防衛力について考えておりますので、承知をいたしておりません。
  29. 小川仁一

    小川仁一君 こういう話をしておりますと、私はかなり具体性のあるものを聞いているつもりなんです。一般論で答えられますというと、こういう種類の問題は質疑が進まないような感じがしますので大変困りましたけれども、しかし次へ行きます。  そうなってきますと、再処理された、そして抽出したプルトニウム原子爆弾材料に使われないというふうな一般論というふうに私はお聞きしたし、今までもこの議事録にはそういうふうに書いてあります。そうなってみますというと、核ジャックとかということを輸送形態で非常に問題にしておられますけれども、何でそんなものを核ジャックされる可能性があるんですか。そしてまた、核ジャックされてどういう危険性があるんですか。
  30. 松井隆

    政府委員松井隆君) 核ジャックをなぜするか、こういうお話でございますけれども、やはりプルトニウムそのものはある程度の量になれば臨界に達する。もちろんその臨界にもいろいろな爆弾的なものもあるかもしれませんし、もっと普通は軽い臨界と申しますか、そういうものもあります。またあるいは放射線の問題もございます。そういう問題もあって、やはりこれは核ジャックから防護しなくちゃいけないということが決められておる、世界的に合意されていると、こういうことだと思っております。
  31. 小川仁一

    小川仁一君 だから聞いているんですよ。そういう再処理されたプルトニウムを使って、特別な軍用炉を含めて原子爆弾をつくる能力を持っている国があるかどうかを聞いたんです。そいつをもう一遍答弁しないと、今のやっと絡んでどうにもならぬ。
  32. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 原子力委員会が定めました核物質防護専門部会報告書の中でこの核物質防護をやる必要性について述べておりますが、その中では、「盗取等により不法に移転された核物質は、核爆発装置の組立てに使用される懸念があり、また、それらの核物質の不法な散布等が行われたり、原子力施設及び核物質輸送に対する妨害、破壊行為が行われたりした場合には結果として公衆に対する放射線障害をもたらす懸念もある。」、こういうことでその必要性を述べております。
  33. 小川仁一

    小川仁一君 私は一般論を聞いているんじゃない。フランスから来るやつがどうなっているんだと。できるのかできないのかと聞いている。この点、答弁ができなければ次の質問に移れません。
  34. 松井隆

    政府委員松井隆君) フランスから持ってくる今の使用済み燃料を再処理してできたプルトニウムについていかがかという御質問でございますけれども、先ほど申しましたように、一般論としてはプルトニウムというのは原爆材料にもなるものであるということでございます。ただ、その実際持ってきたものが、それが即原爆になるかどうかということについては、私ども、先ほど申しましたように原爆研究をしたわけでございませんものですから申し上げられないというふうに述べているわけでございます。
  35. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、今までの議事録答弁とかなり食い違いますね。今までは、そういうものは原爆材料にならない、こういうふうに今までの審議では答弁をしておられるようですが、その食い違いを明らかにしてください。
  36. 松井隆

    政府委員松井隆君) 使用済み燃料から再処理して回収されたプルトニウムにつきましては、私、先ほど一般論としてはプルトニウムというのはその材料になるものであるというふうに申し上げました。そしてもう一つその前に、プルトニウムにもいろんな組成がございますということも申し上げました。それで、一般的に私ども承知して いるのは、そういったたくさんの組成になってございまして、そういうものはなかなか原爆になりづらいというふうには聞いてございます。  ただ、御案内のとおり、こういうような技術進歩とかいろいろな進歩がございます。日本研究しておりませんけれども、あるいは研究して、例えばプルトニウム100、239でございますか、それだけを純粋に取り出せばそういうふうになるとかいうこともあろうかとも思いますけれども、そういう意味で、プルトニウムそのものが一般的にはその材料になるということは言えるのではないだろうか、そういう懸念があるというふうに考えております。
  37. 小川仁一

    小川仁一君 今までこの問題はいろいろな場所で取り上げられて、議事録を五十年から私ずっと調べてきているんです。したがって、食い違いがあるということだけを指摘して次へ移ります。  もう一つ聞きたいけれども日本ではつくらないということは前提ですよ、平和利用ということは前提ですよ。しかし、技術力としてそれをやり得る技術が存在するかどうかという技術論だけをもう一遍言ってください。
  38. 松井隆

    政府委員松井隆君) 先ほど申しましたように、私ども基本法に基づきまして厳に平和目的に限って行っているわけでございます。したがって、軍事利用目的とする核兵器について、その仕組み等についての検討をしたことはございません。御指摘能力について判断することは困難であるというふうに思っております。  いずれにしろ、我が国平和利用に徹していくというように考えております。
  39. 小川仁一

    小川仁一君 防衛庁はやっていませんか。
  40. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) やっておりません。
  41. 小川仁一

    小川仁一君 私は再三議事録の話を申し上げましたが、これも議事録の問題と食い違いませんか。食い違いないならはっきり食い違いないと言ってくださいよ。どっちが正確か。私、内閣委員もやってきていますからね。議事録にリポートも出しているということがはっきりしていませんか。    〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
  42. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 我が方の技術研究所でやっております原子力関係の研究と申しますのは、例えば防護のための研究をやるということで集塵装置等を開発し、集塵してそれを分析する、あるいは防護器材、検知器等を開発するための放射性物質を保存しておるとか、そういったことはございますけれども、それ以外のことはやっていないと思います。
  43. 小川仁一

    小川仁一君 何かいろいろ前からの議事録を読んでみますと、幾らかずつというよりも、かなり基本的に食い違いが出てくるんですよ。五十年のときは五十年のときなりの答弁を、五十八年のときは五十八年なりの答弁を、そして六十三年のときは六十三年なりの答弁をされると、こういう非常に大きな問題、大事な問題、国民が不安を感じている問題はやっぱり時間をかけてもきっちりしてもらいたいと思うので、防衛庁、前の議事録と今の答弁の関係、それから科学技術庁、この前の答弁とそれから今の答弁とのかかわりをきちんと整理して出してください。
  44. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 技術の担当者はきょう来ておりませんが、おっしゃるとおり従来の答弁と突き合わせて御説明いたします。
  45. 松井隆

    政府委員松井隆君) 一応従来の答弁も調べまして、それは突き合わせてみたいと思います。
  46. 小川仁一

    小川仁一君 では、それまで待っていましょう。ちょっとはっきりしてくださいよ。
  47. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  48. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 速記を始めて。  それでは、ただいまの資料につきましては、それぞれなるべく早く質問者のところに届けるようにお願いいたします。委員長からこのことを申し添えます。
  49. 小川仁一

    小川仁一君 突き合わせを要求しておりませんでしたが、私はこういうのを読めば当然その次の答えは同じように来るものだと考えていたのが、食い違ってくるものだからこういう結果になるわけなんで、ひとつ政府の方も、長い歴史のあることですから、前もって議事録をきちっと整理をして、もし私が言っていることの解釈と違うなら違うなりに、こうこう言うということを御説明願いたいし、具体論を聞いているのに一般論で答えられるというとこういう食い違いが出ますから、これからそういうことやめてください。  さて次に、そうなると非常に危険な原子爆弾をつくる可能性のあるということを前提として、輸送中に核ジャックを恐れて護衛をする、こういうことになりますね。護衛の問題で聞きます。
  50. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ただいま問題になっております新協定附属書五におきましては、プルトニウムの空輸中の他の航空機による護衛につきましては、先ほど原子力局長が当初にお話ししたように、護衛をするといったようなことは求められていないというように私ども承知をいたしております。  いずれにしましても、このプルトニウムの航空輸送の具体化、この問題を含めまして原子力協定の実施上の問題につきましては、ただいま科学技術庁が御検討中の問題ということで、防衛庁としてはこれについて今述べる立場にございません。
  51. 小川仁一

    小川仁一君 この前持ってきたこの護衛問題はアメリカ政府やフランス政府が独自で勝手にやったというお話でしたが、今後航空機で輸送するときもフランスやアメリカは勝手にやると予想しておられますか。
  52. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) 先生、まず条約の観点から私から御説明申し上げたいと思いますが、今国会に御提出申し上げました条約の附属書によりますと、これは飛行機でもって輸送してくるということが包括同意の対象になっているわけでございますが、その飛行機に対しまして航空機による護衛ということはこの協定上は何ら触れられておりません。
  53. 小川仁一

    小川仁一君 また古い議事録に戻ります。  科学技術委員会議録第三号、昭和五十八年三月二十四日、政府側答弁、「実際にこのプルトニウム輸送する責任を負いますユーラトム、」云々と書いて、「いかに安全にそれを輸送するかということにつきましては、当事者がそれぞれ協議をいたしまして真剣に検討をしておるわけでございます。」と、こうなっていますが、今までは協議なしだと言っているけれども、この議事録によると協議をすると書いております。説明した方は外務省原子力課長の岩崎説明員でございますが、輸送護衛についての協議はこの議事録から見ますというと行われるというふうに考えますが、外務省、いかがでございましょうか。
  54. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) お答え申し上げます。  実際に輸送するに当たりましては、幾つかの輸送に伴いますいわゆるガイドラインと申しますか、指針と申しますか、それを守らなくちゃいけないということになっておりまして、この指針をどうやって具体的な輸送計画の中に入れていくかということにつきましては、この日米原子力協定の交渉の過程においてアメリカと協議しまして、約八項目ばかりがこの協定附属書の中に入っているわけでございますけれども、それじゃ具体的にそういった指針をどういうふうに輸送計画の中で実現していくかということにつきましては今後の問題でございまして、まだ具体的な、それじゃどういうふうにするのかにつきましては協議はいたしておりません。
  55. 小川仁一

    小川仁一君 附属書第五によりますと、第二の中に「関係当局との適切な連絡及び協議を通じて事前に確保される両当事国政府、移転国政府及び輸送経路国の協力及び援助を得て、作成される。輸送計画には、」と、こう書いてある。輸送計画というのはこういうふうに協議されるものと考えているが、科学技術庁はそういう協議はない、護衛なんかについても勝手にアメリカの船が、フランスの船が時々見え隠れしてそばへ来たと、こういう答弁をこの前していましたがね、この点明確にしてください。
  56. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) 私から最初にお答え申 し上げたいと思いますけれども、前回の晴新丸によりますフランスからのプルトニウム輸送は旧協定というか、現在の現行協定でございまして、したがいまして現行協定にはこういうふうな輸送の形態については何ら触れられていないわけでございます。したがいまして、前回につきましてはああいうふうなことで処理されたわけでございますが、今回の輸送計画につきましては、その輸送計画が具体化してくる段階におきまして関係各国との協議、これはもう当然必要かと思いますし、これはしていかなくちゃいけないことであるわけでございます。したがいまして、前回と今回は状況は違うということを御認識、御理解いただきたいと思います。
  57. 小川仁一

    小川仁一君 そうしますと、前回の海上輸送は日時、ルート等は全然こっちが勝手な計画で動いて、他の国とは協議しなかったわけですね。
  58. 松井隆

    政府委員松井隆君) 昭和五十九年の前回のプルトニウムの海による輸送でございますけれども、これにつきましては現在の日米原子力協定の枠組みから申し上げまして、アメリカの同意を得なければできないという仕組みになっています。その場合に、同意を得るときには当然どういった内容の防護措置をとる、どういった方法をとる、そういうことをもちろん当然事前にいろいろと協議をいたしまして、そこでオーケーになると、こういうことになるわけでございますから、そういう意味では十分事前に御相談をしてつくってあるということでございます。
  59. 小川仁一

    小川仁一君 今言った防護措置というのは。
  60. 松井隆

    政府委員松井隆君) それは核物質がハイジャックされないかどうかということで、いわゆるPP条約、PP措置と言っておりますけれども、そういったフィジカルプロテクション、そういうものにつきまして十分アメリカと相談してそれでやってくると、こういうことでございます。
  61. 小川仁一

    小川仁一君 おたくからの報告によれば、「輸送船からの報告によれば、航行途中、米国の艦船とおぼしき船影(常時一隻程度)が見え、護衛に当たっていると推察された。なお、仏国についても、同様な状況であった。」。何だ、この「おぼしき船影」というのは。
  62. 松井隆

    政府委員松井隆君) 私の先ほど申しました核物質防護措置と申しますのは、一つは船につきましていろいろとその必要な手当てをした。これはこの前にも申し上げましたけれども、これは国際的な基準等がございまして、それに従って、例えば輸送船の一部を改造するとか、フランスから日本まで無寄港で航行するとか、輸送船との通信連絡体制を整備して輸送船の状況や位置を常時把握する、そういった措置をとっているわけでございまして、船が見え隠れしたというのは、これは私どもがアメリカ政府に要請したものではなくて、アメリカ政府の独自の判断でやはりそういうことを守るということで、そういうふうにあったものだというふうに理解しているわけでございます。
  63. 小川仁一

    小川仁一君 いや、あなたの方で「おぼしき船影」と書いてある。これはアメリカの船だか、あるいは無国籍の船だか、ハイジャックしようとして来た船だかわからぬでしょう、「おぼしき」では。だから、当然護衛をしているのならしているんだと言ったらいいじゃないの。おぼしきものがそばに来たら警戒するのが当たり前でしょう。どうなんですか、これは。どうしてアメリカの船だということを、フランスの船だということを確認したんです。あんたの方からの報告書だよ。
  64. 松井隆

    政府委員松井隆君) 先ほど申しましたように、私どもアメリカ、フランスにそういうことを要請したわけではございません。あくまでそれぞれの国の独自の判断であるというふうに聞いておりますけれども、そういうことは事前に知っていたということで、そういう意味では常時一隻がいたということについては、それはそういった国の船であろうというふうに判断しているわけでございます。
  65. 小川仁一

    小川仁一君 どうやって確認したかと聞いているんだ、アメリカの船であることを。
  66. 松井隆

    政府委員松井隆君) この文書でございますけれども、確認しようがないということで……
  67. 小川仁一

    小川仁一君 あなたの方が書いてきた文書だよ。
  68. 松井隆

    政府委員松井隆君) 確認しようがないということで「おぼしき」というふうに書いたというふうに理解しています。
  69. 小川仁一

    小川仁一君 確認しようがない船だったら非常な危険を感じたはずだ。どういう対策をとったのか。
  70. 松井隆

    政府委員松井隆君) そういうことで、輸送船との通信連絡体制の整備とか、そういうものを行ったというわけでございます。
  71. 小川仁一

    小川仁一君 わかりません。
  72. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  73. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 速記を始めて。
  74. 松井隆

    政府委員松井隆君) 先ほど申しましたように、私どもアメリカ政府に対してその警護を要請したわけではございませんけれども、アメリカ政府としてはやはりこういった事柄の重要上、警護をやはり出すべきであるという判断をやったということは私ども承知しておりまして、そういう意味では常にそういった船影があるということで「おぼしき」という言葉を使ったということでございまして、その点は何とぞ御了承いただきたいと思います。
  75. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、この前の答えと全然食い違う。この前は、見え隠れして、時々近寄ってという表現だった。きょうまた、「おぼしき」と来た。そうすると、アメリカと連絡をとって護衛してもらったということになりますね。
  76. 松井隆

    政府委員松井隆君) アメリカ政府とこういうことについて協議したわけではございませんけれども、アメリカ政府がそういったことをするという話は聞いてございました。そういう意味で私どもとしてはそういうものを「おぼしき船影」という形で書いたということでございまして、多少字句の表現の不適切があるかもしれませんけれども、そういう意味でございます。
  77. 小川仁一

    小川仁一君 整理して答弁してもらおうや。
  78. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  79. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 速記を始めて。
  80. 松井隆

    政府委員松井隆君) 訂正いたします。  事前にアメリカ、フランスから護衛の連絡がありましたので、その旨承知いたしておりました。
  81. 小川仁一

    小川仁一君 なぜ早く言わないんだ、こんなことを。これはあなたの方から正式に来た文書ですからね、これは「おぼしき船影が見え、」と、こうなっている。だめだ、これは。  次に聞きますが、この船に武装護衛隊が乗っておったというが、海上保安庁の方が四人乗っていると聞いているが、どういう武装をしてどういう仕事をしたんですか。
  82. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) 海上保安庁といたしましては、科学技術庁からこの警備の御協力依頼を受けまして、それに基づきまして保安官を警乗させております。この場合に、保安官を四名警乗させたわけでございまして、武装した保安官を警乗させたわけでございますが、武装の程度につきましては、今後の業務の遂行上問題がございますので、公表を差し控えさせていただきたいと存じます。
  83. 小川仁一

    小川仁一君 海上保安庁が武装する最高限度はどこまでですか。
  84. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) 海上保安庁の巡視船艇といたしましては、機関砲等を装備しておりますけれども、個人的な海上保安官がいたします武装の程度といたしましては、自動小銃とけん銃でございます。
  85. 小川仁一

    小川仁一君 初めからわかっているんじゃないか。  そこで、今度は航空輸送の問題に入りますが、航空輸送をするとすれば、今のようにアメリカのあるいはフランスの航空機とおぼしきものかどうかは別として、当然ついてくる可能性があるわけだ。それで、今度逆に日本にこれが着く場合に は、当然その飛行場の条件があると思うんです。まず第一は滑走路、第二は覚書による警備の諸条件、第三は再処理工場施設の近く、こういったような条件があると思うが、これに該当する飛行場日本国内で現在のところございますか。
  86. 松井隆

    政府委員松井隆君) プルトニウム輸送国内着陸空港のお話でございますけれども、今後私ども関係者、関係省庁が協力して検討をしていくということになるわけでございます。  それで、着陸空港の条件も先生今御指摘がございますけれども、現時点においての私ども料技庁の立場ということで、一般的にこういうことを考えたらどうかと留意していることがございます。  それを申し上げますと、まずプルトニウム航空輸送に使用される飛行場につきましては、新しい今度の日米実施取り決め附属書五において、「盗取又は妨害行為から守るため、警察を含む関係当局の協力を得て又は他の武装要員を使つて航空機への接近を制限することにより、実現可能な最大限度において、航空機の隔離が確保される。」ということになってございます。したがって、国内着陸空港としては、こういった核物質防護措置を十分講じる可能性があるものであるということが一つの要件になろうかと思っております。  それから二番目としては、プルトニウムの航空輸送は積載量との関係でまだ未定でございますけれども、やはり安全に収納して持ってくるということになりますものですから、ある程度の積載重量になるというふうに考えられます。したがって、輸送距離も非常に長時間になるわけでございまして、使用する飛行機は恐らく大型貨物機になるだろうというふうに考えます。したがって、それに必要なやはり長い滑走路が必要になるというふうに考えられます。それから、かつまたそういった大型貨物機が安全に離着陸し得る管制通信施設が備えられていると、そんなようなことがまず頭に浮かぶわけでございます。そういった意味合いでの、私どもは、これはもちろん先ほど申しましたようにこれから関係省庁と連絡して決めていかなくちゃならない問題ございますけれども、そういうものを前提としまして、うちとしてはそんなことはどうかというふうに留意しているわけでございます。  それで、例えば大型航空機が着陸可能な三千メーターの滑走路というふうに考えますと、そういった民間空港、これは現在国内にも相当あるというふうに聞いておりますけれども、先ほど申しましたように、プルトニウム輸送国内離着陸ができるということ、十分な核物質防護措置を講じることが必要である等々のいろんな条件があるわけでございまして、今後整備される空港も含めて総合的な観点から検討していくということになるというふうに思っておりまして、現段階において条件を満たすのが幾つというふうにはちょっと一概に申し上げられないということでございます。
  87. 小川仁一

    小川仁一君 民間航空機とおっしゃいましたね、民間飛行場とおっしゃいましたね。
  88. 松井隆

    政府委員松井隆君) まあ一般的にはやはり民間航空機をお願いして、それでもって運んでいただくということかなというふうに思っております。また、着陸空港につきましても、これからのいろいろと検討しなくちゃいけない問題があるとしても、現在は民間空港ということを考えるのが至当であろうというふうに考えております。
  89. 小川仁一

    小川仁一君 三沢空港はあれは民間空港ですか、どうですか。これ防衛庁にお聞きします。
  90. 長谷川宏

    政府委員(長谷川宏君) お答えいたします。  三沢飛行場は米軍の飛行場でございます。
  91. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると科学技術庁、三沢は対象外でございますね。
  92. 松井隆

    政府委員松井隆君) 先ほど申しましたように、私どもまだ私どもだけで一応考えている話でございまして、今後やっぱり関係省庁等も含めて相談しなくちゃいけないという前提で申し上げているわけでございますけれども、そういった空港問題については今後いろいろと過程で検討していくわけでございまして、三沢空港が確かに現在、今お話しのとおり軍用の空港でございますけれども、もちろんいろんな検討の過程で出てくる話でございますけれども、そういうことも一つの検討の可能性に入るかもしれないということはあり得るのではないだろうかというふうに思っております。
  93. 小川仁一

    小川仁一君 米軍基地にまで着陸可能性があるとすれば、これはどういう交渉が今後行われる可能性があるんですか。これは外務省からお聞きしたい。
  94. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 今まで政府側から答弁してまいりましたように、どのような形でこれが固まっていくか、まだわからない状況でございますので、将来の話でございますので、今の段階ではお答えできません。
  95. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、米軍基地も対象に入るということについては確認しますか。
  96. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 理論的可能性の問題といたしましては排除されないと考えております。
  97. 小川仁一

    小川仁一君 理論的可能性としては米軍基地は入らないという外務省のお話を……(「反対だ、反対だ」と呼ぶ者あり)入るのか。じゃ、もう一遍。
  98. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 理論的な、あるいは可能性としては使用されるということも排除されないということでございます。排除されない。
  99. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると三沢が対象になると。  三沢問題についてちょっと聞きますが、三沢にある米軍、自衛隊の機数、どれくらいありますか。
  100. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) F16型が約五十機。それからP3Cが一個飛行隊、これが六機から十二機ぐらいと推定されております。
  101. 小川仁一

    小川仁一君 自衛隊の方は。
  102. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 三沢にはF1の支援戦闘機部隊というのが二個飛行隊、約四十機でございますが、これを主力にして、そのほかに早期警戒機等の航空機がおります。約五十機というふうにお考えいただきたいと思います。
  103. 小川仁一

    小川仁一君 米軍機が三沢の空港の離着陸に当たっては、三沢進入管制区の管制を受けていると考えていいですか。
  104. 長谷川宏

    政府委員(長谷川宏君) そのとおりでございます。
  105. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、米軍機の離着陸の回数、民間機並びに自衛隊機の離着陸回数を御説明願いたい。
  106. 長谷川宏

    政府委員(長谷川宏君) お答えいたします。  六十二年、昨年の一年間の三沢飛行場におきます離発着の管制回数は総計で三万八千五百回でありまして、そのうち米軍は一万四千七百回。それから自衛隊機は二万回、二万二百回と申すべきでしょうか。それから民間機等は三千六百回余りであります。
  107. 小川仁一

    小川仁一君 そうなりますと、三沢の飛行場の大変な離着陸回数。同時に、この付近に非常に大きな自衛隊や米軍機の事故が起きていますが、事故の状況を説明願いたいと思います。
  108. 長谷川宏

    政府委員(長谷川宏君) 三沢空港周辺におきます、まず自衛隊機に係る墜落事故のことを御説明いたしますと、過去十年間で四件発生しております。五十五年の八月に上北郡上北町にF1が墜落いたしました。それから昨年になりましてから三件ありまして、一件は昨年の四月、三沢飛行場の東方海上におきましてF1が墜落いたしました。七月には、十和田市等におきましてヘリコプターの墜落事故、OH6Dというヘリコプターの衝突墜落事故がございました。六十二年の十一月には、三沢飛行場東方海上におきましてF1が墜落したという事故があります。  以上の四件でありますが、六カ所村付近ではございません。
  109. 小川仁一

    小川仁一君 三沢飛行場に仮に特別輸送機が入ってくるとすれば、あそこには自衛隊の演習空域とか幾つもありますが、そういう航空路並びに演習空域とのかかわりにおいて、演習空域を横切らない、あるいは横断をしないで入ってくる可能性があるかどうか。したがって、航空路等そういう可能性について、これは運輸省の方だと思います が、お願いします。
  110. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 輸送計画自体まだ決まっておりませんのであくまで一般論でございますけれども、北回りのルートから日本飛行する場合、通常ノパックと呼ばれるルートを通ってくると思われます。そして、我が国の東方海上から仮に三沢とした場合に、三沢の飛行場に入るわけでございますが、その場合のルートといたしましてはいろんなルートが考えられます。  確かに三沢の飛行場の東方海域には自衛隊の訓練空域がございますけれども、その訓練空域を通らないルートの設定も可能でございますし、それから訓練空域が仮にホットでない場合には訓練空域を横切る、あるいは訓練空域が使われている場合、これについては管制機関と訓練管理機関との間の調整を十分行った上で、必要なセパレーションをとりましてルートを設定するということも可能でございます。  いずれにいたしましても、この飛行につきましては、当然いわゆるIFR飛行、計器飛行方式でございますので、航空交通管制の指示のもとに必要なセパレーションをとって、必要な経路を管制の指示のもとに飛ぶということでございます。
  111. 小川仁一

    小川仁一君 この前説明に来た人は、演習空域を横断しないと、こういうふうに運輸省関係は説明したんですが、すると横断して入ってくる場合もあるんですか。
  112. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 具体的な飛行につきまして、そのときの航空交通全体の状況によりまして適切なルートを選定するわけでございまして、先ほど申しましたように、訓練空域を通らない、横切らないルートの設定も可能でございますし、それから訓練空域を横切るという場合も航空交通の状況によりましてはあり得るということでございます。
  113. 小川仁一

    小川仁一君 北米航路から三沢に入るのに訓練空域を通らないで入るコースというのは、この図を見るとどうしても考えられませんが、説明してください。
  114. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先生のお手持ちの航空路でございますが、この図面で三沢の東方海上に訓練空域は設定してございます。それの北側を通って訓練空域を避けて入ってくるルートも設定可能でございますし、さらに南側を通って入ってくることも可能である、そういうルートの設定はそのときの航空交通の状況によって適時適切なルートを選定していくということでございます。
  115. 小川仁一

    小川仁一君 図で説明してもらわなきゃわかりませんけれども、北側も南側もと言ったってあいているところはないですよ、あいている場所がないですよ。全部訓練空域に入っている。
  116. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 三沢の場合に、通常訓練空域を避けてルートを設定しようとする場合には、恐らく北側のルートになろうかと思います。訓練空域の北側を通って三沢に入ってくる、こういうルートが一つ考えられるかと思います。
  117. 小川仁一

    小川仁一君 いろいろ、説明した人とここで説明する人が食い違うから必要以上に時間がかかって困るのですがね。今後は、部屋に説明しに来る人とここで答弁する人と、同じ答えを出してください。  それから、こういう状況ですと、とてもじゃないけれども、航空事故があり、それから空路の福題があり、しかも米軍基地と、こういう状況の中で、先ほど民間機を第一原則にするというふうな科学技術庁の話もありましたから、三沢は一応対象外と考えてよろしゅうございますか。
  118. 松井隆

    政府委員松井隆君) 現時点においては、国内の特定の空港を取り上げ、そこがこの条件に適しているか否かということの評価を行うことは差し控えさしていただきたいというふうに思います。
  119. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、それはまた後でやることにして、三沢はお断りいたします。  それで、さっきの原子力の軍事研究問題、「我が国における自主防衛とその潜在能力について」、こういうリーフがございますね、防衛庁さん。これと研究とのかかわりを聞きますと、これはないというのにこういうのがあるということで、また押し問答になりますから、ちょっとこれは理事会でこれとのかかわりを扱っていただいて、これはこれとして処理する状況をつくっていただけませんか。――「我が国における自主防衛とその潜在能力について」ということで「ウラン原爆…高濃縮ウラン生産について」、こういったようなことを研究している資料があるんです。防衛庁は一切やっていないと言うけれども、食い違うので、この食い違いをはっきりしていただいてこれを、答弁で訂正するならそれで結構です、そうでなければこの問題についての矛盾点というものがありますので、これ以上この問題は進みませんので、まず防衛庁、明確に答弁をしてください。
  120. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 繰り返すようでありますが、防衛庁として技術研究本部で研究をいたしておる内容というのは、先ほど申し上げたように、核実験等が行われる、その際にちりが飛んでまいります。それを集じんする任務を自衛隊は持っておりまして、その集じん機を開発し、集じんをする、そしてその結果を分析する、そういったことは一つやられております。  さらには、自衛隊が保持いたします線量計、これは放射線の容量がある限界を超える、あるいは蓄積されてどのくらいになるかという、そういう線量計等の開発をいたしておりますが、それらのための研究を行っておるということでございまして、御質問のその資料について私よく存じませんが、恐らく防衛庁なりあるいは国防会議事務局なりの委託研究の資料ではないかと思いますが、防衛庁でそういう生産についての研究をしていないということは、私の先ほど来答弁しているとおりであり、過去の答弁とも食い違っておるとは思っておりません。
  121. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、その問題は後でやることにして、質問を変えます。  昨年来の地価高騰、金融機関の無節操な経営と、また本年に入ってからの地価の高値安定、こういう問題で、金融機関がある場合は無節操な融資、ある場合は買い支え、こういったような大きな影響力を持っております、持っておると国民が言っておりますが、奥野長官の見解をお聞きしたい。
  122. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 地価が高騰を始めました基本は、やはり東京が世界の金融センターになって、世界の企業が東京を目がけてオフィス床を求めてまいったということだったと思います。その後いろんな条件が重なっておりますけれども、御指摘の金余り現象、その結果融資先を金融機関が求める、自然、土地に目をつける、その姿勢が従来よりもはるかに緩やかになってきた、そういうことが土地高騰に拍車をかけてきたことは間違いないと思います。
  123. 小川仁一

    小川仁一君 大蔵省では、今言ったような金融機関の責任を追及して、土地関連融資の厳正化を図るために銀行を集めて指導をなさいましたが、その指導の内容と銀行名をお知らせ願いたい。
  124. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 今お話がございましたように、地価が高騰してまいりましたので、六十一年四月及び十二月にまず通達を発出いたしまして、投機的な土地取引に係る融資の自粛を求めました。それからさらに、昨年十月でございますが、緊急土地対策要綱等を受けまして改めて通達を発出いたしまして、不適正な融資を排除するために次のような基準をきちっと守ってくれということで、国土法上の不勧告通知の確認とか、融資対象土地に関する利用計画の内容の十分な確認とか、そういうことを金融機関に示しました。それからさらに、特別ヒアリングというのを実施しておりまして、個々の金融機関に不適正なそのような融資をしていないかどうか、さらにそれを是正させる指導、さらに今後そういうことが起こらないような体制を組むために、審査、管理等につきましての内部体制の確立を強く求めたわけでございます。  そういう結果といたしまして、これまでに百二十程度の金融機関に対して特別ヒアリングを実施し、今申し上げたような措置をとったわけでございます。
  125. 小川仁一

    小川仁一君 その銀行の数と、それからこの土地問題で報道された金融機関名、いっぱいありますな、第一相銀からいろいろ。これとの相関関係。一緒ですか、それとも指導した部分にこれは全部含まれていますか。名前を読みますと、第一相銀、三和信用、三井銀行、日本生命、協同住宅ローン、中央信託、三菱信託、日本信託、住友信託、太陽神戸銀行、これらが新聞に報道された金融機関ですが、それ全部この指導の中へ入っていますか。
  126. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 今お話がございました金融機関は対象に入っていると理解しております。
  127. 小川仁一

    小川仁一君 今申し上げた機関の中で、大蔵省から天下りをして役員をしている銀行名と役職員の数を言ってください。
  128. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 先ほど申し上げました特別ヒアリングの対象となっている銀行数は全部で七十三行ございます。それらの金融機関に大蔵省出身者が在職しているわけでございますが、その数は約四十名ということでございます。
  129. 小川仁一

    小川仁一君 銀行名をさっき読み上げましたが、例えば太陽神戸銀行は大蔵省から会長、頭取、相談役と三人行っていますが、こういう形で天下り状況をさっきの銀行について御説明願いたい、こういうわけです。
  130. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 今具体的に資料を持っておりませんので、後ほどその点につきましては御答弁申し上げます。
  131. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、大蔵省から民間金融機関へ天下りをした銀行名と数、五十七年から六十一年まで御報告願いたい。
  132. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 過去十年間に大蔵省から人事院の承認を得まして金融機関等に就職しております者は、常務以上で十四名ございます。具体的に一つ一つ申し上げましょうか。
  133. 小川仁一

    小川仁一君 いや、ここにある資料によりますと、大蔵省が人事院の承認を求めた総件数、各年度別によると、五十七年五十二人、五十八年五十一人、五十九年五十五人、六十年六十人、六十一年五十四人となっていますが、余りに数字が違い過ぎますが、どうですか。
  134. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 人事院からの資料は過去五年間でございますが、私が先ほど申し上げましたのは常務以上でございまして、信用金庫その他、あるいは信用組合とか中小金融機関も含んだ数字と存じます。
  135. 小川仁一

    小川仁一君 大蔵省から金融機関に就職した一覧表をいただいておりますが、五年間で百三十三人、これは取締役以上ですね、相談役も含みます。これ、どう思いますか、大臣、ちょっと多過ぎやしませんか。
  136. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは御承知のように、人事院の許しを受けなければ一定の期間には就職ができないわけでございますから、片っ方で一人一人の職業を選ぶ自由というものがあり、それは公務員でありましたがゆえに一定の条件を、制約を受けておるわけでございますから、それで人事院の許しを受けるということになりましたら、そのこと自身は法律的には問題のないところでございます。また、ある意味で金融機関の側で専門的な知識、経験を活用したいということもしばしばあることでございますから、問題は、大蔵省がいわば監督官庁として幾らか無理をして自分のところの人間をはめ込んだというようなことになれば、これはなかなか世間ではそういうことは申しませんけれども、そういう実情を含むような人事はやってはいけないのだと思います。
  137. 小川仁一

    小川仁一君 公表されたものは人事院の承認。ところが、二年たったら人事院の承認なしに再就職できる。あるいは一遍ここへ行ってから隣りにも行ける。  岩手県を見ても、大蔵省出身の方は四行のうち何行おられるかあえては言いませんが、大変な数の大蔵省出身者が、信用金庫に至るまで会長とか専務とかなんかをやっておられますよ。私は法律論を言っていない。多過ぎやしませんかという一般的常識論でお伺いしているだけなんですが、どうですか。
  138. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ですから問題は、求められて就職をする、真実そうであれば法律上問題が、人事院との関連がなければそれでよろしいのだと思いますけれども、時として、求められたということではありながら幾らか現実にはいろいろ工作をしたのではないかというようなことを言われたりすることがたまにございますね。やっぱりそれは、私は避けなければいけないのだろうと思います。
  139. 小川仁一

    小川仁一君 たまじゃなくて、就職のお世話をしているようですね、見てみますと。大蔵省が金融機関に対して現在でも影響力を持っています。さらに人間をどんどんどんどん会長とか頭取とか、社長とか専務とかというふうにやって、そして大蔵省の人脈で日本の経済を振り回そうとしている、そういう意図があるんじゃないですか。
  140. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) もとよりそういう意図もございませんし、こういう世の中になりますと、考えましてもそういうことはできることではございません。
  141. 小川仁一

    小川仁一君 それにしても大変な数ですね。そしてさっき申し上げましたが、土地絡みで報道された金融機関のほとんどが大蔵省から専務、監査役、理事、頭取、会長、顧問、こういう人が全部行っているんですよ。金融機関の責任というのが土地投機の問題で非常に大きく批判されているときに、大蔵省から行っている人がこういう会社におられるということにどういう御感想をお持ちですか。
  142. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そこのところは先ほど申し上げたかったところでございますけれども、一昨年、殊に昨年の夏からは随分立ち入りまして銀行から特別ヒアリングをいたしました。これは、これによってこれ以上の土地の不必要なあるいは不当な騰貴を防ぐ必要があると考えたからでございますけれども、このヒアリングを随分いたしましたが、それを受けた金融機関が不正をやっておったと、こういう意味ではございませんので、その点はどうぞ誤解のないようにお願いをいたします。随分広い範囲でいたしました。ヒアリングを受けなかった金融機関というのはほとんどないぐらいにいたしましたのですが、それはそういうところに何か不正や不当があったということではございませんので、大蔵省から確かにあちこちに人は行っておりますけれども、その二つのことはひとつ分けてお考えをお願いいたしたいと思います。
  143. 小川仁一

    小川仁一君 庶民感覚はなかなかそういかない面があるということだけは御承知ください。  この前、土地対策特別委員会で、第一相銀の社長の責任問題を私言いましたが、その後大蔵省は何か経営刷新の御指導をなさるようですが、そうですか。
  144. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) これまでも個別の金融機関の具体的な指導内容その他につきましてはコメントすることを差し控えさせていただいておりますけれども一般論として申し上げました場合には、金融機関の公共性にかんがみまして各金融機関は法令、通達に沿って適切な業務運営を行うべきことは当然のことでございます。また、金融機関といたしまして信用を失墜するようなことがあってはならないこともそのとおりでございます。したがいまして、大蔵省としてはこのような考え方に立ちまして個別、具体的事例に応じまして適切な指導、対応を行ってきたわけでございますし、今後ともそのように対処してまいりたいと考えております。
  145. 小川仁一

    小川仁一君 あそこは専務は大蔵省のOBですね。これに対してはどういう指導をなさいますか。
  146. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 現在、もと大蔵省におりました者が一人役員で行っております。ただ、具体的な問題につきましては、先ほども申し上げましたように、答弁することは御容赦いただきたいと思います。
  147. 小川仁一

    小川仁一君 大蔵省から行った人が専務で、社長は首で大蔵省は残るなんということはないと思 いますが、経営刷新に名をかりてまた大蔵省から第一相銀に人を送り込むことはありませんね。
  148. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま銀行局長が申し上げましたとおり、個々の金融機関についてのことをただいま申し上げる立場にございません。
  149. 小川仁一

    小川仁一君 いや、私が聞いているのは、また大蔵省から社長に送り込むような策動とか意図はないなということなんです。
  150. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 仮定の問題でございますからお答えできません。策動というようなものはもとより聞いておりません。
  151. 小川仁一

    小川仁一君 別に大蔵省の方が悪いということを言っているんじゃなくて、優秀なんですよ、官僚の方だってみんな優秀なんです。数の中には妙なことをする元事務次官もありましたけれども、それは別として、それは国民のために役に立つことはいいが、しかしやっぱり庶民から、あ、またやった、あそこも大蔵省が頭取か専務かと、こう言われるようなやり方でおやりにならない方が非常にいいかと思うし、また、今みたいに事件が起こっている銀行に、今度は社長に経営指導をやったと言った後に大蔵省を入れるというふうなやり方というのは大変まずいじゃないか。私は大蔵省の皆さんがまずいことをするとか悪いことをするとかということを前提に申し上げているんじゃなくて、タイミングと時期の問題でお考えを願いたい、こう申し上げているんです。  続いて、今度は人事院にお聞きしますが、時間もなくなってまいりましたが、人事院、ことしも春闘が始まりました。公務員の賃金、そろそろ考える時期でございますが、ことしも勧告をなさいますか。
  152. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 御存じのように、人事院の場合は民間給与の水準に準拠していくと。したがって、現在の春闘がどういうふうな結果に終わるか、それもよく注視いたしておりますし、また実情もよく調べるということはもう御存じのとおりでございます。その結果によりましてもし較差が出るならばそれを埋め合わせていくということが在来、また今後も人事院の考えておる考え方でございますから、その結果によりまして必要がある場合は当然に勧告という問題も出てくると思います。
  153. 小川仁一

    小川仁一君 ここ二年ほど人事院の勧告が完全実施されていますが、昭和五十六年から昭和六十年までの間いわゆる完全実施が見送りになりまして、公務員の年収差額が大体一人平均六十二万円ぐらい、これは行(一)、行(二)を合わせてですね、これぐらいの実損をこうむっているわけです。こういったようなことは人事院勧告の際に十分配慮の中に入ると思いますが、いかがですか。
  154. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 人事院の給与勧告というのは、御承知のように国会と内閣に対して行っております。その行った結果、国会ではいろいろな方の意見を聞き、いろいろな立場をお考えになりまして御決定いただいたということでございます。先生がおっしゃいますように、差額が出たというのは私たちは非常に残念に思いますけれども、国権の最高機関でお決めになったことについて人事院が改めて異なったことを申し上げるということは今の人事院としてはやはりできないだろうというふうに考えざるを得ないと思います。
  155. 小川仁一

    小川仁一君 違った意見を言えと言っているんじゃないですよ。配慮をするかどうかと聞いているんですよ、こういうふうに損害を受けているんだから。その配慮は一切しないということですか。
  156. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 国会でお決めになったことにつきましては、私たちはそれをそのまま尊重して、配慮をするということをやはり加える余地はないだろうというふうに思います。
  157. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、今度は政府の方へ伺いますが、政府の方は、不完全実施のために行(一)、行(二)の職員一人平均六十二万二千円、特に管理職の方がひどかったと思うんですが、こういう損失を受けているが、そういうことは政府は今後配慮しますかということが一つ。それから、人事院の勧告が出たらそれは完全に実施なさいますかということが二つ目。それから、今までは実施が十二月になりましたが、あれじゃ遅過ぎますから、少なくとも勧告が出たら一カ月ないし二カ月以内に実施をするということ。この三つについてのお考えを伺いたい。
  158. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 事務的にお答えする点、私の方から申し述べたいと思います。  先生おっしゃいましたように、確かに五十七年給与勧告の凍結といったようなこともございました。その辺が後どうなのかという点につきましては、基本的に今の仕組みは四月段階での官と民の水準をそろえるということでやっております。その一年のうちにはいろいろ変動もございましょうが、それを個々に合わせるということではございませんで、水準を合わせるということでやっているものですから、途中苦労もいたしましたが、現在は水準は合っているというふうに理解しておりますので、途中いろいろあったものをどうこうするというのはやはり今のシステムでは多少数字が違ってくるかというふうに考えております。  それから勧告に対する姿勢の問題は、これは大臣から御答弁いただくのがよろしいかと思います。  あと、なるべく早く決定ということは、これは私どもの立場でも必要だとは思っております。ただ、人事院勧告の処理に当たりましても、週休二日制もそうですが、やはり国民の理解を得ながら決めていかなければいけないという点がございます。そういう意味では、閣内それぞれの立場がございますので、給与関係閣僚会議で慎重な御討議をいただいて、その中でなるべく早い決定をいただくように我々努力しているところでございます。
  159. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) ただいま政府委員から申し上げたところでございますが、給与担当大臣結いたしまして、労働基本権制約の代償である人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って対処してまいる所存でございまして、来年度におきましても、勧告が出されれば、その段階で国政全般との関連を考慮しつつ勧告の完全実施に向けまして最大限の努力を尽くしてまいりたいと存じますし、また関係閣僚会議等の御検討もいただきながらできるだけ早期に実施するべく努力いたしたいと存じます。
  160. 小川仁一

    小川仁一君 大蔵大臣、これは景気のいい時代でございます。税の増収もある時代でございます。よもや、今長官が完全実施しようというものに対して大蔵省の方からそれは無理だなどという御意見はないと思いますが、いかがでございましょうか。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは現実に勧告の出ました段階で考えるべきことでございますし、出ますれば、関係閣僚会議を開きまして取り扱いを決定すべきものでございますが、私も人事院制度の持ちます大切な意義はよく存じております。
  162. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 以上で小川仁一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  163. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 次に、岩上二郎君の質疑を行います。岩上二郎君。
  164. 岩上二郎

    岩上二郎君 まずもって冒頭に、昨年十二月の臨時国会でかねて念願でありました公文書館法が議員立法として各党各会派それぞれ全会一致で衆参国会において可決決定を見ましたことにつきまして、岩上の執念まかり通るなどと言われておりますけれども、やはり歴史資料の重要性というものは民族の消長にかかわるものであるという認識に立ったからでありまして、おくればせながら政府各省並びに各党各会派にこの際改めてお礼を申し上げますと同時に、あわせてこの法案作成に当たりまして参議院の法制局、並びに担当省庁として総理府がお引き受けいただきましたことを、この機会に改めて厚くお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。  歴史資料の重要性にかんがみまして、既にユネスコ加盟国百十七カ国におきましては、博物館、図書館、並んで文書館によりまして、公文書、私文書あるいは古文書、民間文書を問わず調査研 究、保存に力を入れておりますが、日本は遺憾ながらまだ法律もでき得なかったような状態で、たびたびユネスコからの勧告も受け、さらに学術会議の勧告もあってようやく国立公文書館の誕生を見たわけでございますが、現在のところ各都道府県では十六、市町村においてはわずかに八カ所ぐらいでございまして、おくればせながら今回の法律の制定につきましては、文化行政を進める上において極めて画期的なものであると、このように認識しております。  しかしながら、スタートしたばかりでございまして、イロハから準備をしていかなければなりません。このことも、諸外国と違った文化類型を持っている日本として、歴史的な重要な性格というものについてその認識が極めて低いというところで、これから進めていく上においてなかなか容易ではないと、このように思いますので、各省に対してそれぞれ問題点を指摘しまして、逐次各省の取り組み方をただしていきたいと思いますが、時間も非常に制約をされておりますので二、三の省にとどめておきたいと思います。  まず総理府関係でございますが、国立公文書館において各省庁から今まで受け入れられた公文書等の状況を見ると、協力体制が極めてばらばらでございます。公文書館法施行に当たりまして、所管省庁としての対処方針を承りたいと思います。
  165. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) 先生の御質問、公文書館におきまして各省庁から受け入れております公文書等の実情についての御質問と理解いたしますが、現在各省庁との申し合わせによりまして、関係省庁におきます永年保存文書、これを中心といたしまして歴史資料として重要な公文書等を計画的に受け入れているのが現状でございます。国立公文書館が開館いたしましたのは昭和四十六年でございますが、その開館以来年間平均しまして大体二万七千冊を受け入れておりまして、ことしの三月十五日現在、その総数では約四十三万冊、一冊を四センチ換算いたしておりますが、約四十三万冊を受け入れているのが現状でございます。さらに、従来から内閣文庫の管理しておりました古文書あるいは古書等につきましても保存いたしておりまして、実数で約五十四万冊を整理保存している状況でございます。  今後とも各省庁の協力を得ながら、この法律が制定されたことを契機として、より一層充実させてまいりたいというふうに考えております。
  166. 岩上二郎

    岩上二郎君 現在の収蔵の実績につきましては、書架にして約四十キロぐらいというふうに承っておりますが、イギリスにおいては二千四百キロ、アメリカにおいては四千八百キロと段違いの収蔵実績であります。法律施行に伴いましてさらにマイクロ化あるいは磁気テープ等それぞれ活用の道もあるだろうと思いますが、今後の充実計画、増員も必要であろうかと思いますが、御意見をいただきたいと思います。
  167. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) 先ほど先生指摘のとおり、公文書館法成立を見ましたのは昨年の十二月でございまして、私ども、法律の制定をきっかけといたしまして今後、より一層の公文書館の充実を図り、諸外国、特に先進諸国に匹敵するような、いわば文化国家の位置づけである公文書館に将来持っていきたいというふうに考えておるわけでございまして、まだ具体的にどういうプロセスで充実を図っていくかということにつきましては、もう少々時間をいただきたいというふうに考えております。
  168. 岩上二郎

    岩上二郎君 聞くところによりますと、現在日本の重要文書が外国の公文書館等におさめられている、このように承っております。例えばオランダにおいては山田長政の事績、あるいはまた占領下にあって内務省時代の大半の資料が消失あるいは散逸をしている。しかもまたその一部重要な資料はアメリカの公文書館等におさめられ、研究者は非常に不便を感じている、このような話も承っております。この際、円高あるいはドル安の関係もございますので、それぞれ外国と交渉をされて買い求められてはどうだろうか、このように思いますが、いかがなものでしょうか。
  169. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) 先生、諸外国の公文書館に我が国の資料がおさめられているという御指摘でございますが、まことに私ども不勉強で恐縮でございますが、その状況をまだ承知しておりませんので、一つの問題提起という観点から今後勉強を続けさせていただきたいというふうに考えております。
  170. 岩上二郎

    岩上二郎君 公文書館法に「公文書等」と、こう書いてありますが、これは公文書、私文書、古文書も含まれるものと理解しておりますが、改めて確認をしたいと思います。
  171. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) おっしゃるとおり、公文書館法第二条におきまして定義されて「「公文書等」とは、国又は地方公共団体が保管する公文書その他の記録(現用のものを除く。)をいう。」というふうになっておりまして、「その他の記録」の中にはおっしゃるとおり私文書、古文書等も含まれるものと理解しております。
  172. 岩上二郎

    岩上二郎君 公文書館の文書の取り扱いにつきましては、主として現用文書を除くというふうになっております。今回の公文書館法では、歴史資料は情報活動の源泉である、したがって永久に保存しなければならない。これはまさしく、民族共有の財産であり遺産であるという認識の上に立ったからであろうと思います。  しかし、行政資料は、時にはその資料が殊さら掩ぺいをされるか、あるいは単なる思惑やあるいは感覚的な情報によって世論がつくられることもあり得るわけでございます。特に行政資料そのものは、為政者の権力構造と結びつきやすいところから、そういう問題が出てくるであろうと思います。  例えば幕末時代に水戸の徳川斉昭、九代の藩主でございますが、尊皇攘夷の急先鋒のように言われておりますが、水戸史料の「出交易論」という本によれば、唯一の開港論者であった。たまたま井伊大老との開港あるいは攘夷の路線上の相違からこのように扱われているように思われますし、また最近NHKに公開されました匂坂首席検察官の書籍の公開に見られますように、今日の情報化社会におきましてはますます公正な妥当な行政資料の保存、公開が重要となってまいります。その意味でも情報公開との絡みをどう整理するか、今後の課題であろうと思いますが、所見を伺っておきたいと思います。
  173. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) 公文書館法は、歴史資料として重要な公文書等の保存、利用という観点から立法されたものでございますので、その公開する公文書等はあくまで非現用のものを前提としているわけでございますので、したがいまして、いわゆる情報公開とは異なるものであるというふうに理解しているところでございます。
  174. 岩上二郎

    岩上二郎君 次に、文部省に対して御質問をしたいと思います。  文部省の予算に占める文化庁の予算というものは年々増加しつつはございますが、国際文化交流の段階を迎えた今日におきましてはまだまだ極めて不足でございますので、予算の枠組み、あるいはその手順というものを変える必要がありはしないであろうか、このように感じております。特にこの際、文化財保護財団の設置等も一応考慮されてはどうであろうかと思いますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  175. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 御指摘いただきましたように、文化に対する関心も大変高まっております。今まで経済第一主義とまでは申しませんが、各地方におきましても文化都市、文化県を標榜するところが非常に多くなっておるということは、国民全体の文化に対する関心の高まりの一つのあらわれというふうに考えることができると思います。そういう中で文化予算が特に必要でございますが、そういう中で文化庁も私どもも懸命にその点では努力をいたしております。国の一般歳出が一・二%の伸びでございますが、文化予算は四%の伸びを計上さしていただいておるわけでありますが、何分絶対額といたしましては三百七十八億円でございます。  先進諸外国と比べて決して胸を張れる額ではご ざいませんが、昭和六十三年度はこの計上されました額で賄うといたしましても、今後先生方の御鞭撻を得まして、文化を高める、これは、今までの史跡保存もございますし、新しい文化の創造もございますし、政策の一貫性というものが特に必要とされる分野でございますから、一層心して頑張ってまいりたいと思っております。
  176. 岩上二郎

    岩上二郎君 最近、考古学上の立場から埋蔵文化財の対応が、予算あるいはそれぞれの組織の対応等において、国際的に見れば五流国家である、このように言われております。この際、指導機関として考古学博物館の設置も緊要と思われますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  177. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 特に考古学、「故きを温ねて」というわけではございませんが、考古学に対します関心も強まっておりまして、私のところでも各地区から考古学博物館の設置要望というものを伺っておるわけでございます。  ただ、現存いたします中で、共同利用機関としての歴史博物館、この中にも考古学部門がございますし、国立博物館の中にも考古学分野がございまして、そういう面をどのように整合性をもって見ていくか、これが一つの課題でもございます。それからまた一つには、共同利用機関という形、あるいは、考古学の遺産は国民共有の資産であるという面から見ますと、いろいろな民間の方々のお力もこれに入れていくことができるかどうか、そういうことを含めまして、検討には十分値するものでございますけれども、国立で考古学博物館を新たにつくるという点につきましてはなかなか難しい面もございまして、いい御返事ができないのは残念でございますが、いろいろな面で検討はいたしてまいりたいと思っておりますし、この点につきまして具体的にどのようなことの要望があり、どのように進めるあれがあるかということにつきまして、技術的なことにもし御質問があれば、政府委員からお答えさせたいと思います。
  178. 岩上二郎

    岩上二郎君 考古学博物館は、それぞれ従来できております博物館との並び、あるいは民俗資料館との並びの中で、ともすれば消えていくような、そういう場にある。したがって、改めてここで考古学博物館という柱を立ててもらいたいということが、それぞれ、我々強く陳情を受けている立場に立って聞いておりますと理解できるものでございますので、その点は十分に御検討おきいただきたいと思います。  次に、この公文書館法ができました際に、歴史資料の充実ということのために文化行政の中では中心的な役割をこれから担っていただきたいものと、このように考えるわけでございます。そのためにどうすればいいのかということでございますが、外国と違いまして日本では歴史的な重要な資料を識別する感覚というのが何かゼロでございまして、専門職員がいないのが日本の実態でございます。この際、諸外国で実施をされておりまするように、大学院修士課程レベルの高等教育のための新たな公文書館学とかあるいはこの研究機関というものが設けられてしかるべきであると思いますので、この際、文部省が中心となりまして、総理府それから国立公文書館、自治省ともお互いに連係プレーをされまして、その主体的な役割を文部省として担っていただけないかどうか。これは極めて大事な問題でございますので、その点の御決意をいただきたいものと思います。  いかがでしょうか。
  179. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 基本的なことからお答えいたしますが、まず、公文書館法が昨年十二月十五日、岩上委員初め与野党の先生方の御高配によりまして制定されましたことは大変好ましいことだと思いますし、また、公文書に対します関心も高まっております。  その中で、専門職員、これはまさにそういう公文書の収集、保管、分類、こういう面で専門官がぜひ必要だという点では、大学等におきましても、あるいはまたその専門的な教習施設というものもつくっていかなきゃならぬのだろう、こう思っておりまして、先生の御指摘の点につきましては、各省庁と連携を保ちましてこの専門職員の育成に早急にとりかかりたい、こう思っておりますが、何分にも現在、その専門家と称する方々が何か非常に少ないのだそうでございまして、その専門家をまず育てるということに最大の目標を置かなければならぬというようなことのようでございますので、非常に緊急を要することのようでございますが、もしあれでございましたら、その点は政府委員からお答えすることにいたしまして、決意といたしましては、ぜひ各省庁と相談しながら進めたいと思います。
  180. 岩上二郎

    岩上二郎君 大臣の御認識、全く感銘を受ける次第でございますが、この公文書館法ができた際に、当然に収集能力も必要でございますが、同時にそれを破棄しなければならない、収集と破棄という、これは非常に責任のある人でないとそれを責任を持ってやれない、こういうことになりますので、この公文書館法の一つの柱として大事な職責を持つ者がこの専門職、いわばアーキビストと言われる職員でございまして、ひとつ今後大いに文部省として積極的に、あらゆる角度から御検討おきいただきたいものと、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。  なお、次に自治省でございますが、大臣お忙しいようでございますから、自治省のどなたでも結構でございますし、またお答えいただければそれで結構でございます。  今度の法律では、各地方公共団体もそれぞれ、条例によって設置をするという責務を負うことになっております。どんな小さな集落でも、国や県の政治や行政の影響を受け、あるいはまたそれがどのように住民のものとして凝結をしていくか、あるいは変化をしていくか。そこには、生活や詩情あるいはまた苦しみなど、人間の織りなすそれぞれの文化、さまざまな文化が生々しくそれぞれの集落にしみ通っていくものであるわけでございます。そういうものが調査研究をされ、それぞれ、市町村においてそれらの凝結したものが文書館におさめられるとするならば、日本の歴史や文化を守る意味からもまことにすばらしいことではないだろうか、このように思います。  ただ、自治省としましては、この文書館の建設問題についてさらにこれを指導、奨励するということは、市町村の固有の事務であるというところで若干の抵抗があるであろう、このように感じますけれども、その面では理解できないわけではございません。ただ、これから公文書館法が誕生して以後の各市町村の段階では相当強くこの建設がなされると思いますので、その際に起債その他の財政的な配慮、指導を含めまして積極的な対応を期待するものであります。大臣、あるいは事務当局でも結構でございますが、御所見をいただきたいと思います。
  181. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) まず、長い御交際を賜りました岩上先輩の御卓見あるいは御執念とでも申すべきものが実りまして、このたび公文書館法が議員立法で成立をいたしましたことに、心から敬意を表し、お祝いを申し上げる次第であります。  ただいま御指摘になりました、地方公共団体から公文書館の建設に際し地方債等の申請があった場合には、従来からその団体の財政状況等を勘案し必要に応じて許可をすることといたしておりますし、また地方交付税については、その他の諸費というところにおいて各種公共施設の建設費を基準財政需要額に算入をしており、既に実績を持っておるところであります。ますますの拡充を祈念するわけであります。
  182. 岩上二郎

    岩上二郎君 ありがとうございました。  次に、郵政省、運輸省、時間もありませんので簡単にお答え願いたいと思いますが、それぞれ国家機関が民間会社に衣がえをした、こういうふうな段階を迎えまして恐れておりますのは、民間会社になった場合に一体国鉄時代の資料はどうなるんだろうか、あるいはまたNTTに変わりました電電公社、その公社時代の資料が散逸するおそれがありはしないだろうか、このように思いますので、資料保存にどう配慮をされるか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  183. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  昨年の四月に国鉄の分割・民営化が行われたわけでございますが、その国鉄時代の業務はJR七社を初めとします十一の承継法人、それと清算事業団が引き継いでいるわけでございまして、その各法人合わせまして十二あるわけでございますが、その各法人の業務上必要な文書を基本的にはそれぞれ引き継いでそれぞれの法人が保管しているということでございますけれども、そのうち基本的な部分という大事な文書が散逸することを恐れまして、国鉄時代からどういうふうにそれを保管するかということを研究いたしまして、それでJR各社の共通する部分の文書につきましては、JR東日本の上野駅の地下に資料保管庫をつくりまして、そこで基本的にはそういう共通文書というものを保管してございます。もともとそういう意識でおりますものですから、国鉄時代の文書というものの保管に関しましては、適切に行われているものと考えております。今後ともその点を留意するように私ども指導してまいりたいと思っております。
  184. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) NTTにおきましては、御承知のとおり六十年四月一日から民営化になりましたけれども、その機をとらえまして、六十一年の二月に改めて文書処理規程を制定いたしまして、公社時代を含む業務関係の書類につきましては、適切に管理、保存する体制ができております。また、業務関係書類以外の貴重な記録等もございますので、それらは改めて社史という形で刊行いたしまして、これも適切に既に保管がされているところでございます。いずれにいたしましても、今後ともNTTの資料等につきましては、適切に保存、管理できるよう郵政省としても指導してまいりたいと思います。
  185. 岩上二郎

    岩上二郎君 郵政省にちょっとお伺いしておきますが、時代を証言するテレビ番組、これを保存するために放送映像資料というものをある程度保存する必要があるのではないかというようなところから、映像資料館法の制定というような動きがあるように朝日新聞等に出ておりますが、NHK、民放等の放送映像資料は保存の対象としてどう取り扱った方がいいかどうか、考え方を聞いておきたいと思います。
  186. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先生指摘のとおり、放送番組等の映像情報につきましては、時代を証言する国民的な財産、大変重要なものだというふうに私どもも認識しているところでございます。放送番組を収集、保存して、それを国民の皆さん方に利用していただく機会をできるだけ多くするということのためには体制を確立しなきゃいかぬわけですが、今のところ十分な体制ができていると言える状況ではございません。したがいまして、そのあり方についての環境整備をまずしなきゃいかぬというふうに思っております。環境整備のあり方についての調査研究をまずしなきゃいかぬということから、六十三年度予算におきまして、調査研究費、放送番組の保存体制の整備に関する調査研究費を計上しております。したがいまして、その中で調査研究いたしまして、利用できる機会の体制の確立に資していきたいというふうに思っております。
  187. 岩上二郎

    岩上二郎君 わかりました。  次に、通産省、あるいは科学技術庁でも結構でございますが、永久保存という関係から紙の材質というものが問題になってまいります。日本の場合にはほとんど酸性紙が大半、中性紙は約二割前後である。外国の場合は逆に中性紙が八割、酸性紙が二割程度である。私がここへ持ってきておりますのは、それぞれの資料で中性紙というものは私の持っている資料ではほとんど皆無でございまして、国際試合で優勝したときの賞状、これがどうであろうかということでクロロフェノールレッドという薬品を使って調べてみたところが、これは完全な酸性紙でございまして、色紙からあるいは扁額、これはもうほとんど酸性紙でございます。もちろん名刺とか封筒とか、これは酸性紙でございますが、残念ながら第一回の国会の議事録、それから政府提案の政府資料、予算書をひっくるめて全部酸性紙でございまして、もう非常に赤茶色に変わってしまっております。  もうあれから四十年たっておりますけれども、これは非常に大変なことになりはしないであろうか。もちろん、マイクロフィルム化なり磁気テープ、こういうふうな方向でカバーをしておりますけれども、大体早くて二十年前後、長くて酸性紙の場合は四十年ぐらいしかもたないであろう。中性紙の場合は五十年から八十年。しかし、正倉院におさめられている古代の史料、これは約千年たっても全然変色をしておりません。これはコウゾとかあるいはミツマタとかあるいは綿とか、こういうようなものを紙料にしてつくられたものだからでありましょうが、この酸性から中性に変えるということはとても大事な問題であると思いますので、そこら辺を十分に踏まえて考えなければならないと思いますが、通産省あるいは科技庁、どちらでも結構でございます、永久保存という立場に立った場合に一体どうなるんだろうか。  永久保存というのは、五十年や六十年で永久保存になるはずはない。百年、二百年、三百年、過去においては一千年経過をしても全然損じないようなそういう史料もあるわけでございますので、できるだけこの紙の材質問題について永久保存ができるような科学技術の開発を進められてはいかがであろうか、このように考えますので、それぞれ考え方をお伺いしておきたいと思います。
  188. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) ただいま先生指摘のとおり、中性紙は酸性紙に比べまして年月の経過による劣化が少ないという利点がございます。そういったこともございまして、我が国では中性紙は昭和五十六年ごろから生産が行われるようになってきておりまして、初期には酸性紙に比べまして若干割高でございましたけれども、最近は生産増に伴いまして徐々に値下がりしまして、現在での酸性紙、中性紙の価格差というのは、まだ若干ございますけれども、ほとんどなくなってきているような状況でございます。  先ほど先生数字を挙げていろいろ言われたわけでございますが、一般的にはそういうことでございますが、書籍に使用されております上質紙につきましては、現在既に半分以上が中性紙が使われるようになっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在、用途により、その保存性の求められる程度に応じまして使い分けがなされているというのが実情じゃないかと思います。いずれにいたしましても、中性紙の普及というのは方向としては大変望ましいことでございますので、私どももそういった方向でさらに状況が進むように見守っていきたいというふうに考えるわけでございます。  それから、超長期に保存できるような紙の開発の問題でございます。  これは需要に応じということになるわけでございますが、今後とも需要家の要求に応じそういう超長期の保存の必要な用途を中心に中性紙の研究開発、普及は進むものと考えますので、その動向を見守っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  189. 川崎雅弘

    政府委員川崎雅弘君) 先生のお尋ねの、今後の研究開発の進め方という点についてお答えを申し上げます。  今通産省の方から御説明がありましたように、我が国大手製紙メーカー等が既に中性紙の生産ということに入っておりますし、片や超長期を含めましての紙の新しい製法等についての研究開発も、私ども承知している限りでは、民間企業において非常に活発に行われているやに承知をいたしております。  しかし、御指摘のような重要な問題でもありますので、私どもとしましては、そのような研究開発について国が推進をしていくことが重要であるというようなことについての御要請が出てくるかどうか、そういう動向を見きわめながら、必要に応じ、国としてもしかるべき対策をとることを検討してまいりたい、かように考えております。
  190. 岩上二郎

    岩上二郎君 紙の問題につきましては、前向きでそれぞれ十分に御検討おきいただきたいと思い ます。  次に、官房長官、非常に御多忙のところわざわざおいでいただきまして恐縮でございます。二、三分で結構でございますが、歴史資料の保存という問題につきましては、これは非常に民族の消長にかかわるものでありまして、今回の公文書館法の趣旨を遂行するために、政府は各省庁さらには公団あるいは事業団にわたりまして強く働きかけ、万全の措置を講ぜられたいと思いますが、御決意のほどを伺いたいと思います。
  191. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 平和戦略研とともにこの公文書館、公文書の保存について岩上委員、かねてライフワークとすら思われるほどに大変に御熱意を燃やしてまいられまして、その結果、六十二年の十二月に、前国会で議員立法としてこの法律も制定されたところでございます。  従来は、公文書につきましては、総理府本府組織令で国立公文書館というもので国のそうした文書の保存に努力してきたところですが、今回法律が新たに制定されまして、地方の分野にわたってもそうしたものを保存していこうということになりましたことは、大変時宜に適しているというふうに考えております。したがいまして、政府といたしましても、行政文書はもとよりでございますけれども、立法、司法その他の文書にわたりましてもできる限り収集に努めまして、これを後世に残していけるように、政府としてもこの法律に基づいて最善の努力をいたしていきたい、このように考えております。
  192. 岩上二郎

    岩上二郎君 ありがとうございました。  実は、この資料の保存の問題の重要性から、平和研究所の問題の発想にもつながってまいりました。この重要な資料というものが、時には無関心のまま焼却をされてしまうとか、あるいは不用意に火災に遭うとか、あるいは人為的に戦争によって重要な資料というものが消失してしまう、こういうふうなことから平和という問題は極めて大事な問題である、こういうふうな認識の上に立っておりますので、前国会におきまして私の名前が何回か読み上げられておりましたので、総理には強く主張していただけに、今回の総理の所信を伺いまして我が意を得たりというか、そういう気持ちを実は抱いているところでございます。  どうぞひとつ、今後もこの平和問題というものについてどうするか、今、相当日本の平和問題というものは緊急な問題の一つとして、米ソのはざまにあって日本がどう生きるかという場合の重要な時期にも際会しておりますので、やはりこの際思い切って、せっかく総理が打ち出された限り、予算を政府がつけていくかあるいはどうするかという問題について、もう少し積極的に御努力願うようにお願い申し上げたいということを総理にひとつお伝え願いたい、このように思います。  答弁は結構でございます。
  193. 林ゆう

    ○理事(林ゆう君) 以上で岩上二郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は来る二十二日午前十時から公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会