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1988-03-23 第112回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十三日(水曜日)    午前十時四分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第七号   昭和六十三年三月二十三日    午前十時開議  第一 国家公務員等任命に関する件     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、議員三池信君逝去につき哀悼の件  一、理学博士利根川進君のノーベル賞受賞につき祝意を表する件  一、日程第一  一、租税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨説明)  一、国務大臣の報告に関する件(昭和六十三年度地方財政計画について)並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨説明)      ─────・─────
  2. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第二百七番、選挙選出議員、大阪府選出吉井英勝君。    〔吉井英勝起立拍手
  3. 藤田正明

    議長藤田正明君) 議長は、本院規則第三十条により、吉井英勝君を外務委員に指名いたします。      ─────・─────
  4. 藤田正明

    議長藤田正明君) 議員三池信君は、去る二月二十日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院わが国民主政治発展のため力を尽くされさきに衆議院院議をうもつて永年の功労を表彰せられまた国務大臣としての重任にあたられました議員三池信君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます     ─────────────
  5. 藤田正明

    議長藤田正明君) 小山一平君から発言を求められております。この際、発言を許します。小山一平君。    〔小山一平登壇
  6. 小山一平

    小山一平君 本院議員三池信君は、去る二月二十日、入院先国立がんセンターにおいて肝不全のため逝去されました。一月下旬に体の不調を訴えられ、二月に入り入院加療中のところ忽然として他界されたことは、同僚議員としてまことに哀惜の念にたえません。  私は、ここに同僚議員各位の御賛同を得て、議員一同を代表して、故三池信君のみたまに対し謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。  君は、明治三十四年、佐賀県神埼郡三田川町に生をうけられ、長じて県立佐賀中学校から佐賀高等学校理科を経て九州帝国大学工学部電気科へ進まれました。  大正十五年、同大学卒業後は、現在の東京電力株式会社の前身である京浜電力株式会社に入社、同社の発電所長など電気畑を歩かれた後、日本金属化工業株式会社及び共栄工事株式会社取締役社長理研特殊農鉄株式会社及び三光電気工業株式会社取締役などを歴任され、実業界でその力を振るわれたのであります。  やがて終戦の日を迎え、君は日本の荒廃と混乱の惨状を目の当たりにし、敗戦日本再建に身をささげようと決意されて、政界入りを志されたと伺っております。  昭和二十四年一月、佐賀県民の期待を背負って第二十四回総選挙に立候補され、見事その初陣を飾られ、政治家としての第一歩を踏み出されたのであります。以来衆議院議員に当選すること十二回、さらに参議院には一昨年八月の佐賀選挙補欠選挙に出馬、当選され、議員歴は実に四十年を数えるのであります。  その間、立法、行政両府にわたり数々の要職につかれ、ひたすら国政に尽力されてまいりました。すなわち、衆議院におきましては、運輸、大蔵及び内閣の各常任委員長を歴任され、その温厚で誠実な人柄徹底審議をモットーとした委員会運営は各方面から高く評価されたのであります。  また、行政府にありましても、昭和二十七年に建設政務次官昭和四十七年には郵政大臣にそれぞれ就任され、その分野で立派な業績を残されています。  昭和五十二年には、永年在職議員として衆議院から表彰を受けられました。その際のあいさつにおいて、国家民族の前途に対する政治の責任を力説されましたが、君の誠実で清廉な人柄がにじみ出ており、同僚議員に深い感銘を与えたと聞いております。  君は、「派閥は諸悪の根源、解消は天の声」と主張して、無派閥を通されるとともに、勲一等の叙勲も辞退されるなど、明治の人らしい一徹な政治信条とその人柄がしのばれる孤高の政治家でありました。  これらのことが高く評価され、五十九年には新たに発足した党の政治倫理問題調査会長に請われて就任され、政治倫理の確立に尽力されたのであります。  君はまた、建設農政通としても知られ、国と佐賀県との太いパイプ役を務められました。すなわち、県内道路、橋梁を初め漁港、河川改修に至るまで県内基盤の整備に国との仲介役として奮闘されたのであります。  その努力功績に対して、四十七年八月には、出身地の三田川町議会が君を名誉町民第一号に推挙、議決いたしました。君は生前、叙勲表彰を辞退し続けながら、このときは生まれ育った町の総意として素直に受け入れられたことは、いかにも君らしく思えて心温まるものを感じます。  君は、高校時代から柔道で鍛えた講道館会員でもあり、高齢にもかかわらず日ごろの壮健ぶりで知られており、突然の訃報は各方面に衝撃を与えておりますが、君も任期半ばでこの世を去ることは無念であったに違いありません。  私は、大先輩である君に接して多くのことを学び、御指導をいただく機会を持ち得なかったことを残念に思います。  三池君、君の人生の足跡は栄光に輝いていると思います。また、君の八十六年の生涯は天寿を全うされたと言えるかも知れません。しかも、政界にあって、その最後の日まで現職の国会議員であったことは、我が国憲政史上実に数少ない一人であることを思えば、もって瞑すべきであると思います。  ここに三池信君の清廉潔白な人柄とその業績をしのび、院を代表して謹んで哀悼の意を表する次第であります。  御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、安らかなる永遠の眠りにつかれんことを祈ります。      ─────・─────
  7. 藤田正明

    議長藤田正明君) 理学博士利根川進君は、昨年十二月十日、一九八七年度ノーベル医学生理学賞を授与されました。まことに喜びにたえません。  同君に対しましては、議長は、既に祝辞を贈呈いたしました。  ここにその祝辞を朗読いたします。  理学博士利根川進君 君は免疫現象遺伝学的原理の解明により千九百八十七年度ノーベル医学生理学賞を授与されました  参議院はここに君の偉大な功績をたたえ院議をもって心からの祝意を表します      ─────・─────
  8. 藤田正明

    議長藤田正明君) 日程第一 国家公務員等任命に関する件  内閣から、人事官内海倫君を、  原子力委員会委員に中江要介君を、  宇宙開発委員会委員齋藤成文君を、  日本銀行政策委員会委員小尾知愛君を それぞれ任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  まず、人事官原子力委員会委員及び日本銀行政策委員会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 藤田正明

    議長藤田正明君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。  次に、宇宙開発委員会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  10. 藤田正明

    議長藤田正明君) 総員起立と認めます。  よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。      ─────・─────
  11. 藤田正明

    議長藤田正明君) この際、日程に追加して、  租税特別措置法の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。宮澤大蔵大臣。    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  租税特別措置につきましては、税制抜本的改革との関連に留意しつつ、最近の社会経済情勢等に即応して、当面早急に実施すべき措置を講ずることとし、土地住宅税制について見直しを行うとともに、石油税について増収措置を講ずる等、所要改正を行うことといたしております。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、土地税制につきましては、土地供給促進地価対策等に資するため、優良住宅地造成等のために土地等譲渡した場合の長期譲渡所得について、その負担を軽減し、一律二〇%の税率による分離課税を行うこととするほか、所有期間が十年を超える居住用財産譲渡した場合の譲渡所得について、買いかえの特例原則として廃止し、軽減税率による分離課税を行うこととする等の措置を講ずることといたしております。  第二に、住宅取得促進税制につきましては、国民持ち家取得を一層促進する見地から、現行控除対象限度額二千万円の範囲内で、公的な借入金等に係る控除対象額をその年末残高の二分の一から全額に引き上げることとするほか、適用対象者所得要件を緩和するとともに、適用対象となる借入金等範囲に一定の増改築等のための借入金等を加える等の拡充を行い、あわせてその適用期限延長を行うことといたしております。  第三に、石油税につきましては、昭和六十三年度における税負担の安定を図りつつ、石油及び石油代替エネルギー対策財源を安定的に確保するため、昭和六十三年八月一日から昭和六十四年三月三十一日までの間の特例措置として、課税方式を従量税化するとともに、所要増収措置を講ずることといたしております。  第四に、企業関係租税特別措置等につきましては、連年厳しい見直しを行ってきておりますが、昭和六十三年度におきましても、既存租税特別措置整理合理化を図る一方、地域産業活性化事業分野を異にする中小企業者知識融合化による新分野の開拓の促進に資するため、特別償却等措置を新たに講ずる等必要な改正を行うことといたしております。  その他、欠損金繰越控除の一部停止措置及び欠損金の繰り戻しによる還付の不適用措置適用期限の到来をもって廃止するほか、住宅取得資金贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例たばこ消費税税率等特例措置揮発油税及び地方道路税税率特例措置等適用期限の到来する租税特別措置について実情に応じその適用期限延長する等の措置を講ずることといたしております。  以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)     ─────────────
  14. 藤田正明

    議長藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。鈴木和美君。    〔鈴木和美登壇拍手
  15. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対して質問を行うものであります。  私は、まず竹下内閣財政運営基本方針について大いなる不信と疑念を抱いている一人であることを申し述べておきたいと思います。  それは、竹下総理中曽根内閣政治路線をそのまま継承することを前提に自民党総裁の指名を受けたという事実を無視することはできないからであります。  昭和五十八年度から六十二年度までの中曽根内閣財政運営によって、確かに表向きは小さな政府実現に向けて公債依存度は低下してまいりました。しかし、これは、防衛費については拡大に次ぐ拡大を図り、対GNP比一%枠を突破させる中で、行政サービス、とりわけ社会保障費国民生活関連費を大幅に圧縮することによってなし遂げられたのであります。  しかも、補助金カットによる地方公共団体への負担の転嫁、加えて各特別会計からの借り入れや、本来繰り入れるべき金額を削減したり、繰り入れを停止するなど、実質公債としてカウントすべき金額は、中曽根内閣のもとでの赤字公債発行額に匹敵する巨額に達していることに注目しなければなりません。  特に、国債元本償還に充てるための定率繰り入れを、五十七年度以来、すなわち中曽根内閣のもとでは一度も実施したことなく、そのため、ついに国債整理基金は底をつき、最長十年で現金償還することになっていた赤字公債を六十年かけて償還するという、孫子の代にまでその利子償還負担を先送りする暴挙をあえて強行した事実を忘れることはできません。  竹下総理は、このような国の負担地方特別会計へのしわ寄せ、後世代国民への先送りの手法を受け継ぐことによって、国民の目につきやすい一般会計だけの収支均衡化に力を注ぎ、表面だけを取り繕って財政構造実質的にますます悪化させようというのでしょうか。今回提示された六十三年度予算を見る限り、まさに中曽根政治路線をそのまま踏襲するものであり、財政本来の機能を回復させようとする意図は全く見られないのであります。  また、竹下総理並びに宮澤大蔵大臣は、施政方針演説財政演説あるいはこれまでの国会での発言の中で、次の世代に過剰な負担を残さないよう、一日も早く財政対応力を回復する必要があると強調して、財政改革の強力な推進を図る旨を明らかにしてまいりました。  だとすれば、後世代負担を残さないようにするために、赤字公債の借りかえ発行を大幅に圧縮する計画を立てておられるのですか。その財源を何に求めようとしているのでありますか。また、財政対応力を回復するために何をしようというのですか。言語のみでなく、意味もまた明瞭にお答え願いたいのであります。  次に、税制改革について伺います。  税制改革は、今や国民の一致した政治的要請となっております。竹下内閣が抜本的な税制改革を最重要な政策課題の一つとしてとらえていることについては、それなりに適切な対応であると思います。しかし、国民の求めている税制改革内容と、政府の考えている内容手法とが全く相入れないものとなっていることに問題があると思うのであります。  所得税住民税累進税率名目所得に課税されるため、名目所得が伸びると税負担はその伸びを上回る勢いで増加するのは自明の理であります。これを放置すれば増税が着々と進行します。  過去十年を振り返ってみると、五十九年度と昨年秋の六十二年度の二回しか減税は行われず、これでは勤労者実質的に増税を調整できるはずがないでしょう。隠れた増税の進行によって、税引き後の実質可処分所得がマイナスになるようでは国民生活の向上は望めません。このような税負担の累増の解消と不公平の是正こそが国民の熱望する最大のものだと思うのであります。  例えば、土地譲渡利子配当分離課税など、資産性の不労所得を額に汗して得た勤労性所得よりも優遇している不公平、あるいはサラリーマンが抱く他の所得との負担の不公平や、大商社が外国税額控除を利用して法人税を軒並みにゼロとしているような不当性などなど、税に対する不満は高まるばかりであります。これに対して政府は、米国に倣って税率の刻みの段階を少なくすることにより、発言力の強い高所得層負担を軽減する一方で、財政再建のためではないと言いながらも、大型間接税所得税減税と引きかえに導入しようとしているではありませんか。総理並びに大蔵大臣は、国民がひたすら望んでいる税制改革とは一体どういうものであると認識しておられるのですか、お尋ねいたします。  昨年秋に行われた六十二年度改正は、国民から金持ち減税であるとの強い批判を浴びた改正でありました。それにもかかわらず、政府は今回の税制改革に臨んで、前回廃案となった改革案と同様、最低税率は一〇・五%からわずか〇・五%引き下げて一〇%に、最高税率は一千五百万円以上を現行よりさらに一〇%引き下げて五〇%とし、税率は六段階にしようとしております。これでは金持ち減税はさらに進行し、税制が担うべき所得再分配の機能はほとんど期待できなくなるではありませんか。政府は、六十二年度改正に対する国民批判を謙虚に受けとめるべきであります。  また、中低所得者層負担軽減のために人的控除を大幅に引き上げ、サラリーマン重税感解消のために給与所得控除を思い切って引き上げるべきだと考えますが、総理大蔵大臣所信をお伺いいたします。  また、中堅サラリーマン不満は、税負担が重いことに加え、子女の教育費負担が過大となり、家計を大きく圧迫しております。教育費控除については、従来からその必要性が主張されてきておりますが、税制改革に当たって、文部大臣としてはその創設についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  中曽根さんは、前回税制改革を提案するに当たって、公平、公正、簡素、選択、活力という標語を掲げ、これが税制改革の理念であるとして、そのために直間比率是正が必要であり、よって売上税を導入するのだというキャンペーンを張りました。そして、これが国民の審判を受けて廃案に追い込まれました。その後を引き継ぎました竹下内閣は、今度は所得資産消費の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築するという表現を再三用いております。しかし、どのような言辞を弄しても、六十二年度改正でやり残した前回改革案をやり遂げようということに変わりはなく、国民の声を謙虚に、かつ真摯に受けとめようという態度は全く見られないのであります。  ただ、私は、六十三年度予算衆議院で可決された三月十日、竹下総理新型間接税について六つ懸念を示し、これを解消するように努めるとの発言については、これを大いに注目していきたいと思っております。  なぜなら、この六つ懸念はまさに大型間接税そのものが持つ特質で、これを解消した結果としての大型間接税は、現在のところ、私の知る限り、世界のどこにも、また学問上にも存在しないと思うからであります。六項目の懸念のない大型間接税を学術的に政府が研究されることは結構であります。でも、現実問題としては、そのためかなりの期間を必要とするのではありませんか。  しかし、所得税住民税減税及び不公平税制是正には待ったをかけられないところに追い込まれていることは政府も認識しているところと考えます。幸いにして、ここ当分の間、税の自然増収が我々野党共同減税要求額を上回る規模で生じることが明らかになっております。そもそも、自然増収は税の取り過ぎであり、納税者還付すべきものではないでしょうか。この自然増収恒久的財源ではないという理由に固執するならば、有価証券キャピタルゲイン課税を初めとする不公平税制是正によって減税財源は十分賄えることも共同要求で示したところであります。改めて、私の考え方に対する総理大蔵大臣の御意見を伺い、あわせて自然増収算定の基礎となる今後の経済動向について経企庁長官の見通しをお尋ねしたいのであります。  最後に、具体的な改正案の中で特徴的なものについて、その理由をお伺いします。  その第一は、地価高騰の一因となった買いかえ特例原則廃止であります。なぜ先祖代々のいわば労せずして得た土地や家についてはこの特例を残し、一代で営々として築いた居住用財産には特例を廃止しなければならないのでありますか。  第二は、住宅促進税制対象となる所得範囲を、幾ら内需拡大のためとはいえ、一挙に一千万円以下から三千万円以下にまで引き上げなければならないのでしょうか。年間所得二千万円とか三千万円というのは、超一流企業重役クラス、高収益の個人企業経営者など、まさに高所得層に属する人たちではありませんか。竹下内閣も、やはり勤労性所得や、これによって築かれるストックよりも、資産性所得、そして高所得層を優遇する路線を走り始めたとしか受け取れないのでありますが、大蔵大臣の見解を示していただきたいと思います。  そして第三に、矛盾に満ちた措置として指摘しなければならないのは、六十一年度に実施され、毎年延長されて、今回もまた延長されようとしているたばこ消費税一本一円の上乗せ課税特例であります。この措置は、もともと政府税調の答申にもなかったルール違反財源あさりのためのものでありました。ところが、それに引きかえ、法人税については一・三%の上乗せ税率が、売上税騒動のさなか、六十一年度末の期限切れ理由にそのまま廃止され、今回も欠損金の繰り戻し還付繰越控除適用停止期限切れ延長せず、これが廃止されて三千百二十億円の減税を行う結果となっているのであります。これに比べ、たばこ消費税税率特例延長は、余りにも庶民泣かせの片手落ちの措置ではありませんか。これこそ延長せず、廃止すべきであります。総理大蔵大臣所信をお聞かせ願います。  また、第四は、地価高騰により、小規模の住宅に住んでいる者までが相続税を納めるために長年住みなれた土地や家を売らなければならないという事態を回避するための相続税減税であります。地域や面積などを限定した特別措置こそ必要なものではありませんか。地上げ屋跳梁ばっこが終息すると今度は政府地上げ屋の役割を果たすのでは、国民の税に対する不信は高まるばかりであります。大蔵大臣に御所見を伺い、あわせて税制改革においての相続税改正の方向を示していただきたいのであります。  結びとして、合意形成の名手と言われる竹下総理に、老婆心ながら、税制改革国民のコンセンサスが得られなければ断じてなし得ないものであることを申し述べておきます。そして、税制改革関連法案提出の時期と実施に至るまでの日程の予定をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  16. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 鈴木さんのお尋ねにお答えをいたします。  いろいろな御意見を交えての御質疑でございましたが、我が国財政は極めて厳しい状況にございまして、財政改革を強力に推進して財政対応力の回復を図る、これはまさに喫緊の課題であります。  このため、まず新規特例公債発行をゼロにする、六十五年度特例公債依存体質脱却という努力目標の達成に向けて、まずは最大限の努力を払う必要があると思います。したがって、今後も既存制度、施策の見直しを含め徹底的な節減合理化努力をしていくということを基本的に底意に置かなければならないと考えております。  そこで、御意見の中にございました特例公債償還方法、これは現下の厳しい財政事情のもと、やむを得ず御指摘のありましたように建設国債と同様の六十年償還ルールによることとしておるところでございますが、今後の財政事情の中で、まず第一目標を達成したならば早期償還に努めていくというのは当然考えなければならないことであると私も思っております。  次に、税制改革の基本的な考え方について種々の御意見がございました。  本格的な税制改正をほとんど行ってこなかった最近十年間の推移を見ますと、所得税、なかんずくガラス張りの勤労者源泉所得税ウエートの増大はまことに著しいものがあります。それの裏腹といたしまして、個別消費税制度をとります間接税ウエートの低下がこれまた顕著であります。また、家計調査におきます勤労者世論の直接的な負担の上昇もかなり急激なものがあります。こうした結果、サラリーマンを初め納税者不公平感負担感が高まっていることは御指摘のとおりであります。  今回の税制改革は、こうした状況を踏まえまして、これも御指摘がございました国民の税に対する不公平感を払拭して、所得消費資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築すること、これを目指して進めたいと考えております。  課税最低限等につきましては、いろいろ御意見ございましたが、総額一兆五千四百億円に上ります所得税減税を昨年の秋に実施いたしました。六十三年度の住民税を加えますと二兆円を超える、こういうことになります。  我が国所得税課税最低限が、累次の引き上げによりまして主要諸外国に比較して既に高い水準に達していることなどにかんがみまして、基礎的な人的控除の引き上げによる課税最低限の引き上げ等は昨年行わないことにしたわけであります。  いずれにいたしましても、所得税減税の問題は、まさに税制調査会での審議の状況を踏まえながら、抜本的税制改革の一環として、各方面の御意見を拝聴しながら検討を進めておるというのが現状であります。  それから、減税財源等についてのいわゆる自然増収、こういうことについてもお触れになりました。  国民の税に対する不公平感を払拭して、所得消費資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築する、これは重ねて申し上げますように基本的な考え方であります。  こういう考え方のもとで、税制調査会で精力的に今審議が行われておる。御質問所得減税税負担の公平確保の問題、これはまさに抜本改革の一環として、きょうの御意見等も十分に踏まえながら、これから引き続き検討していく課題であると思っております。  税収動向は、御指摘のようにおおむね好調に推移しております。今後これがこのまま続いていくかということは、これは経済の動向に左右されますだけに、それを前提に考えるのは必ずしも適当とは言えないと思います。偶発的な要因によるにせよ、そうでない要因によるにせよ、税の自然増収が生じた場合は、基本的には、現在の厳しい財政事情から見てまずは公債減額に充てる、これが基本的な考え方であります。したがって、いわば自然増収が恒久財源だという考え方はとらないところでございます。  それから、税制改革のスケジュールを示せという御指摘でございました。  おっしゃいますように、何よりもコンセンサスを得るというのが最も大切なことであります。具体的な税制改正内容につきましては、まさに今日税制調査会において審議等なされておりますが、これをどんどん進め、そうして法案等の提出時期ということになりますと、これはまた税制調査会に対していつまでにと期限を切って答申してくださいという性格のものではございません。したがって、成案を取りまとめてこの通常国会の審議をお願いすることもないとは言えない。したがって、提出予定法案等件名調べの中では検討中ということでお願いをしておるというのが現状でございます。  また、六つ懸念とかいうことに対してもお触れになりました。  これらこそ、今後の議論を通じてその懸念が中和されるであろうことを、国民のコンセンサスとなることを私は期待いたしておるところであります。  以上で私のお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 赤字公債の借りかえにつきましてお尋ねがございましたが、政府といたしまして、ただいま総理の言われましたように、昭和六十五年度に特例公債依存の体質から脱却しようということで、この目標はやや現実性を高めてまいった、ぜひ実現をいたしたいと考えておるところでございますが、と同時に、公債依存度も同時に引き下げてまいりたいと思っております。  ところで、この特例公債償還の方法でございますが、現在借りかえをしておるいわゆる六十年償還ルールをやって、おりますのは、いわばこれはやむを得ず財政の事情からやっておることでございます。いわば、片っ方で新しく特例公債発行いたしておりますので、借りかえでなく現金償還をいたしますと、借金をするために借金をしているというような感じになってまいりますので、新規特例公債発行しております間はどうもこの方法はやむを得ない。ただ、おっしゃいますように、将来に向けましてはできるだけ早く早期償還に努めてまいらなければならない。これは、問題点は御指摘のとおりだと思っておりますけれども、なかなか財政の事情がそのようにまいりませんで、現在やむを得ず六十年ルールで償還をいたしておるということでございます。将来としては、なるべく早く早期償還に努めてまいりたいと思います。  それから、税制改革に関します基本的な考え方はただいま総理大臣がお話しになられたとおりでございますが、結局、よく言われますように、今の時点におきまして、我が国では生産年齢人口が大体六・六人に一人老人をしょっておるわけでございますが、昭和七十五年になりますと四人で一人をしょわなければならない、八十五年になりますと三人で一人をしょわなければならないということがほぼ明らかでございますので、現在の税制をそのままにいたしておきますと、現在ただいま給与に対する源泉所得税及び住民税は大体GNPの四・八%であると言われておりますが、このままの状態でいきますと、七十五年にはそれが七、八%になります。八十五年には一〇%ないし一三%ということになりまして、これは到底勤労者として負担できないような大きないわば源泉所得税負担になる。  そういうことを考えますと、ただいまのような人口構成比から考えましても、我が国のように所得水準が高く、かつ所得格差の少ない社会では、そのときに備えまして、なるべくこのような社会の負担は広く薄くみんなでしょっていくような税制を今から考えておくべきではないか。これは決して遠い将来のことではございませんで、二〇〇〇年までわずか十三年でございますから、今からこういう制度をつくっておくことがどうしても必要ではないだろうか。そういう意味で、今回、所得消費資産との間で均衡のとれた税制改正を考えさしていただきたい。  今という時点は、シャウプ税制から考えますとほぼ四十年たっておりまして、それなりに改正を必要とする時点に来ておると思いますが、将来を展望いたしますと十三年でまた二十一世紀ということでございまして、ちょうどそういう今の時点で抜本改正を考えるならば、将来をも展望したものにいたしたいと考えるわけでございます。  さて次に、給与所得税の軽減について、人的控除あるいは給与所得控除をもっと引き上げる形で行うべきではないかというお尋ねでございました。  それは確かに一つの方法でございますが、我が国の場合には、御承知のように、課税最低限はかなり高いところへ来ております。諸外国に比べましても非常に高い方の一つでございますから、この際の軽減の目的は、そのような人的控除を上げることよりはむしろ税率の累進度を緩めることではないか。すなわち、現在一番この所得税で重税感が強いのは、ちょっと御指摘もありましたが、子供の教育費であるとかあるいは住宅費であるとか、そのような中堅の下あたりのサラリーマンのところに一番重税感が強い。しかも、給与が上がっていきますと、すぐ上の累進の刻みにかかる。ここのところを緩和することの方が今一番減税を必要としている層に対する有効な対策ではないかと私は考えておりまして、昨年も、国会で成立をさせていただきました税法改正によりまして、所得税で一兆五千四百億円、住民税はことしになりますが、合わせますと二兆円程度の減税をさせていただいておりますが、今後に向かいましても、できるだけ累進構造の緩和、累進税率の刻みを少なくするということで対処することが大事ではないかというふうに私どもとしては考えております。  それから、税収動向についてお話がございまして、総理もお触れになりましたが、昨年あたり見ておりますと、租税弾性値が二・一という異常な数字になりました。また、六十二年度補正後も一・八三という、これはどうも数字としては非常に異常でございまして、やはり土地の上昇であるとか株が高くなったとかいう意味での一過性の所得、あるいは有価証券取引税でもそうでございますが、どうもそういう要素が多いのではないか。したがって、同じことが今後繰り返されると考えることは適当でない。  ただ、現実には経済運営がかなり正常化し、好転しておりますので、今度は違った意味での正常な税収というものが多少は期待できるかとは思っておりますけれども、それは昨年までのものとはかなり性格の違ったものであろう。万一、自然増収が出るということになってまいりました場合には、政府としては特例公債発行をなお予定しておりますので、これを減額をすべきものだと考えております。  自然増収がありますところへ利子を払う赤字公債を余計に発行するということはこれは誤りでございますから、そういうふうに考えたい。そのような情勢になりましたらそういうふうにすべきものと考えておりまして、いずれにいたしましても、自然増収は一過性のものでございますので、これをもって恒久減税財源にすることはいかがなものであろうかというふうに考えております。  それから、居住用財産買いかえ特例は、御承知のように今度三千万円の特別控除をいたしまして分離課税をすることになって、軽減税率によって課税をすることになっておるわけでありますが、その際、二世代以上にわたって居住の用に供し、かつまた御自分が住んでおられる、長期にわたって住まわれている家につきましては、それを手放されるということはよほどの事情がおありであろう、強い経済外的な何かの理由であろうというふうに考えられますので、その場合には、この特例を残しておいたらどうかということで御提案をいたしておるわけでございます。  それからもう一つ、住宅取得促進税制適用対象者所得要件を千万円から三千万円に上げました。それは金持ち優遇ではないかというようなお尋ねであったと思いますが、我が国の給与の体系が、会社に勤めておりますと大体退職時に向かってずっと給与の水準が上がります。そのときに住宅を買うといったような、定年間際にそういうことをされる方が多いものでございますから、どうも千万円ではなかなかお気の毒な場合がある。三千万円というのは高いではないかということは、しかしこの方々も累進税率をずっと払ってこられた方でありますし、またこの住宅取得の促進ということが内需拡大ということにも密接に関係しておりますので、三千万円まで広げますことが社会正義に反するというようなことではないのではないかというのが私どもの判断でございます。  それから、たばこ消費税特例延長したことについておしかりがございまして、これはいかにもやらずに済みましたら済ませるべきことでございますけれども、御承知のように、地方財政で補助金等の整理合理化をいたしましたために、その手当てをしなければならないという問題がございまして、税制調査会におきましても、ともかく新しい間接税あるいは税制改正との関連で一年延ばすことは適当であるという判断をしていただきましたので、昭和六十四年三月三十一日まで延長することにいたしたのでございますが、この点はどうぞそのような事情であることの御理解をお願いいたしたいと存じます。  それから、相続税につきまして、確かに土地価格が上昇しておりますので、非常にあちこちで困難な事態が起こっておることをよく存じておりますが、ただ御指摘のように、例えば六十坪なら六十坪の土地というものはこれはいわば課税の外にする、基礎控除と申しますか特別控除と申しますか、という考え方はどうだとおっしゃいますと、やはり東京における六十坪と過疎地における六十坪では非常な金額の違いがございますので、どうもそういうわけにもまいらない。  結局、相続税は、申すまでもないことでございますが、従量税ではなくて従価税であるということにどうもならざるを得ないのではないか。ただ、現実には都会地で親からもらった猫の額ほどの住んでおります土地、実際非常に大きな課税になるということはこれはお気の毒でございますから、二百平方メートルまでは住居用あるいは事業用に従いまして三〇%ないし四〇%の減額をいたしております。この考え方は一部鈴木議員の御指摘になりましたような考え方を採用しているところでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇拍手
  18. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 私に対します御質問は、教育費負担が家計を圧迫しているのではないか、教育費控除を考えたらどうか、こういう御指摘だったと思います。  申し上げるまでもなく、教育の機会均等という考え方からいたしましても、家計の負担が大きくなるということは避けなければならない、これは文教行政上重要な問題だと思っております。  その一環といたしまして、一つは税制上、一つは歳出面から考えていくべきだと思いますが、御指摘教育費控除制度でございますが、これは過去においていろいろ検討された経緯は御存じのとおりでございまして、いろいろな諸問題がありまして今日までその実現が見送られてきた。その主なものは、もちろん御存じのとおりでありますけれども、税金を納めるに至らない御家庭の父兄に対しては恩恵がない、それからまた、義務教育だけで社会に出て働かなければならないような若年労働者の方々との整合性、こういう面があったことと思います。  そこで、むしろ今考えるのは、税制上とすれば、教育費負担が重い中高年齢者層に対しまして所得減税を行うべきではないか。これは臨教審でも御指摘があったとおりでございまして、今総理大蔵大臣からも言われましたように、昨秋の百九国会におきまして所得税法の改正におきまして、この中堅所得者層所得税負担の一部軽減が図られたところでございます。  また一方、歳出面でございますが、歳出面では育英奨学あるいは私学助成の歳出面での諸施策、これを一層進めていくことが必要だ、このように考えておりまして、この面で文教行政上一層努力をいたしてまいるつもりでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣中尾栄一君登壇拍手
  19. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 鈴木議員にお答えさせていただきます。  議員の御質問は今後の経済動向についての御質問と思いますけれども、六十三年度の我が国経済につきましては、外需は対外不均衡是正過程を反映いたしまして引き続きマイナスの寄与となるものと見込んでおる次第でございます。  一方、内需は、景気回復二年目を迎えまして、個人消費及び設備投資を中心に引き続き好調を持続するものと見込んでおる次第でございます。  以上、あわせまして、六十三年度については、全体として内需を中心とした実質三・八%程度の着実な成長を見込んでいるところでございます。  以上でございます。(拍手)     ─────────────
  20. 藤田正明

    議長藤田正明君) 塩出啓典君。    〔塩出啓典君登壇拍手
  21. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました法律案について質問をいたします。  竹下内閣がスタートして約四カ月経過いたしましたが、竹下内閣は、中曽根内閣のときに示された売上税断固反対との国民の意思を無視し、昭和五十四年の国会決議等にも反し、大型間接税の導入に躍起となっていることに対し、強く警告をするものであります。  政府税制調査会は、税制改革の具体的な内容も示さないまま地方公聴会を各地で開きました。国民の声を広く聞くことは必要でありますが、国民全体から見ればほんの一部にすぎない高額所得者の有名人を呼んで意見を聞くなど、偏った運営に政府税調の中からさえ批判が出ております。政府としては、政府税調の行った地方公聴会の結果についてどのように評価しているのか、お伺いしたい。  さらに、総理府が去る二十日発表した「税制改革に関する有識者調査」の結果についても触れなければなりません。このことを報じた一般紙の見出しも、「設問に客観性欠く」「対象者抽出もズサン」「はじめに結論あり 目立つ誘導質問」「総理府が新型間接税援護射撃」「三段論法で誘導」等と書かれております。いやしくも政府の行う世論調査は、対象者の選び方、設問の内容など、適正に科学的方法で行わなければならないのは当然であります。この調査につき、竹下総理はどう評価しているのか、お伺いしたい。  この世論調査は、大蔵省の強い要請で急遽決定され、設問内容大蔵省主導でつくられたと言われております。対象者の抽出や設問の仕方など、これまでの総理府世論調査には珍しくずさんな調査であると指摘されております。これでは総理府世論調査の信頼度は一遍に地に落ちることになりますが、官房長官の見解を伺いたい。  大型間接税の導入に熱心の余り、かかる誘導尋問的調査は民主国家にあるまじきことと言わなければなりません。私は、直ちにこの調査結果を白紙撤回するとともに、この際、広く国民全体を対象とした適正な世論調査を行うべきと考えますが、総理の見解をお伺いしたいのであります。  今回の地方公聴会の意見や、昭和六十一年に行われた総理府の「税金に関する世論調査」等にも示されるとおり、大半の人が税は不公平と感じ、改革が必要ということは国民の合意のように思われます。しかし、税は不公平といっても、その内容は見方によって異なり、必要な改革の内容もいろいろ違いがあるわけであります。いわゆるクロヨン問題、有価証券譲渡益、いわゆるキャピタルゲインの原則非課税の問題、あるいは政府税調が毎年改革を提言している医師の事業税非課税の問題等々、不公平税制として指摘されてきておるわけでありますが、政府として税の不公平はどういう点にあると考えているのか、お聞きしたいのであります。  政府の今日までの国会における答弁におきまして、税の不公平と税の不公平感とを使い分けているように思います。私は、政府が税の不公平制度是正して税の不公平感を少なくしようとしているのではなく、大型間接税を導入して税の不公平感をなくしようとしているように思いますが、大蔵大臣どうですか。  竹下総理の先般の見解に示されたように、大型間接税は痛税感が少ないから安易に税率の引き上げが行われる危険性があります。したがって、大型間接税はなれてしまえば麻薬のように痛税感はなく、痛税感のないところでは不公平感もありません。私は、大型間接税導入によるのではなく、まず不公平是正による不公平感解消に全力を挙げるべきだと思いますが、総理の見解をお聞きしたいのであります。  政府大型間接税の導入に固執する理由の第一として、来るべき高齢化社会の財源対策であると先ほども大蔵大臣が言われておりますが、大蔵大臣の真意をお聞きしたいのであります。  今後二十一世紀に向かって高齢者が増加することが予測されておりますが、これら高齢化社会のビジョンや国民負担の限界も明らかでなく、いまだ国民の合意はありません。そのままで大型間接税を導入することは、国民は歯どめなき税負担の増大になると大きな懸念を抱いております。これら高齢化社会のビジョンや国民負担の限界等を明示し、国民の合意を得ることが先決ではありませんか。政府のお考えをお聞きしたい。  急ぐべきは不公平税制是正であり、大型間接税導入ではありません。高齢化社会がピークを迎えるのは二十一世紀であり、財源対策として導入を急ぐ理由はありません。今年中に大型間接税導入の法案を国会に提出するなどは断じて許されないと思うのであります。白紙撤回すべきであると思うが、どうですか。お伺いしたい。  先般発表されました総務庁の昭和六十二年家計調査報告によれば、所得の最も多い層の実質消費の伸びが一番高く、国民の生活格差が広がっていることが指摘されています。これは金持ち減税と言われ、高所得層に有利な昭和六十二年度の所得税減税の影響もあったと思われます。日本は欧米に比して貧富の格差が少ないと言われ、私はこのことは非常にいいことであると考えるのであります。広く薄く、そして高額所得者が恩恵を受け、格差を拡大するような税制改正はすべきではないと思いますが、総理の見解をお聞きしたい。  今回の税制改正において住宅取得促進税制の拡充が行われ、平年度二千百五十億円の減税が行われようとしております。しかも、この減税の適用を受けるための所得要件を一千万円から一挙に三千万に引き上げておりますが、所得三千万といえば、給与所得者で年収三千三百万を超え、事業所得者の年収となればはるかにこの金額を超えます。こういう高額所得者にまで恩恵を与えるのはいかがなものか、お伺いしたい。  また、先ほども質問のありました居住用財産買いかえ特例制度の件でございますが、自分が働いて得たものより相続でもらったものの方に特典を与えるというのはいかがなものか。先ほど大蔵大臣の説明がありましたが、納得できません。税制は簡素であるべきであり、筋の通らない特例を認めるべきではないと思いますが、大蔵大臣にお伺いいたします。  次に、法人税でありますが、法人税改革については、昨年の税制改革案に盛り込まれ、売上税法案とともに廃案となったわけでありますが、法人税率一・三%の上乗せ措置期限切れ理由に廃止となり、法人税減税先行となっております。さらに、今回の改正では、法人税欠損金の繰り戻し還付及び繰越控除適用停止の廃止を期限到来によって廃止をしております。しかしながら、期限到来というならば、たばこ消費税の一本一円の上乗せ課税措置もこれに当たります。しかし、昭和六十一年度以降引き続き行われているこの増税措置は、税制改革との関連理由は存続させようとしております。国民生活関連増収措置は存続させ、企業関係増収措置は打ち切りとする方針であるのか、御所見を伺いたい。  最後に、不公平税制是正が強く要望されながら、今回の改正案も不公平は放置されたままであります。むしろ、四月一日から少額預貯金にまで二〇%課税となり、原則非課税のキャピタルゲインとの間で不公平は拡大しております。政府としてはこれら不公平税制是正には少々の反対があっても本気で取り組むべきと思うが、決意をお伺いしたい。特に、キャピタルゲイン課税については、原則課税の方向が与野党初め国民の世論となっていると思いますが、総理の決意をお聞きして質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず地方公聴会、それから総理府有識者調査の問題にお触れになりました。  地方公聴会、これはもとより国民世論の動向というのを見る一つの機会ではございますが、税制の問題でございますから、いろいろな職業の方々がいわばどういうお考えを持っていらっしゃるかという傾向を知得するための意味において大変有意義であったと思っております。そうして、一方、このことによりまして一層国民の税に関する関心が高まってきたではないかというふうにも考えております。  それから、総理府有識者調査の問題でございますが、税制改正について広く国民の声を伺うことの必要性指摘されておりまして、その一環として、各界を代表する有識者の中から千人の方を対象としてアンケート調査を実施したものであると承知しております。  この調査は、あくまでも限定された有識者を対象に行った調査でございますので、国民全般の世論動向を把握する調査とは若干性格を異にし、むしろ各グループにおける回答の傾向及びグループ問の認識の差、これらを見ることが主たる目的ではなかったがというふうにも思われます。  税制改革につきましては、おのおのの立場や税制はついての知識の度合い等によりましていろいろ意見が分かれてまいります。こうした問題については、一般的な国民全体を対象とした調査がなじむものかどうか、これらの問題も含めて今後慎重に検討する必要がある課題だというふうに理解をいたしておるところであります。  それから、不公平税制是正問題につきましての、最後の結びをも含めてのお尋ねでございました。  税負担の公平確保、これは国民の理解と協力を確保する上におきまして何としても欠くべからざる大前提でございます。したがって、仕組みの上でも、あるいは執行の上でも、一生懸命今日まで努力を続けてまいりました。しかし、不公平感をぬぐい去ったということは言えないと思います。  だからこそ、所得消費資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築するために、今の御議論等も踏まえながら、今慎重に検討中であるということでございます。  特に、最後の結びでもおっしゃいましたが、キャピタルゲイン課税等を含めますところの、いわゆる国民が持っていらっしゃるこれこそ税制抜本的改革の全体像の中に当然位置づけるべきだというお考えでございますが、そういう議論を踏まえまして引き続き検討していく重要な課題の一つであるというふうに考えておるところであります。  それから、間接税問題でございますが、今回税制調査会に御諮問申し上げておりますのは、安定的な税体系を構築する、均衡のとれた税体系をどうして見出すべきかということでありますので、税収増を目的としておるという形のものではございません。  しかし、いずれにせよ、最近十年間の推移を見ますと、ガラス張りの勤労者の皆さんの源泉所得税ウエートが大変大きくなりまして、その裏腹で個別消費税制度をとります間接税ウエートが低下しておることも事実であります。また、家計調査におきますところの勤労者世帯の直接的な負担もかなり上昇しております。この意味で、抜本的な税制改正はまさに今なすべき喫緊の課題だというふうに考えておるところであります。  それこそ、このままに放置しておきますと、若い働き手世代の比率が数の上で減っていきます中で、現行税制のままでは、それらの方々の大変な負担、これを考えてみますと、本当に今からこそこの税制のゆがみの一層の拡大をもたらさないように、実質的な公平を確保するという意味において、社会共通の費用を広く薄く国民全体で負担していくという考え方から、消費段階にも応分の負担を求めていこうという考え方であるわけでございます。具体的には、今まさに精力的に税制調査会、また本院等におきましても御議論を賜っておるさなかでございます。  それから、所得格差の動向についてのお触れがございました。  家計調査によりますと、六十二年の勤労者世帯の家計動向は、実収入及び可処分所得の第五分位の第一分位に対する比率は前年よりも確かに微増しております。  その原因としては、主として第五分位の実収入が世帯主以外の収入、奥様の収入でございますとか、あるいは事業収入でございますとかで比較的大きく伸びたというふうに考えられます。  なお、長期的に見ますならば、昭和三十年代、四十年代における高度成長を背景にいたしまして急速に所得水準が上昇する中で我が国所得分布が平準化してきたということは、これは広く指摘されておるところでございます。  それで、諸外国とこれを比較してみますと、度合いを示します統計量でありますジニ係数で見ますと、我が国はアメリカ、カナダ、フランス等よりも小さいこと、また家計調査の収入五分位における第一分位と第五分位の収入格差がこれも非常に低いこと等々を考えますと、国際的に見ても非常に平準化そのものの度合いは大きいというふうに認識すべきものであろうと考えております。  私の答えは以上で終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般、政府税制調査会におきまして各地方で二十回にわたりまして公聴会をやらせていただいたわけでございますが、あらかじめお願いいたしました公述人ばかりでなく、会場に参加された方々と委員との間でかなり活発なやりとりがございました。  それで、このたびは一つの案を持って御批判を受けるということでなく、全般について御発言を願いましたので、どうもそれでは言いようがないではないかという御批判もありましたけれども、昨年のことを初め自由活発にいろんな意見を伺うことができたという意味では一つの収穫であったと思っております。  なお、この後でございますが、税制調査会では何かのいわば具体案というものをある程度内定されましたときには、今度はそれを持たれましてもう一遍、前回ほど多数とはいきませんが、何カ所かで公聴会を再開したいという計画を持っておられるように聞きますが、この場合には、かなり今度は案を絞りました形で御意見を伺えるものと考えております。  それから、不公平税制についての考えはどうかと言われましたが、やはり税制不公平感というのは税の執行に一番これはこたえますので、これが何としても除去されているということが大切でございます。政府としてもそれは従来努めてまいったつもりでございまして、例えば昨年の税制改正におきまして、有価証券譲渡益課税を一部強化いたしました。あるいは土地の短期譲渡についても強化をいたしました。あるいは給与所得と事業所得との間の課税のアンバランスにつきましても一部制度を手直しいたしておりますが、しかし、やはりそれにしましても、この問題はいろいろに御議論になっておられますから、税制調査会でもただいま各種の角度から検討しておられます。  例えば、この間接税について申しますと、ただいまの物品税は第一に自動車でございます。そして、あと家庭電器製品がかなり大きな部分、極めて限られた少数の品目が税収の大半をしょうという形になっておりまして、あれは課税なのになぜこれは非課税かというような、いわば諸種の話題を呼んでおると申しますか、説明のしにくい事態になっておりますのと、奢侈品であるとか生活必需品であるとかいう物の考え方がこの十年余りで随分変わってまいりまして、それがなかなか説明の基準になりにくいというようなこともございます。  それから、ホイールベースの大きな自動車に物品税が高いということは、外国から見ると自分の国の輸入を防ぐためではないか、あるいは酒税についても御承知のようにそんな問題がございまして、どうも貿易摩擦の原因にもなったりしておりまして、やはりここは間接税というのは、個別間接税にもう限度があるのではないかということから御検討を願っておるところでございます。  直接税につきましても、これはこの十年余り所得税、殊に給与所得でございますが、累進がきいてまいりますから、またガラス張りでもあるということでどんどんウエートが上がってきておりまして、それがサラリーマンのいわば重税感になっておる、不公平感になっておるということもございますので、今回、所得消費資産のバランスのとれた税体系を考えていただきたいということを税制調査会にお願いしておるわけでございます。  それから、高齢化社会、高齢化社会と言うけれども、一体どういうビジョンで物を考えておるのかというお尋ねはごもっともなことでありまして、先般、衆議院で御審議の途中でお求めがありまして、大蔵省と厚生省とで一種の想定を設けまして、仮の計算をいたしてみたわけでございます。これは政策の決定ではございませんので、一種の、昭和七十五年及び八十五年を展望いたしまして、どのようなことに現在のままでございましたらなるのであろうか、機械的な計算でございますが、いたしたことがございます。  それによりますと、ただいまの租税と社会保険料負担を合わせました国民負担は三六・六%でございますが、七十五年には四一・五%ぐらい、五ポイントぐらい上がるであろうか。昭和八十五年にはそれがさらに五ポイントばかり、四五・五ないし四六・五ぐらいの国民負担になるのではないだろうか。これは機械的な計算でございますけれども、そのときに、給与に対する源泉所得税及び法人税はこのままですと、今四・八でございますが、それが七十五年には八ぐらい、八十五年には一三ぐらいになるのではないかということで、これは到底たえ切れない勤労者負担になる。  これは政策決定ではございませんで、機械的にただいまの状況を延ばしたような計算でございますから、だからどうということは申せませんが、このまま置いておきますとそういうことになるという資料を御提出いたしましたのですが、そのようなことの中で税制もやはり考えておくべきではないかと思うわけでございます。  それから、住宅取得促進税制対象者を千万円から三千万円に上げた、これは高額所得者優遇ではないかという御批判がございましたが、考えてみますと、先ほども申し上げましたが、三千万円というのは、確かにやや高額ではございますけれども、勤労者が退職前に家をつくりたいというあたりではかなり最終的な給与は高くなっておりますから、そう社会正義を外れるほどの高額所得者優遇ということではないのではないだろうか。住宅促進からいえば、この方々もかねて半生を通じてずっと所得税を、しかも累進の高いところを払ってこられたわけですから、報いるところがあってもいいのではないかという考えで三千万円に上げさせていただきました。  それから、居住用財産買いかえ特例で、いわば父母から相続を受けた者だけをどうして優遇したかということでございますが、これはいわば境墓の地を離れるということについては何か事情がよくよくのことがおありになったのであろう、経済外的な理由であろうということからその場合の特例を残したということでございます。  たばこ消費税につきましては、先ほど申し上げましたが、本来であれば延長をすることはまことに御迷惑なことでございます。が、地方財政で補助金の整理合理化をいたしましたためにその手当てをする必要がございまして、政府税調でも、税制の抜本改正の一環として取り上げなければならないので一年延長をお願いしてしかるべしということでございましたので、六十四年の三月三十一日まで延長することをお許し願いたい。これは何とぞ御理解をお願いいたしたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇拍手
  24. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 先ほど総理府の意識調査につきましてお尋ねございましたが、総理から既に御答弁いたしたところでございますが、若干補足をさせていただきたいと思います。  今回の意識調査は、いわゆる無作為抽出による世論調査、こういうものとは異なりまして、税制問題に関する国民各界各層の意識の傾向及びその差を見るため九ジャンルの方々を対象として調査いたしたものでございます。過去にも年金問題に関しまして同様の調査をいたした実績が厚生省でもございます。そこで、税制問題のように国民各界の立場により意見が異なるテーマにつきましては、今回のような調査の手法も一つの有効な手法であるというふうに我々は考えておるところでございます。  先ほどお尋ねの中で、ずさんとか誘導しているのじゃないかというようなお言葉もございましたが、決して政府としては、今回の調査もできる限りわかりやすく設問いたしておるところでございまして、また誘導というような作為を考えていたしたものでもございません。いずれにいたしましても、税制改正に対する適正な世論の動向の把握ということは政府にとってもまことに大切なことでございますので、総理府といたしましても今後その努力は傾注していきたい、こう考えております。  以上です。(拍手)    〔国務大臣梶山静六君登壇拍手
  25. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 不公平税制という表現は人によってさまざまな意味に使われておりますけれども、不公平税制としてよくその例に挙げられる非課税等特別措置については、個々の政策目的と税負担の公平の原則との調和を図る見地に立って常に見直しを行い、整理合理化に努めてきているところであり、また社会保険診療報酬に係る事業税の特別措置については、税の公平の確保という観点から税制調査会の答申においても撤廃の指摘がなされておるところでございます。昭和六十三年度の税制改正においても見直しの方向で努力したところでございますけれども、なお引き続き検討すべき課題として残されたところであり、今後とも答申の趣旨を踏まえ、保健医療政策との関連を考慮しつつ努力をしてまいる所存であります。  以上です。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄君登壇拍手
  26. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 高齢化社会のビジョンと国民負担の限界についてのお尋ねでございますが、まず高齢化社会のビジョンについてでありますが、政府といたしましては、長寿社会対策大綱という形で今後の基本的な方向を明らかにしております。さらに、先般、二十一世紀の社会保障の給付と負担の展望につきましては、大蔵大臣からお答えがございましたように、おおよその姿をお示ししたところでございます。  国民負担の限界も含めまして、今後の社会保障のあり方につきましては、国民の合意が得られるよう最大限の努力をいたしてまいる所存であります。  以上であります心(拍手)     ─────────────
  27. 藤田正明

    議長藤田正明君) 吉井英勝君。    〔吉井英勝登壇拍手
  28. 吉井英勝

    吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法の一部改正案について、総理並びに関係大臣質問いたします。  第一は、政府が「税制の抜本的改正との関連に留意しつつ」と述べているように、本改正案大型間接税導入の地ならしとしての性格を持つことについてであります。  去る二月に行われました参議院大阪選挙補欠選挙におきまして、私は新大型間接税絶対反対を公約し、このことが有権者の皆さんの大きな御支持を得て当選させていただきました。これに対して自民党候補は、大型間接税の別の表現である直間比率見直しを公約して敗れたわけでございます。圧倒的多数の府民は反対の意思を表明したのであります。  そこで、まず私は、竹下首相が、大阪府民が全国民の声を代弁して下した審判にこたえて、大型間接税の導入計画をきっぱりと断念されるべきであると思いますが、総理の御所見を伺います。  もし、これは大阪の特殊な状況での結果にすぎないとして、あえてあくまで強行しようとするならば、解散・総選挙を行い、そこではっきりと大型間接税を公約して全国民の総意を求めるべきではありませんか。  第二は、石油税の大増税たばこ消費税増税の再延長など、本法案にも既に明らかな直接税から間接税重視にスタンスを移しかえる問題であります。  総理、直接税は国民一人一人がどれだけの税金を負担しているかをよく知ることができ、したがって税の使われ方、すなわち政治そのものに関心を深めていくことのできるものであります。一方、間接税は、中曽根前首相がいみじくも言ったように、羊を鳴かせないようは毛をむしる税制であり、納税者としての自覚を眠り込ませる点に最大の特徴があります。一体このどちらが民主主義にかなった税制であるとお考えか、はっきりと伺いたい。  さらに、あなたは、大型間接税について所得が低いほど負担が重くなる逆進性を初め六つ懸念を表明されました。しかし、それらの懸念は、あれこれの手直しで解消できるものではなく、大型間接税の本性そのものではありませんか。  さて、昨日、政府税制調査会間接税特別部会は、たたき台として三つのタイプを決めました。それらは、いずれも六つ懸念どころか、既に国会国民が明確にノーの意見表示をしたものばかりであります。総理は、懸念を生むその根源である大型間接税の導入をこそ断念すべきであります。明確な答弁を求めます。    〔議長退席、副議長着席〕  第三は、来年度税制改正国民の切実な願いである所得税減税を見送ったばかりか、この願いを逆手にとって大型間接税導入のてこにしようとしている問題であります。  我が党の追及に対し宮澤蔵相は、総合性、累進性、生計費非課税という考え方は今後も有効だと答え、総理もまた、生計費非課税原則が今日も正しいことを認められました。  ところで、現行の控除額は一人につき三十三万円ですが、今の日本で一人の人間が年間三十三万円で生きていくことができると総理はお考えですか。正直にお答えいただきたい。我が党は、人的控除の大幅引き上げにより、サラリーマン四人世帯の課税最低限を少なくとも三百万円以上に改善することを中心に、総額三兆円の所得税住民税減税を直ちに実施することを断固として主張するものであります。総理の見解を求めます。  また、教育費や医療・介護費など深刻な国民負担を軽減するため、教育費控除制度を設けるなど、国民生活の実態に応じたきめ細かな減税措置の実施が必要だと考えますが、文部大臣並びに厚生大臣の見解を求めます。  今、国民には全くわけのわからない決着なるものによって、減税財源探しを口実にした自社公民四党の密室協議が進められています。自民党は、この場で課税ベースの広い間接税、薄く広い間接税なるものを持ち出そうとねらっているのではありませんか。あわよくば社公民各党を抱き込みたいと考えているのではありませんか。協議を見守るなどというその場逃れの無責任な答弁ではなく、自民党総裁としての総理の本音を国民に明らかにすべきであります。  税制をどうするかは、国政と国民生活の根本問題であります。それを、国会とは全く無縁の四党の私的な談合に全面的にゆだねてしまい、さらには、それを口実に国会でのまともな論議を回避するのであれば、国権の最高機関、唯一の立法機関である国会の権威と権能は地に落ち、憲法が保障する国政調査権さえ空洞化してしまうではありませんか。総理の議会人としての見解を改めて問うものであります。  第四は、国民の怒りが集中している大企業、大金持ち優遇の不公平に何ら手をつけず、逆にそれを拡大している問題であります。  国民の生活苦をよそに、今我が国の巨大企業は円高差益のひとり占め、賃金の安い海外への進出、金転がしと土地投機、公共事業の大盤振る舞いなどでうけに入っております。このような巨大企業に、資源エネルギー対策とか、民活とか、試験研究とかの口実を設けてまで、なぜ税金を一層まけてやらなければならないのでしょうか。納得できるような説明がもしあれば伺いたいのであります。  本案の目玉とされている土地税制も同様であります。軽減特例を民間の再開発事業用への譲渡にまで拡大することは、大手不動産企業やデベロッパーにさらなるぼろもうけを保証し、地価の一層のつり上げにつながるだけではありませんか。そうさせない保証がどこにありますか、お答えいただきたい。  また、資産課税の強化を一応は口にしながら、土地譲渡に対する課税を大幅に引き下げ、高額所得者優遇を拡大するのは矛盾も甚だしいではありませんか。明確な答弁を求めます。  我が党は、金転がしによるぼろもうけを抑えるための有価証券取引税強化とキャピタルゲイン課税の断行、土地転がし利益や使途不明金への一〇〇%課税、外国税額控除の抜本的縮小、株式時価発行差益や受取配当への課税の適正化、法人税への軽度の累進制導入などを一貫して提起しておりますが、これこそが簡素、公平、公正な税制への道ではありませんか。総理の見解を求めます。  私は、大阪府民の審判がはっきりと示した大型間接税ノー、密室のなれ合い政治ノーという国民の声にあくまでも忠実に、竹下増税に対決して奮闘する決意を表明し、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  29. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初の御質問でございますが、いわゆる大型間接税等々についての御所見があった上、まずこれを断念しろ、こういうお話でございましたが、税制改革というのは大事なことでございますから、まさに所得消費資産の間で均衡のとれた安定的な税体系をつくる、この努力はいつまでもしなければならない問題であります。  それから、選挙によって信任を問えということでございますが、そもそも衆議院にあっては四年間、参議院にあっては六年間、これこそ大事に大事にしなきゃいかぬ任期でございます。そのことは、何回お聞きになりましてもそのとおりを申し上げたいと思っております。  それから、民主主義にかなった税制、こういうお尋ねがございました。  私が六つ懸念でも申し上げておるとおり、いわゆる間接税は累進的な負担を求めにくい反面、給与所得者であれ事業所得者であれ、その者の稼得した所得のうちからなされる消費等の大きさに応じて負担を求めるという意味において、また水平的な公平感というものがあるわけでございます。  したがいまして、単一の税目のみを論議してもなりませんし、税目にはそれぞれ長所を有する反面、問題点もまたございます。これらが議論の上で中和していくことが何よりも好ましい、このように考えておるところでございます。  それから次に、四党の密室協議という表現をお使いになりましたが、いわば党対党の間の合意でございますから、これもまた大切にしなきゃならぬことでございますし、また、自由民主党総裁として云々というお言葉もございましたが、私は国会において指名を受けた行政府の長でありますので、そこのところの見解には、いつも同じように、答えるべきでないということをいつもいつもお答えしております。  それから、有価証券取引税等々の問題でございます。  外国税額控除のあり方とか、あるいは法人の受取配当益金不算入制度とか、そうして株式のキャピタルゲイン課税とか、あるいは有価証券取引税、これらは当然のこととして検討の対象になるものであります。ただ、いわゆるプレミアム課税でありますとか、法人税の累進課税のように税制としてはとりにくいものを初めから御指摘なさっておる点については、私はこれには否定的なお答えしかない、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  30. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 租税特別措置法が大企業の利益を図っておるのではないかということは、私どもそうは考えておりませんで、毎年厳しく見直しておりますが、現在いわゆる研究開発、RアンドDでございますが、あるいはエネルギー対策であるとか中小企業対策であるとか、そういうものが残っておりまして、大企業のためにというようなものはございません。もともとそのときのニーズに従いましてなお厳しく見直して、毎年見直しをいたしております。  それから、土地につきまして、今回借りかえの特例、それから優良住宅地の造成のための特例等々は、これはいわば土地問題の現況に対応するためにいたしましたわけで、高額所得者を優遇するという趣旨ではございません。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇拍手
  31. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 私に対しましては、教育費控除制度、教育費減税の御指摘でございました。  教育費の父母負担が過大になりませんように、これは重要な課題だと考えております。  教育費控除制度でございますが、これは税制上いろいろな問題点がありまして、その実現が見送られてきたものと承知いたしております。  教育費負担の重い中高年齢層に対しまして所得税負担の軽減等が適切に図られる、これが重要だというふうに考えておりまして、昨年秋の所得税改正におきましてもその辺の所要措置がとられたわけでございます。  これからは、育英奨学事業あるいは私学助成等の歳出面での諸施策の推進も含めまして、引き続きより一層の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄君登壇拍手
  32. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 寝たきり老人等を抱える家庭に対する減税措置の実施に関するお尋ねでございますが、厚生省といたしましては、寝たきり老人等に対しましては在宅サービスの充実、施設の整備等の各種の施策を実施してきております。また、税制面でも、現在、特別障害者控除等の措置が講じられております。今後ともこうした配慮が必要であると考えております。  以上でございます。(拍手、「答弁漏れだ」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  33. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 議運協議中でございますので、しばらくお待ちください。     ─────────────
  34. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 小西博行君。    〔小西博行君登壇拍手
  35. 小西博行

    ○小西博行君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま提案のありました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、竹下総理大臣並びに宮澤大蔵大臣に対して質問を行うものであります。  第一は、税制改革の手順についてであります。  中曽根内閣による税制改革は、売上税の強引な導入の失敗に加え、不十分な減税と抱き合わせでマル優制度の廃止に終わり、この結果、税の重税感、不公平は一層拡大し、国民の期待を裏切るものとなりました。我々としては、税制改革を進めるのであれば、まず不公平税制是正、中堅所得者に重点を置いた所得税減税などを出発点にすべきだと考えます。  しかるに竹下内閣は、国民各界各層の意見を十分に取り入れ、国民の納得のいく税体系を構築すると口では言いながらも、初めに大型間接税ありき、この秋には法案成立ありきという、最初から結論を押しつけるやり方には憤慨を禁じ得ません。このような税制改革の進め方は、国民合意の形成を認めない拙速な手法批判せざるを得ません。  さて、六十三年度税制改革については、与野党の間で合意がされているように、新型間接税抜きで大幅減税を実現することとなっております。政府は、この合意を厳格に遵守し、税制改革の出発点として不公平税制是正と大幅減税を実現することだと考えますが、総理の明快な答弁を求めます。  第二は、新型間接税についてであります。  既に政府税制調査会や大蔵省主税局において新間接税の骨格づくりが着々と進んでおります。総理は、高齢化社会の到来にふさわしい安定財源の確保ということを大きな理由にして大型間接税の導入を正当化しようとしております。しかし、これは根拠が薄弱ではありませんか。  その理由の第一は、高齢化社会はことしや来年に急に到来するのではなく、十分に論議を尽くす時間的な余裕があるということです。理由の第二は、高齢化社会になっても税金だけで負担するのではなく、社会保障負担もあり、税金だけの論議を先行させるのは誤りであるからであります。  この点について総理はどのように考えられておられるのか、なぜ性急に今年秋までに決着させなければならないのか、その根拠を明らかにしていただきたいのであります。  また、財政再建についても、従来から言われている六十五年赤字公債脱却一本やりといった機械的なやり方ではなく、内需拡大など日本が内外から責められている政策転換にこたえながら着実に財政再建を進めるべきであり、そのために財政再建計画国債残高の対GNP比率など総合的な財政指標に基づいたものにつくり直すべきではありませんか。  さらに、行政改革も土光さんが言われているようにいまだ道半ばであり、国鉄、電電公社等の改革を除いてはほかに見るべき成果はほとんど上がっておりません。民間企業では、経営が苦しくなれば血のにじむような合理化を行い、企業の存立をかけて多くの犠牲の中で努力されているではありませんか。それに引きかえ政府は、国債百五十九兆円という莫大な借金を抱えながら、行政改革をきちんとやらずして、増税によって赤字の穴埋めをしようなどとは国民が納得するはずがありません。  以上のように、政府としてやらなければならない多くの課題が山積しているにもかかわらず、それに手をつけず、拙速に新型間接税導入を意図するなどは断じて容認できません。総理並びに大蔵大臣の御所見を承りたい。  第三は、本法案の内容についてであります。  今回の税制改革案は、国民の求める所得税減税、相続減税を見送り、中途半端な土地税制改革等を盛り込んでいるにすぎないということです。また、本来一年限りの措置として導入されたたばこ消費税増税及び揮発油税、自動車重量税などの増税延長、さらに石油税増税は安易な財源確保のための手段と言わざるを得ませんが、総理及び大蔵大臣の御所見を求めます。  第四に、所得税減税についてお尋ねいたします。  中堅サラリーマンに重点を置いた大幅減税は、一刻の猶予もならない緊急の課題であります。我が党は、働き盛りの勤労者の生活向上を目指すために、所得税減税住民税減税、政策減税を合わせて約二兆円の実現を要求しております。特に、現行十二段階所得税率を六段階に簡素化することや人的控除の引き上げを行うことなどであります。さらに、寝たきり老人等に対する家族介護者の諸控除引き上げ、パート・内職減税住宅減税の拡充など政策減税の実施を要求しております。また、サラリーマンの必要経費申告制度の拡充も必要であります。  これらの所得税減税については、目下与野党の実務者間で協議中でありますが、これらの要求に対し、総理大蔵大臣は基本的にどのように考えられておられるのか、また大幅な所得税減税は年内に必ず実現されようとしているのか、明快な答弁をいただきたいと思います。  第五は、法人税減税についてであります。  先進諸国の中で我が国法人税の実効税率は五一・五五%と著しく高くなっており、このような状態を放置すれば産業の空洞化がますます進むことは明らかであります。我が党は、現行四二%の基本税率の引き下げ等を提唱しております。しかし、一方では減税を主張しながら他方で賞与引当金の廃止、退職給与引当金の圧縮によって財源を確保することなどは単なる数字のつじつま合わせであり、反対であります。竹下内閣法人税減税に臨む姿勢について、総理及び大蔵大臣から明らかにしていただきたい。  第六は、相続税減税についてであります。  政府の無為無策によって、大都市圏を中心に地価が異常に高騰いたしました。しかるに政府は、いわゆる土地国会においては緊急を要する重要課題であるにもかかわらず法案も提出せず、土地政策の基本方針すら確立せず、今回のように土地譲渡益課税の仕組みをいじくるぐらいでは根本的な解決にはなりません。昭和五十年以来据え置かれている相続税課税最低限等の引き上げを行い、居住権と事業承継権を確立するため、一定面積以下については非課税にするなど抜本的な検討を早急に行うべきと考えますが、総理大蔵大臣の見解を明らかにしていただきたい。  最後に、税制改革の最大の課題である不公平税制是正についてお尋ねいたします。  歴代保守党内閣資産課税を骨抜きにしてきたために、持つ者と持たざる者との格差が一層拡大しております。我々は、株式のキャピタルゲイン課税の実現、庶民の感覚から見て非常識な土地保有、土地取引に対する課税の強化などを強く求めるものであります。株式のキャピタルゲイン把握のためには、プライバシーに最大の配慮をしつつ、株取引のカード制度を導入すべきではありませんか。  税制は社会の鏡であり、不公平な税制是正されなければ社会の不公平はますます大きくなるばかりであります。不公平税制是正なくして国民の税に対する信頼回復、ひいては政治に対する信頼はますます失われていくのではないかと思うのですが、総理不公平税制是正にかける決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  36. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初のお尋ねは、国対委員長合意事項についてのお尋ねでございました。  この点につきましては、政党間の話し合いによって決められたものでございますので、政府自身がその中身につきまして見解を申し述べる、このことはその立場にないということを御理解いただけるものと思います。  現在、政策担当者間の協議が進められておるところでございますので、その中で合意の具体化が図られる場合、政府としてこれを当然のこと尊重すべきものであるというふうに考えております。  それから、高齢化社会の問題でございますが、まだ先の話ではないかという御趣旨もございました。が、最近十年間の推移を振り返りますと、ガラス張りの勤労者源泉所得税ウエートの増大、その裏腹となる個別消費税制度をとります間接税ウエートの低下、これらを放置しておくということは税体系のゆがみを増幅させる、こういうことになるわけでございます。  そうして、このまま推移すれば、まさに働き手世代の稼得する勤労所得に対する負担に偏ってきて、重圧感、不公平感がますます拡大される。こういう事態を避けて、社会共通の費用を広く薄く国民全体で負担していくという観点から、いわば所得の稼得段階とともに消費段階にも応分の負担を求めていくということで、安定的な税体系の構築をしようという考え方に立っておるわけでございます。  そして一方、今後の社会保障負担が高まるだろうということは、これはお説のとおりでございます。  そこで、最終的には国民が必要とする社会保障給付のあり方というものと負担というものはこれは裏腹になるわけでございますので、最後には国民が選択すべき課題でございますが、貴党におかれて前々から長寿社会に対するいろんな計画を提示するように御主張があり、可能な限りの努力をして、少なくとも御参考に供したいというふうな資料の提出に今も努めておるところでございます。  次に、財政再建計画見直しをしたらどうだ。  六十五年までに特例公債依存体質から脱却しよう、これがやはり第一義であって、この目標達成に向かって最大限の努力をしよう。そこで、これは容易なことではございませんが、まずはそこに目標を置くべき問題であろうと思います。  それから、行政改革とかあるいは財政改革の決意がいわば揺らいでおりはしないか。  やはりかつて本院においても御決議がございましたごとく、まずは行政改革を行い、そして経費の節減合理化を行い、さらに税制の抜本的改正等を行って財政再建に当たるべきであるという趣旨の御決議に対しては、今日なお忠実にこれを守っていく考え方でございます。なかんずく行政改革は、せっかく今押し上げております荷車が、手を離してがらがらとまた返ってくるようなことになってはならないということを常日ごろみずからの心にも言い聞かせておるところであります。  それから、具体的税制問題がございましたが、たばこ消費税、これは今まさに抜本改正がなされておる間、やはり補助金等の整理に伴いますところの地方財政対策として延長させていただきたい。また、揮発油税については、第十次道路計画、したがって、その特定財源として五年間延長してもらいたい。また、石油税については、いわゆる原油価格の不安定からその課税方式を従量税化する、こういう内容であるわけでございます。  それから、減税問題は、最初の答えに尽きると思うのでございますが、今私どもとして、昨年秋にお世話になりましたいわゆる住民税を含めて、六十三年度ベースで言いますならば二兆円ということになりますが、さらに今各党間でも詰めが行われ、一方、政府税制調査会においてもこの議論が行われておる最中であるというふうに御勘案願いたいと思います。  法人税、これも税負担の国際的格差というようなことから、今抜本改正の中で協議中のものでございます。  それから、相続税見直し、事業承継に伴う問題等の御発言がございましたが、これもこの検討結果を踏まえて適切に対処すべき課題であると思っております。  それから、有価証券譲渡益課税という問題につきましても、先ほど来申し上げておりますように、幅広い観点から御審議がいただける課題だというふうに思っておるわけであります。  いずれにせよ、私が不公平税制という言葉を使いませんのは、税制は租税法定主義で、いずれにせよ国会でクリアしていただいたものでございますから、そこに初めから不公平があるということは国会に対して非礼に当たると思って言わないことにしておりますが、不公平感がある、これは事実でございますので、それにメスを入れなきゃならぬというのは思いをひとしくいたしております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大部分総理がお答えになられましたので、残った問題でございますが、昭和六十五年度には特例公債依存体質から脱却しようということで現実の目標として鋭意努力をいたしておるところでございますが、国債残高をGNPとの関連で調整してはどうかというお話がございまして、これは一つの御見識だと思いますが、また確かに財政の後を事後的にたどりますと、あのときにGNPとどうであったというようなことは今後の指針にも役立つことでございます。  しかし、今度、将来の目標としてやや実務的にこれを考えますと、どうもGNPというのが正直のところ非常に予測が困難で、振れるということがございまして、これを財政運営の現実的な目標にするのにやや不安があるということと、それからGNPが大きいときは概して景気は好調なわけでございますが、財政としてはそのときには余り国債を出す必要がない、不況なときにはむしろ出さなきゃならないという、GNPの伸びと国債発行とがやや逆の方向を政策としては示す必要があるということがございまして、その点にも問題が幾らかあろうかと思います。  それから、個々の税につきまして、たばこ消費税関係は、先ほども申し上げましたが、地方の補助金の調整をいたします整理合理化に伴いまして、地方財政に需要が生じまして一年延ばさせていただいたということでございまして、この点は御理解をお願いしたいと思うのでございます。  次に、揮発油税等の自動車関係諸税は、今年、第十次の道路整備五カ年計画が発足をいたしますので、その財源として五年間延長することをお願いいたそうとしておるのでございます。  石油税は、石油及び石油代替エネルギー対策の財源でございますが、最近、石油価格が下がった、あるいは円レートが上がったということで大幅な減収になっておりまして、当面の目的を達するのに足りないということでございますが、いずれにしても、しかしこれは税制の抜本見直しをいたしますので、一度ここで全部問題を考え直してみたいと存じまして、この際暫定的に増税をお願いいたしました。その際、従価税にいたしますと非常な高い税率になりますので、従量税にさせていただいた。恒久策としては抜本対策として考えさせていただきたい。ただいま検討をいたしておるところでございます。  それから、法人減税についてどう考えるかということでございますが、我が国法人税の実効税率あるいは負担が各国より高くなっているということは恐らく誤りのないところであって、そういう意味で外国に立地をする、円高のこともございまして本社をよそに置くというようなことが大分行われるようになって、かくては我が国の雇用にもあるいは産業の空洞化にも影響なしとしないというような問題がございます。そこで引き下げを図りたいと思っておりますが、その際に、しかし例えば引当金でありますとかあるいはいろいろ特別措置でありますとかいうのがございますので、できるならばそれを整理しながら課税ベースを広くしておいて、そして税率を下げたい、そういうふうに私どもとしては考えております。  相続税につきまして、今の相続税制は昭和五十年につくっておりますので、殊に最近の土地等高騰によりまして緩和を図らなければならないことは明白でございます。今税制調査会で検討をお願いいたしておりますが、その中で一定の土地、例えば五十坪というものは課税から除いたらどうだということになりますと、これは東京の五十坪も過疎地の五十坪も、五十坪ということになりますと金額的には非常に大きな違いがございまして、いわば従価税でございますからちょっとそういうわけにまいらずに、現実にはサラリーマン等々のいわば二百平方メートルまでの土地につきましては、居住用あるいは事業用に従って三割、四割という減額を現実にいたしております。これは実際は土地の高い地方に対する相続税の緩和策ということになっておりまして、現実には小西議員の言われるような役割を果たしておると存じます。  また、余り土地を優遇いたしますと、相続財産の中で土地を持っていることが有利だというようなことになりましてもまた問題がございますので、ただいま程度の減額措置ではいかがかと考えております。  それから有価証券の取引は、これは原則課税にすることが望ましいということに異論はございませんのですけれども、そのための課税の体制をどのように整備するかということが問題でございまして、現在確かに課税ベースとしては十分でない、いわば原則課税ということになっておりませんので、これを例えば今お話しの納税者番号等々を使った場合にどのような問題があるかというようなことを含めまして、税制調査会で御審議を願っておりますが、いずれにいたしましても、体制を整えまして原則課税という方向へ強化をいたしてまいりたい、方向としてはそのように考えております。(拍手
  38. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  39. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) この際、日程に追加して、  昭和六十三年度地方財政計画についての国務大臣の報告並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案についての趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。梶山自治大臣。    〔国務大臣梶山静六君登壇拍手
  41. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 昭和六十三年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨について御説明を申し上げます。  昭和六十三年度の地方財政につきましては、巨額の借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債の抑制に努めるとともに、地方一般財源所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について節減合理化を図るとともに、個性豊かで魅力ある地域づくりを推進するため必要な地方単独事業費の確保に配意する等、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹することを基本といたしております。  以下、昭和六十三年度の地方財政計画の策定方針について御説明を申し上げます。  第一に、土地の評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の負担調整措置を講ずるとともに、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税等の税率等特例適用期限延長等を行うこととしております。第二に、国庫補助負担率の引き下げ等を行わない前提では収支が均衡する見通しとなり、地方財政の中期的な健全化を図る観点から、昭和六十三年度に一般会計が臨時特例交付金として交付税特別会計繰り入れることを予定していた額について、昭和六十六年度以降の地方交付税総額に加算する等の措置を講ずることといたしております。  また、国民健康保険制度見直し並びに昭和六十一年度及び昭和六十二年度の国庫補助負担率の引き下げに伴う昭和六十三年度の地方財政への影響額を合わせた一兆七千二百五十九億円の財源不足につきましては、地方たばこ消費税税率引き上げ措置の継続、地方交付税の増額及び建設地方債の増発等により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生ずることのないように措置をしております。  第三に、厳しい財政環境のもとにおいても、地方団体の創意工夫による個性豊かで魅力あるふるさとづくりや住民生活に身近な生活関連施設の整備等の積極的な推進を図るため地方単独事業費の確保に配意するとともに、福祉施策、教育文化振興対策等の推進、過疎地域の振興等に対する所要財政措置を講ずることとしております。  第四に、地方財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担単価の適正化等の改善合理化を進めることといたしております。  以上の方針のもとに、昭和六十三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は五十七兆八千百九十八億円となり、前年度に比し三兆四千四百二億円、六・三%の増加となっております。  次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  昭和六十三年度の地方税制改正に当たりましては、最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化等を図ることをその基本といたしております。  以下、その概要について御説明申し上げます。  第一に、地方税法改正であります。  まず、個人住民税について優良住宅地造成等に係る長期譲渡所得軽減税率の引き下げ等を行うとともに、特別土地保有税について三大都市圏の特定市の市街化区域における特例適用期限延長及び免税点の引き下げを行うことといたしております。また、固定資産税及び都市計画税について、土地の評価がえに伴い負担調整措置を講ずることとするとともに、道府県たばこ消費税、市町村たばこ消費税、自動車取得税及び軽油引取税の税率等特例適用期限延長等を行うことといたしております。  第二に、国有資産等所在市町村交付金法改正でありますが、国有資産等の台帳価格の修正を行う場合の特例措置を引き続き講ずること等の改正を行うことといたしております。  なお、これらの改正により、昭和六十三年度におきましては千九十五億円の減収となる見込みであります。 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、昭和六十三年度分の地方交付税の総額につきましては、所得税法人税及び酒税の三二%に相当する額に、国庫補助負担率の引き下げ及び国民健康保険制度見直しに伴う地方財源不足を補てんするための特例措置額二千二百七十五億円を加算すること等とした結果、十兆六千二百八十六億円となっております。  また、昭和六十三年度の普通交付税の算定につきましては、地域振興に要する経費、公共施設の 整備に要する経費、教職員定数の改善、私学助成等教育施策に要する経費、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げに伴う所要経費等の財源措置するほか、国民健康保険制度見直しその他制度改正等に伴って必要となる経費の財源措置するため、単位費用を改定すること等といたしております。  以上が、昭和六十三年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)     ─────────────
  42. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。糸久八重子君。    〔糸久八重子君登壇拍手
  43. 糸久八重子

    ○糸久八重子君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案並びに昭和六十三年度地方財政計画について質問をいたします。  自治体の予算は、国の予算とは異なり、外交・防衛費を持たず、そのすべてが住民生活に直結していることが最大の特徴であり、自治体のお金と自治体を通じて使われる国庫支出金と合わせると、毎年の国全体の租税収入の七割が支出されています。  もう一つの特質は、国の財政は国庫という一つの財布であるのに対し、地方財政は全国三千三百自治体の総合であり、個々の自治体によってその歳入歳出構造には違いがあるということであります。  私がなぜこのような地方財政のイロハを改めて述べるかといえば、最近の政府予算並びに地方財政対策を見ますと、このような特質について国がゆがめ、ねじ曲げようとしていると感ずるからであります。  例えば、鈴木中曽根内閣以来行財政改革が推進されてきましたが、国の方は歳出削減と言いながら防衛費は突出させ、対GNP比一%枠も軽々と突破させています。また、国庫補助負担金のカットを毎年拡大させていますが、中央官庁のひもつき補助金の弊害が指摘されていながらその改善はほとんど進められておりません。何より自治体にとって大きな負担となっている機関委任事務は、少しばかり減らしても新しい法律ができるたびにふえ続けているのであります。  自治体の事業に対する国の介入も目に余ります。補助金をカットし、福祉をゆがめながら、生活保護世帯を減らすことばかり自治体に強要したり、社会保険診療に対する発言権を保障しないまま国民健康保険の負担強化を図るなど、政府においても自民党においても地方自治をどのように考えているのか甚だ疑問に感じます。  こうした地方に対する押しつけと犠牲の強要が憲法が言う地方自治の保障であるのか。地方財源の保障はおろか、負担転嫁のつじつま合わせの財政計画地方財政計画の本旨であるのか、竹下総理、梶山自治大臣の御見解をまずお伺いいたします。  第二に、補助金カットの問題であります。  衆参の予算委員会でもこの問題は再三取り上げられております。そこで具体的にお伺いいたします。  一つは、六十四年度予算概算要求及びその基準においては、法律は六十三年度までの時限立法ですから、当然旧補助負担率で行われるものと理解いたしますが、大蔵大臣、自治大臣の確認答弁を求めます。  第二に、繰入金の繰り延べや補助削減の財源補てんは具体的にどのような方法で進められるべきと考えておられるのか、この点も大蔵、自治両大臣の御所見を伺います。  さらに、いやしくも特例法の延長などということはお考えにならないとは存じますが、確認の意味で竹下総理から、地方との約束を守り延長はしない、とりわけ生活保護を初めとする福祉関係の補助負担金についてはもとに戻すことを表明していただきたいのであります。  また、文部大臣にお伺いいたしますが、カットされているものの中には、例えば、人口急増地帯の学校施設整備の補助のかさ上げなどが含まれております。子供の教育施設の整備を単に財政理由からおくらせることなどとんでもないことだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。  同時に、補助削減の特例法が廃止されても、既に一般財源化されてしまい、自治体の超過負担を余儀なくされているもの、例えば、旅費や教材費などについては義務教育費国庫負担制度に戻すべきでありますが、御見解を伺います。  教育よりもまずお金を優先させるという政府の姿勢のもとで、日本の次代を担う健全な人材の養成ができるでしょうか。私は、学校給食の現状一つ見ても憂うべき事態だと思います。先割れスプーンやメラミン食器の使用、また合成洗剤による洗浄など、安全性や文化を後ろに追いやっている状態。民間委託やセンター化によって画一的な愛情のこもらない献立に甘んじている傾向。これらは国の財政のみを優先させていると言わざるを得ません。  竹下総理も、宮澤大蔵大臣も、中島文部大臣も御自分の毎日の食事にメラミン食器が使われ、温かくもない画一的な献立を食べなければならないとしたらどのようにお思いでしょうか。ぜひ、この際、感想をお聞かせいただきたいと思います。  また、重ねて文部大臣に伺いますが、文部省の機構改革で給食課自体がなくなると聞いておりますが、そのようなことが許されるのでしょうか。学校給食は教育の一環として重要な役割を果たしています。他の課と統合するとされていますが、全国の子供を思うお母さん方の願いをかなえ、ぜひ存続させることをこの場で表明していただきたいと思います。  次に、税制改革について伺います。  第一に、与野党政策担当者によって野党三会派の要求する減税とその財源についての交渉が行われておりますが、既にキャピタルゲイン課税については合意に達し、内職、家内労働に従事する方々に対する減税についても確認されたと聞いております。  しかし、税制については、過去においても政府税調の答申や与野党合意が自民党税調の横やりによって邪魔された例が多くあります。野党の要求している減税は実施する、その内容は政策担当者協議で詰めるとされたのでありますから、自民党の総裁として、政府の責任者として、合意されたことは必ず実施することをお約束いただきたいと存じます。  第二に、政府税調の議論はまことにおかしいと思います。与野党の合意は、六十三年度減税は実施する、その財源検討に当たっては新型間接税は含めないというものでありました。政府税調が新大型間接税構想を着々と進めていることは国会軽視も甚だしいと言わざるを得ません。総理から諮問事項の訂正あるいは取り消しをすべきだと思いますが、総理の御見解を伺います。  また、総理の示された六つ懸念については、その性格がよく理解できません。懸念というのは、気がかり、心配があるということであります。新大型間接税が導入されるのではないかと懸念しているのは私たちであり、その心配の種をまいているのは総理御自身であります。中曽根総理は二枚舌と批判されましたが、竹下総理の御発言は、陰でぺろりと舌を出すというものではないでしょうか。六つ懸念ではなく、懸念のあるものは拙速にやらないとはっきりお答えいただきたいのであります。  第三に、税制改革論議において、地方税改革についてはいつもなおざりにされています。地方税の税源の拡充、そして同時に、交付税制度の充実についてどのような方針と決意を持たれているのか、総理と自治大臣にお示しいただきたいと思います。  次に、地域開発と大都市整備に関連して、東京問題について伺います。  第一には、先ごろ東京湾保全法を制定すべきだという貴重な提言が発表されました。高度成長期において瀬戸内開発が進む中で瀬戸内海の環境保全のための立法が行われましたが、今日、東京湾開発が叫ばれても環境保全は何ら考慮されておりません。東京圏の今後の発展は、東京湾をいかに健全に保全していくかにかかっております。東京湾保全法制定について総理の御所見を伺います。  第二に、土地問題と交通問題であります。  まさに通勤地獄となっている東京圏の交通事情を打開するためには、千葉、埼玉における良好な住宅団地の形成と地下鉄や新線によるアクセスの確保、同時に、東京の都心機能の一部移転しか手がないと思います。問題は、税制や国土利用計画法の強化など、土地対策の推進と地下鉄等に対する資本費の補助強化であると考えますが、総理並びに自治大臣の御所見を伺います。  最後に、仙台市が政令指定都市となる予定ですが、東京圏においても要件に合致すれば指定都市をふやす方針であるのか否か、自治大臣の御見解をお伺いして私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  44. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初に、地方自治、地方財政に係る基本姿勢についてのお尋ねでありました。  地方自治は民主政治の基盤であります。そして内政のかなめであります。こうした観点を踏まえまして、国、地方を通じます行政改革の一環として国の関与、必置規制、それから機関委任事務の整理合理化、これらの法の制定等に努めますとともに、地財計画の策定等を通じて所要地方財源の確保を今日まで図ってまいりました。  今後とも国と地方の役割分担の適正化、それから地方財源の充実、これらにつきましては不断の努力を図るべき問題であるというふうに考えております。  それから、補助金カット特例法の延長問題でございますが、これまでの経緯や、そしてとってきた措置の性格を踏まえまして、今後の諸情勢の推移、また国、地方の役割分担、財源配分のあり方、それを総合的に勘案して対処してまいります。  次の問題は、学校給食についての私に対する感想でございましたが、栄養とか安全とか衛生とか、それに加うるに食文化というようなものも私もあろうと思っております。しかし、そういう文化と合理化をどうして調和するかというようなことになりますと、ちょっと私自身がそれに対して正確にお答えするだけの知識の持ち合わせがございません。  それから、与野党協議の合意の問題でございますが、これらにつきましては、これを尊重していくというのは当然のことであります。  それから、税調への諮問を訂正したらどうだ。  これは、あるべき姿の抜本改正、一方の党間の話し合いは六十三年度の減税問題、おのずからそこにはそれぞれの目的が違っておりますので、税調の諮問を取り消す、変更するという考えはこれは全くございません。  それから、六つ懸念の問題でございますが、これは大胆に私なりに整理をしたものでございます。議論を積み重ねることによって和らぐもの、また税制全体あるいは財政全体の中で考えていくべきもの、できるだけ多くの国民が納得し得る税制を確立するには、そういうことを議論していけばなるほどというコンセンサスが出てくるものであろうという観点に立って申し上げておるわけでございます。  さて、税制改正に関しての地方税源の拡充、交付税制度の問題にもお触れになりました。  これにつきましても、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、これからも努めてまいる考えでございます。  それから、土地対策の問題がございました。  これにつきましては、これは東京を中心とする地価高騰が一部地域で鎮静化の傾向にあるとしても、これは政府としては引き続き総合的な土地対策の推進に努めていかなきゃならぬというのは当然のことでございます。  したがって、今国会にも税制上の措置をお願いしましたり、また監視区域の問題等につきましても、これからも機動的な運用に努めていかなければならぬ。いずれにせよ、政府一体となっての土地対策を進めてまいる所存であります。  それから、地下鉄問題につきましては、これはいわゆる多額の資金を要することから補助制度が今日もあるわけでございますので、これの適切な運用をしなければならないと考えております。  それから、東京湾保全法の制定。  東京湾は貴重な限られた公共の空間、本当に限られたそういうものであるという問題意識は私も持っております。したがいまして、各種の環境保全対策等を今日までも実施してまいりましたが、これからも十分意を用いて対応すべき課題だというふうに考えております。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣梶山静六君登壇拍手
  45. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 糸久議員にお答えを申し上げます。  第一の質問は、地方自治、地方財政に係る基本姿勢についてでありますが、ただいま総理からお答えがあったとおりでありまして、地方自治の充実発展を図る観点から、国の関与、必置規制、機関委任事務の整理合理化等に努めるとともに、地方財政計画の策定等を通じて所要地方財源の確保を図ってきたところであります。今後とも地方分権、地方財源の充実を一層推進してまいりたいと思います。  次に、六十四年度以降の補助負担率の取り扱いについてでありますが、国庫補助負担率の引き下げは、国の極めて厳しい財政事情を背景として六十三年度までの暫定的措置として行われているものであり、したがって、六十四年度以降の取り扱いについては、原則としてもとの補助負担率に戻すべきものであると思いますが、具体的には六十四年度予算の編成過程において関係省庁で協議の上定められるものであります。  自治省としては、各事業の性格、国庫補助負担制度の意義等を踏まえつつ、国としての責任が全うされ、地方財政の健全かつ安定的な運営の確保が図られるよう検討を進めていく考えであります。  次に、補助負担率の引き下げと財政措置についてでありますが、国庫補助負担率の引き下げ等に伴う財源補てんに関連して、法律上、昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税総額に加算することとされているもののほか、暫定的に同年度以降に加算することとされたものについては、国庫補助負担率暫定引き下げ措置期間終了後、自治、大蔵両省間で調整することといたしているところでございます。  また、国庫補助負担率の引き下げに係る財源補てんのため増発された地方債の元利償還金の一定割合については、国の一般会計負担することとされているところでございます。  次に、地方税源の拡充、交付税制度の充実についてでありますが、これも総理からお答えがございましたけれども、税制改革については、現在、税制調査会において審議が進められているところであるが、税負担の公平適正化に留意しつつ、活力ある地域社会の形成を推進する観点から、地方税、地方交付税等の地方一般財源の確保に努め、地方団体の財政運営に支障の生じないよう努めてまいる所存でございます。  これも総理から御答弁がございましたけれども、東京圏の交通事情打開策についてでありますが、まず土地対策は、政府の最重要課題の一つであり、土地対策関係閣僚会議等の場においても検討が進められているところでございます。こうした土地対策の推進は、東京圏の交通事情の改善の一助でもあるというふうに考えております。  地下鉄については、国と地方公共団体建設費の一部を助成し、助成の内容については逐次改善が図られているが、今後とも地下鉄事業の経営状況建設費の動向等を勘案しつつ、関係省庁とも協議をしながら対処してまいりたいと存じます。  最後に、指定都市指定の方針についてでございますが、政令指定都市には行政権限等で一般の市とは異なる取り扱いがなされることになるので、人口その他都市としての規模、機能等において従来の政令指定都市と同等の実態を持つものにつき指定すべきものと考えております。したがって、具体の都市の実態に応じ、これを含む都道府県の意向にも配慮しながら検討をする必要があると思料されます。  以上です。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  46. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 補助金等に係る暫定措置の期限が終了いたしました後どういうふうに取り扱うかというお尋ねがございまして、ただいま自治大臣がお答えになられましたが、今後の諸情勢の推移、国、地方の役割分担あるいは財源配分等々いろんな諸般の事情を考えながら、できるだけ早急に関係各省庁の間で協議をいたしたいとただいま考えておるところでございます。  それから、六十四年度予算の概算要求についてあるいはその基準についてお尋ねがございましたが、六十四年度は何としても特例公債脱却をさらに具体化をしなければならない年でございますので、概算要求一般につきましてはやはり引き続き厳しいものにせざるを得ないと考えておりますけれども、ただいままだ具体的に申し上げる段階には立ち至っておりません。  それから、いわゆる補助を削減いたしました後、財源補てんをどうするかという財政措置につきましては、先ほど自治大臣がお答えになられましたとおりでございまして、誠実にそれを守ってまいるつもりでございます。  それからもう一つ、学校給食あるいは食器、洗剤、献立等につきまして御質問がございまして、これは文部省におかれて適切に対処しておられるものと考えております。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇拍手
  47. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) まず補助金カットこついてでございますが、厳しい国の財政事情などを踏まえまして、昭和六十一年度から三分の二の補助率を十分の五・五にしてきております。急増市町村に係る国庫負担割合かさ上げ措置におきましても、六十三年度は十分の五・五でお願いをいたしておるところでございますが、引き下げ措置対象となりました地方公共団体に対しましては、地方財政対策におきまして所要財源措置がなされているところでございます。  二番目に、旅費や教材費についてでありますが、これも義務教育費国庫負担制度といたしましたのは、当時の地方財政状況等を考慮いたしまして取り入れられたものでありますが、現在では、各地方公共団体におきまして所要措置を講ずる状況が定着をしてきていること等を勘案いたしまして、昭和六十年度から地方の一般財源措置することとしたものでございまして、これに伴う地方財政への影響については所要地方交付税措置を講じているところであります。  このように、これらの経費の一般財源化は恒久的措置として行ったものでありまして、国庫負担制度対象とすることは考えておりません。  次に、学校給食について細かいお心配りの御指摘をいただいておりますので、落ちのないように答弁いたします。  まず、先割れスプーンは決して望ましい食習慣を形成するとは思っておりません。メラミン食器の使用につきましては、これは国の基準を満たしておりまして、使用に当たって安全上の問題はないものと考えております。  合成洗剤につきましては、使用に当たりまして留意点を踏まえて使用するよう指導しております。  共同調理場方式や民間委託を含む学校給食業務の運営の合理化につきましては、各地域の実情に応じまして学校給食の質の低下を招かないよう十分留意して行うよう指導いたしております。  また、学校給食の献立作成に当たりましては、児童生徒の実態や地域の特性に十分配慮し、魅力ある食事内容となるよう指導しているところでございます。  なお、学校給食課というのがなくなることによりまして、学校給食そのものがなくなってしまうのではないかというような錯覚をお持ちのようでございますので、これは今ざっと申しましたけれども、これからはできれば児童生徒諸君に二本の木のはしを持っていただきたい。それから、食器もできれば陶器の食器を使わしていただいて、家庭生活に一番なじみのあるもの、そして食べ終わりましたらば、まさに家庭と同じ食器を洗い、そして歯を磨くというような生活習慣も健康上のこととして身につけていただきたい。  また、先生も御存じのように、最近は若年層に成人病が相当多くなってきております。高血圧とか糖尿病あるいは心臓病、これはゆゆしき問題でありまして、これは食生活全般にわたりまして、学校と家庭と社会が一体となって取り組まなければならぬ問題でありますが、そういう面でまさに給食の担う重要さはますます高まる、このように思っておりますので、そういう意味で、健康と食文化を含めました教育上の一環としてこの給食を高めていこうという意味で健康教育課という名前にいたそうということでありまして、給食課という名前がひとり歩きして、給食課があるから給食が続く、給食課がなくなったら給食そのものがなくなるのではないかというような錯覚はお持ちになりませんように、名前が変わりましてもますます重要さは増してまいる、充実を図っていくということをお答えを申し上げておきます。  以上でございます。(拍手)     ─────────────
  48. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 片上公人君。    〔片上公人君登壇拍手
  49. 片上公人

    ○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま報告、趣旨説明のありました昭和六十三年度地方財政計画地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣質問をいたします。  竹下総理は、地方議会を経験された唯一の総理と承知いたしておりますが、経験者として地方自治のあり方についてどのような考えをお持ちであるか、まずお伺いいたします。  また、竹下総理は、昨年秋の総理就任前後から「ふるさと創生論」を公約に掲げてこられましたが、総理の言われる「ふるさと」とは何か、「ふるさと創生」の理念、必要性は何か、国民にわかりやすく明らかにしていただきたいのであります。  私は、総理の提唱されたふるさとづくりの構想に期待をしておる一人でございますが、実際の施策の面でその内容が乏しいのを残念に思う次第であります。  例えば、「ふるさと創生」の柱として進められてきたものに政府関係機関の地方移転があります。具体的には一省庁一機関の移転ということで、既に三十余機関が対象になっているものの、余りにも規模が小さく、移転先も東京二十三区から近郊に移る程度ということで、どれほど地方活性化に役立つのでしょうか。これが単なる思いつきではないとするならば、この際、政府関係機関の地方配置についてその全体像を明らかにしていただきたい。  次に、「ふるさと創生」として挙げられているのは、ふるさとづくり特別対策事業とふるさとづくり財団でありますが、その内容を明確にしていただきたいと思います。  後者については、地方における民間企業の活力を引き出そうとするものとしても、法律によらない地域開発銀行の創設であるとか問題を懸念する声もありますが、自治大臣の見解を求めます。  さて、ふるさと創生に当たり忘れてはならないのは、当然ながらその主体がそこに住む地域住民でなければならないことであります。ともすれば国の考えを押しつけ、画一に陥ってきたこれまでの地域政策の反省に立つべきであります。そのためには、権限と財源地方に譲り、地方がみずから取り組むことができるような環境をつくることが真のふるさとづくりにつながると思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。  次に、地方財政についてお尋ねいたします。  六十三年度は、後に述べる国民健康保険制度改正に伴う一部費用負担及び国庫補助負担率の引き下げのため、一兆七千億円余の財源不足になります。このため、地方債の増発などの補てん措置が講じられておりますが、このような恒常的な財源不足に対しては、地方交付税法第六条の三第二項による交付税率の変更あるいは税源や事務配分見直しなどの抜本的な制度改正で対処すべきものと思いますが、御見解を伺いたい。  なお、国庫補助負担率の引き下げ措置は、六十一年度から三年間の暫定措置として行われることになっており、六十三年度はその最終年に当たりますが、その後はもとの補助負担率に戻すべきであります。総理並びに大蔵、自治、厚生各大臣の答弁を求めます。  また、内需拡大は現下の内外の要請であり、六十三年度予算はこれにこたえたものとされておりますが、しかし、その内容を見ますと、内需拡大の柱である公共事業関係費が約七兆三千億円にすぎず、本年度の最終予算よりも約五千億円下回っており、不十分と言わざるを得ません。この際、当面の目標を果たすために、立ちおくれている生活関連施設整備などに事業費を増額すべきではないかと思いますが、どうでしょうか。  さて、国民健康保険制度改正は、内容を見ますと、保険費用の地方負担を導入するための改正としか思えません。国保制度は、国民皆保険の一環として国の制度として設けられたものであり、その責任のあり方を十分に検討せず、安易に地方負担を導入しようとする今回の措置は、国保行政についての国の責任そのものの地方転嫁ではないか。さらに、高医療水準地域に対する国庫負担調整措置を実施しようとしておりますが、医療費が増加したことについて一方的に当該地域の責任と言えるでしょうか。地方自治体の能力を超えるものであると思います。むしろ、医師の診療報酬制度等、医療費に係る制度全般についての見直しが必要なのではないでしょうか。  医療制度に関しては、これまでも国立病院・診療所の統廃合、医療従事者、病院開業の抑制、受益者負担の増加などが行われてきており、国民が医療を受けにくくするような体制がつくられてきておりますが、医療水準を引き下げようとする今回の改正もこれと軌を一にするものであり、遺憾な改正であります。国民にとって最も関心のあるこれら医療問題について、総理はどのようにお考えなのか、基本的認識をお伺いしたいと思います。  次に、地方税に関してであります。  本年は固定資産税の評価がえが行われる年に当たり、それに伴う住民負担の軽減を図るため、現在提案されております地方税法改正案においても所要負担調整措置が講じられております。特に地価が異常に高騰した東京都においては、資産課税における住民負担の軽減措置を一層推進するため、小規模住宅用地の都市計画税を軽減する措置を講じようとしております。また、東京都のこのような動きを受け、東京都下二十六市の全市が都市計画税の軽減措置を議会に提案し、既に条例を可決した市も二、三あるように聞いております。  しかるに、鈴木知事が自治省を訪ね、本条例案を提出する運びとなった経過について説明し、理解を求めた際、梶山自治大臣は難色を示されたと報道されております。何ゆえ自治大臣が東京都の措置に対し難色を示されたのか、自治大臣の明快な答弁を求めるものであります。  次に、固定資産税における情報公開の問題についてお伺いいたします。  現在の固定資産税においては、御承知のように縦覧の制度が設けられておりますが、現在の縦覧では納税者本人の評価額しか縦覧できないという取り扱いがとられており、納税者としては自己の固定資産に対する評価が客観的に見て正しいのかどうか、全く知り得ないということになりております。このような取り扱いの結果、住民による固定資産税の評価に対するチェックが働かなくなり、最近の群馬県の伊勢崎市、埼玉県の八潮市のように自治体が課税ミスを行っているにもかかわらず、納税者からは何らの指摘ができないという事態を招いているのであります。  ところで、最近、富山県の砺波市や奈良県の大和郡山市等、各地で住民による税に関する訴訟が多数提起されていることからもわかるように、納税者の税に対する関心はかなり高まっております。このような現状を考えると、現在のような縦覧制度の仕組みは改め、納税者にとって納得できるような固定資産税の評価額の公開の仕組みをつくるべきだと思うのでありますが、総理、自治大臣の率直な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  50. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず最初は、地方自治の基本認識、こういうことでありました。  民主政治の基盤であり、内政のかなめである、この基本認識に立っております。  しこうして、社会経済情勢の変化に的確に対応していく、こういうことになりますと、まさに今四全総が目指します多極分散型国土の形成を図る、このために地方公共団体の果たすべき役割はますます重要である、これからも地方自治の充実のために一層心を砕かなければならない、このように認識をしております。  それから、私が唱えております「ふるさと創生」というのは、地域の知恵と情熱を生かして、それを潤いのある町づくりや活力のある村づくりというものに、すべての人々がそれぞれの地域においていわゆる心の豊さと誇り、こういうものを持ちながら活動を展開することだ、このように位置づけておるわけでございます。  したがって、御激励も含めました国の機関等の移転の問題にしてもその一つの課題でございますが、まず、今般国の機関等の移転について方針を決定したところでございますので、これから所要の調整を行って着実に推進していくという意味において御激励を賜りたいと思います。  それから、いずれにせよ、そういう場合、権限の地方委譲ということが大切である。いつも申しますように、身近な事務は身近な場所で、住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体において処理できるように、それこそ役割分担について幅広い検討が今後も必要であって、機関委任事務の整理合理化等をこれからも推進し、なかんずく四全総というものがありますだけに、この役割分担については適切な対応をしなければならないと考えます。  そうなれば、財源移譲の問題等も出てまいるわけであります。この点につきましては、まず国と地方を通ずる行財政改革の推進、そういうことを図って、機能分担のあり方、それから多様な財政需要の増大に対しては地方財源の確保、こういう順番で対応していきたいと考えます。  それから、地方財源不足と制度改正の問題でございますが、地方交付税の特例措置等の所要措置を講じて今日まで参りました。昭和六十三年度においては通常収支は均衡しておりまして、財源不足額のほとんどは六十三年度までの暫定措置とされておる国庫補助負担率の引き下げ措置によるものであること等を勘案いたしますと、現時点で交付税法第六条の三第二項に基づく地方財政制度改正や交付税率の引き上げを行うべき事態であるとは言いがたいというふうに考えます。  それから、補助率問題でございますが、これは今日までの経緯、それから措置をとった性格、今後の諸情勢の推移等を勘案いたしまして適切な対処をしてまいります。  内需拡大問題、これはNTT株式売り払い収入の活用等によりまして、とにもかくにも公共事業等高い水準を確保できました。これが事業別配分に当たりましては、御説のとおり下水道、公園を初め、生活環境整備というものに重点を注いでまいります。  それから、医療問題に対する基本認識を問う、こういうことがございました。  国民が安心して医療を受けられるようにするためには、まず良質な医療を目指した医療システムの合理化、それから二番目が医療保険制度を通じての給付と負担の公平化、この二つであろうというふうに考えております。  それから、固定資産税の評価額の公開問題でございますが、これは秘密に該当するものと考えておりますので、必要な場合、路線価を示すことが適当であろうという指導を自治省で今日までなされておるというふうに理解をいたしております。(拍手)    〔国務大臣梶山静六君登壇拍手
  51. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 片上議員にお答えを申し上げます。  まず、ふるさとづくり特別対策事業の内容についてでありますが、近年、東京への一極集中が進み、再び地域格差が拡大しており、その是正は極めて重要であると認識しているところであり、ふるさとづくり特別対策事業は地方団体がみずからの企画により単独で行う事業であって、地域の特性を生かした魅力ある地域づくりと多極分散型国土の形成を進める上で緊要度の高い事業を積極的に推進できるよう財政金融措置を講ずることとしているものでございます。  次に、ふるさとづくり財団、仮称でございますけれども、その内容ということでございますが、多極分散型国土の形成とふるさと創生のために地域レベルの横断的施策として、地方公共団体が主体的かつ積極的に民間事業活動等に対する諸般の支援措置を講ずることができるようにすることが今回の構想の内容でございます。このように地方単独施策を地方公共団体が任意に参加する共同の仕組みのもとで行うためのものであるので、国の法律によることはむしろ適当ではないと考えているところであります。しかし、まだ構想の段階でもありますし、関係省庁からの意見もありますので、地方の意向をも聞きながら調整を図り、実現に努めてまいりたいと考えております。  次に、六十四年度以降の補助負担率の取り扱いについてでございますが、国庫補助負担率の引き下げは国の極めて厳しい財政事情を背景として、六十三年度までの暫定的措置として行われているものであり、したがって、六十四年度以降の取り扱いについては原則としてはもとの補助負担率に戻すべきものであるが、具体的には六十四年度予算の編成過程において関係省庁で協議の上定められるものであり、自治省としては各事業の性格、国庫補助負担制度の意義等を踏まえつつ、国としての責任が全うされ、地方財政の健全かつ安定的な運営の確保が図られるよう検討を進めていく考えでございます。  次に、国保制度見直しについてでございますが、今回の国保制度見直しは、地方公共団体関係者も参加した国保問題懇談会の報告等を踏まえ、国保経営の厳しい状況等にかんがみ、その経営安定化のために暫定的な所要措置を講じたものでございまして、これに伴う地方財政への影響額については所要措置を講ずることといたしておるものであり、国の責任を地方に転嫁するものではないと考えております。  それから、医療費の地域格差と責任についてでございますが、地域的な医療費の格差は国民健康保険の経営上大きな問題であり、この適正化のためにはまず国において総合的な対策を講ずることが必要であるというふうに考えております。しかしながら、国保の運営に当たって、都道府県による医療機関指導等や市町村の保険者としての努力等が相まって地域医療費の適正化に向けた効果的な対応が図られるものと考えているところでございます。  次に、東京都の都市計画税の軽減案についてでございますけれども、都市計画税は、都市計画事業等の実施により土地及び家屋の利用価値が向上するという受益関係に着目して課する目的税であることから、土地及び家屋に対して一律に課することが適当であるという原則がございます。今回東京都において講じようとしているのは、小規模住宅用地のみを対象に不均一な形で軽減をする措置でございますので、文理上の解釈としては違法ではございませんけれども、先ほど申し上げました都市計画税の目的からいたしますと適当であるとは申し上げることができないので、東京都に対してはその旨を申し伝えたものでございます。  なお、東京都下の自治体は、区別や差別をしないいわゆる均一的な軽減措置を提案しているというふうに承知をいたしておりますので、東京都の提案の不均一の軽減とは異なるものというふうに理解をいたしております。  最後に、固定資産税の評価額の公開でございますが、ただいま総理からもお答えがございましたように、固定資産税における土地の評価額は、納税者の財産上の秘密に該当するものと考えており、現行法上これを第三者に公開することはできないものと考えているところでございます。しかしながら、評価額が公平妥当なものであることを納税者に対して説明する必要がある場合には、該当する固定資産の評価の基礎となった基準宅地等の路線価を示すことが適当である旨従来から地方団体を指導しているところであり、これによって納税者の十分な納得を得ることができるものと考えているところであります。  以上です。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  52. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お尋ねは一点でございますが、ただいま自治大臣がお答えになられましたとおり、補助金等に係る暫定措置期間終了後におきましては、今後のいろいろな情勢の推移、国、地方の役割分担あるいは財源配分のあり方等々諸般のことを勘案いたしまして、各省庁と協議の上、できるだけ早急に検討を開始いたしたいと思っておりますので、もう少しお待ちをお願いいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄君登壇拍手
  53. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 国庫補助率の引き下げの特例措置についてのお尋ねでございますが、昭和六十四年度以降の生活保護など厚生省関係の国庫補助率の取り扱いにつきましては、国と地方の役割分担や財政状況等を勘案しながら、関係各省とも協議の上、適切に対処してまいりたいと考えております。  次に、今回の国保改革につきましては、国保問題懇談会の報告等を踏まえまして、国保の不安定要因となっている構造問題である低所得者問題や医療費の地域差問題等につきまして、国と地方が共同して取り組む仕組みをつくることによりまして国保の安定化を図るものであります。  改革に伴う地方負担の増加額につきましては、自治大臣から御答弁がございましたように、地方財政に支障が生じないよう所要財政措置を講じておりまして、地方への責任転嫁ではございません。  次に、医療費の適正化につきましては、国といたしましても、診療報酬の合理化等総合的な医療費対策を強力に推進をしていく所存であります。  しかしながら、全国一律の診療報酬のもとでも大きな医療費の地域差が見られるところでございまして、地域の実情に応じた対策を展開し得る地方公共団体とも力を合わせ、医療費適正化に取り組むことがより効果的であると考えております。  最後に、今回の国保改革の性格につきましては、国と地方が一体となって国保運営の安定化に取り組む仕組みをつくるものでありまして、国民が医療を受けにくくなりたり、医療水準引き下げのための改革ではございません。  なお、御指摘の国立病院・療養所の再編成等につきましては、我が国の医療機関の役割分担を明確化すること等によりまして、より高度で専門的、効率的な医療を安定的に受けられるようなシステムの確立を目指すものでございまして、必要な医療を受けることを阻害するものではありません。  以上でございます。(拍手
  54. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十二分散会