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1988-01-29 第112回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年一月二十九日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四号   昭和六十三年一月二十九日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 藤田正明

    ○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。多田省吾君。    〔多田省吾君登壇、拍手〕
  3. 多田省吾

    多田省吾君 初めに、先般、我が党所属参議院議員であった田代富士男君が収賄容疑事情聴取を受けたことは、国会の権威を損ない、政治への信頼を傷つけるものであり、まことに申しわけなく、国民皆様支持者皆様、また、同僚議員皆様に心より深くおわび申し上げます。これを戒めとし、襟を正して、政治への信頼回復のために全力を尽くしてまいる決意でございます。  以下、私は、公明党・国民会議を代表して、さきの政府演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。  まず、税制問題でお伺いいたします。  竹下内閣が、第百八国会において国民の強い反対売上税が廃案に追い込まれた事実を全く無視し、再び本年秋までに大型間接税導入しようとしていることに、私どもは断じて反対であります。これは政府統一見解である多段階、包括的網羅的、普遍的で投網をかけるような大型間接税導入しないという政府統一見解を一方的に破棄するものであり、また、衆参ダブル選挙における政府大型間接税導入しないとする公約にも違反するものであり、全く了承できません。  我が党は、六十三年度の税制改革については、所得税減税を初め住宅減税相続税減税など合わせて二兆五千億円の減税を実施すべきであり、固定資産税等についても軽減措置拡大すべきであると主張いたしました。さらに、我が党は、国民合意による税制改革として、大型間接税は不公平を拡大し、国民生活を圧迫しますので絶対に導入しないこと、まず直接税の中に存在する不公平税制是正を行って財源とすること、例えば利子配当所得有価証券譲渡所得など、すべての所得を総合し、公平の理念に基づき総合課税の再構築を図るべきであると主張してまいりました。  しかるに、今回の政府税制改正は、土地住宅税制等のわずかなものにとどめ、私どもの要求する最も必要な新たなる所得税減税は行おうとせず、しかも今年秋を目途として大型間接税導入を図ろうとしているのであります。  政府が再び意図する大型間接税導入は、不公平税制是正という税制改革の課題をあいまいにするものであります。また、政府直間比率是正社会保障費財源確保という名目を持ち出しても、大型間接税である以上、所得の少ない人が負担が重くなるいわゆる逆進性によって不公平が拡大し、税負担の増大が国民生活中小企業の経営に重大な影響を及ぼすことはいささかも変わりはありません。一たん大型間接税導入されるならば、たとえ初めは三%程度の税率であっても、社会保障費の当然増等を理由にたちまち五%、一〇%と大増税が繰り返され、売上税と同じようになることは目に見えております。  また、高齢化社会への対応は、年金、医療など福祉全体の給付水準財源の規模などの策定が必要であり、これらの検討もしないで安易な財源対策に走ることは、まさに本末転倒であると言わざるを得ません。総理に対し、大型間接税導入の断念を強く要求いたします。また、大型間接税法案をもしも国会に提出するようなことがあれば、当然、国民に信を問うため衆議院の解散、総選挙を行うべきことを再度要求するものでありますが、いかがでございますか。さらに、公平の理念に基づく総合課税の再構築を強く求めるものであります。  総合課税化につきましては、私どもは、有価証券譲渡益現行原則非課税原則課税に改めた上で、利子配当所得及び有価証券譲渡益などのキャピタルゲインに適正な課税をするため、納税者カード制導入もやむを得ないと考えております。その際、プライバシー審議会を設け、プライバシー保護を徹底すべきだと思っております。政府は、総合課税化納税者カード制を取り入れることをどう考えておりますか、あわせてお答えいただきたいと思います。  また、相続税につきましては、急激な土地高騰のために、地価高騰の恩恵に何の関係もない庶民に巨額の相続税が襲いかかっておりますが、評価額を適正化する一方、昭和五十年から据え置かれている課税最低限度を引き上げるとともに、一定規模以下の宅地相続には減免措置を講ずべきだと思いますが、いかがでございますか。  次に、経済及び財政問題についてお伺いいたします。  六十三年度の日本経済は、昨年春以来の景気回復を受け継いでおりますけれども、一方において、内需要因のうち個人消費支出だけを見ましても、勤労者世帯の可処分所得伸び率が近年低い実収入の伸び率をも大幅に下回っており、マイナス要因が多く、年度下期には景気スローダウンの不安が残っております。加えて、貿易収支黒字は、六十二年度の実績九百二十億ドル程度が、六十三年度見込みでは百億ドル程度の減少しか見込めず、海外貿易摩擦の解消は望むべくもありません。  さらに、順調な経済成長の実現には、外国為替市場の安定が不可欠な条件であります。しかし、米国の双子の赤字問題や、不安な国際株式市場の動向を考えますと、ドル暴落危険性はなお少なくないものと言わざるを得ません。総理は、年度下期のスローダウンが懸念される六十三年度の景気見通しをどのように考えておられますか。  次に、六十三年時的の歳入の伸びを見ますと、金余り現象地価高騰による税収の伸びNTT株売却益などに支えられた一時的の伸びと言わざるを得ません。  六十三年度予算では、防衛費を五・二%増と別格扱いで極端に突出させ、無理にGNP比一%枠を突破させた反面、国民生活福祉、教育、農業、中小企業予算は厳しく抑制されております。そして、公共投資を増加させてはおりますが、公共投資配分比率は全く固定的で、大きな効果は期待できません。  そこで、昭和五十五年度以降ほとんど変化が見られない公共事業関係予算分野別のシェアを大胆に見直し、国民生活を重視し、内需拡大の観点に立って住宅、下水道、環境衛生、公園、道路、空港などに、また、不況地域に対して、それぞれ重点配分を図るべきだと思いますが、いかがですか。  また、為替相場の安定のために、このたび米国がSDR約百億ドルを日本に売却し、その円で市場介入するという、こういう程度では為替相場が安定するとは思えません。固定相場制は無理としても、参考相場圏の設定などを考えることができないか、お伺いいたします。  また、国債累積残高は六十三年度末で百五十九兆円、GNP比四三・五%、年間利払いは十一兆五千百二十億円と、国の財政に大きな負担となっております。今後、財政再建内需拡大による経済成長や実効ある行政改革補助金削減等によって引き続いて行うべきであります。そして、赤字国債のみならず、建設国債についてもだんだん減らしていき、国債依存度を早く一〇%以下にし、国債残高GNP比二〇%程度まで減額するような長期的な財政再建計画を策定する必要があると思いますが、いかがですか。  次に、景気回復基調にあるとはいえ、急激な円高が直撃した六十年十月以降、全国の主要産地では国内産業空洞化も加わり、深刻な状況が続いております。  政府は、民間企業倒産件数余り大きくないと、円高影響を乗り切れるという判断をお持ちのようですが、民間の有力調査機関の昨年夏までの約二年間の実態調査では、全国主要産地において中小零細企業は、倒産はもとより、倒産を十一・六倍も上回る転業、休業、廃業の実態が明らかにされ、その深刻さが浮き彫りにされております。特に、中小零細企業にあっては、その受注量受注単価収益動向受注見通しのいずれをとっても極めて厳しい状況であります。  しかるに、政府中小企業対策費は、この六年間年々縮小されているのであります。この政府の責任というものはまさに重大だと思います。総理は、中小零細企業の救済、発展のためにどのような対策考えておられるのか、お伺いしたいと思います。  次に、国民生活を豊かにするためには、円高差益還元を十分に行っていかなければなりません。特に、政府に関係するものから率先して円高差益の還元を図るべきであります。なお、我が国航空運賃国際電話料金はまだまだ割高になっており、わかりやすくて安い航空運賃等にすべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。  地方財政について伺います。  この二年間の国庫補助率引き下げによって、地方財政への影響は一兆六千五百六十九億円に達し、そのうち八四%は建設地方債の増発で補てんされ、健全な財政とは言えません。加えて、六十三年度は国民健康保険赤字対策として、地方負担として都道府県分二百五十億円、市町村分二百五十億円、高額医療費共同事業の実施で百九十億円が予定されております。この地方負担六百九十億円のうち、地方交付税で見られる残りのものは調整債が予定されております。これは社会保障に対する国の責任を回避するとともに、抜本的な国民健康保険検討が行われないまま、これまで負担の義務がなかった都道府県市町村に新たな負担のみを押しつけるもので、多くの問題があります。総理の答弁を求めます。  次に、土地対策について伺います。  大都市中心部地価は高値安定となり、周辺地域の高騰が続きました。今後、適正な地価水準に戻すため、土地基本法の制定、国土利用計画法の改正、企業投機的活動の規制、土地税制改革土地評価制度一元化などを図るとともに、土地公共性についての国民的合意も必要であります。また、地価動向土地取引状況も大切でありますが、監視区域においては詳細な調査が行われているはずでありますから、その分析結果を定期的に国民に公表すべきだと思いますが、いかがですか。  さらに、地価の適正安定を実現するためには、土地供給促進有効利用の推進が重要であります。そこで、この際、遊休地制度を見直し、国公有地を初めとし、徹底した総点検を行った上、それらを利用して宅地の大幅供給増を図るべきだと考えますが、いかがですか。例えば、土地高騰の最も激しい東京でも、東京臨海部をめぐる動きが活発でありますが、情報化主体テレポート計画のみでなく、遊休地のある有明や晴海方面庶民的住宅を大量建設し、商業、文化、スポーツ、レクリエーション等の機能を持たせ、水辺の特性や景観を生かす潤いと安らぎのある生活環境を整備する必要があると思います。  次に、経済外交問題でお伺いいたします。  初めに、日米経済摩擦についてでありますが、今回の竹下総理訪米による日米首脳会談を評価するならば、日本側の一方的な譲歩ではなかったかと言わざるを得ません。公共事業参入問題でも、農産物問題でも、総理日米貿易不均衡を気にする余り我が国の国益を強く主張できなかったのではないかと危惧いたします。公共事業参入問題では、特定公共事業について特別扱いとし、細目を詰めることを約束されたようですが、既に発効しております米国の八八年包括歳出法に盛り込まれた対日制裁措置ほどうなるのですか。  また、農産物問題では、我が国農産物十二品目についてのガットの裁定を受け入れる方針を伝え、また牛肉、オレンジについては、米国日本輸入枠についての交渉に応ずる意向を示したと受け取っているようでありますが、米国のウエーバーによる農産物保護は問題にされなかったのでありましょうか。  さらに、私どもは米の輸入自由化反対であり、米を初め国内農業振興こそ急務だと思います。これら農産物十二品目、牛肉、オレンジ、米の問題について、総理並びに農林水産大臣見解を求めます。  さらに、この際、総理米国大統領に要求され、その履行を約束された具体的措置をすべて明らかにしていただきたいと思います。  防衛問題でも、総理は、総額三兆七千億円、GNP比一・〇一三%に達する防衛予算米国側に伝え、そしてシーレーン防衛在日米軍経費肩がわり強化等を約束されたのは、まさに平和と軍縮に対する逆コースであります。我が国世界への貢献の道とは、政府開発援助ODA)の質的な改善在日留学生への援助、文化・学術交流の促進など、非軍事的な面においてこそ果たされるべきだと思います。政府開発援助ODA)の六十三年度予算は、一般会計で六・五%増の約七千十億円で、財政投融資特別会計を含めた事業予算は、金額の上では世界一になると言われております。  しかし、依然として対GNP比率は低く、しかも、その中身は円借款が中心であり、贈与比率は四七・五%にすぎず、米国欧州各国の九〇%から一〇〇%という贈与比率に比べかなり見劣りし、贈与比率改善など、援助の質の改善急務でありますが、御見解をお聞きしたい。  また、我が国政府開発援助は、相変わらず貿易を伸ばし自国の経済的利益を図ることを目的にしたものが多く、開発途上国の真の発展と被援助国国民の真の利益につながっていない等の批判が後を絶っておりません。我が党も、これらの批判を払拭する内容を盛った国際開発協力基本法案国会に提出し、ODAは主として国民の税金で賄われているので、国民の血税の使途を明らかにし、ODAに関する情報を公開すべきである、そして援助行政一元化を図るべきである等の主張もしておりますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。  さらに、ODAの質の改善の一つとして望ましいのは、マルチ・バイ方式、すなわち多国間援助と二国間援助の組み合わせであります。これはILO、FAO、WHO等国連専門機関日本開発援助資金を信託して、日本にとっても被援助国にとっても望ましいプロジェクトを日本ILOのような専門機関と共同で施行する方式であり、これをもっと積極的にふやしまして、日本政府開発援助開発途上国国民に真に役立ち、喜ばれるものにしていく必要があると思いますが、いかがですか。  次に、在日留学生問題についてお尋ねいたします。  我が国在日留学生の数は六十二年度で約二万人となり、十年前の三倍以上であります。しかし、このうち国費留学生はわずか二割で、他の八割は私費留学生であります。特に、我が国の諸物価は国際比較で極めて高い上に、現在の円高が追い打ちをかけ、在日留学生生活と学業を取り巻く環境は大変に厳しいものとなっております。六十三年度予算では、私費留学生授業料減免等予算措置が図られましたが、それだけではまだまだ十分とは言えません。  政府は、さらに授業料補助拡大奨学金の拡充、寄宿舎の整備充実、卒業後の円滑な国内企業への就職あっせんなどを早急に図るべきであります。将来、我が国と諸外国との平和のかけ橋となる在日留学生に対する援助受け入れ体制充実を期すべきであると思いますが、総理のお考えを伺います。  さらに、東京の地価高騰が在日する諸外国の公館の維持に極めて重大な影響を及ぼしております。我が党は、外国公館が共同入居できる建物を早急に措置すべきであると主張してまいりましたが、総理の御所見を求めます。  次に、軍縮問題についてであります。  昨年末の米ソ首脳による中距離核兵器INF全廃条約の調印がなされ、戦略核兵器についても五〇%削減に向かって努力することが合意され、世界軍備管理軍縮問題は新たな局面を迎えております。このような新しい潮流の中で、我が国平和憲法を遵守し、日本自衛力はあくまでも領域保全能力にとどめ、また、日本世界で唯一の原爆被爆国であるとの立場を踏まえて、世界核兵器化学兵器の廃絶、一般軍縮などを推進し、国際緊張の緩和に自発的な貢献をなすべきときが来たことを強く感ずるものであります。また、本年五月には、第三回国運軍縮特別総会の開催も予定されております。総理は、具体的にどのような軍縮への取り組みをなさるのか、お答えいただきたい。  また、我が国は率先してアジア非核地帯構想を主張すべきだと思いますが、いかがですか。昨年十二月のASEAN首脳会議でも、東南アジア非核地帯構想が討議されております。総理の御決断を求めます。  さらに、戦略核兵器五〇%削減に当たっては、SDI問題、検証問題が焦点になると思いますが、いかがですか、お尋ねいたします。  また、我が国は、日本宇宙軍拡に巻き込むSDI研究計画への参加は取りやめるべきだと思いますが、お答えいただきたい。  次に、我が国防衛政策についてでありますが、我が国は、対米協調が重要であるとの口実で、防衛費GNP比一%枠の撤廃、SDI研究への参加、対米武器技術輸出の容認など、我が国の重要な平和原則をみずからじゅうりんしてきたのであります。また、中期防衛整備計画重要項目であるシーレーン洋上防空体制本格化は、政府が掲げる専守防衛の枠をも超え、憲法で禁止している集団的自衛権の行使のおそれすら生じております。  その上、日米首脳会談を前に、政府は、在日駐留米軍経費負担に関する日米特別協定を改定し、我が国負担を増額することに急遽方針転換したことはまことに遺憾であります。本来、米軍負担すべき筋の駐留経費を、我が国が際限なく負担していくおそれすらはらんでおります。日米特別協定の改定を撤回すべきだと思いますが、総理の御所見を伺いたい。  また、去る十九日、日米防衛首脳会議で、日本有事の際に米軍部隊の支援を円滑にするための研究を始めることの合意がなされたと言われますが、これは日米防衛協力のガイドラインに基づく研究が、今までの近代装備充実を主眼に置いたものですら我が国平和原則を破るものであると懸念されており、この研究は民間をも含めた日米軍事一体化を推進するものであり、我が国の将来を危うくするおそれがありますが、御見解を伺うものであります。また、どのような内容を考えているのか、あわせてお聞きしたい。  次に、防衛費GNP比一%枠突破の問題であります。  今や、世界は軍拡から軍縮への流れが始まっております。非核原則武器輸出禁止原則、宇宙の平和利用専守防衛集団的自衛権の不行使等とともに、防衛費GNP比一%枠堅持国民の大多数が支持しております。アジア諸国も、我が国軍事大国化を懸念していることは事実であります。米ソ両国も、国内経済を圧迫するものとして軍事費削減または据え置きの方向であります。平和と軍縮への多大な貢献をすべき我が国は、国民大多数の支持する防衛費GNP比一%枠の厳守を六十三年度予算で貫くよう強く要求するものでありますが、総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。  次に、福祉、医療問題でお尋ねいたします。  厚生省は、今月五十周年を迎えましたが、今後いよいよ国民福祉充実が重要であります。特に、高齢化社会に入った我が国年金医療等社会保障長期福祉総合計画の策定とその実現が肝要であると思いますが、総理のお考えをお聞きしたい。  また、我が国年金制度は、六十一年四月より基礎年金導入と婦人の年金権を明確にした新しい年金制度が発足しましたが、なお多くの課題が残されております。六十三年度で月額五万二千三百十七円という基礎年金給付水準は低過ぎて、暮らせる年金になっておりません。国民年金保険料が高く、保険料滞納者がふえつつあります。制度間の格差もまだまだ縮まっておりません。  私どもは、基礎年金額については最低生活保障という考え年金水準の引き上げを行い、保険料につきましては均等割保険料所得保険料制度導入し、所得に応じた負担ができるように公正化を図るべきだと思います。また、国庫補助の割合を現行の三分の一から四〇%に引き上げるべきだと思いますが、いかがですか。  お年寄り夫婦世帯ひとり暮らしのお年寄り、寝たきりのお年寄り痴呆性のお年寄り方々が急増しております。お年寄り方々とお体の御不自由な方々が住みなれた地域生活していくためには、在宅福祉サービス充実を軸といたしまして、各種施設の整備とあわせ、ボランティアなど社会福祉従事者の養成も重要となっております。高齢者集合住宅(シルバーピア)の建設、福祉町づくり介護員養成制度の確立、高齢者在宅サービスセンターの増設など多くの対策急務だと思いますが、お考えをお尋ねしたいと思います。  医療問題でお尋ねいたします。  本格的な高齢化社会の到来は、長寿を歓迎する一方で、国民の健康不安を強めております。たとえ平均寿命が延びても、成人病等が増加する不健康な長寿社会では、豊かな国民生活は望むべくもありません。  そこで、現行医療保険制度が現状のままでは機能できなくなるおそれがあり、高齢化社会へ向けて、全国民を対象とし、企業、職域、地域の枠組みを超えて適正負担適正給付を保障する国民基本保険制度を創設すべきだと思いますが、いかがですか。また、家庭婦人パート労働者のための休日、夜間の健康診断事業拡大についてもお考えを伺いたい。  続いて、エイズ問題等でお聞きいたします。  世界百四十八カ国代表参加のロンドン・エイズサミットは、昨日、エイズ防止宣言を採択いたしました。エイズ患者感染者世界でも日本でも激増しておりますが、エイズの実態について昭和六十一年、六十二年の検査データ及び今後の見通しについてお答えいただきたい。  また、昨年はエイズ死亡者の病理解剖拒否問題やB型肝炎の劇症型で医師の方の死亡問題等がありました。今後、医師や救急車の活動に従事される方々安全対策も重要であると思いますが、いかがですか。  なお、エイズ研究にかかわる予算は、六十三年度増額されまして約十二億円となりましたが、米国エイズ研究予算は、六十三年度で日本の七十倍の約八百億円となっております。我が国研究から効果的なエイズ予防法治療法が急速に開発され、世界にも貢献できますよう、今後もエイズ研究費等は引き続いて大幅増額すべきだと思いますが、いかがですか。  次に、お体の御不自由な方々が使えるパソコンワープロ開発政府対策として求めます。  最近、パソコンワープロの普及は目覚ましく、教育の分野及び貿易摩擦産業構造の変化により、従来の仕事から解職、配転されて、新しくパソコンワープロを使わなければならない方々や、職場のOA化でその必要が生じてきた方々がふえております。しかし、病気や災害によってお体の御不自由な方や片手で操作される方、そして高齢者方々にとって現在のキーボード規格では使用が困難な場合が少なくありません。それは現在のキーボードが両手で入力することが前提となっており、また、コマンド日本語で書ける言語コンパイラ開発されていないからであります。米国では、リハビリテーション法第五百八条によってこれらの検討が進められていると聞きます。政府は、片手の操作でも入力できる規格品及び日本語コマンドの使える機種の開発を速やかに進めるべきであると思いますが、お考えをお聞きしたい。  最後に、科学技術振興についてお伺いいたします。  我が国科学技術に関する研究開発資金政府負担割合は、いまだ欧米の水準に達しておりません。特に、科学技術振興の中でも、バイオテクノロジーなど先端技術振興とともに、科学技術の基礎的な独創的な研究の向上が強く叫ばれております。日本科学技術基礎的研究が諸外国の後追い傾向にあることは常識とされ、諸外国からの非難も高まっております。しかし、科学技術基礎的研究でもすぐれたテレビアンテナとしての八木アンテナとか、世界じゅうの電子レンジに使われている岡部マグネトロンなど、日本科学技術創造性は決して劣っていないという有力な意見もございます。ただ、日本の独創的な基礎的研究が、ほとんど海外で工業化されているのは残念であります。  最近は、大学の基礎研究費の政府負担の比率が低くなっているのは問題であります。政府は、速やかに科学技術予算一般会計に対する比率を三%から五%に高めるとともに、科学研究費総額をGNP比三・五%を目途に高めるべきだと思いますが、いかがでございますか。特に、大学に対する基礎研究費の増額は、科学技術の分野で世界貢献するという立場上最重要だと思いますが、総理の御見解をお聞きしたいと思います。  関連いたしまして、日米科学技術協力協定の改定交渉が進められておりますが、この交渉の中で、国家安全保障条項を盛るか盛らないかで議論があり、その後いかに盛り込むかに論点が移ってきたと言われます。もし事実とすれば、日本がこのような協定を通じて米国の秘密の体系の中に組み込まれていくことになり、我が国の平和的な科学技術の発展そのものをゆがめるおそれがあり、盛り込むべきではないと思いますが、御所見を伺いたい。  また、同じく日米科学技術協力協定の改定交渉で、特許などのいわゆる知的所有権保護の問題が論議されておりますが、安易な妥協は将来に大きな禍根を残すと思いますので、粘り強く慎重に交渉し、我が国の国益を損なわぬようにすべきだと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。  以上、総理の簡明で率直な御答弁を求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
  4. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 多田さんの御質問は三十六項目にわたります。しかし、最後に御要請なさいましたように簡明率直に、答弁漏れなくお答えをさしていただきます。  まず、最初の税の問題、新型間接税導入、この問題でございます。  高齢化社会の到来、経済社会の一層の国際化を考えますときに、抜本的な税制改革によって所得、消費、資産、この間で均衡がとれた安定的な税体系を構築することは、これはまさに喫緊の課題として国民のコンセンサスもそこには得られるところであります。  昭和六十年二月、衆議院予算委員会におきまして、当時、公明党書記長の矢野さんから中曽根総理に対する御質問等がありました。そうしてまた、それに対する発言、それから六十一年の選挙の際の前総裁発言、こういうものは私も承知しております。  昨年二月には、このような考え方に基づいて、そこで検討を重ねた末に売上税法案というものを提出したわけであります。ところが、この法案をめぐってはさまざまな御批判がありまして、結局審議未了のまま廃案と、結論としてそうなりました。  したがって、そのような問答のあったこと、また廃案になったという事実、そういうものを踏まえまして、政府としては、国民の理解を得られるような税制を確立していかなきゃならぬという観点から、そこで各種所得に対する課税のあり方や間接税の問題を含む税制の全体像について、幅広く各方面の意見を伺いながら成案を得なけりゃならぬ、こういう考え方に立つわけでございます。  したがって、税制改革問題につきましては、国会の中で合意を得るべく努力するということがまず最初取りかからなければならないことでございまして、解散などという、四年の任期を大事に大事にしなきゃならぬことを軽々に考えるべきものではない、このように私は考えております。  そうしてまた、これにキャピタルゲインの原則課税を含む意見を交えた御質疑でございました。  有価証券譲渡益課税の問題については、有価証券取引の把握体制の問題も含めてどのように対処していくことが適当か、今各方面の考えを承りながら、抜本改革の一環として検討さしていただいておるというのが現状でございます。  相続税の問題につきましては、所要の見直しを行うことが望ましい、これは私も承知しております。  そこで、これを現在抜本的税制改革の一環として精力的に検討しておる。すなわち、所得、資産、消費、この資産に着目する税の大きな部分を占めるものでございますから、抜本改正の一環として検討しておるという現状でございます。  次が、六十三年度景気見通しでございます。  外需は、対外不均衡の是正過程を反映しまして、引き続きマイナスの寄与となるものと見込まれます。一方、内需は、景気回復二年目を迎えまして、個人消費が雇用者所得等の着実な伸びによってさらに堅調に推移すると見込まれること、それから設備投資が非製造業において堅調に推移して、製造業においても内需関連分野の投資の増加が見込まれること、以上のように我が国経済は回復から拡大局面に入っておりますので、六十三年度については全体として内需を中心とした実質三・八%程度の着実な成長が見込まれる、こういう前提の上に立っておるわけであります。  そうして、かねての御主張であります公共事業の傾斜配分についてでございます。  社会資本の整備水準、社会経済動向等を踏まえてこれは対処すべき問題でありますが、六十三年度予算におきましても、生活環境の向上に資するために重点的に配慮しますと同時に、お説のとおり、いわゆる地域経済の実情に応じて配慮していこう、こういう考え方でございます。  それから次の問題で、為替レートの参考相場圏について。  これは、私が大蔵大臣でありましたときにも多田さんと一問一答をやった覚えがございますが、この問題につきましては、具体的なゾーンとすべき為替相場水準を確定するということは、これは非常に難しい問題であります。だから、当面は、変動相場制の機能の改善を図ることを通じて、安定した為替相場が可能になる道を模索し続けていくということが現実的対応の仕方であろうと思います。  次が、長期財政再建計画の問題でございます。  かねての御主張でございまして、それが今仮定計算例とかいうことになって御議論のたたき台にしていただいておるわけでございますが、さらに長期財政再建計画を定量的にこれをつくっていくということは、これは非常に難しい問題でございます。  引き続き、六十五年度脱却という努力目標は容易でないが、まずこの目標に向けて最大限の努力を払って、そうして、御指摘になりましたとおり、公債依存度の引き下げに努めていく、こういうことが言えると思います。  次が、中小零細企業対策の問題でございました。  確かに総体的に見ますと倒産は減っておりますが、政府としては、中小企業が内外の経済環境変化に的確に対応して健全な発展を遂げていくためには、きめ細かい対策が必要である。  具体的に申しますと、事業転換対策地域中小企業対策、下請中小企業対策、それに新たに異業種の中小企業の経営資源の融合化による新分野の開拓、こういうことに努めております。そうして、人材、情報、技術、金融面で中小企業の経営基盤の充実を図りますとともに、小規模企業対策並びに中小小売商業対策、そういうきめ細かな施策を一層推進してまいる考え方でございます。  さて、円高差益の問題でありますが、これは累次にわたりまして電気・ガス料金の引き下げ、あるいは輸入牛肉の売り渡し予定価格の引き下げ、国内航空運賃の割引制度の拡充などを実施してきておりますが、この円高差益還元はかなり浸透したと思いますけれども、今個々に御指摘のなさった問題もございます。  今後とも、為替レートの動向を踏まえながらこれに対応していかなければならないという課題であろうと思います。  例示されました国際航空運賃についても、いわゆる方向別格差を是正するための値下げを行ってきた、こういう事実でございます。  次が、地方財政社会保障についての御質問でございました。  国庫補助負担率の引き下げによる地方財政への影響額につきましては、地方たばこ消費税の特例税率の継続、それから地方交付税の特例加算による一般財源措置のほか、建設地方債の増発等によって来年度地方財政の運営に支障のないよう措置したところでございます。したがって、今後とも地方交付税の特例加算等によって対処することといたしております。  国保制度でございますが、今回考えております国保制度改正は、現下の国保制度の抱えます問題に対して国と地方とが相協力して取り組むものでありまして、国保制度を安定させるためぜひともこれは必要である、こういうことでございます。  これに伴います六十三年度地方負担の増加額の全額について、所要の財源措置を講じて地方財政の運営には支障ないように措置しよう、こういう考え方であります。  次が、土地対策についてでありましたが、国会における特別委員会等からも御決議をいただいたりしておりますが、具体的に御質問のありました監視区域地価動向土地取引状況等の調査にっきましては、その結果を取りまとめて適宜公表してまいる、こういう方針でございます。  さて、遊休土地制度国公有地の利用についての御言及がありました。  国土利用計画法の遊休土地制度については、現行制度を最大限に活用しております。そして、国有地については、従来から効率的な利用に努める、こういう方針であります。  次が、経済外交についてお触れになりました。  まず、先般の訪米の際、レーガン大統領との間で、相互依存を深める両国経済面で当然生じてくる種々の問題につきましては、いわゆる協力と共同作業の理念に基づいて、縮小均衡ではなく拡大均衡の方向で解決を図ろうというまず基本姿勢を確認し合ったところでございます。  会談の場でレーガン大統領より、保護主義と闘う上で市場アクセスの改善が望まれる例として、公共事業と農業につき言及があったことは事実でございます。これに対して、公共事業への参入問題に関しては、私から、最近日本側が示した提案に基づいて日米双方に満足のいく解決が得られることを希望いたしました。  既に成立しました対日締め出し法案につきましては、直ちに外務大臣から遺憾の意をシュルツ長官に伝えたのを初め、機会をとらえ我が方の見解米国に主張してきておりまして、今後とも米国に適切な対応を求めていく所存であります。  なお、御指摘のあった米国のウエーバーによる農産物保護問題につきましては、一つの経過もあります、技術的な問題でもあったでございましょう。首脳会談ではこれは取り上げなかったと、こういうことでございます。  さて、農産物十二品目問題、そうして牛肉オレンジその他の農産物市場開放問題への対応は、国際的な経済関係、多様な消費者ニーズへの対応といった観点を踏まえ、我が国農業の健全な発展との調和を図りながら、ガット、ウルグアイ・ラウンドにおける交渉との関連を十分考慮して適切に対処してまいります。  なお、お米については、生産性の向上を図りつつ国会における米の需給安定に関する決議、これらの趣旨を体して、国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる覚悟であります。  訪米時に約束したことを総合して申し上げますと、日米両国が世界のGNPの三分の一以上を占めるに至った今日、確固たる日米関係を維持することは、単に我が国自身の平和と繁栄にとり不可欠であるばかりでなく、世界の安定と繁栄にとっても大きな意味がある。  今次訪米においては、こういう認識のもとで、レーガン大統領との首脳会談を通じ、日米両国が世界的視野に立って密接に協力し、それぞれの役割と責任を果たしますとともに、二国間の問題については、先ほど申しました共同作業によって解決を図ろうという基本姿勢を相互に確認した、こういうことでございます。これによって、今後の日米関係につきましてはその基調を設定し得たというふうに考えております。  お説にもありましたような世界への貢献の道でございますが、施政方針演説でも強調いたしましたとおり、まさに我が国は国際秩序の主要な担い手の一人として、「世界貢献する日本」としての姿勢を確立し、日本の豊かさと活力を世界に生かしていくことが必要と思います。  特に、平和国家しとしての立場を堅持する我が国としましては、外交努力、経済政策面での国際的協調、経済協力、さらには文化学術交流等の分野での一層の寄与に努めていかなければならないと考えております。  マルチ・バイ方式等、具体的な事例を挙げての我が国経済援助の問題でございます。  これは累次にわたり、計画的に政府開発援助の拡充に努めて内外の高い評価を得ておりますが、御指摘の中にもございましたように、贈与比率改善など援助のいわゆる質の可能な限りの向上、それからおっしゃいました情報公開、援助実施体制の拡充、国際機関との協力推進等さらに努力を進める必要がありまして、相手国国民生活向上に資するよう援助の効果的、効率的実施に一層努力してまいります。  留学生受け入れ体制の問題でございますが、かけ橋となって活躍する方々でございます。したがって相互理解の促進のために重要であることは申すまでもありません。  日本政府奨学金を支給する国費留学生の数の拡大を図っていきますとともに、授業料減免措置の拡充、私費留学生対策充実、そして宿舎の整備など、留学生施策の充実に努力してまいります。今後とも、各方面の協力を得ながら、留学生受け入れ体制整備に努力してまいるつもりでございます。  ただ、最近、ASEANでございますけれども、元日本留学生アセアン評議会、ASOOJAと申しますが、これらが結成されて、まさに御指摘にあったかけ橋の役目というものが充実されておるということは喜ばしいことだと思っております。  それから、在日外国公館問題でございますが、最近の東京地価高騰、そして家賃の高騰等が今おっしゃったような状態になっておるわけであります。  公館の維持運営は、基本的には各派遣国の意思と考え方を中心考えるべき問題でありますが、政府としては、本問題の重要性は十分認識しておりますので、いかなる協力を行うことが適当かつ可能であるかということで、外務省内において研究中の問題でございます。  次が、軍縮・防衛問題であります。  我が国は、軍縮はできる限り低いレベルで軍備を均衡させることによって関係国の安全保障を高めるものであらねばならないということ、また、その合意が検証可能なものでなければならないという考え方を持っております。この目標に向かって、西側の一員として今後とも努力を継続してまいります。  次が、アジア非核地帯構想でございました。  この問題につきまして、我が国は、一般的に適切な条件がそろっている地域において、その地域の国々の提唱により非核地帯が設置されることは、核拡散防止の目的に資し得るものとの基本的な考えにまず立っております。他方、アジア全体の政治・軍事情勢等、地域的特性にかんがみてみますならば、いわゆる核保有国の考え方等いろいろございますだけに、非核地帯実現の現実的環境は必ずしも整ってはいないじゃないか、こういうふうに考えております。  戦略核五〇%削減交渉の問題でありますが、条約締結に至るまでには御指摘のとおり検証など困難な問題も残されておりますが、米ソとも交渉進展への意欲を表明しておる。我が国としては、効果的検証措置を伴う均衡のとれた戦略核兵器の大幅削減に関する条約の締結を期待しておるということでございます。  SDI研究参加の問題につきましては、基本的な考え方は、軍備管理軍縮交渉努力と並行しつつ、非核による高度な防衛システムについて研究を進め、究極的には核兵器を廃絶しようというものであると認識しております。  一昨年九月、我が国SDI研究計画参加に係る政府方針を決定しまして、同方針に基づいて昨年七月、我が国SDI研究参加に関する日米政府間協定を締結したわけであります。  SDI研究参加するか否かは、参加を希望する企業などの自主的判断にゆだねられるものでありまして、政府としては、我が国SDI研究参加についての方針を撤回するという考えはございません。  次が、在日米軍経費負担の問題であります。  我が国の安全保障にとって不可欠な日米安保体制の効果的な運用を確保していくことは、これは重要な問題でございます。  政府としては、日米両国を取り巻く経済情勢が最近において一層の変化を見せておって、そのために在日米軍経費が著しく圧迫されておる事態にかんがみまして、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図って、もって在日米軍の効果的活動を確保するという見地から、労務費特別協定の改正によりますところの在日米軍経費我が国負担の増加を図ろうと考えているところでございます。  それから、有事来援研究の問題にもお触れになりました。  我が国に対する侵略に対して有効に対処するためには、時宜を得た米軍の来援が重要であります。  この研究は、こういう観点から、日米防衛協力のための指針に基づく研究の一環として、我が国に対する武力攻撃がなされた場合に米軍の来援部隊の円滑かつ迅速な展開を可能にするための措置についての研究を行うものである、こういうふうに理解しております。集団的自衛権行使などというものではございません。  防衛賢一%問題でございます。  現下の国際社会の平和と安全が依然として力の均衡によって維持されておるということは、これは冷厳な事実であります。  六十三年度の防衛関係費は、厳しい財政事情のもと、国の他の施策とのぎりぎりの調和を図って、そうして中期防を着実に実施していく、その所要の経費を計上したものであります。今後とも、節度ある防衛力の整備を行うとの方針には変わりありません。  次、福祉医療問題にお触れになりました。  二十一世紀初頭の長寿社会に備えまして、人生八十年時代にふさわしい経済社会システムの構築を目指し、政府が推進すべき長寿社会対策の指針として、昭和六十一年六月に長寿社会対策大綱を閣議決定しております。  政府としては、この大綱に沿って、年金医療等社会保障を初め、各種施策の総合的推進が図られるよう努めてまいる所存であります。  そこで、多年国会においても議論がありまして、基礎年金というものが構築され、老後生活の基礎的な部分をすべての国民に公平に保障する、こういうものであって、保険料についても同様にすべての人に均等に負担していただく、こういうことにしております。  なお、御提言のありました国庫負担割合の引き上げにつきましては、現下の厳しい財政状況のもとではこれは困難でございます。  在宅福祉対策充実であります。  御指摘のとおり、お年寄りや体の御不自由な方々についても、可能な限り住みなれた地域社会で暮らしていけるように、在宅福祉対策充実を図ることが急務と認識しております。  このため、必要時には、一時的介護サービスが受けられる高齢者向けのケアつき住宅の普及拡大、車いすなどでの行動が可能な町づくりの推進等を考えて、総合的な対策を進めてまいります。  寝たきり老人等の介護等に従事する方の資質の向上を図るために、昨年、社会福祉士及び介護福祉士法を制定さしていただいたところであります。  それから、医療保険制度につきましては、これは給付と負担の公平化を図る必要がございます。国民基本保険制度も、この点について目指すところは一緒であろうと思います。  給付と負担の公平を図る上での医療保険制度の最終的な形については、種々の御議論がございます。公明党からも、医療に対する民活導入のような考え方もお聞かせいただいたこともございます。そうした種々の議論を踏まえて検討してまいります。  それから、パート労働者等のための休日や夜間における健康診断につきましては、今後とも、実施市町村に対する支援を通じてその推進を図ります。  次が、エイズ問題でございます。  エイズB型肝炎につきましては、医師医療従事者や救急隊員が感染予防上留意すべき事項につきましてまとめたガイドラインを作成して、その普及を図っているところでございます。  昭和六十一年末のエイズ患者数は二十五名でありましたが、昨年末には五十九名に増加しており、また、感染者数は昭和六十二年末には約千名に上っております。  また、専門家の予測によりますならば、五年後に患者は二百六十名から三百名、感染者は三千名程度と見込まれているところでございます。  そこで、予算の問題でございますが、研究の推進はエイズ対策の重要な柱でありまして、これまでも研究テーマの充実研究費の増額を図ってきたところであります。今後とも、昨年七月にエイズ対策専門家会議からいただきました報告を踏まえて、研究の一層の推進に努めてまいる所存であります。  それから、身障者が使えるパソコン等の間即発の御提言がございました。  現在、盲人用読書器等、身体の不自由な方のための福祉機器の開発を国としても行っておるところでありまして、パソコンワープロについても民間レベルでの開発は行われておると承知しております。今後とも、技術革新の恩典が身体の不自由な方々のためにも役立つよう、国としても努力をしてまいります。  最後が、科学技術問題でございました。  政策課題の重要な一つとして認識しております。したがって、このため科学技術政策大綱、これは昭和六十一年閣議決定したものでございますが、これに沿って科学技術振興に努めてきたところであります。関係予算につきましても、これまでもその充実に努めてきたところでありますが、今後とも財政状況を勘案しながら、その充実と運用の効率化に努めることによって、民間研究活動も含めて我が国全体としての研究開発投資の拡充を図ってまいります。  さらに、大学の基礎研究費の充実をしろ、こういうことでございます。  とりわけ、独創的な学術研究を推進して、世界の学術研究の進展に貢献していくことが我が国に期待されておることは御指摘のとおりであります。このため、科学研究補助金の拡充等、科学技術関係予算充実に努めておるところでございます。  もう一つ、いわゆる日米科学技術協力協定と知的所有権のお話でございました。  科学技術協力協定につきましては、現在両国政府間で交渉中でございますので、その具体的な内容についてお答えすることは差し控えさしていただきたい。知的所有権の問題は、御趣旨を体して交渉に当たってまいる所存でございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆君登壇、拍手〕
  5. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 総理からお答えがございましたが、御指名でございますので、若干の補足をさせていただきます。  三点ございます。  まず、農産物十二品目につきましては、二月、ガットの理事会において、我が国としてガットの精神を守り、国際化の中で孤立をしてはならない、同時に、国内農業への影響我が国農業に禍根を残さない、こういうような配慮、国際的な経済関係にも十分配慮いたしましてきちんと対応する所存でございます。目下、各方面等の意見も十分伺いながら、具体的対応について最終的な詰めを行っておるところでございます。  次に、牛肉、かんきつでございますが、これまで一九八四年の了解を誠実に履行してきたところでございます。本年四月以降の取り扱いにつきましては、両国の立場に違いがあり、大変厳しい状況にあると認識しております。しかしながら、二国間による円満な解決を目指してできるだけ早く話し合いのテーブルに着くことが重要と考えており、目下そのための努力を続けておるところでございます。テーブルに着きました場合には、我が国牛肉、かんきつをめぐる実情、立場を十分説明し、その理解を得るよう最大限の努力をいたします。  次に、米についてであります。  日本国民の主食であり、我が国農業の基幹をなすものであることは御案内のとおりでございます。また、水田稲作は国土、自然環境の保全上不可欠の役割を果たしていることも御承知のとおりでございます。伝統的な文化の形成とも深く結びついていることも、これまた御存じのとおりでございます。そのように重要な作物であります。米の重要性にかんがみ、農政審報告を尊重し、生産性の向上を図りつつ、今後とも国会における米の需給安定に関する決議の趣旨を体し、国内産で自給する方針を堅持してまいります。米の自由化はいたしません。(拍手)     ─────────────
  6. 藤田正明

    ○議長(藤田正明君) 小笠原貞子君。    〔小笠原貞子君登壇、拍手〕
  7. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。  末広がりの八の字の二つ重なった一九八八年、この正月を迎えて、何とかいい年にしたいと国民は切望しております。竹下総理、あなたがにっこり笑いながらこれから何をするのだろうか、国民は厳しく監視することでしょう。  さて、私は、平和と愛の成就する社会を目指して、二十年前、参議院議員としての第一歩を踏み出しました。それ以来、真の政治家とは、何よりも主人公である国民に真実を語ること、国民の命と暮らしを守ることであり、そのために平和をと、ひたすら求め続けて今日に至りました。  総理政治信条は、気配りと目配りだとお聞きしております。しかし、問題はそれが一体だれに向けられているかです。アメリカにではなく、財界にでもなく、日本国民に対してだと胸を張ってお答えいただけるでしょうか。  「世界貢献する日本」、その言葉は結構です。けれど、施政方針演説をお聞きした限りでは、あなたの世界は非常に狭い。ただアメリカ、せいぜい西側諸国しか意味していないのではないでしょうか。資本主義国、社会主義国、発展途上国を問わず、本当の意味で世界の諸国民と手をつなぐ立場こそ、今求められているのではないでしょうか。このことをまず伺っておきたいと思います。  そこで、国民生活日本経済について具体的に質問をいたします。  ことしは世界人権宣言から四十年目の記念すべき年です。この宣言では、すべての人間は、生まれながら自由で、尊厳と権利とについて平等である。何人も、社会の一員として社会保障を受ける権利を有すると高らかにうたわれております。今日、政治の根本に据えなければならない問題は、まさにこの点ではないでしょうか。  社会保障とは一体何なのでしょう。若いときは、元気な間は一生懸命働きます。けれど、やがて迫ってくる老後、そして不幸にして倒れたときの不安は深刻です。国民はそんなときの安心をと、その保障を切望しています。その願いを国民の権利として保障し、国の責任において行うこと、そのことこそ社会保障です。それは決して哀れみや施しではありません。  ところが、総理は、自民党幹事長代理のとき、生活保護を受けることは恥ずかしいことだという趣旨の発言をしておられます。厚生大臣、こういう考え方が社会保障理念に合致するでしょうか。  こういう姿勢のもとで、東京荒川区では、生活保護を一方的に打ち切られた老婦人が、福祉は人を助けるのでしょうか、二度と生きて福祉を受けたくありませんと抗議の遺書を残して自殺されました。  総理は、この死の抗議に対して何と答えられますか。それでも総理は、我慢していただきたいとおっしゃるのでしょうか。  来年度予算では、生活保護世帯を大幅に減らすことを前提に、戦後二度目の大幅なマイナスとされました。地価高騰が、家賃や固定資産税の驚くべき値上げがお年寄りの世帯を直撃しているとき、老齢福祉年金の引き上げは月に百円、一日に直せばわずか三円です。これがあなたの言う気配りでしょうか。お答え、はっきりいただきたいと思います。  私は、十七年前、障害を持った子供たちが教育を受ける権利を奪われていることを国会で取り上げ、今日のように教育を受ける権利が保障されるようになりました。そのとき喜んでくださったお母さんが、先生、とってもうれしい、だけど卒業したら一体この子はどこへ行ったらいいんでしょう、この子を残して死ねません。そう言われたとき、私は思わず涙してしまいました。入学の喜びは卒業後の不安につながっているのです。総理、どうお答えくださいますでしょうか。  少なくとも今、法で定められた障害者の雇用率を民間企業に守らせるだけで三万四千人働けるのです。この母親や障害を持つ方々の願いにこたえてしっかり指導していただきたいのです。また、共同作業所や障害福祉年金などに思い切った予算をつけるべきだと思いますが、いかがですか。  今、子供たちは小さな胸を痛めています。また、教師も深刻に悩んでいるのです。子供たちのだれが好きこのんで落ちこぼれていくでしょう。だれが好きこのんで非行に走るでしょう。  ところが、政府教育改革と称してやっていることは、教師に初任者研修を強制し、また、歴史の真実をゆがめてまで教科書を書きかえ、日の丸、君が代を学校行事だけではなく授業で教えることまでさせようとすることなのです。子供、教師を管理強化で縛り上げ、自主性、創造性を奪っているではありませんか。総理、文部大臣いかがですか。  国民が求めているのは、そんな歴史の歯車を逆転させることではありません。豊かな基礎学力を持ち、個人の尊厳を重んじ、真理と平和、正義を愛する子供たちを育てるという教育基本法の根本理念へ立ち返ることなのです。  必要な学力は、政府がやる気になればどの子にも身につけさせることができるのです。第一に、教育内容は本当に必要な基礎的なものに絞って整理して、詰め込みをやめること。第二に、特に小学校では、国語や算数など基礎的なものをじっくりと時間をかけて教えること。第三に、おくれの出た子には特別の手だてをとって早く回復させる。第四に、どの子にも気配り、目配りができるように直ちに四十人学級を実現し、さらに三十五人学級を目指す。約三百億円で四十人学級が完全実施できるのです。これらこそ今必要なのではないでしょうか。総理と文部大臣の見解を求めます。  なぜこのように社会保障教育理念が変えられ後退していくのでしょうか。お金がないのではありません。使い方にこそ問題があるのです。  一九八三年、米国防省は日本に対し、防衛費をふやすその財源について社会保障分野こそその源である、はっきりと言い切っているのです。まさに日本政府はこれを忠実に実行しているのです。  私は、声を大にして言いたいのです。来年度予算の洋上防空の目玉であるイージス艦一隻千二百二十億円、F15戦闘機、P3Cをやめれば老人医療無料化や生活保護、障害者対策費、そして四十人学級の実現などが十分できるのです。総理責任として、国民の命と暮らしをこそ守るべきではないでしょうか。はっきりとお答えいただきたい。  次に、今国会の最大焦点である大型間接税について伺います。  総理、そして壇上におられる十六人の閣僚の方々、さきの同時選挙大型間接税反対と公報に書き、誓約書を出し、集会に出て堂々と発言されているのです。御自分のなさったこと、よもやお忘れではありますまい。総理、自民党という政党は内閣がかわってしまえば選挙のときの公約には縛られないというほど無責任な政党なのですか。公約は口約束にすぎないという態度は、国民の意思を踏みにじるばかりか、議会制民主主義を根底から崩すものです。選挙民にどう申し開きなさるのでしょうか。あなたは、国民反対することはやらないと今国会でもおっしゃいました。それならば、国民の声を聞くべく、解散して信を問うのは当然なことだと思います。いかがですか。  来年になれば参議院選挙があるから、ことしのうちに法案を通してしまおうなどと言うに至っては、有権者、国民を愚弄するにもほどがあります。しかも、国権の最高機関である国会には、これをやりたいという具体的な中身は何も示さずに、レーガン大統領には抜本的税制改革をやると公約してくるというのは一体どういうことですか。これではマル優廃止のときと同じように、アメリカが実行を迫ってくるのは目に見えているではありませんか。竹下総理は、日本国会とアメリカ政府とどちらが大切なのか、はっきりさせてください。  総理がレーガン大統領に対して大型間接税導入を約束されたのは、それがアメリカの求めている大軍拡財源づくりにほかならないことを裏づけるものです。事実、あなたは、幹事長当時の昨年の二月、大型間接税導入の目的のトップに国防のためを挙げ、同じく自民党全国政調会長会議で渡辺政調会長は、防衛費の手当てが要ると本音を語っているではありませんか。この本当の目的を隠して、国民に増税をのませるために持ち出しているのが、高齢化社会のためなどというとんでもない理屈ではありませんか。はっきりお答えをいただきたい。  お年寄りであろうと、病人であろうと、お金を使うたびにだれからでも情け容赦なく重い税金を取り立てる、これが大型間接税です。厚生大臣、これでどうして高齢化社会のためとか福祉のためとか言えるでしょうか。最悪の福祉破壊税とはお思いになりませんか。お伺いしたいのです。  竹下内閣は、高齢化社会が来ることをまるで災厄であるかのように言いますが、とんでもないことです。みんなが長生きできるのは幸せなことではありませんか。日本のように資本主義世界第二位の経済力をもってすれば、高齢化社会は立派に支えることができるのです。  今、大企業や大銀行などはあり余った金を転がして大もうけをしております。国債や社債、株、売った、買ったと、その総額は一兆円の一万倍、一京円を超える気の遠くなるような額に上っているのです。この売買にかかる有価証券取引税の税率をわずか〇・一秋川上乗せするだけで、たちどころに数兆円の財源が生まれるのです。大型間接税国民のすべての消費に何%もの負担を押しかぶせるのに比べれば、この方がはるかに合理的ではありませんか。大蔵大臣、はっきりとお答えください。  次に、円高問題、産業空洞化農業問題について伺います。  今日の異常な円高・ドル安の最大原因がアメリカの双子の赤字、とりわけレーガン軍拡による財政赤字であることは、今や日米を問わず、だれしもが認めるところとなっています。なのに総理は、さきの日米首脳会談でなぜ軍事費削減について一言もおっしゃらなかったのですか。そればかりか総理は、レーガン政権の財政赤字削減の努力に敬意を表することまでやってこられました。アメリカの財政赤字削減策なるものは、予想される赤字の規模と比べれば余りにも少なく、とりわけ軍事費を減らすものではなく、ふやし方を多少抑えるというだけのものにすぎません。だから、来年度はレーガン政権として最大の軍事費が確保されるというありさまです。これに敬意を表するなら、アメリカのやることは何でもオーケーということではありませんか。これでどうして円高是正に結びつくのでしょうか。  もう一つ重大なのは、昨年末のG7の共同声明、この中で、これ以上のドル下落を望まないとする一方、ドルが今の水準以上に上昇すること、これは世界経済の成長にとって逆効果だとはっきり述べていることです。内外のどの機関の調査でも、購買力では一ドル二百円以上が妥当だと言っているのに、これでは今日の異常な円高水準を固定化し、その是正の道をみずから閉ざすことになってしまうではありませんか。政府はなぜこのような声明に合意したのですか。異常円高是正の決意をはっきりと内外に宣言して具体的な対策に着手することを要求し、総理と大蔵大臣の明確な答弁を求めます。  今、我が国の大企業は、円高を口実に続々と海外に工場を移転するとともに、国内では労働者から職場を奪い、中小企業からは仕事を取り上げ、産業の空洞化を進めています。まさに大企業栄えて国滅び、民滅ぶ深刻な事態です。今必要なのは、大企業のもうけの拡大を手助けするのではなく、人減らしや海外進出を厳重にチェックし、必要な注文をつけることではありませんか。総理、いかがですか。  大企業の横暴の犠牲になっているのは、とりわけ婦人労働者です。男女雇用機会均等法が施行されて一年十カ月、真の平等に全く反して、日産自動車などの大企業では、生理休暇、産前産後休暇や育児時間などの賃金をゼロにするというとんでもない就業規則の大改悪がされています。次代を産み育てる母性を破壊するのが均等法のねらいなのですか。当然是正させるべきではありませんか。あわせて、全産業の労働者を対象とする育児休業制度の早期法制化を求めます。労働大臣、御答弁いただきたい。  私が胸を痛めるのは、各地で本当に深刻な状態が生まれていることです。北海道は日本経済の縮図です。国鉄は切り捨てられ、農業、漁業も成り立たない。炭鉱は次々につぶされ、鉄鋼、造船も大合理化で雇用不安はますます深刻化しています。これに加えて、総理がアメリカに約束してきた農産物の自由化が行われるならば、農業は壊滅的状態に追い込まれます。北海道だけで新たに三十万の離農者、失業者が出るのです。  農民は言います。おれたちはこれまで、政府の言うとおりやってきた。酪農も畑作も米もだめだとなると、一体何をつくれと言うのか。農業をやめろと言うのか。竹下総理、あなたはこの悲痛な叫びが聞こえないのですか。「ふるさと創生」どころか、アメリカのため、財界のために犠牲にされ、ふるさとを追われた人々に、一体どこへ行って、何をせよとおっしゃるのですか。アメリカの自由化要求は、牛肉、米の自由化要求と一体のものです。食糧を外国に握られて一国の独立はあり得ません。アメリカの不当な圧力を断固としてはねのけるべきであります。日本の首相として責任ある答弁を求めたいと思います。  次に、前公明党田代富士男議員の収賄事件について伺います。  この事件は、国民信頼を根底から覆し、本院に消しがたい汚点を残す許しがたいものです。金権腐敗体質は、今や自民党ばかりでなく、広く広がっていることを如実に示しています。これを教訓とするなら、政治献金は個人に限るべきだと考えますが、どうですか。  ところが、竹下内閣は、企業・団体献金をなくすどころか、逆に二倍に引き上げようとしています。絶対容認できません。特に、自民党総裁としてのあなたがたった一晩で二十億を集めた政治パーティー、あんなものははっきり取りやめるべきです。その決意はおありでしょうか。  次に、人類死活の緊急課題核兵器廃絶問題について伺います。  喜ばしいことに、今世界の大勢は核軍縮の方向に向かって大きく動き始めました。昨年末、米ソ首脳が締結したINF(中距離核戦力)、この全廃条約は、一つの分野とはいえ、戦後の長い歴史の中で初めて実際の核軍縮をもたらすもので、反核・平和を願う国際世論と運動がかち取った貴重な成果です。総理は、どう受けとめていらっしゃるでしょうか。  ところが、アメリカ初め西側首脳は、INF全廃条約後もあくまで抑止力論にしがみつき、シュルツ米国務長官などは、この条約は西側にとって核抑止力の終わりを意味するものではない、米国及びNATO諸国は依然として強力な核能力を持ち続けるだろうと公言しています。  そこで、総理、あなたは日米首脳会談でINF全廃条約を核軍縮の第一歩と言いながら、アメリカの外交努力を支援すると約束しました。これでは、強力な核能力を持ち続けるというアメリカの核軍拡努力を支援するということになってしまうのではありませんか。  その上、総理は、首脳会談で、八三年のウィリアムズバーグ・サミットの精神を高く評価されました。ウィリアムズバーグ・サミット、それは中曽根前首相がアメリカに中距離核ミサイルの欧州配備を断行するよう主張したサミットでした。前首相は、さらに昨年のベネチア・サミットで、アラスカへ中距離核ミサイルの百発配備まで提唱しました。巡航核ミサイル・トマホーク積載艦の寄港や米軍の核攻撃機F16の三沢基地配備も公然と認めてしまいました。アメリカの核軍拡努力をまさに全力を挙げて支援してきたのです。中曽根政治の継承を掲げておられる竹下総理は、前内閣のこのような好核路線をも継承されるのでしょうか。  アメリカは、ソ連のSS20ミサイルに対抗するとして、核トマホーク積載可能な攻撃型原子力潜水艦や水上艦を日本に集中配備し、私たちの日本列島を核戦争の場とする危険にさらしてきました。この問題について鈴木元首相は、我が党の上田副委員長の質問に対し、極東からソ連がSS20の撤去を行い、アメリカも極東に核の配備をしないことを強く望んでいると明確に答弁されています。  総理、今回のINF全廃条約でソ連がSS20を撤去することになった今こそ、核トマホーク積載可能な一切の艦船の日本寄港を中止するようきっぱりと要求すべきではありませんか。SS20に対抗して配備された米軍のF16核攻撃機の撤去も当然要求すべきではありませんか。  中曽根前首相が日米運命共同体と言い、竹下現総理がアメリカにまともに物を言えないのも、日米安保条約、日米核軍事同盟の鎖につながれているからです。  その核軍事同盟強化のもとで、今米軍日本国民生活にまで無法に踏み込み、生命と安全を脅かしています。昨年、北海道全域で行われたアメリカのF16核攻撃機の実戦訓練は、航空法無視の無謀な超低空飛行を繰り返し、爆音で窓ガラスが割れ、サラブレッドが暴走して傷つくなど、道民を恐怖のどん底に陥れたのです。  また、さきの日米防衛首脳協議で、有事来援の名のもとに米軍輸送への協力の研究や、平時から米軍の戦車などの兵器を日本本土へ事前配備する計画が合意されたことは極めて重大な問題です。北海道はその有力な候補地になっているのです。世界の大勢が軍縮に向かっている今、なぜ総理は軍備を増強し、有事のための事前配備などを行うのですか。竹下政治国民の生命、安全よりも日米安保条約、軍事同盟が大事、こういうことなのですか。そうであれば、三宅島や逗子の住民に対し、安保は国是だと言い放った中曽根前内閣と何ら変わらないではありませんか。はっきりお答えください。  政府が、日米安保体制を基軸とする立場から、アメリカの要求に基づいて在日米軍駐留経費日本側負担、いわゆる思いやり予算を大幅に増額した上、日米首脳会談日米特別協定の改定をアメリカに誓約したことも重大です。そもそも、日本米軍基地で今なお存在していること自体、ポツダム宣言やサンフランシスコ条約に反するものです。しかも、在日米軍駐留経費は、日米安保条約、日米地位協定で米軍負担することが決められたものです。その上、今回の分担拡大は、政府・自民党が決定した「ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国貢献に関する方針」に盛り込まれた明白なペルシャ湾軍事分担です。これは国際紛争への加担を禁じた憲法に真っ向から反するものではありませんか。  総理国民の七割以上が軍備増強に反対しています。アメリカが要求する軍拡はあくまでも進める、アメリカのためなら、既存の条約や憲法の規定がどうであれ、在日米軍駐留経費の分担はどんどん拡大するとおっしゃるのでしょうか。この際限のない軍拡により、日本は二〇一〇年までに軍事大国になるとアメリカ国防省の研究報告が指摘しているではありませんか。再び日本を軍国主義への道に突き進ませようとするのですか。  毎年一兆ドルという驚くべき金額が軍備のために注ぎ込まれているのです。何ら生産しない、また、何ら再生産もしないこのむだ遣いをやめ、飢えに苦しむアジア、アフリカの子供たちに使うべきではないでしょうか。  八〇年代に入って、二千五百万人の子供が予防接種を受けられず、幼い命を落としているのです。世界軍事費わずか〇・五%でこの子らの命が救われるのです。とりわけ核軍拡は、地球の資源と人類の英知の最も愚かな浪費です。人間の尊厳どころか、人間の存在そのものを否定するこの核兵器の廃絶こそ、今を生きる者にとって全力を挙げて取り組むべき緊急の課題です。  総理、唯一の被爆国日本が、その運動の先頭に立つべきです。このことこそが真の世界への貢献になる、私はそう思う。  私は、このことを強く強く主張して、日本共産党を代表しての質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
  8. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず最初は、政治姿勢の問題でございましたが、政策の実行に当たりましては、人々の求めるものがどこにあるか、その本音を感じ取って、世の中の変化に応じた速度と方法で対応していくことが私の政治信条でございます。気配りとか目配りとかおっしゃいましたが、どんなお言葉をお使いになりましょうとも、それには静かに耳を傾けるというのが私の政治信条でございます。  しこうして、世界に眼を向けよと、当然のことであります。東西問題にしろ南北問題にしろ、ただ価値観を共有する西側の一員として緊密な連絡をとりながら世界の平和と安定に寄与していくべきだ、このように考えております。  それから、生活保護に関する私の発言でございましたが、生活保護制度は、これは昭和二十一年ぐらいからのあの厳しい議論の歴史を私も知っておりますが、生活権保障の最後のよりどころであるという問題意識は持っております。  ただ、真に保護を要する方々に対して必要な保護を行ってまいるという考え方でございますので、例えて申しますならば、都道府県によりまして千人当たり四十人とか千人当たり四人以下とか、そういうのがアンバランスではないかなという懸念を表明したことはございます。  それから、生活保護費の削減問題でございますが、これも私どもといたしまして、生活に困窮する方々に対して今後とも必要な対策を講じていくのは当然のことでございます。  次が障害者の卒業後の就職問題でございます。  この問題、学校卒業予定の障害者の方に在学中からの職業指導等を充実していく。そこで、おっしゃいます雇用率を達成するように強力に指導してまいる所存であります。  それから、共同作業所、障害福祉年金等についての御意見でございました。  共同作業所につきましては、精神薄弱者は五十二年度、身体障害者及び精神障害者は六十二年度から運営助成をしております。六十三年度もそれぞれ充実をいたしておるところでございます。  教育改革の問題でございますが、今次教育改革は、教育基本法の精神にのっとりまして、教育の現状における諸課題を踏まえつつ、二十一世紀に向けての社会の変化に対応し得る教育実現を目指して行うものであります。  このため、臨教審答申を受けて、個性重視の原則にのっとって創造的で多様な教育実現を期して、教育内容改善、教員の資質向上など各般の施策に着手していこうということでございます。  軍事費突出、文教、福祉切り捨ての予算だ、こういうことでございますが、引き続き、六十五年度特例公債依存体質脱却という努力目標に向かって財政改革を進め、一方、内需拡大の内外の要請にこたえていく。  そしてまた、社会保障、文教予算については、経済情勢の変化等に応じて長期的、安定的に機能するよう、制度面からも運用面からもこれを見直しを行う。  そこで、防衛関係費につきましては、厳しい財政事情のもと、ぎりぎりの諸施策との調和点を図ったものであります。  次が選挙公約の問題でございます。  六十一年の選挙の際に、国民反対し、党員も反対するような大型間接税と称するものはやる考えはないとの前総裁発言がなされたことは私も承知しております。  そうして、私どもが御提案申し上げました売上税は、種々の経過を経て廃案となりました。したがって、今選挙をして国民に問えとかいうことよりも、国民のコンセンサスが那辺にあるかということを国会等の論議を通じて十分吸収していくことにより、憲法で定めております四年という衆議院議員の任期というものは大事に大事にすべきものだ、このように考えております。  それから、税制の対米公約ということでございますが、日本国会とアメリカ政府のどちらが大切か、これはお答えの外に置くことにいたします。  申しますように、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築する、これは国民のコンセンサスとも言えると思うのであります。私が訪米の際、ナショナル・プレスセンターの演説において抜本的税制改革の現状について申し述べたことでございます。  それから、アメリカに軍事費削減を要求しろ、こういうことでございました。  これは、グローバルな世界平和のために果たしておる役割というものからしての努力でございます。我が国として米国に対して国防予算削減を求めるという考え方はございません。  それから、米国財政赤字と為替安定の問題でございます。大蔵大臣からもお答えがあろうかと思います。  レーガン大統領と私の共同発表において、財政赤字削減についての今日、財政赤字削減というのは、私も長い間大蔵大臣をやっておりましたが、これは大変な力を要することでございます。その努力評価と今後の努力を要請しておる、こういうことでございます。  為替レートの問題は、後ほど大蔵大臣からお答えがございます。  企業海外進出でございますが、この問題は、基本的には各企業そのものの問題でございますけれども、いわゆる世界経済の活性化の積極的な意義を持つ反面、我が国における多様な雇用問題というものに影響がございます。  したがって、これからは内需型転換によりまして新しい雇用の場を創出していくということであろうかと思います。  農産物の自由化と離農者対策についてのお話がございましたが、これは二月の理事会においてガットの精神、そして国内農業への影響、国際経済関係に十分配慮して対処する考え方でございます。  政治資金のあり方でございますが、附則八条をも含めて、本来は各党間で十分論議を尽くしていただくべき課題ではなかろうか、このように考えております。  それから、INF条約、反核国際世論の問題でございます。  INF条約が署名され、INFのグローバルな全廃が実現されることになったことは、これは心から歓迎しております。西側の安全は不可分であるとの認識のもとに、西側が結束して米国を支持してきた、それが今日の結果になったのではないか、このように考えております。  世界の人々が軍縮に関する正しい理解を深め、また、軍縮に関する討議に参加することは、意味のある軍縮措置の実現にとって有意義であると考えております。  米国の外交努力の問題でございますが、抑止力を維持しつつ軍縮を行っていこう、この考え方が現実問題として存在しておるということは私も十分承知をいたしておるところであります。これは、このたびの米ソ首脳会談において理想を追求しつつも、現実問題というのは両首脳ともそれは十分認識の上に立ってのことであると思います。  それから、中曽根路線の継承云々の問題でございましたが、私は自由民主党に所属をいたしております。自由民主党が今日まで国民皆様方の支持を得てきた、そういう自由民主主義というものの基調は、これはいつまでも大事に守らなければならないものだと考えております。  それから、我が国核兵器が持ち込まれることはあり得ませんし、ソ連のSS20の撤去と米の艦船の日本寄港、またF16の残留とを関連づけて論ずるということは当を得ていないと思っております。  これからも、我が国が保有すべき防衛力を定めました大綱に従いまして、この防衛問題というのぱあくまでも中期防を着実に推進していくという立場に立ちたいと思います。  それから、米軍の演習問題あるいは三宅、逗子の問題等が御議論にございました。  日米安保体制の円滑かつ効率的な運用を図るべきであるという方針は、一貫した方針でございます。  それから、在日米軍経費の問題につきましては、これは安定的な雇用の維持を図って、我が国の安全保障にとって不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保しようというものでございます。したがって、この問題について憲法に反するというようなことは毛頭考えておりません。  それから、米国防省の研究報告からの展開した御議論でございましたが、いずれにせよ、我が国平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、これが基本方針であることを重ねて申し上げます。  それから、飢餓と核廃絶でございます。  我が国は、アジア、アフリカ等開発途上国への援助に力を尽くしますとともに、軍縮、なかんずく核軍縮ということには努力すべきであります。現実の国際関係において、核兵器が抑止力として平和と安全の維持のために機能しておるとの事実を踏まえつつも、究極的には核廃絶に向け種々なる努力をすべきであるという考えを持っておる次第でございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄君登壇、拍手〕
  9. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 生活保護制度は、国民の生存権保障の最後のよりどころでありまして、国民の自助努力と相まって、権利として健康で文化的な最低限度の生活を保障するものであります。  したがいまして、今後とも真に生活に困窮する方につきましては、必要な保護を行い、自立への援助に努めてまいる所存であります。  ちなみに、六十三年度予算について申し上げますと、一級地一におきまして月額十三万余、年額にいたしまして百五十七万余でありまして、所要総予算の額は一兆八百九十七億円でございます。  次に、間接税が福祉に反するのではないかというお尋ねでございますが、税制改正につきましては公平な税制等の観点から、現在、税制調査会で検討が行われていると承知をいたしております。いずれにいたしましても、高齢者所得保障や病気の際の医療保障につきましては、年金医療保険などの社会保障制度で的確に対応してまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕
  10. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 私に対しましては数点の御指摘がございました。  総理もお触れになりましたように、今次の教育改革は、これから二十一世紀に向けまして、社会の変化にみずから対応できるような、たくましく、個性的な、心豊かな青少年を育成するというのが一つの柱でございます。そのためには、まさに教員の方々の資質に負うところ非常に大きいものでございますから、特に初任者の方々に指導力、使命感、幅広い知見を持っていただくために研修を行ってまいろう、これが初任者研修の精神でございますので、これに従って進めてまいりたい、このように考えております。  次に、教科書検定でございますが、これもまさに教科書の記述が客観的で公正なものとなり、かつ適切な教育的配慮が施されたものになりますよう、厳正かつ公正に行っているところでございまして、今後もその方向で努力をいたしてまいります。  また、国旗・国歌について御指摘でありますが、これは児童生徒が日本国民としての自覚を持ち、また、将来、国際社会において信頼される日本人に成長するためにも、学校でこのような尊重する態度を養うことは適切かつ大切なことであろうと考えております。なお、これは将来それぞれの国の国旗・国歌の意義を尊重し、理解するという精神の涵養にも通ずることと考えております。  次に、教育内容を精選して詰め込み教育はやめたらどうかという御指摘でございますが、これもまさに国民として必要とされる基礎的、基本的な内容を十分一人一人身につけさせますために、従来から教育内容を精選しておりまして、指導方法の改善などに努めているところでございまして、今後とも十分配慮して努力をいたす所存でございます。  それから、国語、算数などの基礎的教育、落ちこぼれがないように、これはまさにそのとおりでございまして、従来から個人差に応じた指導の充実を図るなど、基礎学力の充実を図るように指導を行ってきたところでございますし、今後とも努力してまいる所存でございます。  最後に、四十人学級でございますが、これは六十三年度予算においても第五次教職員定数改善計画に基づきまして、着実にその推進を図っているところでございまして、今後とも努力をいたしてまいります。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
  11. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 有価証券取引税の税率を〇・一%上乗せすれば数兆円の税収があるので、間接税は必要がないのではないかということをおっしゃったわけでございますけれども、有価証券取引税の税率はもとより税制上の問題でございますけれども、この節は証券取引市場の国際化ということが御承知のように非常に広く行われるようになりまして、我が国の株式が外国の市場で上場される。また、その逆もそうでございますので、取引所の間のいわば競争関係が非常にきつくなっております。例えば、ロンドンの取引所が手数料を下げた、東京は高いじゃないかといったようなそういう競争関係が起こっておりますために、こういう取引税の税率なんということが我が国だけの問題ではなくなっておりまして、そういうことも考えながらただいまの税率を適正に決めておるつもりでございます。  なお、御指摘でございましたので、念のため昨年度の実績に従いまして計算をいたしましたが、〇・一%株式の取引税を上げますと、その増収はほぼ三千億円ぐらいかと見込まれます。  それから次に、昨年暮れのいわゆるG7の為替についての声明につきましてお尋ねがございました。  お尋ねの趣旨は、昨年暮れの声明でドルがこれ以上下落することは困る、それはそのとおり書いてございます。ところで、今度はドルが強くなっても困ると書いてあるじゃないか、こうおっしゃいましたのですが、実はそこは非常に注意深く書いてございまして、ごらんいただきますとわかりますが、貿易収支不均衡調整のプロセスを不安定にしてしまうほどドルが強くなることは困るというふうに書いてございます。  この意味は、一九八五年の九月に御承知のようにプラザ合意がございました。二年余り前でございますが、そのときに円は二百四十二円であった。非常にいわばドルが高過ぎたわけでございますから、それをみんなで下げてまいったこの二年余りの努力というものは、不均衡の是正をするためにやったわけでございますが、もし、うんと強くなり過ぎて、二年半にやったことが無になるようなことになってはそれは困る、これは当たり前のことでございますが、そういうことを言っておるのでございまして、表現もきちんと異なるように、誤解がないようにしてございます。  つまり、こっちへ行っても困る、こっちへ行っても困る、それなら真ん中の今のところがいいということをこの声明は言っておるのじゃないかとおっしゃる点は、全くそうではございませんで、ごらんいただきますとよくおわかりいただけることと思います。(拍手)    〔国務大臣中村太郎君登壇、拍手〕
  12. 中村太郎

    国務大臣(中村太郎君) 私に対する質問は二つであると思います。  まず第一は、男女雇用機会均等法に関係するものでございますが、この法律の理念は、もともと女子労働者が母性を尊重され、しかも、性別により差別されることなくその能力を有効に発揮して、充実した職業生活を営むことができるようにするということでございまして、今の労働基準法におきましては、その趣旨を踏まえまして、産前産後休業期間の延長など母性保護の拡充を図っているところであります。  なお、労働基準法におきましては、産前産後休業期間等における賃金の支払いを義務づけてはおりません。この点につきましては、労使間において決定されるべきものであると承知をいたしております。  次に、育児休業制度の法制化の問題でございますけれども、この制度をもともと取り入れる段階におきまして、婦人少年問題審議会におきまして建議をいただきました。これは、本制度の普及率が現状一割強にすぎないという段階において法制化をすることは時期尚早である、行政当局はもっと積極的にこの普及、指導を図るべきであるという御趣旨でございまして、したがいまして、労働省としましてはその趣旨を踏まえまして、育児休業奨励金の活用等によりまして、今後とも一層の普及、促進を図ってまいりたいという考えでございます。  以上です。(拍手)
  13. 藤田正明

    ○議長(藤田正明君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時十二分開議
  14. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。栗林卓司君。    〔栗林卓司君登壇、拍手〕
  15. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、先日の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。  質問に入る前に、まず日米首脳会談についてお伺いいたします。  昨年十二月の米ソ首脳会談で、中距離核戦力の全廃条約が合意されましたが、会談後の記者会見でゴルバチョフ・ソ連書記長は、「米ソ両国が長期にわたる対決から抜け出そうとしていることがトップレベルで認められたことが今回の最も重要な政治的確認である」と述べております。一方、シュルツ国務長官は、中距離核戦力の全廃条約が調印される四日前に、ワシントンの世界問題評議会で、「米ソの敵対関係は改められるべきである」と題する講演をして、講演の終わりを、「我々は今輝かしい未来に直面をしている」と結んでおります。  米ソを両極として東西両陣営が対峙してまいりました戦後の冷戦の雰囲気が音を立てて変ろうとしている印象を受けます。もっとも、ゴルバチョフ書記長を初めて紹介したグロムイコ前ソ連外務大臣によると、笑顔はすばらしいが、歯は鋼鉄でできている男だそうでありますから、言動を単純に受け取ってしまったら間違いなのかもしれません。  この意味で、冷戦の仕組みが変わるか否かのあかしは、アフガニスタンからのソ連の撤兵が握っていると思いますが、いずれにしても、世界政治の底流に大きな変化が兆し始めたように思います。こうした変化は、日米首脳会談にどのように反映されたのでありましょうか。また、この変化の本質は何なのか。世界に安定をもたらすのか、あるいは新たな不安要因となるのか、総理並びに外務大臣の御所見をお伺いいたします。  次に、為替相場の安定の問題についてお尋ねをします。  政府は、いかなる水準為替相場を安定させたいと考えているのでありましょうか。昨年二月、主要先進国の大蔵大臣と中央銀行の総裁がパリに集まり、各国の通貨が基礎的な経済諸条件に合致した範囲内にあることを確認し、為替レートを当面の水準の周辺に安定させるために緊密に協力することが合意されました。いわゆるルーブル合意であります。  ところで、そこで言う当面の水準とは、当時の実勢レート、すなわち一ドル百五十三円七十七銭でありました。為替相場は、ファンダメンタルズ、すなわち経済の基礎的諸条件を反映して決まるべきものであり、ファンダメンタルズの中でも重要な指標の一つが購買力平価であります。では、円の購買力平価が幾らかといえば、卸売物価の中の工業製品価格を使って計算してみると、一ドルが百五十円を若干上回る水準だという試算もあります。こうした数字と先ほどの実勢レートが似通っておりますので、ルーブル合意は納得しやすい水準だと言えるかもしれません。政府は、このルーブル合意を今後とも維持をしていくお考えかどうか、総理並びに大蔵大臣にお尋ねいたします。  ところで、昨年一年間を振り返ってみると、ルーブル合意に対する我々の期待がすべて裏切られてきた一年でありました。  今回の首脳会談では、これ以上のドルの下落は逆効果になるおそれがあることを確認したと共同発表しておりますが、今大切なことは一片の声明ではありません。米国自身が、ドル下落を阻止するために真剣になることであります。今度の首脳会談で、米国のSDRを売却して市場に介入する資金を調達することが決まったようでありますが、米国が所有しているSDRは約百億ドルであり、一日の取引が二千億ドルを超える為替市場に対して余りに中途半端であり、対策としてこそくではありませんか。  為替相場の安定にとって今本当に必要なことは、ドル下落の痛みが米国にわかる仕組みをつくり上げることではないのでしょうか。アメリカがドルで借金をしている限り、ドルの安定に真剣になるはずはありません。ですから、円建てで債券を発行して為替差損がアメリカの負担になるようにするか、あるいは国際通貨基金からお金を借りて財政の節度について厳しい注文をつけられるか、どちらかの道を選ぶべきであり、率直にそのことを伝えるのが友人である日本の義務ではありませんか。言うべきことを言わないのであれば、首脳会談の価値はありません。  アメリカが生産したもの以上を消費し、収入以上の生活をしているうちに、一九八五年には純債務国となり、以来、年ごとに債務を積み増しして、米国上下両院合同経済委員会の報告によると、累積債務は一九九三年には七千億ドルとなり、一九九五年には一兆ドルに達する見通しであります。これは、途上国の累積債務全部を合わせたものとほぼ匹敵する金額であります。一兆ドルもの累積債務を抱えた国が基軸通貨国として通用するはずがありません。  考えてみれば、昨年後半のドル下落は、ドルの先行きに対する不信感に本当の原因があったと言うべぎでありましょう。一九九五年といえば、今からわずか七年後であります。その一九九五年に米国の累積赤字が一兆ドル、途上国の累積赤字がこれもまた一兆ドルであり、合わせて二兆ドルであります。この累積債務は、利子の支払いを考えると、ふえることはあっても減ることはないのかもしれません。こんな重荷を背負ってこれから先世界経済はやっていけるのかどうかが心配であります。だれにも先のことはわからないのでありましょうが、わかっているのは自分たちが乱気流の真っただ中にいることであります。  では、この乱気流の中で、どうしたら無事に着陸することができるかであります。日本は一九九五年には大きな黒字国になっておりますが、大きくなったといっても、黒字、すなわち債権の残高はせいぜい五千億ドルであります。全部投げ出してみたところで、世界の累積債務は四分の一しか減りません。したがって、問題が累積債務国それ自体にあることは確かであります。したがって、この乱気流から抜け出す道は、まず累積債務国を立て直すことであります。  そのためには、新しい基軸通貨をつくって世界経済の成長を軌道に乗せ、累積債務国にも節度が要求できる道をつくることだと思います。基軸通貨の安定なくして世界経済の安定はありません。為替相場の安定のためにも、今なすべき急務は新しい基軸通貨を一日も早くつくり上げることであります。  では一体どうなさいますか。恐らく円、ドル、ヨーロッパ通貨の三者の協調による新基軸通貨の創造だと思いますが、その際、目標となる安定相場は購買力平価になるのではありますまいか。総理並びに大蔵大臣の構想と対策をお尋ねいたします。  今後、世界経済は、新しい基軸通貨をつくり出すまでの間、ドルが乱高下する不安定な時代を迎えることになり、世界経済の成長の足を引っ張ることになるでありましょう。また、為替レートの調整だけに問題の解決をゆだねたとしたら、ドルはドル安の方向に著しくオーバーシュートする危険があります。これは日本の輸出産業と日本経済にとって存亡の危機となるでありましょう。  もちろん、為替相場の乱高下には、理屈からいえば国際協調をもって対処する道があります。しかし、ルーブル合意がもろくも崩れた昨年の例を思うと、米国が為替市場から信頼を取り戻さない限りとてもだめなのでぱありませんか。大統領選挙が終わるまでは何もできない現状では、時に乱高下があることも覚悟して対策を立てる必要があると思うのであります。その際、日本経済をどのようにして守るのか、その具体策を立てることが目下の急務であります。具体的な方策を総理にお伺いいたします。  行き過ぎた円高・ドル安は、その水準いかんによっては空洞化をさらに促進することになるでありましょう。空洞化とは、国内から製造業がいなくなることであります。これは長い目で見れば、日本から製造技術、商品開発力が失われることであり、そのころになれば、勤勉な日本の勤労者も労使関係も、すべて失われている危険があります。したがって、空洞化の進展をドルの乱高下にゆだねることは、民族の死活にかかわる大問題であります。したがって、空洞化は何としても防がなければなりません。その手段は国内市場であります。国内の消費購買力で製造業を支えることだと思いますが、通産大臣の御所見を伺います。  消費購買力を高めるためには、まず所得税減税であります。財源にゆとりが見込めるときでもあり、二兆円程度所得税減税を早急に実施すべきであります。大蔵大臣に伺います。  これまで、政府は、消費の促進策について過度に憶病でありました。しかし、ドルが不安定な今こそ発想を転換し、欧米諸国が採用しているような、住宅あるいは耐久消費財の取得に対し、借入金利子の全額を所得控除して国内消費の手助けをする制度導入すべきではありませんか。住宅はもちろん、耐久消費財もまた生活の質と深いかかわりを持つ財であります。  私が数年前にデンマークを訪れたとき、国民がたくさんヨットを持っている光景を目にいたしました。その理由をデンマーク政府に聞くと、デンマークは昔から海洋国家であり、国民が海に親しむのはよいことなのであります、したがって、借入金の利子を全額所得控除してヨットの取得を助けているのですと言っておりました。  今、日本で欲しいのは、こうした発想であります。ヨットであれ、クルーザーであれ、プレジャーボートであれ、ふえてくれば港もつくらなければなりません。当たり前であります。しかし、そうして海洋レジャーを活発にすることが、結果として国民生活の質を高め、同時に、現在苦境にある造船業に仕事と夢を与えることにもなるのではありませんか。大蔵大臣並びに、所管事項でありますので、運輸大臣の御見解を伺います。  一方、自動車産業は、行き過ぎた円高によって空洞化が加速化する危険を抱えております。この空洞化を防ぐ道も国内市場の拡大であります。我が国の自動車市場が拡大する道は、かつて米国がそうであったように、一世帯が二台目の自動車を持つ、すなわち自動車の世帯当たり複数所有であります。民間金融機関の調査によれば、複数所有に対する意欲は根強いものがあるにもかかわらず、二台以上を所有している世帯は全体の一六%にとどまっております。その理由は、駐車場の制約といった物理的要因ではなく、税金が高いなどの経済的要因によるところが大きいのであります。  これまで自動車は、国民生活の必需品として数十年を経過したにもかかわらず、相変わらずぜいたく品扱いされ、九種類にも及ぶ自動車関係語税が課税されております。自動車産業は、高い雇用吸収力、他産業への高い波及効果からして、今もなお経済発展、雇田川確保の戦略産業であります。円高の進みぐあいによっては、発生する失業者は部品及び関連産業を含め四十万人にも及ぶでありましょう。ドル不安外の今日、消費を抑圧している自動車関係諸税を撤廃して、国内市場を大切に育成すべきであります。自動車を持って六年もすると、自動車本体の購入代金と同じぐらいの税金を取られることになる今の自動車関係語税はゆがみ切っております。支払うお金で考えれば、今でも世帯当たり複数所有が実現しているのと同じであります。  また、自動車には道路財源として道路目的税が賦課されておりますが、これも問題であります。今日、公共事業費の半分は土地代に消えてしまっていることはよく知られております。したがって、生活上の必需品として自動車を所有している一般国民から税金を取り立て、地主のところに運んでいくことになるのが道路目的税であります。しかも、道路は地下空間を含めて国民のために活用すべき公共空間であります。  ヨーロッパでは、開発利益は公共事業を行う公共団体が受益者から租税の形で吸収すべきだという考え方が浸透しており、開発による地価の値上がりに課税する土地増価税あるいは開発負担金などの制度が採用されております。日本考えるべき点ではないのでありましょうか。要するに、国民生活の質を高めることに内需主導の本当のねらいがあるはずであります。したがって、正確に言えば、生活主導であります。消費購買力の豊かな経済をつくらなければなりません。この点に関し、大蔵大臣並びに通産大臣の御所見を伺います。  次に、個人消費の活性化を図る上で見逃すことができない円高差益還元について、総理にお尋ねします。  政府調査では、円高差益は七割は還元したと言っておりますが、残り三割はどこに隠れてしまったのでありましょうか。一方、この円高の中で消費者物価はなぜ下がらないのでありますか。日本経済の仕組みにはどこかおかしいところがあるのではありませんか。片方で輸出産業が雇用か賃金かのぎりぎりの選択を迫られている状況の中で、片方では円高差益で左うちわというのでは、社会の公平という観点からして問題があり過ぎはしませんか。円高差益還元に対する総理の御所見をお伺いいたします。  次に、日本政治にとって最大の課題である中高年の雇用問題について、総理にお尋ねいたします。  総理は、御著書の中で、「失業を増やさないことを経済政策の第一」の目標とすると述べておいでになります。しかし、日本総理として、今回も米国に約束された産業構造の調整は、雇用という面から見ると大変な問題であります。需要と供給のミスマッチは拡大し、そのしわ寄せを受けているのが中高年層であります。年齢別失業率は、特に中高年層で高いのであります。中高年層にとって一番欲しいものは職場であります。職場が確保されれば、年金財政にとっても中高年層にとっても両方が幸福なのであります。働く意思と能力がある中高年層には雇用が確保されなければなりません。総理の御所見をお伺いいたします。  次に、税制改正の問題について伺います。  大平内閣が一般消費税の導入に失敗したとき、国会は全会一致で財政再建に関する決議を行いました。その内容は、財政再建に当たって検討すべき事項とその順番を定めたものであり、税制改正に当たっての考え方の基礎となるべき重要な決議でありました。すなわち、まず第一には経費の節減合理化であり、第二には税負担の公平の確保であり、第三には既存税制の抜本的見直しであり、第四には幅広い観点からの検討であります。  したがって、税制改正法案の国会提出に当たっては、不公平税制是正並びに税負担の公平を確保する法案をまず提出すべきであります。そして、もしこの順序を逆転させるようなことがあれば、これは国会決議を無視するものと言わなければなりません。この点に関する総理の認識をお尋ねいたします。  最後に、総理は、御著書の中で、国民が直接にもせよ間接にもせよ、「自ら参加した、開かれた議論を通じて国民的合意が形成されることが望ましい。」と述べておいでになります。しかし、今この機関は存在いたしません。しかも、こうして国民合意を形成する余地がないにもかかわらず、法案の国会提出あるいは臨時国会での成立などと国会対策的配慮と計算が先行しているのはいかにも問題であります。これは今、政府がとっている態度そのものが国民を無視しているものと言わざるを得ません。総理が御著書で述べられているとおり、広く税制改正合意を得るための開かれた場へ国民が集まりまして、議論の深まることが私はまず大事ではなかろうかと思います。  この点をお尋ねを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
  16. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私とそれぞれ所管大臣とに分けてお尋ねがございました。まず私から、私に対するお尋ねについてお答えを申し上げます。さきの米ソ首脳会談に対する評価とか認識とかという問題でございます。  現在、東西間で対話が進められておりますが、米ソを軸とする東西関係は、基本的には依然対立しておるという関係ではないかと言わざるを得ません。種々の分野でいまだなすべきことが多く残されております。  こうした観点から、私は、レーガン大統領との会談におきまして、先般米ソ間で合意されたINF条約の早期発効への期待を表明いたしますとともに、東西関係のさらなる進展を図るため、西側の一員として同大統領を強力に支援していくとの決意を表明したわけでございます。  これは、プレスリマークスにおきます文言を正確に申し上げますならば、「先月、大統領の長年にわたる努力を通じ歴史的なINF条約が署名されました。私は、同条約の早期発効を期待するとともに、種々の分野で未だ為すべきことが多く残されている東西関係の実質的進展を図るため西側の一員として大統領を強力に支援する決意です」、こういう文言でございました。  次は、大蔵大臣から詳しくお答えがあろうと思います為替問題等についてでございます。  私とレーガン大統領との会談では、これ以上のドル下落は世界経済の成長にとり逆効果である、このような合意をいたしました。  なお、為替レートにつきましては、具体的水準に言及いたしますことは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにせよ、為替相場の安定のため、ルーブル合意を初め主要国間で積み重ねられた合意を踏まえて、政策協調、そして為替市場における協力関係、これを引き続いて実施していく、このような考え方でございます。  SDR売買の問題でございますが、両国による為替市場における協調的努力に十分な資金を確保するための枠組みとして、SDR売却に関する両国の確認がされたことを明らかにしました。重要なことは、十分な資金を確保するということでございますので、今後必要に応じ、そのような配意のもとで話し合いが行われるものと理解しております。  米国が円建てで債券を発行すること、あるいは米国がIMFから融資を受けることは、基本的にはこれは米国自身の決めるべき問題でございます。  いずれにいたしましても、為替市場における協力関係につきましては緊密な話し合いのチャネルがございますので、今後ともよく話し合っていきたい、このように思います。  新通貨制度の御提言がございました。  米国世界経済における比重は往時よりも低下したとは申しながら、その発達した金融市場や世界貿易慣行などから、ドルは依然として他の通貨から隔絶した基軸通貨である、これは否定できません。  他方、国際的な取引において、あるいは準備通貨として円やマルクの比重が高まってきていることも事実であります。ドルを中心としながら、これら他の主要通貨がドルを補う形で多様化が進展していくものであろうというふうに思っております。  なお、適正な為替レートがどの水準にあるかにつきましては、今御指摘のありました購買力平価を含め、さまざまな意見がございます。また、購買力平価と一口に申しましても、さてその基準をどこにとるかということになりますと、だれもが認める客観的な妥当なものというのはなかなか難しい問題でございます。  そこで、為替相場産業構造調整の問題に移りますが、為替相場の不安定は我が国輸出産業にとって厳しい環境をもたらす要因であることは今御指摘のとおりでございます。  こうした中にありまして、産業構造を内需主導型に転換して、国際的に調和のとれたものとすることが重要であると考えます。  このため、政府としては、内需の拡大とともに新たな技術革新、それから情報化の成果等を生かすことによりまして、産業の新たな発展分野を開拓する、そういうことによって産業構造転換の円滑化に努めてまいるというのが基本的な考え方であります。  輸出産業が雇用か賃金かというぎりぎりの選択に迫られ、そして、一口に言いますと、円高メリットのある産業がいわば差益還元についてもっと努力すべきではないか、こういう御意見でございました。  円高差益還元につきましては、一昨年来の累次にわたる対策におきまして、政府でできますこと、すなわち電気・ガス料金の引き下げとか、輸入牛肉の売り渡し予定価格の引き下げとか、国内航空運賃の割引制度の拡充等を実施してまいりました。かなり円高差益還元も、あれから二年四カ月になりますので、その効果があらわれてきたというふうには見ております。それは確かに、きょうの発表でございますが、消費者物価の上昇率は実に昭和三十三年以来、二十九年ぶりということのようでございます。  今後とも、為替レートの動向等を踏まえて、公共料金については差益の的確な反映を図りますとともに、消費者への情報提供でございますとか、輸入の促進等を通じまして、円高差益の一層の還元に努めてまいらなければならないというふうに今考えております。私も失業がないことと、そしてインフレがないこと、このことは絶えず念頭に置かなければならない問題だと思っております。  そこで、産業構造の転換が進む一方において、我が国は本格的な高齢者社会を迎えようとしておりまして、活力ある社会を維持していくためには、高齢者の雇用の場を確保していくことが御指摘のとおり重要な政策課題でございます。  このため、政府としては、サチコという言葉が使われますように、「産業・地域高齢者雇用プロジェクト」を強力に推進することなどにより、六十歳定年を基盤とした六十五歳程度までの継続雇用を推進いたしますとともに、中高年齢離職者の再就職の促進、このようなことに努めてまいります。  次は、財政再建決議にお触れになりました。  五十四年十二月、両院において同じ文言の決議がなされたわけでございます。私も当時大平内閣の大蔵大臣でありました。この問題につきましては、政府として財政再建について、この決議の趣旨に沿ってまず歳出歳入両面にわたり最大限の努力を重ねてまいりました。また、行政改革の推進をしてまいりました。  他方、抜本的税制改革は、国民の税に対する不公平感を払拭しますとともに、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築することが必要であるという考え方でもって、税負担の公平確保についても引き続き検討をしていかなきゃならぬと思っております。  そこで、財政再建は今終わったわけではもちろんございません。したがって、この決議の趣旨をいつまでも大事に生かしていきながら、税制の抜本的改革を進めていく上におきましては、国民の理解を得られるような税制の確立という観点に立って、国会を初め、広く国民各界各層の御意見を伺いながら、望ましい税制の全体について可能な限り早期に成案を得るべく努めてまいるべきである、このように考えております。  その財政再建決議に基づく税の問題を、さらに税制改革という点に焦点を当ててみますと、高齢化社会の到来、経済社会の一層の国際化を考えますときに、抜本的な税制改革によって所得、消費、資産の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築するというところは、喫緊の課題としてどなたも御異論のないところでございます。間税の問題を含む抜本改革問題につきましては、税制調査会において精力的な審議をお願いしておるところであります。  政府として、国民の理解を得られるような税制の確立という観点に立って、国会における各党間の話し合い、これはここ十数年、税の議論が一番多くなっております。そして、幅広く国民各界各層の御意見を承りながら、これから詰めていきたい。  したがって、国会の場とは別に、政党間の話し合いというようなものがあるわけでございますが、これは、私は自由民主党の総裁ではございますものの、国会でお答え申し上げる場合は行政府の長としてハウスに対してお答えするわけでございますから、いわばどのような組織、運営で各党間協議がよかろうかという問題は、私の口から申し上げる立場にはないというふうに立場を御理解を賜りたいと思います。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
  17. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) お答え申し上げます。  米ソ首脳会談が日米首脳会談にどのように反映したか、また、今後やいかんということでございますが、INF条約の署名、調印成功は、これは大変歓迎すべきことでございます。特に西側陣営が結束をしたたまものである、だから核軍縮の第一歩である、こういうふうに評価しつつ、政府といたしましては歓迎をいたしておるところでございます。  しかしながら、これによりまして、全部世の中は変わったか、対立は解消されたかと申し上げますと、この件に関しましては、ただいま総理がお答えなさいましたように、依然として東西の対立はあるであろう、私たちはそのように考えております。したがいまして、米ソ両国はさらに新しい安定的な東西関係構築のために一層の努力をされるでございましょう。  これに対して、日本といたしましては、やはり心から米国の立場に立って、そうして応援をしていかなければなりません。それが、この間、日米首脳会談におきまして、総理が申されましたとおり、グローバル・ゼロの調印、この条約の早期発効、なおかつ第二弾に対しても、日本は極力レーガン大統領を御支援申し上げますという表明と相なったわけでございます。  第二弾は、既に栗林さん御承知のとおりに、戦略核並びに軍縮等々がございまして、いわゆる軍備管理でございます。さらにはアフガン等の地域紛争があります。また、二国間の問題もあります。さらには、人権問題があります。こうしたものをグローバルに両国において合意をし、また解決をしていこうではないか。  これは、大変東西の関係安定のためには大切なことでございますから、なお一層我が国といたしましては、そうした立場において、西側の陣営の団結力を固めるためにも、日本がどういたしましてもレーガン大統領を御支援申し上げましょうと、こういうふうな順位となっていくわけでございます。私も、シュルツ国務長官とお目にかかりまして同様の意見を表明いたしまして、その御成功をお祈りした次第であります。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
  18. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、為替問題につきましての御所信を拝聴いたしましたので、それに関連いたしまして二、三のお答えを申し上げたいと思います。  先ほど御指摘がありましたように、ルーブル合意等々におきまして、為替の問題、当面の水準の周辺において安定させるという表現を何度か使ってまいりました。これは意識的に表現としては緩やかな表現をいたしておりまして、いわゆるターゲットというようなものを考えていないという意味でございますが、為替市場が自由市場でございますので、時間の推移とともに水準そのものが変化をしてまいったことも事実でございます。  そこで、昨年の十—二月に、G7が声明をいたしました際にはこの美現を今度は用いませんで、これ以上のドルの下落は世界経済の成長にとって逆効果であるということを述べたわけでございます。  この点は、プラザ合意以来、ドルを下げる努力が二年余り続いてまいりましたが、これ以上ドルが下がるということはアメリカを含めて各国とも困ることである、そういう認識、合意ができたことを意味するものでありまして、その合意のもとに政策協調あるいは為替市場における共同介入ということを確認いたしたわけでございます。総理大臣がアメリカの大統領とSDRの問題について合意をしてくださいましたのも、これもアメリカのそういう認識のもとにおける努力のいわば象徴的な意味をも持つものだというふうに考えておるわけでございます。  そこで、栗林議員からはさらに、しかし今の状況にあっては、アメリカは債務をドルで返すのであれば何の苦痛もない、したがって、例えば円建てで債券を発行するとかあるいはIMFから融資を受けて財政政策についていろいろないわば規制を受けるとか、そういうことでなければならないであろうというお話につきましては、少なくとも円建て債等の問題については学者の間に栗林議員の言われるような議論が確かにございます。我が国にもございますし米国にもございますが、事実問題として、どういう債務を一国が負うかということは、終局的には主権国の決定と申すしか申しようがないわけでございます。  これについて、アメリカの指導者がどのように考えているかということを私なりにそんたくをいたしますと、やはり米国経済というものは潜在的には極めて強い、したがって、そういう必要はないばかりでなく、仮にそのような債務を負うということになれば市場がそれをどういうふうに受け取るか、アメリカ自身がドルの将来に危惧を持っているのではないかという受け取り方をもし市場がするようであれば、それは逆効果になるのではないか、自分の経済についての自信に合わせまして、そういう考え方を持っているのではないかというふうに私はそんたくをいたしております。  次に、ドルがそういうことであって、やっぱり新しい基軸通貨というものも考えなければならないであろうというお話につきましては、米国世界経済における比重が昔日の比でないことは事実でございますけれども、しかし何といってもアメリカの経済の潜在力は、これは他の国々からはるかに抜きん出ておると存じます。また、アメリカの金融市場も非常に大きい。それから世界の長い間の貿易慣行がドルを通じて行われておる等々のことがあり、また、人によりましては、軍事力もやはり通貨の信用の一つの背景であると考える人もいるというようなことでございますので、今の段階として、やはりドルが他の通貨をはるかに抜いた高い地位にある通貨であるということは恐らく否定のできないところであろうと思います。  時間の経過とともに、円あるいはマルクの準備通貨としての比重が少しずつは高まってまいっておりますから、ドルを中心にいたしまして、マルクや円がいわばそれを補う形での役割を少しずつ担うようになるということは好ましいことであると思っております。傾向としてもまたそうであろうと思っておりますが、そのためには、やはりこれらの通貨、円あるいはマルクでございますが、これの自由化、国際化が進展をして、そして国際通貨として魅力がある、使えるというものにしていかなければならない、そういう努力が必要かとおっしゃれば必要である、また、現に我が国においても一生懸命それを進めようとしておるということは私は申し上げることができると思います。ただ、それがドルにかわってというようなことにはいろんな事情からなかなかなり得ないというのが事実であろうかと存じます。  次に、今度は国内経済との関連でお尋ねがございましたが、そのような形で我が国の産業が輸出依存の体質から少しずつ国内の市場というものにウエートを置いていかなきゃならないということは事実でございますし、その関連で所得税減税等々が必要であろう。政府が昨年一兆五千四百億円の所得税を、また、今年度の住民税を含めますと二兆を超える減税をいたしました。それもおっしゃいましたようなことを期待しておりますし、確かに消費にかなりのいい影響を与えておると思います。基本的な考え方といたしまして、健全な消費を促して、そして国内市場を大切にしていくことが必要である、そのために所得税減税等々の施策が入り用ではないか、そういう考え方には私ども同意でございます。そうであろうと考えております。  ただ、そこで、具体的にヨットのお話があったわけでございます。つまり、アメリカにおきましては、つい最近まで住宅ばかりでなく、かなり幅広い耐久消費財等についてのローンの利子は所得控除を所得税の立場から受けておった。これはかなりアメリカらしいおおらかな、確かに消費奨励でございますが、施策であったことは確かでございます。そのアメリカも、さすがにここへ来てそれを変更いたしましたが、正直申して、我が国の立場で申せば、一つはなかなか財政がそこまでの余裕を持っていないということを申し上げなきゃならないと思います。  もう一つの問題は、今私ども住宅税制について、借入金元本の一%を税額控除しておるわけでございますが、いわゆる所得控除をいたしました場合には高額所得者ほどその恩典の度合いが大きくなるということが当然のことながらございます。したがって、それをさらにいろんな耐久消費財についての借入金の利子を所得控除するということになれば、それは確かに消費を促すことになりますし、国内市場を広くする可能性はございますが、それが高額所得者の方に大きな恩典を与えることになるという問題があるということも考えておかなければならないかと存じます。  自動車についていろいろな大きな税金がついておる、取得、保有、燃料消費等々、随分いろいろ御負担を願っておるということは、私もそれは事実と思いますけれども、専門家の話によりますと、諸外国におきましても似たような税体系を持っている、負担水準我が国がヨーロッパ諸国と比べてそれほど過重なのではないのだということを専門家は申しておりますが、いかがなものでございましょうか。確かに税金をかなりしょっていただいているということは事実であろうかと思います。  なお、御記憶でいらっしゃろうと思いますが、昨年売上税法を御提案いたしましたときに、自動車につきましては物品税を廃止して売上税に統合するということを考えた経緯がございます。これは、実は物品税の中で非常に大きなものを自動車にしょっていただいておる。その次は家庭電器でございますけれども。そういう意味で、実はかなり物品税がいわばいびつになっておるということの認識に基づくものでございました。これは昨年のことでございますが、あるいは御記憶をいただいておるかと思います。  それからキャピタルゲインでございますが、これは有価証券のキャピタルゲインでございますが、先般課税を強化いたしました。強化いたしましたが、なおそれはたくさんの取引の中の決して広い部分にわたってはおりませんで、このことの問題は、結局キャピタルゲインとキャピタルロスをまんべんなく把握できる方法があるか、そういうことに尽きると思います。それがございますと、行き当たりばったりでない行政ができるわけでございますが、ただいま税制調査会におきましてそのような方途について御検討をしきりにお進めいただいておるところでございます。  それから、いろいろ新税を考える場合に、結局それが国のむだ遣いになりはしないかということは、私ども常に警戒心をいたすべきところでございますが、現実には、ただいま一般会計の一五%以上を公債に依存いたしておるわけでございますし、したがって、赤字公債は何とか昭和六十五年度には脱却をいたしたいという努力をいたしておるほどでございますので、経費の節減合理化ということはその観点からも決しておろそかにしてはならないところでございます。また、おろそかにいたさないように考えております。  以上をもってお答えにいたします。(拍手)    〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
  19. 田村元

    国務大臣(田村元君) 先ほど栗林さん御指摘のとおり、円高等を背景に製品輸入の増加や輸出の停滞が生じております。また、海外生産の動きも活発化するなど、産業構造転換の動きが加速されつつございます。これは痛みも伴いますけれども、今日の我が国の国際的な立場を考えますと、やはり真正面から受けとめざるを得ないと思います。その上で、製造業を初めとする我が国産業の活力の低下、雇用情勢の深刻化、地域経済の疲弊など、いわゆる空洞化が生じることのないように適切な政策的対応を行うことが必要でございます。  具体的に申しますと、まず三つの対応だと思います。  その第一は、適切そして安定的な為替レートの実現、また、民間消費を初めとした内需を中心景気の持続的拡大を図るためのマクロ経済の運営。技術革新あるいは情報化の成果を生かした新規産業分野の開拓、新事業分野への転換の円滑化等を通じて経済活力を維持して、あわせて雇用機会の創出を図る。また、円高等によります雇用あるいは関連中小企業及び地域経済への影響の軽減等のための事業転換及び地域産業の活性化に対する支援策等を講じてまいることが必要かと存じます。  その場合、産業構造転換円滑化臨時措置法、また、特定地域中小企業対策臨時措置法などが柱になってまいります。これを今ももちろん懸命に進めておりますが、今後もこれを軸に大いに政策展開をしていきたいと思っております。  自動車の問題でございますが、最近の我が国の自動車産業を取り巻く国際的環境は、円高による輸出環境の悪化や、アメリカやECなど諸外国との自動車貿易問題など極めて厳しいものがございます。自動車産業が今後内需依存を高め、健全な発展を維持していくためには、国内の自動車市場の拡大は極めて重要な課題であると我々も認識をいたしております。  現在、自動車につきましては、その出荷から走行に至る各段階で九種類の税金が賦課されておりますが、今回の税制の抜本見直しの中で、自動車が国民生活の中で果たす役割の増大、自動車の内需拡大の観点をも踏まえまして、自動車関係語税につきましても必ずや検討が行われるべきものと思料いたします。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣石原慎太郎君登壇、拍手〕
  20. 石原慎太郎

    国務大臣(石原慎太郎君) 御指摘の問題は、まさに運輸省の行政の最近の新しい眼目でございまして、御趣旨には全く同感でございます。  最近、急速に普及している海洋性レクリエーションを一層盛んにすることは、国民生活の質の成熟向上を図り、同時に造船業の振興を含めた内需拡大にも寄与する重要な課題であると認識しております。  運輸省においては、従来から海洋性レクリエーションに関しさまざまな施策を講じておりますが、今後は、マリーナやウオーターフロントの整備、船舶を活用したレジャー施設の整備あるいは旅客船の建造、安全対策の確立など多方面にわたる施策を通じ、海洋性レクリエーションを一層活発化させるための環境整備に努めてまいりたいと思っております。  なお、今大蔵大臣も言及されましたが、現行の税制では自動車だけではなくて、海洋性レジャーの船舶には世界でまれなる高率の物品税がかけられているということも事実でございます。(拍手)     ─────────────
  21. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 菅野久光君。    〔菅野久光君登壇、拍手〕
  22. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、竹下総理及び関係大臣に質問するものであります。  総理、あなたはみずからの著書である「ふるさと創生」で、政治家になった動機として、戦後の故郷の荒廃した山河を見、「二度と戦争が起こらないような、」そして「二度と国土が荒廃しないような世の中にしたい、という気持が強烈に働いた。」ということを言っておられます。そして、これからも一人でも多くの幸せを願って「無限の理想をめざす初心だけはつねに忘れることなく、」歩き続けたいと述べております。  私は、いまだ若輩ではありますが、このような政治信条は私自身も常日ごろから大切に持ち続けていきたいと心に念じているものだけに、率直に共鳴いたします。  そして、憲法前文も、「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、」と明確に規定し、我々政治家に指針を示しております。  そこで、私たち政治家は、こうした基本理念に基づいて、国政が真に国民のものとして根づいているかどうかについて常に真剣に検証する義務があると思います。私は、総理がその本で、「今日の日本は、素晴らしい」「歴史的にも稀なほど幸せな状態にある。」と言われておりますが、この認識とは必ずしも一致しない。いや、ある面では全く大きな格差を感ぜずにはいられない現実があると言わなければなりません。  国民一人当たりのGNPが世界でトップとのデータは確かなものかもしれませんが、国民一人一人の生活に金持ち国日本の実感はないし、また、これまでどんな軍国主義国家も平和を語らなかった国はないように、我が国も常に平和を強調しながら、世界軍縮の傾向に逆行してひたすら軍拡路線を走っていること、また、毎年繰り返される六十万人を超える死傷者を出す交通事故など、深刻な問題は枚挙にいとまがありません。  そして、さらにごく身近な例として挙げるならは、総理は認識ないのかもしれませんが、北海道は今、零下二十から一二十度にもなる寒さの最も厳しい季節であります。こうした中で、道内に多くある無医村地区で苦しむ人々、廃墟同然となった炭鉱の町で出稼ぎ先からの仕送りを待つ家族、農畜産物の自由化は農民の死活問題と心を痛める農家の人たち、ことしはどうなるかとかたずをのんで漁業交渉を見守る港の人たち、そして国の政策で撤去された鉄道沿線では、吹雪の中、いつ来るかわからないバスを待つ老人や子供たち等々の生活実態があります。そして、これらはすべて今までの政治と深く結びついているのです。  こうした現実を直視するとき、私は、国民に自助努力を強要する政治から、真に国民が求める政治へと大きく転換させなければならないと決意を新たにするものであります。それは総理の「ふるさと創生」で強調する、日本人が日本人として誇りにできるようなしっかりとした生活活動の基盤をつくることに通ずるものではないでしょうか。  問題は、美しい言葉やキャッチフレーズで飾られた政策と現実の国民生活とのギャップの根本原因を明確にし、国民生活の安定向上に資する具体的施策を実行することが、今日、政治に課された責任であると思いますが、まず総理の認識と責任ある答弁を求めます。  以下、こうした立場から幾つかの具体的問題について質問することとします。  最初に、防衛問題についてでありますが、瓦防衛庁長官は、去る一月十九日、アメリカのカールッチ国防長官との会談で、わざわざ日本側から、日本有事に備えての米軍戦車などの日本への集積を含む米軍来援方法についての共同研究を提案し、新兵器の日米共同開発とともに双方で合意したということであります。竹下内閣発足早々、なぜ今この時期に、これほど重要な問題について決断をしたのですか。新防衛庁長官は、国際軍事情勢の把握と判断を誤っており、不適任のように思われてならないのであります。総理は、事前にこのことについての相談あるいは指示をしていたのですか、明確にしていただきたいと思います。  今、世界は大勢として軍縮の方向で動いており、まさに我が国平和憲法の精神にのっとり、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という方向に自信を持ってイニシアチブを発揮するときではないでしょうか。それを、あえて米軍の対ソ戦略に完全に組み込まれ、日米軍事一体化、そして極東有事の際の補給基地化することを進んで希望するというこの構想は余りにも危険であり、断固反対するものであります。そして、武器備蓄が具体化すれば、候補地は北海道以外にないと言われていることから、五百八十万道民の怒りは頂点に達していることを申し上げておきたいのであります。私は、重ねて強調しますが、このような緊張激化政策は直ちに撤回することを求めます。総理の明快な答弁を要求いたします。  次に、農業問題で伺います。  今日、農業にとって最大の課題は、市場開放の問題であります。昨年十二月のガット総会における農産物十二品目の自由化裁定案を政府は拒否されましたが、その後の経過は、拒否とは百八十度違う自由化受け入れの方向で、既に総理訪米では米側にその旨を伝え、二月のガット理事会で裁定受諾を報じられていますが、事実ですか。わずか二カ月足らずの間の政府の方針変更の理由は何ですか。ガット裁定を拒否したのは、日本農業の死活問題と判断したからではなかったのですか。国際化の進む世界経済のもとでの日本農業の位置づけと、農民が安心して従事できる農政の展開について、総理の答弁を求めます。  竹下総理は、農産物自由化問題で米国大統領にきちんと対応すると約束されたと報じられておりますが、きちんとの内容がわかりません。世間では八品目の自由化を言うのか、前回拒否の焦点となった脱脂粉乳、でん粉を含む一括受け入れかと大変心配し、かつ混乱もしておりますので、明確な答弁を求めます。  我が党としては、地域農業地域経済を守るため、十二品目すべての自由化に反対であることを再度表明したいと存じます。  また、いわゆる国内対策についてでありますが、政府は、ガットの裁定を受け入れた後、それにより影響を受ける地域のために国内対策を講ずる方針であると聞きます。その一環として、ガットとの整合性を考慮しながら関税割り当て制を採用するそうでありますが、その内容を御説明いただくと同時に、そのような措置が何年ぐらい継続する見通しなのか、明らかにしていただきたいと思います。また、このたびの予算には、この国内措置のための予算が組まれておりません。補正予算で対処する方針であるというのは事実かどうか、またその場合、国内措置のための予算は何年で、どれくらいの規模になるのか、また、そもそも国内措置の中身はどうなるのか、はっきりとお答えください。  北海道にとって、でん粉と脱脂粉乳は主力農産物であります。それだけに、北海道農業の死命を制する重大関心事なのであります。沖縄のパイナップルも同様ですが、農林水産省の適地適作、競争力ある農業の指導に従い、巨額負債を背負いながら営々と努力してきた農民の方々に、政府は自由化だからやむを得ないと言うだけでは済まないはずであります。  各国とも、それぞれの国の農業保護にウェーバー条項を設け、また、国家貿易品目除外などで手厚い対策がとられているのに、我が国農業だけが工業製品の過大輸出による貿易黒字の犠牲を強いられることは、農業の立場から納得できないのは当然であります。総理、外圧から日本農業を守る方針を明確にしていただきたい。  次に、森林、林業の問題についてお尋ねいたします。  森林は、人類生存にとって不可欠な環境資源であります。また、社会資本として定義づけられるべきものであります。近年、国民の森林へのニーズや期待は高まっております。しかし、政府の最近の調査を見ましても、保安林の一割以上がその機能を発揮しておらず、山地災害危険箇所は調査時点の八年間で三割も増加し、十七万六千カ所に達しております。また、間伐は緊急に必要な森林面積の七割しか実施されておりません。  総理は、多極分散型国土の開発を掲げていらっしゃいますが、産業空洞化が進み、また、新しく伸びていく産業の立地も一部の地域に限られている中で、総理の言葉どおりの国土利用を行おうとすれば、農業や漁業の振興とあわせて森林、林業に対する手厚い施策が必要不可欠と存じますが、いかがでしょうか。  森林を保全し、林業を振興するためには、第一に森林に対する相続税について制度改正が必要であります。時代の変遷とともに、民有林の経営は大変厳しい状況に置かれており、相続税を納付する資金を得るため若い木を無理に伐採したり、経営の効率性を犠牲にしても林野を細分化して売却するなど、森林、林業にとって悲惨な事態となっております。この際、農業用地課税同様、林業経営を続ける間は相続税の納税を猶予するといった制度改正が必要ではないでしょうか。  第二に、後継労働者の育成が必要であり、そのため林業経営の改善、林業労働者の労働条件、福利厚生の改善が必要と思いますが、いかがでしょうか。  そして第三に、新しい全国森林計画で計画している六万七千九百キロメートルの林道開設の完全実施。  第四に、大手デベロッパーに依存しない国、自治体主導の山村リゾート開発が必要と考えます。  これらについての総理の御所見を伺います。  次に、難問の山積する漁業問題についてお尋ねいたします。  我が国の遠洋漁業は、一九七七年以来、撤退に次ぐ撤退を重ねておりますが、特に北洋漁業は、米国北太平洋漁業管理委員会が本年の対日漁獲割り当て量ゼロを勧告するに至って、大きな転機を迎えたと言わなければなりません。こうした事態によって深刻な影響を受けてる北洋はえ縄、刺し網などの関係漁業者に対し手厚い救済対策が講じられてしかるべきだと思いますが、農林水産大臣はどのような措置をとるお考えか、お伺いいたします。  また、北洋漁業を含めて遠洋漁業は、水産たんぱく食糧の供給、漁業基地経済の安定、そして漁船乗組員の雇用などの面から、今後とも適正規模を維持することが必要不可欠と考えますが、そのための漁業外交及び遠洋漁業業政策の基本方針について、総理のお考えを承りたいと存じます。  次に、現在我が国民間団体とソ連関係機関との間で進められているサケ—マスのふ化放流に関する合弁事業などの拡大傾向や今回の米国の措置から見ても、北洋漁業は今後ますますソ連水域への依存度を高めていくことが明白であるため、政府はこれら事業を政策的に支援すべきだと考えますが、農林水産大臣にはその御意思がおありでしょうか。  さらに、ソ連水域における漁獲割り当て確保など北洋漁業の安定を図るためには、善隣友好の見地に立った対ソ関係改善が必要であり、日ソ漁業交渉の際、毎年紛糾の一因となるソ連漁船の寄港問題などもこのような観点から対処すべきであります。したがって、寄港地を関係道県において持ち回りとする問題は、単に農林水産省の所管として限定的に考えるのではなく、政府全体で積極的に取り組むべきだと考えますが、総理を初め関係各大臣の明確な答弁を承りたいと存じます。  次に、社会保障に関連して、障害者問題に絞って質問いたします。  竹下総理は、政権樹立前から前内閣の施策の継承を約束してまいりました。しかし、財政再建の名のもとに行われた五十八年度からの五年間の予算編成は、自立自助や民活を唱えて福祉予算削減することに専念してきており、その路線だけは継承してほしくないと国民は願っているはずです。  もちろん、私は政府が何もしなかったとは申しません。例えば、一九八三年からの十年を国連が「国連障害者の十年」とし、「完全参加と平等」を目標に掲げました。その前半の五年が終了したわけですが、この間に年金などの所得保障も一応の前進を見せたし、精神障害者の人権を守る視点からの法改正も行われました。さらに、本年四月から障害者の雇用率も〇・一%引き上げられ、法の対象に精神薄弱者も加えられることになりました。しかし、完全参加と平等の社会にはまだまだほど遠いと言わざるを得ません。  例えば、聴覚障害者の政治参加についてであります。政見放送や本会議予算委員会の国会中継放送にも手話が入っておりません。本日、この本会議場に手話通訳者を伴って十五、六名の聴覚障害者の方々が傍聴に来ておられますが、手話適訳の派遣費用は自費なのです。このようなことを考えますと、聴覚障害者の方々に対する手厚い施策が求められていると思います。特に急がれている手話通訳の制度化について、厚生大臣の誠意ある答弁をお願いいたします。  総理、このような実態をどうお考えになりますか、御所見を伺います。  また、不況になれば直ちに障害者の雇用は解雇など深刻な問題に直面し、雇用率は決められていても守らない企業が多くあるというのが実態であります。政府は、障害者対策について前半の五年をどのように分析しているのか、また、その反省の上に立って後半の五年間にどのような施策を進めようとされているのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。また、雇用確保のためいかにして障害者の職場の開拓に努める考えであるのか、この点についても明らかにしていただきたいと思います。  次に、教育問題についてお伺いいたします。  まず、留学生問題についてであります。現在、我が国が進めている二十一世紀初頭に留学生を十万人受け入れる計画は、国際的公約とも言うべきものであります。言うまでもなく、留学生の受け入れは国際的な相互理解や教育研究水準の向上のほか、発展途上国の人材育成に対する貢献など、今日の我が国が置かれている国際的な地位、役割から見て、極めて重要な国策となるべきものであります。しかし、昨今の急激な円高は、留学生、とりわけ私費留学生生活を困窮させており、このままでは本計画の達成が難しくなるおそれがあります。  政府は、新年度予算授業料減免措置、学習奨励費の支給等によって円高の救済策を講じておりますが、その対象は私費留学生の一部でしかないなど、極めて不十分であります。これでは留学生の対日イメージが悪くなるばかりであります。貿易摩擦などで対日批判が高まり、日本に対する偏見も一層その度を増している今日、留学生こそよき日本の理解者となるよう政府は全力を尽くすべきであります。そのために、救済対象学生数の枠をもっと広げるなど、思い切った対応が必要ではないでしょうか。総理の御所見を伺いたいと思います。  また、留学生の中で多数を占める私費留学生に対して、もっと抜本的な援助策を講じることも必要であると考えるのであります。我が国は、諸外国に比べ留学生に対する大学や民間奨学金が非常に少なく、その受給者数は年間二千人程度でしかありません。円高差益貿易収支の黒字分の一部を還元する意味で、留学生事業に対する寄附等を企業に働きかけ、それにこたえた企業には税制面でのより一層の優遇措置を講じるなど、その拡充を図ることも必要ではないでしょうか。  加えて、我が国の大学が留学生にとって魅力あるものとなるよう、政府及び大学当局は特段の努力をしていく必要があると思います。今後の充実策について文部大臣にお聞きしたいと思います。  次は、教員養成の問題についてであります。  教員養成のあり方については、我が国教育の現状と今後の方向、教員を取り巻く環境など幅広く検討した上で、これからの教員はどうあるべきかを考えなければならないことは当然であります。そこで、今後のあるべき教員像について総理見解をお伺いしておきたいと存じます。  次に、具体的にお伺いいたします。  政府は、臨時教育審議会及び教育職員養成審議会の答申を受けて、大学院終了者のための専修免許の創設など、教員免許を三種類にする改革及び新採用教員に対する初任者研修制度導入を図ろうとしております。  まず、三本立て教員免許制度については、教員が上級の免許を取ろうとするのは当然のことであります。そのため、残念なことではありますが、授業や本来の自主的、主体的研修をおろそかにせざるを得なくなるなど、学校がさらに管理的、形式的にならないか、また教育現場に学歴主義を持ち込み、学歴社会是正理念にも逆行するのではないかと思うのであります。そして、初任者研修制度についても、研修が教育技術偏重になり、新任教員一人一人の個性や意欲、創意を失わせ、教育にとって最も注意しなければならない無気力教員を生み出すための鋳型にはめることにならないか、あるいは指導力のある優秀な指導教員の確保が困難ではないかなど、教育の根本にかかわっての懸念もあります。  総理は施政方針で、「国際社会の中でたくましく活動できる個性的で心豊かな青少年を育成する」、また、「子供たち一人一人の個性をいかした創造的で多様な教育実現を目指し」と言われていますが、この方針に反することになるのではありませんか。このような疑問、不安に対する文部大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。  制度は、一度つくるとしばらくは変えることができません。国家百年の大計を誤らないために、我が国の今後の教育に強く影響を与える両制度がこのように大きな問題点を抱えている以上、拙速は避け、法案提出は見合わせて、もっと慎重に検討すべきであります。むしろ、当面は研修休暇制度の創設や学級編制基準の一層の改善など、本来の自主的、主体的研修をしやすくする条件づくりこそ先決と考えますが、文部大臣の御所見を伺いたいのであります。  次に、アイヌ民族に対する政府の対応について伺います。  中曽根前首相は、一昨年の九月、自民党全国研修会において、日本は単一民族であり、人種差別問題はないという趣旨の発言をし、多くのアイヌの方々から怒りの抗議を受けたことは記憶に新しいところであります。しかし、昨年八月五日、国連先住民会議において日本政府代表部は、日本政府日本が単一民族国家であると主張するものではなく、またアイヌの人々の存在を否定するものではありませんと世界各国に向けて公式に答弁しております。このように、政府は、外国に対しては我が国に先住民族としてのアイヌ民族の存在することを認めております。このことは、今日まで我が国が単一民族国家であるとのかたくなな姿勢から、先住民族としてのアイヌ民族の存在を認めたことであり、評価いたします。そこで総理、ここで改めてこのことを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。  そして、今後の対応として重要なことは、国際人権規約のA、B両規約の第一条に規定されています民族の自決権を具体的にどのように保障し、実行するのかであります。  そこで、お尋ねいたしますが、第一は、政府は昨年十二月二十四日、人権規約についての第二回目の報告書を国連事務局に提出しました。そして、今回の報告書では、少数民族自体が存在しないような誤解を招かないように表現したとのことですが、第一回報告書とどう変わったのか、その内容を外務大臣から明らかにしていただきたいと思います。  第二に、アイヌ民族問題は、ただ単に北海道の問題としてとらえるのではなく、日本の近代国家への成立過程におけるアイヌ民族の置かれてきた立場を正しく理解するとともに、多民族国家としてのアイヌ民族の地位を明確にし、これまでの福祉中心のウタリ対策から脱却し、アイヌ民族としての自立、自決権を基本に据えた施策が必要であります。  そこで、総理府が窓口となり、アイヌ民族の代表を含めた国家行政組織法第八条の規定に基づく正式な審議機関を設置すべきであると思いますが、総理の答弁を求めます。  第三は、北海道旧土人保護法にかわるべき新しい法律制定についてであります。  このことについては、北海道知事の私的諮問機関の中で検討していることは御承知のことと思います。北海道ウタリ協会は、一九七九年以来、これからのアイヌ民族問題解決のために法律案作成の検討を重ね、その結果、アイヌ民族の権利の回復を前提にした人種的差別の一掃、民族教育文化振興経済的自立対策など、抜本的かつ総合的な制度を確立すべきであるとの結論を出しましたが、こうしたアイヌ民族の運動に対して温かい配慮と積極的な手助けが必要であります。総理のお考えを伺います。  また、国連の人権委員会では、コロンブスがアメリカ大陸を発見してからちょうど五百年目に当たる一九九二年を記念して、国際先住民年にする決議が検討されているとのことですが、政府は、国連総会等においてこの決議によもや反対することはないと思いますが、あわせて見解を求めます。  そしてまた、国連のデクエヤル事務総長が世界人権宣言四十周年に向けてメッセージを送りましたが、この内容の具体化を強く求めるものであります。  最後に、多極分散型の国土づくりで伺います。  均衡ある国土の開発発展は、歴代政府が唱えてきたところですし、国民の願いでもあります。しかし、我が国経済発展し、豊かになればなるほど地域間格差は拡大し、そして人々の生活は、東京からの距離に比例して貧富の差を拡大しているのが実態であります。  総理は、ふるさとづくりを提唱されておりますが、国土開発でこれまでの格差拡大地域経済崩壊の保守党政府の政策をどう根本的に改められようとしているのか、どうも明確ではありません。これまでも不均衡な国土の開発を言明した総理はいないのに、国会答弁や国民への公約が裏切られてきたことは歴然たる事実であります。したがって、竹下総理のお約束も口先だけに終わるのではないかと地方住民は半信半疑で聞いておりますので、具体的に均衡ある国土づくりの政策を詳細にお示しいただきたいと思います。  さらに、地域間格差によっておくれた地域については、民間活力も力不足で思うに任せません。したがって、予算や公的資金の後進地域への傾斜配分によって、先進地域との格差を縮めるような政策を長期かつ計画的に行うべきであります。  そこで提案ですが、総理は、東京の臨海部や都心部の再開発によるふるさとルネッサンスを言われますが、これは過密地域だけを見てのことです。よって、この際は、地域の主体性と創意工夫を生かした村興し、産業興しの強化推進を図るため、研究開発機能や情報、知識、人材育成等に関する新しい産業の地方への分散配置、先端技術産業やソフトウエア産業の地方への誘導策を盛り込んだ二十一世紀を目指す工業再配置計画を策定すべきであると考えますが、いかがでしょうか、見解を承りたいと思います。  また、一省庁一機関の地方移転を閣議決定いたしましたが、早くもいろいろな問題が出ているようであります。ことしはたつ年でありますが、竜頭蛇尾に終わらぬよう総理の決意をお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
  23. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 菅野さんと私はよって立つ政党的基盤、それからいたします政策認識等を必ずしもすべて一緒にしておるとは思いませんが、菅野さんがみずからの政治の理想を高く掲げて、その理想と現実の国民生活のギャップの根本原因を明確にして国民生活の安定向上に資する具体的施策を実行することが政治に課せられた責任である、このようにおっしゃっていることについては、全く同感であります。  私なりの認識を申し上げますならば、先人の努力と国民の英知で我が国経済が目覚ましい発展を遂げて、世界の中で今ほど大きなウエートを占めたことはありません。同時に、この経済発展国民一人一人の生活実感に結びついていないという御指摘も事実であります。  経済発展の成果をいかにして国民生活に結びつけていくか、これが私の申しております「ふるさと創生」というものの原点ではなかろうかとみずからに言い聞かせております。  さて、そこで、有事来援研究問題でございます。  我が国有事の際の米軍部隊の有効な来援の確保や装備の共同開発の推進については、私もかねてよりその重要性を認識していたところであります。  先般の日米防衛首脳会談におきまして、日米防衛協力のための指針に基づく研究の一環として、米軍の来援部隊の円滑かつ迅速な展開を可能にするための措置について研究することや、各種の装備について日米の共同開発を推進していくことで日米間の意見の一致を見たことは、その重要性にかんがみて私は意義あるものと高く評価をいたしております。  なお、防衛庁長官の訪米前に特段の相談、指示といったことはしておりませんが、責任は私にあります。これらの研究等は、本来、防衛庁長官の責任で行われるものであります。したがって、私どもといたしまして撤回する考えはない、ここのところは政策認識の違うところをあえて申し上げたわけであります。  それから次に、北海道の問題からして我が国農業、林業等を説いていかれました。  ある書物で、一般すなわち造船、二タン——減反と石炭、そして二鉄——国鉄と製鉄、三産——畜産、林産、水産、こういう言葉が書いてあったことは私も承知しております。そういう背景のもとにまた今日の問題を取り上げられたと、私も承りながら聞いて承知いたしております。  十二品目問題につきましては、我が国としては二月の理事会において、ガットの精神を守り、国内農業への影響、国際的な経済関係に十分配慮して適切に対応していく考え方であります。  その具体的な対応策につきましては、目下鋭意検討中のことでございます。また、その後の措置についても適切な対処をしてまいる所存であります。  農業全般の位置づけにつきましては、農業は国の基であって、我が国経済の国際化が進展する中で、食糧の安定供給を初め、活力ある地域社会の維持、それと国土、自然環境の保全など、その役割というものは引き続き極めて重要であると思っております。  したがって、一昨年十一月、農政審議会の報告がありましたが、これを踏まえまして、与えられた国土条件の制約のもとで最大限の生産性の向上を図る、また、国民の納得し得る価格での食糧の安定供給、これらに努めてまいる考え方でございます。  森林、林業の問題でありますが、これは木材の供給のみならず、さらに国土の保全、水資源の涵養などの公益的な機能を有しております。と同時に、山村地域振興の上からも、林業の活性化ということを考えていかなければなりません。  このため、木材需要の拡大、林業生産基盤の整備、森林の総合的利用の促進など各般の施策を推進して、森林、林業の振興に鋭意努力をしてまいる考え方であります。  それに伴っての相続税にもお触れになりました。  これは、山林に係る相続税につきましては、立木の特殊性を考慮して、従来から課税面及び納付面において優遇措置を講じているところであります。  御指摘がありました林地と農地との事情の違いということは、御理解をいただきたいと思います。  ただ、相続税全般の負担水準という問題につきましては、所得、消費、資産の資産の部分の大きな分野を占める相続税の問題でございますから、税制調査会で検討される課題であると考えます。  漁業外交、そして対ソ漁業の問題をも含めてであります。  我が国の遠洋漁業を取り巻く状況は厳しい状態にあります。今後とも新資源、新漁場の開発を推進しますとともに、粘り強い漁業交渉の展開、漁業の分野における協力関係の推進などによりまして、海外漁場の確保を図ってまいる考え方であります。  政府としては、北洋漁業を安定して行えるように対ソ交渉において最善を尽くしておるところであります。その結果、昨年行われました日ソ間のサケ・マス及び二百海里漁業交渉においては、前年並みの漁獲割り当て量を確保したところでありまして、今後とも最大限の努力を行ってまいる所存であります。  なお、お触れになりました寄港問題につきましては、昨年末の漁業交渉においてその円満妥結の観点より、本年についてはソ連漁船の寄港を認めることとした次第であります。  次が、障害者対策の推進の問題についてであります。  これは貴重な御意見を含めての御質問でございましたが、この問題については、昭和五十七年に障害者対策に関する長期計画を策定して以来、政府としては各種施策を総合的かつ効果的に推進する努力を重ねてまいりました。その結果、五年を経過した段階で中央心身障害者対策協議会からも画期的進展を遂げ着実な成果を上げたと評価をいただいたところであります。  しかし、その長期計画の目標であります完全参加と平等、これを達成するためには、さらに教育福祉、雇用等の各種の対策を広範かつ総合的に推進していく必要があります。  私も障害者対策推進本部長の立場でございます。障害者の自立と社会参加の一層の促進を進めていく所存でございますが、先日も式典に出席をいたしまして、「心の和を広げよう」というテーマの啓発活動が実施中であるが、国民一人一人の正しい理解と温かい御協力を期待してやまないという心境でございます。  留学生受け入れ体制整備の問題であります。  これは、まさにそれぞれの留学生は、我が国に対する理解の促進と友好増進のため、かけ橋の役目を果たしていただくべきものであり、そしてまた、していただいておる実態もございます。  したがいまして、近年の留学生受け入れの増加に対応して、留学生施策を講じてきたところでございますが、今後ともこれは各方面の協力を得ながら、私費留学生対策を含め留学生受け入れ体制整備充実に努力をしてまいります。  税制面での措置としては、留学生に対する学資の支給、貸与、学生寮の設置、運営を主たる目的といたします法人に対して民間企業が寄附金を出した場合に、試験研究法人等に対する寄附金として、一般寄附金と同額の範囲内で別枠で損金算入を認めるなど、現行制度において既に措置を講じておるところでございます。  先ほどもお答えいたしましたが、元日本留学生アセアン評議会、これらができていい効果を上げておるなと喜んでおります。  今後あるべき教育像という問題でございましたが、私も三年三カ月教師をしておりました。しかし、みずから教員像を語るほどの資格があるとは思っておりません。ただ、私自身感じておりますのは、やはり教育者としての使命感と、そして教育者としての愛情、その上にやはり専門的知識、これらを備えるべきではなかろうかと考えております。  さて、国連先住民会議における発言の問題でございますが、昨年八月の国連先住民作業部会におきまして、御指摘のように、政府代表が、人権規約B規約第一回報告との関連で、単一民族国家論を主張するものでもなく、アイヌの人々の存在を否定するものでもない旨の発言をしたことは事実であります。現在もかかる考え方に変更はございません。  次が、ウタリ問題であります。  これは関係各省において緊密な連携協力のもと、各省庁において所要の施策を推進してまいっております。  また、北海道において、北海道ウタリ福祉対策策定や毎年度予算要望に際し、ウタリの人たちの意見をも徴しているというふうに私も聞いております。  このような方法で今日までウタリ諸対策を実施してきたことによりまして、ウタリを取り巻く社会的、経済環境などは漸次改善されつつあるものと考えておりますので、今後ともこの方式で対処していきたい、このように考えます。  最後の問題は、国土づくり、工業再配置計画、一省庁一機関地方移転等をひっくるめての意見を交えたお尋ねでありました。  地域の創意と工夫を生かしながら多極分散型国土の形成を目指そうという点におきましては、私が申しております考え方と昨年六月策定されました四全総と国土づくりの考え方は基本的には同じものであります。  今後は、四全総に示されました地方圏における産業・技術拠点の形成、大規模なリゾート地域整備全国一日交通圏の構築など、交通、情報・通信体系の整備政府機関の移転再配置の検討、推進などの諸施策を着実に推進して、国土の均衡ある発展を図ってまいりたい、このように考えております。  そこで、御提案のあった産業の頭脳部分の地方への誘導でございますが、極めて重要であります。閣議決定をもいたしておりますが、新たな工業再配置計画を策定し、引き続き工業再配置を推進するとともに、近年の経済の高度化、ソフト化の進展に対応して、研究所やソフトウエア業など、いわゆる産業の頭脳部分の地方分散を進めていくことによって地域経済の活性化を推進していく考え方であります。  そして、一省庁一機関地方移転の問題でございますが、東京一極集中を是正し、多極分散型国土を形成するために、都市それから産業機能の地方分散を図ることが重要な課題であることは認識を同じくしております。  四全総及び緊急土地対策要綱におきましても、その一環として、政府機関等の移転再配置の推進を図ることとしておりまして、そのはしりといたしまして、今般、移転方針について閣議決定をまず行ったわけであります。  これに基づいて、当面はいわゆる一省庁一機関移転の実現に取り組む、そしてさらに第二弾、第三弾ということを進めてまいりたい、このように考えております。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆君登壇、拍手〕
  24. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 総理答弁の補足も含めまして、五点申し上げたいと思います。  まず、農産物十二品目についてでありますが、昨年十二月のガット総会において、我が国は、パネル報告書のうち、乳製品、でん粉及び国家貿易制度に係る解釈は受け入れがたい旨表明し、部分採択を主張したところでありますが、残念ながら他のガット加盟国の支持するところとはならず、改めてこの採択問題を討議するため、来る二月理事会に持ち越されることになったものであります。  来る二月理事会においては、我が国として、ガットの精神を守り、国内農業への影響、国際的な経済関係に十分配慮してきちんと対応する所存であります。もとより、国際化の中で孤立をしてはならぬ、同時に、国内農業に禍根を残さないよう内外関係者の理解を仰ぐに足る結論を出さねばならぬと最善の努力をいたしておるところであり、最終的な詰めを行っておるところでございます。  二月理事会の結果を踏まえ、ガットと整合性のある措置に移行する品目につきましては、今後の問題として所要の国境措置及び国内措置を検討してまいりたいと考えております。  次は、森林、林業活性化でありますが、我が国林業、木材産業は、長い間価格の低迷等困難な状況にありましたが、最近に至り、木材需要が回復傾向にある等明るい兆しも一面見え始めております。このような中で、代替材や外材との競争に耐え得るよう、林業、木材産業の一層の体質強化、活性化を図ることが強く求められております。また、我が国社会の成熟化に伴い、森林をリゾートとして活用するなど、森林に対する国民の要請は高度化、多様化する状況にあります。  このため、農林水産省といたしましては、今後の林政の進むべき方向に関する林政審議会の報告等も踏まえ、木材需要の拡大、造林、林道等林業生産基盤の整備地域材の産地化等国産材供給体制の整備、そして後継者の育成や就労条件の改善による担い手の確保、また、森林の総合的利用の促進と山村の振興など、各般の施策を推進しているところであり、今後とも金融、税制を含めた総合的な林業振興施策を推進していく考えでございます。  次に、北洋漁業の問題でございますが、北洋はえ縄、刺し網などの漁業者に対する救済対策についてであります。  米国の北太平洋漁業管理委員会は、本年一月の会議において、余剰が生ずれば我が国に対する割り当てを行う趣旨の決定をいたしております。  政府といたしましては、引き続き米国に対し対日割り当ての確保を要請する一方、漁場転換の一環として、ソ連海域でのはえ縄漁業共同事業の拡大に向けて民間交渉を積極的に支援してまいりたいと考えております。  救済対策につきましては、それらの状況を見きわめる必要があると考えておりますので、その上で対応いたしたいと考えております。  次に、日ソ合弁事業についてでありますが、ソ連水域における我が国の多数の中小漁業者の安定的操業の確保を旨として、これに資するサケ・マス合弁ふ化場などにつきましては、政府として必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  最後に、ソ連漁船の寄港地についてでありますが、昨年末、日ソ漁業交渉妥結のためこれを認め、塩釜港を寄港地と決定したところであり、関係省庁の協力を得つつ、その円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。  なお、寄港地の決定が年々困難となる等の問題があることから、関係省庁と協議しつつ、ソ連漁船の寄港のルールづくりにつき早急に検討を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄君登壇、拍手〕
  25. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 手話通訳の制度化の問題でございますが、これにつきましては、かねてから御熱心な菅野先生でございますのでよく経過は御存じのことでございますが、現在、全日本聾唖連盟に手話通訳認定基準等の策定検討をお願いしてございます。そして、近くその最終報告が出される予定と聞いておりますので、この検討結果を待ってきちんと対処してまいります。(拍手)    〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕
  26. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 私に対しましては、五点御質問がございました。  まず、留学生対策でございますが、これは心のかけ橋を広めるという上でも、私どもも重要な施策だと考えております。六十三年度予算では、前年度比二六%アップの百八十三億円を計上いたしております。昨年五月現在で、二万二千人の留学生を受け入れておりますが、うち私費の留学生は一万八千人でございます。  先生は、特に私費留学生対策について御指摘でございますが、おっしゃるように、授業料減免措置、学習奨励制度の拡充のほかに、国などのほか民間の力をかりたらどうか、こういうことでございまして、幸いにして近年、民間奨学財団設立等の機運が高まってまいりまして、この五年間に約十団体設立がされております。  こういう団体、財団に対します企業等の寄附につきましては、税制上の優遇措置が講じられておることは総理もお述べになったとおりでございますが、また、宿舎なども留学生会館等をつくっておりますが、また、一般企業民間企業等の社員寮を開放していただいて一緒に住むことも有益であろうということでお願いもし、努力もしていただいておるところでございます。今後もさらに拡大をいたしてまいりたいと思います。  大学等の留学生受け入れ体制について御指摘でありますが、これは留学生担当教職員を増員いたしたり、日本語教育体制の整備外国語による特別コースなど、留学生の方々の特性に配慮した工夫を現在やっております。今後ともこれを進めてまいりたいと思います。  次に、教員免許につきまして御指摘ですが、普通免許状の種類を御存じのように三種類にいたしました。専修、標準、初級、こういうことでありまして、そのほかに社会人を受け入れるための特別免許状というのもつくらしていただきたい、こう思っておるわけですが、これはすべて幅広い範囲から人材を集め、それによって教員組織全体の活性化を図るのと、それから御自身の自発的な研修意欲を高めていただこう、こういうことが主眼でございまして、それによって教員の資質能力の向上を図りたい、こういうことで教育職員免許法改正案等の御審議をいただくべく準備をいたしておるところでございます。  次に、初任者研修でありますが、これはまさに教育は人づくりでございますし、教育は人と言われますとおり、学校教育におきましては教員の方々の資質によるところ大なるものがあろうと思います。  したがって、特に初任の教師の方々に対しましては、なるべく円滑に教育活動に入っていただきたい、なるべく自立した教育活動をしていただきたいという意味で、初任の間に実践的な指導力あるいは使命感あるいは幅広い知見を得ていただくための研修期間を置くことは当然のことではなかろうか、こう思いまして、指導教員といたしましても、御心配の点を御指摘でございますが、初任者が所属する学校の教員の中から指導力にすぐれた教員の方に当たっていただくということで、これに対しましても教育公務員特例法の改正法案を準備いたしておりますので、よろしく御審議をいただきたいと存じます。  最後に、研修休暇制度の創設と学級編制基準の改定について御指摘でございますが、学級の編制基準、これにつきましては小中の四十人学級、この改善について着実に推進をいたしておりまして、今後ともこれは進めてまいりたいと思います。  ただ、研修休暇制度、教員に適切な研修の機会を与えるよう配慮することは確かに必要であろうかと思いますが、研修休暇制度そのものについては、公務員制度との関連性もありまして、これは慎重に検討すべき必要がある、このように考えております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
  27. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 私に対する菅野さんの御質問は四点でございます。一つずつお答えいたしたいと思います。  まず、北洋漁業に関しましては、総理並びに農水大臣から既に寄港地の問題はお話があったとおりでございます。だから、本年限りのものとしていつも決められるわけでございますので、持ち回りに関しましては、ただいまから議論することはどうかと思うような次第でございます。  なおかつ、修理に関しましてはケース・バイ・ケースで検討することにいたしております。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、北洋漁業の安定を図るために、御承知の長期協定が二本ございますから、その協定の枠内におきまして常に安定的、協調的に日ソ漁業が行われるように最善の努力をいたす所存でございます。  その次は、国際人権規約B規約第二回報告における少数民族についての記述、一回目とどう違うかということだろうと思いますが、本来ならば、第二回目の報告書につきましては国連の正式配布を待って公表するということでございましょうけれども、せっかくの御指摘でございますから、関係部分に関しましてお答えを申し上げておきます。  その趣旨は、アイヌの人々が独自の宗教及び言語を有し、また、文化の独自性を保持していると認められる一方において、憲法のもとで諸権利を否定されていない、これが報告書の趣旨でございます。  次に、国連先住民年決議に対する我が国の態度いかんでございますが、今後、この決議案は国連の人権委員会でいろいろと議論されましょうから、その内容を我々も見守り、各国の態度等を勘案いたしまして、しかるべく検討をいたしたい、かように考えております。  最後に、世界人権宣言四十周年に向けての国連事務総長メッセージの具体化いかんということでございますが、外務省といたしましては、四十周年を機に、人権宣言ということに関しまして関係各省に対ししかるべき行事を行ってほしいということを要請いたしておりまするし、また、外務省自体もいろんな行事をやり、そのことを広報をもって啓発をし、そして世界人権宣言の普及を行いたい、かようにただいま鋭意検討中でございます。  以上でございます。(拍手)
  28. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会