運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1988-01-25 第112回国会 参議院 本会議 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十三年一月二十五日(月曜日) 開 会 式 午前十時五十八分
参議院議長
、
衆議院参議院
の副
議長
、
常任委員長
、
特別委員長
、
参議院
の
調査会長
、
衆議院参議院
の
議員
、
内閣総理大臣
その他の
国務大臣
、
最高裁判所長官
及び
会計検査院長
は、
式場
に入り、所定の位置に着いた。 午前十一時
皇太子明仁親王殿下
は、
衆議院議長
の前行で
式場
に入られ、お席に着かれた。 〔
一同敬礼
〕 午前十一時一分
衆議院議長原健三郎
君は、
式場
の中央に進み、次の
式辞
を述べた。 式 辞
天皇陛下
の御名代として
皇太子明仁親王殿下
の御臨席をいただき、第百十二回
国会
の
開会式
を行うにあたり、
衆議院
及び
参議院
を代表して、
式辞
を申し述べます。 現下、
わが国
をめぐる
内外
の諸
情勢
はきわめて多端であります。 このときにあたり、われわれは、
わが国
の現状と
国際社会
における
立場
を深く
認識
し、外に対しては、諸
外国
との
相互理解
と
協力
をいつそう深め、
世界
の平和と
繁栄
に
貢献
するとともに、内にあつては、
政治
、
経済
の
各般
にわたり、適切な
施策
を強力に
推進
して、
国民生活
の
安定向上
をはかり、もつて
国連
の隆昌を期さなければなりません。 ここに、
開会式
にあたり、われわれに負荷された重大な
使命
にかんがみ、
日本国憲法
の精神を体し、おのおの
最善
をつくしてその任務を遂行し、もつて
国民
の委託にこたえようとするものであります。 次いで、
天皇陛下
の次のお
ことば
を
皇太子明仁親王殿下
から賜った。 お
ことば
本日、第百十二回
国会
の
開会式
に当たり、この席に親しく臨めないことを、誠に残念に
思い
ます。
国会
が、永年にわたり、
国民生活
の
安定向上
、
世界
の平和と
繁栄
のため、たゆみない
努力
を続けていることは、深く多とするところであります。
国会
が、当面する
内外
の
課題
に対処し、国権の
最高機関
として、その
使命
を遺憾なく果たし、
国民
の信託にこたえることを切に望みます。 〔
一同敬礼
〕
衆議院議長
は、お
ことば書
をお受けした。 午前十一時五分
皇太子明仁親王殿下
は、
参議院議長
の前行で
式場
を出られた。 次いで、
一同
は
式場
を出た。 午前十一時六分式を終わる ─────・─────
昭和
六十三年一月二十五日(月曜日) 午後三時二分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第二号
昭和
六十三年一月二十五日 午後三時
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、新
議員
の紹介 一、
議員辞職
の件 以下
議事日程
のとおり ─────・─────
藤田正明
1
○
議長
(
藤田正明
君) これより
会議
を開きます。 この際、新たに
議席
に着かれました
議員
を御紹介いたします。
議席
第五十六番、選挙区
選出議員
、大阪府
選出
、
坪井一宇
君。 〔
坪井一宇
君起立、
拍手
〕
藤田正明
2
○
議長
(
藤田正明
君)
議長
は、本
院規則
第三十条により、
坪井一宇
君を
地方行政委員
に指名いたします。 ─────・─────
藤田正明
3
○
議長
(
藤田正明
君) この際、お諮りいたします。 去る十九日、
田代富士男
君から
議員辞職願
が提出されました。
辞表
を
参事
に朗読させます。 〔
参事朗読
〕
昭和
六三年一月一八日
参議院議員
田代富士男
参議院議長
藤田
正明
殿 辞 表 私は、
参議院議員
を辞職いたしたく存じますので、
参議院規則
第一九〇条に基づき
辞表
を提出いたします。
藤田正明
4
○
議長
(
藤田正明
君)
田代富士男
君の
議員辞職
を許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田正明
5
○
議長
(
藤田正明
君) 御
異議
ないと認めます。 よって、許可することに決しました。 ─────・─────
藤田正明
6
○
議長
(
藤田正明
君)
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
内閣総理大臣
から
施政方針
に関し、
外務大臣
から
外交
に関し、
大蔵大臣
から
財政
に関し、
中尾国務大臣
から
経済
に関し、それぞれ
発言
を求められております。これより順次
発言
を許します。
竹下内閣総理大臣
。 〔
国務大臣竹下登
君登壇、
拍手
〕
竹下登
7
○
国務大臣
(
竹下登
君) 第百十二回国会の再開に当たり、
内外
の重要な
政策課題
について、
政府
の施政の
方針
を申し述べ、
国民
の皆様の御理解と御
協力
を得たいと存じます。 私は、このたび、米国及び
カナダ
を訪問して
両国首脳
と会談し、胸襟を開いた話し合いを行ってまいりました。また、昨年末、マニラにおいて開催された
ASEAN諸国首脳会談
に出席いたしました。これらの会談を通じ、
国際社会
における
我が国
への期待とその役割の大きさをこの肌で強く実感するとともに、
内閣総理大臣就任
後初の
所信表明演説
で申し上げたとおり、「
世界
に貢献する
日本
」との姿勢を確立し、
日本
の豊かさと活力を
世界
に生かしていかなければならないとの思いをさらに深くいたした次第であります。 今、
世界
は大きな変動のただ中にあります。長らく米国の
圧倒的経済力
によって支えられてきた
国際経済
の枠組みは変貌を遂げつつあり、今や
日本
及び西欧が米国と力を合わせて
世界経済
を支えていく時代となっております。また、
戦略核兵器
、
通常兵器
の削減、
地域紛争
の解決など、平和、軍縮への道程はなおはるかでありますが、昨年末、米ソの
INF全廃合意
が実現し、核軍縮に向けて第一歩がしるされるなど、
国際政治面
でも注目すべき動きが見られております。このような
世界的動向
の中で、
我が国
の責任は、かつてなく重いものになってきていると言えましょう。
我が国
としては、第二の
経済大国
として、
世界
の繁栄に資するような
経済秩序
の構築、
世界
の平和の
推進
のため、
最大限
の貢献をしていくことが必要であります。 一方、国内では、物の豊かさだけでなく心の豊かさを重視し、これまでの
経済発展
の成果を真の豊かさへと結びつけていかなければなりません。私が「
ふるさと創生
」を唱えてまいりましたのも、このような考えに基づくものであります。 私は、このような
内外
の
課題
に取り組むことは、言いかえれば「調和と活力」を目指すことではないかと考えます。
日本
と
世界
の調和を図り、国内におけるさまざまな不均衡や不公平の是正に努め、活力に満ちた社会を築くこと、これこそ今
政治
に強く求められている
課題
であります。その際、私は、当面直ちに対応すべき
政策課題
、また、
各界各層
の英知を集め
長期的観点
に立って検討していくべき
課題
を整理しつつ、これらの問題に対処し、
国民
の皆様の負託にこたえていく決意であります。 明治二十三年の
議会制度発足
以来、あとわずかで百年に達しようとしております。この間、
我が国
の
民主主義
は、多くの先人や
国民
の御
努力
により、幾多の困難を乗り越えて今日の発展を見るに至りました。当面の最大の
課題
である
衆議院議員
の定数是正問題につきましては、
衆議院
本会議の決議に沿って各党間で
十分論議
を尽くしていただき、その論議を踏まえながら
政府
としても
最大限
の
努力
をしてまいります。 また、私は、
政治倫理
の確立を図ることは、
政治
に対する
国民
の信頼を得るための大前提であると心得、清潔な
政治
と規律ある
行政
の確立に努めてまいります。 以上の
考え方
に基づき、国政の各分野について、基本的な
方針
を申し述べます。 今日の
国際環境
は、
東西関係
の一層の
安定化
、
地域紛争
の解決、さらには、
世界経済
の
持続的成長
、
開発途上国
の安定と発展など多くの
課題
を抱え、なお、厳しく流動的であります。このような環境の中で、
我が国
は、
国際秩序
の主要な
担い手
として、
世界
的な視野に立ち、より大きな責任と役割を積極的に果たしていくことが重要であります。特に、
平和国家
としての立場を堅持する
我が国
としては、
政治
、
経済
、
文化等
の面でより大きく寄与しなければなりません。 今般の訪米に当たって
レーガン大統領
を初め
各界指導者
と会談した際も、私は、
我が国
が
世界的視野
においてみずからにふさわしい形で責任と役割を果たしつつあることを率直に申し述べてまいりました。私と
大統領
は、
日米両国
が力を合わせ、
世界
の平和と繁栄のため
努力
していくとともに、二国間に生ずる問題については、
共同作業
に
上り解決
を図るとの
基本姿勢
を相互に確認をいたしました。これらを通じ、
我が国外交
の基軸である
日米関係
のさらなる発展の基礎を築き得たと考えております。 また、
東西関係
が全体として一層安定的なものとなるよう、
INF条約
に続き、
戦略核兵器
の大幅かつ均衡のとれた削減、
地域紛争等
の諸懸案の解決に向け、米ソ間の
建設的対話
がさらに進展することを期待するとともに、このための米国の
外交努力
を強く支援してまいります。本年五月から開催される第三回
国連軍縮特別総会
などの場においても、実効的な
軍縮努力
が一層増進されるよう訴えていく所存であります。さらに、イラン・
イラク紛争
、ペルシャ湾の
安全航行
の問題及び中東和平問題、あるいは
カンボジア問題等
の
早期解決
に向けた
努力
を強化していくとともに、
国連安全保障理事会
の非
常任理事国
として、国連を通ずる
協力
などを積極的に進めてまいります。特に、
国連等
の
平和維持活動
に対する非
軍事的貢献
を一層強化拡充するため鋭意
努力
していく考えであります。
国際テロ
は、
民主社会
に対する挑戦であり断じて許すべからざるものであります。昨年十一月発生した
大韓航空機事件
は、まことに遺憾であり、
政府
としては、
テロ防止
のための
国際協力
を積極的に
推進
してまいります。
我が国
がさまざまな分野で
国際社会
に貢献していくに際し、まず、みずからの平和と安全を確保する
努力
が肝要であります。
政府
としては、
日米安全保障体制
を堅持しつつ、その円滑にして効果的な運用を確保するよう
努力
するとともに、
平和憲法
のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような
軍事大国
とならず、非核三原則と
文民統制
を堅持し、節度ある
防衛力
の整備を進めてまいります。また、
日米両国
を取り巻く最近の
経済情勢
の一層の変化により、
在日米軍経費
が著しく圧迫されている事態にかんがみ、今後
在日米軍従業員
の雇用の安定を図るためにも
日本側負担
の一層の増大を図っていく所存であり、このため、
在日米軍労務費特別協定
の改正について、今国会において御
審議
をお願いする考えであります。
経済面
での
協力
に関しては、
世界
の
経済秩序
に大きな責任を有する
我が国
に対し、積極的な貢献を求める声が国際的に高まっております。
自由貿易体制
を維持しつつ、開かれた
日本市場
を形成し、これを
世界
に提供していくことは、
我が国
が
世界
に貢献するために極めて重要なことであり、また、
貿易立国
である
我が国
の発展の道であります。このため、
政府
としては、
経済構造調整
を積極的に進め、その成果を上げつつありますが、さらに、
ガット
・
ウルグアイラウンド
の
積極的推進
に努めるとともに、
我が国
における
内需主導型経済成長
の定着、輸入の拡大、
市場アクセス
の改善、規制の
緩和等
を積極的に進め、対外不均衡の是正に全力を傾け、
我が国経済
を
世界経済
と一層調和のとれたものとするよう施策を講じていく考えであります。 なお、
農産物貿易
については、
我が国農業
の健全な発展との調和を図りつつ、
ガット
・
ウルグアイラウンド
における交渉との関連を十分考慮し、適切に対処してまいります。 また、
政府
としては、今後とも、
経済協力
に重点的に配慮し、第三次
中期目標
について極力その
早期達成
を図るなど
政府開発援助
を拡充するとともに、
開発途上国
への
資金還流措置
の円滑な実施に努めてまいります。
我が国
の果たすべき役割は、これら
政治
や
経済面
だけには限りません。
科学技術
、教育、文化、スポーツなどあらゆる分野での
国際交流
を促進するとともに、
地球環境
の保全に
努力
してまいります。また、地球が
人類共通
の
ふるさと
であるとの思いを込め、
日本
人一人一人の
日常生活
に根差した、地に足のついた
国際化
を進めるため、
草の根外交
を活発化することが必要であります。このため、海外からの留学生や
若手研究者
の
受け入れ体制
の充実を図るとともに、
外国青年招致事業
の拡大、
世界青年
の船の事業の実施などを行うことといたしております。 私は、このような考えのもと、
我が国
が西側の一員であり、また同時に
アジア
・
太平洋地域
の一国であるとの
基本的立場
を踏まえた外交を展開していく所存であります。 本年六月には、トロント・
サミット
が開催される予定となっておりますが、私は、同
サミット
において、米国を初めとする
西側先進諸国
が結束をさらに強化するとともに、
世界経済
の調和ある発展のため
政策協調
を一層進めるよう最善を尽くしてまいります。このたびの
カナダ訪問
においても、
マルルーニー首相
との会談でこの目的に向けての
協力
を確認するとともに、
日加関係
の一層の
推進
につき合意したところであります。
西欧諸国
は、
北米諸国
や
我が国
とともに
世界
の平和と繁栄に対する大きな責任を担っており、これら諸国との協調は
我が国外交
の重要な柱であります。私は、
西欧諸国
の対
日関心
が高まっている今こそ、
政治
、
経済
、文化などのあらゆる面において
日欧協力関係
に一層の厚みと幅を加えるよう努めてまいります。
我が国
が
世界的視点
から
国際的貢献
を行っていくに当たり、
アジア
・
太平洋地域
の
重要性
はますます増大しております。私は、
内閣総理大臣就任
後初の
外国訪問
としてフィリピンを訪れ、
ASEAN首脳
との会議に出席し、二十億ドルを下回らない額の
ASEAN日本開発ファンド
の供与を表明し、対
ASEAN協力
への
積極的姿勢
を示したところであります。 また、
我が国
は、
日韓友好協力関係
を一層発展させるとともに、朝鮮半島をめぐる
緊張緩和
のための
環境づくり
に向けてできる限りの
協力
を行ってまいります。そのため、本年二月に就任される
盧泰愚次期韓国大統領
とも緊密に
協力
してまいります。また、秋のソウル・
オリンピック
が米国、中国、ソ連を初めとする
世界
の多数の国々の参加を得て開催される見通しであることはまことに喜ばしい限りであり、
我が国
としても
オリンピック
の成功のため
協力
を惜しまない所存であります。 中国との間で良好かつ長期安定的な関係を維持発展させることは、
我が国外交
の主要な柱の一つであり、
政府
は、引き続き
日中共同声明
など両国間の諸原則を踏まえ、
友好関係
の一層の強化を図ってまいります。特に、本年は
日中平和友好条約締結
十周年を迎える年であり、
両国首脳
間の対話を実現し、
相互理解
、
相互信頼
の増進を図る所存であります。 また、豪州、ニュージーランドを初めとする大洋州諸国との
友好協力関係
をさらに強化してまいります。 ソ連との間では、北方領土問題を解決して
平和条約
を締結することにより、真の
相互理解
に基づく安定的な関係を確立することが一貫した
基本方針
であり、
政府
は、引き続き、この
方針
にのっとって、
日ソ関係
を打開し、
善隣友好関係
を確立するため
努力
する所存であります。
我が国経済
は、
国内需要
が堅調に推移し、
企業収益
は
増益傾向
にあり、
雇用情勢
も改善するなど、
拡大局面
にあります。一方、
世界経済
は、ここのところ緩やかながらも息の長い
景気拡大
が続いておりますが、米国の
財政赤字
、
日本
を含む
主要国
の対外不均衡、
開発途上国
の
累積債務
などの問題が数多く残されております。このような状況の中で、米国において
財政赤字削減等
の
努力
が続けられていることを評価するとともに、
我が国
としても引き続き
主要国
間の協調的な
経済政策
の
推進
を図ってまいります。また、物価の安定を基礎としつつ内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、持続的な
安定成長
を達成するため、引き続き適切かつ機動的な
経済運営
に努めることといたしております。 このため、
昭和
六十三年度予算においては、
一般公共事業費
について、
昭和
六十二年度当初予算に対し二〇%増という極めて高い水準を確保し、
内外
からの
内需拡大
の要請にこたえました。
為替相場
の安定については、昨年末のいわゆる
G7声明
に基づいて
主要国
間の
為替市場
における
協力
が実施されておりますが、さきの訪米に際して、私と
レーガン大統領
は、これ以上のドルの下落は
世界経済
の成長にとり逆効果であるという認識を改めて
共同発表
において明らかにしたところであります。
政府
としては、今後とも
政策協調
と
為替市場
における
協力
を通じ、
為替相場
の安定を図ってまいります。 また、
我が国
の
経済成長
の成果を
国民生活
の向上に結びつけていくとの観点から、
円高差益
の還元もさらに進めてまいります。
円高等内外
の
経済情勢
の著しい変化の中で、一部の業種や
地域
においては、依然として景況は厳しく、
雇用情勢
も深刻であります。
政府
としては、
産業構造
の転換が円滑に進むよう引き続き諸施策を講じていくとともに、厳しい
環境変化
に直面している
中小企業
がこれに積極的に対応し、健全な発展を遂げられるよう、新
分野開拓
の
推進
を初め、
構造転換対策等
を強力に進めてまいります。
産業構造
の転換や
労働力
の
高齢化等
の進展の中で、雇用問題に適切に対処するため「産業・
地域
・
高齢者雇用プロジェクト
」などの対策を強力に
推進
し、また、労働時間の短縮、
労働者
の
健康づくり
なども進めてまいります。 農業については、
内外
の厳しい情勢に対応して足腰の強い、産業として自立し得る農業を確立するとともに、与えられた
国土条件
などの制約のもとで
最大限
の
生産性
の向上を図り、
国民
の皆様の納得を得られる
価格水準
で食糧の
安定供給
が行われるよう、
農政審議会報告
を踏まえて、すぐれた
担い手
の確保、
生産基盤
の整備、
農業技術
の向上など各般にわたる施策の
充実強化
に努めるほか、
農村地域
の
活性化
にも意を用いてまいります。 また、エネルギーの
安定供給
の確保を図るための施策についても、着実に
推進
してまいります。
国民生活
の
質的充実
、
地域社会
の
活性化
、
国際社会
への貢献、
経済摩擦
の解消などの
課題
に取り組み、二十一世紀に向けて
我が国経済
の一層の発展を期していくためには、
内外経済
の展望の上に立って
経済運営
の中長期的な
方針
を明らかにし、
国民
や企業に自信と活力を与えていくことが必要であります。こうした観点から、私は、昨年十一月、
経済構造
の調整を一層強力に
推進
し、
内需主導
型の
経済成長
への転換、定着を図ることを基本とした新しい
経済計画
の策定について
経済審議会
に諮問したところであります。今後、同
審議会
での
審議
を踏まえ、
経済運営
の中長期的なあり方を早急に明らかにしてまいりたいと考えます。 財政については、次の世代に過剰な負担を残さないよう、一日も早くその
対応力
を回復していく必要があります。このため、
昭和
六十三年度
予算編成
に当たっては、
歳出面
において特に
経常経費
を厳しく抑制し、
特例公債
の
発行額
は前年度当初
予定額
に比べ一兆八千三百億円減額し、
公債依存度
を一五・六%に引き下げることができました。このように、
昭和
六十三年度予算では、
財政改革
を着実に前進させるとともに、これまでの
行財政改革
の成果であるNTT株売り払い収入の活用などにより
内外
の
内需拡大
の要請にこたえることができたと考えております。 しかし、
昭和
六十三年度末の
公債発行残高
は百五十九兆円にも達する見込みであり、
財政事情
は依然として厳しいものとなっております。このため、気持ちを緩めることなく、今後とも
財政改革
を強力に
推進
してまいります。 また、
地方財政
についても、所要の措置を講じ、その円滑な運営を期することとしております。
行政改革
は、
行政
を取り巻く
内外
の環境の変化に的確に対応し、二十一世紀を展望した活力ある
経済社会
を構築していくため、避けて通ることのできない
課題
であります。このため、
行政改革
を引き続き強力に
推進
することとし、昨年末に、
行政組織
の
簡素合理化
、
国家公務員
の
定員縮減
など
昭和
六十三年度に実施する事項を中心とした改革の
方針
を取りまとめたところであります。
政府
としては、この
方針
の着実な
具体化
を図ってまいります。さらに、
行政機関等
において
国民
の皆様と接触する職員の一人一人に
行政サービス
の向上に対する意識を徹底し、仕事のやり方を総点検し、
国民
の立場に立った親切な
行政
、真心のこもった
行政
を実現するため、「
さわやか行政サービス運動
」を展開していくこととしております。 また、
地方公共団体
の
自主性
、
自立性
の強化を図るとともに、
地方公共団体
における自主的、総合的な
行政改革
の
推進
を図ってまいります。 今後の
高齢化社会
の到来、
経済社会
の一層の
国際化
を考えるとき、抜本的な
税制改革
の実現は、
我が国
にとって最
重要課題
の一つであり、
国民
の税に対する
不公平感
を払拭し、所得、消費、
資産等
の間で均衡がとれた安定的な
税体系
を早期に構築することが必要であります。 このような認識のもと、現在、
税制調査会
において税制の
抜本的改革
の全体像について精力的な御
審議
をお願いしているところであり、私は、このような場を通じ、
国民各界各層
の御意見を十分に伺いながら、
抜本的税制改革
について
国民
の納得が得られるような成案を取りまとめるとともに、その実現に向かって渾身の
努力
を傾けてまいる所存であります。 豊かな自然や住みよい
都市環境
、
地域
における人と人との心の通い合い、住民の
自発性
に基づく
町づくり
、
村づくり
、
地域づくり
のための活動、そして家族の団らん、これらは私が目指す
政治
の一つの原点とも言うべきものであります。その意味で、各地方の
活性化
を促進するためには、
ふるさと
を育て、守っていく
国民
一人一人の活動にまつところが大きいと考えます。一方、
政府
としてもこれらの活動がよりよく発揮されていくよう、
都市環境
の整備、良質な住宅の供給や
地域づくり
への支援、
自然環境
の保全など均衡ある
国土づくり
のための諸施策を積極的に講じてまいります。また、
昭和
六十五年に開催される予定の
国際花
と緑の
博覧会
について、諸般の準備を進めてまいります。 昨今の
大都市等
における
地価高騰
の抑制については、
臨時行政改革推進審議会
の
答申等
を踏まえ、
緊急土地対策要綱
を定めたところであり、現在、
土地取引
の
適正化
、住宅・
宅地開発
の促進など、この対策の着実な
推進
に努めているところであります。さらに、
昭和
六十三年度
税制改正
において、
居住用資産
の買いかえ特例の
原則廃止
を初めとする
土地譲渡益課税
の
見直し等
を行うことにより、
地価高騰
の波及を防止し、また、
土地供給
の促進を図るなど
地価対策
に資することといたしております。幸い、東京の
都心部等
では
地価上昇
の
鎮静化傾向
が見られるところでありますが、さらに、
臨時行政改革推進審議会
において、
土地問題等
に関し基本的かつ広範な検討を行っていただいているところであります。また、国会においても
特別委員会
が設けられ精力的な御
審議
がなされ、
決議等
も出されております。
政府
としましては、これら各方面での論議を踏まえ、
国民
的なコンセンサスの形成に努めることにより、引き続き、適正かつ合理的な
土地利用
の実現、適正な地価の形成に
努力
してまいります。
地価上昇
の原因の一つは、東京への人口や諸機能の
一極集中
であります。
政府
としては、第四次
全国総合開発計画
の着実な
推進等
を通じ、都市・
産業機能
の地方への分散により、東京への過剰な依存からの脱却を図るよう努めてまいります。 また、この一環として、
政府機関等
の
地方移転
を
推進
していくこととしており、そのため、今般、
移転方針
について決定を行ったところであります。これに基づき、現在、いわゆる一省庁一
機関移転
の実現に取り組んでいるところであります。 第四次
全国総合開発計画
は、
地域
の創意と工夫を基軸とした
地域づくり
を基本とし、そのための基盤となる交通、情報・
通信体系
の整備と
交流促進
のための
ソフト面
の施策の拡充を内容とする
交流ネットワーク構想
の
推進
により、多
極分散
型の国土の形成を図ることとしており、私が目指そうとする「
ふるさと創生
」と
国土づくり
の
考え方
の基本を同じくするものであります。本年は、この
四全総推進
の一年目に当たり、国はもとより
地方公共団体
や
民間団体
など多様な主体の参加、
協力
を得ながら、
四全総
で示された諸施策を総合的かつ強力に
推進
することとし、その一環として、
関連法案
の準備も進めているところであります。 また、北海道の
総合開発
及び沖縄の
振興開発
のための諸施策を引き続き積極的に
推進
してまいります。 さらに、広く
国民
に不安を与えるテロ・ゲリラ事件について、
国民
の皆様方の御
協力
を得てその防圧に努めるなど法秩序の維持、犯罪の防圧、検挙に努めるとともに、事故や災害に強い
国土づくり
を進め、人を信じ、まじめに働いている者が報われる社会、
国民
が安心して生活することができるような社会づくりに努めてまいります。
日本
は、
世界
で一、二を争う長寿国となり、まさに人生八十年時代を迎えております。本格的な長寿社会の到来を控え、公平で安定した社会保障制度の確立を図るため、
国民
健康保険制度の安定強化のための見直しを行うとともに、医療保険、公的年金について、制度の一元化に向け一層の
努力
を傾注いたします。また、より豊かな老後の生活のため、企業年金の育成、普及を図ってまいります。
国民
一人一人が健やかに生きがいを持って安心して暮らすことができるよう、
健康づくり
対策を
推進
するとともに、老人保健事業の充実、在宅保健福祉サービスの拡充や特別養護老人ホームなどの整備などを進めてまいります。また、がん対策、エイズ対策を初め難病の克服に万全の
努力
を傾注していくほか、精神保健対策、精神障害者の社会復帰の促進など心の
健康づくり
を進めてまいります。 障害者、母子家庭等社会的に弱い立場にある方々へのきめ細やかな配慮を行うとともに、婦人が十分に能力を発揮し、男性と平等な立場で社会の発展に貢献できるよう諸施策を総合的かつ積極的に講じてまいります。 教育改革の
推進
は、二十一世紀に向けて
我が国
が創造的で活力ある文化国家として発展し、
世界
に貢献していく基盤を築くために、全力で取り組んでいかなければならない国政の
重要課題
であります。 私は、今の教育に最も強く求められているのは、
日本
人としての自覚に立って
国際社会
の中でたくましく活動できる個性的で心豊かな青少年を育成することであると考えます。そのため、臨時教育
審議会
の諸提言を受け、子供たち一人一人の個性を生かした創造的で多様な教育の実現を目指し、引き続き、道徳教育の充実、教員の資質の向上、大学入試制度の改革などを着実に実行に移していくこととしており、そのための法案の提出を含め諸般の施策を進めてまいります。 青少年の健全な育成を図ることは、国の重要な責務であります。このため、学校のみならず、家庭や
地域社会
における教育を充実させるとともに、青少年が野外で自然に親しむ機会の拡大、青少年による郷土理解や奉仕活動など
地域
における活動の促進に努めてまいります。生涯学習の振興と学術、文化の発展のための施策も充実させてまいります。 また、健康で充実した生活に対する
国民
の関心が高まっているところであり、
政府
としても、各
地域
で人々が生涯にわたりスポーツを続けることができるよう、施策を進めてまいります。特に、本年は
オリンピック
の年であり、国際的な競技会において
我が国
選手が活躍できるよう、計画的に競技力向上のための施策の充実に努めてまいります。 昨年、利根川進博士がノーベル医学・生理学賞を受賞されたことは、
日本
人全体にとって大変喜ばしいことでありました。
政府
としても学術研究の一層の
推進
に努めてまいります。また、超電導など新たな技術開発の地平線が開かれつつある中で、未来を開くかぎとなるような基礎的、創造的な
科学技術
の研究開発、さらには、この面での
国際協力
を積極的に
推進
してまいります。 以上、内政外交の重要政策について所信を申し述べました。 激しく変化する時代の流れの中で、私は、今日の繁栄を築かれた先人のひたむきな御
努力
に感謝し、賢明で勤勉な
国民
の皆様に心から敬意を表したいと存じます。そして、常に初心を忘れることなく、物心両面で調和のとれた
日本
、真の豊かさを実感できる開かれた社会の建設を目指して、さらに力強く前進してまいりたいと考えております。
我が国
が平和に徹し、
世界
に貢献する姿勢を打ち出していくに当たっては、時には痛みを伴うことも避けられないと思います。その意味で、内政と外交はまさに一体であります。解決すべき数多くの
課題
に対しては、
国民
の合意を求めながら、信念と責任を持って、誠実に忍耐強く取り組んでいきたいと念願しております。 私は、
国民
すべての幸せと繁栄を心から祈りつつ、「調和と活力」の
政治
を目指し、これからも全身全霊を傾けて邁進する決意であります。
国民
の皆様の御理解と御
協力
を重ねてお願いする次第であります。(拍手) ─────────────
藤田正明
8
○
議長
(
藤田正明
君) 宇野
外務大臣
。 〔
国務大臣
宇野宗佑君登壇、
拍手
〕
宇野宗佑
9
○
国務大臣
(宇野宗佑君) 第百十二回
国会
が再開されるに当たり、
我が国外交
の
基本方針
につき所信を申し述べます。 現下の国際
情勢
は、さきの
米ソ
首脳
会談
、特に中距離核戦力全廃条約の署名に見られるように、東西間において歓迎すべき動きがありますが、
世界
各地ではなお紛争や混乱が続いており、全体として依然不安定な状況にあります。
世界経済
を見ましても、先進
諸国
が緩やかながら
成長
を持続させていることは明るい要因でありますが、為替・株式市場の不安定、経常収支の大幅不
均衡
、保護主義圧力の増大、
累積債務
問題などの深刻な問題を抱えており、その先行きは楽観を許しません。 このような流動する
国際社会
の中にあって、
我が国
は今や
世界
の動向に大きなかかわりを持つ重要なメンバーとなるに至っております。資源に乏しく、
世界
全体の三百六十分の一ほどの狭小な領土と、
世界
の約四十分の一の人口しかない
我が国
が、
世界
の一割を優に超えるGNPを有し、一人当たり
国民
所得では
世界
最高の
水準
に達しているのであります。資源小国の
我が国
においては、一塊の資源をもむだにせず、一滴の石油をもおろそかにせず、ひたすら技術革新と経営改善に当たって今日に至ったのであります。このような
国民
のたゆまざる
努力
は、これを多としなければなりません。無論、この間、食糧を初め、資源を
供給
してくれた国があり、さらに安全保障、自由貿易といった面で
我が国
が
国際環境
に恵まれてきた事実も忘れるわけにはまいりません。 したがって、
国際社会
の平和と
繁栄
のための
役割
をみずから率先して果たすことは、国際的に大きな地位を占めるに至った
我が国
の
責任
であり、みずからの平和と
繁栄
を
確保
する唯一の道なのであります。 私は、このような確信に基づき、
外交
に課せられた
使命
の重大さに身を引き締めつつ、「
世界
に開かれ、
世界
に
貢献
する
日本
」を目指し、積極果敢な
外交
を展開していく決意であります。 現在の
世界
の平和が、力の
均衡
と抑止により維持されているという冷厳な現実は、今さら指摘するまでもありません。
西側
先進
民主主義
諸国
としては、平和を
確保
するための抑止力を維持しつつ、
ソ連
を初めとする東側
諸国
との
対話
と交渉を進め、
東西関係
を
相互信頼
に基づく、より安定した軌道に乗せるよう
努力
しなければなりません。私は、さきの
米ソ
首脳
会談
において、
我が国
がかねて主張してきた
地球
的規模での中距離核戦力の全廃が合意されたことを、一九八三年のウィリアムズバーグ・
サミット
で確認された
西側
の結束のたまものとして高く評価するとともに、核
軍縮
の第一歩として心より歓迎いたします。 しかし、
戦略核兵器
を初めとする他の軍備管理・
軍縮
問題に加え、アフガニスタン等の
地域紛争
、人権問題などの
解決
もまた肝要であります。これらの
分野
においても、実質的な進展がもたらされ、
東西関係
の全体としての
安定化
が図られるよう、私は期待します。したがって、
我が国
はそのためにも
西側
の一員として、引き続き
米国
の
努力
を支援しなければなりません。また、
我が国
自身、実効的な
軍縮努力
が国際的に一層増進され、軍備のレベルが
均衡
のとれた形で一歩一歩引き下げられるよう、本年五月末より開催される第三回国運
軍縮
特別総会などの場においても強くそのことを訴えてまいりたいと
思い
ます。 日米安保体制を
基盤
とする
米国
との
友好関係
は、
我が国外交
の
基軸
であります。
政府
といたしましては、日米安保体制を堅持し、その一層の円滑かつ効果的な運用の
確保
のため、引き続き
努力
してまいる
所存
であります。また、
日米両国
を取り巻く最近の
経済情勢
の一層の
変化
により、
在日米軍経費
が著しく圧迫されている事態にかんがみ、
在日米軍従業員
の安定的な
雇用
の維持を図り、もって在日米軍の効果的な
活動
を
確保
するとの
観点
から、
日本側負担
の増大を図っていく
所存
であります。このため、
在日米軍労務費特別協定
の
改正
について今
国会
において御
審議
をお願いいたしたいと
考え
ております。 今般、竹下総理は
米国
を訪問し、
レーガン大統領
と実り多い
会談
を行いました。両首脳は、今や
世界
にとって決定的な
重要性
を有する
日米関係
を不動のものとし、
両国
が力を合わせて
世界
の平和と
繁栄
のため一層
協力
していくことについて意見の一致を見ました。さらに、日米間の二国間の案件については、
共同作業
を通じ、現実に
一つ
一つ
これを
解決
していくことが両首脳の間で確認されました。 このように、今次首脳
会談
を通じ、今後の
日米関係
の
運営
についての基調が設定されたことは極めて有意義なことであります。なお、私自身もその際、シュルツ国務長官及びカールッチ国防長官とそれぞれ
会談
し、主要な国際
情勢
、二国間の案件及び安保体制の一層の円滑な運用について忌憚のない意見交換を行いました。 また、
米国
に続く
カナダ訪問
において、日加
両国
の首脳が、来るトロント・
サミット
の成功に向けての
協力
を打ち出すとともに、日加
両国
間の
協力
関係
の一層の前進のため、広範な
分野
で
協力
と交流を進めていくことで意見の一致を見たことは有意義であったと
思い
ます。 さらに、
西欧諸国
は、今日の国際
政治
経済秩序
を支えていく上で、
北米諸国
とともに枢要な
役割
を果たしておりますが、これら
諸国
との間で緊密な連帯と
協調
を図っていくことは、
我が国
自身の
繁栄
と安定を
確保
するためにも極めて重要であります。私は、先般来日されましたハウ英国外相と、日英のダイナミックなパートナーシップの幕あけに向けた
会談
を行い、ドクレルクEC委員とも率直な意見交換を行いました。今後とも、
西欧
各国とこのような
対話
を積極的に
推進
し、
政治
、
文化
を含む幅広い
分野
で日欧
関係
の一層の
強化
を図ってまいります。
ソ連
との
関係
につきましては、
東西関係
全般がさらに建設的方向に進むことにより、
日ソ関係
にもそれが好ましい影響となってあらわれることを期待しますが、現在の
関係
は、北方領土問題が未
解決
であることに加え、極東における
ソ連
の軍事力の増強もあり、依然として厳しい状況にあります。
我が国
といたしましては、日ソ双方の
努力
により
関係
改善を行っていくことを希望します。しかし、そのためには、日ソ外相間定期協議の
早期
開催を含め、
両国
間の
政治
対話
を一層
強化
拡大
し、
相互理解
の増進を図っていくことが重要であります。北方領土問題を
解決
して
平和条約
を締結することにより、
ソ連
との間に真の
相互理解
に基づく安定的な
関係
を
確立
することが
我が国
の不動の
方針
であり、今後とも、北方四島一括返還の
実現
に向けて、粘り強く
努力
を傾けてまいります。 東欧
諸国
につきましては、
東西関係
において、これら
諸国
との
対話
がより重要になってきている事実を踏まえ、各国の国情と政策を十分勘案の上、
政治
対話
及び
経済
、
文化
面での交流を一層
促進
していく
考え
であります。 翻って、
アジア
・
太平洋地域
の一国たる
我が国
といたしましては、これら域内
諸国
との
友好協力関係
の増進を
外交
の重要な柱とし、各国の歴史や
文化
面での独自性を尊重しつつ、同
地域
の平和と
発展
のため今後とも積極的に
貢献
する
所存
であります。 私は、先月竹下総理に同行してマニラを訪れ、
日本
・
ASEAN首脳
会議
に出席いたしました。総理は、
我が国
が
軍事大国
への道を歩まず、
世界
の平和と
繁栄
のために
貢献
していくとの
立場
を改めて主張されましたが、このような
姿勢
と理念は同
会議
で
我が国
が表明いたしましたASEANに対する積極的
施策
と相まって、
内外
に高く評価されました。したがって、
我が国
は、今次
会議
において深められた首脳レベルでの
信頼
関係
を
基礎
に、ASEAN
諸国
との
友好協力関係
を一層緊密なものとするよう努める
所存
であります。また、この機会に行われましたフィリピン公式訪問において、竹下総理よりアキノ
大統領
に対し、
民主主義
に基づく国づくりの
努力
に
我が国
としてできる限りの支援を行っていくとの
方針
を改めて表明いたしました。 カンボジア問題に関しましては、その
早期解決
を図るため、
我が国
といたしましても積極的に
貢献
すべく、ベトナム軍の撤退とカンボジア人の民族自決の
実現
を柱とする
政治
解決
に向けた、シアヌーク殿下の真摯な
努力
を支援してまいる
所存
であります。 韓国では、先月の
大統領
選挙において民主正義党の盧泰愚総裁が当選され、二月には政権移譲が行われる
予定
であります。私は、韓国
国民
の建設的
努力
により、憲法
改正
を初めとする諸
改革
が順調に
実施
され、韓国が
民主主義
の道を一層力強く歩んでいることに、改めて敬意を表したいと
思い
ます。
我が国
といたしましては、今後も
日韓友好協力関係
を、より安定的な
国民
的
基盤
の上に立って
発展
させていくことが一層重要であると
考え
ます。本年九月ソウルで開催されます
オリンピック
には、既に
米国
、
中国
、
ソ連
を含め大多数の国が
参加
表明を行っており、私は、このことを心から歓迎するものであります。
我が国
といたしましては、今後とも、ソウル・
オリンピック
の成功と朝鮮半島における
緊張緩和
のために、できる限りの
協力
を行っていく
所存
であります。
中国
との
友好協力関係
の維持
発展
は、
アジア
ひいては
世界
の平和と
繁栄
にとっても重要であります。
中国
では現在、「
改革
と開放」の
方針
の
もと
、
経済
体制と
政治
体制の
改革
が大胆に
推進
されております。
我が国
といたしましても、かかる
中国
の近代化の
努力
を高く評価し、できる限り支援するとともに、今後とも
日中共同声明
、日中平和友好条約及び日中
関係
四
原則
を踏まえ、
両国
関係
の一層の
発展
のために尽力する
所存
であります。特に、本年は、
日中平和友好条約締結
十周年に当たっており、
両国首脳
間の
対話
実現
を含め、
両国
間の
相互理解
と
相互信頼
の増進のため積極的に
努力
してまいります。 インド、パキスタン等の南西
アジア
諸国
との間では、近年要人往来も活発であり、
我が国
との
関係
は急速に緊密化しております。この
地域
では、南
アジア
地域
協力
連合が軌道に乗り、
地域
協力
が進展しております。
我が国
といたしましては、引き続き同
地域
の安定と
経済発展
のために
協力
していく
所存
であります。 大洋州
諸国
との
関係
につきましては、豪州及びニュージーランドとの間の
友好協力関係
を一層
拡大
強化
してまいります。また、近年その
重要性
を増している太平洋島嶼国との間でも、その平和と
発展
のために
経済協力
を一層
推進
し、
関係
を
強化
していく
考え
であります。
アジア
・
太平洋地域
の
調和
のとれた
発展
を目指す太平洋
協力
につきましては、
政府
といたしましても、これを積極的に支援してまいります。 中東における
情勢
は依然として流動的であります。 イラン・
イラク紛争
及びペルシャ湾の
安全航行
の問題に関しましては、紛争当事国と率直な
政治
対話
を今後とも継続するとともに、同湾の
安全航行
確保
のために昨年十月に決定されました諸
措置
の早急な
実施
に努めてまいります。また、
我が国
が
国連安全保障理事会
の非
常任理事国
であることをも踏まえ、
関係
諸国
及び
国連
事務総長とも協議しつつ、安保理
決議
第五百九十八号に基づく紛争の平和的
解決
へ向けて
努力
を重ねてまいります。現に私は、イラン外相の訪日を求め、親しく
会談
し、一方、イラク外相には特使を派遣して、双方に
国連
決議
の尊重を強く
要請
いたしました。 中東和平の問題に関しましては、イスラエル占領下にある西岸・ガザ地区における最近の騒擾にも照らし、
我が国
といたしましては、国際
会議
開催等和平
実現
のための動きが進展するよう強く希望し、
関係
当事者への働きかけを含め、応分の
努力
と
貢献
を行っていく
所存
であります。 また、アフガニスタンにおいて、
ソ連
の軍事介入が八年余りにわたり続いていることは、極めて遺憾であります。
我が国
といたしましては、
ソ連
軍の全面撤退を含む
政治
解決
の
早期
実現
を呼びかけるとともに、
国連
による調停
努力
を支援してまいります。
累積債務
問題を初めとする
経済
困難に直面している中南米
諸国
に対しましては、
我が国
は、
資金還流措置
、
経済
・技術
協力
の拡充、貿易・投資の
拡大
を行い、
経済
再建と民主化の進展、
定着
のための各国の自助
努力
を支援する
所存
であります。 中米問題につきましては、引き続き域内
諸国
の和平
努力
を支持するとともに、中米
地域
の
経済発展
を支援していく
考え
であります。また、真の中米和平が
実現
した暁には、この
地域
の復興開発のためできる限りの援助を
実施
する
所存
であります。 アフリカ
諸国
は、一部に食糧危機を抱えるなど、依然として厳しい
経済
困難の中にありますが、サハラ以南アフリカ
諸国
等に対する五億ドル程度のノンプロジエクト型無償資金
協力
の
実施
を初め、アフリカ
諸国
の自助
努力
を積極的に支援してまいります。
我が国
は、南アフリカ共和国のアパルトヘイト、すなわち人種隔離政策に断固反対し、各種の対南ア規制
措置
を講じております。今後とも、本問題の平和的
解決
のため、
国際社会
と一致
協力
し、
努力
を重ねていく
所存
であります。また、アパルトヘイトの犠牲者のための人道的援助及び南ア周辺
諸国
に対する
経済協力
も
強化
してまいります。
世界経済
の
持続的成長
、
対外
不
均衡
の
是正
及び
為替市場
の安定のためには、
主要国
が引き続き
経済構造調整
を
推進
しつつ、マクロ
経済政策
の
協調
をより一層
強化
することが不可欠であります。なかんずく、巨額な経常収支の黒字を抱える
我が国
は、
内需拡大
の
積極的推進
、一層の市場開放、途上国への資金還流等の国際的な
貢献
を継続し、
対外
不
均衡
の
是正
に全力を傾けなければなりません。 また、国際貿易面では、
ガット
体制をより
強化
、改善し、その対象となる
分野
も
拡大
する必要が生じてまいりました。このため、ウルグアイ・ラウンド交渉が進められており、
我が国
といたしましても、
自由貿易体制
の維持
強化
という共通の目標に向かって、諸
外国
と
協調
しつつ
努力
していく決意であります。その際、交渉の具体的進展を
内外
に明示していくためにも、可能なものから
早期
合意を図っていくことが必要であります。広範な
分野
にわたる交渉の過程においては、各国とも
国内
経済構造
にかかわる諸問題を見直すこととその
改革
が必要となるでしょう。
我が国
といたしましても、国の
内外
において痛みを分かち合いながら、
世界経済
との
調和
を積極的に図っていく決意であり、また、これがひいては
我が国
の長期的利益にかなうものと確信しております。この意味で、今日ほど内政と
外交
が深いかかわりを持っているときはないと言っても過言ではありません。
経済
困難に悩む
開発途上国
への
協力
は、
我が国
の
国際的貢献
の重要な柱であります。
我が国
は、第三次
中期目標
の
もと
で
政府開発援助
の拡充に努めており、
政府
は六十三年度のODA
予算
として対前年度比六・五%増を計上しております。 また、
累積債務
問題、一次産品市況の低迷等に見られるように、途上国をめぐる
環境
が悪化し、南北格差は
拡大
する傾向にあります。この中で
我が国
は、
開発途上国
のニーズの多様化に弾力的に対応できるよう、国際緊急援助体制の一層の
充実
、途上国の
経済政策
支援のための円借款の供与、前述のノンプロジェクト型無償資金
協力
の
実施
、あるいは内貨融資の
拡大
等を行ってまいりました。今後とも、途上国に対する支援を質量両面から
強化
するとともに、
国連等
の場において建設的な南北
対話
を
促進
するために、積極的に
貢献
してまいる
所存
であります。
世界
各地の難民問題に対しましても、
我が国
は、資金及び食糧援助、並びにインドシナ難民の受け入れなどを通じ、今後とも積極的に
貢献
してまいります。
国連
は平和維持、人権の擁護、人類の福祉
向上
などのため
活動
を行っている唯一の普遍的国際機構であり、今後も、
政治
、
経済
、
社会
等の幅広い
分野
において、
人類共通
の利益にかなった
国際秩序
を築き上げるため、ますます重要な
役割
を果たしていくべきものであります。
我が国
は、加盟以来、
国連
重視政策をとり続けており、引き続き
国連
を通じる
国際協力
を一層
強化
していく
所存
であります。
政治
面では、安全保障理事会の非
常任理事国
としての重責を果たすべく、国際の平和と安全の維持のため
外交努力
を重ねてまいります。さらに、
国連等
の
平和維持活動
に対する
我が国
の非
軍事的貢献
を一層
強化
拡充するため、鋭意
努力
していく
所存
であります。 昨年十一月の
大韓航空機事件
は極めて遺憾であり、かかるテロ行為は厳しく非難されるべきものであります。また、近年、凶悪な
国際テロ
事件が
世界
各地で起きていることは、海外にある
我が国
国民
の安全を図る上でも看過し得ない問題であります。
政府
としては、いかなる
国際テロ
にも断固反対するとの
立場
から、その防止のための
国際協力
を
推進
していく
所存
であります。同時に、海外にある邦人の保護体制の
整備
に努めてまいります。 以上述べましたとおり、
我が国
が、名実ともに外に開かれた国際国家として
繁栄
していくためには、国際の平和と安定への寄与、
世界経済
の持続的
発展
のための積極的
協力
が不可欠であります。しかし、それだけでは十分とは申せません。
世界
の諸
国民
が物の豊かさだけではなく心を伴った豊かな文明を創出していく歴史的
努力
の中で、
我が国
がどれだけ独自の
貢献
をなし得るかが同時に問われているのであります。私は、
外務大臣
に就任以来、事ごとに
我が国
の
国際社会
に占める大きさを痛感いたしております。すなわち、
世界
は、
我が国
に対し多岐にわたる要望を提起し、
我が国
がそれらにこたえ、
世界
に
貢献
していくことを期待いたしております。このことはとりもなおさず、
世界
が、
我が国
に物だけを求めるのではなく、心を求める時代に入ったと言えましょう。 この意味で、
我が国
といたしましては、官民を挙げて、
文化
、学術、
科学技術
といった面での創造と
世界
的な交流を
推進
すべき
役割
をみずから引き受けるべきときに来ております。特に、人物交流を通じてこそ心も通い合うのであり、
政府
といたしましても、次代を担う青少年や留学生の交流、さらには、昨年から
実施
している語学指導などを行う
外国青年招致事業
等、幅広い交流を
強化
してまいります。また、かかる
努力
は、
政府
のみならず
国民
一人一人の
課題
でもあると
考え
ます。私は、今後とも、
地方
自治体、民間各層の御
理解
と御
協力
を得つつ、このような
国際交流
の一層の
推進
を図ってまいります。 私は、
外交
実施
体制を一層
強化
拡充することによって、今日、
我が国外交
が抱える多くの重要な
課題
に能動的かつ機動的に対応してまいります。 新しい
世紀
は目前に控えております。このときこそ、「
世界
に開かれ、
世界
に
貢献
する
日本
」を
実現
するため、国家として懸命の
努力
を傾けなければなりません。
国民
各位及び同僚
議員
の力強い御支援をお願いする次第であります。(
拍手
) ─────────────
藤田正明
10
○
議長
(
藤田正明
君) 宮澤
大蔵大臣
。 〔
国務大臣
宮澤喜一君登壇、
拍手
〕
宮澤喜一
11
○
国務大臣
(宮澤喜一君)
昭和
六十三年度
予算
の御
審議
をお願いするに当たりまして、今後の
財政
金融政策の
基本
的な
考え方
につき所信を申し述べますとともに、
予算
の大綱を御説明いたします。 戦後四十年余りの間に
我が国経済
は
世界
でもまれに見る
発展
を遂げ、
国際社会
に占める
我が国
の地位の
向上
は目覚ましいものがございます。これは、ひとえに
国民
の英知と
努力
の結晶であり、賢明な選択のたまものであります。しかし、他方、大幅な
対外
不
均衡
等を背景に諸
外国
との間に種々の摩擦も生じつつあります。 今後、
我が国
がこれまでなし遂げてきた
成長
と
発展
を
基礎
に二十一
世紀
を目指して進むべき道は、対内的には、真に豊かで
活力
のある
経済社会
を建設し、
対外
的には、各国との
協調
を図りつつ、
国際社会
に占める地位にふさわしい
役割
を積極的に果たしていくことにあります。 昨年の
我が国経済
は、円高の進展、
内外
金融市場において見られた不安定な動きにもかかわらず、物価が安定基調を維持する中で、
内需
を
中心
として
景気
が回復から
拡大
に向かった一年でありました。個人消費は堅調に推移し、
住宅
建設は高い
水準
にあり、さらに設備投資も着実に増加するなど
国内
民間需要は堅調に推移しております。これは、
基本
的には、民間
経済
の
活力
によるものでありますが、
政府
といたしましても、繁急
経済
対策
を決定し、その着実な
実施
に努めるなど、
内需
の
拡大
に向けて
最大限
の
努力
を払ってきたところであります。また、国際収支の不
均衡
も
是正
の方向に進みつつあり、こうした
我が国経済
の現状及び政策
運営
につきましては国際的にも評価されているところであります。 一方、国際
経済情勢
を見ますと、先進国の
景気
は、物価の安定、低
水準
の金利等を背景に引き続き緩やかな
拡大
を続けております。しかしながら、
主要国
間の大幅な
対外
不
均衡
、欧州
諸国
を
中心
とした厳しい
雇用情勢
を背景に保護主義的な動きもなお根強く、また、
開発途上国
における
累積債務
問題も、いまだに
解決
を見ておりません。 私は、今後の
財政
金融政策の
運営
に当たり、このような
我が国
の置かれている状況を踏まえ、二十一
世紀
に向けての
我が国
の進むべき道を展望しつつ、以下に申し述べる諸
課題
に取り組んでまいる
所存
であります。
課題
の第一は、
内需
を
中心
とした
経済
の
持続的成長
を
確保
していくことであります。
景気
回復二年目の局面における
我が国経済
の足取りを確実なものとしていくことは、国際的な
政策協調
の
観点
からも重要な
課題
であります。
政府
は、昨年夏に補正
予算
を編成して緊急
経済
対策
を
実施
するなど
内需拡大
に努めてまいりましたが、
昭和
六十三年度
予算
におきましても、厳しい
財政事情
の
もと
ではありますが、
社会
資本
整備
の
促進
のためNTT株式の売り払い収入の括用を図ることなどにより、
一般公共事業費
について、前年度当初
予算
に対し二〇%増という高い
水準
を
確保
したところであります。 金融面では、現在
我が国
の公定歩合は歴史的に見ても国際的に見ても極めて低い
水準
にあり、また、量的にも緩和された状況にあります。今後とも、金融政策の
運営
につきましては、
内外経済
動向及び国際通貨
情勢
を注視しつつ、適切かつ機動的に対処してまいる
所存
であります。 さらに、
持続的成長
を
確保
していくためには、
為替相場
の安定が重要であることは申し上げるまでもありません。このため、昨年来、
主要国
間で積み重ねられてきた合意に沿って、
政策協調
と
為替市場
における
協力
を
実施
してまいりました。このような
政策協調
の実績を踏まえ、昨年末には主要先進七カ国の蔵相・中央銀行総裁による声明を発表し、ルーブル合意に立脚しつつ
経済政策
協調
についての各国の積極的取り組みを再確認すると同時に、これ以上のドルの下落は
世界経済
の
成長
にとり逆効果であるとの共通の
認識
を示したところであります。この点につきましては、先般の日米首脳
会談
においても確認されております。今後とも、各国との
政策協調
及び
為替市場
における
協力
を通じ、
為替相場
の安定を図ってまいりたいと
考え
ております。 第二の
課題
は、
財政改革
を引き続き強力に
推進
することであります。
財政改革
の目的は、一日も早く
財政
がその
対応力
を回復することにより、今後急速に進展する人口の高齢化や
国際社会
における
我が国
の
責任
の増大など今後の
社会
経済情勢
の
変化
に弾力的に対応し、豊かで
活力
ある
経済社会
の建設を進めていくことにあります。 このため、
昭和
六十三年度
予算
におきましては、歳出の徹底した見直し、合理化等に取り組むことにより、
特例公債
発行額
を前年度当初
予定額
に比し一兆八千三百億円減額し、公債
依存
等を一五%台にまで引き下げたところであります。これは
昭和
五十年度以来の
特例公債
発行下では最も低い
水準
であります。この結果、
昭和
六十五年度までの間に
特例公債
依存
体質から脱却し、
公債依存度
を引き下げるという
努力
目標達成に向けて着実に前進することとなりました。 しかしながら、このような
努力
を行ってもなお
昭和
六十三年度末の公債残高は百五十九兆円に達する見込みであり、国債の利払い費は歳出
予算
の約二割を占めるなど、
財政事情
は引き続き極めて厳しいものとなっております。 来るべき
世紀
に向かって
我が国
が
内外
から求められている
課題
に
財政
が十分対応できるよう、今後ともこの目標に向けて
財政改革
をより一層強力に
推進
してまいる
所存
であります。 第三の
課題
は、
税制
の抜本的見直しであります。 今後の
高齢化社会
の到来、
経済社会
の一層の
国際化
を展望するとき、抜本的な
税制改革
の
実現
は避けて通れない
課題
であります。 個人所得課税の軽減。合理化、利子課
税制
度の改組等は、昨年九月、臨時
国会
において
実現
を見たところでありますが、なお残された問題は少なくなく、
税制改革
は道半ばという段階にあります。 人口構成の一層の高齢化が進む中で、
国民
すべてが
相互
に
協力
しつつ、
国際化
時代における
我が国経済
社会
を豊かで
活力
あるものとして支えていくためには、
国民
の税に対する
不公平感
を払拭するとともに、所得、消費、
資産等
の間で
均衡
がとれた安定的な
税体系
を構築することが不可欠であり、早急に成案を得ることが必要と
考え
ます。 このような
認識
の
もと
、現在、
税制調査会
において、
我が国
にとって望ましい
税制
のあり方とその
実現
に向けての具体的方策につき、精力的に御
審議
願っているところであります。
国民各界各層
の御議論等を拝聴しつつ、
国民
の
納得
が得られるような
税制改革
関連法案
を取りまとめるよう引き続ぎ
最大限
の
努力
を傾けてまいる
所存
であります。 第四の
課題
は、
我が国
の国際的な地位の
向上
に見合い、
調和
ある
対外
経済
関係
の
形成
に努めることであります。
世界
的な
対外
不
均衡
等を背景とした保護主義的な動きには根強いものがあります。
我が国
としては引き続き各国に対し
対外
不
均衡
是正
の
努力
を求めると同時に、みずから率先して
市場アクセス
の改善、
経済構造
の
調整
等を進め、
自由貿易体制
の維持
強化
に努めていく必要があります。 このような
観点
から、
昭和
六十三年度におきましては、特恵関
税制
度の改善、関税引き下げ、撤廃等の
改正
を行うことといたしております。 また、現在進められているウルグアイ・ラウンド交渉におきましては、その提唱国として各国と
協調
しつつ建設的な
役割
を積極的に果たしてまいりたいと
考え
ております。 金融・資本市場の自由化、
国際化
を進めていくことは、
我が国経済
の効率化と
発展
に資するものであると同時に、
我が国
が
世界経済
の
発展
に
貢献
していく上で大きな意義のあるものと
考え
ております。 このような
観点
から昨年六月には「金融・資本市場の自由化、
国際化
に関する当面の展望」を発表し、その後、その方向に沿って、預金金利の一層の自由化、
国内
CP市場の創設、
東京
証券取引所における会員定数の
拡大
等の
措置
が講じられてきているところであります。 さらに、先物市場の
整備
拡充につきましては、証券先物市場の一層の
整備
、金融先物市場の創設及び海外金融先物取引の一層の自由化を進めていく
予定
であり、このため、所要の法律案を今
国会
に提出し、御
審議
をお願いすることといたしております。 今後とも、
我が国
金融・資本市場が
内外
に対して十分な
貢献
を果たし得るよう、主要先進国を初め諸
外国
とも意見交換、意思疎通を図りつつ、一層の自由化、
国際化
を進めてまいりたいと
考え
ております。
開発途上国
の自助
努力
を支援するとともに、
累積債務
問題の
解決
を図り、もって
世界経済
の
成長
と
繁栄
に資することも
我が国
の大きな国際的責務であります。 このため、
政府開発援助
につきましては、第三次
中期目標
について七年倍増目標の二年繰り上げを
実施
し、
昭和
六十五年のODA実績を七十六億ドル以上とすることといたしております。 また、
開発途上国
の開発・債務問題の
解決
に資するため、現在
実施
しております三百億ドルを超える官民アンタイド資金の還流
措置
の達成に全力を傾けているところであります。今後とも、IMFの
拡大
構造
調整
ファシリティーへの貸し付け、
アジア
開発銀行、米州開発銀行における
日本
特別ファンドの設置等を通じて、資金還流を積極的に図ってまいる
所存
であります。 次に、
昭和
六十三年度
予算
の大要について御説明いたします。
昭和
六十三年度
予算
は、
財政改革
を強力に
推進
するとともに、
内需拡大
の
要請
に配意することとして編成いたしました。
歳出面
におきましては、
国民
健康保険制度の
改革
を初めとする既存の制度、
施策
の見直しを行い、特に
経常経費
について一層の節減合理化を行うとともに、
一般公共事業費
についてNTT株式の売り払い収入を活用すること等により前年度当初
予算
に対し二〇%増という極めて高い
水準
を
確保
するほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしました。 なお、
国家公務員
の定員につきましては、第七次定員
削減
計画を着実に
実施
するとともに、必要とされる新規
行政
需要についても極力振りかえによって対処し、増員は厳に抑制いたしました。この結果、
行政
機関職員について、三千六百五十五人に上る大幅な縮減を図ることといたしております。 以上の結果、一般歳出の規模は、三十二兆九千八百二十一億円と前年度当初
予算
に比べ三千九百八十七億円の増額となり、これにNTT株式の売り払い収入に係る
産業
投資特別会計への繰り入れ一兆三千億円、さらに国債費及び
地方
交付税交付金を加えた一般会計
予算
規模は、前年度当初
予算
に比べ二兆五千九百八十七億円増額の五十六兆六千九百九十七億円となっております。 次に、歳入面について申し述べます。 歳入の基幹たる
税制
につきましては、
税制
の
抜本的改革
との
関連
に留意しつつ、最近の
社会
経済情勢
等に即応して、当面早急に
実施
すべき
措置
を講ずることとし、土地・
住宅
税制
について見直しを行うとともに、石油税について増収
措置
を講ずる等の
税制改正
を行うことといたしております。 税の執行につきましては、今後とも
国民
の
信頼
と
協力
を得て、一層適正、公平な税務
行政
を
実施
するよう、
努力
してまいる
所存
であります。 また、税外収入は、前年度に比べ大きく減少しておりますが、可能な限りその
確保
に努めたところであります。 公債につきましては、以上の結果、その発行
予定額
は前年度当初
予算
より一兆六千六百億円減額し、八兆八千四百十億円となっております。その内訳は、建設公債が一千七百億円増の五兆六千九百億円、
特例公債
が一兆八千三百億円減の三兆一千五百十億円となっております。この結果、
公債依存度
は一五・六%まで低下いたしました。
特例公債
の発行等につきましては、別途、
昭和
六十三年度の
財政
運営
に必要な財源の
確保
を図るための特別
措置
に関する法律案を提出し、御
審議
をお願いすることといたしております。 また、
昭和
六十三年度においては、十四兆五千百二億円の借換債の発行を
予定
しており、これを合わせた公債の総
発行額
は、二十三兆三千五百十二億円となります。
財政
投融資計画につきましては、
内需
の
拡大
、
社会
資本の
整備
、
資金還流措置
の
推進等
の
要請
にこたえ、資金の重点的、効率的な配分に努めたところであります。 この結果、
昭和
六十三年度の
財政
投融資計画の規模は二十九兆六千百四十億円となり、前年度当初計画に対し、九・四%の増加となっております。 次に、主要な経費について申し述べます。 まず、公共
事業
関係
費につきましては、さきに申し述べましたように、
内需
の
拡大
に資するとともに
社会
資本の
整備
を
促進
するため、NTT株式の売り払い収入の活用等により
一般公共事業費
の
確保
を図ることといたしました。また、その
事業
別記分に当たりましては、生活
環境
の
向上
に資するよう下水道、公園等の
事業
に特に配意するとともに、各
地域
への配分に当たっては、
地域
経済
の実情に十分な配慮がなされるよう対処してまいる
所存
であります。また、
住宅
金融公庫の融資戸数の増加、貸付限度額の引き上げ、特別積立ローンの新設等、
住宅
対策
の拡充を図っております。
雇用
対策
につきましては、最近の
雇用情勢
は総じて改善しているものの、
産業
間、
地域
間、年齢間には不
均衡
が見られるため、新たに「
産業
・
地域
・
高齢者雇用プロジェクト
」を
実施
することとし、その改善を図ることといたしております。
社会
保障
関係
費につきましては、今後の
高齢化社会
においても安定的かつ有効に
機能
するよう長期的
視野
に立って制度を築き上げていく必要があり、このため、
国民
健康保険制度の
改革
等、各種
施策
の合理化、
適正化
に努めるとともに、老人や心身障害者に対する在宅福祉
施策
の拡充、
健康づくり
施策
の
推進等
、真に必要な
施策
については重点的な配慮を行うことといたしております。文教及び科学振興費につきましては、教育
環境
の
整備
、生涯学習の振興、国際的な研究交流の
促進
、
基礎
的、創造的研究の
推進等
の
施策
の
充実
に努めております。
中小企業
対策
費につきましては、
中小企業
を取り巻く
環境
の
変化
に対応し、その近代化及び構造改善を
促進
していくため、異業種の経営資源の融合化の
推進
、特定
地域
中小企業
対策
の
充実
等を図っております。また、農林水産
関係
予算
におきましても、需要の動向に適切に対応しつつ、
生産性
の高い、
産業
として自立し得る
農業
の
確立
に向けて、
生産基盤
の
整備
等の
施策
に重点的に配慮いたしております。
経済協力
費につきましては、資金還流
関係
予算
、
経済
開発等援助費を
中心
に第三次
中期目標
の着実な達成を図るとの
観点
から、
政府開発援助
予算
について前年度を上回る六・五%増といたしております。防衛
関係
費につきましては、厳しい
財政事情
の
もと
で、他の諸
施策
との
調和
を図りつつ、中期
防衛力
整備
計画を踏まえ、その
質的充実
に配意しております。 エネルギー
対策
費につきましては、中長期的な需給見通しをも踏まえ、安定的なエネルギー
供給
の
確保
等の
施策
を着実に
推進
することといたしております。
地方財政
につきましては、
昭和
六十三年度の財源不足額は、
地方
税収の増加等により前年度を下回る一兆七千二百五十九億円と見込まれますが、
地方
交付税交付金の
特例
措置
等の
地方財政
対策
を講ずることとし、
地方財政
の適正な
運営
に支障の生じないよう配慮しております。
地方
団体におかれましても、歳出の節減合理化等をさらに
推進
し、より一層効率的な財源配分を行われるよう
要請
するものであります。 この機会に、
昭和
六十二年度第二次補正
予算
について一言申し述べます。
昭和
六十二年度第二次補正
予算
につきましては、
歳出面
におきまして、給与改善費、
国民
健康保険特別交付金、義務的経費の追加等、特に緊要となった事項について
措置
を講ずることといたしております。また、歳入面におきましては、税収について一兆八千九百三十億円の増収を見込むとともに、前年度の決算上の剰余金の残額一兆九千三百四十億円を計上するほか、税外収入の減額を見込んでおります。この結果、
特例公債
について一兆三千二百二十億円減額することといたしております。 なお、昨年不成立となりました売上税法案
関連
の歳入歳出につきましては、この際所要の補正を行うことといたしております。 以上によりまして、
昭和
六十二年度一般会計第二次補正後
予算
の総額は、歳入歳出とも第一次補正後
予算
に対し二兆三百三十九億円増加して、五十八兆二千百四十二億円となっております。 以上、
昭和
六十三年度
予算
及び
昭和
六十二年度第二次補正
予算
の大要について御説明いたしました。御
審議
の上、何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。 二十一
世紀
の開幕まであと十年余り。国際
情勢
は引き続き流動的ではありますが、幸いにも
我が国経済
は明るい展望を期待できる状況にございます。このような時期にこそ、これまで申し述べました諸
課題
を一歩一歩着実に実行していくことが重要であると
考え
ます。
国民
各位の一層の御
理解
と御
協力
を切にお願いする次第でございます。(
拍手
) ─────────────
藤田正明
12
○
議長
(
藤田正明
君)
中尾国務大臣
。 〔
国務大臣
中尾栄一君登壇、
拍手
〕
中尾栄一
13
○
国務大臣
(中尾栄一君)
我が国経済
の当面する
課題
と
経済運営
の
基本
的な
考え方
について所信を申し述べたいと存じます。
我が国経済
は戦後四十有余年、目覚ましい
発展
を遂げ、今や
国民
総生産にして一日当たり約一兆円を生み出す規模にまで
成長
いたしました。また、
対外
面においても、
我が国
は
世界
最大の債権国となるに至りました。 しかしながら、
我が国
は、縮小しつつあるとはいえ、いまだ膨大な経常収支黒字を有し、各国との間に種々の
経済摩擦
問題を抱えております。
我が国
といたしましては、今後、各国との
政策協調
、
国内
の
経済構造
の
調整
等を通じて、国際的に
調和
のとれた
対外
均衡
の達成に努めるとともに、
世界経済
の
調和
ある
発展
のために、
我が国
の国際的地位にふさわしい
貢献
を果たしていくことが必要であると
考え
る次第であります。 他方、
国内
においては、
国民生活
は、
経済
の
発展
に伴い着実な改善を遂げているものの、今後は、この
経済発展
の
成果
を住生活の改善や
労働
時間の短縮など
国民生活
の質的
向上
により一層振り向けていくことが求められております。 以上、
内外
の二つの
課題
を克服するためのかぎは、
内需主導
型の
成長
を達成する中で
経済構造
の
調整
を進めることであります。
経済構造
の
調整
は、これまで着実に進展してきているとはいえ、これをさらに進める上でいまだ数多くの困難が横たわっております。私は、これらの困難を乗り越えていくために何よりも重要なことは、
我が国
の次なる飛躍のために、たとえ痛みや
負担
が伴うものであっても、
経済構造
の変革が今こそ必要であるという共通の
認識
を
国民
一人一人がしっかり持つことであろうと
考え
る次第であります。 ここで、
内外
の
経済
の現状について申し述べてみたいと存じます。
世界経済
は、このところ緩やかながらも息の長い
景気拡大
を続けております。しかしながら、従来からの
課題
であるアメリカの
財政赤字
の縮減、
主要国
の
対外
不
均衡
の
是正
、
発展
途上国の
累積債務
問題等については、今後も
解決
に努めるべき
課題
として残されております。また、最近の株価、為替等の変動とその影響につきましても、十分注視していく必要があります。 一方、
我が国経済
は、一昨年末に
景気
の
転換
点を迎え、昨年は
政府
の緊急
経済
対策
の効果も加わり、
景気
は回復から
拡大
への道をたどってまいりました。
国内需要
は引き続き堅調に推移し、鉱工業生産の増加、
企業
の業況判断の大幅な改善、
雇用情勢
の改善が見られる等、
景気
は引き続き
拡大局面
にあります。また、輸出は一進一退で推移し、輸入は製品類等を
中心
に増加しており、経常収支の黒字幅はこのところ縮小しております。 このような
内外
の
経済
の動向を勘案しますと、
昭和
六十二年度の
我が国経済
は、経常収支の黒字を縮小させつつ、
内需
中心
の
景気拡大
が維持され、実質
経済成長
率は、
政府
の当初見通しを上回る三・七%程度になるものと見込まれます。 以上のような状況を踏まえ、私は
昭和
六十三年度の
経済運営
に当たっては、特に、次の諸点を
基本
的な柱としてまいりたいと
考え
ております。 第一の柱は、
景気
回復二年目における
景気
の足取りを確実なものとするため、
内需
を
中心
とした
景気
の持続的
拡大
を図ることです。同時に、
雇用
の安定及び
地域
経済
の
活性化
にも努めてまいります。 このため、最近における急激な為替レートの変動に対しては、
主要国
との
協調
的な
経済政策
の
実施
を
推進
しつつ、円レートの
安定化
を図る一方、急速な円高の進展等により影響を受けた
地域
などに十分配慮しながら、引き続き適切かつ機動的な
経済運営
に努めてまいる
所存
であります。 具体的には、まず、
内需拡大
を図るため、
昭和
六十三年度
予算
におきまして、NTT株式の売り払い収入の活用等により、
一般公共事業費
は、前年度当初
予算
に対し二〇%の伸びを
確保
したところであります。また、既に
実施
が決まっている住民税減税のほか、
住宅
取得
促進
税制
の拡充などの
住宅
建設
促進
施策
を
実施
することとしております。さらに、民間
活力
が
最大限
発揮されるための所要の
環境
整備
、
中小企業
の経営
安定化
、構造
転換
等のための各種
中小企業
対策
、「
産業
・
地域
・
高齢者雇用プロジェクト
」等の
雇用
対策
などにつきましても積極的に
推進
することとしております。 金融政策にっいては、
内外経済
動向及び国際通貨
情勢
を注視しつつ、適切かつ機動的な
運営
を図る必要があると
考え
ております。 土地問題については、
地価高騰
に対処するため、昨年十月に決定した
緊急土地対策要綱
の着実な
実施
等土地
対策
の効果的かつ総合的な
推進
を図ってまいります。 こうした
内需拡大
のための
努力
は、
経済構造調整
のための諸
施策
と相まって、
我が国
の
対外
不
均衡
の
是正
にも資するものと
考え
ます。
昭和
六十三年度の
我が国経済
は、以上のような
政府
の諸
施策
と民間
経済
の
活力
が
一つ
となり、引き続き
対外
不
均衡
の
是正
を進めながら、
内需
を
中心
とした着実な
拡大
が図れるものと
考え
られます。この結果、
昭和
六十三年度の実質
経済成長
率は三・八%程度になるものと見込まれます。 第二の柱は、
自由貿易体制
の維持
強化
に向けて率先して
努力
するとともに、
調和
ある
対外
経済
関係
の
形成
と
世界経済
への積極的
貢献
を図ることであります。 このため、まず、保護貿易主義の抑止と貿易の
拡大
均衡
を目指して、国際
協調
型
経済構造
への変革を
推進
する必要があります。その際、
我が国
市場の積極的な開放等による
市場アクセス
の改善を図るとともに、ウルグアイ・ラウンド交渉の一層の進展に
貢献
してまいりたいと
考え
ております。
発展
途上国への
経済協力
については、
我が国
の国際的地位にふさわしい
役割
を果たしていくことが重要であります。このような
観点
から、
政府開発援助
の第三次
中期目標
については、その
早期達成
を図るとともに、
発展
途上国への資金の還流を
拡大
するため、積極的な
役割
を果たしていく必要があると
考え
ております。 第三の柱は、物価の安定と
国民生活
の質的
向上
に努めることであります。 物価の安定は、
国民生活
の安定のための
基本
要件であります。物価の動向を見ますると、これまで累次にわたる
円高差益
還元策等が
実施
されたことに伴い、円高等のメリットは
国民
経済
全体にかなり浸透してきているものと
考え
られ、こうした状況を反映して、
我が国
の消費者物価上昇率は、過去二年続けて一%を切るなど最近の物価動向は極めて落ちついた動きを示しております。
政府
といたしましても、最近では、電気・ガス料金の三度目の引き下げ等に努めてきたところでありますが、今後とも、公共料金について
円高差益
の的確な反映を図るとともに、輸入の
促進
、消費者への情報提供等を通じて円高などのメリットの一層の還元に努めることにより、物価の安定を図ってまいる
所存
であります。 このような
施策
を推し進めることにより、物価は引き続き安定基調を維持するものと
考え
られ、
昭和
六十三年度の卸売物価は〇・三%程度、消費者物価は一・三%程度の上昇にとどまるものと見込んでおります。 なお、私は、
国民生活
の質の改善を図る
観点
から、規制の
緩和等
経済構造
の
調整
のための
施策
を
推進
し、
内外
価格差を縮小して
国民
が
納得
できる物価
水準
を達成していくという
考え方
が、今後の物価
対策
を進める上で重要であると
考え
ております。 さらに、豊かで質の高い
国民生活
を
実現
するためには、
住宅
、
社会
資本、余暇時間等の面でまだまだ
課題
が残されております。こうした
観点
から、住生活の質的改善等
国民生活
の
充実
、
向上
のための
施策
について、積極的に検討するとともにその
推進
に
努力
してまいる
所存
であります。 また、
国民
が安心して
充実
した消費生活を送ることができるように、悪質な商法による被害の防止等の消費者保護
施策
を
推進
するとともに、消費者教育の
充実
を図ってまいりたいと
考え
ておる次第であります。 第四の柱は、新しい中長期的な
経済運営
の
基本方針
を速やかに策定することであります。
我が国経済
を取り巻く
内外
の諸
情勢
は、ここ数年の間、
対外
不
均衡
の大幅な
拡大
、円高の急速な進展等に見られますように大きく
変化
いたしました。さらに、これまで述べてまいりましたように、
我が国
は、
国民生活
の質的
向上
、
地域
経済
の
活性化
、経約拍摩擦の解消、
国際社会
への
貢献
等の
課題
に緊急かつ重点的に取り組んでいかなければなりません。 このため、
内外経済
の中長期的な展望の上に立って、新しい
経済運営
の
基本方針
を
内外
に明示することにより、
国民
や
企業
に自信と
活力
を与え、二十一
世紀
に向けて
我が国経済
のさらなる
発展
を期したいと
考え
ます。こうした
考え方
から、
政府
は、昨年十一月新しい
経済計画
の策定について
経済審議会
に諮問を行い、これを受けて去る一月二十二日、
経済審議会
は新計画の
基本
的
考え方
と検討の方向を取りまとめたところであります。 新しい
経済計画
においては、
経済構造
の
調整
を一層強力に
推進
し、
内需主導
型
成長
への
転換
、
定着
を進めることを
基本
方向としつつ、
経済運営
のあり方を検討してまいりたいと
考え
ております。その際、主要な
政策課題
として、第一に
経済発展
の
成果
を
国民
一人一人の生活に十分生かし、豊かさを実感できる
国民生活
を
実現
すること、第二に
東京
への過剰な
依存
から脱却し、第四次
全国総合開発計画
で示された多
極分散
型の
国土
を
形成
していくこと、第三に
日本
の豊かさと
活力
を生かし、
世界
に
貢献
していくことの三点が重点になるものと
考え
ておる次第であります。 今後、この新たな
経済計画
をよりどころに中長期的な
経済運営
を行ってまいる
所存
であります。 以上、
我が国経済
が当面する主な
課題
と
経済運営
の
基本
方向について所信を申し述べました。
政府
の
経済運営
は、単なる
経済
諸指標についての数字合わせをもって足りるものではないことは言うまでもありません。
世界経済
の動向と
我が国経済
社会
についての中長期的展望を踏まえて、常に
国民生活
の
向上
と人間性豊かな
社会
の建設を目指して行われるべきものであります。私は、そうした
経済運営
が、所得
水準
にふさわしい
国民生活
の質の画期的な
向上
と
世界
に開かれた
文化
的
社会
の
実現
を可能とし、
国民
が将来の生活設計を希望を持って描くことができる
環境
をつくり出すものと信じます。 冒頭でも触れましたように、
我が国
は、今や一日一兆円の
国民
総生産規模となり、しかも、
世界
最大の債権国となりました。
経済運営
のかじ取り役としての
責任
の重大性を改めて痛感するものであります。私は、この
演説
の締めくくりとして、
国民
の
皆様
に次のことを特に申し上げたいのであります。それは、
我が国
民は
我が国
が
世界経済
の中で大きな地位を占めるに至った現状を十二分に
認識
し、「開放
社会
の精神」に徹し、
世界
の国々が同じように豊かさを享受できる
環境づくり
に今後積極的に
貢献
していかなければならない
立場
に立ち至ったということであります。我が
国民生活
のより一層の
向上
も、
内需拡大
も、
経済構造
の
調整
も、
世界経済
との
調和
も、すべては
国民
の「開放
社会
の精神」に裏づけられてこそ、初めて意義のある
成果
が期待できるものと
考え
ます。 私は、こうした
認識
の
もと
、今後の
我が国経済
のかじ取りを行っていく
所存
であります。
国民
の
皆様
の御支援と御
協力
を切に切にお願いする次第であります。 ありがとうございました。(
拍手
)
藤田正明
14
○
議長
(
藤田正明
君) ただいまの
演説
に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田正明
15
○
議長
(
藤田正明
君) 御
異議
ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十二
分散
会