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1988-05-17 第112回国会 参議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十七日(火曜日)    午前十時五分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田沢 智治君     理 事                 仲川 幸男君                 林  寛子君                 粕谷 照美君                 佐藤 昭夫君     委 員                 小野 清子君                 川原新次郎君                 木宮 和彦君                 山東 昭子君                 杉山 令肇君                 世耕 政隆君                 竹山  裕君                 寺内 弘子君                 柳川 覺治君                 久保  亘君                 安永 英雄君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 勝木 健司君                 下村  泰君    国務大臣        文 部 大 臣  中島源太郎君    政府委員        文部政務次官   船田  元君        文部大臣官房長  古村 澄一君        文部大臣官房総        務審議官     川村 恒明君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        文部省学術国際        局長       植木  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        郵政省郵務局総        務課長      高木 繁俊君    参考人        国立大学協会副        会長       田中 郁三君        日本私立大学団        体連合会会長   石川 忠雄君        大学入試センタ        ー所長      有江 幹男君        全国高等学校長        協会会長代行   中沢 浩一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として国立大学協会会長田中郁三君、日本私立大学団体連合会会長石川忠雄君、大学入試センター所長有江幹男君、全国高等学校長協会会長代行中沢浩一君の四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言申し上げます。  皆様には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことに感謝申し上げます。  当委員会では、国立学校設置法の一部を改正する法律案審査を進めているところでございますが、本日は、本案に対し皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  つきましては、議事の進め方でございますが、まず、お手元の名簿の順序でお一人十五分程度御意見をお述べいただき、全部の参考人から御意見を伺った後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず田中参考人からお願い申し上げます。
  3. 田中郁三

    参考人田中郁三君) ただいま御紹介のありました国立大学協会会長をいたしております東京工業大学田中でございます。国立大学協会会長、副会長で相談いたしました結果、本日私が出席することになりました。本日の私の立場は、国立大学協会全体を代表してというよりも、副会長をしております会員の一員として、また、特に理工系教育研究に日ごろ携わっております国立大学の学長の一人として、以下、意見を述べさせていただきたいと思います。  高等教育機関における教育研究は、国民社会のさまざまな要請に応じまして、人材養成及び学術研究の創造と発展に資するとともに、高等教育学術研究を通じて国際的にも貢献していくことが求められていると思います。我が国における学術研究は、現在学問の全分野においてその基盤を強固に形成するために、基礎的な研究の積極的な振興が求められておりまして、財政的な措置を含め、我が国文化を築いていく上において、その中心的な役割を担っていく大学院の飛躍的な充実改革が緊急な課題となっております。先端的研究の進行に伴って、研究活動個性化され、研究分野細分化、専門化されていくことになりますと、次の段階として学際的分野学問発展研究者間の共同研究、さらには学術国際交流へと課題が広がっていくこととなりましょう。  それらの点において、既に昭和四十五年以来、数次にわたって大学院制度弾力化に関する諸施策が実施されまして、昭和四十九年三月の大学設置審議会の答申を踏まえ、同年六月に制定された大学院設置基準において、特定の学部に依存する従来の教育研究組織のあり方のほか、広く学内の学部研究所などと連携し、また、専任教員専用施設による独立組織を持った大学院研究料、いわゆる独立研究科設置制度上可能となってきました。例えば東京工業大学におきましても、昭和五十年に独立研究科として総合理工学研究科設置され、既に十三年を経過いたしております。このたびの総合研究大学院大学につきましては、国立大学共同利用機関母体とする独立大学院であり、その独立大学院につきましては昭和五十一年の学校教育法の改正によって法制化されております。  国立大学共同利用機関は、本来国の内外に開かれた研究機関として、専任教官組織のほか客員教官外国人招聘研究者共同研究者など国内外の研究者を擁し、かつ各種の高度なまたは大型の施設、設備を有しておりまして、今までそれぞれの分野において最先端の学問研究先導的分野の開拓、国公私立大学との交流及び共同研究の推進の中心的な役割を果たしてきたことは衆目の認めるところであると存じております。このたび、国立大学共同利用機関母体となって、すぐれたスタッフと高度に開かれた研究環境社会人を含めた大学院教育に積極的に活用することは、学問発展と高度の研究者養成に極めて有意義なことと思っております。  総合研究大学院大学は、他大学において、学部並びに大学院修士課程において基礎から専門教育を受けたすぐれた大学院修士課程修了者を入学させ、博士後期課程学生対象として教育研究指導を行うわけでありますが、今後の大学院改革から考えて、特にすぐれた者、すぐれた研究業績を上げた者、並びに国際化に向けて外国人などの入学資格修業年限修了要件など制度弾力化が強く望まれます。また、他の大学院との単位互換研究指導の委託など、相互交流を促進していただきたいと考えております。さらに特に望みたいことは、この総合研究大学院大学設置と並行して、我が国において既設の大学院充実発展が図られることであり、相まって広範な分野で幅広い人材養成すべきであると強く願っております。  先ほども申しましたように、高等教育一般化学歴偏重社会を背景として、過熱した受験競争教育全般に悪影響を及ぼしつつあることは、大学人として極めて憂慮にたえないところであり、かつこの問題は避けて通れない教育改革の最重要課題一つであると存じます。このことにつきましては、国立大学協会におきましては、総会において、また第二常置あるいは入試改善特別委員会において、二つの方向から検討を進めているところでございます。その一つ受験機会複数化でございまして、もう一つ入学者選抜方法それ自体検討であります。受験者数入学定員を超えた場合には何らかの方法選抜を行わなければならないわけでございますが、今まで多くの大学において、その客観性公正性に立脚して学力検査の点数によって選抜する方法が主として行われてきたわけであります。そのこと自体においては理由のあることでありますが、瑣末な知識の暗記や受験技術の習得を強いることになり、高等学校教育をゆがめる結果となってきていることも事実であり、昭和五十四年度から国公立大学対象に、高等学校一般的基礎的学習達成度評価し、高等学校教育正常化に寄与するために、大学入試センター中心となり、多くの方々の御努力によって、周到な問題作成体制の確立と、難問奇問を排した良質の問題を確保してきた点において高い評価を得、共通第一次学力試験を実施してきたところであります。  この十年の間、各大学入学者選抜は、共通第一次学力試験と各大学ごとの第二次試験、並びに高等学校調査書などとの総合判定によって行ってまいりました。これは、大学の行う入学者選抜試験高等学校などの教育に与える影響の大きいことも考慮し、高等学校における一般的基礎的な学習達成度と個々の大学学部が要求する能力適性とをともに評価するものとして実施してまいったものでございます。各大学が行う第二次試験につきましては、共通第一次学力試験導入を機に、それまで一期、二期に分かれて実施されておりました試験実施時期が一元化され、国立大学への受験機会が一回に制限されましたが、高等学校長協会などからの要望も踏まえて国立大学協会において各般検討を行い、昭和六十二年度から受験機会複数制を実施いたし、さらに昭和六十四年度には分離分割方式導入を図るなど、大学入試改善努力をいたしてまいりました。この間、各大学はそれぞれの立場において面接、小論文などの学力以外の要素の判定や、推薦入学社会人入学帰国子女入学などの受け入れにも努め、全体として大学入試多様化を図り、また受験すべき教科科目数弾力化を行うなど、入学試験制度改善努力してまいったところでございます。  国立大学協会におきまして各大学と緊密な連絡協議を重ね、いわゆる新テスト昭和六十五年度の導入について、まずこの新テスト共通第一次学力試験改善の延長上にあるものと受けとめる方向で、その具体的方法障害克服の方策について検討を進めることを決定いたしまして、各大学がそれぞれの新テスト利用方法について、また受験生の幅広い人間形成に対する十分な配慮を行いつつ、それぞれの個性能力適性など、多面的な評価を加味した入学者選抜具体的方法について鋭意検討を行っているところでございますが、私の見ますところによりますと、これらの理想を具体的にどう取り入れ、どう実施していくかについて各大学とも慎重に検討を行っているところでございます。これからは、各大学はもちろんのこと、国立大学協会を初めあらゆる機会を通じてこの問題に取り組んでまいりたいと存じますが、事が重大であればあるほど拙速な結論は避けなければなりませんので、今後とも各界各位の御意見、御支援をもとに具体化いたしたいと存じております。よろしくお願い申し上げたいと思います。  以上をもちまして参考人としての意見の陳述を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  4. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 田中参考人ありがとうございました。  次に石川参考人にお願いいたします。
  5. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) それでは私の意見を述べさせていただきます。  まず、総合研究大学院設置の問題でありますが、今田中参考人からお話のありましたように、詳細はそれに譲ることといたしまして、私もその設置には賛成であります。その理由を少しく大きな立場で申し上げてみたいと思います。  まず第一に、明治以来の日本教育というのは、大まかに申せば日本近代化を達成するために必要な教育であった、こう申してよろしいかと思います。そういった近代化のための教育というものの特徴一つは、その近代化について先進諸国民が何をやってきたか、何を考えてきたかということを知るということが非常に大切でありました。それを知ることによって、その知識日本近代化に応用しよう、こういうところにあったわけであります。よく言われる言葉でありますが、西洋に学ぶという姿勢、その言葉は今申し上げたようなところを示していると思います。  しかし、御承知のように、近年日本はその近代化において少なくとも物質的側面においては成熟期に達しておるわけであります。それで次の時代をこれから迎えようとしている。こういうことを考えなければならない。西洋に学ぶという形での国際交流は今日までもありましたけれども、しかし今申し上げたような立場から考えれば、ただ西洋に学ぶのではなくて、日本が世界の学術文化発展に貢献していかなければならないという側面も強く出てきているということが言えると思います。そうなりますと、当然今まで日本にやや欠けていた基礎研究を極めて強く充実するということも必要でありますし、先端技術についての発展も考えなければならない。そういうことに加えて、社会人文科学系におきましても高度の専門能力を持った職業人養成ということも非常に大切になります。その意味では、大学院充実というのはこれからの高等教育にとって最も大切な課題になるということをまず最初に申し上げたいと思います。  第二の理由は、大学院充実するといっても、それは質の向上をもちろん伴ったものでなければならない。単なる量的拡大ということを言うわけではありません。今回考えられている総合研究大学院共同利用機関基盤にして成立するものでありまして、その大学院の内容が極めて高度のものである。特に博士課程を問題にしているわけでありますから、私は非常に高度のものであろうというふうに考えるわけであります。その意味で、こういった試みは多様にあってよろしいのだというふうに考えております。  第三に、これは新しい形の大学院であります。したがって、新しい大学院はそれなりに思い切ったことをやることが可能であります。  今までいろいろ大学院課題があった。その課題を思い切ってここで転換することができる。そのことは既成の大学院に対しても大きなインパクトを与えることになるだろう。そう考えますと、この総合研究大学院というのは設置されてしかるべきものであるというふうに私は考えておるわけであります。  それから第二番目に、入試センターの問題でありますが、これは新テストに関係することでありまして、これについて私の考えを申し上げたいと思います。この入学試験改革ということが教育改革一つの大きな柱であるということは、これは当然否定することはできないと思います。その今の入学試験制度の持っているいろいろな悪い影響弊害、そういうものについては、これはいろいろ指摘されているところでありますけれども、この弊害を果たして入学試験制度だけの改革で取り除くことができるかというと、私はそれは難しいと思います。この背後には、学歴偏重社会の問題とか、偏差値偏重の意識の問題とかさまざまな問題がございますから、入学試験制度改革だけでこれがすべて片がつく、そういう性質のものであるとは私は思いません。したがって、その弊害を除去するということになれば、当然大学入学試験制度大学の面からの改革も必要でありますが、同時に社会のそういったさまざまな問題をどういうふうに解決していくか、双方からこれは接近しないと片づかない問題であるというふうに考えております。  さはさりながら、やはり大学としては、大学でもできる入学試験制度改革方法をやはり探らなければならない、そう考えるわけであります。その場合に問題になりますことは、一番大切なことは、私は大学の固性化多様化を促進することであるというふうに考えております。つまり、大学が持っている個性あるいは特性というものをもっとはっきりさせるということが大事であります。そうして、多様な大学が存在するということが非常に大事だと思うのであります。その場合に、個性をはっきりさせるということについては、実はいろいろなことが考えられます。例えば、私立大学のことをとってみれば、私立大学建学者というものがあり、そこには建学者理想と心がある。それを土台にして長い間かかって築いてきたその学校独特の気風がある。その独特の気風の中で学生が勉学をし、自分の人間形成をする、こういう形での個性をはっきりさせるということも大切であります。  また、これだけ大学教育が普及いたしますと、当然それにはさまざまな特徴を持っていいわけであります。例えば、この大学はむしろ研究力点を置いた大学である、あるいはこの大学教育にもっともっと力点を置いた大学である、こういうような区別があるいは特性がはっきりしても差し支えない。あるいはカリキュラムについても、もちろん個別科学中心研究体制教育体制が組まれている学部では、当然その個別科学をやるための基礎になる点では共通性がありますけれども、その上に立って、その学校が目指すような独得のカリキュラムを組む、そういうことによって特性を出すということもできると思いますし、あるいは問題解決能力養成するというところから、いろいろな学問をそこに集めてくるというような形での特性もできますし、学際的な学部をつくることもできるし、いろいろな形の特性個性化ということがもっとはっきり行われた方がよろしいのだというふうに私は考えているわけであります。  そういうことを前提にして考えますと、当然それぞれの大学はそれぞれの大学の目標、特性にふさわしい学生を入学させるということが必要になってまいります。それをやるためには、画一的な入学試験方法ではなくて、入学試験個性化多様化がやはり行われることが望ましい。全部を偏差値だけで切ってしまうというような形の画一的なやり方ではなくて、その学校にふさわしい選考の基準、これは学力はもちろん必要でありますが、それ以外の資質も十分に考えるような、そういう入学試験が行われることが私は非常に好ましいのだと思います。  それに比べて考えてみますと、今までの入学試験というのは私はどうも画一的にすぎたというような気がいたします。例えば、一万人、数千人の学生をわずか一週間ないし二週間で選抜するということになれば、当然とった偏差値だけで輪切りにしていくという、輪切りといいますか、偏差値で切っていくということはこれはどうもやむを得ない方法かもしれない。しかし、もっと個性的な、あるいは多様化した入学試験をやるということになれば、いろいろな方法を講じてそれをやるだけの余裕も必要であるし、省力化も必要であると、そう考えるわけであります。そういうような個性的な、多様な入学試験がやれるように、その手助けをするという意味で私は新テストというものが考えられているというふうに思います。  今まで世論一般行われている誤解は、新テスト共通一次と同じであって、それは全大学画一化をもたらすものであるという考え方がありますが、実はそうではなくて、新テストというのはもともと入学試験個性化多様化をもたらすために、そのために役立たせてもらいたいという立場から考えられた入学試験制度でありまして、私は目的は反対なんだというふうに申し上げておきたいというふうに思います。そういうことでありますから、その利活用方法というのはどういうふうにでもできるようにしたい。その大学それぞれの考え方によって自由にいかようにも使えるような形のものにしたい。例えば五教科科目を全部受けなければいけないんだというような形はとりたくない。一科目でも二科目でも、その大学が必要とされるものはそれだけの利用をすればよろしいというような形に持っていきたいということが考えられたことであると申し上げておきたいと思います。  そういうことでありますが、しかしもちろんその判断はどういうふうに利用するか、あるいは利用するかしないかという問題はそれぞれの大学判断自主性と見識に任されていると、こういうことであります。ただ、私が申し上げたい点は、この試験が、新テスト利用されるにせよ利用されないにせよ、あるいは全面的に利用されるにせよ、あるいは部分的に利用されるにせよ、いずれにしてもまだこのテストというのは始まったばかりと申しますか、提起されたばかりであります。したがって、これが今六十五年から実施しようとしているものが完全無欠のものであるというわけではない。このテストというのは今申し上げたような意味において個性的かつ多様な入学試験を行うことができるような、そういうものにこれから育て上げていかなければならないということであります。  とかく世の中はせっかちでありまして、出発のときにどうなったからそれでこれは成功であるとか、不成功であるとかいうことを言われがちでありますが、私はこういったものはみんなで長い間かかって育てていくという性質のものだと思います。アメリカのSATにしても今日ほどの試験になりますまでには随分長い年月がかかっているわけであります。どうも余り性急に物事は判断しない方がよろしいのではないかというふうに思います。もしこういうような試みがうまくいかないということが出てまいりましたときには、私は日本入学試験制度は以前の状態に立ち戻るということであります。何のために入学試験改革を考えたのかといえば、以前の状態がよくなかったからそれを考えたわけでありまして、それが今度の場合でももしうまくいかないということになれば以前の状態状態が戻るということであります。そのときに一体どうするのかということもあわせお考えいただく必要があるだろう、そう思っております。  ありがとうございました。
  6. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 石川参考人、どうもありがとうございました。  次に、有江参考人にお願いいたします。
  7. 有江幹男

    参考人有江幹男君) 私は四月一日から大学入試センター所長を仰せつかったものでございます。  御承知のとおり共通第一次学力試験昭和五十四年度に出発いたしまして、それと同時に大学入試センターは発足したわけでございますが、これまた御承知のとおり問題の作成とか、採点などの一括して処理できるようなことを処理する実務機関として、また入学試験に関する改善研究を行う機関として従前の仕事をしているわけでございまして、その立場で今いろいろ議論されており、また今石川参考人からもお話のございました新テストに向かっての共通第一次学力試験からの変化の経緯を少し申し上げさせていただきたいと思います。  臨教審その他でもいろいろ言われておりましたとおり、我が国における社会変化及び文化発展に対応する教育の実現を期して、各般にわたる施策に関し必要な改革を図るためは臨教審が設けられたということになっておりますが、現在国際化情報化とよく人口に膾炙するような社会の変遷の中にありまして、教育改革ということが重大であることは間違いのないところであり、しかもその高等教育の一番入口に当たります入学試験が大事でないはずはないわけでございます。また、今簡単に申し上げておりますようなことは国立、公立、私立すべての大学に共有されるべき問題でございまして、国公私立大学が積極的に協力して解決されなければならない問題であると思っております。従前行われておりました共通第一次学力試験は、今年をもって十回行われたわけでございますけれども、これについての評価についてはいろいろな点が世の中で唱えられております。一番端的なのは非常によくまとまっていると思いますのは、臨教審審議経過報告のその二というところに非常に明快にまとめられておりまして、繰り返すまでもないとは思いますけれども、少し述べさしていただきます。  まず、大きく分けますと一番よいというような点でございますけれども、時間と人間の能力が十分に投入されまして非常によい問題がつくられていることでございます。また、その二つ目は、この共通第一次学力試験をもって基礎的な高等学校卒業者の学力をはかれるということのメリットを生かしまして、時間的な余裕をもって、言いかえますと、これをてこにいたしまして弾力的な各大学における入学試験の展開が可能になったことということになろうかと思います。しかし、反面には問題点がやはり幾つかあるわけでございまして、その幾つかを申し上げますと、序列化が非常に画一的な試験の反面に顕在化してきたのではなかろうかということ、あるいは先ほどからお話がありますように、高等学校から大学に至る進学の指導が高等学校あるいは予備校におきまして偏差値重視の色彩が非常に濃くなったのではなかろうかというようなことが、一つの見方から大きな問題として提起されております。  また、共通第一次学力試験の当初には五教科科目ということになっていたわけでございますけれども、これはその後の社会の、あるいは当事者の問題提起によりまして五教科科目ということが六十二年度から行われ、さらに弾力化方向で、一つの例を申し上げますと、傾斜配点その他の利用方法が非常に普及されるようになってきております。また、併願が不可能になったというようなことがございまして、これまた先ほどからお話もございますように、国立大学の併願ができるように二つのA、Bの分け方をしたり、あるいは私立大学との競合ができるだけないように努めるなど、そういう努力はされているわけでございます。また、高等学校の職業科の卒業予定者が非常に受験しがたくなったというようなことにつきましても、科目を理科あるいは数学、簿記、現代社会、そういうものを軸にしてその不利のないことを実現するように努力されているわけでございます。  このような経緯でつい数年前まで来たわけでございますが、臨教審の答申が出ましてから直ちに大学入試改革協議会が結成されまして、これは文部省においてつくられたものでございますが、大学入試改革協議会は過去三回にわたる報告を世に問うております。最後のものが今年の二月十五日に出されているわけでございます。  この経緯を少し申し上げさせていただきたいのでございますが、大学入試改革協議会が発足いたしましたのは、臨教審の第一次答申が六十年の六月二十六日でございまして、それから一カ月もたたない間、すなわち六十年の七月九日に大学入試改革協議会が文部大臣裁定で発足しております。このメンバーは、国公私立大学の責任者並びに高等学校の代表者が加わっております。この第一次の報告というものが中間まとめということで「大学入試改革について」という題になっておりまして、約半年後の六十一年四月二十一日に出されております。これが世に問われまして数カ月後、すなわち七月二十一日になりまして「大学入試改革について」まとめというのが出されております。これは第一回目の中間まとめにおいては試験の時期が十二月中旬ということになっておりましたのが、いろいろな討議の結果、七月二十一日の段階では現在言われております十二月の下旬ということになっております。このまとめが出された段階におきまして、六十一年八月十三日に国立大学協会では理事会を開催されまして、文部省が大学入試センターに向かって新しいテストに関する検討を行うための委員会をつくれというようなこと、そうしてこの委員会ができた場合には大学入試センター国立大学協会の協力を得て、大局的な見地から新しいテストに関する検討を開始するということになったわけでございます。  これが七月二十一日にまとめが出て、その後直ちに結成されている委員会が新テスト(仮称)に関する調査検討委員会でございます。この委員会は約半年の間の時間をかけまして合宿の議論も重ねた結果、結果的には十回の議論をしたということになっておりますが、この報告が具体的実施案ということで、新テストに関する計画を世に問うております。この結果がこの二月十五日に「大学入試改革について(報告)」ということで大学入試改革協議会から世に出されているわけでございます。今このベースになりましたのが大学入試センターに設けられました調査検討委員会の重要部分ということになります。そのままではございませんが、それがベースになっているわけでございます。  この結果を受けまして、二月十五日以降のことでございますが、大学入試センターといたしましては、当面の具体的実施案というのを六十二年三月九日に出したと同時に試行テストに関する専門委員会を発足させておりまして、この二月十五日の最終的な報告が出た段階におきまして二回の専門委員会を開催し、この親委員会でございます新テスト(仮称)に関する調査検討委員会を開催いたしまして、新テストの試行に関する計画を今立てて結果を盛っております。新テストに関する試行は、当初二回の試行を予定したわけでございましたが、いろいろな検討の結果、時間を要して、最終的には今年十二月下旬に予定されております一回の試行を行うということになっております。  今申し上げてみましたことは、新テストの試行並びに新テストの計画が相当の時間をかけ、いろいろな組織を経て、慎重な審議の結果を踏まえての結論であるということを申し上げてみたかったわけでございます。  大学入試センターにおきましては、今後新しいテストに関する問題の作成、採点などの業務だけではございませんで、これも既に報道されておりますが、入学試験に関する各大学の情報をできるだけ的確にお知らせ申し上げたいというようなことも計画されております。先ほどからお話のございますように、多様化されていかなければならない入学試験の形態におきまして、やはりその責任と申しましょうか、努力すべき範囲は非常に広うございまして、大きく言えば国家であり社会であり、またこれを実施する大学であり、大学に向かって進学者を推薦するべき高等学校であり、社会学歴偏重の弊を除くことに努力すべきでございましょうし、先ほど石川参考人からもお話ありましたように、大学は特色があって個性化された組織であるべきであり、それを明確化していろいろな要求にこたえることのできる高等教育の形態であるべきであり、高等学校は進学指導においていたずらに偏差値偏重ということなしに個人個人のすべての能力を発揮して、我が国社会に貢献する必要があることをよく自覚して、青年の指導に当たるべきだと思います。  各界の御協力を希望申し上げまして、大学入試センターとしては、今計画されております新テストに至る経緯と、それから従前からのいまだもう一度残っております共通一次学力試験の間違いのない実施に向かって邁進させていただきたいと思っております。どうか各界の御理解と御援助をお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  8. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 有江参考人どうもありがとうございました。  次に、中沢参考人よりお願いいたします。
  9. 中沢浩一

    参考人中沢浩一君) 御指名ございました全国高等学校長協会会長代行の中沢と申します。  全国高等学校長協会は、各学科ごとの高等学校長会、それから各都道府県の高等学校長協会の連合体でございまして、その中で全国高等学校長協会で入試を検討する委員会がございます。それから特にその傘下にございます全国普通科校長会の入試を検討する委員会がございますが、それらの委員会検討いたしました意見をもとに申し述べさせていただきたいと思います。  大学入試高等学校教育のあり方に非常に大きな影響を及ぼすものでございまして、その改革教育改革の重要な課題一つであるというふうに認識しております。そこで大学入試改革国公私立大学を通じて行われるべきものであるというふうに考えております。高等学校側といたしましては、共通一次学力試験難問奇問を排した良質の問題を確保したこと、高等学校教育課程の要求する教育内容や水準から見た学習の基本的到達度をはかるものになっているというような点において評価してまいりました。しかし一方、大学の序列化、偏差値重視に偏した進路指導の弊害が見られますが、これに対し、従来高等学校側から、二次試験について科目数を減らし面接や論文等を課すなどにより選抜の尺度を多様化してほしいというふうに要望してまいりましたが、その方向改善がなされつつあるということについては歓迎いたしております。  このような共通一次の効果が期待されることから、高校側といたしましては新しいテスト私立大学を含めたものであることを強く期待しております。国公立大学私立大学の入試科目数や出題傾向に大きな違いがあることによりまして、志望校を私立大学一本に絞った生徒は受験科目以外の科目を軽視する傾向がございます。また国公立大学私立大学を併願する生徒は共通一次向けの受験勉強、さらに二次試験向けの受験勉強、私立大学向けの受験勉強をしなければならず、負担が過重という状態であると言えます。このことは高等学校における教科指導、教育課程の対応、進路指導の問題を困難にしておる状況でございます。このような事態の是正のため、受験生が多く志望する私立大学を初め、多数の私立大学が新しいテストを積極的に利活用することを強く期待しております。  新しいテストの実施時期について特に申し述べたいと思います。  従来、共通一次は高等学校側といたしましては二月上旬が適当であろうというふうにいろいろな機会に申し述べてまいりましたのですが、選抜日程に対する配慮から一月下旬もやむを得ないというふうに受けとめてまいりました。それが新しいテストに変わってさらに一カ月も繰り上がり、十二月下旬ということになりますと、学校全体の教育活動に及ぼす影響は大きいというふうに考えられます。例えば三年生の従来の十二月、一月、共通一次試験が行われる一月下旬までの十二月と一月は卒業を目前にした最後の締めくくりの時期でございまして、学力充実の貴重な日々でございます。これが空白になるというようなおそれがあるわけでございます。それから次に、三年生の学習進度を速めなければならない、三年で選択する科目の負担は増加するというようなことがあると思われます。またさらに、新しいテストが十二月下旬ということになりますと秋の学校行事も影響を受けまして、三年生の実質的参加が特に秋の後半などに行われる学校行事は難しくなる、そして一、二年生の学校行事にも影響を及ぼすというような問題。それからさらに、最初の受験をしてから最後の結果が出るまで、合否の結果が出るまでかなり期間が長くなるというようなことが教育的に配慮しなければならない問題があるだろう。こういうような問題が時期を繰り上げることによって生ずるわけでございますが、この問題に対する対応が必要となりまして、学校教育活動全体の見直しが必要となるという状況になると思います。  この問題に対しまして私どもは、多数の私立大学利活用を前提として、十二月下旬、新テスト実施もやむを得ないという対応をした経緯がございます。しかし、できればコンピューターの処理能力等を高めるような方策をお考えいただきまして、一月下旬あるいはそれに近い時期に繰り下げることについて再度御努力いただければありがたいということでございます。  私立大学利活用に伴いまして、いわゆる大学輪切り、序列化を促すことがないようにあらゆる措置を講ずるべきだと思います。このためには、面接、論文、調査書の活用等のほか、各大学が個別に行う試験等との種々の組み合わせの工夫が期待されます。さらに、大学入試センター大学教育研究の情報を高校や受験生に提供することにより、偏差値のみによらない進路指導を促すことが期待されております。大学入試センターの運営につきましては、大学入試改革協議会最終報告にもありますような評価委員会などにより、高等学校側の意見も反映されるような仕組みを考えていただきたいと思います。  以上で終わらせていただきたいと思います。
  10. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 中沢参考人、ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  なお、参考人皆様に申し上げます。各委員の質疑時間が限られておりますので、恐れ入りますが、お答えはできるだけ簡潔にお願いいたしたいと存じます。  それでは質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 久保亘

    ○久保亘君 最初に田中先生に御質問いたしたいと思いますけれども、日本教育研究における大学院の飛躍的充実強化が求められていると述べられましたことについて、私も全く同感であります。ただ、今我が国大学院の飛躍的充実強化ということで、具体的にやるべき最も重要なことは何かということになります場合には、大学院制度をいろいろ改革していくということももちろん重要でございますけれども、先進諸国家の中で最も、大学院を初めとする学術研究のための予算が非常に少ないと言われております我が国の場合には、その面においてまず飛躍的な充実強化を図っていくことが先決ではないかと考えるのでありますけれども、先生のお考えもお伺いしたいと思うのでございます。  それから、そのことは共同利用機関等を見ましても、外国人研究者研究参加というのが政府の重点的な施策とされているにもかかわらず、大変少ないのではないか。これはやはり今私が最初に申し上げましたようなことと関係しているのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。  それから、今回設置法として出されております共同利用機関を基本組織とする総合研究大学院大学設置に関して、御賛成の趣旨に基づく御意見でございました。共同利用機関を基本組織とする総合研究大学院大学をつくるということについて、その全体的な、一般的な考え方で御賛成だというのは御意見がわかりましたけれども、そういう大学院大学をつくるに当たっての問題点というのは、何か先生のお立場でお考えになっていることはございませんでしょうか。もしありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  12. 田中郁三

    参考人田中郁三君) 第一の御質問の、いわゆる大学院充実と、今の日本の現状においてどういうふうに大学院充実を一番考えられるかという御質問でございますか——それにつきましては非常に皆様承知のように、日本大学院大学修士課程博士後期課程を含めまして、学部から大学院へ進むいわゆる人数といいますか、要するに定員関係は、日本は今非常に少ないパーセントになっております。それにつきまして、まず大学院充実というのは、予算的にこれからいろいろな意味で御努力願って、我々一番強く希望することでございますが、大学院のいわゆる学生定員というものも、ほかの先進国に比べてまだ十分ではないということはまず一つございます。  それから、現在いわゆる企業を初め外の研究、私は理工系について御答弁いたしますが、これは人社系あるいはほかの分野についてもいろいろなことはあると思いますけれども、企業のいわゆる研究所が非常に充実してまいりまして、その点について大学における研究というものが、いわゆる企業と比較して必ずしも優位性を持たなくなっているという現状を、非常に私たちははっきり見詰めなければならない。ただ、大学はやはり企業の研究所と違いまして、自主的な立場で我々は研究することができる。これは非常に簡単に言いますと、基礎的な立場で我々はその研究題目も選べますし、それからまた、今後社会に出る場合に大学院の卒業生というものが広い基礎的な立場を持って基礎から考えていくという、そういう教育を受けていくべきであるし、また今そういうことで我我努力しております。そういう点で企業の研究所で育った人たちと違って、大学院大学の修士あるいは博士後期課程で卒業した人たちが、その卒業の成果、そういうものを我々は強く評価されていきたいという点で我々は努力しております。  それから、外国人参加につきましては、これは若干長い期間を見ていただきたいんですけれども、少なくとも外国人大学の中の今一員として参加できるようになった、つまり日本人と同じように今の大学のポジションに入れることになったということで、多くの大学で現在外国人研究者はふえております。ただ、語学上の問題であるとか、あるいはここで日本で何年かやって、また向こうに帰ったときにスムーズに向こうのポジションが得られるかというような、社会的なつまり国際的なというか、いろいろな問題ございまして、若干の日数を要するのではなかろうか。これが非常に定着するまでには日数を要するのではなかろうか。その点では非常に努力しております。  それから、次の三番目の御質問の共同利用機関につきましては、我々は大学でいろいろな分野がございますが、例えば高エネであるとか種々の特別な分野につきましては、そういう共同利用機関で行うということでありまして、我々の中に多くの研究者共同利用機関分野に希望しております。そういうところで大学院博士後期課程養成し、また、そういう分野で学位を取り、我が国学術研究の指導者として生きていく人材養成いたしたいというふうに考えております。そういうことで御質問の答えになっておりましょうか。
  13. 久保亘

    ○久保亘君 時間が大変限られておりますので、詳しいお答えをいただくのが非常に難しいと思いますが、きょうは私もう一つの入試問題について先ほど中沢先生の方から非常に重要な御指摘があったと思うんであります。  一つは、高等学校側として、私立大学を含めて新しいテストをやってほしいということの中で、またその入試科目や出題傾向などがそれぞれによって違うと高等学校教育上非常に困るという御意見もございました。それからもう一つは、実施時期に関して、できるならば一月下旬またはそれに近いところへ繰り下げる努力をしてもらいたいという御意見がございました。これは実施の方法に関して高校教育の側から非常に強い御意見のある問題だということを私ども伺っておりました。この点について入試センター有江先生としては、今高校側から具体的に御意見のありました問題について、業務を行われる入試センターとして実施が可能であるかどうか、その点をまず最初に伺いたいと思います。
  14. 有江幹男

    参考人有江幹男君) ただいまの久保委員からの御質問二つあったと思うのでございますが、一つ科目傾向が違うと困る、一つは実施時期の件ということでございましたが、これについてできるかできないか答えよというお話でございますが、これは非常に難問でございまして、できないともできるとも今は私は申しかねますけれども。  科目傾向が違うと困るというようなことは作題にかかわることだと思います。御承知のとおり、今、問題をつくるために教科専門委員会のメンバーが国立から二百三十人程度の方が出ておられます。その方々の専門的な厳密な御討議を経ている結果でございまして、なお、今御指摘の件につきましては、新テストについては新しい体制のセンターにおきまして評価に関する委員会を設けたいということにしておりまして、今もその評価検討がゼロではございませんが、明確な組織をつくって、この中には高等学校の先生方にももちろん加わっていただこうということがはっきりした計画に入っております。ですから、今御指摘のような問題が非常に顕在化された場合には、そういうところで十分そしゃくされて解決されるものだと思っております。  それから、もう一つは実施時期の件でございますが、先ほど私はちょっと触れさせていただきましたけれども、大学入試改革協議会のメンバーは申し上げたとおりで、国公私立高等学校の先生が入っていたわけでございまして、当初十二月中旬ということが中間まとめにおきましては十二月下旬ということに訂正されてきております。ですから、今御指摘の点の議論は非常に活発に行われたものと私は想像しております。なお、簡単に考えますと、現在の共通一次、共通第一次学力試験は今年で十回目を行ったということを申し上げましたが、非常にテンスな議論が重ねられた結果でございまして、日時の件につきましては相当詰めた結果になっております。  先ほど中沢参考人から計算機の性能をアップしてというようなお話もございましたが、そういうことは今後可能かとも思いますが、簡単に考えまして、今の私立大学における入学試験は二月に入りますともうそろそろ行われており、早いところは一月の末ぐらいから始まっているかもしれません。今の国立大学の二次試験は三月のとっぱなに来ているわけでございまして、そうすると、それが一カ月繰り上がって二月あたりに私立大学が加わったものが入ってくるということになりますと、ちょうど一カ月繰り上がったことになります。今の共通一次の試験は御存じのとおり一月の下旬でございまして、そうすると、一カ月送っていくと自然に十二月下旬かなということになろうと思います。でも、御指摘の点は今後も継続していろいろな担当者が議論を尽くすことであろうと信じております。
  15. 久保亘

    ○久保亘君 これはきわめて重要な問題でございまして、中沢先生からお話しございましたように、時期の問題、それから試験科目のあり方の問題、こういうものは高等学校教育を根底から揺るがす要素を持っていることを先ほど詳しくお話しございました。また、私ども伺っておりますところでは、四月二十六日の国大協入試改善特別委員会でも実施時期についてはかなりの論議が行われたと聞いております。そういうことでございますだけに、私は有江先生にお聞きしたいのは、これ私立大学の側との関係を配慮に置かなければならぬということはわかりますけれども、技術的には可能なのかどうか、一月に持ってくること。そのことをお聞きしておきたいんです。
  16. 有江幹男

    参考人有江幹男君) 共通一次の経験を踏まえますと、今のところはきつうございます。絶対できないとは私申しておりませんけれども、きつうございます。
  17. 久保亘

    ○久保亘君 そこで、今度は石川先生の方にお伺いしたいのは、先生は臨教審の答申にも非常に主要な責任をお持ちになったお方でございますけれども、今度の文部省の入試改革協議会の結論というのは臨教審の答申に沿ったものであるかどうか、その答申が生かされたのかどうか。これはどのようにお考えになっておりましょうか。
  18. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 端的にお答えいたしますと、私は臨教審答申で目指したものがかなりの部分入試改革協議会の結論の中に出ていると思います。ただしかし、先ほども申し上げましたように、この新テストの構想が必ずしも十全にできているかどうかということになりますと、例えば幾つかの、幾つかと言うより一つか二つの点で私はまだこれから改善しなきゃならないということはあるように思います。例えばテストの回数の問題なんというのは私はその一つだろうというふうに思うわけでありまして、したがって、先ほど申し上げましたように、これはこれから育てていくという姿勢で臨んでいただきたいということを申し上げたのは、そういうことでございます。
  19. 久保亘

    ○久保亘君 臨教審の答申の中で私は非常に注目いたしておりましたことは、新しい、臨教審共通テストと呼んでおりますが、共通テストでは資格試験的な扱いを検討しろということがございます、答申の中に。それから受験生に結果を通知するように考えるべきだということが書かれてございます。これらの点は少なくとも今度の文部省の入試改革協議会では完全に無視された点でございます。しかし、共通一次の欠陥をなくしていくという点において、廃止をするのが一番いいんでしょうけれども、廃止できないとする場合に、この答申の中に書かれた二つの点というのは非常に重要な改革意味を持つのではなかったか、こう思っておりますが、これは二つとも今度の新しいテストと称するものの中では無視された点でございます。  それで私はお尋ねしたんでございますが、時間がなくなりましたので、最後に石川先生に伺っておきたいことは、長い目でということは確かに一つの御見識だと思いますが、一体今度の新しいテスト私立大学は積極的に参加する理由がおありになるのかどうか、そして今どういう方向私立大学全体としては新しいテストへの対応をお考えになっているのか、この点を伺わしていただければと思います。
  20. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 新しいテスト利用するかしないかということは私は各私立大学で現在検討中だと思います。これ臨教審の答申にもございますけれども、共通テスト利用するか否か、利用するとしてもどのような利用方法をとるかは国公私立を通じた各大学の自主的な判断にゆだねる、こういうふうになっておりまして、それぞれ検討中だろうというふうに考えております。実際に全体としてどこをどのくらいのものが参加してくるかということは、現在私にはよくわからない。わからないけれども、しかし様子を見ようというのはこれはかなりあると思うんですね。したがって、このテスト改善をされ、かついろいろな要望を入れてだんだんと精緻なものになっていけば、そのときには、ではやってみようかという、使って自分たちの入学試験をより独自の、独特のものにしようかというようなことは出てくるかもしれないと思います。  ですから、私が先ほど来申し上げました、これを育てていくということを私はやはり考えたいというのが私の気持ちでありまして、もしこれが、先ほども申しましたが、だめになって廃止された場合に、じゃ一体どういうことが起こるのか。そうなると十年前の同じ状態が出現してくることはまず間違いない。そういうときに一体どう対応するのかということを考えますと、私は育てる方向でやはり問題の解決に進むことが大学としては大事だ。事実、私立大学の中でもこの新テストを待たずして入学試験改革をやっているところはそれは大分出てきておりますから、それが例えば新テストが意図したようなことで、そういう方向でそういった大学の入試改革が行われているのなら、それはそれでやはり意味があることなんだというふうに私は思っております。
  21. 久保亘

    ○久保亘君 もう最後ですので、有江先生に端的なお答えをいただきたい。  ことしの七月に私立大学の新テストへの参加の状況というのがまとまってまいりまして、これは私立大学の自主的な判断と見識によるものだというお話でございましたから、結果的に余り参加がない、こういう場合に、十二月に試験を引き上げて高等学校教育の混乱だけを残した。これでは私は問題だと思うんで、この新テストの時期については最終的な判断の余地はなお今後に残されている、こういうことで考えておけばよろしいんでしょうか。
  22. 有江幹男

    参考人有江幹男君) 結構だと思います。
  23. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 御苦労さまでございます。  それでは、田中先生にお尋ねをしたいと思います。  参考人、御承知だと思いますが、今度の総合研究大学院大学よりも先に御承知の連合大学ができまして、大変前向きの状態で進んでおるようで、同じ博士課程でありますが、この連合大学院大学と、このたびの総合研究大学院大学とについてのこの二つを見比べながら、どうお考えがございましょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  24. 田中郁三

    参考人田中郁三君) いわゆる連合大学院、現在農水産系としまして東京地区、まあ関東地区といいますか、関東地区と四国地区、それから九州地区というところで具体的になっております。やはり連合大学院の場合には、複数の国立大学学部がいわゆる協力して層を厚くする、一つの専門に対して層を厚くするという強い要望があるわけで、そこを実現したということだと思います。つまり既設の大学に持っている力をいわゆる農水産系の分野で連合していこう。それに対しまして総合研究大学院の場合には、既設の大学でなかなかやりにくい分野、非常に大型研究施設が要る、そういうような分野に対して総合研究大学院大学というものをこのたび計画され、これについて御審議を仰いでいるわけでございます。そういう意味で一番、ただ運用については非常に似たところが私はあると思いますのは、場所がある程度広がった場所で、それをうまく運用していくという意味では非常に似ておると思っております。  以上、何か……。
  25. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 そこで、連合大学院大学設置してから日が浅いものですから、これを論じて次の問題の参考にするということは大変難しいかもしれませんけれども、ここに二つの博士課程ができてきたということが今後国立大学協会等の御意見の中にいろいろ出てくるのではないだろうかと思いますが、その点について、今後も御指導をいただきたいと思っております。  時間がございませんので率直なお答えをいただきたいのですが、先ほどちょうど久保委員からお話がございました有江センター所長に、時期の問題ですが、この入試の方の問題につきましては、やはり高校生、父兄、そのあたりの物の考え方というのをかなり重要にひとつお考えをいただかなければならぬのではなかろうか。期せずして同じような質問になるんですけれども、十二月という、まあ十二月設置というのがかなり、どこまで決まっておるのかわかりませんけれども、ひとり歩きをしておりますが、それが一月により近づくために何が障害になっておるのか、障害になるのは何なのかということを例を挙げてお答えいただけませんか。これとこれとが障害になるし、これとこれとがだめだから現在までの一月が十二月になるんだということについては何かお考えございましょうか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
  26. 有江幹男

    参考人有江幹男君) 簡単に申し上げますが、正月に関する我々日本人の感覚は相当根強いものがございまして、年末から正月にかけて、問題の運搬その他のことが相当大きな要素になろうかと思いますし、またその時期に入学試験が実施されるということがやはりこだわりになろうかと思います。
  27. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 いや、私がお尋ねをしておることとお答えがちょっと違うんではないかと思うんです。  私は、先ほどからも、みんな望んでおることは一月にしていただきたいと、高校の生徒もまた高校生を抱えておる家庭も、先ほどからお話がございましたような中沢先生のお話の中からもうかがえるわけなんですが、問題は、縮めるために、縮めてもらいたいと我々思っているんですよ。縮めるために何が障害になっておるのかをお聞きをいたしておきますと、今後大変私たちが審議をしていく上に参考になると思うので、そのためには、運搬するからどうだのという話でなくて、何と何とが技術的にだめなのかということをお教え願えませんか。
  28. 有江幹男

    参考人有江幹男君) 技術的にという言葉が非常に私読み取りにくいのでございますが、大学入試センターとして実施しなければならない業務は、問題の各試験地に対する搬送、それからそれの実施後の集約、それからそれを、答案を読み取ること、採点をすること、それからそれの集計を行うこと、その時間と、それからその作業を第二次試験の実施前に、二段階に使う方には間に合うように、二段階の後にはすぐ第二次試験があるわけでございまして、その判定に間に合うように、そういう一連の作業を行うために先ほど申し上げましたとおり大体一カ月の時間を要しているわけでございます。ですから、私立大学が二月から第二次試験をなさるということになりますと、現状における三月上旬における国立大学の二次試験に対して一月の末に共通一次学力試験が行われていると同じように、大体一カ月ぐらいが繰り上がるということが御理解願えるかと思います。
  29. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 そのお話はなかなか難しい問題でございますから、またお教えをいただく機会をひとつぜひとりたいものだと思います。  それでは中沢先生にお尋ねをいたしたいと思うのですが、参考人が先ほどからのお話の中でこの大学入試の変更の問題については大変いろいろな問題に悩んでおられるように承ります。本来学歴社会がもたらしてきたものがここへ集まってきているわけでございますので、そのことは参考人の先生たちも十分御承知であろうと思うわけでありますから、その問題の大きな問題を現在論じましてもなかなかと思います。思いますが、まず高校生の事情をセンター自身も十分御承知をいただいていかなきゃならないであろうと思うのですよ。というのは、校長先生でございましょうから、御承知のように、高校の中には試験のためにクラス分けしてあります。試験のためにということは、習熟度だけでクラス分けしているのではないのです。いろいろ対外的な言葉としては問題が起こらないように気をつけておりますけれども、それはせんじ詰めますと、入試をするために進学指導が最もしやすい、また最も正確に出ているためにやっておるわけですから、このことがこちらから状態を見ておりますと、中央で皆さんがお集まりになっております、やられております議論、速記録などを拝見いたしまして、その高等学校の御苦労が十分反映をするようなというか、御承知ではあろうと思うんですが、そのような心配があってならないわけであります。そこで、今後のこの種の委員会、またこの種の委員会の中にいろいろのものを設けてでも、その声が、その現実が反映できるようにしなければならないし、それは校長協会の仕事だと思いますが、いかがでございましょうか。
  30. 中沢浩一

    参考人中沢浩一君) 先生が初めの方でお話しなさいましたように、高等学校の進路指導に問題があるというような意味お話をなさったと思いますが、この新しいテストに向けて高等学校の進路指導のあり方も、他の方にいろいろ高等学校の方から要望するだけではなくて、高等学校自身も進路指導のあり方を改善していくような内部の中の努力といいますか、それも必要であるということは認識しております。また先ほどからお話ございました大学の特色とか個性とかというものが現状では、こちらの方の怠けかもしれないんでございますが、十分に見えない。十分に見えないのでついつい安易な進路指導になってしまうという面がございまして、そのような基本的な問題もございますので、先生が言われましたようにいろいろ検討機会等に加えさせていただくということは結構なことだと存じております。
  31. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 今後そのようにセンター自身もまたお考えをいただきたいものだと、あえて希望を申し上げておきます。  わかっておる人に話を聞くということが物事を処理するのに一番よくわかることで、一番いい結論が出ることでございますので、ひとつこのたびの人選その他にも父兄の代表というもの、保護者の代表というものはかなり大勢入ってきてよろしかろうと思うんですが、入ってないといううらみもあります。申し上げておきます。  私は、これ石川先生、十分そのあたりのことを存じ上げておらぬのでまことに質問がおかしくなると思いますが、今このたびの大学院に代行ができる、これに準ずるもの、これから上回るかもわかりませんが、そういうものが日本の私学の中にどの程度あるのでございましょうか。私学の中に博士課程へ向かって直進をでき、最短距離におれるものという方法というのは大学の機構の中で、日本の私学の中でどういう形にあるんでしょうか、ちょっとお教えをいただけたら大変ありがたいと思うんです。
  32. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 今の大学院博士課程、後期の学生の数から申しますと、恐らく私学の場合には全体を合わせてみても国立よりかなり少ないというふうに思います。しかし傾向として考えてみれば、現在大学院学生の数というのはふえてきていることは事実でありまして、特に自然科学、つまり理工系統の学生の数というのはふえてきていると思います。それで、私が総合研究大学院に期待することは、もちろん大学院でありますから、それに入るためには選抜ということが行われると思いますけれども、私学の後期博士課程に入る学生もこういう共同利用機関を使って大学院に進めるようにしてもらいたい。もちろん建前はそういうふうになっておりますから、したがってそれを拒むものではないと思いますけれども、実質的にそういうことをしていただきたいというふうに私は思っておるわけであります。
  33. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 ありがとうございました。終わります。
  34. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、時間も制限されておりますので、簡単にそれぞれの先生に質問をさせていただきたいと思います。  最初に、田中参考人にお伺いをいたします。  入学試験制度は、昔からの共通一次、二次が一発勝負といいますか、そういうところから連続複数受験制、それから分離分割方式、さらに新テストと、ほんのここ三、四年の間に目まぐるしく変わった。新聞等の批評によりますと、猫の目のように変わったと。これは受験生不在の考え方ではなかったか。しかもこのウエートは国大協ですね。ですから、これについては、例えば試験の方式が変わるというのは、本来高等学校に在学三年の間は変わってほしくないというのが本当だと思うんですが、これに対して国大協側としての反省とか批判とか検討とかというのはどのようにお考えになっておられたんでしょうか。
  35. 田中郁三

    参考人田中郁三君) ただいまの御質問に対しましては、昭和六十二年度からいわゆる複数制といいますか複数化ということに踏み切ったわけでございますが、そのときの入学試験ということで、国立大学として複数制の持つ問題点というものを昨年度からいろいろな意味検討いたしたわけでございます。そこで、御承知のように分離分割方式ということで、これも各大学のいろいろな議論がございまして、分離分割方式のよさといいますか、そういうものもあるし、それからまた大学で相当の検討を要しないとすぐそれに移ることは難しいということもございますし、そこで併存制ということを昭和六十四年度から進めるということで、それでありましても入学試験制度それ自体の変更はございますけれども、本質的な意味で入試の問題あるいは入試のいろいろな意味多様化ということについて、受験生にできるだけこれは影響が及ばないといいますか、いわゆる志願者といいますか受験者が困らないようにということの配慮でやっております。  しかしながら、その点についていろいろな意味で、その決定が三年以上見てゆっくり決定といいますか、そういうことについてできなかったということについては、国大協としてはいろいろな意味で我々反省もし、考えているところでございます。そういうことでこれから、ある安定的なものというものはどういうところで最終的に探れるかというものを、皆様の御意見に従っていろいろなことを聞きながら決めていきたいと思っております。
  36. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 もし時間がございましたらまた戻って質問させていただきたいと思いますけれども、それでは次に石川参考人一つ質問さしていただきますが、先ほど総合研究大学院大学については幾つかの理由を挙げて御賛成でございました。私も先生のおっしゃるのをそのとおりだと思って伺っておりましたが、そこで現在、総合研究大学院大学というのは文部省直轄の国立研究機関のみをカバーしているわけですね。ほかの省庁にも国立研究機関ございますから、それはどうなるのか。その場合に、研究機関同士の間でメリット、デメリットがあるのではないか。事実質問をしてみますと、文部省当局の答弁では、やっぱり私は見て、ある意味の差別、メリット、デメリットがあるというふうに思いましたが、それはそれといたしまして、民間の研究機関にも非常にすぐれた研究機関がたくさんございます。それから大学院は、必ずしもそこのカバーするだけじゃなくて、大学との単位互換というのが出てくるわけでございます。  これは、民間の研究機関及び私立大学がこれに参加するというような民間総合研究大学院大学構想というものは何かお考えでございましょうか。
  37. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 私は今高桑議員のお話承っていて、なるほどそういう考え方もあるなということを自分でちょっと感じたわけですけれども、ただ私は、この総合研究大学院大学については、そういうものが新しく設置されることを否定する理由はないというふうに思ったわけで、それをよりよいものにするということで考えれば、確かに高桑議員の言われるようなことも発想として考えられるなというふうに今感じておるわけで、しかし、これは民間と国立大学共同利用機関とどういうふうに調整するのかというようないろいろな難しい問題が多分あると思います。ですから、それは一つのいい発想として将来やっぱり考えてみる必要はあるかもしれないというふうに思いますが、現在直ちにそれがすぐどうこうと言うわけにはいかないものですから、その点について明確にそうすべきであるというふうに今すぐはちょっと申し上げられない、そういうことでございます。
  38. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それではその次に有江参考人お話を伺いたいと思います。  先生はついこの間センター長に赴任されて、まだ中の方もよく理解しておられるか、いや、おられないなんて言ってないんですけれども、大変忙しかったと思うんです。それで、むしろ前北海道大学の学長として入試のところにもその昔もかかわっておられたので、入試制度のことで一つ伺いたいんですが、今田中先生にもお伺いしたとおり、共通一次、二次一発試験から複数連続受験とかあるいは分離分割とか、そういうことが行われて、私も入試の出題委員長もさせられたこともありまして、昔の試験でいくとどうしても一点をはっきりした方がはっきり切ることができる。ですから、話としては面接だとか論文だとかという方式はありますけれども、これを一点を争って明快にだれに対しても説明ができるという方式は入試においては非常に難しかった、私もそう理解しておるわけです。したがいまして、先生入試センターの長でなくて聞いていますから、新テストというものも、これが一点を争う点数制度である限りは偏差値輪切りからは免れられない、逃れることはできないんじゃないか、こういうふうに思うのでありますけれども、先生はどうお考えになりますか。
  39. 有江幹男

    参考人有江幹男君) お答えになるかどうか、今センター長としてでなくというお話でございましたので申し上げてみたいと思います。  私は日ごろ、人の個性能力適性、これは試験の一番大事な点という言葉の表現ですけれども、一点をもって人の能力を決めることができるかということは、できるということに相当疑問がございます。それから、人の能力というのはいろいろな点にあるわけでございまして、一点を余計とる人のそろった社会が我々の求めるべき社会であろうとは思いません。いろいろな能力が混在しているところにいい社会ができるものだと思っております。  ですから、一つの例でございますが、これはよしあしは別として、外国の大学では外国人入学者をあるパーセンテージにして採りたい、自分の州の出身者はこうしたい、そういうようなことで、能力のただ画一性を求めるのではなくて、別のところに大学個性を求め、それから将来の社会の混在した中のハーモニーというものを求めるねらいがあるのではないかと思います。そういう意味で、時に日本は単一民族に近いというような表現も以前からありますけれども、もう少し国際化した混在した社会になるべきでないかというような話があります。  そういう点と軌を一にいたしまして、一点をもって切ればだれに言われても間違いないことができるからということでございますが、今いろいろ議論されております、いろいろな尺度をもってはかったらどうだ、クラブ活動をどうやっていた、スポーツにはどういう特技があった、クラスのまとめ方にはどういうリーダーシップを持っていた、そういうようなことも参考にしてはどうかということですから、これを数学であらわすような一点二点の差と混同して総点を考えていくということには非常な根本的な難点があろうと思います。別の尺度で人をはかるということは、神ならぬ人間の務めるべき道だろうと思っております。
  40. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大変私も賛成な御意見でございますが、きょうはこっちの意見を述べるのではありませんので、したがって、学力試験というものがどうしても入試によしとすれば、一点を争うのではない方式、これは私が日ごろ言っているのはハードル論ということでありますが、そういうことで、ハードルを越えた者を、幾つかのハードルでというのを私考えているんです。入試センターは入試改革協議会からの要望にこたえた課題研究だけではなくて、例えば今先生言われたようなこともひとつ検討課題にして、世界の入試の方式等々検討しながら新しい入試方式を模索していただくことが入試センターとして非常に重要ではないか、こう思いましたので、今御意見承ったんですが、時間がありませんので、もう一つ本当は聞きたかったんですけれども、次の問題に移らしていただきます。  中沢参考人にお伺いしますが、今の有江先生との話し合いをお聞きになっておられたと思います。先生の中で私非常に重要だと思いましたのは、受験生は入試科目以外は軽視するというんです。それは我々のときもそうでしたから、全部同じだと思うんです。だから、入試科目が減るということが受験生に対して負担が減るという考えは私は大変おかしいと思うんです。一つは、競争の原理からいえば科目が減ったって競争する人が同じであれば同じなんです、負担は、競争なんですから。だから勉強する科目が減っただけでありまして、それに対するウエートはみんなそれだけかけますから、科目が減ったことは負担減にはならない。それから科目が少なくなることは、一つはいかにもその人にとって減っているように見えますが、科目大学によって変わりますと、複数受験をする人にとっては幾つかの科目を今度抱えることになるわけです、共通でない場合。ですから、そういう意味では自由選択という新テストは負担がむしろ過重にならないか、複数受験の場合です。そういったことを考えますと、新テストというものを、今中沢参考人私立大学も参加することを前提にということでありましたが、私立大学が幾つかの科目を自由選択することによって、複数受験をする受験生にとっては全部カバーしなければだめになるのではないかということを私は思うんですが、いかがでしょうか。
  41. 中沢浩一

    参考人中沢浩一君) 先ほど申し上げました中にちょっと触れましたのでございますが、今までの共通一次試験におきまして、二次試験科目を減らしていろいろ選抜の尺度を多様にするような工夫をしていただきたいというような、そういう要望の対応を高校側の方でしてきたということを申し上げましたんですが、実は科目を減らして違う観点からその生徒の能力を見るというようなことをしていただきたいということが主眼だったわけです。共通一次で五科目試験を課せられまして、そして二次試験共通一次と同じような試験をまたやられるというのではなくて、同じ科目であっても違った角度から選抜する、評価するというような、そういったことを工夫していただきたい、そういうことで申し上げたわけでございますが、したがいまして、科目が減ったら直ちにその分だけ、それと同じ比率で負担が減るというものではないという、そういう先生のお考えのような面もあるということは考えます。  それから、幾つかの科目利活用した場合に、それぞれの大学利活用の仕方が違うから、それにみんな複数受験で対応しなければならないとなると、また負担がどうかというお話ですが、高等学校教育のことを考えますとどうしてもやっぱり共通の部分というのが欲しいわけでございます。先ほども申し上げましたように、受験生は入試科目にないものを軽視する傾向がございまして、これに対して学校の指導というものが非常に大変だという面がございまして、したがいまして、共通の部分と、それからそれ以上の別々の部分というものの組み合わせの問題に基本的にはなるんじゃないかと思うんでございますけれども、その中身についてはまだ深くは突っ込んで検討しておりません。
  42. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず田中参考人にお伺いをいたしますが、一つ総合研究大学院大学の問題でありますけれども、あなたも委員長として、総合研究大学院創設準備委員会というものがつくられて、それに御参加になっておると思うんですけれども、今のところ六十二年七月二十一日付、昨年の夏の段階での中間まとめ、検討されてきた結果があるんです。中間まとめでしか出されていないということで、最終報告が出ていない状況で文部省としてこの法案を提出をし、もう今期国会、きょうにでも採決をというような、そんな話がちらちら出るということで、私はそういう見切り発車はだめだ、だからこの採決には反対だということを言っているんですけれども、委員長として、この創設準備委員会をやってこられたあなたとして、最終報告が出ないままに、国会がよかれあしかれ決着をつけてしまうということについてはどのようにお考えになるかということが一つであります。  それからもう一つは、大学テスト問題で、これまた同じように二月十五日の大学入試改革協議会、文部省諮問機関、ここの報告が出ましたけれども、それに対する国大協としての態度は目下検討中だと、六月あたりの総会で最終見解、まとめをすると仄聞をしているわけでありますけれども、これまたそういう見解、まとめを待たずに国会として決着をつける、性急に結論を出してしまう。こういうことになるとすれば、一体そのことについてはあなたとしてはどう思われるか、国大協副会長としてどう思われるか。  それから、国大協のもとに入試改善特別委員会というものをつくってこられまして、この間、四月の二十六日見解を出されておりますし、新聞に報道もされておるわけでありますけれども、文部省に、それを国大協側にひとつ取り寄せて、国会の審議の資料に供するためにここへ出しなさい、もらってきなさいと、文部省に言うんですけれども、文部省は、いや、国大協の方がまだ出すの嫌だと、こう言うておるっていうんです。本当に国大協特別委員会の第二次見解を出すのは嫌だと言うのか。私は本当に一両日にも国会が結論を出そうというときに、六月総会を待っておったんでは遅いわけでしょう。冷や飯に湯気になるわけです。そういう点からいって、いろいろ何といいますか、不整合な点があるにしても、まず四月二十六日のあの特別委員会の第二次見解、これを国会の審議資料として出していただくというのが国大協としての態度であるべきではないかとも思いますので、以上の点をお尋ねします。
  43. 田中郁三

    参考人田中郁三君) 一番目の御質問は、創設準備委員会、私委員長を務めさしていただいておりますが、最終まとめというのは我々創設準備機関が終わる時点ということでまとめるものであって、現在もちろん基本的なことは我々議論は終わっておりまして、中間まとめということをいたしたわけです。それのまだデテール部分であり、最終まとめは創設準備機関が終わる時点でまとめる、そういうことでございます。  それから二番目の御質問は、改革協議会の、ちょっと聞き漏らしたんですが、済みません。
  44. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 文部省の諮問機関として大学入試改革協議会というものがございますね。そこの最終報告が、要するにことしの暮れに試行テストやって来年の十二月本テスト、こういう段取りでずっとこうやっていくという、このスケジュールですけれども、二月の十五日に大学入試改革協議会の最終報告が出たわけです。これに対して、国大協が意見まとめをされるのは六月総会だというふうに仄聞するが、それではちょっと遅きに失するじゃないかということで文部省に言ったんです。文部省に、六月総会の結論を見ないままに文部省が見切り発車的に決着つけるということについてはこれはいかがなものかと、こう言っているんですが、このことについての国大協副会長の御意見はどうですかということです。
  45. 田中郁三

    参考人田中郁三君) 二番目と三番目の私御質問について、一緒にお答えいたしたいと思いますが、改革協議会のいわゆる結論というものを、国大協としての立場はこれをまずいろいろな意味のたたき台の原案を入試改革特別委員会でつくる、ただこれを国大協としてのやはり意見として最終的に決定するのは理事会を通した総会であるわけです、おっしゃるとおり六月の総会でございます。そういうことで、今までの特別委員会についてもこれはまだインフォーマルであって、我々は総会が終わった時点ですべての大学の御意見を聞いて最終的にまとめる、それを我々は外に対して国大協の意見として出すということにしております。
  46. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 くどいようですけれども、もう一遍お尋ねしますけれども、国会側の方はもう一両日にでもこの新テスト問題を含む国立大学設置法案の採決をするかどうかという、こういう局面へ来ているんです。それで、六月総会でまとめてそこで天下に公表しますとおっしゃっても、そのときにはいわば冷や飯に湯気になるわけです。ですから、ぜひとも今の時期にこそ特別委員会の全文出すというのがあれでしたら、各大学もアンケートとっていますから、そのアンケート部分はちょっと待ってください、しかし大体まとめた部分、そこの部分についてはせめて今の時期に発表して国会の審議に供する、審議の参考に供する、こういうことをされてしかるべきではないかということを聞いていますので、ちょっともう一遍、済まないですけれども、お答え願います。
  47. 田中郁三

    参考人田中郁三君) それについては同じお答えなんですけれども、国大協としては、やはり総会としての最終意見というものが正式な意見でございますので、六月の時点で国大協としては最終答申をというか、国大協の意見を総会の総意として出すということになると思います。
  48. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 御意見を差し挟むのは僣越ですけれども、大学の先生というのは難しいところやなということを感を深くいたしますね。  それから、前段でお聞きしました大学院大学の創設準備会の問題にしましても、準備会の仕事が終わったら最終まとめを出すと言われたらどうなるんですか、これ。十月から法に基づいて発足するというんですから、そのころまでに準備会続くんでしょう。そんなときに最終まとめが出てみたところで、一体どういう内容の大学院大学になるのかということについての全貌が国会としてはわからないまま進んでいくということになりますので、ここらあたりについてはよく委員長としてお考えを願いたいということを私の要望意見として申し上げておきます。  それからもう一つ高等学校校長会の中沢先生はかなりはっきりと高等学校にとっての非常にゆゆしい影響を与えてくるということで御意見を述べられておりますので、それは当然のことだということで私も思いますので、あえて御質問いたしませんが、私大連の石川参考人にお尋ねいたしますけれども、この新テストのあり方について、私大連として見解まとめはいつかされるのか。そのこととも関係をして、この新テストに対して私立大学の参加見通し、現状でどんなふうに把握をされているでしょうか。
  49. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 私大連として意見をまとめるのかというのが第一の御質問だと思いますが、これは先ほど来申し上げましたように、それぞれの大学が自主的に判断すべきものであるということになっております。したがって、私立大学連盟ではこういった新テストが行われるという説明会は何回か開きました。しかし、これは団体として参加すべきかすべきでないかというのを決めるものではなくて、その判断する主体はそれぞれの大学であり、これは大学自治の問題でありますから、したがって、連盟としてそれにこうすべきであるああすべきであるという判断は下しておりませんし、また下すつもりもないわけであります。  それから、第二番目の見通しでありますが、これは私どもは、どの大学が参加してどの大学が参加しないかという調査はやっておりません。したがって、これに正確にお答えするということは難しい。それから、実際に参加するかしないかの問題というのは、私の記憶が正しければ七月の末ごろまでにこれは各大学で決めてほしいということでありますから、私の大学なんかでも現在教授会を中心検討をいたしております。
  50. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 終わります。
  51. 勝木健司

    ○勝木健司君 田中先生にお伺いをいたしたいと思います。  大学院改革の問題でありますけれども、先生の総合研究大学院大学についてのいろいろななぜ必要なのかというお話も承ったわけでありますけれども、既存の、既設の大学院充実ということで先生も御指摘をなさっておられますけれども、これについてもうちょっと今の既設の大学院役割というのは一体どういうものなのかということ、あるいは大学のあり方も含めまして、社会とのかかわりの中で一体大学院というのはどうあるべきなのかということも、その充実についての具体的な考え方なりをお伺いをしたいというふうに思います。
  52. 田中郁三

    参考人田中郁三君) お答えいたします。  今私は、大学院充実ということはやはり日本の、私は理工系でございますが、理工系に限らず、すべての分野についても日本のこれからの文化を築く上で最も重要な私は内容と義務を持っていると私は思っております。そういうことで、殊に今回出ました総合研究大学院大学と、それからまた御質問ありました連合大学院お話もございましたが、大学院として既設の大学院、これの一番まず充実が本当に図られていくことを望みますと同時に、一種の大学院多様化といろいろな分野について、あるいはいろいろな方法について我我は大学院充実を図っていくべきであるという考え方を持っております。そういうことで、あるいは学部を持たない独立大学院であるとか連合大学院、あるいは総合研究大学院大学というものがこれからの日本学術研究の将来にとって非常に重要なものである、私はそういうふうに思っております。
  53. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 大学院がこれからの日本にとって非常に大事なものになるというのは、これは田中先生と全く意見が同じでございますけれども、今までどうして日本大学院発展をしてこなかったのか、充実してこなかったのかということには実は幾つか理由があるわけであります。  その一つ理由は、日本高等教育というのはやはり学部教育力点が置かれまして、結局大学院というのはまさに学部の付属物であるというような意識がやっぱり大学人の中にもあったんですね。そのためにどうしても大学院そのものに力を入れるということが少なかった。ただ、近年になって理工系はこれは社会の事情もありまして、要請もあってふえてきたということは言えると思います。それから必要なところでは例えばビジネススクールのような独立大学院というようなものもできるようになってきた。だけれども、全体として眺めればそれは極めて十分でなかった。  今、人文社会科学系の大学院を見てこれをどう充実するかという問題になれば、やはり今までの大学院というのは本来二つの目標があったんですね。一つ研究者養成ということです。それからもう一つは高度の専門能力を持った職業人養成するということがあったんです。ところが、人文社会科学系ではその前の部分、つまり研究者養成というところに力点が置かれて、高度の専門能力を持った職業人養成というところには力が実は及ばなかった。それで、まだ特殊な例でありますが、ある企業なんかをとってみますと、日本大学から人を採るのは学部でいい、もっと高度の教育を受けた人は、例えば外国の大学院を出た人を採ればいいんだというようなことすら言われるような今状態になっております。これは日本高等教育にとってはゆゆしいことでありまして、やはりそういう意味日本の人文社会科学系の大学院充実しなければならない。それは教育に当たるカリキュラムとか教員とかあるいは施設とかそういった点での配慮をこれからもっと強めないと人文社会科学系の大学院というのは強くならないということを申し上げておきたいと思います。
  54. 勝木健司

    ○勝木健司君 引き続き石川先生に、私も総合研究大学院設置に賛成する立場からでありますけれども、この独立大学院というものがただ単に国のものとしてだけじゃなしに、やはり開かれた機関として私立大学教育機関とかあるいは研究者方々、場合によっては企業、民間も含めてそういう携わりというのが必要ではないかというふうに思います。そういった意味での私立大学立場からの石川先生の見解、また民間企業と大学院との協力体制、いわゆる産学協同の立場の点からも先生の考え方もあわせてお伺いしたいというふうに思います。  時間の関係で、あわせてこの新テストへの参加ということでありますけれども、確かにこの共通一次試験の十年間の実績の中で評価する点あるいは反省点ということでいろいろ披瀝をされておりますけれども、これを私大としても参加をしていく、育てていくという立場は必要じゃないかというふうに思うわけでありますけれども、これをどうやって克服していくのかということについてもお伺いをしたいというふうに思います。
  55. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 第一の件につきましては、これは勝木議員のお考えはそうあるべきだというお考えなんだと思いますけれども、私もそれには賛成でありまして、やはり総合研究大学院にしてもその基盤になる共同利用機関にしても、それはオープンな存在でなければならないということはもう間違いのない事実でありまして、ぜひこれを実現した暁には共同利用機関も含めてそういうことをしっかり考えていただきたいというふうに私は思っております。  それからもう一つの点でありますが、私は現在新テストというものについての中身がなかなか実感として肌に迫ってこないというようなところがあるんじゃないかというふうに思っております。随分これについては説明その他が行われたわけでありますけれども、それぞれの大学について見ますと、それをまた持って帰って全教授に説明をし理解を求めなきゃならないということになってまいりますと、なかなか一つのことでもそこまで徹底していくということは非常に難しい。したがって、どんなことになるのか少しく様子を見てから考えようというような考え方が私は支配的になってくるというのは、これは避けがたいところがどうもあるような気がいたします。  したがって、私は、そういうようなことをやってみて、利活用についてもどんな多彩な方法があるのかということが考えられれば、わかってくれば、またそれを検討するという機会は出てくるのではないかというふうに考えておりますし、また、これは私にはよくわからないことですが、新テストをやれば序列化、輪切りが進むという考え方が必ずそうなるのかというふうに考えますと、私は利用の仕方によってはそうはならないと思うんですね。今よりよほどそうはならないだろうというふうな気がするわけでありまして、これは利用方法によって非常に違ってくるということで、その点もまだはっきり出てこないというようなところがありまして、私はそういう意味では先ほど来これを育てていくという気持ちで考えた方がいいんじゃないかと。これがだめだった場合の後のことを考えますと私はちょっと慄然とするわけで、そのときのことが非常に気になるということを申し上げておきたいと思うんです。
  56. 勝木健司

    ○勝木健司君 もう時間が来ましたけれども、あと有江先生にちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、国大協の入試改善特別委員会の報告でも、六十五年度実施までには国公私立合わせた統一実施母体というものが本当に確立するのかどうかという指摘がなされておるわけであります。私立も参加するのかどうかということも危ぶまれておるわけでありますけれども、まあ長い目で、そういう意味ではやっぱり見切り発車もやむを得ないという立場に立つものでありますけれども、ただ高等学校からの意見がありますこの十二月実施、そういうことにつきましても、前回の共通一次の実施のときにもやはり十二月下旬が提案をされてこれが一月になっておるといういきさつがあるというふうに聞いておるわけでありますけれども、この辺も含めて、こういう新テストの試行ということでことしもされますけれども、もっと柔軟に対応していく考え方も必要じゃないかというふうに思うわけでありますけれども、これについての御意見をお伺いしたいというふうに思います。
  57. 有江幹男

    参考人有江幹男君) お答え申し上げます。  御承知と思いますけれども、国公私立の学長のお集まりになりました準備協議会というのが大学入試改革協議会の横につくられておりまして、そこの方々が横断的なお考えを持って処置してくださるものと私は理解しております。  それから、これも申し上げましたが、既に臨教審の答申の中にもありますとおり、新しい入試センターとしては国公私立大学共同利用機関という位置づけがはっきりしておりまして、それを運営するためには評議会の設置、これは国公私立の学長その他の責任者の方が入るもの、それから、その別に今度は入試センターにやはり同じでございます協議会というのが設けられるということで、ここには高等学校の先生も入るかもしれませず、それから、評価委員会という組織ができまして、これは先ほど申し上げましたとおり、実際に実施したものの改善のことをウオッチする委員会でございます。こういうことがはっきりと出ておりまして、既に先ほど申し上げました準備協議会というものが発足しておりますので、予定の時期における発足には心配はないと私は思っております。
  58. 下村泰

    ○下村泰君 田中先生と石川先生に御意見を伺わせていただきたいんですが、私、国会へ参りましてから障害を持った方々の問題を常に取り上げて今日まできております。したがいまして、今度の大学院の設立問題に関しましても、お話を伺っておりますると、何ですか、もう本当に優秀な人材ばかりが集まることによって形成される。そうなりますると、障害を持った方の中にも当然向学心に燃えている方もいらっしゃいましょうし、また、健常者を上回るだけの能力を持った方も中にはいらっしゃると思います。そういう方々がもしその大学院の方に御希望がある、あるいはそれだけの能力があるという場合にはどういうふうなお考えをお持ちなのでしょうか。それをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  59. 田中郁三

    参考人田中郁三君) ただいまの下村委員の御質問につきましては、いわゆる学部入試、それから大学院入試と、いわゆるその時点でございますけれども、どちらも障害者に対して同じ立場といいますか、同じように、あるいはその障害者という立場を考えながら含んで入学をさしているところがあります。現実に我々の大学におきましても障害者がこの間ドクターを取りました。そういうことで、大学院については学部と同じように、特に障害者であるからということでは全然我々は考えておりません。同じように、ただそのために、障害者のために必要な環境といいますか、そういうものは考えております。
  60. 石川忠雄

    参考人石川忠雄君) 今田中参考人が言われたことと私も同じ意見で、ただ、これはこういう席で申し上げるべきことかどうかちょっとわかりませんけれども、我々も障害をお持ちの方の学生のためにいろいろな施設的な改善をやっております。しかし私学の場合はそういう施設的な改善については自分の大学の経費でやらなければならない、負担でやらなければならない。これは一般の学生にとってみますと、学校の運営というのは主として学費を中心に運営しているわけでありますから、そういうことを考えますと、この障害をお持ちの方の、持っている学生のさまざまなそういう施設的な問題というのは私は少しく国で考えていただいてよろしいのではないかと、そういうふうに思っております。
  61. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。  中沢先生にお伺いしたいんですが、何ですか、先ほどからずっとお話を伺っておりますると、高等学校教育のあり方というのに私は物すごく疑問持っちゃったんですね。と申しますのは、新テストがどうであるとかこうであるとかというお話伺っておりますると、何か大学を受験するための高校であって、じゃ、今の高校の教育はそのまま終って社会に出たら役立つ人間じゃないのかというような感じを受けるんですよ、お話を聞いておりますとね。ですから、行った以上は、今の現在の高等学校教育のあり方の本質というものは一体どういうところに力点を置いて教育なさっているのかということについて、まずひとつ聞かせていただきたいと思います。
  62. 中沢浩一

    参考人中沢浩一君) 大学に入る教育、またそのための準備の教育さえしていればいいじゃないかというようなことは全く考えておらないわけです。豊かな人間性を培うとか、本当に国民として必要な基礎、基本をしっかり身につけさせるとか、そういう社会の期待にこたえて立派な人材を育てていかなきゃならない。個性豊かな生徒を育てなければならないと思っております。しかし大学に入りたいという生徒がおり、それからぜひ入れてくれという親がいるわけでございますので、ですからその希望にもかない、こちらの方もこちらの方もやるというところに努力しなきゃならないと思っておりますが、そこにいろいろ苦労があるというのが現実でございます。
  63. 下村泰

    ○下村泰君 先ほど中沢先生の、何か三通りも四通りもあるような受験のあり方をお話し伺ったんですけれども、そうなると、何か高校生の性格が何だかしら人間がだんだんひん曲げられるような感じがするんですね。その試験のためにとにかく学校へ行かなきゃならない、受験をするために行かなきゃならない。大学へ入るためのこういういろいろな形の受験の方法がある、そのために苦労をしなきゃならない。それはまあ十八、九の年ごろというのは、いわゆる鉄は熱いうちに鍛えろという年齢ですから、いろいろな私は人間としての試練に立ち向かうことは結構なことだと思います。またそういう、私らの芸能界の方で言えば修羅場と言いますが、そういう修羅場を数多くくぐらなければ人間形成はなかなかできてこないというのはわかります。  ただ、一つ問題は、こういった新テストがどうのこうのとか、こういったことのあり方を考えているのが大体平均六十以上ですね。私ももう六十六なんですけれども、もう五十、六十になってくると、その十八、九の年代の本当のあり方というのはわかるんでしょうかね。ただ、形の上でああすればいいだろう、こうすればいいだろうというだけのことであって、失礼ですが、今ここにいらっしゃる参考人の諸先生方もお孫さんがいると思うんですよ。で、お孫さんをお守りしているときに何か考えますか。私、孫と一緒に相手していますと、ほけっとなりますな。何にも考えないことがあります。これは孫のお守りしているとおれはぼけるぞと、ぼけが早く来るんじゃないかというような感じになります。ですから、ある程度一定の年齢が高くなってしまった方と、まあまことに申しわけない、失礼な言い方かもしれませんけれども、そういう方々が考えて、何か私は高校生をいじめているような気がしてしょうがないんですよ。  それで、中沢先生にお伺いしますが、これ実現不可能でも結構です。実現不可能でも結構ですが、この現在の試験のあり方、これが一番高校生にとっては理想的な形というのがあると思うんですが、その御意見を聞いて私は終わりにしたいと思います。実現不可能で結構です。これが本当に子供のための受験なんだ、理想的であると。
  64. 中沢浩一

    参考人中沢浩一君) 今明確にはちょっと端的には申し上げにくいんで、少し検討さしていただきたいと思います。
  65. 下村泰

    ○下村泰君 有江先生いかがですか、もしございましたら。
  66. 有江幹男

    参考人有江幹男君) これは先ほど、私が工学部長のときに医学部長でいらっしゃいました高桑先生が、一点をもってというのはどうかということについて、私個人の、実現できるできないにかかわらず、人の能力個性、将来、そういうものをはかる尺度は一点にあらずということを申し上げました。ですから、どういう試験がよろしいか。ないのが一番いいと思います。実現の可能、不可能は別としてでございます。
  67. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。
  68. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれをもって終了いたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせくださいましてまことにありがとうございました。本委員会を代表し厚く御礼申し上げます。(拍手)  午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ─────・─────    午後一時三十五分開会
  69. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 久保亘

    ○久保亘君 最初に、文部省にお尋ねいたしますが、今日本全体で通信教育において添削のために送られ、また送り返す郵便物の総数はどれぐらいと見ておられますか。
  71. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 私どもの方では高等学校に関しての数を申し上げるわけでございますが、現在高校通信教育の生徒数が十四万八千人程度でございます。一単位ごとに添削指導につきましては大体三通の添削指導で郵便を出すわけでございまして、八十単位という卒業の資格との関係で掛け算をいたしますと、一人の生徒が八十単位を修得するためには約二百二十通の郵便を出す必要がある。これが十四万八千人でございますから三千二百九十万通。そして、これは四年間でございますから、一年間、年間当たりで考えますと、八百二十万通というのが先生御指摘の回数になろうかというふうに思うわけでございます。
  72. 久保亘

    ○久保亘君 郵政省にお尋ねしますが、高等学校だけで年間八百二十万通ということでありますが、高校以外の通信添削を含めて年間に大体どれぐらいの郵便物が取り扱われておりますか。
  73. 高木繁俊

    説明員高木繁俊君) 郵便の料金体系、一種から四種、小包とございますが、四種郵便物の中に通信教育のための郵便物というものがございまして、この取扱通数は六十二年度で申し上げまして一千七百七十万通程度でございます。
  74. 久保亘

    ○久保亘君 この郵便物は百グラムまでが十二円となっておると思いますが、間違いありませんか。
  75. 高木繁俊

    説明員高木繁俊君) 百グラムまで十二円、間違いございません。
  76. 久保亘

    ○久保亘君 ところが、現在郵政省が発行しております切手は、十二円切手が新たに発行されなくなっておりまして、この通信教育を受ける側、通信教育を行う側にとっては、二種類の切手を組み合わせて使わなければならぬという状況になっておりますために大変煩雑になっておるわけでありますが、十二円切手を再発行するというお考えはありませんか。
  77. 高木繁俊

    説明員高木繁俊君) 先生今お話しのように、私どもといたしましては、郵便料金を納めていただく際に今郵便切手を張っていただくわけでございますが、現在の郵便料金の基本的な料金だけ見ましても八十九種類の料金設定をいたしております。したがいまして、この八十九種類の料金にそれぞれに適合した郵便切手を発行するということになりますと、私どもの内部の保管の問題であるとかあるいは取り扱いの問題、大変煩瑣になってまいります。そういう意味で、私どもは二枚以内の切手を張ることによって料金を納めていただけるような、そういう切手の発行の仕方をいたしております。十二円一枚よりは十円と二円と二枚張るという方が手数はかかろうかと思いますが、私どもの今申し上げたような事情がございまして、その辺の新しく十二円の切手を発行するという点につきましては御勘弁をいただきたいと、かように思っております。
  78. 久保亘

    ○久保亘君 一定の金額の切手を発行するための基準というのは、郵政省はどれぐらいの郵便物の数を考えておられますか。
  79. 高木繁俊

    説明員高木繁俊君) 通常使用いたします切手につきましては、先ほどもちょっと触れましたんですが、余りロスが出ないような、内部的なロスが出ないようなまとまった量のあるものということで発行いたしておりますが、一応内部的には年間二千万枚以上使用していただける、そういう額の切手を発行するようにいたしております。
  80. 久保亘

    ○久保亘君 文部省、今高等学校だけで八百二十万通、その他を加えますと郵政省の計算では千七百七十万通の郵便物が通信教育のために使われている。そして二千万通以上あればその金額の切手を出す、こういうことなんだけれども、通信教育というのは今後さらに発展をさせるべきものだと考えておられますか、それとも逆の立場をおとりになっておりますか。
  81. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 高等学校の通信制の教育につきましては、定時制とともに若干生徒数の減が過去見られるということは事実でございますが、今後の教育のあり方を私ども考えます場合に、やはり基本は生涯教育というところが一つの視点でございます。その視点から申しましても、働きながらという以外に、社会に出てからも高等学校教育を受けるという方々のためには、高等学校の通信教育はより充実、振興しなければならないというのが一つの私どもの基本的立場でございます。  それから、もう一つ立場といたしましては、やはり今後の後期中等教育の問題といたしまして、定時制と通信制の併修の問題、今後の課題としては、例えば全日制の学校と通信制の学校をどのように考えるかというふうな組み合わせも課題としてあるわけでございまして、後期中等教育の中だけの問題といたしましても、通信教育充実はより今後考えるべき課題であるというふうに私ども思っているわけでございます。
  82. 久保亘

    ○久保亘君 文部大臣、これは郵政省のもう非常に合理的な物の考え方からすると、二千万通以上でないと十二円の切手を出すわけにはいかぬという考え方というのを理解できないわけではありませんけれども、通信教育の今後における重要性というものをさらに考えていかなければならぬということを考え、また勤労青少年の教育の振興というようなことを念頭に置きますならば、むしろ郵政省も何かにつけて記念切手もお出しになるわけですし、通信教育の振興に役立つような形で、しかも通信教育を受ける者、通信教育に従事をしている教職員、こういう方々立場を考慮に入れれば、通信教育を奨励することに役立つような十二円の切手を発行してもらう、そういうことを文部省としても郵政省に要請をする立場というのをおとりになってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  83. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) おっしゃるように、これから通信教育というのは、だんだん生涯をかけまして、また働く青少年にとりましても重要なやっぱり教育上、そして活用すべき範囲がだんだん広まるであろうと私も思います。そういう面で、手間が少しでも軽減されるということは好ましいことでございます。恐らく、あるいは私はだんだん数がふえて、そして郵政省さんの一応の水準、黙っておってもこれが十二円切手発行していただくことになるということも考えられますけれども、心の中では確かに通信制の一層の普及のために軽減されるべきものはできるだけ軽減されていくことは好ましいなと、このように率直に考えます。  これからどのように、郵政省さんのお立場もありましょうから、少し研究してみて、そして手間のかからないように、あるいはこれはちょっとわからぬのですが、切手を張らずにスタンプでやったらどうなのかと、これわかりませんけれども、いろいろちょっとそこら研究をさせて、軽減をすべき方向にぜひいっていただきたいということは十分考えます。
  84. 久保亘

    ○久保亘君 これは一遍にまとめてということができにくいことでございまして、それで現実に通信教育課程の教職員は切手を張るわけです。そうすると、二種類の切手を用意してやらなければならぬわけでありまして、私は、そういう事務上のいろいろの問題も一つありますし、二千万通以上ということに一応の基準があるにしても、現に千七百七十万通も使われておるのに、だからむしろ通信教育の振興というような意味でも、意義ある切手を用意してもらうというぐらいのことは、文部省が積極的におやりになっていいことではなかろうかと思うんですね。余り望まぬことは一生懸命おやりになるようですけれども、現場のそういう教育上の強い要請のあるような問題についてはしっかり受けとめて、郵政省もいろいろ御事情もあろうと思いますけれども、十分協議をして、そういう問題を積極的に解決していくというような立場をおとりになった方がいいと思うんですが、いかがですか。
  85. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) これは事務的にいろいろ研究し、詰めさせてみたいと思います。
  86. 久保亘

    ○久保亘君 それでは、この国立学校設置法の問題についてお尋ねいたします。  学校教育法は、第五十三条において「大学には、学部を置くことを常例とする。」と定めておりまして、六十八条の二で「教育研究上特別の必要がある場合」を限定して、独立大学院設置を認めております。今回の総合研究大学院大学設置されるに当たって、教育研究上の特別の必要は何であるか、具体的に御説明をいただきたい。
  87. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) このたびの総合研究大学院大学でございますけれども、これほかねがね申し上げておりますように、国立大学共同利用機関研究基盤として、新しい形での大学院教育を行おうという性格のものでございますので、そういう非常に特殊性を有するものでございます。このようなものを独立大学院という形でなくて、既設の大学大学院に組み込んだ形でつくるというようなことになりますと、そもそも共同利用機関を各大学から独立して設けた趣旨というようなこととの関係からも、必ずしも適切でないという状況にもなってまいりますので、こういったタイプのものについてやっていく場合には、やはりこれは独立大学院大学として設けていくことが必要だという特別の事情があるというふうに判断をしておる次第でございます。
  88. 久保亘

    ○久保亘君 それは少し因果関係逆になるんですね。学校教育法の六十八条の二は「教育研究上特別の必要がある場合においては、第五十三条の規定にかかわらず、学部を置くことなく大学院を置くものを大学とすることができる。」となっているんです。学部を置くことなく共同利用機関を基本組織として大学院をつくりたいから教育上特別の必要があるというのは、これは法律の規定していることを逆に読んでいることになりませんか。私が言っているのは、そういう共同利用機関を基本組織として学部を置かない大学院大学をつくるその教育研究上の特別の必要性というのは何かと聞いておるんです。
  89. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) この特別の必要性というのは、読み方はいろいろあろうかと思いますが、私が申し上げましたのは、先生とはあるいは意見が違うのかもしれませんけれども、この総合研究大学院でやることを期待をしておりますような分野というのは、国立大学共同利用機関において行われている分野であって、それを実施するということを考えました場合に、大学院教育として実施をするということを考えました場合に、それを既設の大学の中で組み込んで措置をしていくということが必ずしも運営上等から適切でないということでございまして、そういうことを広く教育研究上の特別の必要性という形で読むということで私どもは考えておるわけでございます。  なお、さらにつけ加えて申し上げますれば、今回の大学院大学は、学部段階の教育研究にこだわらずに多様な分野基礎として大学院独自の教育研究を展開するということをねらいとしているものでもございますので、そういった見地からも学部とのセットで考えていくという方式でない方式ということが出てきておるわけでございまして、そういった必要性を総合的に考えましてこの教育研究上の特別の必要ということでお願いをしておる次第でございます。
  90. 久保亘

    ○久保亘君 読み方はいろいろあると言われたけれども、その法律をつくった、まあ法律をつくったのは国会かもしれぬけど、この法律を国会に提出した側がいろいろな読み方があるという考えでは困るんでしてね。  で、共同利用機関大学院の基本組織としていくためには学部を置かない大学院になるので、教育研究上特別の必要があるという、そういう理屈の立て方になってくるんで、これは私は非常に逆の見方だと思う。やっぱりそういう共同利用機関を基本組織として学部を置かない大学院をつくる上で、それをつくらなけばならない教育研究上の特別の必要性というものをきちんとせらるべきではないかということなんですが、押し問答になりますから、それじゃ、別の角度から質問いたします。  じゃ、数個の共同利用機関を連係させながらつくられる大学院というのは、教育機関としての大学院の目的に沿いにくいのではないか、非常に無理なつくり方になるのではないか。つまり独立大学院教育上の基本組織として共同利用機関を幾つか集めるということが、これが大学院大学をつくっていく上で一番妥当なやり方なのかどうか。そのことはどう思われますか。
  91. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 今回の総合研究大学院大学は、もちろん共同利用機関を実質的な母体としてつくるわけでございますけれども、形式的には別個の大学ということで措置をするわけでございます。  あるいは先生の御質問を若干正確に理解をしていないのかもしれませんけれども、個別に、共同利用機関を個別に母体としてつくるという方式と、それから、今回のようにいわば連合した形でつくっていくという方式と、二つの方式がこういう機関母体にする場合にあり得ると思うわけでございますが、今回の考え方といたしましては、個別につくるということによって、そういう方式をとる場合には非常に狭い分野のものに限られてしまうということは、将来の研究者として大成を目指すためにはもう少し広い分野、他の研究分野等に対する理解もあっていいんではないかというようなこと等を総合的に勘案をいたしまして、全体を共同利用機関で、参加を希望するもの全体をまとめる形での連合体での大学院大学という形を構想した次第でございます。
  92. 久保亘

    ○久保亘君 共同利用機関をこの新しい構想の大学院組織化していくことによって、共同利用機関が今日まで本来的に持っていた役割というのは変化しなければならなくなりませんか。
  93. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 今回の参加を予定しております四つの共同利用機関は、それぞれこれまでも研究を実施すると同時に各既設の大学大学院学生研究指導を受託いたしまして、数十名あるいは数百名の学生をこれまで指導を行ってまいってきたという実績もあるわけでございます。今回は、そういった教育をより組織的なものとして実施をしていこうということをねらいとするものでございますので、そういった意味では従来の共同利用機関の教職員に従来以上の負担をかけるという面がないわけではないとは思っておりますけれども、しかしながら、それによって本来の共同利用機関としての研究が損なわれる、あるいはマイナスの影響があるというようなことではなくて、むしろこういった新しい学生を教えながらやっていくということによって、学者、研究者の方方の研究というのはより一層進展をしていくような面もあるというプラス面等を考慮いたしますと、言葉は適当かどうかは別でございますが、悪影響があるというようなことにはならないというふうに考えておる次第でございます。
  94. 久保亘

    ○久保亘君 今度の、それでは総合研究大学院大学共同利用機関を基本組織としてつくることによって、文部省がこの大学の運営、研究に投下される新たな予算というものをどういうふうに見ておられますか。完成した段階において、今の共同利用機関に使っております経費にどれぐらい、この総合大学院大学をつくることによって共同利用機関に対する予算措置がなされるんですか。
  95. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 創設に当たりまして逐次これは毎年度の予算で内容的な整備をしていくわけでございますけれども、現在文部省段階で想定をしております数字ということで申し上げますと、平年度ベースになりました場合のこの大学院大学の運営のための経費として約六億円程度、こういうふうに考えております。
  96. 久保亘

    ○久保亘君 大変安上がりの大学をおつくりになるわけですね。今高等学校一つつくるのでも百億に近いお金が要るんです。  それで、そこで問題になりますのは、午前中、国立大学協会の代表の方々等がお見えになりまして、ここで大学院の問題についてお話がございました。基礎的な研究とか先端技術発展に寄与していくために大学院の飛躍的な充実強化が今日求められている、こういうことでありました。その飛躍的な充実強化というのは、大学院に対する研究費とか施設設備とか、そういうものに対して文部省が思い切った措置をしていくということがまず先決なのであって、何か目新しい大学院をつくって、そして一つの体裁をつくってみたということで大学院の飛躍的充実強化にはならないと思うんですが、今後、大学院というものの今大学側が求めている飛躍的な充実強化ということについて、将来構想というものを全体としてどういうふうに描いておられますか。
  97. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) かねて申し上げておりますように、今回の大学院大学をつくるということも大事なことでございますが、あわせまして、既設の大学大学院充実、整備をしていくということも大切なことであるという基本的認識を私どもは持っておるわけでございまして、そういった見地から将来の姿と申しますか、基本的な整備の方向につきましては、量的な問題も含めまして、あるいは制度的な問題、両者にわたりまして大学審議会の大学院部会で現在具体の検討に入っていただいているわけでございます。  ただ、もちろんこれと並行いたしまして私ども既設大学大学院の整備には力を注いでいるつもりでございまして、例えば昭和六十三年度の予算におきましても、これは国立大学の場合でございますけれども、十の大学に十の研究科を、ドクターコースの新設というようなケースも相当数含めまして新設、整備をするというようなことも実施をいたしておりますし、さらに専攻増等も相当数措置をいたしております。また、設備の面につきましては、六十二年度の予算から大学院のための特別の設備費の計上というのをいたしまして、六十二年度三十二億円程度であったと思いますけれども、六十三年度はこれを三十五億円レベルにまで増額をするというようなことで、これは国公私立を通じて大学院にお配りをするという新たな制度を動かし始めたわけでございますけれども、そういう形での設備の援助というようなことも行っておるわけでございまして、大学院部会での御検討をもちろん横目で見ながら、できることについては今からでもそういう形で対応に努めているというところでございます。
  98. 久保亘

    ○久保亘君 大学側の大学院に関するいろいろな検討の結果とか、あるいはその審議会の大学院部会の検討というのは、これは横目で見ておっちゃだめなんであって、そういうものをもう少し真っ正面からちゃんと見て、そしてそういうものの議論をしっかり検討し尽くした上で大学院の将来ビジョンというものをきちんとしていかなければ、何か一つ目新しいものを手がければ、それで大学院大学の新しい分野を切り開いて、これで大学院大学というものが非常に大きな意味を持ってくるんだというふうな理解に私どもはどうしても立てないんです。  それで、大学自体検討していると言われている問題で、東京大学大学院重点の学院構想を検討しているということが言われております。文部省はこの東京大学検討している大学院重点の学院構想というのをどういうふうに受けとめておられますか。
  99. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 東京大学におきまして大学自体としての自主的な大学改革の一環ということで、大学院に重点を置いた改革構想ということが学内で取り進められておりまして、これに関して同大学の中で大学院問題懇談会というのが設けられまして、何回かにわたって中間答申という形で考え方が示されているということは承知をいたしておるわけでございまして、これからの我が国大学院充実を図っていく、発展を図っていくという面でこういった御検討が関係の大学で自主的に行われているということについては私どもは結構なことであり、評価すべきことであると思っておるわけでございます。  しかしながら、今回の東京大学の具体の改革構想そのものにつきましては、現在中間段階ということでもございますし、内容につきましても私ども資料等を拝見いたしましてもまだわからないことも多々あるというような状況でもございますので、こういった中間の段階で行政機関である文部省としてそれについての意見を言うということは差し控えさしていただきたいと思うわけでございまして、大学としてのある方向が固まってくるという状況を今非常に興味と関心を持って見守りつつあるところであるということでございます。
  100. 久保亘

    ○久保亘君 三月の十五日に東京大学の評議会は、その大学院問題懇談会の第二次中間答申を受けて、それに対して東大の評議会としてはこの第二次中間答申を大体合意したんですか。
  101. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) ちょっと時点は正確でございませんけれども、大学院問題懇談会の中間報告を評議会として中間報告ということで了承をしたということは承知をしております。
  102. 久保亘

    ○久保亘君 論評を差し控えたいということでありましたけれども、東京大学の評議会がその中間答申を了承したということになりますと、文部省としても当然この大学院に重点を置いた学院構想というものの内容については十分承知をされていることだと思うので、この学院構想というものはどういう考え方を持ち、何をねらいとしているのかということについて文部省がその理解されていることを説明してもらいたいと思う。
  103. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 第二次中間答申で言われておりますことの中身でございますけれども、まず学院という制度を置いているということでございますが、この学院というものの考え方は、大学学部研究科とから成っておるわけでございますけれども、研究科により重点を置いて、しかも研究科と学部のつながりを重視した教育研究組織ということでこういうものをつくっていこうということでございまして、学院の組織のあり方として二種類を提言しておるわけでございまして、一つは統合型と称しておりますが、要すれば学部研究科を統合して学院というものをつくるというものでございまして、それが学内における自治の一つの単位にしようという考え方でございます。  それから、もう一つが包括型と、こう言っておりますけれども、学部研究科というのはそのまま存在をするけれども、両方をつなぐ連携の組織として新しく学院という傘をかぶせるというようなことのようでございまして、この場合には従来どおり学部には教授会、研究科には研究科の委員会が置かれるということで、それぞれごとの運営が行われるというような仕組みになるわけでございます。  そういったようなことが主なる内容であろうかと思っておりますが、まあ私どもこの内容を見て、中間報告そのものを見まして、さらに制度的にはどうなるんだろうかというようなことはにわかにこれからはまだ判断できる材料になっていない、こういうふうに見ております。
  104. 久保亘

    ○久保亘君 東京大学がこのような検討をやっている、その背景といいますか根底にあるものは、今の大学院に対する研究費を初めとする予算措置が非常に劣悪であるということが言われているんでありまして、そのことを一つやっぱり裏書きするといいますか別の角度から立証するものとして、竹下さんがことしレーガン大統領と会われました際に、特に外国人研究者日本研究機関教育機関への受け入れを重要な政府の施策として約束されたということなんでありますが、実際に外国人研究者日本教育研究機関にやってくる、そういう見通しはどういうふうになっているのか。少なくとも竹下総理の国際公約では三百人ぐらいの目標を置いて外国人研究者を迎えたいということだったと思うんでありますが、今文部省が見通し得る外国人研究者日本にやってくる人数というのはどれぐらいのものを予測されますか。
  105. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 文部省関係で大学等に外国人研究者を受け入れておるわけでございますが、文部省の予算が絡んでいるものだけで申し上げますと、これは昭和六十一年度の実績でございますけれども、外国人研究員あるいは外国人教師、さらには日本学術振興会を通じたいろいろな研究員の受け入れということで、年間約二千四百人という数字を持っております。  ただいま先生からもお話がございました、今後ますます外国人研究員を日本大学研究所でもっと受け入れていかなければいけないという点につきましては、昭和六十三年度の新しい事業といたしまして外国人研究制度というものを創設いたしました。これによりまして、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス等の博士号取得直後の若手研究者、これからその研究のピークが出る、こういう方々日本に百人ほどお招きをいたしまして、これは文部省関係だけでございますが、一年間、航空運賃や滞在費を支給いたしまして、日本研究者ともども日本大学研究機関研究していただく、こういうことになっております。したがいまして、こういった制度あるいは従来の既存の制度を活用いたしまして、今後とも外国からの研究者の受け入れを充実していきたい、このように考えているわけでございます。
  106. 久保亘

    ○久保亘君 いや、私が言っているのは、いわゆるあなたの二千四百人の問題ではなくて、新たにそういう共同利用機関的な研究所の研究員的なものとして三百人程度の受け入れを約束して帰ってこられたはずでありまして、それに対応する文部省が今百人と言われた。しかし、その百人の受け入れについては具体的な見通しができていますか。
  107. 植木浩

    政府委員(植木浩君) これにつきましては、やはりそれぞれの国の学術振興機関といいますか、あるいは国際学術交流を担当しております機関、例えばアメリカで言いますと国立科学財団、そういったところと今いろいろと連絡をいたしまして、すぐれた研究者が新たにこの新しい制度日本に来られるようにということをいろいろと連絡中でございます。したがいまして、私どもとしては、文部省関係の百人はぜひとも優秀な若手研究者をお招きしたい、こう思っておるわけでございます。
  108. 久保亘

    ○久保亘君 文部省のそういう熱意はわかりますが、具体的にその外国人研究者がそれじゃ文部省が考えているとおり日本にやってくる。頭脳流出ということがよく言われてきましたけれども、今度は逆に頭脳の流入というのかな、そういうようなことが順調に進んでいるとは我々は聞いていないんです。日本研究機関研究環境などからくるマイナスイメージというものがいろいろあって、外国人研究者が二の足を踏むというような状況があってなかなか計画が進まないというような一部の見方があるんですが、そういう点は杞憂にすぎませんか。
  109. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 日本基礎研究といいますか、こういった水準もいろいろな分野で世界の第一線級になってきている分野がふえつつございます。そういうわけで、アメリカ、ヨーロッパの研究者でも日本研究に非常に注目する人たちがふえている、こういうふうに聞いておりますし、例えば米国では、そのために英語で日本学術研究を吸収しようとしてもだめだ、自分たちみずからが日本語を勉強しなければもう間に合わない、あるいは英文で翻訳をされた雑誌を見ていたんでは間に合わない、日本語の学術雑誌を直接見なければ間に合わない、こういうようなことも言われておりまして、まだまだこれからではございますが、そういう流れが次第に出てきておりますので、私どもとしては、もちろん楽観はいたしておりませんけれども、受け入れ体制などを十分に整備して、今申し上げましたような計画が十分にこれが行われますように努力をしてまいりたいと思っております。
  110. 久保亘

    ○久保亘君 私が今東京大学の学院構想の問題と外国人研究者の受け入れの問題について申し上げましたのは、いずれもその根底にあるものは、日本学術研究の予算あるいは大学院大学に対する予算というものが非常に少ない、そのために教育環境、研究環境というものが研究者の期待をするような状況になっておらない、こういうことが問題であって、だから大学側が求めている研究教育のための大学院の飛躍的な充実ということのためにはまず文部省が必要な予算を確保する、こういうことが先決とならなければならぬのじゃないかということを申し上げたかったのであります。  それで、そういうことなしに、独立大学院学校教育法設置が可能になっているから、この際共同利用機関を基本組織として、何としてでも総合研究大学院大学独立大学院としてつくりたいということでつくっただけでは、魂の入らない仏を刻むようなものでありまして、文部省が表向き言っておられるような成果は期待できないのではないか。また、大学院の全体的な将来ビジョンというものが明確になっていない段階で部分的にいろいろな試みをやるということだけで今日我が国大学院大学に求められている問題を解決することにはならないのではないだろうか、こう考えるのでありますが、文部大臣、いかがお考えですか。
  111. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) おっしゃるように、これからの日本としては、かつての流出から頭脳流入をいたすという面からも世界に貢献をしていく時代に入っていると私も考えます。そういう意味では、今までの既存の大学院充実するということと、またその各大学がそれぞれ自主的に自分の学校の内部改革、それから充実を図っていくということ、これまた結構な話ですし、なければならない努力だと思っておりますし、またもう一つは、こういう共同利用機関を使って博士課程大学院をつくることによりまして、日本のただ乗り論というわけではございませんけれども、今まで技術面の研究が先行して基礎部分の基礎研究がおくれをとっているのではないかという面もともにやはり解決し、基礎科学研究に重点を置くやはり研究充実というものが必要でありましょうし、先生が最後に指摘されましたこれに対しては、やはり公財政支出の充実が必要ではないか。それはもちろんでありますけれども、同時にやはり環境整備等の研究できる環境を、今申し上げたような自主的な改革と、それからやはりそれぞれの学部大学院では持てないような大きな共同利用機関を活用することによって基礎研究に資する、そういう二つが相まって外国からも魅力ある人材の流入を図る基盤を培える、このように思っておりますので、公財政支出もさることながら、環境整備にも一層の力を入れていくべきである、このように考えております。
  112. 久保亘

    ○久保亘君 よしんば、その総合研究大学院大学設置に理解を示すとしても、そういう新しい試みである大学院をつくっていかれる場合に、従来の学校教育法の中で決められていたそういう大学に関するいろいろの取り決めというものを新しい大学院大学に限って法律の外へ置くといいますか、政省令に大幅にゆだねていくという考え方に立たれる一番の理由は何ですか。
  113. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 今回の総合研究大学院大学につきましては、学校教育法上の第一条の規定による大学であって、先生御指摘の条文を引かれました大学院のみを置く大学だということで置かれるわけでございまして、そういう意味から、学校教育法上の関係の規定がそのまま適用になるというふうに考えておりますし、また国立学校設置法の上におきましても、現在既存の国立大学と同じような位置づけをいたしておるわけでございまして、そういった意味で、例えば研究科を増設をするということにつきましては、今後政令事項ということに相なるわけでございますけれども、これにつきましても、既に既存の大学研究科の創設はすべて政令事項と相なっておるわけでございますので、そういったものとのバランスを見て位置づけをするというふうに考えておる次第でございますので、御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  114. 久保亘

    ○久保亘君 先般からこの委員会においても、総合研究大学院大学の内容については政省令にゆだねられる部分が非常に多いという御指摘がありました。そしてそのことは、極端な言い方をしますと、国立学校設置法を、文部省がみずから新しい大学院大学設置に当たって否定をすることにならないかという意見もあるのであります。だから、そういう点について全然従来の大学あるいは大学院と変わるところはない、法律上何ら変わるところはないと言うならば、新たにこの総合研究大学院大学に関して定められる政省令の原案を、試案を示すべきではないか、こう思うんです。そして、それは同時に、いろいろ審議をして、あなたが言われるようになっているのかどうかというのを我々は確かめなければならぬと思うんですが、全然今までのものと変わりがないと言うならば、一番はっきりしているのは「(第三条の三に定めるものを除く。)」というのが何で入ってくるのかという問題、これだけが、何で今度の新しい大学院大学だけが三条の規定からは除かれるのかという問題になってくるわけです。どうですか。
  115. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 「(第三条の三に定めるものを除く。)」ということで規定をいたしましたのは、その第三条の国立大学の、我々短冊と言っておりますけれども、大学の名称、位置等が短冊型で掲げられております。それの中に並べて書くのにはかなり性格が違うものであるので、別条起こして、総合研究大学院大学という固有名詞を持つ大学をつくるんだということを別条で規定したためにそこから外したという、条文の整理だけの問題であるわけでございます。  それからなお、政令事項についてのお話がございましたが、政令につきましては、これは先生御案内のように、法律が通りました段階で内閣の審議を経て政令というものが決まってまいるわけでございますので、そういう前段階で私どもとしてその政令がこういうふうにありますということを公にお示しするということは、やはり事の性格上差し控えるべき性格のものであろう、こういうふうに思っておるわけでございまして、ただ、具体に政令で何を書く予定かということは、今回の総合研究大学院大学について申しますれば、この大学大学院に置かれる研究科の名称と課程、課程というのは博士課程修士課程の別でございますので、博士課程だということを書くということと、それから、法律上、連係協力をする国立大学共同利用機関というのは政令で定めるとなっておりますが、これも、かねて申し上げております四つの国立大学共同利用機関が、このいわば母体となるものであるということを政令で定める、こういう二点を予定いたしておるものでございまして、従来の大学の場合と特別に違って、政令以下の段階に多くをゆだねているという仕組みをつくっているわけではないということで御理解賜りたいと思う次第でございます。
  116. 久保亘

    ○久保亘君 この大学院大学の問題については一応質問をここで置いておきまして、次に入試センターにかかわってお尋ねいたしますが、今度の法改正を詳細に見てまいりますと、大学入試センターの扱う業務について抜本的に考え方が変わっているような条文になるわけです。これまでは「国立大学入学者選抜に関し、共通第一次学力試験の問題の作成及び採点その他一括して処理することが適当な業務を行う」というのが入試センターの仕事になっておったんでありますが、今度は「大学入学者選抜に関し、」、ですから、文部省の監督下にある国公私立大学全体を指すものですね。大学入学者選抜に関し行う業務が、今度は第一次学力試験ということではなくて、「大学に入学を志願する者の高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的として大学が共同して実施することとする試験」、こうなっておる。これは、だからいわゆる第一次学力試験ではないんですね、この法律の条文に従えば。「大学に入学を志願する者の高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定する」、こうなっている。このことは、臨教審が答申をいたしました中にあります資格試験的扱いを検討するということを踏まえて行われた九条三の改正と考えればよろしいんですか。
  117. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 臨教審が提言をしております「資格試験的な取り扱い」ということは、実は二通りの中身を含んでいるというふうに理解をしておるわけでございまして、一つは全国的ないわば大学入学資格試験というようなたぐいのものも一つ考え方でございますし、もう一つは、各大学ごとに自分のところではこれを資格試験として取り扱うというやり方と、二通りのやり方があり得るだろうと思っております。  前者の方の全国的に統一的な試験で、それに合格しなければそもそもどの大学でも受験資格を失うというような性格のものであるということになりますと、これは現在の入試制度と非常に大きく変化をする、非常に大きな問題になるわけでございますので、入試改革協議会における御議論におきましても、この点は今後のさらに引き続きの長期的な検討課題ということであろうということで、その点については特に触れずに、そして各大学が個別に自分の大学だけの、いわば資格試験的な扱いということについては、それは各大学の御判断によってやっていただいても差し支えない、こういうような仕組みにいたしておるものでございます。  したがいまして、今回のこの第九条の三の新しい大学入試センターの規定についてでございますが、これにつきまして言っておりますことは、全国的なそういう資格試験的なものとして実施をするという意味ではなくて、まさに高等学校で勉強してきたことが、この人はどの程度身についているかという、その程度を判断をする、そして各大学入学者選抜の資料として活用してもらうということをねらいとしているものというふうに御理解を賜りたいと存じます。
  118. 久保亘

    ○久保亘君 「基礎的な学習」というのは何ですか。
  119. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) これまでも共通一次試験につきましては、高等学校教育に沿った基礎、基本を問う一次試験というような考え方で実施をしてまいったわけでございまして、要すれば、今回のことにつきましても高等学校の学習指導要領あるいはカリキュラム、実際の教育内容等に沿った基礎的な問題についての出題をして、その点についてどの程度理解をしているかということを確かめていくというものでございまして、何点以上とれば合格で、そうでなければ不合格という扱いではなくて、基礎的な問題を出して、それがどの程度できているかということを各大学選抜のときの資料に使う、こういう意味基礎的な学習の達成の程度という言葉を使っておるわけでございます。
  120. 久保亘

    ○久保亘君 基礎的な学習の達成の程度を判定するということになる場合に、どれだけの教科の範囲にわたって基礎的な学習と言うんですか。
  121. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) これは一般的に、基礎的な学習という言い方をすれば、高等学校で行われている教科全体がもちろん対象になり得る性格のものでございますし、なるものであろうと思いますが、ただ、具体にこの試験を行います場合には、やはり入学試験ということの制約上、ある程度の科目に限られてくるということはあり得るわけでございます。そういう点から、今回は五教科十八科目について当面出題をするということにいたしておりますけれども、なおこの出題科目については今後情勢を見て、増加ができる場合には増加をしていくというようなこともあわせ考えていくということでございまして、どれとどれを出すということを法律上決め切っているという規定ではないと思っております。
  122. 久保亘

    ○久保亘君 そうなってまいりますと、今度の入試センターの行う新しいテストというのが、高校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを目的とするということになれば、科目数も何もかも大学側の自由ということにしておいてこういう条文を書いても、これは整合性がなくなるんじゃないですか。もし大学に入学を志願する者の高校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを目的として新しいテストを行うということならば、必要な教科の範囲にわたって試験を課すということでなければ、うちは数学だけでよろしゅうございます、うちは英語だけでよろしゅうございますといって、大学側がどうして高校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することができますか。
  123. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 先ほども申し上げましたように、こういう規定の仕方をしましたのは、高等学校で指導されております、教育されております教科科目全体が対象にし得るということから言ったわけでございまして、ここで言っております基礎的な学習の程度というのは、こういう書き方をしたから、直ちにすべての高等学校で行われている教科科目についての判定をしなければならないというふうには、私どもはそういう趣旨では考えておらないわけでございまして、要すれば、試験問題として出すもののレベルを高等学校で行われております学習というものの基礎的なものということに念頭を置いて、そういうレベル、そういう内容の出題をするということを考えておるわけでございまして、各大学が自分のところでは英語をやるといった場合に、その英語について、高等学校基礎的な学習の程度がどの程度であるかということを調べるということに利用できるということを念頭に置いておるわけでございまして、繰り返しになりますけれども、全科目必ずやらなければいけないという趣旨で規定をしているものではないわけでございます。
  124. 久保亘

    ○久保亘君 結局そうなってくると、この新しいテストというのは今までの共通一次試験と同じ性格のものということになるわけで、大体高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定するのは、これは高等学校がやることであって、大学入学試験に事寄せて、その一片の学力テストによってそれを偏差値ではかって、高等学校基礎的な学習の達成の程度を判定するなんということはできることじゃないと私は思う。これは高等学校基礎的な学習の達成の程度を判定して、高等学校の課程の終了を認めているわけです。だから、このような入試センターの業務にこのようなことを入れるということは大体僣越なことであると私は思うのですよ。どうして高等学校では判定できないんですか。高等学校判定できずに大学にそれをゆだねなければならない理由は何ですか。
  125. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学大学の自主的な立場において入学者を選ぶ立場にあるわけでございますので、そういった立場から大学入学者について現在入学試験をし、いろいろな形での選抜を行っておるわけでございます。私どもがこういうことでやっておりますし、入試改革協議会で考えておりますのも、むしろ先生おっしゃることと逆の立場から見ているのかもしれませんけれども、これまでの大学の入試というのは、高等学校教育を離れて出題等が行われるということによって、高等学校の段階の教育に悪影響を与えたり、受験生に要らざる分野にまでの勉強を強いたりというようなことがあるということを反省をした上で、この高等学校における学習の内容に即した出題をして、それによって判定をしていこう、選抜をしていこうという考え方をとっているわけでございますので、そういう意味からいっても、大学側のこういう判断というものを適切に行われるようにという仕組みをつくり、高等学校のためにもなるようにということでこの仕組みが考えられておるわけでございますので、ひとつその点は御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  126. 久保亘

    ○久保亘君 この条文を素直に読みますと、これは全く高等学校教育に携わる者に対する不信感ですね。はっきり、このことは入試センターがやります新しいテストというのは、共通一次を変形させた選抜のための一次試験であるというなら、まだあんた方の言い分としてわかる。それをいかにも偏差値による入学選抜のやり方を変えるんだと言わんばかりに、ここに文章で書かれているけれども、実態は変わらず、しかもここへ書かれていることによれば、高等学校の教師は高等学校における学習の達成の程度を判定することはできない。それは大学側がやる一枚の入試センターがやる新テストによってその達成の程度を判定するということになるんであって、これは私は日本教育にとって非常に重大な問題だと思うんですよ。これを我々としては認めるわけにはいかぬのです。これは高等学校教育を頭から否定する条文になっている。  それから、今度はこの問題は、それはあなたは意見が違うと言われるなら、このことはこれから時間かけてやりましょう。  それで、この共通一次と本質的な性格において何ら変わるところのない今度の新テストというのは、これは完全に大学側の参加、不参加を含めて、国公私立を通じて参加、不参加、科目の選び方、これは大学側の自由に任されるのですか、どうですか。
  127. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) たびたびお答えしておりますように、利用する、しないまで含めて、利用の仕方の問題も含めて、いわゆる新テストについては各大学自主性が尊重されるという基本に立っていることには間違いがないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、せっかくの有益な制度としてこういう提言が行われ、国公私大学の関係者、高校の関係者の間で具体の案もこういうふうに練られてまいったわけでございますので、こういったことについての理解が得られて、そしてできるだけ多くの大学利用していただくことが望ましいと思っていることには間違いがございません。
  128. 久保亘

    ○久保亘君 いや、あなた方が望ましいと思っていることはそれでいいが、国立大学も参加したくなければ参加しなくてよいんですね、今度は。
  129. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 制度的にはそういうことでございます。  ただ、臨時教育審議会の答申にも書かれておりますように、国立大学協会その他で大学が個々に自分で利用するしないとしてもいいし、それからグループによって、グループ間の合意によって自分たちのグループとしてはこれを使おうというようなことを決めていただいても差し支えないというふうになっておりますので、国立大学協会としてどう対応されるかということはあるわけでございますけれども、もちろん基本的な制度としては国公私立を含めて使う使わないの自主性があり得るという性格の制度である、こうしておるわけでございます。
  130. 久保亘

    ○久保亘君 法律の条文も、今度は国立大学という規定がないんですから、当然そういうことになると思いますから、国立大学がこの新テストに加わらない、大学として学部として加わらないということになってもそのことは何ら問題はないものだ、これはもう法律の条文に従ってそのとおりだと思うんですね。だから私立大学は当然のことでありまして、それで、これらのことについて文部省は、この新テストに加わる加わらないというようなことによってその大学に対する取り扱いにいかなる面においてもいささかも問題を生ずることはない、これはよろしゅうございますね。
  131. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) いつでございましたか、マスコミ等であたかも文部省が私学助成の補助金に差をつけるとか、あるいは認可の際に特別ににらむとか、そういうようなことがあり得るかの報道がなされておりまして、大変遺憾に思っておる次第でございます。私どもはそういうことを考えたことは一度もございません。
  132. 久保亘

    ○久保亘君 いや、このごろは制裁措置期間の大学に突然助成金が復元したりするようなこともありますので、それで特に念を入れてお聞きしたわけでございます。  時間が短くなったんで、二つばかりちょっと新テストについて重要なことを聞いておきたいんです。  一つは、午前中高等学校長協会を代表される方から、我々は多数の私立大学利活用を前提に十二月末になってもやむを得ないと言ってきたけれども、やっぱりできれば一月下旬に繰り下げることについてなお努力をしてもらいたい、こういう意見の陳述がございました。その前提として、高等学校教育に重大な影響を及ぼす、特に三年生の学習進度を早めなければならぬ、秋の学校行事への影響が非常に大きい、三年生の参加が困難になるだけではなく一、二年生にも影響を及ぼします、本来ならば高校側としては二月上旬を適当と考えていた、そういうことで、非常に私どもとしてもよくわかる高校側からの意見がございました。この際、やっぱりこの共通テストの実施の時期については、極力高校の教育に支障を来さない遅い時期に最大限、これは繰り上げるというのか繰り下げるというのか、繰り下げるんでしょうね。繰り下げる、そういう努力を文部省としても今後もやっていただくということにはなりませんでしょうか。
  133. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) この問題につきましては、昭和六十年に入試改革協議会がスタートして以来のいろいろ難しい議論の対象になったことの一つでございまして、六十一年に中間報告という格好で新テストについてのまとめが出されましたときには十二月の中旬実施ということになっておったわけでございますけれども、さらにその後論議を重ね、各方面の御意見等も聞きました結果、十二月下旬というところまで時点が繰り下がったという経緯があるわけでございます。  もちろん、先生のお言葉にもございましたし、午前中の高校長協会の御意見にも恐らくあったのだろうと思いますけれども、高等学校立場から見れば、できるだけ高等学校教育充実した姿で、完成したと申しますか、完成に近い状態になった段階で大学の入試が行われるということが望ましいということはもう当然のお気持ちであろうと思いますし、それは高等学校の側でということを離れましても理解できることであるというふうに思っておるわけでございます。  ただ、現実には、今回の場合に、私学を対象にして実施をするということになりますと、私学の入学日程というのが、入試日程というのが二月からびっしりと組み上がっておるという実態があるわけでございますので、それにどういうふうにして間に合わせていくかという意味でのいろいろな手順というか、むしろ物理的に可能であるかどうかというあたりのところに一番の問題があるわけでございます。早くしろというつもりで前へ引っ張っているというようなことは決して、大学側の方にもそういう気持ちはないわけでございますので、可能な限り後へ送れるかどうかということはこれからも大いに検討していかなければならない課題であるというふうには私ども考えておる次第でございます。  ただ、これまでいろいろの御議論をいただいた中で、最後十二月ぎりぎりという基本方針で参っておりますので、一応そういうことは基本に踏まえていかなければならないと思っておりますが、なお引き続き、もうこれで、一切これでいいんだということではなくて、なお検討をする、あるいは一回目だめでも二回目以降検討するというようなこと等も含めましてのいろいろな意味での検討課題ということで私ども受け取って、関係者と十分相談をしていきたいと思う次第でございます。
  134. 久保亘

    ○久保亘君 もう一つの問題は、国大協が来年度の入試方式で決めました分離分割方式ですね、この分離分割方式は複数受験の機会を保障するという立場を崩すことにはなりませんか。
  135. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 複数受験という一つ理想を掲げて六十二年度から新しい国立大学の入試期日の問題がスタートをしたわけでございますが、具体の実施の段階に当たりましていろいろな混乱や問題点が出てきて、国会のこの場でも随分御批判を仰いだということを私どもも承知をしておるわけでございまして、そういうことを踏まえまして、より複数化の趣旨が徹底できて、しかも問題が起こらないような方式ということをもっと考えてほしいということで国立大学協会にもお願いをしてまいりました。六十三年度、六十四年度と、それぞれ年度を追うていろいろな検討が行われまして、ここに連続方式と分離分割方式の併存ということが出てきたわけでございます。  分離分割方式というのは、各大学入学定員を二つに分けて二回実施をするということでございますから、これが行われれば、要すれば受験の機会複数化になり、そして各大学の、何と申しますか、全国的なバランスというような意味から見ましても、これは非常に公平にバランスがとれて分かれるわけでございますので、そういった意味では一つの有益な方法であるというふうに考えております。ただ、今回のように連続方式と並行でということになりますと、非常にわかりにくくて受験生も悩む点が多いだろうと思うわけでございまして、そういう点で私ども、これが全面的にこれで結構であるということを言うつもりにはなれないわけでございますが、なおより定着し得るような方向に向けて国大協としても検討してほしいということを、私どもさらに国大協にはお願いをしているところでございます。
  136. 久保亘

    ○久保亘君 特に今度の分離分割方式の中で不公平な問題が起こるわけですね。前期を受験して合格した者は一定の期日までに入学金を納めて入学手続を終えなければならぬ。入学手続をやった場合には後期やBグループへはつながらないんですね。そうすると、Aグループから出発した人は後の方へつながって全部終わってからどこへ入学するかの選択権を持つんです。だから、前期を合格した人は選択権じゃなくて、もう今度はその後の受験の権利も保障されないということになっておりますね。これは複数受験制度を保障するという立場で行われたグループ分けという考え方からすると非常に不合理、不公平なものを内蔵したまま行われようとしているんじゃないかと思うんですが、私が今申し上げましたような状況が起こることについてはわかりますか。
  137. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 確かに連続方式と分離分割方式という方式を併存させますと、受験生がまず最初の段階からどこを選ぶかということによって一カ所で行き詰まりになる道もあり、さらに続いていく道もあるということになってくるという点で、先生おっしゃるような意味での不公平と申しますか不均衡があるということはあり得るというか、そういう批判というのはあり得ることだろうと思っております。そういう意味でも私どもちょっと複雑過ぎるということを言っておるわけでございまして、ただ、その分離分割の場合に最初の段階で合格した者がさらに次の段階でも受験をし、合格ができるという方式をとりますと、今まで批判されておりました連続方式と全く同じ状態になってくるわけでございまして、そうするとお一人の方が二つ座席を占めてしまう。それによってあとの人が、本来入れるはずの人がたまたま入れたとしても補欠でしか入れないというような状況等が出てくるというようなこれまでの問題にもつながるわけでございますので、そういった意味で私ども大変この問題については悩むわけでございますが、いずれにいたしましても両方併存しているという状況でそういう問題が出てくることは確かだと思います。
  138. 久保亘

    ○久保亘君 そうすると、そういう不合理なものを内蔵したまま国大協で御検討になった分離分割方式というのを来年度そのまま適用させるということではないのですね。
  139. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 私どもは大学の入試というのは大学が自主的に決めるものだということを基本に置いて考えておりますので、そういう点から申しまして国立大学協会が協会として十分議論を何回にもわたって重ね、その中で各大学がそれぞれの方針を決められたということでございますので、それぞれの大学の御方針というのはこれは尊重しなければならない、こう思っている次第でございます。  ただ、今後に向けての問題としてはなお一層の改革を、こういう方式にはこういう問題があるのでなお一層の改革を望むということを国大協に対しては申し上げておるわけでございまして、要すれば複数化ということをできるだけ定着させていこうという中で、非常にたくさんの国立大学意見をまとめながら適切な方向へ持っていこうという努力一つの過程にあるということで、この点については私どもはそのように理解をし、今後の六十五年度以降の一層の改革というのを国大協にお願いをしている次第でございます。
  140. 久保亘

    ○久保亘君 何か大学の入試というのは、本来大学が主体的に行うものであって大学自主性に任せなければならぬという、あなたの言われること私賛成ですよ。ところが、都合の悪いことはそういう言い方で始末をつけられるが、そのほかのことになると文部省の言うとおりやらせようということがあって、これはどうも使い分けが過ぎるんじゃないかと思うんです。  本来、大学入学者選抜なんというのはそれぞれの大学に任せればいいのであって、圧倒的な多数を占めている私立大学が何も共通テストをやったり入学試験のやり方を一々方式決めて上から押しつけなくてもちゃんと秩序立って行われておるんです。国立大学だけがなぜその中へ入ってやれないのか、そういうやり方でやれないのか私は非常に不思議なんですよ。だから、私は中曽根さんに余りいろいろなことで賛成ではありませんでしたけれども、中曽根さんの言われたことで一つだけは私は非常に同意したことがあるんです。今の教育改革でやらにゃならぬことは共通一次の廃止だと。それだけは私は中曽根意見に同意なんです。ただ、それを選挙の政治宣伝に使われたのは遺憾なことでありましたけれどもね。  だから、私は大学入学者選抜というのは、本来大学の自治、大学自主性に任せられるべきものであるという立場を貫くということで、これからのこの入試センターの問題についても十分御検討をいただくように強く要請をして私の質問を終わります。
  141. 高木健太郎

    高木健太郎君 今の質問がありましたので、忘れないうちに私もちょっと質問をしておこうと思います、後で時間がなくなると悪いので、最初の方で。  これは例の私大の参加、不参加あるいは国公立の大学が今回の新テストに加わるか否か、参加するか否かということについて京都大学の河上教授がこういうことを言っておられます。「とくに基幹的な大規模大学」というのは「「新テスト」を「利活用」せず、その実施の責任と負担を負わぬというわけにはいかぬ筋立てとなっている。」、非常に微妙な言い方なんですけれども、何となく国公立大学もこれをやらなけりゃいかぬような、どうもそういう何か気持ちというか圧力というか、そういうものがあるようなふうに京都大学の河上教授は受け取っておられると。何があるんだろうかなということを考えてもよくわかりませんが、「筋立てとなっている」という、その「筋立て」というのは何かおわかりでしょうか。
  142. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) こういった共通的な、一つ大学じゃなくて多数の大学に共用の形で使われるテストの構想というのは、御案内かと思いますけれども、昭和四十年代の初めの大学紛争の中から大学改革一つの案として出てきたものでございまして、それが国立大学協会の中で多年にわたって検討され、その中から逐次熟成をして共通一次試験になった。それで、それについて高等学校長協会からもぜひこれを実施せよという強い要請があって進んできたと、こういうような長い経緯があるわけでございまして、それ自体国立大学の中では十分御議論が行われ、そうして各大学が賛成をして実施をしてきたというものでございますので、そういった中でもちろん国立大学の教官の中にもいろいろな御意見の方があるわけでございますから、これは反対の意見を持っておられる方もあるはずでございますけれども、しかしながらそういった経緯があり、各大学、それぞれの大学全体としてあるいは国立大学全体の国大協として、こういう仕組みのものが必要であるという考え方で進んできた、そういう経緯を指しておられるんではないかと思うわけでございますが、個人の方の御発言ですので、それ以上ちょっと想像がしかねるわけでございます。
  143. 高木健太郎

    高木健太郎君 先ほども久保委員が聞かれましたように、今度は参加するかしないかは国公立大学といえども自由になっている、今までは全国公立は参加しておりますけれども。今度は改めてこの新テストが行われる場合にはやめるわけにはいかないというような、何かそういう気持ちで言われたようにも思うわけですね。だけれども、非常に自由だということですし、教科目もそれぞれ自由に採択できるということですから、私はそう強くは感じませんが、そういう言葉がちょっと気になったということでございますから、文部省側としてもそういう気持ちを起こさせないようなはっきりしたことを言ってもらいたいと思います。  それから分離分割のこともお聞きになりましたが、これは私、久保委員も大変勉強されておわかりになったんだと思うんですよ。なかなかわかりにくいんですね。だから、これは一般の国民にはちょっと理解が困難じゃないか。ここにおられる委員の中にもあるいはおわかりにならない方もあるんじゃないかと思うほど面倒なんです。  それで、一つお聞きしますが、この前は京都大学と東大の法学部でしたかでああいう問題が起こりまして、京都大学は二人か三人しか残らなかったというようなことから分離分割ということが起こったんだと思います。ところで、今回、六十四年度におやりになる場合に分離分割をするという大学はどれぐらいあるでしょうか。それがまたばらばらになるとなおわかりにくいんじゃないかと思うんですが、どんなふうになっておりますか。
  144. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 先ほど来申し上げておりますように、分離分割をするか、あるいはいわゆる従来からの連続方式をとるかということは各大学判断に任されておるわけでございますが、今回、昭和六十四年度の入試におきましていわゆる分離分割という方式を採用しますのは九大学、四十四学部でございます。
  145. 高木健太郎

    高木健太郎君 これはあらゆる学部について言えるんでしょうか。例えば医学部なんかはそんなことをするところがございますか。あるいは理科系の大学ではそういうことをするところがございますか。
  146. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 理科系の学部についてももちろんそういう仕組みを考えられているところが相当数ございまして、医学部で申し上げますと四校、四学部がこの方式をとることにしております。
  147. 高木健太郎

    高木健太郎君 こういうことは、できれば何かはっきりと公表していただいて、高等学校側に不安が起こらないようにしていただけるものだと思っておりますが、それには抜かりはないことと思いますが、ぜひお願いをしておきます。  それからもう一つは、期日の問題もやはり久保委員がお聞きになりましたので、それもちょっと聞いておきますが、十二月下旬にやるということでございますけれども、これは物理的な理由でどうしても十二月下旬にやらなければならなくなったということじゃないかと思うんですけれども、コンピューターも非常に進歩しましたし、入試センターに入れられたのは五十何年の話ですから、もう十年ぐらいたっているんじゃないかと思うんですね。もっといいコンピューターを入れればもっと早くなるんじゃないかなと単純に考えますけれども、そういう機械的ないい設備を入れれば、これを下旬と言わないでもっとおくらすことはできないものでしょうか。
  148. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 新テストの日程でございますけれども、この日程を考えました際に物理的な云々と申し上げましたが、この新テストを実施する前は、まず問題を搬送いたしまして各大学に届ける、そしてそれを保管する、それから現実にテストが行われる。それから、それをまたトラック便その他で大学入試センターへ集め、そこでマークリーダーによりまして解答の読み取りを行い、コンピューターで採点をし云々というところが、各大学の要望に応じて、A大学からは何君と何君の成績と言われたものをまたお送りするように用意をして送るというところまでの日程となりますと、かなり立て込んだ日程になってくるわけでございまして、コンピューターの処理能力だけではないわけでございます。またその間に、御承知のことでございますけれども、天災地変等が起こりましたときのために再試験あるいは追試験を行うというような日程も組まなきゃならないというようなこともございまして、できるだけ親切丁寧な仕組みにしたいということと、また相矛盾する要素等も出てくるわけでございまして、そういったことを総合的に勘案いたしまして、これまでできれば十二月の中旬、ぎりぎりでも十二月の下旬というところというようなことであったわけでございますが、そういうような状況にあるということで、これまで十二月の下旬として決まってきたということで御理解をいただきたいと思うわけでございますが、なお今後とも検討はもちろん続けなきゃならない事柄だと思っております。
  149. 高木健太郎

    高木健太郎君 確かに高等学校の方はもう二年次からいろいろな準備を始めるというふうになっているわけですから、これが食い込んでくればくるほど高校教育の方に非常に大きな影響を与えると思います。だから、できるだけこれは後に延ばすというような努力を重ねていただきたい。と同時に、十二月下旬というと十日間あるわけですね。十一日間ある。それの期日をやっぱり早くはっきり示しておく方がいいんじゃないか。十二月三十一日なんて言ったら何もできないんじゃないかと思うんです。だから、下旬とぼんやりしないで、二十日なら二十日というふうにしていただくわけにはいかないんですか。また、それはいつごろ示されるんでしょうか。
  150. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 通常、この試験を行います場合には土曜、日曜で行うというケースが多いわけでございますので、それが実際実施する大学等の側においても便利だということもありますので、土日の日程が年度によってずれてまいります関係上、現在の共通一次につきましても、それによって日程が、土日がいつに来るかということによって日程が一月の下旬の中で動くというような状況にあるわけでございます。そのほかに、暮れには、例えばミッション系の学校でございますと、クリスマスの場合には特別の日程があって試験ができないとか、いろいろな状況等もございますので、そういった事情を踏まえながら各年度の日程を決めていくということになるわけでございますが、もちろん受験生に対しましてはできるだけ早い時期に来年はいつだということをお示しをするということで、受験生の準備がしやすいような努力というのは当然しなければならないと思っておる次第でございます。
  151. 高木健太郎

    高木健太郎君 と同時に、新テストの内容あるいは大綱というようなもの、中の教科目その他でしょうが、各大学が採用されるそういうものをお知らせになることがあるわけですね。それもできるだけ早く知らせなければ、これは非常に不都合なことが起こるんじゃないか、こう思っております。  先ほどお話しになったようないろいろの天災地変があるということもありましょうが、五十何年でしたかにやりましたときに、大阪のある大学で、高速道路が込んで問題が間に合わなかったというようなことも起こり得るわけですね。まあ、大分経験も積まれたでしょうから、そういうところはよくなったと思いますけれども、今度は、もし私大が入るとなればなお混乱が大きくなるのじゃないかと思いますので、ここで試行テストを一回おやりになるということですが、それで十分でしょうかしら。この前は、共通一次を導入した場合は何か四回か、少なくとも三回はやったと思いますが、今度は一回で自信がおありですか。
  152. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 先に、共通一次の試験の際には、ちょっと回数は覚えておりませんけれども、もちろん一回ではなくて、たしか数回試行テストを行ったと記憶しております。  共通一次のときには、先生も十分御承知のことでございますけれども、そもそも試験問題をどういうふうに作成をして、どういうふうに採点をしていくかというあたりのところから、まずは初めてのことをやるということでもございましたので、マークシート方式で出す問題としてどの程度の問題を出せば適切であるかというようなことから含めての検討を試行という格好でやってまいりまして、具体の実施方法ばかりでなくて、そういった内容的な問題を相当含んでいたということで、回数多くの試行が重ねられたわけでございます。今回は、少なくともマークシート方式での出題ということについては、これまでの十年近い経験によって一つの技術ができ上がっておるわけでございますし、そういう意味から、今回の試行テストはむしろ初めてそれに対応される私学の方々試験問題を受け取って保管をして、学生に対してテストをして、試験の最中に学生から疑問が出たらどういうふうに処理をしてというようなたぐいのことを実務として経験していただくということが中心のものでございますので、そういう意味でそう多数の回数をやらなければいけないということではなかろうと思っておる次第でございます。  なお、このことにつきましては、既に先般説明会をやりまして、丸一日かけましてこういった具体の仕組みはどうなるかということ等の御説明も申し上げ、さらに大学入試センターの視察も皆さんにしていただきまして、問題はこういうふうにして発送されていき、こういうふうに戻ってきて、ここでこういうふうにマークリーダーにかかるんだというようなことまで全部御理解をいただくようにいたしておりますので、具体の試行としてはそれほど回数を重ねなくても大丈夫である、私どもはそういうふうに見ておる次第でございます。
  153. 高木健太郎

    高木健太郎君 もちろんそうなってもらわなければ困ると思いますけれども、私はちょっと不安なものですから、一回で大丈夫かと。もし一回やるならば、万全を期して一回目はやってみる、試行というよりも本物をやってみるというような気持ちでおやりいただかなければ、本番になったときに混乱が起こるんじゃないかと思っております。  十二月下旬に試行するということにつきましては、高校の方の意見としては、もっと遅くできるのを早くしたのは、新テストの成績を見て推薦に切りかえるために、推薦の資料にするために早くするんだというような、そういう考えを持っている人もあるわけです。十二月というと、確かにいろいろ私は高校教育にはかなりの影響があると思うんです。いろいろな障害が起こるんじゃないか。行事にしましてもいろいろあるんじゃないか、こう思うんですけれども、臨教審の方にも出ておりましたけれども、九月入学ということについてはその後どのようにお考えですか。九月にすれば私、ゆったりやれるんじゃないか。九月を小学校からやるというんじゃなくて、大学だけでもできないか。それについてはどういう利害があるか。それについて局長意見を聞きたいと思います。
  154. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 九月入学の問題でございますけれども、臨教審の中でも随分議論がなされた問題でございます。臨教審の方では、大学だけを九月にということについては、これは種々問題があるのでむしろ否定的という考え方でございまして、小学校から大学まで通じまして全部九月入学だという考え方をとっておるわけでございます。ですから、そういった臨教審考え方に基づけば、要すれば高校の卒業期も合わせて九月の前、六月か七月ぐらいになるということでもって、実際の大学入試に余裕ができるということにはならないわけでございますが、先生の御提言はむしろ大学だけを九月にして高校の卒業は従来どおり三月にと、こういう御意見であろうと思います。  私どもも、大学入試という立場から見ればこれは一つの有力な御提言だというふうに考えるわけでございますが、ただ、実際の運用ということを考えました場合に、やはりそこには幾つかの問題が出てまいります。一つは、高等学校を卒業して大学入学が九月になると申しますと、それまでの間受験をする子供たちはいわば無所属の状態になるわけでございまして、高等学校の指導のもとからも離れるというような、大学へはまだ入ってないというような状態になります。そういう子供たちに対するいろいろな面での指導やなんかをどういうふうに具体的にやっていくのかというような問題等もありましょうし、あるいはさらに、その間予備校等が短い期間であるけれどもどっと繁盛するというような問題にもつながるかもしれないというような指摘もございます。また財政的な面から申しましても、大学を九月にずらすということになりますと、これは、各私学にとってはそのずらした半年間、ずれた部分の収入の欠陥が四年間続くわけでございますので、そういった意味で相当の数千億という金額の収入欠陥になるわけでございまして、これを財政的にどうするのかというような問題もまた大きな問題として絡んでくるわけでございます。  そういったような意味で、私どもも九月入学というのは、入試の立場から見ますと非常に興味のある問題でございますけれども、直ちにそれで行こうというような決心をするには至っておらない、なお今後検討すべき課題が多いというふうに感じておる次第でございます。
  155. 高木健太郎

    高木健太郎君 確かに興味のある問題ですけれども、難しいと思います。今おっしゃったように私立大学等では大変困難だと思いますけれども、中にはいわゆる夏の高校野球ができぬからなんという意見もあるということは大変私はおかしいことだから、そういうことは抜かして、基本的に一遍考えてみる必要がある。また、入試のために九月にするというんじゃなくて、国際化を目指す日本が九月ならいいんじゃないかというようなことも観点に入れて考えていただいたらどうか。もうあれはだめだとあきらめてしまわないで、私はやっぱり検討を続けていただくということをお願いしたいと思っております。  それから、今までは期日の問題でございますけれども、私学参加のことでありますが、国立大学でも抜けるところは、国公立大学では今度は自由になったんだからやめましょうと言うところは私はほとんどないんじゃないかと想像はできます。しかし、中には特殊な学校ですね。例えば芸術大学であるとか、その他特殊な学校があるわけです。そういうところは今の共通一次というものは今まででも余りそれにウエートを置いていませんから、それでは今度の新テストにはもう加わらないで、自分の独自の入試をやろうというところもこれまであったんじゃないか。事実、共通一次が始まりましたときに、公立大学側ではそういう意見大学も幾つかございまして、この参加に反対というところもありました。今度改めてやる場合に、国公立は、私はまあほとんど入るんだとは思いますけれども、あるいは抜けるところもあるかもしれない。ただ、私立大学になりますとどんなものだろうか。この私立大学の参加がなければ新テストということを考えた意味がなくなるんじゃないかと思いますが、現在まで何か文部省がつかまれた参加数の情報はお持ちですか、お持ちでしたらそれをここでおっしゃっていただきたいと思います。
  156. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 私学の参加の問題につきましては、七月の末までに国公私を通じまして参加するかしないかという基本的な態度の御表明をいただくということを予定しておりまして、それまでの間、各大学で具体に検討をしておられる、いわば最後の詰めの段階に今入ってきているところであろうかと思います。  そういった関係もあろうかと思いますので、私どもに対して、うちは参加することに決めた、あるいは参加しないことに決めたというような格好で御連絡をいただいたところはまだないわけでございまして、そういう意味で、まさに今後の検討ということに相なっておるわけでございますが、時折この委員会でも申し上げましたように、昨年の秋に各私学における検討の状況のお伺いを全校に対して、三百五十校でございますかの私学にお伺いをしたことがございますが、そのときに大部分のところはなおどうするかということで決めかねているというお話でございましたけれども、数十校の大学において、この問題については本学としては前向きに検討しているという御回答をいただいたところがございます。  これはそれぞれの大学がもちろん決めたことではないわけでございますし、それからまた、前向きと申しましても、この制度実施の初年度から入るのか、二年目、三年目ぐらいから入っていこうということなのかというあたりのことももちろんあろうかと思いますので、正確にどうということではないわけでございますけれども、それにしてもそれぐらいの大学が、そのとき現在の段階で前向きということで御検討いただいているという状況があったということは申し上げられると思うわけでございます。
  157. 高木健太郎

    高木健太郎君 今後は私学が入らなければいろいろな問題が起こってくると思います。高等学校でも大変不満の声が大きくなるんじゃないかと思うわけです。私学が参加していただく必要性として、一つは、例えば六十七年には二百万を超す十八歳未満の生徒といいますか、生命が出る。それはピークでございましょうが、その生徒の全部が受けるわけじゃありませんけれども、現在三十万ちょっと、三十二、三万ですか、四、五万の志願者がある。その場合に今度は六十七年になると五十万とか、あるいは百万までいかなくてもその近くの人が入学共通一次新テストを受けることになるわけです。その場合に、私学が参加しなければ第一場所も困っちゃうんじゃないか。共通一次でも、私の知っている大学なんかでは、塾なんかを借りまして非常に場所の確保に苦労した経験があるわけですけれども、そういう意味では、私学ができるだけ参加するように十分に説明する、さらに努力を重ねられる私は必要があると思うのです。  それからもう一つは、今まで国公立だけで一次の入試、共通一次という制度に参加してきたわけですけれども、私大ではそういう経験はなかったわけですね。共通一次をして、それによってどれぐらい公平な学生の採用ができたか。それを採用しなかった私立大学との違いはどこかあるか。あるいはまた、共通一次を受けたそれの成績と、それから二次試験の成績、それから中に入ってからの成績、それから高校からの内申書、そういうものとはどれぐらいの相関があるのでしょうか。これ、四つを一緒に言うとまずいでしょうが、相関があるかないかと、どことどこは相関があるが、どことどこは相関がない、そういうお話でも結構です。
  158. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) いろいろな点についての御質問があったわけでございますけれども、実はこれは大変難しい問題でございまして、私学におきましても共通一次を受けている学生と受けていない学生が、国立大学と併願をした学生共通一次を受けているわけでございます。それが混在して私学に入ってきておりますので、そういう人たちについて、これを別々に分けてその後の追跡調査をするというようなことがなかなか行われにくい性格のものでございますので、そういうことでございますとか、あるいは共通一次試験とそれから入学後の成績の相関というようなことにつきましては、これはいろいろ研究が行われておりますけれども、正直言って相関度を出すのが非常に難しいわけでございます。つまり、各大学への入学というのは、その共通一次の成績で言えば、非常にぎりぎりのところにたくさんの人が集まっているという状態でございまして、同点の人あるいは一点違いの人、二点違いの人あたりのところにたくさんの人数がどっと集まって、その人たちが入学をしてきているというようなことがございますので、その後の成績との相関度を調べるというのが大変難しい。落ちた人まで合わせてやれば明確な相関が出てくると思うわけでございますけれども、落ちた人の成績というのは出しようがないというようなことがございまして、そういう意味で大変難しいわけでございます。ただ、調査書については、これは各大学でいろいろ入学後の成績との相関を検討しておりますけれども、これはかなり相関度が高いということが言われておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題につきましては、大学入試センター中心に関係の大学関係者、高校の関係者等お集まりいただいていろいろ議論をするような機会を今までも持ってきましたし、これからも重ねていこうと思っております。その中でさっき申し上げましたような具体の研究の成果なども表明されておりますので、今後ともそういう研究を深めていって、さらに何らかの結論が得られるように努力はしていただくようにしたいと、こう思っております。
  159. 高木健太郎

    高木健太郎君 これは私非常に重要な問題だと思うのですね。こういう共通入試的な、あるいは新テストですか、そういうものを志向するかせぬか、それが必要であるか必要でないのか、共通一次あるいは新テストでどれだけの、どういうような成績を持った者、とった者が、将来はどういうふうになるのかというようなことが、追跡調査がされない限り、これがよかったか悪かったかわからないということになりますし、内申書と非常に相関が多いということであれば、もうそれは余り必要じゃないと。誤差のうちであるというならやめてもいいというようなことにもなるわけですから、十分なこれは入試センターで調査を今後やられなければならぬ問題だと思います。  それから、その次は、新テストはこれは入試センターで実態的にはおやりになるんでしょうが、それの実施の主体はどこになるかという問題、ちょっとお聞きしたいわけです。今までは国立大学協会とか公立大学協会と、こういう団体がありまして、それらの意見を十分踏まえられていわゆる共通一次ということをやられておりました。今度の条文を見てみますと、いろいろ評議会を置いたりその他の会議をおつくりになりまして、大学関係者あるいは高等学校関係者をその委員の中に加えて、そして入試の改善努力をしていかれるということでございます。しかし全大学入試センターでやるということになりますと、入試センターが文部省の一つの下部組織としてある以上は、一般の受け取り方あるいはある人たちの受け取り方では、それは文部省の国家統制になるんじゃないかというようなことを心配している向きもあるわけですね。私なんかに言わせますと、この実施の主体というものを例えば、これは例えばですけれども、大学基準協会というようなものがありますが、そういうものにお任せになるというふうにすればよいのじゃないか。これについてはどういうようにお考えでございますか。
  160. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) これまで従来の共通一次試験の場合でございますと、大学入試センターというのは、いわば基本方針が決まったことを実施する機関でございます。そういう意味で、もとの基本方針を決める機関としては、これは国立大学が共同で実施をする試験だという基本に立ちまして、言うなれば国立大学協会でこの問題についてどういうふうにやっていこうかという基本方針を決める。そしてそれを踏まえて大学入試センターが実施をする。こういう関係にあったわけでございます。  今回は国公私立を通じての試験という形にいたしましたので、もちろん大学入試センターの中にも各大学からの方に集まっていただく評議会でございますとか、運営協議会でございますとか、いろいろな機関が置かれますけれども、これは入試センターとして実施をするときにどう実施するかという機関でございますので、基本方針を定める機関というのは、これまでの国大協がやっていた役割に相当する役割を果たす機関が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。現在大学入試改革協議会のいわば一つ機関というような格好でございますけれども、準備協議会というのをつくっておりまして、これは学識経験者等ではなくて、国公私立大学の代表者に集まっていただいて、そこで実施の準備についてのいろいろな御議論をいただいておるわけでございますけれども、この中で将来の実施の中心になる組織というのをどうするかという問題についても、あわせて御検討をいただいて、御結論を出していただこうと、こういう予定にしておるわけでございまして、要すれば、国公私立大学の関係者が集まってつくるような団体と申しますか、組織というようなものがこれまでの国大協にかわる組織として実施の主体になるということを一応私どもの念頭に現在置いておるわけでございます。
  161. 高木健太郎

    高木健太郎君 これはいろいろな国民の誤解を解くためにこの基本方針を決める主体がどこにあるのか、責任者はだれなのかというようなことをきちっと決めておかれないといろいろな疑惑を持たれるというもとになると思いますので、この点も早くひとつ方針を決めていただきたいと、こう思います。  そこで、新テストのことは以上でございますが、今度入試改革というものは、これは国公私立大学改革の一環になっているものじゃないかと私は思います。そういう意味では、大学自体の自主的な改革がなければ、入試だけをいじっても実際の改革はうまくいかない。先ほども久保委員が言われたり、あるいは物の本にもございますけれども、大学のエゴであるとか、大学主体のこれは入試であって、高校生のことは考えていない、受験生のことは余り考えに入れないと、そういう批判まであるわけですから、ぜひ大学の入試の改革というものは国公私立大学改革の一環として大学自体が真剣に取り組むべき問題であると私は思っているわけですが、まあ私も大学を出ているのに甚だ残念なことですけれども、何か大学改革ということについてはもう一つ熱がないように思う。  これは大学の教官あるいは関係者がいろいろの忙しい問題を抱えておりまして、あるいは大学の先生というのは、こういういろいろな委員会にも呼ばれるとか、あるいは何かあると引っ張り出される、講演を頼まれるというふうに何か非常に多忙なんですね。それに自分は、教育ということも大事だけれども、専門的になりますと、どうしても研究というものに頭がいってしまう。そういうことで、入試なんというようなものには余り頭がいかない。あるいは大学自体改革ということは余り念頭にないというようなこともあるんじゃないかと思います。特に、例えば私、医科大学のあれですけれども、あるいは医科大学ばかりじゃなくても普通の大学におきましても、入試となるとそういう専門の先生は余りよくわからないわけですね。大体教養部の先生がおやりになる。どうぞよろしくというようなことで終わっているのが普通じゃないかなと思います。そういう意味でも、非常に重要な入試問題であるのにそちらの方には頭が向かないというふうに思いますが、なおそれ以上に大学自体改革ということについても頭が余りいかない。というのは、現在講座制がとられておりまして、その講座さえよければいいわけですから、大学全体がどうあろうとというような考えではないかもしれませんけれども、余り関心がそこへいかないというようなことがあるのでいろいろな批判を受けることになるんじゃないかと思います。  そこで、大学が今のところ御存じのように、国公立大学の現役の志願者というのはこの十六年間で一六・六%から一四・七%、約二%ぐらい減っているわけです、全国平均で。それからまた、東京では四・八%も国公立志願者が減っている。どういうわけで減ったか、何かそういうことは分析されたことがございますか。こういうことは国公立に対して余り魅力がない、少し減ったんじゃないかというふうにも考えられるんですが、何かこれについては御意見がございますか。
  162. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) まあ意見を調査したというようなわけではございませんので私の想像になりますけれども、やはり最近では国公立に魅力がなくなって、その分が私学に行ったという見方もあるいはあろうかと思いますけれども、私どもは、やはりかなり長い歴史を経まして我が国の私学も大変成長をしてきたわけでございまして、そういう意味で私学自体が成長し、そして名声を博するようになってきたというようなことが私学にかなりの志願者が集まるようになった。あるいは国立の有名校に合格してもなおかつ私学の有名校へ行くというようなケースが、私が大学へ入るころには非常に珍しいケースであったわけでございますけれども、最近はそんなことは全然珍しくもないというような状況になってきておるわけでございまして、そのこと自体は全体としてはいいことであって決して悪いことではないと思うわけでございます。  ただ、現役志願と浪人志願と申しますか、あるいはそういった面で現役がなかなか入りにくくなってきているという一般的な問題につきましては、やはり大学の入試が非常に激烈であってということもあるかと思いますが、さらにはやっぱり入試のあり方につきましても、とにかく長い間準備勉強しないと入れないというようなやり方でないような方式というものがやっぱり逐次工夫されていきませんとだんだんそういう傾向になってくるということはあり得ることでございますので、各大学の入試というのが浪人に有利で現役には不利だと言われるようなことのないような方向というものを目指す努力は必要であろう、こんなような感想を持っておる次第でございます。
  163. 高木健太郎

    高木健太郎君 この間新しい大学ができたのでそれをお祝いにまいりました。ある私立大学でございますが、私たちが学んだ大学とは非常に違っている。食堂が非常に立派で明るくてきれいになった。それが吹き抜けになって二階にはちゃんと喫茶室があるんですね。そこから、窓から見ると、向こうの方にグラウンドがありまして、もちろん野球場もありますが、そのほかにゴルフの練習場もある、それからアーチェリーの練習場がある、こちらの方にはプールがある、サッカー場がある。それを今度は、選手のいわゆる部活動の何か泊まる部屋もあるんでしょうか、あるいはシャワーだとかそういうものも全部完備している。それで教室の方はというと、ちょろっとしていると言っちゃあれですけれども、図書室があって教室がある。まあ大学も変わったなという気がしたわけです、私。  そんなところに魅力があるとは私は思いませんけれども、しかし、このごろの若い人の考え方は少し変わってしまって、いわゆる文部省なり政府がおやりになるような形の大学では魅力がないということも一つあるんじゃないかと思うんですね。これは何も強く言っているわけじゃない、そういうこともあると言っているんですね。例えば文部省の施設部でお建てになる建物は、何平方メートルで一平方メートルは幾らでこれだけのものを建てなきゃいかぬというと、四角な建物ができちゃう。少しもそれに魅力がない。温かみもない。彫刻も何もない。ただばさっとしているものだけがある。それ以上のものをやろうとすると、そういう金は出しませんというようなことになる。だから、そういう建物自体がもう昔の考え方と違っているんじゃないか、これは施設の方でも少し考えなきゃならぬ時代に来ているのじゃないかなということをちょっと感じました。私は、そんなグラウンドをつくって立派な喫茶室をつくれと言うわけじゃないんですけれども、少し考えなきゃいかぬのじゃないか。図書館でももっと温かみのある図書館で、ただ本が置いてあって机が置いてあればいいというような時代はもう過ぎ去っていきつつあるんじゃないかということを一つ申し上げているわけです。  それ以外に、私は、各大学研究教育の内容につきましてもっと特色や理想を各大学に持たせねばいかぬ。大学設置基準というものがあって、四角四面にいろいろなものを規定してしまうというようなことが特色が出せないもとになっている。あれは設置基準であって、それから先のことはかなり自由に設備もあるいは施設もできるというふうにしないといけない、これは施設の面ですけれども。もう一つは、研究とかそういうことにつきましては、どうしてもこれは、講座であるとかあるいは教授であるとか、こういうスタッフをどういうふうにそろえていくかということが一番問題になるんじゃないかと思うんです。  で、この臨教審ではいろいろの論議がございますけれども、大学改革というのは余りないんですね。入試改革はありますけれども、大学改革というのは余り、私が見たところ、これはという改革がない。さわりにくかったということもありますけれども、そういうことは今後も大学審議会をおつくりになりましたからおやりになるでしょうが、審議をする人が大学の現役であるとかあるいは大学関係者であるということになるとやっぱりやりにくいんじゃないかと私は思うんですね。そういう意味では、どうやってこれ大学改革していくか。大学の自治だ自治だと任せておいてもこれはなかなかうまくいかないんじゃないか。この点を私、ぜひ今後力を入れてこれをおやりにならなければいけない問題じゃないか。  例えば教授選考というものがありますけれども、今非常に専門化しまして、工学部であれ理学部であれ、あるいは医学部でございましても、そのことをやってない教授でなければ、その専門科目についてだれがどういう仕事をして、その仕事がいいか悪いかっていうのは判定ができないわけですね。できないだろうと思うんです。それなのに、いわゆる選考委員会は開かれますけれども、教授は教授会でこれを投票して決めるわけです。そうすると、わかる人というのはその中に二、三名しかいないわけですね。その人が、まああれが言ったから入れようということになるわけです。だから全くの批判がないままに入れているという状況もこれは多々あるんじゃないかと思うのです。教授会のいわゆる教授選考のあり方というのは今後どうしても考えなきゃいかぬ。  それから、新しい学問がだんだんできてきますと、どうしても新しい講座をつくっていかなければ時代に即応しないと思うのです。ところが、そう講座をふやすということは現在の文部省予算ではできない。だからして、何か講座を廃止していただければそのかわりに何でも望みのものをおつくりしますよということを文部省はおっしゃるけれども、廃止はできないんです、これは。スクラップ・アンド・ビルドというふうにいかないわけです。これをどういうふうにおやりになりましたら改革できるか、何かそういうことをお考えになったことがございますか。あるいは大学の教授を選ぶときにナショナリズムというのがあるわけですが、今のところは二人同じような実力であればその大学の出身者を選ぼうということになっているんですけれども、同じような力があればよその大学の人を引っ張ってこようというような気持ちは余りないんです、残念ながらないんです。だから、古い東大だとか京大とかそういうところではほかの大学の人はほとんど入っていない、そういうことですね。それからまた、外国の教官を引っ張ってくるということはある程度許されていますが、国立大学では教授ということにはいかないんじゃないでしょうか。その点はどういうふうになっているでしょうか。まあいろいろ聞きましたけれども、このことについてはどういうようにお考えでございますか。
  164. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学改革をいろいろな形で進めていかなければならないということは先生のおっしゃるとおりでございます。ただ大学について、臨教審は確かにいろいろなことに触れてはおられますけれども、具体的にここをこうせよというたぐいの提言ではなくて、むしろ問題意識の提起というような形で、しかも昨年お認めいただきましたけれども、大学審議会をつくってそこで検討せよということに相なっておるわけでございます。これは大学というものの持っている特殊性から考えて、外部ですべてを決めてしまうということよりはむしろ大学関係者に集まっていただきながら、その中で議論して新しい改革方向を目指してもらおう、それが一番適切であろうということでの臨教審のお考えであろうというふうに受け取っておるわけでございます。  先生の御指摘もいただきましたけれども、昨年発足いたしました大学審議会では、大学の現役の方ももちろんお願いをいたしましたけれども、既に大学を退官されて比較的自由に発言ができる方とか、あるいは学外の方であるとか、そういう方方に相当数入っていただきまして、中で現在活発な御議論が行われている最中でございまして、そういった形でだんだん実現をしてくることを期待しておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、私は大学の関係の方々にもよく申し上げるのでございますけれども、やはり大学改革をするというのは各大学大学院方々がおやりになることで、文部省が大学審議会の御協力を得ていろいろやるにしても、それはこういう方向へ行ったらいいでしょうというようなガイドラインのようなものをお示しをするとか、あるいは各大学がいろいろ御判断になる場合にやりやすいように制度弾力化を図るとか、そういったたぐいのことに結果的には限られてくるわけですので、大学方々がみずから問題意識を持って大学改革に取り組んでいただきたい、そういう雰囲気を各大学で醸成してほしいというようなことをしばしば申し上げておるわけでございます。  先生のお話に講座の問題がございました。この講座の問題につきましてもかねてからいろいろ問題がございまして、筑波大学でいわゆる学系制度というものを実施をいたしました。また、筑波の学系制度に至らないまでも、各大学の相当数のところで現在大講座制度というものがかなり普及をしてまいっております。要すれば教授一、助教授一、助手一というような格好での縦一列の系統ではなくて、教授、助教授、助手というのが複数でその講座に入っておる。したがって専門分野も似たような分野であっても、かなり教授と助教授では違う分野を担当しておられるというようなことがかなり自由にできるような仕組みをつくっておるわけでございまして、そういった意味では、講座の実質的な内容の転換というような御指摘も、比較的そういう大講座等がふえてまいりますと、少なくとも従来のように狭い講座でなければ、名称も変え、メンバーも変えなければ、新しい講座にならないというようなことでなくて対応できる部分もかなり出てくるのではなかろうかというようなこと等も考えておるところでございます。  また、教授のインブリーディングのお話がございました。最近では、できるだけ他の大学等の経験を経た方を自分の大学へ迎えるようにしようというようなことも出てまいりまして、公募制度というようなことも大分進んでまいりましたし、それから、これも先生御承知のことでございますけれども、新設医科大学国立でつくります際には、一つ大学から三分の一以上は入れないというようなことで、二つ、三つの大学から集まってきて新設医大ができるというような方式も、これは意図的にやったわけでございます。そういったいろいろな努力を積み重ねて、少しずつではございますけれども、実質的な改革は進んでいるというふうに見ておるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、いろいろな仕組みをどうする、あるいは講座制度をどうするということをいろいろやりましても、結局は大学の先生方の意識の問題に帰着をするわけでございまして、どういう仕組みをつくっても、意識が変わらない限りは従来と同じような運営になってしまうということもあるわけでございます。そういうことも含めまして、問題意識を持っていただくようにということをお願いを申し上げると同時に、また制度面での弾力化等を設けまして、こういうことをやりたければ制度をこういうふうに変えますよということを各大学お話を申し上げまして、いろいろ新しい形への意欲をわき立てていただくように文部省としても努力をしているところでございます。
  165. 高木健太郎

    高木健太郎君 自分にできないことを幾ら申し上げてもしようがないわけですけれども、しかし教育改革ということが前の内閣の非常に大きな目的でしたし、今度の内閣もそうであろうと思うわけです。しかし、入試にしましても何にしましても、大学自体改革されない限り、何をしたってうまくいかない。それはさわりにくい、大学には自治があるから。それに容喙することはできない。だから、そっと真綿で包むような方法でおやりになるというようなことはわからぬわけでもありませんけれども、それじゃいつまでたっても百年河清を待つということになるのじゃないか。  一つ昔から言われていることは、例えばいわゆる任期制というようなことも何回か話題には上っておるわけですが、なかなかそれは行いがたい。放送大学では任期制を敷いておるわけですし、岡崎の研究所でも任期制はちゃんと規則に入っておるわけです。だから、できないことはない。そういうふうにすれば、いわゆるぬるま湯につかったようなことはないだろう。もう少し気が入るのじゃないかというような気もするわけです。何かあるものを使ってでもよい、あるいは学生は東大なり京大なりに集まる。それが頂になる、八ケ岳にはなかなかならぬというような話もありますが、やはり転学だとか、あるいは転校とか聴講の自由とか、そういうことはやろうと思えばできないことはないわけです。だから、できることからやりながら、少しずつ今までの悪い面を直していくというふうに、これは努力しなければ、入学試験だけ変えても私うまくいかないのじゃないか、結局は。そういうことを最後に申し上げて、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  166. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず総合大学院大学の問題でありますが、前回に引き続き質問をいたします。  昨年私どもの反対を遮って、大学審議会設置法が強行され、この審議会のもとで大学院の整備充実改革の問題を中心大学院部会を設置して、大学院設置基準問題などについていろいろ検討されてきているわけでありますけれども、大学院部会はいつごろ発足をして、以来何回ぐらい開いているか、いつごろ総会への報告を予定をしているのか答えてください。
  167. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学審議会の大学院部会でございますけれども、本年の三月にこの部会が発足をいたしまして、これまで三回部会の審議を行っておるところでございます。現在大学院に関する諸般の問題につきまして全面的な御議論をいただいておる最中でございまして、私どもの希望といたしましては、本年の夏ごろには、必ずしも全部にわたってというわけにはいかないかもしれませんけれども、ある程度の項目について一応の御結論の出たものについての総会への報告をやっていただきたいと、そういうことを申し上げまして、そういうことを目途に現在検討が進められている最中でございます。
  168. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 夏ごろというと相当幅があるわけで、夏というのは五月ごろから十月ごろまでと言う人もありますから、夏の中のどの辺ですか。
  169. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) そこまで詰めたことはお話しをしておりませんけれども、私ども夏と言いまして常識的には五月とか十月ではなくて七月、八月ぐらいの見当であろうかと思っております。
  170. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 夏ごろに総会への報告が出るというにもかかわらず、どういう大学院部会としてのまとめが出るのかという、そこを見届けないまま、今回新しい形での総合大学院大学なるものを見切り発車的に設立をしていこうということは、まことに軽率なやり方じゃないかということは前回も指摘したところですが、この前回の局長答弁では、この大学院大学は今の大学院設置基準、これでつくっていくと。しかし、今の大学院設置基準というのは、学部学生を持たない大学院というのはないわけでありますから、そういうもとでの設置基準、この校地とか校舎とか研究室とか図書館とか、そういうものについてのこの設置基準、在来の設置基準と今度新しくできるであろう大学院大学設置基準というものは、当然違いが出てくるということが常識的にも判断できるわけです。なぜ、この大学部会での設置基準問題についての議論の煮詰まりをもう少し見届けないんですか。
  171. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学院設置基準につきましては、前回もお答えを申し上げたとおりでございますけれども、現在ございます大学院設置基準というのが基本的に大学院設置についての基準を全般的に定めたものでございまして、その趣旨あるいは大学院の課程についての考え方研究科、教員組織の基本的なあり方、学生定員の問題等々があるわけでございます。ただ、この大学院設置基準は、先生のお話にもございましたように、学部基礎を置いて大学院をつくる場合ということが一応の念頭にあって決められております設置基準という趣旨が強いものでございますので、そういう観点から学部に根を置かない独立の専攻をつくる、独立研究科をつくる、そして今回の場合は独立大学院をつくるということに相なるわけでございますけれども、そういった事柄のときに、さらにつけ加えて判断の材料とすべきことということは、大学設置審議会審査内規という形で従来から決められておるわけでございますので、現在ございます大学院設置基準と、それから大学設置審議会審査内規と、こういうものを両方あわせて適用することによって、今回の総合研究大学院大学設置について大学設置審議会で御審議いただくのには差し支えがない、こういう判断をいたしておるわけでございます。  なお、今後さらにこの大学審議会の方の大学院部会で独立大学院設置基準の問題も御検討いただくことにしてございますが、今後、例えば公立あるいは私立というような形で、こういう独立大学院をつくりたいという御要望等が出てくるというようなことも予想されないわけではないわけでございますので、そういったことを考えますと、独立大学院の場合の基準というものはもう少しきちんとした形で天下にお示しする方がいいであろうというようなこともございまして、大学院部会の方で御検討いただくということにいたしておる次第でございます。
  172. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 少し角度を変えて聞きますけれども、前回も触れましたように総合研究大学院大学の創設準備委員会というものがありますね。午前中も参考人にその創設準備委員会委員長田中郁三さんが来られましたけれども、この創設準備委員長に六十二年六月一日から就任をされているんですけれども、任期はいつまでですか。
  173. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 本年の九月末日までということで、現在の段階ではお願いをしているそうでございます。
  174. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうすると、午前中に私、田中参考人に聞きましたけれども、中間まとめとしか出ていない。最終報告はいつ出るんですかといったら、任期終了時点ですと、こう言われた。そうすると、九月の末に最終報告が出る。片一方十月一日で発足でしょう。私はこういうやり方というのはどうしたものか。最終報告が出てその内容をよく吟味をして、そしてその中で文部省としてもこれをよく吟味をして、発足するであろう大学院大学の運営に生かしていくというのが当然慎重な行政執行上の建前だろうと思うんです。先ほどの大学審議会の大学院部会、ここの結論も出ていないのに見切り発車、それから日を期せずして九月末に最終報告が出る、十月一日から発足。なぜこれほどまでに見切り発車的に事をどんどんと急ぐんですか。この大学院大学十月発足が少しぐらいおくれて何かぐあいが悪いことがあるんですか、文部大臣。
  175. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) かねてから国立大学設置いたします場合に、国会で法律をお願いいたします際に、四月から発足をするのを三月中に法律を上げろとはけしからぬという種類のおしかりをいただいておりました。そういう意味から大体十月に発足をして翌年の四月から実質学生を受け入れていくというような形で、国会での御審議も十分いただけるような体制を近年とってきておるわけでございまして、そういった形になりますがゆえに、今回のものにつきましても十月に形式的に、形式と申しますか、形の上では開学をし、実質学生受け入れは来年の四月ということで国会の御審議をお願いをしておるわけでございます。もちろん大学をつくっていく仕事というのは学生を受け入れてからもずっと続いていくわけでございますけれども、大学が形式的に設置されるまで、設置されて以降はもちろんその大学で具体に最終的にカリキュラムをどうするかとか、教員をだれとだれを採用するかというようなたぐいのことを行っていくわけでございますが、それまでの間は準備委員会で準備のためのいろいろな仕事をやっていただくということでございますので、実際に大学にその仕事を引き継ぐ時点で、その前の時点でそれまでの準備の状況を全部まとめて、それを報告という形にまとめ文部省にも出していただくと同時に、新しくできる大学の側に引き継いでいただくということをねらいとしているわけでございます。  そういった関係上、最終段階まで済んだ後でというふうにいかないわけでございますけれども、したがって、その辺について国会で法案審議等をお願いするのに、内容的な必要な詰めについては中間まとめということに相なろうかと思いますけれども、そこにおいて基本的な骨組みについては全部関係者の合意を得てここに中間まとめといたしておるわけでございますので、これに基づいて国会でも御説明を申し上げ、あるいは今後の準備もこれに従って進めていくということに相なるわけでございます。したがいまして、これから先の準備委員会の準備というのはさらに細目にわたった準備になっていくということでございますので、そういう意味でひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  176. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 御理解賜れません。  文部大臣、この新しい教育制度や機構をつくるという問題は、まさに国家百年の計という言葉がありますように、本当に未来に悔いを残さないように慎重に慎重を期してよく検討をして実施に移していくということであるべきだと思うんですよ。ところが、さっきから繰り返し聞きますように、大学審議会の大学院部会の結論、夏のいつごろかということですけれども、しかしそう半年も先というほどのそんなに遠い遠い先じゃない。そこで結論も出るということでもありましょうし、それから七月臨時国会という話、それは決まっていない、予定だといえばそれまでですけれども、しかし大体ほぼ確実な話になってきているんじゃないですか。こういうときに、なぜこんなに急いでこの問題の決着をごりごりやるんだ、もっと慎重な扱いがあってしかるべきじゃないか。ここはひとつ政治家として中島文部大臣に考えてもらわなくちゃならぬところだと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
  177. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) これは大学大学院の活性化、高度化、こういうものは年来の宿題でありまして、そして今これをやみくもに急いでおるというのではなくて、大学には今までも大学、それから既設の大学院もあるわけであります。そこでは、私どもも再三言っているように、既設の大学院充実あるいはその高度化というものを常常考えていくべきやっぱり努力は続けていかなければならない。なぜ今度総合大学院大学をつくるのかというと、今までの既設の大学院でカバーできない範囲が、例えば学際分野ですとか複合分野とか、そういう部分があります。それではそれは各大学でやればいいじゃないか、大学院でやればいいじゃないかといっても、大きな施設を要しますから、そういうものを共同利用機関利用して、そしてそこで教育を行う。これは私は新たにその審議をまって行うべきというものではなくて、この間もお答えしたように、これは見切り発車というお言葉には当たらないというふうにお答えしたわけであります。  じゃ、なぜ一方で大学審で大学院改革その他を今御審議いただいておるか。これはまさに個々の大学院の、例えば改革の問題、学位の問題、あるいは先ほどちょっとお言葉に出ましたけれども、選択的任期制の問題とか、そういうもろもろのものがございますから、それをまた個々に御審議をいただき、そこから御意見をいただこう、こういうものでありまして、並行して行っていって一向差し支えないものと私どもは考えておるわけでございます。
  178. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大学院充実していこうというその一般論、一般方向はこれは別にだれも異存がない。ただ、新しい今回の総合研究大学院大学をつくろうというこの組織と運営、機構、ここをめぐっていろいろ議論を呼んでいるわけなんです。だから、その点については新しいものをつくるんだから慎重に慎重を期さなくちゃいけない、こういうことで言っているので、ひとつ文部大臣よく心得ていただきたいと思います。  話題を変えますが、前回もこの大学院大学の運営審議会問題について質問をいたしました。現在、筑波大学では、開かれた大学という名のもとに参与会という学外者を含む機関が設けられている。かつて経団連の土光敏夫氏もこの参与会に学識者の一人として名を連ねているわけでありますけれども、この筑波大学の参与会は、大学の運営に関する重要な事項を審議し、学長に助言または勧告するという権限を持っています。今回の総合大学院大学の運営審議会なるものはどういう権限を持つかということで、前回いろいろ聞いたんですけれども、大学の運営に関する重要な事項というのを取り扱うというようなことは文部省としては考えていませんという答えであったんですけれども、本当かと、心配は消えないというふうに言っていたんですけれども、もう一回確かめますけれども、筑波大学の参与会、これと今回の大学院大学の運営審議会とは権限は明確に違うというふうに言い切れますか。
  179. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 前回も御説明を申し上げましたように、この運営審議会というものの性格といたしまして私ども考えておりますのは、一つは、国立大学共同利用機関母体にしてこの大学が実質的に存在をするということから、国立大学共同利用機関との間にいろいろな連絡調整等の必要が生ずるであろうということ。それからもう一つは、他の大学との連携を十分にしていこうという構えでおります関係上、他の大学との関係においても同じような課題があるであろうということで、そういった問題の連絡調整に関していろいろ御意見等を承る場ということを中心に、この会議については考えておるわけでございます。そういう意味で、筑波大学における参与会とかあるいは他の大学における参与という名称とは違う名称を我々としては考えたという次第でございます。
  180. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 連絡調整協議だけの機関だ、そういう性格であれば審議会という名前は普通使わない。いろいろ審議して提言するというのが普通審議会というものの持つ性格だと思うんですけれども、だからそこに不安があるから一体どういう文部省令を考えておるか資料として出せと言うたって、文部省は出さぬから、余計これは怪しいぞということになりかねないわけですね。  それというのも、六十二年三月、創設準備委員会の基本構想というものの中で、参与会と研究所連絡調整会議という二つの機関を置くというのが図までつけて出ている。それがその後、運営審議会という名前にすりかわっていたということで、名前は変えたけれども二つの機能を吸収をしているということじゃないか。したがって、参与会、筑波大学方式の重要事項を審議するという機能を持った運営審議会じゃないかという、こういう危惧が消えないわけです。しかし、これ何ぼ言ったって、いやいや違いますということでしらを切るわけですから、問題は、文部省令を出してもらったらいいということを繰り返し言っておきたいと思います。  それからもう一つは、運営審議会の中に学外の有識者を含む運営審議会だと。学外有識者には企業の代表も含まれるということを先日の委員会局長はお認めになりました。学外の有識者はどういう人を選ぶか、若干名となっていますが、大学が勝手に決めることだということですか。それとも学校教育法教育基本法等々そういう法令に基づく大学としてのおのずからの制約があるということなのか、どうなんでしょう。
  181. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 前回もお答え申し上げておりますけれども、この運営審議会の構成員の人選につきましては、まさにその大学が自主的に判断をしてどういう方をお願いするかということを決めていくわけでございます。その場合に企業の代表者が入るとお答えをしたつもりは前回ないわけでございますが、各大学で必要に応じて判断をしていくということで、企業の代表者はだめだというような一律の分け方をするつもりはないという趣旨のことを申し上げたつもりでございますが、具体に個々の人間、方々を選ぶに当たりましてはその大学の趣旨、目的に照らして適切な方が当然選ばれるべきものであろうと思っております。
  182. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 企業の代表も入り得るということを私はこの間確かめたわけですね。現にこの準備委員会の中に企業の代表、植之原道行さん、日本電気株式会社副社長が入っておるんだから、恐らく運営審議会にも入ってくるでしょうという私が想像をしておるということであって、入り得るということなんですよ。  そこでさらに進んで、この若干名、複数の学外有識者、それをどう選ぶかということは大学の自主的判断だと今おっしゃいました。そうすると、お聞きしますけれども、防衛庁の有識者、私は余り防衛庁に有識者いないと思うんですけれども、いたとして防衛庁の有識者もこの学外有識者の中に含まれ得るということですか、大学が決めれば。
  183. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 制度的にはどういう方に限るとか、どういう方はいけないということを決めておるわけではございませんので、いろいろな分野の方が入り得る制度であろうと思います。ただ具体に大学が選ばれる場合にはこういった大学教育研究の目的あるいはそれとの関連というようなことを踏まえて適切な方を選ばれるということであろうと思います。これまでの例で申しますと、例えば筑波大学あるいはその他の大学に参与会ないしは参与が置かれておりますけれども、防衛庁の方が入っているという例はございません。
  184. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私はなぜこのことを尋ねるかといいますと、昨年の大学審議会法案の審議の過程で塩川前文部大臣は、学問の自由の議論にかかわってSDI研究研究者が参加するのも学問の自由のうちの一つだ、こういう重大な発言を塩川さんがしているから実は心配が消えないんです。塩川大臣の言ったこのSDIなどそういう軍事研究研究者が参加するかせぬか、これも学問の自由の一つだと。中島文部大臣はどういう御意見でしょうか。私は大学というところは、学校教育法第五十二条に基づいて「学術中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」、この道徳的、すなわちこれは二度と戦争ということはしないということを誓ったあの教育基本法の前文や第一条、平和目的でというこことの関係で、軍事研究学問の自由の一つだというそんな暴論は少なくとも大学というところではまかり通ってはならないというふうに私は思いますので念のために文部大臣にお尋ねします。
  185. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 今おっしゃった学問の自由、これは日本国憲法の第二十三条でございます。したがって、学問の自由を口にいたしますればこれは大前提に日本国憲法がある。日本国憲法には、その前文においてどのような国であるべきかということが示されまして、以後ずっと各条項に相なっております。そして、その学問の自由も含めた日本国憲法、その全体であらわしたそのような国家をつくるべきその根本は教育であるというふうに定めたのが教育基本法でありますから、この両方をあわせた中での学問の自由というふうに私は考えておりますので、良識的にやはり日本国憲法が定めたその理想的な国家をつくるための学問の自由である、私はそういうふうに考えております。
  186. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう時間でありますので最後に一問お尋ねをしておきますけれども、新テストの関係であります。  午前中、参考人の御意見をお聞きしました。そのうち、お一人は入試センターの代表でありますので、入試センターというのは決まったことをいろいろ事務執行していく、そこの機関の代表でありますのでその方はさておいて、あとの三人の方いずれも、今度の新テスト、六十四年十二月からいよいょやるというこのことに積極賛成を表明した人は私はなかったと思うんです。中でも高等学校校長会の代表などは、どうしても高校教育にとって影響がよろしくないというので、もう一遍十二月テストを一月にやるという方向へ戻せないかというのが高校の方の代表の意見だったと思うんです。  別に今度の法律で「省令で定める。」というところをどんな省令か、それを聞いても、政省令でも六十四年十二月から新テストをやるということをどこかにうたい込むということはないわけですね。こういう点から考えてみて、これは文部省が教育関係団体、国大協とかあるいは私大連、私大協あるいは高等学校校長会、こういうところとよく話をしてそこの合意に基づいて日取りを変えようと思えば変えられること。さらにもっと言えば、六十五年実施、そのための六十四年十二月テストですけれども、六十五年実施をもう一年延ばすということはできること。それは今までも何かやるやるといって延ばしてきたんですから、そんなものはできないはずがないということで、これは事ここに至ったときに中島文部大臣として、そういう非常に不満と不安を残したままこれまたこういう見切り発車的に事を進めていくというやり方は避ける、本当に慎重を期して今度は大丈夫だなということで、国民合意を得て事をやっていくという方向で、十二月実施の問題についてはぜひとも再検討をしてもらいたいというふうに文部大臣に求めたいと思いますが、どうでしょうか。
  187. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 入試改革につきましても、やはり今まで確かにおっしゃるように一回延ばしたことはございます。しかしそれは、入試改革一つ考え方をよく理解をしていただくのと、それからその間に改革協議会というものの中で国公私立それから高校の側の方の御意見もよく伺いまして、そして六十一年にその方向を公表いたしまして、そしてそういう協議の中で六十五年実施、そして先ほども他の御質疑にお答えしましたように、高校側も含めまして、それは高校の学習の完成度からすればできるだけ遅い時期を御希望なさるでしょうが、高校側も含めて十二月下旬、こういうふうに定めさしていただきましたのですから、今後とも機会を見つつその趣旨を御理解を深めていただくことを努力しながら、しかし先生のおっしゃるように再考をせっかくお求めでございますが、私どもとしてはこれに沿って実施をさしていただきたいとお願いをいたすところでございます。
  188. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 時間ですから。
  189. 勝木健司

    ○勝木健司君 先日、十二日の文教委員会で、現行の大学院の問題点と改革についてお尋ねしたわけでありますけれども、どうも明確なる御説明をいただけなかったので、少し角度を変えてお伺いをいたしたいと思います。  現在、日本大学院は大変残念なことでありますけれども、国際的に見ても量、質ともに劣っていると言われておるように思います。特に大学院学生学部学生に対する比率というものは、米、英、仏など先進諸国が三割に達しているのに対して、我が国は四%程度であり、高度先端技術研究者が不足しているというふうにされております。今後の我が国大学院充実に、今回の総合研究大学院大学の創設は、どのように寄与していくと考えられておるのでありましょうか。お伺いいたしたいと思います。
  190. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 最近のいろいろな国際情勢その他世界的な情勢から見まして、これからの学術研究につきましては、独創的な研究の推進とか、あるいは先導的分野の開拓ということは大変強い要望となっております。また学術研究国際化とか、それから従来のディシプリンに限定されずに、学際領域あるいは複合領域の発展というような状況が出てまいりましたので、特に幅広い視野を持った創造性豊かな研究者養成ということが我が国全体として必要なことになってきているという認識をいたしておるわけでございます。  臨時教育審議会の第二次答申におきまして、大学院の飛躍的充実改革というのが急務であると特に指摘をされておりますのもその一つであるというふうに考えております。そういった具体的な方策の一つとして、同じように臨教審から、独立大学院の創設もやっていけという御指摘もいただいておるわけでございます。今後のことを考えますと、やはり一つには従来の学部基礎を置く大学院をさらに整備充実していくということも大変なことでございますけれども、既存の大学の枠を越えまして、こういった現在先進的な研究をしております国立大学共同利用機関のすぐれた機能というものを、せっかくのものでございますので、これを活用いたしまして、総合研究大学院大学をつくるというようなことを並行して実施をしていくということが非常に大事なことであり、これが我が国全体の学術発展に有益であるというふうに考えておるわけでございまして、そういった意味で既存の大学の整備充実の問題と、この新しいタイプの大学院大学の創設と、この両方を並行的に実施をしていきたいというふうに念願をしている次第でございます。
  191. 勝木健司

    ○勝木健司君 今回新設されようとしている大学院大学でも、先端分野研究者養成というのが大きな目的となっているようでありますけれども、先端分野であるかどうかを問わず、創造的な研究者の育成、養成というものはやはり今後とも日本が科学技術立国を目指す限り、不可欠の課題ではないかというふうに思われます。そういった意味で、創造的な研究者を育てるために、どのような具体的な施策というものが考えられるのか、お伺いをしたいと思います。
  192. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 創造的な学術研究を推進するためには、いろいろな方途がございますが、学問分野によっても違いますけれども、特に自然科学関係におきましては、やはり若い間にすぐれた頭脳で独創的な学術研究の成果を上げるということがよく言われております。そういうわけで、若手研究者の育成ということで本格的なポストドクトラルフェローシップといたしまして、特別研究制度昭和六十年度から創設をいたしまして、実施をしているわけでございます。これは自由な発想と幅広い視野を身につけながら、できるだけ同じ教室にとどまらないで、流動的な研究活動を、いわば他流試合を若い間にしてくる。そういうことによって独創的な研究を行うという制度でございまして、博士取得者あるいは大学院博士課程在籍者を対象にいたしまして、二年間研究費もあわせて交付し、もちろんその研究奨励金という形で博士取得者が二十一万円ほど、博士課程在籍者が十二万円余りという研究奨励金を支給いたしまして、研究成果を上げていただくということでございます。昭和六十三年度におきましてはこれを六十二年度の五百六十八人から七百二十八人に増員をするということで考えております。
  193. 勝木健司

    ○勝木健司君 一つの指摘として、研究者としての資質に恵まれた学生というものを選考するためには、大学院入試のあり方も再検討する必要があるんじゃないかということで、現在の大学院入試も大学入試同様、分野によってはペーパーテストに偏っている面もあるとの指摘が一部にあるようでありますが、どのようにお考えかをお伺いしたいと思います。
  194. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学院の入試のあり方につきましては、これは大分前でございますけれども、昭和四十六年に大学院入学者選抜実施要項というものを各大学に通知をいたしまして、学力検査の実施科目につきましては、「大学において適宜これを定め、筆答または口述のいずれか一つ、またはこれをあわせ行なうものとする。」というようなことでの指導を行っておるわけでございます。  各大学の具体の実施の状況を見ますと、専門領域についての筆答試験及び口述試験と語学試験と、この三本立てで実施をしているところが多いわけでございますが、特に博士課程においては論文を重視する、あるいは口述試験のみによっているというようなところも出てまいっておりまして、各大学院それぞれの目的、性格あるいは教育研究上の特色を踏まえまして、大学院入学者選抜が行われておるというふうに思う次第でございます。大学院につきましては、学部とはかなり性格が違って、まさに研究者養成ということにかなりのウエートがかかっている分野でございますので、学部のような形での多様化というのはなかなか難しい面があろうかとは思うわけでございますけれども、それにいたしましても、それぞれの分野に即して適切な入試が行われるということを期待しておるわけでございまして、この現在お願いしております総合研究大学院大学の場合には、大学院入学者選抜に当たりましては、各大学から志願者が集まってくるわけでございますので、修士論文を考査をするとか、あるいは面接を行うとか、いろいろな多様な選抜方法をやろうではないかということで今検討がなされている最中でございます。
  195. 勝木健司

    ○勝木健司君 先端技術分野、例えばコンピューターの利用については、大学院の設備というものは民間企業のそれに比べて最近おくれが著しいというふうに言われておるように思います。これらの設備は高価である、またかつ短期的に陳腐化するために概算要求をして予算がつくと、そして予算が執行されて購入するという過程を待っていては近年の急速な技術進歩にはなかなか追いついていけないというふうに思うのであります。先端技術関連設備については、企業からの寄附で充実させるとか、あるいは共同利用するとか、そういう場合の寄附に対しての税制上優遇措置というものは適用するなどの施策というものはとれないものかどうかということでお尋ねをしたいというふうに思います。
  196. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 確かに学術研究が急速に進展をいたしまして、また、それに伴う設備の方も非常に新しいものが次から次と出てくるということで、これをいわば追いかけるのがなかなか大変でございます。文部省といたしましても、日ごろから研究設備の充実につきましては、厳しい財政状況の中でも対応しているわけでございますが、特に六十二年度は大型の補正予算がございまして、かなりそういったことで設備費を投入をいたしたわけでございます。  今先生がおっしゃいました民間の方にも非常にいい設備がある、これを活用する方途はないかということにつきましては、民間等との共同研究制度というものを五十八年度に創設をいたしまして、大学の本来の使命を踏まえ主体性を保ちながら民間等と共同研究を進めることが適当であると研究者自身が判断をされた場合にはそれを進める制度をつくったわけでございます。この制度によりまして、もちろん研究者大学に受け入れることができるわけですが、同時に民間の所有にかかるすぐれた設備も受け入れることができるということにしておりますし、また設備を大学の中に受け入れることができない場合には正規の出張の手続で設備のある企業等へ研究者も出向くことができるという弾力的な措置を講じております。  なお、先生が最後におっしゃいました研究設備について企業等から寄附があった場合に税制上の措置はどうなっておるかという点でございますが、これは一般の寄附金に係ります損金算入限度枠とは別枠で、そういった場合には寄附金の全額が損金に算入される、いわば課税をされないという制度が設けられておるわけでございます。こういった制度を活用しながら、大学におきます研究をさらに充実をさせていきたいと思っております。
  197. 勝木健司

    ○勝木健司君 施設とか設備あるいはシステムが整備されたとしても、それだけではやっぱり単なる物でしかないように思われます。やはりそこに魂といいましょうか、生命なるものを入れなければ無意味であるというふうに思います。そのことはつまりそこで研究活動を行う人たちが生命であるというふうに思います。したがいまして、新設の大学院大学成功の条件の一つとして、設置の際に持っている新鮮な感覚というものをいつまでも持ち続けるということが大切じゃないかというふうに思います。活発な研究活動を展開するためにはやっぱり活発な人事の交流というものが大きな課題じゃないかというふうに思われます。教員の人事が停滞し、また研究教育体制が固定化することのないように、一定期間による教員の交代制、交代等が必要ではないかというふうに思われますが、御見解をお伺いいたします。
  198. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 今回の総合研究大学院大学の場合には国立大学共同利用機関母体とするわけでございますけれども、国立大学共同利用機関自体が開かれた組織ということで各大学との連携交流に努めておるわけでございまして、例えばそのうちのある機関の場合には教員の任用に際して内部からの昇任よりも外部から受け入れるということを基本に考えるというような仕組みでやっているところもあるわけでございます。そういったところを母体としてこの大学院大学はできておりますので、そういった意味での人事交流ということは基本的に存在するような形のものであるわけでございますが、さらにそれに加えまして、大学内部におきましては研究者交流と申しますか、人事上の交流というよりも事実上いろいろな形で協力、共同をするという形で、各分野の先生方の意見交換等を行い、あるいは共同作業等を行うというようなこともやっていきたいと思っております。  また、この大学院大学の将来計画でございますけれども、教育研究交流センターとかあるいは教育研究資料センターとか、いろいろな幾つかの機関をさらにつくるということを考えておりますが、これらの組織の場合には流動教官あるいは交流教官というような名称で各大学との間に人事交流を行って、そういうスタッフによって運営をしていくということを基本的に据えて考えるというような構想もあるわけでございます。先生御指摘のような方向で運営をぜひ考えていきたいと思う次第でございます。
  199. 勝木健司

    ○勝木健司君 次に、大学入試制度についてでありますけれども、現行法の第九条の三で共通一次試験の業務とともに行われていることとなっております入学者選抜方法改善に関する調査研究という項目でありますけれども、これまでの調査研究というものは十分に行われていたというふうに理解してよいのでありましょうか。    〔委員長退席、理事林寛子君着席〕 また、調査研究の中で何か問題点はなかったのかどうか。また、今後調査研究の機能というものをどう強化されようとしているのか、あわせてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  200. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学入試センターでは研究開発部というのを設けまして基礎的な大学入試に関する研究を行っているわけでございまして、これまで情報処理研究部門と評価追跡研究部門、試験方法研究部門、試験制度研究部門、進学適性研究部門というような五つの部門において種種研究を進めてまいっております。中には具体に、例えば選択制で回答させる場合には何問程度を出題するのが一番適切であるかというような問題の検討というようなことで、直接現在行われております入試に役立つような内容のものもございますし、より基礎的に各外国の制度等を十分調査研究をするというようなことで基礎的な研究を行っている部門もあるということで、こういう研究かなり地味なものでございますからある程度の年限が必要でございますけれども、相当の成果を現在上げつつあるという段階であろうかと思っております。  なお、昭和六十三年度におきましては、さらに特別試験研究部門ということで、身体障害者の方方とかあるいは職業高校の出身者とか帰国子女や社会人入試といったような、そういう特別な試験の場合のやり方をより適切にやる方法を見出すための研究であるとか、あるいは試験問題研究部門というようなことで試験問題そのものの作成についての研究を行う部門というようなことも増設をいたしました。こういった地道な研究を今後積み重ねていくことによって大学入試の将来にプラスの効果が出てくることを期待している次第でございます。
  201. 勝木健司

    ○勝木健司君 また、新たにつけ加えられました大学入学志望者の「進路選択に資するための大学に関する情報の提供」という項目がありますが、これは具体的にどういうものになるのかということであります。大学情報や入試情報につきましてはいわゆる受験産業がかなり細かい情報というものを提供してきておりますが、それらのものとどう違うのか。また受験生が進路選択に資することができるような情報ということになりますと、いわゆるお役所の広報程度のものでは役に立たないのではないかというふうに思われますけれども、御見解をお伺いします。
  202. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 臨時教育審議会の答申におきましても、大学に関する各種の情報の提供ということが必要であるという御指摘もあるわけでございますので、そういった点を踏まえまして大学についてのいろいろな情報を、いわゆる入試情報に限らずにもっと基本的な情報を受験生等の方々に提供することにしたいというようなことで情報提供の新しい仕組みを考えておるわけでございます。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕  提供いたします情報の中身といたしましては、それぞれの各大学の、あるいは各学部の特色がどうなっているか、概要がどうか、学部の構成なり教育課程がどうなっているか、教員の構成とか教員の研究内容、講義内容などがどんなふうになっているか、学生生活について、サークル活動やアルバイトの状況等、あるいは就職状況がどうなっているか等々、入試の状況も選抜方法について触れることにしておりますが、入試の情報というよりはむしろそういう学生がこの大学へ、いわば偏差値輪切りの方式ではなくて、この大学へぜひ自分が行きたいと思うようなそういう判断基礎になるような情報を提供したいということがこのねらいでございまして、ビデオテックス網を使いまして迅速かつ合理的な横断的な検索システムを構築をいたしまして、高校や受験生が電話回線で情報を入手できるというような仕組みをつくりたいと思っておるわけでございます。  なお、これは昭和六十三年度はまず最初にスタートの時期でもございますので、国立大学から実施をするということになっておりますが、将来についてはもちろん公立、私立大学までぜひこれは広げていきたいという希望を持っておる次第でございます。
  203. 勝木健司

    ○勝木健司君 次に、大学入試改革協議会での報告によりますと、学力テストとは別に専門分野のためのものも含めた適性検査の開発というものが求められておるように思います。これについてアメリカのニューCATやSATのようなテスト日本版の導入についても検討されたようでありますけれども、今後このような適性検査の導入をも含めてどこでどのような研究が進められていくのかということ、この問題についてもお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  204. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学入試につきましては学力等についての検査と並べて適性検査が必要だということは二本立てとしてかねてから言われておることでございます。一時、戦後進学適性検査が行われたような時期もございましたけれども、残念ながら成功せずに今日に至っておるわけでございます。  今回入試改革協議会におきましても、こういった適性検査の問題についてさらに真剣に検討する必要がある。ただ現在の段階では、現在直ちに実施できるに足るだけの経験なり研究が不足をしているということから、今後その可能性について十分検討する必要があるという結論に達しておるわけでございまして、今後の私どもの対応といたしましては、大学入試センターの中に進学適性研究部門がございますので、その部門において既に一部研究を開始していただいておりますけれども、さらに十分な研究を進めていただいて、それの実現をある時期には目指したいというようなことも考えておるわけでございます。  なお、医学部独特の問題として、いわゆるニューMCATと言われるものがあるわけでございまして、アメリカの医科大学協会で実施をしておって、医学の適性を、医師等になる者に対する適性の検査という仕組みでございますけれども、この問題につきましても文部省としても検討課題だというふうに考えておる次第でございまして、昭和五十八年から、財団法人の医学教育振興財団というのがございますけれども、そこで御検討を開始していただいておりますし、昭和六十二年度からは、こういう分野についての研究について科学研究費で千五百万の補助金を計上いたしまして、さらにその一層の進展を図っていただくというようなことでやっておるわけでございまして、このニューMCATにつきましては具体に既に一校でこれを取り入れておる大学もあるというような状況でございます。
  205. 勝木健司

    ○勝木健司君 昨年の受験機会複数化、また来年の連続方式と分離分割方式と受験生の選択の幅を広げた、そして優秀な生徒が浪人をしなくて済むなどということで、複数化そのもののメリットは大きいところがあるわけでありますけれども、大学エゴによって極端に複雑なものになってしまったような感じがいたします。来年度の国立大学の入試があのような複雑きわまりない方式になったことにつきまして、文部省はその理由がどこにあったとお考えか、またどのような評価をされておられるのかということでお聞かせいただきたいと思います。
  206. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 国立大学の入試の機会複数化ということにつきましては、かねてから各方面から強い御要望があったことでもあり、また臨教審の答申でも御指摘をいただいたというようなことでもございまして、国立大学協会において検討されて、昭和六十二年度からこれを実施をされたわけでございます。  ただ、この具体の実施に当たりましては、従来やってなかった新しい方式を実施したということから、大学の側にも受験生の側にもいろいろな戸惑い等もあったり、いろいろ思わざる問題点等も生じた次第でございまして、そういった点では大変御批判を仰いだ面もあるわけでございます。国大協といたしましても、そういった御批判等も踏まえながら、さらにこの複数化という方式をできるだけ定着し、安定をしたものにしていきたいということで、傘下の九十五大学、いろいろ御相談をしながらその改善について進めてきたという中間的な段階にあるわけでございまして、そういった点で、今回発表されております六十四年度のいわゆる併存方式につきましても、私どもとしてはわかりにくい点等もあって、もう少し簡単でしかも定着をできる方式はないかということは申しておるわけでございますけれども、しかしながら改善を進めていく一つ方向としては絶対考えられない方式ということではない、一つ努力の、進歩の途中の段階であるということで、それなりに評価をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、さらに今後のあり方につきましては国立大学協会はもとより各国立大学としても十分御研究、お考えをいただきまして、より受験生等に対してわかりやすくて安定的な制度になるような仕組みのものに改善を図っていくような努力というものを今後とも一層促してまいりたい、こう思っている次第でございます。
  207. 勝木健司

    ○勝木健司君 時間が参りましたので、最後に文部大臣にお伺いしたいというふうに思います。  共通テスト導入した昭和五十二年の国立学校設置法改正案というものは、衆参両院で附帯決議を付した後、全党賛成で成立をしたものであります。そのときの参議院での附帯決議として、第六項で「この入試制度改善措置については、その実施結果を踏まえた見直しのため、適当な時期に国会に報告すること。」というふうにされております。ということは、一定期間後には実施結果やその問題点に基づいて見直しをする、すなわち手直しをするということが立法府全体の意思であったというふうに思うわけであります。共通一次の基本的考え方を維持しつつ、この十年間の成果や問題点、メリット、デメリットを踏まえて改善することは、最近の大学のエゴによります猫の目入試いじりとは根本的に違うのじゃないかというふうに思います。今回の大学入試センターの改組による新テスト導入と混同してはならないというふうに思います。  共通テスト導入後十年たち、いろいろな確かに問題が指摘されている中でありますが、国民大学入試に対する関心というものが高まっている今こそ、新しい共通テストへの移行というものを大いに進めるべきであるというふうに思いますけれども、文部大臣の御所見を承り、質問を終わりたいというふうに思います。
  208. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 御提案をしておる新テストはまさに新しいテストでございます。ただ、今までの経験上、これをさらに自由にそして多様に利活用していただくことによりまして、受験生の個性能力適性というものをさらに十分に引き出すと申しますか、それによりまして進学の方法に誤りなきを期す。そして御自分の能力適性に合った分野で、自分の得意な分野で十分に能力を伸ばしていっていただく。これは学生諸君にとって新たな生きがいを感ずるものであると同時に、やはり高等教育に活力を与えるものである。また、先ほどおっしゃいました、さらに広範囲の日本研究者養成あるいは高度の職業人としての養成、これに資する道である。そういう意味で、おっしゃることを激励と受けとめさせていただきまして、いい面もそれからさらに改める面もございましょうけれども、いい面は伸ばし、改めるべきところはさらに改めつつ、この新テスト導入をお願いしてまいるところでございますので、一層の御理解を賜りますようにお願いをいたしつつ、努力をいたすことをお約束を申し上げながら頑張ってまいりたいと思います。
  209. 勝木健司

    ○勝木健司君 終わります。
  210. 下村泰

    ○下村泰君 けさほど、参考人の諸先生方がお越しくださいまして、貴重な御意見をお聞きしたんですが、中でも国立大学田中先生、日本私立大学の方を代表した石川先生のお二人に、大学院が新しくできた場合に障害者の問題はどうなるかということを、先般阿部局長からも伺いましたけれども、なおかっこういった方々からも御意見をと思いまして再度御質問いたしましたところが、大変身体障害者の方たちにとっては有意義なお答えをいただきました。ただ、日本私立大学の方を代表した石川先生のお言葉では、各大学が単一になかなかその方たちの環境に合わせるのは、これはやっぱり費用の問題、それはどちらかといえば、やっぱり国の方が面倒を見てほしい、これは私もごもっともだと思います。  先日から私が指摘しておりますように、受け入れ態勢、これ条件さえ整えば、能力がありながら障害を持つというだけで大学進学をあきらめざるを得なかった学生の多くが希望がかなえられるというわけなんです。もう阿部さんも御存じのごとく、高校、高等部への進学というのは非常に率は高くなっていますね。これはやっぱり向学心のあらわれだと思います。手話通訳、それからカウンセラーを配置した予備校もこれも生まれています。大学教育における障害学生への対応、入試及び入試後の対応のあり方は、これまでのように各大学任せでは済まなくなってくるのではないかと私は思います。それから、財政措置を含めて本気で態勢を整えていただかないと、何年後かには、こういう状態が来たときに、文部省の方も対応に困るのではないかというような気もします。しかもそれは確実にきめの細かいものが要求されております。  例えば、弱視者ですね。こういう小さいのは拡大コピー、こんなのもあります。公立の図書館によってはそれを無料でやってくれるところもあれば有料のところもある。とてつもなく銭を取られるところもある。これは非常にばらつきがありますね。こういうのもあります。こういったような環境整備するということが、もう大臣、常に私が申し上げている、障害を取り除いて、障害があっても障害者としないところに有意義な動き方があるんだと思います。  前回も申し上げましたけれども、パソコンやワープロを使っての点訳の参考書や教科書づくりも、わずかではありますが私立大学中心に始まっているんです。例えば関西学院、あそこでも始めていますし、立教大学学生で視覚障害の学生がコピー可能なパソコンの点訳ソフトをつくり出しておるんですね。大変安く費用も上がるということで喜ばれているそうでございますけれども、こういった私立大学中心に始まっているこういう動きが進んでいきますと、スピードアップとコストダウンが図られるわけなんですけれども、文部省としてこうしたソフト開発あるいは機器の導入、こういうものに対して積極的な対応ができるのかどうか、まずそれを伺いたいと思います。
  211. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学における障害者に対する対応でございますけれども、入試の段階でいろいろ共通一次の関係あるいは各大学の入試の段階での対応というのはこれまで何回かお答えを申し上げたわけでございますが、大学へ入試した後の対応の問題、受け入れ条件の整備の問題ということがもう一つ大事なことであるわけでございまして、これは国立大学につきましては、私どもエレベーター等の施設の問題、それから先生おっしゃいましたいろいろ拡大鏡でございますとか、あるいは点字の参考書を整えるとか、いろいろな設備の問題、こういったものにつきましては各大学の要請にこたえて予算上の措置を講じまして対応するということで今日までやってきておるわけでございます。  公立大学につきましては、設備面についての補助金制度というものを設けまして、これまた御指摘のような設備についての要望があれば国費の補助が行えるという仕組みをつくってございます。私学に対しましては、けさほど石川先生のお話というのは私もちらっと聞いておりましたけれども、施設についての、建物についての国庫補助ということは、基本的に建物というのは私学の財産になってしまうということもございますので、これについては建物援助ということでなくてこれまでも融資で対応する、長期低利の融資ということで私学振興財団を通じて融資をいたしますという方向で対応する、そのかわりに運営費については私学助成の中からこういった障害者を受け入れた大学に対してはその障害者の数に応じて私学助成金の上積みをしてお配りをするというようなことで対応してきておるわけでございますので、そういった全体の施策につきましてなお今後とも各大学の実情等を聞きながらその充実をし、障害者の方々を受け入れる条件の整備が逐次行われていくように、さらに引き続きの努力をさせていただきたいと思っております。
  212. 下村泰

    ○下村泰君 大臣ね、配られたプリントがいわゆる何も書いてない白紙だったら普通これはすぐ取りかえてもらいますわね、何も書いてないもの。ところが、目の不自由な方には、例えば黒の墨で印刷されていようがいまいがこれは白紙も同然なんですね、そういう方々にとって。個々の大学だけではなかなかこれはしんどい面もあるんですけれども、東大の法学部に在籍する聴覚障害者の学生さんがおるんですね。この方が、もし大学もしくは国に聴覚障害の学生に対して情報保障者を派遣する仕組み、つまり情報保障者制度、こういうものがあったら、例えば目の見えない方にとっては耳で聞こえるもの、それから耳の聞こえない方には目で訴えられるもの、あるいは手話通訳だとか、そういった情報者がおったらもっと私は学問に興味を持ったのではないか、こういうふうに御本人が言っておるわけなんです。  ですから、昨年三月の筑波技術短大設置のときにも、国立学校設置法の改正案の附帯決議があります。この二番目に「現在進行している大学進学者の急増とその後の急減に適切に対応するため、大学社会の要請を勘案しつつ、必要な諸条件の整備に努めること。」、四番目が「大学入学試験のあり方については、受験生の立場に配意しつつ、その正常化に最大の努力をすること。」、こういう附帯決議がついているんです。ですから、こういうことに十分にこたえられるような検討をしていただきたいと私はそういうふうに思う。大臣、ちょっと一言。
  213. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) もうこういう方々が新しい勉強の機会を得るということは一番大事なことでありますので、前にもお答えしたと思いますが、例えば入試などでも特別な配慮をいたす。あるいは点字、あるいは時間、あるいは別室でということも含めてそこまでの配慮はいたすつもりでございます。  また、今おっしゃったのは、入学後学んでいかれる上に、それはそれぞれの方々が種類、重度を克服しつつ御努力なさっていましょうが、今おっしゃられるように、もう一つ何らかの補助手段、補助機関があれば大変やりいいというお言葉でございますので、その方、その種類によっていろいろ違いましょうけれども、それはできるだけ心して、どのような補助手段を、ほんのちょっとしたことでもつけ加えれば大変なその方のお役に立つ、あるいはこれは共同でできるものなのか、マンツーマンでなければできないのかわかりませんけれども、そういう点はよく心してできるだけのことはいたしたい、もちろん具体にも研究してみたいと思っております。
  214. 下村泰

    ○下村泰君 本法案に関係するようなことはこの辺でとめまして、もうほとんどの方が質問なさっていらっしゃいますので、例によりまして例のごとく同じことを繰り返すのは嫌な性格でございますからやりません。  校則についてちょっと伺いたい。こんな話があるんですが、これは実話なんですよ。これはアレンジなしなんです。  ある自閉症の生徒が中学に入学した、できたんですな、中学に入学できた。しかし、その校長が制服を着てほしいと主張したんですけれども、自閉的ですからそんな向こうが言ったって受け付けないんです、全然。そういう特性がありますから、無理に着せることは困難なためあきらめて、この子の一番着やすい形にした。ところが、そうしたんでは突っ張り連中が反発してこやせぬかと思ったら、そのとおりになりまして、朝登校していく校門の近くで小競り合いをその突っ張り連中がやっているわけです。その中へその自閉症の子供が行った。その格好が短パンにカラーシャツなんです。ジャンパーで履き古したビニールサンダル。最初は同じ学校の、しかも下級生とは思ってみなかったんです、この突っ張り連中が。これを何日か同じようなことを繰り返しているうちに、相変わらずその自閉症の子供が突っ張りの連中でもめている横のところをずっと通りながら「おはよう」と言うわけです。これを見ているうちにこの突っ張りの連中がだんだんやめてしまった、突っ張りを。  何でおまえらやめたんだと言うと、「あいつを見ていたら、俺たちのやっていることが馬鹿馬鹿しくなってきた。俺たちは「孫悟空」と同じだったんだよね。自分ではよう」、これは向こうが言っている言葉ですがね、「自分ではよう、結局、先公に抵抗してたつもりがよ、なんのことはねえ先公たちの」、手の中ですね、「掌中で踊っているだけだってことがわかったんだよな。そうわかったら、もうやんなっちゃって」やめちゃったというんです。  まあ、こういう話なんです。これは実は後日談がありまして、衣がえの日ですから六月一日です。校長が全校生徒の前で、「諸君、きょうは六月一日、衣がえの日である。昔から人々は衣がえという儀式をすることによって自然と自らの生活をみつめなおし、ひとつのけじめとしてきたのであります。衣服の乱れは心の乱れといわれるように」と言いながらひょいと見たら、そこにカラーシャツがいる、短パンの。その自閉症の子がいる。思わずそのために校長はしゃべりながら笑ってしまったというんですね。そうしたら、全校生徒にその笑いが広がっていった。なぜ彼らは笑ったのか、ここが問題。彼が健常児だったらこれはえらいことになる。ただ、障害を背負っていたからカラーシャツも許され、このようなことにもなった。これは何かそこに重大な問題が隠されているような気がするんですね、私は。  ですから、大臣、局長は今この話をお聞きになって何をお感じになるか。
  215. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 学校教育における児童生徒と学校、そして校長、教員との関係、全体の学校教育の運営の問題にかかるわけでございますが、先生御指摘のように学校における一つの決まり、ルールというものがあるいは校則とか制服の定めという形である場合、これは必要な場合があると思いますが、個々の児童生徒の実情なり、その知育の実情なり、発達段階に応じてどういうふうな運用なりあるいは指導をしていくかということは、それぞれの学校で個々具体に検討すべき課題が多々あると思うわけでございます。  今先生御指摘の具体の例は、自閉症児の例でございます。確かに自閉症児について制服で当てはめることが適切かどうか。それからまた、突っ張りの生徒たちが奔放自由に服装をとることが学校の全体の運営上、決まりとしてそれが適切かどうか。したがいまして、それらについてはそれぞれの学校でビビッドな規則の一つの運用ではなくて、個々具体に運用をすべきものではないか、こういうふうな感じがするわけでございまして、今いろいろと批判の的になっております校則の問題についての、我々過去指導したことがございますが、先般もいろいろな見直しについての提起をしておるわけでございまして、先生御指摘の点もそれにかかわる問題というふうに承知しておるわけでございます。
  216. 下村泰

    ○下村泰君 これはもう西崎局長が言っていることは、記事の上からでも私は苦衷をよく察します。  それから校則の方なんですが、放送大学の教授の方で深谷昌志さんとおっしゃる方が中心になりましてアンケートその他をいろいろとりました。そうしましたところが、先生のもう九〇%近くが校則はもっと厳しくした方がいい、そういう答えが返ってくるそうです。それが教頭とか校長が多いんですね。いろいろ、この先生の、最後にまとめとしておっしゃっていることは、「よい意味でも悪い意味でも日本の先生たちのまじめさが示されている。まじめさのあまり、非常識な部分に気がつかない面もあるという印象を受けた」と。一つの器の中でやっていますから、ですから外のことというのは余りよくわからない。だからそういうふうな認識になっていくんじゃないかということをこの先生は指していらっしゃると思う。  ところが、ある小冊子によりますると、これは「日本教育社会学会第三十九回大会リポート」というんですけれども、これなんかを見ますと、「不必要な規則・きまりの中身(小・中学校教師の意見)」というのがあるんです。小学校の教師では、「不必要なもの」、「制服」と書いてある、一一・四%。それから中学校の教師は「不必要なもの」、「靴下・靴」、「頭髪・ヘアピン」、「服装」、こうなっているんです。何だかちっともわからないね。これとこっちの校則の方と比べるとまるっきりこうなっちゃうわけです。もっとわからなくなっちゃう。私はこれはもうあきれたというか何というか、二の句が継げぬというのか、こういうのがあるんですよ。  これは愛知県の公立の中学校なんです。「上は学校指定の詰めエリ学生服、セーラー服。下は白のトレパン。靴は指定のズック靴。放課後、休日の外出時もこの服装以外は不許可」というんです。人間の個性なんか何にも認めていない、自由もね。それから「男子・学生服の丈は腕を真っすぐ伸ばし中指第二関節の長さ。ズボンは裾幅二十—二十五センチ。女子・スカートは前後八カ所の箱ひだをとり、長さは床上三十三センチ」、愛媛県の公立高。足の短い子はどうするんですか。これショートパンツになる。ミニスカートになっちゃう。こういう何か知らぬけれども、何でこんなことをやっているのか。こういうのがありますよ。沖縄県の公立中学、「食事はミルク、パン、おかずの順に食べ、時には早くならないように、また遅くもならないよう気をつける。ミルクはガブ飲みしない。こぼさないように楽しくよくかんで食べる。パンは残しても副食は全部食べる」、沖縄県の公立中学校です。こんなふうに言わなけりゃ食べられぬですか、この子供たちは。  これをいろいろと調査した、これは東京新聞ですけれども、東京新聞で調査した人のあれによりますと、「全国の公立中、高千四百校で最も校則の項目が多いのは、東京都公立中の二百八十四項目で二十八ページにわたる。」というんだね。これは私、軍隊の経験がありますけれども、軍隊の中に内務礼式令というのがあるんですよ。それより多いですよ、これ。二十過ぎた人間でも覚えられない。こんな二百八十四なんて覚えられるものじゃない、これ。二十八ページもある。「百項目を超えるのはざらで、年を追って増え、厳しくなっている。最も少ないのは東京都公立中の八項目。」、このくらいは当たり前でしょう。それはよく初めて幼稚園の園児になるときにお母さんが、幼稚園へ行くには何と何を持っていったらいいでしょうとか、こういうのはよくありますよ。このくらいの最低の校則は当たり前であっても、もっとすごいのありますよ。  これは東京都の私立の女子高、「校外で異性と一緒に歩いてはいけない。相手が父親や兄弟であってもいけない。」というんです。考えられますか、これ。こんなばかなことを言っている。また、戦時中こういうことがあったという神奈川県のある母親がいる。「私は戦争中に女学校へ通っていました。赤毛でしたけれど、その当時ですら何も言われませんでした。姉も赤毛でしたが何もありません。今はむしろ細かいことを、うるさく言い過ぎます。」と、こういうことを言っていらっしゃるんですね。それからある本にはこういうのがありますよ。これもとても我慢できる代物じゃないんです。「天然パーマのある生徒は、生徒部が発行する「天然パーマ証明書」を常に携帯すること。」、これはある高校ですね。その次はもっとすごいんです。「天然パーマにはストレートパーマをかけてくること。茶毛の生徒は黒く染めてくること。」、何を言ってるんだ、これは。もうここまでくると言語道断、どうにもなりません。こういう校則が今申し上げましたような二百何十項の中に入っておるわけですね。今後、西崎局長、どういうふうに指導しますか。
  217. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生御指摘のとおりいろいろな校則があることは事実でありますが、校則自体が見直しがされてない。もう随分古い二十年、三十年前のままであるというふうな校則もあるようでございます。  先般、私どもとして指導しました視点が二つございます。一つは、やはり校則が必要であるとしても内容の見直しが必要ではないか。内容についてはやはり校則として守るべきものと、それから努力目標的なものと、生徒に任せていいものというふうなものがあるはずだから、やはり必須守るべきものに限るべきではないか。これが八項目なのか十項目か二十項目か、これまたそれぞれの実情によるわけでございます。そのような内容の問題が一点。  それから第二点としましては、やはり校則の運用と申しますか、適用、指導の問題でございます。これがやはり個々の先生によって指導が校則違反ということでまちまちになってはこれは困るわけでありまして、学校として校則として守るべきもの、そしてそれを個々の先生が学校として統一的に指導をまちまちでなくて行うというふうな問題、その際はすぐに運用上の問題は走るのではなくて、やはりその前に指導の問題として対処すべきである、こういうふうな関係を示しながら、これは文部省や県教委、市町村教委が基準を示すべきものではなくて、やはり個々の学校が時代の進展、地域の実情あるいは発達段階、学校の方針、父兄の考え方等に即して考え直すべきではないか、こういうふうなスタンスでいっておるわけでございます。  先生、今髪型の話ございましたが、原宿の近所の学校と、質実剛健な農村、漁村の地域ではまた違うかもしれません。時代も随分進展しているわけでございますから、古い決まり、あるいは教育をするだけで学校教育が対応できるとは思われないわけであります。ただ、先般も申し上げたわけでありますが、昭和五十八年でございましたか、校内暴力とかいじめ、いろいろ問題がございました。五年間非常に学校は苦労してその鎮静化に努力してきておりますが、学校が非常に苦労している中で若干指導が厳しくなっておる、これがあるんでございますね。そういう苦労、苦悩の中で生徒指導が行われてきたことも学校一つの対処として評価すべき点があるわけでございますが、それらを評価しながらも校則の見直しについて十分学校は考え、対処すべきではないか、こういうふうなスタンスで、私どもは、これから生徒指導の指導主事の会議等ございますが、そういう際にはいろいろな事例等を示しながら指導に努めてまいりたい、こういうふうな考え方でございます。
  218. 下村泰

    ○下村泰君 ぜひ中島文部大臣在任中に校則の方をきちんとしていただきたい。何か先生に都合のいい生徒ばかりつくっているみたいですね、今。殴る、ける、やるらしい。時によって先生の方も近ごろは一人じゃない、集団でやる、生徒に負けるから。これは今表がありますけれども、表の中に、殴った先生で経験者一〇〇%というのがありますよ。一〇〇%が殴っておる、げんこつで。そうしますと、そんな鋳型にはめた子供たちが育ってきて大学院つくったって何の役にも立たないでしょう。むしろ本当にこんなに来られちゃ困るんだという、優秀な子供の多くなる世の中にすべきだと私は思いますよ。  ですから、ぜひ大臣就任中にこの校則をもう少し何とかして、もっと子供が伸び伸びと、いい子が育つようにしてください。
  219. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 伺っておりまして、私も新聞の調査の結果を見ましてびっくりいたした点もございました。しかし考えてみれば、これは恐らく戦前のものも入っておりますし、戦後のものも入っておりましょうし、また今五十年代の校内暴力華々しいときにそれに対するやっぱり一つ努力の結果として出てきた校則もありましょう。ただ、先ほどおっしゃった校長がそれを心の問題と言いながらつい笑ったというお話を聞きまして、それは校則というものは一応あるべき、しかし余り細かいことにこだわってみずからそれに縛られるということの愚かさというものも一緒に入って笑いになったのであろうかなと。とするならば、そこから得られる教訓というのは、やはり校則というのは厳しく守られるべきもの、これを大綱化して一つの教訓規定としてあるものであって、あとは、それの運用その他はまたそれらを一緒に二百何項目に盛り込むというものを校則というのではなくて、少なくとも大綱化した校則、それの運用というもので少なくとも一つの規則は守りつつ、それぞれの個性がすくすくと伸びるようなそういう教育環境をつくるべきであろうと私も考えますので、個々にいろいろな、自主的な校則の書きかえもなさっていかれることであろうと思いますけれども、そのようなことは心に置いて指導する機会があればしてまいりたい、このように考えます。
  220. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。
  221. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。(「委員長、異議あり、反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  佐藤君。
  222. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ただいま委員長より提案の本法案の質疑終局に強く反対をいたします。  その理由は、一、本法案は衆議院文教委員会で共、社両党に一言の質疑もさせないまま強行採決、送付されてきたもので、二院制の立場で参議院でこそ徹底審議が求められるのに極めて不十分であります。当委員会の審議は二日間十時間足らず、我が党の割り当て時間は一時間程度でありました。  二、本日午前中参考人意見聴取を行ったとはいえ、極めて偏ったメンバーでありました。  三、現在、科技特と商工委員会の理事懇レベルで連合審査の協議中であり、その結論を見届けないまま本委員会が議了を決定することは極めて不適当であります。  四、充実した法案審議を行うための委員の資料要求に対し、当局の態度が非常に不誠意でありました。  以上の理由により、質疑終局に断固反対し、質疑継続を強く求めるものであります。  何とぞ御賛同をお願いいたします。
  223. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議があるようでございますので、これより採決をいたします。  本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  224. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 多数と認めます。よって、質疑は終局することに決定いたしました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  225. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております国立学校設置法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。  まず法律の内容に入る前に、今国会の審議の異常さについて指摘をしなければなりません。  今国会には、いわゆる臨教審関連法案が六本提出されておりますが、現在当委員会に付託されております国立学校設置法の一部を改正する法律案教育職員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案もその内容の重要性から見て、慎重な審議を要するものであるにもかかわらず、衆議院において両法案とも極めて不十分な審議のまま、質疑が打ち切られ採決が強行されたことはまことに遺憾であります。  さらに本院におきましても、国立学校設置法の一部を改正する法律案が審議不足のまま、本日委員会の採決が行われようとしていることに強く抗議するものであります。  続いて、法案の内容に沿って問題点を指摘いたします。  法案の内容のうち、三重大学に看護婦養成のための医療技術短期大学部を設けることや、京都工芸繊維大学の夜間部を発展的に廃止することなどは特に反対をするところではありません。  しかしながら、総合研究大学院大学の創設と大学入試センターの改組という二つの点は多分に問題点を含んでいるものと考えます。  まず、総合研究大学院大学の創設についてであります。  今日の科学技術の進歩の速さを考えるとき、我が国学術研究体制の整備、充実が強く望まれているところであります。したがって、現在提案されている新しい形態の独立大学院も含めて高等教育全般の改革がなされること自体は問題とは思いません。  ところが本法案にある総合研究大学院大学は、審議の中でも指摘されたように、その構想の大部分が国会に明らかにされないままにその審議が打ち切られようとしております。  審議の対象となるべき多くの事項が、法案成立後の政令事項や運用問題にゆだねられ、何らの具体的な方策が示されていないとすれば、この大学院の管理運営、教育研究のあり方、高等教育全体のバランスある発展という、今、真剣に審議を行わなければならないことについて、大きな疑念を残したままであると言わざるを得ません。  また現在、大学審議会が大学院設置基準の見直しを行っているとすれば、その問題とこの大学院大学の創設は密接不可分なかかわりを持つものでありますが、現在のところ、一体、何がどの程度話し合われているのかといったことも満足に知ることもできませんでした。  重要な審議事項が国会の俎上にのぼらないような状態がありながら、我が国学術研究の将来をどうして語ることができましょう。全く納得のいかないところであります。  次に、新テスト導入とそれに伴う大学入試センターの改組の点があります。  昭和五十四年度より導入された共通一次が、国公立大学の一層の序列化を招いたことや、六十二年度より実施され国公立大学受験機会複数化が大きな混乱を招いたことなど、過去の大学入試改革は、今日の受験戦争の緩和について有効な対策となり得ませんでした。  そして、昭和六十五年度より導入される新テストは、現在の共通一次と基本的に同じものであります。  この新テスト私立大学も参加するということになれば、我が国大学の大部分を担っている私立大学も巻き込んで、偏差値による序列化が進むことは明らかであります。  政府は、私大の参加を強要することはないと言いますが、私どもは私学助成などを盾にして、文部省の意向が強引に押し通される危険性が必ずしもないとは言い切れないと考えます。大学の自治の侵害に関わる問題がここでも審議不十分なまま済まされようとしています。  また、新テストの実施時期が十二月下旬ということについては、当委員会にお呼びした参考人からも高校の教育に大きな影響を与えるものとして指摘されています。  さらに、新テスト試験的実施が一回しか行われないことも指摘しなければなりません。  新テストは、このテストの概略が決まる以前より政治的にその導入時期が取りざたされてきました。当初は、六十二年度から導入するなどといったことも言われておりました。  今になって試行が一回しかできないのも、私立大学の参加が見込めないままに十二月に実施することになってしまったことも、すべて政治的な思惑から実施時期が扱われたことにそもそもの原因があるのであります。  入学者選抜が既に高等教育の最初の一部分であると考えれば、新テストの実施に至る一連の経緯や受験機会複数化の実施状況は、高等教育のあるべき姿から大きく逸脱したものとなっております。  政治的思惑や政府や大学当局者のエゴによって、猫の目のように変わる入試制度に振り回されている受験生のことを考えれば、この法案の意図することにとても賛同はできません。  最後に入試制度改革することの前提には、言い古されていることとはいえ、私学助成の充実学校間格差の是正といった基本的な課題の解決があり、こういったことを通して高等教育全体のバランスある発展が急務であることを申し添えて、私の反対討論を終わります。
  226. 林寛子

    ○林寛子君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行います。  本法律案には、国立学校の改組等にかかわる規定の改正に加え、臨時教育審議会の答申実現のための重要な規定が盛り込まれており、昨年九月に成立した大学審議会設置法に次ぐ臨教審関連法案であります。私どもは、臨教審が三年の歳月をかけて審議し、お出しくださった答申をできるだけ速やかに実現するよう努めることが、今、私どもに課せられた最大の責務であると考えるものであります。  さて、本法律案臨教審答申にかかわるものは、総合研究大学院大学の新設と大学入試センターの所掌事務の改正の二つであります。総合研究大学院大学は、既存の国立大学共同利用機関との連携、協力のもとに設置されるものであり、学部を持たない博士課程だけの全く新しい大学院であります。御承知のとおり、今日の学術研究の急速な進展は、大学院の拡充整備の必要性を強く訴えてまいっております。筑波の高エネルギー物理学研究所や岡崎の分子科学研究所等、すぐれた最先端の研究業績を上げている機関母体とするこの大学院大学は、まさにそのような要請にこたえるものであって、特に学際的または複合的な学問分野研究者養成機関として、大きく発展していくものと考えるのであります。  大学入試センターの所掌事務の改正は、昭和六十五年度から導入される新テストのためのものであります。既に十年にわたって実施してまいりました共通一次試験の成果と長所を十二分に生かし、六十五年度からは私立大学も含む多くの大学が同センターが実施するすぐれたテストを自由に利用し、受験生の資質能力を多面的に評価できるようにしようとするものであります。したがって、教育改革の最大の課題である受験競争の緩和のために資するところ大であると考えるものであります。あわせて、同センターの業務の一つとして、大学に関する情報の提供がビデオテックス等を使って行われることになるとのことでありますが、まことに歓迎さるべきことと言えましょう。  以上のほかに本法律案は、三重大学に医療技術短期大学部を併設する、京都工芸繊維大学の工業短期大学部を同大学の工学部の拡充に伴い廃止する等のこともあわせて提案されていますが、いずれも適正な措置であると考えます。  最後に、私は、臨教審関連法案の第二弾としての本法律案の成立によって、我が国学術研究の水準の向上と、過熱した受験体制の緩和という私どもが多年念願してきた課題が、その解決へ向かって大きく前進できるものと確信いたし、本法律案に対する賛成討論を終わります。
  227. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は日本共産党を代表して、国立学校設置法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、総合研究大学院大学設置に関してであります。  学部のない博士課程のみの同大学は、先端技術研究・開発に関する国際的な競争に打ち勝つために財界がねらう大学支配、大学の反動的な再編成の突破口として進めるものであります。  学問の自由・大学の自治の制度的な保障である評議会、教授会の上に財界代表が参加し「大学の重要事項を審議する」運営審議会を文部省令によって設け、評議会、教授会の権限を不当に制限しようとしています。その結果、運営審議会が研究所や政府・財界の意向を総合研究大学院大学に反映させる重要なパイプとして機能し、共同研究機関母体とする大学院大学が、産学共同の拠点になる道が開かれているのであります。  さらに、大学の「教育研究」という二つの機能を、特定のプロジェクト研究に偏らせ、先端技術研究に藉口して、SDI参加など軍学共同の道も開くものであります。それは「『学術中心』として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開する」と定めている憲法、教育基本法の平和と民主主義の理念に立つ大学の目的にも反するものであります。  第二の理由は、大学テストに関してであります。  この新テストは、中曽根前首相が受験地獄に悩む国民への党利党略的政策として打ち出し、臨教審に強引に押しつけたもので、混乱の根源はここにあります。  国大協、高校校長会らの団体の正規の参加もなく、お手盛りの文部大臣の私的諮問機関の報告を口実に、共通一次試験輪切り、序列化の弊害の解決の見通しもないまま、多くの大学、高校の反対、受験生の不安を無視して強行するものであり断じて許せません。  しかも、この新テストは受験生に特定の受験科目のみを重点的に学習することを強いるため、大学多様化を進め、受験地獄を一層促進させ、高校教育多様化、進学塾化させることは明らかであります。国民的教養の基礎の完成という課題を担う高校教育を変質させるものであります。  入試の十二月実施は高校教育の三学期を破壊するものであり、「大学の入試は法に定めた高等学校教育の全課程が終了した時点で、その到達度を判定するという趣旨で実施されることが原則である」とした衆議院文教委員会の決議にも反するものであります。  最後に、本法案の審議についてでありますが衆議院では社会党、共産党の質問をさせないまま自民、公明、民社三党で強行しました。参議院では、わずか二日、九時間半の委員会の審議で、参考人意見聴取をしたとはいえ、偏ったものであり、連合審査要求も不当に拒否したままです。政府や関係機関の資料提出も極めて不誠意であります。子どもの未来、日本の将来にかかわる教育の審議で、しかも重要法案についてこのような態度は絶対許せません。強く抗議して討論を終わります。
  228. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認めます。  よって、これより採決に入ります。  国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  230. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
  231. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、ただいま可決されました法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、次の事項について特段の配慮を行うべきである。  一、総合研究大学院大学については、大学の理念を尊重し、その教育研究の目的が十分に生かされるよう円滑な運営に努めること。  二、高等教育に対する新たな時代の要請に基づき、既設の大学大学院教育研究体制のより一層の充実を図るため財政措置を含め必要な諸条件の整備に努めること。  三、いわゆる「新テスト」の実施にあたっては、各大学の自主的な判断が生かされるよう留意するとともに、受験生の立場に配意しつつ高等学校教育に混乱が生じないよう努めること。  四、大学入試センターは、入学者選抜方法に関する調査研究の一層の充実を図るとともに、大学、高校等関係者の意見が十分に反映されるよう努めること。   右決議する。  以上でございます。
  232. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案を議題として採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  233. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 多数と認めます。よって、粕谷君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中島文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中島文部大臣。
  234. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
  235. 田沢智治

    委員長田沢智治君) なお、申査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  237. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 次に、昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局いたしておりますので、これより直ちに討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでございますので、これより採決に入ります。  昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  238. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  240. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る二十日の委員会に、お茶の水女子大学長河野重男君、日本教職員組合中央執行委員長福田忠義君、全日本教職員連盟委員長楡木定治君、千葉大学教授三輪定宣君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会