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1988-04-21 第112回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十一日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      木宮 和彦君     服部 安司君  四月二十日     辞任         補欠選任      服部 安司君     木宮 和彦君      吉井 英勝君     佐藤 昭夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田沢 智治君     理 事                 仲川 幸男君                 林  寛子君                 粕谷 照美君                 佐藤 昭夫君     委 員                 小野 清子君                 川原新次郎君                 木宮 和彦君                 山東 昭子君                 杉山 令肇君                 世耕 政隆君                 竹山  裕君                 寺内 弘子君                 柳川 覺治君                 久保  亘君                 安永 英雄君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 勝木 健司君                 下村  泰君    国務大臣        文 部 大 臣  中島源太郎君    政府委員        文部大臣官房長  古村 澄一君        文部大臣官房総        務審議官     川村 恒明君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省教育助成        局長       加戸 守行君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        文部省高等教育        局私学部長    坂元 弘直君        文部省体育局長  國分 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        厚生省保健医療        局結核難病感染        症課長      金森 仁作君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十日、吉井英勝君が委員辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事佐藤昭夫君を指名いたします。     ─────────────
  5. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 安永英雄

    安永英雄君 昭和六十三年度施設整備予算が通ったわけでありますが、総額幾らになる、そして文部省予算の中に占める割合はどれぐらいか。
  7. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 昭和六十三年度公立学校施設整備費予算総額、計上いたしておりますのは二千六百七十五億八千七百万円でございます。文部省予算全体に占めますシェアが五・八%になっております。
  8. 安永英雄

    安永英雄君 施設設備予算というのは、今お話があったとおりでありますが、文部行政執行に当たって人件費とともに施設設備費というのは大きなこれは行政上の柱であるわけであります。  それで、私はこの前の委員会大臣にお聞きをしたんでありますが、国家予算に占める文教予算の率とかあるいはまた前年度伸び率、こういったことについていろいろ意見を申し上げたわけでありますけれども、あのときに文部大臣として、まあ今度の予算というもののできばえというのはまあまあだという表現を率直にお使いになって私もびっくりしたわけでありますけれども、これはやっぱり私もよく知っておるわけで、この予算編成に当たってまず大枠が示されて、そして現在でも概算要求方式をとっておるわけですから、そういう予算編成の仕組みというものの中で、その枠の中で大臣がまあまあと、こう言われたんだろうと、私もそれは推察をいたします。  あの当時私も大臣にも陳情にも行ったこともありますし、腹いっぱい就任当初から予算の獲得については努力されておった点については、私も敬意を表しておったわけでありますから、その点はよくわかっておるわけでございますけれども、私自身も大蔵省あたり折衝等にも予算の問題で行ったことがございますが、大蔵省あたりがすぐに人件費との兼ね合い等から施設の特に上物、箱物と、こういったものについて目をつけて削減したらどうだなんていうことを盛んに言ってくる。なかなか施設関係予算というのは、大蔵としましても軽視しているというふうな私も感じを持っておるわけです。  しかし、今から質問をしてまいりますけれども、少なくとも生涯学習あるいはその中における施設と、こういったものはもう将来のことではなくて、今からやはり施設費の問題については毎年毎年重ねて言っておかないと、これはできない相談だと私は想像できるわけでございます。したがって、まあ大枠の中の努力はもちろんでありますけれども、どうしてもやっぱりこの文教行政の中でそういった将来を見通した、特に生涯学習あたりのためには、これは当然この施設が、膨大な施設が要るというふうにも考えられますし、各省同じようなことかもしれませんけれども、特にやっぱり枠づくり段階で私は別枠となってもいいし、また枠の中でもやっぱり将来を見通した年々の積み重ねのための予算という設備費施設設備費が必要である。これはもうどんなことがあっても努力していただかねばならないというふうに私は感じるわけですが、まず当初に、あとは小さい問題ばかりをお聞きしますので、大臣の所信を承りたいと思います。
  9. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 先生おっしゃることは、もう本当に胸にしみるようなお話でございまして、まあ前回お尋ねいただきまして、昭和六十三年度与えられた中で、先生方からもいろいろ御鞭撻をいただきまして、四兆五千七百六十六億、これをもってできるだけの努力をいたしてまいろうと、こういうことでございます。  ただ、これからのことを考えますと、先生おっしゃいますように生涯学習だけとりましても、これは大変なやはり国の公財政支出というものの必要も十分考えられます。したがって、六十四年度概算時までに、はっきり申して省内でも少し知恵を出し合い、まあこういう言葉がいいのかどうか、作戦を立てまして、そしてどの部分が、枠外と一言で言ってもなかなかこれはせめぎ合いになろうと思いますが、しかし教育の重要さをまず認識をしてもらい、実際にはこれ枠外で認めさせるというくらいの意気込みで、どこを枠外にするかというのがまた作戦の中に入ってまいると思いますが、先生のおっしゃる御心配と意欲は十分胸に置きまして、私ども内部でも検討し、またお力をかりながら来年度に向けて頑張りたいと思っております。
  10. 安永英雄

    安永英雄君 次に、国立学校関係施設整備費の問題でありますが、本年度予算というのは国立学校関係ではどれぐらい計上されていますか。
  11. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 昭和六十三年度国立学校施設整備費予算額を計上いたしておりますのは七百九十一億円でございます。
  12. 安永英雄

    安永英雄君 これは新設大学は今度はないと思いますが、もう既設のいわゆる継続整備、こういった点についての予算、これあたりはどんなふうになっていますか。
  13. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 内容的に申し上げますと、いわゆる医科大学等あるいは新構想大学等のいわゆる新設大学でございまして、それらの継続的な形ではございますが、その経費が、施設整備費が百八十五億円でございます。それから、研究学園都市施設として七十四億円、そのほかに既設学部等施設経費としまして五百三十三億円といったのが大まかな内容でございます。
  14. 安永英雄

    安永英雄君 今申した継続整備の件数はどれぐらいありますか。そして、それが現在どのような進行になっていますか。
  15. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 手元に正確なデータを持ち合わせませんので恐縮でございますが、大まかな感覚といたしまして、昨年度からの継続事業となっておりますのが二五%程度でございまして、残りの七五%は六十三年度における新規事業ということになります。ただし、これは既設大学学部等におきますそういった新規事業でございまして、新しい大学をつくるためにという意味新規事業ではございません。
  16. 安永英雄

    安永英雄君 これは九州工業大学情報工学部の問題ですが、これは随分私もこの当委員会質問をしたり、あるいは直接文部省に出かけていって折衝したのでありますが、おかげ産炭地の真ん中の飯塚市で情報工学部ができたわけであります。これは地元としても非常に期待をいたしておるわけでありますが、これはそもそもが技術大学をあそこに設置するということで文部省も非常に乗り気になっていただいておったわけですけれども、結局高岡ですか、あれを最後にして技術大学設置というのがとまってしまいまして、もう早くから整地その他やって構えておったわけですけれども、それがやっとできたわけですが、この点の現在のいわゆる施設関係設備関係、こういったものについての計画なりそういったものがわかればお教え願いたいと思います。
  17. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 九州工大飯塚につくりました情報工学部でございますけれども、新しいタイプの大学として六十二年の四月からスタートいたしまして、六十二年度に二学科、六十三年度に二学科、現在四学科でき上がっておりまして、六十四年度にさらに一学科をつくりまして、完成学科ということになる見込みでございます。  現在の進捗状況でございますけれども、そういうことで学科数とか入学定員については、五学科のうち四学科まで済んでおりますので八〇%進捗をしておりますし、教官の受け入れ等も三〇%まで進んでおりますが、建物のことで申し上げますと、現在までに完成いたしましたのは知能・電子研究棟、それから一般教養とか共通講座研究棟情報科学センター屋内体育館福利施設というようなものが既に完成をいたしておりまして、六十三年度にさらに増設の計画を持っておりますので、全体計画の約五〇%を六十三年度までに完成をする、こういう予定で現在進行中でございます。
  18. 安永英雄

    安永英雄君 研究学園施設都市について、先ほど予算総額はお伺いをいたしました。この問題で残っておる問題が筑波大学それから広島大学宮崎大学、これがずっと私どもとして注目をいたしたところでございます。第二次の加速器の整備はもうでき上がりましたか。そして、これはどういう形で今から進めていくのか。これは時間がもったいないですから、筑波、広島、宮崎、この点についての説明をお願いします。
  19. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 筑波研究学園都市施設につきまして先ほど総額で七十四億円ということを申し上げさせていただきましたが、内訳としましては、筑波研究学園都市については昨年度に比べまして約倍増の二十二億六千万円、それから広島大学につきましては昨年よりも九億増の四十五億円、それから宮崎大学につきましてはほぼ整備が終わっている状況でございまして、本年度につきましては六億円という予算の計上をさしていただいております。
  20. 安永英雄

    安永英雄君 私は金額の問題よりも、まあ金額の問題が基礎になりますけれども、どんなふうにとにかく現在進んでおるのか、そしていつこの問題が完成するのかということを聞いているんです。
  21. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま申し上げました金額の主な内容でございますが、筑波研究学園都市につきましては筑波短大、創設いたしましたこの短大校舎棟あるいは基幹設備整備する予定でございます。それから、高エネルギー研究所につきましては研究本館棟実験棟整備を行う予定でございます。それから、広島大学につきましては教育学部及び理学部校舎あるいは基幹環境整備を行う予定でございます。これは移転統合整備内容となるものでございます。それから、宮崎大学につきましては九年計画の七年目に入るわけでございますが、移転統合整備として教育学部校舎あるいはその他の環境整備を主な内容といたしております。
  22. 安永英雄

    安永英雄君 既設学部設置であっちこっち移転移転が、校舎が古くなったのかいろいろ原因がありましょうが、北海道教育大学金沢大学、大阪大学、和歌山大学、これあたりはいつ終わるんですか、この移転は。
  23. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいまの問題につきましては、それぞれ年次計画進行中でございまして、予算上の考え方としましては、例えば北海道教育大学は七年計画の五年目を迎えるわけでございます。それから金沢大学につきましては九年計画の五年目、こういう考え方でございます。それから名古屋大学につきましては六年計画の三年目、そういうような考え方で、いずれも年次計画の途中段階でございまして、それぞれ残り二年ないし四年それぞれかかるというような状況でございます。
  24. 安永英雄

    安永英雄君 時間がありませんから、公立学校施設設備予算について質問をいたします。これは総額どれぐらいになっていますか、公立関係
  25. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先ほど六十三年度総額を申し上げさせていただきましたが、この二千六百七十六億円の内容でございますが、一つは主として従来から進めております学校施設新増改築等のいわゆる都道府県市町村におきます事業量確保を主眼といたしまして、それぞれ六十三年度予定しておりますものの事業量確保に努めることを第一義とさせていただいたわけでございますが、それと同時に、その他の事項としましては、ただいま提案申し上げております施設負担法の一部改正案内容に盛られております児童生徒急増地域におきます小中学校校舎補助特例措置につきまして、そのかさ上げ措置を、六十二年度をもって切れる措置を六十三年度から五年間継続延長する、それから新しい事項としまして、部活動の振興に資するために部室整備に対する補助制度の創設を行う、さらには特殊教育学校高等部校舎基準面積の改定を行う、それから六十二年度までは大規模改修事業という名称対象といたしておりました補助事業を大規模改造事業という形で名称を改めると同時に、補助対象範囲の拡大などを行うということの制度改正等を盛り込みまして、所要額を計上した結果が二千六百七十六億円となっている次第でございます。
  26. 安永英雄

    安永英雄君 それぞれの点については今から詳しく聞いてまいりますが、その前に校舎屋体ですね。この建物事業量の今の現状というのはどういう形になっていますか。
  27. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 公立学校施設整備費におきます建物のいわゆる校舎事業量は、前年度に比べましては六十八万五千平方メートルの減少でございまして、合計が三百十五万二千平米となっております。このうち新小中学校校舎増築は七十二万六千平方メートルでございまして、小中学校屋体の新増築は三十万三千平方メートルとなっております。校舎の新増築につきましては昨年度よりも二十五万九千平方メートル減少でございますが、一方、屋体につきましては一万平方メートルの増という形でございます。  事業量が全体で減少いたしておりますのは、昭和六十二年度補正予算におきまして昭和六十三年度事業の一部前倒しが盛り込まれたことがございますし、さらに全般的に全国的に児童生徒数減少いたしておりますので、都道府県市町村の六十三年度計画事業量が昨年度を下回ったということに由来するものでございます。しかしながら、市町村等から強い要望のございます大規模改造費につきましては、対前年度比三八・三%増の三百三十四億円と大幅な増額をさせていただいているところでございます。このほかクラブハウスあるいはその他のいろいろな施策を講じておりますけれども、今御質問ございましたのが校舎屋体ということでございますので、概要をお答えさせていただきました。
  28. 安永英雄

    安永英雄君 総体的に小学校関係生徒減という形で施設関係は落ちていくことは、これはわかるんですが、これは公立学校といいましても高等学校ですが、高等学校はまだ生徒がふえているというにかかわらず、むしろこの建物事業量というのは減っているという現象が出ているということを聞くんですが、これは事実ですか。それからなぜでしょう、これは。
  29. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 高等学校につきましては、小中学校児童生徒減少時期に入っておりますが、依然として高等学校はまだ急増を続けている状況でございますが、ピークに達しますのが昭和六十四年度でございまして、六十五年度から減少に向かうわけでございます。一般的に学校建築と申しますのは、大体そういった急増状況を見越しまして二年前にほぼ計画し、建設をするというのが一般通例でございますので、既にピーク時としては六十二年度が大体その急増状況に対応する事業のほぼ終了する年度でございまして、六十三年度からは、生徒はふえておりますけれども、その生徒急増対策としての事業は六十三年度以降は大幅に減ってまいるというような状況でございます。したがいまして、六十三年度におきましては高等学校についての都道府県事業量は六十二年度よりも減少しているという状況にございます。これはあくまでも六十五年度を想定した対応を考えているからでございます。
  30. 安永英雄

    安永英雄君 今の点、私は不思議でたまらないんです。また、これは各都道府県の責任でしょうけれども、今の生徒増という中で、現在おります生徒の諸君の教育活動がうまくいくためにはやはり足らないんですよ。それを先を見越してこれを拡張しない、いわゆる経費を投じないというあたりが私はちょっと指導が要るんじゃないかという気もします。これはこれを取り上げますとまた時間がかかりますから、この点はひとつ考えておいていただきたいと思うんです。これは異常なことですよ、やっぱり。  次に、大体今度の提案されております法律案、これはもうこの前質問をされまして、要点要点全部私も了解しておるわけでありますが、その点で児童生徒急増市町村学校規模適正化のための土地取得補助費、この問題についてちょっと質問をしたいと思うんですが、これはもう年々大規模学校減少おかげでしてはおるということは私はわかるんです。そこで、やっぱり土地の問題が、用地取得ということが非常に問題になってなかなか進まないという点もあるようですが、この点は単価というのはどんなふうに見ていますか、補助の場合に。
  31. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 具体的に執行しました昭和六十二年度、要するに直近の時点におきます数字を申し上げさせていただきますと、六十二年度におきます用地取得費補助予算単価は一平方メートル当たり三万三千九百円ということで積算をいたしております。しかし実際の補助金交付額の算定に当たりましては、実買収単価または地価公示価格等基準として市町村が定めた価格等補助単価といたしておりまして、執行いたしました平均単価は、六十二年度実績としましては一平方メートル当たり四万一千八百円でございまして、具体的な予算単価よりも下回っているケースもございますし、あるいは相当大幅に上回っているケースもございますが、実勢に見合った、実情に応じた予算執行をさせていただいているわけでございまして、これで地域買収実態に見合った補助を行っていると私どもは考えている次第でございます。
  32. 安永英雄

    安永英雄君 そこが問題なんで、執行に当たっては個々用地実情に即した補助単価を適用していくということですが、これは一つの例でいいですけれども出してください。一番高く見積もってやったところ、一番低く見積もってやったところ。これあたり全国個々文部省がどういうことをやっているのか虎視たんたんですよ。どうですか、最高最低
  33. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先生御承知のように、土地の値段と申しますのは全国津々浦々多様でございまして、いろいろな地域によります単価の差があるわけでございます。ちなみに六十二年度時点でございますが、一番安く買収いたしました、つまり予算執行最低単価は一平方メートル当たり四千四百円でございます。一方、これは都市部でございますけれども、高い予算執行最高単価は一平方メートル二十六万六千三百円ということでございまして、この間の開きは約五十何倍という差は出ております。
  34. 安永英雄

    安永英雄君 これはスムーズにいったんだから今さら文句を言う筋合いのものではないわけですけれども、これはやっぱりこの間にあるところは非常に疑心暗鬼ですよ。どう単価を見積もっていくかという問題は、最低最高なんていうのは、あなたのところはなかなか明かさない。今明かしたから今度はみんなわかるでしょうけれども。この点は、やっぱり促進の上からいっても公平の原則はある程度、まあ公平の原則というのは同じという意味じゃないですよ。少しあそこのところへ吹っかけられたら単価は高く見る、おとなしく出たところは低く見る、こういうところがいけないですから、この点はひとつ非常に公平な、弾力性といいますけれども、その中でやっぱり適正な指導をやらないといけないというふうに思います。  それから、この点で大臣も、この前、現在までに年々大規模学校を分離していくという、これが非常に進んでおる、しかし今後もやっていくという決意を述べられましたけれども、私はどう考えましても、聞こうと思ったんですが、残っておるところというのはなかなか手ごわいといいますか、難しいところが残ってきておるわけです。ここ二、三年の中ではさらに進むのは進むと思いますけれ ども、どうにもならないというところが出てくると思います。この際、文部省としては、やはり大規模学校というのは教育指導の面からいっても、あらゆる面からいっても非常にこれは弊害があるということは指導方針としてはっきり持っているわけですから、どうにもならないところをやるとすればやっぱりどうしても国の方の援助といいますか、これは設置その他は市町村になりますけれども、どうにもならないとお手上げをした市町村のためには文部省最後はやっぱり見てやらなきゃならぬのじゃないか。  そういった意味で私は、例えば関西方面におきまして、大きな都市の中が多いわけですけれども、ずっと離れたところに、思い切って環境のいいところに持っていって、そして交通機関その他まで見てやって、そして安くて環境のいいところでやっているところを見たんであります。極端な場合は他の県まで行っていますな、他の県まで行ってそこにつくっておる。こういう思い切ったことをやるところはやっぱり財政の非常に強いところだろうと思うんですけれども、弱いところでどうにもならないといったときには、そういった例えば国有地とか、あるいは国有地でないにしたって文部省が、今の単価の安いところもありますからね。距離が遠くなるかもしれないけれども、それが交通関係を考えてやる。いずれにしたって金がかかりますが、この点最後の土壇場に来つつあるんですけれども、その点についてはどういうふうに文部省としては対策を進めていくおつもりか、お教え願いたいと思います。
  35. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先生今おっしゃいましたように、過大規模校の解消が困難とされております理由を見てみますと、多くが分離、新設のために必要となりますまとまった敷地、例えて申しますれば一万五千平方メートルから二万平方メートルに至りますようなこういった大きな塊の敷地というのが得られないというのが大部分の事情でございます。そのほか、通学区域を変更するのには地域住民の理解が得られなかった、そういう場合もございます。そういった点で、基本的には今申し上げた用地の取得難ということが最大の理由でございますけれども、私ども、通学区域内に分離、新設のために必要となるまとまった敷地がない場合につきましては、従来から過大規模校がございます通学区域外におきましても隣接地域で敷地を確保し、あるいは過大規模校周辺の学校の学区変更等を行いまして学級規模の適正化を図るよう指導しているわけでございますし、また用地取得費の補助対象ともしておるわけでございます。  ただ、例えばA地区に過大規模校があり、その隣のB地区は普通の適正規模であって、求められる用地がC地区といった場合に、そのB地区を飛び越してA地区の子供がC地区へ通うというような形態をとることは、地域住民の感情あるいは行政上いかがなものかということもございますし、できるならば、そのC地区の方へBを寄せ、そしてAがBの方で土地を求めるとか、そういうような工夫が必要でございますし、まさに飛び地のような形で通学区域を設定することにつきましてはかなりの問題があるのじゃないかと私ども思っておるわけでございまして、そういった観点からどのような形での過大規模校の分離がよろしいのか、地域実情を踏まえながらも余りにも極端な施策をとることについては、いかがかという感覚は持っているわけでもございます。
  36. 安永英雄

    安永英雄君 私は、一番最後のどうにもならないといったときに、文部省としてどうしてくれるのかというんで、難しい話は今おっしゃったとおりわかって私は言っておるわけです。その点あたりを、それじゃそれならこうしますということは言い切れないにしても、責任持ってその問題については文部省が、やっぱり過大学校については教育上弊害があるんで、どうしてもその点は仕上げなきゃならぬ責任があるので、その点は何とかしますということをお聞きしているわけです。難しいのはわかっていますよ。
  37. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 事は子供たちにとりまして、全国規模におきまして義務教育の妥当な規模、内容あるいは教育水準の全国的な維持、向上という観点からいたしますれば、特定の地域に過大規模校が存在をするという状態は好ましいわけじゃございませんし、先生おっしゃいましたように大変困難な問題を抱えておりますし、また市町村も御努力いただいておりますが、それにさらに文部省としても強く指導を申し上げ、その解決のためにいろいろな知恵を出し合って、今申し上げた過大規模校分離解消のための努力はさらに続けてまいりたいと思います。
  38. 安永英雄

    安永英雄君 社会教育施設関係についてお尋ねしますが、これは扇さんこの前質問がいろいろあっておりましたので、もうこれは非常に簡単に答えてください。  公立社会教育総合施設、公民館とか県立の社会教育施設、文化施設、こういったものは今度の予算の中でどんな配慮をしていますか。
  39. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 学校体育施設等につきましては、そういったものを除きまして、今先生おっしゃいました公立の社会教育施設、体育施設、文化施設等におきます補助金につきましては、六十二年度とほぼ同額の経費を六十三年度で計上さしていただいているところでございます。
  40. 安永英雄

    安永英雄君 同額と、こう言いましても、公民館それから県立の社会教育施設、文化施設、こういったものを、もうこれは大変なあれじゃないし、どれぐらいですか、これ。同額と言ったって、あなた。
  41. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 今の公立社会教育施設整備費といたしまして、この中には公民館、図書館あるいは文化施設も含めておりますけれども、その経費が六十三年度は八十五億三千三百万円でございます。一応社会教育関係の施設は以上でございます。
  42. 安永英雄

    安永英雄君 私が聞いたのは、公民館とかこういった施設の問題については、これは公平に予算を分けなきゃいかぬということですよ。これはもう皆さんの方がよくおわかりだと思うんです。とにかくこれは政治的な動きが盛んにあって、帰ってきたら田舎の公民館に行ってみなさい。何々代議士これを獲得してくれて建ててくれたと。金は市町村で出して、補助文部省から来ておるのに、何だかそこへ行ったら代議士さんが建てたような、これあたりはやっぱり気をつけてくださいよ。私はこれ以上は言いませんけれどもね。  それで、私は聞きたいんですよ。一遍マップあたり打ってみてください。公民館の所在とか、県の社会施設関係を、どんな分布に現在なっておるのか。今の説明じゃ、予算でこれだけでございますと言うけれども、その積算はあるわけですよ、公民館が何館、いろいろあるんだけれども、それの所在地打ってごらんなさい、一遍。私はこれ以上言いませんけれども。この点は、非常に細かいようですけれども、何だか予算が通って、その積算の基礎が文部省予算の裏打ちの計数に入ったといったら、とにかく一生懸命に電報を打って、成功したなんというようなことを言っているんですが、これはいけませんよ。小さい問題ですけれども、案外地元ではこういう問題が大きな学校施設とかなんとかいうことじゃなくて、公民館とか社会施設、こういった問題について、私は十分配慮しながらそれこそ全国公平にいくようにやっぱり設置の順番その他については考えてもらいたい。これは要望です。  次に、私立学校学校施設整備予算の問題です。これはやっぱり形としては、私立の場合、経常経費の中に含まれているわけですね。私立大学経常経費補助という形の中に入っておるわけです。これは基本的に私学の支出そのものまで国の補助が行くのはどうかという懸念もあるけれども、今の私学の状態からいけば、そっと経常経費の中に入れておくよりも、はっきりとこのお金は施設に使うんですという、そういったものをはっきりした方が私はいいと思うんだけれども、そこらあたりはどうですか。それから、どのくらい今度行っていますか、予算
  43. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 今先生もおっしゃいましたように、私立学校施設設備整備という問題は、私立学校が御承知のとおり、設立のときに、私人の、まあ私人というのは法人も入ります。私人の寄附財産によって設立されておるという、そういうことから、原則として各学校法人みずからが行う建前になっております。ただ、国はその場合に、これらの整備に要する経費について日本私学振興財団から長期低利の貸付事業を通じて援助しているところでございます。  今先生御指摘の経常費助成の中に含ましたらどうかという御意見でございますが、経常費助成は文字どおり経常的経費に対する補助でございまして、臨時的なそういう施設に対する補助というのは経常費助成の対象にはいたしておりません。ただ、今申し上げましたような私立学校の設立のそういう経緯、それから私立学校原則としてみずから施設設備整備するという建前からいって、一般的に私立学校に対して施設設備に対して補助をするというのは大変難しいのではないかというふうに私ども思っております。ただ、私立学校につきましても特定の分野の教育指導を充実するという観点から、例えば理科教育の振興を図るということから理科教育等設備整備補助、産業教育の振興を図るという観点から高等学校産業教育施設整備費補助、それから特殊教育の振興を図る観点から特殊教育設備費補助ども行っておりますし、さらに先生先ほども御指摘ございました高等学校急増が六十四年まであるわけでございまして、臨時的に私立が高等学校急増対策のために施設整備する場合に、私立生徒急増対策建物整備補助というのを六十三年度まで行うということにいたしております。  いずれにしましても、私立学校の助成については私学の役割の重要性や国の財政事情をも考慮しながら、経常費補助を中心にしながら、必要な施策の充実に努めてまいりたいというふうに考えておりまして、くどいようでございますが、一般的に施設設備に対する補助制度を設けるというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
  44. 安永英雄

    安永英雄君 私がなぜそういうことを言うかというと、次の私学共済のときにも詳しく大学の経営その他で私はお聞きしたいと思うんだけれども、私学あたりの中で、例えば理事側と教授側との対立があったりいろいろ起こっておるわけですけれども、ここらあたりは案外問題になっているんですよ。だから、理事者側としましては、これはもう一括補助という形で来ているんで、ほかの方に使っていいんだというけれども、実際は中の方の研究施設とか、いろいろな形で教授陣はそれを要求しておったじゃないか、それが入っているはずだ、理事の方で勝手にそういうことに回してもらっちゃ困ると、こういうことですから、明確にひもつきにしろとは私は言いませんけれども、これはやっぱり私学財団を通じて行くわけですから、一つ政府からクッションを置いて行くわけですから、ひもつきじゃないけれども、こういう趣旨にこれだけの金額があるという説明書でもやっぱりつけて出さないと、何に使われているかわかりませんよ。そういった意味で、私は申し上げるわけです。それは建前からいけばそのとおりですけれども、したがって、金額としてこれだけをという形じゃなくて、やっぱり補助金の内容について説明を加えて渡すというふうな形の方がいいと思うんですが、そういう便法はとれませんか。
  45. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 一般的に申し上げまして、特に大学の経常費補助につきましては積算がございます。教員一人当たりに対して給与費が積算単価の何割を出すとか、あるいは教員経費と称しまして、これは専ら、端的に申し上げますともちろん光熱水費等も含みますが、同時に研究費の一人当たり経費で教員数に乗じて積算をしておる。あるいは学生経費というのは、これは学生の教育関係経費でございますが、これも学生一人当たり幾らというふうに積算をいたしておりまして、その積算の内訳につきましては私どもオープンにいたしておりますので、私立大学の関係団体を通じまして各私立大学にはその中身は行っておるというふうに理解いたしております。そういう意味で、一般の教職員、単に理事者だけでなくて教職員の関係者もその積算の内訳については承知いたしているのではないかというふうに思っておりますが、今後ともその積算の内訳が一般的に周知徹底するようなそういう広報的な努力はいたしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 安永英雄

    安永英雄君 了解いたしました。これは指導をやっぱりよく小まめにやっていただきたいと思います。  もう時間がありませんので、次に木造校舎の問題についてお聞きをしたいと思うんです。生徒児童の学習の場でもありますし、生活の場、活動の場でありますから、それにふさわしいゆとりのある、潤いのある校舎というのがこれもう当然好ましいことであると思うんですが、そのために補助制度、これを拡充したり、いろいろ手を尽くされて今日まで来ておるわけですが、現状はどうですか。
  47. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 木造校舎あるいは学校施設への木材使用の促進ということの観点で、五十九年度以降は国庫補助金におきまして木材を内装に使用して校舎を建築した場合の補助単価のかさ上げを行うこととしたわけでございまして、六十年の八月では教育助成局長通達をもちまして、木材の使用奨励を指導したわけでございます。六十一年度には木造校舎補助単価を従来から鉄筋並みに上げるということで約六九%の大幅アップによりまして改善を図りますとともに、同年度に木の教育研究施設補助制度を創設いたしました。こういったような措置を受けまして、各市町村におきます小中学校における木造校舎の建築実績は伸びてまいっておりまして、五十九年度では十三校、延べ六百四十一平方メートルでございましたが、それが六十二年度、三年後には四十六校、面積にいたしまして二万六千八百六十二平方メートルという形で大幅な増加をしている状況でございます。ただ、この学校数あるいは建築面積数にいたしましても今全国的に比較いたしますと、比率としては極めて少ないわけでございますし、そういった木造校舎に対する理解等進めますとともに、これからも促進方に努めてまいりたいと思っております。  このほか学校の建築、もちろん鉄筋、鉄骨の建築物でございますけれども内装に木材を使用する事例はどんどんふえておりまして、床あるいは壁面等におきます使用の頻度がふえているということで、私どもはなおそういった内装への木材使用についても積極的に奨励し、また指導しているところでございます。
  48. 安永英雄

    安永英雄君 ちょっと私は先行きに不安を感じるんです、この木造という問題は。文部省の方で極端な場合、この木造というのは非常に環境的によろしい、教育環境上よろしい、できれば全国小中学校、これは事実上できませんけれども、そういったところまで及ぼしたいという熱意があるのか、まあできるところからやりなさいと言うのか、これは時間がありませんけれども、六十年の八月に助成局長の通知が出ておるわけです。この通知を見ましてもそういった点がはっきりしないんです。  これはあなた方驚きになるかもしれませんけれども全国でいろいろな問題が起こっていますが、自分の町村で立派な学校をつくろう、そのときに木造にするか鉄筋にするかという、これは当然起こってくる住民の問題です。そのときにこの六十年通知というのは、気のついた人はこれを引っ張り出してきて、文部省は木造と言っておるじゃないか、いや木造というのはできるだけというふうにとってもいいんじゃないか、こういうことで相当大きな争いになるときにこれが使われておる。あるいはまた御存じのように、全国でとにかく自治体の方で中学校、小学校学校建築をめぐる汚職、これあたりがどこでも出てきておって摘発されておる。裁判の中でも審理の中でこの通知が出てくるんですよ、これが。案外、被疑者といいますか被告といいますか、そういったところは弁護士あたりを通じまして、文部省だって通知でこう出しておるから鉄筋というのを我々木造という形でやって、そこで問題が起こったんだとか使われるんですね。  私はやっぱり文部省の木造建築、学校施設というものについての指導の方針といいますか、そういったものをはっきりしておく必要があるのではないかというふうに思いますが、どうですか。
  49. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 学校建築を木材で木造にするということにつきましては、温かみと潤いのある教育環境づくりにも大きな効果が期待できる、あるいは地域の風土や文化、産業に即した施設整備を行う観点からも有意義だと考えております。  しかしながら、先生今御指摘ございましたように、木造建築は一般には火災に弱い面を持っておりまして、さらに台風等の災害によって被害を受けやすいとも考えられるわけでございす。学校は多数人が集会する施設でございますので、建築基準法等によりましても建設場所とか面積とか階段等の制限があるわけでございまして、そういった諸法令の制約を受けながら、その中でもやはり木材の使用というのは有意義という観点で奨励をしているわけでございまして、文部省といたしましてはすべての学校を木造にするように奨励しているわけではございませんで、木造が不適当な場所あるいはそういった地域学校を建築する場所等によっても違いますけれども、大きさによっても違います。そういった制約の中にありましても、やはり木造でできるものはなるべくそちらの方向でという考え方でございますが、画一的に木造建築を進めているわけではございませんし、それぞれの地域実情、置かれた環境等を考えながら適切に対応していただきたい。しかし、木造でもできるじゃないかという場合にはでき得れば木造建築にしてもらえればありがたいと、そんな観点からその意義を強調し、決して強制したり、そうすべきであるという強い指導をしているわけではございません。
  50. 安永英雄

    安永英雄君 木造問題については機会があれば私はもう少し深めなければならぬと思います。今になって木造というのを言い出すのはなぜかというような疑問もたくさんあるんですよ。欠点もありますしね。それをどう克服するかという問題もやっぱり出さなきゃならぬですよ、少なくともそれを望ましいという方向でやれば。それがちょっと不足しているんじゃないかというふうに思われます。  特に私は、どうも文部省の方針として、例の貿易摩擦その他の問題で木材が問題になってくる、そういったときの内需拡大、こういったもので通産省あたりから文部省の方にこれは申し入れがあったと私聞いているんですけれども、そういった点で文部省の方で通知を出して、できるだけ材木を使え、こういうふうな政治的な大きなうねりの中でやっているんじゃないかというふうな疑いもあるし、米飯給食だって、それは私も皆さんと一緒に中央農協に押しかけていって米よこせやったんですよ、米が余っているときに。そのときに、逆に今度は米飯給食に切りかえると全国大騒ぎをしてかまがついたじゃないですか。そういった、私は国策に逆らえというんじゃないけれども、やっぱり確固とした教育上の問題から物は処していかなきゃならぬというふうに私は考えるわけで、これはやっぱり相当木造建築の問題については掘り下げた検討が必要だと、通知だけじゃだめだというふうに私は思います。  次に、インテリジェントスクールの問題について、ごく最近このごろ話が出ておりますし、それから先ほども申しましたように生涯学習、二十一世紀を目指して生涯だれでもどこでもいつでも勉強ができる、学習ができるという体制をつくらなきゃならぬ、これは雄大な構想なんですが、その一つの方法としていわゆるISの構想が出ているわけです。ところが私は、生涯学習については私ども社会党としては臨教審が言っているようなあの方向とは違う方向を持っています。重なるところもありますけれども、基本的にやっぱり物の考え方が生涯にわたって学習していく場合のあの臨教審の方針ではちょっと不足する点が非常に多い。ただ、施設の面では非常に私は興味があると思うんですよ。したがって、ISの構想についてお伺いしたい。これは時間がありませんので簡単にやってください。
  51. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) その前に木造建築につきまして、私どもはあくまでも児童生徒教育的な環境、場づくりいう視点からの木造建築の奨励をしているということを申し上げたいと思います。これは日本の気候風土にも合い、そういった子供たちへの心理的な影響を主体として考えているところでございます。  それからただいまのインテリジェントスクール構想につきましては、六十二年四月、臨教審答申が出ました。それを受けまして、やはり学校一つの社会共通の学習基盤として活用するためには、高度の情報通信機能とあるいは快適な学習生活空間とを備えた本格的な環境として整備する、そしてそれを地域共通の生涯学習、情報活動の拠点として最大限に有効に活用する方策という観点から現在いろいろ研究を進めておるわけでございますが、この構想に対処いたしますために、六十三年度予算におきましては調査研究費を計上いたしまして、文教施設のインテリジェント化に対応する施設整備推進のための調査研究を行いまして検討をさらに深めていきたいと考えているところでございます。
  52. 安永英雄

    安永英雄君 この構想で一番やっぱり私ども疑問に思うのは、結局、生涯学習へ対応していく面と情報化社会へ対応していく面と二つがある。具体的には情報社会ということで一つのISというものができた。その中でもう情報も全部収集していって、そこに行けば大体すべての情報がつかんでいける、それから学習環境もつくる、こういうことですから、これはやっぱり早急に結論を出してそれに伴う予算措置、こういったものを進めていかないと、これは本気でやると、大臣も臨教審の答申で出てきたものは、一次、二次、三次と分けていくけれども、すべてこれは実施していきたいということですし、これはもうやることはやると思うんですけれども、これはやっぱり準備が相当必要だし、今調査研究の予算が少し入っているということですけれども、これはやっぱり構想等はまとめられて、当文教委員会あたりにはひとつ早急に明示していただく。これは法案じゃないですけれども、こういう約束はできますか。
  53. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 当然私どもの調査研究につきましては報告をちょうだいするわけでもございますし、当委員会にも御説明申し上げ、また先生方の御意見を承りながらよりよき文教施設のインテリジェント化に向かっての施策を講じてまいりたいと考えております。
  54. 安永英雄

    安永英雄君 次はスポーツの問題について、竹下総理もあらゆるところで、特に本会議の中でもスポーツの振興というのをとりわけスペースをとって語りかけられたわけですし、文部大臣としましても生涯学習社会への移行という基本的な視点を踏まえた社会教育の一層の振興ということで生涯スポーツということを強調をされておるわけです。聞くところによりますと、スポーツの振興方策を諮問されたというふうにも聞いておるわけですが、きょうはスポーツその他、方策その他じゃなくて、一番やっぱり関係のある施設の問題についてお伺いをしたいと思います。  そこで、現在の国及び公共団体の施設状況、それから学校施設の利用状況、こういったものについてかいつまんで報告願いたいと思います。
  55. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 体育施設の現況でございますが、私ども大体五年置きぐらいに全国状況を調査いたしております。直近のものが昭和六十年の九月一日現在でございますが、これに即して申し上げますと、ただいまお話学校体育施設、公共施設、あるいは最近民間のいろいろなスポーツ施設ができておりますが、総数で二十九万二千百十七カ所、こういう数字でございます。おおよその比率で申し上げますと、このうち学校体育施設、小中高大とございますが五四%、それから公共スポーツ施設、いわゆる県立あるいは市町村立 のものでございますが二〇・八%、それから職場のスポーツ施設が一〇・一%、民間の非営利のスポーツ施設が五・七%、民間の営利商業スポーツ施設が九・三%、こういう状況になっております。なお、五年置きの調査でございますが、一番最初に始めたのが昭和四十四年、約十五年前になるわけでございますが、それとの比較で申しますと、約一・九倍という施設数の増になっているわけでございます。もしお求めがございましたらもう少し詳しく申し上げたいと思いますが、概況は以上のとおりでございます。
  56. 安永英雄

    安永英雄君 こんなふうにひとつお答え願いたいと思うんですが、運動広場、学校の運動場を含んだ運動広場、それから体育館、水泳プール、庭球場、卓球場、ゴルフ練習場、このごろはゲートボールがありますが、これの施設、こういった方面からどれぐらいありますか。
  57. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 先ほど申しました学校体育施設から公共スポーツ施設から、込みの数字の中で多いものが先生今挙げられたものでございますが、一番多いのが運動広場、多目的のものでございますが、これが約五万でございます。それから二番目に多いのが体育館でございまして、四万八千ほどでございます。それから水泳プール、これは屋内、屋外一緒になつておりますが、三万五千ほど。それから四番目が、最近非常にふえましたゲートボール、クロッケー場というのが二万五千。それからテニス、庭球場でございますが、これ屋外のものが二万五千。それから卓球場が一万二千ということでございます。なお、お話にもございましたようにゴルフの練習場、これは主として営利的な商業施設ということになりますが、これが近年非常にふえているというのが九番目にゴルフ練習場で五千八百余り、こういう状況になっております。
  58. 安永英雄

    安永英雄君 確かにふえておることは間違いないですが、私の感じとしてはふえ方がどこか一カ所で全国を系統的に見ながらやっているという結果じゃなくて、自然発生的にずっとふえていっているという感じがするんですよ。これはやっぱりこの時期に今後の体育施設、これは国や公共団体が責任を持ってやらなきゃならぬ問題です。後で申し上げますけれども、国立競技場それから県立の競技場、こういったものをやっぱり早くがちっと地域に率先して設置をして、そして系統のあるふやし方というのをしないと、ふえていることは間違いないが、この点は実際の今度はその施設の散布状態見ていって、それを利用している人の人口度合い、これはちぐはぐなものになってきておるというふうに感じられますので、ある程度この点については、いわゆる私はいつも申し上げるんですが、スポーツ施設整備を促進するために国及び地方公共団体が整備すべき基準というものをやっぱり示さなきゃならぬし、みずからが施設をつくっていかなきゃならぬというのが、これがやっぱり一番大事なことじゃなかろうかというふうに思います。  そういった点で、いわゆる国の方で整備すべき基準というふうなものをおつくりになっておりますか。今から検討ですか。
  59. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 御指摘のように、スポーツ施設は特に地域住民のニーズにこたえて行政が対応する、あるいはそういうニーズを踏まえていろいろな商業スポーツ施設ができる、こういう傾向があるわけでございますけれども、私ども基準といたしましては昭和四十七年に保健体育審議会から答申をいただきまして、日常生活圏域における体育スポーツ施設整備基準というものを策定していただきました。私ども整備の目標あるいは自治体の整備の目標として、これを目標に整備を進めている、こういう状況でございます。
  60. 安永英雄

    安永英雄君 私も四十七年十二月の研究の結果は承知いたしております。ただ、今申しましたように古いんですよ。四十七年にだれが集まってこういう基準をつくったのか、これは相当の経験者あたりも集めてつくったんだろうけれども、余りに形式的ですね。これはもう一万人の人口があるときには運動場、広場、コートはどのくらいつくりなさい、一二万人、五万人、十万人と、こういうことで、とにかく何といいますか、骨みたいなものができておりますけれども、私はもう今の現在のスポーツ、特に生涯スポーツということをごく最近言われるんですが、機械的に人口でこのくらい、十万でこのくらいというふうな基準ではもう古いんじゃないか。特に私申し上げたいのは、国体がございましたり、それから高校総体があったり、県をずっと回すものですから大体県庁所在地ですね。ここらあたりには立派な施設が残って大いに使われておるわけです。  一番問題は、やっぱり生涯の体育学習をやろうといったところはむしろ田舎の方なんですよ。だから、今の状態で競技場としていわゆる公認のグラウンド、例えば四百メートルのトラック、五十メートルのプール、しかもそれは施設その他からいって公認をされなきやならぬ、こういうのは今申したような県庁所在地周辺にあるものですから、この前も大臣にも私は皆で陳情に行きましたけれども、今から早く学校の五日制、週休二日制というものを進めてもらわぬとおくれます、早くやってくださいというあれもやりましたが、いずれにしろ週休二日制はどんどん実現されていっておって、これは近い将来ほとんど土曜、日曜という休日ができたときの国民の生活、この間に、この二日間で何をやるのか。これは余り拘束して、あなたは何やりなさいなんて言えないけれども、少なくとも国民がスポーツに親しむ、これは多いでしょう。特に生涯の学習としてスポーツ学習をやっていこうといえばスポーツ施設、これは険しい問題なんですよ。そうゆっくりされない問題なんです。したがって、そういった意味から、今では正式なスポーツでもやろうかというと、車や汽車に乗りまして県庁所在地まで行かなきゃならぬから非常に限られた人間しか行っていないんですよ。気軽に行こうなんというような施設は近くにない。  そこで、この基準にもありますように、十万以下のところなんですね。こういったところですよ。県庁所在地と田舎との間くらいのところに私は国や公共団体がやっぱり県庁所在地にあるような施設をつくって、少なくとも身軽に、身近に行けるような、これが一番施設をつくる場合の基準ではなかろうか。どこに線を引くかというのは問題がありますけれども、ただ、人口のまとまりで、そこのところに何ぼ、そこのところに何ぼではだめではないか、こういう構想を持っておりますし、私は従前から少なくとも市町村段階までも、一つ市町村とは言わない、ある程度一緒になった数カ町村でつくってもいいが、県庁所在地にある体育施設ぐらいはそこにつくる、それら市町村に国の方も援助をしながらつくる、その間々に国立の競技場をつくっていく、こういう構想で、これはもう二十年前から私はここでいつも言っておるわけですけれども、これは早く実現をしなきゃならぬと思いますが、今検討しておるということですけれども、そういった観点からやはりスポーツ設備、こういったものの基準というのは練り直すようにしてもらいたいと思うんですが、時間がありませんからその点だけをお聞きしておきたいと思うんです。
  61. 國分正明

    政府委員(國分正明君) ただいま先生からいろいろ御指摘ございましたが、私どもほぼ同様の問題意識を持っておるわけでございます。昭和四十七年当時のスポーツ人口と今日のスポーツ人口というのは非常に変わってきております。それからまた、その内容も国民が求める、地域住民が求めるニーズも多様なものになってきております。それで、今後ただいまお話しのように週休二日制というようなものが定着すれば、その傾向はますます高まっていくのではないだろうか、こんなふうに思っているわけでございまして、昭和四十七年当時の整備基準は私はそれなりに意義を今日まで持ってきたと思うわけでございますが、今日の時点における基準のあり方ということについてやはりもう少し先を見通した整備基準というのは考えられないものであろうかということ。先ほど先生御引用の先般十八日に開催いたしました保健体育審議会の中におきましても生涯スポーツの振興策の中で検討をしていただく一つの柱として御相談申し上げている、こういう状況でございます。
  62. 安永英雄

    安永英雄君 これは施設の問題じゃございませんが、そういった施設ができたとしましても、やはり指導者という問題が一番大事でございます。  今の現状はもう御存じのとおりで、私もいろいろな関係で調査をいたしましたけれども市町村段階におけるスポーツの指導者、社会体育の指導者というのはほとんどおらないですね。主事さんがおられて、その人が実際スポーツをやっている人じゃないんだけれども、運動会の世話とか花火大会の世話とか盆踊りの世話ぐらいがせいぜいのところで、指導をするなどという人はおらない。だれが指導しておるかといいますと、これは失礼だけれども、もう魚屋の生きのいいお兄さんや、ちょっと子供のとき、青年のときに野球がうまかったとか鉄棒がうまかったとか、そういう人に対して各地方の方ではお墨つきで、あなたが我が町、我が市の指導員でございますという何の裏づけもない紙切れを、表彰状みたいなところに書いて、それを高々に持ってその人が思う存分指導しておる。なるほど私も何回も見たんでありますけれども、自分の体験に従って、野球なんというのはカーブはこうするんだ、技術でこうやってみたり、鉄棒のうまいのはちょっと段階経ずにむちゃくちゃやって砂場に落としてけがさせたり、だからそこのところに私は指導者が当然要ると思うんです。この指導者の養成というのがないと、設備ができたって週休二日制になろうとも、これはそこのところに行ったってただうようよ走り回っておるだけで、やっぱり指導者をちゃんとつくって、そしてやっぱり施設指導者というものができ上がって、さあ、週休二日制になったらここに行きなさいという、こういうことをやらないとなかなか週休二日制の実も上がらないということですから、指導者の養成について時間がありませんから簡単に。
  63. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 指導者の問題についてもまさに御指摘のとおりでございます。現在、各地域でボランタリーでいろいろなスポーツ指導に当たっていただいている方に対しては大変厚く御礼申し上げなければならないと思いますが、ややもしますとやはり経験主義とか精神主義で指導をしているという傾向も見られるわけでございます。こういうことから地域におけるスポーツの指導者の養成、それも十分スポーツ医学あるいはスポーツ科学というものの知識を持った資質の高い指導者を養成したいということで先般社会体育の指導者の資格制度を発足いたしまして、これから養成していくという段階ではございますが、そういう形で地域におけるスポーツ指導者の養成に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  64. 安永英雄

    安永英雄君 そこで、私は提案があるんですけれども指導者をつくるということについて一つ前から考えておったことなんですが、全国高等学校の中に体育科というのがございます。この体育科の実態ですが、公立で二十校、私立で十三校と非常に少ないんですけれども、私は体育指導者の地方における養成はここにあると昔から思っておったわけです。ここのカリキュラムあたりも検討してみますと、高等学校の中で三十単位以上は取らなくちゃならぬということで専門教科が設定されていますから、その中に入った連中は、大学に行く人もおりますけれども、実際これを高等学校でやっていったら大学入試は非常に難しいんですよ。とても普通の受験の単位取っていないんですから、特に英語とかそういう点については時間数が他よりも少ないんでありますから、だからここで私が調べた段階では大体そのまま就職をする。その中で特別体育技術のすばらしいのが、私の調べたところでは日体に入っておる。こういうような状態で、いわば袋小路の関係にこの人たちはあるんです。  だから、私はここで今申されたような一定の指導者の養成、講習をやって、そこで指導者としての免許といいますか資格を与えるということであれば、これも大事です。早急にやらなきゃならぬ問題ですけれども、もう少し全国的な配置からいって、普通高校の中に体育科というのが今申しましたように全国で二十校ですから、これをもう少し拡充していって、そこでやっぱり地域における指導者をつくっていく。今構想されております指導の資格の内容、講習の内容の単位というのは大体そっくりここに、高等学校の時期に入れれば、卒業するときにはこれは資格を与えるということになれば、その人たちはやっぱりそういう方向に行ってくれると思うんです。これは給与の裏打ちが要りますよ。要りますけれども、養成源はここにした方がいいんじゃないか。もちろん体育専門の大学あたりからも、そっちから来てくれればなおいいけれども地域隅々まで指導者をつくっていくとするなら、当面は講習で単位をとらして、そして資格を与えてもいいが、恒久的にずっとやっていくためには、高等学校の体育科をもう少しふやして、そこでやっぱり本格的な指導者としての教育をやり資格を与える、こういうふうな考え方を持っていますが、これは参考になりませんか。
  65. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 大変参考になるお考え方であると思いますが、高等学校で体育科を置く学校あるいは体育コースというのを置いている学校がございますが、資料で見ますと、これは公私立合わせた数字でございますが、昭和五十七年に三十九校でございましたのが六十二年現在で百三校ということで、非常に最近ふえてきております。これはやはりそれなりに地域のニーズあるいは子供たちのニーズがあるということであろうと思うわけでございますが、これらの人たちの卒業後の進路を見ますと、進学が大体四六%くらい、それから残りが就職あるいは家事というような形になるわけでございますけれども、就職しました場合にも多くは地元のいろいろな企業に就職される場合が多いと思いますので、もちろん専門的に職業としてスポーツ指導に当たっていただけるということが一番期待は大きいわけでございますが、一定の職業を持ちながら地域スポーツの指導に当たっていただくという面におきまして、こういう卒業生が大いに活躍していただくことは大変重要なことではないだろうか、こんなふうに考えております。
  66. 安永英雄

    安永英雄君 終わります。
  67. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 最初に、提案をされております法律を外れまして二つの問題について質問をいたします。  高等学校の社会科の六科目を六十九年度から地歴と公民という二つの教科に分けて、このうち地歴の世界史を必修させるということが昨年末の教育課程審議会で決まって答申が出されました。この経過につきましてはいろいろな問題点があって私どもも批判をしてきたところでありますが、本日報道されるところでは、この社会科指導要領の改訂についてその作成メンバーを文部省が交代をさせた、こういうことがありますが、交代をさせたというのは事実でありますか。その意図は一体どういうところにあるのでしょうか。
  68. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 粕谷先生御指摘の指導要領にかかわる作成協力者会議のメンバーの件でございますが、このメンバーにつきましては、沿革的には六十一年九月から委嘱をしておりまして、そして六十二年の四月にまた委嘱がえをいたしました。任期一年ということで本年の三月末に一応任期が切れたわけでございます。三月末の現在におきましては五百七十二人の協力者を委嘱しておりまして、これは初中局長の名義でお願いをしております。この五百七十二人のうち百二十三人の交代、新たに百四十五人を加えるというふうなことで、二十日付、昨日付でございますが、私の名義で五百九十四人の方に指導要領の作成協力者としてのお願いをした、こういう経緯でございます。  この点につきましてはいろいろと従来から指導要領にかかわる課程審のプロセスを経まして協力をお願いしてきたわけでございますが、昨年末に御案内のとおり課程審の答申も出たわけでございます。そこで、私ども今回委嘱をまた再度お願いするにつきましては、やはりお忙しい方々ばかりでございますから、いろいろありますけれども、やはり常時御出席が願える方というのが一つございます。それからもう一点は、若干校長先生から教育委員会に入られたり教育委員会を卒業されたり、身分の変動を伴う方がございます。こういう方にも若干の見地から交代をお願いしたことがございます。それから第三には、やはり課程審議会の答申が出まして、課程審の方針に沿って指導要領をつくるというのが協力者会議の使命でございますので、課程審の答申の趣旨に沿って御協力をいただける方という形のものでお願いをしたというのもございます。  それからさらには、当初の協力者会議でお願いした以上に課程審の答申によりまして力点の置き方とか分野の問題とか、そういうふうな点についてさらに配慮しなければならないというふうな点もございましたので、そういう点につきまして若干幅広にお願いをした、こういうふうなことがございますので、若干人数もふえておる、こんな経緯でございます。
  69. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 まあ任期が来て交代をするというのは当然の話ですね。それで、大体出席をしない、出席率がよくないという方、これはいろいろな条件もあろうかと思いますけれども、大体出席可能かどうかということを聞いてから委嘱するんじゃないんですか。私は出席ができるかどうかということを聞いて委嘱をするんだと思うんですよ。出られませんなんという人を無理やり、名前だけあればいいなんという、そんな協力者に対する依頼はないというふうに思います。  それで、私は一般的に交代をするということについては理解をいたしますけれども、今伺っているのは、この高等学校のというよりも社会科指導要領の改訂について、特にそれでは入れかえをされたという人数はどのくらいありますか。
  70. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 前段の方の先生お話でございますが、もちろん私ども委嘱をお願いするにつきましては出席していただけることが前提でございますが、やはり委嘱をお願いした後でいろいろな御都合でなかなかおいでいただけないという方々もあるわけでございますので御理解いただきたいと思います。  それから、第二点の高等学校の社会科関係でございますが、日本史、世界史、地理、現代社会、それから倫理、政治経済、これら全体を含めまして三月三十一日現在は四十六人でございました。十六人の方については委嘱を再度いたしませんで、新たに三十人を追加いたしました。したがいまして、結果としては六十人という合計数になるわけでございます。
  71. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 報道によれば、この社会科改訂に当たって文部省の意向に批判的な意見を持っている学者を除外したと、こういうふうに言われているわけであります。それは覚えがないわけですか。
  72. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生の御指摘の言葉の内容の解釈の問題あるわけでございますが、私どもから申し上げられるとすれば、やはり課程審の答申が出まして、その方向でこれから協力者会議を運営いたすわけでございますので、課程審の答申の趣旨を生かして協力者会議で御協力いただける方々にお願いをいたしておるというのが一つ考え方というふうに御理解いただければと思うわけでございます。
  73. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 報道によればですけれども、審議会委員あてに出された日本社会科教育学会、学会ですね。教育学会の質問書に名前を連ねていた七人のうちの四人は文部省の教科調査官を務めた文部省内の身内の人じゃないか、こういうことまで出ているわけであります。それからお名前を一つ一つ見ますと、筑波大、上越教育大、同じく築波大、兵庫教育大、静岡大、こういうような方々が含まれておりますね。大変問題が私はあるというふうに思いますが、それではさらにこの新聞を読んでみますと、この「更迭された教授の一人は、「一年ごとの任期は形式的なもので、私たちは、指導要領が出来る予定の来年春まで協力するつもりだった。それが、電話でいきなり「ごくろうさん」と伝えられ、びっくりした。」と、こういうふうに書いてある。作業は続きつつあるわけですね。その作業の途中でやめさせる。本人にあなたは協力する意図がないのかどうか、そういうところまでお確かめになったのでございましょうか。
  74. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) この協力者会議の性格といたしましては、最初に御説明いたしましたように、六十一年九月からずっとお願いをしている経緯がございまして、六十一年九月から昨年答申が出るまでは教育課程審議会の審議において参考となるいろいろな資料とか問題点、課題を提供していただくというふうな性格での協力者会議、指導要領ということでの名義ではございますが、性格としてはやはり教育課程審議会にいろいろな課題なり問題点を提供していただく、整理をしていただく、こういう性格と私どもは考えておるわけでございます。しかし、昨年の十二月末にいよいよ答申が出ましたので、これからは答申の趣旨に沿った指導要領作成のための協力者会議というふうな形になるわけでございまして、若干性格においても新たなる出発という形のものが内容としてあるわけでございますので、そういう意味におきましては必ずしも首尾一貫して同一の方に指導要領ができるまで御在任いただかなければならないというふうにもならないわけでございますので、この時点でやはり協力者会議としての性格上最もふさわしい方をお願いする、こういうふうな考え方をとったわけでございます。
  75. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 協力者ですから、協力しないだろうと、こういうふうに思った人は外した、反対に言うとそういうことになるんじゃないんですか。私の勘ぐりが過ぎますか。
  76. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) これは先生お話でございますが、若干相対的な問題でございまして、やはり協力者会議のメンバーの数というのが余りにも多くなりますと議論が丘へ登るわけでございまして、せいぜい十数人、十人から多くても十五人ぐらい、こういうふうなところが私どもの目安でございます。そういたしますと、やはり課程審の答申でその趣旨に沿った方々にいろいろお入りいただくとすれば、若干そこで人数における制約もありますので交代をお願いするということもございますし、やはりよりよく御協力いただける方を人数の制約の中でお願いするということになれば、こういう結果になることもやむを得ないというふうに思っておる次第でございます。
  77. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 四十六人のうち下がっていただいた方が十六名、先ほどお話ありましたね。この中で純粋にもうとてもそれに該当しないからと、こういっておやめになった方もいらっしゃるでしょうけれども、しかし教育学会の質問書に名前を連ねていた方々が軒並み排除された。非常に意図的極まりないものですね。こういうようなやり方では教育内容を統制をしていく、学問研究の自由、教育の公正中立、こういうものを侵す行政の行き過ぎだというふうに思うんです。先回の通達だってそうじゃないですか。政府の方針が決まった以上はそれに反対する者はもう文書も出しちゃいけないなんて、ああいうことを考えてみますと、私は西崎初中局長を大変信頼していますけれども、あなたの名前で排除された人たちの思いは幾ばくかと私は思わざるを得ませんね。  文部大臣、私の今の質問についてどのようなお考えを持ちますか。私は大変文部省はファッショ的になってきた、こんなふうに思いますけれども
  78. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) その件については、今の御質疑を通じて人数、経過を明らかに伺ったという点でありますから、率直に意見として申し上げますと、私どもはやはり教育のあり方につきましていろいろと御審議をいただき、そして教育課程審のおまとめをいただいて、その方向に沿って進めるというのが与えられた間違いのない方向だと、こう思っておりますし、また社会科そして世界史の必修ということにつきましても、やはりまず初中の早い段階に日本史を学び、そして社会とおのれの連帯を学びつつ、さらにそれぞれの風土、それぞれの歴史の中でおのれの置かれた歴史を学び、そして次に世界のそれぞれ置かれた歴史を学ぶことによって国境を越えた連帯を学んでいく、こういう方向は私は問違いないと思っております。大変結構なことだと思いまして、それに従って学習指導要領を作成していく。その協力者をお願いをいたしますのに、しかるべく本当に協力をしていただける環境にある方、そして協力していただけるような御自身のお仕事のお忙しさあるいは出席の有無、そういうことのあらゆる点を勘案してこのような体制をとらせていただいたというふうに考えておりまして、私としてはこの作業が円満に進捗をし、そして早く指導要領を適切に改定をいたしましてこれが実施に移せるように、それを願っておりますので、私は初中局長の答えました中身は適切だというふうに考えながら聞いておりました。
  79. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ちっとも適切じゃないんです。大臣がそんなことをおっしゃるたびに適切でないという度合いがだんだん深まっていくわけでありましてね。例えば、この答申に反対だと、こう言って辞任をされました朝倉隆太郎上越教育大学の教授だとか、あるいは世界史の平田嘉三広島大学の教授のように、辞任を申し出たのならいいんですよ。この方々に対して、あなたは協力いただけますかと、こういう質問があって、とても協力できませんと申し出があっておやめになったらいいんですけれども、聞かれて電話で御苦労さんでしたと、突然のことでびっくりしていますなんていうようなことがマスコミ紙上に載るような人事というものは私は一切やるべきではない、こういう意見を申し上げてこの項については終わります。  次に、もう一つあるんですけれども、きょうはどの新聞も一面トップですね。税の問題で「「教育控除」を新設」、「教育減税を検討」というのが出ているんですね。非常に大きな見出しで出ているわけであります。私は、政府税調の税制改革方針の中でこのことが検討されているということについては、我が社会党としてももう今までずっと終始一貫要求し続けてきたところであります。予算委員会の中では毎回このことについての意見も申し上げ、質疑をしてきたところでありますが、文部省の調査でも、教育費の父母負担が物すごく高くなっている、親のすねはもう細くなるどころかなくなりそうだという、こういう実態が報告をされておりました。金がない、だから学校に行けない、こういうことであってはいけないわけですから、機会均等を保障するためにもこの教育減税は実現をさせていかなければならないと思いますが、文部省はこのことについて今までどのような考え方を持ってきましたでしょうか。
  80. 川村恒明

    政府委員(川村恒明君) 今御指摘がございましたように、最近保護者の負担する教育費、私どもの調査でもその上昇が見られるわけでございまして、特に教育の機会均等の理念を実現するという観点からも父兄負担が過大にならないようにすべきである、これは文部省としても従前から取り組んできている課題でございます。  そこで、その教育費の負担が過大にならないようにということで我々が進める施策、幾つかあるわけでございますけれども一つは言うまでもなく歳出面での努力でございまして、歳出面において、例えば育英奨学事業でございますとか私学助成でございますとかいう、そういうものについて格段の努力をいたすということが一つ。それからもう一つは、ただいま御指摘のございました税制上の問題でございます。それで、やはり税制上特に教育費の負担の重い中高年齢層に対する税制上の配慮というものが要るのだ、ぜひそれは何とかしてもらいたいということで、文部省としても関係当局にそういう要望もし努力をしてまいった、こういうことでございます。  そこで、その税制上の配慮、特にそういう中高年齢層に対する税負担の軽減ということを考えるとき、幾つかのやり方があるわけでございまして、それは一つは今御指摘のございましたように教育費控除、こういうことであろうかと思います。これはもう少し正確に申しますと、いわゆる直接税での対応でございまして、直接税をかける際に課税ベースからこれを外す、控除というのはつまりそういうことでございまして、課税の対象としないということ。ですから、その軽減を図るとすれば、その対象としないというやり方と、それからもう一つは、対象にするけれども税率を低くするというやり方、これは減税というやり方があるわけでございます。それからもう一つは、最近の議論で言えば、税負担を考える際に直接税だけでなくて間接税というものを考えなければなりませんから、その間接税との関係でどう考えるかという、いろいろなやり方がやはり税負担の軽減という中にあるのだろうと思います。  そこで、御指摘のございましたけさの新聞報道でございますけれども、これは政府税調でのきのうの御議論の結果が報道されているというふうに承知しております。政府税調は、御承知のとおり昨年の秋からこの税制度の抜本的改善ということで、直接税、間接税双方にわたっていろいろな御議論があったということでございまして、この新聞記事になっておりますのはきのうの直接税部会の方ですけれども、直接税部会の方で幾つかの議論があった。ただいま私が申し上げましたように、そもそもそういうまず中高年齢層に対する教育費の負担が重い、そういう層に対する税制上の配慮をすべきと、これは政府税調でもそのとおりだと。ただ、やり方として今申し上げましたように幾つかのやり方があるというような御議論が行われておったということで、それが新聞で報道されているというふうに承知をしているわけでございます。  この政府税調の御議論は、なお今審議の途中でございまして、間もなく今月末には中間まとめ、中間報告でございますか、ということであろうかと思いますけれども、政府税調としての一つのまとまった方向、議論ということではなくて、そういう審議のプロセスが新聞に報道されているというふうに承知をしているわけでございます。
  81. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ですから、あれもあります、これもありますというのではなくて、文部省としては一体今までどういうふうなことをきちっと考えてきたかということを質問しているのでありまして、もっと簡単に言っていただければ、私は頭が悪いですからありがたいと思いますね。  それで、政府税調では、高校生、大学生の親の扶養控除割り増しとか、そういうことを考えているようでありますが、私たちはそうではない、もっと目に見える税金控除をやってもらいたい。例えば、教育費そのものを所得控除の対象とすることが公平で実態に即したものになるんじゃないか、こういうふうに思っておるものですからね。文部大臣、いかがですか。
  82. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 総論としては、私は、政府税調の中でこういう教育費の負担の重い層に対して何らかの対策を考えていただいておるということは大変結構なことだと、新聞を読んだ感じではそう思いました。  特に、総論からいっても、今お答えしたように、教育の機会均等の面からも父母負担の軽減ということはこれは重要な問題で、みんなで図っていかなきゃならぬ問題でありますが、特に四十五歳から四十九歳あたりが、平均の負担率と申しますか、消費支出に占める教育費負担の割合がそこだけ相当高いものでございますから、これを何とか、どういう形でしていったらいいのかということでございまして、ただ、その面だけの形を考えますと、御審議の途中ですから口を挟むのはどうかと思いますが、そういうことを考えていただくのは結構でございますし、それをまた政府税調もこれをお取りまとめをし、また党税調の方でもそれに対しておやりいただくと思いますが、先生最後におっしゃった教育費そのものを控除していったらどうかという点について、これは前からもお話がありますし、その場合に、そういう意味でその利益といいますか、それを受けられない方々との整合性をどうするかというものを一面で考えなければならぬであろう。そういうやっぱりフォローすべき面がありますし、この方法をとった場合にはこういうものをフォローすべきであろう、その場合はこういう方法もあるだろう、これから詰めるべきところがあるであろうと。私も新聞だけで、その内容の詰め方を一々知っておるわけではございませんが、総論としては大変結構なことでございますので、これからその形の推移をよく見きわめてまいりたいと、こう思っております。
  83. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 時間がありませんから、私は意見だけ申し上げて、文部省の対応をよろしくお願いしたいと思います。  文部省、これから政府税調やあるいは大蔵省と折衝をするチャンスがあろうかというふうに思います。そのときに、教育減税の実現について、ぜひ実現をするように強力な対応をとるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  84. 川村恒明

    政府委員(川村恒明君) 御指摘のとおりでございまして、私ども従前からそういうことでこの問題について財政当局とも御相談をたびたびし、御要望もお願いしているわけでございます。  そこで、ただいま大臣からお話がございましたように、税制というのはいろいろな、一面こういうメリットがあれば、こういう不都合もあるということもございますので、現在、税制の抜本的改革、全体の見直しということでございますから、全体の新しい税体系の中で、今先生御指摘いただきましたように、そういう教育費が過大な層に対する配慮というものができるだけ実現されるように、それがどういう形になるのかというのは、一面新しい税体系の全体の構造とも関連をいたしますから、ただいま大臣から申し上げましたような形で、全体を見ながら実質的にそれが実現できる方法を探ってまいりたいと、さように考えております。
  85. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 中曽根総理は臨教審など強引につくって教育改革などをやりましたけれども、あれは大変問題があって私ども批判しているところですが、竹下総理は教育減税を実現したと、こういう教育首相になるように文部省としても一生懸命に努力をしていただきたい。  五十分になりますので、文部大臣の日程に合わせて協力して、質問をここで中断いたします。
  86. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  87. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 児童生徒急増地域の指定について、文部省から資料をいただいてあります。小学校では二県三町ですね。中学校では四十六都道府県が該当しているというこの六十二年度の報告があるわけですが、六十三年度の七月ごろにこれ決定するのでしょうか。見通しはどんなふうになっておりますでしょうか。
  89. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 具体的には六十三年度の指定、まだでございますが、現実に児童生徒急増市町村に該当しますものが昭和六十二年度では四百七十八市町村ございまして、それが六十三年度には三百七十五市町村に、約百近く減少する予定でございますので、そういった地域におきまして、今のところ見込みでございますけれども、全体的には小学校については六十二年度は三市町村でございますが、六十三年度は四市町村一つふえますけれども、中学校の方が四百七十五市町村から三百七十一市町村ということで、約百カ所ほど減少する見込みでございます。
  90. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 減少するということで仕事はやりやすくなるのではないかと思うんですが、この法律でいえば教室が足りないということが原因で子供たちの教育が十分に行われないのでは困る、こういう意味でつくられたのだと思うんですね。ところが、先日の同僚議員の質問を私は伺っておりまして、まだ教室がやっぱりプレハブだったり、非常に苦労していろいろな特別の教室を使っているというようなお話なんかがあったので大変気になっているんですけれども、その数字をもう一度明らかにしていただけますか。
  91. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 急増市町村におきます学校の不足普通教室数、それから一校当たりのプレハブ教室数についての調査がございますが、例えば一校当たりの不足教室数は昭和五十七年度におきましては一校当たり〇・四七室でございましたが、昭和六十二年度、五年後におきましては一校当たり〇・三七教室が不足しておる状況でございまして、不足普通教室数は若干の減少を見せております。一方、一校当たりプレハブ教室数につきましては、昭和五十七年度急増市町村におきまして一校当たり〇・二でございましたが、六十二年度におきましては一校当たり〇・一四、これも減少いたしておるわけでございまして、このうちプレハブ教室につきましては、不足教室が建物一棟に満たないために適正量になるまでプレハブ教室を使用しているものでやむを得ない事情があるということで、一校当たりで四教室保有しているケースがございますために、かなり率はちょっと高くなっておりますけれども、六十三年度には解消されるように聞いておるところでございます。
  92. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 その数字の報告なんですけれども、一校当たり〇・四七教室が一校当たり〇・三七になった、あるいはプレハブが〇・二が〇・一になった、こういう数字ですと、何かぴたっと教育の現場が浮かんでこないんですね。教室で幾つ足りませんと、こういう話をしていただかないと困るんですが、そういう調査というのはやっていらっしゃらないんですか。
  93. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 社会増のために学校におきまして不足教室が生じているわけでございますが、今の全国的な数字で申し上げますと、昭和六十二年度全国で四千四百十九の教室数が不足しているわけでございます。これらのものにつきましては、仮設教室で対応するとか、あるいは特別教室を転用するとか、あるいは管理室を転用するといったような形で種々の対応をして授業が実施できるような状況になっているわけでございます。それから、プレハブ教室数につきましては、現在のところ、昭和六十二年度でございますが、プレハブ教室を使用しておりますものが千百十四教室ございます。
  94. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 小中別、わかりますか。
  95. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 小学校につきましては、昭和六十二年度の不足普通教室数が二千二百五十五でございます。それから中学校におきましては、六十二年度二千百六十四でございます。
  96. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大変な数なんですね。〇・四七なんていうことを聞いていますと、ああ、じゃ随分減ったんだななんて、こういうふうに思いますけれども、現に小学校であるいは中学校で四千四百十九も教室が足りないなどということは、これは大変なことなんで、各市町村にもう少し督励をして、きちんと受け入れ態勢が整えられるように私は文部省としては努力をすべきである、こういうふうに考えます。  さて次に、この法律を見てみますと「定義」の中に「この法律において「義務教育学校」とは、学校教育法に規定する小学校及び中学校並びに盲学校及び聾学校の小学部及び中学部をいう。」、こう書いてあります。「この法律において「建物」とは、校舎、屋内運動場及び寄宿舎をいう。」、建物校舎と屋内運動場と寄宿舎を言う、こうなっているんです。ところが第三条「国の負担」でいろいろと書いてあるわけですが、その中で、「公立の小学校及び中学校における教室の不足を解消するための校舎の新築又は増築に要する経費」、こう書いてありまして、屋内運動場が外れているわけですね。これなぜ屋内運動場が外れているんでしょうね、このかさ上げの中に。
  97. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま先生お読みになりました義務教育施設費国庫負担法の三条一項の一号におきましては教室の不足を解消するための校舎の新増築に関します規定がございますが、二号の方で小中学校の屋内運動場の新増築に要する経費についても規定をされておりまして、一般的な意味ではそれぞれ校舎、屋内運動場の別を問わず二分の一の負担をしておるわけでございますが、児童生徒急増市町村におきましてはいわゆる急増する児童生徒を収容するための緊急不可欠な校舎の新増築について、その負担割合を二分の一から三分の二に引き上げるという措置を講じているわけでございまして、屋内運動場、いわゆる体育館についてのかさ上げ措置は講じていないところでございます。この理由といたしましては、急増市町村実情から見まして何よりも増加していく児童生徒を収容する校舎整備が最も緊要でございまして、また財政負担の面からも校舎整備にかかる負担が大きいところから、校舎に限定して負担割合かさ上げの措置が設けられているところでございます。  なお、屋内運動場の保有率につきましては一般市町村よりも急増市町村の方が保有率が高いという状況があるわけでございまして、いずれにいたしましても、一般市町村急増市町村の別を問わず屋内運動場の整備の必要性があることは両様でございますから、急増地域に限りまして屋内運動場の補助率をかさ上げするということは、かなり私どもとしてはバランスを失するというぐあいに考えているところでございます。
  98. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 バランスを失するといいますけれども、やっぱり教育条件をよくしていく、こういう大きな課題があるわけですし、特に予算面で見ましてもここ数年減り続けているわけですから、今回ぐらい少し新しい企画を持ち込んでもいいのではないか、こういうふうなことを考えるものですから、私は屋体外しの理由についてどうしても納得がいかないということを申し上げておきたいと思います。  次に、大規模校解消についての質問に入ります。先ほど安永委員の方からいろいろと質問があったわけですけれども、私は三十一学級以上の大規模校を解消するという、その三十一学級というところに絞った理由というのは何かということについて伺います。
  99. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 文部省におきまして事実上の用語でございますが、五学級以下のものを過小規模校、六学級から十一学級までのものを小規模校、それから十二学級から二十四学級までのものを標準規模校、二十五学級から三十学級までのものを大規模校、そして三十一学級以上のものを過大規模校という呼称を使っておりますけれども、いわゆる三十一学級以上のものにつきましては教育指導上あるいは学校管理運営上種々な問題を抱えているわけでございまして、基本的には教育条件の整備という観点から早急に解消いたしまして、学校規模の適正化を図ることを急務とするものと考えているわけでございます。  なお、二十五学級以上のものにつきましても大規模校でございましてこれが適正規模を超えているわけでございますから、それぞれ標準規模校に近づける努力を必要とするわけでございますけれども、政策的な意味におきましては、今申し上げたとりあえず急務とされているものについての解消を図るという観点から過大規模校を対象としているわけでございます。  なお、大規模校につきましてはそれも標準規模校へ近づける努力が必要でございますけれども、一面におきまして大規模校の分離を考えますときに、例えば二十八学級のケースでございますと、それをちょうど半分に割って十四、十四というケースというのはいわゆる通学区域等の関係からそういうケースは余りございませんで、一般的に分けるとしますと、一つ学校は標準規模校になるとしましても、分離されるもう一つ学校がいわゆる小規模校になっていく。そしてこれからの児童生徒減少の傾向を考えてみますと、そういった形で将来問題のある小規模校をつくる結果となる可能性も相当あるわけでございますし、そういう意味では現在過大規模校において分離をするという場合には、それぞれ分離されました学校が標準規模校として運営されていくということを念頭に想定しているわけでもございます。そういう意味で便宜的な区分ではございますけれども、政策的に当面急がれるべき過大規模校の分離の問題に積極的に取り組んでいるという状況でございます。
  100. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ですから、なぜ三十学級は過大規模校にならないで三十一学級以上が過大規模校になるかという、その辺のところが私にはよくわからないんですね。一つには、何かある程度の基準というものが必要になるんじゃないかというふうに思うんです、何らかの基準が。例えば学校教育法施行規則、これに、学級数は十二から十八を標準とする、こういうふうに書いてありますね。そういうようなものがないんですかということを聞きたかったわけですよ。
  101. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 学校教育法におきましては十二学級から十八学級までのものを標準といたしておりますが、一方、この施設費負担法の施行令におきましては、同様に十二学級から十八学級までを標準としつつも過小規模校等を統合いたします場合の基準を二十四学級までといたしておりまして、いわゆる不適正な小規模校を標準規模に持っていくための統合の要件として二十四学級までという考え方で対応しているわけでございます。そういう意味では、一応運用上は十二学級から二十四学級までのものを標準規模と考えておるわけでございますが、問題は、じゃ二十五から以上のものについて大規模校と過大規模校という形でなぜ三十と三十一で区切っているのかという御質問でございます。  これにつきましては先ほども申し上げましたように、分離の形態を考えますときに、一つは例えば小学校でございますと六学年編制でございますから、三十学級ということは六学年、一学年について五クラスということでございます。それが三十一学級ということは、いずれかの学年についてクラスが五クラスから六クラスになるというようなケースによって三十一を超えるわけでございますので、その三十学級を分離いたすとすれば、例えば六学年編制でございますから必然的に十八学級と十二学級という形態になることが想定されるわけでございますが、これからの人口減少方向を考えてみますと、分離された学校が十二学級の学校でございましても、いずれそれが十一学級、十学級という形で小規模校に転落、転落という言葉はよくございませんが、学校規模が小さくなっていくというような形態が想定されるわけでございますので、その辺を一つのメルクマールといたしまして、三十、三十一で区切りをさしていただいて予算上の対応、今申し上げました過大規模校解消のための政策としてとる場合には一応三十、三十一を境にさしていただいているということでございます。  なお、急増市町村につきましては、過大規模校の分離につきましては三十一学級以上だけではなくて、今後児童生徒の増加が見込まれる状況も踏まえまして、二十五学級以上につきましても分離の対象として施策を講じているところでございます。
  102. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういう弾力的なことが出たということは大変うれしいことだというふうに私は受けとめているわけですが、補助執行でたしか四十年代前半以降だったと思いますが、三十一学級以上の新設を認めないということが決められたように思いますが、違いますか。
  103. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 三十学級、三十一学級という今の規模の問題でございますが、学校をつくりますときには、とりあえず当該地域におきます義務教育を達成する必要があるわけでございますので、三十一学級の新設を認めないという結果として学校建築ができない、あるいは義務教育の円滑な実施ができないという状況になりますものですから、私ども三十一学級以上は対象とはしないという方針は決めていないと思います。ただし、三十一学級以上は望ましくないという形で十分な努力方はお願いしておりますけれども、三十一学級以上のものは補助対象とは絶対にしないという何か基本原理、原則のようなものは、考え方としてはございましても運用上はそうしていないと思います。
  104. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 考え方としてはあるけれども運用としてはない、この辺が大変難しいところなんですね。文部省の発しましたこの公立小中学校過大規模校の解消状況というもの、これ昭和六十一年五月一日現在のものなんですが、これを見てみますと、昭和六十一年五月一日現在で新規増加校数、小学校で三十八あるんですね、過大規模が。中学校で新規に三十三出ているんですね。分離しましょうというときになぜこのような現状が出てくるんでしょうか。
  105. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま先生が三十一学級以上の過大規模校の新規増加校数という数字を御指摘になったと思いますけれども、これはこのための三十一学級以上の学校を新たに建設したものではございませんで、従来三十学級以下の学校でございましたものが児童生徒の自然増によりまして結果として三十一学級以上の学校に該当した、そういう意味でございまして、新規増加というのは学校が物理的にふえたということではなくて、今申し上げましたように三十学級以下の学校が自動的に三十一学級以上の学校に変わったという意味でございます。
  106. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 了解をいたしました。  さて、先ほどからこのような未解消の数字が大きいんだけれども、一体そのネックは何かということについてるる局長からの説明がありました。しかし、本当に今後これをなくしていくための対策というのができるんだろうか。そこのところはどういうふうな見通しを持っていらっしゃいますか。
  107. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 昭和六十二年度におきまして三十一学級以上のいわゆる過大規模校が千二百三十一校あるわけでございます。従来から文部省といたしましては、これを抱えております市町村教育長に、文部省までおいでいただきまして、その解消方策について具体的な指導を繰り返し行っているわけでございますし、また分離新設に伴います用地取得費の補助などを行いまして、解消の促進を図っているところでございます。その結果としまして、昭和六十二年度時点におきます今の千二百三十一校のうち、約八六%に相当する学校につきましては分離新設、通学区域の調整あるいは児童生徒数減少等によりまして近い将来に解消が見込まれている、あるいは予定されているという状況でございます。しかしながら、残り一四%の学校につきましては、いわゆるまとめた用地の取得困難とか、あるいは通学区域変更に対します住民の強い反発等がございまして、極めて前途は見通しが立っていないという状況であるわけでございます。私どもは、今申し上げました特に通学区域の変更反対に対します問題は、地域住民への説得等についての御努力を再度さらに行っていただくということも必要でございますし、それから、用地取得困難な問題につきましては、先ほど安永先生の方からも御意見等もございましたが、いわゆる通学区域内に限らず、通学区域外におきます学校の分離新設ということも一つの方策でもございますし、いろいろな知恵を出してこれからの努力方を再度要請したいと考えているところでございます。
  108. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大規模校の問題点については前々からいろいろと指摘をされていたわけでありますから、大変な困難はありましょうとも、ぜひこれは全力で頑張っていただきたいということを要請をいたしまして、次に移ります。  先日は特殊教育学校のいろいろなことについて御質問がありましたので、またそれも省かなければいけないなと思いながら、私はこの特殊教育学校高等部校舎基準面積改定というのがことしの予算額主要事項別表に出ているわけであります。この基準面積改定の意義と、その改定の率というのは一体どのくらいになっておりますか。
  109. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 六十三年度予算におきましては、特殊教育学校高等部校舎補助基準面積を改善さしていただいております。これは以前の特殊教育学校高等部につきましては、いわゆる小中学部等に併設される形態がほとんどでございまして、高等部単独校というのは例外的であった。そういった併設を前提といたしまして補助基準面積を規定しておったわけでございますが、近年になりますと高等部のみの単独校が建設されるようになりましたために面積を見直すこととしたものでございます。具体的には、補助基準面積の中で多目的室を設けることができるように配慮し、あるいは普通教室より広くつくることができるように配慮するなどいたしまして、補助基準面積を全体といたしまして平均約一四%引き上げをいたしております。  なお細部にわたって申し上げますと、盲学校につきましては平均一六%の引き上げ、聾学校につきましては平均一八%の引き上げ、それから肢体不自由児関係の養護学校につきましては平均一一%の引き上げ、それから精薄関係の養護学校につきましては平均一一%の引き上げ、病弱児関係の養護学校につきましては平均一五%の引き上げ、これ総体いたしますと、ならしまして特殊教育学校高等部の関係が平均一四%のアップとなっているわけでございます。
  110. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この特殊教育学校整備ということは大変おくれていたわけでございまして、それについて再考の努力をし始めてきているということについては私も喜ぶものでありますが、特に高等部設置がない、なかなか高等部設置してくれない、こういう要望が強かったわけでありまして、この基準面積を改定するということは、そういう要望に対して大きな文部省としての姿勢を示すものというふうに考えておりますが、高等部設置というのは今大体どのくらいのパーセンテージであるんでしょうか。
  111. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 全国に養護学校の数は六十二年度におきまして六百九十校でございまして、そのうち高等部設置しておりますのが三百八十三校でございまして、設置しております比率は五五・五%でございます。毎年この数字は累増いたしておりまして、ちなみに昭和五十四年度時点におきましては養護学校五百九十八のうち高等部設置は二百十九でございまして、設置率三六・六%でございまして、毎年数%ずつふえてまいった結果がこのような数字になっているわけでございます。
  112. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は二、三日前に北海道の札幌へ行きまして、たまたま札幌の養護学校先生といろいろなお話をすることがあったわけでございますけれども、その中で院内学級のことについて非常に強い要望をいただきました。この院内学級の実態というのはどのようになっておりますか。
  113. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 御案内のとおり国立病院や療養所で養護学校が併設されているというものがございますし、それからもう一つ特殊学級で院内に置かれている、二とおりあるわけでございます。一部の新聞報道で数がちょっと載っておったのでございますが、あれは若干間違いでございまして、現在私どもで持っております六十二年度現在でちょっと申し上げますと、国立病院、療養所で全施設数が二百三十八ございます。その中でいろいろな養護学校関係の併設、隣設のものが百十七ございます。ただ全部ではございません。  それからもう一つ申し上げますと、特に病弱の関係がいろいろあるわけでございますが、病弱の関係ではなかなか数としてもこれからの問題がございますが、病弱養護学校で病院等と併設、隣接しているものが六十一でございます。ですから、九十六から六十一を引きますと三十五ぐらいは病院等と隣設、併設されていないというふうな実態があるわけでございますが、先生御指摘のとおり、できるだけこのような病弱養護学校等は病院等との併設、隣設が望ましいということで私どもも今後考えてまいらねばならないというふうに思っておる次第でございます。
  114. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 当文教委員会でも数年前、病院に併設している大分県の石垣原養護学校を見ました。大変熱心な教育、そして医療をやっていらっしゃるし、先生方もあれですけれども、子供たちがやっぱりああいう中に入っていって成長していくという感動的なお話どもいろいろ伺ったわけでありますが、この病院併設の養護学級あるいは学校ですね。これももう少し大きく伸ばしていくという必要があるのではないかと思うのと同時に、あそこに入るという条件について少々この辺でもう少し緩やかに基準を緩和というか、本当に子供たちを教育していかなければならないというような基準にすべきではないかと思いますが、いかがですか。
  115. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生御指摘の点は一部報道等にもございましたが、六カ月以上の医療というふうな条件でございますね。こういう点で院内というふうなことも報道されておるわけでございますが、私どもの方の現在の基準は、病弱の養護学校はそのような基準でやっております。しかし小中学校の特殊学級はそれ以下の条件でも特殊学級に入っておる子供たちはいるわけでございまして、そういう一般の小中学校の特殊学級の病弱で約半数は病院に併設、隣設されておる、こんな実情がございます。したがいまして、先生の御趣旨を敷衍すれば、やはり養護学校の子供たち、それから一般の小中学校の特殊学級の子供たちもそれぞれ病院に併設、隣設のような方向で努力すべきではないかというふうに私ども理解いたすわけでございまして、私ども先生の御趣旨のとおり今後努力をすべき点であるというふうに思っております。
  116. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 努力をすべきだということを私大変うれしく受けとめて、これはやっぱり数字になってあらわれなきゃ努力したということにならないので、口でだけ言っていただくと困るんですね。その札幌の先生お話は白血病の子だったんですね、ついに亡くなられましたけれども。その間に本当に学校行きたい、生徒と一緒に遊びたいと、こう言いながら亡くなったというお話をいただきました。  それから、大変一生懸命に運動をやっていらっしゃる全国「腎炎・ネフローゼ児」を守る会、ここも毎年文部省にいろいろな要望を出したり、あるいは文部省から説明を受けているわけですね。第十六回の全国大会、大阪でありましたその大会に文部省から特殊教育課教科調査官の山本さんがいらっしゃっていろいろとお話をしていらっしゃる。皆さんの御要望にこたえるべくいろいろとお話をしているのが速記録に載っているんですけれども、そういう院内学級をふやしますとか、病院特設などをふやしていきますということについては具体的にお話しなさっていらっしゃらない。そこが私はやっぱりそういう子供たちを持つ親の気持ちにこたえるような、そういう文部省説明でなければならないというふうに思いますので特に要望しておきます。  今普通の子供たちの高校の進学率が既に九四%、九〇%を超えているわけでありますから、病気を持った子供たち、障害を持った子供たちだって高等部に行きたい、こういうふうに思っているわけですので、ぜひその点はもう準義務教育みたいな形になった、高等学校じゃなくて高等部なんですけれども、それはきちんと設置をしてくださるように要望して私はこの問題について質問を終わります。  次に、先ほど随分児童生徒急増について話がありましたけれども、国内だけじゃないんですね、児童生徒急増というのは。諸外国にこのごろ日本人がどんどん進出をいたしまして、そして学齢の子供たちを連れて赴任をする方々がいっぱいいる。そういう子供たちのための日本人学校、この学校は今どのくらいの勢いでふえ続けておりますか。
  117. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 現在、在外邦人が同伴されました義務教育段階の子弟の数が昭和六十二年度で約四万一千人でございまして、そのうちの約四〇%に相当します一万六千五百名が日本人学校に在学しております。それから同じく四〇%程度の一万六千五百人、同数でございますが、それが土曜日等のいわゆる補習授業校に通学しているわけでございまして、残りの二〇%は八千数百名でございますが、現地の学校に通学をしているという状況でございます。  これらを収容いたします日本人学校あるいは補習授業校につきましては累年増加をしてまいっておりまして、現時点では昭和六十三年度新設を含めまして、日本人学校が八十三校、それから補習授業校が百二十校、合計二百三校が在外教育施設として存在しているわけでございます。これにつきましても、地域によりますけれども、依然としてこれからも日本人学校あるいは補習授業校の増設の動き等は、現地におきます状況等にもよりますけれども、出てまいってくるだろうと想定をしているわけでございます。
  118. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 日本人学校か現地校主義かということは臨教審の中でも随分討議をされておりますし、私もこれだけでも一つの単位として質問するような条件だというふうに思いますが、今問題にしたいのは、こういうふうに諸外国に日本人学校がどんどんできていく、そういう学校を建てるために用地を取得しなければならない、こういう用地を取得するに当たって一体どういう形で取得をしているのか。その地域の国あるいは自治体にお世話になって用地取得をするのか、全く独力でやっていくのか、その辺はどういうふうにつかんでいらっしゃいますか。
  119. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 今申し上げました二百余の施設につきましては、それぞれ現地で用地並びに校舎等の手配をしているわけでございまして、校舎を借りている場合も多うございますし、建築する場合は、数としてはそんなに多くないと思いますが、土地につきましてはおよそ借地の場合がかなり多いんじゃないかと思います。そういった借地あるいは借家のような形態で運用がされている例が非常に多いわけでございますけれども用地の取得につきましては、それぞれ国によりましてでございますが、便宜供与を受けている事例がございまして、例えば五つの日本人学校につきましては、現地の無償供与あるいは名目だけの土地代で借りており、実質的な無償供与に近いものというものが五校あるわけでございまして、そういった外国におきます便宜供与なり、何といいますか、好意を受けている事例が多々あるということでございます。
  120. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私も大分前なんですけれども、シンガポールへ行きまして、あそこの「日本人学校 十年の歩み」という本をいただいて、あるいはその実情も調べてみたんですけれども、その中に、もうとにかく企業進出ラッシュで学校が超満員だと。入れないんですね。入れないから結局日本にいてあくのを待っている以外にない。あるいは会議室まで教室にする、それは国内の急増地域と同じだと思いますけれども、そういうことなんですね。義務教育なのに何で入学を断るのか、こういう親の強いおしかりがあった。だけれども私立学校だからパンク状況を超えてまで入学させる必要はないんだ、こういうことがシンガポールの運営委員会の中で討議をされたとか、あるいはその学校を建てるに当たって、お金を出した企業の子供は入れるけれどもお金を出すことを渋った企業の子供は入れないんだとか、そんなようなことがいろいろ言われて、そして苦労しながら学校の歴史がつくられていくわけですね。今は立派な学校になっていったわけですけれども、それのためにはやっぱり敷地が必要だ。その敷地を獲得するに当たってはシンガポール政府の並み並みならない御協力がありましたということがここに書いてあります。最終的に借地になりました、年間幾ら幾らの賃貸料です、三十年間お借りしますと、こういうことがあるんですが、私はよその国へ日本の子供たちが行って大変なお世話になっている、こういうふうに思うときに、我が国内では一体どういうふうに、このごろ外国の方々が大勢おられますね、そういう子供たちを預かっていくのか。それで外国人学校という言葉になるのではないかと思いますが、文部省はこういうことを一体どのくらいの、どういう程度に把握をしていらっしゃるか伺います。
  121. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 日本に在住する外国人子弟の数は私ども把握いたしておりますが、小学校で約四万九千人、中学校で二万八千人、高等学校で約一万六千人、九万三千人という外国人子弟が児童生徒数として在住しておるわけでございます。  考え方といたしましては、小中学校義務教育の場合には、外国人子弟が就学を希望する場合には、必ずと申しますか、許可する、拒否はしない、こういう考え方でおりまして、これらについては、私ども問題点としては、こういう外人子弟が在住する、あるいは在籍する学校におけるカリキュラムの問題、実際の教育指導なり教育方法の問題、こういう点はいろいろ今後問題点がありますので、いろいろ研究指定校を設けまして検討に着手いたしております。それから、先生が関連しておっしゃいました日本人が外国でいろいろお世話になる、外人が日本でいろいろ教育をしたい、こういう点については、御案内のとおり、イギリス、フランス等でいろいろ学校敷地のあっせん等御依頼があるわけでございますが、これはフランスについては外務省が直接受けておるようでございます。イギリスは実は私どもが直接受けております。イギリスはブリティッシュスクールを実際にもう少し広いところでやりたいということで、希望としては港区のエリアでございますね。こういうところで学校が過疎になってあいたところを何かあっせんしてもらえないかというふうなことがございましたので、私どもの方で港区の方へ連絡をとりながら、港区も今直ちにはということではございますが、少し方向を検討したいというふうなことになっておりますので、私どもとしては諸外国の意向と国内の状況等を勘案しながら、私どもの立場でできることについては努力をしたい、また外務省もいろいろ努力をしておられると思いますが、そういう方向で考えてまいりたいというふうに思っております。
  122. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 イギリスの方では文部省に話があったといいますが、フランスの方ではお話なかったですか。
  123. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) フランスにつきましては、御案内のとおり日仏会館という財団法人のかかわる語学に関する文化的な施設の問題が一つと、それからもう一つ学校の問題がある。この二つの問題が日本とフランスの首脳会談のいろいろな絡みで外務省が直接当初からかかわっておられたものですから、フランスの方からは直接外務省の方にまず入っておるというふうな経緯でございまして、私どもの方はその関係で日仏会館は学術国際局がちょっと所管しておるものですから、外務省と学術国際局の方の話が若干出ておるわけでございます。初中局の方は学術の方と連絡をとりながら対応してまいりたいというふうに思っておりまして、直接私どもはまだ聞いておりません。
  124. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 リセ・フランコ・ジャポネ、幼稚園から高等学校まで、フランスの子供たちの教育をする学校があるわけですね、富士見町に。あそこに今度大使のお子さんが入るんだそうですね。そういうことも含まって、今の敷地じゃ足りないからもっと大きい学校にしたい、そういうことでぜひ土地が欲しいという申し出が、お話があったんだそうです。それは最初から学校の話ではなくて、鈴木元首相がいろいろとお話をなさって、日本とパリとの間に文化会館をお互いに文化交流でつくりましょうと。で、エッフェル塔の近くに、一等地に日本のための文化会館の敷地をもらった。外務省にきのう問いただしましたら、確かにそのとおりですと。そして、もう具体的に作業は進んでいますと。フランスの方はちゃんと約束を果たしているわけですね。こちらの外務省はどうしたんだといったら、全然ですね。外務省の土地を差し上げるというわけにもいかないんでしょうから。  東京都とお話をなさっているようでありますけれども、東京都がこの土地はどうだろうといったところが、また大変向こうの方が拒否をされた。その拒否をされたことで、またいろいろとこうやったら、どうだどうだとフランス側で話をして、伝統的な日仏会館のところにその学校を持っていって、そして現在のところに日仏会館をちょっと縮小して、余った土地というんですか、残した土地を売って建築費に充てたらどうだろうかというようなことがいろいろと考えられている。その日仏会館に実は総評の組合に加盟しております各種学校、専修学校等の先生方の組合がある、各専労協という。我々の首の問題にかかわるということで文部省お話に行ったんです。私、一緒に行きましたら、文部省話を受けてないんですね。全然知らないということじゃないんだと思うんですけれども、正式なお話ではない。外務省どうなんだといったら、いや我々の話ではない、東京都の話。東京都はどうなんですかといったら、いや我々直接に学校のことはわかりませんので、今度は区の話ですと。何か全然ぬかにくぎみたいな返事しか返ってこないわけですね。大変な経済アニマルの日本の姿勢だなどといって私は批判をされてもいけないんじゃないかというふうに思うんです。それじゃ中国はどうだ、ソビエトはどうだ、いやエジプトはどうだ、こういうことになっても、またそれだけ土地があるわけでもないし、大変難しいことだというふうに思いますけれども文部大臣、こういう外国人学校、まあ外国人学校といいますか、外国人の子弟のための教育というもの、ぜひそういう、それぞれの国のものにしていったらいいのか、あるいは日本の学校で、さっき西崎局長は希望すれば許可すると言うけれども、許可したって教育する条件ないんでしょう。だから、この間の台湾の少年が先生を刺し殺したなどというような難しい条件というのが非常にあるというふうに思いますので、その辺の基本的な姿勢は一体どういうふうにお考えなのか伺います。
  125. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) お話にありましたように、我が国から外へ出ていっておる子女その他に対して、それぞれの御厚意をいただいておる点もあります。それに見返る、まあ見返るといってはあれでありますけれども、外から来ておられます子女の方々にできるだけのことはして差し上げなければいけない、これは心情としてもそうでございます。また、そういう点で個々にと申しますか、一つ考え方としてはやはり日本の生徒さん、それから日本で外へ行って帰国した帰国子女の方々、それから外国の方々が日本へ来て学ぼうとなさる方々、こういう方々が一緒に学べるような形、こういうことをひとつ考えていくべきではないかというのも一つの方向だろうと思うわけでございまして、そういう意味でこれは研究校と申しますか、そういう一つのモデルを委託しましてやって、そしてその形のいい面を取り入れて進めていったらどうか、このように今考えつつ、進めつつあるところでございます。
  126. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういうふうになればいいんですけれども、やっぱり日本人学校と同じようにやっぱり国の教育は日本へ来ても国の手で、我々の手でやりたいということもあってリセ・フランコ・ジャポネの学校ができているわけですから、そして具体的にリセの方で大問題が起きているわけですから、先ほど西崎局長のおっしゃったようにイギリスの方は港区と文部省が絡んでお話し合いを進めている。港区なんて本当子供がいないんですものね。廃校になったなんというのがどんどん出て、その学校の跡地ねらって地上げ屋が大変だということも伺っておりますが、港区ばかりじゃありません。二十三区中心地域にはもう学校なんて体をなさないで、越境入学しなきゃその学校がもたないような状況もあるわけでありますので、私はこの席で、この問題について文部省が出しゃばることはないけれども、注意を払っていろいろなところのお話し合いを、イギリスだけではなくてやっていただきたいということを要望しますが、いかがですか。
  127. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) ただいま大臣からお答えがありましたように、やはり国と国との相互のリレーションの問題でございますので、私どもとしても、諸外国からみずからの子弟をみずから教育したい、ただ、日本の法制には従っていただく必要があるわけでございますが、物的施設あるいはいろいろな諸条件の日本国としてのできる限りの御協力というのは当然省庁を問わず必要なことでございます。私どもの立場ででき得る限りのことは関係省庁とも相談しながら進めてまいる必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
  128. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 終わります。
  129. 高木健太郎

    高木健太郎君 厚生省の方をお呼びしておりますので、最初に安全性という面から厚生省の方にアスベストのことについてお尋ねをいたします。  アスベストの濃度の濃いものを、期間ははっきりはしませんが、そういう工事現場で働いている人に非常に肺がんが多いということが発見されまして、昨年の今ごろからことしの初めにかけまして新聞紙上を非常ににぎわしたことは御存じのとおりでございます。それについてまず厚生省の方々にお伺いをいたします。アスベストを吸入することによりまして肺あるいは胸膜にいろいろの腫瘍、肺がん、あるいは中皮腫等ができるということでございますが、このようなことが発見された経緯、それからそれに対する諸外国における疫学的な研究、そして諸外国におけるそれに対する措置、それからその病状というようなことについてまずお伺いをいたします。
  130. 金森仁作

    説明員(金森仁作君) 今の石綿に関する医学的な所見についてでございますが、一九七〇年にイギリスのチャリングクロスホスピタルのマレーという学者によりまして石綿粉じん暴露者に見られます石綿肺の剖検報告が世界で初めてされておるのであります。さらに一九二四年でございますが、クックが先ほど申しましたような剖検例でございますが、剖検例によりまして詳細に症例を検討されまして初めて石綿肺、横文字で言いますとプルモナリアスベストーシスと言うようでございますが、という言葉を初めて用いられたのであります。我が国におきましては一九五六年でございますが、奈良医大の教授であられました宝来先生が最初に石綿肺と合併いたします肺結核症の症例を剖検例として報告されておるのであります。一方、一九三五年でございますが、リンチらによりまして石綿肺の合併肺がんの症例が初めて報告されておるのであります。我が国では一九七三年でございますが、現在は国立療養所近畿中央病院の名誉院長であられます瀬良先生たちが石綿肺合併の肺がんの症例を報告をされておるわけであります。また、先ほど先生が御指摘されました悪性中皮腫例につきましては一九五三年でございますが、ワイスらによりまして石綿肺に合併しました悪性中皮腫の報告は文献によりますと出ているようであります。
  131. 高木健太郎

    高木健太郎君 その症状とか、あるいは石綿を吸ってから発病までの期間、それから死亡率ということはわからないのかもしれませんが、例えばけい肺とかそういうものとの違いというものはおわかりでしょうか。
  132. 金森仁作

    説明員(金森仁作君) 先ほど先生おっしゃいましたように、この石綿粉じんの暴露によって起こります病気は、一つは間質性肺炎としての石綿肺そのものでございますのと、それから先ほど私が触れさせていただきました肺がん、それから悪性中皮腫というようなものであるわけでございますが、症状はいわゆる石綿による疾病そのものの特有な症状はないのでございまして、呼吸器疾患一般としてのいわゆる労作性息切れであるとか、せき、特にせきにつきましてはこれはいろいろなお薬でもなかなかとまらないせきのようでございますが、そういう若干の特色はあるようでございます。それから喀たん、たんが出るとか、また先ほど申しましたがん等になってくれば当たり前のことかもわかりませんが、やせてくるとかというような症状、またいろいろと病状によって変わると思いますが、胸の痛みとか、そういうようないろいろないわゆる呼吸器疾患一般としての症状というものが今まで報告をされておるのであります。
  133. 高木健太郎

    高木健太郎君 私が文部省の方からいただいた資料によりますと、そういう石綿を吸いましてから肺がんの場合は二十年ないし二十五年ぐらい、それから中皮腫では三十年ぐらいの潜伏期と言っては悪いでしょうが、それだけの期間これは吸い続けているのかもしれませんし、ある時期吸ったらばそのくらいの時間たって起こるということでしょうか。そのいわゆる潜伏期間という名前は悪いですけれども、それはどれぐらいの期間であるかということをお伺いしたいんです。
  134. 金森仁作

    説明員(金森仁作君) 結論から申し上げまして、我が国におきましても、また諸外国におきましてもこういう研究というのは非常に難しい。私の方現在のところ手持ちはございません。
  135. 高木健太郎

    高木健太郎君 新聞等でも二十年ないし二十五年あるいは三十年ぐらいと書いてございます。後でこの点について文部省側にもお尋ねしたいと思っておりますが、もう一つは吸い込む石綿の量とそれから発病の間には比例的な関係があると書いてあるわけです。これ以下なら発病しないという安全値がないということになりますと、ちょうど放射能と同じでございまして適量というものはない、いわゆる閾値というものがないわけでして、ゼロからいきなり害毒しか流さない、こういうふうに考えられるわけです。そして、喫煙との、たばこを吸うこととの併用によりまして肺がんの発生率が非常にふえる。それで、たばこもそれから石綿も吸わないという人が肺がんにかかる率を一としますというと、石綿だけ吸う人はそれの五倍、それからたばこを吸う人は十倍、それから両方吸う人は五十倍というふうに書いてあるわけです。私が知っているデータでは、たばこだけを吸う人というのは普通の人の二倍ぐらいと思っておりましたが、これですとたばこだけで肺がんの発生率が十倍ということになりまして、また石綿だけで普通の人の五倍であるということが書いてございますが、その点厚生省の方ではどのような数値を持っておられますか。
  136. 金森仁作

    説明員(金森仁作君) 喫煙と肺がんの死亡との関係でございますが、これは喫煙の本数とか、アスベストの場合でも同じでございますが、どれだけの間吸っておるかというようなこと等によっていろいろとこれは変わってくるわけでございまして、たばこと肺がんとの関係で見ますと、国内における調査では前のがんセンターの疫学部長であられました平山先生の御調査等によりますと、いわゆる非喫煙者を一とした場合はこれは一・八から十五・三ということになっておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように吸わない場合を一ということでございまして、平山先生の資料を拝見いたしますと、一本吸えばこの一が二・二になる、仮に二十本吸えば四・九だ、それから五十本以上吸えば十五・三だと、こういうような数字を出しておられるわけであります。  それからアスベストとの関係でございますが、石綿暴露また肺がんとの同じような比較は、先ほど先生御指摘の資料は多分アメリカのハモンドらによる調査の資料をお使いなさったのではないかと思いますが、この米国のハモンドの調査によりますと、まず喫煙をしない方であって、かつこの石綿に暴露しないという方を一というように置きました場合は、石綿暴露のございますような労働環境にあるような方の場合につきまして、今非喫煙者の場合で五・一七、それから喫煙者の場合は五十三・二四という数字を発表されておるのであります。  それからまたほかの資料でございますが、WHOの報告によりますと、WHOがアスベスト及びその他の天然鉱物繊維に関する報告書を一九八六年に出しておられるのでありますが、この資料によりますと、アスベスト問題で触れておられるのは「一般居住環境においてはアスベストに起因する悪性中皮腫及び肺がんの危険性の確実な数量化はできないが、おそらく検出できないくらいに低いであろう。一般人口においては、肺がんの主たる原因は喫煙である。アスベスト肺の危険性は実質的にはゼロである。」、こういう御報告をされておるのであります。
  137. 高木健太郎

    高木健太郎君 大変詳しいお調べをいただきましてありがとうございました。  ところで、アスベストというのは吹きつけただけではなしにいろいろな建築資材に使われていると思いますが、いわゆる壁みたいなものでちょっと表面上はわからないというのでアスベストを含んでいるものもあると思うんですけれども、どういう建築資材があるものでしょうか。それからまた、それは吹きつけと比べてどの程度危険性があるんでしょうか。吹きつけが一番危険性が多いものでしょうか。いわゆるアスベスト含有の建築資材についてお尋ねしたいと思います。
  138. 金森仁作

    説明員(金森仁作君) アスベストというのは、先生御承知のように一つの産業用の言葉でございますが、成分はクリソタイルからいろいろなものがあるわけでございまして、その仕様でございますが、繊維の長さ等によって仕様のあれが違うようでございまして、例を挙げますと高級な防食用原料にお使いになったり、それから石綿の高圧管、石綿スレートにお使いになっておられたり、それからタイルとかゴムなどの充てん剤としてお使いになっておられたりしておるようでございます。
  139. 高木健太郎

    高木健太郎君 厚生省ではこのアスベストに対する日本における研究調査に対する体制はどうしておられるでしょうか。あるいはそれに対して研究費等をおやりになって特別に何か研究をされたことはございますでしょうか。それからまたアスベストを扱ういわゆる技術者といいますか、工事関係者、そういう者に対する教育等はどうしておられるでしょうか。アメリカではそういう技術者を養成している、あるいはアスベスト封じ込めとかアスベストの処理に関するいろいろの技術者も養成しているということでございます。日本は五十一年以降は吹きつけの全面禁止に踏み切ったということでございますが、そのとおりでございますか。あるいはそのほかそういう技術者の養成等は実際どのようにしておられるでしょうか。
  140. 金森仁作

    説明員(金森仁作君) 厚生省の方では昨年来アスベストの産業廃棄物等の処理の問題について検討させていただいておりますし、またアスベストの先ほど来いろいろ先生からも御質問ございましたような医学的、医療の問題での基本的な資料等についての収集活動等は私の方で担当させていただいておりますが、いわゆる技術者の研修その他については今のところ考えておりません。やっておりません。
  141. 高木健太郎

    高木健太郎君 文部省ではいわゆるアスベストを使用した壁あるいは天井の撤去ということに踏み切ろうとされているわけですけれども、そういうときには専門の技術者が必要であろうと思いますし、単にそれを土の中に埋めるということだけではまだまだ本当の危険は防げないというふうにも思うわけですし、ひとつ厚生省と力を合わせてこういう専門の技術者の養成と、それから将来ともそういう危険性が絶対にないというふうな措置もぜひとっていただきたいというふうに思います。厚生省の方からは、将来もしできれば研究費でもおとりになりまして、それの調査研究、疫学的調査の日本のデータをひとつお集めになっていただきたいと思います。どうも厚生省の方ありがとうございました。  それじゃ、文部省の方にお伺いいたします。  今お聞きになりましたように、アスベストというものがいわゆる中皮腫あるいは肺がんを誘発する。アメリカではかなりの労働者、アスベストを吸っていない人に比べて大体五倍ぐらいが肺がんにかかるということを言われておりまして、エイズも怖いわけですけれども、本当にアスベストも怖いものだなと思うわけです。ところが、学問的には大事なデータが抜けておりまして、それはアスベストがどれくらいの濃度に空気中にある、それをどれくらいの期間吸っておれば結果としてはどのようになるというそういう量的な問題、濃度の問題、期間の問題ということが全く抜け落ちておりまして、単に疫学的にそういうアスベスト工事従事者に発がんが多いということにとどまっております。  しかし、全くないというよりも少しでもあれば、どうも害があるらしいということで、非常に恐怖を持ってアスベストの撤去ということを文部省が踏み切られたことは、これはもう危害がゼロであるということよりもいいことはないわけですから、私はそういう措置をおとりになったということはこれは評価しなければならないと思いますけれども、実際はアスベストの天井を張っている、あるいは壁にアスベストがあるという場合に、どれぐらいのアスベストが教室じゅうにあるのか、あるいは普通のアスベストのない教室と比べてどれくらいの繊維が含まれておるか。いわゆる一立方メーターの中にどれくらいのファイバーが含まれているか、どれくらいの大きさのファイバーがある、こういうことを調べないで、ただやみくもに怖い怖いでは本当はいけないのじゃないかと思いますが、何か文部省としてある教室の、アスベスト教室とそうでない教室とのアスベストファイバーの数なんかを勘定されたことはございますか。
  142. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 昨年初めの時点におきまして、このアスベストの問題がマスコミ等でも大きく報道され、かつまた住民不安が増加したということもございまして、文部省といたしましては昨年五月、吹きつけのアスベストを使用した学校数の調査を行ったわけでございまして、その場合にはいわゆる今までの工事の記録等あるいは工事者への問い合わせ等によりまして、学校自体において、本校においては吹きつけアスベストを天井に使用しているあるいは教室に使用しているというような、使用した事例があるかないかの調査をさせていただいたわけでございます。  この調査の目的自体は、アスベスト対策工事を行います場合の文部省としての予算的な対応のおよその心構えを持ちたいということが主眼点でございました。したがいまして、吹きつけアスベストが使用されておりますのが教室とか体育館とか寄宿舎といったような、そういったブロック別の調査をいたしましたけれども個々のアスベストの使用量、あるいは先生おっしゃいましたファイバーの大きさとかいうような細部にわたる調査はいたしておりませんで、具体的に学校で工事に使われていたかどうか、その学校において吹きつけアスベストが残っているかどうか、そういったマクロの調査をさしていただいたということでございまして、今申し上げましたような細部にわたる調査は実施していないところでございますし、また私ども把握いたしかねているところでございます。
  143. 高木健太郎

    高木健太郎君 大変難しい問題で、無理難題を吹っかけているようでございますけれども、アスベストの天井張りがあるという場合に一度ぐらいは空気中のファイバーの数をはかってみておいた方がいいのじゃないか。ただアスベストの天井があればそこら辺にアスベストがいっぱいだというような、単なる何かわからないものに対して不安を持っているというのではなくて、これぐらいはあるということだけは把握する必要があるのじゃないか。例えば隣の高桑さんは花粉症の方を非常にやっておられますけれども、杉の花粉でも、置いておけばちゃんとそこに花粉がわかるぐらい杉の花粉が飛んでくるわけですから、アスベストがもし飛んでくるものとしておれば、適当な方法でどれぐらいのアスベストの切片が、ファイバーが飛んでくるかぐらいは把握しておいた方がいいのではないかと思いますので、ただアスベストの教室が幾つあるということじゃなくて、その数を数量的につかまえていただくと大変私今後の参考になると思います。  それから、二十年から三十年ぐらいで肺がんを起こすということですけれども、アスベストを使用した教室ができたのはもう三十年ぐらいたっている教室が多いわけですが、そこで学んだ生徒、その中から肺がんは普通の教室で学んだ人よりも多いなんというような、そういう証拠はありますか。
  144. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 私どもとしましては、アスベストの対策といたしましてアスベストの除去、封じ込め、囲い込みといったような形でのいわゆる工事の見地から予算的な対応というのを当面やっておるわけでございまして、先生今おっしゃいましたような、そこで学ばれた子供たちの、吹きつけアスベスト教室とそうでない教室で育った子供たちの肺がんの発生率等のようなものは調査はいたしておりません。
  145. 高木健太郎

    高木健太郎君 恐らく非常にわずかなファイバー数であって、障害が出てこないうちにこういう措置がとられたということで、私非常に喜ぶべきことであるとは思いますけれども、もしそういうことができれば、例えば肺がんでなくても何か呼吸器疾患がそういう子供たちには多かったとか少なかったとか、そういうことを発表するとまた非常に何というかマスコミをにぎわせることになって悪いかもしれませんけれども、真実は真実としてつかんでおくことが私は大事だろう、何もなければそれに越したことはないというふうに思うわけです。  それからアスベストは、何もアスベストを直接吹きつけたとか、あるいはアスベストで固めた天井であるというのじゃなくて、普通の建築資材の中にもアスベストは含まれているんじゃないかと思うんですが、それがどれぐらい含まれているか、そういう建築資材がどのようなところにどれぐらい使われているかということも調査の対象として調べておかれる方がよいのではないかと思いますが、そういうことはお調べになったでしょうか。
  146. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 大変恐縮でございますが、昨年の時点におきましては、私どもいわゆる学校建築関係の補助といたしましては大規模改修工事に対する補助を行っておりますものですから、その大規模改修工事の対象としてこのアスベスト対策工事を含めたい、そういった視点からその工事に該当するようなものという意味で吹きつけアスベストについての調査をさせていただいたわけでございます。先生おっしゃいますように、有害であるアスベストという視点から見ますれば、アスベストを使用いたしました建材等の例もあろうと思いますし、現時点では今こういった予算上の対応として大規模改造事業としての対応に直接は含まれにくいものかと思いますけれども、当然壁面の修理その他ということになりますれば、その建材の撤去ということもあり得るわけでございますから、今の御意見を踏まえまして私どもの対応も考えさせていただきたいと思います。
  147. 高木健太郎

    高木健太郎君 それから、これは義務教育施設ではございませんが、病院ですね。文部省管轄の病院がたくさんあるわけですけれども、そういう病院にも私は使われているんじゃないかと思うわけですから、病人は自分が病気でそこへ入院しているのにアスベストを吸っちゃ、これは困ると思うんですね。そういう意味では病院その他のそういう公共の施設等も御一緒にお調べいただくとありがたいと思いますが、病院の方はお調べになったことはございませんか。あるいは病院なんかは自主的に調べさせるということが私はできると思うんですが、いかがでしょうか。
  148. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 文部省におきましては国立学校につきましても同様な調査を行ったわけでございまして、これは悉皆調査でございますが、吹きつけアスベストの使用状況は国立大学の附属病院についても実施をいたしております。厚生省所管のものにつきましては私どもの管轄外でございますので、したがいましてその国立大学、高等専門学校等の附属機関すべてに対しての調査の一環として国立大学の附属病院を調査いたしております。現在、その吹きつけアスベストが使用されました面積に換算いたしますと、附属病院の総面積のうちの〇・二%に相当する部分が吹きつけアスベストを使用しているという結果が出ておるわけでございます。
  149. 高木健太郎

    高木健太郎君 ありがとうございました。ぜひそういうことは進んでやっていただきたいと思います。  アスベスト対策に対する費用というのはどれぐらいでございましょうか。それからまた、撤去に要する年次計画というのはどのようにお考えですか。
  150. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) この吹きつけアスベスト対策は、撤去あるいは囲い込み、封じ込め等の多様な方法があるわけでございますし、またそれぞれの工事の態様あるいは学校地域によりまして使用されている状態によっても違うと思うわけでございますが、非常に腰だめで申しますと、私どもの見積もりといたしましては、現在公立学校で調査しました結果千三百三十七校で吹きつけアスベストの実績があるわけでございまして、これらの対策工事として私ども概算でおおむね二百二十億円程度の経費が必要になるのではないかと考えております。そのための国の補助金としては、現在の補助制度のもとにおきますと約六十億円の国費が補助金として必要であろうと思っておるわけでございます。
  151. 高木健太郎

    高木健太郎君 ありがとうございました。アスベスト問題は大体以上で終わります。  今度は急増市町村のことについてお聞きしたいと思いますが、小中学校児童生徒数と一人当たりの敷地面積はどれぐらいでしょうか。その基準はどれぐらいになっておりますか。そしてまたそのばらつきはどれぐらいでございますか。
  152. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 昭和六十二年度時点におきまして、児童生徒一人当たりの校地面積は、小学校につきましては一人当たり三十四・七平方メートルでございます。それから、中学校におきましては生徒一人当たり四十九・三平方メートルでございます。小中を合計いたしますと、一人当たりの平均が三十八・一平方メートル、これは一般の市町村の平均の数字でございます。
  153. 高木健太郎

    高木健太郎君 それは平均はそうでございましょうが、その基準として文部省は幾らか決めておられるわけですけれども基準はどれぐらいでしょうか。それから実質上は、平均ではなくてそのばらつきはどうでしょうかということです。
  154. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 文部省といたしましては、小中学校のいわゆる学校の学級編制によります規模別の校地面積の基準は示してございますが、具体的な生徒一人当たりに換算をした基準をつくっているわけではございません。したがいまして、例えば一学級が四十五人の場合であっても、一学級が十人の場合であっても、何学級編制であるかということによりまして校地の基準面積を定めているわけでございまして、例えば小学校でございますと、十二学級の学校でございますれば基準面積といたしまして一万五千九百八十三平方メートルというような、学級規模に応じました校地面積という基準を示しているわけでございます。したがいまして、繰り返しになりますが、一学級のクラス編制の児童生従数が多ければ一人当たりの校地面積は減るというような形になります。
  155. 高木健太郎

    高木健太郎君 一学級でもいいですが、そのばらつきはどれぐらいあるでしょうか、学級単位でも結構ですけれども。都会なんかで用地が得にくいというようなところは非常に狭いんじゃないか、小さいんじゃないか、あるいは田舎で非常に用地面積が大きいところは、同じ学級数であっても広いんじゃないか、そういうことはおわかりでしょうか。
  156. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 今、先生御指摘なさいましたような調査をしたことがございませんので、大変恐縮でございますけれども、一般的な、概括的な申し上げ方になりますが、先生おっしゃいますように、確かに都市部におきましてはどうしても屋外運動場、グラウンドの面積が小さくなりましたために、一人当たりの校地面積は少なくなっておりますし、また比較的緩やかな地域でございますればグラウンドを広くとっているということによります一人当たりの校地面積は大きくなっているだろうと思います。それはやっぱり地域の実態に応じてでございますが、例えば山間僻地へ参りますと、段々畑の中に傾斜面でグラウンドをつくるという関係上、逆に一人当たりの校地面積はまた少なくなるという事例もございまして、一概には申し上げられない実態であろうかと思います。
  157. 高木健太郎

    高木健太郎君 本当は一人当たりの大きさを出しておく方がいいのではないかなと思ったんですね。というのは、学級というのは、四十人学級、将来は三十五人学級とかいろいろ学級数は変わってきますから、最小限一人当たりの面積が欲しいなと、そういうふうに思います。  もう一つは、これは後でお話ししようかと思ったんですけれども、面積はよく言われるんですけれども、高さが余りやかましく言われないというのでしょうか、高さはどういうふうに決めておられるんでしょうか。これは、最近の子供は背が大きくなってきましたし、体も大きくなりましたから、幅は余り大きくならないですけれども上に伸びちゃった。そうすると、天井も高い方がいいんじゃないかなと思いますし、我々が住まっているところというのは、面積に住んでいるんじゃなくて立体の中に住んでいるわけですから、本当は立米当たりという方が教室なんかはいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、高さはどういう基準でつくっておられますでしょうか。その基準はいつごろお立てになって、この子供が大きくなったということに合わせて何か基準の変更をおやりになったのでしょうか。
  158. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 私ども学校建築補助をいたします場合に、いわゆる補助基準面積を定めて、その面積当たり単価を掛けた補助を行っているわけでございます。この補助基準面積につきましては、それぞれ一教室当たりの規模を七十何平米というような形で定めるわけでございますが、この基準、広さについて申し上げますと、これは五十人学級のときからずっと同じでございますので、学級編制基準が四十五人になり四十人になっていくということで、結果的には一人当たりの面積は広がってきている状況になっているわけでございます。  そこで、高さの問題でございますが、これは補助とは全く関係ございませんで、ただ建築基準法の施行令によりまして五十平方メートルを超えます教室については天井の高さを三メートル以上にするように定められているわけでございまして、これは昭和二十五年に公布されて以来こうでございますので、現在学校におきましてはすべて三メートル以上の高さになっているということでございます。これは広い床面積の場合、天井が一定の高さ以上ないと精神的な圧迫を与えるという見地から、学校の教室についてはそういった配慮が払われていると承知しているわけでございまして、通常のオフィスビルのような場合でございますと高さの制限が多分二・一メートル以上だったと思いますが、それに比べますと約一・五倍、学校の教室については建築基準法上の制限があるという形で、これはどの学校においても守られて今日に至っていると理解しております。
  159. 高木健太郎

    高木健太郎君 私は天井が高いということは非常にいいことだと思います。この委員会室も天井が高いので大変快適でございますけれども、子供はだんだん大きくなりますので、基準もまたその都度ときどき見直しておく必要があるのではないかというふうに思います。  文部省の推計によりますと、急増市町村というのは減少してきておりますけれども昭和六十七年度にもまだ百六ぐらいが存在するということでございますから、五年間の延長措置で十分でしょうか。その点をお聞きしたいのですけれども
  160. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま先生おっしゃいましたように、今回の延長措置は六十三年度から六十七年度までの五カ年間の延長措置でございます。これは施設負担法におきまして、この急増市町村かさ上げ措置を講じましたのは昭和四十八年でございまして、それも五年間の措置として行われ、五十三年度並びに五十八年度からそれぞれ五カ年ずつ再延長をさせていただいておるわけでございまして、今回は法案が成立しますれば三回目の五年間の延長ということになります。従来のスパンが五年ということと、他の地域特例法につきましてもかさ上げ措置が五年ということで措置がされております関係上、一種の腰だめ的な形で五年というつかみの年数になっているわけでございます。  したがいまして、今、昭和六十七年度の見込み数は百市町村程度でございますけれども、その時点におきまして将来を見通した場合に、どの程度の市町村急増市町村として該当し得るかという状況、それからその時点におきます国、地方の財政状況等を総合勘案して六十八年度以降どうするかということは、六十七年度予算編成のときにまた検討し、対応を講ずべき課題であろうと考えております。
  161. 高木健太郎

    高木健太郎君 地方都市財政は好転しており、内需拡大等から一年延長して昭和六十三年度まで三分の二あるいは七分の四というものを十分の五・五にしておるわけですが、それは負担軽減に役立たないのではないでしょうか。何らかの補てん措置が講じられておるんでしょうか。
  162. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 昭和六十三年度措置といたしまして、本則でございます三分の二、あるいは財政力指数豊かな市町村についての七分の四の措置がいずれも十分の五・五に切り下げられているわけでございますが、これは他の地域特例がすべて補助金等特例法によりまして十分の五・五に切り下げられていることに連動した措置でございまして、六十四年度以降の措置が問題になるわけでございますが、今のような六十一年度から六十三年度までのこのような三分の二から十分の五・五への補助率の切り下げに伴います間差額でございますが、市町村財政負担になるわけでございます。その分につきましてはいわゆる国の臨時財政特例債と申します全額政府資金による起債を認めておりまして、その差額分は今申し上げた臨時財政特例債で措置されるわけでございます。かつその元利償還費につきましては、次年度以降の地方交付税において一〇〇%の措置をするということでございますので、地方公共団体にとってみれば財政負担は三分の二の場合と十分の五・五の場合と変わりはないわけでございます。  しかしながら、それは今申し上げましたように国から全額差額分の十分の五・五から三分の二の間差が出た分が補助金で単年度で来るのと、それを起債で翌年に元利償還をしていくという違いはございますし、後年度におきます実質的な財政負担はないといたしましても、市町村の気分的な問題、あるいはそれは単年度措置ではない将来にわたる言うならば借金のツケ払いになりますけれども、そういった点を総合勘案しますと、三分の二というのが適当だということは言えますけれども財政上はそのことによる直接的な市町村の負担が強化されたというぐあいには考えていないと思っております。
  163. 高木健太郎

    高木健太郎君 よくわかりました。  それから次は、政令指定都市のこれでございますが、政令指定都市といいましても財政力の指数が一以上というところは、札幌、名古屋、広島というようないろいろな政令指定都市を見ましても川崎市だけでございますけれども、こういう市町村が三分の二から七分の四に引き下げられたということでございますが、今回これを見直す必要はなかったでしょうか。
  164. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) この七分の四の措置と申しますのは、五十八年度急増市町村の五年間の再延長措置を講じますときに、臨調の方で補助金の地域特例についての見直し等も行われたことも踏まえまして、今財政力指数一以上または政令指定都市につきましては三分の二を七分の四に切り下げる措置をとらせていただいたわけでございます。  この指定都市につきましては、財政力指数のいかんを問わず、財政力指数一以上の市町村と同様に七分の四にしたわけでございますけれども、これは指定都市におきます当時の児童生徒の増加状況がいわゆる一般の急増市町村の増加状況に比べますと増加傾向が緩やかであるということ。それから、小学校につきましては特に学区、区単位での指定を行うということで、その当該指定都市全体ではございません、その一部の区において急増状況があればそれを急増地域として指定をして補助措置を講ずるとか、そういったこともございますし、またいわゆる学校施設整備にかかります財政負担が他の急増市町村に比べれば比較的軽い、そういった諸般の事情にかんがみまして七分の四とさせていただいているわけでございまして、これを現在のところは三分の二へ、本則へ戻すという考え方はとっていないわけでございます。
  165. 高木健太郎

    高木健太郎君 私だけかと思いますが、補助率が三分の一、二分の一、十分の五・五、七分の四、三分の二、どれが一番大きいのかちょっとわからない。それから三とか七とかという割り切れないやつが分母にある。私なんかちょっとこういう算数は下手なものですからよくわからない、読んでもどれぐらい大体違うのか。割り算してみますと、三分の一というのは三・三三、二分の一が五・〇、十分の五・五が五・五、それから七分の四というのは五・七一、三分の二というのは六・六六ですね。この計算間違っているかもしれませんけれども、こうしなければわからない。どこのところの幅が広いかというと、三分の一と二分の一のところの幅が広くて、それから三分の二と七分の四のところの幅が割と広いわけですね。どうしてこういうふうなわかりにくい数字が並んでいるんだろうか。十分の五・五とするならほかも十分の五・七あるいは十分の七とか、そういうふうにいかないものでしょうか。その〇・何というのはそんなに大きいものかどうか。これはどこでこういうふうに決められたんですか。だれが大体こういう難しい数字を持ってきたのか、私非常に困ったわけですね。  それからもう一つは、これはディジタルなものなんで、お金のことですから何分の何というふうに決めることが、まあ私はそれはそうせざるを得ないだろうと思うんですね。最近はアナログというのが今案外見直されておりまして、ファジー的な数値の取り扱い方というのもいわゆる人間的な取り扱いというのがはやっているわけです。それからまた、アナログにしましても、それをコンピューターに入れておけば大体ここはこれくらいのもので、幾らか指数を上げていけば、ぽんと入れればアナログで幾らというのはすぐ出てくるわけですね。だから、何も七分の四だとか難しい数字を持ってこなくても、私はもっときめ細かな配分の仕方があるんじゃないか。あるいはまた、こういう難しいのじゃなくても、例えば一つずつ違うとか三、四、五、六、七、八というぐあいになっている、そうすると非常にわかりやすいですね。これどういうふうにしてこういう難しい数字を用いられたのか、ちょっとそれ御説明をお願いしたい。
  166. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) この負担率につきましては、予算折衝におきまして各省庁並びに財政当局との間の協議によって定まるわけでございます。ただ、七分の四の措置についてだけ申し上げさせていただきますと、三分の二という一般的な急増の特例と、一般市町村の二分の一との比較考量をいたしまして、その間の措置ということで、およそ三分の二と二分の一の中間的な数値ということで七分の四という考え方が示されたわけでございます。  基本的には、二分の一と申しますのは、通常の場合国と地方との財政負担は折半をする、平等に責任を分かち合うというのが二分の一でございます。三分の一と申しますのは、国が責任を持つ必要は必ずしもないけれども、奨励的な意味で国が施策を援助する。したがって、市町村都道府県において三分の二の仕事をやって、国が三分の一で奨励的な措置をしよう、こういう考え方。それから、三分の二の場合は今の二分の一よりもより進んで、当該地域の困難性を勘案してということで、先ほど申し上げた三分の一の倍という形で三分の二という考え方が出てきたんではないかと思います。  基本的には、今申し上げた三分の一か二分の一か三分の二というのがおよその一般的な補助金の比率の傾向でございますけれども、特例的なものとしましては、例えば沖縄地域に対しましては十分の九、あるいは十分の八・五といった事例もございますし、それから現在の十分の五・五に至りますまでには、昭和六十年度で十分の六という措置もございまして、それが翌年十分の五・五になったということでございますから、哲学的に三か五で分母というわけでは必ずしもありませんで、そのときの財政状況、国、地方の財源分母の当て方で十分の幾つとかいう数字が出るわけでございます。ただし、先ほど申し上げました七分の四は、あくまでも三分の二と二分の一のおよそ真ん中に近い数字ということで、分子分母をつくると七分の四という数字が出てきたというぐあいに理解いたしております。
  167. 高木健太郎

    高木健太郎君 やっぱりよくわかりませんでしたけれども、大変難しい数字だものだから、できれば十分の二、三、四、五ぐらいの方が国民にもわかりやすいんじゃないかなと思いますし、また、今のような御説明で、奨励の意味なら三分の一とか、あるいは国がやるべきものを向こうもやっているというので三分の二と、それがわからぬことは私はないと思うんですね。わからないことはありませんが、できれば少し割り切れるような数字の方がいいんじゃないかなというふうに思うわけです。  それから、今度は補助面積と補助単価でございますが、昭和五十九年度から小中学校校舎補助基準面積に多目的スペースが加えられております。これは教育内容や方法の多様化に伴うものと推察されますけれども、その趣旨や執行状況はどうですか、ひとつお尋ねいたします。
  168. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) これは学校におきましていろいろな今までにない規格的なものに加えまして、学校としての特別な活動なり工夫を凝らしていただこうという観点から、例えばワークスペース、あるいはラーニングセンター、これは学習室ですね。多目的ホールとかいろいろな名前で呼ばれておりますけれども、そういった児童生徒が共通して使えるようなものを指しておりまして、普通の教室あるいは特別教室で行いにくい、教師の工夫を生かして児童生徒一人一人の個性を大切にする多様な学習指導法に対応できるスペースとして、児童生徒の触れ合いの場を考えて予算措置をさせていただいたわけでございまして、数字でまたおしかりを受けるかもしれませんが、昭和五十九年度以降、全体の基準面積に対しまして、小学校は七・六%、中学校では六%の補助基準面積のかさ上げといいますか、基準の加算をするという措置を講じたわけでございます。  この多目的スペースを導入しまして建築されました小中学校は、制度がスタートしました昭和五十九年度で三百五十七校、昭和六十年度で四百三十八校、昭和六十一年度で四百六十三校、昭和六十二年度で五百一校ということで、年々増加を来しておるわけでございまして、四カ年を合計いたしますと、全国で千七百五十九校がこういった多目的スペースを導入した学校を建築いただいているという状況でございます。
  169. 高木健太郎

    高木健太郎君 大変私いいことだと思います。ぜひ進めていただきたいと思います。  これに関連しましてお聞きするんですが、私立学校では設立者の意向やあるいは児童生徒の情操面を重視するということから、若者に魅力のあるような施設がたくさんございます。あるいはそれのシンボルマークになっているというふうな建物もあるわけです。単価で抑えますというと勢い画一的になりまして、その学校の特色というものが失われがちでございます。特色のある学校施設をある程度まで許すべきじゃないかなと思います。それに対して、奨励的あるいは補助的な措置はないでしょうか。あるいは単価はどれほど幅を持たせていただけるものか、お聞きいたします。
  170. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) これまでの学校施設への対応と申しますのは、児童生徒急増に伴いまして、まず校舎、教室を確保するという視点からの努力をしてきたわけでございますが、これから児童生徒が五十七年度ピークといたしまして減少するわけでございますので、これからの学校施設整備という観点では、先生おっしゃいますように、従来の量的な整備ではなくて、これから多様なあるいは子供たちにとってゆとりのある、あるいは潤いのあるそういった学校づくりというのがこれからの大きな課題であると考えているわけでございます。  そういう意味で、文部省におきましても、学校施設はどのような形で文化的な環境をつくっていくのか、あるいは多目的スペースの手引をつくる、あるいは「学校施設のリニューアル」というようなパンフレット等も作成いたしまして、各都道府県市町村に対しまして、こういった学校のつくり方があるよといういろいろな参考事例等も援用しながら指導申し上げているところでございます。予算措置といたしましては、最近は設計段階の間から学校施設についてのそういったいろいろな工夫をしていただくということで、基本設計費につきましても新たに補助対象に加えるという措置を講じておりまして、ユニークなあるいは特色のあるそれぞれの地域の風土を生かした学校施設づくりということの基本設計の補助を行っているわけでございます。  さらに、教室自体の問題でございませんが、学校の敷地を利用しました屋外教育環境整備事業といたしまして、それぞれの学校の敷地の中におきます子供たちが利用できるような屋外教育環境整備事業に対する補助を行っております。さらに小中のクラブハウス整備事業であるとか、中高等学校につきましては児童生徒がそこでも合宿ができるようなセミナーハウスの整備事業、それから先ほど申し上げましたような多目的スペースのための補助基準面積の拡大であるとか、それから六十三年度におきましては部活動を推進するための部室の整備事業、こういった各般のきめの細かい補助事業を実施してきているわけでございまして、そういう意味では学校が多様化し、あるいは子供たちにとっての活動しやすい楽しい環境づくりということへの努力を進めているわけでございまして、また今後とも各方面からの御意見も伺い、いろいろな構想も検討しながら学校をより一層子供たちのためにとって教育上、環境上快適なものにする努力を続けたい、こう思っております。
  171. 高木健太郎

    高木健太郎君 私もぜひ進めていただきたいと思います。  最近は、マンションでも何でも大変きれいになりました。またアメニティーホームなんというようなことで非常に快適な住居環境というものを皆求めているわけでございまして、今までのような、私はまた古い学校しかおりませんでしたから、今の美しい学校は知りませんけれども、それでも今の子供は、自分の部屋でも家でも大変設備もそれから環境も整ったところに家庭ではおりまして、それはもっと貧しい人もおりますけれども学校に来てみるというと、いすは固いし環境が悪いというので余り学校に出てこないということもあるかもしれない、こう思いますので、できるだけ快適な環境を持った学校にしていってもらいたい。それには非常に貧弱な市町村には幾らかでも幅を持たせた補助を与えるというふうにしていただいたらどうかなと思います。  それからもう一つは、特殊学校には盲聾というような方が入っておられまして、特別の施設整備されております。また、基準面積の改定も行われますし、補助金も少し割り増しになっているということは、先ほど粕谷委員からもお話があったとおりで、私もそうあるべきだと思います。問題は、私きょうここでお聞きするのは、色弱あるいは色盲の人でございますけれども、その方々に対しては普通の学校に行っておられますので、そちらの方へ合わせていくというような形で、その子供に対する手が余り差し伸べられていないように思いますが、例えば耳が少し遠い子供とかあるいは色弱の子供ということに対して配慮はどの程度なされているものでしょうか。
  172. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 先生御指摘の色覚異常者の児童生徒の問題でございますが、現在私どもで把握しております保健統計の調査報告では、小中高等学校全体で四十五万人という児童生徒が在籍しているというふうな統計数字があるわけでございます。この点につきましては、やはり御指摘のように理科の実験とか図工とか美術とか、指導上の問題といたしましていろいろ問題がございます。若干私どもその対応に苦慮しておったわけでございますが、昨年から色覚異常児童生徒のための教育上の諸問題についてどういうふうに対応するか、協力者会議を昨年設けまして学識者をお願いしておるわけでございます。  私ども二つ検討しておりますが、一つ高等学校への入学の問題で、色覚異常であるがゆえに入学資格要件から外れるというふうな問題、これは緊急措置をする必要があるということで協力者会議で鋭意検討していただきまして、昨年の秋から都道府県に大分指導いたしまして、現在、その問題につきましては色覚異常に関して若干高校入試について制限を設けておった県が十五、六県あったわけでございますが、もうことしの段階では十二県は外すというふうになりまして、あと五、六県はその点について鋭意検討するというふうになっております。少し進歩いたしました。これが第一点でございます。  それから第二点は、教育指導上の問題として、やはり色覚異常者に対して先生方がまず配慮をしなければいけないということで、どういう点に配慮をする必要があるか。私どもの見聞している範囲では、図工の先生が写生をさせて、違った色で写生をして、色覚異常であるということを知らなかったせいもあるんですけれども、大変その子供を怒って、その子供が本当に学校に行くのが嫌になったとか、そういう事例を聞くわけでございまして、これは大変問題でございますので、私どもはこの教育者会議の研究成果に基づいて、手引書と申しますか、ガイダンス的なパンフレットでもつくりまして、全国学校指導に努めたいということで、二年計画でございますから去年からことしにかけて協力者会議で御検討をいただきまして、その上でこういう点についての教育指導上の配慮について指導を少し深めてまいりたい、こんな考え方でおる次第でございます。
  173. 高木健太郎

    高木健太郎君 高校の方は入学制限が非常に減ったということで、私非常にこれ喜ばしいことだと思います。  大学はどれくらいになっているんでしょうか。特に理科系の大学では大分制限のある学校が多いと聞いておりますし、私のおりました大学のある先生が非常に厳しくて、その先生の意見がどうも突破できなくて制限せざるを得なかったというようなことですが、大学はどういうふうになっているものでしょうか。
  174. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 色覚障害者の大学の入学の取り扱いでございますけれども先生のお言葉にもございましたが、大学の場合には特に専門的な研究、教育をやっていくという関係がございますので、理工系の学部あるいは医学、歯学系の学部が、それから教員養成系の特に絵画関係などを指導するような分野というようなたぐいにつきましては、従来から入学を制限をしているというケースがかなりございました。数字で申し上げますと、昭和六十一年度の数字でございますけれども、国立と公立についての調査ですが、国公立大学四百三十三学部ある中で百二十二学部、約三割のものがこの色覚障害によっての制限を設けておったわけでございます。  ただ、私どもやっぱりこれは少し、何と申しますか、工夫の仕方によってはそこまで制限をしなくてもいいケースがあり得るのではないかということを考えまして、六十二年度の入学者選抜要項の段階からこのことを文部省指導方針として明確にいたしまして、可能な限りそういう制限を撤廃する、あるいは大幅に緩和をしてほしいということで各大学に御検討を願ったわけでございますが、当面、その結果、六十二年度の数字が従来と大分変化をいたしておりまして、国公立四百三十五学部中制限をなお設けているところが四十八学部ということで、百二十二学部六十一年度で制限をしておりましたのが四十八学部にまで減少をいたしております。全体の学部数の中で約一割ぐらいのところまできたというようなことでございます。分野によってどうしてもこれは何ともならないというケースもあるいはあるのかもしれませんけれども、なお引き続き各大学に十分検討していただいて、可能なものについてはさらに緩和をしていただくようにこれはお願いを続けてまいりたいと思っております。
  175. 高木健太郎

    高木健太郎君 大変私いい措置であると思います。また、同じ学部でありましても、例えば医学部でありましても、ある学部では全然色盲あるいは色弱ということは問題にならないというところもございますので、もう少しでも広げられるんじゃないかなと思います。それから色盲、色弱といいましてもその程度はいろいろあるわけですから、その程度によっても違うんじゃないかなと思うんですね。  それからもう一つ問題なのは、身障者というのは大抵は、遺伝的な人もありますけれども、後天性の身障者の方が多いわけですけれども、色盲というのは遺伝的な疾患でございましてこれは治らないはずなんですけれども、親が子供の身になって考えまして、親の責任のように思いまして非常に親が負い目を感ずる。そのためにわらをもつかむという気持ちで、一般に出ております宣伝に乗って、例えばはりを打てば治るとか、ある薬を飲めば治るとか、訓練で治すとか、そういう宣伝に非常に惑わされるわけなんですね。これは非常に私、気の毒なことであるし、そういう人たちは非常にとがめらるべきでありますけれども、眼科学会なんかは非常に強く反対しておりますけれども、相変わらずそういうものが出ておりまして、それに親が惑わされるということもございまして、それからまた子供は、あれは遺伝的な疾患があるというふうに思われて、昔の田舎におけるゴボウ種とか、そういうふうにその家に何か非常に大きな欠陥があるように思っておつき合いができない、だからして白い目で見られ、あるいは村八分的な待遇を受けるというようなことで親が非常に悲観をしているというようなこともございますので、家庭的にも家族あるいは子供に対する個人的な指導ということも私大事だと。母親がそういうふうに迷えば、迷わないように校医なら校医の方から十分そのお話を願う。それからまた、色弱であってもこれだけのことはできるんだから決して力を落としてはいけないとか、あるいは一般の人たちに対して、色弱というのはそんなかたわのように思っちゃいかぬと、こういうことを私、教育をしていくことが非常に大事であると思いますので、その点もひとつよろしくお願いいたしたいと存じます。  もうかなり時間が来ましたので、先ほども申しましたように、面積も大事ですけれども、全体の雰囲気、天井の高さももちろんですけれども、色だとか雰囲気だとかそういうことが非常に私大事だと思います。そういうことを含めましてもう一つお聞きしたいんですが、この補助というのは、施設に対する補助がありますが、設備に対してはどれぐらい補助があるものでしょうか。それから、最近は非常に機器が高度化しつつございまして、それがすぐ古くなってもう五年とは使えない。だから設備を絶えず更新していかなきゃならぬ。そういうことの費用がかなり大きくなってきているんじゃないかなと、こう思いますが、その補助はどういうふうになっておりますでしょうか。  それから、PTAというような金は、PTAの会費が幾らかあるんでしょうが、そういうことはこっちへ流用できないか。あるいは寄附というようなものはそういうものに使えないものでしょうか。その点をちょっとお聞きして、最後大臣にお聞きして終わりたいと思います。
  176. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 前段の設備の方につきまして若干私の方から申し上げますが、その前に、先ほどちょっと数字につきまして申しわけございませんでしたが、高校入試で制限を行っていた県の数は十八県でございました。十八県のうち十二県が制限を撤廃し、六県が今検討中、そう御理解いただきたいと思います。恐縮でございました。  設備につきましては、初等中等教育局でかなりの項目についての補助をやっておりますが、まず一つは、理科教育等の設備整備費の補助でございます。六十三年度予算額としましては十二億でございます。それから産業教育設備費、これはコンピューター等も含むわけでございますが、これが約十一億でございます。そのほか定時制高等学校の設備の整備費が、これは額の問題で八千万でございます。あと、いわゆる教育近代化設備と言っておりますが、LL装置でございます。LL装置等で中学校高等学校にそれぞれ一億六千万あるいは二億二千万ということでの補助最後に、特殊教育の設備整備費といたしましては三億二千万、このような補助をそれぞれの学校につきまして、補助率は二分の一あるいは三分の一というふうに異なるわけでございますが、そのような補助をさしていただいております。  以上でございます。
  177. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま初中局関係の補助について説明ありましたが、教育助成局の方におきましては、現在公立の義務教育学校あるいは高等学校におきまして、特に教育用に活用されつつありますパーソナルコンピューターを、あるいはワードプロセッサーといいました教育の近代的な機器を使用して教育研究方法の開発を進めていただく、そういった観点からの設備補助を行っておりまして、六十三年度予算としては二十九億円を計上さしていただいております。義務教育学校につきましては二分の一の補助高等学校につきましては三分の一の補助ということで、新しい、時代の進展に対応した教育の新しい機器の利用ということを積極的に推進している次第でございます。  それから、先生の御質問にございましたPTA関係の事柄でございますが、御承知のように地方財政法の方におきまして、地方公共団体は「住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」という規定がございまして、PTAからの寄附につきましては、ともすれば地方公共団体、学校の意思と関連して実質上強制的な割り当てになる危険性があるわけでございまして、そういったような形の寄附は好ましくないということで、実際上は、自発的に寄附する場合は禁止する規定ではございませんけれども、寄附の事例は極めて少なくなっているわけでございます。基本的に学校の設備の整備につきましては設置者が負担すべきものでございますから、そういった観点から地方交付税上の財源措置も講じられており、あるいは新しき機器あるいはこれから奨励すべき機器等につきましては、文部省においても各般の補助が行われているわけでございまして、みだりに保護者に負担を転嫁することがあってはならないと考えているところでございます。ただ、一部の地域におきましてPTAの自発的な、住民の一部の方の行為によっていろいろな機器の整備が行われている事例もございますけれども、ある意味では一般的な形でのPTAの寄附を求めるような形態は好ましくないということを従来から指導してまいっているところでもございます。
  178. 高木健太郎

    高木健太郎君 私もまさにそうあるべきだと思いますけれども、家は建てたけれども中に設備が少ないためにそちらの方へ走る、それが学校全体の空気を非常におかしくしてしまうということがございますから、できれば施設整備補助も三分の一と言わないで、必要なものにはもっとたくさん設備補助を出していただくようにすればそういう弊害は防げるんじゃないか。あるいはまた、だれかがファンドをつくる。亡くなったときかなんかに記念としてその学校に差し上げるとか、そういうことでアメリカなんかは非常に大きく動いているわけですけれども、それらの受け入れを容易にしてあげるというようなこともいいんじゃないかと思います。そうでないと、仏つくって魂入れずというようなことになるのは非常に私はよくないと思います。  最後に、では文部大臣に私から申し上げまして、それに対する御感想を伺って質問を終わりたいと存じます。  最初にアスベスト問題をお聞きいたしましたけれども、アスベスト問題ばかりではなくて、外国やあるいはマスコミ、そういうもので何か問題が取り上げられますと、外の声が大きいというと、直ちにそれに対して余り慎重に考えないで、ただそこへ対応するというような態度では私は余りよくない。危険ですからもうやめるように、向こうが危ないと言えばすぐやってしまう。これはアスベストの場合はいいのかもしれません。ですが、私としてはやはり我が国独自で十分調査研究をして、それから慎重にそれに取りかかるという態度は捨ててはいけない。そうでないと、一部の人の意見に従って盲従するというようなことになると教育の基本を私は失う。これはアスベストに限らない。全体として私はそういうことは十分慎重に考えてから踏み出していただきたい、こういうことを最初に申し上げたいと思います。  また、色弱者あるいはその家族、そういう者は、近所の人から白眼視されたり村八分にされたりしまして、我々の知らない苦しみを味わっているということでございますから、その実態をさらに詳しくお調べいただきまして最大限の受け入れ体制を、先ほど局長からお話のあったような方向でやっていただきたいと思うわけでございます。  それから次は、一日の大部分を過ごす学校に、しかも若い、影響を受けやすい心を持った子供がそこで大部分の時間を過ごす学校でございますから、その教室の雰囲気あるいは学校環境というものが非常に子供の心理や精神面に与える影響ははかり知れないほど私は大きいと思います。そういう意味では、基準だとか単価とかに余りとらわれないで、もう少し幅を持たせた、五・五といったら五・五しかもう動かないというかたくなな気持ではなくて、場合場合によってある程度幅を持たせる、人間的な味を持たせる。あるいは文部大臣がある程度のことはできるとか、そう言ってしまうと、まただれかから怒られるかもしれませんけれども、私はそれぐらいのことがないと、やれないこともあるんじゃないか、そういうふうに思いますので、こういうこともひとつお考えいただいて、より美しい環境をつくっていただく、このように私は希望するわけでございますが、文部大臣の御感想をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  179. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 先生からは大変教育環境整備につきまして御熱意ある、御配慮を込めた御質疑を最前から承っておりました。  アスベストに対しましても、この対策に万全を期すると同時に、不要な不安というものを的確に評価するような、先生アスベストファイバーの検出検査などもやったらどうかということも含めながら御指摘がございましたし、それから、ただいまは、私ども急増地域教育環境整備、これに急がなければなりませんが、まさにおっしゃいますように教室の内部につきましても、先ほど局長から申しましたように、ゆとりのある、あるいは特色ある校舎、教室の施設の拡大というものでいろいろ御指摘がありましたように、木造使用の促進を含めまして、一部にはまた部活を盛んにする、また一部には外から来る方のクラブハウス、あるいは皆さんが語り合えるセミナーハウスとかいうものを含めまして環境整備していく。またさらに、一部に色覚異常というような異常のある方、これは表からわかりませんものですから、したがってその方々が胸に秘めたいろいろな御心配は察するに余りあることがあると思いますが、だからといって、これはみんなの力で、まさに前にも御指摘がありましたように、これは障害があるから障害者ではない。障害があればみんなでその障害を取り除いていく形をとって、そしてそういう学童生徒諸君が誤りなく進む道を開き、そして安心して進める道をみんなでつくっていくべきである。そういうことも含めまして先生の大変温かい御指摘がございまして、私もそれを胸に刻みまして、これからさらに努力していかなければならぬということを心に新たにいたしながら拝聴しておりました。  いろいろ御指摘を感謝申し上げます。
  180. 高木健太郎

    高木健太郎君 終わります。ありがとうございました。
  181. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず最初に、災害遺児育英制度の問題について質問いたします。  この問題については、今次国会でも我が党を含め各会派が代表質問予算委員会などで再三取り上げられてまいりました。そして、総理を初め政府として、四月一日の新学期に間に合うよう財源を含めて鋭意検討すると答弁をしてきたのでありますが、既にきょう四月の二十一日、いまだに実現をしていない。ついに一昨日、しびれを切らして交通事故遺児の中心になったいわばボランティアとしての「災害遺児の高校進学を進める会」というものが独自に発足せざるを得なくなったという問題は極めて遺憾であります。閣僚の一員として文部大臣はどのように責任を感じておられますか。
  182. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) この災害遺児問題につきましては、各党から御熱心な対策促進の声がございまして、文部省としては、特に以前中曽根総理の時代にこの点は文部省に検討をさせるという一言がありまして、私どもがその検討の中心と申しますか、そういうことでやらしていただきました。ただ、その間に、今まで育英奨学その他災害遺児を含めてフォローしている面、それから災害遺児の中にも、交通遺児その他の海難遺児ですとか一部の、その間の線をどこに引くかということもございまして、その点に苦慮いたしながら各省庁間と話し合いをしてまいり、その間に総理から、これは確かに各省庁にわたることであるから内政審議室で取りまとめをいたそうということで、内政審議室に移管されたというか取りまとめを内政審議室で行うということを総理がおっしゃられた。その間にちょうど党首会談がございまして、その間に総理がお考えつかれたことであろうと思いますが、その前後いたしまして内政審議室で取りまとめをしていただいておったわけであります。  そういうことで、各省庁間の調整は非常に難しいことでありますが、文部省文部省の所管内でどういうことができるか、これはこれで検討を続けてまいった次第でございまして、その間総理答弁といたしまして、これは党首会談の中から出た問題でもあり、そして現在政党間の話し合いにゆだねられておるので、それが早くまとまることを期待しておるという総理御答弁も委員会の中でございまして、まさに現在はその過程にあるというふうに考えておりますが、そういう点で、各省庁間はともかく、私どもは私ども文部省の所管内で何ができるかということについては検討を続けておるところでございます。
  183. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いろいろ長い答弁をおっしゃったんですけれども、私が聞いておる肝心な点は、四月からの新学期といいますか新学年というか、ここに間に合うように鋭意検討していこうという総理答弁があったんですね。あれはテレビ中継されておる、あの問答の中でそういう答弁があったんですよ。で、なかなか省庁にまたがる問題で難しいからということがある、そんなに難しいということがあるんだったら、それなら逆に言えばなぜああいう答弁をしたのか。全国民が目で見、耳で聞いている答弁なんですからね。これがいまだ四月二十一日、実現ができていないということについて閣僚の一人としては責任を感じられますか、ここを答えてください。
  184. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) これは委員会の中で私も記憶にございます。四月進学に間に合うようにという御答弁がございました。そしてそれについて、その後段として、これは政党間の話し合いにゆだねられておる、ここでは両方の御答弁がございましたものですから、それに従って話が早く進むことを私どもも期待をしておる。ただ、全部で知恵を出し合ってどうするかということにつきましてはまとめが、まだ結論に至っていないということでございましょうから、私は総理答弁の御趣旨はそのまま続いておると思うんです。で、閣僚の一人としてどう思うか、こういう御質問でありますから、私は閣僚の一人として全部を取りまとめる力はなくとも、文部省内でできることは検討をし御提案もしていかなければいかぬ、こう考えておるところでございます。
  185. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 政党間の話し合い云々というのはまだ大分後になってからのことなんですよ。この予算委員会のトップ、二月一日の段階では、明確に、テレビで中継をされた社会党の山口さんの質問に対して、四月新学期に間に合うように鋭意検討を進めてまいりたい、よろしいか、はい、よくわかりましたと、こういう答弁が会議録にちゃんと残っているんですよ。それが実現をできていないということについては、もうあなたなかなか口は滑らかだけれども、やっぱり閣僚の一人として反省してもらいたいと思うんです。ボランティアの人たちがそういうみずからの募金を出し合ってでもこういう制度発足をせざるを得ないということになってきておることに対して早急にこの対応策を考えていただきたい。  なぜならば、一部新聞報道によりますと、船舶振興会とか自転車振興会とか、こういう民間資金に依存をしてつくっていこうという報道なんかもあるんですよ。それから文部省の関係でいきますと、日本育英会の給付内容を工夫することによってやっていこうかという、こういう報道もあるんですけれども、これひとつは文部省指導方向なのかどうか、この育英会、今新聞報道によればということで申し上げた内容は。どうなんですか、指導しているんですか。
  186. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 災害遺児の育英の問題につきましては、ただいま大臣からお答えを申し上げましたように、政府としては内閣の内政審議室中心に検討するということで各省協力し、文部省も一緒になって検討に参加をしておるわけでございます。また、政党間での話し合いという問題も総理の御答弁であるわけでございまして、先般の予算委員会での総理の御答弁でも、まあ四月には入ったけれども、四月新入生にさかのぼって適用というようなこともあり得ることなので、そういうことをも踏まえながら検討する、こういう御答弁もあったわけでございます。そういうことを踏まえまして、今関係者の間で鋭意検討中でございますが、そういう段階でございますので、具体に今どういう中身についてどんなことをやっているのかということについては御報告することを現段階では差し控えさせていただきたいと思っております。ただ、新聞報道で日本育英会の奨学金制度で災害遺児向けに奨学金の額を引き上げるとかいうようなことが報道されております。これについては文部省としては全く関知をしていないことでございます。
  187. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もうこれ以上続けませんけれども、政党間の話し合いというこの問題について言えば、これは国会の何かの正式の機関で各政党、政府も加わって一緒に相談をしているという話じゃないわけですよ。我が党は除いて、国会で正式に答弁をしたところの話が、約束がどこか宙に浮いて、非公式のそういう政党間協議なるものの場へ、そこでの話の進展を見守っていこうというのは、これはまことに私は無責任だと思いますよ。やっぱり国会に対する約束をきちっと履行してもらわなくちゃならない。しかも関知していないとおっしゃっているんだけれども、政府は腹を痛めないで民間の資金、既存の資金、ここにおんぶして何とかつじつま合わせていこうかという、こういうこそくなやり方では私はいけないと思うんです。  ぜひ、この災害遺児育英制度の問題は各省庁に関連する問題でしょうけれども、中でも文部行政に関係の最も深いのが文部省じゃないかと思うんです。ですから文部大臣文部省として、内政審議室、そこが取りまとめ役をやるにしろ、もっと積極的提言をしてでもひとつ予備費を使おうじゃないかとか、そういうことで事態が速やかに進んでいくように大いに大臣努力をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  188. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 内政審議室の取りまとめについては私どもも最大限の知恵を絞り協力をいたしたいと、こう思っております。
  189. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、私も同僚議員からもいろいろありましたが、マンモス校対策の問題でまず若干お尋ねをしたいと思いますが、今年度予算によりますと公共事業費は全体としては二〇%もふえると。ところが、公立学校施設整備費は昨年度よりマイナス九・七%の大幅な減だということで児童生徒減少を理由に言われているわけでありますけれども、またマンモス校解消の用地補助予算、これが三〇・六%削られている。果たして、当面の緊急度が高いのは三十一学級以上だと言われているんですけれども、こういうふうに学校施設整備費あるいは用地補助、こういうものがどんどん減っていくという姿の中で、文部省みずからも今まで言ってきた三十一学級以上は六十一年度からの五カ年計画で解消するんだという、これが全うされるということで責任が持てますか。
  190. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 六十三年度におきます予算上の公立学校施設の対応でございますが、確かに先生おっしゃいますように、六十二年度対比で九・七%の減となっております。これは主として児童生徒減少傾向に伴いまして都道府県市町村におきます事業量減少に伴うものが主体でございます。そういう意味予算減少している中でございますが、市町村から要望の大きい、例えば大規模改造事業費につきましては大幅な増額を図っているところでもございますし、内容を精査いただきますれば、それぞれの対応に遺漏なきを期していると考えているわけでございます。  各般の施策いろいろございますけれども、全体的な意味で申し上げれば先ほどの市町村都道府県におきます事業量減少が大きな影響であったということでございます。さらに加えて申し上げますれば、昭和六十二年度の大型補正ございまして、昭和六十三年度事業学校につきましても一部前倒し等の措置を講じさしていただいているところでございまして、その点六十三年度予算が少し楽になったという経緯も若干ございます。
  191. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうすると、私のお尋ねをしておるそういうさまざまな理由で予算総額は減っているけれども、しかし文部省がつとに言ってきた緊急目標としての三十一学級以上の過大規模校、これを五カ年計画で解消するということは責任持って応じられますと、自治体というか都道府側からこういうようなマンモス校解消をやりたいという要望が出れば、それに全面的にこたえ得る予算体制になっているんだというふうに理解していいんですね。
  192. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 昭和六十二年度におきまして千二百三十一校の過大規模校、いわゆる三十一学級以上の小中学校が存在するわけでございますが、既にお答え申し上げましたように、これらにつきましては八六%が近い将来における解消の予定でございます。しかしながら、残りました十四%につきましては、繰り返しになりますけれども、まとまった学校用地確保することが極めて至難の状況である、あるいは通学区域の変更等につきまして地域の強い反発がある等の状況で見通しが立っていないわけでございまして、そこのところを一〇〇%解消するということをここで確約申し上げる段階にはないわけでございます。しかしながら、過大規模校におきます教育あるいは学校管理運営上の諸問題があるわけでございますので、市町村に対しましても今後とも鋭意努力方を要請し続けてまいりたいと思っているわけでございます。
  193. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 だから、依然として不安が残っているということだと思うんですね。  それと、粕谷委員質問の中でも答えておられましたけれども、二十五学級以上、大規模校ですか、文部省の呼称によれば。これについても分離の対象として施策を講じていくということは、自治体の側からそういう分離をしたいという、こういう申請があれば積極的に応じていきたいというのが文部省考え方だということでいいんですね。
  194. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 当面、文部省といたしましては、三十一学級以上の過大規模校の解消に鋭意努力をしているわけでございますが、もちろん市町村段階におきましても三十一学級以上の学校解消のためにそれぞれの努力をいただいているところでございますが、既に三十一学級以上の過大規模校が解消した後におきます市町村において、二十五学級以上の大規模校を適正化したいという要請がございますれば、積極的に文部省としても援助し対応する考え方でございます。
  195. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで次は、高校のマンモス校解消の問題でありますが、これまたさっき触れました公立学校施設整備費の中の高校の新増設建物予算、これは六十三年度は前年度より大分減っておりますね。マイナス十七億六千三百万、約三三%ぐらい減っているということで、これは高校生がだんだん減っていくから高校増設の必要性が減っていくんだ、こういう理由などが言われているわけでありますけれども、しかしこの間十分な高校増設がやられてこなかった、そういうことで個々高等学校を見ていくと、過大規模、過大学級、これが今日非常に生まれているという実態については文部省もよく御承知のはずであります。例えば二十五学級以上の公立高校は、例えば昭和五十八年度から六十二年度の五年間にどんなふうにふえているでしょう。——私から申し上げましょうか。昭和五十八年度千百六十一校、五年後の昭和六十二年度千四百四十三校、実に全高等学校の三六%の学校が二十五学級以上だと。大体アバウトな話としてそれでいいでしょう。その話は予算委員会質問しようと思って確かめてきたつもりだが。
  196. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま計数を持ち合わせておりませんので、今の数字につきましては資料を詳査の上、先生の方に御報告させていただきたいと思います。
  197. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いわゆる過大規模あるいは大規模校、そういう姿というのは、小中学校の義務制学校に比べて高等学校の場合の方がうんと激しい姿になっているわけであります。今言いましたように、高等学校の二十五学級以上が昭和六十二年度千四百四十三校、全体の三六%を占める。小中学校の二十五学級以上ということで見ていきますと一二・六%。だから大規模校の比重が高等学校の場合に小中学校よりもうんと高い。こういう姿になっているわけで、いわば準義務教育とも言うべき今日の高等学校ですから、この問題については放置できない問題だろうと思うんですね。  少し具体例で申しますと、私の京都の場合、千四百人を上回る高等学校が全体の六五%を占めるということです。そして千五百人以上の超マンモス校、これが十六校にもなるということで、これでは、一学級の生徒数が現在四十七人、留年でもあれば四十八人、四十九人学級にしなくちゃならぬという姿さえ生まれつつあるんです。全校生徒が勢ぞろいをして卒業式をやるとか始業式をやるとか、生徒総会をやるとかいうようなことはもうとても不可能な姿になっている。高等学校だからしようがないやということじゃなく、今や九四%という進学率を占める高校の実態でありますから、という点でこういう教育環境というものは改善をしていく必要があるというふうに理念としては文部大臣もお考えになるでしょうね。
  198. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 小中学校に対する要するに教育環境整備としての過大規模校の解消、同時にそれに続いて高等学校についてもそういう過大規模校の解消に努力すべきではないか、こういうことでございます。理念としてはそう思いますが、ただ義務教育としての小中学校の要するに規模、基準というものと、また高校の場合には学科、課程が多様なものがございますから、そこでやはりその一つ設置者がその実情と、それからその課程あるいは学科で、多様化のためのプラス面もあるわけでございますので、そこで文部省としては現在高校についての適正規模について法令上の定めは置いておらない、今後も置く考えはないわけでありまして、その点で理念としては、教育環境整備することは必要ではないかという理念はわかります。ただ、小中と高等学校ではそういう面で多少やっぱり差をつけて実情を考えていく必要もあろうか、このように思います。
  199. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 前回の委員会で私は高等学校の四十人学級問題を取り上げました。それで、大分長い議論の経過、時間がかかったわけですけれども、今、小中学校進行中の四十人学級計画、ここをまず先行させて早期完成をする。それを待ってということではなしに、その作業と相並行させつつ、さらに続いて義務制の三十五人学級問題、この問題もこれから調査検討に上せていく必要があるだろうし、高等学校の四十人学級計画の問題についてもそういうところに目を向けていく必要があるということになったんですから、やっぱりその精神に立って、機械的に小中学校と同じ基準にするかどうかというそこの問題はさておいて、やっぱり過密になっている。どう見たって教育環境上、その方がいいんだというようなことなんかは言えないと思うんです。だから、それを改善するという方向を目指すということでぜひ考えてもらいたいというふうに思うんですね。どうでしょう。
  200. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先ほど大臣がお答えいたしましたように、高等学校小中学校と異なりまして課程とか学科が多様でございまして、いわゆる同一内容教育を施す義務教育の場合と異なりまして、例えばその学校においていかなる学科が置かれているか、コースが幾つあるのか、あるいは同じ課程、学科でございましても、生徒のこれからの多様な教育要求に応じまして選択の拡大を図る、そういった意味では、かなり大規模な学校の方が高等学校教育の本来の生徒の需要を満たし得るという面も一つあるわけでございまして、そういった点で例えば通学区域が設定されている小中学校の場合とも異なる事情もございます。  今申し上げたような事柄で、小中学校のような形で、例えば大規模校とか過大規模校という概念は高等学校の分野については私ども持っていないわけでございます。しかしながら、本当に大規模なものが幾らあってもよろしいのかという御質問に対しましては、それなりの学校教育の目的を達成するための高等学校の機能、運営といった点からおのずからの制約はあると思うわけでございます。  ただ、一面におきまして、例えば埼玉県におきます伊奈高等学校のような、そういうすばらしい教育を展開している七十二学級の学校もあり得るわけでございますから、一概に何学級ということで機械的に言うのではなくて、その地域実情、あるいは生徒の需要を満たすに足りるような多様なカリキュラムをどの程度組むのか、学校の実態と合わせて高等学校の規模は判断されるべき事柄ではないかと思っておるわけでございます。大臣が申し上げましたように、理念的にその適正な規模というのがあり得るわけでございますが、画一的ではない。そういった点は教育の多様化との関係において私ども考えていくべき事柄ではないかと思っております。
  201. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今の説明ではとても納得できませんね。しかも学級の問題と学校の規模の問題とをすりかえて、話をこんがらがせておる。いろいろな多様な選択制、教育課程を用意するというその問題は、何も学校生徒数の規模だけの問題じゃないでしょう。いろいろな教室のこともあるでしょうし、何よりも教職員の定数基準をどうするかという問題があるわけです。だから、そんな規模の小さいところより大きい方が多様な教育課程が用意できて、これからの教育に向いていくんだと、そんな暴論を言ってもらったら困るんです。ぜひ高等学校についても、どこら辺に目安を置くかということについてはよく検討するにしても、余りにどんどんこの過密が広がっていく。小中学校は減らそうという方向で進んでいるんです。しかし高等学校は何の手だてもないからふえる一方なんですよ、いわば。こういう姿をどこかで歯どめしなくちゃならぬということで検討してもらいたいというふうに思いますね。  そのこととかかわって、都道府県の行う高校増設に対する国の補助制度、これが六十三年度で打ち切られるんですね。それはなぜですか。
  202. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 高等学校施設費につきましては、原則として設置者でございます都道府県が全額を負担するのが現在の仕組みでございますが、高等学校生徒急増するという状況を踏まえまして、その急増地域都道府県につきましては財政負担が過大になってくる、そういう状況を踏まえまして昭和五十八年度から高等学校急増対策といたしまして国庫補助による高校急増対策を講じてきたところでございます。  高等学校生徒急増状況と申しますのは六十四年度ピークでございまして、六十五年度からは減少方向へ向かうわけでございますし、また、高等学校の建設は一年前、場合によりましては二年前ということで対応するわけでございますので、そういった点では六十二年度、少なくとも六十三年度をもってこの急増対策は終了すべきものと考えておりまして、そういった時限を切った措置を講じたわけでございます。今後におきましては、生徒減少の時期に入りますので、各都道府県におきまして本来の形で施設、設備の整備の対応をしていただくということを考えている次第でございます。
  203. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、局長、ある府県についてトータルで見て生徒が減っていくということであっても、地域的にはふえていく地域も少なからず含んでトータルで減っていくということになっている、そういう事例も少なからずあるということは確認されますね。
  204. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 地域的ないろいろなアンバランスはございましょうが、公立高等学校生徒急増に伴います新設校の過去の実績でございますが、昭和六十二年度までは既に六百六十四校の整備が図られたわけでございまして、なお六十三年度、つまり急増対策としての国庫補助が継続いたします六十三年度におきましては十一校の計画がございます。しかしながら、これから減少時期に入ります六十四年度以降におきましては、毎年一校かあるいは二校程度の増設でございまして、言うなれば全国的な状況として国庫補助をもって対応すべきような時期はもう過ぎたと私どもは考えている次第でございます。
  205. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それはむしろその問題のすりかえじゃありませんか。国が六十三年度で高校増設に対する補助はもうそれで打ち切るというから、もう一〇〇%都道府県の単費建設をやらなくちゃならぬということから、親や教師やらそういうところからの要求は非常に強いんだけれども財政的に都道府県が全額単費で建設をすることについては非常にちゅうちょをしておるという姿が今言われたような数字になって出ているということだと思うんですよ。  そこで、あなた方も否定をなさらないように、トータルでは減っていても地域的に見れば生徒が依然として引き続きずっとふえるというような、新しく団地開発をやるようなところは当然そういうふうになるわけですから、そういう現実を踏まえて都道府県もいろいろ財政困難を抱えている中で、しかし何というか、我が県の教育のために高校増設をしようかと。それで、同時にそれは高校のマンモス解消という意味も含めて一つのを二つに分けようかという形の高校増設をやろうということで、文部省に申請が出たときには六十三年度をもってしまいだという機械的な対応じゃなく、もう少し六十四年度以降も弾力的な対応をケース・バイ・ケースで考えていくということをひとつ検討してもらいたいものだと思うんですが、そんなものもかたくなに拒否するというんですか。
  206. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 先ほど申し上げましたように、毎年一校程度の増設計画でございますし、それから現下の置かれました国と地方との財政状況を比較するのは悪うございますが、それぞれ都道府県財政状況楽ではないと思いますけれども、国の財政状況がより悪化している状況でございます。そういった意味におきましてこのような高校新増設に対します急増対策としてスタートしました所期の目的は達成されたわけでございますし、わずか年に一校の補助問題につきまして特例措置を講ずるということは諸般の情勢から考えて適当ではないと私どもは判断しているところでございます。
  207. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とてもその答弁では納得できませんけれども、まあ私は一つの提言として申し上げておきますので、ひとつよく、検討という言葉を使うとあれらしいですから、よく勉強してください。本当に国と自治体がお互いに財政困難を抱えつつも相協力して未来を担う子供たちの教育をどう前進させるかということで文部省が余り機械的な態度をとらず、実情に即した弾力的対応も含めて考えていくということでぜひ研究をしてもらいたいというふうに思います。  そこで次は、同じく障害児教育の問題ですが、これもいろいろお話が出ていましたのでできるだけ重複は避けたいと思うんですが、一九七九年度から養護学校が義務化された。長い間関係をする父母や教職員がこの制度の発足を心から喜んだわけでありますけれども、本来障害者とはいえ、教育を平等に受ける権利、それに照らして今や養護学校の義務化の段階から後期中等教育をどう保障するかという段階へ来ているというここの基本的な考え方、これはさっきもお話が出ていたんですけれども、まず再確認したいと思いますが、よろしいですね。
  208. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 御指摘のとおり、五十四年度義務化発足で養護学校について関係者大変努力をしてきたわけでございます。先生御指摘の点で、義務教育にかかわる小中学部は盲学校、聾学校、養護学校、ほとんどの都道府県におきまして進捗しております。高等部につきましては盲学校と聾学校はほぼ一〇〇%近くが進学をし、そして就職をするという点で後期中等教育が担保されているというふうに申し上げられようかと思います。問題は養護学校高等部でございまして、養護学校高等部につきましてはいろいろな都道府県の対応、考え方その他事情もこれありでございますが、やはりその設置につきましてもまだ必ずしも十分でない、進学率もしたがって必ずしも盲聾ほどには進んでいない、こういう現状でございまして、今後私ども都道府県を含めて努力すべき点があろうかと、こういうふうに認識しております。
  209. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、お話のあった養護学校高等部の現実、これが都道府県によって随分大きな開きがあるというので、上は、下はという、こういう言葉を使うのがいいかあれですけれども、いわゆる高等部への進学率、低いところは一割台、それから高いところは九割を超えるという、そういう県もあるという、そういう大きな隔たりが出ているというこの現実はそうですね。
  210. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 養護学校高等部設置率の問題、それから進学率の問題、相かかわるわけでございますが、例えば進学率で申しますと、九一%から一〇〇%というところが広島県、八一%から九〇%が大阪府以下六県ございます。    〔委員長退席、理事林寛子君着席〕 その他段階的でございますが、三割以下という県も十数県あるという現状で、この点は先生御指摘のように非常に県によりまして格差があるという現状でございます。
  211. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、そういう現実の上に立ってさまざまなその県の置かれておる条件というものは、それはあるでしょう。しかし、それこそそこをいろいろ国が援助、指導をするということを通して、高等部への進学率の低い県に対して、そこがもっと進学率が前進をしていくような、そういう援助と指導文部省として一層強めるということで今後対応していってもらいたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  212. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 従来、ただいま申し上げましたような県によって格差、ばらつきがあることの理由でございますけれども、まあ五十四年度からの発足で各県努力はいたしましたが、県としてもいろいろな財政事情があったということもございますが、県それぞれの考え方におきまして、先生も御案内のとおりでございますけれども、やはり高等部に進学する子供はそこを出て自立するということの可能性を持つ子供たちを高等部に入れたいというふうな方針をとる県と、それから自立がなかなか無理ではあってもやはり希望すればできる限り入れていこうというふうな考え方を持つ県、それぞれの県の考え方もあったわけでございます。  そのようなこともあって恐らくこのような格差が生じてきておるわけでございますが、私ども指導といたしましては、昨年十一月にも主管課長会議をやりましたが、いろいろな県の考えもあるけれども、やはり希望する者はできるだけ高等部に進めるような措置を各県も講ずるべきではないかというふうなことで各県にも指導しておるわけでございます。各県の様子では、現在いろいろ各県からも報告をもらっておりますけれども、例えば軽度も対象にして高等養護学校で対応するとか、いろいろ職業自立を目指すが、重複学級も設置していきたいとか、今後は重い者も対象とする高等部も検討したいとか、県によっていろいろ今後やはり高等部の拡充について努力する方向を示そうとしておる県も出てきておるわけでございますので、私どもとしてはいろいろ指導面あるいは助成の面を含めて今後努力をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  213. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いろいろ事情はあるでしょうけれども、やはり障害児が自立して社会へ出るというそれは名目であって、実際は後期中等教育を障害者にも受ける権利を広げていこうという点での自治体側の姿勢の弱さのこういう面もあるわけですから、そういった点でやはりすべての障害者を含む子供に後期中等教育を保障していくという、この角度からぜひ文部省として指導を強めてもらう必要があると思うんです。  さらに、高等部、同じ高等部といってもさらに施すべき教育は障害の種別によっていろいろ違いが出てくるわけですね。障害の区別というか精神薄弱、病弱、肢体不自由児というこういう別で見たときの高等部設置率、これはどうなっていますか。
  214. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 精神薄弱、肢体不自由、病弱という種別があるわけでございますが、学校設置関係の割合で申しますと、精神薄弱の関係が四百六十六校のうち二百八十一校で精神薄弱が六〇・三%、それから肢体不自由関係で申しますと同じく六六・五%、それから病弱で申しますと三一・三%というふうな関係で、精薄、肢体不自由は約六割強、病弱の関係は三割と、こういうふうな関係でございます。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕  ただ、ちょっとコメントさせていただきますと、病弱の関係者は普通の高等学校へ進学する子供がかなりございます。したがいまして、すべての病弱関係の中学部高等部が必要かというと肢体不自由、精薄とはちょっと違う事情があるんだ、こういうふうに思っております。
  215. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今言われたように障害の種別で見た場合に、高等部設置率なり、したがってまた進学率という点でも相当の開きが出ているということであって、今の数字が示すように病弱の子供たちには十分な後期中等教育が施されていないということだし、またそれぞれの障害の種類に応じたきめの細かい行き届いた教育を、後期中等教育を施していくという、そういう点で、そういう種別の高等部ができるにこしたことはないわけですね。だから、そういった点で自治体側が積極性を発揮して、そういう多様な高等部をつくっていこうということで国に申請が出た場合には、ひとつ国としてもそれを積極的に援助するという姿勢で臨んでもらいたいというふうに思いますが、どうでしょう。
  216. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 私どもは、養護学校高等部に関しまして、こういった申請が出ました場合には優先的に対応したいと考えているところでございまして、これまでの間におきましてすべて対応してまいったところでございます。
  217. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さらにもう一つ、障害児学校の体育館の問題、体育館の設置促進の問題でありますが、もう言うまでもありませんが、障害児の発達にとって体育というのが非常に重要な位置を占める、そういう点で体育館というのは欠かせない障害児教育にとっての学校施設になるだろうというふうに思うわけでありますけれども、ところが、現状は養護学校設置率七八%、小学校九四%、中学校九六%、高校九六%、盲学校九七%、聾学校九三%、それに比べて養護学校は体育館の設置率が七八%ということで、この面でも障害児教育にとって欠かせない役目を果たすべき体育指導、その施設としての体育館、これが不足をしておるということは否めない現実ですね。
  218. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいま先生おっしゃいましたように、養護学校におきます体育館の設置状況は七八%でございまして、他の校種、盲聾養護学校あるいは高等学校等に比べましても低い状況でございます。  ただ、この場合の体育館を保有していない学校状況でございますけれども一つには、病院の中に設置されている養護学校がございまして、これは自前の運動場を保有できないものでございます。さらに二つ目としまして、障害の程度が重いため学校内ではプレールーム等を設けて利用したりするケースがございまして、これは障害程度の重い養護学校ケースでございます。それから三番目には、福祉施設等に併設されておりまして、その福祉施設等の屋内運動場、体育館が利用できる状況になっているわけでございまして、そういった点では、今申し上げました七八%という比率ではございますけれども、実際問題としては現状で大きな支障は生じていないんじゃないかとは思いますけれども、なおこの設置の促進方については奨励してまいりたいと思っております。  ところで恐縮でございますが、先ほど先生質問で、高等学校の二十五学級以上の比率につきまして数字を持ち合わせませんで恐縮でございましたが、六十二年度時点におきましては全高等学校数三千九百九十四、これは全日制でございますが、全日制高等学校のうち二十五学級以上の学校が千四百四十校でございまして、その比率は三六・一%でございます。大変おくれて申しわけございませんでした。
  219. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 大体私が申し上げておった数字だと思いますが、であればこそ小中学校における過大規模校の比率に比べて高等学校の方がけた違いにと言っていいほど比重が高いということで、放置できないゆゆしい問題だということを先ほど来るる申し上げておるわけで、ぜひ方策について研究、勉強をしていただきたいというふうに重ねてお願いをしておきます。  そこで体育館問題でありますが、私も若干関係者の方からいろいろ状況を聞いてみますと、もう時間が迫っておりますので二つほど問題を提起しておきたいと思いますけれども、確かに国から補助が行われる補助基準、具体的には生徒一人当たりの体育館面積といいますか、こういう点については普通の学校に比べて障害児学校の方が確かに配慮はされています。しかし、そもそも生徒数が少ないんですからというのでトータルにおいて体育館そのものが狭いということで、例えば文化祭なんかを学校でやろうというときに、障害児ですから普通の学校のようにいわゆる舞台を使っていろいろな出し物、劇なんかやるということは危ないわけですね、みんな車いすを使っているから。ということで舞台は使わないで全部フロアというか、ここでやらなくちゃならぬ、その分だけでも今度は手狭になってくる。そして車いすは面積をとるということで、確かに配慮はされているけれども、一層の補助基準面積といいますか、これについてレベルアップを考えてもらいたいというのがかなり強い要望で出ています。  それからもう一つは、病弱養護学校で腎炎などの子供たちですね。これは体育館に暖房がないととてもたまらぬというので、肢体不自由児もそうでありますけれども、車いすからおりると直接べたっと床に座らざるを得ないということで、暖房がないために、もう床が特に体育館みたいなところは冷え切るわけですね。ということで障害児学校のそういう体育館については暖房の設置というのをぜひ欠かせないあれとして考えてもらいたい。  大まかにこの二つの事柄を紹介していきたいと思うんですが、検討をしてもらえぬでしょうか。
  220. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 体育館の面積につきましては、かなり養護学校については配慮しているところでございまして、例えば九クラスの学校でございますと、小学校は一人当たり二・二平方メートル、養護学校小中学部でございますと一人当たり十平米でございますし、また二十七クラスになりましても、小学校が一人当たり一平米、養護学校の小中学部は三・三平米、高等学校の場合でございますと、二十七クラスで一人当たり一・二平米に対しまして、養護学校高等部は二・一平米という形での、かなり体育館の問題につきましては昭和四十二年度以来、小中学部あるいは高等部につきましてそれぞれの面積改定をたびたび行っておりまして、四十一年度以前に比べますと、小中学部につきましては一二九%の改定、高等部につきましては二二%の改定増となっているわけでございます。ただ、基準面積につきましてはそういう形で、小中学部高等部を比べますと高等部の伸びが低いわけでございまして、これはどちらかと申しますと、小中学部に併設されている高等部が多いという事例によりまして、それほどの面積増となってないわけでございますが、今後は高等部の単独校がかなり出てくる状況も考えられますので、そういった視点からは、養護学校高等部の体育館の基準面積についても努力をする必要があるだろうと考えているところでございます。  それから、体育館に暖房をつける話でございますが、この点につきましては、文部省としましても従来から各養護学校からの要望等もございますれば、その補助単価の面におきましても、あるいは暖房工事を行っている場合につきましては、その工事内容を参酌いたしまして予算の範囲内で補助しているところでございまして、ちなみに昭和六十二年度におきましては温暖地の養護学校四校のうち三校については暖房工事、それから積雪地でございますれば養護学校五校のうちすべて五校ということで暖房工事に対する補助を行っているところでございますし、今後このような形のものにつきましても十全の対応をしてまいりたいと思っております。
  221. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 終わります。
  222. 下村泰

    ○下村泰君 この法案に沿って、障害者問題に入らせていただきたいと思います。  公立の盲聾養護学校建物整備率ですね。これはどういうふうになっていますか。それと、十年前と比較してどんなふうに変わっていますか。よくなっていますか、悪くなっていますか。
  223. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 十年前でございますと昭和五十二年度でございますが、盲学校整備率が八一・七%でございまして、これが昭和六十二年度、十年たちまして整備率八八・四%でございますので、パーセンテージで言いますと六・七%整備が進んだという状況でございます。それから、聾学校につきましては、昭和五十二年度九三・九%でございまして、六十二年度におきましては九五・五%でございますので一・六%の増でございます。それから、養護学校につきましては、昭和五十二年度が六七・二%の整備率でございましたが、昭和六十二年度におきましては七六・五%、その差九・三%の増ということでございます。  盲聾学校に比べまして、養護学校昭和五十四年度から義務化をされたということもございまして、まあ整備がおくれぎみでございますけれども文部省としましては、養護学校施設整備について各都道府県指導いたしまして、その推進を図ってきたところでございます。しかしながら、年々上昇をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、まだ七六・五%ということでございますので、一層の指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  224. 下村泰

    ○下村泰君 例えば、これから申し上げますのは、一々公立とは申しません。盲、聾、養護と、こういうふうに行きますけれども、どうなんでしょうか、校舎のできぐあいが木造といわゆる鉄筋と比較した場合、どちらが多いですか。
  225. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 現在の特殊教育学校の鉄筋化率でございますが、盲学校の鉄筋化率が九九・五%でございます。聾学校の鉄筋化率が九四・五%でございます。養護学校が九九・九%の鉄筋化率でございまして、ちなみに小中学校の鉄筋化率と比較いたしますと、小学校が九二・六%、中学校が九三・七%でございますので、これらと比較しますれば、特殊教育学校の鉄筋化率は高いということが言えると思います。特に、この盲聾養護学校の場合でありますが、小中学校に比べますと、その建築整備の年代が遅いという点もございまして、比率が高目になっているというぐあいに理解いたしております。
  226. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、普通の小中学校に比べるといわゆる危険校舎というのは少ないわけですね。
  227. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 特殊教育学校校舎におきまして危険校舎の占める比率は、六十二年度現在でございますが、盲学校は一・三%、聾学校は二・六%、養護学校は義務化がおくれて整備がおくれた関係もありますから鉄筋のものが多うございますので、危険校舎の比率はわずか〇・二%でございます。合計、特殊教育学校全体では〇・六%でございます。これを小中学校の場合と対比いたしますと。小学校が二・五%、中学校が二・〇%という危険校舎の占める比率でございますので、特殊教育学校は比率的にも約三分の一弱という状況でございます。この理由としましては、木造校舎の保有率が小中学校に比べれば特殊教育学校の方が少ないということで、またあるいは非木造建物の改築が中心となっているということでございますけれども、そういった原因がこういうような結果になっているのではないかと思われます。
  228. 下村泰

    ○下村泰君 私は学者じゃありませんからよくわかりませんけれども、例えばよく木造家屋のことが鉄筋鉄骨で建てられた建物などと比較される場合がありますけれども、例えば樹齢二百年のカシの木で何かをした場合には、その樹齢二百年の木が切り出されてものがつくられたとすると、二百年目が一番その木の質のいいときなんだそうですな、木造というのは。ですから、木造家屋というのは、五十年の樹齢を持った木でつくったとすれば、その家が建てられて五十年目が一番丈夫なときです。それから先何年もつかわからぬ。くぎさえ使わなければ絶対腐らぬ。むしろコンクリートの建物よりも安心であるというようなお話も聞くことがございますけれども、かといって、どうも手抜き工事なんかしてありますると、これは木造の方がどうも危険率が高い。もっとも手抜きをすればコンクリートでも危険率は高いわけですけれども。こういうお子さんたちの学ぶところですから、学び舎ですから、できるだけそういう率が高くならないようにお願いしたい。  それから、盲聾養護学校児童生徒数ですね、それから学級数、学校数、この推移はどうなっていますか。児童数は減っている方でしょうか、それともふえていますか。
  229. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ただいまの質問にお答えします前に、木造建築との関連のことがございまして、私も文化庁の次長を三年やっておりましたが、その当時の文化財でも木造のものとか木造建築というようなすばらしいものが依然として立派に残っておりました。そういった点では文部省としては一般的に木造建築を奨励しているところでございますけれども特殊教育学校につきましては、それぞれ学校の持つ特性に応じましていろいろな機能、設備、諸般のものがございますので、やはり木造化の推進は特殊教育学校については余りしていないという状況でございます。  それから、ただいまの児童生徒数、学級数、学校数の推移でございますが、盲学校につきましては児童生徒数減少傾向でございまして、昭和五十二年度が八千二百六十九名が六十二年度は六千六十二名ということで、約二千名強の減少になっております。学校数といたしましても、五十二年度の七十三校が六十二年度は六十七校という状況でございます。聾学校につきましては、学校数は五十二年度の百五校から六十二年度の百五校と変わっておりませんけれども児童生徒数は一万二千二百十二名から十年間で八千四百三十三ということで約四千名弱の減少となっております。それから養護学校につきましては、これは五十二年度四百五校でございましたが、いわゆる高等部の義務化に伴いまして、六十二年度は六百九十校ということで、二百八十五校の増になっております。児童生徒数も、五十二年度の四万三千百七十四名から、現在は七万六千九百四十八ということで、約三万三千名強の大幅な伸びを示しているわけでございます。学級数もほぼ児童生徒数と比例した状況でございます。
  230. 下村泰

    ○下村泰君 盲聾養護学校学校種別の過去十年間の補助実績というのはどうなっておりますか。
  231. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 盲聾養護学校に対します昭和五十三年度から昭和六十二年度までの過去十年間の補助実績といたしましては、盲聾学校が総計、建築面積にいたしまして六万平米、金額にいたしますと補助金額が三十六億円でございます。養護学校につきましては百四十万平米、補助金額といたしまして一千七十七億円という状況でございます。近年の傾向としましては、ほとんどが養護学校補助が圧倒的にシェアが高いということでございまして、昭和五十九年以降でございますと、盲聾学校は年に面積が一千平米程度ということでございまして、養護学校の場合にはかなり、それの百倍近い補助実績という状況が近年の傾向でございます。
  232. 下村泰

    ○下村泰君 その違いはどういうところに理由があるんですか。
  233. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 養護学校の義務化がございまして、そのための養護学校整備の問題もございます。また、校種的にも、先ほど初中局長から申し上げましたように、心身障害、病弱、精神薄弱といった形で養護学校が機能別に設けられている、つまり養護学校の中で多種の教育ということではなくて、そういった種類別に養護学校が設けられるということと、そういった最近におきます障害児の出現率等の増加もそれに起因しているのではないかと思われます。
  234. 下村泰

    ○下村泰君 養護学校の義務制の施行以来、何校ぐらい養護学校新設されていますか。また、補助金額はどのくらいでしょうか。
  235. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 五十四年度からの養護学校の義務化に対応いたしまして、文部省としては必要な施設整備につきまして各都道府県指導して対応してまいったわけでございますが、義務化が実施されました後の昭和五十四年度から六十二年度までにおきましては二百六十一校が新設されているわけでございまして、建築面積としましては百十三万五千平方メートルが整備されたわけでございます。また、これに対しまして支出しました国庫補助金は総計八百八十二億円となっております。
  236. 下村泰

    ○下村泰君 養護学校、これから五年間の間に新設される学校がありますか。あるとすれば何校ぐらい、そしてその国の方の負担はどのぐらいになりますか。
  237. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 六十三年度から六十七年度までに各都道府県からの状況をヒヤリングいたしまして、大体設置予定されておりますこれからの将来五年間にわたります新設予定校の数は、養護学校三十四校でございまして、これを補助率あるいは補助単価が現在のままで、六十三年度予算状況のままであるという前提を置きますれば、これに要する経費は約百二十億円強という形で予定しております。
  238. 下村泰

    ○下村泰君 そこで、今高等部の不足が起きている、その高等部ということについてお尋ねしようと思いましたら、佐藤先生が既にお尋ねでございましたので、同じことは聞かないことにいたしまして、抜くことにいたします。  それでは、ちょっとお伺いしますけれども、公立の盲聾養護学校のエレベーターあるいはスロープ、こういう設置状況、これどうなっていますかね。大体がほとんど普通の方のために合わせて日本の建物というのはできてしまっていますから、こういうのは大変重要な問題だと思うんですが、どんなんですか。
  239. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) ちょっと調査の時点が古くて恐縮でございますが、通常六十二年度の数字を申し上げるわけでございますが、ただいまの件に関しましては六十一年度、二年前の数字になって恐縮でございますが、六十一年度におきます盲聾養護学校のエレベーターの設置状況は、八百五十六校中百九十八校がエレベーターを設置しております。それからスロープにつきましては、同じく八百五十六校中百四十九校が設置をいたしております。エレベーターあるいはスロープを設けることによりまして建築単価が高くなる場合には補助単価の加算を行うこととしておりまして、今後ともこういった養護学校におきますエレベーターあるいはスロープの設置につきましては積極的に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  240. 下村泰

    ○下村泰君 今の局長お話にありましたけれども学校建設をする場合、そういうことも全部組み込んでこれからはやっていくわけですね。
  241. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 当然この特殊教育学校の建築単価につきましては、鉄筋コンクリート造で申し上げますと、一平方メートル十三万六千八百円の単価でございまして、小中学校の十二万一千七百円に比べますと一七%高く設定されているわけでございまして、補助金の交付額を計算するもととなります補助単価は、個別の学校ごとに実施工事の内容を勘案して定めることとなっているわけでございまして、これは例えばくいや暖房等の実施状況学校ごとに大幅に異なるわけでございまして、単価を一律に決めますと立地条件の悪い学校では十分な施設を建てることができないおそれがあるためでございます。エレベーター等につきましては、特殊教育学校を新増改築する場合に補助対象にしておるわけでございまして、その上予算の範囲内でこれらの事業に見合います単価のかさ上げを行うこととしておるわけでございますので、特殊教育学校におきます施設設備は円滑に進められるものと思っておりますし、私ども十分な対応をしたいと考えているところでございます。
  242. 下村泰

    ○下村泰君 じゃ、盲聾養護学校の寄宿舎、このことについてお伺いしますけれども、寄宿舎にスプリンクラーの設置状況はどういうふうになっているのか。また、もしそれが手おくれになっている場合だったら促進しなければならないと思いますけれども、六十三年度予算はどういうふうになっていますか。
  243. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 従来から盲聾養護学校の寄宿舎のスプリンクラーの設置につきましては、法令上の設置義務がございませんでしたので、現在のところ設置されていないということでございます。  それで、いろいろな各都道府県からの要望もございましたので、私ども設置者の判断として、常時介助する必要のある児童生徒の安全確保のために、必要に応じてスプリンクラーを設置したいということがございますれば、それは望ましいことであると考えておりまして、国としても予算的な対応をしたいということで、この六十三年度予算で初めてでございますが、大規模改造費補助の中に新しく項目を設けまして、盲聾養護学校の寄宿舎におきますスプリンクラーの設置費を補助対象とするということにいたしたわけでございます。この大規模改造費補助の内訳でございますが、大規模改造費全体の予算は三百三十四億円でございますけれども、そのうちのスプリンクラーを工事費の中に含めるということでございますので、スプリンクラーに対する補助金額が幾らかということは積算をしていないわけでございます。
  244. 下村泰

    ○下村泰君 今度は、近年の住宅事情、いろいろと変わってきています。先ほどからも高木先生からのお話もございました。それだけに養護学校の寄宿舎についても、やっぱり環境が変われば中のものもいろいろといじくらなければならないと思いますけれども、その方の改造なんというのはやっぱりちゃんとやっていらっしゃいますか。
  245. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 特殊教育学校の寄宿舎の向上につきましては、昭和五十三年度児童生徒の障害の程度あるいは一般社会におきます生活様式等の変化に対応いたしまして、寝室の収容人員を六人から四人という形で減らしますとともに、父兄面会室やあるいは休養室、娯楽室を盛り込むなどいたしまして大幅な改善を図ったところでございます。こうした補助基準面積の改定によりまして、その後の寄宿舎の建築におきましては、設置者でございます都道府県におきましても、こういった改定の趣旨を十分勘案して対応していただいていると承知しているところでございます。今後とも補助基準面積の改善につきましては、障害の種類や程度に配慮いたしますとともに、一般社会の住宅事情がこういった寄宿舎の面にも反映されますように検討してまいりたいと思っております。
  246. 下村泰

    ○下村泰君 国立病院の再編計画、これがございます。そうすると、移転することとなる養護学校が何校ぐらいありますか。それに対する国の補助はどうなっていますか。
  247. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) まだ国立病院の再編計画は具体的には確定していない段階でございますので、移転が予想される養護学校は必ずしも現状では定まっておりませんが、私どもの感じといたしましては十校程度が検討対象になるのではないかと一応想定をしておるところでございます。しかしながら、国立病院の再編計画に伴います移転等の場合におきましては、施設費補助といたしまして、国の政策に伴うものであることも勘案いたしまして、具体的な補助申請が出された段階ではケース・バイ・ケースで対応したいと思っております。
  248. 下村泰

    ○下村泰君 養護学校について過大規模校が多いというような話も出ておりますが、事実このようなことがあるのか、文部省はどのように指導していらっしゃるのか、お伺いします。
  249. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 養護学校につきましては児童生徒の障害の状態が極めて多様でございまして、小学部、中学部高等部というそれぞれ教育形態の違う部が置かれておるわけでございまして、また発達段階もそれぞれの段階でまちまちでございますし、年齢の幅も広い。あるいは設置や運営につきましても、各学校の実態やあるいは地域実情等を十分勘案して行うことが重要でございますので、学級数によりまして全国一律の規模を定めることは困難であるし、また適当でもないという観点から、基準は設けていないわけでございます。  しかしながら、設置者でございます都道府県においては、学校規模が過大なために教育上支障が生じたり、あるいは施設整備上問題があるというような判断の上で、分離新設を行いたいという考え方文部省へ参りますれば、文部省としては、国庫負担法の執行当たりましては優先採択を行うということで、できる限りの対応を行う考えでございます。それから、明らかに規模が大きくて教育上支障が生じていることが明らかなものにつきましては、その解消に向けて努力するように主管課長会議やヒヤリングの際に各都道府県に対してこちらの方から指導を申し上げているという状況でございます。
  250. 下村泰

    ○下村泰君 六十三年度予算で盲聾養護学校の小学部、中学部について大規模改造の対象となった、これは大変結構なことなんですけれども高等部の方は対象になっていないんですか。
  251. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 鉄筋の建物は特に定期的に改修を行う必要があるわけでございまして、そういった点で昭和五十八年度から小学校や中学校におきまして大規模改修事業をスタートさしたわけでございまして、六十三年度におきましてはこれを盲聾養護学校の小中学部補助対象として、義務教育学校のすべてについて補助対象とすることとしたわけでございます。  しかしながら、高等部につきましては、義務教育ではないということで、高等学校と同様、従来から交付税によって財源措置がされているわけでございまして、これに対して国庫補助を加えるということになりますと、財源措置が交付税の財源と国庫補助とが重複するという意見もございまして、今回六十三年度予算におきましては、特殊教育学校高等部に対します大規模改造制度の適用は、高等学校と合わせましてとりあえず見送りとさしていただいたわけでございますが、今後の検討課題として私ども取り組んでいきたいと思っております。
  252. 下村泰

    ○下村泰君 じゃ、近い将来はやるわけですね。全然やらないというわけじゃない。
  253. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 私どもは六十三年度予算要求では高等部対象として要求したわけでございます。それから高等学校についても同様な要求をしたわけでございますが、予算折衝のプロセスにおきまして、そういった今の財源問題、交付税上の措置が講じられているという観点、その他の諸般の事情におきましてこのような措置になったわけでございます。したがって、文部省としては今後の努力をしたいと考えておりますが、できるかできないかというのは財政当局の理解を得る必要があるわけでございますし、また交付税上の措置との関係をどうするのかという問題もございますので、そういった意味におきまして、確約はできませんけれども文部省としての努力はいたしたいという意味でございます。
  254. 下村泰

    ○下村泰君 先般の委員会のときに、大臣が大変お気に入りの言葉があって、わざわざその言葉を書いて差し上げましたけれども、いわゆる「障害があるから障害者なのではない。障害があるために普通の人と同じような生活が出来ないから、障害者と呼ばれる」のである、こういうことなんですね。この言葉の、もう一つありまして、附則があるんです。この言葉が非常に耳に痛いことなんです。障害によることが不幸ではなくて、日本で生まれたことが不幸なんだというんです。これは障害者の言葉なんです。  ですから、例えばスウェーデンとかいわゆる障害者に対する福祉の徹底している国に生まれたら、その人は幸せだったろう。ところが、日本で生まれたばかりに不幸であった。これは障害者自身の言葉なんですね。ですから、こういうことのないように、むしろ日本で生まれてよかったんだ、だからおれは幸せなんだというような状態になるべき私は内容のものではないかと思う。ここでひとつ文部大臣のお言葉を聞かせてください。
  255. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) いいお言葉と、それから厳しいお言葉と両方伺いました。「障害があるから障害者なのではない。障害があるために普通の人と同じような生活が出来ないから、障害者と呼ばれる」のであると、この気持ちは痛いほどわかるわけでありまして、これを取り除くためには、障害があっても普通の人と同じように生活ができるように、世の中の仕組みを変えると申しますか、すべての人が協力をし合って、普通の人と同じように生活をしていただくということによって障害者たる障害を取り除いていくということが必要だとつくづく感じました。後段の日本に生まれたからというのは非常に厳しいお言葉でございまして、これを励みととらしていただいて、そのような言葉が心の中から払拭していただけるように、日本に生まれてよかったとおっしゃっていただけるように努力いたさなければならぬと痛感をいたしました。
  256. 下村泰

    ○下村泰君 実は私もう半でやめようと思ったんですけれども、ある同僚議員さんがこんなのがあるんだというお話を聞きましたので、これをちょっと追加させてください。長いことかかりません。  今、何かアメリカの方の大学が日本に大変分校を開いているらしいんですけれども、これはどうなんですか。文部省として学校として認定できるんですか、できないんですか。
  257. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 御指摘のように、アメリカの大学が分校あるいはそれに類するような施設を日本へつくるというようなことが最近幾つか例があるわけでございます。  これは三つ大まかに申しますとタイプがございまして、一つは、日本の学校制度は外国人が理事者になっても構わないし、外国人が教員になっても構わない、学校設置基準に合っていればいいということでございますので、正規の大学としてつくろうという動きが一つあるわけでございます。それからもう一つは、正規の大学ではないけれども各種学校あるいは専修学校として認可を受けようという仕組みのものがございます。そして、さらに第三のパターンとして、そういう認可等は一切受けないで、事実上の存在として存在するというたぐいの三つのものがあるわけでございまして、その全体の姿は私ども十分完全には、特に無認可のものについてはつかんでおらないわけでございますけれども、そういうことがあるということについては、これは関心を持ってこれから対応を検討しなきゃならないことであろう、こう思っておる次第でございます。
  258. 下村泰

    ○下村泰君 それで、実はそれも学校には違いない、一応。そこへ通っている学生さんというのはあれがないんだそうですな、学割とかああいうものが、サービスが。向こうからこっちへ持ってきて分校つくっている以上、そして向こうからも何か教師が来て教えている以上、学校の形にはなっているらしいんですね。私も実際に行ってみたことがありませんから自信持ってしゃべっているわけじゃありませんよ。でも、そこに例えば学生として通っているならば、やっぱり日本の学生さんと学校へ通っている学生さんは同じように学割制度があってもいいんじゃないかなというような気がするんですよ。大阪の方ではもう実施しているところがあるそうです。東京の方がないんだそうですが、そういうのは対応はできるんですか、そういうのは。
  259. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) これは交通機関を持っている会社の取り扱いの問題になるわけでございますけれども、JRの場合で申しますと、正規の学校はもちろん問題ないわけでございますが、それ以外に専修学校あるいは各種学校ということで認可を受けているところについてはJRの指定があれば学割が適用される、こういう仕組みになっております。ですから、恐らく先生お話で大阪の方にあるケースというのがあるとすれば、それは各種学校等という格好での、正規の大学ではないにしても、認可を受けているという存在のものであろうと思うわけでございます。  私どもとしては、せっかくいろいろな機関がつくられる場合に、これから全体の対応は考えなければならないわけでございますけれども、当面のこととしては、できることならば専修学校ないし各種学校という格好で、無認可の存在ではなくて認可を受けて実施をしていただくということであることが望ましいし、そうすれば今の学割の問題も解決するのではないか、こういうふうに思っている次第でございます。
  260. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、学校側の方がそういう措置をとればきくと、こういうことになるわけですね。  終わります。
  261. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認めます。  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案の修正について、佐藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤君。
  263. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  まず、政府提案の原案は、児童生徒急増地域における公立小中学校校舎の新増築に対する国庫負担の割り増し特例期間を昭和六十七年度まで延長するものであります。しかしながら、昭和六十三年度につきましては、その割り増し特例も十分の五・五と抑えています。  我が党の修正は、この昭和六十三年度分に係る引き下げを認めず、一般的な特例負担割合である三分の二を負担すべきものといたしております。また、同特例についての財政力指数が一・〇〇を超える市町村及び指定都市に係る引き下げ措置は、昭和五十八年度から導入されたものでありますが、義務教育に対する国庫負担ということにかんがみ、それ以前の状態に戻すことといたしております。  何とぞ委員各位におかれましては御賛同のほどよろしくお願いをいたします。
  264. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまの佐藤君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。中島文部大臣
  265. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。
  266. 田沢智治

    委員長田沢智治君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようでございますので、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでございますので、これより義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、佐藤君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  267. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 少数と認めます。よって、佐藤君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  268. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。    本日はこれをもって散会いたします。    午後四時三十五分散会