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1988-03-28 第112回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十八日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      糸久八重子君     久保  亘君  三月二十八日     辞任         補欠選任      久保  亘君     梶原 敬義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田沢 智治君     理 事                 仲川 幸男君                 林  寛子君                 粕谷 照美君                 佐藤 昭夫君     委 員                 小野 清子君                 川原新次郎君                 木宮 和彦君                 山東 昭子君                 杉山 令肇君                 竹山  裕君                 寺内 弘子君                 柳川 覺治君                 梶原 敬義君                 安永 英雄君                 高桑 栄松君                 勝木 健司君                 下村  泰君    国務大臣        文 部 大 臣  中島源太郎君    政府委員        文部大臣官房長  古村 澄一君        文部大臣官房総        務審議官     川村 恒明君        文部大臣官房会        計課長      野崎  弘君        文部省初等中等        教育局長     西崎 清久君        文部省教育助成        局長       加戸 守行君        文部省高等教育        局長       阿部 充夫君        文部省高等教育        局私学部長    坂元 弘直君        文部省学術国際        局長       植木  浩君        文部省社会教育        局長       齋藤 諦淳君        文部省体育局長  國分 正明君        文化庁次長    横瀬 庄次君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        大蔵省主計局主        計官       伏屋 和彦君        厚生省保険局医        療課長      谷  修一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (文部省所管)     ─────────────
  2. 田沢智治

    委員長田沢智治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、糸久八重子君が委員辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。     ─────────────
  3. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 去る二十五日、予算委員会から、本日及び三十一日の二日間、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 安永英雄

    安永英雄君 まず、高知学芸高校中国修学旅行の惨事につきまして、いろいろ報道されておりますが、私としましても断腸の思いがするわけでございまして、痛恨のきわみでございます。特に引率された先生お一人、それから高校生が二十六名亡くなられました。家族の方、肉親の方々の悲しみ、無念さというのは察せられます。謹んで哀悼の意を表する次第でございますが、各方面報道機関やあるいは各省の方でいろいろ本件の問題について報道がなされておりますが、所管の省として正確に今日までの報告をお願いを申し上げたい。特に素早く対策本部をつくられたり、あるいは大臣自身高知にも出向かれておられますが、いろいろ報道の食い違いが、多くはないんですけれども、やはりこの際正式に文部省所管として報告をお願いしたい。
  5. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 先生おっしゃられました高知学芸高校の今回の事故につきましては、まことに不幸な、痛ましい出来事でございまして、二十七名のお亡くなりになりました方々に対しまして改めて御冥福をお祈り申し上げますと同時に、負傷されました方々の御全快の一日も早からんことをお祈りを申し上げ、御遺族、御家族の御心痛に対しまして心から御慰労申し上げる次第でございます。  去る二十四日にこの事件発生をいたしまして、その事故発生情報を入手いたしまして直後に、私どもから外務省並び運輸省連絡をいたしまして、特に海外での事故でございましたので外務省さんに御協力を、そして輸送面運輸省さんに御協力いただくこと多かろうと思いまして御連絡をいたしまして、全面協力を取りつけさしていただきまして、ありがたいことと思っておりますが、翌日、文部省内に当事故対策本部を設置いたしまして、事務次官を本部長といたしまして万全を期さしていただく態勢はとりました。同時に、外務省から外務政務次官現地に赴かれますにつきまして文部省から中島大臣官房審議官を同行いたさせまして、高知を経由いたしまして上海に入り、現地からの連絡に当たらしたわけでございます。また、高知学芸高校には大澤幸夫企画官中山高等学校課長補佐二名を派遣いたしまして、学校におきます当局並びに学校関係者並びに父兄方々の御意思、御希望、それと現地におきます事故状況の把握その他対策、それと政府との三位一体の連携を密にするように手を打たしていただいたわけでございます。  一昨日、同僚与野党議員の御理解を得まして私も東京を立たしていただきまして、高知に入らしていただきました。学芸高校事故対策に懸命の努力をなさっておりますのと同時に、ちょうど中学の入学試験当日に当たっておりましたので、その両方の分野で万全を期していただくことが肝要と思いまして、学校の校長さん並びに理事長さんと県庁におきましてお会いをいたしまして、御要望もつぶさに拝聴いたし、こちらの政府側態勢を御説明いたし、何なりと御注文をおっしゃっていただくようにということで要望をお聞きいたし、 関係省庁に御連絡をいたしたところでございます。その帰途、たまたま駐日中国大使御夫妻がちょうど高知に御慰労にお見えになっておりまして、空港におきましてお会いをいたし、不幸な事件でありましたこと、しかし中国での対応に感謝をいたし、なおかつ今後の問題につきまして万全の措置をおとりいただきたいという要請、同時に最後に、今度不幸な事件でございましたけれども、日中の友好がさらに深まりますようにということをお互いに確認をさしていただき、昨日帰ってまいりました。中島審議官は昨夜帰国いたしておりますが、高知学芸高校の方にはいまだ二名を文部省から派遣をいたしまして事後処理に当たらしておるところでございます。  なお、詳細につきまして御質問があれば、政府委員から御答弁させます。
  6. 安永英雄

    安永英雄君 今後の対策についてお聞きしたいんですけれども、私なんかにも九州方面高等学校からいろいろ問い合わせが参るぐらいですから、文部省には随分参ったんじゃないかと思いますけれども、もう既に近く海外旅行に出かける計画を持っているところ、あるいは今からその気になって計画を立てているところ、こういったところはもちろんでありますけれども、こういった大きな事故が起こった後でありますから、文部省としては相当の今後の対策について樹立しておかなければならないというふうに私は思うわけです。特にもう端的に問い合わせがあるのは、今度のこの大きな事件が起こったことによって、文部省が一月に海外旅行高等学校は行ってよろしいといういわゆる解禁をやったあの方針というのが変わるのではないかというのが一つの大きな問い合わせ趣旨であります。それを含めて、今後の高等学校海外旅行についての方針なりあるいは対策、こういったものについてお聞かせ願いたいと思います。
  7. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 今後のことで、御質問の枠外でございますが、まだ現地に十一名の重傷の方々を含めまして残っておられます。この方々の一日も早い御全快と同時に事後処理に万全を期したい、このように思っております。  また、御質問の点でございますが、今後の細かい対策につきましては、政府委員からお答えさせますが、基本的な考え方といたしましては、修学旅行国内国外に大変企画されておると思いますが、修学旅行を通じまして国内国外の事象を見聞し識見を広めるということは、それなりに意義があると思っておりますし、これは今後も変わらないところでございます。ただ、一月に指導申し上げたところは、今までの修学旅行交通機関の中に航空機利用する修学旅行もふえてまいりますことから、そういうものを含めまして、健康上の問題あるいは安全上の問題を含めまして、よく検討をいたし、そして御父兄の御理解も得るようにという指導をさらに一月にいたしたところでございまして、それからそう旬日を置かずに起こりました事故で、大変残念でございますけれども、今後修学旅行意義というのは有意義であることは認めつつ、今申し上げました健康上、安全上含めましたさらに確認の徹底をいたさせたい、こう思っておるところでございまして、近く通達を出したい、こう思っておるところでございます。その内容その他につきましてあれば、政府委員からお答えさせます。
  8. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 海外修学旅行に関する文部省の姿勢の経緯でございますが、先生案内のとおり、昭和四十三年の時点修学旅行に関しまして非常に詳しい通知を出しております。この通知の中には、海外修学旅行なり航空機利用については直接の文言はございません。ただ、当時の状況からいたしまして、車中泊船中泊等はできるだけ避けるというふうな趣旨はございました。しかし実態といたしましては、各都道府県における修学旅行に関する実施取り決めにおきまして、航空機利用は行わない、海外修学旅行は行わないというふうな取り決めで各県が実施の基準をつくっておったというのが実情でございまして、しかしここ数年、九州、四国、中国中心といたしまして、各部道府県中国韓国等への海外修学旅行を認めるというふうな県の措置が行われ始めまして、文部省へも若干その点に関する問い合わせがいろいろあったわけでございます。  そこで、先生指摘のような一月十九日の時点でございますが、指導事務主管部課長会議におきまして、海外修学旅行並びに航空機利用につきましては、従来の通達が必ずしも禁止しているものではなかったけれども、やはりこの際文部省なり各都道府県了解事項として、これはやはり必要があれば海外修学旅行もそれぞれの県において認めて差し支えないではないかというふうな合意をいたしまして、その際、文部省として留意すべき点の指示と申しますか、指導をしたわけでございます。この一月十九日における文部省側指導といたしましては、海外修学旅行実施するに当たっては、その実施教育的ねらい、これをやはり明確にする必要がある、これが第一点でございます。さらに、生徒等健康管理や安全の確保、交通機関所要経費等について十分配慮する、これらについて保護者理解を得ることなどに留意する、これらの海外修学旅行に関する留意事項を示しまして、各都道府県への指導といたしたわけでございますが、今回大変不幸な事態が起きたわけでございますが、今後の対策として、海外修学旅行意義自体を認めることにつきましては、大臣からお答え申し上げましたとおり、文部省方針は変わらない、これはひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、このような大きな悲惨な事故が起きたわけでございますので、大臣から申し上げましたように、なるべく早い機会通知を出します。その通知内容はまだきょう申し上げられる段階ではございませんけれども、やはり私どもとして考えておりますのは、海外修学旅行計画実施自体について慎重な計画、これがまず必要である。その内容としては、やはり遠隔の地でございますから、旅行の経路とか交通機関現地状況、こういうふうなことについて事前調査がやはり必要ではないかとか、引率教員を充実する必要があるとか、緊急事態発生したときの連絡体制の問題、医療体制とかいろいろな点について細心かつ周到な準備が必要であろう。こういう点は文部省指導をするまでもなく必要なことでございますし、関係業者はいろいろ代理店あるわけでございますが、学校が主体的にこれらの点について十分詰めてその実施を図るべきではないかというふうなことをただいま考えておりまして、これらについてはやはり県の教育委員会等設置者側管理者側十分学校側計画実施内容を必要に応じて点検をするなど、特に安全管理事故の問題への対処等を重点として、これらについての実施を行う必要があるということを留意事項として示してはどうかということを考えておるわけでございまして、この点につきましては、若干時間をいただきまして、なるべく早い機会県教委指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 安永英雄

    安永英雄君 この問題は、もう当然補償の問題が起こってくると思うんですが、新聞その他の情報によりますと、中国側も誠意を持ってこれにこたえる、こういうことで主として外交ルートを通じてこの問題を解決したい、こういうことでありますが、補償の一番大きな問題は、その事故なり何なりの原因の究明の結果から、そこに過失があればそれ相応のとにかく補償を当然やるというのが、これは国内外を問わずやっていることなんですが、特にこれは初めての外国との問題でありますから、これは相当考えなければならぬと思います。  そこで、これは国内の問題も私は当然起こってくると思います。後で私は補償問題等について別に切り離して質問をしたいと思っておりますけれども、結局国内で起こったこと、それから国外で起こったことにはこれはいろいろまた違いが出てくるし、配慮しなきゃならぬ。あるいは、公立、私立あるいは国立、こういった形によってもこれは非常に違ってくる問題が起こってくる。それか ら、引率された先生生徒、この間にもいろいろまたこれは補償の問題としては厳格に考えておかなければならぬ問題が起こってくるわけです。今当面私は、当然事件発生した中国相手補償というものにこれは全力を挙げなければならないと思うんですけれども国内の方も十分これ今度に限らず検討する必要があろう。ここは時間がありませんから、今申したようないろいろな場面場面でこれは慎重に今から検討してもらわなきゃならぬと思うんですけれども、私は後で触れますけれども国内補償措置としてこれはやっぱり今までいろいろありますけれども、そして今局長からお話がございましたし、一月時点における都道府県教育委員会指導事務主管会議、ここが一つの場所になって、そこで今、従前の修学旅行に対する態度は変わらないけれども、しかし九州方面その他でいろいろどんどんやっていくものだから、それで文部省としてもこれを了解した、もう言葉では了解事項というふうな言葉も今お使いになりました。  この問題はやはり国家賠償等の問題にかかわってくる問題でございますし、国内における補償という問題についても十分これは御検討いただかなければならぬと思います。今の時点で私はどうのこうのという、こういう時期ではないとは思いますけれども、これは早急にやはり確立しておく必要があるというふうに思いますが、その点どうですか。
  10. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 先生指摘の点は二点あるわけでございますが、第一点の中国側と今回災害に遭った生徒の、あるいは遺族との関係学校側との関係、この問題につきましては、やはり現在の我が国法制におきましては、被害者個人あるいは学校中国側に対する補償という形になるわけでございまして、政府はやはりこれに協力をするというふうな形になろうかと思うわけでございます。しかし、やはりこの点につきましては、政府としても中国我が国という関係でございますから、そういう立場で、外交ルートで別途いろいろと協力をしてまいるというふうな形になろうかと思うわけでございます。  それから、第二点として国家賠償というお話もございましたが、この点につきましては、やはり我が国法制におきましては生徒個人あるいは遺家族のお立場、あるいは学校の問題ということで、ここが一つの基本的な視点でございまして、先生の御趣旨はまだつまびらかに私も承知いたしておりませんけれども、この点はにわかに私どもとして法制的な問題として起きてまいるかということにつきましては現時点で申し上げかねるわけでございますけれども、今後の問題として対外国、対国内というふうな関係での補償問題が大きなイシューであるということは私どもも十分留意して対処してまいりたいというふうに考えております。
  11. 安永英雄

    安永英雄君 以上で中国修学旅行の問題については質問は終わりますが、今の最後におっしゃった賠償、特に国家賠償、こういった問題について、今そういう判断をされているようでございますけれども、当然起こってくる問題だとも思います。これはまた改めて質問をいたします。  次に、この前は臨教審の問題ばかりをやりましたので、今度は四全総の問題について質問をいたします。  この四全総の問題は東京一極主義、これを是正して国土の均衡ある発展を図っていこうと、強力な施策を講じるということが求められておるわけでありまして、この点は私もそのとおりだと思うし、審議会にも一委員として加わってまいりました。特に科学技術情報化の進展、急速な産業構造の変化、こういったものに二十一世紀を目指して当然対応できる、しかも国土利用という面から考えたときには、これは四全総方向としては私は正しいと思います。随所に危険な箇所がたくさんありますけれども、総体的にやはりこれだけの用意はこの方面からやっておかなければならないという、これは私は賛成であります。  そこで、この開発計画の中で、文部省としてこの計画達成のためにしなきゃならない問題がたくさんあると思うんですが、四全総とそれから文教行政との関係においてどのようなふうなつかまえ方をされておるか、当初に大臣から基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  12. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 四全総ではまさに多極分散型の国土形成を標榜されておられまして、これは国の政策上重要な政策である、このように考えております。四全総の中にも文部省に関します点は多々ございますが、大きく分けまして地域におきます生涯学習社会の確立、あるいは高等教育機関の適正な配置、あるいは文化、学術研究等整備と申しますか、その三点に主に集約されるかと思うわけでございます。この点、それぞれ重要な施策でございますので、これに沿って鋭意進めてまいりたいと、このように考えております。
  13. 安永英雄

    安永英雄君 これは六十二年六月に一応計画として策定したわけでありますが、今大臣のおっしゃったような方向でどのような形でこの四全総の中に入っているのか、お聞かせを願いたいと思います。
  14. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) ただいま御指摘がございましたように、この四全総は昨年の六月三十日に閣議決定をされたということでございます。そこで、ただいま大臣からお答え申し上げましたような基本的な施策に沿って各般施策を進めているわけでございますが、例えば予算関係で申し上げれば、文部省関係四全総に関連をしている事項、具体的に個々のあれは大変多いものですから省略をさせていただきますけれども、ただいま大臣からお答えを申し上げましたそういう生涯学習等のいわゆる生活基盤整備に関する事項中心に、六十三年度では千百四十二億の関係予算を計上しているというようなことでございまして、そういう予算措置を初め各般のところでこの施策推進に取り組んでいる、こういうことでございます。
  15. 安永英雄

    安永英雄君 先日閣議決定をされました第四次全国総合開発推進法、これについて文部省としてどのようにタッチされたのか、それからその内容の中にこの文教政策関係で配慮された面があるかどうかお聞きしたい。
  16. 川村恒明

    政府委員川村恒明君) ただいま御指摘の多極分散型国土形成促進法案でございますけれども、これは政府から先週の金曜日に閣議決定をさせていただいたと、こういうことでございます。内容的には、御案内のとおり大きく分けて三つに分かれているわけでございますけれども一つ大都市からの分散ということ、もう一つ地方振興開発を進めるということ、三番目に大都市の一般的な整備を進める、こういうことでございます。  文部省関係で申し上げれば、例えば東京からの分散の中でいわゆる省庁等の各機関の移転ということもございますし、特に重要なことは、地方における地方振興開発ということでそれぞれ振興拠点地域を設けるというような場合に、そこの中核的な施設として文教関係のものを入れていくというようなことがございます。でございまして、これは各省庁関係が深いわけでございますけれども、私どもとしてやはりこれからの二十一世紀を目指す地方振興開発でございますとか、大都市整備を考える場合に文教関係施設整備、やはりこれからそういう心の時代、ソフトの時代でございますから非常に関係が深い、そんなことでございまして、政府の一員としてこの法案の作成に全力を挙げて協力をしたと、こういうことでございます。
  17. 安永英雄

    安永英雄君 私の言っているのは、法案の過程で文部省としてはどのような対応をしたかということで、これは時間がありませんから申し上げませんが、十三省庁一緒になって、そして今度の推進法というのはあの膨大な開発計画、二十一世紀へ向けての開発計画の第一弾として法律化をしようという限られた部面の問題でありますが、第一回だけにこれは非常に問題が大きいのであります。  私もこれ、ずっと審議に参加したのであります が、この法律案の中では鉄道建設宅地開発を同時に進める、そして地価上昇を抑える目的で予定地監視区域を設けるというのが、これが一番中心になっているんですよ。これから出発するわけです。これに絡めて文教政策、先ほど大臣がおっしゃったあの方向がこの中に入っておらないとこれはもうおくれるんですよ。多くは申しませんけれども、この中に文部省は入っていないんです。そうして、こういう配慮のときには各省次々に、運輸省あるいは建設省だけじゃないんです、各省がこれの中にいろいろと条件をつけている。文部省のところは入っていないので、学園都市構想とかあるいは大学機関の今おっしゃった適正配置、こういったものについては入れておかなければならぬのに、この法律案の裏づけには入っていないんです。これは私も確かめたのでありますが、今からでも遅くはないのであります。この法律案の中の基礎になっている組み立ての中に当然文部行政として、この出発点として私は時間的にまだ時間がありますから、この法案についての意見等も十分に今後打ち合わせてもらいたいというふうに思います。  そこで、今局長の方からおっしゃいましたが、その中の四全総の中に出ている教育という問題の中で、幾らか取り上げて質問をいたします。この一番大きいのは自然との触れ合い、体験、農村と都市との理解のために小中の児童生徒が山村で集団で学習するという計画であります。そこで、この中に廃屋、いわゆる廃校、この建物を利用するというふうに出ています。現在廃校はどれくらいありますか。
  18. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 毎年学校の統廃合等によりましてそういった廃校になる学校が出てまいるわけでございます。そして、この廃校につきましては、既に建てられました建物が国庫補助金等で建設されたものでございますと、いわゆる財産処分につきまして国の承認を必要とするわけでございまして、私どもはそういった国の承認を得て処分されたものの数は承認しておりますが、それ以外のものは承知していないということで若干不正確でございますが、ちなみに昭和六十二年度につきましては、統廃合等によりまして国の財産処分の承認を得て措置されましたものが全国の小中学校で六十一校ございます。そのうち四十五校が社会教育施設、例えば公民館等でございますが、そういった目的のために転用されております。それから、純粋に解体されたものが十三校ございます。そして、集団宿泊施設等に転用されたものその他が三校でございます。
  19. 安永英雄

    安永英雄君 この案はもう五十八年以来文部省国土庁、いろいろとディスカッションやったり、打ち合わせをやりながら出てきた案なんですが、今おっしゃった六十一校で四十五校は使っている、総計どれくらいかは不明ですけれども。果たして都会の子供が田舎に行って廃校を使ってやれるような状態ですか。
  20. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 当然まだ耐用年数期間中のものでございますし、その安全面等も十分配慮いたしまして、なお耐え得るという判断のもとに改装等行いまして使われているものと理解いたしております。
  21. 安永英雄

    安永英雄君 使われておるものという現在進行形じゃないんですよ。これは二十一世紀を目指す都会の子供と農漁村の子供の交流という壮大な計画なんですよ。だから私はこの審議をするときには涙が出ましたよ、実際に。  国土審議会各省十三省庁集まって、そして各層の意見をどんどん出す中で、あるいは高速鉄道の構想とか、あるいはコミューター航空の導入、新都市のもう全くないところに都市をつくるという開発あるいは学園都市、とにかく大きな川でも水の利用ということになれば物すごい予算をかけてその川から水路を別に大工事でつくってしまう。あるいは埋立工事、こういう中で大きな構想である都市と農村の児童生徒、これがお互いに交流をしながらやっていくというその構想というのは広大なものなんです。第一、廃校が二十一世紀までにどれぐらい出ますか。私は恒久的な設備、施設というものを、これはまだ間に合いますから、提案したらどうかというふうに思いますが、どうですか。
  22. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 四全総指摘されております都市部と農村部等の交流事業、これは先生指摘のとおり、自然に親しむ都会地の子供の得がたい経験ということ、あるいは僻地の子供たちが都市部の経験を得る、大変いいことでございまして、文部省としてもこれは推進をする、こういう基本姿勢でございます。  ただ、その推進する形態の問題でございますけれども、形態が現在私どもで考えておりますのが二つございます。一つは、自然教室事業として、先生案内のとおり、青年の家とか児童生徒の少年自然の家、そういう施設利用する、これが一つでございます。それからもう一つは、私どもはふるさと交流促進事業というふうに言っておりますけれども都市部と農村部の児童生徒学校同士で相互に交流する、こういう形態でございます。  その形態でどういう施設利用するかにつきましては、御指摘の廃校の学校施設利用して、そこでいろいろ学ぶというのも一つの形態でございますが、私どもはもっと広くとらえまして、児童生徒がそれぞれの家庭にホームステイするという形態が一つございます。それから今私どもで考えられているのが民宿というのもございます。それからこれは都市部になりますと旅館という形態もありますし、これはそれぞれ経費の問題と地域の実情にかかわるわけでございまして、私どもが補助金等を都道府県に委嘱事業として出しておりまして、この事業を推進している形態としては地域地域のいろいろな事情があるものですから、その児童生徒の宿泊なり学ぶ形態については地域の実情によるというふうな形での事業を促進しようということでございますので、必ずしもその廃校施設だけということではなくて、もう少し広く事業をとらえて、実質的な都市と農村部の児童生徒の交流が図られるにはどうしたらいいか、こういうふうな観点でやっておるわけでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  23. 安永英雄

    安永英雄君 今おっしゃったのは当面の問題として考えられておることであって、こういったものはこれは四全総の中に入れるのは恥ずかしいぐらいですよ。民泊とか家庭同士とか、それからもう少しで押したら倒れるような廃屋、廃校、こういったものを使うんですというのは余りに構想の次元が他の省と違うようですから私は申し上げたわけで、当然私が申し上げたような、やはり確実に東京都の小中学校生徒というのは在校中に一度は田舎に行けるとなれば物すごいものですよ。群馬や栃木や、幾らかありましょう。全国で六十何校ですか。そこにとても行けるようなものではない。民泊だってどうしたってそんなものはできやしませんよ。当面の方向としてとりあえずやるというならわかるけれども四全総方向としてはやはり何といっても恒久的なそういう施設を提案しておかなければならないというのが私の考え方ですが、そうであるとするなら、私もいろいろな方面で頑張りたいと思うんですけれども、とにかく二十一世紀を目指しての広壮な計画というものの中では物足りないということですが、その点もう少し長期の、そしてある程度予算を度外視した、当面の問題じゃなくて恒久的な問題についての構想を練られるということで私はお願いしたいと思うんですが、どうですか。
  24. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 先ほど申し上げました廃校のうち、四十五校が社会教育施設等に転用されたということを申し上げましたが、それは宿泊施設ではございませんで、言うなれば公民館等の地域集会施設等に使われているということでございます。なお、今申し上げた廃校以外の措置としまして、そのこと自体を目的としているわけではございませんが、中高等学校にいわゆる集団宿泊施設としてのセミナーハウスの補助を行っておりまして、これはその当該学校のためのものでございますが、と同時に、先ほど申し上げました交流 の家にも使えるわけでございます。例えば六十二年には中高等学校につきまして三十八施設のセミナーハウスの建設補助をしておるわけでございまして、多画的な形でそういった相互交流に期するような施設の目的のためにいろいろな形での施策を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  25. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 先ほど申し上げましたように、四全総に盛られました三つに集約できる問題は、教育改革推進方向とも合致をいたしておりますので、積極的に考えてまいりたいと思います。
  26. 安永英雄

    安永英雄君 今申したいわゆる都会の子供を田舎の方にという問題に関連して、唐突なようですけれども、次のことについて見解をいただきたいと思うんです。  過ぐる二十四日の日に、東京都立の航空工業高専、この山岳部のパーティーの十人が五十二年の三月、長野県の中央アルプスの駒ケ岳の斜面で雪崩に襲われ、生徒七名が亡くなっております。そこで、生徒あるいはOBの遺族六名が都を相手に取って、いわゆる損害賠償を求める訴訟を起こしまして、その判決が出たわけでございます。引率教官の過失を認めまして、国家賠償法に基づき都に対して三億五千五百万の支払いを命じる判決が出ました。このことについて、この判決を文部省としてどう受けとめるか。なかなか難しい話でありますけれども、言えるのならひとつ文部省のこの判決についての見解をお聞かせ願いたいと思います。
  27. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 御指摘のような事件がかつてございまして、先般判決が、控訴審でございますか、出たということを聞いておるわけでございますが、その判決につきましては、現在東京都におきましてどういう対応をするかということで鋭意検討中ということでもございますので、私ども事実関係に非常に詳しいという立場でもございませんので、都の対応を見守らしていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。なお、この場合は高等専門学校でございますけれども、高専まで含めまして、これまでそういった登山等の教育活動については、事故防止に十分注意するようにということを文部省としては各都道府県を通じて指導してまいったわけでございますけれども、これからもその点については一層努力をしていかなければならない、そういう気持ちを持っている次第でございます。
  28. 安永英雄

    安永英雄君 文部省としては、現在の状態としてはそうだろうと思いますが、しかし、この件については今度始まった問題ではないんですね。文部省としてしっかりやっぱり持ってもらわなきゃならぬ基本的な態度というのを私ども要求たびたびやったわけでありますが、この判決の内容について私は申しませんが、この判決がいわゆる教育、この中に非常に大きくにじみ出てくるし、与える影響が大きいというふうに思います。と申しますのは、この判決読みますと、学校行事としての登山引率者の注意義務についてというところが中心になっておるわけです。そこで、一般の場合以上に生徒らの安全を確保すべきことが求められ、その危険の回避については学校側に対しより一層の慎重な配慮が要求されるという立場をとられまして、そしてこれが国家賠償を訴えた方々の勝訴になったわけです。都の方はこれは敗訴という形でございます。  これが今まで問われた件数というのは非常に多いので、文部省の方も握っておられると思いますけれども、阿佐ヶ谷中学の生徒の火災扉衝突ですね。火災の防火壁に衝突したという問題、あるいは九州の佐伯南中学校の理科薬品の爆発の問題、八幡の小学校の児童を石塊、石のあれで殴ったという問題、千葉県の岩井海岸で臨海学校で溺死をしたという問題、大阪府立の富田林高校の柔道で亡くなった事件、あるいは大阪市立高校で体育の時間に空中転回をやっておって死亡をしたという問題、数え挙げればとにかくたくさんな問題が今まで、今申しましたように一般の人と違った責任というのが先生にはあるんだというところをとらえて、中には責めを負わなかったところもありますけれども、常にこういった問題が出てくるわけですね。だから私は、今申し上げたような高専のこの判決等も、私は今まで申し上げたような事件の重ねの上にさらに大きく今後の教員の指導監督責任、特に教員の注意義務、こういったものがこれは問われてくることが非常に多い。今度の中国の問題にしても、今の状態では私どもそういうところまでは検討しませんけれども、おいおいこの問題についてはそういった責任の問題、これは文部省も含めて起こってくるだろうと私は思う。  私は、それぞれの事件の裁判の内容とかそれには触れませんけれども、ごく最近の教育現場においては、非常にこのことによりましてせっかくの教育機会というものを逃がしておる。私は、先ほど大臣がおっしゃいましたように、あれほどの事件中国で起こってもやはり海外に対する、何といいますか、知識を得るとか、あるいは国際間の情勢をよく知るとか、教育的に価値があると思われたから、先ほど言ったようにさらにこれは続けていって対策を進めていくんだということですが、これがえてして現場の方によっては、雪が降ると雪合戦を昔はやっておったものなんですが、雪合戦やると、これによって風邪を引いたり事故を起こしたらならぬというので、こういう問題を自然に、登山とか遠足とかなんとかいう、こういった問題については、非常に消極的というよりも、これは全部行事が削られていっておる。私は、特に学校の責任者の校長さん、教頭さん、ここらあたりは運動会一つにしても、楽しい運動会じゃなくて、けがせぬか、もうそればかり、後から起こってくる責任のことばかりを考えながらやっている。これじゃ私は教育は伸びていかない。こういうふうな観点から私は高専の裁判を見るわけです。こういう点については私は非常に今のところ対策が要ると思うんですけれども、これは文部省としては、例を挙げればたくさんありますが、どういうふうな指導をなさるおつもりか、ちょっとここのところをお聞きしたい。  これが先ほど申しましたように、都会の子供を地方の非常に危険なところとか、いろいろなところに教育の一環としてそこに連れていくという壮大な計画はあるんです。それと非常に関係があるものですから、私は、ごく最近における裁判等の結果、そして特に教員というものの責務、これが常に問われておる、こういった情勢の中では、先ほど言ったような学校現場の現象が物すごく今起こっておる。こういった問題についての反省なりあるいはお考えというのをお聞きしたい。
  29. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 学校の教員につきましては、先生おっしゃいましたように、学校教育活動から生じるおそれのあります危険から、そういう防止する十分な注意義務を負っているわけでございまして、これはすべて学校教育活動万般にわたって言えることでございますが、特に児童生徒の生命、身体に関するような危険を伴うおそれのあるものという点についてはなお万全の注意が必要とされるところでございます。  しかしながら、言うまでもございませんけれども、登山にいたしましても、その他野外活動等にいたしましても、いずれも心身ともに健全な児童生徒の育成を願って展開される極めて有意義な活動でございまして、こういった事故発生とか、あるいは責任の追及、裁判等によりまして教職員の気持ちが萎縮をする結果として、こういった野外活動等の十分な展開ができなくなるということはかえってマイナスでございます。そういう意味におきまして、すべてこの教員の教育活動と申しますのは、学校計画のもとに、学校の活動として十分な注意を払いながら、かつ積極的に取り組んでいただくべき事柄だと思っておりますし、そういう意味ではこういったひとつ各種の自発によりまして野外活動あるいはその他のクラブ活動、部活動が停滞することがないように積極的な取り組みを期待しておるところでございます。
  30. 安永英雄

    安永英雄君 私は、決して文部省のとっておりますこの種の問題についての対策というのは、今もおっしゃったのを含めて間違いではないと思 う。しかし今度の中国のこの惨事等からも見まして、今さっきの対策どなたもおっしゃるけれども、大体文部省としてはこの通知も出されるそうでありますけれども、とにかく安全を期しなさい、綿密な計画を立てなさい、行き先の調査は十分やりなさい、要するにとにかく精神的な指導というものですが、もう私は多くは言いませんけれども、もう少しそれを認めた限りにおいては、やっぱり今の都会の子供をという問題も含めまして安全の問題、そういった問題については相当具体的な計画指導の具体策というものを持ちながら、それを指導していく、これは掘り下げがいつも足らないんで、こういうときにいつでもああ言っておりました、こう言っておりました、せんじ詰めれば気つけて行けよ、あれだけ言ったのにと、こういう形ではこれは指導はできない。私は今とは申しませんけれども、もう少しこの際いい機会でありますから掘り下げて、とにかく文部省のできる限りの各校がやっていくのに非常に参考になるやり方をしないと、今のところ交通公社ぐらいで検討していったらああいうことになるわけで、私は文部省もこれを拝見した限りにおいては責任がある。この際ひとつ掘り下げてもらいたいというふうに思います。  それともう一つ、これは関連して公務災害という問題です。これは時間がありませんから私の希望だけを申し上げておきます。私も公務災害についてちょっと勉強してみたわけでありますが、どうしても公務員全般としての災害補償法、あれの中における教員の教職員のいろいろな事件についての、事案についての私は何といいますか、査定といいますか、審査といいますか、これが律し切れないような面がたくさん出てくるんですよ。基本的に言えば一般の公務員とは違うんですよという立場ばかりがずっと出てくるわけです。だから、一般の公務員の範疇の中に入らない問題がたくさん教育公務員の中には出てくる。それをやっぱり私の感じでは無理やりここに一般の公務員像というあの補償法に基づいて律していっているような気がしている。どうしてもやっぱり私自身は不満が残る。  皆さん方、いわゆる今度の初任者研修あたりの問題も教特法の中でさらにまた提案されておるようですけれども、やっぱり一般の公務員と教職というのは勤務の態様も違うし、責任の度合いがこれだけ問われるとなれば、この災害補償の問題については、私は教職員独自の法律をつくるなり、あるいは今の災害法の中に見直しをやっていく点が非常に多いというふうに私は感じます。いろいろな例とか今申しておると時間がありませんから、そういった点で検討していく私はお考えはないかというふうに思いますが、どうですか。
  31. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 教職員の公務災害につきましても、先生おっしゃいますように、地方公務員の災害補償の一環として行われておるわけでございまして、例えば教員が公務上の災害により負傷、疾病、あるいは死亡等の事故発生しました場合には、それぞれの補償が受けられる仕組みになっておるわけでございます。その場合に、通常の公務員との違いは多分こういうことじゃないかと思いますのが、通常の教育活動を展開している場合の公務災害は問題ございませんが、例えば先生が児童を休日等引率していかれた場合起きた事故等についての問題のようなケースはあると思います。その場合でも現在の取り扱いにおきましては、例えば休日等におきます一つの活動がいわゆる学校の公的な計画、管理のもとに行われ、かつ校長の指揮監督のもとに行われた行事という認定をされまして公務災害の対象になっているケースが多いわけでございまして、そういう意味ではあくまでも教員個人の活動ということではなくて、学校の行事として、校長先生の了解をとって、あるいは指示を受けて活動されている形態のものでございますればおおむね公務災害の対象になるというぐあいに考えられるわけでございまして、そういった点で一般的にはその教育活動が通常の地方公務員の活動と特に異なる取り扱いになっているというぐあいには理解していないわけでございます。
  32. 安永英雄

    安永英雄君 そうなると私も言わなきゃならぬけれども、時間がありませんが、あなたの考え方間違っている。  あの物すごい細目があるでしょう。細目ずっとありますが、あれ一つ一つ私も見てみましたが、一般の公務員と、今のような、責任を問われて、教育という場における災害、こういったものとは律し切れないところがたくさんありますよ。裁判の判決等を見ましても、あの項目とは別に項目を外れた判決というのがたくさんあるんですよ。これを私はいわゆる見直しを研究してみたらどうだということなんで、今のもので結構ですという答えなんというのはもってのほかです。検討しませんか。
  33. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 要は具体的に起こりましたケースにつきまして、地方公務員と異なり、一般の職員とは違いまして教員であるがゆえにその活動についての公務災害補償の対象外になって、それが極めて不適切な取り扱いであったというような事例というのは私はそんなに多くはないと思いますし、そういった公務災害の補償の対象になるような努力をしていただいていると思いますが、確かにおっしゃいますような具体的なこういうケースでこうなって、これは論理的にも公務災害補償の対象にすべきであるというような、いわゆる集約された御意見なり、そういった考え方がもしありますれば、当然私どもも検討するにやぶさかでないところでございます。
  34. 安永英雄

    安永英雄君 検討してください。  次に、この四全総の中で文部省から出ております高等教育機関適正配置という問題についてお聞きをしたいと思いますが、適正配置方向なり案というものをお持ちであったらお答え願いたいと思います。
  35. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 高等教育機関の設置あるいは拡充等につきまして、先生案内のとおりでございますけれども、戦後はある一定の水準に、大学設置基準の定める水準に達していればこれは認めるというような形での認可等が行われてまいったわけでございまして、その結果が結局、一つ我が国の高等教育への進学をこれほど高からしめたということの原因にもなっておろうかと思いますけれども、反面、地域的な配置の問題あるいは専門分野別の構成の問題等についていろいろひずみ等も出てきたのではないかという反省もあるわけでございます。昭和五十年代以降、そういった反省に立ちまして、文部省といたしましては三回にわたりまして高等教育整備計画というのをつくりまして、五十年代の前半が前期計画、後半が後期計画、それから六十一年度以降の急増に対応するものとして、現在はいわゆる新高等教育計画というものが進行中でございます。  こういったことの中で文部省といたしましては、大都市における大学等の新増設を抑制するということ、そしてそういうことによって地方での拡充を、できるだけたくさん出ていくようにというようなことを念頭に置きまして、それぞれの計画の中でも地域別にある程度のガイドラインのようなものを示しまして、こういった方向へ全体を誘導するという努力をしてまいったわけでございます。もちろん、各大学等の自主的な申請に基づきましてこの認可等は行われてまいるという基本的な建前がございますので、きっちりとその計画どおりに全体が動いたとは言い切れない面がございますけれども、全体として見ますればやはりそういうことが一つの効果を上げまして、例えば昭和五十年と昭和六十年という十年間における変化を比較してみますと、東京、大阪といった大都市圏へ学生が六五%集中していたものが現在は集中度は六〇%まで落ちてきているとか、あるいは東京都の場合には学生の収容率がその地域の進学者に比べまして一八七%というような数字で、要するに倍近い者が入れるという仕組みであったわけでございまして、それが全部地方から入ってきていたわけでございますけれども、この率も現在一四八%というところまで落ちてきまして、東京の収容力は落ちて地方にその分収容力が上がってい っているというような十年間の変化はあるわけでございます。  今後四全総の絡み等もございまして、また今後とも地域配置の適正化ということを図ってまいらなければならないわけでございますし、特に地方にしっかりとした短期大学あるいは四年制大学等ができていくということはこれからも望ましいことでございますけれども、ただ一方で、現在昭和六十七年度のピークに向けての新高等教育計画が走っているわけでございますが、私学の拡充の意欲が大変強いというようなこともございまして、既に昭和六十三年度までで九九%が達成してしまっているというような状況にございまして、少し多過ぎるのではないかという、将来の減少期を念頭に置きますとそういう問題意識等もあるわけでございます。また地方の特に新設の大学、短大等を見てみますと、かなり欠員が現在でも存在をしているというような状況等もございますので、いろいろ難しい要素を多々含んでおるわけでございますけれども、これから減少期を踏まえての取り扱いをどうしていくかということにつきまして、そういう状況も踏まえながら検討しなければならない時期に立ち至っていると思っておりますので、大学審議会等もせっかく発足をした時期でもございますので、そういったところでも御検討を願って、今後基本的には地域配置の適正化ということを念頭に置きながら、どういう対策を進めていくかということをさらに十分検討いたしたい、かように思っておる次第でございます。
  36. 安永英雄

    安永英雄君 おっしゃるとおり、方向として国土審議会でも審議して、そしてそれが具体的に計画案として出てきているわけですから、のんびりは私はできないと思います。だから、やっぱり手順等もはっきりしておかなければならないし、今ちらっと大学審という話もありましたが、これあたりは真っ先に、大学審の審議などというのはやっぱり分散計画といいますか、適正配置、これはぜひ進めていかなければならぬというふうに思います。  一つだけお聞きしますが、これは基礎になるのはいわゆる進学率あたりですが、七十五年ぐらいの進学率について当初国土審議会に出たときには六〇%というふうな数字を出して説明があったんですが、これはどんなふうな、今に自然にそうなるだろうという形じゃなくて、一応の推定を立てて適正配置の基礎をやはりしなければならぬ。その基礎は七十五年ぐらいに大学に対して大体どれぐらい進学をするのか、これあたりをつかまないとどうしてもなりませんが、これが消えたんですよ。最後の答申のときには消えちゃったので、これはまたこの六〇%は狂ったかなと思っておったんですが、これはどうですか。
  37. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 我が国の進学率でございますけれども、これまで十八歳人口に対しまして逐次上がってまいりまして、昭和四十年代の末か五十年代の初めぐらいであったかと思いますけれども三七、八%ぐらいの水準まで来たわけでございますが、その後昭和五十年代は停滞状況にございまして大体三五、六%ぐらいのところで推移してきたというのがこれまでの経緯でございます。そういったことを踏まえまして、現在走っております新高等教育計画はピーク時であります昭和六十七年あるいは八年という時点をつかまえまして、現在と申しますか、その計画がスタートする直前の昭和五十八年ぐらいの数字、三五・六%という数字は、子供の数がいかにふえてもそれだけは確保したいという計画でつくっておるわけでございますが、その後子供の数が減少をしてまいりますので、したがいまして昭和七十五年当時程度のところまでまいりましたときには進学率が約四〇%ぐらいまでになるであろう、こういうことで現在の文部省の高等教育計画では一応の見通しを立てておるわけでございます。  国土庁等とこれまでもいろいろな御議論の経過がございますけれども、ある進学の数字、六〇%という数字を私もよく存じておりませんけれども、いろいろな恐らく専門学校その他も含めてだと思いますけれども、一定の傾向で伸ばしていくという形でいろいろ数字を言われるケースがあるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように昭和五十年代の約十年間では進学率の上昇というのが停滞してしまっているという状況にございますので、非常に多くの数字を推計するのは大変難しかろう、こう思っておるわけでございます。それで七十五年ぐらいには大体四〇%ぐらいであろうかということを一応念頭に置いて現在の計画をつくっておるわけでございますが、なお今後の状況等を見守りながら、私どもとしては先ほど申し上げました大学審議会等で御議論いただく場合にはその辺のところについて具体にどう考えていくかということも含めて御議論をいただこうと思っております。
  38. 安永英雄

    安永英雄君 とにかく今まで文部省としては消極的な、都市部における新しい大学とか学部、そういったものを排除していくといいますか、そういった点については私は効果が上がっていると思うんです。しかし、今もおっしゃったようになかなか難しいことであるけれども、日常文部省として、都会にある、都市にある大学、これが地方分散していく、こういった努力も私は常々やっておかなければならぬと思う。  これは私率直に申しまして、文部省の方に相談に行ったら怖いと、こう言う。国土庁に行けば親切にやってくれると、こう言う。だから国土庁に行って調べてみましたら、これは確かに文部省の仕事をやっています。これあたりに見られると思うんですが、(資料を示す)これでは全国の各県、市町村まで入っている。私のところにこういう大学が欲しいと。それじゃというので、今度は国土庁の方が大学の方に行って、この町村が来てくださいとこう言っているが、あなたのところはどうかと、中に入りましてどんどん成功していっている。私は驚きました。これは文部省がやらなきゃならぬのを国土庁のあのわずかな人間の、しかも国土庁の一番上の方の汚い部屋で、あそこに行きますと、わっと各県のとにかく教育委員会から、知事から、市長から皆来まして、あそこで綿密にとにかく指導を受け、やっていますが、長く申しませんけれども、もう少しやっぱり今から都市につくっちゃならぬというのはこれは一つ分散の方策かもしれません。しかし、積極的に今この東京にある早稲田、大分県に行けとは言いにくかろうと思うし、実現なかなか難しいんですけれども、現に成功して行っているし、分校あたりをどんどん持っていっているということになれば、もう少し文部省の方も親切に窓口を開いて、そういったものについての推進というのをやってもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。
  39. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 文部省といたしましても大変認可をする立場ということでございますので、いろいろ難しい立場はあるわけでございますけれども、特に申請者に対しては親切に対応したいということもございまして、先般、昨年の夏でございましたか、新しく設置関係の御相談を受ける部屋もつくったりなんかをいたしておりますし、また援助の面につきましても、例えば地方の私学については経常費助成等の中で若干なりとも対応できるようにというようなこと等も行う、あるいは融資等の面におきましても移転する場合についてのできるだけ手厚い融資というようなことも考えたい、いろいろなことはやってまいっておるわけでございます。ただ、私ども立場になりますと、いろいろ御計画が出てまいりますけれども、本当にそこの土地でその私学がちゃんと運営をしていけるかどうかという心配も一緒にしなければならないという面もございますので、あるいはある程度厳しいという対応を感じられる方々もあろうかと思いますが、御趣旨先生のおっしゃることはよくわかりますので、窓口の段階でも十分注意をして対応したいと思います。
  40. 安永英雄

    安永英雄君 余り怖がらせないように、地元負担がどうなんだ、議会が決めたのか、何ぼ土地を提供するのか、いろいろなことをやっておりますと、田舎の方の大学つくろうって、それが文部省の言うようなことじゃつくれませんから、あきらめて帰る。できるだけそれができるようにやっぱ り指導をしないといけません。  時間がありませんが、放送大学の問題についてお聞きいたします。ことしの放送大学の入学者、どうなっていますか。
  41. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 放送大学の入学の状況でございますけれども昭和六十年度に開学をいたしまして、今回いよいよ四年生にまで進んでくるという状況でございますが、六十年度の開学いたしましたときが入学者が一万七千人、六十一年度が九千人、六十二年度が約一万人ということでございまして、六十三年度の入学者につきましては、現在手続中の者等もございますので確定はいたしておりませんが、本年度とほぼ同程度、約一万人程度の入学生があるという見込みになっております。
  42. 安永英雄

    安永英雄君 時間がありませんからあれですけれども、今おっしゃったような数字ですから、放送大学といえば大臣のいわゆる所信の中にも出てくるし、それから今申した四全総の中にも出てくるわけで、生涯教育というとすぐ放送大学、必ず放送大学入っていますけれども、実態は今申されたような数字の人が恩恵にあずかっておる。要するに関東一円、首都圏を中心にした関東だけの人がこの大学に恩恵を受けているわけです。一番やっぱり欲しいのは北海道や九州や、勉強しようといってもなかなか機会のないこういう人たちこそ早くこの大学の恩恵を受けるようにしなければならないんです。この放送大学をつくるときには、三年間ぐらいですか、ここで審議していったあの当時の文部省の意気込みなんというのは、本当に膨大なとにかく予算も提示しながら、今にも全国すぐにできるような提案をしておいて、そしてもう今度は第一回生が出てくると思うんですが、卒業すると思うんですけれども、いまだにまだ関東一円、聞こうかと思ったんですけれども、調べてみたらそうあれから変わっていないんです。  そこで、生涯教育ということを常に考えていく場合に、放送大学というのは必ずあれの中心に座っておるくらいですから、これがやっぱり完成を一日も早くやらなければならぬというのが私のこの質問趣旨なんですけれども、私はこの前ちょっと新聞を読んでみましたけれども、予備校で、衛星の中継で予備校の授業をしているという、予備校でも全国のネットワークをつくりまして、それでやっているというのを聞いて私はびっくりしたんですけれども、それにかえてまだ関東一円ですが、この放送大学を審議する中で、あの当時はもう既に衛星を使ってやるという計画も一部にはあったわけです。私どもはそれを随分質問をしたんですけれども、これはやっぱり研究にかかったらどうかと思います。結局、あの当時だって研究をしましたときには、通信衛星の一つのチャンネルを買い込んだらどうか、そして放送大学もユーザーになって負担するということになるけれども、仮に四チャンネルあります衛星というものの一つをとれば四分の一で大体済む。その当時は打ち上げる予算というのも加わって非常に高かったわけですが、その高いのでも、ひとつやってみようかという、この研究もあの当時進められたわけです。詳しく聞きたいんですけれども、今から全国にずっと関東と同じような形になっていくとすれば、それは膨大な予算、金がかかるわけですが、あの当時でも衛星を使えば、うまく郵政省あたりとも話がつけば、完成年度の予算の四分の一ぐらいで済むというふうな答えもいただいたこともあるんです。  私は、大臣、これは金の非常にかかる問題ではありますけれども、やっぱり二十一世紀へ向けて生涯教育だけでもどこでもいつでも勉強できるというふうな機会をつくるとすれば、やっぱり放送大学は一つ中心にならなきゃならぬ問題です。私はやっぱりもう塾でも東京から各塾に衛星使ってやっているという時代ですから、こちらの方も検討に入られたらどうだろうか。今まで全然なかったわけじゃないんですから、そうすると、私は時期も非常に早くなるんじゃないかと、このように思いますが、どうでしょうか。
  43. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) おっしゃいますように、この放送大学は生涯学習の重要な中枢を担いますメディアでありますので、今まで先生御存じのように、放送衛星ということの活用ももちろん考えます。同時に、今は有線放送でふやしておりますが、同時にもう一つは、放送大学を受講されている方が、お勤めの方がありましたり、御家庭の方が大変これを有意義に使っておられますが、その時間によって放送が入りましてもそれをビデオに撮って御自分の一番都合のいいときに学んでおられるということでありますので、ビデオの頒布を全国的にするという方法も一つあるであろう。それも含めまして、例えば放送衛星ですと六十五年に第三衛星、六十六年に第四衛星でございますか、今が要するに予備衛星を使ってやっておるわけでありますが、独自のを上げますと、七十年程度になるわけでありますので、六十五年、六十六年のチャンネルを一つ使わしていただくためにはどのくらいな費用で済むのか、ビデオでやったらどうなのかということを今は検討さしております。同時に、学習センターをそれぞれつくってまいる、この費用もございますので、検討を専門家を交えてさせておるところでございます。
  44. 安永英雄

    安永英雄君 もう時間が参りまして、局長済みませんが、スポーツ、体育の問題につきましてはもう次の機会にぜひやりたいと思いますので、失礼しました。  終わります。
  45. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 先日、大臣の所信表明をお伺いいたしました。そのときに、臨教審が三年間の活動を終えた、政府としては、既に各般施策の具体化に着手をしておりますけれども、「今後とも臨時教育審議会答申に示された広範多岐にわたる改革提言の着実な推進に努めることとしております。」と、こうあります。私は、教育改革というのは大変お金が必要になる、こういうふうに思っているものでございますけれども、ことしの政府予算の伸びは四・八%、文部省所管の一般会計は伸び率がわずかに〇・〇六%でございますね。そういう非常に厳しい文部省予算でありますけれども、臨教審答申を受けて、今後とも「提言の着実な推進に努める」というためには、どのように文部省はこの予算を持っていかれようとしていらっしゃるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  46. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) おっしゃいますように、ことしは特に教育改革本格実施の年でございますし、臨教審の示された諸般の方向に従って着実にこれを進めていきたいと、こう思っております。そういう中で、二十九億円プラスの四兆五千七百六十六億、これ計上さしていただいておるところでございまして、国の一般会計とはこれはちょっと比較が難しいわけでございますが、一般歳出の中では大体一四%近いところを占めさしていただいておる。ただ、これで決して、今後進めていくのは非常に厳しいものがございますけれども、一応六十三年度はこの四兆五千七百六十六億で賄わしていただく。ただ、その中で示されましたいろいろな重要項目につきましては、与野党の先生方の応援もいただきながら、それぞれ重点的には予算項目に計上さしていただいておるところでございますので、特に教育改革の方向に従って重点配分をいたしながらやらしていただく、こういうことでございますので、六十三年度はこれで頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  47. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 臨教審は歯切れのいい部分もありますけれども、何を言っているのかよくわからないという部分も大変たくさんあったように私ども見ておりますが、その中で特にこの教育財政の問題については本当に何を言っているかわからない。教育改革には金がかかるんだから財政をしっかりしなさいというのでもなしに、財政全体との関係を重要視してなんというよく意味のわからないような答申をしております。  この答申が終わって、これに直接参加されました内田健三さんの「臨教審の軌跡」という本、それから朝日の大森和夫さんの「臨時教育審議会三年間の記録」という本をずっと見てみましたけれども、大変おもしろいと言っちゃ悪いんですけれ ども、非常に大変な審議だったんだということを感じながら、私はその答申の中にあるいい部分についてはぜひ文部省も早く取り上げてほしいと、こう思っております。ところが、ことしの予算の中で初任者研修制度五十三億円、四三・二%増などというのがあるかと思えば、一方では伸び率ゼロとかあるいは大幅に削減をされている部分もたくさんあるわけです。  その中で、特に人件費の部分が七六・五%、去年よりもまた上がっておりますね。そして物件費がその意味ではまた少なくなってきている。幾ら教育は人なりと、こう言いましても、条件が整わないで教育が進められるわけはないと思うのであります。大臣もきのうの甲子園、非常に私すばらしいごあいさつだと思いながら感激して聞いておりましたけれども、あそこに参加してくる子供たちの中で、東北勢とか北海道勢が優勝するなんてことはもう極めてまれですね。それは何かといえば、私も新潟ですけれども、半年の間雪に埋まっているような地域、あるいは三カ月、四カ月ともう練習もできないような、そういう地域から出てくる子供たちが、一年じゅう練習できる子供たちと対等に戦い合う、それで勝つということはもう本当に至難のわざだというふうに思うんですね。ところが、そういう中からベストエイトに残ったりフォーに残ったりする学校が出てきている。それは何か。学校が通年野球練習できるような、そういう施設、条件を整えているようなところが出てこれるわけですね。そういう意味で、ぜひとも教育予算を伸ばしていただきたいと、こう思っているのですけれども、今後の御努力に期待をしながら、今度の予算の中で、義務教育費国庫負担制度に関連をいたしまして伺います。  ことしもこの義務教育学校教職員の定数改善というのが非常に大幅に増額をされているわけでありますが、この義務教育費国庫負担金の問題は、常に予算編成に当たって大問題になってくるわけであります。この法律そのものを文部大臣はどのように認識をしていらっしゃるか。そして、きょうは大蔵主計が来ていただいていると思いますけれども、大蔵省としてはこの部分をどういう理解のもとに予算をつけていらっしゃるのか、伺います。
  48. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 義務教育は、特に国民の基礎的な資質を養う重要な期間でもあり時期でもございます。その義務教育費国庫負担制度というものは、言うなれば教育機会均等と申しますか、それから教育水準の維持向上を図ります上で重要な役割を果たしてきていると認識をいたしております。今後とも義務教育の妥当な規模と内容とを保障するために必要なものというふうに考えております。
  49. 伏屋和彦

    説明員(伏屋和彦君) 財政当局としてどういう理解のもとで予算編成に携わっておるかという御質問でございます。私どもといたしましても、文部大臣から御答弁がありましたように、憲法の義務教育考え方にのっとりまして、この義務教育費国庫負担法が、教育機会均等とその水準の維持向上を図ることを目的として、国が必要な経費の一部を負担することを定めた法律であると理解しております。その上で、そのときどきの国と地方の財政状況等を勘案しながら予算編成に携わっておる考えでございます。
  50. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 主計官の前半、よろしいんですけれどもね、後半、悪いですね。そういう考え方を持っていれば、そのときどきに応じて自分たちの判断で幾らでも変化させていくわけですから、そこが問題なんですね。しかし、六十三年度予算の中に事務職員とそれから栄養職員の適用外しをしなかった、そのまま通ってきたということについてはあなたの努力を私は感謝をしたいと思っておりますが、しかし、もう一つ伺いますけれども、この国庫負担の制度が大変いわゆる補助金一括法によりましてカットをされていくわけであります。このいわゆる補助金一括法は六十三年度、ことしで終わりますね。それが終わった後は一体どういうふうになるのか、文部大臣のお考えと見通しと、それから大蔵省の見通しを伺います。
  51. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 先生おっしゃいますように、補助金一括特例法は六十一年度から六十三年度までの三年間の暫定措置になっているわけでございます。そこで、六十四年度以降の取り扱いの問題でございますが、これは、その時点におきます国、地方の財政状況、あるいは国、地方の役割分担のあり方等諸般の情勢を勘案しながら関係省庁と協議をいたしまして適切に対処したいと考えているところでございます。
  52. 伏屋和彦

    説明員(伏屋和彦君) 補助金等に係ります暫定措置、先ほど先生がおっしゃったとおり期限が到来するものでございます。期限終了後のこの取り扱いにつきましては今後の問題として検討しなければならないわけでございます。その際には、いろいろな情勢の推移とか、国と地方の役割分担とか、国と地方の財政状況を勘案しながら、文部省の御意見も十分に入れながら関係省庁と協議して、私どもといたしましても適切に対処をしてまいりたいと考えております。
  53. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省にお伺いしますけれども、この問題については大蔵大臣と自治大臣との間にちゃんと覚書がありまして、三年たったらやめます、こうなっているわけでしょう。三年たったらやめるんだったら、私たちはもとに戻すべきだ、こう思っているわけですけれども、その認識はないんですか。
  54. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 事柄は極めて、特に義務教育費国庫負担金につきまして多額の経費を要する事柄でございます。そういう意味におきまして、当然、例えば概算要求基準がどの程度になるのか、その中でこなせるのか、いろいろな問題もあると思いますし、それからもっと大きな問題でいいますと、先ほど私からも、あるいは主計官からも申し上げましたような、国、地方の財政状況の、あるいは諸情勢の推移等もあるわけでございますから、そういう意味におきまして、今後の取り扱いの問題というのは当然関係省庁で十分協議をした上で対応の仕方を考えるということになろうかと思います。自動的にこのままもとへ戻るという客観情勢であるかどうかにつきましては、もっと大きな立場から、文部省の域を越えた大きな国全体の事柄ではないかと考えているわけでございます。
  55. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省を越えた国全体の問題であるとしても、それを協議する場所には文部省は出ていくわけであります。どうぞ、どうぞあなた方はお話しください、私の方は伺います、こういうものではないと思うんですね。文部省としてはどう考えるか、ここを伺っているわけであります。
  56. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 私ども立場から申し上げますれば、義務教育費国庫負担法が制定されまして今日に至りました間にいろいろな動き等がございました。しかし、大きな変動要因といいますのは、何と申しましても、国と地方との財政状況中心としました財政上の大きな問題でございます。文部省立場でこれを例えばすべてもとへ復せということでございますれば、その場合の財源措置はどうするのかということがあるわけでございます。それは今の国財政の仕組みの中で文部省のみ単独でこうしてほしいという希望、意見がそのとおり通るかどうかという客観情勢の左右する要因が大きいのではないか。そういう意味で今のようなお答えを申し上げさしていただいている次第でございます。
  57. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私の調べたところでは、六十一年の恩給費、共済費の追加費用、これが二分の一が三分の一に削られて八百四十二億ですね。六十二年の長期給付の二分の一が三分の一になった、これは二年間でありますけれども、三百七十億。これ期限切れになるんですね。私は文部省やっぱり戻してほしい、こういう意見を言うべきであろうと、こう考えるわけですが、大蔵省はどう今のところ考えているんですか。
  58. 伏屋和彦

    説明員(伏屋和彦君) 先生がおっしゃいましたように、これは六十三年度で暫定措置の期限が終了するわけでございます、したがって、六十四年度以降この取り扱いをどうするかということは、やはり基本的にどう考えるかという話と、それか ら六十四年度以降の国と地方の財政状況というものを見きわめなければならないものでございますので、まあ繰り返しになって申しわけございませんが、私どもとしては文部省の意見を十分お聞きしながら、関係省庁と協議して適切に対処をしてまいりたいと現段階では申し上げるわけでございます。
  59. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 わかりますよね。六十三年度の予算がまだ通りもしないのに、六十四年度どうするかなんてこと答弁できるわけありませんから、それは私は理解をいたします。しかし、この財政中期展望を見てみますと、補助金もとに戻して計算をしているんじゃないんですか。
  60. 伏屋和彦

    説明員(伏屋和彦君) 財政の中期展望は、やはり国会での法律、そのほかの制度等を前提としておるわけでございますので、それに基づいて計算をしておりますが、あくまでこれは中期展望でございまして、六十四年度以降の具体的な予算をどうするかということはこれからの問題ということで御理解いただきたいと思います。
  61. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 御理解ができないわけでありますが、本則に復元して計算をしているわけでありますから、その点ではきちんとした対応をしてほしいということを要望しておきます。  主計官、御苦労さまでした。  次に、今の質問に関連をいたしまして、義務教育学校教職員の定数改善等について伺います。まず第一に、第五次の十二カ年計画は単なる計画ではなくて、私は法定されたものだというふうに考えておりますが、文部省のお考えはいかがですか。それとあわせて、これは十二カ年計画で六十六年度完結ということになっておりますけれども、これについての決意はいかがですか。
  62. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) この教職員定数改善第五次の計画は、昭和五十五年から昭和六十六年度までの十二カ年間を目標として立てられたものでございまして、先生おっしゃいますように、法律の上では昭和六十六年度で完結するということになっているわけでございます。その意味におきまして、途中昭和五十七年から五十九年度にかけまして、いわゆる臨調答申に基づきます凍結抑制措置が講ぜられました関係で大幅におくれを生じたわけでございますけれども、今後の児童生徒数の減少に伴います教職員の定数減を考慮しながら、着実に昭和六十六年度に向かって目標実現のための推進に努めたいと考えているところでございます。
  63. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 着実にと、こういうふうに言われましたけれども、今までも何度も何度もこのことは文教委員会質疑がありまして、文部省は六十六年に完結をさせますと、こういう決意を述べているわけでありますから、それはきちんと守ってもらわなければなりません。それで、今まで九年間かかってきましたこの全体計画に対する実施状況、あわせて進捗率、どうなっておりますでしょうか。
  64. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 昭和六十二年度、現時点でございますけれども、この改善計画の達成率は三〇%でございます。今回御審議いただいております昭和六十三年度予算が成立いたしますれば、昭和六十三年度におきましては全体の達成率は四二・七%になるわけでございます。したがいまして、残り六十四年度から六十六年度までの三年間に残りの五七・三%を実現する必要があるということになるわけでございます。
  65. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 九年かかって四二・七%、あと三年で五七・三%、これ大変なことですね。今度の三年間が私は文部省にとっては正念場だというふうに思います。それから、今伺いましたその進捗率の中でも教職員定数の改善増に対する進捗率、ちょっと細かくなりますけれども伺いたい。
  66. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 昭和六十三年度の予算案で申し上げさせていただきますと、学級編制の改善の達成率が四〇・五%、それからその他の教職員定数の改善増の達成率が四五%になるわけでございます。ちなみに、六十二年度、現時点におきます四十人学級の教職員定数増が三〇・二%、それからその他の教職員定数の改善増が二九・八%でございます。
  67. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私の言った意味がよくわからなかったのかな。例えば養護教員の定数の改善あるいは事務職員の定数の改善とか、こういう細かいことを伺ったわけです。
  68. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 職種別に申し上げますと、いわゆる教職員定数改善、先ほど申し上げました四五%の内訳といたしましては、教員定数の改善が五九%、養護教員定数の改善が三四・八%、事務職員定数の改善が二二・三%、学校栄養職員定数の改善が三一・七%、それから特殊教育学校教職員の改善増が四七・三%、これら全体を平均いたしますと教職員定数改善増が四五%になるわけでございます。
  69. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 四十何%などということだとわかるんですけれども、どうして定数改善にアンバランスの進捗度が見られるんでしょうか。特に著しいのは事務職員ですよ、二二・三%。二〇%台というのはこれは何か特別の理由があるんですか、お伺いいたします。
  70. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 定数改善は六十六年度に目標が定められておるわけでございますが、それぞれの目標を達成します途中段階におきましては、それぞれの職種あるいは教職員の分担内容等に応じまして緊急度の高いもの、あるいは特に学校現場等の要請があるもの、そういった点を総合勘案いたしまして改善を図っているわけでございますが、今申し上げました学校栄養職員あるいは事務職員、養護教員等につきましての教員に対する比率が低い理由といたしましては、学校の例えば教員につきましては、それぞれのまず教育活動を展開する教員についてのその必要性等に基づきまして、そちらを優先的に改善を図っていったという状況があるわけでございます。そして、今申し上げた養護、事務、栄養士等につきましては、それぞれの目標はございますけれども、いわゆるひとつの、言葉は悪うございますが、小規模校への配分の必要性でございまして、そういった点の中で、教員配置を優先するか、これらの三種の職員を優先するかという、その緊急度の観点から若干の差がついているという状況でございます。
  71. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 しかし、行政としましては進捗率が大変低い。事務職員が二二・三%、学校栄養職員が三一%で養護教員が三四%だといえば学校現場どころじゃない、本人たちが我々は無視されているというような感じを持つとお考えになりませんですか。私は、この点はきちんと平等に公平に公正に扱っていただきたいということを要望しておきます。  次に、これからも児童生徒の数が減っていくわけでありますけれども、来年度から六十六年度までの四十人学級の完結の計画についてお伺いいたします。
  72. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 四十人学級につきましては、現在小学校が、児童減少市町村につきましては既に四十人学級が達成されておりますので、その他市町村の、今回六十三年度予算で第三学年まで実施をするわけでございますが、六十四年度以降はこれを第四学年、第五学年、第六学年と学年進行をもって完成する予定で進めております。それから、中学校につきましては、児童減少市町村の第三学年までを六十三年度予算措置をするわけでございますが、六十四年度以降につきましてはその他市町村におきます第一学年から六十四年度、第二学年、第三学年という形で完結をしたいという方向で最大限の努力をしたいと考えている状況でございます。
  73. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 具体的な数字を伺いますけれども、ことしは四十人学級が四千二百一人、配置改善増が五千八百五十人で、合わせて一万五十一人ふやす、こういうことになりますね。教員は、生徒が減りますから自然に減りますので、一万五千九百人。一万五千九百人マイナス一万五十一人ですから、教職員の定数はふやしたけれども減ったということになるわけであります。しかし六十四年度、六十五年度、六十六年度、文部省の資料などを見ますと、自然減がやはり一万四千四百、一万三千三百、八千九百とずっと続いていくわけで あります。それに続いて改善増定数というものはきちんと計画をしていらっしゃると思いますけれども、どうでしょう。
  74. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 私ども立場といたしましては、今のような、先生おっしゃいましたように六十四年度以降の教職員の自然減を見込まれているわけでございますので、それを考慮しながら、とりあえず四十人学級というものにつきまして、先ほど申し上げましたような小学校の学年進行並びに中学校児童生徒減少市町村以外の市町村につきましての第一学年からスタートし、三年間で完成をするというような考え方で、そちらの方の定数をまず優先的にはじき出し、そして残りました部分でその他の教職員の配置率改善の定数を段階的に進めていきたい、さように考えている次第でございます。
  75. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 社会党の方から文部省に対して予算審議に当たって資料を出しなさい、こう言っておたくから出てきた資料を私今持っているんですけれども、四十人学級ことしは四千二百一人ですけれども、来年からは八千二百三、八千百、八千六と八千人台がずっと三年間続くわけですね。ことしの倍ですよ。ことしだって大変だったのに、来年、再来年、その次と八千人台が続いていきます。配置改善増は二万一千二百四人。三年間ですから、三年で割れば、平均すれば来年七千人、その次もその次も七千人と、こういう計算になるんでしょう。それはどう考えていらっしゃるんですか。
  76. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 先生今おっしゃいましたように、文部省として考えております現在の案といたしましては、四十人学級の改善を昭和六十四年は八千二百三、六十五年度が八千百、六十六年度が八千六でございまして、それ以外の教職員の配置率改善が二万一千二百四でございますので、これを三年間でこのような改革の中で計画を立てて進めたい、そういう数字でございます。
  77. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 合わせて年間一万五千人はふやさなきゃならない。文部省が非常に力を入れております初任者研修制度、ことしは試行ですけれども、来年何としても本格実施だというんですが、本格実施になると何人ぐらいこれ指導教員及び主事などを入れなければなりませんか。
  78. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) この本格実施の場合の定数算定がまだ正確にはいたしかねておる状況でございまして、基本的には、現在の試行いたしておりますけれども、今後のいわゆる初任者研修の場合に問題となりますのは新任教員が幾らかということでございまして、退職見込み数並びに採用数ということが必要になるわけでございます。そのためには前提として教職員の定数がどの程度措置されるのかによってもまた変わってくるわけでございます。しかしながら、こういった現在のままで計画どおりに進んでいった場合の将来の予測をしなければならぬわけでございますが、六十七年度以降につきましてもそういう意味では児童生徒の減少が続くわけでございますので、長期的な予測は極めて困難でございます。  ただ、現時点におきます試行の対応というものでおよその検討はできるわけでございますが、数字を申し上げまして、その点の数字が将来確定した場合の食い違いが出た場合、何といいますか、今確たる数字を申し上げることがそういう点でちょっと支障がございますので、今の段階では差し控えさしていただければと思います。
  79. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この場では差し控えさせてもらいたい、こうおっしゃるけれども、今まで大体八千人だ、こういうふうに言ってきたわけでしょう。だから一万五千人プラス八千人で二万三千人という教員をふやしていかなければならない、こういう計算に簡単に言えばなるわけですよ。確かに何人採用するか、この点も問題がありますけれどもね。  そうしますと、私は別の問題をしようと思ったんですが、続いてあわせまして初任者研修に入っていきます。文部省の中学校高等学校六十年度免許外教科担任許可件数というのが発表されております。これを見ますと、一年以内の期限で教科の免状を持たない教師に免許を与える、これが免許教科外教科担任許可ということになるんですね。簡単に言えば、無免許運転じゃないけれども仮免は与えますよという、こういう先生でしょう。この仮免先生が中学校で四万九百二十七人、高等学校で三千九百二十四人、約四千人ぐらいいる。特殊学校関係の中等部で三千四百二十二人、高等部で二千四百九人、国立や私立の中にもこういう人たちが含まれているということでありますけれども、大変な数字ですね。こんな仮免先生が大勢いる中で本当に文部省の考えどおりに初任者研修がきちんとできるんだろうか。私は大変問題だと思いますが、まずここから解消していくということが大事なんじゃないんでしょうか。どう思いますか。
  80. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 免許外教科担任の事例といたしましては幾つかの要因があると思うわけでございます。  一つは、先生御承知のように児童生徒の減少が始まりまして、小学校からスタートし、中学校、高校へと波及するわけでございますが、現時点では小学校が大幅な減少を続け、今中学校の減少期に入っているわけでございます。そういった状況の中でいわゆる教職員の人事構成のバランスをとるために校種間の配置がえ等もあるわけでございます。それからある意味で僻地校に対します教員の定数配置がまだ不十分な段階におきましては、どうしても複数の教科を御担任いただかなくてはならない。そのためには教科外担任の許可が必要になってくる。そういった児童生徒の減少に伴います校種間の問題、あるいは自然退職に伴います新探の補充が十分できない場合には教科別のアンバランスも生じてきているというような状況もございます。  それから、教職員の配置率改善を直すことがそれはもちろん一番必要でございますけれども、それがまだ進捗が途中段階である、そういった諸般の状況の中で今のような事例が出ているわけでございまして、先生おっしゃいますように、免許外教科担任の解消のための定員の充足ということも当然必要でございますし、今後また力を入れたいと考えますが、それのみによっては解消できない複合的な要因がある事情は御理解いただきたいと思います。
  81. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私もその仮免授業をやったことがあるものですからね。大変なんですね、自信もないし。そういう意味では本当に教職員の配置というものはきちんとやるように、予算上も大変でありますけれども、私は指導していただきたいと思います。  さて、先ほどからこの初任者研修のための指導教員、指導主事の数字が御答弁で明らかになったわけでありますが、ことしの予算の中に、この第五次計画の中に入っておりますね。指導教員と指導主事が改善増の中に入っておるわけです。もともと第五次計画が発足したときには初任者研修制度などというものは入っていなかった。したがいまして、この初任者研修、ことしは千人ちょっと超えるわけでありますが、指導教員は本格実施になったときには、私たちはこの制度には反対でありますけれども、当然この枠外に出ていくものだというふうに思いますが、それはどう考えていらっしゃいますか。
  82. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 先生おっしゃいますように、六十三年度予算におきましては、六十二年度分の試行分並びに今度は六十三年度で五十七県市に拡大いたします関係上、総体といたしまして千九十三名の初任者研修要員の定数措置をお願いしているところでございます。この定数につきましては、今進行中の第五次十二カ年計画の中でいわゆる教員の配置率改善の中の研修と定数といたしまして、本来でございますと、これはいわゆる教員の長期現職研修のための代替定数でございますが、その枠の中で措置をさしていただいているということでございます。  現在法案を提出いたしておりますが、初任者研修の本格実施がお認めいただければ、六十四年度以降におきましては、これは十二カ年計画の外で 文部省としては要求をさしていただきたいと考えておるわけでございまして、そういう形で措置されるようになりますれば、今回までの、六十三年度までの今申し上げた試行に対します定数分は本格実施に切りかわってまいりますので、その段階でいわゆる本来の研修等のための定数として使えるようになる、そういう考え方対応したいと考えているところでございます。
  83. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ちょっと時間があれですから、ここで。
  84. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会    〔理事仲川幸男君委員長席に着く〕
  85. 仲川幸男

    ○理事(仲川幸男君) ただいまから、文教委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告をいたします。  先ほど、久保亘君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     ─────────────
  86. 仲川幸男

    ○理事(仲川幸男君) 休憩前に引き続き、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管を議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  87. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大学の入学試験が猫の目のように変わるじゃないか、大変な国民からの不評がある中で、ことしの入学者も決定しているようです。さて、来年の十二月には共通テストが第一回実施をされるわけでありますが、これを利用するか否かの予告が七月になるわけですね。    〔理事仲川幸男君退席、理事林寛子君着席〕 そうすると、それに向けて三月十四日から説明会が催されたと聞いておりますが、その状況も含めまして現状を御報告いただきたいと思います。
  88. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 昭和六十五年度入試からを目指しまして、新しい入試改革を進めていきたいということで鋭意努力をしておるわけでございまして、既にその基本的な方向につきましては、二年ほど前に大学入試改革協議会の結論ということで一般に公表もいたし、さらに具体に詰めた結果を先般二月十五日に最終報告としてまとめたところでございます。  二年前に方向を決めましたとき以来、関係の大学等に対しましてはその内容をお配り申しまして、御検討等を願っておったわけでございますけれども、さらに最終的に若干の細目まで含めて方向がはっきりとしたという段階でもございますので、先般、国公私立の各大学の入試等の関係者の方々にお集まりをいただきまして、これは三日間にわたってでございますけれども、大変数が多うございますので三日間に分けまして説明会を行いました。具体の中身について十分御理解をいただくということがまず先決でございますので、そういう形で説明会をいたしますと同時に、午前中ほぼいっぱいかかって説明を申し上げたわけでございますが、さらに午後には具体に現在の共通一次の入試というのはどんな作業で、どう行われているかということを見ていただくという意味もございまして、入試センターも皆さんに視察をしていただいたというようなことで、いろいろお勉強をいただいたわけでございます。  先生の御質問にもございましたように、七月の時点を目途にいたしまして各大学で、特に私学の関係につきましては、この新しいテストについてどういう対応をするかという基本方針をお決めいただくということを予定いたしておりますので、現段階では各私学が具体にどの程度どういう形で利用するかということは明らかではないわけでございますけれども、これまでも非公式に聞いておりますところによりますと、いつの時点から利用するかということは別にいたしまして、この件については真剣に前向きに検討しているという趣旨でお答えをいただいている大学も数十校に上っております。逐次このテストについて各大学における具体的な御検討が進められ、このテストの利活用についての理解が深まるということを期待いたしますと同時に、今回の入試改革は、このテストを利用していただくというのがねらいではなくて、要すれば受験生の能力、適性等について従来の学力検査一辺倒で一発勝負で決めるというんではなく、多角的にこれを入試の段階で判断をしていただくというような個性的な入試の実現ということをねらいとしておるものでございますので、そういった方向へ向けて各大学での御検討が一層進むということを心から期待をしているというものでございます。
  89. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういたしますと、この私大参加というのが非常に大きなかぎを握っているという見方は間違いになりますか。私大の参加が少なくてもこの共通テストは実施をする、その理解はどうですか。
  90. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 私どもは、今までの入試のシステムの中で、私学につきましても臨教審の答申の中でも学力検査一辺倒であるというようなことを改善すべきだという批判も行われておるわけでございます。今までの仕組みの中でそれがなかなかできてないということを考えますと、やはりこういった新しいテストを利用することによってそれが実現をしていくというねらいが適切であると考えておりますので、そういった意味では、この新しいテストについて理解が進み、各私学等からも十分、これは自由な利活用ということになっておりますけれども、自由にして創意工夫に富んだ利活用をしていただくというのが願いでございますので、できるだけ多数の私学にそういった方向での御理解を得たいと思っておりますけれども、ただ、入試につきましては、一斉に何かがスタートをするというようなたぐいのことでもございませんし、本来各大学が自主的に方針を決定していくという性格のものでもございますので、当初に何校入ったからやるとかやらないとかいうことではなくて、ある程度の時間をかけながら御理解をいただき逐次進めていくということが適切であろうと思っておるわけでございまして、そういった方向でまずは理解を求めるという努力をしておるわけでございます。
  91. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 理解を求めるということに努力をしているといいながらも、前向きに検討しますというのは、参加をしたいということを含みにして、そういうお話をしていらっしゃるんだろうと思いますが、そんな大学が数十校あるという分析をしているわけですね、文部省の方は。書かれたものなどを読みますと、私大の中には、ここに参加をしないと私学助成の関係もあるから文部省からお金がおりなくなるのではないかというようなことを漏らしているところがあるやに聞いておりますけれども、そのようなことはないと思いますが、どうでしょう。
  92. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 私どもの耳にそういう話が入ったということは一度もないわけでございますけれども、新聞とか週刊誌とかいろいろな報道の中にそういう私学助成でペナルティーを課するとか、あるいは認可の際にきつく当たるとか、そういったような憶測と申しますか、そういうようなのを書かれておるのは見かけたことがあるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、私どもは大学の入試は各私立大学の場合にも各大学が自主的に考えて改善を進めていくべきことというのは基本であるということに変わりはないわけでございまして、そういった見地から、これを利用しなければペナルティーを課するぞというようなことは口にしたこともございませんし、心で思ったこともないわけでございます。各大学で、ただ本気で考えてほしいということは心から要望しておるわけでございます。
  93. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部大臣は慶応へ行きましてお話をした。内容については定かでありませんけれども、多分共通テストへの参加を要請したのではないかというようなことがマスコミに書かれておりますけれども、確かに臨教審の会長代理をやられた石川さんとお話をされるということは、これは 非常に重いことでございまして、何かこれに関するようなお話はなさったのでしょうか。
  94. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 確かに私も母校を訪ねさしていただきました。その際の内容の中で、実は幸か不幸か、この問題についてはお話する機会がありませんで、全く話題に出なかったわけでございます。しかし話題に出たか出ないかということにかかわらず、この問題は一般的に非常に重要な問題でございますから、今の御質問に対しましてははっきり話題になっておりませんで、ただ、一般論から申しますと、政府委員お答えいたしましたように、やはり多様化、個性化を進めていく上で、御理解を得ながらこのテストを自由に利用していただくことによりまして、受験者の人間性、創造性あるいは個性を十分参酌して、いいところを酌み取っていただくようなテスト方法に進むことを心から期待をいたしておる一人でございます。
  95. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この共通一次の利用方法なんですけれども、臨教審と入試改革協の間にはいささかのそごがあるのではないかというふうに考えますけれども、まず参加の自由について第一次答申は「国公私立を通じて各大学が自由に利用できる「共通テスト」を創設する。」とともに、また「利用するか否か、利用するとしてもどのような利用方法をとるかは、国公私立を通じた各大学の自主的な判断に委ねる」、こう書いてあるわけであります。これ今そういうふうに説明されておりますでしょうか。
  96. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) その点につきましては、大学入試改革協議会の結論も同趣旨でございますし、私ども関係の国公私立の大学に御説明する際にもそういうことで御説明をしておるわけでございます。ただこれは、ただいまちょっと手元に資料が見当たりませんけれども、臨教審の答申の中でも例えば各大学個別にということも前提としながら、大学のグループでもって利用するというような方法もあり得るというような指摘等もございますので、利用の仕方についてはいろいろあると思いますけれども、強制的に一律にというような方向での方針をとっているわけでは決してございません。
  97. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 国公立も強制をされない、参加は自由である、こう理解をしてよろしいんですか。
  98. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 基本的にはおっしゃるとおりでございますが、ただ先ほども申し上げましたように、グループでの利用というようなこと等もございますので、国公立の団体等で具体にどういうような方向を出されるかという問題は今後の問題であろうと思います。
  99. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 第一次答申は、また「受験生への得点の通知」というのがありますね。これしなさいということだと思いますけれども、これはしないということになっていますね。それから「マーク・シート方式の改善」、これは一体どういうふうに改善をされたのかという問題があります。また「資格試験的な取扱い」「などを積極的に図る」と、こういうふうに言っておりますけれども、入試改革協はこれを受け入れておりますでしょうか。
  100. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 臨教審の答申でいろいろ個別具体の検討課題の御指摘があるわけでございます。  ただいまの御指摘のほかにも例えばいわゆる自己採点方式というのを取りやめて云々というような指摘等もあるわけでございまして、こういったいろいろのことについて現在入試改革協議会で検討し、あるいは事柄によってはそれぞれの大学の具体化の段階で検討するということになるわけでございますけれども、御指摘の得点告知の問題につきましては、これは改革協議会でも関係者、改革協議会は先生御承知のように国公私立の大学と高等学校側との協議機関でございまして、皆さんで議論をして結論を出していただくという会でございますけれども、その中でも随分議論があった事柄でございますが、ただやはり輪切り、序列化を助長しないということを基本的な方針として考えていく場合に、個々の受験生の得点を途中の段階で知らせるということはやはり受験産業等に寄与することになるのではないかという御意見が大変強く、ただもちろんやはり知らせてもいいんではないかという御意見もございましたけれども、そのようなことから当面は知らせないということで、なお今後の推移によってあるいは社会的な御意見等状況によって、もう一度考えることはあるべしという余裕を残しながら、今回は当面は知らせることはやっぱりよそうという結論に一応なっておるわけでございます。  また、マークシートにつきましては、これはかなり専門的、技術的な問題になるわけでございますけれども、マークシート方式を改善すべきだという中で、必要な改善を行っていくべきだということはまさにそのとおりでございまして、改革協議会でもそういうことでさらに一層努力をしようということになっておりますが、具体には個々の出題の段階でより一層思考力を問うあるいは思考過程をわかるようにするというような出題を具体にどうしていくかという個別の出題の方式の問題になってくるわけでございまして、入試センターの研究開発部門におきましても、これまでいろいろな出題の傾向等について分析、検討し、改善の提言等をしてきたというような経緯もございますので、そういった努力を全体で積み重ねながら、さらに一層現在のマークシート方式による欠陥というものの可能な限りの是正を図っていこうというのが、これからの具体の入試センターにおける出題上の責任ということになってくるわけでございます。  また「資格試験的な取扱い」という点につきましては、これは個々の大学の扱いの問題になるわけでございますけれども、個々の大学で、自分のところは例えば何点以上の者についてまず一次をパスさして、二次以降は別の試験で検討をするというような扱いになろうかと思いますが、それにつきましては個々の大学の取り扱いとしてやることは可能でございますし、それぞれの大学の御検討に待つわけでございます。ただ、全体として資格試験にして何点以上でなければ、そもそも国公私立どこの大学へも入学志願の資格がないというふうなことにするというたぐいのことにつきましては、これはかなり問題があることでもございますので、さらに一層の検討が必要であろうということで、現在結論を出しておらないわけでございます。
  101. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 受験生への得点の通知をすることは受験産業を伸ばすと、こういうふうに言われますけれども、今はしてなくても受験産業伸びているじゃないですか。どっちやったって受験産業は伸びるわけでありまして、物の本質をきちんとわきまえて私は討議をすべき問題だというふうに考えております。  そうしますと、そのこともさらにはまた資格試験的、これは全体にわたるわけですけれども、こういうようなことについてはまだまだ話し合って改善をしていく、改革をしていくというゆとりと申しますか、そういうものだと、こう理解をしてよろしいですか。
  102. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 全体を通じての「資格試験的な取扱い」ということに相なりますと、これは現在各大学が個別に入試をやっているということをそもそも基本から直すということにもなってまいりますので、現在の改革協議会が出しました結論は、そういう方向はとっておらないわけでございます。ただ、個別の大学で、それぞれの大学の中で資格試験的に取り扱うということはそれは可能だということでございますので、全体を資格試験として取り扱っていく問題というのは、別途の課題としてこれは文部省としても今後検討していかなければならない一つの大きな検討課題だと、こういうふうに考えております。
  103. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この正式名称というのはいつ決まるんですか。
  104. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 試験のどういうネーミングをするかということにつきましては、これはありていに申しますればいろいろな御意見があるわけでございまして、そういった中で何を選ぶかということを、先般の改革協議会の御結論では、 これは行政当局にネーミングの問題は任せるという御報告をいただきましたので、私どもの方で現在鋭意検討中でございますが、もちろん、現在御審議をいただく予定にしております国立学校設置法の改正が成立をいたしました暁には、その後省令等でさらに細目等を決めていく必要があると思いますので、その時点にはぜひ正式なネーミングをしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  105. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 入試センターの問題につきましては、これから法律も出てくることでありますから、その法律の中で十分な質疑を行っていきたいと思っております。  私たち社会党は、結局共通一次というのを中曽根総理がおっしゃったように廃止をすべきだろう。そしてまた、新テストはしたがって導入を見送るべきであろう。今改革協が国公私立、そして高等学校も含めて協議の場になっているといいますけれども、私は、これがもう少し中学校などの関係者も入って、大学入試検討委員会などを設けて、国民合意の改革案というものを時間をかけて十分に討議をしていく必要があるのではないかということを言っておりますので、文部省もその点をよく理解をしておいて、これからの討議に答えていただきたいというふうに思います。  さてその次は、先ほど午前中時間がちょっと中途半端になったものですからやりませんでしたけれども、これは文部省に対する要請ですが、今中学生が減少期に入っている。高校はまだ六十三、六十四は増ですけれども、その後がずっと減少期に入っていくわけですね。今大変増加をしているものですから、高等学校たくさん建てればよろしいわけですけれども、なかなか財政事情もあってこれ建っていかない。そういう中で、一クラスの人数が四十八人、それから多いところでは五十人ぐらいになっているわけであります。高校の先生方がテレビを見ながら、金八先生見て、あの教室一体何人いるのかなと言ってみんなで数えているというんですね。二十人から二十五人だなどと言って、あれだったらやれるよなという話をしているんだそうです。また大阪あたりでは四十六学級もあるようなマンモス校もあると。  こういう劣悪な教育条件の中で我々働いているんだけれども、これから減少期に入っていく。その減少期に向けて各県ではいろいろな施策がとられているわけですけれども、実質的試補制というのが行われているのではないかと私どもには考えられるような実態が出ております。それは千葉県なんですけれども、採用予定数が四百二人、その中で正規の採用が百三十五人なんですね。期限づきの一年の講師というのが正規採用よりも多い百六十人です。特別講師というのが二十四名、地公法二十二条によります常勤講師の採用が八十人、それから非常勤講師が八人なんですね。これは私、学校の運営としては大変な問題があるのではないかというふうに考えますが、この実態なんかも千葉の場合は明らかになりましたけれども、各県の状況が明らかになっておりません。それで、この問題について各県の実態調べていただけますでしょうか、どうでしょう。
  106. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) いわゆる産休代替等の臨時職員以外で一年程度、あるいは十一カ月のケースもございますが、ほぼ一年程度の形で、いわゆる正規任用でございます期限つき任用の形で、どの程度の職員が採用されているかということでございますが、昨年五月一日現在の数字でございますと、全国的に小中高等学校合わせまして約三千八百人がこのような形での一年程度の雇用で任用されているわけでございます。そのうち、高等学校の教員が千四百名程度でございました。  これはいろいろ理由もあるんでございましょうけれども、長期の病欠者あるいは長期研修者の代替要員として任用されているケース、あるいは正規のいわゆる採用候補者名簿でございますか、教員試験に合格したが採用者数が足りないという場合の代替要員として欠員補充する場合、さらには今先生がおっしゃいましたような、例えば児童生徒数が減少していく、教育の次年度の採用が見込まれない、そういった状況のために現員は余り大量には採用できないというような観点から、弾力的に対応する観点からの臨時的にこういう期限つき任用なりの実態があるようでございまして、それぞれ各任命権者ごとの県内の事情によって違うようでございます。
  107. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ですから、県立高校なんですからね。義務制と違いますから、文部省直接にとなかなかいかないと思いますけれども、これもう少し詳しい調査をお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  108. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 今申し上げた三千八百人の中のいわゆる内訳でございましょうか。
  109. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 今時間がありませんので、内容の詳しいことは後ほど直接御連絡いたしますからよろしくお願いをいたします。助成局、それで終わります。  次に、スポーツ関係の問題に触れていきますけれども、カルガリーの冬季五輪が終わりまして、今国民の目はソウル大会に向かっております。金メダルに目の色を変えるわけじゃありませんけれども、最近、日本の体育は非常に選手が弱くなった、こういう指摘がされているわけですけれども、文部大臣我が国のスポーツの現状について今どのようなお考えを持っていらっしゃるか。先進国と言われる、経済大国と言われているこの日本のスポーツが国際的に見て振るわないという理由をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  110. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 確かに、前回ロス・オリンピックで三十二個のメダルは取りましたけれども、あれは東欧圏が不参加の大会でもございました。それ以後、各国のスポーツ水準も高まっておりますし、ことしのソウル・オリンピックも目前でありますけれども、なかなか優秀な成績をおさめるのは難しいという状況であろうと、残念ながら思います。  スポーツ振興には、生涯スポーツというスポーツ愛好者の幅を広げるということが、まず私は必要であろうと思うんです。しかし、かつてやはり女子バレーボールが大活躍をしますと、全国にママさんバレーが非常に多く愛好される、そのように国民的な関心も高いものでありますから、優秀な成績を上げていただくことがまた国民の関心と層を厚くするという意味では相乗作用があろうと思いますので、ソウル・オリンピックでも大いに活躍を期待いたしておるところでございます。しかし、スポーツというのは一朝一夕にならないものでありますから、これからどのような方向でいくかと申しますと、端的に言って四つの方向でと思っております。  簡単に申しますと、一つはジュニア対策で、小さいときから素質を発見して適正に伸ばしていく。それには第二番目に指導者が必要でありますから、質のいい指導者を育てるということであります。第三番目は、さりながら根性論だけではいけませんので、医学的、科学的、医科学的な面で十分対応できるような制度、人を得ようということであります。第四番目は、カリキュラムの策定でございまして、種目あるいは年齢に応じまして適正なカリキュラムをつくっていく。  この四項目を総合的に進めていくことによりまして、生涯スポーツ並びに競技スポーツの振興を図っていきたい、このように考えます。
  111. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 日本のスポーツの国際的な地位を高めるということで、中曽根前首相のお声がかりでつくられましたスポーツの振興に関する懇談会、今竹下首相の私的諮問機関になっているようでありますけれども、これが三十日に報告書を出すということが報道されておりました。その内容を極めて簡単にお願いをしたいと思うのですが、予算書を見ますと、スポーツ振興推進懇談会七百万円があるわけです。これとこの首相の諮問機関との関連は一体どういうふうになっているのでしょうか。
  112. 國分正明

    政府委員(國分正明君) まず予算面から御説明申し上げたいと思いますが、私ども臨時教育審議会の答申の中、特に第三次答申におきまして、ス ポーツ振興のためにハイレベルの官民一体になったスポーツ振興の推進懇談会を設ける、こういう提言がございました。夏の概算要求を経て、今お示しの懇談会の経費を六十三年度予算案に計上さしていただいたわけでございます。これにつきましては、一応考え方といたしまして文部大臣の私的な諮問機関、あるいはスポーツに関する会合という位置づけをいたしておりますが、中曽根総理が開かれましたスポーツ振興懇談会は、この流れのものとは別個に官邸サイドで設けたものでございます。  それから、懇談会でどのような議論が出ているかということでございますが、具体の内容につきましては、まだ最終的な報告が出ておりませんので差し控えさしていただきたいと思いますが、私も毎回出席いたしておりますが、そこの中で出ている議論は生涯スポーツ、競技スポーツ両面にわたっておりますが、出席者が競技スポーツ関係者でございますので、どうしても競技スポーツ関係の振興策というのが中心の議題になっております。その中で言われておりますのは、先ほど大臣が御答弁申し上げました中にもございますけれども、ジュニア対策から含めたスポーツ指導の一貫性の問題、あるいは指導者の問題、あるいは施設の問題、あるいはこれを実現しますための資金の問題等々、あるいはこれを具体に実行いたします行政組織、あるいはスポーツ関係団体のあり方の問題、こういったことがこの懇談会の席上話題になっていることでございます。
  113. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この中で大変気になりましたのはメダリスト顕彰の問題で、功労金を出すか出さないかということだと思います文教委員会でもしばしば文化功労者あるいは芸術功労者などについていろいろな討議がありまして、文化功労者については年金がついてますね。その年金の額を文教委員会でいつも審議をしなければ額が上がらなかった。その審議のときには非常にいろいろな問題が指摘をされまして、一体何だ、文化功労者選考基準は、そのようなことまで言われて、聞き方も嫌ですし答える方も嫌な気持ちがあっただろうと思いますけれども、このスポーツ功労賞というのは一体どういうふうに、まだ答申を受けてないわけですから答えられないと思いますけれども、全然知らないということでもないと思いますので、その辺のお考えもちょっとお聞かせいただきたいし、また、あそこにスポーツ省を将来は独立しなさい、こういうふうに言っているんだそうです。そうすると、文部省ではなくてちゃんと対等にスポーツ省というものを置きなさいということなんだろうと思いますけれども、文部大臣、そういう点はどういうふうにお考えになりますでしょうか。
  114. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) これはスポーツにかかわることは、今申したように生涯スポーツあるいは競技スポーツ両方とも全国民的な視野でとらえなければならない問題でございますから、そういう意味で幅広く、そして年齢層も全年齢にわたる、こういうことでありますので、スポーツ省をというお言葉があるとすれば、これはほかからもあるわけでありますし、まだその懇談会の答申の中に、答申というか懇談会のまとめの中に入っておるかどうか定かでございませんが、そういう御質問を私も受けておりますので、スポーツ省をつくるくらいな意気込みでやらないとなかなかスポーツ振興は安易な形ではできぬぞという激励の意味として私どもは受け取らしていただいておりまして、これからの国民のスポーツ振興、これにつきましては最大限の努力をしていかなければならぬ、このように受け取らさしていただいております。
  115. 國分正明

    政府委員(國分正明君) もう一点のスポーツ功労者に対する年金の問題でございますが、これも懇談会でスポーツ関係者からいろいろな意見が出ている点でございますが、文化功労者に対する年金と同じような形でスポーツ功労者に年金を例えば出すというようなことは、一部の国でやっているところではございます。しかし我が国と体制あるいは社会的な仕組みと申しますか、あるいはまた国民の意識というものも異なるわけで、この点についてはいろいろ御意見があるところであろうというふうに考えております。私ども、現在一部の競技団体で年金制度を設ける、これは一時金的な報賞金をためておいて、選手が現役引退後、年金の形で支給する、こんな運用のものが多いわけでございますが、一部の競技団体でそういうこともやっておりますので、その運用と成果を見守りながら、国民的なコンセンサスが得られるような方策について検討してまいりたいと思っております。
  116. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 きょうは時間が足りませんから、このもしスポーツ功労金が出るとしたならば、一体アマチュアスポーツとプロスポーツとの関係をどのように考えていくかなどという基本的な討議をしていかなければならないと思っていたわけですが、三十日に出るわけですから、出もしないものについての質疑はやめることにいたします。  さて、この予算案を見ていきますと、国立オリンピック記念青少年総合センターについて基本設計、施設整備調査工事等の予算が十一億四千七百万円ついているわけですね。これ昭和五十五年に特殊法人を廃止をするというときに、文教委員会で本当に何回も何回も討議をしたところなものですから、私は大変記憶に新しいんです。当時の体育局長は柳川覺治局長だったと思いますが、随分御苦労を私どもの追及に遭ってなされたと思いますけれども、このセンターは何か中途半端に、あの都心の第一等地にあるものをしておいたんでは私はもったいないんじゃないかと思うんですね。その辺の構想をここのところで決めるのですか。どうでしょう。
  117. 齋藤諦淳

    政府委員(齋藤諦淳君) 国立オリンピック記念青少年総合センターを全面的に改築するための予算として、六十三年度におきましてはその整備の構想をまとめるという、そういう基本構想を立てる、それと同時に、基本設計を進めるという、そういう経費として今先生の御指摘いただいた経費の中の一億二千万円をそういう経費に充てたい、こういうふうに六十三年度の予算では計上されているところでございます。その線に従って、まずあの土地を生かしながら青少年の施設として基本構想をまとめて、なお基本設計にも検討をいたしたい、このように考えているところでございます。
  118. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういたしますと、簡単にまだまだ着工などということではなさそうですね。
  119. 齋藤諦淳

    政府委員(齋藤諦淳君) 相当老朽化しておりますので、できるだけ早くとは思っておりますが、せっかくのあの場所を、しかもせっかくの青少年のためにということで、十分基本構想についても検討いたしたい、このように考えているところでございます。
  120. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 次に、スポーツに関連いたしまして、文部省は体協に対して補助金を出しておりますね。私、体協の名簿を文教委員会で秋田に行きましたときにいただいたんです。ぱらぱらぱらとこう見ておりましてびっくりしたのは、まず女性が全然役員にいないということであります。これ体協の、何というんですか、性格というのか、何かそういうものをあらわしているような感じがするんですが、最近女性のスポーツに対する参加もすばらしいし、オリンピックや国際大会で活躍する部分も大変大きいと思うんですね。で、調べてみましたら、顧問が十三人いらっしゃる。会賓というのが二十一人、参与というのが六十一名、一人も女性がいないんです。どんな基準で選ばれるのか全然わからないんですけれども、どういう考え方で体協は運営されているんでしょうね。評議員というのにわずかに一人いるんです。それはなぎなたのところから、男性のなぎなたというのはないからしようがないんですけれども、小野清子先生が一人、参議院議員になって入られたのかどうかそれはわかりまれんけれども、ようやく一人入っているんですね。学識経験者八名、会長一人、あとありとあらゆるものを見てみましたけれども全然ないんですね。この辺についての何かお考え、文部大臣いかがでしょう。
  121. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) まず、前提といたしまして、体育協会は自主的な運営にゆだねられるべきものだと思いますが、しかし粕谷委員おっしゃいますように、私ども国民の目から見まして、スポーツ界で女性の活躍は目覚ましいものがございます。カルガリーにおきましても、黒岩君の三位、銅メダルはもちろんでありますが、他は女性軍が大変な敢闘をしていただきまして、私どもの心に一つの感激を呼び起こしていただいたという感じがいたします。そういう面は、今突然起こったのではなくて、長い間女性選手の活躍、目覚ましいものが今日に続いてきたわけでありますので、当然どのように選ばれておるか、それは私どもから口を挟むべきことではございませんけれども、率直に申し上げて粕谷委員と同じような感想は私も今伺っておりまして持ちました。どうかこれから、自主的な運営にゆだねられるものではございますけれども、女性の役員その他大いに入っていただいて御活躍され、先ほど申し上げた生涯スポーツ、競技スポーツの振興になおかつお力をいただきたいものだなという感想は率直に強く持ちました。
  122. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 あと一分ですから、一分で質問を終わります。  今の問題は、十分に対処をしていただきたいということを要望いたしまして、先ほど安永委員の御質問に関連するわけですけれども、本当学校は何か災害の場所じゃないかと思われるぐらい大変な学校内の災害というのか、事故があるわけですね。最近は裁判に訴えられる例もある。これも何回か文教委員会で取り上げてきましたけれども、その補償というのが大変ですね。二億円の補償だとか、一億三千万円の補償だとか、一億円の補償だとか、九千万円の和解だとかと、いろいろになっているわけですけれども、横浜市でプールの事故がありまして、それで一生もうひとりで働いていけなくなった、その少年に対して一億三千万円払いなさいということで結論がついたわけですけれども、横浜ではそのことがありまして、小中学校のプールの飛び込み台を全部取り払っちゃった。もう学校体育でそういうことをやらないわけなんですね。これもまた大変なことですね。  それから、先日事故が起きました例は、やっぱりプール事故なんですけれども、この少年の身長が百六十センチ、体重が八十三キロだそうです。中学校ではプールの深さが百七十、これ文部省の設置基準になっているんですか、そういうことです。百六十センチの子が飛び込んだときに百七十センチの水深でいいのかどうなのかという、こういう問題も絡みまして、そうかといって全部の中学校にそれだけの十分な深さを持つような条件を備えつけられるかどうか、これもまた疑問であります。それから、全部が全部体育の飛び込みの指導ができるなどという免許を持っている専門家の教師はいないわけで、ところが文部省は、これもこれも教えなさいという、そういうカリキュラムをつくっているわけです。この辺のところを十分に検討できるような場所というものを設けていただきたい、こう思いますが、文部大臣いかがでしょうか。それから体育局長どうでしょう。
  123. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) おっしゃる御趣旨はよくわかります。いろいろな問題、考え方があると思いますので、実務的には政府委員からお答えさせます。
  124. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 一つは水泳プールの問題でございますが、水泳プールのあり方、例えば水の深さというような一つをとりましても、小学校におきましても低学年から高学年まで身長がさまざまな子供がおります。あるいはまた、水泳が非常に上手な子、十分でない子、さまざまいるわけでございます。背が高く泳げる子には水が深くなければいけませんし、小さくて十分でない子には水が余り深いと危ない、こういう問題がございまして、これが絶対安全な一つの基準であるというのはなかなか示しにくいというのが率直なところであろうと思うわけでございまして、やはり先生指摘にございましたように、現実には個々の指導に当たる先生方の指導の工夫ということにまつよりないわけでございますけれども、そのために文部省としても、今までもやってきておりますが、従来以上に一人一人の体力とか健康状態とか、あるいは運動能力に応じました指導ができますような、そういう実技、指導能力の養成のための講習会、研修会あるいは指導の手引き等を発行して、そういう面で補ってまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  125. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 終わります。
  126. 梶原敬義

    梶原敬義君 三十六分しかございませんから、できるだけ私も短い質問をしますので、核心に触れた答弁をお願いしたいと思います。  我が国の柔道団体の分裂問題、すなわち柔道問題に絞って質問をいたします。私は、かつて本院の決算委員会で我が国の柔道団体の分裂問題、いわゆる柔道問題について二度ほど質問をいたしました。そして、数日前ですか、先週の金曜日に文部省の事務方の人ともちょっと資料をいただきながら話をしたんですが、一つどうしてもわからないことがあるので、本題に入る前に質問をいたしたいと思うんです。  講道館が国際センターをつくるに当たりまして、柔道連盟が、これは文部省の数字によりますと、昭和五十六年度に約一億一千四百万円余り金を集めて、その集めた寄附金、これは昭和五十六年。昭和五十七年が三億四千九百万円、五十八年度二億八千百万円余り、五十九年度一億六千万円余り、六十年度四千八百二十七万円余り、もっとあるはずなんですが、それを全日本柔道連盟が一応窓口になって集めて、そのお金を、集まった寄附金を体協に一時預けて、そして体協が、たしか三%だったと思うんですが、間違っておれば訂正してほしいんですが、多分手数料みたいな形で取って、そして今度は全日本柔道連盟の特別会計の中に入れまして、そして特別会計から講道館の国際センターを、私的な社団法人ですか、つくるためにそのお金が移っているわけです。それで、どこからどこまでが一体寄附行為に当たるのかさっぱりわからぬのですよ。講道館に行ったまでがどうも事務方の話ではそれは個人の寄附だ、こう言っているんだけれども、しかし体協で三%ぐらいの手数料、コミッションみたいなのを引いているわけだから、どうもこの前聞いた話と内容が食い違う。それから税法上の問題も相当生ずると思うんですが、この点についていかがでしょうか。
  127. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 講道館の百周年記念事業で御指摘の国際センターが昭和五十九年三月に完成したわけでございますが、この財源といたしまして、いわゆる体育協会を通しました免税寄附金というのが御指摘のとおりあるわけでございます。金額は先生お示しのとおりで、累計で申しますと九億五千三百七十万余りでございますが、これは柔道関係に限りませず、現在日本体育協会が所得税法あるいは法人税法上のいわゆる試験研究法人に指定されているわけでございます。したがいまして、これに加盟しておる各競技団体等が募金をやります場合に、具体の必要性はそれぞれの競技団体の場合であっても、体育協会を通すことによって寄附者が一定の控除を受ける、こういう仕組みになっているわけでございます。御指摘の場合につきましても実際の寄附は講道館のための、国際センターをつくるためという募金をいたしました。そして、これも他の競技団体と同じでございますが、関係の団体がそれをいわば一括一時預かりまして、それを体育協会に納入する、これが一つの寄附になるわけでございます。納入されました寄附金を体協が三%の手数料を引いてそれぞれの競技団体に交付する、こういう手続をすることによって所得税法上あるいは法人税法上のいわゆる免税措置というのがとられる、こういうふうになっておるわけでございまして、以上、仕組みと金額を申し上げまして、御答弁にかえさしていただきたいと思います。
  128. 梶原敬義

    梶原敬義君 主体的に体協がかんでおりますけれども、集めたのは柔道連盟が中心になって集めて、そして集まった金を体協に持っていって、体協から今度は柔道連盟の特別会計に入れて、特別会計から講道館に行っている。これは事実です か。
  129. 國分正明

    政府委員(國分正明君) そのとおりでございます。ただ、体協の場合にこれを免税扱いにするかどうかというのは体協自身が判断することでございまして、この募金を行うに当たりまして、体育協会として体育、スポーツの振興に役に立つ、こういうことから体育協会において免税募金として議論の上認めた、こういうふうに承知いたしております。
  130. 梶原敬義

    梶原敬義君 寄附というのはあくまで講道館には講道館にだれが幾ら寄附してくれたという、そこまでいく。あくまで講道館が国際センターをつくったときの寄附金は、その団体じゃなくて、個人から、個人の寄附の問題だ、こういう説明をおたくの担当者から受けたんですけれども、そことあんた言うのとちょっと違うね。
  131. 國分正明

    政府委員(國分正明君) Aという人が寄附します場合に、その方の意思としては講道館の国際センターの建設費を寄附する、こういうことであろうと思いますが、その際に、その方としては直接講道館に寄附してもいいわけでございますけれども、体育協会を通すことによって自分が一定の控除を受ける。そういう利益があるということで体育協会を通じて、体育協会を経由することによって免税の恩典が受けられる、こういうことであろうと思うのであります。
  132. 梶原敬義

    梶原敬義君 体育協会が講道館に寄附したんですか、個人が体育協会を経由して寄附したんですか。要するに、そこのところは大事な問題ですからね。
  133. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 実質的な意思は講道館に寄附したということであろうと思いますが、形式的には体育協会に寄附する、したがって、領収書等も体育協会が当該個人に交付すると、こういうふうになっていると承知しております。
  134. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、僕はその先を言っているんです。講道館は、じゃ、どこから寄附をされたんですか。
  135. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 実質的には当該個人から寄附を受けたことになろうかと思いますが、形式的には体育協会、それから全柔連を通じてその寄附金を受け入れた、こういうことであろうと思います。
  136. 梶原敬義

    梶原敬義君 要するに、税法上あるいは会計処理上、どっちから、形式的とかなんとかということはどうでもいいけれども、どっちが正しいのか。
  137. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 体協から受け入れたということになろうと思います。
  138. 梶原敬義

    梶原敬義君 確認します。体協が全柔連の特別会計を通して、そうして講道館に寄附したということなんですね。いいですね。
  139. 國分正明

    政府委員(國分正明君) そのとおりであろうと思います。
  140. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは相当税法上もいろいろ問題がありまして、私は決算委員会で、体協、柔道連盟、講道館の癒着の構造というのを質問しまして、資料ももらいまして、当初決算委員会で、私は昭和六十一年の十一月二十一日に質問するときに、ここら辺の資料を出してくれ、調査室を通じて出してくれと。これは出さぬ。そしてだんだんちびりちびり出して、やっとそこまで全部出してくれて、そういう状況なんですよ。文部省対応が大体そういう状況なんです。大臣、そこのところは、今の問題というのは非常に私は問題がある。私のところに来て説明したときに、あくまで講道館は個人からもらっているんだ、そんなばかなことがあるかと言うて、だから私はきょうは今思い出して質問しているんですけれども、これは問題ですよ。後また決算委員会か何か行って徹底して調べて、やっぱり問題のあるところはえぐり出してみたいと思います。  で、本題に入りますが、私は昭和六十一年十一月二十一日の本院の決算委員会において、全柔連と講道館のそういう問題は確かに取り上げたんですが、まあしかし、いろいろあったとしても今日の柔道会の分裂の問題というのは、これは本来日本からスタートした柔道ですからね。これはやっぱりいろいろあったって統一をすべきじゃないか。そして当時の塩川文部大臣に速やかな対応をするように強く要請をいたしました。大臣も、分裂は非常に残念なことだと、こう答弁がありまして、統一に向けて自分の任期中にやりたいという強い意向を示されました。そして本人いわく、一層馬力をかけてやりたいという、そういう決意の披瀝がございました。その後、昭和六十一年の十二月に有識者による柔道に関する懇談会が設置をされました。で、二月には第五回の懇談会において、柔道界改革のための基本的な考え方が三項目を中心に提示をされました。そこまでは私も経過タッチしておりましたから承知をしているんですが、その後の経過については一体どうなっているのか、わからないから、きょうは資料を出していただきましたが、あらまし文部省の方から大体の流れを報告していただきたい。
  141. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 六十一年十二月の柔道問題懇談会設置までの経緯は先生ただいまお示しのとおりでございますが、その後、この懇談会が何回か議論をいたしまして、五回目の懇談会におきまして、柔道界改革のための基本的な考え方、三項目にわたっておりますが、これをまとめたわけでございます。必要があればこの内容を御説明申し上げますが、この考え方につきましても全柔連、大柔連、それと学柔連に対して受諾するようにというような方向で相談をしたわけでございますが、学柔連はこれで結構であるということでございましたが、全柔連サイドにおきまして、三項目のうちの一つに新しい法人をつくるという中に自分たちがどういう立場をとるのか、つまり今まである柔道団体、全柔連も含めまして全部解散してしまって、更地の上に新しい法人をつくるということであるならば自分たちは承服をできない、やはり現に任意団体であるとはいえ全柔連という存在があるので、自分たちの全柔連の法人化ないしは全柔連が主体性を持って法人になるということでなければこのまとめは受け入れかねる、こういうような議論がございました。  その後九月になりまして、さらにこの新しい法人のための設立準備委員会を設けるというようなことで、その設立準備委員の構成比率等も示して、さらに全柔連と折衝したわけでございますが、基本的には先ほど申し上げましたように、全柔連が主体となって法人になるということでなければ受け入れかねる、こういうことになっているわけでございます。私どもも、このまとめ以後十数回にわたりまして文部大臣が直接あるいは私あるいは課長レベル、説得的な話し合いをしたわけでございますが、今日まで全柔連は先ほど申し上げました姿勢で対処している、こういうことでございます。
  142. 梶原敬義

    梶原敬義君 そこで、中島文部大臣にお伺いしますが、塩川文部大臣中心になりまして懇談会をつくり、三つの基本的な考え方を提示しておりますが、今、大臣は塩川文部大臣がとった考え方方針、手続、そして今懇談会の三つの基本的な考え方、こういうものについて大臣はどのようにお考えでしょう。
  143. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 柔道問題につきまして幅広い方々から御心配をいただいております。  その中の一つとして、先生指摘の柔道問題に関する懇談会、これを六十一年につくっていただきまして、その後今の御報告のとおり、第五回懇談会におきまして三原則が示されました。これでまとまれば一番結構なことだと思いましたけれども、せっかく三原則が示されましたけれども、一方でそれを全面的にがえんずるに至らないという点が残念でございまして、今また引き続き各方面方々が御心配をいただいて、何とか柔道一本化を目指して御努力をいただいておることに大変ありがたいやら、敬意を表する次第でありますが、それに対しまして、私ももちろんその線で努力はいたします。しかし、ここまでまいりますと、スポーツの祭典と申しますか、百六十カ国が参加するソウル・オリンピックを目前にいたしまして、どのような理由があれ、ここで一本化しないということはまことに残念、恥ずかしいことでありま すので、その点でひとつ小異を捨てて大同についていただく。  そのソウルを一つの節目としてというのは、ある大きな行事を節目として、それにかまけるようで申しわけないわけでありますが、しかし先生もおっしゃいますように、日本から発展をいたして世界の柔道になりましたものが、その本家本元で二つに割れておるということは、もう国内におきましても、世界に対しても顔向けできないことでありますので、やはりこの節目を両者ともに心に置いていただいて、今回はどちらがどちらという理由をお聞きする段階でなく、もう大同について一本化していただきたい、これを祈るような気持ちでお願いをしておるところでございます。
  144. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、昨年の七月三日の決算委員会において、塩川文部大臣は私の質問に対して次のような答弁をしておるんです。「この柔道界改革のためには中曽根総理も非常に熱心でございまして、私もよく相談しながらやっておるのでございます」云々と、こうなっているんです。これはかつて文部大臣が、海部文部大臣、塩川文部大臣そして中島文部大臣大臣が一生懸命やったにもかかわらず進まないということは、総理大臣もその気になってやっぱりやらないと、国のことですからね。みんなが裁判やって勝った負けたというのがあって、私も学生時代柔道しておりましたから、本当にこれでいいのかと、こう思うんです。竹下総理大臣はこのことに関して一体どのようなお考えを持っておるのか。ちょっとお伺いしたいと思う。
  145. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 私から総理の心の中までお答えするというのは僭越かもしれませんけれども、しかしこれは大多数の国民がやはり日本から生まれた柔道というスポーツ、これを振興するために内部が割れておるということは恥ずかしいことであり、一日も早く解決したいということは、これは万人の心でございまして、言うまでもなく一国の総理大臣であります竹下総理も、それに大変期待をいたし、腐心をなさっておることは間違いない、これだけは申し上げられると思います。
  146. 梶原敬義

    梶原敬義君 聞くところによりますと、竹下さん自体が余り乗り気じゃないような、ちょっと気がするんですが、総理大臣に塩川文部大臣は統一しようという努力を呼びかけているんですね。そして中曽根総理大臣もやっぱり関心を持ったと、こう言っているんです。だから、この際総理大臣を動かして、速やかなさっき言われましたような統一の機運というのをこの際つくらないと、これはオリンピックに行って、また変な結果が恐らく出るんじゃないかな、そう思います。ぜひそういう方向でやっていただきたいと思います。  それから、私はちょっとまたもとに返ってひっかかるんですが、どうもさっき局長から答弁がありました件ですが、いろいろ調べてみまして、柔道連盟の運営も、講道館の運営も、人も金も何か、まあ金はあれかもしらぬけれど、人がごちゃごちゃで、だれが運営をしているのか、事務はだれがどうやっているのか、これなかなかわからないですよ。資料も出ないしね。わかっておるんですよ。非常にそこのところが講道館と柔道連盟、そこがきちっとしてないところがあって、幾らそこを出してくれと言うけれども文部省も出さない。だから、これだけはちょっとお願いしたいんですが、柔道連盟が中心になって集めたお金、体協を通じて集めたと。九億何ぼよりもうちょっと実際は多いんじゃないかと思うんだけれどもね。講道館に行っているのは十四億ぐらいになるんじゃないかと思うんですが、それを今度は柔道連盟の特別会計に入れておるんですね。柔道連盟の特別会計を経由して講道館にいっているんですよ。どうもこの柔道連盟の特別会計を一回経由するというのもよくわからないし、ここのところをちょっと後でよく、まあ今説明できれば今でいいんですが、後でもいいんですが、後々のことがありますから説明してくださいますか。
  147. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 必要があればまた後ほど詳しく御説明申し上げたいと思いますが、おおよそのことをただいま御答弁申し上げたいと思います。  一つは、免税対象になります寄附金が九億五千万余りということで、先生ほかにもあるんではないかということでございますが、寄附金自体は十五億七千万ほどございます。これはそのうち九億何がしかは、いわゆる免税対象となっている先ほど来御議論がございます体協を通じました寄附金でございます。その残りの約六億余りでございますが、これはストレートに講道館に寄附にいっている、いわゆる免税の対象になってない、そういう寄附金があるわけでございまして、この免税対象とそうでないのと合わせると十五億七千万余り、こういう形の数字になっているわけでございます。このうち、全柔連を通している寄附金は、免税対象となっている九億五千万余り、こういう仕組みになっております。
  148. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうすると、体協が三%コミッション、手数料みたいなのを取るというのはどういうことなんですか。
  149. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 体育協会、この場合だけでもございませんで、先ほど来御説明申し上げておりますように、これに加盟する競技団体が、実質的には当該加盟団体が扱う場合であっても体協を通じて免税措置を受けられる、これは税法上の仕組みになっているわけでございます。そのために体協としては実質的には当該競技団体が募金します場合に、免税対象になるかどうかというような審査会等を開きます。さらにまた、それを受け取るための一定の事務量等も必要でございますので、そのため三%を徴収しているというふうに承知いたしております。
  150. 梶原敬義

    梶原敬義君 まあわかりません。また時間ないですから後で説明していただきたいと思うんですが、それでは、ちょっと変わった形で質問しますと、たしかこれもはっきりした数字じゃない。大体そうじゃないかということで、決算委員会のとき私は聞いたんですが、国際センターを住友銀行に貸している。そして恐らく月の家賃が六百万円ぐらい講道館に入っているだろうというのも、だからそこのところははっきりしない。恐らくそうじゃないかということで、私はあのときに質問したら、それに対する違うんだという数字も出ておりませんでしたが、そこははっきりしません。だけれども六億については講道館は免税対象になる。しかし体協から柔道連盟を通じて行った九億については全く免税対象にならない。いやいや、要するに講道館はもうそのまま税金も何もかけぬでもいいわけです。しかし、講道館とすればいろいろなことを、道場だけじゃなくて、銀行にも貸している。要するに支店に事務室を貸している。こういうことですから、ちょっとそこのところがそんなことで世間で通用するのか、こう思うんです。九億何千万、やはり全く免税対象にして、そして私的な団体である講道館にお金が行く。そして、そこはまさに目的の柔道だけじゃない、やはりいろいろなこともやっている。いろいろな事業もやっている私的な団体。だから、ここら辺の問題についてどのように考え判断していいのか。もうこれから先は資料が出ないんです、幾ら出してくれと言っても。これ、いかがですか。
  151. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 現在の講道館、つまり国際センターと言っておりますが、その中には御指摘のように、住友銀行あるいは売店等があるわけでございます。講道館の会計としては、通常のいわゆる公益法人としての公益事業会計と、それから収益業務にかかわります事業については収益事業特別会計というのを設けて、二つの会計でやっているわけでございますが、先ほども一部申し上げましたが、日本体育協会において今度の募金計画、募金を免税の対象にするかどうかという際も、やはり講道館の新しい建物がどの部分が公益部分であり、どの部分が収益部門であるかという分離をいたしまして、公益部門についての免税措置であるという審査をした上で免税措置の対象にする、こういう決定をしたというふうに聞いております。  なお、住友銀行から毎月入りますお金が、いわ ゆる家賃でございますが、月額で七百二十五万円余り、年間で八千七百万円余りでございまして、この収入は収益事業たる特別会計に入れておる、こういう状況でございます。
  152. 梶原敬義

    梶原敬義君 例えば体協というのは、体協の組織は私はよく知りませんけれども、ほかの例えば柔道界以外のところでも、そういうような場合には免税措置をして、十億か何ぼかそんな多額の金額を寄附する場合があるんですか、今まであったんですか。
  153. 國分正明

    政府委員(國分正明君) ちょっと件数まではただいま資料がございませんが、かなりの回数でございます。
  154. 梶原敬義

    梶原敬義君 本件についての流れを国税庁に聞いたんですけれども、国税庁も非常にこの問題は難しいと。これは国民に対してはそういう場合にいろいろな寄附や何かにも税金を取る対象にするけれども、体協を通じて今度は柔道連盟の特別会計に入って、特別会計から講道館に行った場合に全く免税対象でストレートに行けるかどうかというのは、国税庁の方も、ううんとこう今やっているんですよ、今聞いたら。  大臣、この点については専門的じゃないかもわからぬですけれども、世の中の常識というものがありますね。常識から考えておかしいと思いませんか。
  155. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) ただいまお話、御指摘をよく伺っておりました。私も具体の点について知識があるほどには整っておりません。しかし、伺っておりまして、私自身がもうちょっとよく知りたいと思ったのは事実でございまして、よく勉強してみたいと思います。
  156. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 先ほどのどのくらいほかの団体が利用しているかということで、ただいま資料がございましたのでお答え申し上げます。ちょっと古うございますが……
  157. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、施設建設に関してだけでいいですよ。そういう選手強化とかなんとかじゃなくて、施設をつくるときの件数だけでいい、金額。
  158. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 施設件数についてはちょっと資料ございませんが、年間三十七団体がこの税制制度を利用しているということでございます。
  159. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことじゃないんだよ。施設建設にかかわって、そういうようなケースがあるかどうかと聞いているんです。
  160. 國分正明

    政府委員(國分正明君) ただいま手元に資料がございませんので、後ほどお届けしたいと思います。
  161. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、私もう時間がなくなったかと思ったけれども、もうちょっとあるね。要するにそういうように施設をつくる場合に、しかもいろいろ多目的みたいな施設をつくる場合に、その他の団体に今と同じようなケースで出したそういう例を、まあ後でいいですから教えてください。
  162. 國分正明

    政府委員(國分正明君) そのようにしたいと思います。
  163. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、相当この柔道界の統一の問題については機運も出てきていると思うんです。さらにここでもう本気になって、もう本当に早い、速やかな対応を心から大臣に期待をして、私質問終わります。
  164. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 御趣旨を体しまして文部省も誠心誠意最大の努力をいたします。また、先ほどのお話のように、総理にも御確認を申し上げ、一緒に力を合わせてまいりたい、このように思います。
  165. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  166. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 それでは私から文部省の方に質問をさせていただきます。  まず第一に、この間じゅう臨教審が大変な労力を使って総理大臣に答申が出ました。その答申を受けて、これからさあいよいよ実行の段階だろうと思います。今国会でも文部省の提出法案のうち六つから臨教審の答申を受けての法案のように私は見受けますし、また予算の上におきましても、この臨教審の答申をいかに推進するかという予算も盛られていると思いますが、臨教審そのものの答申について私もまだまだ十分なものではないと思うし、また国民の期待というものは大変強かっただけに竜頭蛇尾と言われることもあろうかと思います。そういう意味で、ぜひひとつ推進に当たってはこれを具体的に速やかにひとつ文部省の実行をお願いしたいと思いますが、その辺の御決意をひとつよろしくお願いいたします。
  167. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 御指摘のとおり、臨教審、三年間の御審議を経まして大変多岐にわたる有意義な御指摘はいただいたと存じます。ただ、それを当面進めるべき八項目といたしまして、昨年閣議決定もしていただいておりますので、この方向に沿いまして着実にスムーズに進めていくのが私どもに与えられた任務である、このように感じておりますので、私どもも努力を申し上げ、同時に臨時教育改革推進会議も総理府にお設けをいただきまして、実務を進めていく上に各省庁の調整も必要であろうと思いますので、その辺から推進役を務めていただき、この教育改革の本格実施に臨んでいきたいと思っております。
  168. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 ただいま文部大臣の御決意を伺いまして、大変安心いたしましたが、いずれにいたしましても国民の期待は大変なものでございます。特に、もう我々すぐ忘れてしまいますけれども、つい四、五年前までは教育現場の荒廃であるとか、あるいは入試の問題であるとか、大変な世論でございまして、たしか選挙でもこれは大変な的になったと思います。そういう意味でやはり着実にこれを実行していくことが今一番大事なことではないかと思います。同時にまた、社会がどんどん移り変わってまいります。特に経済界、産業界、長大重厚の産業から、それからやはりソフトの産業に移る、この転換期に当たりまして、やっぱり必要な人間の養成というものもおのずから私は変わってくると思うんです。そういう意味で、今までの教育が悪いということじゃなくて、現在の社会に対応できるようなやっぱり文部省方針を打ち立てていただきたいな、こう思うわけです。  同時にまた、臨教審の改革推進会議というものと、今度はまた文部省の方で新しく中央教育審議会を任命したいという、これは新聞でございますからどの辺までかわかりませんが、また中教審と臨教審、片方は総理大臣の所轄でありますし、片方は文部大臣の所轄でございまして、こんなことはないと思いますが、同じことで両方で論議して違う結論が、例えばの話ですよ、これは決してあるとは思いませんけれども、九月入学にしても片方は推進しろと言い、片方はそんなのだめだと言う、もしもそういう結論が出てきたような場合には、一体文部大臣としては今後それをどう処理されるのか。その辺の整合性につきまして、余分なことでございますけれども、ひとつお尋ねを先にしておきます。
  169. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 基本的なことを申し上げますと、今やろうとしていることは、申し上げましたように、当面八項目、それで臨教審答申の趣旨を最大限に尊重して進んでまいりたい、そういう位置におります。これからつくっていただこうとしております臨時教育改革推進会議は、いわゆるスクリュー役と申しますか、したがってはっきり申せば第三者的にこれを監視する機関とは考えておらないわけでございまして、あくまでも推進機関でございます。したがって、新たに御論議をいただくというような事象が生まれました場合、既にそれぞれの審議会もございます。例えば大学、高等教育の活性化その他については大学審もございますし、そういう審議会にさらに御審議をいただくということもありましょうけれども、中教審が再び再開をしていただくことも当然あろうと思っております。その場合、現在委員もまだ選定を見ていないわけでございますので、これからいろいろ御審議をいただくに即しまして、再開を必要といたす場合に、これはまた全国民から信頼を受けるような、そして人格高潔な学識経験者をぜひ任命し、お受けをいただいて、中教審でいろいろ具体に御審議いただくことができてこよう というふうに予測はいたしております。
  170. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 いずれにいたしましても、教育問題は皆さんが非常に関心を持っておりますので、答申だけではなくて、それが具体的に動き出すようにひとつ大臣初め文部省方々の御尽力を心からこいねがう者の一人でございます。また私ども一生懸命やらしていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  その一つではございましょうが、特に六十五年実施予定の大学の新テストのことでございます。先ほども質問がありました。猫の目のようにというお話もございましたけれども、なかなかこれは難しい問題でございます。ここ二、三日の新聞を見ましても、ことしの大学入試、国立大学の入試でございますが、大変これいろいろと、昨年に続いて二回目でございますけれども、なかなか難しいですね。特に発表が、これ水増しという言葉が新聞用語ですから余り感心しませんけれども、入学者を確保するためにある程度の安全度を図って合格者の数をふやしているわけですが、これは事実はわかりませんが、新聞によりますと、水増しの率は全国で大体三九・二%、こういうふうに見出しが大きく出ております。中には、名古屋大学などは五二%水増しした、東大は昨年一六%がことし八%だと、その結果はついこの間、四、五日前に出たわけでございます。その結果を見ますと、かなり水増しのときには自信があるように、東京大学の文学部長の入試対策委員長さんも、ことしは後から追加でもって合格させるようなことはないだろうという大変見通しの明るいことをおっしゃっていましたが、現実にはなかなかそうはいかない。東京大学ですら理Iと理IIでもって百二名の定員割れをしたということですが、これはこれから埋めなくちゃならないと思うんですけれども、全体ではどうやら七千人程度の定員割れで済んだので大変結構だと思いますけれども、なかなか予測が難しいと思います。  これにはいろいろな意味でいい点と悪い点がたくさんありますが、一つの社会情勢として、東京大学百二名も欠員が出たということは、まさに大学の多様性が現実的に出たので、ある意味においては非常によかった、よかったという言い方おかしいですけれども、東大といえば絶対で、もうしゃにむにみんな入るんじゃないか、東大の関係者もそう思っているし、世間もそう思っていたんですが、なに今の若い人は、あに図らんや、百二名もがともかくキャンセルしているんですよ。言ってみれば東大を滑りどめにしたのが百二名いたということなので大変私は快挙だと思っておるんですけれども、そういう意味でなかなか入学試験は難しいと思いますが、ことしの現況を踏まえて六十五年度もやらにゃならないと思いますが、ことしの入試につきまして、文部省の方で何か御意見あるいは御感想ありましたら、ひとつ簡単で結構でございますがお漏らしいただければ大変ありがたいと思います。
  171. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 昭和六十二年度、昨年の入試から国公立大学の入試につきまして一つの改善を行ったわけでございます。  この改善の中身は二つ内容がございまして、一つは、従来五教科七科目一律に課するという共通一次の仕組みを五教科五科目以下ということで、各大学によっては五科目あるいは四科目、三科目というようなところも出てまいりました。いわば共通一次の科目の削減を行ったわけでございますが、この点につきましては一般に非常に好評で迎えられたと思います。新聞等でも批判というようなことは余り見受けなかったというように思っております。  同時にもう一つ行いました受験機会の複数化という事柄につきましては、これは事柄としては、これまで国公立大学は一校しか受けられないのかという御不満が国民の間に強くあった、それに対する対応策として複数化ということを行ったわけでございますので、そういった意味では、その基本理念と申しますか、基本的な考え方については大方の御賛同が得られたと思うわけでございますけれども、実際に実施をしてみますと、ここ十年程度の間一校しか受けられないという仕組みでずっと来ていた、そこに新しく二校受けられるという仕組みが出たということによっていろいろな形の混乱が出てきたということは批判の種として指摘をされたわけでございます。もちろんその中には、一つは、初めてのことでもあるので、大学の側にも受験生の側にもいろいろ戸惑い、混乱があったためということで、逐次おさまっていくであろうというたぐいのものもあったと思いますし、あるいは制度的にもやはり問題があって検討し直してもいいんではないかというようなたぐいのものもあったと思うわけでございます。  その一つがいわゆるマスコミ用語で言います足切りと言われるものでございますけれども、延べ十万人の足切りというのが昨年あったということで大変御批判をいただいたわけでございます。これは臨教審の答申でも言われたことでございますけれども、自己採点方式という共通一次をやった後で出願をするという方式を改めて、共通一次をやる前に出願をするという方式をとったがために、受験生の方でいろいろとまどい等がそういう形で出てきたというようなこと等もあろうかという反省もございまして、国会でも随分御指摘もいただきましたので、それを踏まえまして、従来に戻して共通一次後に各大学への出願をするという仕組みに直しましたが、結局そういった点、あるいは受験生の側のなれというようなことがあったと思いますけれども、それによりまして、ことしは延べで一万五千ぐらいだったかと思いますが、いわゆる足切り組は去年に比べますと激減をして、いわゆる足切り問題というのがそれほど大きな指摘をされずに済むような状況になったというような点では、一つ事柄がおさまってきたなという感じを持つわけでございます。  ただ、A日程、B日程の間の分割の問題につきましては、これはいろいろ議論があるところでございまして、国立大学協会の方でも六十三年度入試、さらには六十四年度入試に向けてより一層の改善はないかということで鋭意議論を重ねられているという真っ最中でございまして、六十三年度入試の経験も踏まえながら近く六十四年度の入試についての方角も出そうという努力がなされておるところでございまして、私どももできるだけ余り複雑なことでなくてわかりやすい方法で、しかも受験生に二回チャンスがあるという方式を何とか考えてほしいということで、国大協に対してもお願いをし、指導、助言等も行っておるわけでございます。  それから、受験の合格の段階でのいわゆる水増しの問題でございますけれども、これも大変悪い言葉でございまして、通常各大学ともこれは国立に限らず私学等におきましても学生は幾つかを複数受験をするわけでございますから、そこで定員どおりとればいいというわけにはいかないというのが当然のことでございますので、ある程度定員を上回って合格手続をする者の数を見通しながら合格発表をするというのは私は当然のことだと思うわけでございます。しかしながら、実際にこれはやはりなれの問題というのもあろうかと思いますけれども、見通しが必ずしも十分読みが成功しなかったと申しますか、そういうような事柄から、昨年の段階でもいろいろ読み違いが出てまいりましたし、ことしの入試の段階におきましても、先ほど東大の例をお引きいただきましたけれども、やはり読み違いがあったということであろうかと思っております。いずれにいたしましても、こういった問題はある程度経験を積みませんと、どうにもできない性格のものでもございますので、もちろんより一層正確な見通しをするように各大学には御努力をお願いするつもりでおりますけれども、ある程度の経験を積みながら逐次改善されていくことであろうかと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今度の複数受験の状況によりましていろいろ序列化というようなこともいろいろ御議論従来からなっておりましたけれども先生の先ほどのお言葉に余り賛同をしてしまってはいけないのかもしれませんが、東大だけ が大学ではないと申しますか、多様化、個性化と申しますか、自分の好きな大学に行こうというような思想が幾らかでもあらわれたものとすれば、こういう傾向というものもあっていい事柄ではなかろうかというようなふうに私個人的には感じておる次第でございます。  長くなりまして恐縮でございます。
  172. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 私と全く同じような御意見でありがたいと思います。ただ、入学試験というのはやっぱり受験生にとっては本当に命みたいなものでございまして、真剣に取り組んでいると思いますので、何とかそういう意味で受験生に非常にいいシステムをつくれば、今度は大学自体が非常に悩んで今言ったように読み違いというようなことがあるんで、これはもう私は読み違いはやむを得ないと思うんで、ただし、それが過大になるということはまた後で不安を残しますし、また後から東大が百人を埋め合わせようとすれば、それがまた次の大学に影響してくることはもう目に見えているわけです。そういう意味で、やっぱり受験生がせっかく心を改めて、しようがない、あそこを落っこちたけれども、今度はこっちの学校で頑張ろうという決意を決めた途端にまた電話かかってきたりすると大変迷うわけですね、子供にとっちゃ。これはある意味においては子供を翻弄しているというか、なぶっているような、そうじゃなくても結果的にはそうなりがちなんでして、そういう意味からも、ひとつぜひ六十五年からの入試につきましては、ただいま局長お話しになりましたように、簡便にしてなおかつ受験生がある程度満足できるようなぜひ入試改革をしていただきたいと、こう思います。  ところで、この新テストでございますが、ただいま成案をつくっていらっしゃるまだ最中で、決定したわけじゃございませんが、一つの問題は、やっぱり私学が加わるかどうかという問題、いま一つは、そのやり方でございまして、科目がどのくらいになるのか。そしてそれによってまた大学の方が新テストを選択して、うちの学校はこれとこれとこれだけで結構だということが言えるのかどうか。それからまた二次テストが二科目以内で、文部省さんも各大学にそれを要請しているようでございますが、それが可能になるかどうか。その辺の見通し、まだ難しいかもしれませんが、わかる程度で結構でございますが、ひとつまたお知らせいただきたいと思います。
  173. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) いわゆる新テストでございますけれども、これにつきましては午前中もお答え申し上げましたように、受験生の個性、能力、適性というものを、学力だけでなくて多面的に見ていくという入試を実現したい、そういうための一つの手段と申しますか、有力な方法として各大学でこの新テストを適宜活用していただく。各大学独自の方針というのは、また各大学が別途の試験を行って実施をするというようなことを組み合わせることによりまして、そういう個性的にして自由なテストというものができ上がっていくということをねらいにしておるわけでございます。そういうたぐいのものでございますから、この大学入試センターが出題等の業務を実施するわけでございますけれども、出題の科目等につきましては相当数のものを用意いたしまして、これを利用する各大学の方におかれましては、その中である大学は、例えば私学の場合、英語だけを使おうとか、あるいは国語だけを使おうとか、あるいは国語の中でも漢文の部分だけを使おうとか、いろいろなやり方が可能であるというような、全く自由な利活用を可能にするという方式を考えておるわけでございます。もちろん各大学が、二次試験という名前になるのかどうかはわかりませんけれども、それぞれ独自の試験をやるということは当然あり得るわけでございますけれども、その試験のやり方につきましては、それぞれの大学で工夫を凝らしてやっていただくということを目標にしておるわけでございます。  先生、二次試験についての二教科以下というお話がございました。これは私どもは国公立大学で現在行われているような仕組みを念頭にして言っておるものでございまして、要するに国公立大学の場合には現在五教科五科目以下となっておりますけれども、大体五教科五科目をやるというのが普通の形でございますので、それがいわば一次試験をという形をとるわけでございます。したがいまして、二次試験ではせっかく五教科もやるんであるとすれば、二次試験の方はそれぞれの大学が自分の、例えば数学の学科であれば数学を中心に試験をするとか、それ以外に面接や論文等も書かしてみるとか、いろいろなことをやっていただく。それが望ましいことであって、共通一次でテストをした五教科とほとんど重なるような学科目に全体に広がって試験をするというのは、やはりこの仕組み全体の精神からいって適切でないのではないか、こういうような考え方で、従来から、これは共通一次が始まりますときの国会の御論議でもそういう御指摘をいただきまして、国公立大学の二次試験の科目の減少を図れという附帯決議もちょうだいをいたしておるわけでございまして、そういう線にのっとって国公立大学の指導をしてまいりました。  現在、平均的にいえば国公立大学全体で二教科三科目ぐらいが平均でございます。一教科以下のところというのも相当数、三分の一以上に及ぶかと思いますけれども、あるわけでございますが、中にはやはり相当数の科目、四教科を課している、三教科を課しているというところもございますので、こういったところにつきましてはできるだけ、共通一次が五教科だとすればせめてその半分以下、二教科以下ぐらいのところには抑えられないだろうかという方向を持ち出しまして、現在個別にも御助言を申し上げ、検討を促しているところでございますし、また当然国大協等の団体において議論をしてほしいというお願いをしておるところでございます。  全体としては、先ほど申し上げましたように、二教科というのは平均でございますので、数は三教科、四教科というのはそう多くはないわけでございますけれども、それぞれの大学のまさに自主性に絡むことでございますから、これは必ず直してもらえるとか、それは難しいとかということを今の段階でちょっと私ども申し上げかねるわけでございますけれども、事柄としては、私ども理解をいただけることであろうというふうに信じて、各大学に御指導、助言を申し上げているという状況でございます。
  174. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 大変明快な御答弁で私も満足しておりますが、ぜひひとつ新テストが行われる暁には各大学の御理解を得て、できましたらそれこそ専門の教科一つだけ、それに作文なり論文なり面接なりという程度で、ぜひ実行できればこれはすばらしい改革になると思います。  実は、私も夜遅く方々、特に選挙中なんかそうでしたけれども、こうこうと電気がついているのはどこかなと思って見ると、大体それは受験塾なんですね。学習塾で、自転車がいっぱいありまして、ほかはシーンとしているのに十一時ごろになってもまだ電気がこうこうと照らしているのは学習塾だけなんです。そういうものを見ましても、いかに今の学校の入試制度というものがかなり若い学生、特に中学生、高校生あたりには大きなウエートがかかっていることは明らかなんで、何とかやっぱり学力だけではなくて、もっとやるべきことが世の中にたくさんあるんで、スポーツもその一つでありますし、また国際的に、あるいはいろいろな障害児をかわいがる心というものも、これまた教育の中で一番大きなウエートを占める人間教育だと思うんですが、なかなかそういうものに手がいかないで、親御さんも子供さんもみんな、勉強することは悪いことじゃないんですけれども、行き過ぎは是正していただかないと、これはやっぱりこれからの日本の将来に大きな禍根を残すと思いますので、ぜひひとつ今の件につきましては実現できますようにお願い申し上げたいと思います。  今のは大学の入試でございますが、高等学校もやはり同じでございまして、私静岡県でございますが、もう既に全国紙でもって大分報道されまし たんで、文部省さんも所轄じゃないと思いますが、あるいは聞き及んでいらっしゃるかもしれませんが、韮山高等学校の理数科という科がございますが、そこの受験に絡んで、試験を受ける前に大体合否らしきものを通知してしまった、それによって強力な受験指導が中学校でなされて、定員四十名に対して四十名受けた、しかも女の子が六人だと。六人以上になると何か家庭科をやらにゃいかぬということで六人門前払いとしたというようなことがトラブルでもって恐らく明るみに出たのではないかと思うんです。私は新聞しか読んでませんからわかりませんが、何かその実情おわかりでしたらちょっとお教えいただけますか。
  175. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 先生指摘の静岡県のケースでございますが、お話しのように、県立の韮山高等学校理数科の入学者選抜に関連いたしまして問題点が二つあったようでございます。一つは、理数科の入学に関連しまして事前選抜が行われたのではないか、合格内定が行われたのではないか、これが一点でございます。もう一点は、お話にもございましたように、男女の合否の決定において差別が行われたのではないか、この二点でございます。  この問題は報道で大変大きく取り上げられまして、私どもも県の方に照会をしたところでございますが、やはりこの点は受験生の人生の一つの大きな節目の問題でもございますので、県段階でも議会等で大変質疑が行われ、答弁が行われた経緯がございます。そこで県の教育委員会の調査、そしてその結果の教育長の報告でございますが、それを御紹介申し上げますと、一つは、事前選抜ないし合格内定が行われているのではないかという点については、選抜は厳正、的確に行われており、そのような事実はない、しかしということでございまして、進路指導に行き過ぎがあったことは否めない、否定できない。どういう点かと申しますと、願書受け付け以前に中学校から資料を出させた、それを事前に職員会議で協議し、理数科志願の適否のお知らせというふうな形で、試験の前にいろいろインフォメーションとして中学校に流しておったと。これは少し進路指導の行き過ぎであるということを認めざるを得ないし、そのようなことは適当でないというふうな考え方教育長が述べております。  それから、第二点の男女差別につきましては、一部の生徒について普通科等への出願を助言している経緯がある、まあ進路指導の一環でございましょうが、そういうふうな点において男性、女性の問題がありますが、これは男性、女性それぞれについてそういうケースで行っているということで、決して男女の区別で行ったわけでもないし、試験そのものは男女差別を点数で採用したというようなことはない、こういうふうな結果だそうでございます。しかし県教育委員会としては、この事件を契機として中学校における進路指導のあり方、これはやはり県下全体を通じて見直す必要がある、厳正な進路指導のあり方というものについて今後指導を充実していきたいというふうな考え方を持っているようでございます。  概要以上のとおりでございます。
  176. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 今の報告で納得が十分いきましたけれども、私も実は高等学校を経営しておりますので、多少私なりにいろいろ内容も知っておりますが、今の高等学校の入試は、この韮山高等学校だけではなくて、恐らく私立学校でも公立学校でもみんな同じだと思うんですが、やっぱり事前選抜といいますか、これは一つには必要悪みたいなものでして、中学浪人をつくりたくないという、そういう中学校先生方の意思と、それからまた高等学校としても余りたくさん犠牲者を出しちゃったんでは困るという、そういう思惑がございまして、何とかそれを事前にできるだけ、言ってみれば行政指導みたいなものでして、悪く言えば談合みたいなものでございますが、そういう趣旨からやっていることは事実でございまして、決してこれが不純な意思でやっているとは私も思いませんし、またそうでないと思います。  しかしながら、問題はそれがややもすると決定的な、何といいますか、合否の判定のごとく受けとめまして、それで中学校先生方も、この成績じゃ無理だよと言われると、しゃにむに親御さんあるいは子供さんに受けさせないようにする。私のところなんかもしばしば、おたくの学校は、ある県会議員などは、試験を受けられないのかと言って怒られたことございますけれども、そんなことあるものじゃないと言ったら、中学校先生が受けてはいかぬと言ったというような経緯もございましたし、また時と場合には、事前に試験も終わってないのに、もしだれか知っている先生がいたら、おまえ頼んでこいと、中学校先生が親御さんなり子供さんに、その関係者に頼めというようなことまでサゼスチョンするようなケースもないことはないんです。  こういうことは本来、やっぱり入学試験というものは選抜試験でございます。選抜要項が書いてあるんだから、その要項に基づいて試験をやって、点数が足りなくて落とされれば、これは納得もいくんですが、まだ試験もやってない前に合否らしきものを決められちゃうところに、やっぱり行き過ぎが今回もあるし、今までもそうですが、これを改革するということはなかなか大変だとは思いますけれども、しかし入学試験を舞台にしてやっぱり信頼関係先生とそれから子供、学校父兄が信頼関係が失われるようなことになっちゃうと、これは学校の存立そのものに私は非常な危機感を今持っているものでございます。  それはやっぱり学力偏重で、大学に入れる少しでもいい素質のやつを拾いたいというのは高等学校側の意思でございますので、だからそういうことになると、変な話ですが、優秀な子供だったらたとえよそを落っこちた子供でも、自分のところの子供を大ぜい落としておきながら試験も受けないで点数がいいということがわかれば、もうやみから入れちゃうというような、大変やっぱり好ましからざる現象がもう既に起こっているような気がいたします。何とかそういう意味で、私は原点に返って、高等学校の入試が、まだ純心な子供さんたちがやっぱり自由競争といいますか、入学試験によって最終的に決定できるような何とか措置をこれからやっぱりPRしていただきたいなという希望を今私持っております。これは文部省さんの所轄でありませんので、各地方教育委員会のお決めになることだとは思いますが、しかしだれが決めようと、これは人間である以上当たり前のことなんでして、ぜひひとつその辺何かの機会がございましたら文部省からも各地方教育委員会さんに御指導いただければ幸いだと思いますが、いかがでしょうか。
  177. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 先生指摘の点は二つあると思うわけでございますが、一つは中学校側から高校受験へ向けての問題でございまして、一つは具体に申し上げますれば、進路指導の問題であり、先生方の親心としての中学浪人を出さないようにというようないろいろな問題が絡まるわけでございます。  私ども指導といたしましては、やはり進路指導は本来的な生徒の能力、適性、それの能力、適性に基づく将来の進路ということでの進路指導が適正に行われるべきであって、偏差値、学力のペーパーテストだけの進路指導であってはならない。これが基本でございまして、文部省指導、助言の立場でこの点従来からいろいろな指導をしておるわけでございますが、六十三年度には中高に関連いたしまして、実際に進路指導がどういうふうに行われているかということについて、十年ぶりでございますけれども、少し実態調査をしたいといったことで予算をちょうだいしておりますので、この点につきましては中学校側、これは大学受験に関して高校の進路指導も含めておりますけれども、受ける方の側の進路指導の問題が適正になるようにというふうな形で、まず実態について押さえていきたい、こういう考え方一つございます。  それから第二点は、今度は受ける方の、生徒を受け入れる方の高校側でございますけれども、これはやはり御案内のとおり、高等学校の入試につ いては選抜基準と選抜方法の多様化、個性化と申しますか、そういう点についていろいろ臨教審その他御指摘もありますし、私ども協力会議も五十九年にいろいろ結論出していただいて指導しておりますけれども、やはりペーパーテストだけでなくて、調査書とか面接とか、あるいは中学時代のスポーツに関する行動記録とか、常識テストなども入れてはどうかというふうな臨教審の御提案もありましたり、そういう点も教育長協議会等で問題提起としてお話などしておりますが、高校側の入試にかかわるいろいろな制度改善、選抜方法なり基準なりの改善について、なお私ども指導、助言の立場都道府県教委とのお話し合いなり指導、助言に相努めてまいりたい、こんな考えでおりますので、御提言の趣旨を踏まえてせっかく努力したいというふうに思っております。
  178. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 ありがとうございました。  次に、今度は国立大学の財政運営でございますが、文部省予算は昨年は四兆五千七百三十七億円ですか、昨年の伸び、ことしの伸びも先ほどの質問にもございましたけれども、わずかな伸びでございます。文教予算というのは〇・〇六%ぐらいしか伸びないという、大変な伸びが非常に少ないということは事実です。しかも一般会計のうち、経常部門のうち四兆一千億余ありますが、そのうちの人件費が三兆五千億近い。これは言ってみれば何といいますか、人件費でございますが、自然増ということは当然考えられるので、それにもかかわらず全体の伸びが非常に少ないという大変な悩みがあるんで、これはそうかといって国の財政にも限界がございますし、そうそう今後それじゃたくさんとれるかという見通しというものは私は大変暗いと思います。これはたとえ税制が改革になったところでなかなか難しいと思います。借金はたくさんございますし、いろいろな意味で私は文教予算が非常に倍増するようなことはあり得ないような話でございまして、そうやって見ますと、乏しいやはり財政をいかに活用するかということが、これからの文部行政の私は一番の視点じゃないかと思うんです。今までの踏襲しているだけではいつかどこかで行き詰まってしまうので、何とかこの辺で国立大学を初め、義務教育もそうでございますが、どこかでやはり見直しをして、どこかにむだはないか、それで、またそれをもっと効率的に使う方法はないかということをやはり真剣に考える時期に私は来ているような気がいたします。  ですから、そういう意味で、ぜひひとつ、これは外国の話でございますが、外国の州立大学、特にカナダなどそうですが、大学に幾らと大枠でもって予算をつけて、それを私立学校の理事会みたいなものが各大学にございまして、その中でその配分を決めて、そして人件費を削ってほかへやるとか、あるいは人件費を五%カットだということを決めてみんなでやるというような仕組みがあるようでございますが、やはりこれからの大学運営についてもぜひそういう意味で、今度新しく大学審議会もできましたので、これからの予算について今までと違う運営方式をやはり考えるべきじゃないか。それでないと、研究もできなければ研究費の増額なんて到底及びもつかないし、何とか、例えば事務員、事務官がまだ少ないのか多いのかそれは私わかりませんけれども、そこら辺で事務官の数をもっと減らす方向で、あるいは事務官が一体どういう仕事を今現実にしているのか。これでもって足りるのか足りないのか。教官の数もそうだし、同じ学部学科にしても、これからの世の中に必要な学部なのか、あるいはこの辺で統合した方がいいんじゃないかという学部も、私また新しくどうしてもこういうものはつくらなくちゃならぬということも考えていかないと、日本の国立大学の将来はないような気がいたしますが、その辺はいかがでございますか。ひとつ所見がございましたらお教えいただきたいと思います。
  179. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 確かに木宮先生指摘にございましたように、国立学校特別会計の予算も人件費が年々増額してまいりましたこと等とも関連をいたしまして、いわば硬直化をしつつあるという点は私どもも憂慮をしておるところでございます。そういった中で、一つ最後に御指摘がございましたように、新しいいろいろな学門分野の要請あるいは人材養成の要請等にこたえていくためには、従来の既存の組織等につきましての再検討というのを常時絶えず行いまして、そして可能なものについてはあるいは再編制をするというような形で新しい需要にこたえていくという方式が大事であろうと思いまして、ことしも恐らく学科数について八十学科ぐらいの改編を予算措置を行うようにいたしておりますけれども、こういったものもすべて新しくつくるのではなくて、従来のものを現代的に改革というような目標に向けて改編をしていくというような方式での対応というものを中心に据えながら努力をしておるわけでございます。  もちろん予算面での確保ということも大切なことで、私どももそれなりに頑張っておるわけでございますが、そういったことにさらに加えまして、運用面での弾力化ということも確かに御指摘のように大事なことでございます。同じ国の機関であるとは申しましても、国立の大学というのはやはり一般の行政機関とはかなり違った性格を持っておるという面もございますので、現在の予算会計制度そのままの適用では若干問題ありと思われるような部分もないわけではございません。そういった点につきましては、十分検討して、逐次財政当局とも御相談をしながら、可能なものについての弾力化ということを図る。それによってお金の効率的な利用を図るというようなこともぜひ考えたいと思っております。  また、そのほかに民間活力の活用と申しますか、そういった面につきましても、これも臨教審答申でも種々御指摘をいただいておりまして、そういうものを踏まえまして、例えば先般、昨年でございますが、寄附講座というような方式も国立大学でとれるようにするとか、あるいは従来抑制的に対処をしておりました大学後援法人のようなものについても民間のお力が、浄財がいただけるのであれば後援法人をつくって、そこから援助をしていただくというようなこともいいことであろうというようなことで、そういう対応についてもできるだけ行っていこうというような方向で、さらにはまた国立大学が持っております資産の活用でございますけれども、こういったことにつきましても資産を適切に活用することによって、それによって出てきた果実を大学の教育研究に使っていくというようなこともぜひ考えたい。いろいろな方向を目指しながら現在検討し、あるいは一部は実施に移しつつあるところでございます。今後ともまたいろいろ御指導をいただきながら、そういった方向で最大限の努力をいたしたいと思います。
  180. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 大変御理解のある答弁でありがとうございます。  私も文部省の資料をもとにしてちょっと計算はじきましたところが、やはり国立大学の場合には生徒一人当たり、これは余り比較になりませんが、事務系の人間ですと大体十七・七人に一人なんです。私立大学の場合四十二・三人なんです。これは文科系と理科系で大分違うと思いますし、公立大学は二十三・三人です。ですから、そういうデータを見ても、事務系だけの人間だけを調べてみても国立大学が非常に私学の二・五倍くらいの事務員さんがいることになっているんです。これ必ずしも規模によって違いますから一概に言えない。これはトータルな話でございますから、これが真理だとは私決して思いませんけれども一つを見てもこれはそういう意味でどこかにむだがあるんじゃないか。  あるいは非常勤の先生に支払う時間給にいたしましても、予算が余ればそれは後で再配分するような措置をどうしてもとりたがる。とっているかどうか知りませんけれども、講義したことにしてやるとか、あるいは単価を上げちゃうとかというような、別にそれはむだ遣いとは言いませんけれども、もともとが少ないのだから当たり前だといえばそれまでですが、これだけ苦しい財政にもう 陥りつつあるんですから、やっぱりもう一回洗い直してみて、もう一度やっていただくということがこれから一番必要じゃないか。細かいことのようですが、民間企業で、変なことを言うようですが、少し苦しくなればもう電気一つ一つオーナーは消していきますし、トイレットペーパーすら何となくあれするという、我々も私立学校ですからけちな話ですけれども、それに近いようなこと時々やりますけれども、そういう心がけがこれからのやっぱり文教政策の中にも私は必要じゃないか。これは私のひがみかもしれませんが、ひとつよろしくお願いいたします。  それで、今度は私学の財政と、それから父兄の負担でございますが、これについていろいろ御指摘もあると思いますけれども、大体しかし今の私学の生徒数、学生数を見ますと、大学で何と七三・三%が私学の受け持ちですね。それから、高等学校では二八%を受け持っておりますし、幼稚園に至っては七五%を私学が受け持っておるわけですから、だから私立学校というのは今さら無視できない段階に当然来ていると思うんです。にもかかわらずと言うと大変語弊がございますけれども、大学だけをとってみましても、七三・三%に対して、じゃ幾ら金使って、無論補助金も入っています、月謝も入っています、それからその他すべてのもの入っていますが、私学の場合には使っている教育費が全部で大体二兆円くらいなんですね。それでもって、ともかく百三十六万人の私学の学生さんがいるのに大体二兆ぐらい。国立大学の場合には、先ほど申し上げましたように残りの二六・七%ですから四分の一強でございますが、人間の数でいえば大体五十万人くらいだと思いますが、ですから、これどのくらい使っているかということを調べてみますと、大体一兆二千億くらいなんですね。単価同士で計算しますと、これは文科とか理科とか医学部があったりしますから一概には言えませんけれども、決して私はこれで一緒でなくちゃいかぬなんて、そんなばかなことを言うつもりはさらさらございません。ただ一つの遊びで言っているだけでございますが、国立大学の場合には年間一人当たり大体二百四十万。私立学校の場合には百四十七万円くらいなんです、私の計算です。間違っていたらまた御指摘いただきたいと思いますが、そういうわけで私立学校はかなり国立に比べれば、学生一人当たりに対して大体百万円くらいダウンしている。それしか使っていない。にもかかわらず、補助金の方からいえば、大体私学の場合にはわずかに、わずかといったらいけませんけれども、大変お世話になっているんですが、二千五百億弱。国立大学の方には一兆一千何百億という金になっております。  そういう意味で、ひがむわけじゃございませんが、庶子と嫡男みたいなもので、どうも何だか私学はめかけの子供みたいな気がしてならないんで、大変ひがむわけじゃございませんが、しかし国民には間違いないんでして、かつてはそれは国立学校がすべてをリードしていたかもしれませんが、これからの世の中に、社会に貢献する度合いといえば私立学校の役割というのは年々ふえるのであって、国会議員でも早稲田だけで七十八人だ。この間新聞に出ていまして私覚えましたけれども、総理大臣も早稲田ならば文部大臣も慶応でございますので、そういう意味からいうとやっぱり補助金を私はやみくもにふやせとは言いません。変なことを申し上げてまた怒られるかもしれませんが、補助金必ずしも多ければ多いというのは私は反対なんでして、補助金なんというものは一種のアヘンみたいなもので、麻薬みたいなもので、これを飲み出すとやめられないし、しかも、それだけならいいけれども、だんだん在野精神がなくなって私学の存在価値がなくなっちゃうんで、私は必ずしも補助金がふえればそれでもっておめでたいとは全然思っていませんが、しかし現況から見ると、余りにも私学、まあ私学の中にはいいのも悪いのもあるから、悪いのはすぐ大蔵省がおっしゃいますけれども、これはそういう意味では、やっぱり私学の功績なり、今後これ育成していくという哲学をもっと文部省が今の段階で持つべきではないか。私の言うことは余り当てになりませんが、ぜひひとつその辺を文部省は本当に、まま子扱いしませんとおっしゃるのか、いやそうは言ったって自分の子供はかわいいし、それだけで手いっぱいだから、そっちは自分でアルバイトして食っていけと、こうおっしゃるのか、的確には言えないかもしれませんが、ちらりちらりとその辺ひとつ本心をおっしゃっていただければ大変ありがたい、こう思うわけでございます。いかがでございましょうか。
  181. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 最初に私の方から数字の点で申し上げますと、国立大学の学生一人当たり経費、大体先生の御指摘どおりの数字でございますが、昭和六十年で申し上げまして、国立大学が二百二十万、私立大学が百三十万の経費がかかっておるという数字になっております。ただ、これは平均的な数字でございまして、先生御承知のとおりに、国立大学は理工系が非常にシェアが高いということ、それからこの中に、単純平均しておりますので、学生の授業料等で賄うのに全くふさわしくない研究所やなんか、共同利用機関やなんかの経費なんかも含めまして単純に割り算しておりますので、一概にはこのとおりの差があるんだとは言い切れないところがございますが、先生指摘のような差があるということは御指摘のとおりだと思います。  私ども、今私立大学の学校教育に占めるシェア、私立大学だけでございません、高等学校も同様でございますが、いずれにしましても、高等教育機関で申し上げますと、学生数で約四分の三のシェアを私立大学が占めておるという観点からすれば、私立大学の振興を抜きにして我が国の高等教育の振興はあり得ないというふうに思っているところでございます。したがって、私どもとしては毎年、予算要求の段階あるいは予算編成の段階で、文部省全体の枠組みの中でいろいろ工夫して、私学につきましては最重点事項一つとして取り扱って今日まで来たわけでございますが、御承知のとおりに、昭和五十七年度から臨調答申に基づくいわゆる行財政改革予算編成方針、それから財政状況も五十六、七年ごろから大変厳しくなったという二つのことが相まちまして、概算要求の段階から、いわゆるゼロあるいはマイナスシーリングという要求と、それから厳しい予算編成をせざるを得ないような状況を余儀なくされて今日まで来たわけでございます。その中で私どもとしましても、先ほど申し上げましたような基本的な立場で、とにかく私学助成だけは何とか確保したいということで努力をしてまいりまして、幸い六十二年度、本年度は先生御承知のとおりわずかではございますが、大学の経常費助成でも五億円の増ということを確保できましたし、今御審議いただいております六十三年度の予算におきましては、経常費助成で十億円増、それから大学院、大学等の大型教育研究装置に対する補助につきましては前年度より二十億増の七十四億円を計上しているところでございます。  いずれにしましても、私立大学の我が国の高等教育に占める重要性というものは十二分にもう私ども認識しているつもりでございます。これからも厳しい財政状況予算編成が迫られると思いますが、先ほど先生が御指摘文部省予算全体の仕組みをいろいみ工夫するということも必要でありますし、そういうものを含めまして、その中で私学に対する助成の確保にこれからも鋭意努めてまいりたいというふうに考えております。
  182. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 大臣いかがですか、ひとつ。
  183. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) お説のとおりでございまして、政府委員からお答えさせるところに意義があると思いまして、まず政府委員からお答えをさせました。  おっしゃられるまでもなく、私学は重要な部分を担っておりますし、それから六十三年度の予算につきましてはまた与野党の方々から大変な応援をいただきまして、今政府委員申しましたように、私大、私立高校それぞれ十億円ずつアップ、また大型施設その他二十億、これは三七%のアップでございまして、そういうように計上できてお ります。今後とも私学助成につきましては努力をいたしてまいりたいと思っておりますが、ただ、一つつけ加えさしていただくならば、十八歳人口も六十七年ピークとなりまして、この問題がございます。そういう私どもは私学助成に懸命に努力をいたしてまいりますが、また私学経営の上でも格段の御努力をいただかなければならぬ、これは相まっていくべきであろう、これをつけ加えさしていただきたいと思います。
  184. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 ありがとうございました。私も私学人がやっぱり一層努力して経費節減並びに効率的な教育をすることが非常に大事なことだと思います。ただ政府全体といたしましても、農林予算が二兆七千億ぐらいあります。農家数は言いませんけれども、まあともかく今就学している人間に比べればはるかに少ないと思いますが、そういう意味でも文教予算をいまひとつやっぱり仕組みを変えてでも何とかそこら辺は、別にこれを私学によこせとか、あるいは国立大学によこせとか、義務教育という論議を私はする気はさらさらございませんが、パイを大きくしていただいて、よりそれを合理的に分配する方向にやっぱり国民ひとしく考えていく時期が来ているのではないかなというような気がいたします。  次に、やはり同じ私学でございますが、父兄の負担が、かなり最近皆さんお金持ちになったからいいかもしれませんが、なかなかそうはいかないんで、やっぱり夫婦でもって稼いだお金は全部子供の教育費にみんな持っていかれちゃうというのが今の若い、まあ若いといいますか、子供さんを育てている方々の実感ではないか、こう思います。二、三日前の新聞にも出ましたし、またこれは私立大学の組合のアンケートですから私は余り全面的に信用しているわけではございませんけれども、しかし、百七十万ぐらいかかるということは実際的に事実だと思いますし、また事実八百万円くらいの年収でないと大学にはなかなかよこせられなくなったという現実をこれ踏まえて書いてございますが、私もそれも事実だと思うんで、やっぱりもう少し、教育というものは金がかかるものですから当たり前ですけれども、しかしながら、やっぱりもう少し、特に東京などへ出している御父兄は、最近の家賃といいますか、部屋代と申しますか、大変な高騰をしていることも事実でございまして、何とかその辺を違う仕組み、また仕組みが変わっちゃいますけれども、やっぱり補助金だけでやっていてもなかなか父兄負担の軽減ということは難しいんでして、やはり税金で、これもなかなか同じ年代の子供が大学に行っていないとか、あるいは税金を払っていない家庭には全く恩典がないと言われればそれまででございますが、それを言われちゃうと、それじゃすべてのことがそれで片づいちゃいますので、税金面で父兄負担の軽減が少しでも控除措置、全額じゃなくても、せめて三分の一でも二分の一でもやっぱり返してやるようなことになると、かなり私はいろいろな意味で公平になると思うんです。  ですから、やっぱり私立と国公立とが競争するのは当たり前ですけれども、現実には今同じ土俵で競争できない仕組みになっていまして、国立学校の方の土俵はえらい広いんですが、私学の土俵はえらい狭いということで、中の狭い土俵はおまえら出たら負けだぞというような感がなきにしもあらずでして、だから、その辺やっぱり父兄の軽減ということはできないまでも、少なくも余り上がらないように措置をしていくことが私は今急務じゃないか、緊急課題ではないかと思うんですが、その辺何か名案はなかなかないと思いますが、もう一度税金の面ではやっぱり大蔵省とよく打ち合わせしていただいて、我々もバックアップしますけれども、何かいい国民全体的にコンセンサスが得られるような方法が、これから税制改革もありますので、何かその辺がないかなと思って私も今考えておる次第ですけれども、何か名案があったら教えていただきたい。ありませんか。
  185. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 私学に納める学納金に着目して、何らかのその学納金の先生指摘の三分の一なり半分なり課税対象から控除するというような、そういう措置を講ずるというようなことは、先生が今問題であるという、問題もあるだろうけれどもと言って幾つか挙げたような例から見ましても、特別に扱うというのは大変税制上難しいというのが私ども主税当局、税務当局といろいろ従来から折衝してきた過程の中でつくづくそう思っているところでございます。結局、高等学校あるいは大学に最終的に通う中高年層の所得税について、一般的に軽減措置を厚くしていくということが税制上とり得る一番手っ取り早いと申しますか、効果的な方法なんではないかということで、従来からそういう方向で私どもとしては努力をしているところでございます。  もとより、それとあわせまして経常費助成、機関補助であります経常費助成の充実と同時に、個人補助でありますいわゆる奨学資金につきまして、奨学事業につきましても家計の経済状況等を考慮しながら、就学援助を必要とする学生生徒の実態に応じてこれも充実していかなければいけないということで、その充実に努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。幸いに、先生先ほど全体としてとにかく学納金が上がらないようにというような御発言がございましたが、六十三年度、本年度の四月入学者の学納金の集計をつい先ごろ私どもで取りまとめまして、その結果を見ますと、学納金全体のアップ率というのは対前年度比二・九%の上昇率でございます。この上昇率は昭和四十六年から私どもこの種の調査をしておりますが、四十六年から六十三年までのアップ率の中で最も低いアップ率であるということで、私立大学の自主努力と申しますか、経営努力に私どもとしても深く感謝をしているところでございまして、私どもも一生懸命努力はいたしますが、今後とも私学の関係者も今までに行ってきた経営上の自主努力を今まで以上にお願いをしたいというふうに考えているところでございます。
  186. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 もう時間も参りましたのでやめますが、国際化の問題で二つほど。一つは、日本に来ている外国人の子供さんがなかなか義務教育に入れてくれないという今非常に悩んでいるケースがたくさんございます。逆に、日本人がアメリカなどで学校へ入れてくれというとほいほい入れてくれて、非常に親切にマン・ツー・マンで外国ではやってくれる。そういう意味では、日本は非常に閉鎖的だといって評判が悪うございます。それからまた外国へ行っている日本の子供さんが学力低下するというんで補習学校を同時期やっていますが、昔は場所を借りるにも公立学校あるいはその他の公的な機関をどんどん貸してくれるが、最近金持ちになったからいじわるをしているのかどうかしりませんが、貸してくれなくなっちゃって、壊滅的な打撃を受けそうだという声をあちこちで聞いております。  いずれにいたしましても、文部行政も国際化してくるのはもう必然でございますが、これは時間がありませんから本当に一言で結構ですが、何か対策なり考えというものがありましたら教えていただきたいと思います。
  187. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 外国人子弟の我が国における小中学校等の教育の問題でございますが、原則として御希望があれば小中学校に受け入れるというのが一つ考え方でございます。  ただ問題は、先生指摘のように多々ございまして、例えば言葉の問題、それから教材の問題、教科書がなかなか読めないとか、それから指導方法の問題、その他いろいろ課題があるわけでございます。臨時教育審議会におきましても、外国人子女、一般の日本人子女がともに学ぶ初等または中等の学校について実験的にいろいろ学校を設けてやってはどうかという御指摘もありますので、本年度から文部省におきましてこのような学校に関する委託研究というのを始めまして、簡単に三つだけ申し上げますと、一つは資料、外国人子弟を学校教育で行うにはどのような教材とか、そのようないろいろな資料が必要であろう、そういうものはどうあるべきか。それから二番目には教育課程上のいろいろな配慮がどうか。それから全体 を通じてこういう外国人子弟を小中学校教育で行うにはどういう気配りが必要か。こういう点について具体の小学校等を指定いたしまして研究委託を始めることぬいたしました。  こういう研究委託の成果なども含めて、私どもが全国の問題として、今後、外国人子弟を受け入れた場合の留意点なり、実際の指導に当たっての配慮と申しますか、そういう点について指導を充実してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  188. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 ぜひひとつ、この間も台湾の子供が先生を刺し殺したという大変不幸な事件がございました。やっぱりその辺を、ますますこういうケースもふえてくると思いますので、これもただ先生や現場だけに任せるのでなく、何かやっぱりひとつ考えていただかないと実行できない、また父兄にも啓蒙しないとわからない、大変複雑な問題があると思います。  最後になりますが、今、一生懸命文部省予算を、いよいよ最後予算について我々も一生懸命年内通れるように努力したいと思っておりますし、またしなくちゃいかぬと思っておりますけれども、毎年そういうときに皆さん大変疲れていらっしゃると思いますけれども文部省の、省で慣習じゃないんでしょうが、よくごろ合わせをやっていますけれども、ことしの予算は四兆五千七百六十五億九千四百万ということですが、何かいいごろ合わせありませんか。あったら教えてください、PRしますから。
  189. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) 六十三年度予算政府案が決まりました段階で文部省の中の職員に公募いたしまして、どういうごろ合わせがあるかというようなものを出していただいておるわけでございますけれども、幾つか紹介いたしますと、「幸せを子らに永くと胸に秘め心を込めた苦心の予算」、それから「文教の予算いろいろ並んだぞ向かって行くよ教育改革」というようなことで、教育改革に熱意を示したそういうようなものが出されておるところでございます。
  190. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 ありがとうございました。
  191. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは最初に、厚生省においでいただいておりますので、厚生省関連の質問を最初さしていただきますが、最近、厚生省から大学病院に、大学病院の診療は紹介医療を主体とするというふうに見える通達が出ておったようでありますが、これについて厚生省に簡単に御説明を願いたいと思います。
  192. 谷修一

    説明員(谷修一君) 大学病院等の高度専門病院につきましての医療でございますが、これらの病院が我が国における医療水準の向上ということに大変先駆的な役割を果たしてきたということは私どもも十分認識をしております。今後ともこういう大学病院等におきます高度専門的な機能というものをフルに発揮させていく必要があるというように基本的に考えているわけでございます。  一方、現実には、この大学病院におきます医療の現実でございますが、どのような疾病であっても患者が大学病院を受診しているという意味合いにおきまして、医療機関の機能分化ということが必ずしも十分ではないのではないか。そういう意味で、本来大学病院については、高度あるいはかつ専門的な医療を行うにふさわしい医療機能が十分に発揮される必要がある。したがって、適切な場で適切な医療を確保するという観点から、医療機関の機能分化を図っていく必要があるというふうに考えているわけでございます。  こうしたことから、今回四月一日から予定をいたしております診療報酬の改定に際しまして、大学病院等におきます高度医療が必要かどうかということを、まず一般の病院なり診療所で診断をして、その結果、必要と判断された患者さんについては従来どおりの保険の取り扱いにする。一方、こういったような一般的な病院なり診療所での診断を受けずに直接大学病院を受診をしたという者については、自己の選択に係るというものとして初診料相当部分について保険の給付対象外にするという制度上の基本的な枠組みを整備することにいたしたわけであります。この点につきましては、大学病院側とも数次にわたります話し合いを行いまして、これらの枠組みをつくるということについては合意を見たわけでございます。ただ、いわゆる紹介外来制ということにつきましては、あくまでも高度医療、こういうことに特化をしていくんだ、医療機関としてこういう方に進んでいくんだという病院側、大学側の判断を待って、大学側の個々の医療機関側の希望するものについてそういうことをやっていこうということでございまして、具体的な実施に当たっての細目、あるいは今後どういう手順でやっていくかということにつきましては、今後さらに大学病院側と話し合いをしていくということになっております。
  193. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今承っておりますと、診療制限をするような感じがないことはないように見えるんですが、私は幾つかの大学から異議申し立ての意見を承っておりますけれども、きょうは私の意見を述べる時間が少しないかと思いますので、文部省側としては医学生の教育上これに支障はないかということで御意見を承りたいと思います。
  194. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 高桑先生の御質問にもございましたように、大学病院は単に患者の医療を行っていくというだけではございませんで、それを通じて医学者、医師の養成を行っていくということをその機能の中心としている機関でもございます。近年、医学医療はだんだん高度、専門化をしてまいりまして、附属病院等においての臨床実習も専門化をしていくというような傾向が指摘される中で、より一層よき医師の育成を図るという見地からは、例えばプライマリーケアというようなことが大事だということが強調されるような時期になっておるわけでございます。  そういった中で、ただいま厚生省の方から御指摘のございました紹介患者制という仕組みを全面的に取り入れるというようなことに相なりますと、症例数が減少して疾病の種類に偏りを生じてまいります。総合的な医療技術の習得が困難になってくるというような事態が予想されるわけでございまして、大学の本来の使命であるよりよい医師の養成という見地からは重大な支障が出てくるということが懸念されるわけでございます。厚生省と大学側、それから文部省もオブザバー的に参加をいたしまして、何回か話し合いの機会を持ってまいりましたが、そういった中で私どもとしては大学病院側と同様にそういう主張をしてまいったわけでございまして、結論としてただいま厚生省の方から御説明がありましたように、要すれば大学病院の中で希望する者についてはその申請によってそういう仕組みをとることができるというような方式にしようということで一応の合意を見たということになっております。  現在の時点におきましては、各大学それぞれがそれではそういう仕組みになったときどう対応するかということを検討されることになろうかと思っておりますけれども、とにかく医師の養成という重大な仕事を背負っておるわけでございますから、各大学の御判断においてそういう点に十分配慮した上で適切な対応が行われるということを文部省としては期待をしておる次第でございます。
  195. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 これには厚生省も御意見があろうかと思いますけれども、時間の都合もありますので、両方の御意見というのはこれだけにさしていただきますが、文部省もオブザバー的立場とさっきおっしゃったんですが、もう少し積極的にこれはやっぱり参加していただいて、教育の目的を十分に達成できるように努力をしてもらいたいということでございます。  それじゃ、厚生省ありがとうございました。  去る三月十八日の予算委員会で下村委員の御質問だったと思いますが、それに対して文部大臣は、教育のあるべき姿に生き生き、伸び伸び、はつらつ、個性を伸ばす教育とかとおっしゃったと思ったんです。大変いいことだと思うんですが、しかし入試に関しましては生き生き、伸び伸びじゃなくて、受験生は生き延びの方でございまして、生き生き、伸び伸びと文字は大変似ておりますが、生き延びる方が大変きつい話でございますが、それは入試というものが一体どういう形をと ってきたか。この教育改革の中の本当にメイン、メインというか、最も今アップ・ツー・デートの問題で課題になっているのは、大学入試を頂点とする入試です。高等学校も同じでしょう、偏差値輪切りということが。前総理の中曽根さんは、これに対しては陣頭に立たれて偏差値輪切りを解消する、これは何遍も言っておられます。  そういう意味で、偏差値輪切りというのは一点を争うということから、統計的に出てくるわけでありますが、受験生の方は、さっき申し上げましたように、生き生き、伸び伸びとは反対に生き延びるためには、入りたい学校ではなくて入れそうな学校へ、その入れそうな学校というのは偏差値輪切りで当然あるべきところに行くんです。これはもう私も統計学やっていましてぴたりですね。極めて正確に行きます。それで偏差値輪切り、つまり一点を争うこの制度はどこから来るか。これは共通一次の加算方式にあるわけです。加算をするからその一点が非常に大きいわけです。一点違っただけで何十人も違ってまいりますから。ですから、その一点、北大の医学部で言いますと、共通一次と二次で二千点で、一点違って七、八人は違うんですから。ですから、この一点を争うということが生き延びる重要なポイントになってまいります。ですから、そういう意味では、大学側は入試制度というのは選抜をする側の意識であって、受ける受験生の身になっているか。もう一つは、このごろは受験生だけじゃなくて受験生の親の身にもなってもらわぬと困るわけです。受験生親子の身になって受験、入試というものを考える必要がある。  しかし、定員の枠があって、そしてそれから、だれでも大学で学習をしていくだけの基礎的な知識を持っているかということになるとこれは問題でありますが、枠があって、そういう条件があるからには、どうしても選抜は避けられない。だから入試がなくなるということは私はないと思うんです、今の考え方では。ですから私はその中で選抜をどうするかということと、しかもその能力評価が一回こっきりのペーパーテストで決まるのではなくて、それも一つの要素であるが、もう一つさらに、その本人が持っているほかの能力とか、将来伸びるかもしれない能力とか、そういったものをどのように評価していくか。しかも、それは公平でなければならぬというのが入試でございます。ですから非常に難しいわけでありますけれども、私は今猫の目のように入試制度が変わってきているということは、もう現実にそうです。年々歳々変わるわけです。もう来年どうなるんだろうか、再来年はどうだ、今度東大はどう動くか、そういうことを言っているわけです。ですから、そういう猫の目のように変わっていいものか。最小限度、入試というものは制度を決めたら何年は理論的に必要なのかということを、まず文部大臣にお伺いしたいと思います。
  196. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 私に対するお尋ねでございますので、具体には政府委員からお答えさせますが、受験生あるいは受験生の親から見れば、なるべく一定した方式が貫かれまして、それに対して目標を持って勉強できるという方が精神的には安定しておるであろうと率直に思います。ただ教育そのものが、あるときには明治、あるときには大正時代、あるときには終戦時を境にして、そしてまた今、それぞれの時期に教育というものは改革されていく。これもまた必要なことであろうと思うわけであります。  では、何をもって改革とするか。それを論ずるほど私は知識が深いかどうかは別といたしまして、やはり大まかに言えば、我が国教育そのものは水準は高い面にあるであろう。ただ、やはり追いつき追い越せということからすれば、明治以来全体の水準を高めることに心を使ってきた。振り返ってみて、現在画一化し過ぎてはいないかという指摘をされれば、確かにその点はあるように思う。これから社会そのものが国際化し、変化し、多様化してまいりますから、その社会の変化にみずから対応できるようなたくましく、心豊かな青少年を育成するという意味においては、やはり教育そのものが個性を重視し、多様化、個性化に向かっていかなければいかぬであろう、こういう今要請の時代にあるのであろうと思うんです。それを前提として臨教審で三年間御審議をいただき、そして教育のあるべき姿、そしてその中に入試のあるべき姿というものが示されたわけでございますので、おっしゃるように、一定したものがある方がそれは目標としてはやりやすいと思いますけれども教育あるいは入試というものがやはり改革の意味において変革をしていく時期があるということはやはり認めなければいけない。  そのためには、端的に申しますと、猫の目のように変わると言われるその根本をお互いに理解し合い、論じ合うことが必要だと思いまして、私の頭では、やはり個性化重視の中で多様化、個性化をやはり第一の主眼といたしまして、先生が後段におっしゃいましたように、受験生の能力を単にマークテスト、マル・バツではなくして、いろいろな形で建学の精神に基づいて、またその受験者の人間性、個性、創造性、そういうものを引き出せるような多様な入試方法をとりまして、例えば面接ですとか小論文ですとか、そういうものを入れて、そして受験者の能力を引き出し試すということが必要であろうという大前提があると思うんです。そのためにどういう方法をとったらいいかということで、協議会のメンバーの方々に高校側の方々も入っていただきまして、いろいろ御審議をいただきまして大学入試の協議会のまとめをいただいたところでございますので、それを参考にして新テストというものを六十五年からやらしていただこう。方向一つのところへ合わせていっておるというふうに私どもは考え、御理解をいただきたいと思っておるところでございます。
  197. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私は、年限というのはやはり最小限度は、高等学校三年ですから、入学をして三年卒業するとき受験なんですから、どうしても三年はミニマムじゃないのかなと思うんです。それより短いというのは大変困ることではないかと思っております。したがって、ことしが六十三年度で来年は何か分割分離とかというのがあって、再来年に新テストというのですから、何となく年々歳々変わっていくのではないかという印象を受けているわけですが、しかし、こう変わっていったというのはうまくなかったということの一つの証左だろうと思うんです、よければ変えないわけですからね。ですから、その変えた理由というのは何だろうか。例えば五教科七科目が五教科五科目になった。新テストは五教科十八科目で、しかし教科科目は自由にとっていい、こういうお考えでしたね、たしか。そうすると、教科だけでもこんなに変わっているんです。強化されているのか弱化されているのかわかりませんが、変わっているわけですね。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕  私が受験をした旧制高校時代は三教科なのかな、英、数、国漢で済んでいましたから。それはそれなりの選抜方法であったんですけれども、しかし今はもっと幅広い高等学校の基礎学力というようなことになるので、私は共通一次という物の考え方からいうと教科は多いほどいいだろう。だから私は五教科七科目賛成でございますけれども、せっかく五教科五科目が定着したんだとすればそれでいいのではないか。だから新テストで今度教科科目を変えるということの理由は何なのか、伺いたいと思うんです。
  198. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) できるだけ多種多様な大学が利用しやすいようにという見地から、五教科五科目以下という従来の国公立大学の実施をしておりますものとは違った考え方でできるだけたくさんの科目を用意し、その中から各大学がその大学の目的、性格に即して必要な科目を選ぶという方式を考えたわけでございますが、もちろんこれによって、例えば国公立大学についてこれが従来と全然違った科目を選択実施をするようになるとか、そういうようなことは今までの議論の過程等からも必ずしも予測できないところでございまして、大体従来の五教科五科目以下という範囲の中でさらに科目を減らすことがあるかどうかとい うような形での運用に実態としてなってくるだろうと思っております。非常に多様な科目を選択できるようにしておりますのは、特に私学などで非常に独特なことをおやりになるという場合に、高等学校にある科目でそれにふさわしいものがあれば、できるだけ私学等の利用に供することができるようにそれだけの対応をしようということで、メニューをたくさんそろえておこうということでございますけれども、実際の選択に当たりましては、恐らくこれは私の想像でございますけれども、国公立大学等については従来の五教科五科目以下という程度の中での具体の選択になってこようかと思いますし、私学それぞれの場合は一科目ないし二科目といったような科目をお選びになるというようなことになろうかと思いますので、現在の状況と著しく急に変わるというような形での変化ということは必ずしも予想できないと思っております。
  199. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の科目の変化を含めまして、それは私立大学に参加をしていただくためのそういう対策なのかどうか。もう一つは、十二月下旬でしたか、新テストは試験をする。これも私立大学にたくさん参加してもらうための方策であるかのように新聞には出ておるんですが、これはいかがでございますか。
  200. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) もちろん新しいいわゆる新テストの仕組みというのは、国公立全体に自由にお使いくださいという仕組みで考えておりますので、私学のためにだけ科目数をいろいろ用意するということではないわけでございますけれども、具体の御利用に当たりましては、これまで参加しておられなかった私学において、その多様な科目が使われるという可能性はあるだろうという前提のもとに今いろいろ考えておる、使いやすくしたいということで考えておるということでございます。  それから試験の実施期日を十二月といたしましたのは、ただいま御指摘にございましたように、一つには私学の入試というものを考えますと、各私学がそれぞれ独自の入試をおやりになる時期が大体二月の初めからというのが普通のことでございますので、そういった私学におきまして御利用いただく場合には、やはり少なくとも十二月中には新しいテストが実施されておりませんと成績の利用に間に合わないという事情がございます。そういう意味からいえば、早ければ早いほど大学の側の都合からいえばいいわけでございますが、逆にまた高等学校側の立場立場からすれば、高等学校教育をできるだけ万全に終わった後で大学入試ということになってほしいという、これも強い御希望がございますので、そういった両方の御希望の間での協議の結果として十二月の末にやろうというような方向が国公私立大学と高等学校側の代表者の間のお話し合いで決まってきた、こういうことでございます。
  201. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 いつだったかテレビで見たんですけれども高等学校側の先生が言うておられたし、私もそのとおりそう思うんですが、期日そのものが十二月であるということは、もはやその前、十月か九月にはもうとても高等学校教育はできないということで、まあ八月で高等学校は終わりというようなことになるだろうと、それが一つあります。  もう一つ私が思っているのは、科目が自由であるということは、多ければまんべんなく高等学校教育を受けますけれども、科目が少なければそれに集中してほかのは捨ててしまうというのはこれは人情の常でございまして、しかも一点を争うからにはそうなるわけです。ですから共通一次のないときに、科目が少ないときにそれだけやっておって高等学校で成績はもう落ちそうだ、落第しそうなぐらいなのに、これは私の知っている例でありますが、北大の医進に悠々通ったのがいるわけです。これはもう高等学校教育の整合性を無視しているわけですね。ですから、私は科目が自由であるということは、そして期日が十二月に試験をするということは高校教育との整合性を無視したことになるのではないかと、これはもう私はそう思うんです。それは確かに話し合いをされたと、だから仕方がないのかということですが、私、文部省としてはやっぱり高等学校教育との整合性を満足させる方向に進まなきゃいけないんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  202. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 大学入試というものがあるためにそれに引きずられる傾向ということから先生の御指摘だと思いますが、高等学校教育というのは高等学校の学習指導要領に基づきまして全般についての教育が行われるわけでございますので、それをやはり前提として考えなければならないと思うわけでございます。ただ、そういったことで大学入試の影響というので、そこにひずみが来てはいけないというようなことから、従来五教科七科目というような線はそれから出てきておったわけでございますし、大学側ではその点をぜひ重視して五教科七科目という方式をかなり長い間実施をしてきたわけでございますが、逆に今高等学校側から言わせますと、高等学校教育ということはそれなりにあるにしても、しかし五教科七科目というのは余りにも負担が多いというような強い御意見等もございまして、むしろ高等学校側の御意見等も踏まえながら五教科五科目以下というふうに大学の共通一次についての科目を改めたというような経緯等もあるわけでございます。  一つの理想なり考え方なりということが中心にもちろんなければならないわけでございますけれども、片一方ではやはり受験生の負担の問題その他というような現実的な要素というものもある程度考えなければいけない。そこの一つの何といいますか、調和する線を五教科五科目以下というところに求めたというのが六十二年度から実施をしております現在の共通一次のやり方でございます。
  203. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ところで、新テストは一回だけを予定しているというふうに、これも新聞情報でございますが、私聞いておるので、共通一次のときは何年間でしたか忘れましたが、四、五年やって、そしてやりましたね。ですから今度の新テストは、一回というのは自信を持って一回なのか、どうせやめるということで一回なのか、その辺ちょっと承りたいと思うんです。
  204. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 先生の御質問は試行の問題でございますか。
  205. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そう、試行です。
  206. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 試行につきましては、共通一次を始めますときの試行は、その試行の主たるねらいは、いわゆるマークシート方式で適切な出題ができるかどうかということが試行の一番中心であったわけでございまして、そういう意味で何回か具体の問題をつくり、それを子供たちに解いてもらい、その結果を分析をし、もっといい出題はないかということを考えるというようなことで、大学関係者と高校関係者一緒に相談をしながら、そういう出題についてのテストを重ねてきたということにウエートがあったと思うわけでございますが、まあマークシート方式でございますから限界はございますけれども、それにしても現在共通一次において出されている問題というのは高等学校側からもかなりの評価を得るという水準に達しておりますので、私どもは今度考えております新テスト絡みの試行テストというのは、そういった問題の出題内容についての試行テストということよりは、むしろこれまで実際のその共通的な入試の運営についてタッチしておられなかった私学の方々が参加してこられる際に、具体の入試という業務をやっていく場合にどういうふうにやるのかということについての御理解をいただくための試行テストと、こういうようなつもりでおるわけでございますので、例えば全体の受験生のうち、どれぐらいが自分の大学へ割り当てられてくるのか、それについてほかの大学とのバランスを見ながら、入学試験会場をどういうふうにセットをしたらいいのか、あるいは試験をやっている最中に学生から質問が出てきて、問題についての質問が出たときどう対応するのか、それは入試センターとどういう連絡をとってどういうふうに対応 していくのかといったようなたぐいの実際の試験の運用についての試行テストをいたしまして、御経験を積んでいただくということをねらいにしているというものでございますので、従来の試行テストとは何と申しますか、ニュアンスの違うものということで、これは一回やっていただければ十分であろう、こう思っている次第でございます。
  207. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 新テストについてはもう何人かの先生が御質問なさいましたので、私からは、重複すると思いますので、私のハードル論というのをもう一度、中島文部大臣にはちゃんとお話するのは初めてかと思いますので、お話させていただきたいと思います。  私、最初申し上げましたが、入試というものには選抜ということは厳然たる事実である、これは前提でございます。全部入れるわけにはいかない。高校卒業というのは試験を受ける受験資格でありまして、入学資格ではない。これもはっきりしておきたいと思うんです。それで、入学資格の中に二つあって、一つ高等学校教育の到達度、全般的にどこまでいっているか、これは文部省が口酸っぱく言っておられることであります。そのとおりだと思うんです。二番目は、大学における学習をちゃんとできる、そういう必要な一定レベルに達していることが必要である。それは一点を争う必要はないんですね。一点多いからその人が絶対優位ではないんです、ちょっとしたら違ってくるかもしれないので。ですから、あるレベルがあればいい。そのために私は第一ハードルというのをここに置いたわけです。必要な一定レベルの学識を持っていればいい。それは、東大へ入るなら百点満点で九十何点というんじゃないということです。例えば六十五点以上なら全部東大で学習を受ける資格があるという意味であります。  したがいまして、大学によって、それから私は大きく分けて文科系と理科系とで点数が違うと思うんです。ですから、多分共通一次は文科系列と理科系列ありますから、トータルでいくか、文科系列何点、理科系列何点をハードルにすればいい。それは北大ならこうだ、東大ならこうだ、早稲田ならこうだ、こういう五教科五科目で私はやってほしいと思って前提にしておりますが、高等学校教育でいろいろな分野のことは知識に入っている。大学に入ったらそのうちのスペシャリティーで行くわけですから、それだけを今度頑張って勉強するわけですね。工学部に行ったら、まあ数学だけじゃありませんが、数学は一生懸命やるわけです。医学部へ入ったら生物学的なことを一生懸命やるので、もう文学は捨てちゃうというようなものです。ですから、その意味で、人格形成においては高等学校教育の基礎的な教育全般が必要だろうと思うんです。そのために、試験の科目から外しますと勉強しませんから。ですから、そこは私は勉強すべきだというので多いほどいい、こう言っているんです。  そして、その第一ハードルを、私はその大学あるいは文系、理系でそれぞれセットなさって、これは一般に知らせるということです。もう公にする。そうすると、自分では第一ハードルをあそこなら越えられる、幾つか出てくると思うんです。そのうちで第二、第三、第四のハードルはどう置くかということなんだ。これはハードルでありまして、第一ハードルだけがハードルではない。したがいまして、全国一斉レベルのハードルを置くという考えはないわけです。私のはそういうことなんです。そして、第二ハードル、第三ハードルの中に幾つぐらいあるかというと、考えますと、例えば工学部に行くのに、何々学科に行こうとしたら数学のIIが要るとか、そうしたらそのIIに関してペーパーテストを第二ハードルでやる。ですから私は一科目か二科目でたくさんだと思うんですよ、それでいい。  ですから、科目を減らせば負担が減るというのはおかしいんです。競争相手がいるんだから、負担は同じなんです。十倍あったら、科目がどんなになろうと十倍なんですね。負担に変わりはないです。勉強する科目が減ったら遊ぶ時間が多いか、冗談じゃありませんよ。その科目に従って塾にやっぱり行かなきゃいけない。生き生き伸び伸びではないんです。生き伸び政策なんですね。ですから、科目を減らした理由なんて一つもありません。私は科目が多い方がいいと思う。その方がまんべんなく勉強できる。そして、数学得意な子だけがうまくいくんじゃなくて、音楽得意の子も、もし音楽が入っていればやっぱり評価されていく、一般論の第一ハードルでは。そういうふうな方が大学に入って高度な専門知識を受けるのにはふさわしい基礎的な教養ではないか、私はこう思っているわけです。  それで、第二ハードルは、例えばペーパーテストをやって、これは私は一点を争う必要があると思う。例えば数学のIIですね。これを一応のハードルは百点満点で六十五点に置く。しかし最終的に幾つかのハードルをやっても定員の倍くらいあったときにどうするか、ある程度ペーパーで切るしかないわけだ、一点で。それは私は第二ハードルの例えばペーパーテストで切ったらいい。これが一つ考え方。その第三、第四、第五ハードルの中にどういうものを置くか。例えばクラブ活動でどういう役割を演じたか、一週間何時間やったか、そうすると何分の何で出るわけだ。これは三段階評価ぐらいしかできないかもしれません。しかし、そういう何分の何は出たというのは一つの評価です。それからボランタリー活動ですね。老人ホームを訪問するとか何かあると思うんです。そういうのを何時間参加した、ああこの子はそういうこともやったなと。社会性だとか思いやりだとか、みんな第三ハードルに入ってくるわけだ。  第四ハードルは例えば推薦があると思うんです。推薦を木宮先生おっしゃっていたわけですが、それが信頼のおける推薦であってほしいですね。日本人はだめですね。信頼なんかおけないです。後でまた別な話をお話しいたしますが、非常に日本人はおつき合いがよ過ぎるというか、グループ中で生きていく精神というか、単独の精神がないです。国際社会に出ていけない理由です。ですから推薦は信用できません。できないけれども、何ハードルかに置いていいと思いますね。小論文は結構ですね。しかし小論文は客観性がありませんからね、採点する人の思想と違ったらだめなんだから。だから非常に革命的な論文を書いた人と、全く保守的な論文を書いた人と採点者によってゼロか百になる。これじゃいけないんで、論理の進め方というものをどう評価するかなんですね。ですからそのときにやっぱり客観評価できないと思うんです。だから推薦入学というのを私はこれだけでやるというのは極めて危険だと思います。  ですから私が言うのは、そういう幾つかのハードルを重ねていく。私、今五つぐらい挙げましたが、もっとお考えいただけばいいんです。この大学は建学の精神に沿うてこの論文書けと。で、建学の精神をいろいろと書いて、ああよくおれの大学を覚えてきたな、よしAをやる。これはいいと思うんですよ。早稲田はどうだ、早稲田は忘れたなんというのはこれはだめだとか、いろいろあると思うんですよ。ですから、そういう客観性のないものが、第二ハードルは客観性、今言ったペーパーだとかありますが、第三以下は大体が客観性がないんだ。主観的ですよ。その主観的な中に公平を盛り込まないと納得しませんね。  なぜペーパーの一点を争うかというと、私は北海道大学の出題の委員長をしたことがある。それで教養の先生方の論客を相手にいろいろやりました。一点を争うことが最も公平だというんです。あなたの受験はこうだったからだめだったんだと言えばもう文句がないというんです。推薦書なんかやっていたら大変だと言うんです。ですから一点を争うということはだめだけれども、その学力を評価するレベルが要る、これが私のハードル論なんです。ですから第一ハードルを越え、第二ハードルを越え、第三を越え、第四を越え、第五を越えた、そしてさっきのペーパーテストで一点を争うところもあるレベルを越えたと。それで、定員だけとれと私は言いたくないんです。それでもテストによって選ばれたのはその人の能力を正確 にあらわさないですよ、大ざっぱにイエスか中間かノーかですから。そこで私が言っているのは入り口を広くなんです。百の定員があったら例えば二割は余分にとる、今のハードルの中で。どうしてもだめでも二割までに切る。十二割入る。そのかわり十二割は同格で、入学してから半年の間、真剣にそこの大学の授業を受けながら試験で落としていくということです。これは経験があって申し上げているんです。  私、アメリカ留学しましたときスペシャルスチューデントというのにレジストレーションされたんです。日本の大学を出て、医学博士であって、私は助教授でございましたが、アメリカの大学は私の評価をしないわけです。スペシャルスチューデントなんです。授業料を払うんです。四分の一学期、三日に一遍ぐらいずつ試験がありまして、英語の試験ですからつらいんですね。日本語に直して、そして解答を考えて英語に直すんですから、字引を引き引きですが、時間内でやることはつらかったです。四分の一過ぎますと、パスすると、あなたの分は全部単位に入れるからと。そして初めてレジスタードスチューデントになる、登録されるんです。そして修士号を、私はマスターをもらって帰ってきました。  そのスペシャルスチューデント制度を採用したらどうかということなんです。教養の一年目は実験講座が少なければ、いすだけ多ければいいんですから、東大の法学部がそうではないかと聞いておりますけれども、聞かなくても試験受けられるとかと言っているんですから。大体教養というのは実験講座がなければ、いすが多ければいい。早い者勝ちなんだから、遅いのは勉学に熱心でないんですからね。外れてもいいと私は思っているぐらいなんです。そうして半年間で勉強させて本当にやらせて定員で切ってしまう。これは最初から情報で承知させて入れるわけです。それでもやりたい人は入ってくるということです。嫌だったら入学辞退です。そして百に戻せばいいわけです。そういうことをします。  なぜ半年と言ったかというと、早いほど彼は再び来年の受験に準備ができるということです。その準備を半年置くべきだと私は思うから半年と言ったんです。アメリカでは四分の一でしたよ、四分の一学期です。ですからそういう体制をとって、私は入り口は広く出口は真っ先に狭くする。四年も五年も、今の日本の大学ですと二倍おれるんでしたね。四年だと八年です。八年目になって落とされたら、これどうしようもないです。どうせ落とすなら一年目で落として早く転向させた方がいい。アメリカの教育はそうでした。最初はできないと、あなたは私の教え方が悪いのではないかといって先生呼ぶんですね。いんぎんなんです。そしていつでも習いに来い、私教えてあげます、今度の試験頑張ってくれと。いや、私が言われたんじゃございませんから、話によるとそうであります。そして次の試験に落ちますと呼んで、あれほど言ってもだめだった、あなたはメンタルワークに適さないのではないか、転向するなら早い方がいい、退学を勧告する。その精神は日本にはありませんね。それで私は規則として入り口を広く、出口は半年後に出口を決めてしまう。そうしますと五月病というのはなくなりますよ。勉強しなきゃいけないんだから五月病だなんておたおたしていられません。大学祭も半年以後に、秋以後に今のあれではなると思います。  私のハードル論はそういうことで、何だか演説だけ打ったのでは時間がなくなりそうな気がしたものですから、大臣一遍御感想を承りたいんですが、いかがでしょうか。
  208. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 率直にお話を承りまして、大変御見識ある一つの御提案だと思いました。また、一般の方々からも大学のあり方というのは入り口は広く出口が狭く、それでいいんじゃないかという一般の方々の御感想もよく耳にいたします。  また、今のハードル論でございますが、ハードル論という言葉は伺っておったんですが、その中身、先生のお考えをつぶさに私初めて伺いまして、すべて大学がやる試験でございますね。まさに先生がおっしゃるのは、一つは、大学入試であれば高校のときにできるだけ幅広い修得をするように、その中からその一人の人間の資質を確かめ、そして引き出すためには多様なやっぱりテストの方法があるだろう。それを縦に並べればハードルが三つも四つも五つもあるべきはずである。しかもそれで一つの人間の評価が決定的に定まるものではない。したがって、ある意味で幅広く採用した上で、そしてその期間は別として、半年なり四分の一期なり、そこでまた能力を確かめて、しかるべき方向に早く進ませるのが、それが一つの温かさではないか。当人にとっても進むべき道を誤らない方法ではないか。おっしゃる意味はよくわかりました。おっしゃっている意味は、大変私は見識あるお言葉だと思いまして拝聴いたしておりました。  まさに高等教育の活性化その他を今御審議いただいておるところでございますけれども、一般論で申しますと、やはり私は先生ほど経験がないんでございますけれども、どちらかというと、日本の教育というのはアメリカ型志向でいっていると思いますが、片やイギリス型の、例えば高校時代から相当専門化して、そしてエリートが大学へ突き進んでいくというのと、アメリカの場合には、大体全体を高めていって、大学に入りましてからなおかつ生徒として扱い能力を伸ばす。その点のつまり高等教育の、まあ日本は高校生まで一生懸命やるけれども、大学へ入ったらもうあとはそれで、入学試験が受かった途端に、もうそれでいいやということになるような気がして、親御さんもこれでいいのかという感じをお持ちである方が多かろうと思います。  その辺の改革と申しますか、それはまさにここのやらなければならない方向一つにございますので、先生のおっしゃることをすぐには、実務的にはいろいろあるんだろうと思いますが、方向としては拝聴いたしまして、高等教育の活性化に十分生かしてまいりたいものだな、このように率直に感じました。
  209. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ありがとうございました。大臣の率直な御意見で私も大変ありがたく承らせていただきました。  入試協議会のメンバーはやっぱり私はそれぞれが利益代表だと思うんです。したがいまして、自分のことを主張していくと思うんです。ですから、私もひょっとすると大学の教授を長くしたせいで、大学側の利益を、自分では意識していませんが、少しあるのかなとは思いますけれども、だけれども現役の方々は自分のところを主張しますよ。ですからあれは妥協の産物だろうと思うんです。ですから改革というのはラジカルチェンジでありますから、一点を争うということが全部続いていますから。  これは偏差値、輪切りは、採点を公表しようがしまいが、試験が終わったら受験産業は彼らの情報網を駆使しまして、一日ぐらいの間に三十数万人の受験生からのデータを集めて、二、三日したら統計をとってぱっと出しますから、もう文部省側で公表するとかしないとかというのは相手になっていないんです、そんなもの。みんながやっぱりちゃんとやるんですから。また、マルバツ式というのは解答は一つしかありません。間違っていたらだめなんですね、これ。一つしかないわけです。だからその点で非常に客観的ではあって、間違っていた場合もあるんでしょうが、客観的なんですね。ですから私は、ハードル論でいく限りは今までやってきた共通一次試験、あれで十分だろう、そのほかのところでこの能力審査が起こり得る、こう思っております。  ところで、大学の活性化というのは、私も自分で大学の教授を長くやってまいりまして、大学紛争のこともきょうのお話の中にちょこっと出るかと思いますけれども、いろいろと自分でよかったと思う点と、ああだめだったなと思う点といろいろあるんです。その中で大学の活性化というのは自分だけではやっぱりなかなかできないと思うんです、教授だけでは。これはシステムとして考え ていく必要があると思います。  それで、若手研究者の育成というのは、利根川教授がしばしば日本に来られたときの新聞で報道しておられます。極めて短い文章でありますが、言っていることは同じですね。日本では若手研究者は育たないと。彼は京都大学を出た、だから京都大学はノーベル賞だ、皆さんが確率高いと言う。彼はうそだと言っているわけです。私は日本の大学を出たけれども、アメリカで、そしてスイスで研究した、その研究の環境がノーベル賞まで行きついたということを言っているわけです。私は日本にいたらだめだっただろう、こう言っているんです。だから京都大学ではないんだな、彼は。そういうことを念頭に置かなきゃいけないわけですね。もちろん湯川さんのようなすばらしいノーベル賞ウイナーが、プライズをもらった方が京大御出身です。しかし、だから京都ではない。利根川さんの言うのが私本当だと思う。  そして、彼が言っているのは三十代なんですね。発明、発見は二十代と言っていますから、まあそれに近いんですね。しかし、今は発明、発見は思いつきでぱっといいアイデアが出るんじゃなくて証明する時間が要りますから、ですからこれは三十代がノーベル賞の一番重要な、ノーベル賞というのを一々オリンピックのあれみたいに考えるといけませんけれども、すばらしい業績でいいと思います。世界をリードする業績ということであります。そういうものは三十代。そういたしますと、私も教授いたしました。  何だか私の意見ばかり言って文部省の意見聞けないからこれぐらいで、文部省どう思っているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  210. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 私自身も利根川先生の講演会に出席いたしましていろいろと御意見を拝聴いたしましたけれども、今先生がおっしゃいますように、学術の振興、特に独創的な研究を振興しようという場合には若手研究者をいかに育成するかということが一番大切な問題でございます。今までも文部省もいろいろと努力をいたしておりますけれども、今後さらにそういった点で充実しなければいけないという点は、学問の分野によっても違うと思いますし、特に人文社会科学系と自然科学系では違うと思いますが、やはり自然科学に重点を置いて申し上げますと、研究能力が急速に高まる二十代あるいは三十代というところが大変な大事な時期でございまして、そういった時期に適切な研究の場を与える、それもできれば他流試合という意味で、同じところにとどまらないでできるだけよそを回ってくる、他流試合をしてくる、自由な発想のもとに主体的に自分の発想で研究に専念をさせる、こういうことが非常に大切だと思います。
  211. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私は自分がいた、大学教授をしたあるいは研究指導をした経験から、私の反省を含めて意見を申し述べさしていただきますと、我が国の大学の講座制というのがあるわけですが、講座制は教授が権威主義なんですね。もうすばらしくできる権威なんです。何人もこれは文句が言えないというのが大学の教授なんですね。私もやっぱり自分の習った教授をそうだと思って見ていました。自分がなってみたら余りにも自分は足りないんじゃないか、私はいつでも自分はあんな権威ではないと思いながら勉強してきました。よかったと思っているんです。いつまでもいつまでも幼稚だと思い続けてきてよかったと自分では思っています。しかし世の中はそうでないですね。教授は偉いんだということです。  その権威主義のもとで講座制がある。しかも日本の講座は一、一、二、医学部なんかの実験講座だと一、一、二です。しかし、新しい講座ができるごとにかっさらわれるわけです。やらないと文部省は講座をつくってくれない。とられちゃうわけです。四人はくれないから二人だ、どこかから二人出せと、仕方がないからこっちから出すわ、どこかから出せと、そうすると一、一、一になる。教授一、助教授一、助手一です。これで普通の教育と研究とてもできますか。会議が多いです。殊に学部長なんかになったら教室にいられません。そういう状態で若手は何ができるかということですね。教授のテーマをさせるのが精いっぱいになりますよ。それでは若手は自分の研究をできないですね。  私は理想的には、教授はそれなりの権威があり、いや、権威じゃないな。経験があって、それを評価されて教授になったんだからそれなりの能力があると思ってもらいたい、教授の側のことを言えば。しかし、オールマイティーではない。だから、自分のテーマは時間の半分だけやってくれないか、半分は自分のテーマをやれと、こういうシステムがほしいと思います。今はそれがないということです。ないということですね。スタッフが少ない。  それから大体科研費の採用が、文部省おられますから、これはだめですね。もう全部過去の実績がちょっとでもどこか論文に載っていないと採用にならない。どこかに載っている、外国にないか日本にないかと言われたら、これはみんなオールドファッションですね。アイデアじゃありませんよ。オールドファッションが文部省の科研費の採用の基本的条件であります。これはだめなんです。じゃ、だれでもアイデアがあったらお金を出すかといったら、これもだめですね。したがって、そういうのは私はやっぱり何か、そうですね、査察官のような、これならいいぞというのをやってくれる査察官制度みたいなのが要るかもしれませんね、覆面のね。わかったらだめです。みんな何だか知らないコネをつけますから、わかったらだめ。日本的土壌の中でなく覆面でやってもらいたいというのがあるんです。  その中で一番問題なのは大学教官の任期制だと思うんです。一遍教授になりますと、首にならないからどんな研究でもやれる。私は初めやっぱりそう思いました。ああこれでおれは一生人がわからないような研究に携わって定年までいって何にもできなくても首にならない。よし、やろうと。これは私の精神でございます。しかし、見ていますと、ああこれで首にならないから研究はやめてもいいと、これはいっぱいいるんですよ。いるんです。私は知っていますから言っているのです。全部じゃありませんよ、もちろん。大部分の人はそうじゃない。そういう人たちをチェックしてやっぱり何かしなければだめですね。  その教授をチェックするのはその大学じゃだめなんです。よそからですね。それは論文を見ればわかりますよ。まず論文ができていないか。どんな論文か見ればわかります。オールドファッションならだめなんだから、本当は。五年間に一つでも死力の論文がはめ込まれていればいいんですよ。そういうやっぱり評価の仕方があると思うんです。任期制がなければやっぱり停滞すると思います。そして任期制があるということによって下の人たちも頑張るわけだ。その教授の言いなりになっていちゃもうどうにもならない場合があるわけです。それから講師、助手を最初まず評価すると書いてあった。私は評価はまず教授だと思います。頂点にいるんだから、この人をまずチェックしなければ、その下なんかだめですよ。ですから、まず教授をチェックする。それから講師、助手をチェックするときにはその教授にやらせたらだめなんです。それはみんなおもねざるを得ない。これもみんな別人事になるわけですね。  それから、失格をしたり降格をする人のために日本では今の状態だとマーケットがないんですね。だから、すべての国公私立がマーケットをオープンされて、同じようにローテーションをしてくれればいいんです。あそこで降格されたらこっちで引っ張った。ここで頑張ったら今度またいい大学へ呼ばれた。これがアメリカ流ですけれども、何かマーケットをオープンというのがないと、今度は私が教授だった場合、失格したときにどうするか。食っていけないわけですよ。そうすると困るわけですね。しかし能力がないわけじゃないんだから、だからそのマーケットをオープンにする必要があると思います。  時間が、もう一点あるから、今のものに対する御意見を承ってからにしますか。大臣、いかがで ございましょうか。
  212. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) ノーベル賞から始まったいろいろな御意見でありまして、科学分野、文学分野いろいろございますから、主に年齢別にもいろいろな年齢層があろうと思います。文学的には七十、八十であろうといい作品をお書きになる方もいらっしゃるわけでございますが、私も利根川博士のお話をつぶさに伺いまして、今先生おっしゃるのと同じような御指摘がございました。アメリカの場合は大体そのように、例えばアシスタントプロフェッサーでも自分の独自の研究を出して、スタッフを登録して、それが認められればその研究に没頭できる。ただし、何年間かでやっぱりチェックがありまして、そこでチェックで続けられるか、続けられない場合にはそこでまたこうこう変わっていくという厳しさもあるわけでございます。  しかし、それをどうやって変えていくかというのは全体にそういうシステムに移行していくのか、あるいは今のシステムの中から新しいシステムを併存していってだんだんそちらへ変わっていくのか、そういうこともありましょうし、一朝一夕にはなかなかいかないと思いますけれども、ドイツなどは今までの方式をおきながら、新たなシステムを別個につくっていきつつあるというお話もございまして、おっしゃるように基礎科学の分野を含めました新たな研究体制というのは、そのように幅広い、それは人的マーケット、研究のマーケットがあって、そしてまた自由な発想で研究を続けていき、その間にまたチェック機関がある、簡単に言えばそういう方式というものが、お話伺っておると、一つ方向であろうかなという感じはいたしております。ただ、それを急に百八十度変えていくというにはなかなか大変でございますから、時間と段階と、まあ時差があろうと思いますけれども、私も一つ方向として拝聴さしていただきました。やっぱりお互いそれ模索しておるんだと思いますので。  それからまた、先ほどの任期制の点におきましても、これも含めて大学審議会で、大学並びに大学院の個性化、活性化、高度化という点で、まさに御審議をいただく中枢の問題であろうと思います。
  213. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今ひょっと思い出したんですが、最近の新聞紙上でありました某大学の某教授が入学試験のことに絡んでどうこうというのが出ておりましたが、私はその個人のことでなくて、例えば一般に研究に一生懸命になっている人は悪いことをしている暇はないんですね。これは一遍に二つできませんから、どっちかなんですね。一生懸命にやっている人はないんです。だって、例えば論文がいっぱいある人は余計なことしていられない。だから例えば論文をチェックすればそういう教授は、ある任期の中でドロップアウトできるわけだ。だから、そういう評価がなかったから、あの某大学のようなことが起きたと思うんです。ちなみに聞いてみると、やっぱり論文が何かないっておっしゃったかな、何かともかくそういうことですね。  まあ科目の性質もあるかもしれませんが、しかし何らかの形で自分の専門としているものの発現がなければいけませんよ。それがない人は教授としてのポストは失格になるんじゃないか。そういうチェックがあれば、やっぱり大学の中から悪いことが本当は起きないと思いますね、それだけの資格で上がってきたんだから。私はやっぱり自分では肩身狭い思いするんです。大学の教授は鼻が高しとかという何かすごろくに昔ありましたが、そういう権威の象徴であったのにと思いますと情けないと思うんです。そういうことを含めて、チェック機能があった方がいいなと思っておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。  それで、最後地方大学のことなんですが、まあ今思いついて、冠大会というのがありますね。冠地方大学と言いたいと思う。例えば北海道大学、東北大学、九州大学、まあ東京大学も冠ですね。東京という大きなところの地方を冠にした大学でありますが、その地方大学の、少なくとも国立で金をつぎ込んでおるんだから、冠地方大学は地方の文化、技術、産業の中核としてやっぱり地方とともに真剣に地方の発展を考えるべきだ。つまり多極分散しようとするとき、チャンスだと思うんです。移転料を出したと思えば、その大学に予算を重点配分しても大したことないわけです、移転を考えれば。ですから多極分散の中で、例えば東北大学は宮城県の大学ではない。東北六県の中核なんだ、そしてその文化、産業、技術とともに知恵を出して一緒に発展していく、こういうための重点配分をしてもらいたいと思うんです。  それから、大学紛争の真っ最中でありましたけれども、さっきの大学教官の任期制についても、そのとき出てかんかんがくがく議論になったんです。表向きは皆賛成でしたね。裏になったらどうだったかわかりませんが、表向きは賛成でしたよ、任期制は、現役教官が。  それから、旧帝国大学の、今言ったのは旧帝大のつもりで申し上げたんですが、国がお金を出しているという意味であります。大学院大学構想というのが何遍も出たんです。例えば東大は、もうアンダーグラジュエートやめて、学部教育全部やめて、もう大学院大学にしちまう、東北もそうする、北大もそうする、こういうやり方です。そしてアンダーグラジュエートの教育はほかの大学に任せる、そしてその中で研究者にふさわしい人が大学院に入っていく、そういう大学院大学構想が紛争のときにあったんです。  あの紛争のエネルギーがそのまま花を開いたら、今やっていることは全部要らない、もうやっていますよ。だから、あのときに、国会を非難することになるかもしれませんが、大学管理臨時措置法でしたか、あれができてぴしゃっと抑えましたから、それで学生のエネルギーはどこかへ行っちゃった。あのまま知らぬ顔しておったら、今大学審が問題にしようとしているようなテーマはいいかげん出てきていたんです。私は惜しいと思っています。惜しいと思います。あの学生のエネルギーは本当に惜しいと思います。だって日本の将来をしょうのは、やっぱり青年諸君ですよ。それを一挙に権力のもとに抑えたというのは、私は残念だったな。大学の教授が反省したんだから、あのときに。大変なことでしたね。本当に大変な出来事だったと思うんです。ですから、私は、東大が大学院学院だかなんとかという構想出ていますけれども、学があっちゃ意味がないんじゃないかと思っているんです。新聞ですよ。新聞ですが、やっぱりやる気なら大学院大学やっちゃった方がいい。  それから、長期構想の中で文部省も少なくとも金を出しているんだから、旧帝大の、冠七帝大の大学院大学構想というものも悪くないと思うんですよ。非常にいいんじゃないかと思いますね。学部はやめるんです。全部やめちまう。大学院の要らない学部はもう切り捨てるんです、要らないんだから。そういうことで研究費をふんだんに出してやる。そうすると若手研究者も多分その中で育ちますね。我々は教育と研究をやらされたから一、一、一ではどうにもならなかった。だからそういうことがございますので、私は大学院大学構想を申し上げましたが、それと旧帝大というか冠地方国立大学は、その地方の文化、産業、技術の中核になるような予算配分と指導はできないものだろうかということであります。大臣、いかがでしょうか。
  214. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 二点御質問をいただいたわけでございますが、一つの方の各地域社会と大学との関係というのは、私どもも大事なことだと思っております。国立大学は基本的には国費をもって運営されており、いわば全国的な視野で運営されるということが基本にございますけれども、しかし、それぞれの地域に立脚をしてそれぞれの地域との間の密接な関係を結んでいく。そのために必要な研究等も進め、あるいは人材の養成も行うというようなことは、これまたそれぞれの大学が特色を持っていくという意味からも有益なことだと思っておりますので、そういった方向は逐次出てくるように、例えば最近では、地域にお けるそういった窓口として大学に地域共同研究センターをつくるというような、地域方々と共同で研究をするセンターをつくるというようなことも進みつつあるわけでございますけれども、そういったたぐいのことも逐次進めていく必要があるだろう、こう思っている次第でございます。  それから、もう一点の旧帝大を学部を切って大学院大学にするという御構想でございますが、そういうお考えというのは、いろいろ各方面からも折に触れて私ども承っておりますし、これまた一つの有力な御提言だと思っておるわけでございます。ただ、具体に考えます場合に、特に大学関係者の間では、これは先生とあるいは御意見が違うのかもしれませんけれども、やはり学部のシニアのコースとつなげて大学院というものを考えていかないと、なかなか大学院レベルの教育研究を充実していくという点ではどうも問題があるという御意見はかなりあるわけでございまして、こういったいろいろな方面の御意見もございますし、それぞれの大学の自主性の問題等もございますので、各大学で十分検討してもらいたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、これから先、特に国際的な競争あるいは協力という関係を進めていく場合に、大学院を飛躍的に充実をし改革をしていくということは、大学審議会でも一番最初に取り組むべき課題だということで、真剣に御議論が闘わされている中でもございますので、そういった中で、東大の構想をどう見るかというのはもう少し構想が固まってまいりませんと何とも申し上げかねますけれども、とにかく大学院についてもっと強く目を向けて、そちらのことを考えていこうという姿勢が各大学で出てきて検討の対象になっているということは、これは評価されることではなかろうかと思っておる次第でございます。
  215. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大臣、ひとつ。
  216. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 高桑委員から御体験に基づきましていろいろな御見識ある御指摘をいただきまして、参考にできるところは極力参考にさしていただきたいと思いました。  ありがとうございました。
  217. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 終わります。
  218. 田沢智治

    委員長田沢智治君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時二十九分散