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1988-05-24 第112回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月二十四日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      永田 良雄君     大塚清次郎君  五月二十四日     辞任         補欠選任      菅野 久光君     山口 哲夫君      刈田 貞子君     峯山 昭範君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡部 三郎君     理 事                 高木 正明君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 及川 順郎君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 北  修二君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 本村 和喜君                 一井 淳治君                 菅野 久光君                 八百板 正君                 山口 哲夫君                 峯山 昭範君                 諫山  博君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 山田耕三郎君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤  隆君    政府委員        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        水産庁長官    田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        労働省労働基準        局賃金福祉部企        画課長      畠中 信夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○理事補欠選任の件 ○農畜産物輸入自由化阻止に関する請願(第一三四号) ○米の輸入自由化反対に関する請願(第一四八号) ○農産物市場開放に関する請願(第三四二号) ○農産物輸入自由化に伴う諸対策の確立に関する請願(第八六八号) ○農畜産物輸入自由化反対食料自給率向上に関する請願(第一四六七号外一〇件) ○農業生産コスト低減対策に関する請願(第一四六八号外一〇件) ○農産物輸入自由化に伴うトマトジュース等缶代の引下げに関する請願(第一六八六号外二件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十九日、永田良雄君が委員辞任され、その補欠として大塚清次郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 一井淳治

    一井淳治君 公的年金一元化が呼ばれておるわけでございますけれども、これは今後どのように進んで、そうしてそういう中で本件の農林漁業団体職員共済組合法による年金がどういうふうになっているのか、まず御説明をお願いしたいというふうに思います。
  5. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 公的年金一元化に向かっての農林年金取り組みについての御質問だと理解したわけでございますが、農林年金を含みますその他の公務員あるいは地方公務員共済制度等公的年金制度と呼ばれておりますが、そういった公的年金制度一元化につきましては既に昭和七十年に向かって公的年金全体の一元化を進めるという基本方針が閣議で決定をされておりまして、その取り組みの基本的な方向が出されておるわけでございますが、その公的年金制度一元化と一口に申した場合に、その一元化の具体的な内容については今後の関係閣僚懇談会の場でございますとかあるいはその下に設けられております内閣内政審議室長を長といたしまして関係省庁局長クラスをメンバーとする公的年金制度調整連絡会議がございますし、それから担当の課長クラスによります幹事会等が設けられまして七十年の一元化に向かっての取り組み検討を進めているところでございますが、具体的に最終的に一元化がどういう姿で実現していくべきかということにつきましてはむしろ今後の検討課題になっているわけでございます。  大ざっぱに申し上げますと、現在あります公的年金制度の諸制度をそれぞれの制度として維持しながら給付面あるいは負担面のいわゆる一元化整合化を図っていくというそういったタイプの一元化から、現在分立しておりますもろもろ年金一つ制度の中に一本化をしてそういう形での負担給付面整合化を図っていくという解釈もあり得るんではないかと思いますが、いずれにいたしましても農林年金制度昭和三十四年に農林漁業団体で働いておられる役職員方々の資質のすぐれた役職員確保する、そういう点に着目をいたしまして三十四年に厚生年金から分離独立して発足したという経緯がございますし、職域年金部分の設定を初めといたしまして資金自主的運用の面、あるいは組合員方々のニーズに合わせた福祉事業を運営しているといったような面を見ますと、農林年金制度としての非常に重要な独自の機能を果たしている面がございます。したがって、一元化への取り組みに当たりましても関係者の御意見を十分伺いながら、制度設立の経緯等踏まえて農林年金制度の健全な発展が図られるように対処してまいる必要があるというふうに考えております。
  6. 一井淳治

    一井淳治君 年金額改定につきましては、国 民の生活水準賃金物価その他社会経済的諸要素を総合的に判断して措置されるべきであるというふうに考えますが、その点は農水省の方でも同意見であろうというふうに思いますけれども、今回のように消費者物価上昇率だけを基準とすれば年金生活者生活が守られないことになるというふうに思うわけでございますけれども、その点の御見解はいかがでございましょうか。
  7. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農林年金年金額水準につきましては、今委員の御指摘がありましたように、農林年金法法律の第一条の二に改定措置についての根拠規定が置かれているわけでございます。その中では、「国民生活水準賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定措置」を講ずるという基本的な規定が掲げられておりまして、これを受けまして十九条の三で、消費者物価指数が五%を超えて変動した場合に年金額を自動的に改定することができる規定が新たに設けられたものでございます。  今回御審議をお願いしております今年度の年金額改定につきましては特例的な措置として実施するものではございますけれども、他の公的年金と同様に年金額物価上昇による実質的な価値の目減りを復元し、実質的な価値を維持するという見地に立ちまして消費者物価上昇率基準として引き上げることにしたものでございますが、賃金要素を含めました年金額水準の基本的な見直しにつきましては別途公的年金制度横並び年金額の算定の基礎となっております標準給与を再評価することによって行うことにいたしておるわけでございます。
  8. 一井淳治

    一井淳治君 現在年金を受け取っている人たちは、自分が在職している時代には給料が上がるたびにそれに比例して保険料も払ってきたという経過があるわけでございます。今回の物価関係でいけば〇・一%、賃金の方は一・四%ぐらい上昇しておるようでございますけれども、物価比例だけでは現実の問題として年金生活者は不利益を受けるというふうに思います。そして、恩給増額との関係でございますけれども、恩給法の一部改正が行われましてこの四月から一・二五%引き上げられております。何も恩給横並びにしなくちゃならないという恩給法の建前からすれば理屈は違うわけですけれども、しかし、現実恩給年金とは同じように職場を去った人たちがそれを元手にして生活しておるという現実があるわけで、余り区別ができるのは好ましくないというふうに思うわけでございますけれども、もう一遍そのあたりの御見解を重ねてお伺いいたしたいと思います。
  9. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 恩給増額の問題と、農林年金の今回の年金額改定との比較関連の問題についての御質問でございますが、恩給は今回国家公務員給与改正が一・四%の率で行われた、それから消費者物価上昇が〇・一%であるといったような要素を総合的に勘案をいたしまして、一・二五%の増額改定措置を講ずるというふうに承知をいたしているわけでございますが、このような恩給額改定が行われた。特に農林年金の場合の〇・一%の物価上昇率の反映との比較でどうしてそういう差が出るのかということになるわけでございますが、これは恩給が持ついわば国家補償的な性格を有するものであるというふうに一般的には理解すべきであると考えておりますが、そういった特殊性を考慮いたしまして、今申し上げたような恩給について増額改定措置が講ぜられるものと承知をいたしているわけでございます。  これに対して、農林年金を初めといたします公的年金制度は、六十年に制度改正が行われたわけでございますが、それまでは給与スライド方式とそれから物価スライド方式を併用して年金額改定してきたわけでございますが、新たに年金額実質的価値を維持するという観点に立ちまして、従来から国民年金厚生年金でとられてきた物価スライドによる改定方式としたわけでございまして、制度的に恩給と異なる仕組みで年金額改定を行うということを踏まえまして今回のような消費者物価〇・一%を反映させた年金額改定をお願いしているということでございます。
  10. 一井淳治

    一井淳治君 いずれにせよ、物価スライドだけではだんだんと給与との間の差が出てきますので、早急にこれを埋める機会を持っていただきたいというふうに要望いたしたいと思います。  それから、この参議院の農水委員会昭和六十年十二月十九日付の附帯決議がございます。その九項を見ますと、今後とも必要な補助額確保することと、そして昭和五十七年から六十年までの間の減額された国庫補助額については、適正な利子をつけて速やかに補てんを行うという附帯決議がございますけれども、これについてはやはり実施してもらわなければいけない、国会の決議を尊重して履行してもらいたいという強い要望が上がっていると思いますが、このあたりはいかがでございましょうか。
  11. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 昭和五十七年度から六十年度までに農林年金国庫から受けるべき国庫補助額のうち、四分の一部分につきまして行革関連特例法に基づきまして国庫補助の減額の措置が講ぜられたわけでございます。その縮減額は、利息部分も含めまして三百億円弱になっているわけでございますが、それの農林年金への支払い、返還の問題についての御質問でございますが、この返還については行革関連特例法の第七条の第二項に規定されておりまして、農林年金財政の安定が損なわれることのないよう特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ適切な措置を講ずることという規定が置かれておりまして、これに基づいて、適切に国庫補助縮減額部分農林年金に対し返還されるべきものというふうに理解をいたしております。  具体的な返還の時期をいつにするか及び方法をどうするかにつきましては、政府といたしましては、現在六十五年度を目標年次といたしまして、特例公債依存体質からの脱却に取り組んでいる、いわゆる財政再建を推進している最中ではございますが、国庫補助金農林年金財政にとって不可欠な位置づけになっていることは否定できないわけでございまして、農林年金財政の安定の見地からこの返還は極めて重要な課題であるというふうに私どもは受けとめておりまして、縮減された元利相当分について早急に補てんされるよう財政当局と折衝してまいる考えでございます。
  12. 一井淳治

    一井淳治君 ぜひともそういう方向で、早急に対処していただきたいと思います。  この農林年金がつくられた趣旨からいたしましても、ここで働く人たち生活の安定ということは非常に重要なわけでございますし、また後にも質問いたしますけれども、この農林年金基盤というものがそう安定しているとは言えないということもありますので、そういう点を今おっしゃいましたように一段と努力をしてもらいたいというふうに思うわけでございます。  それから次に、共済組合余裕金あるいは積立金運用の現状でございますけれども、資料を見ますと、六十二年度末で有価証券に八一・七%、運用益というものが六十一年度で八百二十七億円というふうになっておりまして、有価証券投資をして相当運用益を上げているわけで、この運用益が非常に重要な収益となっていることは否定できないというふうに思います。恐らくこれは八%とか八・五%というふうな、少なくとも七%以上の高利利回り国債などを中心として運用しておられるというふうに思うんですけれども、その運用内容についてまずお尋ねしたいと思います。
  13. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農林年金積立金運用の概要を申し上げますと、これは六十一年度末、六十二年の三月三十一日現在で調べた数字でございますが、運用総額が約一兆一千七百一億円でございます。  その運用内訳といたしましては、有価証券運用しているものが八一・七%、額では九千五百六十億円でございます。それから、その次に多いのが信託でございまして、これが三・八%、四百四十一億円でございます。それから証券投資信託が 一・五%、百七十八億円。それから不動産に〇・二%、十八億円。その他組合員への還元融資等に一〇・一%、千百八十四億円。それから団体貸付金が〇・四%、四十四億円。残りの二・四%が預貯金として運用されているということでございます。  その結果の運用利回りについて申し上げますと、有価証券、これは全体の八一%が有価証券に回っているわけでございますが、平均運用利回りは七・九%。それから信託が七・三%。証券投資信託が七・一%。組合員に対する還元融資等が五・五%になっておるわけでございまして、これらを平均いたしますと七・四%の平均利回りになっているわけでございます。
  14. 一井淳治

    一井淳治君 今の説明によりますと、現在の金利水準からいけば相当高利利回りになっておるというわけでございますけれども、将来、低金利時代がすぐに高金利に移行するというめども立ちませんし、そういたしますと二、三年先には現在の高利回りのものをはたいてしまう。もっと安い証券等に買いかえていくという事態が来ると思います。それからまた、金利自由化もいよいよ目前に迫ってきているわけでございますけれども、そういう中で非常に財政基盤が弱くなっていくんじゃないかという心配がありますし、それからもう一つは、そういう中で高利外債投資先を移行していくんじゃないかという危険も感じられるわけでございますけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。
  15. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 金利が一般的に低金利が続いているわけで、そういう中で資産の効率的な運用を図ることもリスクを回避しつつ効率的な運用を図っていく必要がございます。それだけに資産運用の難しさがふえてきているわけでございますが、平均運用利回りの面で年次的に見ましても、農林年金積立金運用利回りは先ほど六十一年度では平均七・四%と申し上げたわけでございますが、五十八年度には七・八%ありましたし、五十九、六十で七・七、七・六、それが六十一年度に七・四と年々平均運用利回りが低下してきている、そこに厳しさがあらわれているわけでございます。  年金財政を定期的に見直すための財政計算をやっておりますが、一番最近時点財政計算昭和五十九年度の数字をベースに再計算をやったわけでございますが、その時点では向こう五年間の農林年金積立金の予想される運用利回りを年七%と推定いたしまして、年金もろもろ財政計算をやったわけでございますが、六十一年度では七・四%でございますから見込みの七%をまだ上回る実際の運用利回りになっているわけでございまして、最近の低金利情勢のもとでさらに運用利回りが低下してくることも予想されるわけでございますので、年金財政健全化を図るためには適時適切に対応していく必要がございます。財政計算の次の時点でも当然将来に向かっての資金運用利回りをどのように見通すのかという問題が出てまいりますが、そういった際に、運用利回りの見方についてもさらに現実を踏まえた厳しい判断に立って財政の長期的な見通しを行い、それに基づいて年金財政全体を構築していく必要があるというふうに考えているわけでございます。
  16. 一井淳治

    一井淳治君 七%というのは現実に夢のような話ではないかというように思います。国債自体だんだん、現在は六%台になっておりますし国債自体も品数が減っていくという状況ですので、今の七%の見通しでは非常にぐあいが悪いんじゃないか、やはりもっと厳しく見て財政基盤を強化する方策を今からお考えいただかなきゃならぬのじゃないかというふうに思います。  今お答えがなかったんですけれども、容易に外債の方に移行するということになりますとまた非常な危険を伴いますので、その点についても十分な注意をお願いしたいというふうに思います。  それから次に、今度は共済組合組合員の方でございますけれども、八五%ぐらいの方が農協関係する箇所に勤務しておられるわけでございますけれども、農協の方の経済基盤はいかがでございましょうか。これは言うまでもないことでありますけれども、農協信用事業共済事業黒字で、購買とか販売等部門は赤字でございまして、結局信用事業で非常に収益を上げてそれで息をついている、信用事業の収入でほかの部門を補っているということでずっと来ておるわけでございます。  今のように低金利時代に入っていく、そして金融自由化という時代になっていきますと、信用事業での収益が非常に下がっていくということで農協経済基盤が足元をすくわれるような状況になりつつあるということを非常に感じるわけでございますけれども、そのあたりについての御見解をお聞きしたいと思います。
  17. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農協は総合的な運営を行っているわけでございますが、とりわけ農協全体の収益性確保の上で信用事業なりあるいは共済事業が果たしている役割が結果的に非常に大きくなっているわけでございます。例えば、昭和六十一年度の総合農協部門別損益で簡単に申し上げますと、全体としては一億強の純益を上げているわけでございますが、これを部門別に見ますと、信用部門共済部門では黒字でございますが、あと販売購買その他の部門いずれを見ましても部門別には損失を計上しておるというのが実態でございます。したがって、委員の御指摘のように、信用事業共済事業農協はもっているという、損益の面ではそういう結果になっているわけでございます。  系統全体としてどのように資金運用を行っているのかということにつきまして申し上げますと、御承知のように、農協信連中央金庫と三段階資金の効率的な運用を図る体制を整えているわけでございますが、農協におきましては約三十三兆円が、これは信用事業資産の約七三%に相当するわけでございますが、余裕金として運用されているわけでございます。その内訳は、信連等への預金が約三十兆円、その他有価証券運用されているものが約二兆円となっておりまして、そのほとんどが国債あるいは地方債等安全性の高い債券に運用されているわけでございます。それから、真ん中の段階にございます信連におきましては、約三十兆円が余裕金として運用されております。その内訳は、上部の中央金庫への預金が約十七兆円、それから有価証券運用が約十二兆円となっておりまして、有価証券運用のうちの約六割が公共債金融債運用で、残りが社債、信託等運用されているわけでございます。それから、農林中央金庫では総資産が約二十七兆円ございますが、そのうち約十二兆円を国債地方債等有価証券運用し、これらを通じまして余裕金の効率的かつ安全性に留意した運用を行うことによりまして、農協系統全体としての資金運用効率性確保を図っているところでございます。
  18. 一井淳治

    一井淳治君 ただいま有価証券運用しておられる割合が非常に高いという御説明でございますけれども、これはどのような、特に利息はどの程度のものに運用しておるのか。それから、ただ有価証券を買うだけでなくて、売り買いで差額をもうける、そういう方もやっておられるのかどうか、そのあたりはいかがでございましょうか。
  19. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 事業年度別信連段階運用利回りで、今御指摘の問題にお答え申し上げますと、最近時点の、一番最近時点は六十二年度でございますが、信連の総資金運用利回りは六・二七%でございます。六十年が七・六〇、六十一年度が七・〇九、そして六十二年度が六・二七%でございますから、確かに全体として金融の低金利時代を迎えて農協資金運用にも低金利が反映した形になってきていることは否めないわけでございまして、そういう実態にあるということを御報告しておきます。
  20. 一井淳治

    一井淳治君 平均的には今おっしゃったわけでございますけれども、これは常識的に考えてみましても恐らく八%とかいうふうな高利回り国債を相当お持ちではないかというふうに思います。こういったものが二、三年後にはなくなってしまう、同時に低金利時代にも入っていくわけでございます。農協というのは信用事業でもうけてほか を支えておるという一つ体質を持っておるわけでございますけれども、数年先の、二、三年後の農協が非常に苦しい状態に陥るんじゃないか。特に、お米などの販売部門もだんだんと厳しい状態が加わってまいりますし、それからほかの金融機関との競争を見ましても、農協が非常に立ちおくれておるというふうな統計数字が相当出ておりますけれども、優良な農協もあるでしょうしそうでない農協も、個々別々だとは思いますけれども、農協によっては三年先ぐらいに非常に苦しい経済状態に陥るんじゃないかという心配もするわけでございますけれども、そのあたりをどのようにお考えでございましょうか。
  21. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農協が保有いたしております国債との関係で、農協の経営が今後どうなるのかという趣旨の御質問でございますが、農協においては、これまで発行されました高利回り国債等償還期を迎えつつあることは事実でございます。一番最近時点の六十三年の三月の段階で見ますと、国債の十年物の応募者利回りは四・八〇〇になっているわけでございますが、これを十年近く前の、例えば五十五年三月段階で見ますと、同じく十年物の国債応募者利回りが八・〇九〇でございますし、大体八%台で五十五年から五十七年まで推移をいたしております。こういった比較高利回り国債等償還期を迎えるわけでございます。  その影響が、何らかの形でこれを保有している農協あるいは信連にも出てくるんではないかということは否定はできないと思いますが、農協及び信連が保有しております国債保有額の全資産に対するシェアで申し上げますと、農協段階では二%、信連では全資産の一一%が国債保有額に充てられております。かつ、運用利回りの高い国債の償還が到来することは事実でございますが、これによりまして保有している国債運用利回り平均的な利回りが一挙に低下するわけではございませんので、これによりまして、ここ数年後に農協信用事業が著しい影響を受けることはないんではないかというふうに思います。  しかし、金融の自由化などを初めとして、農協を取り巻く経営環境は御指摘のように大変厳しいわけでございますし、組合員からお預かりしている貯金の効率的な運用をさらに努力していくということは、組合員に対する農協経営の立場として極めて大事な役割でございます。今後、農協の財務及び経営基盤の強化を図りながら資金需要のニーズというものをしっかりとらえまして、貸し出しの推進、それから余裕金運用の面でも、金融市場の変化に対応した効率的かつ資金運用の多様化を図ることによりまして効率的かつ健全な資金運用が図られるよう、農林水産省といたしましても必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
  22. 一井淳治

    一井淳治君 資産の中で占める余裕金積立金の割合が仮に少ないとしても収益信用部門から上げておる、貸借対照表上は余り大きな額にならなくても、損益計算の場面でいけば信用事業によって農協がもっているということは否定できないわけでございます。  これは、大臣のおひざもとの新潟県農協中央会の試算例というのがありまして、ちょっと読んでみますけれども、  小口預金金利の自由化によって利ざやが三年後に〇・三〜〇・五%程度低下するものと予想し、〇・五%低下した場合、他の条件を一定として、現在の経常利益を確保するためには貯金の伸び率を平均で二五・七%以上確保しなければならないと評価している。そして最も確率が高いと考えられる前提条件として、毎年における固定量の伸び率を四%、貯金の伸び率を五%とし、利ざやの減少を〇・五%とした場合、三年後の六三年度には経常利益は六〇年度のそれの四四%の減益見通しになると予測している。 これは新潟県の農協中央会の試算でございます。  これは、当たっているかどうか、この六十三年度を予測しておりまして、当たらなければいいと思うんですけれども、四四%の減益見通しというふうな予測が六十年には出ておる。それから、現状維持のためには二五・七%以上の貯金の伸び率を確保しなくちゃいけないであろうというふうな厳しい予測もなされておるわけでございますけれども、この金融事業の問題以外にも、ただいま申し上げましたように、ほかの金融機関との競争の問題、あるいは国内の米を初めとする農産物の売り上げの問題等、農協は非常に経済基盤が苦しくなるんじゃないか、農民を守っていくためには今から農協に対して基盤強化のためのいろんな施策が必要ではないかということも感ずるわけでございますけれども、大臣の御感想がありましたらお尋ねしたいと思います。
  23. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今委員の方から金融情勢が非常に自由化の方向で動いてきている、あるいは農産物の販売環境も非常に厳しくなってきているんで、農協経営も相当大きな影響を受けてくるんじゃないか、そういう見通しを既に新潟県の中央会なども出している、そういうもとで農協の経営基盤の強化を図っていく必要があるんじゃないかというお話がございました。私どもも同じような問題意識でおるわけでございます。  そういった農協を取り巻く厳しい環境に対応いたしまして、農協系統では合併による経営基盤の強化と経営の刷新等の自助努力を進められておりますが、農林水産省といたしましても系統信用事業における余裕金運用規制の緩和、これはまあ無制限に緩和するわけにはいかないわけで、大切な農家組合員の貴重なお金をお預かりしているわけでございますから、安全性には配慮しながら、かつできるだけ効率的な資金運用ができるように絶えず状況の変化をとらえて運用の規制の緩和についてもおくれをとらないようにしていく必要がございます。それから、都道府県を通じまして各農協の経営改善指導の強化を行うほか、一昨年の九月に農水産業協同組合貯金保険法の改正を実現していただきまして、経営が困難な組合の救済のための資金援助体制制度を創設したこともございます。  今後とも、系統団体の自助努力を基本としながら、役所としても適切な指導を行うことによりまして、厳しい農業の中において、農協組合員の負託にこたえて本来の役割を発揮できるような経営基盤になっていただく、体質を強化する上で役所としても可能な範囲でこれに協力をしていくということでやっていきたいと思います。
  24. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 今局長から御答弁申し上げたことと共通をするわけでございますけれども、認識といたしましては、自由化の方向づけが始まった当時から、私自身今の立場でなくて、系統農協に対し信用部門取り組みに対し警鐘を乱打いたしてきたところでございます。そういう意味において、系統資金制度金融とのリンクによって、どのように信用事業が達成されていくか、組合員に満足させていくことができるか。金融分野調整、これは表ざたの議論にはなっておりませんけれども、そこには依然として長きにわたる金融分野調整の議論があるわけでございます。そして、それとのかかわり合いにおける農協組織の問題もあるわけでございます。私どもは、適切な指導をしながら、さらに農協の自助努力というものを、この厳しい、困難な状況の中に、いよいよひとつ認識をされるよう強く期待をいたしておるところでございます。
  25. 一井淳治

    一井淳治君 時間がありませんので。  一つは、農協での身体障害者の雇用がどの程度進んでおるか。これは、法律上雇用が義務づけられておるわけでございますけれども、その点わかりましたら御回答いただきたいと思います。  それからもう一つ、要望でございますけれども、農協経済基盤を強化するというために、ある程度農協にも一定範囲の事業を許してもいいんじゃないか。例えば、市民農園の経営とか、あるいは農業と一体となったリゾート施設の運営とか、農村の自然を生かし、農業の振興に役立つような事業は農協にやらしてもいいんじゃないか。その程度の事業を許してやらないと、農協も将来、経済基盤関係もありまして、余り現在の事業範囲が狭 過ぎるんじゃないか。そうなりますと、そういった事業のために農地を農協へ譲渡することも認めていいんじゃないかという考えを持っておるんですけれども、そういったことの御検討をひとつお願いいたしまして、ただいま身体障害者の雇用の御回答を簡単にいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農協が身体障害者の方々をどの程度雇用しているのかという御質問でございますが、全国的にそういったたぐいの数字は把握していないわけですが、農林水産省が全国の農協から三十七農協をサンプルとして選び出しまして、六十二年六月一日現在で、これら三十七農協で身体障害者をどの程度雇用しているかということを調査をいたしました。  その結果を申し上げますと、三十七農協で職員の総数が一万八千九百六名、平均で五百人以上の職員を雇用されている組合ということになりますので比較的大きな組合でございますが、そのうち身体障害者の方が二百三名いらっしゃいますから、率でいいますと一・〇七%になっているわけでございます。これは、身体障害者雇用促進法に基づきます雇用率の向上のための基準といたしましては、六十三年三月三十一日までが、農協を含みます一般の民間企業では一・五%ということになっておりまして、六十二年六月一日現在で、全国の一般民間企業では一・二五%の実績になっておるわけでございますが、抽出農協の場合は一・〇七%になっているという比較ができるわけでございます。  農林水産省としては、障害者の雇用の促進等に関する法律趣旨を踏まえて、労働省とも連携を図りながら必要な指導を行い、この法律趣旨農協においても確保できるように指導していきたいと考えております。
  27. 及川順郎

    ○及川順郎君 きょうは時間制限がございますので、今回の改正案の関連に絞りまして何点か伺いたいと思っております。  まず、年金額計算方式でございますけれども、通年方式に変わりまして、今まで従前やってまいりました共済方式による年金額の支給が高い、したがって、通年方式でやる年金額がそれに追いつくまでは、物価スライドによる年金の引き上げはしない、こういう状況になっておるわけでございます。今回も対象者は八九%、約一割強の人たちが対象になっておらないわけですね。しかし、こういうやり方というのが、六十年の改定から三年を経過するわけですけれども、対象外の人たちから、年金受給者から不満のような声はなかったかどうか、また不安感を与えるような要素はなかったかどうか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  28. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今回、〇・一%の年金額改定をお願いしている、その対象となる者の割合は、全体の八九%になるわけでございますが、現実年金額を算定するに当たっては、共済方式か通年方式かいずれかで計算した場合に、高い方を採択するということでやっていましたので、その高い者につきましては従前額保障を行うということにしておりますが、この場合には、通年方式で計算をされます年金額物価スライドさせた額が、保障されます従前額、すなわち共済方式で計算された額などに追いつくまでは、事実上額の改定が行われないことになっているわけでございます。これらの者が、御指摘のありましたように、全体の一割程度出てくるものと思っております。しかしながら、これらの対象にならない方々についても、通年方式で計算される額が物価スライドをすることによって従前額を超えましたときには、その額が年金額となるので、未来永劫物価スライドをやらないということではございませんで、将来のある時点からは物価スライドが働いてくることになるわけでございます。  そういう実態にございますが、今回の改定に当たりましては、少なくとも八九%の方々が対象になる。残りの一一%の方から不満の声はないかというお尋ねでございますが、私どもとしてはそういう声は聞いていないわけでございます。
  29. 及川順郎

    ○及川順郎君 将来的にはということがございましても、やはりそれまで毎日、毎日生活しているわけですから、そういう人たちの中に若干、現場で潜在的にそういう声があるということを、これは意識の中に置いておいていただければと思うわけでございます。  それから、成熟率の問題でございますけれども、六十一年度末で一九・七%を示しておりまして、私学共済、厚生年金に次いで低い率である。この成熟率の基調は、ここずっと変化はないのかどうか。それからまた、当局として成熟率の目標基調があればお示しをいただきたいと思います。
  30. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 成熟率については、農林年金の場合、現在一九・七%でございます。これは五・一人で受給を受ける方一人という割合になるわけでございます。これは六十一年度末でそういう数字になっているわけでございますが、将来の見通しをいたしますと、平均余命年数が伸長いたしますので、受給者がふえていくということは間違いなく生じてくるわけでございますが、片や現役の、年金の掛金を負担される農林漁業団体職員共済組合に加入されている数は、近年おおむね横ばい状況になっているわけでございます。今後もこのような動きで推移するものというふうに見ます。そういたしますと、七十五年度には五・一人対一人の現在から三・五人対一人という割合に成熟率が高まってくるわけでございます。  このような将来における成熟状況を踏まえまして、年金財政の長期的健全性を確保するためには、世代間の公平性に配慮しながら財源の確保を図っていく必要があるものというふうに考えております。年金の成熟度の目標というようなものを具体的に考えておるわけではございませんけれども、そしてまた、農林年金の現在の五・一人対一人というのは、他の年金比較いたしまして特に悪いという状況ではございませんが、成熟度が高まるスピードにおいては農林年金はかなり速いスピードで成熟度が高まる傾向にあることは否めないわけでございますので、申し上げたような年金財政の健全性の確保見地に立って、この成熟度の推移には注目をしていかなくちゃいけないというふうに思います。
  31. 及川順郎

    ○及川順郎君 それから、消費者物価指数五%を基準として法改定措置を講ずる諸事情基準を定めておりますけれども、当時の状況から現在の社会情勢に照らしてもこの五%は最適という認識をされておるかどうかという問題が一つあります。  それから、現実的には五%以内といっても年金額が相対的に下がるような事態が出てきた場合、これは年金受給者にとって不安材料になるわけです。そうした観点から考えますと、この五%という一つの論拠ですね。これがどの辺にあったのか、そして現在もそれが妥当と考えているのか、この点の認識はいかがですか。
  32. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 五%の物価上昇率があった場合に年金額の自動改定措置が働くことになっております。これは、農林年金法の十九条の三の規定が追加されることによりまして自動改定措置法律措置をまつことなく自動的に政令措置によりまして行われることになったわけでございます。この根拠といたしましては、昭和四十八年度に厚生年金年金額の自動改定措置を導入したときに、物価上昇率五%を基準といたしたわけでございますが、それを六十一年度の公的年金制度の改革の際に、共済年金におきましても厚生年金との整合性を図る観点から導入したものというふうに理解をいたしております。  確かに、最近の物価の動向から見まして、この五%という具体的な数字そのものについて御指摘のような問題意識があることは私どもも承知をいたしておりますが、この五%条項の将来における取り扱いにつきましては、他の公的年金制度すべてに共通する問題でございますので、制度全体の中で今後検討されるべき課題というふうに受けとめているわけでございます。
  33. 及川順郎

    ○及川順郎君 それから、財政収支の問題について伺いたいわけでございますけれども、比較的健 全な状態で推移しているということは資料の統計数値である程度理解できるんですけれども、五十九年度、六十年度が掛金収入よりも給付金が上回るマイナス収入、六十一年度が若干の掛金収入がプラスという、こういう状況も出ておるわけでございますが、この将来見通しですね、これに対してはどのような認識を持っているのか。  それから、財政収支の問題でもう一点、国庫補助が大きなウエートを占めておるわけでございますけれども、この国庫補助の現状、それから将来方向に対する農水省としての基本認識ですね、この点を確認しておきたいと思うんでございます。
  34. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 御指摘がございましたように、五十九、六十年度のこの二年を見ますと、単年度の収入を上回る給付金の支出をせざるを得なかったということになっておりますが、その後、六十年に財政計算を行った結果もございまして、六十一年度では給付金支出に対して収入の方が上回る状態になったわけでございます。  しかし、今後組合員の増加を見込むことが困難である一方、平均余命の伸長等によりまして年金受給者の増加が見込まれること等から、仮に現在六十一年から適用されております掛金率千分の百三十四がそのまま据え置かれたというふうに仮定をいたしますと、昭和七十二年度には収入総額を支出総額が上回ることになります。以後、積立金を取り崩して対応するということにいたしますと、昭和八十二年度には積立金がゼロになるということも見込まれるわけでございますので、もしそういうことになりますと、その後の掛金率は現在のような積立方式ではなくて賦課方式となり、千分の二百五十四から毎年増大していくというようなことも想定されるわけでございます。これは、一つの仮定計算でございますが、やはり受給者の増大に対して現役の方々の、掛金を負担していただく方々の総数の伸びに大変制約が出てきているということからいたしますと、長期的に年金財政の健全性を確保するためには、世代間の公平性に配慮しながら、計画的に財源の確保を図っていく必要があるというふうに考えております。  それから、年金財政に対する国庫補助の概要についてでございますが、農林年金に対する国庫補助はさきの制度改正によりまして、基礎年金に対する拠出金の額の三分の一の補助が基本となったところでございますが、六十一年度決算で見ますと、収入全体に占める国庫補助金は一割強となっているわけでございます。このように、国庫補助農林年金財政にとって不可欠なものであり、今後とも農林年金の健全な運営を図るために大変重要な要素になっておりますので、その確保に努力をしてまいる所存でございます。
  35. 及川順郎

    ○及川順郎君 今のお話ですと、財源問題では将来的に不安材料を抱えているということは明確でございまして、それがそのまま次の年金を納めている人、そしてまた将来受けるという、こういう関連で、当該職員に対しての負担率の増加にそのままストレートにつながらないように知恵を絞っていかなければならぬ問題であろうと思いますので、この点には特段の御努力をお願いしたい、このように要望をしておきます。  それからもう一点は、先ほど同僚委員から質問が出ておりましたが、五十七年度から六十年度までの行革関連特例法によってカットされている金額ですが、なるべく早い時期にという、こういう抽象的な問題でなくて、いついつまでと、こういう考え方は今のところ明確に持っていないのですか、いかがでしょうか。そういうものをきちっと持って努力すべきではないかと思いますが、この点に対してお伺いしたいと思います。
  36. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 五十七年度から六十年度までの国庫補助金のうちカットされた分、その元本と利子を合計いたしますと約三百億弱になるわけでございますが、その返還については先ほどもお答え申し上げましたように、行革関連特例法の第七条の二項で、農林年金財政の安定が損なわれることのないよう、経過期間後において、国の財政状況を勘案しながら適切な措置を講ずることとされております。私どもはこの農林年金に対する国庫補助年金財政にとっての重要性にかんがみまして、この第七条の二項を根拠として、元本及び利子の返還財政当局に求めていく必要があるというふうに考えておりますが、具体的な時期につきましては、現在六十五年度を目標年次といたします国の財政再建に引き続き取り組んでいる過程でございますので、そのことも念頭に置いて取り組んでいくべきものと考えております。  そういうことで、いつからということを明確に申し上げるのは現時点では困難でございますが、趣旨はそういうことであるということで御理解をいただきたいと思います。
  37. 及川順郎

    ○及川順郎君 それから、これも先ほど質問に出た積立金運用利回りの問題、運用収益に関して、基本的には先ほどで考え方はある程度わかったんですが、この投資有価証券による資金運用の比重は今後ともその基調に変化はないという認識を持っておられるか、先ほどの答弁に加えましてこの点に対する視点をお答えいただきたいと思います。
  38. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先ど農協に関連してのお尋ねでも申し上げたわけでございますが、資金運用の環境といいますか、そのための運用先の多様化、運用方式の多様化、あるいは低金利の定着化、そういったことで金融資産としての運用の厳しさが増してきていることは間違いない。そういう中で、農林年金財政の安定化のために積立金運用というのは極めて重要な資金源になっているわけでございます。先ほど七・四%の平均利回りが六十一年度で確保されたというふうに申し上げましたが、将来に向かってそういった高い利回り確保が極めて困難な状況になっております。  一方、積立金は安全に運用すべきものということも極めて重要でございますので、安全性効率性の両にらみでその運用が的確に行われるよう役所としても関係者に対する協力あるいは指導の面でお願いをしていかなくちゃいけないというふうに思っております。安全性に配慮しながら金融情勢に的確に対応できた効率的な運用ができるよう対応しているわけでございまして、例えば六十一年度からも外貨建て債券の取得あるいは株式の取得基準の緩和、特定金銭信託への運用範囲の拡大などを行ったところでございます。
  39. 及川順郎

    ○及川順郎君 いずれにしても資金運用の問題、財源問題は今後とも非常に大きな要因になるわけでございますが、そうした中で、これも先ほど出ておりました、公的年金一元化に向けまして政府は、地ならし的改正措置という表現を使うことをよく見受けるわけでございますけれども、今回の改定で、提案理由の説明にありますように、年金実質的価値を維持するに足る措置という算定、これが明確に裏打ちされているかどうかという点と、それからもう一つ、今回の改正一元化に向けて地ならし的改正措置考えておられるのかどうなのか、この二点を伺いたいと思います。
  40. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 公的年金制度一元化につきまして、既に七十年度を目標年次として公的年金制度全体についての一元化の方針が決定をされておりまして、そのための関係閣僚懇談会あるいは関係局長のための調整連絡会議の場において調整が行われてきているわけでございます。  その中にありまして、農林年金制度は、農林漁業団体が農林水産業の発展と農林漁業者の地位向上という政策的にも重要な役割を担っている点に着目して、昭和三十四年に厚生年金から分離発足した経緯がございます。内容的にも職域年金部分の設定を初めといたしまして、資金自主的運用組合員のニーズに合わせた福祉事業の運営など独自の部分を有して制度の運営を行い、農林漁業団体に奉職された方々の老後の安定なりあるいは現役の方々の福祉の向上に非常に重要な役割を果たしてきているわけでございます。  そういう農林年金制度公的年金制度一元化という大きな流れの中で、昭和七十年に向かっての一元化の動きの中でどういうふうに対応すべきか、大変大きな課題が投げかけられているわけでございますが、私どもは年金制度一元化という大きな政策課題には当然農林年金の立場からも対 応していかざるを得ないことはもちろんでございますが、独自性を有する農林年金制度の位置づけ、そういったものの独自性が一元化の中で失われないよう誤りのない対応を図っていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。  それから、今回の消費者物価上昇率を反映した給付の額の改定が地ならしの一環をなすのであるかというお尋ねでございますが、これは必ずしも地ならしの一環というふうに私どもは理解をいたしておりません。あくまで一元的な公的年金全体の整合的な取り扱い、それを図るという中で、消費者物価基準といたしまして年金額改定を行うという趣旨でお願いをいたしているものでございます。     ─────────────
  41. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 質疑の途中ですが、この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま、菅野久光君及び刈田貞子君が委員辞任され、その補欠として山口哲夫君及び峯山昭範君が選任されました。     ─────────────
  42. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) また、この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に及川順郎君を指名いたします。     ─────────────
  44. 諫山博

    ○諫山博君 今度の改正案に私たちは賛成するつもりです。ただ、改正内容は余りにも貧弱であるということは指摘しておきたいと思います。このことを指摘しながら、労働時間の問題について質問します。  労働条件の中心は言うまでもなく賃金と労働時間です。そこで労働省にお伺いしますけれども、サミット参加諸国の中で年間の労働時間はどうなっていましょうか、一番新しい資料で御説明ください。
  45. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) 諸外国の労働時間の実態でございますけれども、国により統計調査の方法というものがそれぞれ異なっておりますので、正確な比較というのはなかなか難しいわけでございますけれども、私どもといたしましては最もデータがそろっております製造業の生産労働者につきまして一応の推計を加えておるところでございます。  そういう目で一九八六年時点でのサミット構成諸国の労働時間というものを見てみますと、アメリカでは年間千九百二十四時間、それからイギリスでは千九百三十八時間、それからヨーロッパの大陸の方でございますが、フランスでは千六百四十三時間、西ドイツでは千六百五十五時間というような状況になっております。  ちなみに、同じ年一九八六年の日本の製造業生産労働者は年間二千百五十時間でございました。
  46. 諫山博

    ○諫山博君 それで結構です。  サミット諸国の週休二日制の実施状況はどうなっていますか、日本を含めて。
  47. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツあるいはカナダ、イタリアなどのサミット構成諸国における最近の週休二日制の普及状況を示す統計資料というのは、私どもといたしましては存在していないというふうに思っておるところでございます。ただ、社会的実態といたしましては、当然のことながら完全週休二日制の慣行が定着しておるものと認識しておるところでございます。  我が国の週休二日制の状況でございますけれども、我が国の週休二日制は昭和四十年代の後半に急速に普及を見たところでございます。昭和五十年代に入りましてその普及のテンポというのは鈍化いたしましたけれども、それでも徐々に進展を見てきておりまして、昭和六十一年の十二月末現在におきましては労働者の七八%が何らかの形での週休二日制の適用を受けるに至っておるところでございます。  なお、完全週休二日制につきましては労働者の二八・二%がその適用を受けておるという状況になっておるところでございます。
  48. 諫山博

    ○諫山博君 私が参議院の議院運営委員会でいただいた総務庁の資料を見ますと、行政機関における土曜閉庁方式の導入時期は、アメリカは一九四五年から、イギリスは一九六五年から、西ドイツは一九五九年から、フランスは一九六六年からとなっていますが、間違いありませんか。
  49. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) 私どもの所管というわけではございませんが、そういう資料、私どもも同じものを見ておるところでございます。
  50. 諫山博

    ○諫山博君 農水省に質問します。  農協における週休二日の実施状況をどのように認識しておられますか。
  51. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農協の週休二日制を私どもが把握しているところでは、五十八年三月現在においては何らかの形で週休二日制をとっていた組合は全組合の一一・八%でしたが、六十二年三月ではそれが六六・一%になっています。  また、この週休二日制の実施内容を見ますと、月二回採用組合がふえております。これは農協が他の金融機関と足並みをそろえて取り組んでいる信用業務の第二、第三土曜日を休業とする、その実施に負うところが大きいものというふうに考えております。
  52. 諫山博

    ○諫山博君 農水省と労働省と両方にお聞きしたいと思いますけれども、昭和六十一年度の総合農協統計表を見ますと、「週休二日制の状況」という項目があります。昭和六十一年に週休二日制を採用していない組合数が千四百十九、三三・八%、採用している組合数が二千七百七十一組合、六六・一%。これを見ると、週休二日制が全く行われない職場が三三%あるというのは非常に問題だし、他の産業に比べても、さらに他の金融機関に比べてもおくれていると思いますけれども、労働省の認識はどうですか。
  53. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) その昭和六十一年の総合農協統計、ちょっと見ておりませんから、あれでございますけれども、先ほど申し上げましたように、我が国の全産業平均の週休二日制の普及状況というのが一応何らかの形の週休二日制適用を受けておる労働者数は七八%ということでございましたが、それを今度は企業比率というもので見てみますと、五〇・九%という状況になっておるところでございます。  今先生おっしゃられました数字で申しますと、組合比率ということで六十数%というようなことも申されたかと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、労働時間の短縮を進めていくための最も基本的な方策といいますのは、週休二日制の普及促進であるという認識に立ちまして、各般にわたりまして御指導申し上げておるところでございまして、今後とも必要な指導等行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  54. 諫山博

    ○諫山博君 我が国の金融機関の週休二日制の実施状況から見たら、農協の場合どうなりますか。
  55. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) 同じ昭和六十一年の十二月末現在の統計で申しますと、我が国の金融、保険業における週休二日制の実施状況は企業割合におきまして九六・七%、労働者数割合におきまして九九・七%という状況になっておりますので、先ほどの数字からいいますと、やはり金融、保険業の方が相当に高いという状況にはなっておるところでございます。
  56. 諫山博

    ○諫山博君 昭和六十二年に労働大臣から金融関係各団体の長あてに要請書が出ています。このあて先には全国漁業協同組合連合会と全国農業協同組合中央会というのが含まれていますね。つまり、全漁連とか農協中央会というのはこの面では金融機関と同じ扱いを労働省はされているんでしょうか。
  57. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) 先生御指摘のとおり、昨年の秋でございますが、金融機関十団体に対しま してお願いを申し上げたところでございます。農協につきましても、その信用保険窓口でございますか、その金融窓口の問題につきまして他の金融機関と同様のお願いを申し上げたところでございます。
  58. 諫山博

    ○諫山博君 金融機関の中で週休二日制の採用状況が極めて農協は低いという数字が出ていますけれども、さらに週休二日を採用している組合の中でも、採用の中身が問題です。さっきの総合農協統計表を見ると、月一回休んでいるところが八〇・一%、月二回休んでいるところが一九・九%、月三回以上というのはゼロ、これは金融機関の中で比べるとずば抜けて週休二日の実施率が低いということになると思います。他の金融機関と比べて、労働省どうですか。
  59. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) 先ほど一般の金融、保険業における週休二日制の状況を申し上げましたけれども、そのうちで完全週休二日制、毎週土日とか、あるいは日曜日とそのほかの日ということで週に二日休んでおる完全二日制の採用状況を見ますと、企業割合では七・六%、労働者数割合では七・五%という状況になっておるところでございまして、一般の金融、保険業におきましても、いまだ完全週休二日制というのはそれほどには進んでいないという、そういう状況にございます。
  60. 諫山博

    ○諫山博君 月一回、月二回についてはどうですか。
  61. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) 申しわけございませんが、産業分類別の週休二日制の形態の統計資料、ただいま手元に持っておりませんので御容赦いただきたいと思います。
  62. 諫山博

    ○諫山博君 ことしになって、全国銀行協会連合会が八九年二月をめどに完全週休二日制の実施という方針を発表しました。  これに、金融機関における週休二日の実施状況が出ているはずです。これを見ると、月に一回しか週休二日が行われていないというような金融機関は極めてまれではないでしょうか。
  63. 畠中信夫

    説明員(畠中信夫君) そのとおりだと思います。
  64. 諫山博

    ○諫山博君 農水省にお聞きします。  大体、金融機関の中で農協とか漁業協同組合を見ると週休二日を実施している職場が少ない、週休二日を実施している職場でも実施状況が非常に低いということがおわかりいただけたと思いますけれども、現状がそうなっていることは農水省としては認識しておられますか。
  65. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先ほどちょっと御答弁を申し上げなかったんですが、全産業の中で、全産業、これは労働省の方で調査された産業横断的な週休二日の実施状況をつかまえておる調査でございますが、それを見ますと、企業の規模で三十人以上の企業のうち六十一年十二月末現在で週休二日制を何らかの形で採用している企業の数の割合は、先ほど労働省の方からも答弁がございましたが五〇・九%、それに見合った農協数字は、時点は最近の六十二年三月末でございますが六六・一%になっているわけでございます。  そういう意味では、確かに委員の御質問のように週休二日制の内容がさらに問題になるわけでございますが、何らかの週休二日制ということのとらえ方をいたしますと、全企業に対しての五〇・九%に対して農協は六六・一%という週休二日の採用状況になっておることは事実でございます。もちろん、農協の週休二日制についてさらに努力をしなくちゃいかぬということは認識をいたしておりますが、そういった数字を御紹介しておきます。
  66. 諫山博

    ○諫山博君 問題は、全産業の中で比較するよりかむしろ類似しているのは金融機関ですよ。労働大臣は金融機関に対する要請の中に農協とか漁業協同組合を含めているわけです。  そこで、大臣にお聞きします。  全農協労連は、ことし文書でこの問題について、「系統農協を指導されたい。」という要請をしております。この中に、「全国銀行協会連合会の完全週休二日制の方針に系統農協も同調し、足並みをそろえるよう強力に指導されたい。」という文書があります。銀行協会がどういう方針で完全な週休二日制を実行しようとしているかということはさっき指摘したとおりですけれども、全農協労連はこれと足並みをそろえるように強力に指導されたいと農水大臣に要請しておられますけれども、お聞きしたいと思います、どうでしょうか。
  67. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) そういう全国銀行協会連合会の動きはございます。また、そういったものを受ける形でもう一つの非常に広範な大衆金融機関の所管をいたしております郵政省が六十四年二月を目途に完全週休二日制とすることを郵便貯金業務を行うこととの関連で発表し、銀行、生保等の金融機関もこれに足並みをそろえて実施する方向を既に打ち出しているということを私どもは承知をいたしております。  農協系統組織におきましても、六十二年十二月以降、系統内で全国連八団体で構成をいたします農協信用事業週休二日制検討委員会の場で協議をしてきておりますが、今回の郵政省の発表を受けまして、系統組織以外の全金融機関の足並みがそろう見込みとなったことを踏まえまして、三月二十三日に開催をされた検討委員会において、本年八月末を目途に各県段階の意向を集約することになっております。急速に農協系統も他の金融機関と足並みをそろえた方向検討が進み出したという段階でございます。  私どもも系統信用事業における完全週休二日制の実施は基本的には系統組織みずからが決定すべき問題とは考えますが、週休二日制の拡大をめぐる最近の動向、他の金融機関との協調した対応の重要性等を考慮しながら系統組織を適切に指導していくことにいたしております。
  68. 諫山博

    ○諫山博君 全農協労連の要請のもう一つ内容は、「完全週休二日制をめざして、当面、月2回以上の休業(休日)方式による週休二日制を実施するよう系統農協を指導されたい。」、つまり、これは極めてささやかな要求なんです。一つも突出した要求ではないんです。そして、世界の大勢から見たら、もうこんなのは当たり前なんですね。全体として農協は、金融機関の中では最もおくれた職場になっているんじゃないかと思います。  農協だけを取り上げましたけれども、農協以外の農林年金適用の職場の場合はもっとひどいようです。これは世界の大勢であるし、日本の労働者の低賃金あるいは長時間労働を解消することが貿易摩擦をなくする一つの背景でもあるわけです。この問題で農水大臣がどのような決意をされているのか聞かしてください。
  69. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 日本共産党からの御質問は、最初に、我が方も賛成であるという御丁重なお言葉から始まりまして、段々の御議論をいただいてまいりました。  重複は避けたいと思いますが、農協系統組織の検討をしておるところでございますから、その検討状況を勘案しつつ適切な指導を行ってまいりたい、かように考えております。
  70. 三治重信

    ○三治重信君 この前の団体法の改正、六十年の十二月のときも公的年金一元化に対する内容、それからスケジュールというものが七十年を目途としてやるんだということだけれども、決まっていない。それを速やかに実施する大体のスケジュールを確定したらどうかというような附帯決議が出ているわけですが、どうもまだ今までのそのスケジュールの決め方、それから七十年を目途にしてまだそれ着手はしていないんですか、どうですか。
  71. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 七十年に向けて公的年金制度一元化を図るという基本的な方針の決定は見ているわけでございますが、その具体的な取り組みにつきましては関係閣僚懇談会のもとに関係省庁局長クラスの調整連絡会議を設けておりまして、昨年の九月に基本的な、七十年に向けての公的年金一元化基本方針の再確認を行うとともに、さらに具体的な検討を詰めていこうということを局長クラス会議で申し合わせを行い、現在そのもとにおきます課長クラスの幹事会において取り組みのための検討を行っている段階でございますが、具体的な検討状況については現在申し上げるような段階ではないわけでございます。
  72. 三治重信

    ○三治重信君 それで、これが独立したやつも、この一つの理由として、職員団体を特別地方公務員並みに待遇を引き上げたいというのが出ているわけです。統一をしていく、こういうことになってくると、厚生年金の上にいわゆる一般の民間企業がやっているように職域年金相当部分というもので補っていかざるを、統一するとやっていくということになるんですが、それについての考え方は大体どういうふうな、どこに基準として置いていくのか。やはりあくまで地方の公務員年金水準規定していくのか、それとも民間の職域年金の相当部分のある程度、どういうところを標準にしていくのか、どちらの方にやっていこうとしているのか。
  73. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 職域年金相当部分あるいは厚生年金相当部分、その両建てで現在の農林年金制度は構成されているわけで、もちろんその基礎に年金全体の最も基礎的な部分としての基礎年金があるわけでございますが、そういったものを前提といたしまして今後公的年金制度一元化を図っていく場合、基礎的なさきの制度改正におきまして全国民に共通する基礎年金を被用者年金制度にも適用するということで、いわゆる一階部分の基礎的な部分一元化が図られたところでございますが、二階建て部分と呼んでいる厚生年金部分、さらに三階建て部分と呼んでおります職域年金部分を今後七十年に向けてどのように調整していくのか、その調整方法もいわゆる公的年金制度として完全に融合する形にする意味での一元化を図っていくのか、あるいはそれぞれの制度を存続させながら給付を一元化するかなど、一元化内容についても幅広い解釈があり得るわけでございますが、そのこと自体が今後の検討課題になっている段階でございます。  いずれにしましても、農林年金が果たしてきております農林漁業団体の優秀な人材を確保することによって農林漁業全体の振興に寄与していただこう、そういうねらいで発足をし運営がされてきているわけでございますので、七十年に向けての一元化の中で、そういった農林年金が果たしている役割の意味が失われないように、私どもとしてはそういうことに配慮しながら検討に参画していきたいというふうに考えているわけでございます。
  74. 三治重信

    ○三治重信君 一つ意見として言っておきますが、そういうふうにいかにも独立、給付はできるだけ統一していくけれども、会計は別にしたいというふうな御意見というのには僕は余り賛成でない。できれば統一してほしい。というのは、国営企業の公労協のやつなんか、国鉄なんというのはあれ独立して国鉄職員は別だとやっていたのが、企業の変化によっていわゆる共済組合が大破綻をして、今やほかの組合にも大変な迷惑をかける。これは四、五十万でそういうような特別なやつをつくって、そして待遇改善、待遇改善とやっていって、それはいずれは財政破綻ですよ。先ほどの掛金率の計算を見ていても、物すごい掛金をやらぬと赤字になるというふうな計算になっていくと思うんですが、そういう意味において独自の給付のやつは付加年金として考えてやって、基本的なものは早く、長期の資金ですから統一することの方向検討してもらいたいことを希望しまして、終わります。
  75. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣に確認しておきたいことがございます。  先日の本委員会で、日本の農業を論ずるには沖縄が唯一の亜熱帯地域であるということを忘れてはいけない、忘れておらぬ、こういうことを述べられました。大変百万の味方を得た思いでいっぱいでありました。  そこで、かつて佐藤総理が、沖縄の復帰なくして我が国の戦後は終わらないという有名な言葉を残されました。沖縄は復帰しました。戦後は終わっておると思っておられますか、いかがでしょうか。
  76. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 私は、今の立場で戦後は終わっているかどうかという御質問に対してストレートにお答えする用意はございません。いずれにしても、歴史的経緯というものを忘れてはならない。これは戦後が終わったという認識があったとしても、そういう歴史的な経緯を忘れてはならない、こういう認識の上に立って申し上げているところでございます。
  77. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私がこれをあえてお尋ねいたしますのは、沖縄は復帰したということになっておりますが、国内的にも国際的にも戦後処理がまだ十分なされていないことは御承知だと思います。わけても戦場になった沖縄における戦後の後遺症がいまだに地下にも地上にも海上にも散らばっておる。そしてまた、北を見れば北方領土の問題も未解決である。だから私をして言わしてもらうならば、我が国の戦後はまだ終わっておらぬ、こう私は断定いたすわけでございますが、そのように戦場になった沖縄が二十七年間アメリカの占領下に置かれてきた。その間における本土との隔絶がもろもろの形で格差を残してきておる。その格差を担いながら復帰した。ところが、その後遺症は法改正のたびごとに沖縄の問題が常にまた取り残された格好で続いてきておるということなんです。  では、今回のこの法の改正に当たってどういうことが問題になっておるかということをお尋ねいたします。  それは、沖縄はこのような形で復帰した、どのような形であるかと申しますと、農林年金は本土は昭和三十四年一月に施行された。沖縄はそれにおくれること十一年、ようやく昭和四十五年一月に施行されました。そのため、その間の掛金を掛けていないという理由で、今日給付金を四五%カットされておりますね。おまえたちは納めていないからという理由で四五%カットされておるというこのことが問題なんです。  別に、沖縄の組合員は掛金を滞納しておるわけではない。また、滞納するという意思を持っておるわけではない。制度のスタートがおくれたために沖縄の場合掛金を納めることができなかったのであるんです。納める意思はあった。なかったのではない。前向きであった。ところが、納めることができない立場に置かれておった。これは申し上げるまでもなく個人の責任ではないはずです。また、沖縄の責任ではないはずです。アメリカの占領というこの悲劇がこの格差をこのように戦後四十三年に至る今日までしょわされておるんです。  これは申し上げるまでもなく、戦争はだれがやらかしたのか、国家の犠牲である、ここが問題なんです。これをどう認識するかということなんです。国の責任において現在の不利益をこうむっておる沖縄の受給者に何らかの配慮をすべきであることは当然であります。政府見解をお尋ねします。
  78. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 沖縄におきます農林年金制度が内地の農林年金制度に比べて制度の発足がおくれたために年金の支給の面で内地の方の年金支給額に比べて不利益を受けているんではないかという趣旨の御質問だと思いますが、確かに沖縄におきます農林年金制度は琉球政府のもとで四十五年に発足をいたしましたので十一年ぐらい内地とはおくれて発足をした。それ以前の期間で引き続いて農林漁業団体に勤めていた期間については四五%のカットを受けて年金の支給が行われているということは確かにそのとおりでございます。  制度発足前の期間についても年金を支給することにいたしているわけでございますけれども、その期間については、年金制度が持つ本来の共済としての性格、参画をされ掛金を払っておられる方々の相互扶助を基本として仕組まれている農林年金の基本的な性格、その前提となっております現役の時代の掛金ということが基本的な財政の基礎になっているわけでございますが、制度の発足がおくれたという事情はございますが、この期間について掛金の負担が行われていないということを勘案いたしまして、組合員の方が本来であれば負担をしたであろうその相当額でございます四五%をカットして支給をする。これは年金が持つ、ただいま申し上げたような相互扶助としての全体 的な財政の仕組み、そして他の都道府県の組合員との均衡等を勘案すれば、委員の御指摘のような問題は認識はいたしますけれども、これを農林年金制度の中で支給額の均衡化を回復することによって対応していくということは大変困難なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  79. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大変困難なことであるという文言がある、これはわかります。しかし、あえて申し上げますが、困難であるということと不可能であるということを混同しちゃいけませんよ。不可能ということはだれがいつどんなことをしてもできない、これが不可能。困難であるということは、理解と愛情と誠意を持って受けとめるならば困難は克服できます。開いていけます。そのことを私はあえて——なぜ特別措置法というのがあるのか、なぜ沖縄開発庁という組織があるのか、それが一日も早くなくなることを私は望むとこの前も言いました。いつまでも甘えておるという認識をされたら大変である、早く何もかも本土並みになる。しかも国の犠牲になった沖縄県民が戦後四十三年もこのように十字架を背負って困難である、困難であるという文言で片づけられたらたまったものじゃありませんよ。いいですか。  その困難はどうすれば克服できるのか。本当に戦争の責任を国民に、わけても沖縄県民にこのようにしわ寄せをさせておるということを胸に手を当てて考えるならば本当の政治が、本当の行政が生まれてくるはずであります。そのことを私は強く、厳しく申し上げます。その困難を必ず克服して沖縄県民に憲法のもとに平等に、むしろ言わしてもらうならばプラスアルファ、のしをつけて報いてもらいたいというのが私の心からの願いなんです。  大臣いかがでしょう。大臣のコメントを求めて、終わります。
  80. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 局長から困難であるという答弁を申し上げているのは、この一事をもって全部を律することができるか、そうではない、このことについては困難であると率直に申し上げておるわけであって、あと歴史的な経緯にかんがみていろんなことを、いろんなファクターを、できることをやっていかねばならぬということで思いをいたしておるわけでございますから、そこまで私ども考えて、亜熱帯農業のことも考え、いろいろ今後のことも考えておるわけでございますから、冷たいと受けとめられたのではこれはいささかお言葉を決して返すわけじゃございませんけれども、理解ある農林水産行政を執行してまいりたい、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
  81. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 我慢をして、期待をいたします。
  82. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  84. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  86. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、請願の審査を行います。  第一三四号農畜産物輸入自由化阻止に関する請願外二十八件を議題といたします。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  87. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 速記を起こしてください。  これらの請願につきましては、理事会で協議いたしました結果、第八六八号農産物輸入自由化に伴う諸対策の確立に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一三四号農畜産物輸入自由化阻止に関する請願外二十七件は保留とすることに意見が一致いたしました。  つきましては、理事会の協議のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  90. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  93. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十分散会