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1988-03-31 第112回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十一日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      浦田  勝君     永田 良雄君      大塚清次郎君     二木 秀夫君      八百板 正君     渡辺 四郎君      下田 京子君     内藤  功君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡部 三郎君     理 事                 高木 正明君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 北  修二君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 永田 良雄君                 初村滝一郎君                 二木 秀夫君                 星  長治君                 本村 和喜君                 一井 淳治君                 菅野 久光君                 渡辺 四郎君                 及川 順郎君                 諫山  博君                 内藤  功君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 山田耕三郎君    衆議院議員        農林水産委員長  菊池福治郎君    国務大臣        農林水産大臣臨        時代理      林田悠紀夫君    政府委員        農林水産政務次        官        吉川  博君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産省構造        改善局長     松山 光治君        農林水産省食品        流通局長     谷野  陽君        食糧庁長官    甕   滋君        水産庁長官    田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        農林水産大臣官        房審議官     濱田幸一郎君        資源エネルギー        庁公益事業部業        務課長      清川 佑二君        運輸省港湾局環        境整備課長    西村 隆夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫) ○漁港法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案衆議院提出) ○農林水産政策に関する調査  (牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する決議の件)     ─────────────
  2. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管農林漁業金融公庫議題といたします。     ─────────────
  3. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) この際、御報告いたします。  理事会協議の結果、本日予定しておりました本委員会委嘱審査は、年度末の日切れ法案等審査のため、やむを得ず行わないこととし、去る二十八日の一日のみといたしました。  つきましては、この委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、漁港法の一部を改正する法律案漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上三案件便宜一括議題といたします。  三案件につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 一井淳治

    一井淳治君 水産物水産加工品消費が伸び悩みの状況のようでございますけれども、この原因について御説明いただきたいのと、もう一つは、この消費拡大についてどのように取り組んでおられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  7. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在、食糧消費全体が伸び悩んでおりまして、そういう中で、畜産物でございますとかあるいは輸入製品、こういうものと水産品なり水産加工品競合関係にございまして、残念ながら消費が伸び悩んでいるわけでございます。しかし、最近まで把握しております数値によりますと、例えば家計調査などでは去年の十一月、十二月というのは対前年同期に比べまして、ほかの食料品が軒並みダウン、牛乳乳製品が若干ふえておりますけれども、そういう中で水産物消費が対前年同月比でふえているということから言いまして、ここのところのグルメ、高品質志向でございますとか、健康志向でございますとか、こういうことから言いまして、水産物に関する根強い需要といいますか、そういうものがあるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  そういう事態に対応いたしまして、水産庁といたしましては何とか水産物需要拡大を行いたいということで、ここのところいろんな魚の栄養に関するPRでございますとか、特に調理方法について若い世代の家庭においていろいろ問題が出てきておりますので、調理方法の普及あるいは講習でございますとか、さらに、新技術なり新製品開発というようなことにもいろいろ力を入れておりますし、それから、今回お願いしております水産加工施設資金の延長及びその内容充実というのも、新しい需要拡大のための加工を推進するための有効な手段として今回お願いしておる次第でございます。
  8. 一井淳治

    一井淳治君 水産物消費拡大をお図りになるという御説明ですけれども、このことは栄養上どうなんでしょうか。我が国国民の健康を保持していくという観点から、水産物消費拡大を図るということはどういう意義があるのか、御説明いただきたいと思います。
  9. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 水産物は、動物たんぱく質の肉とともに双翼を担っているわけでございますけれども水産物たんぱく質は非常に良質なたんぱく質としての供給源でございますと同時に、ここのところ長寿社会につれまして、いろいろと問題になってきております成人病対策なり、成人病の予防に非常に効果を持っております栄養分、いわゆるEPAでございますとか、あるいはタウリン、こういうものをかなり含んでいる食物でございますし、それと同時に、日本人にかなり不足ぎみと言われておりますカルシウム等のミネラル、こういうものも豊富に含んでおりますので、国民の健康と健全な食生活の維持を図っていく上には非常に重要な品目というふうに認識しております。
  10. 一井淳治

    一井淳治君 農林水産省は、国民食糧生産と確保を主管しておられるわけでございますけれども、今までの農政状況を見ておりますと、農民とかあるいは漁民生活を確保するという、あるいは農産物、水産物消費を拡大していくという、この生産の側から主になされておったように思うんですけれども、逆に、例えば国民が今後どのような栄養を確保していくべきか、国民の健康を増進していくにはいかに食糧の増産については調整をしていくかというふうな立場からの農政も必要ではないかというふうに思うわけです。  具体的な例を挙げますと、最近、牛肉消費が伸びておることは非常に好ましいことで、これはますます伸ばしていかなくちゃいけないというふうに私は思いますけれども、反面、欧米型のいろんな病気が日本人の間にも出てくる可能性がふえるんじゃないかということもありますので、そういったふうなことに対処して、肉を大量に摂取するようになるのとあわせて、何か野菜とか、そういったふうなものも消費を伸ばしていくということを同時に考えていかないと、消費をふやせばいい、食べればいいというものではないというふうに思います。  食糧というものは体内に入りますと、大体はプラスになりますけれどもバランスによってはマイナスになるということもありますので、国民の健康の増進という観点から日本全体の食糧生産をも調和をとりながらやっていくというふうな農政も必要ではないかと思うんですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  11. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、我が国食糧需給関係あるいは個人の栄養摂取ということから見ますと、かなり以前から十分な量的な充足というものが行われてきておるわけでございまして、これからはただいま御指摘のような質的な問題の時代に入っていかなければならないというふうに私どもも認識をいたしておるわけでございます。  そのような観点から、数年前から農林水産省といたしましては、日本型食生活というような観点で今後の我が国における食生活のあり方を検討することを始めておるわけでございます。日本型食生活と申しますといろいろな理解があるわけでございますが、私どもといたしましては、従来の米、魚、野菜中心とした伝統的な食生活パターンに肉類、牛乳乳製品、果実などが豊富に加わった多様性があり、栄養バランスのとれた健康で豊かな食生活というふうに考えておるわけでございます。  現在の我が国食生活内容は、国際的に見ましてもバランスがとれているということで大変評価をされておるわけでございまして、むしろ欧米諸国等におきましては特に動物性脂肪摂取が多過ぎるというようなことが問題になってきておるわけでございます。食生活というのはすぐれて個人的なものでございまして、これを強制するというようなことはなかなか難しいわけでございますので、このような我が国食生活パターンが今後ともよい方向に維持されていくというためのいろいろな啓発活動を通じまして国民理解を深めてまいりたい。また生産サイドにおきましても、そのような食生活あるいは食品需要の動向に即したような生産体制に誘導していくということも大変重要であるというふうに考えておるわけでございまして、今御指摘のような問題意識農林水産省におきましても数年前から大変強く意識をいたしておる次第でございます。
  12. 一井淳治

    一井淳治君 ただいま啓発活動一つの例として御説明になったわけでございますけれども、最近食糧輸入がふえておる、それからまた肉やチーズ等消費がふえているというふうなことで、非常に国民食生活変化が見られるというふうに思います。米の消費需要が極端に落ちているということも一つのあらわれではないかと思いますけれども、そういうことで非常に急激な食料品需要変化が進んでいる事態ではないかというふうに思うわけです。これは早目にそういったふうなことへの対処を考えていかなくちゃならないと思うんですけれども、もう少し具体的に何か対策をお考えなんでございましょうか。
  13. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) ただいま申し上げましたように、国民食生活ということでございますので、一人一人の方が毎日摂取をされる状況というのは、これは積み上がりまして全国的な問題、需要になってきておるわけでございます。そういう食生活の性格から申しまして、我が国のような非常に多様化し高度化しておる食生活実態から申しますと、やはりこのような問題について国民皆様方理解を求め、かつこれに対するいろいろな情報を提供していくというのは啓発活動中心になっていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。不足時代でございますと、いろいろ栄養を計算いたしまして配給制度等でやっていくというような時代も遠い以前にはあったわけでございますが、現状におきましてはただいま申し上げましたような状況であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、非常にいろいろなメディアが多うございまして情報大変はんらんをしている世の中でございますので、そういう中でこのような問題についての理解を求めていくということにつきましてはいろいろと工夫が要るわけでございます。  私どもといたしましてもパンフレット、テレビ、出版物というようなことのほかに、いろいろな実態調査でございますとか、あるいは地域地域での手づくり的な活動を通じましてこのような問題意識皆様方理解をしていただくための努力を続けていきたいというふうに考えておりまして、今年度、六十三年度の予算におきましても消費者対策予算を組み替えまして、そのような新しい工夫を検討いたしておるというところでございます。
  14. 一井淳治

    一井淳治君 啓発活動だけではちょっと政策としては不十分ではないか。例えば、とり過ぎると必ずしもプラスばかりにならない食品については、これは私の思いつきの例ですけれども、そういった業界から多少は原資を出してもらってでも消費を伸ばしていかなくちゃならない商品についての補助をして、例えば肉をたくさんとるとあわせて野菜をとらなくちゃいけないということになれば野菜の値段が安くなるように考えていくとかいうふうな、全体的なバランスを考える農政というものが必要ではないかというふうに私は思うわけでございますけれども、そういう点についても今後御検討いただきたいということを要望させていただきまして、次の質問に移らしていただきます。  円高の中で、水産物輸入も非常にふえているんじゃないかとも思いますけれども、その実態はどうなんでしょうか。それから、国内水産業あるいは加工メーカーへの影響はどういう状況なんでございましょうか。
  15. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ここのところ、我が国水産物輸入は、一つ米国なりソ連等の二百海里規制の強化。それから二つ目には、エビ等国内需要がいろんな面でふえ、多様化してきている。それから三つ目には、発展途上国が対日輸出努力というものを積み重ねてきている。こういう要因で徐々にふえてきたわけでございますけれども、ここ一、二年それに加うるに急速な円高というものがございまして、六十一年、六十二年とかなりの水準でふえているわけでございます。その結果、六十二年には数量で二百八万トンということで初めて輸入数量が二百万トン台に乗りましたし、それから金額で見ましても一兆二千億台ということで相当ふえてきておるわけでございます。  それで、特にこれからの見通しとしましては、米国なりソ連等沿岸国、こういうところが自分の二百海里内でとれる魚は自国で漁獲し、自国加工し、自国輸出するという動きが非常に強まってきておりますし、それからまた、発展途上国ではみずからの労賃の安さということを活用いたしまして、日本をターゲットとして輸出をしたいという動きもちらほら見え始めてきているわけでございます。こういう傾向でございますので、品目によりましては我が国漁業経営そのものあるいは水産加工業と非常に競合関係の出てきているものも多いわけでございます。ただ水産物の場合には、日本国の二百海里内ではとれないもの、例えばロブスターでございますとか、こういうものは外国から当然輸入せざるを得ませんし、輸入の結果日本にストレートな影響はないわけでございますけれども、ここのところの円高でかなり競合魚種につきましての輸入というものがふえてきている点につきまして我々も重大な関心を持っているわけでございます。
  16. 一井淳治

    一井淳治君 国内水産業あるいは水産加工メーカーは零細な業者が多いというふうに思います。円高あるいは円高影響に伴う輸入増の緩和のために何らかの措置を講ずる必要があると思うんですけれども、そのあたりのことはどのようになっておるんでございましょうか。
  17. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 水産物輸入は今お話ししましたように、物によりましては輸入せざるを得ないというものもあるわけでございますけれども、ただ無秩序な輸入、極端なことを言いますと集中豪雨的な輸入ということがございましてはいろいろと影響がございます。  そういう中で、我が国の、特に中小、零細な沿岸でございますとか沖合の漁業者、これが一番関係の深い主要な漁獲物でございますサバとかイワシとかイカ、こういうものにつきましては、現在輸入割り当て制度IQの対象になっているわけでございますし、ここのところ経営環境が厳しくなってまいりましたマグロでございますとかワカメ、こういうものにつきましては政府間あるいは民間でそれぞれの国と輸入数量を協議いたしまして、これを実質担保するための仕組みとして事前承認制度というようなものも採用させていただいているわけでございます。これだけ国際化が急速に進み、いろいろとIQであるとか事前承認制度について国際的な批判が強い中でございますけれども、おかげさまで水産物につきましては中小沿岸の魚価に影響のないようにIQなり事前承認制度というものができておりますので、これの適切な運用にまずは努めてまいりたいと思っております。  それにいたしましても、いろいろと問題がございまするが、何といいましても内外格差といいますか、価格差を解消させるためのコストダウンというものを漁業経営そのものにつきましても水産加工業につきましても追求していかなければならないわけでございまして、我々といたしましては、そういう観点から漁業経営近代化合理化なりあるいはさらには漁業の再編成そのものについても考えざるを得ない時期に到来しているというふうに考えておりますし、特に加工につきましては、消費者ニーズに適合した新しい製品なりそれに必要となる新しい技術、こういうものを開発し、従来以上に付加価値を高めて消費者ニーズにこたえていくということが肝要かと思いまして、いろいろな消費拡大運動流通加工対策というものも取りそろえて行っている次第でございます。
  18. 一井淳治

    一井淳治君 今回の法案に関連してお尋ねしたいと思いますが、機能施設整備という問題でございます。廃船処理施設が新しく設けられるというふうになるわけですけれども、最近の漁船プラスチック船が多く使われているという状況下では、結局、廃船ということになるとプラスチック船を廃棄するという場合が多いと思うんです。これは廃船方法廃棄物処理をどうするかという問題を絡めてよく検討しないと、公害源となって近隣の生活環境に非常に悪影響を及ぼす、海を汚すということもあると思うんですが、そのあたりはどのようになっておるんでしょうか。
  19. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) プラスチック船、いわゆるFRP漁船が大幅に導入されましてから約二十年強たっているわけでございまして、これから廃船になってくる隻数というものが相当に上るわけでございます。従来はこういう廃船破砕につきましては建設土木機械なりあるいは電動のこで適当な大きさに破砕するという方法がとられておりまして、破砕後の廃棄物は埋め立てでございますとかあるいは一部焼却乾留ということで処理してきたわけでございますけれども、残念ながら効率的な低コストでの技術というものはまだ十分に確立されたとは言えない状況にあるわけでございます。  しかし、大量に廃船が出てくるということで、緊急にこういう問題を解決するということで、水産庁におきましては昭和六十年度から二年間にわたりまして委託調査ということでいろいろ廃船処理技術確立につきまして調査研究いたしまして、六十二年、六十三年と二年間で実船を使いましてこれの魚礁への活用でございますとかあるいは焼却乾留のシステムの確立というような現場のスタディを始めておりますので、この系統技術を一日も早く確立して、漁船所有者の方々が円滑に廃船できるという体制を何とか確立したいというふうに考えております。
  20. 一井淳治

    一井淳治君 廃船技術廃船方法は大いに研究してもらったらいいと思うんですけれども廃船の結果出る廃棄物処理、このことをあわせて考えていかなくちゃならないと思うんですが、そちらの方はどうなんでしょうか。
  21. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 廃棄物活用するということで、一つ魚礁への活用、これは現在もコンクリートブロックでございますとかわざわざ工業製品をつくって魚礁にしているわけでございますので、こういうプラスチック船のような廃棄物魚礁活用できるということになりますと、廃棄物処理のためにもあるいは魚礁造成のためにも両方の面で役立ちますので、去年から行いました実船を使っての実験では、これの技術的確立、例えばそれにどの程度石を積んで、どういうあけ方で穴をあけると自然に沈下していって平らな状態で海底に到着し、魚礁としての効果が出るかというようなものを実物を使って研究しているわけでございます。それが一つと、それから全部が全部魚礁にできないものにつきましては焼却乾留いたしまして資源として再活用を図るというようなことで、廃棄物として公害でございますとか社会的にマイナスになるような方法じゃない方法というものに向けていろんな技術開発を行っているところでございます。
  22. 一井淳治

    一井淳治君 魚礁にお使いになるというのは確かにすぐれた見解だと思いますけれども、一たんこれを海の底に入れますと取り戻しが困難なわけでございまして、海の底に入れたものが本当に将来とも悪影響を及ぼさないのかどうか、よく慎重に検討していただきまして、また、ほかの廃棄物処理についても十分な対策を講じながら廃船処理施設充実ということを進めていただきたいというふうに要望いたしたいと思います。  それから、現行の第七次漁港整備長期計画でございますけれども進捗率が七七・六%にとどまりそうであるというふうにお聞きしております。残念ながらかなりのおくれというふうに評価せざるを得ないわけでございまして、第八次計画の中ではかなり御努力はされるんでしょうけれども、今までの経過からするととてもとても漁民の希望がかなえられるような状況にはならないんじゃないかという心配が非常に強いわけでございますが、その点はどうなんでしょうか。
  23. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 第七次の漁港整備長期計画につきましては、今御指摘がありましたように、残念ながら七七・六という進捗率で終わったわけでございます。これは言いわけになりますけれども、本計画がスタートいたしました昭和五十七年度からいわゆる財政再建ということがスタートされまして、公共事業全般にわたって抑制的な処置がとられたということから、結果的にこういう数字にとどまったわけでございます。しかし、ほかの同種の、空港でございますとか港湾でございますとか、こういう同じ系統長期計画に比べますと、若干でございますけれども進捗率は上回っておりますし、それからここのところ漁港に対する投資の重要性ということにつきまして財政当局もかなり理解ある感じもございますので、今後第八次の計画達成につきましては、依然として財政再建という厳しい環境ではございますけれども、何とか皆様方の御理解、御支援も得ながら、この計画の満度達成のために最大の努力を傾注してまいりたいと思っております。
  24. 一井淳治

    一井淳治君 あと一つ漁協合併のことに関連してでございますけれども、この漁協合併というのは、大きいばかりがよいとは言えないと思います。やはり合理的な規模に持っていくということが、漁民の方が納得いただいたならばその方がいい場合も少なからずあるというふうに思います。  一番肝心なのは漁民の方々の意識の問題ではないかというふうに思うわけです。非常に大規模な合併が進んでいるところがある反面、小さな地域ですけれども小型の漁協が競り合っているというふうなところもございます。そういうところはそれなりの理由もあるんでしょうけれども漁民の感情問題といいますか、意識といいますか、そういった問題が非常に大きく絡まっているようなところも少なからずあるんじゃないかというふうに思います。幾ら制度といいますか、システムだけつくりましても、漁民意識の問題について対処していかないと前進がないんじゃないかというふうな気がいたします。それと同時に、漁民の方々に、漁場を守るとか、みんなの力で漁業を優勢に持っていこう、資源を守っていこうというふうな漁民のモラルの問題といいますか、そういったふうな問題もやはりこの背景にはあるんじゃないかというふうに思いますけれども、この漁民意識の問題についてはどのようにお考えでございましょうか。
  25. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) お説のとおり、合併がなかなか進まない、あるいは合併を進めるに当たっての難しさの大きな一つといたしまして、漁民感情の対立なり、もやもやというものがあるわけでございます。これも多くは漁業権に絡む話あるいは操業に絡む話が多いわけでございまして、一つは現に近隣の漁協間でいろいろと漁業権なり操業に関してもめているということで感情的な対立があるのがございますし、それから合併すると将来自分たちの漁業権なり操業はどういうふうになるんだろうという将来に対する不安と両方あろうかと思います。  それで、そういう将来に対する不安につきましては、仕組み上も合併後の漁業権の扱いにつきましては若干特例的な扱いをしておるわけでございますけれども、いずれにしても人間の感情をどうやって融和させるかということでございますので、制度であるとか、あるいは行政というものが、いろんな形で環境整備はいたしますけれども、やはり当事者間でどうやって納得ずくの話し合いができるか、そしてそのために系統全体がどういう運動を盛り上げるかということにかかっていようかと思っております。  そういうことから、系統自身もそういう問題をまず取り上げるということで、ここのところ各地域の実情に応じた話し合いを進めるということから合併研究会というものをそれぞれつくりまして、そういうところで漁業権問題を含めましたいろんな問題を解決するための合意形成の場にするということで徹底討論、徹底話し合いをして、合併を地についたものに持っていくということが系統内部でも認識されておりますので、我々といたしましてもそういう動きが少しでも前進しますように、いろんな相談に応ずるなり、あるいは指導に当たってまいりたいと思っております。
  26. 菅野久光

    ○菅野久光君 漁港関係予算水産庁全体の予算の六割を占めているということで、漁業政策に占める漁港政策の地位は大変高いというふうに思いますが、この点についての政府の認識はどうか。また、漁港法に基づいて昭和二十六年度から進めてきた漁港整備について、今一井委員からも御質問がありましたが、進捗率等考えてみてまだまだというように思うんですが、その辺について政府はどのように評価をしているのか、お聞きいたしたいと思います。
  27. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁港は、何といいましても水産関係生産活動の中核であると同時に、漁村の目玉といいますか、中核でもあるわけでございます。  そういうことからいいまして、水産行政を進めるに当たって、まずは漁港がきちんとしなければその上に成り立っていくいろんな生産なり流通加工体制というものもでき上がりませんので、ただいま先生から御紹介がありましたように、厳しい中ではございますけれども水産庁全体の予算の半分以上をこれに注ぎ込んできているわけでございます。それにもかかわらず、漁港整備状況というものは全国的に見ましてまだ十全ではないわけでございます。これは過去の予算のつき方というような問題もございましたし、あるいは漁業情勢のいろんな展望というものも影響していようかと思いますけれども、何といいましても、漁港というものの水産産業に占める重要な地位からいいまして、今後とも漁港整備というものにつきましては全力を傾けたいと思っております。
  28. 菅野久光

    ○菅野久光君 今までも全力を傾けてきたんだろうけれども、今のような状況だということは私は極めて遺憾な状況というんですか、残念な状況だというふうに思わざるを得ないわけでありますが、とにかく今お答えもありましたような漁港整備、これは計画から見てもまだ七十数%というような状況ですから大変おくれているわけであります。このことについては、もう漁業者も何とかとにかく漁港整備をやってくれというような気持ちでおりまして、毎年予算の策定の時期になりますと漁港関係の人たちが大挙来て、漁港予算をということで陳情されるということになっているわけであります。  漁港整備の指標の一つとして、係船岸充足率が遅々として上がらない、昭和六十年度においては三八%にとどまっているわけであります。第五次漁港整備長期計画は、昭和四十八年度を初年度として五十二年度を最終年度、この五年期間の計画であったわけでありますが、整備の目標を係船岸充足率五〇%に置いてきました。ところが、この目標は第五次計画達成できなかったばかりではなくて、第六次、第七次でもできない。今回発足させようとしている第八次でも相変わらず五〇%を目標、こういうようなことになっておりまして、本来の目的は一〇〇%だというふうに思うんですが、予算関係なんかを含めて五〇%。しかし、このように第五次から第八次に至ってもまだ五〇%という目標ではこれはいつまでたっても一〇〇%になんかは遠く及ばないんじゃないか。当初五年で達成するはずの五〇%が実に二十年かかっても達成できないという状況になっていますが、このような状況になったのはどのような結果によるものか。ただ単なる予算ということだけなのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  29. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまお話しありましたように、四十八年に係船岸率五〇%という計画をつくりながらいまだに達成できていないわけでございますが、これまた非常に言いわけになりますし、それから余り理屈にもならぬかと思いますが、昭和四十八年以降六十年までの間に全国の漁船の隻数というものが我々が当初予定しておりましたよりも大幅にふえました。実は約三十万そうから約四十万そうということで、四十八年当時は船の数がそれほどふえるという前提でつくっていなかったわけでございますけれども、いろんな事情、特に技術なり機械が進歩いたしまして、小型でも相当能力のある船ができてきたということもございますし、あれやこれやで三十万そうから五十万そうというふうに船自体がふえてしまったというようなことで五〇%に達成できなかったわけでございます。  それから、計画に対する予算の実行率自体が七六・六、その前も一〇〇をかなり切っているというような形で、財政的に、計画をつくりながら十分な対応をできなかったということも率直に認めざるを得ないという形になっていようかと思います。
  30. 菅野久光

    ○菅野久光君 それでは、当初計画を立てたときに三十万そうということであれば、それは五カ年計画で、最初の年度でどのぐらい隻数がふえたのかどうかということは今はいいです、私はいいんですが、この三十万そうというものが変わらなければ、実際に第七次が終わるまでには充足率というのはおおよそ見当としてどのくらいになったのでしょうか。
  31. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在は三八で、今年度終わりますと恐らく四〇ぐらいになり得るんじゃないかということで、あと残りの一〇%分をこれから第八次でどうやって充足できるように頑張るかという状況かと思っております。
  32. 菅野久光

    ○菅野久光君 いや、隻数がふえなければ充足率はもっと上がったんじゃないかということで今ちょっとお聞きしたんですが、そこはまあいいです。  とにかく、当初考えたよりも隻数はふえた、その分結局、当初考えたよりも充足率が上がらなかったといいますか、当初の目標になかなか至らなかった。それも理由の一つだというふうにとらえていいですね。
  33. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) それだけではございませんけれども、理由の一つであることは確かでございます。
  34. 菅野久光

    ○菅野久光君 国会の承認を求める漁港整備計画には、「なお、本計画は、今後の経済、財政事情及び漁業の動向等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るものとする。」というふうに書かれております。この文言については私も承知をしておりますが、計画そして実際の状況等を見ていくときに、この文言の中の経済、財政事情については実に誠実に勘案したものだというふうに思わざるを得ないわけでありますが、それとは逆に、肝心の漁業の動向についての勘案というのはどうも余りなされていなかったのではないかというふうに思われてなりません。  それにしても、第五次計画の始まった昭和四十八年は大変なオイルショック。それ以降、漁業情勢は国家財政以上に厳しかったことはもう政府自身が一番よく知っていたはずだと思います。にもかかわらずこのような結果に終わったことは、先ほどから、これはまあ弁解になりますがということを前提にして言われておりますので、これ以上ちょっと私も言いづらいんでありますけれども、その整備計画に書かれている漁業の動向ということ等から考えてみても、漁港整備状況というものは漁業者にとっても納得できないような状況ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  35. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) もうその点は、率直に申し上げまして先生のおっしゃるとおりでございまして、我々といたしましても、過去のそういういろんな問題の反省に立ちまして、今度の第八次計画の完遂に向けまして全力をささげたいと思っております。
  36. 菅野久光

    ○菅野久光君 先ほどから何回も言うようですけれども、何回も言ってもどうにもならぬような部分は、本当にむなしい気もするんですけれども、二十年たっても係船岸の充足率が五〇%達成できるかどうかわからないというこの漁港行政に不信の目を向けるのは、これは当然ではないかというふうに思います。  私も、浜へ行きますと、陳情だか、しかられているのだかもうわからないような状況で、一体どうしたんだ、まだこんな状況じゃないかということでいろいろお話を聞かされるわけでありますが、これは考えてみれば当然のことでありまして、係船岸の充足率、この半分でさえも、二十年かかってもまだ完成しないわけでありますから、私どもこういう法案審議にかかわっている者としても、漁業者の気持ち、関係者の気持ちもよくわかりますので、何とかまた頑張るからということでおわびをしてくるわけでありますが、政府もその辺のところはよくわかっているとは思いますけれども、ひとつ頑張ってもらわなければならないというふうに思います。  結局、係船岸の充足率が低いということはそれだけ漁業者が大きな不便を忍び続けているということになるわけでありまして、百年河清を待つという言葉がありますけれども、この分では係船岸充足率の一〇〇%は百年たってもできないのではないかというふうに思わざるを得ません。そういうことからいえば、漁業者には、我が国漁港行政が中国の黄河並みの何か濁りを持っているように目に映るのではないか、国政不信を助長しているのではないかというふうに思わざるを得ないわけでありますが、こういうような漁業者の気持ちを受けとめてやっておられるとは思いますけれども、いかがでしょうか。
  37. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在まだ三八%でございまして、今次の計画でございますと五〇%ということで、何とかこの五〇%は達成したいと思っているわけでございますけれども、この五〇%を達成するためにはこれからの計画期間内に二百八十八キロの岸壁と係船岸というものの建設が必要になってくるわけでございます。大体メーター当たり百三万円の事業費でございますので、これを掛け合わせますと現在の計画内では実行可能な数字でございますので、今度こそといいますと妙でございますけれども、第八次におきましてはこの二百八十八キロの残りでございますので、これを満度何とか達成したいと思っております。  それから、先ほどお話ししましたように、四十八年から六十年にかけて約三十万隻が五十万隻にふえたというような漁船の移り変わりがあったわけでございますけれども、ここのところ漁船の隻数の増はほとんどございませんで横ばいということになってきておりますので、そういうものを前提にした今の目標数値を高めていきますと、それで漁民の方々にも少しずつ御納得いただけるんじゃないかというふうに思っている次第でございます。
  38. 菅野久光

    ○菅野久光君 今のお話ですが、あくまでも、予算がきちっと獲得できればこの計画どおりきちっといくということは、これはまあ前提になるわけですね。計画はそういう計画だということは私もわかっておりますから、計画達成できるように何としても頑張らねばならぬことではないかというふうに思います。  第八次漁港整備長期計画についてでありますが、これは修築、改修、局部改良の三事業合計の事業費の伸びがわずか一〇%弱にとどまっていますね。このような低い伸びで、言われるように係船岸の充足率五〇%を本当に達成できるかどうか。私はちょっと難しいんじゃないかというふうに思いますが、根拠があればそれを明らかにしていただきたいと思います。
  39. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまもお話し申し上げましたように、昭和六十年度末で三八%、これを六十八年に五〇%に引き上げる、このためには計画期間内に二百八十八キロの係船岸の建設が必要になってくる次第でございます。このための事業費といたしまして、第八次の計画では修築、改修の二事業で二千九百五十七億円というものを御承知のとおり計画しておる次第でございます。そうなりますと、先ほども申し上げましたとおり、一メートル当たり平均事業費で百三万円でございますので、これとその、二百八十八キロという延長でございますので、これを掛け合わしてみますと、この数字内で十分達成可能な範囲であるというふうに理解しているわけでございます。  なお、おわび申し上げておきますが、ただいま船の数のふえたのが三十万から五十万と口走ったようでございますけれども、三十万から四十万でございますので、訂正させていただきたいと思います。
  40. 菅野久光

    ○菅野久光君 第五次からずっと計画してきたけれども、なかなか計画どおりに来なかったということで、この第八次の漁港整備長期計画についても計画はわかるんですが、その計画計画どおりになるかなという、そういう心配をしながら質問をしておるわけです。  漁港整備予算の過去の実績を見れば、何か棒ほど願って針ほどかなうということわざがぴったりのような感じをしているわけであります。したがって、第八次計画では目標をもっと大きくとって、例えば係船岸の充足率五〇%をはるかに上回る数字にして、事業費もそれにふさわしく、今回の計画よりもはるかに大きなものにすることである程度の予算を獲得できるんじゃないかなと。どうも目標はここなんだから、それより低くても何とか我慢してもらえるんじゃないかということで今まで何か予算関係のときにやられてきたんじゃないかというふうに思うわけですよ。  昭和四十八年からずっとやってきて、それでもまだ係船岸の充足率が五〇%にならないというようなことを前面に押し出していくためには、今までの漁港予算の獲得と言ったら悪いのですが、もっと漁港予算をつけるやり方を変えていかなければならぬのじゃないかなというような感じがするんですけれども、その辺はつけてみなきゃわからぬと言ってしまえばそれきりですが、来年度予算に向けて、六十四年度に向けて今度の計画で本当に予算が獲得できるという自信はおありでしょうか。
  41. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 私も、農、林、水と渡り歩いてまいりましたけれども、その中で公共事業で現在も一番要望が強いのが恐らく林道と漁港、この二つにつきましては陳情なり熱意というものが質的にも量的にも一番強かろうかと思っております。そういう中での長期計画の立て方でございますけれども、正直言いまして過去は少し多目に組んで気合いを入れるというところがあったわけでございますけれども、財政という問題がいろいろ出てきた中ではむしろ空枠が出ないように現実的に実現可能な計画というものを財政当局とも事前に十分相談いたしまして、的確な対応のできる計画をつくるというふうにいろいろ計画が変わってきているわけでございます。  そういう中で、当方の長期計画につきましては、これもそう違っておりませんので威張れる話ではございませんかもわかりませんけれども、ほかのこの種の同種の長期計画に比べますと一〇%増というようなことで総体的には伸ばしたつもりでございますし、せっかく伸ばしたやつにつきましては先ほど来申し上げておりますように計画期間中に計画を全額達成したいと思っておりますし、それから来年度予算につきましても、編成方針等はもちろんこういう時期でございますのでまだ示されておりませんけれども、全省的な取り組みをいたしまして何とか望まれている事業量なり予算というものを確保したいと思っております。
  42. 菅野久光

    ○菅野久光君 余り山をかけて予算を取るというような状況ではないと、実行可能な計画を示してその中で満度に近いあるいは満度の予算を獲得していく、いわばいかに大蔵を説得するかということにかけていくというようなお気持ちでの今の答弁ではなかったかなというふうに私は思いますが、いずれにしろ二十年たって達成できないようでは、こういうのは計画とは言わないんじゃないかなというふうに思いますので、計画はあくまでも実行できるように、最終年度には達成できるように最大限の努力をする。非常におくれているわけですからこのおくれを取り戻すためにできれば超過達成するぐらいの意気込みで全力を挙げて漁港整備のために予算の獲得をすべきだというふうに思いますが、この点については吉川次官からひとつ重量のあるところで決意のほどをお聞きしたいというふうに思います。
  43. 吉川博

    政府委員(吉川博君) 漁港漁業生産基盤の基礎的なものでございます。  我が国漁業振興のため、その整備を積極的に推進していく必要があると考えております。このようなことから六十三年度予算におきましても対前年比一八・六%増の予算を確保したところでございます。漁港整備計画の完全達成のため、財政再建期間中で厳しい面もありますが、予算確保のため最大限の努力を払ってまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。
  44. 菅野久光

    ○菅野久光君 力強い答弁をいただきましたので、それが結果としてあらわれるように期待をしたいというふうに思います。  次に、機能施設整備の問題でありますが、漁港は基本施設ばかり整備されても機能施設が不備だと漁港として十分な機能を発揮できないということは当然のことであります。漁港機能施設整備は基本施設に比べてどうもおくれがちになる傾向があるというふうに言われておりますが、これについてはどのような御認識をされておるのか、それをまずお伺いいたしたいと思います。
  45. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁港の機能を十全に発揮させますためには、基本施設と並行して機能施設が完備していくということが必要であることは当然でございます。  ただ、残念ながら、ただいまお話もございましたように、機能施設につきましては、おくれている基本施設にもう一つ輪をかけておくれているということも現実でございます。それで機能施設の多くにつきましては沿岸漁業構造改善事業でございますとか、あるいは水産物中核流通加工施設整備事業等、一般非公共事業で整備することになっているわけでございますけれども漁港整備とあわせていろんな助成手段を活用いたしまして両者一体としての整備の推進ということにこれからも心がけてまいりたいと思っております。
  46. 菅野久光

    ○菅野久光君 今お話がありましたが、一部の機能施設については漁港整備計画の中で整備されるけれども、大部分の機能施設整備沿岸漁業構造改善事業などのいわゆる一般公共の中でやられるということで、その辺の基本施設の整備と整合性といいますか、そういうことがないと何か片手落ちになってしまうんじゃないかというふうに思うんですが、その辺の整合性をどうとっていくかということが非常に大事ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  47. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 確かに予算的には公共事業と非公共事業の性格の違いということから機能施設の大部分といいますか、ほとんど全部が施設でありますとか機械でありますとかこういう公共事業になじまない施設でございますので、これにつきましては予算上は非公共事業である沿岸漁業構造改善事業でございますとか、こういうもので助成しているわけでございますけれども、これはくどいようでございますけれども両方相まって初めて機能を発揮することができるものでございますので、それぞれ担当部局が相相談し、計画の段階からそれぞれの整合性なり調和というものを十分配慮して予算獲得なり予算の執行に当たってきているつもりでございますし、これからもそういう方向で仕事を進めてまいりたいと思っております。
  48. 菅野久光

    ○菅野久光君 日本の役所の機構というのは縦割りなものですからそれぞれのところでいろいろ計画を立てる、そこに整合性というものが欠ける嫌いがあるわけですね。したがいまして、基本施設、機能施設整備の問題についてはやはり個々の漁港ごとにいろいろあると思うんですね。その辺をやはり総合的に整合性をとるような、いわゆる縦割りのあれではありますけれども、それがどこかできちっと調整できて整合性のあるようなものにしていかなければならないんじゃないかなというふうに私は思っているんですが、その辺は水産庁の中でどうもちぐはぐだななんということのないような配慮を十分にやっていただけますねということをお尋ねいたしたいと思います。
  49. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 公共、非公共は、水産庁自体も課が違いますし、それから県も課が違っておるところが多うございますけれども水産庁も長官は一人でございますので、一人の長官の能力の問題はございますけれども十分調整はできると思いますし、それから県でも同じ水産部なり農林水産部というところでやっておりまして、最近は県段階でも課間の谷間に落ちるということを一番警戒しながら仕事をやっていただいている県が多うございますので、そういう御心配のようなことがないような方向でやってまいりたいと思っております。
  50. 菅野久光

    ○菅野久光君 基本施設と機能施設関係だけではなくて、これからの漁港はいわゆる漁業者のためだけの漁港ではなくなってくるような地域が出てくるのではないかというふうに思います。マリノベーション構想に見られるように、今後地域を単位として、さまざまな事業を有機的連携を保ちながら総合的に実施をする必要が、これまでと比較にならないほど必要になってくるのではないかというふうに思いますが、このような情勢には政府はどのように対応していかれるか、そこをお尋ねいたしたいと思います。
  51. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまお話しありましたように、漁村なりあるいは海面、漁港、こういうものは単に漁業なり漁民のものじゃなくて国民全体のものでございますし、それから一般国民のいろんなニーズ、要望というものも高まってきていることは当然でございます。  そういうものに対応いたしまして、今までのように漁民と例えば典型的な遊漁、こういう方々が相対立するなり相排斥し合うということではなくて、両立が成り立つように考えていく必要があるわけでございますし、ただいまお話しありましたマリノベーション構想というものも、海にかける一つの大きなロマンといたしまして、六十年度からそれぞれの地域での新しい水産都市づくり——周辺海域の高度利用でございますとか、漁業に関する新しい技術、それから海洋レクリエーション、こういう総合的な新しい都市づくりということでケーススタディーを進めてきているわけでございますけれども、六十三年度からはこれに基づくマスタープランをつくるというような段階に入ってきておりますので、こういうものと漁港整備という現実的、個別具体的な仕事と十分連携をとらせながらマリノベーション等の将来の夢を実現してまいりたいと思っている次第でございます。
  52. 菅野久光

    ○菅野久光君 マリノベーション構想を水産庁が立ててやられておりますが、これは当然水産庁ですから、水産を核とする沿岸域や沖合域の総合的な整備開発構想、それがマリノベーション構想だというふうに思います。が、そのもとで水産関係のさまざまな事業を総合的に行おうとしておられて、この構想の中では漁港整備が重要な地位を占めるようでありますが、この構想と漁港整備との関係についてどのようにお考えになっておられるか、お尋ねしたいと思います。
  53. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 先ほど先生から御批判がございました縦割り、そういう問題を解消するためにも実はこのマリノベーション構想というものを大きく打ち上げているわけでございます。個々の漁港でございますとか、あるいは加工施設、流通施設という担当ごとの仕事ではなくて、まずその地域全体の地域圏の将来のマスタープランをつくる、そういう中で個々具体的な仕事というものをはめ込んでいくということが発想の一つになっているわけでございまして、そういう点からいいますと、こういうマリノベーション構想のマスタープランをつくるということを契機といたしまして、将来の縦割りでとかく批判されがちであった役所側の対応なりあるいは予算の箇所づけ、こういう問題も大きく解消できるんじゃないかと思っておりますし、これを活用して何とか立派な水産地域づくりというものを図ってまいりたいと思っております。
  54. 菅野久光

    ○菅野久光君 こういうような大きな総合的な構想を立てて、その中における漁港整備ということになれば、今までのように水産基地、漁業基地としての漁港ということとは大分違った形になってくるのではないかというふうに思うんですね。ですから、漁港整備にしてもあるいは機能施設の問題にしても、今までとはちょっと違った観点で、考え直すと言ったらあれですけれども、もうその計画を見直す必要があるのではないかなというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  55. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁港が単に漁業生産活動の拠点なりあるいは流通の中核ということだけじゃございませんで、もう漁港空間全体が国民との関係でいろいろな有用な機能なりを持ってきている次第でございます。そういう中で、単に漁業との関係漁港整備するということだけじゃなしに、都市住民との関係あるいは漁村の一般居住者との関係、そういうものも十分考慮しながら総体として開発していくということで、今回も例えば漁港環境整備事業でございますとか、施設でございますとか、従来ですと生産活動そのものとは直接見られなかったような施設につきましても漁港施設の一環といたしておりますし、それから漁港施設には含まれないような施設でございましても、その集落全体、漁村全体としての整備ということがますます緊要になってきておりますので、集落整備事業等もほかにございますけれども、そういうものを相連携とりながら仕事をやってまいりたいと思っております。
  56. 菅野久光

    ○菅野久光君 そのためには、マリノベーション構想というものを、それぞれの地域ごとに早期に構想をきちっと立てていかないと、漁港整備漁港整備、そしてマリノベーション構想は構想ということで、せっかくつくったものを後からまた壊してやり直すとかというようなことになってはこれもまた国費のむだというようなことにも連なっていくわけです。そんなことで、このマリノベーション構想というものは私は大変すばらしい構想だなと思っておりますから、その構想をきちっと立てた中での漁港の位置づけというものをきちっとやって、漁港整備を進めていってもらいたいという要望を申し上げておきたいというふうに思います。  今、水産庁の方では、マリノベーション構想ということでいろいろ沿岸域、沖合域を含めて総合的な整備開発構想を持たれておりますが、一方、沿岸域をマリンスポーツだとかリゾートなど漁業以外の目的で利用するためのウオーターフロント計画が各省で何かいろいろ考えられているようであります。運輸省は沖合人工島構想や新海洋都市構想。通産省はマリン・コミュニティ・ポリス構想。建設省はマリン・マルチ・ゾーン構想。科学技術庁はアクアマリン計画。国土庁はマリノポリス構想。郵政省はテレポート構想。いずれも二十一世紀を展望した夢豊かな構想が出されておるわけで、各省と関連業界の手でいろいろなこういう計画が進められているようであります。  この計画は、確かに都市生活者などにとって必要かもしれませんけれども、その反面、漁業の立場から見ると問題も非常に多いのではないかというふうに思います。例えば、やみくもな埋め立てだとかあるいはリゾート施設などからの排水による海浜の自然環境や漁場の汚染、破壊、レジャーボートなどによる漁場や漁港の占拠など、従来からあった問題が今後さらに多くなる、そして問題も深刻化する例も多く出てくるのではないかというふうに思います。  しかし、漁業食糧生産する生命産業だと、遊びと同じ次元で考えるわけにはいきませんし、また漁業によって生計を立てている、そういう部分があるわけですね。この点を農林水産省としてはしっかり認識をして、漁場を守り、漁業操業に支障を来さないようにぜひ頑張ってもらいたいというふうに思っておりますが、先ほど申し上げましたように、幾つかの省がいろんな構想を立てているということに触れて、お考えをお伺いいたしたいと思います。
  57. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ここのところ、今ありましたように、各界各層あるいは各省からいろんなウオーターフロントの開発というものが出てきているわけでございます。これだけ国民ニーズが高まってき、ある意味では遊びそのものが大産業になってきているという時代で、我々水産関係者としてはある意味では歓迎すべきことといいますか、海に関して目を向け、関心を持ってくれているということは、一つは我々としてのこれからの行政のいろんな糧にもなるという感じがしているわけでございます。  そのためには一つ二つございまして、一つは、水産庁が何といいましても漁港は我がテリトリーでございますし、沿岸の海面というものは実効支配下にあるところでございますので、やはりうち自体がその当事者となって一般都市住民のニーズにもこたえる知恵というものも出していく必要があろうかと思っております。  それからもう一つは、ただいま先生からもお話しありましたように、ウオーターフロント開発の結果、いろんなマイナスという問題も考えられるわけでございます。少なくとも、豊かな自然なりあるいは環境の保護ということに十分配慮して仕事を進めていただかなきゃ困りますし、特に埋め立てにつきましては、沿岸漁業経営そのものと多くの地域でいろんなトラブルが起きますので、我々といたしましては、魚介類の産卵なり生育の場でございますとか、あるいは優良な漁場が少なくともなくならない、低下しないような形で調和をとるように、事業主体なり計画構想主体に対しましては十分注文をつけてまいりたいと思っております。
  58. 菅野久光

    ○菅野久光君 次官、今のマリノベーション計画とこのウオーターフロント計画との調整ですが、これは先ほど申しましたように、もう各省がいろんな計画を立てているわけですね。各省が計画を立てるやつを農林水産省として、そんな計画を立ててもらったら困るといってやめさせることも今の日本の縦割り行政の中ではなかなかできないんじゃないかなというふうには思うんですよ。しかし、そうかといってそれをそのまま野放しにしておいたら大変なことになる。今長官からもお話がありましたけれども、大変なことになる。  それで、何といったって海というのは水産庁の、何というのかな、担当といいますか、主として水産庁が担当する海面だと思うんですね、沿岸域も含めて。そういうことからいけば、マリノベーション計画を優先させる原則というものを政府の中できちっと確認をして、そして、それぞれのウオーターフロント構想、各省がいろいろ考えられていることとマリノベーション構想との整合性といいますか、一体化というのかな、そういったようなことでやっていかないとうまくないんじゃないか。あるいはマリノベーション構想の中にそれぞれが考えている計画を取り入れるものは取り入れる、取り入れられないものは取り入れられないということで、マリノベーション構想というものを主軸に据えることが必要じゃないかなというふうに思うんです。それをきちっと政府の中で意思統一をする、マリノベーション構想を中心にする、優先させるという原則を確立しないと私は大変なことになるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  59. 吉川博

    政府委員(吉川博君) ごもっともな御意見だと存じますが、ウオーターフロントの開発に当たりましては、豊かな自然を生かし、環境の保護に配慮することが重要であります。特に、埋め立て等により魚介類の産卵、生育の場や優良な漁場の喪失を伴うおそれのある構想については慎重に対処いたしまして、漁業の健全な発展と調和したものとする必要があると考えております。今後一層その点について努力してまいる所存でございます。
  60. 菅野久光

    ○菅野久光君 水産業を守るということは任務ですから当然なんですけれども、このまま黙っておいたのでは、それぞれの省ごとに考えられているウオーターフロント計画でいろんな問題が起きるのではないかと。ですから、マリノベーション構想を優先させるという原則をまず政府の中できちっと確認をしておく必要があるのではないか、そのことをやはり農林水産省中心になってきちっとやっていかないと大変だなという私に思いがあるものですから、それはぜひそうしていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
  61. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 各省の計画の総合的な関連づけでございますけれども、まあ海洋も国土の一環でございまして、そういう意味では四全総等でも海洋レクリエーションについての総論的な位置づけというものをしてくれているわけでございますし、それから各省でいろいろ持ち出しておりますのも、例えば運輸省の場合には一般港湾というものを持っているということからいいまして、一概に我がマリノベーション、これだけ立派ではございますけれども、マリノベーション計画が優位に立つということもいかがなことかとは思っているわけでございます。  しかしながら、当方といたしましては、何といいましても漁港を握り、それから全国の沿岸のすべてといいますか、ほとんどを埋め尽くしている漁業権というものを握っているわけでございますので、各省がいろんな計画を立てる際にも実質我々と相談せざるを得ない形になっておりますし、それから特に現場で事業を実行いたします際には、漁業権の保障なりあるいは漁港との調整というものは不可欠になってまいっておりますので、そういう点で十分水産側の意見というものは各省なりいろんな各界の構想につきましても反映できるし、させなければならないというふうに考えております。
  62. 菅野久光

    ○菅野久光君 私の言っていることが杞憂にすぎないことであれば大変いいことだと思いますが、何か今までのいろんな経過からいくと縦割りでやられるものですから、それで心配をして言っておりますが、私が心配したようなことが今後起きなければ大変幸いだというふうに思います。  法案にかかわる質問についてはその程度にして、この機会に調査捕鯨の関係についてお尋ねしたいと思います。  調査捕鯨は、もうことしの分の捕獲を終わって、今帰路についているというようなお話ですが、正確な捕獲頭数は何頭でしょうか。
  63. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今月の二十三日に調査捕獲自体は終えまして、総頭数で二百七十三頭を捕獲いたしまして、現在日本の港へ向かっているところでございます。
  64. 菅野久光

    ○菅野久光君 当初は、ミンククジラ八百二十五頭、ナガスクジラ五十頭の計八百七十五頭だったんですね。それを三百頭に計画を変えてやって、その三百頭なんだけれども二百七十三頭でまだ二十七頭枠がある。三百頭と決めて二百七十三頭ということは、これしかとれなかったということなのか、当初の八百七十五頭から三百頭に減らしてまた二百七十三頭という数字が私にはわからないんですがね。
  65. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今度の調査は、本格調査をするための予備調査ということで、三百頭を限度として調査に着手したわけでございます。  今回の調査方法も、調査予定海域を碁盤の目のように切りまして、何日から何日までそこでとってみるというようなことで、結果として二百七十三頭に終わったわけでございまして、計画を出しました際の三百頭というのも、限度数量と言うと妙でございますけれども、限度頭数でございまして、三百頭とるために調査をやったわけではございませんで、一定の海域の調査を一定のスケジュールに従って回航し、もりを撃つ、その結果恐らく三百頭ぐらいはとれるであろうし、いろいろな関係からいって三百頭以上とってはならないという数字でございましたので、今回のやつは、そういうスケジュールに従った厳正な調査の結果たまたま二百七十三頭になったというふうに御理解いただきたいと思います。
  66. 菅野久光

    ○菅野久光君 これは、八百七十五頭から三百頭を限度頭数というふうにしたのもいろいろな世界の世論といいますか、そういったようなものにも配慮をしたり、あるいは鯨類研究所になるのかあるいは何か科学委員会的なものがあるのか、そこでこの程度の頭数、最低三百頭なら三百頭を限度頭数として調査をすれば、それで予備調査としての意義は十分あるというようなことでその三百頭を限度頭数というふうに決めたわけですね。そこのところはそうですね。
  67. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 本調査で八百七十五頭でしたか両鯨種を含めましてとるということでIWCの科学委員会で御討議いただいたわけでございますけれども、本調査自体の精度なり有効性、これに議論がございまして、当方といたしましてもまだ本調査に突入するには科学者の納得が得られない。それで、本調査をやることが正しいあるいは有効性があると、それを証左するために三百頭規模で一定の海域で予備調査をして、その予備調査の結果をもってしかじかかくかくであるから八百数十頭の本格調査というものは科学的に必要であるというデータを得たいということで着手した次第でございます。
  68. 菅野久光

    ○菅野久光君 そこで、IWCは一九八二年の総会で商業捕鯨の全面禁止を決定したときに、一九九〇年に資源の包括的再評価を行って商業捕鯨を再開するかどうかということを判断することにしたわけですね。このことにかかわって調査捕鯨をやって、一九九〇年まで来年も調査捕鯨をやる、継続してやるというお考えですね。
  69. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 我々がいろんな経緯の中で調査捕鯨に踏み切ったというのも、ただいま先生からお話しありましたように、一九九〇年に資源の包括的見直し、再評価をするということ自体がIWCで決められているということで、包括的再評価するにはやっぱり科学的基礎なり知見というものが不可欠であるということで調査に着手しているわけでございます。したがいまして、今後の扱いにつきましても、今回の予備調査の結果も十分踏まえまして、それからことしの五月にまたIWCの総会がございますので、そういうところの議論も聞きながら、その段階で判断してまいりたいと思っております。
  70. 菅野久光

    ○菅野久光君 今年度、三月三十一日、きょうは年度末になるわけですけれども、全面禁止ということで決めて以降調査捕鯨をやった国、国名はどのような国でしょうか。
  71. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 調査捕鯨といいますか、現在やっておりますのはアイスランドが一般的にやっておりますし、それから近々ノルウェーが調査捕鯨を再開するということが報道され、大体そういう方向というふうに我々も了知しております。
  72. 菅野久光

    ○菅野久光君 ノルウェーとかアイスランドは一九九〇年に商業捕鯨を開始する方向で進んでいるというふうに聞いております。そのために研究員をふやして二、三年間徹底して調査をする、いろんな調査に対してIWCが理解を示さずに科学を無視し続けるならばIWCの脱退も辞せず、こういう姿勢を示しているというふうには聞いております。  今回の調査捕鯨も、我が国調査捕鯨をやると言ったら、もうPM法を発動する。まさに国際条約で決められたことさえもさせない。それをやった国は自国国内法であるPM法を発動して漁獲割り当てを半減するだとか、そういうようなことをやる。全く理不尽ですし、IWCそのものも全く捕鯨国でない国がたくさん入っているわけですね。しかも、特定の自然保護団体と言われている団体、私は正確には自然保護団体じゃないんじゃないかと思うんですが、そういう意味で自然保護団体と言われている団体がとにかくめちゃくちゃなことをやってきているわけですね。このようなことでは全く理性を欠いた、IWCではないんではないか。こういうような団体に支配されているIWCですね。  そういうこと等を考えてみたら、国際捕鯨条約にこれ以上とどまる意味がもうないのではないかというふうに思うんです。したがって、政府は国際捕鯨条約から脱退するための準備を進めるとともに、理性的に鯨資源の保護を考えることのできる国々と一緒になって新たな国際捕鯨のための条約を締結するように行動を起こすべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  73. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまの先生の御発言のお気持ちは十分よくわかるわけでございますけれども、IWCそのものの条約の目的が鯨資源の適切な保存と有効利用ということを掲げているわけでございまして、IWC条約そのものにつきましても基本的精神については我々としてはそういう方向だと思っておりまして、何とかそういう基本精神にのっとった条約の運営というものが図れないかということで過去からもいろんな努力はしてきているわけでございますし、今回そういう予備調査ということをやっておりますのも、科学的なきちんとしたデータを集積いたしまして今までいろいろと錯綜してまいりましたIWCでの議論というものを科学的、正しい方向に引っ張っていきたいということでの調査でございますので、そこから出るということではなくて、体制内改革というようなものを何とかできたらということで、もうしばらく頑張ってみたいと思っております。
  74. 菅野久光

    ○菅野久光君 今までも大分頑張ってきて、それで何というんでしょうね、理性的な理解を示すような今の構成国の状況になっているか。私はIWCの総会に出たわけじゃありませんから、直接この目で見たわけではありませんが、そこに出席された方たちの話を聞けば、もはや理性的な形でIWCが運営できるというような状況にないのではないかというふうに思わざるを得ないんですよ。  日本政府も、この調査捕鯨の問題については相当いろんな努力をされた。この前も大臣に、牛肉、かんきつの問題のときにも言いましたけれども、最近の日米関係では、アメリカの言うことはほとんど聞かなきゃならぬというような状況になっているようでありますが、たった一つこの調査捕鯨だけは、これは委員会で決議をしたということを踏まえて実によく頑張ったと、国民の中では調査捕鯨の問題だけは、頭数は減らしはしましたけれども、予備調査に変えてやりましたけれども、しかしまあ本当によくやったという評価があるわけですが、それでさえもPM法の発動というようなこと、発動されても実質的にはもうないんですから、ないものを発動されたってどうということはないわけですけれども、理性的に話し合いのできるような状態でないところにとどまるということは、いたずらに時間がたって、そして次の段階へ行くということに困難を来すのではないかというふうに思うんですね。  漁業も今や外交の時代ですから、IWCに加盟しているそれぞれの国に対してどの程度調査捕鯨に対する理解を求める努力をされたのか、あるいはされていて総会のときには反対したけれども、だんだん理解を示してきているというような感触を得ているというようなことが現実的にあるのか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  75. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 総会でございますとか科学委員会、それからさらにはアメリカの示唆に基づきまして開催いたしました科学特別委員会、こういう場でも多くの議論なり説得をいたしまして、少なくとも科学特別委員会の場では日本側の調査捕鯨の必要性、特に予備調査ということまで地道に踏んでいく手順というものにつきまして科学者の多くの賛同といいますか、これを獲得できたというふうに考えていたわけでございます。  しかし、その後それぞれの国のいろんな動きがございまして、しかも郵便投票によって中止勧告をするかどうかを決めるというような動きが出てきた次第でございますけれども、その後水産庁側からも次長でございますとかあるいは関係参事官、こういう者をそれぞれ関係の深い国に派遣いたしまして個別に対応いたしましたし、それから在京の大使館なり、さらには私なり、それぞれの国と関係の深いいろんな方々からそれぞれの国に直接手紙なり電話なりということで我が国捕鯨の正当性というものを説得したわけでございます。その結果、幾つかの国はこちらの主張にのっとって賛成なりあるいは棄権という行動を示してくれましたけれども、逆に幾つかの国がまた反対の立場に立ったというようなことがございまして、郵便投票は御承知のような数でああいう結末になったわけでございます。  これからも、根強く説得の努力はしてまいりたいと思っておりますけれども、正直申し上げまして、先生から何回かお話しありましたように、現在本当にきちんと正常な形で運営されているかどうかということにつきましては、私自身疑問を挟む瞬間も再三あるわけでございますけれども、しかし、これだけの国際関係の中で生きている日本、しかもあそこから脱退したからといってそれで正当化がなされるんじゃなくて、やはり世界全体の捕鯨に対するいろんな動きというものもございますので、ああいう組織の中であくまでも粘り強く、科学の背景を持ちながら説得に相努めてまいりたいと思っております。
  76. 菅野久光

    ○菅野久光君 かなり忍耐強くやらねばならぬという気持ちは私もよくわかりますが、それで調査捕鯨を現実にやっている国々と日本政府との間で、何というんですかな、この調査捕鯨あるいは商業捕鯨等を含めた話し合いというのはかなり進めているのかどうか、それをお伺いいたしたいと思います。
  77. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 政府間ベースでも、現に捕鯨を伝統的にやってき、現在もやっている、あるいはやりたいという国との接触は深めておりますし、先般もアイスランドで関係国が数カ国集まりまして、その捕鯨をやってきている国としてのいろんな問題点整理、それから、これからのPRの仕方というようなものにつきまして協議をしたということがあるわけでございます。
  78. 菅野久光

    ○菅野久光君 今IWCに加盟している国の中でも、調査捕鯨あるいは商業捕鯨だってある程度節度といいますかね、そういうことできちっと国際的に話し合ってやれば十分資源は確保できる、資源を守ることができるというような捕鯨の正当性といいますかね、そういうことについて理解をしている国も幾つかあるわけですね。そういう国をふやしていくいわゆる多数派工作、その多数派工作というのは日本だけじゃなくて、その調査捕鯨をやられている国との間でいろいろ話し合いをなされているのかどうか。
  79. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) もちろん、そういう多数派工作をいろんなチャンネルでしているわけでございますし、先ほど申し上げましたアイスランドで捕鯨関係国が相寄って捕鯨に関して少しでもこちらを向いてくれそうな国に対するより以上の説得、それから捕鯨に根から反対している国へのいろんな資料なり調査データを送りましてそこを説得するということを地道にやるという方策についても、その場で、どういう方策が有効的であるかということについてもいろんな形で話し合われた次第でございます。
  80. 菅野久光

    ○菅野久光君 理屈に合わないことをやっているのが今のIWCですから、そういう意味では理屈に合ったことをやることで賛同してくれる国々の多数派工作をやって、どうしても理屈に合うことをさせないというようなIWCであればもう一つのIWCをつくるというようなことも考えていかないと、理不尽な全く理屈に合わないことがこの世界の中でまかり通っていくということですね。  これはどうも僕の気持ちだけじゃなくて日本国民全体が納得できないことじゃないか。正しいと思うことは堂々と主張して、そして日本の国のひとりよがりじゃなくて、まさに条約の中できちっとこれを出されていることですから、それさえもだめだなんということになったら何のための国際条約かということになってしまいますので、その辺みんなで取り決めたものはみんなで守る。それは総会で守るというので、何よりも国際捕鯨条約が一番基本になるわけですから、それさえも守らせないというような理不尽なことにいつまでも屈するということは世界のためにも私はよくないことではないかというふうに思いますので、余りはなから、何というんですかな、けんか、けんかという言葉は適当じゃありませんけれども、はなからけんか腰のような形でやるというようなことはないと思いますけれども、しかし余り理不尽なことをやられると、残念ながらそこまで決意をしなければならないんじゃないかというふうに思いますので、それは私の意見として申し上げておきたいというふうに思います。  次に、まあ理不尽と言えば本当に理不尽といいますか、ベーリング公海の問題についてちょっとお尋ねをしておきます。  この米ソ両国の二百海里水域の間に挟まれたベーリング公海ですね。ここは米国水域を追い出された北転船やトロール船にとって最後の漁場だ、あそこには余り魚がいないんじゃないかと思ったら、行ってみたら意外と魚がいたということを長官も答弁なさっておりました。ところが、本来どこの国からも何らの規制を課されるはずのない公海の漁業について、アメリカはベーリング公海資源米国二百海里内から加入した資源だ、いわゆる二百海里内のところにいたものが公海に行ったものだから、これは本来アメリカのものだ、それを公海だからといってとるのはけしからぬということで外国船の締め出しを図ってこようとする動きがあるようであります。しかも、このことについてはアメリカとソ連が共闘態勢をとっているように私どもも聞いております。  今後の動向は予断を許さないということで関係者が大変心配をしております。こんな理屈が通るんだったら、漁業に関しては世界の海から公海がなくなってしまうんじゃないかというふうに思うんですが、このことについてのアメリカ、ソ連の動き内容について、わかっておられると思いますが、お聞きをいたします。
  81. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ここのところ、アメリカ、ソ連という北洋漁業の二大沿岸国、しかもサケ・マスの母川国という同じ立場に立つ者として共通した立場から、いろいろと北洋漁業に対して厳しい姿勢で臨んできておることは事実でございます。  その一つ動きといたしまして、アメリカの上院が三月二十一日に、ベーリング公海での全漁業の全面禁止を米ソの合意により実現すること等を国務長官に要請するという決議を採択いたしております。この決議はもちろん法律的に拘束するものじゃございませんけれども、こういうことを契機といたしましていろんな動きが、従来からもあるものが加速されてきているというふうに考えております。  一方、ソ連側につきましては、昨年なりあるいは本年行われました日ソ漁業合同委員会で、ベーリング公海の生物資源はソ連二百海里海域からの生物資源と共通のものであるということで、いろんな規制措置について合意すべきであるという主張を繰り返している次第でございます。  こういうそれぞれの動きがあるわけでございますけれども、ここのところ米ソ共通の動きといたしまして、本年一月の二十六日から二十八日にモスクワで行われました米ソ漁業協議でもベーリング公海問題についての話し合いが行われまして、今後米ソ間で専門家によって構成されます作業部会をつくって、そこで三月から四月中にいろんな協議を行うという手順が決められているようでございます。  ただいま先生からお話しありましたように、ベーリング公海はその名のとおり公海でございまして、従来からここで最大の漁業国として日本が活躍しているわけでございますので、そういう最大の漁業国としての立場なり責任というものに基づきまして資源状況を十分調査研究する。それからさらには、こういう動きの契機になっておりますのは違反操業なり越境操業ということがひとつ大きくなってきておりますので、少なくともそういうことがないように関係者に十分指導徹底しますとともに、やはりああいう公海であっても一つのルールで漁業をやっていくということは避けられない一つの道でございますので、単に沿岸国だけじゃなくてそこに大きく入っていっている日本を初めとする漁業国を加えての国際機関をつくり、そういうところでオープンで議論をして、お互いに納得の上で、将来にわたって資源を守るためのいろんなルールづくりをしようという提言を行ってきておる次第でございます。
  82. 菅野久光

    ○菅野久光君 本当に、公海が公海でなくなるんじゃ一体どんなことになるのか。特に、こういうことになっていけばソ連の水域での日本漁船の締め出しにもつながっていくのではないかというふうに思うんですけれども、この辺はどうでしょうか。
  83. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ここのところ、米国なりソビエトなりと非常に厳しい漁業交渉をやっておるわけでございますけれども、若干違います点は、アメリカの場合には、一方的に日本がアメリカの二百海里内に入っていって魚をとって帰ってくる。それに比べましてソビエトの場合には、相互乗り入れといいますか、日本も向こうの二百海里に行くと同時に、向こうもこちらの二百海里に来てとっていくということで、ある意味では利益関係が互恵的な関係にあるわけでございます。しかし、だからといって緩いという話では決してございませんで、それぞれの立場がございますし、それから当方といたしましても、水産資源を長期的に維持保存し向上させていくということからいいまして、厳しいけれども一定のルールづくりというものはやっていく必要があると思いますし、これからもそれぞれの国といろんな話し合いは続けてまいりたいと思っております。
  84. 菅野久光

    ○菅野久光君 何としても、公海は公海、そして、先ほど長官も言われたようにやはりルールはきちっと守って、特にこういう厳しい国際情勢にあるわけだから漁業者にも、もう十分その点はわきまえているとは思いますが、ルールを十分に守って、公海は公海としてこの漁場が確保できるように、締め出されることのないようにやってもらいたいと思います。本当にこんなことになればアメリカから日本向けの水産物輸出製品も含めて増大するおそれがあって、これは水産業界にとっては大変な問題になるというふうに思いますが、これはなっちゃいけない、絶対ならないように頑張ってもらいたいんですが、仮にそういうことになったとしたら、アメリカから水産物輸出してくるというようなことについてどう対策をとるかということが出てくるんではないかというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  85. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 水産物につきましては、現在もIQ制度がかなりの品目についてしかれておりまして、特に沿岸漁業なり中小漁業者影響の大きいサバでございますとかイカでございますとかイワシでございますとか、こういうものについてはIQという国境保護措置でルールをつくってきているわけでございます。  アメリカからの輸入というものもかなりふえてきておりますけれども、中身は日本資源状況からいいまして日本と決定的に対立する、あるいは日本漁業を根っこからおかしくするというようなところまではまだ立ち至っておりませんで、秩序ある輸入ということについて何とか国内的にも我々指導してまいりたいと思いますし、それからせっかくあるIQ制度の適切な運用ということで、諸外国からの輸入のいろんな悪影響というものは遮断してまいりたいというふうに考えておりますし、それと並行して、やはり国内漁業者なりあるいは加工業者、こういう方々の体質改善というものも地道に進めていかなければならないというふうに理解しております。
  86. 菅野久光

    ○菅野久光君 鯨の問題にしろ、ベーリング公海の問題にしろ本当に次から次に幾つかの問題を抱えていろいろ大変な、農業だけじゃなくて漁業も大変な状況にありますので、何といっても我が国の水産をしっかり守るために今後ともひとつ頑張ってもらいたいということを申し上げ、何か後の日程もおありのようですから、私の質問はこれで終わります。
  87. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  88. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、漁港法の一部を改正する法律案漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上三案件便宜一括議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  89. 及川順郎

    ○及川順郎君 まず初めに、本委員会に付託されました法案関係の質問に入る前に、牛肉、オレンジの市場自由化問題の打開のために大臣が今渡米しているわけでございますけれども、きょうの新聞を見ましてもあいさつ冒頭からさや当て、火花を散らような場面もございまして、大変厳しい状況を新聞紙上ではうかがうことができるわけでございますけれども、その成り行きに対しましては畜産関係あるいは果樹農家の関係の方々が非常に注目している、こういう状況でございますので、留守を預かっております吉川次官、今までのここ数日の過程の中でもし途中経過に変異があって御連絡等がありましたら、そういうことも踏まえまして、今後の交渉に後退の姿勢は絶対ない、そういう心情で間違いないかどうか、念のためにその心情も踏まえて状況の御説明をまず冒頭お願いしたいと思います。
  90. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 及川先生御質問の会談の状況の件でございますが、国会、委員会等のお許しを得まして大臣は渡米さしていただいておるわけでございますが、当初、渡米した日の予定はございませんでしたが、二十九日に渡米をいたしまして急遽第一回の会談をさしていただいております。その次に、USTRの代表と第二回目の会談も引き続き行っております。さらに、関係者の一人であるリン農務長官と会談を行う、都合三つの会談が行われております。  最初の第一回目の会談におきまして農林水産大臣から、国会決議等々も踏まえまして我が国の基本的立場というものを表明をいたしまして、これに対して向こう側がいろんな意見を言うということがございました。さらに、第二回目の会談におきまして向こう側が即時自由化を迫るという一幕がございまして、それに対しまして農林水産大臣が、今お話がございましたように自由化が困難であるという日本の基本的立場を踏まえまして相手方の提起する問題に対しまして反論を加えたという経過でございます。第三番目の会談はリン農務長官と行ったわけでございますが、これにつきましては相手方はヤイター代表と同じような論点でございまして、即時自由化を迫るといったことがございましたけれども、農林水産大臣から我が国におきます自由化は困難であるという基本的立場に立ちまして日本の実情を相手方に説明し、理解を求めたということでございます。  この委員会の席上におきまして、ちょうど出発の前日でございましたけれども、農林水産大臣から諸先生の御質問に対しまして基本的態度を表明さしていただいたわけでございますが、そういう基本的立場に立ちまして交渉の場において日本側の意見を主張したというのが私ども受け取っております現在の経過でございます。
  91. 吉川博

    政府委員(吉川博君) ただいま官房長から話をいたしましたように、自由化することは極めて困難であるという基本方針に基づいて今大臣は交渉しておられると思いまするし、また、我々の考え方もそういうきつい覚悟で臨んでおるつもりでございます。
  92. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、法案関係に入ります。  今回の改正に当たりましては、漁港をめぐる情勢変化に即応できる整備、これが主眼となっておるわけでございますが、漁港本来の趣旨とそれから漁港をめぐる周辺状況環境変化、この辺の認識を若干整理する必要がある、こういう感じもするわけですけれども、その辺の認識に対しましてはいかがでしょうか。
  93. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁港につきましては、本来持っております漁業生産活動の拠点という機能に加えまして、ここのところ漁村全体の生活なりそういう面での中心的な役割というものも背負ってきておりますし、それからさらに、一般都市住民等との関係で釣り舟でございますとかあるいはヨットでございますとか、いろいろな形で海洋レクリエーションというものが活発になってきておりまして、そういう点でも漁港を従来と違った光を当てて見直すべき時期に来ている、現にそういう方向でいろいろな動きが具体化し、動いてきているというふうに考えております。
  94. 及川順郎

    ○及川順郎君 漁業活動変化がどう推移しているか、漁港そのものの周辺事情ということもございますけれども、漁獲の量的な推移というものが、例えば遠洋、沖合、沿岸という漁業の実際行っている業種によりまして漁獲量の推移状況と、それから漁港そのものの使用頻度というものはどんなぐあいに変化をしておりますか、概況で結構でございます。
  95. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) それぞれの業種別の漁獲量の推移でございますけれども、業種といいますと大きく漁港に絡むものといたしましては四つあるわけでございます。  一つは遠洋でございますが、これが二百海里の影響を一番受けているわけでございまして、十年ほど前には三百万トンほど水揚げがございましたものが、六十一年度には約二百三十万トンということになってきております。それから沖合でございますけれども、同じく五十一年には四百六十万トンでございましたけれども、その後、幸いにいたしましてマイワシが年々相当ふえてまいりまして、六十一年には六百八十万トンということでふえてきておるわけでございます。それから一方、沿岸でございますけれども、五十一年当時は二百万トン、それから以降も大体そういう水準で推移しておりまして、六十一年には二百二十二万トン。それから一方で、養殖業が五十一年当時九十三万トンでございましたけれども、これはブリでございますとか、ホタテでございますとかあるいはノリ類、こういうものがかなり増加してまいりまして百三十万トンということに相なっているわけでございます。  したがいまして、二百海里体制に入りまして非常に取り巻く環境は非常に厳しくなってきたんでございますけれども、全体としての漁獲量の推移はほぼ変わらない。というよりは、十年前に比べると若干ふえるという形に相なっておりますし、こういう中での漁港への水揚げの比率というものも、漁港生産拠点、水揚げ拠点として整理されるにつれ、あるいは流通加工のスタートになるということからいいまして、水揚げ率自体は若干でございますけれどもふえてきているというふうな推移をたどっている次第でございます。
  96. 及川順郎

    ○及川順郎君 使用している船の形ですけれども、非常に機能がよくなりまして小型化しているというような状況、そういう意味では漁港を利用する船の数はふえている傾向ですか。
  97. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) トータルとしてはほとんど横ばいではございますけれども、特に沿岸漁業につきましては、ただいま先生からもお話しありましたように、船の効率化あるいは小型化ということもございまして、実そう数としましても若干ふえた形になっております。
  98. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一つ別の角度からですけれども漁業活動の拠点としての漁港、それとあわせまして最近の海洋性レジャー、先ほど来からも、午前中にもお話が出ておりましたけれども、これが非常に多くなってきているという状況でございますが、例えばスキューバダイビングだとかあるいはレジャーボートだとかあるいは遊漁船とか、こういう海洋性レジャー人口の推移というのは急速に上っているような、多くなっているような傾向というのはここ数年の中に出ておりますか。
  99. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁業センサスで五年ごとに調べているわけでございますけれども、いわゆる遊漁人口につきましては、昭和四十八年が延べで九百十四万人、それから五十三年が同じく延べで二千二百六十九万人、それから昭和五十八年には延べで三千九十三万人ということでございますので、四十八年の一千万弱に対しまして五十八年では三千万を超すということで、この十数年の間に約三倍ということで急激な増加を示しております。
  100. 及川順郎

    ○及川順郎君 基本的には共存していくという状況の中で整備を図っていかなければならない、こういう考え方については私ももう異論はないわけですけれども漁業活動生活の糧としている人たちの意識と、それから海洋性レジャーを求める人たちの意識、これが一つは交錯している、そういう部分というのは非常に多いんではないか。  それからもう一つは、漁村の人口がところによっては過疎化に歯どめがかかっていないという状況の中で若者が定住しない、そういうところで新たな地域づくりということもやっぱり時代の要請になってきている。そういう漁港を取り巻く、あるいはまたその周辺に定住している人たちの意識調査みたいなものをおやりになったことはございますか。
  101. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 意識調査という形で包括的といいますか、どういう内容かという問題はございますけれども、我々としてやっていますのは、遊漁者やなんかがいろいろと漁村とトラブルやなんか起こしているわけでございますけれども、そういうトラブルの原因は何か、あるいは遊漁者が来てその結果迷惑をかけた、あるいは問題であるというものはどういうものであるかというようなアンケート調査は漁村の方々を対象にいたしておりますし、それから別途、都市住民側につきましては、これからのレクリエーション需要という観点からどういう地域でどういうものを望んでいるかという調査はいろんな機関で行っているわけでございます。
  102. 及川順郎

    ○及川順郎君 その中で、例えば今まで漁業活動をやっておられた方が遊漁船の案内業者に仕事がえをするというような、そういう状況も現場へ行きますと必要、生活に迫られてというようなこういうことで聞くわけでありますし、また、漁業をそのまま継続しながらその合間を縫ってそういう仕事をして収入を得ているというような声も聞くわけですけれども、そういう兼業あるいは推移というものについてはどういう認識をお持ちになっておられますか。
  103. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 推移的には必ずしも悉皆的調査という形では把握しておりませんけれども、現状で申し上げますと、いわゆる遊漁案内業者、これが全国で三万四千人程度いるわけでございますけれども、このうち約九割に当たる三万人、これが漁業者ということが現時点で把握できているわけでございます。  例えば、過去さかのぼってみますと、これは若干でこぼこはございますけれども、五年前には遊漁案内者総数が三万七千で、そのうち三万二千人ほどが漁協なり漁業者、それからさらに、その五年前ですと二万九千人が総数でございまして、そのうち二万七千人が漁協なり漁業関係者ということで、数字としてはふえるとか減るとかいう傾向はこの五年ごとのセンサスでは必ずしも明らかではございませんけれども、いずれにいたしましても三万四千人近くのうち三万人程度が漁協なり漁業関係者ということで、漁業関係者の所得なりあるいは就労の場という形では大きなウエートを占めてきているし、占めているということは事実かと思っております。
  104. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、ちょっと現場で聞いた状況の中で、例えば遊漁者の行為が漁業活動に支障を及ぼす場合、あるいはまた遊漁者の悪質行為によって漁業者が直接損失をこうむる場合、あるいは漁業者漁協が遊漁者から料金を徴収することをめぐるトラブル、こういうそれぞれの幾つかの項目を設定いたしまして調べてみますと、例えば在来漁場への遊漁船の進出とかあるいは無秩序なえさの使用による漁場の被害とか、遊漁船との接触事故とか、こういう問題が漁業活動に支障を及ぼす問題点として具体例が出ているわけですし、また、悪質行為には潜水遊漁によるアワビやサザエ等の不法採捕、それから定置網や養殖施設内の魚類の密漁、こういうことがかなり現場では具体的に出ているんですが、こういう点について、今の御答弁にもありましたように漁業者あるいは漁協関係者がかなりオーバーラップする形で就労の場となっているんですけれども、この点のトラブルはどのように整理されているか。  今後、こうした遊漁人口あるいは海洋性レジャーを求める人口がふえてくる中で、この点は自然淘汰の形でいくのか、何らかの行政指導をやりながらその解決策を見出そうとして今取り組んでおられるのか、その点の取り組みについてお聞かせいただきたいと思うんです。
  105. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 全国三十四万人の沿岸漁業者というものがいるわけでございまして、この方々と都市住民の遊漁者が相両立する形で海を活用していただくということが基本でございまして、漁業者側におきましても遊漁をいたずらに排斥するということではなく、それと同時に遊漁者側につきましても漁業者の正常な操業に支障が出ないように、地元のいろんな環境の保全ということにも十分気を使って遊んでいただくということが必要かと思っております。  こういうことは、当事者の意識なり倫理ということに負う点が多いわけでございますけれども水産庁といたしましても、漁業者と遊漁者との話し合いをまずは促進させるということで、都道府県を通じまして沿岸各地の地域の実態に応じました漁場利用協定の締結を指導するとか、あるいは地域によりましては漁場利用調整協議会というようなものを開催いたしまして、漁業団体、それから行政と、遊漁者の団体、同好会、そういうものが一同に相集まりまして、それぞれの立場なり、それぞれの方向を話し合うということもさせているわけでございますし、一般的なメディアを使いまして、その遊漁者自身がマナーを守って釣り場を守っていただくというふうなことにつきましてのPRなり啓発活動というものにつきましても当方も助成するという形で、何とか両者が調和のとれた形で今後とも定着していくことをこいねがいながら行政の手だても行っている次第でございます。
  106. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一点、密漁に関しまして、これは遊漁者ということでただいま私は申し上げたんですけれども、それだけではなくて、時には暴力団絡みの密漁行為だとか、こういう事件がぽつぽつと出ておるわけですけれども機能施設整備観点から考えますと、漁港の中で無線通信設備というのは時代の要請としてこれから非常に大事になってくるし、また海洋性レジャーという視点から考えても非常に大事なポイントになってくると思いますけれども、その点の問題意識についてはどのように整理なさっていらっしゃいますか。
  107. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ここのところ、残念ながら、地域によりましては密漁、しかもかなり悪質な密漁というものが散見されるわけでございます。これにつきましては、海上保安部でございますとか警察、こういうものと相連携していろんな取り締まりをやっているわけでございますけれども、ただいま先生からお話しありましたように、監視体制は近代的な通信機具を備えての監視体制というものがやはり把握のための有効な手段となることは当然でございます。  そういう観点から、例えば六十三年度から発足する予定で現在御審議いただいております新沿岸漁業構造改善事業のいわゆる後期対策、ここでも新しいメニューといたしまして、例えば密漁監視レーダーでございますとかあるいは密漁監視船、こういうものも助成対象にするということで、ただいま先生からお話しありましたような事の重大性というものに着目いたしましての行政的な援助措置というものも拡充してきている次第でございます。
  108. 及川順郎

    ○及川順郎君 この点につきましては、今後の漁港のあり方、大小によりまして多少の違いはあると思いますけれども、ぜひ充実をお願いしたい。  具体的な名前は避けたいと思いますが、現実には漁業者がもう自衛手段に出ているということで、実際に自分の船で、自分の燃料を使って、そして島陰に潜んでいて、そして密漁行為も巧みになってきておりますから、船と船とのすり合わせの中で、場合によっては一歩間違えば殺人事件に発展するような事件もある。こういう状況の中で、もみ合っている間に呼んだ巡視艇が来られるかどうかというような、密漁者を捕らえる自衛手段の現場の切実な実態になっている。こういう状況は近代的な漁港のあり方としてやはり改善していかなければならない非常に大事なポイントだと思いますので、ぜひこの点については御留意をお願いしたい、このように考えておりまます。  次に、午前中にも出ておりましたけれども、第七次漁港整備計画で七七・六%進捗状況、今回第八次で対象になる四百九十港、これが指定になったわけですけれども、この対象港を指定する基準というのはどういう基準に基づいておやりになったんでしょうか。
  109. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今回の四百九十港の選定基準でございますけれども一つは陸揚げ量なり利用漁船等のいわゆる構成、それから二つ目は、陸揚げ量なり利用漁船等の将来の見込み、それからさらに現在の漁港施設の不足度、こういうものを勘案いたしますとともに、そのほかに、地域によりましては避難上なり地域振興上の緊急性というものも考慮いたしまして選定したわけでございますけれども、こういう大まかな基準といいますか、それぞれの基準を頭の中なり物差しとして置きながら、関係都道府県からの整備要望というものを積み上げまして、それで個々の漁港施設の内容というものを当方が関係都道府県なり関係者と十分協議を進めながら選択し、それから特に漁港整備計画の中に入っております修築事業、これにつきましては事業規模が十二億円を超えるというようなものを基準にしておりますので、その結果四百九十港というものが積み上げられ積算されたという次第になっております。
  110. 及川順郎

    ○及川順郎君 非常に懸念されますのは、第七次整備計画でも、国の予算が確保できずになかなか思うように進まなかった。その中で、一生懸命努力はなさってきているわけですけれども、現実に第八次をスタートさせるに当たりまして、資料によりますと特に漁港整備という観点から流通加工、この点に対しての施設整備に重点的に力を入れているのかなという感じがいたすわけですけれども、この整備のための予算措置というものもこれから大変な状況でございまして、その辺の見通しはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  111. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 流通加工がこれから一つの大きな核になってくるということは事実でございますし、我々といたしましてもここのところの新しい消費流通というものに対応いたしまして、漁港施設の一環あるいは密接関連な施設としてそういうものの整備というものを進めていくつもりでございます。  それで、こういう流通加工施設といういわゆる機能施設の多くのものは漁港整備という公共事業の対象ではございませんで、非公共事業として行っております沿岸漁業構造改善事業なりあるいは水産物中核流通加工施設整備事業というようなものが流通加工の機械器具なりあるいは施設というものを助成してきているわけでございまして、この二つの事業も六十三年度から装いを新たにしまして、後期事業でありますとか新事業という形でスタートさせることにしておりますのも、今回の漁港法の改正なり新しい長期計画の樹立、そういうものを念頭に置きながら、そういうものと相携えて、一体として漁港全体を整備したいということが基本にございまして、同じ時期に同じいろんな関係する長期計画なり対策というものを練り直して再スタートしたという次第になっていることを御理解いただきたいと思います。
  112. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、先ほどの御答弁にもございましたけれども、養殖業が非常に著しい伸びを示しているという状況の中で、昨年だったと思いますけれども、養殖魚の薬づけの問題が指摘されたことがございます。これはウナギやハマチなどの養殖魚の飼育に医薬品を大量に投与するという問題ですね。こういう状況があったわけですけれども、この件につきましてその後水産庁としてどのような指導をなさってきておられるんでしょうか。
  113. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 水産庁といたしましても、安全な魚を安定的に供給するということが最大の責務でございまして、養殖魚につきましてはいろんな議論があったわけでございますが、まず薬につきましては、先生も御承知のとおり、薬事法の改正によりまして、使用対象動物なりあるいは用法、用量あるいは使用禁止期間、こういうものが規制されているわけでございますので、我々といたしましては、こういう決められた使い方、これに従ってきちんと使うようにということで養殖業者なりあるいは養殖漁業関係者、こういう方々への説明会の開催でございますとか、あるいは養殖現場での巡回指導というものを実施いたしております。  それと同時に、出荷前の養殖生産物に対する残留検査というようなものを実施いたしましたり、こういう使用規制というものもそのときの情勢に応じまして中身が変わってくるということもございますので、そういうものが変わった際には迅速に伝達するということでパンフレットの配布等もやってきているわけでございますが、こういう政府といいますか水産庁側のいろんな指導ということとも相関連いたしまして、昨年来、生産者段階におきましても自主的な監視組織というものを設けるというようなことで、官民一体となりまして消費者の誤解なりを解くと同時に、安全な魚を供給すべき責務を十全に果たせるような手だてを講じてまいりたいと思っておる次第でございます。
  114. 及川順郎

    ○及川順郎君 これから、養殖魚がだんだん多くなってくればくるほど安全なものを食卓にという消費者の気持ちは強いわけでございまして、ぜひ今後とも留意をしていっていただきたいことを御要望しておきます。  それから、今回の機能施設整備の問題で、漁港法の対象となるのは輸送施設、それから漁港施設用地、それから漁業用通信施設、漁港浄化施設及び廃油処理施設というぐあいにある程度限られている。この資料に基づきますとそういう状況を見るわけですけれども、その他の機能施設については沿岸漁業構造改善事業等に関連する事業によって助成で賄われている、こういう状況なんですね。したがって、実際に事業を実施した場合に、例えば漁港施設用用地ができましても荷さばき場がなかなかできないといったケースが見られるわけでして、地方公共団体との関連の中でこういう漁港整備が円滑に進められていくために、地方公共団体との連絡会議とかあるいは事業に対する意思の疎通とか、こういう具体的なものを一つのルール化していくということが非常に大事じゃないかという気がするんですけれども、この点に対する配慮はどのようになさっておられますか。
  115. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) そういう、基本施設はできたけれども機能施設がまだであるとか、お互いの補完関係が十分でないということがございましてはせっかくの予算執行が台なしになるわけでございまして、我々といたしましても常日ごろそういうことのないようにいろんなシステムをつくってきているわけでございますけれども、ただいまお話しありましたような意思疎通に関しましては、こういう予算なり計画ができた際には全国的に招集いたしまして、説明会なりお互いの協議をすると同時に、ブロック別でもそれぞれ御参集いただきまして、こちらと県、それから、県の中でもそれぞれ担当が違っておりますので、そういう方々に集まっていただき、お互いの調整、プランニングというものを従来からもやってきておりますけれども、今後ともそういう組織なりシステムを通じまして何とか両者の調和がとれ、両者が一体となって漁港全体の整備なり発展につながるように努めてまいりたいと思っております。
  116. 及川順郎

    ○及川順郎君 廃船処理施設につきましては、午前に同僚委員から質問が出ましたのでその内容については省略させていただきますが、水産庁は四年ほど前から全国漁業協同組合連合会に研究を委託してきているように理解をしておるわけですけれども、この具体的な成果はどのような形で出ておりますでしょうか。
  117. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁船の中でのFRP、プラスチック船処理問題、これがこれから非常に大きな問題になってくるわけでございまして、ただいまお話しありましたように六十年度からいろんな委託調査等を行ってきているわけでございます。この委許調査の中で、廃船になりましたFRP漁船につきまして、魚礁として活用するということが一つでございますし、それからもう一つは、廃却するために破砕乾留するということで、資源としての再利用を図るということを四年間の前二年でいろんな研究室段階等での研究を深めてまいりまして、おおむねそういう方向が定かになってまいりましたので、六十二年度からは実際の船を使いまして沈船魚礁の進め方、沈め方なりあるいは乾留実験というものをこの二年間具体的に船を使ってやるという段階まで技術が進歩してきているわけでございます。
  118. 及川順郎

    ○及川順郎君 今の研究が、具体的にこれから廃船になる強化プラスチック製の船に全部適用できるというような見通しができるのにあとどのぐらい年月を必要とするというふうに理解しておられますか。
  119. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 二十数年前からプラスチック船が入ってまいりまして、これから毎年相当数の船が廃船になってくるわけでございまして、この全部をどういう手段で処理するか、あるいはそのための技術ということにつきましてどの時点で明らかになるということは、残念ながら現段階で明らかな具体的年限をもってお示しすることはできませんけれども、沈船魚礁化でございますとかあるいは乾留装置というものも相当できてきておりますので、そういろいろなごたごたなしに円滑に再利用なり廃棄できるというような見通しが徐々に立ちつつある段階でございます。
  120. 及川順郎

    ○及川順郎君 話題が変わりますけれども、今度の法案でNTT株売却による無利子融資制度が創設されておるわけでございますけれども、今回適用されるのは、Aタイプと言われる利益吸収型の公共事業が対象になっておるわけでございまして、Bタイプ、Cタイプの関連等も、いろいろ現場の意見を伺ってみまして特に懸念されますのは、既存の民間事業と競合するような場合にトラブルの種にならないかという点が現場の声としてあるわけですけれども、この点に対してはどのような認識を持っていらっしゃいますか。
  121. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今回御審議いただいておりますAタイプ事業は、整備の促進の要望というものはいろんな形で強いけれども、収益というものは期待が非常に難しい防波堤でございますとか岸壁、こういういわゆる基本的な施設、これがAタイプ事業の本体でございまして、この事業と密接関連ということで収益を生むようないろんな事業をするわけでございますけれども、基本はやはり収益の上がらない防波堤、岸壁、これが基本になっておりますので、こういう事業について民間が現にやっている、あるいはこれから大いにやりたいというようなことはそれぞれの地域で余り起きていないだろうと思っております。  ただ、場所によっては全く競合がないとも言い切れない場合もあろうかと思いますけれども、そういうものにつきましては事業計画を設定する際に特に事業主体に漁業協同組合という地域の実情を一番踏まえている主体を選んでおりますし、それから農林水産大臣が承認するという行為もはまっておりますので、こういうプロセスの中で民間との調和というものは十分とってまいりたいと思っております。
  122. 及川順郎

    ○及川順郎君 それから、漁業組合の合併計画の推進でございますけれども、今まで私たちが聞いた状況では、最終目標として各自治体単位ぐらいの一組合、このような目標になればというような感触を持っているように承っておるわけでございますけれども、この目標設定に対する考え方ですね、そして今後の組合の合併計画は大体どのぐらいの年次をかけてどの程度まで進めようとなさっておられるのか、この点の計画をお伺いしたいと思います。
  123. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在の漁協の規模は御承知のとおり極めて零細でございまして、ここのところの金融自由化の動きでございますとか、あるいは水産物の流通消費というものが多様化、広域化してきたというようなことからいいまして、残念ながら十分に対応できないような経営基盤というものになっている単協が多いわけでございまして、現に全国的に見てみますと約八割の漁協というものが市町村未満であるというような零細なものになっているわけでございます。こういう中で何とか単協の経営基盤を拡大し、強化したいということが行政にとりましても関係者にとりましても悲願だったわけでございますけれども、ここのところそういうことにつきまして関係者の間でかなり認識が深まりまして、漁協系統の自主的な動きとして、今回切れている合併助成法を何とか再延長していただいて、それに力を得て何とか合併を促進したいということで、いわば下から盛り上がってきた一つの運動の決着といたしまして議員立法という形で本法案を国会で御審議いただいている次第でございます。  そういう中で具体的目標につきましては合併という自主的な運動としての結晶が必要なわけでございまして、行政側が上から押しつけるという形ではない形で何とか進めたいと思っておるわけでございますけれども、たまたま系統におきましてもこの五年間で二百件、七百組合の合併を推進したいという方向づけをいたしておりますし、我々といたしましても非常に好ましい、いい方向であるという認識に立ちまして系統と同じように七百組合、二百件の合併ということを一つのめどなり目標といたしましてこの五年間一生懸命汗をかいてみようと思う次第でございます。
  124. 及川順郎

    ○及川順郎君 今、水産業協同組合法に基づいて設立されている組合を見ますと、沿海地区漁業協同組合とか、内水面地区漁業協同組合、業種別漁業協同組合、漁業生産組合、水産加工業協同組合及びそれら連合会等となっておるわけでございますけれども、この大部分を占める沿海地区出資の漁港ですね、こういう現場の人たちの声を聞いてみますと農協との関連が出てくる、それから内容として指導事業やあるいは経済事業、信用事業、漁業権の管理などが業務になっておるわけですけれども合併でそういう内容が質的に改善され拡大される方向の期待というものが果たして持てるのかどうかという不安感があるわけですね。この点に対する現場の認識をどのように受けとめていらっしゃいますか。
  125. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在、規模が零細だということもございまして漁協活動が必ずしも活発でない地域が散見されるわけでございますし、自主的組織でありながら漁民の負託に十分に応じ切れていないという点も見受けられるわけでございます。その大きな原因は何といいましても余りにも規模が零細であって経営的あるいは財的な基盤というものが充実していない。したがって、経済的にはいろんな問題を持っております指導事業でございますとかあるいは管理事業、こういうことに意欲はあっても手を出せないという漁協も多いわけでございまして、こういうものにつきましてはまずは合併等で組織そのものを大きくし強化していく。そういう中で指導事業なり管理事業、こういうものに手を出し得る可能性、前提要件というものをつくっていきたいと思っておるわけでございますし、合併で規模が大きくなることに従いまして人的組織といいますか、マネージャーを初め活躍できる人の確保ということも可能になってまいりますので、そういうことも期待しているわけでございます。  しかし、合併したから即そういうことが実現するかといいますとそう単純な話じゃございませんで、いろんな要因が絡んでいるかと思います。特に漁業全体が苦しくなってきている中でございますので、言うべくしてなかなか指導事業でございますとか管理事業に十全な機能を発揮できないという点もあろうかと思いますけれども、そういう点につきましては漁業全体の再建あるいは今回国会でお願いいたしました加工資金法でございますとか、ああいうものを核といたしましてのいろんな付加価値部門への進出、こういう全体を含めまして漁業そのものを活性化する中で漁協活動というものも拡充強化してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  126. 及川順郎

    ○及川順郎君 組合合併に関連しまして実際に声を聞いてみますと、漁協の経営というのは販売事業にウエートがかかって、その収益で逆に製氷だとか冷凍冷蔵庫事業によって発生した赤字を埋めて採算をとっている、回転しているという実情を耳にするわけです。本来的には漁港というのはとってきた魚が消費者にわたるその流通に乗るまで保管していく、そういう冷凍だとか保存のための施設というのはむしろ必要不可欠の業務でなくてはならない。その部分に赤字が多いというところに問題意識を持つ人が多いわけでございまして、第八次整備計画ではそうした漁港の現場の実情というものをよく分析をされまして、そうした現場の人たちの不安を解消し、本来の趣旨に基づいた漁港活動としての整備ができますようにぜひ推進方をお願いしたい。このことは御要望をしておきたいと思っております。  法案関係につきましては以上にいたしまして、漁業活動に関連しまして若干伺いたいと思います。  二百海里定着という状況の中で、漁業活動というものがだんだんだんだん育てる漁業に変質してきている。あわせて、日本のように非常に国土の狭いところでは、限られておるとは言いながら内水面漁業に対する期待感といいますか、漁業運営の改善充実ということが重要になってきているという指摘があるわけです。現実に内陸型のところでは、私なんかのすぐお隣の長野県では食用ゴイの養殖なんかも盛んですし、また全国的に見ますとワカサギやヒメマスなどのとれるところと、暖かい地域でアユやフナなんかに力を入れているところそれぞれ特色が出ておりますが、水産庁としてこの内水面漁業に対する充実、この対応はどのような考え方でおられるか。内水面漁業に対しましてはこの一点だけ伺っておきたいと思います。
  127. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 内水面漁業も水産という点では非常に重要な歴史のあるものでございまして、しかもそれぞれの地域の郷土色豊かな素材になっているわけでございます。  そういう点からいいまして、我々といたしましても内水面漁業そのものを振興したいということで、例えば従来から内水面振興対策事業ということで産卵場なりあるいは稚魚育成場、こういうものの造成につきまして整備をするというようなことを行ってきている次第でございますし、それからそういう郷土色豊かということが一つの強みであると同時に、販売なりあるいは消費者との関係マイナス要因といいますか、限定されるという点もあったわけでございますけれども、こういうものの消費拡大ということもそれぞれの地域で試みられていたり、あるいは新しい加工方法というのも地域によって工夫されてきておりますので、そういうものにつきましては魚全体の消費拡大なり販路拡大ということについて当方もいろんな助成手段なり御援助申し上げる手段というものを持っておりますので、そういうことの一環としても内水面についても十分対応してまいりたいというふうに考えております。
  128. 及川順郎

    ○及川順郎君 テーマは変わりますが、日ソのサケ・マス交渉の見通しです。日本は四月に再交渉をソ連に申し入れているという状況がございますが、漁獲量につきましても日本とソ連の食い違いがそのままになっているわけですが、この点の見通しについてはどのような見通しをお持ちですか。
  129. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 二月の二十九日に開始されました交渉が三月十三日に残念ながら中断して現在に至っているわけでございますが、現在の状況は、ソビエトとの間でできるだけ早い時期に交渉を再開したいということの日程の詰めを今外交ルートを通じまして行っている段階でございます。したがいまして、具体的に漁獲数量でございますとかあるいは水域、あるいは規制、こういうものがどういうふうになるかということにつきましては、交渉が中断後一切進展しておりませんので、現段階でどこまで来たということは申し上げられないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、できるだけ早く交渉を再開して、我が国が受け入れ可能な条件で協議を終えたいということでこれからいろんな努力を積み重ねてまいりたいと思っております。
  130. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一点お願いします。  海外漁業協力事業につきまして、これは発展途上国に対する漁業活動の援助ということが主たる目的になっておるわけですけれども、この活動のODAにおける位置づけと、もう一つは、今までの活動実績の中でどのように関係国から評価されているのか、また今後この活動をどのような方向づけでかじ取りしようとなさっているのか、この点だけ伺っておきたいと思います。
  131. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 海外漁業協力につきましては、豊富な海洋資源を持っております開発途上国の沿岸水域、ここで相手国の水産業の振興なり発展に我が国が国際社会の一員、しかも経済大国として積極的に協力するということと同時に、そういう協力をすることを通じましてこれらの水域で我が国の漁場の確保を図るということを目的として行っているわけでございます。  こういう目的でございますので、開発途上国にとりましての水産業は一雇用の促進なりあるいは貴重なたんぱく質資源の確保なりそれからさらには非常に少ない中での外貨の獲得の手段ということで、それぞれの国で大きな地位を占めておりますので、それぞれの国の経済発展にとりまして非常に重要な意味を持つ国際協力というふうに認識している次第でございます。  それから、これに対するそれぞれの国の評価でございますけれども我が国のすぐれた技術を背景としての水産協力でございますので、相手国から一般的には非常に高い評価を得ているというふうに我々といたしましては自賛しておりますし、それから、中でもすぐれた技術と結びつきました教育なり研究施設、さらには養殖施設、こういうものにつきましては特に評価が高いというふうにそれぞれの国からの反応を受けているわけでございます。  これからの持っていき方といたしましては、こういう協力をする際には、何といいましても事前の調査というものをきちんとやっておきませんと先々いろいろな問題が出てまいりますので、十分な事前調査を行うと同時に、相手国のいろいろな事情につきまして当方もよく認識しながら、相手の立場に立っての協力ということを忘れずにこれからも全力を注いでまいりたいと思っております。
  132. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間がございますので、予算関係の質問を二、三お願いしたいと思います。  六十三年度農林水産省予算の関連で、概算要求と比較いたしますと、例えば食糧管理費は五千百四十一億円の要求に対して四千四百八十二億円で六百五十九億円の減額とか、概算要求と実際に出てきた予算の案と何点かの特徴、指摘する特色が若干出ているわけでございますけれども、この予算編成で農林水産省としてどの点に六十三年度は最も力点を置いて折衝に当たったか。また、ただいま申し上げました概算要求と実際に予算案にできてきた金額との差のある項目の中で、説明のできる内容がございましたらお願いしたいと思います。
  133. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 及川先生御指摘の点につきまして、まず概算要求の段階で申し上げますれば三兆二千二百九十一億円ということでございましたが、決定額は三兆一千七百十九億円。これは予算説明で大臣が申し上げた点になっております。大きく分けまして公共、非公共と分けてみますと、公共事業におきましては約三百五十五億円プラス、それから非公共事業については約九百億円マイナスという数字になっております。  公共事業におきましては、これも先生御指摘のどういう点に重点を志向したのかということに関連いたしまして、生産性を向上させる、あるいは生産基盤の基礎づくりをするというような観点から、公共事業につきましてNTTの資金の活用といったようなものが重点的に考えられまして、私ども折衝したところでございます。そういう意味で、特にNTTの組み入れ等々でAタイプ、Bタイプ合わせまして概算要求時点で約三百五十億のものがプラスになったわけでございます。  他方、非公共でございますが、これのうちの主なものとしまして一つ挙げますと、食糧管理費がこれも先生御指摘のとおり減っております。約六百五十億程度減っているわけでございますが、これの基本的なことは第二次補正の段階におきまして過剰米損失補てんの関連を特に前倒し計上したということでございまして、この部分が約六百二十億程度の減となっております。そういうような意味におきまして、公共、非公共まず概算要求時点と決定時点の特色を挙げますと以上のとおりでございます。
  134. 及川順郎

    ○及川順郎君 円高関係で伺いたいわけですけれども、農水産物関係輸入事業に関連して相当の円高差益が出ているというぐあいに見ているわけですが、まず一点は、農林水産省関係円高差益の額は昨年度六十二年度ベースで大体どのぐらい出ると見込んでおられるかということが一点。  それからもう一点は、畜産振興事業団の円高差益については、その実態をどのように掌握しどのような方法で差益還元を考えておられるのか、この二つを踏まえまして、農林水産省としまして円高差益の分を消費者に還元するという努力を今後具体的にどう進めようとしているのか、その点を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  135. 谷野陽

    政府委員谷野陽君) 円高差益につきましては、実態的にかなりの円高になっておるわけでございまして、これに伴いましていわゆる円高差益が発生しているということは御指摘のとおりでございます。農林水産省といたしましても、円高効果は広く国民一般の利益になるようにしていくことが重要であるというふうに考えておるわけでございまして、昭和六十一年以降いろいろな調査等を行いましてその浸透を図ってきておるわけでございます。  具体的に、どのくらいの円高差益が発生しておるかという御質問でございますが、これにつきましては経済企画庁におきまして一つの概算を発表した経緯がございますが、これは昭和六十年九月の日本全体の輸入量及び輸入構造、さらに輸入単価も全く変わらないという仮定で為替レートの差を乗じまして、これを概算額という大変マクロの数字を計算した経緯があるわけでございます。しかしながら、具体的に例えば農林水産省の所管物資でございますとか、あるいは食品というような個別物資、あるいはその個別物資群についての円高差益の計算ということになりますと、いろいろと輸入の単価もかなり変動いたしておりますし、また輸入構造も変化をしておるわけでございます。  一例を申しますと、後ほど畜産振興事業団については担当の方から御答弁申し上げると思いますが、牛肉輸入価格につきましては、原産地価格がこの二年間で一〇%程度上昇いたしております。その分だけ円高の分が相殺されるわけでございますし、また砂糖につきましては、国際価格の上がりの方が大きゅうございまして、むしろ円建てで計算をいたしました輸入価格がこの間に上がっておるわけでございます。そういうことを考えますと、経済企画庁が行いましたような全体的に全く同じであるという仮定のもとで計算をすることは極めて困難でございますし、またその他の計算の方法につきましても非常に困難がございまして、私どもといたしましては計数的に計算をすることは大変難しいのではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、単品で、例えば牛肉でございますとか、その他の比較的加工度の低い、わかりやすい品物につきましては、ただいま申し上げましたように幾つかの輸入価格等のチェックをいたしまして、その概数については把握をしつつ対策を講じていく必要があるというふうに考えているわけでございます。  全体といたしまして、いわゆる政策価格以外のものにつきましての浸透はかなり進んでおるというふうに諸般のデータから見ておりますが、これにつきましても、本年の四月にもう一度調査をいたしまして状況の把握をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  また、いわゆる価格政策の対象となっておりますものにつきましても、畜産振興事業団の牛肉の売り渡し価格等は累次引き下げを行っておりますし、また小麦につきましても、国産の小麦の買い入れ価格等の引き下げもございました事情を勘案いたしまして、昨年及び本年二回にわたりまして売り渡し価格の引き下げ等を行っておるわけでございまして、今後とも諸般の情勢を踏まえ、対策を講じ、円高の浸透に努めてまいりたいというふうに考えております。  畜産関係につきましては、担当の方から御答弁を申し上げます。
  136. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 簡単に願います。
  137. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 畜産振興事業団関連につきまして御説明申し上げます。  畜産振興事業団が取り扱います輸入牛肉につきまして、為替変動によりましていわゆる円高差益が生ずるわけでございますが、この円高差益を還元いたしますために、昭和六十一年度から畜産振興事業団の輸入牛肉の売り渡し予定価格の引き下げは、六十一年の五月から六十三年二月までに四回にわたりまして計三〇%程度引き下げております。それから売り渡し数量の増加、さらには輸入牛肉の販売指定店あるいは「肉の日」におきます輸入牛肉の小売目安価格の引き下げ、さらに国産牛肉の小売価格の安定化等もろもろの対策を講じてまいっておるところでございます。  これらの対策によりまして、円高差益につきましてはいわば前倒しの形で消費者に還元が行われておりまして、六十二年度の還元額というのは約三百五十億円になるというふうに我々は見込んでおるわけでございます。こうした諸対策によりまして輸入牛肉の小売価格は対策実施前に比べまして相当低下しておりまして、ただいま食品流通局長から御説明ございましたような原産地価格の値上がり動向、これ一〇%ぐらい上がっておるわけでございますが、そういうものを織り込みました後の為替レートの変動率につきましては、我々はほぼ二五%ぐらいではないかと見ております。大体それに見合った低下を示しているというふうに認識をしている次第でございます。
  138. 及川順郎

    ○及川順郎君 どうもありがとうございました。
  139. 諫山博

    ○諫山博君 漁港整備でいろいろ調査しますと、一番強く訴えられるのは離島における漁港整備の困難さです。その大きな原因が補助金の一律カットだということが指摘されております。この補助金の一律カットで離島における漁港整備、どのくらいの影響を受けたのかおわかりでしょうか。
  140. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 補助金の一律カットにつきましては、そのカットされた分につきまして地方財政措置というものがほかの公共事業同様講じられておりまして、それによりまして事業が縮小したとかというようなことはないというふうに理解しております。
  141. 諫山博

    ○諫山博君 今の答弁どおりだとすれば、認識不足も甚だしいというふうに言わなければなりません。交付税は用途が特定されておりませんから、仮にその金が出たとしても、そっくりそのまま離島の漁港整備に回ってくるとは限らないわけです。  どういう実情になっているか、例えば福岡県の志摩町を例にとって指摘いたします。ここには五つの漁協がありますが、その中の一つの姫島漁協昭和六十二年度三百八十二万五千円、漁港整備のために負担することになっています。これは大変な金額ですから、漁協としては本当でしたらもっと金をかけて漁港整備をやる予定だったんですけれども、とにかく負担に耐え切れないというので、できる限度で漁港整備をするというようなことが行われ、これはどうもここの漁協だけのことではなさそうに思うんです。つまり、せっかく整備計画ができますけれども、地元の負担が大きいから計画どおりの仕事がやれないという実情がたくさんあるはずですけれども、掌握されていませんか。
  142. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 離島等、特に地元市町村の財政力の弱いところ、ここにつきましては、漁港整備の必要性がありながらなかなか財政的に対応できないというような地域のあることは従来から承知しておりますけれども、今回の補助率カットで、具体的にそれとストレートに因果関係があって事業規模をどうしたかというようなことにつきましては残念ながら掌握いたしておりませんし、それから事柄の性格としてなかなか掌握も難しい案件じゃないかというふうに考えております。
  143. 諫山博

    ○諫山博君 これは計数的に掌握することはなかなか難しいと思います。ただ、これが離島における漁港整備を非常に困難にしているという事情は間違いありません。  私が要望したいのは、このカットというのはいわば六十三年いっぱいということになっていますけれども、こういうカットはぜひこれ限りでやめていただきたい。特に農水省としてそういう立場で行動していただきたいという要望ですけれども、いかがでしょうか。
  144. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在の一律力ットは、ただいま先生からお話しありましたように六十三年度限りの措置ということになっておりまして、当方といたしましては六十三年度が終われば旧に復するという気持ちでございますし、これからもそういう方向で水産庁としては対応してまいりたいと思っております。
  145. 諫山博

    ○諫山博君 漁業の振興と漁協の民主的な発展と漁港整備、これはもう一体のものですね。  そこで、漁協合併についてですけれども昭和四十二年から五十九年までの十八年間に合併は百六十五件、四百五十五組合。ところが、今度の五年間延長で二百件、七百組合の合併を予定しているという計算のようですけれども、これは十八年間の実績に比べて合併の数が非常に多い。相当無理をしなければこういう合併はできないのではなかろうかと思われますけれども、どういう方法合併しようとされるのですか。
  146. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今回、延長させていただこうと思っております合併助成法の今後の五年間で二百件、七百組合の合併一つの目標として掲げていることは事実でございますけれども、これにつきましては、行政側が一つの数字を出してそれで引っ張っていくという性格のものではございませんで、各漁協なり特に全漁連を中心といたします系統団体、ここで合併の緊要性なり必要性というものにつきましての雰囲気がかなり醸成されてまいりまして、みずからの一つの目標値といたしまして五年間でこれだけのものをやろう、やってみようということで意見として集約されてき、当方といたしましても、現在の漁協の零細性から言いまして、過去の合併実績から言いますと、ただいま話がありましたように非常に大きな数字ではございますけれども、何とかお互い汗をかいてそういう方向に邁進してみたいという気持ちでございます。
  147. 諫山博

    ○諫山博君 零細な漁協が多いわけですけれども漁協はそれぞれ歴史的な伝統を持っているし特色を持っております。しかも、それが漁場と結びついているということが農協とは違った特色ではないかと思います。  私たちは、漁協合併というのは上から押しつけるものではなくて自主的なものでなければならない、農水省の役割は自主的な漁協合併を援助するものでなければならないという理解を持っていますけれども、この点はいかがですか。
  148. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) その点は、先生がおっしゃるとおりかと思っております。
  149. 諫山博

    ○諫山博君 漁協が経済的にも大変困難な状況にあるということを、私たちは今度の調査を通じて痛感しています。  それに関連しまして、やはり漁業の発展なしには漁協の繁栄はないということだと思いますから、そういう観点から三陸沿岸漁業の問題についてお聞きします。  昨年の十月、岩手県の三陸沿岸漁民十数名が二十一項目の要求を持って水産庁に来られました。私はこの交渉に立ち会いましたけれども、そこで一番問題になったのは、底びき漁が乱獲をする、そのために零細な沿岸漁民が非常に大きな被害を受けているということです。例えば、底びきによって魚礁を壊す、これは人工魚礁も天然魚礁も壊してしまう。岩手県の場合は十トン未満の小型サケ延べ縄船が四千隻あるそうですけれども、底びきをやっているのは三十隻ぐらいだと。三十隻のために四千隻の漁師と家族が犠牲にならなければならないのか、なぜもっとこれを取り締まれないのかということが非常に強い要望として出ていました。この点はどう認識しておられますか。
  150. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 底びき網漁法というものは今御指摘のとおりいろいろ問題がないわけではございませんけれども、何といいましても、一つは効率的な漁法であるという点で、漁業のコストダウンなり経営近代化ということとも絡みまして、一つの大きなウエートというものを持ってきているわけでございます。しかし、こういう効率的漁法なるがゆえに、規制なしでほっておくということでは資源への影響ということも考えられますために、底びき網漁業につきましては特に資源保護という観点から操業期間でございますとかあるいは漁船のトン数、それから馬力制限、あるいは操業区域の制限といういろいろ資源上大丈夫というところまで厳しい規制を行いまして、この規制の中で操業をさせているわけでございまして、こういういろんな規制のもとで操業している限りでは資源に対して格別マイナス悪影響というものはないのではないかというふうに考えおります。
  151. 諫山博

    ○諫山博君 水産庁と交渉した沿岸漁民の要求というのは、非常にささやかだったと思います。やはりトロール漁というものも必要だろう、しかし我々と共存できるようなやり方でないと困る、トロール漁の犠牲にはなりたくないというのがみんなの要求です。そのために、例えば岩手県の場合はトロールの操業期間が以前は十月一日から翌年の五月までだった、ところが最近では休漁期間が七月と八月だけになった。何とか操業期間を短縮してもらえないか。操業期間を短縮するとトロール業者も被害を受けましょうから、それに対しては休漁期間中は休業補償制度をつくるべきではないのかというようなことまで提言していたし、この点は水産庁にもそういう声が届いていると思いますけれども、どうでしょうか。
  152. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) それぞれがそれぞれの海域、それぞれの漁法で生産活動を行っているわけでございまして、それが両方調和のとれた形で円満にいくということを我々としてはこいねがっているわけでございます。  そういうことから言いますと、一方的に一方がやめる、一方が続けるということは、ただいま先生からお話もありましたとおり問題がございまして、それぞれ譲るべきところは譲るということで将来の共存を図るということがやはり道かと思っている次第でございます。  そういう中で、休漁期間の延長等でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、期間だけじゃなくていろんな漁船のトン数でございますとか、それから馬力制限でございますとか、こういうもの総体として資源維持ということを図りながら認めている期間でございますし、それからそういう中でそれぞれが生産活動をし生計を立ててきているということもございますので、両者間で円満に話がつき、変更ということになりますれば格別でございますけれども、一般的には現在の総体としての規制というものが適切ではないかというふうに考えている次第でございます。
  153. 諫山博

    ○諫山博君 トロール漁というのは天然あるいは人工の魚礁を壊しているそうです。せっかく金をかけてつくった魚礁が壊される。それだけではなくて、例えば板びきだとか二そうびきというようなことが当たり前のことのようにやられている。こういうことをやられたのではもう魚の資源は枯渇する、我々はおかに上がるほかはないという声があるんですけれども、板びきとか二そうびきというようなことは野放しでいいんでしょうか。
  154. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 板びきにいたしましても二そうびきにいたしましても、それ自体近代的漁法として一つの漁法なわけでございますけれども、これが全く無制限に行われ、資源の枯渇につながるということはもちろん避けなければならない話でございますので、こういうものの操業区域でございますとかいろんな規制を加えているわけでございますし、それから一部瀬戸内海等のああいう海域におきましては、魚礁そのものをトロールに耐え得るといいますか、そういうようないろんな工夫もしてきておりますので、何とか両者が共存し得るという道を我々としても熱心に探ってまいりたいと考えております。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕
  155. 諫山博

    ○諫山博君 このときの沿岸漁民の結論的な要求は、トロール漁業の経営者と話し合いをしたい、そしてお互いに利害の調整を図りたい、これが結論です。ただ、真っ向から利害が対立している間柄ですから、どうも自分たちだけではなかなか交渉の場が持てない、水産庁がそういう交渉の場をつくってもらえないか、そういう交渉の場に立ち会っていただきたい、水産庁自身が無理であればそういう立ち会いを県庁に指導してもらえないだろうかということでした。つまり、話し合いで解決をしたいけれども話し合いの場がなかなかつくれないというのが本当に身近な要求でしたけれども、この点はいかがでしょうか。
  156. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 両者の調整につきましては、それぞれの地域の歴史なり状況に応じましてそれぞれ熱心な話し合いが続けられているところが逆に多いわけでございまして、例えば大口の北海道などにおきましても、最近北海道知事みずからが一定の調整ルールというものを示しまして両者に相談の糸口を与えているというような動きもあるわけでございます。  漁業の地域的な問題というものは、そこの地域のいろんな経緯なり事情というものと至って密接に絡んでおりますので、やはりまずは団体間で、それからそれがならないときには都道府県、沿岸やなんかにつきましては漁業権でございますとか都道府県許可という業種も多いわけでございますので、そういう場で何とか話し合いを進めていただきたいと思っておりますし、それから、必要とあらば我々としてもいろんな意見なり知恵ということの相談に応ずることは決してやぶさかではございません。
  157. 諫山博

    ○諫山博君 よくわかりました。とにかく沿岸漁民は話し合いたい、話し合いの場をつくってもらいたいし、そういう場にお役所で立ち会ってもらいたいという要求ですから、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  ところで、今度は問題が変わりますけれども、福岡県、佐賀県で筑後川下流域土地改良事業が行われています。今度一部の地域、二市三町について今まで一般会計で行っていた事業を特別会計に移管するという問題が出てきていますけれども、今どういう段階になっていましょうか。
  158. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 筑後川の下流の土地改良事業、国営でやっているものでございますが、あの地域の約五万四千ヘクタール余になるかと思いますが、広大な地域にわたります用排水施設の整備を主体にやっている事業でございますが、別途末端事業といたしまして県営の圃場整備を進めております。  これはあの地帯特別のクリークの再編整備を伴っているといったようなことで、もともと事業としては相連関させながら行っていく必要のある事業でございますが、残念ながら若干国営事業がおくれぎみだという実情にございまして、これまでも例えば昭和六十年度にはその近くの地区になるわけでありますが、佐賀地区を切り離しまして特別型に移行させるというようなことをやりましたが、あるいは六十一年度には土地改良法の一部を改正いたしまして、一般型につきましても県の負担分について財投資金の繰り入れを行い、できるだけ事業のスピードアップを図るといったようなことを重ねて事業の促進方に努めてきたところでございます。    〔理事高木正明君退席、委員長着席〕  今御指摘の二市三町でございますが、我々三潴地区というふうに呼んでいるわけでございますが、ここも国営事業と県営事業との間のバランスをとるために、特に国営事業の進捗を急務というふうに考えております。また、地区としてのまとまりも、技術的にもあるいは地元の関係その他から見ましても、集中的な投資を行いまして事業の促進を図り得る可能性を持つんじゃないか、こういうふうな地区でございます。  どういう形でこれの進展を図るかということをいろいろ地元とも相談してまいったわけでありますが、地元の方もひとつ六十三年度から特別型に移行してスピードアップを図ってほしいという御要望もございまして、今度の予算では特別型に振りかえまして、事業の一層の促進を図る、そういうことで今地元で所要の手続を進めておる段階と、このように御理解いただきたいと思います。
  159. 諫山博

    ○諫山博君 二市三町、三潴地区、当初の計画ではこの地域に二百七十七億円使うという予定だったと思いますけれども、特別会計の導入によって金額はどのような変化が出てきますか。
  160. 松山光治

    政府委員(松山光治君) ちょっと今の二百七十七億というのはほかの……。
  161. 諫山博

    ○諫山博君 間違えました、百です。
  162. 松山光治

    政府委員(松山光治君) この筑後川下流地区全体といたしまして五十五年に計画変更を行っておりますが、まだこれは分離いたしておりませんけれども、三潴地区といたしましては百二十二億の事業費の見込み、こういうことに相なっておりました。今回特別会計に移行するにつきまして、現時点での事業費の見通しを行っておりますが、これによりますれば、その中にはもちろん物価の上昇とか事業量の変更とかそういう要素が入っているわけでありますが、百七十七億の事業費になる見込みでございます。
  163. 諫山博

    ○諫山博君 わかりました。  この問題で、この地域は伝統的にクリークが発達していまして、アオという独特の取水、用水管理が行われていました。この体系が根本から変更されますから、アオを利用している農民には建設費の負担をさせないという協定が福岡県と土地改良区との間に結ばれていますが、これは御存じですか。
  164. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 昭和五十年であろうかと思いますが、福岡県と関係土地改良区の理事長の間で一定の取り決めが行われていることは承知をいたしております。
  165. 諫山博

    ○諫山博君 そこで、この解釈は農水省は当事者ではありませんから、一般論として聞きます。  取水施設、導水路並びに幹線水路というのが建設費の内訳として明記されています。この三つが建設費のすべてになりましょうか、それとも取水施設、導水路、幹線水路に含まれないその他の建設費というのはありますか。
  166. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 協定の当該部分によりますれば、「取水施設と水路の建設費、(導水路並びにアオ地域入口までの幹線水路)」というような括弧書きがついておるようでありますが、それについての負担の取り決めというふうに承知しておりますけれども、その場合、どこからどこまでがどうなるのかというあたりにつきまして私ども詳細を承知しておらないわけでございます。
  167. 諫山博

    ○諫山博君 具体的な細かい問題は福岡県の問題だと思いますけれども、工事の内容としてはこれ以外に建設費のかかる仕事はないんですか。
  168. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 主要なものといたしましてはそういうことだというふうに思っております。
  169. 諫山博

    ○諫山博君 主要なものと言われると主要でないものがまだあるのかということになりますし、主要でないものについては地元の農民が負担することになるのかという問題がありますけれども、その点は正確にはわかりませんか。
  170. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 地元の中の話し合いのことでございまして、私つまびらかにはいたさぬわけでございますが、これを読みました限りでは、例えばアオ地域入り口までといってもどこからどこまでを言うんだろうかとか、むしろそんなことの方がはっきりしていないんじゃなかろうかというふうな気がいたしておるところでございます。
  171. 諫山博

    ○諫山博君 特別会計に切りかえることによって工事費は全体としてふえる、利息の負担も当然高くなるということになりますけれども、特別会計に切りかえることによって地元負担がどのくらいふえるのかということはおわかりでしょうか。
  172. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 一般型から特別型に移行をすることに伴います変化といたしましては、利息分が特別型の場合には増高するという要素が一つあるわけでございます。それは国費のほかに財投資金を活用して事業量を大きくするということでなるわけでございますが、そのかわり単年度の事業量を大きくいたします結果、一般型でやる場合よりも建設期間が短く、早く事業効果が上がってくる、そういうメリットといいますか、逆に言えば一般型の場合には、特に物価がどういう形で推移するかによりましてはかえって事業費が大きくなるというふうな要素もあり得る、こういう状況でございます。  今、先生の方から一般型の場合と特別型の場合でどの程度の負担の違いが出てくるだろうか、こういう御質問でございますが、今申し上げましたように、どの程度の期間を想定するか、あるいは物価上昇をどういうふうに見込むかといったような要素がございまして、前提の置き方によりまして数字のはじき方がなかなか難しいわけでございますけれども、一応大胆な試算ということで申し上げたいと思いますが、先ほどこの三潴地区の総事業費、現段階の見込み、六十二年の価格での見込みでございますが、百七十七億というふうに申し上げたわけでございますけれども、既に四十億余の事業の消化をいたしてございますので、残事業費が百三十五億になるわけでございます。  私どもの現在の計画といたしましては、これを特別型に移行することによりまして七年程度で完了させたい、こういうふうに考えておるわけでございます。その間大体同じ程度の事業の進度で行っていくというふうに仮定いたしまして、かつ五十二年に福岡県が制定いたしました条例で、一般論といたしまして国庫負担残の三分の二を県が補助する、負担する、こういう条例になっておりますので、地元負担を一四%というふうに一応置きまして試算をいたしますと、今後物価変動が全くないというふうに一応置きました場合は、十アール当たりの年償還額が約九千円程度という試算に相なります。物価変動を仮にここ何年間かの平均的な数字で二%程度というふうに置きまして試算いたしますと、当然物価が変わるわけでありますから、若干ふえる方に働くことは間違いないんですが、端数整理みたいな形で考えますと大体九千円程度ということでそれほど大きくは違わない、こういう試算が出てまいります。  一方、一般型で実施いたしました場合の試算でございますが、今の百三十五億を一応ベースにしながら、その程度の規模の事業についての一般型の工期あるいは現在の平均的な工期といったようなものを前提にした工期を念頭に置いて試算いたしますと、仮に物価変動がないというふうに考えますと十アール当たりの年償還額が大体七千円程度、物価変動を二%程度というふうに一応置いて試算いたしますと九千円程度というような試算が出るわけでございます。
  173. 諫山博

    ○諫山博君 私は、かつて耳納山麓の土地改良事業について同じような問題を提起したことがあります。つまり、特別会計に切りかえれば早く仕事が終わるということは割合農民に周知徹底されるわけです。それによって利息の負担がどうなるのかというような問題はほとんど知らされていない。今具体的な金額を示されましたけれども、恐らくこの数字は地元の農民はもちろんのこと、市、町当局も御存じないんじゃないかと思いますけれども、これは仮定の上での金額だということになりますけれども、こういう問題は地元にはわかっているんでしょうか。とにかく早く工事が終わるから、早く工事が終わるからということだけが先行して進んでいるような気がするから重ねて質問するんですけれども、今言われたような地元負担の増加というのは地元に説明してありますか。
  174. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 個々の地区の事業進度を高めるためにどうするかということを大分懇ろに相談をしてきておるはずでございます。具体的にどういう形の説明をしているか私まだ今のところつまびらかではございませんけれども、当然特別型に移行することに伴って利子負担が増加するということは関係者おわかりいただいているものだというふうに私は理解をいたしております。
  175. 諫山博

    ○諫山博君 二市三町の関係で、特別会計に負担する、これでやはり地元負担がふえるということはわかりましたけれども、これは二市三町に限って負担がふえるのか、二市三町に含まれない周辺の地域の負担も影響を受けるのか、この点はどうですか。
  176. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 地元負担金の取り扱いを最終的にどうするかということは、やはり県と地元の間で相談していくということになるわけではございますけれども、この種の問題の取り扱いといたしましては、事柄の性格上、特定された事業費にかかわる負担金につきましては、その特定されました受益市内で負担していくというのが基本であるというふうに考えております。
  177. 諫山博

    ○諫山博君 言葉をかえれば、二市三町以外の負担には影響ないということですね。
  178. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 県と地元の間でどういう形で負担していくかというのを御相談いただくということになろうと思いますけれども、基本的なありようとしては、二市三町で負担するというのが基本であろう、こういうふうに私は理解をしております。
  179. 諫山博

    ○諫山博君 わかりました。私たちはこの事業が民主的に速やかに進められることを希望しております。民主的というのは、例えば特別会計に切りかえたら地元にどういう影響が出てくるのか、負担の増はどうなるのかというようなことがわかるようにした上で、地元の納得の上で、しかも速やかに進めてもらいたいというのが私たちの立場であるということを申し上げて、この問題は終わります。  ところで、我が党はかねてから農事用電力の適用範囲を広げるべきだということを主張してきました。ハウス栽培用の電力にも農事用の電力を適用すべきだというようなことも早くから主張してきました。今度の国会で衆議院では共産党の山原議員が負荷平準化促進という立場からこの問題を取り上げています。そのときに佐藤農水大臣は、農事用電力の拡充については今後とも努力してまいりたいという答弁をしておられます。これが農水省の基本的な立場だということを前提にしながら、沖縄県の問題で質問します。  現在、農事用電力として取り扱われているのは地域によってまちまちのようです。例えばかんがい排水用の電力を農事用電力として処理する、これは北海道から九州まで共通しています。そのほかに東北、北陸電力の場合では育苗温床用の電力、中国、九州では脱穀調製用の電力というようなのが農事用電力として扱われるということになっていますけれども、沖縄県を調べてみると、かんがい排水用は農事用電力だと、しかし時間制限が設けられている、午後九時から午後一時までの間だけ農事用電力として扱う、こう聞いていますけれども、そのとおりなのか。さらに、これは沖縄県だけの取り扱いなのか。通産省、お見えいただいていると思いますけれども、どうでしょうか。
  180. 清川佑二

    説明員(清川佑二君) 沖縄電力の農事用電力の時間でございますけれども、午後九時から翌日の午後一時までの軽負荷時間帯という時になっております。
  181. 諫山博

    ○諫山博君 そういう時間制限のあるのがほかにありますか。
  182. 清川佑二

    説明員(清川佑二君) ほかには、各社には時間制限というものはございません。  なお、一言申し上げますと、それぞれ各電力会社の実態に応じて異なっておりまして、例えば農事用電力の適用の期間というものがある会社、こういうものはございますけれども、沖縄電力の場合には一年間、このような形になっております。
  183. 諫山博

    ○諫山博君 負荷平準化促進というような議論がこの問題でさんざんされています。つまり、一般的に電力の需要の大きいときと電力の需要の少ない時期、これは季節によって違うと同時に、一日二十四時間でも昼、夜によって差があるわけですね。そういう点から見ると、沖縄県の午後九時から翌日の午後一時までというのは一般的に電力の消費の少ない時間だろうと思います。そういう立場から見ても、もっとなぜ二十四時間農事用電力として取り扱われないのかという疑問が出てくるんですけれども、なぜ沖縄だけはこういう違った扱いをしているんですか。
  184. 清川佑二

    説明員(清川佑二君) 農事用電力の発生、一般的に言われます農事用電力、平均した議論でございますけれども、これはかつて我が国の電力の構造というのが、発電が専ら水力発電によっておりまして、ピーク時、特に夏には非常に豊水であったという状態がございまして、この豊水期の余剰電力の活用をねらいとしてつくられていったわけでございます。  そのような経過がございますが、沖縄電力の場合には実は専ら火力発電によっておりまして、水力発電所を持っておりません。そのようなこともございまして、ほかの電力会社のような水力発電の余剰の活用、こういった歴史的な経過あるいは農事用電力としての基盤というものがない。このようなことがございまして、沖縄電力の農事用電力につきましては電力需要の負荷が割合に軽い午後の九時から翌日の午後一時までの夜間から朝にかけて電力を使う。このようなことで、午後の暑い時間のピーク需要時の電力に組み込まないで、いわゆるベース電源によって供給する、こういう条件で比較的低廉な農事用電力を設定しておきたい、このような申請がございまして、つまり沖縄の自然条件を前提に、電力使用の一般的な繁忙時期を除いて需要が集中しないような時間に設定された、こういう趣旨であると理解しております。
  185. 諫山博

    ○諫山博君 農水省に質問します。  沖縄県は主産物であるサトウキビが非常に大きな打撃を受ける。今度はパインが輸入自由化によって壊滅的な打撃を受けようとしている。こういう中で沖縄の農業をどう振興させるかというのは、我が国農政から見たら非常に大きな問題ではないかと思います。日本本土の場合にはかんがい用の電力はすべて二十四時間農事用電力になっているのに、沖縄県の場合はそうなっていない。いろいろ歴史的な経過を言われましたけれども、少なくとも沖縄県の農業を大切にするという立場から見れば、この状態は放置できないと思います。本土並みということが言われておりますけれども、本土並みどころか明白に差別をされているわけです。  しかも、沖縄に行ってみんなが言われるのは、水問題の解決は緊急の課題だ、こういう話を聞きます。農水省としてこの問題の解決を通産省だけに任せるのではなくて、積極的に沖縄のかんがい用電力を二十四時間供給にするという努力をすべきだろうと思います。この間沖縄県農業会議が沖縄電力会社に電力問題で幾つかの要求を提起していますけれども、その第一に出ているのが農事用電力供給制限を改めよということです。農水省の奮起をお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  186. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 担当が見えておりませんので、私から担当でございます農蚕園芸局に先生のただいまの御趣旨を十分伝えたいと思います。
  187. 諫山博

    ○諫山博君 次官、いかがですか。
  188. 吉川博

    政府委員(吉川博君) 実は、私ども愛知県では農事用電力を利用しておる方の側にあるわけですが、このごろ電力会社も営利を追求する会社でありますので、なかなか厳しいことを言ってまいりまして、話を今伺っておりますと、各電力会社によって多少異なるようでございますので、一度よく検討いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思っております。
  189. 諫山博

    ○諫山博君 この問題は沖縄に特別な優遇措置を与えなさいと言っているんじゃないんです。沖縄を本土並みに引き上げなさいと言っているだけです。そして、本土並みということは、これはもう政府全体のスローガンのはずですから、私は農水省がぜひ本気で取り組んでいただくと同時に、通産省もこの点では本土並みが実現するように努力してもらいたいんですが、いかがですか。
  190. 清川佑二

    説明員(清川佑二君) 農事用電力につきまして全体の仕組みを申し上げた方があるいはおわかりいただきやすいかと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、農事用電力は現実には割合に割安になっているわけでございます。これは日本の電力の発電が水力発電が中心であった、しかも夏に水が多く、冬に需要が強く出る、こういったときに、豊水期の余剰電力の活用をねらいとしてかんがい動力用に設定されたわけでございまして、最近はこの水力発電のウエートというものは極めて小さくなってまいっておりまして、必ずしも発電の原価の実態に沿わない状態となっております。  そのような意味から、農事用電力というものが必ずしも今原価の実態に沿っているわけじゃございませんけれども、最近の、今回の改定時におきましては、このような実情に急遽合わせてしまうということはいろいろ影響があろうかということで、会社の方から現状のままということで据え置いた格好で申請がなされております。このような形でございますので、各電力会社から出てきているものは、それぞれいろいろばらばらに原価の実態、歴史によって違っているわけでございます。  そのようなわけでございまして、特に沖縄電力の場合には水力発電もございません。また、発電の設備も必ずしも十分ではございませんので、ベースとなる電気の割合に需要の少ない時期に従来優遇された格好の電気になっている、このような経過がございまして、それぞれの電力会社がそれぞれ全体の料金原価を算定いたしまして採算が合う形で制度を維持しておりますので、それぞれの実情に合わせた仕組みになっているわけでございます。
  191. 諫山博

    ○諫山博君 次官に、もう一度お伺いします。  今の説明は、要するに通産省では農事用電力を二十四時間供給できるようにはいたしませんという答弁です。これはやはり農水省が本気で取り組まないと解決しないと思います。  私は、かんがい用の電力について言いましたけれども、もう一つ沖縄で非常に強く要望されているのは、冬場における子豚の保温です。沖縄は温度の高いところですからそういう設備は要らないのかと思ったんですけれども、実際は冬場における子豚の保温というのはどうしても必要だそうです。豚というのは、沖縄では主食に匹敵するぐらい以前から大事にされたわけですね。現在でも一人当たりの使用量が本土よりかはるかに大きい。この子豚の冬場における保温のための電力を農事用電力にしてくれというのは、ちょうど米のかんがい用の電力を農事用にしてくれというのと同じ問題だと思います。こういう問題で本土並みにしてもらいたい。そうでなければ、サトウキビが打撃を受け、パインが壊滅しようとする現在、沖縄の農業を見捨てるのかという声が出るのも当然だと思います。きょうは次官がおられますからぜひこの問題に本気で取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。
  192. 吉川博

    政府委員(吉川博君) 一応よく研究いたしたいと存じます。
  193. 諫山博

    ○諫山博君 わかりました。  そこで、漁港の問題に入りますけれども、今度NTT株を売却した利益でいろいろ新しい施設をつくろうというわけですね。どういう施設を具体的にはつくろうとしておられるんですか。
  194. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今回お願いしております漁港関係のAタイプ事業でございますけれども、これは係留施設等の漁港施設を整備しましてこれらの施設と整備に関連して行われます土地の造成あるいは遊漁船等の利用施設の整備から生じます収益を償還財源に充てる事業でございまして、貸付対象といたしましては具体的には係留施設それから臨港道路、漁港施設用地等が対象として考えられているわけでございます。
  195. 諫山博

    ○諫山博君 もっと具体的に、例えばどういう建物とかどういう施設とかというところまではないんですか。
  196. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) これは融資事業でございまして、これからそれぞれの地域でどういう計画が煮詰まってくるかということによりますけれども、我々の頭の中ではいろんなタイプを想定しておりますが、その一つ二つをちょっと例示的に申し上げます。  一つは、遊漁船等利用施設整備事業と申しますか、最近のレクリエーションというようなものの増大に対応いたしまして先ほど来御議論あるようないろんな問題が出てきておりますので、漁業の根拠地といたしましての漁港そのものをまず整備する、それとあわせまして遊漁船等の利用施設を整備しまして漁船と遊漁船との利用の調整を図るというような事業が一つあろうかと思いますし、それから漁村の再開発施設整備というような形で、そうでなくても地形上の制約からいいまして過密集落が非常に多いという環境にございますので、そういう漁港の基本的な施設の整備と並行いたしまして、後背地に水産加工場でございますとかそれから販売施設、こういうものを建設するというようなタイプもあろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、これからそれぞれの地域でどういう計画が練られてくるかということにかかっていようかと思っております。
  197. 諫山博

    ○諫山博君 昔から、漁港というのは国の補助事業であるというのが当然の常識だったと思います。ところが、今度貸し付けという形態が導入されるわけです。この場合、国の補助事業は何なんだ、貸し付けである仕事は何なんだという明確な区別があるんでしょうか。それとも何か地元の選択のようなことで決まるんですか。
  198. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁港整備、特に係留施設でありますとか岸壁、こういうものはもともと非収益的な事業でございまして、これは従来と同じように、基幹的なものは今回の計画にのせておりますように、修築事業という形で国みずからの助成事業という形で対応してまいるわけでございますけれども、全国的にはそういう本来非収益的な漁港の基本施設の整備であっても、その後背地に魚の販売施設をつくるとか加工施設をつくるとか、そういう用地を一緒に造成するとそちらの方の収益で返還が可能であるというようなものもたまたま現実の問題としては出てこようかと思っておりますし、それから実際にもそういうことでやりたいという手を挙げてきているところがあるわけでございます。したがいまして、収益が出ずに公共事業として国の助成でなければできないような事業はあくまでも従来からお願いいたしております長期計画に即しまして漁港修築事業として対応してまいりたいというふうに考えております。
  199. 諫山博

    ○諫山博君 国の補助事業でやる漁港整備とNTTの株式の売却利益で行う貸し付けと、二つの方式が並立するわけですけれども、この二つの間には明確な線が引いてあるんでしょうか。それとも明確な線は引いてなくてその両方にまたがるというような作業もあるんですか。
  200. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今回の整備計画でお願いいたしております修築事業にはAタイプで出てくるであろう事業というものは前提としておりません。しかし、全体の長期計画という形で局部改良まで含めた計画を別途つくっているわけでございますけれども、そういうところの局部改良事業、こういうものの事業量の中では今回のAタイプの事業というようなものも結果的に入ってくるということは、全体の数字なり実績の集計等に当たってはそういうことに相なろうかと思っております。
  201. 諫山博

    ○諫山博君 本来だったら補助事業としての漁港整備でやられるべきはずだけれども、なかなかそれが進捗しないから、NTTの株を利用して地元の希望で貸し付けで行うというような問題が出てきますか。これはありませんか。
  202. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 補助金の必要とするものは補助金で我々としては対応するつもりでございますが、それぞれの地域によりまして、補助金よりは後背地の整備でございますとか遊漁対策でございますとか、そういう本来国の助成に全くなじまないようなものも含めて総体として漁港整備し一日も早く漁港環境というものをつくり上げたいという熱意のあるところもございますので、そういうものにつきましては本資金を活用してまいりたいというふうに考えております。
  203. 諫山博

    ○諫山博君 その場合は、本来だったら国の補動事業でやるべき漁港整備がNTTの貸し付けで行われるということになりますか。
  204. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 少なくとも修築事業というものはすべて補助事業でNTTに依存しないという形で考えておりますけれども、ほかのものにつきましては、たまたま後背地でありますとか遊漁との関係で収益部門とやった方が効率的である、そういうものと密接不可分にやった方が漁港整備上もいいというものが出てまいりますれば、NTTのAタイプで対応してしかるべきじゃないかというふうに理解しております。
  205. 諫山博

    ○諫山博君 私たちは、もともとNTTの株式売却利益をこういうことに使うことには反対です。  これは、最初の立法趣旨にも反するし、しかもNTTの民営化を固定化してしまうというようなことになるわけですけれども、もう一つ心配なのは、昔から国の補助事業としてやられた漁港整備がその本質を崩して、返済の義務を伴うような資金で行うということに道を開いてくるのではないか。漁港整備というのは、もともと国の補助事業でやるべきものだという昔からの原則が崩されてくるのではないかということを憂慮しております。その点はどうでしょうか。
  206. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁港整備というものは本来が公共性が高うございまして収益性がない、あってもそんなに大きく出ないということから、従来もかなり高い補助率で対応してきているわけでございまして、今後ともそういう基本方針は堅持してまいります。  それから、NTTの場合は、くどいようでございますけれども、たまたまそういう恵まれたといいますか、ほかの事業とドッキングした方が効率的であるというものを対象にしていくわけでございまして、基本としては国の助成で公共的な漁港整備というものは推進してまいりたいと思っております。
  207. 諫山博

    ○諫山博君 そうすると、NTT株の売却益というのは期限が限られていますけれども、これがなくなったらこの事業はどうなっていきますか。
  208. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 本来ですと、そういう後背地なりあるいは遊漁関係を含めまして、総体として収益を伴ってやり得るというところにこういう無利子の資金を提供していくわけでございまして、無利子の資金がなくなった際には、さらに活力のある後背地活用を図りまして有利子に対応するか、あるいは後背地なり遊漁関係の収益部門と切り離して漁港単独として整備を進めるか、それはそれぞれの地域の実情によってその時点で判断することになろうかと思っております。
  209. 諫山博

    ○諫山博君 最後です。とにかく、漁港整備に返済義務を伴うような金を使うというのは邪道だと思います。  たまたまNTT株の売却ができたからということかもしれませんけれども漁港整備というのは国の重要な事業であって、国が責任を持って補助事業として行うべきものである、こういう返済義務を伴うような金を使うことはやめるべきであるということを強く私の方では要望しますけれども、最後にこの点について答えてください。
  210. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 直接補助するにいたしましても、それから融資といいましても無利子の資金を融通するわけでございますので、これは双方とも国の漁港に対する公共性の認識というものに立っての仕事でございますので、今後ともそういう立場に立ちまして漁港整備を図ってまいりたいと思っております。
  211. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。     ─────────────
  212. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 委員の異動について御報告いたします。  ただいま八百板正君及び下田京子君が委員を辞任され、その補欠として渡辺四郎君及び内藤功君が選任されました。     ─────────────
  213. 三治重信

    ○三治重信君 漁港法審査に当たって、かねがね私は釣り場の設置や駐車場を要望しておったんですが、今度その整備計画の中にそういうことが組み込まれ、また予算書の説明の中にも新しく項目が設けられました。その「漁場利用調整等に関する体制整備」、こういう中で、「釣船漁場利用適正化推進事業」、それから「釣船業特定漁場利用状況調査」、こういう予算が組み込まれたんですが、こういう問題についてさらに漁港整備するとともに、今後海のレジャーを国民がやっていく上において本当に必要だと思うんです。陸ばかりやっていると四囲に海がありながら、日本人の何千万人という勤労者が海を対象にしたレクリエーションが非常に不足している、こう思うんです。殊に釣り人口というのはゴルフ人口よりかまたさらに多いぐらいに言われているわけなんです。釣りの人口というのは、内陸水面と海岸と両方に含まれるけれども、内陸水面よりか海の方が圧倒的に多いだろうと思うんです。こういう人たちに組織的に漁港を利用する体制を積極的に、これはほんのはしりだけれども、利用していくことをひとつやってもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。
  214. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ここのところの国民の余暇の時間の増大でございますとかいろいろなことがございまして、レクリエーション需要というものが高まってきているわけでございます。その中で、特に海洋レクリエーション、海に対するまなざしというものがもう一つ強くなってきているわけでございますので、我々といたしましては同じ水面を使って生産活動をしている漁業との調和をとりながら、何とかそういう需要にこたえていきたいというふうに思っているわけでございます。  その一環といたしまして、今回の漁港法の改正でございますとか、いろいろな形でそういう釣り人やいろいろな方々に対して便宜を供与できます施設、こういうものも漁港施設の一環として考え出しております。特に両者の調整につきましては、お互いの話し合いの場でございますとか組織化、こういうこともいろいろな形で推進しておりますので、今後ともそういう方向で対応してまいりたいと思っております。
  215. 三治重信

    ○三治重信君 それで、今度新しく設けられた漁場の利用状況調査というものは、まだ調査項目は決まっていないかもしれないけれども、大体のところ、漁場利用調査というものは、釣る場所ばかりじゃなくて、利用者が、漁港のヒンターランドとしてどれぐらいの釣り人がおるかというやつもぜひこの調査の対象にしてもらわぬと、釣り場の調査ばかりやっておったって本当の利用者を吸収する計画というものは立たぬと思うんですが、どういう調査をしようと思っておるんですか。
  216. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 釣り人の動向そのものにつきましては、例えば五年ごとに行っております漁業センサス、これがたまたま六十三年度がセンサスの年にも当たっておりますので、ここで悉皆的な調査というものができようかと思っておりますし、それから現在把握しております二千四百何十万人と言っております遊漁関係者の把握というようなものもこういう調査に従っているわけでございます。  それから、従来ともそういう釣り人側と同時に、漁村の方で釣り人に対してどういう希望を持ち、どういう問題意識を持っているかというようなアンケート調査等もいろいろな調査設計をいろいろな団体の調査を通じまして行っておりますので、そういうものをトータルといたしまして利用する側、それから利用される側両方の実態と意向というものを的確に把握してまいりたいと思っております。
  217. 三治重信

    ○三治重信君 それから、漁港整備でも、つくることばかり一生懸命で、よくたくさんの計画が出ておるんですが、不要になる漁港や寂れる漁港というのも随分実際上は出てくるだろうと思うんですよね。そういう漁港を廃止するのに、最後の一船まで漁業者がいるときには漁港として存続するんだなんというようなのでは非常に資源のむだ遣いだと思うし、そういう漁港の転換利用というものを考えるべきだと思うんです。  その一環として、別に質問はせぬけれども漁業組合の合併というのは、各町村でも小さいところにみんな各漁業組合があって、能率が上がらぬから漁業組合の合併をしよう、一村一つ漁業組合にしよう、そういうぐあいになってくれば、漁港もあっちこっちあるやつがだんだん整備されて、一村一漁港というまでには至らぬにしても、便利なところへ集合するという指導なりをやっていった方が効率的にいいし、また、とった魚も非常に高く売れるようになるだろうと思うんですが、こういうような不要になった漁港対策というものについて考えてみることは必要ないですか。
  218. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 漁港というものがどの時点で不用になり、どの時点で転用するかというのは、実は非常に難しい問題もございます。  と申しますのは、今先生からお話がありましたけれども、非常に漁業情勢が非常に変わってきて、そこに漁船を係留する漁家の数が少なくなってきたといいましても、やはり何人かの方が現にいらっしゃるという中で漁港を転用するなりつぶしてしまうということにつきましてはいろいろ問題が多うございますので、これは、皆無にならない限りは、そういうわずかな方々であっても便宜を提供し得る施設というものは残しておかざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  しかし、今もお話がありましたように、非常に相近接して小さな漁港があるというような地域も現に多いわけでございまして、こういうものにつきましては漁港合併ということも進んでいるわけでございます。現に、漁港の指定ということが入りましてから指定を取り消した漁港の数というものが全体で二百十九ほどになっているわけでございますけれども、このうちの約七割というものが漁港合併ということを通じて漁港の指定の取り消しがあったということでございますので、それぞれの地域の過去のいろんないきさつなり現状、それから交通事情の変化というものを踏まえまして適切に対応してまいりたいと思っております。
  219. 三治重信

    ○三治重信君 それから、漁港整備とともにだんだん沿岸漁業というのが栽培漁業になってき、またそれが非常に成功しつつある。こういうことは、やはり日本水産業の大国だな、こう思うわけなんですが、さらに、漁港整備と魚田の開発、養殖漁業というものをどういうふうに有機的に結びつけていくかという計画をお持ちですか。どうも実際は漁港をつくることばかり一生懸命でやっている。魚田の開発や養殖業とはまた別のやつで一生懸命やっている。船を持っていってとってきて、そして有効にそれを水揚げするというその連携プレーというのか、そういう総合化というのは、その漁港の管理者が中心でやるのか、それとも漁業協同組合が中心になってやるのか、あるいはそこの漁村の村が中心になってやるのか、どういうふうな体制ができているんですか。
  220. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまお話がございましたいろんな施設なりあるいは整備、そういうものをどうやって調和がとれ、全体に整合性を持った形でつくり運営していくかということがいろんな産業にとりまして、特に漁業の場合にとりまして重要な話だというふうに我々も理解しております。  それで、そういうものを具体的に進めていくシステムでございますけれども、これはそれぞれの地域によりまして非常に違っておりまして、地域によっては漁港管理者というものが相当幅広くやっておる。それで、例えば今回の漁港法の改正でも、今お話しのありました養殖関係の陸上におけるような施設、こういうものも今までは漁港施設としては指定されていなかったわけでございますけれども、今度は、遅きに失した嫌いはございますけれども漁港施設の一環としてそういう増養殖関係の施設というものも施設に追加させていただいているわけでございます。  それから、地域によりましては漁協が非常に活力に満ちて、単に魚をとるだけじゃなくて、漁港の管理でございますとか、あるいは地元でのいろんな知恵を出した売り方、こういうものとトータルとしてやっておる漁港も幾つか見られますし、それから、地域によりましては長い間の水産都市として市町村みずからがいろんな形で企画、立案、指揮に当たっているというところもございますので、画一的にどこが主体ということは申せませんけれども、それぞれの実情に応じましてそれぞれの実態に応じたシステムづくりというものは緊要かと思っております。
  221. 三治重信

    ○三治重信君 せっかくいろいろの設備をつくっていっても、それが有効に、能率的に活用されぬとうまくないと思うんです。  今までのやつは、漁港さえ整備すれば、また大きな船になれば、遠くどこへでも出ていってとってくりゃいい、こういうことだったと思うんだけれども、近くに漁田をつくったり養殖漁業の場所をつくったりするというと、やはり海の経営というものは漁港との関連で全体として考えぬと、施設そのものだけは優秀でもそこに生産性の向上とか、それを一括して管理するリーダー、またはそういうことを常に研究する委員会とかそのリーダーがとにかくいないと僕は十分な発達にならぬと思うんです。そういう全体としての漁村というのか、漁家というのか、それを総合的に管理運営する機能をどういうふうにしてつくっていくか、ぜひこういうことに注意を向けてもらいたいと思うわけなんです。  運輸省と水産庁となかなか調整ができぬかもしれないけれども一つ私が考えているのは、釣り場の非常な拡大です。今後の漁港整備で各釣り場なり釣り舟の保管、管理というものに積極的に力を入れてもらうということで、釣り人に対する対策というものが、量はとにかくとしてまず軌道に乗ってきたと。  もう一つは、マリーナの設置で、いわゆるボート遊びをする場所、またそれを保管する施設がなけりゃいかぬと思うんですが、農林省に対しては、十分でない漁港をマリーナに転換することはどうかということと、マリーナの建設は運輸省だというんだが、運輸省はこういうものの国民需要に対して十分たえていく計画を持ち、また現在どの程度それが進んでいるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  222. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 先ほどもお話ししましたように、こういう海洋レクリエーションにつきましては、何とか我々水産側としても適切な対応をしたいということで、今回の法律改正でも、今御例示ございました船舶の保管庫というようなものはまさしくそういうものの対応として漁港施設の中に認めていただきたいということにしておりますし、それから、一般の補助事業で六十二年度から開始している漁港利用調整事業というのがございますけれども、これは漁船と遊漁船等との漁港利用の調整を図るということで、両者の利用を分離するための防波堤等の外郭施設でございますとか、あるいは泊地、それから航路等の水域施設、こういうものを整備するというような事業も行っておりますので、こういうもので両者が共存し、両者がそれぞれ伸びていくということを念頭に置きまして今後もこういう事業を適切に運営してまいりたいと思っております。
  223. 西村隆夫

    説明員(西村隆夫君) 先ほどの御質問にお答え申し上げます。  まず、マリーナというお言葉が出てまいったわけでございますが、マリーナというのは全国に約三百七十ほどございます。このうち三十七ほどがいわゆる地方公共団体などが私どもの補助事業などでつくりましたマリーナでございまして、残りが民間マリーナでございます。  それから、いわゆるこういうものに対する需要関係でございますが、これは先ほど先生御指摘のとおり今から非常に伸びていくんじゃないかと思っている分野でございまして、ちなみに私どもの方でいわゆるプレジャーボートの需要予測みたいなこともやっておりますけれども、現在大体二十四万隻ぐらいございますけれども、これが昭和七十五年には三十八万隻ぐらいになるんじゃないか、こういうふうに考えております。  それに対しまして、プレジャーボートの保管というのは、御承知のように自宅で保管するとかそれから港湾のいろいろな水面で保管するとか、いろんな保管の仕方があるわけでございますけれども、そういうふうなことなどを考えながら将来マリーナをつくってどれぐらいのプレジャーボートを保管しなくちゃいけないかということを考えてみますと、私どもの推計では十七万隻相当ぐらいのプレジャーボートを保管できるようなマリーナが必要なんじゃないだろうか。まあ仮に一つのマリーナで五百隻ぐらい収容するといたしますと、十七万隻で割り算してみますと三百四十ぐらいのマリーナと、こういうことになります。  それから、私どもの方で公共事業でマリーナの整備をやっております。これは現在の港湾整備五カ年計画では大体三十六ぐらいのマリーナをつくろうと思っておりますので、これがあと二つの五カ年計画、つまり昭和七十五年ぐらいまでいきますと、仮に三十六マリーナ掛ける三倍ぐらいといたしましても、大体百ぐらいのマリーナはできようか。そのほかのものについては民間その他の方でおやりいただく必要がある、こういうふうに考えまして、いわゆるリゾート法なんかの助成その他などをもって私どもとしてもマリーナの整備に大いに力を出していかなくちゃいけないというふうに思っているところでございます。
  224. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、こういうマリーナの施設の設置や認可というのは、運輸省はどういう法律でやっているんですか。行政指導だけでやっているのか、こういうマリーナを認めるとか認めないとかいう特別な法制度があるんですか。
  225. 西村隆夫

    説明員(西村隆夫君) マリーナには私ども考えまして二種類のものがあると思っております。一つがいわゆる地方公共団体などが例えば港湾などの補助金を受けながらつくりますいわば公共マリーナというものでございますけれども、もう一つは民間のマリーナでございます。  公共のマリーナにつきましては、港湾法の体系の中で港湾の事業の中でやっております。それから民間マリーナにつきましては、現在のところマリーナの施設自体に対する法律の規定はないと思います。
  226. 三治重信

    ○三治重信君 農水省もお聞きになったとおり、この点は漁港の方でマリーナをやったって法に触れることはどうもなさそうだし、また実際行政の縦割りのやつを両省で連携してやらにゃうまくいかぬと思うんですが、漁村の振興のためにも、それからまた今後海面の利用を水産の生産というだけでなくて、国民のレクリエーションや保健、スポーツという多面的な利用にぜひ目を向けてもらいたいと思うんです。その漁業生産、いわゆる漁業者生産を妨害しちゃいかぬけれども、そのためには水産組合や当該市町村が主になって調整の役に出ていくと摩擦なくいくんじゃないかと思うんですよね。遊ぶ団体とかなんとかというやつは自然発生的に出てくるし、運輸省と連絡すればいろんな団体やなんかが、どんな団体があるかというのもわかるだろうし、ぜひそこをやってもらわぬと、労働時間は短縮しろ、国民はもっと金を使えといってみても、使う場所も使う時間もないということは非常に私は国民に対して失礼なことだろうと思うわけです。  それで、いろいろリゾート法を考えたときでも僕はよくマリーナを主張していたんだけれども、何が一番需要があるかということを、特に役所はもう自分の生産なり、運輸省だったら荷揚げやなんかの生産のことばかり考えぬで、少し国民の全体のことを考えて対処して、今までは歯牙にもかけなかったことだろうけれども、そういうものがとにかく非常に重要になってきたわけだから、特に注意をして幅を広げてもらいたいと思います。  それで、時間が若干あるから一つだけ。先日、私はアジアの人口問題の議員連盟の会合に出たときに、農村の人口問題なんかが出た。その議論のときに、日本の代表は、とにかく日本では農家に嫁さんが来ないということで大問題だったけれども、スリランカやフィリピンまでお嫁さんを募集に行っていると。しかし、来てみて結婚したんだが、大体今のところ半分ぐらいしか成功率がない。これは水産庁長官に聞くのはちょっと悪いかもしれないけれども、これは農水省一般だからどこか総合的な人がいたら答えてもらいたいんだが、そんな問題は日本独自の問題だから日本で解決したらいいんだろうなんて言われちゃったんですが——僕が言ったんじゃないですよ。  とにかく、いろいろのことを書いてあるんだけれども生産、これもそうなんだけれども、婦人対策でも、この予算説明を見ると、農家が技術や経営能力を向上していくことを農村婦人大学で教育をするんだとか、こんなことをいろいろ書いてあるけれども、それよりかもう少し、農村の生活というのはお嫁さんが来るような生活環境をどういうぐあいにしてつくるかということの方が僕は、農村婦人の技術や経営能力の向上を図るために農村婦人大学をつくって、そうしてあすを開く農村婦人の育成事業をやるなんというのは、それは悪いとは言わぬけれども、その前にやはり、農家の婦人に働けとか地域に参加してやれということばかりじゃなくして、どうしたら農家に喜んでお嫁さんが来るかということというのは、私はやはり兼業農家でお嫁さんは三ちゃん百姓をやらせられて、亭主は背広着て毎日通うというそんなことだから農家の女の人も絶対そんなところには行かぬ。自分も農家の婦人が大体そういうところに行かぬということなんだから、僕はやはり専業農家にして、だんなさんもきちんと百姓をやるという姿勢のところにはお嫁さんは必ず来ると思うんだ。  それからまた、この中に、新しい農業に就業する人の募集や教育をやるということになっていますね。これも非常に重要だと思うのですよね。農家だけを維持するんじゃなくて、農家以外から新しい農業をやろうという人を収容してやろうというのは非常にいい計画だと思うんだが、そういうふうなことをやっていくためには、やはり農村の優秀な農家をつくるためには、優秀な婦人が来ないとそれはできないと思うのですが、そういうことについて、特別私はやはり専業農家、自立農家というものに対して農家が、女性が結婚難のところがあるのかどうか、僕は専業農家には余りないんじゃないかと思うんだが、その点どういうふうになっているか、今後そういう問題に対して、農水省はどういうふうな考えを持つか。
  227. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) どういう資格で御答弁申し上げていいのかわかりませんけれども、漁村も農山漁村の一つでございまして、やはりそういう問題というものを抱えておりますので、そういう立場で答えさせていただきたいと思いますが、ここのところ、農山漁家の後継者なり嫁問題というものが一つの社会問題になってきているわけでございますが、結婚の問題というものは本来個人間の話でございまして、行政がなかなか入りにくいという問題はもちろんございますけれども、何といいましても基本に漁村なり農山村なり、こういうところが生産、それから生活環境両面含めまして、魅力があるなり活力があるというところでなければ後継者なり嫁というものもなかなか来ないということでございますので、後継者対策なりそれからお嫁さん対策という切り離された対策じゃなくて、やはり全体としてどうやって活力のある地域をつくっていくかという、全体の政策の集積ということを通じてお嫁さん対策というものも進めざるを得ないのではないかというふうに感じております。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、最初に漁港整備計画変更についてお聞きしたいのであります。  昭和六十二年までの実施済みの事業費は八千九百五十三億円。これの進捗率は約七五%であると述べられておりますね。そうすると、あと二五%残っておる、こういうことでありますが、なぜその計画が残っておるにもかかわらず変更をしなければいけなかったのであるか。変更後の漁港整備計画に基づいて整備を進めることにしておると述べられておりますね。  そこで、私がお聞きしたいのは、計画進行中なぜ変更しなければいけなかったかということについて、その意図を一応確認いたしたいと思ってお尋ねしたいと思います。
  229. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 確かに御指摘のとおり、修築事業で実施率がまだ七五%、それから全体でも七七・六%ということで二五%近い残計画量というものがあることは事実でございます。しかし、この計画は六十二年度までということで総体の事業費を計画いたしまして走ってきたわけでございます。それで、当初、計画をつくりました時期に比べますと、いろいろと漁村を取り巻く情勢も変わってきておりますし、それから漁港整備に対する要望も変わってきておりますので、残事業量は残っておりますけれども、期間がちょうど切れたところで全体を見直し、新しい姿に、衣がえと言うと妙でございますけれども、すっかり見直しまして新計画としてスタートしたいということでございます。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 情勢が変わってきたという点から、どのように情勢が変わってきたのか、具体的にお聞きしたい。
  231. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 一つは、こういう計画でございますので、期間が限られているということで、このまま放置しておきますと、六十二年度までの計画で、六十三年度から計画がない状態になってしまうという手続的な問題が一 つあるわけでございますし、それから情勢の変わりといたしましては、今回漁港法の改正でもお願いいたしておりますように、日本国沿岸域を含めます漁業事情というものが非常に変わり、例えば養殖というものも相当な位置づけになってきておりまして、こういうものにつきましても漁港対応の仕方というものもいろいろ変わってきておりますし、それから流通、消費というものも高度化、広域化してまいりまして、漁港に求められている流通、消費からの要請というものも過去に比べますと相当質的にも量的にも変わってきております。  それからさらには、今までも努めてきたわけでございますけれども、漁村の活性化でございますとかあるいは後継者対策、そういうことから申し上げまして、漁港整備の仕方としても環境整備的な要素でございますとか、あるいは労働安全的な要素、こういうものも大幅に取り入れた新しい視点での漁港づくりというものも必要になってまいっておりますので、そういう要素をいろいろと取り組みまして今回の四百九十港の修築事業の計画というものを積み上げている次第でございます。
  232. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 漁協関係者の集まりの団体であります全国漁港協会の皆さんから要望、提案がなされておるようでありますが、それはちゃんと了解しておられますね。この提案、要望というのは内容は承知しておられますか。どんなものですか。
  233. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) それは十分承知しております。漁港協会からの要望につきましては当然十分承知しておりまして、それぞれ要望のありました項目につき今回の漁港法の改正なりあるいは長期計画の策定、こういうことに反映させている次第でございます。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それぞれ要望のありました要項として、要望の内容、どういう要望があったのであるか。長たらしくおっしゃる必要はないが、問題点だけどういう要望があったかということはおわかりだと思うんですが。
  235. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 失礼いたしました。  全部で中身といたしましては六点ほどになろうかと思いますが、一つは、漁港のより高い安全性、機能性、快適性の追求ということで漁船の安全確保でございますとか、それから使いやすい係留施設の整備でございますとか、そういうことを中心といたしまして一つございます。それから二番目が、つくり育てる漁業の拠点機能の集積ということで、増養殖事業の円滑な展開の場づくりを漁港関連でも行えということを中心としてございます。それから三番目が、変貌する水産物の流通及び加工に対応する拠点機能の強化ということで、ここのところ盛んになってきました活魚の出荷機能を漁港整備の一環として工夫するなり、それから加工施設を拠点整備するというような話が出ております。それから第四点といたしまして、地方定住環境条件の整備、向上ということで、働く場をクリーンにするというようなことがございます。それから第五番目として、海洋レクリエーションのための調和ある場づくりということで、遊漁船の専用泊地なり係船岸の整備というようなことを申してきております。それから第六点が、地域の活性化にかかわる施設の展開の場づくりということで、市民に親しまれる漁港づくりでございますとか、あるいはお祭りなど楽しい空間に漁港活用するというようなものが漁港協会が取りまとめました要望事項に相なっております。
  236. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、今の協会からの要望は法案の改める内容計画としても十分受けとめてその実現に取り組む、こう理解してよろしいですか。
  237. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) それぞれお互い長い間協議を重ねてまいりまして、従来の法律、仕組みなりあるいは従来からの延長線上の漁港整備、こういうものでも対応可能なものはもちろんかなりあるわけでございます。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕 特に対応のできないものにつきましては、今回法律改正をお願いし、それから計画の積み上げの際に十分考慮をさせていただいている次第でございます。
  238. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 と申しますのは、それぞれその実情の中からにじみ出た集約された結論である、これを大事にしてもらってそれを施策に反映していくということは非常に大事なことであると思うんですね。単なる机上のペーパープランをなさるのじゃなく、そういった生産者の実際の立場に立って、苦悩しておるそういう立場からの声を大事にしていただきたい。私は、これはそのエキスである、こう思ってそう申し上げたわけでありますので、その実現にひとつぜひ努力していただきたいと思います。  次に、安全性、機能性の徹底という面から、特に年間を通じて水難事故が、漁業者の事故が多いように私受けとめております。安全性、機能性の徹底という面からひとつどのように計画しておる、あるいは考えておられるか、お聞きしたい。
  239. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 去年来、若干水難事故というものがふえてきておりまして、我々水産庁といたしましても非常に憂慮している次第でございます。  そういう点から、先般も長官名で各関係団体、各行政機関に対しまして、水難事故に対する適切な対応等ということについての指導通達というものを出しましたし、それから、いろいろな会議でございますとか、そういう場を活用いたしまして、水難予防知識の普及でございますとか対策の迅速化につきまして指示し指導してきている次第でございます。  それに加えまして、水難に遭いましたその後の対策につきましても、遺児育英資金の拡充でございますとか、そういうことを通じまして、万々が一事故があった際の手当てにつきましても抜かりのないようにいろんな手だてを講じてきておりますし、今後ともそういう方向で進んでまいりたいと思っております。
  240. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その点重ね重ねひとつよろしくお願いいたします。    〔理事高木正明君退席、委員長着席〕  次に、沖縄の漁港についてお尋ねしたいんですが、申し上げるまでもなく、沖縄は離島県、多島県である、こういう特殊事情と、それから亜熱帯地域であるという点から地理的条件としては台風の常襲地である。こういった特殊の島であるわけですが、そういう立場から、避難港の設置が漁港の中で特に大事に、重要視する必要があると思うんですが、現状は率直に申し上げまして施設設備が不備である、これはもう多くを申し上げません。  指定漁港の数も私は少ないと思っております。といいますのは、指定漁港数は三種が一カ所で四種が五ですね。指定漁港のそれぞれの使命からしましても、特に一種は「利用の範囲が地元の漁業を主とするもの」。二種は沖縄はありません。「利用の範囲が第一種漁港より広く第三種漁港に属さないもの」。三種が一つしかないんですね。「利用の範囲が全国的なもの」。それから特定第三種というのが、ありません。第四種が五あります。「離島その他辺地にあって漁場の開発又は漁船の避難上特に必要なもの」。こういう目的を持って指定されておるわけですが、そういう点総括的に見て指定数が少ないのではないか。設備そのものも不備である。しかも、台風常襲という立場からも、沖縄の漁港は特に全国的な背景も担っておるわけでありますから、重視してもらわなければいけない。こういう意見を持っておるわけですが、いかがでしょうか。
  241. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 沖縄はああいう地帯でございますし、特に島が多く、それから台風常襲地帯ということで漁港整備は緊要なわけでございます。現在整備をいたしますのも、ただいま先生からのお話しありましたように、全体で十三漁港というものを今回漁港の修築事業として予定しているわけでございますし、それからこういう整備につきましてはもちろん第二次の沖縄振興開発計画と十分整合性をとった形で沖縄開発庁とも密接な連携、連絡をとりながら策定してきているわけでございます。  特に、中心的な漁港でございます糸満漁港につきましては、第二種漁港から第三種漁港へ格上げするというようなことも地元の要望に応じましてやろうと思っているわけでございまして、こういう方向でああいう台風常襲地帯、しかも非常に分散的に所在している漁港整備ということをできるだけ促進してまいりたいというふうに考えております。
  242. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今度の御計画の中に、具体的に計画されておりますか。
  243. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 今度の修築事業全体の四百九十港の中に十三港計画が組み込まれておりまして、先ほど来お話しありましたように第一種で七港、それから第三種が今度新しく糸満漁港が一港、それから第四種で五港というようなものが今度修築事業として具体的に対象になってくるということでございますし、それからあと改修事業の要望港としてもかなりございまして、我々がキャッチしているものといたしましては二十二港に及ぶ漁港というものが改修事業としての整備の要望として出ているようでございます。
  244. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に、私がいつも沖縄沖縄と言いますと、私自身も抵抗を感ずるわけでありますが、しかし、いずれをとらえましても、いずれと申しますのは単に漁港だけじゃなく——きょうは漁港でありますのでね。  沖縄の地理的位置というのは、日本全体の東南アジアへあるいは南方への門戸である、窓口である、こういう発想に立つべきであると私は思うわけですよ。そういう点からしますと、漁港一つとらえても、沖縄の漁港の施設設備を充実していくということは全日本漁港につながる、皆さんへの協力であり、また全体を高めていくものであるという認識に立たなければいけない、こう思うんです。その生産につきましても、沖縄自体が生産が上がればプラスになること間違いありませんが、今度は一億二千万国民生活資源生産地である、こういう発想に立つべきである、こう私は思いますので、そういう認識からいろいろな要望をいたすわけであります。  そこで、水産面と漁業面からお尋ねしたいことは、沖縄県の漁港は多くの離島と辺地に散在しておる。申し上げるまでもありませんが、このため沖縄県の水産流通業については、水産物が多種少量である実情に対応した流通システムを構築する必要がある、こううたっておりますね。一方、水産加工業は、かつおぶし、かまぼこなどの練り製品に偏重し過ぎている。沖縄県の漁業と密接に関連する水産流通業と水産加工業を振興するためどのような施策を講ずるおつもりであるのか、これは具体的な、現実的な問題としてどうしてもそれに対応していただかなければいけない立場を私は今お尋ねをしているわけなんですが、その点お聞きしたいと思います。
  245. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいま沖縄の漁業、特に漁業との関連での水産加工についての問題点なりの御提示があったわけでございますけれども、我々といたしましても現状認識としては先生と同様でございまして、何といいましてもああいう多くの離島から成っておりますので非常に水産物の流通というものが難しい、距離が長く、しかも少量ずつであるという問題もございますし、それから今お話がありましたように、練り製品というものが加工の大宗を占めておるわけでございますけれども、残念ながらその原料に適しました多獲性原魚というもののほとんどが県外から来ているというような問題点があるわけでございます。  こういう点からいいまして、一つは、県内で水揚げされた魚を、どうやって漁港整備し流通機構を直して流通の円滑化、効率化を図るかということ、それから加工原材料につきましても地場でとれるものを最大限活用すると同時に、ほかの地域から参ります原料を円滑に供給できるような体制を講ずる、こういうことを前提といたしまして、今行おうとしております新沖縄県水産業構造改善特別対策事業、いわゆる沿岸漁業構造改善事業の沖縄版でございますけれども、これによりまして製氷、あるいは冷蔵施設、それから共同処理加工施設、それから荷さばき施設、こういうものの整備を実施しておりますし、こういうものについての要望が具体的に六十三年度におきましても出ているようでございますので、こういうものにつきまして適宜対応いたしまして、先生からお話しありましたように、沖縄の水産業なりあるいは加工のてこ入れなりになればと思って仕事を進めていこうと思っている次第でございます。
  246. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 質の上からも沖縄の設備、施設の実態はまだまだ劣っておる。沖縄の地理的、法的あるいは位置的条件から、どうしても量の上からも検討してもらわなければいけない。こういう点から強く要望したいことは、単に全国の四十七都道府県の一県というとらえ方も否定はいたしません。ところが、特殊事情下にある、特殊ということはいろいろな内容があるわけですが申し上げません、御存じと思いますので。常にそういう配慮を持ってお考えになりませんというと、本土並みというその言葉は単なるアドバルーンにしかすぎない、いつまでも取り残されていく、こういうことを私は焦る気持ちで訴えておるわけでありますので、そのようにひとつ御理解いただきたい。  最後に、ごみ戦争、スクラップ戦争、いろんな形で今日社会環境を浄化していくクリーン運動が日本じゅう展開されておるわけですが、漁港漁船につながる問題といたしましても船の問題、それはFRP船ですね、強化プラスチック船漁船の七〇%を占めておるといっておりますね。ところが、最初にできた船は耐用年数が来て取りかえなければいけない、つくりかえなければいけない時期に来ておる。ところが、木造船と違って腐らないものですから、結局乾電池の処置が問題になっておると同じように非常に始末に困るわけなんです。放置された漁船漁港や海岸を占拠しかねない、こういうことも心配されておりますね。このFRP船の廃船処理には特殊な技術が必要である。その廃船処理は特殊な技術を要するわけですが、その始末にどのように対処していこうとしておられるのであるか、具体的な対策を持っておられるのであるか、取り組んでおられたらそれを出してもらいたい。
  247. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまお話しありましたFRP漁船処理というものが、実用段階に入りましてから二十数年たつということで、これから相当数の処理を必要とするわけでございます。しかしながら、残念ながらこの廃船処理技術が現段階でまだ十分確立されていないということもございまして、昭和六十年から二年間にわたって適正な処理方法確立するための技術検討というものを民間に委託してやってまいりまして、その結果、相当方向づけというものができましたので、昭和六十二年度から今度は二年間で、実際の船を使いまして開発した技術を適用してこれを実用化するということで実験を行ってきているわけでございます。  その一つは、不沈船の魚礁化といいますか、プラスチックの船に穴をあけ、石を積みまして海底に沈める。今まではコンクリートでございますとかそういう工業製品でわざわざ金をかけて魚礁をつくってきたわけでございますので、それに代替するものとしてあれを適切に活用したいということで、大体この技術開発されてまいりましたし、それからプラスチックそのものを破砕いたしまして乾留するということでも、焼却なり再利用というような施設、技術につきましても大体方向づけができてきたわけでございます。  そういうことを踏まえまして、漁港施設といたしましてその廃船処理施設というものも漁港施設の対象に加えるというようなことも今回の法律改正でお願いしているわけでございますので、こういう技術の進歩とそれから漁港施設の一環として位置づけるということと両々相まちまして何とかごみ戦争であるとかそういうことにつながらないような対策を講じてまいりたいと思っております。
  248. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 我が国の農林水産業を取り巻きます最近の経済情勢はますます厳しく、諸外国からの、わけても米国からの市場開放の要求は殊のほかに厳しく、よほど冷静に対応しないと方向を誤りかねない状況にあります上に、国内における構造政策の推進も諸般の障害に阻まれ停滞を余儀なくされておりますのが現状だと思っております。このことは今日の農政の難しさがそうさせておるのだと思います。そのことが原因となってか、歴代の農林水産大臣の所信表明を見てみましても、その表現や配列には変わりがあっても、本質的には変化がないように見受けられます。  例えば、農地の規模拡大を目指される政策をとってみましても、政策そのものは理解ができても、規模拡大への具体的プロセスも拡大への実現にはつながらない、こういった状況にあり、特定の篤農家の努力に任されておりますと言っても過言ではないようであります。今回の所信表明においても、生産性の高い担い手への農地の集積や作業の委託の促進を通じて規模の拡大を地域の実情に即して進めるとは言っておられますけれども、そのまた後段では経営規模の拡大の停滞、生産性の向上の立ちおくれ、農産物需給の不均衡などの諸問題に直面をしていると嘆いておられますのがいつに変わらない現状であります。  以上の前提に立って、私は次の三点についてお尋ねをいたします。  まず第一点は、農業経営改善のための農用地の効率的利用促進に関する措置についてでありますが、法案の提案を見なかったので論議の的を外れるかもしれませんが、この点についてお尋ねをいたします。  比較的経営規模の大きい農家を調査してみました。経営農地のエリアは十ヘクタール程度の経営農家で、直径二十キロメートルから二十五キロメートルくらいでありますが、経営者に尋ねますと、このエリアはさらに拡大をしていかないと農地の取得は困難であります、こういうことでありました。もし当局において経営規模の拡大を市町村単位を限度として考えておられたり、ましてや部落単位で考えておいでになりますとすれば、それは角を矯めて牛を殺すことになるのではないかということの心配をいたしました。  ある一つの部落を調査いたしましたときに、その部落には二十五ヘクタールの農地を三十七戸で経営をしておいでになりました。たまたまその中の一農家は、広いエリアの中で散在した農地をまとめて十ヘクタール耕作をしておいでになります農家がありました。お尋ねをしますと、私の世帯だけで息子夫婦も農業をやっておりますから私の部落の二十五ヘクタールを経営することは可能でありますけれども、たった一つ不可能なことがあります。ただいまのところその二十五ヘクタールのかんがい用水として部落内に散在をするため池約一ヘクタールを五カ所所有をいたしております。三十七戸で維持管理に当たっておりますからできますけれども、私が全部しなければならないとすればそれは不可能であります。さらにまた、その農地を私が全部耕作をするとすれば農家は私一軒になってしまいます。それで果たして地域の社会組織が保てるだろうか。さらにはまた、農協の組合員としては実質上一人になってしまうようになりかねませんが、農協の経営にも影響を及ぼすのではないか、こういった問題を取り上げられました。  農林水産省で、効率的な利用促進についての法案審議の中でお考えになられましたのは、こういう問題点についてはどのように考えられましたのか。また大規模経営農家をつくるとしても日本の現実からいったら一カ所に集めて持つということは不可能なことであります。ある程度のエリアを考えてやっていかなければならない非効率性は残ると思います。そういった場合に、日本的効率のよいせめてもの理想はどの程度の広さに散在をすればよろしいとお考えになっておいでになりますのか、その辺のところを承りたいと思います。
  249. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 現地のお話も含めながら広範な点につきましてのお話があったわけでございますが、私ども問題意識を若干申し上げて、御説明にかえたいと思います。  現在の農地の流動化の状態あるいは農業改善の必要性、これは本委員会でも何度も申し上げたところでございますけれども、今の日本農業の置かれております状況を考えますればこれをできるだけ早く加速させていく、積極的に進めていくということが非常に重要な課題であるというふうにまずは考えております。そういう考え方のもとに、従来から御案内のように農用地利用増進事業を基軸にしながら各種の流動化施策を講じてきたところでございますし、実績といたしましても一定の実績は上がってきておるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。  具体的な数字で申し上げますれば、五十六年以降六十一年までの流動化実績、ダブりを省きまして計算いたしますと大体四十二万ヘクタールぐらいに達しているように思いますし、そういう全般的な状況の中で地域によりましてかなり規模の大きな経営あるいは生産組織といったようなものも出ております。ちなみに三ヘクタール以上の農家の数をちょっと拾ってみますと、昭和五十五年に九万五千戸でございました。六十二年には十二万五千戸に増加しておるという数字もあるわけでございます。  ただ、私どもの認識といたしましては、今の日本の農業の置かれております厳しさとの関係からいえば格段の努力をいたさなければならないような状況にあるというふうにまず意識しており、そういう意味では各地域の実態に応じながら農地の売買でありますとかあるいは貸し借りでありますとかあるいは受委託でありますとか、そういったいろんな手法を使いながらできるだけ効率的な農業構造にしていくということが急務ではないかというふうに思っておるわけでございます。  その場合の展開のありようについて、例えば個別経営でいくのかあるいは集団的な生産組織でいくのかといったような議論があるわけでございますが、その点についての考え方が先ほどの部落で農家がいなくなるのじゃないかとかというような話にも関連すると思うわけでありますけれども、私は今の農業の実態を考えますと、個別経営でなければならないとか集団組織でなければならないとかというふうになかなか一概に言いにくいのではないか。要は、今あります技術というものをフルに活用しながら、国民の皆さんの御理解をいただけるような効率的な生産単位というものを一つ考えていく。その場合の具体的なあり方として、地域によりましては個別経営が主体をなすような地域もあろうかと思いますし、あるいは生産的な組織を中心に考えていく。もちろんその場合には中心になる農家がおり、それとの関連において個々の兼業的な農家がそれぞれ任務分担をやりながら生産単位を形成していく。そういうふうないろんな形態が恐らくあり得るわけでありまして、そういうものを地域の中のコンセンサスとしてどのようにつくっていくかということがこれからの課題ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  広がりの話についてのお話もあったわけでございます。私どもの農水省の方で都府県で三ヘクタール以上、北海道で十ヘクタール以上の約二千六百戸余の大規模農家を対象にいたしまして、昨年一定の一つ調査を行っておるわけでございますが、その場合の農地の借入範囲でございますが、これがなかなかおもしろい結果が出たように思っております。都府県平均で見てみますと、借入先は同一の集落内で五割ちょっとでございます。旧市町村内が三一%、同一の市町村内が八%、他市町村内が九%、こういうふうにかなり多岐にわたっておりますのに加えまして、これがなかなか全国一本ではございませんで、地域によってかなりの差がございます。例えば、東北では同一集落から借りているというのが六割になっておりますが、他市町村からは五%というふうに非常に少ない。ところが、東海のような地域につきましては、同一集落内が四割、他市町村が一割ちょっとというような実は数字になってございます。  結局、その地域地域の置かれた条件によってかなりの差異がございますし、交通条件がどうだといったようなこともございますので、どの程度のところが適当なんだというお尋ねがあったわけでありますが、能率のことを考えますればできるだけまとまってということにはなろうと思いますけれども、こういうことでなければならないというふうにはなかなか言いにくいのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  250. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次は、基盤整備事業について申し上げさしていただきたいと思います。  基盤整備事業は、本来はまことに好ましい事業であります。けれども、最近、事業実施のおくれで事業本来の当初の目的が消滅してしまっておる上に、事業費の異常な増高が本来は受益者であるべきはずのいわゆる受益者に大変な迷惑をかけておるのではないか、さらにはかけるおそれがあるのではないか、このような事業が見受けられることが多くなってまいりました。  言われますように、生産性の高い水田農業の確立を図るためには、すべての点においてコストの低下を図ることが必要であります。私は滋賀県でございますけれども、ここでは県域に降りました雨の九〇%は琵琶湖に流入をいたします。改良されました河川を伝って琵琶湖に流入した水を今度は逆水工事ということで四十キロ近くもまた持ち上げて、その水を一トン何ぼで受益農家に売ることになります。しかも、当初計画は八十億円でありました事業費が、現状では三百八十億円にはね上がってきておる。こういったことで、これで果たして効率的な水田農業の確立が図られるのだろうか、こういった心配がありますけれども、結果的には末端が負担をしなければならないということで、地域の指導者はそのことを末端の負担者に説得をしておるというのが現状であります。  これの一番大きな原因は、工事期間が異常に延びましたことが原因だと思われますのでありますけれども、こういった負担を今の農家に持たして果たして競争に勝てる農家をつくることができるのだろうかと考えてみた場合に、それは不可能なのではないか。だから、ぜひこういったことについての原因を探求してこのようにならないように施行を進めていただきますと同時に、できてしまったことについては競争体質強化という観点から考えた国の施策がぜひ必要だと、このように思っております。  このことは、農林水産事業と直接関係はありませんけれども、参考までに申し上げますが、同じ原水を水田用に逆水をいたしますその地域に、また上水道のパイプで逆水をいたしておりますという現実があります。私に訴えました農民の一人は、私の部落では削泉、すなわち地下水による簡易水道をつくって保健衛生の立場から努力をしてきました、ところが今度県営の上水道ができますからその削泉によるところの簡易水道は使ってはいけない、こう言うのですけれども、そのときの起債の償還があとまだ九年かかります。使わない水の起債の償還をしながら新しい水を高い料金で買い受け、その上逆水工事による田用水を買い受けて営農していけば、確かに原価計算には上水道は入りませんけれども、しかし生活費用には皆入ってまいります。そういうことで競争に打ち勝っていかなければならないという実態なのですけれども、この辺を一遍お尋ねをしておいていただきたいという要望がありましたので、こういった点どのようにお考えになっておいでになるのか。私は、異常に増高をした経費の負担等はやはり大きな力、国の施策で解決をしてやっていただくべきだと思いますが、そういった立場からお尋ねをいたしますのでよろしくお願いします。
  251. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 恐らく具体的な地区のことを念頭に置かれてのお尋ねかと思いますが、突然のことでもございますので、改めて私の方でも勉強させていただきたいと思いますが、一般論でお答え申し上げたいと思います。  今のような厳しい状況を考えますと、できるだけ農家の負担ということも頭に置きまして事業費がかからないように、安上がりに済むようにといったような考え方のもとに、効率的な事業の実施に努めていきたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。  その場合、御指摘のございましたように基盤整備事業の工期の点でございますが、使い得る予算額のパイの制約の問題も一つございますし、かつまた、物価上昇なり整備水準が御希望でかなり上がってくるといったような状況の中で、これまでともすれば工期が延びがちだった、それが事業費の増高につながるという問題のあったことは十分私ども承知をいたしており、このためにいかに対処すべきかということで頭を痛めておるところでございます。  それで、工期を短くしていくという観点からいたしますれば、できるだけ新規地区については抑制的に扱い、継続事業の推進を図っていく。こういうことになるわけでございまして、近年いろいろと御要望がある中でございますから、一定の調整を行いながらそういう方針のもとに進めており、ことしの予算で申しますと、NTTの資金の活用も含めまして基盤整備費が一七・八%伸びたといったようなことも重なりまして、平均工期といたしましては今のところ二年短縮する見込みに相なっております。引き続きできるだけ速やかに工事が終えるような努力を重ねていきたいというふうに思っております。  お尋ねの第二点の、工期の遅延によります農家負担の増大の問題でございますが、やむを得ない状況の中で起こっておることでもございますし、その辺は御理解をいただきたいと思うわけでありますが、特に国につきましても、事業費が増高しました結果その負担が増加しておりますので、国の方でいろいろと配慮するにも限度のある話でございます。その辺については御理解をいただきつつ、いろいろと制約のある中ではございますが、国営の土地改良事業につきましては、昭和六十一年度にステップ償還制度、六十二年度に計画償還制度といったようなものも導入いたしましたし、六十三年度からは、御案内のように償還円滑化特別対策というものも今予定をしておるわけでございまして、個々の地区の実情に応じながらそういうものを有効に活用していただいて償還の円滑化を図っていただきたい、このように考えておる次第でございます。     ─────────────
  252. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 質疑の途中でありますが、委員の異動について御報告いたします。  ただいま浦田勝君及び大塚清次郎君が委員を辞任され、その補欠として永田良雄君及び二木秀夫君が選任されました。     ─────────────
  253. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 さらに、関連してもう一つお尋ねをいたします。  基盤整備をされました圃場の広さの一枚は三十アールであります。バルブをひねりますと水が入ってきまして、極めて便利であります。要らなくなりましたら、今度は排水口を開きます。それはもう排水口に流れてしまい、再び利用することはありません。高い金をかけて逆水してきたその水を一回だけの利用で捨ててしまってよろしいのだろうか。反復利用ということが今の技術の中で考えられないのかどうか。反復利用さえすればさらに効率がよくなると思います。  もう一つの問題は、この排水をされます水の中には、田んぼで使ったものでありますから多分に肥料要素が残っております。燐、窒素等は全くそのとおりですが、今までのように水上から水下の方へだんだんと田を経て流れていく間にそれらの燐や窒素は吸収されて、栄養分のなくなった水が閉鎖水域であります例えば琵琶湖ですとか霞ケ浦ですとかへ流されます。そうすると、環境悪化は防ぐことができますけれども、今のような燐、窒素を含んだものがストレートに閉鎖水域へ入っていくことは富栄養化の原因になります。そういったことがやっぱり大きな原因となって、どこの閉鎖水域におきましても毎年赤潮が出ましたり、さらにはアオコが出て、ひどいときにはそれが数日間滞留をするというようなことになっておりますが、技術的な問題ではありますけれども、これらの改善の余地がないのかどうか、そのことをお尋ねいたします。
  254. 松山光治

    政府委員(松山光治君) かん排事業を行いますときに、限られた水資源でございますから、それを効率的に利用していく、あるいは先ほどのお尋ねの事業費との関連からいきましてもできるだけ有効に活用いたしまして開発コストを下げていく、そういうことは非常に重要なことでございまして、そういうことを頭に置いて私どもも事業の指導に当たっておるつもりでございます。  そういう観点からいたしますと、地区の水源の状況がどうか、あるいは地形がどうか、地質がどうか、水路の状態がどうかといったような具体的なその地区地区の実情に応じて対応の仕方も変わってくるわけでございますが、今の私どもの一般的な考え方といたしましては、公益的なレベルにおきましてかなり広い範囲の水利用として地区をとらまえてまいりましたときには、現に水の反復利用を行っているところがかなりあるわけでございますし、私どもの方も事業を進めるに当たりましての計画の設計基準というものを設けておりますが、その中では、そういう水の反復利用を進めることが必要であるし、望ましいという考え方を明らかにして、できるだけ効率的な水利用ができるように配慮しておるつもりでございます。  ただ問題は、個々の圃場レベルで考えたときにそれがどうなるかということでございまして、私どもも琵琶湖の周辺でかなり圃場レベルで富栄養対策ということも頭に置いた事業が行われておるということは承知はいたしておるわけでございますけれども、一般論として申し上げますれば、やはり末端におきましては、用排水を分離いたしまして圃場の使いやすさ、あるいは作物の選択の自由度を高めていくというのが基本でございます。そうなってまいりますと、非常に狭い地域で用排水を分離して反復利用するといったようなことになりますれば、当然のことながら排水路の下流でポンプアップいたしまして水を使っていかなきゃいかぬということになりまして、どうも一般論としてはかえってえらいコストがかかるようになる場合が多いやにも聞いております。  こういったことを踏まえて考えてまいりますと、地区地区の実情に応じて、先ほど申しましたようなできるだけ安く、かつ水を効率的に利用していくという立場から具体的な計画設計に当たっていくということが必要ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  255. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 他に御発言もなければ、三案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  ただいま議題となっております三案件のうち、漁港法の一部を改正する法律案の修正について諫山君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。諫山君。
  257. 諫山博

    ○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、漁港法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  その概要は、漁港法一部改正案からNTT・Aタイプ事業の部分を削除するものです。  今、日本漁業を取り巻く状況は、二百海里漁業規制による漁業構造の変化、アメリカの漁業規制による漁獲高の激減、日本近海においての魚族の資源量の低下など、極めて深刻な状況にあります。  このようなとき、漁港整備について、新たに増養殖施設などを対象とすることは時宜にかなったものと言えましょう。  漁港は、生産と流通の結節点であり、漁港及び関連施設の整備は、漁業者の経営安定、地域経済の発展や資源の有効利用などにとって決定的な役割を果たしています。  我が党は、漁港予算をふやし、国の負担率・補助率を高め、自治体や漁業者の負担をなるべく少なくして漁港整備を進めることを一貫して要求してまいりました。  しかしながら、今回の漁港法一部改正案は、漁港整備の施設の追加だけでなくNTT・Aタイプ事業を新たに導入する法改正を盛り込んでおります。  NTTプロジェクトはもともと、日本電信電話公社の民営化を固定するばかりか、本来国債の償還財源にすべきものを他に流用するという反国民的性格を持っております。その上今回のNTT・Aタイプ事業は、第一に、本来、国が負担あるいは補助すべき事業に融資という方式を持ち込むものであり、漁港整備の制度的変質をもたらすおそれが強いものであります。第二に、返済を前提とするために、公共事業の収益化・営利化を促進し、その性格をますますゆがめ、漁港整備の本来の趣旨に反するものとならざるを得ません。  以上のように、漁港整備事業の健全な発展にとっては、今回の漁港法の一部を改正する法律案からNTT・Aタイプ事業の部分をどうしても削除しなければならないのであります。  我が党の修正案は、今回の改正案の重大な欠陥を正し、漁港の健全な発展を図るための最低の措置であります。委員各位の御賛同をお願いいたしまして、私の提案理由説明を終わります。
  258. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) これより三案件並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  259. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、漁港法の一部を改正する法律案について、日本共産党提出の修正案に賛成し、原案に反対する旨の討論を行います。  反対の理由は、今回の漁港法一部改正案に、漁港整備の施設の追加だけでなく、日本電信電話株式会社、NTT・Aタイプ事業を新たに導入することとしていることであります。  NTTプロジェクトはもともと日本電信電話公社の民営化を固定するばかりか、本来、国債の償還財源にすべきものを他に流用するという性格を持っております。これは国民的利益に反するものと言わなければなりません。その上、今回のNTT・Aタイプ事業は、第一に、本来国が負担あるいは補助すべき事業に融資という方式を持ち込むものであり、漁港整備の制度的変質をもたらすおそれが強いものであります。第二に、返済を前提とするために、公共事業の収益化、営利化を促進し、その性格をますますゆがめ、漁港整備の本来の趣旨に反するものとならざるを得ません。  漁港生産と流通の結接点であります。漁港及び関連施設の整備は、漁業者の経営安定、地域経済の発展や資源の有効利用などにとって決定的な役割を果たしています。そのため、漁港予算をふやし、国の負担率、補助率を高め、自治体や漁業者の負担をなるべく少なくして整備を進めることこそが求められているのであります。  以上のように、今回の漁港法の一部を改正する法律案にNTT・Aタイプ事業の部分が導入されることにより、漁港整備事業の健全な発展をかえって阻害することになりかねないのであります。  以上が本改正案に反対する理由であります。
  260. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより三案件について順次採決に入ります。  漁港法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、諫山君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  262. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 少数と認めます。よって、諫山君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  263. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件について採決に入ります。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  264. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  稲村君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。稲村君。
  265. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、ただいま可決されました漁港法の一部を改正する法律案並びにただいま承認されました漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員の山田耕三郎君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   漁港は、漁業に不可欠の生産基盤、水産物の流通・加工の拠点、漁村地域社会の生活基盤等として、極めて重要な役割を果たしているが、最近においては、漁港を取り巻く諸情勢が著しく変化する中で、さらに高度かつ多様な機能の発揮を期待されるようになっている。しかるに、漁港整備は、財政上の制約等により、立ち遅れる傾向にある。   よって政府は、漁港整備に当たっては、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。  一 漁港整備が立ち遅れている実情にかんがみ、新漁港整備計画を完全達成するために必要な予算の確保等に最大限の努力を尽くすこと。  二 漁港整備に係る国庫補助・負担率の削減に伴う地方公共団体の財政負担の増大については、漁港整備事業の円滑な実施に支障を来さないように地方交付税の確保等所要の措置につき万全を期すること。  三 漁港法で定める漁港施設については、漁港が有効に利用されるよう、漁港をめぐる諸情勢の変化に即応して適宜見直しを行うこと。  四 新漁港整備計画の実施に当たっては、マリノベーション構想の推進等に資するため、沿岸漁場整備開発事業、沿岸漁業構造改善事業等密接に関連する諸施策との整合性に十分配慮しつつ、有機的かつ効率的に推進すること。  五 漁村の生活環境整備が著しく立ち遅れている現状にかんがみ、漁業集落環境整備事業を引き続き実施すること。   右決議する。  以上であります。
  266. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいま稲村君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  267. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、稲村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、林田農林水産大臣臨時代理から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林田農林水産大臣臨時代理
  268. 林田悠紀夫

    ○国務大臣(林田悠紀夫君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後極力努力をいたしてまいります。
  269. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  270. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案件審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  272. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する件を議題といたします。  高木君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。高木君。
  273. 高木正明

    ○高木正明君 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員山田耕三郎君の共同提案に係る牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する決議(案)   牛肉オレンジ等輸入枠に関する日米合意の期限は本日を残すのみとなり、米国政府我が国に対するこれらの輸入自由化要求は一層強まっている。   牛肉及びかんきつ生産は、我が国農業にとって基幹的作目であり、地域農業及び地域経済を支える重要産業であるばかりか、国土の保全にも極めて重要な役割を果たしており、また畜産農家、果樹農家とも極めて厳しい情勢の下で生産性向上のために懸命の努力をしている。   かかる情勢の下、万一、米側要求をそのまま受け入れれば、畜産経営、果樹経営のみならず、地域経済、国土の保全等に重大な影響を及ぼすこと必至である。   よって政府は、本問題については、我が国農業の現状に対する諸外国の理解が得られるよう一層の努力を行うとともに、輸入自由化問題に関する本委員会の諸決議を踏まえ適切に対処すべきである。   右決議する。  以上であります。
  274. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまの高木君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  275. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、林田農林水産大臣臨時代理から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林田農林水産大臣臨時代理
  276. 林田悠紀夫

    ○国務大臣(林田悠紀夫君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、今後鋭意努力をいたしてまいります。
  277. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会