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政府委員(
田中宏尚君) ただいまお話ありましたような悩みというものを
水産加工業が構造的に持っていることは否めないわけでございます。
そして、そういうことに対応いたしまして、具体的な
対策といたしましては幾つか
考えているわけでございますが、一つは、何といいましても原料を安定的に確保するということが、企業の
採算にとりましても、あるいはただいまお話ありましたようなこととの
関係で
加工業というものを周年操業させるためにも、不可欠かと思っております。そのためには、
外国でとっております魚、スケトウを初めといたしまして、こういうものの安定的確保ということもさることながら、やはりことのところの国際情勢に応じまして原料
転換をひとつ促進する、身近にあるもの、ただいま
先生からもお話ありましたように前浜でとれたものをみずから使うということが必要でございまして、そのための
近海資源を中心とします加工体制をひとつ整備するということが今回の
資金融通法の再延長につながる話でもございますし、それから水産物中核流通
加工施設整備事業というようなもので、こういう
近海魚を加工いたしますモデル
加工施設というものも
助成をしてつくっているわけでございます。
それから二番目に、先ほど来話も出ておりますように、消費者ニーズに合った新
製品を開発、普及していくということが加工全体としてのパイを大きくし、それから付加価値を高めるというゆえんのものでございますので、いろんな試験研究でございますとか、これは若干の情報が伝わっただけでも随分プラスになるということもございますので、いろんな市場
関係の情報を初め、あるいは基礎的な
技術情報というものを積極的に提供してまいりたいと思っておりますし、それから魚につきましてはいろいろとまだ科学的に未解明の部分というものも多いわけでございまして、今までせっかくとれていながら捨てられていたもの、せっかくとれていながらむしろ公害であるとか邪魔者扱いされていた部分というものも、最近になりましてむしろ資源として有用であるというような試験研究というものも相当出てきておりますので、そういうものについてもさらに一層取り組んでまいりたいと思っております。
さらに、こういう原料の確保、それから市場の開拓に加えまして、それぞれの
経営の合理化なり
経営の安定ということが個々の企業
対策として必要なわけでございますが、このためには、現在、分散的で、ただいま
先生からもお話ありましたように非常に小規模で家内工業的にやっている、あるいは十人以下の従業員が多いという形でございますが、これから広域流通あるいは高度加工ということになってまいりますと、やはり規模のメリットというものは相当出てまいりますので、
経営の共同化なり協業化というものを何とか推進したい。そのために、今回お願いしております
法律の中でも、
水産加工施設資金の融通の中でも、こういう共同化、協業化というものを大きく取り上げているわけでございますし、それから
水産加工業者の
経営なり、あるいは生産
技術等につきましてマニュアルというようなものも学界なり業界なりのお知恵も拝借いたしましてつくって、それぞれの指針として提供するというようなことも具体的な施策としては行っているわけでございますけれども、こういうことでいろいろな政策手段というものはそれぞれつくられておりますが、これをどうやってかゆいところに手が届くような形で、しかも総合化された形で運用していくかということが肝要かと思いますので、そういう方向で、せっかくつくっていただいた
法律、
制度なり、あるいはせっかくとれた予算の円滑な運用ということに十分意を用いてまいりたいと思っております。