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1988-03-01 第112回国会 参議院 農林水産委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十三年三月一日(火曜日) 午後零時四十分開会 ─────────────
委員氏名
委員長
岡部
三郎
君 理 事
高木
正明
君 理 事
水谷
力君 理 事
宮島
滉君 理 事
稲村
稔夫
君 理 事
刈田
貞子
君
青木
幹雄
君 上杉 光弘君
浦田
勝君
大塚清次郎
君 北 修二君
熊谷太三郎
君
鈴木
貞敏
君 初
村滝一郎
君 星
長治
君 本村 和喜君
一井
淳治
君
菅野
久光
君 八百板 正君
及川
順郎
君
諫山
博君
下田
京子
君 三治 重信君
喜屋武眞榮
君
山田耕三郎
君 ─────────────
委員
の
異動
一月五日
辞任
補欠通任
一井
淳治
君
赤桐
操君 一月二十一日
辞任
補欠選任
赤桐
操君
一井
淳治
君 二月十六日
辞任
補欠選任
諫山
博君
吉岡
吉典
君 二月十七日
辞任
補欠選任
吉岡
吉典
君
諫山
博君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
岡部
三郎
君 理 事
高木
正明
君
水谷
力君
宮島
滉君
稲村
稔夫
君
刈田
貞子
君 委 員
青木
幹雄
君
浦田
勝君
熊谷太三郎
君
鈴木
貞敏
君 初
村滝一郎
君 星
長治
君
菅野
久光
君
及川
順郎
君
諫山
博君
下田
京子
君
山田耕三郎
君
国務大臣
農林水産大臣
佐藤
隆君
政府委員
農林水産政務次
官 吉川 博君
農林水産大臣官
房長
浜口
義曠君
農林水産省経済
局長
眞木 秀郎君
農林水産省構造
改善局長
松山 光治君
農林水産省農蚕
園芸局長
吉國
隆君
農林水産省畜産
局長
京谷 昭夫君
農林水産省食品
流通局長
谷野 陽君
農林水産技術会
議事務局長
畑中
孝晴
君
食糧庁長官
甕 滋君
林野庁長官
松田 堯君
水産庁長官
田中 宏尚君
事務局側
常任委員会専門
員 安達 正君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
国政調査
に関する件 ○
農林水産政策
に関する
調査
(
昭和
六十三年度の
農林水産行政
の
基本施策
に関する件) ─────────────
岡部三郎
1
○
委員長
(
岡部三郎
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る十二月二十六日、
高杉建忠
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
一井淳治
君が選任されました。 ─────────────
岡部三郎
2
○
委員長
(
岡部三郎
君) 次に、
国政調査
に関する件についてお諮りいたします。 本
委員会
は、
今期国会
におきましても、
農林水産政策
に関する
調査
を行いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
岡部三郎
3
○
委員長
(
岡部三郎
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
岡部三郎
4
○
委員長
(
岡部三郎
君) 次に、
農林水産政策
に関する
調査
を議題といたします。
昭和
六十三年度
農林水産行政
の
基本施策
について、
農林水産大臣
から
所信
を聴取いたします。
佐藤農林水産大臣
。
佐藤隆
5
○
国務大臣
(
佐藤隆
君)
農林水産委員会
におきまして、私の
所信
の
一端
を申し上げます。 現下の
我が国農林水産業
を取り巻く
内外
の
経済情勢
について見ますと、
我が国経済
は内需を中心として
安定成長
を持続するとともに、
経済構造調整
が着実に進展しつつあります。しかしながら、
主要国
間にはなお大きな対外不
均衡
が存在することなどから、引き続き
国際協調型経済構造
への変革の
推進
が求められております。 こうした中で、
我が国農林水産業
は、
経営規模拡大
の停滞、
生産性向上
の立ちおくれ、
農産物需給
の不
均衡
などの諸問題に直面し、また、
内外価格差
の縮小、
農業保護
の
あり方等
につき
内外
から強い
関心
が寄せられるとともに、諸外国からの
市場開放要求
が高まるなど厳しい
状況
にあります。 申すまでもなく、
我が国農林水産業
は、
国民
の
ニーズ
に即した
食糧
の
安定供給
、活力ある
地域社会
の維持、
国土
・
自然環境
の保全とその調和ある活用など、
我が国経済社会
の
発展
や
国民生活
の安定のため重要な
役割
を果たしております。 今後の
農林水産行政
を
推進
するに当たっては、このような
農林水産業
の持つ
基本
的かつ多面的な
役割
を踏まえつつ、
国際化
、
高齢化
、大都市の過密と一部
農山漁村
における
過疎化
の進行、
技術
の
高度化等
、今後の
社会経済情勢
の
変化
に的確に
対応
していく必要があります。 このため、
農林水産省
といたしましては、
農政審議会報告
「二十一
世紀
へ向けての
農政
の
基本方向
」を踏まえ、すぐれた
担い手
、
優良農地
、
水資源等
の
確保
や
農業技術
の
向上等
により
食糧供給力
の
確保
を図りつつ、
国民
の納得し得る
価格
での
食糧
の
安定供給
に努めることを
基本
として、与えられた
国土条件等
の制約のもとで
最大限
の
生産性向上
を図る必要があり、これに焦点を合わせて諸
施策
を
展開
することといたしております。 昨年は、この
報告
の指し示す
方向
へ向け現実の歩みを始めた年であり、
構造政策
をより重視した
水田農業確立対策
を新たに実施するとともに、米を初めとする
各種農産物
の
行政価格
の
引き下げ等価格制度
の適切な
運用
を図るなど、諸般にわたる
施策
の
展開
を図ったところであります。本年も、この
報告
の指し示す
方向
に向けての
取り組み
をさらに前進させるとともに、
国民
の
ニーズ
の
変化等
新しい
時代
の流れを積極的に酌み取りつつ、各方面の声にも
十分耳
を傾けながら、
国民
の
合意形成
の上に立って
各般
にわたる
施策
を
推進
してまいりたいと
考え
ております。 以下、
昭和
六十三年度における主要な
農林水産施策
について申し上げます。 まず、
農業
の
振興
についてであります。 第一は、
土地利用型農業
の
体質強化
を目指した
構造政策
の
積極的推進
であります。
土地利用型農業
の
経営規模
の
拡大
と
生産性
の
向上
を図り、その
体質
を
強化
することが
我が国農業
の健全な
発展
にとって緊要な
課題
となっております。このような
課題
に対処するためには、
農業構造
の
改善
を積極的に進め、また、その
基礎的条件
である
農業生産基盤
の
整備
を図ることが重要であります。 このため、
生産性
の高い今後育成すべき
担い手
への
農地
の集積や、
作業委託
の
促進等
を通じて
経営規模
の
拡大
を
地域
の
実情
に即して進めるほか、新現
就農者
を含め、次代の
農業
を担う
技術
・
経営能力
にすぐれた意欲的な
農業者
の
育成確保
にも努めてまいります。 また、
農業生産基盤
の
整備
を第三次
土地改良長期計画
に即して着実に実施してまいります。 第二は、
需要
の
動向
に応じた
生産性
の高い
農業
の
展開
であります。
需要
の
動向
に適切に
対応
しつつ、
産業
として自立し得る
農業
の
確立
に資するため、
水田農業確立対策
を引き続き実施することとし、
水田
を活用して
生産
される作物の
生産性
の
向上
、
地域輪作農法
の
確立
及び
需要
の
動向
に応じた米の
計画的生産
を一層
推進
してまいります。また、その
推進
とも呼応した合理的な
土地利用方式
を実現するとともに、水稲、麦、大豆、
特産農作物等
について
生産性
の高い主
産地
を育成することを目指して総合的な
農業生産対策
を
推進
してまいります。また、
肉用牛生産
の低
コスト化
と
肉用牛資源
の
拡大
の
重要性
にかんがみ、
肉用牛対策
に重点を置いて
畜産総合対策
の
充実
を図ってまいります。 さらに、
生産コスト
の一層の
引き下げ
を図るため、
生産資材費等
の節減のための
取り組み
を
強化
することといたしております。 第三は、
農山漁村地域
の
活性化対策
の
推進
であります。
農山漁村社会
の
高齢化
、
混住化等
に対処しつつ、
経済社会
の
変化
にも即応して、
農林水産業
に携わる人々が意欲と生きがいを持てる新しい
地域社会
を目指し、
農林水産業
の
振興
とあわせ、
生活環境
の
整備
、安定した
就業機会
の
確保
、
リゾート地域
の
整備
、都市と
農山漁村
の交流の
促進等
により、
農山漁村地域
の
活性化
を
推進
してまいります。 第四に、
バイオテクノロジー等先端技術
の
開発
・
普及
とニューメディアを活用した
情報システム
の
整備
であります。 これらの
先端技術
は、今後、
農林水産業
、
食品産業等
の
生産性
の
飛躍的向上
、新しい
食品素材
の
開発
、
農山漁村
の
活性化
を図る上で極めて重要な
役割
を果たすものと期待されております。 このため、産・学・官の
連携強化
により総合的に
バイオテクノロジー
などの
先端技術
の
開発
を図ることとし、二十一
世紀
を見通した
バイテク育種
や
生物機能
の解明に関する
基礎的研究等
を
推進
してまいります。また、あわせて
技術開発
の成果の早急な現場への
普及
を図るため、所要の
措置
を講じてまいります。 このほか、
農山漁村地域
における
情報システム化
を
推進
するとともに、各分野における
ソフトウェア開発等情報システム化
の
促進
、
農業
に係る
情報
の的確かつ効果的な提供を実施してまいります。 第五は、健康的で豊かな
食生活
の
保障
と
農産物
の
価格
・
需給
の安定であります。 健康的で豊かな
食生活
の
保障
の
観点
から、
日本型食生活
の
定着促進
を図ることを
基本
として、
消費者ニーズ
の
多様化
、
高度化等
に
対応
した
消費者対策
や
農水産物
の
消費拡大対策
を
展開
してまいります。
価格政策
の
運用
においても、
構造政策
を助長し、
農業
の
生産性向上
の
促進
に資するとともに、対象とする
農産物
の
需給均衡
の
確保
に資するといった
観点
も踏まえ、
国民
の
理解
と納得が得られるよう適正な
運用
を期してまいります。
食糧管理制度
については、
国民生活
の安定を図る上での
重要性
を認識し、
制度
の
基本
は今後とも維持しつつ、昨年十一月の
米流通研究会報告
の趣旨を体して、
消費者ニーズ
に
対応
した
流通
及び
生産
が迅速かつ柔軟に行われるようなしなやかな
流通システム
の実現を図るなど、
各般
にわたる
改善
を着実に積み重ね、
国民
の
理解
が得られるよう努めてまいります。 また、最近における
米需給
の
動向
と今後の見通しは、三たびの
過剰処理
が懸念される事態となっていることにかんがみ、
生産
、
流通
、
消費
の
各般
にわたる緊急の
取り組み
により
需給均衡
の
回復
に努めてまいります。 さらに、
国民
に対する安定的な
食糧
の
供給
を図る上で重要な
役割
を果たしている
食品産業
につきましても、
中長期的展望
に立ってその
体質
と
経営基盤
の
強化
を図るため、
原料対策
、
技術対策
を初めとする
各般
の
施策
を総合的に
推進
してまいります。 以上、申し上げました
各般
の
施策
のほか、
各種制度資金
について、その内容の
充実整備
を図るほか、
農業災害補償制度
の円滑な運営を図ってまいります。 また、
開発途上地域
の
農林水産業生産力
の
向上等
を通じ、これら諸国の
経済社会
の
発展
に寄与するため、
国際協力
に努めてまいります。 次に、
林業
の
振興
についてであります。
林業
につきましては、近年、外材の
価格競争力
の高まり、山村の
過疎化
、
高齢化等
により
生産活動
が停滞し、
森林
の
管理水準
も低下するなど困難な
状況
にありますが、最近では、
木材需要
の
回復
など明るい兆しも見え始めております。このような
状況
のもとで、
林業
・
木材産業
の
活性化
を図るとともに、
国民
の
森林
に対する多様な要請にこたえていくことが喫緊の
課題
となっております。 このため、
木材需要
の
拡大
、
木材産業
の
体質強化
、造林、林道などの
林業生産基盤
の
整備等各般
の
施策
の
推進
に努める
考え
であります。特に、本年におきましては、
国産材時代
の到来に備えた
地域材
の
産地化
の
推進等
に積極的に取り組んでまいります。 また、
国民経済
及び
国民生活
に重要な
役割
を果たしている
国有林野事業
につきましては、改定された
改善計画
に基づき、
経営改善
に鋭意努力してまいる
考え
であります。 次に、
水産業
の
振興
についてであります。
水産業
は、
国民
の必要とする
動物性たんぱく質
の約半分を
供給
し、健康的で豊かな
日本型食生活
の一翼を担う重要な
産業
でありますが、二百海里体制の
本格的定着
、
水産物需要
の伸び悩みなど厳しい
環境
のもとで、
長期的視点
に立って新しい
時代
に即応した
水産業
を
確立
することが急務となっております。 このため、
昭和
六十三年度を初年度とする第八 次
漁港整備長期計画
及び第三次
沿岸漁場整備開発計画
を策定し、
漁業生産基盤
の
整備
を計画的に進めるとともに、「つくり育てる
漁業
」の
推進
、
先進的技術
の
開発
など
我が国周辺水域
の
漁業振興
に努めてまいります。 また、厳しい
環境
にある
漁業経営
の
体質強化
を図るため、
漁業生産構造
の再編、
漁協信用事業
の
整備強化等経営対策
の一層の
推進
を図ってまいります。 さらに、
消費者ニーズ
を十分に踏まえつつ、
水産物
の
流通加工
、
価格
安定及び
消費拡大対策
を
推進
してまいります。 また、
海外漁場
の
確保
を図るため、
相手国
の
実情
を踏まえつつ粘り強い
漁業交渉
を
展開
するとともに、新
資源
・新
漁場
の
開発
、
海外漁業協力
を実施するほか、
漁業災害補償制度
の
改善等
を図ってまいります。 以上のような
農林水産施策
を
推進
するため、引き続き、厳しい
財政事情
のもとではありますが、
各種施策
について
優先順位
の厳しい選択を行いつつ、
我が国農林水産業
に新たな
展望
を切り開いていけるよう、必要な予算の
確保
を図ったところであります。 また、
施策
の
展開
に伴い必要となる法制の
整備
につきましては、今後とも、当
委員会
の場におきまして、よろしく御
審議
のほどをお願い申し上げます。 なお、農林
水産物
貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおける
農産物貿易ルール策定
への
対応等
の難しい問題もありますが、
我が国農林水産業
の健全な
発展
との調和を図ることを
基本
に、
関係国
との
友好関係
にも留意しながら、適切に対処していく
考え
であります。 特に、いわゆる
農産物
十二品目問題に関しましては、乳製品及びでん粉については、
パネル報告
の結論に基づく
措置
を実施することは極めて難しいとの
立場等
を明確にした上で、その
一括採択
に応じたところでありますが、
国内対策等
今後の
対応
については、
我が国農業
の将来に禍根を残すことがないよう
最大限
の努力を傾注していく
考え
であります。 以上、
所信
の
一端
を申し上げましたが、近年、急速な
国際化
が進展し、また、国
内外
の
各界各層
から深い
関心
が寄せられている中で、
農林水産行政
を
推進
するに当たりましては、手順を尽くし、
国民各界各層
の信頼を築き上げ、
農林水産業
の確かな
展望
を示すよう全力を尽くしてまいりたいと
考え
ております。
委員各位
におかれましては、
農林水産行政推進
のため、一層の御支援、御
協力
を賜りますよう、お願い申し上げます。
岡部三郎
6
○
委員長
(
岡部三郎
君) 本
調査
に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十五分散会