運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-04-14 第112回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十二日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     上田耕一郎君  四月十三日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         名尾 良孝君     理 事                 板垣  正君                 岩本 政光君                 大城 眞順君                 野田  哲君     委 員                 岩上 二郎君                 大島 友治君                 岡田  広君                 亀長 友義君                 永野 茂門君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 小野  明君                 久保田真苗君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 吉川 春子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤  隆君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君    政府委員        総務庁長官官房        長        古橋源六郎君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        総務庁恩給局長  石川 雅嗣君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産大臣官        房審議官     伊藤 礼史君        農林水産省構造        改善局長     松山 光治君        農林水産技術会        議事務局長    畑中 孝晴君        食糧庁長官    甕   滋君        食糧庁次長    近長 武治君        林野庁長官    松田  堯君        水産庁長官    田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        警察庁刑事局国        際刑事課長    兼元 俊徳君        外務省北米局安        全保障課長    岡本 行夫君        外務省欧亜局西        欧第一課長    小川郷太郎君        厚生省生活衛生        局食品保健課長  松田  朗君        農林水産省経済        局国際部長    塩飽 二郎君        農林水産省農蚕        園芸局次長    兵藤 宗郎君        農林水産省畜産        局審議官     濱田幸一郎君        労働省職業安定        局雇用政策課長  廣見 和夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣
  3. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) ただいま議題となりました農林水産省設置法の一部を改正する法律案提案理由改正内容を御説明申し上げます。  我が国農林水産業は、国際化高齢化技術高度化等最近の経済社会情勢変化の中で、食糧の安定供給を初め活力ある地域社会の維持、国土、自然環境保全等我が国経済社会の発展と国民生活の安定に重要な役割を果たしております。  このような農林水産業につきまして、近年、国際収支の不均衡等国際経済構造変化を背景として、その国際環境に一段と厳しさが加わっております。  特に農業におきましては、世界的な農産物過剰生産等による輸出競争の激化、農業への財政負担増大等各国経済運営上大きな問題となっており、これに伴い二国間の協議内容農産物関税率の引き下げ、輸入枠拡大等を求めるものから輸入制度そのものにかかわるものへと発展するとともに、ガット等多国間の協議の場において農産物貿易問題の一環として、各国農業政策のあり方が重要な課題として取り上げられるに至っております。  このように、農業を初め農林水産業をめぐる国際問題は我が国国内農林水産業政策全般にかかわるものへと拡大し、質的にも大きく変化しており、まさに農林水産省全体として取り組むことを要する問題となっております。  農林水産省におきましては、従来、国際問題に関する事務につきましては経済局長が総括してきたところでありますが、このような情勢に適切に対処するためには、全省的立場から各局庁間の政策調整を行うとともに、閣僚代理または次官クラス高級レベルでの対外交渉を担当する職が必要不可欠であります。  このため、農林水産省所管行政に属する重要な政策企画立案及び実施に関する事務を総括整理する農林水産審議官設置することとし、この法律案提出した次第であります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 久保田真苗

    久保田真苗君 ただいまの農水省設置法改正ですけれども農業国際化という問題もありまして大変お忙しく、それに対応するための農水審議官設置するという話であります。このポストはまだないんですけれども、何かもう既に内定してそういう内定の辞令が出ているということなんですが、これはどういうことなんでしょうか。
  6. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 今おっしゃいますように、一部報道に、せっかく衆議院におきましてもまた今日におきましてはこの参議院当委員会におきまして審議をごちょうだいするというときに、あのような記事が出るということは甚だ遺憾でございます。推測と言えば許されるのかということになりますけれども、許す許さぬは今日の言論の自由、出版の自由ということを考えましても甚だ遺憾に存じております。
  7. 久保田真苗

    久保田真苗君 こういうことになりますと、結局国会審議が形骸化していると言われるもとになりますので、よろしく御注意いただきたいと思うんです。  ところで、農水審議官設置するということで、今農水省が面していらっしゃる国際化に伴う非常に困難な問題の解決がそれで済む問題ではないと思いますので、この際農水省全体の対応といいますか国際化に伴う心構えといいますか、そういう非常に思い切った対応をして粘り強くやるということが必要だと思いますが、この辺は大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  8. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 急速な国際化に伴いまして行政の方がおくれているのではないか、こういう意味での御指摘かと思います。  これ以上おくれをとってはならぬということで実はお願いもいたしておるわけでございますが、各分野にわたりましてただいま提案理由説明、その内容等にも触れまして御説明申し上げましたように、こういう時局に対応するに当たりまして、我が省心を一にして行政の責任を果たしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  9. 久保田真苗

    久保田真苗君 審議官が行う事務ですけれども、これは、「命を受けて、農林水産省所管行政に属する重要な政策企画立案及び実施に関する事務を総括整理する。」職であるということでございますけれども、実際にどういう事務をさせるという御予定ですか。
  10. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) お答え申し上げます。  農林水産審議官は、国内におきましては、我が国農業政策全般にかかわります極めて重要な対外的な側面の問題につきまして、全省的な立場に立って関係各局間のあるいは関係方面との調整を必要とする事項等について事務的な最終総括整理を行うというのが大きな役割になろうかと思います。また対外的には、我が国農業及び農業政策に重要な影響を持ってまいります、最近非常に多くなっているわけでございますが、いわゆる次官レベル以上の出席を必要とする国際会議多国間の場あるいは二国間の場で非常にふえてきているわけでございますが、そういったタイプの重要な交渉出席対応することとなろうかと思います。  具体的には、最近の我が国をめぐります農産物交渉、わけても牛肉かんきつなど当面する日米間の農産物貿易問題及び、既に開始されて一年半ぐらい経過しておるわけでございますが、今後さらに交渉が具体化してまいりますガットの新ラウンドと呼ばれている多国間の交渉への対応などが主として担当する業務になろうかと考えておるわけでございます。
  11. 久保田真苗

    久保田真苗君 現在、国際問題を総括しているのは経済局長ですね。そういたしますと、これは新たに設けられる農水審議官にこの経済局長職務が移行するという意味なんですか。つまり、内定によれば経済局長がその仕事を持って審議官の職にお出になる、こういうことになるわけですか。
  12. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 設置後の農水審議官経済局長との職務関係についてのお尋ねだと思いますが、当然経済局長には、やはり職務一つといたしまして、対外関係の問題を国内面あるいは対外折衝場面で担当していく業務が引き続き残っておるわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、対外的な側面の問題が非常に重要になってきておりますので、かつまた次官レベル以上の出席を必要とする多国間ないしは二国間の交渉あるいは協議場面が非常に多くなっておりますので、経済局長業務との連携を図りながら、さらに高い次元に立っての省内での総括業務あるいは対外折衝場面に出ていって担当するというような分担関係になろうかと思います。
  13. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、経済局所掌事項にはこのポストが新設されるにもかかわらず何らの変更がない、つまり法令上の改正はない、こういうことなんでしょうか。
  14. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 現時点では、この農水審議官設置に伴いまして、それに直接関係づけた形での経済局ないしはその中での国際担当部局でございます国際部組織についての新たな組織改定予定はいたしておらないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、国際関係業務内容的にもあるいは量的にも非常に重要になってきておりますので、国際担当を直接やっております経済局の中の組織機構についての強化の措置を逐年講じてきております。具体的には、例えばガットの問題を直接担当する専門の部署でございますとか、あるいは全体の事務レベル政策調整を行います専門の室でございますとか、そういったものを最近整備いたしてきているわけでございます。
  15. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、スクラップ・アンド・ビルド原則によりまして今回これによってそのかわりに廃止されるポストというものについて御説明いただきたいと思います。
  16. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) ただいま先生お尋ねの、この重要なポストをつくっていただくに際しまして、私ども政府都内におきましての交渉に基づきましてスクラップと申しますか、そういたしましたポストは次の三つでございます。一つ農蚕園芸局次長、それから大臣官房審議官、この二つはそれぞれいわば指定職ポストでございます。それと課長クラス大臣官房参事官、計三つスクラップとしたわけでございます。  先ほど先生質問の点に触れさせていただきますと、私どものラインの問題としまして、国際関係経済局その他の局があるわけでございます。今回、国際化対応いたしまして特に重要なスタッフといたしまして御審議を賜っております審議官をつくっていただこう、こういうお願いをしているわけでございますが、今申し上げましたように、この重みに従いましてそれぞれこの三つというものを出させていただいたわけでございます。この三つ意味は、やはり私ども政府で進めております行政改革国家組織というものをややスリムにしていくというような観念に立ちまして、一つに対して三つという数の大きい対応をさせていただいております。  なお、これにつきましては、特に農蚕園芸局次長というポストでございますが、これは我々次長クラスというふうに言っておりますけれども、かつては国家行政組織法におきまして法律職であった重要なポストでございます。そういうようなものをいわば提出させていただきまして、今回御審議を賜っております重要なポスト、この審議官というものの設置お願いしているという次第でございます。
  17. 久保田真苗

    久保田真苗君 今の三つポストが廃止になると。なぜこの三つポストが選ばれているのか、その御説明お願いします。
  18. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) ただいま申し上げましたように、今回御審議を賜りまして御設置を願いたいというこの審議官は、極めて重要なポストでございます。俗流に次官クラスポストということでございますので、それに応じる重みのあるポストというものをバランス上、行政改革の観点から提出をしなきゃいけないという観念一つでございます。そういった場合におきまして、実は農林水産省全体の中で次長ポストというものは数個あるわけでございますが、そういった関係の中で、いろいろの実務の今後の進め方等々から農蚕園芸局次長ポストというものを一つ出させていただいたというのが一つでございます。さらに、そういったものにつきまして、先ほど来お話し申し上げております重みの点で、指定職といったようなもので大臣官房に置いております数名のポストの中から一つ削減させていただいた、あわせまして課長クラスのものを提供させていただいたということでございます。この設置に伴いまして、先生御案内のとおり、農林省設置法の中でもかなり大きな設置法改正になろうかと思います、数は少のうございますけれども。そういったような重要性にかんがみまして、先ほど来申し上げているような都合三つポストバランスをとりながら提供させていただいたということでございます。
  19. 久保田真苗

    久保田真苗君 私が伺っているのは、農蚕園芸局次長大臣官房審議官経済局担当)、大臣官房参事官労務担当)というこの三つポストは、つまり重要度が低いので比較的には必要がない、そういうふうに考えられるわけですね。
  20. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) それぞれのポストにつきまして、例えば農蚕園芸局次長ポストという点を考えてみますと、現在の農林省組織の中でそれなりの、それなりと申しますか、極めて重要なポストではございます。ただ、今回の農林省全体の中でいわゆる次官クラスポストといったものを新設させていただくに際しまして、重要なポストではございますけれども、今後の仕事進め方、特に、例えば官房にいろいろスタッフがございますけれども、そういうものとの連携調整がとれるポストという形でこの三つポストを提供させていただいたということでございまして、このポスト現時点におきまして弱いポストといいますか、不必要なポストあるいはより次元が低いポストということではございません。  もちろん、そういう点につきましてやや論理的な問題はございましょうけれども、私どもといたしましては、次官クラスポストをあがなった後のポストにつきましてはそれぞれ、繰り返すようでございますが、官房に置いておりますスタッフといったようなものを活用いたしましてその実務の円滑な運営が図られますようにしていきたいという考えに立っております。
  21. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり、この三つポストは廃止しても支障がないんですね。
  22. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) この点につきましては、先ほども申しておりますが、現実にそれぞれ現組織の中で重要なポストでございます。廃止された後は支障がないようにそれぞれの運営、それぞれの事務の仕方に工夫を凝らしたい、そういうふうに考えております。
  23. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういうことで三つを選んで廃止されたわけですから、こういうポストがなくても、当然スクラップ・アンド・ビルド原則でやらなきゃならないことはよく御承知なので、支障がないようにお願いしたいと思います。そして、今度新設されるポスト法律職ですけれども組織令改正なら国会関係がないんだというようなことで安易にまた復活するとか、そういうふうなことになりますと非常に問題だと思いますので、そこのところはどうぞよろしくお願いいたします。  次に、農水大臣、先日の渡米でまことに難しいお仕事を御苦労さまでございました。ところで、多くの国民が何となく釈然としない問題があるんですね。それは、隗より始めよという言葉があるんですけれども、これは中国の戦国時代郭隗という人の言った言葉だということでして、初めは遠大なことをするには手近なことから始めよということだったらしいけれども、今私たちが思っておりますのは、事を何かするのならまず自分自身が着手せよ、そういう常識を私どもはやはり持っているわけです。  ところで、アメリカ自分牛肉輸入制限をしているわけですね。そして、日本に対しては自由化を要求している。このことは、どうも国民感情からしますとまことに身勝手なんじゃないかという感じを多くの人が受けているわけです。もちろん、牛肉等自由化につきましてはいろいろな論があると思いますけれどもアメリカがこれを要求することについては身勝手という声が非常に多いわけです。この点につきまして、当然大臣渡米なさいました折にこういうこともおっしゃったと思うんですけれども、これについてアメリカは一体どういう説明をしているんでしょうか。私どもはもうひとつ納得のいく説明がどうしても欲しいわけです。いかがなものでしょうか。
  24. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私、先般国会のお許しをいただいて渡米をいたしました。この今おっしゃる問題につきましては、中川・ストラウス会談以降随分年月がたってまいりました。その都度誠実に話し合いで決められたことをやってまいりました。  今日の我が国実態考えますと、牛肉かんきつ、この問題につきましては自由化は困難でございます、それをひとつわかってもらいたいということでテーブルづくりを進め真剣な話し合いをしようということで、一月の日米首脳会談以降特に真剣にそのアプローチをかけてまいりました。なかなかテーブルづくりができませんでした。関係する多くの方々、心配される方々に大変御迷惑をかけてまいりました。ところが、三月三十一日、ぎりぎりの期限、それの四、五日前でございましたか、テーブルづくりをやろう、話し合いをしようと、こういうことになりましたので、私は渡米をいたしたわけでございます。  当然のことながら、牛肉かんきつ自由化は困難である、日本実態はかくかくしかじかであるということをお話し申し上げました。しかし、このことについては先様は四月一日から完全自由化はもう決まっているんだという話でございました。全くかみ合わないままですね。しかし、そうはいいながらも決裂したのでは、今まで長きにわたって話し合いで進めてきた経緯もございますし、また友好国として勝った負けたという決着がついてはなりませんし、何としても話し合いをしようということで、四回の会談の四回目の会談におきまして我が方から、私から提案をいたしました。ガットの手続はアメリカ側は取り運ばれるでありましょうけれども、それはそれ、我が方はこの時点においてさらに継続的に真剣な話し合いをしていこう、こういうことを呼びかけ提案をいたしましたところが、それは合意をするということで意見の一致を見ました。  自由化は困難であるということが合意できなかった点はまことに申しわけなく思っております。残念なことでございましたが、しかし話し合いは継続しようということで、たまたまイースターという宗教的、社会的な行事でございましょうか、そういうことで全体が休みになるということで帰ってまいったわけでございます。しかし、話は継続ということでございますので、おととい三局長実務者レベルにおいて、その話し合いが合意されたそういう形の中でさらに話し合いをさせようと、こういうことで派米をしたわけでございます。  そういうことでございまして、今おっしゃるように各国の事情、アメリカには食肉輸入法があるではないか、ECにはECの、また欧州筋には歴史的な経緯の中でいろいろな手だてがあります。我が国には我が国のスケジュール、計画というものもあるわけでございまして、それを話し合いにおいて平和的に決着をさせたい、こういうことで全力を挙げておるところでございます。
  25. 久保田真苗

    久保田真苗君 アメリカ日本牛肉を輸出している。しかし、アメリカも豪州から牛肉を買っている。だけれどもアメリカ牛肉について輸入制限をしていますね。それについては正当性があるというふうに大臣はお考えなんでしょうか。つまり、自由化を要求する人が自分輸入制限をしているということが正当性があるというふうにお考えなんでしょうか。
  26. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 砕いて簡潔に御説明申し上げますと、私が渡米をいたします直前にオーストラリアから担当大臣がお見えになりました。私は、半分は冗談で半分は本気だよということを率直に申し上げました。食肉輸入法、これ自体について私はあす朝訪米をするが、あなたも一緒に行って同じ意見を言おうかなということを、半分ジョークであるという言い方をしながらも、私はそう申し上げました。そのことについては黙して語らずということでございましたけれども、私どもはそのようなそれぞれの国の、先ほど申し上げますように、いろんな経緯があってのことであるということでございまして、我が方には我が方の経緯があるということを真剣に説明をしておるところでございます。
  27. 久保田真苗

    久保田真苗君 さきにガットの裁定を農産物十二品目が受けました。それで、政府はこれの自由化について一応一括採択を受け入れたということですね。それで、そのとき問題になって自由化が困難だという立場をとったと聞いていますでん粉乳製品の二品目について、今後の対策、これをどういうふうに処理していらっしゃるのか、それについて伺いたいと思います。
  28. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) お答え申し上げます。  今御質問がございましたように、我が国農産物十二品目についてのガットパネル報告が二月の理事会におきまして、我が国もその採択に異を唱えないということで、最終的に一括採択になったわけでございます。そのパネル報告判断といたしまして、十二品目のうち十品目についてガット関係の条文に照らして違反であるという、残念ながらそういう判断だったわけでございますが、そのうち乳製品でん粉につきましては、私ども考えとしてガットパネル判断に非常に問題がある、我々としてはそれに納得しがたいということ、さらにまた酪農あるいはでん粉産業我が国農業あるいは関連産業に占める重要性にかんがみまして、このパネル判断にもかかわらず、かつまたその判断をベースといたしておりますこれらの産品についての輸入制限を撤廃すべきであるというパネル勧告、それは理事会決定によって正式のガット決定となったわけでございますが、我が国としてはこれら二品目については、今申し上げたような我が国立場から勧告を実行することは著しく困難である、具体的には自由化をすることができないということを正式の日本政府立場として表明したわけでございます。  今後のこれら二品目を含む取り扱いにつきましては、いついつまでに勧告を実行しなくちゃいけないというきちっとした時間的な期限はないわけでございますが、常識的にはやはりかなり早い期間内に、勧告内容に即したそれぞれの措置を国内的に講じていく必要がございます。したがって、省内にプロジェクトチームを設けまして、自由化の時期でございますとかあるいはそれに伴って必要になります国内対策の内容、目下それらについての検討を進めている段階でございますが、最初に申し上げましたように、乳製品でん粉につきましては勧告内容にもかかわらずそれを実行することは困難である、自由化はできないという立場我が国の方針として既に決定をされておりますので、今後具体化してまいります十二品目問題についての最終的な決定においてもそれらの立場を踏まえて、これらの二品目については輸入制限を撤廃しない前提に立って対応するということにする考えで今検討を進めているところでございます。
  29. 久保田真苗

    久保田真苗君 何か私にはよくわからないんですね。十二品目自由化を一括して受け入れられながら、この品目については自由化はできないと言い、そして輸入制限を撤廃しないという対応にしていて、それで無事に乗り切っていかれるものなのかどうか、私にはどうもさっぱりわからない。こういうところをわかるように説明していただきたいんですね。  例えばいろんな方策があるけれども、これはプロジェクトでなさるんだと、時期、対策についてはプロジェクトでなさるんだということなんです。しかし、時期的にはそんなにぐずぐずしていられないということが一方にあるわけですね。自民党としては、国内対策は自民党が責任を持ってやるんだと公言していらっしゃるわけなんですよ。そうしますと、一体どれが本音なのか、どういうふうに対応なさるおつもりなのか、そこのところがちっとも見えてこないので、これじゃもう私どももそうですけれども農家の方、生産者の方、こういう方たちにはこれは本当にミスリーディングなんじゃないでしょうか。やっぱりこれしかない、あるいはこういうふうにやる、そのかわりこういうふうにするというような対策をはっきり打ち出して初めて安心してやれるのであって、このままで一年二年放置されたらたまったものじゃないと思うんですね。一体どういうことなんでしょうか。
  30. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 今先生の方からお話がございましたように、全く私どもも同じような感覚を持っておるわけでございます。  勧告内容先ほども申し上げましたように、いついつまでにというきちっとしたタイムリミットはないわけでございますけれども関係農家に対する的確な対策をできるだけ早く打ち出すことによって、安心して生産に取り組んでいただくことに持っていく必要がございますし、またガット関係国としても勧告日本がどのようにどういうタイミングで実行していくかということについては当然相当の関心を持って見ておるわけでございます。今後、ガット理事会等においても逐次関係国からの日本対応ぶりについての質問も出ることが十分予想されます。それからまた、この問題は日米間の問題として出てきた性格が非常に強うございますので、我が国のとる最終的な自由化の時期でございますとかあるいは関係の措置につきましても、ある程度アメリカとの事前のすり合わせということも必要な場面が出てくるというふうに見ております。そういうことを頭に置きながら、できるだけ早急にそういった成果が得られるように、省内における検討をしっかり進めていきたいというふうに考えております。
  31. 久保田真苗

    久保田真苗君 プロジェクト等を通じての時期、対策の打ち出し、そういうものについて当然めどがあると思いますね。それはいつごろをめどにお考えになっていますか。
  32. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) いろんな場でそういう御質問を実は受けるわけでございまして、正直申し上げて私自身も一日も早くという気持ち、関係の皆様に安んじて生産に従事をしていただく、また流通関係、消費者の皆さんにもわかっていただける、その日が一日も早いことをもうじりじりしながら念願をしておるという状況にございまして、しかし、二月二日のガット理事会における結論を聞かれまして、例えば沖縄のパイン農家にしてみれば、もう四月一日からは自由化になるんじゃないかという御心配をしておられる。そうではないということを現地で説明も私いたしてまいりました。パインで生きてこられた方が生きていけるようにしなければならぬのは当然の措置である、そういう意味で十分ひとつ考えて処理をしてまいりたい、こういうことを申し上げてきたわけでございまして、まあいつまでの時期と言われても何月何日と言うわけにもまいりませんが、牛かん交渉ただいま大変な問題になっております時期だけに、じゃこれと並行してどうしていくかというようなことになりますとなかなか難しい問題でございます。  牛かん交渉も一日も早く決着をつけなければなりません。そういう意味でなるべく早く結論が得られ、そしてスケジュールとしてはこんなスケジュールであるぞということをでん粉乳製品、八品目等につきましてもそういうことをプロジェクトチームでちゃんと結論を出して、一日も早く説明をいたしたいものだと思っておるところでございます。いつの幾日までにやるのかはっきり言えと言われても、ちょっと答えにくいのでございます。
  33. 久保田真苗

    久保田真苗君 お答えになりにくいでしょうけれども大臣の御答弁を聞いていますとまあ一日も早く、それも安んじてやっていただくんだということでありますと、例えば三カ月以内とか大体そういう感じを受けるんですけれども、まあその程度には何とかやっていらっしゃるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  34. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) まあなるべく早く一日も早くということは、もう今月にでも来月にでもと気は焦れどもという気持ちを率直に申し上げておるわけでございまして、それじゃそれは三カ月と受け取っていいかと聞かれて、三カ月と受け取っていいということにはなかなかなりません。それよりも早くできればしなければならない、あるいは物によってはおくれる場合もあるかもしれぬ、こういうことでございますので、あしからず御理解賜りたいと思います。
  35. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、ガットのこの十二品目に関する理事会でこういうことを言っているんですね。ここに出たある某国の代表なんですけれどもパネルは締約国の権利義務を平等に扱っていないんだと、そして日本の市場開放努力を十分に評価したものとも言えないと、こういう発言をした代表がいるんですね。それは結局暗に、アメリカがウエーバーでもって輸入制限をいろいろやっている、その人が張本人で日本自由化に非常にきついことを言っていると言うわけでしてね、外国の人もこういう感じを持つのであれば、私はこの辺についてじゃアメリカのやっていることはどうなんだと、そういうことは一矢報いてもいいんじゃないかと思うんですけれども、この辺は十分やっていただいているんでしょうか。で、アメリカは何と答えているんですか。
  36. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 十二品目の問題がパネルにおきまして議論されました際に、私どもの主張といたしましてこれら産品のガット上の法的な位置づけ、日本政府としての考え方を主張したことはもちろんでございますけれども、それとあわせまして、今先生からお話のございましたような直接法律の解釈とは離れまして、世界の農産物貿易のあり方から見ての公平性の問題、そういった問題を十分主張したわけでございます。具体的には、今お話がございましたように、アメリカガット上ウエーバーという措置によって一応法的には合法的なものとされておりますけれども、十四品目にわたる農産物について輸入制限をやっているではないかと、その実質的な経済的な効果では何ら我が国等の輸入制限と変わらないものがなされている、それからまた先ほどお話がございましたような食肉輸入法に基づいて同様の輸入制限的な措置が輸出国の自主協定ではあるけれども行われているではないかというようなことを指摘しつつ、さらにまた我が国農産物の世界最大の純輸入国として農産物の貿易に非常に貢献をしている、そういった点も十二品目問題の判断に当たっては十分勘案されるべきであるということを繰り返し主張したわけでございます。  また、関係国に対しても我が国のそういった立場を理解させるように努めたわけでございますが、残念ながらパネル判断としては、あくまで問題は十二品目ガット上の合法性を問題にしているのであるから、日本の主張しているそういった公平性に絡む問題についてはいわば判断の対象外とされたというのがパネル判断の結果だったわけでございます。しかし、こういった問題は、今後ニューラウンドの場で世界の農産物貿易問題の新しい秩序を形成するための交渉の場におきまして私どもはさらに主張いたしまして、実質的な公平が担保されるようなルールづくりに持っていかなくちゃいけないというふうに考えているわけでございます。
  37. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、牛肉、オレンジについてのパネルは今回日本が反対して設置されなかったんですけれども、次が五月四日の定例理事会ということでして、もしここで二国間協議が成立しないとやっぱりパネル設置される、こういう見通しなんでしょうか。これは大臣が再度渡米をして決着を図るということを表明されておられますので、その御努力は当然あると思うんですけれども、しかし、さっきからおっしゃいますように非常に先の楽観を許さない状況であるということを考えますと、やっぱり五月四日の定例理事会ではパネル設置されるであろう、かもしれないという見通しをお持ちでしょうか。
  38. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) ガット理事会が五月四日に次の理事会予定されております。その間、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、私どもはこの牛肉かんきつ問題について日米間の折衝を精力的に行うことによりまして、円満に二国間の交渉による解決を実現させていきたいということで現在取り組んでおるわけでございます。その結果を現在の時点で予断することは大変困難なわけでございますが、五月四日の理事会において、もしその時点で二国間の協議がうまくいってない場合には、アメリカとしては当然パネル設置という問題を再提起する場面が想像されるわけでございますが、私どもはあくまでパネルということではなくて二国問の話し合いによる双方の立場が十分反映された解決の実現に向かって努力をしてまいりたいということでございます。
  39. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私の再訪米のことについて触れられたわけでございますけれども、私が訪米をすると言っているがというお話でございましたが、そこはちょっと違うのでございまして、私が再渡米をする環境が整えば、行かなければならぬ事態になれば私は行かなければならない、こういうことでございまして、あらかじめ予測をしておるわけではございません。
  40. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、今努力をしていらっしゃるという中で、もし大臣渡米されるということであれば何らかの糸口があるんだけれども渡米されないようだと一番最悪の事態になるだろう、こういうことなんですよね。
  41. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) おっしゃる御想像について私はコメントをする立場には現在ございません。しかし、一日も早く解決しなければならない、それは平和的に友好的に友好国としてのあるべき姿で解決しなければならない、勝った負けたという評価をされるような決着はしてはならない、こういうことで鋭意努力をいたしておるところでございます。  それ以上のことは、また外交交渉でございまして、ここで話をしておることが直ちに三十分後には向こうで活字になることもあり得べしということで、それがまた想像に想像を重ねた結果、先ほど来の報道の関連のようなことにもまたなってくるということでございまして、正直申し上げていささか神経質になり過ぎているかもしれませんが、相当神経質になっておるわけでございます。
  42. 久保田真苗

    久保田真苗君 それじゃひとつどうぞ腰を据えて頑張っていただきたいと思います。  お話がちょっと変ゎります。生物遺伝資源保存林のことについてこの際ちょっと伺っておきたいんです。これは、保存林は最近一月ごろ二十八カ所を候補地として選定されたということなんですけれども、この選定の目的とか、選定によってどういう効果が得られるのか、これをお聞かせください。
  43. 松田堯

    政府委員松田堯君) 新しい科学技術の分野でバイオテクノロジーがあるわけでございます。大変今後に期待されるところが大きいわけでございますが、それを推進する上でその基盤となります遺伝資源を保存することが極めて大事なわけでございます。このため、対象としては森林の場合は天然林が対象になるわけでございますが、その天然林のかなり高齢のものの多くが国有林に賦存をいたしておりますので、国有林を活用いたしまして森林とそこに生息をいたしております動植物、さらには微生物などを含めまして一体とした遺伝資源として保存する、生物遺伝資源保存林を設定するための検討を現在進めているところでございます。現在のところ候補地として二十八カ所が挙がってきている、このような状況でございます。
  44. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、広く動植物を含めて多様な自然環境を地域的に保全していく、そういうことを目的とし、かつその効果をねらっているというふうに理解してよろしいわけですね。
  45. 松田堯

    政府委員松田堯君) いろいろ可能性を秘めた分野でございますので、その対象地として二十八カ所を候補地として挙げているところでございます。
  46. 久保田真苗

    久保田真苗君 二十八カ所を選定されたことは大変結構なんですが、今後の手順なんですけれども、これ実際どういう線引きをするのかということなんです。どういう手順でこれを保全していくのかということをお聞かせください。
  47. 松田堯

    政府委員松田堯君) 対象地といたしまして林木を対象とした第一種保存林、それから先ほど申し上げました広い分野の動植物を対象として保存をいたします第二種保存林、これを対象として考えているところでございますが、現在学識経験者より成ります検討委員会を設けまして、その候補地を挙げているところでございます。これを、それぞれの地域にございます営林局段階におきましてさらにまた学識経験者から成ります委員会を設けまして、具体的な箇所、区域、それからその管理の手法等につきまして御意見を賜りまして、森林計画制度の中で具体的な箇所づけをしていく、このような手順になろうかと思っております。
  48. 久保田真苗

    久保田真苗君 さっきおっしゃったような広く動植物を含めて保存していくという、微生物まで含めておやりになっていくということですから相当の広さが要るというんですけれども、これは開発が進んでもう十分スペースがとれなくなってしまっているという場所はやむを得ないとしましても、おおむね千ヘクタール程度と伺うんですが、それはちょっと自然林の保存の面積としてはいかにも狭いんじゃないでしょうか。もっと広く、できるだけ広く線引きをしていくということが必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。
  49. 松田堯

    政府委員松田堯君) 面積の規模につきましても学識経験者の御意見を伺っているところでございますが、地域により対象によりまして広くなることもあり得る、場合によっては狭くなることもあり得る、おおむね千ヘクタール以上であればその目的を達成するのではないかというのが学識経験者の御意見でございます。
  50. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、最低千ヘクタールは要るけれども、千ヘクタール程度というわけじゃないんですね。それより広く線引きすることも十分あるということですね。
  51. 松田堯

    政府委員松田堯君) 原則的に千ヘクタール以上、このようにいたしておるところでございますが、先ほど申し上げたとおり、箇所によりましては狭くなることも現実的にはあり得る、こういうことでございます。
  52. 久保田真苗

    久保田真苗君 この二十八カ所なんですがね、これ二十八カ所候補を選んだということなんですが、これでおしまいなんでしょうか。それとも、もっとつけ加えるということが、後ろを残してあるわけでしょうか。
  53. 松田堯

    政府委員松田堯君) 二十八カ所の区分につきましては、我が国の自然つまり気象的な面から区分される地域区分、さらには植物学上から区分される地帯区分、それらを基準にいたしまして、森林林業サイドからの地帯区分として十五の地帯区分というものが一般的に行われているわけでございますが、それぞれの中で代表する森林の典型的な、類型区分としてなされております森林の代表的なものを選ぶということで、二十八カ所を選んでいるわけでございます。当面二十八カ所ということでございますが、これからのバイオテクノロジー等の進歩等の中で固定して考えるべき性格のものではない、このように考えております。
  54. 久保田真苗

    久保田真苗君 固定しないでいただく方が大変結構だと思います。ほかにもいろいろあるということなんですね。例えば沖縄諸島それから南西諸島ですね、これは世界野生生物基金というのがございまして、国際的な野生生物を保全していくという目的で、総裁にはエジンバラ公がなっているわけですけれども、この沖縄諸島、南西諸島は特に保護をこの基金から要請されている土地だと思うんです。確かに、この候補の中にも西表島これは入れていただいているんですけれども、西表島一つだけでなくて、この地域つまりこの島々は絶滅のおそれのある鳥類等がいるわけでして、例えばノグチゲラとかヤンバルクイナとかいったようなものは近ごろよく皆さんもいろんなマスコミで親しくなっているわけです。こういう生物遺伝資源、その保存も図っていくという意味から、西表島に限らずこの諸島を候補に挙げるということはできないんでしょうか。こっちの国際基金からも要請が来ていると思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  55. 松田堯

    政府委員松田堯君) 御指摘の御趣旨はよくわかるわけでありますけれども、沖縄本島北部の国有林につきましては、そのほとんどが沖縄県への勅令貸付地等になっているわけでございます。現在、国有林が主体的に遺伝資源保存林を決める、こういうことにはなっておりません。そういう状態にはないわけでございまして、今後検討をしていかなければいけない課題ではないだろうか、このように考えております。また、今先生のおっしゃいましたヤンバルクイナ等の貴重な動物の、鳥類等の保護につきましては、野生鳥獣保護といったような側面から保護する、このような手だても講じているところでございます。
  56. 久保田真苗

    久保田真苗君 いろいろあるんでしょうけれども、やっぱりこういう要請もあることですからね、その可能性をぜひ検討してみていただきたいと思うんですね。  大臣にお伺いしたいと思いますけれども、最近自然保護についての国民の要望が非常に高まってきております。林業的視点から見る森林の姿とそれから自然保護の視点から見る森林のあるべき姿はやはり違っていると思います。そこで、最近森林行政一つの転換を示してきておりますので、ぜひこういった森林の、特に国有林の持っている森林的な価値それから自然保護、こういう観点から所管の行政をやっていっていただきたいとお願いしたいわけです。そして、それについては常に経費の問題が出てくるわけです。そして、今林野特別会計というのが非常に苦しいわけでして、こういった意味からもぜひ一般会計、そして別途国民の負担で行うべきかというような問題を諮問機関などでひとつ世論を十分に聞いていただいて、この日本列島の自然環境、森林保護、そういう問題にひとつ画期的な展望を開いていただきたい、こう思っておるわけなんですが、大臣の御所見をいただければありがたいと思います。
  57. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 森林は木材生産の場としてばかりでなく、国土の保全、水資源の涵養、保健休養の場の提供、自然環境の保全形成などの面で大きな機能を持っておるところでございます。これらの機能を総合的かつ高度に発揮させるために、従来から森林計画制度等により適切な森林施業を推進しているところでありますが、基本的には、今委員おっしゃいますように、林業活動と自然保護は互いに調和させなければならない、必ず調和するものである、両立し得るという考え方で進めてまいりたい、こういう基本的な考え方でございます。あとは林野庁長官から答えさせます。
  58. 松田堯

    政府委員松田堯君) 最近、国民の森林に対する要請が非常に多様化しておるところでございまして、従来以上にきめ細かな森林施業を進めていかなければならないと考えております。このことは森林計画の中で五年ごとに計画を繰り返し樹立することになっておりますので、その間におきます森林生態の変化あるいは地域の皆さんの御要望といったようなことを踏まえながら進めていかなければいけない、このように考えておるところでございます。
  59. 久保田真苗

    久保田真苗君 よろしくお願いします。  それから次に、農協の問題について伺いたいんです。現在の農協のあり方、これは前々から行政監察の対象になったりしてきておるわけでございますけれども、この国際化時代で非常に難しい時期に、農協のあり方について指導監督の立場にいらっしゃる農水省、どういうふうにお考えでしょうか。もし問題点があればお聞かせいただきたいと思います。
  60. 伊藤礼史

    政府委員(伊藤礼史君) 先生御指摘のように、近年農協の組織基盤及び経営環境は大変大きく変化してきております。また、農業をめぐる内外の情勢も一段と厳しさを増してきております。このような情勢の中で農協が果たさなければならない課題といたしましては、まず第一に、農協が農家組合員のための組織であるという原点を再確認し、多様化する組合ニーズにこたえた事業運営を推進するという点、第二に地域農業振興の中心的な組織として構造政策に積極的な取り組みが必要であるという点、第三に農協の事業運営組織経営の一層の効率化というような課題があるというふうに考えております。農協自身といたしましても、これらの課題解決に向けて取り組みの強化を図っているところでございますから、農林水産省といたしましても農協がこの機能を十分発揮できるように必要な指導をしてまいりたいと考えております。
  61. 久保田真苗

    久保田真苗君 途中でまことに失礼なんですが、委員長のお許しを得まして、ちょっとけさの報道に出ておりました日独の沖縄海底探査実験、それから横須賀基地での米軍の殺傷事件、この二点につきまして関係省庁からお伺いしたいと思います。  それで、まず日独の沖縄海底探査実験ですけれども、これが日独間の科学技術協定に基づいて沖縄近海の海底を探査するという計画を申請したところ、防衛庁から待ったがかかったということなんですが、まずその事実関係を伺いたいと思います。
  62. 小川郷太郎

    説明員小川郷太郎君) お答え申し上げます。  本件調査船の問題につきましては、昨年十一月よりこういう調査を行うという話を私ども承っておりまして、その調査の詳細というものをドイツ側との間でいろいろ情報を求めておりました。そして、本年の三月十八日付でドイツの大使館から口上書をもちまして詳細な情報とともに調査の許可をお願いしたいという要請を受けました。それに基づきまして、私ども政府部内で関係省庁の方々と御相談いたしまして、今その回答を用意しているところでございます。防衛庁を初め政府部内で若干の意見というのがございましたものですから、それを今調整して先方への回答を出そうとしているところでございます。
  63. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、大学が中心となってやるこの探査は所期の目的を達することができないわけですね。また、その所期の目的というのは何なのか、そしてそれを達することができるのかできないのか、それを聞かせてください。
  64. 小川郷太郎

    説明員小川郷太郎君) 調査の目的といいますのは、私どもとして承知しておりますのは、海底地震計と火薬、エアガンによる構造探査、反射法による構造探査、海水の採取等というふうに承知しております。この調査をする区域につきまして、具体的な区域が提示されておりますけれども、そうした区域に対して期間が適当かどうかということを調査して政府部内で検討しているところでございます。その回答が近く出せると思いますけれども、その目的が達せられるのかどうかということにつきましては、全く目的が達せられないということにはならないというふうに私どもは承知しております。できるだけ可能な範囲で西ドイツ側の要望に沿うような回答をいたしたいと思っております。
  65. 久保田真苗

    久保田真苗君 これについて異議があったということです。それは防衛庁からあったということですが、その理由をお聞かせください。
  66. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 本件につきましては、外務省の方から調査について支障があるかないかという問い合わせがありました。ただ私どもの方では、そのドイツなり北海道大学の調査の詳しい内容がわからない、内容的には小さいものは二十五キロから大きいものは三百キロぐらいの爆薬を爆破をさせて地震波を調べるということですが、その範囲が線なり面で示されておって、これが奄美大島から宮古島に至る非常に長大な部分になっているということですと、どのポイントでどの大きさの爆薬を爆発させるのかというようなことがはっきりしませんと、我々としてもいろいろな海洋観測器材等を置いておりますのでそういったものに被害が及ぶおそれがあるということで、現在のようなラフな計画のままであれば南西諸島の南東側の爆破実験についてはやめていただきたい、それから北東側については期間を限っていただきたいという条件をつけて、あとは問題ございませんという意見を申し述べておる次第であります。
  67. 久保田真苗

    久保田真苗君 あとは問題ないとおっしゃるけれども、実際問題として奄美大島から沖縄まで、そうするとその南西は全部だめ、そして北の方も期限を短縮、こういうことになるわけですね。それは非常に広い海域になるんだろうと思うので、実際問題としてこれだけ広い海域についてやめてほしいということになりますと、どうもこういう学術調査が非常に制約されるような気がするんですね。  防衛庁としては、なぜそれは困るんでしょう
  68. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今申し上げたように非常に長大な海域でありますので、その中に我が方の海洋測定器材等が敷設してあるところがあるということでありますから、ピンポイントが示されない限りそこのどこでやるかわからないというようなラフな計画ではおやめいただく以外にない、こういうことであります。
  69. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、その辺のもっと具体的な説明があれば、それはやってもいいと防衛庁としては考えられるかもしれないわけですね。
  70. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私どもは今申し上げた海域全域についてだめだと言っているわけじゃないので、このポイントでこの大きさのものを爆破させるということがわかれば被害範囲というのがわかりますのでそういった細かいデータを出していただきたいということを申し上げているわけです。
  71. 久保田真苗

    久保田真苗君 私はそういう被害あるいはこういうものがあることをどうして防衛庁が判断なさるのかなと思っていたんですけれども、そうなりますと、外務省の方は近く返事だとおっしゃるけれども、それは仮にこういう学術調査が一応この科学技術協定に基づいてやるということであれば、私としてはこの中身、どういう調査なのかその専門的なことはわかりませんけれども、こういった国際協力ということも非常に必要だと思いますので、特に地震にも関係があるということですとね、私たちとしては地震に対応するいろいろな調査が行われることも一つの大きな安全保障だと思いますので、こういうことには極力制限をつけるべきじゃないんじゃないかという考えを持っているわけです。ですから、回答をお出しになるということ以前にまだまだ外務省が調整あるいは折衝なさる部面がどうも防衛庁からのお話ですとたくさんあるように思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  72. 小川郷太郎

    説明員小川郷太郎君) ただいまドイツ側から提出のありました細かい資料、情報を防衛庁等と協議しながら、できる範囲で調査ができるょうに私どもとしては調整してドイツ側に回答したいと、そういうふうに思っております。
  73. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひそういうことにしていただきませんと、非常に長大な海域があっちもだめこっちもだめというようなことになっていきますと、やっぱり日本は軍事大国だということにもなりかねませんので、ひとつ精力的な対応お願いしたいと思います。  それからもう一つ伺わなければならないのは、やはり私も知ったばかりなんですが、横須賀基地の基地外で米兵が同僚を殺すという、そういう事件が十二日の深夜あったということなんです。それで、私が今すぐ伺いたいのは、これについて米軍から日本の警察なり外務省なりそういうところに連絡があったのかどうか、あったとすればそれはいつなのか、それについて伺いたいと思います。
  74. 兼元俊徳

    説明員(兼元俊徳君) お答えします。  この事件、委員御指摘のとおり、四月の十二日午後の十一時三十分ごろに横須賀の基地の正面、横須賀市の本町の路上で起きた、つまり基地の外で起きました米軍の軍人同士のけんかから発生したと思われる殺人事件でございます。  被害者は、ミッドウェーの乗員の水兵ですが、レスリー・グレンという二十歳になる水兵で、この事件の直後の午前零時一分に海軍基地内の病院、海軍病院で既に死んでおります。被疑者は、現在まで判明したところではブルーリッジの乗組員のジョンソンという名前の水兵、その他若干名がいると思われますが、現在米軍の方で捜査中でございます。これ、事件はそういうことで十一時半ごろ起きたわけですが、たまたま付近をパトロールをしておりました警察官が米軍の軍人の人込みがあるものでそこへ駆けつけていったところ、関係者はもう既に基地の中に入っていたようでございますが、現場に大量の血が流れていたものですから米海軍の憲兵司令部に問い合わせたところから判明したものでございます。  警察では直ちに周辺の聞き込みそれから現場の実況見分等必要な捜査を行うと同時に、米海軍の当局に対して事件の概要を知らせてほしいと、それから米海軍軍人同士の事件で地位協定上は確かに米軍側が第一次裁判権を持ちますけれども、これは基地外の事件でございますので日本側にも捜査権がございます。したがって、合同捜査をやろうということで申し入れ、本日被害者の解剖に立ち会っております。ですから、逐次判明した事実の連絡は受けておりますが、事件の認知はそういったことで外勤の警察官が認知したということでございます。
  75. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、一つの問題だと思いますのは、報道によりますと米軍のこれは何ですか犯罪捜査部隊、それが日本人の経営する飲食店を捜査したとあるんですけれども、あるいはいろいろなそういう飲食店にいろいろなことを聞いて回ったとあるんですがね、その捜査の内容はどんな程度のもので、一体これは米軍が単独で捜査できるのかどうかということなんです。
  76. 兼元俊徳

    説明員(兼元俊徳君) 新聞の報道では、先生の御指摘のとおりでございます。残念ながら、どういうことをどこで聞いて回ったかについては承知をしておりませんが、米軍人同士の事件でございますので、海軍の捜査部が付近の目撃者を捜したりすることはよくあることだと思います。
  77. 久保田真苗

    久保田真苗君 一応それは地位協定の合意議事録というので施設、区域外における警察権の問題が決められているわけですね。そういたしますと、米軍が仮に日本人の経営するそういうところへいろいろな捜査や聞き込みする場合に、単独でできるんですか。それとも、日本の警察に連絡をしてあるいは当局に連絡をして、そして行うべきことなんですか。これはどっちなんでしょうか。
  78. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 地位協定の解釈に関するお尋ねでございますので私からお答えした方が適当かと思いますけれども、御承知のように地位協定十七条におきましては、米軍人相互間の傷害事件、殺人事件といったようなものは米側に一次裁判権があるということが明記されております。お尋ねの捜査の方でございますけれども、御指摘のとおり、地位協定のもとでこれは合同委員会の合意でございまして、その内容は公表されております。それに従いまして裁判権が競合するような場合、両者の合同捜査が望ましいといったことが書いてございます。  運用上の対応は多々ございますけれども、本件のように専ら米軍人同士の傷害事件、殺人事件といった事案の処理に関しましては、まず米側が専ら裁判権を持っておる。そして合同委合意の範囲の中で米側が、もちろんその捜査の態様によりますが、回りの人に聞いて回るくらいのことは当然許されるものと理解しております。
  79. 久保田真苗

    久保田真苗君 日本人の店舗とか日本人には全く被害はなかったわけですか。
  80. 兼元俊徳

    説明員(兼元俊徳君) 現在までのところ、この事件は専ら米軍人同士のけんか殺人事件と承知しております。
  81. 久保田真苗

    久保田真苗君 その人身事故の方はいいんですよ。店舗等日本人の財産に影響がなかったのか、あるいは何か非常にたくさんの人が米軍から来て捜査を方々で行ったという報道もございますのですけれども、このあたりでこの際伺っておきたいのは、米軍が日本の当局に連絡なしでそういう捜査に類することをやることが適当なのかどうかということなんです。今さっき聞き込み程度のことはとおっしゃったけれども、その限度について伺いたいし、それからそういった捜査がどういうものであったのか、それについて御確認をお願いしたい、こう思うわけです。
  82. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 米軍人同士の傷害事件等の場合に、日本の方が巻き込まれた場合あるいは日本の方の財産が損壊を受けたような場合、これは当然専ら米側に裁判権があるケースとは観念されませんで、裁判権の競合が起こるわけでございます。したがいまして、今回の事案ももう少し詳しく私ども事実関係を承知しませんとそこのところは何とも申し上げられませんが、しかし日本の方に何の影響もない、あるいは店舗が壊されたということでもない限りは、その米軍人同士の犯罪を捜査する公権力としての執行の問題になりますけれども、米側が何をやったのか今照会中でございますが、先ほど申し上げましたように、その周りにいた人たちから事情を米軍の関係者が聞くといったようなことは、先ほど来申し上げております日米合同委員会の合意議事録に反するものじゃない限りは当然認められるものと私どもは解釈しております。
  83. 久保田真苗

    久保田真苗君 米軍人同士の殺傷事件であるということ、それはもうわかっているんですよ。ですから、ただ深夜のこの基地の町が大変騒然たる状況であったとか、特に米軍が現場に駆けつけてそのあたりの日本人の経営する飲食店の捜査をしたとか、それから非常に大勢の人たちが次々と飲食店を訪れていろいろ聞いて回ったとか、そういうことがあるとすれば、それは私は当然日本の当局に連絡をしてやるのが当然だと思うんですね、それだけ周辺をやったということであれば。私が問題にしているのはこの捜査の内容なんですよ。捜査がどんなものであったのか、そういうことなんですね。私は米軍の裁判権がどうのこうのということを言っているんじゃなくて、私は当然基地外で起こった事件だから、そしてその周辺を捜査するのであれば日本の当局に連絡をして、日本の当局が後からもう全部終わっちゃったところだというところへ駆けつけたというお話にならないのじゃないかと、こう思うわけですね。だから、今その辺の事情を調査しなければということですから調査していただきたいと思いますけれども一つ一つこういうことがあるときに、やはり合意を見ているその最低の手続きはきちんととってもらうということを前提としてこれからの仕事を進めていただきたいと、こういうことなんですね。
  84. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) お答えを求められておるのかどうかわかりませんが、先ほど来申し上げておりますように、日米合同委員会の合意には捜査に当たって現場を保全しなければならない等の規定がございます。当然米軍は地位協定及び合同委合意に従って行動しているわけでございまして、私どもは米側にそれに反するような捜査の仕方があった、あるいは違反の事実があったということが明白になればもちろん別でございますけれども、米側のこれまでの捜査は地位協定及び合同委合意にのっとって行われたものと理解しております。
  85. 兼元俊徳

    説明員(兼元俊徳君) お答えします。  事実関係まだ若干不明なところがございますけれども、事件が発生した直後に警察官が現場に駆けつけて、その後現場付近の聞き込み等必要な捜査は日本側においてもやっております。ただ、こういう事件の性質上、やはりできるだけ早く目撃者等々から事情を聞いて犯人を特定するというのが必要なわけですから、合同捜査といいましても、まず取り決めをしてから動くというのが実態には必ずしも合わないわけで、事件が起きますとやはり事件を認知したところが直ちに動いていくというのが現実の姿ではないかと思います。ただ、日米の間では、先ほど申しましたように、合同捜査ということで現在基地外での現場の実況見分あるいは聞き込み等々については日本側がやっておりますし、アメリカ側が基地内での米軍関係者からの聞き込みということで、事実上の分担で捜査を進めている段階でございます。
  86. 久保田真苗

    久保田真苗君 じゃ、この問題結構です。農協に戻ります。  それで、昭和六十一年にお亡くなりになった玉置総務長官が農協の行政監察を指示されましたんですけれども、その行政監察は終了したんでしょうか。
  87. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 御指摘の農協監察につきましては、現在事実関係につきまして農水省との間で確認作業を行っておりまして、これと並行いたしまして改善意見を取りまとめ中でございます。
  88. 久保田真苗

    久保田真苗君 どういう点を中心に監察をなさいましたんでしょうか。
  89. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 御指摘の農協監察につきましては、農協が農業生産力の増進とそれから農民たる組合員に対する奉仕に即した運営になっているか、こういった農協法の観点から農協の業務運営実態と、それとこれに対しまする国と県の指導監督の実態、こういった点を監察いたしたわけでございます。私ども、昨年の一月から管区事務所におきまして約二百数十の農協あるいはその上部団体の実態調査をいたしました。そして、その上で中央段階におきまする調査、さらに並行いたしましてこれら二百数十団体の調査結果の分析、取りまとめを行いました。先ほど申し上げましたように、現在この膨大な調査結果につきまして事実関係の確認作業を農水省との間で行っておる、そういったことでございます。
  90. 久保田真苗

    久保田真苗君 監察の結果、どういうことが所見されましたか。
  91. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) ただいま申し上げましたように、現在膨大な調査結果の分析並びにその問題点の調査結果、これの事実確認作業を行っておるわけでございまして、どういった所見が出るかという点につきましては、これに基づきまして具体的な改善意見を取りまとめたい、現在そういった段階でございます。
  92. 久保田真苗

    久保田真苗君 まあそういう取りまとめ中、事実確認中ということなんですが、いつこれ公表されますか。
  93. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 先ほど来申し上げておりますように、調査結果は二百数十団体に関しまするものでございまして、一千ページ近い内容でございます。これの事実確認等の作業を行っておるわけでございますので、これに対しましては農水省も熱心に対応していただいておりますのでかなり進捗しておるわけでございます。率直に申し上げまして現在確定的には申し上げる段階ではございませんが、取りまとまり次第速やかに勧告をいたしたい、そういうことでございます。
  94. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり、非常に強烈な問題意識が玉置長官におありになって、そしてその結果これが行われているわけですから、私はやはり是は是とし非は非とするという公明な立場から、やはり終わったんですから早い時期に公表していただいて、そしてその勧告に沿って農政をやっていただきたい、こう思うわけなんです。  大臣お願いしたいのは、どこも今つらいところなんですけれども、やはりこういった農民の団体というものは農民の顔を見ながら適切な仕事をしていくということが非常に大事だと思いますので、ぜひこういう行監の結果なども十分に尊重されながら今後の農政をお進めいただきたい、こう思うわけなんです。これは農協のつまり一つの大きな改革の中の問題ですから、これについて大臣の今後の対処する姿勢なんかを聞かせておいていただけるとありがたいと思います。
  95. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 我が省といたしましては、国際化が急速に進む中で、俗な言葉で恐縮でございますが、世に言われておる日本たたき、これが国内においてはまた農協たたきという言葉も活字で見ることが間々あります。事ほどさように言われておる中で、自覚しなければならない点も確かにあると思います。そういう意味で、農協本来のあり方等につきましていろいろ御批判のあることは承知をいたしておりますし、総務庁が行政上これを監察しておることも承知をいたしております。その結果を受けとめまして、またその結果を受けとめるまでもなく、常に農業団体、生産者団体が流通関係、消費者ニーズ、こういうものを頭に置きながら改善に改善を加えていかなければならない。その責任、行政指導は今まで以上に私ども農林水産省挙げて取り組んでいかなければならない、かように心得ております。  なお、一言つけ加えまするならば、農協におきましてはことしの秋を目しいろんな農協の考えを打ち出したいということも漏れ聞いておりますし、そういう自覚も非常にいいことである。そういう種があるとするならばそれをまた育てねばならないし、それは日本の食糧政策のためにもぜひ必要である、かように考えておるところでございます。
  96. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、行監に絡まりましてもう一つ畜産振興事業団というのがあるんですね。私はその事業団の関連のことをこれから伺っていきたいんですけれども、その前に一つ、畜産振興事業団に最近不祥事がありまして、一部の幹部が非常に大きな利権をほしいままにしているという事実が警察の手で挙げられているということがございますんですね。これは制限貿易によって、つまり消費者としては相当の犠牲を払ってこういうものが成り立ってきた制度なんですね。それがこういう一部の者がその上に立って巨大な利権を行使できる、そういう構造がどうもあると思われるわけです。私はぜひこれ、この畜産振興事業団はこれからますます問題になるところだと思うので、これについての行政監察というものをこれまでになさったことがあるのか、そしてこれからそれをなさるおつもりがあるかどうかということをひとつ総務庁からお聞かせいただきたい、こう思いますんですが。
  97. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私への直接の質問ではございませんけれども、御指摘の点は我が省にかかわることでございまして、昨年起きた事件につきましては、二度とあってはならないことであるということで処分もいたしたところでございまして、今後とも十分注意を払っていかなければならない、今のような御指摘を受けることのないようにしなければならぬ、さよう心得ております。
  98. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 御指摘の、これまで畜産振興事業団について監察をしたことがあるのか、こういう点でございますが、昭和五十八年に牛肉を中心といたしまするこの畜産物の生産流通監察の結果に基づきまして、畜産振興事業団につきましては主として輸入牛肉等の価格安定制度の効果的運用の改善につきまして勧告をいたしておるところでございます。  なお、今後畜産振興事業団につきまして監察をする必要があるかということでございますが、先般大臣の指示に基づきまして、現在農業関係につきましては農産物の内外価格差、これが問題になっておりますので、昭和六十三年の十月以降、本年十月以降に畜産行政監察を実施する、こういうことにいたしております。この監察におきましては、生産性の向上あるいは流通の合理化等々の観点から、畜産振興事業団の業務につきましても調査を行いまして、必要があれば所要の改善につきまして勧告を行ってまいりたい、このような予定にいたしております。
  99. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 先ほど大臣のお話に若干補足させていただきます。  省内におきましても指導監督の職にあります職員が大臣からの処分を受けたわけでございますが、畜産振興事業団におきましてもしかるべく処分等の措置をいたしましておりますと同時に、畜産振興事業団におきましては従来の業務のあり方を見直しまして業務の一層の改善を期するため、副理事長を長といたします輸入牛肉業務改善対策委員会設置いたしまして、これは昨年の十月の段階でございますが、その後十回にわたりまして委員会を開催いたし、この結果三月下旬にとりあえずの中間報告を取りまとめられまして今後の業務の改善に資するというような措置を講じております。
  100. 久保田真苗

    久保田真苗君 中間報告の概要というのをいただいておるんですけれども、やっぱりこれはどうも拝見しますと、例えば「業務推進体制の改善」で「輸入牛肉売買に係る重要事項については、幹部間で十分討議の上、決裁手続きを了する。」、こういったような、これ当たり前の業務推進体制なんですよね。もしこういうことが行われていなかったんだとしたら、これは大変なことですわね。これは国のお金の入っている特殊法人ですから。ですから、こういう当たり前のことを中間報告で出すということは、今までこういうこともやってなかったのか。例えば「食肉部において、担当理事を含む部議を定例的に開催する。」、これ何も担保になりませんですよね。これはやられているのが当たり前であって、ですから私は、やっぱりなかなか自分の座っているいすを自分で持ち上げることは難しいんですから、いろいろな面からぜひこれ、こういう非常に円高差益の問題でこれほどの超優良決算をしているところでございますから、それが批判を受けるような使われ方をしないように、ぜひ政府全体として気を締めて必要な監察はどんどんやっていただくと、こういうことをお願いしたいと思うんですね。  それからもう一つ、米国が今回の牛肉交渉の過程で畜産事業団の改革を求めているそうですけれども、それは具体的にどういう要求なんでしょうか。もう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
  101. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 現在、牛肉かんきつをめぐりまして両国間で交渉が行われておるわけでございますが、交渉でございますので、これ双方で基本的な立場をそれぞれ述べ合うということでございます。ただ、御指摘の事柄につきましては二国間の交渉に直にかかわることでございますし、また現在話し合いが進行中であるという事情でございますので、この段階でお答えできないということは御理解をいただきたいと思います。
  102. 久保田真苗

    久保田真苗君 アメリカならずとも農水省からお出しになっている基本方針というのがございますね。「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」、こういうのがございますよね。この中でこういうことを言っていますね。「事業団の輸入牛肉売買方式についても所要の改善を図る。」、こう言っているんです。これはつまり農水省がお出しになっているものですから、農水省としてもこの輸入牛肉の売買方式について問題があるという意識をお持ちなんだと思うんですね。で、これは余りにも抽象的で私には何を考えていらっしゃるのかわからないけれども、輸入牛肉売買方式について「所要の改善」とは、これはどういうことを指していますか。
  103. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) お話のございましたように、本年の二月に「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」というのを法律に基づきまして策定、公表したところでございます。その中の一つの項に、先生御指摘のとおりの項目がございます。  輸入牛肉の流通につきましては、価格安定制度の趣旨に沿いまして、国産牛肉の流通との調和を図りつつ、専門小売店、あるいは量販店、外食、加工メーカー等それぞれの需要の分野に応じまして質的、量的に必要なものが円滑に流通していくことが基本というふうに考えているわけでございます。また、特に輸入牛肉の需要につきましては近年とみに多様化してまいっておりまして、輸入牛肉の大宗を取り扱っております畜産振興事業団の売買方式につきましては、輸入牛肉の量、種類、部位等、マーケットのニーズに即しまして、従来にも増してより一層きめ細かな売買を行っていくことが重要になってきているというふうな認識に立っているわけでございます。  ただ、畜産振興事業団の輸入牛肉の売買方式を含めまして、この牛肉流通の改善、合理化につきましては、今申し上げましたような状況なり認識を勘案いたしまして、また今後の対外交渉とも絡む問題でございますので、その結果も踏まえつつ今後さらに具体的に検討、努力をしてまいる所存でございます。
  104. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは早いところおやりにならないと、だんだん問題が大きくなるんじゃないんでしょうかね。  牛肉の値段なんですが、これも円高差益が消費者への還元される部分というのについて非常に不満があるわけですね。やはり畜産振興事業団のやり方に問題があるんだと思うんですが、例えば六十年九月のG5以来円高の傾向、これは非常に急激なもので、為替相場はその当時二百四十二円でしたね。今百二十五円程度ですね。これだけ円高になっている。つまり、ほぼ倍近く上がっているんですね、円の値段がドルに対して。ところが、輸入牛肉の買い入れ価格というものがいただいた資料で見ましてもその当時一キログラム当たり九百十一円から今現在七百四円、確かに下がってはいるんだけれども、この円高を反映するには余りにも微々たる下がり方なんですね。これはどういうわけなんでしょうか。
  105. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 牛肉につきましては、我が国農業生産に占めます重要性等の観点から、御案内のとおり畜産物価格安定法に基づきます価格安定制度を講じておりまして、国産牛肉の市場価格を一定の安定価格帯の中で安定的に推移させることによりまして、生産と消費の安定を図っていくという仕組みをとっているわけでございます。で、この実効を期するため、畜産振興事業団が輸入牛肉の買い入れ売り渡しを一元的に実施いたしまして、その売り渡し価格は国産牛肉の安定価格帯の水準から品質格差を考慮しまして決定する仕組みになっております。で、畜産振興事業団が取り扱います輸入牛肉につきましては、このような制約のもとにおきまして、先生の御指摘の円高差益の還元の見地から可能な限り売り渡し予定価格の引き下げを実施してきておりまして、これまで六十一年五月から本年の二月にわたりまして四回で合計三割程度の引き下げを行っております。これによりまして、輸入牛肉の小売価格の方は対策実施前に比べまして相当に低下をしてきております。四十一年の三月に比べますと二四%の低下ということになっております。  今後とも輸入牛肉の適切な供給確保に努めてまいる所存でございますが、お話しのように円高のレートの変動がストレートにあらわれていないではないかという御疑問、これはごもっともでございますが、この間におきまして事業団が輸入をいたします原産地におきます牛肉の価格の騰貴というものもございまして、こういうのを織り込んで考えますと、私どもとしては円高のいわゆる差益というのは十分に還元されておるというふうに理解しておる次第でございます。
  106. 久保田真苗

    久保田真苗君 円高の差益が還元されているとおっしゃる、それが非常に不思議なんですね。なぜかといいますと、小売値の方は本当に高値安定なんですよ。そういたしますと、局長がおっしゃる円高差益が還元されているということはどの段階まで還元されていて、確かに流通段階までは還元されているという意味なのかもわからないんですけれども、消費者段階にこれが到底還元されているとは思えないんですね。  私、ちょっと時間も迫ってきましたから続けてしまいますけれども、今の畜安法ですと輸入牛肉国内牛肉の価格安定のために使われているんだけれども、その扱われ方が非常に間違っているんじゃないかと思うんです。それは、そういう言葉を使うとすれば差し水差し湯ということで、値段をちょっと上げたり下げたりする、そういう扱われ方をしているんですね。ところが、今現在でも輸入牛肉は消費量の三〇%を超えているわけですね。そして需給の逼迫ということを農水省でも盛んにおっしゃる。牛肉は足りないんだと言っていらっしゃるんですよ。それで、そういう状態の中で将来見通しとしては、さらに輸入量が拡大するだろうという見通しを立てていらっしゃる。それなのにこの輸入牛肉を畜産振興事業団あたりがちょっとした差し陽差し水のかわりに使っているという、そういう役割にとどめるということは非常に不自然になってきているんだと思うんですね。輸入牛肉は輸入牛肉として別個の価格体系をつくって、そしてその分をたくさん国民に供すべきじゃないんでしょうか、足りないんですから。
  107. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) まず最初にお断りしておきますが、ほどは申し落としたかもしれませんが、事業団の対策実施前と対策実施後の価格が二四%下がっていると申し上げましたのは、総務庁の小売物価統計調査によるものでございます。小売価格でございます。  それから、後段の方のお話でございますが、食生活の高度化、多様化を背景といたしまして牛肉の需要は安定的に増大してまいっております。牛肉総需要に占めます輸入牛肉の割合は、お話しのように近年三割程度で推移しておるわけでございますが、牛肉の需要の増大の中で順次その割合も高まってくるものというふうに我々も考えております。国産牛肉につきましては、生体から屠畜、解体を経まして、さらに枝肉、部分肉、精肉というふうに順次に姿を変えて流通販売されておるわけでございますが、一方、輸入牛肉につきましてはそのほとんどが部分肉形態で輸入されておりまして、畜産振興事業団の一元的買い入れ売り渡しを通じまして流通販売される、こういうふうなことでございまして、このような意味で国産牛肉と輸入牛肉とはおのずから異なった流通販売のあり方となっているわけでございますが、消費者に届く段階におきましては、これは同じく牛肉としてそれぞれの持ち味なり特色を生かしつつ販売されているというふうな実態になっているわけでございます。  私どもの方といたしましては、このような牛肉の流通、消費のあり方につきましていろいろデータ等の制約があるわけでございますが、当省なりに研究を深めまして、今後の行政運営に生かしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  108. 久保田真苗

    久保田真苗君 ここでちょっとオレンジに入ってもらいますけれども、オレンジが仮に自由化されましたとすると、これは牛肉の場合とは非常に状況が違うと思うんです。牛肉の場合は国内で非常に肉の需要が強く今後伸びがうんと見込まれるということなんだけれども、オレンジの方は過剰生産であって、この上自由化があるとすると一体どういうものなのか。農水省としては日本かんきつ類に与える影響、それをどういうふうに見ていらっしゃるか、まずそれを聞かせてください。
  109. 兵藤宗郎

    説明員(兵藤宗郎君) お答えをいたします。  かんきつにつきましては、特に西日本を中心に広く栽培をされておりまして、特に傾斜地の栽培が多いわけでございます。平たん地で栽培されているのはわずか二割程度にすぎませんで、大半といいますか、四十数%は十五度を超えるいわゆる急傾斜地というようなところで栽培をされております。そういう意味で、傾斜地を有効に利用するという面でも極めて重要な作物でございます。また、果汁産業におきましては、地域産業という意味での貢献とともに、生果の価格安定という点でも極めて重要でございます。  一方、かんきつ全体の需要でございますが、これが近年減少傾向にございまして、それに対応しまして園地の転換というようなことで極めて厳しい状況に置かれております。このような状況でございますから、オレンジといいますか、かんきつの輸入が急増するというようなことになれば、極めて大きな影響を及ぼすものというふうな懸念を持っております。
  110. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういう懸念が大いにあるんですけれども、どういう対策をお立てになるんでしょうか。
  111. 兵藤宗郎

    説明員(兵藤宗郎君) ということで、輸入自由化というのは非常に困難であるということで現在日米交渉を継続している最中でございます。そういうことで、それの対策につきまして現時点で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  112. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかく国内で非常に過剰になりまして、もうミカン山やなんかに打ち捨てられているわけですよ、現に。そういうものを、やっぱりこれは国内資源なんですから、私は優先的に活用すべきだと思うんです。そこのところをぜひよろしくお願いしたいと思うんです。牛肉の場合のように足りないんじゃないんですから、これは。  牛肉に戻ります。  国産牛肉について四月から枝肉の取引価格を改正なすったんですね。その改正の目的と、その改正で国産牛肉の値下がりが本当に期待されるのか、そこのところを御説明ください。
  113. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 牛肉の格付につきましては、社団法人の日本食肉格付協会の牛枝肉取引規格というのがございまして、これは畜産局長の承認を受けて実施をされておるものでございます。近年におきます牛肉の生産、流通、消費構造の変化を踏まえまして、実は昭和五十八年度から見直し検討作業を行ってきたところでございます。この検討の結果格付協会の改正案がまとまりまして、今年度四月一日から新規格による格付を開始したところでございます。  その改正内容でございますが、一つは脂肪交雑評価基準の見直しをしております。つまり、従来の脂肪交雑評価基準を緩和いたしまして、いわゆるサシ偏重重視を是正しようということでございます。それから、歩どまり基準の新規導入でございます。それからもう一つは、枝肉の切開部位、ばら肉のどの部分で切るかというのがあるわけでございますが、地域でまちまちでございましたものを統一いたしましたということでございます。これに伴いまして、従来の枝肉の外観と肉質との総合評価によります六段階の格付でございました、つまり特選、極上、上、中、並み、等外という六段階の格付であったものから、枝肉につきまして一つは歩どまり、これが三段階に分かれまして、それから肉質、これは肉の色合いとか締まりぐあいというのがございまして、これが五段階に分かれておるわけでございますが、歩どまりと肉質をそれぞれ別々に評価いたしますいわゆる分離評価方式に変わったわけでございます。  そういうふうにいたしますと、これまでの総合評価方式では判断がしにくかった枝肉の脂肪付着の状況やあるいは肉質の程度が明確になりまして、枝肉評価と取引の客観性が向上するわけでございます。さらに、歩どまりの明確化によりまして生産段階によりますむだな脂肪の付着が抑制されてくるということがございます。それから、脂肪交雑評価基準の見直しによりまして過度のサシ重視の志向が是正されまして、品種の適性に応じましたいわゆる経済的肥育が促進されてくるというようなことがございます。それからさらに、切開部位の統一によりまして枝肉なり部分肉の全国流通の促進と解体処理費の低減が図られるということがございまして、生産から流通、消費の各般の面で合理化が図られていくというふうに我々は期待しているものでございます。
  114. 久保田真苗

    久保田真苗君 期待に沿って価格が下がるかどうかの問題なんですが、これサシを重視することをやめるということなんですけれども、実際問題としてサシが好きなんですね、日本人は。それなのにどうして日本人の好むものをそういうふうに重視しないのか。特にそれが高く売れるということであれば生産者がそういうふうにそこを重視して生産せざるを得ないだろう、こう思うんですね。それをなぜねじ曲げていくのか、そこのところがどうも私にはよくわからないんです。つまり、そのところでは輸入牛肉は競争相手にならないわけですね。そういうことに私は一つ疑問を持っているんですね。  時間が来てしまったので、もう一つだけ。そういう観点から見ましたときに、国産牛肉の高値というものの一つに子牛の高値ということがあるんですね。子牛の輸入は自由化されているんですよ。だけれども、関税がかかって素牛がないものだから、国産牛肉がなかなかふえていかないわけですよ。そういうことがあるのだったらば、子牛を無関税で輸入するとかそういうことを全面的に認めるということはできないんでしょうか。さもないと、日本の農家は本当に畜産ができなくなるんじゃないでしょうか。
  115. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 二つの点がございますが、まず最初の点につきましては、この取引規格の改正によりまして例えばサシがたくさん入った牛をつくっちゃいけないというふうになるわけではございません。市場での格付をいたします場合に、従来サシ偏重でサシが入ったのがよく高く売れたということで、農家がわざわざ長く肥育をして高い牛をつくるような傾向が強かったということを改めるようにいたしまして、もう少し総合的な要素を含めた規格をつくったということでございます。  それから第二点でございますが、おっしゃいますように、日本の畜産におきまして、素牛と申しておりますが、肥育の材料になります子牛の価格がコストに占める割合というのはかなり大きいわけでございまして、この素牛価格をなるべく安くするというのが今後の牛肉価格の引き下げにも大きな意味があるわけでございます。さようなわけで、これまでも肥育素牛につきましては無税で輸入のできる仕組みがございます。一定の数量以内のものにつきましては肥育用に使いますのは無税、それを超えますと一頭四万五千円の関税がかかるということになっておりまして、この無税頭数が従来六十一年度までは一万頭だったわけでございますが、最近の子牛価格の動向等に勘案しまして六十二年度から二万五千頭までは無税というふうにふやしておりまして、六十三年度におきましてもこれを引き続き二万五千頭までは無税で肥育用の子牛は輸入ができるということにしております。
  116. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 久保田君、時間ですか  ら。
  117. 久保田真苗

    久保田真苗君 はい。  そういう対策はやっていただいているわけですが、最後に飼料の価格なんですけれども、円高の割に安くなっていないんですね。それで、牛の値段の約四割が飼料代だと言われているんですけれども、この飼料の価格は当然安くなっていいんじゃないかと思いますので、ここのところでひとつ対策を打っていただきたいし、その実情、対策について聞かせていただいて、それじゃ私の質問を終わります。
  118. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 配合飼料につきましても、先ほど申しました素牛と同様に、肉牛のコストに占めますウエートが非常に大きくて重要なものであることは先生御指摘のとおりでございます。お値段が下がってないではないかという御指摘でございますが、これも現地の原料価格の値下がり、それから円高等も両々相まちまして、五十九年七月以降六十一年の十月まで八回にわたりまして連続して価格が引き下げられております。引き下げの幅は約三割を超えております。三一%ぐらい下がっております。畜種によって違いますが、今申し上げました数字は全畜種の平均でございます。  この飼料の業界も、大きく言いますと農協系のいわゆる全農のシェアが四割近くあるわけでございまして、あとが商業系のえさ会社ということになっておりまして、末端では非常に織烈な競争になっております。だんだんと全農系のシェアも減少している傾向にあるのが実態でございます。我々は、原料価格の値下げなりあるいは円高等の値下げ要因につきましては、これが十分に末端の価格に反映されますように今後とも指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  119. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時四十分開会
  120. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  121. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、御苦労さんです。連日御奮闘しておられる様子を見まして、大変頼もしく思っております。この内閣委員会では農水の問題を議論するというのはめったにございませんでして、大体外交とか防衛が中心なんですけれども、したがいまして、農業問題というのは私どもは非常に門外漢でございまして、きょうは随分教えていただきたいと思っております。  実は先日、大臣の答弁を聞いて私もスカッとしておりましたけれども、その後新聞の投書に、大臣お読みになったかどうかしりませんが、こういうのが載っております。   米国との牛肉・オレンジの自由化交渉のことで、十七日、佐藤農水相が参院予算委員会で「友好国ならば報復と代償ではなく話し合いをしようというものだ。テーブルにもつかず、代償措置を求めるのは不愉快な発言だ」と述べている。そのとおりだと思う。   日米間の交渉は、防衛問題はもちろん、貿易交渉などでも日本の弱腰ばかりが目立つが、これも不愉快なことである。なぜなのだろう。国民にはさっぱり分からない。戦後における経済援助等の恩恵に対する配慮なのか、防衛タダ乗り論が背景なのか、それとも別な理由があるのか知りたいと思う。   歴代首相は、就任するとまず訪米である。これも何か割り切れないものを感じる。そのうえ、ほとんどの場合、相手にとって有利な、日本には重荷になることを約束してくる。これもまたどういうことだろう。   今回の農水相発言のように、相手に対しても毅然たる態度で交渉に臨み、是は是、非は非としてその理由を相手にも、国民に対してもはっきりと示すべきである。西欧諸国の堂々たる対米態度を、少しは見習うべきではなかろうか。こう載っておりますね。それで、実はまず私はこのことを申し上げて、法案の中身について二つほどお伺いしたいと思います。  これは事務当局から、今回の農林水産審議官設置する理由説明のあれでは読ましていただきましたけれども、ポイントとなるところをちょっと教えていただきたいと思います。
  122. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生御指摘のとおり、先ほど大臣から提案理由の中でこの背景と申しますか設置の目的といったものに触れましてお話し申し上げたところでございますが、私の方から補足的にかいつまんで要点だけ申し上げさせていただきます。  一つは、我が国農林水産業を取り巻く最近の国際情勢でございます。この点につきましては一つのことを申し上げますと、我が国におきます収支の不均衡等と総称されますように、それを背景といたしまして諸外国からの厳しい市場開放の要請等々が出てまいっております。これら農林水産業をめぐります国際問題につきましては、従来の農林水産物の個別の国境保護の措置にかかわる問題といったようなものから、国内農林水産業政策全般にかかわる問題というふうに拡大をしてきております。いわば質的に大きく変化した状況があるわけでございます。それが第一点でございます。  それから第二に、今回の設置法改正は、こういった情勢対応いたしまして、農林水産行政の強力な推進を図るために早急に体制を整備する必要があるといたしまして、全省的な立場から各局間の調整を要する重要な問題、国際問題につきまして事務レベルでの最終政策調整を行うことが必要だというふうな認識に立っているわけでございます。また、諸外国との会議におきまして、いわば高級レベル対外折衝の場というのが数多く行われるようになっております。そういった意味におきます国際会議等に対応する職といたしまして農林水産審議官を設けさせていただくということで、今回の法案の改正提出させていただいた次第でございます。
  123. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 意図はよくわかりますし、機構整備ですから審議官をつくるに当たりましては、当内閣委員会としては総務庁を管轄している関係上、スクラップ・アンド・ビルドということを言うわけですけれども、私は最近の農林水産省のいわゆる国際的な意味での対外折衝というのが非常に大きなファクターを占めるようになってきたのは事実だろうと思いますね。例えば水産庁のあの二百海里の問題もそうでしょうし、それから今度の牛肉、オレンジもそうでしょうし、米もそうでしょうし、この間の十二品目の問題もそうでしょうし、もういっぱいありますね。そういうような点を見ておりますと、これはただ単にスクラップ三つのいわゆる職をあれして、それで今度は審議官を一人つくったというだけではもう解決しないんじゃないか。そういうような意味では私はもっと話をあれして場合によったら、私も初めて詳細に中身を、この組織表みたいなのを見せていただきましたけれども国際部みたいなところがありますね、これ。きょう部長さん御出席になっていらっしゃいますけれども、午前中も答弁しておられましたが、国際部なんというのを国際局ぐらいにして、それで本当にそのくらいのあれをしないといけないんじゃないか。  その方がかえって将来のためにもいいんじゃないか。そういうふうな外交面の専門家というのがいわゆる農林水産省には余りいないんじゃないか。そういうような意味では、そういうふうな専門の人たちが絶えずそういうことをにらんで仕事をしておる。今度も、きょうの委員会にも局長さんが三人アメリカへ行っていらっしゃるということで報告来ておりますが、これは三人も行かないかんでしょうね。行かないかん、専門的なところは。でしょうけれども、そういうような対外折衝専門というような面では多少私は、外交交渉というのはそれぞれの外国の事情もよくわかってないといけないし国内の事情もわかってないといけないし、いろいろあると思うんですね。そういうような意味ではそういう局をつくるぐらいのあれがないといかんのじゃないか、私はそういうふうに思うんですけれども、ここら辺のところはどうでしょうかね。
  124. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 今先生から御指摘のありましたようなとらえ方も確かにあろうかと思います。先ほど官房長から御答弁申し上げましたように、農林水産省の担当いたしております行政の分野におきましても、最近非常に多国間あるいは二国間の交渉、あるいは交渉の前段階の協議といったような性格の業務が大変ふえてきておるわけでございます。それに対応するために経済局の中の国際部組織の拡充を行う必要があるということで、実はここ数年例えばガット問題を専門に担当する部署でございますとか、あるいは省内の対外政策全体を、各分野を所管する局にまたがる問題を調整する専門の部署を新設するとか、そういったタイプの組織面での充実の対応を図ってきているわけでございますが、今回農水審議官という形でお願いをいたしておりますのは、やはり対外的な折衝を図る上で継続的にかなりハイレベルで接触をし対応していかなくちゃいけない場面がふえてきているわけでございます。  具体的には、来週にも日米の高級事務レベル協議でございますとか、あるいは現在進行中のニューラウンドの農産物交渉における非公式の協議でございますとか、そういった場面では次官クラスのかなりハイレベルの方々の非公式あるいは公式の接触を通じて問題の前進を図っていくというタイプの会議が非常にふえてきているわけでございます。したがって、農水省といたしましては、国際問題の対応一つ現時点での最も緊急に要する対応策といたしまして、今回お願いしておりますような新しい審議官設置によって対応すべきであるということでお願いしておるわけでございますが、御指摘のありました組織全体の対応につきましては、今後さらにいろんな角度から検討してまいる必要があるというふうに認識をいたしております。
  125. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそのとおりや。私は反対しているわけやない、賛成なんですよ。けども、その上でさらに審議官スクラップ・アンド・ビルド、こっちを三つつぶして一つつくったわけですから、そんなんじゃなしにもうちょっと、まあ総務庁うるさいこと言うかもしらんけれども、場合によったら必要に応じて国際局ぐらいのがっちりとしたところをつくって、体制をつくった方がいいんじゃないか、そのくらいに私は思うわけですよ。それが一つ。今部長さんおっしゃったことについては賛成なんですょ。そのとおり、そのまま局でいいわけです。  それからもう一つ、不思議なことを一つお伺いしますが、政務次官というのが二人おりまんな、政務次官。これは何をしてまんのやろな、とにかく。これやっぱり私は、政務次官というのが二人もいるわけですから、これは相当強烈に頑張ってもらいたいと思うんですよね。それで、やっぱり事務当局も、政務次官は何もわからないというんじゃなしに、わからないことはないと思いますよ、そんなこと思ってないと私は思うんですけれども、できたら政務次官にもしっかり頑張ってもらう、そういうような体制でないといかんのと違うかと。本当に私はそう思うわけですよ。特に、農林水産省は他の省庁と違って政務次官が複数いるわけですよね。そういうような意味では、この大事なときに頑張っていただいていると私は思うんですけれども、なかなか新聞紙上とか我々の目の届くところへどういうふうに頑張っておるかというのが出てこないものですから、どないしてんのやろうかという点を私は心配しとるわけですわ。そういうような意味では、やっぱり政務次官をこれからは本当に国際的な外交交渉やいろいろな問題の中でがっちり取り上げていくというのは、また活躍してもらうというのは大事なことだと私は思うんですよ。そういうような意味で、皆さんどういうふうにお考えになっているのか、この点もちょっとお伺いしておきたいと思います。
  126. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) ただいま先生から政務次官の外交部門へのお仕事の参加というようなことについてお話があったわけでございますが、私の方から今の設置法等々で政務次官の任命等々のことでお答えをさせていただければと思います。  私の方から申し上げるまでもなく、国家行政組織法におきまして、政務次官は大臣をお助けになりまして政策及び企画に参画し政務を処理し、または大臣不在の場合は大臣職務を代行するというふうに規定されております。具体的に外交の面におきましても外国要人との対応であるとか、さらには農林省プロパーのことだと思いますけれども、世界食糧理事会という国際的な会議がございますが、こういったところにおきましての国際会議等について、事務レベルではない官僚レベルの場に出席をしていただいておるわけでございます。先生今御指摘のとおりでございまして、今後ともこういった重要な国際会議への対応をしていただくことになるというふうに考えておるところでございます。
  127. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 峯山委員から御指摘の国際局としたらどうかとか、政務次官の活用はどうかとかというお話がございました。今日の急速な国際化の中にあって、まさにそのような感覚で事に当たっていかなければならぬなと思っております。私も十七年前、当院のお仲間をさせていただいておるときに農林政務次官を勤めました。そのときを今振り返って考えておりましたけれども、まあ私自身は内心じくじたるものがございますけれども、私を補佐して一生懸命に役所のスケジュールに従って頑張っていてくださるわけでございまして、今おっしゃる意味は、急速な国際化への対応という意味でひとつ新たな感覚で事に当たれよと、こういう意味だろうと思っておりまして、そのような考え方で当たらねばならぬと思っておるところでございます。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  そこで、法案に関する問題はそのくらいにしまして、まず牛肉、オレンジの問題についてお伺いをしたいと思います。  これは全く門外漢でありました私も、最近この法案の審査ということもありましてとにかく新聞の切り抜きから始めてみましたら、猛烈な数がありました。それで、随分勉強さしていただきました。そこで、いろんな問題がたくさんあるんだろうと私は思うんですが、けさの新聞なんかによりましても、結局、総理が国内対策を指示した、そういうような記事がきょうの朝の読売新聞でしたか、報道されておりました。しかも、その総理の指示は、いわゆる緊急を要するものとそれから長期的なものとの二段階で、対応あるいは検討を始めるように指示をしたかのように新聞に報道をされております。これは大蔵、農水両省にやったとこう書いてありますが、この総理の指示の中身とかあるいは現状、牛肉、オレンジの交渉——現在、三局長が行っておられるわけでございますが、現状並びに総理の指示等あわせまして、現在どういうふうになっているのかということを教えていただきたいと思います。
  129. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 報道が実はいろいろございまして、その都度困惑をする場合が多いのでございます。随分そういう意味で私自身も神経質になり過ぎているかもしれませんが、事外交交渉、これを既に結論として既定路線があるがごとく報道をされ、それに対する対応を具体的にという意味で、けさほども一部の報道に農水、大蔵両省に具体的な指示というような活字も私は読みました。そのような指示は、一口で言いますが、そのような指示はございません。現在、取り運んでおる最中でございますが、私が訪米を先般いたします前に政府・与党の責任であると、そして私にも相当な責任がしょわせられておる。私自身はまた責任を持って取り進めるのが当然であるとこう心得まして、政府・与党一体となってという申し合わせも渡米直前にしていただいた経緯もございます。  そういう中にあって、先般は我が国の実情というもの、特に牛肉、オレンジの自由化は困難であるという従来の主張をとっくり説明をいたしましたが、残念ながら、まことに申しわけございませんでしたが、合意を得るに至らなかった。しかし、話し合いは続けようということで、話し合いが続けられておりますけれども、宗教的、社会的行事でございましょうか、私専門家でなくてよくわかりませんけれども、イースターということで全部お休みになるということで帰国をいたしました。実務的にまだまだアプローチもかけながら模索をしなければならない点が多くございます。中身を一々申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういう意味でおととい三局長を派遣をいたしたということでございまして、いろんな報道がございますけれども、余りそれを気にせずと言うとまた怒られるかもしれませんし、気にしないと言えばじゃおまえ勝手に進めるのか、こういうことになりますが、参議院、衆議院における御論議、あるいは生産者団体、流通関係者、消費者のニーズ、こういうものを頭の中に入れながら、相手のあることでございますのであらゆる角度から外交交渉を続けておる、こういうことでございます。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣おっしゃることはよくわかります。相手のあることですから非常に難しい問題であろうと思うんですね。しかし、新聞の報道かテレビの報道かこういう委員会大臣に聞くか、三つしかないわけですよ、僕らは実際問題として。  そこで、実際どうなっているのかということできょうはお伺いしたいのでありますが、私どもとしましては、今大臣がおっしゃいましたように、この間アメリカへ行かれて日本自由化は困難であるという趣旨をさんざん説明をしてきた。それに対してアメリカ側は、いやそれはいかんということでガット提訴に踏み切ったみたいな感じの話が出ていますね。そして連休明けに、五月の何日かまでに、日にちはちょっとあれしましたが、決着をつけないとガットパネル設置するかどうかということになっちゃうというふうな報道が実際あるわけですが、ここら辺のところはそのとおりなんでしょうかね。
  131. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先ほどの報道の件でございますが、もう一言つけ加えておきます。私が承知をしていないというその報道につきまして、その社に対しましては官房長からさようなことはないので活字にするときは慎重にやってほしい、こういうことで御注意を申し上げさせたところでございます。  なお、先般アメリカでの私が参りましての交渉、直ちにガットということではなしに、先様は四月の一日完全自由化、これが当たり前だとこう言っておるわけでございますが、我が方は自由化は困難とここの基本姿勢が全然かみ合わないわけでございまして、かくなれば向こうはガットの手続を進めるでしょうという推測のもとに、その推測の延長線上に五月四日という定例理事会というものがある。そこでまたいろいろなアクションが起きてくるだろう。しかし、それは先様がどうお進めになろうとも、我が方は三月三十一日第四回目の会談において、引き続き話し合いをし友好国として平和的に解決をしよう、そのための話し合いは続けようではないかと私が提案しましたことに対しましては、合意を見たわけでございます。そういう状況にあると、こういうことでございます。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、大臣の前段の総理からの指示はなかったということで、それはそれでいいわけですが、しかし新聞の中身は何となく、そういうことが総理から指示があるなしにかかわらず、やっぱり農林水産省としてもあるいは大蔵省としても、いわゆる最悪の事態を考えて検討せないかんという内容にはなっておるわけですよ、これね。そこら辺のところはやっぱり、その指示があったなしにかかわらず、農林水産省としてはこの中身についても検討をしようと思っていらっしゃるのか、あるいはもうこんなもの全く検討する必要ないと、要するに自由化じゃなしにいわゆる話し合いで今までの継続をあくまでも続けていくというふうにお考えなのか、そこら辺のところはどうなんでしょうかね。
  133. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 推測で書かれるのは自由でございますけれども、推測をするにしてもきょうのような書き方をされるのであれば我が方にもやはり取材をしてお書きになるのが常識的なやり方ではなかろうかということで、厳重に御注意を申し上げさせたところでございます。推測の中身については私がここで言及する立場にはございません。外交交渉でございまして、ここで私どもがやりとりをしましたことが直ちにまたワシントンに通ずるわけでございます。まさに国際化でございます。慎重にも慎重に外交交渉を重ねておる、こういうことでございます。そして、一口に申し上げますれば、この国際化の中にあって日本が孤立をしてはならないという今日の国際情勢というものの認識、あわせて当然のことながら我が国の農政、我が国の食糧政策、これはあるわけでございますから、それをきちんとしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。そうすると、大臣、非常にわかりにくいんだよな、結局僕らは。例えば、新聞社は取材せえへんかったからあかん。勝手に書いたからそれはいかん。それじゃ取材したらちゃんとこういうふうに言うてくれるのかということになると、それも言われへんわけや、早う言うたらこれな。例えば自由化を前提にしてやな、こういう準備をしてまっせなんて言うなんてことは言えるわけないわな、逆に言えば。僕が今ここで聞いたって答えられへんわそれは、逆に言えば。すぐアメリカへ通じるわけやから。実際、当然やらないかんことでも、それはもうやっているのかもしらんけれども、やっているなんて言われへんわな、向こうで自由化なんて前提に交渉しているわけやないんですから。そういうことですな、やっぱりね。  そうしますと、もう一つこれこの新聞の報道の中にもあるわけですが、要するに牛肉、オレンジの自由化をめぐっては八日のガット理事会アメリカがいわゆるパネル設置を要請したと。そのことで日本は五月四日の次回の定例理事会までに日米二国間交渉で自主的に自由化に踏み切るか、あるいはパネル設置を受け入れるかの二者択一を迫られていると、こう書いてまんねんな。これは何もこの新聞だけと違うんです。いろんなところでいっぱい書いてあるわけです、二者択一を迫られていると。これはこのとおりなんですか。
  135. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先ほどから申し上げておりますように、事外交交渉でございますから、いろんな角度からいろんな手で話し合っていることは事実でございます。だけれども、それを一つ一つ具体的にここに例示をするとか、こういう事実がこうだああだということを申し上げる状況にはございません。我が方は依然として自由化は困難であるということの理解を求めつつ、実務的に三局長話し合いをしておる、これが現状でございます。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、今大臣がおっしゃっているようなことも新聞に書いてまんねんな。頑固なやつを書いてまんねん、ここへ。読みまひょか。要するに、米の理不尽な要求に屈する形では農家の理解は得られない。パネルであろうと何であろうとクロの裁定を待つべきだという強硬論もあると書いてまんねや。ということは逆に言えば、今大臣の話聞いているとこっちはもう自由化全然ないんだと。そういうふうにやっていくと、これもう質問が先へ進みまへんねんな、これ。もうこれほんまやりにくいな。実際問題としてこれは二者択一を迫られて、そうなっておるということで新聞にもいっぱい書いてある。どっちかにせなしゃあないやろと僕ら思うわけ、実際これね。しかし、いずれにしてもこの問題は大事な問題であると思いますし、うちの委員長さんも今アメリカへ行ってまんねやけどね、それでいろいろと苦労して皆さん方の意図を受けて頑張っておられると思います。いずれにしましても非常に重要な問題であると思いますし、もう細かい問題は質問をやめます。それで、しっかり頑張っていただきたいということだけ申し上げたいと思います。  それからもう一つ、きょうの朝のテレビでも言うておりましたが、もし自由化しない場合、あるいは自由化が二年先ということになった場合でも、二年というのも向こうは言っておりましたし、いろんな新聞にも書いておりまんねん、要するにな。自由化するといっても二年間ぐらいの猶予期間を置くということなんでしょうね。その間でも、量の問題、輸入量については相当ふやしてもらいたいとか、それから畜産振興事業団のいわゆる扱いについても随分いろんなことを書いておりますし、新聞でも報道されておりますし、けさテレビでもやっておりましたね。ここら辺のところはこれはやはり僕はしっかりやってもらいたいと同時に、日本牛肉をもう少し安くしてもらいたいという気持ちもあるわけですよ。そこら辺のところもひっかけてこれはやはり国民全般の理解を得るためには安い牛肉を食べられるようにするという努力もいろんな面で私は必要じゃないかと思うんですけれども、ここら辺を含めて一遍教えていただきたいと思うんです。
  137. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 新聞あるいはテレビに報道されておりますことにつきましては、交渉中のことでございますのでこの段階で我々がとやかく申し上げることではございませんが、後段の牛肉をできるだけ安い価格でという点につきましては、私どもも最近の国内牛肉をめぐる諸情勢にかんがみまして二月に酪肉基本方針というのを策定いたしまして、これは七十年度を目標にしておりますが、当面生産コストを二、三割引き下げるよういろんな施策で努力をしてまいろうということで、今後この方針に従いまして施策を進めてまいる所存でございます。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、それは読みましてん。そういうのは読みましたけどね、そんなこういう基本方針をつくったから安うなるというわけやないで。アメリカの言い方からすれば、もう畜産振興事業団なんかは全部やめて、自由化を前提にしてもっと安うせいと端的な言い方をしておるわけですわ。そういうような意味では、やはり思い切ったやり方をしないと安くならないと私は思うんですよね。ですから、ただ方針を決めたから安うなるというものじゃないと私は思うんですね。  これは、これまた大臣怒るかもしれませんが、ほんまのことですから私言うておきますが、今週の「週刊ポスト」読みましたですか。これはもうこのとおりじゃないかと私思うんですよ。それは私が思っておるというんじゃなしに本に書いておるというふうに御理解いただきたいと思うんですが、皆さん方の先輩の、あの人はもうしょっちゅうこんなことを言う人ですからしようがないんですけれども、小倉さん、あの方がどう言っているかいうと、「農水には大蔵の真剣さがない」、大きな見出しで出ておりまんのやで。その後小倉さんの談話の中で、話の中で活字も二倍ぐらいに大きなって書いてまんのやけどね、対談ですから、「本当はね、財政危機よりも農業危機の方がもっと切羽詰まっていると思うよ。現実にはね。」と、こう続いて言っているわけ。「むしろ財政の方は最近ちょっと明るくなってきた。しかし農業の方は確実にどんどん暗くなってきている。ところが、なぜか危機意識がない。前向きの抜本的変革をやって危機を突破しようなんて覇気も気力もない。困ったもんだ」、こうおっしゃっている。農水省のお役人がというのですよ。  これ、私はやっぱりもうこんなの見たって何見たって何をという気を起こして、本気で農水省全体の——長官という名前のつく、林野庁長官とか水産庁長官とかそういう長官つくのが農水省一番多いんだな。えらい多いんです、とにかく。そういうようなことは関係ないけれども、とにかく全体的にやはり本気で取り組んでいただかないといけないなと私は思います。そのためには、やはりそれだけの勉強もしてもらいたいと思うし、全体の改革のために取り組んでいただきたい、そういうことだけ申し上げておきたいと思うんです。  それでは続きまして、これも非常に難問なんですけれども大臣ももう難問ばつかりで頭が本当に割れるように痛いと私は思うんですが、例の中海の干拓の問題ですね、これちょっと一遍きょうお伺いしておきたいと思います。  私どもも、もう今から十何年前ですけれども、参議院の内閣委員会でも中海干拓を視察したことがございます。当時はまだやり始めでございまして、やり始めというよりも十四、五年前だったと思うんですが、大分できておりました。まだどんどん進んでいるときでございまして、これはすごいのができるなということで大変期待をしておったわけでございますが、最近の新聞やいろんな現地の状況等を聞きますと、もう本当にこれは大変な状況になってきている。新聞や週刊誌の状況を見ましても、もう現在まで七百二十億もお金をつぎ込んだのに地元の県も大変憂うつな状況になっている。進むも下がるもどっちもいかんというような感じになってきている感じでございまして、そこできょうは幾つかの点をお伺いしておきたいと思います。  中海のあるいは宍道湖のいわゆる淡水化計画というのは、当時二十五年前スタートするときとは社会の情勢もいろんな情勢も全部もう変わってきている、確かにそうだろうと私は思います。そういうような中で、最近のいわゆる宍道湖の周辺の住民あるいは中海の周りの皆さん方の考え方というのはいろんな面で変わってきているように思います。これはいろんなところが調査をしておりますし、世論調査もいっぱいあるわけでございますが、最近はどうももうここら辺で計画は中止をして淡水化事業はやめたらどうかというふうな世論調査等も随分高いベースで出てきているように聞いておるわけです。そういうような意味でこの干拓事業、これは農林水産省としては今どういうょうにお考えになっていらっしゃるのか、一遍初めにお伺いしておきたいと思います。
  139. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 随分いろんな方面から関心を持たれておる問題でございます。昨年九月、淡水化試行ということで鳥取、島根両県に対しまして具体的な案として提示をいたしました。この三月末までにひとつ返事をもらいたいと、地元としての集約された考え方、意見を求めたところでございますけれども、私が渡米中の三月三十日に至りまして両県からもう少し待ってくれ、こういうことでございました。ただ、いろいろ関心を持たれておる、議論をされておる問題でございますから、いたずらに延ばすわけにはまいらぬ。五月末までにはひとつぜひ回答をしてもらいたいということで二カ月延長をしたということでございまして、国が投資をする場合、国民のお金を使う場合、一般論として申し上げますればむだにむだを重ねるような結果があってはならぬ、こういうことで慎重、真剣に今取り組んでおる、現地の集約された意見を待っておるという状況にございます。
  140. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、そのとおりですね、実際問題としては。五月の末までというふうに聞いておりますが、実は私の方の党も現地の調査やらいろんなことをやりました。その結果、私どもとしては大体五つの点からこの事業は多少軌道修正をした方がいいんじゃないか、こういうふうに思っているわけでございます。それを申し上げますと、  第一に、本事業は水田等の農地を造成するという当初の事業目的が減反政策など農業事情の変化等により大きく失われたこと。また、仮に農地として利用されるとしても採算性に乏しいこと。  第二に、淡水化について地元住民の大半が強く反対していること。  第三に、淡水化により宍道湖・中海の著しい水質悪化と自然生態系の変化・破壊および水都としてのイメージ、アインディンテティーの破壊は、避けられないこと。  第四に、淡水化によって得るものよりも、シジミ等漁業の消滅、水都としてのイメージ喪失と観光客の減少、水質汚濁防止コストなど失うものの方が経済的にも大きいと考えられること。  第五に、本事業が水八千万トンを得るために七・五億トンの水を淡水化するという不合理な事業であり、周辺河川からの水の確保などにより不合理性を是正すべきであること。  こういうふうな理由によりまして、私どもとしては「限定的淡水化を含め淡水化は中止すること。」、それからその次に「干拓地の部分竣工については、農地利用分を減少させ、公共用地、住宅用地など多目的土地利用を考えるなど、その速やかな有効利用を行なうよう、検討すること。」、それから「干拓地の水の確保については、暫定用水の恒久化・拡大化をはじめ周辺河川水や伏流水・地下水の利用を考えること。そのため、水利権の調整について関係者と話し合いを行うこと。」、それから「中浦水門については、淡水化のために使用せず水質改善装置としてまた、防潮装置としての利用を検討すること。」、「本事業の地方負担については、財投から一般会計への転換および水門などの用水施設建設費の国による負担その他の方法により軽減を計ること。」、それから最後に「環境庁においては国営事業であり、かつ水質や生態系に大きな影響を与えるおそれのある本事業について黙認せず、淡水化等のもたらす環境影響について権威ある機関に調査を委託し、その結果に基づいた意見農水省に申し入れること。」、以上のような我が党の調査に基づく申し入れを先般総理あてにいたしております。農林水産省大臣のお手元にも届いていると思いますが、この問題について、答えられるところと答えられないところといろいろあると思うんですが、それぞれについてお考えをお伺いしておきたいと思います。
  141. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 今先生の方からお話のございました申し入れにつきましては、私どもの方にも大臣あてにいただいておるところでございまして、よく読ませていただいたところでございます。  公明党の御意見につきましては、今先生からお話のございましたように、諸事情の変化を踏まえてまず淡水化を中止したらどうかと、それを基軸にしての御意見でございますので、今大臣からお答え申し上げましたように、この扱い自体につきましては現在県でいろいろ御検討いただいておる、その御意見を待って私どもとしても慎重に取り進めていきたい、こういうことでまず御理解を賜りたいと思いますが、残余の部分につきまして当面の私ども考え方を若干御説明させていただきたい、こう思います。  まず一つは、現に干上がっておりますといいますか干陸しております干拓地が三地区ございますけれども、これを部分竣功させて有効利用していったらどうかという御意見があるわけでございまして、その場合に農地だけじゃなくてほかのことにも使ってはどうかと、こういう御意見でございます。私どもといたしましても、せっかく干陸させた土地でございますし、かつまた地元におきましても農業振興等の観点から早く完成させてほしいという御要望の強いものでございますので、できるだけ早く仕上げまして払い下げのできるような状態に持っていきたい、このように考えておるわけでございます。その場合の使途につきましては、やはり何と申しましても農業目的で行いました事業でございますし、かつまたあの辺は比較的経営規模の小さいところでございますので、規模拡大という点からも農業目的で使いたいという希望もかなり強いというふうにも聞いておりますから、それを基本として考えていくということになろうかと思いますけれども農業以外の利用の問題につきましては、これは具体的な要望があるかどうかということとも関連するわけでございますけれども農業用利用との調整を図りました上で具体的な要望についてもまた考えていく、こういうふうなことに相なろうかというふうに考えておるわけでございます。  その次の干拓地の水の確保、この場合に実は干拓地だけではございませんで、むしろ面積的には干拓地の場合は二千ヘクタールでございますが、周辺に七千ヘクタール余の水の不安定な既存の水田がございまして、それに対する水の供給ということがこの事業の重要な眼目の一つであったわけでございますけれども、その水を淡水化以外のやり方でやれないのか、こういうお話でございます。そもそもこの事業が始まります前の段階で、あらかじめ周辺の川を活用した水利の安定化の可能性その他いろんな点からの検討が行われておるわけでございます。ただ、工事施工の技術的な可能性なりあるいは経済性なり水利用の利便性といったようなことを考えますと、なかなか難しい問題がある。そこで、関係県等の意向も踏まえまして、むしろ淡水化を進めるという方が長期安定的な水の供給の確保に資するということで、この事業に踏み切ったという経緯もあるわけでございまして、長期安定的な水の確保という点からいたしますれば、現実的な代替案というのが現段階においてもなかなか難しいというのが現状でございます。  それから中浦水門の扱いにつきましては、これは淡水化の問題をどう考えていくかということとのかかわりでございます。先生御指摘のような利用の可能性ということを否定するものではございませんけれども、事業本来の趣旨からいたしますれば淡水化のための装置として考えていくのが本来ではなかろうかと、このように考えております。  最後に、地方負担の問題でございます。私どもも可能な範囲で地方負担の軽減を図っていくという立場でいろんな検討はいたしております。例えば先ほど出ました既に干陸しております地区の部分竣功を急ぎましてできるだけ早く負担金の償還を始めてもらうということも、これまた負担の軽減に資するゆえんではないかというふうに思っておる次第でございます。なお、具体的に財投から一般会計に切りかえていったらどうだろうというお話もございました。当然のことでございますけれども、既投資分については困難な問題があるわけでございますけれども、六十四年度以降の分についてその可能性がないかどうかという点については、我々もこれから考えていきたいというふうに思っております。なお、既に投資しております用水施設の建設費等の扱いの問題でございますが、既に国といたしましても相当高率の負担をしておる問題でもございますので、残余の部分については県を初めとする地元に持っていただかざるを得ない、こういう性質の問題であるというふうに考えております。  なお、これは環境庁に対する御要請であったわけでございますが、私どもといたしましても、本件を取り進めるに当たりましては専門家に調査を委託しまして、そこの議論を踏まえながら今日まで進めてきておるということだけ付言させていただきたいと思います。  以上でございます。
  142. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても大事な問題でありますし、私どもとしましては、本当はこれは七百億もつぎ込んだ事業ですから途中で中断するというのは非常にいかぬわけですけれども、地元のいろんな事情もあると思いますので十分よく話し合っていただいて、しかるべき措置がとれるようにしていただきたいと御要望だけ申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、きょうは漁業問題についてお伺いしておきたいと思います。  私、実は最近四国四県を担当さしていただいておりまして、先日も高知県の方に行ってまいりました。それで、高知県の漁業担当者の皆さん方と、また県の水産局長さん等御出席をいただきまして、一日懇談をいたしました。そこでいろんな話が出てまいりまして、本当に水産庁も非常によくやっていただいているということもお伺いをいたしてはおりますが、これは大臣、漁業というのも大変ですな、とにかく。本当にもうこれは、オレンジ、牛肉も大変ですけど、それ以上にやっぱり水産業の問題も大変だなというのを感じて帰ってまいりました。そこで、たくさん問題があるわけですけれども、きょうはその中の幾つかをお伺いしておきたいと思います。  まず一つは、高知には御存じのとおりもう日本国内におけるいろんな漁業が全部あるわけですね。内水面のやつもあるし、遠洋のカツオ、マグロもありますし、沿岸漁業の分もあるし、みんなあるわけですね。それで、その皆さん方に全部集まっていただいてお話を聞いたわけですから、中身的にはいろんな問題が出てくるわけです。そこで、そんな中でまず初めにやっぱり現在の日本のいわゆる漁業はどういうふうになっているのかということ、それでいろいろ厳しい情勢も聞いておりますが、日本の漁業を取り巻く情勢はどういうふうになっているのかということを概括的に一遍初めに教えていただきたいと思います。
  143. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) ただいま先生からお話ありましたように、一口で言いまして非常に厳しい環境に置かれているわけでございますけれども、その厳しさにつきまして二、三具体的にあれしますと、一つは何といいましても昭和五十二年からアメリカ、ソビエトも参加いたしまして二百海里体制というものが本格的に動き出し、それから昭和六十年代に入りましてからさらに二百海里体制というものがもうひとつ深まった形になってきているということが、何といいましても国際的に置かれている厳しさの第一だろうと思っております。  それから第二番目に、今までは高度成長でございますとかいろんな関係で、消費者の魚の消費量なりもかなり上がってまいりましたし、それから魚価自体も相当上がってきたわけでございますけれども、こういう安定成長期に入りまして、消費なり価格の低迷というものが経済的な問題の一つとしてあろうかと思っております。  それからここ一、二年のもう一つの動きといたしましては、そういう二百海里から日本の漁獲が締め出される、あるいは日本の需要がここのところおかげさまで少し回復してきたということとも関連いたしますし、それからさらに最近の円高というものによって加速されまして水産物の輸入というものが増大してきたということが、ここのところの水産業を取り巻く難しさの三つかと思っております。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 高知でもそんなことを言うとりました。確かに二百海里の問題は特に大変な問題であろうと思います。  そこで、まず遠洋漁業の問題でお伺いしたいんですけれども、この二百海里の問題に絡みまして、やっぱり遠洋のカツオ、マグロ漁船に従事する皆さん方というのは、漁場をどう確保するかというような問題がもう死活問題だろうと私思いますね。しかも、そんな中でいろんな問題がある。特に発展途上国の中には、入漁料といいましょうか、その見返りとして技術協力、魚のとり方、いろんなことを教えてくれということでそのとり方をいろいろ教えてあげると、そうするとそれを自分たちが身につけた途端にもうええと、日本人の皆さん方は結構ですと、それで漁船が出ていくと今度はとった魚を直接売りに来ると、そういうふうなパターンがいっぱいあるというんですよ。  だから、そういうような面でこの問題非常に深いいろんな角度からの問題があるんだろうと私は思うんですが、一つは二百海里の漁場確保の問題と、そういうようないわゆる技術協力の問題と、ここら辺のところはどういうふうに現状なっているか、一遍御説明いただきたいと思います。
  145. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) ただいまお話ありましたように、発展途上国を中心といたしまして、伝統的水産技術国であります日本がいろんな形で技術を供与しているわけでございます。こういう技術供与なりあるいは資本供与、こういうことで先様に力がついてくるに従いまして、一般の他産業でもありましたように、ブーメラン効果といいますか逆にこちら側にはね返ってくるということの繰り返しがそれぞれの地域でいろんな形で出ているわけでございますけれども、ただ現時点では幸いなことにまだ日本技術力なりそれから日本の資本力というものが相当まさっておりますので、局地的にそういう若干の問題はございますけれども、現在のところちょうど分岐点的なところで共存し得ているという形かと思います。  しかし、時間の経過とともにそういう状況も保てない状況になってこようかと思っております。したがいまして、何といいましても最後の我が国水産業のよりどころというのは日本国自体が持っている二百海里、これをどうやって豊かな海にしていくかということがやはり最後の力であり最後の財産だと思っておりますので、粘り強い漁業交渉に加えまして、こういう我々自身が持っている広大な二百海里をもう一度再構築していくということに全力を注いでまいりたいと思っております。
  146. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのとおりでしょうし、しっかり頑張っていただきたいとしかこっちも言いようがないわけです。  これも農林水産省の外交問題と関係がある新聞の報道で、新聞がこれはほんまのこと書いてないと困るわけですけれども大臣、農林水産外交というのはどうも弱いなというのをしみじみ感じた問題の一つなんです。その新聞の報道によりますと、我が国の調査捕鯨に対するアメリカの報復措置について書いておるわけです。それは、我が国が調査捕鯨を実施したのでレーガン大統領が、去る六日というんですから今月の六日のことだと思うんですね、去る六日、アメリカ二百海里水域における日本漁船の操業と対日漁獲割り当ての全面禁止を発表した、こう書いてあるんです。それはもちろん何も調査捕鯨とは関係なしに、もともとそうだったんだから関係ないよと言われればそうかもしらぬけれども、報復措置であるのかないかわかりませんが、いずれにしてもこういう問題といつもひっかけてこういう記事が載っておるわけですよ。  もっとも、我が国に対することしの漁獲割り当ては既にゼロということにもともとなっておるわけですから、実質的な被害はない。それにしても、国際捕鯨条約で認められている調査捕鯨を実施したからといってすぐアメリカがこういうふうな措置をとるというのは、大臣がいつも言う友好国としてとるべき姿勢ではない、そう思うんですよ、私はね。それで、こういう問題についてアメリカが、レーガンさんがそういうことを言う前にそういうことを言わさんようにでけへんのかと、実際問題としてね、私そう思うわけです。しかも、こういうことをしたらやっぱり日本としてはきちっと抗議すべきことはする、言うべきことは言う、そういうことはできないのか。またもっと言えば、日本は少なくともアメリカから水産物を相当量輸入しておるわけですから、こんなことをするんやったら輸入やめるぞと、そんなことはこれ言われへんのか。いや言われへんのやというふうに言うかもしれませんが、そういうふうに私思うんですが、ここら辺のところはこれはどうなんでしょうかね。
  147. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) アメリカの今回の調査捕鯨に対する報復といいますか、パックウッド・マグナソン法の適用ということにつきましては、かねてから我々もそういう法律を適用することの理不尽さなり無謀さというものにつきましていろんなチャンネルで先様に説得をしてまいっております。実はこの関係でもう一つペリー修正法というのもアメリカは持っておりまして、これは国際捕鯨条約の効果を減殺するような行為をやった国からの輸入を禁止できるという規定がありまして、これの発動期限が四月八日ということになっていたわけでございますけれども、我々のいろんな説得でそっちのペリー修正法の方は発動しませんで、ただいま先生からお話がありましたように、現在既に日本を含めて諸外国に一匹たりとも割り当てないものを改めて一〇〇%削減ということで今回来たわけでございます。  しかし、既に割り当てがゼロであったとはいいましても、こういう鯨、しかも我々といたしましては国際捕鯨条約上もこういう調査捕鯨というものは当然認められている権利である、しかもアメリカにも再三その説明をしながら進めてきたという経緯もございますので、こういうことを契機としてパックウッド・マグナソン法を適用して、現実にゼロであってもゼロを改めて押しつけてくるということにつきましては極めて遺憾でございまして、早速私のところに在京の公使を呼びまして遺憾の意を伝えると同時に、きのうでしたかおとついでしたか現地の大使からも国務省あてに極めて遺憾である、できるだけ早い時期でのかかる措置の撤廃方ということを断固お願いするという強い抗議の声明を出されておる次第でございます。
  148. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今よう聞いて少しわかってきたような気がするんですけれどもね。  それから、カツオ、マグロの漁業対策なんですけれども、先般お伺いして、高知県の代表的な漁業と言ってよい遠洋及び近海のカツオ、マグロ漁業、これは諸外国による二百海里規制の強化それから円高に起因する輸入の増加と輸出の減少による供給過剰が生んだ魚価の低迷、そして資源の減少、それから優秀な漁船員の不足、借入金の支払い利息の増大等のため実際問題としては非常に苦しい経営を余儀なくされている、そういう実情にあるようです。実際問題として業界としては漁船のいわゆる減船の実施とか、それから省エネルギー型漁船の導入、そういういろんな努力をあれこれやっているようです。しかしながら、実態はなかなかうまく改善されていないというのが実情のようですね。そこで、政府として特にカツオ、マグロ漁業対策として具体的にどういうことをやっていらっしゃるのか、これを一遍お伺いしておきたいと思うんです。
  149. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) ただいまお話ありましたように、ここのところの漁業の苦しさが象徴的にいろいろ重なってあらわれておるのが恐らくカツオ、マグロ、その中でもカツオというふうに我々も認識しております。これは二百海里の影響もそうでございますし、それから消費の動向あるいは後継者の問題あるいは過去の負債の問題、いろんな問題がここに積み重なった形で厳しさが出ておるわけでございます。  こういうものに対しまして、やはり一つは何といいましても、ただいま先生からもお話ありましたように、構造的に手当てをせざるを得ないということで、業界の方々にも汗を流し血を流していただいて減船というものをここのところ何とかやってきたわけでございますけれども、現在も残念ながら従来の減船だけでは間に合う生産体制というか生産秩序になっていないという点がございますので、そういう構造政策につきましてはこれから少し気長に業界ともいろいろ話し合っていく必要があろうかと思っておりますが、当面は過去の負債の累積というものが個別経営にとりまして大きくのしかかっておるわけでございます。  これにつきましては、おかげさまで漁業経営維持安定資金でございますとかあるいは漁業構造再編整備資金というようないろんな資金制度があるわけでございますけれども、幸いにいたしまして六十一年度から二%という制度金利としては最低の金利の借りかえ資金というものが制度化されまして、これの大部分はカツオ、マグロの方々の借りかえ資金に活用していただいているということもございますので、こういうものを従来以上に活用いたしまして、その方々の経営の再建というものに従来以上に意を用いてまいりたいと思っておりますし、そういう構造政策それから負債政策、そういうことに加えましてもう一つ長期の対策としては消費の拡大ということが問題でございますので、いろいろ業界とも一緒になりまして消費拡大、需要拡大ということに向けていろんな知恵を現在出し合って進めておるところでございます。
  150. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その消費拡大のやっぱり一番の大きなネックは価格ですね。そういうような意味でいきますと、実際問題として現地でもいろんなことをお伺いしましたが、マグロの生産者価格というのはいろんな面で合理化されてきていますし、随分下がってきておると私は思うんですね。ところが、実際問題として消費者の価格というのはなかなか下がらない。これはやっぱり流通過程とかいろいろなところに問題があるんだろうと私は思うんですが、これどこら辺がどういうふうにネックになっているのか。それで、その改善の見通しとかどこら辺を改善したらいいということはわかっていらっしゃるのか。いわゆる消費者価格を下げるための努力ですね、ここら辺のいわゆるからくりといいましょうか、または安くするにはこうしたらいいんじゃないかというふうなお考えとかありましたら、教えていただきたいと思います。
  151. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) カツオ、マグロ、ただいま先生からマグロの刺身という話もございましたけれども、これは御承知のとおり産地それから消費地、小売といろんな流通過程を通じ、しかも一匹の魚が解体され皿に盛られていくということでございますので中間のいろんなコストがかかることも事実でございますし、それから流通パイプというものが非常に長いということも事実でございますけれども、ただ、ただいま先生から生産者価格が下がる割に消費者価格が余り下がってないという感じのお話もございましたけれども、若干のタイムラグは持ちながらやはり産地価格が下がったこととかなり深い連動関係で消費地価格も動いているということは事実でございますし、それから今度特にマグロ等につきましては、スーパーの目玉商品なり安売り商品ということで品質の問題もいろんなばらつきはもちろんございますけれども、相当消費者の身近な商品になってきたと。そのおかげてマグロの刺身の消費量というものも家計調査等によりましても月々ふえてきているというような結果にはなっておりますけれども、今後ともいろんな情報を的確に早くいろんな段階に流していくということが一番やはり価格形成上必要かと思っておりますので、そういう情報の流し方につきまして従来以上な迅速さで適切なものを流すことに努めてまいりたいと思っております。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 流通過程に対する指導ですね、これはやっぱり水産庁としては何らかの形でやっていらっしゃるわけですか。
  153. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) これは産地、消費地それぞれ市場行政の一環として行われ、それぞれ大部分が市場内取引の競りという取引形態で行われておりますけれども、一般の市場行政の一環として、市場の適正な運営というものにつきましては農林水産省全体としていろんな監視の目は当然届かせているわけでございます。
  154. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから次に、水産物の輸入対策についてお伺いしておきたいと思います。  最近の円高で、いろんな統計を見ましても水産物の輸入というのが非常にふえているわけでありますが、水産物輸入の現状とそれの国内生産に及ぼす影響、非常に大きな問題だと私は思うんですが、現状はどういうふうになっておりますでしょうか。
  155. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) ここのところの水産物の輸入は、特に米国、ソ連海域の二百海里規制ということが一つと、それから二つ目には国内需要がエビでありますとかいろいろ日本近海では必ずしも潤沢にとれないもので、高級なものの需要というものが相当拡大してきているということ、それから三つ目には発展途上国、東南アジアを中心としましてそういうところの対日輸出志向というものがかなり強まってきたということで、じわじわふえてきたわけでございますけれども、最近時点に至りまして円高というものがこれにさらに加わりまして、例えば数字で申し上げますと、六十二年には数量で二百八万トンということで初めて水産物の輸入が二百万トン台の大台に乗ったわけでございます。それから金額にいたしましても、一兆二千三百三十五億円という金額が輸入されているわけでございます。  しかし、このうちの三千億強というものがエビというようなことからもわかりますとおり、日本の近海ではとれないけれども消費者の嗜好の強いもの、こういうものは当然輸入にある程度依存せざるを得ないわけでございますけれども、ここのところ若干気にしておりますのは、例えばアジでございますとかサバでございますか日本近海ともろに競合するもの、こういうものにつきましても若干ノルウェーであるとかオランダであるとか、こういうところからかなり入り始めてきているということで、国内との競合ということが問題になってきているわけでございますが、我々といたしましては、何といいましても秩序ある輸入ということが必要と思いますので、関係団体なり消費者に対しましてもいわゆる集中豪雨的な輸入であるとかそういうことは避け、必要なものはこれは輸入に頼らざるを得ないことも事実でございますので、何とか一定のルールのもと、一定の正しい競争のもとで入れるようにという指導なり働きかけを積み重ねておるところでございます。
  156. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 我が国に対するマグロの主要輸出国である韓国そして台湾と我が国との間では、秩序ある輸入を実現するために韓国との間では政府間ベース、台湾との間では民間ベースでそれぞれ話し合いを持たれておるということを聞いておりますが、それにもかかわらず最近マグロの輸入が急増している、こういうふうに聞いております。これはどうしてそうなのか。台湾、韓国以外のところからも入ってくるんだろうと私は思うんです。どうしてもうちょっと実効ある措置がとれないのかというふうな話があったんですが、ここら辺のところはどうなんでしょうか。
  157. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 韓国、台湾からのマグロの輸入は相当量になっておるわけでございますが、まず韓国につきましては、昭和五十一年から各四半期ごとに日韓マグロ類の需給協議会というものを、ただいま先生からお話ありましたように政府ベースで開催いたしまして、漁船による対日搬入量というものの上限を合意しているわけでございます。これと関連いたしまして、我が国においては船舶によりますマグロ類の輸入について、事前確認制度の対象として現在まで合意した数量を入れるということをお互いに約束してきておりまして、韓国との間ではこの合意数量を超過したということは過去にないわけでございます。しかし、一方こういう漁船が持ってくるものじゃなくて運搬船が搬入するもの、こういうものはこの協定の対象にはなっておりませんけれども、これにつきましては抑制方というものを韓国に要請しておるところでございますが、現在のところ抑制についての具体的な数量であるとかなんかについては合意を残念ながら見ておりません。  それから、台湾につきましては民間ベースで同様の協議というものを重ねておるわけでございますけれども、なかなか民間の業界だけでは話が進まないということで、六十一年からいわゆる準政府機関といいますか、交流協会と亜東関係協会、この準政府的な機関同士で協議を開始したところでございますけれども現時点ではまだこの協議が調わないという形で、台湾との関係では数量の合意に残念ながら至ってないわけでございます。  こういうものを中心にいたしまして、マグロにつきましてはお説のとおりここのところふえているわけでございますけれども、特に高級マグロ、生鮮マグロ、これが数量としてふえているわけでございます。これはまだ数量としてはマグロ全体の需給の中でそう大きい数量じゃもちろんございませんけれども、高級品志向ということで、料亭でございますとか特殊なグルメ志向、こういうものに対応するものとして生鮮高級マグロを中心にいたしましてマグロの輸入がふえているということは事実かと思っております。
  158. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今長官おっしゃったように、最近生鮮のマグロが相当入っているようであります。この問題いろんな問題があるようでありますが、ちょっともう時間がございませんので、あと二点だけお伺いして終わりたいと思います。  一つは、内水面の漁業対策の中の特に四万十川の清流ということで、ここでアユをとっていらっしゃる皆さんからのお話もいろいろありました。これは非常にいろんな問題があるわけでありますが、清流をどう確保していくかという問題、あるいは河川漁業環境を維持するためにいわゆる四万十川の水質保全に相当力を入れていかなくちゃいけないという問題がありましたが、これは非常に大事な問題であると思いますし、そう農林省だけでできる問題ではなかろうと私は思います。そういうような意味でこの四万十川の対策はどういうふうになっているのかというのが一つ。  それから、もう一つの問題は後継者の問題ですね。これは県の方からのデータもいただいてまいりましたが、やはり漁業に携わる人口がもう毎年減ってきていますね。特に若年層の減少というのが大変だそうであります。後継者難ということで非常に困っているそうであります。ここら辺のところは農林省としてもこれから取り組んでいかなくちゃいけない問題であると思いますが、この二点についてお伺いしたいと思います。
  159. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 最初の四万十川でございますけれども、ここでは先生からもお話ありましたような主要な漁種であるアュの漁獲量というものが年々ここのところ減ってきて、県当局を初め我々といたしましても非常に心配しているところでございます。そういうことを受けまして、県の水産部が中心になりまして六十二年度より減ってきた原因解明の調査というものをせっかく着手しているところでございますので、そういう調査結果も踏まえまして県当局と十分相談しながら、あそこ全体の漁場としての確保なり再生というものをどうやって図っていくかということをこれからおいおい検討してまいりたいと思っておりますけれども、水産庁としても、例えば種苗生産施設の整備でございますとかいろいろ助成手段というものはございますので、県と十分相談しながら対応を決めてまいりたいと思っております。  それから漁業後継者の問題でございますが、これは先々の漁業というものを考えた場合に一番我々としても頭の痛い問題でございます。一般論で恐縮でございますけれども、何といいましても後継者が居つくためには、漁村そのものが住みやすいあるいは魅力ある漁業ということにしなければならないわけでございまして、そのためには漁業生産基盤の整備でございますとかあるいは経営安定対策、それから生産流通対策、それからさらには一番おくれていると言われている生活環境をどうやって手直ししていくか、こういう総合的な施策というものを講じまして、何とか漁業そのものが魅力あるものにもう一度生まれ変わっていくということに全力を挙げるより仕方がないというふうに考えている次第でございます。。峯山昭範君 結構です。ありがとうございました。
  160. 吉川春子

    吉川春子君 お着きになったばかりで恐縮ですが、官房長官にまずお伺いします。  報道によりますと、四月六日の午前の緊急記者会見で、政府が条件つき自由化の方針を決めたような報道があるが、自由化は困難であり、二国間協議で解決するとの従来の考えに変わりはないと述べられています。これは、政府としては自由化が望ましいとの五日夜の政府首脳の発言を否定したものということでよろしいですか。
  161. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 牛肉かんきつをめぐる日米交渉は大変厳しい状況でございます。本問題につきましては隣におります佐藤農水大臣非常な決意を持って臨んでおられますので、政府といたしましては、そのせっかくの交渉にすべてをゆだねておることでございまして、基本的には二国間の話し合いによって何とか決着を得られるようにというのがすべてでございます。二国間の協議によりこの問題が解決することを政府としては今佐藤農水大臣の御努力にまっておる、こういうことでございます。
  162. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、前日の政府首脳が言ったと伝えられております政府としては自由化が好ましいという発言を否定されたわけなんですね。
  163. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 否定するとか否定しないとかということじゃなくて、政府としての基本的立場は、しばしば申し上げておりますように、米国と我が国との二国間協議によって最終的結論を得たいというのが公式の政府考え方でございます。
  164. 吉川春子

    吉川春子君 二国間協議で解決するということになりますと、米国の態度は大変強硬なわけですから日本が歩み寄ることもあり得るわけですか。
  165. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 参議院の予算委員会でも申し上げたところでございます。重ねての御質問でございますが、三十一日、四回目の会談のときに話し合いは継続しよう、こういうことで提案をいたしましたところ、その点については意見が一致をいたしました。そういうことで、今継続をしておるわけでございます。一時中断した形になっておりましたのは、宗教的、社会的行事かとも思いますが、イースターということでみんなお休みになるということでございました。その休みも終わった段階で三局長をおととい派遣いたしまして、話し合いをしようという意見の一致のもとでの話し合いを今やらせておる最中でございます。
  166. 吉川春子

    吉川春子君 官房長官の六日の記者会見というのは、参議院の佐賀補欠選挙の最中にそれをあるいは配慮して会見なさったと思うんです。官房長官に総理にかわってお尋ねするわけですけれども、佐賀の補欠選挙におきましては、自民党は牛肉、オレンジの自由化という政策をもちろん掲げて戦ったわけではないんですね。
  167. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 佐賀の選挙におきまして自由民主党の候補者がどういう公約を掲げどのような演説をされたかのすべてを詳細承知しておるわけでございませんが、農産物自由化問題も極めて重要な問題だということで、それに対する態度は有権者の皆さんに御理解を願えるように主張して当選をしたものだというふうに思っております。
  168. 吉川春子

    吉川春子君 補欠選挙の結果が判明した後の新聞の報道によりますと、自民党はこれで壁一つ乗り越したのじゃないか、こういうような報道もあるわけですけれども、しかし私が政策ビラ等を見せていただきましたところ、牛肉、オレンジの自由化ということは一言も書いてなかったわけですから、そういう政策は掲げてはいなかったんですね。
  169. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今私の立場政府立場出席をさせていただいておりますので、それぞれ政党間の候補者が選挙戦において戦われたことにつきまして、そのことを詳細に正しくすべて掌握はいたしておりませんので、コメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  170. 吉川春子

    吉川春子君 明らかに官房長官の記者会見というのは佐賀の選挙を意識したものではないかと私は思っていたんですが、政策を掲げて戦っておりませんので、この佐賀の選挙で自民党が勝ったとしても自由化国民が認めたということにはならないというふうに私は思います。ちょっと明確なお答えいただけませんでしたけれども、長官結構でございます。  続いて、改正案の内容についてお伺いいたします。農林水産省次官クラス農水審議官を置くということですが、これによって現在進んでおります農産物輸入自由化、こういうものが日本政府の方針どおりに阻止できる、阻止するためにこういうものを置く、有利に交渉を進めるために置く、自由化はきっぱりと阻止できる、こういうことですか。
  171. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 農林水産審議官設置の目的でございますが、これにつきましては先ほど大臣から提案理由の中でお話を申し上げたとおりでございます。  現実におきます国際化の状況というのが一つございまして、そういった問題に農林水産省立場といったようなものを反映する場合に、やはり個別の個々具体的な国境措置といったような問題だけで対応するというようなことではなくて、農林水産省全体の問題というふうにはね返ってきている。したがいまして、総合調整の機能といったようなものをつかさどるポストというのがどうしても必要だと。これはあくまでも事務的な話でございますが、事務レベルとしての最高のそういう総合調整というものを各局あるいは各庁との関係でやっていかなきゃいけない事態に農林水産省として迫られているというのが第一点でございます。  第二番目は、あくまでも先ほど国際化情勢におきまして、他省庁に既に見ておりますけれども、いわゆる次官クラス、英語でいきますとバイスミニスターといったような肩書でもって行われる会議が多発——多発といいますかたくさん行われているわけでございます。そういう場面においていろいろ機能する人物というものを農林水産省として持ちたいというのが第二点でございます。今日からお認めをいただきまして実際に置かせていただきますと、今後そういう機能が行われることになろうと思いますが、当面今お話しの点におきまして直に自由化の問題ということに関連するかということになりますと、それはやはりこの任命された人物が国際の外交裏におきましていろいろな発言あるいは活動において、農林水産省と申しますかあるいは日本国の立場を代表いたしまして強力なる仕事をできるか否かということにかかっているというふうに考えられると思います。
  172. 吉川春子

    吉川春子君 日米交渉の経過に関連してお伺いいたします。  ある新聞の報道によりますと、「佐藤・ヤイター会談では、”二国間決着なら何年後に自由化すればよいのか”というすり合わせまで行っている」と述べておりまして、裏面での交渉にかなり進展があったことをにおわせています。先ほど大臣が新聞社に意見を言ったという御発言がありましたけれども、これは事実無根なのか、それとも外交交渉だからノーコメントなのか、どちらの部類に属するんでしょうか。
  173. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 今朝来も申し上げておりますが、一部報道によることについて私からコメントをするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、今ヤイター代表と私の間で……
  174. 吉川春子

    吉川春子君 何年後に自由化すればよいのかという話なんです。
  175. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) どうも失礼しました。  そういう話はございません。
  176. 吉川春子

    吉川春子君 同じ日の新聞で、ヤイター代表は「巨額の貿易黒字を持つ国は、諸国の範を示すべき」だと、こういうふうに述べているわけですけれども、この記事全体は自由貿易主義の大原則とは反するのではないかと読みました。  それで伺いたいんですけれどもアメリカが行っている工業製品輸入規制の代表例として、十二月八日に衆議院の農水委員会で通産省の課長が繊維、鉄鋼、自動車、工作機械、半導体などを挙げているわけです。一言で言えば大変保護しているわけですね。工業製品の分野で保護貿易を強めているアメリカが自由貿易を云々する資格はないというふうに思うわけですけれども、この件についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  177. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 今先生からお話のございました一定の工業製品についてアメリカの例を挙げられたわけでございますが、必ずしもアメリカに限りませんで、工業製品の輸出、輸入の一定の抑制のために主として輸出国が自主規制を迫られて、それを輸入国との協定のもとで行うという実例がかなり広がってきていることは事実でございます。  この問題、確かに御指摘のございましたように、自由貿易という原則に照らすとそれから外れた疑いが非常に濃い性格の取り決めであるというふうに一般に理解されております。ガット上も非常に問題になっておりまして、いわゆるガットの規定に正面から抵触する措置ではないけれども、非常に怪しい灰色措置というふうに言われておる分野の問題でございます。こういった問題についてもニューラウンドの枠内できちっと処理をしていくべきであるという世論が形成されつつありますけれども、現在の条文に照らすと直ちに違法と言うのは難しい中間的な性格の問題というふうに理解されている問題だろうと思います。
  178. 吉川春子

    吉川春子君 そういうことを一方でやりながら、自由貿易云々ということで日本に大変激しく迫ってくる。こういう不当なことに対して、批判は批判としてきちんとするべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
  179. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 先ほども御答弁申し上げたわけですが、例えば今回問題になっております牛肉かんきつを例にとりましても、アメリカアメリカ国内法でございます食肉輸入法で一定の水準に輸入量が達し、もしくはそれを超えるおそれのある場合には輸入制限措置が発動できるという権限を法律の中に設けまして、それをバックに現実には主要輸出国でございます豪州あるいはニュージーランドに対し牛肉の輸出量の自主規制を行わせるという措置をとっているわけでございます。法律的な意味合いからいいますと先ほどの灰色的な性格のものではないかと思いますけれども、現実の経済的な効果としてはその他の輸入制限と比較して差がないではないか、公平性の点から問題があるのではないかということは私どもも再三にわたって指摘をして取り組んできているわけでございます。
  180. 吉川春子

    吉川春子君 今御答弁がありましたように、アメリカ牛肉輸入制度は一九六五年から八八年までの間に十二回の輸入制限措置をとっているわけです。そうしますと、こういうことについて二国間交渉でもたびたびアメリカに批判し抗議してきている、こういうことですか。
  181. 塩飽二郎

    説明員塩飽二郎君) 問題の性格に応じまして、機会あるごとにそういう問題を提起してきているわけでございます。
  182. 吉川春子

    吉川春子君 大臣が訪米されましたときも同じような批判、指摘をなさったわけですか。
  183. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) そのとおりでございます。
  184. 吉川春子

    吉川春子君 その結果、今アメリカ牛肉の自給率あるいは日本その他の国の牛肉、食肉の自給率はどうなっていますか。
  185. 濱田幸一郎

    説明員濱田幸一郎君) 主要諸外国の牛肉の自給率につきましては、利用可能な資料によりまして生産量と消費量から算定いたしますと、年によりまして変動はありますが、一九八六年では米国は九四%、ECは一〇六%、オーストラリアは二二二%となっておりまして、一方我が国牛肉自給率は、昭和六十一年度の食料需給表によりますと六九%と、こういうふうになっております。
  186. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、アメリカなどはいろいろな規制措置をとって自給率をふやしている、日本は自給率が減る一方だと、こういうことについてさっきの大臣のお話ですとアメリカは二国間交渉でも批判したということですが、それに対してアメリカはどういうふうに言っているんですか。
  187. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 一々外交交渉の中身を言うわけにはまいりません。
  188. 吉川春子

    吉川春子君 そういうふうにおっしゃられるとちょっと質問が詰まるわけですけれども、それでは大臣のお考えとして、これだけ自国のものについては工業製品にしろ牛肉にしろ保護しているんだから、日本に対する自由化の要望というのは余りにも厚かましいと思いますが、それはお考えとしてはいかがですか。。国務大臣佐藤隆君)厚かましいという言葉は私は余り使わぬことでございますが、向こうに言わせれば、これは相手のあることでございますからね、あるいは私が粘り強くやることを向こうも厚かましいと思っているかもしれません。いずれにいたしましても、日本の実情というものを十分説明を申し上げておるということでございますけれども自由化困難ということについてはすり合わせることができなかった、合意できなかったと、こう申し上げておるわけでございます。一つ一つとらえてこれは抗議したか、抗議したらどう答えたか、そういうやりとりはここで申し上げるわけにはまいりません。一口で申し上げまするならば、私は平和的に物を解決しようと思っておりますので、粘り強く友好的に平和的に理解を得られるようにさらに努力を続けておるところでございます。
  189. 吉川春子

    吉川春子君 日本の食糧の自給率というのは先進国の中でも最低のグループにあるわけです。穀物などは三一%という低さです。今後需要増が見込まれているほとんど唯一の食品、品物として牛肉生産には日本としても大変力を入れているわけですが、アメリカ農業を守るために日本農業生産は縮小しても、農家が困っても構わないと。私は厚かましいというふうに申し上げましたが、身勝手だと思うんですね。こういうようなアメリカの姿勢については厳しく抗議すべきではないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、農水省にお伺いいたしますが、農業総合研究所が牛肉自由化したらどうなるか、こういうシミュレーションを行っていますが、その結果はどういうことになっているんですか。
  190. 畑中孝晴

    政府委員(畑中孝晴君) 今のお話のシミュレーションの発表は、四月の初めに日本農業経済学会というのが行われましてそこでシンポジウムがございまして、そこで私どもの研究員が発表したわけでございますが、いろんなシミュレーションでございますから前提を置いておりますけれども、いろいろな前提を置きながら計算をいたしますと、完全に自由化した場合、価格が下がりますし国内で生産をする肉の生産量も減ってくる。したがって、輸入もふえますので自給率が非常に低下をする等、相当大きな日本牛肉生産に影響が出るというような結果が出ております。
  191. 吉川春子

    吉川春子君 完全自由化の場合に、二十一世紀の初頭には和牛の生産量というのは今と比べてどの程度になるんですか。
  192. 畑中孝晴

    政府委員(畑中孝晴君) それの計算では価格が相当下がってまいりますので、日本の和牛の生産は今の生産量に比べますと、その発表した結果によれば、かなり十分の一とか、あるいはいろいろな計算のそのときの幅がございますけれども、相当量になるという結果が出ておりますが、これはいずれにしてもいろんな仮定のとり方、例えば輸入をしてまいります肉は日本が大量に買いましても全然価格が変わらないとか、あるいはいわゆる供給量の方から見ておりますから、どんどんどんどん安くなれば皆さんがどんどん食べるという、そういういろんな前提を置いてやっているものでございますので、必ずしもそういう完全自由化した場合、何もほかの条件が変わらないですぐそうなるかというと、ここはなかなか判断は難しいところだろうと思いますが、そのときの発表の結果では、そういった相当日本の和牛の生産が下がるというような結論になっております。
  193. 吉川春子

    吉川春子君 和牛の生産が十分の一、自給率が一八%になる。そして、自由化して輸入課徴金によって価格を支えても四四%に下がる、こういうふうにおっしゃっておられるわけですね。
  194. 畑中孝晴

    政府委員(畑中孝晴君) 今の自給率はそういうことでございます。ただ、後半の課徴金とかいろいろな前提を置いた計算をいたしておりますが、かなり前提条件が価格等も変わってまいっておりまして計算時点より変わっておりますので、そういった課徴金を取ったらどうなるかというようなことについてはその研究発表の場では発表をいたしませんで、また前提を変えていろいろ検討する必要があるというふうに申し上げるのにとどめたことになっております。
  195. 吉川春子

    吉川春子君 これは農水省の機関でしょう。そこでおやりになったシミュレーションですから私は大変権威のあるものとして読ませていただいたわけですけれども、何だか口ごもっていらっしゃいましたけれども大臣、このシミュレーションの結果というのはきちっと科学的であり信用してよろしいんでしょうか。
  196. 畑中孝晴

    政府委員(畑中孝晴君) これは国内の食品のいろいろな需給関係、そういったものをモデルで、米もやっておりますしいろいろなものをやっておるわけですが、そういう手法の開発をどういうふうにすれば正確な需給がつかめるかというような研究的な立場で研究者がやっておるわけでございまして、国際的にもいろいろな大学でもやっておりますしいろんなところで何とかしてそういったものを科学的に押さえたいということでやっておる、その一環として私どももそういう勉強をさせているわけでございます。したがいまして、それぞれの数字がいろいろ出ておりますけれども、それが農林省の何といいますか公式の見解といいますか、これが農林省が認知をした数字である、そういうこととは違いまして、研究上の一つの開発をした手法の上で計算をしてみて、シンポジウムの素材提供をしたというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  197. 吉川春子

    吉川春子君 ですから、シミュレーションというのはそういう性格のものなんですけれども、場合によっては和牛の生産量が現実には二十分の一になるかもしれない、自給率がもっと下がるかもしれない、こういうこともあり得るわけですね。それで、牛肉の輸入自由化によってとにかく大変な事態になるということはこのシミュレーションによってもかいま見ることができるわけですが、そのほか飼料穀物の輸入減になって貿易収支の改善はさして大きくない、こういう指摘もあります。さらに全国畜産農家三十五万戸が離農の危機に追い込まれるのではないか。その結果、食肉産業、流通業界への打撃、そして五十万人規模の雇用不安、家族を入れて二百万人の生活が脅かされるかもしれない、こういう指摘があるわけですが、畜産農家の分布地である北海道、東北、九州、こういうところは特に大きな打撃を受けるわけです。労働省お見えになっておりますか——この地域の現在の有効求人倍率はどの程度ですか。
  198. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 先生お尋ねの北海道、東北、九州の有効求人倍率を御紹介させていただきますと、一番新しい数値は二月の有効求人倍率でございます。北海道は〇・三六でございます。それから東北各県を申し上げますと、青森〇・三〇、岩手が〇・七五、宮城が〇・八六、秋田が〇・六二、山形が〇・九七、福島が〇・八九ということでございます。それから九州は福岡が〇・四四、佐賀〇・六九、長崎が〇・七四、熊本が〇・六三、大分0・六八、宮崎が〇・七三、鹿児島が〇・五五、沖縄〇・四三ということでございまして、全国平均は〇・八五ということになってございます。
  199. 吉川春子

    吉川春子君 現在でもこの地域は大変有効求人倍率が低くて、就職が困難あるいは産業にもいろんな困難を背負っている地域ですけれども、さらに牛肉自由化ということになれば一層その地域の経済が困難に追い込まれるというふうに思いますので、こういうような自由化というのはやっぱり断固として拒否すべきだと思います。  労働省どうもありがとうございました。  次にお伺いいたしますが、報道によりますと、全国農協中央会制作のビデオ「それでもあなたは食べますか」について、リン長官は佐藤農水大臣との会談の際もこの話を持ち出したというふうに私拝見しましたけれども、どんな話があったんでしょうか。
  200. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 一々私が自分でメモをとって覚えているわけでもございませんので、一口に申し上げますと全国農協中央会でつくったビデオというのは甚だ遺憾である、こういうことでございました。おっしゃるような大変遺憾であるというようなことを言われるとするならば、私見ておりませんので、そういう内容であるならば遺憾であると、こう言っておきました。
  201. 吉川春子

    吉川春子君 その後もまだビデオをごらんになっていないということですか。
  202. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私の朝から晩までの私生活に何か言及するようで、聞かれても答えた方がいいのか、また聞く方がどうなのか私ちょっと今迷っておりますけれども、まだ見ておりません。
  203. 吉川春子

    吉川春子君 私あのビデオを見ました。そのビデオには日本人としてはかなりよく知っているようなことが当然描かれておりまして、私もいろいろな運動をやっていた関係日本人の間では大体常識になっているようなことが半分ぐらい、それからああこういうこともあるのかと、しかしこれは知っておかなければならないんじゃないか、例えばアメリカでは国内では食品に使われていないけれども輸出用の食物には使われている殺虫剤があるとかですね、こういうようなことは私たちは当然今まで知らなくても知っておくべきではないかと思ってあのビデオを見たわけですけれどもアメリカがけしからぬと言っても、やはり日本人としては健康を守るために知っておかなきゃならないことが当然あるわけですからね、アメリカが言うから直ちに日本もけしからぬということにはならないと思うんです。  それでお伺いしたいんですけれども、仮にアメリカから農産物が入ってくるということになりますと、現在アメリカで使われているBHC、パラチオンなどの有機燐系殺虫剤、こういうもので汚染された食物が入ってくることになるわけです。日本ではBHC、パラチオン、この使用は禁止されていますけれども、その理由について報告してください。
  204. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) アメリカが遺憾だからと言ったので直ちに私が遺憾だと言ったのはというような意味にちょっと受け取れたんですが、そうでないですな。
  205. 吉川春子

    吉川春子君 そうでないです。だとすればよくないということです。
  206. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) そうですか。それならいいです。
  207. 兵藤宗郎

    説明員(兵藤宗郎君) お答えをいたします。  BHCにつきましては、昭和四十六年の十二月に農薬取締法に基づいて販売禁止の措置をとっております。これは主として毒性の残留が非常に長いというようなことで、当時野菜等にそういう問題が生じたということがございました。それからまたパラチオンにつきましては、昭和四十六年、同じ年の六月一日に毒物及び劇物取締法に基づいて、従来これは特定毒物といたしましてその使用について特段の規制をした上で使用してもいいということになっていたわけですが、そういった使用を一切認めないということになったものですから、昭和四十六年六月一日に使用禁止の措置がとられております。これは主として急性毒性ということで、散布中の事故等が非常に多かったというふうに承知をいたしております。したがいまして、これらの農薬についてはその後一切使用されていないというふうに理解をいたしております。
  208. 吉川春子

    吉川春子君 日本では使用されていないんですけれどもアメリカでは大量に生産されているんですが、どの程度生産されどの程度使われているか、農水省おわかりになりますか。
  209. 兵藤宗郎

    説明員(兵藤宗郎君) アメリカにおける農薬の使用についてはつまびらかな資料というのが入手できませんのではっきりいたしませんが、御指摘のBHC、パラチオンにつきまして、米国におきましては野菜等の殺虫剤として登録があるというふうには理解をいたしております。それからさらにFAOの「プロダクション・イヤーブック」、これによりましてアメリカでのBHC、パラチオンの近年の使用状況を見てみますと、一九七九年から八四年までの資料がございますが、これによりますとBHCにつきましては消費量として掲載をされておりません。また、パラチオンにつきましては一九八二年に約一万一千トンの消費があったという統計がございます。
  210. 吉川春子

    吉川春子君 農水省にお伺いしますけれども、このパラチオンあるいはBHCがアメリカ農産物にどの程度使用されているかということはわからないわけですか。
  211. 兵藤宗郎

    説明員(兵藤宗郎君) 作物とかそういうものに具体的にどの程度使われているかというのは、そういった資料以外にはございません。
  212. 吉川春子

    吉川春子君 私ここに本を持っておりますけれども、これは「沈黙の春」という本で、二十数年前に日本でもベストセラーになった本で私も当時読んだんですけれども、これはレイチェル・カーソンという婦人のUSA漁業局勤務で動物学で学位を持っている方の本なんです。その中に、パラチオンについては最も強力で恐ろしい毒薬の一つだと、パラチオン急性中毒の最低量を確かめようとごく少量飲み込んだ化学者が、〇・〇〇四二四オンスというわずかの量でたちまち麻痺に襲われて、用意しておいた解毒剤を飲む間もなく死亡したと。自殺者といえばパラチオンが使われ、日本では年平均三百三十六件を数える。これは一九六〇年代のことですが、しかしその毒性については変わっていないと思うんです。  また、BHCについては脳や肝臓組織に大量に蓄積され、中枢神経系統にいつまでも大きな影響を与えることがあると、染色体異常をもたらしその結果悪性腫瘍、再生不良性貧血を招くと、こういう記述がこの本の中にあるわけなんですね。そういうものが、アメリカの有名な科学者の指摘にもかかわらず、もう三十年も経てまだアメリカで大量に使われていると。しかもそれはアメリカの話にとどまりませんで、アメリカだけではなくてほかのヨーロッパあるいはその他の国も使っているわけで、今円高もあって輸入食料品がうんと入ってきているわけですね。それから万一牛肉、オレンジの自由化などということに、私は絶対望みませんけれども、そういうことになって大量のものがアメリカから入ってくるとすれば、私たちはそういう日本では禁止されている殺虫剤を使って汚染されている食べ物を食べなくてはならなくなるわけです。そういう大変危険なところに来ているんですけれどもアメリカでどの程度使われているか、どういう使われ方をしているのかまるっきりわからないというのは余りにも無責任で、今後は通用しないと思うんです。  私は農水省に要望したいわけですけれども、BHCとパラチオンに限りませんが、どういう農薬がどういう使われ方をしているのか、きちっと調べて日本国民の健康を守るべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  213. 兵藤宗郎

    説明員(兵藤宗郎君) 食糧の安全性というのは極めて重要なことでございますし、アメリカにおきましてもパラチオン、BHCについて一部は使われているという統計もございますし、さらにアメリカECには登録の際の残留基準等もございますし、そういったものが守られているというふうに理解をいたしておりますが、日本国内に入ってくる農作物の安全性についてはさらに厚生省等とも十分連絡をとりながら、その安全性の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
  214. 吉川春子

    吉川春子君 ぜひ努めていただきたいし、この使われ方についても調査していただけますね。
  215. 兵藤宗郎

    説明員(兵藤宗郎君) 機会をとらえて情報を集めてみたいと考えております。
  216. 吉川春子

    吉川春子君 食品衛生監視員の数、そして最近の取り扱い件数についてお伺いします。
  217. 松田朗

    説明員松田朗君) まず食品衛生監視員の数についてでございますが、現在検疫所、全国に海と空合わせまして二十ございまして、そこに配置されております検査員の数は七十五名でございます。これらの監視員が取り扱っております直近の数字、正確なものは六十一年度のものでございますが、四十七万七千十六件ということでございまして、一人当たりにいたしまして六千六百二十五件のものを全国平均的には処理しているということでございます。
  218. 吉川春子

    吉川春子君 今六十一年の数をお示しいただいたわけですけれども、ここ数年前、五年ぐらい前と比べていかがですか。
  219. 松田朗

    説明員松田朗君) 今手元に昭和五十八年の輸入件数がございます。その当時は取り扱い輸入件数三十三万四千件でございますので、約十数万件ふえているということでございます。
  220. 吉川春子

    吉川春子君 人数はどうでしょうか。
  221. 松田朗

    説明員松田朗君) 五十八年当時の食品衛生監視員の数は六十一名でございます。したがいまして、六十一名の数でその件数を割りますと、一人五千四百八十九件ということになっております。
  222. 吉川春子

    吉川春子君 取り扱い件数がかなりふえているのに人数の方はそれほどでもない。だから、一人の扱う件数というのは物すごくふえているわけですね。五年前もそれでよかったかというとかなり一人当たり多く扱っているわけですけれども、それと比べても物すごく数がふえているわけなんです。その結果、こういう状態で水際で危険を食いとめる、そういうことが十分できるんでしょうか。
  223. 松田朗

    説明員松田朗君) 現在の検査員の取り扱い件数、一人平均的に六千六百二十五件と申しました。正直申しまして、平均的にはこの辺が限度ではなかろうか。私どもの試算では、一人がフル回転いたしまして大体六千五百件あたりが限度ではないだろうか、妥当なところではないだろうかという計算をしてございます。したがいまして、現状は特に輸入件数の多いところ、成田、東京あるいは横浜、大阪、神戸、こういうようなところを除きますと、現状の検査員の数で何とかやっておるということでございます。したがいまして、今後さらに輸入件数が増大することになれば、もしこのままの定員でいけば各検査員にオーバーワークを強いることになったり、あるいは検査手続等に時間を要するということが予想されるわけでございます。
  224. 吉川春子

    吉川春子君 水際でそれを防げないとなると、今度は出回るわけですね。例えば、一九八六年の十一月、韓国製即席めんから偶然にポリソルベートを検出、二百五万食分を回収するという事件が起こりました、これは偶然回収できたわけですけれども。また、八二年から八六年、市中出回りの食肉から検査の結果二十八検体中十八検体から残留農薬が発見される、こういう事件も起きています。全部いろいろ挙げませんけれども、とにかく水際で危険な食品をチェックして、そして上陸させない、そういうことをやるには余りにも今の人数ではお粗末だというふうに思うわけです。  私は最後に大臣にお伺いいたしますが、ちょっと時間が少ないので駆け足でやってきましたけれども、とにかく牛肉、オレンジ、農作物の輸入自由化ということは地域の経済にも影響を与える。農家の皆さんにももちろん大変な苦しみを与える。そして私たちも国内でとれるものであればまだ安全なのに、何だかわからないものが外国から入ってきて食べるという危険にもさらされる。どちらの方面から見ても輸入自由化というのはやっぱり断固拒否するべきだというふうに思うわけです。大臣の御答弁を伺っていますと、輸入自由化は断固拒否するということがもう一つはっきりしないんですけれども、その辺やっぱり日本農業、経済、国民の健康、そういうものを守るために、牛肉、オレンジの輸入自由化などということについては、きっぱりとアメリカに対して拒否していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  225. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 安全な食糧ということで、先ほど実務者とのやりとり、厚生省とのやりとりをお聞きしておりましたが、私の記憶に間違いがなければ、予算委員会でもたしか御指摘があったかと思いまして、再度の御指摘でございます。安全でないものは食糧でない、こういう認識に立ってあらゆる努力を積み重ねてまいりたい、かように思っております。  牛肉、オレンジ問題につきましては、今朝来改めてまたこの内閣委員会におきましても初めてではございますけれども、ほかの場所でも御答弁申し上げておるとおり、自由化は困難であるという事情を説明しながらも、日米二国間で真剣な話し合いを進めておるところでございます。
  226. 吉川春子

    吉川春子君 終わります。
  227. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 冒頭に、難問山積のような今の情勢の中で、佐藤農林水産大臣、大変な御活躍をなさっていることに敬意を表したいと思います。  きょうのこの法案は、農林水産審議官を一名ふやそうというのがこの中身なんですから、そういう点でもって私に言わせていただくならば、一名なんて言わないで二名ぐらいふやしてもいいから、もうそれこそ今非常に難しい中にあって本格的な農業政策、農民が希望の持てるようなそういう農業政策なんということをやはりぜひ打ち立ててやっていっていただきたいという気持ちです。  それで第一の問題点は、いろいろと先ほどから自由化の話が出ておりますし、確かにこれはまあ自由化は大きな問題ですが、私はむしろそれ以上に日本農業問題にとっての当面の最大の課題というのは、バイオテクノロジーが発達してきまして、そしてやっと日本では去年たしか民間の会社と政府の方で共同でバイオ技術の研究がやれるようになったわけです。世界の三大穀物のうち小麦はECの会社がほとんど今もう支配しちゃったわけですし、トウモロコシはアメリカの方でほとんどこれも支配している。あと残っている米はアメリカと中国でもって競争しているというところで、私たちが聞く範囲では日本の場合のこの研究開発の方は十年ぐらいおくれているんじゃないかと、こう言われているわけなんです。    〔委員長退席、理事岩本政光君着席〕 このバイオ技術でもっていわゆる一代雑種の種子の開発ができ上がってしまえば、今の小麦やトウモロコシはもうそうなっちゃったわけだけれども、結局そこから種を買わざるを得ない。今のように、もみをとったらそのもみを来年の種に残しておいてそうしてというような、そういうふうな農業じゃなくなっちゃうわけなんです。毎年そこから種を買わなくちゃいかぬ。少なくとも日本は瑞穂の国と言われてきた、国民が挙げてお米を食べてきたところなんだから、せめてこの米の一代雑種の開発だけはこれは何としてでも日本で頑張ってやっていただかなくちゃいけないと思うんですけれども、その見通しなり現状がどうなっているのか、その辺お教えいただければと思います。
  228. 畑中孝晴

    政府委員(畑中孝晴君) 米の品種改良でございますが、品種の開発というのは、いろいろな収量性にすぐれているとかあるいは品質がすぐれている、あるいは病気にかかりにくいとかいういろんないい形質をたくさん持った品種というのがいい品種でございますが、そういうものを開発するためにどういう道が近道かということを検討しながら品種開発というのはやっておるわけでございまして、今の状態でありますと一代雑種を使って収量は確かに高くなりますが、そのかわり今度は種をとるのが非常に大変だとか、あるいはどうしても、先生御承知のように、日本の米はジャポニカという米でございまして、そういう日本のジャポニカ同士をかけ合わせたのではなかなか一代雑種としての効果が上がりません。少し縁の遠いものをかけ合わせなければいけませんので、例えばインディカのぱさぱさしたお米をかけ合わせなければいけない。そうすると米質が悪くなるとか、あるいは南の方の国の稲の品種でございますので北の方でつくりにくいとか、いろんな欠点が出てまいります。    〔理事岩本政光君退席、委員長着席〕  そこで、今新しい品種をつくるのにどういう方法が一番効率がいいのかということで、現在私ども主力としてやっておりますのは従来の交雑育種といいますか、いろいろないい素質を持った品種をかけ合わせて新しいすぐれた特性を持った品種をつくっていくというものを主力にやっておりますけれども先生お話しのようなそれからさらに一段跳んだといいますかさらにその先ということを、品種の開発の場合に非常に時間がかかりますので、考えてまいらなければいけないわけですが、その場合に非常な優良形質とか機能を備えたそういう遺伝子の配列の仕方というようなものを研究をする基礎研究とか、あるいは細胞融合とか組みかえDNAとかそういったものを利用していく応用研究、それも広く言えば基礎研究のうちに入るわけでございますが、そういったような将来を見越した研究というようなものも私どもの方でやっております。これはいわゆるバイオテクノロジーというふうに呼ばれているわけでございますが。  それからさらに狭い意味で一代雑種をつくるというような場合には、トウモロコシと違いまして、麦とかお米というのは非常に一代雑種がつくりにくい作物、自殖性作物という非常につくりにくい作物でございますので、例えばトウモロコシの場合ですと非常に花粉が長い時間生きておりまして種をとるのがとりやすいということがございますが、稲は花が開きますとすぐ閉じてしまう、半日ももたないうちに閉じてしまいますので、そして中にある花粉と自家受精といいますか、そういう形で生殖が行われるために非常につくりにくいわけですけれども、そういったものの花の咲き方の改良とかいろいろな一代雑種の種をとるための周辺技術の改良、そういったようなことを現在やっておるわけでございます。  それと、今麦のお話が出ましたけれども、麦の一代雑種というのはかなり前につくられて一時販売をされたこともあるわけでございますけれども、なかなか今申し上げましたようにトウモロコシほどうまくいかないということもございまして、現在はアメリカでもヨーロッパでも一代雑種が使われずに普通の種といいますか、普通の交配育種によって開発をした種が使われているところでございます。将来の問題として、一代雑種についても私ども力を入れておくれをとらないようにやってまいりたいと考えております。
  229. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは私が言うことよりかも皆さん方の方が詳しいわけだし、それから今小麦のことなんかも出たけれども、小麦が現実にはECの何という会社ですか、あそこが七〇%もうシェアしたわけでしょう。だから、これは大臣、本当にこれは容易なことじゃないのであって、やっぱりせめて米ぐらいは、それでおっしゃるとおりに、一代雑種でもってことしとったやつを来年使うわけにいかないから、毎年種を買わなくちゃいけない。だからそれはもう今アメリカが開発するか中国が開発するかといって必死になって競争している中で、日本もやっとそれは農林省の中での研究所がやってきたんだけれども、とても追いつかぬということで、民間会社と共同でひとつそいつをやろうということに去年からなっているんです。これはよほど大臣督励をしていただいて、そしてよそが三年かかるのを一年ぐらいで、そうは言ったって植物ですからそう簡単にいかないという点があるのだけれども大臣から何としてでも督励をして、米だけは一代雑種の種子は日本が開発するんだと言って決意表明してやらせてやってくださいよ。
  230. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私はまた委員よりまだ素人でございますが、技術開発が進む中でバイテク関連、こういうことで私も就任早々農林水産技術会議の事務局長に言われまして、ぜひとも筑波を見るということを直言をされまして、早々にして実は現地を視察をした経緯がございます。極めて短時間ではございましたが、現場に行って督励をいたしてまいりました。特に米についてのお話でございますけれども、今おっしゃるようなそういう気持ちでひとつ真剣に取り組んでいくべしということで、私が督励する前に私が事務局長から督励をされて、正直申し上げて行った経緯がございます。官民一体となってのやはりそうした組織でもできればと思いつつも、まずはやはり農林水産省できちんとしなければならぬなと、かように心得ておるところでございます。
  231. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ぜひこれはもう、そうでないと瑞穂の国が泣きますから、御努力いただきたいと思うんです。  次には、食糧安保というふうな言葉が言われるほど食糧の重要性ということはもう私が言う必要もないのであって、食糧の自給率の問題です。  昭和三十五年から五十五年への推移というものを見ますと、イギリスは昭和三十五年に五二%であったのが昭和五十五年には七七%に引き上げている。西ドイツも昭和三十五年八四%だったのが五十五年には九〇%に引き上げている。やはりこれはもう戦争の経験から、こういうぐあいでもって政府が指導していると思うんです。ところが日本の場合には、昭和三十五年には八三%あったのが五十五年にはわずかに三四%になっちゃった。まあ今のような時代であれば、輸入をするとかしないとかいうふうなことでもって問題の解決がつかないことはないと思うんですけれども、こういうことで果たしていいだろうか。それで、昭和六十一年の日本の自給率を見ましても、これはお米はもう一〇八%で余ると言っているぐらいだから心配ないんですけれども、大麦は一四%、小麦も一四%、大豆に至るやたったの五%。こういう実態で果たしてよろしいのかどうか。政府として何を考えておるのか。やはりその辺の点で所管の農林水産省が長期的な展望を持ちながらもう少し、何もあれもこれもと一〇〇%を自分で確保するなんということなんかもうこれだけ国際化の時代だからする必要ないですけれども、しかし最低限のあるところは自分らでもって確保するという指導をしていかなけりゃいけないんじゃないかなと思うんですが、その辺の御見解をお聞きしたいんです。
  232. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) ただいま先生から自給率の数字についてのお話がございました。先生すべて御案内のとおりだと思いますけれども、私の方から事務的にやや数字のことについてちょっとコメントさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、自給率についてはいろいろな数字がございます。まず我が国の現在の自給率につきまして、金額計算でいわゆる食糧の総合的な自給率というのをはじき出していますけれども、これは白書等で書かせていただいておりますとおり、七割といいますか、七〇%ございます。ただ、これにつきましてカロリー自給率ということでカロリー計算をいたしますと、これ五〇%。さらに穀物の自給率でいきますと三一%。この場合の穀物の数字が極めて低いわけでございますが、これはもちろん人間の食べる食用だけではございませんで、えさの部分が入っているわけでございます。ちなみに、えさの部分をもし外国から輸入しないで自分のところでつくる、我が国でつくるということになりますと、現在、耕地面積が約五百三十万ヘクタールぐらいございますけれども、それに対しまして千四百万ヘクタールぐらいどうしても必要だ、こういうことでございます。そういうことで、結論的に言いますと、えさの部分が入っていることによりましていわゆる諸外国共通に比較いたします穀物自給率はかなり低くなる、こういうことでございます。  ところで、諸外国との時系列の比較でございます。これはイギリスの点を先ほどバイオテクノロジーあるいは一代雑種の議論で先生申されましたように、イギリスの場合はやはり二十年間この方一代雑種ということではないんでしょうけれども品種改良等々が行われまして、反当で言いまして四百五十キロぐらいのものが六百キロぐらいになった。これは一つは品種の育成の中で気候が作用しているという点、気候が一番小麦に適しているということもあろうと思います。そういうことで自給率が高まってきている反面、我が国におきましては、先ほど触れましたように、えさと食生活の構造が畜産物にだんだんと西洋化といいますか、洋食化していくことに関連をいたしまして、そういう数字をたどってきたわけでございます。  ところで、これからの対応でございます。これは毎度大臣からいろいろ申し上げておりますように、食糧は国民生活にとって最も基本的なものでございますし、やはり国民に対して食糧の安定供給を図っていくということでございます。そういう農政の基本的役割というものを踏まえまして、私ども事務的にも食糧の安定供給ということを掲げて農政を実施しているところでございます。
  233. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 食糧の自給率、もうこれ以上主要食糧についてどんどん割っていっていいのかということになるとそうではない、こういう認識でございます。冒頭、食糧安保という言葉もお使いになりましたが、まさに古くて新しい言葉であると思っております。そういう認識でおりまして、やはり足らざるところは安定的な輸入体制をもって補完し、主要食糧については国内で自給できるものはなるべく自給をしていくという考え方、あわせて国民に安定的な供給体制を維持していく、この基本的な考え方でまた実態もそれに合うように努力をしなければならぬ、こう思っております。
  234. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣の方の御答弁いただいて、それで了解したいと思うのでございます。先ほど説明はおっしゃるとおりだけれども、私が聞いているのはこれからどうするかと聞いている。確かにえさを除けば日本の場合も七〇%ぐらいいくわけだ。ところが、じゃえさ除いたらといったって、あれだけの膨大な鶏のえさ日本で調達できるかといったら、それはできない。まだコストが高くてそんなことどうにもならない。もうそれは輸入するという形になるんだから、そうすると今度は鶏はなくなっちゃうわけでしょう。なくなるといってもゼロになるわけじゃないけれども、牛もばたんと減っていく。だから、そういう点でえさのあれを除けば確かにかなり数字は上がるけれども、しかしそのえさはえさではなくて、結果的には回り回って人間の口に入る食糧になっているんですよということも理解して聞いているんだから、その指摘はわかっていて、これからどうしていくんですかということを私は聞きたかった。大臣の御答弁をお聞きしてもう了解しました。  次には、減反政策というものをおとりになってもう十何年になりますか。まごまごすると二十年近くなる。かなり前から米が余るといって田んぼをつぶしている。しかし、これは私の見解ですけれども、これほど愚かな政策はないではないか。確かに米だけ見りゃ日本の国の中は余っているかもわからぬけれども、しかし今世界全体眺めたら、昭和三十五年が世界の人口三十億といったのが、もう五十億になっちゃった。現実にアジアからアフリカでもう飢餓状態の人たちが何千万、七、八千万とか場合によると一億とかというようなことが言われているわけなんで、私はいつも思うんですけれども、減反政策なんかやって米余るからつくるのやめろなんてあんなことやらないで、やっぱり農民の皆さん方には米はつくらせて、それから水田が果たしている役割というものは私はこれは恐らく大臣、私も素人の方だからあれだけれども、雨のときにあすこが貯水池になって言うならば水害を防ぐという役割はかなり果たしていると思う。それを今みんなつぶさせて畑にするから、今度は土盛りをして高くしなきゃならぬ。  そういう点から、もう減反政策なんてあんなことだけはやめて、それでお百姓さんにはやっぱり持っている土地全部に米つくらせて、それで今は余るんですから、余のたらこれは値段はまたどういうふうにするかはあれだけれどもODAの資金を使って、そして今のアジアからアフリカへかけての難民でもって食糧がなくて困っている人たちに、まだ日本はODA資金が低くてこれから今一生懸命政府も上げようと言っているんだから、その金をこっちへ回してそしてお米を送って飢餓状態の人たちを救うというふうな、そういう発想が持てないんですか。そういうお考えを持って政府が、竹下総理も世界に貢献する日本とこう言ったんですから、そういう政策をおとりいただけるような発想、お考えはないものかということをお聞きしたいんです。
  235. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 日本が果たす役割、確かに急速な国際化の中で、またょその国から見れば日本は非常にうまくいっているではないか、もっとどんどん貢献せよ、こういういろんな意見がございます。そういう中にあって、今米の過剰と関連をいたしまして、アフリカに米を送る、減反政策は愚かなことであると、こういうことでございます。  実は、四十年代には一兆円の後始末のお金を、国民の税金を使いました。五十年代の過剰には二兆円の国民の税金を使った。正直言ってこれは決していい実績ではない。需給のバランスというものをもっと直剣に考えなきゃならぬ。そして、つくっている人たちにひとつ転換をせよ、つくるなと、こう言ってきた。これが威張れる政策かと御指摘を受ければ、そう威張っては言えない。そういういう選択でお互いに汗を流してきた。農民にも大変な苦労をかけておる。また協力も願ってきた。そういう中にあって食糧の中長期の見通しを立てれば、今過剰とはいうけれども長期的に見ればやはり食糧の供給体制というのは世界全体をなべて見れば不安定な要素も確かにあるわけでございますから、そういう意味におきまして、そういうことはアフリカなんかももうもちろん知っておるわけでございまして、米をもらうよりは、これはちょっと俗な言い方で恐縮でございますけれども、余った米をくれるならば金をくれあるいは技術をくれ、こういう要請が非常に強いのであります。  そういう意味では、技術援助をどうするか、JICA等を通じてどうするかとか、いろんな貢献の仕方があろうかと思います。ODAの金を使ってという今お説もございました。そういう意味において、世界の食糧の需給バランスというものをやっぱり頭に置きながら、そして何はさておいても我が国の安定的な食糧供給体制、これを考えながら政策は遂行していかなければならぬ。日本のことだけ考えていればいいというわけではない。世界のことを考えなければならぬ時代に来た。しかし、日本の食糧政策は食糧政策として厳然としてそれはやはり守っていかねばならぬ、こういう考えでおるわけでございます。
  236. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ありがとうございます。  それから、次にはこれも過去へさかのぼって判断をして申し上げるわけですけれども、農家の戸数です。結局世界的にそれは一次産業、農業というものの割合がだんだんと人口が減っていってそして工業化へ進むというのは、これはもう世界の趨勢ですからそうなることは当然だと思うんです。ただ、私が調べてみて、昭和三十五年には専業農家が二百八万戸、第一種兼業農家が二百四万戸、合計四百十二万戸。もう第二種はこれは入れたって意味ないですから外して、それが昭和四十五年には専業が八十五万戸で第一種が百八十一万戸、二百六十六万戸に下がってきてしまった。六五%。さらに昭和六十二年の一番新しいところでは専業が六十三万戸、第一種が六十三万戸で、百二十六万戸で結局二十七年間で三〇%になっちゃつた。  これはイギリス初めそれこそ西欧もどこもみんなその道はたどっているんだけれども、余りにもスピードが速過ぎる。西欧あたりのそういう推移から見ると、百年ぐらいかかってだんだんだんだんそういうふうに農業が下がって工業化が進む。それを日本の場合にはこの二十七年間というか三十年間というか、このぐらいでやってしまうほどにスピードが速過ぎませんかと。そのことがいろいろと農民の皆さん方にぎくしゃくぎくしゃくして問題が、トラブルが起きる原因をつくっているのであって、今日もうここまで来ちゃったものはこれはもうどうにもならないですけれども、その辺はもうちょっとやはり農民の皆さん方が理解をして、そして順々に工業化するなりなんなり転換していく、その余裕というかゆとりを持ってやれるような指導をしていっていただきたいと思うんです。それで、今までのようなそれを皆さん方にお聞きすることは酷だと思うんだけれども、妥当だと思っているんですかどうですか、それからこれからどうなさるお考えですかということをお聞きしたい。
  237. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 正直に申し上げて、私もおっしゃるような考え方なんです。今までは今までとしましても、農政審の報告を受け、これはやや抽象的ではございますけれども、これはいろんな方々の知恵の集約でございますから、それをベースといたしましていろんな研究会だとか検討会だとかというのを去年からつくり始めているわけです。そして、中間的な報告が出たのもございます。米流通研なんかはその一つでございます。そういうことで、やはり中長期の展望をはっきりしませんとおれは一体どうなるんだという、今食えないという状況ではなくて先どうなるんだという不安感の方が非常に大きいわけでございます。でありますから、将来展望というのをより具体的にひとつ設定をして、そしてこれから来年はこうだ再来年はこうだ、二、三年はこうだ四、五年はこうだよということで、そして最終的にはこうなんだよという展望を明らかにしつつ、そしてできることから着実に実践をしていく、こういう考え方でなければ農業はなくなってしまうのではないかと、こういう心配がございますので、私がいつまでも農林水産大臣をやっているわけでもございませんが、少なくとも私の在任中にそういうレールが敷くことができればなと、乏しいながらもそういう願望で鋭意実務方を督励をいたし、努力をさせていただいているところでございます。
  238. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ぜひそういうことで行政指導していただきたいと思います。秋田の八郎潟の問題なんかこれはお調べいただければわかるけれども、あれ本当に農水省行政指導のまずさということであそこの農民の人たちがどれだけ泣いたかわからないのであって、そういうことだけはしないようにしていただきたいということだけつけ加えておきます。  最後ですけれども、ずっと今までも朝からお聞きして、大臣アメリカ交渉に行かれたその問題に関係して私も一言触れておきたいと思うんです。ずっと朝からお聞きしておりまして、私は大臣交渉決裂して帰ってきたと思ったんだが、そうではなくてまたさらに続けようというそういう話はしてきたんだと言うから、その点はそういう理解をいたします。しかし、そうはいっても三月三十一日でもって協定が切れたことはこれまた事実なわけなんです。  そして、私が申し上げたいのは、もう五年ぐらい前になるんじゃないかと思うんですが、議運の理事をやっているときに大臣アメリカ交渉のために行かれるというので、いつからいつまでといって出張の許可なんと言うとあれですけれども、議運にかかりますから、行かれました。で、地方におりましたときにわざわざ官房長が電話かけてきて、そして解決しないと言うわけですよ。それで、もう約束した日は来たから帰らにゃいかぬけれどもどうしたものかと言って電話がかかってきて、それで何とかせっかく行って今交渉しているんだから話がまとまるまで交渉させたいと思うので、もう数日間出張を認めていただきたいという了解を求めてきた。そのとき、ですから私は官房長に申し上げたんですけれども局長が行かれて話がまとまらないで帰ってきたというのだったならばこれはまたもう次は大臣が出ていってそして何とか交渉してまとめるという方法はあるけれども大臣が行かれてそれでまとまらないで帰ってきちゃったなんてなったらもうこれ後だれが行ってまとめるんですか、だからもうそんなものは出張日数オーバーしたって何日あれしようが構わぬから、ともかく大臣が行かれた以上はもうまとまるまで頑張ってそしてやってらっしゃいと激励してあげてくださいと言って、了解しますと返事をしたんです。  だから先ほどのお話をずっと聞いておって、決裂ではなくてまださらに交渉が続くということにしてきたんですということですからそれ以上深くなにしませんけれども、今局長が行かれている。しかし、ここのところは大臣ぜひなにしておいてください。局長が行ってどうにもならないといって大臣が乗り出すことはいいけれども、もう今度大臣が行かれたならばどんなことがあったって、それはもうどういう結論になるかはやはり大臣の御判断であって、どういう形であってでもまとめ上げてくるということで今度行くときは行っていただかなきゃいけないと思うんです。そうでないと、今度は総理が行ってまたやらにゃいかぬということになるので、ですからそういう点で外交問題は非常に難しいし、これも私の持論で予算委員会やなんかでも何回か言ったことですけれども、外交と防衛問題だけは政争の具にしちゃいかぬ、与野党でもっていろいろあっても外交問題それから防衛問題というものについての扱いはやはり慎重にあるべきじゃないですかと。  だから、大事なときなんかであれば、昔の鳩山総理がソ連に行く場合でもそうですけれども、極秘にこっそりと野党の党首に会って、おれはこうこうしかじかでこういうことで話をしてきたいと野党の党首にそういう話をして、それでソ連に行かれてあの抑留されている人たちが帰れるようにしてきているわけです。だから、また行かれると思います。相手も手ごわくて大変だと思うんですけれども、行かれたら何としてでもおまとめになってそして帰ってきていただきたいし、どういうぐあいでまとめるかということは、それは私たちのいろいろの希望はあってもそういうことをとやかくここではもう申し上げませんので、ともかく何だかんだ言っても日米関係でそういうことがまとまらないじゃ困りますので、まとめるように御努力をしていただきたいということを希望を申し上げておきます。
  239. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 率直な御意見を承りまして、まさに決裂するのは簡単なんでございますけれども、やはり友好国としていろんな関係があるわけでございます。そういう意味におきまして、我が方の主張も何とか通しながら、そして平和的な決着点を見出したい、こういうことで局長が行ってどうだ大臣が行ってどうだということではなしに、だれからでもいいからとにかくアプローチをかけて、そしてあらゆる観点から模索をして、将来に禍根を残さないようにするにはどうしたらいいかという最終の決断は農林水産大臣として私がしなければならない責任があると心得ております。政府の中におきましても政府は一体となっていくということで、総理からもしかるべく努力をせられたい、こういうことで、また官房長官からも、各種委員会におきましてもその意味の発言がございまして、私といたしましては、非力ではございますけれども、将来に禍根を残さないようにということで全力を尽くさなければならない。  アメリカの言い分自体には私も言っていることもありますし、何遍も何遍も言いたいけれども我慢をしている点もございます。いろいろございます。ございますけれども、とにかく中川・ストラウス会談以降随分時間のたっている問題でもございますし、先様のいら立ちもわかりますが、こっちにもいら立ちがあることは私重々承知しておりまして、そういう意味で私自身は冷静にも冷静にひとつ決着をさせたいものだな、そしていつまでも延ばしていいものではない、確かに成り行きを心配しておる関係者の方々が多いのでございますから、その方々に対しましても一日も早く結論を見出さねばならぬ、こう考えておるところでございまして、その時期が参りましたならば私も出かけていかなければならぬでございましょうが、今は三局長を派遣をいたしましてそしていろんな角度から模索をさしておる、こういう状況にございますので御理解を賜りたいと思っております。
  240. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  241. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について板垣君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。板垣君。
  243. 板垣正

    ○板垣正君 私は、本案に対し修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  修正案の趣旨は、施行期日について、原案では「昭和六十三年四月一日」とありますが、既に同日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  244. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  245. 吉川春子

    吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております政府提出農水省設置法の一部改正案及び自民党提出の修正案に対して反対の討論を行います。  農業問題が国際間の重要な課題となっている中で、今日、政府農業政策の基本はアメリカと財界の要求に屈して日本農業をつぶし農産物自由化を促進する立場にあり、新設の特別職はそのために機能させられることは明白であります。  この委員会審議の中で明らかにしたように、アメリカ日本に対する農産物自由化は全く不当きわまりないものであります。それは、牛肉、オレンジの即時自由化によって日本農業、農民がどんなに壊滅的な打撃を受けようとも、日本の農民、国民がどんなに強く反対しようとも、一顧だにしないというものです。その上、自由化した後は関税を引き上げるなとか輸入課徴金をかけるななど、まさに日本への内政干渉です。歴代政府日米安保条約のもとアメリカの言いなりになってきた結果、米政府日本はどんな無理を言っても通るとみなしていることのあらわれではありませんか。  交渉に臨んだ政府の態度が、アメリカの理不尽な要求に屈し、あるいは日本独占企業の集中豪雨的輸出による利益を守るための農産物輸入自由化促進である以上、農水審議官役割日本国民の利益に反するものとならざるを得ません。日本の食糧、中でも穀物の自給率は三一%という先進国の中でもけた外れの低さです。天候の不順あるいは一たん事あらば食糧の輸入がストップし、一億二千万国民は飢餓に苦しまなければならない。そういうことを避ける上でも、農業を守り自給率を高めることは日本の国の存亡にもかかわる重大問題です。  我が国の食糧を安定的に供給し自主的な経済基盤を守るための農業保護は、米国やEC諸国が実施している農産物輸入制限の例を引くまでもなく国際的な慣例であり、我が国のみが一方的に市場開放を要求されるいわれはありません。したがって、政府牛肉、オレンジを初めこれ以上の農産物市場開放の不当な要求を断固として拒否する態度を貫くべきであることを強く主張して、反対討論を終わります。
  246. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御思議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより農林水産省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、板垣君提出の修正案について採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  248. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 多数と認めます。よって、板垣君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部について採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  249. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  251. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。高鳥総務庁長官
  252. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和六十二年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給の年額及び各種最低保障額を昭和六十三年四月から一・二五%増額し、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。  なお、この法律案は昭和六十三年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院において、これを公布の日から施行し本年四月一日から適用することに修正されております。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  253. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する自後の審査は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会