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1988-05-18 第112回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十八日(水曜日)    午後一時二十一分開会     ─────────────    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     糸久八重子君  五月十八日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     秋山  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本嘉久蔵君     理 事                 志村 哲良君                 下条進一郎君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 小川 仁一君                 志苫  裕君                 馬場  富君     委 員                 井上  孝君                 石井 一二君                 小野 清子君                 久世 公尭君                 沓掛 哲男君                 古賀雷四郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 水谷  力君                 糸久八重子君                 安恒 良一君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 三治 重信君                 山田  勇君                 秋山  肇君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤  隆君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣  梶山 静六君        国 務 大 臣  内海 英男君    政府委員        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   増島 俊之君        北海道開発庁計        画監理官     大串 国弘君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        国土政務次官   大原 一三君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        水資源部長    大河原 満君        国土庁計画調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁地方振興        局長       森  繁一君        国土庁防災局長  三木 克彦君        大蔵大臣官房審        議官       瀧島 義光君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省理財局次        長        公文  宏君        大蔵省理財局次        長        藤田 弘志君        大蔵省国際金融        局長       内海  孚君        国税庁直税部長  伊藤 博行君        文部省学術国際        局長       植木  浩君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産大臣官        房総務審議官   鶴岡 俊彦君        農林水産技術会        議事務局長    畑中 孝晴君        林野庁長官    松田  堯君        通商産業大臣官        房審議官     安藤 勝良君        工業技術院総務        部長       山本 貞一君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省航空局長  林  淳司君        建設大臣官房総        務審議官     中嶋 計廣君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   福本 英三君        建設大臣官房審        議官       青木 保之君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省税務局長  渡辺  功君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        警察庁刑事局保        安部生活経済課        長        泉  幸伸君        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第二課長    吉田  博君        経済企画庁物価        局物価政策課長  熊澤 二郎君        経済企画庁総合        計画局計画課長  西村 吉正君        科学技術庁科学        技術振興局研究        交流課長     大熊 健司君        大蔵大臣官房審        議官       千野 忠男君        厚生省生活衛生        局水道環境部計        画課長      佐々木典夫君        郵政省通信政策        局技術開発企画        課長       甕  昭男君        会計検査院第三        局建設検査第一        課長       阿部 杉人君    参考人        日本国有鉄道清        算事業団理事長  杉浦 喬也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○多極分散型国土形成促進法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十六日、梶原敬義君が委員辞任され、その補欠として糸久八重子君が選任されました。     ─────────────
  3. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 多極分散型国土形成促進法案を議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長杉浦喬也君出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) それでは、これより本案質疑に入ります。   質疑のある方は順次御発言願います。糸久君。
  6. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは最初に、東京湾開発問題からお伺いをさせていただきますが、大臣に御答弁をいただきたいと思います。  東京湾岸には地方自治体や民間企業のさまざまな開発計画がメジロ押しになっておりまして、その構想は二十にも上ると言われておりますけれども、それぞれの利害が複雑に絡み合っているようでございます。国はこれらをどのように調整していくおつもりなのでしょうか。
  7. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 東京湾開発等につきましては、先生御指摘のとおり、各省庁いろいろな形、あるいは民間企業等におきましてもいろいろな意味で計画を持っておるようでございますが、やはり国土庁といたしましては、良好な生活環境のもとに住民住宅をまず考えていただくとか、東京の過密の都市環境の改善に役立てて効果があるような方向に持っていきたいということで、我々は調整官庁として各省庁十分連絡をとりながら、そういう形の住みよい環境東京湾開発というふうに位置づけて、それに御協力をいただくように考えておる次第でございます。
  8. 糸久八重子

    糸久八重子君 東京都の臨海部開発基本計画では、居住人口を昨年六月の基本構想時の四万四千人から六万人にふやしておりまして、周辺豊洲晴海地区を含めますと十三万人を予定しているようでございます。しかし、この程度ではまだまだ、職住接近を望む人々の需要を満たし、そして住宅価格を安定させることは難しいのではないかと思われるわけでございます。  我が党は、臨海部都心には業務構想は誘致しないで四万二千戸の住宅を、都営とかそれから公社、公団、第三セクターの形で建設して、そしてすべて賃貸住宅として都民に提供することを提案しておるわけでございます。東京臨海部開発に当たっては、業務機能よりももっと住宅建設を重視すべきだろうと思いますけれども、ただいま大臣の御答弁でも過密の解消をこれによって図る、そうおっしゃられたわけですが、まだまだ業務機能導入するという部分もかなり語られておるようですけれども、その辺のところをもう一度お伺いさせていただきたいと思います。
  9. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答えさせていただきます。  東京都の臨海部住宅導入につきましては、昨年の十月の中間報告後さらに検討を進めておりまして、ただいま御質問の中にもございましたとおり、二割ほど住宅戸数というものを当初計画よりもふやして取りまとめを行ったところでございます。  ただ、臨海部全体を住宅用地としてすべてこれを使うことにつきましては、東京都で不足しておりますような諸機能、これは文化的な機能とかレクリエーション機能も含めてのことでございます、それを充足させる土地としてやはり臨海部が非常に貴重な土地でございますので、さまざまな方面の要求をこの際臨海部で満たしたいという要望もございますので、やはり複合的な利用といたしたいと考えておる次第でございます。  また、住宅供給につきましては、臨海部のみではなくて、この法案にもございますとおり、鉄道新線に伴う新しい大規模開発というものを首都圏において想定するなど、住宅開発それから供給につきましても総合的に首都圏域の中で考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 糸久八重子

    糸久八重子君 臨海部開発基本計画では東京都市構造を一点集中型から多心型へ転換させることをねらっておるわけですけれども、かえって集中が加速するのではないかと心配される部分もあります。それは、東京湾岸地域ではほかにもみなとみらい21とか幕張新都心等計画が進められておりまして、全体で四十万を超す居住人口になるわけでございます。これでは多極分散どころかますます東京一極集中が進む結果となるのではないかと思われるのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  11. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねのように、確かに東京臨海のみならず千葉県において幕張地区それから神奈川県におきましては横浜みなとみらい地区と、臨海部につきましてかなり大規模開発整備計画があることはそのとおりでございます。  しかし、ここで想定しております業務機能就業人口等は、首都圏内部での新たな振りかえというようなもの、あるいは国際的な新しい需要対応をするということでございまして、外からの導入ということは考えていないわけでございます。長期的な計画でございますので、二十一世紀初頭あたりの諸機能及び人口増等を計算いたしまして、このまま放置すれば当然ふえるであろう人口というものをむしろ減らすというのが四全総及び首都圏整備考え方でございまして、その枠内にこのプロジェクトにおける就業人口等もとどめる、こういう形で、特に一極集中をこれ以上促進することのないよう、具体的な個々の計画実施及び機能導入につきましては図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  12. 糸久八重子

    糸久八重子君 交通整備等の問題で、計画では都心埋立地を結ぶ東京連絡橋高速道路とか新交通システムを新設して、これに現在建設中の京葉線とか地下鉄十二号線を加える予定になっておるようですけれども、これらが完成するのは早くても十年後だろうと思います。都心中心とした交通ラッシュに一層輪をかけてしまうのではないかと大変心配するわけでございますけれども、東京湾岸地域全体の道路網整備計画、これにつきまして、どのようになっておりますかお伺いさせてください。
  13. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  東京湾岸道路整備計画基本は、東京都心部に用のないと申しますか、直接必要のない交通というものを湾岸を通すことによって排除するという計画でございます。そのためには、長期計画でございますが、第二湾岸というようなものも想定しておりまして、できるだけ千葉それから湾岸神奈川というルート交通をさばくという、これが第一でございます。それから第二の点といたしましては、都心部にむしろ集中する就業人口、あるいは文化的な、あるいはレクリエーション的な機能人口というようなものをできるだけ現在の都心部から湾岸部に移していく、つまり都心部をそれだけすかせるという計画交通基本でございます。  したがいまして、道路といたしましても、現在最優先で進めておりますのが東京湾岸道路整備でございまして、現在御案内のように湾岸道路は羽田空港の手前で首都高速羽横線と合流しておりまして、あれが都心部まで影響する大渋滞のもととなっているわけでございます。横浜港の横断橋等を含めまして、あるいは多摩川の沈埋トンネル等も含めましてあれを最優先としておりまして、その計画とあわせまして、都心部とただいまお話しのございましたような東京連絡橋、あるいは現在の内環状線からの枝線といたしましての湾岸と結ぶような交通体系、あるいは一般街路環状二号線等を整備いたしまして、できるだけ交通集中よりは分散の方に、あるいは都心部のバイパスの方に持っていく計画でただいま計画は立案されているわけでございます。
  14. 糸久八重子

    糸久八重子君 大変壮大な計画があるわけですけれども、その中で東京湾の残り少ない自然をこれ以上破壊しないようにとか、それから市街地の真ん中を通る外環道路には反対するというような運動の高まりが最近特にあるわけですけれども、これらの問題についてはどのように対処するおつもりなんでしょうか。
  15. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) ただいま御指摘がございました東京湾、例えば湾岸関係道路、こういうものにつきましては広域幹線道路として非常に重要でございます。もちろんこういう道路整備に当たりましては、環境に及ぼす影響ということを把握するために、例えば大気の問題、あるいは水質、騒音、振動の項目につきまして、工事の施行中あるいは完了後についても予測評価を行いまして、環境保全に努めてまいったわけでございます。  今お話しがございました例えば東京外郭環状道路、これは東京中心から半径約十五キロの地域を結ぶ延長約八十五キロの幹線道路であります。東京都心都心方向集中する交通を適切に分散導入するものとし、あるいは都心起終点を持たない交通をバイパスさせるなど、東京都市圏の均衡ある道路網体系の確立にとって必要な幹線道路というふうに考えております。外郭環状道路の特に市川付近の問題につきましては、いろいろ昭和五十三年度の県知事からの要望を受けまして、六十二年の十月から建設省関東地方建設局より関係自治体に、ルート構造検討結果を提示したところであります。いろんな構造、特に専用部半地下構造にするとか、あるいは環状保全のための環境施設帯、こういうものを考えておりまして、環境保全をぜひ図りたいというふうに考えております。  こういうことをいろいろ提示した案を検討していただいておりまして、早期にいろんな都市計画の変更とか、あるいは環境影響評価の手続を終わりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、道路整備環境に及ぼす影響については重要な課題であるというふうに私ども認識しております。事業実施に当たっては環境保全にも十分配慮して整備を進めていくという考えでございます。
  16. 糸久八重子

    糸久八重子君 大変一般的な御答弁であったわけですけれども、きょうは時間的にも制限されますから余り具体的なことを申し上げませんけれども、いずれにいたしましても、外環道路は、これが通ることによって住宅は移転しなければならない、学校は移転しなければならない、それから病院は移転しなければならないというような、そういう計画のようでございますけれども、住民に迷惑のかからないような計画にしていただきたいことを要望しておきたいと思います。  次に、水の問題でございますが、東京都は昨年の夏も異常渇水大変水不足に悩まされました。現在の都市人口でも不足がちの水資源を今度の開発によってどうやって安全確保するのかなと大変心配になるんですけれども、その辺のところはいかがでございましょうか。
  17. 大河原満

    政府委員大河原満君) 水資源確保についてのお尋ねでございますが、国土庁では昨年全国総合水資源計画を策定いたしまして、昭和七十五年におきましては、東京湾沿岸域開発整備を含めまして関東臨海地域水需給につきましては、現在建設中のダム、それから新たなダム等水資源開発を進めることによりまして水資源確保を目指しておりまして、具体的にはことしの二月に利根川水系及び荒川水系におきます水資源開発基本計画を決定いたしました。この計画に基づきまして、関係省庁の御協力を得ながら、ダム建設によりまして水資源確保に努めてまいりたいと、かように考えております。
  18. 糸久八重子

    糸久八重子君 次に、埋立地についての防災問題でございますが、昨年暮れの千葉東方沖地震では湾岸埋立地液状化現象が生じまして多くの被害が出ましたことは御承知のことと思いますけれども、東京直下型地震が語られているような現在、地震対策はどのようになさるのでしょうか。  また、台風に対する高潮対策、その辺のところはどうなさるおつもりでしょうか。
  19. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  まず、地震対策でございますが、この地区埋立地であるということにかんがみまして、防災対策につきましては、計画の中でも特に重点を置いて検討したところでございます。今までの調査によりますと、この地区埋立地にしてはごみ等を使わずに土砂を使って埋め立てておりますので、現状は、埋め立ててからかなり時間が経過しておりますのでまず地盤が安定しているということ、それから深層地盤でございますけれども、東京砂利層という、いわゆるビルを建てる場合にくいを置くための支持層でございます、これが比較的浅いところにございまして、そのために比較的地盤としては東京都の臨海部としては良好な点にございます。しかし、なお一層、ただいまの液状化現象というような問題点もございますので、鋭意東京都が中心となりましてその検討調査を進めている段階にございます。  また、高潮対策でございますけれども、現在の東京高潮対策伊勢湾級台風東京湾に押し寄せた場合の対策となっておりますけれども、この対策済み区間というのは現在までの既成市街地でございます晴海島までが対策済みでございます。したがいまして、豊洲地区を初め十号地、十三号地等については高潮対策が行われておりませんので、土盛りをするなり、あるいは周辺防潮堤等を考慮するなり、具体的な整備につきましては、高潮対策につきましても現在の水準までの対策は十分行うよう検討しておるところでございます。
  20. 糸久八重子

    糸久八重子君 東京湾岸部都市地域における廃棄物最終処分場確保とか廃棄物処理、処分問題についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  21. 佐々木典夫

    説明員佐々木典夫君) 首都圏廃棄物最終処分場についての状況、あるいは対応策についてのお尋ねということでございますが、一都三県で見てまいりますと、非常に大どころの埋立処分場と申しましては東京都の中央防波堤外側に大きいのがございますが、このほか川崎の浮島だとか、あるいは横浜でございますと大黒処分場と言っているような大きな埋立場がございます。その他幾つかございますが、今の状況で見てまいりますと、七十年代に入りますと現在の受け入れ能力がかなり底をついてくるというふうな見込みでございますので、東京湾開発ということに必ずしも伴うだけでなくて、首都圏廃棄物処分場というものはかなり計画的に進める必要があるというふうな認識を持っております。  基本的にそういう考え方を持っておるわけでございますが、具体的に東京湾開発に伴いましては、先ほどもありましたようにいろいろなプロジェクトがあるわけでございますけれども、開発具体化段階で、廃棄物排出量等も明らかになってまいりますと思いますので、それに対応いたしまして、適切な廃棄物排出量の把握と、それから必要な埋立処分場確保が図れますように関係自治体初め関係者を指導いたしまして、適正処理が図られますように努力をいたしたいというふうに思っております。  なお、先ほど申しましたが、七十年代になりますとかなり処分場が逼迫をしてまいりますので、首都圏廃棄物の広域的な処理という観点から、実は厚生省といたしましてもいわゆる東京湾フェニックス計画ということで、運輸省とも共同いたしまして昨年の四月に中長期的な構想をまとめて、現在関係自治体に積極的な検討を働きかけているところでございますが、このフェニックス計画につきましてもさらに実現に向けまして関係自治体調整等努力をいたしていきたい、かように考えております。
  22. 糸久八重子

    糸久八重子君 開発が進みますと当然地価は上昇するわけですが、地価対策についてはどうなさるおつもりなのでしょうか。また、開発を見込んだ土地買い占めなどについてはどのように対処をなさいますか。
  23. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 東京湾臨海部地価問題については何点か問題点がございます。  一つは、現在未利用地あるいは工業的な用途等に供されている地区につきましては、それを業務用地あるいは住宅用地に転換することによりまして、実際上この計画によって、具体的な都市計画の転換までまだいっておりませんけれども、土地利用効率が非常に高まる、つまり潜在的な地価上昇を招くという点がございます。これについては監視区域を指定いたしておりまして、その厳格、適正な運用によりまして対処してまいりたいと存じます。  それから、周辺部に及ぼす影響等がやはりあろうかと存じます。それにつきましても、ただいまの監視区域の問題を含め、むしろ大量に業務用地やそれから住宅用地が提供されるという点で、全般的な東京地価上昇に対する効果としてはむしろ下げる面に働くのではないかと考えている次第でございます。
  24. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは次に、本委員会での法律、多極分散型国土形成促進法案にかかわる問題についてお尋ねをいたします。  本法案四全総から出されているものと思いますけれども、この四全総についてお伺いをしますが、一九八六年十一月に中間報告を出した四全総の骨子と、それから最終答申並びに閣議決定された四全総の中身と基本的にどこが変わったのでしょうか。
  25. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 一昨年の末に四全総調査審議経過報告が公表されたわけですが、これは四全総を策定する前段階の作業といたしまして、国土審議会の計画部会で四全総基本的、骨格的な考え方を中間的に取りまとめたものでございます。政府の方は、この中間報告をもとにいたしまして、地方自治体初め関係各方面との濃密な意見交換を行いまして、さらに検討を深め、交通体系整備計画規模あるいはブロックごとの具体的なプロジェクト等々をさらに明らかにするといった内容の充実を図りまして、最終的な四全総として取りまとめを行ったわけでございます。  したがいまして、この中間報告においても既に東京一極集中のさまざまな弊害、問題点指摘がなされておりまして、それに対して多極分散型国土形成の必要性というのを強調いたしておりますので、基本的な考え方に両者では違いがないというふうに私ども理解をいたしております。
  26. 糸久八重子

    糸久八重子君 中間報告の骨子は、やはり今おっしゃったように東京一極集中構想であったわけでして、これが出ましたときに大変な反対運動もあったわけです。特に、大阪財界はもちろんのこと、名古屋でも九州でも札幌でも、東北、北陸、すべての地方から東京一極集中は直ちに書き直せという声があったことは改めて指摘することではないことですけれども、閣議決定しましたこの四全総には、依然として東京臨海部を国際金融・情報センター、表現では「世界都市」と記述されておるわけです。つまり中間報告中心的要素が残っているわけですけれども、これで多極分散ができるとお思いでしょうか。
  27. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 中間経過報告におきましても同様ですし、四全総におきましても同様でございますが、東京一極集中の弊害というのは、東京圏にもあらわれておるし、地方圏にもあらわれている。その両方の弊害に対処していかなければならないという考え方で貫かれております。東京の方は、御承知のように住宅難あるいは交通難、その他地価の高騰といったような弊害があらわれて、いわば無秩序な肥大化都市になっているわけでありまして、この東京をもう一度世界都市機能を担うにふさわしい都市として再編成する、これが一貫して一つの重要な課題であります。同時に、東京に対抗できるような各地方都市の拠点整備を進めまして、地方圏の活性化、発展を図っていく、これもまた非常に重要な課題である、こういう考え方で貫かれております。  四全総の趣旨を体した今回の法律を実施することによって、多極分散型国土形成は可能であるというふうに私ども考えておるところでございます。
  28. 糸久八重子

    糸久八重子君 東京が年々集中、肥大化して世界的な超過密の巨大都市になってきた理由を考えてみますと、それは集積メリット、すなわちいかにもうかるかという点にあるからだろうと思います。それを四全総で今後も東京を国際金融・情報センター化したいなどと大構想をぶち上げたのでは、最初から分散など不可能になるのではないかと考えます。  一九八六年の建設省調査によりますと、金融、国際情報機能がこれからも東京に一層集中すると見ている企業が八〇・九%にも上るとあるわけでございます。土地の値上がりが東京圏で飛び抜けて顕著であるというのも、世間が東京集中が今後とも進むだろうという感触を持ち、その予想のもとに将来性のある土地としての東京へ活動を集中する方向で動いていることにほかならないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  29. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 国際的な機能あるいは情報中枢機能、そういった機能が新しい情勢変化の影響を受けて東京昭和五十年代の後半から極めて加速的に集中してきていることは事実でございます。これに対して四全総あるいはこの法案考え方はこうした機能東京だけが担うのは好ましくない、むしろそうした機能も名古屋圏あるいは大阪圏、さらに地方の中枢都市等々で相応に分担して担うべきである、そういう方向で都市づくり、町づくりを進めていくべきである、こういう考え方に立っているところでございます。
  30. 糸久八重子

    糸久八重子君 集中の要因の大きな要素として行政権限の中央集中がありますけれども、現在政府が進めている一省庁一機関の移転程度で本当に集中傾向を抑制することができるとお思いでしょうか。
  31. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 今国土庁と総務庁、さらに内政審議室、大蔵省とこういった機関で移転する機関等についての協議を進めておるところでございますが、また、御指摘のように縦割り行政の中でなかなか難しい点も率直に申し上げてあるわけでございます。しかし、この法案を成立させていただくことによりましてその趣旨を各省庁に十二分に理解をしていただき御協力をいただいて国土庁長官としての調整機能を十二分に発揮させていただいて、まず率先垂範して政府機関から移転を進める、そして民間企業等にもその趣旨を理解していただいて民間の協力もいただこう、こういうことでございまして、我々はその点につきましては、この法律を成立させていただくならば全力を挙げてその趣旨に従って努力をして御期待に沿うようにやってまいりたい、こう思っております。
  32. 糸久八重子

    糸久八重子君 中央に集中しております行財政権限、いわゆる許認可権などの地方移譲の件ですけれども、これについては大胆かつ大幅に移議すべきであると思うわけです。本法律案の中には移譲するよう努力したいとあるわけですけれども、もっと強い表現にするべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  33. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 多極分散型国土を形成いたしますためには地域の総合的な行政主体であります地方公共団体の果たす役割が大変増大しておるわけでございます。そのためには行政機能、財政権限の各地域への分散ということがどうしても必要だとこう考えておるわけであります。  今先生お示しのように、本法案の中におきましても、行政機能分散を図ります観点から、権限の委任に努めるということを明らかにしておるところでございます。今後とも、この法案の趣旨を踏まえまして私どもといたしましても積極的に努力してまいりたいと思いますし、また六十三年度のいわゆる行政改革大綱の中におきましても、国、地方を通ずる許認可権限の見直し等を政府全体として着実に実施すると、こういうことを定めておりますし、その方法につきましても各省庁が地方団体、民間団体等の意見をも踏まえつつ逐次所要の見直しを進める、こういう定め方をいたしておりますので今後とも積極的に努力をしてまいりたいと考えております。
  34. 糸久八重子

    糸久八重子君 地方への権限委任を真剣に行うのならば、権限委任問題検討委員会のようなものでも設置して総合的、具体的に精査検討するような方針も同時に示されるべきだと思いますけれども、この点についてはいかがでしょう。
  35. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 権限の委任の問題につきましては、総理大臣の諮問機関でございます地方制度調査会におきましてこれまでかねがね検討を重ねられてきておるところでございますし、また、仄聞いたしますところによりますと、現在の地方制度調査会の中におきましてもこの権限委任の問題につきまして検討が重ねられておるようでございます。地方制度調査会等を中心にいたしまして、行革審等もいろいろ御協力いただきました上で、各方面の知恵をおかりしながら権限の地方移譲を積極的に進めるよう努力してまいりたいと考えております。
  36. 糸久八重子

    糸久八重子君 権限移譲についての努力目標と同時に、開発予定地区における国土利用計画法の監視区域指定の努力とあるわけですけれども、努力ではなくて、指定することとしなければ、再び投機の対象とされて地価高騰を招くことにもなりかねないと思います。本来なら、同法十二条に言う土地取引の規制区域指定の条文を適用して、開発予定地区に群がってこないようあらかじめ土地取引について強力に規制する必要があるのではないかと思います。それなのにこの規制よりももっと弱い監視区域の指定と後退をしておりまして、さらにそれも指定の義務づけではなくて指定するよう努力するというのでは多極分散を進めていくためにも大変不安があるわけですけれども、この点についてはどういう御見解でございましょうか。
  37. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 多極分散を進めるために地方の大規模開発整備を行うという場合に、開発利益を求めまして急激に地価が上昇するおそれがあるということでございます。したがいまして、この法案では、振興拠点地域とか業務核都市、それからその周辺地域につきましては特に地価の安定に努める必要性が高いということから、国土利用計画法による監視区域の積極的活用を図るように努力義務を規定いたしている次第でございます。  現在までのところ、大都市圏におきまして監視区域を指定して実際にこれを運用しているわけでございますけれども、その運用の実績を見ますと、大体、届け出のあった件数のうち約三分の一ぐらいにつきまして行政指導による値下げまたは取引の中止というようなことをやっておるわけでございますけれども、ほぼこの行政指導なり勧告を行ったケースにつきましては値下げまたは中止ということで協力をいただいておりまして、この監視区域制度は非常に地価の高騰の抑制に効果があるというふうに判断いたしておるわけでございます。しかし、もしこの監視区域を指定してもさらにまた地価の上昇があるとか投機的な取引があるというようなことであれば、国土利用計画法に基づく規制区域の発動ということも十分考えられると思います。そのためのいつでも発動し得るような準備といいますか、そういうものをいつも続けてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  38. 糸久八重子

    糸久八重子君 また、法案の中に「業務核都市の整備」というのが示されておりますけれども、この業務核都市として指定されようとしている八王子とか熊谷とか成田、筑波、千葉横浜などは、日本全体から見ますといわば東京圏の一つでありまして、首都圏の中で分散しても日本列島全体から見ますと多極分散にはならないのではないかと思います。これは東京の過密を南関東一帯に広げようとしているものでありまして、遷都とか分都とか展都とかいろいろ言われているその展都の部類に入るのではないかと思いますが、多極分散の趣旨にこういう状況ではマッチしていないのではないかと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  39. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 業務核都市の整備は、現在の東京自体が一極構造になっております、特に都心三区に業務機能が非常に集中いたしまして、今回の地価高騰も海外的な諸機能の日本に対する展開による要請がオフィス事情の一つの引き金というふうに認識されている次第でございます。したがいまして、東京における一極集中それ自体をさらに分散させようということで、業務核都市という制度と申しますか、そういう体制を整えようということでございまして、それによりまして東京首都圏構造改善、首都圏自体を多極化する、それがこの法案によります地方振興と相まちまして日本全体の多極化にもつながるということでございます。  したがいまして、その実施につきましては、それが意図した目的と違いまして一極構造をさらに促進することのないよう、具体的な業務の展開、それから就業人口導入等に当たりましても十分配慮してまいりたいと存じます。
  40. 糸久八重子

    糸久八重子君 今政府は、多極分散というよりはまず東京集中機能分散を考えているようですけれども、一省庁一機関移転の概要とか、移転を予定している機関などが四月中旬には内定することになっているはずですけれども、その構想がどうなっているかということと、それから全国の府県など地方自治体ではどんな機関の誘致受け入れを希望しているのかというのはここにNHK調査のものがあるのですけれども、この希望にどの程度こたえることができているのか、それらについてお伺いをさせてください。
  41. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  まず最初に機関移転の現在の状況でございますが、私どもの当初予定といたしまして、四月中に内政室を中心といたしました四つの省庁等によりまして、各省庁で移転をお願いする機関というものの案をつくりまして、御相談申し上げようということにしておったわけでございます。若干その予定がおくれておりまして、現在鋭意その検討整備中でございますが、近々その点は各省にもお示しできるのではないかと考えております。当初目標の七月中には閣議決定に持ち込みたいという点については、その予定どおりに仕上げるように今後とも一段の努力を払ってまいりたいと存じます。  それから、移転機関に対します地方からの御要望でございます。かなり多数の県から御要望が来ておりまして、現在私どもで承知しております点を申し上げますと、三十四の公共団体から具体的な機関移転の要望及び一般的な機関誘致の御要望等を承っている段階でございます。
  42. 糸久八重子

    糸久八重子君 その地方自治体の要望についてどの程度こたえることができるのかということは、七月中旬の閣議決定を待たなければわからないというそういう御答弁なのではないかと思います、御答弁いただかなかったわけですけれども。この構想ですけれども、何年後に移転に着手していつごろ完成をするのか、そしてそうした場合にどの程度の効果が上がると考えておいでなのでしょうか。
  43. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 初めに、前回の答弁がやや足りない点があったかと存じますので補足させていただきますと、具体的に地方公共団体等から御要望のあります機関の移転の時期は七月の閣議決定の際必ずしも決定すると考えているものではございません。やはり各機関の具体的な御要望あるいはその機関の性格等をにらみ合わせながら地方の御要望等も勘案し、個別的な移転計画の中として個々的にあるいはまとめて集団移転というような形で取り上げていきたいと存ずる次第でございます。  それから移転の具体的な計画、その実施段階につきましては、私どもといたしましては予算上の問題等ばかりではなくて、移転に対する職員対策とか、それから筑波の移転の例を照らし合わせましてもいろいろ問題点が多うございます。例えば移転先の庁舎の造成、ただいま申し上げましたような職員移転に伴う諸施策、それから当然のことながら場所移転に伴うようないろいろな行政的な配慮等も必要かと存じますので、これは七月の閣議決定と別途に各個別の移転計画というものをさらに移転等推進連絡会議等で検討いたしまして、できるだけ実施できるものから早く、しかしその機関の実態に即しながらまとめてまいりたいと存じます。
  44. 糸久八重子

    糸久八重子君 さらに、一省庁一機関移転問題で重要なのは移転させた跡地の問題です。つまり跡地をどう活用するかということなのですけれども、これは全国民が注目をしているところです。先般政府は、民間に払い下げその代金を都市再開発とか移転先の費用に充てるなどと言っていることが報道されたわけですけれども、これではもう何のために地方移転をするのかなと思っておりましたところが、昨日の新聞報道で、跡地利用については東京都に公示価格で売却し公共目的に使用するという意向が示されたわけであります。その辺の政府の方針を確認したいのですが。
  45. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 昨日も国会等の論議の中でお答え申し上げましたとおり、できるだけ公共用用地、住民住宅への提供、こういった方向に向かって地方公共団体に受け入れてもらうような形が一番望ましい、地価の高騰につながるような形の払い下げ等は厳に慎むべきものである、こういう方針で臨むつもりでございます。
  46. 糸久八重子

    糸久八重子君 十二年前に各省庁の研究機関を筑波研究学園都市へ移転させましたけれども、その跡地が今なお活用されていないと聞いております。例えば通産省の工業試験所跡地は現在どうなっておりますか。聞くところによると広大な跡地が荒れたままになっているということでございますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  47. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  まず、筑波移転跡地の全般的な概況でございますが、これにつきましては、国有財産中央審議会におきまして利用基本方針とそれから使用跡地の大綱が答申されまして、これに基づきまして現在処分等が行われている段階でございます。  お尋ねの点につきまして現在処分あるいは使用目的が決定等々されました実情を申し上げますと、全体といたしまして筑波の研究機関の移転跡地三百四十三ヘクタールぐらいあるわけでございます。そのうち主要跡地二十九地区二百九十二ヘクタールにつきまして、現在の使用目的は約五割が公園、それから一割が学校でございます、これは小中高校等の学校用地でございます。それから一割が周辺の都市の整備事業用地ということでございまして、道路とかいろいろな目的に使うことになっております。二割が将来の都市的な用途のために目下利用しているというような点でございます。その他主要跡地以外の地区の五十一ヘクタールにつきましてもできるだけ公園とかその他の土地に使えるような方向検討を進められているところでございます。  ただいまお尋ねのございましたような工業試験所跡地等の未利用地等につきましては、現在東京都及び関係公共団体と御相談中でございまして、やはり貴重な都市及びその周辺部における用地ということで、早急な利用ばかりではなくて将来を見通した、着実に将来に残る、国民と申しますか、そういう地域住民の財産として最終的に長期的な安定した有効な利用が図られるよう、現在も検討しているところでございます。
  48. 糸久八重子

    糸久八重子君 そういう跡地問題の資料一覧はいただけますでしょうか。
  49. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 資料そのものが当省の所管外、大蔵省国有財産関係の所管でございますので、至急に御相談の上、しかるべきその対応をさせていただきたいと存じます。
  50. 糸久八重子

    糸久八重子君 最後になりますけれども、大臣にお伺いをさせてください。  この法律を施行することは勢い土地対策土地行政を行うということで、現行の土地法制、例えば国土利用計画法だけで果たして十分だろうかという不安があるわけです。したがって、我が国の土地法制を確立する基盤をつくる必要があり、それなくして大規模な多極分散の国土開発に着手することは、再び投機的取引を初め、買い占めとか地上げ屋の横行など、社会的不公正を生じさせるのは必至だろうと思うわけです。そのために、この際土地基本法を速やかに制定することから始めなければならないと思いますけれども、目下野党四党で鋭意策定努力をしている土地基本法案に政府も協力して、一日も早く承認して制度化すべきと思いますけれども、大臣のお考えをお伺いして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  51. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 野党の皆さん方でお考えをいただいておる土地基本法の問題につきましては、まだ具体的に私ども拝見もいたしておりませんけれども、四全総にうたわれております趣旨からいきまして、一極集中の過密な現状から一刻も早く多極分散型の国土の形成を行うことによって国土の均衡のある発展を図っていく、こういうことでこの法案を提出したわけでございまするし、地価の安定にもこれがやがては資することにもなる、地域の振興にもつながることになる、こういうことで、土地問題の鎮静化あるいは地価の抑制さらには引き下げ、土地問題につきましては何といっても需要供給の関係でございまして、需要が多い割に供給をする土地が少ないというところに大きな問題点があったと思います。  したがいまして、この法律を通していただくことによりまして、多極分散ということで土地提供を国民の需要にこたえられるような体制に政府も持っていきたい、こういう趣旨でお願いを申し上げておる。政府の中央機関に対しましても、できるだけ中央になくてもいい機関を率先して政府が地方に移転する、それを核として地方にもまた発展していただき活性化を図る、こういうようなことでこの法律を提案いたしておるわけでございますので、何分御理解のもとに御協力を賜りたいとよろしくお願い申し上げる次第でございます。
  52. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 糸久君の質疑は終了いたしました。  次に、安恒君の質疑に入ります。安恒君。
  53. 安恒良一

    ○安恒良一君 まず、今度の本法は国の行政機関の移転、それから地方の振興開発、大都市地域の秩序ある整備住宅供給促進、地域間の交流促進、こういう大きな柱から成り立っていまして、書いてある文章は非常に立派なんですが、どうも中身がない。酷評するならば、この法案は薬にもならなけりゃ毒にもならぬ、そんな印象を実は受けるわけです。  というのは、四全総実施法としてこの法律が国土形成に大きな役割を私は果たして果たすことができるんだろうかと非常に疑問に感じる。すなわち、下敷きは四全総がなっていることは事実ですね。ところが、具体策がないんですよ、全然。財政的にもない。ですから、どうもこれではスローガン倒れに終わりはしないかと思いますから、まず冒頭にこの法案に対する国土庁長官の所見をお聞きしておきたいと思います。
  54. 内海英男

    国務大臣内海英男君) この法案を提出するに至りましたのは、四全総という国の掲げました計画に基づきまして、それを実行に移す段階の一つの基本的な形としてのものを法律としてまとめ上げて、御審議をいただいておると私は思っておるわけであります。  今先生が御指摘のように、効き目がある薬がさっぱりないじゃないか、立派な処方せんがあるけれども薬がないと。先生がそういうお例えでおっしゃいましたから申し上げますと、これは運用の面で、どの病気にはどの薬がいいかというようなことを私どもが調整機関の責任者といたしまして、この法律に基づいて、こういったことにはこういう手段で、こういうところにこうしてもらうということがこの法律の趣旨を生かす意味においては一番有効ではないかという一つの基本的な姿としての形をとっておる、こういうふうに私は考えておるわけであります。  処方せんだけを書いて薬の投入の仕方を間違えたんでは大変な逆効果にもなりますから、その投薬を間違えないように、効き目のある効果的な運営を私どもが責任を持ってやっていきたい、こういう決意でおるということを申し上げておきます。
  55. 安恒良一

    ○安恒良一君 過去からの一から四までの全総のうち、今回の四全総だけこのように実施法をつくろうと、そういう大臣の心意気とか意気込みはある程度わかるんです。しかし、どうも心意気と意気込みだけで終わりはしないか。口が悪いようですが。  具体的に少し中身に触れていきたいと思いますが、例えば行政機関の移転、地域の振興開発が本法の大きな柱になっていますが、この移転すべき行政機関の指定、各省庁ごとの数も規定してありませんね。これは政省令でお書きになるのかどうか知りませんけれども、これがないと実効性が疑わしいんです。もう現実に国土庁のお考えと大蔵省のお考えと各省の考えでは非常に食い違っているわけですね。それで、新聞にそれがどかどかと載るわけでしょう。いわゆる官僚のサボタージュによって、どうもこのままでいってはね。あなたたちは何月にはどうなるということを盛んに同僚議員に説明されていますけれども、今の大蔵省と国土庁とのやりとり一つを聞いておっても、本当にこんなことができるのかなと。いわゆる期待外れに終わると。  また、これは国土庁長官だけに聞くわけじゃないですが、この財政金融上の措置についてそれぞれの所管大臣はどういうふうにお考えか。例えば都市鉄道の整備整備新幹線の問題も大きくうたわれていますね。財源は一つも書いていない。  それから、大蔵省にも聞きたいんですが、資金の確保とか税制上の措置も規定していますが、いずれも「努めなければならない。」と書いてあるんですね。ですから、この法律を読む限りにおいて何一つ実効性がないんですよ。ですから、私が今言ったように、資金、税制等々、いわゆる実効性を本当に政省令でどう担保するのか、それぞれ大臣考え方を明らかにしてください。おれのところはこの法律が通ったら財政的にはこうするんだ、税制ではこうするんだ、国土庁長官としては総合的にこうするんだ、これがないと絵にかいたもちですよ。この法律を見る限り、私は残念ながら全く絵にかいたもちだと思いますから、中身について、きょうは関係大臣が全部そろってもらいたいと言っておきましたから、聞かしてください。
  56. 内海英男

    国務大臣内海英男君) この法律によりまして、竹下内閣といたしましては内政上の最重要課題という認識のもとに取り組ませていただいておるわけでございます。したがいまして、この法案を先生方の御協力によって成立させていただいた時点におきまして、内閣挙げてこれに積極的に取り組んでいただく。原則論で私どももお願いをして、多少の無理があってもやっていただくということで実行を強力に進めたい、こう思っておるわけでございます。  法律の中で、具体的にどこをやるここをやるというところまではなかなかまだまとまっていないというのが現状でございますけれども、通った暁におきましては、この法律の趣旨を生かして、内閣としての重要な政治課題という姿勢で強力に取り組ませていただいて実行に移したい、こう思っております。
  57. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) ただいま国土庁長官からお話がありましたように、竹下内閣の一致した方針で進めてまいりたい、かように考えております。  具体的に言いますと、私の所管では、例えば官庁の移転を決めますと官庁営繕費等はぜひとも予算化して早く進めなければいけない、それに伴うあらゆる公共施設、道路であるとかあるいは下水であるとか、そういうものについてもぜひとも移転までに間に合うように進めてまいりたい、かような考え方をしております。移転先もまだ決まっておりませんしいたしますが、そういう官庁営繕についてはそういうことでありますし、その他の項目につきましてはそれぞれそこに適したような措置を進めていきたい、かように考えておる次第であります。
  58. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 多極分散型の国土形成を図るということはそれぞれの地域振興という観点と全く同様でございますので、このいわば理念法的な法律を受けまして地方自治体はいわば特に受け皿の整備を行おうとしておるわけでございまして、法案にもかかっているとおり、公拡法のお願いを申し上げたり、あるいはふるさと対策特別事業、こういうものをとり行い、また構想段階を出ませんけれども、ふるさと財団的なものをつくり上げて、いわば地方の独創性、創造性を生かしながら地域振興、これと相呼応して行ってまいる受け皿づくりを今懸命に行っているところでございます。
  59. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 運輸省のかかわりは二十八条のいわゆる高速交通施設をいかに実現していくか、その財源絡みの問題でありましょうけれども、整備新幹線もつまりこの中に入るわけでありますから、今それなりにいろいろ財源を検討しているわけでございますが、ほかの高速交通手段に関しましても、その採算性とか公共性というものを勘案しながら、国庫負担とかあるいは地方分担とか起債とか金融、いろいろ方法を多角的に考慮してそういったものの実現を図りたいと思っております。
  60. 安恒良一

    ○安恒良一君 精神論を聞いているんじゃないんですよ、国土庁長官。例えば、二十七ブロックの機関移転の問題だけでも、これは私新聞の切り抜きを持ってきていますが、「政府機関移転大幅に後退 各省庁の抵抗強く」こう書いてあるんですよ。最後に「国土庁、官邸サイドでは、「ブロック機関の移転さえまとまらないようでは竹下内政の目玉としたこの施策そのものの失敗につながりかねない」」とまで、どの新聞もでかでかと書いてあるわけです。そのときに、あなたが精神論だけで、ああしますこうしますと言ったって国民は信用しないんですよ。  信用をさせようと思うならば、私が言っているように、精神論ではなくして、例えば法律に書けないなら政省令でもいいですから、各省庁ごとの移転する機関の数、こういうものをやっぱりはっきり国民に明らかにしないと、いや私は断固やりますやります、とにかく法律を通してください、これだけじゃそういうふうにいかないんです。 それぐらいのことは少々の抵抗があってもやりますと。もう既に大蔵省と国土庁、それだけでも話がまとまらぬというのだから、新聞を全部見たら。  そういうことについて、私が言っているのは、この法律に書けなければ、少なくともそういうことは法律案通過後に速やかに省令なら省令の中に移転機関、数、こういうものを明らかにするつもりがあるのかどうかと、こう聞いているんです。
  61. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 先ほどの大臣答弁を若干補足して御説明させていただきます。  現在の移転の具体的機関については鋭意詰めているところでございまして、この法律が成立いたしますと、それに基づく移転方針というものを定めまして、それに基づきまして閣議で各個別の移転機関というものを決定していく、かように考えている次第でございます。
  62. 安恒良一

    ○安恒良一君 そんな子供のようなことを聞いているんじゃないんだよ、私は。答えられなけりゃ、これで時間をとったらいかぬから次へ進めます。  本法の第一条は非常に立派なことが書いてある。これが達成できれば私は非常にいいと思います。しかし、資本主義経済のもとで、しかも平和なときに、既存の政府機関の移転とか権限の移譲ということが甘いやり方でできるなどと思ったら、できないんですよ、腹を決めてやらなければ。例えば歴史的に見ましても、我が国の都市というのは城下町なんです。城下町から発達しています。いわゆる自然発生的な都市は少ないんです。城下町というのは何でつくったか。かつての絶対権力を有する領主、殿様が人工的に権力を背景につくったのが城下町なんです。  ところが、今は民主主義の世の中ですから、絶対の権力は行使をしてはいけないし、また行使しようとしてもできません。そうすると、国民がやっぱり納得する具体的な目標、手順、裏づけ、そういうものを本法案で提案する。そのことで具体的に実施ができるんですよ。少なくとも、例えば何年先までにはどうする、実行のプラン、スケジュール、こういうものがこの法案とともに資料として出されて、なるほどと。多極分散になるんだと。そんなものはこれを読んだって何にもない。ここで幾ら聞いても、さっきから同僚議員が聞いているし、きょうでこれ二日目か三日目になりますが、単なる抽象論の繰り返しだけ。努力しますとか、竹下内閣の目玉ですからやりますやります。何をやるのか、じゃ具体的にどういう計画でやるのかということを聞いたら、また精神論の御答弁があるだけです。  私は今の日本の中においてこれをやろうと思うならば、少なくとも今言ったような目標、手順、裏づけ、そういうものと実行のスケジュール、こういうものを国会の中に示して、それで審議してくれ、与野党挙げて協力してくれ、こういう背景がないと絵にかいたもちになるということを言っているんです。国土庁長官、どうするんですかそこは。
  63. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生の御指摘の向きも十分私ども受けとめておるところでございますけれども、この法律案を上げることによってある意味においては強力にこの中身の実行ということについての具体的な案を推進することができるという気構えで私は取り組んでおる。精神論になってしまいますけれども、答弁になったかどうかわかりませんけれども、そういう気構えでおるということだけは御理解いただきたいと思います。
  64. 安恒良一

    ○安恒良一君 これでまた時間をとってはいけませんから、じゃ精神論や気構えではどうにもならぬということをこれから一つ一つ中身をお互いに論争してみましょう。  まずその一つですが、これも同僚議員から聞かれましたよね。東京圏と東京の一極集中を是正しよう、そして世界の都市としての東京整備しよう、なかなかいいことを書いてあるんですが、私は本当におやりになる気があるんですかと。どうも一極集中はもう政府はお手上げだと、こういうことで、あなたたちは野放しではないかというふうに断ぜざるを得ないんです。  それはなぜかというと、まず東京では、今同僚議員からも質問がありました、東京臨海部の開発、それからその周辺として横浜のMM21の開発、幕張メッセ、さらに今後汐留駅の開発、大宮操車場の再開発、丸の内の再開発と大小再開発プロジェクトがメジロ押しであります。これは東京ないし東京周辺ですね。ところが、東京以外に、じゃこんな具体的なプロジェクトが話題に上がっているかというと、何にもないんです。今言ったのは全部これは東京です。ですから、これをどんどん進めていったら、逆にやっぱり首都圏にこれは集中するだけですよ。多極分散と言いながら、やっていることは首都圏に全体を集中しようとあなたたちはやっている。だから私は、お手上げじゃないかということを言っているんです。  行政機関の移転、これも本格的にやらないと私は効果が乏しいと思うんですよ。行政機関は移ったけれども肝心の人間はみんな今までどおり東京に住んでおった、通勤しておった、こういうことになりかねないですからね。嫌がる各省庁のどこかの研究所を、おまえ移れ、移れと言って無理に移したら、あげくの果てはそこで働いておった人が依然として東京から通勤しておったということにこれはなりかねない。それも全然今のところ、せっかく国土庁が考えても、一番協力しなきゃならぬ大蔵省がまず抵抗しておる、こんな状況です。これではね。  ですから、お聞きをしたいんですが、あなたたちは本当に分散をやる気ですか。どうも東京集中、これを黙認しているんじゃないですか。ですからこんなプロジェクトが次から次に出てくるんですが、そこのところ、どうするんですか、本音を聞かしてください。建前じゃ困るんだ、建前じゃ。
  65. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいま先生の御指摘になりました東京周辺の、例えば横浜、幕張、汐留、その他幾つかおっしゃいましたが、それらにつきましては、再開発あるいは新しい宅地供給、こういった意味も含めまして、過密の東京の緩和、あるいはよその地域から東京に流入するというような形の考え方ではなく、現在東京に住んでおられる方々が高い住宅でお困りになっておる、地価の高騰によって大変苦労されておる、こういうことについて少しでも緩和ができて地価の安定、地価の鎮静、さらには地価の引き下げにつながるようなことに幾らかでもお役に立てばということでそういうことを打ち出したわけでございまして、東京にさらに人口を流入させるためにするわけではない、東京もやはり世界の東京として住みよい環境に改めていかなきゃならない、こういった趣旨から出ておるということも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  66. 安恒良一

    ○安恒良一君 恐らくそんな答弁が返ってくると思いました。それじゃ少し中身を具体的にさらに検証していきましょう。  まず、住宅問題。いろんなことを言われていますが、住宅問題の地価は現状をどう見ていますか。  私は鎮静化の方向にあるというふうにお答えになると思いますが、昨年急騰した東京都心部の一部では若干の値下がりが見られますが、基本的にはこの急騰した東京地価水準はなお全国的に波及しつつある、特に都市部に波及しつつある、こういうふうに見る、国土庁がいろいろ最近の地価問題で発表されたのを見ますが、そういう見方でいいでしょうか。どうですか、お考えは。
  67. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生がただいまおっしゃったように、東京地価上昇については一応鎮静化の方向にあり、一部では多少の下がりも見られるようになってきた。また、よその地域については多少逆に上がってきておるところもあると。また、地方都市についてはさほどの変化はなく、引き続き安定しておるような受けとめ方を私どもはいたしておるわけでございます。
  68. 安恒良一

    ○安恒良一君 正確に言うと、東京などの一部においては若干の地価の値下がりがあっているが、基本的には、昨年上昇した、もう上がってしまった、それが大体東京の全体の水準。しかもその東京地価水準が全国的に大都市、例えば郊外、所沢であるとか都下その他に影響するとか、大阪圏であるとか名古屋を中心とする中京圏であるとか政令都市である福岡、こんなところへ、中核都市へどんどん東京の高値が及んでいるというのが私は正確な見方だと思うんです。ですから、何か地価問題でもう安心したような考えを建設大臣やら国土庁長官がお持ちになったら、大変なことだと思うんです。  そこで私はお聞きしたい。しかし、住宅が欲しいという勤労国民の期待が非常に強いですね。しかも、今言ったような地域では勤労国民はなかなか住宅が取得しにくくなっている。ですから東京を初め大都市における勤労国民の住宅の取得に対して、今後建設大臣はどうするつもりですか。さらに国土庁長官、総合的にどうするつもりですか。まず建設大臣、お考えを聞かせてください。
  69. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 確かに東京圏、地価が大変高騰いたしまして、率直に言って大変な状態であります。大変な状態といいますのは、今の地価で計算いたしますとなかなか勤労者向けの分譲住宅、あるいは適当な家賃の貸し家住宅が建たない、これが率直なところであります。しかしながら、東京都心部につきましては鎮静化した上にさらに少しは下がりぎみであります。特に中古マンション等は二、三割下がっておりますし、今土地も下がったようなところもあります。しかし、今一割や二割下がりましても、とても今言ったようなことが難しい。でありますから、できるだけ周辺部周辺部はかえってまだ少し上がりぎみ、こういうことであります。  大都市圏は今のようなことでありますけれども、少しそのほかの小都市などに行きますと、やはり過疎地、あるいは地価が下がっておるというところもあります。しかし、何としてでも住宅供給しなければならない、土地供給住宅供給、これは進めていかなければなりませんので、そういういろんなことを考えて、公団とかあるいは地方公共団体にもお願いしまして、今のところは分譲というのはなかなか難しいから賃貸住宅の方を重点で進めてまいりたい、こういうことであります。特に東京圏は分譲というのはなかなか難しいので賃貸の方に主眼を置いて進めていこう、こういう考えであります。
  70. 安恒良一

    ○安恒良一君 長官、ちょっと結構です、後で総括的に答えてもらいますから。  今建設大臣からお聞きしたんですが、私は、今一番問題になるのは地方の都市部じゃない、過疎地は問題はないんですから。問題になっている東京とか大都会で、勤労国民が一生働いても家が持てない、これが物すごい問題です。これをどう解決するかということですね。  そこで、今あなたがお答えになったことの中で、例えば賃貸しを中心に等々ということですが、きのう実は私は東京臨海部都心調査に一日かかって行ってきたんです、これは運輸委員会として。ところが、ここで見ますと、なかなかすばらしい開発が進められていますが、これで就業人口は十一万人、ところが居住人口は六万人しか予定されていない、そこに住む人が。  なぜかというと、土地利用フレームを見ますと、住宅に対する土地利用というのは全体で一二%しかないんです。私はきのうも言ってきたんですが、何でもっとこういうところに住宅をうんと建てないのか。商業用地とかなんとかかんとか、いわゆるいろいろ。なるほど東京は国際的に事務所の不足もありますけれども、今一番やっぱり困っているのは住宅なんですよ。事務所がどんどんどんどんできて、土地が上がっちゃって、それでも事務所は買えるわけだ。ところが、国民の住宅は買えないんですよ、東京では。  それで、これだけの膨大な臨海のをやって、きのう東京都以下関係者から説明を求めましたら、いわゆる全体の土地利用フレームの中で純粋たる住宅系というのは一二%しかないというんですね。そして、いわゆるその他いろいろ、商業・業務系が一五%とか、それから商業と複合系が五%とか、こういうことで、せっかく臨海部開発をこれだけの立派なのをやっても、使えるのは、住宅は一二%だというんだから、私はきのう東京都にも、もう少し住宅のフレームを大きくしたらどうだ、こういうことを提起しておきました。  それから、そのことについての考えを聞かしてもらいたいのと同時に、この法案の中に、リニアモーターカーなんかで通勤圏を拡大する、少し田舎の方の土地が安いところという意味で国土庁建設大臣、おっしゃったんですがね。じゃ、リニアモーターカーはいつできるのか、その財源はどうするのか。だから、今言われたような東京とか関西圏について、若干少し離れたところで、六十分なら六十分の通勤圏内にリニアモーターカーを使えば、それは相当通勤圏は広がるわけですね。じゃ具体的なその計画はどうなっているのか、その財源はどうなっているのか。全然ない。  例えば、私は、建設経済研究所の長谷川常務理事が、東京臨海部の埋立地をすべて住宅にすれば三十万戸供給できると書いてあるんです、これに。同じ建設省の経済研究所の長谷川さんが、これを全部住宅に充てるとすれば三十万戸住宅は賃貸しできるよ、こう書いてあるんですが、そういうことを積極的におやりになるということが必要じゃないか。でないと、お答えを聞いていますと何かもう、何というか、精神論とか抽象的な表現が多いんですね。  だから、せめて、例えばこれをせっかく今やっているんですから、こういうところについてはそれじゃここは主として住宅地にうんとしましょうというのも思い切った私は施策だと思うし、それじゃ早急にリニアモーターカーその他高速鉄道をつくって、若干遠距離からでも東京や大阪に通勤できるようにするということも住宅の解決の一つの方向だと思うんです。そういう具体論が全然この法案に欠けているし、やりとりをしても、検討中でございますとか、まだと、こうなるんですが、そこらはどうですか、住宅に関して。
  71. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私が述べると、調整官庁ということで抽象論みたいなことになりまして、大変先生の御質問に沿いかねるかとも思いますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、一極集中の結果、東京には地価の異常な高騰を来して、宅地供給ということがほとんど不可能に近くなったということから考えますと、やはりこれは需要供給のバランスの問題が余りにもひどく出た結果だということが一つ言えると思います。  先ほど先生から御指摘がありました埋立地等につきましては、まだ計画中のことでもございますので、できるだけ地方公共機関にこの法律の趣旨を御理解いただきまして、都民のための住宅ということでお考えをいただきたいというふうにお願いするつもりでございます。よその地域からますます、土地ができたからまた東京が住みよくなったから東京へ行こうというような、また流入するというような形のことはできるだけ避けて、現に東京に居住しておる方で住宅に困っておる方についての住宅供給に最優先的に重点を置いてもらいたいという趣旨に対して御協力をいただこうと、こういうことでございます。  それから、政府機関の移転の跡地等もございまして、この跡地等につきましては、国有地というものは国民の共有の財産である、こういった趣旨からいきましても、関係機関にも御理解をいただきまして、そういう跡地をできるだけ民間の環境のよい住環境がつくれるような方向に御協力をいただく、こういうのが私どもの基本的な考え方でございます。
  72. 安恒良一

    ○安恒良一君 運輸大臣に後で総括的に答えてもらうことにします。  そこで、国土庁の首都改造計画基本方針で住宅の新規需要量は幾らと見ていますか。それから、これに対する新規開発土地の残存量は六十分圏内で幾らになりますか。それから、この新規開発土地の残存量の中には旧国鉄用地は入っておりますか、入っておりませんか。以上三つを一括して答えてください。
  73. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  首都改造計画におきましては、東京大都市圏におきます昭和五十四年から昭和七十五年までの間に新規に発生する住宅地、工業・商業業務用地等の都市的土地利用需要量を九・七万ヘクタールから十二・六万ヘクタールと見込んでおります。これに対しまして、東京大都市圏において今後の新規開発等の素地となり得る一定規模以上の連檐いたしました、まとまった土地の残存量は、九十分圏内におきまして六・四万ヘクタールということでございます。それから、そのうち東京都心から六十分圏内におきます新規開発の素地となり得る土地の残存量でございますが、これは一・二万ヘクタールということでございます。
  74. 安恒良一

    ○安恒良一君 国鉄は入っていますか。
  75. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 失礼いたしました。それにつきましては、国鉄用地については含まれておりません。
  76. 安恒良一

    ○安恒良一君 そこで私は、運輸大臣並びに国土庁長官に思い切った提案をここでしたいと思うんです。今国土庁長官もおっしゃったように、現在東京に住んでいる人々の過密と質的不足ですね、この住宅をどう解決するかということも非常に今重要です。東京が肥大化することを抑えることも必要です。ところが、地価中心部で若干下がったといっても、とってもこれは住宅確保するような今の地価ではないわけです。  そこで私は、旧国鉄用地の活用をこの際思い切ってしたらどうかと思うんです。  清算事業団の杉浦理事長に伺いたいんですが、今までは国鉄用地の売却についてはできるだけ高く売りたいと、こう言っておられる。そして、長期債務の処理で予定する七兆七千億よりも売却益を上げたい、こんなことを言っておられました。ただ、今目下は、地価高騰地域の用地は売却を政府の方針で凍結されていますが、この考え方は変わりませんか。
  77. 杉浦喬也

    参考人杉浦喬也君) 今先生がおっしゃいましたように、事業団の大きな仕事の一つは、土地の売却、これを原資といたしまして大変膨大な長期債務を返済する、こういうことにあります。 その一応の目標としまして、先般の国鉄改革法案の審議の際に七・七兆円という数字をお示しいたしたわけでございますが、私どもその目標に向かいまして現在一生懸命やっておるというのが現状でございます。
  78. 安恒良一

    ○安恒良一君 一方、株の売却収入七千億ということをあのとき、法案のときやったんですがね。実は昨年の九月、営団地下鉄の清算事業団の持ち分の評価が行われましたが、実を言うと、これだけで七千億という金が出てくるわけです。ところがJRの資本金は四千五百九十五億円ですから、これはいずれそのうち株を売るわけですね、そうしますと、この株の売却では私は相当の、いわゆる当初考えておったよりも大きなお金を確保することができると思いますが、これは運輸大臣どうですか。
  79. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  JR各社は、先生もよく御存じのとおり、六十二年度におきまして各社ごとにいろいろと努力いたしましたもので、その結果今おおむね順調な経営成績であると考えておりますが、まだわずか設立後一年の実績でございますので、今後この状況がそのまま継続するかどうかというのは現時点では即断することは難しいと思っております。  それで、JR株式の売却処分の問題につきましては、まずは会社としての安定的な経営の実績が積み重ねられて、会社経営の基盤を確立した上で上場することが必要だと、こう考えておりますので、まだ数年かかるのではないかと考えています。それで、株価は市況とかいろいろな要因で左右されるものでございますので、現時点ではJR株式の株価を推定するということは大変難しいのではないか、かように考えております。
  80. 安恒良一

    ○安恒良一君 この法律を議論するとき、特に清算事業団の処理が二十二兆七千億と言われて、国鉄の長期債務の処理についてはかなり難しい面があるという面から率直に言って国鉄特別委員会や運輸委員会で私は議論をしてきた一人でありますが、いろいろ考えてみますと、案外これはそんな難しいことじゃないなという感じが最近してきた。  それは、今申し上げたように、JRの株式の売却を考えると、東日本、東海、西日本の株はかなり私は高値で売れるなという、それはなぜかというと、NTTは一回目の売却が一株百十九万円、これは五万円券ですから二十四倍で売れたんですね。それから、清算事業団がお持ちになった営団の持ち株の比率は、二十二・八四倍ですからね、評価してみたら。二十二・八四倍の評価額です。それから一般の株価を、私は電鉄出身ですから電鉄をとると、京成電鉄は無配ですが、今額面五十円に対して九百七十二円、十九・四倍です。それから、私の出身の西鉄は余りもうからぬ会社で困っているんですが、それでも六百円で十二倍なんですね。これは経営が余りよくありません。大手ではそんな状況ですね。それから、再建会社のジャパンラインが二百二十四円で四・四倍ですね。佐世保重工業が二百六十六円で五・三倍。もちろん、株価というのは率直に言って不確定要素があります。  今言ったのは六十三年五月十一日で、しかし今申し上げたJRの主体をなす東海、それから東日本、西日本が一けたの倍率になるということは私はない。ことしの一年たった決算の状況を見て、今これが一けたの倍率におさまるということは私はない。かなりこの持ち株は高く売れるんじゃないか。これは専門的に考えても、そんなむちゃな要素じゃわからぬと今あなたは言われましたけれども、私はそう思うんです。そうしますと、したがって政府の債務処理の七千億を株式売却の収入で充てるということは、これはもう私は簡単にできる。七千億はすぐ出てくる。今申し上げたように、例えば二十倍と言わないでも、十二倍で計算すると、これで八兆四千億お金が出てくるんです、株を売っただけで。もちろん、株を売るのにあと一、二年時間が要りますよ。要りますが、株を売っただけで八兆四千億のお金が出てくる。  それから、用地売却は七兆七千億を予定されていますね。ところが、これも公示価格はかなり上昇していますね。ですから、一般競争入札で売ればこれはもっとうんともうかることはもう間違いない、東京周辺。しかし、それは土地を上げるから、せめて例えば公示価格で売るとしても、これをすべて随契で払い下げても私は七兆七千億は出てくる。七兆七千億が出てくることはそんなに難しいことではない。ですから、七兆七千億が例えば二〇%増しで売れたとしますか、というのは公示価格がどんどん上がっていますから。そうしますと九兆二千億これでお金が出てきますから、株を十二倍で売ると十七兆六千億。両方合わせますと、国民の負担というのは五兆円で済むことになるんです。そういう経済環境に今あるわけです。  そこで、これからが問題ですが、私は、いわゆる東京周辺、都市部の、いわゆる国鉄の清算事業団が持っている用地を随契で安く自治体、公社、公団に払い下げる。そして、これで住宅をつくる。今建設大臣ももう一戸建てはできないから賃貸しをつくりたい、国土庁長官もそう言いたいと。一番やりやすいのは今国が持っている、特に清算事業団が持っているやつ。そうするとそれは地価も安定をする、それから大都市における住宅問題の解決に大きくなる。それと同時に大体国民の負担もぐっと減りますから、私から言うと一挙三方得というんです。こういうのが一挙三方得。  ですから、この際、私は関係大臣が英断を振るわれる、そのことが地価の鎮静に大きな一打を放つことになると同時に、大都会における国民の住宅問題を解決する。例えば一つの例を言うと、汐留周辺だけでも公示価格で私推計してみますと四兆円になるんです。汐留のあそこだけでも実は公示価格で四兆円になるわけですから、やはり私はこういう法律をお出しになるなら、思い切ってそんなことを竹下内閣は総理以下関係大臣がおやりになったら、国民はなるほどと、また地方自治体も随契でやりたい、こう言っているんですから、そこのところをですね。ただ単に国民の負担を安くするために、今までは運輸大臣杉浦さんも私たちが聞くと、まあできるだけ高く売りたい、売りたい、こう言って、これは能のない話です、ここまで来れば。能のない話。  これだけのことを竹下内閣のいわゆる目玉としてやろうというならばそれぐらいの考えをお持ちになるべきだと思いますが、この点について関係大臣のお考えをお聞かせください。
  81. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生方の御協力によりましてこの法律が成立の暁には、竹下内閣といたしましては重要課題に向かって積極的に、先生の御提案のようなことも踏まえまして対応してまいりたい、こう思っております。
  82. 安恒良一

    ○安恒良一君 時間がありませんので、ぜひ運輸大臣にお答えを願いたいんですが、お答えにくいと思いますから、こちらからやりたいと言っておられますから。  私は前回からも議論しておったように、まず旧国鉄用地は、公的住宅を建てる、そういう意味で住宅公団や地方住宅公社やそれから地方自治体にやっぱり積極的に払い下げる。そして、今、高値安定下の地価を思い切って冷やす。そして遠くて狭くて高いというこの住宅事情を大幅に改善する、こういうことに私はお使い願いたいということを申し上げておきたいと思います。これはいわゆる新しく大臣におなりになっての初の大きな仕事として、国鉄用地の使い方ということについては総理と十分御相談をされてやっていただきたいと思います。  そこで、もう私の持ち時間がなくなりましたから、少し今度は鉄道の整備のことについて、これもどうしても多極分散に関係しますからお聞きをしたいんです。  都市鉄道の整備が非常に必要であることはこれにも書いてあるわけだ。ところが、用地費、同補償費、これは天井知らずにどんどんどんどん上がっていますね。ですから、これでは工事費が高騰して、もうとても新線建設が不可能に近い。例えば常磐新線、地下鉄十二号線などがおくれおくれになっています。私どもの計算では、一キロ当たり二百億から三百億かかりますね。それだけ金を費やして初乗り百二十円の運賃では、とてもこれはもう採算がとれないんです。そこでなかなか進まない。今の大都会ではせっかく多極分散法で高速鉄道とかいろんなことを言ってもできないんですが、これに対する具体的対策はどうしますか。財源策を含めてお考えを聞かしてください、運輸大臣
  83. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生御指摘の都市鉄道の整備について、地価の高騰もございますが、地下深く掘らなきゃいかぬといったようなこともございまして、場合によってキロ当たり二百数十億という状況にあるのは御指摘のとおりでございます。これらに対して、この法案の趣旨も当然のことながら踏まえながら、我々としては現在地下鉄補助という制度を地方公共団体と一緒になってやっております。これらにつきまして、御指摘の十二号線等につきましては、国の財政の観点からの制約もございますが、いろんな工夫をしながら鋭意進めると。それから常磐新線につきましても、この法案の一方の宅地供給と一体的に進めるということと絡めまして、特別な立法を含めまして現在法案の中身を検討しておるところでございますが、あわせまして、具体的にこれを実現するための手段、当然その中には財源問題、財政問題等が含まれますが、それらをいかに進めていくかということで検討をしております。  御指摘のような特別な財源という点につきましては、財政あるいは税制全般の問題と絡みますのでなかなか難しい点もございますが、具体的なものについての推進については鋭意努力してまいっておりますし、これからも努力してまいりたいというふうに思っております。
  84. 安恒良一

    ○安恒良一君 これも局長答弁にしちゃ非常に抽象的で不満ですが、もう私の持ち時間がありませんから、こっちから具体的に少し言って終わりにしたいと思いますが、例えば今、大深度地下の活用とか、それから開発利益の還元とか、こんなことも検討されているわけでしょう。だからそういうものを検討して、積極的にお出しにならないと問題が解決しないと思うんです。それから既に東京の民鉄ではやっております特定都市鉄道整備積立金制度の活用ですね。東京の民鉄も込んでいますが、JRも今度は民鉄になったわけですけれども、混雑率はJRは高いんですね。この制度の活用についてはどういうふうにお考えになるんですか。  それからその次の問題、財源対策として、鉄建公団によるP線、それからJR大都市交通のCD線の建設費は利子補給制度がありますね。四十八年度以降、利率の五%を超える部分につき国、地方が二分の一ずつの補助を行っていますね。そこで、これは後からお聞きしたいんですが、現在の資金運用部の貸出金利、鉄道利率はどうなっているかというの。これももう答えを私の方から言ってしまいますが、運用部は四・八%でしょう。鉄道債券は四・七%でしょう。だから五%以下にもう現実になっています、五%を超える分ではメリットがないんですよ。だからこのことについて、三%を超えた場合にというふうに今すぐこれは運輸省は大蔵省と話をして改善する気をお持ちにならにゃいかぬし、大蔵省もそれを受け入れる気持ちを持たなけりゃ、とても鉄道対策の財源は出てきませんね。  さらに一歩進んで、私は鉄建公団に政府保証の外債の発行を認める。そして、低金利の資金を導入してここに書いてあるようなことをやりたいと、これぐらいのことをあなたが言うんじゃないかと思って期待して聞いたが、言わぬからこっちから言うんですが、大臣、今私が言ったようなことを皆さんの方が、安恒さん、こうしたいから協力してくれと言わにゃいかぬのだけれども、どこをどう心配されているか一つも具体案がない。以上のような点でこれはどうしますか。
  85. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  まず、特定都市鉄道整備促進特別措置法の関係のことでございますが、もう釈迦に説法でございまして、この法律の内容のポイントの一つでございますけれども、積立金制度の対象工事というのが、その事業者の年間旅客運送収入、それにおおむね等しいかこれを超えると、こういうことがございますが、この点につきましては、JRの関係する本州の三社につきましては、御存じの相当な運輸収入、東日本で言いますと一兆四千億台ぐらいの運輸収入の話でございますので、若干このこととの関係におきましては、そういう大規模工事という話につきまして、法律が予想したような問題とはちょっと違っているのが現状ではないかと、かように考えておりますので、当面は、今の御指摘の点につきましての必要性というのは少ないのではないかなと考えております。  それでもう一つ、外債の関係でございますけれども、この問題につきましては、鉄建公団の資金調達をする必要の額というのは大変多額でございますので、その資金調達コストというのは確かにできるだけ低い方がいいというのはもう十分そうでございますが、現在の日本の金利の状況は、先ほど先生の方から御指摘ございましたように低目になっているとか、それからあとは、外債の発行につきましては為替変動に伴うリスクがあるというようなことで、総合的な判断が必要だというふうに考えておりますものですから、この問題につきましては関係機関とも調整の上慎重に検討する必要があるのかなと、かように今考えております。
  86. 安恒良一

    ○安恒良一君 じゃ私、終わります。というのは、まだあったけれども時間が来ました。  それで、大臣、あのとおり、せっかくこちらが前向きにあれもこれも言うてもなかなか、これじゃもう国土庁長官は何にもできませんよ。私は外債のことからいろんなことを言ったんです、こうしたら鉄道をつくる金が出てくるじゃないかということを言ったら、これもできません、あれもできませんとか関係機関と、そんなことを言って、こういうのを私は役人のサボタージュと言うんだ、役人のサボタージュ。それじゃこれは結局絵にかいたもち、毒にもならなきゃ薬にもならぬ、そんな法律になってしまう。相当やっぱり各大臣が決意を固めておやりくださらぬと、せっかくこの法案をこの国会で審議しても私は絵にかいたもちになるということを申し上げて、私の質問を終わります。
  87. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 安恒君の質疑は終了いたしました。  次に、馬場君の質疑に入ります。馬場君。
  88. 馬場富

    ○馬場富君 十七日に六十二年度の国土利用白書が発表されましたが、その中に夢の住宅供給計画が提言されておりますが、国土庁長官、この骨子は那辺にありますか。
  89. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 昨日の閣議で国土利用白書を決定いたしまして国会の方に報告を申し上げたわけでございますけれども、六十二年度の国土利用白書の要点といたしましては、まず地価の動向につきまして、最近首都圏が突出して地価が非常に高くなったというようなことがまず一つのポイントかと思います。それからまた、今回の地価上昇の特徴でございますけれども、東京圏が突出して上昇しているというほかに、その東京圏で地価水準の高い土地ほど上昇が非常に高かったというようなことが特徴であるということを分析いたしております。また、東京圏における地下上昇がなぜ拡大したのか。住宅地に相当広範に拡大したわけでございますけれども、その要因につきまして、居住用財産の買いかえ需要が非常に大きかったとか、また、低金利、金余りというような現象で投機的な需要が相当あったというようなことを分析いたしております。また、地価高騰の影響ということで住宅地の価格が非常に上昇いたしまして、所得に比較いたしまして住宅取得が非常に困難になってきているというようなこととか、また、土地を持っている人と持たざる人との資産格差の拡大というようなことも分析いたしております。また、いろいろ土地の有効利用の必要性とか、それからまた、今後の日本の土地制度を考える場合に諸外国の土地制度につきましてもいろいろ比較調査をいたしまして我が国の土地問題の解決の一助にしたいということで分析をしている次第でございます。
  90. 馬場富

    ○馬場富君 六十三年度の地価公示が国土庁から発表されましたが、前年一月からことしの一月までの上昇率について全国平均と東京圏、あるいは東京圏の住宅地、あるいは東京圏の住宅の平均価格、あるいは三年間の東京圏の地価の値上がり状況を御説明願いたいと思います。
  91. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 六十三年一月一日現在で地価公示を行ったわけでございますけれども、その状況につきまして申し上げますと、まず、全国の全用途平均の変動率は二一・七%というふうになっております。このうち東京圏の上昇率は六五・三%というふうになってございます。それから東京圏の住宅地の平均価格でございますけれども、一平方メートル当たり五十三万一千三百円ということでございまして、これが六十二年には三十三万八千円、また、六十一年では二十一万六千九百円というふうになっている次第でございます。
  92. 馬場富

    ○馬場富君 ここで経企庁にお伺いしますが、平均的なサラリーマンの許容範囲と言うべき地価というのはどの状況ですか。
  93. 熊澤二郎

    説明員(熊澤二郎君) 私ども、土地問題を考える際に、平均的な勤労者が年収との関係で土地が取得できるようでないといけないのではないかといったような考え方から、それでは平均的な勤労者が年収との関係で取得できるような価格というのは幾らぐらいだろうかということを、一つの試算として計算したことがございます。  四十歳代前半の中堅勤労者が住宅を買える限度といいますか、上の方の限度、三千万円程度ではないかという試算をしたことがございます。
  94. 馬場富

    ○馬場富君 その値段でいきますと、現在の地価でサラリーマンの人たちが土地を現実に探すとしたら東京圏からどのくらいの位置になりますか。
  95. 熊澤二郎

    説明員(熊澤二郎君) 三千万円の住宅といたしますと、これは何も私ども一戸建てでなければならないと考えているわけではございませんけれども、例えば一戸建てで住宅を購入するといたしますと、もろもろの仮定を置いて計算しているわけでございますが、土地の値段は一平米当たり十四万から十五万程度でなくてはならないというような計算が出てまいります。  そこで、それではお尋ねのどの辺がそういう価格のところかということでございますが、例えば高崎線の方で申しますと鴻巣というところがございますが、あそこらで一平米十四万六千円、あるいは東北本線の久喜というところがございますが、そこらが十三万二千円、常磐線の取手あたりで十五万八千円となっておりまして、これはことしの一月時点の公示地価からとってきた数字でございます。
  96. 馬場富

    ○馬場富君 ここらあたりだとやはり通勤時間は二時間圏に入ってきております、五十キロ圏以外に入ってまいりますので。そうすると長官、建設省もそうですが、労働者の人や毎日通う人たちは二時間ずつですから往復四時間もかかってしまう。仕事よりも通勤が大変だという実情が現在の実情なんですね。これは何回も私は主張しておりますが、先ほども意見が出ていましたけれども、東京土地高騰の本当の犠牲者というのはそういう東京圏に住むサラリーマンの人たちである、住宅が遠くへ行った人たちであるというように考えるんですが、この点をどのように理解されますか。
  97. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私どもは、この多極分散型の国土形成という法律の中でうたっておりますのは、東京がいかにも一極集中地価が高騰し住みにくくなった、この住みにくくなった東京をいかに住みよくさせるかということもこの法律の趣旨の中に一つあると思うのでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、臨海部開発地帯に公共的な住宅を主として建ててもらうように関係機関にもお願いをする、あるいは政府機関の移転等の跡地に対しましても現に住宅事情に困っておる東京都民に提供をするということを重点に、よそから東京が住みよくなって住宅事情がよくなったからまた入ってこようということのないような形の、現に都に住んでおって職がありしかも住宅に困っておるという方にある意味においては重点的に供給をすることが我々のこの法律の趣旨でもあり我々の使命である、こういうように考えて、職住接近の政策こそ理想である、こういうふうに思っておるわけでございます。
  98. 馬場富

    ○馬場富君 地価の公示価格の中で、昨年十月から十二月の三カ月間が東京全体の住宅の価格の変動率が一・一%マイナスになった。これはどのような理由によるものか、御説明いただきたいと思います。
  99. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 東京圏の地価につきましては、昨年の十月ごろまでかなり激しく上昇しておったわけでございますけれども、十月以降鎮静化ないし下落というような動向になっているわけでございます。その要因といたしまして、現在、国土利用計画法に基づく監視区域というものを首都圏では相当広範囲に実施いたしております。しかも届け出面積百平米以上というようなことでかなり厳しく運用している地域もございまして、これの効果というものが非常に大きかったのじゃなかろうか。さらに、大蔵省の方でいろいろ金融機関に対する指導を強化しているとか、それからまた昨年十月から超短期重課制度というものを実施いたしておりますし、またことしの四月一日からの居住用財産買いかえ特例の原則的な廃止というような税制の措置も非常に効果があったのではなかろうかというふうに思っている次第でございます。
  100. 馬場富

    ○馬場富君 今抑制効果によって一応この状況ができたとこうおっしゃっていますが、三年間で東京圏についてはやはり三倍もの値上がりをしておるわけですね。だから、このような状況を何か地価が安定だというようなふうに随分政府答弁の中で皆さんはおっしゃっていますけれども、私はそうは思っておりません。それを以前の水準に戻すということを長官は言ってみえますが、どのような方法でお戻しになりますか。
  101. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 現在は従来から答弁してまいっておりますように鎮静化の傾向にあるという表現でお答えを申し上げておるんですけれども、我々はさらにこれを多極分散型の政策を推進することによって国土の均衡のあるバランスをとらなきゃならない、こういう観点からいきまして東京都の地価が余りにも他地区と比べて異常である。ただ、国際化、情報化という時代の中にあって、先生も御案内のとおりニューヨーク、ロンドン、東京という三極が今経済国際都市としての大きな機能的な役割を演じていることは御案内のとおりでございます。  したがいまして、国際化の中でいかにこの東京土地を従来以下に下げるかということは非常に難しい問題でございますけれども、できるだけ需要供給のバランスをとるという意味におきまして政府が率先して政府機関の移転等に当たってはその跡地を利用さしていただくと。あるいは、よその官庁のことを私が申し上げてもいかがかと思いますが、防衛庁関係の土地等もまだ、六本木等に移転の話もある、こういったところ、あるいは国鉄用地の跡地の問題、こういうものもできるだけ地方公共団体に有効に活用していただいていけば、自然東京で投機的な土地取引をやろうとしてもこれはもうからないと。土地というものはもうもうかるものではない、国民共有の財産であり、国民がともに有効に活用することに意義があるものであるという認識に立ってこられるようなふうになってまいりますと、土地は私は必ず下がっていく、こういうふうに思っておるわけでございます。
  102. 馬場富

    ○馬場富君 先ほども説明がありましたが、一つは一時的なマイナス効果というのは土地の抑制策にあったという説明でしたけれども、今度の高騰の原因が一般的にはオフィスの需要による宅地の需給のアンバランス、もう一つは金余りによる土地投機が原因である、こういうように言われておりますけれども、こういう状況から推しまして、やはり今回の高騰の真因というのをよく突き詰めなきゃいかぬですね。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕 そういう点では、需給効果も一つはありますが、それよりももっと大事なのは、こういう需給を見越したためにこれに金余りの投機効果というのが拍車をかけたというところに一つは東京問題の、異常高騰の原因があると思うんですね。  その点については国土利用白書でもその点をやや指摘してみえますけれども、国土庁長官はこの認識をどのように持ってみえますか。
  103. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 白書に申し上げておりますとおり、先生の御指摘のとおりのように私も感じております。
  104. 馬場富

    ○馬場富君 ここでちょうど農林大臣も来てみえますので先に、ちょっと順序が変わりますけれども、問題の指摘の中の一つとして、今土地高騰を背景にして悪徳商法である、弱い人たちの金をだまして商売をするという、原野商法による土地取引というのが横行しています。  警視庁は五月九日にこのような詐欺についての手を入れられたと聞いておりますが、実情と、この種の問題の状況把握について警察庁より説明されたいと思います。
  105. 泉幸伸

    説明員(泉幸伸君) お尋ねの事案につきましては、不動産会社の元副社長らが昭和五十八年十二月ごろから昭和六十年九月ごろまでの間、都内及び近県の老夫婦等の被害者約三百人に対しまして、飛行場の拡張地域で大企業が進出するから値上がりする、二、三年後に値上がりした価格で買い戻しますなどと言って、北海道阿寒町周辺の山林原野を評価価格の約三千五百倍から約一万倍の価格で売りつけ、金銭をだまし取っていた事案でございます。これにつきまして、都内に住む主婦からの困り事相談を端緒といたしまして警視庁において内偵捜査を進めておりまして、本年四月九日、被疑者六名を詐欺罪で逮捕し、余罪等について現在さらに捜査を進めているところでございます。
  106. 馬場富

    ○馬場富君 今警察庁の原野商法の被害の説明がございましたが、これは一次の被害でございますが、特に最近問題になってきたのは、この二次被害が続出しておるということです。それは列島改造ブームに乗って、四十七年ごろから五十二年ごろにかけて、北海道を中心とした全国各地の辺地で、山林や原野を対象に大規模な原野商法が行われたということです。現在はその二次被害が横行して、実は一次、二次と二重の被害に遭って苦しんでいる人が非常に多いわけでありますが、これについて経済企画庁では国民生活センターを通して国内での被害の苦情相談等を把握してみえると聞いておりますが、今までの年間の件数と、特に二次被害についての内容を実例をもって一、二御説明願いたいと思います。
  107. 吉田博

    説明員(吉田博君) 御説明申し上げます。  最初に手口でございますが、例を申し上げますと、四、五年前に七十万円で購入した約五百坪の北海道の土地、これを千五百万円で売却してやるから三百万円出資しなさいと、で、六十二年六月末日に出資金を含めまして千八百万円を業者から受け取る約束をしておったけれども、履行されないし、業者とも連絡がつかない、こういうふうな事例がございます。そのほかにも、先生御指摘のように、高く売却をしてやる、ついては測量代が必要であるからそれを出しなさいということで、それを受け取って持ち逃げする、そういうような事例もございます。  それから国民生活センターあるいは地方の消費生活センターで受け付けました原野商法に関する苦情でございますが、これには新原野商法についてちょっと分けて今手元に数字がございませんが、全体についての件数で申し上げますと、五十九年度が九十六件、六十年度が百九十九件、六十一年度が百九十五件、六十二年度が百八十七件と、このようになっております。新原野商法につきましての数字はまた後ほどお届けしたいと思います。
  108. 馬場富

    ○馬場富君 警察庁は原野商法の二次被害についても捜査されておると聞いておりますが、その実情を御説明願いたいと思います。
  109. 泉幸伸

    説明員(泉幸伸君) お尋ねの関係のものといたしましては、最近警察において検挙し現在捜査中の事件が二十件ございます。  その概要について簡単に申し上げますと、一つは、栃木県那須郡の原野所有者に対し、税金対策のためあなたの別荘地を買いたいと言っている人がいる、その客が他の別荘地も欲しいと言っているので、ちょうどいい物件があるので、それをあなたの名前で抱き合わせて一緒に売れば大もうけできるなどと言って、那須郡の原野を被害者約百二十人に対し評価価格の五ないし十二倍でさらに売りつけ、金銭をだまし取っていた事案で、埼玉県警が一月十一日から現在までに不動産会社の社長ら九名を詐欺罪で逮捕し、捜査を続けているものでございます。  その二つ目は、北海道石狩郡などの原野所有者に対し、土地を売ってやる、そのためには土地測量をしなければならないと言って、測量費名下に被害者約一千百人から金銭をだまし取っていた事案で、北海道警が一月二十九日、不動産会社社長ら五名を詐欺罪で逮捕し、現在なお捜査継続中のものでございます。
  110. 馬場富

    ○馬場富君 この件につきましては結局私のもとにも数多くの問題が提起されておりますが、ここで私は、その一例をちょっと示しながら問題点指摘していきたい、こう思うんです。  この人、私の相談を受けた人は、五十六年十月に不動産業者を通して、北海道の長万部町にある原野約百坪を買っておくともうかるということで、二百四十万で買ったと。ところがその土地は、現地を調べてみたら千円にもならないような原野で、だまされて今日まで持ってきたと。ところが、最近大阪の不動産業者から、この土地に最近セカンドハウスが建てられる予定だから坪単価四万八千円で当社が仲介しますというような件でございますが、余りにもうまい話だからと、一度だまされた経験もありまして実は相談を受けたわけでありますが、この件について私が現地の役場の協力を得て調査したところ、いろんな内面があることがわかったわけです。坪当たり千円から千五百円程度の原野で、セカンドハウスどころか、これらの物件については長年放置されて地方では困り果てておるということがわかったわけであります。  大阪の不動産会社の仲介というのとは全く正反対の実態でありました。この業者の言う手数料からいったとしても、実質その価格で売っても手数料にもならないほどの実は安価な土地でございました。この件につきましては私の手元に証拠書類がたくさんございます。経企庁の相談室にも相当件数出ているわけでございますが、この問題はやはり本当に大きい社会問題になろうとしておるわけでございます。  この点について警察の方も、被害者の中で疑い等があって告発があればこれらに対して捜査される用意はございますか。
  111. 泉幸伸

    説明員(泉幸伸君) 御指摘の原野商法被害者を対象とする第二次原野商法などのいわゆる悪質商法につきましては、組織的に消費者の善意などにつけ込んで多大の被害を与えているという現状にかんがみまして、消費者保護、弱者保護の立場から警察の取り締まりの最重点課題の一つとして積極的に取り組んでいるところでございます。警察としては、今後ともこれら悪質商法に対しましては告訴、告発、被害相談などのあらゆる情報を活用し、各種法令を適用し、厳正な取り締まりを行っていくとともに、その実態について効果的に広報するなど、被害の未然防止、拡大防止に努めてまいる所存でございます。
  112. 馬場富

    ○馬場富君 建設大臣はこの宅地関係の責任者として、こういうまがい的商法についてはどのように認識されていますか。
  113. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) ただいま先生から御指摘もございますし、警察当局からも御答弁がありましたが、いろいろの悪質な取引が行われております。こういう点から、先般お願いをいたしまして宅地建物取引業法の改正をいたしまして、信用のある業者の育成指導、これに努めている次第であります。今後も十分この業界の指導をしていきますとともに、業者以外にもこういうことがございますので、警察当局とよく連絡をいたしたい、そうしてこういうことが行われないように努めてまいりたい、かように思う次第であります。  また一面、こういう言葉巧みなことに乗らないようにもやっていただかないと、そう甘い利益があるわけではございませんから、その点について国民の皆さんにも御注意をいただきたい、かように思う次第であります。
  114. 馬場富

    ○馬場富君 私がこの調査でなおびっくりしたことは、この原野商法で関係の地方自治体にとって大変な問題が発生しておるということです。  例えば、一例ではございますが今言った北海道の長万部町では、人口が九千五百人の町でありますが、原野商法でだまされて買ったと思われる北海道以外の土地所有者が筆数にして実に一万八千二百三十人あるということです。その面積は九百十一・五ヘクタールで、町全体の私有地の面積の中の六%を占めておるという、これはもう一長万部だけですけれども、北海道全土と全国的にもある問題であるということで、これは私は大変な政治問題だと思うんです。なぜかといえば、原野では百坪かあるいは山林では二百坪程度に分筆して長万部では一万八千二百三十筆に分かれておるわけです。分割されているためにほとんどがいわゆる十五万以下ですから、これが固定資産税の対象にはならないということなんです。そのために町では非常に困り果てておるという実態が一つあるということと、それから山林、原野とも十年以上も放置されて荒れほうだいの状況で、それについての問題も一つあるわけです。  だから、こういうものが各地で数多くあるということは地方自治体としての関係でも一つは固定資産税等の関係で問題でございますし、あるいは結局農林省といたしましても森林育成の立場から問題がありますし、また国土庁としては国土保全の立場からも大きい問題がここに含まれていると思いますが、この点について自治大臣、農水大臣及び国土庁長官のおのおののひとつ御見解をお尋ねしたいと思います。
  115. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先ほど来お答えを申し上げておりますが、投機的な土地取引でもうけるという概念を改めていただかなければならない。自分の住む土地、自分の家族が住む土地ということで土地を購入されるということであるなら私は非常に結構なことだと思うのでありますけれども、土地に対して投機的な意味で、自分は住まないで置いておけばもうかるというような観点がそういう災いを招いた大きな原因になっておると思います。  ですから、被害者そのものもやはりそういった意味で反省もしていただかなければなりませんし、社会の通念としてもそういう方向で定着をしていただかなければ投機的な土地取引というのはなかなかやまらないのではないか。こういう点で、我々も今後そういう点について国民の皆さん方によく御理解をいただき御注意をいただくようにこれ努めなければならぬな、こう考えておる次第でございます。
  116. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 免税点というやや法律の制度の問題で御指摘いただきましたので私から御答弁申し上げます。  免税点の制度、土地は十五万円でございます。委員指摘のような状況になりますというと、そういう分割をされて結局免税点以下になってしまう、そのために固定資産税の課税客体から外れていく、御指摘のとおりでございます。免税点の制度は、零細な課税客体をすべて追求して課税していくということになりますと税収に比して徴税の事務が大変煩雑になりますし徴税費も増加する、かえって徴税の目的を達成することができないということで、課税標準の額が一定の額に満たないものについて課税をしないということで徴税の合理化を図ろうとする制度でございます。  このような趣旨から、土地に関する固定資産税については一の納税義務者のその市町村内にありますすべての土地を名寄せいたします。ですからその区画だけじゃないのでございますが、ただいま御指摘のような方は恐らくうまい話に乗せられてそこだけを分割して買う、こういうことでございますから、そこの分だけになると思います。その分が合計いたしまして十五万円に満たない場合、課税標準額でございますが、課税しない、こういうことでございます。  御指摘の長万部町におきます原野商法についてでございますが、税務当局の資料というものはそういうどなたがどういう理由で買われたかとか、どういう人がどういういきさつで買ったかとかいう区分はございませんので実態は把握できないわけでございますが、やはりそういったような状態が起こりますと非常に困ったことになるわけでございます。ただ、買われた方は、ある意味ではうまく話に乗せられて買ったということですから、その方に対する税を特に十五万円にもかかわらず何かの方法で課税する、これはそういうことではないというふうに考えるわけでございます。  市町村の側からいいますというと、やはりそういった問題がいろいろな取り締まり御当局の努力とかあるいはいろいろな方途によりまして適切になされるということになりますというと、国土保全あるいは環境保全、その町の開発というような点からいっても好ましいだけじゃありませんで、税務の立場からいってもそれは大変に、固定資産税の確保その他の面からいいましてもそれにもつながっていく、こういうふうに判断しているところでございます。
  117. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 世に悪徳商法と言われるものがあってはならぬと心得ております。原野商法と言われるような投機目的の森林取引においては、森林の荒廃等を招くおそれがありまして、林業振興、国土保全等の観点から問題を生ずることがあると考えております。  農林水産省といたしましては、森林計画制度の運用や森林組合への施業の委託などの推進を通じ造林、間伐、保育等の実施により森林の適正な管理に努めておるところであります。  なお、必要に応じては関係省庁とも連絡をとりながら調査もしなければならぬかなと考えております。
  118. 馬場富

    ○馬場富君 私が今このような例を出したのは、被害者の問題は先ほど犯罪のことでお話を聞かれたとおりです。やはり地方自治体がこういうことで困っておるということです。  だから、そういう点で固定資産税の問題もあるでしょうし、森林育成の問題もあるでしょうし、国土保全の問題で荒れほうだいでは困るでしょう。そういうことで今農水大臣もおっしゃいましたように、国土庁あたりが中心となられまして、実際こういう問題に対しては実態調査を一応はやっぱり、各町村が困っておるわけですから特に自治省あたりは、町村の自治が困ることは自治省も困るわけですから、そういう点についてひとつ対応として、税金が安かったという問題ではなくて、一応調査対応のあり方というものを考えるべきだ、こう思うんですが、そこらあたりをどなたからでもいいから、はっきりと責任を持って答弁してもらいたいんです。
  119. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 税務の立場からいいますと、先ほど申し上げましたように、一定の免税点という制度の中でその課税資料の中からそういう統計がつくられるわけでございまして、そういう意味におきましては、やはり具体的にいろいろな御指摘の中で特定の部分についてどんなになっているかということをその町村の開発を担当する当局であるとか、あるいは企画を担当する当局とかというところである程度の概要をつかんでいくということはできると思いますけれども、全般的に税務の中におきましては、地目別であるとか、あるいは筆数であるとか、そういうことはわかりますけれども、それが原野商法であるかとか、あるいは本当にその方が自分がだまされて買ったのか買っていないのかということ、そういうことが今問題でございますので、そうした調査はちょっと難しいのじゃないかというふうに考えるところでございます。
  120. 馬場富

    ○馬場富君 そんなことを聞いておるのじゃないんです。自治体が困っておるから、そういうことを各自治体から聞いてあげて状況把握をするだけでも一つは私は、大事な国としての責任があるんじゃないかと思うんですが、国土庁長官どうですか。
  121. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 土地を取引する場合には国土利用計画法に基づきまして届け出義務というのがあるわけでございますけれども、実は原野商法の対象になっておりますような場所では、いわゆる都市計画区域外ということで一万平米以上の土地の取引の場合に届け出ということになっている次第でございます。  大体、こういう詐欺等に該当するような悪質商法の場合には、一万平米以上の届け出という義務を逃れるために脱法的に九千九百平米とかそういう区分で区分けをいたしましてそういうことをやっているというケースもかなり多いように聞いておるわけでございます。私どもといたしましても、こういうような脱法的なケースがかなりあるということであれば、都道府県及び市町村を通じていろいろ全国の状況を把握いたしまして何らかの対応策というものを検討してまいりたいというふうに思います。
  122. 馬場富

    ○馬場富君 特に建設大臣は、この問題につきましては、詐欺まがいの悪徳商法でございますが、ほとんどこれはいわゆる業者の認定を受けずにみんなやっておるし、潜りの業者ばっかりが対象になっておりますので、こういう点についてはもう本当に百鬼夜行というような状況ですので、建設省としてもこの問題が提起されたならばやはり厳重に対応していただきたい、こう思いますがいかがですか。
  123. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 登録業者で協会に入っておりますと非常に指導がいたしやすいのでありますけれども、免許を取っていない方がやりますと建設省では非常に難しいのでありますけれども、これは警察当局とよく連絡をとって取り締まりをしていきたい。しかし取り締まりということは、そういうことが起こってからの話でございますから、それが起こらないような方法が何かないかと、こういうことであります。建設省としてはもう現実にそういうことが起こってからのことでありますから後追いになるわけでありますが、後追いにならないような何かいい方法はないかどうか今後検討をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  124. 馬場富

    ○馬場富君 次に今度は、土地投機が非常に問題になりましたが、この土地転がしに並行して住宅転がしが盛んに行われておる。マンションや分譲住宅の中で転換が行われておる。共同住宅やあるいは分譲マンションの中で住宅が事務所に変わるとか、そういうことが今都心部については急速に行われておるという点で、都心にはやはりだんだんとサラリーマンの人たちは住んでおれなくなるという実情が実は私どもの調査で判明しておるわけでございますが、特にこれが民間住宅ばっかりではなくて金融公庫の貸出先の住宅にまで及んできておるという現状で、これでは幾ら都心部建設省住宅を建てても、中身がほかのものに変わってしまったんじゃ住宅を建てても何にも意味がないんじゃないか。  こういう点で私は、土地転がしの問題とあわせて住宅転がしというのも大問題だと、こう思うんです。検査院はこの点の問題について金融公庫の貸出先等について問題を指摘されておりますが、御説明願いたいと思います。
  125. 阿部杉人

    説明員(阿部杉人君) 会計検査院は昭和五十七年度、八年度及び六十一年度の決算検査報告におきまして、住宅金融公庫から融資を受けた者が貸付契約に違反いたしまして融資対象住宅を第三者に賃貸しましたり、住宅以外の用途に転用したりしている事態を指摘しております。  これらの中には、貸付対象建物の一階車庫部分を改造いたしましてスナックにしている事例、それから住宅を造作の上会社事務所に転用した事例などが含まれております。
  126. 馬場富

    ○馬場富君 今は金融公庫の例でございますが、一般金融機関といたしましても、住宅ローン等の目的ではっきり住宅といって使われたものについては、これは法的には触れないとしても、やはり目的外の使用ということについては、こういう問題については大蔵省も金融機関等を指導する必要性があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  127. 千野忠男

    説明員(千野忠男君) 金融機関の融資につきましては、金融機関の公共性に照らしましてその業務運営に当たって社会的批判を受けることがないようにかねてから指導してきておるところでございます。土地関連融資につきましても、御承知のように特別ヒアリング等を通じてその厳正化について厳しく指導を行ってきておるところでございます。  ただいま先生御指摘のいわゆる住宅転がしと申しますか、マンション転がしというようなものでございますが、地価高騰との兼ね合いで申し上げますと、これは土地取引そのものではございませんけれども、土地転がしに準ずるものとして土地通達の趣旨に沿って対応すべきものだと考えておりまして、そのように今後とも指導を行ってまいりたいと考えております。
  128. 馬場富

    ○馬場富君 建設省におかれましても、住宅金融公庫の貸し出し先や分譲マンション、そういうものが住宅からほかのものに変わってしまっては、本当に目的から外れて、幾ら建設大臣が頑張られてもどうしようもない問題じゃないかとこう思いますが、この点につきまして建設省としての心構えを聞かしてもらいたいと思います。
  129. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 住宅金融公庫では六十二年度に一万二千件を対象に調査をいたしましたが、やはり少しそういうものが出ているようであります。六十三年度では一万五千件に対象件数をふやしまして調査を進めてまいりたいと思います。他に貸したりあるいは目的外に使っておるものについては、違約金とかあるいは返還を求めたい、こういうふうにして努力をしていきたい、不正がないように努めてまいりたいと思います。
  130. 馬場富

    ○馬場富君 この住宅転がしの一つの例として、今非常に問題になっておりますマンションのリース制でございますけれども、うそや違法仲介で東京都が宅建法で行政処分をした例もございますが、この例について建設省から御説明願いたいと思います。
  131. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 一つの例といたしまして、本年の二月に東京都知事が杉山商事株式会社という会社に対しまして、マンションの売買に関しまして宅建業法の違反事実があるということで監督処分を行っております。その内容は、ことしの二月二十三日から七日間の業務停止処分ということでございます。    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕  その理由といたしまして二つあるわけでございますが、相模原市内のマンションの売買契約に関する案件でございます。その契約に当たりまして、ほかに未売却の部屋があるにもかかわらず、買い主に対しまして買い主が購入する部屋が最後の一戸であると説明を行うなど、重要な事項についてわざと故意に事実でないことを告げたというようなこととか、あるいは当該マンションの買い主が当該マンションの賃貸借契約を締結した際に、杉山商事がマンションの買い主、いわゆるマンションの貸し主になるわけでございますが、その貸し主の代理を行ったわけですが、その際賃貸借の契約の内容を示す書面の交付を正当な理由なく二カ月おくれて交付したこととか、あるいはまた、当該マンションの売買契約締結後に、当該部屋に借り主がいないにもかかわらず借り主がいるかのごとく見せかけて家賃の振り込みを行う等、著しく不当な行為を行ったというようなことが一つでございます。それからもう一つ、立川市内の案件でございますが、やはりある同じ自社所有のマンションの賃貸借契約の締結に関しまして、借り主に対して貸し主に関する説明を怠ったというようなことが理由として挙げられておるわけでございます。  そういうことで、杉山商事に対しまして先ほど申し上げたような処分を行ったような例がございます。
  132. 馬場富

    ○馬場富君 経企庁はリースマンションの方式についてかなり被害状況が報告されていると思いますが、実情をちょっと御説明いただきたいと思います。
  133. 吉田博

    説明員(吉田博君) 御説明をいたします。  事例でございますが、訪問販売で参りまして、毎月の支払いは家賃の収入で賄えるということでワンルームマンションについて二部屋契約した。しかし実態は、家賃収入が九万円、毎月の支払いが三十万円ということで、支払えないということで解約を伝えましたところ、転売すると約束してくれたわけですけれどもまだ売れていない。販売会社に催促をいたしますと、当の係員はやめていて販売会社の交渉に誠意が見られない。こういうような事例がございます。  そういうリースマンションに関します相談件数でございますが、六十一年度が十一件、六十二年度が十三件、このようになっております。
  134. 馬場富

    ○馬場富君 これは、今の業者は建設大臣が免許を与えられた業者であります。こういう人たちがこういうようなことをやるということは非常に大問題だと思うんです。特にマイホームの夢をなくした人たちにそういう利回りを誘いかけるような方法で誘導するということは、サラリーマンの人たちにとっては非常に誘われやすい内容を持っておるわけです。先日も私はある新聞のコラムを読んでおりましたら、家が買えなくなったから墓場を買ったという話が載っておりましたけれども、そういう深刻なまでにサラリーマンの人たちを追い込んでおるこの住宅問題のときに、こういう救いの神のような話を持っていって乗せるというやり方は実にけしからぬと思うんです。  そういうのにひっかかる方が悪いと言う人もあるかもわからぬが、余りにも多い数だから私は社会問題だと、これはほうっておけないということで問題を提起しておるわけですが、建設大臣の認可された業者がこういうことをやっておるということについて、ひとつ責任大臣対応のあり方について御説明願いたいと思うんです。
  135. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 建設大臣の免許を与えておる業者の中からこうした者が出ることは遺憾に存じます。今回御承知のように宅建法の改正も行いまして厳正に運用をしてまいりたい、かように思う次第であります。できるだけこうした事故が起こらないように、事件が起こらないように努力をしてまいりたい。また、万一起こった場合にはいち早く厳重な処分をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  136. 馬場富

    ○馬場富君 大臣はほかの委員会へ行かれるようですが、先般私が本会議での本法の質疑の中で、実は第二環七の道路のアクセスの問題で、九九%も用地費がかかる、こういう東京では公共事業もストップだ、だからやはりここで公的利用のあり方として深度地下や空中権の問題を考えなきゃいかぬときが来たと。そういう点では一つは私権の制限という問題がありますから法務大臣の立場を聞いたところ、法務大臣は非常に前向きな答弁で、この深度地下や空中権は公共の利用については私権の制限ができる、関係各省の提案があれば整合に応ずる見解を述べられましたけれども、これに関係ある省といえば建設省運輸省でございますが、両省ともこれの技術と採算性について研究がなされておりますが、やはり法務大臣が手を広げていらっしゃいとこうおっしゃっておるわけでありますので、ひとつ利用できる立場である建設省運輸省の方は早急にこの整合の場を持つべきであると思いますが、建設大臣から先に御答弁願いたいと思います。
  137. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 深度地下の空間につきましては、狭い我が日本の国土でありますし、過密地帯が非常に多くなっておる、こういうことでありますから非常に大事なことだと、かように思います。我が省といたしましてもその点を既にお願いしておりますし、話し合いをして、これは建設省とか運輸省ということでなしに国全体でどう考えていくか、こういうことで進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  138. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 既にこの問題の法制化につきまして、関係省庁と連絡をとりながら着手をしております。できるだけ早く法制化いたしまして、現実にそういう工事が行われて、特に大都市に住んでいらっしゃる方々のために交通の便宜を供したいと思っております。
  139. 馬場富

    ○馬場富君 建設大臣は席を立たれましたが、運輸省も内々的には整合の場を持っておるようですけれども、法務大臣答弁でいきますと、やはり公式にそういう関係各省との整合の場を持って当たっていきたいという答弁でしたが、これについてはどうでしょうか。
  140. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 事務局の方で既に省庁をまたいだ検討を開始しております。ですから、できるだけ早く法務省、建設省とも相談しながら新しい法体系をつくりまして、そのもとで積極的なそういう便宜を提供していきたいと思っております。  先ほど安恒委員の御質問にもありましたけれども、大深度の地下鉄というのは今の技術をもってすると可能でございまして、途中の駅の問題もあるようではありますが、しかしこの問題も私は新しい技術が開発されればそんなに費用がかからずにできるのではないかと期待しております。いずれにしろ、百年河清を待つような話ではなくて、思い切った深度でのそういう交通のアクセスをつくるということがこの次の時代のための必要な準備だと思っております。
  141. 馬場富

    ○馬場富君 次に、東京の地震問題について。  先般私は予算委員会で質問いたしましたが、去る四月二十五日に中央防災会議の地震防災対策強化地域指定専門委員会が開かれて、東京千葉、埼玉、神奈川の一都三県の南関東地域を対象とした地震対策検討されて、専門委員会では南関東地域を大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域に指定するかどうかということについての検討がなされたと聞いておりますが、この進捗状況と結論はどのようになったかをひとつ御報告願いたいと思います。
  142. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 大規模地震対策特別措置法が施行されまして本年は十年目の節目であるという観点からいきまして、中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会という長い名前の委員会でございますが、四月二十五日に開催いたしまして、先生御指摘の南関東地震防災対策強化地域地震対策のあり方についていろいろ論議をしたところでございます。ことしの七月初めには結論を出して、何とか先生のお話のような位置づけをされるのではないかと今のところ考えておるわけでございます。
  143. 馬場富

    ○馬場富君 特に南関東地域については東海沖地震と同じプレートの中にあるわけですね。それで直下型といっても、これが発生したら相当な被害が出るということは、この前の予算委員会等で私が質問したときに、やはり東京防災会議の委員である中野教授からもそういう壊滅的な打撃が起こる、特に密集地だから被害が大きいということを説明されましたけれども、東海沖と南関東の地震の対比では多少マグニチュード等について上下があるということは言われておりますけれども、何せ一極集中の中で、東京に傾くほど人口や諸機能集中しておる中で、やはり関東大震災程度のものが起こったならば大変なことになるという点で、これは大変重要な問題であるし、また急ぐべきものである。  だから、御存じのように東海沖についてはそういう大規模地震に対する措置法が設けられて、そして予知や防災やあるいはそういう退避訓練等についても国が乗り出してこれを行っておるわけですけれども、まだ実は東京におきましては、南関東地震におきましては、東京都に任せただけで、国がそこまで乗り出していないと。一朝事があった場合には国土庁として大臣、これは本当に責任になる問題だと私は思う。なぜかというと、学者間でも、プレート型の海洋地震というのは比較的予知ができやすいけれども、いわゆる大都市下にある直下型の地震というのは予知がなかなか難しいと言われるのが学者の常識なんです。そういうときにおいて、どちらが大きいかどちらが小さいかというのは起こってみなければわからぬし、またどちらが早く起こるかという可能性だって、実は今予知される中に入っておりません。  だからこそ、そういうことについて私はやはり担当官庁としての国土庁長官が責任を持ってこの問題だけは早急に——いろんな意見があるでしょう、専門家の。でも、私がずっと専門家たちの意見を聞いたところからいけば、やはり東海沖も南関東地震もどちらに優劣をつけるかということはわからない、また非常に複雑な状況であるから、東京関係の予知というのは非常に難しいとまで言われておるわけです。  そういう点については積極的にひとつ取り組んでもらって早急な結論を得るようにしなければ、私は国も何かあった場合に相済まぬことになると思うんですが、長官、どうでしょうか。
  144. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 先生御指摘のように、南関東には日本全体から見ましても行政、経済、そういったものの情報化、国際化の時代の中で一番そういうものが集約されておる地域ということに認識をいたしておりますから、この会議の結論を待ちまして、七月中には先生の御指摘のような方向に決まるように私どもも努力をいたしたい、こう思っております。
  145. 馬場富

    ○馬場富君 終わります。
  146. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 馬場君の質疑は終了いたしました。  次に、近藤君の質疑に入ります。近藤君。
  147. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この法案は、多極分散型国土形成促進、東京一極集中を是正しようというわけでありますが、既に本会議の質疑でも述べたとおり、現に具体的に存在する東京の再開発計画、これはもう経済法則から申しましても東京集中がますます促進するということは間違いないわけでありますが、それに対してむしろそれをとめ得ないものである、逆に全体から見ましてむしろこれは一極集中が進むのではないかという点から、この法案に我が党は反対であります。  この問題はまた後で触れますが、もう一つ、じゃ、多極分散ということで地方に産業の発展も含めて分散していくというのが果たしてこれでうまく進むのだろうかという問題があります。それに関しましては、この法案の第七条から二十条にかけての振興拠点地域開発整備についての問題であります。  国が承認することになっている振興拠点地域基本構想とは具体的にどんなものか。これは衆議院での質疑を聞いておりますと、その一つに東北インテリジェント・コスモス構想というのがありますね。それを聞きまして、果たしてこれはうまく地方へ分散するものかと。私は先週仙台へ調査に行ったんです。仙台へ行く途中でちょうど大臣が任命されたという大変タイミングのよさもありまして、翌朝新聞を見てみたら、地元では大臣を大歓迎というような状況も見聞してまいりました。  そういうことでこれからお聞きしますが、この今申し上げた振興拠点地域基本構想はこういう東北インテリジェント・コスモスのようなものを指すのかということが一つですね。ほかにこんなものとしてどんなものがあるのだろうか、まずそれをお答えいただきたいと思います。
  148. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 振興拠点地域整備の制度は本法によって新しく創設しようとしている制度でございます。そうして、何よりも従来の制度に比べまして地域主体の地域づくりということで、地域の振興構想地域で立ててもらうということを出発点にいたしまして、できるだけ国の関係機関が一体となってこれを支援することによりまして地方都市等に複合的な機能集積を図っていく、文化機能、研究開発機能、産業機能等々の機能集積を図っていく、こういったことをあらましねらった制度でございます。  地方は現在、三全総時代からいろいろな自主的、自発的な振興構想を持っておりまして、これをそのままにいたしますと構想倒れに終わって絵にかいたもちになってしまうわけでありますが、この法律ができることによりまして制度的な裏づけを与えることができる、このように考えております。  その意味で法律の運用に入らないと現実に動かないわけでございますが、現在までに各地域が考えているいろいろな振興構想というのは実は非常にたくさんございます。その中の例として、今おっしゃいました東北インテリジェント・コスモス、あるいは北海道におきましては国際的な医療産業複合都市構想、あるいは三重県では高度技術都市圏構想、それから九州ではアジアランド構想、アジア地域の国際交流拠点を九州でつくろう、こういった、例として申し上げますとそういう構想が現実にございますので、法律ができましたらこうした構想をひとつ熟度を高めて、この法律に基づく構想として推進していきたいと、こういうふうに考えております。
  149. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この対象となり得るものとして東北インテリジェント・コスモス構想がまた有力なものだということは、もう既に国土、郵政、通産、建設、運輸、農水の六省庁が、昭和六十二年度の国土総合開発部業調整質でこれは既に約四千五百万円の調査費がついていることからもわかりますし、本年もさらにこれはつくと思いますね。  そこで、この調査目的、調査委員会の名称、調査委託先、これについて概略をお答えいただきたいと思います。
  150. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 四全総におきましては、東北地方の開発整備のための施策といたしまして、「中枢・中核都市等における学術・技術・情報集積を高め、これらの有機的連携を図ることにより、本地方全体を独創的な技術開発の拠点地域とする」と、こういう旨が提示されておるわけでございます。これを受けまして、このような政策の展開のために、共通の課題につきまして関係省庁協力して東北地方におきます学術、技術、情報の高度化に関しまして具体的な検討を行おうというのがこの調査でございます。  今先生がお示しのように、各省庁にまたがりまして調査実施いたしておりますが、便宜上私の方から一括して申し上げさせていただきます。委員会の名称、調査委託先、調査費の額、こういうお話でございましたので順次申し上げます。  まず国土庁でございますが、東北における学術・技術・情報機能高度化計画調査委員会という名称でございます。調査委託先が東北開発研究センター、調査費の額が約七百八十万円でございます。  農林水産省が、委員会の名称がバイオテクノロジー等農林水産学術・技術・情報機能高度化計画調査委員会という名称でございまして、委託先が三菱総合研究所、約五百八十万円でございます。  通商産業省が東北における学術・技術・情報機能高度化計画調査委員会、委託先が産業立地研究所、約七百八十万円でございます。  運輸省が東北におけるハイモビリティ社会形成のための交通体系調査委員会、委託先が運輸調査局、委託費が約五百八十万円でございます。  郵政省が東北インテリジェント・コスモス情報通信委員会、委託先が三菱総合研究所、委託費が約六百八十万円でございます。  建設省が東北の未来都市を考える懇談会、委託先が三菱総合研究所、委託費の額が約九百八十万円。  以上でございます。
  151. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 さらに、六十三年度からは新たに科学技術庁と文部省が加わって八省庁となると聞いております。この新しく加わった二省庁はどういう調査を行うのか、またその予算ですね、調査費、これについてお答えいただきたいと思います。
  152. 大熊健司

    説明員(大熊健司君) お答えいたします。  科学技術庁といたしましては、六十三年度、東北における研究開発の効率的な推進のために広く産学官連携方策等について調査してみてはいかがだろうかと、こう考えておりまして、現在この点につきまして国土庁と相談しているところでございます。したがいまして、お尋ね委員会の設置とか委託先といった点はこれからの段階となっております。
  153. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 文部省も今先生おっしゃいましたように六十三年度から参加するわけでございますが、私どもとしては、この調査の一部として東北におきます学術研究機能の高度化のための学術研究施設のあり方あるいは大学間同士等々の連携のあり方等につきまして検討することを予定いたしておりますが、今も科学技術庁の方からお答え申し上げましたように、国土庁と今いろいろと調整中でございますので、名称あるいは予算はまだ決まっておりません。
  154. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは後でも詳しく触れますが、この構想には三菱グループが頻繁に登場してくることは、大臣、地元で御承知のとおりだと思いますね。それで、六十二年度の先ほどの調査の概要でも、国土総合開発調査でも、郵政、建設、農水、この三省庁までが三菱総研に調査委託をしているという大変つながりの深さをまずここで指摘しておきたいと思います。  次に、この構想の中身です。  この構想は、第三セクターの株式会社インテリジェント・コスモス研究機構、これはICRというんですね、これを中核として各種の研究開発会社、これをRアンドDと言いますが、これを含む高等総合科学・技術研究院、それからテレポート及び国際的な総合データバンク、人材育成・新産業育成支援機構、この三本柱から成っておるようであります。  RアンドDはもう既に三会社が設立されておりますが、中核となる研究機構、ICRの方はおくれておって、本年の六月以降の設立目途とされておるようであります。ICRは独創的、学際的な研究開発を総合的に行う未来型総合研究所という宣伝文句になっておりますが、しかし、実際に聞いてみますと、本体会社は土地や建物等をつくってこれを保有して、これを傘下の先ほどのRアンドDに貸すと。人材育成の方はどうも余り手がつかぬということ、つい最近の情報ではっきりしましたが、しかも、現在もまだ土地や資金の手当てがついていないので設立されていないようであります。  そこで、県の企画部やこの推進機構の事務局に実際に会って聞いてみますと、仙台市の青葉山にある青葉ゴルフ場のバッティングセンター敷地約三・五ヘクタールを市土地開発公社が先行取得をしているので、ここにRアンドD用の建物を建てる予定で準備を進めているということをお聞きしました。  六十三年度はとりあえず土地、建物の分だけでよいという考え方で、地元の産官で約五億五千万円、中央財界から七億五千万円の十三億円を集めると。行く行くは地元で二十一億、中央財界から二十九億の出資を見込んで合計五十億程度の資本金にしたいと、これは本体会社ですね。で、中央財界というのは、県の資料を拝見しますと経団連、それからRアンドD出資予定企業ということになっており、これが大体出資金全体の五八%を受け持つという構想になっています。  内海代議士のときから恐らく地元の中核となってこれを推進してこられたんだと思いますが、ほぼ、大体私が今引用したようなこんな構想で進んできて、現在の到達時点もそんなところだと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 近藤委員からの御指摘でございますが、東北インテリジェント・コスモス構想につきましては、私は一回だけ協議会の発会式のようなときに参りまして、こういうことができるのかなという感じで受けとめてきた程度で、その後の会合には一回も私まだ出ているわけでもございませんし、逆に今先生の方から具体的にいろいろおっしゃられたんで、そういうふうになっているのかなという程度でございます。  ただ、そもそもこれが最初に提唱されましたのは、東北大学の石田学長が中心になりまして、東北にある国立大学の学長さん方が中心になって、東北は地域格差、これからもっと振興しなきゃならない地域であると。それにはやっぱり学術研究という意味からいって、我々がもとになってみんなでどういうことで東北の振興を図っていくかというような、学術的な意味で先生方がお集まりになって発想をされたというふうに私どもは聞いておるわけです。それに後から官がついてまいりまして、それから今度は経、産の方がついていった。学官産の順だと思うんです。  具体的には今度はこういう地域開発、多極分散型ということになると私の方の所管になるので、これは大変なことになったなと私は思っております。  東北の地域格差是正のために、こういったある意味においては非常に筋の通った、産業、経済だけではなく学術研究といった部門で東北を位置づけていただくということは大変いいことだと。ある企業の幹部の方が最近発言されたので問題になりましたけれども、そういう意味から脱却する意味からいきましても、東北には大企業というのがほとんどございません。でありますから、やっぱり経済団体、民間の御協力もいただきながらこの構想具体化を図っていこう、こういうことで進めておられるものと認識をいたしておるわけであります。
  156. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今までこの問題の中核で熱意を燃やしてきた内海さんだから国土庁長官になったというのは、これはちょっとうがち過ぎだったということでしょうかな。  それは別としまして、次に、この傘下のRアンドD、研究開発会社であります。既に設立済みの三つの研究開発会社、一つは小電力高速通信研究所、もう一つはアモルファス・電子デバイス研究所、それからもう一つ、加工米育種研究所、それぞれあります。  そこで、通産、郵政それから農水、それぞれその研究内容、研究期間、主な出資法人、これがどうなっているか、まず御説明いただきたいと思います。
  157. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 私どもの関係しておりますのはアモルファス・電子デバイス研究所でございますが、特殊法人であります基盤技術研究促進センターというところが七割出資をするということにしております。先般設立されたわけでございます。  アモルファスの関係の電子デバイスを研究しようということでございまして、東北大学の先生を中心にいたしまして、増本先生とおっしゃいますが、研究が進んでおるのをより研究を具体化させようということというふうに伺っております。  この会社の代表者は広根徳太郎という方でございまして、東北大学の金属材料研究所の教授、所長をやられまして山形大学の学長をされた地元の大学者でございまして、同時に財団法人電気磁気材料研究所の、これも東北というか仙台にあるわけですが、そこの理事長もされておるというふうに伺っております。  試験研究費の予定総額は二十三億、六年ばかりかけまして二十三億かけるということになっておりまして、したがいまして、七割の約十六億を基盤センターが出資するということに予定をしております。  出資法人は、東京の大企業ももちろん含まれておりますが、地元企業の東北電力あるいは東北金属工業あるいは東北電子産業といったようなところが最初に主導をされましてできたというふうに承知しております。二十七社でございます。
  158. 甕昭男

    説明員(甕昭男君) 私の方からは小電力高速通信研究所についてお答えをしたいと思います。  この小電力高速通信研究所は、小さな電力によりまして約数百メートル以内で通信が可能になるというものでございまして、システムの研究でありますとかソフトウエアの研究が含まれるものでございます。  小電力高速通信研究所の代表取締役社長は前田四郎さんと申しまして、前の東北大学の学長でありまして、宮城県の高度技術振興財団理事長を務めておられる方でございます。  研究費予定総額につきましては、総額約二十億円を期待しておりまして、その七割であります十四億円を基盤技術研究促進センターに期待しているというように聞いております。  それから設立時における共同出資法人につきましては、七割につきましては先ほどの基盤技術研究促進センターの方から出ますが、残り三割につきましては、東京の大手メーカーを初め地元企業の東北電力それから東北金属工業等が合計二十五社で出資をしております。  以上でございます。
  159. 畑中孝晴

    政府委員(畑中孝晴君) 加工米育種研究所についてお答えを申し上げますが、加工の好適な品種をつくるということを目的にして六十二年度にできたものでございまして、研究所の代表取締役は日本たばこ産業の遺伝育種研究所長をやっております立道美朗さんでございます。  それから、全体で七年ぐらいにわたりまして出資をしていくわけでございますが、研究費の予定の総額が約九億円でございまして、そのうちの七割を生物系特定産業技術研究推進機構という機構から出す、あとをそれぞれの民間の会社で出すということになっておりまして、設立のときの会社は、東京での大手の企業もございますが、東北電力とか、あるいはお酒でございますのでお酒の組合とかあるいは穀物検定協会、そういった六つの団体または会社というふうになっているわけでございます。
  160. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その小電力高速通信研究所とそれからアモルファス・電子デバイス研究所それぞれについて、各企業から研究員の派遣がされていると思いますね。その派遣している企業とその人数、そんなに多くないのでひとつ御説明いただけませんか。
  161. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) アモルファス・電子デバイス研究所につきまして申し上げますと、今十三名の研究員が派遣されておりまして、そのうち三名が、先ほどもちょっと申し上げましたが、地元の財団法人電気磁気材料研究所のプロパー職員が出ております。あと十人は出資企業から来ておりますが、地元企業から一人、あとは東京のというか、中央にある大企業というふうに聞いております。
  162. 甕昭男

    説明員(甕昭男君) 小電力高速通信研究所につきましては地元企業、財団法人半導体研究振興会半導体研究所から三名、ほかに一、二名出ておりますが、東京の企業からも入っておりますが、合わせて十二名共同出資法人からの出向ということになっております。
  163. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣、今二人が答弁しなかった企業名が問題なんですが、どこから来ているか。これを出資企業と言われました。時間の関係でどこが出資しているかちょっと答弁をもらっていませんが、ほぼ一致しますから、例えばアモルファスの方で申しますと、新日鉄、川崎製鉄、日立金属、ユニチカ、日本鋼管、セイコー電子工業、三菱電機、三菱重工、富士通、そして地元は東北電力ということ。それから小電力の方は、三洋電機、古河電気工業、小松製作所、NTT、通研電気工業、セイコー電子工業、リコー、そのほか東北電力。となりますと、地元の産業のため、そのための研究機関といいながら結局は、東京と言いましたけれども、ともかく大企業から派遣されてきている。私はこのことがこれから申し上げるとおり一つ問題だと思うんです。  そこで、研究員を派遣している企業も大企業、出資も大企業となりますと、まず地方振興に役立つのかどうかという、こういうこと。例えば研究テーマで申しますと、中央の大企業が要求するような研究テーマになりはしないか。それから研究成果も果たして地元に定着するのかどうか。ノーハウも含めて大企業に皆持っていかれてしまうのではないか。  それからもう一つ問題なのは、地元議員として特にこれはもう御承知だと思いますけれども、仮に地元振興のために役立てることになったとしましても、地方には資本力その他の基盤がない。となりますと産業化の見通しがつかないということになるのではないか、こういう問題が出てきはしないかと思うんですが、この点は通産にお答えいただけますかな。
  164. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 先ほど国土庁長官からもお答えになりましたが、発想なり技術のもとは東北大学等の地元の方から出たものでございまして、かつ最初に声をかけ出したのも東北電力等の地元企業でございました。私どもも話を伺いまして、資金と人材、これが東北だけでは不十分であるというようなお話もございまして、関係の企業を募りたいというお話がございました。私どももそれは大変結構なことだなと思いまして、資金的な出資、それから人材も派遣するというようなことを関係企業が後で合意をしたというふうに聞いておりまして、先ほど申しました東京から行かれた方ももう既に向こうに移って東北で、仙台で研究を進めるという態勢に既になっておるようでございます。現地で企業化を進めると。かつ昔から本多光太郎先生以降の伝統がございまして、いろんな金属関係の会社が地元で設立されまして、中堅企業が今立派に東北でやっておられる実例もございます。そういうようなことを私どもとしては期待をしておるわけでございます。
  165. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 東北大学を初め各大学の頭脳が期待されているということは、これは間違いないと思うんです。ただ問題は、研究の成果はどうなるのか、その特許はどこに帰属するのかという問題であります。これは今、七〇%出資の基盤技術研究センター、ここでその帰属などを含めて検討中ということですね。それから私もう一つ行って聞いてみたんですが、研究の成果はこれらの参加してきた、要するに研究員を派遣した企業の技術員、恐らく優秀な人でしょうから、がそこに参加し、そこでいろいろ意見を交換し合うことでもう目的は達するというんです、参加企業は。それだけの水準の人が話し合ったわけで、そこで得た知識を持って帰れば企業は大いに役立つ。  ところが問題は、そこで研究して例えば仮に成功したとします。成功しないことがあった場合には破産その他の問題が起きてくると思うんですが、仮に成功した場合、それが果たして東北地方の産業の発展にあるいは育成にどうつながっていくのか、そこはどうなのかということを聞いてみましたら、これも今基盤技術研究センターで研究中と。  ですから、はっきりしたことは、自治体それから基盤技術研究センター、これがやっぱり公の金ですね、国関係の公の金、自治体の公の金、大変多額な金が出ていくことは間違いない、これははっきりしたことです。それは後で自治大臣にもお聞きしますけれども、ただ、はっきりしない点がたくさんあるんですよ。研究成果は一体どうなるのか、地元へどうつながっていくのか、この大事な点が全くはっきりしないまま今動き出そうとしておるというこの点なんであります。  そこで、これはついでに加工米の方についてもお聞きします。  先ほどやはり主な出資先を言わなかったですけれども、東北で加工米といえば酒のための研究だと思うんですよ。ところが、この主な出資先を聞いてみますと、日本たばこ産業、それからキリンビール、あと東北電力、それから日本醸造協会、東京都酒造協同組合、日本穀物検定協会、これが主な出資先だというのですよ。あの酒どころの宮城でも秋田でも大変おいしい酒があるし、いい酒がありますね。地元が全然入っていないんです。果たしてこれが地元のために役立つんだろうかということを心配しまして、これは河北新報だったと思いますが、野村総研の副主任研究員の木村さんという人が、これに地元から参加しなくて果たしていいんだろうか、こういう疑問を提起しておりましたね。  そこでひとつ国土庁長官には、地元に本当に役立つのかどうかが全く不明確なままの状況を一体どうお考えなのか。自治大臣には、今の問題も含めまして、こういう公の金を出費する以上、これはやはり自治体が出すんですから、地域住民のために、あるいは地域の産業発展のためにこうやって具体的に役立つんだ、この研究の成果はこうやって、いわばこの問題で言うと多極分散になって東北地方の発展にこうつながっていくんだと。これがないままこういう出費をどんどん続けていくこと、これは問題がありはしないか。  特に私が心配しますのは、先ほどの七〇%出資する基盤技術研究センター、それが期限が来ましたら、やはりこれも公の金ですからいつまでも貸すわけにいきませんよね、どうなるのかといいますと、これは私が県の担当課長との話で、聞いて大変問題だと思いましたのは、その期限が来た場合にあるいは研究が継続するというようなことになった場合には、地元で七〇%の出資金をやっぱり買い取っていかなければいけないんじゃないか。  となりますと、本体会社への出資以外に、自治体としてはそれが進んでいくに従って今後さらに出資が予定される。ますます自治体が深みにはまる。しかし今のところどうも、成果がどのように上がるのか、これはさっぱり明らかでないし、仮に上がったとしてもそれが地元につながるのか、これまた余計はっきりしない、こういう状況のもとで自治体の多額の金が出ていくことが果たしてよろしいんだろうかどうか。これはひとつ自治大臣にお聞きしたいと思うんですが、それぞれいかがでしょう。
  166. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 私も含めまして地元のことに関係のあることでございますので、余り偏った御説明も我が田に水を引くようなことになるかと思いますけれども、立場上、この問題について私なりの判断を申し上げますと、東北は御承知のとおり従来から地域格差があって大変厳しい環境土地柄である、一次産業といいますか、水産業と農業を主体として東北は位置づけられてきたわけであります。ところが、農業も大変厳しい環境にある、水産業も御案内のとおりのような状況である、そういう観点からいきまして、何らか頭脳的な産業立地ということが考えられないだろうかということを学者を初めとする先生方が考えられて、東北の今後の生きる道、繁栄の道、地域開発の道はこれしかないというようなお話から、こういう研究といいますか懇談会みたいなのが設けられまして、それに対して各自治体、県を初め各市町村に至るまで、ぜひ東北の将来の発展のかなめにこの構想を持っていきたい、こういうようなことに発展をしてまいりました。  しかし、具体的にこれを始めるということになりますと、先ほど会社名等も御指摘になりましたけれども、東北で大企業と言われるのは東北電力ぐらいなものでございまして、あとはみんなそうではないというような、御指摘のとおりだと思うんです。ただ、日本の残された国土の中でまだまだ開発して経済的なメリットのあるところは東北である。農業も厳しい、漁業も厳しい、また一極集中東京へ出稼ぎに来る、こういったことに歯どめをかける意味におきまして、東北、新潟県も含めまして東北七県の者がこの構想に大変な期待を寄せておる。  よしんば企業として研究機関に参画をして、この研究の成果を生かして事業になるということになっても、工場立地の条件といたしましても東北には、先ほど来地価の問題等もございましたけれども、比較的安い地価土地を求めて工場なり会社なりをつくることもできる。また人的資源も、農業の厳しい中で出稼ぎに行かずに地元で働くことができる、こういうことになりますと、地場産業とタイアップした東北の企業というような形で、東北に進出される大企業と言われる方々もそういった使命感でこの構想の中でやっていっていただけるんじゃないか。利益は、東北で上げたものを全部中央に吸収するという、そんな時代では私は今はないと思うわけであります。  やっぱり東北で上げた実績は東北に落ちる、よしんばその地域で働くだけでも、またそれだけのあらゆるものが機能的に経済を潤すという意味からいきましても私は大変いい構想である。 今の東北に残された地域発展の大構想としては、これは学者の先生たちが考えついたことでありますけれども、これを企業化して東北振興のために役立てる、私は大変いいことだと思っております。ぜひこういうことによって一極集中という、東京にある大企業が東北の方に来てもらうということは私は決して悪いことではない、東北住民にとりましても大変プラスになることだ。  そういう意味におきまして、東北から吸い上げて東京へ持ってきてしまうというような考え方でこれを考えていただいたんでは、ちょっと考え方の観点が違うんではないか。私どもは大いに期待して、東北が発展するための非常にいい構想だと、こういうふうに受けとめておるという認識を申し上げる次第でございます。
  167. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) この構想地域の自主的な創意に基づき推進されているというふうに理解をいたしておりますが、地方公共団体による出資もこうした構想地域産業の振興や地域の活性化に大きく寄与するということをいわば期待してなされるわけであります。  今内海大臣からもお話がございましたように、学官産が一体になっていわばこの東北振興の起爆剤を期待しながらやられることはすばらしいことでございまして、先ほど来宮城県あるいは仙台市が特に政令指定都市の申請もしている、ちょうど多極分散型の国土形成と相まって、そういう東北振興のこれが大きな柱になることを期待いたしております。
  168. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私が申し上げたことは、そういう期待があり、それは東北に大変必要なことと思います。またここで掲げている目標も、そういう意味では私はまさしく東北の各県民の期待に合っているものだろう、こう思いまして、私もそれなりの期待を持って行ったんですよ。ところが、現実に今の進行状況とそしてその中で出てくる問題点、もうはっきりしている点は、参加した企業はそれなりのものを持って帰れる。ところが、一体何が出てくるのか、これがわからないですよ。現に宮城県では三つ決まりました。では各県はどうかというと、まだどうなるかさっぱりわからない状況であります。  また、これは時間がないので申し上げられませんけれども、宮城要するに仙台とそのほかの東北各県との格差はますます広がるんじゃないか。こういう事実の中に仙台を核として、それ以外はその出先という、こういう位置づけもありますから。  という問題ももちろんありますが、実際は特に企業の参加との関係で本当に地域につながっていくのかどうかについて何も明らかでない。となりますと、私のような心配もこれは当然出てくるんじゃないのかということが、私がきょう問題を提起した点であります。そして、きょうもいろいろ答弁があったけれども、では具体的に東北の方にどういうぐあいにこれがいい結果につながっていくのかについてはどこからも答弁がない。ただ期待期待だけですよ。  そこで、自治大臣から答弁がなかったけれども、そういうまだはっきりしない、しかも私はこれは大変難しいと思うんです、地域へつながっていくのが。そういう状況に多額の金を出していくことが妥当かどうか、これは大変私は問題だと思いますが、それぞれについてもしお答えがあれば一問ずつ、時間も関係がありますからお答えいただいて、私の質問を終えたいと思います。
  169. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 将来に対して大きな期待を持てる分野に出すことは、何ら差し支えがございません。
  170. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 多極分散型国土形成の中の多極の多の一つに仙台も該当するのではないか、その仙台を極として東北全体に地域振興を果たしていく、こういう意味で仙台が多極と言われるものの一つの極になって東北の発展の中心になるということも、私は多極分散型の国土形成の中では当然考えられることではないかな、こう思っております。
  171. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  172. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 近藤君の質疑は終了いたしました。  次に、山田君の質疑に入ります。山田君。
  173. 山田勇

    ○山田勇君 先日の当委員会におきまして土地対策に取り組む内海長官の並み並みならぬ決意のほどをお伺いしたわけでございますが、その中で、多極分散型国土形成のための方策として国の機関等の移転について、その推進に万全を期する考えを述べられました。  そこで私は、さらに今後の問題として、新たに設置される国の機関はもとより、政府が主導して設立する公益法人また第三セクターなどについても、原則として首都圏以外に立地させることが望ましいと考えるものですが、この点について長官はどのようにお考えになっておられますか。
  174. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  この法律で想定しております機関移転、これは国の機関移転等でございますが、ただいまお話のございました公益法人あるいは第三セクター、これの新規立地も指導すべきであるというお話がただいまございました。  私どもも寄り寄り検討いたし、また考えたわけでございますけれども、現在ございます公益法人等を見ますと、基本的には民間の方々の発意によりましてある程度の財産を拠出し、そしてその自主的な金とそれから知恵とを公益のため役立てるという趣旨でございます。また、第三セクター、これは設立されている形態を見ますと、株式会社方式によりまして地方公共団体等が出資しているという形でございまして、わざわざ商法上の法人という形をとっておりますのもやはり民間の自主的な活動に任せようという趣旨だということでございますので、今回の国等の機関移転あるいは立地抑制というこの法案及びそれに基づく内閣の施策の中には含めませんで、新たに別個に民間の機能分散という枠内で法律等の対象外といたしまして、むしろ国側が率先垂範いたしました結果民間側のついてくることを期待する、あるいはそれを指導してまいるというような分野で努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  175. 山田勇

    ○山田勇君 多極分散型国土の形成には、交通ネットワークの整備が不可決であることは言うまでもありません。そのためには当然お金がかかります。道路公団の事業にしましても、JR、またコミューター航空にしましても、今のままでは遅々として進みません。高速道路網、鉄道、空路などの整備についてその財源措置をどのように考えているのか、建設省運輸省、それぞれお聞かせをいただきたいと思います。
  176. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 多極分散型国土の形成には道路網、交流ネットワーク、大事なことは御説のとおりであります。そこで、御承知のような道路五カ年計画第十次を設定いたしまして、これによって特に高速道路、それからそれに伴います地方道を含めての道路網の整備を図ってまいりたい、かように思う次第であります。  そのための財源でありますが、特定財源を含めた財源の措置をしなければならない。これはここ当分、しばらくは御承知のようにNTTの売り払い収益でございますが、その後の問題はまだ実ははっきりといたしておりませんので、この財源確保に全力を尽くしてまいりたい、かように思っております。これは何としてでも財源がきちっとしておらないと道路公団初め大変不安でございますから、この点については今後とも努力をしてまいる所存であります。
  177. 山田勇

    ○山田勇君 運輸省はおられないようですから次へ参ります。  交通ネットワークの整備については地方の要望も強く、早急に進めなければなりませんが、しかしここで配慮しなければならないことは、騒音それから振動などの公害防止対策であります。東北・上越新幹線、また本四架橋など、今後にもいろいろ問題があると思いますが、これらの公害、環境への配慮など、環境庁としてはどのように対応をお考えになっておられますか。
  178. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  先生のお尋ねにございました東北新幹線の騒音状況でございますが、六十二年度に環境庁が調査した結果によりますると、軌道中心から十二・五メーター離れた地点におきましては七十四・八ホンの平均騒音レベルでございまして、環境基準の達成状況は二二%でございました。それから、上越新幹線につきましては、東北新幹線より若干よいという程度で、環境基準達成状況は二八%ということでございます。それから瀬戸大橋を通過します列車の騒音状況につきましては、今年四月に関係地方自治体が測定した結果があるわけでございますが、この数値は、環境庁が昭和五十三年に環境影響評価に際しまして意見を述べました努力目標でございます八十ホンを超えている地点が七地点中五地点というような状況でございます。  そういうことでございますので、この東北新幹線あるいは上越新幹線の騒音対策につきましては、関係機関が基本的施策でございます音源対策あるいは住宅防音工事等の障害防止対策、それから沿線の土地利用対策を推進いたしますとともに、音源対策につきましてさらに技術開発の促進に努めることによりまして、環境基準の達成に向けて一層努力することが必要であるというぐあいに考えているところでございます。このため東北新幹線、上越新幹線につきましては、特に七十五ホンを超える住宅集合地域の屋外騒音を早急に七十五ホン以下にするとともに、七十五ホン以下の住宅集合地域につきましても環境基準の達成に向けまして対策に努めることなど、新幹線騒音対策の推進を関係機関に要請いたしたところでございます。  それから瀬戸大橋の騒音対策につきましては、現在本州四国連絡橋公団におきまして、遮音壁の内側に吸音板を張るなどの対策工事を実施中でございます。また、同公団及び四国旅客鉄道株式会社におきましてさらに騒音対策検討中であるというぐあいに聞いておるところでございます。環境庁といたしましては、当面こうした事業者の対策の内容を見きわめながら、その上で必要があれば騒音測定等の調査実施いたしますとともに、関係機関に対策を要請するなど適切に対処してまいりたいというぐあいに思っているところでございます。
  179. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 運輸省でございますが、まず、先生の騒音問題の御質問につきましてお答えさせていただきます。  鉄道施設の整備に当たりましては、環境問題にも十分配慮をしながら整備していくということは当然のことだと考えております。  それで、ただいま具体的な話につきまして環境庁の方から御説明があったところでございますが、東北・上越新幹線につきましては、大宮開業後五年を経まして、環境基準に言う達成目標期間を昨年の六月と十一月に迎えまして、環境庁から沿線の騒音測定結果が公表されましたわけでございます。その結果が軌道の中心から十二・五メーターと二十五メーター、そこの地点の平均値の問題といたしましては七十五ホンを切る水準に達しているわけでございますけれども、それも二年前の測定結果よりも改善の跡が見られるという形になっているわけでございますが、ただ具体的な地点ごとの環境基準の達成率がいまだ低いということは事実でございますので、さらに一層の対策を進めてその改善をしていくようにJR東日本の方に引き続き指導してまいるということを考えております。  それから本四連絡橋の問題につきまして、これも先ほど環境庁の方からのお話がございました。これは五十三年の五月に一般に公表されました環境影響評価書の中で、鉄道騒音につきましては環境保全目標、そういうものをつり橋等の長大橋梁部では八十五ホンということで、さらにそれを五ホン程度軽減するように努めるという形になっておりました。本四公団が開業後四月中旬に測定をいたしたわけでございますが、その結果ですと、その平均値が田之浦地区で七十九から八十一、それから櫃石島で七十八から七十九、それから岩黒島で七十九から八十ホンということで、先ほど申し上げました環境保全目標ということにつきましてはすべて達成していたわけでございますが、今のさらに五ホン程度の努力目標の部分につきまして、八十ホンを超えているところが一部ございました。  それで、現在八十ホン以下とするための対策を本四公団において鋭意検討中であると聞いておりますので、有効な対策がとられるようにこれからも引き続き公団を指導してまいりたいと考えております。  それからなお、先ほど私の手を挙げるのが遅かったものですから失礼いたしましたが、整備新幹線が鉄道の高速体系の問題になってくるわけでございますけれども、整備新幹線の財源問題につきましては、御高承のとおり、現在政府・与党間に設置いたしました整備新幹線建設促進検討委員会、そういうところにおきまして検討していただいているわけでございますが、本年の八月までに結論を得るということとされておりまして、今その審議中というところでございます。  それで、この整備新幹線の建設につきましては、運輸省といたしましては、都市間鉄道の高速化を図っていくということが今後の交通体系整備、それからJR新会社の経営の基盤強化のために必要であるということで考えておりますが、一方それが新会社の経営に悪影響を与えるというようなことになるといけませんので、そういう悪影響を及ぼさないという形でやることが必要であると考えております。それで、このような見地から、財源問題等の検討にこの委員会の中で取り組んでいきたいと考えております。
  180. 山田勇

    ○山田勇君 次に、大阪、近畿圏の問題になりますが、ルネッサンス、いわゆる再活性化に関してお聞きをします。  四全総の中で、大阪都市圏は「東京圏に次ぐ諸機能の集積を持つことから、その特性を生かして独自の全国的、世界的な中枢機能を担う。」と位置づけられておりますが、多極分散型国土の形成におきましても、重要な役割を果たすことができると思いますが、国土庁としては大阪都市圏に対する認識をどのようにお持ちでしょうか、長官の思いを伺いたいと思います。
  181. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 国土庁といたしましては、先生御指摘の近畿圏の活性化につきましては、近畿圏の活性化が近畿圏のみならず西日本全体に及ぼす活性化につながるものであると、多極分散型国土形成に貢献するという意味におきましては大変効果のある、国土の均衡のある、全体計画の中で非常に効果的な施策だと考えております。  また、四全総におきましても、関西圏を、東京圏に次いでの諸機能の集積、あるいはその地域の特性を生かした独自の全国的、世界的な中枢機能を担う、独創的な産業と文化を創造する中枢圏域であると位置づけておるわけでございます。したがいまして、近畿圏基本整備計画におきましても、近畿圏を首都圏と並ぶ独自の全国的、世界的中枢機能を担う圏域として整備して、創造的で個性にあふれる自由な活動が展開される社会の実現を図る、こういった目標を持って近畿圏の整備に力を注いでまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  182. 山田勇

    ○山田勇君 現在、産業、金融、情報と、東京集中する傾向は強まるばかりであります。その反面、関西の地盤沈下は進む一方であります。その原因として製造業の停滞、サービス産業の低成長、公共投資の比率の低下などが挙げられておりますが、今後大阪圏に再活性化をもたらすためにはいろんな振興策が必要であります。関西文化学術研究都市、明石大橋の建設、これらと関西新空港の建設整備を補完的に行い、もって関西の地盤浮揚に資するものとしなければなりません。  そこで、関西新空港の建設についてでありますが、これは二十四時間空港としての機能を十分に確保することが重要であると考えますが、運輸省の取り組みについて、どうなっておりますか、お知らせを願いたいと思います。
  183. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 関西国際空港につきましては、我が国の国内それから国際におきます航空需要の増大というものに対応するために、我が国で初めての本格的な二十四時間運用可能な空港ということで計画をいたしまして、昭和六十七年度末開港を目途に現在整備を進めているところでございます。  具体的な空港の運用につきましては、これからCIQ関係の施設の運用でありますとか、あるいは空港へのアクセスといったような関係を十分検討いたしまして、最終的な決定をすることになろうかと思いますが、あくまで私どもといたしましては、本格的二十四時間運用空港、それが可能な空港ということを目指して整備を進めておるということでございます。
  184. 山田勇

    ○山田勇君 何分、世界で三十八番目の二十四時間空港だそうですが、日本ではこれが初めてのものです。成田空港の開港前後は私も運輸委員会に所属をしておりました。その当時の過密状態から比べると、先日もドキュメンタリーで成田空港の問題を取り上げたテレビを放映しておりましたが、あそこに成田トンネルというのがあるそうでございます。それはもう二分間置きぐらいに五機がトンネルの中にウエーティングをして待っていると。そして何か下で事故があった場合に、トンネル内——トンネルといっても別にドームじゃないんですが——の限られた航路の中で五機がひしめき合いながら待機をしているというのを見まして、大変ショックを受けたわけでございます。  これは二十四時間ですから、外資系の航空会社がもっと関西新空港開港と同時に乗り入れてくるということになれば、そういう点については運輸省、もう大体フライト計画というのは全部出ているはずなんで、その辺どうですか。詳しく答えてもらわなくて結構なんですが、北アメリカから帰ってくる分は、友ケ島で一周回って、海から入って海へ抜けるという形の態勢なのか。また、中国の方から帰ってくる東南アジア系はどこを通るのかというようなこと、大体出ているはずなんですが、その点、わからなければ結構でございます、また改めてやりますが、運輸省、わかる程度でお知らせを願いたいと思います。
  185. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 関西国際空港の進入、出発経路というのは、これは現在基本的な経路設定というものはもう既にいたしておりまして、それに従ってさらに具体的な進入、出発の仕方についての検討を現在進めているところでございます。私どもとしてはそういう二十四時間運用が可能な飛行場ということを目指しておりまして、具体的にどういう航空会社がどういう時間帯で関西国際空港を利用したいかということにつきましては、まだこれからの問題でございまして、現段階ではまだそこまでの具体的なスケジュール等については決まっていないということでございます。
  186. 山田勇

    ○山田勇君 二十四時間空港としての機能を発揮するのには、アクセス整備、都市開発などが重要課題でありますが、建設省はどのようなプランをお持ちでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  187. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) お答えいたします。  関西国際空港関連施設につきましては、昭和六十年十二月十日に決定をいたしました関西国際空港関連施設整備大綱の中で、空港へのアクセスといたしまして根幹となります関西国際空港線あるいは阪神高速道路湾岸線、こういうような道路整備を図ることと、それから大阪府の泉佐野駅上地区市街地開発、こういうことを進めること等、基本的な整備方針が決められております。  今後とも、この整備大綱に基づきまして関係地方公共団体等と協議調整を図るとともに事業を計画的に推進していく考えでございます。
  188. 山田勇

    ○山田勇君 次に、大阪から急に北海道へ飛ぶんですが、北海道の振興開発について伺います。  現在北海道は、基幹産業であります農林水産業あるいは鉱工業など産業構造の変化などにより厳しい状況にあります。しかも、今もって苫小牧東部工業基地などは十分な活用がなされておらず、四全総においても具体的な記述が見られません。新たに策定される北海道総合開発計画は、どのような内容となるのか。また、具体的に事業をどう進めていくのか、お聞かせください。
  189. 大串国弘

    政府委員(大串国弘君) お答えいたします。  北海道の経済につきましては、最近やや明るさが戻ったということでございますけれども、先生御指摘のように石炭、鉄鋼、農業、漁業、今まで北海道経済を支えてきました主要産業が非常に厳しい局面に立っているのは事実でございます。  北海道の開発につきましては北海道総合開発計画という計画に基づいて事業を進めておりますけれども、道路や港湾、空港等、こういう基盤整備を進めております。基盤整備を進めるとともに、民間の力の弱い北海道経済の下支えをしているということも考えております。六十二年度で第四期の北海道総合開発計画は終了しておりまして、第五期の計画を現在関係各省等の協力をいただきまして鋭意策定中でございます。  北海道につきましては、いわゆる石炭なら石炭だけ、米なら米だけ、こういうふうなモノカルチャー的なことをやっておりましたけれども、今後はやっぱり北海道が転換期にあるということで、時代の変化に弾力的に対応できるような力強い北海道をつくるのが基本じゃないかということで、具体的に内容につきましては四全総基本的な方向を踏まえて新しい計画に盛り込みたいと考えております。  なお、御指摘がありました苫東等につきましては、今まで臨海型の工業団地ということで考えておりましたけれども、ことしの七月に開港を予定される新千歳空港、そういうものに近接しておりますものですから、臨空型の団地にするとか、先端技術を持ってくるとか、それから都市的な機能、職住近接みたいなことも考えまして新たな視点で進めたい、このように考えているところでございます。
  190. 山田勇

    ○山田勇君 次に、地下空間の利用の問題ですが、まず運輸省お尋ねをします。宅地供給を促進する上で職場と居住地を結ぶ交通網の整備が必要でありますが、その際地価高騰による公共用地の取得難などから地下空間の利用が言われておりますが、この点の検討運輸省、どうなっておりますでしょうか。
  191. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  大都市圏におきます鉄道整備の緊急性にかんがみまして、各方面の学識経験者から成る大深度地下鉄道の整備に関する調査研究委員会を昨年設けまして、諸問題の検討をお願いしたわけでございます。この結果、ことしの三月にこの委員会から三点から成る報告をいただきました。  その三点を申し上げますと、第一点は、通常土地所有者が利用しないほど深い地下空間にトンネルを敷設することは技術的に可能であるということ、第二点は、経済性の点を見ると、郊外部と都心部を直結し快速サービスを提供するような鉄道については従来からの方式による地下鉄道よりも有利となる場合があること、第三点目としまして、法制的に見ても民法上は土地所有権の及ぶ範囲を法令によって制限できるということになっておりますことから、法律を定めて鉄道事業者に極めて深い地下空間の利用権を公企業特権の一種として付与することは立法論としては十分考えられる、この三点の結論をいただいたところでございます。  非常に積極的な結論をいただきましたので、運輸省といたしましては、この結論を踏まえまして、立法化に向けての検討に着手したところでございます。現在の大都市圏における鉄道整備の緊急性にかんがみまして、できるだけ速やかに検討してまいりたいと考えております。
  192. 山田勇

    ○山田勇君 この問題は、重複するところがありますのでこの程度でおきます。  次に、経済企画庁にお尋ねをしますが、多極分散型国土の形成におきまして、その基盤投資のための財源を十分に確保することの必要性につきましてはさきに述べましたが、そのためにはしっかりとした財政経済政策が重要であることは言をまちません。現在策定作業が進められている新経済計画は、四全総なり多極分散型国土の形成を推進する上で十分な裏づけとなるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  193. 西村吉正

    説明員(西村吉正君) 昨年の十一月二十日にいただきました総理からの諮問の中でも、三つの課題の大きな柱といたしまして、国土全体の均衡ある発展の実現という課題を新しい経済計画はいただいておるわけでございます。  この点につきまして、地域・産業部会という組織を設けまして、四月の上旬に御報告をいただいたところでございます。また、財政金融政策につきましては、企画・公共部会という組織を設けまして、この中で、財政政策につきましては財政再建のみならず内需の拡大という観点からも取り組むという点、また財政の資源配分機能を活用していくという趣旨の御報告をいただいております。  今月下旬に、これらの部会報告をまとめまして新しい経済計画が経済審議会から答申される予定となっておりますので、御了解いただきたいと思います。
  194. 山田勇

    ○山田勇君 きのう十七日の閣議で了承されました六十二年度の国土の利用に関する報告書、いわゆる国土利用白書によりますと、東京と地方の地価の二極分化が一層進み、土地を持つ者と持たざる者の格差が拡大し、国民、世代間の不公平感の増大をもたらすとされ、その解決方法として東京一極集中を是正し多極分散を図る国土政策の推進を挙げているわけでございますが、今や税の不公平是正とともにこれは国民的最重要課題であると考えますが、国土庁長官の一層の御努力要望しまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  195. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御趣旨を踏まえまして、この法律案が成立いたしました段階におきまして最善の努力をして御期待に沿いたいと思います。
  196. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 山田君の質疑は終了いたしました。  次に、秋山君の質疑に入ります。秋山君。
  197. 秋山肇

    秋山肇君 昨日閣議決定されて国会に提出されました国土利用計画白書に関しまして、昨日の新聞はそれぞれの取り上げ方、受け取り方をして書かれているわけですが、私は夕刊を読んで、本書の方をきょう読ませていただきまして大変興味があったわけでございます。率直に言って、役所の報告書にしてはよくできているなということを最初に申し上げておきたいと思うのです。  特に第三章の「大都市圏の現状と課題」では、東京における人口や諸機能集中住宅交通環境、防災等の諸問題について詳細に分析した上で、まず土地供給サイドから見て既成市街地の有効利用、市街化区域内農地の良好な宅地化、事務所、住宅宅地供給計画的推進が必要であり、次に、土地需要サイドから見て多核多圏域型構造への転換、多極分散型国土の形成が必要だと主張しています。問題意識では重要なポイントを要領よく分析しており、大変参考になりましたし、需給の均衡を回復するためには、まさしく主張どおりの施策展開が重要と思います。  特に興味がありましたのは、「土地の有効利用」の中で二十三区の高度利用の試算をしておりますが、これは先ほど申し上げました新聞によると、容積率をフルに生かせば二十三区内にさらに五百三十八万人が住めるということが出ている新聞もありますけれども、土地局長、これは何を国民や国会に訴えたくて書いたものか、細かくゆっくりと時間をかけて説明していただきたいと思います。
  198. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 東京土地問題を解決する場合に、新規に臨海部開発とかそれからまた郊外の新規ニュータウン開発とか、そういうことも非常に重要でございますけれども、東京既成市街地を有効に高度に利用するということも極めて重要であるというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう観点から、現在の二十三区の土地を現行の容積率のままでそれを精いっぱい有効利用した場合に、現在住んでおられる五百三十五万人のほかに、区部への通勤者及びその家族、推計では五百三十八万人が住めると、こういう試算をしたわけです。しかも、その場合に公園面積を現在の四倍程度にふやす、それからまた道路道路率といいますか、そういうものも現在の道路の五割増しぐらいに道路を広くするといいますか、そういうような形で十分に住むことができるという試算を、いわゆる仮定の計算でございますけれども、そういうことを示したわけでございます。  それで、どうしてこういうことをやったのか。現実に今こういう有効利用をやるということにつきましては極めて困難な問題ではございますけれども、特に困難な理由といたしましては、現在二十三区の土地につきまして百平米未満の非常に小さい区画の所有というのが四十数%ということで、区画が小さくて高度利用が非常に難しいという面がございますし、また既存住民の意識といいますか、再開発とかそれからまた中高層住宅に住むということに対する抵抗感とか、そういういろいろな問題がございまして、なかなかそういう高度利用が進まないという面があるわけでございますけれども、やはり東京土地問題を解決するためには、こういう有効利用、高度利用というものについて努力をしていく必要がある。そのためには土地の権利者とか住民とか、そういう方々の意識を改革していくといいますか、そういう方々のコンセンサスを求めていく必要があるということだと思うのです。  私どもといたしましては、こういう試算を提供することによりまして、そういう再開発、有効利用を進めるためのコンセンサス形成のためにこれを使っていきたいというふうに思っている次第でございます。
  199. 秋山肇

    秋山肇君 今のお答えで、確かに住民の意識を変えていかなければいけないし、いろいろな問題がありますよね。  それで、昨日発表されて最初に申し上げた各紙の取り上げ方ですが、これは重要なポイントをこのままぽっと渡して、各記者がこれを読んだのでは、それぞれの受り取り方が違うと思うんですね。そういうことでお渡しになったのか。逆に今私に回答いただいたように、そういうこの中の土地の重要施策、いかに抑えていくかという問題からしたらどうしたらいいかというポイントを押さえて記者発表をされたのか、その辺はいかがですか。
  200. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) この国土利用白書を公表するに当たりまして、実は私ども先週事前レクといいますか、新聞記者に対しまして詳しくこの国土利用白書の内容につきまして説明するとともに、各報道機関の論説委員といいますか、そういう方々にも集まっていただきまして説明し、また、いろいろ意見を交換したということで、この国土利用白書の趣旨を十分理解していただくように努めた次第でございます。
  201. 秋山肇

    秋山肇君 事前レクがあったということですけれども、それにしてもこれだけ受け取り方にばらつきがあるわけですよね。ですから、この土地の問題については、この委員会だけで論議したところで進んでいくわけはないんで、こういう土地利用白書のときにマスコミの皆さん方にさらに徹底したレクチャーをしていただいてしっかりしたPRをしていかないと、ぱっとこれを見ただけだったら、容積率が、使えていないのが、何もしないでそのまま使えるんじゃないかなというふうに一般の人が思いますと、前から私は委員会で質問していますけれども、道路のセットバック方式だとかいろいろなことをやらずにじっと待っていれば利用上容積がよくなるというふうに思われるんじゃないかなと心配なものですから、ちょっと意地悪みたいですけれども、念を押したんです。  その点についてこれからの方向をやっぱりよくお考えをいただきたいと思うんですね、PRについて。徹底したPRをすべきだと思うんです。  それで、次は大臣にちょっとお伺いをいたしたいと思うんです。このマクロの試算をした意図はよくわかったんですが、国土庁はこのマクロの試算を現実の政策に結びつけて一歩でも有効な高度利用の目標に近づけるよう関係省庁を督励すべき立場にあると思うんです。長官はかつて建設大臣をなさったわけですから、この白書についてはもう十分連携というのはおわかりだと思うんですが、どういう決意で臨まれるか御抱負をお聞きいたしたいと思います。
  202. 内海英男

    国務大臣内海英男君) この白書では、国土の利用に関する白書でございますから、例えば過密都市である東京でも、容積率や何かの見直しをやって高度利用ということに相なればこのくらいな人口はまだ受け入れることができますよというようなこと、しかも公園も相当ふやせる、あるいは道路の幅員等も相当広くできると、それは国土利用全体の中で東京も含めて考えた白書だと思います。  しかし、一方で多極分散ということを言っていて法案の御審議を願っておることでございますから、今御指摘のように間違って理解されますと、多極分散じゃなく、ますます一局集中がまだできるんじゃないかというような印象になりますから、先生御指摘のように住環境をよくすることが東京でも必要でございますけれども、やはり多極分散によって国土の均衡のある発展を図っていくという趣旨で最終的には結んであると思います。  したがいまして、過密で土地問題あるいは地価問題で、住宅問題でも苦労している東京の場合でも、こういうふうに利用すればこのくらいのことはできますよというようなことなんでしょうけれども、先生御指摘のように、PRの仕方によっては東京ではもっともっと受け入れられるんだというような間違った認識になる可能性もありますから、今後はこういうことについての説明というものはやっぱり十二分にしておかなければいけないなと、こう考えております。
  203. 秋山肇

    秋山肇君 私も東京にこれ以上人口が集まっていいということで今お話しし、質問しているんじゃなくて、今の大臣のお答えのとおりだと思うんですが、さっきから言っているように、発表の仕方あるいは対応の仕方によっては東京にますます集中をしていっていいんじゃないかなということも考えてしまう人がいると思うわけであります。  ちょっと観点を変えまして質問させていただきますが、今月の初め、五月二日でしたか、高額納税者の発表がありまして、この中で上位百人のうち七十七人が土地長者だというふうに新聞に書かれておりました。この中で相続税の対策のために土地を処分した人が十五人ということで、これはもっといるんじゃないかなというふうに私は思うんですが、相続税という問題が昔は資産家だけだったのが、今は東京では小規模住宅地にもかかってしまうということで、今相続税の問題は論点になっているわけです。  この算定基準ですが、路線価のところと御案内のように倍率方式をとっているところとあるわけです。この路線価、国税局の路線価というのは、聞くところによりますと、国土庁が公示をされる公示地点の公示価格の七割、七〇%を目標にしているということなんですけれども、全国でこの公示のポイントというのはどのくらいの数がありますか。
  204. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 地価公示の公示地点数につきましては、年々多少の変化がございますけれども、六十三年の地価公示では全国で一万六千八百二十地点ございました。これは大体、都市計画区域の中で一平方キロ当たり一地点というような考え方で設定している次第でございます。
  205. 秋山肇

    秋山肇君 今のお答えで一万六千八百二十ポイントであるということで、都市計画区域の中で一平方キロ一ポイントということですけれども、このポイントで果たして正しい土地の値段というのが出されているというふうに思われますか。
  206. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 一平方キロといいますと大体百ヘクタールということでございますので、百ヘクタールに一地点ということでは、なかなかこの公示地点の価格だけをもとにしてすべての土地の価格を推定するということは非常に技術的に難しい面があるわけでございます。私どもといたしましては、この限られた予算の中でできるだけこれを有効に配分したいというようなことで、取引の件数が非常に多い商業地域とか、それからまた地価の上昇が比較的激しいところ、そういうところに重点的に配分するとか、そういうような形でいろいろ工夫をして運用している次第でございます。
  207. 秋山肇

    秋山肇君 特に、今まで、路線価が触れているところと、倍率方式というのは御存じでしょうけれども、固定資産税評価額に何倍掛けるかというところと、市街化区域の中にだってあるわけですね。そういうところで、先ほど来問題になっている、土地を所有している者としていない者の格差ということが言われていますけれども、それと同時に、やはりその評価というのは公平でなければいけないし、それがまた土地の、今まで東京の高いところを売って安いところを買いかえておくというような、一つの東京土地の値上がりの原因になっているもともつくっているわけですね。  ですから、そういうことで、このポイントをつくるのに、きょう私、大蔵省もほかの省も呼んでいないので、国土庁が予算がないからもっと金をつけてくれというのなら、堂々とここで言っていただいた方が、きょうは自民党の委員の先生方もいらっしゃるんですから、これは公平な意味で、もっとポイントをふやせということをここで遠慮なさらずにちょっと言ってください。
  208. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) この公示価格の運用につきましては、私、土地局長といたしましては、できるだけ充実させていきたいということで、予算の増額についても、従来ともいろいろ努力してまいりましたし、今後とも努力してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  209. 秋山肇

    秋山肇君 長官、今高値安定になってきて、東京は落ちついたということを言われているけれども、地方都市への波及を食いとめるためにも地価対策というのは重要なことですよね。  それで、今私が意地悪みたいに何回もしつこく言っていますけれども、こういう問題、公平地点の問題等も、特に地方で上がってくるようなところというのは先手先手を打つべきだというふうに思うんですが、この点を踏まえまして長官に、決して私は四全総に反対して、東京に全部来ればいいとか、何をしろということじゃありませんから、ひとつそういうことで、これからの長官の土地対策、また国土庁長官としての取り組みについて御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  210. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 最近の東京地価がようやく鎮静化に至ったということで、お認めいただいたわけでございますが、何にいたしましても、私どもの認識も、高値安定というような言葉に該当しておるのではないかと。これを下げる必要があるということに我々の施策の中心を持っていかなきゃ、目標を持っていかなきゃいかぬ。それは需給のバランスというものが一番地価の安定、下げるということについては、やっぱり供給をふやすというところに重点を置かなきゃいけないのではないかと思っております。  したがいまして、今度御審議をいただいている法案の中でも、政府機関の一部移転というような、跡地の利用であるとか、あるいは東京湾の新しい臨海地域土地の公共的な目標に、住宅供給というものを主眼に置いた計画を立ててもらいたい、あるいは汐留等の問題についても、いきなり企業のためのビルばかりできるというような状態でもこれはいかぬということで、関係機関にもできるだけ御理解と御協力をいただきまして、跡地利用、あるいは新規にできる、また未利用地である埋立地、こういったものにつきましては、土地は国民の共有のものであるといった観点から、国民の用に供するように、しかも住宅に困っておる東京都民の住宅事情の緩和のためにも有効に活用しなけりゃいけない。  新しい用地ができたからまたよそから入ってくるということでは、一極集中がかえって加速されるということでございますから、地方は地方としての、多極という意味においてそれぞれの極においてそれなりの地域の特性を生かした地域発展の計画を推進していただくと同時に、東京も一極集中から脱皮をして東京東京なりの住みよい環境をつくっていかなければならない、これが私どもの目標であり、都民の住宅をやはり住みよい環境の中で確保してあげる。余りにも需給のバランスが崩れたというところから今日の悲劇が生まれておると思います。  東京の立場というのは、御案内のとおり世界の中の東京という位置づけで、ロンドン、ニューヨーク、東京という三極を結んだ世界の経済、情報化、こういう国際化の時代でございますから、東京はやはりそれなりの整備をしなければいけないというふうに私も考えておりますけれども、余りに過度な集中ということから多極分散型の国土形成ということに四全総ではなった。また、これがたまたま竹下内閣ができますに当たって、ふるさと創生ということを竹下総理が唱えてきたわけでありますが、四全総即ふるさと創生につながる地域の振興。地方の時代ということをよく言われておりますけれども、どこが地方の時代だというような反論が出るぐらい地方はますます苦しいような状態になっておることもまた事実でございます。  今回の法案を御審議される中で、この法案の御審議の精神がこの中で生かされて、実施段階において十分配慮しながら効果の上がるような多極分散型の国土の形成ができれば大変私もやりがいがある、最善の努力をして皆さん方の御審議に報いたいと、こう考えておるわけでございます。
  211. 秋山肇

    秋山肇君 どうもありがとうございました。
  212. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 秋山君の質疑は終了いたしました。  本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時四十二分散