運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-05-13 第112回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十三日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本嘉久蔵君     理 事                 志村 哲良君                 下条進一郎君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 小川 仁一君                 志苫  裕君                 馬場  富君     委 員                 井上  孝君                 石井 一二君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 古賀雷四郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 片上 公人君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 三治 重信君                 山田  勇君                 野末 陳平君    政府委員        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    参考人        臨時行政改革推        進審議会土地対        策検討委員会参        与        東京理科大学教        授        石原 舜介君        中部経済連合会        会長       田中 精一君        大分県知事    平松 守彦君        東京女子大学教        授        伊藤 善市君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○多極分散型国土形成促進法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  多極分散型国土形成促進法案を議題といたします。  本日は、本案審査のため臨時行政改革推進審議会土地対策検討委員会参与東京理科大学教授石原舜介君、中部経済連合会会長田中精一君、大分県知事平松守彦君及び東京女子大学教授伊藤善市君の四名の方々に御出席いただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわりませず本委員会審査のために御出席を賜り、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、御意見はお一人十五分程度とし、石原参考人田中参考人平松参考人そして伊藤参考人の順序でお述べ願います。その後、二時間程度委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、これより参考人からの意見聴取に入ります。  まず、石原参考人からお願いいたします。
  3. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 石原でございます。  私は、臨時行政改革推進審議会の中に設けられました土地対策検討委員会参与という資格で本日参考人として意見を述べさせていただくことになっておりますが、御承知のように、土地対策に関します答申はこの検討委員会では五月末をめどに現在最終的な詰めをしている段階でございますので、まだ内容的に若干揺らぐところがございますので、この最終的答申に向けての段階でございますので余り内容的なことを申し上げるわけにもまいりませんが、しかしやはり土地対策という立場で本日の多極分散型国土形成促進法案に対します私見を述べさせていただきたいと思います。また、私はさきの三全総を受けまして国土庁でまとめられました首都改造計画専門委員会の主査をいたしておりました関係上、そのときのことも含めまして若干の意見を申し述べたいと思います。  今回の多極分散型国土形成促進法案は、需要の抑制面におきまして適切な措置がとられるばかりではなく、今日までの四回にわたります全国総合開発計画におきますいろいろなフォローアップのための法律といたしまして初めてのことでもあり、しかもそれが全面的にいろいろなことが書かれている点で非常に高く評価できる内容のものではないか、かように考えております。特に、国の行政機関移転に関します基本方針を作成いたしましてその実行を推進することになっておりますが、これは大変望ましい方向であると考えております。  今日の地価高騰は、御承知のように東京中心とします世界都市としての発展が大きな要因になったというふうに考えられるわけでございますが、これが次第に地方中核都市並びに東京周辺部に波及いたしまして大変な社会問題を惹起しているわけでございます。  そのようなことで、こういう東京世界都市へと転身してまいりますこと自体は別段悪いことではなく、むしろ望ましい方向でございますので、こういうような世界規模での企業の立地というのは今後も東京は進むものと思われます。そうしますと、ますます東京への一極集中というふうなことになりますと、どうしても国内的な中枢機能というものを中心分散しなければいけないということになりますと、行政機関のうちでも特に国内的な行政を主とする機関等におきましては、これを分散しそして各地の振興を図っていくことが望ましいのではないかと思います。  もちろん、民間施設におきましても、当然のことながらこういう国内関連の高い業務施設分散を促進しなければならないわけでございますが、まずそういう点で政府が先鞭をつけるということは大変望ましい姿であろうというふうに考え、賛意を表します。民間におきましても同様なことが積極的に進められるようにするためには、現在第五条では基本法的な精神規定だけでございますので、若干これに施策的なにおいを含ませるようなことがあればなおよかったのではないかというふうに考えております。  次に、今回の地価高騰それ自体は先ほど述べましたとおりでございますが、こういうような業務施設というふうなものが中心になった地域開発というふうなことになりますと、今までの新産都市並びにテクノポリスなどのような開発システムではなくて、この地方振興策は第三次産業中心としたある程度方向性を見出さなければいけないわけでございます。そうしますと、この第三次産業の、中核になる地方振興ということになれば、やはり拠点性の高い都市中心として振興をしなければなりませんが、そこで今回の法律では振興拠点地域というものを設けまして、そこで中核的な施設整備を行うということになっておりますので、大変当を得たものであると評価したいと思います。  次に、機能地方分散ということはこれは当然必要なことではございますけれども、それにあわせましてこの東京圏内の再編成ということも非常に大切でございます。さきに申し上げましたように、首都改造計画におきまして、いろいろな諸条件を勘案いたしまして、その上で業務核都市整備を積極的に進めることが東京圏の再編については最も望ましい姿であるということで提案をしたわけでございます。もちろん、その背景になっている制約条件等をいろいろ検討しましたけれども、やはり何といいましても住宅立地あるいは輸送の体系、防災上の措置、こういうようなことから一極集中的な都心三区への機能集積はやはり非常に問題があるというふうなことで、その機能の一部をこの業務核都市というところへある程度分散配置することが望ましいと考えたわけでございます。  そのときにいろいろ分散のための戦略というものを考えたわけでございますが、これは非常に難しいことでございまして、やはりその中心になる施設というものがしっかりしていないとなかなかその周辺業務機能というものを誘致することができないわけでございます。  そこで、この業務核都市につきまして、それぞれにつきまして機能の特性を持たせて発展させようとしたわけでございまして、例えば一つの例で申しますと、大宮・浦和地区におきましては、ここを関東首都というふうなことで関東地方に対しますいろいろな行政の支分局をこの地域に結集いたしまして、そしていろいろな面でサービスをしていくような形をとった方が適切ではないかというふうに考えたわけでございます。  そういう中で、一つ幕張におきますメッセ、いわゆる国際見本市会場でございますが、ここではこのメッセに伴いまして約二万人ほどの雇用増が期待されているわけでございます。ここに約五万平米の屋内見本市会場が設けられるわけでございますけれども東京自体が現在の晴海会場を改装いたしましてこれを移転し、十号のその一の埋立地に約十万平米の同様の国際見本市会場を設けることに決定しております。  こういうようなことになりますと、せっかく機能分散というもので幕張振興というふうなことで千葉の核都市への向上を図ったわけでございますけれども、なかなか、それと同様の施設東京中心に既存の業務センターに近いところで開発されますと、そちらの方に力が注がれまして、幕張育成が困難というふうなことも考えられ、初期に考えました分散策というものが効果を上げないのではないかというふうなことが考えられるわけでございますので、こういうような県の行政区域を超えた調整、そういうことが、今日の東京のように広域的に同一運命共同体みたいな形で発展しているところでは特に必要で、こういう地域自体協議会などを設けるとともに、国が積極的にこれらの施設配置等に対しまして指導し、各それぞれの地域育成を図っていくような措置をぜひ講じていただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、四全総の一日交流圏でございますけれども、これは今回の法律の中で特に交通施設整備ということを挙げまして都市相互間の交流を高めるよう述べられておりますので、非常に妥当な方法であろうというふうに思うわけでございます。  しかし、そういう中で、高速道路というふうなことが述べられておりますけれども、できれば無料の高規格道路、いわゆる主要交差点のみを立体化するような高規格道路というものを整備し、ほぼ自動車専用道路と同じような機能が発揮できるような形で整備できれば、これは地方にとりましては非常に有効な手段になるのではないかというふうに考えておりまして、特にこの高規格道路整備ということに力を注ぐようお願いしたいと思います。  最後に、住宅宅地の供給でございますが、宅地開発鉄道新線建設を一体的に推進する方式が提案されており、これは非常に高く評価できるもので、我々もこういう内容のものを答申の中に織り込もうというふうに準備を進めているわけでございます。  その際に、宅地開発が行われる地域におきましては、開発者の方にある程度受益者負担というふうなことで鉄道用地並びにその建設の若干の費用の一部を負担することも考えられるわけでございますが、御承知のように、これは都心に乗り入れないと鉄道の効用もやや失われる可能性があるかと思います。ところが、東京のように非常に既成市街地が広がっているところでございますと、そういうような地域鉄道を通すということは非常に至難のわざでございまして、当然のことながら地下に鉄道を通すような方式がとられるのではないかと考えるわけでございます。その場合の建設費用というものは大変高額になりますので、当然これは採算が合わないというふうなことでこの建設を見合わすことになれば、せっかく周辺部だけで鉄道を敷きましても余り効果がございませんので、これは宅地としての有効性も失われるおそれがございます。  そこで四全総では、「東京中心部等立地する事務所の費用負担の在り方も含め幅広い観点から、適切な措置検討する。」ということが述べられておりますが、追い出し税ではなくて、こういうような周辺整備並びに鉄道整備ということをある程度目的とした資金を調達することによりまして、これを利用者負担だけで賄うということのないよう、新しい一つ財源措置というものがこういうものを含めて今後とられることをひとつ期待いたします。もちろんこの法律の中でそこまでというわけにはまいりませんので、できましたらそういうようなことを含みにしてぜひひとつ御高察いただければと考えます。  以上、雑駁でございますが、私の見解を述べさせていただきました。
  4. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ありがとうございました。  次に、田中参考人にお願いいたします。
  5. 田中精一

    参考人田中精一君) 中部経済連合会田中でございます。本日は、多極分散型国土形成促進法案につきましていささか私見を述べさせていただきます。  昨今、遷都論が非常に華やかに行われておりまして、私ども中部地区を具体的な遷都先に挙げた意見も二、三ございますけれども名古屋中心とします中部地区皆様方が注目していただくのは大変ありがたいことだと思っておりますが、翻って考えますと、今日の東京には弊害がありまして、このままではいけないという考えを国民の多くが持っておりますし、またこの首都移転検討する場合に、名古屋日本中心部にあるということで候補に挙げられていると思っておりますが、私としましては、首都東京都が諸機能過度集中、セキュリティーの対策上今までの状態でいいということは考えておりませんけれども、せっかく各地域、各住民から盛り上がっております遷都論国民全体で真剣に考えるいい機会だということを考えております。  もしもこの中部地区首都として適地であるということでございますれば、遷都先としては私どもも提言するものでございますけれども、十分な検討もせずに、ただいたずらに具体的な地点名だけを挙げての議論についてはいささか問題があるんじゃないかと考えております。  事実、最近起こった問題でございますけれども、私ども地域内で、遷都論が起こりまして候補地に名前が挙げられましただけで、調印直前の工場の用地の買収が、価格の問題で安過ぎるというのでまとまらなくなった例もございますので、首都問題はこういった思いつきの例示が地方地価高騰といった問題を引き起こしておるということもお考え願いまして、慎重に、しかも綿密に検討されるべきではないかと考えております。それで、遅まきではございましたけれども中部経済連合会といたしましては研究会というものを発足させまして、真剣にこの立場から問題の検討を始めております。  さて、東京の一点集中是正をするために多極分散型国土形成促進法が提出されておりますが、まことに時宜を得たものと考えております。三全総までは総合的な法案が提出されていなかったということを考えますと、この法律はいろいろな細かい事項にも配慮があって、四全総実現のために有効に運用されるということを大いに期待するところでございます。  しかし、この法案内容を拝見いたしますと、御留意いただかなくてはならないような点が若干あるように思われます。  まず一つは、この第一条の法律目的に「人口及び行政経済文化等に関する機能過度集中している地域からこれらの機能分散を図り」ということがございますけれども、「過度集中している地域」というのはこれはどこを指すかもはっきりいたしませんが、現在の時点ではこれは東京だと考えております。このことが日本首都機能の安全上問題とされまして、一たん東京に大災害でも起これば日本中枢機能が麻痺してしまう危険が非常にございますので、これに対する対応が特に大切なことだと考えております。  この「過度集中している地域」というのは、東京と並んで大阪とか名古屋がこういうものに入るというのは適当でないと思います。特に名古屋は、三大都市圏一つに数えられておりますけれども大阪よりもはるかに可住地面積がございますし、そして可住地面積当たり人口密度東京大阪の半分程度で、他の政令指定都市の兄貴分的な地位に位置づけられておるということを感じております。  四全総の中でこの中部地区は国際的な「産業技術中枢圏域」と位置づけられたわけでございますけれども、この発展するように位置づけられましたことは、この地域中核都市名古屋地域拠点といたしまして、その周辺に展開いたします東海環状都市の地帯に産業技術集積を高めまして、大阪と並んで首都機能の一部を肩がわりできるような措置が大切かと考えております。  そのためにも、まず中部国際空港だとか、中央リニアエクスプレスだとか、第二東名・名神道路といったような日本全体をにらんだ交通基盤整備はもちろんのこと、官産学協同体制のとれます航空宇宙大型放射光施設といったような、我が国が今後産業技術におきまして世界をリードできるような研究機関をまず誘致整備いたしまして、より高度な技術発展に取り組んでいくということが必要であると考えております。  次に、「振興拠点地域開発整備」でございますけれども関係省庁調整の必要から内閣総理大臣基本構想承認基準を定める措置がとられている点は評価されますけれども、これに加えて、第九条第二項で「内閣総理大臣は、承認基準を定めるに当たっては、第七条第一項に規定する開発整備に関し地方公共団体自主性が生かされるよう配慮しなければならない。」と規定されております。さらにこれを突っ込んで言いますと、「振興拠点地域基本構想」の承認に当たりましても、地方公共団体自主性が生かせるような運用配慮が必要だと思っております。  また、三十一条には権限委任というものが定められており、「国は、行政機能の各地域への分散を図ることにより多極分散型国土形成に資するため、法律又はこれに基づく命令の規定により国の行政機関の長に属させられた権限地方公共団体若しくはその長又は関係地方支分部局の長に委任すること等に努めるものとする。」ということが規定されておりますが、地方への権限委任が十分に行われれば、特色ある多極分散型の国土形成に大きな発展の力を与えるものと期待されます。  しかし、この項目は、理念だけ述べられているのであれば何にもなりませんので、より具体的な実効性のある内容でなければ絵にかいたもちになりますので、この受け皿といたしまして、地方公共団体の場合、今の県の範囲にとらわれずに、広域的な道州制といったようなものも検討する必要があるのではないかと考えております。  実は、中部経済連合会では、過去、広域行政立場から東海三県合併構想を発表いたしまして、政府でもその必要性が認められました。さらに大きく都道府県合併特例法を閣議で決定されまして、参議院で先議されて可決されたという経緯がございます。残念ながら、これは廃案になっておりますけれども、一応広域行政必要性というものは当時より非常にさらに一段と高まっておるということが言えると思います。  一方、関係地方支分部局の長への権限委任につきまして指摘しておきたいことは、県の行政区域と全く関係なく関係部局管轄区域が定められておるということでございます。  例えば、私どもの長野県のような場合には、建設省は関東地建中部地建北陸地建三つ地方建設局がそれぞれ業務を分担しておりまして、ほかにもたくさん例がございますけれども、このような部局関係する権限委任する場合に、地方自治体との関連が複雑になることが考えられます。一県の中を管轄する地方支分部局の統一や各省庁地方支分部局相互間の管轄区域の一本化というものにつきまして、ぜひ条件整備をしていただきたい、こう考えております。将来の行政のあり方も踏まえまして、中部なら中部五県の中央出先機関管轄区域を同一にしまして、各省庁の横の連携と地方利便性を考えていただきたい、このように今考えております。  三つ目は、「業務核都市」についてでございます。今日、多極分散型国土形成が叫ばれておりますのは、東京への一極集中が余りにも弊害が多いということでございまして、この是正ということでございますけれども、この業務核都市構想というものは東京圏一極集中の助長につながると思われます。これでは首都の安全上の問題は多く残されたままと言えます。  第四条の「国の行政機関等東京都区部からの移転」ということにつきましても、先ごろの一省庁機関移転を見ましても、ほとんどが東京圏内への移転でございまして、多極分散とはとても言えるものではないと思っております。四全総では、「この計画期間後半には東京圏から地方圏人口が純流出となることを目標とし、産業振興施策充実等地方圏定住条件を改善するとともに東京圏への諸機能過度集中を抑制し、分散を促進する。」という方向を定めております。内閣総理大臣移転基本方針案の作成、あるいは意見を述べるといった歯どめの条項の有効な運用を期待いたしまして、第四条が第二十二条に加わって東京圏のさらに肥大化を促進しないように望みたいと思っております。  私はかねてから、東京一極集中是正のためには権限財源地方移譲がまず急務でございまして、それを主張してまいった者でございますけれども、今回の法案には不十分ながらこれに沿ったような条文も織り込まれております。これが有効に活用されまして、真に多極分散型の国土形成されるように積極的な運用が望まれる次第でございます。この法律が「目的」に言います「住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会実現」ということにつきまして、これが立派に寄与することを期待いたしまして、私の意見といたしたいと思います。  ありがとうございました。
  6. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ありがとうございました。  次に、平松参考人にお願いいたします。
  7. 平松守彦

    参考人平松守彦君) 大分県知事平松でございます。こういう機会意見を述べさせていただくことができまして、大変ありがたく思っておる次第でございます。  まず最初に、現在私も地方行政を担当さしていただいておるので、今現在地方の置かれている実情をまず申し上げてみたいと思います。  私の大分県は、九州でちょうど真ん中ぐらいの規模の県でございますが、人口について言いますと、昭和五十年から五十五年までに四万人人間がふえました。それから五十五年から六十年になりますと二万人のふえ方になりました。現在、昭和六十一年の十月で見ますと、若干、二千人ぐらい減っております。国勢調査は六十五年でございますが、昭和四十五年からずっと地方人間がふえまして、地方の時代ということが言われましたが、ちょうど財政再建、臨調ということで公共事業が横ばい、こういうことになりまして、やはり公共事業に依存しておる地方におきましては、人間流出、伸び悩みが始まりまして、現在では私の方も若干減っております。昭和六十年の国勢調査人間が減った県は東北の秋田県だけだと思いますが、恐らく六十五年の国勢調査で、今このままの情勢で一極集中が進みますると、地方の県においてはかなり多くの人口が減少する県があらわれる、このことを大変心配いたしておるわけであります。  こうやって地域人間が減る一方で東京過度集中が行われる、この原因はいろいろございましょうが、最近政府内需拡大公共事業予算を大幅にふやしていただき、各都道府県公共事業をふやしておりますが、また同時に経済のソフト化ということで、経済のサービス化、これに伴う人、物、情報の東京集中ということが加速をされておりますので、そこをどう考えるか、これから大変大きな問題であります。  第二番目は、オレンジ、牛肉の自由化に伴いまして、地域の大変大きな産業である農業が今非常に難しいことになっております。自由化問題はいろいろと御議論がございましょうし、政府におかれても大変御努力をされておりますが、問題は農業に希望が持てる農業をつくらなければいけません。自由化しようとしまいと、農業のあすが見える農業というのを我々はぜひつくっていきたい。  そういう意味で、今のようなままで行くと、若い人が農業にとどまらないというおそれがございます。また円高、またNICSの、東南アジア諸国からの工業の進出等がございまして、中小企業も大変厳しい状態でございます。東京だけ見る限り非常に華やかに経済も明るさを増すと言いますが、地方の方で見る限り農業、林業、水産業、中小企業、それぞれ厳しい時代でございます。また、高齢化も大変進んでおるわけでございまして、大分県あたりの地方の町村に行くと、六十五歳以上の方が人口に占める比率は二割。東京あたりは一割を切っておりますが、五人に一人が六十五歳というようなことで、既に二十一世紀の人口構成をもう先取りしておるような実態であります。  そういうことで、国にいろいろ言うことよりも、県は県なりに自立自助の精神で地域活性化を図ろうということで、大分県は一村一品運動や地域の特産品を掘り出して磨きをかけてやっていこうとか、またハイテク産業の誘致またはリゾート開発等々、努力をいたしておりますが、なかなか厳しい状態でございます。  こういった時期に四全総で多極分散型国土形成というのがうたわれまして、それを担保するこの法案が決められたということで、私も国土庁にかつておりましたが、これまで全国総合開発計画、新全総、三全総、それぞれの構想が出ましたが、それを担保する法案ができたのは今回が初めてでございまして、地方はこの多極分散法案に大変熱いまなざしをかけておりますので、どうかひとつ一日も早くこの法案を成立させていただきまして、実効ある地域活性化の対策を具体化していただきたいと思う次第でございます。  次に、法案について地域の視点から意見を申し上げさせていただきますと、特に地域振興については六条、七条、先ほどからお話がありますように振興拠点地域というのをこさえて、それを核に人口の定住を図るという考え方でございます。  まことに結構でございます。これまではテクノの法律、リゾート法、割に単一機能によるもので、テクノ法は先端技術集積、リゾートはレジャー産業中心とする地域開発ということでございますが、今回のこの法案では総合的な地方都市機能の充実ということで、こういう地域を決めて振興拠点にしようという考えは大変現実に沿った考え方であるように考えております。また、特に地域自主性を持たせる意味で、国と都道府県との間で促進協議会をつくっていただく、地方自主性振興を考えていくという考え方も大変私どもとしてはありがたく思っております。  強いて言いますと、大分県なら大分県で振興地域ができますと、今度は大分県の中で過疎と過密といいますか、またその問題が一つ出てきますので、そこはひとつ、過疎法なりいろんな法律で大変今まで過疎地域の力入れもしていただきましたので、今度はそれぞれの地域なりにまたバランスのとれた地域づくりの視点から、また違う法律でもって、違うやり方で支えていただかないと、全体のバランスがとれないという問題も一部あるように考えます。  特に、こういうことともに、五条で民間施設移転というのをうたっておりますが、これから地域活性化にはぜひ民間のいろんな企業の地方移転、または民間施設地方移転というものについても総合的な見地でやっていただかないと、国だけで、また地方行政機関だけでこれはできる問題ではございませんので、特に第五条につきましても積極的な対応をお願いいたしたいと思います。  それから次に、インターブロック構想、四全総で打ち出されまして、あの中の例示で、青函地域、青森、函館と、西瀬戸地域、広島、山口、福岡、大分、宮崎、高知、愛媛ということで、今こういう七県の西瀬戸経済圏知事会議というのもできておりますが、こういった地域連合によって東京一極集中に対抗するという、表現は悪いんですが、それに負けないように独自な経済圏をつくるということで我々も努力をいたしております。  そういった意味で、二十八条の交通体系の整備、また三十条の地域交流、また今田中会長さんも言われました地方分権、特に三十二条の公共事業の傾斜的な配分、この点については特にひとつ国土庁におかれても、また国会の先生方におかれても、公共事業地域配分について格段の御援助を賜りたいと考えております。  この機会に、この法律及び四全総全般について三点だけ御提言を申し上げ、いろいろと御助力を、また御指導も賜りたいのであります。  第一番目は、四全総またはこの法律を、先ほどのように絵にかいたもちにならない自信で実現させるためのチェック機関を、総理大臣直属のもとに、竹下総理もふるさと創生と言っておりますから、ふるさと創生懇談会、ふるさと懇などをつくりまして、四全総が、この法律にうたわれていないこともまたたくさんあります、例えば一日日帰り交通圏の制定でございますとか、都市と農村を結ぶネットワーキングとかいろいろなことが四全総にも書いてありますので、全部総合してこれが具体化をされていくように、ウオッチ・アンド・チェックする機関を総理のもとにつくって、その委員はなるべく地方に住んでいる人、もちろん東京の方も結構ですが、地域地域におる住民、中小企業、農家または地域の市町村長さん、こういった人を入れて地域の生の声を直接お聞きいただいて、そしてこの四全総が計画的に一年たってどこまで行った、二年たってどこまで行くかということをしないと、また何年かたつと地方分散地方定住という計画がまたあらわれることになるおそれもございますので、ぜひひとつそういうチェック機関をつくっていただきたい。  また、事務局は当然国土庁でございましょうから、各省庁関係するところもございますので、そういう方式をお願いしたい。  第二番目は、地方分散の問題でございます。  先ほどからお話がございますように一省庁移転なり展都なりいろいろございますが、権限が中央にある限り東京集中はなかなか終わらない。私も昭和五十年に知事になったころは月に一遍ぐらいの上京でございましたが、最近は月三回から四回、だんだん頻度がふえております。これはやはり公共事業が横ばいになると、大分県ばかりか、よその県が頑張ると自分の県は予算が減るものですから、これはみんなで一緒になって頑張らないと予算がとれないということで、だんだんそういうことで中央でいろいろ相談することが大変多い。恐らく、最近は本社機能も皆東京に来ていますから、民間の企業におかれても同じことでございましょう。  そんなことで、結局徹底した地方分権を行わない限り、首府を静岡に移そうと仙台に移そうと第二の東京ができるわけでございますから、四国や九州や北海道に人が来るわけはありませんから、我々にとってはかえって便利が悪い。一たん東京に行ってまた静岡まで行くなんということになるとかえってこれは便利が悪いわけでございますので、やはりこれは基本的にそこを考えないといけないのではないか。  例えばドイツのボンという首府は人口三十万であります。人間がふえていない。これはドイツは徹底した分権で、州あって国なしと言われるぐらい州政府の力が強い。日本は国あって県なしというか、我々は選挙でございますが戦争前の知事は内務省の方でございました。今は公選でございますけれども、三割自治ということでございますので、こういう体制をもっと徹底的に分権をしないと、首都をどこに移そうと、地方行政機関をどこに出そうと第二の東京ができる。また、一省庁機関でも、せいぜい首都圏の範囲内というようなことでございますので、もし分散をするとすれば大学を分散すること、頭脳の分散、大学の分散が一番大切であろうと私は思います。東京の真ん中に東京の大学がある必要があるか。一橋大学は神田から国立に移ったわけでございますから、もっと徹底してやれば、土地対策としても、広いキャンパスがある大学が一番に移転するのがいいと思っております。  そういう意味で地方分権ということを言うのでありますが、中央省庁では、地方権限を移すと統一性がとれない、都道府県知事によっていろいろ運用が変わることがある、また給与に回されて行政投資に回らないとかいろいろなことで、なかなか国が地方権限及び財源を譲渡していただけないのであります。  そこで、一遍にできないとすれば、まず霞が関の中央官庁の権限地方支分部局に移す。九州のことなら福岡で事が済む。先ほど石原先生は関東州の首都は大宮に置くと言われましたが、仙台は仙台、名古屋名古屋で事が済むように、地方支分部局、福岡にある財務局、通産局、そういったものを一つにして、今までは若い局長さんが多いもので我々は福岡に行くより東京に来る方が多いわけでございますから、そこに次官クラスの長官を置いて、もう九州の予算は全部そこで県知事と九州府の長官で相談して決めるというようなやり方をいたしまして、まずそれであれば中央官庁も権限を自分の地方支分部局に移すわけですから、かなり抵抗が少ない。その上でその後それから都道府県権限を移すのか、また道州制に行くのかは一つの選択肢であります。  そんなことで、現実的な対応としてはまずそういう地方機関に力を入れるというやり方も一つの方法でありましょうし、現在ECで行われている欧州議会、ECは一九九二年に統一市場になるわけでございますからその各国の議会の上にもう一つ議会をつくっておる、九州議会というのをこさえて各県から学識経験者が出て、九州府の民主的なコントロールをするというようなやり方も一つの考え方でございます。先ほど千葉の幕張メッセ東京の話を石原先生が言われましたが、最近は県と県との県際問題が大変多うございますので、ぜひともひとつその県と県との間をお互いが調整するための九州府なり九州議会的なもの、ECを模範としてそういうようなことも一つの手法ではないか、こう考えておる次第であります。  第三番目は、地域連合でありまして、東京は大きな磁石でございますので、東京大分県が対抗するのはとてもできません。大阪といえども今や地盤沈下ということでございますから、やっぱり地域が連合して一つ経済圏をこさえる。そして東京にないようなユニークな経済圏をつくっていくしか方法がないと私は考えております。  そのためには、インフラストラクチャーとして、特に循環系を持った交通体系でないと、例えば本州と四国に橋が三本かかった場合、むしろストロー現象でストローで水を飲むごとく四国の人口は本州に吸い上げられる可能性もあります。交通体系、通信体系というのはもろ刃の剣でございまして、ニューメディアで交通通信体系が整備されたらかえって情報が東京集中ということもあるわけでございますから、本州と四国に橋がかかった場合は、今度は四国と九州との間をトンネルで結んで、そして大分からまたミニ新幹線で小倉に出て岡山に行くというように、循環系の交通体系をこさえないといけません。東北で言えば東北縦貫道、東北新幹線ばかりではなくて、秋田と岩手県との間の交通体系。山陽と山陰との間、四国の縦貫、こういったように交通体系を循環系としてやるような体系をつくるとそこに一つの交通圏ができる、このように考えます。  我々は先ほど申しましたように西瀬戸経済圏知事会議というのをもう五年間やっておりまして、広島や山口や愛媛や高知や大分や宮崎の各県知事で、例えばコミューター航空というので大分—広島—松山で今小型飛行機を飛ばして、地方空港を結ぶ交通手段として人、物、情報の循環をやっております。まだまだ利用率は低いわけですが、そうやってこれから東京に頼らずに地域間の人、物、情報の交流を進めていく。また、その三地域で瀬戸内海、豊後水道の魚の放流について共同研究を行う。また、観光も共同でPR資料をつくるというようなことから始まっていろんな試みをいたしておりますが、そういう意味で青森と函館との経済圏、また関西経済圏、こういったことについてのインフラストラクチャーの整備について重点的な投入をぜひともお願いいたしたいと存ずる次第でございます。  以上三点を申し上げまして私の御意見にさせていただきます。  ありがとうございました。
  8. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ありがとうございました。  最後に、伊藤参考人にお願いいたします。
  9. 伊藤善市

    参考人伊藤善市君) このたびは多極分散型国土形成促進法案参考人として意見を述べる機会を与えられまして、大変ありがたく思います。  多極分散型の国土形成をやるということは、東京一極集中に対する一つの政策なのでありますけれども東京は第二次大戦後その膨張を抑えられながらも拡大の一途をたどってきたという事実がございます。しかし、この東京の膨張というのは戦後的現象ではないのでありまして、むしろ戦前において際立っておったわけです。  若干の数字を挙げます。今から百十年前の明治十三年の東京人口は九十六万です。それが二十年後の明治三十三年には百九十一万とほぼ倍増をしております。さらに二十年後の大正九年には三百七十万、ほぼ倍増です。それが昭和十五年になりますと七百四十万、これも倍増、きっちり倍増になっております。それが昭和二十年には戦争に負けまして三百四十万に減りました。しかし十年たった昭和三十年には八百万にふえ、現在およそ千二百万という数字になっておるのは御承知のとおりでございます。つまりこの数字は、戦前の東京というのは実は二十年ごとに倍増してきたという大変な増加のスピードでございますが、戦後の方は、ふえてはおりますけれども、そのふえ方は鈍化しているという事実がございます。  私ども人口の問題をもっぱら夜間人口中心に議論しがちなのでありますけれども、実際は東京の活動を支えておりますのは昼間の人口であり、さらに全国から人が集まってきて滞留して、そこで会議に参加したりあるいは東京見物をしたりいろんな催しに参加したりしまして、一時滞留人口としているわけですが、それはもっと多いのでございます。東京二十三区とニューヨークとでは大体夜間人口はほぼ同じでございます。ところが昼間の就業人口について見ますと、ニューヨークが三百万であるのに東京はその倍の六百万でございます。しかも、その六百万のうち二百万というのは二十三区以外から通勤しているわけでございまして、これは三多摩あるいは武蔵野市とか三鷹市でございますけれども、特に顕著なのは一都三県のうちの三県ですね。そこから通っておるし、最近では茨城県とかあるいは栃木県あたりからも一部通っている人がいる。この人たちが活動をしておって、これが東京の交通手段が極めて混雑の激しいものになっているということの一つの証明なんでございます。  ですから、こういう状況であり、しかも東京人口というのは確かにふえてはきているんですけれども、減った場合もある。大きく減ったときを見ますと、明治維新、関東大震災、第二次大戦、こういうふうに変革の時期ないしは不幸な時期、そういうときには人口は激減しておるのでありますけれども、その後十年もたたない間にたくましくまたよみがえってきている。したがって、不幸な事件を契機としないで幸せな時期にこれを分散するということはそう簡単ではないのでありまして、なぜかといいますと、人々は住宅は不十分とはいいながら、守るべきものをたくさん持ってきた。人間関係であるとか社会的地位であるとか、あるいはいろんな仕事であるとか、そういった守るべきものがたくさんあるのでそれはそう簡単ではない。だから、今回このような分散のための促進法案をつくって四全総を実のあるものにしようというのは極めて意義のあることでございまして、これが一日も早く成立することを望んでいるわけでございます。  今遷都論が新聞ではいろいろ騒がれておりますけれども、私は、これはもう非常に長く時間のかかる問題でありまして、思いつきとかあるいは我田引水型のコンクールといったような状況ではまだ実のあるものにはならない、時間をかけてそれは検討すべきだと思いますけれども、したがって今度の法律関係させて考えますと、やはり四全総で基本的に考えたあの方針に沿って段階を踏んでできるものからやっていくというのが望ましいと思います。  そこでは東京というのは、三全総までいろいろ東京の問題が考えられてはきましたけれども、専ら東京圏というのは過密地域である、過密の対策としてどういうふうに手を打つか、その問題から一全総、新全総、三全総と考えられてきた。ところが四全総におきましては、一体東京は何なのか。東京は一国の首都であるということは皆知っておるわけですけれども、最近時の変化は何かということについて、東京世界都市としての新たな機能が、前からありましたけれどもこの数年非常に顕著である。つまり、国際的な経済社会の中に占める東京の役割が増大をしたという国際的な変化というものが、あるいは構造変化というものが東京をこのように変えていったんだという認識のもとに、では東京をどうするかということが四全総で議論され、大げさに言えば、東京とはそもそも何かということが初めて問われたのでございます。  私は企画部会に所属しましていろいろ案をつくるときに参加したのでありまして、いろいろ吟味したのでありますけれども、そこでは、東京世界都市として今後も伸びていくだろうし、また伸びるべきである。ロンドン、ニューヨーク、東京、これは今三極でそれぞれ頑張っているわけでありますけれども、今後もさらに東京が果たすべき役割は大きいし、また期待されている。それならばよその都市から見て、よその都市と比べて遜色のないすぐれた機能で、みんなから歓迎されるようなそういう東京にしなければならないのではないか。  しかしそのことは、何でもかんでも全部東京に集めるということじゃないのであって、国際的機能であっても何も東京でひとり占めする必要はない。そこで三全総では大阪圏、名古屋圏というふうにそれぞれ考えまして、東京圏は国際金融、情報機能の面で世界の中枢都市一つだ、それをさらにリファインしていく。大阪圏は経済、文化、学術研究の面で国際的拠点に育てていく。名古屋圏は世界的な産業技術都市を目指してやっていくんだ。  これは今後もこの線でもって、国際的機能というものを東京圏だけじゃなしに大阪圏、名古屋圏で、あるいはもっと別の圏を含めてやるべきであるし、既に三全総のときには札幌とか仙台とか福岡とかそういうところにも国際的な規模のものを、研究機関であるとか文化機関を置くべきだということを言っているわけでありまして、そういうような形で国際的機能も必要なものは問題の性質に応じて分散をさせることが必要であります。  同時に、これまで日本列島は、第一国土軸ということで、東京から博多までおよそ千キロございますけれども、その線に沿って発展してきた。事実は北九州の方から順番に東進して、京都、大阪の時代というのはかなり王朝文化が長かったわけでありまして、その後江戸、東京となっているわけで、事実は西から順番に来たのでありますけれども、第二国土軸として東京から仙台を通って札幌に行きますとちょうどこれがまた一千キロであります。国土庁では新全総以来第一国土軸と第二国土軸という言葉を使いまして、第二国土軸のポテンシャルが大きいからそこでいろんな機能を分担してもらうという発想があったわけであります。  そういうわけで、例えば仙台は首都機能の一部を補う、あるいは首都機能の一部を代替する、そういうふうにして東京だけに余りにも荷重のかかったそれを軽減してやるということが必要ではないかという発想があるわけでありまして、四全総では、小委員会では重都という構想を出しているわけであります。つまり、東京から三十キロ圏内というのはすぐ近いわけですけれども東京六十キロ圏内あたりに業務核都市という構想がございますけれども、百キロ以上離れて三百キロ以内ぐらいのところにそれを展開させる。ですから、最近の言葉で言えば分都ということでありますが、分都の一形態としての重都、それを強調しているわけであります。  つまり、情報その他の東京一極集中に伴ういろんなプラス・マイナスがございますけれども、特に重要なのは、もし地震が来たらどうなるかということであります。現在、地震につきましては、いつ地震に見舞われても不思議でないそれだけの時間的なインターバルを経ておるわけでありまして、ナショナルセキュリティーをどうするかということが極めて重要だと思います。ですから四全総でも断っておりますし、今度の法案でもこの災害の防止ということにつきましては既に、二十一条ですか触れてはございますけれども、しかし、災害の被害拡大を防止するというそういうだけじゃなしに、これは起こる可能性が非常に高いのでありますから、そうなっても政治的な行政的な意思決定の機能が一日も渋滞しないように重都構想というものを考える必要があります。例えば第二国会議事堂というものを準備する。  例えば仙台なら仙台に準備をする。そして年一回はそこでもって国会を開きまして、言ってみれば大相撲の仙台場所というふうに考えればよろしいと思いますけれども、それでいざという場合にすぐできるようにふだんから訓練をしておく。そして、それを使わないときには地域で使えばよろしいわけでありますけれども、まずナショナルセキュリティーに備えるということが極めて重大だと思います。  東京がそういうふうに災害が起きても被害が拡大しないようにするというのはもちろん大事ですけれども東京には一千二百万住んでいる。一都三県には三千万以上住んでいる。この人たちに食べ物、それからエネルギーその他いろんなものをどうやって運ぶかということだけでも大変なことです。水と食べ物をどうするかということも大変でございますので、同時にそういった問題については重視して考える必要があるのであります。  この法案でも、交通体系の整備ということは重視しておりまして、二十八条から三十条までその問題がありますし、また鉄道宅地開発をどうやってドッキングさせるかということについても新しい、非常に力強い見解がございますので、これはぜひとも進めていただきたい。  明治の先輩たちは、日本がああいう非常に貧しいときに、一万二千キロという幹線交通体系のそのうち鉄道をやってしまったわけです。それは鉄道に投資をするのが有意義であり、みんなが一生懸命投資をしたからだということでもありますけれども、明治の先輩はああいう貧しいときに鉄道中心とする交通体系の整備を一万二千キロ以上やっちゃった。それから教育についても、あの貧しいときに海外から外国人を呼んで、当時一番月給が高いのは日本銀行の総裁だったそうですけれども、それよりももっと高い条件で呼んで、しかもいろんな人たちを海外に留学生として出して、交通と教育を開発の戦略として使った。このことは今日のような情報社会において、また高度情報化社会におきましては同じような意味において重要なんで、そういうものをどういうふうにして分散に使うかということを考えるべきであります。  交通体系の整備が進んでいないところは交通体系を便利にする。先ほど平松さんがおっしゃったように逆流効果を受けることもございますけれども、しかし、なければ、じゃ逆流効果を受けないか。なければ、気がついたときにはじり貧でもうどうしようもないというのがこれまでの開発経験でございます。衆議院議員の定数是正があって七つ減ったわけでありますけれども、どこが減ったかといいますと、秋田二区、山形二区、新潟二区、四区、石川二区、これは能登半島ですね、それから兵庫五区、鹿児島三区、こういうふうでありまして、そこは全部新幹線も高速道路もそれからジェット空港もないという、高速交通体系がないところがそうなっているわけであります。高速交通体系をつくればどうなるか。例えば東北地方というのは人口は全国で一割であって面積は二割で米は三割で出稼ぎは六割なんて言われますけれども、しかし先端技術産業立地件数が過去五年間で三三%であります。  なぜか。これは東北新幹線、東北縦貫高速道路、それからジェット空港等々の整備、あるいは今後さらに整備されるであろうという予測、そういうことが一つの大きな原因になっておるのであります。したがって、四全総では今世紀末までに一千兆円ぐらいできるんだということがございますけれども、交通体系を整備してあと細かい問題は各地域地域の自主的なそういう部分に任せればいいのでありまして、細かいところまで補助金でもってやるのは私は賛成できない。補助金というのはもろ刃の剣でありまして、麻薬的なものにもなりがちでありますし、補助金をめぐるスキャンダルということもあります。私は、平松知事さんが一村一品運動で補助金を出さない、金の切れ目が縁の切れ目になるのはだめである、やる気があるところは自助努力でやってくれ、そのかわりマーケティングは頑張りますという、そういう自助努力の精神に拍車をかけるような金の使い方が望ましいと思うのであります。  いずれにいたしましても、災害は忘れたころにやってくるのでありまして、そういう問題も考えて分散ということを強調していただきたい、これが私の申し上げたい点であります。  どうもありがとうございました。
  10. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑に移ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 志苫裕

    志苫裕君 各先生方、大変有益な御意見をありがとうございました。社会党の志苫です。いろいろと伺った御意見、今整理をしているんですが。  まず石原参考人にお伺いしたいんですが、この委員会は実は最近の特に東京あるいはその周辺地価高騰、これに対応して地価問題、土地問題、これをどうしようかということで設けられた委員会ですから、物の考え方というのはどちらかというとそちらに重点が移るわけです。たまたまこの法案を扱っておりますが、これはそういうストレートな地価問題、土地問題というものよりはもう少し視野の広い、地価問題を考えると少し迂遠な地価対策というようなもののように感ずるんですが、ちょうど先生は土地臨調のあれもおやりになっているので……。しかし国民は、この法案四全総実施法案であると同時に、今自分が困っておる土地問題、地価問題に何か少しは御利益があるんじゃないかなと、こういう思いを寄せていると思うんです。そういう目で見て、今東京に居住水準をもっとよくしたいな、新しい住居を欲しいな、こういう人はたくさんおるわけで、そういう人の立場から見るとこの法案にどのような実効性があるかという点でちょっとコメントをいただければありがたいということが一つ。  それから、これは伊藤先生も含めて両者にお答えいただければありがたいんですが、四全総に至るまでには一、二、三とこう順序があったわけでありまして、日本がそれなりの成長を遂げて本格的な国土形成の総合開発計画ができるわけですが、昭和三十年代の後半から今日まで一貫をして総合開発計画にうたわれておるのは、産業人口分散ということをうたっているわけですね、そのときどきの背景がございますけれども。だけれども人口の面でそれを眺めてみますと、五十年代の前半のころに地方の方から見ると少し戻り現象が見られますけれども、しかし一貫してやっぱりそれは、計画にもかかわらず集中であった。これは基本的に何が原因であったのか。もしそうだとすると、一から三まで分散ということを命題にうたった総合開発計画は御利益がなかったことになるわけでありまして、そういう点をまずどのようにとらえておけばいいのか。実は経済の法則とか資本の論理とか、それが国際的な規模で動く。そんなものに、しょせんはその辺の役人や地方自治体の長やそんなものの力では及びもつかぬのだということなのかどうなのか。ちょっとその辺をお伺いできればと、こう思います。
  12. 石原舜介

    参考人石原舜介君) それでは、私がまず第一の質問にお答えいたします。  土地対策の側面からこの法案をどうかということでございますが、土地対策というのは、大きく分けて三つの側面があろうかというふうに考えております。第一は、需要の抑止を積極的に進めること。第二は、供給の促進を図ること。第三は、市場の環境を整備すること。こういうふうに、土地対策には大きく三つの側面があろうかと思います。  本法案は、そういう点から考えますと、第一の側面が非常に強く打ち出されている内容ではないかというふうに思っております。特に、東京を初めといたします地価高騰の現在の姿は、単に人口の抑止というふうな集中抑制を図るというふうなことをいたしましても、その原因でございますその業務機能、こういうものの再編成を進めなければこういう需要抑止にはつながらないだろうというふうなことから、東京世界都市としての機能は保有しながらも、国内的なサービス機能というものはできるだけ分散化していく、こういうような側面で、私はこの法案というものは非常に有効な手段であるというふうに考えております。しかも、一番難しい問題にチャレンジしているものではないかというふうに考えております。  供給側面に関しましては、これは鉄道を伴う宅地供給という非常に重要な方策を提言いたしておりまして、これは、細かい内容につきましては各担当の省庁で今後整備される法律ができると思いますけれども、それに先駆けまして一応の方向性を示唆したという点で私は評価しているわけでございます。  特に、先ほども申しましたように、千葉ニュータウンなどの開発を考えましても、鉄道都心との関連性が薄いというふうなことでございますと、せっかく開発いたしましてもそこへ住む方がなかなかおられないというふうなことで、ちょうど鉄道のできない時期に何かあそこにせっかく住宅都市整備公団で若干の工事をしましたけれども、そういう工事途中で放棄して、しばらく需要の喚起を待つというような状態になりましたことは御承知のとおりだと思います。  そういうようなことから、特に都心との関連性のある鉄道というふうなことがやはり重要だというふうに思いますのでそれで先ほど若干意見を述べさせていただいたわけでございますが、供給面はいろんな側面がございまして、こういうことばかりじゃなくて数多くの問題がございます。例えば現在我々が考えている内容にしましても、長期営農継続農地に対します措置だとか、いろいろ供給促進策のための問題、あるいは保有税の問題等いろいろございますけれども、そういう中で、フィジカル的に供給の強化を図る主要なものとして一つ例題的に出ていると、私はそういう解釈をいたしております。  三番目の市場の環境ということになりますとこれはまた別問題でございますので、今回の法律はそういう意味では、土地対策上は主要な需要抑止、それと供給の一つ方式の提言というものが含まれている、こういうふうに解釈いたしております。
  13. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと済みません、先生。総合開発計画の歴史、評価。
  14. 石原舜介

    参考人石原舜介君) これは、抑止策自体に関しまして私が感じておりますのは、例えば首都改造計画を立てましたときに、この東京一極集中ということを仮に、そのときは四全総では東京圏人口昭和七十五年には三千三百十万というふうな予測をしておりますが、当時我々は三千四百五十万ぐらいになるだろうというふうにトレンドで予測しましたので、若干多目に予測しておりました。  そのときに、これらの雇用人口東京区部の方に就業先を求めたときには、そこから一時間半ぐらいの圏域の中で、空中写真ですべての空き地を拾いましても約六万ヘクタール程度しか空き地がないわけです、大体一時間半圏内は。それで、実際四百五十万人のふえるものに大体どのぐらいの宅地が必要かというふうなことを考えますと、約八万ヘクタールほどの土地が必要でございます。そうしますと、これを業務核都市に雇用の場を若干移しながらやっていくと、そこから一時間圏で供給できる宅地の総量というものは約十一万ヘクタールあるわけです。  ですから、こういうふうな業務核都市育成を図ってそして雇用の場を分散化していくということは、結局は宅地供給を円滑に進めますし、またそういう需要を十分賄っていけるだけの下地ができる。だから、これは分散ということのほかに、東京圏内業務核都市がなぜ必要かということの一つの尺度としてもそういう側面がございます。そういうことが今回の法律の中でうたわれておりますので、こういうことが積極的に進みますと、私は需要抑制といいますか、そういう職場の分散化ということによりまして供給面におけるある効果が期待できる。  そしてまた、鉄道の問題は、これは非常に時間のかかる問題でございますけれども、しかしこれはぜひやらなければいけない一つ方向性だというふうなことで、応急的な措置というわけにはまいりませんけれども、しかし長期的に考えますとこういう施策というものはぜひ必要なもので、効果ある措置になるのではないかというふうなことで評価しているわけでございます。
  15. 伊藤善市

    参考人伊藤善市君) 結論を先に申しますと、人間というのは職場に通勤できないところには定住しない、それから、人間というものは選択の自由のないところには定住しないという、そういう経験的な事実がございます。  戦後、経済成長がずっと続きまして所得がどんどん上がりました。所得が上がったということはその人の所得を稼ぐ職場がふえていったわけでありまして、地方都市圏と比べますと、都市にはいろんな職場ができていったわけであります。したがって、職場が農村におきましては農業しかなかったというところに比べますと、都会の場合には自分の経験なり才能なり能力なり、希望に合った職場のバラエティーがありますので、その職場を選択の自由を求めて移っていったということがございます。  さらに今度は、年々歳々月給が上がっていったわけでありますから、いろんなものを買うわけなんですけれども、貧しいときはエンゲル係数が高くて、豊かになればエンゲル係数が下がります。貧しいときは食べ物だけで追われておったんだけれども、現在はエンゲル係数よりも雑費係数の方がずっと高くなっているわけです。雑費の内訳は何かというと、教育費であるとかあるいは情報であるとか、レジャー、レクリエーション、医療、その他人間のサービスにかかわるもの。したがって、そのサービスにかかわるものを売っているところはどこかというと、例えばテレビとか新聞の会社はどこにあるか、これは全部県庁所在地以上でございます。  出版もそうです。あるいは、ある一定の規模以上の総合病院はどうかというと、人口十万以上ぐらいいないと全部のいろんな科がそろわないということでございまして、人々が豊かになって食べることから解放されて、着る物から、あるいは家具から、さらにサービス関係についてのレベルの高いものを求めるようになってきますと、そういうレベルの需要に対して、それにこたえてどこでそれを供給するかというと、一定の規模以上の都市、例えば県庁所在地以上ということになりまして、我々が豊かになったために都市に人々が集まってきたという、そういう事実がございます。  つまり、今後でも所得が上がっていく限りにおいてはその潜在的エネルギーが強いと見なければなりません。  二番目、教育です。教育水準が高まっていけば、それは個人のレベルで非常に愉快なことですけれども、それは変化に対する適応能力が高まるということなんです。これは何も学校教育だけじゃありませんけれども、例えば学校教育だけに限定しましても教育経験のキャリアの長い人は、きのうまで東京で営業の仕事をやっておった、あしたから鹿児島に行って会計の仕事をやりなさいと。初めは戸惑いますけれども、なじんでいくわけです。  戦後、大学の進学率もうんと高まったものですから、人々は外国へでもどこへでも知らないところに行って、それで三年なり半年なり一年なりたっている間に、その風習とか言葉とかみんな覚えて、変化に対する適応能力が高まっていくのであります。したがって、今まではよそへ出かけていくということは、まさに外国に行って、見知らぬところに行くという感じだったのが、みんな平気でもってどこへでも出かけていく、よりよいところに選択して出かけていく、こういうことであります。  三番目は、交通通信体系の整備が進めば進むほど人々は都市に集まってくる。特に交通体系は、説明は要らないと思いますけれども、電話の即時化というのが大変人々の距離に対する感じを変えていったわけです。昔は伝達するのに手紙でもって、返事が来るのも何日かわからないということで、非常に遠いところにおったわけですけれども、今日では外国でも即時で、電話の番号を並べますと、ダイヤルを回しますとつながってしまいます。ですから、意識の面での距離はうんと縮まっているわけなんでありまして、それで平気でどこへでも出かける。昔はそうでなかったのがそうなった。  さらに、戦後の民主化が進みまして、所得が上がっただけじゃなくて職業世襲観がどんどん切り崩された。あるいは、労働力の問題でも最近では売り手市場になりまして、昔は地域人間を選んだけれども最近では人間地域を選ぶという、職場を選ぶというそんなふうになってまいりました。そして都市というものは一定の規模にまで行きますと、集積の利益とかあるいは接触の利益とか匿名性の利益とか、そういった経済的以外の利益、これは自由選択の余地が広がったということの裏返しでありますけれども、そうなっていくわけです。  したがって、この分散というようなことを考えた場合に、私は基本的には職場が、やる気のある若い人々の欲求を満たすようなバラエティーのあるそういう職場がどれだけあるかということが極めて大事であって、いろんな文化的な施設の音楽堂とか図書館とかそういったものも大事ですけれども、まず大事なのはバラエティーのある働きがいのある職場というものを用意することであって、逆に言えば、企業がそこに喜び勇んで行きたくなるようなそういう受け皿の方の整備、そういう磁石といいましょうか、そういうものをそろえることがまず基本的に大事である。あとはある規模まで行けばおのずから各個人個人の生活の仕方というものは本人が考えるわけでありますから、私はまず戦略としては職場をそろえる、それでそこまでの間の交通体系を整備していろんなところへ自由に出かけられ得るという、そういうふうにするのが大事じゃないかと、こんなふうに思います。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 伊藤先生、ちょっと今のに続けますが、一全総から四全総まで分散を言いながら集中に終わった、なぜ都市へ集まるのかというのはこうこうこういう理由であるというお話があったんですね。今、先生の所説に従いますと、四全総というのは先生の言うさまざまな条件をあの中にいわば盛り込んでいるといいますか、満たしているんですか。
  17. 伊藤善市

    参考人伊藤善市君) その中で一番今度の四全総の特徴の一つは、交流ネットワーク構想と言っておりますように、日本人がどこに住んでも、人口三万ないし五万ぐらいのそういう都市以上に住む人々の圧倒的部分、つまり八割五分から九割ぐらいの人々が重立った都市に日帰りでもって往復できるという、そういう交通のネットワークをつくろうという構想でございます。  新幹線、高速道路、大型空港というのは、もう新全総のときから強調されておりまして、三全総でもそれを受け継いでおりますけれども四全総ではそれでもなおカバーできないところは、コミューター空港ですね、四十ないし五十ぐらいつくろうという。この航空のネットワークを整備しようというのを重点的に考えているということは四全総の重要な提言だと思いますし、それから地方振興ということにつきましてはずっとやってきたわけなんで、今おっしゃるとおりでありますけれども、ただ、にもかかわらず、分散がうまくいかなかったという評価が、そう言い切れるかどうかも私問題があると思うんです。  例えば北海道なら北海道を見ましても、札幌というのは物すごくふえているわけです。もう百万を超えちゃったわけですね。北海道というのは明治の初めは人口五万ぐらいしかいなかったわけですけれども、今日はもう六百万ぐらいいるわけなんで、百年の間にそうなってきたわけです。しかしながら、北海道を見ますと、小樽から札幌を経て苫小牧、室蘭に至る道央地域にずっと並んでおりますですね。つまり、道央メガロポリスと呼んでいますけれども、そういうふうに集まってきて、そのほかに旭川とか、帯広とか、釧路とか、そういう都市にやっぱり集まってきている。それは着実にふえてきておるわけです。ですからそれ以外の、三大都市圏以外のところ、地方圏におきましても県庁所在地あるいはナンバーツー、ナンバースリー都市あたりは全部人口がふえておりますけれども、それ以外のところは減っている。  そういうわけでありまして、したがってわらじの時代でなくてマイカーの時代なんでありますから、夜間人口人口としては減っておっても、実際の昼間の活動、学校への通学とか通勤とか、幾つかのことを見ましても、人々は狭い行政区画だけでもって自己完結していないのでありまして、もっと広い地域で、つまり今日で言う定住圏ぐらいの広さの中でもって日常の生活はやっているわけなんであります。  ですから、都市がふえて地方が減ったということの説明は、夜の人口の動きと昼の人口の動きと、それから狭い行政区画だけにとらわれないで、人々は自分の住んでいる町は人口が減っても、実際活動は最寄りの中堅都市でもってショッピングをしたり映画を見たりいろいろできるんだし、学校も自分の村にはないけれども、県庁所在地にある総合大学には三十分で行けるという、そういう形で便益を得ているんです。その便益が得られれば村の人口は減ってもそれほどですね、昔とは違うと思うんです。ですから、交通体系を便利にすれば、そういう便益を広い広域的な形でもって利用できる、こんなふうに思うわけでございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 質問者には割り当て時間がありますので、恐れ入りますが少し御簡潔にいただければいいんですが。ありがとうございました。  ちょっと私も全体の見方が足りないのかもしれませんが、業務核都市構想などを見ていますと、とにかく二十三区の中からどんどん外へ行ってもらうと。ただ、そうしている中でふっと気がつきましたのは、二十三区に人が住めるのか住めないのかですね。こういう観点が余りないんです。  ということは、例えばこれから振興拠点地域どもいろいろやっていくわけですが、それも余り人を考えないで、さまざまですね。あの施設、この施設、この便益、あの便益となるでしょう。振興拠点地域には人間が邪魔だから隣へ行ってもらおうかと、そういうふうなことにつながらぬとも限らない。そこに人が住むという発想が余りないんじゃないかなと。二十三区の中にたくさん人がいるわけでありましてね、そういう点ちょっと懸念を感ずるんです。  そのことは別にしまして、平松さん、大変ユニークないろんな活動をなさっていることに敬意を表しますが、この拠点振興というのは総合力の発揮だというお話がございました。私この総合開発計画の推移を見ますと、役所が本当にすべての部署がみんな同じくそういう総合力を発揮したかというと、依然縄張りもあり、縦割りもあり、予算の分捕りもあり、そういうものの名前はつけるが脈絡なくやっておる。総合力の発揮というのがなかったんじゃないか。  いい例ですけれども、新全総が出ると田中さんが列島改造をやった。どういう関係があったのか知りませんがね。三全総が出ると大平さんが田園都市だと、こうやった。四全総が出てきたらふるさとだと、こうやるわけでしょう。そういう首相のアイデアというようなものは、そうしますと役所は、いやおれが今までやっていたのが実はそれなんだと適当な理由をつけて予算の確保競争に走る。これは役所の弊害なんです。総合力の発揮というふうなものを期待する場合に、先ほど権限云々もありましたが、実は縦割りも邪魔だ、縄張りも邪魔だという問題に必ずぶつかるんで、あなたも役人の経験があられるようですが、ここのところを実はまとめてしまうということは大変なことなんですね。  それで、今度のいろいろな説明なんかを聞いておりますと、今度はことごとく中央は何も言わないんだ、全部地方が考えて地方がやって、地方分権だというふうに言うんですが、しかし権限や何かは、訓示規定はあるけれども、担保するものは何もないという状況で、総合力の発揮が果たしてできるだろうか。  もう一つは、田中参考人が道州制論に触れられました。一つの県に管轄の違う役所が幾つもあるとか、それは不便きわまりないことはわかりますが、道州制論というようなものにちょっと触れて広域の話が出ました。それに対して平松さんからは地域連合という、この場合の若干の発想の違いは、私は地域というものをエリアと見るかコミュニティーと見るかというそこの違いにあるんじゃないかという感じがしたもので、ちょっとその辺の点に触れてもらえればありがたいのですが。
  19. 平松守彦

    参考人平松守彦君) 最初の問題でございますが、通産省はテクノポリスまたリゾート構想というように、やっぱり各省になるとそれぞれの所管で地域開発を考えますので、これまではそういう縦割りによる地域開発法律もたくさんございました。また、一次産業の次が二次産業、最近はまた三次産業というふうに段階を追って産業は移動するように考えますが、地方ですと農業もあるし、それから工業もあるしサービス業もあるわけで、東京都内みたいに全部サービス業というわけにこれはいきません。  したがって、農業の情報化、農業の近代化、また工業の情報化、近代化、それからそれに必要なサービス業というような、それが混然一体となって重層化しておりますから、やはりこれを今度の法律もねらって総合的な振興拠点開発を考えておるということで、私も大変賛意を表しておるので、当然ながら各省庁の縦割りのいろんな施策がまた入ってまいりますから、そこは都道府県が自分たちが主体性を持って要るべきものをとるし、そこの総合調整は我々のところでうまく総合調整をやったらいいんじゃないか、そこは知恵比べということで、そのためにこの協議会もできているわけですから、協議会で各省庁方々都道府県知事や市町村長が申し上げて、地域に一番役立つような形で各省庁の政策手段を適当に使う、こういうようにひっくり返さないと、皆お上の言うとおりにやっていると、地域に行ってみると全部ばらばらなものになるということになりますので、そこは我々が逆に主体性を持ってやらしていただく、こう考えております。  それから、道州制で一番問題は、今おっしゃるようにコミュニティーということでございますから、今までの道州制また地方庁構想というのは、中央の官庁が地方をやっていく上で今の都道府県よりももっと広いものでやった方がいいんじゃないかという上からの考え方ですが、やはり我々は地域地域のコミュニティーを大切にして、それの広域圏として県があるわけですから、その県も水の問題とか総合交通体系とか経済圏になると県と県を調整する問題ができますから、そこは我々の方から役に立つ範囲でお互いが地域連合をやっていけばいいんで、やっぱり基本はコミュニティーではないか、こう私は考えております。
  20. 田中精一

    参考人田中精一君) 先ほど道州制のことに触れましたんですが、中経連、随分前の井上さんのときに三県合併ということを実際に打ち出しまして、これは先ほどもちょっと申し上げましたように非常に歴史は古いんですけれども昭和三十八年の四月にそういう構想が参議院に諮られました。昭和四十一年に閣議決定されて国会に上程されております。ところが、四十四年の七月にいろいろと大学法案その他で一緒に廃案になったという経緯がございます。  その後永野さん、昔の日商会頭なんかが三県合併とかいうんでなくて、道州制がいいんじゃないかというようなことをおっしゃったことがございますので、実は我々といたしましても道州制がいいか、あるいは地方庁的なことがいいかというようなことにつきましては、そう早々に簡単には結論は出せませんけれども、現在の日本といたしまして中部なんかをいろいろ考えますと、水の問題一つにいたしましても現存の県の単位ではなかなか解決が難しい問題がございますので、もう少し広い意味におきましての地方庁的なものがあってもいいんじゃないか、何かそういったようなお考えを、できれば特別委員会なんかをつくっていただいてもう少し検討していただいても価値があるんじゃないか、こう思っておりますので、ちょっと御案内させていただきます。
  21. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 自民党の斎藤文夫でございます。  先ほどは四参考人から大変貴重なお話を拝聴させていただきまして、得るところ大なるものがございました。いろいろな問題について各般にわたりお尋ねを申し上げたいと存じますが、時間の制約もございますので、意の足らざるところはお酌み取りをいただき、またできる限り簡潔な御示唆を賜れればありがたい、このように存じております。  それではまず最初に、石原参考人にお尋ねをさせていただきます。  御承知のように、一月二十二日の閣議の決定に基づきまして、国の行政機関地方移転がいよいよ進められると地方も大変期待をいたしておりますが、同時に、この東京の過密集中を緩和して地方振興に資する移転となりますと、相当大規模行政機関分散が行われなければならないと思っております。ましてや、法の趣旨とするところの民間部門の移転まで促進をするというような影響を与えるというような機関となりますと、東京にあってもなくてもいいよというような機関地方移転ではとてものこと期待する効果は上げられないだろうと、こう考えられるところでございます。先ほど来お話がございましたが、展都あるいは分都、重都、いろいろ今論議がされておるところでありますが、いずれにしても相当大規模分散が要求されていると思いますけれども、現実にはなかなかそれを受ける各省庁、いわばいささかへっぴり腰というような感なきにしもあらずと思っております。  そこで、移転する機関あるいはまた移転する先等に対する基準というようなもの、その選択をする基準というようなものを決めていかないと現実に大きな移転というものは難しいんじゃないか、こう考えておりますので、ぜひ率直な御意見をお聞かせいただきたい。  また同時に、東京から移転をしていく、例えば防衛庁は六本木のすばらしい場所にございまして、あれは民間サイドで計算をすれば一坪一億とか、いろいろな案も出てくるようなすごい土地でありますけれども移転をしていった跡地利用というものは一体どうなるんだろう。うっかり民間払い下げというような手段、方法を講じますればまた狂乱地価を招きかねないとか、また同時に、再び集中をするような蓄積のものをつくるのではこれまた意味がない。しかし、公園が足りないからといって、坪大変な土地にただ緑を植えていいのかと、こういう問題もあるわけでございまして、跡地を一体どうするかというような問題についてのやはり基準、尺度、こういうものを今後定めるべきだろうと思っておりますが、いかがお考えになっておりますか。  それから、これは全く話が変わるわけでありますが、もう一つお尋ねをいたします。  戦後の国土形成にかかわる計画をずっと見てみますと、御案内のように、昭和三十七年の最初の全国総合開発計画、この特色は地域格差の是正による拠点開発構想だった。昭和四十四年の新全総は大規模プロジェクトの開発構想、そして五十二年の三全総は定住構想、今回、昭和六十二年の四全総は今世紀までの計画でありますが、多極分散型交通ネットワーク構想。こういうように、その時代時代の背景に対応してこれだけの構想が練られ、そしてその実践に向けて努力をしてきた。今回は特にその四全総の裏づけとなる法案が本国会にかかっておるわけでありますけれども、今世紀の国土づくりの特にこの四全総についての指針となりましたのは、国際化、情報化あるいはハイテク化、高齢化と、こういうのがキーワードであったと思うんです。  そして集中から分散交流、こういうコンセプトからいろいろ論議がなされてきた。次の世代、言うなら、いささか予見にわたって恐縮でありますけれども、五全総、といってもそういう国家大計の計画はもう二十一世紀がすぐそこへ来ておるわけでありますから、ちょっとお尋ねをしたいと思いますが、二十一世紀の国土創造の一体キーワード、コンセプトはどういうものになるのかな、ひとつお考えがありましたらまずお聞かせをいただきたい。
  22. 石原舜介

    参考人石原舜介君) それではまず第一点の大規模行政機関移転でございますが、これに関しましては、非常に恐縮でございますが、我々首都改造計画のときの経験で若干お話し申し上げますと、そのときにいろいろ検討いたしまして、遷都の場合にどのぐらいの人口規模になるかということで、約六十万人程度規模になるのではないか。このときにいろいろ民間の企業に対しましてアンケートをいたしまして、行政機関移転したときに一体あなた方の企業はどういう反応をするか。いわゆる出張所を持っていくのか、あるいは本当に本社を移すのかどうなのかというふうなアンケートをいたしましたところ、案外実は本社を移すとか、そういう要請が非常に少なかったんです。  それで当時、まだ今日のような行政と企業との密着性といいますか、そういうものの国際間におきます進展が余りなかったということもあろうかと思いますが、実は経済同友会でそういうふうな話をいたしましたときに、数字が余り小さいんじゃないか、我々大阪から来ている企業家は行政と常に一体化していないとまずいのだ、そういうふうな話がありまして、我々が予測した数字が大阪等から東京へ本社を移した企業にとっては非常に数字が小さいというふうなことが考えられますと、やはりこれは行政を移すということは我々が想像する以上に相当大革命的なことになるんじゃないかというふうに思います。  そうなりますと、基準をどうやって決めるかというふうなことが非常に難しいわけでございますが、当時いろいろ候補地の選定に当たりまして、いろいろな理由で基準値をつくりました。そして、どういうところが候補地になるかということで、そのときに東京というふうなものの既存的な集積はやはり相当大きな力があるだろうというふうなことから、東京へのアクセスの容易性だとか、あるいは健康的な場所であるかとか、あるいは災害の前歴があるかどうかとか、いろんな側面で調査をいたしまして、そして候補地的な選び方を若干してみたわけでございます。  しかし、こういう基準をつくりましても、なかなかこういう基準だけで事は済まない。そういうこともございまして、結局は発表を伏せたわけでございます。結局、そういうふうなことを考えましたときに、今までの各国の遷都だとかという大規模移転の場合には、必ず行政的な革命がある。だから、当然のことながら、先ほどから出ておりますように、道州制を初めとします行政の組織の変化を伴わない限り、こういうような遷都というものは論じられないだろうというふうなことを考えまして、そういう点から、大規模移転ということは行政そのもののあり方を検討した上でないとうかつには乗れないというふうなことで、これは一応我々はそういうふうなことで、選択基準といいましても、その選択の基準はあくまでも行政機構だというふうなことになったわけであります。  それから次に、筑波へ研究所が移転いたしました跡地の利用を見ますと、公園その他へ地方自治体は使いたいという要請が非常に高うございまして、実際はこの用地の売却によりまして片側の方の建設資金の調達を図ろうというふうな仕組みが必ずしも十分達成できなかったことは御承知のとおりでございます。  今回我々土地臨調におきましては、特に国公有地に関しましてはできるだけ住宅を積極的につくるようにひとつしてもらいたい。今のような形でただ民間に譲渡いたしまして、そして業務機能なんかがそこへたくさん、事務所ビルがたくさん建ちますと、おっしゃるようにかえって東京への集中を促進するようなことにもなりかねない。だからできるだけ跡地はそういうことで住宅建設するようにお願いしたいというふうなことで、東京都あたりは初め十三号埋立地などは四万七千とかというふうなものがだんだんふえてきまして、現在は六万とかというふうに夜間人口をふやしておりますが、なお私どもはまだ足りないというふうなことで、もっと積極的に住宅をふやすようなことをして、都心に住居を与えるような政策をとるべきだというふうなことを提言いたしておりまして、これは民間に任せたのではどうにもやはり採算性の問題から住宅は建ちませんので、できるだけ公共の手でそういう促進策を図っていただきたいということを要望している次第でございます。  それから、戦後今日までそれぞれの時代に対応しながら全総がつくられまして、確かに最初の新産都市中心とします拠点開発方式、この三十七年の全総、そして新全総は、これはちょうどこのころから公害問題というのが非常にうるさくなるとともに、装置産業と申しますか、こういうものの需要がやや停滞してきた時期にも当たりまして、初期に考えました大規模プロジェクトというものが必ずしも日の目を見なかったというふうなことで、これはちょっと時期を読み違えたというか、そういうふうな感じがいたします。そして、そういうことから人口の移動が少なくなったということで、割合定住的な傾向じゃないかと。これはオイルショック後の状態でございまして、実はそのときに地方におきましても産業的な構造変化というものが逐次行われつつあったわけでございまして、それで、その後実は東京への一極集中ということが非常に大きくなってまいって、今回の四全総につながってきたわけでございます。  それではこれが将来どうなるかというのは、これはもう、ちょっと神様の身じゃないのですから将来のことはわかりませんけれども、一応の前提としまして、行われてきているものが生産から次には総合的な管理体系というふうな形に進んでまいりましたので、次の国土建設というのは、いわばこれはアメニティーとかそういうようなことを中心としまして、我々が住まう、いわゆる生きる喜びを感ずるような本当の意味の国土というふうなことで、大変アメニティーに傾斜した建設ということが考えられるのじゃないかというふうに考えております。
  23. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 ありがとうございました。  次は、伊藤参考人にお尋ねを申し上げます。  先ほど御意見を拝聴しておりましても、東京のいろいろな問題を御指摘いただいたわけであります。一極集中、御承知のように、狂乱物価あるいは住居環境を悪化させる、また慢性的な交通渋滞、さらには御指摘の災害リスクの増大、こういうような点がますます増幅されてくる状況でありますから、言葉は適切かどうかわかりませんが、言うならば病める大東京というようなことも言えるわけであります。  そこで、この多極分散型国土形成をしよう、こういうことになるわけでありますが、そういう中において東京の果たす今日的な役割というのはこれは何人も否定できない。御指摘がございましたように、さらにこれから世界都市東京として世界からいろいろなものが集中してくるであろう。一方では、国内では分散をしよう、国際的には集中してくる。この二律背反といいましょうか、調整というものを一体どういうふうにしたらいいんだろうと私は常に悩んでおるところでございます。お教えをいただければありがたいと思っておるところでございます。  それと同時に、現実にコスモポリタン東京の改造計画というのはどうやっていったらいいのかな。その相矛盾するありとあらゆる都市的要因というものを病める東京が抱えながら、それでいてまた力強く前進するエネルギーというものが内在しているわけでありますから、この辺の大東京論というものに私どもは常に錯誤しながら苦労をさせられるところであります。何か名医として処方せんでもおありになればお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 伊藤善市

    参考人伊藤善市君) 今いみじくもおっしゃったように、国際的機能というものが集中集積をし、国内的機能分散させたいという二律背反で悩んでいらっしゃるというこの点は、こういった問題を考えている人たちは皆同じだと思いますね。ただ問題は、東京の新しい機能として、先ほど申し上げましたように国際的機能というのが非常にふえてきたわけであります。  これは実は、歴史の振り返りをちょっとやりますと、十六世紀から十七世紀にかけてはオランダの時代がありました。アムステルダム、あそこに一番初めに株式取引所ができましたけれども、やはり世界の貿易の中心地でございまして、シーポートで栄えたわけです。金融機関であるとか商社であるとか情報機能というものが集まって、非常に栄えた。イギリスがそれを見て、我が方もそれでやりたいというわけで、ロンドンがそれを模範にしてやって、それでその後大西洋時代になりますけれども、ロンドンの時代が長かったわけです。シティーを中心にでき上がったと。そのときもやはり同じように金融機能、情報機能等々ですね。その次に今度は第二次大戦が終わってからニューヨークの時代になりまして、ちょうど今、日本とニューヨークが十三時間の時差で、両方の情報を握っていれば世界が皆わかるという状態でございまして、ロンドンの地位は少し下がりましたですね。  そこで私は、やはり国際的機能というものは積極的に取り入れるべきである。そしてニューヨークと並んで負けないだけの力をつけなゃやならないんで、このときに情報で勝負する政策官庁としての大事な機能が思いつきで一律に今度は分散なんかしましたら、農産物の自由化一本をとったって通産省と農水省と大蔵省と外務省と全部集まって知恵を絞らなきゃならない段階でございますから、そういったものは積極的に集めてレベルを高めるべきだと。ですから、シーポート、エアポート、テレポートというその文脈で考えますと、そういったものでよその国際的都市に負けないだけのストックをつくるべきだというふうに思います。  逆に、東京になくてもいいもの、これは実は今まで既に工業等制限法で、工場を新しくつくらせない、学校の学部、学科の増設もさせないということ、これは私はかなり効いていると思います。学部、学科の増設は余りやっておりませんし、工業活動は東京はずっと下がってきているわけですね。そういう意味において実は入れかえは進んでいるわけです。ただしかし、今東京都心三区あたりでは、平家で住んでいるというのは本当はもうぜいたくな話なんで、しかしその場合に、もし平家で土地を利用したら社会的には実は余り望ましくないというような税制その他であるならば、その利用の形は変わってくると思うんですね。  つまり、地価が高くなって非常に不愉快なこともあるかもしれませんが、地価というのは土地の利用形態を変えるわけです。銀座の真ん中に田んぼがないのは、田んぼじゃ引き合わないからですね。その入れかえを促進して都市機能の純化を図って、また外へ出た方が望ましい工場とかなんかは出ていきたくなるようなそういう手を打つ余地はまだ十分にあると思うんです。東京でもって土地を利用しないで地価の値上がりを待って不利用の状態にしておくというのは、これはまた、売らなければもう大変なことがあるというような状況にすれば売っちゃうと思うんですね。だから私は、都市機能の純化を図るという、これは新全総あたりからそういう発想があったわけですけれども、私はそういう形が望ましいと思います。  病める東京という認識ですけれども、しかし案外東京が、例えば電車の混雑率なんかも、数字を見ると、民鉄なんかが頑張りまして快適になりつつあることも事実なんです。ですから、大合唱でみんな東京はだめだだめだとおっしゃいますけれども、しかしどうしてだめなところへ集まってくるかということを考えますと、案外にこにこしている人は言わないわけです。それで、結婚したいけれども土地がないといって文句を言っている人の声だけが出てきます。東京を十分にエンジョイしているという人もいるわけなんでありまして、私は、東京が今までのような状況でもってずっとふえていって、にっちもさっちもいかなくはならないと思うんです。  その歯どめ装置が二つあるわけです。一つ地価です。例えば環状二号線の虎ノ門から新橋まで地下鉄で一駅ですね。そこが今一兆円だそうですね。そういうところへ道路はできっこないわけです。だから、地価が高くてやり方を考えなきゃならないということ、それが歯どめになっていると思うんですね。それからもう一つは車です。首都高速と呼びますけれどもあれは今はもう首都低速なんでありまして、そういうことでやっぱり人々は、あそこでもって車で商売をやっても引き合わない、もう少し離れたところでやりましょうということで、地価と車のネックがこれ以上の拡大を抑えるように働くんじゃないか、こんなふうに思います。
  25. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 東京圏に住む者として、東京の将来に大いに期待を持ちながら頑張っていきたいと思っております。  平松参考人にお尋ねをいたします。  私は地方の時代の先駆けを務めたと自負しております神奈川県に長く頑張っておりましたので、きょうはぜひひとつ、大分県での、先ほど御披露もございましたが、一村一品運動、あるいはまた温泉地の湯布院で世界音楽祭をおやりになられた。あんなところでという、もう予想外の発想を実行して定着させてこられた平松知事の御努力に心から敬意を表しておるものでございます。  そこで、先ほどもいろいろ御意見を拝聴させていただきましたが、いわば地方の御努力をいただく自治体の長として、結局先ほどのハード面の行政機関移転というものを国そしてまたいろいろな関係者がやったといたします。それはそれといたしまして、それ以上に、先ほど地方権限移譲の話にお触れになられましたが、私ももう裏づけるソフト面としての分散は何といっても地方公共団体への分権、権限移譲である、こういうふうに思っておるところでございまして、本法案の第七章三十一条にその委任規定が盛り込まれておるところでありますが、この両々相まつ効果が果たしてこの条文で期待ができるのかな、現実にハード面、ソフト面両々相まてば相当大きな地方の活力を生みますし、相乗効果も上がってくるわけでありますけれども、そこで現実に地方分権はどのように進めてもらいたいか、またどういう権限を今日国は地方に渡すべきか、この辺の率直な御意見を聞かしていただきたい。  それと、権限移譲に伴いましては地方はしばしばそれの裏づけ財源という要求をいろいろな角度でしてきておるところでございます。自主財源を充実する、そしてまた余りひもつきでない補助、助成。現実に補助、助成、いろいろひもつきでございますし、先ほども縦割り行政の中でひょっといろいろな構想を拾ってみますと、もうそれこそモデル定住圏、広域市町村圏、地方生活圏、テクノポリス、テクノピア、リゾート、もうそれぞれが入り乱れて決してこれが有機的に機能していない、こういうところに結局地方の活力が失われている。活性化活性化と言いながら、現実にはそれぞれの縦割りのために御迷惑がかかっているんじゃないか、こんなようなことも考えます。  そこで、現実に税財源等々にやはり国はこの際思い切った判断を下すべきだと私見ながら思っておるものでございますので、地方自治体の長としての御苦労そしてまた期待をこの際率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 平松守彦

    参考人平松守彦君) 地方分権につきましては、一つ権限の移譲ということと財源の確保と二つあるわけでございまして、権限問題につきましては、これは新聞で見ますと、九月ころからまた臨時行政審議会で徹底した分権について御議論をいただくというので、私どもはそういう意味で、せっかく臨時行政審議会というのがありますので、これまではNTTや国鉄やいろんな成果を上げましたが、地方と国、中央と地方との権限移譲、財源についてはまだ不十分でございますので、もうそれだけに限定して臨時行政審議会の場で、地方も入れて財源配分また権限移譲について御議論をぜひともひとつやっていただきたい。  それから、特に今度また税制改革が一つのテーマとなって出ているようでございますが、その際におきましてもぜひこの財源について、地方財源の確保という面の税制改革の議論も、どうも今まで見ていますとその辺の議論がちょっと隠れておるように思われますので、ぜひとも税制改革の議論をやる際には地方と中央との財源の問題につきまして、税源の問題についても御議論いただきたい。  それから、特にこれから農業の問題が大きな問題になりますが、農業であれほかのことでも大変補助金がたくさんございますので、あれはできればまとめて、メニュー方式にしてあとは地方でやらせる、まあ地方に全部自由ということには限界がございましょうから、メニュー化を極力して、特に地域開発に関するものについては大体の方針を示してあとは地方自主性に任せるというやり方をやっていただくと、地方のアイデアを出してそれをうまく利用してまた地方の自主財源を足してやれますので、その辺はひとつゆとりのある運用の仕方にさせていただくと大変ありがたい、このように思う次第であります。  最近は各省庁、調査地域の指定が非常に多くて、私の方が入ると隣の県が入らにゃいかぬし、隣の県が入ると我々が入らぬとまた議会で言われるので、いろんなアイデアが出ると皆それに一斉に陳情合戦で指定を受けるけど、結局、調査だけで、そのフォローアップが後どうなるかというと、もう調査地域で指定されておしまいというのもかなりございますので、その辺は各省庁におかれてもその先を具体的に肉づけもしていただくようなやり方をぜひともよろしくお願いしたい、このように考えております。
  27. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 実は本来でしたら田中参考人にアポロ二〇二号プランを通じていろいろ御意見を拝聴いたしたかったわけでございますが、残念ながら時間がございませんが、ただ一つ、遷都を真剣にお考えいただいておる。愛知、三重、静岡、それぞれ我が方にと御期待をされておられるようでございますが、今後どのようにお進めになっていくか一言お聞かせをいただきたい。
  28. 田中精一

    参考人田中精一君) お答え申し上げます。  実は、中部地区を遷都の先に挙げられた——たくさんございまして、名古屋だけじゃなくて浜松の周辺だとかあるいは三重県の北部だとか岐阜県の西部だとかいろいろお話があるわけでございますけれども、先ほどちょっと私が申し上げましたように、そういううわさだけでもう土地が、工場が来られなかったというようなこともございますので、これはひとつ遷都の問題につきましはやっぱり慎重にやらなくちゃいかぬと考えております。  と同時に、そういう首都になりますところは、交通機関と申しますか、国際空港だとか諸外国との交流といったようなものが非常にふさわしい土地でなくちゃならぬ。例えば、東京が今非常に、先ほどもございましたように、大災害とかいろいろなことで心配なこともございますけれども、結局今遷都で、例えば名古屋とかそういうところに持ってこられましても、現状のままの制度で持ってこられますと、やはり東京が極端なことを言うと移転するだけで、名古屋なら名古屋というものが混乱する大きな原因になるんじゃないかと思いますので、まず地方権限を移譲していただきまして、先ほどお話しされましたように、いろいろな権限を移譲された上で、小さな政府としていただいた上で適当なところへ持っていっていただく。各地方では各地方の特色あるその産業を生かしていきたい、こういうふうに考えております。  非常に難しいことですが、そういうように思っておりますが。
  29. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 これで終わります。  ありがとうございました。
  30. 馬場富

    ○馬場富君 四人の参考人の方にはこの法案に対する貴重な意見を賜りまして、心から感謝いたしております。  先ほどの御意見の中から何点か御質問したいと思いますが、四先生の共通の御意見は、やはり東京一点集中は問題がある、これは避けなければならぬ、それが本法案でもあるわけでありますので、そういう点では我々も国会の論議の中でこの法案の重要性を考えるわけですけれども、やはり四全総の実施法案だけに、現実にこれが、先ほども何点か論述されましたが、絵にかいたもちに終わってはならぬ。過去一全総から、先ほども何点か言われましたが、三全総までいろいろな意味で違ったとおっしゃいますけれども、共通な面は、均衡ある国土発展ということについては四つとも一緒なんですよ。  だから、そういう点で、これはなかなか、結局は、先ほど伊藤参考人もおっしゃっていましたが、難しい問題だと思うんです。それは、平松さんの御意見の中に、御意見というよりは書籍の中にもありますように、東京に大きい磁石がある、引きつける魅力がある、全くそのとおりだと思うんです。それを地方分散さしていくということ。もうこの、東京に大きい磁石があり魅力があるということは、この国際都市化を迎え、日本の明治以来の一極集中という政治形態からいっても、今や最高度に東京機能集中しておる、最もよき効率化をされておる、だから地方はそのために鈍化しておる、反対に。  そういうのが弊害だけれども、今日の発展の中に東京一点集中が大きい役割を果たしておる、また世界の中に魅力を持たしておる、ここに私はこの難しさがある。多極分散型の難しさがあるし、実施法であるこの法案が私はやっぱり絵にかいたもちに終わる心配があると思う。だから、そういう点で、まず最初に先生方にそういうことを申し上げて、それと私たちもやはりこの法案については必ず実行しなきゃならぬ、以前のような絵にかいたもちに終わらしちゃならぬ、こういう自覚で取り組まなきゃいかぬという角度から何点か質問していきたい、こう思うんですが。  最初に石原参考人に、東京都の環境の委員もやっていらっしゃいますし、この四全総や土地問題についても非常に関係の深い方でありますので、いわゆる東京問題のまず一つは、この問題からいくと、私は実施法案だけに身近な問題から整理しておかなきゃならぬ、そういう点で、やはり東京のまず整理から始めなきゃいかぬ。この土地高騰から、あわせて住宅地が大変困り果てておる、そういう、サラリーマンの人たちが遠くへ追いやられておるというような現状からして、この問題こそまず一つは一定の解決の方向じゃないか、真に緊急な問題じゃないか、こう思いますが、その中で特にこの三大都市圏、特に東京区内の農地についての住宅化の問題について先生はどのようにお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  31. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 我々実は首都改造計画をつくりましたときも、先ほど申し上げましたように、昭和六十年の人口が約三千万、そしてそれからふえていく人口が、昭和七十五年で四百五十万ぐらいだろうというふうなことを考えますと、これで大規模移転をしましても六十万人程度しか移らないというふうなことになれば、これは東京をもう一度うまく整備しなければいけないというふうなことで、そういうことからいろいろ考えたのが業務核都市方式でございますが、今回の土地臨調におきまして非常に大きな議論になりましたところは、今のお話の農地の問題というのが大変な議論になりまして、これに対しましては現在の制度そのものを相当基本的に見直してもらいたいというふうな態度で答申が書かれるのではないかというふうに思っております。  そういういろいろな方策をやりましても住宅地の確保というのは非常に難しいので、特に長期営農農地に関しましての取り扱いを厳しくしていただきまして、そして都市計画の線引き並びに生産緑地制度の見直し、こういうことをフォローしながら新しい行き方をこの市街化区域内農地については行っていく必要があるのではないかということで、それの宅地化を推進していくことがやはり現在のこの住宅地不足を補う大きな手だてであるというふうな方針で今答申を書こうとしております。
  32. 馬場富

    ○馬場富君 もう一点。都心につくれば住宅もできると先生はおっしゃいましたが、全く同感です。だから、今高くなった状況の中でも公的な住宅政策の発動があれば、私はかなり安価な住宅もできるという可能性を十分持っておると思う一人ですけれども、そういう点で第一種住居専用地域東京都心部にあります。そこには低層住宅の建てかえ等の必要な地域も随分あるわけですけれども、ここらあたりは公の問題として第一種、二種に適用できるところは適用して、そういうところの住宅活用の問題も一つは考慮しなきゃならぬという点を考えますが、この点はどうでしょうか。
  33. 石原舜介

    参考人石原舜介君) おっしゃるとおりだと思います。それで、その点に関しまして何度かこれは東京都の方でも検討されておりますけれども、やはり基盤施設がそれに追従しないといけませんので、できるだけ地区計画制度を併用しまして地域変更をしていきたいというふうなことを考えているわけでございまして、ただ解除すればいいというわけじゃなくて、やはり前面道路をしっかりと確保するとか、あるいはいろいろな施設整備もあわせて行うというようなことが必要かと思います。ただ単に用途の変更だけが先行いたしますとこれはまた混乱する危険性もございますので、そこら辺は十分配慮しながら、おっしゃるような意向で整備が必要であろうというふうに考えております。
  34. 馬場富

    ○馬場富君 次に、田中参考人には、経済審議会で実は最近報告されておりまして、東京一点集中一つの対策として、国際金融とか国際情報とか、あるいは通信等の諸機能の一部を関西圏、中京圏に分担させて、東京に対抗できる広域経済圏の必要性を提言しておりますけれども中部圏の経済界として中心的な役割を果たしてみえる会長とされましては、参考人といたしましてこの問題についてどのようにお考えでしょうか。
  35. 田中精一

    参考人田中精一君) 一応経済審議会の地域産業部会での中間報告的なものを拝見いたしましたけれども、今おっしゃったとおりでございますが、私としましては、いろいろここに挙げておられます国際金融機能だとか、国際情報通信機能だとか、あるいは産業技術機能、文化創造・発信といろいろございますけれども、この中でやはりできるものからやっていく、一遍にやるということはできませんので、できるものからやっていく必要があると思っております。  東京が担っております機能の中でどうしても東京になくちゃならぬというものは、これは集中的にやらざるを得ぬものがあると思います。例えば金融だとか、東京世界の金融市場の中心になっております、そういったようなものにつきましては東京に残さざるを得ないと思いますけれども、その他のものにつきましては、地方地方に必要なものを分散するということが必要じゃないかと思います。もちろん中間の答申のとおりでございますけれども東京機能分散というものはそれぞれの地域に見合った機能を分担することが最も必要だというふうに考えております。一概に何を、金融とか、いろいろさっきお話がございましたようにございますけれども地方に移せるものから移していったらどうかと、こういうふうに思っております。
  36. 馬場富

    ○馬場富君 私は、この法案の中でも大都市圏の秩序ある整備ということがありますが、こういう面からいっても、関西圏、中部圏というのは比較的東京集中を排除する中の現実的に取り組みやすい身近な問題だと思うのです。そういう点で、国際機能分散ということは各地方にも必要ですけれども、まず至近距離としては中部や関西に必要じゃないか。  特にその中で浮かび上がってくる国際都市として必要なのは、中部で今国際空港の問題で非常に地元必要性が叫ばれておりますが、この状況について御説明をいただきたいと思います。
  37. 田中精一

    参考人田中精一君) ただいま国際空港のお話がございましたけれども、これも最近中部国際空港の審議会をつくりましたし、また、皆さん方にお願いいたしまして中部地区の各議員連盟の方にもお願いして促進の方法をとっております。  それで、まずは成田、それから羽田あるいは大阪と、こういうふうに順次参りましたけれども、まだ名古屋国際空港につきましては、具体的に県名が挙がっておりませんし予算がついておりません。それは御承知のように、まだ、伊勢湾の中にやるというふうな大ざっぱなことは決めておりますけれども、どこにやるというようなことを発表しますとまたいろいろな問題が起こりますものですから、決めました以上はもうそこでいろんなことを言われましても、これでなくてはならぬという理論を決めた上で発表したいと、こういうことでございます。  例えば二十四時間空港、これはもう今度できます大阪以外にはないわけでございますが、二十四時間飛べない欠陥空港というようなものが日本にたくさんあるわけでございますけれども、空港と同時に私たちはリニアカーで東京大阪といったようなものをつないでいただくと非常に東京名古屋大阪というような各地区の連携がとれて全体が地区として発展するんじゃないか、こういうふうに考えております。
  38. 馬場富

    ○馬場富君 次に、平松参考人にお尋ねします。  地方行政の中で活躍してみえるお立場だし、何度かまた参考人の御意見も新聞や雑誌等で拝見いたしました。そういう点で非常に共鳴するのは地方分権に非常に力を入れてみえるということですが、今日の一極集中の問題の大きい原因はやはり明治以来の中央集権制度であるということはもう論をまつまでもないと思うのです。私はだから、日本行政改革の中で一番の大失敗はこの地方分権を何にも形づけなかったということだと思うんです。これが今一極集中の問題に禍根を残してしまった、何がしか私は道をつくっておくべきだったと、こう考えるんですが、その点について先生がおっしゃった分権、財源の分割ですね、これは必要ですが、極度に持っていけないという先ほど意見がありました。  それで、その受け皿として、一つ地方支局の分散化、その次に道州制かブロック制の問題、あわせて地方分権へという過程、全く同感ですが、実は、この実施可能性についてどのようにお考えかということについてです。
  39. 平松守彦

    参考人平松守彦君) 先ほど申し上げましたように、一遍に中央の国の権限地方にというのは難しいですから、地方支分部局に主な権限を持っていくということは私は相当可能であろう、こう思います。  問題は、やはりこれからは県と県との間に起こる問題、水の問題でございますとか、また広域交通圏の問題とかいうことになると、またこれは県際問題というのが非常に出てきますので、現実の問題としては、現在地方行政連絡会議法という法律までできて、地方の支分部局都道府県知事が集まる会合の法律があります。ですから、現実にはその法律をさらに強化して地方の出先の機関を強化し、それと都道府県知事とが一緒になってそういう県際問題をやるように、今は若干その制度が流れているだけになっておりますので、そういったやり方を現実に積み重ねていけば私は実現可能性は十分ある。要は政治としての判断というものをどこまで考えるか、こういうことだろうと思います。
  40. 馬場富

    ○馬場富君 平松参考人にもう一問です。  参考人意見の中に、頭脳の分散があります。これは大事なことだと思いますが、それとあわせて、日本は結局輸出において大きい貿易摩擦や対外的問題を起こしております。将来性について、一つは頭脳の分割もありますけれども、私は将来の二十一世紀を目指す構想の中で、日本の国内の位置づけとしてやはり頭脳の供給基地としての日本という役割もそろそろ考えなきゃいかぬじゃないか、そういうところに焦点を置かなければいかぬのじゃないか、こう考えますが、いかがでございましょう、その点は。
  41. 平松守彦

    参考人平松守彦君) やはり地方でこれから一番問題になるのは、まさに今の頭脳の分散でございます。教育機関、また特に研究機関、きょうは東京の大学の先生がお二人でございますが、やはり全部頭脳が東京に集まっているようなことでございますので、できるだけ行政機関、一省庁機関移転につきましても、国の試験研究機関、農林省や通産省にある研究機関地方にあっても十分役に立つところがたくさんございますので、そういう意味でひとつ頭脳の分散というのを具体的に図っていただきたい。また同時に、頭脳の供給 をしていく研究所、そういったものをもっと地方でやった方が環境もいいしいろんな意味で役立つと思いますので、ぜひそういう面からも考えていきたい、こう思っておりますので、よろしくひとつお願いします。
  42. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、伊藤参考人にこの四全総の策定等について大変御尽力をいただいた一人として、先ほど冒頭に申し上げましたが、この法案は非常に努力規定や訓示規定的なところが多いんです。だから非常に心配するわけでありますが、やはりこれはあくまでも実施させなきゃならぬということで、そういう面で四全総計画に携わってみえたお一人として、この多極分散型、特に地方への機能分散という問題についてのひとつ御確信というかお考え方を聞かせていただきたいと思います。
  43. 伊藤善市

    参考人伊藤善市君) 四全総の策定過程で感じたことの一つでございますけれども東京に住んでいる人たちあるいは東京に事業を持っている人たちは、東京がこれまで蓄積した社会資本のストックを非常に活用なさっているわけです。交通体系は非常に便利でありますし、水道その他いっぱいあります。したがってやっぱり地方に比べて東京の方が社会資本のストックの蓄積が多くて、その便益を非常に受けている。場合によっては自分が料金を払わないで受けているかもしれないということで、分散させるということと、東京機能を回復するという両面を兼ねまして特別事業税を徴収すべきだという案が中間報告であったんです。私どもはそれを支持しておったんですけれども、それはやっぱり委員会でもってつぶされちゃったんです。いろんな反対意見がありましてできなかったんですけれども、私は、その特別事業税がいいかどうかは別といたしまして、やはりそういう都市便益を享受するのにただ乗りはまずいのでありまして、ちゃんとそれを負担すべきである。負担できない機関はやり方を変えるべきだという、そういう思想でやるべきだというふうに考えておりますので、それでちょっと悲観したんです。  それから、先ほど石原さんのところで地価問題にちょっと触れたわけですけれども地価問題も今一生懸命政府はやっているようですが、農地の宅地並み課税のときにあれもつぶされちゃったわけです。非常に私はそれで絶望視したときがあります。それで、この前別の参考人で呼ばれたときにその話をしたんですけれども、個人的に会ってみると、いや自分は実際は宅地並み課税に賛成だ、そういうことをおっしゃるわけです。地価対策については私はこれから頑張ってほしいんですけれども、例えば土地の評価につきましても、国土庁地価公示をやっているわけです。自治省は固定資産税の評価を担当しているわけです。国税庁は相続税の評価をやっているわけです。都道府県地価調査までやっているわけです。それがみんな違うわけなんでありまして、一物一価の原則というのが一物四価の原則になっているわけです。これじゃ政策の立てようがないわけです。  私は、土地問題は今時間がありませんから触れませんけれども、税制についてもやっぱり富裕税というのを、答申で指摘されておりますように、なるべく土地の評価は時価に近づけてやるべきだと。時価に近づけて税率を下げて、そして公平にした方がよろしいと思うんです。今それを東京に住むのを楽にするようなふうにしますれば、ますますここに人々が集まってくるというか、動かないわけです。だから、分散をしたいといいながら、現在の税制改革、土地の税制につきましては、現状追認というか、非常に身近な利害に迎合すると言っちゃ言い過ぎかもしれませんけれども、論理的じゃないと思っておるわけです。東京から分散したいといっても、東京に住んで頑張った方が得だという、そういう仕組みになっておれば、人々はそこに頑張っちゃうわけです。地方分散したくなるような、そういう制度にどうすれば改善できるかということが問題だと思うので、そんなことを私は感じております。
  44. 馬場富

    ○馬場富君 言葉を返すようですが、伊藤参考人は盛んに地方への誘導システムのことをおっしゃっていますけれども、そうじゃなくて、僕は東京に力があるし、魅力があるし、住みやすいから来るので、だから、地方にやっぱり生活ができるものができなければ、誘導システムを幾らよくしたって僕はだめだと思うんです。地方に住めるように、生活できるようにする条件が一番大事であって、それに対する誘導システムだと思うわけですが、そこはどうですか。
  45. 伊藤善市

    参考人伊藤善市君) その点はおっしゃるとおりでありまして、つまり、地方に住みたくなるような、受け入れをつくりなさいと何回も繰り返して言っておるわけです。その場合に、総花的にまんべんなくやろうと思っても、人々は都市に住みたがっておるわけですから、だから拠点性を持った都市に重点的に都市整備に金をかけて、職場をふやしていく、あるいは企業がそういう職場に移っていきたくなるようにつくってやる。そうすれば人々はそこに移っていくわけですから、受け皿の方の整備をすると同時に、三大都市圏から地方圏のそういうところに企業が移っていきたくなるような状況をつくることが先決であると思います。
  46. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、この法律によって果たして多極分散が進むのか、また地価が下がるのか、こういう率直な疑問を持っております。  その関係石原参考人にお伺いしますが、先ほども需要の抑制そして供給促進というお話がございました。また、都心住宅をというお話ですが、ただ現実に政府東京都が今進めていく、また進めようとしている計画、一つ東京周辺再開発、また臨海部副都心計画、これを見てみますと、私は逆にまさしくこれは二十四時間国際都市東京、むしろそこに集中が余計高まる。その反面地価が下がる保証が何もないと思います。そして、実際臨海部副都心計画などを見ましても、あの広大な埋立地住宅が建つだろうと思います。建つことは建つんですが、今の計画のままだと、恐らく家賃としても大体安くて二、三十万、もっと高い百万なんという家賃もどんどん出てくる。逆に普通の庶民が入れる五万ぐらいの家賃の、都営住宅でしょうね、これがどの程度できるのか、余りできないのじゃないか。こんなことを見ますと、先ほど石原参考人が言われたような、一つの理想、現実に今実際進められようという計画の中では実現しないで逆に集中が、そして地価高騰、そして都民が住めなくなる。これが進むのではないか、こういう疑問が第一点です。  それから、先ほど幕張メッセの話がありました。この東京の計画とダブったならば向こうはあかんよという話ですね。恐らくそうだと思うんです。そんなものは例えば横浜のみなとみらい21その他とも、大体人間の考えることはほぼ同じで、大体同じようなものですね。恐らくほかの点となかなかうまくいかないんじゃないか。となりますと、余計東京一点集中が今のままでは進むのではないか、それに対してこの法律は全く無策、ということはその促進を一層進めていくのをまさしく見過ごす状況ではないんだろうか、こういう率直な疑問を持っておりますが、いかがでしょうか。
  47. 石原舜介

    参考人石原舜介君) おっしゃる心配は私もないわけじゃございませんで、まさにそういうことが心配でございますので今回の地価対策の中でもやはりそういうことが非常に議論になった一つでございます。地価が下がるかというふうなことで、我々は下げなきゃいけないというふうな姿勢でいろんな施策を考えていこうと。確かにこの地価というものは、一番大きく影響するのはやはり金融が大きいというふうに思っております。ですから、こういうふうな施策で本当に地価が下がるかというふうなことになりますと、この多極分散型の国土形成促進法というのはいわゆる非常な長期をねらいにしまして、短期の地価の現在の高値安定を下げていく施策には直接的には結びつかない面があろうかというふうに思います。ですけれども、長い目で見た場合にはそういう形で安定化をさす一つの施策につながっていくというふうな意味で評価できるのではないかというふうに今思っております。  たちまちの対策として先ほどの埋立地等におきます住宅建設、これは実は東京都も相当実際造成原価を割りまして、土地をそういう評価をいたしまして、そして家賃を考えまして大体十二、三万ぐらいに抑えたいというふうなことで、十二、三万も高いと言われればそれまでですけれども、十二、三万であれば所得の大体第三分位ぐらいの人は住めるのではないかというふうなことを考えておりまして、そこらまで落とすような形での努力をするというふうなことを東京都の方では考えておられるようでございまして、それは直接その原価をそのまま積み上げますとおっしゃるように二十万を超える価格になってまいります。ですから、そこら辺は十分政治的な配慮をしまして、できるだけ居住できるような環境へ持っていってもらいたいというふうな要請をしているところでございます。  それから、おっしゃる一つの例としまして先ほど幕張メッセを申し上げましたが、みなとみらいにおきましても、あそこで五千人の入るコンベンションホールをつくりたいというふうなことで、計画案はそれが中核になってやろうというふうなことになっておりますが、東京国際フォーラム、都庁跡地の計画も実は全く同じ計画でございまして、そういうふうな面をどういうところで調整を図らなければいけないのか。現在は、この法律もそうでございますが各プロジェクトごとの調整を各協議会はするという形になっておりますけれども、実際は、自治体も違うし、競合し合うプロジェクトを調整する機能はこの法律の中には盛り込まれていないわけです。ですからそれを、先ほど申し上げましたように、県を超える、そういうふうな競合し合うものを交通整理していただいて、そしてできるだけこの東京への集積を抑止するような形で、横浜あるいは千葉がある程度業務機能、そういうことを核に栄えるようにしてもらいたいということを申し上げたわけでございまして、その点はぜひひとつ何か考慮していただければというふうに思っております。
  48. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に田中参考人にお願いいたしますが、この五つの業務核都市が進みますと、この東京近辺ですね、先ほどの臨海部副都心計画とあわせて八十六万人の新規就業人口増だと。こうなりますと、かえって東京近辺にまた集中が起きて地方との関係ではますます格差が広がるんじゃないか、こういう御批判がおありだと聞いておるんですが、その点はどうか。  それから中部経済連合会でおつくりになった国際産業技術首都圏の形成、これを見ますと、核となる名古屋に各地の中枢管理機能集中させて、その周りに東海環状都市圏をつくろうというこういう計画のようですね。となりますと、これが東海環状自動車道で結び合わされるとなると、これが首都圏で言う業務核都市のようなものなんではないかなと、こう思うんですが、いかがか。  それからこの構想ではハイテク産業都市産業中心集積させていくというんですが、今までの伊勢湾臨海部に立地している鉄鋼、石油など素材型化学産業は今構造調整の中でどんどんこれは撤退したりあるいは合理化、人減らし、また自動車や工作機械などの分野でもこれは合理化が進む、あるいは海外に生産拠点を移したりあるいは部品の調達を海外でやっていこうという空洞化が激しく進んでおりますね。この辺を中部経済としてはどう立て直していかれるおつもりか、この三点お願いしたいと思います。
  49. 田中精一

    参考人田中精一君) 中央集権というものが日本発展に大きく寄与したということは十分言えると思います。現在の東京は人とか物とか金とかこういったような情報の集中が行われておりまして、それで現在言われておりますように土地の高騰だとか過密化というような問題が起こったということは当然でございますけれども国土の均衡ある発展のためにもこういうことはぜひ是正していただきたい、こう思っております。  それで中部圏の問題でございますけれども、ちょうど中部圏は四十キロ圏内の中に中小のいろいろ違った都市がございます。御承知のように四日市からぐるっと四十キロ圏内に一宮だとか関だとかあるいは多治見、瀬戸、ずっと回りまして豊田と、こういったようなちょうどそれぐらいの、交通の便が悪いものですからなかなか利用価値が発揮されておりませんけれども、それと同時に、名古屋の近郊には三重県の北部だとかあるいは愛知県の東部、岐阜県の地域、非常にまだ未開発の地点がございますので、そういったようなところを開発していくためにも機能分散ということは非常に適した土地ではないかと、こう思っております。同時に、今度の四全総でこの中部地区産業技術の中枢都市ということではっきり銘打たれましたので、分散に当たりましてはこういう産業都市にふさわしい機能をまず移転する。それは地方の活性化にもなりますし、そういう意味におきまして今我々が具体的なことでございますけれども考えておりますのは、伊勢の方面に、四日市の奥でございますが、そこに大型放射光だとか、あるいは成功した例といたしましてはファインセラミックスセンターをつくったとかいう、あるいはこれからまたお願いしたいと思っておりますのは無重力の実験の問題とかいろいろございますけれども、そういったような中部技術的な産業首都圏としてふさわしいようなものをまず持ってきてもらいたいと、こう思っております。  伊勢湾の問題でございますけれども名古屋周辺は重工業で発展した都市でございまして、御承知のように特に愛知県の沿岸、新日鉄を初め四日市あたりの石油産業は非常に栄えたのでございますけれども、これが衰微してまいったわけでございます。それで実は私たちに言わせますと、ちょっと遅まきではございますけれどもハイテクだとか計算機とか要するに重工業でないものを輸出するということに努力しておりまして、最近は大分そういうものがふえてまいりました。そういう点におきまして、先ほども申し上げましたけれども、やはり東京大阪圏の中央にありましての一つを大きな目で見ていただきまして、新国際空港だとかあるいはいろんな、東海道の第二東名あるいはリニアモーターカー、そういうものをつくっていただきますれば非常に名古屋地域としても発展いたしますが、とにかく分散ということをやっていただきませんとやはり東京の一点集中というものはますますふえるばかりでございまして、東京に来なければ仕事ができないというようなことで私たちも毎週来ておりますが、そんなことで、もうちょっと権限移譲ということが何しろ一番先じゃないかと、こう考えております。
  50. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私の持ち時間が四十三分までですので、伊藤参考人には残念ながら質問できません。あと、質問と答弁も含めてその範囲でひとつお願いをしたいんですが。  先ほども話がありましたが、知事自身が大分合同新聞でこう言っておられます。九州の出先機関を一本化しよう、九州府を設置して九州議会を併設すべきだ、こういう構想ですね。先ほどいろいろお話があってある程度理解はできるものの、逆にこれが地方自治権の縮小あるいはそれがだんだんなくなっていくという、そういう方向につながりはしないか、これが第一点です。  それからもう一つは、新産都市計画として随分工場用地をつくってこられました。ただ、未利用地が相当あるようですね。その未利用地は、今後多極分散型国土形成との関係で、それらの用地をうまく活用していけるという、そういう具体的な計画をお持ちか。  それからまた、新産都市計画の中で、やっぱり臨海部とそれからその他の地域との過疎が実際起きているんじゃないか、その辺の実情も含めて御答弁いただければと思います。
  51. 平松守彦

    参考人平松守彦君) 第一段の問題は、何回も申し上げますように、今までの行政庁構想とか道州制は、やや中央の行政をうまくやりいいようにまとめた広域行政だけやろうという感じですが、これからは市町村でできないことは県でやる、県でできないことを九州府で調整する、こういういわば下からの構想でこれを考えていけば、地方自治またはコミュニティーというものを頭に置いたものでやらないと、ただ地方行政がしやすいための道州制であってはならぬとこう思っております。  それから新産都につきましては、新産都計画によって今度のこの拠点開発整備地域としてこれを多角的にやっていきまして、それで新産都というのは何も大分市臨海部だけじゃございませんので、周りの大分郡の各町村も皆入っておりますので、そこでバランスのとれた総合的な都市機能を持った都市づくりということで考えていきたいという計画になっておりますので、そこを十分配慮してやっていきたいと思っております。
  52. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  53. 三治重信

    ○三治重信君 参考人の皆さんどうも御苦労さまです。私が最後ですが、若干御質問をさせていただきます。  まず伊藤参考人からお話しさせていただきますが、先ほど特別事業税構想をやったけれども敗れたと、こういうようなことでした。私も東京分散関係をやるためには、やはり土地に対する課税を強くするのがまず地価を抑えることからいっても第一じゃないかとこういうふうに思っているんですが、東京都はなぜ都市計画税や固定資産税を上げることを知事みずからが非常に嫌うかというのは、何か余りたくさん取ると自治省から取った金をみんな地方へまた再分配されるんじゃないかということからそんなことを考えているんじゃないかと思うんですけれども、自治省が考える地方税の東京集中するやつを分散させようというのと、それから東京はそういうことを財源がありながら実際は何もやっていないと。それで金がないからやらぬというようなことと僕は矛盾しているんじゃないかと思うんですが、その点についてどういうふうにお考えになっているか。
  54. 伊藤善市

    参考人伊藤善市君) 土地についての私の考え方と大変似た考え方で、味方があらわれて私は大変心強く思っております。  今土地の税制というのは所得課税、譲渡所得ですね、所得課税と保有課税と流通課税の三つあるわけです。私は、結論を先に申しますと、流通課税というものは、こういうものは昔の遺物であって、たくさんの取引が自由に行われるようにするためにそれは外すべきだという意見です。それから所得課税も、公平にやればいいんですけれども、これは捕捉したり、それから実際税金をかける場合に非常に技術的に難しくて、徴税費用がかさんだりぐあいが悪いので、一番はっきりわかるのは保有課税ですね。これは登記しているんですから絶対間違いないわけです。このことにつきましては、例えば高山先生が委員長であった経済審議会の土地政策研究委員会なんかでも、時価に合わせなさいということを言っているわけです、土地の評価を。しかしそれは行われていないというのは、今東京都と自治省の関係がどういうふうになっているかわかりませんけれども、やっぱり何でも新税というのはこれは悪税にされまして反対されちゃうわけなんです。  私がその税制について強調したいのは、中央と地方の格差がそれによって是正されるという副産物効果があるからなんです。例えば一つの例を挙げますと、今東京のA地区が坪一億円、それから大分県のどこかが坪十万円としますね。これの課税標準額を実勢の半分として二分の一とすれば、それぞれ五千万円、五万円となります。それについて税率が仮に一%とすれば東京では五十万円、大分では五百円と、こうなるわけですね。  これを改正して、課税標準額を時価にしてそして税率を仮に〇・八%とすれば、それぞれ八十万と八百円という税金になりますですね。そうすると、改正前の東京大分の税負担の差は、同じ一坪で四十九万九千五百円だったのが改正後には七十九万九千二百円と、こうなるわけですから、地方のいわば負担は相対的に下がって、東京は今まで高い地価なんだけれども評価を低くしたために不当、不当と言っては変ですけれども、既に利益を受けておったところが今度は改正によって負担がかさむわけです。  そういうふうにすれば、東京でビジネスをやろうとするならばこれは相当そういったものを払わなければならないのだということで、何でもかんでも東京に本社を置くということが改められて、もっと別のところへ移すかもしれない。現に国際的な企業では、神戸に本社を置いたり東京以外に本社を置いているところもかなりあるわけなんで、東京はまあ東京に対するある種の何といいますか、あこがれ志向みたいなものがあって、名目的東京に本社を置くといいんだということもありますけれども、そういうことから、東京にいるよりは地方でもってやった方が有利であるという状況をつくってほしいと、こういう意味なんです。  それからもう一つは、東京をよくすれば地方がだめになるというのは非常に単純な発想であって、東京地方も連動してよくなる方法を考えるというのが必要であると思うんですね。例えば今地方は一生懸命空港をつくっているわけです。しかし、東京大阪ももう今満杯でだめだと、こうなれば地方はいかにつくってもたくさんの便数を飛ばせないわけです。ですから、地方の空港が本来の機能を発揮するためにも東京とか大阪の空港の整備、羽田の沖合展開を少し加速化してちゃんとやってくださいと、こういう問題がいっぱいあるわけです。  例えば、東京のある研究所であるとか、いろいろなそういう頭脳で勝負するところが、国際的に見て見劣りのしない非常に高いレベルの成果を上げておれば、地方の大学の先生方もわざわざアメリカやどこかへ行かなくても、その成果でもってあるレベルのものを自分のものにすることができるかもしれない、交流できるかもしれないというそういうことなんでありまして、今まで私は四全総の中間報告のときのいろいろな論調その他を見ましたが、東京はよくなるのだ、おれのところは悪くなるのだという、そういう議論が多かったと思うんです。ですから、そうでない道を選択するということを考えるべきじゃないかと、そのように思っております。
  55. 三治重信

    ○三治重信君 次に、田中参考人にお伺いします。  私も愛知出身なんですが、今各党の質問の中で中部圏の中核都市としての機能のことについて大体の輪郭を話され、またその準備もできているようでございますが、私はそういうことと重複を避けると、中部圏が東京大阪と比べ非常に見劣りし、だんだん格差が拡大する傾向にあるというのは、やはり中部圏の代表的な中枢機能というんですか、金融なり保険なり、あるいは生産でも工場や何かはあっても、その本社ね。会社の中枢機能が非常に少ないんじゃないか。それと、名古屋は非常に地元中心主義で東京大阪の頭脳を入れようとしないというような批判が非常にあるんですが、こういうものをもっと開放するというようなことをひとつ御指導願いたいと思うんですが、どういうことがあるか……。
  56. 田中精一

    参考人田中精一君) 御指摘のとおりでございますけれども、現在は東京集中し過ぎておりまして、例えば、本社が名古屋にあります会社あるいは工場なんかでも、東京にそういう事務所を置かなくちゃ仕事ができないというような状態でございますので、名古屋だけではないと思いますが、各地区とも、各地区で自活できるようにするためにはやはりどうしても地方権限の移譲をやっていただきまして、とにかく東京へ行かなくちゃ何にもできないというような、何といいますか、権限がたくさんあるものですから、そういうことのないようにしていただければ地方で相当やれると思います。東京に行かなくちゃ仕事にならぬというような状態では、いつまでたっても地方というものはやっぱり成り立たないんじゃないか、こう思っております。  道州制だとかいろんな問題も起こっておりますけれども、ぜひとも地方にその財源権限、そういったようなものを移譲していただいて、地方である程度仕事ができるというふうにしていただければいいんじゃないかと思っております。  例えば、先ほどからお話がありましたように、東京湾の埋め立てだとかいろいろの問題があると思いますけれども、そういうことをされましても、私は、東京の中でコップの中の水をかき回すようなもので、大して東京集中というものが緩和されるとは思いません。やはり地方にそういったようなものができるように変えていただきたい、そう思っております。
  57. 三治重信

    ○三治重信君 次に、伊藤参考人平松参考人にお伺いしますが、いろいろ地方権限財源を与えてくれということでやっているんですが、どうも見ていたって、なかなかこれ現実の問題として役人が強くてできない。そういうことになってくると、役人の地方への分散権限を持たせた役人を地方分散させてブロック制をやったらある程度改善するんじゃないかと思うんです。  石原参考人平松参考人、役所の中央の権限を県や市町村に分配せいというとなかなかしない、それから予算も分配せいというとなかなかしない。それで、それは第二段階として、まずとにかく中央の役人を三分の二は地方へ、ブロックへ分散しなさい。人間を移せば、それは地方へ行くやつは権限をもらいたいわけだから、そこでやるようになる。そういうときに、本当に中央へ来ぬでもよくなるようなことになろうかどうか、本当の地方分散になるかどうか、御意見を伺いたい。
  58. 平松守彦

    参考人平松守彦君) 役人が地方に来ても、その人に力、権限がないとこれは意味がありません。人はかなり今いただいていますので、やはり地方の支分部局に力がないと、人が来て力があるということにはなりませんので、むしろ地方の方に権限を移譲しておけば我々は力を持つ、こういうことになるんじゃないかと思います。その辺は我々も中央との連絡は非常に緊密にしておりますので、そこの権限移譲というところがポイントじゃないか、このように思います。
  59. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 最初の御指名が伊藤参考人というふうな気持ちだったものですからちょっとあれでございますが、先ほど平松参考人の方からお話がございましたように、地方支分局というものが非常に重要じゃないかというふうに考えておりまして、私ども首都改造計画をやりましたときも、できるだけ地方支分局に権限移譲をして、そして大宮、浦和あたりにこういう機能集積させて関東首都というふうな形にすれば、相当許認可業務自体がそこへ移転いたしますので、その各企業自体の窓口も相当そちらの方へ移る可能性があるんじゃないかと。  そうすると、東京の方で持っている権限も、そういうことを一つの参考にしながら各地方地方でそういう拠点制をつくっていけば相当うまくいくんじゃないかというふうなことで、あくまでもやはりそういう集積とあわせての権限移譲じゃないかというふうに思っております。
  60. 三治重信

    ○三治重信君 ちょっと最後に。  石原参考人の方を主としてお聞きするつもりで御指名したと思っていたんですが、行革の委員でもあるそうですからぜひ、多極分散型で、やはりお聞きのとおり権限分散権限が移るとともに予算も移るわけなんだが、権限分散にはひとつぜひ力を入れて、実現可能な権限地方に移るようにですね。それは、私は役人出身なんですが、役所を地方へ移すというのはなかなか難しいんじゃないか。そこは現実的に中央の権限地方にどうして移さすかという、中央の役所同士の権限をひとつぜひ考えて答申をつくっていただきたいと思います。  質問を終わります。
  61. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言お礼を申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席を賜り、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散