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1988-04-21 第112回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     田渕 哲也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 添田増太郎君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 大森  昭君     委 員                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 大木 正吾君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  中山 正暉君    政府委員        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    参考人        社団法人日本民        間放送連盟専務        理事       泉  長人君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君        日本放送協会総        合企画室局長   中野 正之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○放送法及び電波法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会社団法人日本民間放送連盟専務理事泉長人君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 放送法及び電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 及川一夫

    及川一夫君 まず最初に、放送衛星にかかわる施設に対するPRといいますか、この問題について、とりわけ郵政省に要請申し上げておきたいというふうに思います。  過日、国会国政調査、私的ではございましたが、私もまた別だてで千葉県の君津の方に施設見学にお伺いしたわけですが、残念ながら沖縄施設とそれから君津施設では、施設そのものではそれぞれその目的に沿った形になっているんですけれども、これを紹介し見学者期待にこたえるという点では余りにもその差が大き過ぎて、私も期待をして行ったんですけれども、残念な結果に実は終わりました。しかも隣国中国通信労働者を連れていったこともございまして、期待を裏切られて残念でしたが、一昨日の衛星機構、この問題のときに発言すべきだったんですけれども、時間が来て切れましたので、あえて要請しておきたいんですが、やはり放送衛星が論じられますように、これからの時代宇宙衛星というものを抜いて社会的な問題、あるいはまた世界的な、国際的な問題を語るということはできない状況になっている。  そういった点では、国民自体宇宙とか衛星、そういうものに関心を持っているはずだし、同時にまた、そういう施設というものを持っている、また行政官庁である郵政省が、そういった国民関心に対してより正確に伝えていくといいますか、PRするというか、そういう立場に立つべきではないかということを私は思っておるものですから、君津に行った際に、どでかい円形のアンテナが七基あったのを見たときには胸躍る思いでしたけれども、中へ入りましたら、正直言いまして、何をやっているのかさっぱりわからぬということになりかねない。見学者年間に約二千五百名から三千名おいでになるというお話を聞きまして、その見学者に対して説明するものは、入った玄関のところにテレビ一台と日本列島みたいなのが描かれているだけでありましてね、それ以上のものは何にもないわけです。所長室に連れていって待遇していただいたことは結構なんですけれどもあとはビデオテープで説明をされたということになるんですが、沖縄の方は少なくともロケット模型はあるし、衛星模型はあるし、それから組み立てる順序などについても、さまざまの角度からロケット衛星というものを知ってもらおうという大変な努力をされているわけであります。  しかも君津には見るところ、見学に行っても控室といいますか、見学者が一堂に会して、余裕あって見たり聞いたりするという場所も実はないようでありまして、総務部長にいろいろお伺いしたんですが、やはり予算の関係上ということがあるんでしょう、そういった点でやむを得ない事情にあるかもしれませんけれども、せっかくの設備、せっかく見学に行った人に対して、それだけのやはり夢を与えるというか、なるほどなという気持ちを与えるためにも、ぜひこれはそれぞれ宇宙開発事業団、あるいは衛星機構に入っている企業との関係、ユーザーとの関係、いろいろあろうかというふうに思いますけれども、ぜひ充実強化のために努力をしてもらいたい。このことをまず要請申し上げておきますが、成川局長いかがですか。
  6. 塩谷稔

    政府委員塩谷稔君) 及川先生おっしゃいますとおり、私ども放送衛星など先端技術分野をいくものにつきましては、それだけなおさら国民の皆様に広く御理解願う必要があるわけでございまして、そういったPR必要性ということは十分承知しているつもりでございます。  今、君津衛星管制センター年間約二千人以 上も見学者があるわけでございまして、今、先生おっしゃいましたように、見学施設といたしましては、衛星機能説明パネルですとか、あるいは衛星模型ですとか八点ほどあるんでございますが、もっとこの点について工夫を凝らして、あるいはロケットということにつきましても、ロケット模型をやはり沖縄と同様に調達いたしまして、近々つけるように話も聞いております。そういうことで、見学者衛星通信あるいは衛星放送への理解を深めるために、わかりやすい展示をするなどいろいろ効果的な周知宣伝活動に気を配るように私ども十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  7. 及川一夫

    及川一夫君 ぜひ努力をしていただきたいと思います。  次に、NHK経営委員会構成についてお伺いし、意見を申し上げたいというふうに思います。  まず、NHK経営委員会構成なんでありますけれども、十二名の経営委員皆さんおいでになるんですが、名前はともかくとして、これをどういった基盤から代表として選ばれているかというものを、NHKからいただきました経営委員会委員名簿というものによって拾ってみますと、一つには金融関係から一名。それから産業関係から三名、電気、工作、鉄道というふうに私は理解いたしますが、産業関係から三名。それから農業関係から一名。福祉団体から一名。研究所から一名。薬ということになると医療ということになるんでしょうかね、製薬会社ですから医療関係から一名。そしてマスコミ関係として、明確に言えるのは三名。よくよく見ると、あとの一名もマスコミ関係であるということで、私から見ると、マスコミ関係の方が四名おられるというふうに判断をするんですが、いずれも現職肩書というものを参考にして分けてみました。以上のような形になっていることについて認識が一致いたしますかどうか、お聞きしたいと思います。
  8. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) ただいま先生お話のように、経営委員人選に当たっては放送法十六条の規定がございまして、委員は、公共の福祉に関し公正な判断ができ、そしてまた広い経験と知識を有する者の中から選ぶべきである。で、人選に当たっては、教育文化科学産業、その他各分野が公平に代表されることを考慮しなきゃならぬという一つ考え方がございます。同時に、同じ十六条に、地域についてもできるだけ各般地域から選出されるようにということで、委員全体十二人のうち八人については、全国を八つに分かちましたその各地区から選出をするべし、その他は地区を通じて四人を任命するべしと、こういう規定になっておりまして、できるだけ広範な範囲から選出されるようにと、こういう規定でございます。  現在任期がありまして、選出をされております方々について、今先生の具体的な分類、それも一つかとは思うんでございますが、法律に照らしてみまして、教育文化科学産業という事例を挙げている点に照らしますれば、文化が四名、教育科学が一人、行政が一人、そして今お話ございましたように、経済あるいは医療、あるいは公益事業等産業を含めて六名と、こんなふうに分類することも可能かなと。これは分野を特定するのは非常に難しゅうございますが、法律に照らしてみれば、そういうふうに言えるかなと考えておる次第でございます。
  9. 及川一夫

    及川一夫君 先回りしていろんなことをおっしゃられるけれども、わずか十二名ですから、余り少ないのに、大ぐくりするとややこしくなるんですよね、細かくいった方がいいと思う。ですから、全国区と地方区の関係官房長が言われたとおりになっていますよ。問題は、例えば、あなたが文化とかその他の産業とかいろいろ言われているけれども、どれをもって教育というのかなあと、こういうふうに考えてみると、教育という肩書のついた人は一人もいないですよね、これは。文化というのは、どこからどこまで文化と言うのかということをただしてみなきゃ、あなたの言う四名というのはわからない。  そんなことで議論したってしょうがないんですが、問題は、十六条で言われているように、「教育文化科学産業その他」となっていますから、「その他」の中に皆入っているといえばそれまでなんですよ。しかし実際問題として、私が申し上げましたように、新聞社社友という肩書の方が三人おられるわけですよ、社友ですよ。それ以上の肩書は何もないんです。そして、株式会社総合研究所という肩書になっているけれども、これもよくよく整理をいたしてみますと、やはり新聞社一つの系列、特定の新聞社専務現職が社長をやっているところの方なんであります。ですから、事実上これももう——しかも外に対して仕事をするんじゃなしに、その新聞社なら新聞社に対して、外からニュースを持ってきて社内に配るというか、問題を提起する、こういうお仕事をなされているわけでしてね、そういうふうに考えてみますと、これもマスコミ関係の方というふうに見ても決して差し支えないじゃないかということなんです。私は別にマスコミの方を入れていかぬということを言っているんじゃなしに、これじゃ、ちょっとバランスに欠けているんではありませんかと、なぜNHK経営委員会マスコミ関係者の方だけが三ないし四になっているんですかと、ここが非常に私は問題あるじゃないかと、もっと各界を代表される方々を入れないと、日本放送協会性格からいってもおかしいんじゃありませんかということを言いたいんですよ。  もちろん、このことは国会承認ということがありますから、皆さん方だけに責任があると思いません。国会承認するときに、そういう全体のバランスというものを確かめないで我々がやったとすれば、我々自体にもやっぱり問題があるということに私はなってくると思います。ただ、任期がそれぞればらばらなものですから、一、二の三で出されりゃわかるんだけれども、一人一人やられておったら、どれがどうだか、何が何だかわからぬということで、こういう結果というものが出てきたと思うんですが、したがって、発議をするのはやっぱり郵政省でしょう、これは。人事の問題で内閣閣僚閣議に諮り、そして議院運営委員会に諮って国会承認を求めるという、その発議は、郵政省がまず最初に問題提起されるんでしょうから、その際にこういったことを十分に私は配慮をされてしかるべきじゃないかと。  どちらにしても、肩書を明確に書いてありますように、マスコミ関係が余計だという、多くおるという事実だけは私は明確だというふうに思うんで、いかがですか、その辺問題点として、今後の問題としてとらえる気持ちはありませんか。
  10. 森本哲夫

    政府委員森本哲夫君) 現在の委員の中で確かに社友という肩書がついた方が三人おられるのは、先生の御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、これらの委員の方が、いわばマスコミ界あるいは新聞界を代表して、その意見NHK経営に反映するという趣旨で選ばれているのではないというふうに考えるわけで、あくまでもNHK経営委員に課せられた役割に照らして公正な判断ができ、そしてできるだけ広い分野から意見の提起ができ、そしてNHK役割にふさわしい経営ができるようにという、そういう期待に照らしてみて、その趣旨に決して違背をしているというふうには考えられないと思っておるところでございます。  なお、先ほどお話ございましたけれども、これはあくまでも内閣総理大臣任命でございますので、私ども郵政省は所管の法律を所管しておる、こういう立場事務局は仰せつかるわけでございますが、内閣総理大臣任命をし、かつまた総理大臣任命だけでは不十分だということで、法律国会の同意を要するという形で、この趣旨ができるだけ生かされるようにということで現在の法律の仕組みができ上がり、そのようにまた運用されておるものと考える次第でございます。  なお、しかし、先生のおっしゃるとおり、できるだけ各分野からいろんな方が選出されるということが望ましいという点はおっしゃるとおりでご ざいますんで、できるだけひとつ各般分野から人選が行われるようにいたすことについては絶えず努力を要し、政府としてもこの方向で努めていかなきゃならないのは御指摘のとおりでございまして、なお国会の御指導、御理解もぜひ賜らなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。
  11. 及川一夫

    及川一夫君 官房長さんね、ああ言えばこう言う方式のお答えは僕はけしからぬと思いますよ。しかも前段で否定しておいて後段で肯定するような、しかもその肯定の仕方も、一体どこまで責任を持った発言なのかわからぬような、そういう答弁の仕方というのは私は問題あると思いますよ。法律を勝手にあんた解釈しちゃ困るじゃないですか。わざわざ法律十六条としてあるんでしょう、あなたの読み上げたように。「教育文化科学産業その他の各分野が公平に代表されること」と、こう言っているわけでしてね、分野でしょう、マスコミ界というのも一つの。産業界もあるでしょう、文化もあるでしょう、教育もあるでしょう、労働界もありますよ。いろんな階層に分けることもできるし、大ぐくりすることもできます、それは。しかし、現実に肩書として、マスコミ出身者と別の仕事をされているのなら、それは別かもしれませんよ。  しかし、肩書はあくまでも社友という肩書で、大きな新聞の体験を持っている方々が入っているわけでありまして、一体、ひょっと見たときに、これ公平か、公平じゃないかということをだれでも考えるんじゃないんですか。しかも、やはりマスコミ界肩書がついていれば、そういう分野にはかなり詳しい人、NHKだってマスコミですからね、そういった点で一体、ここでどんなことが語られているんだろうかということについて、再三再四経営委員会議事録公開という問題が論じられてきた経過があるんですよ。こういうことがあればあるほどその経営委員会議事録を公開してもらいたい、報告してもらいたい、中立を求めるためにもぜひにという意見にこれは正直言って展開していくわけですよ。  ですから、私は非は非として、やっぱり問題があるならあるということを認めて、今後の課題として十分検討していただく、また、するということを私は言うべきじゃないかと。何も私は個人のことを言っているわけじゃないんですから、バランスの問題を言っているわけですからね。法律的に言われたことを正確に実行していこうじゃないかと、こういうことを申し上げているんでありまして、そういった点で最終的には郵政大臣閣議で決められて国会承認を求めるというやり方になるものですから、官房長ばかり責めたってしようがないんですけれども、ぜひ今後のこの種問題、こればかりじゃないと思うんですが、ほかのところ余り僕はバランスの崩れたのを見たことないんですが、ぜひ御配慮いただくように、事は経営委員会の問題であり、また、NHK中立性の問題を形の上でもいかに証明するかということにつながるわけですから、ぜひ御検討いただくように大臣にお願い申し上げておきたいんですが、よろしゅうございますか。——それでは以上のことを確認して、次の問題に入りたいというふうに思います。  議題となっております放送法電波法に対しまして、私は、この両法案に対する基本的な認識の問題について、実は申し上げてみたいと思うのであります。  放送法とか電波法ということになりますと、国民サイドから見ると、余り関係ある法律には映らない。ある意味では無関心というよりも、関知せずといいますか、大体こういうのは民放とかNHKが適用されている法律であって、私たちには別に問題はないんだろうというふうに思われる性格のものですね、そのように見えるんですね。しかし、内容的な性格というものを見ますと、やっぱり放送あるいは電波というのは、戦前からもいろんな意味で私は国民生活影響を与えてきたと思うし、戦時中もそういう意味で、マイナスかプラスかという点ではいろいろ議論のあるところでしょうが、大きなやっぱり役割を果たしてきていると思う。  戦後も昭和二十五年を奇貨として、占領軍民主化政策と、政権を担当し政治を通して行政をつかさどる政権との関係ですね、綱引きが具体的にありましたように、いずれにしても国の政治とか社会機構とか、そういうものと関連をして、この放送あるいは電波あり方について、かなりの論議がされてきた。極端に言うならば、はっきり申し上げまして、日本民主化のためにこの放送法電波法というものが一定の位置づけをされて、象徴的な出来事として電波監理委員会、いわばアメリカのFCCに似たような形で二年ほど存在をしたという経過があるんですね。占領軍からすれば、日本民主化を徹底したものとして図っていこうと、それの総集体として電波監理委員会的なものを幾つか設けたという経緯が実はあるんですね。  そして四十一年には、カラーテレビという問題も踏まえまして新しい放送電波というものをとらえて、どのように位置づけていくかということで相当の議論が、残念ながら衆議院で終わってしまったんですが、衆議院段階で展開もされ、このあり方問題について自由民主党と当時の社会党ですね、我々の先輩党ということになるんですが、社会党との間で、いずれにしても修正合意を見たと。ただ、自由民主党内での意見の対立から、それが日の目を見ることができなかった、会期目いっぱいで廃案になったという経過があるんですが、いずれにしても放送法電波法の問題では、とにかく国民合意が必要だという前提で、大変な努力をされたということが経過として私は明確になっているというふうに思うんですね。  したがって、これを一口に言えば、我が国の民主化の問題とも関連をしたし、政権維持という問題にも関連をしたし、言論あるいは表現の自由という問題にも関連をして、この問題が論じられてきたということになりますと、やはりこの政治あり方言論の自由、表現の自由、国民生活全般影響を与えてきただけに、国民とのかかわりにおいて大変重要な法律案だというふうに私は認識をしているんですが、この辺いかがでしょうか。
  12. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生からるるお話ございましたように、放送国民日常生活に欠くことのできない情報を提供する手段として重要な存在になっているわけでございます。で、放送法電波法は、それらに関していろいろと規律ないし規定を設けているわけでございますが、貴重な国民的財産でございます電波有効活用を図りながら、放送を最も国民の需要にマッチした形で普及さしていくということを目的としている法律というふうに私ども認識しているところでございます。  で、大変重要な役割を果たすということ、先ほど言論の自由という問題もございましたけれども、唯一の言論立法というようなことも言われているわけでございまして、その表現の自由の確保といいますか、言論の自由の確保というようなことは、放送法の第一条の目的にも規定されているとおりでございます。また、それらによって健全な民主主義の発達を図るというようなことも目的規定されているとおりでございまして、私どもはこれらの考え方を最大限に尊重し、守っていかなきゃいかぬというふうに認識しているところでございます。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 表現の仕方は別ですけれども経過と事実認識、それから問題をとらえる重要性についてはそんなに間違いがあるとは思いませんが、そこで、これからの放送法電波法というのは、いずれにせよ放送衛星あるいは通信衛星、こういう時代を迎えていくわけでして、そういう意味からすると、現行放送法、今回の改正という問題がありますけれども現行法律を、衛星時代になっていくこととの関係では率直に言ってやっぱりもう一度見直す時期というのが、また見直さなければならないことが来るんじゃないか、あるんじゃないか、こんなふうに思うんですが、いかがですか。
  14. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 今回の放送法は、先生も御指摘のように現状に合わせるという形でございまして、将来永遠に変えないというような形のものではございません。  御承知のとおり、昭和二十五年に放送法ができましたときは、NHKのラジオしかなかったわけでございまして、そのNHKを中心とした法律ということで、一般放送事業につきましては、その後準用するというような形で今日まで来ております。その後放送メディア多様化、高度化してまいりましたし、民放の数も百五十社というような多きに達してきております。また、新たに放送大学学園というようなものも存在してまいりまして、その多様化した状態、あるいは発展した現状にふさわしい法律構成になっているかというと、そのようになっていない点もあるわけでございます。それと近く導入される有料放送につきましても新たな手当てをしていかなきゃいかぬというようなこと、あるいは番組規律等につきましても、一律に規定するのがいいかどうかといった観点から、緩和措置も図った方がいいんじゃないかというようなことなどを盛り込みまして、現状に合わせて法律改正の提案をさせていただいているわけでございます。  先生おっしゃいましたように、衛星放送とか新たなメディアというのは技術開発の動向につれて次々と出てくるし、我々もニューメディア開発というようなことで期待しているところでございますが、それらにつきましては、現時点におきましては、衛星放送現行を直させていただく法律の中である程度対応できる基盤づくりができているというふうに認識しておりますが、将来どのような事態が来るかわかりません。そのようなことをにらみまして、適時適切に必要な都度改正していく所存でございますが、理想の放送法制といいますか、それに向けて常に考えを新たにして取り組んでいかなきゃいかぬというふうに認識しているところでございます。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 言葉の端々ですけれども、永久にとか将来という言葉がところどころ出てくるんですけれども、私はそんな長い話じゃないと思っています。本来なら私は、この時期に一条ごとに見直すぐらいの発想があってしかるべきじゃないかという気持ちが非常に強いんですよ。  例えば、青島先生衛星機構の問題のときに率直に自分の感想を述べられましたね。あれは僕は感想じゃないと思うんですね。これからの人間生活に対する一つの疑問といいますか、いいのかなというようなことを含めて私は述べられたんじゃないかと受けとめるわけですよ。つまり、二十四時間放送ということが放送衛星の場合に何となく前提になっていますからね。二十四時間毎日毎日起きているわけにいかないわけで、しかし人間には何でも欲がありますから、あれを見たいというために何となく無理をして起きている。それで見る。それで会社に出かける。一体、どういう状態になるのか。これは、事は労働生産性の問題にまで影響していくかもしらぬし、家族の一日の過ごし方、余暇のあり方、そういうものに全部関連をしていくものじゃないのか。したがって、今想定をされている放送あり方自体について、いいのか悪いのかという、そういうものを国民に問いかけていくような措置だって、これから私は出てこないとは思わない。むしろそういうことをやるべきだというぐらいの実は気持ちなんですよ。  ですから、成川局長が永久に将来云々というような言葉を使いながら、あと衆議院の附帯決議のことを頭に入れているんでしょう、必要のつど適時適切に対処することということだけにあなたは力こぶを入れているんだけれども、そうじゃなしに、新たな放送制度のあり方について、見直しを含め検討を進めることというのが衆議院の附帯決議としてあるわけですね。これは私は重く受けとめなければいけないと思うんですよ。私が言った意味が正しいかどうか、検証してもらっていいんですが、あるいは青島先生が言われたような問題の提起というものをこういう中でやはりやっていかなきゃならぬということになれば、当然のこととして放送衛星が始まる、あるいはサービスを開始する、そういう時期までの間にできれば僕はやるべきだという気持ちの方が非常に強い。そういう意味では、どう考えてみても五年サイクルじゃないか、こんなふうに思うんですが、大臣、これは確定的なことは言えないまでもやっぱりそういう必要性、また衆議院の附帯決議というものをどう読み取るかという意味でぜひ、お考えを、受けとめ方をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  16. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 先生の御指摘は大変重要な問題を含んでいると思います。  昭和二十五年の段階では、局長が答弁いたしましたように、NHKしかこの世の中に放送メディアというものは存在しなかったわけでございますが、今は百五十社になり、また衛星放送も試験放送として開始をされている。そんな中でこれから、この間青島先生との議論の中でもありましたように、いろいろな問題を含んでいる、両刃のやいばといいますか、人類の発展にも寄与しますし、また何か問題が起こりますと、これは先生の御指摘のように、労働生産性の問題とか、それから家庭の崩壊につながりましたり、いろんな問題にも影響を及ぼすものだと思います。  特に、いつでございましたか、十七分間にわたって、NHKのニュースのときに番組のいわゆるハッカーといいますか、番組乗っ取りがありましたが、その事件を私は今先生お話を聞きながら思い起こしておったのでございますが、そんな問題をどうするか。それから衛星に対して強力な電波を発する人がいたら、乗っ取りなんというのは簡単にできるかもわからないという、そういういろんな問題が、政治家の中に端くれとしております者として、いろいろな予測されるものが感じられるわけでございます。そういう問題を含めて何かいろいろと議論をしておく必要があるのではないか。  先生の御指摘のように、また局長が御答弁申し上げましたように、適時適切にという意味の中には、政治的な先生の御発言、国家の将来、それからまた、それが国家の命運にいかに影響するかという問題を含めての問題であり、かつては上からの放送であったものが今は、放送の内容については私どもは口出しができないということでございますので、そういういわゆる法律改正案というのは、マスコミ法でもあるわけでございますので、非常に我々は慎重に国会先生方の御指導をいただきながら、それこそ適時適切に大問題を含めて御議論をいただかなければならない、そんなふうに基本的に考えております。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 この点ひとつお互いに認識を持って対応したいということを申し上げて、次の問題に入りたいと思うんです。  マスメディアの集中排除という言葉が一般的に使われていますが、逆に言えば、集中支配ということを懸念して、排除という言葉が出てきているのだろうというふうに思います。この点は非常に大事な点で、今回の法律改正では、従来、郵政省の通達ですか、適宜扱われておったものをこの際法律、俗な言い方で言えば、格上げといったらこれはちょっと適切でないかもしれませんが、より明確にしようということで法律案が出てきたものと私は受けとめているわけであります。  その意味法律にも書いてありますように、「国民に最大限に普及させるための指針、放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保すること」、それから「放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするため」にという、これ自体が今私が申し上げました、集中支配というものを排除しなければいけないという意味を含めて法律の提案がなされているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  18. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生おっしゃるとおり、マスメディアの集中支配排除といいますか、集中排除原則というものは、有限貴重な電波をできるだけ多くの者に利用していただくという観点から大変重要な要素でございます。それによって 言論の多元化といいますか、そういうものを図り、あるいは自由な言論、報道市場の形成伸長を図るというような観点からも大変重要な要素でございまして、今回はその考え方放送普及基本計画の中に指針としてあらわしていこうということで、おっしゃるとおりやっているわけでございます。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 ただ、この表現を読んだだけでは、余りぴんとこないということがあったんでしょうね。したがって、郵政省が九条の適用の方針に基づく審査要領ということで通達を出されているんですが、これを見るとよくわかるわけですね。つまり集中支配とか、あるいは集中排除ということを意識するのは、一の者が所有し、または経営支配する放送局は一局に限ること及び一の者が放送事業を行うことによって、ラジオ事業、テレビジョン事業及び新聞事業の三事業を兼営し、または経営を支配することにならないことと、このことを意識されて、先ほどの基本計画の中に明示をしたいという表現が要するに存在するんだ、こう受けとめてよろしいんでしょう。
  20. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生お話ございましたように、複数局支配の原則的な禁止、一者が二局支配してはいかぬという複数局支配の原則的な禁止、それから三事業支配、テレビ、ラジオ、新聞支配の原則的な禁止というものを根本的基準では審査基準として定めております。この文言をこのまま指針の中にあらわすかどうかということはまだ検討しなきゃいかぬわけでございますけれども、その考え方マスコミ集中排除原則の指針の中に書いておきたいというふうに考えているところでございます。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 そうすると、後段で私が申し上げましたような、現在存在する通達の内容は、これを肯定されるとするならば、どういう扱いにこれはなるんでしょうか。
  22. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 繰り返しますけれども、複数局支配の原則的な禁止、あるいは三事業支配の原則的な禁止の基本的な考え方放送普及基本計画の指針として書きあらわしていきたいというふうに思っております。  具体的な基準につきましては、放送局の開設の根本的基準ということで定めていきたいというふうに考えておりまして、したがいまして、総体を見れば現在と同じ形になるというふうに考えております。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 素人わかりのする表現での内容明示は従来どおり、じゃ何か通達という形で行うと、こういうことですか。
  24. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 放送局開設の具体的な基準につきまして、放送局開設の根本的基準で定めるということを申し上げましたけれども、根本的基準というのは省令でございまして、具体的な中身は省令であらわしていきたいというふうに思っております。
  25. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。  そこで局長現状を踏まえて、郵政省という立場から見て、マスメディアが大変拡大してきましたけれども、集中支配をしている、したがって集中排除をしなければいけない、そういう問題地域というのは現状ありますか、ありませんか。
  26. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 放送局の免許の審査に当たりましては、その項目の一つとして、先ほど来お話ございますマスメディアの集中排除の原則を項目として立てて審査しております。現在のところ、すべてこの原則に適合しているというふうに私ども認識しております。
  27. 及川一夫

    及川一夫君 要するに、ないということを言われた。ないという前提で見ておられるんですな。はっきりしておいてもらいたい。
  28. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 原則として三事業支配、あるいは複数局支配につきましては禁止されているわけでございまして、そのことから申し上げますと、現在免許を受けております民放会社は、すべてこの原則に適合しているというふうに私ども認識しているところでございます。
  29. 及川一夫

    及川一夫君 要するにない、全部適合しておると。まあそうでしょうね、この場であると言うたら大変なことになるわな。それはわかっていて私も言っているんだけれども、ただ、私はそう言うからにはやっぱり問題意識を持っているということになりますわね。まあただし書きがあることも十分知ってはおる前提なんですけれども、この前サンケイ新聞の若き社長がお亡くなりになられて、我が国にとっても大変損失に値する人物じゃないかなというふうに思っているんですが、そういった点では、お悔やみを申し上げなければなりませんけれども、ただ、新聞でも発表されましたように、肩書を見ますと、ラジオ、テレビ新聞、これは兼業されておりましたよね。  もちろん代表というのがつくかつかないかというのもあるけれども、これは一体、この原則からいうと、ただし書きであって、原則以外でいいんだというふうに認めたから存在するんだろうというふうに私も思いますよ。本当にそれでいいんだろうかと。もしこれがいいということになれば、一体集中支配というのは、何をもって集中支配と言うのかということについて、私は基本的に問わねばならないなあという気持ちなんです。しかもこれは中央ということだけで、中央都市というだけで考える場合と全国ネットという場合で考える場合と、それからこの通達が出された三十四年のマスメディアの状況と今日の状況と比較してみて、果たしてそれでいいのかどうかという疑問を私は持つんですが、まず局長、集中支配というものはどういうものかということを述べていただきたいというふうに思います。
  30. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 現在私ども先生おっしゃいましたように、三十四年の九月に出されました根本基準の第九条の適用の方針というものに従いまして、集中排除原則を適用して審査し、あるいは運営を図ってきているところでございますが、その中身といたしましては、「一の者によつて所有又は支配される放送局の数を制限し、できる限り多数の者に対し放送局開設の機会を開放する。」ということで、その具体的な中身は、一の者が二以上のものを持っちゃいかぬという、複数局支配の原則的な禁止でございます。それから、「各地域社会における各種のマスメディア、大衆情報手段の所有及び支配が、放送局の免許によって特定の者に集中することを避ける。」ということでございまして、これはいわゆる三事業支配、ラジオ、テレビ新聞等を一の者が所有する形になることは原則としては禁止するということでございまして、これに従いまして私どもはやってきておりますし、それによって言論の多元化といいますか、そういうものも図っていかなきゃいかぬというふうに認識しているところでございます。
  31. 及川一夫

    及川一夫君 客観的な事実として、電波監理審議会が三十四年の九月十八日に根本基準第九条の適用問題として論議をされまして、別紙一、別紙二で審査要領というものが決められていますよね。その中に今、局長が言うたことが大原則として存在されているわけです。その限りでは意見一致なんだけれども、問題は具体的に適用した場合に、何で東京とか大阪の場合は三事業兼営してもよろしいということになるのか。三十四年の事態と今の事態というものを考えてみますと、どうなんだろうと、これは。当時はテレビだって、そんなにあっちこっちにあったわけじゃないでしょう。恐らく東京、大阪が中心じゃなかったでしょうかね。地域にはやろうという意欲で準備をする人はおったかもしらぬけれども、僕は当時はそんなにおらなかったと思う。地域にはなかったと思う。そういう条件の違いを含めて考えたときに、原則はいいんですよ、別に悪いと言っていない。今の事態というものを、当時の感覚で決めたことをそのまま残しておいていいのかどうか、検証してみる必要があるんじゃないか、こんな気がしてならないんですが、いかがですか。
  32. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 私ども三事業支配の原則的禁止、それから複数局支配の原則的な禁止につきましては、客観的なデータに基づいて判断せざるを得ないというようなことから、資本構成とか役員構成の面から該当するかどうかということを審査しているわけでございます。  で、その免許申請をしたときだけで終わるというわけじゃございませんで、常にそういう状況を把握しながら見ているわけでございますが、現在免許を付与しております民放につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、すべてこの原則に適合しているというふうに判断しているところでございます。
  33. 及川一夫

    及川一夫君 まあ成川局長も三十四年にどういう仕事をされておったかようわかりませんけれども、したがって、なかなかお答えの方も大変だろうというふうに私は思いますけれども、どちらにしても三十四年の事態の中で電波審議会がお決めになったことは決して私は間違いではない。そしてまた、今現在、別にサンケイだけに限らず、それぞれ新聞テレビ、ラジオは、何だかんだ言っても系列的に存在していますからね。毎日だ、朝日だ、あるいは読売、日経だというふうにあるわけでしょう。それで一体、三十四年にはそういう新聞社はあったけれどもテレビ、ラジオは全部ひっついちゃって、今日のような事態でなかった中で決められた。だから決め方にも、三つのことを兼業したらだめだと言いながら、ただし書きで、端的に言えば、大都市は別だというふうになっておるわけでしょう。これ、ただし書きで。だから、別にサンケイの社長が、会長が三つぐらいやったって別に法律的に、あるいは行政指導的に問われるものはないんですよ。  だけれども、本当にそれでいいんだろうかということを現状を踏まえますと、余りにもきれいになっているんじゃないですか、ラジオとテレビ新聞のこの系列化というやつが。お互い都道府県、ずっと整理をしてみると、少なくとも二波まではあるわけですからね。それが系列的に全部、多い少ないはそれはあります、競争ですからね。  図にしてみたってこういうぐあいに、これ小さくて悪いけれども、こんなふうに整理をすれば、何々系ということで全部並んじゃうわけですよ、テレビ会社もラジオ会社も。そうすると、三つの事業を支配するというか、東京都内ならば、確かに朝日もあれば読売もあれば何もかもあると。だから情報を一人占めにできない。Aという情報もあれば、同じことに対してBの情報もある、だから情報支配にはならないんだと、こういう理屈は三十四年当時あたりでしたら意外と財政的な問題を含めまして、金がなきゃできないわけだから、財政問題も含めて、それはある意味じゃやむを得ないというようなことで、ただし書きで認められたものであるというふうに思うんですよ。だけれども現状を踏まえると、そういう論理というのが、それだけでいいんだろうかということを地方の実態なども考えてみると、僕はやっぱり問題ではないかなというふうに思うんですが、いかがですか。
  34. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先ほど来の答弁の繰り返しになって恐縮ですが、地方の民放会社の場合におきましても複数局支配の原則的禁止、あるいは三事業支配の原則的な禁止という観点から審査をして、先ほど来申し上げましたように、現在付与している民放につきましては、これに反するところはないというふうに私ども判断していると申し上げたところでございます。  で、会社ごとにその役員構成だとか資本構成等々を調べまして、そのような判断をしているところでございますが、先生が先ほど来おっしゃっております、キー局を中心として番組が流されているといいますか、支配しているんじゃないかというようなお話でございますが、番組供給と経営支配とは別の問題でございまして、番組供給といいますか、番組をどうやって選択して、番組編集をして放送をしていくかということは、また地方の会社、地方と言っちゃ失礼かもしれませんが、民放の会社御自身が判断すべきことでございまして、それが直ちに経営支配という、直ちにといいますか、番組供給と経営支配とは別の問題というふうに私どもは考えております。
  35. 及川一夫

    及川一夫君 そんなばかな話はないじゃないですか。番組があって経営があるんですか、それとも経営があって番組があるんですか、僕は一体のものだと思いますよ。だから、その番組のよしあし、番組を何かこう独占しているとか、そんなことを考えてやっているわけじゃないんでしょう、この三つを兼営してはならないというのは。要するに、一人の人がその経営体三つを握ってしまうと、一つの課題について、三つも四つも並べて、何か否定して肯定するような、そういう情報の出し方というのは、これ責任ある者としてできないですよ。やっぱりこの問題に対してはということがあれば、それに対してこうだという社長としての方針を出せば、大体おおむねそれに向かってみんな行くんじゃないですか。  だから、情報をいただく方は、もう一方的に一つの情報だけで縛られてしまう、誘導されてしまう、こういうことも大きな一つのこれは問題点なんですよ。そういう意味で、この情報の提供者が複数でいることは望ましいし、またそうあるべきだという前提に立って、このテレビ会社、新聞だ、ラジオだ全部支配してはいけませんよというふうに原則は僕はうたってあるというふうに思うんですよ。だから、番組どうのこうのじゃないんですよ、経営支配の問題だと思うんですな。  だから、そういうことでぜひ少し、これから省令もつくっていかれると思うんで考えてほしいというふうに私は思うんですが、これだけじゃないですね、今は役職でこう言いましたけれども、今度は資本の関係だってあるわけでしょう。これは別紙二の方に、「一の者が、放送局を所有する法人の議決権の総数の十分の一をこえて所有すること。」というのはあかぬと、こういうふうに言っているわけですよ。ところが、この議決権というのは、これは二通りありますわね、二通りあるんですが、例えばNTTの株主は、大蔵省は三分の一持っていたって、一ですよね。そういう数え方もあるんですけれども、しかし、常態としては、大体株数によって表決というものが考えられる、つまり資本金ということになるんですが、そういう前提に立って、実はほかのところをやると差し支えあるから、実は私の郷里の方をちょっと調べさせてもらったんであります。これは別に非常手段で、どっかから持ってきたんじゃなしに民間放送年鑑、八七年の十一月発行、これを参考にいたしまして調べてみたわけです。  そうしますと、私は宮城県なんですが、宮城県にはかなり地盤のはっきりしている河北新報なんというのがあるわけですが、東北放送の社長さんが河北新報の会長をされている実態にあるんですけれども、問題はこの株数が、河北新報社が東北放送の一万五千株持っておられる。これだけでは一〇%を超えることにはならないんですが、河北文化事業団ということで、河北新報が文化事業のためにお金を拠出して一つ施設をつくっているわけですが、こういったところが四千株、これを合わせると事実上一〇%を超えて一二・六%になる。超えてはならないということなのに超えているではないか。ただ問題は、河北新報と事業団を別個の人格というふうにあくまでも押し切ってみれば、確かに一〇%を超えてないんですが、株を持つという意味はどういうものかという実態で考えますと、そんな言葉どおりにはならないんではないですかというようなこととか。あるいは秋田県の場合には、例の秋田における魁という新聞社ですかね、これが内部告発で、こんな分厚い本が出て私も読ませていただきましたけれども、大変だなというふうに見た。  それで、これをこれでもってやっぱり調べると、ここの会長さんは、まあおやめになったけれども、魁新報の社長はもとより、秋田放送の会長、それから秋田テレビというようなところの役員をやったり、またほかの役職員を見ても、ほとんどこの魁という新聞社から行かれているということ、あるいは秋田市の市長自体が魁新聞におられた方で、過去四回あるそうですけれどもね。それはもう民主的に選ばれたんだから別にどうということないんですが、そういった人が、今度は自治体の長がそういうのに入っていいかどうかというのは別の問題ですけれどもね、役員をやっているというようなこと。あるいはかつて山形新聞のこ ともここで取り上げられたことがあるようですが、どちらにしても実態は、書いている文言から見ると全く違った格好、しかもこれはローカルですからね、ローカルというのは原則的に認めないという前提で運用されてきておったというふうに私は思うんですけれども、特にこの代表になる社長とか会長とかですね、そういうものについては、まあ中央の場合にはいっぱい新聞社があるからいいと、しかし、地方の場合にはそんなにないからそれは許さぬと、こういう意味合いの大体指導であったようにお見受けするんですよ。そういうものから見ても、かなり地域の実態というのは、文字で書いたとおりのものになっているところというのは割合に少ないというふうに私は見るんです。  だから、今ここで一挙にどうしようかというような問題を言おうとしているんじゃないんだけれども、事態の認識として、局長、これから法律改正されて、それで新たに出発されようとする、そういう時期だけに、しかも省令で対応されるということになると、どうしても注文をつけておかなきゃいかぬと、こんな気持ちなんですよね。いかがですか。
  36. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 具体的な放送会社の名称を挙げられながら御質問がございましたけれども、私ども宮城の場合につきましても人格は別でございますので、審査基準に照らしても適合しているというふうに考えているところでございます。  一般的に経営支配の有無を判断するには、客観的なデータ、客観的な基準に基づいて審査せざるを得ないものですから、先ほど先生から審査要領の具体的なお話がございましたけれども、その項目に照らしまして考えておりますけれども、現時点におきましては、それに違背する放送会社は一つもないという、先ほどの答弁の繰り返しになるわけですけれども、そんなことでございます。  今後とも集中排除原則につきましては、先ほど来申し上げておりますように、放送普及基本計画の中に指針として取り上げ、一層発展する言論市場の多元化といいますか、そういうものを確保することからも原則的には守っていかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。
  37. 及川一夫

    及川一夫君 本当に何を言われたのかなと思って、私も一生懸命理解しようしようと思っているんですがね、ちょっと言葉のあやだけでは済まされないような気がするんですが、実は私から言うと、別にこれだけあるから問題だと言っているんじゃないんですよね。どうしても局長そういうふうに言い張るんなら、じゃ一体電波監理審議会というのは何じゃと、これは省令でつくったというようなものじゃないでしょう、別紙一とか二というのは。審議会にかけて、確認をされて出された内容ですからね。そんなら一体、審議会に対して具体的に問題を我々が提起をした場合にどういう答えが一体返ってくるのか。電波監理審議会というのは、内容を見てみると、やっぱりほかの諮問会議とは全く違う性格を私は持っているものと思います。つまり権限といいますかね、性格的には諮問委員会であっても、議決されたものは尊重し、措置されなきゃいかぬと、こう書いてあるわけですから、ほかの諮問委員会だったら、大体出た答えについては尊重しろと、こう書いてあるのが普通なんですがね、いい悪いは別にして。これは議決し、議決という言葉、尊重はどこにも入っていると、しかし、措置しなければならないと、こうなっているわけでしてね、だから私は、ここにはかなり厳密にやらなきゃいかぬという意味合いのことが含まれているというふうに思うんですよ。  だから、私もそれは地方のテレビ局の名前を挙げているから、それをいいとか悪いとか言ってくれというつもりはありませんよ。ただ、実態としてこういうのがありますよと、だから、これからひとつ具体的に省令等で決められるというならば、そういう実態というものを十分に参考に入れて、それで審議会で決められた趣旨というものを十分に生かし切るという立場に立ってつくり上げ、同時にまた指導していくべきじゃないかと、こういうことを私は要求をしているということなんですよ。そういう立場に立って、もう一度ひとつ答えてくれませんか。
  38. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 放送普及基本計画の指針の中にこの考え方を掲げて、先生先ほどお話がございましたけれども、入れまして、つくっていくわけでございます。集中排除原則は、先ほど来お話がございましたように、言論の多元化といいますか、言論界の多元的な発展を図るためにも必要ということでございまして、今後ともこれにつきましては守っていかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。先生の御意見等も考えながら、その考え方自身は従来と変わらずに守っていきたいというふうに思っております。
  39. 及川一夫

    及川一夫君 言論界の発展大いに結構、大いに私もそうしてもらいたいという気持ちを持っておりますから、ぜひこの問題は、次の課題の一本化調整の問題とも絡んで非常に注目されている問題だというふうに思いますから、最後の方で生かすような立場で、従来の決められたものをきちっと守り切るようにしていきたいという趣旨お話もありますから、そういうふうな立場に立って対応してもらいたいということを申し上げまして、次の課題として、一本化調整問題についてお伺いしたいというふうに思います。  一本化調整はテレビ局をつくる、あるいは波を一つ地域に対して与えるということになると、数字で言うと、やはり三けたぐらいの勢いで申請者が出ておいでになるんですね。そこで一本化調整ということになるんですが、一本化調整の仕方について、方法についてどんなことをやられてきたんですか。
  40. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 一般放送事業者用の周波数を割り当てますと、大変多数の方から申請が出てまいります。これらにつきまして、地元密着性というような観点からいたしますと、できるだけ多数の人に一本、一体となってもらうことによって地元に密着し、あるいは経営的にも安定し得るんじゃないかというふうに考えておりまして、従来から多くの地区で申請の一本化調整が行われてきたところであります。私ども中立的な方々に調整を依頼するというような形で、できるだけ多くの方が一本にまとまって地元に密着し、あるいは経営的に確固たる基盤の上に放送ができるようにしてほしいというようなことからやってきたところでございます。  これからの免許処理に当たりましても、基本的には同様の考え方で臨むつもりでございますけれども、一本化調整が行われる場合には、今後とも公正な方法により、内容的に郵政省の審査方針に合致するということとなるように要請していきたいというふうに思っております。郵政省考え方に沿って一本化ができるようにという審査方針に従った考え方というよりも、審査方針に従った一本化ができるように要請していきたいというふうに思っております。
  41. 及川一夫

    及川一夫君 紆余曲折があっても、最後は一本化が調整できて、それぞれの地域放送局ができ上がっていっているという実態は存在するわけですから、それ自体は認めるにしても、問題は、一本化調整自体が非常に不透明だという批判をよく聞くんです。一体どこでだれが何のためにこういう、どんな理由でこんなふうになったんだろうかというようなことが一切知ることができない。申請者の数はわかったけれども、ごじゃごじゃ何か動いているなと思ったら、いつの間にかこういう結論が出たと。一体何だろう、おれの申請は一体どうなったんだ、こういうような不満というものがなぜこれは出てくるのかということになると、やはりやり方、あるいは一本化調整する場とか、そういうものに問題点があるんではないかなあというふうに私は思いますね。それで、現実に四つぐらい何か裁判があるんでしょう。今現実に郵政省相手取られて裁判されているものはありませんか。
  42. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 現在裁判にかかっているのは一件だけでございまして、具体的に申し上 げますと、東京FMの関係だけのようでございます。
  43. 及川一夫

    及川一夫君 まあ最近解決というか結論が出たのがありますからね、それらを含めると一つではない、四つか五つぐらいあるはずだと、こういうふうに思いますけれども、それはそれとして、例えばこういうことからも出てくるんですね。  日本有料テレビというのがありましたよね。これが八〇年の十月末にやっと申請を受け付けてもらって、受け付けてもらったのはいいんだけれども電波監理審議会には本人を呼んで意見を聞くとか、そういうものもあるにもかかわらず、不服を申し立てても呼んでもらったことはない、資料を持ってこいと言われたこともない。しかも郵政当局からは、申請は受けてもらったけれども、結論をもらったと思ったら二年後だったと。しかも、それはおまえはだめだという結論をもらったと。一体どうなっているんだろう。こういうところから非常に不透明であるとか、どうもその審査の仕方がその地域の実力者といいますか、そういうものに巻かれて問題が決まっていくんじゃないかと、不公正だ、こういうふうにつながった意見に私はなっていると思う。これは別に私は訴えられたわけでも何でもないですよ。いろんな調べている中で、いろんな文献の中に出てくるやつを見てますと、こういったことが言われているわけでして、私からいえば、申請受け付けるまでごじゃごじゃがあって、受け付けたと思ったら、なぜ二年間もかかるのか。一体原因はどこにあったんだ。お役所仕事と言われるのはそのことではないかというふうに思うんですが、これからのこともありますので、郵政当局の見解を聞いておきたいというふうに思います。
  44. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 今お話しの日本有料テレビという関係でございますが、これにつきましては、ちょっと現在手元に資料ございませんで詳しくは存じ上げないんですが、一本化の問題として問題提起されたんではなくて、申請したにもかかわらず通知が遅かったというようなことかと思いますが、これは現在裁判中のようでございます。  それで、このケースの場合には、U局のあれでございまして、U局の割り当てがないなどの理由で拒否したというふうに聞いております。ちょっと詳しいデータないものですから、急にお話承ったものですから恐縮でございますけれども、以上、私の知っている範囲ではそんなところでございます。
  45. 及川一夫

    及川一夫君 事件の内容というよりも、なぜ二年間も審査がかかるのかということなんですよ。
  46. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) これは有料テレビという形で申請が出てまいりまして、御承知のとおり、有料放送制度というのはその時点にはなかったわけでございます。新たな行政要素も含んでおるものですから、若干時間をかけて慎重に検討しなきゃいかぬというようなことで、このケースの場合には時間がかかってしまったというような状況でございます。
  47. 及川一夫

    及川一夫君 いずれにしてもこの問題では、やはりお答えを聞きながら感ずるんですが、なかなか言うに言われないものがあるような、そういうふうにこう聞こえるんですよね。しかし、それではやはりだめじゃないかと。だから一本化調整という、調整しなきゃいかぬということは認めるにしても、調整の方法については、やはり公にそのための調整機関といいますか、そういうものを設けて、そうして民主的な方法で代表を選んでそこで論議をする。しかも申請者の意見は十分平等に聞くと。こういう方法を何とかやはりとるようにしないといかぬのじゃないか。皆さんの提案によれば、これから四波を最低許すというわけですから、したがって県によってはすぐさまそういう行動が起きてくることも考えられるし、その場合に、また何となくかなりの人数が立候補しちゃって一本化調整という話になる。郵政もそういう意味ではやっぱり調整に責任を持つという立場に立たないと、何かもう申請者同士に勝手に決めてこいと、それが郵政省の方針に合致すれば認めてやるというような、またそのように見えるようなやり方というのは僕は避けるべきじゃないかと。やっぱり話し合いの中に郵政省自体も入って、そして納得ずくで整理をする、調整をするというようなことがあってしかるべきだというふうに思っているんですけれども、そういう場所の問題と、やり方の問題と、それから郵政省の対応について最後に聞いておきたいと思います。
  48. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 最終的に行政的な責任を負うのは郵政省でございまして、したがいまして、私ども責任を持って対処しなきゃいかぬというふうに考えております。調整の場に私どもが出るか出ないかは別といたしまして、私ども考え方は、申請者が全体集まった場とかいうようなところに知れわたるように調整者にお願いしたり、あるいは出て行ってお話しする場合もございますが、そういう形で取り組んでいるところでございます。  申請者間同士ではオープンになっておりまして、お互いにどういう申請が出ているかというようなことだとか、その申請者の調整が始まる前には、申請者が代表者という形、あるいは全員というような形で集まっていただいて始まるものですから、お互いには知っているわけでありますが、外から、第三者から見ますと、どういう形でやっているかというのは、なかなか知りにくいケースもあるかと思います。私どもの審査方針等につきましては、当初の調整会議といいますか、そういう場に伝わるように努力しておりますが、今後とも一層調整をお願いする場合には、そういう形でやっていきたいというふうに考えております。
  49. 及川一夫

    及川一夫君 次の問題に入らせてもらいます。  民放連の方おいでになっていると思いますが、大変どうも御苦労さまでございます。  次の問題として、番組審議会をめぐる問題についてお伺いしたいんですが、民放連の方にお伺いいたしますが、今回の放送法改正問題についてどのように受けとめられておられるか、同時に、現在の民放連に加盟されている放送会社ですね、こういったものの収支状況、一体どんなものだろうかということについて、まずお伺いしたいというふうに思います。
  50. 泉長人

    参考人(泉長人君) 最初に、今回の放送法改正の全体的なことについて意見を申し述べたいと思います。  現在の放送法昭和二十五年に決まりまして、民放が発足したわけでございます。三十五年たちました今日、初めて基本的な法改正が行われまして、当時NHKに準ずるといったような形で免許されていた民放あり方から、民放NHKが並立しながら視聴者にサービスするという現体制に沿った法改正ができた、さらに加えまして放送の計画的普及だとか、放送局の免許期間の延長とか、メディア特性に応じた番組規律等改正は評価できるものでございます。基本的には一段前進したものとして賛意を表するものであります。  しかし、一方におきまして、今先生からの御質問がありましたように、番組向上を理由としたような公的規制を強めようとするような面、それから有料放送を導入しながら許認可制度を取り入れるなど、自主、自律の尊重だとか、民活方策に反する面も見られまして、そのほかにNHKに対しましては業務範囲の拡大などが許されるようになって、それぞれの点でまだ民放としては不満足な点が見られるところでございます。  したがって、今回三十五年もたってようやく現状追認という法の改正ができることは大変喜ばしいことなので、そういう意味で基本的に賛成したわけでございますが、これから訪れます情報化社会、それの基盤となるのは、やはり日本全体の国民の情報の受け手の基盤となる情報の受け方だというふうに考えます。先生がおっしゃったように、放送衛星とかハイビジョンとか、さらには有線、無線の融合、CATVも視聴者には放送と同じように情報が来るわけです。それから、そのほかにパッケージなどもあるわけでございまして、そういうような時代に合った法改正というのは、先生もおっしゃるように近い将来ぜひやっていた だきたいし、そのときには私たちが今危惧している問題などもさらに御検討いただいて、それに含めて処理をしていただきたいというふうに考えます。そういう意味で、今後はぜひ国民の、受け手の立場に立った放送法、立派な放送法というものができることを期待しているわけでございます。  それから次に、先生がおっしゃいました番組規律についてでございます。  番組の向上につきましては、民放始まって以来、長年にわたって民放連の仕事でもございますし、その方策を議論し合ったり実行を進めてまいったわけでございますが、必ずしも視聴者から番組が大変満足だというような評価を得るには至っていない現状でございます。それは十分我々も承知し、反省しているところでございますが、また非常に番組がよくなった面も十分御認識をいただきたいと思っているところでございます。  その中で、私どもが最近最も力を注いでおりますのは、民放の全社員が民放人として放送基準マインドを徹底して勉強して、そうすることが一番、番組をつくっている人間、それを支えているほかの社員全体の総合的な放送人としての志が高まることによって番組がよくなるんじゃないかということから、昨年来各社の社員教育担当者、責任者を呼びまして、全社それぞれ工夫を凝らして、社員に常時そういうような放送人としての放送基準を徹底するような教育をしてくださいということをお願いし、着々実行しているところでございます。  しかし、番組をよくしていくということは、放送事業が存続する限り永劫の問題でございまして、教育と同じでございますので、これには時間と忍耐とそれからよい面をうんと引き出していくというような方策が必要なので、絶えざる努力が必要でございます。したがって、法による規制だとか第三者によるチェック、そんなものがこれにまさるとは到底思えないわけで、ぜひ私どもの自律を尊重して、これに御協力いただけるような体制づくりをこそ考えていただきたいと思います。  それから、民放各社の経営の問題ということをおっしゃいましたが、広告費に依存する民放の場合に、放送対象区域の購売力の水準といいますか、つまり、放送事業存立の経済的基盤によって、その地域に投下される広告費というものがもう大体決まっているわけでございます。最近、日本の景気がよくなったと言われまして、放送局も事実収入は向上しております。しかし、その中身の実態を見ますと、東名阪というようなキー局に非常に広告の投下が集中しておりまして、地方はその三分の一なり四分の一程度しか潤っていないということは、地域格差が非常に拡大してきているということでございます。そういう意味で、今度の指針にもありますように、地方の四チャンネル化といいますか、そういうものがこれに重なって出てきますと、非常に地方の経営というものが圧迫されるし、うまくいくかどうか大変危惧するわけでございます。したがって、こういう厳しい状態のもとで、放送普及の基本計画にありますような受信機会の平等ということをやることは私たちも賛成でございまして、多チャンネル化も進めていきたいと思っておりますが、それにはやはり今申し上げたような経済的な情勢がございますので、最も経済的かつ合理的なやり方を導入すべきじゃないかというふうに考えます。  と申しますのは、設備投資のミニマム化とか、放送局運営のミニマム化ということ、それから新規事業者の参入することが一体その他方にとってどうなのかということの検討、そういうものをさまざまな基準に照らして総合的に計画を進めていただきたいのでございます。したがって、ただいま議論がありましたように、マスメディアの集中排除という、その原則を振りかざすだけでこれを処理してもらうことは、大変受け手の立場からいきますと、必ずしもいいのではないんじゃないか。  受け手は、地方の四局化というのは、地方の独自の情報が四種類ないから、困るから四局化しようというんじゃなくて、東京の人がたくさんの番組を見ているじゃないか、地方が番組が少ないのは不公平じゃないかという基本に立っているとすれば、中央の情報を地方に流すのには、必ずしもマスメディア集中排除だけを振りかざすのじゃなくて、合理的な方法、いろいろ私は過去申しておりましたように相互乗り入れとか、一社で二波中継局をつくってあげるとか、いろんな方法があると思います。そういう考え方も導入いたしまして、多数の申請者の一本化ということについて方法にこだわらない、柔軟なやり方というものが図られてしかるべきであります。放送というだけで独占することの弊害というよりも、今視聴者は、放送だけじゃなくて、CATVやパッケージとか、あらゆる情報の入手の手段を持っております。だから、放送だけが妙にかたくなな従来のやり方をとろんじゃなくて、それと総合的に考えた進め方をしていただきたいというのが、今の放送局の経営の問題と絡めてお願いしたいところでございます。  以上でございます。
  51. 及川一夫

    及川一夫君 時間の関係があって、一つ一つお聞きすることが難しいんですが、その中でとりわけ意見が、対立という言葉はよくないが、相違しているなというふうに思われるのが、この番組審議会に対する今回の法律改正と、同時に省令として出ていく内容として、いわば公表の問題ですね。これについては自主性をということを言われて、それ自体よくわかるんですが、ところで、私も正直言って、NHKの中央番組審議会の委員をやったことがありますので、それを一つの、ああこの方法はいい方法だなという前提に立って私が考えますと、民間の番組審議会、従来あったですね、これの運営というのは、例えばどういう構成で、それから局の側はどなたがお出になって、その番組審議会というのは運営されているのか、その点お聞きしたいと思うんです。
  52. 泉長人

    参考人(泉長人君) 正確なことは存じておりませんけれども、確かに地方局において、局の社員が番組審議会の委員になっている社はある程度あります。今回の法改正によってそういうものはいけないと、全部外部にしなさいということについては、私たちも内部の審議の中でもそれはそうだろうということで、社員は排除していこうという考え方については反対する意見はございませんでした。
  53. 及川一夫

    及川一夫君 それで、私もいろいろと教えていただいたんですけれども民放連として放送基準解説書、これが出ていますね。それから日本民間放送連盟で放送基準、これも同じか、年度が八五年と八七年の違いがありますけれども、こういったものが出ていますね。これを見ますと、まさに立派なことばっかりなんですよ。これをやっていただいたら、絶対と言ってもいいくらい番組に対する非難とか批判とかいうものは出ないんじゃないかなというふうに私は思うんですよ。だから、こういう考え方を具体的にそれぞれの放送局が実践していただければ番組の審議会の問題も私はうまくいくと思うし、また十分理解し合った立場に立って、批判が出るにしても前向きの批判が私は出てくるんじゃないかなというふうに思うんですね。  したがって、そういうことを要請をしながら、そこで局長、あなたにちょっと尋ねたいんだけれども、例の、今ちょっと資料を持ってきていませんが、PTAの中央の集まりがありますね。その中で番組についてのアンケートをとったら、要するにいい悪いというやつが出てきて、それを表で見る限り、NHKの番組はみんないいわけですよ。民放は悪い方に余計あって、いい方は少ないわけですね。そして、それは郵政省や恐らく民放連にも行ったと思うんですが、何とか考えてもらえという父兄の要求が要するに出ているわけですよね。そういうものをどうするかというのがやっぱりあることはある。人の子の親なんですから、私たちも同感というのが実はあるんですよ。したがって、その問題を郵政省がいじくり回すと、また言論の自由、表現の自由という課題にぶつかり合って、なかなかこれは難しい問題なんだけれど も、そういう意味では自主性を大いに発揮された方がいいという点では私もそういうふうに思うんですが、問題は、郵政省が今度の法律改正で、いずれにしても民放にも公表というものを義務づけていこうと、こういう話が出ているわけで、今のお話を聞きながら、そこまでの必要性郵政省として変えないで、やはり予定どおりいくというお考えかどうか、短時間のお話ですからね、なかなか難しいと思うけれども、いかがですか。
  54. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 放送番組の内容の向上につきましては、いろんな方からの御意見がございまして、私ども国民的な課題というふうに考えております。しかし、番組の中身についではあくまでも放送事業者の自主、自律に任せるべきものでございますので、内容について私どもがとやかく言うということは差し控えなければいかぬというふうに思います。そういうことからいたしますと、番組審議機関を活性化して放送事業者の附属機関、まあ附属機関じゃないですけれども、機関としての番組審議機関を放送事業者の自律を促す手段として活性化するということが大切じゃないかというような観点から今回のような提案をさしていただいたわけでございます。  その一つとしては、先ほど泉参考人の方からの御答弁に出ましたように、部内委員の廃止、経営的に事業者も放送事業も安定してまいりましたので、この際、部内委員が審議機関に参画しなくてもいいんじゃないかというようなことから、部内委員を今度は廃止して、すべて部外の方々委員になっていただいて、審議をしていただこうというふうにしたわけでございます。  それから、今回は答申とか意見、番組審議機関がいろいろと放送事業者から任意的に諮問を受けまして答申をつくった際には、それを公表して一般視聴者に知り得るようにする。それによって一般視聴者からまた反応といいますか、反響がございまして、それが放送番組の向上にもまた結びつくんじゃないかというふうに考えておりまして、そういうことから「公表」を入れたわけでございます。  それから、意見の概要につきましても、意見というのはやりとりを言っているわけじゃなく、議事録みたいなものを言っているわけじゃございませんで、最終的にまとまった提言といいますか、意見を出す際にはその概要を公表していただくようにしようということにしたわけでございます。具体的な公表の仕方につきましては、これといった決めつけをするわけではございませんで、幅広い中から放送事業者に選択をしていただこうというふうに考えております。私ども省令の中身として考えておりますのは、できるだけ多くの視聴者に知り得る方法で公表してもらい、たいというふうなことでございます。今、新聞放送事業者の放送ということもあるでしょうけれども、そういうようないろんな方法で、知り得る方法でやっていただければ、視聴者がそれを知って、また番組審議機関に物を申すこともあるでしょうし、放送事業者にも物を申すというようなこともあるでしょうし、そういうことによって視聴者との結びつきができて、番組の中身が向上できるんじゃないかというふうに私ども期待して、このような提案をさしていただいたような次第でございます。
  55. 及川一夫

    及川一夫君 民放連の方にもう一つお聞きしますが、NHKの場合に中央番組審議会というのがありますが、これには会長は出るわけです。必ず出る、会長が。それから、もちろんそれぞれのセクションの重役も全部出られます。そして番組についていろいろ意見交換するんですけれどもね、責任ある体制をとっておられる。民放の場合には、会長ということになれば、私は社長だろうと思うんですね、まあ会長制しいているところもあるかもしれませんが。そういう社長とか、要するに放送をしている事業に責任のある方が毎回きちっと出られて応対されておられるかどうか。どうも内部の役職員ということになると、社長なんか出たって意味がないですわな、そんなもの。と、私はこう常識的に理解するんだけれども、どうなんですか、今NHKがやっておられることはいいと思いますか、悪いと思いますか、これ。
  56. 泉長人

    参考人(泉長人君) もちろんNHKが、会長もお出になるということは結構なことだと思います。私の知り得る限りでは理事さんたちが中心ですけれども、ほとんど番組審議会というのは大変重要視して、必ず社長が出ることにしているとおっしゃる方がほとんどでございます。特に民放連の会長をしている中川さんは、テレビ東京の社長でございますが、この方は万難を排して番組審議会は必ず出ている、そう私は確認しております。
  57. 及川一夫

    及川一夫君 それともう一つあるのは、NHKの番組審議会で大体まとめられたことは、要するに公表という方法をとられておるわけですよ。ただし、一応あれは議論の細かなやりとりは外には発表をしないようだけれども郵政大臣のところには行っているんじゃないでしょうかね、あれま。——いや、あなたに聞いているんじゃなしに、どうもそういう手続に僕は聞いているわけです。だから僕は悪いと言っているんじゃないんですよ、それは。それはそれでいいが、要するにNHKであろうと民放であろうと、とにかく表現の自由とか言論の自由というのは同じなんですよね、問題視する目というのは。だから同じ条件に立っていながら、片一方は肯定して片一方は否定するというのは、どこが違うんだろうと、こう素人から見ると、疑念を持つわけですよ。ですから、私もでき得れば、郵政省にもお願いをしておきますが、余り何だかんだと言って、自主性を失うようなやり方というのは決して私は好ましいと思っていないわけですから、信頼関係がまずできるんなら、もう一度じゃ従来の方法で民放にやってもらおうかというようなことがあったって私はいいと思うんですよ。しかし、それがどうしてもそれをやって問題が解決しないということになれば、別に法律行為にすることはないんでしょうけれども、やっぱり所要の措置をとらにゃいかぬということになるんだろうと思うんですね。そういったことを含めて、ぜひ省の方でもこれからの作業のようですが、お考えいただくことを要請をして、次の問題に移りたいというふうに思います。民放連の方、どうもありがとうございました。  次の問題、最後になろうかと思いますが、放送衛星と料金問題ということでお尋ねしたいというふうに思います。  まず衛星機構法律が成立をして、当然いろいろな意味で作業に入られると思うんだけれども民放関係については、当然民放各社がいろいろなことをおやりになるだろうと思うんですが、郵政省NHKという意味では、この衛星にかかわる受信料ですか、これは一体どういう作業、あるいは作業めどを持っておやりになるのか、まずお聞きしておきたいと思います。
  58. 林乙也

    参考人(林乙也君) 現在の放送法三十七条におきまして、視聴者から徴収する受信料の月額につきましては、国会が第一項の収支予算を承認することによって定めるということになっておりまして、改正放送法におきましても、これは何ら変更のないものになっております。  したがいまして、お尋ねの衛星放送につきましての受信料を設定するといたしました場合には、予算、事業計画を国会に提出いたしまして、それを御承認いただくことによって実行されるといいますか、実施に移されるということになるわけでございます。
  59. 及川一夫

    及川一夫君 予算ということになりますれば、実施をする年度にそれを提案されるというふうに受けとめますが、それはそれでいいか悪いか、まだ議論があるんですけれども、つまり今は一千四十円でしょう、受信料は。衛星やると一体幾ら重ねるんだというふうにだれでも思いますわね。その重ねるときに幾らになるかというのがあって、幾らになるかという前に、何々の要素があるから幾ら幾ら重ねると、こういう理屈になってくると思うんですね。そうしますと、当然ある時期をめどをつけながらいろいろ作業をされていくというふうに思うんですが、実際に放送衛星がいつサービス開始されるか僕らもわからぬし、聞いてない しね、またNHKもそういうことをもう判断しているとも思ってないですが、しかし、法律が決められている以上は、やっぱり可及的速やかにみたいな話に私なるんだろうと思うんですよ。そういった点で、NHKとしてそういう作業を始めるというめどは持っているのか、持っていないのかということですね。
  60. 林乙也

    参考人(林乙也君) 予算、事業計画を国会で御承認いただいた上でのことであるという前提で申し上げるわけでございますが、御案内のように、衛星放送全国を一挙にカバーできる、あるいは質の高い画質、音声を提供できるというように地上の放送には見られない特質を持っておりまして、将来の放送メディアの主流を占めるようにもなるのではなかろうかというふうに予想されるところであります。また、それにかけました開発経費も相当額に上っておりまして、その開発の成果というものを国民放送サービスという形で積極的に還元していく必要があるだろうというように考えておりまして、これにつきましては、昨年の七月から免許方針の改定を得まして、二十四時間放送ということで実施いたしておるわけでございまして、現在普及も約五十万を超えるというような状況に相なっておるわけでございます。  それで、今後の私ども考え方といたしましては、この普及のひとつの進展及びこれに今後必要になってくるであろうところの経費の問題、そういったものを考えまして、衛星放送に必要な経費につきましては、その財源をやはり衛星放送の受信者に御負担をいただくのが適当ではなかろうか、受信者の負担の公平を期する上からも適当な策ではなかろうかというふうに考えておるところでございまして、現在、それにつきましての計画の策定を鋭意実施いたしておるところでございまして、全体の収支状況ともいろいろ関係することを考えました場合に、来年度予算、事業計画を策定する際には、この衛星料金の問題の一つの結論を得て、国会の方にもお諮りいたしたいというふうに考えているところでございます。  それで、その場合の考え方でございますけれども、やはり衛星放送に必要な経費ということを単年度だけでなしに長期的にどういうふうなことが見込まれるか、普及のテンポがどういうふうに想定されるか、またそれによって得られる一定額による一つの収入というものがどのように見込まれるかというふうなことなども、いわば原価的な見方というのも当然必要になってまいりましょうし、また一方におきましては、受信者の方の衛星放送に対する一つの受益感と申しますか、地上放送と比較しての一つの受益感の差というのもやはり無視できないところだろうというふうに考えるところでございまして、そこらあたりを総合的に考えまして、受信者に納得のいただける設定といいますか、そういったことを考えてまいりたいというふうに現在鋭意取り進めておるところでございます。  先般の事業計画、予算案の御審議の際にもいろいろまた御指摘もいただきましたので、そういった御指摘も十分念頭に置きながら鋭意取り運んでまいりたいというように考えております。
  61. 及川一夫

    及川一夫君 行政局長民放の場合の料金ですけれども、広告収入とそれから有料料金と、こうなるんだけれども、これはどういうことに実はなるんですか、認可料金ですか、これは全然関係ないですか。
  62. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 六十五年に打ち上げられます衛星を使いまして、日本衛星放送、JSBが放送開始するわけでございますが、その場合に想定されますのは、有料放送と広告放送をあわせ行うということでございます。それで、その際に有料放送につきましては、今回の法改正の中の一つとして提案させていただきます有料放送制度がございますが、これによりまして、契約約款等につきましては認可の対象とさせていただいているところでございます。料金につきましてもその大きな要素でございますので、認可の対象になるわけでございます。
  63. 及川一夫

    及川一夫君 大臣ね、この問題を論議するにはちょっと時間が足りないんですけれども民放の場合の料金でも、広告とそれから有料料金という二本立てになるということは従来にない一つの方式ですよね。その中の一つは認可と、こうなるわけで、民間的企業からいえばどういうことになるのかなという、非常に悩むと思うんですが、またその有料と広告の比をどのぐらいの割合にするかというやつも、これまた、その片一方が認可であることからすれば、何となく郵政省が口を挟んでいかなきゃならぬみたいな発想、具体的事実としては起こるような気がするんですよね。  だから大変大きな問題だなという気持ちと、それから、NHK衛星関係放送衛星の料金が、確かに今の制度でいえば予算というものに明示をして、それで承認をされたと、こういう前提に立つんですが、事は新商品ですよね、これ。新しいサービスですよね。それで大々的にいわば宣伝しているものですから、それこそ極端に言えば、地上テレビとこの衛星放送関係については、帳簿を別にして収支をはっきりさせてやれみたいな話だって、民放の方から出てこないとは、僕は思ってないわけですよ。  そうすると、そういうことも含めながら考えていくと、予算にちょっとのせていただきますというのが、これはいいのかなあということね。しかも、これは世界に冠たるサービスでしょう、これ。我が国が最初にやるわけですから。それだけに大きなものであればあるほど、一体法律上の問題として何のさわりもなくていいのかどうかということを非常に疑念を持っているわけですよ。  しかも、今度の放送法改正の中には、テレビジョンという言葉はあるけれども放送衛星という言葉は一つもないんです。それはもうNHKの方が答えられているように、予算でやればいいからという発想だと思うんだけれども、僕は一番最初に申し上げたものとの関係などを含めて、本当にそれでいいのかどうかということについては、僕は慎重に考えるべきじゃないか。  同時にまた、今ある受信料と放送衛星にかかわるいわば料金というか受信料というか、そういうことについても、先の先を考えていくと、従来どおりの方法でいいのかどうかということについても、これは郵政予算全体の論議の中でもやらせていただいたんですけれども、非常に大きな課題じゃないかと、郵政大臣談話ぐらいで、さらりといかれるような問題とは違う、まして予算にのっければいいというものじゃないという気持ちを持つんですが、大臣、いかがですかね、これは。
  64. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 確かにこの料金問題というのがこれから大きな問題になってくるのであろうと本当に私どもも懸念をいたしておるわけでございますが、今テレビのコマーシャルというのは、一秒三十万円とか物すごい値段がついておりますようで、それでも夜中までスポンサーがつくなんという、これはうわさでございますが聞いております。それでもあのテレビの画面を見ておりますと、外国の映画が終わりましたときの出演者の名前が順番に出てくるように、ずっと会社の名前が物すごく出てきまして、ここからここは何々株式会社の提供でございますとか、もう細切れのコマーシャルで、あれコマーシャルをやっている方も本当に効果があると思っているかなと思うぐらい物すごいコマーシャルが並んでおりまして、何か広告宣伝の限界を超えるんじゃないかなと。そうすると、やっぱり民放の方もコマーシャルだけに頼っていられないんじゃないだろうかという気がいたしますし、それから今のNHKの問題、衛星放送が始まりますときにはこれはまた、今も公共放送ということで、試験放送をやっておりますことで、皆さんに御負担をいただいてNHKさんもやっておられる。しかし、これ実際にやるとしましたら、その中身の充実を図らなきゃいけません。  またこの間、先般も申し上げたかと思いますが、CATV、生駒で始まりましたもので聞いてみますと、まず基本的に五万円を納めて、それから月二千九百円でございますか、あとは聴視料みたいなものを払って、そして高度な二十四チャン ネルの画面チャンネルと、それから音声十七チャンネルだったと思いますが、それに対して五万三千件ぐらいの加入が見込まれていると。地域だけの特別な情報源みたいなものがあるわけで、それにどんどん加入をされておられるということでございますから、すべてそういうものを含めてどういうふうな展開をしてまいりますか、私は素人でございますから、ただ政治的な感覚だけで今申し上げているわけでございますが、民放の有料化と、それからNHK衛星放送が始まりましたときの料金の関係というのは一体どんなになるんだろうと、そんなことがこれからの先生の御指摘のありましたいろいろな意味での放送法電波法関連をしてくる将来の課題であると。国民の皆様方の御理解を得るのにどういうふうな方式をとったらいいのか。  本当は局長に先に御答弁いただいて、私がそういうことを申し上げるのが本当かもしれませんが、きょうは逆になりますが、そんなふうな感覚をどういうふうに行政として、郵政省の方針をこれから立てていくかというのは、局長からもまた補足して答弁をしてもらいたいと思います。
  65. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 逆になって申しわけありませんが、現在、現時点におきましては、テレビジョン放送という放送法上の定義といいますか、文言で衛星放送も読めるということでございまして、特段改めて業務として規定する必要はないんじゃないかというふうに私どもは考えております。  それから、NHKの受信料は、あくまでも特殊な負担金としての現行制度の中で、衛星放送の料金をもし取る事態になりましてもやっていただかざるを得ないというふうに思っておりまして、民間の場合には有料放送ということで対価性を持ったものでありまして、広告放送をやる場合には広告放送と切り分けまして、有料放送にかかった分につきましては有料という形でお金を払っていただくということでございまして、性格はおのずと違うわけでございますが、国民皆さん方に誤解をされないように、NHK自身にもいろいろとPRしていただかなきゃいかぬと思いますが、私どももそう点にも十分配意しながら取り組んでいきたいというふうに考えます。
  66. 及川一夫

    及川一夫君 なかなか私も非常に難しい問題だなというふうに思っています。これやり方いかんによっては、それこそ放送事業全体に対して、いろんな不信が私は出てくるように思うわけです。したがって、取り扱いについてもぜひ考えていただきたいんだけれども、我々との対応はこの逓信委員会ということになりますわね。それはそれでやむを得ないんですけれども、少なくともそういう意味での原案を策定する段階で我々が理解できるように、例えば問題点を投げかけてくれるとか、あるいはそれに伴う資料をちょっと配付してくれるとか、そういう僕は配慮があってしかるべきじゃないか。とにかくこれは初めての体験をするような気がしてなりませんし、同時にまた法律上の問題でも、まあ抜本という言葉を使いませんけれども、新たな立場から放送法電波法全体をやっぱり見詰めていかなきゃいかぬということに直接私はぶつかってくることが必ず出るというふうに思うものですから、ぜひ作業段階で余り壁をつくらないで、郵政省にしてもNHKにしても対応していただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  67. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 午前の質疑はこの程度にとどめたいと思います。     ─────────────
  68. 上野雄文

    委員長上野雄文君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、橋本孝一郎君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     ─────────────
  69. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 午後一時再開することとして、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  70. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法及び電波法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  71. 大森昭

    ○大森昭君 放送法は、我が国唯一の言論立法でありますから、いろいろ問題がたくさんあって苦労したと思うんですが、特に国民生活に深いかかわりを持っているものですから、今度提案された法の見直しについては十二分に国民の意思を吸収したと思うんでありますが、さっき民放連の話もありましたけれども、同業というよりかもむしろ主婦連だとかPTAの全国協議会だとか、そういう方々がどういう意見を持っていたか、ちょっとお聞きしたいんですが……。
  72. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 主婦連からも意見を聞いております。その中身、ちょっと細かくなりますが、主婦連から出た意見そのままじゃなくて、私どもが聞いた範囲内で整理させていただいた文言でお話しさせていただきたいと思います。  主婦連からは、番組審議会が何をし、どのようなチェックがなされているかわからない、番組審議会自身が何をやっているか、どのようなチェックをしているのかわからないというようなこと。それから、審議会の委員とか審議内容は公開すべきであるというような御意見。それから、審議会委員には婦人や消費者団体等の背景を持つ人も必要であるというようなことを言われております。それから、児童向け番組のCMの留意事項、主婦連が留意事項というものを自身でつくっておられるようでございますけれども、その留意事項が守られているかどうか疑問である、児童向け番組のCMの主婦連がつくった留意事項というものが守られているかどうか疑問である。国民のために運用される手だてを考えてもらいたい。それから、CMと番組の区別がつかないという問題もあるというような意見が出ております。  それから、PTA全国協議会からは次のような意見が出ております。第一点目としては、放送番組は、放送事業者の自主規律が基本であるが、実際上自主規律には限度がある。それから、第二点目としては、テレビの社会的影響力は極めて大きいので、良質な番組を家庭に送り届けることを強く希望するというような意見が出ております。
  73. 大森昭

    ○大森昭君 私どももいろいろ議論したわけでありますが、午前中の及川委員発言じゃありませんが、問題はたくさんあるんですけれども、しかし、全部、あらゆる問題が改正されりゃいいわけですけれども、なかなか難しいという立場に立てば、二十五年以来の法案ですから、したがって、余り積極的じゃないんですけれども、賛成しておこうという立場をとっているんですけれどもね。ただ、今殊さら私が主婦連だとか、あるいはPTAの全国協議会の意見を聞いているんですが、やっぱりできれば審議に当たって、それは言えば持ってきてくれるんでしょうけれども、こういう重要な法案を提案する際には、こういう意見がありましたというやつをやっぱりつけてくれると非常に私ども判断がしいいし、これからまた改正もあるんでしょうから、どうかひとつ十四団体から意見を聴取したということになっていますが、大いにひとつディスカッションをして、意見を吸収して法案の作成をしてもらう。  私はいつも、お役所がしようがないんでしょうけれども、提案された法案というのは修正されたって、これは当たり前なんで、政府が提案した法案が何でも通るというのがいいことじゃないんですから、午前中の会議を聞いていてもいろいろな問題がこれからあるので、少し法改正を提案するときは、まあ修正があったら、修正ぐらいはやむを得ないというぐらいの気持ちで、これ放送法を提案しないとですね、というのは、一番問題なのは、これからも個別に質問しますが、言われておるでしょう、現状を追認したんじゃないかと。だから、余り問題がないんじゃないかという意見もありますが、法律にのせると、そこに何か行政的な介入があるんじゃないかと、何か裏があるは ずだと。まあ率直に言って、信用されていないと言うと、ちょっと言葉がよくないからそうは言いませんがね。いけないことを言っちゃってはいけないんだけれども法律にのせるということは当たり前のことのようだけれども、非常に何か私どもというのは心配するわけですからね。どうかひとつそういう意味で、今後もまあ法制度の見直しについては、多くの方がこれからも言われると思うんですが、そういう気持ちでひとつやっていただきたいのであります。  で、この法律もそうですけれども、随所に「郵政省令で定める」と、こういうのがあるわけですね。それで国会で審議する場合でも、全部省令が出ているわけじゃないんですよね。まあ大体質問して、大体そういうことで省令が出るのかなあということで私どもは審議をするわけですけれども、法案が通って省令で決めるということになれば、これは郵政省考え方でその省令が決まるということになるわけですから、法案を提出するときに、それはもちろんなかなか法案が通ってから省の中でいろいろ意見を固めて、また私ども意見を聞いて省令を定めるということも必要なこともあるでしょうけれども、原則的には省令というのは、大体法案を提出するときに、この法案が通った場合には、かくかくしかじかで省令でやっていきたいというようなことをやってもらいたいわけでありますが、現在検討中であるんですが、例えば、番組の基準の公表の方法などについても問題点の一つですけれども、こういうものについては何か考え方があるんですか。
  74. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生からのお話にございましたように、今回の改正案では、制定または改正する省令が若干ございます。私ども整理いたしますと、八項目ばかりございます。具体的な内容は現在検討中でございますが、中身につきまして私どもが考えていることを若干述べさせていただきたいと思いますが、今の番組の公表の方法でございますが、一点番組の公表の方法でございますが、内容といたしましては、その放送事業者の放送、あるいは新聞、その他できる限り多くの視聴者が公表内容を知り得る方法というような定め方をしたいというふうに思っております。文言等は省令の形式に合わせまして今後検討していくわけでございますが、内容としては、そのような幅広い中で放送事業者に選択していただこうというふうに考えております。  その他の例示で申し上げますと、放送対象地域を定める場合の放送の区分につきましては、NHKとか民放とか放送事業者があるわけですが、放送事業者ごとの放送の区分、それから放送の種類による区分、それから総合放送、専門放送の区分等、これは第二条の二の第二項の二号に当たる省令でございますが、放送対象地域を定める場合の放送の区分につきましては、今申し上げたような内容を盛り込みたいというふうに考えております。  その他第三条の四の第五項、第三条の三の第二項につきましては、今申し上げた新聞等その他で、視聴者が公表内容を知る方法ということで同じでございますが、第三条の五につきましては、専門放送たり得る放送事項ということで、これは省令で定めることにしておりますが、これにつきましては道路交通情報及び広告などを考えております。  以下、余り細かいものになりますので省略させていただきます。
  75. 大森昭

    ○大森昭君 ですから、私が言うまでもないのでありますが、放送番組については、放送法考え方というのは、これは憲法で保障された表現の自由の理念のもとで、放送事業者の番組編集の自由を保障しているんだと思うんですね。番組編集については、いずれにいたしましても放送事業者がこれを行って、その責任を負うという原則は変わってないんだと思うんです。しかし、ある意味では、いわゆる番組の基準の公表の方法について少し懸念があるようなことを言われているのでありますが、公表の方法については、とにかくもう少し適切にやってくれというふうに言われていますが、あくまでも事業者の自主的判断によって番組は編集されるということはいいんですね。
  76. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生おっしゃいますように、放送番組編集の自由はあくまでも放送事業者の自律にゆだねられておりまして、放送番組審議機関の公表につきましても、先ほど申し上げましたように、答申の概要と意見の概要の公表でございますが、その公表の仕方につきましては、幅広い中で放送事業者に選択していただこうというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、公表された中身が一般視聴者に知り得るよう、できるだけ多くの視聴者に知っていただくことが必要でございますので、おのずと方法には限界があると思いますが、その中で、幅広い中で選んでいただこうというふうに考えているところでございます。先生おっしゃるとおり、あくまでも放送番組の編集につきましては放送事業者の自律に任せるといいますか、ゆだねられているところでございます。
  77. 大森昭

    ○大森昭君 これも省令で決めるんですけれども、公表の方法というのは、あらかじめいろいろあるからだろうと思うんですが、この決め方によっては非常に郵政省が締めつけをきつくするんじゃないかというような考え方もあるのでありますが、この公表の方法を郵政省令で決めるということについては、もう既に決めておるんですか。
  78. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 法律で第三条の四、今度の改正案の中身でございますが、第三条の四の第五項で、審議機関の答申、意見の概要の公表の仕方につきましては、郵政省令で定めるということになっておりまして、郵政省令では、先ほど申し上げましたように、新聞あるいは放送事業者の放送その他、できる限り多くの視聴者が公表内容を知り得る方法というようなことで、幅広い中から放送事業者に選択していただこうというふうに定めたいと考えているところでございます。
  79. 大森昭

    ○大森昭君 さっきも触れたんですけれども、例えば今度の法改正で、NHK目的規定の中にも、豊かで、かつ、いい番組をと、こう入れていますね、この法文に。豊かで、かつ、いい番組を放送しなければならないと。これは何か、今でもそういうのは協会の規定か何かにあるんじゃないんですか。
  80. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) NHK民放との役割をより明確にするという意味合いで、現在でも豊かで、かつ、よい番組を放送しなきゃいかぬというふうに四十四条の中で規定しているわけでございますが、それを目的の中に明らかにして、NHK放送番組の先導的な役割を果たしていただこうということで、このように規定させていただいたような次第でございます。
  81. 大森昭

    ○大森昭君 NHKが豊かで、かつ、いい番組で、民放はあれですか、悪いとは言いませんが、何かNHK民放を区分けする意味で、とりわけ目的規定の中に入れたということだけではどうも何かちょっとぴんとこないんですが、幾ら質問されてもそういうことなんだと言われればそれでおしまいになりますが、こういうように何か当たり前のやつを目的規定の中に入れるということになると、意識的に何かあるんじゃないかというふうにとれるんですが、それはちょっと私の勘ぐりであればそれでいいんですが、どういうことなんですかね。
  82. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生がおっしゃいましたように、民放が悪い番組を放送しているということを言っているわけじゃございませんで、NHKが併存体制の中で、より豊かで、かつ、よい番組を先導的な役割を果たしてつくっていただくことによって、豊かな放送文化を国全体として創造していただこうという趣旨でございます。  我が国の放送界は、民放NHKとの共存体制のもとで、今日の姿にまで発展してまいりました。NHK役割というものも放送の普及発達とか、あるいは国際放送とかいろいろとあるわけでございますが、その役割をより明確にしようということで、今回このような、豊かで、かつ、よい国内放送の番組をつくってもらおうという趣旨で書かせていただいたわけでございます。私どもと しては、NHKが先導的な役割を果たすことによって、民放界にもよりよい番組を創造していただけるものと期待して、両々相まって、併存体制のもとに我が国の放送事業界が発展していくんじゃないかというふうに考えて、このような規定をさせていただいた次第でございます。
  83. 大森昭

    ○大森昭君 NHKはより頑張ってもらうということだろうと思いまして、そう理解をいたしますが、そこで、放送の公共性、または放送普及基本計画の重要性から、放送の普及基本計画の策定、あるいは変更に当たっては、国民の意思だとか意見が十分に反映される必要があると思うのでありますが、そのための手続としてはどのように考えておられるのですか。
  84. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 放送普及基本計画の策定あるいは変更に当たりましては、郵政大臣は、放送の需要とかあるいは地域の諸事情等を勘案して定めることになっているわけでございますが、その定める際には、電波監理審議会に諮問しなければならないという、必要的な諮問事項とさせていただいているところでございます。この場合、電波監理審議会は、必要と認めるときは聴問をすることができることになっておりまして、聴問の方法は公開でございますので、そういう場で国民方々の御意見等も聞かせていただけるんじゃないか、吸収できるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
  85. 大森昭

    ○大森昭君 質問するとそういうことになるんですが、午前中もNHK経営委員会について、これは今回だけでなくて、毎回いろいろ意見があります。とりわけ電波監理審議会というのは、五人でしょう。経営委員会は十二名で、及川委員からいろいろ意見が言われましたけれども、そういう重要なことについて、いろいろ決定する電波監理審議会というのは五人でやっているというんですけれども、これは支障があるかと言ったら支障がないと言うのに決まっているんだろうと思うんだけれども、何か特別な考えというのはないんですかね。いつも毎回、これ委員会でいろいろ意見が出るんですがね。法改正とは別ですけれども、特段の考え方はないですか、これ。
  86. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 電波監理審議会、先生指摘のように五人の委員から成っておりますが、五人の委員方々人選に当たりましては、国民の代表である国会両議院の同意を得て任命されているものでございます。委員は大変幅広い知識と経験を有しておりますし、練達の方々ばかりでございますので、そういう意味合いにおきまして、公正な判断をしていただけるものと思います。私ども電波監理審議会の議決を尊重して行政を運営しているところでございまして、そういうことから行政の公平も公正さも保たれるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
  87. 大森昭

    ○大森昭君 答弁はあれですけれども、例えばNHK経営委員会でも電波監理審議会でも大体全部事務当局がつくり上げて、大体問題点を整理をして、それでお話をして委員の方に判断してもらうということなんですよ、実際は。だから、冒頭私が言ったように、別に郵政省の人が悪いといった意味じゃないんだけれども、とかく役所というものは、いわゆる行政が介入するということについては、やはりいろいろ懸念があるわけですよ。ですから、そういう意味でいけば、それは郵政省は五人の方が、少ない方がいいですよね、面倒くさいもの、大勢だといろんなやつがいてさ。五人なら簡単だからさ。だから、そういう意味で、仮に最高方針を決定する審議会は五人なら五人としても、内閣総理大臣が決めりゃ何でもその人がいいということじゃないんだよ、あなた。そこがちょっとおかしいけれども、それは別にしても、郵政省電波審議委員皆さんに問題点を説明するときの基礎として、郵政省の人たちが多くの人たちの意見を吸収できるという、いわゆるシステムがあってやっているんなら、ある程度私どももそういうことで国民の意思を郵政省が吸収していて誤りない、いわゆるその放送の普及基本計画にしても何にしても、そこで決めるということならまだいいんだけれども、今そういう仕組みもないんでしょう。
  88. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先ほど申し上げましたように、一般論としては放送に対する需要というものも踏まえて放送普及基本計画を定めるわけで、また地域の諸事情等も勘案して決めるわけでございまして、一般的にはその需要をどうやって把握していくかという問題になるわけですが、行政というのは、行政需要に応じてやっていかなきゃいかぬというふうに思いますので、そういう意味合いにおいて、我々は常に那辺に国民方々のニーズがあるか、需要があるかというようなことも念頭に置きつつ行政はやらなきゃいかぬというふうに思います。  ただ、先生おっしゃいますような仕組みということになりますと、公聴会とかいろんな制度的なものは考えておりませんで、電波監理審議会に諮問いたしまして、電波監理審議会が必要があれば聴聞という場を設けて、国民方々から意見を聞くということによって十分だというふうに私どもは考えているところでございます。
  89. 大森昭

    ○大森昭君 その仕組みがなけりゃ局長幾ら言ってもだめなんだよ、はっきり言うと。そりゃ言葉としては国民のニーズにこたえ、意思を反映させるということを言っても、じゃ、どういう仕組みですかと言うと、いや、郵政省では一生懸命やっていますと言ったって、どだい郵政省が一生懸命やっていると言ったって——いや、優秀な人たちばかりだけれども、やっぱりそれではだめだからどうかひとつ、きょう経営委員会のことも議論されたし、それから今私が問題提起をしている電波監理審議会についても直ちに直すということは無理だけれども、初め言っていますように、非常に多くの人たちに影響をする放送法電波法ですからね、どうかひとつ新たな視点で、そういうシステムをつくって、誤りないようにしてもらいたいということについて要望しておきますよ。一生懸命やっておると思いますけれども国民的な課題ですから、これは及川さんもきょう午前中に言われたように、どうかひとつそういう意味で誤りなくやってもらいたいと思います。  それから、さっき民放連の方が言われたんですが、NHKの業務の拡大について、民放を圧迫すると言ったかな、ちょっとあれだったんですが、確かにNHKは受信料で成り立っておるんですけれども、しかし、今日の世の中のように、地域の中でいろいろコミュニケーションを図らにゃいかぬし、特に受信料をいただく上で、NHKのやっぱりある程度のサービスといいますか、存在価値といいますか、そういうものも僕も必要だと思うんですがね。しかし、いずれにしたって公共的な役割を持つNHK協会でありますから、そうやたらに業務の拡大をしていけば、これはちょっと問題だと思うんですが、民放連の方が言われた点については、郵政省としてはどういうふうに考えているんですか。
  90. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 私どもは、民放連の言うのは、ちょっと考え過ぎといいますかというような感じがいたします。考え過ぎというのは、ちょっと適切な言葉かどうか別といたしまして、NHKが今後とも受信料を経営基盤としていくことは変わりないと思います。大宗は受信料を基盤として経営していくわけでございます。  今度法改正でやらしていただきたいというふうに思っております二点は非常に限られた範囲内でのものでございまして、NHK自身が蓄積しましたノーハウだとかいうものを社会に還元する、あるいは設備、施設等をあいているときには国民方々に使っていただくということで、それと同時に、それに応ずる対価は払っていただくという形で副次収入を図ろうというものでございます。  本来、NHKの業務に支障を及ぼすようなものはとても許されるわけじゃございません。業務の遂行に支障のない範囲内で当然やるべきことでございまして、そういうことからいたしますと、収入として考えられますものも、数年先に今の倍ぐらいにしかならない、数十億ぐらいにしかならないという程度でございまして、とてもNHKがそ れによって民業を圧迫するとか、民放を圧迫するというようなことは考えられないんじゃないかというふうに私ども思っております。  さらに、業務を始めるに際しましては、郵政大臣の認可にもかからしめておりまして、私どもといたしましては、公共放送としてふさわしいものであるというような観点、あるいは民放といたずらに競合することのないようにというような観点から見て認可をしていきたいというふうに考えております。そういうことを条件にして認可をしていきたいというふうに考えておりますので、そのようなことからいたしまして、NHK民放の共存体制というか、併存体制を危うくするような事態はとても考えられない、ちょっと危惧をし過ぎるんじゃないかというような私どもは印象を持っているところでございます。
  91. 大森昭

    ○大森昭君 まあ郵政省はそういう考え方でしょうが、そうじゃないんじゃないかという解釈をされておる方もいますから、いずれにいたしましてもある程度NHKが、例えば古い会館を新しい会館に建て直すときに、今まで三階建てだったから三階建てなんて世の中じゃないんですから、土地も高くなっていますからね。いい場所にあるんですから、それをもう少しでかくして、地域に少し利用してもらおうなんということは、今郵便局も私どもももっぱらそれを言っているんでありまして、だから、それはまた業としてやるようなことじゃこれはよくないんですけれどもね。ですからその辺のところは非常に難しい、各個人の判断の問題ですからね。そういう懸念を持っている方については、よくひとつ説明をしていただいてやっていただきたいと思うんです。またいずれこの法案が通ったら、NHKがどういう形で業務を運営していくかということで、問題が起きればまたその際に指摘をしたいと思うんです。  それで、いろいろ番組の問題についても公表しろとか活性化を図るためにと言って、局長ね、大変活性化について公表の仕方を義務づけているんだけれども、一方、経営委員会の活動内容だとか電波監理審議会の内容というのは余り公表してないんだよね、これ。それで番組の方は公表することが活性化だと言うんなら、経営委員会の活性化も電波監理審議会の活性化も少し公表したらどうかと思うんですが、どうですかね。
  92. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 電波監理審議会の方からまずお答えいたしますが、電波監理審議会は、できる限りやっぱり開かれたものにしなきゃいかぬということについては、先生意見と全く一致しております。そのために、審議会終了後に会長が記者会見で、答申が出た場合にはその答申の内容、あるいは審議の概要につきまして公表を行っておりまして、新聞紙上等にも取り上げられているところでございます。  ただ、その議事録的なものを公表することにつきましては、委員の自由な発言確保するというようなことから非公開として、その議によりまして非公開という形で従来からやってきておりまして、その公開については電波監理審議会自身が御判断すべきことでございますので、私どもはとやかく言うべき筋合いではございませんが、今のところ、その議によりまして、自由な発言確保するという観点からだろうと思いますが、非公開ということで続けてきているところでございます。  それから経営委員会でございますが、経営委員会の活動状況につきましても、NHKの最高の意思決定機関でございますし、できるだけ国民にどういうことをやっているかということを理解していただくことは有意義なことだというふうに思いますが、これもそう言っちゃ何ですが、経営委員会自身がみずから判断すべきものというふうに思います。経営委員会NHKの内部の意思決定機関でございますので、その議事録や会議の公開等、その意思決定の過程を公開することを制度的に規定することは必ずしも適当ではないんではないか。自由な意思決定、それから外に出してはならぬというようなものも場合によってはあるわけでございますので、制度的に規定するということは必ずしも適当でないというふうに考えております。私どもとしては、できるだけ公表するということは有意義だと思いますが、先ほど申し上げましたように、最終的には経営委員会自身が判断すべきものだというふうに考えております。
  93. 大森昭

    ○大森昭君 個人を拘束したり、それから審議会の運営が発表することによってうまくいかないというようなことをねらっているんじゃないんですよ、僕らは。だから、今局長が言うように、すべて公表していいか悪いかというのは当然あるんですけれども、しかし、少なくともこれは最終的には、これはまあ郵政省行政的な立場責任を負うんですけれども、しかし、その基本になるのは、電波監理審議会が五人で運営されていることを認め、あるいは経営委員会が十二名で各界から出ていることを認めているがゆえに、最終的に業務が運営されているということの責任の一端を当委員会が負っているんじゃないかという気持ちがあるんです、私には。いや、それは関係ないんですと。委員皆さんは法案を適当に審議していただけりゃいいんであって、業務の責任は全部郵政省でやってるんですからということなら話は別ですけれども。  そういう意味からいくと、少なくとも逓信委員皆さん方には、こういうことが今NHK経営委員会では問題になっているとか、あるいは電波監理委員会ではこういうことを、答申が決定したぐらいのことは、新聞発表といったって、あんた、新聞発表したから載せるというんじゃないからね。それは新聞記者の方々のセンスですから、そんなろくな発表じゃないから、こんなものは載せるかとなれば載せないんだからさ。だから、少しそういう丁寧に、いつも委員会で問題になるようなことは少し手数がかかるかもわからぬけれども、十分知らされて、いろいろひとつ対処していくという方がいいんじゃないかと思いますので、別にこれは答弁を求めませんが、そういうことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 放送法改正は、先ほどから話ありますように、昭和二十五年につくられてから初めての本格的な改正であります。昭和四十一年にも何か抜本的な改正が試みられましたが、この改正案は民放に事業免許制を導入するなど、いわゆる言論統制の色彩が濃いと、こういうことで廃案になったとも聞いております。今回の改正案は、それに比較すると現状追認の色彩が濃いけれども、この法案は、昨年四月二日の放送懇のいわゆる報告書に基づいて法案化したものと、このように聞いておりますけれども、まずこの放送懇の報告書の内容に照らして、今回の法案に盛り込めなかった、いろいろ御意見はあったでしょうし、報告があったと思いますけれども、盛り込めなかった主な事項、どんなことがあるのか、たくさんあると思いますけれども、主なところを御説明願いたいと思います。
  95. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生お話ございましたように、今回の改正案は、放送政策懇談会の報告を踏まえまして、内容的には、基本的にはその方向に沿ったものになっております。しかしながら、若干検討したらどうかといった点につきまして取り入れてないものもございます。  具体的に申し上げますと、第一点といたしましては、再免許の性格について、免許の更新という考え方を入れたらどうかということについて検討したらどうかということでございますが、これにつきましては取り入れておりません。それから、放送局免許のための競願処理手続の法定化といったものも言われております。それから、電波監理審議会の所掌範囲等の検討等が指摘されております。検討すべきではないかというような指摘がございますが、これらは改正案に盛り込めなかったところでございます。
  96. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 幾つかお話ございましたけれども、今もお話あった電波監理審議会ですね、そのあり方、現在、今お話あったように五人ですけれども、この点についてはそういう意見があるにもかかわらず、現状追認という大枠の中で、これは必要ないんじゃないかと、こういうことでのせなかったと思うんですけれども、そののせなかった理由と いいますか、大したことがないから、今のままでいいからと、こういうことで改正案に含まれなかったのか。  もう一点、免許の更新ですけれども、この点については、聞くところによると、新規参入者を考えて、更新制をとらない方がいいから、そういう意見はあったけれども改正案に入れなかったと、こういうふうに聞いておりますけれども、この二点について、いかがお考えですか。
  97. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 電波監理審議会のあり方については、基本的には現在のあり方が是認されております。放送政策懇談会の中でも是認されているところでございます。放送政策懇談会の報告におきましては、ちょっとくどくなりますが、申し述べさしていただきますと、「電波監理審議会は、独任制の行政機構の下において従前の電波監理委員会が有していた合議制のメリットを極力維持すべく設置されたものであり、このような設置に至る経緯及びその所掌する電波放送行政の特殊性から、その任務、委員任命方法等に関し、他の審議会等に比して特別な考慮が払われている。」という認識のもとで、現在のあり方が基本的には是としていただいているところでございます。  しかしながら、検討項目としていろいろと言っておりまして、同報告書におきましては、所掌範囲のあり方、それから諮問事項のあり方等について検討の必要性指摘されているところでございます。この点につきましては、今回の改正案におきましても、先ほど来いろいろとお話出ておりますように、放送普及基本計画につきまして、これを必要的諮問事項にする、あるいは周波数使用計画の制定、または変更につきましても必要的諮問事項にする等、その趣旨は部分的ではございますが、今度の法改正案に盛り込ませていただいたところでございます。  それから、所掌事務のあり方等につきましては、電気通信、CATV等々も考え合わせてやったらどうだというような話もあるわけでございますが、これは電気通信全分野にかかわる問題でございますので、慎重な検討が必要というようなことから今回は見送らせていただいたような次第でございます。  それから、再免許制について、更新制をとったらどうかということにつきましての検討結果でございますが、私どもは更新制をとるべきでないという結論に達したわけでございますが、その理由といたしましては、再免許制は、一定期間ごとに既存の電波利用が有効かつ適切なものかどうかというようなことを再審査して、場合によっては周波数の再配置、周波数をこちらが使っているのを他の方に再配置するとかいうようなこともするわけでございまして、技術的条件の改変等も場合によっては行うわけでございます。再免許におきましては、既存の免許人だけではなくて、新たな申請者も含めて、最も社会的に効率的に電波が利用できるようにという、効用の高いものから免許をしていくということになるわけでございます。このような再免許制度は、電波の有効利用という観点からも維持すべきだというふうに私ども考えておりまして、これは全無線局にもそのような方針で共通に適用されているものでございます。  例えば、電気通信事業でも事業経営をやっているわけでございますが、それに供される無線局でありましても、再免許制がとられているところでございます。そういうことから、放送局のみ更新制にするということはとるべきでないというような観点から、今回は更新制を導入しなかった。今後ともこのような形でやらしていただきたいということで、そのままにしたところでございます。再免許の形でやることにしたわけでございます。
  98. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 わかりました。その問題については後の機会にするということにして、今回の法改正の中に入ってないわけですから、後でまたお聞きしたいと思います。  次に、先ほど大森先生から話のあった今回の改正に当たって、郵政省は各種十四団体からいろいろ御意見を聞いたと。本来ならば、この委員会でも参考人に来ていただいて、各界各層といいますか、それから意見を開陳をしていただくのが私は法改正に当たって必要なものではないかなと思っておったんですけれども、時間の関係もあるでしょうし、そういうことで今回はないわけですけれども、午前中のお話の中に、電波法とかそれから放送法というのは、国民生活、社会生活に密接な関係がありながら、どうも法律というと我々から、生活から乖離していると、こういうことでございますので、そういうことではなくて、やはりいろんな御意見を聞いた方が、より国民のためのいわゆる法改正になるんではないかと、こういうことで主婦連やPTAの御意見、さっきお聞きしましたけれども、その中で私お聞きしたいのは、いろんな意見が、もちろん先ほどお聞きしましたが、あったと思いますけれども、この法改正に当たって、特にまあNHK民放併存体制の維持であるとか、放送の計画的普及の推進とか、それからNHKの業務の範囲の見直しとか、いろいろあります。有料放送の導入ということもありますけれども、こういう中で、特に御意見のあった項目といいますか、点は、どういう点がこの民放連とか、NHKはもちろん新聞協会とか主婦連とかPTA、どこに集中されて御意見がありましたか、その辺を聞かしていただきたいと思います。
  99. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) ちょっと時間とって恐縮でございますけれどもNHK意見のポイントから申し述べさせていただきますと、NHKは、NHK民放併存体制などの現行法の基本理念の維持、NHK民放併存体制を維持してほしいということを意見として言っております。それから、NHK目的規定におきまして、NHKの基本的使命の明確化、民放NHKの併存体制の中で、NHKの基本的な使命を明確にしてほしいというようなこと、それからNHKの業務として、先ほど来議論が出ておりますノーハウ等経営資源の社会還元と、それから資産の有効活用の実現をしてほしいという要望が出ております。主なところで、私ども感じておりますところはそういう三点など、そのほかにも若干ございますが、主なと思う点は三点でございます。  それから、民放連の意見のポイントは、これは共通するわけですが、NHK民放併存体制の維持、それからチャンネルプランの策定根拠等の法定化でございます。これは放送普及基本計画という形でチャンネルプランを法定さしていただいたところでございますが、そのような要望が出ております。  それから、三点目といたしましては、放送局の免許期間の延長と、それから更新制の導入ということを言っておりますが、更新制の導入につきましては、先ほど来申し上げたように、あのような理由で取り入れていないわけでございます。  それから、四番目としては、メディア特性の違いに応じた放送番組規律の緩和、これは今回の改正でも取り上げられているところでございます。  以上が民放連からの御意見でございますが、新聞協会の御意見のポイントを申し上げますと、一つは共通しておりますのは、チャンネルプランの策定根拠等の法定化、それから民放に関する番組規律の緩和とNHKに関する現行規律の維持ということでございます。民放に対しては番組規律の緩和を求めて、NHKに対しては現行規律の維持というようなことを求めております。それから、民放への有料放送の導入ということを三点目に言っております。  それから、主婦連等につきましては、先ほど大森委員の御質問にお答えしたとおりでございます。
  100. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで現行法の、これもお話がありましたけれどもNHK目的というのは、あまねく日本全国受信できるようにと、現行法はそうなっているわけです。それに加えて、今回は「豊かで、かつ、良い放送番組」と、こういう字句が入ってきたわけでございますけれども、これもNHKさんに私はお聞きしたいんですけれども、今回のこのようになったことによって、それに加えて業務拡大がなされるようにもなったわけですけ れどもNHKとしては責任の重大性というのも感じているでしょうし、いろいろ感じていると思いますけれども、この点についてどうお考えになっておられるか、どう感じておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  101. 林乙也

    参考人(林乙也君) 今回の法改正のもとで、NHK目的及びそれに関連いたします業務について、改正法案が御審議いただいておるわけでございます。私どもといたしましては、公共放送民放の併存体制と申しますのは、世界各国の放送体制の中でも非常に実績を上げて社会的にも定着しておる制度だというふうに考えておりまして、今後ともこの併存体制というものを国民放送文化の発展のためにぜひ必要なものとして存続する必要があるのではなかろうかというように考えております。  NHKといたしましては、民放の併存体制のもとにおいて相互に啓発し合いながら、それぞれに発展をしていくことを期したいわけでございますけれども、特にNHK民放と違いまして、財源あるいは組織、業務運営の原理を異にするわけでございまして、その併存体制というものが民放からの御心配のような、いわばいたずらに民放を圧迫するとか、あるいはNHKが肥大化するというふうなことの御懸念は全くない、また私どももそういうようなことについては常に自戒しながら運営を図っていかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、そういう意味におきまして、私どもは今回の法改正につきまして、私どもの意向を酌み取っていただきました点を高く評価しておるところでございます。
  102. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 高く評価されたのは結構ですけれども、評価すると同時に、それだけの私は責任を強く感じていただきたいと思いますし、またそれを果たしていただきたい、こういうふうに思うわけです。  さて、改正案では、放送番組審議機関の答申、意見の概要に関する公表義務等、その公表の手段、方法等の省令化を規定しておりますけれども放送番組審議機関の運営というものは、この話も出ましたけれども、これはあくまでも放送事業者の自主性を尊重すべきものであって、放送事業者の自主的判断に任すべきもの、こういうふうに考えますけれども郵政省はこの点をどのように考えているのか、実情はどうなのか。逆に義務づけをしないと、どういう支障が起きると予想されるのか、この点はいかがお考えですか。
  103. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 番組審議会の現状でございますが、六十一年度の一般放送事業者の全社平均の審議会開催の状況を見てみますと、九・八回、出席率は七四・四%になっております。平均するとそういうことなんですが、三回から十二回というようなことで、相当区々に分かれているところでございます。  議題といたしましては、個別番組についての意見交換とか、番組再編成計画といいますか、改編期の編成計画につきまして説明をして、意見交換をするとかというのが主なものとなっています。編成計画の説明をし、説明を聞き、あるいは意見交換をするというようなことが主な内容となっています。  それから、今公表制度ができております番組基準でございますが、この公表の現状を見てみますと、その制定時または変更時に社内掲示だとか社屋に置いておくという程度の公表の方法でございまして、これは自主性に任せてやってきたわけでございますが、そのような形態が見受けられるわけでございます。  私ども先生おっしゃいますように、放送番組の編集につきましてはあくまでも放送事業者自身が自主的に判断すべきこと、自律的にやるべきことだというふうに考えておりまして、今回の改正におきましても、あくまでもその線は貫いておるわけでございます。ただ、その自律を促す手段といたしまして、番組審議会の活性化を図る、それによって放送番組の質的向上を図っていただきたいということで公表の制度を、公表を義務づけたところでございます。  公表の中身といたしましては、やりとりだとか議事録的なものを考えているわけではございませんで、答申が出たときにはその答申の概要、それから意見、提言といいますか、そういうものが出た場合には、その概要を公表していただこう。それによって、視聴者とのつながりが一層できることによって、番組に視聴者の意見が反映されて、質的な向上が図れるのじゃないかというふうに考えたところでございます。  公表の仕方につきましても、先ほど来お話に出ておりますように、ある程度幅を持たせまして、その中で放送事業者に選択していただこう、自主的に判断してやっていただこうということを考えておるところでございます。
  104. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いずれにしても、省令であっても政令であっても法律の中に盛り込むわけですから、うがった見方をすれば、郵政省の権限強化につながるんじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないわけです。確認ですけれども、権限強化につながらないということをはっきりおっしゃれるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  105. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 省令で定める方法は、あくまでも公表の方法でありまして、郵政省の権限を強化するなどということは毛頭考えておりませんし、図るものではございません。
  106. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 民放各社の番組審議会の委員についてでございますけれども、部内委員制を廃止して、いわゆる委員は外部学識経験者に限る、こういうふうになるわけでございますけれども、この外部学識経験者に限る、こういうようにした理由と、外部学識経験者の中に、一般視聴者も入るといえば入るんでしょうけれども、私から見れば、一般視聴者というのは、学識経験者と私、ちょっと言えないと思うんですけれども、そうなると、一般視聴者も入れるようにできないのかどうなのか、この点はいかがお考えですか。
  107. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) まず第一点の部内委員制を廃止する理由でございますが、この制度ができたとき昭和三十四年当時でございますが、まだ民放はでき始めたばかりでございまして、いわば揺籃期でございました。その存立基盤も営利を目的としているわけですが、安定しているとは言い切れない、どうなるかわからぬというような不安もあった時代の制度創設でございました。そういうことから審議機関の委員構成面におきましても、放送の公共性とそれから営利性の調和を考えるべきだというような観点から、部内委員につきましては三分の一程度まではいいんだということが法律にも明記されたところでございます。  その後民放先生御案内のように大変発展してまいりまして定着、経営的にも安定してきております。そうした配慮をしなければならないという、その制度創設のときに考えたような配慮は必要ないんじゃないかという観点から、また審議機関をより活性化させるためにも部内委員を廃止して、すべて部外の方にやっていただくことが肝要じゃないかというような観点から、今回部内委員制を廃止したところでございます。  それから、審議機関の委員の委嘱の要件でございますが、学識経験を有する者と学識経験者であるということ以外は従来も規定していないわけですけれども、今回もこの点は従前と同じでございます。審議機関は、先生御承知のとおり、放送番組の適正化を図るための機関でございますが、放送事業者がみずから設置する内部的な機関でございます。委員の選任につきましても、放送事業者自身が考えるべきことでございます。放送事業者の自主性を尊重して、その良識にまつという方が適当じゃないかというふうに考えられるものでございます。委員の選任に当たりましては、放送事業者の自主性、あるいは良識によってやるべきだというふうに考えているところでございます。私どもといたしましては、その番組審議機関に放送番組の適正を図るためにふさわしい人材が選任され、全体として一般視聴者の声が代表されるような審議機関となるように期待しておりますが、あくまでも放送事業者自身の良識、あるいは自主的な判断によって選任はなされるものというふうに 考えております。
  108. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、ダイレクトに一般利用者というのですか、その人は入らないということですね。
  109. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 一般視聴者という定義自身がなかなか難しいかと思いますが、学識経験を有する者ということから、その放送事業者が自主的に判断していただいて選任をしていただくわけでございますが、結果的に総体として一般視聴者の声が代表されるような審議機関となるように私ども期待しておるところでございますが、これを入れるとか、あの人を外せとかいうようなことは私どもはやるべきではない。あくまでも放送事業者の内部機関でございますので、放送事業者自身が判断してやっていただくべきものだというふうに考えておるところでございます。
  110. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、有料放送の導入に関連しての質問でございますけれども放送衛星BS3を使って衛星放送を行ういわゆる民間放送会社、JSB、この経営基盤については、現在、地上の民放経営は広告収入によってなされており視聴者は無料、こういうことになっているわけです。しかし、この衛星放送を行うとなると、今までの地上放送NHK衛星放送と対抗して違う番組、よい番組、また受ける番組、こういうものを当然用意しなければならないと思うし、そうなってくると、新たないわゆる経費、制作費が必要になってくるわけです。そこで、JSBは広告収入と有料方式の併用、二本立てでやっていく、こういうことになるようでありますけれども地域が限定されている地上波より衛星放送というのは一波で全国をカバーできるわけですから、我々から考えれば、限られた地域からの広告よりも、全国をカバーするところから広告料を取った方が、収入の面で今まで以上に収入があるんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、これは逆なのかどうなのか。どうして結論として衛星放送に有料制度を導入しなければならないのか。広告料だけでも、今言ったように、一波で全国をカバーするわけですから、広告料がたくさん入ってくると思うんです。  先ほどの大臣の話じゃないけれども、ずらずらっと広告会社が最後に出てくる、今のテレビはそうなっておりますけれども、あれは一秒が三十万とか、五十万かもしれませんけれども、やはり私は、価値があるからあそこへ出しているんじゃないかなと、こういうふうに思うんです。価値がなければ、まさか損するようなものを私は企業としてはやらないと思うんで、そういうことも含めて、広告収入だけでカバーできるんじゃないかな、こういうふうに思うんですが、どうですか。
  111. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 民放は広告料収入によって経営を賄っておりまして、最近でこそ広告料収入の増がかなりの数字に上っているところでございますが、一般的に申し上げますと、経済の安定成長期になりまして、広告市場というのはそれほど伸びが期待できない状況になってきているところでございます。そういうことからいたしますと、民放につきましても、今後発展拡大していくためには新たな財源というものを確保することが必要な時期も来るんじゃないか、経営的に支える新たな財源を確保する道を開く必要もあるんじゃないかというような観点から、今回有料放送を導入させていただくようにしたわけです。ただ、経営財源確保だけではなくて、有料放送に対するニーズというものもあるんじゃないか、受信者のニーズというものをより直接的に番組制作面に反映することも期待できますので、そういうことから国民のニーズの多様化、高度化にも期待できるんじゃないかというようなことから有料放送制度を導入したところでございます。  広告放送で十分やれるんじゃないかというような見方をされる方もおりますし、有料放送制度を導入しなきゃとてもじゃないけれども衛星放送は成り立たないというような見方もございまして、いろいろ御意見があるわけでございますが、ある調査によりますと、広告放送だけでは難しい、有料放送制度を導入しないと衛星放送は成り立たないんじゃないかというような御意見もあるようでございます。初期の段階では、現在NHKが独自放送をやりまして、衛星受信者の数が五十万を超えておりまして、かなり伸びてきてはおるんですが、全国的に見ますと、まだまだ散在していると言わざるを得ない状況でございまして、それに対しまして広告媒体だけで十分経営財源を確保できるかどうか、広告放送のみで経営財源を確保することができるかどうかというようなことにつきまして疑念を持っておられる方もございます。そういう観点から、有料放送と広告放送とあわせ行うことによって、経営的にもまた国民のニーズにもこたえ得るんじゃないかというような観点から、今回有料放送制度を改正案の中で取り入れさせていただくようにお願いしているところでございます。
  112. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、衛星放送の今言ったように有料放送の制度をここで決めるわけですけれども、この導入によって広告費の収入と有料放送の収入、比率はどのぐらいになるか、まるっきり根拠がなくて、全然根拠なしに広告収入がちょっと減ったようだから有料放送にすればいいだろうと、こういうことで私はやったんじゃないんじゃないかと思うんですけれども、この比率はどのぐらいに考えているのか。また有料放送によって得られる収入、これはあくまでも財源になるわけですから、また企業としてやっていけるかやっていけないか、これは生命線ですから、そういった意味で金額がどのぐらいになるのか、試算はしていると思うんですけれども、この点いかがですか。
  113. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 正直に申し上げますと、私どもとしては現在そういう、具体的にどれくらいの割合になるかというようなものは持ち合わせておりません。  これにつきましては、日本衛星放送会社、JSB自身が内部において六十五年に打ち上げを目指して鋭意検討をしております。準備をし始めているという段階でございまして、具体的な比率については、事業者自身が検討した結果出てくるものだというふうに考えております。  ただ、いずれにいたしましても、有料放送と広告放送とあわせて行っていただきたいという考え方を私どもはとっているところでございます。ただ、具体的にその割合につきましては、現在私どもは全然持ち合わせているものはございません。
  114. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 国でやることが大体この辺だろうということで、試算もなしにやるというのは、私ちょっとわからないんですけれども、今コンピューターの時代ですから、データが出て大体こういう予想が立てられる、だから有料放送制度を導入しよう、こういうことになったんじゃないかと思いますけれども、聞くと試算もないということですから、ちょっと答弁はいただけないんですけれども、それじゃ有料放送のシステムはどういうふうにする予定ですか。
  115. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 有料放送というのは、視聴者が放送事業者に対価を払うということを条件に契約を結んで視聴が可能となるものでございます。具体的にはスクランブルをかけて、放送事業者が他に見えないように放送をいたしまして、受信する側は、デコーダーというスクランブルを解く機械を置きまして、それを解いてもとの正常な場面に直しまして、それを見ていただくという形のものでございます。したがいまして、スクランブルを解除するためのかぎ情報というものを受信者側が持っていなければ、正常な番組内容を視聴することができないわけでございます。契約によりまして、そういうデコーダーを置いてやるという形になるわけでございます。
  116. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、デコーダーをつけて、それにICか何か差し入れて、それで見れると、こういうことになるわけですね、簡単に言えば。そのデコーダーはどこで売るんですか。
  117. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) デコーダーにつきましては、現在いろいろと開発中のようでございますが、それをリースの方式でやるか、あるいは買い取りの方式でやるか、これらにつきましては今後衛星放送会社自身が検討していくことでございま して、それはリースということになれば、契約内容がリースという形になるでしょうし、買い取っていただくという形になれば、またそういう形になるということになると思います。
  118. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私、メカに弱いので、技術的にはわからないんですけれども、デコーダーをつける、そうすれば見られる状態になる、そこへカードを入れて、キーを入れて、そうすれば鮮明に映る、こういうことですわね。そのデコーダーを一般のいわゆる電気会社か何かで売っていれば、これは幾らでも買えるわけですね。  もう一つ、カードの方ですけれども、カードの方は、そうするとどういうカードになるか、キーになるか知りませんけれども、それはどこで売られるんですか。
  119. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) いろんな方式があるかと思いますが、先生おっしゃったようなプリペイドカードみたいなことかと思いますが、電話回線によって見た時間等を把握することによって後で支払っていただくというような方式もあるでしょうし、私、かぎ情報と言ったのは、別にカードにかぎを盛り込ませて、そいつを使って見ていただくという趣旨ではございませんで、定額制だとか、時間によって払う方法だとか、いろんな方式があるものですから、特段これといった、決めつけたものがあるわけではございません。
  120. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私が心配するのは、いわゆる有料方式を導入することによって、もちろんお金を払うわけですから、いわゆる不正視聴が当然私は起こってくると思うんです。いろいろ技術的に発展、発達している技術によって、いろいろ追っかけ合いじゃないけれども、機械ができてくると思うんです。その不正視聴が問題で私は今お聞きしているんですけれども、そういう問題は私は必ず起きてくると思うんですけれども、不正な視聴が行われた場合には、対策が行われると予想されるんですけれども、その対策はまずどうするのか、また、その不正視聴が発覚した場合に何か法的処置でも考えられておられるのか、その辺はどういうふうに郵政省として考えておられますか。
  121. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 有料放送におきましては、先ほど来申し上げておりますように、契約者たる受信者のみが正常な番組を視聴することができるように、スクランブルをかけて放送をいたしまして、それ以外の者は視聴できないようにしているわけでございます。このような方式は技術的な措置によって、大部分はデコーダーのかぎ情報をしょっちゅう変えるとか、いろんな方策があるわけですが、非常に高度なデコーダーをつくるということによって防止できるとか、いろんな方法があるわけでございます。  これに加えまして、不正視聴の禁止という規定を五十二条の五に設けさしていただいております。これによって、不正視聴が行われた場合に、放送事業者が損害賠償というか、民事的な救済が受けられるようにすることによりまして、十分事業者の利益というのは保護されるんじゃないかというふうに思っております。ただ、罰則を設けることにつきましては、これに類似のものにつきまして刑法等においても罰則を設けておりませんので、今回も罰則を設けることまでは考えていないところでございます。
  122. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それからもう一つ、細かくなりますけれども有料放送の導入によって、集金の方法でございますけれどもNHKでも前回の予算審議のときに問題になりました受信料の徴収ですが、大変苦労されているわけでございます。今回の改正によって新たな制度が導入されるということですから、受信料の徴収というのは大変私難しくなるんじゃないかなと、今考えられている集金の方法、どんな方法をやったらいいのか、今言ったこの人しか見られないというんならば、これはもう簡単で、一応簡単というか、それにしても数は多いわけですから、いずれにしても集金の方法はどういう方法を考えておられるのか、御説明いただけますか。
  123. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) いろんな徴収の方法があると思うんですが、一つの方法としては銀行等の自動振替の仕方等によりまして、見ていただいた時間を電話回線等によって把握するか、どのような方法で把握するかによりまして払っていただく、時間に応じた料金を徴収する場合はですね。まあ定額制の場合は定額制で、デコーダーを置いてもらう方々から月掛けでいただくというような方法もあるかと思いますが、いずれにしてもデコーダーで、スクランブルをもとの状態に戻してみなければ見えないものですから、デコーダーが一つの中心になるというふうに考えております。  したがいまして、料金の徴収はある程度確実にし得るんじゃないかというふうに民間衛星放送の場合は考えられますけれどもNHKの場合につきましては、これは受信料は御承知のとおり特殊な負担金という制度でございますので、今回も新営業構想というようなことで、受信料の確保、あるいは理解を求めるというような形で増収、あるいは徴収の向上を図っているところでございますが、今後ともそういう形で進めていくわけでございます。したがいまして、その違いというものを先ほど来お話にもございましたように、十分国民皆さん理解していただくように今後も努めていくと同時に、受信料収入の確保にも努力していかなけりゃいかぬというふうに考えられるところでございます。
  124. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 徴収の方法を理解してもらうということですけれどもNHKの受信料というのは特殊な負担金ですよと、それから衛星民放の料金はサービスの対価ですよと、こう言ってもなかなかわからない、ちょっと理解できない人もたくさんいるんじゃないか、私もよくわからないんですけれども。そこで、この有料放送がこれにつけ加えられて導入された。そういうことになると、放送というのは、サービスの対価という認識が私は広がってくるんじゃないかなと。見るからお金を払うんだと、有料になるわけですから、見るから払うんだと、こういうことになってくると、NHKの受信料も、放送サービスに対する対価という誤解が私は生じてくるおそれがある、こういうふうに思うんですが、NHKさんにお聞きしたいんですが、そうすると、NHKは見ないから受信料は払わないとか、こういうことにも、今もあるけれども、これから有料放送が導入されると、そういう人が出てくるんじゃないかなと、これは心配するわけですけれども、そうなった場合に、NHK今受信料を徴収するのに大変なのに、NHKにとってさらにいわゆる受信料の収納について悪影響が出てくるんじゃないかと、こういう心配があるんですが、NHKとしてはどういう対策をとられますか。郵政省の方は、この点についてどういうふうに考えておられるのか。
  125. 林乙也

    参考人(林乙也君) 確かに先生指摘のように、有料放送導入に伴います受信料制度への影響ということについて、私どももいろいろ考えていかなければならないというふうに思っております。  御案内のように、受信料は公共放送NHKの組織、業務を維持運営するための特殊な負担金であるというように考えておりまして、放送視聴の対価としての有料放送というものとは性格を異にするものではございますけれども、受信料、有料放送の料金とも受信者から直接徴収するという点では同じことになるわけでございまして、受信者側に混同が生ずるなど受信料制度の運用に影響を及ぼすことも予測されるところでございます。  私どもといたしましては、まずは何よりも現在の受信料制度についての国民理解と御支持をいただく、また受信料の収納に適切な措置を講ずるというような、何よりもまず経営努力によっていろいろ進めていかなければならないというように考えておるわけでございますが、またそれとあわせて、民放有料放送を行います放送事業者、また郵政御当局におかれましても、有料放送の運営におきまして受信料という名称、契約約款等におきましての紛らわしさといいますか、混同、誤解を生ずることがないような御配慮もいろいろお願いいたしたいというように考えておりますし、また一般家庭の視聴者はもちろんでございますけれ ども、特にCATV等を通じて行われます有料放送につきましては、CATV事業者との今後の協力関係というものについて私どもといたしましても努力するつもりでございますが、そこらあたりにつきましても郵政当局のいろいろ御配慮もいただきたいというように考えておる次第でございます。
  126. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 基本的にはNHKの方から御答弁したとおりでございます。  NHKの受信料と有料放送とは性格が異なりますし、片方は受信料という特殊な負担金でございますが、一方は対価としていただくという形になっておるものですから、性格が違うんじゃないかというふうに思っております。直接的に有料放送制度が導入されても、NHK自身の受信料制度に影響が及ぶとは考えていないわけですが、先ほど来NHKの方からお話ございましたように、国民方々に誤解を生んで、NHKの受信料の徴収が難しくなるというような事態が来てはならないわけでございます。  そういった意味合いにおきまして私どもも、NHK自身にもやっていただかなきゃいかぬと思いますが、その違いといいますか、そういうものを国民によく理解していただくようにPR等に努めていかなければならぬというふうに考えております。
  127. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大臣一つお聞きしますけれども、今までお話あったように、いわゆる併存体制、これがいいかどうか、この所感でございますが、NHKは、いわゆる受信料ということで経営されているわけです。いわゆる非営利法人と言うんですか。しかし、民放の方は、自由な私企業たるいわゆる形で、財政基盤がそのように広告料収入でやっているわけです。それが相まって今日まで、相互にいわゆる共存をしながら発展をしてきたのが現在の放送制度でございますけれども、この併存の放送体制について大臣はどんな所感を持っておられますか。
  128. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 私は、公共放送としてのNHKというのは、前にも御答弁申し上げたかもわかりませんが、この太平洋プレートにある地震国として、千二百年の間に七十回も大地震があったと、いつどんなことがあるかわかりませんから、何が何でも国民に情報を提供するものを特殊な負担金という形で、特殊法人としてのNHKがそれを負担をするということの重要性というものは、やはり公共放送としての使命を果たしていただくことが、国民立場に立って大変重要なことではないだろうかという気持ちでおりまして、その上に民放という民間の放送会社が存在するということは、それぞれ多様な情報を国民に提供をする、それぞれのまた地域での特性を持つものとして私は併存体制をしていただくことが、これからの国際社会に日本人が豊富な情報を持つ根底になるのではないかと、かように考えておりますし、それがまた民放その他によるいわゆる情報産業というものが近年大変大きな雇用を生んでおりますし、それからまた、いろいろな意味国民に利益をもたらすGNP、国民総生産にいろいろな機器が市場に出回りますことによって大きなシェアを占めております。  かつて私どもが想像もしなかったような、私どもの子供のころからしますと、一軒の家に七軒も八軒も映画館があるような感覚で見ておりますと、これが大きく新しい時代産業基盤も提供することになると思いますので、基本的に公共放送としてのNHKが番組の低俗化を招かない指針のようなものを形づくっていきながら、国民の中に放送の価値を向上させていきながら教養その他、いわゆる郵政省と文部省とで放送大学をやっておりますが、そういうものと兼ね合わせて国民の教養が高くなっていくような、いろいろな意味が私は公共放送民放との併存体制の価値ではないだろうかと、かような評価をいたしております。
  129. 山中郁子

    ○山中郁子君 放送法及び電波法の一部改正案でありますが、私どもはごく大まかに言いまして、一つとしては、政府郵政省言論機関である放送局の免許を行うという、けさほど来からの議論もありましたが、政治権力の放送への介入を招きやすい現行のやり方を肯定化するものであるということ、と同時に、ダミーが殺到して、密室で一本化工作が行われる、大変いろんな問題を含んでいるんですけれども、こういう不明朗な免許制度を継続させ、固定させていくものであるという点、またNHKの業務範囲拡大が持っているさまざまな問題点、さらには有料放送の契約約款の郵政大臣認可も、最初に申し上げましたように、放送事業者の経営への政府の介入を導く危険がある点、そしてまた、放送法は基本的に言論法であるわけでありますけれども、その改正作業が国民に開かれて、民主的に行われていないという問題です。今回の改正放送政策懇談会、これは郵政大臣の私的諮問機関でありますけれども、ここで案がつくられてきたものでありますけれども、こうした会議録なども一切公表されていないで、放送に対する国民の要求を反映させる姿勢が全くないし、またその保障がされてない。  以上、ごく主要な問題を申し上げましたけれども、そのような問題を内包するものであるし、大変賛成できないものであるということをまず初めに申し上げておきたいと思います。  そして具体的に既に衆議院で我が党の佐藤議員が幾つかの問題について審議をいたしましたので、私は、初めにきょうは有料放送の問題について伺います。  今、御議論がありましたように、現行法では、民放事業者の経営財源のあり方については特段の規定はなくて、私企業としての自由な判断にゆだねられている。したがって、視聴者から料金を徴収する有料方式がとれないことはないけれども、広告方式のみで行われてきたというのが実態だと思います。民間放送民放とはそういうものだというように、発生からまた現在に至る経過国民も、視聴者もそのように理解をしています。つまり常識になっているわけです。ところが、今回の法改正によりまして、有料放送を制度的に位置づけることになりますが、そのことによって積極的に有料放送を導入する道を開こうとするものであると私は考えますけれども、この点についての認識はいかがでしょうか。私の今申し上げました、平たく言えばそうじゃないですかということについては一致されますでしょうか。
  130. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 受信料収入を財源としておりますNHKに対しまして、先生お話のございましたように、民放は広告料収入を主たる財源として経営を続けてきたところでございます。最近でこそ若干広告料収入はふえているわけでございますが、一時期に比べますと、広告市場というものもある程度経済の安定成長化に伴いましてそれほど拡大は期待できない状況にあるわけでございます。そういった観点からいたしますと、民放は今後新たな発展をしていくためには、新たな財源を確保することも必要じゃないかというような観点が一つございます。  それと同時に国民のニーズといいますか、視聴者のニーズというものもかなり多様化してまいっておりまして、有料放送でやりますと、直接見た人の反響だとかいうようなこともつかまえることができるものですから、それが番組づくりにも反映することができるというような利点もあるわけでございます。そういうことによって国民の情報に対するニーズの多様化、高度化にも対応できるんじゃないかというようなことから、有料放送制度を今回導入させていただきたいということで改正案を提案させていただいたような次第でございます。
  131. 山中郁子

    ○山中郁子君 でも要するに、衛星放送の場合に有料放送をつくるということでしょう。だから、どうして衛星放送がそういうふうに必要なのか、ちょっと先走ってお答えになっていらしたので、あわせて私はお伺いしますけれども、今もおっしゃったように、先ほども議論がありましたように、要するに衛星放送が出てくると、スポンサーは衛星放送の方にもし偏ってしまったら、地上波の放送に対してスポンサーがつかないと、そういういろいろな懸念や不安があるから、要するに、 衛星放送については有料放送ができるというように法律を整えるということであると平たく理解をいたしますが、いかがでしょう。
  132. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生おっしゃいましたように、私ども有料放送を近くやると考えておりますのは、BS3によって放送開始いたします日本衛星放送会社、JSBでございます。それを想定してやっているわけでございます。先ほど来の有料放送制度導入の理由は、この場合には当てはまるわけでございますが、先ほども御答弁させていただきましたように、見方はいろいろとございまして、広告収入でも十分やれるんじゃないかというような見方をする方もおられますし、広告収入だけではとても経営的にも成り立たない、有料放送制度を導入しないとやっていけないんじゃないかというような結論を出しているようなところもあるわけでございます。私ども客観的に見てみますと、先ほど来お話し申し上げましたように、国民のニーズの多様化、高度化にもこたえ得るし、経営財源としても確保し得るし、あるところの調査によりますと、かなりの人がそれに応ずるというようなものもあるやに聞いております。そういうような状況から今回有料放送制度を導入した方がいいんじゃないかという結論に達しまして、このような提案をさせていただいたところでございます。
  133. 山中郁子

    ○山中郁子君 何かそういう意見が多いということもあるやに聞いておられるというお話ですけれども、何ですか、それは。何か調査かなんかがあるんですか。どういうもので、どうした意見がどういうふうに多いんですか。
  134. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) JSB自身が調査したところでは、二十何%ぐらいの人は、有料放送を導入したらそれを受けるというようなアンケートといいますか、調査結果が出ているようでございます。
  135. 山中郁子

    ○山中郁子君 余り明確な根拠としては伺えませんけれども、要するに地上放送はもちろんしないんでしょう。JSBの衛星放送について有料放送の制度を導入するんだから、スポンサーが衛星放送につくと、集中すると。したがって、地上放送の方のスポンサーが少なくなる危険があるということで、いわゆる民放の会社の経営の都合というか不安というか、そういうものでもって今経費負担、視聴者は何らかの形で経費負担をしているわけですよね。ですから、NHKの場合には受信料制度ということでありますし、広告放送の場合には、広告ということを通じて品物を買うという、そういう中に広告料が入って、それで広告放送の負担をしているという形になっているわけですけれども、そこに新たに有料放送という制度を持ち込むわけですから、その点については、私やはりいろんな問題点を十分吟味をし、そしてまた、単にJSBの動向、どういう調査かわかりませんけれども、そこの調査で二十数%の肯定的な意見があったから、それをもって視聴者のニーズにこたえるものだなどという安易なことではなくて取り扱わなければいけない内容だと思うので、視聴者としては、民放会社の経営上の都合というか、そういうものによって、ここで有料放送制度が持ち込まれるということについては、これは迷惑だというふうに言わざるを得ないと思うんです。  まずそこのところと、もう一つは、しかもこれは大臣認可を必要とするという、そういう中身があるということですね。これもずっと議論がありましたけれども、基本的には自主的に行われるべき放送事業に大臣の権限が振るえるというか、実際に今現在それはどうするつもりもないとさっき局長はおっしゃいました。つまり、権限を強化するようなつもりはないとおっしゃったけれども、これはどの場合の法律でも同じでありまして、法律をつくるときに政府の権力の権限を拡大することを予想して、そういうことを目的として法律を変えますなんということはないのであって、そういう問答は、私は何の保証にもならないと思っておりますけれども、そういう自主的に行われるべき放送事業に大臣の権限がさらにふえるという、おまけまでついているという内容だと思うので、そういう点をまず指摘をしておきたいと思います。  それからまた、今議論がありましたことですけれども有料放送が具体的にどのように行われるのかということも多くの方々がよくわからない点です。私は、先ほど来からの局長の御答弁を伺いまして、私自身もこういう点では大変機械的な知識に乏しい方でありますので、よくわからない点はあるんですけれども、要するに契約者だけが見られるようにスクランブルをかけて、それでデコーダーでもってそれを解読するということだと思うんですね。先ほども指摘がありましたように、私はやっぱりその段階でまた出てくるのは、契約者以外の方がそれを見るということについてどういうことになるのかという問題だと思うんですね。電話盗聴の問題がかなりいろいろ議論になっておりますけれども、これは何と言うのでしょうか、テレビ盗視とでも言うのでしょうか、要するに契約していないけれども見ると。私はこんなの今簡単にできるようになるんだと思うんですよ、盗聴器が大々的に秋葉原で売られている世の中ですからね。どういうスクランブルで暗号をするのかわからないけれども、そんなのすぐ解読するものが出て、またこれが売りに出される。そうすると、今度は会社の方は、そういう人たちができないようにまた逆にそれを逆探知する、だれが不正に見ているかというようなことを逆探知するような、そういうものをつくっていくみたいな妙な話になっていくというふうに思うんです。  先ほどのお話をもう一つ明確にしていただきたいのは、不正にというか、とにかく契約していないにもかかわらず、ただで有料放送を見ている、見てしまう、あるいはそういうふうにできるような状況に当然今の世の中なりますし、またそうなった場合にはどういう措置がとられるのか、契約した人たちだけが、お金を出した人たちだけが見るということがどのように保障されるのか、もう一つ明確にお知らせいただきたい。
  136. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先ほども御答弁させていただきましたように、契約者たる受信者のみが正常な番組を視聴することができて、それ以外の者は視聴することができないようにスクランブルをかけてやるわけでございまして、いろんなデコーダーの方式もあるようでございますが、それによってほとんどの不正視聴は防止できるんじゃないかというふうに考えております。  それから、これに加えまして、先ほどもちょっとお話しいたしましたけれども、五十二条の五で不正視聴の防止という規定を置いております。「何人も、前条第一項の認可を受けた契約約款に基づき、有料放送事業者とその有料放送の役務の提供を受ける契約をしなければ、当該有料放送を受信することのできる受信設備により当該有料放送を受信してはならない。」という規定を置いております。これによりまして有料放送事業者は民事的な救済措置を受けることが容易となるわけでございまして、これらによりまして事業者の利益、ひいては受信者の利益が保護されるというふうに考えております。  有料放送制度につきましては、我が国では初めての導入でございますが、諸外国には例がございまして、当初、初期の段階におきましては非常に簡単なスクランブルといいますか、デコーダーといいますか、そういう措置を講じたために、かなり不正視聴が見られたというふうな経緯もございます。そういう観点から、デコーダーの技術開発もかなり進んでまいりまして、外国におきましても、その後はデコーダーの工夫、あるいはスクランブルのかけ方の工夫などによりまして、不正視聴を防止しておるような状況になっているというふうに聞いております。
  137. 山中郁子

    ○山中郁子君 初期の段階より多少は技術の発展はありますから、多少の改善はできるということは一般的にも考えられますけれども、かなりやはり諸外国、アメリカなんかでもあるんですよね。これは事実で、よく御承知のところなんだと思うんですよね。  それで、それじゃ契約者以外が見る、視聴する ということについては、事業者の救済措置が五十二条で示してあるんだとおっしゃるんですけれどもね。それで郵政省の方にちょっと事前にお話を伺いましたら、損害賠償でしょうね、そういうことだというのね。だけど問題は、どうしてそれじゃ不正に見ているというか、契約者でないのに見ているというのをどうやって確かめるんですかというのよね。人の家に入っていくわけにいかないでしょう。何かそこへ入っていって、お宅は不正に、契約していないけれども、このテレビ見ているじゃないかと現認なんてすることできないでしょう。どうやって救済措置、事業者の救済措置というふうにおっしゃるけれども、それはどういうふうにできるんですか。
  138. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 不正視聴という事態、アメリカの場合にもかなり初期の段階にはありまして、そいつがあったものですから、デコーダーの開発等をしているわけでございまして、人のうわさだけでやるわけにいかないんでしょうけれども、実態的に見て、どうもありそうだというふうなことがあったときに、証拠をつかんでというか、そうした形でやらざるを得ないんじゃないかというふうに思います。
  139. 山中郁子

    ○山中郁子君 証拠をつかむってどうやって証拠を、何をもって証拠とするんですか。
  140. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 同じようなデコーダーを置いて視聴しているというような実態があれば、デコーダー等からして推測し得るというふうに思います。デコーダー、現在考えられますのは、今回考えております日本衛星放送会社だけでございますので、それらデコーダーを何にもせずに置くというようなことはあり得ないのではないかというふうに思います。
  141. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、それはデコーダーがあるというのをだれがどうやって見つけるの。そこに基本的な問題があると私言っているんですよ。もし仮に同じようなデコーダーがあって、あの家はどうも受信契約してないのに、どうも視聴しているみたいだと、だれかが何かうわさ話するとか、隣の人がそういうふうにだれかに知らせるとか、仮にそういったところで、そういうようなことがもし仮にあったとしても、だれがそれを現認するんですか。そういう権限を持つ人がここに介在できるんですか、この法律によって。
  142. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 放送事業者自身が、経営にかかわることでございますので、放送事業者自身がいろいろと手立てを講じて把握に努めるというふうに考えられます。
  143. 山中郁子

    ○山中郁子君 放送事業者はそれじゃ、ちょっと大臣、明確にしてほしいですけれども、この法律は、それじゃ放送事業者が人の家へ入って、自分の放送が契約されてないのに見られているか見られていないかということを見ると、現認することができるという内容をいささかでも含んでいるんですか。冗談じゃないですよ、警察じゃあるまいし。何ですか。そういうことを今あなたおっしゃったのよ。
  144. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 私は決して他人の家へ勝手にずかずか入り込んでいって捜査する権限を放送事業者があるということを申し上げているわけではございません。
  145. 山中郁子

    ○山中郁子君 ほかに確かめようがないじゃない。どうやって確かめるの。
  146. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) ただ、放送事業者自身が不正視聴がありそうだといった場合には、まああるという確証がつかめれば損害賠償の請求措置ができるでしょうし、場合によっては不正視聴を防止するためにスクランブルのかけ方を変えるとか、あるいはデコーダーの機能を、若干かぎ情報等を変更するというようなことによって防止し、経営の安定を図ることができるということでございます。
  147. 山中郁子

    ○山中郁子君 スクランブルのかけ方を変えるとか、そういうことはあり得ましょう。だけど、放送事業者が証拠をつかむということはどうやってできるんですかと言っているんです。できないじゃない。
  148. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) つかんだ場合には損害賠償の措置ができるということを申し上げているわけでございまして、つかみ方自身につきましては、その放送事業者自身の考え方ということであるわけでございます。
  149. 山中郁子

    ○山中郁子君 つかめないのよね。そうでしょう。だって人の家へ入ることできないもの。幾らどんな、もし仮に、あの家は受信契約してないけれども見ているよとだれかが仮に言ったとしても、外から見えるものじゃありませんわね。だったら、そういうことはできないのよ。だから、私が言うのは、そういう問題というか、もっと言えば、そういうことを内包している、つまり無理があるということなんです、この今の。それは私、未来永劫有料放送がどうなるかということについてまで言っているわけじゃないですよ。今の日本テレビ放送の視聴者の経費の負担の仕方、受信料制度と広告放送、そういうものでずっと歴史が今まで来ているわけでしょう。そこへもってきて、大臣認可もかかわってくるような、大臣の権限が加わってくるような内容も含めたそうした有料放送の導入、つまり公共の電波であるはずのものを、やれそれを有料、契約者が使っているだけであるか、あるいはそれをまた逆に探知して、スクランブルかけてどうのこうのというふうな、そういう矛盾した問題になってくるという点での非常に無理もあるし、基本的な問題があるということを指摘申し上げました。  次に、NHKの業務範囲の拡大について申し上げます。  改正案では、NHKの従来の業務に加えて、目的外業務ともいうべきいわゆる一協会の保有する施設、設備を賃貸すること、それから二として、委託を受けて放送番組を制作すること、この二つの業務を行うことができるように盛り込んでいます。この業務を行うに当たっては、営利を目的としてはならないということがNHKの使命から当然のことであるということで抑えられているんですけれども、一方では、業務範囲の拡大は受信料を抑制するための措置であるとも言われていますし、経営が苦しいからということで、NHKもそういういろいろな収入を得るために努力をせいというような内容も結局含まれているというふうに理解できます。  しかし、一の問題についてですけれども、そうかといって、私は今現在のNHKのいろいろな業務についても巷間批判がないわけじゃないということをよく承知しておりますけれども、今この点については触れませんが、まず一の問題について言うならば、「協会の保有する施設又は設備」ということは、不動産業をやるために土地を取得したり、また持っていらっしゃる土地を売ったり、施設や設備を新たにつくって、それを貸したりというような、そういうようなことまでも含むのかどうか、そういうことまでもできるんだという見解なのか。それは郵政省NHKと両方の方にお尋ねをしたい。
  150. 林乙也

    参考人(林乙也君) 九条三項一号の協会の保有する施設についての賃貸の件でございますが、この点については、あくまでも協会の事業の「業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において、」という前提が明示された上で行う業務でございます。現在、協会が保有する資産は、あくまでも放送業務の必要に基づいて保有しておるものでございまして、その保有する施設を「一般の利用に供し、又は賃貸すること。」ということが規定されるわけでございまして、この規定ができたからといいまして、NHKが新たにこの業務のための土地を取得し、その業務に何といいますか、充てるというようなことを考えているものではございません。
  151. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 今回新たに業務として規定されました九条三項でございますが、NHKの本来の業務に支障のない範囲内において業務ができるようにしたわけでございまして、その具体的な中身といたしましては、スタジオの外部的な利用、スタジオを外部の方に利用していただく、あいている時間等に業務に支障のない範囲内において使っていただくということを、例外的な扱い ではなくて、業務として行えるようにするというものでございます。これによりまして他人が継続的、安定的に利用することができると。それによって逆に、逆にというか、そのはね返りといたしまして、対価をNHK自身が得ることができると、副次収入を得ることができるということのための改正でございます。
  152. 山中郁子

    ○山中郁子君 私、NHKの方に伺ったんですけれども、この質問をするに当たってですよ。そうしたら、だから林さんにもちょっと率直に伺いたいんだけれども、別にスタジオにしたって、そう今たくさんあいている遊休スタジオがあるわけじゃないんでしょうと思うし、NHKの方もそうおっしゃるのよ。今までだってあいているのを貸すということはできたわけで、貸していらしたわけでしょう。別にただで貸していたわけじゃなくて、それはそれなりの使用料というか、必要な経費はお取りになっていたわけだから、だから法律を変えてまで何かこういうことをするというのは、一体何を目的とするのかというのがわからない、少なくとも一号についてね。これはNHKの方からこういう法律、こういうふうに法改正をしていただきたいという要望があって、郵政省の方がそれをくみ上げておつくりになった、出されたのか。それとも郵政省の方が、NHKが赤字で経営が大変だから、もっといろいろ商売やりなさいということでこういうものをお進めになっておやりになったのか。その辺のところはどうなんですか。
  153. 林乙也

    参考人(林乙也君) まず業務の実態の上から御説明させていただきたいわけでありますけれども、確かに御指摘のように、現在におきましても、NHKの保有する施設につきまして、これを利用承認というような形で、臨時的、例外的な一つ考え方のもとに外部にそれを利用さしておるという例はございます。  今回の法律改正によりましても、やはりその実態というものが大きく変わるわけではございませんけれども、やはりこういった法律改正によりますその業務の位置づけというものが明確になるわけでございますし、また、これにつきましては郵政大臣の認可を受けてということ、さらには経理を区分してという形の中で、やはり視聴者に対しましてもその業務の実態というもの、その責任の所在というものをより明確な形でお示しすることができるという点、また、この規定改正によりまして、当面これによりまして新たにこういったことということについての点につきましては、現在私どもが行っております施設の賃貸というものをより何といいますか、前進的に活用できないかということはありますけれども、抜本的にまるきり変わってしまうというふうなことは確かにございません。しかし、この規定によりまして、将来NHKが行います一つの受信料以外の経営財源というものについての努力の中で、受信料の負担をより軽減することも可能な道が開かれるのではなかろうかというように考えておるところでございます。
  154. 山中郁子

    ○山中郁子君 将来、不動産業を始めるなんということでもないと思うんですけれども、実際大して違いがないということは林さんお認めになったとおりで、どうにもここにどういう積極的な役割を求めようとしているのかというのがわからないと同時に、強いて言うなら、本当に不動産業みたいなものを将来始めるためのものみたいなふうな誤解も与えかねないし、またそういう危険も残すものであるということの問題点があるということを指摘しておきます。  もう一つの二号目の方ですね、つまり委託を受けて番組を制作すると言いますけれどもNHKは一時期一万八千人いた職員を計画的に削減して、来年度中に一万五千人体制を実現するというふうにしておられます。これはしばしば予算、決算の審議の中でも議論になってきたところですけれども、そのために番組制作の外部委託までふやしているんですよね、エンタープライズもあれされましたし、これも議論になってきているんです。そういう中で、当該業務の円滑な遂行に支障のないように、この第九条三項でそういうふうに言ってますけれども、そういうふうにしてよその番組を請け負うことができるんですか、理論的にも実際的にも私はできないと思うのよね。できるなら、何で人を減らして、人を減らして大変だ大変だと言って、赤字だからなるべく効率的な仕事をするためにと言って人を減らす。そういうことをやってきて、それでなおかつ、なおかつよその番組を、人の番組をつくるなんて余裕がどこにあるのかということは根本的なこれは疑問ですね。第一、働く人たち、例えば労働組合などとこういうことで話がついているんですか、了解が得られているんですか。
  155. 林乙也

    参考人(林乙也君) NHKがその業務についての効率化に努めなければならないことは従来から申し上げているとおりでございますが、この規定は、基本的にNHKが保有しますノーハウを国民的に還元していくということがその基本であろうかというふうに思います。  すなわち、NHKが従来まで蓄積してまいりました番組素材とか、あるいは開発してまいりました特殊な放送機材及びその操作、運用というような、NHKが保有しておりますノーハウというものを活用いたしまして、それを社会に還元する上で番組の制作についても委託を受けることが認められるというふうに考えておるわけでございます。もちろんその場合に、その実際の業務については、その一部をさらに関連団体等に委託するということはありましょうけれども、あくまでもただいま申しましたように、NHKの保有するノーハウというリソースの源泉についてはNHKにあるということに着目いたしまして、この規定が置かれておるというふうに考えておるところでございます。
  156. 山中郁子

    ○山中郁子君 ノーハウだけで制作はできないんですよね。人が要るんですよね。だから、私はそのことを伺っているの。人をふやさない、減らすとおっしゃっていてね、まだ余分があるということですかと言うの、人様の仕事を請け負う。そういうことは労働組合とも合意できているんですかということを伺っている。
  157. 林乙也

    参考人(林乙也君) その業務の内容、性格について私御説明申し上げたつもりでございますが、あくまでもNHKの保有するノーハウというのはNHKに帰属するものであるわけで、それをどういうふうな形で行っていくかということについては、確かに一部関連団体等にさらに委託していくということはあろうかと思いますけれども、あくまでもこの法律一つ趣旨性格というものは、ただいま私が申し上げたことによるというように考えておるところでございます。もちろんその具体的な今後の運用について、労働条件に関係する場合には、労働組合等に対してももちろん何といいますか、協議していかなければならないことであることは十分承知いたしておるつもりでございます。
  158. 山中郁子

    ○山中郁子君 今それじゃNHKの方は、そういういわゆるNHKのいわば国民的な財産であるノーハウを国民的な活動に還元していくという精神であると、別に法律にそういうこと何も書いてないですけどね、そういうふうに受けとめて、人間も含めてその番組を制作するというふうなものではないと、そういうふうには少なくとも今は考えてないというふうにおっしゃったと思うんです。で、人間を新たに、何らかの形で労働条件に影響を与えるようなことをする場合には、それはもちろん労働組合とも、職員の方たちとも相談しなきゃならぬと、こういうふうにおっしゃったというふうに私は理解いたしましたが、郵政省はその点について何か御意見がありますか。そういうことでよろしいですか。
  159. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先ほど来、林参考人の方から御答弁しているとおりでございまして、番組制作の受託につきましては、NHKの他の業務に支障のない範囲内でやるということでございます。しかしながら、業務というのはおのずと日によって、日によってというか、月によってというか、繁閑がございまして、その関を利用して受託 制作を行うことが可能な場合もあり得るということで、このような規定を設けさしていただいたような次第でございます。「協会が行うことが適切であると認められるものを行うこと。」というような限定もあるわけでございますんで、それにふさわしい範囲内においてやっていただけるものと期待しております。
  160. 山中郁子

    ○山中郁子君 明らかに違いますね。問題は、要するに人、人を基本的に出して使うのではない、少なくともそれを下請、どこかにNHKのその技術なり機械なりを貸すなり委託をしてつくるんだと、そういうことだというのが林さんの主たる受けとめ方だとおっしゃる。だけれども局長の方はそうではなくて、仕事の繁閑はあるだろうから、暇なときにそういうものをやってもらうと。もう冗談じゃない。あなた方御自分で仕事してらしてね、わかるでしょう。それは、もしかしたら手のあくところ少しあるかもしれませんよ。そのときに郵政省の役人だって、そのほかの仕事やれなんということになりませんでしょう。そういう問題があるということです。  問題は、さらに、どういうものをそれじゃつくるのか、端的にお聞きします。  例えば、政府の広報番組をつくるというようなことになるのでしょうか。政治的な中立、公正がNHKのよって立つべき基盤であるということは、放送法で明記されていることは申し上げるまでもなく明確です。一体そういうことが今回の新しい、この法律の条項が加わることによって、これによっても確実に保障できるのか、そこのところはどうなんですか。お金が出て、いろんな人がそれじゃつくってくれと言ってきますでしょう、こういうふうになればね。その点はどうなんでしょう。
  161. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 今回新設される第九条三項第二号の規定は、先ほど来申し上げておりますように、番組づくりをNHKが蓄積したノーハウ等を使って、繁閑を利用してつくっていくということでございますが、その第二号にも書いてございますように、「協会が行うことが適切であると認められるものを行うこと。」ということでございまして、私どもといたしましては、協会が行うにふさわしいものに限られるべきものだというふうに考えております。公共的、先導的なものをやっていただくように期待しているところでございます。やる場合にもそういうことを期待しているということでございます。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 具体的に伺いますが、政府広報番組はつくるんですか、もし政府の方から、広報番組これでもってお金出すからつくってくれとNHKが要望されたとき。
  163. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 国とか地方公共団体等から委託を受けた場合には、業務に支障のない範囲内で、かつ繁閑等を利用いたしまして、制作ノーハウを生かした番組づくりをやっていただくことは結構だというふうに思っております。
  164. 林乙也

    参考人(林乙也君) 先ほどの私のお答えの中でちょっと補足さしていただきたいと思いますが、番組の委託制作の業務のあり方として関連団体等に対して委託することもあり得るということを申し上げましたけれども、それを前提としておるということではございませんで、当然NHKの職員によって行う場合もあり得、また関連団体に委託して行う場合もあり得ようということで申し上げたつもりでございますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、ただいまの御質問でございますけれども放送行政局長の方からもお話がございましたように、この業務は、NHKの業務の円滑な、支障のない範囲においてということ、また協会が行うことが適切であると認められるものについてということが、NHKの業務として認められるということでございます。また、その姿は、委託を受けてということは、命令によりということではございませんで、委託を受け契約に基づいてということでございます。したがいまして、NHK判断といたしましても、NHK、協会が行うことが適切であると認められるものということについての当然判断をいたしました上で契約を結ぶことになろうかと思います。当然その場合には、NHK性格にかんがみまして、公益的な趣旨というもの等について十分配意をしていかなければならないことは当然のことでございます。
  165. 山中郁子

    ○山中郁子君 政府の広報番組、委員長、答弁がちょっと一つ抜けていますので。
  166. 林乙也

    参考人(林乙也君) 政府の広報番組そのものについて具体的にどうするのかということでございますが、結論について、その委託を求められた番組のいかんによって特にこれを否定するものではないというふうに考えております。これについてでございますけれども、ただいまも申しましたように、業務の円滑な、支障のない範囲においてということ、また協会が行うことが適切であると認められるものについてということでございますが、一方、現放送法にもございますし、また改正放送法にもあるわけでございますけれどもNHKの業務、特に放送番組の編集等につきまして、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」あるいは「政治的に公平であること。」というような番組編集上の基本的な一つの基準といいますか、そういったものが定められておるわけでございますけれども、当然そういったものを含めまして、NHK放送番組及び番組制作というものは運営をしていくことになっておるわけでございまして、政府の広報番組のすべてをお断りするとか、あるいはすべてをお受けするということではございません。私どもは、あくまでも私ども判断の中で、この改正されました法の趣旨に基づいて委託すべきは委託するということになろうかと思います。
  167. 山中郁子

    ○山中郁子君 重大な問題だということを初めに申し上げましたけれども、一層鮮明だと思います。  今、自民党の政府が、竹下さん先頭に大型間接税絶対やると、こうおっしゃる。そうしたら、政府が大型間接税についてのキャンペーンの広報番組をつくって、それでNHKに出す、それはできるし当然だとおっしゃるのね、局長はね。でしょう。だから、これが政治的な中立、公正ということが保障できないじゃないかと。私はだからそれが問題だと言っている。そういうことをNHKも場合によったら、場合によったらというか、とにかくそれはやることは大いにあるとおっしゃるわけでしょう。  私は前にもここで取り上げましたけれどもNHKが自民党の方々と非公式に懇談会を開いて、天皇の報道の問題がどうだとか、さまざまな圧力を加えられて、卑屈にそれは申しわけなかった、反省しますなんておっしゃっている、そういうことがいまだにずっと続いているんでしょう。それで川原さんにそのことを伺ったら、川原さんは、事の趣旨が全く非公式の私的なお話し合いということで、私どもがそれに応じたものでございまして、そういうものは公のものでも公式のものでもございませんので、ここで私から中身を答弁することはできないと、こう答えていらっしゃるのね。  大臣もお覚えがあると思うんですが、民放ともそういうお話し合いを自民党はなすっている。具体的に申し上げるならば、大臣は、例えば六十年の十一月の二十日に日本テレビ放送網との懇談会、十一月二十七日東京放送との懇談会、十一月二十八日に全国朝日放送系との懇談会、それに具体的にお出になっていらっしゃる。そしてその中でどういうことが論じられているかといえば、今申し上げましたように、NHKの場合と一緒です。天皇問題についての放送がどうだとか、あるいは権力の問題についての放映があって、あれは頭にきたとか、そういうことに対して民放の事業者は、それは申しわけなかった、今後考えるようにするとか、注意をするとか、そういうやりとりをやっていらっしゃるようなものは、もうさんざん私はこの前委員会でも申し上げました。そういう実態が片一方にあるんです。  そして、片方で今度政府がお金を出して、NHKに広報番組をつくらせる、そういうことが法律でできるようになって、それで、それは当然のこ とながらいたしますと、こうおっしゃるわけでしょう、公共団体にしろ政府にしろ。それは今まさに政治的ないろんな対立がある、争点にもなっている問題がある、そういうことも含めて、確実にそういうキャンペーンを政府が張る場合にこれが使われるという問題なんです。私は、そこのところの重要性は今の郵政省のお考えで一層明らかになったし、NHKとしてもそういうことを受け入れるんだということが解明された以上、絶対にこの法案についての、根本的な言論の基本を破壊するそういう改悪だということを改めて強調せざるを得ないわけであります。  それで、次に番組審議会というか、審議機関の問題なんですけれども、これは本改正案の第三条の三第二項で、番組基準の公表を義務づけました。そしてその公表方法は、省令で定めるとしていますけれども、どういうことを具体的に考えておられるのかということと、同時に第三条の四第五項で、番組審議会の討論の内容、概要の公表を義務づけておられる。その公表の方法は、それぞれどういうことを考えておられるのか。若干先ほどの御答弁がありましたので、ごく簡潔でいいんですけれども、お教えいただきたいということと、こういうふうに改正案をここで提起した動機というか、理由は先ほど局長が御答弁されましたが、つまり、番組の中身をよりよくし、活性化させていくということのためならば、今の問題とも関連するんですけれども、全部公表を義務づけたらいいと思う。公表させるということをはっきりさせたらいいと思う。概要を公表するなんという、そういう中途半端なことじゃなくて、その審議会の中身、どういうことが審議されているのかということを視聴者の前に、国民の前に全部公表する、こういうことまでどうしてきちんとしなかったのかということが私は残念——残念というよりもそういうふうにすべきだと思うんですけれども、そこのところは積極的にそういうことを追求していくお考えがあるかどうかですね。  つまり、考えていただきたいんですけれども、番組そのものは国民に公開されているものでしょう。公開することによって視聴者がそれを見る。そのことが番組の生命であるし、目的であるわけですね。だったら、その番組そのものに対していろんな視聴者が意見を持っている、その意見を代弁する形で審議会がさまざまな論議をする。そういうものは、当然のことながら視聴者に全部公開されていいと思うんです。私もこの問題は大分何回もこの委員会で取り上げました。そしてNHKは今審議会の内容をですね、概要というか、議事録みたいなものをこういうふうにだれもが見られるようになすっていらっしゃるけれども、そうじゃなくて、その審議会そのものを全部公表して、聞きたい人は聞けるし、国会みたいに会議録は全部見られるというようになさるべきだし、今回の法改正についてもどうしてそこまできちんとした形で整備されなかったのかということをまずお伺いしたいです。
  168. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生るるお話ございましたように、審議機関の活性化を図るために、審議機関が答申を出した場合にはその答申の概要、意見を出した場合にはその概要を公表するということにしたところでございます。  いろんな御意見がございまして、先生のような御意見の方もおられますし、公表など義務づけるべきじゃないというようなお話もございましたけれども、私どもは、国民といいますか、いろいろといろんな方から御意見を伺いましたところ、質的な向上を図るべきだというような御意見が非常に強くて、質的向上につきましては国民的な課題であるというふうに認識しているところでございます。そういうことから活性化を図る道を探ってまいりまして、今回のような法改正の提案にさせていただいたようなところでございます。  一つとしては、部内委員を廃止いたしまして、すべて部外の方にやっていただく、それから答申等が出ました場合にはその概要を公表してもらう、意見も同様でございますが、そういうことによって一般視聴者との結びつきができまして、それによって視聴者の意向というものも反映されていくんじゃないかということを期待しているところでございます。あくまでも放送番組の編集につきましては、放送事業者の自律、自主性に任せられるべきものでございまして、今回の改正に当たりましても、その自律性を一層促すための措置としての審議機関活性化の措置でございます。  ただ、審議機関のやりとりといいますか、議事録的なものをすべて公表したらどうかというような御意見のように伺いましたけれども、それにつきましては、委員の自由な発言確保するというような観点からも、これを制度的に義務づけることには若干問題があるんじゃないかというふうに考えておりまして、この問題につきましては、放送事業者の自主性に任せるべきものだというふうに考えております。放送事業者自身が、また審議機関自身も公開するという判断をすれば判断していただいていいわけですけれども、制度的に私どもがすべてを公開しろというような制度をつくるということは問題があるんじゃないかというようなことで、今回のような提案をさせていただいたような次第でございます。
  169. 山中郁子

    ○山中郁子君 最後に、そこに私は、やはり言論報道機関に対する基本的な民主主義の理念に立った理解というか、スタンスを詰めていってないから、わざと詰めていないんだと思うんですけれども、私は公開しろと言う、公開するなと言う人もいると、そういうものじゃないんですよね。言論報道機関は、やはりよって立つべき国民の意思、視聴者の要求、そうしたものに開放されてこそ、初めて民主的な基盤の確立が保障されるのであって、国民に隠れて、視聴者に隠れて行われるということの中から何が出てくるかといえば、先ほど私が中山郵政大臣出席されていたではないですかというふうにして申し上げた自民党と放送機関との極秘の話し合いですね。その中で、密室で何が行われているか、改めてもう一度申し上げるまでもありません。  つまり、放送法でも明確に言っているんですけれども民主主義の発展に役立つと同時に、放送の民主的な発展にも役立たせていくということですべての国民に、すべての人々に開かれた、そういうものによって運営されていくべきである。そこのところが、本当にそういうことを主張するしないじゃなくて行政当局、行政指導機関である郵政省が、そして例えばここにいらっしゃるNHKがやはりそこの先頭に立って、そういう立場で積極的な努力をしていくべきであるということが私の申し上げているところであります。それを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
  170. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) ただいま先生からいろいろな御指摘がありました点で、二点ばかり私から考え方を申し上げておきたいと思います。  いわゆるサブスクリプションTVといいますか、スクランブルTVといいますか、STVという衛星放送にデコーダーを使って、それのいわゆる盗視という言葉を使われましたが、盗み見をしたときの場合の話でございますが、これはもう私は、この法律は性善説に立っているものだと思いますから、そういうことをする人がないという前提じゃないだろうか。たまたま何かの都合で見つかった、盗視していたという人に対する場合に対応する考え方があるのではないだろうか。税金でも自主申告制度なんという、性善説に立った税制みたいなものをやっております国でございますから、盗み見をそんなに前提にして考えていないという感じがいたします。  それから、今自由民主党放送懇で私も出ているという話でございますが、これは懇談会でございますので、先生の方に知れるぐらい自民党というのはかわいらしいことをやっているんだなと、風通しがよくて本当にいいなという気持ちで実は聞いておりましたんですが、それを放送会社の側が黙って聞いていらっしゃるわけじゃありませんで、それにはやりとりがありまして、ああそうですか、わかりましたというような話もあるわけでございますので、何か秘密裏にこっちの考え方放送の内容に盛り込ませようなんということを全 く意図したものではございません。内容に触れられないことは私どもよく知っておりますので、かえってそういう、我々が手を出すということは厳に慎むことは根底にありますからこそ、懇談会という形にしたわけでございます。その辺のひとつ御理解を得ておく必要があるので、あえて御指名はございませんでしたが、申し上げさせていただきます。  また、今の政府広報に関しましても、政府広報、ほとんどが麻薬をやめてくださいとか、それから交通事故に気をつけてくださいという、ごく中立的なものが政府広報で、各放送局に割り振っていろいろと配慮をしているものであって、政治的に偏向したものは私はほとんどこの目でも見たことがない、かように考えておる次第でございます。
  171. 山中郁子

    ○山中郁子君 要望していませんけれどもお答えがいただけたので、私も最後に一言……。
  172. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 時間ですから。
  173. 山中郁子

    ○山中郁子君 はい、一言。  郵政省がお答えになっておりますように、契約者以外の人が見た場合についての事業者の救済措置はこうであるとおっしゃっているんですから、それは当然想定されているんですということだけ指摘しておきます。私がそういうことを想定しているのじゃなくて、法律がそういうことを想定しているということです。  それからもう一つは、先ほど御紹介いたしました懇談会は明らかに部外秘のものであります。そしてこの前議論をしたときにも、先ほど川原会長の答弁を御紹介いたしましたように、これは非公式で、公にはできないものだということを何回もおっしゃって、中身のことを一切お話しくださいませんでした。したがいまして、今風通しがよくて、中身のことは何でもお話しできるんだというふうな御答弁でございましたので、次の機会にはぜひとも、大臣出席された懇談会の中身を詳細にお伺いしたいと思います。  それから、政府広報について、おっしゃったようなことが保障されると言うが、どういう保障がこの法律で担保できるのか、それは何もないということです。
  174. 青島幸男

    ○青島幸男君 けさから大変詳細に本法律案につきましては論じられたところでございますが、私かねがね疑問に思っていたんですけれども、アメリカにはFCCというのがあるんですが、そこが大変に権限を持っていると言ってはなんですが、かなりきちっとした姿勢を示していて、放送の世界なんかにかなりな発言力を持っている、そこが三者機関として、私ども放送はどうあるべきかということなんかにかかわる問題をいろいろ提起したりしているそうですけれども、我が国にも昭和二十五年に電波法ができたときに、電波監理委員会設置法をつくりまして、電波監理委員会というのをつくって、そこが主たる研究機関というのも何ですけれども考え方を示して、放送内容について基本的な指針を示すようなことになっていたらしいんですが、二十七年八月にどういうわけですか、電波監理委員会制度というのは廃止になりまして、それからだんだんと省の決定権、あるいは大臣の決定権にゆだねられるという格好で推し進められてきたというふうに思っています。  今度の法改正も、チャンネルプランを含めて大臣に決定権があるというようなことを法的に決めてしまうというのは、いささか私は民主主義のルールには反するんではないかという気がしまして、まあそれ大臣が悪いというわけじゃないんですよ。ただ一人の個人に権力が集中したりしますと、これは間違いが起きるときは、雪崩のように起きてしまうという傾向がある。だからこそ民主主義を守る、デモクラットを守るためにブルータスはシーザーを刺したんでありましょうし、個人に権力、権益が集中していると間違いが起こりやすいということから、三者機関のようなものがあって、そこに決定権を持たせて、ゆだねるというのが私は一番民主的なルールにのっとったやり方だという気がします。確かにスピードは同じかもしれませんけれども民主主義というのはそういうものだと思っております。  もう一回むしろ電波監理委員会のようなものを復活させて、そこに大きな力を持たせるというようなことが一番望ましいことだと私は思っていますけれども、今さらどうなるものでもないような気がしております。一つの局の権力に大きな力が集中するというのが、民主主義を損なう危険があるんだということは大臣先ほどからおっしゃられましたけれども、大きな番組をごらんになると、後ろにこれをスポンサーとして提供した会社の名前がずらっと出る。こんなに出て広告効果があるのかどうか、私はそれこそ民主主義のルールにのっとったやり方だと思うんです。というのは、一社提供というのがあるんですよ。それは莫大なお金もかかりますけれども、莫大に金がかかればこそ、宣伝効果の絶大なるを願うのは当然だと思いますね。ですから、レギュラー番組みたいなもので、一時間の番組である程度進行しておりますと、一社提供ですと、スポンサーの意向というのは非常に大きくこの番組の中には出てきてしまうんです。そういうことになりますとね、例えばサントリーと言ってはまずいですな、例えば酒造メーカーとか薬品とか、そういう一社が、この委員会を通じても、郵政省なり大臣なりが、放送事業者の行う放送の編成について、いささかなりとも関与してはならないんだという戒めを再三おっしゃっておられる、それは私は当然正しいことだと思いますけれども、これがスポンサーになりますと、広告会社に依頼をする、広告会社が各局に依頼をして番組をつくって流すわけですね。そうすると、私が一社の社長で、丸ごと番組を買って流しているとすれば、やっぱり多少なりとも私の意向に沿った番組にしてもらいたいというのは当然出てくる、これはもう人情だと思います。  そうなりますと、薬を乱用してだめになったとか、自動車の事故ばっかり相次いでいるとかっていう番組はやめてくれというのから始まりまして、やっぱり公序良俗に反するとか、おれの培われてきた田舎の風土はこうだとか、違うとか、ささいなことまで踏み込んできて、番組がつくれなくなるという、番組制作者の当事者たちの立場はことさら置いておいても、その人の個人的な社長の見解が番組になりましてね、そのままこう流れてしまうというケースがありますね。それが大きく事を誤らせるんだと思うんです。  ですから、そういう危惧をなくならせるためには、むしろ一社提供というのは極力やめなさい、何社かでバックアップして番組流すようにしたらどうですかということの方をむしろ推し進めるべきだと思うんですよ。そうすると、その番組を買った主体の個人的な見解なんかが表へ出てくる割合が低くなりますので、番組を制作する側も自由奔放に創意工夫が練れますし、またでき上がったものは、視聴者たちに対するインパクトもあると思うんですよ。そういう何か金によってあがなわれている番組ですから、どうしてもスポンサーの言っていること、考え方を無視することはできませんので、何となく反映してしまうというのが現場の実態です。ですから、そのことをむしろ私は要求したいと思うんです。その点に関してはどうお考えになりますか。
  175. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 全く同感でございます。やはりスポンサー心理というのが番組に反映してくるだろうと。今薬品会社とか酒造会社のことをおっしゃいましたが、ですから、たくさんスポンサーがついた方がいいんでしょうが、私がさっき例に申しましたのは、たくさんのスポンサーでなきゃ支えられないような、コマーシャルが高くなってきているんじゃないだろうか、だから有料放送という道も考えておかないといけないんじゃないかという、その法案の中身の話をしましたわけで、支えられる人に支えてもらうというのは、これは番組のあり方として、一社の影響力が大きくなるから、野球の放送とかそんなものならいいと思いますが、思想、哲学を織り込んだような放送に対してはそういう影響はあるかもしれないなという気がします。もう御指摘のとおりだと思います。
  176. 青島幸男

    ○青島幸男君 やっぱり力を持つと、その力が一 カ所に集中すると、どうしてもそれは権力になってくるということからすると、今度の法律改正で、NHKが大変自由濶達に仕事ができそうだといういい面もあるんですけれども、いろんなことができるようになる、その可能性からすると、ますます肥大化しまして、他局と、他の民放とのバランスが悪くなるんではなかろうか。やっぱり我が国みたいに公共放送という立場で、一般の視聴者の方々理解ある負担金によって支えられる独立主体がある、一方では広告放送を基盤とする民放が何社かある、それが競合してさまざまな意見が出て、そこに選択の余地もあるし、ということで今までうまくいってきたと思うんです。  こういうことは余り世界的に例がないのかもしれませんけれども、我が国の国民は非常に従順だというのか、公序良俗を旨としているのかどうか知りませんけれども、外国では考えられないほど、NHKの料金の徴収率にしても、不払いだの何だのがかなり問題にはなりますけれども、九〇%以上は常に確保していただいている。ですから、外国から見ると、うらやましいやり方が通るものだなと言われているくらい、大変日本的なと私もこの前申しましたけれども、風土の中ではぐくまれている。しかし、それはNHKとごらんになっている視聴者との間の信頼関係が基盤にあるからこそであって、これを失ってはならないとは思います。  ますます巨大化するというのは、殊に衛星放送に関しまして、既にNHKは試験電波を発しておりますし、新聞広告に何をやるかが載せられないので、毎回内容についてお知らせをしております。それがアンテナを持っていない人間のひがみとして、衛星放送の方が数倍おもしろいぞという認識になりまして、あげくは衛星放送のアンテナなんか買うものかというような反発まで買っているというようなお話もこの前出ましたけれども、特に衛星放送に関しては、今既にもうテストを繰り返していますし、本放送になったらきっとかなりのものになると思いますね。そうなりますと、後から出てくる放送衛星株式会社のやりようが、このNHKとどういうふうに絡んでくるのかというのは大変な問題になってくると思います。  そこで、NHKに自由濶達に仕事をしてもらえるように枠を広げるのは結構だけれども民放とのバランスを欠くようになるほど巨大化してしまうのは、むしろ悪影響を残すのではないかという考え方がありますが、省はどう考えていらっしゃいますか。
  177. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先生指摘ございましたように、日本放送界は民放NHKの共存体制のもとに今日まで発展してまいりまして、現在NHKは、放送の普及発達に資するというような面からいろいろと新しい分野にも手を出していただいている、先導的な役割を果たしていただくというようなことで、技術開発面でもいろいろとやっていただいているところでございます。今後とも私どもは、NHKに非営利の公共放送として先導的な役割を果たすことを期待しているところでございます。  ただ、どんどん広げて民放とのバランスを失するというようなことがあるんじゃないかというようなお話でございますが、これらにつきましては、衛星放送が実用化する段階におきまして、NHKの適正範囲といいますか、いかに業務範囲があるべきかというようなこともあわせ検討していかなければならない時期が来るとは思います。それらを検討する要素といたしましては、高度化、多様化する国民放送に対する需要の動向だとか、あるいはNHK経営状況とか、放送の中におけるNHKの果たすべき先導的な役割だとか、民間放送に与える影響だとか、いろんな要素があると思うのですが、それらを総合的に勘案して、NHKの業務範囲の適正なものはどんなものかということを常に検討していかなければならないというふうに思います。さしむきはNHKの現在やっている業務範囲は、民放との併存体制のもとにおいてその規模を逸脱しているというような状況にはないというふうに考えておりますが、今後、衛星放送が実用化した段階、あるいはその後におきまして当然保有すべきメディアあり方等は検討しなきゃならぬというふうに考えております。
  178. 青島幸男

    ○青島幸男君 どうも最近のNHKのありようを見ると、私は不思議でならないのですけれども、今度も貸しスタジオを貸したりノーハウを貸したりして、それを金を取っていいということを許すわけでしょう。ところが一方では、NHKは非営利事業だから、営利目的に何かやっちゃいかぬという、こういう枠もあるんですよね。だから副次収入をいっぱい得なさい、でも余り商売っ気を出しちゃだめだよというやり方ですね。これは両方のびんただと思うのですよ、あめとむちみたいなものでね。だから、NHKはどうやっていいかわからないというぐらい、むしろ戸惑っているんじゃないかと思うのですけれどもね。  一番不思議でしようがないのは、入るをはかって出ろを制するというのが、つまりは予算の立て方の基本だと思うのですけれどもNHKは、入ってくるのはどうも頭打ちではあるけれども、確実に入ってきているわけですよ、受信料収入があるわけですから。それで、来年も再来年も恐らく伸びないだろうとか、下がることはないと思うのですけれどもね。来年も再来年もこの程度しか伸びないであろうということは十分予測ができるわけですよ。入るは十分予測できるわけです。だから、その範囲でなぜとどめないのですか。なぜ背伸びをして、高いところへ手を伸ばしたり横に広げたりしなきゃならないのか。そんなことを受信者は一つも望んでいないという認識が私はあるんですよ。  たまたま星が上がったために、その星の可能性にかけたい、新しいものに接したい、開発していきたいという創作能力とか意欲とかいうものは私は歓迎しますよ。しかし、一般の受信者は、お願いですから星上げて夜中じゅうやってくださいなんてだれも言っていないんですよ。来年も再来年もどのぐらい入るのかわかるんだから、入る範囲で予算を組んでやっていったら、赤字になることはないじゃないかと。なぜそう先走ってやらなきゃならないのか。今度も法改正をして、スタジオを貸したりノーハウを貸したりして、つめに火をともすようなことをしてですね、微々たる副次収入にすがって、それでなぜ星を上げたり莫大なことをしていかなきゃならないのか、それが大変疑問に思いますけれども大臣、御発言がありそうですから聞かせてくださいよ。
  179. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 私は、宝の持ちぐされという言葉がありますが、NHKに行きますと非常にそういう感じがするんですね。これだけのすごい研究陣とか、これだけのすごい技術陣を持ちながら、これが何か一定の範囲内以上に出られないというのは気の毒だなと思っておりましたのですが、今度この副次収入を得るためにいろんなことができる。これは民放からスタジオを借りに行ってもいいんじゃないかと思うのですよね。ですから、NHK民放が自分の番組をつくっているなんというのは非常におもしろい、楽しい姿だなという感じがします。  また、今お話がありましたように、特殊な負担金ということですから、確かに関西弁で言うと、とんとんになればいいと、そのとんとんにうまくその枠の中で仕事をしていってくれればいいという感じも確かにいたしますが、やはり公共放送として民放ができないようなこと、それを国民理解を得ながら世界に先駆けて衛星放送をするというような、これから情報を世界じゅうに交換するその基点をつくることによって世界平和に貢献しようという、私は日本はそういう国になっていくべきだと思っているのですが、その意味では、やはりそこは国民理解を得ながら、民放が踏み込めないところへ一歩一歩踏み込んでいく。  確かに私ども見ておりますと、民放なんかでは、金がかかるから下請に全部出して、そして下請の余り何といいますか、社会的経験の豊かでないような方々が、若い層が寄って、その会社でつくって、それを今度はその番組だけ買って放送し ているというと、低俗番組ができていくように思うんです。ですから、逆にNHKがどこか下請に番組をつくらせるようになると、何か心配な面もあるんですが、その番組は、むしろそういう面での副次収入として、私はほかへ丸投げをされるようなことはないと信頼をしております。  そんな意味で私は宝の持ちぐされ、最初に申しましたように、宝の持ちぐされにならないように、国民皆さんに特殊な負担金で、あれだけの広い場所にあんな立派な建物を建てて、そしてすばらしいスタッフをそろえて、そしてNHKの画面というのはまた一味違うような、何か画面に深みがあるような、「自然のアルバム」とかあんなのを見ていますと、実にカメラワークも美しいなあという気がするんですが、あの技術を使って番組をつくってほしいという人が来られたらそれをつくって差し上げるというのは、NHKのその活動範囲が大変国民のために広がってまことに結構だと。それが民放との間の切磋琢磨という精神を育てていけば、NHKにも刺激になるでしょうし、民放にも刺激になるでしょうし、お互いに刺激し合いながら日本の高度映像化社会に貢献をしてもらいたい。そんな意味で私は、副次収入を得るための活動の範囲の拡大というのは大歓迎という気持ちで見ております。
  180. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、余り先走って物事を国民、あるいは視聴者のニーズを超えてやることはないんじゃないか。そのためにもし副次収入で稼がなきゃならないとすれば、本末転倒になるじゃないかという気がするんです。  もう一つ、番組審議会の活性化を図ってということですけれども、これはもしかすると、余り活発にすると、むしろ表現の自由を侵すんじゃないかという気がします。特にNHKのコード、「豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行う」と書いてありますけれども、「豊かで、かつ、良い放送」というのは非常に個々によって違うと思いますね。何をもってよしとするのか。例えば古来より芸術、文化の進展なんかを見ていますと、大抵革命的に飛躍するときには俗悪だの低俗だのと言われております。ピカソでもそうだったし、近代音楽なんかで言えば、ハチャトリアンなんかは音楽になってないなんというようなことを言われながら、そういう今まである通念とか社会通念とか、常識とかいうものを、俗悪という衣をかぶって強力にぶちのめしていくところから新しい文化がいつも始まってまいりました。ですから、いつもいつも勧善懲悪の「水戸黄門」ばかりやっていたのでは、むしろ文化は衰退すると思いますね。ですから、そういう何をもってよしとするかというような文化、芸術面においては、画一的に判断できないものについて、こういう制約をむしろ法文の中で持つというのは、逆に危険なんじゃないかという気がしますね。ということは、「豊かで、かつ、良い放送番組」というのは、どの番組をつかまえても豊かでないし、悪い放送番組だと言い得ますね、見る側の感性によって。ですから、むしろこんな文句を法文の中につけるということは、私は大変ふらちなことだという気がしているんですけれども、省のお考えはどうですか。
  181. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 先ほど来申し上げておりますように、民放NHKとの併存体制の中で、よりNHK役割とか使命とかを明確にするために、このような目的の中に規定をさしていただいたような次第でございますが、現在の法律の中にも、豊かで、かつ、よい番組という規定がございまして、それを目的の方により明確にするために持っていったと、持っていったといいますか、規定さしていただいたというような次第でございます。  で、現状追認というようなお話がございますが、今回の放送法改正は発展した状況、多様化した放送現状に合わせまして、法律をよりふさわしい形に改めるということで若干整理さしていただいたというような表現だとおかしいかもしれませんが、それと同時に、将来に向けての基盤づくりをさしていただこうということで、さしていただいたような次第でございます。そういうことで、「豊かで、かつ、良い」ということにつきましても、従来規定されているものをより明確にするというような観点から目的に入れさしていただいたということでございます。
  182. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 今御指摘がありまして、勧善懲悪の「水戸黄門」に対して、「意地悪ばあさん」なんという番組があります。そういうところが両々相まって、日本放送というのは活力がある。そういうのを番組審議会の先生方で、あれもいいな、これもいいなと、そういうことを言い合いながら日本全体としてのバランスをとっていこうということでありまして、どこかの番組を指摘してあれはいかぬ、これはいかぬという意味じゃない、全体を豊かで、そして美しい社会に向上さしていくための指摘をするような機関だと、私はその成り行きを推測をしております。
  183. 青島幸男

    ○青島幸男君 つまり「豊かで、かつ、良い放送番組」というのは、さまざまな価値観に基づいて、その意味で豊かであるということと、文化の発展に寄与するのがよい放送番組であるというふうに解釈をしろということでしたら、これは字句の問題ですので、この程度でとどめます。  さて、その次なんですけれども、私かねてより、NHKの受信料のありようというのは、ちょっとおかしいというふうに申し上げてきました。それで、NHKの予算の審議のときなんかに必ず、今までNHK放送の対価としてお金をもらっているのではない、NHKのやっていることを総合的に理解していただいて、一部負担していただくという、視聴者の皆さんにね、それで成り立っておるんだということで、この契約に行くと言うけれども、これは民法上の契約ではなくて、そのお互いの約束事みたいなものだということですね。ですから解釈があいまいで、駐留軍関係方々からは、地位協定などを盾に払ってもらえない状況にもなっていますね。あれ対価だったら当然払うと思うんですよ。対価ということが明確になっていないから、税金みたいなもので、おれたちは払わない。その総合的にNHKのありようを理解しない。だから分担する気はないということですね、明確に言えば。だから私は、初めからNHKの番組はスクランブルをかけて放送して、デコーダーをリースして、あるいは売って、そこで改めて受信料という形で契約を結んで、分担金とか負担金とかでなくて、はっきり民法上にのっとった契約をして、それでそれを集めていらっしゃいと。それで、もし不払いの方があったら、ごらんにならないで結構ですと切ればいいわけですからね。  よくこういう例がありますけれども、普通に流している地上電波というのは雨みたいなもので、有線放送というのは水道みたいなものだと、こういうのですね。線が通じてなければ出てこないんだから。まさに電話なんかもそうでしてね、電話が一〇〇%あれ料金が取れるというのは、事前に、おたく払っていませんからとめますよと言われますね。放送の場合、NHK、今あなたのところ払ってくれないからとめますと言っても、見えちゃうんですね、あれ。だから、NHKは大変お金を集めるのに苦労していらっしゃるようですけれども。ですから、初めからキーをやったらいいじゃないかということを再三申し上げているにもかかわらず、それは今のNHKのありようにはなじみませんと言って、私はけられ続けてきているわけですよ。それで、今度衛星放送をやるんだといったら、その広告放送のみに頼らずに有料放送もあるんですと。これはスクランブルでやるんです。それは何ですか、一体。今まで私がずっと申し上げてきたことを足げにした上で、面に泥を塗るようなものだという気がしているんですよ、今。
  184. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) 大変ありがたい、確実に料金の取れる、負担金の取れる方法を教えてはいただいておるんですが、やっぱり公共放送の価値というのは、何度も私言っておりますが、災害とかそんなものがあったときには必ず皆さんの耳にその危機を告げたりしなければなりません。ですから、雨のように、恵みの雨というのがありますが、国民に対するそういう耳から入る情報、目 から入る情報をいち早く伝えようと、それに対して衛星放送というのは、それにプラスアルファをする。これはお金かけてじゃなきゃ見ていただけません。いわゆるスクランブル、暗号というものを使ったスクランブルテレビというもの、加入料金を払っていただかなきゃいけないものというのは、これはプラスアルファでございますので、その辺は、やっぱりプラスアルファについては料金を契約でいただかなければいけないんじゃないだろうか、そういう感覚じゃないかと思います。
  185. 青島幸男

    ○青島幸男君 だったらですね、このNHKも、衛星放送はプラスアルファなんですから、あれだけはやっぱりスクランブルをかけて、別途料金を確実に徴収なさるという方法をとったらいかがですか、とらせたら。というのは、今大臣言われたのは、公共放送として確実に、正確に、いつでもニュースが流せるということを確保しなかったら、安心して国民は住めないじゃないか、これは私よくわかります。ですから、地上波で全国津々浦々どこにおっても、ほかの方々と同じように鮮明な絵で、きれいな音で視聴できなきゃいけない、これを確保するのは放送法で言っておるわけですから、それは当然そうなんです。ですから、いつ何どきでもきちっとした、災害時などのニュースが的確に得られるという状況は地上波でいいわけですから、今もあまねく見えるわけですからね、総合テレビ教育テレビとあるわけですから。そうしたら、衛星放送はプラスアルファなんですから、料金を払って見ていただくんですね。ですから、その料金については、同じように画面には映りますけれども、よって来る原因が違うんですから、別途料金をいただくのは結構ですから、違った形で料金を取るようにしたらどうですかと申し上げたい。
  186. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) NHKは特殊な負担金ということで、たびたび申し上げているとおり、国民全般から受信料という形態で負担していただいて経営全般を維持してきているわけです。したがいまして、NHKが見える受信機を置いた場合には契約をしていただいて、今度は受信料を払っていただくという形でやっておりまして、対価制をとったものは今まで過去にないわけでございます。したがいまして、今回有料放送だけに対価制を入れるということになりますと、受信料の性格を根本から考え直さざるを得ない。有料放送をやるとなると、民放との違いというのは、その衛星放送に限ってはなくなってしまうわけで、それならそれを切り離して民放でやらしたらどうだというふうな議論にまで発展しかねないんじゃないかというふうに思います。  そういう観点からいきましても受信料制度、先ほど先生がおっしゃいましたように、大変世界的にもうらやましい制度だというようなお話もございまして、日本でもうまくいっているわけでございますし、今回も新営業構想等々努力して、その経営基盤はきちっとやっていこうというような跡も見受けられるものですから、将来デコーダーとか、何か入れざるを得ないような時期が絶対来ないとは言い切れませんけれども、今の状況からしますと、NHKの特殊な負担金である受信料制度で公共放送としての経営財源を確保して、民放との併存体制をとっていくべきじゃないかというふうに私どもは考えているところでございます。
  187. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは今すぐにとは言いませんよ。先々そうなることもあるかもしれませんね。デコーダーつけなきゃとても見られないようにしないと、不払い同盟なんというものの勢いが高まってどうにもならなくなるかもしらぬ。  それともう一つは、先ほどから私も相当皆さんお話聞いていて疑問に思っているんですけれども、例えばパラボラアンテナを持ちますね。それで衛星放送が受けられるように機械設備をいたします。朝からテレビを見ておりますと、広告放送がずっと入っているのが流れてくるとしますね。そうすると突然、午後二時からだれでも関心のありそうな人気番組というのが行われます。例えば世界選手権大会が行われます。これ何でも結構ですけれども、おおむね受信者の方々が興味をお持ちのような番組が行われます。これにつきましては有料ですから、デコーダーお持ちでない方はごらんになれませんと言って、スポンと切るんですかね。それ、どうなんですか。
  188. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 放送事業者自身がどのようなやり方をするかは今後決めていくことでございますが、常識的に考えますと、その時点において、事前にある程度お知らせだとか、番組の公表だとかいうことをし、また契約者に対してはあらかじめお知らせはしていくと思いますけれども、その時点において両方、広告放送とスクランブル放送同時にやるわけにいきませんから、片方しか見えないということになると思います。
  189. 青島幸男

    ○青島幸男君 だから、その辺を明確にしておかないと困るでしょうと言うんです、ユーザーが。NHK衛星放送は見えるわけですから、民放のも見ているわけですよね。日本衛星放送株式会社のも見ているわけです。で、これからはマイク・タイソンがチャンピオンシップで争います、おもしろいですよ、これから有料ですと言われると、何か見ている人が非常に違和感を感じるんじゃないかという気がするんですけれどもね。しかも、局長言われたことによりますと、デコーダーがスイッチオンになってなければ、その衛星放送は見られないわけだから、そのデコーダーに、タクシーみたいにメーターつけておけば、あるいはIC回路で組み込んでおけば、何時から何時まで見たという記録は残りますわね。それを電話回線なり何なりで、コンピューターにインプットして、銀行から引きおろせば当然決済はできますよね。だから、そういうふうになるのか。——ああそうなんだ、まだそれは事業者によるわけですな。これは郵政省で決めるわけじゃないわけですな。事業者が例えば切れ切れに放送するようなことがあっても、それはやっぱり今までの局長の御答弁だと、何ともいたし方がないわけですよ、それは。どうなんですかね。
  190. 成川富彦

    政府委員成川富彦君) 何しろ日本で初めてやるレアケースでございまして、放送事業者自身が今いろいろと鋭意検討していますので、デコーダーの方式にいたしましても、それから料金の、有料放送の広告放送との割合をどうするといった問題等々も検討しておりまして、私どもはその契約約款を見さしていただいて認可するわけでございますけれども、まず第一義的には放送事業者自身がお考えいただくものでございますので、それらを待つよりいたし方ないんじゃないかというふうに思いますが、まあある程度ランクをつけたり何かしてやるんじゃないかというふうに推測はいたします。
  191. 青島幸男

    ○青島幸男君 そういうふうですからね、まだ先のものだからって言いながら、あいまいもことしたよくわからないものにきちっとした枠をはめましてね、これ以外のものは認めないと言ってしまいますと、後で身動きがとれなくなりますから、その辺あいまいさを残しておくことはいいとも思うんです。しかし、余り緩めてあいまいにしておきますと、何やってもいいじゃないかという話になるんで、それがむしろユーザーの方々、視聴者の方々に多大な迷惑をかけるようなことになりはしないかという懸念をしているわけです。ですから、その辺のところも重々考えなきゃならないと思いますけれどもね。  例えば、先ほどもお話ありましたように、じゃ盗んで見るやつはどうなるんだというお話、山中先生は大変にそういうケースは多いぞというお話ですし、大臣は性善説に基づいて、そういう人はいないんじゃなかろうかということですが、でも技術的な面は、どういうデコーダー、複雑なものをこしらえても、翌日秋葉原へもう出るというような状況にはなるでしょう。だけど、自動車のワッシャーか何か知りませんけれども、十円硬貨に似たやつで電話かけるやつがいるから、公衆電話一切やめだというわけにはいきませんですね。中にワッシャーで電話かける人がいても、そういう人はごく一部だろうと、それより多くの方々の利便に供するためには——中にはチューインガムまで押し込むような人もいるそうですけれども、 そういう人たちのことまで考えたらとても電話機は置けませんわ。  ですからそういう人が中にいても、それは民事でも刑事でも、事業者自体もそういうケースケースに応じて何かやればいいだろうという局長お話は、それではそれで私は納得しますけれどもね。わざわざこの文章の中にそのことがうたわれておりますと、初めから盗むやつのことも配慮しているなという感じがしまして、どうもそうおおらかな感じに受け取れないんですよ。ですから、山中先生の言われたように、踏み込んでいって現場押さえるのかという話になるんじゃないかと思いますけれども。まあ現実に具体的にそこに目に見えてあるものじゃないということが、まずまずネックになって、我々の話はなかなかかみ合わないんだと思いますけれどもね。  もう一つ、ハイビジョンがこれに加わるわけですね。そうすると、もう本当に錯綜してくると思いますよ、家庭の中も。ハイビジョンというやつは小さくっちゃ意味がないからといって大きなやつを入れて、しかもハイビジョン横長ですから、それで千五十本だか千百本だかというんでしょう、走査線が。そうすると、例えば五百何本かの走査線を二本ずつにしちゃうんですよ、そうすりゃ今の五百何本の走査線の絵も見れますわね、技術的には。だから互換性は可能なんですよ。ですから、テレビをどうしても二台、三台持たなきゃいかぬということはないわけですな。その千何十本かの横長の大きな画面に地上波も映せることは映せるわけですな、スイッチ一つで。そういう機器が出てくるかもしれませんけれどもね。そうなりますと、シネマスコープの写真を今のテレビで見るように、上下あいちゃったりするのと同時に、横があいちゃったりするわけですよね。そうすると、やっぱり非常におかしなものになりますね。だからといって狭い部屋にテレビばかりが分捕っていて、寝るところもないということになると、これもまた困った問題ですね。それで、ハイビジョンだけまた別途料金というようなこともあるんでしょうな、先々は。そうすると、ハイビジョンに別途料金を払って、衛星放送民放に払って、NHKに払って、それでまた、おじさんが来ると、聴視料を払わなきゃならぬということになりますとね、いいかげんにしてくれという話になるんじゃないかという気がするんですけどもね。  確かに多様化することはすばらしいことだし、いろんなものが見られて、いろんな情報が得られることは確かにすばらしいことには違いないけれども、それだけの一般の方々に何十万のテレビで、何十万のコンバーターで、二十万のアンテナで、おおむね百万近い負担を皆さん方に新たに強いて、その上に景気拡大もあるかもしれませんけれども、新たな負担を強いておいて、後で星が落っこっちゃった、ふぐあいが生じたといったら、もっと大変なことになりますしね。その辺のところは大変にこれは不明確でありますし、省及び大臣の権限が非常に大きくなるような気がいたしまして、私は何とも賛成しかねるということをここに明確にしまして、ちょうど時間もいいようでございますから、質問を終わります。
  192. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二分散会