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1988-03-28 第112回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十八日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上野 雄文君     理 事                 添田増太郎君                 宮田  輝君                 守住 有信君                 大森  昭君     委 員                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 山内 一郎君                 及川 一夫君                 鶴岡  洋君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  中山 正暉君    政府委員        郵政大臣官房長  森本 哲夫君        郵政大臣官房人        事部長      白井  太君        郵政大臣官房経        理部長      山口 武雄君        郵政省郵務局長  田代  功君        郵政省簡易保険        局長       相良 兼助君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        大蔵大臣官房参        事官       中井  省君        郵政大臣官房首        席監察官     加宮 由登君        郵政省貯金局次        長        佐藤  豊君    参考人        日本電信電話株        式会社常務取締        役経営企画本部        長        草加 英資君        日本電信電話株        式会社経理部次        長        加島  修君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (郵政省所管) ○郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  この際、報告いたします。  去る三月二十五日、予算委員会から三月二十八日及び三十一日の二日間、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、中山郵政大臣から説明を求めます。中山郵政大臣
  3. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) おはようございます。  それでは、郵政省所管会計昭和六十三年度予算案につきまして、御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十八億円で、前年度当初予算額に対し、三億円の増加となっております。この歳出予定額には、電気通信フロンティア技術研究開発放送及び通信複合型衛星研究など、多様化する情報社会増加の著しい通信需要対応した施策のほか、国際放送充実を含む放送行政推進、テレトピア等活力ある地域社会情報化推進等に必要な経費を計上しております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも予定額は五兆五千百七十二億円で、前年度当初予算額に対し、三千七百九十億円の増加となっております。  この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便需要拡大郵便ネットワークの拡充に必要な経費を初め、金融自由化長寿社会への郵便貯金積極的対応に必要な経費長寿社会へ向けての簡易保険郵便年金の改善、充実に必要な経費郵便局舎等施設整備及び事業経営効率化のための機械化推進に必要な経費、その他所要の人件費等を計上しております。  なお、郵便事業財政につきましては、昭和六十三年度単年度で百六十三億円の欠損が見込まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、一般勘定歳入予定額は八兆七千七百十九億円で、前年度当初予算額に対し、千七十九億円の増加となっており、歳出予定額は七兆六千七百三十三億円で、前年度当初予算額に対し、三千二百八十二億円の減少となっております。  また、金融自由化対策特別勘定におきましては、歳入歳出とも予定額は二兆六千九百五十五億円で、前年度予算額に対し、六千四百七十六億円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は八兆四千七百六十五億円で、前年度当初予算額に対し、九千七百三十五億円の増加となっており、歳出予定額は五兆四千九百五十億円で、前年度当初予算額に対し、五千三十九億円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は二千九百五十六億円で、前年度予算額に対し、七百五十八億円の増加となっており、歳出予定額は五百一億円で、前年度予算額に対し、九十五億円の増加となっております。  以上をもちまして、郵政省所管会計昭和六十三年度予算案の概略につきまして、御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  4. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  5. 上野雄文

    委員長上野雄文君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日の委員会日本電信電話株式会社常務取締役経営企画本部長草加英資君及び同社経理部次長加島修君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 上野雄文

    委員長上野雄文君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 及川一夫

    及川一夫君 与えられました質疑時間を二つに割らしていただきまして、きょうは郵政省事業関係を中心にいたしまして、予算問題について御質問並びに御意見も申し上げたいと思います。  まず郵政大臣郵政省というのは、閣内では一体どの程度評価されるポストなんでしょうかね、これ。別に中山郵政大臣がいいとか悪いとかいう話ではないんでありまして、巷間いろいろとこのポストにもウエートの差があるようでありますけれども、私は果たして郵政省というものをそのような低いという意味での見方をしているとすれば大変問題だなと。同時にまた、これまでの郵政省の先輩の方々がおられるんですが、政府に対するPRといいますか、それから問題の所在と国民生活のつながりというものに対するPRというのは非常に足りないんじゃないか。もしそうだとすれば大変だなという認識について、まず私は申し上げたいというふうに思うんです。  まあ限られた時間ですから、どちらにしても、私が単純に整理をいたしますと、郵政省事業並びに金融自由化対策費というのを今度去年から設けられましたけれども、これらを含めますと一体何兆円になると思いますか、二十五兆四千億を超えているわけですね。それは別に郵政省が金を使うんじゃないわけですが、監督官庁政策官庁という意味合いで言えば、NTTNHK、KDDと、これらを足すと約六兆円超えているわけです。ですから単純に合わせても三十一兆円を超える郵政省監督権限というか、行政権限というか、それほど大きいものなんですね。国の予算は五十六兆数千億、少なくとも三分の二に近いだけの予算規模に実はなっているというか、そういう状況です。これを大蔵をトップとして各官庁に比べますと、郵政省を除きますと、一番でかいのが大蔵省ということになっておりまして十四兆、ただしこれはもう事細かに決まっている内容もあるわけでして、自由に使える金じゃないだろうと思うんです。  いずれにしても十四兆、自治省が十兆、厚生省も十兆、総理府が七兆、通産省が六千億ですが、しかし、これも郵政省と同じように政策官庁の性格を持っています。電力九社ですか、これの予算規模というものを見てみますと、十一兆六千億ぐらいになっているわけです。ですから、これを足しても十二兆三千億ということに通産省はなるじゃないか。運輸省八千百億という数字なんですけれども、これはJR九社ですか、これまた整理をいたしますと、これは六十二年度、六十三年度は二十九日、明日あたりどうも発表されるようです。したがって六十二年度で見ると三兆四千億という数字になっている。つまり四兆二千億規模なんですね。こうなってきますと、どこをどう見ても三十一兆というのは、もうけた外れということに実はなっているわけでありまして、こういう官庁に対して大臣を配置されるならば、私は一応中山郵政大臣には満足の意をとりあえず表しておきますけれども、これからの問題などを含めまして、かなりやっぱり内閣としては考えてもらわにゃいかぬという気持ちの方が非常に強いんであります。  それは政治の問題ですからさておきまして、問題は、それだけに郵政省の取り組む姿勢というのが、もう大変その役割責任というのは大きいと、こう私は認識します。そういう上で、この三事業に対する取り組みの姿勢とか、政策官庁としての基本的姿勢とか、あるいは行政指導のあるべき姿勢というものがかなり私は問われてくるように思うんですね。  そういった点で、先ほど大臣から予算に対する御説明がございましたけれども、ひっくるめてそういう責任役割を考えたときに、どこにポイントを置いて郵政事業というものを、あるいは政策官庁としての役割行政指導のあるべき姿というものを描くのか、大変抽象的な質問ですけれども、その辺ひとつ所管大臣としての御見解を賜りたいと思います。
  9. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先生の今御質問と申しますか、今の郵政省事業内容の大きさというふうなものを先生のお話の中からも私ども痛切に実感を持つわけでございます。私は冗談で言っておりますんですが、郵政でよかった、劣勢でなくてよかった、そんなところへ大臣にしていただいてよかったなんという冗談を世間で言っておりますわけでございますが、前島密という人が明治四年に駅逓制度をつくりまして、榎本武揚という最初の逓信大臣が御就任になりまして以来、私で百八代目でございますが、その間には七名か八名の総理大臣が出ております。この郵政大臣に就任させていただくということは、今の現代の社会の中で政治家として私は冥利に尽きると思っております。特に開け行く電気通信に対しまして、私は自分自身郵政相になりました経緯はよく知りませんが、うわさによりますと、前総理と現総理が、電気通信というのは、特に情報社会対応するものはこれからの都市的な課題である、自分個人のことを申して恐縮でございますが、たまたま私は大都市からの出身でございますので、そういう都市出身者にやらせてはどうだろうかというのが話し合われたということを漏れ承っております。  そうは申しましても、先ほど申しましたように、明治四年以来、特に一般金融機関には預金という名前を使わせて、逓信省には貯金という名前を使う、これは政府の、いわゆる国民の蓄積をいかに国家的な規模で運用するかということがその当時から語られた。貯金というものと預金という呼び名が違う点でも私は大きな意義づけを感じておりまして、現在それが貯金残高が百十七兆円、それから簡保契約高が、私が就任いたしました十一月六日の時点で九十四兆円と言われておりましたが、年末に予算のときに省内を回りましたときには、ここにおられる相良局長から百一兆円を超えましたという御報告を年末にはもういただいたぐらいでございまして、この大変大きな国民の財産をお預かりしておるという、その緊張感みたいなものを私もひしひしと感じておるわけでございますが、その上にそれら明治大正昭和という、特に明治方々がお築きをいただいたこの制度の中で、その方々長寿社会、これからの国民長寿社会、それから地域をいかにネットワーク化するかという郵政省役割は、特に触手のように、いわゆる経済巨大生物と申しますか、私は日本というのは一日一兆円を稼ぐ、三百六十五兆円の国民総生産を誇る国でございますから、その中で触手のような郵便局が二万四千あるわけでございます。  その二万四千を通じて、地域の高度な情報化社会をいかにネットワーク化するかという問題、それからまた、いわゆる民放が百四十九社、それから公共放送としてのNHK、そういうものを持っておりますし、それからNTTの社長は、法律では私が御任命をするという大きな役割を持っております。五兆七千億の売り上げをし、そして公共投資設備投資が一兆七千億という規模工事量を持ちますNTTという会社監督権というようなものも持っておりますわけでございますから、おのずからそういう百八十度全面に展開する大きな視野を持った郵政相という気持ちで、私はそのいすをお預かりさせていただいているという大きな誇りと、そしてこの逓信委員会でも専門先生方に御指導をいただくという、この逓信委員会の意義にも大きな誇りを感じながらこの席へ座らしていただいておるわけでありまして、私のそのままの真情を吐露させていただいたわけでございます。
  10. 及川一夫

    及川一夫君 重みを感じておられるということを非常に歴史的な解明を含めまして強調されたというふうに思うんですが、それだけに私は郵政事業にしろ関係企業に対する指導についても、少なくとも第一点としては、国民的な視点というものは絶対に失ってはならないものだ、ましてや郵政省の都合が先立って国民とか、あるいは利用者に対するサービスの精神といいますか、そういったものが失われるということは、これは絶対にあってはならないことだということを、私はこれだけの企業を見たときに痛切に実は感じます。それと同時に、百四十九社の民放あるいはまたNTT関連する企業とか、あるいは二万四千のネットワークといったものを考えたときに、とりわけ民間に対する指導の面では、当然のことのようですが、その企業の主体性であるとか自主性であるとか、そういうものを最大限保障する、そういう前提がないと、大臣指摘をする一日一兆円のGNPというものを成立させることは私はできないだろうと思うんです。したがって、この視点も失ってはならないというふうに私は思うのであります。さらに政策官庁でありますから、そういう意味ではやはり物事を先取りをする、常に展望を与える、こういったことにもかなりのやっぱり努力を図っていかなければいけないだろう。この三点が私は、少なくとも郵政事業を初めとした郵政大臣としての責任として問われる視点ではなかろうか、こんなふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
  11. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 全く御指摘のとおりでございまして、この二千八百キロの北海道から沖縄までの距離、それから三十七万平方キロの国土、その中に平野部に集中する人口とそれから過疎、過密の問題、いろんな日本の悩みを抱いている国家であると思いますし、その中で、私どもの長い伝統を生かした郵便事業の中では、今「ふるさと小包」とか、「ワールドゆうパック」とか、内外をいかに結び合わせて、いわゆる私はウェットコミュニケーションという言い方をしているんですが、それとコンピューター時代、これはコンピューターは泣き笑いがありません、コンピューターには感情がありませんので、泣いたり笑ったりしないという、いわゆるドライコミュニケーションと、それからオールドメディアニューメディアというものをどうつなぎとめていくかという、そのオールドメディアニューメディアドライコミュニケーション、ウエットコミュニケーションという大きな交差点に立っているのが郵政省である、それが国民のニーズにいかにこたえるかということに私どもは意を用い、そして国家国民福祉にいかに貢献をする役所であり、それからまた関連企業にいたしましても、NTTは二十九万五千という働く人がおられます、郵政省は三十一万、関連する企業におきましては、大勢の働く人に私どもは御協力をいただいているんだという認識に立ちながら、結果的にはどんなに電気通信事業が発達いたしましても、ボタンを押すのは人間でございますから、個々の人間郵政関連事業に従事していることに誇りを感じていただくような、そんなことをまず念頭に置いて働いていくべきだと思っております。
  12. 及川一夫

    及川一夫君 ぜひそういった観点を含めまして、先ほども申し上げました三点、郵政省としても指導の原点に据えていただくようにお願いしたいと思います。  いずれにしても、郵政大臣になられた方で総理大臣になった方も大分おられます。山内先生もここにおられますが、そのうちになられると私は思っているんですけれども、立派な方々がおられるわけですから、ひとつ自信を持って、確信を持って指導をしていただくようお願いいたします。  次の問題として、郵政事業民間企業という問題についてお尋ねをしたいというふうに思うんです。  最近、郵便事業でも小包の問題、それから信書の問題、これを含めて相競ってサービス向上に努めている姿が浮き彫りに実はなってきていますね。しかも非常に郵政省は変わったという、電電公社がなくなったから郵政省が変わったのかどうかわかりませんけれどもNTTも変わったが郵政省も変わったという評価がしきりなんであります。しかも悪く変わったわけじゃないわけですから、いいという意味で変わったということを言われているわけですね。さらに貯金にしろ簡保にしろ、生保銀行などとかなり競争の展開をしなければいけない。また現実にもう五百兆とか三百兆とかいろんな数字を挙げて渡り合う雰囲気がいっぱい出ているんですけれども、それは非常に結構なことだと思います。また、郵政省競争原理というものを意識されて対応をして、澤田事務次官も年頭のあいさつから簡保貯金会議でも盛んに強調されているわけですから、それ自身結構なことだと思うんですが、問題はその先、必ずといっていいほど出てくるであろう、まあ今現実に出ていますが、民需圧迫という言葉が出てくるわけであります。  官業民間企業を圧迫してはいけない、極端に聞けば、競争相手になってはいけない、官業民間を助けるだけであって、民間企業とまともに競争するようなものは官業とは言わないと、こういうようなどうも御意見があちこちで出てくるんですよね。一方では民間活力という言葉、もう民間こそというのがあって、しかし官業が少し競争意識を持ってやり出すと、今度は民需圧迫という言葉に変わる。どこでどう整合性があるんだろうかということを常々私は疑問を持っている一人なんですけれども、この辺別郵政大臣でなくてもよろしいんですが、どうでしょうか。郵務局長並びに簡保貯金、それぞれ責任者の方がおいでになるんですけれども民需圧迫という問題についていかにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  13. 田代功

    政府委員田代功君) 郵便を例にとって申し上げますと、郵便は例えば信書の送達のようにある部分は独占でありますが、広く私ども郵便局が行っている仕事民間との間には確かにおっしゃるような競争がございます。特に小包の面では、大変熾烈な競争をいたしております。私ども郵便局仕事にはそれなりの存在理由といいますか、例えば山間僻地まで含めた全国くまなくサービスするといった存在理由もございますが、民間には民間なりのまたそれぞれの存在理由があって仕事をしておられます。国営事業あるいは独占事業といいましても、民間とのいい意味での競争といいますか、刺激といいますか、こういうものがあってこそ私ども仕事もうまくいきますし、また場合によっては民間も、私ども国営事業、例えばあの「ふるさと小包」に見られますように、私どもに刺激されて民間仕事もやると、こういったこともあろうかと思いますので、そういった意味で、民業圧迫というよりは、むしろ民間との間でいい意味での競争をすることがより社会発展に役立つと、かように考えて仕事をいたしております。
  14. 佐藤豊

    説明員佐藤豊君) 郵便貯金の立場からお答えを申し上げたいと思います。  郵便貯金は創業以来百十有余年にわたりまして、国の営む事業として全国津々浦々に、不採算地域も含めまして公平な個人金融サービスを提供し、国運の進展とともに国民経済生活安定向上に役立ってきたわけであります。また、その事業を通じて集められた貴重な資金は、財政投融資資金の重要な原資として社会資本整備にも貢献してきたわけであります。昨今、経済金融環境の変化も大変激しいわけでありますが、郵便貯金事業民間金融機関とがお互いに刺激し合い、切磋琢磨しながら国全体として効率的な金融システムを構築していくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。  金融自由化はどんどん進んでまいりますけれども、そういった中で郵便貯金資金の果たすべき役割、あるいは郵便貯金事業の果たすべき使命はますます大きくなるというふうに考えているところでございます。国全体として見ますと、郵便局あるいは銀行、農協、そういった金融機関がいろいろな形で刺激し合いながらサービス向上に努めるということが好ましいのではないかというふうに考えておるところでございます。
  15. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 日本生命保険が始まりましたのは明治の中期でございますけれども、その後簡易保険大正五年に創設をされまして、長い歴史の中で、日本は現在世界で一流の保険国と呼称されるまでになっておるわけでございます。さらに今後の展望で、高齢化社会長寿社会進展が進んでおります中で、活力ある福祉社会としての建設生命保険年金事業がますます役割を持ってくるだろうというふうに考えております。現状から申しましても、今後とも民間生保との間でお互いに相補い、相競い、この長寿社会建設に向かってやっていく、これが私ども使命だと、このように考えておるわけでございます。
  16. 及川一夫

    及川一夫君 お三方とも、刺激し合ってこそ事業発展をする、お互いさまじゃないか、いいことだと、こうお答えになっていると思うんですね。答えは正しいと私は思っています。ただ、民間企業がなぜそういったことを言うのかというのはいろいろ理由はあるわけでして、その理由に対してまた反論というか解明というか、理解をしてもらうための努力も必要だとは思うんですが、ここでこの話をもう一歩進めまして、もう一つ私はこれに関連をして、民間から見て、官業民間を圧迫すべきではないというふうに言われる。じゃ、民間の側から見た答えは何かということになりますと、官業民間の補完であるという、そういう言葉を耳にするときが実はあるわけですね。  特に私としてよく聞くのは、貯金という問題、とりわけ貯金では、金融自由化問題が今出てきていますから、したがって、できるだけ高い金利の方が金が集まるわけで、そういう意味金利に対する方針、政策というのはどうあるべきか。確かに大蔵省としては極めて重要な問題だろうと私も思います。しかし、答え大蔵の主張するところに持っていくに当たりまして、民間銀行と郵貯というものを比較をして、意見が対立をしてくるその土台として一体何があるんだろうか。大蔵が言った、そんなことを言える義理かいなと思うことも含めて私は疑問を持っているんです。特にきょう大蔵の方はおいでになっているというふうに思うんですが、この補完という言葉民間企業の補完は官業である、こういうふうに言われているんですが、このことに対するお考えをお聞きしたい、こういうふうに思います。
  17. 中井省

    説明員(中井省君) 基本的には我々、先生がおっしゃられましたように、現在の我が国の経済は自由主義体制を根幹としておりまして、その中でやはり政府官業の果たすべき役割と申しますのは、民間部門の補完であろうと考えております。このことは為替・貯金事業にも同様に当てはまる基本原則と考えております。ただ、最近極めて民間金融機関からそういうような声が大きいことの原因の一つとしましては、歴史的な貯金の動向と申しますか、そういうものが非常に大きな影響を与えているんじゃないかと考えております。  具体的には、個人の預貯金に占めます郵便貯金のシェアと申しますのが、二十年前には一六%程度でございましたが、これは恐らく郵政省御当局、それから郵便局の職員の皆様の営業努力、それからまた、民間金融機関の側におきましても、必ずしもサービス面で預金者のニーズに十分こたえてきたのかどうかというような問題点があろうかと思いますが、二十年前に郵便貯金のシェアは一六%であったのが、これが昭和六十一年度の時点で倍増いたしまして三二%台になっているとか、やはりそういう民間側としまして、自分たちのシェアが郵便貯金に食われている。  特にその中の大きな要因、先ほど挙げましたいろんな要因がございますが、定額貯金の商品性と申しますか、これは今の低金利の時代ではそれほど魅力ある商品とは思いませんが、この二十年間の非常な高金利の時代、預金の預けがえが生じるというような種々の点がございまして、預金者にとって非常に魅力がある。一方、この商品につきましては非常に金利リスクが大きいということで、民間金融機関ではなかなか提供できないというような問題点がございます。そういうようなことがございまして、定額貯金が非常に伸びまして郵便貯金のシェアがふえたと、そういうようなことが問題の根源にあるんではなかろうかと考えております。
  18. 及川一夫

    及川一夫君 定額貯金の話は定額貯金の話としてすればいいわけですけれども、どちらにしても政府というのは一本のはずですから、政府が財政投融資によって、それこそ政策の重要な補完を実はしているんだろうと思います。それだけに、これはなくなっていい、あるいはもう集まっている金はどうでもいい、適当にというものでは僕はなかろうと思うんです。ですから二十年前、三十年前の話と現状というものを比較をしたら大変な違いでしょう。民間企業とこうおっしゃるが、大変な力を持っていますよね。民間企業が立ち行かないという条件の中で、何か国策的にそれを補助せにゃいかぬとか、高金利もやって助けなきゃいかぬとか、そういう時代ではなさそうですわね。一定の力を持っておられるわけですね。  ですから、そういうことも含めて考えたときに、私はまず現状というものをどう見るかという問題と、それからこの補完という言葉ですよ。おまえ余計なことするなというやつですからね、これ。しかし、例えば参事官あたりが、どのぐらい保険を集めたのかどうか知りませんけれども、集めるというのは大変なことですよ、これは説得しなきゃいかぬのですから。そういう説得をしている人が、おまえのやっていることは補完だぞと言われたらどういう気持ちになります、これ。そういうことも考えて私どもはやっぱりやりとりしなきゃいかぬというふうに思っているんですが、この問題は、本質は大臣大蔵省郵政省の百年戦争の時代だそうですよ。百年かかっても何か結論が出ないみたいですね。しかし、これ小さく言うと、大蔵省の中でも理財局と銀行局じゃ対立する問題でしょう、恐らく。ですから、少なくとも補完であるとか本業であるとか、そんな議論じゃなしに、もう少し貯蓄という問題に対して、一体国の政策としても、あるいは国民の希望としてもどうあるべきなのかということを考えたときには、少なくとも商品をつくって売り歩く人に疑問を持たせるようなことであってはいけないと、こんな気持ちがするんですよ。  したがって、この問題きょうぱっと解決する問題ではないと思うけれども、一体所管の郵政大臣として、しかも今言われたようにシェアがもう三〇%ぐらいと。いいからそうなるわけでして、得だと思うからそこへ行くわけでして、そういういい商品というものを変えるなんということは、なかなか僕は変えられるものじゃないということも前提にしながら、この問題、ひとつ郵政大臣として解決のために努力してもらいたいというふうに思うんですが、御見解を聞かしていただきたいと思います。
  19. 中山正暉

    政府委員中山正暉君) 先ほど申しましたように、日本国民総生産というのは大変大きく世界の中で評価を受けるようになってまいりまして、分け合うまんじゅうが大きくなってきたその根本の原因というのは、国民の大変な努力の成果であると思います。その中で、いわゆる使命を帯びた、倒産が許されない国家貯金とか保険とかいう、いかに我々が努力をしなければならないとかということは、国民に迷惑をかけないという決意の上だと思います。  私どものところにも戦前の貯金証書とか、そんなものを持ってきて、これどうにかならないかという人がたまにおられますけれども、これは昭和二十年八月の十五日で一遍日本が倒産した。そのときは紙幣にも証紙を張られて、そして占領軍がそのときには国民の財産が幾らあるかということを新円に切りかえて日本の資産調べをやったという、我々はそういう歴史的な体験をしておりますが、民間の場合には、これは株主にいかに迷惑をかけないかということも基本でございますけれども企業としては倒産もあり得るわけでございます。そこが私は国家のやっております貯金、保険というものと民間事業との違いがあると思います。  公共放送NHKというのがなぜ必要かといえば、民放百四十九もありますけれども民放も、これも株主にいかに利益をもたらすかということが基本であると思いますけれども公共放送は、いざ国民国家的な災害の場合に、この公共放送がどんなふうに国民の一人一人に重要な情報を伝達するかという意味があると思います。それが今、大蔵省郵政省のいろいろな問題があると、こういうことでございます。私は、大きな見地に立って、六十六年までに十五兆円の貯金の自主運用も許されておりますし、それから御承知のように、簡保資金も大きく財政投融資にお役に立っておるわけでございまして、大蔵省との大きなそごはないと思っております。統合運用をして、いかに政府によってそれが国民の利益になるかということが基本でございますので、私ども誇りを持ちまして今後も貯金、それから保険、そういう伝統の三事業を守ってまいりたいと思っております。
  20. 及川一夫

    及川一夫君 大蔵郵政省が対立しているとは思わないということなんですが、私も対立してくれとは別に願ってないわけでして、対立をしてもらいたくないという気持ちの中には、少なくとも郵政の行う郵貯については、あるいは郵政省が行う仕事については、民間との対比では補完だというふうに言い切られること、これは非常に私は問題ではないかというふうに思っているわけですよ。やっぱりもうお互いに成熟しているんですから、先ほど三局長答えられたように、お互いに競い合ってこそ、本当のいいサービスが出てくるとおっしゃられるなら、補完なんというようなことについては郵政省としては認めるわけにいかないんだろうと思いますよ。大蔵省は勝手にいろんなことを言っているということでは私はないと思うが、いずれにしても勝手に聞こえますよ、私から言えば。  ですから、ぜひ次のことを意識されて、ぜひとも大蔵も考えてもらいたいし、同時にまた、郵政省もその気になって対応してもらいたいというふうに思うのは、一つは、やはり本流意識というものがありませんと、なかなかこの仕事に熱中しないものですよ。これが一つですね。それから、附属物というふうに言われたら、これは仕事誇りが持てませんね。これは民間企業だったら特にそうですよ。僕は民間の人が苦労していることはわかっていますよ。だから大いに学ばにゃならぬことはあるんだけれども、少なくとも郵政省だって、そういう附属物ではない、君らの仕事は本流だよと言われて初めて誇りが持てるわけでしょう。そういう気構えの問題。  あるいはまた、民間企業官業という言葉がありますけれども、もう官業と言ったって郵便事業だけじゃないんですか。ほとんど民間化されていっていますよね。だから残されたのは郵政事業だということになっちゃうんだけれども、どちらにしても企業経営という面ではかなり民間は成熟してきているし、むしろ官業の方が落ち込んでいる。まだまだ直さなきゃならぬ問題があるという時点に今立っているわけでございます。三点目には、やはりそういう条件も考えた上で言葉の使い方も考えるべきだろうと思うし、それから競争の原理は、先ほどから言われているように利用者のためにこそある。それが第一義だというふうに私は思いますよ。だからそういった点で、企業のために要するに競争の原理があるんじゃないということを、これはすかっと言い切っちゃうと問題なんだけれども、ニュアンスはもう自分ではあるつもりですが、いずれにしてもこの利用者のためというのは第一義じゃないかということを基本にしながら、ただ問題は、民間企業から言わしめれば、郵貯事業に法人税はあるのであろうか、こうなってきますわね。いろんなところで仕事をやる条件が違うじゃないかということはあるわけですから、これは当然考えなきゃいかぬと思いますね。  そういった点で、乱暴な意見になるかもしれませんけれども、一つには、では税金に類するものを納めたらいいのかという意見も出てくるだろうし、あるいはまた、そんなことを言ってみたって、実際に郵貯で働いている労働者、簡保で働いている、集配をしている労働者の場合に、民間銀行の労働者と比べて一体賃金はどうなんですか、あるいは保険契約をした、貯金を新しく集めたということに対する手当というのは、民間と郵貯、簡保の場合どうなんでしょうか。そういう比較などをしますと、結局、民間より賃金が低いとすれば、税金も出さない上に人件費まで抑えている、そして利用者に奉仕しているという理屈にもなっちゃうですね、これ。あくまでも比較論ですけれども。  ですから、黒と言えば白という意味じゃなしに、やはりAという意見があればBという意見があるんだ、だからお互に出し合って、けんかになるようなことについては僕は改めたらいいと思いますよ。できるだけ公正競争の条件というものをつくり上げていった方がいい。官業だからそんなことはつくれない、そんな理屈は僕は成り立たないように思いますよ。もちろん独占禁止法とか諸法の関係とか、いろいろなことが出てまいりますから単純ではありませんけれども、いずれにしても以上のようなことは考えてやはり対応すべきだ、そして補完なんという言葉はなくしていくべきだ。と同時に大企業ですから、郵貯の場合、簡保の場合でも、もう簡保局長なんか、みずから世界一、日本一を誇っているわけですから、もう大企業であることは間違いないと思いますよ。したがって、大企業横暴と言われるようなこと、力に任せて押し切るというようなこと、あるいは社会的影響、社会責任というものを度外視して、何でもいい、利潤追求というか、要するに集めればいい、金利を高くすればいいというだけのものではないということだけは、これは私も自分に言い聞かせなきゃならぬ問題だと思っています。  そういう立場に立ちながら、少なくとも大蔵郵政の関係について、補完という言葉というのはなくしてほしい、こういうふうに思うんですが、いかがでしょう。
  21. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) ごく最近の我が国で、国あるいは公の企業の民営化ということで、随分たくさんの事業が御案内のとおり民営化になったわけでございますが、その間の議論の中で、ただいま先生の御指摘の三事業については、経営形態を変更することなく現行の経営形態でまいろう、こういう結論が出て現在の状況にあるわけでございますが、そうした事業がせっかくそういう結論を得て、現在国民の必要とするサービスを提供するその実態が、民間から見ましてまるっきりとるに足らない相手だ、あるいはほうっておいても自滅する相手だという現状であれば、今のような議論は出てこないかと思うんでございますが、そうした意味合いで、やはり民間が、ある程度実際に競争の中で、この国営企業というものを軽視はできないなという力は今後とも蓄えて、そしてまた、さらに活性化した事業に進めてまいらなきゃならぬ、こういうふうに考えておるところでございます。これは三事業通じての話でございますけれども、そういうふうに考えるわけでございます。  私ども、そうした民間あるいは国との分野の問題で、国営でやるからにはどうしても基本の存立は、ただいま大臣も申し上げましたように、その利益を株主に還元するという視点はなくてよろしい、いわば利益を直接国民に還元するというのが私どもの存立の根拠だろうと思うんでございます。そうした意味合いで、あまねく全国均一に、民間の採算だけでは及ばない部分、あるいは採算だけ考えては提供できないサービス、こうしたことを重点に進めまして、何が国民の利益になるか、そういう視点を第一義に据えながらやってまいることで、ただいまの先生の議論はおのずから解消していき、本当に利用者のサポートを受けながら事業推進することができるものと考えておる次第でございます。
  22. 及川一夫

    及川一夫君 これは非常にこれからも尾を引く問題だろうとは思いますけれども、問題解決のために努力していただきたいということを申し上げて、次に移ります。  郵便事業の問題でございます。  まず、郵便事業全体を見わたすときに、一つには百六十三億の赤字というものが六十三年度予定されておりますね。累積では四百六十三億ということになるんですか、まずこれで大体六十三年度はとどまることができるのかどうかという問題。それと同時に、六十四年度を今議論しても仕方がないんですが、一つの展望として、百六十三億という郵便事業の赤字というものを縮めることが要するにできるのかどうか。六十四年度まではいずれにしても、その前は赤字であったかもしれませんけれども、黒字という事態があって、去年二百八十五億ですか、赤字が出てきたということなんですが、その見通し、それからその原因についてお伺いをしたいというふうに思います。
  23. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) 六十三年度の予算におきましては、ただいま御指摘のとおり、郵便事業百六十三億の欠損となっております。この中身でございますが、収益と費用と分けて申し上げますと、収益につきましては、その大半が郵便業務収入でございます。前年に対しまして〇・二%上回る四・八%と、かなり意欲的と申しますか、かなりの収入増を見込んでおります。それから、その他の収入として百十六億円、計郵便業務収入の六百十五億と合わせまして七百三十一億、約五・三%増加というふうに見込んでおります。これが収益の方でございます。一方、費用でございますが、これにつきましては六十三年度の定期昇給、それから六十二年度の仲裁裁定のはね返りなどで非常にウエートの高い人件費でございますが、これが約四・〇%、約三百九十八億円伸びるものと見込んでおります。そのほかサービス水準の維持向上等に必要な郵便ネットワークの拡充でございますとか、あるいは郵便需要拡大のための物件費等を三・九%増、百七十億円の増加と見込んでおります。この結果、差し引き百六十三億の欠損と相なっております。  ただいまの御質問の中に、六十二年度二百八十五億ということで赤字ではないかというお話ございましたが、これにつきましては現在、当初予算三百二十六億円の赤字見込みでございましたから、第二次の補正を経て現在の見込み、予算段階の見込みとしては二百八十五億の赤字ということでございますが、目下のところは、もちろんまだ年度終わっておりません。決算は六月、七月にかけまして締めてみないと、まだ確たることは申し上げられないわけでございますけれども、目下のところは、郵便業務収入の状況等を見ますと、予定よりは好調ということもございますので、この赤字をできるだけ縮減する、黒字に転化するという方向で現在努力中でございます。それから六十四につきましては、これは何さままだ六十二年度の決算も終わっておらないということでございまして、六十二の郵便業務収入あるいは六十三年度支出の大宗を占めます人件費、これを左右する仲裁裁定は一体どういうふうになるのかといったような点等、不確定、不透明な要素が非常に多いということでございますので、現段階では確たることは非常に申し上げにくい段階でございますけれども、六十四につきましてももちろん一層の財政改善に向けて努力してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  24. 及川一夫

    及川一夫君 原因の方は、百六十三億でも二百八十五億でもいいんですが、それは不足額が出ているという、その原因は一体何だと判断されますか。
  25. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) これは今御説明申し上げましたように業務収入の増、これがもっと大幅に見込めれば収入がふえるということなんでございますけれども、この収入の面では、ただいま御説明申し上げましたように、かなり目いっぱいと申しますか、四・八%という最近の郵便増加状況等からいたしますと、かなりの増を見込んではおるわけでございます。一方支出の方でございますが、何といいましてもやはり支出の実質的に八割程度が人件費ということでございまして、これにつきましても、もちろん物件費と合わせて放漫な経営にわたらないようにということで、しかし同時に、やはりサービスの維持向上を果たすためには、必要なものは必要ということで見込んでいくということでございますので、それらを構成しますもろもろの数値を積み上げて出した結果、その支出が総体で実質二%台の増加となっておるわけでございます。その結果として百六十三億の赤字ということでございますけれども、これは前年度六十二年度に比較しますと、当初ベースでは大体半分に、一応この赤字の額は減っておるという数字でただいま御審議を煩わしておるという状態でございます。
  26. 及川一夫

    及川一夫君 何か人件費に大変力こぶが入っているようですけれども、どうなんですか。これ六十三年度の構成比を見てみますと、支出の方で業務費というのが四七・六%、その中でこの人件費の占める割合というものを取り出して比較をしますと三六%ということになっているんですよね。  それから、実際に増減率というものを見ますと、人件費のふえ方、一・七%とあるんだけれども、並んでいる数字の中では一番けつじゃないでしょうか。そうしますと、もう私の常識から言いますと、大体企業というものは、人件費が五〇%も超えるようなことになると大変な事態だと、仕事内容にもよりますが、いずれにしろそういう認識というものはありますよね、確かに。しかし、三分の一前後ですな、ですから三三%前後というんでしょうか、できるだけ低いほどいいんだけれども、まあ大体企業会計としては三分の一ぐらいまでは健全財政と、こういうふうに見るのが大体一般的だと私は認識しているわけです。そういう意味合いで言うと、どうも確かに機械化とか合理化とかする余地が全くないとは言いません、あると思います。やればそれだけ要員については削減をしなければいかぬとか、自然淘汰しなければいかぬとか、そういうことは出てくるかもしれませんが、少なくとも出てきている財政の見取り図から言えば、そんなに人件費が大変な問題だというふうに言えないんじゃないかという気がするんですよ。それが一つと、何となく多いのは業務外収入であり、業務外支出ということになっているんですけれども、この業務外というのは、これは一体何なのでしょうか、それをちょっと教えてください。
  27. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) 業務外収入支出、それぞれ二兆五千五百億に上っております。この中身は、収入印紙等の売りさばきによって入ります収入、それからそれを国庫へ納付する、支出するこの中身でございまして、したがいまして、それは郵政事業の実体的な予算の中に歳入歳出で入っておるわけでございますけれども、実体的にはこれを除きました業務収入、以下資本収入も含めました小計としては二兆九千六百億と相なっております。約三兆。これがつまり郵政事業の実体的な歳入歳出の中身ということに相なります。  そこで、その中で業務費が二兆六千億、そのうちで人件費が一兆九千八百億という構成になっておりまして、したがいまして、先生おっしゃいましたように業務外収入も含めました全体の歳出の中では、これは五兆五千百億のうちの一兆九千八百億でございますので、三六%、まさにおっしゃるとおりでございますけれども、実体的な郵政の歳出小計として出てまいります二兆九千六百億の中ではやはりかなりのウエートを占めておる。  それから、先ほどは実質と申し上げましたが、物件費の中にも実質人件費的な経費も、例えば賃金でございますとか、ちょっと入っておりますので、そういうものを勘案して八割と申し上げましたが、非常に人件費ばかり強調したという趣旨ではございませんので、ひとつ御了解いただきたいと思います。そういうわけでございまして、極力これからも効率的な経営を図りながら、この赤字の額というものについては縮減を図っていくことはもちろんのことでございます。
  28. 及川一夫

    及川一夫君 人事部長、ここ五年間ぐらいの郵政に対する賃金引き上げの率はどのぐらいになっていますか。
  29. 白井太

    政府委員(白井太君) 本年度六十二年度でございますが、これが若干低くてベースアップ率一・一三%でございます。それから昨年度六十一年度が二・〇二、その前の六十年度が二・六〇、五十九年度が一・九五というような引き上げ率になっております。
  30. 及川一夫

    及川一夫君 民間企業含めて全体としてはここ五年ぐらいは賃上げは低調であることは事実なんですけれども、公務員の場合はとりわけ低調ですねね、数字だけ見てみますとね。いろんな理由があるんだろうと思うんですけれども、私は郵政事業事業というのは企業会計だというふうにむしろ認識したいものですから、人件費の占める割合の問題にしろ、あるいは賃金引き上げの問題にしろ、やっぱり賃金というのはある意味での投資だと私は思っているんですよ。だから先行投資ということもあり得るわけですわね。だから人件費が高いか安いかという問題は、かなり郵政事業の将来との関係、あるいは貯金にしろ保険にしろ、これからの発展ですね、こういう展望との関係を含めて論じませんと、単純に多い少ないだけでは割り切れないものだと私は思います。  ですから、今度の予算で二兆円に近い数字の中で百六十三億という不足額ですから、余り数字であらわすほどのものではない、大変な努力だと。しかし、郵政事業としては恐らく経理局長も言われたように目いっぱいといいますか、増収という意味では、ぎりぎりいっぱいのところまで一つの目標を設定しているというふうに考えますと、やはり大変な努力が必要だなというふうに思いますから、とりわけ、この人件費の問題だけでもって認識するんじゃなしに、何とか目標到達をして、できればこの百六十三億というものをクリアして、できれば累積をマイナスの方にそれこそ押し込んでいくような好結果をあらわすには、人件費自体だけをとらえるような発想ではいけないんじゃないかということだけを指摘して次に移りたいと思います。  次の問題は、業務量の問題と要員の関係なんですが、まず最初にお伺いしたいんですが、これは三事業に要員は割り振られていると思うんですが、三十万強の要員、大体どういう分布になるんでしょうか。
  31. 白井太

    政府委員(白井太君) 郵政事業特別会計に限ってお答えを申し上げたいと思いますが、六十二年度の定員で申し上げたいと思います。  まず総掛かり費で支弁をいたします職員の定員、これは管理部門でありますとか、あるいは病院とか、あるいは研修所なんかの仕事に従事する職員の数でありますが、総体で約五万二千名、それから郵便関係でございますが十四万一千名、それから貯金が六万六千名、保険が四万六千名、その他が約三千名でございまして、総体で、郵政事業特別会計で面倒を見ております職員の総数が三十万八千名というふうになっております。
  32. 及川一夫

    及川一夫君 それで、閣議決定でもって定員を減らそうということが決められているわけですが、最終的にはこれが閣議決定どおりいきますと定員は幾らになるんですか。
  33. 白井太

    政府委員(白井太君) お答えを申し上げます。  最終的な定員の数が実はちょっとお答えできないわけでございますが、と申しますのは、定員削減計画では、現在第七次の定員削減計画を実施しているところでございますが、これは六十一年度末の定員に対しまして五%を掛けたものを減らす、これを六十二年度から六十六年度までの五カ年計画でやるというのが第七次の定員削減計画になっております。そういたしますと、これが約一万五千名強の減員数になるわけでございますが、今度はそれとは別に、仕事がふえるものに見合いまして人をふやすというようなこともやっておりますものですから、現実には削減計画で盛り込んだ一万五千名余の職員数がそのまま減るということにはならないわけでございまして、一万五千名を減らすかわりに、仕事がふえる場合には、そのふえるものに見合った増員も行うというプラス・マイナスをやるものですから、これはどの程度の仕事の伸びがあるかということによって変わってくるものですから、最終的な定員数というのが予測ができないわけでございます。
  34. 及川一夫

    及川一夫君 おっしゃるとおりだと思いますね。  どちらにしても、労使間でもいろいろこれからお話がされるんでしょうから、それ自体はわかりませんが、私の感じでは、定員を減らすにしても画一的であっていいのかどうかという問題ですね。閣議決定の場合には非常に大ざっぱな話ですから、あちらからこちらというわけにはいかないのだろうと思います。やはり郵政事業では二〇%の仕事の増があるということをみずから報告されていますし、それで要員の方は減らすというわけだから密度が高くなる、あるいはいろんな機械化、合理化の問題もあるかもしれません。ただ、いずれにしても雇用不安を起こすということは、これからやろうというときだけに問題が極めて大きいというように考えますので、ぜひ労使交渉に当たっては十分配慮されるようにお願いしておきたいと思います。  それから、郵便事業でもう一点だけ聞いておきたいんですが、郵便列車の復活が提起されておりますね。この理由は、逆に言えば、廃止したときの理由は一体何だったのでしょうか。
  35. 田代功

    政府委員田代功君) 昭和六十一年の十月に、それまで郵便の輸送の大部分を当時の国鉄に依存しておりましたが、これを国鉄をやめまして航空機と自動車に切りかえました。これは郵便のスピードアップという観点から、国鉄ではいかにも需要に応じられないということで、当時そういう切りかえをしたわけでございます。
  36. 及川一夫

    及川一夫君 今回はそれを前に——やっぱり合理化でしょう、余り効率が上がらない、それからむだが多い、支出が多いということで鉄郵ですか、鉄道郵便というものが廃止をされたんですが、何か鉄道郵便を復活するという理由は、今お聞きしましたけれども、ちょっと理解ができないんですが。かなり裏返しにならなきゃいけませんわね、廃止のときの理由と。それを克服できたから今回復活をするんだとか、あるいは新しいニーズが、こういうものが生まれてきたからこうしなきゃいかぬのだ、これでしか対応できないんだ、こういうような理由というのがあると思うんですが、いかがですか。
  37. 田代功

    政府委員田代功君) 二、三週間前の新聞に、「郵便列車復活」という大きな見出しの記事が出ましたが、実はちょっとこの新聞記事、誤解がございまして、私ども六十一年の十月に郵便列車全廃をいたしましたが、郵便列車というのは昔、旅客列車の一番最後の一両に〒の字のマークが入って、中でいろいろこう区分をする、客車についているあの列車を言っておるんですけれども、そういった形の郵便列車は今ございませんで、六十一年以降は貨物列車のコンテナの幾つかを一部利用しております。今までは全国で毎日十七個のコンテナに郵便を積んで走っております。これは航空機なり自動車に比べて速くて安い分野を使っておるわけです。今度青函トンネルとまた来月瀬戸大橋ができますと、函館、札幌方面、それから高松方面には従来の航空機とほぼ同じ時間で、つまり夜間その他を利用いたしますと、ほぼ同じようなスピードでこのコンテナが届くことになりましたので、従来の十七個のコンテナに加えて今の北海道、四国方面にさらに五つコンテナをふやす、こういう趣旨のことでございまして、いわゆる昔からありました郵便列車の復活に至るまでには至っておりません。
  38. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。  では次、貯金事業の問題についてお伺いいたします。  まず、四月一日からマル優が廃止をされて、それで金融自由化の問題も控えている、マル優廃止に伴ってかなりの争奪戦があるというふうに言われているんですが、郵貯の問題として現状維持というものができるのかどうかということをまず端的にお伺いしておきます。
  39. 佐藤豊

    説明員佐藤豊君) 郵便貯金は創業以来、その利子に税金がかかっていなかったわけであります。したがいまして、郵便貯金にとりまして、四月一日からの利子非課税制度の原則廃止は事業始まって以来の重大な試練だというふうに考えているところでございます。もっとも利子非課税制度の原則廃止は、民間金融機関の預貯金あるいは類似の金融商品から発生いたします利子相当分につきましても同様一律二〇%の課税になるわけでありますから、税制そのものからはそれだけで著しく郵便貯金が不利になり、したがって郵貯の資金民間金融機関にシフトするということにはならないものというふうに考えているわけであります。  ただ、長らく郵便局を利用されておられました利用者の方は、利子に課税されるということには全く経験がないわけでありますから、郵便局も税金がかかるというふうに聞いただけで、何やら銀行よりも郵便局の方が損になるというような間違った理解などが起こるおそれがあるわけでございまして、私どもそういった誤った理解が起こらないように、ことし春早々から全国郵便局郵便貯金関係職員を総動員いたしまして、今回の税制改正の内容について正しく御理解をいただくためのお知らせ活動を展開いたしているところでございます。また同時に、改正後もいわゆるお年寄り、母子家庭の方には非課税制度が残りますし、また財形住宅あるいは財形年金というような種類につきましては、依然非課税制度が持続されますので、そういった新しい非課税商品の御利用につきましてもお勧めをしてまいる所存でございます。  しかし、冒頭申し上げましたように、いずれにいたしましても郵便貯金制度の根幹でありました利子の課税制度が変わりますので、一層気持ちを引き締めまして、郵便局の職員心を引き締めて利用者サービス、あるいは積極的な営業活動に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  40. 及川一夫

    及川一夫君 まあ必死の思いということを含めてだというふうに思いますけれども、そこで、どちらにしてもこれはマル優にかわる、端的な言い方だけれども、いい商品でなければなかなか現状維持というのは大変じゃないかなと、こう思います。そうすると例のMMCの問題ですね、小口の問題までも含めて一体どう郵貯は対応するのかということになるんですけれども、これは非常に密接な関係がある。  そこで大蔵省の方にお伺いしたいんですが、先ほど申し上げたように、財投に対する郵貯の貢献度は、これは大変な貢献度だろうと思いますね。したがって、そこに収入が減ってくるということになれば、大蔵省自体大変問題意識を持たざるを得ないわけで、したがって金融自由化になろうと、マル優が廃止されようと、少なくとも今までのベースを最低にして財投というものを維持していきたいというからには、小口の問題などについてもいい答えがあってしかるべきだというふうに私は素人だから思うんですがね。お互い助け合わにゃいかぬじゃないかと、こうなるんですが、その辺のことは一体、論議の現状を含めてお話をお伺いしたいというふうに思います。大蔵の方……。
  41. 中井省

    説明員(中井省君) 預金金利自由化につきましては、大蔵省としても積極的に推進する方針でございます。ただ農協、信用組合等中小金融機関の経営に及ぼす影響等にも配意しつつ、信用秩序に混乱をもたらさないよう漸進的に進める必要があると考えております。このため金融情勢等を勘案しつつ、大口のものから順次段階的に自由化推進しているところでございます。  小口預金自由化につきましては、六十一年五月の金融問題研究会の報告におきまして、当面、過渡期の措置として、小口の市場金利連動型預金を創設することから始めるのが現実的であるという提言をいただいてございます。今後この報告書の提言を踏まえまして、郵便貯金民間預金のトータルバランスの確保等の環境整備を図りつつ、できるだけ早期に何らかの具体的展望が得られますよう郵政省御当局と協議を鋭意進めてまいりたいと考えております。
  42. 及川一夫

    及川一夫君 郵政大臣、この問題もう目の前に来ていますし、遅くとも秋には実現をしなきゃいかぬとか、そういう話も聞くわけですね。今の大蔵の答弁を聞きながら思うんですが、できるだけ早急にとは言っているが、あるいはまたいろいろバランスを考えにゃいかぬと、こうおっしゃられておるんだが、一体どういう、内容を認めるのか認めないのか。郵政省としては、たしか小口ということで、十万ということをおっしゃられていると。今のところ、何となく大蔵あたりから出てきているのは五百万というようなお話になっていますね。五百万じゃ何の意味も僕はないんだろうと思います。したがってその辺、大臣としてちょっと答えにくい問題もあるかもしれませんけれども、ひとつ胸の内を明かしてくれませんか。
  43. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私といたしましては、就任早々からもう十万円という旗印を掲げておりまして、小口の零細な少額貯蓄をしてくだっている方々に利益をもたらすような政策を実現するのが当然であろうと思っておりまして、むしろ今大蔵省の方からもお話のありました農協の問題とか、各地方自治体が所管しております信用組合なんという金融機関同士の中での調整が私は難航しているんだろうと思っておりますけれども大蔵省の内部的な問題の中で、この金融機関の中での話をいかに早く調整をしていただくかということに私は問題がかかっていると思います。世界的な傾向から見ましても、もう日本だけが取り残されているようなことでございますから、早く我々は実現をいたしたい、大蔵省の内部事情の調整に期待をしているというのが私の気持ちでございます。
  44. 及川一夫

    及川一夫君 大臣、大体時期的なめどですけれども、対立をしているということを強調すればいつになるかわからぬということになるわけで、言葉は激しいかもしらぬけれども、ある程度政治生命をかけて、決断することは決断するという時期があってしかるべきだというふうに思うんですね。したがってそういう意味で、何月とは言えないかもしれませんけれども、ことしの秋ということがよく言われるんですが、少なくとも十月ころまでにはやっぱり何だかんだいっても結論を出さないと、それこそ国際的にもみんな取り残されてしまうということになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  45. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先ほどの補完の問題、先生指摘がありましたが、これは警察行政に例えれば私よく話がわかると思うんですが、いわゆる警察と警備保障会社みたいなもの、それから鉄道公安官が今度は警察官になりましたが、そういう国がどうしてもやらなければならない象徴的なものが私はいわゆる警察組織の中での官、民の問題だと思いますが、いわゆる金融問題に関しましては、私どもはやっぱり国の財投の大きな原資を支えておりますものとして使命がございますので、今お話しのありましたように金融機関同士の、しかし全体を見て、これやっぱり三月末になりますと国債、公債の発行残高百五十九兆円という中では、これは民間金融機関に買い支えをしていただいた結果が百五十九兆ということでございますから、この問題に関しては、官、民がいかに国家金融政策というものを堅調に維持していくかということにかかっていると思います。秋までにとか願望としてはございますけれども、先ほど申しましたように、これは大蔵省とよく私ども協議をいたしまして、できるだけ早期に実現を図りたい。郵政省としては本当に一日も早く、できるだけというよりも、もう一日も早くという思いを込めての私どもは希望を申し上げる以外にないと思います。
  46. 及川一夫

    及川一夫君 大蔵省からいただいた資料によりましても、個人貯蓄が百兆を超えているというのは銀行郵便局しか実はないんですね。あとは百兆以下になっておって、まあ五兆なんというのもありますけれども、だからどちらにしても銀行それから郵貯の関係で大蔵を間に挟むか挟まないか、いずれにしても話をつけないことには進まないし、確かに銀行相互の問題もあると思いますよ。しかし私は、話は何月ということにならないだろうが、早急に決めるべきだということと同時に、郵貯に大変なマイナスになるということは、結果的に郵貯を利用している人たちにマイナスを与えるということなんですから、そういう事態にならないように私は願いたいというふうに思います。  とりわけ、郵貯、郵貯と言うけれども簡保も含めてなんですけれども、財投それから簡保の自主運用、日本列島にいろんな意味で援助しているというか、利便を図っているというか、そういう形のものをとっているのは、もう簡保の自主運用と財投なんですね、どう見ても。  僕もある本を読んでちょっとびっくりしたんだけれども佐藤前々の大臣が本四架橋の開通のお祝いに政府を代表して出たと。本来なら建設省じゃないか、何で郵政大臣が行くんやというお話があって、いや実は簡保が、あるいは財投というところまでいかぬでも、簡保だけでもう学校から何から何まで低利でもっていろんな融資をしていると。本四架橋にももう兆というお金を要するに貸していると。恐らく金を出し合ったというところでは簡保が第一じゃないかというようなことの意味もあって、どうも郵政大臣が行かれた。何だと思っていろいろ聞いてみたら、いやそれは大変だな、そんなに簡保はやっているのかという、何か御紹介の本もありましたよね。だから結果的にPR不足といえば不足なんだけれども、やっぱり日本国民生活に対して果たしている簡保の自主運用とか財投には、郵貯が金を持っていくという面で大変な役割を果たしている。それで、これから自主運用十五兆までやられようとしているわけでしょう。  だから、そんなこんなを考えますと、恐らくこの制度は崩せないんだろうと思うんですよね。それだけに郵政大臣が郵貯のマイナスを考えるわけはないわけで、ただ確かに調和という問題がありますから、それも政治の問題ですから、むちゃくちゃなことは言えませんけれども、少なくとも損をすることのないように、理解ができるような内容でもって対応していただくようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、簡保事業問題に移りたいと思います。  まず、マル優廃止と簡保との関係、これは具体的に貯金ほど影響というのが出てまいりますか、出てくるとすればどういった面に出てくるんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  47. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 四月一日からのマル優廃止、あるいは郵便貯金の非課税制度の改革といったような大きなものは私ども簡易保険にはございません。ただ一つだけ、財形の関係で住宅を取得される、こういうことを目的に貯蓄保険をなされる方につきましては非課税の制度が従来同様延長されることになりましたので、その面の商品を新しく用意をしたということでございまして、それ以外に直接的に四月一日以降で影響があるというふうには考えていない次第でございます。
  48. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。  それから、最近簡保事業の自主運用の中で株式購入ということが話題になっているようですが、そういった事実があるかどうかということと、株式購入を求める理由は、答えはおのずから出てくるんですけれども、運用益を高めるということだと思うんですが、この株式購入問題についての現状ですね。恐らく大蔵あたりともお話しになるんでしょうが、現状をひとつお聞かせ願いたいというふうに思います。
  49. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 簡保年金特別会計におきまして直接株式の取得をいたしたいというのは私どもの長い間の要求であったわけでございます。戦時中におきまして株式を取得したという経験もございますし、これらの株式については現在も保有して、さらに新株の引受権等も行使をしておるわけでございまして、そういうことも考えあわせますと、簡保会計において株式を購入するということについて特段の問題はないのではないかというふうに思料いたすわけでありますけれども、国の会計民間会社の株式を直接保有するということにつきまして、現時点では政府内部で了解を得ていないわけでございます。したがいまして、昨年、株式の保有だけを目的とするわけではございませんけれども簡保事業団を通じましての金銭信託への運用ということで、間接的ではありますけれども、株式の保有ということが可能なような措置をとって現在に至っておるわけでございます。
  50. 及川一夫

    及川一夫君 そうすると、株式の購入について意見の一致を見ないというのは、あくまでも国の会計がということだけだというふうに理解してよろしいですか。国の会計だからということだと理解してよろしいですか。
  51. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 国の会計という点から、元本保証がないという点についての御懸念があるということが一つと、それから民間会社の株式を保有するということについて、影響力を国の機関が行使をすることがあり得るのではないかという御懸念がある。この大体二つが大きな理由である、このように考えております。
  52. 及川一夫

    及川一夫君 国が株式の操作に手を出すおそれありということだというふうに答弁お聞きいたしましたが、郵政省内でその辺のことについて、いやそうではない、そんなことはあり得ないというような意味で何か論議をされていますか。
  53. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 今の提起されております問題点につきまして私どもの方といたしましては、まず株式の従来の状況から勘案いたしまして、消費者物価の騰貴率あたりとにらみ合わせましても株式の収益力の方がはるかに上回っておるわけでございまして、特に簡保のように長期性の資金の場合は、十年あるいは二十年という形で運用いたしますならば相当の収益が見込める。短期的に売買をするといったようなことを考えておるわけではありませんので、そういう意味から、元本云々の問題は、もう大きくクリアできるというふうに私どもは考えており、また主張もしておるわけでありますし、また民間会社への影響力という点につきましては、一会社当たりの保有する株式の総量を制限しますとか、そういった形をとることによりまして、もちろん私どもそういうことを考えているわけではありませんけれども、もし御懸念があるならば、そういう点からの規制をするということによって解決ができる、このように考えておるところでございます。
  54. 及川一夫

    及川一夫君 なかなかこれは難しい問題だなという立場でお聞きいたしました。しかし簡保事業、いずれにしても利用者の利益を守っていかなきゃいけないわけですから、どちらにしても運用益というものを上げるための一つの方途として問題が提起されているという認識に立って、私も少しく検討してみたいというふうに思いますが、さらに、そのほかの方法で簡保事業発展というものを期していただきたいものだなというふうに思います。  そういう前提に立ちながら、少し事務的になりますけれども、これからいろいろ私どもが判断していく上で、単純な意味で必要だというふうに思っていますので、次の点をお伺いしたいと思います。  つまり円高、一円の円高があると今運用しているものに与える差益と差損の関係ですね。一円上がれば、高くなれば一体差損はどのぐらいになるのか、あるいは一円低くなれば差益はどのぐらいになるのか、こんなことを、わかりやすい数字を言うことができるんでしょうか。
  55. 相良兼助

    政府委員相良兼助君) 資金の効率的運用という観点から、五十六年以降外国債の購入等を始めておりまして、これに伴います為替相場の変動ということによります上下がございます。現在のところ、できるだけ一国に傾斜をするということを避けまして、国際機関を初めといたしまして、国別に申し上げますと、大体十六カ国相当分、通貨で十通貨ほどに分散をいたしております。したがいまして、対ドルという点で、ドルで一円上がった場合どうなるかという計算等は実は手元にございませんので、あらゆる国の為替相場変動というものが絡み合ってまいりますので、今先生からお尋ねのありましたようなことにお答えできる資料を実は有しておりません。大変申しわけないと思いますけれども、そういうことでございます。
  56. 及川一夫

    及川一夫君 ぜひ、できればそういう手法を見つけていただいて、単純に判断できるような材料をつくっていただきたいということをお願い申し上げておきます。  いずれにしても、簡保による運用先というのは大変なものがあるということを、私もいろいろ調べまして認識を新たに実はしています。それだけに簡保事業、さらにはこれからの貯金の自主運用というものを考えますと、いよいよ郵政省責任は極めて重いし、またできるだけPRをする必要がある。そして郵政省の果たす役割について、国民とともにというなら、国民意見が通常いろんな方法で伝えられるようなことになるべきではないかというふうに思っていることをつけ加えまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  57. 大森昭

    ○大森昭君 予算の各項目について、実は余りまじめにここで議論したくないような気がするんですが、それはなぜかといいますと、突如として赤字がみんな消えちゃって黒になってみたり、貯金ですな。それで、非常に今貯金の伸びが悪いにもかかわらず、予算を見ますと六十三年度は黒になりますね。  郵便予算は、さっきから質問及川先生されておりましたけれども、ずうっと続けて赤で組んでおいて、続けて全部ずうっと黒なんだね。これは、経理部長は以前とかわっているから、今の経理部長に文句言ってもしようがないんだけれども、本来五年間赤字の予算を組んでいて、毎年黒字だったらその経理部長、これだよね、少なくとも。大体民間でそんなに赤字を組んでいたら、銀行は金貸さないものね、そうでしょう。そういうようにずうっと赤字で組んでずうっと黒字。例えば一年一年で、これ変化があることは僕はよくわかるんですよ。情勢の見方がある。ところが間違ったところがうまくいったとか、そういうこともあるんだけれども、五年間ずうっと赤字に組んでいて、ずうっと——結果はいいんですよ、これ。郵務局長のこの間のお話じゃないですけれども、二千数億円全部赤字が消えちゃうでしょう。これ予算上ではまだ赤字が残るようになっているけれども、もう大体六十三年度は黒になるでしょう、実際は。決算できなきゃわからないと言えばわからないんだけれども、あしたのことがわからないというのが役所の人の答弁だけれども、大体黒になるでしょう。
  58. 田代功

    政府委員田代功君) 六十二年度の決算が出ておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、郵便の担当としては、この赤字を消すことを目途として頑張っております。
  59. 大森昭

    ○大森昭君 それはあしたのことはわからないでいいんだけれども、これでは——だから僕はこの前も質問しているんだけれども、営業をやらなきゃいけないという、事業の運営が変わってきているんだから、例えば今の調子でいけば大体赤が少し残るでしょう、今の形でいけば少なくとも予算は黒になるでしょうと局長言っていいんだよ。それが当たらなくたって別に何も——局長、この間言ったやつは当たらないじゃないかと、これ競馬の予想やってんじゃないんだからね。そのままのこういう形でもっていけばよかったのに、ああ局長はこういうように、そう判断したけれども、そこで下がったから黒が赤になったんだなとそれは理解するからね。そのぐらいの見通しを各局長はもちろんのこと、経理部の方でもってその見きわめがなくちゃ、それは何のために郵政事業をこれから民間競争して営業を中心にして物をやっていくかということにならないですよ、あほらしくてね。いや、実際の話。  だから、そういう意味からいくと非常に予算を見ていて不自然に思うんだけれども、一体、経理部長、今郵務局長もわからぬと言うけれども、おおむね今の調子でいけば、いかないかもわからないけれども、いけば大体これは赤がなくなる。いや、僕はだから、郵便法の提案というのは、赤がなくなるから郵便法、きょうは郵便法の審議をしているんじゃないんだけれども、黒がなくなるから郵便法を提案しているんじゃないですか。実はそういうふうに判断をするんだけれども、今私は時間がないから余り長くはしゃべらぬけれども、私が抱いている疑問について何か的確な答弁ありますか。
  60. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) ただいま先生仰せのとおり、五十九年以降郵便につきましては予算上は赤であるが、決算締めてみると黒字という形が三年度続いてまいっております。もちろんこの背景としては、お客様方にたくさんの郵便物を出していただきまして、結果として業務収入がたくさん得られた、そのさらに背後にはサービスの改善でございますとか、あるいは現場第一線におきます郵便関係職員の皆さん方の営業、販売努力、そういったものがいろいろあるわけでございます。ただ、同時に、一番近い決算で申し上げますと、六十一年度は黒字と申しましても六十億ということでございましたので、これは郵便の総体の収入の中では〇・五%相当ということでございまして、非常にこれで安心というようなそういう数字ではもちろんございません。  そのような非常に何と申しますか、黒、赤の分界線といいますか、その前後を推移しておるということでございまして、形としては赤を見込んで黒である、これが三年続くのはどういうことなのか、こういうお尋ねごもっともではございますけれども、出てきた黒字の数値というものも、それほど郵便事業の財政を将来にわたってぱっと明るくするという程度には至っておらないということなのでございます。  それで、毎年赤字予算を組みながら決算では黒字になる、その理由として、見込みが適正でないんではないかというようなお尋ねもあろうかと思いますけれども、収入面につきましては、六十三年度は過去四年間の動向をもとに郵便物数を予測いたしまして、その種類ごとに単位収入を掛けて算定をいたしております。それから支出につきましては当該年度、六十三年度必要な経費、当該年度の各種の予定の施策、プリペイドカードでございますとか、ネットワークの拡充でございますとか、いろいろあるわけでございますが、そういう施策を盛り込む。さらに、過去の事務量の見込み等によりまして私どもとしては現時点で適正にやっていく必要があるという考え方のもとに算出をいたした結果が、ただいま六十三年度見込みということで申し上げている数字の中身になるわけでございます。
  61. 大森昭

    ○大森昭君 大体そういう答弁になるんでしょう。だけれども、僕は収入が見誤っているということを言っているんじゃないんですよ。役所の予算は、入るをはかって出るを制するというのが原則ですから、そうなりますと結局、見積もりを誤ったこと自体がいい悪いというよりかも、収入見込みがないものは支出を制限するんですよね。ここに事業の問題点が起きないかと。  例えばの話ですよ、どこの会社でもそんなに——いいですか、役所というのは、四月一日に予算編成して、翌年の三月三十一日に予算が終わるんじゃないんだよ。今からもう既に六十四年度の予算をやっているわけでしょう。だから一年半おくれ、そうでしょう。だから、そういう形の中でこの官庁予算というのが進んでいくと。例えばある団地ができる、団地を計画したときに売り出しをする。今郵便局の設置基準はどうなっていますか、局と局の間が何メートルあって、六百メートルなら六百メートルあって、享便戸数が何戸なきゃ郵便局はつくらない。ところが団地ができれば、もう享便戸数がふえることははっきりしているんだ。そのときに一番初めに、じゃ土地を買うと言ったって、一年半前にその土地の購入予算がないんだ。そういうような現状なんですから、私は個々の問題は言わないけれども、少なくとも入る方の見積もりが少ないと、今度支出の方をより出すという、大幅な赤字の予算を組むわけにいかないから、どうしても支出の方を制限していく。  いや、それは支出も、節約するものを制限すればいいんだけれども、やらなければならないことまでも制限できないというのが、この予算編成の中に起きてくるのじゃないか。出すものは全部出したのですよ、それで我が郵政予算は黒にいっているんですよと答弁されれば、それで話はおしまいですけれども、そうはならないんじゃないですかと。予算編成の基本に触れて、いやそうじゃない、入るをはかって出るを制するのじゃない、今や我が郵政事業というのは、民間とも激しい競争をしているのだから、もう必要なものはどんどん出して、結果的に収入が伸びないなら、そのことはやむを得ないのだという方針であるとするなら、私は、ああ確かに民間と競合して、最近の郵政事業というのは運営を少し変えていくんだなと、こう理解しますが、どうですか。
  62. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) 国営の企業でございますので、黒字、赤字を問わず、できるだけ収入を図っていく、支出につきましては、もちろん必要な経費は確保するわけでございますが、むだな支出のないようにいたす必要があるということは言えるわけでございます。まあ赤字ということであれば、もちろん一般的にはそれだけ財政運営の態度として厳しさは求められるということはあろうかと思います。しかしながら、ただいま先生仰せのとおり、事業の運営上、つまりお客様に対するサービスの維持改善、あるいはまあ職員の給与等の問題もございます。そういうどうしても必要な経費を見込んでいくということは、これはもう当然やっていくわけでございます。  ただ、再三申し上げておりますが、収入の見積もり、これは現時点における見積もりと申しますか、六十三年度の予算につきましては、かなり昨年の早い時期の見積もりをベースにいたしておりますので、時間的なずれ等の問題はもちろんございます。しかしながらこういう見積もりにつきましても、今後極力実態に合ったものにしていくよう努力していきたいと、このように考えておる次第でございます。
  63. 大森昭

    ○大森昭君 いや、あなたがいいとか悪いとかいう問題じゃないんですよ、役所の仕組みの話を私はしているわけですから。  じゃ民間会社はどうですか、設備投資をするでしょう、そのとき赤なんだよ、その会社は。借り入れをたくさんしなければ設備投資できないでしょう。企業内で金がたくさんたまったら、そのたまった金で設備投資するわけじゃない。だからそのために赤だっていいんだよ。ある年度はそういう設備投資をして、それが回転してきて黒字になって、さらに資産を蓄えながら次のまた事業を拡大する。ところが、今あなたが言うように、予算というのは赤では困るから、極力黒にしておこうという考え方というのは官庁予算のシステムだから、いいですか、僕はあなたがいい悪いじゃないですよ。そういうシステムの中で、これから営業政策を打ち出しながら民間企業と厳しく戦っていくということを幾ら言ってもだめなんじゃないでしょうか。  だから国家公務員法の枠もある、人事院規則の枠もある、予算総則の枠もある、だけれども、そういう枠の中で今までと違って事業の運営をしなければいけないのだから、一体検討していますかという話をこの前したわけです。例えば予算一つとっても、今のお答えのような仕組みでやらざるを得ないでしょうけれども、それじゃあんまり事業発展というのは、たまたま今三事業とも調子がいいと言っているけれども、これから先、民間の鋭い経営の人たち等を相手にして競争していくなんていうのは容易じゃないんじゃないかなということで、予算の編成の仕組み等については私はすぐ変えた方がいいという意味合いで質問しているんです。仮に郵便事業で、仮にと言ったって、黒になるかならないかわからないんだろうと言われちゃおしまいなんだけれども、黒になったらその金は一体どういう処理の仕方をするんですか。
  64. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) 郵便事業が黒字という結果を生みました場合には、予算会計法令の定めに従いまして、利益は積立金に繰り入れまして将来にわたる財政、それから経営基盤の安定強化のために備えるということにいたしております。
  65. 大森昭

    ○大森昭君 じゃ来年度黒になったと、これは積立金になると。六十四年度また予算編成して、赤で組むか黒で組むかわからぬけれども、また黒がたまった。二千数百億の赤字になったやつを、全部これ六年間単年度黒字で、大体赤の消える見通しが立ったということだから、今度黒になったら、これまた調子がよく一生懸命やったら、二千数億ぐらいの黒まで積み立てていくんですか。
  66. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) 実際の見通しとしては、先ほど申し上げましたように、大変やはり収入に対して支出も年々増大していくというような情勢でございますので、何千億という黒字がたまるという事態は非常に想定しにくいわけでございますけれども、現在の仕組みとしては、利益として積み立ててまいるということに相なるわけでございます。
  67. 大森昭

    ○大森昭君 利子は幾らつくんですか、積み立てに。
  68. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) 積み立てと申しましてもこれは帳簿上の数字でございまして、現実にお金をどこかへ預けるということとは直接にはリンクいたしておりません。
  69. 大森昭

    ○大森昭君 お金は実際には使えるかもわからぬけれども、帳簿上は積立金にしておくと。ところが普通の考えの人だったら、今、何千億というのはちょっと僕はオーバーな言い方をしたけれども、例えば六十億でも七十億でも百億でもその積立金があれば、その積立金をむだなことにはする必要ない。例えばさっき僕は団地のことを言ったけれども、これだけ郵便物がふえなきゃ予算は黒にならないんだから、郵便物がふえるということは、いわゆる局舎スペースを広げなきゃいけないということにも通じるわけでしょう。もちろんそれは機械化して、高層化してある程度、一定の物の配送というのはそう局舎を大きくしなくてもということもあるかもわからぬけれども、そうすると、今みたいな予算システムでいけば、積立金を置いておくというのはもう極めて不経済であるし、極めて効率的じゃないわけだから、だからなるたけ収支とんとんぐらいの計画で事業の運営を、予算編成をしていくということにならないですか。
  70. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) 収支とんとんというお話がございましたが、現在支出の大宗を占めます人件費等につきまして考えてみましても、大変いただく立場からすれば多々ますます弁ずということになるわけでございますけれども、物価の安定を反映して非常に安定した状態にございます。  そういったようなことを考えてみますると、現在の状態、できるだけこれを維持しながら運営していくということが必要であろうし、またある程度可能かと考えられるわけでございますけれども、同時に、先ほど申し上げましたが、この積立金が将来にわたって何百億、何千億とふえていくということは非常に想定しにくうございます。この積立金を、積み立てるのでなく別のことに使っていけばというような御趣旨とも受けとめられるわけでございますけれども、結果におきましては、私ども事業におきましては、この積立金はどんどん積み立てていくということを目的にするのではなく、むしろどちらかと申しますと、郵便サービスを提供しながらお客様方の新たなニーズあるいは必要なサービス水準の維持、この要請におこたえしていくということを通じて、結果においては積立金がどんどん積み立てられていくという事態には必ずしもならないのではなかろうかというようなことも考えられるわけでございまして、もちろん積立金それ自体の処分の方法として現実、具体的にどのようなことがあるかということは今後とも研究さしていただきますが、結果においてはこれがどんどんたまっていくというような事態は今のところ非常に想定しにくいというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  71. 大森昭

    ○大森昭君 いずれにしても郵便料金の問題などについても、値上げはもうできませんから、当分は。そりゃ世の中相当変わりゃ別ですけれどもね。その意味では事業収益を的確に図っていくということが今日の大使命です。そういう意味からいきますと、最初に素朴な疑問でありますけれども、毎年赤字のやつが毎年黒字になる、五年も六年も。予算編成の仕方がどういうぐあいでやっておられているのか知らないけれども、それは終わりよければすべてよしということじゃないんでしょうから、どこかでもって狂いが出ているがゆえにこの予算編成の違いが出ているわけです。そのことを私はきょう個々に指摘したいとは思いませんが、どうかひとつ研究していただいて、郵政事業が、各事業部は一生懸命事業成績を上げているのに、申しわけないけれども経理部は的確に想定しないということです、これ一口で言うと。そうなっていくと、事業部が要求をしたいというものをどこかで査定しているということなんですよ、簡単に言いますとね。収入の見積もりがもう違っているんだから、経理部は。出る方の金、各事業部局がですよ、全部、いやもう出していただくものは全部出していただいてます、本当に経理部さんありがとうございますと言うんなら別ですよ。  僕は、例えばきょうやるあれがなかったですけれども、例えば営業手当も郵務局長努力して、今年からですよ、これが出るようになったのは。本当は去年だって出したかったろうし、もっと前に郵便が下がったときに、ハッパをかけるのには出したかったと思うんですよ。ところが、収入見込みが違うから、金がないんだから、赤字に赤字を重ねることはないじゃないかと言って、時の経理部長が言ったんだろうと思うんだよ。ところが、赤で組んだやつが毎年黒になっているんだから、何だ、そんな黒なら少しは営業手当も出してもらって、職員にハッパをかけて成績を上げればよかったという、まあもうみんなやめちゃった人の話ばっかりしたってこれはどうにもならない話だけれども、これからのこともあるから、これで質問は終わりますが、どうかひとつそういう国会だけの答弁じゃなくて、あなたたちだって素朴に考えておかしいな、毎年黒になっているんだよな、毎年赤で予算組んでな、と思わなきゃ、国会の答弁はうまくいったって事業はうまくいかなくなっちゃうから、大臣にひとつお願いして、これでおしまいにします。
  72. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  73. 上野雄文

    委員長上野雄文君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  74. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最初郵政省にお聞きしますが、昨日の二、三の新聞に、郵政省は、NTT分割について、作業部会を設けるなど省内でのいわゆる検討を進めると同時に、電気通信審議会に諮問をしたと、こういう記事が載っておりますけれども、その諮問した理由がいかにももっともらしく、また詳しく報道されておりますけれども、これはされたんでしょうか、されないんでしょうか。
  75. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先日来の新聞に、二、三先生が御指摘になりましたような記事が出ておりますが、この真相はこういうことでございますので御理解を賜りたいと思いますが、御承知のとおり、電気通信事業法附則二条に基づく施行状況の検討につきまして電気通信審議会に諮問申し上げましたところ、三月の十八日に御答申をいただきました。その中で、中長期的に検討すべき課題といたしまして、例えば需要動向に対応できる電気通信ネットワークのあり方、それからISDN化を踏まえたサービスあるいは料金のあり方、さらには今後の電気通信事業者の体制、つまりNTTのあり方等も含めて、そういったものが中長期的な課題として改めて提起をされたところでございます。  それを受けまして同じく三月十八日の電気通信審議会に、郵政省といたしましては今申し上げましたような三つ、四つの課題を総括いたしまして諮問を申し上げたところでございまして、これらの諸課題を今後電気通信審議会が多角的に御検討いただくことになる予定でございまして、恐らく私どもが推測いたしますのに、その記事は、その審議会の諮問の中の一部の記事と、それから五十七年の臨調答申で言われております答申の中身をもとに記事ができ上がったものであろうというふうに考えております。この諮問を受けまして同審議会が今後どのようにこの議論を深めていかれるかはまだこれからの問題でございまして、まだ決まっておりません。まして郵政省で五月から作業部会を設けて、NTT分割について論議をするというような事実は全くございませんで、結論的に申し上げまして、報道にございますような分割方針を固めたという事実はございません。
  76. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、三月十八日の答申とごちゃごちゃになっている、こういう感じがするわけですけれども、作業部会ではやると、こういうことですね。
  77. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 電気通信審議会がこれらの幾つかの基本的な課題を、分科会を設けるのか、作業部会を設けるのかわかりませんが、どういう形で御議論いただくかはまだ決まっておりません。多分来月あたりの審議会でこれらの問題をどういう段取りで、どのような体制で検討していくかということが決められるんじゃないかと思っております。いずれにいたしましても、これは電気通信審議会御自身でお決めいただくことでございます。
  78. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それじゃNTTにお聞きしますが、先日私お伺いしたグループ料金制度の問題でございますが、この前申しましたように、この制度についてこの委員会で何回も取り上げられた。そのたびに検討します、検討しますと。また、当委員会で附帯決議もついておりますけれども、実際どこまでグループ料金制というものについて進んでいるのか。例えばイギリス型であるとか、西ドイツ型であるとかいろいろ形はあると思うんですが、それよりも日本ですから、日本型の何かいい方法があるのか。どの辺まで進んでいるのか。いつまでも検討します、検討しますじゃ、こちらではちょっと納得いかないんですけれども、もう一度教えていただきたいと思います。
  79. 草加英資

    参考人(草加英資君) お答えいたします。  前回も申し上げましたように、私どもはグループ料金制、先生指摘のようにいろいろな形があるわけでございますが、近近格差の解消の手段としてグループ料金制が有効であるというふうに受けとめております。  そこで、このグループ料金制をそれではどのように採用するかということでございますが、グループ料金制のまず形といたしましては、今おっしゃるようにイギリス型、それからドイツ型、または県内まで広げる形とかいろいろございます。もちろんそれを実施いたします場合には、当然現行の市内料金据え置きという形で行ったとすれば収入の減が生じるわけでございますので、これをどのような形で全体の中で埋め合わせていくかということも含めまして、抜本的な料金体系の検討に着手しているところでございまして、その中で有効な手段としてこれを取り入れていきたいというふうに考えているところでございます。
  80. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、近近格差をなくするためにこのグループ料金制をつくるということはいいことである、だけれども市内料金との兼ね合いがあるので検討中だと、こういうふうに理解するわけですけれども、そうすると、技術的にこのグループ料金制をやった場合にはできないとか、それから金がかかり過ぎるからできないとか、そういう意味ではないわけですか。
  81. 草加英資

    参考人(草加英資君) 技術的な問題といたしましては、グループ料金制を採用するということになれば、いわゆる料金のソフトを変更すればよろしいわけでございますので問題はございません。  それから財務的な問題は先ほど申し上げましたように、例えば現在の市内料金を据え置いた形で、いわゆるグループの中まで均一料金を広げていくという形をとれば、相当な減収が見込まれるわけでございますので、これらの対策をきちっと立てて実施したい、このように考えているところでございます。
  82. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは次に、これは郵政省の方にもお聞きしたいんですが、長距離通話料金のことでございますが、ことしの二月十九日に、三百二十キロを超えるいわゆる最遠距離の約一割、すなわち三分間四百円を三百六十円に値下げをしたわけです。離島料金の大幅値下げも同時にやったわけです。離島料金の大幅是正、また離島の振興という観点から見れば、私はこれは高く評価をいたしております。しかし、一方で市内近距離料金についても諸外国のように夜間料金が割引制度があるとか、こういうことを比較してみると、日本の長距離通話料金というのはまだまだ高いような気がするわけでございます。端的に言って、さらに値下げするような考えはあるのかないのか、この点いかがでございますか。
  83. 草加英資

    参考人(草加英資君) 先生指摘のように、日本における遠近格差はいわゆる先進諸国と比べましてかなりのものである、かなりおくれているということは御指摘のとおりでございます。ちなみに、日本が一対三十六でございますが、米、英、西独、仏、いずれを見ましても一けたまたは十五、一対十五ぐらいの中に入っているわけでございますので、私どもは、この遠距離通話料金の値下げをいたしまして、遠近格差をできるだけ縮めていきたいということが私どもの料金関係に関する一番大きなテーマでございます。そういう意味も含めまして、今後経営努力を重ねまして収益の増大、コストの低減を図って、財務的な余裕を持ちましてこの遠距離の値下げを実施いたしまして遠近格差を縮めていきたい、このように思っているところでございます。
  84. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 技術的には今相当よくなっておりますし、光ファイバーをとってみても毛一本の太さで同時に二万回線も通話できる、こういう時代にもなっておりますし、またディジタル交換機へのいわゆる設備転換、こういうことも考えられますけれども、今NTTからそういう御答弁ですけれども郵政省としてはいかがお考えですか。
  85. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) ただいまNTTの方からも御答弁ございましたが、かねて国民から非常に御要望の強かった遠距離格差の是正、離島料金の大幅改善という問題の措置が二月十九日から講じられましたけれども、さらに引き続きまして郵政省といたしましては、今後ともNTTが一層の効率化、合理化に努めて、今後は近距離料金も含む料金全般の低廉化を図っていただきたいというふうに強く期待をしているところでございます。
  86. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 NTTは料金体系の抜本的見直し、これに着手する方針だと一月二十八日の新聞に出ておりましたけれども、この新聞記事によると、外部の研究機関または経済団体、こういうところに料金体系の研究を依頼する、こういうふうにこの新聞には書かれているんですけれども、市内料金、市外料金、このコスト計算、この点でございますけれども、まだ明らかになっていない段階で、それもわからずに研究を依頼する、こういうのは私はちょっとつじつまが合わないというか矛盾するというか、こういうふうに思うんですけれども、この点いかがお考えでございますか。
  87. 草加英資

    参考人(草加英資君) 先生指摘のように、市内、市外の抜本的な改善を含む料金体系の見直しということを実現いたす際には、当然市内、市外のコストの詳細なデータが必要でございますし、またこれを国民の皆様に明らかにして、これらにつきまして御検討いただくということは不可欠のことと私どもは考えております。  前々から市内、市外のコストの計算をいろいろな機械を使いまして、またはいろいろな会計的手法を使いまして計算をいたしておりますが、現在の段階ではまだトラフィックデータ等の精度をさらに向上し、さらに費用の割りつけ等の問題を抜本的に改善をしたものを使う形で実施したいということで鋭意検討しておるところでございまして、今先生指摘のように、抜本的な料金体系の改善を、部外機関を含めます国民の皆様に訴え、そしてそれを理解をいただくという段階では当然コストデータを明らかにしなければならない、このように思って鋭意検討を進めているところでございます。
  88. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 コストデータが出ないと研究、いわゆる検討できない、こういうことで今検討中だと、こういう御答弁でございますけれども、データが出ないと言ったって、データを出すと言ったのはもう昨年、その前か、大分前ですよ、これは。消費者のニーズも変わって、社会機構も変わって、そこへ新規参入業者が加わって競争社会になったわけです。今の電話通信界においてNTTが抜本的見直しをしなければならない、こういうのも私は当然だと思います。  そこで、私お尋ねしたいんですけれども、五十九年の八月に当委員会で我が党の委員がこの料金問題について質問した際に、おたくの真藤社長がその答えとして、五十九年のときですよ、再来年の秋になると、その数字というのは市内料金、市外通信のコスト計算が出てくると、こういうふうに答弁しているわけです。五十九年の八月ですから、ことしは六十三年ですよ、再来年というのは六十一年の秋になるわけです。六十一年の秋ごろと、こういうことですけれども、ころというのは、一カ月や二カ月の差ならこれはいいですけれども、それは秋ごろからもう一年半もたっているわけです。それにもかかわらずまだ出ていない。今理由は二、三おっしゃっておりましたけれども、私はどうも納得いかない。  きょうは言った本人がいればお聞きしたかったんですけれども、アメリカへお出かけのようでございますので、あなたにお聞きするわけですけれども、そこでひとつ公表されないはっきりした理由ですね、検討中と言いますけれども、なぜそれが公表できないのか、明確な理由と、もう一つは、当委員会でこれを答弁しているわけですから、この委員会は御存じのように公の場でもありますし、ましてやNTTの社長さんがここではっきりとおっしゃっているわけですから、委員会を軽べつするというか軽視するというか、そんな委員会だったら、私は今言ったように、何かへ理屈みたいな、そういうことではなくて、実際に延びているのならば、こういう理由で延びている、申しわけないと、こういうふうにすれば私も納得いくんです。その点はいかがですか。
  89. 草加英資

    参考人(草加英資君) お答えいたします。  五十九年に社長が答弁いたしました内容はそのとおりでございまして、当時アトミックスと申します機械をアメリカから買いまして、これを入れまして、市外のトラフィック、それから市内のトラフィックを調査いたしまして、それをもとにトラフィックデータとして活用いたしまして現在のコスト、これを計算する、このように考えておりまして、社長から、当時総裁である真藤から二年後に明らかにしたいと、このように申し上げたわけでございます。  当然その後、今申し上げましたような形でのアトミックスの導入は順調に行われておりますし、データもその機械から正確に出されておりまして、これらをもちまして分析を進めているところでございますが、その後例えば新規参入事業者が参入することによるいろいろな影響とか、それから先ほど申し上げましたように、料金体系をどのように持っていくかにつきましての精度の高い資料を必要とするという意味も含めまして、これらをさらに精度を高めて、先ほど申し上げましたように料金体系を抜本的に世の中にお諮りするときに、それに十分にこたえられるようなデータとして世の中に出したい、このように思っているわけでございまして、おくれているのはまことに申しわけなく思っておりますが、目的に沿って一番正確なデータとして提供したい、このように思っておりますので、ひとつ御理解をいただき、またもうしばらくお待ちいただきたい、このように思うところでございます。
  90. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 言いわけみたいに聞こえるけれども、まあいいです、それは。そうすると、いつごろ出ますか。
  91. 草加英資

    参考人(草加英資君) 時期がいつごろということは、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、次回抜本的ないわゆる遠距離の値下げ、近近格差の解消、または中距離、近距離の是正、値下げを含めまして、抜本的にやる時期を今後財務の状況を見ながら考えていきたい。  幸いに、先ごろ世の中に発表さしていただきました中期経営計画の中では、この三年間は四千億円以上の経常利益を確保できる、このような見通しが立ちつつあります。したがって、これらが大体の見通しどおり確保できるということが確認といいますか、確保できた時点で郵政省御当局初め、関係方面の御理解を得ながら料金改定の方向を世の中に問うていきたい、このように思っておりますので、その時点に明らかにさしていただきたい、このように思っておるところでございますので、よろしくお願いいたします。
  92. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それではこの料金問題に関連してお伺いしますけれども、最初にNTTさんにお伺いしますが、NTTは、公社当時は電話、専用線、電報、データ通信のいわゆる収支決算、いわゆる分計を公表しておりましたけれども、六十年の四月、民営化になってから、その後は一切このデータは公表していませんね。六十年四月以降、長距離電話、専用線、自動車電話、ポケットベルなど、いわゆるサービス分野に新規事業者が参入してきているわけでございます。公正競争を確保するという観点からは、NTTサービス別の収支を私は明確にすると同時に公表すべきではないか、こういうふうに考えますけれども、この点はいかがお考えですか。
  93. 加島修

    参考人加島修君) お答えいたします。  ただいま先生おっしゃいましたとおり、公社時代には事業別の収支を公表しておりました。しかしながら、昨今世の中の状況を見ますと、いわゆるサービス別収支とか、あるいは事業別収支といったものについては、一般的には余り開示を行っているケースは非常に少ない。一般企業ではこの問題については慎重に扱っているというケースが多いように見受けられます。私ども六十年四月に公社からNTTになったわけでございますが、いわゆる競争下の民間会社という位置づけになったわけでございまして、そういう視点からいろんな同業他社との関係もございますし、このサービス別収支について公表を差し控えているというのが現状でございます。  ただ、今後につきましては、現在、企業会計審議会等でこういったセグメント別収支といったものについての御検討もされているというふうに聞いておりますし、そういった状況を踏まえながら、郵政省の御指導もいただいてこの問題について慎重に対処していきたいというふうに思っている次第でございます。
  94. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 郵政省の御指導をいただいてと、じゃ郵政省にお聞きをしますけれどもNTTが公表しないということは郵政省の方もわかっていないわけです。この点について郵政省の方としてはどういうお考えを持っておられますか。
  95. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) NTTが公社から民営化されましたとき以降、現時点では郵政省令という形で規定されております電気通信事業会計規則というのがございますが、この規則にのっとりまして、NTTの方では電話とか専用線とか、あるいはデータ通信といったような基本的なサービス別、役務別の損益の明細表はおつくりいただいて、郵政省は報告を受けております。ただ、これが企業会計として十分練り上げられたものでない、まだ定着したものでないということから、現在のところ公表には至っておりません。  ただいま先生から問題の御指摘がありましたような意識は私どもも十分持っておりまして、先般来こうした役務別の収支の損益を明らかにする必要があるんじゃないかということで、専門家の方々、学識経験者、あるいはNTTの方も含めてお集まりいただきまして調査研究会を行ったところでございまして、その報告書が昨年の二月に提出されましたが、その中で御指摘をいただいておりますのは、鶴岡先生もおっしゃいましたように、やはり他のNCCとの公正競争の確保等の見地から、やはりこうした内部相互補助がきちんと行われていないということを担保する意味からも、役務別に収支決算を分計する必要があるんではないかという御指摘でございます。  しからば、それをどういう方法で行うのが一番いいのかということで今いろいろ検討いたしておりますが、現時点ではNTTがやはり企業自主性において、この損益収支分計を公認会計士といった会計専門家のチェックを受けた上で国民の前に明らかにするような方法がとれれば一番いいのではないかと思っております。いずれにいたしましても、先生の御指摘のような趣旨を踏まえて今後検討してまいりたいと思っております。
  96. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大体わかりましたけれども、私が思うのには、一つは、この通信サービスというのは非常に公共性の強いものである。だからNTTが民営化になったからその点についてはアンタッチャブルでいいと、こういうわけには私はいかないと思うんです。公共性の面からいっても。  もう一点は、公正な競争と、こういうことで新規参入業者がたくさん出てきているわけです。それが公表されない、わからないということになると、いわゆる新規参入業者の道を閉ざす、阻害すると、極端に言えば。そういう結果にもなるんじゃないかなと、こういうふうに思うので、今私申し上げたわけでございますので、郵政省の方としてどうしたらいいのか、今ちょっとお聞きしましたけれども、もう一度お答え願いたいと思います。
  97. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) NCCとの公正競争の確保という見地並びに料金の適正な決定という見地からもこの問題は大変大きな意味を持っているものと私どもも理解をしているところでございますので、こうした役務別の収支の分計のあり方につきましては積極的に検討をいたしまして、不公正が疑われることのないような措置を講じてまいりたいというふうに考えます。
  98. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 三月十六日、NTTは全社的行動指針として、六十三年から六十五年度までのいわゆる中期経営計画を策定し、世の中に役立つ企業を目指していくと、こういうことで経常利益四千億円以上確保するため、いわゆるトータルパワーアップ運動を中心に事業を展開していくと、こういうことでございますけれども、たくさんあるようでございますが、具体的に内容説明していただけますか。
  99. 草加英資

    参考人(草加英資君) ただいま先生指摘のように、三月の十六日に中期経営計画を発表さしていただきました。  これは私どもといたしまして、民間会社になりましてから将来に向かってきちっとした目標を持って行動していくという必然性があるわけでございますが、今回初めてこのような形で世の中に問うたということでございます。  この内容は、中期的な視点から経営環境の変化を見通して、NTTの進むべき方向とこれに即して展開すべき施策を明らかにして、これを全社的な行動指針とするためにつくったものでございまして、内容昭和六十三年度から六十五年度の三カ年を展望いたしまして、主要経営目標は、経常利益を毎年度四千億円以上上げたい、設備投資は三年間で約五兆円を投資したい、ディジタル化率といたしましては、六十五年度末に四〇%以上を加入者線交換機で確保したい、研究開発が重要でございますので、三年間で約七千億円を投入したい、有利子負債削減額を三年間で約六千億円にしたいというような主要経営目標を立てまして、これを実現するためには、今先生お話しのトータルパワーアップ運動というものを据えまして、あらゆる努力をして収益を確保し、あらゆるどんでん返し的な施策を打ちましてコストを削減し、これを現実していくということをねらいとしているものでございます。
  100. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 NTTは大体終わりましたけれども、ちょっと関連があるんで、もうちょっといてください。  大臣にお尋ねしますけれども、六十年四月のいわゆる電気通信制度改革というものは、法的独占体制にあった電気通信産業分野を競争体制に移行させ、利用者すなわち国民に対し、ニーズの高度化と多様化に適切に対応し、低廉でしかも豊かな行き届いたサービスを享受できるようにと、こういうふうに改革されたと私は思っておりますけれども、あなたが大臣じゃなくて前の大臣でございますけれども中山大臣はこの点についてどう考えておられますか。
  101. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 六十年の四月に電気通信事業というものを大きく制度改正をいたしましたわけでございますが、国民のニーズに沿った大改革というのは低廉な料金、先ほどからも御質問のありましたように、まだ諸外国に比べて日本の料金が余り安くないという御指摘がありましたように、いろいろ改革をして国民のニーズにおこたえをするというような方式をとりたいということが最大の眼目であったわけでございますし、五兆七千億という売り上げが見込まれる、今でもNTT会社でございますが、これからNCCという第一種から第二種、第一種事業だけでももう三十三社、それから第二種が五百社を超えたというそんな状況になってきておりますが、大いにひとつ国民のために企業努力を重ねていただきたい。  私、就任しましてからも真藤社長と話し合いました結果、先ほどお話しのありました、二月十九日に三百二十キロを超える遠距離の料金を安くしてもらう。特にその際、昭和二十年、あの陸上戦闘が行われましたのは沖縄だけでございますので、私は特に沖縄に御配慮をお願いしたいということで、島から島へ電話をかけるのに四百円が三十円という画期的な料金改定をしていただきました。  それから、日本は五百六十七区域に分かれておると思います。東京が十一の区域に分かれておると思いますが、今度は新規参入の企業に迷惑をできるだけ——迷惑と申しますのは、その企業が育つための足元をすくわないような方式で、最初に申しましたように国民のニーズにこたえる、いわゆる新規参入の企業が育ち、そしてこれは日時がかかることだと思いますが、これからの対応に備えて、いかに電気通信事業の健全な育成に我々が対応をしていくかという、そんな大きな計画に対しまして私ども対応をしてまいりたいと思っております。
  102. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこで、お尋ねしたいんですが、電気通信事業法の見直しについて、郵政省は市場の実態に即して判断をする、こういうことで昨年十一月から関係各社約五百社にアンケートやヒアリングで意見を聞いて、それをまとめておりますけれども、この調査アンケートの結果、事業法の問題点として指摘された点はいろいろ私あると思いますけれども、その中で特にどんな点が指摘があったのか、この点をお伺いいたします。
  103. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 昨年の秋以降電気通信事業法附則二条に基づく施行状況の検討につきましては、つぶさに私ども精力的な作業を行いましたが、その結果、一言で申し上げまして、出てまいりました結論は、六十年四月の電気通信改革以降新規参入が相次いで、その改革が目指した競争の導入というものは着実に進んでいる。つまり言葉をかえて申しますと、電気通信市場は非常に活性化しているということが一点でございます。しかしながら、まだ現時点におきましては、新規参入者はサービスの開始に至っていないものも多く、経営データ等ほとんどまだ出ていないことから、現時点ではNTTの圧倒的な独占市場になっているという現状認識でございます。  しからば今後これらを、現時点における現況を踏まえてどういう課題があるかということにつきましては、幾つかの御指摘がございましたが、一つは、やはりNTT、NCCを通じての有効で適切な公正な競争基盤の整備でございます。もう一点は、NTT、NCCを通じて健全なる電気通信事業者の育成ということでございます。そのほかNTTとNCCとの関係におきましては、NCCが長距離通信のみならず自動車電話、ポケットベル等も含めてNTTに依存せざるを得ない宿命を持っていることから、NTTとNCCとの公正な競争を実現するために幾つかの御指摘を具体的にいただいたところでございます。
  104. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私は公正な競争というのは、結論的には消費者にとって、国民にとって低廉で、しかも豊かなサービス、これが結論ではないかと思うんです。  そこで、大臣も今この料金問題については積極的にまたやっていくと、こういうお話でもございましたし、このアンケート調査の中にも需給調整の問題もございましたし、今局長の言われた問題もございますけれども、私は料金認可の問題が特に取り上げられたんじゃないかなと、こういうふうに思うわけでございます。  さらに三月十八日の電気通信審議会の答申でも、ここでもいろいろと要望、意見はありましたけれども、とりわけ料金問題については一層の低廉な、そして豊かなサービスと、こういう点について答申がなされていると、こういうふうに私は思っておりますけれども、再度お聞きしますが、郵政省としてこの点についてどうお考えでおられるか、もう一度お答え願いたいと思います。
  105. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 確かに五百社に上る企業あるいは団体からのヒアリングの中では、需給調整条項や料金の認可制についての御意見があったことも事実でございます。しかしながら、大部分の方々の御意見を集約いたしますと、現行の枠を崩すべきではない、現行制度は維持されるべきであるという御意見が圧倒的大部分でございました。また、電気通信審議会にそれらの状況も含めて諮問申し上げましたが、審議会からは、いわゆる需給調整条項、あるいは料金認可制は制度改革の趣旨を実現する見地からも現時点では必要である。したがって、引き続きこれを維持すべきであるという御答申をいただいたようなところでございます。  しかしながら、その運用に当たっては十分配慮すべきであるというような方向で御議論いただいておりますので、その運用に当たりましては、私どもも適切を期したいと思っておりますし、料金の認可制がただいま先生がおっしゃいましたように、国民、ユーザーの利益にかなうような形でこれは発揮されるべきものであろうというふうに考えます。具体的には料金の引き上げに対して抑制的に動き、働き、料金の引き下げについてはむしろ誘導ぎみに働くというのが一番好ましい体制であるというふうに考えております。
  106. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 結論は値下げの方向に努力をすると、こういうことだと私は理解するわけですけれども、それにしてもちょっと腑に落ちないことが一つあるんですが、先ほど言いましたように、NTTは二月十九日に長距離料金を下げました。このことについては、私先ほど申しましたように非常に結構だと高く評価しているわけでございますけれども、それは一〇%の値下げであったわけです。ところが、昨年の十一月二十日の新聞報道によると、通話三百三十円まで引き下げが可能と考えていたようだし、しかし、NTTの長距離料金引き下げを進めながら、新電電三社の育成を意識する郵政省は三百六十円案を支持。三百六十円になったわけですけれども、同省首脳が非公式に示唆する場面もあったと。下げることについては、これは私はいいと思うんです。こういう記事が載っておりましたけれども、この記事の内容についての確認ですけれども、こんなことがあったんですか。
  107. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 結論的に申し上げましてそのような、報道されたような事実はございません。  NTTの方におかれまして、遠距離料金の引き下げにつきまして、財務状況等をつぶさに検討されました結果、今日の時点では四百円を三百六十円に決定をすることが妥当であるという結論を得られ、その申請をいただいた私どもはそれを処理させていただいたということでございます。
  108. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、郵政省の方にはそういう意見はなかった、こういうことですわね。  もう一つ、これに関連して具体的な問題でお聞きしますけれども、ポケットベルの値下げについても、NTT郵政省に料金値下げを打診している、こういうふうに聞いておりますけれども郵政省サイド、あなたの方では新規参入業者が育つまで値下げを認めず、いわゆる客の確保といいますか、そういう面で、NTTの営業努力で乗り切りなさいと、こういう方針のようですけれども郵政省はこの値下げを認めるつもりなのかどうなのか、この点はどうなんですか。
  109. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) いわゆるポケットベル、一般名詞で申しますとページング、無線呼び出しサービスということになりますが、これにつきましても昨年以来、NTTとNCCの競争状態に一部の地域についてなっております。NTTの方から、私どもこれの値下げを行いたいという具体的な申し出を受けておりませんが、もしNTTの方が、こうした無線呼び出しサービスについても料金の引き下げを行いたいという意思を固められました際には、私どもといたしましては、NCCの無線呼び出しサービスNTTの電話のネットワークに依存しているということから、NTTのその電話サービスにおける内部相互補助が行われていないという担保措置だけはきちんと確認したいと思います。そして、NTTの無線呼び出しサービスにおいて、内部相互補助が行われていない上で黒字であるということで、それを値下げに充てたいということでありますならば、私どもも速やかにこの値下げを期待したいと思います。
  110. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、NTTのポケットベルの料金の値下げの申請は受け付けると、こういうことですか。
  111. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) NTTの電話ネットワークとNCCのポケットベルが非常に密接な関連を持っておりますので、NTTの内部で内部相互補助が行われていないということが確認できるということが大前提でございまして、電話事業の上がりでもって無線呼び出しサービスを補てんしているというような事態がかりそめにもあったとすると、これは非常に公正競争の見地からぐあいが悪いわけですから、それは確認さしていただいた上で、NTTにおいてきちんと会計整理をした上でお申し出があれば、私どももむしろ速やかに値下げを行ってもらいたいというふうに考えております。
  112. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 事業法の改正の精神に照らしてもそうですけれども、私さっきから言っているように、公正な競争とは、結果として消費者、いわゆる国民に良質な低廉なサービスを提供されることだ、こういうふうに私は思います。そういうつもりで努力はしているのはよくわかります。しかし、今言ったように、そういう問題もあるわけです。NTTと新規参入業者の利益のバランスをとるような、そういう感も与えなくもないんです。私はそういうように思うんです。郵政省は常に、我々もそうですけれども国民の立場に立って、いわゆるユーザーの立場に立って政策の運用をすべきだと、こういうふうに思いますけれども、その運用がどうも欠けているような気がしてならないんです。大臣どう思いますか。
  113. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 六十年四月の見直しでございますので、着実に進めてまいるためには余り事を急いではいかぬと思いますが、お話のように、値下げを我々が途中で規制をしているような印象を与えることも、これ大変なことだと思いますので、先生の御指摘のように、各企業が育っていきますその過程においてもできるだけ早い機会に低廉な料金に下げていきますように、今局長が御答弁申し上げておりましたように、中でお互いが利用し合う機械、器具の面を配慮をしながら、完全にその企業に無理が行われていない、無理な値下げと言うと語弊がありますけれども、その企業間の、高い位置から電気通信事業を管理する役所としての責任を果たすための目は、大いにひとつ注目をしてまいりまして、国民ユーザーの利益と、将来の電気通信事業が公正な競争に入りますように誘導していきたいというのが気持ちでございます。
  114. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 NTT結構です。  それで需給調整の問題もございますけれども、時間がございませんので、この前ちょっとどうしても聞いておきたかった問題がありますので、その点に移ります。  民間のDM、ダイレクトメールの宅配についてでございますけれども民間DM宅配業の現状について最初にお伺いします。  今、これは郵便物ではありませんと、こういう切手みたいなシールを張って、各家庭に配られているチラシやDMを最近よく私は見かけますけれども郵政省はこの地域限定型のDM宅配業の現状についてどのように認識をされているか、説明してください。
  115. 田代功

    政府委員田代功君) ここ数年前から都市部を対象としたいわゆるDMの宅配というものが出現しております。詳細を把握しているわけではございませんが、全国ネットワークを目指した企業も中にはございますし、それから各地域地域の新聞の配達網を利用して、そういった商売をしようといったものもございます。で、考えてみますと、こういうDMの宅配と申しますのは電気通信と違いまして、わずかな店舗とアルバイトを数人雇えば簡単に仕事が始められるということで、都会地においてはこういうサービス、こういう商売が比較的容易に可能になっていると思います。  それで、今お話しございましたように、これは郵便ではありませんと言って、郵便のような体裁をとったDM宅配が間々見受けられますが、私ども郵便という立場から見ますと、極めて郵便に類似といいますか、郵便まがいの商売だと受け取っております。で、中に信書が入っているのではないかという疑いもございますが、これは密封されておりますと、なかなかはっきりしたことはわかりませんが、もし入っておりますと、これは完全な郵便法違反だと、こういうふうに考えております。そういった意味で、郵便事業にとってはこの問題大変基本的で、かつ重大な問題であるという認識を持っております。
  116. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 重ねてお伺いしますけれども、今このDM、局長の御説明のあったとおりでございますけれども、宅配業の業務ですね、これは、郵便法の第五条には、「何人も、他人の信書の送達を業としてはならない。」、こういう法律がございますけれども、それではこれに抵触するのかしないのか、どちらなんですか。どういう見解を持っておられますか。
  117. 田代功

    政府委員田代功君) 配られているDMと一緒に、例えばあいさつ状その他の通信文が入っていますと、これはいわゆる信書でありますから、これは明らかに郵便法五条の違反でございます。しかしながら、いわばはっきりした信書が入っているケースはそれほど多くないようでありまして、DMそのものではありますけれども、最近のDM、広告効果を高めるために相手をなるべく特定して、あなただけにこのDMを送りましたという手法がだんだん取り入れられてきておりますので、そういった意味では信書に非常に近いものが出てきていると考えております。
  118. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 何か余りはっきりしないけれども、じゃ、信書という定義はどういうことですか。
  119. 田代功

    政府委員田代功君) 信書とは、これは判例で確定しておりますが、特定の人にあてた通信文を記載した文書、要約しますと、そういうことになります。通信文というのは、手書きであれ印刷であるとを問わない、自分の意思を他人に伝え、あるいはある事実を通知するために文字またはこれにかわる記号を用いてあらわされたもの、こういうことではっきりいたしております。
  120. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 信書というのは、これは広辞苑で言うと、「特定の人が特定の人に意思などを通ずる文書」、と、こうなっているんです。まああなたの言ったのと同じですけれども。そうすると、いろいろDMなり宅配便が配っている中にはいろんなものがあると思うんですけれども、普通の手紙、それから電報、通信や連絡、それから通信文書、納品書、受取書、請求書、会議関係の案内書、それからキャッシュカード、クレジットカード、さらにお祝いや香典に入っているいわゆるあいさつ状、こういうものは信書ですか、信書でないんですか。
  121. 田代功

    政府委員田代功君) 今たくさんの例、ちょっと私も一つ一つ追っかけておったんですが、クレジットカードをただ送るだけが信書かどうか、ちょっとにわかに自信はございませんが、今お挙げになった大部分は信書に当たるものの例でございます。
  122. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 細かくなりますけれども、お祝いや香典返しの品物に添えたあいさつ状、これはどうですか。
  123. 田代功

    政府委員田代功君) 信書でございます。
  124. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 信書ですか。
  125. 田代功

    政府委員田代功君) はい。
  126. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 今言ったように、DMというのは、ある人から、ある法人から不特定多数の人に配達されるものと見て、私はこれは信書に当たらないと思うんです。いわゆるDM、ダイレクトメールですね。  そこで、民間の配達業者、または地域限定型のDM配達業者、この人たちが運んだ荷物、またはそのダイレクトメールにしても、これは郵便法第五条には抵触するかしないかというのは、これは非常に難しいと思うんです。よく中を見ないとですね。そこで開かなければわからないと。手紙であった場合には封を切ってみないと、これが信書であるかどうかということは結論としてわからないと。こうなると取り締まりは非常に私は困難だと思うんですけれども、この困難だと思う取り締まりは、法には抵触するわけですから、どういうふうにおたくの方では取り締まっておられるんですか。
  127. 加宮由登

    説明員加宮由登君) 先ほど来先生お話がございますようなダイレクトメール、あるいはその他宅配の小荷物の中に手紙を封入して送達する場合を初め、一般に他人の信書の送達を業とするという態様は、これすべて五条違反ということでございまして、それに該当すると思われるような事実がございましたならば、私ども監察の方でその実態を詳細に調査をいたしまして、その具体的な態様に応じまして措置をするということでございますが、現実には先ほど郵務局長のお話もございましたように、信書の定義というものが必ずしも理解されてないという場面もございますので、そういう意味では一般の刑事犯と若干違います。そこで、信書の意義というものも御理解いただきながらいわば注意、警告をまずいたすという措置をとり、その上でなお引き続き違反状態を繰り返すというような事態に対しましては、これを訴追するという方法で臨んでおるわけでございます。
  128. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 警告、検挙と、こういうことでございますけれども、今までの数字をおたくの方からこれもらいましたけれども、五十七年六月二十一日佐川急便が罰金五万円、こういうふうになっておりますし、五十八年十二月六日検挙、これは第一貨物自動車、起訴猶予四人、こういうふうに出ておりますけれども、この数字からいくと、ごく少ない数字になっているわけです。  それに関連して私、最近特にバイク急便ですけれども、これも同じようなことだと思うんです。バイク配達便でございますけれども、オートバイ宅急便とか、バイク特急便、高速便が都内一円を走り回っているわけですけれども、私も車のオーナーで、乗っていると非常に事故の点で、すっと隣から、横から出てくる危険性もありますけれども、それは別問題として、都内一円、いわゆる一時間以内に配達いたします、もしおくれればお金は要りませんと、こういう新商売が非常に今急成長している、聞くところによると、これは五十七、八年ころからこの新商売が出てきて、現在都内だけでも約八十社程度、三人のところもあれば五人のところもある。多いところは三十人、五十人と、こういうふうにこの新商売が繁盛しているようでございますけれども郵政省としては、この点については何か把握しておられますか。
  129. 田代功

    政府委員田代功君) いわゆるオートバイ便もここ数年前から大変はやってきたといいますか、数が多くなってきたことは承知しております。何社あるかという調査をごく最近は実施しておりません。むしろ先生のおっしゃいました八十社程度ではなかろうかというふうに、私どももいろんな角度からそのように思っております。  運んでいる品物でありますが、これも先ほどのDMと同じでありまして、信書を運びますと、これは明確に郵便法違反でございますが、業者に言わせますと、これは信書ではなくて、いわば小型物品といいますか、企業の業務用の書類ですとか見本ですとか、こういったものを運んでおりますということを私どもには言っております。
  130. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私は疑いたくはないんですけれども、そうではないと思うんです。逆にやはり信書が中に相当あるんではないかと。これは私の想像ですから間違っているかもわかりませんけれども、実際に今バイク急便の中身は信書に当たるものが非常に多いんではないか、こういうふうに私は推測するんです。これはあけてみなけりゃわかりませんけれども、そういう疑われるものが今どんどん急成長していると。こういうことに対して郵政省は、ただ、あれはないんだと、信書はないんだと、向こうが言うとおりなんだと、見てほうっておくということは私はちょっと問題ではないかと。何か対策は考えておられますか。
  131. 加宮由登

    説明員加宮由登君) 後ほど郵務局長からも御答弁申し上げると思いますが、先ほど先生、私どもが告訴した事件についてのお話がございましたが、そのほかただいまお話ございましたオートバイによる急便につきましても、オートバイで書類を送達いたしますというような広告、あるいはチラシを配っておるような業者、これらを含めまして、最近五年間で百八十件ほど警告をいたしておるところでございます。
  132. 田代功

    政府委員田代功君) 密封してあるからわからないと言われればそれまででありますが、日本は法治国家でありますから、法律違反は法律違反という考え方を私どもきちんと持っていなければいけないと思います。ですから、郵便法違反は違反でありますが、私どものサイドも、単に手をこまねいてそういうものが出るのがけしからぬという態度ではございませんで、例えば、都内おおむね一時間以内に配達するようなサービスは、私どもも数年前から実は始めております。これは信書ももちろん含めての話でございますが、東京、大阪、名古屋といった大都会で、主として企業間の通信にオートバイ便を始めましたし、またその日の午前中に引き受けた郵便を東京、大阪、名古屋の三都市間でそれぞれ相手の地域に夕方の五時までに届けるという、いわば即日配達といいますか、そういったサービスも提供しております。  私ども民間のニーズといいますか、お客の要望にいかにこたえていくかというのも私ども仕事でありますので、こういった点からも私どもも手をこまねいて見ているわけではございません。しかしながら、いずれにしても法律違反のものをそのまま放置しておくということは、私どもいかにもどうかと思いますので、先ほど監察官も申し上げましたように注意をし、なお改まらないものについては法的手段に訴えるということも並行して考えたいと思っております。
  133. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 法治国家ですから、きちっとその点はしなきゃいけないと思いますけれども、まとめて結論として私の意見を含めてお聞きいただきたいと思うのですけれども郵便通数は年間百八十億通にもなっているわけです。国民からの信頼性も高く、全国同一料金で配達されているわけです。最近は郵政省努力によって、配達便のスピードも大変スピードアップしてきましたし、また時によっては速達と普通郵便が同時にあて先に着くと、こういうこともあるところではあるわけです。非常に私は結構なことだと、こういうふうに思っております。  また、商品の広告、宣伝のための大量に出される広告郵便物についても、昨年十月から最高三〇%まで料金の割引が行われております。これも私は非常に結構なことだと、こういうふうに思っております。しかし、今申し上げましたように、宅配便の中に入っている手紙、このDM宅配業のような業者の著しい増加に伴って、私は時代として、現実の問題として郵便物をすべて国、郵政省独占してやることにはまた限界があるんではないかなと、こういうふうにも一点感じるわけです。  そこで私、私見でございますけれども信書というのは先ほどの解釈のとおり、特定の人にあてた通信文と、こういうことで、これは基本的には郵政省が私は独占でいいと、こういうふうに思っております。不特定多数の人にあてたこういう通信文についてはダイレクトメール、DM、チラシを含めて民間とどんどん競争になってしかるべきだと、こういうふうに私は思っております。そこで、その競争の中で、競争されればサービス向上にもなるし、また料金の引き下げ、そしてその結果として郵便物の通数が伸びると、郵政省の増収になると、こういうふうにも私考えるんですけれども、このような考え方についてどういうお考えを持っておられるか、教えていただきたいと思います。
  134. 田代功

    政府委員田代功君) 今のお話で、信書の送達は郵便局独占でよろしいと。それ以外のものについて競争してはどうかというお話でございます。その限りにおいては今の法律の建前、立て方も一部そのようになっております。と申しますのは、信書独占と、それから信書でない郵便事業そのものの独占の考え方も実は今の建前の中に入っております。と申しますのは、そもそも論になりますけれども郵便というのは、やはり山間僻地まで含めて同じ料金で、しかも大変効率の悪いところまで含めて、国民の最低の通信手段の確保という意味がございますもので、この郵便事業独占というのはやはりぎりぎりのところ今後とも必要であろうと。その上に立ってどこで線を引くかの問題に実はなろうかと思いますもので、今の特定、不特定で通信文を分けられるかというのも私ども事務的にはいろいろ議論はしておりますが、なかなか難しい問題がございます。  したがって、世の中の動きのすべてについて私ども法律を盾にどうこうするつもりはございませんが、やはり郵便局郵便がこれからもどんな町の中ででもどんな田舎ででも十分に機能するために、あるいはそしてまた民間の需要にこたえていくためにどういう線の引き方をすればいいかという問題だろうと思います。今ちょっとここで先ほどの御質問に対して直接の答えはございませんが、そういう気持ちでこれからも考えていきたいと思っております。
  135. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ちょっと一言だけ。  じゃ、わかりました。非常に難しい問題でございますけれども、世の中は変わっているわけですから、進んでいるわけですから、その点よく考え合わせて、そちらの方も増収ということを考えて努力をされているわけですから、それも兼ね合わせて、難しい問題だとは思いますけれども、検討をしていただきたいと、こういうふうにお願いをして質問を終わります。ありがとうございました。
  136. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに、郵トピア構想について伺います。  郵政省からいただいた資料によりますと、郵トピア構想について、以下のように述べている部分があります。    〔委員長退席、理事大森昭君着席〕  「モデル都市は、別記の二十都市を指定し、当該モデル都市の地方自治体と関係郵便局とで各種のサービスの実施方法等について打合せの上、準備が整い次第順次実施のこととする。」と、こうなっておりますが、その実施状況を初めにごく簡潔で結構でございますので、御報告いただきたい。
  137. 田代功

    政府委員田代功君) 郵トピアの指定は昨年の四月に全国二十の都市において行いました。指定をした後、各都市の地方公共団体と地元の郵便局、本省ももちろんその指導はいたしておりますが、その町にふさわしい新しいサービスとは何だろうかということをいろいろ意見交換などいたしまして、昨年の四月の指定後数カ月たって、夏以降ぽつりぽつりといろいろな都市でいろいろなサービスを始めたところでございます。  二十の都市で、それぞれ同じようなサービスを二十カ所で実施したケースもございますし、またある町では実施したけれども、こちらでは実施しないと、いろいろございますので、一律にどこまで実施したという御説明はちょっと難しゅうございますが、今逐次町ごとにサービスを始めたところですと、こういう状況でございます。
  138. 山中郁子

    ○山中郁子君 実際問題としては、緒についたばかりだというふうに理解をいたします。  それで、私はこの「郵トピア構想について」という郵政省の文書の中でも、例えばこういうふうに述べておられるんですが、「当該モデル都市に地域社会発展に資するサービスや新しい郵便サービスを集中的かつ先行的に提供することを内容とする「郵トピア構想」を六十二年度から展開することとした。」と、こうなっているわけであります。これが六十二年度からとは言うけれども、別に六十二年度の四月から実施されたということではなくて、かなりまだ、今現在緒についたというふうな判断だということだと思うんです。  それで、私は一つやはり問題として感じますのは、あなたの方の資料をいただいて、いろいろさまざまなサービス、新たなサービスなどを試みたりあるいは試みようとしたりしています。それで、例えばこれはモデル都市独自サービスの中に入るものなんですけれども、不在再配達郵便物の配達時間指定サービスというのを沼津市でやっておられるんですね。この先行的に集中的に試みにやっていくという基本ですね、この郵トピア構想というものが。その中で、これはモデル都市独自のサービスとして入っているんですけれども、私が前にも委員会で申し上げたような気がするんですけれども、これやっていただくと大変ありがたいのよね。    〔理事大森昭君退席、委員長着席〕 これで本当に悩んでいるんですよね。私の生活態様からでしょうけれども、常時人が家にいませんからね。荷物が何か来ましたよと言われても、何日にというふうに指定できないんですよね。一日じゅう朝から夜までいるわけじゃないからね。だから、その何日の何時にというふうにお願いできれば大変ありがたいというふうに思うので、この配達時間指定サービスというのがあると私自身は大変ありがたいなと思って、今そういう方たちもふえていると思うんですけれども。例えば、こういうものを果たして全国的なサービスとして郵政省が、皆さんに喜ばれるからと言って広げていく見通しがおありになるのかどうかということなんです。  それで、つまり私が心配するのは、こういうふうにして喜ばれるサービスをいろんな形でやっていくでしょう。そして、それは確かにいい、喜ばれると。しかし、そこのところしかできない。そしてまた、それも試行でやってみたけれども、なかなか全国的にはなりにくい。そうかといって、やったところで喜ばれてはいるけれども、これは試みにやってみたけれども、やっぱり全国的には広げにくいからやめますよというわけにそれはいきませんでしょう。そうすると、やっぱりサービスの格差というのは固定化していくという危険をはらんでないか、この郵トピア構想というものを一生懸命やればやるほどね。そこのところが一つ、私はやはりかなり基本的に心配すべきものとしてあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょう。
  139. 田代功

    政府委員田代功君) 今例に挙げられました配達時間の指定というのは、実は私ども日常郵便仕事をしていますと大変に希望の強いサービスでございます。  ただ、これを実施しますと、お説のとおり大変手間のかかる仕事でございますから、本当に全国一律にできるかどうか、今のところ見通しが立っているわけではございません。ただ、やはり時代の流れといいますか、お客の希望がだんだんそういう方向に行っていることも事実でありますから、私どもとしては、何かこういう方向でのサービスが導入できないかということは常々考えているわけです。ですから、今は二時間の単位で指定をしておりますが、例えばこれをもっと、もう少し幅広く指定すればどのぐらいの手間がかかるのかとか、あるいは場合によっては、じゃ別料金でそういうサービスができないかとか、そういうことも実はいろいろ考えております。  で、理屈で言いますと、試しにやってみて、やっぱりだめだった。じゃ、やめましょうということもないわけではございませんが、こうして郵トピアの都市で始めるということは、将来的にはやっぱりこういうサービスはいいことだ。何かの方法で、やはり実現に向けて全国的に広げていきたいという気持ちがあってこそでありますから、いろいろ難しい問題はあろうかと思いますが、こういう実験、試行を繰り返しながら、問題のありかを徐々に明らかにして、可能な方法を探っていきたい、こういうふうに考えております。
  140. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、どのくらいの時間的な見通しというかしら、試行的に試みてと言ったって、三年も四年も五年もずるずるやってたら、それはやっぱりサービスの格差の固定化になりますしね、その辺はどのぐらいのスパンで考えていらっしゃるんでしょうか。
  141. 田代功

    政府委員田代功君) これも常識的には一、二年で見きわめなければいけないと思いますが、今例に挙げられましたような配達指定時間は一番実は難しい、私どもが導入するにしても一番問題の多いサービスですので、こういったものまで一、二年で全国に広げるめどが立つかどうか、ちょっとはっきりいたしませんが、一般論としてはそういうことになると思います。
  142. 山中郁子

    ○山中郁子君 やはり一つの矛盾というか、例えば沼津でそういうサービスをやって、皆さんに喜ばれている。そうすると、この郵トピア構想自体が各自治体と協力をして、いろいろ情報交換もして、全国的にそのサービスの情報交換もしていって、やっていくということがあるわけでしょう。そうすると、沼津でそういうことをやっている、じゃ、うちの方だってぜひやってほしいとか。また具体的にはお隣の、周囲の自治体なんかでは余計、局なんかは、何で沼津ができてうちの局ができないのと、こうなりますでしょう。そういう点で、おのずとやはり一つの矛盾があるんですね。で、私はそこのところとやっぱり紙の裏表の関係だと思うんですけれども、もう一つやっぱり問題として意識せざるを得ないのは、当然ながら要員増を必要とするんですよね。要員を必要とするんですよね、このサービスの拡充というのは。  現在、私、きょう短い時間で本格的に要員問題論ずるつもりはないんですけれども、現在でも要員不足で、さまざまな事態が起こっていることはもうとっくに郵政省は御承知のところだと思います。  例えば、今回モデル都市に指定されている一つであります兵庫県の西宮市の場合をとって見ますと、西宮郵便局では未配達物数、これは労働組合の調査によりますと、相当数にやはり上っているんですね。昨年十一月の実際の数字を調査したものなんですけれども、九つの班から成っている集配課で、一カ月を通して完配がゼロなんです。その日のうちに全部配達したのはゼロ。それから、残物数の多い日は二万を超える、超えたのが三日、ほぼ二万に近いのが二日あるんです。それから、一万を超えているのが十二日もあるんですね。つまり、これは日曜日は別ですから、一カ月間、二十五日中の十五日分、これがもう一万を超える残物数ですよ。完配はないんですよね。だから、六〇%も一万以上の残物数を残しているんです、集配がですね。  こういう状況のところに、そして長時間労働、つまり残業ですね、残業がやっぱり恒常化していましてね。私ちょっと驚いたんですけれども、もう夜の、前の日の残物数があるから、次の朝早く出てきて集配やってくれみたいなことを頼まれるのかなんかよくわかりませんけれども、私は明らかに労働基準法違反だったり、あるいは労働協約違反だったりすると思うんですが、そういうことも耳にする。これは、西宮郵便局でそういうことがあるということではありませんよ。そういうことが郵政の職場の中でも耳にすることがあるというほど全般的に要員不足で、労働過重あるいは長時間労働、つまり残業ですね、そういうものが行われているところへ本来のサービス、一つは本来のサービスがより低下していくわけでしょう、完配がなしに残物数がどんどんふえるということはね。そこへ新しいサービスをそのままの状態でかぶせていくということになれば、何らかの形でね、それは皆さんの工夫なさっている中で、例えば要員を必要としない形で新しいサービスを生み出していくという工夫の余地はおありになりましょう。そういうことも全然ないと私は言わないけれども、基本的にやはりサービス郵便事業というのは人手に頼る事業でございますと、いつもいつも郵政省おっしゃるけれども、そういうことなのね。だから、本来の基本サービスをより低下させる要因、それから、あるいは労働者の、職員の労働条件をより低下させる、そういうものになってしまってはまずいし、そういうものとの調和あるいは解決、そこのところをあわせて真剣に考えていかないと、この郵トピアと言うけれども、理想からはどんどんどんどん逆に遠くなっていくような、そういうものになりかねないという心配が私はありますんです。それで、この要員問題については、その展望なりはどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
  143. 田代功

    政府委員田代功君) 現在実施しております二十の都市での郵トピアの実験といいますか、試行に伴う要員措置と申しますのは、これは全国的にいろいろ工夫いたしまして、季節の定員の差し繰りなり、あるいは賃金といいますか、非常勤の措置なりで実施しております。現在のサービス、現在郵トピアで実施しているものはそれほど人手を食うものではございませんで、先ほどの沼津の例でも、指定された時間に持っていくというのは、一日その郵便局だけとってももう数通、十通にも満たない程度でありますから、現時点で、このために特に非常に要員配置がきつくなっているとか、そういうことにまでは至っておりませんし、またこれに必要なものは、それなりの私どもとして手当てをしたつもりでございます。  これから先、じゃこれを本格的に実施する場合の問題というのは今お話しになったことでございますので、基本サービスをないがしろにしてまでということではございませんが、ただ、これはいろんな場で私ども申し上げておりますように、これから郵便局が時代の流れに対応して新しいサービスを導入していくことこそ郵便局が生き延びる道だと考えておりますので、これは部内的にはいろいろな相談もし、いろいろ工夫もしなきゃいかぬと思いますが、新しい仕事をふやしていくことには私ども積極的に取り組みたいとは考えております。
  144. 山中郁子

    ○山中郁子君 今までの分でも十分な手当てがされているというふうなことは、そのとおりですとは私は受けとめにくい、受けとめられない事態はたくさんあります、先ほど指摘したものも含めて。しかし、いずれにいたしましても、今私が申し上げたのは二つ。この郵トピア計画で、ほかにもいろいろあると思いますけれども、大きな基本の問題として、サービスの格差の固定化を生み出してはならないはずであるということと、もちろんサービス向上することは十分必要なことです。それから職員や基本サービスですね、基本サービスへのしわ寄せをもたらしてはならないだろう。そのことが大きく危惧されることだし、またそれはあってはならないことだという点で、この二つを私はやはり考えざるを得ないわけです。  かなりやっぱり根本的な問題を抱えているというふうに思います。郵便局地域社会の中で住民に利便を供するためのさまざまな施策を模索していくということは大変結構なことだと私も思っておりますけれども、今伺った二点について、郵務局長からはそれぞれ御答弁ありましたけれども、ぜひ大臣に、私が申し上げましたような点での郵トピア構想が逆に理想から離れていくような、困難をもたらすようなものにならないような慎重な取り組みをくれぐれもお約束をいただきたいということ、大臣の御見解を向いたいと思います。
  145. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) ユートピアという言葉自体が理想郷なんという意味がありまして、その「ュー」と郵政省の「郵」とを重ねた大変名前としてはいい名前だと思っておりますが、メニュー見ましても二十くらいありまして、絵入りのはがきの発行とか、それから「ふるさと小包」の開拓とか、それからカルチャースクールの開催とか、高齢者文通サークルの結成、それから郵便局施設の提供、それからニューメディア機器の配備、ミニ郵便局の設置、それからお便りコーナーの設置、記念ポストの設置、それからレタックス利用者端末引き受け、それから巡回郵便、配達地域指定郵便、それから超特急郵便、この超特急郵便というのは今のところどこも、先生指摘の町で、中小都市でやっているところはないようでございますが、贈答品、それからレタックス同時配達、それから郵便物作成サービス、区分配達郵便、それから国際文通郵便サービス、姉妹都市記念サービス、海外ふるさと小包充実と、今のところ働いている方々に過重な労働を強いるような内容にはなっておらないようでございます。  先ほど先生の御指摘の、時間外に指定をしてもらって配達してもらったら本当に便利だと、私どもも庶民の立場で考えてみましてもありがたいことだなと思うんですけれども、それだけに働く人々にはそれがまた負担になってくる。その両方をどう調和させるか。働くとは、はたを楽にさせるというのが語源だと、こう言いますから、はたを楽にさせると自分が苦しくなってくるというのは、これはどうしてもプラスマイナスがあるわけでございまして、その辺慎重に私ども対応していって、余り大きな期待をかけることがかえって働く人の立場を悪くする。そのいいところでどういうふうに調整していくかという問題等大いにひとつ局長さんにもお願いをして取り組んでもらいたいと思いますが、土曜閉庁の問題もあり、土曜閉庁になると、かえってまたサービス悪くなるんじゃないか、その辺が郵政省の悩みでもあり、また解決すべき大きな国民のニーズにこたえる道でもあると思っております。
  146. 山中郁子

    ○山中郁子君 誤解をされているようなので訂正しておかないと困りますけれども、私は時間外に指定しろなんて言っているんじゃないんですよ。配達時間の指定をしていただければ大変ありがたい。一日じゅう家にいて持っていなきゃならないんじゃなくて、何時というふうにね。だから、別に時間外に長時間労働を強いるようなことを言っているんじゃないんで、誤解をいただいては困りますので訂正をしておきます。ぜひそういう点では慎重に、かつそして今申し上げました点を配慮なすって、大臣おっしゃったとおり努力をしていただきたいと思います。  次に、電波行政の問題についてお伺いをいたします。  具体的には山形県におきますテレビ、FMの認可の問題です。一昨年の十一月二十五日の当委員会で、私は山形県での山形新聞、いわゆる山新グループというふうに地元では言われておりますけれども、この山新グループによるマスコミの集中独占の実態と弊害を問題にいたしました。  具体的に言いますと、山形新聞、それから山形放送、これはラジオとテレビと両方です。それから山形テレビ、これが全部山新グループ、つまり、山形新聞の山新グループによって独占されている現状です。現状も既にマスコミの集中排除に反して、集中独占になっています。これは報道の多様な発展、あるいは地域経済の活性化、あるいは民主主義の発展、こうしたものを阻害する重要な問題のある実態であるということは郵政省もお認めになったところでありました。  そこに新たにもう一波、第三テレビですね、それからFM放送、こういう割り当てが行われた。そしてこれをめぐって山新グループにさらにまたこれが支配されるという事態が、そういう成り行きが容易に考えられる。事態がそのように進んでいるということを受けた上で、私はマスコミの集中排除というのは、まさに放送局開設の根本基準として国が持っている方針でありますから、その原則に反することのないようにということで厳正に対応すべきだということを主張いたしました。当時の森島放送行政局長も、それからまた当時の唐沢郵政大臣も、集中排除を最も重要な方針として進めることを約束されているはずでありますが、そうしたことは間違いないこととして郵政省としては十分認識されていらっしゃると思いますが、念のためにお伺いをいたします。
  147. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今、先生冒頭にお話ありました山新グループが山形テレビ等について集中排除原則から反しているんじゃないかというようなお話ですが、これにつきましては、集中排除原則にのっとってやっておりまして、別に反しているわけじゃございません。  それから、マスメディア集中排除原則でございますが、先生も既に御案内だと思いますが、改めて申し上げますと、電波は大変数少ない有限貴重なものでございますので、できるだけ多くの方々に使っていただきたいということと、それからできるだけ多くの方々に言論の自由を享受していただきたいというような観点、放送を通じての自由な言論、報道市場を形成、伸長していきたいというようなことから、制度的に私どもは集中排除原則を維持していこうということでやってきているわけでございます。このような考え方というのは、放送が有限貴重なものでありまして、かつ社会的な影響力が大変放送というのは大きいものですから、これは今後とも守っていかなきゃいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  148. 山中郁子

    ○山中郁子君 そのことに私は時間を使いたくはないのですが、あなたが余りにも矛盾したことをおっしゃるので、もう一度伺います。  山形新聞、つまり山形放送の中のテレビとラジオ、山形テレビ、この三つを全部山新グループ、山形新聞が持っているのよ。これはマスコミの集中独占じゃないですか。ほかにないんですよ。この前にも私申し上げたけれども、あるホテルがオープンしようと思って、一生懸命宣伝のための広告を入れたら全部締め出されている。これは山新グループが自分のホテルを持っているから、競争相手になるようなホテルの宣伝のコマーシャルだとか、折り込み広告さえ拒否した、そういう問題が出てきて、この前指摘しました。余り時間とるつもりないんですけれども、山形放送の中のテレビ、ラジオ、山形テレビ、これが山形新聞グループでもって独占されているということではないとおっしゃる根拠は何ですか。ほかに放送のメディアが現在あるんですか。
  149. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 集中排除原則は、現在電波法の七条に基づきまして根本基準というものを省令で定めておりまして、それに対する考え方を通達で定めていることは先生御案内のとおりでございまして、その中身といたしましては複数局支配の禁止、原則として、一の者が二以上の局を支配してはいけないということが一つ。  それから、三事業支配の禁止、原則として三事業を支配してはいかぬということでございまして、ラジオ、テレビ及び新聞の三事業を兼営し、または経営支配することとならないことということにしております。経営支配の基準といたしましては、「一の者が放送局を所有する法人の議決権の総数の十分の一をこえて所有すること。」、それから役員の兼任といたしましては、「一の者の役員が放送局を所有する法人の役員の総数の五分の一をこえて兼ねること。」、それから「一の者の代表権を有する役員又は常勤の役員が放送局の所有者の代表権を有する役員又は常勤の役員を兼ねること。」が支配に当たるということでお示しといいますか、中身を決めているわけでございます。これに今お話のございました山形の場合は当たっていないということでございます。
  150. 山中郁子

    ○山中郁子君 あなたは何のためにそういうことを決めているのか、根本基準として、何のために電波法に基づいて、どういう理念でもってできているのかということを全くネグって、そういう言い逃ればっかりしたってしようがないの。私が言ったように、独占集中が何をもたらすか、だからいけないと言っているんでしょう。独占集中がもたらすもの、マスコミの集中独占がもたらすものが何なのか、だからそういうふうにしてはいけないといって、それで根本基準で書いている。だけど、それだけに時間とれませんから、ちゃんと基本的な理念をきちんとして、そして集中独占だといって、多くの県民の批判を受けているようなそういう企業に肩入れするようなことは慎しんでください。  で、具体的に申し上げますが、当時の唐沢大臣の答弁では、「既設の放送事業者、新聞事業者については厳しく排除する」というふうに答弁されました。当時は特にマスコミの集中排除の方式を盛り込んだ六項目の審査方針を申請者に示したとして、百五十九件の申請者について、申請者から個々に事情聴取を行っていると答弁されましたけれども、その事情聴取の結果については、いかがでございますか。
  151. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 昨年の七月十一日でございますが、百五十九社の全申請者に対しまして資格審査を実施する、その際には最も審査方針に適合する申請者に予備免許を与える旨、百五十九社の全申請者に対して通知いたしました。その結果、申請者間に一本化の動きが生じておりまして、同年九月に基本的に一本化が成立したとの報告を受けているところでございます。これにつきましては、先生御案内と思いますが、六十一年の三月の二十日に締め切りまして申請者の数が百五十九件となっているわけですが、先ほど申し上げましたように、競願処理を実施する旨の通知をしたところ、一本化の動きが生じてきたということでございます。
  152. 山中郁子

    ○山中郁子君 私はこの前のときに指摘をいたしましたけれども、当時は中央マスコミ、朝日、毎日などの県版でも報道していますが、百五十九の申請者のうち五十七名がいわゆる山新グループのダミーだということなんですね。そしてそれは送信所や演奏所が山新——山形新聞、山形放送、山形交通、そういうものの所有地や役員の自宅になっていることからも明らかなんですね。それを私指摘しましたけれども、そういうことをお調べになったんですか。
  153. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 五十七グループといいますか、五十七件は既に取り下げられておりまして、私どもといたしましては、本人がダミーであるということを申すところはございませんものですから、ダミーであるかどうかというのはつまびらかではございません。既に先ほど申し上げましたように一本化の動きが出てまいりまして、既に去年の九月に一本化が成立したというふうな報告を受けているところでございまして、五十七件につきましては、ダミーであったかどうかというのは私どもはわかりません。
  154. 山中郁子

    ○山中郁子君 森島局長がお約束なすったのは、申請者から個々に事情聴取を行うと、行っているとおっしゃったのね。それはまだ一本化の前ですよ。だから私はそれを今伺っているんだけれども、それはお調べになってないようですね。結局それじゃダミーであるかないかということがおわかりにならないと思うのよね。それはダミーだということが問題になって、そのことを私が指摘して、当時の森島さんが、それは個々に当たって調べているとおっしゃったから、今伺ったけれども、調べてないということでしょう。それで一本化だなんて言ってきて、はいはいって、あなたの方ね、そうやって受けるのですか。私は、郵政省がこの問題について何も努力してないとは決して思ってないですよ。決して思ってないですけれども、そうだとしたら、もうちょっとちゃんとしたマスコミの集中排除の原則を貫く姿勢が必要なんじゃないですかということを申し上げたい。今からでも遅くない部分があるならば、そのように努力をされたいということを、結論的に言ってしまえば申し上げたいわけです。  それで、一本化されたとおっしゃったその代表者というのは、山形商工会議所会頭である清野源太郎さんという人だと思います。これは後で確認します。しかし、この方も申請者に名前を連ねていて、そして一本化の代表者になっているんだけれども、この申請者の演奏所は、山形市旅籠町三の五百三十の二であると思いますけれども、これは確認できますね。これは山形放送の所有地なんですよ。だから、ダミーなんですよ、明らかに。承知していらっしゃるの、そういうことを。
  155. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先ほどの答弁で調べてないということを申し上げたつもりはないんですが、一部については申請者に調べてないというか、個別に聞いたことはあるようでございますが、全部じゃなくて、全申請者から事情を聞いたわけではございません。  それから、今のお話でございますけれども、一本化が成ったということでございますが、その後さらにいろいろと状況の変化がございまして、一本化が成ったわけでございますが、現在のところまだ私どもの方に正式の申請は出てきておりません。その後、申請者間で最終調整が行われていると聞いております。したがいまして、今のお話の件につきましては、正式に私ども申請として聞いておらないところでございます。
  156. 山中郁子

    ○山中郁子君 あのね、ちょっとそのような御答弁はどうかと思うんですよ。山形第3テレビ局一本化推進協議会というのがずっと行われていて、それで議事録もちゃんとつくられていて、それで、ここには郵政省がちゃんと出ているのよ。毎回そうしてやっているんですよ。それをあなたは何にも御存じないみたいなことをおっしゃっちゃいけませんよ。国会で、逓信委員会で、郵政大臣の一つの重要なあれである免許権の問題をこれは何回もやってて、そしてその中へ必ず郵政省が出ているのよ。で、ちゃんと議事録も出ているんですよ。私たち入手できているんですよ。だから、そういうことを言ってはいけないということと同時に、そこで確認をしたいのですが、その清野源太郎さんという人が、これが一月の二十九日に行われた第七回会議の議事録です。そして、清野源太郎さんという人が代表取締役会長になる、それから佐藤長助さんという人が社長になる、TBSから来る河合謙一さんという人が専務になる、最終的な調整としてこういうものが決められていて、そしてこの一本化協議会の議長としてその清野源太郎さんという人がなっているんです。そういうこと御存じなんでしょう。そういうこと全然知らないみたいな顔をしていないでよ。
  157. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 失礼しました。その動きは承知しないわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、正式の申請が出てきていないということで、まだ予備免許とかいう段階に来ていないということを申し上げたわけでありまして、清野さんという商工会議所の会頭でございますか、が推進協議会の会長を務めておりまして、その方が会長になるというような動きがあるということは承知しておるんですが、申し上げましたように、申請書として正式には出てきてないので私どもは承知していないと、その点は申し上げたわけでございます。
  158. 山中郁子

    ○山中郁子君 二つちょっと確認したいんですけど、私さっき質問した清野さんという人が申請者の一人であって、その方の申請による演奏所は山形市旅籠町三の五百三十の二でありますね。それは山形放送の所有地ですね。そこを確認してください。間違いないでしょう、それ。
  159. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 私、その点手元に資料がないものですから、承知しておりません。
  160. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは、私は事前にこのことについても申し上げておきましたので、お調べいただいてないということは大変怠慢じゃないかと思いますけれども、それは調べてすぐ御報告ください。これは間違いないことですよ、事実として。それで間違いないですよ。——ああ、わかった、わかったなら答弁して。
  161. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今、後ろからペーパーが入りましたんですが、そのメモによりましても所有地かどうか、山形新聞ですか、先生おっしゃったのは。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 山形放送
  163. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 山形放送ですか、山形放送の所有地かどうかはわからない、場所は何か合っているようでございますけれども
  164. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは調べればすぐわかることですので、お調べください。調べる機会が、申し上げてあるにもかかわらず調べてないということは、変にあなた方が山新に肩入れしているというふうに受け取られたってしようがないですよ。  それから、だから山新グループのダミーとして、清野源太郎氏が申請したことは明らかなんです。彼が商工会議所の会頭になったいきさつや行動をよく知っている地元の人たちは、だれも彼が山新グループのダミーだということはよく知っているんですよ。ダミーの排除ということを言うならば、清野氏を初めとする山新のダミー五十七名をまず外すことをしなければならないと思うんです。そうして、一本化の問題について取り組むなら取り組む。だから、さっきあなた、個別に当たったみたいなこともおっしゃったけれども、訂正されたけれども、清野氏については少なくとも当たってないわけよね。ダミーだからと言って私が指摘したんだから。それで新聞だって言われているんだから、それだったら、その場所がどこにあるのかというようなことをちゃんと調べるのが当たり前でしょう。そういうことを調べます、よく調べますということを当時の森島局長は約束されたのよ。約束されたことを何にもやってなくて、それで明らかなことを、みんなが知っていることをまだ郵政省が知らないなどとここでしらを切るということはあってはならないことであります。  それで、正式に申請が来てないから承知してないなんて、こういうことももう余り言わないでほしいのね。  つまり議事録、これは第六回協議会議事録ですけれども、ここで議長が、「またこれと並行して十四日午後、山形市内NHKにおいて東北電監側、佐藤局長、宮原放送部長、小嶋放送課長立ち合いのもとで清野会長、酒井副会長、相馬、酒井両委員が出席会社の骨格について話し合った。」と、ちゃんとこう郵政省の出た人の名前まで書いて、ちゃんとそういう報告がされているんですよね、議事録が出ているのよ。だから、承知してないみたいなことは言わないでもらいたいということなの。そういうことを重ねれば重ねるほど、あなた方山新のダミーだというふうに批判されている、その山新を肩入れしているんじゃないかという疑いを県民からもかけられるし、この国会において私が、やっぱりそれは国民の代表として、こういうかなり重要な、基本的な郵政大臣の免許権にかかわる問題について問題にしていることをね、疑いかけられたってしようがないということですよ。  それから、なぜ審査の対象にしたんですか、一本化協議会ができたとき。つまり、ダミーを外さないままに申請者を一本化することをなぜ受け入れたのか、郵政省としては。行政指導ですね、でしょう。一本化する動きが出てきたから、結構ですってということで、そういうことをやってくださいって、こうおっしゃったんでしょう、さっきの御答弁でもね。事実の経過もそうだと私は思いますよ。だけど、これだけ問題になっているダミーを外さないままになぜ一本化をしたのか。つまり、そうすれば、ダミーであるとだれもが思っている清野さんというような、こういう実力者、有力者が、山新グループの力を持っているそういう人たちが、それを代表するようにしてまとめていこうということになるのは目に見えていることじゃないですか。その辺はどうでしょう。
  165. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 一本化に当たりまして、省といたしましても申請者に対しまして、マスコミ集中排除原則の適用が図られるように求めてきたところでございます。結果としては、既設マスコミによる支配は排除できるものと、現在の動きからすると考えているところでございます。  先ほど申し上げましたように、マスメディアの集中排除原則というのは、繰り返しになりますが、複数局の支配の禁止、それから三事業支配の禁止でございまして、三事業支配の禁止の中身は先ほど私が申し上げた数点にわたるわけでございますが、まあそれらに今の動きからすると当たることはないのではないかと。ただ、正式に予備免許する際には、申請が出てまいりまして、その中身につきまして電波法七条によります省令の根本基準、あるいは審査要領等に基づきまして、厳正に審査をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  166. 山中郁子

    ○山中郁子君 唐沢大臣も当時、一昨年の私の質問の際に、森島局長もそうでしたけれども、既設事業者に集中させるようなことはしないと、そういうことはまずいんだと、こういうことをはっきりおっしゃっていて、それで個々にだから調査をしますとおっしゃっているんです。だから、郵政省がそのことについて、さっきも言いましたけれども、全然努力してないと私は言わないけれども、なぜ結局ダミーだということが明らかにわかって、新聞にも報道されて、現地の人たちもみんな知っているような人たちをまず排除してから、それから一本化なりなんなりの行政指導を受け付けるなり進めるなりなさらなかったんですかということを私は伺っている。ダミーを除いて一本化を是認したとすれば、まだ話はわかるのよ。だから、あなた方が一本化というものでもって、こう進んでおりますとおっしゃるのはまだわかる、ダミーを除いていればね。だけれども、込みになって、ダミーが入っているから、生き残っているから、そのままの一本化だったら、ダミーを排除するという約束にも反するし、集中排除の根本原則にも反するでしょう。そこのところを伺っている。だから、まさかあなた、ここへ山新グループがまた第三のテレビもとりました。後で言いますけれども、FMもとりました。それでもマスコミの集中独占じゃないとおっしゃるわけじゃないでしょう。そこのところをはっきりしてほしい。
  167. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 私ども、先ほど申し上げましたように、マスメディアの集中排除原則については、放送社会的な影響力も非常に強いものであるというような観点から維持していかなきゃいかぬということは先ほど申し上げたとおりでございます。  今回の場合も、資格審査をやるということで臨んだわけでございまして、その結果、修正期間を置きまして、申請に対しまして一部修正をするようにということを申し上げたところ、先ほど申し上げたように一本化の動きが生じてきたということでございます。個人的な名前を言うのはどうかと思いますが、清野さんという、商工会議所の会頭だと思うんですが、その人についてダミー、ダミーと先生は決めつけられますけれども、私どもはダミーだというふうには考えておりません。  それで、先ほども申し上げましたように、集中排除原則というのは複数局支配、一の所有者が二以上の局を支配してはいかぬということとか、三事業支配、原則として一の放送事業を行うことにより、ラジオ、テレビ、新聞の三事業を兼営するというようなことになってはいかぬ、または経営支配してはいかぬということでございまして、経営支配の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、十分の一を超えて一の者が所有してはいかぬというようなことを例示として申し上げたんですが、そういうようなことでございまして、それには今の動きからすると反しないんじゃないかと思いますが、申請が出てきた段階でなお法律に照らしまして、また基準に照らしまして厳正、公正に審査して、予備免許を与えるものなら予備免許を与えるようにしていきたいというふうに考えております。
  168. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が決めつけているんじゃないんですよ。最初からよく聞いておいていただけばわかるんですけれども、現地の中央マスコミの県版でも、五十七が山新のダミーであるということで報道をばっとしましたでしょう。一昨年、そのことを私は含めて取り上げて申し上げているの。そして、それらについて個々にあれをしなさい。今回この動きがずっと進んできている過程でも、この清野さんという方は演奏所の、そこは私がさっき申し上げた山形放送の番地なのよ。所有地なのよ。そこのところをあなた方調べもしないで、私が決めつけるなんて言わないでくださいよ。現地の人たちが、市民の皆さんの中から大変この点について大きな反発が起こっているの。それはあなたも御承知だと思うけれどもね。  だからいろいろそれなりの努力もされているんだということを私も全然否定はしませんけれども、結局のところは厳正に、そうした山新グループとつながりのあるような人々で、またさらに、山新グループの支配を強めるようなことをしてはならないという立場に本当にちゃんと立つならば、事前に掌握できたことなんですよ。この人がその山形放送の所有地のところに、その演奏所の所番地は、その山形放送の所有地であるはずだと私は考えますけれども、そこをお調べになってなくて、私が決めつけているというふうにはおっしゃらないでいただきたい。私が申し上げているのは、事実の経過から言って、それから現地の報道、それから県民の皆さんの意見、それからその方たちがみんなそういうふうに考えいらっしゃる、そういうことから問題が起こってきているということを申し上げている。  それで、もともと集中排除というのは、公正に切磋琢磨する、そういうことによって民主主義の発展地域の活性化、そうしたものを保障することを目的とするものであるということは、私が今さらここで講釈するまでもないと思います。このような事態は、今の、今進んでいる事態ですよ、つまり、一本化が進められていて、そしてとおっしゃるけれども、結局は、山新グループの人たちも結局は排除しないままに一本化をしているから、また山新グループの影響力がその中に残って、根強く残って第三波、テレビの三波もそこに影響を持つような結果になりかねないという、そういう既存のマスコミ集中独占を一層強めることになると私たちは考えますし、心ある県民の方たちが非常に憂慮をされております。ここのところは率直に受けとめて聞いていただきたい。したがって、マスコミの集中排除の原則に照らしてもこれは逆行であるということを言わざるを得ないと思います。  それで、申請はまだ受理していないけれども、その申請があったときには公正に審査するんだと、こういうふうにおっしゃるけれども、過程で一本化してきたらどういう審査になるんですか。そういう事態のもとでも、私がずっと一貫して指摘してきたような、そういう集中独占をさらに排除していくような努力を具体的に郵政省はするということを私はひとつぜひお約束をいただきたいのだけれども、実際問題として申請が来るというふうに、あなた方は来る段階に来ておるというふうに判断していらっしゃるわけでしょう。その辺も含めて、ちょっと展望と御見解をお聞かせください。
  169. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先ほど申し上げましたように、当初は資格審査をして、幾つか出てきているものにつきましての中身につきまして比較考量いたしまして、その審査基準に最も適合したものに予備免許を与えようということで動いてまいりましたんですが、先ほど申し上げましたように、その後一本化の動きが出てまいりまして、かなり進んでまいりまして、最終調整の段階に現在来ているというふうな状況にございます。したがいまして、一本しか出てこないというふうなことになりますれば資格審査ということはあり得ないわけでございますが、その際にも先ほど申し上げましたように、電波法七条に基づきます根本基準、マスメディアの集中排除原則につきまして、具体的な中身は先ほど申し上げましたように、三事業支配の禁止と複数局支配の禁止でございますが、そういう観点から見まして、その株式所有だとか役員の構成だとかにつきまして、そういう問題がないかどうか十分調べまして、問題がなければ予備免許を与えるということになろう。その前提といたしましては、電波監理審議会等におかけすることになるわけでございますけれども、そういう手続を経まして予備免許に至るということになるというふうに考えております。
  170. 山中郁子

    ○山中郁子君 放送局開設の根本基準、何回も繰り返し私も申し上げ、あなたもおっしゃっているけれども、それに照らして少なくとも郵政省としてはさまざまな問題点は把握されているはずですから、ですから国会でもこのように取り上げられている問題なんですから、だからよくよくそうした弊害を一層強めることのないような慎重な、そしてなおかつきっぱりとした、毅然とした姿勢でもって望んでいただかなければならないということを重ねて申し上げます。  もう一つ、FMの免許の問題もあるんですよね。FM局についても五十七年十月にチャンネルプランを発表してから百十九件の申請が出てきたはずであります。六十年十二月に山形県知事に一本化調整を郵政省は依頼されていますね。時間がないから私ちょっと経過を申し上げますから、違っていれば違っているとおっしゃっていただけばいいんです。その際も、集中排除をうたいながら、結局山新グループのダミーと思われるそういう人たちを排除しないで、これを含めて一本化の協議が重ねられてきたんです。同じ問題なんですね。このこともまた会議出席されているので郵政省はよく御承知なはずです。  それで、昨年十一月ごろから調整役、つまり県の企画部長が資本の出資配分案を提示されていますけれども、それによると、山新ダミーと判断される五十二件に最大の九%の枠をとるものだということが明らかになってまた問題になっている。それからまた、三月十七日に最終調整案を論議するということで会議が開かれたんですけれども、一本化の調整会議ですね、これが開かれたんですけれども、ここで田中哲という方を新会社の社長にするという案が提案されているということが伝えられていますけれども、この経過には間違いがないかどうか、答弁をいただきたい。
  171. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 大筋は承知しておるんですが、細かい点につきましては私、承知してない部分もございます。  申し上げますと、山形のFMにつきましては、六十一年の十二月十五日に県知事に、百十九本の申請があるんだけれども、一本化してもらえないかというようなことで調整を依頼していたようでございます。で、その後調整作業も大詰めに来ているということでございますが、今申された田中さん……
  172. 山中郁子

    ○山中郁子君 田中哲さん。
  173. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) というお話がございましたが、それらにつきましては、ちょっと私、手元にあれがないものですからつまびらかではございません。
  174. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、私の方からお伝えしますけれども、これも事前にたしか申し上げているはずですよ。  この方は山形新聞に入られてから山形放送、山形テレビということで常務などを経てこられた方なんです。それで、今は山形交響楽協会というものの会長をしていらっしゃる。この山形交響楽協会というのが、これが、こういうふうに山形新聞の袋、ここに全部、地域と一体山新・山交グループ連合と、こうなってますね。この中にちゃんと入ってるんですよ。山形交響楽協会というのがここに入っているのね。つまりそういう人なんですよ、この人は。だけど、この人を社長にするということを調整会議で、郵政省出席をしている、常に常に出席をしている調整会議で社長にするというふうに動いてきて決まってきている。それで、この人は山新グループのだからダミーだと言わざるを得ないでしょう、自分たち入っているんだから。山新・山交グループ連合の中に入っているんだからね。  それで、しかも、あなた方ちょっとしっかりとしてほしいと思うのは、この人は申請者じゃないんですよ。最初の申請者、百十九名ですか、の申請者の中に入ってないの、この田中哲っていう人は。入ってないでしょう。それが何で途中で、一本化の過程の中で、申請者でない人間を代表者にして申請をするようなことが可能になるのかどうか、そこのところをちょっと聞かせていただきたい。それにまた、これは一本化できてないはずですけどね。現状はどういうふうに把握していらっしゃいますか。
  175. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 現在、先ほど申し上げましたように最終調整段階に来ておるんですが、最終的には一本化したという状況ではないようでございます。  で、私の方からちょっと申し上げて恐縮なんですが、既設マスコミによる支配の排除、集中排除の原則につきましては、郵政省の方針は調整会議の場でも説明しておりまして、知事もその線に沿って調整を進めておられるというふうに聞いております。  それと、申請者でなければトップになれないというような原則があるわけではございませんで、私ども、その田中という人がトップになっているのかどうかというようなことは、まだ最終的に一本になっているわけではございませんし、申請も出てきておるわけではございませんので承知しておりませんが、原則論といいますか、一般論から申し上げますと、トップは必ずしも申請者に限るとか、申請者でなければトップになれないというものではございません。
  176. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、今おっしゃったのは、郵政省はその一本化調整、県に依頼してやってもらっている一本化調整会議の中にも出ていて、それで既設マスコミに集中していくようなことは、集中排除の根本基準から反するのでそういうことはしないようにちゃんと物も言うし、努力もしているというふうにおっしゃったというふうに私は今伺いました。だとするならば、私は今申し上げたけれども、田中哲さんという、この山形交響楽協会ですか、みずから山新グループだというふうに名乗っているその方が社長になるということはあり得ないと受けとめてよろしゅうございますか、あなたのおっしゃったこと。
  177. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 省はその調整会議の場には出席しておりませんが、調整が最終段階に来ているというような報告は受けているところでございます。先ほど答弁したとおりでございます。  先ほど申し上げましたように、集中排除原則というのは、くどいようでございますけれども、複数局支配と三事業支配の禁止ということでございまして、それに当たるような場合は、これを免許するということはできないし、またするつもりはございませんが、これに違反しない場合で、かつほかの要件等は審査基準等に照らしまして合っている場合には予備免許をする場合もあるわけでございます。集中排除原則は繰り返し申し上げますけれども、電波の波が大変貴重でございまして、有限貴重でございまして、大事なものでございます。国民的な財産でございますので、それをできるだけ多くの人に利用していただこう、開放して使っていただこうということと同時に、できるだけ多くの人に言論の自由を享受していただきたいという観点から、集中排除原則を立てて私どもやってきているわけでありますが、この点につきましては、今後とも原則としてこの方針を貫いていくという考え方でございます。
  178. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっと確認しますけれども、そうすると、先ほどからあなた方もお認めになっているけれども、テレビの調整会議はあなた方お出になっている、郵政省がね。で、FMの方は、県に依頼して一本化会議をやっているFMの方は、郵政省は直接そこに参加していないんですか。なぜですか、もしそうだとすれば。
  179. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 私が聞いているところでは県知事、公正中立な方に調整を依頼するということで県知事にお願いしているところでございまして、その場には私どもの職員は出席していないというふうに聞いております。
  180. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、あなたがさっきそういう態度で、郵政省はそういう態度で主張してきているんだとおっしゃったのは、どこで主張なさったんですか。何か一番最初の御答弁では、その調整会議に出ているというふうに私は理解していますけれども、出ていなくてどこでそういう主張をなすっているのですか。
  181. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 失礼しました。その最初の場には、全体集まってやる場があるわけですね。そのときには出たんですが、その後はずっと出ていない。ですから、その後の進捗状況につきましては、私ども職員が出席しているわけではございませんので、つまびらかでない点がございますが、先ほど申し上げましたように、最終段階に来ているということは報告聞いておるところでございます。報告というか、聞いておるというところでございます。
  182. 山中郁子

    ○山中郁子君 随分何か無責任な話で、そういうふうに一回だけ最初出て、そして郵政省の態度を、集中排除の原則をあれしなきゃいけないということをおっしゃって、それでそのままほっておいて、それでもう終局の状況に来ているんだなんて人ごとみたいにおっしゃっていていいんですかと私は思いますけれどもね。  いずれにしても余り時間があるわけではありませんので、ちょっと確認をしたいのですけれども、私どもの調査によりますと、一本化調整はできてないんですね、現在ね。それで山形エフエムということで申請されていらっしゃる長沼さんを初め四人の方が、一本化してないはずです、そうすると、この免許審査はどういうことになるのでしょうか。具体的に一本化された部分と、それからこの四人の方、合わせて五者を対象にして免許審査をなさるのか。そうすると、先ほど申し上げましたように、明らかに山新ダミーだというふうに多くの人に思われている、それで現実にこのグループの責任者である方も含めて経営する会社などが結局審査の対象になって、それで力があることによって審査免許を受けるみたいな事態がまたここでも起きてきたら、全く山形は全部山新グループでマスコミ支配されることになってしまうなんという、とんでもない事態が生まれてくるんですよね。その辺はどのようにお考えですか。
  183. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 私どもといたしましては、六十年の十二月に先ほどおっしゃったように大臣が知事に調整を依頼したところでございまして、その一本化調整の結果を待って、申請が出てきた場合に電波法等に照らしまして厳正に審査していきたいというふうに思っているわけでございますが、そういうことからいたしまして、できるだけ一本にまとまってほしいという気持ちを持っているわけですが、今のお話ですと、最終的に反対をする方もおられるやに聞いておりますが、そういうことのないようにできるだけ、知事が間に立っていただいているわけですけれども、一本化なるように期待したいというふうに思っております。
  184. 山中郁子

    ○山中郁子君 そういうことをあなたが強く郵政省として押していけばいくほど、自分も、山新グループが入っている、しかもその人を社長にするような方向で一本化が進んでいるようなものに一本化は合流できないし納得できないとされている人たちを、またもっと圧力をかけて一本化に合流してください、おろしてください、おりてくださいと、そういうふうになっていくということはわかるでしょう。幾ら何と言うのかしら、官僚的に物を考えたとしても、成り行きとしてそうなっていくというのはわかるじゃないの。そこのことを言っているの、私は。だから郵政省がどういう態度をとるか、そもそもは山新グループだということで明らかになっている人を、申請者残しておいて、それで一本化調整を依頼するみたいなことで、そんな山新グループの集中独占を排除していくということができないということは当たり前で、そこがもともとのボタンのかけ違いだと言わざるを得ないと思うのです。  それで、あなた方は耳にされているかどうかわかりませんけれども、そこのところ今しっかりしていただかないと、今度の第三テレビ、それからFMもいよいよ我が手中に入ったと、こういうことをおっしゃってね、この山新グループの服部さんが一月の半ばに行われた社内での送別会らしいですけれども、そこでもってあいさつされているそうですよ。まさにもう今までは三波持っている。今度はさらにまたFMとテレビの三波持っている。そういうことで全部、いよいよ第三テレビもFMも我が手中に入ったと、こういうふうに言って、それはもうみんな山形の方たちが服部社長がそういうことを言っているということは、本当に一体山形のマスコミ、言論、表現の自由の問題、その多様な発展の問題、それを保障するはずである根本基準が一体どうなっているのかということが良識ある人々の強い怒りでもあり郵政省に対する批判でもあるし、また郵政省にしっかりしてもらって、今からでも遅くないのだから、だからそうしたことを一層強めることのないように毅然とした態度で対応してもらいたい。これが心ある県民の声だということを私は申し上げ、最後にぜひともそうした県民の声にこたえて、大事な大事な、大変重要な権限ですよね、郵政大臣の。そういうものをその県民の期待にこたえて根本基準に反することなく、そして民主主義を発展させ、また県内の活動の活性化のためにも毅然とした対応をされるよう郵政大臣の御決意を伺って、この質問を終わりたいと思います。
  185. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 複数の放送事業独占することがないように、また三事業独占することがないようにという御指摘でございまして、今局長からもいろいろ御答弁ございましたが、私が山形の問題ではなしに、全国でのいろいろな対応をしておられます局長の報告を聞いておりますと、非常に厳正に、またきめ細かく時間をかけて努力をしていらっしゃる姿を、私就任以来でもつぶさに感じております。先生の御心配のようなことは私ども、決して御懸念のないように対応をしてまいりたい、かように思っております。  地方都市には、いろいろな地域で、いろいろな長い歴史的な背景があって、いろいろ問題を御指摘いただくこともあるようでございますが、やましいことがないという、そういう結果的な判断を、もう先生にも喜んでいただけるような対応をしてまいりたいと思っております。前郵政大臣のおっしゃったことと全く同じ気持ち対応してまいりたい、かように思います。
  186. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 私は郵政事業について、まず二、三質問申し上げたいと思います。  午前中の質問の中でも若干出ておりましたけれども、確認の意味において質問申し上げたいわけですけれども郵政事業財政の現状、なかんずく累積財政赤字、この解消の見通しは一体どうなっているのかということと、郵便需要拡大策、いろいろあるわけですけれども、その拡大策をどのように実施していくのかという、その点についてまずお尋ねしたいと思います。
  187. 山口武雄

    政府委員(山口武雄君) お尋ねの前段の事業財政の現状等につきましてお答え申し上げます。  郵便事業財政は、昭和五十五年度におきまして約二千五百億円の累積欠損金を抱えておりましたが、五十六年一月に料金改定をお願いいたしまして、あわせていろいろな各種の営業施策推進等によりまして、五十六年度以降六年連続して単年度で利益を計上することができました。昨六十一年度におきましては単年度六十億の黒字、その時点で累積欠損金を十五億まで縮少することができました。  それで今後の見通しでございますが、六十二年度につきましては現在、予算上単年度で二百八十五億の欠損を計上いたしております。しかしながら、本年度の郵便業務収入でございますが、比較的これまでのところ順調ということでございまして、この欠損の解消を目標に現在経営努力中でございます。  現在まだ予算執行中でございますし、今申し上げました収入は好調でございますが、支出の取りまとめその他若干まだ時間もかかりますので、解消見通しにつきまして明確に現在申し上げることは困難でございますが、およそそういう状況でございます。
  188. 田代功

    政府委員田代功君) 後段の郵便需要拡大策について申し上げますと、現在比較的郵便が順調でありますのは、職員の意識改革といいますか、一人一人の職員が本気でやる気を出したからということと、また、それを反映して郵便に対する国民の信頼が高まったからだ、ここに基本的な原因があろうかと思いますので、これから先もいろいろなサービス改善その他はいたしますが、やはり基本はその点であろうと。したがって、これを今後とも地道に、より本物であるように進めていくのが私どもの最大の仕事だろうと思っております。  そういった中で、今後具体的にどうするかといいますと、私ども三本の柱を基本に考えておりまして、一つは、豊かな地域社会郵便局がいかに貢献するか、これが郵便需要拡大につながると思いますので、例えば先ほど来話題になっております郵トピア構想の中で、地方自治体あるいは地方住民との間で十分な意思疎通を図りながら、何がその地域に求められているかといったことを探ってみたりいたしたいと思います。また、直接的に郵便の量をふやすためには、昨年来DMの割引などを実施しておりますが、これをさらに企業によく売り込みまして需要拡大を図りたい。また、国際郵便につきましても、この四月から一部値下げをして需要を喚起したいと考えております。  それからまた、郵便のシステムに情報システムを導入いたしまして、小包など郵便局で今どこにあるかということがたちどころにわかるような仕組みを現在開発中でございますので、こういったものによってお客様へのよりサービス改善に努め、そして需要をふやしていきたい、このように考えております。
  189. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 今のいろいろと拡大策、三つの柱を中心にして実施されているわけですけれども、どうも私、PRという面について不足しているような気がするんです。例えば一例でございますけれども、電子郵便というのがございますね。あれは五百円ですか、かかると思います。案外知られてない部分が多いような気がするんです。特に電報と違いまして、非常に物によっては温かみもありますし、心の通うものですし、あれをもっとPRなすったら、単価もあんな程度のものでいけるわけですから、今日のような社会では非常に利用が多いんじゃないかと、これは一例でございますけれどもね。PRにもそれは限度があるといいましょうか、切りがございませんけれども、例えばテレビ等を使ってそういうものは、新商品が出たらもう少しPRしていくとか、私は余りテレビ見ないのでわかりませんが、テレビでPRされた実績があるのかどうか知りませんけれども、もう少しそういう面での利用促進のPRということをお考えなすってはどうかと思うんですが、現在どのようなことを考えてみえるのか、お尋ねしたいと思います。
  190. 田代功

    政府委員田代功君) 郵政省PR下手というのは、実はいろいろなところで指摘されまして、先月でしたか、各界の女性の意見を反映しようということで実は大臣にも出ていただきまして、いろんな第一線で御活躍中の女性の方々から、郵便に対していろんな角度から意見をもらいましたが、要するに皆さん、やはりPR下手だということを言われまして、今まで一生懸命お金もたくさん使ってPRしているんだだがなと、私ども実を言うと、内心ほぞをかんでいる次第でございます。  電子郵便を例にとりましても、電報がもう百年の歴史を持っているのに対して、私どもたかだかまだ四年ぐらいの歴史しか持っておりませんもので、なかなか国民に知られません。担当している郵政省の職員はもう必死で現在、自分の個人の例えば祝いのときにもなるべく電子郵便を使うとかいたしておりますけれども、大勢集まりますと、なかなかまだ知られておりません。電報の四千万に対してことしで大体七百万ぐらいの私どもの通数でございますので、まだまだ、もう例えば一千万の大台になれば、少しは見たことがあるという人がふえるんではないかと期待しております。電子郵便につきましては、やはりお祝いが大部分でございますので、いろんなお祝いの機会に使ってもらうようにPRしております。  例えば、今実施中の選抜高校野球などは一番いいPRの機会なものですから、それぞれ代表校の出た町では、その町の商店などに働きかけまして、そこへ出ている選手に激励の電子郵便を打ってもらおうじゃないかなどということを実は実施いたしておりまして、これも一つのPRだと思います。
  191. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 ひとつこれは非常に拡大策にも通ずる一例でございますけれども、今後の努力をお願いしておきたいと思います。  それから、郵トピア構想について既に質問もございましたけれども、ちょっと別な角度からお尋ねしたいんですけれども、このごろいろいろ、何々トピアとか、何々シティーとか、何々ポリスとか言って、○○がいっぱいついておるわけですけれども、なかんずくこのテレポートシティーなどというのは、私、ちょっと横道にそれますけれども、高度情報化革命の中で、東京一極集中を排除する一つの大きな手段ではないかと思って期待しておりましたら、テレポートの方は東京と横浜と千葉ぐらいで、ローカルには余り目覚ましいものがない。ますますこれ一極集中という逆な、予想に反した方向に行っておりますが、郵トピアはちょっとそれと違いまして、非常に地域と密着しておるわけです。現在二十カ所実施されているようでありますけれども、その効果と地元の評価ですね、どういうふうなものが評価されているか、ひとつお知らせ願いたい。もしそれが効果的なものが出たとするなら、他にももっと拡大していってもいいのではないか、郵トピア構想による指定都市をですね、そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  192. 田代功

    政府委員田代功君) 郵トピア都市は、昨年の四月に二十都市指定しましたが、いろいろ地元での相談事に若干時間がかかりましたので、実際にサービスを始めましたのは去年の夏以降でございます。したがいまして、まだはっきりした評価を下すには至っておりませんが、今まで二十の都市の市長さんにいろいろアンケートを実施いたしましたり、ことしの正月には、その市長さん方に東京にお集まりいただきまして、直接郵トピアの施策を実施する上で、市長さん、どういうことを感じておられるかといった御議論なども願いました。  今の時点で申し上げますと、例えば絵はがきをその町のPRに出したとか、あるいは「ふるさと小包」についても従来のに増してさらに新しいものを追加して出したとか、そういった意味では大変好評でございまして、むしろ今まで郵便局と地方公共団体のつながりがなさ過ぎたと、これを機会にもっともっとおつき合いをしたい、おつき合いをすればするほどいいことがあるということがわかってきたというのが何よりかと思っております。それで、私どもも、まだこの二十だけではいろいろ材料を集めるにしても少のうございますので、この四月にでもこれを倍程度にふやそうかなと、かように考えております。
  193. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 じゃ次、放送行政について、二、三お尋ねしたいと思います。  郵政省の六十三年度予算に、放送番組の保存体制の整備に関する調査研究費ということで、わずかな金ですが、百万円計上されておるわけですけれども、その目的とするものは一体何なのか、お尋ねいたします。
  194. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 放送は、来るべき高度情報社会におきましても基幹的なメディアとして重要な役割を果たすんじゃないかと考えております。また、放送番組でございますが、映像情報等も含めまして、時代を証言する国民的な財産と言えるわけでございます。  高度情報社会を構築していくためには、こうした情報を収集保存して、国民の皆さん方に利用機会を拡大する、皆さん方に利用の機会を拡大していくという、いわゆる映像ライブラリー体制、あるいは放送ライブラリー体制の確立が不可欠であると考えるわけですが、現状を見てみますと、放送番組の収集とか保存は、各放送事業者と一部の機関がそれぞれ別個の目的で行っているのが現状でございまして、保存スペースだとか、いろいろと問題がございまして、十分な保存状態に置かれているとは言えない状況にございます。また、だれでも自由に放送番組を利用できるというふうな状態にはなっておりません。そういうことから、そのため放送ライブラリーの確立といいますか、映像ライブラリーの確立体制づくりのための環境整備をまずする必要があるんじゃないかということでございます。  その環境整備のあり方、具体的に申し上げますと、放送番組の収集保存のあり方とか、放送番組の公開のあり方、それからライブラリーシステムのモデルイメージ等について、有識者の皆さん方にお集まりをいただきまして調査研究をしていただこうと。本当に先生おっしゃいましたように、わずかな金額でございますが、百万円を六十三年度予算案に計上させていただいているところでございます。
  195. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 その御趣旨は結構なんですけれども、これはNHKに尋ねた方がいいのかわかりませんが、NHKなりこれは各社それぞれ皆別々に保存しておるというんですけれども、その状況というのは、一体どういう状況になっておりますか。
  196. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 先ほど申し上げましたように、放送番組の収集保存につきましては、各放送事業者とそれから一部の機関がそれぞれ個別に行っているのが現状でございまして、ちょっと古い資料で恐縮なんですが、六十一年度末の累積の保存状況について申し上げますと、ニュースとか番組素材、放送に至らない素材があるわけですが、そういうものをカウントいたしませんで、そちらを除きまして、ラジオ・テレビ番組につきまして申し上げますと、NHKは六十一年度末に、ラジオにつきましては二万一千六百八十六番組を持っておるということでございます。テレビにつきましては三万五千三百二十三というような番組を保存しているというふうに聞いております。総計いたしますと五万七千強ぐらいの番組になっております。  で、一方、民放の方でございますが、民放につきましては、ラジオにつきましては一万七千十一、それからテレビにつきましては六万二千八百二十六番組ということでございます。合計いたしますと七万九千八百三十七でございますので、約八万ということが言えるかと思います。ただ、ほかの機関につきましては、ちょっと調べがきのうまでつきませんでしたものですから数は今承知しておりませんが、放送事業者につきましては以上のような状況になっております。ただ、NHKの場合は、ニュースとか番組素材を除いた全国版につきましては、およそ六〇%ぐらいを保存しているというふうに聞いておりますが、民放につきましては、率等は、全体の番組をきちんと把握するのが困難なものですから、先ほど申し上げましたように、保存番組だけ見ますと数はわかるんですが、率はわからないんですが、NHKに比べますと、かなり低い状況になっているというふうに聞いております。  こういうことからも、できるだけ私どもといたしましては、公共的なライブラリーといいますか、放送ライブラリーといいますか、そういうものの体制づくりをしていかなきゃいかぬじゃないかというふうに考えているところでございます。
  197. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 最後に、スペースケーブルネットパイロット計画といいますか、これが三百万計上されていますけれども、この計画の一体概要というのはどういうふうになっていますか。
  198. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) スペースケーブルネットでございますが、昭和六十四年に打ち上げられる予定の民間通信衛星を使いまして、全国のCATVに番組を供給していこうという動きがございます。しかしながら、既存のCATVの大部分が難視聴解消のための再送信型が多いものでございますから、現在の形のままでは、番組ソフトが流れてきてもそのまま各加入者に流すというわけにいかないというような状況になっております。したがいまして、スペースケーブルネット計画を立てまして、これらの難視聴解消型のCATV施設の加入者もこのような番組ソフトを享受できるようにしていこうということで、CATV施設を改善するための効率的なモデルシステムの調査研究を行おうとするものでございます。  で、改善しなきゃならない点というのは、受信地球局といいますか、パラボラアンテナをまずつくらなければ通信衛星からの電波を受けられませんものですから、そいつをつくるとか、あるいは送出装置、ヘッドエンドと称しておりますが、送出装置をつくるとか、あるいは途中で減衰してまいりますものですから、そいつを増幅しなきゃいかぬわけですが、中継増幅器をそれにふさわしいものに改めなきゃいかぬというようなことがございまして、そういう点を改善するために経費的に一番安く効率的にグレードアップといいますか、それが受けられるような形のものに難視聴解消のためのものを直していきたいということでございます。そんなことで調査研究を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  199. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 じゃ次に、電気通信行政関係についてお尋ねしたいと思います。  第一種電気通信事業におけるNTTに対する有効ないわゆる競争勢力といいますか、それらをつくっていくためには、何といっても新規参入者自体が努力し、経済合理性のもとに新しい通信網の整備を図りながら、かつまた新規参入者間の協調関係を築くことが一つ私は大事だろうと思います。と同時に、またNTTは新規参入者との円滑な接続の確保、ネットワーク情報の開示、技術開発成果の積極的な公開等々、NTT自身も努めることが必要ではなかろうかと思います。郵政省としては今後どのように指導していくべきだと考えておられるのか、まずひとつお尋ねしたいと思います。
  200. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 御指摘がございましたように、NTTとNCCが相ともに携えて今後の日本における高度多様な電気通信ネットワークの構築に努力すべきことは当然でございます。その過程で、NCCがNTTの網に、ネットワークに依存せざるを得ないという客観的な事実と、NTTが戦後四十年にわたって築き上げました設備あるいは人材、技術力等に対して、NCCはゼロから出発しなければならないといったような事情等を加味勘案いたしまして、今後私どもといたしましては、ただいま御指摘ございましたような、NTTとNCCが公平で、公正で有効な競争の基盤の上に立って、それぞれの電気通信事業発展さしていくようなことが課題であろうと思っております。  この点につきましては、三月十八日に提出されました電気通信審議会の答申の中でも、特にイの一番に力説されているところでございますので、私どもも審議会の答申で盛られております公正競争基盤整備のための諸課題について今後積極的に一つ一つ取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  201. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 NCC自体の自助努力、これはもう言うまでもありませんけれども、やっぱりそれを指導していくといいますか、郵政省の適切な援助指導というものがやっぱり伴わないと、当初もくろむいわゆる自由競争というものは形成されないわけですから、これは既にもう言われていることでありますけれども、今後の実績を見ながらひとつ我々も監視していきたいし、当局の御指導をお願いしておきたいと思います。  次に、NTTのデータ本部の分離に関する問題ですけれども、これはいろいろ紆余曲折はあったようでありますけれども、VAN業界のいろいろな面で危惧している点があるわけなんですけれども郵政省の方針並びに見解は一体どうなのか、お尋ねしたいと思います。
  202. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) NTTのデータ通信本部の分離につきましては、過去数年来経緯がございまして、当初やはり臨調の指摘を受けて、その御答申を受けて具体的に逐次関係者の間で急速に機運が盛り上がってきたという経緯がございます。さらに、それにさかのぼること数年になりますけれども昭和四十六年以降、民間のデータ通信事業が回線開放という形でNTTのデータ通信本部と競合する事業を始めました後、民間のデータ通信事業が次第に定着をしてきたこととあわせまして、これらの競争関係、競合関係をどのように整理したらいいのかということがつとに御指摘をされておりました。  そのような背景のもとに、臨調答申でデータ通信本部を分離する答申が打ち出されまして、今日までNTTにおいて具体的に検討を重ねてこられました。当委員会でも、デ本の分離については御議論がありまして、あくまでもNTTが自主的に判断すべきであるという御意見もちょうだいいたしました。  NTTは、ことしの六月の株主総会において、いよいよ具体的に分離を決議したいというようなところまで来たやに伺っております。まだ具体的に私ども分離についての意思表明を受けておりませんけれども、そのような意向があるやに承っております。今後、もしNTTの方から具体的に、デ本分離について提起がありましたならば、私どもといたしましては、ただいま先生から御指摘がございましたような、民間のデータ通信事業を営む事業者との公正な競争ということを念頭に置いて整理していかなければならない問題があるというふうに考えております。  この点につきましては、既に電気通信審議会の方から二、三の御指摘がございますので、電気通信審議会から御指摘いただきましたように、今後のデータ通信の将来的な発展に資するものであるということ、それから民間の同種の事業との公正な競争が保てることといったようなことを前提にいたしまして、具体的な諸条件を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  203. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、これはNTTに関係するわけですけれども郵政省としての御見解をお尋ねしたいんですが、キャプテンですね、文字図形情報ネットワーク。これの普及を図るためにNTTはキャプテンセンターの増設、あるいはまたさらに料金の引き下げ、値下げを実施されております。その効果は一体いつごろから出てくると考えているのか、また一部では魅力的な情報提供が非常に少ないと、こう言われておるわけでありますけれども、それらに対する対策をどのように考えておられますか、お尋ねしたいと思います。
  204. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) キャプテンの普及のかぎを握っておりますのは、まさしく御指摘がございましたように、一つにはユーザー側の費用の負担の軽減、もう一つはソフトの充実だろうと思います。  後段につきましては後ほど通信政策局長の方から御答弁があるかと存じますが、ユーザー側の費用の負担につきましては、ことしの二月の十日に通信料の夜間並びに土曜日、日曜日、祝日の引き下げを認可したところでございます。やはりキャプテンというものが文字並びに図形の情報を取り出すために、かなりのやはり時間をかけて、利用者としてはそれを利用するという傾向にございますので、これまでのように三分三十円という均一料金ではございますけれども、やはりこれが非常に普及の隘路になっていたということは紛れもない事実でございます。  そこで、今回のユーザーの御要望にこたえた形で二月十日から夜間、夜間というのは午後七時から午前の八時まででございますが、並びに土曜日、日曜日、祝日を含めまして、五分三十円ということで、平均四〇%の値下げを行ったところでございます。ただ、まだ値下げを実施いたしまして一カ月半程度でございますので、具体的に利用が大幅に伸びたという実績を私どももまだ持つに至っておりませんけれども、恐らく半期、半年ぐらいたちますと徐々にこの効果があらわれてくるんではないかというふうに私どもとしては期待をしております。
  205. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) お尋ねのキャプテン、あるいはビデオテックスと呼ばれております文字、あるいは図形の情報サービスでございますけれども、実のところ、五十九年の十一月にこのサービスが始まったのでございますけれども、三年たって、端末機でございます、目に映る端末機でございますが、それがサービス開始の当初は若干低迷していたんでございますが、最近、昨年後半以降急速な伸びを示してきているところでございます。  これは橋本先生おっしゃいますように、従来とにかくキャプテンといいますと、ニュースあるいは天気予報といいました情報検索型のソフトが多かったんでございますが、最近これに加えまして商品の注文ですとか、あるいは切符の予約という一種の情報処理型のソフトですとか、あるいは電子メールというような一種のコミュニケーション型のソフト、こういうものがふえまして、その面で利用する人がふえてきた、そういうユーザーのニーズにこたえてきたんではないかということが言えると思います。  私ども郵政省といたしましても、キャプテンの普及のためには、おっしゃいますとおり魅力的なソフトの開発、あるいは操作が簡単な、今電気通信局長が申し上げましたように、なかなか情報を取り出すまでに手間がかかるという、番号を幾つも打たなきゃいかぬというような、そういうことでもいけませんので、簡単な端末機器を開発していかなければいかぬ、こういうようなこと。とにかくユーザーが一層利用しやすいような施策を積極的に進めなければいかぬというふうに思っております。  これらにつきまして、NTT、あるいは関係団体に一生懸命やってくれと督励してまいりますと同時に、NTTの株式の売却収入によります無利子融資をしたいというようなこと、あるいはテレトピアの指定地域に対しまして、基盤技術研究促進センターからの財政上の支援措置を講ずるというようなことで、キャプテン普及のために積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。
  206. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、大規模無線通信、つまりマイクロ波ですね、この問題についてお尋ねしたいと思います。  これは現在非常に公共性の高い鉄道、あるいは電力等々で利用されておるわけでありますけれども、まあそこだけにまた認められておるわけでありますけれども、今後郵政省一般企業にも開放する方向で何か政策転換をするような記事を見たわけですが、その理由は一体何なのか、また実施するとすれば、いつごろから実施していくのか、お尋ねしたいと思います。
  207. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) ただいま先生が言及されましたのは、多分昨年十一月に電気通信審議会に基幹通信網の長期展望について諮問申し上げたことを指していらっしゃるんだろうと思います。  これは背景がございまして、先生御承知のとおり基幹通信網と申しますのは、これまでは同軸ケーブルとそれからマイクロを中心とした地上の無線等でほとんど構築されてまいりましたけれども、今や光ファイバーの時代になり、また空に打ち上げた衛星から多様なサービスができるような時代になってまいりましたので、今後二十一世紀に向かって基幹通信というもののあり方が基本的に、根本的に変わってくるんではないかということが予見されるところでございます。そのような動向を先取りする意味におきまして、昨年十一月に今後の基幹通信網全般の需要動向並びにその将来動向等を含めてあり方を審議会に諮問申し上げたところでございます。それでことしの十一月ころまで、約一年かけて審議をしていただこうと思っておりますし、また現在精力的な作業が進められております。  その中で、従来、ただいまお話ございましたように、マイクロウエーブというのは、電気通信業あるいは電力とかガスとか、保安とか鉄道とかといったような公益的、公共的な色彩が非常に強いものにほとんど限定されて使われておりましたけれども、最近の技術の発達動向等にかんがみますと、もっと収容する能力があるんではないかというようなことも指摘されておりますので、少し基本的にそのマイクロ波を他の事業にも開放できる可能性があるのではないかということから、そうした見地で今検討が行われております。  それで、先ほど申し上げましたように、答申は一年くらいかけて十一月ごろいただけるかと思いますが、しからばそれを受けて、具体的にマイクロ波をどのような形でその他の事業にも利用を拡大させていくかは、省の方で答申を受けた後具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  208. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 これは将来銀行だとか、いろいろ全国的にネットワークを持っておるところは比較的これは設備投資が安くてできますから、そうするとNTTとの関連も出てくるし、いろいろと影響を持つわけでございますので、まあ今そういう意味で審議会で検討中でありますけれども、今後の問題として留意していく必要があると思います。  それとの関係も若干ございますが、次に、今度は電波障害についてお尋ねしたい。  近年、ME技術の進展に伴って、外部からの電磁波の影響を受けやすくなってまいりましたし、また、それ自体が不要な電磁波を増幅する、輻射するというんですかね、こういうディジタル機器が広範に利用されるようになってきますと、これからもっと進んでいくだろうと思います。これは技術のイタチごっこになるかもしれませんけれども、不要電波による障害が多発するという、その形態の多様化ということはもう明らかだろうと思うんです。これらに対する障害防止対策として複数の省庁、通産とか運輸、厚生、労働、これは所管の調整を含めどのように改善していくつもりなのか、また、不要電波問題の対策協議会ではどういうふうな検討がなされているのか、お尋ねしたいと思います。
  209. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 近年不要電波問題というのが世の関心と注目を非常に浴びるようになってまいりましたけれども、それはやはりマイクロエレクトロニクス技術の急速な発展に伴いまして、電子機器、電磁機器が社会の隅々まで浸透いたしましたことと、またLSI、ICといったようなものを利用する機器も普及いたしましたので、逆にその電磁波の影響を受けやすい機器の方も社会の隅々まで行き渡ったという、その両方の相乗効果によるものと考えられます。クレーンの火花が旋盤を自動的に動かして人命に損傷を与えたというような深刻なものもございましたし、パチンコゲーム機が列車無線の妨害をしたというようなこともございます。これらはいずれも適法ではあるけれども、不要な電波が出てくるということでございますので、従来取り残された分野でございます。  私どもといたしましては、これはやはり郵政省だけでは解決できない問題であるということから、先生からも御指摘ございましたように、通産省、運輸省、厚生省、労働省、環境庁、それから警察庁といった関係各省並びに関係団体数十団体、並びに学識経験者等を含めまして、不要電波問題対策協議会というものを昨年発足させたところでございます。とかく郵政省通産省は角を突き合わすという御批判がございますけれども郵政省の協議会に通産省も同じテーブルに着いたということだけでも画期的な意味があるというふうに私どもも考えているところでございますが、関係各省全部知恵を結集して、この問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  現在の進捗状況でございますが、これまでやはり各分野にわたっておりましたために情報が非常に乏しゅうございますので、しかもまたどちらかというと、これは恥部でございますので、データを出したがらなかったということがございますが、関係各省が全部結集されましたので、忌憚のない実態をさらけ出そうということで意思統一をいたしまして、現在日本の隅々にわたるまで実際の実態の把握に努めております。そうした実際の情報を全部集合いたしました後、それを分析いたしまして、因果関係等をまず検討してみたいと思っております。その上で具体的に、障害を出す側と受ける側の両方につきまして具体的な不要電波の出る環境を把握し、あるいはその測定方法を確立するといったようなことに踏み込んでまいりたいと思っております。  さしむきは、やはりこの問題が人命、財貨に非常に大きな影響を及ぼすということから、関係各省、関係団体一緒になりまして、啓蒙あるいは広報活動にも力を尽くしたいというふうに考えております。
  210. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 この問題、現在起きておるいろいろな障害というものは一応全部克服されているわけなんですか。
  211. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 残念ながら、これは出す側とそれを受ける側の両方の要因がございます。出す側につきましては、私ども電波法を所管している立場から、出る方のメカニズムというのは比較的とらえやすいし、比較的法制上の整備もできているわけですが、受ける側といいますのは、その受ける機器がどこにどういう形で置かれるかということによりまして、たちまち違ってまいるわけでございまして、ある一つの機器が非常にその電磁波の強いところに置かれるか、どの程度離れたらもう影響がないか。しかも、それもあるときは影響がなくても、あるときは障害を起こすというふうに非常に千差万別であるというふうに、今資料を集めれば集めるほど私どもその実態の多様性に戸惑っているような状況でございますので、残念ながら現時点ではまだ受ける側、これをイミュニティーという言葉で世界的に呼ばれておりますが、そのイミュニティー、その障害の受けやすさの度合い、それを防止することにつきましてはまだ国際的にも基準が確立しておりません。CCITT並びにCISPRという機関がございまして、国際機関でも検討していただいておりますが、日本が恐らく一番進んだ分野と思いますので、国際機関にも私どもの資料を積極的に提供して、貢献して、できれば国際標準に持っていって、世界各国協調してこの問題は取り組みたいと思っております。
  212. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 昭和六十年六月に第一種電気通信事業者の事業許可を得ました日本通信衛星株式会社と宇宙通信株式会社事業開始というものは来年になっておるわけでありますが、両企業の認可料金に差が生じて、最初に料金認可された日本通信衛星は宇宙通信株式会社の認可料金との差を縮めるために料金値下げを実施した。このようなことはユーザーにとってはありがたいことなんですけれども、認可料金を簡単に変更してしまうということ、郵政省の認可料金のあり方についてお尋ねしたいと思います。
  213. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 日本通信衛星、いわゆるJC・SAT、これはヒューズの衛星を使うわけです。また宇宙通信、SCC、これはフォードの衛星を使いますが、いずれも来年の春ごろ以降、準備が整い次第サービスに入る予定でございます。そのお客を獲得するためになるべく早く料金認可を欲しいという要請がございまして、実は昨年の十月に申請が出てまいりました。事業体のそうした顧客を獲得する意味から大体なるべく早く料金の認可が欲しいという気持ちもわかりますので、私ども十月の認可申請を受けまして、ひとまずその時点で料金の認可をいたしました。  ところが、その後JC・SAT、日本通信衛星がユーザーに当たってみますと、予想以上に、全体のニーズそのものはふえないんですけれども前倒しをして、前倒しをしてという意味は、三年目くらい以降に利用しようと思っていた会社が一年目あるいは二年目に繰り上げて利用をできそうだ、あるいはその方が会社の経営上合理的だというようなところが相次いでまいりまして、非常に需要が前倒しになってまいりましたので、前倒しになってきたということは、一定の期間内における需要がふえたということになりますので、料金を引き下げる余地が出てくるという客観的な状態に立ち至りましたので、JC・SATの方におかれましても、それならばお客様の利便を考えてできるだけ安い料金で提供することが本旨であるので、もう一度サービス開始前に料金の引き下げを行いたいという申し出がございましたので、私どももこれはユーザーのためになるという見地から、その引き下げの料金について認可をしたところでございます。
  214. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 終わります。ありがとうございました。
  215. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  216. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 次に、郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中山郵政大臣
  217. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、為替貯金業務の総合機械化進展利用者の要望に対応して郵便為替及び郵便振替のサービスの改善を図るため、郵便為替法及び郵便振替法について所要の改正を行おうとするものであります。  まず、郵便為替法の一部改正の主な内容について申し上げます。  第一は、代金引きかえの取り扱いにおいて引きかえ金を郵便為替によって送金する場合には、現在の普通為替に加えて電信為替によっても送金できることとしております。  第二は、郵便局の窓口で受取人に現金を交付してする払い渡しの指定があった電信為替において、受取人の請求があるときは、電信為替証書を発行してする払い渡しまたは現金を送達してする払い渡しの取り扱いができることとしております。  次に、郵便振替法の一部改正の主な内容について申し上げます。  第一は、通常現金払い及び電信現金払いの払い渡し方法について、払い出し証書と引きかえに払い渡す方法と郵便局の窓口で受取人に現金を交付することにより払い渡す方法がありますが、これに加えて、受取人に現金を送達することにより払い渡すことができることとしております。  第二は、払い出し金を受取人に払い渡した際にその旨を加入者に通知する取り扱いができることとしております。  第三は、払い出し金の払い渡しの済否の状況を調査して加入者に回答する取り扱いができることとしております。  以上のほか、「外国郵便為替」の名称を「国際郵便為替」に改称することとする等、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日からといたしておりますが、機械処理対応等に準備が必要なものについては、昭和六十三年十一月一日からとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可欠くださいますようお願い申し上げます。
  218. 上野雄文

    委員長上野雄文君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会