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1988-05-17 第112回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十七日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 出口 廣光君                 松浦  功君                 佐藤 三吾君                 抜山 映子君     委 員                 加藤 武徳君                 海江田鶴造君                 金丸 三郎君                 久世 公堯君                 佐藤謙一郎君                 坂野 重信君                 沢田 一精君                 田辺 哲夫君                 増岡 康治君                 吉川  博君                 糸久八重子君                 山口 哲夫君                 片上 公人君                 神谷信之助君                 秋山  肇君    国務大臣        自 治 大 臣  梶山 静六君    政府委員        自治大臣官房長  持永 堯民君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治大臣官房審        議官       湯浅 利夫君        自治大臣官房審        議官       柿本 善也君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省行政局公        務員部長     芦尾 長司君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  渡辺  功君        消防庁長官    矢野浩一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君    説明員        人事院任用局企        画課長      谷   仁君        大蔵省主計局主        計企画官     杉井  孝君        大蔵省主計局主        計官       水谷 英明君        大蔵省主計局主        計官       中島 義雄君        大蔵省主税局調        査課長      長野 厖士君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    藤原 正弘君        厚生省社会局保        護課長      小沢 壮六君        厚生省社会局監        査指導課長    福山 嘉照君        厚生省児童家庭        局企画課長    楠本 欣史君        厚生省保険局国        民健康保険課長  加納 正弘君        農林水産大臣官        房秘書課長    高橋 政行君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      北山 宏幸君        建設大臣官房人        事課長      斎藤  衛君        自治省財政局交        付税課長     小滝 敏之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 山口哲夫

    山口哲夫君 おはようございます。  三月二十八日に行われました予算委嘱審査のときに交付税基本的な問題について触れておりますので、きょうは交付税の具体的な問題に絞ってまず質問をいたしたい、こう思います。  その前に大蔵省一つだけちょっとお聞きしておきたいと思いますけれども、先般十二日に行われました当委員会糸久議員から来年度地方自治体に対する補助金の問題で質問がございました。その中で大蔵省の方から、各省庁関係者協議をしたい、あるいは大蔵大臣としては補助金検討委員会をつくることについても考えている、こんなようなお答えがあったと記憶をしているわけであります。ということは、今覚書があるんですけれどもこれはことしで切れるわけで、そうすると当然もとに戻るんですが、大蔵省覚書はとりあえず破って来年はまた今までどおり継続するという意思があるので各関係省庁協議をするというふうに私は聞こえたんですけれども、その点いかがでしょうか。
  4. 水谷英明

    説明員水谷英明君) お答えいたします。  補助率に関する六十四年度以降の取り扱いの問題につきまして前回委員会におきましてお答え申した趣旨を再度明らかにせよという御質問の御趣旨だと思うわけでございますが、私どもといたしまして、六十一年度に行われました補助率の問題は六十三年度までの暫定措置であるということについて、これが暫定措置でないとかと言っていることではないわけでございますが、六十一年度補助率の総合的な見直しを行われるに際しまして補助金問題検討会というのが開かれその報告に至るまでに、各種事務事業見直しをいろいろやりながらなお国、地方役割分担及び地方負担あり方見直し等については今後もさらに検討する必要があるといったような理由も挙げまして三年間の暫定措置と、そういった補助金問題検討会報告を踏まえて暫定措置としたという経緯があるという理解でいるわけでございまして、六十四年度以降の取り扱いにつきましては、これまでのこの補助金問題検討会報告等さまざまな経緯措置の性格を踏まえて、関係者も多いことでございますのでできる限り早く検討をしたいという考えであるということをお答えしたつもりでございます。
  5. 山口哲夫

    山口哲夫君 来年度補助金というのは、今までの覚書からいきますともとに戻すということでしょう、ちゃんと覚書として三年間だけ暫定的にやるというんですから。だから今関係省庁協議をするような段階ではないと思うんです。来年も補助金は現在と同じように継続して削減していくんだという方針に変えるというんなら関係省庁とこれから協議してみたいという言葉が出てきてもいいけれども、今そこまで決定しているわけじゃないわけでしょう。そうしたら、そういう新しい方針が出てきてないのであれば現在の覚書が今生きているということなんですから、覚書があくまでも最優先されなければならないわけでしょう。それはどうですか。
  6. 水谷英明

    説明員水谷英明君) お答えいたします。  現在行われております措置が三年間の暫定措置だという意味において暫定期間が終わればその措置は終わるわけでございますが、あくまでもこの三年間の暫定措置としたということの背景には、補助金問題検討会報告でも触れられておりますように、補助率の問題は関係者も多いから基本的には安定的なものである必要があるという前置きがあるわけでございますが、「政策分野の特性に配慮しつつ、今後とも引き続き事務事業見直しを行う必要がある」ということで「今回の措置は、当分の間の暫定的なものとして行われるべき」だということが明確にされておるわけでございますので、いわば六十四年度以降の問題についてはいろいろな情勢、例えば経済情勢でございますとか社会情勢あるいは財政状況といったものの変化、あるいは国、地方役割分担及び財源配分あり方等を勘案しながらそのときに適切に協議して対処するという考え方であったという理解であるわけでございまして、このような基本的な考え方に沿って今後検討してまいる問題だと考えておるわけでございます。
  7. 山口哲夫

    山口哲夫君 いろんな財政状況だとか経済状況だとかを検討しながら補助金問題というのを考えていかなきゃならないというのは予算編成段階からの後の話であって、今の段階ではあくまでも覚書というものが最優先しているんです。とにかくことしでもって補助金削減は一応終わりにして来年からは戻すということが大前提になっているそういう大臣間の覚書があるのにかかわらず、事務方の方でそれに何か違うような、もう一度検討して見直さなきゃならないようなそういう発言をするということは私どもとしては到底納得できるものではありませんので、あくまでも覚書どおりに必ず来年は前に戻す、削減はこれでもって打ち切りという態度でもってひとつ臨んでいただくことを強く要望しておきたいと思います。  では地方交付税の具体的な中身に入りたいと思いますけれども基準財政需要額ひいては単位費用の問題にもなるんですが、この決定については、一体あるべき行政水準というものを基本にしているのか、それとも最低の行政水準なのか、あるいは現実行政水準基本にしているのか、これはどうなんでしょうか。
  8. 津田正

    政府委員津田正君) 交付税算定、特に基準財政需要額算定は、単位費用補正係数、それに測定単位数値を掛ける、こういうような計算を行うわけでございます。そしてその基本でございます単位費用につきましては、御承知のとおり地方交付税法第二条第七号に「道府県又は市町村ごとに、標準的条件を備えた地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費基準とし、」こういうようなことが法律上も明記されておるわけでございます。  そこで毎年度交付税の具体的な算定の点でございますが、この法律の「合理的、且つ、妥当な水準」というものはこれは一定不変のものではなくてその年その年によりまして具体的には変わってきて、また私どもも毎年度単位費用見直しにつきまして国会の御審議を受けておるわけでございます。私ども毎年度単位費用等を組み立てる際には、法令により処理することが義務づけられている事務はもちろんのこと、法令上の義務はなくても地方団体が全国的に行っておるような事務についての財政需要をとらえて、国の予算あるいは地方財政計画地方団体の決算の状況あるいは公共施設整備状況というものにつきましての調査等に基づきまして単位費用計算いたしまして国会の御審議を得ておる、こういうようなことでございます。
  9. 山口哲夫

    山口哲夫君 これから質問しようと思ったことを先に答えていただいたんですが、今の地方交付税法第二条の七号「地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費基準とし、」云々とあるこの「妥当な水準」というのは、私はまず第一には、法令等とか国の基準、そういうものに違反しないことというのが一つ、その次は、現在の行政水準というのを低下させないということが第二、そして三つ目には、できるだけ今の行政水準というのを少しでも高めていこうじゃないか、そういうことが加味されて「妥当な水準」というふうに位置づけられているのでないかなと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  10. 津田正

    政府委員津田正君) 御指摘のとおり法令基準に違反してはならないことはもちろんでございますが、行政水準につきましては維持に努め、さらに地域住民福祉向上のために計画的に行政水準を高める努力というものをして財政需要算定していかなければならぬ、かように考えております。
  11. 山口哲夫

    山口哲夫君 そのとおりだと思うんですね。  そういうことからいきますと、以前に申し上げたことがあるんですが清掃車一合当たり乗車人員、これは三人というふうに厚生省安全マニュアルに規定されているわけですね。これはまさに国が示した基準です。その基準をなぜそのとおりに単位費用として掲上しないんでしょうか。
  12. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 清掃費交付税単位費用でございますが、おっしゃるとおり五十八年度まではごみ収集車一台当たり運転手を含めまして三人の職員が配置されていたわけでございますが、五十八年度に全市町村につきまして実態調査を行いました結果直営分の一台当たり平均収集職員数が二・六人ということが明らかになりましたので、激変を避ける意味で五十九年度から二年間は二・八人、それから六十年度から二・六人というふうに是正をしたものでございます。今御指摘のように厚生省安全マニュアルにつきましては収集作業は二人以上で行うということにされているわけでございますが、運転手以外に収集作業員を二人以上配置しろという意味とは私どもは解していないわけでございます。  ただいま財政局長からも御答弁申しましたとおり、基準財政需要額算定当たりましては法令等に違反しない、あるいは行政水準をできるだけ高めていくという努力をする必要があるわけでございますが、全国の実態調査の結果というものを見た上で、現段階におきましても交付税上の収集職員の数の方が依然として上回っているという点もございましてこういう措置をとらせていただいているわけでございますので、その点御理解をいただきたいと思います。
  13. 山口哲夫

    山口哲夫君 今の答弁は間違っていますよ。  昨年の九月十七日の当委員会で私が厚生省見解をただしております。それは、一台当たり運転手が一名でそして収集作業は二人以上で行うことというのは圧縮式機械式収集車天蓋式ダンプ収集車も同じというように書いてあるからあくまでも三人ですね、こういうことに対して厚生省藤原課長が「厚生省が出しております事故防止対策マニュアルというのがございまして、この中で労働安全衛生確保の観点から収集作業作業員の人数を言っております。これでは「収集作業は二人以上で行う。」ことというふうに言っておりまして、運転手も含めて申しますと、全体として三人ということになるわけでございまして、先生の御指摘のとおりでございます。」だから基準は三人ですよ。二人以上云々なんてそんな内容でないということはまずきちっとしておきます。  それから津田局長が四月十四日の衆議院地方行政委員会で我が党の中沢健次議員質問に対してこう答えています。「単位費用あるいは数値のとり方、補正係数の問題につきましては、私どもなりに実態調査あるいは各省庁法令その他の基準、」云々ということを勘案してやるんだ。そして最後に「実態をとったら法令基準に合わないような仕組みにはならないような配慮は必要かと存じます。」と言っているじゃありませんか。だから国の基準に合わないようなことはしてはならないと思うからできるだけそれに近づけるんだということでしょう。あなたの解釈と今の解釈と全然違うでしょう。  だから、二・六というものは実態調査だと言うけれども、国の基準は三・〇なんだから三・〇に 近づけるというのが当たり前じゃないですか。もとに戻してください。
  14. 津田正

    政府委員津田正君) 結局運転手につきまして収集作業を行うのか行わないか、それをカウントするかどうか、こういうようなことが論点かと思うわけでございますが、私どもとしましては運転手収集作業を行う場合も含む、このように解しておる次第でございます。したがいまして厚生省マニュアルに矛盾するものではない、かように考えております。
  15. 山口哲夫

    山口哲夫君 そんな答弁詭弁ですよ。  道路交通法の七十一条の五号に「車両等を離れるときは、その原動機をとめ、」と書いてあるんですから、運転手車両を離れるときは車をとめなきゃならないんです。そうすると一回一回車をとめてごみの収集やるんですか。あなた方は現場を知らないでしょうけれども、今町の中でごみ収集をやるときに、運転手が離れると警察に来られてとめちゃだめだと言ってしかられているんですよ。だから運転手というのは常に車から離れることができないんです。そしてのろのろのろのろ運転をしながら後ろから作業員二人でもってごみを積んでいく、それが実態なんですよ。とめたらあなた、交通法違反でもってやられるんです。何言ってますか。全然だめですよ、それは。
  16. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 道路交通法上の解釈につきまして警察庁の方の考え方もお伺いしているわけでございますが、清掃業務のように一カ所に収集されたごみを収集するときに運転者運転台を離れて車両の傍らで収集業務に参加しても、万一車が動き出したときに直ちに必要な措置をとれるような場合にはこの規定に反するものではないと考える、こういう御見解もいただいているわけでございまして、そういう意味で、先ほど来申し上げておりますとおり運転手を含めて作業員を二人以上ということで安全マニュアルの点はクリアしているものというふうに理解をいたしているわけでございます。
  17. 山口哲夫

    山口哲夫君 それは全然現場を無視して、ただそういうふうに法律を拡大解釈して都合のいいように合わせている詭弁ですよ。大体今ごみ収集作業というのがどういう実態で行われているか、それじゃ一回見てくださいよ。一回一回エンジンをとめて運転手が離れてごみ積むなんというのはまずほとんどないですよ。とにかく一定の時間内に一定地域を全部収集するということになりますと、車は常にのろのろ運転をして、そして作業員後ろから積んでいくんです。だから運転手というのは絶対車から離れられないんです。  厚生省基準でもって運転手一、作業員二、合計三人だということになっているわけでしょう。それを自治省が勝手に解釈してそういうことでいいんですなんということには絶対これはなりません。しかも津田局長衆議院でちゃんと答えているように、単位費用というものはあくまでも国の基準から離れるようなことをしてはならないんですということまで答弁しているじゃないですか。それをここだけ勝手に実態調査でありますから二・六人なんということは絶対私は許すことはできない、そういうふうに思います。これは理論的にもどうしてもおかしいので、ひとつもとのとおりに直していただくように強く要望をしておきたいと思います。  次に保育所の問題について交付税との関係でお尋ねをいたします。  保育所扶助費ですが、六十三年度単位費用をまだいただいておりませんので昨年度単位費用ですけれども二十一万六千二百十六円、これは非常に低いと思うんですけれども、どうしてこういう数字が出てくるんでしょうか、簡単でいいですからちょっと述べてください。
  18. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 保育所扶助費単価につきましては、国の予算上の保育所児童保護措置費の額と措置人員とを基礎にいたしまして設定しているわけでございます。具体的には、保護措置費の総額を措置予定人員予算人員で割ったもの、これを一人当たり単価という形にしているわけでございます。その点で国の予算基礎にしているわけでございますので、単価を低く見積もっているということはないわけでございます。  また、特に国の予算上の保育所措置費につきましては、かねてから超過負担の問題も論議されておりましたので、五十九年度におきまして大蔵自治、厚生三省共同によりまして超過負担実態調査を行いまして、その結果に基づきまして六十年度、六十一年度の二年にわたりましてこの措置費基礎となる保母給与格付の改善を行っているところでございまして、そういう点も十分配慮した上で単位費用を積算しているものでございます。
  19. 山口哲夫

    山口哲夫君 自治省に前に聞きましたら、これは厚生省から出てきている単価を使っているのでその中身についてはわからないから厚生省に聞いてください、そういうお話だったんですが、私はやっぱりその厚生省単価中身についても自治省として交付税算定をするわけですからもっと詳しく調べてほしいなと思うんです。  厚生省、いらしていますね。この基準を見ましてどういう内容でもって計算したのかということで資料をいただいたんですけれども特甲地域で九十人定員の場合に、例えば保母定数なんですけれども、四歳以上児は四十五人で、保母は三十人に一人だから一・五人です、それから三歳児は二十七人で、保母は二十人に一人が必要だから割り算すると一・三五です、それから三歳未満児は十八人で、保母は六人に一人だから割ると三人です、合わせると五・八五、したがって四捨五入して六人です、こういうふうに計算されておりますけれども間違いないですね。
  20. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) お答えいたします。  今おっしゃったとおりです。
  21. 山口哲夫

    山口哲夫君 この計算は私ちょっとおかしいと思うんです。厚生省四捨五入なんですけれども文部省の方の公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律、これからいきますと、四十人で一学級ということになって先生は一人、ところが四十一人、たった一人ふえるとこれは二学級編制にしなければならない、したがって先生はもう一名ふやさなければならないとなっているんです。文部省はこの法律に基づいて、たった一名ふえても先生はもう一名ふやしなさいということになっているんですよ。ですからこの文部省考え方からいきますと、例えば四歳以上児は四十五人ですから、保母は三十人に一人と三十人を引いた残りの十五人に対してもう一人つけなきゃならないということになるわけですね。  文部省厚生省とは違いますと言うかもしれないけれども子供を扱っていることにおいては変わりはないし、むしろ小さな子供なんですから安全のことを考えたらこういう四捨五入方式でやるというのはまるっきりおかしいのじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  22. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 特に人の配置の問題につきましての御指摘でございますが、文部省のことは私ども明確には存じておりませんけれども、私どもの方において先ほど御指摘されたような計算方式でやっておることは確かであります。これについてはそれぞれの保育所現実には三歳児、二歳児、一歳児いろんな格好で具体的な数字児童内容が異なっておりますので、やはり一般的な考え方、一般に通ずるような基準として物を考えなくてはいけないということで、いろいろな御見解考え方もございましょうけれども、私どもとしては一般的に四捨五入ということで計算しておるわけでございまして、それはそれなりにある程度の妥当性を持つのではないかという認識のもとにこういう運用をしておるわけです。
  23. 山口哲夫

    山口哲夫君 一般的じゃないんですよ、あなたのおっしゃる方が。だってそうでしょう、四十五人の子供がいて、保母さんは三十人に一人ですといって三十人のクラスを編制するんですよ。残った十五人は別にクラスを編制して隣の教室に置くんですから、何でこれが一人で見れるんですか。だから当然ここは二人にしなければならないんですよ。そういうことになりませんか。
  24. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 難しい面もいろいろございましょうけれども、いわば児童それぞれの数に応じまして弾力的に職員を配置するということで十分対応可能というふうに私どもは考えておるわけでございます。
  25. 山口哲夫

    山口哲夫君 おかしいと思いますね。小学校の場合には四十人学級だから四十一人と一人はみ出しても二クラスつくって先生は二人にするんですよ。この法律考え方というのはわかるでしょう。だから保育所の方だって、例えば三歳児の場合二十七名ですから、保母さんは二十人に一人つけて、あとの七名は隣の教室で一人が見なさい、こういうことになるわけですよ。現場では定数をはみ出したらそれを二クラスに分けて、教室を二つにして保母さんも二人つけるんですよ。それでなかったら子供の安全が守れないでしょう。
  26. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 厳密な議論をしますといろいろな問題が出てきますでしょうけれども学校と違いまして保育所につきましてはいわば考え方の上として教室ということにはなっておりませんし、先ほど申し上げましたように全体としての弾力的な運用ということで対応可能と考えております。
  27. 山口哲夫

    山口哲夫君 担当課長さんが現場を知らないというのは非常に残念ですね。仮に親の立場に立ったら、こんなことで子供を預けて大丈夫かなとそういう心配さえ出てきますよ。例えば四歳児が四十五人と、そうしたら一つクラスに四十五人詰め込んで一人で見なさいということになるんですか。そうじゃないでしょう。一人の保母で三十人見るということは三十人が一クラスということでしょう。だから現場というのは大体三十人おったら一クラスで、そうしたら十五人はみ出すからそれはまた別なクラスをつくってそこに新しい保母さんを置くんですよ。  だから学校教育とは違うけれども、小さい子供だということからいけば小学校より保育所の方がもっと小さい子供で安全性ということを考えなきゃならないでしょう。そういうことを全然無視して、ただ単に四捨五入方式というような現場を無視したこういう基準に誤りがあるということを私は指摘をしておきますので、これはもっと現場実態調査して、それに見合うだけの保母定数というものを単位費用の中できちっと組み込んでおいていただきたい。私の計算からすれば九十人の定数という中では、あなた方は六人でいいと言うけれども私は最低基準でも七人だと。私どもの考えとしては厚生省基準そのものがこれはもう非常に低い、もっとたくさんつけなければ事故でも起きたとき大変だ、こう思っております。  今度はこの点は団体事務になってそれぞれの自治体が自由にできることになったわけですね。機関委任事務でなくなったわけでしょう。ですからそういう中で厚生省が余りやかましく定数の問題にまで一々触れるようなことをしないでいただきたい。あくまでも単位費用計算するに当たっては少なくともそういう安全ということを考えて実態に見合っただけの定数というものを基礎にして交付税算定していただくようにしてもらいたい、こう思っております。  そこでもう一つ聞きますけれども、一般生活費というのを見ると三歳未満児は一カ月七千七百八十四円、三歳以上児になると今度は二千五百十四円低くなって五千二百七十円になるんですね。これはどういう理由でしょうか。
  28. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 今の御指摘の落差でございますけれども、実は三歳未満児につきましては主食と副食二つの給食につきまして見るという考え方ですが、三歳以上児につきましては副食のみを給食するということで今御指摘のような落差を設けておるわけであります。
  29. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでこの資料を読んでみましておかしいなと思うんですけれども、三歳未満児は一人当たり七千七百八十四円で三歳以上児は五千二百七十円とここに二千五百十四円の違いがあって、その中で保育費は三歳未満児が千百八十六円で三歳以上児の方は千三百七十六円と三歳以上児の方が少し高いんです。だから結局給食費で三歳以上児が二千七百四円低くなっている。それでどういう理由ですかと今聞いたら三歳以上児は副食のみで主食は要らないんだと。何で三歳以上児は主食は要らないということになるんですか。三歳以上児は飯食べなくてもいいっていうんですか。
  30. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 申し上げましたのは、ゼロ歳、一歳、二歳児というのは乳児、幼児、しかも幼い方の方々でありますので、いわば保育所において保育時間の中で面倒を見る、それから三歳以上児につきましては親御さんが弁当を持たす、こういった考え方もとでそういう金の面における落差もつけておるということであります。
  31. 山口哲夫

    山口哲夫君 それも余りにも現場を知らな過ぎるなと思うんですよ。どこの保育所だって給食室を持って、三歳以上児だってみんなちゃんと主食も副食もつけていますよ、同じように。ところがあなたの方は、計算上三歳以上児は副食のみで主食は親が持たせてよこせばいいんだ、こういう考え方なんですね。しかしこれはどう考えてもあなた方の理屈は通らない。恐らくあなた方自身通らないということをわかっていながら何とか単位費用を少なく見るためにこういう操作をしたとしか思われませんよ。どうですか。
  32. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 申し上げたとおりの考え方でございまして、私どもむしろ費用をどうするという観点ではなくて入っている児童の処遇ということに考えの重点を置きましてやっているわけでありまして、やはり三歳以上児につきましては給食まで見るということではなくて、父兄の方々にそれを弁当とかそういった形で見ていただくという考え方でやっておるということであります。
  33. 山口哲夫

    山口哲夫君 さっき自治省の方は単位費用を組むに当たっては実態調査というものを非常に大事にするような発言がありましたね。それだったらもう少し実態調査をしたらどうですか。保育所の給食室がどういうふうになっているかよく見てください。どこに保育所で三歳以上児だけは弁当を持ってきなさいと言っている保育所がありますか。私はほとんど全国を歩いていますがそんな保育所は一カ所も見たことない。余りにもこれは実態とは違い過ぎる。どうですか。
  34. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 私どもの今申し上げた数値といいますのは、国の補助金なら補助金を精算基準として幾ら措置権者、市町村に出すかということについての考え方の問題でございます。そこでだれがどう負担するかという考え方の問題として、私どもといたしましては、三歳以上児につきましては考え方としてそれは保育所では考えないというふうなことで考えておるわけで、御指摘のように現場あり方とあるいは違うという点は、私どもつぶさには承知しておりませんがあるいはあるかもしれませんけれども、申し上げましたことは、くどいようですけれども、国の補助金を出す場合の基準としてどうあるかということについて申し上げた考え方をとっておるということです。
  35. 山口哲夫

    山口哲夫君 自治省の方では単位費用というものは実態をまず考えなきゃならないと言っているんですから、その実態を把握してください。あくまでもみんな給食室では三歳未満であろうが以上であろうがちゃんと給食は出しているんです。それだけお金がかかっているんです。そういう実際にかかっている金を、三歳以上児だけは主食は要らないんだ、家から持ってきなさいというようなこの組み方自体に私は誤りがある、こう申し上げておきます。来年からは実態をもう少し把握をしてそれに合うような単位費用をつくってください。  今どき一人二十一万六千二百十六円でもってやっていくなんていうのは到底できるものではありません。そういうことをやるから超過負担がふえてくるんですよ。私の調べでは、十六万人くらいの人口の都市で調べたんですけれども児童が千八百人いるところで一年間どのくらい市費の持ち出し、いわば超過負担と言われるものがあるんですかと言ったら七億円だと言うんです。この中にはもちろん市単独の政策も若干含まれていると思いますけれども、それにしても何億という金を 自治体が持ち出ししているんですよ。これは自治体の負担分を除いてです。自治体が負担しなきゃならない分は全部除いて、そのほかに市単独でもって持ち出さなきゃならないのが七億円もある、こんなふうに言っているんです。だから保育所超過負担というのは各自治体とも物すごく多いんです。これはぜひ年次計画を立てて解消に努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  それでちょっと聞いておきますけれども厚生省がこういう費用を組むときに自治省大蔵省の方から、基準財政需要額をもっと下げなきゃならないから単位費用を下げるような形で組んでこいというような何かそういう指示があるんですか。
  36. 楠本欣史

    説明員楠本欣史君) 私ども保育所等の措置費法律ではっきりと決められておりまして、最低基準を維持しなくてはいけない、そのための費用だということになっておりますので、私どもはそういう観点から措置費を積算し妥当な水準と考えられるものを設定しておるという状況であります。
  37. 山口哲夫

    山口哲夫君 それならばあるべき行政水準というものをきちっと維持するためにもう少し実態を把握して、来年度からちゃんとした単位費用というものを組んでもらうように強く要求しておきたいと思います。  基準財政需要額算定で、補正係数単位費用の割合というのはどういうふうになっていますでしょうか。
  38. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 基準財政需要額につきましては、御案内のとおり、補正前の各費目ごとの測定単位数値に各種の補正係数を乗じてそれに一定単位費用を掛けるという形ででき上がるわけでございますが、この補正係数は各種の係数が適用されておりますので必ずしも補正前単位費用分で幾らあるいは補正係数分で幾らというふうに分けることが難しいわけでございますけれども、仮に総基準財政需要額のうち補正係数を掛ける前の測定単位数値に単純に単位費用を掛けたものの合計を単位費用分というふうに考え、それ以外のものを補正係数による分だというふうにみなしますと、六十二年度算定ベースで単位費用分と補正係数分はおおむね八対二ぐらい、八が単位費用分で補正係数分が二でございますが、大体こんな割合になろうかと思います。
  39. 山口哲夫

    山口哲夫君 私の方の調査では、補正係数によるものが二七・六%、単位費用によるものが七二・四%、若干違うのじゃないかなと思うんですけれども、大体二対八から三対七、この辺だと思うんですね。  それで単位費用というのは今議案で出ているように国会の議決ですね。それが約七割くらいある、私の方の考えでは。ところが残りの三割くらいというのは補正係数ですから、いわば自治省考え方でもって係数をつくってやれるわけですね。そういう点ではもし自治省が恣意的にやろうと思えばやれないことはない、そういう考え方に私は立つわけで、もしそういうことがやられるとすれば我々が幾ら一生懸命国会でもって単位費用を論議してもその精神というものは骨抜きにされていくのでないかという心配があるんですけれども、その点はどうでしょうか。
  40. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) お説のとおり、単位費用につきましてはすべての都道府県あるいは市町村に同一のものが適用されるということでこれは法律で規定されているわけでございますが、これだけでは各自治体の具体的な財政需要を的確に算定することができないということで各種の補正係数を乗じているわけでございます。このそれぞれの補正係数考え方につきましては交付税法にすべて根拠を持たせて算定をするということにしているわけでございまして、これを使いまして各自治体の公正妥当な基準財政需要額算定したいということで、具体的には自治省令で具体的な係数を定めているということでございます。  この補正係数につきましては、国会の御審議も踏まえまた地方団体等の意見も十分拝聴いたした上で毎年決定いたしましてできるだけ適切に算定を行うという努力をしているところでございまして、私どもが恣意的にこの補正係数を決めるということでは決してございません。その点は御理解いただきたいと思います。
  41. 山口哲夫

    山口哲夫君 恣意的にやってはいないということで、そうあってほしいと思うんですけれども、例えば六十二年度の東京都下の約十万人の都市の交付税算定の経過をちょっと分析をしてみたんです。そうしましたら、下水道費、これは経常費ですが、補正前の数値が九万五千四百六十七、ところが補正係数でこれを約十二倍してしまって補正後の数値が百十九万九千二百五十六、それに単位費用を掛けてこの年の下水道費は一億七千五百万、こういう数字になっているんですね。それから投資的経費の方にいきますと下水道費は三十倍しているんです。だから我々が国会単位費用を決めても補正係数によって経常費で十二倍になったり投資的経費で三十倍になったりしていくというのは、何で我々が単位費用を決めたのか、その意味が一体どこにあるのかなという疑問を持つんですけれども、どうでしょうか。
  42. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) いろいろな経費によりまして違いはありますが、御指摘の下水道費につきましては、特に投資的経費で事業費補正の適用をしているわけでございます。この事業費補正というのはその年に必要とする建設費の地方負担分を基礎にいたしまして補正をするということで、下水道の事業につきましてはその年その年で非常に大きな経費がかかるということを考慮いたしまして、この事業を実施している団体の財政需要をできるだけ的確に捕捉するというためにこの事業費補正の数値を使っているわけでございます。  そういう点で単位費用に比べまして事業費補正による増加需要額というものが御指摘のように非常に大きくなっているという点はそのとおりでございますけれども、こういう形にいたしませんと現実に下水道を建設している地方自治体にとりましてはその地方負担をなかなか的確に算定できないという問題がございまして、この点を自治省令で明記して事業費補正を適用させていただいているところでございます。
  43. 山口哲夫

    山口哲夫君 金額を問題にしているのではなくして算出の経過を問題にしているんです。例えば道路費なんかは、標準団体規模の中で計算しているのを見ますとあくまでも道路の面積とそれから延長を基準にしていますでしょう。それから私は釧路の出身で港湾があるんですけれども、港湾というのは係留施設、防波堤だとか岸壁の延長を基準にしているんですね。ところが下水道だけはそういう延長というのが全然出てこないんです。実際の管渠の延長が出てこないで人口によってそれでいきなり特別会計の繰出金がぽんと出てくる。これは同じ土木関係の費用でも何でこんなに違うのか、そういう疑問を持つんですね。  それで今言ったように我々がせっかく国会で決めた単位費用がこういう事業費補正の中で十三倍にも二十倍にもされるということは、国会の議決というのが一体どういう意味があるのかなという疑問を持ちますので、きょうは時間がないからやりませんけれども、この辺はもう少し我々が納得できるような形をとっていただきたいものだなと、こんなふうに要望しておきたいと思います。  次に種地区分なんですけれども、ことしは五年に一回の改定期でございます。評点の項目が甲地と乙地とそれぞれ四つずつ出ているんですけれども、この五年前に比べてどこを変更するんでしょうか。
  44. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 普通交付税の普通態容補正に用います種地の決定をするための評点をするわけでございますが、この評点をするための基準といたしまして人口集中地区人口、経済構造、宅地平均価格指数、それから昼間流出入人口というようなものをこれを都市化の度合いの一つの指標という形でとらえて評点をいたしましてそれぞれの都市の都市化の状況をあらわすわけでございます。  このうち人口集中地区人口でございますとか経済構造でございますとか昼間流出入人口につきま しては従来五十五年度の国勢調査の数値を使っていたわけでございますが、今度昭和六十年度の国勢調査の数値がすべて出ましたのでこの数値に置きかえるべく今作業をしているところでございます。この新しい基礎数値に置きかえた場合の種地区分がどうなるかということを六十三年度分の普通交付税算定に使いたいということで今検討を進めているところでございますが、そういう検討の中で的確な都市化の事情というものがいかに捕捉できるかを今検討しているところでございます。
  45. 山口哲夫

    山口哲夫君 五十三年度の改正のときにはたしか昼間流出入人口というところにすごく重点を置いて改正していったんですね。その結果大阪のある都市ではいきなり五十点も点数が下がっているところがあるんですよ。だから一から四までの区分の中でどこに重点を置くかによって都市によっては三十点も五十点も急に下がるというところが出てくるんですね。そうするとそれだけ交付税に何億とはね返ってくるわけですが、そういう自治体が出た場合の救済をどう考えておりますか。
  46. 小滝敏之

    説明員(小滝敏之君) 御指摘のとおり、普通態容補正の指標につきまして五年前の五十八年度におきましても四つの指標のウエートにつきまして若干変更いたしました。特に人口集中地区人口は統計の定義上五千人以上という指標になっておるわけですが、この五千人が若干下回りますと一挙にDIDがゼロになる、そういうような非常に激変するものにつきましては一部激変緩和の措置を講じております。それ以外の指標につきましては、片方の指標で評点が下がりましてもウエートが高くなったところで評点が上がるといったようないろいろな態容がございまするけれども、大幅な激変が生じないような配慮をしつつ、個別の補正係数の面においてそれらの都市の需要が的確に反映し得るよう十分配慮しているところでございます。
  47. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、今度の種地区分の改正によって交付税に大幅な変更ができるだけ生じないような対策は考えていきたいというお答えだと思うんですね。自治体にとっては億の単位で違うというようなことになって急に財政状態が悪くなるというところが出てきたら大変だと思いますので、その点はひとつ十分きめ細かく配慮をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  時間がなくなりましたのでちょっと飛ばしますが、今まで申し上げてきたように、どうも交付税算定基準というのは補正係数とか単位費用のいろいろな面をとっても自治省の恣意性というかそういうものが入っているような気がしてならないわけですね。それはどこの自治体でもよくそういうことを言うんです。極端に言えば鉛筆なめて点数をちょっと上げるだけで何億上がるんだとか下がるんだとか、そういうことをよく言われるんですよ。自治省はそんなことはないとおっしゃるでしょうけれども、それじゃ全部資料を公開できますかというとなかなかそれも公開してもらえないということもあるので、どうしてもそういう気持ちにならざるを得ない点もあると思うんです。  それで私は一つ提案したいと思うんですけれども、今標準団体というのは都市の場合には一つですね。十万人の人口を標準団体として、数百万の都市でも二千人の町でも全部標準団体は一つであとは補正係数でやっていくわけですが、果たしてそういうことがいいんだろうかなと思うんです。やっぱりそれぞれの団体の規模によりましては行政需要の中身も随分違っていると思うので、たしかシャウプ勧告のときにも言われているんだそうですけれども、この際標準団体というのは大都市と都市と町村と三つに分けてそれぞれの標準団体をつくる、そしてあとはでこぼこがあるでしょうからそれはある程度補正係数でもって修正していくというような形にもうそろそろするべきときでないかなと思うんですが、どうですか。
  48. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) おっしゃるとおり市町村の態容は極めて多様になっておりますので、これを一つ標準団体で算定するということにつきましてはこれを機械的にやりますと非常に問題があるということでいろいろな補正係数を使いながら的確な算定に努めているところでございます。  今御提案の大都市、都市、町村というような三つの標準団体をつくるという考え方一つ考え方かと思うわけでございますけれども、仮に同じ人口規模でありましても大都市周辺の都市である場合と地方の都市であるとでは相当財政需要というものが違ってまいりますし、そういう点を考えますと、現段階標準団体を三つなり四つなり市町村分につくっていくということにつきましてはなかなか難しいのではないかなという感じがするわけでございます。特に単位費用算定事務は国の予算編成が終わり地方財政計画の策定と並行いたしまして極めて短期間にこれをつくっていかなければならないという点もございまして、標準団体を複数設定していくことにつきましてはなかなか現段階ではこれに対応し得るかどうか、ちょっと私どもも難しいのではないかという感じがしているわけでございます。
  49. 山口哲夫

    山口哲夫君 もうコンピューター時代ですから、そうじゃないシャウプ勧告時代でさえそういうことを言っているんですから、事務の煩雑さとかそういうことは私は理由にならない時代だと思うんですよ。今までどうも自治省の方としてはそういうことをやると事務的に大変だというふうにおっしゃるんですけれども、そんな大変な問題ではないと思うんですね。  私はやっぱり今の補正係数のみで社会情勢というものを的確にとらえることはだんだん困難になってきていると思うんです。ですからそういうことからいけば、もう意見が相当前から出ているわけですし、識者の中には完全にそういうふうにするべきだという意見さえ出ているわけですから、やっぱり標準団体というものを一つから複数にふやしていくことを自治省としてひとつ真剣に考えていただきたい。基準財政需要額というのをきめ細かくすることはそれなりに私はいいと思うんですけれども、余り煩雑な形にいたしますとかえって恣意的な要素がだんだんだんだん入ってくることも考えられるでしょうから、ぜひひとつこの際標準団体というのを複数に、できれば大都市、都市、町村の三つくらいに分けてつくっていくように検討をしていただきたい、こんなふうに思います。  それで大臣にお尋ねいたしますが、今までの交付税についての若干の論議の中でもお気づきだと思うんですけれども、どうも今の基準財政需要額あり方というのはあるべき行政水準というものがまるきり無視されている。国が決めた基準でさえ無視されている。これはもう理論的に全く矛盾しています。津田行政局長が衆議院でお答えになったその答えでさえ実際にやられていないんです。答えていることとやっていることがまるきり違うんですからここは反省してもらわなきゃならないと思うんですけれども、そういうあるべき行政水準というものを無視して、むしろ先に地方財政計画でマクロ的に決めた交付税ありきなんです。交付税額が先に決まっているんです。  交付税額が先に決まっているから、それから今度逆算をして需要額とかあるいは単位費用を決めるような形をとっているわけです。だからどうしてもそこには自治省の政策的な意図が入る。私に言わせれば恣意的な考え方というのが入らざるを得なくなってくるわけですね。だから地方自治体に行きますと、必要とする経費基準財政需要額との間に大変な違いが出る、乖離が生じているわけなんです。私はそれは大蔵省だって責任があると思うんですけれども地方自治体の現在の財政状態を考えたらもう少し自治体の実態に即した、できればあるべき行政水準というものを十分考えて交付税というものを算定するように、特に単位費用なんかは基本的に改めていただきたい。  そういうことをしますともう黙ってでも交付税額はアップしなければならない状態に来ているんです。この点について大臣はどうお考えでしょうか。
  50. 津田正

    政府委員津田正君) まず、法令等の規定を無 視して交付税算定しておるのではないかと先ほどからのお話でございますが、私どもとしましては清掃費の組み方につきましてはまさしく先生指摘の道交法七十一条の問題というものも十分考えまして、所管庁でございます警察庁の意見なども踏まえて処理しておるつもりでございます。  そして、最近におきます地方財政の厳しい状況の中で、交付税算定対象の中でいわば地方債の活用部分ということもつくらざるを得ないような状況もあるわけでございますが、いずれにしましても私ども地方財政の財源保障そして財源調整というような観点におきまして地方財政計画につきまして適切な掲上をいたし、またその中におきまして必要な地方交付税の総額を確保しておるところでございます。ここ数年来はいわゆる国庫補助負担率の引き下げの問題等も抱えておるわけでございますが、いずれにしましても必要な地方財政需要額につきましては地方財政計画、また地方交付税の総額の適切な確保を図りまして地方団体財政運営が的確にできるよう私どもとしても努力してまいりたい、かように考えております。  交付税率の引き上げ等の問題ももちろん抱えておるわけでございますし、確かに六条の三の事態ではございますが、これは補助率カットの問題ということが、特に六十三年度の場合にはその補助率カットを除きますと通常収支の均衡というような事態におきまして、六条の三によります交付税率の引き上げ等の問題はやるのは適切でない、かように考えておるわけでございます。
  51. 山口哲夫

    山口哲夫君 大臣からの答弁はいただけないようですけれども、今の局長の言った答弁の中で間違いがあるのは、警察の考えもそうなんだと言うけれどもこれはいずれまたやりましょう。警察の考え方は法文を公式的に解釈しただけにすぎない。だからエンジンをとめて運転手が移動してごみを上げることはいいですよと恐らくそう言っているんです。エンジンをとめればいい。しかしエンジンとめてそんな作業なんかできるはずはないんです。そういうことからいった場合には警察の解釈は違ってくると思うので、これは時間がないからいずれまたやりましょう。  そういうことからいきますと、私はもう少し現在の姿、あるべき姿というものをきちっと交付税の中に反映させるように努力をしてほしい。特に不交付団体が最近物すごくふえていますね。これは衆議院の議事録を読んでみましたら局長は、証券会社だとか銀行なんかが立地されるところはふえるでしょうなんて言っているんですけれども、そんなあなた、五年間に百も市町村に証券会社と銀行がふえていますか。恐らくそんな数字になっていないと思うんですけれども、これだって湯浅議官はちゃんと答えているんですよ。確かに山下衆議院議員、社会党の議員の御指摘のとおりですと。基準財政需要額を低く見積もっているから不交付団体が出てくるのじゃないですかと言ったらそのとおりですとあなたおっしゃっているわけでしょう。  だからそういうことからいきますと、どうも自治省の恣意的なやり方によって不交付団体をふやしていく、現実とは全く離れているというようなことが随分ありますので、こういうことのないように、あくまでも現実をもっと反映させ、できるだけ行政水準を高めるような方向で交付税というものを算定するように今後ひとつ努力をしていただきたい。そして大蔵省にも要望しておきたいと思いますけれども、余り大蔵省から自治省に、財政が苦しいんだから交付税は少し下げてくれ、基準財政需要額をうまくやればいいじゃないかと、そんなようなことを言わないようにしてください。そういうことが随分あるようですよ。ですからそういうことのないように、きちっと必要なものは必要なものとして計算をしていただきたいということを要望して、交付税の方は終わります。  その次にちょっと順序を変えまして、この間中途半端になっておりました天下り人事の問題でまず人事院にお尋ねいたしますが、国公法三十六条は、国家公務員の採用というのは原則的には競争試験である、そして特例として選考もあり得るというように解釈してよろしいですね。時間がありませんから簡単に結論だけでいいです。
  52. 谷仁

    説明員(谷仁君) お答えいたします。  国家公務員の採用につきましては競争試験による方法とそれから選考による方法と両方がございます。
  53. 山口哲夫

    山口哲夫君 それで選考というのは人事院に承認権があるんですね。
  54. 谷仁

    説明員(谷仁君) 公務員の採用試験につきましては今申し上げましたように選考採用による方法もあるわけでございますが、御承知のように人事院では国家公務員採用の競争試験を行っております。ただ職種によりまして、例えば医師でございますとか看護婦でございますとか学校先生でございますとか、こういうケースにつきましては国家試験がございますので改めて競争試験をやる必要もないというようなことでございまして、そういうものも含めまして選考による採用の方法が認められております。  ただ先ほど申し上げましたように公務員法上競争試験の原則もございますし、こういう競争試験を行っている職種に選考採用をする場合につきましては、試験との関係の調整等もございますので一部人事院が選考採用について承認をするというものもございます。選考採用全体について承認をしておるわけではございません。
  55. 山口哲夫

    山口哲夫君 イエスかノーかだけで結構ですけれども、そういう意味ではあくまでも選考というものは特殊なものと考えてよろしいですね。
  56. 谷仁

    説明員(谷仁君) 先ほど申し上げましたように職種によりましていろいろな形がございますので、例えて申しますと、公務員は年間三万五千人ぐらいの採用人員がございますが、その中で競争試験によって採用しておる者が約一万六千人、選考採用による者が先ほど申し上げました医師とか看護婦とかそういう者も含めまして全体としては一万九千人、こんな感じになっております。
  57. 山口哲夫

    山口哲夫君 現に地方公務員である者を国家公務員として採用する場合これはあくまでも選考ということになると思うんですけれども、そうですか。
  58. 谷仁

    説明員(谷仁君) 通常、先生指摘のとおりであると思います。
  59. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでは自治省、それから農林省、建設省にもお尋ねしますけれども、これらの省庁地方公務員である者を国家公務員として採用していますが、今どのぐらいの人数がいらっしゃいますか。そしてそれは人事院の承認をとっていますか。
  60. 持永堯民

    政府委員(持永堯民君) 自治省におきましては、全体の定員が五百五十名程度でございますけれども、その中で地方団体から採用した職員の数というのが現在約二百名強でございます。  これにつきましてはいずれも人事院の承認を得て採用をいたしております。
  61. 山口哲夫

    山口哲夫君 農林省、建設省、どうですか。
  62. 高橋政行

    説明員(高橋政行君) 農林水産省では都道府県、市町村から人材を広く受け入れておりますが、都道府県からの受け入れの総数は近年増加しておりまして、本年五月一日現在四十五名でございます。  それから人事院の方との協議関係でございますが、協議しなければいけないものは協議しておりますが、最近四月一日からは包括協議というようなことで協議するものは少なくなっておるという状況であります。
  63. 斎藤衛

    説明員(斎藤衛君) 建設省の方では現在八名の方を地方公共団体から受け入れさせていただいております。  それから採用につきましては、先ほど人事院の方の御説明にもございましたが、上位の級の方でございますので今のところ個別には協議をいたしております。そういう状況でございます。
  64. 山口哲夫

    山口哲夫君 いずれも承認の場合には包括的な承認のようですね。自治省もそうでしょう。
  65. 持永堯民

    政府委員(持永堯民君) そのとおりでございます。
  66. 山口哲夫

    山口哲夫君 それで農水省、建設省では地方公 務員を国家公務員に採用しているのはそんなに大きな数ではないですね。農水省あたりはちょっと大きいかなとは思うんですけれども、しかし自治省に至っては五百四十五名の定数のうち二百七名、三八%が地方公務員を自治省職員、国家公務員として選考採用しているんですね。選考採用というのは今までのお話のようにあくまでも特殊な例で例外なんです。地方公務員でどうしてもこういう能力を持っている人を欲しいんだという場合において、それは国家公務員の試験を通ってないわけですから選考で採用する。だから選考採用というのは今人事院が答えたように、お医者さんだとか特殊な資格を持っているような人でどうしても人事院がやる採用試験の中では採用できないような人を国家公務員として採用する場合に選考で採用する。だから例外なんです。三八%も例外がいるんでしょうか。
  67. 持永堯民

    政府委員(持永堯民君) 先ほど御指摘がございました国家公務員法三十六条の法文からまいりますと確かに競争試験が本則でただし書きで選考ということになっておりますから、法律の形式上は例外的な扱いだろうと思います。ただ私ども自治省の場合におきましては仕事がやはりすべての面にわたりまして地方団体と密接な関連がある業務を行っておりまして、そういう意味では地方の実情を知るあるいは地方の実務を知っている職員がおるということは自治省事務を処理する上でも非常に有意義なことだということから多くの方を採用しているわけでございまして、この採用につきましては確かに形式的には原則例外かもしれませんけれども、先ほど御指摘ございましたように人事院規則で認められておるわけでございますので、その人事院規則にのっとりまして採用をいたしておるということでございます。
  68. 山口哲夫

    山口哲夫君 きょうは時間がありませんので問題提起だけしておきます。少なくとも国家公務員というものは人事院の国家公務員採用試験を通った者を原則としている、競争試験を原則としているのであって、選考で採用する者はあくまでも例外であるべきだ。それが三八%の職員を例外として採用するということはこれは異常な状態だと思います。こういうことはやっぱり改めていくべきだというふうに私は考えておりますので、いずれまたやろうと思いますけれども、問題だけ提起しておきたいと思います。  それで研修生というのがおりますね、地方からの。こういう人たちの給料はそれぞれの出身の県で支給しているそうですが、こういう方々が自治省の中で物すごく夜おそくまで仕事をやっているんですけれども、超過勤務なんかはどこで出すんですか。
  69. 持永堯民

    政府委員(持永堯民君) 研修生につきましてはあくまでもこれは実務研修という形で、自治省で行っております地方行政あるいは公職選挙等にかかわります企画立案等々の実務を勉強してもらうということで来られているわけでございまして、そういった意味であくまでも研修でございますから、人件費の負担につきましては御指摘の超勤を含めて派遣団体でございます地方公共団体が負担をしておる状況でございます。
  70. 山口哲夫

    山口哲夫君 それぞれの出身県でもって負担するべきだというのが理論的なんでしょうけれども、しかし実際にはやっていないですよ。研修生で来た方々はそれこそ単純作業に夜遅くまで従事しているわけですがほとんど超過勤務は払われていない、研修生という名のもとに払われていないというのが実態なんです。これは全く労働基準法違反なので、この点ひとつ詳しく調べておいてください。これも問題提起だけしておいて議論は後ほどに譲ります。  それで天下り問題の最後ですけれども退職金の問題です。ある県の部長ですが、国家公務員として三十二年間勤務して、その後そこの県に六年間勤務して退職されました。退職金は三千数百万円払われたそうですが、それは一切県だそうです。国家公務員の三十二年間の勤務期間を何でそこの県が持たなきゃならないのか。これはおかしいと思いませんか。
  71. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 人事交流によりまして国と地方公共団体との間を引き続いて勤務した職員につきましては、基本的には国家公務員退職手当法または地方公共団体のそれぞれの退職手当条例の定めるところによりまして、その退職の都度退職手当を支給するということではなくて、最終的に退職する勤務先において全在職期間を通算いたしまして退職手当が支給されることになっております。  御承知のとおりでございますが、このような制度は関係職員の退職手当の計算上の不利益が生じないようにいたしまして国と地方公共団体との間におきましての円滑な人事交流が図られますように、相互に在職期間を通算し合うという相互主義の考え方に立ちまして運営なされておるわけでございまして、制度といたしましても長期的に安定した運営がなされておるというふうに存じておりまして、御理解いただきたいと思います。
  72. 山口哲夫

    山口哲夫君 相互主義という考え方は私も理解できるんです。例えば一つの県から五人の方が国家公務員としてやってきて、それでやめたから地方時代の期間も含めて国家で退職金を払いましょう、そのかわりそこの県に国家公務員が五人来てそしてやめるときには地方でも払いましょうと。だから同じ人数でやるというのなら相互主義の精神だと思うんです。しかし実態はそうでないんですよね。国家公務員が長くて地方には何年間かおってやめた、そのときに国家公務員時代の三十二年間の退職金を全部地方で払わせるというのが実態なんです。決して相互主義になっていないんです、そこは。だから今ある規定自体が非常に矛盾していると私は思うんです。  それで問題提起しておきますけれども、そういう場合においては国家公務員時代の三十二年間なら三十二年間に該当する退職金というものをその分だけは県の方に当然支出すべきだと私は思うんです。仮に地方から国家公務員になってそういう同じような状態が起こった場合には地方から出してもらったっていいじゃないですか。そういうことをきちっとやらないと、相互主義だからいいんだと言うけれども実態はまるきり相互になっていないで県の方だけが損をしているという実態なんです。  これは県民感情からいってちょっと納得できないですね。それは恐らく皆さんもわかると思うんですよ。国家公務員で三十二年も働いて地方ではたった六年しか働かないのに何でその分の退職金を地方で払わなきゃならないんだ、我々の県民税から払わなきゃならないんだということになりますので、その点は検討する考え方はないですか。
  73. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) この制度は長年の間こうして安定的に運営されてきておりますし、またこの人事交流そのものがそれぞれの国または地方団体の要請に応じてなされておるということも含めまして、御理解をいただきたいと思います。
  74. 山口哲夫

    山口哲夫君 実態がまるきり制度の精神と違っていることだけは今申し上げたとおりですので、その点一度詳しくデータをとって検討してみてください。それは私の方から要求しておきたいと思います。  それではもとに戻しまして国民健康保険事業のことについてちょっと触れておきたいと思います。この間連合審査のときに大臣もずっとお聞きになっていたのでおわかりだと思うんですけれども、国民健康保険事業を中心とする国と地方自治体との関係です。  国保事業というのは団体事務なんですね。だから団体事務だということになれば、国と自治体との関係地方自治法二百四十五条なんです。二百四十五条というのは何かというと、あくまでも助言、勧告、資料提出要求なんです。そこには決して国の指導監督権というのは及ばないということになっている。これは連合審査のときに詳しくやりましたので概略だけ申し上げておきたい。  ところが厚生省の国保に対する通達を読みますと、国保税を下げてはならないとか、下げたら交付金を削るだとか、まさに権力的な内容が出ているわけです。法の改正にも今までなかった指導と いう言葉が初めて出てきて、そして市町村の保険者を指導するような条文がのってきたわけです。私はそういう点でこれは非常に問題があるということを申し上げておいたんですけれども、連合審査でも申しましたように厚生省設置法の第五条の八十九号に「国民健康保険の保険者及び国民健康保険団体連合会を指導監督すること。」厚生省市町村をいわば指導監督するということが堂々と載っている。  それから厚生省組織令にも第七十九条に同じように「指導監督及び助成に関すること。」だから厚生省はまるきり市町村を指導監督できるんだという考え方に立っているんですけれども地方自治法を守っていかなければならない特に中心的な自治省の立場で、こういう自治法の精神を逸脱したようなことが厚生省の設置法や組織令に載るということはこれは私は間違いだと思うんです。こういう点は各省の中にもあると思うので、そういうことを少し点検し国と自治体とのあり方というものについて改めるようにしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  75. 木村仁

    政府委員(木村仁君) 国民健康保険の問題につきましては、国民皆保険の一環として法律で定め国はその運営が健全に行われるよう努めるべき法律上の義務を負っております。また国民健康保険法におきましてこの事務を処理するための権限として厚生大臣等に保険者に対する報告徴収権あるいは検査権等の監督権限が付与されているように理解をいたしております。厚生省設置令の中に国民健康保険事業の保険者の指導監督事務に関する規定がございますが、このような規定は国民健康保険法の規定を厚生省の所管事務という観点から整理をして規定されているものというふうに理解をいたしているわけでございます。  いわゆる団体委任事務につきましては、御指摘地方自治法二百四十五条に基づきまして主務大臣が技術的助言または勧告あるいは報告の徴収ということができることになっているわけでございますが、そのほか特に全国的な行政の水準を維持するとかあるいは共通の問題を解決するために必要であるということがありますと個別の特別法によりまして指導監督権限等の関与が認められている場合があるわけでございまして、そういった全体としての指導等が行われているものと理解をいたしております。  御指摘のように、私どもも団体委任事務という形で国の事務といえども団体に委任した以上はできるだけその自主性を守るべく、地方自治法二百四十五条の規定で指導助言していただくのがよろしいと思い立法等に際しましてもそのような努力をいたしておりますし、また個別法の解釈として通達等によります指導を行います場合にもそういう趣旨が損なわれることのないように努力をいたしております。今後ともそういう努力を傾注してまいりたいと考えております。
  76. 山口哲夫

    山口哲夫君 今局長がおっしゃった後段の方は正しいと思うんですね。自治体に団体委任した以上は自治体の自主性というものを尊重していかなきゃならないんだ、だから余り権力的なやり方というのは好ましくない、こう思うんです。  しかし厚生省の設置法に具体的に指導監督するという言葉が出てくれば、これは全く自治法の二百四十五条の精神と違うんです。監督をしてはならないんだというのが二百四十五条の解釈なんですよ。監督権を与えてはならないんだ、だからこういう条文にしたというのが立法過程、改正過程の議事録を読んでもずっと載っているんです。学者の論文を読んでもみんな、政府が自治体に対して指導監督権を持ってはだめなんだ、指導する場合には技術的なものなんだということで、監督ということが厳にあってはならないということを言っているんですね。  ちょっと行き過ぎだと思いませんか、この条文は。
  77. 木村仁

    政府委員(木村仁君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、地方自治法という一般法があるけれども特別法に指導監督の権限が書かれること自体は立法論の問題で、できてしまえば仕方がないことではないか。そういう個別法の実態を踏まえて、それを所管事務という形で整理する形で設置法に書かれているのであろうと解釈いたしておりますので、その個別法を集約した形で指導監督という言葉になるのかどうかということにつきましてはちょっと私ども見解をはっきり申し述べるような能力もございませんが、立法過程においてそういう整理がなされたのであろうと解釈せざるを得ないのでございます。
  78. 山口哲夫

    山口哲夫君 たまたま今できてしまえばしようがないとおっしゃったけれども、それじゃ間に合わないので、立法の段階地方自治法の精神に反するような法律あるいは省令をつくらせないように自治省としてはきちっとそこは意思統一してほしいと思うんです。できれば大臣に閣議の中で、こういうような自治法を逸脱するようなことを各省庁で勝手にやられちゃ困るよというようなことを、大臣どうですか一度言ってくださいよ。そのことを要望しておきます。  次は地方自治の日の制定についてちょっと質問いたしますが、第十六次の地方制度調査会の答申の中に地方自治の日を制定せよということが載っております。  「地方自治の確立と健全な発展を図ることについて国民の理解と協力を促し、自治意識の向上と確認に資するため、毎年十月五日を「地方自治の日」と定めることとすべきである。」「「地方自治の日」は、国民の祝日とする」  統一選挙のことは佐藤議員がこの間質問いたしましたので別にいたしまして、どうですか、今盛んに労働時間が長過ぎるということで問題になって時間短縮が叫ばれている中ですから、この地方制度調査会の趣旨というものを尊重して、当然この答申は検討しなきゃならないわけですから、検討した結果地方自治の日を十月五日としそれを休日にするということについて大臣の御意見はいかがでしょうか。
  79. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 地方制度調査会は住民の自治意識の向上のために毎年十月五日を地方自治の日と定めこれを国民の祝日とすることと提言しているが、同答申においては地方自治の日に統一地方選挙を実施する等の提言もあわせて行っているところであり、地方自治の日をどのようなものとして何月何に設定すべきかについては、このような点も含め広い角度から検討すべきではないかというふうに考えております。
  80. 山口哲夫

    山口哲夫君 選挙の問題を一緒にするとなかなか難しいのでそれはとりあえずこっちへおくとして、それは検討しなくていいということじゃないですよ、検討するにしましても時間がかかると思いますから、しかし休日にすることはやろうと思えば来年からでもできると思うんですね。ぜひひとつ休日にするということだけは梶山自治大臣のときに実現をしていただきたいということを強く要望をしておきたいと思います。具体的な検討中身につきましてはいずれまた質問する機会があると思いますので、なるべく早く結論を出していただきたいと思います。  それから次は住民基本台帳法とダイレクトメールのことについて質問をいたします。  この件につきましては六十二年九月十七日の当委員会で私が質問をいたしておりまして、ダイレクトメール作成業者に台帳を公開するということについては現場で混乱が起きているので問題がある、特に札幌市の窓口では八万件以上も台帳の閲覧があって混乱しているということで、私の方からダイレクトメールの関係取り扱いについて検討してみる時期に来ていると思うけれどもどうですかということに対しまして当時の大林行政局長は、プライバシーとの関連で勉強してみたい、こういうふうにお答えになっているんですけれども、勉強した結果何かそういう機関を設置することにいたしたんでしょうか、いかがでしょうか。
  81. 木村仁

    政府委員(木村仁君) ダイレクトメール業者に住民基本台帳の閲覧を制限することにつきましては昭和六十年の法律改正の際にも大変議論されたところでございますが、その際には、単に営業のためということだけで閲覧を制限することは経済 活動のために住民基本台帳がいろいろな形で活用されている現在の社会情勢からすれば無理である、さればといって相手方の態容で限定するということは結局のところ限界線が定まらないのではないかという結論に達して、法律改正がその部分を含まずに行われたように理解をいたしております。  その後いろいろ議論があるところでございますが、現在におきましてもダイレクトメール業者に住民基本台帳の閲覧を制限するということは大変難しいことではないかと考えております。しかしながら、ダイレクトメール業者に限らず住民基本台帳の大量閲覧につきましては市町村の執務に影響を与える等の問題もございますので、少し遅くなりましたが近々開催することと予定いたしております地方公共団体の職員等で構成いたします研究会、地方公共団体における窓口サービスのあり方に関する研究会という仮称になっておりますが、そういうところでいろいろと勉強をしてまいりたいと考えております。
  82. 山口哲夫

    山口哲夫君 大変結構な研究会をつくられたので、私は外部の第三者の人も入れた機関にしていただきたいと思うんですけれども、そこまでいかないにしても自治省の中にそういう研究機関をつくるということは大変結構だと思いますので、ぜひひとつこのダイレクトメールのことについてもこの中で取り上げていただきたいし、また現場を知っているような人もできるだけ呼んでそういう現場の意見も聞いてやっていただくようにお願いをしておきたい、こう思います。よろしいですね。  次は清掃業務の安全対策の問題ですが、ことしの一月二十二、二十三日と私は滋賀県の草津市に行ってまいりました。それは清掃工場のごみピットに民間の清掃車が作業中転落いたしまして作業員が死亡したという事件があったからであります。その現場調査の結果幾つかの問題点が出てまいりました。  時間がありませんので簡単に申しますと、車の転落防止のためのチェーンはあるけれども全く形式だけであって効果はほとんどないというように見たこと。それからごみを車からピットに捨てるときに使用する作業員の命綱というのがさびついていて三つのうち二つは使えない状態だった。それから命綱をつける安全バンドというのが全然作業員に支給されていない。それからごみピットの入口に作業員が転落をしないような防止さくがなかった。それから作業車一台の乗車人員というのは請負契約では二名になっている、そして市も業者も労働省の基準監督局も、厚生省で出した安全マニュアルの一台三人ということを知らなかったという点で私は大変驚いたわけであります。  そこで滋賀県の労働基準局長といろいろ交渉いたしました結果、新年度から清掃労働者を含めて清掃業務の安全のための協議機関をつくる、こう言われました。これは局長が大変即答をされましてなかなか立派だなと思いましたが、ぜひこういった現場作業員現場をよく知っている人を含めて安全問題を検討する協議機関というものを全国のそれぞれの局の中につくっていただきたいということを考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  83. 北山宏幸

    説明員(北山宏幸君) 清掃業における労働災害を防止するためには、従来から労働基準局といたしましても事業の運営指導に当たる都道府県と連絡協議の場を設けていろいろ災害防止について連絡協議に努めているところでございます。今後ともこういった連絡協議の場が適切に運営されるように努力をしていきたいというふうに思っております。  また現場の労働者の方々の意見を聞くというのは御指摘のとおり非常に大切なことだというふうに思っておりますので、今後地方の実情に応じた適切な方法によりまして労働者の方々の意見を聞く機会を設けるように努力をしたいというふうに考えております。
  84. 山口哲夫

    山口哲夫君 滋賀県では労働基準局の中に設ける、こういうことでした。それでも結構だと思うんですけれども、できれば現場の監督局あたりの中につくってもらえばもっと徹底すると思うんですね。ですからそういうことでひとつ現場の労働者を含めた安全対策ということを真剣に考えていただきたい、このことを強く要望しておきます。  それから清掃工場の構造指針というのがありますね。新しく清掃工場をつくる場合の構造指針だと思うんですが、この中に工場の安全基準というのが入っていないんですけれども、これは入れるべきでないでしょうか。
  85. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) お答えいたします。  厚生省で出しておりますごみ処理施設構造指針でございますが、これは昭和六十一年八月に改定いたしまして市町村に示したところでございます。その中で施設の安全対策につきまして施設全般に係る事項と焼却施設に係る事項と分けて記述しておりますが、施設全般に係る事項につきましては、作業環境の維持や酸素欠乏危険場所及び有害ガス発生危険場所の対策を記述いたしております。また焼却施設に関する事項につきましては、プラットホーム端部でのガードレールの設置、ごみピットへのごみ投入扉部分に十分な高さの車どめを設けるなど安全対策を重点的に記述いたしておりまして、ごみ処理施設の稼働の信頼性と安全性の向上等を図るべく構造指針において措置しておるところでございます。
  86. 山口哲夫

    山口哲夫君 非常に不十分な内容だと思うんですよ。  例えば私現場を見て感じたんですけれどもごみをいきなりごみピットの中に投入するというのは非常に危険なんですね、どんなものが入っているかわからないんですから。だからできれば一たん外で投入して、その投入されたものが今度直接ごみピットの中に捨てられるような二段方式的な形でやると、車が転落するということは絶対にないだろうし、それからごみの中に何が入っているか、とんでもないものが入っていることだってあり得るわけですから、そういうことを見ることもできるだろうし、そんなことなんかもひとつ検討して、今滋賀県の問題で指摘をしたようなことをこの安全基準の中にぜひ入れるように検討してみていただきたいなというように思います。これは要望しておきます。  それから労働安全衛生法の三十条にある特定元方事業者等の講ずべき措置、これについては建設業とか造船事業だけを対象にしているんですけれども、清掃事業もこの中に含めてみてはいかがでしょうか。
  87. 北山宏幸

    説明員(北山宏幸君) 労働安全衛生法第三十条の特定元方事業者等の講ずべき措置につきましては、重層下請等により複数の事業の労働者が種々の作業を混在して行うことが一般的であります建設業であるとかあるいは造船業に限って義務づけているところでございます。  清掃業におきましては重層下請による混在作業が一般的ではないというふうに考えておりまして、この法三十条の適用というのはちょっと困難かと思いますので、これとは別に、御指摘の御趣旨に沿いましてごみ処理場の管理者である自治体が中心となってごみ処理場内の災害防止が図られるよう、都道府県等との連絡協議会や集団指導の場等を通じまして関係事業者に対して指導をしていきたいというふうに考えております。
  88. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、三十条では無理なんで二十九条でやりたい、こういうことですね。
  89. 北山宏幸

    説明員(北山宏幸君) 一応三十条も二十九条も、二十九条は元方事業者が請負業者を指導するという条文でございますので、そういう条文も含めましてそういう形で指導してまいりたいというふうに思います。
  90. 山口哲夫

    山口哲夫君 ただ二十九条でいきますと一方的な指導だけなんです。それが十分に行われていないから民間業者の中で事故が起きることもあるんですね。ですからそういうことを考えますと、実際に請負をしている民間業者と元請の方と協議する機関というものが必要になってくる。常時そういう協議機関を設けて一カ月に一回でもそれを運営させていくようにすればこれは大分変わってくると私は思うんです。だから二十九条をもう少し 直して、その中で一方的な指導だけではなくして元請業者と下請業者との間の協議機関を常時つくっていく、そして現場作業員も含めて協議をする、そういうことを考えていくべきだと思うんですが、どうでしょうか。
  91. 北山宏幸

    説明員(北山宏幸君) 清掃業におきます労働災害を防止するためには委託者の方々と各受託者が連携をして安全対策を行うことが必要であるというふうに思いますので、今後、法令的にはちょっと無理かなというふうに思いますが、協議機関の設置につきましていろいろ検討をしてまいりたいというふうに思います。
  92. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひそこは検討をしていただきたいなと思います。  それで時間がもうなくなりましたので先を急ぎますけれども、作業の内容だとかいろんなものを見てみますと国の基準が守られていない点が随分あちこちに見受けられるんです。例えば清掃車一台当たり三人という安全マニュアル厚生省が出して指導しているということは今まで何回も言っていますが、現場に行きますとさっき言ったように労働基準局さえ知らない、市も知らない、業者も知らない。そういうことではせっかくつくった基準というものが何にもならなくなるんですね。  ですからこういう基準がきちっと現場でもって守られるようにするためにもう少し現場のいろんな機関というものを活発にさせていかなければならないと思って、先ほど特に労働省の方に現場を中心にした協議機関を設けてもらいたい、こういうことでお願いしてできるだけ努力をするということだったんですが、何か聞くところによると、中央の関係する省庁厚生省、労働省、自治省の三省で清掃業務の安全問題を検討する機関というのがもう既にあるんだという話なんですけれども、あるんでしょうか。
  93. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 清掃事業におきます労働災害の重要性にかんがみまして、その防止を図ることを目的といたしまして関係情報の収集でございますとか防止対策の検討を進めますために、昭和五十九年二月に厚生省、労働省、自治省三省の関係課長で構成します清掃事業労働災害防止対策関係省連絡会議を設置いたしております。労働省でその庶務を担当していただいておるところでございまして、これまでにも数次開催されておるわけでございますが、今後とも必要に応じまして開催をお願いしてまいりたいというふうに考えております。
  94. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでは労働省にちょっと資料を出していただきたいと思うんですけれども、設置以来何回くらいやられたのか、協議内容はどういうことをやられたのか、その資料を後ほどひとつ提出していただけませんか。
  95. 北山宏幸

    説明員(北山宏幸君) この協議会は五十九年以降七回ほど開いたというふうに承知をしておりますが、その中で先ほどお話がありましたような災害防止対策等についていろいろ検討をしたということでございます。
  96. 山口哲夫

    山口哲夫君 協議した中身について、そんなに長いものは要りませんから、七回やられたのだったら一回目はどういうことをやったのか七回目はどういうことをやられたのか、その協議内容について後ほど資料を出していただきたいと思います。これはできますね。
  97. 北山宏幸

    説明員(北山宏幸君) 関係省庁とも御相談をして努めてまいりたいというふうに思います。
  98. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ提出していただきたいと思います。  それから要望しておきますけれども、せっかく上の官庁でそういうものをつくってもそれが下の方に全然徹底していないんですよ。何で徹底しないのか、恐らくどこか途中でもってパイプが詰まっていると思うのでそういう点は今後明らかにしていかなきやならない問題なんですけれども、やっぱりそういう基本的な方針を論議する方々にもう少し現場を見てほしいと私は思うんです。さっきからいろいろ論議している中で皆さん余りにも現場を知らないので、私はこれで交付税算定されたり基準マニュアルをつくられたりして果たしていいのだろうかなと思う点が随分あります。せっかくこういう協議機関があるんですから現場もよく見て、そしてどこに問題があるのかそういうことをひとつ点検をするようにしていただきたい、こういうように思いますけれども、そういう御意思はありますか。
  99. 北山宏幸

    説明員(北山宏幸君) 清掃業における災害の防止につきましては、労働省といたしましては監督対象の重点としていろいろ実施をしているわけでございますが、今後ともそういう形で現場実態を十分反映をさせながらその対策を進めていきたいというふうに考えております。
  100. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ現場視察を三省でやっていただきたいと思います。  それでこの問題の最後に消防問題で一つだけ聞いておきたいと思いますが、消防職場の衛生委員会、これは労働安全衛生法第十八条で五十名以上の職場には衛生委員会の設置を義務づけられております。その委員の選出については、労働組合がある場合には労働組合で選出するんですけれども、ない場合には労働者の過半数を代表する者の推薦に基づいて指名をする、こうなっておりますが、消防の場合はどういうふうにして選出しているんでしょうか。
  101. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防職員につきましてはその勤務体制、職務内容の特殊性にかんがみまして職員の衛生管理を徹底することは消防長を初め管理者の重要な責務の一つであると考えておりまして、全国の消防長やあるいは総務、人事担当課長の研修会等を通じましてその旨を徹底しておるところでございます。  御質問の衛生委員会の構成委員の指名でございますが、詳細な実態は把握しておりませんけれども、労働安全衛生法の第十八条において準用いたしております十七条四項に規定する労働者の過半数を代表する者の推薦の方法としては、例えば挙手とか回覧などの方法を活用して指名するというように職場の実態に応じて運用するように指導いたしております。実際に各消防本部におきましては幾つかの形態がございますけれども、課、出張所などの職場単位から選考委員が一名ずつ出席して委員名簿をつくって、それをまた各職場に回してもう一遍再度了承の上選任をする方法とか、あるいは課や出張所の職場単位であらかじめ委員の数を決めておいて、その単位ごとの推薦に基づいて委員を選任する方法など、それぞれ実情に応じて選任をされておると承知をいたしております。
  102. 山口哲夫

    山口哲夫君 衛生委員会というのは原則としてやはり労働組合があってそこから選出されるという民主的な方法をとっているんですね。たまたま消防はそういうものがないものですから結局は代表する者が推薦していくということなんですけれども、その代表する者というのは過半数の推薦を得ていなきゃならないので、そういうことからいきますと、やはり消防の中にも、名前は別にして、互助会だとかあるいは協議会だとかそういう自主的な団体というものをつくっておけばその中ですっと決まっていくわけですね。ですからそういうものを自主的につくることについてはこれは結構なことだと思うんですけれども、どうですか。
  103. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) いずれにいたしましても、消防の場合には組合がございませんので、その場合における十七条四項の規定、これは同じように適用になるわけでございますから、職場の意見を代表する者の推薦に基づいて指名をしなければならない。そのシステムについては各消防本部の実情に応じて法律趣旨に沿うように行う必要があると思います。先ほどお答え申し上げましたような方法、職場ごとに推薦をしていく、あるいはそれを全体を集めてみて、委員の数もございますのでそれをもう一度各職場に回付をして了承をとるというような方法等でもこれは職場の意見を代表する者ということの法律趣旨を酌んでおると考えられます。  いずれにいたしましても、どういう方法をとるにいたしましてもそういう職場の意見を代表する者の意見が反映をされるようにこれは十分指導してまいりたいと思います。
  104. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ消防の中でも、どういうところでも五十人以上の人たちが働いている場合には何らかの組織があればこういう衛生委員会だってすぐ選べるわけですから、そういう自主的な組織をつくるようなことは大いに奨励すべきことだろう、私はこんなふうに思いますのでそこは要望しておきたいと思います。  時間があと十三分くらいしかないんですけれども、最後にダイオキシンの問題について質問をいたします。これは昨年の九月十七日の当委員会で私が質問をいたしまして御出席の藤原課長答弁をしております。  要点を申しますと、ダイオキシンというのは専門家会議の中では一応健康上は問題はないと言われているけれども、実際には報告書の四番目に「わが国のダイオキシンに関する知見はいちじるしく乏しいので、今後はダイオキシンの発生源や制限について、分析方法やモニタリング方法について、さらに健康影響についての調査研究に取り組む心要がある。」こういうふうに書いているからこれからもずっと継続して研究調査を進めなければいけないと思うけれどもどうかということについて藤原課長から「昭和六十年から六十四年度にわたりまして、焼却に伴うダイオキシン等の発生に関する研究、埋立地におけるダイオキシン等の挙動に関する研究、焼却灰中のダイオキシン等の存在状況に関する研究、こういうふうな研究を現在進めております。」こういうお答えがございました。  たまたま五月十四日全国に一斉に、東京湾と大阪湾の魚から猛毒ダイオキシンが検出をされた、こう報道をされ大変ショッキングだったわけですが、この記事を読んでみますと「厚生省評価指針値などからみると、その危険な摂取量は一日当たり約一・八キログラムを一生食べ続けた場合という。日本人が一日に食べる魚の量は平均九〇グラムとなっている。」だからこういうことからいけば全然問題にはならないだろうと書いているんですが、しかし別な新聞を読んでみましたら、日本人は一日に九十グラムだから何でもないんだというように言われているけれども、アメリカの基準ではこれは五十グラムになっている。だからアメリカの基準からいきますと東京湾、大阪湾で検出されたダイオキシンというものは基準値以上なんだ、こんなふうに理解をされるわけです。  そこでちょっと聞いておきたいことは、一体このダイオキシンの含まれている物質は何なのか。よく言われているように、ベトナム戦争でアメリカ軍が枯れ葉作戦で大量に除草剤を使った、それにダイオキシンが大変に含有されていたということで奇形児が生まれている。それから日本でも水田用の除草剤MOにダイオキシンが含まれている。それからごみの焼却場の灰からもダイオキシンが発見されている。そんなようなことを考えますと、今地域で問題になっている燃やしたごみの中にダイオキシンを発生させるようなものが含まれているのでないだろうか、こういうふうに思うんですけれどもどうでしょうか。なるべく簡単に答えてください。
  105. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) 先生指摘の五月十四日の環境庁が発表しましたダイオキシンの調査報告の件につきましては環境庁からもその内容を聞いておりますが、魚から検出されましたのは、一つには測定感度が非常によくなったということでありまして、そのレベルは今のところ人間の健康影響が見出せないレベルである、こういうふうなことであります。そしてその原因ということにつきましてはまだ不明であるということでございます。  私どもごみの焼却施設の建設を所管しておりますので、その立場でいろいろ調査をいたしております。先ほど先生がおっしゃいましたように、六十年から六十四年にかけましてごみ焼却に伴って発生するダイオキシンのメカニズムにつきまして調べておるわけでございますが、まだこの発生メカニズムがよくわからないわけでございまして引き続きまして調査をしてまいりたい、このように思っております。なお焼却施設周辺の環境、作業環境につきましても実態調査をいたしておるわけでございますが、その結果は健康影響が見出せないレベルであるわけでございます。そういうことでございますので、現時点では我々は問題というレベルと考えておりませんが、なお慎重に今後調査研究を進めていきたい、このように考えております。
  106. 山口哲夫

    山口哲夫君 焼却場からのダイオキシンの問題については健康に影響は見出せない、問題レベルにはなっていないと言うんですけれども、ちょっと甘いと思うんですよ。  宝塚で新しく焼却場をつくったら、今まで分別収集でやっていたのを今度は一括収集をやってそして混焼してしまうというんです。この宝塚の報告書を見てみましても、排ガス分析の相対的毒性の最高値が〇・一三八ナノグラムであってこれから計算した吸引量からいけば全然心配ないんだというふうに書いてある。広報紙を読みましてもいかにも住民には全然問題ないんだというふうなことが盛んに書かれているんですけれども、しかしスウェーデンの場合からいきますとこの許容基準というのは〇・一ナノグラムなんです。そうするとここの宝塚の最高値〇・一三八ナノグラムというのはスウェーデンの基準をオーバーしているんですね。そういうことからいって日本では健康上影響ないんだということが言えるんですか。
  107. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) ダイオキシンの人体へ入ってくる経路は、空気、水、食べ物というふうな経路がございます。そういうのを全体ひっくるめまして人体の許容限度というのが考えられるわけでございますが、これはいろいろな研究レポートがございます。私どももとにしておりますのは、厚生省がダイオキシンの専門家会議というのを五十九年に設けまして報告書をいただいておりますが、その専門家会議の結論から考えておるわけでございます。  もちろんダイオキシンの影響についての知見はいろいろ進歩してまいりますので、そういう新しい知見が出てまいりますれば十分それを参照していきたいと思います。近くWHOのIPCSのレポートが刊行されるというふうにも聞いておりますし、また九月にはスウェーデンで国際ダイオキシン会議が開催されるということでもありますのでこれらの動向を見守ってまいりたい、このように考えております。
  108. 山口哲夫

    山口哲夫君 焼却炉の中からダイオキシンが出ている、その原因は何かといえば、一般常識でいけばプラスチックなどの中に含まれている塩素が原因なんだ、こう言われているんですね。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕 それからダイオキシンだけでなくてごみ焼却炉の排煙の中からは高度の水銀も出ている。これは乾電池の水銀が影響しているんだろうと言われている。これが一般的な常識ですよ。  それでイタリアでは一九八四年十二月にプラスチックの使用規制の法律が布告されて、一九九一年一月十五日からは生分解性、生で分解できる性質を持ったものですね、その材質以外でつくられた容器、包装こん包材料の使用を禁止している。だから日本でいえばビニール類だとかプラスチック類だとかそういうものは一九九一年以降一切禁止するということが法律で決まっている。既にその法律を受けてある町では、買物などに使われるビニール袋それからプラスチック瓶なんかは販売、使用してはならないということまで条例で決めているのがあるわけです。  そういうことからいきますと、やはり今までせっかく厚生省が分別収集を進めてきたんだから、新しい工場ができたからといって混焼させてもいいんだ、ダイオキシンの心配はないんだということはちょっと余りにも軽率でないだろうか、そういうふうに思うんです。だから、今あなたがおっしゃったようにWHOの検討結果も出るわけでしょう。それから専門家会議でもさらにこういった研究は続けなければならないと言っているわけでしょう。そしてあなた自身が六十年から六十四年にかけて調査研究していかなきゃならないと言っているんですから、そういう結論が出るま では今までと同じように分別収集を続けさせる、混焼はさせないということをはっきりさせるべきじゃないですか。
  109. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) ダイオキシンの排出実態、発生メカニズムにつきましては先ほど御答弁いたしましたような状況下にございますので、したがいまして現段階においてはダイオキシン対策の一環としてプラスチック等の分別収集を推進するという状況にはないものと考えております。しかしながら厚生省としましては従来どおり地域の実情を踏まえまして、分別収集によるごみの減量化及び資源化、有効利用が適正に実施されるよう市町村を指導してまいりたい、このように考えております。
  110. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ分別収集をこれからも指導してください。特にプラスチックの関係で非常に危険だということは諸外国の例からいって明らかなんですから、そういうことからいけば厚生省が今までやってきたと同じように、新しい工場ができても、プラスチック等の燃焼によってダイオキシンの心配がないわけではない、だから結論が出るまでは分別収集でいきなさいというところまで指導をしていくべきだと思うんです。  その点はぜひひとつやっていただかないと、これは誤解が随分生じているんです。こんなことは余り言いたくないんですけれども、新しく工場ができたところからみんな分別収集をやめている。それで売り込んでいる業者の方は、今までは分別収集で大変だっただろうけれども、この機械を使えば分別収集をやらないで全部一括してごみを燃やしたって全然心配ないんですということを盛んに言って歩いている。だから厚生省方針がそういう新しい工場の進出によって変わってくるというので、中には業者と何か関係しているのじゃないかなんてそんなうわさまで出てくるんですよ。そういう疑問を持たれたってこれはしょうがないと思うんですね、そんなことはないと思いますけれども。  ところがたまたま千葉県でこんなことがあったそうですね。我が党の千葉の県会議員団から知事に対して出している文書ですが、厚生省の水道環境部環境整備課から千葉県に対してゴルフ場の利用のあっせんの申し入れがあった、心当たりがあったけれども休日のためにとれないのでやむなく千葉市に依頼した、その結果千葉市内のゴルフ場に申し込みが行われて二月十一日プレーが行われたということである、このころはちょうど新しい工場の建設をめぐって地域住民との間で同意決定段階であって極めて微妙な時期であった、それで多くの県民から接待ゴルフではないかとの疑問が社会党の方に寄せられている、こういうことについて知事の方では一体どうお考えか。  それに対して知事の方からは、確かに一月の中旬に厚生省の整備課の担当職員からそういうお話があって、何とか東京に近いゴルフ場であいているところを見つけてほしいという電話があった、そこで職員が適当な場所を探したけれどもすべて満員であった、たまたま千葉市の清掃部の職員に照会したところ数日後にあきのあるゴルフ場があるとの連絡を受けたので、その旨を一月の下旬ころ依頼者に報告をした、なお今後は誤解を招かないようそんな行為をしないように職員を指導していきたい。こういうことで、あなた方がやっていること自体県民の皆さんからも非常に誤解を招かれるようなことをやっているんですね。私はこういうことは非常に残念なことだと思うんです。  だから業界との関係だとかあるいは自治体との関係だとかそういうことで何か誤解を招かれるようなことをやっているものですから、今までせっかく分別収集を進めておるのに新しい工場ができた途端に混焼にしても構わないですよなんというそんな言い方なんかが出てくると、こういう誤解というかやっぱり何かあったのかなというふうに疑われるのは当然だと思うんですね。そういうことについてどうお考えですか。
  111. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) ごみの分別化、混焼化ということにつきましては先ほど答弁したようなのが厚生省方針でございます。今後ともそういう方向で地方公共団体を指導してまいりたいと思います。  それからゴルフのことにつきましての御指摘がございましたが、これは多分私ども厚生省職員が休日に自分たちの自費でコンペをするということで、八名いろいろな課の人たちがやったということは聞いております。その中に私どもの環境整備課の職員も一人いたということは聞いておりますが、これは休日に自費でやったということでございますので、私どもとしましては特段問題はないかというふうに思っております。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
  112. 山口哲夫

    山口哲夫君 時間ですからやめますが、あなたは問題ないと言っているけれども、知事自身が、そういう誤解が起きることについては非常に残念なのでそういうことのないように努力をしていきたい、だから県の方では迷惑しているんですよ、厚生省のやることで。問題ないなんということでいいんですかね。反省する余地は全然ないんですか。
  113. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) ごみ処理の仕事というのは大変重要な仕事であり、市町村の事業としましてはこれから推進していかなければいけないことでございます。そういう意味で、厚生省としましてはそれが円滑に実施できるようにいろいろな角度から支援してまいりたい、このように考えております。
  114. 山口哲夫

    山口哲夫君 そんなこと聞いているんじゃないですよ。反省する意思がないんですかと聞いているんです。反省する意思がないということはそういうことをやったということですね。
  115. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) 先生指摘のゴルフの件につきましては、先ほど御答弁申しましたように職員が休日に自分のポケットマネーでやったということを私どもは聞いてはおりますが、それ以上のことは聞いておりませんので特段それ以上の御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  116. 山口哲夫

    山口哲夫君 問題がありますね、それは。  終わります。
  117. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 厚生省、反省する意思がないわけだからまあ頑張ってくださいよ。  そこで、きょう衆議院の方で突風が吹くそうで私の質問が急遽繰り上がりまして大変皆さんに御迷感をかけますけれどもよろしくお願いしたいと思います。せっかく久しぶりの大臣との出会いですから奥野さん問題とかよど号事件とかいろいろ用意しておったんですが、時間がございませんから二つだけに絞って質問させていただきたいと思います。  まず第一に地方財政のことでございますが、地方団体の借金状態というのが、地方債借入金残高六十六兆九千億、個別の団体の公債費の負担比率を見ますと六十一年度で全団体の三分の一、千八十二団体が二〇%以上、これはまさに非常事態と言ってもよいと思うんですが、なぜこうなったのか、どのような認識を持たれておるのか、自治省大蔵がおれば大蔵にもあわせて聞きたいと思います。
  118. 津田正

    政府委員津田正君) 御指摘のとおり地方財政はマクロにおきましても巨額な借金を抱えており、また個別団体におきましても相当公債費負担の重圧がかかっておる団体が多いわけでございます。このような事態になりましたのは、何と申しましても第一次石油ショック以来の我が国経済の成長率が低成長になった。こういうようなことを背景に国税、地方税含めまして租税収入の不振が続いた。他面におきまして財政支出の面におきましては、高齢化の進展、あるいは輸出によります経済成長が貿易摩擦等で不可能になっておりますので内需の振興を図らなければならない、そのために財政の果たすべき役割というものを積極的に行わなければならない。こういうような歳入面の税収不振、そして歳出面におきましてはなお多くの課題を抱えたというようなことのために、その収支の差というものを借入金、地方債の活用というようなことでやってきておるわけでございます。  その結果が先ほど申しましたようなマクロにお きましても六十七兆円の借金を抱え込み、個別団体の財政運営におきましても公債費負担の重圧に悩んでおるわけでございます。さらに六十六年度以降におきましては現実問題として特会借入金の償還も始まる、このような厳しい事態が続くわけでございますが、そういうような事態に対処いたしまして、例えば本年度地方財政計画、また御審議いただいております地方交付税法中身におきましても、本年度はNTT資金を除きますと地方債の伸び率を三・八%減ということで、新たな借金というものを少しでも抑制したいというようなスタンスで臨んでおるわけでございます。  今後とも行財政の守備範囲の見直しあるいは行財政運営の効率化等を図らなければならないのではないか。そして必要な地方税、地方交付税というものの確保を図りまして、なるべく地方債への依存というものを避けながら地方財政の健全化というものに一層努力してまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。
  119. 中島義雄

    説明員(中島義雄君) ただいま財政局長の方から御答弁がありましたとおりのことでございますが、国の財政も近年大変厳しい状況を続けておるわけでございます。国の行政と地方の行政とは表裏一体、いわば車の両輪という認識で私ども毎年の財政問題に対処いたしておるわけでございます。  国が多額の借金を抱えていく過程におきまして、地方財政におきましても今財政局長から御答弁のありましたような状態が生じてきておるものと認識いたしております。私ども六十五年度に特例公債の新規発行をゼロにするという目標でただいま財政改革を進めておるところでございますけれども、今後とも国、地方財政を通じまして健全化が一層進みますように一段と努力を重ねてまいりたいと考えております。
  120. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今第一次石油ショック以降の地方財政の現状について御報告があったんですが、地方財政は五十年補正から財源不足を続けてきたと思うんですね。これに対して地方債の増発、交付税特会借入金等による地方交付税の増額、こういう対応が行われてきたわけです。そして先日も山口議員との議論がございましたように、法六条三の第二項、これはここにいらっしゃる松浦財政局長のときに「引き続き」は二年連続三年目「著しく」は一割、こういう有権解釈が定着したんですが、たしかこれは五十二年に問題になったと思うんです。地方団体からの要求がございまして自治省は五%の引き上げを要求したわけですけれども、これはなぜか簡単に引き下がっているんですね。  そこでこのときにたしか折半負担のルールというものをつくったわけです。このとき財源不足額は二兆七百億、それを地方債の増発、地方交付税の増額それぞれ二分の一の一兆三百五十億で補てん、交付税の増額は、交付税特会の借入金九千四百億のうち四千二百二十五億の元本償還を一般会計で負担することとして、これに臨特九百五十億を加えた一兆三百五十億の半分五千百七十五億を国の負担としたんです。  このルールが法六条の三の二項の改正に当たるかどうか当時委員会でも問題になったのでありますが、自治省はいかなる内容地方財政制度の改正を行うかについては法律は広い解釈を許しておる。これは話は全然違いますけれどもさっきの山口質問にあった清掃の三人、二・六の問題で警察庁の方から何か目こぼしをしてもらっておるというような言い方をしておりましたが、同じようにこの六条三の二項についてもこういう解釈をしてそして妥協して正当化したのでありまして、法六条の三の二項はこの時点で無力化したわけです。  これがそもそものつまずきのもとで、その後の経過は、五十八年度に特会借入金の利子負担が始まり、五十九年度は同借り入れの中止と臨特の廃止、償還の繰り延べとなり折半ルールは破綻した。そして六十年以降は国庫補助負担率の切り下げが続き、本年度は国保の地方負担導入ということになった。これが今までの一連の経過じゃないかと私は思うんですが、一度筋の通らない政治的な妥協を行うとこのような後退続きとなる、このことを今私は思い起こしておるわけでございます。この点について大臣はどういう反省というか認識をしておるのか。いかがでしょうか。
  121. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 過去の経緯に触れての御発言でございますけれども、確かに六条の三の二項に該当するということは、普通交付税総額のおおむね一割程度以上という財源不足が二年続きまた見通される三年以降も同様であるという場合でございますから、最近までは六十一年度から六十三年度までの間においては普通交付税の総額が一割以上不足したものの、六十一年度及び六十三年度においては通常収支は均衡しており、財源不足額のほとんどはいわば暫定措置とされている国庫補助負担率の引き下げ措置によるものであり、これが回復をされれば、六十四年度以降の補助負担率の引き下げが期限切れとなって回復をされれば著しく不足額が続くという状態ではないという気がいたします。  ただ、いずれにしても過去において厳正にこれの適用をすべきだったという反省には立たなければなりませんし、今回のいろんな暫定措置が、どちらかというと皆さん方の御質問御意見を聞いても何となくまだ前途というか前が明るく開けてないという御懸念も示されているということを考えれば、安易に妥協をすべきでないということも考えられますが、現実にまた国の財政、これが危機的状況にある中で地方財政のみの主張をすることも、なかなかこれは車の両輪と言われるように難しい問題ではないかと思います。  そういうものを考えまして、地方財政が全く確立をされるためには、必要経費あるいはその基準財政需要額、先ほども山口委員から御発言がございましたけれどもそういうものを正当なものにするためには、それだけの財政需要が要なわけでございますからその財源を確保するためには税もしくは交付税その他で収入の確保をしなければならないということになりますと、今の国の支出が正当なりという前提に立って言うならば、新たな財源を求めるために税の手直しをしなければならない、極端なことを言うと増収あるいは増税を図っていかなければならないという相矛盾した点もございますので、その接点を探りながらやっていかなければならないというふうに考えております。
  122. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 国の財源が切迫しておるのでという理由でやむを得なかったということでは私はならぬと思うんですよ。なぜかといえば、国の場合は確かに財政が逼迫しておるように見えますけれどもこれは意識的に逼迫しておるのであって、やろうと思えばいつでも豊かになる要素を持っておる。これは後で申し上げますがね。  問題は、そのために地方財政がこういう格好で追い詰められていくということは私は忍びないと思うんですね。大臣が今先回りして答弁されてしまったんですが、今の答弁の中にございましたように六十一年度の財源不足額が二・二兆二四・三%、六十二年度は二・四兆二六・二%、六十三年度は一・七兆一七・二%、当然これは六条の三の二項になるわけですね。今あなたは、国庫負担の切り下げでこうなったのでしたがって云々という答えを言いましたけれども、私はやっぱりこの機会に、これを無力化させるのじゃなくて真剣に検討する時期に来ておる。  この点は、大臣、ひとつきちっと踏まえた方がいいのじゃないかと思うんですがいかがでしょう。
  123. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 今の財源不足の状態を見ますとまさに国庫補助負担率の暫定的な引き下げによる要因が極めて多いわけでございますから、この期限の切れる六十三年度、六十四年度以降のいわば補助率の負担は原則もとに戻るべきであるというそのことに対しては不退転の意思で懸命な努力を重ねてまいりたいというふうに決意をいたしております。
  124. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ぜひその点は、さっきもやりとりされていましたが堅持をしながら、同時に六条の 三の二項の問題についても、やっぱり法文はきちんとあるわけですからここら辺については適用を誤らないように、何か変に妥協しないようにお願いしておきたいと思うんです。  そこで一つ二つ聞いておきたいのは、財政局長、九つの電力会社が円高と石油価格の安定で空前の利益を上げておるわけですが、この九電力に分割する当時のいわゆる地方税の特例優遇措置、これがいまだに残されておる、これはいかがなものかと思うんです。私はこの際ひとつ撤廃すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。  もう一つはNTTもこの三月決算で五千億の経常利益を上げて、これは新聞によりますと日本一云々ということが出ておるんですが、これも市町村に対して道路占用料を八〇%に抑えて、償却資産の固定資産税についても五〇%しか納付していない。ここら辺もひとつこの際是正を検討すべき時期に来ておるのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  125. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 固定資産税はもう委員御承知のとおりでございまして、利益が上がっているから課税するとか上がっていないから課税しないという性質の税金ではございませんけれども、しかし御指摘のように最近の状況を見れば、NTTあるいは電力についてもそういった負担能力があるではないかという御指摘についてはそのとおりだと思います。  状況は、新たに建設されました変電所または送電施設の用に供する償却資産で電気の供給を業とする者がその用に供するものに対して課する固定資産税の課税標準については特例措置がある、この問題が御指摘のところでございます。この特例措置は、電気事業におきましては投下資本が非常に多額に上りまして送変電施設を建設した当初においてその固定資産税額が極めて多額になる、相当期間その負担を軽減しまして料金というものが安定した姿で定められるというようなことを考慮いたしまして講じられているものでございます。  この特例措置につきましては見直しはやはり御指摘のような趣旨でも行っておりまして、昭和四十九年度におきましては変電所、それから五十二年度においては家屋、あるいは六十二年度については電気の供給を業とする者が専ら保安通信の用に供する償却資産を対象から外す、この辺は金額的には余り大きくなかったわけですが、しかし理屈の立つところから見直しを行うというようなことは行ってきているところでございます。  それからNTTの方でございますが、日本電信電話株式会社につきましては公社から株式会社への経営形態の変更に伴いまして固定資産税等の税負担についてもこれはもう他の株式会社と同様に負担すべきであるという基本的な考え方に私どもとしては立ち、またそういう主張をしてきたわけでございますが、こうした考え方から、原則としてそういう考え方を確立すると同時に、経営形態の変更に伴う負担の急増を緩和するというようなことを考えましてその経過的な措置といたしまして、一定の基幹的な設備について当該設備の承継後五年間つまり昭和六十五年までの間に限りまして価格を二分の一の価格とする特例措置が講じられているところでございまして、まだ適用期限が到来していないところでございます。  いずれにいたしましても、地方税におきます非課税等特別措置につきましては、今後とも個々の政策目的と税負担の公平との調和を図るという見地に立ちまして、社会経済情勢の推移とか、あるいはその状況も変化いたします。あるいは既得権化、慢性化ということを排除するということのために常に見直しを行ってまいりましてその整理合理化に努めてまいる必要があるというふうに私どもは考えているところでございます。
  126. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたの答弁、最後の方はむにゃむにゃとなって聞こえないんですけれども、端的に言って、例えば国鉄でもそうですが民間に移行する、電電にしてもそうですし九つの電力会社でもそうですが、これは既得権じゃないんですよね。言うならスタートを滑りやすくするために国民の税金で若干なにしましょうということでしょう。軌道に乗って今のように九つの電力会社が転げ回ってもうけているときに、なぜきちっと整理しないんですか。当たり前のことじゃないですか。  それからNTTにしても、いろんな先の見通しの議論もあったでしょう。しかし現実にもう立派に泳いでいっておるわけだ。そうすれば当然見直すというのがやっぱり一番大事なことですよ。いつまでも優遇措置をつけっぱなしにするそういうありようというのは、私はやっぱり自由競争という原点に立ってもあるべきじゃないと思うんですね。そこら辺はひとつむにやむにゃじゃなくて、税務局長、ぴしっと折り目を正すということを要求しておきます。大臣もひとつぜひ記憶にとどめておいてほしいと思うんです。  そこで税の問題に移りましたからもう一つ申し上げますが、ここにこういう冊子を二冊いただいたわけです。監修が大蔵省自治省、発行は社団法人日本広報協会、こういう冊子ですね。調べてみたらこっちが五十万部で約四千四百万円、それからこっちの方が七十万部で四千八百万円、二つで一億の経費をかけて発行しておるわけです。中身は何かといいますと、政府税調の税制改革についての中間答申をこっちの方は解説的に、こっちは何かわけがわからぬのですが、中身を見ると政府税調の中間答申を後ろにくっつけて、前段は何かといえば大型間接税は素晴らしいという合唱です。こういうものが出ておる。それでもまじめに書いてあれば別ですよ。うそ八百とは言いませんが、何か例の今大変問題になっています霊感商法じゃないですが問題をすりかえて書いておるところに私は大変腹が立ったんです。  四月二十八日に政府税調から答申がございました。これは二回にわたる全国巡業を行って意見を聴取した上での結果ということなんですが、しかしその中身は、当時のマスコミの対応を見ても何だこれはと、もう肝心なことがほとんど書いてなくて、それは全部後に続く自民党税調に譲りますという式なんですね。そこで私が解せないのは、日曜日の夜NHKが総理府の十二月の世論調査の結果を報道されたんですが、翌日、きのうの新聞にそれが全部出てきた。それを見ると八〇%の国民が税制改革に対していわゆる不公正不公平の是正を求めておる、こういう中身なんです。ところがそれがこの中にちゃんと出ておるわけですね。ですからこれを印刷するときには先にちゃんと知っておったわけだ、この当事者は。  それで知っておったのはいいんですけれども、NHKの日曜日の報道を見ると、八〇%が不公平是正と言っておるこの世論調査の結果に対して街頭のサラリーマンにインタビューしておるんですが、あなたは自分の所得税が幾らか知っていますかという問いに対して一人も答え切らない、知らない。ですから私はこれを聞きながら感じたのは、重税感イコール不公平不公正是正要求、こういう発想じゃなくて、やっぱり自分たちは源泉徴収というガラス張りでやられて、一方では例えば医師優遇税制、クロヨン、脱税オンパレード、こういった現象に対する怒り、不満、これが不公平不公正の税制に対する怒りに出ておる、そう私は思うんですね。  それから見るとこの冊子の書き方は全然違うんですね。大型間接税が導入されないから不公平感不公正感が募って税に対する不満があふれておる、こういう書き方なんです。これはちょうど悩み事苦しみ事で、仏様か神様か知りませんけれどもお参りした。そうしたらうんと金を出しなさい、このつぼを買いなさい、そうすればあなたの悪霊も取り払われますよといういわゆる霊感商法と全く同じなんだ。本当ですよ。しかもそれが御丁寧に自治省大蔵省の監修となっている。監修というのを調べてみたら監督指導することなんです。どういう監督指導をしたんですか。
  127. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) ただいまの御指摘は「TAX NOW」という水色の表紙の方の御指摘だと思います。これにつきましては監修ということで、広報協会がつくりましたものを監修するということでございますが、それぞれ国税、地方税の 分野から見て具体的な税制そのものについて間違ったことがありはしないかというようなこともございまして、そういう意味で私ども目を適しているということでございます。そういう意味での監修でございます。
  128. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大蔵省は。
  129. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) 御指摘がございます二種類のパンフレットはいずれも税制調査会のいわゆる素案とそれから中間答申につきましていろいろ各層の方の御理解をいただくという目的でつくられたパンフレットでございまして、私どもとしてはこのパンフレットの作成者に対しまして、素案及び中間答申の考え方に沿ってきちんと事実関係も含めまして編集されるように協力したところでございます。
  130. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この中身を見ると、間接税も時代おくれ、ゴルフは課税でテニスは非課税、これはあなた意識的にしないだけだ。ちゃんとテニスも課税すればいい。意識的にせぬでそういう状態をつくっておる。その次には直間比率、間差が大きいからバランスのとれた税制をつくるべきだ。これもそうですよ。こういう直間比率の差が大きくなったのは逆にいえば毎年減税をするという仕組みをサボったからだ。それはだれかといえば政府・自民党でしょう。  さらに許せないのは、お父さんの会社が海外に逃げると書いてある。法人税の安い国へ行くと書いてある。これは真っ赤なうそでしょう。そんな企業がありますか。法人税が高いから海外に逃げたという企業の名前を挙げてくださいよ。向こうの人件費が安いとか水が豊富とか、そういうことはいろいろ聞いていますよ。法人税が高いから逃げたというのは教えてくださいよ。これになるともう恫喝だね。うそと言っていいんじゃないですか、これは。明確にしてください。  企業の六〇%が赤字を理由に税金を一銭も納めない、こんな国は日本しかないですよ。大手商社七社が多国籍企業であるからそこの税金を払わなきゃならぬという理屈のもとに税金もゼロへ三菱など十四兆円も上げながらゼロ、こんな国は日本しかないですよ。しかもこういう税金を納めない企業に対して、退職積立、賞与、さらに倒産と各種の引当金を含めた優遇措置で取り巻いておる。さっきの九つの電力のようにもうとうに転げ回っておるのにいまだに優遇措置をしておる。これが日本の現状じゃないですか。そうでしょう。それがどうして逃げるんです。言ってください。
  131. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) 幾つか御指摘がございますけれども、例えば一番最初に御指摘のありましたゴルフとテニスの課税、これは税制調査会でもしばしば議論になるところでございます。したがいまして税制調査会におきましても間接税の仕組みを検討するに当たりまして、現在の物品税等々の個別消費税を順次拡大していくということも一つの選択肢と申しますか検討の課題として取り上げられたところでございます。  ただその場合に、まさに先生が御指摘いただきましたように、それではテニスに課税すればよい。テニスに課税いたしますとバドミントンはどうするか。バドミントンに課税いたしますと羽子板はどうするか。要するに個別消費税の拡大ということで順々とやっていきますと、結局は隣同士、常にいろいろな商品いろいろな物品のサービスは隣同士の競合関係あるいは類似関係を持っておりますので結局薄く広くということでございます。  それから法人企業が税金が高いから海外にという問題は、税制調査会の答申の中でも、諸外国が八〇年代に入りましてから法人の税率を引き下げている過程で日本の法人税が高いということについては経済の空洞化を招く懸念があるという御指摘をいただいておるところでございまして、個別の名前というお話ではございますけれども、私ども承知しておる限りでもいろいろ税負担の軽い国には日本企業がたくさん立地をしておる傾向があるというふうに承知いたしております。
  132. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、もう時間がないようですが、こういううそとは言いませんけれども紛らわしい霊感商法的な文書、これは私はやめた方がいいと思うんですよ。国民の八割が不公平不公正に対して税の是正を求めておるというのは事実なんだから、もつとそれに率直にこたえればいい。それにどうこたえるか、そこが私は政治だと思うんですよ。それを問題をすりかえて、売上税で失敗したから今度は名前を変えて昔の名前で出ていますというようなこういう格好でやるというのは、これは政治のやるべきことじゃないですよ。  私はいろいろ言いたかったんだけれども大臣衆議院の方に行かれるから一言大臣の、大臣は単なる自治大臣じゃない、何といっても竹下政権の屋台骨を背負っておるそういうあれですから、同時にまた地方税を担当しておる大臣ですから見解をお聞きして、そうしてまた次の機会にこの続きをやりたいと思いますので、大臣、一言答えてください。
  133. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 確かに委員御指摘のとおり税制改正は国民の税に対する不公平感を払拭するということが大切というか一番の大きなねらいでもございますので、所得、消費、資産との間で均衡のとれた税のあるべき姿を今政府税調に求め中間答申が出され、さらにこれから結論に向かって今努力をされているさなかでございます。私もこの不公平感の是正という大きな目標に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  134. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、結構です。  そこで大蔵省がせっかく見えたので一つだけ聞きますが、アメリカのレーガンが先般税制改革をやりましたね。サッチャーもやりました。この大幅減税の財源は、法人税も下げましたけれども、いわゆる企業の優遇税制を穴を全部ふさいでしまってそのことで上がった益金をもって減税財源にした。これはアメリカも英国もフランスも大体共通していますね。これがなぜ日本でできないのか。  大臣がおればよかったんですが、自民党さんは先週末の十四日に山中税調が、いわゆる企業優遇税制の部分とか医師優遇税制であるとかみなし法人税の問題であるとか賞与引当金の問題であるとか、こういったものについてはもう早々と見送りという宣言をしました。これはある意味では本音を出したわけですね。こういうやり方で一つだけ自民党税調が出しておるのは、キャピタルゲインの原則非課税についてはこれを課税にする、こういうことを出すからこの冊子に、国際化が著しい日本、それなのに税制が国際化しないのはなぜと、こう出しているのは恐らくここを言いたかったんじゃなかろうかと思うんですね。  しかしそこまで出すならちょっとあなたに聞きたいのは、今土地が騰貴して大変なことになっている。この土地、株の再評価をして隠れ利益税を課したらいかがなんです。私の試算では、資本金十億円以上の大企業の場合に含み益が土地が四百三十二兆、株式が二百二十八兆、これを資産再評価すれば一〇%課税しただけでもざっと六十六兆円の税が出てきますね。赤字国債は一挙になくなります。なぜこれに手をつけないのか。これは政府税調の中でもこの意見を出した方がおりますね。これに対して経済連の代表が一喝したそうで一遍にそれは吹っ飛んだようでございますが、これは逆に産業の若返りとか地価の鎮静にもなるのじゃないかと私は思うんです。  この点は大蔵省の方も、あなたの場合専門家なんだからよく知っておると思うんですが、なぜですか。それだけお聞きしたいと思うんです。
  135. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) 土地の再評価と申しますか含み益に着目して税負担をお願いすることが考えられるかどうかというのは税制調査会におきましても一つ検討課題でございました。しかし結論的にはそれをやるべきという御結論に至っておりませんのは、いろいろな視点がございますけれども、結局その税負担をお願いするのにどういう負担能力がそこにあると考えるか、ただ含みということで実際に多額の納税をしていただける能力があるかどうかという疑問でございまして、現在の税体系は、所得課税、法人課税、利益が発生した段階で課税をするという格好になっております けれども、含み益に課税するということになりますと未実現の利益に対して税負担をお願いいたす。  それは企業の場合でも個人の場合でも同じかと思いますけれども、実際に納税資金を手当てするめどがないまま、自分が利用しておる土地あるいは自分が住んでおる土地に含みがあるというだけで税負担をお願いするということになりますと、その支払い能力の観点から土地を手放さざるを得なくなるということでは確かに土地の供給促進につながる側面がございますけれども、しかしその土地の供給ということはやむを得ず事業をやめ居住をやめて土地を供給せざるを得ないという形になるという問題がございまして、大変大きな問題ということで今回そういったことを実施に移すべしという御提案になっておらないと承知しております。
  136. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたは課長さんで担当だから、私も全く同感です、しかし偉い人がなかなかそうさせぬのですという答弁が出てくるかと思うとそうじゃないんだね。これはあなた自身もやっぱりサラリーマンの端くれなんだから本当は怒りに思うべきですよ。確かに大きな問題です。しかし私は、例えば個人の場合には財産相続ということで三十年に一遍ぐらいは再評価します。しかし企業の場合はずうっとやってないんですよ。今度の国鉄の民間払い下げのあれを見てみなさい、簿価は何銭ですよ、何円じゃないんだ。こんなばかなことがこの今税制改革で非常に重大なときに平然と眠りこけているというか居座っておる。  これはあなたたちは専門家であるだけに、見て見ぬふりをするというのは国民の意思に反することですよ。そこら辺をやっぱりしっかり踏まえて、そうして国民のこの税の不公平是正に対する要求にまともにこたえる、そういう姿勢をひとつぜひつくってほしいと思います。きょうはもう時間がございませんから一言だけ申し上げておきます。  どうもありがとうございました。
  137. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 午前の質疑はこの程度とし、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ─────・─────    午後三時三十一分開会
  138. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  139. 片上公人

    ○片上公人君 大変基本的なことをお伺いいたしますけれども、国庫補助負担率というのはどのようにして決めるのか、例えば大蔵省関係省庁自治省との力関係で決まるのじゃなくして仕事の内容とか性格によって決めるべきものと思いますが、どうでしょうか。
  140. 津田正

    政府委員津田正君) 国庫補助率あり方と申しますか補助率決定の要素をどう考えるかということにつきましては、六十年に行われました補助金問題検討会ではこのように言っております。「補助率は、基本的には、例えばイ国として当該行政に係る関与の度合やその実施を確保しようとする関心の強さ、ロ地方の住民に与える利益の程度、ハ国及び地方財政状況等の諸要素を総合的に勘案の上、決定されるものと考えられる。」  補助金問題検討会の結論は以上のような観点でございますが、私も大体そのような観点でよろしいのではないか、かように考えております。
  141. 片上公人

    ○片上公人君 国庫補助負担率の引き下げにつきましては六十一年度から六十三年度までの緊急避難として暫定措置されまして本年度で終了することになるわけです。もうこれは何回も何回も大臣に決意を伺っておるわけですが、改めて伺います。簡単に、断固頑張るだけで結構ですからお答えいただきます。
  142. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 毎回申し上げておりますが、毎回申し上げるたびに思いを新たにして頑張ってまいりたいと思います。
  143. 片上公人

    ○片上公人君 大臣は頑張ると言っておられるわけですが、というほどには自治省は動いていないのではないかというような感じも若干するわけでございます。一方では大蔵大臣はいろいろな機会に継続の意向を示唆しているようでございますが、何か対応策を考えていらっしゃるのかどうか、伺いたいと思います。
  144. 津田正

    政府委員津田正君) 国庫補助負担率のいわゆる引き下げ問題というのは、先ほどの議論でも、合意というようなものももちろんあるわけでございますが、何よりも国会の御審議を受けまして、全部ではございませんが中心的なものは法律で六十三年度まで、そのような形になっておるわけでございまして、法律どおりがまさしく原則として復元すべきものだ、こういうようなスタンスでおるわけでございます。  ただ、もちろん六十四年度予算編成に向けて国庫当局等からいろいろな要請なり協議というものがあるかと予想されるわけでございますが、私どもとしましては国庫補助負担率の意義というものを踏まえまして国としての責任が全うされるよう、また地方財政の健全かつ安定的な財政運営の確保が図られるよう検討協議をやってまいらなければならないもの、かように存じております。
  145. 片上公人

    ○片上公人君 この国庫補助負担率の継続を要請する前提として、一部において地方財政の豊かさが増しておるというようなことを言われているようなところもあるようですが、大臣の認識はどうなのか、伺いたいと思います。
  146. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 地方財政は約六十七兆円の巨額の借入金残高を抱えているなど極めて厳しい状況に置かれている上、各地方団体財政運営においてもその基本的指数となる公債費負担比率が二〇%以上である団体が昭和六十一年度決算で全体の三分の一弱、千八十二団体にも上っており、早急に財政構造の健全化を図る必要がございます。したがって地方財政が豊かさを増しているとは考えておらず、まして国庫補助負担率の継続の理由になるとは考えておりません。
  147. 片上公人

    ○片上公人君 国庫補助負担率の継続を進める大蔵省自治省は抗しがたいと見て、新型間接税導入による税制改革の中央と地方財源配分を絡めて、新聞報道によりますと、自治省大蔵省がカットの恒久化を望めば税制改革の地方配分を増すことを目指して攻勢に出る構えだというようなことが載っておりましたけれども、御見解を伺いたいと思います。
  148. 津田正

    政府委員津田正君) 国庫補助負担率の取り扱い、六十四年度以降の問題につきましては法律趣旨からいたしましても原則としてもとの補助負担率に戻すべきもの、かように考えておるわけでございますが、今後の検討によりまして地方団体事務事業というような性格をさらに強めるというようなことがもしございますれば、これは地方の一般財源として安定的に確保を図らなければならないものでございます。  それより増して、今議論されております抜本的な税制改革におきましては、地方税の減収のみならず交付税基礎でございます所得税、法人税、酒税等につきましても当然見直しが行われる、そしてさらに直間比率の見直しというようなことで新たな間接税が我が国の税体系の一つの大きな基幹的な柱として入ってくる、それに対して地方財源をどのように確保すべきかどうか、やはりこれは重大問題でございます。補助負担率の問題と同時に、税制改革の中におきまして地方税財源をどのように確保するか私ども努力してまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。
  149. 片上公人

    ○片上公人君 大蔵省に伺いますが、国庫補助負担率の継続を進めるために大蔵省の方はこの五月中にも自治、建設、厚生、運輸、農水、文部の各省OBや学識経験者による補助金問題検討会というのを設けて本格的な作業を始めるということが伝えられておりますが、その状況はどうなっておるのか、お伺いしたいと思います。
  150. 杉井孝

    説明員(杉井孝君) 先生指摘の新聞報道につきましては、私どもとしましてそういう新聞報道 があることは承知しておりますが、補助金等に係ります暫定措置の期間終了後におきます取り扱いにつきましてはこれまでの経緯やこの措置の性格等を踏まえましてできる限り早く検討を開始したいと考えておりまして、諸情勢の変化、国、地方役割分担財源配分あり方等を総合的に勘案しながら、自治省を初め関係省庁とも協議の上適切に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  151. 片上公人

    ○片上公人君 補助負担金の概算要求で各省庁の要求がカット前の補助率でいくのかカット後の補助率でするのか、地方にとりましてはこれは大変大きな問題になるわけですが、これに対しましてどう対応するのか、大蔵自治両省に伺いたいと思います。
  152. 杉井孝

    説明員(杉井孝君) 六十四年度予算あるいは六十四年度概算要求基準につきまして現段階で確たることを申し上げるような状況にないわけでございますが、概算要求をどのような形で行うかにつきましては基本的には要求省庁の判断が尊重されるべきものと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、先ほども答弁申し上げましたように、暫定期間終了後の補助率あるいは負担率の取り扱いにつきましてはできる限り早く検討を開始したいと考えておりまして、関係省庁とも協議の上適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  153. 津田正

    政府委員津田正君) 六十四年度予算編成作業は今大蔵省が御答弁したような段階かと思いますが、自治省としましては、補助金持例法に基づく補助負担率の暫定措置が六十三年度で期限切れになる、こういうことを踏まえて関係省庁においても所要の検討をしていただく必要があるのではないか、かように考えておりまして、先般六十三年度予算成立の際の閣議におきましてもその趣旨大臣から関係大臣の方に申し上げているような状況でございます。
  154. 片上公人

    ○片上公人君 補助金に関連してお聞きしておきたいんですが、超過負担の問題でございます。これは一時大いに取り上げられまして改善の実績も大変大きかったところでございますが、ここ数年は金額的に見まして改善実績が落ちているように思います。超過負担の改善は必然的に国庫の財政負担の増を招くものでございますから、補助負担率の引き下げ同様改善のペースを落としているようにも思えてなりませんが、自治省としてはどう対応されているのか、伺いたいと思います。
  155. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 国庫補助事業にかかわりますいわゆる超過負担の問題につきましては、国、地方財政秩序を乱すものでございますので早急に是正すべき問題であるというふうに考えております。こういう考え方に立ちまして、従来から毎年度大蔵省自治省とそれから事業を所管しております関係官庁と三者によります共同調査を行いまして、その結果に基づいて超過負担の解消を図ってきているところでございます。そういう意味におきまして、この対象の行政項目と申しますか対象の国庫補助事業によります金額の多少の問題とかあるいは実態との乖離の状況によりまして毎年度その是正する額は違っているわけでございますけれども、今後ともこの問題につきましては引き続いて超過負担が発生しないように努力をしていかなければならないということで、関係省庁とも連絡をとりながら対処してまいりたいと思っているわけでございます。  したがいまして、御指摘のように改善のペースが落ちているということではございませんで、対象事業によりまして年々、額といたしましては大きくなったり小さくなったりというような関係になっているわけでございます。
  156. 片上公人

    ○片上公人君 次に税制改革についてでございますが、我が党はさきに廃案となりました売上税と今回のいわゆる新型間接税につきましては本質的にはこれは変わらない、こういう疑念を抱いておるわけでございますが、先般政府税制調査会が税制改革についての中間答申を竹下総理に提出したところでございますので幾つかお尋ねしておきたいと思います。  まず自治省としては同答申についてどのような所感を持っているのか、伺いたいと思います。
  157. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 現行税制につきましてはさまざまな面でゆがみが指摘されておりまして、これらの是正を図るということはこれは避けて通れない課題であるというように考えております。中間答申におきましては、これらの是正を図りまして所得、消費それから資産等の間でバランスのとれた税体系を構築する、そのための税制改革の基本的な考え方、全体像についてこれを示しているところでございまして、今後御論議等を踏まえつつできるだけ早期に成案を取りまとめていきたい、こう考えているところでございます。  また、答申にも指摘されておりますようにこの税制改革に伴う税収の変動によりまして地方団体財政運営に支障の生ずることのないよう措置していくことがぜひ必要でございますので、この点も十分踏まえて対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  158. 片上公人

    ○片上公人君 税制改革に当たりまして特に留意しなければならないのは、今お話もありましたように国と地方財源配分の問題でございます。例えば六十二年度の租税の配分を見ますと、形式割合は国六三地方三七、こうなっておりましていわゆる三割自治状況にあるのに対しまして、国から地方への交付金、地方から国への負担金をそれぞれ考慮した後の実質的な割合を見ますと国対地方は四対六または三対七と全く逆転しております。したがいまして、三割自治を是正するため最終的には仕事割合であるところの実質的配分割合に近い形で租税の税源配分を考え直すべきではないのか、こう思いますがいかがですか。
  159. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 新しい社会経済情勢に即応して地方団体の自主性自律性を高めながら充実した地域社会を形成していきますためには地方税源の充実を図っていくということはこれは肝要でございまして、そのための努力もしてきたところでございます。例えば昨年九月の地方税法改正におきまして、これまで課税することがなかなかできませんでした利子等につきまして新たに道府県税として利子割を課税するというようなことも、これは利子課税の歴史の中で考えますというと画期的なことだったと思います。  今回の税制調査会の中間答申におきましては、今回の税制改革は全体としての租税負担率の上昇を目指すことなく行われるものであって税制のゆがみを是正する点に主眼があり、しかも国、地方とも巨額の借入金残高を抱え極めて厳しい状況にあることにかんがみ、改革に伴う税収の変動によって国及び地方団体財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して処理することが適当である、こういうスタンスでございます。したがいまして、国と地方の税源配分につきましてはやはり国、地方を通じます事務配分あるいは税源配分、財源配分等の地方財政全般のあり方と関連する問題でございます。  ただいま御指摘の実質配分に近いというお話もございましたが、税源の偏在の問題もございますために実質配分に近い割合ということで考えるにはこれまたいろいろ御議論をいただくべき問題もあると存じますので、直ちにそういうことにはならないのではないか、そこはなかなか別の問題があるのではないかとも考えられます。しかしながら税制調査会あるいは地方制度調査会等の論議も踏まえまして、努力の方向といたしまして地方税財源の充実の観点に立ちまして今後とも努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  160. 片上公人

    ○片上公人君 減税につきましては所得税減税だけでなくして住民税減税もこれは一刻も早く行うべきと考えますが、自治省としては住民税の減税につきまして六十三年から実施していくつもりはあるのかどうか、伺いたいと思います。
  161. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 昭和六十三年度におきます住民税減税の実施につきましては、昨年の百九回国会におきましてお決めいただきました減税によりまして六十三年度から約五千億、それから六十四年度に減税されるものまでいきますというと 六千六百億という減税規模で既に法律を認めていただいた、こういう経緯でございますが、そのときにいろいろ御議論がありまして、住民税の仕組み上課税事務の全面的なやり直しというものが年度途中の減税ということでは起きるのではないか、そこで六十二年にいろいろ御議論がありましたときにも六十三年度分の住民税からこれを実施するということでそういう仕組みがとられたわけでございます。  これは課税事務の全面的やり直しによる市町村の膨大な事務を処理するということだけではありませんで、給与を支払う方々、この給与を支払う方々は非常に規模の小さな方々もあれば大きな企業の経理担当者の方もあるわけですが、そういったところの事務処理量が非常に大きなものになるということなのでございます。つまりこの問題は所得税と同じにはいかない。例えば年末調整とかあるいは源泉徴収とか申告とかという制度で決着をつけるということではありませんで、賦課課税なものですからそういう問題が生ずるわけでございます。  具体的には、市町村は全納税義務者約四千五百万人でございます。住民税はできるだけ広くその地域の方々に負担をしていただいて市町村の行政を支えていただくという趣旨の税金でございまして、納税義務者も非常に多いわけでございます。この四千五百万人の方々に全面的にやり直しまして新しい税額を給与支払い者、納税者に対して通知をし直すという必要が生ずる。そのための手間、経費及び相当長期の事務処理期間が必要となるという問題。それから一方給与を払う方々についても、市町村から通知を受け取りますというと徴収税額の変更に伴いまして処理を行うということになる。一たんコンピューターに入れたデータも入れ直すとか、あるいは手書きで処理しているところはその手書きの処理の仕方で一たん受け取った税額を変更しなければいけないという、そういうような手間暇が要るわけでございます。  また減税に伴いまして六十三年度分の税額が、仮に年度途中でやりまして減税の決定までに納めた税額よりも小さくなって過納が生ずるというような納税者については市町村は過納分を還付するということになりますが、この還付事務も相当の手間あるいは事務処理が必要でございます。とりわけ国全体が一本の所得税と違いまして住民税はそれぞれの市町村の税金でございますから、還付という事務が例えばその市町村から住所を移転した人が生じたりいたしますというとその移転した先までこれを確認していって還付事務をやらなければならない。そういういろいろな問題がございまして、したがいまして個人住民税の減税を年度途中に行うということは、現実の問題といたしましては不可能と言うと言い過ぎでございますがそれに近い困難ということで、それはやはり国民経済的といいますか、全体としての仕組みの問題といたしましても年度途中の減税は難しい、こういう御結論になっているわけでございます。  またこれは理論的にちょっと考えてみましても、住民税は前年所得課税でございますから、仮に六十三年の所得についての減税が所得税で出発したといたしますというと、住民税につきましてはその六十三年所得については六十四年に申告されました所得税の申告書を課税資料とし、あるいは所得税の年末調整の結果出されます給与支払い報告書によりまして課税が行われますものですから、その点でも絶対にはずが合わない制度かというとそうでもないということも考えますが、何よりも前段申し上げましたいろいろな事務上の手続の面で非常に困難性があって現実問題としてできない、こう考えておるところでございます。
  162. 片上公人

    ○片上公人君 税調中間答申に基づく財政への影響額は、所得税、住民税の税率構造の簡素化で約一兆六千億円、法人税率の引き下げが国税、地方税の合計で約一兆六千七百億円、所得、住民税の基礎控除等の諸控除の引き上げなどで一兆数千億円と伝えられているわけでございますが、当然地方財政につきましても、新型間接税などの明確でない部分は別としましても、地方交付税額、地方税収に大きな影響を及ぼすものと思われますけれども自治省としては影響をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  163. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 中間答申に沿いまして税制改革が行われた場合でございますが、ただいまいろいろな御指摘がありましたけれども、細部につきましてはまだいろいろ詰められておりましてこれからの検討課題でございまして、その減税の大きさであるとかそういったものの全体像というものはこれからでございます。しかしながら、そうした税制改革が行われた場合には所得税、法人税、酒税の減税ということが言われておりますので、その減税によりまして地方交付税の減少が見込まれる、これは御指摘いただいたことの第一点でございます。また個人住民税等の減税に伴います地方税の減収ということがございます。それからまた新しい方式の間接税に既存の間接税が吸収される、あるいはそれとの調整を受けるというような関係で既存間接税の減収というものが見込まれるということがございます。  中間答申では税制改革の全体像について基本的な姿を示しておりますけれども改正の具体的な案が詰められていない面もございまして、現時点で税制改革の地方税、地方交付税等に与える影響につきましては確かなことを申し上げることは困難でございます。いずれにせよ中間答申では「改革に伴う税収の変動によって国及び地方団体財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して処理することが適当である。」こうされておりまして、税制改革に伴う地方財政への影響につきましてはこの中間答申の趣旨を踏まえて対処してまいりたい、こう考えているところでございます。
  164. 片上公人

    ○片上公人君 その影響額の補てんにつきましてはどのように考えていらっしゃるのか、そろそろ具体的な方針が固まっていると思いますが、どうでしょうか。
  165. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 影響額全体の数字が今検討中でございますので、その点が一つ不確定でございます。それからその方式というような点につきましてはこれは中間答申におきましても、新しい方式の消費税が導入された場合その消費税の一部分を地方の消費税とするということは簡素化の見地から適当ではないという趣旨で答申が行われておりまして、したがいまして別な方法で地方団体財源配分を行うべきである、こういうことになっておりますので、定性的といいますかそういった方式の問題といたしましては、新間接税といいますか新しい方式の間接税の財源配分問題というのは税という形ではなくて別の方法で、こういうことになる答申が示されております。  これを踏まえてこれから検討していく、こういうことになると思いますが、御承知のとおり前回廃案となりました売上税の場合には売上税に見合いまして売上譲与税とそれから売上税を地方交付税の対象税目とするというそういう方式によって対応が行われたところでございまして、これらにつきましては今後全体としての改革問題が詰められると同時に並行して詰めていく、こういうことになると思います。  なお、この問題と関連いたしましてといいますか全体像の中で、やはり国会における御論議もそうでございますけれども、今回につきましてはとりわけ減税先行論というような議論が国税についても地方税についてもあることも承知をいたしておりまして、その辺がどういうふうな姿で詰めていかれるのかということも関連する、こう考えております。
  166. 片上公人

    ○片上公人君 答申ではキャピタルゲイン課税方式としまして、少なくとも当面の措置としては源泉分離選択課税方式が適当である、こうしております。総合課税の場合には自動的に住民税が課税されることになりますけれども、源泉分離課税の場合には住民税を課税するための新たな仕組みを打ち出さなければならない、こうなるわけですが、この点につきましてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  167. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 委員御指摘のとおり、 キャピタルゲイン課税をやりますときに総合課税であればこれは所得税、住民税通じまして総合課税という形で現行の所得税及び住民税という体系の中でやっていくことができるわけでございます。しかしながら源泉分離選択課税ということになるというと、ちょうどこれは今の利子課税制度の前の利子課税時代のことを御想起いただけばいいわけでございますが、源泉分離選択をしたものについては法定の資料が全く出てまいりません。そうしますというと市町村が課税する住民税としてはその分については遺憾ながら課税ができない、こういったような問題があります。申告をされた分についてはあの場合にも課税をしておった、そういういきさつがございます。  そういったようないろいろな問題がございますが、税制調査会の今回の中間答申におきましては、有価証券譲渡益課税についてはいろいろ御議論がありましたけれどもこれは原則課税とすべきであるという御議論がございまして、ただ課税方式につきましてはいろいろなそういった問題の中から当面の措置としては源泉分離選択課税方式が妥当で現実的であるという意見が大勢を占めたというふうに記述されております。  この源泉分離選択課税方式によります場合の個人住民税の関係につきましては、この中間答申にもありますように、今後この仕組みの技術的細目等との関連もありますのでこれらとあわせて検討してまいりたい、こう考えております。住民税のためだけに大きな法定資料を求めるということはこれは非常に困難だと思います。もしそれが可能であるならば所得税も含めてできるわけでございますので、そういう状態がいろいろ想定されますのでただいまの段階でどうということは申し上げられませんけれども、今後所得税におきますこの仕組みの技術的細目、それとの関連で詰めていく、こういうことになるというふうに考えております。
  168. 片上公人

    ○片上公人君 答申は、有価証券取引税の税率水準につきましてもあわせて検討を行うこととするとしておりまして、これはいわゆるキャピタルゲイン課税の見返り措置ということだと思いますが、そのためにキャピタルゲイン課税の税収を地方に配分しないということが伝えられておりますけれども自治省としてはその懸念についてどう思われておるかお伺いします。
  169. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 中間答申におきましては、負担の公平の確保という見地から個人所得課税の見直しの一環として有価証券譲渡益を原則課税とする、こういうことでございます。それとあわせまして株式等に係る有価証券取引税の税率水準についても検討を行うことということにされているわけでございます。したがいまして個人所得課税である個人住民税につきましても中間答申に述べられた考え方を踏まえて検討すべきものである、これが基本であります。  なお源泉分離選択課税方式による場合の個人住民税におきます課税技術上の問題につきましては、中間答申にありますように、今後所得税における課税の仕組みの技術的細目等とあわせて検討するということが適当であると考えております。したがいまして、税としての課税問題というのはまさにそういうこれからの所得税制としての技術的細目との関係で決めていく、こういうことになるわけでございます。  キャピタルゲイン課税の税収とこの有価証券取引税との関係でどういう議論があるかということについての御指摘のようでございますが、有価証券取引税はもうこれは国税で、現在でもそういう姿でございますから、これが所得税の世界にその一部分が入ってくるということになりますというと、これはやはり所得税でございますから、例えば所得税として交付税の対象税目の一部をなすというふうなことをその部分だけについて除くというようなことはちょっと制度としては考えられないのではないか。  そういうことも考えますというと、その税収を地方に配分しないということがどういう意味で言われているかちょっとわかりませんが、ただいま申し上げましたような意味での税として仕組むことがうまくいくかいかないか、そのことは少しいろいろ課題がある、しかし仮に所得税であるとすれば、その所得税が交付税の対象税目である所得税の一部をなす、これは余り疑いがないのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
  170. 片上公人

    ○片上公人君 次に答申の内容について確認していきたいわけですが、いわゆる医師優遇税制については不公平税制の一つとして従来からもずっとその是正が必要とされてきたわけでございまして、今回も答申がなされておりますけれども大臣の決意を伺いたいと思います。
  171. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 社会保険診療報酬に係る事業税の特例措置見直しについては税の公平の確保という観点から従来から税制調査会の答申において指摘がなされており、昭和六十三年度の税制改正においても見直しの方向で努力してきたところでございますがなお引き続き検討すべき課題として残されたところでございます。  この問題については去る四月二十八日の税制調査会の中間答申においても不公平是正の観点から重ねて「速やかにこれを撤廃すべきであり、少なくとも所得税及び法人税における課税の特例に準じた取扱いとなるよう改めることが必要である。」とされたところであり、これらの答申の趣旨を踏まえ、今後とも保健医療政策との関連をも考慮しつつその見直しの実現に努力をしてまいりたいと考えております。
  172. 片上公人

    ○片上公人君 この答申に関連しまして、特定市街化区域農地の課税、特別土地保有税につきましてはその内容をどのように理解しておるのか、伺いたいと思います。
  173. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 今回の中間答申では特定市街化区域農地に対する固定資産税の課税の適正化措置につきましては、現行制度の厳正な運用に努めるとともに今後の総合的な土地対策等との関連においてそのあり方について検討すること、それからまた、土地対策に資するための政策税制として創設された特別土地保有税については土地利用のあり方に関する制度の整備等の検討を踏まえそのあり方について検討すること、こういうふうにされているところでございます。  土地税制としてのいわゆる宅地並み課税あるいは特別土地保有税につきましては、これらの税制が先行して措置されるというそういう性質のものではなくて、今回の中間答申でも述べておりますように、土地税制を活用し個人や企業を望ましい方向に誘導していくためには望ましい土地利用のあり方等に関し詳細な都市計画その他の制度施策が整備されていることが前提要件といいますか必要な条件でございまして、これらの制度施策と相まって土地税制が有効に活用されるものでありますので、土地税制についてはこれらの制度施策の検討とあわせて検討すべきであるというふうに考えておりまして、そういう趣旨で中間答申も指摘がされていると私ども理解をいたしております。  いずれにいたしましてもこの問題につきましては、現在土地問題について検討を行っております臨時行政改革推進審議会における審議であるとかあるいは今後の税制調査会の審議等を踏まえまして適切に対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
  174. 片上公人

    ○片上公人君 次に、固定資産税につきましては中長期的にその充実を図る方向を基本とすべきであるとなっておりますが、本年は評価がえの年で、先般の地方税法改正案でも負担調整措置を講じたばかりでございますけれども、最近の土地価格上昇に伴う固定資産評価への影響はむしろ次回の評価がえの時期と思われます。したがいましてその負担増につきまして、単に増加がなだらかなものとなるような配慮ということだけで果たしてよいのかどうかという疑問がわくわけでございますが、この点についてはいかがですか。
  175. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 固定資産税の課税問題ということにつきましては今国会におきましてもいろいろ御議論をいただきまして、土地の価格とい うものを抑制し引き下げるためには固定資産税負担というものを思い切って引き上げるべきだという御議論もあったところでございます。昭和六十三年度の土地の評価がえに当たりましては、六十一年七月一日現在の売買実例価額というものを基本といたしまして同日以前三年間の地価動向等を勘案する、そして大都市の中心商業地等における買い急ぎ、将来における期待価格等による特異な地価の状況があるところではそういう状況については十分配慮してそうした異常な要素というものを除くという形で評価がえの作業を行ってきたところでございます。  次回の評価がえにおきましては昭和六十一年七月から三カ年問の地価動向が勘案されることになりますが、先般公表されました六十三年地価公示を見ますというと、昭和六十二年と同様、三大圏、地方主要都市の中心商業地等において著しい上昇が見られますが、それ以外の地域では地価は引き続き安定的に推移いたしておりまして、依然として特異な地価状況ということを示しているということは変わらないと思います。一方、六十二年半ば以降になりますと都心部の地価はおおむね鎮静化の様相を呈してきておりまして、特に十月から十二月期には東京都全体の住宅地の変動率が三角の一・一%というふうにマイナスに転ずるというふうな鎮静化傾向がございまして、これが都心部から周辺部へも急速に拡大しているという判断がされております。  今後の地価動向につきまして現時点で的確な予測をするということはこれはどうも困難でございますが、いずれにいたしましても、昭和六十六年度の評価がえにおきましては今回の基準日以降の地価動向等の推移を慎重に見きわめつつ対処していく必要がある、こう考えております。  なお冒頭に申し上げました、固定資産税につきましては負担のあり方ということの基本問題がいろいろ御議論があります。固定資産税が資産価値に応じて課税され、また市町村の基幹税目であるということを踏まえまして、三年ごとの評価がえを行うことによりまして負担の公平といいますか水平的な公平を図る、評価がえを行うことによって適正な負担を求める、こういう努力をしてきたところでございまして、その際には負担の増加がなだらかになるような負担調整措置を講じてきているところでございます。  今後の固定資産税のあり方につきましては、今回の税制調査会の中間答申でも述べておりますが、市町村税収、つまり固定資産税が市町村税収の中にどれくらいの割合を占めているかということを見ていきますというとこれは長期的に低下傾向にある。つまり市町村のかまどを賄うといいますか、そういった観点からいいますというと所得に対する課税というものにどちらかというとだんだんウエートがかかり過ぎてきていて、そして相対的に資産課税でありますところの固定資産税というものは割合が低下してきているというようなことも考えると、評価の均衡化適正化を通じて中長期的には充実を図っていくということが基本ではないか、こういう指摘をいただいているわけでございます。  しかし、さはさりながら、いろいろ御議論がありますように、地価を鎮静化させるためには思い切って固定資産税を上げる、そういうことには今回の中間答申もなってないわけでございまして、やはり固定資産税は多くの納税者に毎年課税されるという性格を持っておりますから負担の増加がなだらかになるような配慮が必要である、こういうふうにされているわけでございます。したがいましてこの中間答申の趣旨を十分踏まえて対処していくことが適当であるというふうに考えているところでございます。
  176. 片上公人

    ○片上公人君 ありがとうございました。終わります。
  177. 神谷信之助

    神谷信之助君 きょうは国民健康保険制度の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、最初に超過負担の問題です。  自治省にお尋ねをいたしますが、毎年各省庁の概算要求の前に、地方財政に関連する事項で翌年度予算の概算要求に当たって留意すべき点または改善すべき事項についていわゆる七月申し入れという文書を出しておられます。昨年七月の六十三年度概算要求の申し入れで厚生省に対して、国民健康保険事務費及び国民年金事務費に係る財政措置について、地方公共団体が行う国民健康保険及び国民年金に係る事務費の単価等については実態に即して是正されたい、こういう要請を出しておられます。実態に即して是正してもらいたいというようにおっしゃっているその根拠といいますか理由といいますか、これは具体的にどういうことでしょうか。
  178. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 国民健康保険とそれから国民年金にかかわります事務費につきましては、ただいま御指摘のように昭和六十三年度予算の概算要求に向けまして是正措置を申し入れたわけでございますが、それは一つは、国民健康保険事業につきましては例えば五十九年十月から退職者医療制度が創設されたということもございます。また国民年金につきましては六十一年四月から制度の大改正があったわけでございまして、こういう事情が市町村事務内容にかなり変更を加えているのではないかということが考えられます。また決算等で見る限り実態事務費の国庫負担金との間に乖離がかなり大きくなってきているという事情もございまして、この点につきまして実態に即した予算措置を講じるように申し入れたところでございます。
  179. 神谷信之助

    神谷信之助君 今のお話を聞いていますと、制度の変更とそれからもう一つはそれぞれの市町村の決算の状況、この二つの点ですが、これは具体的につかまないと、一般的にそう言ってもなかなか問題は解決しない。それでこの種の問題では保育所の問題もありますしいろいろありますが、国保の問題と国年の問題は自治大蔵、厚生三省で補助金等の共同実態調査をやっておられます。ところがこれが四十九年にやられて以来今日までやられていないという状況にあるわけですね。それまでは、超過負担問題というのは当委員会でもやかましくやられていましたし、少なくとも三年に一回はやるんだというような話まで出てやってきたんだけれども、四十九年以降、例の石油ショックその他ずっと起こってきましたから、国の財政との関係超過負担の解消どころの騒ぎではないということになってこういう実態調査が行われないという状況になったのかと思うんですけれども、この辺の理由をひとつお聞きをしたいと思うんです。  実際に実態調査をやられるとやっぱり是正はされているんですね。地方財政白書の国民健康保険事業決算の状況から抜き出してみますと、例えば四十九年度実態調査をやっていますが、そのときに国庫支出金と歳出の総務費の一般管理費との差額は九十二億二千五百万円、そういう状況が、実態調査の結果五十年度には四十三億というようにぐっと減っています。いわゆる超過負担の金額自身減っています。ところがそれからずっとまた五十一億、六十七億というようにふえ出してきて、六十一年度の決算で見ますと百七十二億。  だから実態調査をやらないといわゆる超過負担がどんどんどんどんふえてきて三倍、四倍という状況になってしまう。五十年度に比べますともう四倍ぐらいにふえている状況になっています。ですから、一つは何で四十九年度以降やらない状況になったのか、この辺についてまず自治省の方から聞きたいと思います。
  180. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 御指摘のとおり、国民健康保険と国民年金の事務費に関する超過負担の調査は四十二年度とそれから四十九年度と二回にわたりまして共同で実態調査を行って、それに基づきまして是正措置を講じたわけでございます。四十九年度にやって以来は共同調査を実施していないわけでございますけれども、少なくとも五十年代の前半まではこの共同調査による超過負担の是正というものがかなり効果があったというふうに理解していたわけでございますが、その後先ほど申し上げましたような市町村事務が変わってきたというようなこともございましてだんだんと ふえてきたのではないかと思うわけでございます。  そんなようなことも踏まえまして、六十三年度予算におきましてはぜひ是正していただきたいということを関係省庁にお願いしたというような事情でございます。
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 議事録を見てみますと、自治省の方は四十九年度実態調査をやって以来既に十年以上たっているという趣旨答弁になっていますが、厚生省の方の答弁を見ますと、五十四年度に国保について共同調査を行っているという答弁があるんです。五十四年度厚生省はどんな調査をやられたのかということと、そしてなぜその後今日まで放置されているのか、この二つの点についてお答えいただきたいと思います。
  182. 加納正弘

    説明員(加納正弘君) これ以外に調査をやっているかどうかということでございますが、ただいまお話のありました四十二年、四十九年の実態調査は三省の共同調査という形で行われておるわけでございますが、そのほかに四十五年、五十四年に国保に関しまして大蔵省実態調査をやっております。もちろんこれに対しては厚生省一定の協力は申し上げておるわけでございますが、その際の調査内容は三省で共同調査を行った場合と同様の内容の調査を行っておるわけでございます。したがいまして私ども前回としては五十四年に実態調査を行ったものというふうに理解をしておるわけでございます。  それから二番目の点のお尋ねでございますが、一つには、私どもこの五十四年の実態調査もとにいたしましてその後人件費の動向等を踏まえまして必要な補正を行って毎年度適正な予算を組んできておる、したがいまして基本的には超過負担はないものというふうに考えておりますことと、もう一つには、これまでの間いろいろな制度的な改正がございましてなかなか事務が安定してこなかった、そういった点も踏まえまして実態調査は行っていない、こういうふうに理解をいたしております。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかし厚生省ね、今の答弁は私は詭弁だと思うんですよ。毎年人件費それから人口の増その他で補正をしてやっているから基本的には超過負担はない、それはもう前からそうなんですよ。だがしかしそれでは乖離している、おかしいじゃないかということで今もあったように四十二年、四十五年あるいは四十九年と調査をせざるを得なくなった。それで調査をしたら、さっき言うたように五十年度には前年九十二億の乖離が四十三億に減った。あなたが今おっしゃった、自治省は抜きにして大蔵厚生省が協力してやったという五十四年を見ますと、五十四年は九十四億四千万円ほどの乖離があった、それが五十五年には八十七億に減っています。だから実際に調査をすれば、自治省をのけてやっても実態調査によって乖離は減るんです。  後はちゃんと補正をしてやっておりますから基本的には乖離はないと言ったって、現に六十一年度には百七十二億ある。だからそういう実態に基づいて自治省は去年の七月に実態に即しての是正を要請するということになったわけでしょう。これは私はどうしても納得できぬですが、自治省はどうですか。厚生省基本的な超過負担はないと言う、あなた方の方は超過負担がある、そこで実態に即して改正せよ、こうおっしゃっているんだが、その辺はどうなのか、具体的にどういう点に乖離が起こってきているのか、この辺も含めて自治省の御答弁を願います。
  184. 湯浅利夫

    政府委員湯浅利夫君) 最近の決算の状況を見てみますと、例えば国民健康保険を例にとりますと、六十一年度の決算では約百七十二億の決算と事務費国庫負担金との間に乖離が出てきているわけでございますので、これが直ちにすべて超過負担かどうかということにつきましてはこれはきちんと調査をしてその結果によって判断をしなければならないと思うわけでございますが、かなりの乖離があるということは、その原因を少なくとも十分に調査をして、そしてその原因に基づいて是正すべきところがあれば是正をするという必要があるのではないかなという気がするわけでございます。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで厚生省ね、京都市で事情を聞いてみたんです。そうすると六十一年度の決算に基づいて見ますと、事務関係の歳入は国庫支出金その他で七億六千三百三十五万五千円、こうなっているんですが、歳出は給与費、物件費が十七億七千三百三万四千円で、単年度で十億九百六十七万九千円の不足額、京都市当局は超過負担と言っているんですがそれが出ている。約十一億ですよ、単年度で。他の指定都市の実態を見ましても、六十一年度の決算見込みで不足額、超過負担なるものを見てみますと、札幌市が百十三億、大阪市が三十二億、名古屋市が十五億で、その他の指定都市も大体二億円から五億円の不足というように言っております。  これを交付率、実際の事務費に対する国庫支出金の割合はどうかという点で見ますと、京都市が四三・七%、ほかに五〇%を割っているところが札幌市の四一・三%、名古屋市の四三・七%、大阪市の三六・七%、一番高い横浜市でも七七・三%で一〇〇%にはほど遠い。  問題はなぜこういう乖離が出るのか。要素は幾つかあると思うんですが、一つ私がきょう問題にしたいのは計算式の問題で、基本額に三つの補正係数を乗じて計算をして、それに医療保険の退職被保険者分、あるいはもう一つありましたね、それらを加算して事務費の負担金という計算方式になっていますね。ところがこの基本額が被保険者数に応じて定められておりますけれども、ゼロから二百人から始まって初めの方は二百人刻み、そして三百人刻み、四百人刻みになって、十万人以上になると今度は五百人単位の刻みになっている。そういうランクでしょう。ここに実際に大都市の実態を考慮し切れていない問題が一つあると思うんです。  それからもう一つは指定都市の補正係数一・一〇二、これが実態に合っていないのではないか。この辺はしかし具体的にどうかという点ではちょっと我々もまだ調査できていないんですけれども、少なくとも第一の点のランクづけが適当ではないのではないか、この辺は厚生省はどういうようにお考えですか。
  186. 加納正弘

    説明員(加納正弘君) お尋ねの点でございますが、事務費国庫負担金の基本額の算定におきまして、被保険者数が十万人を超える場合御指摘のとおり基本額に被保険者数が五百人を超えるごとに加算をしておるわけでございます。したがいまして被保険者数が多ければそれだけ基本額も多くなるということでございまして、大規模な市町村が不利になるというようなことはないものというふうに考えております。また基本額につきましては、このほか今御指摘がございましたような世帯補正でありますとかあるいは移動の多少の差を考慮いたしました補正等も行っております。したがいまして世帯数が多く人口移動も頻繁な大都市が特別に不利になるというようなことはないように配慮しておるつもりでございます。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、単純にそうおっしゃるけれどもそうはいかぬのですよ。京都市は被保険者数が十万を超えていますね。それでいきますと京都市の基本額は四億八千八百二十七万二千円になる。ざっと四億八千万です。それでこれを京都市の行政区別に割ってあなた方のおっしゃる計算をしたらどうなるのか。そうしますと五億二千四百万ぐらい、約三千六百万の乖離ができる。  だから例えば十万以内の市、行政区に分かれていない一般市なら、出張所もそうあるわけじゃないでしょう。そうすると、国保の事務と国年の事務を一緒にやっているところが多いんだけれども、これは人数がふえればそれだけ一人当たり事務量というのを減らすことはできますね。だからああいうランクづけをしてやっているんでしょう。それが大都市になって行政区ごとになったらそれぞれ全部区役所ごとにおるわけです、京都市役所の本庁だけで仕事をやっているんじゃない。そうしたら職員数もそれだけ要るわけで、だから一行政区が市町村単位と同じ役割を果たすわけで しょう。  だからあなた方の言うように二百、三百、四百、そして十万以上はどれもこれもみそもくそも一緒というようなことをやっておったら、それは仕事の仕方が違うんだから実態は反映していない、明らかに。これはもうはっきりしているんじゃないですか。私はこれ一つだけ見てもこれは実態に合ってない。この事務費の大きいのは職員数、人件費ですからね。大体人件費が六割から七割ぐらいになるでしょう。だからそこの根本のところで一つ問題がある。だから基本額そのものがどうなのかということと、この区割り、ランクの仕方、これが実態に合っているのかどうか、こういう問題が起こってくるんですよ。  それで今おっしゃるように移動状況を加味する補正分もあるしそれから一世帯当たりの被保険者数を加味した補正係数もあるし、それから指定都市も先ほど言った一・一〇二という補正係数も使っているけれども、これが実態に合っていない。だから私はそういった点も含めて改めて実態調査というのを、大蔵省厚生省だけでこそこそやらぬと自治省を含めてちゃんとやってもらいたい。  それからもう一つ、これは担当職員からいろいろ聞いたんだけれども、大体厚生省と一緒に来ると今度は市町村の方が何でそういう乖離があるのかということを率直に言わないんですね。これは両面あるわけで、言うて損するという面もあるし、それからへた言うて怒られたらかなわぬというそういう実態も現にあるわけですから、この辺もひとつ留意をして実態調査をしてもらいたい。  これは負担金ですからね。大臣も前から何遍もおっしゃっているように基本的には国の仕事なんだから、したがって負担金なんですよ、これは。負担金をちゃんと義務どおり払わない、そんなばかな話はない。補助金ならば補助対象をどうするか、補助率をどうするか、いろいろやるけれども、しかし負担金ですからね。かわってやってもらっているんだから、逆に言うたら市町村の方が国の仕事に補助金を出して助けているわけです。それが今そういう状態になっているんですから、これはいずれにしても国保と年金の実態調査を三省で共同でやらなきゃひど過ぎると思うのでやるべきだと思うんですが、これは課長さんに言うわけにいかぬので、大臣、ひとつこの点は考慮に入れて早期実現方へ努力を願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  188. 津田正

    政府委員津田正君) 超過負担の問題は国、地方財政秩序にもとる問題でございますし信頼関係という点でも重要な問題でございます。そういう意味におきましてその是正というものは図られなければならないわけでございます。国保、国民年金につきましても、先ほど来質疑がございましたようにしばらくやっておらなかった、制度改正が非常にあったものでございますのでどうしても初年度などですとその現場市町村で若干事務の混乱等もありましてそれに基づく経費等が客観的に妥当なのかどうか判断もしにくいということで見送っておったわけでございますが、先ほど来御指摘補助金状況と決算の状況というものも相当乖離があるわけでございまして、私ども超過負担の疑いもかなりあるのではないか、かように考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、国民健康保険につきましては本年度関係省、先ほど申しました大蔵省そして仕事を所管しております厚生省の了解を得まして共同調査をやりたい。その際に、御指摘のとおりこの事務費は人件費比率が高いわけでございまして、どの程度の格付の職員をやるのかどうか、それから人員配置がどうなのか、御指摘の点等もよく念頭に置きながら調査をやりたい、かように考えております。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 もうこの問題は終わりにして次に移りますが、今もおっしゃったように六十一年度百七十二億ですからね。二百億近い乖離が生じている。それから今国保制度の改正、私は改悪だと思うけれども、保険証を渡さぬとかいろんな問題が起こるから職員の方はてんてこ舞いで、だから人をふやさなきゃならぬような状況さえ起こってきている。そういう現場の状態なんかを考えてみますと、実際に実態調査をしてそして必要な人員も配置をし、負担金なんですから、単なる補助金ではないんですから、そういう点でお世話になっていますという態度をちゃんととって国保負担を値切らぬようにごまかさぬようにしてほしいということだけ申し上げておきます。  次に一般会計の繰り入れ問題ですけれども、これはまず大臣にお聞きしたいんですが、大臣が四月十三日の衆議院の社労、地行の連合審査でこの一般会計繰り入れ問題についてこうおっしゃっているんですね。「国保財政市町村の一般財源を費やさなければならないというのは、国保の運営の仕方自身あるいは建前、制度自身に何らかの欠陥があるからだ、そういうことではぜひ国の責任を感じていただいて、そういうものを原則やらないでも済む制度をつくり上げていかなければならないというふうに考えております。」  こういうふうにお答えになっていますが、この中の「国保の運営の仕方自身あるいは建前、制度自身に何らかの欠陥がある」というのは具体的にどういうことなんでしょうか、これは大臣のお言葉ですからひとつ大臣に御意見を聞きたいと思います。
  190. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 国民健康保険は本来国民皆保険の一環として設けられたものであり、その運営は保険料と国庫負担により賄われるべきものであり、その運営の安定化についても基本的には国が責任を持って対応すべきものと考えております。しかしながら増高する医療費等に対応するため、各市町村において保険料の確保を初めとする懸命の経営努力を行ってもなお一般会計からの繰り入れ等を行わざるを得ない現況にあり、かつその額が近年増加する傾向にあることも承知をいたしております。  このようなことから本来国民健康保険制度の趣旨及び性格と現在の運営の実態にやや乖離をしているような状況にあり、何らかの改善を必要とするのではないかということから先般のような答弁を行ったものでございます。したがって、国保財政の長期的安定を図るため今後医療保険制度一元化の具体的方策、国民医療費適正化のための総合的な取り組み、保険料負担水準あり方、社会保障制度における国と地方役割分担など基本的問題についてなお幅広く検討を続けていくことが必要であるというふうに考えております。
  191. 神谷信之助

    神谷信之助君 厚生省にお聞きしますが、厚生省の方はこの一般会計の繰り入れがどんどんどんどんふえてきていることについてその原因をどういうように認識をされていますか。
  192. 加納正弘

    説明員(加納正弘君) 国保事業の財源といたしましては基本的には私どもも保険料と国庫負担金が中心になるべきものというふうに考えておりますが、実際には市町村がさまざまな自主的な御判断によりまして保険料のかわりに一般会計繰り入れを行っているところでございます。  一般会計繰り入れの事由といたしましては保険者によりましていろいろ理由は分かれておりますけれども、保険料負担の緩和を目的とするものでありますとか、あるいは地方単独事業への補助でありますとか、医療費の急激な伸びがある場合の対応でありますとか、こういった事情によりまして繰り入れが行われているものというふうに理解をいたしております。
  193. 神谷信之助

    神谷信之助君 今もおっしゃったように自主的な判断によるものというわけですけれども、その理由として、保険料の負担の軽減、地方単独事業の財源、それからもう一つは医療費の急激な高騰、言えばその三つでしょう。この間も言ったんですけれども、本来交付税の対象にもならないそれぞれの地方の保険料の軽減措置を単独でやるとかあるいは給付内容をプラスするとか、そういうそれぞれの市町村の独自の施策の一つとして一般会計の繰り入れというのが認められていたけれども、今はそれが、国庫負担が後退をする中で保険料がどんどん上がってくる、これを抑えて少しでも負担を軽減するためにということの一般会計か らの繰り入れというのが非常に大きくなってきているということが言えると思うんです。医療費の急激な高騰が仮にあったとしても、それは財源自身は国庫負担と保険料で賄うんですから幾らふえてもそこでやればいいんだけれども、しかしそうはいかない、逆に国庫負担の方は減っていくんですから、だから保険料の負担をできるだけ軽くするという形で一般財源の繰り入れをせざるを得ない、こういう状況が率直に言って現状だというように思うんです。  そこで厚生省の資料によりますと、一般会計の繰り入れの状況というのはどんどんどんどんふえていく。五十七年度と六十一年度の対比をしてみますと、国庫支出金が五七・八%から四四・五%へ大幅に削減になって、逆に保険料は三三・九%から三七・八%へ、そして一般会計の繰入金の方も四・二%から五・〇%へと大幅にふえてきています。ですからこれらの事実を見ても、一般会計繰入金が増大をする最大の原因というのは国庫支出金の削減によって、このための保険料の引き上げが原因だということはもう明らかに歴然としているというふうに思うんです。だからこの点はひとつ、以前から主張しているように国庫負担金を後退させたところに根本問題があるんだから、この負担金をもとに戻してすっきりと基本どおり国庫負担金とそれから保険料を財源とするということにすべきだと思うんです。  もしこれを、今の状況ではどうにもならぬから変えるんや、国庫負担金だけでなしに地方の負担も入れて、そして保険料とこの三本立てで国保財政を賄っていきますんやとそういうふうに基本的に方針を転換するとおっしゃるなら、反対だけれどもそれはそれで理屈は通る。しかし、基本的にはこの二つでございますがしかし地方も当面しんどいのやから出してくれというようなあいまいなペテンにかけるようなやり方はよくない、こういうように思うんですが、大臣、いかがですか。
  194. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 先ほどの御質問にもお答えをいたしましたように、自治省としては国民健康保険は本来国民皆保険の一環であり、その運営の安定化について基本的には国が責任を持って対応すべきものと考えております。今回の国保制度の見直しは、このような基本を踏まえつつ、医療費の増高等により国保財政が危機的状況にあること等にかんがみ都道府県や市町村としても国保の安定のための条件整備に暫定的に協力することとしたものであります。  自治省としては今回の見直しが二年間の暫定措置であることにかんがみ、今後保険料負担水準あり方、医療保険制度の一元化の具体的方策、社会保障制度における国と地方役割分担などの基本的な問題について幅広く検討を行い必要な措置を講ずることといたしてまいりたいと考えております。
  195. 神谷信之助

    神谷信之助君 今大臣がおっしゃった中で、国と地方との役割分担というやつをこの中にほうり込むわけですか。ということは、基本的には国庫負担と保険料でやるんだけれども国と地方役割分担ということで地方の負担も導入しようと、この二年間の検討の中で。そういう御趣旨ですか。
  196. 津田正

    政府委員津田正君) 国保に対する一般会計の繰り入れという問題でございますが、御承知のとおり六十一年度他会計から国保会計へ繰り入れている金額が千八百九十六億円に上っております。五十九年が千百億程度であったものが六十一年度には千八百九十六億、約千九百億に上る、こういうふうにふえておるわけでございます。  それで私ども考え方としまして、いわゆる一般住民も利用されるような保健施設等に対する経費に対して一般会計から繰り入れること、これはもう一般健康対策というようなことでまさしく地方財政法にも構わないということでございます。それから法定給付率を単独で上げる、ここらもやはりその団体の施策の一つというようなことで考えられるわけでございます。しかし最近のように一般会計繰り入れというのが急に上ってきたのは、端的に申しますと、例の退職者医療の見込み違いというようなことの補てんがなかなかなされなかったということで、もう国保財政どうにもならぬということで市町村がかぶって補てんしておったというようなこともあると思いますが、そのほか一般的に医療費の増高というのが非常に急激である、それから保険料あるいは保険税の水準というのが非常に高い水準になっておるものでなかなか上げられない、こういうような状況があったかと思います。しかしこれらの点は国保事業の基本的性格にかかわる問題でございますのでやはり制度として解決しなければならない、かように考えております。  それで、六十三年度、六十四年度暫定措置、その後の問題におきましてどのように考えるか、特に六十五年度以降につきましては基本的な検討というのが続けられなければならないかと思うわけでございますが、今回の暫定措置におきます例えば軽減保険料に対するものは、いわゆる国民皆保険ということで医療制度の最後のとりでという趣旨で、所得の非常に低い方、特に最近は年金受給者などが国保事業の中で行われている、そこからは保険料は取れない、では取れない部分をほかの被保険者の保険料に上乗せして取るというのももう現在の保険料水準からすると無理であろう、この場合に公費で賄うのもこれはいわゆるサラリーマン等との均衡という点からいっても国保事業の性格からしてやむを得ない措置ということで一般会計からの負担もあり得べしというような判断のもとでやったわけでございます。  もちろんこの場合にも国費で全部措置すればよろしいという点もあるわけでございますが、しかし性格上は、いわゆる社会保険というものとそれを取り巻く条件ということを考えますと、軽減保険料補助は社会保険として機能を持たす中で処理しろというのは無理な話のものではないか。そういうような観点で国費とともに地方費も投入することもやむを得ない、このように考えておるわけでございます。しかし国保事業の基本、社会保険としての機能という面から申しまして、国庫負担金と社会保険料・保険税というもので賄うべきだ、このような基本的な考え方というものはとってまいらなければならないのではないか。社会保険として機能するための条件整備というものについてはいろいろな考え方もあり得べし、かように考えております。
  197. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間ですからこれで終わりますが、保険制度という考え方を強調されるんですけれども、この間も言ったように国民皆保険制度を導入したときの改正のときの趣旨は、相扶共済という名前があったやつを消して、いわゆる保険制度と違って国の命令で入りたかろうが入りたくなかろうがとにかく強制的に加入させるんだ、だから負担できない人については国が面倒を見なきゃいかぬし、それから使用者負担はないんだし、だから国庫負担でそれは賄いましょうという制度でしょう。だからいわゆる保険という名前がついてあるからといってほかの政府管掌の健康保険とかその他の職域保険とかいう保険制度とは違うんです。  この点は根本問題として一つ制度的に本質的に違うんです。逆に言うたら、年金生活者がずっとふえてきよりますからそういう意味では保険料が負担できるような年金の内容の充実というのもやる。それじゃそれをどっちに国費を使うかという問題ですね。だからそういう点では、国民皆保険制度という立場、基本を崩さないとすれば、こちらをきちっとやった方が筋道が立って道理は通るわけですよ。だからそういう点は私は、保険という名前があるからといって盛んに、厚生省もともと言っておるんだが、だんだんそのうちに自治省も言い出すようになってしまった。そういうのは本質がほかの保険制度と違うんだということを最後に申し上げておいて、時間ですから終わります。
  198. 抜山映子

    ○抜山映子君 生活保護についてちょっとお伺いしたいと思います。  生活保護というのは本当に生活に困窮している人に困窮の程度に応じて必要な保護を行って最低限度の生活を保障する、こういう制度だと思うの ですけれども、一方で不正受給者が後を絶たないということをよく聞くわけでございます。六十年度に不正受給分の返還を求められた被保護世帯は九百七十四世帯、金額にして約十億円に達したということでございますが、こうしたことがあってはならないのはもう言うまでもございません。厚生省として不正受給防止のためにどのような対策を講じておられるのでしょうか。
  199. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) お答えいたします。  先生お話しのとおり、生活保護は利用し得る収入、資産、稼働能力等あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する場合に初めて適用されるものでございます。生活保護の不正受給につきましては、ごく一部の限られた者によるものとはいえこれが他の大多数の善意の被保護者に多大の迷惑をかけるばかりか生活保護制度そのものに対する国民の理解と信頼を失わせることになりますので、不正受給ケースが発見された場合にはその金額を返還させることは当然のことながら、悪質なケースにつきましては告発を行う等毅然とした態度で臨んでいるところでございます。  厚生省としましては不正受給を防止するとともに適切な制度の運営を確保する見地から、社会情勢や保護の動向等を十分踏まえつつ毎年度監査の基本方針や着眼点を定め各都道府県、市本庁に指示しているところでございます。今後とも不正受給の事例の生ずることのないよう、国、地方公共団体が一体となりまして、特に被保護者等に対して権利と義務の周知徹底、保護申請者の収入、資産等の的確な把握、稼働年齢層にある者の就労の促進、暴力団ケースへの厳正な法適用等を徹底するとともに、これらの推進について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  200. 抜山映子

    ○抜山映子君 大変に模範的な回答なんですけれども、それでは今おっしゃったことについてちょっと個別に確認したいと思います。  まずお答えの中で収入、資産、稼働能力をチェックするというように言われましたが、それでは収入をチェックするのにどのようなやり方でチェックしておられるのでしょうか。
  201. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 収入等の調査につきましては、保護の開始段階におきまして申請者から十分お話を伺うとともに、そのお話の内容につきまして金融機関その他について十分調査をしているところでございます。
  202. 抜山映子

    ○抜山映子君 お話を聞いているだけでは非常に心もとないですね。やはり給与証明書なんかの添付を求めないといけないと思うのですが、これが完全に行われていないのではありませんか。
  203. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 私ども監査を通じまして現場を見ました限りにおきましては、過半の実施機関においては給与証明その他の証明についても可能な限りとるようにしておるのが実態でございます。
  204. 抜山映子

    ○抜山映子君 正確な数字でなくてもいいですけれども、給与証明書の添付のない事例はどれぐらいありますか。
  205. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 私が承知しておりますところにつきましては、本当のごく一部に限られているものと承知しております。
  206. 抜山映子

    ○抜山映子君 恐らく一〇%ぐらいはあるはずで、これはやはり給与証明書の添付を必ず求めることが必要だと思います。そういうように安易に話を聞いてということではやはり不正受給者は生まれていくと思います。一たん受給させてしまいますと、これを再び受給させないようにするということになると感情的にも非常にもつれが出たりあるいは暴力のケースが出てきたりするわけですから、当初にきちっとすることがまず第一だと思います。  それから保護開始後収入に変動があったときには法律の六十一条で当然届け出義務が課せられておるわけですが、このチェックをちゃんと行っているかどうかについてお伺いしたいと思います。
  207. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 全ケースにつきまして年一回、稼働年齢層いわゆる就労が可能な年齢層につきましては年四回収入の申告を行うように指導しております。
  208. 抜山映子

    ○抜山映子君 指導はいいですが、実際に行われていますか。
  209. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 私の承知している限りにおいては九九%なされているというふうに理解しております。
  210. 抜山映子

    ○抜山映子君 それではあなたの理解は大分いいかげんですね。昭和六十一年の総務庁の「生活保護に関する行政監察結果に基づく勧告」という資料によりますと、保護開始後の定期の収入申告を適期に行っていない者は一二・一%見られる、こういうふうにあるのですから、九九%なされているなんというのはちょっと余りにも乱暴な回答だと思いますよ。  それでは国民年金とか児童扶養手当とかそういう制度の給付の把握状況は、ちゃんと関係部局に照会を行っておるでしょうか。
  211. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 保護の開始時におきましてはいわゆる百二十三号通知といいます通知によります同意書を徴収いたしまして、年金、金融機関、それから税務官署等の調査を行っておるところでございます。
  212. 抜山映子

    ○抜山映子君 私が大変奇異に思うのは、資産を持っておる人に、その資産を処分すればたっぷり収入ができるはずなのにそれをさせないで安易に受給を認めているという事例が大変に多いと思います。これについてはひとつ厳しくやっていただきたいと思うのですけれども、どういうように指導しているのか具体的にお伺いしたいと思います。
  213. 小沢壮六

    説明員(小沢壮六君) 生活保護を受けておられる方が不動産を持っている場合の取り扱いでございますが、不動産といいましても居住用の不動産とそれ以外の不動産とあるわけでございます。原則といたしまして、先ほど監査指導課長が申し上げましたように、収入なり資産があればそれをすべて活用してしかる後に生活保護を行うというのが原則なわけでございますが、不動産の取り扱いにつきましては、特に居住用の不動産というのは生活の基本になる居住の場になっているという特殊な事情がございます。したがいまして従来から、居住用の不動産を持っておられる方につきましては利用価値に比して処分価値が著しく高くないというような範囲内のものは保護の対象にするというような取り扱いをしてきておるところでございます。  ただ、ただいま申し上げましたようにその使用価値に比べまして処分価値が著しく高くないという抽象的な基準でその運用をしてきておりますので、どの辺が判断の基準になるのかがどうも明確ではないという御指摘が各方面からございますし、特に最近の都市部を中心としました地価の高騰等もございまして不動産自体の価値として見ますと大変高額のものが出てきているということでございますので、この取り扱いについてもう少しはっきりすべきではないかという御意見がございました。  私どもいろいろ研究会をつくりまして検討してまいったわけでございますが、昨年の暮れにその研究会の報告をいただきました。その内容といたしましては、考え方といたしまして現に居住している不動産というものはやはり生活の場になっているということからいってそのまま直ちに処分をするというのもなかなか難しいだろう、基本的な考え方は従来やっておりますそういう使用価値と処分価値を比べるという考え方でいいけれども、そこにもう少し具体的なラインを引くべきであるというような御意見でございます。私どもとしましてはそれに従いまして現在どのようなあたりが基準として適当かということの作業を進めている段階でございます。
  214. 抜山映子

    ○抜山映子君 処分価値と利用価値を比較する、こういうように言われたのですけれども、例えば具体的に都心において百坪のところに家があってそこに住んでいる、そして庭の部分がゆったりとあいている、そういうときに、それは確かに長年居住しているから安易にそこを立ち退かせるのは非常に気の毒だという事情はあるにしても、みすみす空き地もあり都心で百坪の家に住むというの は非常にぜいたくだというようなときに、それではその処分価値と利用価値をどう把握するのか、やはり具体的な指針がなければケースワーカとしては本当に困るだろうと思うのですね。ですからそういう具体的な基準を早くつくることが必要ではないかと思いますが、その点の今後の見通しはいかがですか。
  215. 小沢壮六

    説明員(小沢壮六君) 御指摘のとおりこれから具体的な基準が必要になるというふうに私どもも考えて現在その作業をしているわけでございますが、できますならば夏ぐらいを目途にそういう具体的な基準を各福祉事務所に示していきたい、このように考えております。
  216. 抜山映子

    ○抜山映子君 生活保護法の六十二条には、例えば就労指導に対して従わない者には「保護の変更、停止又は廃止をすることができる。」こういうようになっておるのですけれども、この規定はどの程度実際に行われておるでしょうか。
  217. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) お答え申し上げます。  先生質問の就労の能力がありながらその活用を怠る者に対しての取り扱いにつきましては、各福祉事務所において当該被保護者のレセプトの点検を行いますとかまた主治医を訪問いたしましてその病状等をつぶさに聴取するとかということによりまして就労の能力を持っているかどうかという状況を判断いたしまして、その結果就労が可能とされた者につきましては口頭指導を行いまして、ある期間たって口頭指導を数回繰り返してもなお真剣に就労の努力をしなかったりまた就労しなかった者に対しましてはその次は文書でもって指示を行いまして、なおそれでも正当なる理由なくして従わない者につきましては所要の手続を経て保護の停廃止の措置を行うこととしております。
  218. 抜山映子

    ○抜山映子君 実際の具体的事例でどれぐらい保護の変更、停止、廃止をされた事例があるのか、その数字的なものを知りたいのでございますが。
  219. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 大変申しわけないのですが、ここではっきりした数字を申し上げることを私できません。と申しますのは、そういう指導の過程の結果におきまして、就労指導の結果保護を廃止した者は何人いるということは各福祉事務所からの報告にございます。したがいまして監査のときにそれを確認した結果におきましては、一割から五割に近い自立更生も含めた廃止を行っているところでございます。
  220. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは生活保護法の六十三条に「費用返還義務」として「資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。」こういう規定があるわけですけれども、この費用返還を求めた事例はございますか。
  221. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 監査におきまして確認した結果におきましては、六十三条に基づきます費用返還を求めた事例は相当数ございます。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
  222. 抜山映子

    ○抜山映子君 相当数とおっしゃったのですが、案外事例は少ないと思いますよ。相当というのはどれぐらいかおわかりですか。
  223. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 六十年度におきましては実質約二万件ほどの返還を求めております。
  224. 抜山映子

    ○抜山映子君 先ほどの資産を持っている方の場合ですが、例えばローン支払い中の者なんかがあると思うのですね。生活保護を受けながら資産形成を図っているというのは非常に奇異な感じがするのですけれども、これらについての具体的な処理方針は決まっておるのでしょうか。
  225. 小沢壮六

    説明員(小沢壮六君) 先生指摘のとおり、生活保護を受けながら資産形成をするというのは好ましくないことでございます。先ほど申し上げました研究会の不動産の保有に関する報告におきましても特にローン付住宅の取り扱いについて触れておりまして、やはりこれは資産形成することになるので原則そういうものは認めるべきではないのではないかという御意見をいただいておりますので、私どもとしてもそれに沿った形で運用していきたいというふうに考えております。
  226. 抜山映子

    ○抜山映子君 扶養者がある場合に、生活保護にいきなりいくのではなくてまず民法で決められた扶養を履行させるということが当然のことでございますけれども、このあたり、例えば母子家庭なんかですと別にお父さんが行方不明になっていないのにそのあたりをきちっと調べないで給付をしているという事例がかなり多いように聞いております。また偽装的に離婚をして実際にはそのだんな様と奥様とは同棲しているという事例も大変多いように聞いておりますが、そのあたりの厳正なチェックはどのようになっておりますでしょうか。
  227. 小沢壮六

    説明員(小沢壮六君) 御指摘の扶養の関係の中では、私どものチェックポイントといたしまして、やはり御指摘のような母子家庭と前夫の関係と申しましょうか、これは一つ大きなチェックポイントになると思っておりますし、それからまた親子関係といいましょうか、そういったものが扶養のチェックの大きなポイントになると思っております。先ほど監査指導課長からもお話しございましたように、保護の受給なり御相談にいらした場合にまずその前段階といたしましてそういったことをよく聞き取りをいたしまして調査をするということが私ども事務の執行体制になっております。特に母子世帯につきましてはやはり前夫との関係で本当に前天の方から扶養が求められないかどうかという点は厳正にチェックをするということで指導をしているところでございます。
  228. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは生活保護法の七十七条にあります「被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。」という規定が発動された事例はあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  229. 小沢壮六

    説明員(小沢壮六君) 七十七条は二つございまして、ただいま委員御指摘の部分と、それから費用徴収するに際してどのような金額を徴収するか、その徴収する金額は行政機関と扶養義務者とで話し合いをしなさい、話し合いが調わない場合には家庭裁判所にその判断を求めなさいという形になっておるわけでございますが、大変恐縮でございますが、その前段の七十七条一項で具体的にどのくらいの件数の費用徴収を事務的にしているかという統計を全国的にとっておりませんので、その件数は私どもとしては正確に把握しておりません。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕  なお二項の家庭裁判所に対する申し立てでございますが、これも昭和三十年代を中心に審判の申し立て、調停の申し立て両方十五件ぐらいございますけれども、最近はほとんどないというのが実態でございます。
  230. 抜山映子

    ○抜山映子君 例えば資産がある。自宅である。これが利用価値の方が高いのだということでそのまま居住を認めておいて生活保護をしている。ところがこれが亡くなって、そして相続人が都心の資産、不動産であれば大変な億という価値だと思いますがそういうものを相続するということは当然あり得る事例だと思うのです。そういうときは当然にこの費用徴収というのをがっちりしていただかないといけないと思うのですけれども、そういう事例について幾つか把握しておられるのではないですか。
  231. 小沢壮六

    説明員(小沢壮六君) 大変恐縮でございますが、正確にどういった形で相続が行われて、被保護者であった方の幾らぐらいの財産が相続されたというところまで正確に把握したものはちょっと承知しておりません。
  232. 抜山映子

    ○抜山映子君 マスコミなんかで見ても不正受給が多いということはたびたび指摘されております。これは週刊誌の知識なのですけれども、先般六十五歳の生活保護を受けている男性がファミコンを買って、そこに中学生が遊びに来ていて何か爆発して事故が起こったという事例がございまし た。この男の人は働いていなかったということではありますけれども、ファミコンを買った。ファミコンというのはそんなに生活保護を受けている人が買うほど生活必需品ではないように思われるわけでございます。どうもこの生活保護というのはイージーに行われているのではないかという感じがするわけでございますが、一方において、生活保護を受けるのは国の扶助を受けるわけで申しわけないことだからといって歯を食いしばってこれを受けないで頑張っている世帯も現に多数あるわけでございまして、国民の血税をむだ遣いするような不正受給は断固取り締まっていただきたいと強く切望いたします。  今度は自治省の方にちょっと、余り時間もございませんがお伺いしたいと思います。  政府税調の中間答申によりますと、国、地方間の税源配分のあり方は広範な問題と関連しており幅広い観点から検討すべきものである、改革に伴う税収の変動によって国及び地方団体財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮することが適当である、このように述べていらっしゃるわけですけれども、その意味するところは具体的にどういうことなのでしょうか。
  233. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 国、地方間の税源配分のあり方につきましては抜本答申でも指摘をしておりましたけれども、そこにもありますように、地方交付税や国庫支出金制度さらには国、地方間の事務配分のあり方等いろいろ広範な問題と関連をしているところでございまして、これらの点についての検討を踏まえて結論を出すべき性格の問題であると考えられます。  しかし中間答申でも触れておりますように、今回の税制改革というものは租税負担の上昇を目指す、つまり増税を図るということを目指すのではなくて税制のゆがみを是正するというところに主眼がありまして、しかも国、地方とも現在借入金を抱えまして極めて厳しい財政事情にありますので、このような事情にかんがみれば、この税制改革に伴う税収の変動によって国、地方公共団体の財政運営に基本的には影響を及ぼさないようにすることが適当であるというふうに考えられるわけでございます。中間答申はこうした考え方を示しているもの、こういうふうに受け取っております。
  234. 抜山映子

    ○抜山映子君 それは要するに国、地方間の税源配分は行わない、こういうことでしょうか。
  235. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 中間答申では税源配分の移動を行わないということを提案しているわけではございませんが、今回の税制改革によって国税、地方税につきそれぞれ税収の変動が生ずることがありましても、その結果財政運営に基本的な影響を生じさせないように配慮して国、地方間の税源配分の問題を処理することを提案しているもの、こういうふうに理解をいたしております。  前回の抜本改革のときもそうでございましたが、税制調査会の中におきましてもそうした議論は行われました。しかし税源配分をどうするかということは国、地方間の事務配分問題に入るということになるのでそれは税制調査会の議論ということではなかなかその全貌を議論し尽くすことはできない、むしろ税制のゆがみといいますかそういったものを是正するというような観点からするならば、国、地方間の財政運営に基本的に影響を及ぼさせないようにするという考え方で対処する、こういうような考え方もとに中間答申が行われているというふうに考えるわけでございます。そのために具体的にどのような方法をとるかということにつきましては、税制改正案の具体化に即して詰めていくということになるわけでございます。
  236. 抜山映子

    ○抜山映子君 政府税調の中間報告によりますと、地方税の減税分及び国税の減税に伴う地方交付税の減少分は新型間接税で補てんする、こういうことになっているわけですけれども、その場合新消費税はその一部を地方消費税とするのか、それとも新消費税はすべて国税にして一部を地方に譲与する形にするのか、自治省としてはどちらを希望しておられるのでしょうか。
  237. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 中間答申ではその点につきまして、新消費税の一部を地方の間接税とすることについては制度の簡素化の要請、納税者等の事務負担の問題等があり適当ではないとする意見が多かった、したがって新消費税の地方団体への配分は他の方法によって行うことが適当である、こうされております。したがいまして新消費税の一部を地方の間接税とする方法以外の方法によって新消費税の地方団体への配分を行うということにつきまして今後検討を進めてまいる、こういうことになります。新消費税の具体化に即してその方法の具体案を詰めていくということになる、こういうふうに考えているところでございます。
  238. 抜山映子

    ○抜山映子君 また中間報告においては、所得税の場合に課税所得二百万まで最低税率一〇%、課税所得五百万までは一五%、サラリーマンの大半九五%ぐらいが二段階の税率で済むという思い切った簡素化が考えられているわけですけれども地方税の場合は課税所得五百万までは五%、七%、一〇%の三段階の税率になっておるわけです。国の所得税と違って応益性とか負担分担的な性格がより強く望まれている住民税の場合には所得税以上にもっとフラット化することが必要なのではないでしょうか。この点についてはどうお考えですか。
  239. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 個人住民税は委員御指摘のように所得税との比較におきましては地域社会の費用について住民がその能力に応じて広く負担を分かち合う、こういう性格を有するわけでございまして、個人所得課税に求められております所得再分配の役割が相対的には小さい。これはないと言ってはいけませんけれども相対的に小さいということはあるわけでございますので、そういう意味で性格は違うわけで、従来からその税率構造の累進度は所得税と比較いたしまして全体として極めて緩やかになっております。これは刻みが多い少ないという問題ではございませんで、改正前の住民税の税率構造でも四・五%から一八%までの十四段階ということでございましたけれども、それ自体も緩やかであったわけでございます。  昨年九月の税制改正の結果個人住民税の税率構造の累進度は一層緩和されたわけでございますけれども、中堅所得者層を中心とする負担累増感に配慮する等の観点から税制調査会の今回の中間答申では、個人住民税につきまして最高税率を引き下げ全体の累進構造をさらに緩和する必要があるというふうに指摘をしているところでございます。したがいまして税率構造の改正は累進度を緩和する方向でなされるべきものでございますけれども、これまた具体的な案につきましてはさらに今後も税制調査会のいろいろな御議論もあると思いますので、そういった結果を踏まえて適切に対処してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  240. 抜山映子

    ○抜山映子君 大臣にお伺いしたいのですけれども、本来企業が集中しておって人口も過密である指定都市が、大阪市、川崎市を除いてすべて地方交付税の交付団体となっている状況をどのように判断しておられますか。またその原因はどこにあるとお考えですか。
  241. 津田正

    政府委員津田正君) 御指摘の大都市、指定都市でございますが、地方団体の中では確かに相対的に見まして税源というものは豊かでございます。しかし反面におきまして指定都市が責任を持っております仕事というものも非常に多いわけでございまして、一般市町村と異なりまして国道の一部の管理まで指定都市がやっておる、あるいは民生、福祉関係事務などの特別な権限が与えられておるわけでございまして、そういう面から申しますと、収入は多いものの財政需要も非常に大きい。特に大都市特有の高度な行政サービスが求められておるわけでございます。  したがいまして交付税算定におきましては、豊かでございます税源につきまして基準財政収入額で的確に算定しつつも、しかし財政需要面、今申しましたように非常に多くの仕事を抱えまた高度の行政水準が求められておるわけでございますので、その基準財政需要額算定いたしますと非 常に高い需要というものが出てまいるわけでございます。そういう意味で、需要、収入の面を相対的に考えますと結果としまして御指摘のとおりほとんどの指定都市が財源不足団体として交付税の交付を受けることになっており、またそのことによって大都市の財政運営が支障なく行われておるということかと思います。  しかしそもそも基本論に立ち上って、もっと国と地方あるいは都道府県と市町村間の税源配分の面で考えて大都市ぐらい一本立ちの不交付団体になるべきではないかという議論はやはりあるわけでございまして、私どもとしまして税制面におきましてもそのような観点で考えなければならない。しかし大都市特有の財政事情も抱えておるわけでございますので、これに対する基準財政需要額も的確に算定していかなければならない、かように考えております。
  242. 抜山映子

    ○抜山映子君 大都市においては高度の行政サービスをやっている、財政需要が大きい、こういうことを言われました。そういうことで大都市の税源の充実というのは地方財政における重要な課題と思います。  大都市財源の充実策の一つとして、都道府県税である料理飲食等消費税及び不動産取得税の市町村税への移行あるいは一部譲与という方法が考えられないでしょうか。
  243. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 大都市の税源の充実につきましては、大都市の行政需要に対処するために、法人住民税の強化であるとかあるいは事業所税の創設とか、あるいは行政事務の配分に即応しまして軽油引取税とか石油ガス譲与税の一部を大都市に配分する、あるいは自動車取得税とか地方道路譲与税は都道府県と同様の基準で大都市には配分するというようないろいろな対策といいますか措置を講じてきたところでございます。  都道府県、市町村間の税源配分のあり方ということになりますというと、これはやはり県にどういう事務が配分されてどういう税目が配分されているか、また市町村がどういう事務を行ってそれに対してどういう税が配分されているか、こういうことになるわけでございまして、特定の道府県税の移譲といった個々の税目にとらわれた考え方に立つことなく地方財政制度全般を通じた総合的な見地から検討さるべきものではないか。従来そのような観点からただいま申し上げましたようないろいろな大都市税源の充実あるいは財源の充実ということをやってきたところでございます。  料理飲食等消費税及び不動産取得税についての御提案でございますが、これらの税につきましては、大都市の問題だけではありません、市町村全体の姿を考えましても、それでは一体どういうものを市町村事務として県から移譲してそれに見合うものとして不動産取得税や料理飲食等消費税を移譲するのか。その場合、料理飲食等消費税にしましても不動産取得税につきましてもそれぞれ税源の偏在という問題がございますので、そういった問題を一体受けた市町村というものが公平といいますか非常に合理的なものとして受け取るかどうか。それは非常に多いところは喜ぶと思いますけれどもそうでないところはどうするか。いろいろな問題がございましてこれらの税目はやはり県に県の税として付与するということになっているわけでございます。  したがいまして特定の税目について市町村の側からこれが付与されればぐあいがいいのだという話で個別に議論をしていくべきことではなくて、やはり大都市税源全体の充実ということが一般的な市町村税制の拡充の中で特に図られるようなそういう税目を拡充していくということを考えていく、従来とってきたようなそういった方向で考えていくことが適当だと考えまして、そういった個別税目の一部を市町村へ移譲するということは適当なことではないというふうに私どもは考えておるところでございます。
  244. 抜山映子

    ○抜山映子君 終わります。
  245. 秋山肇

    ○秋山肇君 先日もこの委員会で兵庫県尼崎市の退職金減免規定の悪用についての質問を行ったわけですが、その後あちこちから反響があり、私が予想していたより関東の新聞には出てこなかったんですが大阪の新聞では大きく取り上げられているということで、この問題について行政の原点だろうと思いますので再度何点か伺っていきたいと思います。  まず、尼崎市の元局長ら幹部職員が架空転入により退職金に対する住民税の減免規定を悪用していたことが発覚してからある新聞社が当事者であるその幹部に取材しております。それによりますと、尼崎市職員で市外在住者なら退職が近づけばだれでもやっている、申し送りみたいなものだ、脱税とかいう意識でなく節税ですよと、長年勤めていてささやかな見返りを確保しようという気持ちからだというようにまるで税金逃れをした罪の意識すらないわけであります。  役所では納税が一日おくれても延滞金だ追徴金だと厳しいのに今回のようなことが平気でまかり通っているというのでは、納税者の立場からすれば税金を納めている自治体に裏切られたも同然ではないかと思うのですが、監督省庁としてどのようにお考えでございますか。
  246. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 事実関係につきましては現在尼崎市自体が調査中でございます。途中経過につきましては随時兵庫県を通じまして状況報告を受けているところでございますけれども、仮にこの税の減免を受けるために事実に反しまして住民票を操作したケースがあるといたしますと、これは極めて遺憾でございます。いずれにいたしましても、兵庫県を通じまして制度の詳細及びその運用実態並びに事実関係を把握いたしまして今後納税者の不信を招く事態が生ずることのないように関係地方団体を指導してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  247. 秋山肇

    ○秋山肇君 ぜひ調査はきちっとしていただいて、その結果というのもわかったらば後で教えていただきたいと思います。  もう一点問題ではないかと思うことがあるんですが、この減免規定の市民へのPRについてであります。尼崎市としてはこの規定について毎年の確定申告時に出す広報紙、税の特集号、あるいは市発行の市民便利帳に明記しておりPRは十分と弁明しておりますが、特集号では退職金関係は全く触れておりませんし、市民便利帳にしてもわずか二行のPRです。たった二行では一般の人には読んでも何のことかわからないのではないかと思います。それに比べ市職員の退職予定者には毎年二月から三月に説明会を開いて特典の周知を図っていたということであります。極端に考えれば、この制度は住民のための制度でなく市の職員のための制度ではなかったかと言うこともできます。  私が常々思っておりましたことは、今回の税制上の特典や医療、福祉分野での特典、例えば難病患者に市から年一万円見舞い金が支給される制度等は意外にそれを利用する人たちへの周知徹底が図られていないのではないかということです。実際そういう制度があるとは知らなかった、どこに行けば詳しく教えてもらえるのかというような声をよく聞きます。役所では広報に載せているはず、きちんと見ていない方が悪いといった言い方をすることがほとんどです。  覚えておられるかと思いますが、昨年の九月のこの委員会で群馬県伊勢崎市が固定資産税の課税ミスで税金の取り過ぎがあった件を取り上げました。この課税ミスが起きた原因は、住宅用地のうち二百平方メートルまでは固定資産税が標準額の四分の一に減額されるという小規模住宅地の制度が徹底していなかったためであります。そのときも、他の自治体では納税者一人一人に減税通知書を送ったり対象となる住宅地の実地調査などをしたが、伊勢崎市では市の広報紙で知らせただけであったわけです。  今回の件にしてもそうですが、やはり制度上の特例や特典等それを利用する住民にわかりやすいよう周知徹底するべきで、広報に載せているからそれを見ろ、あるいはわからなければ役所まで来いというような態度ではいけないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  248. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 尼崎市におきましては、 退職所得に係る住民税の減免制度につきましては市内の全世帯に配布される広報紙、市民便利帳等によって納税者に対する周知を図ってきた、こういう報告を受けております。  こういった問題につきまして考えますと、この場合の制度そのものがどうだという御批判がただいま委員からございましたが、この問題に関する限りでは基本となる制度そのものの問題ということをちょっと別にいたしまして一般論でお答えいたしますが、一般論といたしましては、市町村においてはPRはやはり広報紙とかパンフレット、それから税金であれば税を知る週間というような場合のいろいろな行事、こういったものを通じて税の制度を納税者にお知らせするように努めているわけでございます。なかなか十分な徹底が図られないという嫌いのある場合もありますが、精いっぱいいろんなことをやる。しかし税金のことはなかなか読んでもらえないというようなこともこれまた事実としてあるようでございまして、いろいろ工夫が必要だと思います。  いずれにいたしましても税制度上の特例等はこれを利用する住民にはわかりやすく知らせるべきであると考えますので、その点も含めまして税務広報の充実につきましてはいろいろ地方団体職員も集まるというような場合について私どもも指導をしてまいりたい、こう考えているところでございます。
  249. 秋山肇

    ○秋山肇君 今広報に載せているという調査報告だというんですけれども、私の方で調べたのではそれには触れられていないということです。基本としては、行政というのはもっとPRの仕方ということも、今お答えの中にもありましたけれどもしっかり考えていただくということが重要だろうというふうに思うんです。  また先日質問したときに尼崎市が交付団体であるというお答えでした。地方交付税地方公共団体間の税源の不均衡による財政力の格差を国が調整するために設けられたものであることは言うまでもないことですが、幾ら地方交付税自治体に自由に使えるのを原則としているとはいえ、このような使われ方をされていては何のための地方交付税かわからなくなってしまうと思います。逆に不交付団体であればこの手のことが行われていいというわけでもないと思いますが、交付団体でありながら市の元職員による税逃れが行われていたということは最もたちが悪いと思います。  そこで、交付団体で今回のような前例が今までにあったのかどうか、また不交付団体ではどうか、さらにこのような団体の税逃れといいますか自治省の行政通達に違反しているような問題がどのようなことになっているか、またこのチェックはどういうようにして行っているのかをあわせてお伺いしたいと思います。
  250. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) まず税の減免制度でございますが、地方税は御承知のとおりでございますけれどもいわゆる枠法と言っておりまして、これは地方公共団体こそが課税団体である、私どもはこれに対して助言とかあるいは勧告をするというような立場でございます。そこで、ではそういう枠法の中で典型的に何が自主性かといいますというと、地方団体は税率について、標準税率制度というものを地方税はとっていますから税率を変えることができる。それからここにあります減免、不均一課税というような制度。それから納期、これも税法には決めてありますが、納期については地方団体の条例で決められる。あるいは法定外普通税を創設することができる。  非常に典型的なものを挙げればそういったようなところにあるわけでございまして、これはまさに課税団体である地方公共団体独自のといいますか、いわば自主性に基づく制度でございます。したがいましてこの問題について自治省がすべてこれを調べてどうするという立場にもありませんし、そういうことはしておりません。それがまず大前提でございます。  それから尼崎が交付団体であるとかあるいは不交付団体ではどうかというような問題がございますが、尼崎市のような事例がほかにあるということは私ども承知しておりませんけれども、これはどういう場合であろうと、適正な課税が行われていない場合は交付団体であろうと不交付団体であろうといかんにかかわらず速やかに是正すべきものであるというふうに考えます。いずれにいたしましてもこのような事例が生じたことは大変遺憾でございまして今後一層指導の徹底を図るように努力をしてまいりたい、こう考えております。
  251. 津田正

    政府委員津田正君) 交付税関係で申しますと、いわゆる基準財政収入額にどのような格好でその分が紛れ込んでおったかどうか、こういうような点が問題なわけでございますが、交付税基準財政収入額の所得割の算定につきましては納税義務者数及び課税標準額でとらえております。ですから実際の税額ではなくて、要するに課税すべき対象の額そのもので基準財政収入額を算定している。勝手にまけたからその分だけ基準財政収入が落ち込んでその分地方交付税を余計に取ったというようなことが回避されるような、そういうことにならないような仕組みになっております。  そういうことで交付税の方は今後なお検査等に十分注意してまいりたいと思いますが、基本的にはそういうことだろうと思います。しかし今後税務局の実態調査等によりまして財政運営のやり方としてそのようなことがあればやはりけしからぬわけでございまして、私ども財政運営上の指導あるいは財源措置に対するいろいろな点におきましてもその点は考慮してまいらなければならない、かように考えております。
  252. 秋山肇

    ○秋山肇君 自治権の確立からすれば、それは自治省から、上からいろいろなチェックがされるということがあっては本来ならないわけでしょう。それを今我々はいろいろ大臣とも論議をしているわけですが、それなのにこういうことをやるとなると、我々としてもそれじゃ自治省はどうするんだということを言わざるを得なくなるわけですね。  それでさっきの市からの報告をということは私もこの次に聞こうと思っていますけれども、さっきの渡辺さんの答えだとその報告中身が私の方で調べているのと余り整合していないから私の方で調べたデータで最後に質問しますけれども、調べますと過去七年間の退職職員のうち計四十三人の架空転入が確認され、うち六十一年度までの退職者全員に当たる二十六人が平均約五十万二千円、計約千三百万円の減免を受けていたということであります。またこの中には尼崎市の外郭団体に天下りした職員が六十一、六十二年度だけでも十八人もいたことが判明していると聞いております。  税の減免というのは本来個々の負担能力によって行うべきものであると思うのですが、当然今回の場合地方税法、あるいは住民基本台帳法から見ても問題があると考えられます。この調査結果を踏まえて自治省では今後どのように指導し対策を講ずるおつもりか、お伺いしたいと思います。また納税者に行政当局への不信感を募らせる今回のようなことが再び起こってはならないと思うんですが、大臣、この間から私の質問のやりとりをお聞きになって、先ほどそこに新聞もお渡ししてありますが、最後に御所見をお伺いいたしたいと思います。
  253. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 地方公共団体における減免制度は公益上その他特別の事情があると認められる場合に各地方公共団体の判断で条例に従って減免措置を講ずることができるというふうにされているわけでございます。この今回の報道あるいは委員の御指摘の事実関係については現在兵庫県を通じて随時報告を受けているところでございますけれども、仮に税の減免を受けるための事実に違反した住民票を操作したケースがあるとすれば極めて遺憾千万なことであるというふうに考えます。事実関係等を速やかに把握し、今後納税者の不信を招く事態を生ずることのないように関係地方団体を通じてこれこそまさに指導をしていかなければならないというふうに感ずるわけでございます。
  254. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 他に御発言もなければ、 質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  256. 糸久八重子

    糸久八重子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして反対の討論を行います。  以下、主要な反対理由を述べます。  第一には国民健康保険制度の改悪が挙げられます。  国民健康保険制度は国庫負担と保険料をもってその費用を賄うことが制度の根幹でありますが、政府は近年、国庫負担率の引き下げ、さらに退職者医療制度創設における加入者見積もりの誤りなど地方自治体に多大な財政負担をもたらし、なおかつ今国会において提出、審議されている国民健康保険法改正案においては都道府県負担制度の創設及び市町村負担の強化を図ろうとしております。  この改悪により六十三年度において新たに都道府県四百四十億円、市町村二百五十億円、計六百九十億円もの負担転嫁を行い、このうち交付団体分五百五十億円を交付税に特例加算するとしておりますが、これは医療制度の充実という課題を放置したまま単に地方への財政転嫁を図るものであり、交付税制度をねじ曲げるもの以外の何物でもありません。  また医療費適正化プランを作成し高額医療費団体についてはその団体負担とする計画を策定しようとしておりますが、かかる方針を実施するのなら多くの団体において多大な負担増となることは明らかであります。我が党は、国の責任の明確化と国庫負担の充実、そして退職者医療制度にかかわる今後ともの国の財政補てんを強く要求いたします。  第二に国庫負担率のカットの問題であります。  六十三年度政府予算案においては、特例国債発行を昨年策定の財政の中期展望を上回って一兆八千三百億円減額し、その一方において国庫補助負担率の特例については六十三年度においても一兆六千五百六十九億円にも至っております。もともと国庫補助負担率の特例は国の財政再建、縮小均衡財政を根拠として実施されてきたものであり、今日においては中止すべきであります。  福祉も教育もこのカットの悪影響を受け、住民負担の増大とサービスの切り下げ、教育環境の後退等が顕著に進行していることは地域の経済社会にとって最大の脅威となっております。六十四年度においては約束どおりこの特例は廃止し、国庫補助負担率を復元させることをことしの夏の概算要求時において明確にし、地方債の増発にかかわる償還財源については国が責任を持って補てんするよう強く求めます。  第三に、地方財政計画交付税制度も大きく変質していることを挙げなければなりません。  地方財政計画は、地方財政の財源保障のための計画から地方への財政負担転嫁の穴埋めのためのつじつま合わせの計画に堕落し、財政の単年度主義は根底から崩壊し、地方財政は継ぎはぎだらけとなっております。地方財政において二年以上にわたり財源不足が一割程度以上生じた場合においては税目の拡充や税率の引き上げを行うという趣旨で定められている地方交付税法第六条三の二項の規定も、負担転嫁と地方債の増発によって死文化していると言っても過言ではありません。  五十年代以降財源不足の大半は地方債の増発で賄われ、今日その傾向はますます強くなりつつあります。この結果地方団体の公債費負担比率は上昇の一途をたどり、負担率二〇%を超える団体が一千団体にもなっています。またこうした結果六十三年度末における地方の借金は約六十七兆円にも膨らみ、六十三年度交付税交付総額も、その実額は既往の借金の利子充当などにより法定税率に基づく金額を割っております。  地方財政は六十三年度収支均衡とされておりますが、実際は、不況対策、一雇用対策もままならず、行政ニーズの拡大にも的確に対応できなくなっております。まさに地方財政の収支均衡はつくられたものにほかなりません。  以上、六十三年度における地方交付税法一部改正案の問題点の骨格のみを指摘いたしまして、反対の討論を終わります。
  257. 出口廣光

    ○出口廣光君 私は、自由民主党を代表いたしまして、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する賛成の討論を行うものであります。  本法律案は、地方公共団体の財源の充実確保を図るため、昭和六十三年度分の地方交付税総額について、現行法定額に二千二百七十五億円の特例措置額を加算し、六十年度特例措置額に係る額の一部返還額二百三十億円、交付税特別会計借入金等利子負担額二千七百八十億円を控除した額とするとともに、後年度分の総額についても所要の加算措置を講ずること、国庫補助負担率の引き下げ等に伴う所要経費、国民健康保険制度の見直しに伴って必要となる経費等の財源を措置すること等を主な内容とするものであります。  これらの措置の結果昭和六十三年度地方交付税の総額は十兆六千二百八十六億円となり、前年度当初対比で七・五%の増加となりますが、厳しさの続く地方財政にとってその円滑な運営を図るため極めて大きな役割を果たすものと見込まれます。また基準財政需要額算定方法の改正に当たっては、住民生活に直結した社会資本の整備や住民生活の安定確保等を図るため必要な経費に対する財源措置が重点的になされ、適切なものと考えられます。  国民健康保険制度の改革に伴う地方負担導入の問題は本年度地方財政対策の最大の焦点となったものでありましたが、国民健康保険は職域保険と異なり高齢者の加入割合が高く、しかも被保険者の所得水準が総じて低いという構造的な経営悪化の要因を抱えていることに加え、近年の医療費の急激な増加等によりその財政運営が危機的状況に立ち至っております。国保運営安定化の責任は基本的には国にありますが、国保財政の安定を図り加入しておられるこれらの方の医療を保障することは社会にとって極めて重要なことであり、都道府県、市町村としてもその条件整備に協力しようとするものであります。しかも今回の国保改革は二年間の暫定措置であり、見直しに伴う地方負担増六百九十億円については、地方交付税の特例措置として五百五十億円を加算する措置がとられたほか建設地方債の増発百四十億円により完全に補てんすることとされ地方財政運営に支障がないよう措置されており、当面の措置として妥当であると考えるものであります。  しかし、今回の改正では医療保険制度の一元化などの抜本的対策や国、都道府県、市町村役割分担等重要な問題が残されております。これらの問題については今後二年間の暫定期間終了までに十分な検討がなされるよう政府に強く要望して、私の賛成討論といたします。
  258. 片上公人

    ○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして反対討論を行います。  以下、反対の主な理由を申し上げます。  第一に、本年度地方財政対策の最大の問題点は国民健康保険に対する都道府県の負担導入など地方負担の強化であります。国保制度は国民皆保険の一環として国の制度として設けられたものであり、地方負担の強化は国の責任を地方に転嫁する措置にほかなりません。仮に見直すにしても、国保問題懇談会報告書に示されているとおり、国保改革については、国において医療費の適正化を強く推進するとともに、医療保険制度の一元化、保険料の標準化等のあり方について結論を得た上で改革に踏み切るべきであります。国保問題の根幹を回避し六十三年度予算につじつまを合わせた場当たり的な改革では、国に対する地方の不信感を増幅させるのみで国保運営についての市町村の熱意をそぐものであります。  また、国保は負担と給付の両面で他の職域保険制度との格差がありますが、七割という給付水準に改善が見られないばかりか、高過ぎる保険料の引き下げさえ許されないことになっており、被保険者である住民に還元されるものは何もありません。  第二に、本年度は、国保見直しに伴う負担増六百九十億円に国庫補助負担率の引き下げに伴う影響額を加えれば、一兆七千二百五十九億円と巨額の財源不足となるのであります。既にこうした国庫財政地方転嫁等によって地方財政は、六十一年度一兆七千億円、六十二年度二兆七百八十五億円の財源不足が続いており、地方交付税法第六条の三第二項の要件である普通交付税総額の一割以上の著しい財源不足が二年間続き、三年目も引き続き予想される状況に該当いたします。したがって交付税率の変更なり基本的な行財政制度の改革を行うべきところでありますが、こうした措置が見当たりません。  産業構造の変化、国際化、高齢化社会の進展など地方自治行政に対する期待は極めて多様化しておりまして、住民の要求に十分対応できる確固たる財政制度が必要であります。  最後に国庫補助負担率の問題について一言申し添えておきたいと思います。  同引き下げ措置は三年間の暫定措置とされ、本年度で終了することになっておりますが、最近この暫定措置を延長しようとする動きが活発になりつつあるように思われます。零細補助金等の制度の見直しは当然としても、率の問題については当初の約束どおり六十四年度からはもとに戻すべきものであることを強く政府に申し上げ、私の討論を終わります。
  259. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本改正案は、今回も引き続き国庫補助負担率の引き下げを前提とし、それに伴う地方財政の財源不足を自治体の借金と住民負担で補てんしようとしているからであります。  昭和六十年度から始まった国庫補助負担金の一律カットによる地方負担増は、この四年間の累計で四兆九千三十九億円もの巨額になっているのであります。しかも問題なのは、この地方負担増の穴埋めについては八二・一%が地方債の増発、一四・六%が国及び地方のたばこ消費税率の引き上げによって行われていることであります。つまり五兆円に近い地方負担増のほとんど、九六・七%が自治体の借金と住民への負担に転嫁されているのであります。最近政府部内で六十三年度までの暫定措置とされている国庫補助負担金の一律カットを六十四年度以降も継続させようとする動きが明らかとなっておりますが、地方公共団体への負担転嫁を禁止した地方財政法第二条第二項に明白に違反するこのような措置を再び繰り返すことのないよう強く求めるものであります。  反対理由の第二は、地方負担導入等を内容とする国民健康保険制度の改悪を前提としていることであります。  昭和五十九年度の国庫負担率の引き下げは国保財政を一層悪化させ、保険料の大幅な引き上げと地方自治体の一般会計からの繰り入れの増大等をもたらしております。ところが今回の国保制度の改悪は引き続き国庫負担の削減を第一義的課題とし、社会保障制度の一環としての国保制度に対する国の責任を大幅に後退させ、かわって地方自治体と住民にその責任と負担を転嫁するものにほかなりません。本来、国保制度は国の事業であり、そのため地方財政法上も地方負担を認めてこなかったものでありますが、本改正案はあえて地方財政法上の特例を設けて地方負担導入を認めるるものとなっており、断じて容認することができません。  反対理由の第三は、引き続き巨額の財源不足が生じているにもかかわらず地方交付税法に基づく抜本的な改善措置を何も講じていないことであります。  五十年代以降の地方財政実態は、地方交付税法第六条の三第二項を発動すべき状態であることはしばしば指摘したところであります。交付税率の引き上げまたは制度改正という法律に基づく最小限の措置さえ講じようとせず、地方交付税法に反する状態をいつまでも続けることは法治国家のとるべき態度ではありません。  今政府が直ちに行うべきことは、国庫補助負担率を無条件でもとに戻すとともに、地方交付税法に基づく地方財政制度の改正または地方交付税率の引き上げ等の抜本的な改善措置であることを指摘して、私の反対討論を終わります。
  260. 抜山映子

    ○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行うものであります。  地方自治法施行後四十年を経た今日、地方財政をめぐる環境は一段と厳しさを増しております。行政、経済、情報等の中核的機能の東京圏への一極集中が進み、地域間の経済格差、所得格差を著しく増大させております。また、鉄鋼や造船業など構造不況業種を抱える地域や輸出産地においては、公共投資の拡大で一息ついているとはいえ、将来への自力発展への展望を持てないという厳しい状況に置かれております。さらに、今後の本格的な高齢化社会の到来を控え、高齢者個々の実態に応じたきめ細かな行政サービスの展開が要請され、そのための財政需要が著しく増大することが予想されるにもかかわらず、地方財政は、公債費負担比率が二〇%以上に及ぶ団体が全地方団体の三一・四%を占めるなど、国以上に厳しい財政状態に悩まされているのであります。  地方財政に課せられた最大の使命は、今日の地方団体を取り巻くこれら諸問題を克服し、地方団体が今後の高度福祉国家建設の主要な担い手としてその責任と役割を十分果たすことができるよう、国政に重点が置かれている今日の地方財政制度を根本的に見直し地方自治の健全な発展と国土の均衡ある発展を図ることにあります。このことこそふるさと創生を政治理念とされる竹下内閣の使命でありましょう。  地方交付税制度についてもかかる視点から見直すべきであります。国に偏った税源、財源の地方への移譲、権限の地方分権の促進、国庫補助負担金の整理合理化に伴う地方一般財源の強化など、地方交付税制度についても時代の要請に沿った総合的視点からの見直しが必要であります。しかるに今回提出されている地方交付税法の改正案は、交付税総額の確保は図っているものの、その内容においては従来の発想を踏襲しているにとどまっております。この点が私が本法案に反対する主たる理由であり、政府に対し地方交付税制度の時代の要請に応じた見直しの早急な検討を求めるものであります。  さらに本法案には、国の補助率カットに伴う地方財政対策が大衆増税である国のたばこ消費税の増税措置の延長という形で補てんされていること、補助金力ットに伴う地方交付税の補てん措置が極めて不十分なこと、地方交付税補助金化的傾向がますます進んでいることなど、地方財政の将来を左右するゆゆしき問題が含まれております。これらも私が本法案に反対する理由であります。  以上、本法案に対する反対の理由を申し述べ、私の反対討論を終わります。
  261. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  263. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、佐藤三吾君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤三吾君。
  264. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブ・税金党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、現下の地方財政が巨額の借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、その充実強化を図るため特に左記事項について善処すべきである。  一、地方交付税総額の長期的安定確保のため、地方交付税法第六条の三第二項の主旨にかんがみ、地方交付税の対象税目の拡大等を含め、一般財源の安定充実を図ること。また、財政基盤の脆弱な地方団体の公債費負担比率の上昇に対処できるよう財源措置を充実すること。  二、国庫補助負担率の引下げ措置については、国会における審議経緯、国庫補助負担制度の意義等を踏まえて検討を進め、昭和六十四年度から国庫補助負担率の復元に努めること。また、同引下げ措置に伴う地方財政対策により後年度地方交付税に暫定加算される額についてはその履行に努めること。  三、国民健康保険事業の長期的安定・充実並びに地方財政の健全な運営のため、国の責任の明確化及び国庫補助負担額の充実に努め、保険制度の抜本的改革を行うこと。  四、構造不況地域等の財政基盤の脆弱な地方団体に対しては、その財源措置の充実等を図るとともに、産業の振興と雇用創出について特段の援助に努めること。  五、地方公営企業の健全化と経営基盤の確立を図るため、国庫補助制度の充実強化を図るとともに経費負担区分を検討し、一般会計からの的確な繰入れに努めること。  六、地方公務員の週休二日制促進のため、土曜閉庁方式導入の準備を進めること。また、事務事業の民間委託、第三セクター化等については、行政の責任を明確にするとともに住民サービス及び安全性の確保のため慎重な配慮をすること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
  265. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいま佐藤三吾君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  266. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 全会一致と認めます。よって、佐藤三吾君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、梶山自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山自治大臣
  267. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  268. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十四分散会