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1988-05-12 第112回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十二日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      岩上 二郎君     田辺 哲夫君  五月六日     辞任         補欠選任      林 健太郎君     沢田 一精君      抜山 映子君     柳澤 錬造君  五月九日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     抜山 映子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 出口 廣光君                 松浦  功君                 佐藤 三吾君                 抜山 映子君     委 員                 海江田鶴造君                 金丸 三郎君                 久世 公堯君                 佐藤謙一郎君                 坂野 重信君                 沢田 一精君                 田辺 哲夫君                 増岡 康治君                 吉川  博君                 糸久八重子君                 山口 哲夫君                 片上 公人君                 神谷信之助君                 秋山  肇君    国務大臣        自 治 大 臣  梶山 静六君    政府委員        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治大臣官房審        議官       湯浅 利夫君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省行政局公        務員部長     芦尾 長司君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  渡辺  功君        消防庁次長    片山虎之助君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君    説明員        国土庁大都市圏        整備局計画課長  中野 和義君        大蔵省主計局主        計官       水谷 英明君        文部省教育助成        局財務課長    奥田與志清君        厚生省社会局保        護課長      小沢 壮六君        厚生省社会局更        生課長     戸口田三千尋君        厚生省社会局監        査指導課長    福山 嘉照君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (昭和六十三年度地方財政計画に関する件) ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事抜山映子君を指名いたします。     ─────────────
  4. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 地方行政改革に関する調査議題といたします。  昭和六十三年度地方財政計画について、政府から説明聴取いたします。梶山自治大臣
  5. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 昭和六十三年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  昭和六十三年度地方財政につきましては、巨額の借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては地方債抑制に努めるとともに地方一般財源所要額確保を図り、歳出面においては経費全般について節減合理化を図るとともに個性豊かで魅力ある地域づくり推進するため必要な地方単独事業費確保に配意する等、限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹することを基本といたしております。  以下、昭和六十三年度地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、土地評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税負担調整措置を講ずるとともに、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税等税率等特例適用期限延長等を行うこととしております。  第二に、国庫補助負担率引き下げ等を行わない前提では収支が均衡する見通しとなり、地方財政の中期的な健全化を図る観点から、昭和六十三年度一般会計臨時特例交付金として交付税特別会計に繰り入れることを予定していた額について昭和六十六年度以降の地方交付税総額加算する等の措置を講ずることといたしております。  また、国民健康保険制度見直し並びに昭和六十一年度及び昭和六十二年度国庫補助負担率引き下げに伴う昭和六十三年度地方財政への影響額を合わせた一兆七千二百五十九億円の財源不足につきましては、地方たばこ消費税税率引き上げ措置継続地方交付税の増額及び建設地方債増発により補てんすることとし、地方財政運営支障が生ずることのないよう措置しております。  第三に、厳しい財政環境もとにおいても地方団体創意工夫による個性豊かで魅力あるふるさとづくり住民生活に身近な生活関連施設整備等の積極的な推進を図るため地方単独事業費確保に配意するとともに、福祉施策教育文化振興対策等推進過疎地域振興等に対する所要財政措置を講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため定員管理合理化及び一般行政経費等抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担単価適正化等改善合理化を進めることといたしております。  以上の方針もと昭和六十三年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は五十七兆八千百九十八億円となり、前年度に比し三兆四千四百二億円、六・三%の増加となっております。  以上が昭和六十三年度地方財政計画概要であります。
  6. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 次に、補足説明聴取いたします。津田財政局長
  7. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和六十三年度地方財政計画につきましてはただいま大臣から御説明いたしたところでございますが、なお若干の点につきまして補足して御説明申し上げます。  地方財政計画規模は五十七兆八千百九十八億円で、前年度に比較いたしまして三兆四千四百二億円、六・三%の増加となっております。  まず歳入について御説明申し上げます。  地方税収入見込み額は、道府県税十一兆六千七百三十八億円、市町村税十四兆八千二百六十七億円、合わせて二十六兆五千五億円であります。前年度に対しまして道府県税は一兆四千二百七億円、一三・九%増加し、市町村税は八千五百六十九億円、六・一%増加しております。  なお、昭和六十二年度税制改正によります昭和六十三年度からの個人住民税の減税及び道府県民税利子割の創設に加えて、土地評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税負担調整措置を講じるとともに、道府県たばこ消費税市町村たばこ消費税自動車取得税及び軽油引取税税率特例適用期限延長等を行うこととしており、昭和六十三年度税制改正としては一千九十五億円の減収を見込んでおります。  また地方譲与税収入見込み額は四千九百七十七億円となっております。  次に地方交付税につきましては、昭和六十三年度の国税三税の三二%分十兆七千十一億円に特例措置分二千二百七十五億円を加算した額から昭和六十年度分の地方交付税総額特例措置額のうち返済を要する額の一部返済額二百三十億円及び交付税特別会計借入金等利子について同特別会計で負担する額二千七百八十億円を控除し、返還金十億円を加算した額十兆六千二百八十六億円を計上いたしました結果、前年度に対し七千三百九十二億円、七・五%の増加となっております。  国庫支出金総額九兆八千百七十一億円で、前年度に対し一千二十億円、一・〇%の減少となっております。  次に地方債につきましては、普通会計分地方債発行予定額は六兆四百八十一億円で、前年度に対し六千五百八十一億円、一二・二%の増加となっておりますが、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入の活用による無利子貸付金である特定資金公共事業債を除くと二千五十四億円、三・八%の減となっております。これは昭和六十三年度地方財政通常収支が均衡する見通しとなっていることに伴い地方財源不足に対処するための建設地方債発行を極力抑制することとしたこと等によるものであります。  なお地方債計画全体の規模は九兆一千八百五十一億円で、前年度に対し一兆七百一億円、一三・二%の増加となっております。  また使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、最近における実績等を勘案した額を計上いたしております。  以上の結果、歳入構成におきましては、国庫支出金及び特定資金を除く地方債ウエートが低下し、他方地方税地方譲与税及び地方交付税を合わせた一般財源ウエートは前年度の六四%から一・一ポイント増の六五・一%となっております。  次に歳出について御説明いたします。  まず給与関係経費でございますが、総額は十六兆七千二百十二億円で、前年度に対し三千六百七十四億円、二・二%の増加となっております。職員数につきましては、義務教育関係職員について第五次学級編制及び教職員定数改善計画の実施に伴う増員を見込むとともに、テロ等対策に配意して警察官を増員することといたしております。また一般職員については国家公務員定員削減方針に準じ定員合理化を行い、職員数純減を図ることといたしております。  次に一般行政費につきましては総額十一兆五千六百十四億円、前年度に対し三千三百五十一億円、三%の増となっておりますが、このうち国庫補助負担金等を伴うものは五兆三千七百二十四億円で、前年度に対し千六百九十五億円、三・三%の増となっております。国庫補助負担金を伴わないものは六兆一千八百九十億円で、前年度に対し千六百五十六億円、二・七%の増加となっております。この中では、社会福祉関係費を充実するほか、高等学校以下の私立学校に対する助成経費として二千七百二十億円、災害等年度途中における追加財政需要に対する財源として五千億円等を計上いたしております。なお、内部管理的な一般行政経費は極力抑制することといたしております。  公債費総額六兆一千八百五十三億円で、前年度に対し六百二億円、一%の増加となっております。  次に維持補修費につきましては、前年度に対し百八十六億円、二・七%増の七千百六十三億円を計上いたしております。  投資的経費総額十九兆五千二百六十八億円で、前年度に対し一兆九千三百二十九億円、一一%の増加となっております。このうち直轄補助事業につきましては九兆二千八億円で、前年度に対し七千七百三十四億円、九・二%の増となっております。地方単独事業につきましては、地方団体創意工夫による個性豊かで魅力あるふるさとづくり住民生活に身近な生活関連施設等の積極的な推進を図ることができるよう所要事業量確保することとし、前年度に対し一兆一千五百九十五億円、一二・六%増の十兆三千二百六十億円を計上いたしております。  また公営企業繰出金につきましては、上下水道、交通、病院等国民生活に不可欠なサービスを供給している事業について総額一兆五千四百八十八億円を計上いたしております。  このほか、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については税収入状況等を勘案して所要額を計上いたしております。  以上の結果、歳出構成におきましては、給与関係費が二八・九%で前年度に対し一・二ポイント、一般行政費が二〇%で前年度に対し〇・六ポイント、公債費が一〇・七%で前年度に対し〇・六ポイントそれぞれ低下し、他方投資的経費は三三・八%で前年度に対し一・四ポイント上昇いたしております。  以上をもちまして地方財政計画補足説明を終わらせていただきます。
  8. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で説明聴取を終わります。     ─────────────
  9. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案議題とし、政府から趣旨説明聴取いたします。梶山自治大臣
  10. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政の現状にかんがみ地方公共団体財源充実確保を図るため、昭和六十三年度分の地方交付税総額について所要加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費財源措置するため地方交付税単位費用改正する等の必要があります。以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  まず昭和六十三年度分の地方交付税総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に同法附則第三条の特例措置額二千二百七十五億円を加算した額から、昭和六十年度分の地方交付税総額特例により確保された額のうち返済すべき額の一部返済額二百三十億円及び交付税特別会計における借入金等利子の支払いに充てるため必要な額二千七百八十億円を控除した額とすることとしております。  また昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税総額につきましては、昭和六十六年度及び昭和六十七年度にあってはそれぞれ千 七百五十億円を、昭和六十八年度にあっては千七百六十九億円を加算した額とすることとしております。  次に昭和六十三年度分の普通交付税算定につきましては、地域産業の育成、地域経済活性化促進等地域振興に要する経費、道路、街路、公園、清掃施設下水道等住民生活に直結する公共施設整備及び維持管理に要する経費教職員定数改善教育施設整備私学助成、生涯学習の推進等教育施策に要する経費老人保健施策推進長寿社会対策充実等高齢化への対応生活保護基準引き上げ等福祉施策に要する経費消防救急対策土地対策等に要する経費地域社会における国際化への対応に要する経費経常経費に係る国庫補助負担率引き下げに伴う所要経費財源措置し、あわせて投資的経費について地方債への振替措置を縮減することに伴う所要経費財源措置することとしております。  このほか、国民健康保険制度見直しその他制度改正等に伴って必要となる経費財源措置することとしており、これに伴い地方財政法の一部を改正し、昭和六十三年度及び昭和六十四年度において国民健康保険の療養の給付等に要する経費について地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入し得るよう措置することとしております。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  11. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 糸久八重子

    糸久八重子君 補助金一括法にかかわる問題でまず大臣にお伺いをいたします。  私は三月の本会議で、補助金一括法は六十三年度限りの時限立法であり六十四年度以降はこれを撤廃して国の補助負担率は本則に戻すべきであるという立場から自治大蔵文部大臣に御見解をお伺いいたしましたが、その結果、自治省側大蔵省側のこの問題に対する姿勢の違いが出てきておるわけでございます。  六十年度限りという約束を破って六十一年度から三カ年に拡大延長し、そしてまた六十二年度においても拡大を行った結果、地方財政は、公共事業生活保護費福祉教育を中心に四兆九千三十九億円もの負担増を押しつけられました。そしてその財源措置として地方交付税特例加算など一部国が補てんしてきたとはいうものの、大半は地方債増発でしのいできている状況ですから、何としてもこの三年間の時限立法である補助金一括法の六十四年度撤廃を求めたいわけでございます。これは全国自治体の強い要求でもございますので、改めて自治大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  13. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) お答えを申し上げます。  国庫補助負担率引き下げは、国の極めて厳しい財政事情を背景として六十三年度までの暫定措置として行われているものでございます。昭和六十四年度以降の補助負担率取り扱いについては、原則としてもと補助負担率に戻すべきものであると考えておりますが、具体的には六十四年度予算編成時までに関係省庁協議の上定められることとなっております。  自治省としては、各事業性格国庫補助負担制度意義等を踏まえつつ、国としての責任が全うされるよう、また地方財政の健全かつ安定的な財政運営確保が図られるよう検討を進めてまいる決意でございます。
  14. 糸久八重子

    糸久八重子君 大臣からはいろいろな機会に旧補助率に戻すべきとの答弁をいただいておるわけでございますが、一方大蔵大臣からは継続の意向のように受けとめられる答弁も聞かれるわけでございます。自治省としては今後具体的にどう対応していくのでしょうか。ただ単にもとに戻すべきと言っているだけでは策がないと思うわけでございます。どうすれば国としての責任が全うされ、地方財政の健全かつ安定的な運営確保が図られるのでしょうか。
  15. 津田正

    政府委員津田正君) 六十四年度以降の国庫補助負担率取り扱いにつきましては、六十四年度予算編成時までに関係省庁協議の上定められるわけでございます。私どもスタンスといたしましては、先ほど大臣から申し上げましたように、各事業性格国庫補助負担制度意義、そして国としての責任が全うされるよう、そして地方財政運営支障がないよう、こういうような観点で各省庁との協議にも臨みたい、かように考えておるわけでございます。  ただ、具体的な検討あるいは協議の進め方というものにつきましてはさまざまな方式ということが予想されるわけでございますが、具体的には今後関係省庁から相談があるものと考えておるわけでございます。いずれにしましても先ほど申し上げました基本的スタンスで臨みたい、かように考えております。
  16. 糸久八重子

    糸久八重子君 四月十五日付の自治日報を見ますと、大臣は四月八日の閣議で今年度予算が成立したことを受けて各閣僚に対して、今年度補助率カット暫定措置期限切れとなるために六十四年度予算編成に向けて所要検討、つまり補助率復元ということだろうと思いますけれども、をすることを要請したという記事を拝見いたしました。各閣僚に要請することは担当大臣としては当然のことだろうと思うのですけれども、要請したというだけではやはりだめなので、ほかに具体的にどういうふうに取り組むおつもりなのでしょうか。
  17. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) ただいま御指摘のように閣議で六十三年度期限が切れるので各省庁とも所要検討をしてほしいということは、蛇足でございますけれどもお間違えのないようにということを念を押したわけでございまして、御案内のとおりこれは法定事項でございますので、一括法で前回も特例措置が決められているわけでございますから、ただ黙っていればこのまま継続されるということではなくて自動的にもとに戻るというのは、形をとればそういうことになるわけでございますから、これの継続なりあるいは改正を求めるというときは恐らくまた新たな立法措置を必要とするわけでございます。  ですから私どもはこの問題に向かって、必ずしも昔のままに戻ることがいいかどうかという、補助金のあるいは性格やあるいはもろもろの制度を考えればいい方向に改善すべきものはもちろん改善をしてまいらなければなりませんが、前段申し上げましたように国の厳しい財政事情もと内需振興を図らねばならないというその大きい二つのテーマのもとに今回の暫定措置が講じられたわけでございますから、ある意見でその当時よりは財政事情はやや好転をいたしておりますし内需振興の実も上がっている、そういう事実を踏まえて補助率カットは復元さるべきだ、そういう大前提のもとにこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
  18. 糸久八重子

    糸久八重子君 六十四年度概算要求の枠組みについて自治、厚生、文部各省にお伺いをしたいと思います。  厚生省は六十一年度概算要求時に仮要求のまま、つまりカットしたまま行ったわけですが、そのような措置はとるべきではない、当然旧補助率で行うべきであると考えるわけですけれども概算要求の際補助率の扱いについてどう考えるのでしょうか、各省からお願いいたします。
  19. 小沢壮六

    説明員小沢壮六君) 六十四年度概算要求につきましては現在作業中でございますが、どういう形でやっていくかを含めて今後さらに概算要求の締め切り時まで検討していきたい、このように考えております。
  20. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えを申し上げます。  今厚生省の方からお答えがありましたけれども、私どもも同様にこれから検討する課題だと思っております。
  21. 津田正

    政府委員津田正君) 六十四年度概算要求に当たっては、先ほど大臣が申し上げましたように、本年度予算が成立した際の閣議でもあのような発言をしていただいたわけでございます。したがいましてそのような経過を踏まえて概算要求作業も進められるべきものと。いずれにしましても関係省庁と今後協議してまいりたい、かように考えております。
  22. 糸久八重子

    糸久八重子君 厚生省文部省はこれからだということなのですが、もう五月の半ばでございますから一応方針等も考えておられるのではないかと思いますけれども、もう少しその辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 小沢壮六

    説明員小沢壮六君) 繰り返しの御答弁になって恐縮でございますが、概算要求期限、八月いっぱいということになっておるわけでございますので内部でさらに検討していきたいということでございまして、この時点でこういった格好でやりたいというところまで煮詰まっていないということでお許しいただきたいと思います。
  24. 糸久八重子

    糸久八重子君 重ねて厚生省にお伺いいたしますけれども、六十一年度概算要求時のように仮要求の形ではなさらないのでしょうね。
  25. 小沢壮六

    説明員小沢壮六君) 先ほど申し上げましたように、どういった形でやるか、六十一年度はそういったいわば仮要求というような形でやっているわけでございまして、そういう方式を含めてどういうやり方がいいかということを今後検討していかなければならない、このように考えている次第でございます。
  26. 糸久八重子

    糸久八重子君 各省庁は七月に入りますと本格的に概算要求に向けた作業に着手をすることになるわけです。この補助金一括法取り扱いはその各省庁概算要求内容と大きくかかわってくるわけで、概算要求基準設定の際にこの問題をどう織り込むかということは本当に重要な問題だと思うのですけれども、もう一度大蔵自治両省にお伺いいたします。
  27. 水谷英明

    説明員水谷英明君) お答えいたします。  今先生御指摘のように、補助率の問題は大変に影響の大きい問題でございますし関係者も多い問題でございます。しかし、ただいま六十四年度概算要求について具体的にどういう基準でやるかということについてはまだまだ確たることを申し上げる段階にないというのが実情でございます。そうは申しましても、我が国の財政はまだ極めて厳しい事情にあるという私どもの認識でございまして、財政改革を引き続き強力に推進する必要があるということで、六十四年度概算要求基準につきましても引き続き厳しいものに設定せざるを得ないという基本的な考え方でございます。こういった状況でございますが、今後具体的な概算要求基準についてはできるだけ早く煮詰めてまいりたいというように考えております。  また概算要求時における補助率取り扱いでございますが、本来概算要求をどう行うかはもちろん基本的には要求省庁の御判断が尊重されるべきものでございます。しかし非常に重要な問題でございますので、暫定期間終了後の補助負担率取り扱いについてはできるだけ早く関係省庁とも検討をしたいという考えでございまして、よく関係省庁協議の上適切に対処してまいる考えでございます。
  28. 津田正

    政府委員津田正君) 六十四年度予算編成作業の段取りと申しますのは今国庫当局が申し上げたような状況でございまして、具体的なものはまだないわけでございます。そういうことで私ども具体的にどうこうということではございませんが、最初に申し上げましたような基本的なスタンスで今後対処してまいりたい、かように考えております。
  29. 糸久八重子

    糸久八重子君 今大蔵省から概算要求基準については各省庁がということのお話がございましたけれども文部省自治省厚生省はしっかりと頑張って、大蔵省に影響されないで概算要求をしていくように特に要望しておきたいと思います。  六十一年の補助金臨時特例法の参議院における審議予算成立後かなりの日数を経過した後になったことでいろいろ問題点が出され、これについて委員長見解も出されているわけですが、このような経過を踏まえて、概算要求までに補助金一括法は六十四年度から廃止するという結論を明確にすべきではないかと思いますけれども大蔵省の御見解はいかがですか。
  30. 水谷英明

    説明員水谷英明君) お答えします。  補助金等に係る暫定措置の期間終了後における国庫補助負担率の扱いにつきましては、六十一年度の際にも補助金問題特別委員会あるいは本委員会でいろいろな議論のあったことは承知しておるところでございますけれども、その際にも大蔵大臣から、私どももずっと通読してみたわけでございますが、六十四年度以降の問題についてはその時点でまた事務事業見直しでございますとか費用負担のあり方等を含めて検討した上で決めるべきだというようにお答えしておるところでございまして、六十四年度以降の話についてはこのような考え方のもとにできるだけ早く検討を開始したいというのが私どもの考え方でございます。
  31. 糸久八重子

    糸久八重子君 今お答えになりました中にもありましたけれども、六十一年四月二十六日の補助金等に関する特別委員会において我が党の粕谷議員が、補助金一括法は三年間に限るのだから三年たったらもとに戻るのでしょうねと念を押したのに対して当時の竹下大蔵大臣は、三年後の補助率のあり方についてはその時点すなわち六十四年度予算編成の時点で責任を持って事務事業見直し、費用負担のあり方等を含めてきちんと決めるという考え方である、そう答弁をしていらっしゃるわけでございます。この点について検討の方向と方法を大蔵省そして自治省からお示しいただきたいと思います。
  32. 水谷英明

    説明員水谷英明君) 今先生から御指摘ございましたが、六十一年四月二十六日の粕谷先生の御質問に対して大蔵大臣から御指摘のようなお答えをしておるところでございます。こういったこれまでの経緯もございますし、またいろいろなこの補助率カット基本的な措置性格というものも踏まえて、やはり関係者も多い問題でございますのでできる限り早急に検討をしたいと考えております。ただ現時点で先生に明快に、これこれこういう方法でいついつからと言う状況にまだ至っていないということをお答えさせていただきたいと思います。
  33. 糸久八重子

    糸久八重子君 これは六十一年の論議の中での宿題として残っている問題だろうと思うのです。概算要求を前にして方向づけをしなければまたまた混乱が起こるのではないかと思いますし、大蔵省としては責任があるのではないですか。その方向づけがいつごろ出されるのか、それをお伺いいたします。
  34. 水谷英明

    説明員水谷英明君) 六十一年度補助金問題検討会の報告におきましても、補助率見直しというのは事務事業見直しでございますとかいろいろな点から行われたわけでございますけれども、なお今後とも引き続き事務事業見直しを行う必要があること等から今回の措置は暫定的なものとされたというふうに認識しておるわけでございます。このような補助金問題検討会の報告等の過去の経緯、あるいは最近の経済情勢あるいは社会情勢等の諸情勢の推移が現在も非常に難しい時期に来ております。こういった情勢を踏まえながらできるだけ早急に検討して方向を明らかにしてまいりたいという考え方でございますけれども、現段階でいついつまでにということを申し上げられないという点は御理解いただきたいと思います。
  35. 糸久八重子

    糸久八重子君 なるべく早く方向づけをしていっていただきたい、そう思います。  次に暫定加算の問題についてお伺いをいたしますが、六十一年度補助負担率引き下げによります六十三年度影響額のうち、経常経費にかかわる分で調整債が充てられた分は三千九百億円でございます。これに対して後年度の交付税総額加算措置として法定されたのは四百七十億円で二千五百二十億円は暫定加算のままであるわけですが、これは必ず後年度加算されるものと理解してよろしいですか。
  36. 水谷英明

    説明員水谷英明君) お答えいたします。  補助率見直しによる影響額のうち経常経費関係については、地方税及び地方交付税特例によります一般財源で手当てするとともに建設地方債増発財源措置することとされているのは先生御指摘のとおりでございまして、この増発額のうちただいま御指摘の二千五百二十億円につきましては暫定的に六十六年度以降に精算すべき地方交付税の額に加算されるものとなっております。その取り扱いについては暫定期間終了後大蔵自治両省間で調整するものということで大臣間の覚書で取り決めておりまして、この趣旨に沿って今後自治省と調整してまいるという考え方でございます。
  37. 糸久八重子

    糸久八重子君 暫定加算分はこれまでの分も含めればかなりの額になると思いますけれども、どれくらいになりますでしょうか。また額が多くなってくると国から償還してもらうのは非常に大変になってくるのではないかと思いますけれども、踏み倒されるような懸念はないですか。
  38. 津田正

    政府委員津田正君) 暫定加算の額でございますが、六十年度一千億円、六十一年度二千四百四十億円、六十二年度二千四百八十億円、六十三年度二千五百三十億円で、現在までの累計額が八千四百四十億円に上っておるわけでございます。  この取り扱いにつきましては、先ほど大蔵省からも御答弁があったように、暫定期間終了後自治大蔵両省間で調整する。暫定的には加算する、しかし調整あり得べし、こういうようなことになっておるわけでございます。したがいまして六十四年度以降におきまして、六十六年度以降の地方交付税総額にどういうような時期に加算するのか、各年度ごとの配分はどうするか、こういうような方法などはまだ全然未定でございましてこれらを調整しなければならない。もちろん大蔵側にはいろいろまた御意見があるかと思いますが、私ども基本的には、国庫補助負担率引き下げ措置によります特に経常経費部分の地方団体への影響額というものは本来地方一般財源の増額によって補てんすることが望ましい、これは当初の折衝のときからも申し上げておったわけでございますが、この暫定加算取り扱いにつきましてもそういうような観点大蔵省と調整してまいりたい、かように考えております。
  39. 糸久八重子

    糸久八重子君 この問題の取り扱いについては確かに覚書の二項で「昭和六十年十二月二十一日付大蔵自治大臣覚書第二項後段の例によるものとする。」となっていて、その「後段の例」というのは「暫定期間終了後、両省間で調整するものとする。」となっているわけですが、暫定期間は今年度で終了するわけですからこれから話し合いに入ると思うのですけれども、どのような手順で入るのでしょうか。
  40. 津田正

    政府委員津田正君) 覚書によりまして暫定期間終了後でございますので、六十三年度を経過した六十四年度以降の段階で調整する、こういうようなことでございます。そういう意味におきましてはまだ若干、時間的な関係におきましては六十四年度以降の具体的な作業になるかと思います。  しかし基本的には、先ほど申しましたように経常経費系統の地方団体への影響額というものにつきましてはやはり一般財源措置するのが本来の考え方ではないだろうか、私どもはかように考えておるわけでございまして、そういうような観点で、六十四年度以降の協議になるわけでございますがそのような観点大蔵省等と意見調整をしてまいりたい、かように考えております。
  41. 糸久八重子

    糸久八重子君 新聞で報じられたところによりますと宮澤大蔵大臣は四月八日の閣議後の記者会見で、六十三年度末で期限切れとなる社会保障、公共事業などの地方自治体への補助金一律削減制度取り扱い検討するため政府部内に検討協議会を設け六十四年度概算要求基準を決定する七月ごろをめどに調整を進める意向を示されたということですけれども、どういうことを考えていらっしゃるのでしょうかお伺いいたします。
  42. 水谷英明

    説明員水谷英明君) お答えいたします。  六十三年四月八日の記者会見での大蔵大臣の発言が翌日の各紙に報道されたということは承知しておりますが、大蔵大臣が記者会見で申し上げたことというのを私どもが聞いておりますところでは、各省庁が集まってできるだけ早く検討協議を始めなくてはならない問題であろうということをおっしゃったというように聞いておるわけでございます。  いずれにせよ、先ほどから再三申し上げておりますように、補助金等に係る暫定措置の期間終了後における取り扱いにつきましてはこれまでの経緯や措置性格を踏まえできる限り早急に検討したいということを考えておりまして、諸情勢の変化、国、地方の役割分担、財源配分のあり方等を勘案しながら、関係省庁とも協議の上今後適切に対処してまいるという考え方でございます。
  43. 糸久八重子

    糸久八重子君 このことについては関係省庁は了解をしているのでしょうか。自治省の御見解はいかがですか。
  44. 津田正

    政府委員津田正君) 暫定期間終了後の補助負担率のあり方についての検討協議方式等につきましては、現在までのところ、先ほど大蔵省から御答弁がございましたように、具体的に大蔵省からどういう格好でやりたいというような話はまだ来ておらないような状況でございます。しかし今後具体的な相談は当然のことながらあるのではないか、かように考えておるわけでございます。  その場合に国庫補助負担率取り扱い基本的スタンスは、一番最初申し上げましたように現在の法律のままであればもう本年度で切れるということ、もちろん予算補助等もございますけれども、中心的なものはそういうようなことになるわけでございます。そういう意味におきまして先般閣議の席上におきまして大臣からもあのような発言をしていただいたわけでございまして、もうそろそろ関係各省庁でも考えていただきたい、こういうようなことでございます。  具体的にどういうような考え方で臨むか、これは今までの経緯とも関連するわけでございますが、六十一年度からの三年間ということは補助金問題検討会での協議というものが行われ、それから六十二年度におきまして、内需振興というような観点からどうしても事業量拡大が必要である、しかし国の資金が限られておるということで公共事業関係一段の引き下げというような経緯を経ておるわけでございます。基本的には補助事業がどのような性格のものであるかというような議論も踏まえなければならないわけでございますが、やはり従来の経緯というものが、厳しい国の財政事情というようなもの、あるいは経済情勢におきまして内需拡大というものの要請が非常に強かった、こういうようなことも絡んでおるわけでございます。  したがいまして暫定期間終了後の問題も、国の財政事情がどのような形になるのか、それから内需拡大の必要というものが、現在の経済情勢からして財政の果たすべき役割、分野というものがどの程度のものであるのか、さらに昨年度の補正予算からNTT資金の活用ということも新しい事態で入ってきたわけでございますが、そういうNTT資金の活用ということも内需振興の中でどのような役割を果たすのか、そういうような基本的な議論も今後詰められなければならない、かように考えておる次第でございます。
  45. 糸久八重子

    糸久八重子君 補助金問題につきましては六十一年度からの引き下げのために六十年度補助金問題検討会を設置して半年もかけて論議をしてきた経過がありますから、今後その検討協議会で論議をするとなると再び国の財政事情理由に地方に転嫁される口実になるのではないかと大変心配をするわけで、そういうことにならないようによろしくお願いをしたいと思います。  事務事業見直しはどうなるのでしょうか。
  46. 津田正

    政府委員津田正君) 補助率カットの中身におきまして経常経費系統の主なものは、一つは生活保護費とそれに非常に性格が類似しておるいわゆる措置費関係というものと、一つは老人福祉、児童福祉等のいわゆる福祉対策の関係のものであったわけでございます。  そのうち老人福祉、児童福祉系統のものにつきましては、六十年の補助金問題検討会におきましても事務事業見直しというような提言がされまして、一定の事務事業見直しというものが行われております。そういう意味ではある程度その事務事業見直し検討ということは一回行われておる、こういうような実績を持っております。しかしその後の三年間でそのような当時検討された事情が変わったかどうかというような点につきましてはなお今後検討しなければならないと思います。  それからもう一つの生活保護費の考え方でございますが、これは補助金問題検討会におきましても両論併記というような格好で結論を見ない。結局は政府部内トップレベルの話としまして、現在の国の財政事情から八割を七割、こういうようなことになったわけでございます。これにつきましては、生活保護の事務というものをどのような観点でとらえるのか、私どもとしましては国の社会福祉政策の基本のものではないか、こういうような観点もあるわけでございますが、いずれにしましても当時の結論も出ておらないわけでございまして、そういう意味におきまして今後のまた大きな問題点ではないか、かように考えております。  そのほかの投資的経費の関係につきましては、経済情勢の見方、内需振興の考え方、NTT資金の活用の仕方、こういうような問題に絡むのではないか、かように概括的に考えておるわけでございます。
  47. 糸久八重子

    糸久八重子君 今生活保護の問題が出ましたけれども生活保護については憲法二十五条それから生活保護法一条に書いてありますように国の責任が非常に重い分野の仕事であるわけですが、それをいわゆる一律カットという形で十分の八を十分の七にした、そういう経過があります。補助金問題検討会報告で、ただいま説明もございましたとおり、三分の二にすべしとか十分の八に戻すべきとかという両論併記という形であったわけで、暫定期間終了後改めて大蔵自治、厚生の三大臣協議しようという形になっておるわけですけれども、その辺は今後どういうような検討を考えていらっしゃいますでしょうか。
  48. 津田正

    政府委員津田正君) 先般の補助金問題検討会におきましても生活保護につきましてはこういうような見解であったわけでございます。「国民の健康で文化的な最低限度の生活水準を保障するものであり、その実施に当たっては、全国民に共通した公平と平等が求められるので、事務の性格は今後とも機関委任事務とすることが適当である。」やはり最終的な責任は国で、地方団体の果たす機能というのは機関委任事務と、そこまでは結論としては一致しておるわけでございます。  ただ補助率の問題で、考え方として補助率基本は二分の一である、それから国の責任が重いものは三分の二、国の責任が軽くむしろ地方の責任が重いものは三分の一、こういうような一つの意見がございました。しかしこれは当時の検討会におきましてもいわゆる一致した意見ということではなくて、意見があったというような経緯を経ております。最終的に、私どもは十分の八、また一方の議論は三分の二ということで紛糾したわけでございますが、トップレベルの裁断で七割というような格好でおさまったというような経緯を踏まえておるわけでございまして、事務事業性格論と申しますと一応の結論は出ておるような形でもございます。  ただ、国の責任が重いものについての具体的な補助負担率をどうするかというような議論がなされなければならない、そしてその背景として国の財政事情というものをどのように考えるかというような議論が尽くされなければならないのではないか、かように考える次第でございます。
  49. 糸久八重子

    糸久八重子君 補助金問題については率の引き下げの面だけが強調されて補助金そのものの整理合理化はほとんど進展をしていないと思います。大蔵省主計局の出した「昭和六十三年度予算における補助金の整理合理化について」というので見てみますと、五十九年度から六十二年度にかけてわずかに予算額は減少したものの、六十三年度からは再び増加に転じているわけですね。この補助金の整理合理化の進まない理由は一体何なのでしょうか。
  50. 水谷英明

    説明員水谷英明君) 先生の厳しい御指摘と受けとめておりますが、まことに総論的で恐縮でございますが、補助金等は基本的には、もとより一定の行政水準の維持ということもございますし、特定の国の施策の奨励等のための政策手段ということで政策遂行の上で非常に重要な機能を担うものであるわけでございますので、補助金が初めにすべて整理されるべきというようには考えておらないわけではございますが、他方ややもすれば、例えば地方行政の自主性を損なうといった問題が出てくる、あるいは財政資金の効率的使用を阻害する要因となる。要するにだんだん補助金が習い性になってくると効果よりもそういう弊害の方が出てくるといったような問題点があるということで、常に休むことなく見直しを行っていく必要があるというのが私ども基本的考え方でございます。  とりわけ委員指摘のように今日の厳しい財政状況もとでございますので、国、地方を通ずる行財政改革推進するために補助金の問題は非常に重要でございまして、累次にわたりまして臨調答申あるいは行革審答申という場におきましても数々の指摘を受けているわけでございます。こういう指摘を踏まえまして今後も補助金等の整理合理化を引き続き積極的に推進してまいる必要があるという考えでございます。
  51. 糸久八重子

    糸久八重子君 この点について自治省はどうお考えでしょうか。
  52. 津田正

    政府委員津田正君) 自治省といたしましても、地方団体の自主自律性というものがより一層強くなる、こういうような観点におきまして、補助事業の廃止縮小、地方へ同化定着化した事務事業の一般財源措置への移行、統合メニュー化、特に手間ばかりかかって実際的に補助効果があるのかどうか問題がございます零細補助金の整理というものにつきましては今後とも積極的に進めていかなければならない、かように考える次第でございます。  ただその場合に、基本的に国と地方との責任関係をどうするか、いわゆる負担金というような問題につきましては慎重な取り扱いが要るのではないか。いわゆる奨励補助金につきましては先ほど申しましたような観点におきまして今後とも積極的に整理合理化を進めるべきもの、かように考えております。
  53. 糸久八重子

    糸久八重子君 大臣にもちょっと耳をかしていただいて後で御感想をお伺いしたいと思うのですけれども生活保護の問題です。この制度が国民の生存権保障の上で非常に大きな役割を持っているということはもう改めて申し上げるまでもないことなのですけれども、これに対する国庫負担が十分の八から十分の七に削減されて以来、最近の被保護世帯数の推移を見てみますと、五十九年度をピークといたしまして、六十年度は前年に比べまして九十五世帯ですが、以下六十一年度は三万四千百五十二世帯、六十二年は三万七千二百七十五世帯と非常に急激に減り続けておるわけでございます。  厚生省はこの減少の理由を、例えば景気が回復しただとか、それから年金制度改革とか、離婚率が減少したとか、適正化の指導とかということを言っておるわけです。確かに六十一年四月からの年金改革についてはわかるのですけれども、五十九年度以降特段にすばらしく景気がよくなったとか離婚率が何かの理由で急激に減ったとか、そういうことは考えられないわけでございまして、この補助率カットによって保護対象者を無理に減らそうとしたり、それから新しい申請者は厳しい窓口規制をしているのではないかと思われる節があるわけです。この傾向について大臣はどのような御感想をお持ちでございましょうか。
  54. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 大変難しい問題でございまして、生活保護の具体的な負担率をどこに定めるべきかというのは、国の責任あるいは地方自治体のあり方、もろもろの問題を考慮に入れて検討さるべき問題だというふうに考えておりますが、本来一義的に、先ほど局長が答弁をしましたようにいわば国の福祉施策の根幹であるということになれば、この負担はおよそすべてが国の責任においてなさるべきものだという考えを私個人は持っておりますし、またそういう結論が出るならば負担率を最高限度に高めることは当然のことではないかという感じを持っております。
  55. 糸久八重子

    糸久八重子君 以下厚生省にお伺いをいたします。  この問題については私は先般四月十二日の社労委員会でお尋ねをして適正化の問題について大変こだわったわけですけれども、そこで、国、自治体の適正化努力がどのように行われているかが知りたいわけでございます。私の耳に入ってくるのは保護打ち切りの方向で進めているとしか思えない、つまり人権侵害までして受給者を減らそうとしているとしか受け取れないものばかりなわけです。六十三年三月二十五日付の社会局長通知が自治体レベルではどれだけ実施されているかについてどう把握なされておられるでしょうか。
  56. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) お答えいたします。  六十三年三月二十五日付厚生省社会局長通知は、昭和六十三年度に各都道府県が福祉事務所を対象に実施する監査と指導の重点、留意事項等を示したものでございます。各都道府県におきましてはこれを踏まえながら、各福祉事務所の実情に応じ、監査、研修、それから各種の会議等を通じましてその趣旨の徹底を図ることとなっております。厚生省におきましても六十三年度の指導監査等によりその徹底状況を確認いたしまして、必要に応じた指導を行いたいと考えております。  この通知の趣旨は、保護の実施は真に生活に困窮する方々に対し保護の適用漏れがないようにするとともに不適正な保護がなされないよう措置するという観点から最近におきます状況を踏まえて取り組みの方向を示したものでございまして、保護の打ち切り等を意図したものでないことを御理解いただきたいと思います。
  57. 糸久八重子

    糸久八重子君 例えばこの通知の中で「保護の要否判定に際し、疑義が生じたケース、処遇困難ケースの取扱いについては、ケース診断会議に諮る」と言われております。ケースワーカーが独断で事に当たっているわけでなくて役所としての相互チェック機能があるにもかかわらずなおケース診断会議検討しなさいと言わなければならないところにこの問題の難しさがあるのだろうと思うわけですけれども、個別ケースを組織的多角的に検討することは非常によいことだと思いますし、厚生省自治体の努力を正確に把握する道としてもこれを活用できるのではないかと思うわけでございまして、例えばケース診断会議に諮ったケースについて診断結果を添えて厚生省まで送付をさせて、厚生省はこれによって現場状況を把握するようにしてはいかがなものでしょうか。
  58. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) お答えいたします。  生活保護制度は国の機関委任事務としましてその決定実施の権限を都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長に委任しているものでございます。委任している趣旨あるいは事務量等を考えましても、委任に基づいて実施した個々のケースの決定状況について経常的に厚生省に報告させるというのは適切でないと考えております。また処遇の内容につきましても個々のケースの実情によってそれぞれ異なっておりまして、その処遇の内容を計数的に集約するということはなかなか難しいということも御理解いただきたいと思っております。  なお、診断会議に諮ったケースを含め現場の努力につきましては、私どもの監査官が五十七都道府県市に毎年参りますのでそういった事務監査を通じ確認しておるところでございまして、そのとき適切でない点があれば改善について指導していきたいと考えておる次第でございます。
  59. 糸久八重子

    糸久八重子君 確かに実情把握の方法として事務監査があります。しかし内部資料という形で公表されてはおりません。厚生省には生活保護監査官が九人、そして都道府県には監査担当職員が四百人以上もいて国から委託費も出されているとのことですが、この人たちの仕事の結果が公表されないというのはおかしいことではないかと思います。国会としても生活保護行政の実情をよく知る必要がありますから公表していただきたいと思うのですが、重ねてお伺いいたします。
  60. 福山嘉照

    説明員(福山嘉照君) 監査に当たりましては、先ほどからるる申し上げているとおり、保護決定実施上の問題につきまして監査を通じて必要な指導をしておりますけれども、その結果を一つの形にまとめるということにいたしますと、例えばケースの取り扱い、これは被保護世帯それぞれのことでございますが、それについて見ましても、それぞれの地域におきまして被保護者を取り巻く社会的経済的状況が違うということ、それからそれぞれの世帯におきます生活状況というものがそれぞれ違った背景があるということでその対応は非常に区々、千差万別でございまして、そういったことからその適否が明確に割り切れないような部分が相当ございます。  しかし私どもとしましては監査結果の取りまとめにつきましては、第一線の現場における実態を正確に把握すべきだという先生の御趣旨は御指摘のとおりでございますので今後十分検討してまいりたいと思います。なお、不正受給の状況等必要と思われるものにつきましては既に御報告等を行っておるところでございます。
  61. 糸久八重子

    糸久八重子君 要保護者に対する扶養義務のあり方についても論議をしたいわけですけれども時間の関係でこれは後に譲りまして、社会福祉施設利用者の費用徴収に対する扶養義務の問題についてちょっと触れておきたいと思います。  扶養義務は親子、配偶者といった絶対的扶養義務者の範囲に限る、それから扶養義務の履行を求める場合に行政の責任でそれを確保し事後の求償権を発動するということでございますが、現在社会福祉施設利用者の費用徴収の方法に非常に問題があると思うのです。それは、老人福祉施設の場合は本人が限度額まで払ったとしても扶養義務者からも徴収するのに対しまして、身体障害者更生援護施設などの場合には本人が一定限度額まで払えないときだけその差額分を扶養義務者から取るという方法がとられているわけです。どうしてこれらが整合性が持たれないのでしょうか。
  62. 戸口田三千尋

    説明員戸口田三千尋君) お答えいたします。  老人福祉施設の中で費用徴収を行っているものは老人ホームでございますが、この施設は入所後日常生活に必要なサービスを提供する施設でございます。そういうことで、そこに入っておられる方で負担能力のある方からその費用の一部または全額を徴収することを基本といたしております。このような考え方から、まず入所者本人から徴収額をいただきまして、その額が措置に要する費用に満たない場合に扶養義務者からその差額の範囲内で負担能力に応じて費用徴収を行うことといたしております。  一方身体障害者の更生援護施設につきましては、昭和六十一年に新たに費用徴収制度を導入したわけでございます。その際に国会の附帯決議等でも御要請がございまして、更生訓練中の特例等を除きまして現行制度と同様の取り扱いは適当であるけれども、負担の急増を緩和するため経過措置として所要措置を講じられたいという趣旨の決議がございました。こういうようなことを踏まえまして、急激な負担の増加を緩和するため入所者からの費用徴収及び扶養義務者の徴収限度額を一定の額にいたしましてその範囲内で両者の負担を行うということにいたしたわけでございますが、これは基本的には老人ホーム、身障施設、変わりはないと考えております。
  63. 糸久八重子

    糸久八重子君 私はこの二つの問題に整合性を持たせて、やはり身体障害者施設の方のそういうやり方をとっていくべきだろうと思います。それはやはり本人主義でいくのが建前だろう、本人主義ということが時代の流れではないか、そのように思うからでございます。  福祉施設の費用徴収に関してもう一つお伺いしたいのですが、身体障害者援産施設は、必要な訓練を行いかつ職業を与え自活させる施設であるとされております。この趣旨は、授産施設というところは訓練を受けると同時に手に職を持ち、したがってまた労働の対価を得るところと理解してよろしいのでしょうか。
  64. 戸口田三千尋

    説明員戸口田三千尋君) 基本的には先生の御指摘のとおりであろうと考えております。  ただ蛇足でございますが、いわゆる労働の対価というのは、一般の企業と異なり授産施設においての主要な目的は訓練でございます。そういう観点から就業時間も一定せず、かつ一般的に短かく、また労働における工賃についてもそれぞれ各人の能力の差によってかなりの差が生じるということ等から、授産施設においては労働基準法の適用外とされているような特殊なそういう労働の場である、職業の場であるというように御理解をいただきたいと思います。
  65. 糸久八重子

    糸久八重子君 ところがその費用徴収のために労働の対価を上回る支払いをしなければならない者がいるわけですけれども、どの程度いるか実態を把握していらっしゃいますか。
  66. 戸口田三千尋

    説明員戸口田三千尋君) 授産施設における費用徴収につきましては、費用徴収の決定額そのものが、前年度の授産工賃あるいは年金等の収入の合算額につきまして、例えば授産工員につきましては月額二万円までは全額控除いたします。またそれを上回る額は三〇%を控除する等の措置、それから医療費等種々の経費の控除を行った後の額を対象収入として決定いたしております。その決定された対象収入は各年度把握をできますが、それ以前の生の授産工賃と費用徴収の額との直接的な関連がございませんので、統計的に把握することは現在ではちょっと困難であると考えております。
  67. 糸久八重子

    糸久八重子君 その実態を把握していただくように要望しておきたいと思うのですが、もう一つ、工賃が安い場合に入所者がそれを上回る負担をしなければならないとしても、その理由が本人の別な所得が多いためならばこれはまだ納得がいくわけですが、通所者の場合、自分の家族のもとから自力で通って、しかも稼いだお金以上に取られるというのはどうにも納得がいかないわけです。他に本人の所得があったとしても工賃以上のお金を取るべきではないと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
  68. 戸口田三千尋

    説明員戸口田三千尋君) お答えいたします。  先ほどから授産施設の性格について御説明申し上げたところでございますが、確かにそのような例が二、三あるということを伺っております。これは、まず授産施設へ通いました当初はいわばその工程になじむための訓練が専らでございまして、半年か一年いわゆる商品価値としてのものを御本人がつくり得ないというような状態もしばしばあるわけでございます。そうなりますと、その段階においては工賃がほとんど低額な状態にある。  一方この授産施設は訓練という観点から月額約八万円ほどの公費の補助を行っております。これは訓練に当たる職員の人件費等が大半でございますが、それらの訓練を受けている間、その在宅における生活費を当然のことながら控除いたしまして、さらにそこで収入に余裕がある場合は応分の負担をしていただくということは、今後ともその他の在宅の対策あるいはそういう施設の利用対策推進する観点からも妥当なことであろうと考えております。
  69. 糸久八重子

    糸久八重子君 厚生省、ありがとうございました。お引き取りください。  次に教育費の問題に入りたいと思いますが、六十年の特例措置によりまして義務教育費国庫負担制度から適用が除外され一般財源化されました旅費と教材費について、自治文部両省にお伺いをいたします。  まず旅費についてですが、国庫負担がなされていた五十九年度当時の旅費の単価は小中学校教職員が五万八千八百円、高校は七万三千九百円でした。翌六十年度から特例措置で二分の一国庫負担が廃止され全額交付税化されましたが、積算の基礎となる費用単位は六十二年度まで据え置かれたままになっております。この間、交通機関の運賃は五十九年で七%、六十年で三・八%、六十一年で四・五%と値上げが行われていることから、四年間の据え置きは実態にそぐわないものと考えるわけです。ぜひ六十三年度においては単位費用の改定を行うべきだと考えるのですけれども自治省文部省のお考えを承りたいと思います。
  70. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 教員旅費につきましては、御指摘のように昭和六十年度予算におきまして国庫補助負担金の整理合理化の一環といたしまして一般財源化されたわけでございます。その際、当時の国庫負担金の実績等を勘案いたしまして交付税の単位費用を定めたわけでございますけれども、その後の単価につきましては御指摘のとおり据え置いております。  この点につきましては、もともとこの旅費が事業旅費ではなくて人当旅費であるという問題もございますし、それから四十七都道府県の実績単価も大体交付税の単価と似ているという点もございます。それからこれが一番大きな理由だと思いますけれども、非常に厳しい財政状況の中で経常経費の節減ということが強く要請されているわけでございまして、国の予算におきましてもマイナスシーリングというような状況でございますので、このような経常的な一般行政経費につきましては非常に抑制をされているという状況でございます。そういう国の経常費の予算というものが年々削減されている中で交付税の単価を同額で維持しているという点にひとつ御理解を賜りたいというふうに考えるわけでございます。
  71. 糸久八重子

    糸久八重子君 次に教材費の問題ですけれども、六十年度特例措置でこれが地方一般財源化されるに当たって、文部省は六十年五月三十一日阿部助成局長名で各県の教育委員会に通知を出しまして、従来と同様に教材費を確保し保護者負担に転嫁することのないように努力をされたい、そうしておるわけでございます。この教材費について地方交付税額の算定基礎となる基準財政需要額単位費用は、私どもの試算では五十九年度比較で小学校が六・四七%、中学校では六・八八%とそれぞれ増額で措置されております。ところが交付税は使途が特定されていないところから、文部省の六十一年度調査によりますと、国庫負担をされていた五十九年度予算額と比べて低い県が十六県もあると聞いておるわけです。  文部省は六十二年度の実態についても調査結果を明らかにしていただきたいと思いますけれども、後ほどで結構ですが資料はいただけますでしょうか。あわせて五十九年度予算額よりも低い県のあることについて自治省文部省の御見解をお伺いしたいと思います。
  72. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えを申し上げます。  教材費につきましては先生今御指摘のように昭和六十年度から地方交付税におきまして措置をしていただくということになっているわけでございます。各地方公共団体におきましてその必要性に応じてそれなりの配慮を払ってきているわけでございまして、今各県別のこともおっしゃいましたけれども、全体として見ますと六十二年度の全国の予算総額は五十九年度に比べますと約一〇%程度伸びております。そういうことで、私どもはそれぞれの県でその必要性、あるいはそれぞれの市町村におきまして十分いろいろなことを考慮しながら努力をし、そうして教育水準をできるだけ下げないような努力をしているものだというふうに思っておりますが、今後ともそういう趣旨で指導してまいりたいというふうに考えております。
  73. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) ただいまの教材費の問題につきましても、これは一般財源化したわけでございますからそれぞれの市町村の自主的な御判断によりまして必要性を判断しそれを予算化していくということが建前になろうかと思います。  ただ六十年度一般財源化されたということで年度もまだ新しいという点もございましてこの点の運用につきましてそういう問題点も懸念されるわけでございますので、毎年度自治省の事務次官名で財政運営の留意点につきまして各地方団体に御通知を申し上げておりますが、この中で、この国庫補助負担金一般財源化されたものにつきましてもその必要性に応じましてそれぞれ所要財政予算措置を講ずるようにしていただきたい。地域の実情に即して自主的な事業の実施に努められるように財源措置をしているわけでございますが、そういう観点からの予算化ということをお願いしているところでございます。今後ともこの点につきまして私どももよく注意をしてまいりたいと思うわけでございます。
  74. 糸久八重子

    糸久八重子君 教材費にかかわる交付税が各自治体で適正に予算化されそしてそれが支出されているのかどうか、私たちはそれを大変心配するわけですので、そういう意味でよろしくお願いしておきたいと思います。  文部省は五十三年度を初年度といたします第二次教材整備十カ年計画をお立てになりましたけれども、この進捗状況はどうなっておりますでしょうか。また昭和六十年度から教材費は義務教育費国庫負担法から除外されましたけれども、この十カ年計画についてはどのような扱いとなったのでしょうか。この二つをお答えください。
  75. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答え申し上げます。  教材整備につきましては、昭和四十二年度から第一次計画を立てましてその整備を図ってまいりました。これは特に基礎的な教材を整備するというふうな観点整備してまいりまして、五十三年度からは第二次計画を立てまして、特に国庫負担の対象になります教材の品目、数量を教材基準として示してこれを拡充もし弾力的に運用できるように、要するにそれぞれの自治体でできるだけ判断をしてその中の適切なものを整備するというふうな配慮を加えながら整備を図ってきたわけでございます。  しかし先生御案内のように五十三年度当時と比べましてその後厳しい財政事情等がございまして、したがいまして五十三年度から五十九年度までは当初の計画に比べまして、今申し上げました事情もございまして率で言いますと大体五〇%弱の進捗状況ということになっております。それからその後の一般財源化されました六十年度から六十二年度の三カ年を推計いたしますと、推計値でございますけれども、当初立てました計画に比べましておおむね七割程度の整備がなされているというふうに考えております。
  76. 糸久八重子

    糸久八重子君 先ほど挙げました六十年五月三十一日付の助成局長通知の中に、教材基準を教材整備のための参考基準として教材の整備を進められたい、そうあるわけですけれども、この参考基準とは何を言うのでしょうか。
  77. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) ただいま申し上げましたように、この基準をつくりましたときには国庫負担の対象にするというふうな目的からこういう基準をつくったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたようなことで六十年度から一般財源化がなされてきているわけでございます。しかしこの教材基準内容自体につきましては、先ほどもちょっと申し上げたかと思いますけれども、義務教育諸学校におきまして標準的に必要とされる教材でございますので、したがいまして今後とも各地方自治体の自主的な判断のもとにこれを参考にして整備を進めていただくことがよかろうということで、そのように指導しているところでございます。
  78. 糸久八重子

    糸久八重子君 この第二次教材整備十カ年計画は当初の計画だと六十二年度で完結をしているはずですけれども、お話によりますと目下七〇%の進捗率であるということですが、その際財源は幾らになると計画をされておりましたか。
  79. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えをいたします。  当初五十三年度に立てました計画では十カ年で合計二千三百四十七億円という計画でございました。
  80. 糸久八重子

    糸久八重子君 自治省にお伺いしたいのですけれども、これは交付税上措置するとすればどの程度引き上げを図る必要があるでしょうか。
  81. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 第二次教材整備十カ年計画を達成するための金額につきましては、当初の段階でかなり国費が削減されたということもございましたけれども、その後一般財源化された後は交付税の単位費用を逐年増加いたしておりますので、多分この額でおおむね六十二年度までで達成できるのではないかというふうに理解をいたしております。私も今細かな数字を持っておりませんので具体的に何%という計数はちょっと申し上げられませんが、多分これで六十二年度までにつきましてはできるのではないかというふうに理解をいたしております。
  82. 糸久八重子

    糸久八重子君 ではそれは後でお伺いさせていただきたいと思います。  各市町村の財源措置状況はどうなっていると把握しておいででしょうか。各市町村ごとにアンバランスはないでしょうか。
  83. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 私の先ほどの御答弁に間違いの点もございましたのでちょっと訂正させていただきますが、六十二年度までの単位費用で実施をいたしました結果で先ほど文部省から御答弁のように達成率が大体七〇%ということでございますから、これで全部達成できると思うという点については私の誤解でございますのでこれは訂正させていただきたいと思います。  ただ今後の教材費の増額につきましては、一般経常経費の非常に節減という問題が他方にございますので、できるだけ私どもも努力してまいりたいと思いますけれども、現段階で何%ずつというようなことはなかなか申し上げられないわけでございます。
  84. 糸久八重子

    糸久八重子君 今お伺いした市町村ごとのアンバランスはあるのでしょうか。文部省自治省、どう把握していらっしゃいますか。
  85. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答え申し上げます。  この問題につきましては、先ほど申し上げましたようにそれぞれの市町村あるいは学校の教材整備の必要性というふうなことが必ずしも一律ではございません。したがいまして今先生がお尋ねのことについて私どもも正確な資料はとっておりませんけれども、ただ関係者の大体の意向を聞いてみますと必要な整備はやっているといったようなことで、これは非常に困るというふうな意見は私ども耳にいたしておりません。
  86. 糸久八重子

    糸久八重子君 市町村の財政状況によってやはり教材費が左右されるということもあると思うのですが、この辺についてはどうお考えになりますか。
  87. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えいたします。  同じ答弁の繰り返しで恐縮でございますけれども、これはそれぞれの市町村あるいは学校の整備状況というふうなことと関連いたしますので、私どもも具体的にどうというふうな指導ではなくて、それぞれ所要整備をするように適切に対処してほしいというふうなことを機会あるごとに指導いたしておりますし、今後ともそういうふうな指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  88. 糸久八重子

    糸久八重子君 自治省はいかがでしょう。
  89. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 市町村の財政状況によりましてこの予算の計上は確かにいろいろと難しい問題があるかと思います。ただこの教育費の中の教材費というものは経常費の中でも極めて重要な経費でございますから、諸経費を節減する上では優先的にこういう予算確保した上でいろいろな経常経費抑制するというのが通常の市町村の予算編成のやり方ではないかと思います。今後ともこの教材費の確保につきましては、ただ一般財源化されたからこの経費は節減していいのだというようなことではなしに、必要に応じて適切な予算措置が講じられるように私どもの方からも御指導を申し上げたいというふうに考えます。
  90. 糸久八重子

    糸久八重子君 教材費が交付税で財政措置がなされているにもかかわらず、国庫負担を外されたことによって市町村ごとにアンバランスが生じたりして各自治体の対応に非常に不安を感ずる中で は今後の教育方法の多様化に対応する教材の整備という点が期待できないと思うのです。これは先般私は本会議でお伺いをしたわけですけれども文部大臣は旅費、教材費について再び国庫負担の対象にする考えはないという答弁をしていらっしゃるわけです。私は義務教育の機会均等とその水準の維持向上のために教材費の国庫負担とそれによる教材整備計画の達成について文部省はもっと真剣に考えるべきではないかと思うのですけれども、この辺はいかがでしょうか。
  91. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答え申し上げます。  今お話しの教材につきましては大事なものだと思いますし、自治省の方からもお答えがございましたように、交付税におきましても厳しい状況もとではございますがそれなりの御配慮をいただいておるというふうな状況でございまして、各市町村、地方公共団体におきまして、先ほどちょっと申し上げましたようにこういうふうな制度になりましてまだ日が浅うございますけれどもそれなりの配慮をしているというふうな状況でございます。繰り返しになりますけれども、今後とも適切な配慮が各地方公共団体においてなされるよう私どもも指導していきたいというふうに考えております。
  92. 糸久八重子

    糸久八重子君 これは教材費が国庫負担適用から外されたということからいろいろ今私が申し上げましたような問題点が出てくるわけで、やはりこれは国庫負担制度に戻すべきだということを強く要望しておきたいと思います。  これは文部省の委嘱だと思いますけれども教育方法等の多様化に対応する学校施設のあり方に関する調査研究会議のまとめがこのほど発表されました。私はこうした施設のみならず教材についても同様な視点が必要ではないかと思います。既に学校現場ではコンピューター等の導入ももう珍しくなくなってきているわけですけれども、教材は種類、質、量ともにより高次なものになってきているわけです。今の文部省の姿勢でそれに即応できるのかどうか大変疑問に思うのですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
  93. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えいたします。  今先生お話しのコンピューターの関係でございますが、昭和六十年度から私どもは奨励的に、パソコン等につきましてそれを開発的に取り入れて教育方法の改善に資したいというふうなところに対しまして助成をしてまいっております。各県あるいは市町村におきましてもそれぞれの必要性に応じまして自主的にそういう努力をしている状況もございますので、そういうふうな状況を見ながら今後の対応検討してまいりたいというふうに考えております。
  94. 糸久八重子

    糸久八重子君 それぞれ財政基盤が異なる自治体で、お金のたくさんある自治体の学校における教材や教具とそうでない自治体の学校における教材や教具にこれから大きな格差が生じてくるのではないかと大変心配をするわけです。文部省の最大の責務というのは教育条件の整備にあると思うのですが、それなのに、本来それぞれの学校、教師の自主性が最大限に尊重されるべき教育内容については事細かに介入をするが教育条件整備の責務については余り深刻にお感じになっておられないその姿勢が、やはり教材費や教材整備計画の取り扱いにあらわれていると思われて仕方がないのです。この問題につきまして本当は大臣からお伺いをしたいところなのでございますけれども、御見解はいかがでございますか。
  95. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えをいたします。  先生お話しのように、特に義務教育段階におきましてはどういうふうな教育をするかということは非常に大事なことでございますので国が基準を定めてそれに従ってやっていただく、これに関連いたしますところの条件整備につきましては、その内容によりまして必要に応じ国庫負担の対象にする、あるいは自主的にそういう御努力をいただくというふうなことを講じておりまして、教育水準の維持向上というふうな点につきまして遺憾のないように今後とも対応してまいりたいというふうに考えております。
  96. 糸久八重子

    糸久八重子君 昨日の本会議趣旨説明のありました初任者研修制度ですが、もしこれを仮に実施した場合に、義務教育費国庫負担金つまり給与費ですけれども、どのぐらいの増額になると考えておられるのでしょうか。
  97. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えをいたします。  初任者研修にかかわります法律案につきましては御案内のように現在御審議をいただいているところでございまして、特に初任者研修の経費面につきましてはこの実施方法と関係がございます。現在御審議いただいている法律の中におきましても、教員の採用数の推移でありますとかあるいはその他の事情を考慮いたしまして、六十四年度から実施いたしますけれども段階的に実施することにし、昭和六十七年度までにすべての講師についてこれを実施するというふうに考えているわけでございます。  したがいましてどれぐらいの額になるのかというふうなことはそういういろいろな事情がございますので申し上げにくいわけでございますが、仮に、六十二年度から初任者研修の試行をいたしておりますけれどもそれと同じやり方で、かつすべての講師と義務教育諸学校教員についてこれを行うというふうなことにいたしますと、義務教育費国庫負担金の所要額は約二百十億円程度になるのではないかというふうに推計をいたしております。
  98. 糸久八重子

    糸久八重子君 自治省は交付税上この増額分とほぼ同額を措置するのですか。
  99. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 文部省からの御答弁もございましたようにこの初任者研修の具体的なやり方は六十四年度からということでございますので、今後その推移をよく見きわめながら検討してまいりたいと思いますが、決められました指導教員の配置等に要する経費の地方負担分につきましては地方財政計画に計上いたしまして地方交付税によって措置をするということになると思うわけでございます。
  100. 糸久八重子

    糸久八重子君 次に、あと三年間で完結しなければならない第五次定数改善計画の問題なんですけれども文部省は完全に実施する構えをお持ちなのかどうかはっきりお伺いをしたいのです。この計画の進捗状況は現在どの程度になっておりますでしょうか。
  101. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えをいたします。  先生お話しのいわゆる四十人学級を含みます第五次教職員定数改善計画、これは昭和五十五年度から六十六年度までの十二カ年計画で進行をいたしているところでございます。現在の進捗状況でございますが、先ほど教材費のところで申し上げましたように計画を立てて以降非常に厳しい財政事情がございましたが、財政当局の御理解などをいただきながら現在鋭意進めているところでございます。四十人学級につきましても、例えば今年度、六十三年度におきましては四千二百一名の増員を図る、あるいは教職員の配置改善につきましても五千八百五十名の改善を図っていただくというふうなことにいたしているわけでございます。その結果、当初計画に対します六十三年度までの進捗率を申し上げますと、四十人学級の改善につきましては四〇・五%、教職員の配置率改善につきましては四五・〇%ということで、合計進捗率は四二・七%ということになっております。  私どもは今後この計画を着実に実施したいということでございますが、先生御存じのように今後児童生徒の減少がございます。したがいまして教職員定数の自然減も見込まれますので、こういうものを十分活用しながら改善計画を着実に推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  102. 糸久八重子

    糸久八重子君 進捗状況が四二%ということですが、十二カ年計画でもう既に四分の三を経過している、あと残りは三年しかないわけですよ。その三年の間に約五八%達成するというのは大変なことだと思いますけれども文部省はしっかりと頑張っていただきたいと思います。  残りの三年間の四十人学級とその配置改善の総数はどのくらいになりますか。    〔委員長退席、理事出口廣光君着席〕
  103. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) お答えいたします。  今後の計画の予定でいきますと、六十四年度から六十六年度までの予定数は四万五千五百十三人ということに今推計をいたしているところでございます。
  104. 糸久八重子

    糸久八重子君 そうすると、あと残りの三年間毎年一万五千人以上の増が必要となるわけで大変だろうと思いますが、私は、初任者研修制度を本格実施したいとして今法案を出しておるわけですけれども、これがこの第五次定数改善計画の完結に影響を与えないかと大変心配をするわけです。既に文部省は、先ほども説明があったわけですけれども、初任研については小中高一緒に本格実施するのでは大変財源がかかるというようなことで六十四年度は仮に小学校だけでスタートをする。そうしましても初任者に対する指導教員の数は三千人以上を必要とするということなので、これが本当にこの第五次定数改善計画の実施に影響を及ぼさないのかどうか、その辺のところの御見解はいかがですか。
  105. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) 御説明申し上げます。  今先生御指摘の初任者研修を本格的実施いたします場合には指導教員等の教員定数の措置を要するわけでございますけれども、先ほど御説明申し上げました現在進行中の定数改善計画と定数の上では別枠で措置をするというふうな考えに立って対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  106. 糸久八重子

    糸久八重子君 確かにこの定数第五次改善計画というのはこれはもう既に法律や政令で決められ、そしてあと三年でもって完結するということが決められておるわけですから、だからいろいろな事情があってもこの計画の変更とか遅延というのは許されないことだと思うのです。そういう意味で文部省はやはり責任を持ってしっかりと遂行をしていっていただきたい、そのように思うわけでございます。    〔理事出口廣光君退席、委員長着席〕  最後になりますけれども、これは大蔵省と文部省自治省の方に聞いておいていただきたいわけでございまして答弁は必要といたしませんのでよろしくお願いしたいと思います。  義務教育費国庫負担制度というのは義務教育の根幹をなす制度として国の責任を明示したものであって、単なる補助的制度ではないわけです。したがってこれを補助金一般として扱って削減の対象とするのは妥当でない、そう思います。  またこの制度教育水準の維持発展を図るものでありまして、特に教職員の給与、施設設備、教材費の充実というのはそのための非常に重要な要素でもあるわけでございますが、補助金カットとかかわってこの四年間に毎年、この義務教育費国庫負担制度の中に位置する学校事務職員と栄養職員の方をこの制度から除外しようとする財政当局の露骨な動きがあったわけでございます。このことは教職員間に新たな差別と分断を持ち込むものでありますし、同時に学校運営における一体性を損なうということも考えられます。また地方公共団体財政事情によってはその処遇とか定数にも差が生ずるのではないかとも考えられるわけでございまして、この両職種の人たちを国庫負担の適用除外にするということが義務教育に及ぼす影響というのは本当にはかり知れないものがあると思うわけでございます。  歴代の文部大臣も、この両職種については学校における基幹的な職員であるので除外には強く反対するという見解を表明されてきておるわけでございます。国の財政再建というのは重要な課題ではありますけれども、世界に冠たる日本の義務教育の水準を維持し発展を図ることはさらに重要な課題でございます。特に私が今後半に申し上げましたことについては、現在官房長をやっていらっしゃいます古村さんがお書きになった本の冒頭でもきちんと書かれてあるわけでございますので、そういう意味でこの制度から除外しようとすることについては、大蔵省、文部省、そして自治省、特に大蔵省はこれからの義務教育の重要性ということを十分頭に置きながら措置をしていっていただきたい、そのように要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  107. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  108. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 片上公人

    ○片上公人君 初めに消防庁にお願いしたいと思いますが、最近米国で相次いで三件ほど大きな災害がございました。一つはロサンゼルスの高層ビルの火災、二つ目はルイジアナの石油精製工場の爆発、もう一つはロケット燃料工場の爆発でございますが、これらの災害につきましては我が国でもこれまたいつ起こるかわからぬ種類のものであると思います。この辺についての我が国の実情と防災対策について伺いたいと思います。  なお、九日には兵庫の尼崎でも薬品工場が爆発いたしましたが、このような薬品工場の防災対策についてもあわせて伺いたいと思います。
  110. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) アメリカの最近の火災事例に伴います我が国の対策についてのお尋ねでございますが、順次お答え申し上げます。  まず最初に高層ビルの関係でありますけれども、御指摘のように五月四日にロサンゼルスで高層ビル火災があったわけであります。実は本日建設省と消防庁が一緒になりましてアメリカに調査団を出しておりましてその結果を見なければ詳細なことはわかりませんが、新聞報道等によりますと、スプリンクラー設備が現在工事中でございまして未整備であった、こういうことが報ぜられております。  そこで我が国における状況でありますけれども、いわゆる高層建築物、十一階以上のものが昨年三月末で八千六百八十一棟ございます。それから超高層ビル、大体百メートル以上でございますけれども、これが五十九棟ございます。これらにつきましては消防法令上大変厳重な規制をするようにいたしておりまして、例えばスプリンクラー設備、あるいは自火報設備、放送設備その他を義務づけておりますし、また建設省の関係の建築法令におきましても例えば非常用のエレベーターを置けとか非常階段をつくれとか、これもまた厳重なことを言っております。さらに防災上の観点では共同防火管理を義務づけておりまして、総括の防火管理者を置くようなこともやっております。  そういうことで、火災の予防、早期発見、初期消火、早期通報、避難が確実に行われるようにハード、ソフトの両面から規制を行っているところでございますが、今後ともこういうことをさらに充実強化してまいりまして大規模な災害が起こらないように関係者を指導いたしたいと考えております。現在までのところ大きい事故はございません。  それから第二の石油精製工場の関係でありますが、五月五日にアメリカのルイジアナ州で事故が起こったわけでありまして、これも新聞報道以上の情報を得ておりませんで調査団の調査対象にいたしたいと思っております。  石油精製工場は昭和六十二年末現在で四十六カ所ございます。これは原油やガソリン等の危険物を取り扱いますから当然消防法に言います危険物施設に該当するわけでありまして、位置、構造、設備に関するハード面の基準あるいは貯蔵や取り扱いに関するソフト面に関する基準等をちゃんと守ってもらいまして安全確保を図っているところであります。さらに、その一つ一つの施設だけではなくて石油コンビナート地域につきましては御承知のように石油コンビナート等災害防止法というグロスで規制する法律をつくっておりまして、これによりましても災害の発生や拡大の防止に関する総合的な防災対策をやろう、こういうふうにいたしているわけでございます。  それから三番目は、これも同じころ五月四日にアメリカのネバダ州でロケット燃料工場の火災から爆発に至る事故が起こっております。新聞情報等では、ロケットの固体燃料の原料として使われております過塩素酸アンモニウムが火災になり爆発に至った、こういうふうに報ぜられておりますが、この物質は我が国では消防法の第一類の危険物に該当いたしますので五十キログラム以上貯蔵したり取り扱う場合には消防法に基づきます一定のいろいろな基準に適合しなければいかぬ、こういうことになっておるわけでありまして、さらにこの点について施設の安全確保が図られるよう努力いたしたいと思っております。なお国内におきましては過塩素酸アンモニウムの製造工場は一カ所でございますし、それによりますロケットの固体燃料をつくっている工場も一カ所でございます。  それから最後に尼崎の薬品発送センターの爆発事故についての御指摘がございましたが、これは現在原因を調査中でこれまた詳しいことはわかっておりませんけれども、この関係は毒物及び劇物取締法によりまして規制される種類のものでございます。したがって、毒物劇物が原因で爆発したのかその他なのかまだわかっておりませんが、消防機関といたしましても消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物品につきましては消防法の規定に基づきましてあらかじめ届け出をさせる、こういうことをやっておりまして、これに基づいて必要な消火活動をどうやるか事前に検討をいたしております。この関係もさらに徹底して万全を期していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  以上お答えを申し上げました。
  111. 片上公人

    ○片上公人君 消防庁、どうもありがとうございました。  今回の国保改正に関してお伺いいたしますが、都道府県の負担導入によりまして医療の確保に対する努力が希薄になっていくのではないかということが心配されるわけです。例えば有名な岩手県沢内村の場合、役場の隣に国保病院をつくりまして、そこの院長が村の健康管理課長を兼ねる体制をとって、保健婦などの日常的な予防活動、早期受診を組み合わせております。一方では六十歳以上の人と乳児の医療費無料化を行うなど地方自治体を挙げての総合的な施策を行った結果、この村は二十年ほど前には県内で国保税の最も高いグループだったのが今では安い方に属しておるということでございます。  その意味におきましても安易に県の負担を入れることで地域の総合性が損なわれることが心配されるわけでございますが、その辺はどうなのか。つまり市町村が単なる医療費支払い機関になってしまうおそれはないかどうかということをお伺いしたいと思います。
  112. 津田正

    政府委員津田正君) 今回の国保制度見直しにおきまして都道府県、市町村もある程度参加するというようなことになりましたが、しかしこれはもともと暫定措置であるというような性格と同時に、やはり国保事業基本というものは保険料と国庫負担、こういうような観点は変えておらないわけでございます。保険制度の基礎条件を超える部分について国保の安定のための条件整備に都道府県、市町村が、普通会計でございますが暫定的に協力するということでございまして、基本的に国保の性格というものを変えるものではございません。  そして、従来もそうでございますが今後におきましても、市町村は国保の運営のみならず、地域の総合的な行政主体として地域住民の健康の保持増進を図るために伝染病の予防あるいは老人のヘルス事業そのほかの予防事業、こういうような施策というものにつきまして役割がますます重要になると存じますし、私どももそういうような観点で地域住民の健康対策、医療対策に取り組んでいきますよう指導もし、またいろいろな面での援助も果たしたい、かように考えております。
  113. 片上公人

    ○片上公人君 臨時行政改革推進審議会の六十一年六月十日の答申では次のように述べておられます。  「国民健康保険について、保険料負担の一層の公平化を図るため、保険料(税)賦課方式見直しを行う。また、地域医療保険制度として長期的安定を図るため、小規模保険者等の運営状況にてらし、運営主体の広域化を図るとともに、保険運営についての都道府県の役割の在り方等について、早急に結論を得るよう検討を進める。」  このようにありますが、このような国保運営の広域化につきまして自治省としてはどのように考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
  114. 津田正

    政府委員津田正君) 国保運営の広域化ということを考える際には種々の観点から考えなければならない、かように考えております。  国保事業を市町村が経営するわけでございますが、一件何百万というような医療費が必要になったときどう対応するか、これはなかなか難しいものと思います。そういう意味におきまして市町村の連合体による高額医療共同事業というものが行われておるわけでございますが、やはりこれについては都道府県も参加していただくというような観点での広域化ということは必要と考えておりまして、今回の見直しにおきまして、六十三、六十四年度暫定措置とはいいながらそのような高額医療費共同事業という格好で都道府県の参加もお願いするような格好にしておるわけでございます。  そういうように高額医療費が出た際の処理というようなことでの広域化ということは考えられるわけでございますが、実際の国保事業運営におきましてその一つの大きな基盤でございます例えば国民健康保険税あるいは保険料というものが市町村を除外して都道府県が果たして課税なり納付を求めることができるかというと、これはもう到底できないわけでございまして、住民税におきましても県民税は市町村で取っていただくというような格好になっておるわけでございます。そういうような面から申しますと、そういうような経営の重要な財源でございます保険料あるいは保険税の収入確保という点を考えますと広域化ということはできないのではないか。  それから、先ほど先生からも御指摘がございましたが、やはり地域住民の健康を守る、医療対策を講ずるというような意味におきましては、第一線でございます市町村がヘルス事業等を含めて総合的に国保運営とも絡めまして対策を講ずるのが一番いいのではないか。そういう点から申しましても広域化というものにつきましては限界がある、そして高額医療等については必要な措置を考えた、こういうことでございます。
  115. 片上公人

    ○片上公人君 次に財政の上からでもちょっと疑問があるのでお伺いしますが、今回の改正によります地方財政歳出増は六百九十億円とされまして、この負担増については、交付税の不交付団体分を除いて全額交付税の特例加算措置することとしております。しかしそうするのであれば別に地方負担など初めから求める必要はないのであって、国が国庫財政から負担すればこれは済むことではないかという疑問がわくわけです。このような複雑な財政措置までして地方負担を求めるというのはほかに何か思惑があるのじゃないかというようなことを考えますが、そんなことはございませんか。
  116. 津田正

    政府委員津田正君) 今回の国保制度見直しにおきまして、保険制度の基礎条件を超える部分、先ほど申しました小規模市町村が経営するということから高額医療費が出てまいったときに対応できない、それについて都道府県の参加を求めるとか、あるいは低所得者を抱えてそこからの保険料は取れない、それではその取れない部分をほかの被保険者にかぶせるということも困難ではないかとか、そういう意味におきまして、暫定的ではございますがそのような国保の安定のための条件整備につきまして地方団体の普通会計にも御参加いただいたわけでございます。  そういたしますと地方団体の普通会計の問題にもなってまいるわけでございまして、その地方負 担の増加額につきましては地方財政運営支障がないよう地方交付税を中心といたしました財源措置を講じた、このような考え方でございます。
  117. 片上公人

    ○片上公人君 もう一つ疑問に思うんですが、地方負担分の一部に地方債を充当することとしている点についてでございます。地方債というのは地方財政法第五条で適債事業が決められておりまして、これに合った事業に充てられるのが建設地方債でございます。これに対しまして経常的な経費に充てることは、将来次の世代に負担を残す地方債性格から赤字地方債としてこれは禁じております。しかし補てんしようとしている国保はまさにこれは経常的経費でございます。したがって地方債で補てんすることは許されないわけですが、政府がやろうとしておるのは、直接国保の分に地方債を充てずに他の直接関係のない投資的経費地方債を充て、その分の財政需要額を国保に回すという操作を行うものとしております。  これは地方財政法第五条の脱法行為に当たるのではないかと思いますし、こういうことが自由に認められるというのであれば地方財政法第五条というのは何の意味もなくなるのではないか、このようにも思いますが、いかがでしょうか。
  118. 津田正

    政府委員津田正君) 今回の国保制度見直しに伴います地方負担は地方交付税を中心といたしまして措置しておるわけでございますが、そのほかいわゆる不交付団体につきまして調整債というものも充てようということでございます。ただこの場合申し上げなければなりませんのは、交付税の措置でございますので、これは交付団体基準財政需要額のみならず不交付団体基準財政需要額にも算定するわけでございます。そういうような基準財政需要額、従来のものに上乗せをして算定した基準財政需要額をなお基準財政収入額が超えるという場合にどうするか。  いわゆる財源超過額の扱いになるわけでございますが、不交付団体にとりましては財源超過額というのは何もむだな金ではございませんでそれ相応に今までも事業をやってきておる。ところが基準財政需要額で国保の地方負担というものを見られ、そしてそういうような格好で国保に対する地方負担をしなければならない。それでは今までの財源超過額で行っておった事業というものが縮小する。こういうようなことも当該団体の財政運営支障を来すのではないか。したがいましてそのような財源超過額の中で今までやられておったような投資的事業について調整債を充てる、こういうような考え方でございます。  したがいまして御指摘地方財政法五条の趣旨には反しないわけでございますが、ただ基本論にさかのぼりまして、補助負担率引き下げの中の経常経費に対する措置での考え方とも共通するわけでございますが、このような経常経費的なもの、もちろんこれは二年間の暫定措置というものでございますが、これについては本来からいえばやはり地方一般財源というような手当てというものが筋ではないかとは思っております。そういう問題がございますが、今回の措置は決して地方財政法五条に違反するものではない、かように考えております。
  119. 片上公人

    ○片上公人君 地方交付税制度について伺いたいんですが、地方交付税昭和二十九年に平衡交付金制度から移行して徐々に税率を引き上げて財源を充実し、四十一年度以来三二%で対処してきたところであります。この間には幾多の財源難にも見舞われまして、交付税特別会計の借り入れ、地方債増発で大部分が補てんされてきました。そのためにこれらの借り入れが累積しまして、五十九年度からは特別会計の借り入れが限界に達して借り入れを中止することになっております。地方債につきましても公債費負担比率の上昇を招いておりまして早晩抑制措置を講じなければならないところに来ておると思います。  したがって地方交付税制度として既に破綻しておるのじゃないかという見方もできると思うわけですが、現在のままで地方交付税は二十一世紀に向けてその機能を十分果たし得ると考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  120. 津田正

    政府委員津田正君) 地方団体財源を考えます際に、やはり基本地方税として地域の住民がその地域の種々の施策について負担をしていただく、こういうことがもちろん原則でございますが、残念ながら我が国の経済の地域的な発展の不均衡と申しますかかなり地域格差があるという中におきまして、地方団体が安心して地域の行政をやっていくためにはどうしても財源調整そして財源保障の機能を有する地方交付税というものが非常に重要な役割を果たすわけでございます。特にまた、残念ながら一極集中というような動きのある中におきましては地方交付税の機能はますます重要視しなければならないのではないか、かように考えておるわけでございます。  最近におきます厳しい財政事情の中におきまして六条の三の事態ということも抱えておるわけでございますが、毎年度年度、全額地方交付税での措置ということではございませんで、かつては資金運用部からの借入金なりあるいは地方債なりそういうような財源も組み合わせながらしのいでおるわけでございます。やはり基本的には地方交付税の充実ということが必要であると考えておりまして、今後におきましてもその所要額確保というものに努めてまいらなければならない、かように考えております。
  121. 片上公人

    ○片上公人君 特に昭和六十六年度以降は交付税特別会計の借入金の償還が再開しまして償還額が急激に増加していくものと思われますけれども、その対策についてはどのように考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
  122. 津田正

    政府委員津田正君) 現時点におきまして交付税特別会計の借入金、いわば地方団体の共同の借金というふうに考えてよろしいものでございますが、それが五兆九千億円に達しておるわけでございます。そしてその償還が六十六年度以降に始まるわけでございまして、将来の地方財政に相当な負担になる、このように予想されるわけでございます。  基本的には、交付税特別会計におきます借入金の償還を行うために行財政効率化等の推進を図らなければならない、また地方財源充実確保に努めなければならない、こういうようなことと同時に、六十二年度の補正でお願いいたしましたような、六十二年度の補正の場合二千三百億円ばかり六十六年度以降の負担軽減を図ったわけでございますが、そういうような観点も含めまして中長期的な地方財政運営確保ということが必要と、かように考えております。
  123. 片上公人

    ○片上公人君 昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律による同年度総額特例措置額のうち返済を要する額一千三百九十五億二千万円についての一部である返済額は、六十一年度交付税特別会計借入金四千五百二億四千万円に係る利子負担相当額二百三十億円と相殺しておりますが、今後の償還はどういう方針でするのか、お伺いしたいと思います。
  124. 津田正

    政府委員津田正君) 六十年度地方交付税特例措置、千三百九十五億二千万円あるわけでございますが、これは御承知のとおり法律上昭和六十二年度以降に返済するものと、このようにされておったわけでございます。六十二年度以降ということでございますので六十二年度地方交付税総額をどうするかというときにも議論があったわけでございますが、六十二年度財源不足状況にある、こういうようなことでお断りしておった経緯がございます。  六十三年度におきましては補助金カット等の問題がなければ通常収支が均衡する、こういうような事態の中におきましてこの扱いをどうするかということで大蔵省と折衝したわけでございますが、結果的には、六十一年度の借入金の利子負担相当額、これは大蔵省負担のわけでございますが二百三十億、この部分に対応するだけは返してほしい、こういうような大蔵省側要求もございまして、この部分について今回返済するということにしたわけでございます。  今後の償還の問題につきましてはそれぞれの年度地方財政状況等を考えなければならないわけでございますが、要するに基本的には、必要な地方交付税総額をどのように確保していくか、その際に過去の借金というものを減らせられるのか、当該年度地方交付税総額自体の確保を優先すべきか、そのような点を十分慎重に配慮して考えてまいりたい、かように考えております。
  125. 片上公人

    ○片上公人君 いわゆる臨特と呼ばれるものが三つありますが、その経緯を説明していただきたいと思います。
  126. 津田正

    政府委員津田正君) 臨特と呼ばれるものは現在三つあるわけでございますが、それぞれ昭和五十年代からの非常に厳しい地方財政の中で覚書等で生まれたものでございます。名称で申しますと、利差臨特、地域特例債臨持分、臨時財政特例債分、このような三種類に分かれておるわけでございます。  まず第一の利差臨特でございますが、先ほど来ちょっとお話が出たように、五十年代の財源不足に対処するため地方債に大きく依存した、そういたしますと通常以上の地方債増発しなければならない、それに対して低利安定の政府資金がどの程度確保されるか、こういうような問題になりまして、昭和五十年代の前期におきましては政府資金自体不足しておる、そうすると金利の高い民間資金を活用しなければならない、それならば民間資金と政府資金との利差分については国の責任において負担して地方財政の軽減を図るべきだ、こういうような観点で設けられたものでございます。  それから第二番目の地域特例臨特分でございますが、これは行革関連特例法に基づきます特定地域におけるかさ上げ補助等の縮減に伴い、それを補てんするために発行した地域特例債の元利償還費の二分の一相当額については元利償還費の発生する各年度において地方交付税総額加算する、このような性格のものでございます。  それから三番目の臨時財政特例債分でございますが、これは六十年度以降の投資的経費系統に係ります国庫補助負担率引き下げによる国費減額相当額を補てんするため臨時財政特例債というものを発行して処理しておるわけでございますが、その元利償還費の、六十年度、六十一年度におきましては二分の一、それから六十二年度新たに引き下げがあった分については十分の九というものについて償還ベースで発生する各年度において地方交付税総額加算する、このような約束事で行われたものでございます。
  127. 片上公人

    ○片上公人君 この臨特の合わせて八百四億円は六十六年度以降まで先延べにする、こういうふうに言っているわけですが、これは何でなのか。例えば交付税特別会計借入金について六十二年度の第二次補正でやったように繰り上げ償還することも一つの方策ではないかと思います。そうすれば利子負担も少なくなるし、あるいはまた地方に配分して地方債償還に充てることも考えてみてはどうかと、素直に考えればそう思うんですがどうなんでしょうか。
  128. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和六十三年度で過去の約束に基づきます臨特は御指摘のとおり八百四億円、その内訳は利差臨特が百七十億、地域臨特が百二十五億、臨時財政特例債分が五百九億、このような額になっておるわけでございます。この八百四億の処理につきましては、先ほど申しましたように補助率カットなかりせば、国保の問題なかりせば六十三年度地方財政収支は均衡する、こういうような事態でもございます。そしてまた六十六年度以降借入金の償還が始まる、その負担というものは非常に重いというような観点で六十六年度以降の地方財政の負担を軽減したい。こういうような観点におきまして六十六年度以降の精算額で調整加算する、こういうような処理をいたしておるわけでございます。  交付税特会借入金については六十二年度の補正予算において先ほど申しましたように二千三百億円ばかり既に繰り上げ償還をしておりますし、また個々の地方団体地方債負担軽減のため繰り上げ償還させるということも考えられるわけでございますが、現在の地方団体発行いたしました地方債というもののかなりの部分というのは市場に流通されておるわけでございます。発行時の金利と現在の金利水準というものの中におきましてそれぞれ市場価格というものをつくって流通しておるわけでございまして、これを地方団体の都合で一方的に返すことになりますと現在のその地方債を持っている方にも不測の損害というものを与える、それがひいては地方債の信用度を落とす、こういうような結果になるわけでございまして、現実問題として難しいわけでございます。  いずれにしましてもこの臨特の処理等におきましても中長期的な観点というもので今後も処理してまいりたい、かように考えております。
  129. 片上公人

    ○片上公人君 地方交付税法第六条の三第二項の規定について伺いますが、同項によりますと「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が引き続き」云々とあって「各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなつた場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」このようになっております。  要件であるところの「引き続き」「著しく」の状況に今までも幾度となく合致してきておるし、五十年代前半ごろには自治省の方もこの規定に基づきまして交付税率引き上げの要求をしたと聞いておりますが、しかしながら同項に言うような交付税率の引き上げや抜本的な制度改正は全くなされないばかりか、その後は要求すらなされなくなっております。同項の規定はこれは死文化しておるように思いますけれども自治省としては同項の規定に今も存在意義があると思っていらっしゃるのかどうか、所見を承りたいと思います。
  130. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和五十年代以降の深刻な地方財政の中におきましていろいろな手段を使いまして切り抜けてきておるわけでございますが、基本的には国の財政事情も厳しいためにこの六条の三第二項というものをまともに適用して地方財政対策を講じられる事態になっておらない、こういうようなことでございます。  御承知のとおり五十二年度におきましては特会借入金の二分の一を国が責任を持つ、こういうような単年度限りのいわゆる地方財政制度改正、これも国会で果たしてこれは六条の三の地方財政制度改正の中かどうかという議論が非常にございましたが、そういう議論も含めまして今度は五十三年度にある程度、当分の間資金運用部からの借入金について二分の一国が責任を持つという単年度ではない若干期間を持った改正を行い、さらに五十九年度におきまして交付税の特例措置というものを設けておりまして、一応六条の三に書いてございます事態の中におきます対策、地方行財政制度改正というものの中の措置というふうに考えて処理しておるわけでございます。  しかし基本的に国と地方との財源配分の絡みます問題はやはり六条の三第二項というものが柱でございまして、今後におきましてもこの六条の三第二項の規定の趣旨というものは基本的に考えていかなければならない、かように考えております。
  131. 片上公人

    ○片上公人君 地方交付税算定ということでございますが、これはだれが見ましても非常に複雑でわかりにくい、これをぱっと見てわかるのはよほどの天才じゃないかと思うんです。いろいろな計算を出していらっしゃいますけれどももっと簡単にならぬのか。元自治事務次官の石原信雄さんによりますとこんなように書いていらっしゃいます。  今日の各地方団体別の基準財政需要額と、その総額を各地方団体の人口〇・八及び面積〇・二で案分して算定した額と比較してみると、その相関係数は昭和五十七年度の場合〇・九八一、昭和五十八年度の場合は〇・九九七と極めて高く、また団体別に見ても余り大きな差がないことがわかる、このようにおっしゃっております。つまり、あれこれ計算しても、人口を八割、面積を二割と見て計算すれば複雑な計算結果と大差がないということだそうでございます。そうだとしますと思い切った算定方法の簡素化をすべきではないかと 思うんですが、どうでしょうか。
  132. 津田正

    政府委員津田正君) 御指摘のとおり、現在の地方交付税算定につきましては複雑過ぎるのではないかというような御意見というものもよくいただくわけでございます。一例を申しますと、例えば道路橋梁費の算定におきましては道路延長を測定単位としましてそれに単位費用を掛けるということでございますが、例えば大都市は国道なり都道府県道を管理している、それの財源措置というものは単純な道路延長掛ける単位費用ではないのではないか。あるいは橋があった場合、特に永久橋ではございませんで木橋というものがあればそれ相応に増高する経費があるではないか。あるいは同じように道路整備がされておっても交通事故の多発地帯とそうでない地帯をどのように財政需要としてカウントするのか。  実は地方団体側におきましても各種各様の財政需要が地方交付税にどのように算定されるかということにつきましては非常な関心を持っており、また私どももそのような御意見に対応いたしまして、今申しましたのは道路橋梁費の投資補正の中の項目でございますが、そういうような項目を入れながら補正をして算定しておるということでございます。いずれにしましても、地方交付税の機能が財源保障であり財源調整というような基本的な使命を持っておるわけでございまして、自然的社会的条件等を異にする地方団体の多種多様な財政需要にできるだけ適切に反映するような算定をしなければならないということで複雑化してきております。  そういうことで、もうちょっと簡単にということで私どもその点を十分念頭に置きながら今後も対処しなければならないわけでございますが、地域的な特性に伴います財政需要をどのように的確に算定するかという要請も一つございます。また単純に人口で幾ら面積で幾らというよりは、地方団体予算編成の一つの基準として、拘束されるわけではございませんが、例えば教育費についてどの程度交付税の基準財政需要額算定されるかということがわかることによりまして予算編成の一つの大きなめどと申しますか参考資料にもなる、こういうような性格も持っておるわけでございます。そういうようなことでどうも細かくなり過ぎるわけでございますが、常に御指摘のように簡素化ということも念頭に置きながら、そして各地方団体財政需要を的確かつ公平に算定できるよう努力してまいりたい、かように考えております。
  133. 片上公人

    ○片上公人君 単位費用の改定に関してですが、法案の提案理由のところを見ますと、昨年部分と違っているのは地域産業の育成等地域振興に要する経費、生涯学習の推進等の関係、長寿社会対策土地対策等に要する経費などであります。これは具体的にどう措置されているのか説明伺いたいと思います。
  134. 津田正

    政府委員津田正君) 地域産業の育成等の対策あるいは生涯学習の対策あるいは長寿社会の対策そして土地対策というものは、現在の情勢におきまして地方団体のなすべき仕事としても重要なものではないか、このような観点におきまして、六十三年度の交付税の配分におきましても充実してまいりたいということでございます。  第一の地域産業の育成等地域振興に要する経費といたしましては、これは道府県の商工行政費の中で対応するわけでございますが、産業導入の計画的な推進のための費用や地場産業振興対策あるいは観光振興対策、そういうような経費を充実しております。それから労働面におきましても、労働費におきまして地域雇用対策経費というものの算入も行っております。以上は都道府県でございますが、市町村分におきましても商工行政費におきまして地場産業振興あるいは観光推進のための経費を充実しております。  それから生涯学習の推進等に関する経費でございますが、道府県分のその他の教育費におきまして、従前の国庫補助事業に係るものに加えまして地方団体が単独で行う生涯学習施策に要する経費を新たに算入することといたしました。  それから第三の長寿社会対策観点での充実でございますが、道府県分の社会福祉費あるいは市町村分の社会福祉費におきまして、それぞれ地域単独の福祉施策あるいは長寿社会対策経費を明示いたしましてその算入額の引き上げを行っております。  土地対策におきましても、道府県分のその他の土木費における土地対策関係職員の増員等を図りまして組織体制の強化に資するものとしておるわけでございます。  これらの施策というものは最近の情勢にかんがみ重要な部分でございますので、地方交付税においても対応して充実を図ったところでございます。
  135. 片上公人

    ○片上公人君 先ほど単純にならぬかと言うた後またこういう質問をするのもなんでありまして、こういうような質問をするから複雑になる面もあるんですが、この一、二年の間に大都市地域を中心に地価が上昇した、そこで地方交付税算定の関係におきましても地価高騰に伴う事業費に対処する必要が生じてくる、こう思われるわけです。例えば市町村分の先ほどありました道路橋梁費、都市計画費には土地価格比率や可住地土地価格比率の項目が入っておりましてその見直しなどが伝えられておりますけれども、地価上昇に関係する問題で地方交付税としてどのように対処していく方針なのか、伺いたいと思います。
  136. 津田正

    政府委員津田正君) 地価の状況に対する財政需要の算定につきましては、基本的には普通態客補正というもので対応しておるわけでございます。普通態客補正の指標の一つといたしまして宅地平均価格指数というものを用いて地価の差を反映した基準財政需要額の割り増し算入というものが基本的には行われておるわけでございまして、六十三年度はこの宅地平均価格指数の置きかえということを考えておるわけでございます。  このような基本的な普通態容補正のほかに、御指摘の道路橋梁費あるいは都市計画費の投資的経費につきましてはさらに大都市において増高する用地費を反映するよう土地価格比率によります補正を適用しておりまして、六十二年度普通交付税算定時に割り増し率の上限の引き上げというものを行いまして近年の地価の上昇を反映し得るような措置をしたところでございますが、今後におきましてもその充実方を検討してまいらなければならないもの、かように考えております。
  137. 片上公人

    ○片上公人君 公債費負担適正化促進措置というのが六十二年度からスタートしたわけでございますが、計画を実施しようとしている団体の状況を御説明願いたいと思います。  また同計画の要件であるところの起債制限比率一八%以上の団体で適正化措置に加わらない団体はどの程度あるのか、伺いたいと思います。
  138. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和六十三年度におきまして公債費負担適正化計画を策定し都道府県と協議を調えて私どもに提出されました団体は百三団体、十七市六十七町十九村でございます。起債制限比率の段階別で見てまいりますと、一八%台が四十七団体、一九%台が二十九団体、二〇%以上が二十七団体、こういうふうになっております。  このように百三団体が提出されたわけでございますが、起債制限比率一八%以上で百十四団体が計画の提出がいまだない、こういう状況でございます。
  139. 片上公人

    ○片上公人君 関連してですけれども、従来危険ラインと言われておりました起債制限比率一五%以上の団体で、公債費負担適正化措置の対象となる一八%との間のいわばボーダーラインにある団体の状況はどうなっておりますか。
  140. 津田正

    政府委員津田正君) 一五%以上一八%未満の起債制限比率の団体を段階別に数えてみますと、一五%台が二百八十六団体、一六%台が二百十二団体、一七%台の団体が百五十六団体でございまして、六百五十四団体に上っております。
  141. 片上公人

    ○片上公人君 次に多極分散についてお伺いいたしますが、内政の重要課題として多極分散が事あるごとに言われておるわけですが、いまだにその方向性がはっきりしない点があると思うんです。 大臣のお立場からいま一度お述べ願いたいと思います。
  142. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 近年我が国の国際化情報化等の進展する中で業務機能、中枢管理機能等の東京への一極集中が促進され、昨今の地価高騰を初め住宅難、交通混雑等さまざまな大都市問題が生じていることは御案内のとおりであります。一方地方圏では、産業構造の急速な転換の過程で構造的不況に陥り雇用問題が深刻化した地域が多く見られるなど、国土政策や地域政策の観点からのみならず健全な地方自治の発展という観点からも多くの課題が現出しているところでございます。  このような状況に対処し、人口及び諸機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り、地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備推進すること等により住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会の実現を目指すというのが多極分散型国土形成の必要性、目的だというふうに考えております。
  143. 片上公人

    ○片上公人君 国土庁にお伺いしますが、ふるさと創生の具体化の一つが中央省庁関係機関の地方移転であると思います。しかしながら一時期の熱気が冷めまして各省庁の反発が強いようにも聞いておりますが、今この問題はどのような状況にあるのか、説明していただきたいと思います。
  144. 中野和義

    説明員(中野和義君) 現在進めております政府機関等の地方移転の状況について御説明申し上げます。  この移転問題につきましては一月二十二日に政府としての方針を定めたわけでございまして、この方針に従いまして各省庁とともに移転機関の検討を進めてまいっているわけでございます。あわせてこの移転方針を決めましたときに関係省庁より成ります連絡会議の設置を決めたわけでございますが、この中におきましてこれを推進する四省庁でもって具体の案を検討するということになっておりまして、現在はこの四省庁でもって関係省庁の御意向を踏まえつつ今後の進め方について鋭意検討しているのが現状でございます。
  145. 片上公人

    ○片上公人君 第一次の移転候補は二十機関十一部隊で移転職員は数にしてわずか五千四百人、これは首都機能の分散と言えるものではないと思いますが、今後このことについては、個々の移転機関は別といたしましてどの程度の機関で何名程度の職員が移転するのか、計画の全体像を明らかにしていただきたいと思います。移転の基準などは明らかにされていますけれども、どの程度の規模になるのかが重要ではないかと思いますので、どうでしょうか。
  146. 中野和義

    説明員(中野和義君) 御指摘のとおり、一月二十二日時点で各省庁におきましてとりあえず当面検討可能な幾つかの機関の提示がございました。これにつきまして現在、その後の状況の変化等も踏まえましてその充実を図るべく今後の進め方を検討してまいっておるわけでございまして、移転の規模あるいは移転に伴います職員数等につきましては今後移転対象機関等が固まりませんと明らかに出せない状況でございますので、今後の検討結果にまちたいというふうに思っておるところでございます。
  147. 片上公人

    ○片上公人君 「国の機関等の移転の考え方」というのの中には「国の機関等の移転により民間部門の地方移転を促進する。」という項目がございますけれども、具体的に民間が移るような可能性はあるんでしょうか。
  148. 中野和義

    説明員(中野和義君) 国の機関等の移転をどのように考えるかという点でございますが、東京都区部の過密の解消あるいは諸機能の過度の集中の抑制等々いろいろなことを考えているわけでございまして、その中で御指摘のとおり国の機関の移転によりまして民間部門の地方移転を促進するということを期待を込めて考えておるわけでございます。これは今後移転対象機関がどのようなものになるかということにも深くかかわっているわけでございまして、移転する機関の性格あるいは規模ないし移転先等といったものによりましていろいろと多様でございますが、私どもとしましては、これはやはりかなり時間はかかるけれどもできるだけそのような効果が生ずるような移転の仕方が好ましいというふうに考えておるものでございます。  移転機関とともに直ちに民間部門が追随するというようなものにつきましては、これを定量的定性的に具体的につかまえることは難しい面もございますが、例えば既に筑波の研究機関のように官庁施設を中心に移転をしたところに近年民間部門の立地が急速に進んでいるような例もございますので、移転の仕方によりましてはそのようなものはかなり期待できるのではなかろうかと思っておるところでございます。
  149. 片上公人

    ○片上公人君 政府機関の地方移転と並んで必要なのは地方への権限の移譲が大事だと思います。この点につきまして自治省としてはどのように対応されておるのでしょうか。
  150. 木村仁

    政府委員(木村仁君) 権限移譲についての考え方でございますが、東京一極集中の傾向を是正する方策について今いろいろな論議が行われているわけでございまして、一極集中を是正し多極分散型国土の形成を推進いたしますためには基本的には各地域がその創意工夫により自主的主体的にそれぞれの特性を生かした地域づくりを進めることができるようにするということが重要であろうと考えております。そのためには住民に身近な事務は住民に身近なところで処理することができるように国から地方公共団体への権限移譲等を進めることが絶対に必要でございます。  これまでにもいわゆる一括整理法案というような形で機関委任事務の整理合理化でございますとかあるいは国の地方に対する関与の簡素化等が行われてきたわけでございますが、これらを地方団体の長年の要望と比較してみますと大変不十分と言わざるを得ないのでございます。今後とも自治省といたしましては地方制度調査会の意見あるいは地方六団体の要望等を踏まえながらあらゆる機会をとらえて努力をしてまいりたいと考えております。
  151. 片上公人

    ○片上公人君 大蔵省に来ていただいておりましたが、申しわけありません、時間の関係でちょっと次にまたお願いします。済みませんでした。  最後に大臣にお伺いいたしますが、今遷都論について具体的な候補地も含めまして大いに語られ始めたところでございますけれども、多極分散といいましても結局中心である国会が動かぬと、それぞれ役所の一機関に行け行けと言ってもなかなか行かない。またそれを各つかさ・つかさに考えろと言ったってなかなかそれはええのは返ってこないと思うわけですね。やっぱり一番いい方法はまず遷都することではないかなというふうに私は思いますけれども大臣としては遷都論についてどのような所見を持っておるのかお伺いをして、質問を終わります。
  152. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 遷都問題は基本的な国の施策にかかわる問題でございますから、四全総でも政治行政機能と経済機能の相互関係のあり方を含め国民的規模での議論を踏まえ引き続き検討するとされているところでございます。  確かに東京の過度集中、私は必ずしもこれを悪だとは思っておりませんが、災害に対処できるかどうかという一つの観点、それからもう一つは一極集中によって地方が受ける疲弊というか雇用の場やそういうものの喪失、こういう場合をどうするかというこの二つの点、それともう一つは国民の利便さという問題をあわせて考えていくならば結論が出ようと思います。  大変難しい問題ではございますが、東京の過度集中というのが、まず今目前に考えられていると言うと大変おどかしめいていることになりますが地震エネルギーの蓄積その他を考えれば、災害に強い東京をどうするかという問題、これをまず一番に考えなければならないと思いますし、もう一つはやはり国民の利便さという相反する問題、しかし長い将来においてそれが国土の均衡ある発展につながるとするならば、私は遷都をひっくるめて考えなければならない問題というふうに理解をいたしております。
  153. 片上公人

    ○片上公人君 ありがとうございました。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 きょうは、一つは今最大の関心事になっております例の新大型間接税導入の問題が地方財政にどういう影響を与えるかという点と、二つは補助金カット問題、この二つの点でお伺いしたいと思うんです。  先月の末に出されました政府税調の中間答申の中で、今回の税制改革は全体として租税負担率の上昇を目指すことなく行われるものであって税制のゆがみを是正する点に主眼がある。つまり全体としては増税にならない、その範囲内で直間比率を見直すというように受けとめられるわけですが、その辺は自治省、それでよろしいでしょうか。
  155. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 御指摘のように政府税制調査会の中間答申におきましては、今回の改革につきましては税制の姿というものにつきましていろいろ御検討いただいて改革を行う、これによって増収を図るという考え方はないわけでございまして、ただいま御指摘がありましたように、これによって租税負担率を上昇させることを目指すというようなことではないということも中に書かれているとおりでございます。
  156. 神谷信之助

    神谷信之助君 また中間答申では新消費税の導入に当たっては「新消費税の一部を地方の間接税とすることについては、制度の簡素化の要請、納税者等の事務負担の問題等があるので適当ではないとする意見が多かった。したがって、新消費税の地方団体への配分は、他の方法によって行うことが適当である。」こういうように述べています。  「他の方法」というのは明示されてはいませんが、つまり売上税のときのように新譲与税といいますか、あるいは交付税形式をとるのか、そういう方法による可能性が大きいというように考えていいでしょうか。
  157. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) この点はまさに答申においては明確に示されておりません。ただ新しい消費税の導入に伴いまして地方の部分につきましてもこれを地方の消費税として構成するということは、今回の改革が特に納税者の側に立った簡素といいますかそういった問題を非常に強く意識いたしますがゆえに、ただいま御指摘のような答申になっているわけでございます。そこで、別の方法によりということも含めまして地方の問題についてはそこは非常によく問題意識といいますかそういうものを持って答申が行われております。  今後の検討課題でありますが、今回の改革に伴います地方への影響額というのは、もちろん第一に減税の問題がございますけれども、第二には既存間接税との関係の問題、それから国税の減税に伴います交付税問題、いろいろありますので、そういった問題に対応してどういう方策がとれるか、こういうことになるかと思います。前回提案されました売上税のときの例もございますので、そうした考え方も一つの形としてはあり得るのではないかと思いますが、そこはまだこれから全体として税制改革の姿かたちというものの検討の結果どうするか、そういう段階での詰めではないかと考えております。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 今税務局長がおっしゃったように、個人、法人の住民税減税による減収、それから法人事業税の減収、あるいは法人税減収のはね返り分がそれに含まれてくると思いますが、それが新譲与税のような形か何かにしろ補てんをされる。  前の売上税のときは法人税減税の法人事業税への影響は遮断するという方法をとっていますけれども、いずれにしても減収になった分は何らかの形で補てんをする、あるいは影響をしないようにする。それから既存のいわゆる地方間接税の廃止による減収についても当然補てんをするであろうということが予想されるとすれば、地方財政の税収の面で言うと売上税のときと同じように結局プラス・マイナス・ゼロ、直ちに地方財源がふえるとか減るというようなことにはならない、そういうように理解をしていいですか。
  159. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) この問題はまさにこれからの検討課題でございますが、ことしの地方税制の改正のときにもいろいろ御議論がございました。所得税の減税問題と並んで住民税減税問題というものにつきましてはいろいろな御議論がありまして、場合によっては先行的な減税であるべきだとか、あるいは場合によっては地方団体自身の始末によって減税を行うべきであるとか、また国会での御論議ではないわけですけれども広く考えますとまださまざまな御議論があります。  そういったことを考えますというと、ただいまお話しのような枠組みと、それからもう一つは減税という問題については全体として減税先行であるべきだというふうな議論と、そういったものが今後どうなっていくかということによるのではないか、こう考えております。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかし税制改革をやる、新大型間接税を導入するという場合に、税収がふえるということはないでしょう、国の場合にあっても地方においても。少なくともプラス・マイナス・ゼロ、あるいは減税がもっとふえるかというのが過渡的に、あるいは初めの部分ではあり得るかどうか。だからふえるということはない、租税負担率はふやさないという初めの問題から言えば。ということは大体予想できるわけですか。
  161. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 税制調査会の答申は、まさに負担の増加を目指して行うものではないという趣旨のことで御答申をいただいております。全体といたしましてそういった基本的な考え方というものを踏まえてやっていくことであり、これから政府及び与党の内部でもいろいろな調整が行われます場合にそういった問題が意識に十分入って議論がされると思います。  それでは減税の方が大きくて新しい間接税の方がどうか、これはまたこれからの御議論ですが、ただいま申し上げましたように減税先行論というのもございますしいたしますから、そういった議論はこれからさらに詰まった姿で国の方も地方の場合もその問題は共通にあるのではないか、こういうふうに考えております。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 少なくとも新大型間接税を導入することによって地方税収がふえる、地方税源がふえるということにはならない。あるいは補てんは恐らくするだろうからプラス・マイナス・ゼロという状況にはなる、地方間接税が新大型間接税に吸収された場合は恐らく補てんせざるを得ないわけですからね。そういう状況になって、結局地方財政のサイドから見たら新大型間接税が導入されても地方税収がばあっとふえるというようなことは考えられないというのが今度の税調の中間答申を見ても読み取れるんじゃないですか。
  163. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 租税負担を増加させないということになり、そしてまた減税問題というのが、住民税の減税はしないでよろしい所得税の減税だけはやっていくというような議論があっているのであればともかくといたしまして、個人の所得に対する課税といたしましては所得税についても住民税についても御議論があるわけでございますのでそれは共通の課題と、どの程度どういうふうに分け合って減税が行われるかはこれからでございますけれども、そうした状態を考えますというと、全体として税収をふやすことを目的として改革が行われるということではない、こういうふうに考えております。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういたしますと、あとその次に残るのは地方財政のプラスかマイナスかということで、税収の方では大体プラスもマイナスもない、あるいは減税がうんと大幅になればマイナスの場合もあり得るけれども、少なくとも増税をしないという原則からすればプラスにはならない。それともう一つ地方財政影響が出てくるのは今度は歳出の面で、大型間接税がどういう形でやられるにしてもそれは価格に転嫁をするということが当然起こり得る。それがどの程度価格に影響するかというのはいろいろありますが、少なくとも影響を与える。  そうすればそれはそれだけ歳出の方がふえるということは明らかで、売上税のときに自治省が試算した地方の負担増一般会計七千三百五十五億円、公営企業関係二千七百五十四億円、合計一兆百九億円、そういう数字でしたね。しかし今度はさらに、中間答申で見てみますと「消費に薄く広く公平に負担を求める」という点が三十三ページにありますし「非課税取引は基本的には設けるべきではない」という点が三十八ページにありますから、そういう点から見ると売上税のときよりも一層この負担増というのは幅というか種類が広がってくる。だからふえてくるというように考えなきゃならぬと思うんだけれども、この辺はどうですか。
  165. 津田正

    政府委員津田正君) 先生お示しの数字も仮の試算の段階でございましたが、今回の税制改正の論議におきましては、今税務局長が申しておりますとおり、では新しい間接税の税収をどの程度にするかということ自体も決まっておらない。そしてさらに非課税の扱いをどうするのか。先般の改革案におきましては、民間企業と競合するものについては地方団体事業でも課税するけれどもそれ以外のものは大体非課税、しかしながらいわゆる公共事業を発注すればその中に売上税負担が入ってくる、こういうような観点での計算でございまして、現段階におきましてはそのような地方団体が行っております事業にどの程度課税するのか課税しないのかそれ自体も実は決まっておらない。  そういう意味におきまして、いわゆる歳入面もまだ定かではございませんしそれによって影響を受ける歳出面での地方負担というものもまだ明らかでない、こういうような状況でございます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 確かにそういう点でまだ中身が明らかになっていない段階ですからなにだけれども、しかし今出ている正式のものとしては税調の中間答申があるわけで、それを基礎にして見てみると、大体税収の点では余りプラスにはならない、地方財源がぱあっとふえるという感じではない。それから歳出の方はいずれにしても売上税のときよりもさらに広がるであろう、ふえるであろう。単に非課税品目でなしにゼロ税率というような要求もありますから、そういう面がどれだけ取り入れられて出てくるかによって少しはまた変化してくるでしょうけれども、少なくとも歳出負担増というのは避けられない。  そうすると新大型間接税の導入というのは地方財政サイドから見たら何にもプラスはないのじゃないか、プラスになるものは何にもなくて逆にデメリットだけがふえるのじゃないか、こういうように考えざるを得ないと思うんです。収入の方は変わらへんのに歳出だけふえるのやからデメリットだけになる。地方財政の面だけで見たらそういうように言えるのじゃないのか。この点はいかがですか。
  167. 津田正

    政府委員津田正君) 歳入歳出面にわたるものをまだ計量的に詰めるというような状況でないわけでございまして、そういう意味で果たしてデメリットがあるのかどうか言えないわけでございます。  ただこの問題は、もう税務局長が申し上げておりますが、地方団体財政のメリット、デメリットということと同時に、やはり論議されておりますのは地域住民と申しますか国民の税負担と行政水準をどうするか、結局はこういうような観点での議論が結論を出されていかなければならないのではないか、かように考えております。しかし地域住民の第一線の行政を担当しております地方財政運営支障のないよう私どもも懸命の努力をする所存でございます。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう国民の生活自身にどういう影響を与えるかという点の論議をするともっとでかい話をいろいろせにゃいかぬので、私は今地方財政の問題だけで言っているんだけどね。  もう一つ今度は、今地域住民の問題も出ましたけれども、地域住民にとってみたら、例えば現在ある地方の間接税が新大型間接税に吸収されるということになったら大変な影響が住民に直接出てくることになる。例えば電気税ですと税率五%で免税点は月三千六百円以下、ガス税は税率二%で免税点は月一万二千円以下、料飲税は税率一〇%で免税点が飲食で二千五百円以下、宿泊は五千円以下で基礎控除二千五百円というようにありますが、これが吸収されたらもうなくなりますね。  この間接税そのものが総理の六つの懸念の中にも第一に挙げているように逆進性が強い。それを中和をするんやと一生懸命答弁をされているんだけれども、具体的にこの電気税やガス税や料飲税というのはどうやって中和するんですか。例えば生活保護世帯は電気税は要りません、大型間接税はゼロにしますというような形にはできないわね。そうすると、あとは例えば生活保護世帯に対する給付をふやすとかあるいは所得制限をもう少し引き上げるとかそういう政策しかない。しかしそれは制度的にやってずっと維持するのじゃなしに、何というか政策的なやつで変化が起こったらしょっちゅうどんどん変わるわけですから、中和するといっても極めて不安定な中和政策になってしまう。  こういう点が地域住民の面からいっても地域住民に責任を持つ自治体のサイドからいっても非常に問題があるのではないかというように私は思うんですが、この辺は大臣はどうお考えですか。さっきから大分話をしたそうな顔をしていらっしゃるからお聞きしますけれども
  169. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 現在の間接税が免税点を設けておりまして、代表選手として今料飲税のお話も出ましたが、これは零細負担を排除するとかあるいは大衆負担の軽減を図るということと同時に、税金を執行していくための簡素化という趣旨もございます。現在旅館は一人一泊五千円それから飲食店等につきましては一回二千五百円という免税点をやっておりますから、それ以下の消費というものは課税されていない。新しい方式の間接税にこの料理飲食等消費税が吸収された場合にこの新税の仕組みいかん、広く導くということであれば恐らく全部だから仕組みといっても方法がないであろうという御指摘もいただきましたが、そういう意味では免税点以下のものにも新税が課税されることになるということは御指摘のとおりでございます。  しかしこの問題は免税点以下の物品がどうという問題ではございませんで、基本的には今まで課税されていない物品やサービスに広く負担を求めるということの是非ということが問われ、そしてそれについて税制調査会の答申は、そういう負担を求めるということが適切である、こういう基本的な議論で答申をいただいておりまして、政府としては基本的にそういうことは踏まえていかなければいけない、こういうことだと思います。  ともあれ税制調査会の税制改革についての中間答申におきましては新税との関連におきます料理飲食等消費税の問題については「特に課税対象施設と地方団体の行政サービスとの間には密接に関連性を有すること、税の仕組み等を考慮して、更に検討すべきである。」というふうにされておりますので、そうした全体的な答申の趣旨ということの中でこの指摘も含めまして慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 住民の方はそういうことですが、片方第二の問題として、地方団体の方から根強く要求され我々も当委員会で何遍も主張してきておりますいわゆる地方の自主財源、これをもっと拡充強化せよという問題との関連で見たら一体どうなるのかという点です。  新消費税ができた場合に吸収される予定のいわゆる地方間接税の廃止による減収というのは、六十三年度の地財計画の額で見ますと、電気税が約四千八百八十五億円、ガス税が百七億円、木材引取税が十五億円、地方たばこ消費税が計四千六百三十七億円プラスアルファ、検討対象になっております娯楽施設利用税が千二百八十八億円、料飲税五千六百二十一億円、概算しますと合計一兆一千五百四十六億円プラスアルファということになります。  それともう一つ、個人、法人の住民税減税による減収、あるいは法人事業税の減収、さらに法人税減税のはね返り分、これらがどうなるかというのはまだこれは未確定ですし明らかではありませんが、政府の言われている、最近はちょっとふえたり減ったりしていますけれども三兆円規模の減税という点から見ますと、もしそうすれば一兆円近くの減収になってくるということが考えられるわけです。そうすると、今言いました二つを合わせますと約二兆円近くの自主財源が減少するということになってくる。  これは六十三年度の地財計画の歳入総額五十七兆八千百九十八億円に対しますと約三・五%に当たりますね。最近の自主財源の比率は一体どうかということで地財計画でずっと見てみますと、五十九年度が五〇・二%、六十年度は五二・四%、六十一年度は五三・三%、六十二年度は五二・五%、六十三年度は五三・三%、こうなっています。これは地方税使用料、手数料その他いわゆる自主財源の比率ですが、これが三・五%引き下がるということになると四〇%台にまた逆戻りしてしまう、逆に言うと依存財源の比率を高めるということになりますね。  だから地方自治を確立するための財政的保障として自主財源比率をうんとふやしたいという当委員会の与野党含めあるいは六団体も含めてずっと長い間要求しているやつの逆になってくる、こういうことが予想されるわけですけれども、この辺は一体どういうようにお考えですか。
  171. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 中間答申では望ましい税制の全体の姿を示しているわけでございますが、個人住民税の減税の具体的な姿、そういったものは、ただいま御指摘のように、どうするかはこれから全体の枠組みの中で決まっていくわけでございます。また新しい方式の間接税というものの配分方法も今後の検討課題、こういうことになります。  しかし税制調査会の中間答申にもありますように、地方間接税として構成するのではなくて別な方法で財源を配分する、こういうことになっておりますから、まさにその点から申し上げますというと委員指摘のとおりでございまして、自主税源という部分につきましては相対的なウエートを低めるであろう、それだけ交付税とかあるいは譲与税という形の負担といいますか財源措置になるだろう、こういうことは否めないと思います。  この問題は、したがいまして全体として考えますというと、こうした改革の中でどういう骨格として改革をするのが国、地方を通じ全体の姿としていいか、これがまず税調の立場だろうと思います。その上で地方税財源の問題も十分念頭に置きながら、しかし同時に地方税として新たに並列的に地方消費税をつくる場合にどういう問題が生ずるかという御検討をいただいた結果、やはり簡素とかいう要素というものはこの際は非常に重要だ。つまりこの問題についての判断の基準というものはいろいろな面からされなければならない、その調和点が今回のような答申になっているということでございます。  ただいまおっしゃいましたような観点からはまさにそういう問題がある。しかし全体としてのいろいろな価値判断の強弱を考えてこういう答申がなされておる、こういうふうに考えますので、私どもといたしましてはそれを尊重して対処していかなければいけない、こう考えているところでございますが、いずれにいたしましても今後さらにいろいろな部分で検討課題があります。  したがいましてそうした中におきまして御指摘のようなことは十分念頭に置きながら対処しなければなりませんが、いずれにいたしましても、中間答申でも改革に伴う税収の変動によって国及び地方団体財政運営基本的に影響を及ぼさないように処理することということを指摘していただいていますので、そういったことを踏まえて対応を誤らないようにしたい、こう考えているところでございます。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 いずれにしても地方財政収入の面が総体として保障されなきゃいかぬ。これは今最後に局長が言ったように減らすというようなことは当然予想はしていないし考えてもいないだろうと思いますよ。しかし、少なくとも総体が保障されたとしても自主財源比率は今局長もお認めになったように減少せざるを得ない、こういうことは言えると思うんです。  三つ目の問題はいわゆる交付税の財政調整機能の問題です。これは五十八年三月の臨調の最終答申に「地方公共団体間の留保財源等の既存財源の一層の均てん化の検討等の地方公共団体間の財源調整の強化」というのがあります。これは今まで当委員会でも議論になりまして、留保財源に手をつけるというようなことは絶対認めるわけにはいかぬというのが当委員会の意思でもあるし、自治省も大体その点は主張してこられたと思うんです。  今回の税制改革で、租税負担率の上昇は目指さない、租税負担率は動かさない、少なくともふえないというそれを前提とするならば、財政調整の強化ということはパイは同じパイのままということになる。そうすると、留保財源に手をつけるということになれば不交付団体というのはますます減少せざるを得ないわけですが、財政調整機能をさらに強めようとすれば一方で不交付団体をうんとふやさなければ交付団体へ配分する量というのはふえないわけです。  そうすると今度不交付団体をふやそうとすれば地方税の税源をふやさなきゃならぬ。だから国税から地方税への移譲といいますか移管といいますか、移して地方税源そのものを強化する、拡大をするということにならないと、現状このように不交付団体が極めて限られているという状況の中では調整機能そのものをこれ以上強化をするということはできないだろう。  しかし一方では、先ほども話がありましたように過密過疎やら一極集中の問題やらいろいろありまして格差は広がってきているわけですね。だから調整機能をますます発揮しなければ大変な状態というのが現実の問題として存在をする。こうなると私は国税から地方税への税源の移譲というもの、これは六団体の方も大分要求されて運動されていますけれども、このことを考えなければならないのではないかというように思うんですが、この辺はどうですか。
  173. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 国と地方との税源配分問題というのは、これはやはり税源を配分する場合には事務をどういうふうに配分するか、こういうこととの関連だろうというふうに思います。したがいまして事務配分とか財源配分など全体の問題と関連して考えなければならないわけでございます。もっとも地方と国との関係で、例えば国が非常に財源がたくさんあってそしてどうだという段階での話でありますというと話がまた少し違うのでございますけれども、現在の段階はそういうことではございませんので、そうしますというとやはり事務配分、財源配分等と関連する問題だ、こういうふうに考えざるを得ません。したがいましてそういった問題とあわせて考えていかなければなりません。  そうではなくて、いろいろ当委員会でも御指摘いただいているのは、いろいろの税制を扱う場合そういう基本的な姿勢を持って物を考えていくべきだ、こういうことではないかと思います。過去からの経緯を見てみましても、例えば昭和三十年代は租税総額に占める地方税の割合は二八・九%でございましたけれども、四十年には三二・一%、それから五十年には三六%、ことしの実績見込みでは三八%ということになっていまして、これらは私どもといたしましてはそれぞれの個別の税制改正などにおきましてもできるだけ地方税源というものが確保されるような方向に、選択が可能なときはそちらへ選択するという形を積み重ねてきたそういう結果であるというふうに御理解も賜りたい、こういうふうに思うところでございます。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 こういう点はどうですか。今事務配分の問題と財源の問題とはセットで考えなきゃならぬ。しかし現実には地方団体の方が行政事務の七割、八割をやり、しかし税源は二割、三割だ。だから三割自治だとか一割自治だという話があるわけですね。そこで純理論的に言って、現在現実にそれぞれの市町村、基礎的自治体である市町村が仕事をしているという実態がある。そういう事務量や行政の実態に応じた財源の配分について、今のように国と地方が七対三とか八対二とかいうようなことではなしに純理論的に言うならばどうあるべきか、どういう姿が望ましいのか、この辺はどういうようにお考えですか。
  175. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) これは私どもの方からだけで完全なお答えができるかどうかわかりません。しかし税の方から考えましたときに、現在の税源というものを想定いたしますというと、地域的な偏在性というのは縮小よりはやはり拡大という方になっていると思います。したがいましてただいま御指摘の七対三という姿、歳出の構造が仮にそうだということでどうだということになりますと、まず全体トータルとして考えますというと、例えば補助金は全部もう廃止してしまって地方団体持ちとする。そうすればその分を全部地方税で持つ。その分国税を減らす。そうすると所得税大減税、住民税大増税というような姿になるわけでございますが、そのことは別といたしましてそういうことをやったと。  ところが税源偏在問題というのがやはり厳しい状態になってきていることを考えますとそれではぴったりはうまくいかない。そうするとうまくいこうとすれば、所得税の住民税への税源移譲以上に住民税の大増税をやらないとぴったりいかない、こういうような問題がありますので、結局定量的にどれくらい税が充足されればいいかということはこれは一義的には決まらない。私どもは現状よりはやはりもう少し地方税源を充実していく方向で努力をさせていただくということが適切ではないか、これは方向づけとしてはそうでございますけれども、そういう意味で量的にどうだということには一義的に答えが出る問題ではない。  特に最近のような経済の状況というものが全国的に非常に関連性が深まってまいりまして、地方団体それぞれの障壁と言うとちょっとあれでございますがそれぞれのテリトリーの中で自己充足的な姿では完結していかないというような経済活動の実態の中で税源のそういった偏在の状態を考えますというと、なかなかその辺はいろいろ論議をし検討すべき課題がますます多くなってきているのではないか、こういうふうに感ずるところでございます。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると三割自治あるいは一割自治と言われている状態を解決していこうという点での展望というのがなかなか開いてこないんですね。私はやっぱりこれは政治全体あるいは経済全体の動かし方にもかかわってくるのであって、それは確かに簡単にはいきません。だから極めて理想的なというか夢物語的な絵を描きながら、実際に地方財政が確立をしそれぞれの市町村の自主性というものが財政的に確保されるようなそういう状態をやっぱり目指していかにゃいかぬと思うので、そういう点は税そのもののあり方その他も含めて考えていかにゃいかぬ、こういうように思うんです。  しかしいずれにしても、ずっと今指摘をしてきましたけれども、そういう地方税源のさらに充実強化という点からいうと新大型間接税の導入というのはさっぱりメリットはない、逆にデメリットの方がふえてくるというように考えざるを得ないので、したがって地方財政の拡充強化という点からいうと今必要なことは、さきにも同僚議員から話がありましたけれども地方交付税法の六条の三の二項に基づく抜本的な税制改正あるいは財政制度改正、このことを考えなきゃならぬのじゃないか。  今やられている税制改革というのはそういう点では地方財政の現状やあるいは地方自治を保障する地方財政のあり方というようなものとは全く関係なしに考えられているから、地方財政には何のメリットもない、逆にデメリットばかりふえるということであって、そして交付税法の規定さえ踏みにじるようなそういう状態が続いてきておる。先ほど局長は踏みにじっておりません、ちゃんとやっていますとおっしゃいましたけれども、そういうとりあえず切り抜けていくという措置をやらざるを得なかった状態がある。したがって一つはその辺を考えなきゃならぬ。  それは極めて困難なことかというと、私はこういう新六型間接税の導入をしなくても不公平税制の是正及び軍事費を減らすということでこの問題は解決できる。大砲かパンか、パンより大砲だ、そういうところに大型間接税を導入せざるを得ない根本問題があるのじゃないか。この間も産業・資源エネルギー調査会で各党それぞれの見解の表明がありました。経済は何のためにあるのか、それはやっぱり国民生活を向上するためにあるので、そういう点からいえば幾つか問題があるということでいろんな意見が出されていましたけれども、まさに政治というのは国民生活の向上を目指していくためにあるのであって、それが逆にパンより大砲だという方向に行く今の政治のあり方、その根本のところを変えなかったらあかぬ。  また逆に自治省の立場から言うたら、そういうでかいことでなくたって、地方財政を確立をしていく、自主性を確立をしていくという立場に立てば、こんな大型間接税の導入なんかは何のプラスもないんだから反対だというキャンペーンの先頭に立つべきではないかというようにさえ私は思うんだけれども、その辺大臣の見解を聞かしてください。
  177. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 大変狭い意味での自治省を激励をちょうだいいたしまして、非常にまあありがた迷惑と言うとまたしかられますからそう申しませんけれども、確かに自治省的発想あるいは地方自治を守るという観点からの自主税源、財源確保という意味からいえば、今時代に逆行をする増税をして住民税その他の増税を行う、交付税をもっともっともぎり取る、そして国滅びても地方は生きる、そのぐらいの意気込みでやれば地方は大変豊かになるのではあろうかと思います。しかし、いつかも衆議院の地行の段階でも野党の委員の方から、私は親と子の関係だと言ったらば、いや国と地方はまさに車の両輪、並列対等なものであるから、対等の原理に立てばやっぱり対等の犠牲も払わなければならない、そういう観点がございますから、地方自治のみが税財源充実確保を願い国が減税のみを行う、こういうことが果たしていいのかどうなのか、私は国務大臣としては若干疑問に思う点であります。  ただ、今局長とのやりとりにもありましたように、まだこの税制改正、もことしてその規模においてはわかりません。おおむねの方向が幾つか出されておりますが、そういう方向を見ますと国も地方もひっくるめて、こうやって中で協議をすれば地方自治は何とか伸長しろ、そして国民には税負担を少なくしろ、そうすれば狭い道はあるのかもしれませんが、国民全般から言われれば国、地方税をひっくるめて減税をしてくれという大合唱があるわけでございますから、私は地方税制のみ、地方財政のみがこのあれを逃れることはできないという感じがいたしますから大変小さな胸を痛めているわけでございます。  お互いに国と地方のいわゆる行政需要、歳出論はもっと闘わせなければいけないので、漠然とした減税論、漠然とした新税論で果たしていいのかどうなのか。国は何と何と何を行わなければならないか、また地方は何と何と何を行う責任があるのか、そうなりますとおのずと財政規模は決まってまいるわけであります。どんなことをやっても口先だけでうまいことはできないわけでございますから、総体の財政需要があればそれに伴う税収を確保するということは当然の財政理論ではないのかなと私は思います。  どうも今見ますと、批判になるかもしれませんけれども、日本のいわゆる直接税が高いという相対的なものもございまして減税論が大合唱になっておることは何遍か私が指摘をしたとおりでございますが、その大減税をやって果たして我々が国民に、あるいは地方自治で期待をされるいわば行政水準のサービスの維持ができるのかどうなのか大変懸念をする一人でございます。ですから、国、地方を通じてお互いに節減合理化をしながらも、なるたけ小さい政府小さい地方自治体をつくらなければなりませんけれども最小限度の行政水準の維持をしなければならない、そのためにはどうあるべきかということをもっともっと考えていかなければならないと思います。  確かに不公平的な税制の是正もしなきゃなりません。しかしパンより大砲という言葉には残念ながら理解を示すことができません。我々はよりおいしい、よりたくさんのパンと最小限度の戸閉まりをいたそうということで今懸命な努力をいたしているのですから、パンより大砲という表現は私にはとることができません。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 今の点については私の方は反論があります。現行憲法は九条でいかなる戦力もこれを保持しないと明確になっているんですから、その憲法に違反をするような措置はいけない。独立国である限り自衛権を持っていることは事実です。しかし現行憲法の中では戦力を保持することはできないことは明確になっています。自衛権はいわゆる戦力でなしに外交その他平和的政策なりいろんな方法があるわけで、これは別の問題だと言えます。その辺の問題では全然違いますから、根本のところで問題だというように思います。ただもう時間がありませんから第二の問題に移っていきますが、大減税をやれというのは国民の声であって、これは増税なしの減税をやることができるというのが我が党の主張であり、詳しくは言いませんが具体的な政策も出しているわけです。  それで二つ目の問題として補助金カットの方をもうちょっと詳しくやる予定でしたが、午前中のところでも既に答弁がされていますから、時間もないので少しはしょってエキスのところだけいこうと思います。  問題は、六十四年度予算編成補助金カットがまたまた今度は恒久化される危険がないのか、三年前の補助金問題検討会の二の舞になりはしないかという危険を多分に持っているわけです。六十年の夏に補助金問題関係閣僚会議がやられ、そして補助金問題検討会がつくられました。そして結局十二月二十日でしたか、とにかく来年度予算大蔵原案で補助金削減を明確にしたその時期に報告が出てきているわけです。そしてとりあえず、それならしゃあないから三年間検討期間を置いてとこうなって今日に来ておるわけですよ。  だからあれが、例えば検討会でもっと早く結論が出て、地方負担はふえるぞ、国の負担は削られるぞ、補助金カットはさらに続けてやられるぞというようなことがわかればこれはごうごうたる批判なり反対の声が強まっていたでしょう。もう土壇場になって、結局自治大蔵大臣だけではけりがつかないで、あのときは藤尾さんでしたか政調会長立ち会いでやって、最終的な妥協といいますか当面の対策といって三年間の暫定措置を決められた。しかし、この三年間に国と地方との事務分担を具体的にどうし、そのために財政的にどういうように分担をするのかというようなことについて問題を国民の中に提起をし、あるいは地方六団体あるいはすべての自治体に提起をして議論をし、そして合意を得ながらやっていくというようなことはさっぱりやられてない。いまだに同じことが繰り返されている。  これは大変重大なことで、結局また土壇場になって国の財政がこれだけ厳しいんやからやむを得んわということで何だかんだといかれてしまう。国保制度の問題もそうです。これは次のときに時間をかけてやりたいと思っていますけれども、そういうことが繰り返されたら大変なことだと思うんですが、大臣、そういうことは絶対ないという保証はできますか。
  179. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 再三御答弁を申し上げておるとおり、昭和六十四年度以降の補助負担率取り扱いについては、原則としてもと補助負担率に戻すべきものであると考えておりますし、具体的には六十四年度予算編成時までに関係省庁協議の上定められることとなることでございます。自治省としては、各事業性格国庫補助負担制度意義等を踏まえ、また最近の国家財政の動向等も見守りながら、国としての責任が全うされるよう、また地方財政の健全かつ安全的な財政運営確保が進められるよう検討を進めていく考えでございますことに変わりはございません。  ただ再三申し上げておるとおり、今の状態のままであればもと補助率に戻ることは原則として当然でございますが、今委員指摘のように減税の大合唱があるということも考慮に入れなきゃなりませんし、そうすると、不公平税制の是正やらいろんなことをやったとしても果たして余裕財源がどれだけあるのか、こういう問題を兼ね合いを考えなければならないと実は内々に思いをいたしていることも現実でございます。お互い国や地方の責任権限論を十分に闘わせる機会が今までなかったけれども、こういうものもひっくるめながらよりよい前進のためにこれから努力を払ってまいりたいと思っております。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 例えば生活保護の補助金が六十年度以来八割が七割に引き下げられた。自治省は断固八割だという立場で主張したが、大蔵、厚生から五割という意見も出て、結局七割だというようなとこら辺で話がついたわけでしょう。それが一体どうなっていったかといえば、それぞれの自治体の負担というのがそれだけふえてくるわけですから、その結果先ほども出ていましたように生活保護の対象者は五十九年をピークにそれ以後ずっと減っていくわけです。これは両面あって、一つは自治財政の窮迫の度をどんどん強めていくのと、それからもう一つは厚生省が、これも同僚委員厚生省を追及していましたけれども、締めつけをぐうっとやってくる。そういう中で全体として生活保護対象者が切られてくるんです。  その結果一体何が起こったか。御承知のように札幌で母親が子供を残して餓死するという事件が起こった。あるいは東京の江東区では生活保護を打ち切られて福祉司というのは人殺しやという遺書まで残して自殺をした人がある。まさにそういう弱者切り捨ての事態が起こってくるんです。地方自治体の財政がちゃんと自主的に保障され、それに必要なだけの財源が保障されておればそれぐらいのことはやれます。しかしそれだけでは済まぬのですね。厚生省からおまえらの保護対象のやり方はなまぬるい、甘過ぎるとこうくるわけでしょう。そして遠い親戚まで訪ねられてやられて、それでいたたまれぬからもう結構ですと言って自殺をするような状態が起こってきているんです。  だからなぜ生活保護の事業というものを憲法二十五条に基づく国の責任として八割の補助をしてやるのか。それは自治体の財政が千差万別で富裕なところもあれば貧乏なところもある。貧乏なところやから保護対象を削るというわけにはいかぬ。だから国の責任としてちゃんと全国民がひとしく利益を享受することができるようにということでやっているわけでしょう。それがさらに五割五割というようなことになってくるともっともっとひどくなるということが心配をされるわけです。  だからそういう点で、減税をやるから片一方で減税財源をつくるためにどうしても間接税をやらにゃいかぬという立場をとっている限りは、逆累進性ですから貧乏人はますますひどい目に遭うんです。この点をどう転換をするか、ほかの財源をどう求めるか。いわゆる不公平税制なり軍事費にメスを入れるということをやらなかったらこの問題は解決しないんだということを私は最後に強調して、もう時間ですから終わります。答弁は要りません。
  181. 抜山映子

    抜山映子君 六十二年度版の地方財政白書によりますと、地方自治体の六十一年度普通会計決算では歳入が六十兆七百四十八億円、借金の残高は約六十一兆円と歳入総額を上回る規模に膨れ上がった、こういうように出ております。こういう中において東京都では九百三十億円という黒字が出ております。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕  私がいただいた資料によりますと、昭和六十年度の一人当たり県民所得は東京がトップで三百二十一万四千円、あと高いのは埼玉、千葉、神奈川というようなところが続いておるわけですが、こうやって見ますと東京と地方の格差が広がっていく傾向があるということが見取られるわけですけれども自治省はこの傾向をどのように認識しておられるのでしょうか。
  182. 津田正

    政府委員津田正君) 地域の経済格差の問題につきましてはいろいろな観点の見方というものがあるかと思うわけでございますが、地方財政観点で申し上げますといわゆる財政力指数というような観点での見方というものがあるかと思います。  その点で申しますと、東京を一といたしまして、昭和三十九年から四十一年度の三カ年におきましては東京以外の道府県が〇・三九四、それが四十九年から五十一年度の三年間におきましては〇・四ということで若干格差が縮まった。ところが十年後の五十九年から六十一年度の同じく三年間というもので見てみますと東京の一に対しまして〇・三八八ということで、改善されました四十九年から五十一年度を下回るのはもちろん、三十九年から四十一年度の数字よりも下回ってきておるわけでございまして、財政力格差は残念ながらやや拡大傾向にあるのではないか、このように認識しております。
  183. 抜山映子

    抜山映子君 法人関係の税収について比較できるような数字はお待ちでしょうか。
  184. 津田正

    政府委員津田正君) 法人関係税収でございますが、まず法人事業税の全国の都道府県収入全体に占めます東京都の割合は、昭和五十年度におきましては二四・五%でございましたが五十五年度は二一・四%ということで、逆に申せば東京以外のところの実力が増したということでございます。しかしその後は東京都の割合というものが上昇する傾向を示しておりまして、六十一年度におきましては二五・二%、要するに五十年度におきましては二四・五であったものが六十一年度においては二五・二と、途中では東京の比率が落ちたものの六十一年度になってみますと五十年度以上の比率を占めるに至っている、こういうふうに把握しております。
  185. 抜山映子

    抜山映子君 また地方の高齢化が沈滞の一つの要因になっているように思うわけですが、昭和六十年度の国勢調査では六十五歳以上の人口の占める割合は島根県が一五・三%、高知県が一四・五%、こういうようになっております。一方において都市部の方では神奈川が七・五%、埼玉が七・二%、恐らく東京都もこれに近いパーセンテージになると思うのですけれども、こういうように高齢化が地方においてより一層進行する、このことに対して自治省はどういうように認識し、またどういうような対策をお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  186. 小林実

    政府委員(小林実君) 我が国におきます高齢化でございますが、御承知のとおり諸外国に例を見ないスピードで進行いたしております。二十一世紀初頭には国民ほぼ四人に一人が六十五歳以上という本格的な長寿社会が到来しようとしているわけでございます。  高齢化の状況でございますが、今お話がございましたとおりでございまして、都道府県別に見た場合島根県が最も老年人口比率が高く、最も低い埼玉県の二倍以上の数値になっておるわけでございます。これを市町村で見ますとさらにその差が著しくなりまして、特に農山漁村地域におきましては高齢化がより一層進んでおるというふうに認識をいたしております。  しかし今後高齢化は避けて通ることのできない課題でございまして、政府におきましては六十一年六月に長寿社会対策大綱というものを閣議決定いたしております。大綱では長期的な展望のもとに、雇用所得保障の問題とかあるいは健康福祉の分野等につきまして長寿社会対策を総合的に推進する観点からさまざまな指摘がなされておるわけでございます。この長寿社会対策大綱を基本といたしまして関係省庁におきまして各般にわたる施策の充実が図られてきておるわけでございますが、自治省といたしましてもこれに呼応して所要対策をとっておるところでございまして、今後も必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  187. 抜山映子

    抜山映子君 国勢調査の都道府県別人口によりますと、昭和五十年度から六十年度の対比で、埼玉県が四百八十二万から五百八十六万、千葉県が四百十五万から五百十五万、東京都の方は一千百六十七万から一千百八十三万、神奈川県が六百三十九万から七百四十三万、こういうように非常に大きな勢いで伸びているわけで、六十年ではこの四つの県だけで三千万を超えるに至っている。日本の人口は一億二千万程度でございますからこれだけでもう四分の一程度を占めるに至っている。  すなわち地方人口の流出が東京へ東京へと草木もなびくような形で集中してきている、こういう実態だと思うのです。この実態に対してどのように対応しようとしているのか、自治省の見解を伺います。
  188. 小林実

    政府委員(小林実君) 地方圏からの人口流出は一時はかなり減少したわけでございますが、最近になりまして再び増加しておるわけでございます。自治省が行っております住民基本台帳に基づく人口動態調査によりますと、六十一年度に人口の社会減を記録した府県の数は三十三でございまして、また地方圏全体での人口の社会減というのは十四万二千人余に上っておるわけでございます。こうした地方圏からの人口流出は、新規の学卒者の就職あるいは大学等への進学を契機に若年層を中心に引き起こされているものというふうに推測をいたしております。  特に最近の特徴は東京圏への流出が進んでいることでございまして、御指摘のとおりでございます。このような状況に対処するためさまざまな措置を講じてきておるわけでございますが、今国会にも多極分散型国土形成促進法案を出しておりまして、多極分散型国土の形成を目指して各省とともどもこの施策を積極的に推進していかなければならないというふうに考えております。
  189. 抜山映子

    抜山映子君 対応については多極分散と一口におっしゃったのですけれども、法人税は東京周辺が一番高い、一人当たりの個人所得も東京あたりが一番高い、人口の流入も東京に集中しておる、こういうような傾向をお認めでありながら多極に分けるということだけでは余りにも答弁としては簡単過ぎると思うのです。もう少し具体的に対策をお考えになっていると思うのですけれども、方向だけでもお話しいただけませんか。
  190. 小林実

    政府委員(小林実君) 私どもの省で行う事業といたしましては、やはり地方の活性化を図る必要があるということから五十九年度以降地域経済活性化対策というものを実施してまいりました。現時点におきまして九十六地域、八百三十九市町村におきましてこの事業が行われておりまして、最近の実績で申し上げますと毎年度関連の事業といたしまして六千億から七千億程度の仕事がなされておるわけであります。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕  それからさらに、昨年はまた円高によりまして大きな影響を受けました地域につきまして地域経済活性化緊急プロジェクトという施策を講じたところでございます。本年度におきましては御承知のようにふるさとづくり特別対策事業も創設をすることとしたところでございます。  私どもが特に地域経済問題で重点を置いてまいりました地域経済活性化対策につきましては、五十九年度から始めておりますけれども、第一次指定地域につきましては六十三年度で五年間の事業期間が明けますので、その後どうするかという問題につきまして、新たな時代、新たな時期に対応した地域経済対策樹立のために民間の実務担当者あるいは有識者の方々にお集まりをいただきまして今委員会を設けて調査研究をしておるところでございます。これらの結果も踏まえまして、六十四年度に向けて地域の振興発展のための施策を検討してまいりたいというふうに思っております。
  191. 抜山映子

    抜山映子君 では大臣地域経済格差の拡大していくことの懸念についてはどのような御所見をお持ちでしょうか。
  192. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 御指摘のとおり近年東京圏への諸機能が集中をし地域間の経済格差が再び拡大する傾向にございますが、こういう中で国土の均衡ある発展を図ることは国政上の極めて重要な問題でございます。  しかし委員御理解のとおり、経済の原則からいいますと集中のメリットのあるところへは民間の活力というか集中のエネルギーが当然高まってまいることは現実でございますし、そのこと自体が私は悪だとは思っておりません。よき環境を求めて集中をすることは、やはり産業の構造が三次産業化をする、情報、金融のウエートが高まる、そういうところで東京の狭いところでいろんな産業活動を行うことが利便であるということになれば、民間のいわばエネルギーはそこに集中をしてまいることは阻止することができないわけであります。  ただ私どもはこの中で政治的な責任というか公の責任として感じますことは、午前中にも申し上げましたけれども、これだけ集中をいたしますと災害があったときに本当に耐えられるのかどうなのか、それも架空のことではなくて地震エネルギーの蓄積が科学者の言によればまさに刻々と強まっている、そういう中で果たしてその災害に耐え得る都市であるかどうか。それから東京都も自治体でございますから一生懸命交通の利便をあるいは居住環境の整備をということで懸命な努力を払っていることは善でございますが、その善プラス善プラス善が、無限に善を積み重ねていけば善であるかというと私は不善になると思いますから、ある意味で限界があるはずであります。  そういうことを考えますと、反面東京以外の地方から人口が流入をしいろんな産業やその他の機能が東京に集中をするということは、地方がある意味で雇用の場を失いあるいは最低の行政水準すら維持できなくなる。そういう意味で無力感が広がるわけでございますし、東京への集中は、産業エネルギーとしてはありますけれども住民という立場から考えますといら立ちがあるわけでございますから、政治や行政の力はこのアンバランスというかこれを解消するために全力を尽くさなければならない。  私は今までも公が懸命にいわゆる多極分散という努力を払ってきたと思うんです。ただ民間の集中エネルギーの方がはるかに強力で強かったというそのために一極集中が高まったわけでございますから、もっともっと強いエネルギーでこれをはね返すというか地方分散を図っていかなければならないというのは、地方の疲弊というかそういうものを救うため、あるいは東京の防災上のいろんな懸念を取り払うためそういうものを行わなければ国土の均衡ある発展ができないわけでございますから、この格差を是正するもろもろの公的な誘導策をこれから講じていかなければならないというふうに考えております。
  193. 抜山映子

    抜山映子君 新しい経済五カ年計画を審議しております経済審議会で関西、中京圏の振興を図るべきであるという意見を出しておりますけれども大臣としてはどうお考えですか。
  194. 小林実

    政府委員(小林実君) 御指摘のとおり経済審議地域産業部会報告におきまして関西圏、中京圏につきまして、この圏域につきましては東京の持っております国際金融機能あるいは国際情報通信機能、産業技術機能、文化創造・発信機能等の一定の部分を分担して東京圏に対抗し得る広域経済圏として発展させるべきである、こういうふうに提言をいたしておるわけでございます。  四全総におきましても同趣旨のことが書かれておりまして、例えば関西圏につきましては、二十一世紀に向けた独創的産業と文化を創造する中枢圏域として形成していかなければいけないというふうに書いてございます。また中京圏につきましても産業技術の中枢圏域として形成をしていくということが基本的な目標として掲げられておるわけでございます。国におきましてはこうしたことを十分に踏まえまして各省協力して対応していかなければいけないというふうに思っております。
  195. 抜山映子

    抜山映子君 多分大臣も同じような御見解なんだろうと先ほどの御発言の趣旨から想像いたします。  大臣は先ほど多極分散のために公的誘導策を講じていく、こういう表現をおとりになりました。公的誘導策とは具体的にはどういうものをお考えなのでしょうか。
  196. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 一つは、公の立場で行われる一省庁一機関の地方移転に始まるいわば公の機関の地方分散というと言葉が悪いですけれども東京以外のところに移転をさせること、それから前々からこの委員会でも問題になっておりますように、いわゆる地方分権を進めることによってむしろそういうものを期待をする。むしろ私は後者の方がはるかに大きな成果があると思うのでございますけれども、中央の権限を地方に移譲することによって地方分権を進めていけばいわば公的な誘導策になる、こういう問題があろうかと思います。そして公的な中でやれることは、今政府委員からも答弁をいたしましたように、ふるさとづくりの特別事業やあるいは新たな構想の財団的なものを設立をし地方への活性化の誘導策にしたい。  それから東京でなければならない情報や金融やその他の機能は当然東京に集中をするでありましょうけれども、東京でなくてもよい産業機能やその他の機能があるはずでございます。私も試算をしてここに一表を持っているんですが、東京の恵比寿にあるビール工場、と言えばもうわかるわけでありますが、あの当時このビール工場が地方移転を考えたことがございます。  そこは面積が十二万平米ございまして簿価は三億円でございます。そして時価は幾らかというと三千六百億円でございます。そしてそのビール工場が東北のある仙台の近くに土地を求めて移動をしようという一時期がございましたけれども、それに要する費用は、買いかえ資産は面積が約五万平米ふやしまして十七万平米、単価が平米五万円でございまして、八十五億円でその土地を取得できる目安がついたわけであります。しかしこのとき税金が幾ら取られるかという計算をいたしましたところ、圧縮記帳や買いかえ制度やその他を全部生かしてみましても、長くなりますから細かい数字は抜きにいたしますが、国税、地方税をひっくるめまして二千二百五十五億円取られるわけであります。  取られると言うとこれは悪い、納めなければならない税法上の決まりがございますが、そうなりますと、簿価は確かに三億円かもしれませんが何代も何十年も持っていた土地が、今時価が三千六百億円だからといって二千二百五十五億円取られてもいいだろうという議論もありますけれども、その土地を一遍処分をして地方に出てしまえばもう一回同じ勢いで東京に戻ることができません。半分以上、三分の二を取られてしまうわけでございますから、これはだれが考えても間尺に合いません。  ですからこんなことをやっていては、幾ら買いかえ制度があるからいいではないかと言うけれども、買いかえ制度というのは釈迦に説法かもしれませんが一対一ないし一対五ぐらいの地価の相違の場合に有効に作動するわけでございまして、一対百や一対二百というような大きな地価の変動がある場合はこの買いかえ制度や圧縮記帳の制度は有効に作動いたしません。  ですから考えてみますとこういうのはやめて、簿価のままでそこを再開発することによって人がもっともっと集中をし機能的な機構がそこにできることは現実でございます。こういうのを考えますと、必ずしもビール工場は東京になくてもよろしい、しかし東京から出ていこうとすると二千二百五十五億円取られるのではこれはたまったものじゃないから東京で再開発をやった方がよろしいということで、そこにまた人口の集中がなされるわけであります。  こんなことを私が言っていいのかどうかわかりませんが、しかし考えてみますと、こういう税の公平平等というのも大切でございますけれども、税というのは何のためにあるのかというのを考えればやはり大きな人々の幸せのためでございますから、東京に集中しなくても済むためにはどうすればいいかというようなことを考えれば、こういう意味でも民間のエネルギーをスムーズに持っていくためには税制上の恩典やあるいは地方進出準備金制度的なものをつくり上げることによって、その企業が地方に出ていくならば東京のいわば空地もできるし地方に産業の活性化もできる、こういう両々相まつ制度をこれから考えていかなければならないのかなという気が私はいたします。  いずれにしましても、地価が高騰したために今東京のいわば地価対策を中心にした緊急の対策がなされたわけでございますけれども、四全総を踏まえてこれから五年先十年先どういう国土形成をするかというと、こういうものに着目をして民間のエネルギーをスムーズに地方に移す準備も整えていかなければならないと思うと、そういうことが公の誘導策という意味で、ただ単にこれは事例を申し上げて、そういうものができるかどうかわかりませんが、そういう問題もひっくるめてこれから考えていかなければならないというふうに考えております。
  197. 抜山映子

    抜山映子君 今大臣は二つのことを言われたと思います。一つは一省庁一機関の地方移転を初めとして多極分散を図る、そのためには税制の改正をも含めて多極分散を図るような制度的なものが必要である、このことを一つおっしゃいました。もう一つは、権限を地方に移譲して地方分権を進めなくてはいけない。  まことに至当な御意見でございますけれども、そうなるとやはり自主財源とか一般財源というものが必要になってくる、こういうことだと思うのです。それではこのために大臣は具体的にどのようにしてもらおうとお考えになっていらっしゃいますか。
  198. 津田正

    政府委員津田正君) 地方財政状況は、最初先生がお述べになりましたように巨額の借金を抱えておる状況でございまして引き続き極めて厳しい状況に置かれております。  今後その償還にもたえ得るような財政に持っていかなければならない。そのためにはやはり何と申しましても行財政の守備範囲の見直しであるとか行政運営効率化、こういうような歳出面の努力というものを図ると同時に、地方税あるいは地方交付税等の地方一般財源の着実な推進、これが地方分権のやり得る財源的基盤でもございますので、そういうような一般財源の着実な充実を図っていくことが基本的に重要でございまして、そのような歳出歳入両面にわたり財政健全化を図り地方自治というものがよりよく進展するように努力していかなければならない、かように考えております。
  199. 抜山映子

    抜山映子君 ただいま歳入歳出両面からの充実を考えなければならないというお答えをいただきました。これは当たり前のことで私の期待していた答弁とは違っておったわけですけれども大臣、これは実現できるできないは別として大臣の構想として、自主財源一般財源を充実させてもらうためにはいろいろな方法があると思うのですが、その方法のうち大臣はこのようなことを希望している、あるいはこのようなことを実行してもらいたいと今後要請していく、こういうような構想は当然頭の中におありと思いますので、それをお聞かせいただきたいわけなんです。
  200. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 相手があることでございますから、国と地方の役割分担やその他をひっくるめまして自主財源確保するということは、口で言うのは簡単なんでございますがなかなか具体的な問題には難しい問題がございます。  一つには、消極的な問題でございますが国庫補助率カット分、これをとにかく明年度予算編成までには大筋においてもとに戻してまいる、これが一兆六千億に及ぶ一つの方式でもございますからまず消極的な意味での自主財源の充実の第一歩でございます。  それから第二には税源でございますけれども、税というのは確かに千差万別、三千三百の地方自治体の置かれている立場がそれぞれ異なります。ですからどの税をかければ地方自治体が全部均等的な普遍的な財源があるかということになりますと、残念ながらこれを見つけることは大変困難でございます。普遍的な税源である住民税的なものはむしろ今減税の方向で検討をされているわけでございますから、先ほど神谷委員どもお話を申し上げましたけれども、これを自治省的な感覚からいって大増税と言って袋だたきに遭うことよりは黙っているほかないなという感じもいたしますので、この問題に関しては残念ながら増税のラッパを吹くわけにはまいりません。そういうことを考えますと、新たに地方税源として何かあるかということになりますと今のものをどう守るかという、これも大変消極的な話でございますがそういうことになろうかと思います。  しかも、よそ目で眺めておりますと減税が相当大規模になるということになれば、国税三税の交付税もこれまた減少してまいるわけでございますからこの補てんを何で考えるのかどうなのか。国のものを全部取ればいいではないか、国のいわば税収のほとんどを持ってくればいいかということになりますとこれまたなかなか難しゅうございます。よく言われている新型の間接税の問題でも、どのぐらいの規模になるものかわかりませんが、そういうことで地方の税財源不足をするものをそのものによって賄うとすればどのぐらいの比率になるものかということも考えに合わせなければなりませんので、委員指摘ではございますがいましばらく不透明な要素が数多くございます。  平年度で何もないときであればかくかくしかじかの方法があろうではないかという希望的な意見も申し上げることができますが、減税やあるいは新税その他の問題もろもろを考えますと、その中で地方の自主財源をどうやって確保するかという大変困難な問題でございますけれども懸命な知恵を働かせお力をちょうだいをしながら努力をしてまいりたいと考えております。
  201. 抜山映子

    抜山映子君 今大臣答弁を聞いておりますと、地方分権を図るべきであると大上段でお答えになった割には何となく見通しが暗いような感じがして心細いのですけれども補助率カットを戻してもらいたいということを一言おっしゃいました。しかし六十三年五月七日の東京新聞によりますと「高率補助金六十四年度カット」という見出しで記事が出ております。それではこのことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
  202. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 私不勉強で残念ながらその東京新聞を読んでおりませんが、補助金カットの問題で恐らく例えば大蔵省サイドはその後も引き続きやりたいとかなんとかと書いてあることかしらとこう思うわけでございますけれども、取り決めは取り決めでございますから、新しい状態、いろんな減税やあるいは新税の問題もあろうかと思います、そういう問題を抜きにいたしますならば原則としてもとに戻る、これが大前提でございます。  私は、極めて厳しい財政事情、あるいは内需の拡大をしなければならないそういう状況は今でも続いているとは思いますけれども、この補助金カットをやった事態よりははるかに好転をしているということを考えますれば、この問題に関してはまずもって第一義的に復元をしたい、あるいは制度見直しやその他をやって正当なものに直していきたい、こういう考え方でございます。
  203. 抜山映子

    抜山映子君 いきなり東京新聞の五月七日と申し上げたのでちょっとわかりづらかったと思いますが、この記事にはこういうことが書いてあるわけです。  「大蔵省は六日、社会保障や公共事業分野の地方自治体に対する補助金のうち五〇%を超す高率補助金について①今年度末で期限の切れる高率補助金補助率カットを六十四年度以降も継続する②六十年度以来見直しの行われていない生活保護のほか、農業基盤整備事業への補助金はさらに厳しくカットするなどの方針を固めた。」  そうしますとこれは、大臣はこのことに対して補助率カットには断固反対して復元を求めていく、このように理解してよろしいのでしょうか。
  204. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 前段申し上げましたように原則としてもとに戻るというのが私の建前でございます。しかし私はもとに戻るという極めて保守的な人間でもございません。三年前と状況が 異なっておりますから、今の財政事情に見合った、あるいは行政需要に見合った制度や権限論をこれから検討しなければなりません。  ただ、高率補助をカットしたものはもうもとへ戻さないとかなんとかといいますけれども、例えば福祉生活保護というものは一義的にどこに責任があるのかどうなのか責任論や権限論、あるいは当然地方が負担すべきものを未練たらたらいつまでも補助金ちょうだいというスタイルはとるべきでない、もうちょっと自主的な地方自治体の姿があってしかるべきだ。しかし大きな分け方で国の責任、地方の責任それぞれが一〇〇%ずつあるとすれば、その間に中間的なものはどういうものがあるか、そういうものの権限論や財源論、そういうものをこれから詰め合わなければならない。それを行うことはやぶさかでございません。
  205. 抜山映子

    抜山映子君 そうしますと大臣補助金カットの復元を求めるというのももう一声ちょっと弱まったようなただいまの御発言でございましたが、交付税率をアップするという要求をなさるお気持ちはございませんか。
  206. 津田正

    政府委員津田正君) 地方交付税法六条の三第二項という規定がございまして、この三年間におきましてそのような事態と、こういうことは承知しておるわけでございます。ただその財源不足の中身がいわゆる補助率カットのものが非常に大きなウエートを占めておる。特に六十三年度におきましては補助率カットなかりせば地方財政収支は均衡しておる、こういうような事態、そして大臣が御説明申しましたように補助率カットの中心をなしております法律の特例というのが六十三年度に切れる事態におきまして、交付税率の変更というものを直ちに現時点でやるような事態ではない、かように考えておるわけでございます。しかし地方財政非常に厳しい事態であるという認識は持っておるわけでございます。
  207. 抜山映子

    抜山映子君 そうしますと、財源を補充するという手段によって地方分権を進めるという方向はなかなか難しい、こうとらざるを得ないわけです。そうしますともう一つの歳出面で行政改革をやって行政効率を高める、この方法が最も近道だ、こういうことになりますね。  それでは今まで地方団体財政構造の健全化、そのための効率化についてどのような指導をしてこられたのでしょうか、そしてまた地方団体はどのように対応してきたのでしょうか、それをお答えください。
  208. 津田正

    政府委員津田正君) まず地方団体に指導する前に地方財政所要額をどのように確保するかという点におきまして、非常に大規模な借金を抱えておるわけでございまして、個々の地方団体におきましても相当な地方債を抱えその公債費に悩んでおるわけでございます。私どもとしましては地方財政計画におきましてそのような公債費負担というものを的確に算入し、それで収入支出の均衡を図るということでマクロな財源保障をするということが第一の責務と考えておりまして、そのように措置をとってきておるわけでございます。  そして個々の地方団体財政運営の指針といたしまして、行政改革の指針として策定しております地方行革大綱に沿って地方団体においても行政改革推進してほしい。その中身といたしまして、事務事業の整理合理化補助金の整理合理化、組織機構の簡素合理化、給与の適正化、職員数の適正化、事務事業の民間委託等を積極的に推進してほしい、このように言っておるわけでございまして、今後も引き続きこのような指導でまいりたい、かように考えておるわけでございます。  そういうようなことの効果といたしまして、御承知のとおり給与水準は、ラスパイレス指数で見ますと六十二年四月一日現在では一〇三・九と最も高かった四十九年度に比べまして六・七ポイントの低下をしておりますし、職員数におきましても、必要な新しい財政需要、行政需要というものに対処しながらも五十七年以降で一般行政部門の職員数が約三万人の減となっておるということも、これらの地方団体の努力また私どもの指導の効果もあってこのような結果が出ておるのではないか。今後におきましても歳出面合理化というものにつきまして、私どもなりの財源措置というものを十分しながら地方団体にも努力をお願いしてまいる所存でございます。
  209. 抜山映子

    抜山映子君 今地方公務員の定員の適正化について約三万人減ったという簡単な御説明がありましたが、これだけではよくわからないと思いますのでもう少し、では五十六年から六十二年までどのように推移してきたのか、そして約三万人と言われたこの数字は全体の何%減であるのかをお答えいただきたいと思います。
  210. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) ただいま財政局長の方からも御答弁申し上げましたが、定員の適正化につきましてはもともと基本的にはそれぞれの団体で自主的に行われるべきものであるというふうに考えますが、私どもといたしましても適切な定員管理につきましての指導助言を行うべきであるというふうに考えまして、かねてから国の定員削減計画に準じた措置を講ずるように指導もしてきておりますし、また地方団体の参考に供するという意味で定員モデル等も作成いたしましてこれを活用して適正化を図るように要請してきておるところでございます。  そこでただいま数字が申し述べられましたが、地方公共団体の総職員数は五十八年のピークの数字が三百二十三万一千六百五十人ということでございましたが、六十二年、昨年は三百二十一万六千九百三十人ということで、総定員数でも一万四千七百二十人、〇・五%の減少ということになっております。中でも地方団体定員管理の適正化を自主的に進めることができる一般行政部門の職員数につきましては、先ほど数字を申し上げましたが、五十六年のピークの数字が百十六万三千四百三十四人ということでございましたが、五十七年以降六年間連続減少を続けてまいっておりまして、六十二年は百十三万二千二百十四人とこの六年間で三万一千二百二十人、二・七%の減少ということになっておるところでございます。
  211. 抜山映子

    抜山映子君 二・七%減少したと胸を張っておっしゃったのですけれども、極端な例を申し上げてはなんですが、たしか国鉄の人員減は四十三万人から十八万人ぐらいに減らしたのではないでしょうが。間違いがあるかもしれませんけれども、とにかく半分以上整理した。それから民間企業でも数万の従業員のところが一万人に近い人数を切っていくというように、合理化省力化に血のにじむような努力をしておるところから比較いたしますと、一一・七%、しかも六年かけてというのは非常にわずかな努力のような気がしてならないわけでございます。もちろん公務員も生活がありますから途中でやめさせるようなことは私は決して望ましくない、もしも合理化を図るのであれば退職者の補充をしないという形でやっていくのが一番穏当であろうと思うわけです。  この定員の減少はどのような理由で減っているのか分析しておられますでしょうか。分析しておられるとすればそれを明らかにしていただきたいと思います。
  212. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) ただいま国鉄の事例を引き合いに出されておっしゃいましたが、地方団体の努力は足らぬと仰せられるかもしれませんが一生懸命努力をいたしておりまして、新しい行財政需要にもこたえながらこういう減少を図っておるということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。  地方公共団体の総職員数はただいまも申し上げましたように五十九年以来減少いたしておるわけでございますが、その減少の主な理由といたしましては、地方公共団体が事務事業見直しを行い、また組織機構の簡素合理化を行っておる、さらにはOA化等による事務能率の向上に努めるといったようなことで定員の適正化に積極的に取り組んできておるということでございます。なおまた欠員の不補充ということにつきましてもお話がございましたが、各地方団体におきましてそれぞれ事務事業のスクラップ・アンド・ビルド等による工夫を凝らしました職員の適正配置などによりまして総体的にスリム化を図っておるというふうに私どもとしては見ておるところでございます。
  213. 抜山映子

    抜山映子君 それでは先ほどラスパイレス指数に触れられました。確かにラスパイレス指数は一〇三・九で前年度に比べ〇・七ポイント低下したわけです。しかし、ラスパイレス指数を抑えるように指導を受けた結果給与をいろいろな手当の形で出してラスパイレス指数という形に出ないように工夫して相変わらず地方公務員が高給与を取っているという事実がまだあると思いますが、これを自治省はどのように把握しておられますか。
  214. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 私ども給与の適正化につきましては、従来からの一般の指導に加えまして五十六年以降個別指導も行ってきておるわけでございますが、こうした中でただいまお話がございましたようにラスパイレス指数というものも低下してきております。そうした中で、単に給与の本俸だけではなくてそういう手当も含めて適正化を図っていかなければならないということで私どもも注意をしながら指導をいたしておるところでございます。
  215. 抜山映子

    抜山映子君 しかしなお高給与の団体があるようですけれども、その高いところの状況を示していただきたいと思います。
  216. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 高給与団体ということでございますが、六十二年四月一日現在の国を一〇〇としたラスパイレス指数の上位団体の状況は、最高が一一六・六、ひところ一四〇を超えておったところもあったわけでございますが現在は一一六・六ということになっておりまして、現在一一六を超えておるのが四団体、それから一一五を超えておるのが六団体、一一四を超えておるのが九団体、そういったことで団体数もずっと減ってきておるということでございます。
  217. 抜山映子

    抜山映子君 このように依然として平均をはるかに上回るラスパイレス指数の上位団体が現存しておるわけですね。これはやはり今後とも指導していただきたいと切望するものであります。  五月十一日の新聞によりますと、群馬県の境町で新採用職員全員の給与について二年三カ月で七年分の特別昇給を実施して給与ベースを底上げしていたということが町議会の給与等調査特別委員会で明らかになった、このように出ております。この昇給は、四月に入庁した後三カ月後の七月に給与表の一号分が上がりその後の二年間でさらに五回も昇給する、このような結果が生じたのは町と町職員組合との協定書に基づくものだ、このように書いてございますが、この協定書の内容を大まかにおっしゃっていただきたい。またこのような実態はほかにもあるのではないかということをお伺いしたいと思います。
  218. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) ただいま御質問ございました件は私どもも新聞報道によりまして、また県の方からも、群馬県の境町におきまして新規採用職員に対しまして二年三カ月の間に六回昇給させておるという話を聞いております。各地方公共団体の給与条例上昇給に関する規定は、国家公務員にかかわる一般職員の給与等に関する法律第八条というのがございますが、その規定に準じて定められておるところであるわけでございます。今回のように新規採用者全員に対しまして一律に昇給期間を短縮して昇給させる、いわゆる運用昇短ということになるわけでございますが、地方公務員法の第二十五条第一項の規定に反しまして違法なものでございますので早急な是正が必要と考えておりまして、現在県を通じて指導をしてまいりたいというふうに考えております。  またこのような新規採用者に対しまして昇給短縮を行うということにつきまして現在のところ私承知をいたしておりませんけれども、一つの団体でもこうした措置が明らかになるということになりますと地方団体全体に対しての給与管理に対する不信を招くということになりますので、今後とも強く指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  219. 抜山映子

    抜山映子君 これが発覚しましたのは町議会の給与等調査特別委員会で明らかになった、こういうようになっておりますけれども、各市町村その他の地方団体でこういう特別委員会は常設されておるのでしょうか。
  220. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 各地方団体では特にこういった特別委員会が設けられておるというふうには承知しておりませんが、いろいろ具体的な事例が出てきたときに応じて各地方団体の議会が判断をいたしまして特別委員会というものが設置されるというふうに考えます。
  221. 抜山映子

    抜山映子君 やはりこういうことを制度的にチェックする機関を設けることを指導されるとより一層実態が明らかになるのではないかと思いますので、ひとつお考えくださいますようにお願いいたします。  なお、組織機構の簡素化についての指導実績はいかがでしょうか。
  222. 木村仁

    政府委員(木村仁君) 組織機構の簡素合理化を図りますことは、行政改革の上からも、また社会経済の変化に対応し得る行政を実現するためにも必要でございますので、自治省といたしましても従来から局、部、課、室等の内部組織の統廃合及び新増設の抑制に努めること、出先機関の統廃合等整理合理化に努めること、外郭団体の統廃合改組等を進めることなどにつきまして指導助言を行ってきたところでございまして、昭和六十一年に示しました地方行政改革大綱いわゆる地方行革大綱におきましてもこれらの諸点を重点的に記し努力を慫慂してきたところでございます。  どの程度の成果を上げているかということでございますが、現在持っております数字は五十九年度から六十一年度年度の数字でございますが、例えば都道府県の本庁の内部機構の改革につきましては三年間で三百七十単位、局、部、課、室等でございますが、その整理統合が行われております。また市町村の本庁機構につきましても二千八百五十二単位、主として課でございますが、そういった簡素合理化が進められてきているところでございます。
  223. 抜山映子

    抜山映子君 今の数字は全体で幾らあってどれぐらい減ったのかという比率で教えていただいた方がよくわかるのですけれども、そういう数字はお持ちではないでしょうか。
  224. 木村仁

    政府委員(木村仁君) 手元に正確な数字がございませんが、御参考までに概数で申しますと、都道府県の本庁の課単位の機構は大体五千ぐらいではないかと思います。
  225. 抜山映子

    抜山映子君 五千に比較して三百七十だとそれほど大きな数字のようには思われません。まだまだ道半ばと思いますのでさらに効率化を進めていただきたいということを切望しておきます。その他事務事業見直しとか経費の節減とかあると思いますが、さらに御指導くださいますようにお願い申し上げます。  それでは時間がなくなりましたが、大蔵省が補助金問題検討会を設けて各省協議する方針のようですけれども自治省はこの協議に応ずる気持ちがおありですか。
  226. 津田正

    政府委員津田正君) 暫定期間終了後の補助負担率のあり方についての検討協議方式等については、現在までのところ大蔵省からも相談を受けていないところでございます。しかし今後相談がございましたらば、どういうような方式でどういうような議論の進め方をするか等適切に対処してまいる所存でございます。
  227. 抜山映子

    抜山映子君 補助金カットのこれまでの経緯を振り返りますと、自治省は結局大蔵省に押し切られて補助金カット継続をのまされてきた、こういうことだと思います。今後はそんなことは断じてないという決意のほどをお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
  228. 津田正

    政府委員津田正君) 補助率の問題、特に補助率と申しますより負担率、国と地方との責任分担にかかわる問題でございますので、各事業性格、負担制度意義、そして国としての責任が全うされるよう、そして地方財政運営支障がないよう、こういうような観点で対処してまいりたい、このように考えております。
  229. 抜山映子

    抜山映子君 六十一年二月の地方制度調査会の答申で述べているように、国政に対する地方六団体の意見反映の場を制度的に保障することが必要かつ穏当ではないかと思いますが、いかがです
  230. 木村仁

    政府委員(木村仁君) 御指摘のように地方制度調査会の答申で、国と地方公共団体との関係改善観点から地方公共団体の意向が国政に適切に反映されるような方途を講ずべきであるという提言がされているわけでございます。自治省といたしましてはこの地方制度調査会の答申の趣旨に沿った制度をつくるべく、現在御審議をお願いしております地方自治法の一部改正法案を準備いたします場合に鋭意検討いたしまして折衝を続けたのでございますが、残念ながら成案を得るに至らなかったのでございます。御指摘のようにその必要性を感じておりますので、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  231. 秋山肇

    ○秋山肇君 先ほど財政局長の答弁の中に、財政力指数の格差が昭和三十九年から四十一年度東京の一に対して東京以外の道府県が〇・三九四、四十九年から五十一年は東京が一でその他のところが〇・四〇〇、五十九年から六十一年が東京が一でその他が〇・三八八というお答えがあったんですが、四十九年から五十一年というのは私が思うのにこれは地方が伸びたのではなくて、美濃部都政によって工業が悪だということで東京から追い出していった、そういう工業生産力の低下というもののために財政力が落ちたので地方が伸びたのではないというふうに思うんですが、まず最初にこの点についてどうですか。
  232. 津田正

    政府委員津田正君) 地域格差の問題はこれは相対的にとらえなければならない、絶対的にいいか悪いかというのはまた別に議論があると思います。相対的にとらえた場合、先ほどのような動きでございますが、まさしく当時の東京都自体の問題もあったかと存じます。  ただ私ども、特に国庫当局サイドでも時々話が出るいわゆる東京都が不交付団体だから金に余りがあるのかどうか、こういうような議論につきましては、これはもう絶対的な話としては、新橋から虎ノ門までの道路を整備するのに一兆円何がしかかるというような財政需要も抱えておることも事実でございまして、むだな金が東京にあるというような観点では申し上げておりません。しかし地方の団体と東京都の財政力格差という問題でございますとこれは相対論の話でございますので、先ほど申し上げました動向ということで、地域格差の判断の一つの指標として申し上げた次第でございます。
  233. 秋山肇

    ○秋山肇君 しかし、別にそれは答弁がいいとか悪いじゃなくて今のお答えでよろしいんですが、先ほど来大臣からも例示がされましたサッポロビールのところ、大臣の試算ですと土地を時価に評価すると三千六百億円でその税金が二千二百五十億だとおっしゃっておられたと思うんですが、こういうようなことで、東京から地方分散ということを民間も考えなくはないけれども、先ほど大臣みずからおっしゃっておりましたように、果たして二千二百五十億円の税金を払って移転していっていいのかどうかということを当然経済効果として考えるわけですね。  ですから私が言いたいのは、東京一点集中が決していいということではないしそれぞれの機能分散ということは大事だというふうに思うんですが、もう一つ大事なことは、この財政力格差の中でそれでは地方交付税の三税を負担している一番大きなところはどこか、これはもうお答えをいただかなくても、いやお答えをいただきましょうかな、よそとちょっと比較をした方がいいと思いますから。
  234. 津田正

    政府委員津田正君) 交付税の配分はかなり財源調整というものも効かしておるわけでございまして、島根県が人口一人当たり九万二千五十三円でございます。地方税目体は一人当たり七万五千八十六円ということでございまして、地方税を上回る地方交付税の配分を行っておるわけでございます。これは市町村でございましたが、道府県でもそういうような傾向があるかと思います。人口一人当たりの地方税地方交付税、こういうものを足してまいりますと島根県は全国平均を相当上回る、しかし東京にはかなっておりません。
  235. 秋山肇

    ○秋山肇君 そういうことで、私が思うのに、東京が膨張してきたというのはいろいろな国際的な問題等もあるわけですが、これはもう我々の中年太りの腹に脂肪がたまったのと同じで、この目方を減らしていくのに大宅壮一さんのようにコンニャクばっかり食べていれば栄養失調になってしまうわけですから、急速にやろうということではいけないと思うんですね。今の御説明にあるように、地方財政というのは交付税に頼るウエートというのは相当のものがあるわけでしょう。税金払うより交付税でもらう方が多い、ましてそれが総理大臣の選挙区であるということは何か一番日本的でいいのかなというような感じもいたすわけですが、そういうことからすると私は、先ほど来自主財源の問題ということも出ていますけれども、まず自分のところでどうやっていくかということを最初に考えるのが地方自治の原点ではないかなというふうに思うんです。この点についてはいかがですか。
  236. 津田正

    政府委員津田正君) 現在の地方財政地方税だけでは住民生活に密着した行政を行っております三千三百の地方団体の行政水準が確保できない、こういうことで地方税と同時に地方交付税財源調整そして財源保障として非常に重要な機能を持っておるわけでございます。今後のそのような税源格差の問題につきましては、地方交付税財政調整制度というものを活用すると同時に、やはり基本的には経済自体の地域格差をどうするか、その中で地方団体が、経済格差、それがひいては自分のところの税源培養になるような施策をどのようにしていくか、地域経済活性化ということにどのように取り組んでいくか、かような問題になります。そのことがまた翻って地方交付税の配分等に当たりまして、あるいは地方債の活用等に当たりまして、地域経済活性化事業に対する私ども財源措置というものも十分努力してまいりたい、かように考えております。
  237. 秋山肇

    ○秋山肇君 地方交付税でバランスをとるということが決して悪いことであるということを言っているわけじゃありませんけれども、ぜひひとつそういう点も考えてもらいたいというように思うんです。  それでは住民税の関係について少しお聞きしておきたいと思いますが、サラリーマンの人の場合は毎月の給料日には支払い明細書を見て控除額のところに目をやりますと所得税、住民税のほか諸雑費が差し引かれているのがわかるわけで、中でも住民税が高いという声がよく聞かれるわけです。だけどなかなかこの明細を見ている人というのはいないんですね。私らが選挙のときなんかに住民税を幾ら払ってるか知ってますかと聞いても知らない人が多いんです。だけどもわかっている人は住民税は高いなということを感じているわけです。  これは所得税と違って年十二回に分けて納税されますから一回当たりの納税額が高いと感じることもありますし、また自営業の人にとっても毎年六月役所から郵送されてくる住民税の納税通知書兼納付書を見てやはり住民税は高いと言っておられるわけですが、まずこの住民税のもともとの目的、役割、イロハのイからスタートしますけれども、これは何だったんでしょうか。
  238. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) ただいま秋山委員から御指摘がありましたように、それぞれの地方団体がやはりそれぞれの税金で賄われるということが基本だと思いますが、その最も基本的な税金の一つである、こういうふうに理解をいたしております。
  239. 秋山肇

    ○秋山肇君 今のお答えにもありましたように地域社会の費用を住民が広く負担するための税と言われているわけですけれども、その性格が最も端的にあらわれているのが均等割ではないかと思います。そこで個人住民税の税額計算の基本ですね、それと均等割の税率について現在どのようになっているか、簡単に説明していただきたいと思うんです。
  240. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 個人住民税の税額計算でございますが、ただいま御指摘のように、個人の住民税は均等割と所得割とから成っております。均等割は納税義務がある者につきましてはその所得金額の多少にかかわりませず一定の税額を納付する、こういうものでございます。また所得割は、原則として納税義務者の前年の所得金額に対しまして超過累進税率を適用いたしまして計算をいたしているものでございます。  均等割の税率でございますが、現在道府県民税につきましては標準税率でございますが七百円、市町村民税につきましては団体の態容によって異なっておりまして、人口五十万以上の市につきましては標準税率二千五百円、人口五万以上五十万未満の市につきましては二千円、その他の市及び町村につきましては千五百円でございます。したがいまして県民税を足しますと二千二百円から一番高いところで三千二百円、こういうことになっているわけでございます。
  241. 秋山肇

    ○秋山肇君 今御説明をいただきましたが、やはり住民意識を高める、まして最近は選挙の投票率も低いということが言われているわけですから、そういうことからするとこの均等割の問題というのはこれから見直していかなきゃいけないのじゃないか。先ほど来大臣お答えの中にありましたが、私も税をふやしていいとは決して思っていませんけれども個人住民税の所得割の減税は当然として、均等割については、極論かもしれませんが、イギリスで取り入れたと言われているように成人に達したらそれぞれ取るとかいろいろな方法があるわけですから、やはり人様から交付税でもらってくるということでなくてその地域でもって、先ほどの財政局長の御説明にあったように自分のところで納めている税金よりも交付税で来る額の方が多いということを何らかの形で見直しをすべきときに来ていると思うんです。  これは増税につながるから、先ほど大臣お答えのように行政サービスを拡充するのか落とすのかということでなかなか答えにくいでしょうけれども、この点について私見で結構ですからどなたかお答えのできる方にお答えをいただきたいと思います。
  242. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 個人住民税の均等割は、市町村内に住所とかあるいは事務所等を有します個人と当該市町村の行政上のいろいろな施策というものとの種々さまざまな応益関係に着目いたしまして、そのために要します経費の一部を住民に広く負担を求めて、その税負担を通じまして地方自治体の行政に参画するということを期待するいわゆる負担分任という住民税の性格を最も端的にあらわすものでございます。もちろん住民税の場合は所得割もそういう性質を、同じ所得課税とは言っておりますけれども所得税と比べますと持っているというわけでございますが、均等割は一層そういう性質を持っているということでございます。  均等割の負担水準につきましては、物価水準だとかあるいは地方団体の行政サービスの水準とかそういったものを思惟いたしまして決められてきたものでございますが、最近では昭和六十年度税制改正におきまして見直しが行われて以来は据え置かれているところでございます。今後とも均等割の税率につきましては、税制調査会の例えば昭和五十八年十一月の中期答申にも述べられておりますように、物価水準等の推移であるとかあるいは地域社会との受益関係等を勘案して随時その見直しを行ってまいりたい、こう考えております。  いきさつを申し上げますというと、これは昭和二十五年当時に人口五十万以上の市につきまして年額八百円という額でスタートいたしまして、二十六年にはこれが百円下がりまして、二十九年にはさらに六百円になって、このときには道府県民税に百円移譲している、こういうような状態でございます。その後私どもの記憶でも何度も均等割の問題というのは見直すべきであるという税制調査会の答申もいただき、私どももそういうことを主張して御理解をいただくように努めてきたところでございますけれども、やはり比較的所得の低い人たちに対する負担をふやすのはいかがなものかという議論の方が強くて、結局五十一年に至りましてある程度の見直しができました。それから五十五年にさらにまた見直しが行われまして、その次は先ほど申し上げました六十年に見直しが行われて今日に至っている、こういう経緯なのでございます。
  243. 秋山肇

    ○秋山肇君 この制限税率というのは、例えば人口五十万以上の市は二千五百円で制限税率は年三千二百円、最高ここまでのあれで、その次が二千円で二千六百円、最後の千五百円のところが二千円、そういうことでしょうか。
  244. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 均等割の税率につきましては、道府県民税の方は標準税率七百円で制限税率がありませんから、県の場合は相当広域的な団体でその県の考え方によって制限ということを設けないである程度税率が上げられるという行き方でございます。一方市町村につきましては、たくさんの態客のある市町村でございますので地方税法は枠法としまして機能しているわけですが、制限税率といたしまして人口五十万以上の場合は三千二百円、五万以上五十万未満の市では二千六百円、その他の市及び町村では二千円ということになっておりまして、この枠の中である程度の数の団体は超過課税をやっているという団体もございます。
  245. 秋山肇

    ○秋山肇君 超過課税をやっているのはどのくらいありますか。
  246. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 超過税率を採用している団体は人口五万未満の市では九市ありまして、これは二千円という超過課税の税率を採用しております。それから町村の方になりますというと、二千円まで行っているところ、千九百円のところ、千七百円のところいろいろございますが、八十六団体ほどが超過課税をやっております。
  247. 秋山肇

    ○秋山肇君 それでこれは低所得の方にしても、さっきの美濃部都政の話に戻りますけれども、企業収益が伸びてどんどん税収が伸びているときに、水と空気はただなんだからということで水道料金までただにしようということを言ったわけですね。水というのは群馬県、栃木県といった水源地からいただいてそれを浄水して都民に供給するわけでしょう。それなのにただでいいなんという発想を首長がするということ自体が間違いだったわけですけれども、実際には水道料金は値上げをしないで、それがずっと水道赤字のもとになっていたわけです。  しかしそれに対して都民は、生活保護を受けている人ですら、水なんかただでなくていい、自分の使う水の料金くらいは値上げしてもらっても払うべきだというような考えの人が、少なくとも私たちが都政をやっていたときには多かったわけですね。ですからそういう原点からこれはもう一度じっくりと各自治体で考えていただくことがいいのじゃないかなというふうに思うわけであります。  次に今度は退職所得についてお聞きをいたしますが、一般のサラリーマンやOLがその年の途中で退職したような場合、退職した月によっても違いますが、大体の場合退職した翌月以降の住民税に関しては何期かに分けて納税するように役所からの通知が来るわけです。そうしますと、一年分のうち一、二カ月分払ったころ退職した人には残りの月の分がまとめて請求されてきます。もちろん何期かに分けてですが、多くても四期以内だったと思います。十二カ月に分けて納税しても高いと思われているのに、それをまとめてとなると中途退職した人にとってはかなりの負担になるように思われるのですが、このような状況について自治省としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
  248. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) サラリーマンの場合は十二回に分けて徴収をいたしておりますけれども、一般の申告をされる方の場合は四期でございます。したがってそういう意味におきましては途中退職した場合、例えば一カ月分、二カ月分だけは特別徴収で行われた、やめますというともう特別徴収は行われませんから原則的な方法に変わっていって四期分として徴収する、そのうち一期分が 済んでいればあとの三期で分ける、こういうことでございますので、そういう意味で特にその方々が不均衡の扱いを受けているということではないのではないか、むしろそういうことで納めていただくことが均衡という意味ではノーマルな姿というふうに御理解をいただかなきゃならないのではないか、こう考えております。
  249. 秋山肇

    ○秋山肇君 この住民税を滞納した場合に延滞金というのがつくわけですけれども、ここでおもしろい具体例があります。  ある人、仮にAさんとしますが、そのAさんが失業してそれに伴い住民税がまとまって請求が来たわけです。納税しようにも失業している上まとめて納税することが困難だったAさんは、役所の担当に相談し何期かに分かれている納期をさらに細かく分割してもらい、つまり会社にいたときみたいに毎月ごとにしてもらい完納することができた、さらにその際の延滞金は取られなかったということでした。また別の人、仮にこれはBさんとしますが、Bさんも同じような失業状態になりまとめて納税することができず分割を申し出たところ、承知してもらえたがただし延滞金がついたということでした。ちなみにAさんの納税担当役所は関西のある市、Bさんの役所は首都圏のある市で、これは両方とも実際にあったケースであります。  これから考えられますことは、二人とも住民税を支払わないとか逃れようとしていたわけではなく、一度にまとめるのでは生活にもかかわるしきついので分割して完納したのに、ある役所では延滞金がつきある役所ではつかなかったというのではどうもおかしいと思うんです。そこで、このようなケースの場合延滞金を取るのが妥当なのか、 れとも納税者の事情を考慮して延滞金を取らな のがいいのか、どちらでしょうか。またその根 はどこにありますか。つけ加えておきますけれ も、延滞金を取らなかったところは振替用紙まで送ってきてくれて振込料もただ、延滞金を取った方は自分の方で振込料を払って送ったということなんですが、この点についていかがですか。
  250. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) これはどちらが正しかったかということにはならないというふうに思います。といいますのは、延滞金というのは租税債務の履行遅滞に対します遅延利息として徴収するものでありますから、納期内に納付または納入した納税者または特別徴収義務者の利益を尊重し、かつ納期内の自主納税というものを促進していかなければならぬ。したがって延滞ということが常態になるというようなことはこれは防がなければなりませんから、そういう納期内にきちっと納めた方々との均衡を考えれば延滞金を徴収するというのが通常の姿ではないかというふうに思います。  したがいまして、事情がどうであるかということがわかりませんのでその二人の事情というものを考えなきゃなりません。それではすべての場合に延滞金を取るのか、こういうことになりますというとそんなことはありませんで、納税者が納期限後に税金を納付しまたは納入した場合に、今申し上げましたように原則として徴収すべきですけれども、その納税者が住民税を納付することがおくれるということについて客観的にやむを得ない事由があるという場合には市町村長の裁量で延滞金額を減免することができるという規定が地方税法にございます。ですから法的な根拠はあるわけでございます。  したがいまして、御指摘のことにつきましてはそれぞれの市において具体的な事情に即して判断した結果そのような取り扱いになったと思います。抽象的にといいますか一般論としてどう考えるかという御質問であれば、前段申し上げましたように、きちっと納期内に納める方々との均衡ということを考えてきちっと延滞金を徴収するという扱いは、大変過酷なようであるけれども公平という見地からは基本的にやむを得ないといいますかそうであるべきではないかというふうに私は考えます。
  251. 秋山肇

    ○秋山肇君 それは確かに法令的にいえばそうかもしれませんけれども、これは通知書が来ていて故意に払わないでいるということとはまた違うわけですよ。この二人は両方ともわざわざ役所に行ってそういう状況を話をしているわけですね。ですから、滞納している人たちに対しては当然厳しくやる、それは今のお話のとおりでいいと思うんですが、こういう会社が倒産したり急にやめざるを得なかったようなときには、やはり地方自治という一つの経営ですから、前の委員会でも神戸市のことで私が質問をいたしましたけれども、そういう特別な事情というものに対する裁量権というのはぜひひとつ各首長さんに持っていただきたいなというふうに私は思うんです。この点についてはどうお考えになりますか。
  252. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) 御指摘のことは、やはりその納税者が税金は納めるのだけれどもどうしてもおくれるということについてやむを得ない事情があるかどうか、そこにかかっているのだろうと思います。したがいましてそういう場合には減免の道が開かれているわけですから、そこを的確に判断して対応するということ、それは地方税法の趣旨あるいはそれに基づく条例の趣旨にかなうと思いますが、納めるのであるから延滞金はいいではないかという議論は、やはり納期内に納めるということと違うわけでございますので、そこのところはやはり納めればいつの時期でもいいではないかという議論にはならないようにしなければいかぬ、ここは御理解をいただきたいと思います。
  253. 秋山肇

    ○秋山肇君 それは局長のお答えがわからないわけではないんですが、そういうのが片方の関西の方の市ではよくて関東の首都圏の市ではそれがそういう形であったということになると、やはり行政というのは公平に扱われなきゃいけないというふうに思うのでちょっとこれからの指導というのにはお含みをいただき、大臣もぜひ頭の隅に置いておいていただきたいなというふうに思うわけであります。  それでは、この裁量がまた極端な裁量をするところがあるんですね。兵庫県尼崎市では市の条例で、退職時の一月一日現在市内に居住すれば退職金に係る住民税の一部を申請することにより減免される制度があるということであります。この制度の具体的内容と、どれぐらいこの制度を利用されている人がいるか、自治省では把握されておりますでしょうか。
  254. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) これは新聞にそういう報道がされましたが、新聞の報道のポイントはそうした制度そのものよりも、市外に本当は住んでいたのだけれどもこの適用を受けるために退職時の一月一日市内に住所を移すというようなことが起きているという点に問題点があったようでございます。そこで、私どもはその報道を見ましたものですから県に連絡をいたしまして市の条例も持ってきてもらいました。ただいまその内容はどうかという御質問ですが、その条例を見ますというと制度内容はおおむね次のとおりでございます。つまり、退職所得に係る所得割につきまして市長において必要があると認めるときに減免ができるという規定がありまして、退職所得の金額が五十万円以下の者については全額、それを超える者は十分の五という減免規定があるわけでございます。減免を受けようとする者につきましては退職手当の支払いを受けた日から六カ月以内に申請をしなければいけない、そういう規定になっております。  それからこの制度の利用者につきましては、尼崎市当局によりますと、昭和五十六年度から六十一年度までの退職所得に係る所得割納税件数六千八百八十九件中減免を受けた者が千七十四件というふうに兵庫県から報告されているところでございます。
  255. 秋山肇

    ○秋山肇君 尼崎市が交付団体であるか不交付団体であるか私ちょっと調べてないんですが、こういうことをやって、まして市の職員が四十数人適用を受けているということなんですが、一般の納税者にはこういうことは周知徹底していないと思うんですね。前から言っている固定資産税を取り過ぎていた問題等を含めて、これは許されることではないというふうに思うんですが、この点についてどういうふうにお考えになるか、最後にお答えをいただいておきたいと思います。
  256. 渡辺功

    政府委員(渡辺功君) この制度そのものにつきましては、なお私ども制度の詳細それから運用の実態等を私どもの方に報告もするように県に対しまして今連絡をしているところでございます。そうした内容を踏まえましてこの対応を考えたいと思いますが、まずその事実関係の中で一番私どもとしてどうかという問題は、減免を受けるために事実に反して住民票を操作したケースというようなことになりますと、これは条例のよしあしの問題ではなくてそれ自体の違反問題でございます。したがいましてそれはまさに法律上の問題でございますので私どもの方のきちっとした判断を示していかなければいけない。  そこで住所の問題につきましては、一月一日の住所ということでございます。住所認定の要件は住民基本台帳法の住所認定と同じでございまして、住民基本台帳法の建前も単に住民票を移せば住所がそう移るということではございませんで、そういう状態であればそれは是正させる、こういうことになっておりますし、それからまたそれが是正しない場合はたしか法律で職権でも直すことができるというふうなことがありますので、これは住所があった市町村が課税権を有するという、ここのところが私どもの住民税の問題点として一番中心的課題でございます。したがいましてそういったような問題が起きているのかどうかその辺をきちっと確かめまして、そうだとすればその課税権を有していたのではないかと考えられる市町村と尼崎市との間できちっと協議をして本来の課税をするということがまず住民税の法律問題としての最大課題、こう認識いたしておりまして、前段申し上げましたようにこの制度の詳細と運用の実態と両方にわたってきちっと調べたい、こう考えております。
  257. 津田正

    政府委員津田正君) 尼崎市は交付団体でございます。  税務局長が申し上げましたように、事実の内容とその適否というものの結論を踏まえまして財政的な問題も私ども適切に対処したいと思います。
  258. 秋山肇

    ○秋山肇君 終わります。
  259. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会