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1988-04-21 第112回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月一日     辞任         補欠選任      宮崎 秀樹君     吉川  博君  四月十一日     辞任         補欠選任      糸久八重子君     対馬 孝且君  四月十三日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     糸久八重子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 出口 廣光君                 松浦  功君                 佐藤 三吾君                 抜山 映子君     委 員                 金丸 三郎君                 久世 公堯君                 佐藤謙一郎君                 坂野 重信君                 沢田 一精君                 田辺 哲夫君                 増岡 康治君                 吉川  博君                 糸久八重子君                 山口 哲夫君                 片上 公人君                 神谷信之助君                 秋山  肇君    国務大臣        自 治 大 臣  梶山 静六君    政府委員        自治大臣官房長  持永 堯民君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省行政局公        務員部長     芦尾 長司君        消防庁長官    矢野浩一郎君        消防庁次長    片山虎之助君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君    説明員        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部業務課長    羽生 次郎君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部保安課長    百瀬  信君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部鉄道施設課長  本多 辰巳君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        山中 保教君     ─────────────   本日の会議に付した案件連合審査会に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件) ○消防法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  国民健康保険法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 地方行政改革に関する調査のうち、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件及び消防法の一部を改正する法律案便宜一括して議題といたします。  消防法の一部を改正する法律案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより直ちに両案件について質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 糸久八重子

    糸久八重子君 まず危険物関係からお伺いをいたします。  東京電力の大井火力発電所で昨年の五月に補助タンクが爆発いたしまして六人の方たちが死傷した事故のことでございますが、この事故はここ国会からも立ち上る黒煙が見えまして、私たちの生活は危険と裏腹であることが非常に痛感させられたわけでございます。事故のあった場所は全国で八十二ある石油コンビナート等災害防止法特別防災区域に指定され、厳重な保安体制がとられている地域でございます。またこの大井火力発電所では事故のあった約半年前に直下型地震を想定した大がかりな防災訓練がなされていたとのことでございまして、今回の爆発事故発生関係者方々だけでなく首都圏住民にとっても大変なショックであったわけですが、消防庁といたしましては今回の事故を教訓にどのような対策をおとりになられたのか、また従来の保安体制に不備があったのかどうかもあわせて御説明いただきたいと思います。
  7. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昨年五月の東電大井火力発電所事故でございますが、御指摘のように死者四人を含む犠牲者を出したということ、しかもそれがこういう首都圏の真ん中で起きたという意味で私どもも大変この問題については遺憾に存じ、またこの問題だけでなくて、おっしゃるように全国的な石油コンビナート関係安全体制確保について一段と関心を持っているところでございます。消防庁におきましてはこの事故が起こりました後、直ちに学識経験者消防関係者等から構成いたしますタンク爆発火災事故に係る対策検討委員会を設けまして、委員長井上埼玉工業大学名誉教授でいらっしゃいますが、この事故の各種の要因に着目して今後の安全対策について検討を行ってきたわけでございます。  この東電の場合に、事故が起きましたのは満タンの状態で起きたというのではなくて、ほぼ空っぽにした状態において工事を行っておった、つまり工事をするために空っぽにしておって、その工事の最中にこういう事故が起きた、こういう現象でございます。実は最近の状況を見ますとその種の事故、つまり工事中に事故が起きるというようなケース幾つかございます。工事中にはその電力会社の直接の保安担当専門家だけでなくて、工事関係者、例えば電気関係であるとか溶接関係であるとか、そういう方々が外から入ってくるわけでございます。そういう際に特にやはり安全の確保が十分図られなければならない。そういう観点から、工事中の火気管理等安全対策、そのほか消防活動上の問題点タンク構造上の問題点な どがいろいろ提言されました。  その結果に基づきまして、昭和六十二年十月六日付をもちまして工事中の火気管理等安全対策中心消防機関及び関係業界団体に通知を行いまして再発防止のための必要な措置を講じたところでございます。特に、先ほど申し上げましたようにそういった工事をやります場合には必ずその火力発電所等石油タンクを管理しております責任者が立ち会った上でやらなければならない、その点がやはり一番ポイントで、いわばソフトの問題、体制の問題に重点を置く必要があるということを私どもの方としては痛感をし、そのような趣旨の通達並びに指導を行っておるところでございます。
  8. 糸久八重子

    糸久八重子君 最近東京湾臨海部開発が各方面から唱えられておりますが、この地域さき石油コンビナート等災害防止法特別防災区域に指定されておりまして、石油とか高圧ガスとかが大量に集積しているいわば危険地帯というところでございます。もし東京直下型地震発生した場合には大災害になる危険性が十分考えられるわけですが、消防庁としては臨海部開発についてどのような検討をなされていらっしゃるのでしょうか。
  9. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 東京湾等臨海部開発が進んでおることに対する防災対策という観点からの御質疑と存じますが、石油コンビナートにおきます石油貯蔵タンク等につきましては耐震設計を取り入れております。かなり以前でございますが昭和四十年代に水島の大きな事故がございまして、特にそれ以後石油タンクにつきましては、その基盤と申しますか基礎と申しますか、これの強化等中心耐震設計ということを重視した基準を設けておりまして、現在のそういう耐震設計によりましては相当程度直下型地震にも耐えられるようになっておるということでございます。  万一災害発生した場合におきましても、石油タンクの場合でございますので油の流出が非常に大きな環境被害をもたらしますので流出油防止堤等防災施設設置であるとか、あるいは事業者消防機関双方防災資機材整備防災要員の配備、それから緊急時の応急対策を定めました石油コンビナート等防災計画の作成、それから何といってもやはり防災訓練実施が大事でございますので、こういう防災訓練実施等のいろいろな対策を講ずることによりまして被害を最小限にとどめるように従来から対策を講じ指導をしてきておるところでございます。
  10. 糸久八重子

    糸久八重子君 特別防災地域での再開発計画各地で打ち出されておるようでございますけれども、これについて消防庁では検討委員会を設けて研究を進めるとのことのようですが、この内容とかスケジュール等につきまして御説明いただきたいと思います。
  11. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 都市ないしその周辺における再開発が進むことによりまして特に我々が重視をいたしておりますのは、例えば今御指摘特別防災区域の上に高速道路を敷設しようというようなケースがあるわけでございますが、この点についてはそういう特別防災区域の中でございますのでそれによりまして事故発生するおそれなしとしないという観点から、特にそういう問題を中心検討いたしております。現在道路網整備に伴いまして石油コンビナート等特別防災区域を通過する高架道路各地計画をされておりまして、既に一部は供用開始されたところもございますけれども、この点については防災対策検討が必要ということで早急に検討を開始しておるところでございまして、本年度におきましてはハードの面とソフト面両方の専門的な見地から調査研究を行うことといたしております。  なお、このために昭和六十三年度予算におきましては約四百万円の特別防災区域を通過する高架道路等防災対策調査研究に要する経費を計上いたしまして、この予算をもちまして御指摘のような委員会設置しこの問題の検討に鋭意当たってまいりたい、こう考えております。
  12. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは次に、給油取扱所規制緩和安全体制についてお伺いをいたします。  六十一年の総合経済対策を受けて、昨年の五月に給油取扱所つまりガソリンスタンド業務範囲拡大されまして、車の関連用品だけでなくて、例えば日用品だとか衣料とか食料品とか喫茶のようなものまでも扱えるようになったわけでございます。そして第二段階緩和が近々なされるということもお伺いしておるわけですけれども、従来ガソリンスタンドは、その取り扱う危険物可燃性ガス発生しやすくまた引火性が高いものであるということから業務範囲というのは給油業務のほかに一定自動車関連業務に限定しておったわけでございます。それをなぜこのような規制緩和の方向に転換したのか、まずお伺いさせていただきます。
  13. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘のように、ガソリンスタンドにつきましてはこれはガソリンを扱うわけでございますし、またガソリンから発生する蒸気ガスというものがございますので、そういう観点から非常に厳しい規制を行っておるところでございます。ただ、ガソリンスタンドにつきましてはやはりドライバー利用ということが主体でございまして、従来におきましては自動車関連のパーツであるとか、あるいはそれ以外のものでは例えば清涼飲料水程度までは差し支えない、こうしておったわけでございますが、しかし、ドライバー利用便宜等観点からそういった規制を広げてほしい、率直に申しますとそういう要請が非常に強くあったわけでございます。  ただ消防庁といたしましては、そういう要望があったということだけで全面的に規制を広げるというわけにはいかない。もちろんそれに対応する安全の設備について対策を講じて一定基準を設け、あるいは従来の業務以外にこれを広げる場合につきましても、あるいはそれ以外の施設利用を行う場合におきましても必要な対策を講じた上で、そこまでやれば差し支えない、安全だというめどがつくという観点から検討を行い、昨年の五月には御指摘のように物品販売等については範囲を広げるということにしたわけでございます。
  14. 糸久八重子

    糸久八重子君 一定安全対策を講じられたというお話なんですが、その安全対策というのは具体的にどういうことなのか。特に業務範囲拡大いたしますと不特定多数の人がガソリンスタンドに出入りすることになりますけれども、この辺の御配慮についてはいかがなんでしょうか。
  15. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 具体的にお答え申し上げますが、給油取扱所業務範囲拡大に伴う安全の確保については、御指摘のような給油取扱所に出入りする人たちを、危険物取扱者、つまりガソリンスタンド責任者等が十分に把握ができてそして適切に誘導することができる範囲にしなければならないということと、それから出火延焼防止対策を講ずるということのために、給油取扱所における建築物につきましては給油業務及びこれに付随する業務を行うことについて必要な用途に供する建築物以外の建築物を設けないということにしたということ、それから物品販売は原則として建築物の一階以外の場所で行ってはならない、それから給油取扱所において新たに予防規程を定めなければならないこと、そういった安全対策を昨年の五月のこの範囲拡大ということに関しては行ったところでございます。
  16. 糸久八重子

    糸久八重子君 昨年の五月の業務範囲拡大以来現在まで、ガソリンスタンドについて事故発生した例はございますか。
  17. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) ガソリンスタンドでの事故件数等について御説明申し上げます。  これは暦年で集計いたしたものでございますけれども昭和六十一年中のものが火災事故が四十五件、漏えい事故が六十八件でございまして、規制緩和以降の件数については今のところ必ずしもきちっと確認いたしておりません。
  18. 糸久八重子

    糸久八重子君 先ほど第二段階規制緩和がされるということを申し上げましたけれども、何かガソリンスタンド上階用途規制緩和が図られるということもお伺いしておるわけでございます。土地の有効利用などということを考えてそう いう緩和が出されているのかなというふうには考えるわけですけれども消防庁として従来上層階利用規制としてどのような措置を講じられてきたのか、御説明をいただきたいと思います。
  19. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 屋外給油取扱所上階用途規制緩和につきましては、現在消防庁から危険物保安技術協会に委託をして、学識経験者を含めました検討委員会委員長秋田一雄東大名誉教授でいらっしゃいますが、これを設置いたしまして、実大規模実験の結果を含めました安全確保のための検討を行ってきたところでございます。  この点につきましては、やはり御指摘のようにガソリンスタンドの多角的な利用、非常にいい場所に立地をしておるものが多いものでございますから、そういうことによるガソリンスタンド利用者も含めた便宜という観点から要望が強いわけでございますが、そういう要望に対して上階利用を行う場合にどうすればいいかということの内容を、委員会報告を受けてこれから所要の政省令の改正をするための作業を行っておるところでございます。  この検討委員会検討におきましては、そういう上階利用するという場合におきまして給油取扱所火災発生した場合の危険性に対する対策といたしまして、火災規模一定以上にならないように限定をする、それから上階延焼していくことを防止する、そういう観点から、例えば一定以上の長さのひさしをつける。ガソリンスタンドで火が発生いたしまして炎が上階に及ぶのを防ぐために一定の長いひさしをつける、それによって火炎の影響を低減させる。さらに上階利用者安全避難確保する対策を講ずる  それから、もちろんのことでございますが、上階利用する場合の施設の種類でございます。特に自力避難をするのに非常に困難な方々が入るような施設、そういったものはこれは認めるわけにいかないというような観点から、この検討委員会におきましてはそういう上階用途につきましてもそういったものはやはり除いていくというような報告が行われておりまして、現在この報告を踏まえまして具体的にどのような上階利用についての規制緩和を行うかということの政省令検討を行っておるという段階でございます。
  20. 糸久八重子

    糸久八重子君 先ほどお話では昭和六十一年度の火災発生が四十何件というようなお話だったわけですが、そのうち大体三十件程度確認不十分等の人的な要因での火災だとされておるわけでございます。今お話しのようなガソリンスタンド規制緩和が相次いでなされますと、先ほども申し上げましたけれども多数の人たち給油所に出入りをするということになりまして、もし万一出火した場合の危険性というのは大変なものだろうというふうに考えられるわけでございます。  特にそのガソリンスタンドでもそうですけれども近隣住民も非常に危険になると思いますし、また長いひさしをつけてそれで上階への火災を防ぐことができるのかどうかということも大変心配でならないのですが、消防庁としてはこれらの方たちの不安を完全に解消することができる自信がおありですか。
  21. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、確かに有効利用という観点からの要請を踏まえてのことでございますけれども消防の立場としてはこれに対して十分な安全対策を講じなければそういうことはやはり認められないという考え方から検討を行っておるところでございます。先ほど申し上げましたように、現在検討委員会におきましては単に頭の中あるいは机の上での議論だけではなくて実際に実験用施設をつくってみまして、その施設について例えば火災が起こった場合に火炎状況がどういうぐあいになるかとか、あるいは日常ガソリンから発生いたします蒸気がどういうぐあいに対流をするのか、あるいはガソリン漏えいを極めて局限化するためにはどうすればいいのか、そのほか先ほど申し上げましたような上階延焼危険等対策等も含めましていろいろな観点から検討いたしておるところでございます。  そういった点につきまして、あくまでもこの程度措置を講じればこれは十分だという自信がついた段階規制緩和を行うべきものだと考えておるわけでございますので、そういう意味では十分慎重を期しておるわけでございます。検討委員会の極めて多角的、多方面からの検討の結果、大体こういう検討結果を踏まえていけば安全は確保できるのではないか、このように考えておるわけでございますが、なお政省令の制定の段階においても十分慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
  22. 糸久八重子

    糸久八重子君 次に高齢者など災害弱者対策についてお伺いをさせていただきます。  昨年の特養ホーム松寿園火災の惨事は記憶に新しいところでございますが、六十二年度版の消防白書によりますと、火災による死者半数近くが六十一歳以上の高齢者建物火災による死者の九〇%以上が住宅火災によるものということであるようです。今後高齢化の進展とそれから核家族化の中で六十五歳以上のひとり暮らしのお年寄りがますますふえ続けるということが考えられるわけですが、その中で政府は特に在宅福祉を提唱していらっしゃるわけです。その辺のこと等を考え合わせますと、在宅高齢者をいかにして火災から守るかということは喫緊の課題だろうと思います。  政府さき松寿園火災を契機に、高齢者が多数おられる福祉施設だとか病院等スプリンクラー設置を促進されておりますし、また自動通報システム整備等推進されておられますけれども在宅高齢者についての対策は非常におくれているのではないかというふうに思います。昨年の当委員会では、住宅防火対策検討委員会を設けて住宅用スプリンクラー等開発に努力しているということでありましたけれども、現在までにどのような経過になっておりますでしょうか、お伺いをさせていただきます。
  23. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘のように住宅火災による死者の数が非常に多く、九〇%がそうでございます。また年間の死者の中で、例えば昨年の場合でございますと放火自殺者を除く死者の数が約千二百人強だったと思いますが、そのうち約六百人ぐらいが六十一歳以上のいわゆる高齢者の方で、死者の数そのものが必ずしも減少しないと同時に、高齢者のウエートがふえていくということはこれは大変重大な問題だと思っております。  特に、そういう在宅高齢者という問題を含めまして、火災のほとんどが住宅でございますので住宅防火対策というのが大事だということで、学識経験者によって構成されます住宅防火対策検討委員会を設けまして、特に老人家庭ということを念頭に置きながら、まず住宅用の簡易なスプリンクラー設備、これは消防庁関係研究機関におきましても既に実験をいたしております。  私も実験現場を見たことがございますけれども、例えばカーテンに火がついた場合にスプリンクラーが作動して消すわけでございますが、ただ一般の住宅につけるわけでございますので、例えば普通の水道の水圧の関係、これをもってある程度有効に初期消火ができる、あるいは延焼が食いとめられるというようなものをどう開発していったらいいかという点でまだ幾つかの問題点がございますけれども、そういうようなスプリンクラー設備開発とか、それから火災感知機等家庭用消防機器のあり方につきまして具体的に検討を進めております。  一方ソフトの面につきましては、住宅防火対策推進方策とその指導方策のガイドラインを作成いたしまして、火災予防とそれから火災時における適切な行動に関する知識の普及を図るということによりまして住宅における総合的な防火対策推進していくことにしております。  また高齢者火災から守るためにもう一方では、いわゆる防災性能、非常に燃えにくい素材を用いた例えばカーテンであるとかじゅうたんであるとかあるいは寝巻きとかの寝具、こういったも のの普及推進を図る。第一着火物消防で呼んでおりますが、一番先に火がついたものからの延焼を防止する。同時に焼死者とかあるいは炎が燃え広がることによって生ずる有毒ガスによる死者を減少させたいということでこういう防炎物品普及推進を図りたい。こういったこと等を特に検討課題といたしておるところでございます。
  24. 糸久八重子

    糸久八重子君 これは高齢者だけでなくて、例えば乳幼児とか身体の御不自由な方たちなどのいわゆる災害弱者、こういう方たち火災による死亡の約半数を占めているということが書かれてありますけれども自力避難が困難なこういう方たちに対して、単に消防機関だけでなくて地域住民協力ということが必要になってくるのではないか、そう思いますけれども消防庁といたしましてそういう地域住民との協力という部分で具体的にどのような対策検討なされておりますでしょうか。
  25. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘のようないわゆる災害弱者対策という観点消防庁の六十三年度の重点施策項目の一つに掲げておりまして、特に高齢者あるいは肢体不自由児中心とした死傷防止対策を講ずる必要があるということで、そういった避難時における具体的な行動基準なりあるいは近隣地域との援助の関係なり、そういった点を中心としたモデルプランをつくりましてこの普及徹底に努めてまいりたい、そういう指導方針検討中でございます。御指摘のようにこれからの時代の趨勢を踏まえましてこの問題はますます重要性を帯びてまいると思いますので、特に今後力を入れてまいりたい、こう考えております。
  26. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは次に、長大トンネルの防災対策についてお伺いをさせていただきます。  長大トンネルの火災というのは北陸トンネル列車火災事故それから東名日本坂トンネル火災事故など大災害が思い出されるわけでございますけれども、トンネルという特殊性から大災害に結びつく危険性が非常に高いわけでございます。そこで消防庁さきの青函トンネルの供用開始を契機に長大トンネル防災対策研究会というのをお設けになったそうでございまして、そしてその成果を防災対策の指針として都道府県に通知したということを伺っておりますけれども、どういう内容でございましょうか。
  27. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昨年度消防庁が設けました長大トンネル防災対策研究会でございますが、上原横浜国立大学工学部教授を委員長といたしまして設けられまして、この委員会におきまして長大トンネルの防災対策に関する種々の検討がなされたわけでございます。この検討の結果につきましては本年二月に報告をいただきまして、二月十九日に各府県に通知をいたしました。ちょうど青函トンネルの開通が三月の半ばということでございますので、これにとにかく間に合うようにということで早急にこの検討委員会研究の結果を通知したわけでございます。  青函トンネルに関係いたします青森側、北海道側の両方の消防本部におきましてはこの研究結果を踏まえましていわゆる防災計画をつくるということができたわけでございますが、長大トンネルの特殊性にかんがみまして、その特殊性を踏まえた消防活動安全確保のための対策問題点がこの報告書の中においては種々掲記されておるところでございます。
  28. 糸久八重子

    糸久八重子君 今お話しの青函トンネルで、北海道側の火災対策基地であります吉岡地点では防災訓練はなされたようですけれども、青森県側の海底駅での防災訓練はされていないというような話も伺っているわけです。世界最長、しかも高度の防災施設を持った青函トンネルでありますけれども施設への過信は非常に危険だろうと思うんですね。そういう現状を消防庁はどう把握されていらっしゃいますか。
  29. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 青森側は青森地域広域消防本部、また北海道側は渡島西部広域消防本部の所管でございますが、この両消防本部におきましては先ほど申し上げましたような検討委員会報告書を踏まえまして防災計画をつくったところでございますけれども、この防災計画に基づく防災訓練につきましては、ただいま御指摘のように、北海道側は吉岡定点におきまして、ただいま申し上げました渡島西部広域消防本部、それからJR北海道、鉄建公団が合同で総合防災訓練実施いたしました。青森側につきましてはまだ実施されておりませんけれども、これにつきましては現在青森地域広域消防本部とJR北海道が訓練の実施につきまして目下打ち合わせ中でございます。  したがいましてできるだけ早い機会に防災訓練が行われるものと考えておりますが、いずれにいたしましても、そういう防災訓練を通じまして通報連絡の体制であるとかあるいは救急救助活動であるとかあるいは消火活動、こういった問題について十分実際の状況を踏まえた訓練を積んで非常の場合に備えることが重要であると考え、そのように指導しておるところでございます。
  30. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは時間がなくなりましたので改正案の中身につきまして一点だけお伺いをさせていただきます。  それは危険物取扱者試験の受験資格の緩和の問題についてでございますが、改正案では乙種及び甲種危険物取扱者試験の受験資格のうちに一定の学校卒業者に係る者につきましては実務経験を不要としておるわけでございますけれども、これは実際に取り扱ったことがない者でも知識さえあれば取り扱いの際に立ち会うことができるということで、安全対策上非常に不安に思うのです。この点はどのようにお考えでございますか。
  31. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今回の改正におきまして実務経験の要件というものを廃していわば受験資格を緩和するということにしたわけでございますが、この改正の趣旨は、できるだけ広く一般の国民に危険物に関する知識技能の普及を図るという見地から乙種の危険物取扱者試験の受験資格から危険物取り扱いの実務経験を削除したところでございます。甲種の方につきましては、これは今ちょっと御質問の中で御指摘でございましたけれども、普通の場合には乙種の資格を取ってから二年以上の実務経験がなければ甲種が取れない、ただし大学におきまして化学等の専門の課程を修了した者は不要ということにしておるわけでございます。これは大学においてそれだけの専門の勉強をすればそれで必要要件を満たしておる、こういう観点からしておるところでございます。  今後乙種につきましてはそういう観点から受験が容易になるわけでございますけれども、実は現在でも年間約四十万人ぐらいの受験者がございまして、この試験の受験希望者は非常に多いわけでございます。これは最近の情勢を反映いたしまして例えば工業高校の生徒さんあたりでもこの試験を受けてくる、いわば一種のライセンスの時代、あるいは就職に当たって有利な条件となる、こういうようなこともございましょうけれども消防側から見ますと、そういうことによりまして国民に広く危険物の知識が普及されるということは大変結構なことで、そういう観点から実務経験を外すということにしたわけでございます。  ただ、もちろんガソリンスタンド等における安全の確保は必要でございますので、ガソリンスタンド等の施設におきましては危険物の保安監督者を置かなければならぬことになっておりますが、その選任要件としては実務経験を要するということにいたしておりまして、そういう観点から安全管理に支障を生ずることのないように配慮をする、このように考え今回の改正をお願い申し上げておるところでございます。
  32. 糸久八重子

    糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
  33. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 消防職員の四週六休問題について質問をいたします。  六十二年十二月二十二日に消防庁消防課長から各都道府県消防主管部長に対しまして「消防職員の四週六休制の実施について」という通知文書が出ております。これを読んでみますと、基本的には自治事務次官通知に準ずるというか従うというように書かれております。そして事務次官通知 を読んでみますと、今度は国家公務員に準ずるように書かれております。国家公務員の四週六休についての原則というのは、現行の予算それから定員の範囲内で実施する、こういうふうになっているわけです。  したがってこれから考えますと、消防職員の四週六休の実施についても職員をふやさないで実施をするように、そういう趣旨に受け取られるわけですけれども、そのとおりですか。
  34. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 地方公務員の四週六休制の実施につきましては、御指摘のようにこの実施のための定員、予算の増を行わない、さらに行政サービスの急激な変化を来さないよう事務処理体制整備により実施することとされておるところでございまして、国家公務員の四週六休のやり方に準じた方法で行うということでございます。  消防の場合につきましては、これを踏まえて事務次官通知が出ておりますが、それを踏まえまして、一般の長の部局において行われるという場合とやはり同様に実施していかなければならない。ただその場合に消防職員の特殊性ということを考えていろいろな方法を検討する必要がある、こういう趣旨でございますので、基本的には国家公務員あるいは自治事務次官通知を踏まえておるということでございます。
  35. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 これは消防庁消防課が編集したものですけれども消防職員人事教養一問一答」というのがありまして、その七十八ページに「消防職員への四週一回・交替半休制の実施」、これは昭和五十六年に公務員が四週五休制を実施したときに消防職員に関係する部分について消防庁の考え方を示したものですが、その中に「常に有事即応体制をとる消防にあっては、この制度を増員なく実施することはきわめて困難といわざるを得ないが、」云々と書いているわけです。  ですから四週五休制を実施するときでも消防職員については増員しないでやることは難しいのだと、これが消防庁の見解なんです。ましてや四週六休制を実施するときに職員をふやさないでやるというのはおおよそ困難なことだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  36. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防という非常に特別な勤務体制をとっております、しかも常に有事に備えておかなければならないというような性格を持つ行政分野におきましては、通常の行政業務と違って、そういった四週五休あるいは四週六休の実施につきましてこれを予算なり定員の増なしに行うということは本当になかなか難しい問題であろうと思います。しかしながら、困難であるからという理由で四週五休を実施しないというわけにはいきませんし、しからば現在の行政改革の方針のもとでは増員ということを一方で行いながら四週五休なり六休をやるというわけにもいかない。その点を十分工夫検討してほしい、私どもとしてはこういうぐあいに考えておるところでございます。
  37. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 非常に難しい、困難だ。どうやってやるんですか、具体的に。しかも四週六体制というのは土曜日を休日にするわけでしょう。特に消防の職員の場合には交代勤務というのが非常に多いわけですから、そういうものを職員をふやさないで一体どうやって技術的にやれるのか、これは手品師みたいなものですね。どうですか。
  38. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) この週休の問題につきましては御指摘のように連続してとれるような形にしなければ意味がない、少しずつ時間を割り振るというような格好ではないわけでございますので、そういう観点からはなかなか工夫を要するところでございます。現在この問題につきましては全国消防長会等におきましても実際の実務現場の経験も踏まえましていろいろ検討を行っておるところでございますが、具体的には、例えば毎日勤務者、いわゆる交代制勤務者でない毎日勤務者の活用とか、あるいは職員配置なり出動体制の弾力的な運用とか、あるいは非常の場合の応援体制の強化整備、こういった方法などを中心にこの四週六休を取り入れることができるように工夫検討をしていっていただきたい、こう考えておるところでございます。
  39. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 毎日勤務者は毎日勤務者としての仕事があるんです。ですからこれを持ってくるというわけにはいかない、それはそれとして置かなければならないんです。こちらの方は交代勤務で夜泊まる方々、そういう人たちがちゃんと要るわけですね。仕事は一つも減るわけじゃないんですよ。だから定数を全然動かさないでやるというのはどうやりくりしたって絶対できないですね。できる自信がありますか。
  40. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 先ほど申し上げましたように、一方において増員をしないという建前のもとに実施をするわけでございますから大変難しいことは御指摘のとおりかと思います。ただ、難しいからといってもう頭から、増員しない以上はこれは絶対できないんだと、こういう姿勢で臨むのはこれまた一方では不適当ではなかろうか。いろいろな工夫を重ね実地の状況を踏まえたテストケースと申しますか試行というものを通じて、その結果この程度ならば特に重大な支障を生じないというような判断がつくかどうか、その辺を確かめなければいけない。そういういろいろなテストを重ねた結果、ここのところだけはどうしてもやはりぐあいが悪いと思えばそこに対してまた何らかの手を講ずる。やはりそういうような積み重ねの方策をとっていかなければならないのではなかろうか、このように考えます。
  41. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 絶対できないことが初めからわかっていながら、増員しないでやれという通知を出すこと自体に問題があるわけですよ。全然現場のことを認識しないで、そして一片の通知でもって増員しないでやれと、現場は大変な混乱をするわけですよ。これは技術的にどうやっても理論的にどうやっても絶対私はできない、そう思うんですけれども自信がありますか。
  42. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 実は第一問に人員増をしないで消防職員の四週六休制度の推進ができるかということで、この予定には対自治大臣と書いてあるんです。けさレクチャーを受けましたけれども、私も委員指摘のようにどうしてこれができるのかしら、一番できない問題を大臣に答えさせるとは罪ではないかということで実は答弁を拒否して今までここにおるわけでございますが、確かに算術計算といいますか常識の計算でいきますと、こういう現場のことでございますから能率を上げるとかなんとか、火災を一時期に集中するというわけにもまいりませんから、この消防という使命から考えますとちゃんとした体制を張りつけなきゃならないという気がいたします。  今長官の言われたように、何らかの方式があるのかどうなのか、こういうものはもちろん勉強してみなきゃなりません。それから、あるいは消防の器具機材、そういうものの改良によって多少人員を減らすことができるのか能率化ができるのか、そういう問題もあろうかと思いますが、この二つの問題を検討してなおかつ実務上できないということになれば、四週六休を進めるものなのかあるいは定員増をするか、この二つに一つの選択しかないわけでございますから、暫時この問題の検討を進めてその後に対応を講じなければならないというふうに考えております。
  43. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 四週六休制というのはこれは三年後には消防職員も絶対やらなきゃならないんです。そうでしょう。やらなきゃならないことになっているんです。やるためにはどうしても人員をふやさなければならないんです。そして今大臣は技術的な改良とかおっしゃいますけれども消防の技術的な改良は非常にこれは無理なんです。改良したとしても、後ほど触れますけれども、ポンプ車一台に対して五人乗せるということになっているんです。それを今五人乗せてないところが非常に多いんです。そこも改めなきゃならないんですから、まずそれを改めるだけの定数をふやさなければならないんです。  そこへもってきて四週六休を人をふやさないでやるというんですから、これは実際に通知を出したその最高責任者はだれなのかわかりませんけれ ども、私はどういう頭でそういうものを出したのか。それからこれは事務次官通知で出しているんですから、事務次官も一体どういうふうにしたらこれをできると判断して出したのか。特に消防庁はそれを受けてどうやってやるのか。私は今までちょっと勉強してみましたけれども、どうしてもこれはわからないんですよ。後ほど技術的な問題それからもっと具体的な問題に入りますけれども。  それできょうは警察の方はお呼びしておりませんけれども、実は昭和五十六年に四週五休をやったとき、これは警察というのは交代勤務が多いわけですから大体消防と同じ勤務体制なんですが、特に交番勤務が問題になりまして、この交番勤務の体系はどうしても変更せざるを得ない、そのためには大幅な人員増をやらざるを得ないということで警察はちゃんと大幅な人員増をやってこの四週五休に対処しているんです。警察だって消防だって大体同じですよ、交代勤務というのは。片方ではちゃんと四週五休のときに増員してやっているんです。ということは増員しなければできないんです。どうですか、それを踏まえて。
  44. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 大臣からもお答えがございましたけれども、理屈を詰めてまいりまして数字の上だけでできるかできないかという議論をいたしますと、やはり定員増をしなければできないではないかというような考え方が出てくるのは極めて自然であると思います。  ただ、先ほど申し上げましたようにやはり四週六休はどうしてもやらなければならない。そして一方で四週六休を現在現実にテスト中、試行中のところがもう既にあるわけでございます。これはやはり現場の状況を踏まえなければならないわけでございますので、消防庁が頭の中で考えてこうしたらよかろうと言うわけにもまいりません。そこで全国消防長会の人事教養委員会におきましてそういった四週六休を具体的に導入していく場合にどういう方法をとったらいいかということをいろいろ工夫検討しておるところでございまして、そういう工夫検討を踏まえまして、困難な中でもこれをぜひ実施するようにしてまいりたいという考え方でございます。
  45. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 具体的には後ほど詰めますけれども、大臣もさっきおっしゃったように、大臣御自身もやっぱり不思議だ、果たしてこんなのができるのかなという疑問を持たれたとおっしゃるわけですよ。ですから、技術的にどうしてもできない、しかしやらなければならない、そうすると人員増加させるしかない、こういうふうに判断した場合にはふやしてくれますね。
  46. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 先ほど申し上げましたようにまず四週六休の試行をとにかくやっていただきたいということでございますが、その試行を通じましていろいろな工夫をやり、それが実際の消防行政の上に影響を及ぼすのか及ぼさないのかという点ももちろん確かめなければならないと思います。その場合に人員をとにかくふやさない方向での工夫ということになろうと思いますが、そういう問題をいろいろ詰めていって現実にそれをテスト、試行をしていってみて、そしてここのところだけがどうしてもやはりうまくいかないというような問題が出てくるのかどうか。そういった点も見きわめた上で、そういった問題が出てくる場合にはやはりそれなりの対応をしていく必要があろうかと思います。  とにもかくにもまずそういう四週六休の導入を踏まえ、しかも定員増を行わないという国家公務員、地方公務員全体を通じる方針を踏まえながら工夫を行っていくべきだ、こう思っております。
  47. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 簡単に試行試行とおっしゃいますけれども、まずその試行に問題があるんです。試しに行ってみるわけでしょう。しかし試しに行う場合にはどう勝手なことをやってもいいということではないんですよ。試しに行うということはあくまでも一定の条件を満たす中でやらなきゃならないわけですから、その試行の方がむしろ問題なんですよ。試行をやってみてやれたからほかの方も大体右へ倣えできるだろうなんて、そんな簡単なものじゃないんです。この条件の中で試行ができるか、それもできないということになればこれはふやさざるを得ないと思うんです。これはやっぱりどうしても無理なんです。  警察が七年前に職員を大幅にふやして初めて四週五休制ができた。それと同じような人員増をしない限りは消防も無理だと判断した場合には、大臣、当然これは人員をふやすでしょうね、国民の生命財産を預かる大事な消防職員の問題なんですから。
  48. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 長官からお答えをいたしましたように、いずれにしても、ペーパープラン、あるいは現実の現場において四週六休制度が試行できるかどうか、試みに行うことができるかどうかという体制をまずもって試してみなければなりません。どうしても試してできないということになれば、今度は制度上の改廃が果たしてできるのかどうなのか。これは一消防ということではなくて隣接消防との連携のもとにそういう体制が組めるかどうか。  こういうのも能率化の一つでございますから、確かに消防体制整備をして十全の準備をしていくことは必要でございますけれども、それに重複の分野があるかどうか、こういう問題ももう一回、これは今のものが完全であるという体制のもとで今議論がされているわけでありますから、私は今決して余剰人員を抱えているとは思いませんしそういうことではありませんが、そういうものを合理的に詰めることによってそういう体制整備することが可能であるかどうか。こういうものを試行をいたしながら、なおかつどうしてもだめとなれば新しい体制をとらざるを得ない、こういうふうに考えております。
  49. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 新しい体制というのは職員をふやしてという意味ですね。
  50. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 職員をふやすということもございますし、それから今のものが過剰、過剰と言うと大変、消防なんというのは幾らやっても過ぎることはないんですが、しかし行政サービスというのはやはりそれなりの負担が要するわけでございますから、いかに行政を安上がりにしようか、小さい政府にしようか、こういう問題との兼ね合いがございます。  ただ私は、やはり兼ね合いといっても市民の生命財産を守る警察とか消防とかという業務に関しては比較的そういう裁量の余地の少ない分野だというふうに理解はいたしておりますが、これをもって四週六休とそれから定員増と、もう一つは多少のサービス低下という言い方がいいかどうかはわかりませんが、もろもろの民間やその他との兼ね合いを考えながらそういう体制ができるのかどうなのか総合的な判断をしなければならない時期が来ると思いますし、その意味ではウエートは確かに左右する余地の少ない分野だという理解をいたしております。
  51. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 最初は何か増員のことも考えながらということなんですけれども、最後になるとどうもおかしくなるんです。前段の方の、増員はやっぱりある場合においては考えざるを得ない、そういうこともあり得るということだけは確認しておきますね。
  52. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) もろもろの試行を行ってなおかつそういう体制になればという前提でございますから、その前提をもとにして結論を申し上げるわけにはまいりませんから、もろもろのことをこれから行いながらなおかつどういう結論が出るか、それによって考えようということであります。
  53. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そのもろもろの問題なんですけれども、大臣が今、果たして消防の今の体制というのは完全なのかどうなのかその辺も検討してみる必要があるんだとおっしゃったんですけれども、極めて不完全なんですよ、一般の公務員から見ますと。特別条件が悪いところにあるんです。さっき言いましたように、車一台に五人乗せなさいと消防庁が指示しているのに三人とか四人でお茶を濁しているところが非常に多いんです。それから勤務体制も非常に悪いし福祉の面も余りよくない んです。これは突っ込んでいけばいくほどこんなにひどいのかということがよくおわかりになると思うんです。ですからそういう意味では大臣のおっしゃるような改革の余地というのは極めて少ないですね。  今大臣が最後の方におっしゃっていましたけれども、裁量の余地の非常に少ない分野です。私も自治体で消防の現場を知っておりますけれども、一般の事務職から見ますと警察と消防というのは極めて裁量の余地の少ない分野の一つです。ですから簡単に合理化できるようなところでないんです。それだけに私はふやさざるを得ないでしょうと言うんです。そういうものを全部検討した結果ふやさざるを得ない、こういうふうに申し上げているので、ぜひひとつそこを十分検討していただきたいと思います。  それで長官から今お話がありましたけれども、今度の四週六休というものは連続してとらせなければならない、これが大原則ですね。それは間違いないですね。
  54. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 連続してとらせるという方法でなければ四週六休の意味がないということでございます。
  55. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 先ほどの通知の(2)のところにある「一勤務日の勤務時間のうち少なくとも土曜日の勤務時間に準じた時間数について連続して勤務を要しない時間の指定を行うものであることに留意すること。」というのは、今長官のおっしゃった連続して休暇をとらせるという趣旨ですね。
  56. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 連続してと先ほど御答弁申し上げましたのは、要するに細切れにしてはならない、こういう意味でございます。細切れにして一日に一時間ずつ、月曜日に一時間、水曜日に一時間というようなことではいけない。連続してというのはそういう意味でございまして、いわゆる連休という意味ではございません。
  57. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それはそのとおりだと思うんですね。  それで現場の方では、今大臣が試行を考えてみる必要があるとおっしゃったんですけれども、試行の前段としてこういう方法でどうだろうかという頭の中で出された案が全国各地で今出てきているんですが、それを見ますとこの通知とは全く逆なんです。今消防の方針では一当務十六時間ということですね。それが十五時間とか十四時間四十分とか十四時間とか、そういうふうにして四週六休をやろうというところが出てきているんです。これは全く方針に反しますね。どうですか。
  58. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) それは一種の細切れになるというぐあいに考えます。
  59. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 だから細切れになるからそれはいけないということでしょう。今の長官の方針からいけば連続でということなんですから、それはだめだということでしょう。
  60. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) それはまだ四週六休とは言えないということでございます。この通知においては四週六休を導入せよということになっておるわけでございますから、先ほど申し上げたような考え方に従った四週六休をやっていただきたい、こういうことでございます。
  61. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 回りくどくお答えにならないでくださいよ。長官は連続してとらなければだめなんだとおっしゃったんでしょう、細切れじゃだめなんだ。ところが今全国各地では、一当務十六時間を十四時間四十分にしようとか十五時間にしようとか、そういう細切れを考えている現場の消防長がたくさんいるんですよ。それは通知からいったら間違いですねと言っているんですから、間違いなら間違いですと言ってくださいよ。
  62. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防課長の通知には反するものでございます。それをもって四週六休ということならばそれは反するということでございます。
  63. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 今お手元にちょっと資料を配付させていただきますけれども消防の方では一当務を十六時間で計算しているんですね。ところが職員というのは二十四時間消防の庁舎の中に泊まり込んでいるわけです。これは十六時間というふうに計算すること自体に私は問題があると思う。拘束時間は二十四時間なんです。外国では全部二十四時間で計算しているんです。(図表掲示)。  ちょっとこれを見ていただきたいんですけれども、これは実は東京消防庁が、ちょっと古いんですが五十六年ごろに出した本でちゃんと紹介しているものですから、それを理解しておいてください。  一番上はアメリカのデトロイトの消防局、これは当番・非番・非番・当番・非番・非番・当番・非番・非番・当番・非番・非番・当番・非番、こういう勤務体制になっているわけです。これは三週間を一パターンとして七日間勤務していますから、平均しますと週に二・三三日の勤務ということになるわけですね。ですからデトロイトの消防局は一週間の勤務時間は五十六時間です。  次にロサンゼルスの消防局は、当番・非番・当番・非番・当番・非番・非番・非番・非番・当番・非番・当番・非番・当番、これは九週間を一パターンとして二十一日間勤務していますから、同じく週に二・三三日の勤務ということになるわけです。ですからロサンゼルスの消防局も同じように一週間五十六時間勤務なんです。  その次にサンフランシスコの消防局は、当番・非番・当番・非番・非番・非番・当番・非番・非番・当番・非番・非番・当番・非番、これは一パターンを十二週間で組んで二十六日間勤務ですから、一週間二・一七日の勤務なんです。ですからサンフランシスコの消防局は一週間五十二時間勤務ですね。  日本はどうかというと、当番・非番・当番・非番・当番・非番・当番・非番・当番・非番・当番・非番・休日・休日ということになるわけですね。これは日本の場合は一パターンが非常に短くて、二週間を一パターンとして六日間勤務しているから週に三・〇〇日ということになって、これをアメリカと同じように一当務二十四時間勤務ということで計算しますと実は七十二時間も日本は勤務している、こういうことになるんです。  これは消防庁に言わせますと一当務というのは十六時間なんだと。それじゃあとの八時間は一体何なんだといえば、これは休憩時間だというんです。ところが休憩時間じゃないんですよ、拘束されているんです。アメリカの消防職員だって日本の消防職員と同じように、やっぱり夜はちゃんと寝る時間が与えられているし休憩時間も与えられているんです。だから勤務体制の中身は全く同じなんです。ところが日本の方はアメリカのように二十四時間勤務で考えないで十六時間勤務で考えるから七十二時間の勤務時間になるはずなのに四十八時間なんだ、こういうふうに言っているんです。  おかしくないですか。拘束時間なんですよ。二十四時間拘束時間なのに、何でそれが勤務時間に入らないんですか。
  64. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防職員の休憩時間につきましては、これは予測できない災害発生に対して即応するという態勢の必要性がございますなどその職務の特殊性ということから、労働基準法に言ういわゆる一斉付与とかあるいは休憩時間の自由利用という二原則の適用が除外されておりますけれども、この点を除けば、職員は休憩時間に勤務から離れ入浴をするとか休息をとるとかいうことで自由な時間を過ごして心身の疲労の回復を図るということができるわけでございます。そういう意味で、消防職員の当務日における仮眠時間その他の休憩時間は労働基準法に言う休憩時間に該当するものであって勤務時間にはならないものと考えております。
  65. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 確かに法律でもって除外規定はあるんですが、ところが詰めていくとどうしてもこれはおかしいんですね。まずこれは休憩というのは一体何かということから始まらなきゃならないんですが、休憩の原則、条件というのは法律的に何ですか。
  66. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) 私からお答え申し上げますが、休憩時間は長期の勤務から離れましてその間次の勤務のための心身のリフレッシュをす るための期間だというふうに考えております。
  67. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 労働基準法によりますとこういうふうに書いているんですよ。三十四条の「休憩」というところに「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」そして二項に「前項の休憩時間は、一せいに与えなければならない。但し、行政官庁の許可を受けた場合においては、この限りではない。」そして三項には「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。」  この解釈からいきますと、休憩の原則というのは一斉付与と自由利用なんです。確認できますね、これは。
  68. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘のように、先ほどもお答え申し上げましたが、一斉付与と自由利用というのが休憩時間の原則でございます。ただ消防職員につきましてはその職務の特殊性から例外が設けられておるということで休憩時間に該当する、このようにお答え申し上げたところでございます。
  69. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それは労働基準法の四十条「労働時間及び休憩の特例」の中に、今申し上げた第三十四条の休憩に関する規定について「命令で別段の定をすることができる。」とあって、だから消防の職員の場合には命令で定めているんだから除外してもいいんだ、こういう解釈なんでしょう、今の解釈は。
  70. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) はい。
  71. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そうですね。ところがその次の項を読んでほしいんです。四十条の二項には「前項の規定による別段の定は、この法律で定める基準に近いものであって、労働者の健康及び福祉を害しないものでなければならない。」  「基準に近いもの」ですよ。この項の解釈からいってどうですか。今の消防職員の休憩時間というのは労働基準法三十四条の休憩の原則に近いというふうに判断できますか。
  72. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 命令で除外をしておるわけでございますから、それそのものは法律に基づくものである。御指摘のような近いものでなければならないという趣旨もよくわかりますが、少なくとも消防職員がその時間におきまして、先ほども申し上げましたように入浴をしたりあるいは休憩をしたり、心身をリフレッシュするための自由利用が十分できるわけでございます。ただ職務の特殊性から予測できない災害発生について即応態勢をとっておらなければならないという点がございまして、その点を除けば休憩というものの本質に別に反するとは考えていないところでございます。
  73. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 自由利用の本質に反するものではないというふうに今おっしゃいましたが、実際そうですか、具体的に。  自由利用というのは大きく分けて大体三つあるんです。労働者には休憩時間を自由に使える権利があるわけですね。自由に使えるというのはどういうことかというと、まず休憩する場所が自由でなきゃならない。それから二番目には服装も自由でなければならない。それから行動の自由というのがなければならない。食事だとか入浴だとか談笑だとか睡眠だとか、法律に書いていますね。  消防の場合はどうですか。場所消防からどこかへ出ていっていいんですか。服装は寝巻きを着ていいんですか。休憩時間には入浴していいんですか。どうですか。
  74. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) 自由利用の今山口先生がおっしゃられた中で、場所の拘束は確かにございますけれども、例えば服装や入浴等については自由にしていただいて結構だということになっております。ですからできるだけ自由利用に近いような雰囲気や条件を整えるべきだ、こういうふうに考えております。
  75. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それは消防庁の一方的な見解です、そういうのは。まず休憩場所は制限があるとおっしゃいましたが、それはいつ出動命令が出るかわからないんですからね、真夜中だろうと。だからおれは休憩時間だから家へ帰るよと言って家へなんか帰ったら、その間に出動命令が出たら大変なことになるわけですから、まず消防職員に関しては絶対に当務のときは庁舎外に出てはならないというのが原則ですよ。これは自由利用を拘束していることでしょう。  それから二番目に寝巻きを着てもいいとおっしゃいましたけれども、寝巻きを着ている消防職員なんかいないですよ。寝巻きを着ているときに出動命令がかかったらどうするんですか。それから服を着るんですか。私は現場を何回も見ていますけれども、当務の職員が夜睡眠時間に入った場合には全部着服のままです。サイレンが鳴って出動命令が出たら、そのまますぐ消防服を着てぱっと飛び出せるように服は着たまま寝ているんですよ。そんな寝巻きを着てもいいなんてことになっていませんですよ。それは現場を余りにも知らな過ぎる。  それから入浴自由とおっしゃった。私十カ所ばかり電話をかけましたよ、おたくは入浴させていますか。させているというのは二件です。原則としてはふろへ入ってもいいことになっています。しかしふろへ入っているときにサイレンが鳴って出動命令が出たらどうしますか。それから服を着るのに何分かかりますか。初期消火というのは本当に五分の間が勝負なんですからね。それをあなた、ふろへ入っていていきなり飛び出してきて服を着て消防の帽子をかぶって出ていけますか。ですからほとんどの職場では入浴はさせていませんよ。これでも拘束されていないとおっしゃいますか。
  76. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) 場所については御指摘のとおり拘束されていると言うべきだと思いますが、服装について、寝巻きはあるいは論外にいたしましてもかなり自由な服装をしていていただいても構わない。それから入浴は、現実にはあるいは少ないかもしれませんけれども、入浴をさせている消防本部もございます。
  77. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それは中には例外であるでしょう。しかし大方は、入浴はいいとはおっしゃるけれども、現場を預かっている人にしてみたら不安でしようがないからやっぱり入浴はさせない、そういうのが大多数ですよ。調べてみてください、ほとんどそうですから。それから服装は自由だと言いますけれども、それは制服を脱いでジャンパー着て床に入るくらいは構わないでしょう。しかし全部裸になって寝巻き着るなんてことはおおよそ考えられないですよ。現場を担当されている方がもしいらっしゃったら聞かせていただきたいですね、こういうものについてどう思うのか。だから休憩と言うけれどもこれは拘束時間なんだ、そういうふうに解釈できませんか。
  78. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防の勤務の特殊性から先ほど申し上げたように二つの原則の例外がつくられておるわけでございますが、少なくとも勤務をしておるときに対してこの休憩時間というものはそれなりに心身の休息をとり得る体制になっておるわけでございますと私は考えます。入浴の問題あるいは服装をどういう格好にするか、それは本人も現実の出動のこともいろいろ考えますでしょうから、その辺についてはやはりある程度それこそ本人の自由にゆだねられると言ってもよろしいのではないかと思います。自由時間というものの本質に反しないし、また原則にできるだけ近くしていくということがもちろん基本でございますが、消防の場合にそういった休憩時間が拘束時間だということはやはりできないと私は考えます。
  79. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 長官は今心身の休憩になっているとおっしゃるんですけれども、休憩の自由原則というのは、場所は自由にとれるし服装も自由だし行動も自由で初めてかなうんです。そこで初めて心身の安らぎというものが出るんです。そういうものを制限しておいてどうして心身の休憩になるんですかね。理屈からいってそういうことになりますか。
  80. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) その点は消防というものの業務の特殊性からきておるわけでございま しょうが、私は消防職員というものの立場から考えてみた場合に、そういったある程度の制限はございますけれどもやはりそれは休息であり休憩であるということが言えると思います。
  81. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 今おっしゃった休息なんですよ。休憩でないんです。そうでしょう。
  82. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 休息はつい言葉の言い間違いでございましたので訂正をいたします。休憩でございます。  いろいろなケースがあると思いますけれども、私は、職員がやはり休憩ができるようにそれぞれの消防機関においてもそれなりの配慮をしていくということはもちろん大事なことであって、消防であるから二原則の例外があるのだからといって、その例外を盾にとって本来の自由時間、休憩時間から遠いというような格好になるということはこれはあり得べきでないと思います。できる限り心身のリフレッシュができるような形に持っていくということがもちろん望ましいものだと考えております。ただ消防という業務の特殊性からの制限、これはやむを得ないものと思います。
  83. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 消防の特殊性からやむを得ないということはやっぱり考え方を改めていただかなきゃならないですね。労働基準法の四十条の二項に、そういう制限を加えられるものであっても基準に近いもので労働者の健康及び福祉を害しないものという厳然たる規定があるんですから。これは全然基準に近くないんですよ。ですから今長官がおっしゃったように、なるべく原則に遠くないようにしていかなきゃならない。今は原則にみんな遠いわけでしょう。場所も拘束される、服装も拘束される、行動の自由も拘束される。だから原則に近づけてくださいよ。  近づけるためには、消防の場合、休憩時間にはどこへ行ってもいいですよ、あるいは服は寝巻きを着てもいいですよ、そういうふうにできますか。できないでしょう、実際に消防の任務を考えた場合には。どうしたって制限されるんです。だからいみじくも今あなたがおっしゃったようにこれは休息なんですよ。休息時間というのは制限されているんです。場所は動いてはいけませんよ、みだりに変な服装をしてはだめですよ、ただし休むことは構いません、そのかわりこれは拘束時間です、勤務時間ですとなっているんです。だからあなたがおっしゃった消防の場合も休息時間です。だから勤務時間に入れるべきなんです。二十四時間にするべきでしょう。どうですか。
  84. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 自由利用の原則の中での制限があるわけでございますが、場所の点はこれはやはりどうしても消防という業務の特殊性の上で自由というわけにはまいらないと思います。ただそれ以外の服装の問題とかあるいは入浴の問題、これは私どもの方で別にそれがいかぬと言っておるわけではございませんし、それぞれの消防の違いはございましょうけれども、現に入浴を認めておるところもあるわけでございますから、そういう意味でできるだけ自由利用に近い方に持っていくという考え方で消防職員のための休憩時間というものを考えていくということはこれは必要なことだと思っております。できるだけ、消防なんだからこれを制限すべきだという考え方を持っておるわけではございません。
  85. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 できるだけ休憩の原則に近いように持っていくというふうに言葉ではおっしゃいますけれども、私はできないことを言ったらいけないと思うんですね。これは不可能なことでしょう。一番大事なのは、自由時間というのは場所の制限を外しなさいということなんです。これは消防の場合絶対できないです。  寝巻きだとか入浴だとか簡単に何とかしましょうなんて言うけれども、現場でそんなことをされたら大変でしょう。いいんですか、入浴している間に火事が出て、そのために三分間か五分間大事な時間が失われて火災が大きくなった。そんなことを考えたら現場では、幾らあなた方が休憩時間は何とか原則に近づけますと言ったって不可能なんです、そんなことは。不可能なことを何とかしようと言ったってそれはもう話にならないと思うんです。  アメリカあたりは、アメリカだけでなくてほかの方だってたくさんありますが、当然これは休息時間と同じだから、休息時間はイコール拘束時間なんだから勤務時間に入れますということで全部勤務時間に入っているじゃないですか。何で日本だけがこれは休憩時間だと言って勤務時間に入れないで、それで四十八時間を達成しましたなんてやるんですか。おかしいでしょう。
  86. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 場所の問題を除きましては自由利用の原則にできるだけ近くしていく、そういう意味で例えば入浴の問題なども私は結構だと思います。入浴しておる場合に非常事態が発生したということ、これもあり得ると思いますが、しかしもちろんいわゆる当番の勤務者もおるわけでございますので、それによって消防活動全体に重大な支障が生ずるということでは決してないわけでございます。そういったケースがたまにあることも予想されますけれども、自由利用ということの考え方の中では、そういった入浴にしてもあるいは服装にしても私どもはそれを別に制限していく必要はないと考えております。
  87. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そんなふうに簡単に上の方では解釈しておりますけれども、今おっしゃったほかに当番もいるだろう、これは当番の人の話をしているんですよ。当番の人が入浴なんかしていたら、その間に火災になった場合にはすぐ出なきゃならない任務があるわけですからね。そういうことを考えたら不可能なことでしょう。それは現場ではやっているところもあるかもしれないけれども、全体としては調べてみると、本当はやっぱりそういうことにはなってないんだからそれは無理な話なんですよと、こう言っているんです。  とにかく私は、消防職員の休憩時間というのは拘束されていることは間違いない。そして労働基準法の適用除外なんておっしゃるけれども、適用除外であってもちゃんと二項に書いているようにあくまでも原則に近いものでなければならないということからいけば、一番大事な休憩の原則である場所の自由が拘束されている以上これは絶対に二十四時間という拘束時間に持っていくべきだ、そういうふうに考えております。ぜひひとつその点は検討してほしいということを強く要求しておきたいと思います。  そこで、今消防の方では一当務については大体十六時間くらいというように考えておりますですね。その十六時間の中で四週六休が実際にできるのかどうなのかということを検討してみたんですけれども、これは地方交付税法との関係も出てくるんですが、標準的な団体、十万都市について私ちょっと調べてみたんです。  ここの職員は、基準財政需要額で言う標準団体十万人都市では職員は百五名と書いているんですけれども、ここはそれより多くて百三十七名、うち隔日勤務者が百十三名いるんです。それでは百十三名いる体制の中で四週六休ができるんですかと聞きましたら、それはできないと言うんですね、どう計算してもできません。ここはちょっと一当務の時間が短いんですが、それでもできないと言うんです。ではあとどのぐらいふやせばできるんだと聞きましたら、さらに十九名必要だと言うんです。百十三名に対してもう十九名、だから百三十二名の職員がおれば四週六休をこの通知に基づいて連続的に休憩を与えるというような体制で何とかできる、こう言っているんです。こういうことからいきましても、現場の声としては今の消防職員の定数ではまず不可能だ、こういうことだけははっきりしているわけです。  まずこの一台五名乗車ということについてお聞きしておきたいんですけれども、これは消防の基本的な考え方ですね。
  88. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防基準にそのように定めてございます。
  89. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そうすると、その五名を四名だとか三名だとか減らすことについては好ましくないというふうに解釈してよろしいですね。
  90. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) 原則からいきますと五名でございますけれども、運用上、例えば乗り かえ運用でございますとかペア運用による稼働車両の確保でございますとか、あるいは先ほどお話に出ましたけれども毎日勤務者を交代制勤務に繰り入れまして乗っていただくとか、あるいは発災時におきましては消防団との連携を強化していくとか、そういう運用上の工夫をいたすことは結構ではなかろうか、こういうふうに当方では言っております。
  91. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 運用上の工夫は凝らすにしても、原則として一台当たりは五人だということですね。
  92. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) 今の基準はそうでございます。
  93. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そうですね。  消防庁消防課で編集した「消防力 消防水利の基準解説」の中で「消防力の基準」の目的について「この基準は、市町村が火災の予防、警戒及び鎮圧並びに救急業務等を行なうために必要な最少限度の施設及び人員について定めるもの」であるというふうに書いておりまして、その第十六条に人員の基準として「動力消防ポンプを操作する場合の動力消防ポンプの操作員の数は、動力消防ポンプ一台につき次のとおりとする。」として、消防ポンプ自動車五人、手引動力ポンプ五人、小型動力ポンプ四人、はしご自動車または屈折はしご自動車五人、化学消防車五人、こういうふうに書いているんですから、これは消防としてはあくまでも守ってほしいということですね。
  94. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防基準でございますので、基準を達成するということは我々は常に言っておることでございます。それは目標でございますので。  ただ現実には、先ほど次長からお答え申し上げましたように、そういった新しいペア運用というようなやり方によりまして省力化と申しますか少ない人数で済むようにというような工夫は行っておるわけでございますが、そういう工夫について私どもは、この基準だけを盾にとってそれは絶対におかしいというような言い方を別にしておるわけではございません。要は災害発生時におきまして円滑に消火活動、消防活動ができるということが第一でございますので、その点につきましては地方公共団体におけるそういった実際の運用上の弾力性というものを否定するわけではございません。
  95. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 運用等については自治体にある程度裁量権があるかもしれないけれども、一台について五人というのは、消防ポンプ車には放水口が幾つかついているわけですね、今だんだんよくなって四つも五つもついているのがあります。そういうことからいけば五人でもまだ足りないくらいだというところもあるわけですね。だからそれを三人とか四人とかに減らせば消火戦闘能力が低下することは事実でしょう。二本でもって消火するのと一本で消火するのとは全然違うわけですからね。だから消火体制を強化するためには、一台のポンプ自動車に乗る消防職員というのはできるだけその放水口にかなった定数に上げるべきであって、五名を簡単に運用で四名、三名にしていいということにはならないと思うんです。  だから消防体制を強化する意味からいけばできるだけこの五人の原則というのは守ってほしいというのが消防庁の考え方というふうにとれるんですけれども、そのとおりでしょう。
  96. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防基準の五人という基準、それからこれを踏まえた地方交付税上の算定、これはおっしゃるとおり五人でございます。ただ現実の運用におきまして、消防自動車は必ずしも一台で消火する場合だけではございません。二台一緒に出動してやるというような場合にはペア運用でございますから、例えば伝令報告要員は一人で済むわけでございます。一台ずつ別々に出れば二人要るというようなことになるわけでございます。  そういうような点を考えますと、現実に地方公共団体の現場の消防がそういったような工夫をするということについてはこれはもう差し支えないものだと思っております。したがいまして、それは基本的に例外というか仮の形であって本来五人にすべきだということを強く言うというつもりは必ずしもございません。
  97. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 地方交付税からいきましても十万人の標準団体では百五人というふうになっているんです。これから計算していきますと大体一台五人くらいになっている。だから金の方もちゃんと五人で見てやっているんです。そして基準の方も五人でなければ困ると言っているんです。それを勝手に運用するということは決して好ましいことじゃないと思うんです。そうでしょう。好ましいと思いますか、そういうことを勝手にやるのは。
  98. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防基準というものは、私どもはやはりそういう基準という目標をもとにいたしまして消防力強化を図ってきたわけでございますから、これはこれで十分大きな意味を持っておるものだと思います。それから財政措置の方につきましては、これは標準的な場合ということでございまして、補助金ではございませんので、地方公共団体が交付税に決められたものどおりにきっちりやっていないからおかしいという言い方は、これは本来の地方交付税の性格としては伝統的にそういう言い方はもちろんいたしておりません。地方公共団体におけるそういった工夫の余地というものを否定する必要は私どもはないというお答えにやはり尽きようかと思うのでございます。
  99. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 確かに交付税の関係については原則的にはある程度自治体の裁量権というのはあると思いますけれども、しかしそれにしても、百五名、一台大体五名くらいの乗車人員というのは確保しているんですから、当然もっともっと消防力を強化していかなければならない。それを、いろんな問題があるのにかかわらずみずから戦闘能力を低下させるようなやり方というのは決して好ましいことではない。これは原則としては恐らくそうだと思うんです、さっきそのようにおっしゃっておりましたから。だから自治体では余りそういうことを勝手にやるべきではない。むしろこの機会に一台当たり五人の職員というものはできるだけ乗せてそして消防力の強化、消火体制の強化を図るべきだ、私はそういうふうに思っております。  そこで、最後になると思うんですけれども、さっきも申し上げましたように今消防では一当務当たりの勤務時間というのは十六時間というふうに考えているんですが、それでも私はおかしいと思うんです。あくまでも拘束時間なんだから二十四時間にするべきだ。諸外国ではみんなそうなっている。そういう考え方から申しますと、さらに今度はそれを十五時間だ十四時間だというように下げていくことについては全くおかしいと思うんですね。そうお考えでしょう。
  100. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 先ほど申し上げましたように、それを下げることによって四週六休というような形を実現するということはこれは消防庁消防課長通知に反するものだ、こう考えております。
  101. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 わかりました。ぜひこの機会に消防職員にも四週六休というものがきちっとできるように、どういう面から論じてみても解釈してみても今の体制では不可能なんですから、警察が前にちゃんと大幅な増員をやって四週五休をやったと同じように、今回消防の四週六休については必ず増員をしてやってもらいたいし、また一当務当たりの時間数を減らすようなそういう後ろ向きのやり方というものは絶対にさせないように、消防庁としてもその点はもう少し自治体に対してきちっと見解を明らかにしていく必要があるだろう、そんなふうに思っております。  そのほかまだいろいろと消防問題であるんですけれども、時間も参りましたのでこの次の一般質問に譲ります。それと天下り人事の問題で建設省、農水省にもおいでいただいたんですが、大変恐縮ですけれどもそこまで入れませんでしたのでこれもこの次の一般質問に譲ることにいたしまして、きょうのところはこれで終わります。ありがとうございました。
  102. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 さっきから消防庁長官の答弁を聞 いていると、大分無理をなさっているようなお答えに感じるんですね。ですから手品というような言葉が出たりするんだと思うんですが、矢野さんの場合には冒頭にえーというのが出る、この中で手品を考えるのかなと思っているんですがね。しかし、これは大臣にお願いしておきたいんですが、どんなに手品を使おうともやっぱりできないことはできないんですから、そこをごまかしていくようなことがあったら消防業務そのものに影響も出てくるのじゃないかと私は思うんです。  それで私は今聞きながら二つほど考えたのは、一つは、消防庁の幹部の皆さんはさっきありました二週間、一日消防じゃなくて二週間消防の体験をまずやることが必要じゃないか。それをやってもらうと今おっしゃったようなことが実感でわかってくるのじゃないかと思うので、これはぜひひとつ研究材料にしてほしいなと思います。  それからもう一つは、これからの私の質問の中でも幾つか問題があるんですが、長官は一年という任期はよくないですね。やっぱり五年ぐらいはまっていかないと、まあこれは何とかきょう答弁しておけば後は一年来たら去っていくんだからと、こういうことでは信用がおけなくなる。だからこれは大臣、ひとつ矢野長官については五年間ぐらい消防に専念させていただきたい、こういうことを検討してくださいよ。これはお願いですがね。  そこで時間がございませんから本題に入っていきますが、今の勤務時間との関連でちょっと私気になったのは、北海道の上川北部消防組合それから羊蹄山麓消防組合、ここでは夜の十七時から翌日の九時までは日雇いの臨時職員を置いて消防任務に当たらせておるというんです。これはなんですか、人手が足らないから、さっき手品のことが出ましたが、そういう発想に消防庁は変わったわけですか。
  103. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘の具体の事例は把握をいたしておりませんが、正規の消防の場合でございますから必ず二十四時間だれかが勤務をしなければならぬわけでございますが、その中で臨時職員が当たっていたという御指摘でございます。臨時職員でございますから正規の消防活動はこれはできないと思いますが、それがどういう形で行われておったのか。例えばもし連絡があった場合には直ちに仮眠している人を起こすとかあるいは責任者のところに連絡するとかという役割だけを分担しておったのか、その辺はちょっと実情を見ないとわかりません。消防庁の方といたしまして人が足りない場合にはそうやって対応せよという指導をした記憶はございません。
  104. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ないと思いますよね。しかし現実には、今あなたがおっしゃったような無理な答弁をするとこういう現象が現場で起こってくるわけです。今度はロボットにかえるかもしれませんよ。だからやっぱり無理はなさらぬで、こういうことの実態が今出ておりますから一遍調べてもらって、そして何かここは夜専門らしいですね、いわゆる夜勤番というんですか、これは事が起こったときには大変なことになると私は思うので、そこら辺ひとつすぐ調査して、できれば、後で結構でございますから御報告いただきたいと思います。  そこでもう一つ、熊本の高遊原の問題について二、三お聞きしておきたいと思うんです。私一月の二十七日に現地に調査に入ってみたんですが、この高遊原消防組合の問題は組合消防そのものの解体かどうかというところまで議論が発展しているような感じがしたわけでございます。その後の経過と現状はどういうふうに把握しておりますか。
  105. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 熊本県の高遊原消防組合でございますが、組合消防を解散するということについての方針を決定した、この点私どもも聞いておりまして、それによって消防団だけで対応するということ、これはおかしい、常備消防の空白化を招くべきでない、こういう指導をしたわけでございます。  その後の経緯をたどってみますと、六十二年の十二月二十八日に県の総務部長が組合管理者あるいは関係町長、消防長に対して今後の方向について指導をしたというようなことがございます。それから六十三年の二月には県地方課が組合に対して、格付問題につきまして不均衡があったというようなことで、これは職員の一つの不満の種になっておったわけでございますが、その点の是正を図るよう行政指導をしたということ。それからさらに六十三年の二月十九日に組合の定例会で広域合併推進に関する決議というものが行われ、その後三月二十四日までに構成各町村の議会で同様の議決が行われたというように聞いております。したがいまして、そういう広域合併推進という方向がこの組合の中で一つの動きになってきておるというぐあいに把握しております。
  106. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 三月十一日に西原の村議会では高遊原消防組合の広域合併推進決議を行っておりますが、この意味するものは何ですか。
  107. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 地元の決議でございますから私ども直接これに対していろいろこうすべきであるああすべきであるというくちばしを差し挟むつもりはございませんが、現在の熊本県におけるところの消防組合の一部について改めて統合再編と申しますか、そういうことを念頭に置いた決議だと、こう考えております。
  108. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣はどうぞ結構ですから。  であるとすれば、三月二十六日菊池郡市八市町村の連絡会で、十一の事務組合中六組合を統合して複合事務組合を設立する、こういう方向を決めたと出ておるんですけれども、この中には高遊原西部地区消防、広域行政消防等があるわけですが、これらを含めての統合というふうにとっていいんですか。
  109. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) この考え方は、要するに現在の高遊原の消防組合を構成する市町村でそういう決議が行われているわけでございますが、この構成する市町村に関係のある部分のいわば広域再編が中心になっておるのではなかろうかと考えております。この高遊原のほかにこの周辺におきましては上益城であるとか菊池西部であるとかあるいは菊池広域とかいろいろ組合がありそれぞれの構成団体があるわけでございますが、そういったもの全体を含めて再編統合を行うという方向ではなかろうかと考えております。ただ具体的にそれがどういう案であるのかということにつきましては、私どもの方ではまだ具体的には聞いていないのでございます。
  110. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 長官、これはもう消防庁とは再々私がやってきたことですから中身の問題についてはよく承知をしておると思うんですが、あなたの前任者の関根さんが、消防協は違法な組合と、この発言が事の端を発して、そして管理者としては消防協を何とか解散しよう解散しようということで一年間頑張ったけれども解散できないものだから、組合消防そのものを解体する、こういう挙に出ておる。しかもそれはおたくから熊本県の総務部長に行った佐藤さんが指令の中心になっているわけです。  こういうことは私は、あってはならぬとさっきあなたおっしゃったけれども、あってはならぬことがだんだんだんだんこういうふうに発展してきているわけですから、これはひとつぜひ、あってはならぬならならぬようにきちっと指導してもらいたい。火つけはだれかといえば前の長官ですよ、仕掛け人は。それだけに始末はきちっとつけてもらわぬと私はいかぬと思うんです。どうですか。
  111. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 職員協議会の問題に端を発したということは私どもも承知をしております。ただ私が先ほど申し上げましたように、それによって協議会をやめなければ組合消防を解散して消防団だけで消防をやるというようないわば消防の後退を招くようなことはこれは行うべきでない。この点は自治省からも熊本県当局に対して指導をいたしております。  しかしそれ以外の点につきましては、それではしからばどういうぐあいにするのか、これはやはり地域の自主性によって判断をすべきことでございますから、これはもう県なりあるいは関係組合 を構成する関係団体の考え方なり、その自主性を尊重すべきである。消防庁としてはその点については私どもが干渉するというものではない、あくまでも常備消防の空白を招かないように、このことだけは指導をいたしておるところでございます。
  112. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 問題は益城の町長にしても菊陽の町長にしても、いわゆる消防協が違法な組合だというふうに思い込んでしまっているわけです。それはだれが言ったかといえば、前の消防庁長官である関根さんが言っているわけです。関根さんにしてみれば、議事録を見ると、言い方は悪いけれども、違法になるおそれがある、こういう言い方をしていますね。しかしそういう受け取り方をしているわけです。この問題はそこを直さない限りいつまでたっても事態は解決しない。変な方向にそれていく。ですから町長が消防協を解散しようと思って消防団の連中に火をつけてやったものだから消防団が常備消防を拒否するというようなことも起こった。あれやこれや起こった原因をたどっていくと、火つけ人は前消防庁長官の関根さんと、こうなる。  ですからやっぱりここら辺は、それが間違いでした、消防協というのは決して違法な組合ではございません、もしそういう受けとめ方をされたならひとつそれは間違いですから直してほしいという観点に立てばこの問題はすっと片づく問題ですよ。それを今度は組合消防そのものまで解体しようとする。こういうところまで発展するということは私は異常だと思う。だからそこら辺はひとつ長官、あなたも出身は九州ですから、熊本とは隣なんだから、そういう意味でやっぱり愛情を込めて是正するようにぜひ指導をしていただきたいし、そのためには佐藤さんが総務部長で行っておるんだから、佐藤さんにひとつ的確にきちっとしなさいと言えば問題の解決は私はできると思うので、そこら辺はぜひお願いをしておきたいと思います。よろしいですか。
  113. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防職員協議会というものの実態については私どもも承知をしておりますし、それが消防職員について禁止されております法律の規定に抵触するような活動を行ってはならぬということはもう既に私どもは言っておることでございますから、この点についてはこれは姿勢は変わらないわけでございます。ただ、そういった活動でなければ、いわゆる単なる親睦団体というような性格のものがどう行われるか、これは別に消防庁がとやかく言うべき必要のものでもないわけでございますし、またその点は我々も研修会等を通じてよく言っておるところであり、熊本県当局もよく理解をいたしておると思います。またその理解しておるところは市町村の方にも伝わっておると思います。  いろいろ私も熊本の県の幹部とも話をいたしまして、とにかく消防の空白は避けるようにしなければならない。いろいろな原因なり理由がほかにもあったようなことも聞いておりますけれども、混乱する事態というものを県の立場でもってどうおさめるかということはひとつよく考えてほしいということはたびたびにわたって言っておりますし、私も単に形式的にだけこの問題を取り扱ってきたつもりはございません。いろいろ話はしております。
  114. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ついでに申し上げますと、山形県の尾花沢市、ここの市長さんもそういう意味では熊本の高遊原の皆さんと変わらないぐらいに認識を間違えておりますから、時間がございませんから一々申しませんが、これもひとつぜひ正常な方向に正してもらいたいということをつけ加えておきたいと思います。  時間があればいろいろあったんですが、きょうは片山さんもいらっしゃいますからちょっと聞いておきたいと思うんです。私が三年前に取り上げた六十歳定年制延長と年金支給年齢の引き上げに伴って、一番問題になってくるのは特に組合消防ですが、そこのいわゆる職員構成の問題が深刻になってあなたを長にした委員会が発足したわけですが、三月に答申が出るというふうに聞いておったんですけれども、この経緯並びに方向というのはどういうものになったのか。  特に、それを受けてだと思うんですが、山形県の最上消防が百二十九名の職員中三十代が八一%、十代、二十代がわずかに六%、まさにこれは異常だ、こういうことから研究していただいて、六十三年、本年から五カ年間に十四名の職員を市町村に入れかえてそして新採を入れて構成を変えていく、こういう方向を出したというのが出ておるわけですけれども、こういう方向なのかどうなのか、あわせてひとつ聞いておきたいと思うんです。
  115. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) 先ほど佐藤先生御指摘のように、消防職員の高齢化問題というのは大変大きい問題でございますので、一昨年の十月に消防庁の中に外部の消防本部の方も入れまして消防職員高齢化対策検討委員会というものをつくっていろいろ検討してまいったわけであります。これは三つテーマがありまして、一つは消防装備の問題、二つ目が消防戦術の問題、三つ目が人事管理の問題でございましたが、装備の軽量化、動力化、安全化に関する報告につきましては昨年の九月に取りまとめて公表いたしたところでございます。残る消防戦術、人事管理につきましてはほぼまとまりまして近々最終的な報告を公表できる、先生方のお手元にもお出しできる、こういうふうに思っております。  その人事管理の中にいろいろなことが書いてございますけれども佐藤先生から御指摘のありました最上の例でございますが、市町村長部局との人事交流によりまして消防組合等の人事構成の偏りを直す、こういうこともその中の一つのテーマにいたしております。この委員会の最終報告が出れば、消防庁としましてはモデルになるような事例を少し示しまして具体的な指導に入りたい。最上の場合は市町村長部局と話が調いまして、方向としてはなかなかいいのではなかろうか、こういうように評価いたしております。
  116. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間が来ましたから一言だけ聞いておきたいと思うんですが、最上の場合も関係市町村それから職員団体である自治労、いろいろなところからこの問題に対して意見が出されています。私はやっぱり一番思うのは、さっきの高遊原じゃありませんが、消防に対するいろんな認識の違いがございます。消防協に対してもあります。そしてよく自治体の中では、組合の活動家などをこの際団結権のない消防にほたりやって消してしまうという不当労働行為等があった事例もある。そういうことは私は今度のこの問題についてあってはならぬと思うんですけれども、そこら辺について消防庁としてどういう見解なのか、決意なのか。そこをきちっとしないと全国的にこれが波及してくるといろいろな問題が起こってくると思うので、消防協並びにそういう組合活動に対する不当労働行為的なことはやってはならぬという点についていかがですか。
  117. 片山虎之助

    政府委員片山虎之助君) 佐藤先生から御指摘のありました不当労働行為はこれは大変困ると思います。こういうことはやるべきでないというふうに思います。また人事交流につきましても、相手方があることでございまして市町村長部局の方のいろいろな御都合がありましょうから、話さえうまくつけば人事交流を積極化するということは正しい方向だ、こういうふうに思っております。
  118. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今佐藤先生が御指摘高齢化の問題、次長から三点につきまして申し上げました。体力の錬磨ということも大事なことでございまして、できれば六十歳までということもございましょうけれども、しかしそれにいたしましても職員構成がいわゆるだんごになるというようなこともございますから、やはり人事交流は私も大変重視しております。最上の例も、これは消防当局もいろいろな意見を聞いて長の部局とも折衝して実現に移したということは大変結構なことだと思います。まだほかにも例もございますので、そういうモデルケースというものをできるだけ示して、そしてかなり長期的な立場から物を考えて、消防職員にしてみれば一生を消防にささげ るつもりで入ってまいったのがたまたま世の中の情勢でそうなるということは本当に忍びがたい点もございますけれども、やはり全体としての消防のあり方、あるいは地方公務員全体、地方行政全体の円滑な運営ということを考えて大局的な立場から正々堂々とこの問題に取り組んでいくべきだと思いますし、またそのように指導してまいりたいと思っております。
  119. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  120. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査のうち、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件及び消防法の一部を改正する法律案便宜一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 片上公人

    ○片上公人君 去る三月三十一日経済団体連合会では、対外経済摩擦の解消、内需の拡大及び経済構造調整の推進の見地から臨時行政改革推進審議会に対しまして「規制緩和に関する要望(中間とりまとめ)」を提出したとのことであります。以下、この中で消防関係指摘されている点についてお尋ねしたいと思います。  まず消防法につきまして「危険物範囲については、引火点の上限を定めるべきである。とくにシリコーンのように引火点が三百度を超えるような燃えにくい物質まで消防法上の規制を行なうことは、非関税障壁として強い批判を招く。」と指摘されておりますが、消防庁としては今回の改正の際にどのような検討を加えたのか、お伺いしたいと思います。
  122. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防法におきましては、危険物の運搬のみならず貯蔵または取り扱いに係る規制を行っております。いかに高引火点危険物といえども、加熱等取り扱いの状態によっては火災の危険があるわけでございます。引火点が極めて高い物品としましては、例えば動植物油類であるとかあるいはギア油などの第四石油類がありますが、常温常圧状態で貯蔵しておる施設での火災事故発生しておりませんけれども、これが高温または高圧で取り扱われておる場合におきましてはやはり火災事故発生している現状にございます。  こういった観点から、引火点が高い物品でございましても危険物として規制する必要があるというぐあいに考えておるわけでございます。ただし、通常の貯蔵状態であれば火災の危険は低いと考えられますので、この種のものにつきましては、位置、構造及び設備の技術上の基準について緩和する方向で検討をしてまいりたいと思います。  今回の改正は、危険物の生産流通実態の国際化に対応いたしまして、国際間の輸送に関する国連勧告の内容を踏まえ、危険物の定義を明らかにするとともに試験による危険物の判定の方法を導入して国連勧告との整合性を極力図ろうとしたものでございまして、今回の法律改正及び今後予定しておる危険物の運搬に関する政令、省令、基準の改正により貿易摩擦が問題になることはないものと、こう考えております。  以上のような観点から今回の法改正におきましてはお尋ねのような引火点の上限値を設けるということはしなかったわけでございますが、引火点の上限値の設定の是非を含む今後の検討課題につきましては早い時期に検討を始めたいと考えておる次第でございます。
  123. 片上公人

    ○片上公人君 要望書では保安安全関係各法の個別問題点として、消防法につきまして「法改正後、政省令で取り扱われる保有空地・敷地境界線距離・同時蔵置・移送取扱所の範囲等の技術基準及び品目毎の指定数量等が決定されることになる。これらの検討に際しては、産業界の専門家も加え、実態に即した基準となるよう要望する。」とされておりますが、消防庁としてはどのような対応を考えておられるのか、伺いたい。
  124. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 政省令で想定される技術基準あるいは指定数量等の検討に際して専門家を加え実態に即した基準をつくるということについての要望に対する考え方でございますが、改正法の公布後施行までの間におきまして、消防機関におきましては改正法施行後のその管内の危険物施設状況についてあらかじめ把握しておく必要がございますし、また事業者側でも、改正法施行後の規制に対応した構造、設備等の整備の必要性について把握するため、貯蔵しあるいは取り扱う危険物危険性について確認を行う必要がございますが、政令あるいは省令にゆだねられております試験方法、指定数量、技術基準などの定めにつきましては、改正法の公布後できるだけ速やかに改正を行う必要があると考えております。  消防庁におきましてはこれらのことに関し既に検討を開始しておるところでございますが、この検討の過程におきましてはそれぞれ関係する団体からの意見を聴取し、産業界の要望をも反映をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  125. 片上公人

    ○片上公人君 また、危険物施設設置または変更許可による工事につきましては「申請工事の一部分が完成しても全体が完成しないと、完成検査が受けられない。独立した部分で個別の検査を受けたい場合には、再度申請を出さなければならない。事務の合理化上、再度許可申請書を提出することなく、終了工事毎に部分完成検査を受けることのできるよう要望する。」とされておりますけれども、この点につきましてはいかがでしょうか。
  126. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) ただいまの点は許可等手続面の取り扱いの問題でございますが、これは今後におきまして十分関係方面の意見も聞きまして検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  127. 片上公人

    ○片上公人君 次に「運搬容器や地下貯蔵タンク等の分野においては新素材の技術進歩が大変著しい。その結果として生まれた、例えばフレキシブルタンク、タンクコンテナ、FRP製タンク等を許可対象として認めるよう要望する。」とされておりますけれども消防庁としてはこれについてはどのように考えていらっしゃいますか。
  128. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 運搬容器やあるいは地下タンクなどの新素材の技術基準の取り入れの問題についてでございますが、国際間の危険物品の輸送につきましては一九九〇年一月一日から国連勧告を全面的に受け入れるということが決定されているところでございまして、国内におきましても航空関係の法令あるいは船舶安全関係の法令の改正が予想されておるところでございます。したがいまして消防法におきましても、陸上輸送につきましては国連勧告における運搬容器の性能基準等を取り入れまして国際的な基準との整合性を図るということによりまして、いわゆる非関税障壁にならないよう基準の見直しを行う予定でございます。  その結果、新素材の容器等につきましても国連勧告にあるものはこれは取り入れられるということになります。また地下タンクにつきましては、これまでにおきましても少量のものについてFRP製タンクを認めているところでございますが、比較的大容量のものにつきましても、これまでの少量のものの実績あるいは工作技術の進歩それから諸外国における実績等を勘案いたしまして、本年度これを第三者機関に委託して検討を行う予定にいたしております。
  129. 片上公人

    ○片上公人君 次に「保安安全行政に係る公的規制のあり方に関する意見」として要望の中では「保安安全の確保には充分留意しながらも、支障のない範囲において手続きの簡素化、過度の規制緩和、保安安全関係法令に係わる重複規制の排除、ないしは個別法相互間の分野調整、科学的水準の進歩に伴った合理的な規制基準、技術基準の見直し等を不断に図るべきである。」と述べ、政府におきましても臨調答申を受けて「改善が図られつつあるが、いまだ不十分な点も多々残されている。現在あらゆる分野において行政の効率化、簡素化が見直されているが、特に保安安全問題は政 府の許認可等に係わる項目が多く、早急に見直しが図られるべきである。」として、当面実施すべき具体的な改善要望項目が掲げられております。  消防関係では「保安安全関係各法の重複規制の調整」として「去る五十八年九月に政府内に設置された保安四法関係許認可事務合理化連絡協議会による検討結果を受け、種々の改善が図られてはいるが、まだ不十分な点も多い。このため、企業は、消防法、高取法、労安法、石災法の四法、さらに電気事業法等の関連法令により規制され、各々に対応する難しさに悩まされているため、引き続き法律間の調整を行うことにより、行政事務の簡素合理化を図ることを要望する。」とされています。  消防庁としては臨調答申後どのような事務合理化策を講じ、今後残されている項目はどのような点なのか、お伺いいたします。
  130. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昭和五十八年三月の第二次臨時行政調査会の最終答申におきましては、危険物取扱者試験事務の民間委譲、それから消防法高圧ガス取締法、労働安全衛生法及び石油コンビナート等災害防止法のいわゆる保安四法に係る共管競合事務の排除、それから危険物等の指定品目の見直し、丙種危険物取扱者の取り扱い得る危険物範囲拡大危険物保安統括管理者等の選任あるいは解任手続の一本化等についての指摘がなされたところでございます。  これを受けまして消防庁といたしましては、危険物取扱者試験に係る指定試験機関制度の導入、これは消防法の一部改正で行っております。それから丙種危険物取扱者の取り扱い得る危険物範囲拡大危険物保安統括管理者等の選任解任手続の一本化、これは危険物規制に関する規則の一部改正で行っておりますが、これら消防庁単独で措置できるというものにつきましては鋭意改善措置を講じたところでございまして、今回御審議をお願い申し上げております危険物等の指定品目の見直しに関する法改正により臨調答申の実施につきましては措置をされたことになるわけでございます。  また消防庁単独でなくて関係省庁にまたがる事項につきましては、昭和五十八年九月に関係省庁間で具体的検討を行うための保安四法関係許認可事務合理化連絡協議会というものが設置をされまして、その改善方策が保安四法共管競合事項等改善措置実施事項として昭和六十年度中に取りまとめられたところでございます。消防庁といたしましては、設置変更の許可申請あるいは届け出の重複申請の調整、完成検査の重複を調整することなど、実施事項のうち昭和六十一年度中に措置すべきであるとされた事項につきましてはすべて措置をしたところでございます。  なお実施事項のうち残された問題でございますが、臨調答申でも指摘されておりますところの指定検査機関の何と申しますか相互乗り入れにつきましては、これは危険物保安技術協会の技術力の向上を図るということによりそのための条件整備を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  131. 片上公人

    ○片上公人君 さらに「保安安全関係各法に共通する問題点」として、許認可、届け出、検査に係る提出資料につきまして「現在、極めて詳細な資料が求められ、大きな労力を費やしている。提出書類は必要最少限に絞り、申請様式も改善すべきである。」とされておりますけれども消防関係の提出資料についてはどのように改善されたのか、お伺いしたいと思います。
  132. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 重複手続をできるだけ省くようにという問題は、先ほどお答え申し上げました臨調答申でも保安四法の関係についていろいろ指摘をされこれについての改善を図ったところでございますが、なお関係方面からの要請として手続そのものについてさらに簡素化を図るべきであるという点につきましては、現在さらに検討を重ねておるところでございますので御了承を賜りたいと存じます。
  133. 片上公人

    ○片上公人君 消防設備士、消防設備点検資格者の法定講習の受講義務につきましては「実態に即した弾力的なものにすべきである。」とされていますけれども、これらは防火・安全の確保上重要なことでありますから緩和することは適当ではないのではないかとも考えますが、消防庁のお考えを伺いたいと思います。
  134. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) この要望にございますところの消防設備士あるいは消防設備点検資格者の法定講習の受講義務の問題でございますけれども消防設備士制度は消防設備等の工事及び整備の完全性を確保いたしますとともに消防設備等の工事につきまして消防機関と施工者の共同体制を確立することを目的として創設されたものでございます。またもう一つの消防設備点検資格者制度は、消防設備等の維持管理の完全性を確保するとともに点検及びこれに基づく消防機関への点検結果の報告を確実に行うということを目的として創設されたものでございまして、これらの制度は今日まで防火・安全の確保に大きく貢献をしてきたところでございます。  技術進歩や社会経済情勢の変化に伴いまして消防関係の法令それから消防設備等の技術基準も頻繁に改正をされておりますし、またこれに関する通達等も数多く出されておるところでございますが、この消防設備士や消防設備点検資格者の方に対してこういった極めて多くの改正なり通達内容の情報入手のいわば便宜を供与するという意味からも、またその内容につきまして大変膨大なものでございますので体系的に要領よく伝える機会といたしましてもこの法定講習という制度を設けまして、最新の法令とかあるいは技術基準等に関する知識を付与することによりまして消防設備士制度やあるいは消防設備点検資格者制度の実効性を担保することとしておるところでございます。  御要望でございますところの消防設備士、消防設備点検資格者の法定講習の受講義務について「実態に即した弾力的なものにすべきである。」というこの意見の具体的内容はちょっと明らかに把握しかねるところがあるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたようなこういった制度の意義に照らしまして、私ども消防庁としましては現状の仕組みはこれは最も適切最善のものである、このように考えておるところでございます。
  135. 片上公人

    ○片上公人君 また「消防法と火薬類取締法の重複規制の排除」として「消防法危険物の製造所、一般取扱所の一部で火薬類取締法との二重規制を受けている設備がある。この場合、政令、規制において、火薬類取締法の「火薬類」に該当するものについては、消防法の技術基準の一部が適用除外とされている。しかし、火薬類取締法で十分に規制され保安が確保されるものについては、消防法の技術基準の適用除外項目をさらに拡大するよう要望する。」とされておりますけれども、この点はいかがでしょうか。
  136. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 火薬類取締法と消防法との関係について重複を排除すべきである、その具体的な手段として適用除外項目をさらに広げるべきである、こういう御要望でございますが、消防庁の立場といたしましては火薬類取締法との関係については既に必要な調整は加えられておると考えておりますので、この点については関係業界の方の御了解も賜りたいと考えるところでございます。
  137. 片上公人

    ○片上公人君 今回の改正のことで伺いますが、危険物の指定範囲を改正することとした具体的理由及び改正の趣旨についてお尋ねいたします。
  138. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今回お願いを申し上げております危険物の指定範囲の改正の理由、趣旨でございますが、昭和五十八年三月の臨時行政調査会の答申におきまして、検査・検定制度について改善合理化を図る必要があるという基本的観点に立ちまして、適用範囲の見直し及び基準の明確化を図る具体的項目の一つといたしまして危険物、準危険物及び特殊可燃物について指定品目の見直しを行う旨の指摘がなされたところでございます。また一方、国内におきまして生産流通しております化学物品の実態に変化が見られるということ、あるいは危険物の指定に関する国際的な検討の方向が次第に集約されつつあるという国の内外の状況を踏まえまして危険物等の指定の合理化 を図ることが必要とされた次第であります。  これを受けまして消防庁におきましては、昭和五十八年九月に学識経験者で構成をする危険物委員会委員長秋田一雄東大名誉教授でいらっしゃいますが、これを設置いたしまして、指摘のありました危険物等の指定品目に関しまして、第一に、危険物の各類の定義を明確にして危険物に該当するか否かの判定は原則として試験により行うというようにすること、それから第二に、危険物の指定品目の見直しとあわせまして準危険物及び特殊可燃物につきましても整備を図ることを主な内容とする報告がなされたわけでございます。  今回御審議をお願い申し上げております改正案はこの危険物委員会検討結果に基づきまして、危険物の判定基準の合理化等を図りますために危険物の定義を明確にするとともに試験による危険物の判定の方法を導入する、そのほか所要の改正を行うこととしておるものでございます。この改正によりまして新たに製造された物品についての危険物の判定が合理化され危険物を製造いたします事業者の負担が軽減されるほか、事業者におきまして危険物等に関するみずからの技術改良を行いまして製品の危険性を低減させるというような目標も明確なものになるところでございまして、今回の改正におきましてはそういったようなねらいもあるわけでございます。
  139. 片上公人

    ○片上公人君 新たに危険物に指定される物品を取り扱っている施設に対する措置についてはどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  140. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 危険物範囲等の見直しに伴いまして、御指摘のように新たに危険物となる物品も生じることとなることはあるわけでございます。これらの物品を取り扱っております施設は、新たに許可を受けて位置、構造、設備の技術上の基準に適合させることが必要となるわけでございます。しかしながら既にもう生産活動を行っております従来からある既存の施設につきましては、これまで事業活動を行ってきておるという事情を考慮いたしまして、施行の日から一年以内に許可を受ければよいこととしておるわけでございます。さらに既存の施設につきましては今回の法改正に伴う政令改正において、事業者に対して必要な安全は確保しながらしかも過度な負担にならないように、位置、構造、設備の技術上の基準につきましては相応の経過措置を定めるということに予定をしておるところでございます。
  141. 片上公人

    ○片上公人君 危険物の判定のための試験方法の導入に伴いまして、試験実施の重複を省く意味から試験結果の収集公表等を考えていらっしゃらないかどうか。
  142. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 改正法が公布されまして次いで政令によりまして試験方法が定められますと、事業者におきましては、現在あるいは将来貯蔵しまたは取り扱う物品がどのような危険性を有し、改正法の施行後どのような規制を受けることとなるかにつきまして改正法の施行前に試験を行って把握する必要のある場合が出てまいりますとともに、改正法施行後も新しく合成あるいは生産をされる物品につきましては事業者がみずから試験を行って把握する必要があるわけでございます。  しかしながら、ある物品について一度試験が行われその性状が把握されますと、改めて試験を実施するという必要はこれはもうなくなるわけでございます。消防庁におきましては、事業者危険物の性状についてのデータを容易に得ることができるようにして試験実施の重複を省き制度の円滑な運用を図る観点から、この危険物の判定結果等を集積しまして逐次消防機関のほか事業者にも資料を提供していく、こういう方針でございます。
  143. 片上公人

    ○片上公人君 各類の危険物の定義、試験方法の導入に当たりましては国連の勧告内容も参考にしたとのことでございますが、これら勧告内容が変更されるということはないのかどうか、お伺いしたいと思います。
  144. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今回の改正により導入を予定しております試験方法は国連の危険物輸送専門家委員会における危険物の試験方法等に関する勧告内容を踏まえた内容となっておるわけでございますが、国連におきましては引き続き一年置きごとに勧告内容の見直しを行っておるところでございますので、この勧告内容が変更されるということはやはり時代の変化に伴いましてあり得ると思われます。したがいまして、新たな勧告内容を踏まえた試験方法の見直しということが今後におきまして必要となることはやはり予想されるところでございます。また新たな危険物品が出現することもあるわけでございます。そのほか技術革新の進展によりまして試験の方法が生産の実態や流通の実態にそぐわなくなった場合にはやはり適宜見直しを行う必要があると思います。  試験方法等に関する定めは政令に委任するということで法案に規定をいたしましてお願いをしておるわけでございますが、こういった見直しが必要な場合にはこれに対して迅速に対応していくという考え方でございます。
  145. 片上公人

    ○片上公人君 試験方法を導入することによりまして危険性のある物品危険物から除外されることになり安全確保に支障を生じる場合があるのではないかと思いますが、これはどうでしょうか。
  146. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 危険物の指定品目につきましては、それぞれの類の危険物の定義を明確にして試験方法を導入することにより危険物の判定基準が合理化されるとともにこれが明確になる結果、例えば現行第三類の危険物に含まれております生石灰とか、あるいは現在の第六類の危険物でございます発煙硫酸、濃硫酸、それからクロールスルフォン酸につきましては、これは火災危険性は極めて少ないことから危険物規制の対象外ということになるわけでございます。  しかしこれらの物品につきましては、それぞれ火災危険性はないとしても消防活動上支障を生ずるおそれがございます。例えば今の濃硫酸あたりは火災の原因にはなりませんけれども消防活動に非常に大きな障害を与えるおそれがあるわけでございます。そういうことで、消防法第九条の二という規定に基づきまして、これは消防活動阻害物質という名前をつけておりますが、この消防活動阻害物質といたしまして引き続き消防機関においてそれがどこにどれだけ貯蔵され取り扱われておるかという実態を把握する、こういう予定にいたしております。  したがいまして、今回の法改正によりましてそのように危険物から外れるものもあるわけでございますが、それによって危険物施設安全確保に支障を生じることはないというぐあいに考えておるところでございます。
  147. 片上公人

    ○片上公人君 昨年の東京電力の事故でも見られるような管理面に起因する事故が大変多くなっておりますけれども、今回の改正ではこの管理面についてどのように対応されておるのか、伺いたいと思います。
  148. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 最近における危険物施設事故の原因を分析してみますと、管理の不十分とかあるいは確認の不十分など危険物施設ソフトの面、管理運用面の欠陥に起因するものが多数を占めております。消防庁としても、こういった事故に対処するために管理運用面の対策の徹底に力を注いでおるところでございます。  今回お願い申し上げております法改正案におきましては、事業者がみずから危険物危険性について十分把握し得るような試験方法の導入を図る、先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、そういう試験方法の導入を図るほかに、危険物保安統括管理者及び危険物保安監督者の解任命令の規定を新設する等の改正を行いまして、これによりましてこういった管理者、監督者の責任というのを十分自覚していただきたい。それを担保するような規定を設けることによりまして危険物施設の管理運用面の欠陥に起因するような事故発生を未然に防止するということにいたしたいと考えております。  昭和六十一年度の危険物施設火災発生原因を見ますとその七〇%ぐらいが人的な要因に基づくものでございます。そういう観点を踏まえまして、 ハードの面の設備基準ももちろん大事でございますが、いわゆるソフトの面、管理をやはりきちんとやるということについては、特にこういう火災の実態、原因を見ますと極めて大事なことだと考えておるところであり、そのような方向で改正もお願いをしておりますし、また指導に努めてまいりたいということでございます。
  149. 片上公人

    ○片上公人君 昭和六十年五月の東京都柿の木坂で発生しましたタンクローリーの横転炎上事故に見られるような移送中における危険物事故防止に関しましてはどのように対応していらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  150. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) タンクローリー、私どもの方では移動タンク貯蔵所という言葉で呼んでおりますが、この移動タンク貯蔵所の場合、これはそれが常時置かれておりますところの市町村で許可を行うわけでございますが、これは移動するわけでございますからその許可を行った市町村の区域外におきましてもやはり貯蔵、取り扱いが行われているということになるわけでございます。  そこで柿の木坂事故の教訓も生かしまして、こういった移動タンク貯蔵所の貯蔵、取り扱いの基準に関する遵守命令それから事故時の措置命令につきましては、管轄区域内にある移動タンク貯蔵所について許可を行った市町村以外の市町村も命令をすることができることといたしまして迅速な対応と違反処理の徹底が図られるよう、昭和六十一年四月に消防法の改正を行ったところでございます。  また柿の木坂事故におけるようなタンクの損傷による事故再発防止観点から、移動タンク貯蔵所が転倒したときのタンク本体の保護措置の強化を図るため、実験を含めた検討を行いました上でこの防護枠構造の強化を図る技術基準の改正をも行っておるところでございます。これは昭和六十二年四月にそのような改正を行っておるところでございます。
  151. 片上公人

    ○片上公人君 建設省にお伺いいたしますが、ことしの一月に六本木のディスコ「トゥリア」におきまして重さ二トンの鋼鉄製大型照明装置が落ちて三名が死亡、十二名が重軽傷を受ける事故がありまして、照明装置の管理、操作など安全面が問題になりました。建築基準法では柱やはりなど建築本体の強度基準は設定されているけれども照明装置の構造上の規定はなく、法的に盲点になっております。建設省は人が多く集まるデパートなどについて防火上の規定を定め建築の制限を課してきているところでございますが、このような装置についても何らかの取り組みが必要であると考えております。建設省では実態調査を行っていると聞いておりますが、どのような調査を行いその調査結果はいつまでにまとまるのか、お伺いしたいと思います。
  152. 山中保教

    説明員(山中保教君) 建築基準法では、先生御指摘ございましたように、災害時の建物の倒壊防止でございますとかあるいは火災拡大を防止するというふうな観点から構造上また防火上の最低の基準を決めまして、建築物を建築する際には建築確認ということで審査しておるところでございますけれども、照明装置につきましてはこれまで建築確認の審査対象ということでは取り扱ってはおりません。  そこで、六本木のディスコ「トゥリア」におきまして落下した照明装置はこれまで考えておりましたものと異なりまして大変大きな重量でございましたし、しかも駆動する装置を備えたものであったわけでございますが、このような装置につきましては一たび事故発生いたしますと大きな危害を与えるおそれがございますので何らかの安全策を考えなければならないというふうに考えておるわけでございます。  そこで建設省におきましては、現在都道府県を通じまして建築物に取りつけられておりますシャンデリア等の懸垂物の実態調査を行っております。調査の中身は、劇場でございますとかあるいはホテル、百貨店等の不特定多数の方々が出入りいたします建築物におきまして、吹き抜けなどの高いところに取りつけられておりますおおむね百キログラム以上の懸垂物につきまして、その種類でございますとかあるいは重量、取りつけの高さ、また設置されております部屋の用途、取りつけの方法あるいは製造業者等につきまして調査をするというものでございます。この調査につきましてはことしの夏ごろを目途に取りまとめたいというふうに考えておるところでございます。
  153. 片上公人

    ○片上公人君 その調査の結果に基づきまして建設省としては今後どのようにその改善に取り組むことにしておるのか、お伺いしたいと思います。
  154. 山中保教

    説明員(山中保教君) 先ほども御説明申し上げましたように、こういう懸垂物につきましては実態がまだ全くわかっておりませんような状況でございますので、この調査を早急に取りまとめまして必要に応じまして適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  155. 片上公人

    ○片上公人君 次に消防施設等に対する国庫補助金でございますが、昭和五十六年度には約二百五億円であったのが六十三年度予算では約百三十五億円と半分に近づきつつあるように思われます。他方消防施設整備のための地方債の方は、昭和五十六年度約五百億円であったが六十一年度には約五百二十億円と増加しておるのでございます。また消防施設につきましては、消防基準の充足率がはしご自動車では約六〇%、化学消防自動車につきましては約五五%にしか達しておりません。これは国の財政のツケが地方に及んでいる一面であろうとも考えられるわけであり、そのため基準の達成度が低いとも考えられるのではないか。  消防庁としては消防財政の強化のために予算編成上どのような努力をされたのか、また今後どのようにして国庫補助金を確保していかれるのか、御説明願いたいと思います。
  156. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 昭和六十三年度の消防庁の補助金については、概算要求の段階において五年連続前年度当初予算に対し財政窮乏の折でございますので原則一〇%のマイナスという基準が設定されるなど極めて厳しい状況下に置かれましたが、消防行政の着実な進展を図り消防施設整備強化を図るため予算確保に最大限の努力をいたしたところであります。  この結果、原則一〇%マイナスの対象経費である消防庁関係の補助金については百三十四億五千万円を計上することができ、前年度当初予算額に比較し一・二%の減にとどめることができたわけであります。この補助金の中に新規補助金メニューとして消防団の一層の活性化を図るため消防団活性化総合整備事業補助金を創設して三億円を計上し、また整備の急がれている市町村消防防災無線の補助金を前年度当初予算額に比し二〇・二%増額するとともに、ポンプ自動車補助金、消防艇補助金、救助資機材等総合整備事業補助金等の増額を図るなど今後の消防行政課題に適切な対応を図ることといたしました。今後とも市町村の消防施設の強化を促進し地域安全確保のために全力を挙げるため、この補助金の確保に努めてまいりたいと考えております。
  157. 片上公人

    ○片上公人君 次に消防ヘリコプターの活用問題についてでございます。  大規模災害や林野火災あるいは離島での救急業務などヘリコプターの活躍が大いに期待されているところでございます。さきの日航機墜落事故の際にも、遭難機の発見、救助、捜索には不可欠のものでありましたし、最近では二月に兵庫県赤穂市で発生した林野火災に大阪、京都の消防から各一機のヘリが応援に駆けつけるなどしております。また離島の急患の搬送はヘリなくしては考えられないものとなっております。さらに大地震等の災害では、火災発生時には地上での消火活動は混乱等のため困難となり空からの消火活動が有効となりましょうし、また高層ビル火災においてもヘリによる消火、救助活動が大変期待されておると思うのであります。  このような中で消防庁におきましては去る六十一年に大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施要綱を策定して、応援可能地域の明示、応援要請手続の明確化を図り、さらに六十二年には 消防広域応援交付金制度を設け、消防庁長官の求めに応じて都道府県の区域を越えた消防応援に対しまして応援交付金を財団法人全国市町村振興協会から交付するなど、ヘリの出動がしやすいような環境づくりを進めておられるとのことでございまして、去る二月にはヘリの活用と整備のあり方を消防審議会に諮問されたとのことでございます。  消防庁としてはこのようなヘリの役割をどのように考え全国ネットワークのためにどのような対策を練っておられるのか。特にヘリの購入及び維持管理には多額の経費を要すると言われておりますが、財政面で国としてどのような援助をするおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  158. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 消防ヘリコプターの果たしておる役割につきましては、ただいま御指摘になられましたように、消火あるいは救急救助、特に林野火災の消火、こういったものを初めといたしまして大変広範囲な機能を持っておるわけでございます。消防庁としましてはこういったヘリコプターの多目的広域的な活用につきまして特に重点を置いて研究を進めております。ただいま御質問の中でも御指摘になられましたように、昭和六十一年五月には大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施要綱と大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施細目も策定いたしまして、消防機関の保有するヘリコプターの広域的な運用を図り機動的な応援の実施推進しておるところでございます。  ただ現在ヘリコプターの保有状況を見ますと、これは大都市を中心にいたしまして消防用のヘリコプターとしてはまだ二十機程度にとどまっておるわけでございます。そこで今後の課題といたしまして、広域的運用を前提といたしました消防防災ヘリコプターの全国ネットワークをつくっていく必要がある、こういう考え方のもとにその導入を積極的に進めていく必要があると考えておりまして、御質問の中でも御引用なされましたように、本年二月消防審議会に「消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方について」という項目で諮問をいたしまして、現在御審議検討をいただいておるところでございます。  ただヘリコプターの整備、維持管理につきましてはやはり多額の経費を必要といたします。購入につきましては消防庁の補助金制度もございますけれども、維持管理の面につきましてもやはり相当の経費を必要とすることは御指摘のとおりでございます。この財政措置につきましては、こういった消防審議会の審議検討の結果を踏まえて一定整備の方向が出されますと、それを踏まえてこの問題につきましてもあわせて検討をしてまいりたい、このように考えております。
  159. 片上公人

    ○片上公人君 消防団の活性化問題について伺いたいと思います。  消防団は常備消防とともに消防防災の中核的組織でありまして、その活躍はさきの大島の大噴火の際に示されましたように、大規模災害時の避難誘導など大きな役割を担っていることは言うまでもございません。しかし近年消防団員の減少傾向が続きまして、ひところ二百万人だったものが半数の百万人近くになっているとのことでございます。これは常備消防整備の進展の反面とも言えますが、都市化に伴う人口移動や住民の防災意識の希薄化などの理由も考えられます。消防庁としてはどのように分析されておられるのか、まずこれをお伺いします。  次に、消防庁消防団活性化の方策として六十一年度から消防団活性化モデル事業を実施するなどその対策に着手しておられるとのことであります。六十三年度は消防団活性化総合整備事業補助金として三億円を予定されているとのことでございます。この補助事業はさきのモデル事業とどのような違いを持った内容であるのか、また団員確保はどの程度可能と予想されておるのか、伺いたいと思います。  そして消防団の活性化のためには団員の報酬面での処遇を改善することが考えられます。六十三年度は地方交付税におきましては出動手当として六十二年度と比べてどのような配慮をしたのか、御説明をお願いいたします。なお、交付税上算入した額がきちんと市町村において支給されていないということも指摘されておりますが、消防庁としてはどのような指導をされておるのか、お尋ねいたします。
  160. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 多くの項目にわたりましての御質問でございますが、まず最初に消防団員の減少の原因をどう考えておるかということでございます。  昭和五十九年十二月に消防庁内にこのための検討委員会設置いたしましてその減少原因についての分析検討を行ったわけでございますが、やはり御指摘のようなことでございます。高度成長時代に都市への著しい集中が見られましたけれども消防団はもともと地域社会に基盤を置くものでございましていわば地縁的な性格が強い。そこへもってきて農山村部では人口流出、特に若年層の激減によりまして団員も減少したわけでございますが、逆にそれが流入いたしました都市部におきましては、これは人口がふえたにもかかわらず団員数はやはりふえなかった、こういうことでございます。  またいわゆるサラリーマン化に伴いまして職住分離が進み、昼間その住んでおる町にはいない、どこかに勤めに出ておるというような人たちが多くなったことによりまして消防団員の減少が進んできたということ。また社会の一員としての役割意識というものが昔ほど強くなくなってきた、希薄化してきたということにも消防団員の減少の大きな原因があろうかと思います。  そこで消防庁といたしましてはこのような傾向に対応いたしまして、やはり消防団というものはこれはボランティア活動の代表的なものでございますので、そういったボランティア活動が地域の防災に大きな役割を果たしておるという観点からその活性化を図る必要があるということで、昭和六十一年度、六十二年度の両年にわたりまして国庫補助事業としての消防団活性化モデル事業を実施したわけでございます。  このモデル実施市町村の状況を見ますと、それぞれ工夫を凝らしまして団活性化のためのいろいろな総合的対策実施しております。消防団拠点施設整備であるとか、あるいは無線機器、安全装備品の整備とか教養研修用資機材の整備、こういったようなことを行っておりまして、これらの点において団員の士気高揚が図られまた出動率が上がるというような経過が見られた、こういう報告をそれぞれ実施をしました市町村から受けておるわけでございます。  そこで、これはモデル事業として実施したわけでございますが、このモデル事業をさらに全体に及ぼすために、昭和六十三年度からは新たに消防団活性化総合整備事業ということで全面的にこれを行うことにいたしておるわけでございます。この考え方につきましては、モデル事業で得ました経験をも踏まえまして、内容的にはモデル事業と比較的同じものが多いかと思いますけれども、一つは教養研修面つまりソフト面の充実、それから消防団活動に必要な施設とか装備の強化というハード面、こういうものを内容とした総合計画を、これは市町村の自主的な発想による創意工夫をできるだけ期待してつくっていただきまして、これに対して国庫補助を行うということによりまして実施をしてまいりたいと考えております。  そのほか消防団員の手当等処遇の問題についてのお尋ねもあったわけでございますが、これは国におきましては従来より地方交付税で所要額を詳細に規定して措置をしておるところでございますし、また毎年その引き上げに努めておるところでございまして、本年におきましても若干ではございますがこの引き上げを図ったところでございます。  ただ実際の支給につきましては市町村が条例でそれぞれ決めます。いわゆる団員の報酬につきましては交付税で決めましたものと余り違いはございません、平均的に見ますとほぼそのとおりに措置されておりますが、出動手当につきましては実 は交付税の措置額と実支給額との差がかなり大きゅうございまして、実支給の方が小さいわけでございます。これらにつきましてはやはり重要なことでございますので、市町村に対してもその改善を行うように、あるいは都道府県の消防主管課長等に対しましても十分指導を行うように私の方からもたびたび申しておるところでございます。今後とも努力を重ねてまいりたいと考えておる次第でございます。
  161. 片上公人

    ○片上公人君 ありがとうございました。終わります。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず、先般三月から運用が開始されて既に列車が走っております青函トンネルの防災対策について伺いたいと思います。  消防庁の方では消防科学総合センターがまとめた「長大トンネルの防災対策に関する調査研究報告書」、先ほどお話がありましたが、これに基づいて今後の対応を進めていかれるようであります。そこに出ておる防災計画、これは二つの消防本部それぞれ必要としておる。JR北海道の防災計画も必要としておる。あるいは相互の協議の問題、あるいは訓練、それに必要な協定、こういったものが報告書の中ではいろいろ触れられていますが、そういったものがどれだけ整備をされてきているのか、現状は一体どうなっているのか、この辺についてまず報告をお願いしたいと思います。
  163. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 青函トンネルの防災体制の問題でございますが、この点につきましては御指摘の長大トンネル防災対策調査研究報告書を参考といたしまして、青森側の青森地域広域消防本部、それから北海道側の渡島西部広域消防本部におきましてそれぞれ防災計画を策定しておるところでございます。  私どもの方もこの長大トンネルの研究調査報告につきましてはもちろん青函トンネルの開通ということを念頭においてやったわけでございますので、三月十三日の開通にとにかく間に合ってこれが示されるようにしなければならぬということで何とか二月に示すことができたわけでございますが、これら両方の消防本部におきましてはこの防災計画をこれに基づきこれを踏まえて策定をしておりまして、通報連絡体制、それから救急救助活動、消火活動等消防活動の方法とか、それから広域応援体制等に係る防災体制整備を完了しておるところでございます。北海道JR側ともいろいろ連絡、意見の交換、協議等を行いまして一応体制整備したところでございます。  なお防災訓練の面でございますが、これは開業前に吉岡定点におきまして、北海道側、つまり渡島西部の消防本部とJR北海道とそれから鉄建公団が合同で、情報収集、現地指揮本部の設置、乗客の避難誘導、人命救助、消火活動、通信連絡、防災設備の操作等を内容とする総合防災訓練実施しておるところでございます。まだ青森県側は実施されておりませんが、この実施につきましては青森地域広域消防本部とJR北海道が現在打ち合わせ中と、こういうぐあいに報告を受けておるところでございます。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 この報告書の前書きには「事前の防災計画整備充実し、総合的な訓練等を通じて計画内容を充分把握しておくことが重要となる。」というように強調されているんですが、    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕 まさにそのとおりで、机の上のいろんなプログラムができても実際に訓練をして習熟していないといざというときには間に合わない。  ところがもう既に列車が動いておって旅客・貨物の輸送をやっておるわけですが、御承知のように三月十三日から走り出した途端に毎日事故が起こりましたね。幸い火災はなかったけれども、これは火災が起こらないという保証はない。ところが現実にはまだそんなところの段階じゃないんですね。先ほど北海道側の訓練をやったと言うけれども、あれはこの調査報告をするための実証確認という模擬訓練で、極めて部分的な限られたものでしょう。この報告書に出ていますがね。だからこれだけではいかぬのですね。  というのは、事故が起これば定点まで行ってということなんですが、これは定点まで行く間は何にも起こってないことになっている。だから事故が起こったところ、火災発生した場所から定点へ行くまでの間に何をするのかというやつがないんですよ。ということはJR北海道側の防災計画とその対応というのが物すごくおくれておるんです。  だから今度のやつは北陸トンネルの事故の教訓から火災が起こったら定点まで走れとなっているけれども、その間に第一義的に消火活動なり人命救助なりをやるのはJRの職員でしょう。消防本部が現地へ入るのはうんと後ですよ。だから定点には必要な設備をちゃんとしようとこうなっていて、その定点における必要な設備を使って消火あるいは避難誘導するのはJRの職員が消防本部が来るまでやっていなきゃいかぬ、こうなるんです。ところが現地の二つの消防本部の人員なり消防車その他の器具機材の配備状況を見たらこれはもう非常に少ない。そんなことは初めから予想してないんですから。そうすると第一義的に人命救助と消火活動をやらにゃいかぬJRのところが物すごく対応がおくれている、こういうように思うんです。  運輸省に聞きますが、報道によりますと、現地の消防本部がJR北海道に十四項目の防災対策の基本について要望を出した、そうしたらそれに対してJR北海道側はいい顔せんかったと。やっと三月の九日になって協議がやられて、これは資料をもらいましたが、十四項目についてJRはこうしますという対応の項目が出てきた。十三日から走るのに九日ですよ、初めて協議するのは。一体運輸省はこれについてどういう指導をなされているのか。
  165. 百瀬信

    説明員(百瀬信君) JR北海道と現地消防署との間におきましては、本社としましては六十二年の十月七日から六十三年の二月二十六日までの間に十回以上この問題につきましての打ち合わせを広範にやってまいりましたし、また函館支店、函館にJR北海道の出店がございますけれども、そちらの方におきましても六十二年の十二月から六十三年三月八日までの間に十数回にわたります打ち合わせをやってまいりまして、その中でいろいろな問題点の整理とか打ち合わせをやってきておるわけでございます。  そして、先ほどお話のございましたように最終打ち合わせが三月九日に行われまして、これは青森の消防の組合とJRの函館支店との打ち合わせでございますが、そこで先ほど先生御指摘の十四項目がそういう打ち合わせの中で提起をされ、これらについての問題点の打ち合わせとそれから整理がなされているわけでございます。そういったことで、開業までに所要の手続がとれるように両者で問題点を整理しまして対応できるようにいたしたわけでございます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 やったやったとおっしゃるんだけれども、実際に報道されているのを見ますとそういう状況が出ていますよ。そしてやっと三月に入って、恐らくこれは三月九日でしょう、青函トンネルにおける列車火災時の取り扱いマニュアルの概要、これは本体はもっと詳しいものかもしれませんが、我々のところへ届けられている内容を見ると極めて概括的で簡単なものなんですね。  それで消防庁に聞きますが、具体的にはJR北海道がそういうマニュアルをつくっていろいろな対応をやるでしょう。あるいは訓練もやるでしょう。それについて消防庁として指導責任があると思うんだけれども、その点についてはどうなさるのか。現地の消防本部を通じてということでは、まあ言うたら農村地域ですから、事務組合の消防本部で大都市の大きい消防署ではないんですから、だからその辺についてはなかなかぴしゃっと言いたいことも言えぬ、弱腰にならざるを得ぬような状況もあると思うんだけれども、こういう点はどういうようにお考えですか。
  167. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) この種のトンネルは消防法に規定するいわゆる防火対象物ではございませんけれども、しかし一たん火災発生すれば当然に消防機関が出動して消火をしなければなら ない義務があるわけでございます。そういう観点から、青森側並びに北海道側の両消防本部におきましてはこのトンネルの開通に先立ちましてJR北海道側と十分連絡を重ね、JR側の自衛消防隊によります消火活動とあわせて消防機関による活動がうまくいくようにいろいろな項目について協議をしたようでございます。例えば通報体制についてとか、あるいは斜坑のかぎの保管の問題であるとか、斜坑への進入の問題であるとか、救難車両の配備の問題とか、いろいろな問題について協議をしたようでございます。  こういった全く新たな施設でございまして、この協議の過程におきまして必ずしも極めてスピーディーにいくというわけにはいかなかったようでございますけれども消防本部側としてはやはり消防の責任にかんがみまして、何と申しますか、へっぴり腰で交渉するということでは決してなくて、きちんとした折衝をしてきたようでございます。なお当庁といたしましても、これらの点につきましては新聞報道等で若干そういった協議が長引いておるというようなこともございましたので、状況をよく聞きましてそれに対して必要な示唆をする等指導をしてきたところでございます。  これは確かに大都市の消防ではございません。青森側は青森市も含まれる消防本部でございますのでかなり規模の大きい市も入っておりますが、北海道側の方はこれはいわば小さい町村の集まりでございます。JR側におきましても今までに余り例のないことでございますのでそういうことで若干手間取ったかもしれませんけれども、最終的にはそれなりの対応をしていただいたのではないか、こう私は考えております。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 事故というのはもっと先に起こるということはないんで、あしたにも起こるかもわからぬものでしょう。だから私は言っているんです。三年先でいいというのやったらゆっくりやっていけばいいんですけれどもそうはいかぬ。走らすまでにやらにゃいかぬ問題があるんです。走ってからまだうろうろしておるというのは、消防庁としても運輸省としてもやはり責任の重大性を考えぬといかぬと思うんです。幸い今は事故がないし、我々も事故のないことを願っているけれども、もしあったときに一体どういうことになるのかという角度から考えると確かにおくれていますから、ちょっと私は厳しく申し上げたんです。青森側は確かに青森市の消防を含めれば相当の人員になります。そやけど北海道側は職員は百人足らずでしょう。だからそんなもの簡単にできやせぬですよ。そういう点は十分考えてもらいたいと思います。  運輸省に具体的な対策で聞きますけれども、北陸トンネルの事故の教訓から、今度は停車するのじゃなしに定点方式でそこまで行ってやろうということになったわけですが、鉄建公団の担当部長さんの書かれたものを見ますと、一つは列車の不燃化、難燃化によって簡単に燃えないものになっているということがある。それから全長全部に消火設備をやるというたら大変なんで、そういう経済的な理由もあって定点方式を採用したというように書かれていましたけれども、大体そういうことで間違いありませんか。
  169. 百瀬信

    説明員(百瀬信君) 御説明いたします。  昭和四十七年の北陸トンネルの列車火災事故の経験を踏まえまして、トンネル内において火災発生した場合には、動力源が維持されている限り走行を続け、トンネル外もしくは安全に避難できる地点に到達することが重要とされたわけでございます。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕  青函トンネルは御承知のとおり延長が五十三・八五キロメートルと極めて長大でございますので、火災状況によっては列車がトンネル外に脱出できずトンネル内に停車せざるを得ない場合が考えられます。そのために、トンネル内に火災列車を停止させまして乗客の避難救援を行わせ消火活動を行える特別の場所を設ける方式、定点方式と呼んでおりますけれども、これを基本とすることにしたわけでございます。すなわち竜飛及び吉岡の二カ所に定点を設けまして青函トンネルの五十三・八五キロメートルを三分割いたしまして、この定点に明かり区間と同程度避難環境を有する火災対策設備を設けることによりまして在来のトンネルと同様の対応が可能であり、かつ同程度の安全性が確保できるというふうなことでございます。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 定点における設備とか避難路、それから煙に対する対応、そういったものはずっと検討されて、私は素人やからわかりませんけれども、大体そのことは計算に入れてつくられているということはわかります。  ただ問題は、一つは、脱線事故が起こらぬように今度は軌道自身も一般とは違う方式になっているようですけれども、しかし脱線事故が起こった場合はどうなるか。あるいは機関車そのもので火災が起こったら、あるいは火に巻き込まれるという事態が起こったら定点まで行けるのかどうかという問題も起こってくるんだけれども、そういった点の対応は十分予定して準備されているわけですか。
  171. 百瀬信

    説明員(百瀬信君) お答えいたします。  青函トンネルは、曲線、勾配、レールの規格、それからATC方式等につきましては構造上新幹線の規格を採用しておりまして、さらに踏切あるいはポイントがないという状況でございます。またレールもずっと溶接をして継ぎ目のないスーパーロングレールを使う、こういうようなことでございまして、列車が脱線炎上するというような事態はまず考えられないと思います。  また電気機関車が火に包まれるような大きな事故は、ここ十数年の事故につきまして調査をしてみたのですけれどもそういうものは見当たっておりません。またそうならないように高性能の火災検知装置が沿線に設置されておりまして、かつ定点には消火設備等が完備されておりますので、炎上する可能性はこれもまずないだろうというふうに考えております。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 十数年来事故がないというのは結構なことだけれども、起こるかもわからぬということですからね。火災探知器があってそれで十分探知できる。それは探知はいいですよ、探知してそれでぼやで消しとめることができるのかどうかということが問題なんです。実際今機関車にそんなようけ要員が乗っているわけじゃないですから、乗務二人なんですから、そう簡単におっしゃってもそうはいかぬだろう。この間も四月十七日に関門トンネルで救援電車もダウンしたダブル立ち往生事件が起きていますね。今度の青函トンネルの場合は約五十四キロですからこれは大変な状況なんだけれども、この場合でも安物の機関車というわけじゃないでしょう。それはあなた、そういうことは起こらぬであろうと思っても起こるんですよ。  それで報道では、車輪付近から上がった煙が車内に流入したということで、乗客の方には詳しい説明がないまま車内に煙は入ってくるし、乗務員が車内やトンネル内を必死の表情で走り回るのは本当に怖かったということなんですが、こういったことで予想をしてないことが起こり得るのが事故であり、そしてそれがまた災害を大きくするわけなんで、こういった点について一体どうなのかということですね。  それから時間が限られていますからついでに言いますが、トンネル内火災でやはり最大の問題は煙なんですね。定点においては煙をどんどん出すようにするし新しい空気を入れるようにそういう設備をやっているんだけれども、前の方の車両で火災発生してそれで定点に向かって前方に進むとなったら、後ろの人は煙を辛抱せにゃならぬわけですね、定点に着くまで煙に巻き込まれないようにする。そういうような事態が起こるんだけれども、こういった点についてはどういうように考えておられますか。
  173. 百瀬信

    説明員(百瀬信君) トンネル内におきまして列車火災発生したときの運転取り扱いにつきましては、北陸トンネルにおける列車火災事故を契機といたしまして国鉄に設けられました火災対策技 術委員会、これは浜田稔委員長でございますが、この提言に基づきまして、火災発生車両の貫通口、これは中のお客が動けるようにつまり穴があいているわけですけれども、その貫通口及び窓等を封鎖いたしまして火とか煙等が車内に流出しないような処置をしてからトンネル外に脱出することとしております。  一方その他の車両におきましては、火災発生車両からの旅客の避難誘導及び安全性の確保のために旅客を当該車両から可能な限り離れた車両の方に避難をさせまして、その避難した車両に火炎及び有害ガスが侵入しないように貫通口及び窓等を閉鎖して運転を継続し、そして定点等に到着後避難させることとしているのでございまして、旅客の安全性については十分に確保できるものと考えております。なおこの報告書では、実験によって通常の火災であれば少なくとも十五分以上の時間他の車両に火災が移ることはないというふうにされております。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 だけど例えば過去の炭鉱事故なんかの例を見ますと、一応みんな煙対策はやっているわけですが、一番設備のよかった三井三池の炭鉱でもやっぱり煙による災害というやつが発生しているんです。大体事故は予期せざる状態で大きくなっているわけですから、そういった点で、定点のところに行けば排煙のためのマスクだとかそういうなにを置いているけれども列車自身にはないわけでしょう。この辺なんかも私は考えておかなきゃならぬのではないかというように思うんです。  いずれにしても、とにかく定点まで行って定点でやりなさい、それでないと経済的に大変だということで、経済優先で人命優先の見地が本当に貫かれているのかどうか、そういう批判を受けないように訓練をしそして準備をしてやっておかないと、何ぼいろんなマニュアルをつくってみても、実際そこにおるのは数少ない乗務員だけですからね。運転士さん、車掌さん入れて旅客の場合は数名でしょう。だから数名で処置をせにゃいかぬわけですから、そういう点については訓練を何遍もやっておかないと大変だと思うんです。とにかく消防が来るまでに鎮火してなきゃ大変な事態になっているんですから、そういう点では初動の消火が一番大事なんで、それはJRの人がやらにゃいかぬ。そういう認識をJRの方に持ってもらわないと、事故が起こったときには大変なことになるというように思うんです。  それから貨物列車ですね。これは旅客列車よりも本数が多いんですが、貨物もやっぱり同じように発生したら定点まで走り抜ける、こういう方式ですか。
  175. 百瀬信

    説明員(百瀬信君) 青函トンネル内におきましては貨物列車に火災発生した場合でも旅客列車と同様に定点におきまして消火を行うこととしております。  また青函トンネルにおきまして危険物を輸送することによる事故発生及び波及防止対策につきましては、火薬類運送規則において、火薬類と火薬類以外の危険品を積載した車両との連結におきましてはその中間に他の車両三両を介在させることが義務づけられておりまして事故拡大防止が図られております。また青函トンネルにおきます危険品の輸送につきましては、通達によりましてこれに加えて、危険品等の危険性に応じて輸送の禁止、あるいは輸送の量の問題あるいは積載方法について規制をすることによりまして災害発生の防止及び拡大の抑制を図っておるところでございます。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 カートレインの運行の場合はどうするんですか。自動車のガソリンを抜いて積載をするという状況になるんですか。
  177. 百瀬信

    説明員(百瀬信君) 津軽海峡線の開業時点におきましてはカートレインの運行予定がございませんでしたので、この取り扱いにつきましては特段の規制は行っておりません。しかし今後カートレインの運行が考えられるわけでございますので、これに応じて所要の措置について検討することとしております。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから先ほどもらいました青函トンネルの危険品の貨物運送約款を見ると、火薬類は五キロ以下、それから爆薬の方は十キロ以下とかいう規制になっていますね。そうすると、報道によると陸上自衛隊の大輸送作戦で人員のみならず戦車とかあるいは自走砲とか砲弾なんかをこれで輸送したいという話があってJRと相談をするということが載っていましたけれども、この規制からいくとこれは輸送できない、してもミカン箱一箱ぐらいにしかならぬということになりますが、そういうふうに理解していいですか。
  179. 百瀬信

    説明員(百瀬信君) おっしゃるとおり、火薬の規制は今先生がおっしゃられたような状況でございますので、それを超えるような火薬の輸送はできないということになっております。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから旅客の場合は事故が起こった場合の責任というのは割合明確なんですが、貨物の場合、トンネルの管理はJR北海道だし、所有権は鉄建公団が持っているし、貨物列車そのものは貨物会社だし、それを運転しているのは今度はJRの北海道だしということになってきますと、実際に事故が起こった場合にはどこが責任を持つということになりますか。
  181. 羽生次郎

    説明員(羽生次郎君) お答えいたします。  事故の態様によっても異なるわけでございますが、一般的に申し上げますと、運行している鉄道事業者の故意または過失によって事故が生じた場合は当該鉄道を運行している事業者の責任になると思いますので、御指摘の場合については第一義的には貨物会社の責任になろうかと、かように考えております。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 一応予想される危険な例を想定をして幾つか言ったんですが、まだいろいろ考えれば実際にはたくさんあると思うんです。これはやっぱり、何遍も言いますけれども、実際に訓練を何回か重ねていかないとどういうことが予想されるかという想定自身もできないだろうというように思うので、この辺は消防庁に特にお願いをしておきたいと思います。  そこで、例の石油コンビナート災害がずっと多く発生したときに石油コンビナートの個別立法をつくって、それによって防災体制というのが非常に進んだと思うんですね。今度は青函トンネルがもう既に走り出しましたし、瀬戸大橋も車が走り出していますし、また鉄道も走り出している。それから東京湾の湾岸横断道路の構想もあって、これも長大トンネルで海底をくぐっていく、そういう問題が近々予想されるという状況になってきています。  この種の問題についてやっぱり石油コンビナートと同じように特別の立法をして、そしてJRなりあるいはその所有者なりあるいは運行する者なりに対する義務を明確にして不慮の災害を防止をする、そういうことが必要ではないかと思うんですが、この辺についての見解を長官の方からお聞きしたいと思います。
  183. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 長大トンネルあるいは長大橋が開通し実際供用されておるという実態にかんがみまして、かつての石油コンビナートの場合と同様に特別立法をすべきではないか、こういうお尋ねでございますが、石油コンビナート等災害防止法、これは振り返ってみますと、ちょうど高度経済成長期でございまして全国的に石油コンビナートの立地がどんどん進む中で、各地火災とか爆発とかの事故が多発をいたしました。あるいは大規模な重油流出事故発生する、水島であるとかあるいは仙台であるとかこういったところで大きな事故発生をいたしました。そういう状況なり背景のもとで、タンクとかプラントなどの建設が集中するコンビナート地帯における総合的な防災対策と環境面の問題もございましてそういった対策推進を図るために、当時の時代的な背景の中でまさにその必要性があるということで特別の立法による規制が行われたわけでございます。  今御指摘のような長大トンネルあるいは長大架橋におきましては、もちろんこれは車両等の安全な通行を図るということが第一でございましてま ず事故等の発生防止に全力を傾注しなければならないと考えておりますが、万一これらの工作物において事故等が発生した場合でございましても被害を最小限にするよう万全を期する必要がございまして、地元自治体等において各種資機材の整備とか連絡体制とかあるいは応援体制等の整備を進めておるところでございます。  こういった事故防止対策そのものにつきましては、これはいろいろ御議論はあるかと思いますけれども、私ども現在の法体系の中で対応できると考えております。また災害対策基本法等を見ましても、自然災害のほかに極めて社会的影響の大きいような人為的な災害も含まれるという形になっておりまして、その対応も可能だと思うわけでございます。そういった点から考えて、御指摘のような個別立法ということを今考えてはいないわけでございます。  ただ、いずれにしても災害対策に万全を期すという観点から、今後ともこの種の新しい施設防災対策につきましては十分その安全の確保が図られるよう努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣、これは各国ともそうなのか知らぬけれども、少なくとも我が国では災害が起こって問題が大きくなるとわあわあ言って法律ができたりするわけなんです。コンビナート災害があっちこっちに起こって、だものだからあの立法をつくって、それでタンク群のところはそこで油を貯蔵して海へ流れ出さぬようにせいとか、あるいは油のフェンスを常備せいとか、自衛消防隊をつくれとか、化学消防車を持ちなさいとか、そういうようなやつをだあっとやったんです。だから事故が起こって何人か死傷者が出ないと法律にならない。  これもまた事故が起こって何人かの死傷者が出たら、これはえらいこっちゃといって法律を後からつくるでしょう。これじゃ政治じゃないですよ。政治というのはやっぱり、起こってはならぬことだけれども起こり得るということを予定してちゃんと体制をとらにゃいかぬ。今は例えばJRの問題にしてもびしびしやる法律はないでしょう。義務づけられたものはないから悠々としてのんびりやっているんです。対策が十分できていなくても人を乗せて走るし危険物を乗せて走るんです。幸い事故がないからいい。しかし事故がないからいつまででもほうっておいてよろしいということには私はならぬと思うんですね。  現行法でそれが規制できるならいいですよ。確かに消防法の二条とか四条とかいろいろあって、書類の提出やら立入検査権やらあります。それならそれらを本当に発動してやれるのか。そしてどうやってそれをJR北海道ならJR北海道に強制できるのか。それが十分やれるかどうかということも点検をして、必要であれば、消防法を変えるのか特別立法にするのかそれは別にしても、やっぱりその体制はちゃんとして事故が起こらないようにする。もし事故が起こっても最小限に抑える。そういうのが私は政治家の仕事だと思うんですが、この辺は政治家である大臣のお考えをちょっと聞いておきたいと思うんですよ。
  185. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 今消防庁長官からお答えになりましたように、この種の災害対策、これは十分の上にも十二分に対策を講じておかなければならないと思います。  ただ、今委員指摘のように、必ず問題がありそうだといえば立法に頼る、法律さえつくれば大丈夫だという安易感、むしろそういうものは避けて、例えば青函トンネルにおきましても、既に関門トンネルの事例がございます。そういうものが有効に作動しているのかどうなのか、こういうものを十分見ればわかりますし、長大橋もこれから架橋されるのは恐らく三橋、一つは開通したわけでございますけれども、ですから、石油コンビナートがいわば高度経済成長期に全国各地にできてそういうものの一つの基準をつくろうという意味と、今回の例えばトンネルや長大橋の問題はおのずと数やその他で限定があろうかと思います。  しかも、この橋なんかにおける事故というのは想像することもいやなことでございますけれども、構造上の欠陥があったときに消防で対処ができるのか、あるいは立法があればそれで法律がすべての責任を負わなきゃならないかという問題もあるわけでございますから、立法化の以前にまず問題になり得る状況、これをよく詰めてみて、恐らくもう橋が通っているんですから一応は詰まっているわけでありますけれども、そういうものの対応の中でどうしても必要が生ずるならばこれはあらかじめ予測をしながら立法を講じなければならない、こういうふうに考えております。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、この間の瀬戸大橋の火災も幸い小さかったからよかった。あれはかぎがなくてあげられぬということで立ち往生したということですが、現にそんなことが起こっているんです。あれがもっとでかい事故だったらえらいことになってますよ。そういったいろんな予想しないことが起こるんです。だから大臣、私は立法だけに固執しているのじゃないんですね。立法しなくともそういう基準なり要綱なりにしてそれで強制ができてそういう体制がちゃんと準備できるならばいいんですから、これはお願いしておきたいと思います。  次に運輸省に聞きますが、地下鉄の防災安全対策について先般我が党の内藤議員の方から質問主意書を出しまして一昨日回答が来ました。それは、六十二年の例のロンドンの地下鉄火災事故の教訓から調査をしたが、五十年一月三十日付の運輸省鉄道監督局長通達「地下鉄道の火災対策基準について」によって着々進んでおります、今後もこれら火災対策設備整備については引き続き関係鉄道事業者指導していく所存でございますという通り一遍の回答なんですが、現実には、質問主意書にもありますように、出口が一つであったり、あるいはホーム転落事故が起こったり、あるいはスプリンクラーや排煙設備の不備、例えば排煙設備の場合銀座線では十七駅中九駅、丸ノ内線では二十四駅中十六駅が未設置になっておるとか、いろいろ具体的に提起をしているんです。  それで引き続き指導していく所存だとおっしゃるんだけれども事故は待ってくれないんです、先ほどから何遍も言っているように。だから運輸省は具体的にいつまでにどういうことをやらせるという計画をお持ちなのか、相手さんがやってくれるまで待っております、その間に事故が起こらぬことを神や仏に祈っておりますということになるのか、その辺はどうなんですか。
  187. 本多辰巳

    説明員(本多辰巳君) お答えいたします。  先ほど先生から概略地下鉄の火災対策について今どうなっているかということをお話しいただいたわけでございまして、事実はそのとおりでございます。繰り返しになりますけれども、地下鉄の火災対策につきましては、北陸トンネルの列車火災事故を契機といたしましてつくりました運輸省の局長通達でいろいろ非常設備について措置をとるように指導をしてきておるわけでございます。その結果につきまして、先ほど先生からも御指摘がありましたけれども、今回ロンドンの地下鉄で火災事故発生しました直後に我が国の整備状況調査したわけでございます。  それによりますと、通達を五十年に出しておるわけでございますけれども、それ以降に計画された地下鉄については当然この対策については一〇〇%満足をしておるわけでございます。ただ、通達の前に計画されあるいは開業したものにつきましては必ずしも一〇〇%ということにはなっておりません。具体的に申し上げますと、火災対策の中で基本と我々が考えております構造物の不燃化につきましては、そういう古い地下鉄を含めましてほぼ一〇〇%まで達してございます。また、万一火災発生した場合の初期消火あるいは早期避難誘導のために特に効果があると考えられます消火栓であるとか消火器、あるいは自動火災報知装置、さらに通信放送設備等の設備もほぼ整備ができております。  ただ先ほど指摘のありましたように一部の施設につきまして若干おくれているものがあるということを確認いたしております。その部分につき ましてさらに具体的に御説明いたしますと、先生の御指摘の中でもございましたけれども、通達の中でうたっております二方向避難、要するに火災発生した場合には独立した二方向の避難経路を確保しなさいという規定がございます。さらにスプリンクラー設置しなさいとか排煙設備をつけるべしといった規定がございます。若干一部おくれております施設と申しますのは主にこの三つの設備でございます。  このうち、二方向避難経路の確保につきましては古い地下鉄を含めまして達成率は現時点で八八%、したがいまして残りの一二%がまだ二方向避難経路の確保ができていないということになります。スプリンクラー設置につきましてはこれが六六%とさらに低く、排煙設備設置につきましては八二%という状況になっております。
  188. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がないから、いつまでにやるのかということを言ってください。
  189. 本多辰巳

    説明員(本多辰巳君) これにつきましては、用地の確保であるとか工事費等極めて困難な問題があることはこれは先生も当然御承知のとおりであると思いますけれども、従来から運輸省といたしましてはこういったこともございますので駅の大改良等にあわせて実施するように指導をしてきたわけでございます。この結果といたしまして、例えば営団の銀座線、丸ノ内線、古い地下鉄の代表といたしまして申し上げますが、昭和五十年の……
  190. 神谷信之助

    神谷信之助君 あのね、時間がないから、それはいつまでにやらせるのかということを言ってください。
  191. 本多辰巳

    説明員(本多辰巳君) はい、わかりました。  ではその辺は省略させていただきまして今後の我々の取り組み方について御説明をさせていただきますが、先ほど申しましたように、こういった以上の三つの問題につきましては大変いろいろ困難な問題がございますのでどうしても後々に送りがちになります。したがいまして今後はできるだけ計画的に進めるように指導を強化してまいりたいと思うわけでございますけれども、例えば地下鉄の代表でございます営団につきましては、駅の大改良計画につきましては毎年度事業計画といいうものをつくります。そうした事業計画の作成に当たって、駅の大改良については二以上の避難通路の確保であるとかあるいはスプリンクラー整備あるいは排煙設備設置といったようなことについて確実にこういった事業計画の中に入れて実施をするように今後指導を強化してまいりたい。営団以外の地下鉄につきましても同様な計画を持っておりますので、そういった中で実施をさせていきたいというふうに考えております。
  192. 神谷信之助

    神谷信之助君 長い時間答弁をしてもらったけれども、結局いつまでにできるということはわからぬ。だから困るんですよ。毎年事業計画を出して運輸省の承認を得るわけです。だから何でこれをもっと早うやらんのやということでちゃんと指導して、二年なら二年、三年なら三年以内にやるとか一年以内にやるとか、それはどうするというやつを立てなきゃだめだということなんですよ。時間がありませんからそれだけ申し上げておきます。  次に法案の問題ですが、今度危険物の判定に試験方法を導入するということになりました。それで消防行政側のチェック体制ですね、これを一層整備する必要があるんだけれども、依然としてメーカーの自主管理を基本としているのは非常に問題ではないかというように思うんです。比喩はちょっと悪いかもしれぬけれども、泥棒に泥棒の取り締まりをせいと言わんばかりのことですからね。やっぱり第三者というかそういうものが必要ではないかと思うんですよ。  具体的にそれが消防署で一体どういうようにやられているかということで、幾つか地元の京都で調べてみました。そうすると、大きい消防署ですと製品の分析ができるそういう設備を持っているところもあるんですね。だからその分析結果を消防庁に送って危険物かどうかということを問い合わせたり、あるいは立入検査なんかでサンプルチェックをやって自分のところで検査をするとかいろいろやるんだけれども、ほとんどのところはそんな設備はないから結局書類審査だけに終わるという状況になってきています。だからこの危険物の判定について最終責任を負わにゃいかぬ消防庁としてそれでいいのかどうかというように私は思うんです。  すべての消防署にそういう設備を設けろというのはこれは無理なことなんですから、この判定を行う機関というのを公的な試験機関、あるいは大学の試験機関に委託をするとか、今度の新しい試験方法による判定をチェックできる、あるいは少なくとも公平にやれるような、そういうことについてお考えはどうかという点をまず聞きたいと思うんです。
  193. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 試験方法を導入いたしましてその結果によって危険物であるかないかを判定する、これはある意味では現在の危険物範囲の決め方に関する一つの大きな見直しであることは事実でございます。ただ、それによりまして消防機関側が危険物そのものについてすべて民間の自主管理に任せるという意味ではなくて、消防機関側としてはやはり今までどおり、どこにどういう危険性があるものが貯蔵されているか、取り扱われているかということをきちんと把握できる体制は従来どおりとっていくわけでございます。  そして個別の危険物の判定でございますけれども、これはメーカーと申しますか業者自身も試験方法を公開いたしますのでみずからできるようになっていく。これはある意味では、今までのように法律に書かれればそれが危険物になりそうでなければ危険物でない、したがって新しいものを開発してもそれが消防法の方で規定されれば即危険物になってしまう、そういうような事態はむしろ避けられるという意味で、ある意味ではオープンになってきたということが言えると思います。  ただ御指摘のように、最終的に判断をする、決めるときに、ボーダーラインにあるようなもの、これについては難しい問題もいろいろ出てくると思います。第一義的には市町村が判定の責任になりますけれども、市町村の消防機関におきましては、例えば第四類の引火性の液体、こういったものにつきましてはこれはどこの消防機関でも判定ができると思いますが、やや複雑な性質を持つような物質につきましてはなかなかできない場合がある。その場合には府県にそういう試験を依頼する。あるいは大都市あたりはそういう設備を持っておることもあります。府県におきましても消防学校等においては最近ではかなりいい設備を備えているところもございます。  もし府県でもできなければ、もちろん最終的にはこれは消防庁が責任を持つわけでございますので、消防庁に附属する研究機関、その他関係の団体、そういうレベルの高いものを持っております試験研究機関等にそういうものをお願いをして判定するという体制はとってまいりたい。今回の法律改正の特色を生かしながら、しかも最終的にはその判断なり安全確保について十分注意を払ってまいりたい、こういうつもりでございます。
  194. 神谷信之助

    神谷信之助君 長官はそうおっしゃるけれども、これはある指定都市の消防本部の保安課長さんの話ですが、確かに大手の会社では余り心配はない、ところが町工場などでは試験設備もないのでそこは問題だと。それで立入検査で故意ではないけれども危険物と知らずに取り扱っているという場面にも遭遇している。それから今度消防の方で立入検査をやってもチェックする試験設備がなければ積極的にチェックするということにならないおそれがある、だからやはり公的な試験専門機関というのが必要ではないかという意見ですね。  それで消防庁危険物委員会報告でも「全国統一的に危険物であるか否かを判定するため、危険物の判定試験を行う専門の試験機関を設置することが適当である。」というように述べておられますね。だからそういう点はすぐどうのこうのというわけにはいかぬにしても、あなたのところの委員会でもそういうことを報告書でわざわざ言っ ているんですから、研究をされたらどうかという点を申し上げておきたいと思うんです。  それから二つ目の問題は指定数量の緩和ですが、これは規制緩和になり安全上問題ではないかというように思うんです。例えば指定数量の三千倍以上の第四類の危険物を取り扱う指定施設は自衛消防組織を置かなきゃならぬ。その自衛消防組織も、取扱最大数量が指定数量の十二万倍未満の事業所は人員は五名で化学消防車一台、それから十二万倍以上二十四万倍未満は人員が十人になり化学消防車は二台というように、二十四万以上、四十八万以上というように現行は決まっていますね。だからこのように指定数量によって規制内容というのが変わってくるわけです。  これを現行ので見ますと、ハードの施設の点及びソフトの取り扱いの面で大体二十項目近くありますね。今の委員会報告の一番最後、別表九の中に載っています。そういった点で見ますと、これは危険物規制に関する問題を政令にゆだねられているんですが、この政令の見直しはどうなるのかという問題なんですね。別表九でいきますと、例えば第四類の指定数量はすべて二倍以上になっている。だから現行ですと化学消防車は二台、人員は十人ということだけれども、それが今言ったように指定数量が二倍になったらこれは一台と五人でよいということになってしまう。だから現行の規制水準、いわゆる安全の体制を維持しようとすれば、この政令の指定数量の倍数というのは二分の一以下にしなきゃならぬという問題になるわけでしょう。  そういった関係について一体具体的にどうお考えになっているのか。政令を見直しをする考え方の基準ですね、現行の安全体制として言っている基準は維持するのかしないのか、これを変えてしまおうというのかどうか、この辺のところをどういうようにお考えになっていますか。
  195. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 現在の危険物の指定品目と指定数量、これは昭和四十六年以来改正が行われておりませんので、その間の科学技術の進歩であるとかあるいは産業経済の伸展によりまして危険物の生産や流通の実態がいろいろ変わってまいってきております。それから一方、危険物施設に係る保安技術の水準も向上している。そういうことを踏まえまして今回の改正におきましては、指定数量についてはやはり現行のものを基本としながら、各類ごとに危険性をそういった情勢の変化をも勘案をして見直すということにいたしたいと考えておる次第でございます。  したがいまして、指定数量につきましてはこれを引き上げる、引き上げるということはつまり緩和ということでございますが、引き上げるものも恐らく出てくると思います。また逆に、現在の法制では画一的に規制をしております。ところが特定の、例えば金属粉なら金属粉という物質の中でもその形状によりまして危険性の度合いの違うものがございます。それが全部今同じでございますので、そういうものについてはあるものは逆に引き下げていく、つまり規制基準がもっと強化されるというようなものもあり得ようかと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても基本はやはり安全の確保ということでございますので、指定数量を政令段階で、これは試験方法を導入するということに伴いまして指定数量も政令に委任ということにいたしておるわけでございますが、その段階におきまして十分検討し、御指摘のような設備基準の問題もあわせて検討しなければならぬだろうと思います。そういう点も含めて十分に検討してまいりたいと思います。基本はやはり安全の確保という点に変わりはございません。
  196. 神谷信之助

    神谷信之助君 基本は安全の確保ということを私は貫徹してもらいたいと思うんですね。  それで消防庁危険物委員会報告書の冒頭に、なぜ見直しをやるのか、それは臨調で「消防法令で指定されている危険物、準危険物及び特殊可燃物については、指定品目の見直しを行う。」という答申があったからだということを述べておられます。  それではその臨調の答申はなぜできてきたのか。これは経団連の月報の八二年三月号を見ますと山口隆章日本石油精製株式会社取締役がそこで書いておられますけれども、五十年の石油コンビナート等災害防止法ができた、あれで保安整備の増強によって総額一兆円以上の投資を行った、また同時に消防専任委員を増員し、総勢数千人が新たに配置された、こう言って、もうようけ銭を使わされたと言っておられるんですよ。そこで保安関係四法を見直して整理総合し、コンビナート地域保安体制強化の実態に即して大幅に規制緩和を行って企業の自主管理にゆだねる、それから保安関係要員を可能な限り縮小せよ、消防要員というのは大幅に消防団に移行さす、こうして保安関係経費の削減をやれということで規制緩和を要求してそれを臨調に要請をする、それにこたえて臨調の答申というのはできているんですよ。  しかしそうおっしゃっている石油コンビナートでも、この間また水島で事故が起こっていますね。だから事故というのは忘れたころに起こる。あれはそういうタンクができているから大きくならないで済んでいます。それから先ほど長官も報告されているように、空っぽにして工事をやっているときにまた事故が起こるというのが最近頻発しています。そういう状態を考えると、経済の効率のために安全を犠牲にしてはならないということをひとつ明確にしてもらいたいと思うんです。  危険物による事故件数も、報告を求めて見てみますと、それは横ばいだとおっしゃるが年間百二十件から百七十件の間、そして先ほどおっしゃったように七割ぐらいが人的要因でしょう、いわゆる管理面の。こういうことになってきている。それから片一方物的要因の中で見ますと、設計不良、設備不良。これは大体完成前検査もやっているし完成後の検査もやっているはずなんです。それが設計不良とか設備不良で火災発生しているという件数も物的要因の中では割合多い数字になっているんです、消防庁からもらった資料を見ると。  だからそういう点を考えるとそんな簡単に緩和するわけにいかぬ。しかも今度の改正は危険度をランクづけして整理をしただけですから、その危険物自身の物性というのは変化していない。それが変化しておらぬのにもう大丈夫やと言って緩和してばあんとやられたらえらいことになるでしょう。だからそういう点も含めて政令の見直しの具体的な内容については、先ほど長官が答弁したように安全を犠牲にしてはならないということを再度強調しておきたいと思うんです。  ではあともう時間がありませんからその次に行きますが、今度は受験資格の問題です。先ほどの答弁を聞いていると、実務経験なしでもよいとしたのはより多くの人に危険物に対する知識をもっと持ってもらいたいんだとこうおっしゃる。しかし受験希望の人は年間四十万人からあるんだとこういうようにおっしゃる。それから同時にもう一つは、取扱者、これが十分注意していてもらわぬと困る、管理監督の点で事故発生する率が七割だ、だから取扱者についてのなにをしてもらわにゃいかぬとこうおっしゃる。  だけれども、この危険物の取り扱いは甲種あるいは乙種の資格を持っておる者が一人現場におればアルバイトにもやらせることができるわけでしょう。だからそういう意味ではいわゆるペーパー資格者をどんどんつくっていってそれがアルバイトを使ってやるという、そういう点では先ほど人的要因に基づく事故が七割から占めているという点と、言うたら矛盾をするわけでしょう。この辺はどういうようにお考えですか。
  197. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 資格試験の基準から乙種につきましては実務経験を要しないということにした趣旨につきましては、午前中もお答え申し上げたとおり、危険物取扱者試験の受験を容易にすることによって危険物に関する知識を持った者がより増加するということで危険物に対する自主保安管理の実が上がる、危険物保安の確保に資するという考え方でございます。  確かに御指摘のように資格を持った者がおれば資格を持ってない者がその立ち会いのもとに行う ということはできるわけでございますが、もちろんそれだけでは一般的にはやはり不十分でございますので、保安監督者については少なくとも実務経験を有する者でなければならない、こういう規定を置くことによってそこを担保しようと考えたものでございます。  危険物の取り扱いに必要とされる知識や技能については危険物取扱者試験の問題内容の充実等によりまして対応できるというぐあいに私ども考えておるわけでございまして、そういう意味でこの実務経験の要件を撤廃することが危険物の保安管理の水準の低下には決してならないと考えておるところでございます。
  198. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかし実際は保安監督者というのと一緒なんですよ。普通のガソリンスタンドなんかでは店主が甲種か乙種の資格を持っていてそして監督者でもあるわけで、そういうのが非常に多いわけです。それがアルバイトなり臨時の人を使ってやらせている、そういう形で実際の業務というのがやられているんですよ。だからもし外出などしておったらペーパー資格者しかいないという状況も起こり得るわけです。  これは数をようけつくるということが目的ではなしに、どのように安全を確保するかということが目的なんです。資格者をうんとつくればいいということが目的ではない、どうやれば安全が維持されるかということが目的なんですから、だからそういう知識を持つ人がふえたらいいというのはこれは二の次三の次の問題で、ちょっと考え方が本末転倒していると私は思うんです。この辺はひとつ、我々はこの法案に反対だけれども、仮に成立してもこの点は十分注意してやってもらわないと、実務経験のある有資格者が多ければ多いほどいいんです。実際にはそうであっても事故というものを完全になくすことはできないんですから、その辺をやっぱり十分考えてやってもらいたいということを申し上げて、一応私の質問を終わります。
  199. 秋山肇

    ○秋山肇君 私も今の試験方法の問題からお聞きをしたいと思うんです。  私は今の神谷先生のと反対で、大勢の方々が試験を受けて資格を持った方が何も知らない学生アルバイトがスタンドでガソリンを入れているよりはいいのじゃないかなというふうに思うんですが、まずこの試験の受験者はどのくらいいらっしゃるんですか。
  200. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 危険物取扱者試験の実施状況でございますが、既に全国で二百十六回行われております。毎年の受験者数を見ますと、昭和六十一年四月から六十二年三月、すなわち六十一年度では全国で三十七万四千人でございます。なお本制度発足以来の合格者総数を申し上げますと、昭和六十二年三月三十一日現在三百三十二万人でございます。これは合格者の累積総数でございます。
  201. 秋山肇

    ○秋山肇君 三百三十二万人という大変な数の人がいるわけですけれども、それにさらに、聞くところによりますと乙種の危険物取扱者試験には工業高校の在校生を実地経験なしで受験資格を与えようということでしょうか。
  202. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 実施以来の総数は三百三十二万人で非常に多いわけでございますが、もちろんこの中には、そういった危険物を扱うガソリンスタンドなどのほかに大きな企業の従業員などは必ずこの資格を取れということで取る者もございます。そういう人たちがだんだん地位が上がってまいりましてまた新しい若手の職員が入ってまいりますから、そういう人たちもやはり試験を受けて資格を取ってその上で仕事に当たる、こういうことをやっておる企業も非常に多いわけでございます。  一方、高等学校、特に工業高校の化学科あたりの生徒、これは試験を受ける人が多いわけでございますが、そういう人たちの中には、例えばガソリンスタンドなどで夏季休暇などにアルバイトをやってある程度の実務経験も持ちながら受験する人もかなりあるわけでございます。別に工業高校の生徒に幅広くという意味ではございませんけれども、現在の実態を見ますとそういう工業高校の生徒さんのような若い人に随分この受験希望者が多いということは言えようかと思います。
  203. 秋山肇

    ○秋山肇君 そういうことでより多くの資格を持った人が、特に町のスタンドは住宅に近接したところにあるわけですから、そういうところに働く人たちが何も資格を持っていないよりも大勢資格を持っている人がいた方が、これは店主だけではなくて従業員の人々あるいはアルバイトをする子供さんにしても、そういう工業高校を出られたり在校している知識のある人がいた方がより安全だろうなというふうに思うわけです。  ちょっと視点を変えまして、そうすると、東京二十三区だけでも結構ですけれどもガソリンスタンドの数というのはどのくらいありますか。
  204. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 東京二十三区内のガソリンスタンドの数は、昭和六十二年三月末現在で三千二百十四施設となっております。
  205. 秋山肇

    ○秋山肇君 三千二百十四ありまして、これは一施設当たりの平均面積はどのくらいですか。
  206. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) まことに恐縮でございますが、平均面積をとった資料がちょっとございませんので、恐縮でございますがお答えいたしかねます。
  207. 秋山肇

    ○秋山肇君 大臣もお戻りになりましたけれども、スタンドというのは大体前の道路が広いところですね。そんな入り組んだところにスタンドというのは許可にもならないしできてないわけです。それで東京の土地問題というのは、最近の新聞では土地の値段が安定してきた、高値安定だというふうに言われておりますけれども、このスタンドだけは全体的に見ますと、先ほども御質問がありましたけれども、昨年の消防法の改正で自動車関連以外の物を置いてもいい、売ってもいいというようなことにはなっているようですけれども、平面的に使っているわけですね。  ですから、消防庁では資料がないでしょうけれども、恐らく都心三区なんかでは例の地上げ問題でガソリンスタンドが地上げ屋に買われてしまって、このトータルの数の中からはなくなってしまったところもあるんだろうなというふうに思うわけですね。そういうことになると、スタンドが近くになくなれば車を使っている人たちは不便を感じるわけですし、スタンドが存続していくためには土地の高度利用というものを考えてあげなければいけないのじゃないかなというふうに思うんです。先ほど来の御答弁だと事故のないように規制というか安全対策を考えるということなんですが、事故の問題じゃなくてそういう高度利用という観点でのお考えというのはありますでしょうか。
  208. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 土地の高度利用、これは政府全体としてそれぞれの機関がそれぞれの立場において考えるべき問題だと思います。消防の立場から土地の高度利用という考え方なり政策を積極的に打ち出すということはこれは立場上は普通あり得ないと思いますけれども消防行政はいろいろさまざまな人間の生活や経済にかかわりのあるものについての安全を守りそのために規制も行う、こういう立場にございますので、そういう関係の方面からやはりいろいろな要請なり要望もございます。そういうものと消防行政上の安全対策の見地とバランスをはかりましてそしてそれをどう判断するか、その場合には土地の高度利用というようなこともあるのだろうなとこう考えて判断をしていくわけでございます。  ガソリンスタンドの場合、現在は二面開放型でございますから大体角地という一番いい場所を占めておるわけでございます。そういう角地というものについて、それを必ずしもガソリンとそれから直接自動車関連のパーツだけではなくてそれ以外のものも売らせるようにしてくれということは、土地の高度利用なりあるいは利用者の便宜という観点から、必要な安全対策が講じられればこれも規制緩和していくべきではないか、ただしあくまでも安全を守らなければいけない、こういう観点からやったところでございます。  さらに今後いわゆる上階利用という問題につい て、もう既にその辺の安全対策検討報告を得まして目下具体に法改正の検討を行っておるというようなことがこのガソリンスタンドに関する最近の状況でございます。
  209. 秋山肇

    ○秋山肇君 スタンドというのは安全だと、これは商売をやっている方のお話でも、また消防庁のいろんな点検もかなり厳しいんですけれども住民の意識調査をしますと、自分の町で一番危険なものは何かというとガソリンスタンドだという答えが出てくるんですよ。そうしますと私は逆に上階利用というものを積極的に考えてあげた方が、土地の高度利用と同時に住民も安心をするのじゃないかなというように思うんですね。  それを相変わらず、ガソリンスタンドは何センチのところにガスが蔓延しているから自動販売機も外に置いてはいけないとか、それから先ほどのコンビニエンスストアだって仕切られた中でなきゃいけないとかいうことがあるんですけれども、これだけ科学が進み技術が進んでも相変わらず昔スタンドができたころと同じようなことを考えているというのは、これは消防法の改正と逆になるかもしれないんですが、私はどうも疑問に思えて仕方がないんです。この点については何か解決策というか前向きな方向づけというのは出てきてないんですか。
  210. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 住民意識、特にその近辺の住民方々からはやはりガソリンスタンドは危険なものだと。しかしそれは消防防災上の観点から非常に厳しい基準のもとに行われ、それがさらに上階利用されるという程度にまでなってきたのかという点の意識はそれによって変化はあり得ようかなと、こう思います。  ただ消防の立場からは、やはりその辺十二分に安全を考えなければいけないということだけは言えるわけでございまして、その辺でどれだけの安全のための方策や措置を講じれば上階利用ができるか。例えば午前中もお答え申し上げましたように、非常に長いひさしをつけて上階火炎が簡単に回らないようにするとか、避難口を必ずつけるとか、あるいはその上階用途について少なくとも自分で脱出することが困難な人たちが入るような施設、そういうものをつくることは問題だがそれ以外のものならば認めてもいいのではないか、こういう考え方が検討委員会におきまして示されておりますので、そういう点を踏まえて安全対策を講じつつそういったより多角的な利用ということにもやはり目を向けていく必要がある、こういう考え方でおるわけでございます。
  211. 秋山肇

    ○秋山肇君 それは積極的に消防研究所等で、ガソリン漏えい事故とかガスが下に蔓延しているというような問題の処理等の研究を進めていただきたいと思うんですね。  それで最近、先日も東京で直下型地震があったり昨年の十二月には千葉の東方沖地震があったんですが、地震によるガソリンスタンド事故というのはありますか。
  212. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昨年十二月十七日の千葉県東方沖地震あるいは本年三月十八日の東京都東部を震源とする地震でございますが、こういったものを含む過去二年間に発生した地震の中で、ガソリンスタンド火災事故は起きておりません。
  213. 秋山肇

    ○秋山肇君 そういうことでかなり災害にも強いんだと思うんですよ。  それで火災事故漏えい事故の六十年と六十一年の資料をいただいていますけれども先ほどもちょっとお話があったかと思いますが、火災原因では確認不十分というのが一番で、漏えいの方でも確認不十分というのが一番なんですよ。ですからこれは、先ほどの試験制度の問題に戻りますけれども、やはりこういうことはふだんの日常の業務の中で毎日同じことをやっているからマンネリ化してしまう。案外新しい人がやれば気をつけて、これはスイッチを入れるとかそうでないとか、いろいろやると思うんです。どういう事故か知りませんけれども、この点はただ確認不十分ということじゃなくて原因を確認してみる必要もあると思うんです。  それで火災の場合はその次が管理不十分、そして三番目が放火ですね。漏えい事故の場合は一番が確認不十分で二番が腐食等劣化、三番が管理不十分、こういうことなんですが、東京の場合なんかもうかなり古いスタンドが多くなってきていれば、この二番の地下タンクの腐食あるいは途中のパイプの腐食なんというのがあると思うんです。ですからここでこの制度を見直して立体利用にしてあげればガソリンスタンドを直してもいいと、今のままでは大してもうからないのにとても改造なんかできないというのがスタンドの皆さんの考えじゃないでしょうかね。私は別に業界から言われてきたわけじゃないんですが、自分でガソリンスタンドに行って話をしているとそういうふうに思うんです。  その点で、先ほど長官は高度利用というのは消防から積極的にはとおっしゃられますけれども、こういう施設改善を合わせますと、私はその辺はもうちょっと前向きに一歩踏み込んでもいいのじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  214. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) たくさんガソリンスタンドがございまして、東京都だけでも三千二百余もあるわけでございますが、恐らくそういうものの中に御指摘のようにもう随分古くなってきたものもある。そういうような物的な面を原因とするような事故が起こらないように、これはもちろん点検制度というものも十二分に運用されておるところでございますけれども、いずれにしても古くなれば建てかえる、つくり直すということもあろうかと思います。  そういうことに関連をして出てまいったのかどうかわかりませんけれども、やはりガソリンスタンド事業者からはそういった点に関する要望が非常に多いという実態を踏まえまして、しからばどういうぐあいに安全対策を講ずれば階上利用ができるのかという観点からこの問題と取り組んでおるところでございます。  先ほど申し上げましたように、消防の立場から積極的に高度利用を打ち出して規制緩和するとかいうことはこれはちょっとなかなか、やはり役所の性格、行政の性格というのがございますから、しかしそういうことを全く目の中に入れないで消防行政のみを近視眼的に金科玉条として守っていくということだけでは近代行政としては不十分でございます。あくまでも消防行政の基本、原点に立ちながら、そういった社会情勢の変化を考慮に入れた対応をしていくということは大変大事なことだと思います。
  215. 秋山肇

    ○秋山肇君 それで安全対策で監察を十分するということになると、午前中の質問で大臣も御答弁に困ったというふうなお話もあったんですが、私はやはり消防と警察というような直接安全にタッチする職業というのは、私どもも行政改革を一番最重要課題としておりますけれども、人がやらなければならないものというのはそうでないように思うんですね。監察に何か機械を持っていってやるにしても、やはり専門の人が行って、ガス漏れがあるかとか、あるいはいろんな物の置いてある、隣の倉庫の方のタイヤの置いてあるところまで全部一つ一つを検査されるわけでしょう。それは事務屋さんじゃなくて専門の消防官の人が行かれるんですか。
  216. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) いわゆる予防査察行政の大部分を占めますものが御指摘のようなことでございまして、もちろんそれにつきましては専門の知識経験を持った消防官がこれに当たるわけでございます。  なおこういう立入検査の状況を見ますと、これは昭和六十一年度でございますが、検査施設数で全国で三十八万四千件、検査の延べ回数が四十八万件、これだけの多数の検査を行っておるわけでございます。
  217. 秋山肇

    ○秋山肇君 この試験制度の改革をするということ、それから消防法の改正をするということは、消防に直接携わる人をそこで余計採らなければできないということであってはならないと思うんです、行政の効率からいけば。先ほど神谷先生はほ かの業者の人にやらせていたのではだめだというお話ですが、私はその辺は、やはりメーカーならメーカーに責任を持たせるべきは持たせる。直接タッチする部分については消防官の人が見るべきところは見て、任せられるところは任せるということでなければ、先ほどの休息休憩論じゃないけれども、あれは長官が随分言っているけれどもやっぱり私が聞いていてもわからないんですよ。どういうふうにやりくりしたってできるわけはない。今は消防官だから警察官だから休まずに仕事をしろという時代じゃないんですから、そういう点がさっきの山口先生の論拠だろうというふうに私は思うんです。  そういうことで、どうしても必要なところには当然人を入れなきゃいけないという基本の姿勢というのは、これは大臣に最後にお考えというか、先ほど大臣もお答えにお困りになっていたようで私もその辺は理解をしているつもりでありますが、必要でないところにふやせというのでは決してなくてどうしても必要なところにはふやすべきだと、その点のお考えをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  218. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 前段のいわば安全と高度利用の問題でございますが、安全係数が高ければ高いほどいわば取り締まり側というか消防側からいえばいいわけでございますが、ここ数年来、石油業界はもちろんでございますけれども都市部のいろんな機関から高度利用についての提言があるわけであります。その意味で、私は今消防庁を所管をする大臣でございますけれども、大臣になる前は、随分消防庁というのはこの問題に関して頑強に抵抗をしているなという感じすら持ったわけでございますが、いざ消防庁を所管をしてみますと、人の命は何よりも大切でございますから遅くなることは当然だという気がいたします。  しかし、さりとて安全係数を過大にして過度規制をすることがいいのかどうなのか、こういう問題は、やっぱり社会の信頼にこたえてまいらなければなりませんし、その業種の近代化、合理化、能率化、この問題と安全の問題のいわばバランスをとる問題でございますから、科学的知見がちゃんと得られるならば私はそういう問題を直すのにやぶさかであってはいけないという気がいたします。  それから、確かに警察とか消防はなかなか合理化機能化のできないいわば受け身の仕事でございますから、これをほかの行政職と同じように見ることはできないという感じがいたします。ただ、私は、先ほど実は答弁には言いませんでしたけれども、こういうことで処遇の改善なり処遇の適正化、こういうものを行うことはある意味で行政の需要が増すことであります。ある意味で行政サービスを低下をさせないで、現員をふやしていくことはそれだけ需要増になるわけでございますから財政的な支出を当然伴うわけであります。  ですから、地方自治体の警察官ないしは消防署員の増員に関してはそれなりの基準財政需要額、そういうものでちゃんと見込まなければなりませんが、それが限界を超えますと当然その財源をどうするかという問題がありますから、今ここでタブーかもしれませんが、よそ目には増税やその他ということも頭の中に入れない限り、行政需要の増大、行政サービスの向上というものと負担というものはこれは相連動するものだということも頭の中に考えながらやりませんとうまくいかないなという懸念も持つわけであります。
  219. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいま議題となっております案件のうち、地方行政改革に関する調査につきましては、本日はこの程度にとどめます。     ─────────────
  220. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 消防法の一部を改正する法律案につきまして、他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  222. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、消防法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  まず最初に指摘せねばならないのは、今回の危険物範囲及び指定数量の見直しは、危険物の物性そのものが変わったわけではなく、危険物の分類及び危険度のランクづけを整理したにすぎないということであります。したがって、現行の危険物規制水準をいささかも緩めるものであってはならないと考えるものであります。以下、その立場から具体的に反対理由を述べます。  反対理由の第一は、危険物の判定に試験方法を導入することにより、試験設備整備など消防行政側のチェック体制をより一層整備する必要があるにもかかわらず、その具体的措置がほとんどとられていないことであります。  現行の危険物行政はメーカー等の自主管理に依存しており、危険物の判定についても、大きな消防署は別として、通常の市町村消防署は試験設備を何も備えていないという状態であります。危険物判定の最終的な責任は消防行政が負うべきであり、危険物委員会報告でも指摘されているように、危険物の判定試験を行う専門の試験機関の設置などが今回の試験方法導入の大前提とならなければなりません。しかるに、一部の試験設備に対する交付税措置以外に何ら具体的措置を講じようとしていないのはまことに遺憾であります。  反対理由の第二は、危険物の指定数量の緩和が同時に規制緩和になるおそれが極めて大きいことであります。  現行の危険物規制は、危険物規制に関する政令により、その取扱量や貯蔵量が指定数量の何倍に当たるかによって施設及び取り扱いにおける規制内容を定めているものが約二十項目近くあります。今回の指定数量の緩和により少なくとも現行の規制水準が低下することのないよう、規制に係る政令の見直しを行うべきであります。  消防庁長官安全確保基準にすると答弁されましたが、問題は、本改正案が財界の安全性を犠牲にしても保安コスト軽減をという要請を受けた臨調答申の指摘を改正理由の一つとしていることであり、規制緩和への懸念を強く持たざるを得ないのであります。  反対理由の第三は、甲種、乙種の危険物取扱者の受験資格要件から六月以上の実務経験を外すことは保安の実質的な低下になるおそれがあるということであります。  現行の危険物の取り扱いは、甲種及び乙種の危険物取扱者が立ち会えばアルバイトの者にでも作業をさせることができることになっていますが、これは実務経験を有する取扱者が前提となっているのであります。改正案は実務経験のない、いわばペーパー資格者にまで立ち会いの権限を持たせることになり、作業現場での保安の実質的な低下になると考えざるを得ません。  以上、本改正案に反対する理由を述べて、私の討論を終わります。
  223. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  消防法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  225. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、佐藤三吾君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤三吾君。
  226. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び新政クラブ・税金党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     消防法の一部を改正する法律案に対する 附帯決議(案)   政府は、次の諸点について善処すべきである。  一、本法に基づく政・省令の制定に当たっては、危険物安全対策に十分配慮し、法の運用に万全を期すること。また、危険物の判定試験の公正性を確保するため適当な対策を講ずること。  二、危険物質に係る災害発生や都市災害に的確に対応できるよう消防力の基準の達成及びその拡充に努めるとともに、特に、危険物の保安管理に当たっては、事故処理体制についてのマニュアル確立、保安要員の確保施設基準・運搬基準整備等一層の強化を図り、住民安全確保に遺憾なきを期すること。  三、消防職員の処遇の改善を図るため、その定員の確保、勤務時間の短縮など勤務体制の改善、執務環境の整備、公務災害の防止等の推進に努めること。    なお、消防職員の団結権問題については、引き続き誠意をもって検討すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ皆さんの御賛同をお願いいたします。
  227. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいま佐藤三吾君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  228. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 全会一致と認めます。よって、佐藤三吾君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、梶山自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山自治大臣。
  229. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  230. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会