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1988-03-31 第112回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      久世 公堯君     植木 光教君  三月三十一日     辞任         補欠選任      植木 光教君     久世 公堯君      吉川  博君     宮崎 秀樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 出口 廣光君                 松浦  功君                 佐藤 三吾君                 抜山 映子君     委 員                 加藤 武徳君                 海江田鶴造君                 金丸 三郎君                 久世 公堯君                 佐藤謙一郎君                 坂野 重信君                 沢田 一精君                 田辺 哲夫君                 増岡 康治君                 宮崎 秀樹君                 糸久八重子君                 山口 哲夫君                 片上 公人君                 神谷信之助君                 秋山  肇君    国務大臣        自 治 大 臣  梶山 静六君    政府委員        警察庁長官官房        会計課長     半田 嘉弘君        自治大臣官房長  持永 堯民君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治大臣官房審        議官       湯浅 利夫君        自治大臣官房審        議官        兼内閣審議官   前川 尚美君        自治大臣官房会        計課長      富永 栄一君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省行政局公        務員部長     芦尾 長司君        自治省行政局選        挙部長      浅野大三郎君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  渡辺  功君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君    説明員        環境庁大気保全        局自動車公害課        長        南戸 義博君        大蔵省主税局税        制第一課長    杉崎 重光君        大蔵省銀行局保        険部保険第一課        長        阪田 雅裕君        国税庁長官官房        国際業務室長   川田  剛君        国税庁税部所        得税課長     瀧川 哲男君        厚生省健康政策        局総務課長    田中 健次君        厚生省社会局老        人福祉課長    真野  章君        厚生省年金局企        画課長      横尾 和子君        資源エネルギー        庁石油部流通課        長        鴇田 勝彦君        運輸省海上技術        安全局船員部船        舶職員課長    合田 憲夫君        建設省道路局地        方道課長     森本 裕士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営企業金融公庫) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 抜山映子

    抜山映子君 地方公務員の高給与につきましてはかなり改善が進んでおるようでございますけれども、本給の方はともかくとして、ほかの諸手当によって実態は依然として高給与が続いているということが言われております。この実情につきまして自治省はどのように把握しておられますか。
  4. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) お答え申し上げます。  地方公務員給与につきましては、御承知のとおり、地方公務員法に定めるところによりまして条例に基づき支給すべきこととされておりまして、また条例で定める内容も、基本的には国家公務員給与に準じて措置されるべきであるというふうになっておるわけでございます。今お話がございましたが、地方公務員給与水準も、六十二年四月一日現在におきます給与水準が出ておりますけれども国家公務員を一〇〇といたしました場合のいわゆるラスパイレス指数につきましても一〇三・九と前年六十一年四月一日に比べまして〇・七ポイント下がっておる、十三年間連続して下がってきておるということで、給与水準そのものは下がってきておるわけでございます。  しかしながら、一部の地方公共団体におきましては、期末勤勉手当やら退職手当等につきまして国を上回る支給率を用いましたり、制度趣旨に合わないような特殊勤務手当を支給する等、まだ適正でない事例も見受けられるところでございまして、私どもといたしましては、今後ともあらゆる機会を通じまして適正な給与管理指導していきたいというふうに思っております。
  5. 抜山映子

    抜山映子君 適正な指導管理ではちょっとあいまいでわかりませんが、具体的にはどういうように指導していくわけですか。
  6. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) これは機会あるごと説明資料も求めまして、それからまた高水準にあります給与団体、これにつきましてはそれぞれ指導をしていきたいというふうに思っております。
  7. 抜山映子

    抜山映子君 ラスパイレス指数が依然として一一〇を超えている団体は幾つありますか。
  8. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) ラスパイレス指数でございますが、ピーク時は昭和四十九年の四月一日でございまして、このときには八百近くの団体が超えておったわけでございますが、六十二年四月 一日現在では、一一〇を超えております団体が八十三団体ということになっております。
  9. 抜山映子

    抜山映子君 高給与団体への個別指導昭和六十二年までになっていますけれども、これ以降はどのようになさいますか。
  10. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 今御指摘ございましたように、六十二年が第二次の個別指導最終年度になっておるわけでございまして、是正計画に基づいて指導をしてまいったわけでございます。そこで、六十三年度以降どういうふうに対応していくかということでございますけれども、私どもといたしましては、現在の状況から見て個別指導を検討していかざるを得ない状況にあるというふうには認識をいたしておりますが、いずれにいたしましても、六十二年度までの是正結果を見、その分析をいたしまして今後判断をしていきたいというふうに考えております。
  11. 抜山映子

    抜山映子君 地方自治団体借金が大変かさんできて現在総額六十一兆の借金になっている、こういうことですけれども人件費が非常にかさんでおるわけですね。この最大要因である人件費給与の方は若干改善されたのですが、人数の方はどのようになっておりますでしょうか。
  12. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 地方公共団体が自主的に定員管理ができる一般行政職部門があるわけでございますが、その職員数を見てみますと、昭和五十六年をピークといたしまして五十七年以降六年連続減少を続けておりまして、この六年間で三万一千二百二十人、二・七%の減少となってきております。また、教育、警察、消防、それから公営企業等体系部門も含めました総職員数で見ましても五十九年以降四年連続減少を続けておりまして、この四年間で一万四千七百二十人、〇・五%の減少になってきております。  このように地方公共団体定員適正化地方団体努力によりまして着実に進んできておるものと考えておるところでございますけれども、今後とも引き続きましてその適正化に向けまして指導を続けてまいりたいというふうに考えております。
  13. 抜山映子

    抜山映子君 具体的に人員削減やり方をどのようにしておられますか。
  14. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 地方公共団体定員管理、これは基本的にはそれぞれの団体の権限と責任において適正に行われるべきものであるというふうに考えておりますが、しかしながら、自治省といたしましても地方公共団体に対しまして適切な定員管理につきましての助言指導を行うべきであるというふうに考えておりまして、かねてから国の定員削減計画に準じた措置を講ずるように指導をいたしますとともに、私どもの方でも定員モデルを、各地方公共団体段階ごと参考になるようなものを作成いたしましてその適正化を図るように要請もしてきております。今後ともそういうふうにやっていきたいというふうに思っております。
  15. 抜山映子

    抜山映子君 清掃事業民間委託がかなり進んだようにも伺っておりますが、現況はどのようになっておりますでしょうか。
  16. 木村仁

    政府委員木村仁君) 事務事業民間委託についてはかねてから指導しているところでございますが、お尋ねのし尿及びごみについて申しますと、昭和六十一年十月現在の調査でございますが、し尿処理につきましては、し尿処理を実施している市区町村の七七・七%の団体で全部または一部を民間委託で処理いたしております。また、ごみ収集につきましては、代表的なものを申しますと、一般ごみについては六五・七%、それから産業廃棄物につきましては六一・四%の団体民間委託を実施しておりまして、昭和五十七年度、これは四年ごと調査をいたすのでございますが、それに比べますとかなり進捗をしてきている状況でございます。
  17. 抜山映子

    抜山映子君 それによる経費削減の額はわかりますか。
  18. 木村仁

    政府委員木村仁君) これは学者の先生方で対比して一件当たりの単位価格等を出される方がおりますが、私どもとしてまだそういう正確な数字を把握する段階には至っておりませんので、どの程度経費削減に貢献しているかということは残念ながら把握いたしていないのでございます。
  19. 抜山映子

    抜山映子君 正確な数字でなくても、おおむねの数字はわかっておられるのではありませんか。
  20. 木村仁

    政府委員木村仁君) 大変申しわけないのでございますが、おおむねの数字も把握いたしておりません。
  21. 抜山映子

    抜山映子君 せっかくそのような方法をとったのであれば数字ぐらいは把握するように、それは今後どのように進めるべきかの指針にもなるわけですから、それはひとつ把握していただきたいということを切望しておきます。  国の方は国債の削減に懸命に努力しておりますけれども地方の方は、いろいろ事情もあるわけでございますが、起債の額をどんどんふやさざるを得ないといいますか、現実にふやしておるわけでございます。こうなりますと何となくしり抜けの感じがあるのですが、このことについてどのようにお考えでしょうか。
  22. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和五十年以降の地方財政は、国の財政と同様、地方税収入あるいは地方交付税収入の伸び悩みと、他方におきましては、住民福祉向上のための施策を続けていかなければならない、あるいは内需拡大のための施策をやってきておるわけでございまして、そのために地方債への依存を余儀なくされておるわけでございます。六十三年度末におきましても地方債残高は恐らく四十九兆円に上る、こういうような状況であるわけでございます。しかし、将来の地方財政運営考えるとき、この地方債への依存というものをなるべく少なくいたしたい、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。  六十三年度におきましても、地方財政計画地方債計上額が六兆四百八十一億円、六十二年度に比べますと六千五百八十一億円でございますが、実はこの地方債は、中身を見ていただきますとNTT株関係が八千六百三十五億円になっております。したがいまして、いわば補助金の前渡しのNTT株部分を除きますと、二千五十四億、六十二年度より地方債を減らしておる。こういうふうに地方債への依存をなるべく少なくいたしたい。また六十二年度におきましては、先般御審議いただきました補正交付税法によりまして、財源対策債の縮減あるいは将来の地方財政共通借金でございます交付税特別会計借入金の返済に充てた。このような努力をしておるわけでございます。  しかし、いずれにしましても巨額の地方債残高あるいは交付税特別会計借入金残高を抱えておるわけでございまして、今後の地方財政も非常に厳しい状況であるわけでございますが、私どもとしましては、それぞれの地方債の今後の償還につきましては各年度地方財政計画におきまして的確に計上し、またその一定部分につきましては国の負担において交付税総額を加算する措置を講ずる等所要の地方財政対策を講じまして、地方団体財政運営に支障が生じないよう対処して努めてまいりたい。基本的には一般財源の増強ということも今後努力してまいらなければならない、かように考えております。
  23. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、土地評価額やり方でございますが、これは従来から他の委員会でも同僚議員が取り上げてはおるのですけれども公示価格は国土庁、固定資産税評価額の方は自治省相続税の方は大蔵省路線価格、こういうように分かれておって、これは行革の観点からも大変むだな話でございますし、一般の人にとっても何となくわかりづらい、こういうことだと思うので、これをもう公示価格一本で統一すべきでないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  24. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 固定資産税評価額地価公示価格あるいは相続税評価額を合わせてはどうかという御意見はよく私どもも承っているところでございますが、固定資産税評価に当たりまして均衡をとっていくというような場合に、あるいはその評価がえに当たっての参考資料といたしましては、地価公示価格は非常に重要な参考とし ております。したがいまして全く関係がないということではないわけでございます。しかし、固定資産税におきます土地評価というものは、保有を前提として税負担をしていただく、その基礎となる課税標準としての価格を求めるということのために行われるものであるのに対しまして、地価公示価格一般土地取引公共団体土地収用等におけるよるべき指標として示されるものでございまして、その目的とするところが違っているわけでございます。  それからもう一つ、固定資産税の場合は約一億六千万筆という大量の土地について、これは市町村職員がこの一筆ごと評価をしていくということであるのに対しまして、地価公示はその対象地域都市計画区域に限定されているほか、調査地点宅地または宅地見込み地の約一万七千地点でございまして、これは六十年の数字でございますが、極めて少数にとどまっております。したがって、物理的に見ましてもこれを本税の評価に直ちに組み入れるというようなことは到底不可能でございます。そういう状況にございますので、したがいましてそれを組み入れて土地について均衡化を図るというようなことは困難であるというふうなことでございます。したがいまして、これを全く一緒にするというふうなことは極めて困難だと考えております。  なお、固定資産税評価についても、そういう意味評価水準が違う、あるいは評価が別になっているということが住民にわかりにくいということについては、固定資産税評価あり方そのものの問題でもございます。今後とも研究をしてまいりたい、こう考えております。
  25. 抜山映子

    抜山映子君 今伺ったところによると、まず公示価格固定資産税評価額では、対象地点固定資産税の方は一億六千万筆で非常に多い、こういうようなことでしたですね。そうしますと、それは例えば相続税の方と固定資産税評価額の方は一本化できるのではないですか。
  26. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 委員御高承のとおりでございますが、相続税につきましては、市街地のところでは路線価を付設しておりますけれども、その他、面的な部分、端的に申し上げますと都市的でない態様の部分につきましては、固定資産税評価倍率方式というのをとっております。したがいまして、そこはある程度の連関があることは事実でございます。今御指摘がありましたが、固定資産税の場合は約一億六千万筆でございます。したがいましてもう圧倒的に違う数字でございまして、こうしたたくさんの数の筆ごと評価を付設するという作業をやる能力は現在市町村にしかないというふうに私ども考えております。  なお、相続税との評価が統一できるかという問題につきましても、これは地価公示とは違いまして同じ税でございますけれども相続税は一回限り起きる、しかも場合によっては、負担公平論からいえばいろいろ御議論はありますけれども、税の性質としてはそれを売って税負担をするということも当然予定されているような税でございます。しかし固定資産税は、もちろんたくさんのケースの中に具体例としては例外的なものがあるとしましても、基本的な性格としましては毎年負担市町村にしていただく税金でございますから、売って払っていただくという性質を基本的に持っているものではないわけでございます。そこらが非常に大きな違いでございます。そこらの違いがあるからこそ、昨日も当委員会におきまして固定資産税の問題についていろいろな検討課題が提起されておるわけでございまして、そういった性質の違いがあるということを御理解いただきたいと思います。
  27. 抜山映子

    抜山映子君 今伺った範囲では余り致命的にそれを妨げる理由はないように思われるのですけれども、まあお役所のセクショナリズムもあるのじゃないでしょうか、このような気がしてならないわけでございます。なお検討課題としてちょっとお考えいただきたいと思います。  ところで、連合が、二千平米で五億円以上の土地所有者に対しては一%の土地保有税をかけることが望ましいのではないか、こういうような意見を発表しておるわけですけれども、これについてどのようにお考えでしょうか。
  28. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 連合から、お話しの国税としての土地保有税ということで御提案があるようでございますが、その詳細は承知をいたしておりませんので、したがいまして的確な見解ということも述べがたいわけでございますが、土地対策という観点でのものであるとすれば、現行特別土地保有税との関係をどういうふうに考えるのかという問題があります。これにつきましては既に現行特別土地保有税を創設する際に、特別土地保有税そのもの性質の問題でございますけれども、「固定資産税に似ており、課税対象の把握という点からも、国税として実施するより地方税として実施することが適当である。」という税制調査会の答申がございます。そういういきさつがあって地方税として創設されたということもございますので、この点を十分踏まえて検討する必要があるのじゃないかというふうに考えます。  また、土地保有課税の強化という観点からのものであるとしますというと、土地保有に係る地方税としましては固定資産税がございます。これとの関係をどう考えるかという問題がございまして、いずれにいたしましても、その性質、あるいはどういう意味でそれが納得されるものになるのか、いろいろな点でまだ検討課題があるのではないかというふうに思われます。いずれにいたしましても、慎重に対処すべき問題ではないかというふうに思われるところでございます。
  29. 抜山映子

    抜山映子君 運輸省の方にお伺いいたします。  現在レジャーというものが大変大型化いたしまして、これに対応する意味と、もう一方におきまして産業構造の転換の奨励という意味もありまして、企業によってはジェットスキーというものを開発し売り出しておるわけです。しかし、これにつきましては小型船舶操縦士四級免許資格要求しておるわけです。これは余りにも過大な要求だと思いますし、国民のレジャー志向にも水を差すことになる。せめて四、五時間の講習程度でこの運転を認めるべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  30. 合田憲夫

    説明員合田憲夫君) 御説明いたします。  現在いわゆるジェットスキー操縦をするためには、モーターボートなどと同様に小型船舶操縦士免許を取得することが必要であります。これは実は昭和四十年代後半にレジャー用船舶による海難人身事故が多発いたしましたために、小型船舶につきましても免許制度を導入いたしまして、操縦者が基礎的な海に関する知識技能を有しているかどうかについて審査をした上で資格を付与することによりまして、安全性を確保しながら健全な海洋レジャーの振興を図ろう、こういう趣旨でございます。  今御質問にございましたジェットスキーでございますが、これは最近出てきたものでありますが、御承知のとおり非常に機関出力が大きく、スピード最高時速五十キロメートル以上が出るというような船でございます。現在、陸上のみならず海も非常に過密になっている我が国海域事情、こういったことを考慮いたしますと、モーターボートなどと取り扱いを異にするということはなかなか難しい問題でありまして、安全確保のためには、講習という形ではなく、さきに申し上げました免許制度によりまして最低限の知識技能を確保していただかざるを得ないというふうに考えているところでありますので、御理解願います。
  31. 抜山映子

    抜山映子君 諸外国についてはこの運転資格はどのようになっておりますでしょうか。
  32. 合田憲夫

    説明員合田憲夫君) 御説明いたします。  私ども承知しているところでは、レジャー用船舶に対する免許制度西ドイツ及びフランスで採用されておりまして、西ドイツにおきましては機関出力、エンジンの出力でございますが、これが五馬力を超えるもの、またフランスにおきましては十馬力を超えるものを対象にしているところであります。両国の法令上ジェットスキーという言葉は出てこないわけでありまして、また、現在 どのようなジェットスキーが普及しているか、あいにく知識を持ち合わせておりません。  先ほど申しましたように、我が国で市販されているジェットスキーの例では多くの場合時速五十キロメートル以上のスピードが出せるように機関出力二十馬力ないし五十馬力というような状況でありますので、今申し上げました両国免許対象船舶に入るのではないかというふうに思うわけでありますが、なお正確を期すために研究をしてみたいというふうに思います。
  33. 抜山映子

    抜山映子君 アメリカではどのようになっておりますか。
  34. 合田憲夫

    説明員合田憲夫君) アメリカにつきましてはレジャー船舶に対する規制は特にないと思っておりますので、ジェットスキーにもないというふうに承知しております。
  35. 抜山映子

    抜山映子君 このジェットスキー価格は大体軽自動車を買うぐらいの価格で買えるわけでございまして、もしもこのような小型船舶操縦士四級というようないかめしい資格要求されなければ、かなりの程度購買者もふえるであろうということが予測されるわけでございます。先ほど事故があったというようなお話もございましたが、事故があったから直ちに小型船舶操縦士四級だというのは余りにも要求として過大である、これは講習で十分ではないか、このように思いますので、ひとつ御検討いただきたいということを切望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  36. 秋山肇

    ○秋山肇君 私はまず軽油引取税についてお聞きをしたいと思います。  三月二十九日の新聞に「関西の石油ブローカーグループが、九州や北海道で石油販売会社をつくったり経営難の会社を利用して軽油を売買し、九州だけでも約三十億円に上る軽油引取税を脱税していた」ということが出ていますが、この実態を把握しておられますでしょうか。
  37. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 御質問が具体的な事件に関連する事柄でございますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。  今委員指摘の新聞記事等につきましては、私どもも大変重大な関心を持って読ませていただいておりますし、課税庁であります県当局におきましても同様でございます。既に一部調査に着手している県もございまして、具体的な事件の中身につきましては今の段階ではちょっとこの場で御報告を申し上げるわけにはいかないと思いますけれども、いずれにいたしましても、こういった記事に書かれておりますことが事実であるとするならば、これは軽油引取税の公平確保、公正な徴税という面からも大変重大な問題を含んでいると思いますので、そういう意味をもちましても、私ども県当局を適切に指導いたしながら関心を持ち続けてまいりたいというふうに考えております。
  38. 秋山肇

    ○秋山肇君 記事によりますと洗浄剤と偽って申告していたということですが、洗浄剤にしたら地方税法上どういう取り扱いになるわけですか。
  39. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) いわゆる洗浄剤と称せられるものの地方税法上の取り扱いについてのお尋ねでございますが、特約業者が軽油を使用いたしまして、軽油とほかの油とを混ぜましてほかの炭化水素油を製造した場合、これを洗浄剤というふうに称して売られる場合もあるようでございます。事実、適正な手続でこれが洗浄剤として市場に認知をされ、課税関係も適切に処理されているというケースも多いわけでございますが、しかし、それに便乗すると言いますと語弊があるかもしれませんけれども、そういうことで洗浄剤と偽って出すという場合もあるようでございます。  そこで、課税上の取り扱いといたしましては、先ほど申しました軽油を使用して炭化水素油を製造した場合、それが軽油の性状に該当する場合、軽油というのは炭化水素油の中で比重でありますとかあるいは九〇%留出温度でございますとかいうことで軽油の定義をいたしておりますが、そういうものに該当する場合、あるいは軽油に該当しないものであっても自動車用燃料として使用のできる炭化水素油、具体的には灯油をイメージしていただければよろしいわけでございますが、そういう場合には、これは地方税法上軽油引取税を課税することになっております。それ以外のものがつくられた場合、いわゆる純粋に洗浄剤として適正に製造されているものということになると思いますけれども、そういうものにつきましては、これは自動車に使用されないということが前提になっておりますので、地方道路を目的財源としての性格を有しております軽油引取税でございますからそれは課税対象から外している、そういう形になっております。  したがいまして、この事例の場合、具体的にどういう形であるかということが今後調査の進展につれて明らかにされてくると思いますけれども、特約業者が軽油に例えばエチレンなどを混入いたしましていわゆる洗浄剤をつくったということが事実でありまして、またこの洗浄剤が軽油の性状あるいは自動車用燃料の規格に該当しないということならばこれは課税されないことになるわけでございますが、そうでないものであれば課税の対象になってくる、そういう仕組みになっております。  なお、先ほど、洗浄剤を適正な形で製造する、あるいは税制上処理するということを申し上げましたが、委員承知と思いますけれども、特約業者あるいは元売業者がこの新聞にありますような方法で洗浄剤をつくるということをするといたしますと、軽油を使用して軽油以外の炭化水素油をつくるような場合には条例等によりまして事前に県当局に届け出をするよう指導いたしておるところでございます。
  40. 秋山肇

    ○秋山肇君 この新聞に出ていますように、一般的な軽油の流通形態として、元売業者があって特約業者、それから消費者に行く、また販売店を経由して消費者に行く。そして特約業者が都道府県税事務所に軽油引取税を払う、この形でいいわけなんでしょう。
  41. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 軽油引取税の大多数のものにつきましては特別徴収義務者が徴収をして申告納入するということになっておりますが、その対象になりますのは、元売業者あるいは特約業者から販売業者が軽油の引き取りをした場合、これは典型的な場合でございます。そのほか、例えば販売店等におきまして軽油を使いながらそれに他の灯油等の油をまぜていわゆる増量したりブレンドしたりということが行われます。そういう場合には販売店において申告納付をしていただく、そういう形になっておりますので、徴収制度といたしましては、特別徴収による申告納入制度とそれから販売店等による申告納付制度、二本立てになっております。
  42. 秋山肇

    ○秋山肇君 この新聞に書かれている業者は、脱税がばれ追及を受けるとなると会社を解散、倒産させていたということで、かなり悪質だと思うんですね。この問題について、通産省と自治省では早速脱税についての防止策をまとめたというふうに聞いておりますけれども、その詳細というのは具体的に何か、簡単でいいですからお答えいただけますか。
  43. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 軽油引取税につきましては、かねて脱税を防止するための方策について私どもも県当局をいろいろ指導してまいっておりますが、なお現在もいろいろな取引条件をめぐる問題等もございますので、県の実務担当者をメンバーとする研究会を設置いたしまして、脱税防止あるいは課税の適正化あるいは脱税の早期発見といったような観点からとるべき方策について種々研究を行っていただいているところでございます。
  44. 秋山肇

    ○秋山肇君 当然この防止策と同時に徴収制度の見直しというものも出てくると思うんですが、六十三年度の予算で調定見込み額を六千三百八十四億円というふうにしていますね。このうち年度内収入見込み額を徴収歩合九八%として六千二百五十六億円としてありますけれども、九八%というのはどういう理由で設定したんですか。
  45. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 軽油引取税につきましては徴収猶予等一定の徴収をめぐる制度がございますけれども、そういうことをカウントいたしま してもなお滞納等も出てまいるわけでございます。そういうものを頭に置きながら徴収歩合というものを設定しているわけでございます。
  46. 秋山肇

    ○秋山肇君 当然滞納があるんだと思うんですが、その下に、前年度からの滞納繰越見込み額の九〇%を徴収し得るものとして百二十五億円、こう書いてあるんですね。今の三十億というのはこの百二十五億円の何%になるのか、大変なパーセントになるんですが、この辺について、この問題は総予算とすれば大したことはないかもしれないですが、滞納のうち徴収し得るものとして九〇%見ているというんでしょう。こういうことからするとこれは大変なことだと思うんですが、この点についてはどうお考えですか。
  47. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) ここで徴収し得る滞納税額として計上いたしておりますのは、既に県当局において納税義務が納税者との間で確定をしておってなお納入されておらない、そういう性質の金額を計上しております。脱税されております分につきましては、今後の調査によって更正なりあるいは決定なりという手続を経て初めて徴収段階に上がってくるということでございます。その段階で徴収ができればそれはそれで処理ができるわけでございますが、なお年度をまたがるとすれば翌年度の滞納繰越額として上がってくる、そういうことでございますので、今ここに計上してありますのは、そういう意味で既に納税義務が確定しておりますものについて滞納になっている、そういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  48. 秋山肇

    ○秋山肇君 私の言いたいのは、それはもうよくわかるんですけれども、この三十億というのも、脱税はこれだけじゃないと思うんです。新聞に出ておるからこれが表に出てきているけれども、脱税をしている額というのはほかにどのくらいを見込んでいるというか、まあ脱税を見込んでいるということはないですが、どのくらいのものか。まあ自治省、県当局がつかんでいるとしたらこれは脱税じゃないわけですけれども、その辺は、こういうことが氷山の一角だとしたら大変な額になるんじゃないですか。この点についてはどうお考えですか。
  49. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 全国的に各県で毎年度それぞれ税務調査をやりまして、いわゆる脱税額あるいは漏れている金額を捕捉するように努力をいたしておりますが、それは収入を計上する段階では格別にそれとして区分はいたしておりません。それは手続の問題ですから別にいたしまして、確かに、おっしゃいますとおり逋脱が相当行われているという前提で考えますと、滞納整理ということも非常に重要なことでございますが、あわせて逋脱税額の把握摘発ということも県当局としては大変重要な事柄である。それだけに私どももさらに精力的にその方面に努力を重ねるように指導いたしているところでございます。
  50. 秋山肇

    ○秋山肇君 だんだん細かい点に入りますけれども、次に移る前に、軽油引取税は新聞によるとリッター二十四円三十銭、これは間違いないですか。
  51. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 軽油引取税の税率でございますが、地方税法の本則では一キロリットル当たり一万五千円、リッター当たり十五円、こういうことになっておりますけれども、道路財源確保の見地から暫定税率で税率のかさ上げをさせていただいておりまして、六十三年の三月三十一日、きょうまででございますけれども、リッター当たり二十四円三十銭で、今後第十次の道路整備五カ年計画に合わせましてなお道路財源の確保が必要でございますので、その暫定税率の適用期間を五年延長させていただきたいということを地方税法の改正案でお願いをしておるわけでございます。
  52. 秋山肇

    ○秋山肇君 目的税ですから、そういうことできちっとしたものを国民も負担をしているということですよね。そういう中でこの脱税というものは、悪い考え方をすればこれは本当に氷山の一角じゃないかなという感じがするわけですね。ですからぜひひとつこの脱税の問題についてはいろいろな角度で、先ほどお答えがありましたけれども、徴収制度の見直しということできちんとした形をつくっていただきたいというふうに思うわけであります。  次に娯楽施設利用税ですが、これも収入見込み金額を徴収歩合九八%としているわけですけれども、この中でゴルフ場なんというのはプレーをした人がもう払っているわけですから、それを受けて今度は税務事務所に払うわけでしょう。ほかのパチンコだとかその他というその辺に、収入見込み額を減らしている、一〇〇%と言えないものがあるわけですか。
  53. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) ゴルフ場その他娯楽施設に係る娯楽施設利用税につきましても、理論的に計算をいたしました調定可能額に対しましてやはりある程度の徴収歩合というものが前提になりますので、そういうことで一〇〇%ということにはなっておらないというふうに理解しております。
  54. 秋山肇

    ○秋山肇君 いや、私が聞いているのは、それじゃ逆に言うと、ゴルフ場は九百八十四億円見ていますが、これは徴収歩合をどの程度見ているんですか。これも九八%ですか。そうしたらおかしいんですよ。
  55. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 各施設に係る娯楽施設利用税の収入見込み額につきましては、すべての施設について同じ率で計算をいたしております。それは委員指摘のように、ゴルフ場の娯楽施設利用税、これはおっしゃるとおりプレーをする人から経営者が特別徴収をいたして納入をしていただいているわけでございますけれども、しかし、残念ながらといいますか、なお一〇〇%の徴収率が上がっておらないということも事実でございまして、この点は努力すべき課題でございますけれども、そういう現実を踏まえまして徴収可能な収入見込み額というものを計算しているところでございます。
  56. 秋山肇

    ○秋山肇君 そうすると、ゴルフ場、パチンコ場、その他とあって、全部平均して全体で九八%なんだと。私が言うのは、お客さんから預かっているものを払っていない、納めていないというのはおかしい、これは九八というのはおかしいと思うんですよ。だから、ほかのところとの関連で九八になっているんですかというんですよ。
  57. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) これは各税目についての収入を計算する際の徴収実績見込みをどの程度立てるか、こういうお話でございまして、おっしゃるとおり、プレーヤーから徴収をして預かっている税金を納めてもらうだけの話ですからこれは一〇〇%でなければおかしいじゃないかという御主張、これは私もよく理解ができるわけでございますけれども、なおいろいろな事情で滞納になるケースもあるわけでございますので、そういうところを勘案をして見込みを立てさせていただいている。これが言ってみれば地方団体の歳入の一環になりますし、また地方財政計画の一環にもなるということでもございますので、実際に財政運営の可能な姿ということを考えますと、やはり現実の徴収の姿というものも念頭に置いた徴収見込みを立てていかざるを得ないというふうに考えております。
  58. 秋山肇

    ○秋山肇君 それはお答えはよくわかるんですよ。それは予算を組むんですからわかるんですけれども、我々みんなプレーに行ったら千五百円なり千八百円なり払うわけでしょう。それを、まして紳士のスポーツだと言われているゴルフ場の経営者が九八ということは許せないと思うんです、これは代行しているわけですから。ですからその辺についてのもっと厳しさ、県当局がもっと厳しくやらないといけないというふうに思うんですね。  時間がないから次へいきますが、細かいことを言うようですけれども、今度はその下で、滞納繰越見込み額のうちの二五%を徴収し得るものとしているんですね。さっきの軽油引取税の九〇%からいくとぐんと落ちているわけですよ。この辺についてはどうですか。
  59. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 突然のお尋ねでございまして、私どもここのところを子細にパーセンテージの根拠までをあれしておりませんが、委員指摘のように、これはここまで取ればいいというこ とを言っているわけではございませんでして、確実な見込みというものをどの程度に見るか、全体としての税収積算をどうするかということでございます。したがいまして、いい悪いとは別に、実績といいますか、従来の経験値とかそういうもので見込みを立てておかなければならないというだけでございまして、御指摘のような点につきましては十分努力するように関係団体にも指導してまいりたい、こう考えております。
  60. 秋山肇

    ○秋山肇君 私は答弁が悪いと言っているわけじゃなくて、それは今の渡辺さんの答えでいいんですけれども、片方は九〇%見れてこっちは二五%しか見れないということはやはりおかしいんですよ。それはさっきあった税の徴収システムの問題ということになるのかもしれませんけれども、我々とすれば、自分で払ってきたものは当然県なり都なりに娯楽施設利用税として納付されているだろうというふうにプレーした人は思っているわけでしょう、事ゴルフに関して言えば。そういうことからするとちょっと私は腑に落ちないんですね。細かい話のようだけれども、これは大事なことなんですよ。
  61. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 確かにおっしゃるとおり、ゴルフのプレーヤー、納税者の立場としてみれば、施設の経営者に特別徴収された税額が滞納になっていて県当局にきちんと納まっていない、これはまことにおかしな話で、これはもうおっしゃるとおりでございます。県当局もそういうことで、特別徴収して預かっている税額についてはこれは適正に申告納入するよう絶えず努力をしているところでございますが、なおこれは、数字的に今具体的な基礎データを持っておりませんけれども、ゴルフ場の売り掛けの掛け倒れといいますか貸し倒れといいますか、そういうものが実際問題としてあるという話もございます。そんなに多発するものではないと思いますけれども、そういったことで一〇〇%の徴収率にはならないという点もあるのではないかというふうに考えております。
  62. 秋山肇

    ○秋山肇君 別に私も、一〇〇%なければいけないと目くじら立てて重箱の隅をつつくようなことを言っているのではないんですが、それじゃ次の料理飲食等消費税はどうなのか。今度は年度内の収入見込み額の徴収歩合が九三%で五%下がってきているんですよ。この辺はどうなんですか。
  63. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) これも数字そのものにつきまして、私どももちろん全部お答えできるようにしておくべきものですが、私どもとしては、これは一種の見込みでございますから、見積もりの基礎でございますから、過去の経験値とか実績値とかということによつて確保できる税収を積み上げるときに適切なものとして考えているわけでございます。  したがいまして、定性的なことしか申し上げられないのでございますが、私はこれは税金の性質、その業界の業態、それからその税というものがどういう姿で納まってくるかによって違うのだということがここにあらわれていると思います。例えば電気税のような税金でございますというと、ほとんどその納まった税金が電力会社を通じて納まってくる。しかし料飲業界のようなところでございますと、業態の移動とかそういったものも非常に激しゅうございます。したがいまして、そういった実績値といいますか、そういう業態、それから税の性質、どういうところからそういう税収を得ているかというようなことで違っているわけでございまして、そういう違いであるというふうに御理解をいただかなければならない、こう思います。
  64. 秋山肇

    ○秋山肇君 私が何でこれをこう比較して言っているかというと、それは今あなたの答えているぐらいのことはわかっているんですが、それじゃ業界がいいかげんだから最初から収入は少なく見込んでいるんだと、そうなったら、今度は逆に、二千五百円を超えたら一〇%の料理飲食税を取られる一般の消費者はどういうことになるのかということになりますよ、それは。  それは税を全体一〇〇%なんて決して言ってないし、私は別に九三%でいけないということを言っているのじゃないんですよ。問題はその税の性質で、納税者というのは、ゴルフのプレーをするとしたら、プレーをしに行って税金を幾らですと取られるから払う、練習に行けば百円なら百円という税金を取られるから払う。それをちゃんと徴収義務者が代行して税務事務所に払うわけでしょう。料理飲食税にしてもそういうことであるわけですよね。全部皆わかっている人ばかりじゃないけれども、二千五百円を超えれば税金を取られるから払う、こういうまじめな納税者がいるわけですよ。そういうのに、片方は九八%で、片方は業界が悪いから九三%というのはちょっとおかしいんじゃないですかね。
  65. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 説明が悪かったかと思いますが、これはもう一〇〇%納めるべきものなんでございます。しかし、ここで九三と書いたから九三でいいと私ども考えているわけではないのでございます。やはり見積もりをするために過去の実績値とかそういったものによらざるを得ないのでございまして、それを、望ましい姿ということで見積もりをやっておりましたら見積もりとしてはむしろ不正確だと。つまり見積もりをするということとそれがどうあるべきかということとはちょっと違うのでございまして、そこを御理解賜りたい、こう思うわけでございます。したがいまして私どもは、委員指摘のように、これが九三でいいと思っているわけではございません。
  66. 秋山肇

    ○秋山肇君 もう時間がなくなったんですけれども、それは私もそう思っているんですよ。別にこの九三で悪いとか何がいけないというのじゃないんだけれども、逆に言うと、収入見込み額を九三%から一〇〇%により近づけていくという努力をそれぞれの県当局で当然してもらわなきゃいけないわけでしょう。そういう基本姿勢が頭にあるのか。これはもう今お答えにあったからそうであるというふうに理解しますけれども、収入見込み額を九八に設定したら、九八まで取れりゃ御の字だと、もうこれ以上の滞納しているやつは次のあれでもって、片方は今度は九〇%、こちらは二五%と。今いみじくも答えておられたけれども、業界の状況がそういうところだからそれだけ取れりゃもう上等じゃないかというふうにお考えになっちゃうと、家族連れで行って二千五百円を超えて税金を払った人たちの意思というのが生きないじゃないかということを私は言いたいわけですよ。  だから、細かい税であるからいいやということじゃなくて、やはりきちんとした対応を、上の人たち、特に自治省指導をしているわけですから、そういう点の指導徹底について、大臣、歯が痛いところ申しわけないんですが、ひとつ大臣からそういう納税者の皆さんに、そうじゃない、自治省はきちっとやっていくからぜひひとつ御協力をというお答えをいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  67. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 御説のとおりであります。完金徴収を目指すように指導をいたしてまいりたいと思います。
  68. 秋山肇

    ○秋山肇君 終わります。
  69. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) これをもちまして昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  71. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 三月二十五日、政府税調が税制改革素案なるものを発表したのでありますが、中身 は御案内のとおり初めに大型間接税ありき、こういう内容でございます。また、与野党の減税交渉も大詰めを迎えておるわけでございますが、もちろんこの中には地方税要求も入っております。自民党さんは、個人住民税は過年度課税であると言って翌年実施を主張しておるわけでございます。しかし私は、現年度でもやればできないことはない、こう思っておるんですが、まず自治省の見解を聞かしていただきたいと思います。
  73. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 内容の問題よりも先に、今御指摘の仕組みのお話が出ましたので申し上げます。  住民税は所得税と違いまして賦課課税でございます。これはもう委員御高承のとおりでございます。それでどういう作業になるかといいますというと、前年度の所得税の課税資料を市町村は収集いたします。これが一つ。それからもう一つは、前年度の所得税についての給与支払報告書がワンライティングで国税地方税ができまして、それを地方税当局が入手いたします。これを基礎にいたしまして税額を計算して、これを特別徴税義務者である企業給与支払い者に送る、こういうことになります。現実にその作業をやるのは企業の会計をやっている方々が、小さな企業であれば手書きで、あるいは大きな企業であればコンピューターで、毎月どれだけ徴収するか、市町村から通知のあったものをこれをコンピューターに入れて徴収いたします。  そういう仕組みでございますので、年度途中の減税をやるということは結局その作業をやりかえるということでございます。四千五百万人の納税義務者のいる作業でございますから、いまだかつてそうしたことをやったことはないのでございますが、そうしたことが仮に行われるとしたらどうだろうということは、実は昨年度も随分市町村の実務を担当する方々と私ども折衝しました。私どもの独断はいけないということで、むしろ昨年は何とか年度途中の減税ということもできる方法はないだろうかと思って実は研究にかかったわけですが、市町村課税当局の事務だけではなくて、どうも特別徴収義務者、とりわけ小さな規模の徴収義務者にも大変な迷惑をかけるということになる。それは手間暇だけではありませんで、金の面でも相当なことになる。  そうであるならばむしろ一年おくれて減税を行うということでも、六十二年分の所得から適用するという意味では住民税は六十三年度減税でもそこははずが合うわけでございまして、そうした実務的な見地から、昨年度も六十三年度を初年度とする住民税減税、こういうことを行ったわけでございます。その事情は変わりませんで、私どももことしのいろいろな課題が出されておりますので、これから内容についてはいろいろの議論が行われるわけですが、その手続問題については、機会がありますたびに市町村の課税を行う方々の意見は聞いておりますがやはり昨年度と同様のお話でございまして、住民税については所得税と違って年末調整とかあるいは源泉徴収制度もない、そういう仕組みでございますので同一には到底できない、こういうことでございます。
  74. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 昨年の経緯で、私もその点は了解してきた経緯もございますが、昨年の交渉経過を見ると、ことしも当然大型減税になるということはお互いに承知しておることでありまして、であるなら、率直に言って、要求される前に予算編成のときに住民税についてはちゃんと減税を入れておけばよかったですね、先を越して。そういったことをあなたの方がやっていないものだからまた出てくる。  しかし、私は、過年度課税という方式もあるけれども、現年度課税の方式も検討してもいい時期に来ておるのじゃないかと思うんですね。ただあなたの方は、そうなるとやっぱり国税との関連で大蔵にやられてしまうのじゃないかということもあるかもしれぬ。しかし、こういうふうに減税が予定されておる、こういうような場合にはやはりそこら辺を検討してしかるべきじゃなかったかと私は思うんです。そうしないと、どうも最近地方税に対する重税感も非常に重くのしかかってきておる感じがしてならぬのですね。そういう意味で、私はこれはきょうは時間がございませんから議論をしませんけれども、十分ひとつ検討する必要があるのではないかと思いますので努力していただきたいというふうに思います。大詰めに参っておりますが、まだこれが今後どういうふうにまとまるか、予算の上がるまでということで、その中でまた詰められてくるのじゃないかと思いますが、これはひとつ大臣もそこら辺を踏まえて、何か地方税だけはもう初めから今度の減税はできないんだというようなそういう投げやりじゃなくて、どう国民の負託にこたえるかという観点でぜひ検討していただきたいということをつけ加えておきたいと思います。  次に、国税庁おいでになっていますか。  東京国税庁が二月に公表した六十二年度の税務調査の結果が新聞で報道されておりますが、この調査を見ると、九六%、千百四十二億円のごまかし所得が一都三県の中で明らかにされておる。一件当たり四百四万五千円の脱税というかごまかし所得、こういうことになっておるんですが、もしそれが事実ならサラリーマンの年収を超える脱税ということになるわけです。この点はいかがですか。
  75. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) お答え申し上げます。  今先生おっしゃったように、東京国税局が六十二年四月から十二月までの間、営庶業所得者のうち特に申告内容に問題があるというふうにしてピックアップした方々について調査した実績でございます。調査件数は二万九千件、そのうち申告漏れがあった件数は二万八千件ということで、おっしゃるとおりほとんどの方に申告漏れがあったわけですが、これはもともと、今申し上げましたように問題があると我々がピックアップした方々ですから、逆に一千件ほど外れてしまったというふうに見るのも一つの見方かなと思っておるわけでございます。  そこで、申告漏れ所得金額は千百四十二億円、それから追徴税額が三百十五億円となっておりまして、申告漏れがあった方々の件数で割りますと、おっしゃるとおり一件当たり約四百五万円ぐらいになる、こういうふうになっております。
  76. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたの方は問題があると想定をしたところを重点的に調べたということのようでございますが、その中で、弁護士が四百五十三名中四百十一名、平均四百五十四万、司法書士が二百三十一名中二百十六名、平均が五百四十三万、開業医が二千三十七名中千八百五十七名、平均四百六十三万の脱税、これは全国的にどうなっていますか。  それから六十一年度の場合は、全国的に見るとごまかし所得は十五万八百二十五件、五千七百六十二億、ここでも病院などのごまかし所得が五百三十七件で一件当たりが千四百十七万、整形外科医が三百三十六件で一件当たり六百八十六万、外科医が七百件で一件当たり五百八十八万、こういう数字が出ておるんですけれども、開業医総体としてどのくらい出ておりますか。
  77. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 先生おっしゃっているのは全国ベースの数字だと思いますが、私どもの方で業種を六百数十業種に分けておりまして、開業医全体というようなとり方をしておりませんので、まことに申しわけないのですけれども、そういう数字は持っておりませんです。
  78. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今私が挙げた数字はお認めになるんですか。
  79. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 病院につきまして一件当たり八百六十万円、あるいは整形外科について四百五万円、その他先生がおっしゃったことはおおむね正しいと思っております。
  80. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、厚生省来ていますか。  きのうあなたなかなか頑張っておったですが、今のような実態、国税庁の方からの発表と対比をしまして、診療報酬の非課税はやっぱり必要だ、こういう御認識ですか。
  81. 田中健次

    説明員(田中健次君) 昨日も申し上げましたけれども、医療は人間の健康や生命に直接かかわる 国民生活上非常に重要な機能を果たしておりまして、私どもは高度な公共性を有している、このように考えております。それで厚生省としましては、これまで国民に対しましてより良質な医療を安定的に提供するということに鋭意努力をしてまいりましたが、医療供給体制の維持確保という重大な任務を帯びておるわけでございます。  こうした医療の高度の公共性あるいは医業の非営利性ということで、これが税制面でも評価をされて、社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置というものが三十数年間認められてきた、このように理解をしております。こうしたことから見まして、私どもとしましては、医療の高度の公共性ということから毎年お願いをしてきたわけでございまして、この考え方は今後とも変わりません。ぜひ存続をお願いしたい、このように考えております。
  82. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 頑迷固陋というか、まあそれはいいでしょう。これはきょう脱税というかごまかし所得の問題を挙げたのは何も厚生省をいじめるために挙げたわけじゃないんですが、きのう余りにもあなたが、何というんですか、聞いておって、あなたが本心で言いよるのか、そう言わざるを得ぬから言いよるのか、それはわかりませんが、しかしこれは少し言わなきゃならぬなと思って急遽ゆうべあなたを呼んだんですね。  ですから、これは大臣、私はそこにだけ問題を移すのじゃないですが、医師の診療報酬の場合もう三十数年にわたって非課税措置がとられてきたんですよね。その当時の実態としては、議員立法をしたぐらいですから、例えば戦後の医師の不足や日本人の命の問題とか、やっぱりいろいろな問題で私は緊急非常的な措置であったと思うんです。しかし、それはもう十年たてば、もしくは五年たてば見直していい時期に来ておった。それがそのままずるずるべったりでやられてきたというのは、一つはやっぱり医師会の自民党さんに対する圧力なり、これは政治献金を含めてですが、それから時の政府に対する圧力なり、武見さんという有名な人もおられたわけですから、そういうので無理に無理を通して今日まで来ておると私は思うんですね。  今日の段階になれば、お医者さんがこういう診療報酬で非課税になっておることが逆にお医者さんの社会的な地位を下げる評価になっておるのじゃないかと私は思うので、お医者さんを大事にしようと思うのならむしろ非課税を廃止する、こういう情勢に今来ておると思うんです。にもかかわらず厚生省の皆さんは、あなただけかもしれません。私が聞いておると厚生省の局長や審議官の皆さんは、いや実はそのとおりです、もうその時期に来ていますと言うんだけれども、あなたは頑迷固陋ですが、ここはひとつ大臣、やっぱりお医者さんのためにも大臣が決意して、国務大臣としても厚生大臣を説得しなきゃならない時期に来ておるのじゃないかと私は思うので、ここら辺はいかがかということを聞いておきたい。  それからもう一つは、田川さんが自治大臣のときに一生懸命努力願って新聞関係の事業税の非課税を廃止するということで実現したわけですが、しかしそれを、言うならば一挙にということも含めて緩和措置をとりましたね。ところが今度見ますとまたそれを二年間延長するというのがあるんですね。これは私はどういう理由でそうなったのかわかりませんが、ここはひとつ大臣の決断でぴしっとすっきりさせるべきときじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  83. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 第一の医師優遇の問題でございますが、先般来御議論を聞いておりますし、特に公共性、社会性が強いというならばむしろそれなりに責任を果たしていくことが医師としての立場を社会的にも認めてもらうゆえんでもございます。長い一つの既得権限化をしたものと、今の医療報酬やその他もろもろの問題点があろうかとも思いますけれども、やはり大きな目で見てそういうものの廃止がなされることが望ましい姿だというふうに私も感じておりますので、これから関係閣僚やそれぞれの方々と協議を調えていきたいと思います。  なお、新聞七業種に関するこれまた特例でございますけれども、これは医師優遇と違いまして、既にそういう決定がなされて、手を放せば二年で終わるわけでございますから、さらにそういうものの実現に向かってまいりたいと思っております。
  84. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ぜひひとつお願いしておきたいと思います。これは厚生省さんも、これ以上言いませんけれども、ちょっと余り、何というんですか、三十六年前のことを言いよると、もう今は三十六年後ですよということを言われますよ。そこら辺はひとつ厚生省に帰って大臣の意を受けて、まともな判断というか、お願いしておきたいと思います。  そこで、もう一つ大臣に考え方を聞きたいと思うのは、大蔵省もおれば聞いておきたいと思うんですが、納税者の八割というのは源泉徴収、いわゆるストリップというか裸の大将ですね。それで二割の方が、いわゆる節税など脱税を含めて競争する立場にある。そしてさっきのような現状がどんどん毎年繰り返されてきておる。私は一番気にするのは、この八割の源泉徴収、完全ストリップのサラリーマン、ウーマンの皆さん方は、その結果税金関係については音痴になっておるのじゃないか。全然勉強する必要がないわけですから、さっと天引きしてくれるわけですから。その結果、目の前でこうした節税、脱税の競争の現状を見てどういうふうに感ずるか。おれたちもやっぱりそういう中に入らせてくれというのが私は基本的にあると思うんですよ。差別じゃないかという感じもあるのじゃないですか。  そういう意味で、アメリカがやっておるように、この納税者の八割の源泉徴収については申告制をやってもよろしいという選択制をなぜとろうとしないのか。このことはやっぱり税の問題に対する認識を深める意味でも重要じゃないかと私は思うんです。そうすれば、税金は取られるという概念から納めるという方向に認識を新たにしていくのじゃないか。そういう意味で、大臣でも大蔵省でも結構でございますが、この問題に対して、私は常々そう思っておるものですから、この機会にひとつお答えというか御意見をいただきたいと思います。いかがでしょう。
  85. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 自治大臣としてより一人の政治家として感ずることでありますが、納税者のうちで八割が源泉徴収、完全捕捉をされることと、二割の方が、よく言っても節税に多少努力をするだろうというその背景には、私はやはり一つは税が重いということが原因にあろうかと思います。それからやはり税に対する何というか、知らしむべからずよらしむべしという長い間の日本の政治風土がそういうものをつくり上げたということもございます。  ですから、選択制にすればいいではないかと言うけれども国税の、あるいは地方税もひっくるめて、税の確保ということが言えれば、むしろ節税や脱税をされることよりは完全に取れることの方がより望ましい。重くなく公平であるならば、私は税というのは一〇〇%納めるべきだしまた取るべきだ、そういう感じを持っているので、一部の方が節税、脱税をするからといって、本来いいものを、もとというか、私は性は悪なるものとは思っておりませんが、例えばそういうものが選択をして申告に直れば今のような徴収の実績が上がるのかどうなのか、これまた疑問でもございます。もろもろを考えますと、裸であるのがいいのか包み隠した方がいいのかというもろもろの問題がありますが、私は確たる定見を持っておりませんが、まあ取れるところが八〇%あることによって日本がもっているのではないかなと思います。  それから、私も一事業者をやったことがあるのですけれども、税が重いという感覚は私はこれは否めない事実だと思うんです。それは決してサラリーマンと自営業者の差を言うわけじゃありませんが、零細企業の者が夜まで働き抜いて、しかも、よく私は申し上げるんですが、党の税調の場なんかで大蔵省の説明は、零細企業に交際費があるこ とはとにかく不届き千万だ、個人の電気冷蔵庫を買うのもみんな会社の交際費で買う、ゴルフに行くのもそうするじゃないか、お得意さんの招待もということで、自分の食べる分だけは自分の費用で出すべきだという意見、ある一面正しいような気がしますけれども、これは私よく理路整然と間違っていると言って指摘をするんです。  なぜお客様と一緒に酒を飲むか。うちで一杯しょうちゅうを飲んだ方が楽なんです。胃袋に穴をあけながら、相手の下手な歌をうまいうまいと言っておだてながら食べてくるあの苦痛。それからこれは私必ず大蔵省にも言うんですが、私たちが一緒に飲む場合でも、親企業と下請というときは、親企業がお金を持って招待をしてくれることはありません。絶えず威張って、こちらがお金を持つんです。招待ゴルフなんかもいわばそういうものに似ております。  それから、確かに冷蔵庫を買うのは公私混同でありますから自分の金で買うべきだけれども、小さい零細の個人企業的なおやじというのは、客が来れば、うちに買ってあるビールやおつまみは自分の経費で買ったにもかかわらず会社に請求をしない。それは店と裏の関係がありまして、ビール代やおつまみ代を請求をすれば経営者としてのいわばこけんにかかわる。ですからビールやおつまみは全部自分のうちのものでやっているんです。ですから総トータルは冷蔵庫とビールとおつまみがどっちが高かったのかというと、ビールとおつまみの方が総量では高いわけですから、公私を区別をすればもっと零細経営者は楽になるわけでございますけれども企業は我なり我は企業なりと、そういう精神が日本のいわば零細企業を支えている分野である。ですから、公私混同があることは決して望ましいことではないけれども、その意気込み、これがあるから私は、税制上どうこうというそれは大蔵省の税の専門家に聞いていただきたいのでありますが、いわゆる世の中の経済の仕組みというのはそういうもので成り立っているのではないかなという感じがいたすことを申し添えておきます。
  86. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間があればいろいろ議論したいんですけれども、ただ、大臣は今中小企業のことをおっしゃいましたが、私もそうだと思います。しかし同時に、八割の納税者のサラリーマンがやっぱり税金を納める意欲を出すような政策が今必要じゃないですか。そのために八割の納税者のサラリーマンの皆さんを取られるのじゃなくて納めるというふうに変えていく、これが私は政治だと思うんですね。そういう面から見ると、やっぱり自分で努力すれば節税ができると、そういう分野から初めて税に対する勉強をしていくものですよ。その行き過ぎが脱税になるわけだ。  そういう意味では、この際、ちょうど今税の問題は国民関心事の問題ですから、何かさらにだますような大型間接税なんという発想じゃなくて、今言うように国民皆さんが税に対して自覚をする、納税者の八割のサラリーマンの皆さんが音痴から税に対して勉強せざるを得ないようにするような税の仕組みをつくる。それが私は選択だと思うんですね。そこら辺は大蔵省にもぜひ検討してもらって、大臣もひとつ国務大臣として閣議でも一遍議論していただいて、そしてよりよい納税制度をつくっていかなきゃならぬと思いますので、よろしくお願いしておきたいと思います。  時間があれば大臣といろいろしたかったんですけれども、時間がございませんからその辺でこの問題を打ち切って、移転価格税制の問題について国税庁自治省にお聞きしておきたいと思うんです。  昨年十一月、日米で営業を行っておりますトヨタ、日産に、法人事業税で神奈川県で百億、福岡の例の住民税で問題になっております苅田町でも五億、総計四百億近い金が還付された、こういう報道がされておるわけです。この還付自治体総数はどうなっておるのか、この点をまず自治省からお聞きしたいと思います。
  87. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいまの御質問の中で、県分、市町村分合わせまして還付の手続になっているものが三百六億円ございます。
  88. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 自治体数は。
  89. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) これの個別の数字につきましては、それぞれ特定の納税者の税そのものの問題であるものですから、私どもの方から今までも明らかにはしておらないところでございます。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題は、私が知っておる限りで申し上げますと、日本の自動車会社の米国の子会社に対してアメリカの税務当局が、不当に利益を圧縮したとして巨額の追徴課税処分を行った。そのために、自動車会社の方は二重課税になる、こういう主張から日米の協議を求めて、日米の税務当局が交渉した結果米当局の主張を認めて、それによって日本の自動車会社の利益を圧縮して、法人税八百億、それから地方税四百億を還付した、こういうことなのですが、これはそのとおりですか。同時にまた、自動車会社は米当局にどのくらいの額の追徴をされたのか。これは大蔵省ですね。
  91. 川田剛

    説明員(川田剛君) 前段の方からお答え申し上げますが、前段の方は先生おっしゃるとおりでございます。  後段の方でございますが、先生御案内のように、移転価格課税問題で合意をいたしますのは所得の金額でございます。それから先は、それぞれの国内法に基づきまして追加納付すべき税額があればその税額を計算する、還付すべき税額があればそれぞれの国内法に基づいて還付する税額を計算するというようになっております。
  92. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その額はどのくらいですか。
  93. 川田剛

    説明員(川田剛君) 先方の話でございますので詳細には承知していないわけでございますが、先方のその当時の法人税率は四六%でございます。それからさらに地方税がございます。
  94. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それを結果的には日本の国税当局としてはアメリカ側の主張を認めて所要の措置をとったと、こういうことになるんでしょう。だとすれば、この問題について国が責任を持って処理したわけですから地方にまで還付をせよというのはこれは不自然じゃないですか。
  95. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 最初に、失礼いたしました、先ほどの御質問につきまして私ちょっと勘違いしましたが、地方団体の数を御質問でございました。現在還付が済んでいるものにつきまして、日産の関係でございますけれども、県では十四都道府県が関係県でございます。それから市町村は二十八市町村でございます。  それからただいま御質問の点でございますが、この移転価格税制は、海外の特殊関係企業との取引価格を操作することによって問題が生ずるというときにそれを適正な国際課税の軌道に乗せるという制度でございます。したがいまして、この適用によりまして法人の所得に増減が生じる、こういうことになりますというと、法人住民税及び法人事業税においても、国税と同様に適正な国際課税を図るという見地から同様の措置が必要であるというふうに考えております。今回はたまたま高値輸出の問題が生じたわけですけれども、安値輸出の場合はまた増ということが出てくると思いますが、その場合は当然地方税におきましてもその増の更正決定に従いまして更正決定されるべきものだと、そういう意味で、この制度そのものはやはり同一の立場に立って処理されるべきものだというふうに私ども考えております。
  96. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私ども考えておるのはいいんですが、自治体にとってみると、年度末詰まって当然使っていいという前提で予算支出をやったところにぽかっと、苅田町などでは、あそこは今御存じのとおり住民税の横領事件が起こって大変なところなんですが、そこへ五億円も還付せよなんて払えるわけがない、それで大騒動しておるわけです。神奈川県では約百億ですね。こういったことは当該自治体の立場から見ると、当然やはり自治省なり政府なりで何らかの財政補てん措置をとってやらなければ、その自治体にとってはまさに降ってわいたような災難でしょうね。そこら辺の措置についてはぜひひとつ検討してもらいたいと私は思うんですが、いかがでしょう。
  97. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 実はこの問題につきまし ては、大蔵省と米国との間の交渉で合意が成立したということとその内容について私ども承ったときに、委員指摘の点でございますが、一番最初に私どもの心配事でございました。理論的には先ほど言いましたように、結局前段でその税金が取り過ぎになっていたという姿だと考えるというような制度でございますから、そこはいいのでございますが、そうだといってしかし、一回入ってきた税金を基礎として地方団体財政運営をやっているから、それを還付するというようなことになるとそれは簡単にはいかない。  そこで個別の団体ごとに私どもの方の財政局からも全部当たっていただきまして、それに対して対応ができるかできないかということを確かめた、これが実はそういう状況大蔵省から聞きまして私どもが直ちにやった事柄でございます。そういう中で、何らかのつなぎ的な措置が必要であるというような団体が生じたらどうするかということは財政局の方でいろいろ考えていていただいたようでございますけれども、結果的には対応が可能であるということで、今回はそういう経緯になっております。  今後の問題といたしましても、こうした事柄につきましては同様にできるだけ早く地方団体とそういう接触を持ちましてよく対応ができるように、私ども税務当局だけではどうしようもありません、財政局ともよく相談して対応を図っていきたい、こう考えておるところでございます。
  98. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ぜひそういう措置を今後もとっていってもらいたいと思いますし、大蔵省の方も、これは国にかかわる問題だからということじゃなくて直接地方にかかわってくるわけですから、そういうようにひとつ配慮をお願いしておきたいと思います。結構です。  次に固定資産税の問題について二、三お聞きしておきたいと思うんですが、今回の評価がえで県庁所在地の基準地で最も値上がりしたところはどこなのか。  それから、報道によりますと沖縄が田畑を含めてトップだということが出ておるんですが、これはどういう理由ですか。
  99. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 指定市におきます基準地価格では、当然東京都が五〇%の上昇で最高でございます。  それから後段の沖縄が非常に高く上がっているということであるがどうかという点は、これは恐らく指定市の指示平均価額の状況についての御指摘ではないかと思います。四十七の指定市の平均でございますと、六十三年度指示平均価額は四万七千六百五十七円ということになっておりまして、六十二年度の平均価額に比べまして一・一二六倍ということになっております。お尋ねの沖縄県那覇市の場合は六十三年度指示平均価額は一万六千八百四十三円でございまして、絶対額は低いのでございますが上昇率は一・一六四倍という上昇割合になっております。したがいまして、先ほど申し上げました指示平均価額の全体の上昇割合が一・一二六倍に対しまして那覇市は一・一六四倍でございましてかなり上回っている、こういう御指摘ではないかと思います。  これは四十七指定市のうち指示平均価額としては最も高い伸びとなっておりますが、ただこの那覇市の前回の評価がえの状況を申し上げますというと一・二六八倍というふうになっておりまして、それと比較いたしますとかなり低い伸びとなっているわけでございます。  那覇市につきましては、今回の評価がえの背景を見ますというと、例えば評価上相当のウエートを占めます住宅地の地価動向というものが昭和六十一年以前三年間の地価公示でかなり高い一五・五%ということで、指定市では特別区に次ぐ上昇率となっている、実勢がかなり強いということが一つございます。それから単年度で見ていきますというと、昭和五十九年、六十年の二年間はむしろ特別区を上回る上昇率となっているということなどがありまして、大都市と比べましても全般的に高い伸びとなっているということは一つ背景としてあります。  これは、沖縄海洋博に始まりまして、海邦国体だとかそれから沖縄自動車道の延伸等の大規模プロジェクトが相次ぎまして社会的基盤が充実してきたというようなこともあるのかなと思っておりますが、また同時に、そもそも可住地面積が狭いということもあって、住宅地の需要が依然として根強いというようなことが重なっているのではないかというふうに思われます。こうした状況の変化に伴いまして市内の評価を全般的に見直すということで、市もそれから県もそういう対応をしているわけでございます。  ただ、こうしたことは全体的なそういう背景なのでございますが、さらにこの沖縄あるいは那覇市について特に御留意いただきたいということは、那覇市とかあるいは沖縄県全体の評価水準が、全国的に見た場合にまだ絶対値が相当低い水準にあるということなのでございます。これは実は昭和四十七年の復帰当時からそういうことが意識されていまして、当時沖縄県としましても、復帰した以上はできるだけ全国に肩を並べるようにいきたいという希望を持ちながら、しかしそれは一遍に評価を肩を並べるなんということではちょっと大変だと、それで評価がえのたびごとにその水準是正もしていきたいという強い希望が地元の方にもございまして、それは私どもも非常に、何といいますか、自治体として前向きといいましょうか、そういう意欲を持って取り組まれるということでございまして、そういうことが適切だということで評価がえごと努力を払ってこられたところでございます。  そうしたことが重なりまして、今回先ほど申し上げましたような上昇割合となっている、こういうことなのでございます。
  100. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 説明はわかりましたが、きのう山口先生の方から出されておりましたけれども、今度の場合には六十一年七月時点調査ですから、むしろ次の評価の方がこの沖縄を含めて特に重要になると思いますから、そういう意味では負担調整措置ということだけでこなせるのかどうかということを心配するわけで、そこら辺の検討をひとつぜひお願いしておきたいというふうに思います。  そこで、そういうことで固定資産税というのは今の場合個人も法人企業も同様に評価課税が行われておるわけですが、これはいかがかと私は思うんです。なぜかといいますと、やっぱりこの負担調整措置というのは庶民の負担軽減が基本でありますから、これをもって法人の遊休土地にも及ぼすということはこれは趣旨からいっても違うのじゃないか。逆に言うならば、遊休土地についてはもっと課税を強化することによって吐き出させる、こういう施策の方が私は今日的には必要ではないか、こう思うわけで、この点は区分すべきだと思うんですけれども、いかがでしょう。
  101. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 今御指摘のありました法人所有の遊休地のようなものの課税強化という問題は、負担調整措置の問題以前に全般的な議論の問題としてあると思います。ただ、その場合に、そのことの理論的な意味での問題ということを別にいたしまして現実課題といたしましても、常に未利用地税なんかの問題提起のときに、私どもが困ったといいますか、技術的な問題として解決されていない問題がたくさんございます。何が利用されていない土地かというような問題、それから同じ利用されていない土地でも、一体それはそういう政策税制のような姿で課税強化すべき土地なのかどうかという課題でございます。工場用地の一部であっても、例えば住宅用地との境目に緑地をつくるというようなことでつくった土地はどうなのかとか、あるいはそういう土地とそうでない土地はどうやって区別ができるのかとか、あるいは個人の土地でも広い土地を持って庭を持っている人の庭はどうなるのかとか、あるいは法人の土地でも椿山荘の庭園は利用しているのか利用していないのかとか、そういったような議論がありまして、結局問題は、負担調整措置の問題以前の問題として残されているというふうに考えるところでございます。  そこで、負担調整措置の問題でございますが、 その問題を含めまして、固定資産税というもののやはり基本的な議論にただいまの佐藤委員の御指摘のところはあるわけでございます。常に具体的な妥当性とそれから税としての画一性といいますか、そういったようなものの折り合いというものの接点なのでございます。これは昨日も申し上げたかもしれませんが、固定資産税はやはり幾つかの税金の中で物税として構成されている、そして住民の生活を維持向上させる施策を行っている市町村の基幹的な税金でございまして、資産の保有ということに着目して、その価値ということに比例的に税金を負担していただく、こういうことであるわけでございます。こういう性格からいたしますというと、資産の所有者が個人であるとか法人であるとか、あるいはその用途がどうであるかということによって税負担に差をつけることは適当でないというふうに考えているところでございます。  ただ、さはさりながら、住宅対策の問題もありまして、毎回申し上げておりますけれども、小規模住宅用地についてはかなり大幅な特例措置を行うという形でやっておりますので、この点につきましても負担調整措置で差をつけるということは適当ではない、こう考えているところでございます。したがいまして、今回の評価がえに伴います税負担の増加を緩和する措置といたしましては負担調整措置をとらしていただきたいというお願いをしておりますが、これは資産の所有者が個人であるか法人であるかを問わず、一律にこれを講じていくのが適当であるのではないかということで私ども御提案を申し上げているところでございます。
  102. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間があればもっと議論をしたいんですが、私は個人の場合は、居住地について西ドイツ方式のように本人の申告に基づいてやるとか、今の軽減措置というものをさらに強化する、いろいろあると思うんですが、法人の場合遊休土地についてはむしろ吐き出させる方向に重点を置いた検討を強化する必要があるのじゃないかと思うので、ここら辺はひとつ今後の参考にぜひ研究してほしいと思います。  そこで、時間の関係もございますので一つだけ聞いておきたいと思うんですけれども、東大和市長が東京都市長会会長として二十六市を代表してそれぞれ要望をなされております。趣旨は何かといいますと、地主から土地を借りて例えばスポーツ広場であるとか公園であるとか駅前広場であるとかやっておったのが、これを最近戻してくれということで、今既に九十六の公園その他を地主の方にお返ししなきゃならぬ、このままでいくと皆なくなってしまって大変なことになるのじゃないかということで、ひとつ急遽緊急的な措置をとってもらいたいということで要望なさっておるわけです。  現在この二十六市で千百七十カ所の土地をお借りして公園やその他をつくっておられるようでございます。大蔵省も来ておるようですが、一番の原因は何かといえば相続税にかかわるわけですから、この際特別措置ができないか、こういうことでございますし、同時にまた、自治体が取得しやすいようなそういった誘導的な制度というものが創設できないか、この二つの点で出されておるわけですが、これに対してどういう御見解なんですか。
  103. 小林実

    政府委員(小林実君) 現在東大和市を初め都内の多くの地方団体におきまして借地によります公園広場の減少が大きな課題になっております。御要望の内容につきまして、私どもの省ばかりでなく、ほかの省の問題もございまして、所管省庁におきましても検討されておるというふうに思っておりますが、私どもといたしましては、借地による公園というのは永続性の点で問題がございますので、自治省としての立場になりますと、やはりそれを公有化していただくということが必要であろうと思うわけです。これらの公園広場の公有地化につきましては、よく地方団体の方からもお聞きいたしまして、自治省といたしましては地方債措置その他必要な措置で十分対応をしてまいりたい。まずよくお話を聞いてまいりたいというふうに思っております。
  104. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大蔵省は何か手違いで来ていないようでございますが、これは大蔵が主体だと思うんですけれども、ぜひひとつ自治省が中心になって大蔵との折衝もしてあげていただいて、せっかくの広場が使えないようにならぬように所要の措置をお願いしておきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  105. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 事、公園とか広場、この確保は市民生活に何よりも大切でございますから、それぞれのネックがあろうけれども、各省庁と十分に協議をいたしまして、この公有化のために懸命な努力を払ってまいりたいと思っております。
  106. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それからもう一つ聞きたいんですが、多極分散型国土の形成ということで四全総でも出されておるんですけれども、最近非常に顕著になってきたのは御案内のとおりに東京一極集中という現象でありまして、とりわけ税の面でもそれが法人事業税の中に顕著に出ておりますね。そのために自治省の方で分割基準の見直しを含めて福島研究会が発足して、この三月をめどに具体案の作成にかかっておるということを聞いておるわけです。それがどういうふうな結論になったのか。  時間がございませんから、こういうことを含めて、私は、法人税の分割基準の見直しだけでなく多極分散型国土の形成に見合う税源の制度上の見直しもこの際すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  107. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 法人事業税の分割基準の見直し、確かに時間を経ておりますので、この際、いろいろな産業構造の変化やそれぞれの実態に見合った見直しを早くすべきだということで督促をいたしております。  先ほど佐藤委員が御質問になった、何というんですか、いわば移転価格税制、ああいうのを見て今考えていたのですけれども、やはり子会社には安く売る、子会社からは安く買い上げるというのが大体元請と下請の関係でございますから、今東京に本社があって地方に工場や事業所がある場合、あるいは子会社に移行させた場合もございますけれども、子会社に過大な果実、利益を与えるという会社はまず原則としてないというのを考えますと、どうしても本社集中になりますから、法人事業税の分割基準の見直しなんかはそういう観点からもいたせば相当な実効が上がるのではないかなという気持ちを持っている次第であります。  その他でも、いずれにしても一極集中を排除するため、多極分散ができるためのいわば財源措置、税源措置、こういうものをこれから探しながら、そういうものの実が上がるようにしてまいりたいと思っております。
  108. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ぜひひとつお願いしておきたいと思います。私は、これは乱暴な意見かもしれませんけれども、今従業員が基準ですね、従業員数ですか。それを例えば面積を基準にするとかすればほぼ均衡はとれてくるのじゃないかと思うので、ここら辺はひとつぜひ御検討願いたいというふうに思っておるわけです。  締めくくりということではございませんが、一つだけ、税と違った問題でお聞きしておきたいと思います。  第十五次の地方制度調査会でなかったかと思うんですが、地方自治の日というのを答申をしたのを覚えておるんです。ちょうどことしは地方自治法施行四十周年ということなんですけれども、私はこの問題をお聞きしたいなと思ったのは、昨年の統一地方選挙を通じてつくづく味わったわけなんですが、あの統一地方選挙で、三十数%でしたか、ことしもやっぱり一四、五%自治体選挙があるんですが、毎年そういう形を見ると、もう統一地方選挙という名にふさわしくなくなってきているわけですね。この際ここら辺を四十年という仕切りでどう見直すべきかということは私は重要な課題になってきておるのじゃないか、そう思うんです。  そういう意味で、この地方自治の日を十五次の 地方制度調査会が答申したときの経緯、そういうものを踏まえてそれを設定して、そこに一年間の統一地方選挙を集中する、こういう方法も一つの考えじゃないかな、こういう感じがしておるんですけれども、この点について自治省の見解を承って私の質問を終わりたいと思うんですが、いかがでしょう。
  109. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 住民の自治意識の向上のために、国民の祝日として地方自治の日を設定すべきではないかという御提言が地方制度調査会の第十六次の答申でなされておりまして、まことに傾聴すべき御意見であるというふうに考えておりますが、今佐藤委員もお触れになりましたように、同答申においては地方自治の日に統一地方選挙を実施する等の提言もあわせて行っているところであります。地方自治の日をどのようなものとして何月何日に設定すべきかについては、このような点も踏まえて広い角度から検討すべきものではないかというふうに考えております。  私個人といたしましても、統一地方選挙の名にふさわしくなくなってしまった昨今何とかこの検討を進めてみたいということで、私的に選挙部長を初め検討してもらっておりますが、ややもすると、政治家がこれを取り上げますと何か政治的意図でもあるのではないかということで、前回も何かそういう経緯を経てうやむやになったということも聞いておりますので、慎重にいたしながらも、しかし何らかの形で統一選挙の実が上がる方法がないかというふうに今模索をしておるところであります。
  110. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  111. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  112. 片上公人

    ○片上公人君 午前の質問にも触れられておりましたが、軽油引取税につきまして大変大がかりな脱税が恒常的に行われていたのではないかという問題がございます。報道によりますと軽油引取税の脱税の手口は次のようなものとされています。すなわち、卸売業者から特約業者へ軽油が引き渡されるときにこの税が課税されるけれども、ダミーの特約業者をつくり、卸売業者から引き取った軽油のうち何割かは洗浄剤を混ぜた、すなわち燃料として扱わなかったとして県の税務当局に報告する。しかし実際は燃料として販売する。県の方でおかしいと気づいたときにはもう特約業者は店を畳んでいるというものでございます。  これらの業者に言わせますと、国税当局と違って県の税務当局の検査が甘い、また、一県だけしか扱えないために数県にわたって取引するような業者等に対する課税が必ずしも徹底していないというように言われております。これらの点について自治省の見解を伺いたい。なお、これは地方税法違反の疑いが強いのではないかと思いますが、この点もあわせてお伺いいたします。
  113. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) お尋ねは二点ございましたが、まず一点の、新聞に報道されているような形の取引が行われたという場合に地方税法に触れるのかどうかという点でございます。  新聞の記事について申し上げるという形でお話をさせていただきますと、元売から軽油を特約業者が引き取り、それをエチレン等の他の物質を混ぜて洗剤として販売した。これが適正に洗剤として販売されており、かつそのものの性状が軽抽には当たらないと、午前中申し上げましたようなことでございますればこれはもう課税対象外でございますけれども、偽って洗剤として軽油そのものを販売したということでございますれば、これは明らかに脱税に当たる販売であるというふうに考えられると思います。  おっしゃいますように、最近軽油の何といいますか取引が行われる範囲、商圏というのが非常に広がってきております。これは社会経済全般の拡大、地域経済の拡大ということとも決して無縁ではないと思っておりますが、そういうことを背景にいたしまして、一部の悪質な業者による軽油引取税の逋脱をめぐる動きがあるということも情報として多数掌握をいたしておるところでございます。  そういうことでございますので、軽油引取税については、各県が連絡を緊密にとり合いまして税務調査の徹底を図る、あるいはそのための体制の強化を図るということを重点的に指導いたしているところでもございまして、各県もそれにこたえるべく、適時ブロック会議等で情報の交換等を行いながら対応をしているところでございますが、なお結果として相当多数の脱税が疑われるような事件が起こるということは、なおまだその徹底を欠いているうらみもあるというふうに考えます。  そういうことで、今後、こういった軽油をめぐる取引が比較的広域にわたって行われるような状況になってきておるということを踏まえながらその体制の強化を図るために、私どもといたしましても自治省としてできる分野でいろいろ対応策の検討を進めているわけでございますが、その一つに、例えば軽油の引き取り数量の脱漏をチェックするための軽油の流通情報管理システムといったようなものができないかというようなことも各県の研究会の課題の一つとして真剣に検討をしていただいているわけでございます。  また、計画的な事業者の税の逋脱を防止する、あるいはそれが起こった場合の早期摘発を図るためのシステムとして、現在もそれぞれ各県自主的に関係県が協力しながらその努力をしているわけでございますが、いわば広域調査体制の整備ということを具体的に考える必要があるのではないかということで、そういう点についても研究会において検討を進めていただいているという状況でございます。
  114. 片上公人

    ○片上公人君 資源エネルギー庁にお尋ねしますが、エネルギー庁としてはこの件についての状況をどの程度把握されておるのか、御報告いただきたいと思います。
  115. 鴇田勝彦

    説明員(鴇田勝彦君) 軽油市場というのは私ども市況対策の一環として非常に関心を持っておるわけですが、現在までのところ、事後調整がなされるとか、採算割れ廉売がなされるとか、あるいは相手先、地域先によって相当な価格差を生じておるとか、市況といいますか市場秩序が混乱している状況がございます。  したがいまして、私ども、石油審議会の中に軽油流通問題小委員会というのを昨年設けまして、昨年の十二月でございますが、こういった流通問題対策の中間報告をいただいております。その中の一部といたしまして、軽油引取税に関しまして、灯油、A重油等の異物が混入されるような形での脱税というものもあるようであるという指摘を受けておりまして、こういった脱税問題に非常に関心を持っておるところでございますが、先生御指摘のような新聞報道の内容、事実関係について詳しくは承知してございません。ただ、新聞報道の事実が現実に存在しているのであれば関係当局に厳正に処断をしていただきたい、そういう希望は持っております。
  116. 片上公人

    ○片上公人君 昨年の十二月二日に石油審議会の石油部会軽油流通問題小委員会では、軽油流通について採算割れ販売、軽油に灯油をまぜて売っていることを指摘しております。軽油引取税の脱税について資源エネルギー庁は、全納税額の一割に当たる五千六百億円が毎年脱税されていると言うけれども自治省はこのような脱税額を把握していたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  117. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 私もそのときの数字をお伺いをいたしているわけでございますが、五千六百億というのはちょっと数字としては大き過ぎはしないかなという印象を率直に持っております。と申しますのも、軽油引取税全体の収入見込み額が五千億台の税収でございまして、それに匹 敵する脱税があるというのはこれはやや数字の見方がどういうことであるのかなと、その辺もお伺いしてみたいなと思っているところでございます。  極めてマクロの推計と申しますか、そういう形で考えてみますと、単純に軽油の供給量、これは国内で精製されるものと輸入されるものとがあるわけでございますが、その供給総量と、それから軽油引取税の課税対象になったものとの量の差ということで仮に軽油そのものについての脱漏額を考えるということになった場合、そういうことを前提に仮定計算をした場合の一つの問題点としては、軽油は御承知のとおりこれは道路財源に充てるということでございますので、定型的に道路には絶対に使われない用途に供する軽油については課税が免除される、こういう仕組みになっております。  もちろんそれぞれ各県の税務当局に申請をして免税証の交付を受けてその軽油を使用することになるわけでございますが、こういった軽油引取税が制度上も課税されないことになっている免税軽油の数量というものが相当ございます。そういうものを合わせてこの国内の供給総量との差し引きを御検討いただく必要があるのではないかというふうにも考えます。そういう目で見ますと、軽油そのものについては今先生が御指摘のような巨額な数字にはならないと考えております。  ただもう一つ問題は、これは統計上の捕捉が困難ではございますが、軽油そのものではなくて、軽油そのものを使いながら他の炭化水素油とブレンドをしていわゆる増量を行うような場合等がございます。こういうものの捕捉漏れがどの程度のものであるかという問題もあると思いますが、私ども、別途トラック、バス等の登録台数というのをこれは自動車税等の関係で捕捉もいたしておりますが、そういう資料を使いながら逆算をいたしてみましても、それほど大きな額は出てこないのではないかなという感じを持っております。
  118. 片上公人

    ○片上公人君 資源エネルギー庁によりますと、このような脱税が横行するのは、納税の義務を持つ販売業者が納税地を自由に選択できるという特典を利用して調査能力の手薄な地域で納税をして調査をかいくぐるなど、制度自体に欠陥があるためだとしております。また、この問題で自治省に改善を要求していると報道されておりますけれども、実際に自治省はエネルギー庁の申し入れを受けたのかどうか、またその内容をお聞きしたいと思います。
  119. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) ただいま委員指摘のとおり、資源エネルギー庁におかれましても、いろいろ軽油の事業そのものをめぐる問題点の検討の一環として軽油引取税についても御検討、御論議をなさっていると漏れ承っております。そうしたことを踏まえてのことであろうと存じますが、軽油引取税の課税方法の見直しについて要望をちょうだいいたしております。  その内容を簡単に申し上げますと、一つは税務調査の強化充実ということでございます。二つに課税権の見直し、あるいは特別徴収義務者の指定制度の厳格化、特別徴収義務者に対する交付金の一律化といったようないわば徴税制度の改善点に関する御要望でございます。私ども、これらの点も含めまして、都道府県の実務担当者をメンバーとしております研究会で具体的にどういう対策を講ずべきかいろいろと検討をお願いしているところでございます。
  120. 片上公人

    ○片上公人君 現在税制の抜本改正が話題になっておるところでございますが、このような制度の見直しも大事な問題でありますので、早急に手直しを図ってもらいたいと思います。通産省と自治省がその防止策をまとめているようでございますけれども、通産、自治省のそれぞれの対策、改善内容をお聞きしたいと思います。
  121. 鴇田勝彦

    説明員(鴇田勝彦君) 先ほどもお話し申し上げましたように、石油審議会の中に軽油流通問題小委員会というものを設けましてその答申をいただいておるところでございます。もちろん流通問題一般でございますので、脱税問題についてはその一部をなしておるわけでございますが、その関係での提言をいただいて現在までやってきております対策が幾つかございます。具体的に申し上げますと、第一には、不法な灯油等の異物混入を防止する観点から、イギリス、ドイツ、フランス等の欧州諸国でこれまで数十年にわたりまして、識別剤あるいは着色剤というものを軽油ないしは灯油の方にまぜておきまして、実際に税務当局の方が徴税チェックをされるときに簡単にその混入があるかどうかがわかるようなシステムが存在しているようでございますので、これの活用策について、実際に活用が可能であるかどうか、安全性の面等についてのチェックをいたします委員会を私どもの方でつくっておりまして、現在鋭意検討を進めてございます。  それから二つ目には、実際に取引業界、販売業界というのは我が省の所管でございますので、こういった業界でいやしくも脱税行為がないように取引準則というのを定めまして、これについても周知徹底を一月にやっております。  三点目といたしましては、社団法人で全国石油協会というのがございまして、ここに対する補助金、これは来年度予算でございますが六千万ばかり要求しておりまして、この協会を使いまして、試し買いといいますか、こういった不法混入軽油の流通についてのチェック体制をこの協会になさしめようというような予算要求をしております。  ただ、いずれにいたしましても地方税法上の問題でございますので自治省専管のお話でございますから、私どもとしてはできるだけ御協力するというスタンスで今後とも対応していきたいと思っております。
  122. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 今通産省の方から、通産省のお立場としてこの問題についてもいろいろ御検討いただいているというようなお話がございました。私どもも税務当局の立場から、先ほど申し上げました研究会で具体的な方策を含めて検討、御論議をいただいているところでございますが、その中の一つのポイントといたしましては、この軽油の引き取りをめぐる脱税を防止し、あるいはその課税の適正化を図るという観点を踏まえまして、現行の元売業者あるいは特約業者の要件について見直すべき点はないか、あるいは混和をした場合の脱税の防止策について、今実務上行われている諸方策に加えさらに効果的な方策としてどういうことが考えられるか。先ほど通産省のお話にございました着色法の活用というものもその一環として研究が進められているわけでございます。  あるいは軽油の消費地と納税地との関係でございますとか、そういった従来この軽油引取税の制度を運用するに当たりまして各県とも痛切に感じておりました問題点を総ざらいをいたしまして今検討をなされているところでございまして、論議の過程でございますが、元売業者、特約業者の指定要件の厳格化を図る必要があるのではないかという意見が出てまいっております。また、臨店調査あるいは路上調査の充実強化、そういうことによって混和をした軽油の早期発見に努めるという努力をより強化する必要があるのではないかという意見も出てまいっております。  あるいは先ほど申しました軽油の流通情報管理システムというものを、できるだけ簡素な形で、しかし実効がある制度として仕組めないものかどうか、この点についての論議も進められておりますし、また広域調査体制の整備をどういう形で、かつ機動的、効果的な調査ができる役に立つものとして仕組めるか、こういうことも議論をいただいているところでございまして、近くこの研究会におきましても意見を集約し報告書を取りまとめることによって今後の方策について基本的な考え方を示したいというふうに伺っておりますので、私どもも近いうちにその報告者が出てまいるのではないかと期待をいたしております。自治省といたしましても、この報告書を踏まえまして、脱税の防止あるいはその早期摘発のための対策の検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  123. 片上公人

    ○片上公人君 次に、今回自動車税及び自動車取得税の特例で昭和六十四年度の排気ガス規制を優遇するような仕組みをつくったわけですが、どの程度の排気ガス規制を行うのか、伺っておきたいと思います。
  124. 南戸義博

    説明員(南戸義博君) お答えいたします。  環境庁といたしましては自動車の排出ガスについて逐次規制強化を進めてきておりますが、最近におきます大都市地域の窒素酸化物対策の緊要性にかんがみまして、本年から六十五年にかけまして、大型ディーゼル車からのNOxの大幅削減、ライトバン等軽量トラックの乗用車並みの削減等の規制強化を実施することとしております。六十四年規制の対象車種は、車両総重量二・五トンを超える大型のディーゼルトラック、バス、車両総重量一・七トンを超えます中型及び大型のガソリントラック、バス等でございまして、NOx排出量の削減率で申しますと約一〇から二〇%の削減量ということになります。こうした新規制適合車に対します税制上の優遇措置を活用いたしまして、NOx排出量の少ない新車への代替促進を図りまして大気汚染の早急な改善に努めてまいりたいと考えております。
  125. 片上公人

    ○片上公人君 どうもありがとうございました。  自動車税につきまして、現在は二千㏄を境にいたしまして小型車と普通車を分けて税負担に差を設けておるわけでございますが、普通車の税負担は小型車の二倍以上になっておりまして、ECなどからは非関税障壁だと指摘されているところでございます。  そこで、主に通産省が、このままでは酒税制度と同じくガット違反の裁定が下るおそれがあるということで、そこで早ければ六十三年度の税制改正で見直すという報道がなされていましたけれども、今回の改正には盛り込まれていない、これはどのような理由からであるかということをお伺いいたします。
  126. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) ECから、普通乗用車の税率は小型乗用車と比較をして極めて高く、普通乗用車の多い外国車に対し差別的なものになっているので是正してほしいという要望がございます。これに対しまして、自動車税についてはその財産税的性格及び道路損傷負担金的性格から排気量に着目して税率を設けております。また、小型乗用車と普通乗用車の間には価格等に明らかな格差があるので、税負担の公平の見地をも踏まえつつ税率に格差を設けております。また、自動車の価格に対する自動車税の負担割合は高額な乗用車ほど低いという理由から、現行の税率が適当なものであるというふうに考えておる次第であります。  自動車の保有に対する税制は各国の国情に応じて区々であり、一国の税制を範としてすべて統一すべきものであるかどうかについてはなお慎重に検討を要する点があることを考えており、また国内的にも、二千㏄を超える大型車と大衆車中心の小型車間でどのような税負担を求めることが国民の公平によりマッチするかといった問題点がございます。この問題は自動車という国際性の高い商品をめぐる税制のあり方に関するものであるだけに、ECを含め内外の諸要因との整合を図りつつ合理的な結論を得ることが必要であると考えており、税制調査会の意向も聞きつつ、ぜひこれは慎重のうちにも前向きに検討して、貿易摩擦にならないような対策を講じなければならないというふうに考えております。
  127. 片上公人

    ○片上公人君 今回、軽油引取税、自動車取得税の税率ないし免税点の特例の延長を行ったわけでありますが、これは第十次の道路整備計画の一環ということで理解しております。ただ問題は、地方道路の整備率、舗装率、改良率がいずれも低いまま推移しており、そのため従来からありました臨時道路交付金の財源を高め地方道路の整備を促進しようとしているけれども、どのくらい改善される見通しなのか、これは建設省にお伺いいたします。
  128. 森本裕士

    説明員(森本裕士君) お答え申し上げます。 既に先生御案内のとおり、五十八年度を初年度としまして第九次道路整備五カ年計画で道路事業を進めておりますが、その最終年度でございます昭和六十二年度末の地方道の整備状況の見込みについて申し上げますと、都道府県道につきましては整備率が四六・八%、改良率にしますと五四・五%、舗装率は九一・四%となっております。また市町村道におきましては改良率が三七・四%、舗装率が五七・五%となっております。これは、一般国道の整備状況、整備率が五七・九%、改良率が八六%、舗装率が九七・九%と比べますと相対的に低い状況にあることは事実でございます。しかしながら、地方道路整備臨時交付金事業制度を創設しました三年前の昭和五十九年度末の地方道の整備状況に比しましては、改良率は都道府県道で四・二%、市町村道では三・一%アップしております。このように地方道も着実に進捗しておるというのが事実でございます。  それで昭和六十三年度を初年度とする第十次道路整備五カ年計画におきましてはこの制度を存続しまして、またその財源でございますが、揮発油税収の十五分の一から四分の一に拡大する措置を行うことにしております。これらの措置とあわせまして従来の補助事業で道路事業を推進することにしておりますが、これによりまして、この第十次道路整備五カ年計画の最終年度昭和六十七年度末の改良率でございますが、都道府県道では六四%で六十二年度末からしますと九・五%の進捗、市町村道につきましては四二・一%で六十二年度末に比べますと四・七%の進捗となる見通しでございます。  以上でございます。
  129. 片上公人

    ○片上公人君 どうもありがとうございました。  次に都市計画税の税率引き下げ問題についてお伺いいたします。本会議でもこの都市計画税の税率引き下げ問題につきましては質問いたしましたが、大臣の御答弁の内容がいま一つわからなかったもので再度質問したいと思います。  まず、東京都及び都下の市町村におきまして、この措置が講じられ、あるいは現在審議中の法案が成立後講じられることになっておりまする自治体の数はどれぐらいあるのかこの措置を講じようとしておるのは東京都及び都下の市町村だけなのかどうか。また東京都及び都下の市町村のこのような措置は次回の評価がえまでの三年間であると理解してよいかどうか、お伺いしたいと思います。
  130. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 東京都下の市町村の都市計画税の引き下げを行う自治体の数はどのぐらいかという具体的な問題は後刻政府委員から答弁をさせますけれども、冒頭、前回のことでよく意を尽くさないということもございましたし、私の答弁があるいは下手だったのかもしれませんが、東京都の行おうとしている都市計画税の減免は、いわゆる税法上の特典というか、あれを生かしまして、いわば全般の都市計画税を下げることではなくて特定の小規模の住宅用地のみの都市計画税を下げるということでございまして、いわば不均一課税でございますから原則にもとるという点で私は反対をしたということでございまして、それが全体に全部税率を下げるということであれば私は格別の要望を申し上げることではなかったかということを申し上げたのでございます。  それはやはり都市計画税の税の性格からいいまして、片方のものを下げますと、結局高い方の方がいわば都市計画の恩恵を税率の低い人にまで同等に及ぼす、そういうものは都市計画税の目的からいっていかがなものか。そういうことを、これは税当局の方は、専門的な方はおわかりになっているのでしょうけれども、東京は東京のそれ以上のいわば政治目的、こういうものがあってやったわけですから、私はそいつを拘束する気はございませんよと、ただし原則論からいうとどうももとるような感じがいたしますと。ですからそのときも、こんなことを言っていいかどうかわかりませんが、税務局長もおいでになっておりましたから、ぜひ都下の市町村に対する御指導はひとつ原則論でやっていただければいいなという御注文を申し上げていたのですが、結果として東京都下の市町村が行っている都市計画税の減免は均一の減免で ございますので、東京都の行っているものとは全く違うということでございますので御了解を願いたいと思います。
  131. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま御質問の数でございますが、東京都下において都市計画税を課税しております市町村三十のうち、都市計画税の税率の引き下げを行うこととしております市町村数は二十八でございます。ただいま大臣から御答弁がありましたように、一律に引き下げるということがその内容となっていると承知をいたしております。  なお、東京都を含め各団体とも、条例において六十三年度から六十五年度までの各年度分の措置とすることとしているというふうに承知をいたしております。
  132. 片上公人

    ○片上公人君 都市計画税は通常固定資産税と一緒に納付通知が出されるものですから、納税者の方も別個の税だということを余り区別していないところがございます。課税客体も同様であります。ところが、小規模住宅地の特例については固定資産税のみ定めているのはこれはどういう理由なのか。もし法律の手直しによりまして都市計画税においても採用することが可能であるとすれば、今回の改正では間に合わないとしても、次の改正では措置してもよいと思うがどうか、これをお伺いしたいと思います。
  133. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、都市計画税はやはり税の性質というものを考えますというと、これは都市計画事業、土地区画整理事業もそうでありますけれども、その実施によりまして一般的に課税区域内の土地とあるいは家屋というものの価値、利用価値を含めまして、それが向上するという受益関係に着目いたしまして課税する目的税でございます。したがいまして当該区域内の土地及び家屋に対して一律に課することが適当であるというふうに考えておるわけでございまして、土地の用途、規模によりまして特例を設けることは適当ではなく、したがって小規模住宅用地について特例を設けることは適当でない、基本的にこう考えております。  また、したがいまして地方税法での不均一課税の運用といたしましても、大臣が御答弁申し上げましたように、そうした税の性格からいえば、不均一課税の制度で行うということは違法でないとしても、適不適ということになればそれにもとるのではないか、こういうことであるわけでございます。
  134. 片上公人

    ○片上公人君 私は、このような措置は自治体の裁量の範囲内であることでございますから、違法でもないし不当でもないと思います。したがいまして何ら国の方からペナルティーを科されるようなものではないと思いますが、確認しておきたいと思います。
  135. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 今回東京都が講じようとしております都市計画税の軽減措置は、地方税法で定める不均一課税の条項によって行うものでございますから違法でないわけでございます。ただ、違法でないものがすべて適当であるかどうかの、そこのところはあるわけでございまして、やはり違法ではないけれども必ずしも適当ではないのじゃないでしょうかと、こういうことなのでございます。また、都下の市町村において講じようとしておられることは、制限税率の範囲内で税率を定めるということでございますので、自治省として特に申し上げるべきことはないわけでございます。  いずれにいたしましても、都市計画税につきまして軽減措置を講ずるということについて、ペナルティーを科するとかそういう問題あるいはそういう性格のものではないわけでございます。
  136. 片上公人

    ○片上公人君 固定資産税の情報公開問題についても再度質問したいと思います。  現在の固定資産税の縦覧は、納税者本人の固定資産の評価額しか縦覧できないという取り扱いになっております。その結果さまざまの不都合を招いているのではないかという質問を先日行いましたが、その後三月二十四日の新聞報道によりますと、行革審の土地対策検討委員会の方針は、固定資産税評価額の算定の仕組みを路線価などによりまして公開すべきであるということで、大体私が質問したと同一の方向のように思います。このような方針が示されましたとしても、先日の自治省の答弁から見まして、自治省としては受け入れがたいものなのではないか、それともこのような方針は現行の取り扱いを別に改める必要もなく対応できるのかどうか、伺っておきたいと思います。
  137. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 臨調行政改革推進審議会におきまして、土地対策の一環として土地評価制度について検討されておりますことは承知をいたしております。固定資産税における土地評価額というものは納税者の財産上の秘密に該当するものと考えておりまして、現行法上これを第三者に公開することはできないというふうに考えているところでございます。路線価は納税者の財産上の秘密として保護されます評価額や税額について推定できる課税に関する資料でございまして、納税者等の利益の保護、税務行政の円滑な執行の確保の観点からも慎重に取り扱うべきものと考えております。したがって、一般的、積極的に公開すべきものではないというふうに考えております。  ただ、委員が御指摘のところはそういう点ではなくて、縦覧した場合納税者が、自分の評価が一体公正なのか、他と均衡がとれているのか、そういうことが不明であって、それが問題ではないかという点に発しておられるのではないかと思うのでございますが、評価額が公平妥当なものであることを納税者に対して説明する必要がある場合には、その該当する固定資産の評価の基礎となりました基準宅地市町村には基準宅地があります。それからまた標準地というのを設けてそこを基礎としてその評価をやっていくわけでございますが、そうしたものの路線価を示すことが適当である旨従来から地方団体指導しておりますけれども、この辺の指導がなお不十分であるということであれば、なおこの指導を強めたいと思います。これによりまして納税者の十分な納得を得ることができるのではないかというふうに考えております。これは一般的な公開とは違うわけでございまして、そうした取り扱いは可能でもありますし現に指導している、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、これらの問題につきまして、現在検討が行われております臨時行政改革推進審議会におきます審議の推移をも十分見守りましてそうした指導を行ってまいりたい、こう考えているところでございます。
  138. 片上公人

    ○片上公人君 固定資産税の縦覧につきまして、東京大学の金子宏教授また日本大学の北野弘久教授などの意見は、縦覧させる以上、評価額が客観的評価に照らしてみて妥当かどうかを判断するための客観的評価を示される必要があるというものでございます。またその趣旨に沿った判例も、千葉地裁昭和五十七年六月四日の判決以来同趣旨のものが多く出ております。自治省は、このような見解が有力になってきていること及び判例の動向につきましてどのように考えていらっしゃるのか、土地臨調とは別に最高裁で不当性を指摘される可能性もあるけれどもどうか、この辺を伺っておきたいと思います。
  139. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 御指摘のように、固定資産税評価について、自分の持っている固定資産が均衡がとれた形で評価されているかどうか、これは常に問題となっているケースがあるわけでございます。固定資産課税台帳というものをそもそも考え直してみますというと、これはやはり固定資産税を賦課するための基本的な台帳で、公示のための土地登記簿とかあるいは建物登記簿とは基本的な性格が違うということがございます。しかも登記されている事項は固定資産の価格であるとかいう課税上の事項が登録されていて、その人の財産というものがわかるという形になっております。このことは、固定資産税評価均衡というものを知りたいという一点から見れば、ほかの人のこういった財産上の事項がわかるということは非常にいいことだということになるわけでございますが、さあ、さてこの個人の持っております財 産上の秘密というものが公になるということになったら一体どういうことになるだろうかということが問題なのでございます。  そこで、先ほども申し上げましたように、納税者の意思に反してその財産上の秘密を市町村が漏らすということはやはり避けなければいけない。しかしながら、同時に公平妥当な評価かどうかということに対して納税者に説明する、あるいは納税者が納得することができるような仕方はやはり考えていかなければいけない。そうすると先ほども申し上げました基準宅地等の路線価を示すということが適当ではないか。従来から指導はしておりますが、これによって納税者の十分な納得を得ることができるのではないかと考えております。  なお裁判所で扱われているケースなども、必ずしも一般すべての人に公開するという問題として取り扱われているのか。あるいは審査の申し出とか、あるいは納税者個人が均衡ある評価がされているかどうか知りたいといったときに十分な説明がされているかどうかというそのところには、どちらかといえば公開さるべき帳簿として公開するというような立場で議論が必ずしもされているということではない、むしろ評価均衡がとれて行われているかどうかということが納得できるような仕方の点で議論がなされている、こういうふうに考えているところでございますので、そうした方向で指導をしてまいりたい、こう考えているところでございます。
  140. 片上公人

    ○片上公人君 このような取り扱いが今までなされてきたことによりまして、納税者の側としては、縦覧しても適正な評価額かどうかというのがわからない、それでは縦覧してもしようがないという意味住民による適正なチェックが行われなくて、昨年来の伊勢崎市また八潮市のような自治体の課税ミスにつながったのではないかとも思われます。この点につきまして本会議では大臣の答弁がちょっとなかったもので、見解を聞かせていただきたいと思います。
  141. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ちょっと先に私の方から事実関係について、これは先般も当委員会におきまして御議論がございました。  伊勢崎市や八潮市におきます課税ミスは、実は評価の問題ではなくて小規模住宅用地に係る課税標準の特例措置の適用問題であったわけでございます。しかも、そのときも制度上の問題として申し上げたのでございますが、通常こうした特例の適用に当たっては、申告をしてもらって、その申告を要件として適用するというようなケースが多いのでございますけれども、事、固定資産税でありますから、それよりもやや親切に、申告はしてもらうけれども、申告がなくてもやはりこの特例は適用するという仕組みで制度ができております。  したがって、申告が行われなかったものについてその特例が適用されないという状態で法に反する、こういうものが出たわけでございまして、この問題は御指摘のとおり重大なミスでございますし、これについては住民の信頼を損なうものとして大変遺憾なことでありまして、調査を十分行って課税の適正化を図っていく、また申告をしてくださいということももっとしっかり住民にPRするということが必要でございます。  ただ、これは固定資産課税台帳の縦覧による問題とはやや別なことでございますので、納税義務者が固定資産課税台帳の縦覧によって本人の固定資産税課税標準となる固定資産の価格を知ることができて、不服がある場合には審査の申し出をする機会が与えられているということにかんがみれば、御指摘のような点から伊勢崎市等のような問題が生じているという、ちょっと別なのではないかというふうには考えます。  いずれにいたしましても、固定資産税評価や課税が適正になされますことは極めて重要なことなのでございますので、御指摘のような問題が発生しないように、今後ともあらゆる機会を通じまして適正な課税事務の執行につきまして市町村指導してまいりたい、県当局に対しても市町村指導を強めていただくようにお願いをしたい、こう考えております。
  142. 片上公人

    ○片上公人君 固定資産税評価につきまして、末端の自治体の間では公平を欠くような決め方をしていたのじゃないかという批判がございます。現にことしの二月二十六日の日本経済新聞では、富山県の砺波市と奈良県の大和郡山市の例が挙げられ、砺波市では近隣市町村、大和郡山市では同一市内の土地評価額の決め方に不公平があるとして住民が訴訟を起こした事例が挙げられております。その結果、富山県の砺波市と住民の間の行政訴訟は結局は住民と和解しましたが、市の方でも否を認め、次回、すなわち今回の昭和六十三年の評価がえの際はより適正かつ公平な課税に努めるという覚書を取り交わした。また大和郡山市の場合も住民側が勝訴している。これは大阪高裁昭和六十一年六月二十八日判決でございますが、現在最高裁で争われていると聞いております。  この二つの事例につきまして自治省はどのように考えていらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。
  143. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 砺波市と大和郡山市の事例は、ただいまも委員指摘のように、同じ評価均衡の問題ではございますけれどもケースが違うわけでございます。  砺波市の場合は、近隣の市と比較してどうも自分の市の評価水準が高いのではないか、こういう議論なんでございまして、この問題が生じましたときに県もこの問題についていろいろ聞き取りなどをいたしておりますが、砺波市の場合は市街地の面積が他の富山市とか高岡市と比べて非常に狭いために、その市街地的なところの評価額として見ればかなり高くなる、一方村落地区全体を入れた平均評価額で見るとかなり低くなって五割ぐらいになっている、その辺の見解の違いといいますか見方の違いのようなところもあるようでございます。しかしながら、この問題をめぐっての市内のトラブルというものが長期に及びましたものですから、ただいまお話のありましたような和解といいますか、そういうことがございまして、次回評価は一層注意してやります、こういうことになっておるようでございます。恐らくそういう対応が行われていると思います。  奈良県の大和郡山市の事例は、申立人の土地評価が他の特定の土地より高くなっているのはおかしいという主張でございます。これも県を通じまして市から事情を聞きましたところ、市で調査しました不動産鑑定士等の精通者の意見においても、駅へ近いとかいろいろな条件を考えると、比較している土地よりも利便性においてはすぐれているので評価の不均衡は生じていないのではないかというような意見もあるようでございます。しかし争っておられる住民の方は、道路の状況などは自分のところの方が悪いというようなことも御主張のようでございまして、そういった争いということであるようでございます。  いずれにいたしましても、土地評価の問題でございますから、そういったような個別一つ一つ非常に難しい問題が出てまいります。これは評価の能力、ノーハウというものを蓄積して、できるだけ不満とかあるいは納得のいかないというケースの幅を狭めていって精度を高める、そういうことではないかと思います。地租から賃貸価格の九百倍とかいうようなそういう数字でもって固定資産税制度が引き継がれましたときに、長い間評価がえというようなことは行われませんでしたから大変な評価の不均衡のままこの制度は出発しました。それ以後評価がえのたびごとにそれはだんだん是正はしてきているということでございますが、実はその是正自体がまた議論の種でございまして、そういったような問題も含めまして、税制調査会指摘されていますように、評価均衡化適正化ということを評価がえのたびごとに続けてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  144. 片上公人

    ○片上公人君 次に料理飲食等消費税についてお伺いしたいと思います。  料理飲食等消費税を徴収する際、一定額の免税点を置く店と全額を対象とする店の基準が都道府 県におきましてばらつきがありましたけれども自治省で新しい判断基準のガイドラインを示すことになったと報道されております。それによりますと、従来スナックの課税で判断が分かれていましたが、遊興の基準を、従来の「通常、婦女の接待を伴う行為」という定義であったのを「婦女の接待等享楽的雰囲気を醸し出す方法によるもてなしを伴う行為」に変更し、免税点を適用する店の基準についても新しい条件を定めたようであります。  そこで伺いたいのは、なぜこのような基準の変更を行わなければならなかったのか、新しい基準は今までの基準より明確なのか、この基準によって従来の都道府県のばらつきがなくなるのかどうかを伺っておきたいと思います。
  145. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま御指摘の点は、現行制度におきましても料理飲食等消費税につきましては免税点という制度をとっておるわけでございますけれども、その免税点というのは、食事を外でするという場合に、余りそう高くない食事については家庭で行う食事の延長である、あるいはそれとの均衡ということもあるということで免税点制度があるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘の遊興を伴うというような場合はすべて免税点制度の適用はない、それは家で食事をするという態様と違う、これが出発点でございます。  ところが遊興を伴う場合というのはどういうことかということで、これは事実認定の問題でございますからどうしても各県におきましてこれを執行するときに苦労が伴う、こういう問題でございます。遊興を伴うかどうかの認定は各県におきまして、例えば風俗営業の許可の有無だとか、あるいは設備の状況だとか、それから婦女等の接待の状況などを総合的に勘案しながら行っているわけでございます。多くの県におきましては、これも課税庁の長年にわたるノーハウの蓄積でございます。したがいまして、自治省が知っていること以上に課税庁の方が専門なんでございます。独自に作成した適用基準によって運用しているところでございますが、これにつきましては各都道府県間で取り扱いが必ずしも同一でないということがあるわけでございまして、そういう問題点も指摘されているところでございます。  そこで、現行の各県の基準を参考としながら全国的にほぼ統一した適用が行われるようなガイドライン的な基準というものをつくっていく必要があるのではないかということを考えて、各県の担当者で構成されます研究会を設けて検討をお願いし、鋭意それをやっていただいたということでございます。その検討結果がまとめられましたので、その内容をよく吟味いたしまして、全国的にほぼ同じような基準で免税点適用店舗に該当するかどうかという判断が行われるように各県に対してお示しをしたいということでこの検討を行ってまいるつもりでございます。現在そうした段階であるわけでございます。
  146. 片上公人

    ○片上公人君 料理飲食等消費税につきましては制度的にいろいろ問題が多いと思います。元自治省の税務局企画課長でありました丸山氏が「税」という雑誌の昭和六十二年十一月号で「料飲税の問題点と改革の方向」という論文で指摘しておられますが、その中で第一に、現行の免税点制度は合理的理由がないとされております。その理由として、チケット制食堂は現在チェーン店等の大規模店になっていて一品千円の免税点を導入する意味がない。また、この種の食堂で千円以上のものを多く取れば他の飲食店で二千五百円の免税点がとられているということと均衡を失する。すなわち、外食は金額の多少いかんにかかわらず自宅での食事と異なる、したがって現行の免税点制度を改めるべきであるというのが結論のようでございますが、自治省も同一の認識なのかどうか、お伺いしたいと思います。
  147. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 論文は自由な立場でもって御意見の発表があったものと思います。私どもは、免税点の制度というものはやはり零細負担の排除あるいは大衆負担の軽減ということを図るとともに、免税点制度というものは課税の簡素化に資する、これが非常に重要な目的だと思っておりますが、そうした目的で設けられたものでございまして、基本的には今後ともこの制度を維持していく必要があるというふうに考えております。  なお、その水準につきましては、このような免税点制度趣旨であるとか、あるいは所得、物価水準の推移というようなことを勘案して適宜見直しを行っていく必要がある、こういうふうに考えているところでございます。
  148. 片上公人

    ○片上公人君 料飲税の統計資料を見ますと従前の半分程度の税収入に落ち込んでおりまして、これは税率引き下げ、免税点、基礎控除等の制度の仕組みによるものだとされております。確かにそのような要因もあるかもしれませんが、むしろ課税の捕捉が最近困難になってきているという理由も考えられると思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。  以上でございます。
  149. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 料理飲食等消費税収入の都道府県税収に占める割合というものが非常に低下してきていることは御指摘のとおりでございます。これは一つには、都道府県税収の大宗を占めます道府県民税、事業税、法人住民税というようなそういう税金が非常に伸びが大きかったということがある反面でもありますが、間接税等の伸びが一般に低いということの一つのあらわれといいますか内容でもあるわけでございます。そうした一般的傾向に加えまして、料理飲食等消費税につきましてはたびたびこの免税点を引き上げるというようなこと、あるいは基礎控除という制度もございますが、これも引き上げるということを行ってきたために伸びが低位にとどまっているということがございます。必ずしも課税捕捉が困難なためであるということだけが原因であるとは考えておりません。  ただ、課税対象の捕捉をより適切に行うためには、特別徴収義務者の登録の慫慂に努めるとともに、不申告や過少申告に対しては適正な課税の運営を確保するためにやはり調査をやっていく、それによって更正とか決定を行って課税標準の的確な捕捉に努めるということが大切であると思います。全体として所得課税である所得税や法人税についても、よく国税でも議論されるわけですが、最近の課税対象の増大に対して調査能力というものが相対的に不足しているということもありまして、必ずしも十分な調査が行えていないということはあろうかと思います。そうした中におきましてもできるだけそうした調査を行っていく。  それからもう一つは、やはり料理飲食等消費税を適正に運営していくということの前提のためには、消費をされる方が公給領収証を受け取っていただく、あるいは公給領収証にかわるものとして課税当局が定めている領収証がございますけれども、そういう領収証を受け取っていただくということでこの税金は成り立っている、そういう基礎なのでございまして、ぜひ納税者の方々にもその辺の御理解をいただきたいものだと、こう考えているところでございます。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず最初に、他の法律による地方税法の改正問題いわゆる他法改正問題について問題の提起をしたいと思います。これは先ほどの理事会で理事の皆さんの御賛同を得て、きょうの委員会の前には、この国会での政府提出の十四法案の地方税に係る部分の法案についての要項は既に出していただいたわけであります。  この他法改正が最近ずってふえてきているんですが、例えば一例を申し上げますと、いわゆる民活法、これは昭和六十一年の第百四通常国会で成立をしていますが、その中で、特定施設の不動産取得税、固定資産税特別土地保有税、事業所税の減免措置を講ずる地方税法の改正が含まれています。この民活法は六十一年の国会で商工委員会で審議をされまして、そしてこの減免措置の創設については当地方行政委員会では全く審議の対象にならなかったわけであります。ところが、この国会に提出されて今審議されている地方税法の改正案の中では、この民活法に基づく減免措置の延長 と、それから特定施設に新しくインテリジェントビルを加えるという対象の拡大、この改正が当委員会の審議の対象になっています。ところが一方では、同じくこの国会に提出されている民活法の一部改正案では、この特定施設にさらに十三対象施設を加えて減免措置をやる、特別土地保有税、事業所税、こういうことで対象の拡大を行う地方税法の改正が提案をされて、これは商工委員会で審議を予定されています。  そうしますと、法案提出権は政府にありますから、地方税法の改正のところでやるのか、あるいは民活法のように民活法の中でやるのかという選択は政府にあると思うんですけれども、しかし同じ民活法の法案の中の地方税改正部分で、片一方は地行の方でやるし片一方は商工委員会でやるという状況が今くしくも起こっているわけですね。これは、こういう政策奨励措置としての税制改正というのが最近特にふえてくる、民活の活性化ということで、あるいは内需の拡大ということでこういうものが急増しているんですけれども、しかし当委員会としては、地方税制といいますか、あるいは地方税の体系、根幹について審議をしておって、片一方でよそのところでどんどん減免措置が拡大をされたりそういう新しい措置がどんどんつくられていくというそういう状態というのはどうもしゃきっとしない、問題があるのじゃないかというように思うんです。地方税地方団体の自主財源の中心ですから、それをどんどん他のところで減免措置が決められていくということが全く当委員会の審議対象にならなくていいのかどうかという点について、私はいろいろ疑問を持つわけです。  だからそれを解消するとすれば連合審査をちゃんとやっていくということもあるんですけれども、なかなか多いわけですからそうもいかぬ。ただ、それじゃ民活法の問題でいいますと、商工委員会で民活法の改正をやってそういう新しい制度をつくって、そしてそれに伴う税法改正の部分はこっちで地方税法で仮に一年おくれでやっても、現実には実際にそれほど大きな支障は起こらない。しかし、実際その事業を進めていく、民活法を実際に運用していこうとすると、そのためにはこういう税について特例措置がありますよというあめを提示しないと実際上事業は進まない、こういうことですから、あめを一緒につけないとメリットが出てこないというのが実態だろうと思うんですが、この辺について自治省はどういうようにお考えでしょうか。
  151. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま御指摘のような問題点につきましてはまさにそのとおりでございまして、私どもは、地方税の改正をすべて地方税法の一部を改正する法律によって行うということが、地方税制全体の関連も明らかでございますし、また当委員会での審査をいただくという点からも望ましいわけでございます。したがいまして、万やむを得ずといいますか、どうしようもない事情といいますか、そういったようなことで地方税法の一部を改正する法律の中で全体を立法化するということができずに各法の改正において地方税法の一部を改正するということが行われるということなのでございます。  これの一番の原因は、地方税法の一部改正法案の作成時までに税制上の措置の前提となる法制度の内容が確定していないということがございます。確定すれば、できるだけ早くその時点で政策決定を政府の内部で調整を済ませていただければ地方税法の改正案の中に取り込む、こういう姿勢でございます。しかしその制度の内容が確定しないということもございます。これらにつきましては結局他法改正として地方税法の一部改正を行わざるを得ない事情にあるわけでございます。従来もそうした状況にあるわけですが、特に数も多くなっているではないかという御指摘はそのとおりでございます。そういった事情にありまして、私どもとしても非常に苦慮しながらやむを得ないということでおるということを御理解いただきたいと存じます。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは当委員会でも我々としても検討しなきゃならぬ問題だというふうに思いますので、今回はとりあえず概括表を出していただきましたが、できれば今後はできるだけ早目にもう少し詳細なものを、あるいは自治省なんかでそれの減収額等もわかれば出していただく、そういったことも含めて御協力をいただきたいし、委員長、理事会でも、また来年出てくるでしょうから、改めてそういった面では御検討をいただくことをお願いしておきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  153. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 検討いたします。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に住民税の減税問題に移ります。  最初に自治省にお伺いしますが、平年度ベースで住民税の減税分、マル優廃止による利子割の増税分、これは地財計画分で結構ですが、その額と、それから固定資産税評価がえによる増税、これはそれぞれどのくらいになるか、まずお答えいただきたいと思います。
  155. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 六十三年度それから六十四年度住民税の減税につきましては、昨年の第百九回国会で地方税制の改正を行っていただいたわけでございます。この先般の改正によります個人住民税の減税規模は、六十三年度に五千億強の減税ということでスタートしますが、六十四年度の減税も含めますと、平年度ベースで約六千六百億円でございます。  それから利子割の増収でございますが、これは六十三年度地方財政計画ベースで約二千三百億円、平年度ベースで約六千五百億円でございます。  それから固定資産税評価がえによる増でございますが、土地評価がえに伴います固定資産税増収額は、ただいま御審議をいただいております負担調整措置適用後で昭和六十三年度において千二百七十六億円程度と見込まれております。
  156. 神谷信之助

    神谷信之助君 今の答弁で明らかなように、庶民にとっては減税が約六千六百億されてもマル優廃止で帳消しになってしまう。その上、固定資産税評価がえによる増税というダブルパンチになるわけです。ところが大金持ちの方は、最高税率は一八%から一六%に下がり、片一方マル優の廃止に伴って利子割の税率が、これは所得税、住民税あわせまして二〇%から一五%に下げられる。こういう点では、去年行った減税というのは大金持ちに大変な利益を与えるという点は地方税段階でも歴然としていると言わなきゃならぬと思います。ですから、今この国会でいわゆる税制改革、不公平是正の問題というのが大きな政治の重点になっているわけですが、増税なしの本格的な所得税及び住民税の減税というのをやるわけだし、したがって我が党も増税なしの三兆円減税というもの、これは所得税二兆二千億、住民税八千億、特に所得税の標準世帯の課税最低限を三百万円以上に引き上げるということを強く要求しているところであります。  そこでお伺いしたいんですが、標準世帯の所得税及び住民税の課税最低限と、それから住民税の非課税限度額及びそれに対応する生活保護基準額、これはそれぞれ幾らになっているでしょうか。
  157. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 標準世帯として税制の上で扱っております夫婦子二人のサラリーマンでございますが、その場合、所得税の課税最低限は二百六十一万九千円、昭和六十三年度分の住民税の課税最低限は二百二十六万一千円、それから、これは住民税だけの制度でございますが、非課税限度額は二百十三万五千円となっております。また六十三年度分の住民税の課税最低限に対応する生活保護基準は、昭和六十二年の生活保護基準でございますが、その基準額は二百十二万三千円となっております。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは予算委員会でも我が党が特に主張しておるんですけれども、生計費非課税の原則からいいましても、課税最低限、これは五十二年からでしたかね、よう覚えてないんですが、それから見ましても、少なくとも三百二十万円以上に引き上げなきゃならぬというのが物価上昇と比べての数字であります。ところが、その低い所得税の課税最低限と比べても住民税の課税最低限 というのは、去年の改正で引き上げたといいましても三十六万円ばかり低いという状況であります。なぜ住民税の課税最低限を所得税の課税最低限よりも低くしなきゃならぬのか、この根拠は一体どこにあるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  159. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 所得税の課税最低限は、どこの階層から上の方に国税である所得税として負担を求めるかという区切りでございますから、それ自体が絶対的な何か基準として住民税もそれに合わせなければならないという根拠のある基準であるとは考えておりません。  そこで、それでは住民税と所得税とで差がある理由は何だと、こういうことでございますが、住民税の方も、国民生活水準や納税義務者の割合だとか、あるいは税率構造の改正による税負担の変動とか、そういったようなものも考えながら課税最低限の引き上げ、各種控除の引き上げということは行うわけでございまして、これは昨年九月の地方税法の改正におきましても三控除二万円ずつ引き上げたということでございます。その結果、六十三年度分の住民税に係る夫婦子二人の給与所得者の課税最低限は先ほど申し上げましたとおりでございますが、それによりまして、現在では課税最低限は生活保護基準額を上回っているという状況にあるわけでございます。  そうした状況をも踏まえまして考えますというと、所得税と住民税とを比べまして、住民税はより広い範囲の方々に市町村財政を支えていただくということでもありますので、そこには差があってしかるべきではないか、こう考えているところでございます。いずれにいたしましても、現在税制調査会におきまして、所得、法人、資産及び消費課税等につきまして望ましい税制のあり方と実現に向けての具体的な方策について審議が行われております。そこで、個人住民税の課税最低限につきましてもこの審議の状況を踏まえつつ検討を行うべきものというふうに考えているところでございます。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 いわゆる住民税の負担分任の性格というものを踏まえてこういうものはできるだけ広く負担をしてもらうということ、そういう必要があるという趣旨だと思うんですけれども、それじゃ住民税にそういう負担分任の考え方を取り入れようとする場合、均等割税があるでしょう。均等割というものは言うなれば負担分任の考え方に基づくものでしょう。とすれば、所得割にさらに同じような負担分任の考えというものを導入しなきゃならぬというのは一体どこに理由がある、根拠があるという問題が起こってくるわけですが、どうでしょう。
  161. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 均等割という税金が負担分任の性格を持っているという御指摘でございます。それはそうだろうと思います。最もそういう性格を持っていると思います。しかし、この均等割がそういう性格を持っているのでそのほかの税はすべてそういう性格を持たざるべきであるというふうには私ども考えないのでございます。  特に所得課税であります住民税所得割とそれから所得税との関係考えますというと、やはりその所得に対する課税としての基本的な性格であります所得再分配という問題について、所得税と住民税には大きな差があるというふうに考えます。所得再分配ということを小さな地域的範囲の中の地方団体の問題として最終的にそういう問題を考えるということになりますというと、それは論理的にもやはりおかしい。そうした所得再分配という効果あるいは機能を非常に強く持つものは、全国的な基盤の中で所得税の負う任務ではないか。そうすると住民税はどちらかというとよりフラットに広く負担を負うという部分を担当する、こういうことになると思います。これがやはり住民税所得割の負担分任の性格ではないかというふうに考えているところでございます。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう理屈も出てくるだろうと私は思うんですよ。税の基本としては直接税中心主義で累進制をやることによって所得再配分機能をちゃんと働かしていくというわけですね。それから同時に生計費非課税の原則、これも再配分機能の一つの働きですね。だからそういう点ではこれというのは一つ全国的な数字でそれがやられる。それから、住民税は一地域を特定をしてやりますから所得再配分の機能というのはそれだけ所得税に比べれば発揮しにくいという理屈はわかります。しかし同時に、したがってその点を保障するというか欠陥を補うためにとられているのが交付税制度でしょう。そして、そういう点のそれぞれ地域的な財政力といいますか負担能力の差というものを調整しながら財源保障の機能というものを交付税制度に与えて、そしてその欠陥を保障してやっていくと、そういう一面も片方ではあるわけですね。という点が一つです。  それからもう一つは均等割というのがあるわけです。それで均等割も、これはできたときの議事録を見ますと、人頭割税だ、悪税ではないかという議論も大分やられていますけれども、できるだけそういうことを負担をしていきましょうということで、一番初めは百円か二百円ぐらいから始まっておると思いますが、それでずっと来て、今、府県民税と市町村民税合わせて最高三千二百円ぐらいですかね、そういうところまで来ているわけでしょう。そうなってきていますから、均等割の減免措置というのもやって生計費非課税の原則というのは貫こうという形にしながら、しかし、恩恵を受けながら広くそして薄くみんなで負担しあう、地方自治をお互いに責任を持つという観点から均等割というものができておる。  だから、その考えを所得割に持ち込まなきゃならぬという問題とさっきの論とはちょっと違うと思うんですね。均等割がなければそういうものをそういう形で織り込まざるを得ぬという意味もあると思いますけれども、そういう点について私はちょっと納得できないというように思います。  そこで、生活保護基準額さえ下回らなければ課税しても構わないという考えであってはならないという点は、この非課税限度額を導入して以来当委員会で議論をしてきたところで、これは窮余の策、苦肉の策として、とりあえずそうせざるを得ぬと、所得税の課税最低限と住民税の課税最低限との差があるところから、逆転現象をなくすために苦肉の策として非課税限度額がつくられてきたので、この辺はやっぱり非課税限度額制度そのものを今度はなくすということを、今税制改革の問題も議論になっているわけですから、こういった点についての検討はぜひやってもらいたいというように思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  163. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 非課税限度額の問題につきましては、課税最低限、各種控除をかなり上げたということであるならばこれを廃止していいのではないかという御議論はございます。しかしながら、私どもはこの非課税限度額をむしろ残していただきたいということでおりまして、そういうことで前回、昨年春の改革案の中でも非課税限度額は残してあるわけでございます。  どうしてかといいますと、これはやはり低所得者のための対策の手だてというものをここに残しておきたいということであるわけでございます。常にその財政状況が各種控除を引き上げるということにたえ得るということであるならばそれは一つの議論でございましょうけれども、同時に、この住民税というのは地方財政のいわば最も大きな柱になっております。そういうことを考えますというと、その両面から考えていった場合に、どうしてもやはり生活保護基準とぎりぎりのところの所得の人たちに対する配慮をしようとすれば、この非課税限度額の規定というものを置いておいて、そのときにはこの規定が働くようにしなければならない、こういうふうに考えてこの制度は存置するというふうに考えているところでございます。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ非課税限度額の制度をつくられたときからいくと大分考えが違うんですね。所得税の課税限度額とそれから住民税の課税限度額に差がある。そうなると生活保護基準との間に矛盾が起こってくる。あるいは逆転現象も起 こってくる。いわゆるボーダーラインで不均衡が起こる。だからそれを救済するための苦肉の策、窮余の策として非課税限度額制度というものを設けたというのがつくられたときの説明ですよ。去年の九月の国会でも私はその辺を言ったわけだ。  これをなくしてしまう。なくすということは、住民税の課税最低限を所得税並みに引き上げるということになれば要らぬわけです。これが低いからそういう窮余の策が要る。これをなくせばいいんです。残してほしいというのは、初めつくられたときの、もうしようがないからつくったというのとは全然違う、百八十度変わってしまうということになりますが、自治省はいつからそういうふうに変わったのか。所得税の課税最低限と住民税の課税最低限、これはどうしても差はつけなきゃならぬ、つけるのが当然だというように変わって、だからこれに固執するというか、これがある限りは確かに非課税限度額の制度は要りますよ、そうしないとおっしゃるように低所得者を救済できないですからね。だから初めの話と今の話ところっと変わっているように思うんですけれども、どうですか。
  165. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 委員御高承のとおりでございますが、この制度は所得税と住民税の課税最低限の格差から生じたということではなくて、生活保護基準と住民税の課税最低限の問題だったわけでございます。住民税の課税最低限というものを各種控除を上げることによってそこがカバーできるという状態が常に期待できるかというと、この問題は、地方財政の根幹である住民税というものをどう考えるか、そしてまたそこにどれだけの負担をお願いせざるを得ないかということとの調和といいますか折り合いの問題でございますから、そうなるというと、本来は各種控除の引き上げでカバーできればそれが適切であるかもしれないけれども、しかしながら、その場合それが不可能だからといって放置したのでは生活保護基準とぎりぎりのところの納税義務者の問題がある。そこに緊急避難の問題が出たわけです。  そういう状態が将来とも絶対ないとは言えないということは、やはり現在でもそうではないか。これは地方財政が非常に豊かであるという認識では私どもはないわけでございまして、そうするとそこのところでこういう制度を存置するということで、その点は緊急避難的であるとかいう問題とは矛盾していないのではないか。常にこの制度に頼って、この制度でやっていくということであるならばそれはちょっと違いますけれども、ただいま申し上げましたような趣旨でつくられた制度であり、また、そういう趣旨でこの制度が働き得るような余地をつくっておくことの方がそうした低所得者対策を可能にするということを申し上げておるわけでございます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 地方税部分だけをどう変えるかということだけでいくと、今の国と地方の税源配分の制度そのものをそのままにしておいた条件の中でいけば、それから少なくとも当分の間は地方財政の現状というのは非常に厳しいであろうという認識の上に立てば、そういうことになってきますわね。  しかし、この間の当委員会の審議の中でも私は言ったんだけれども地方財政の財源不足がもう今度は三年続いてくるんだから、交付税法の六条の三の二項に基づく制度改正を当然考えなきゃならぬわけです。今までのような糊塗的な手段ではぐあいが悪いのじゃないか。しかし地方税だけをなぶるわけにいきませんから、そういう点でいえば、国の全体の税制そのものも変えようという状況になっているんだから、そういう点では、地方税源はいかにあるべきか、国と地方との役割の分担とあわせて税源もどうするのかという問題は当然大きな問題として議論されなきゃならぬ。そういうことも含めて、実際仕事は七割、八割やりながら実質的には三割自治と言われるような今の状況というのは解決していかなきゃならぬという問題も、あなたが今のような問題をおっしゃるならば私の方からはそういう問題を提起せざるを得ない、こういうように思うんです。  ちなみに、非課税限度額を解消するのに一体どれぐらいの財源が要るか、あるいは所得税並みに課税最低限を引き上げようとすれば一体どれぐらい要るか、こういう点では財源をどういうように見込まれていますか。
  167. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 仮に今四人世帯である給与所得者で配偶者特別控除の適用がないという場合が想定されるわけですが、その場合の課税最低限は二百三万九千円になるわけですが、これを非課税限度額を上回るところまで引き上げようとした場合の所要財源は約千八百億円程度というふうに見込まれます。また、仮に住民税の課税最低限を所得税の課税最低限の額まで引き上げることといたしますと、基礎、配偶及び扶養の各控除についてそれぞれ五万円、それから配偶者特別控除について二万五千円の引き上げが必要となりまして、所要財源は約四千八百億円というふうに見込んでおります。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 住民税の減税をこの機会に大幅にやっていくということで、野党は八千億円の住民税の減税を提起しているんですけれども、それをやっていくとすれば、少なくとも今の、約五千億ですから、低所得者層の課税最低限を現行の所得税並みには引き上げることができる。それをさらに課税最低限を三百万円まで引き上げるというともう少し要りますから八千億、そういうことになろうかと思うんです。  それで大臣、これは予算委員会でも議論されましたし、あした集中で税制問題をやりますから私も質問しますが、例えば有価証券取引税の税率を、現行平均〇・〇五%ですけれども、これを一%上積みするだけでも数兆円の財源ができるわけですからね。いろいろ徴税技術の問題で大蔵当局が異論は言っていますけれども、それをやる構えならまたいろいろ方法は出てくる。その方法についても我が党は提起をしているんですけれども、そういうことをやれば、本当に困っている人たちについての、あるいは国民が、庶民が望んでいる減税の要求にこたえることができるというように思うので、こういう点についてはひとつぜひお考えをいただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  169. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 今政府税調でそれぞれの分野のいわばバランスを考えながら税制はどうあるべきかという御検討を願っているさなかでもございますし、また昨日与野党間の合意もございます。こういうものが完全に具体的な合意を見るならば、その方向に向かってひとつ公平な税制が敷かれるような努力を払ってまいりたいと思っております。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、当委員会なりあるいは予算委員会なりで堂々とこういった問題について、それじゃ財源をどう見るかということをお互いに議論し合っていく、そうやって国民の強い要求にこたえるような税制の改革というものを国民のわかる形でやるべきだと思うんですよ。しかし、残念ながら今、国会の審議はもうそっちのけで密室でやられていますからね。私はこれは国会自身の自殺行為だと、そういうように思っていますが、とりあえずこの問題はその程度にして、次に同和減免の問題について質問をしたいと思います。これはこの間予算委員会で我が党の佐藤昭夫議員が取り上げた問題ですが、時間がなくて極めて不十分でしたから、改めて私の方から質問をして自治省の見解というのを聞きたいと思います。  まず、同和減免を条例化している自治体数それから減免額、これを六十一年度と六十二年度でどうなっているかということを報告してもらいたいと思います。
  171. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) お尋ねの減免につきましては、条例化しております団体数については調査したことはございませんが、特別交付税との関連もございまして特に調査をしております固定資産税について申し上げますというと、昭和六十一年度におきましては減免額三十一億六千九百万円、それから六十二年度におきましては減免額三十億九千二百万円となっております。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 団体数は。
  173. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 失礼しました。  六十一年度の減免実施団体は五百二十二団体、六十二年度の実施団体は四百九十一団体というふうに報告されております。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 それに対する特交措置というのはどのようにされていますか。
  175. 津田正

    政府委員津田正君) 六十一年度におきます特交措置は、先ほど税務局長がお答えしました減免額三十一億六千九百万の三七・五%でございます十一億八千八百万円、先般決定いたしました六十二年度の特交におきましては、減免額三十億九千二百万に対して十一億六千万円の特交措置を講じております。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは市町村の場合は七五%の半分ということになりますね。  それで同和減免の、先ほど調査してないからよくわからぬとおっしゃるんですけれども、大体算定の対象税目ですね。固定資産税、事業税、自動車取得税なんかが中心になっていると思うんですが、そのほかは把握しておられますか。
  177. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 地方税の減免は、その地域の実情に応じまして地方団体が自主的な判断によりまして、公益上その他の理由によって必要があると認める場合に条例の定めるところによって減免することができる、こういうことになっているわけでございます。そこで、公益上その他の理由があるかどうかということにつきましてその地域の実情に応じて判断されるべき事項であると考えられますところから、減免の実施については基本的に地方団体の自主的判断にゆだねることが適当であるというふうに考えているところでございます。  お尋ねのいわゆる同和減免につきましても、その必要性、対象税目、実施方法等につきましては各地方団体が判断すべきものでございますので、調査を行っている固定資産税以外につきましては、どのような税目について減免が行われているか全体としては把握をしていないところでございます。かつて国会におきまして御指摘がありまして、特定の県下の市町村について私ども問い合わせもしまして把握した範囲内では、減免対象税目の調査といいますか、減免対象税目としてそのときに把握した内容によりますと、固定資産税のほか住民税、軽自動車税の減免ということが行われていたということが当時報告されて私ども承知しております。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 六十一年十二月の意見具申では地方税の見直しと適正化について指摘をしていますけれども、これはどう措置し、そして現在実施状況というのはどういう状況になっているのか、御報告願いたいと思います。
  179. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 昭和六十一年十二月の地域改善対策協議会の意見具申におきましては、同和関係者等に対する地方税の減免措置について、その見直し、適正化について指摘をしているところでございます。この意見具申を踏まえて立法されました地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の施行に際しまして、昭和六十二年四月、各省次官名で「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の施行について」を地方団体に通知したところでございます。この通知の中で「地方公共団体が独自に実施している関係施策についても、意見具申で示された地域改善対策事業の見直しの考え方を踏まえ、その見直しを行うとともに、事業運営適正化に努めること。」と指示したところでございます。  お尋ねの減免措置が行われている場合にも、地方団体の自主的判断に基づいて行われているものでございまして、それぞれの実情に照らし、またただいま申し上げました通知の趣旨を踏まえまして適切に対応されるものというふうに私ども考えているところでございます。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 適切に対応されているものと考えておると今言われた。実際はどうだったか、その実態は把握をされていますか。あるいは把握をするおつもりですか。いかがですか。
  181. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 減免の問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、基本的に地方自治体がそれぞれ自主的な判断によって、公益上その他の理由により必要があると認められる場合に条例の定めるところによって行うということでございます。したがいまして、個々具体の減免事例とかそういうものについて一律の指導を行うということは、事の性質上、その公益性の判断ということでございますから難しいことであるというふうに考えております。  私どもといたしましては、各地方団体に対しましてこの意見具申の行われた内容というものを徹底いたしまして、それぞれの課税団体においてそれを踏まえて対応をしていくということで進めるように指導をしてまいる、こういうことではなかろうか、こういうふうに考えているところでございます。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかし先ほど御報告があったように、固定資産税をいわゆる特交で措置をなさっているわけで、そうしますと、少なくとも固定資産税に対する減免措置、その内容、これはもう既に自治省はわかっているはずですね。そのわかっている内容から見て、意見具申に基づく、しかも自治省も一緒に連名で出したあの通達にある見直しと適正化、これに該当する見直しや適正化をする必要があるというように判断をするところはあったのかなかったのか。  自主的判断、自主的判断で自治省は知らぬ顔というような、そんな無責任でいいのかということです。現実にもう特交措置をなさっているんですから、固定資産税でどういう減免措置をやっているかということは当然御承知のはずです。三分の二減免措置をやって三分の一でよろしいとか、七割減免して三割でよろしいとかというようなのがそれぞれありますね。それが見直しをする必要がある実態なのかどうか、あるいは適正と言えるのかどうか、こういう点は全然みずからは判断しないということですか。
  183. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 公益性の判断、それからその公益を実現するためにどういう方法、手段が適切か、これはそれぞれの自治体の判断であると思います。つまり、問題解決、課題の解決のためにどういう措置をするか、あるいは減免の額もどの程度の額をすることが適切か、あるいはしないことが適切か、それはそれぞれの置かれている団体におきまして違いがあるわけでございまして、一律に多いとか少ないとか、あるいはどういう内容でなければならないとかということが決めがたいのがこの公益上の減免の本来の性質であるというふうに考えているところでございます。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 そんなきれいごとの答弁は私は許されないと思うんですよ。あの意見具申の作成には自治省の次官も参加してつくられた。  それで意見具申にはこうあるでしょう。「これまでの行政運営において生じてきた問題点を是正し、適正化のための具体的措置が講じられなければならない。この点については、昭和五十六年十二月の同対協の意見具申においても、同対法施行十三年の運用により生じてきた問題点の是正指摘されたにもかかわらず、」「この課題の達成は極めて不十分な状況となっていることは誠に遺憾である。」だから怠慢だと、その怠慢ぶりを指摘なさっている。六十一年十二月の意見具申で初めて見直しや適正化をやりなさいと言ったんじゃないんです。既にもう五十六年十二月の意見具申でもそのことは指摘したけれども一向に直っておらぬというて、自治省の次官も参加をした意見具申の中に明記をしているんでしょう。しかも、それをそのまま放置するということは新たな差別意識を生む要因の一つになっているんだということで、国税ではどうあるべきだということで四項目が出ていますね。そして最後の四項目目に、先ほどおっしゃったように「地方税においては、かなりの地方公共団体で、同和関係者等に対する減免措置が講じられているが、このような措置についてもその内容の見直し、適正化を図ることが望まれる。」とある。  だから、それは自治省からそういう通知を出したらそれでそれぞれが適当にやってくださいよと いうことで済まされるのかということです。自分も参加をしてそういう現状にあることを認識して、そしてこの意見具申をつくったんでしょう。この意見具申をつくったということは、そういう実態が市町村には存在をするということを知っているから出したんでしょう。ところが、それはそれぞれ勝手に自主的におやりになるでしょうと、そんなことが許されるのかということを私はもう一遍聞きたい。それはどうですか。
  185. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) そうした意見具申の内容というもの、それから意見具申が出されておりますこと、それを踏まえて見直しを行い適正化を図っていく、こういうことだろうと思います。それにつきましては私どももそうだということでございます。  ところが、それでは見直しをした結果どういう内容であるべきかということになりますれば、それは先ほど申し上げましたように、公益による減免というのは、やはりそれぞれの地方団体が一定の課題を解決するためにどういう方法、手段、減免であればどれだけの減免をどういうものについてどういうふうに行うかということも含めまして、地方団体それぞれの立場でもって判断をしていく、そういう事柄であるというふうに思いますし、そのことは変わらない。つまり、地方公共団体それぞれがこの意見具申というものをよく承知していなかったというようなことになりますと、これは私どもとしましてはいけません。したがいまして、国会終了後私どもは、伝達講習もありますしいろいろ講習会はありますから、そういった点で十分徹底をしていく。  それから、この意見具申というものの内容というものからいえば、後は自由自在におやりなさいということではない。しかし一律の基準というのはどうもやはり出ない。どういうことになるかというと、やはり言葉では「厳正に」とか「適正に」とかということになるわけです。厳正にとか適正にでは、私どももどうも指導として本当に市町村考えるときの指針になりにくいというふうにも思います。しかしながら率だとか金額とかというものは、現に全然おやりになっていないようなところもあるわけでございますから、その逆の話になりかねない。  やはり言えることは、地方税の減免措置については課税団体において内容に十分検討を加えて、こういう意見具申が出ているのだから検討を加えて、広く住民一般のコンセンサスあるいは合意が得られるようなそういう姿のものとするよう努めるべきではないか。それが適正とか厳正とかいうことではないか。これはやはり言葉は抽象的なんでございますけれども、何とかその抽象的ななりに市町村として考え方の手だてとなるような示唆というものはあり得るだろうか、そういうことは考えておるわけでございますが、とにもかくにも、まず意見具申の内容、意見具申があって、それを踏まえて十分検討を加えていくべきであるという点について徹底を図ってまいりたい、こう考えているところでございます。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間が余りありませんからなんですけれども、かつて五十六年の五月二十六日の当委員会で、一番最初にこういう減免措置がずっと広がっていった時期に論議をしたことがあります。当時石原さんや土屋さんが御答弁なさったわけですけれども、その当時は、何といいますか、減免措置をする特別の事由について、四十九年から五十年ぐらいまでの解釈では、負担能力のない者、そういう事態が起こってそういう状態になった者などを対象にするというのが地方税法解説書の中には書かれていたんですね。これは石原さんなんかが書いています。五十年から以降ぐらいの解説書にはそれが幅広くなってきて、もっと拡大解釈ができるように文面が変わったという点を取り上げてやっているんです。  そのときは、減免措置条例に基づいてやらにゃいかぬのだけれども、包括的条例が多くて、あとは要綱とか規則というのが圧倒的に多かった時期ですね。今は条例化しているところがずっとふえましたが、あのとき取り上げた大阪の市長会の問題や、それから茨城県やいろんなところは規則あるいは要綱でやっていて、条例は包括的な規定しかなかった。今はずっと条例化している。そういう状況にはなってきています。しかし、そういうものを認めざるを得ない、それは市町村の実態でありますからそうせざるを得ないんだという答弁なんですよ。  それで実態はどうだったのかといったら、当時解放同盟を中心にして要求闘争が広がり、そして差別糾弾が広がっていくという状況の中でそうやらざるを得なかった。一面同対審の答申で、地域における社会的経済的劣悪な条件の改善というやつがあって、それと相まって片一方ではそういう運動団体の行き過ぎといいますか不届き至極な行為があった。そういったものが十八年間経過をしてこういった意見具申が出てくる状況が起こってきたわけでしょう。  その意見具申の中でこう言っていますね。「地方公共団体の主体性の確立については、国は、積極的な助言、指導を行うべきである。」国の責任は回避することは許されないという趣旨の強い文言が入っています。これは私はそのときから指摘をしていたんだけれども市町村の自主性だということで、現実には現場ではもう締め上げられて困っているのを、自主性やからおまえさんらひとつ頑張りなさいという程度にしか言えない。そういうものに対して自治省自身が、あるいは総理府の同対室も含めて国自身が、そういう点で毅然とした態度をとれない。そういう状態が各地で、縁もゆかりもないのに四百万も金を取られた、大分県のある町なんかそうでしたね、四百万円もばっとふんだくられるというような事態が起こってくる。こういった状況がだあっと広がったわけでしょう。  だからそういう歴史をふまえて、今度は地方公共団体の主体性の確立については国は積極的な助言指導を行うべきだというように指摘したいと思うんですよ。さっき議長の御招待のパーティーで環境庁長官の堀内先生とお話ししておったんだけれども、やっぱりこの問題を解決していく上では、市町村が本当にしっかりしてくれればもうほとんど解決するんだと先生はそうおっしゃっていましたけれどもね。そうすると、市町村がしっかりしようとすれば、自治省がその点で本当に適正なそういう指導というものを自治体任せにしないで考えなければならぬというように思うんです。  これは単に行政的にできるわけじゃありませんから、大臣、この問題は本当に江戸時代以来の歴史の古い問題です。しかし差別をいつまでも許しておくわけにはいかぬ。経済大国日本だと言われながらこういった不当な差別がいまだに温存されていることは許されないし、今起こっておるような現象を許すということが新しい差別を生む、それを助長する要因になっているという指摘もされているわけですから、ひとつ自治大臣、この点について大臣の政治的識見も踏まえて決意のほどをお伺いして、もう時間ですから質問を終わりたいと思います。
  187. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) この問題につきましては、意見具申の趣旨に沿って今後とも適正化のために最善の努力をいたしてまいりたいと存じます。
  188. 抜山映子

    抜山映子君 最初に厚生年金のことをお伺いしたいと思います。  六十一年四月から実施した年金制度の抜本改正は、給付水準が下がったということで皆さん不安を持っておられるわけです。それで、段階的に下がっていくわけでしょうけれども、最終的にはどれぐらい切り下げになるのか、また十年ぐらい先ではどれぐらい切り下げになるのか、その点をちょっと明らかにしてください。
  189. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 厚生年金の年金水準でございますが、まず、さきの改革前の水準を申し上げますと、標準的な年金の場合で、現役の勤労者の方の平均標準報酬の六八%というのが改正時点の年金水準でございます。それで改正前の制度の仕組みによりますと、そのまま推移をいたしますとサラリーマンの方が加入する期間がふえてまい りますので、この六八%という水準の前提になっております加入期間は三十二年でございますが、これが四十年というふうに加入期間が延びてまいりますと、この六八%が八三%というところまで上がる構造になっていたわけでございます。  これを改正によりまして、既に確保されている六八%というものを切り下げないで将来の伸びを抑えるという形でございますので、改正後の姿というのは六八%水準を六九%水準に移動する、こういう形の改正を行ったところでございます。今後は、将来八三%になるであろう水準を約二十年間程度かけまして六九%水準に引き下げていくプロセスを経ることになっております。
  190. 抜山映子

    抜山映子君 そうしますと、仮に今、従来のままですと十年後に二十万の年金をもらう予定の人がおった、それが今度は大体幾らもらえると見込んでよろしいのでしょうか。
  191. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 途中の経過措置といたしましてはそれまで獲得してきた年金権は原則として保障をしていく形で、将来の加入期間について徐々に加入期間一年当たりの乗率というものを減少させていく形になるわけでございますので、将来の分について、先ほど申し上げました八三%から六九%という減少割合がかかることになります。したがって、先生のお尋ねの御質問はなかなか難しいわけでございますが、それまでの加入期間分のいかんによりまして減少割合が変わってくるということになるわけでございます。
  192. 抜山映子

    抜山映子君 非常に難しいわけですけれども、それでは、今六八%という数字を言われました。ですから非常に粗っぽく言いますと、仮に二十万と思っておってもそれの六八%になってしまう。大体三分の二ちょっとになってしまう。そういうように計算しますと、二十万ならば十五万かそこらになる。非常に粗っぽい計算ですけれども、わかりやすく言えばそういうように見込んでいい、こういうことになりますね。
  193. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) これから新たに年金制度に入るということで、ちょうど年金制度加入の入り口に立っていた方を想定いたしますと、おおむねおっしゃるような形になるわけでございます。
  194. 抜山映子

    抜山映子君 そのようにかなり水準が切り下がるわけですけれども、この水準の切り下げに並行して、企業年金とか個人年金とかという制度に対して税制上も奨励するような制度をつくらなくてはいけなかったと思うのですが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  195. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 私ども、前回改正の実施を昭和六十一年からいたしまして、この直後から次の企業年金、厚生省が所管しております厚生年金基金の改善問題の検討に着手をいたしまして、二年程度の検討を踏まえまして、今国会に厚生年金基金制度の改正案というのを二十年ぶりに提出させていただいたという経過でございます。
  196. 抜山映子

    抜山映子君 もう一つよくわからなかったのですが、要するに、このように厳しくなったのですから今度は自助努力によってマイナス分を補てんするようにしなければならない、これは当然だと思います。  それでもう一つ、国民年金と厚生年金を統合した結果、妻の基礎年金部分の五万円は妻が六十五にならなければ支給されない、こういうわけですね。これは本来理論的に申しますと、妻の年齢いかんによってもらえる年金が変わるというのは非常に理論的でない。若い妻をもらえばもらう年金額が少なくなる、こういうことでおかしいわけなのですが、その部分もこれからは補てんしていかなくてはいけない。そうしますとこれからは到底もう公的年金だけで老後の生活設計を立てるわけにいかない。そうしますと、どうしても企業年金とか個人年金に対する奨励制度をつくらなくてはいけないと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  197. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 基本方針としては先生のおっしゃる方向で私ども検討を進めているつもりでございます。  先ほど申し上げました厚生年金法の改正案でございますが、これは、前回改正を踏まえますと企業年金の役割がこれまでにも増して大きくなったという認識を持っておりますが、その企業年金、厚生年金基金の普及の状況というのが厚生年金被保険者全体の約四分の一になっているわけでございます。その役割を重視するという立場に立ちますと、一つのポイントは、この四分の一しか普及していない部分をもっとすそ野を広く中小の企業に働く方にまで普及を及ぼすということと、それから実際に厚生年金基金から支給される年金給付が魅力あるものになるようにするという両方の施策が必要なのではないかということを考えておりまして、そうした目標を具体的な施策に映した内容を含んだ改正案を提出させていただいているというところでございます。
  198. 抜山映子

    抜山映子君 ところで高齢者世帯の消費支出は月幾らぐらいでしょうか。単身の場合と夫婦の場合について、数字があれば教えてください。
  199. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 手元にあります資料でございます全国消費実態調査で申し上げますと、六十歳以上の無業の単身男子で申し上げますと約八万九千円、それから六十五歳以上の無業の夫婦が十五万八千円というふうに承知をしております。
  200. 抜山映子

    抜山映子君 それは比較的謙虚な数字で、非常に低く見積もったものだと思います。老後の生活費は、総務庁の昭和六十一年家計調査年報によりますと、高齢者世帯の消費支出は一カ月約二十二万五千円、こういうように出ております。ですからこうなりますと、年金が六八%ぐらいになってしまいますと、どうしても公的年金だけでは食べていけない事態が生じるということはもう明白だと思うのでございます。  ところで有料老人ホーム、これはいろいろピンからキリまであるかと思いますけれども参考までに、一、二の例で結構でございますが、入居金、それから入居してからの食事代、管理費なんかの例をちょっと御提示いただけませんか。
  201. 真野章

    説明員(真野章君) 有料老人ホームの入居者は現在のところ経済的には比較的恵まれた方々にお入りをいただいておりますが、それぞれのホームの立地条件その他によりましてその費用は非常に大きく異なっております。昭和五十六年以降設置されましたものでは、おおむね、入居一時金につきましては単身で一千万円から二千万円台、それから夫婦の場合で二千万円から三千万円台が多うございます。また入居後の費用につきましては、単身の方で月額大体十万円前後、御夫婦の方で月額大体十五万円から二十万円程度というふうに承知をいたしております。
  202. 抜山映子

    抜山映子君 今伺いますと、ホームに納めるいわゆる生活費が単身者で十万、夫婦で十五万、そのほかに当然身の回りの品を買うとかあるいは嗜好品を買うとか交際費とかいうことになりますと、さらにこれより五万円アップするであろうと考えなくてはいけない。いずれにしても、これから老後の不安を解消するためには個人年金とか企業年金とかいうものをもっと考えなくてはいけないという結論に落ちつくと思うのでございます。  ところで、この数字をはっきりさせるために、厚生年金は四十年加入のモデル年金でどれぐらいもらえるのでしょうか。
  203. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 六十一年度価格で申しますと、十八万五千円ということでございます。
  204. 抜山映子

    抜山映子君 十八万五千円だと、先ほど来数字が出ております、例えば老後の生活費は世帯で二十二万五千円かかるという、これには相当差がある。四万円足らないわけですね。老人ホームに入るといたしましてもやはり同じぐらい足らなくなってくる。こういうことで、ひとつ厚生省としてこれから真剣に老後の自助自立を助ける制度をお考えいただきたい、このように思うわけでございます。  ところで、諸外国で個人年金、企業年金についてどのような奨励策をとっておるか明らかにしていただきたいと思います。
  205. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 外国のことについて、手元にはアメリカとイギリスの関係の資料がございますが、基本的には、掛金を納める段階で所得の一定割合までの掛金については所得控除が認めら れるというふうな例が多いようでございます。アメリカで申しますと、自営業者の方に対するキオプランという制度もございますし、イギリスの場合には、やはり自営業者の方を対象とするSERAという制度があるようでございまして、それぞれ限度額は違いますが所得控除がされているというふうに承知しております。
  206. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、日本の個人年金につきましては控除の枠はわずか五千円ですね。生命保険の五万円の控除の枠を含めまして五万五千円でございます。ところがほとんどの家庭がもう既に生命保険に加入しておりますから、結局のところ個人年金の控除枠はわずか五千円にすぎない、こういうようになるわけですね。  先ほどアメリカとイギリスの例を言われました。アメリカの改正連邦税法、これは八六年九月二十七日上院で可決されておりますけれども、個人年金については単身者で二千ドルの控除がある。本人と働いていない配偶者の場合には二千二百五十ドルの控除がある。日本と比べて格段に多いわけでございますね。それからイギリスの方の個人年金に対する控除は、これは私も正確にはよくわかりませんが、純関連所得、ネット・レラバント・アーニングスとありますが、日本の所得と考えていいのだと思います。それの一七・五%まで控除する、こういうようになっておるわけでございまして、そのほか、フランス、カナダ、西独、いずれもほぼ似たり寄ったりの控除の枠を持っておるわけでございます。  ひとつこの個人年金の控除の枠を大幅に広げていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  207. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 個人年金と言われております商品は、郵便年金でありますとか個人年金保険でありますとか、あるいは農協や生活協同組合の共済でありますとか財形でありますとか、いろいろ関係省庁御所管の商品になっておりますので、基本的にはそれぞれの所管の省庁で方向を定められるものだというふうに考えるわけでございますが、厚生省年金局のスタンスで申し上げませば、こういった老後問題が厳しくなる中で自助努力で老後の備えをしていただくということに対して政府として支援をしていくというのは大変望ましいことだというふうに思っております。  厚生省といたしましても税制改正要望の中に個人年金の掛金控除の問題を取り上げてきていることでもございますので、関係方面と御相談しながらそういう方向で取り組んでいきたいというふうに思っております。
  208. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、個人年金をつくる場合に、仮に四十歳の男性が六十歳になったときに老後の足らない分五万円を毎月もらおうと思って個人年金をつくろうとしますと、もちろんこれは生命保険会社によっていろいろ違うと思いますが、月の掛金は大体幾らになりますでしょうか。
  209. 阪田雅裕

    説明員(阪田雅裕君) 先生御指摘いただきましたように会社によって若干の差はございますけれども、今生命保険会社が売っておりますタイプのもの、一般的には十年保障の終身個人年金保険というもので見てみますと、五万円ということを前提にしますと月額で二万三千円弱の掛金ということになるわけでございます。ただ掛金を払っております間にいわゆる配当がたまってまいります。これは将来のことでございますからいかほどになるかわからないわけですけれども、仮に六十一年度の配当率を前提にいたしまして配当がつけられるというふうなことで考えますと、この二万三千円の大体七割程度のネットの掛金、したがいまして月額約一万五千円程度の掛金になるというふうに試算されます。
  210. 抜山映子

    抜山映子君 そうしますと、一万五千円、しかし手元から出ていくのは当座二万三千円、一年間にいたしますとこれの十二倍でございます。そのうちやっと五千円しか控除できないというのでは、年金のレベルを下げたにしては余りにもお粗末な話ではないかと思うのでございます。  先ほどアメリカ、イギリスの例が出ました。アメリカで二千ドル、二千ドルと申しますと、仮に百二十円としても二十四万円控除できるわけですね。夫婦二人ならば五十万近いお金が控除できる。イギリスは一七・五%まで控除できるのですから、仮に五百万の収入の人であれば八十五万円控除できる。大変大幅に控除できるようになっている。だからこそ老後の不安が日本よりは少ない、こういうことが言えると思うのです。  ですから、もう一度お伺いしたいと思いますが、この五千円のわずかな控除額をもうちょっと欧米並みに上げることを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  211. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 個人年金の保険料につきましては、お話ございましたように、単独で五千円、生命保険料控除の枠を使えば五万五千円という制度があるわけでございますが、それは自助努力を奨励するとかあるいは相互扶助といったことを奨励するという観点から行われております。これをさらに引き上げよというお話でございますけれども、一つにおきましては、これはやはり公的な年金の上乗せとして行われる任意の個人の年金でございまして、途中解約をするといったような場合には元利金を一時金の形で受け取るということで、いわば貯蓄と全く同じ性格のものでございます。そういうことを考えますと、やはりほかの商品との関係負担の公平あるいは課税の中立性といったような点から慎重に考えるべきものだと思っております。  なお、アメリカ制度にもお話がございましたけれどもアメリカの場合には、掛けるときには所得には課税しないが後から受け取る段階では全額課税する、いわば課税繰り延べの制度でございます。そういった事情の違い等もあるということも一言申し添えさせていただきます。
  212. 抜山映子

    抜山映子君 それではお伺いしますけれども、ほかの国の、私はたまたま今アメリカとイギリスだけ申し上げましたけれどもフランスとかカナダとか西独とかがどういうようになっておるか、研究されたことはありますか。
  213. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) フランスにつきましては、所得からの控除の制度はないのではないかと思います。西ドイツにつきましては、一定の限度額で保険料控除という形の制度があるということを承知いたしております。またイギリスは、先ほどお話ございましたが、自営業者の退職年金制度、SERAというものでございまして、これはそういうタイプの職業の方に適用される制度ということで、一般の個人年金の商品とは必ずしも性格が同じではないと思います。
  214. 抜山映子

    抜山映子君 控除の制度については、今西独はおっしゃいませんでしたが、西独は、生命保険料と同枠で単身者で六千五百十マルク控除がある、配偶者のある場合には一万三千二十マルク控除がある、こういうことですね。カナダでも所得控除額が年間五千五百カナダドル、フランスでも単身者については年間六千フランが課税所得から控除される、こういう制度があるということで、どう考えても日本のは極度に見劣りしているということが言えると思うのです。これはぜひ検討していただきたいと思います。  今は拠出の場合の控除のことを申し上げたのですけれども、今度、もらうときに控除の制度を多少設けていただいているのですが、給付の場合にはどれだけ控除されるのでしょうか。
  215. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 個人年金を年金の形で受け取る場合には、その受け取った金額から拠出時の額等を引いて、その差額に対して課税が行われるわけでございます。一時に受け取るという場合には一時所得の課税ということになります。
  216. 抜山映子

    抜山映子君 拠出のときにまとめて拠出した場合については、給付のときにどういうことになりますでしょうか。
  217. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 拠出時にまとめて一括してお払いになって給付を受けるという場合にも、同じようにその拠出時の拠出額を期間で案分していきまして、給付段階でもらう給付からその一定額を差し引いて、残りについて課税が行われるわけでございます。
  218. 抜山映子

    抜山映子君 例えばもう退職間近になって、老後が不安だと、男性も七十五歳まで生きるように なったし女性は八十一歳まで生きるようになったということで、五十五歳で退職したときに、六十歳からもらえるように退職金の一千万円を拠出した、こういう場合、給付の際にはどれぐらい控除を受けられるのでしょうか、数字でちょっと示していただくと大変ありがたいのですが。
  219. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 一千万を五十五歳時で拠出されて、それで後、六十歳以降でもらわれるというような場合でございますが、これは拠出した段階の金額をどういうふうにして差し引くかというお話かと思いますが、その方が平均的な余命が何年あるかということに応じて差し引き額が決まるということでございます。
  220. 抜山映子

    抜山映子君 ちょっとわかりませんが、仮に六十歳からもらう終身年金にしたという場合についてお答えいただけませんか。
  221. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) その場合には、商品がございまして、その商品によりまして終身でどのくらいの収入を受け取るであろうかというのが決まるわけでございます。それに応じまして、一括で払い込んだ金額を終身でどのくらいの額に分けて差し引いていったらいいかという計算をして額を出すわけでございます。したがいまして、どのくらいの終身年金の額になるのかということがまずあって、それがもらう方でございますが、それから既に自分で払い込んだものはこれは引いてもらえるわけでございます。その引いてもらえる額が、その方の平均的な余命、この場合何年間もらうということが決まってないわけでございますが、何年ぐらい生きていてもらうであろうという平均余命に応じて拠出した部分は引いてもらえるということでございます。
  222. 抜山映子

    抜山映子君 今の質問は急に出した質問で失礼であったのですけれども、ひとつ後からでもサンプルでちょっと計算したものをいただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いします。  ところで、外国では企業年金についてどのような奨励措置をとっておりますでしょうか。
  223. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 国によって多少違うかと存じますが、大まかに申しますと、企業年金を運営するためのよりどころとなる法律を設けておりまして、その中でその企業年金のよるべき基準、どういうルールで運営しなければならないかというルールを決めておりまして、そのルールにのっとって運営される場合には先ほど申し上げましたような税制上の諸措置が講じられるという形で奨励をしているというふうに承知しております。
  224. 抜山映子

    抜山映子君 それと対比して、日本はどのようなことでございましょうか。
  225. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 先ほどお話し申し上げました厚生年金基金の場合でございますと、厚生年金保険法の中に基金に関するルールを決める条項を設けておるわけでございます。その上で、税の面で申しますと、入り口では拠出金について社会保険料控除の扱いをする、それから積み立てのところでは特別法人税について優遇措置を講ずる、そして給付時、年金としてもらう段になりましたら、厚生年金基金の給付につきましては公的年金と同様の取り扱いをするという措置を講じているところでございます。そのほか、若干でございますが基金の事務費について国の援助が行われているという形でございます。
  226. 抜山映子

    抜山映子君 外国では事業主が掛けました掛金については損金に算入しておるようですが、日本でその措置はとられておるでしょうか。
  227. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 厚生年金基金の掛金については同様の措置が講じられております。
  228. 抜山映子

    抜山映子君 それ以外はそういう措置はとられておらないということですね。  ところで、企業年金の加入者もどんどんふえ、個人年金の加入者もまたふえてきておると思うのですが、数字的に把握しておられますでしょうか。
  229. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) まず企業年金のうちの厚生年金基金で申し上げますと、加入者はここ五、六年の間大体三%ずつふえているというような状況でございまして、結果としては、厚生年金被保険者、サラリーマン階層と言いかえてもよろしいかと思いますが、それの約四分の一をカバーするようになっているという状況でございます。それからもう一つの企業年金でございますが、退職年金についても大体同じような加入員数があるというふうに承知しております。  個人年金については、残念ながら私ども数字を持っておりません。
  230. 抜山映子

    抜山映子君 ひとつ数字的にも把握していただいて、国民がどのように考えているか動向をつかんで、政府としても奨励策についていろいろお考えいただきたいと思います。  それでは地方税のことについてお伺いします。  昭和六十三年度地方財政対策の特色はどういうことでございましょうか。
  231. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和六十三年度地方財政対策の主な特色を申し上げますと、まず第一点としまして、厳しい財政環境の中で経費全般について節約合理化を図るとともに、地域の特性を生かした個性豊かで魅力ある地域づくりを推進するために必要な地方単独事業費の確保、対前年度一二・六%ほどの伸びを確保しておるわけでございまして、限られた財源の重点的配分に努めていることが第一点でございます。  第二点としまして、国民健康保険制度の見直し、それから国庫補助負担率の引き下げに伴います地方財政への影響額に対しましては、それぞれの地方団体財政運営に支障が生じないよう所要の補てん措置を講じております。  それから第三点としまして、国庫補助負担率の引き下げ等を行わない前提でのいわゆる通常収支というものは均衡する見通しとなりました。これを前提といたしまして、地方財政の中期的な健全化を図る観点から、昭和六十二年度補正予算におきます財対債の縮減、交付税特別会計借入金の償還を図ったほか、昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例措置額のうち返済を要する額の一部につきまして返済する等の措置を講じまして、中期的な健全化ということにつきましても配慮した措置を講じたわけでございます。
  232. 抜山映子

    抜山映子君 昭和六十三年度から、昨年の臨時国会で決定された初年度約五千億円の住民税減税が実施されるわけですが、その財源はどのようになっておりますでしょうか。
  233. 津田正

    政府委員津田正君) 昨年の臨時国会で成立いたしました地方税法の一部改正によりまして、昭和六十三年度におきましては約五千億円の住民税減税が行われるわけでございます。反面におきまして、利子割の創設によりまして二千三百億円の増収となる見込みでございます。  この個人住民税の減税と利子割の関係は、平年度におきましては個人住民税の減税が六千六百億、それから利子割が平年度で六千五百億、こういうふうに見合っておるわけでございますが、利子割は初年度でもございますので五千億に対して二千三百億円程度の増収、このような状況になっております。したがって、この部分におきましては二千七百億円の財源がないわけでございますが、幸いにおきまして景気の回復等による税の自然増収あるいは地方交付税の増等で地方財政運営に支障がないよう、先ほど申しましたように通常収支では地方財政収支が均衡する、こういうような状況で処理できたわけでございます。
  234. 抜山映子

    抜山映子君 六十二年度の約一兆五千四百億円の所得税減税に伴う地方税収への影響はどのように補てんされましたか。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
  235. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和六十二年度のいわゆる交付税三税の減税でございますが、今先生御指摘の所得税におきまして一兆五千四百億円、それからそのほか法人税で四千九百二十億円、合わせまして二兆三百二十億円の減税がされたわけでございます。しかし、六十二年度におきます国税三税も好調でございまして、こういうような減税をやりながらも交付税の基礎となる三税の増収額は、先ほど申しました約二兆をのみ込みましてさらに一兆七千百億円の増収が出まして、地方団体財政運営には支障がないような形で確保されたわけでございます。
  236. 抜山映子

    抜山映子君 昭和六十二年度における地方税の自然増収はどのぐらいと見込まれますか。その内訳はちょっと難しいだろうと思いますが、おおむねわかりましたら。
  237. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 本年度地方税の収入見込みでございますが、収入見込みにつきましては確定的なことを申し上げることはちょっとできないわけでございますが、これまでの税収動向から見まして、地方財政計画額二十四兆二千二百二十九億円を約二兆円上回る二十六兆二千億円程度になるのではないかということを申し上げているところでございます。内訳でございますが、県につきましては毎月の徴収実績をとっておりまして、それで一月分というのが出ております。そこで、このうち道府県税では約一兆三千億円ぐらい出るのではないだろうか、したがいまして市町村税で残りの七千億強ではないかというふうに見込んでいるところでございます。  なお、税目別で見ますというと、やはり法人関係の税金が非常に強いわけでございまして、法人住民税で五千億弱、事業税で八千億円弱ということがその主な内容となるというふうに私ども見込んでおります。
  238. 抜山映子

    抜山映子君 これはさらにわからないだろうと思いますけれども、株の取引とか地価の高騰によってどれぐらい出るかというのを、おおむねで結構でございますからわかりましたら。
  239. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) それは金額的には全くわかりません。ただ、先ほど申し上げました一月徴収実績というものを都道府県からとる場合に、事業税あるいは法人住民税などの伸びというものの理由といいますか、どういうところでその増収が生じているかということを聞いております。それによりますというと、昨年の後半あたりからこの一月徴収分に至るまで大体一貫してそうなんでございますが、やはり増収が生じている大きな理由の一つには、金融、証券、建設、不動産というようなところの法人所得の伸びということを、各県ともそう言っているところがかなり多いわけでございます。ただ、最近におきまして若干、製造業であるとかあるいは中クラスの企業におきますところの状況というものについても税の増収の要因として認識しているような、そういう空気が出ております。  したがいまして、本年度、六十二年度の増収につきましては多分に一過性といいますかそういったものがその内容になっているということで、私どもとしては来年につなぐ問題としてはそこの点では心配といいますか、一過性のものではないかというふうに考えるわけですが、後半だんだん出てきています製造業とかあるいは中堅クラスの企業にもそういう動向が見えているというところに希望を持っているという状況でございます。
  240. 抜山映子

    抜山映子君 昭和六十三年度住民税減税に伴う地方団体間の財政収入に及ぼす影響はいかがでございましょうか。また団体間の財政力格差は拡大しないでしょうか。
  241. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 昨年九月の税制改正におきまして個人住民税の改正は、税率構造の改正、それから基礎、扶養、配偶の三控除の引き上げ、それから配偶者特別控除の創設が大きな柱となっております。このうち、三控除の引き上げは全体的に及びます。それから税率構造のフラット化は、所得階層でいえば中堅、あるいは高所得者にももちろん及びます。配偶者特別控除の創設は共稼ぎの少ない地域により効く、当然そういうことになるわけでございます。  地域別にどういうふうに見るということはできませんが、これらの減税というものは結局のところ所得の比較的ある地域、そういう地域に効くということになるということは容易に想像されますので、改正全体としては若干地方団体間の住民税収を平準化する方に向かうというふうに見ていいのではないか、こういうふうに考えます。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
  242. 抜山映子

    抜山映子君 構造不況業種とかそれから輸出関連で非常に打撃を受けた産業の所在する地方、そういうところの税収の落ち込んでいる地域はどの程度見込まれておりますでしょうか。
  243. 小林実

    政府委員(小林実君) 構造不況や円高の影響を受けます輸出型産業に依存している地域につきましては、税収、特に景気変動を敏感に反映いたします法人関係税が落ち込んだり伸び悩んでいるというふうに考えられるわけでございます。  先生御存じの例えば相生とか西脇でございますが、全国の税収総額につきまして六十一年度の税収を六十年度と比較してみますと、全国では税収総額の伸びは七・二でございまして、このうち法人住民税の伸びは〇・四でございますが、例えば相生市では税収総額が二・六にとどまる。特に法人市民税におきましては三角の一八・一というような状況でございます。また西脇等におきましては、税収総額が三・五でございまして、法人市民税につきましては三角の九・〇%というような状況でございます。一般的に法人関係税を中心に伸び悩んでいるというふうに思われます。
  244. 抜山映子

    抜山映子君 そのような地域に対しましてはどのような財政対策を講じていただけますでしょうか。
  245. 小林実

    政府委員(小林実君) 当然のことでございますが、具体的なことで申し上げますと、例えば相生市の場合で言いますと、今まで不交付団体でございましたが六十二年度からは交付団体になりまして、約三億近くの普通交付税が行くようになりました。また西脇の場合で申し上げますと、市町村の普通交付税が、全体では四・七の伸びでございますが二七%近く伸びているわけでございまして、こういう仕組みで財源は保障はされておるわけでございます。  このほか、昨年で申し上げますと、五月に経済対策が決められまして、公共事業等の配分につきましてはそういう点も配慮して各省で配分をするということが考えられておりますし、自治省自身といたしましては、この不況地域につきましての経済活性化とか、あるいは雇用の確保のために経済活性化緊急プロジェクトという政策を掲げまして、地域総合整備債の充当その他財政措置を講じまして積極的に支援を行っておるところでございます。
  246. 抜山映子

    抜山映子君 ひとつこの点は、そういう手はずになっておりますということだけでなくて、早急に例えば公共事業の重点配分などについても考慮して、なるべく前倒しに前倒しにやっていただきたいと思うのでございます。実際に現地などを見ますと、相生にしても西脇にしても、商店街自体がもうみんなシャッターを閉めているような店が多くて死の町というような感じでございます。ひとつよろしく御配慮いただきたいと思います。  ところで、昭和六十一年度、六十二年度に講じられました国庫補助負担率引き下げ措置に伴う昭和六十三年度地方財政への影響額はどれぐらいでしょうか。そしてまた、その影響額のうち調整債という借金によって補てんされる額はどれぐらいでしょうか。
  247. 津田正

    政府委員津田正君) 昭和六十三年度補助金カットに伴う影響でございますが、六十三年度は新たなカットというものはないわけでございます。そこで、六十一年度にカットされた部分に対応する地方負担の影響額は一兆四千億円、それから六十二年度措置に伴います影響額が二千五百六十九億円、合わせまして一兆六千五百六十九億円、このような数字になっております。  それから、このような影響額のうち調整債という借金によって補てんされたものでございますが、これは六十一年度の引き下げによりますいわゆる経常経費分が三千九百億円、それから投資的経費の拡大事業分の地方負担が千八百億円、それから六十二年度の補助負担率の引き下げによります影響額のうち経常経費分が七十四億円、それから投資的経費の拡大事業分の地方負担分が七百億円でございまして、合わせまして六千四百七十四億円が調整債によって措置する、このような考え方でございます。
  248. 抜山映子

    抜山映子君 自治省として、調整債の償還が始まったときにはどのような補助策をとるのでしょうか。
  249. 津田正

    政府委員津田正君) 調整債の元利償還金につきましては、いわゆる臨時財政特例債とは異なりまして、将来国におきます交付税原資の補てん措置が約束されているわけではございません。しかし、これを含めまして増発されます地方債の元利償還金の全額を各年の地方財政計画のいわゆる歳出にきっちりと立ててまいりたいと思います。そして、歳出に立てることによって、もし不足が生ずるならば約束されました地方交付税の加算措置を考慮し、なお足らない場合には所要の財源措置を講じまして、全体としまして地方財政運営に支障がないよう図ってまいる所存でございます。
  250. 抜山映子

    抜山映子君 終わります。
  251. 秋山肇

    ○秋山肇君 今度の六十三年度予算の中で、固定資産税と都市計画税ですが、今論議しております負担調整率によって土地の減額は幾らですか。
  252. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) まず固定資産税で申し上げますというと、土地でございますが、負担調整措置によります減が三百三十六億、それから都市計画税で九十五億となっております。
  253. 秋山肇

    ○秋山肇君 家屋では新築住宅に係る軽減というので、木造と非木造、たしか木造が三年であったと思うんですが、非木造の方は何年で、どのくらいの軽減見込みがありますか。
  254. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま御指摘の家屋についての固定資産税の特例でございますが、新築住宅につきましては、木造の一般の家屋につきまして、百平米まででございますが、三年度分の固定資産税につきまして二分の一に減額する。それから中高層耐火建築につきましては、五年度分の固定資産税につきまして二分の一とする、そういう特例がございます。  新築住宅に係る軽減見込み額は、一般の新築住宅が五百三十五億円、それから新築の中高層耐火建築住宅が四百五十二億円でございます。
  255. 秋山肇

    ○秋山肇君 それで、土地の方が総額二兆一千三百七十二億円、家屋の方が一兆九千四百三十七億円で、これは前年度対比何%の伸びになっていますか。
  256. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 土地は六・三%、家屋は四・五%の伸びでございます。
  257. 秋山肇

    ○秋山肇君 そういうことですが、私は何でこんな回りくどい質問から入っていくかというと、土地は値上がりをしてきて大変皆さん方の負担が多くなるということで負担調整率で軽減をされているわけですね。ですけれども総額で見ますと土地と家では二千三百億ぐらいの差しかないんです。  それで家屋の評価というのはどういう方法でやっておりますか、その仕組みについて説明してください。
  258. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 固定資産税におきます家屋の評価は、地方税法第三百八十八条の規定に基づきまして告示されます固定資産評価基準によりまして行うこととされております。これは再建築費を基準として評価する方式がとられております。  固定資産評価基準によります再建築価格は、家屋の価格として基本的な構成要素であります屋根とか柱等の各部分価格を、再建築費評点基準表というのをつくっておりますが、この基準表に基づきまして一定の方式に従って算出しまして、これに時間の経過による減価率を乗じて求める、こういう方式でございます。
  259. 秋山肇

    ○秋山肇君 今御説明のあった自治省の定めた固定資産評価基準に照らして再建築価格を算出して、経過年数に応じた減価分を差し引いて評価額を決定する、これでよろしいわけでしょう。こういうのが基本なんですね。  それではその再建築価格の算出については基準があるわけですけれども、この辺の出し方についてはどうなんですか。
  260. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 家屋の再建築価格の算出は、自治大臣が告示します固定資産評価基準に基づいて行います。  したがいまして、あれは非常に厚い本になっておりますのでそれを簡単にということはちょっと難しいのでございますが、端的に申し上げますというと、評価基準に定めます再建築費評点基準表によりまして、屋根とか柱とか外壁などの区分ごとに家屋の建築に必要な資材費だとかそれから労務費を、一定ルールに従って積算されました標準評点数を用いて評価対象家屋に使用されている資材等に当てはめまして、施工料とか施工状況に応じて補正したものに、延べ床面積等を乗じて得た数値を合計いたしまして再建築費評点数を求めまして、これに時の経過による損耗の状況を考慮するための経年減点補正率を乗じまして、さらに、家屋の建築費に一般的に含まれる利潤とか設計監理費を家屋の価格に反映させるための一点当たりの価格というものを乗じたものがこの再建築価格となる、こういうことなのでございます。
  261. 秋山肇

    ○秋山肇君 今の御説明、どのぐらいの厚さか知りませんけれども、相当厚いものだと思うんですね。それを実際に評価の実務に携わる人たちが読みこなして適正な評価ができているというふうに思いますか。
  262. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 市町村職員評価を行うとき私も何度も立ち会っておりますしいたしておりますが、これは非常に的確に行われている、ほかの評価よりははるかに的確な評価である、こう考えております。三年ごと評価がえのたびに、日本建築学会等に委託いたしましてこの評価基準につきましても検討をいただくというようなことをやりながら今日まで参っております。そういう状況でございます。
  263. 秋山肇

    ○秋山肇君 それじゃ、平均するとどのぐらい研修をやられて実務に入っているんですか。これは専門職ですか。
  264. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 税務に携わる職員はそれぞれやはり先輩後輩の関係でだんだん仕事を覚えていくわけでございまして、非常に長年月の間の実務の中からそういったノーハウを積み上げる、こういうことになっているわけでございます。しかしまた同時に、一定のそうした知識を得ればその評点基準表というものを見ながら点数をつけていくことができるということにつきましては、あとう限りの配慮がされているようなそういう評点基準表がつくられている、こういうわけでございます。
  265. 秋山肇

    ○秋山肇君 だけど建築様式もいろいろ変わってくるわけでしょう。ですから、ここにも一例が出ているんですけども、例えば日本がわら特上で一平米当たり二万四千五百八十円、次は特で一万八千七百三十円というようなことで、屋根のかわらを見てこれは特上か特か並みかというのがわかるというのは、相当建築に携わっている人でなけりゃわからないですよ、それは。柱が何寸のヒノキの柱で幾らであるという基準が恐らくそれに出ているんでしょうけれども、それが見抜けるだけ、またそれで評価ができるだけの担当が、各都道府県、東京でいえば税務事務所にそれだけのベテランが私はいないというふうに思うんですが、どうでしょうかね。まあいないとは答えられないでしょうけれども、その辺の難しさをちょっと答えてください。
  266. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 大変難しいことではありますけれども市町村固定資産税の税務の職員はそういうレベルではかなりのレベルだと、それ以上のことを期待するとしても外部にもそういう能力はないということは言えると思います。  こういうことに携わっているわけでございますので、非常に微細な差は結局分けられないわけでございます。ただいま委員が御指摘のように、上、中、下とかそういう区分でいくわけですが、そういったことを、柱だとか外壁だとか屋根だとかそういったもの、あるいは開口部がどうであるとかということを当てはめによりましてその再建築価格を評定していきますというと、それは自分が評定いたしまして、この建物はどういう評定だ、この建物はどういう評定だとわかりますから、それによって自分がやった評定というものについての結果の検証も自分なりの総合判断でまたそこをやっていく。こういうようなことでその評価をやる人たちの評価能力というものが蓄積されていく、こういうふうに私どもは見ております。
  267. 秋山肇

    ○秋山肇君 大変難しいと思うんですね。  それで何でそんなことを私はしつこく言っているかというと、逆に言うと、家を建てる、工場を建てるというようなときに、見積もりをアイミツで入札させてやった場合、私は例も知っているんですけれども、自分の建てた金額より固定資産税評価の方が高く出てきているという例があるんですよ。この点についてはどう思いますか。
  268. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) そこがまさに取得価格による評価ではいけないと私ども考えているところでございます。よく知った人が建ててくれたから非常に質はいいけれども値段は安かった、こういうことでは固定資産税の課税は均衡がとれない。やはりそうではなくて、その人がどういう立場でその家屋を有利に取得したかとか、そういうことを一切度外視いたしまして評価をやっていかなければいけない、こういうことであろうと思います。
  269. 秋山肇

    ○秋山肇君 今度はその逆があるわけですね。それじゃ、今不公平の最たるものの中の、土地を売った人がすごい家を建てた。屋根がわらは特上を使っている、最高のものを使っている、そのような例えば八千万も一億もかけているような家をきちっと見抜けてこの基準に合った家屋の評価ができているかどうか、そういう今度は逆の面からいくとどうでしょうか。
  270. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) それは全部できているかという御質問であれば、私はちょっと答えるわけにはいかないと思います。しかしながら、現在考えられるあとう限りの能力ということを考えれば、市町村にそういう評価能力があります。したがって、期待される最善の状況を現在も実現しているということだけは申し上げられると思います
  271. 秋山肇

    ○秋山肇君 ですから両方言ったのは、安くつくって評価額が高くくれば必ず文句が出てくるわけでしょう。それで今度仮に一億円で建てたけど五千万の評価しか見てくれなかったら、これはその人はもうかったということでいるわけですね。ですから税の公平不公平というのは、午前中にも申し上げたんですけれども、やっぱりその辺の、細かいことであるかもしれないけれどもそういうところにあるんだろうと思うんですね。さっきから出ているように、固定資産税評価というのは公開をされていない、それぞれの人たちにだけしか通知がない。縦覧に行っても人のものは見られないわけですからね。  そういうことなんですが、それに関連して申し上げておきますけれども、そういうことで家屋の評価というのは大変難しいと思うんですが、それで今度は逆に言いますと、今のそういう再建築価格方式を原則としていますから、例えば十年たっても評価額が全然変わらないという例があるんです。こういうのはやはりちょっと、普通十年たつとかすれば償却が進んでいくわけですから、その辺についてのお考えはどうでしょうか。
  272. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 御指摘のような状況が生ずるのは建築費が上昇しているというときに起こる現象なのでございます。家屋の評価は、家屋を持っておられる方々のその家屋に係る資産価値に応じて負担をしていただこう、こういう趣旨でございますから、建築費が安いときにたまたまつくった、それから三年後高いときにつくった、そうしたら、高いときにつくった人の方が物は同じだけれどもより高い負担をしていい、こういう仕掛けにはならないのでございます。値段が安いときつくった建物でも、その時点におきましては、評価がえの年でございますけれども均衡をとりまして評価をしまして、そして水平的な均衡がとれるという方向に近づけていかなければいけない。それには再建築価格を基準として評定する方式が最も妥当である、こういうことで現在の方式をとっているわけでございます。
  273. 秋山肇

    ○秋山肇君 まあそれは私がだめだと言ったってそういう決まりなんですが、それじゃそのお答えでいきますと、普通、売買をするときに家の値段というのは固定資産税評価額ということじゃないと思うんですよ。時価といいますか、それが使えるか使えないかということによって決まるんですよね。それで相続税、これは地方税じゃなくて国税ですけれども相続税のときに建物の相続評価はどうかというとそれは固定資産税評価額そのままでしょう。それで土地公示価格と。その辺はどうですか。
  274. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 相続税の問題でございますので本当は国税当局からのお答えだろうと思いますが、たしか相続税におきましては、家屋の評価につきましては固定資産税評価額というものを基礎としているというふうに理解をしております。  そこで、その売買の価格ということからいえば、相当年限を経過すれば価値というものは売買価格としてはないではないかというお話でございます。それはそうなんでございますが、固定資産税の家屋という資産に係る負担均衡のとれた姿で求めるというときには、そこを、その家屋を使っておられる、建物でも工場でもあるいは住宅でもそうでございますが、使っておられるということが前提でございます。売るということになりますというと、買う人は、間取りが気に食わないとか、あるいは自分は外観も洋風の建築にしたいとかいろいろありますから、使用する価値といいますか、そういうものとは全然かけ離れてしまうわけでございます。  そこは財産を売って払うという税金で議論をする場合はちょっと違うかもしれませんけれども固定資産税は、それを使っていただいている状態の中で一体その資産価値に応じた負担をどう負担していただくかという問題でございますので、私どもは、やはりそれが建築された価格、それをその時点で再建築する価格、そこから経年減価をするということで横の公平が保たれる、こういうふうに考えております。
  275. 秋山肇

    ○秋山肇君 確かに固定資産税の決め方の基準というのは難しいと思うんですが、私は、今だんだん内需拡大で皆さんが建てかえをしている、戦後建てた家でももう三十年ぐらいたっているから建てかえるということになると、その時価といいますか、という方式というのを取得価格を基準にするということが必要だろうというふうに思うんですね。今土地については負担調整率だとかなんとか言って、土地は上がった上がったと言うから土地の方にばかり目がいっていますけれども、実際には家屋が下がっていかないんですよ。十年たっても下がっていかない、あるいは二十年たっても、今の説でいけばいつまでいったって、新しく取得するのにはこうだということになれば、同じというか、それこそ逆に言えば上がっていくということだって考えられるわけでしょう。上がるということはあり得ませんか。
  276. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 現在の評価基準では、基本の考え方は、委員指摘のように上がる場合があるわけでございます。ただ評価基準の特例のところを書いておりまして、上がる場合には原則的には据え置くと、そうしておりますから据え置きということになるわけでございます。  なお、確かにそういう建築物価が非常に上がってまいりましたから、過去の評価がえにおきましてはほとんどその減価ということが、減価はするけれども減価を上回る建築費の上昇があって価値がそれだけふえてしまうということでそれが相殺されるという形がきたわけでございますが、私ども見ますところ、この前の評価がえが六十年でございます、その前が五十七年、その前が五十四年でございますが、その辺から後の評価にかかった新造分の家屋というものは、それ以降の建築物価が比較的安定している状況にございますので、今回の評価がえにおきましてそのグループの木造住宅などではかなり評価額が下がっていくものがあるのではないか。かなりといいますか、五十七年ぐらいの評価にちょうどかかった新築住宅につきましてはその大部分がそうした状態にあるのではないか、こういうふうに考えております。
  277. 秋山肇

    ○秋山肇君 皆さん方お聞きになっていてどうお考えになるかわかりませんけれども、私はちょっとやっぱりおかしいんじゃないかなというふうに思 うんですよ。  大臣の選挙区ではないんですが、茨城県の筑波学園都市のあの辺へ行きますと、農家の人たちの土地固定資産税は、何町歩か持っているんだろうけれども、一万円ぐらいだと言うんです。それで家屋部分は幾らだと言ったら三十万だと言うんです。これは選挙区でも恐らくそういう話が出ているのじゃないかなというふうに私は思うんですが、大臣、私が今質問していたのが、別にこれがすぐに直るというふうには思っていませんけれども、ちょっと矛盾を感じるんですが、この点について大臣のお考えをお聞きして、質問を終わります。
  278. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 今秋山委員から御指摘がありましたように、固定資産税土地と家屋、その相対的な実勢価格とのバランスが逸しているという意味で、特に家屋に対するいろいろな問題があろうかと思うのですが、この資産評価意味ではよくわかるんです。実勢価格にスライドした方がいいだろうと言うけれども固定資産税というその性格を見ますと、やはり資産評価は公平でなければなりませんので、高くつくったか安くつくったか、あるいはいろいろな条件によって変わるべきではないという原則があるわけであります。  そういうことを踏まえながら、なおそういう秋山委員おっしゃるような住民感情があることもよく理解をいたしておりますが、税のいわば基準とも申すべき税の本体からお考えを願って、ひとつ御同調のほどを願いたいわけであります。     ─────────────
  279. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、吉川博君が委員辞任され、その補欠として宮崎秀樹君が選任されました。     ─────────────
  280. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  282. 糸久八重子

    糸久八重子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして反対の討論を行います。  以下、主要な反対理由を申し述べます。  第一に、本案においては、個人住民税の負担感が強まる中で、これを是正する減税が含まれておりません。我々野党三党は、六十三年度約三千億円の減税実施を要求し、三月八日の与野党国対委員長会談においては野党の減税は実施するという合意に達しましたが、政策担当者会議において自民党は、個人住民税は過年度課税であるから六十三年度における減税は実施できないなどと強弁し、六十四年度実施としていることは極めて遺憾であります。我々野党は、個人住民税の現年度課税化を主張しておりますが、現行課税制度においても六十三年度減税が実施できることは明らかであり、自民党が、自治省ができないと言っているとしていることは詭弁と言わざるを得ません。  また、小規模住宅用地の固定資産税額の据え置きについては負担調整で済まされたことも、国民生活を無視し、固定資産税の基盤をも危うくすることにつながると言えます。さらに、土地税制については土地神話を打破するような税制強化策がなく、いたずらに課税の特例を認めていることは、政府の土地対策に対する姿勢を如実に示しています。  第二に、地方税住民サービスを担う自治体の財源でありながら、国による多くの制限を受け、貧弱な税源に甘んじております。私たちは地方税源の拡充を主張しておりますが、本改正案においてもそうした改革案は何ら含まれておりません。  そればかりか、国税地方税合わせて八千億円余も租税特別措置が存在しているにもかかわらず、この是正が放置されたままとなっており、また、外国税額控除制度などの不備によって地方は大企業に対し莫大な税の還付を余儀なくされておりますが、これも何ら手をつけられていないことは極めて遺憾であります。  さらに、事業所税の課税団体の拡大、事業税における外形標準課税の併用も見送られていることは、税制が経済の実態と乖離していることを容認することであり、税制の矛盾が直間比率にあるのではなく政府の姿勢にあることを如実に示しているものであります。  第三に、地方税独自の不公平税制が存在いたしますが、その象徴が社会保険診療報酬の非課税の問題であります。所得税とは異なり非課税という特異な状態は政府税調においても再三問題になっていますが、六十三年度においてもこの是正が見送られたことは言語道断としか言いようがありません。  第四に、たばこ消費税の再三の延長は、いわれなき国による地方への財政負担の転嫁の帰結であり、このように一年ごとに延長させるやり方地方財政運営にとって有害と言わざるを得ません。  また、ことしも国保税の限度額引き上げが盛り込まれておりますが、国保に対する国の負担軽減と地方への転嫁を行いつつ被保険者に負担増のみを求め続ける姿勢は断じて許されません。特に、六十三年度における国保制度の改悪においては何らの理念もないものであることを強調しておきます。  以上が反対の主な理由でありますが、与野党国対委員長会談における合意に基づき不公平税制是正による地方税を含めた減税を実施し、国会決議、政府統一見解、選挙公約に反する政府税調の新大型間接税構想の検討を直ちに中止することを強く求めまして、私の反対討論を終わります。
  283. 出口廣光

    ○出口廣光君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対し賛成の討論を行うものであります。  本法律案は、最近における社会経済情勢等にかんがみ住民負担の軽減及び合理化等を図るため、個人住民税の優良住宅地の造成等に係る長期譲渡所得の軽減税率の引き下げ並びに三大都市圏の特定市の市街化区域における特別土地保有税の特例の適用期限の延長及び免税点の引き下げを行うとともに、土地評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の負担調整措置を講ずること、地方道路財源を確保するための自動車取得税、軽油引取税の税率等の特例の適用期限を延長すること等を主な内容とするものであります。  我が国の税制は、シャウプ勧告に基づく税制が施行されて以来三十有余年を経過し、税制のゆがみなどが顕著となり、税制の抜本的改革が最大の政治課題となっているところであります。昨年九月の地方税法の改正においても、個人住民税減税の実施、道府県民税利子割の創設等、地方税制の見直しを行ったところでありますが、今後の高齢化社会に向けた安定的な税体系を確立することは喫緊の課題であると思われます。  ところで、一昨年の都心のオフィスビルの需要不足等に端を発した異常な地価の高騰に対しましては、政府及び自治体においてさまざまな対策が講じられ、その結果、現在では異常な地価の高騰は一段落しております。しかし、地価高騰は完全に終わったわけではなく、高騰の一因となった制度の見直し、土地供給の促進、異常な地価高騰によって生じた住民税負担の軽減等の対策を早急に講じておく必要があります。  政府案はこのような要請にこたえ、地方税制上においても、前回改正の超短期所有の土地の譲渡所得に対する重課税などに続きさらに適切な対策を行おうとするものであり、時宜に適したものと言えます。特に昭和六十三年度は固定資産評価がえの年度であり、地価高騰を背景とした評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の税負担の増加を緩和することが望ましく、今回の改正は従来に比べより多くの納税者が負担調整措置の適用となるよう措置を講ずることとしており、適当なもの と考えます。  その他、政府案におきましては、第十次の道路整備五カ年計画に対応した地方道路財源の確保を図るほか、地方税制における特例措置の整理合理化等地方税負担適正化を図っており、現時点の改正としては妥当なものと思うのであります。  以上の理由により、私は本法律案に賛成するものであることを表明し、討論を終わります。
  284. 片上公人

    ○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして反対討論を行います。  以下、反対の主な理由を申し述べます。  まず、本法律案に反対する第一の理由は、今回の地方税法改正案においては国民の最大の要望である住民税減税が措置されていないからであります。現在国民が税に対し待ち望んでいるのが所得税、住民税を通じた大幅減税であることは、現在開催中の政府税調の公聴会において多数の陳述人が減税の強い要望を出されていることにより明らかであります。確かに、地方税においても昨年の地方税法改正で個人住民税減税を実施しましたが、その減税規模は当初案を相当縮小したものであり、本格的減税にはほど遠いものであって、満足できるものではないのであります。  政府は、減税財源が見当たらないことから本案に減税を盛り込まなかったとしておりますが、国、地方の税収入は引き続き好調であり、昨年に引き続いて六十三年においても大幅な自然増収が見込まれておるにもかかわらず、住民税減税を本法律案に盛り込まなかったことは納得できないのであります。  反対理由の第二は、国、地方の税源配分が依然として改まっていないことであります。今日の国、地方の税源配分は二対一であるのに対し、支出面では逆転しております。特に大都市においては増大する財政需要に対応できないのが実情であります。現行の国中心の税源配分を現状の財政需要に即して改革することが現在の地方行政の最重要課題であります。  これまで、我が党はその改革を強く主張してまいりましたが、政府は一向に改めようとする姿勢が見られません。早急に税源配分の見直しを実施するよう求めるものであります。  反対理由の第三は、国税の租税特別措置等に伴う地方税への影響及び地方税法における非課税等特別措置の見直しが行われていないことであります。今日の地方税制度は、国の租税特別措置により国税を減税した場合、地方税もその影響を受けて減税する仕組みになっております。我が党は影響を遮断する措置を強く求めてまいりましたが、政府はいまだその措置をとっておりません。  また、地方税法における非課税措置等特例措置の廃止は本法案においてはわずか三件であるのに対し、新たな特例措置の新設は十五件にもなっており、十分な対応がなされているとは言えないのであります。  最後に、今日の重要課題である税制改革についてであります。現在、政府税制調査会及び自民党税制調査会において審議されている大型間接税は、昨年の売上税同様逆進性を持つものであり、最終的には国民大衆に負担を転嫁するものであって、国民の意思に反することは明確なものであります。また、大型間接税の中で有力となっているのは一般消費税であるように言われておりますが、この税は昭和五十四年の国会決議において今後採用しないとされたものであり、このような税を再び持ち出すことは国会軽視と言わざるを得ないものであります。しかるに、政府においては「税制改革に関する有識者調査」を実施するなど大型間接税の世論づくりに躍起となっており、まことに許しがたい姿勢と言わざるを得ません。  以上の理由により私は本法律案に反対するものであることを再度表明して、討論を終わります。
  285. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本改正案が増税なしの本格的な住民税減税の実施を見送っていることであります。  所得税より一年おくれで今年度から実施されるマル優廃止抱き合わせの住民税減税は、私の質問で指摘しましたように、大金持ちには大変な利益となりますが、中、低所得者には何の恩恵ももたらさないものであります。そのため、今改めて増税なしの本格的な所得税及び住民税減税の実施が国民の要求となっており、我が党も増税なしの両税合わせ三兆円減税を要求しているところであります。  特に住民税は、生活保護基準との逆転現象を防ぐ非課税限度額制度がいまだに残っていることに示されるように、課税最低限の大幅な引き上げは急務でありますが、財政事情を理由にいつまでもその実施を見送っていることは許すことができません。  反対理由の第二は、固定資産税評価がえを容認していることであります。  六十三年度は都道府県の基準地価で平均一六・〇%の評価がえが計画されており、評価がえの凍結が住民の強い要求となっております。改正案は前回と同様に激変緩和のための負担調整措置を講じてはいますが、三年間で最高二・二倍の評価がえを認めるものであり、特に異常な地価高騰が続く都市部では住民の生存権、営業権を脅かすものとなり、断じて認めることはできません。  反対理由の第三は、国庫補助負担金の一律カットの穴埋め措置として地方たばこ消費税の税率引き上げの特例措置を三度延長していることであります。  補助金カットによる地方自治体への負担の転嫁を、さらにその穴埋めのために住民へ転嫁するものであり、国たばこ消費税と合わせれば住民への負担転嫁額は三年間で七千二百億円にも上っており、このような特例措置とその原因になっている国庫補助負担金の一律カットは直ちにやめるべきであります。  反対理由の第四は、国民健康保険税の課税限度額を三十九万円から四十万円に引き上げていることであります。  課税限度額を据え置くと低所得者の負担が増大するとの理由で三年連続で計五万円もの引き上げを行おうとするものでありますが、国保財政の悪化と保険料値上げの最大の原因である国庫負担金の削減には目をつむり、その責任と負担を被保険者住民にかぶせるこのような措置は到底容認することができないのであります。  反対理由の第五は、以上のような住民負担増となっている措置を講ずる一方で、従来からの大企業優遇措置の温存に加えて、民活法における特例措置に見られるように、大企業に対しては減免措置を延長拡大するなどの措置を講じていることであります。しかも、これらの特例措置が本委員会の審議を経ない他法の改正によるものが増大していることについては、審議の中で問題提起をしたところであります。  以上、本改正案に反対する理由を述べて、私の討論を終わります。
  286. 抜山映子

    抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。以下、反対理由の主なものを申し述べます。 一、我々は、主として住居費や教育費など負担の重圧にあえいでいる中高年齢者層の税負担の軽減を図るため、税率区分の見直しや基礎控除などの人的三控除の引き上げなどにより約三千億円の個人住民税の減税を求めたにもかかわらず、これが本案では見送られたこと。 二、同時に、近年の異常な地価高騰に伴い、三年ごと固定資産税評価がえに伴う急激な税負担の上昇から庶民の生活を守るため小規模住宅用地の固定資産税の軽減を求めたにもかかわらず、これが見送られたこと。 三、地方たばこ消費税の増税措置は、六十一年度において、六十一年度限りの措置として導入さ れたにもかかわらず、その後便宜的に延長し続け、本法律案においても六十四年三月三十一日までさらに一年間延長する措置が講じられていること。これは国民への約束を踏みにじるものであり、認められない。 四、今や自動車は保有台数が五千万台を超える大衆商品であり、自動車関係税制の根本的見直しが求められているにもかかわらず、それには全く手をつけず、道路財源対策を口実として、軽油引取税について本則税率より六二%も高い特例税率措置をさらに五年間も延長することとしたこと。これは取りやすいところから税を取るという政府の安易な姿勢を端的に示すものであり、絶対に認めることはできない。  以上の理由により反対を表明し、討論を終わります。
  287. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。それでは、これより採決に入ります。地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願いま    〔賛成者挙手〕
  289. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと、決定いたしました。  この際、佐藤三吾君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤三吾君。
  290. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブ・税金党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、地方税制の改革に当たっては、左の事項について早急に検討し、地方税源の拡充、社会的不公平の是正住民税負担の軽減等の実現に努めるべきである。  一 現在の地方財政の厳しい状況等を踏まえ、今後増大する財政需要に対応する行政機能の確立並びに国と地方及び都道府県と市町村の税源再配分について検討を加え、行財政基盤の強化に努めること。  二 個人住民税については、引き続き課税最低限の引上げに配慮するとともに、税率構造の見直し等中堅所得者層の負担の軽減を図ること。また、その課税に当たっては、地方税の自主性を踏まえながら、納税義務者の事務負担等を考慮した簡明な課税の仕組み等について検討すること。  三 事業税における社会保険診療報酬の非課税その他地方税における非課税等特別措置について、税負担の公平を確保するため、積極的に整理・合理化に努めるとともに、法人事業税の外形標準課税については、財源確保の安定化に資するためその実現に努めること。  四 国際化の進展に伴って採用された移転価格税制等の制度の適用により自治体の財政運営に支障を来すことのないよう配慮すること。  五 都市税源の充実を図るため、事業所税の課税団体の範囲の拡大問題について引き続き検討すること。  六 最近の地価高騰の状況にかんがみ、固定資産税の居住用資産等に対する負担軽減措置について更に検討すること。  七 地方道の整備水準及び地方道に係る特定財源比率の現状にかんがみ、地方道、特に市町村の道路目的財源を拡充強化し、地方道路整備の促進を図ること。  八 キャピタルゲイン課税については、所得税における課税の取扱いとの均衡に配慮しつつ、地方税制においても原則課税が行えるようその方策を検討すること。  九 所得税及び個人住民税減税等の税制改革の実施に当たっては、地方財源の不足を来さぬよう特段の配慮を払うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ皆さんの御賛同をお願い申し上げます。
  291. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいま佐藤三吾君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  292. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 多数と認めます。よって、佐藤三吾君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、梶山自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山自治大臣。
  293. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  294. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いまします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会