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1988-05-19 第112回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十七日     辞任         補欠選任      松浦 孝治君     河本嘉久蔵君  五月十八日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     田  英夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村上 正邦君     理 事                 大浜 方栄君                 梶原  清君                 藤井 孝男君                 志苫  裕君                 多田 省吾君     委 員                 井上  裕君                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 坪井 一宇君                 福田 幸弘君                 矢野俊比古君                 山岡 賢次君                 山本 富雄君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 本岡 昭次君                 塩出 啓典君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 吉井 英勝君                 栗林 卓司君                 田  英夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        大蔵政務次官   佐藤栄佐久君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省理財局長  足立 和基君        大蔵省証券局長  藤田 恒郎君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        大蔵省国際金融        局長       内海  孚君        国税庁次長    日向  隆君    事務局側        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        農林水産省食品        流通局商業課長  大矢 好信君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○金融先物取引法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいまから大蔵委員会開会いたします。  証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 丸谷金保

    丸谷金保君 まず、大臣にひとつ見解をお聞きしたいことがございます。  実はこの法案は、特に金融先物等についてはこの間レクをやったときにも、今度の法改正昭和四十年以来の大きな改正だということを言う人もおりましたので、それは違う、証券取引法の方はそういうことになっているけれども金融先物の方はこれは神武以来初めてできる機関設置する法律なんだから、これはとんでもない、あなたたち自身考え方は違うよと。証券取引所の一部につくるんじゃないんだから、だから本来からいうとこれは全く別な法律なんです、片一方は設置法ですし。そういうものをだんごにして会期がわずかしかないこういう時期に参議院に持ち込んで、しかも衆議院——本来二院制の中においてはその院が十分に審議したことを踏まえて、例えばこの法案について見れば、衆議院でどういう論議があったのか、そしてどういうところが詰めていないというふうなことを十分我々も知悉した上で本来審議にかからなければならないものなんです。それほどの大事な大きなこの法案をおととい趣旨説明して、そして参考人だ、きょうだ、ばたばたばたばたと、こういうことでは一体二院制というのは何なんだろうかという気がするんです。  結局、私たち衆議院でどういう論議をしたかに関係なしに同じような質疑を繰り返さなきゃならないことになるかもしらぬ。そうなりますとますます時間が不足してくる。だからそういう点も考えますと、これだけの法案をこんな時期に出して、大臣は今会期中にこれらが議了されるというふうなお考えを持って御提案なさったんですか。それからもう一つ参議院衆議院二院制のあり方の中において、全然そこら辺の検討の余地もないまま出てくる、同じ質問、同じ答弁を繰り返すのはやむを得ないと、こういうふうにお思いですか。この二点についてひとつ国務大臣としてでなくて、この法案提案した責任者大蔵大臣としてお答えをいただきたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 丸谷委員の御指摘のとおり、この法案は確かにまことに新しい画期的な施策を行いたいと考えまして御審議をいただいている法案でございます。殊に金融先物取引法案につきましては、金融先物取引というものを整備いたしたいと、我が国において初めてそういうことを考えておるわけでございますし、証券取引法の一部改正では、インサイダーの問題であるとかあるいはディスクロージャーの問題につきまして新しい措置を盛り込もうと考えておりますので、そういう意味では私どもにとりましても非常に大事なかつ画期的な法案でございます。  したがいまして、法案作成に先立ちまして金融制度調査会証券取引審議会、それから外国為替等審議会、おのおの別々の審議会調査会におきまして御審議をいただく必要がございました。それは御承知のように、証券銀行という業務の分離の問題が関係をいたしますものでなおさらそういうことでございまして、大変にそういう点でも難しい面のあった法律案でございますが、同時に、立法技術的にも先物取引等々についてはかなり法制局も苦労をしていただいた経緯がございます。これにつきましてのこの審議会等々の答申は、昨年の十二月でございますか、「金融先物取引整備について」の報告をいただいたというようなことがございまして、鋭意今日までこの国会に御提出すべく法案作成に時間と努力を傾けたわけでございます。  結果といたしまして、国会開会後かなりたちましてから御審議をいただくことになりまして、それはただいま申し上げましたような経緯でございましたのですが、さりとてもう一国会後に御提案をするということを考えますと、諸般の事情がかなり熟してもおりますので、できますればこの国会で御審議をいただきたいと、こういうふうに考えてお願いをいたしたところでございます。大変大事な法案でございますので、時間がかかりました点は、そのような理由でございますことを御 理解いただきたいと存じます。  なお、衆議院で先日御審議をいただきまして御可決上本院送付になったわけでございますので、どうぞその間の経緯も御勘案の上で御審議を賜りたいと存じますが、両院の審議等々の関連につきましては私がかれこれ申し上げるべきことでございません。ただ、政府といたしましては、できますればひとつ今国会において成立をさせていただきたいということを念願をいたしておりますので、どうぞその点もよろしく御検討をお願い申し上げたいと存じます。
  5. 丸谷金保

    丸谷金保君 できるだけ早く取引法をつくらなきゃならないという客観的な理由はわかるんです。逆にその点で言いますと、例えばシカゴその他に比べてこういう制度ができるのが十年以上もおくれている。遅きに失したくらいなんです。  逆に、御質問申し上げますけれども、なぜこんなに日本だけが遅くなったんですか。先物のあれが諸外国はどんどんどんどんシドニーにまでできているというような、あるいはイギリスアメリカ——大体イギリスアメリカがやれば、日本もそれを十分検討しているんだから、同じくらいにやらなきゃならないものが、なぜこんなにおくれたんですか。これは私の方で言う言葉でないかもしれぬ、勘ぐれば、証券金融関係とのそういう調整に手間取っておくれたくらいしか理由考えられないんです。まあそんなことはないだろうと思うんで、本当はどうしてこんなにおくれたのか。そして出すなり早くやってくれということですよね。だからおくれた方の理由をひとつ——審議会がおくれたなんということにならないですよ。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは法案を御審議いただきますと御了解いただける点があると思うんでございますけれども先物取引等々そのものはある意味もろ刃のやいばというところがございまして、これで実はいわばリスクをヘッジするという、そういう機能を持つわけでございますけれどもリスクをヘッジするためのものがかえってリスクを増大させるのではないかという議論も御承知のようにかなり幅広くあるわけでございます。アメリカの場合などはいわば自然発生的にできて、シカゴなどは早くできたようでございますけれども、そういう状況の中で我が国としてどうすべきなのか。これは私が申すのでない、一部の批評する人から言えば、これは一種のカジノを合法化するようなものだという批評すらあるような、ある意味もろ刃のやいばの性格を持っておりますから、そこのところはやはりどうすべきかというのは相当に議論のあったところでございます。  結局、どうしてもこういうことが国際的にもこれだけ広く行われてくれば、いわばこれは必然であろう。必然であるとすればこれは一つの、これも表現が悪うございますが、おりの中といいますか規制の中に入れて、そして不正なことが起こらないように、また善意人々が思わない損失を受けるといったようなこともないように、やはりこれは規制をした上で合法化と申しますか制度化する方がいいのだろう。ほうっておけば、かえってそれは善意人々にいろいろな損失をかけたり、あるいは金融秩序を逆に壊すようなことになるかもしれないというところで踏み切ったわけでございます。  そういうことにつきましての御議論は各審議会調査会で随分ございまして、そういう論の方々のおっしゃることにも決して無理からぬところがあったわけでございますから、結局それらを勘案いたしまして踏み切った。外国がやっているから単純に日本もまねをすればいいだろうといったようなことではなく、いろいろなことを、メリット、デメリットを考えました末に決断をいたした、こういう経緯でございました。
  7. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、私は外国がやっているからやらなきゃならないんじゃないかというふうなことを御質問しているんじゃないんです。外国では早くいろんな制度が進んでいったのに、日本がこれだけおくれた。おくれて、今度は急いで決めてくれということでしょう。それだからおくれた理由は何だと、どうして日本はおくれたのか。もろ刃の剣だから十年間いろいろな角度で検討したということではわかるんですけれども、そういうことなんですか。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 十年間とは申しませんけれども、そういうことでございます。我が国としても、これを制度化すべきかどうかということはやはり随分に議論のあったところでございますから、その見きわめをつける必要があったということでございます。
  9. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、会期末わずかという時期に出して、もろ刃の剣であるというふうないろんな問題もある、これらを十分国会の中では審議する時間が必要なんじゃないですか。  そうすると、大臣の言うように十分審議会その他でもいろいろ検討した、これは政府の中のことですよね。そっちの方は随分やったんだけれども、我が方だけは早く通してくれというのはおかしいじゃないですか。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 行政府といたしましては、国会に御提案をいたしましたので、願わくはひとつ速やかに御可決をお願いいたしたい、こう念願をいたしておるわけでございますけれども、もとよりそれは国会の方の御決定次第でございます。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 政府の方で慎重に検討検討を重ね、審議会等でも議論したんだから速やかに御賛同くださいということだと思いますが、どうも私はわからないところたくさんあるんです。ですから、わからないことを聞くので、こんなことわからぬかというふうに笑わないでひとつ御答弁を願いたいと思うんですが、例えば金融先物取引法案の第一条、「金融先物取引所制度整備するとともに」とある。これは答申の方でも「金融先物取引整備について」とありますから、これを受けたのかなと思ったんですが、こっちは取引所なんです。こっちは取引整備なんですよね。明らかに全然違うことですわね。この一条の「目的」というところは取引所設置するということなんです。  この整備をするという場合に、これは素人考えなんですが、例えば自動車、故障したときには修理ですわね。故障しない前にある程度使ったら法でも決めて車検というふうな整備をやる。これは整備です、故障しないうちにね。しかし、そのときには物があるんです。ところが、新設する取引所というのはまだないんですよね。まだゼロなんです。ゼロのものを整備するというのはどういうふうにやるのかな。証券取引法の方の整備はわかりますよ、これはもう既にあるんですからね。これからつくるものを直さなきゃならぬというのは、金融先物取引、いろんな形で行われているやつをこの法律できちっと整備してちゃんとしたものにするんだというんならわかるけれども取引所整備なんです、この目的は。  何ぼ読んでみてもよくわからないんで、どういうことなんでしょうかね。これでいいんでしょうか。まあ皆さんが決めたならいいと思うのですが、私にはどうもよく読み切れない。これは整備新設でないのかな。金融先物取引所新設のためにする法、設置のための法律であって、設置法でないのかなと思うんですが、整備のためにということになると何か、取引所があればいいんですよ。くどいようですが、この点ひとつよくわかりませんので。
  12. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) この場合の言葉の解釈の問題でございますので、私の方から御答弁申し上げますが、金融先物取引所整備ではございませんで、制度を整え備える、こういうことでございます。そして、諸外国には既に御存じのように金融先物取引所的なものがあるわけでございますので、したがってそういうような制度を整え備え、新たにつくる、こういう意味で書いておるわけでございます。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 だんだん余計わからなくなってきたんですが、読みますと、「金融先物取引所制度整備する」とあるんですが、制度があれば整備できるんですよ。金融先物取引所という制度は これからつくるんでしょう。金融先物ならわかりますよ、いろいろあるから、金融先物取引所制度整備するんですから。まだ制度がないのにどうやって整備するのか、ここがどうもね。
  14. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 既に諸外国にこれと類似の制度等がございますので、我が国においてもそういう制度参考にしながら、整え備える、こういう意味でございます。
  15. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっとわからないんですが、わからないけれども、それ以上の答弁はないようですから。  それから、同じところに、この答申の中にもあるし、法案にも出てくるんですが、指数のとり方なんです。これはたしか証券の方にございましたね。二条の十四項ですか、「有価証券指数等先物取引とは、」とこうある。「当事者があらかじめ有価証券指数として約定する数値」と、こうありますね。あらかじめ有価証券指数を決めておくということだと思うんですが、そうなんですか。それは証券の方ですね、二条の十四項。
  16. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) ただいまの御質問証券取引法改正案第二条十四項の件だと存じますけれども、これにつきまして、この「有価証券指数」と申しますのは、例えて申しますと日経平均株価指数のように二百二十五種の株価単純平均考えております。  そういう意味で、この日経平均一つ指数として当事者決定をいたしまして、それを取引方法その他につきまして証券取引所が定めて、それが投資家保護その他に問題がないかということで大蔵大臣承認を得て上場されるというふうに考えておるわけでございます。
  17. 丸谷金保

    丸谷金保君 すると、結局これはあらかじめ大蔵大臣承認を得てそういう指数を決めるということですね。  それで、例えばこの答申の方を見ますと、この指数の決め方、例えば「一九八〇年代には、S&P五〇〇株価指数に代表されるようないわゆる指数物が上場される」とこうあるんですよね。ところが、これは必ずしもここに言う五百社の指数で決めるということでなくて、例えばダウ平均だって指数一つでしょう、いろいろありますわね。そうすると、これだけ読んだのでは一体どういうものを使うのか、「あらかじめ」とあるからにはあらかじめもうわかってなきゃならぬと思うんだけれども、ちっともわからないんです、これ。これはどういう指数で決めるんですか。
  18. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) その指数作成の仕方につきましてはいろんなやり方があろうかと思います。S&P五〇〇のように、スタンダード・アンド・プアーズという会社が五百あるいは百の銘柄を選びまして、それを指数化してその指数をつくり上げるというやり方もございます。  ただ、私どもが今考えておりますのは、既に一般に周知されております日経平均とか東証株価指数とか、そういったものを考えているわけでございますが、これ以外にもいろいろ指数のつくり方というのはある。その指数をつくる場合に当事者があらかじめつくる、これはどういうものができるかということにつきましては、この当事者がどういうものをつくるかということにかかっておるわけでございます。ただ、当事者がつくったからといってすぐその指数取引されるわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、投資家保護観点から問題がないかということを大蔵省審査いたしまして、その審査をした上で証券取引所に上場されて取引をされるということでございます。
  19. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、これは金融取引所なり証券取引所自分たちでこういう指数を使うというのが出てきたときに判断する。したがって、商品としてはこれからいろいろ出てくる可能性がある、こういうふうなことなんですか。まだそれは出てこないからわからない、出てきたときに考えるということですか。
  20. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 先ほど申し上げましたように、指数のつくり方にはいろいろございます。ただ、今考えておりますのが東証株価指数とか日経平均であるということでございまして、将来どういうものが出てくるのかどうかということにつきましては、まあ正直申し上げて、まだわからないと言ってよろしいのではないかと思います。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 ダウ平均指数というのが商標だとか公共性があるとかというて前に裁判ありましたね、あれはどうなったでしょうか。
  22. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 公共性とかいうことは私も存じておりませんけれどもダウ平均指数と申しますか、今、日経平均株価と言っておることだと思いますけれども、これにつきましては一定の基準に従いまして計算された指数であるという意味で、これが公共性があると申しますか、その公共性という意味にもよるかと思いますけれども、一般的に広く用いられている指数株価水準をあらわすものの一つ基準であるというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうなんですけれども、それを商品として取り扱う場合の基準にする場合に、ダウはおれが考えたんだから勝手に使っちゃいけないということで、たしかシカゴですかどこかで裁判があって、もうそれは終わっているころだと思うんですがね、随分前の話ですから。それはどうなったか御存じないですか。
  24. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) たしか御指摘のございましたように、ダウジョーンズ社日経平均とはちょっと違います。ダウジョーンズ社ダウ平均株価のことをおっしゃっているんだろうと思いますけれどもダウジョーンズ社自分のところでつくっておりますダウ三十種の平均株価、これを先物に使われるのに反対したということはあるようでございます。したがいまして、シカゴ等先物取引所におきましてはこのダウ平均三十種の株価を使わずに、S&P五〇〇とかS&P一〇〇とかそういったものを株価指数として使っておるというふうに聞いております。
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は裁判の結果がどうなったかを聞いたので……。
  26. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) どうも失礼いたしました。  訴訟はダウジョーンズ社が勝訴したということのようでございます。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますとね、これはあらかじめ法律ができる前にこういうのを使うということがわかっていませんと、例えばいろんな指数ができますよね、バイオ関連指数だってありましょうし、今現在使われているので住宅着工指数ですか、住宅債券か何かのね、そういうのはアメリカで行われておる。だから、いろんな指数というのは、そうするといろんな商品ができてくるでしょう。  そうしますと、例えば私がこういう指数ということで新たなバイオテクノロジー関係指数をつくってそれを公表して、そういうものを使うのはけしからぬという差しとめ請求が出たりなんかした場合どうなりますか。商標特許取ってなければ問題にならないということになりますか、どうですか。あるいは方法特許か、商標登録か。
  28. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) この指数と申します場合に、指数作成を行うものはいろんな機関があろうかというふうに思います。  例えば、例に挙げられましたバイオ、恐らくバイオ銘柄を集めた株価指数のことではないかと思いますけれども、そういったものをだれかがつくるといたします。この指数につきまして投資家のいろいろな需要も高い、しかもその指数を使っても投資家保護にも影響がないというふうに判断いたしました場合に、例えば東京証券取引所がこれを上場したいというふうにいたします。そういうケースにつきまして、まず東京証券取引所は、その指数をつくりました、Aという機関なら機関といたしますけれども、その機関と交渉いたしまして、その指数を使っていいかどうかという契約を結ぶわけでございます。その契約が成立いたしませんと、当然のことながら上場できないわけでございますが、私どもの方の上場審査に当たりましては、そういう契約関係がちゃんとしているかど うかということも十分チェックをしてやっていくということでございます。
  29. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういう場合に、契約が成立したとしますと、手数料というか何といいますか、その使用料ですか、そういうものを例えば何%とか〇・〇〇何%とかというふうな、そういうものについてはどの程度までで抑えるというふうな政令なりあるいは何なり考えていく、そういうお考えございますか。
  30. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) その辺はこの法律政令には規定はしておりませんけれども、むしろ取引所が、例えばその使用料が非常に高いというような場合はこれを上場しても十分採算がとれないとかというような観点、いわゆるフィージビリティーの判断から決めていくべき問題ではないかというふうに思います。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、それは法律規制することでなくて契約によって決めていくことだというようにして、国はそういうことには干渉していかないと、これは非常に大事なことなんで、そうしますと、張り切ってそういうことを、一生懸命に指数考え出そうと。今度は逆に言うと、あるいはいい意味では刺激することになるかと思いますけれども、それが行われて新しいこういう商品を開発したからどうだ使わぬかと、そして取り扱い料を幾らにするというふうなことがどんどん起きてくるかもしらぬ。むしろそういうふうに任せるというように理解してよろしゅうございますか。
  32. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 具体的にどの指数を使うかどうかということにつきましては、もちろん取引所指数をつくっている者との契約でございますけれども、私どもの方としては、その指数が先ほど申し上げましたように一般投資家のヘッジニーズとか、そういったものにこたえるものであるかどうか、指数に安定性があって投資家保護を損なうものでないのかどうか、それからさらには、ただいま申し上げましたように、採算その他につきまして十分これが採算に乗るものかどうかというようなものも判断していかなきゃいけないと思います。  したがいまして、例えて申しますと、ある指数ができまして、この指数使用料が非常に高い、しかし余りその指数に一般性がなくて利用もされないであろうと、そうなってまいりますと、取引所といたしましてはその指数を上場いたしましても採算に乗らないわけでございますから、そういった点につきまして私どもやはりその上場審査の過程においてはそのフィージビリティー、一般的な意味でのフィージビリティーを含めて審査をしていかなければいけないというふうに思います。  しかし基本的には、どの指数を使うか使わないかということはまず取引所指数をつくっている者との契約で、これに私どもが関与するつもりはございません。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 想像されることとしては、特にバイオテクノロジーの関連指数なんていうのはほかのものと別個に非常にニーズも出てくるだろうし、いろんな点で別個の歩き方をしていくという実は要素が非常に強いと思うんです。ただ、それだからニーズもある、ヘッジもできる、しかし取り扱いの手数料に対する使用料は、ニーズが強けりゃ高くなりますよね。だけど、その使用料が高いということだけが、そうした商品の認可をしない理由には大蔵省としては考えていないというふうに理解してよろしゅうございますね。
  34. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 使用料の問題は、先ほどから繰り返しておりますように、全体のフィージビリティーの判断の中の一つの要素であると思いますけれども、その審査に当たって、それだけがこれを認めるか認めないかの基準にはならないというふうに存じます。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 きのうの参考人の意見開陳を聞いておりまして、証券と金融業界と非常に違った意見だったと思うんです。特に金融業界の代表の方の話を聞いておりますと、いろんな参考人の話はございますけれども、今までもいろいろ聞きましたが、間接話法であれだけはっきりわかるように反対されたという記憶はないんですよ。この間の調整がどうなっているんですか。その後、金融と証券の壁が、この審議会、例えば金融先物審議会の方でもそれはやっぱり壁を設けるべきだという意見もあったという報告があります。ということは、大半のものは壁を設けるべきではないという審議会意見だったと思うんですがね。ああいう何というか、両業界が全く違う意見を持っているように思うんですが、そうでもないんですか、どうもよくわからないのですが。
  36. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) この先物取引所我が国整備いたしますにつきましては、先ほど大臣の御答弁にもございましたように証取審それから金融制度調査会、外為審等でいろいろの角度から御議論をいただいたわけでございます。  その際、一つ考え方といたしまして、このような市場の整備に当たりましては、統一的な市場をつくった方がいいのではないか、アメリカシカゴその他ではそういう市場ができているという御意見がございました。これも一つのお考えであるわけでございます。  他方、しかしながら昨年いわゆるブラックマンデーがございまして、海外におきましてもどうしてあのような急落が起こったのか、先物取引所と現物市場との関連にいろいろ検討すべき点があるのではないかという御議論もございまして、この現物取引先物取引は一体的に管理運営する必要性があるのではないかという御意見も委員の中から出たわけでございます。それとともに我が国の場合には、御存じのように既に国債に係る先物取引証券取引所において行なわれているわけでございます。  そのような二つの考え方等がございました中で、本日御審議いただいております法案におきましては、有価証券に係る先物取引については、証券取引法規制のもとで証券取引所においてその取引を行うことがいいのではないかということで、証取法の改正案としてお出ししております。その他の金融に関する分につきましては、金融先物取引法案といたしましてお出ししているわけでございます。  ただ、そういたしますと、世界的には統一市場で行っておる、だんだん国際化してまいる、そういう中で取引が二つに分かれるということはどうかということで意見がございます。そこで、取引業者は相互の市場に相乗りで入りまして、そういう意味では、いずれの取引も原則としてできるということでその問題を解決しようではないかということになったわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、金融あるいは証券をめぐる環境は急激に変化しておりますし、特に先物市場の問題につきましても、先ほど申し上げましたように、世界的にいろいろ議論もあるわけでございます。  したがって、今後このような内外の金融情勢等の変化を十分に見守りながら、そしてそういう中で国際的に通用する制度として、あるいはこの取引所を利用する人たちのニーズに最も的確に適応する市場として、さらに見直していく必要があるかどうかという点につきまして、今後二年間そういうことで常に念頭に置きながら考えていこうではないか、そして取引所の開設後二年を経過した時点で制度をもう一度見直してみよう、こういうことにしたわけでございます。したがって、委員が御指摘のような点も十分頭の中に置きながら、しかし現実的ないろいろ申し上げましたような点も勘案しながら答えを出して法案としてお出ししているわけでございます。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 その二年間たったら見直していこうというふうなことは、今そういう考え方だというふうなことは今まで私たちのもらっている資料のどこにも読めないんですけれども、そういうことはどこかに書いてありますか。
  38. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) それにつきましては、若干詳しくなりますが、先ほど申し上げました三つの審議会等々の御答申を得ましてから、その御答申の中で一応方針としてはこういういろんな考え方がある、これについては行政当局において十 分検討して答えを出したらどうかというふうにいただいたわけでございまして、その後大蔵省内においていろいろ検討をしまして、それを大蔵省のこの問題に対する考え方として取りまとめました。その取りまとめの最後のところに今私が申し上げたような事柄が書いてあるということでございます。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 その取りまとめの最後のところというのは私たちはまだ拝見していませんわね。それでちょっとわかってきたんですが、おとといですか、金融関係の代表の方が、御当局の深い思慮に出たものと考えて了解した、これ何だろうと思ったんですよ。こういうふうに今二つに分けて決めたということも。大変丁寧な言葉で、さすが銀行マンだなと思ったんですが、御当局の深い御思慮に基づいて、こうあるんで、これは一体何のことを言っているんだと思ったらそのことですね、わかりました。我々聞いていましてやっぱりそういうのはわからないんですよ、その意味が。今お話聞いてみると、なるほどそういう思慮があってまた二年間のというふうな一つのあれがあったんだなということ、今の説明を聞くとあの言葉意味がよくわかってくるんですが、そういうことですか。  そうすると、ただ、大臣提案理由の説明の中では金融の自由化、国際化の進展を背景として、そして金融取引に係るリスクが増大しないようにというふうに提案理由の中で大臣述べているんですね。やっぱり金融の自由化ということは壁をなくするということじゃないんですか。どうなんでしょう。
  40. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) つまり、証券と金融との分離という問題は多かれ少なかれ各国にございまして、御承知のようにアメリカにはグラス・スティーガル・アクトというものがございます。我が国も御承知のようにあるわけでございますが、世界の、世界と申すと少し言い過ぎかもしれませんが、仮にアメリカのことを考えてみますと、やはり銀行にもう少し幅広い仕事をさせないと銀行そのものの経営の健全性とか基盤とかいうものがだんだん危ういのではないかという考え方、長年この問題をやってまいりましたプロクシマイヤーというのが上院の銀行委員長でございますけれど、も、プロクシマイヤー自身すらがこういう考え方にここのところで変わってきておるようでございまして、したがいましてグラス・スティーガル法の見直しというようなことが本格的に行われるに至ったように見ておるのでございます。それからヨーロッパの国は、彼らの言葉をそのまま使いますとユニバーサルバンキングとでも申しますような、やはり銀行の方の窓口をもう少し広げてやらなきゃならぬといいますか、結局しかしそういったような考え方もかなりこれは現実になっておる。  こういうようなことで、いろいろそういう大勢は一つありながら、各国でしかしそれなりの事情もあり経緯もあるという、大変抽象的にしか申し上げられないのでありますけれども、そういうことの動きのさなかに今恐らく、振り返ってみましたら、あるということではないだろうか。先ほど二年後云々ということを調査会審議会等々の答申が言われましたのも、この問題は今どういう結論を出すということはいかにも無理である、しかしこれは丸谷委員の言われましたことと同じように考えておられる方が多いということだと思いますが、やっぱり時間がたったら何かこういう問題については考え方もあるんだろう、後から済んでみたらば、いろいろ大変なことだと思ったがなるほど時間の経緯とともにそうなったかといったようなそういう種類の問題かもしれないぞという、そういう意識から二年云々ということが出てまいったと思うのでございます。  したがって、今我が国がどういう方向をたどるということを申し上げることはできませんし、また、申し上げることは別段のいい結果にならないと思うのでございますけれども、大きな流れはやはり世界的にもみんないろいろにこの問題を考えようとしておるということではないかと存じます。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 大蔵大臣は金融、財政の該博な知識と当代一流のそういう点では見識を持っておると思うんですが、ですからいろいろ外国のそういう例をおっしゃいましたけれども、私たちの単純な頭で今お聞きしていることは、そういう該博な御意見でなくて、金融の自由化ということは壁をなくすることでしょうと聞いたんですよ、大臣の御提案している。だから、余り何というか学問的に言わないで、私たちのわからないことに単純にお答え願いたいと思います。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 余りそう学問的に言われますと、ますますわからなくなってしまいますので。
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 学問的にというつもりで申し上げたんではなかったので、そうお聞き取りになりましたら、それは私の真意ではございませんでしたのですが、やはりいろんな流れ、動きというものがございます。ただ、余りそれを、今丸谷委員の御設問というのは大変端的に御設問になられたわけですけれども、それに短絡的にと申しますか、簡単にお答えするということが私は今の段階でどうかなと思っておりますものですから、類似の動きが先進国の中にいろいろあるということを御紹介をいたしまして御推察をお願いしたいと、こう考えたわけでございます。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはいろんな国際的な流れ、そういうふうなことを御説明なさって間接話法でわかれということかと思いますが、これは大臣提案理由の中に出ているんですよ、金融の自由化というのは。だから、金融の自由化って何だと聞いたら、こういうことだと。それがそのまま即すすっと進むか進まないかということは別な問題で、この意味を聞いているんですよ。金融の自由化ということは壁をなくしていくことなんでしょうねと、ここで言う金融の自由化というのは。意味を聞いているので、それをすぐやれとかやるなという問題とは別なんです。しつこいようですけれども
  44. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) もう少しそれではきちんと正確にお答えするとすれば、正確という意味は、それが御質問の御趣旨ではないのではないかと思うものでございますからさっきのように申し上げましたが、金融の自由化というのはいろいろ法律等による規制を少なくしていくということ、市場の競争にゆだねていくということと存じますけれども、それはしかし壁ということとは私は別のことだと思います。
  45. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、大臣の言う金融自由化というのは、要するに大蔵省がいろんなことで規制しているものを外していくということで、証券と金融業界との壁を外すということとは金融の自由化ということの表現は違うと、こういうことですね。
  46. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる広い意味での金融機関には銀行もございますし、銀行にも相互銀行もございますし、金融機関といえばいろいろな金融機関がおのおの別個の法律体系でございます。また、生保もございますし、損保もございますし、証券業もあるということでございますので、そういうものをみんな一つのものにしてしまうということを自由化というかというお尋ねであれば、私はそういうふうに考え、壁というのはそういうふうにおっしゃったのでございましょうから、それはちょっと私は、いわゆる自由化ということはそこまでを含んでいるかどうかは、まあ問題があるだろうと思っております。
  47. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の質問に対するあれとちょっと違いますので、具体的な例で言いますと、戦前は——戦前の話になって恐縮ですが、大臣は私とたしか同じ年ですから戦前の話はわかると思うんです、銀行で生命保険業務なんかもやっていたんです。今できませんよね。こういう規制をなくしていくということが金融の自由化の一つですかということにはお答えできますね。
  48. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、必ずしもそういうことではないというふうにお答えを申し上げたつもりなんでございます。
  49. 丸谷金保

    丸谷金保君 だんだんわからなくなってきました。金融の自由化というのはちっとも自由化のあれが浮かんでこないんですよ、自由化というのがね。バンクディーリングなんていうのもやはり金融自由化の一つなんだというふうに理解してよろしいですか。これはもうやっちゃったやつだからお答えしやすいと思いますが、国債の窓飯。
  50. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) その背景にはやはり経済的ないろいろな変化があるわけでございまして、例えば大量の国債発行、それに伴いましてそれを当初は金融機関その他が引き受けたわけでございますけれども、大量になってくると金融機関として十分それを消化しきれない。したがって、それをほかの人たちに売るということも必然的に要請が出てくるわけです。その中で窓販というのが出てまいりましたし、窓販いたしますと、今度は売ったものをある段階で買い取るということが起こってきますので、だんだんディーリングに入っていくということでございます。そういう意味では、従来認められていなかったことが行われてくるという意味では、新しいことが起こってきて一種の自由化という中にも入るかと思いますけれども
  51. 丸谷金保

    丸谷金保君 銀行局長さんね、お言葉返すようなんですが、従来認められてなかったと言うけれど、戦前は国債のバンクディーリング——窓飯だとか、銀行が直接個人に売ったり買ったりという制度があったんですよ。これはまああ局長さんは戦前のことおわかりにならないけれども大臣、そうでしたよね。ありましたよね。戦時公債なんかあれは国債です。あれ、私は窓口で売った経験があるんでね。だから局長さんね、それはちょっと御答弁変えておいた方がいいと思います。
  52. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 戦前のことを申しませんで失礼いたしました。
  53. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと、こういうことをやっているとあれなんで、もっと聞きたいことたくさんあるんです。先物取引所の数はどれくらい想定していますか、それから場所は。
  54. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 金融先物取引法案におきましては、金融先物取引所設置される場所あるいは数については別に制限は設けられておりません。したがって、設置場所等につきましては法律成立後各地域における設置の希望があれば、これを踏まえまして諸条件を十分に勘案しながら答えを出してまいりたいと考えております。
  55. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは当然衆議院でも聞いていることだろうと思うんですけれども証券取引所は八つありますよね。そうするとその程度の数は、ある程度金融取引所についても法案を提出する側としては、想定はしておるんですか、どうなんでしょう。
  56. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 金融先物取引所を例えば複数つくりました場合に、その取引所が十分に成り立たないということですとこれは問題があるわけでございますので、したがって法案の第十四条「(設立の免許)」の第三号に「金融先物取引を公正かつ円滑にするために十分な取引量及び会員数が見込まれることその他経済金融の状況に照らして当該金融先物取引所を設立することが公益又は委託者の保護のため必要かつ適当であること。」というのが条件になっております。これは割合抽象的に書いてございますが、法案が成立した段階でいろいろ具体的な基準をつくりながらそういう中で答えを出してまいりたいと考えております。
  57. 丸谷金保

    丸谷金保君 例えば、取引所つくる場合の会員の資格の中のものがどの程度その地域にいるかとか、いろんなそういうことを結局後で政令かなんかで決めていくんですか、そういう基準を。そういうことですか。
  58. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 会員の資格につきましては法律にも書いてございますが、さらに政令その他等でも、よりそれをブレークダウンした点について今後それを行政的に検討いたしまして、基準を詰めていきたいと考えております。
  59. 丸谷金保

    丸谷金保君 資格は法律であるけれども、そういう資格を持っているような人が何人くらいいなければだめだとか、こういうことがちょっとわからないんですよ。そうしますと、東京はもちろんあれでしょうが、東京、大阪というふうな多極分散型の国の政策と反対の集中型の政策がこの法案によってまた一つふえるんじゃないかという懸念があるものですから、それであえてお聞きしているんですが。
  60. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 会員といたしましては、資格の一番重要なものがやはり取引所における取引が円滑に行われる、かつまたその中でいろいろ問題を起こさないことが必要であるわけです。したがって、一定の信用力があるということも非常な要件です。そうなりますと、数といたしましては大きな数にはならないのではないかと考えておるわけでございます。逆の言い方を申し上げますと、例えば銀行証券会社等、そういうものは会員として恐らく入ることになろうかと考えております。
  61. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは法律によれば個人はだめなんで、そういう銀行とかあるのは、私のお聞きしているのは、そういう有資格者が相当の数いなければやはりそう簡単に認められないという方向になるのではないかというふうに想像しますと、さしあたって東京と大阪くらいかなと。そうすると、今の国の政策の多極分散型というのとはこれ別な角度になってしまうことにもなるんですが、大蔵大臣、これはちょっとそこら辺は少し今の国の政策とこの法案でできてくる取引所というふうなものとは合致しないようになる可能性が非常に多いと思うんですが、そのように理解してよろしゅうございますね。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) なるべくいろいろな機能を地方に分散をいたしたいと政府は御指摘のように考えておりまして、ただいまその具体的な案を間もなく決定しようということなのでございますが、それは分散ということは実はこれから行われることでございますのに比べまして、このような取引というものは現状ではやはりそういう大きな都市で行われる。これをどこかいきなり地方へみんな行ってやれといってもそういうことに相なりませんので、自然発生的にそうなりますから、そのための施設の整備は、やはりそういうことが自然に行われるところで行うということにどうもならざるを得ないかと思います。  将来いろんなことが分散をしてまいりますと、あるいは地方でこういうことが行われる、その場合地方に整備をする必要が出てまいるかと思いますけれども、現在はそういう状況が現実には起こっておりませんので、一応現実を反映したような施策にならざるを得ないかと存じます。
  63. 丸谷金保

    丸谷金保君 この取り扱う商品の種類にもよると思うんですが、例えば金融先物取引所で扱う通貨は大体当初はどんなような予定をしておりますか。
  64. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) まだ法案も御審議願っている段階でございますので、具体的なことについて表立って議論しているわけではございませんが、金融界で内々検討しておりますのは円・ドルの先物取引、これにつきましていわゆる通貨をやりたいなという気持ちを持っているようでございます。
  65. 丸谷金保

    丸谷金保君 始まりはやむを得ないかもしれませんけれども、それこそ外国の例を言いますと、随分各国の通貨を扱っているところが多くなってきていますわね。考え方としてはそういう方向に持っていくというふうに大蔵御当局は考えておられるわけですか。
  66. 内海孚

    政府委員(内海孚君) こういうことはおのずからビジネスの方の要請がどう動いてくるかということで判断していくのではないかと思っております。今でも例えば円とかマルクという場合には、ドルを介在させてクロスレートという形で見ていく方がどちらかというと多いわけでございますが、今後あるいは御指摘のようなことになっていくかもしれませんけれども、現在我が国の円をベースとする場合には、やはりビジネスの要請はどちらかというと円とドルということがどうしても先行するんだろうと思います。
  67. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっとそうなりますと、リスクをヘッジしていくという考え方で取引所をつくっていくということも言われておりますけれども、 なるたけその点では分散した方がいいのに、どうしてもドルにリンクしなければ都合が悪いというふうな現状を何とかしていかなきゃならぬと思うんですが、そういう点はいかがなんでしょう。
  68. 内海孚

    政府委員(内海孚君) ただいま御指摘リスクのヘッジといいますのは、例えば銀行等がドルの現物を持っていて、それを将来の上昇あるいは下降というものに対して先物でヘッジする、こういうことでございます。ですから御指摘のように、将来にわたりまして我が国機関投資家等の外貨保有の形態がもっと非常に多様化してきまして、マルクとかポンドとか、あるいはそういったいろんな通貨との間の取引あるいは保有というものが多様化しました場合には、現物と先物を同じ通貨の先物でヘッジするということがあるわけですが、通貨の保有の多様化によるリスクの分散と先物によるヘッジというのは、ちょっと考え方を分けていただいた方があるいは正確なのかもしれないと思うわけでございます。
  69. 丸谷金保

    丸谷金保君 先物の場合でも商品が多様化した方がやはりヘッジできるんじゃないんですか。どうでしょう。
  70. 内海孚

    政府委員(内海孚君) 先ほども申し上げておりますように、そういう実際に多様化された通貨を持つようにビジネスがなりましたときには、御指摘のようにそういったものの先物日本で直ちにつなぐことができれば便利だというニーズは当然出てまいりますので、そのようなニーズによってまたそういう方向に動いてくるということは十分想定され得ると思います。
  71. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは実際にあったことで、今そのお話を聞いていて思い出したんですがね、東京銀行でオーストラリアドルを買うというと、非常にあそこは手持ちが少ないんですね、手数料が高いんです。オーストラリアへ行って現地で交換しますとね、非常に手数料も安いんですよ。それで、そのとき私は、えらい損をした感じがしたんです。日本はどうもドルばっかり大事にし過ぎる。これは需要があるとかないとかというふうに大蔵省はおっしゃいますけれども大蔵省の方針そのものでも、もう少し通貨の多極分散も考えていく必要があるんじゃないんでしょうか。大蔵大臣、いかがでしょうね。  ドルだけにリンクしていく、そうすると、やっぱりアメリカは前回も申し上げたような基軸通貨としてのあれを持っていますので、だからいろんなこういうリスクの問題が起きてきても、支払いの段階になればアメリカの中央銀行は輪転機を回せば済みますよね、支払いは。アメリカだけがそういう形になっているところに、私は今の国際的な金融問題、累積債務の問題を含めて、非常に何か危険なものを感じるんですが、もう少し多極分散型へ進めていくような日本としての政策なり考え方というものをこの機会にお持ちになれないものなんですか。今の局長さんの御答弁を聞いているとどうもそうでないようなので。
  72. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今局長の申し上げましたのは、現実にそういう状況になってくればそれはおのずからそういうふうに対応をしなきゃならぬと思いますし、またそのことは恐らく好ましいことだとは考えますがと、こういう意味でお答え申し上げておったと思います。現実がそういうふうに展開してくるかというと、今丸谷委員がまさにおっしゃいましたようになかなか展開をしてまいりませんで、やはりドルというのが基軸通貨であるというのが現実である。  我が国の場合も取引決済通貨としては、輸出の方は三、四割が円ということがございますけれども、輸入の方は最近一割になろうとしている程度でございますので、なかなか現実にはそういうふうに事態が動いていかない。もっともっとたくさんの通貨がうまく役割を担い合うようになればいいじゃないかとおっしゃいますことは、私そうだろうと思いますけれども、現実にはなかなかそういうことになっていないということかと思います。
  73. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は質問通告は十二問やっているんですが、まだ四番目くらいで、進まないんです。それで、少し通告の順序をつぶして、一つだけ聞いておきたいんですがね。  金融取引所ができますとね、これはヘッジ手段としての役割を果たすということについては、それからきのうどなたか言っていた、大体現物取引先物取引というのは同じくらいの同じような人たちがやるんだから、証券にしても金融にしても、大体まあ対対くらいでいくだろうと、こういうふうな見通しを、参考人の方がどなたかおっしゃっておりました。私はこの点ちょっと心配しているんです。というのは、これはやはり投機性も持ちますわね、特に金融のあれです。取引所の場合は、証券商品取引所よりも非常にある意味では投機性も持てるんじゃないかというふうに思うのです。  日本ではいわゆる個人がやるばくちはだめなんですよね、刑法で。地方自治体がやれば、競馬や競輪、ばくちですけれども、テラ銭稼ぎで認めているんです。それで、今度はこれ国が中へ入って、地方自治体でなくて、大きな投機性のある商品を認めていくことになりますと、外国と、外国というか、ヨーロッパやアメリカは違うのは、アメリカは賭博場を公認していますけれども日本はないんです。ですから日本では、そういう投機がやれないという一つの何といいますか、もやもやがありますから、イコール以上に投機性の方に傾くという心配はないかと。これは杞憂に属するかもしれませんが、こういう点について、ヨーロッパ等へ行きますといろいろな賭博を公認の場所でできます。日本にはない。こういう違いがヨーロッパやアメリカがこうなって、こういうふうな形できたから、同じようにいくんだということ以上に投機性の方にウエートがかかったら大変だなと思うのですが、そういう御心配はございませんか。
  74. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいましたように、こういう金融先物取引リスクのヘッジ手段ということが非常に重要な役割でございます。そのためにはやはりこういう取引所を早くつくる必要があるわけでございますが、逆に投機的な取引も仕組みとしては可能な面もあるわけでございます。  そこで、このリスクの回避というどうしても必要な部分、これはできるだけ円滑にやれるようにしながら、マイナスの部分、そういう投機的なものを抑えていくという仕組みをつくっていくことが必要であるわけでございまして、したがって今回の法案におきましては、取引所にそういう取引は全部集中させますし、それから取引所でそういう取引を委託を受けて行える者の資格も非常に限っておりますし、それからそういう取引所取引を頼んでくる人たちにつきましては、例えば過大な取引の制限、いわゆる建て玉制限をきちっと決めておりますし、さらに委託証拠金の預託を義務づけるといったようなもろもろの措置を予定いたしております。そういうことによって投機的な取引をできるだけ行わせないようにするということをしておるわけでございます。  特に金融機関につきましては、ポジションを規制いたしまして、この先物の売りと買いでネットの差が出るわけでございますが、それが過大になることのないように通達その他で指導していくということも予定しているわけでございます。
  75. 丸谷金保

    丸谷金保君 オプション取引とかいろいろ仕組みはあるかと思いますが、その点はまあ杞憂かもしれませんが、ちょっと心配だなという感じを私は持ったので、一つお聞きしておいたわけです。  実は、そのほかにこの前私が税の自然増収を聞いたときに、わからない、わからないと、最後までわからないで通した次の日新聞で、大体三兆円くらいというふうなあれがぽっと出たり、それからもうきのうになりますと、自民党の渡辺さんですか、税の関係で与野党の会談をやっているところで大体二兆五千億円を上回るというような発言をしているんです。私は非常にこれは心外なんですよ。公式の大蔵委員会という席で我々が聞いたときには、全くまだ五里霧中なような答弁しかなされなくて、その後ぽかぽかと、私はわかって ないはずがないと思うんですがね、ないと思うんですけれども、そういうところへはちゃんとこう御進講しているわけですね。でなかったら、責任ある政調会長が与野党の会合の席で、二兆五千億円以上あるだろう、予備費その他、それから不用額を入れれば大体三兆円と、このうち交付税はこれくらいで、あれくらいだから差し引くと一兆円くらいの減税の約束はできるとか、できないとかというような既にきのうあたりから始まっている話が出てきているんですよ。今現在で大蔵省がつかんでいるあれでは税の自然増収はどれくらいというふうに、十二月決算で軒並み都銀が最高益を上げているとか、それから三月決算期の公告ももうどんどん新聞にも出てきているんですよ。  ですから、もういいかげんわかっていなければならぬので、これはもう聞かなくても、そういうところへどんどん出ているから、おまえわかるじゃないかといえばそれまでですけれども、この委員会で聞いていることに対する答えも全く出ないで、ほかの方がぱかぱかと出るということになると、大蔵委員会での質問て何なんだろうか、いかがですか。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あの新聞の報道あるいは党内のいろいろな話というのは私ども存じません。これは何度も申し上げておりますとおり、この五月の三十一日だけで昨年で申しますと五兆を超える歳入が一日で入るわけでございますから、それを目先に控えておりますもので、今からその辺について言えとおっしゃいましても、わからない、真実わからないということが本当のことでございます。私は何がしかの自然増はあると申し上げておるのでございますけれども、一日でそういうことが、もうあと、きょうは何日でございますか、十日余りなんでございますけれども、それでわからないということを申し上げておるのでございます。
  77. 丸谷金保

    丸谷金保君 じゃ、それに関連しまして、今度大蔵省が、都銀の決算の結果が出てきているものですから、貸倒引当金の中で累積債務の引当金を債権額の五%から一〇%に積み上げるということで、これは通達か訓令か何か出して各銀行が行ったわけなんですが、この貸倒引当金の無税というのは一%で、あとはあれですわね、利益、税引後の積み立てということになるんでしょうけれども、これでよくわからないのは、この引当金の五%を一〇%にしたというのは、ニューヨークのどこかの銀行がやったのは、自己資本の三〇%を累積債務の分を引当金に積んだというふうなニュースがあったんですが、この場合のもとになるのは、あれですか、各銀行の自己資本なんですか、それとも債権額なんですかね。ちょっと新聞に出ているニュースだけじゃわかりませんので、それをひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
  78. 内海孚

    政府委員(内海孚君) アメリカの場合には、ただいまの御質問についてでございますが、当該債務累積国に対して持っているアメリカの当該銀行の債務をベースにしてのパーセンテージというふうにお考えいただきたいと思います。
  79. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私も丸谷委員質問にダブらない範囲でお聞きしたいと思うんです。私の持ち時間が十二時十分までですから、私は本法案審議するに当たって問題点というようなものを幾つか感じておりますので、それを先に述べますから、各答弁のときにちょこちょこ私の言った趣旨を入れて答弁していただければまた効率的ですから。  まず一つは、丸谷委員もお話がありました、今回の先物取引市場をどうして二本立てにしたのか。これは私は参考人にお尋ねしたこともございますが、実はよくわかりません。もちろん日本の風土の中で、銀行界と証券界の垣根というのが現実に存在することは事実です。けれども、今答弁のように、投資家のニーズであるとか国際的な一体感であるとか、それから金融が証券銀行も含めて余りそう大差はなくなったじゃないかというような問題などなどがあって、なぜこういうふうにしなきゃならぬのか。ましてや、平澤局長の話を聞けば、二年後に見直すからいいじゃないかと。だけれども、見直すと言ってないんですよね。見直すかどうかについてというあなたのお話ですね。だから私は、ここははっきりしておかなきゃいかぬことだと思うんです。そういう点について何としても疑問を持ちます。  二つ目は、先物市場への参加の問題であります。これは御案内のとおり、今回は金融業界の方は証券に入れないということになっていますね。しかし、外国のいわゆる証券会社、金融業者は日本に子会社を持っていますね。子会社を持っていると資格は持てるわけでしょう。そうすると、そこに金融業界の中で差別が出てきはせぬかという問題を一つ感じます。この制度をずっと続けていくとすれば、日本の業界はそれこそアメリカに子会社をつくって逆上陸してくるということだって考えられますね。そのとき大蔵省は一体認可するのかしないのかというような問題も私は疑問に感じています。  もう一つは、参加の問題と会員権の問題について幾つかの答申の中で、厚みを厚くして幅広くやらないとこういう先物市場というのはもたないのじゃないかというような意味から、生保とか保険会社をなぜ入れないのか。全銀協の素案には排除されたみたいな形になっていますね。大蔵省は一体これに対してどういう見解を持つのか、この辺も私はお聞きしておかなきゃならないことだと思うんです。  もう一つの問題は、これは竹内理事長にもまた田淵参考人にもお尋ねしたんですが、アメリカでもニューヨークにああいうものがつくり上げられたけれども、結局は情報とか流通が一元化しているシカゴにどうしても集まっちゃうわけですね。それがやっぱり情報とか流通の効率性ということだと思うんです。だから鳴り物入りで日本でこういうものをつくって一体市場が成り立つか、大丈夫なんですかと。それは株先五〇にしてもいろんなことで成績を上げていることは十分承知しています。けれども鳴り物入りでやって大丈夫かというような、市場のつまり活性化というような展望は一体どういうことなのかな、そんな感じも実は疑問として持っています。  もう一つは、先物取引が本当にリスクの回避ということに機能を果たすのか。これは丸谷委員も今御質問のように、今回の大暴落の問題についてプログラム売買というものがいわゆる引き金になったと、いろんな検討アメリカでも進められていることも新聞で承知しています。だから、本当にこういう問題がリスク回避につながるのかなというふうな意味で、別なことを言うのであれば別な副作用というものが出ているということだと思うんですね。そのときに、そういう状態を展望しながら、一体どういう対策をとるのかというようなこともこれは大きな問題だと私は思っています。  それからその次は、レバレッジ効果の問題です。三百万積めば一億の取引ができる、大変なことだと私は思うわけです。ある意味では喜ぶ人もおるかもしれませんし、それだけ大変な被害をこうむるかもしらぬ。こういう問題を内在していると私はこの法案について思うんです。  もう一つの問題は、金融の先物取引所証券取引所の中の清算制度というものを今度新しくつくりましたですね。この清算制度というものは証券の方にはないんですけれども、現行のままで会員の責任分担というものは一体大丈夫なのかというようなことも私は疑問に思うのであります。  次は、開示書類のわかりにくさだと思うんです。これはどっちかというと、後ほど細かに時間があれば質問しますが、開示の問題というのは、大体株をやるというような者は世間から見ると、新聞を読んだりテレビで指数がぱっと出たとか何とかかんとか、その程度じゃないでしょうかね。なるがゆえに、企業の側なり業界の側で開示の問題は余り詳しくやらなくてもいいじゃないか、そういう意味でこの制度の問題の簡素化が行われているんだけれども投資家保護の立場というようなそういう立場じゃなくて、業界ばかりのサイドから大蔵省は取り扱いが行われているんじゃないのかなというような私は気がするんです。  それから次は、何といってもタテホの問題で、いつも議論になるタイムリーディスクロージャーの問題だと思うんですね。本来であれば公的な機関において取引所に上場されているような会社というのは、何か変化があったらその証券取引所において正式な記者会見とか何かをやってみんなに早くわからせるようなことをしなきゃいかぬと思うんですね。そういうような問題が一体どういうように行われているのか。  それから次は、未公開情報の内容を取引法の中に入れられた理由。これも今と同じです。インサイダー取引の罰則という問題が出てまいりましたけれども、業界や参考人のお話を聞くと、どっちかというと日本は天国だというような話があるけれども、実は法律にはっきりしていないから処罰の対象になり得ないということで大変困っていると。はっきりさえしてもらえばそれはそれでよろしい。なぜかというと、私は、先物にしても証券にしても、日本の風土というものはどっちかというと情報を早目にした方が勝ちなわけでしょう。だからセールスもいろんなことを言うですよ。欲の突っ張りというものがありますけれども、それが日本証券の風土だと思うんですね。そういう風土の中で、ここに例えばこういうものこういうものは会社の中で重役は言っちゃいかぬぞとかなんとかと言うけれども、一体それで本当に取り締まるということができるのか。もっと皮肉った言い方をすれば、国際的にある程度ルールを同じくしようというような要請が強いものだから、何かのっけておかないと市場を開設するのにどうもばつが悪いぜというような皮肉った感じにしかとれないんですわ。後ほど時間があればまた詰めさせてもらいます。  それからインサイダー取引の罰則ですが、証取法の現行の五十八条との関係から見るとえらい安いですな。これは一体どういうことになっているのかというようなこともお聞きしたい。  それからもう一つは、店頭登録株とインサイダーの関係。今丸谷委員も御質問のように、非常にバイオがどんどんどんどん発達していますし、それからベンチャーもありますね。そういうような問題があるから、どっちかというと今は店頭登録のそっちの方が実は関心の度が案外強いんですよ。それが今回は対象から外されているということになると、一体本当に温床というものを改善というか、それができるのかというような疑問を持っています。  最後ですが、参考人に聞いたら、取引所取引税というものが諸外国にないから、何とかしてくれという意見がどうも強い。同時に、手数料の問題というものが外国から出てくれば、だんだんこの手数料自由化というものが進めば、現行の固定制度の手数料がありますね、ここまでずっと直さなきゃならぬような時代が来るんじゃないのかな、私はそんなふうに展望しているんですが、それに対してどういうような見解を持つのか。  結論として、私は今回思うのには、丸谷委員指摘のとおり、大変重要な内容を持っている法案だと実は思っています。ですから、そういう意味ではこの審議のあり方というのは一体これでいいのかなということの疑問は私も抱いています。しかし、ここまできたことですから、結論からいえば、早く、細かく、そして先を見通した対策というものをしっかり立てなさいよというのが私の結論でございます。  さてそこで、時間のある中でお尋ね申し上げますが、この先物市場への参加の差別の問題について、私は先ほど会員権の問題と含めて二つ述べました。外国の子会社は金融の子会社であっても証券先物に参加できる、垣根があって今度は我が国ではできない。もしもそういう制度がずうっと続いているとするならば、日本の企業が、アメリカに出て行って子会社をつくって逆上陸してこっちに来たときに参加を認めるのか認めないのか、これが一つと、生保と損害保険のこの人たちが全銀協の素案には排除されているんですが、これは一体その全銀協の素案というものを大蔵省はどういうふうに受けとめておられますか。また、大蔵省はこれに対してどういう態度をとろうとしていますか。これをまず最初にお尋ねします。
  80. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの一連の御質問でこの二法につきましての御関心、御懸念がよくわかりましたので、順次関係局長からお答え申し上げることでよろしゅうございましょうか。——それじゃ、今の先物市場の外国のいわゆる逆上陸とか、子会社とかという問題と、生命保険会社の問題、今幾つかの御質問の中の第二番目と第三番目にございましたので、それらを含めまして銀行局長証券局長、それから最後の問題、主税局長でございます。そういうふうにお答えをさしていただきます。
  81. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) まず、金融機関証券先物についての参加の問題でございますけれども、金融機関証券取引所の会員になれないので、証券先物の参加に非常に不都合があって証券会社と比べてアンバランスではないかという御指摘だろうかと思いますが、証券取引所の会員と申しますのは、御承知のように法律上も証券会社を会員とする、しかもその証券会社も全部ということではございませんで、日本に現在外国証券会社を含めてもう約二百六十社ございますけれども、そのうち、この二十三日からでございますが、第二次の拡大をやりまして百十四社になるわけでございます。約半分足らずのものが会員になっているという状況でございます。  しかし、この金融先物につきましては、取引所取引をするというのを原則にいたしておりますので、この参加をできるだけ広範囲にするという観点から、特別参加者という制度を認めておりまして、金融機関もこの特別参加者として証券会社と全く同じ条件で証券先物に参加できるということにいたしております。現在、この二十三日から証券会社何社かが特別参加者から正会員になりますので、もう二十三日以降の点で申し上げますけれども、特別参加者が百十七社ございますけれども、うち銀行が百十社でございます。したがいまして、証券取引所証券先物を行い得る立場にある者というのは、証券取引所の会員を含めまして合計で二百三十一社でございますけれども、うち百十社が金融機関である、銀行等であるということでございまして、私どもとしては、この特別参加者という制度をつくることによって金融機関にも広く証券先物に参加できるような道を開いておる。したがって、決してアンバランスではないというふうに理解をしております。  それから第二番目の逆上陸の問題でございますが、これはなかなか非常に難しい問題でございますけれども、やはり私どもといたしましては、証券取引法第六十五条というのがございまして、これは国内で銀行証券の分離制度を厳然と決めておるわけでございます。その法制のもとで日本の金融機関が一たん外国へ一〇〇%出資の現地法人を設立して、それが日本へ帰ってくるというようなことはまさにこの六十五条の趣旨、すなわち金融機関の実質的支配とか利益相反とか、そういうものを排除するという観点から設けられたこの六十五条の趣旨にやはり真正面から違反するのではないかと思っております。そういう観点からいたしまして、この六十五条の規定に違反するような行為というものは認めるわけにはいかないというのが我々の考え方でございます。
  82. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 私の方からは、いわゆる保険会社の問題についてお答え申し上げたいと思います。  この先物取引所への参加者の範囲につきましては、多様な取引を可能にして市場の厚みを増していくというためには、その範囲を極力広くするということが重要であるわけでございます。ただ、先ほども答弁申し上げましたように、しかし市場の健全性の確保や適切な市場の管理運営を図る観点から、財産的能力それから業務遂行能力等を基準とする一定の制限が必要であるということもまた事実でございます。そういう中で保険会社についてはどうかということでございますが、今申し上げましたような基準から見ますと、問題はないわけでございます。かつまた、保険業法上自己 取引については行うことが可能でございますので、この問題については前向きに検討してまいりたいと考えております。
  83. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今の問題になりますから、続いてちょっと質問しますけれども証券局長、特別参加資格というんですか、それと正会員という問題と区分けされていますね。特別参加というのは証券会社というか、そこに何かお頼みをして直接入るということじゃないんですか。いわゆる金融界はそこに資格を持ってぴちっと入れるということになっていませんよね。なっているんですか。私はどう読んでも、そこのところが読めないんですが、それが一つ。  それから平澤局長、前向きに検討するというのは、幾つかの答申の中で幅広く、厚くということをやれよと、ところが新聞で見ると、何か手数料が減っちゃうもんだから、自分の領域を侵されるから銀行は嫌だと言っているというような解説もあるぐらいなんですな。しかし、理屈上からいえばやっぱりそういうものを入れ込んで厚みを厚くするというのが私はいいんじゃないのかなと思うんですが、前向きというのはそういう方向を向いて今やられているということですか。
  84. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 前向きにといいますのは、できるだけそういう保険会社につきましても、自己取引について業法上できるわけでございますから参加者として認める方向で考えたいということでございます。
  85. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 証券局どうですか。
  86. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) ただいまの御質問でございますけれども、国債の先物取引の認可を受けますと、原則として、希望すれば特別参加者になれるわけでございます。したがいまして、むしろ銀行が国債の先物取引をやりたいということで、現在の制度でございますけれども先物取引をできるような資格、これは認可を受けまして、そのうちから東京証券取引所に対して東京証券取引所先物取引を行うべく特別参加者としての資格を申請いたしますと東京証券取引所の方で審査をいたしまして、まさに当該金融機関の資力とか能力とかを判断して特別参加者として認めるという考え方でございます。  それから、申しおくれましたけれども、国債の先物を取り扱うためには国債のディーリングの認可を受けているということが必要でございますけれども、現在国債のディーリングの認可を受けているものは二百四社、そのうち国債の先物取引特別参加者になっておりますのが百十社でございます。残りの九十四社につきましても、金融機関サイドから申請がございましたならば、東京証券取引所の方で審査をして特別参加者として認める、こういう仕組みになっているわけでございます。
  87. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一回証券局に聞きますけれども、今回のこの金融二法案というものを見たときに、我が国の金融機関株価指数先物取引には金融機関というのは直接参加できないんでしょう、できるんですか。
  88. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 株価指数先物につきましては銀行等の金融機関は株式の現物の取引というものができません。そういう観点から、現物と先物とを一体として証券取引所で取り扱うという考え方で成り立っておりますので、銀行等の金融機関株価指数先物取引は認めないということが現在の法制の仕組み、御提案を申し上げている法制の仕組みでございます。
  89. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 外国先物専門業者はたとえ外国銀行の子会社であっても直接取引株価指数には参加できるんですね。できないんですか、できるんですか。
  90. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 外国の金融機関の取り扱いでございますけれども、海外におきましてはいわゆる先物専門業者というのがございます。その先物専門業者が海外において株価指数先物等を行いまして、そういうものの経験を積んでおります場合には株価指数先物への参加はできるという扱いにいたしたいというふうに思っております。
  91. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうすると、外国先物専門業者というものが日本に子会社をつくっておるというときに、その子会社は直接参加できるんでしょう、できるんだと思うんですよ。  だから、私は片方では我が国の金融機関株価指数先物取引に直接参加できない、片方は同じ金融機関であっても専門業者ならば入れるということに差別はないのかというのと、それの逆を逆上陸と言っているんですよ。どうもそれが私の聞いているのとぴんとこないんですがね。
  92. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) この海外の先物専門業者でございますけれども、これは既に海外におきまして株価指数等の経験を持っておるわけでございますので、そういった事実を十分配慮してこれは認めるということにいたしたわけでございます。  ただ一方、じゃ日本の金融機関が海外においてそういう金融先物専門業者をつくりまして経験を積んできた、そして日本へ戻ってくるそれを逆上陸と、これを認めるのかというお尋ねでございますけれども、その点につきましては先ほどお答え申し上げましたように、海外で現法をつくったといっても、一〇〇%現法のように本体と同一であるというような場合には明らかに六十五条に違反するということになるわけでございますので、これは認めるわけにはいかないというのが我々の現在の立場でございます。
  93. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうすると、今のところは海外で日本の民間が出かけていってつくって逆上陸するという場合には、もう認めないという方の法体系がきちっとしている、絶対認められないということですな。  そうすると、それはそれでわかりましたけれども日本にある片方の外国との専門業者との関係から見ると、日本の金融機関は入りたいけれども入れないから差別だということは、いいか悪いかは別にして現実に存在をするということになりますね。それが今度は戻って、先ほど二本立てであるということでスタートするので、二年後に見直すということのような場合に、そういう問題というのも当然取り上げられて見直しの垣根論ということは整理されるというように理解してよろしゅうございますか。
  94. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 二年後の見直しは先物取引についての全般的ないろいろな進展その他を勘案してということでございますので、そういったものも一つの要素にはなろうかと思っております。
  95. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 すべてそういう問題があるものですから、二年後見直しというときに、私はやっぱりいろんな問題点を抱えているだけに二年間というのは早いです、時の過ぎるのが。けれども、その間に市場の形勢は大変さま変わりになってくるような状況もあると思うんですね。それだけに、今のこの部分だけの議論を踏まえても、見直しに当たって十分な検討をいただいておきたいと思うんです。ちょっと大臣、ここで答弁いただきましょうか。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題につきまして先ほども丸谷委員にちょっと申し上げましたように、各国がいろいろ違う制度を持っておって、それをまた、それが少しずつ変わりつつあるということが片方であり、他方で国際間の、先進国間の何と申しますか行き来は、もう本当に一つのような地域になりつつあるような世界の現況でございます。  二年間というと、やはりいろいろなことがその間に起こっていくであろうとぼんやりと想像されますので、予断を持たずに、二年たちましたときに必要があればいろんな問題を考え直してみたい、こういう趣旨でございます。
  97. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 次に移らしていただきます。  私は、関心を持っているのがこの先ほど申し上げましたレバレッジ効果の問題でございますが、私が理解をしているのに誤解があったらいけませんので、私は先ほど三百万で一億円と、こう言ったんですが、このレバレッジ効果の問題について、まずどういうことを考えていたものかということのちょっと説明してください、簡単で結構ですから。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
  98. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) いわゆるレバレッジ効果によりまして少額の証拠金で、先ほどおっしゃいましたように、多額の取引が行われるということによってリスクが出てくるということはそのとおりでございます。したがいまして、諸外国におきましても、それから現在既に先物をやっております証券取引所の国債の先物におきましても、そういう実害が起こらないように、いわゆる過度の投機の抑制と投資家保護の面に最も意を用いてやってきているわけでございます。  具体的に申し上げますと、投資家の過度の投機の抑制というためには、先ほどもお話し申し上げましたが、いわゆる建て玉制限というのをやっております。それから、委託証拠金の預託を義務づけるといったようなことなど種々の措置を講ずることとしているわけでございます。さらに投資家保護観点から、これは受託業務規制についていろいろあるわけでございますが、例えばそういう業者の開業規制を設けております。それから、取り扱いに際しまして契約締結前の書面交付等を義務づけて、そういう投機的なことは行わせないようにやっておりますし、のみ行為を禁止するといったような行為制限もやっているわけでございます。  したがって、そういう意味から投資家保護ということについても万全の措置を講じていきたいと考えている次第でございます。
  99. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今お話しのようにこの制度というのは、金融とか証券とか先物とかそういうものに関してのニーズ、要望にこたえる意味では、非常にいいんじゃないのかなというようにも思われるんですが、先ほどちょっと私が意見で述べましたように、株とか何かというのはどうも日本の風土はどうでしょうね、私は、株というのは余りやったことがないからわからないんですが、おいちょかぶぐらいなんですけれども、それ以上に株がわからないんでございますが、しかし株を現実にやりたいとか、そういうものに興味を持っている方というのは、ある意味ではもうけということもありましょうね。同時に、金余りということを余り言いたくはないけれども、マネーゲームというみたいな言葉に代表されるようになっちゃって、この先物取引というようなものが非常に秩序を乱してしまうというようなことがあったら大変だなという気がするんです。それから、先ほどもちょっと述べましたように、新聞とか証券業のだれかからちょちょっと耳に入ったとか、テレビでどうだとかというて手を入れるわけですな。  だから、そういうものであるだけに、本来自己責任というのが当然付随しますわね、それは損も得もあるよと、承知の上でやるんだから自己責任というのもあると思うんです。けれどもあのタテホのような問題などなどを考えると、自己責任ということだけでほっておいていいのかという、つまり個人の責めに帰すべき責任でないというように思われる部分、つまり一般投資家と言った方がいいんでしょうが、本当に自己責任だけでいいのかなと思うんですよ。  そうしますと、乱高下が激しいというようなときには業界が顧客に対するアプローチというかアドバイスというか、そういうことを適切にやらにゃいかぬよということと同時に、大蔵省もそういうものに対する今度は対策、そういうものを私はやっぱり検討しておかなきゃならぬことだと思うんですね。今局長からお話があったが、例えばその委託売買注文の限度額を設けるとか、そういうものをやっておかないと野放しになっておったら私は大変なことになるなというように思うんですが、もう一度見解を聞かしていただきたい。
  100. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) まさに委員のおっしゃるようなことを我々も十分に問題意識として持っておりますので、その点についてはできるだけ万全の措置をとってまいりたいと思います。
  101. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 ぜひ、そこは間違いのないように対応していただきたいと思うんです。  それで、この前質問の通告をしたときにも聞いたんですが、ちょっとどうもここのところは理解できないんですが、先ほど申し上げましたように今度金融の先物取引をやる中には清算会員制度というのがあって、お互いに迷惑をかけないようにしようということなんでしょうね、これは。証券の方はそういうものがないんだけれども、なぜないのか、またそれで問題がないのかと聞いたんですが、この現状はどういうことになっていらっしゃるのか。
  102. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 清算会員制度というのを設けます趣旨と申しますのは、いろんな意味があろうかと思いますけれども取引の決済の履行に当たって全く問題がないように、その取引の安定を図るということであろうかというふうに思います。証券取引所の場合には、そういう特別な清算機関あるいは清算会員というようなものがございませんけれども取引所考え方からいたしまして、これは取引の特別参加者も含めまして全員がこの決済の安定のための仕組みについて責任を負うんだという考え方でできておるわけでございます。  この清算会員制度というのが発達いたしましたのは欧米等でございますけれども、欧米等の例を見てみますとやはり個人投資家その他もいろいろ参加しておりますが、そういった者に決済システムについての責任を負わせるわけにいかないということで、資力のある一定の機関が清算会員となった。これが清算会員制度の初めであろうかと思いますけれども、そういう意味で御理解いただければ、証券取引所の場合は会員及び特別参加者全員がある意味では清算会員でもあるということで御理解いただけるのじゃないかと思います。
  103. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 こういう理解は間違いですか、証券業界の方は現在責任準備金というのが出されておりますね。それで、会員相互でそういうものを何とかみんなでやろう、見ましょうということなんでしょうね。今度の清算制度、金融の方を見てみると、どっちかというと無限責任みたいな内容かなと。片一方の証券の方は、準備金だから有限責任みたいなんですね。そういう性格かなというように私は見たんですが、そうすると、無限責任の場合にはまだいいんですけれども、有限のような場合はもうないよと言われたらそれで終わりでしょう。準備金も何もなくなっちゃったというようなときに一体どうなるのかという疑問もあるんですが、いかがでしょうか。
  104. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 決済不履行が生じた場合の取り扱いでございますけれども、まずその場合には違約会員、すなわち決済不履行を生じた会員の預けている売買証拠金、これでもって充てまして、さらにその違約会員の預託財産それからさらに先物違約損失準備金、こういったもので充てることにしておりますけれども、なおこれが不足いたしました場合には、会員から先物違約損失準備金を臨時徴収をするという形で決済不履行が起きた場合に対処することになっているわけでございます。したがいまして、決済不履行を生じた場合に決済処理が行われないというようなことはあり得ない仕組みになっているわけでございます。
  105. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 あり得ないのですか、ちょっと私そこのところは疑問があるものですから。そこだけやっているとあれですから、またいずれ勉強させていただきます。私はどうもそこのところは疑問を持っている一人です。  次は、タイムリーディスクロージャーの必要性ということで、先ほどタテホの問題も例に出しながら述べたんですが、これからの大蔵省の指導のあり方について詳しく聞いておきたいと思います。  今の場合には、現行の証取法の二十四条を見ますと、事業会社は一定の事由が生じた場合には臨時報告書の提出というものが義務づけられておりますね。株主あるいは投資家にとって最も重要なことは企業に関する情報がタイムリーに出ることだ、これはもう早耳というように表現が代表されていることでわかると思うんです。裏を返せばタイムリーディスクロージャーは、その資本市場からお金を借りている、資金調達を行っている企業というのは、必ずもう正確にやらなきゃならぬというほど責任を持っていると思うんですね、責務 というか、それがどうもなかなかうまくいかない。つまりそれは日本の風土と言うことができるでしょう。  資本と経営の分離というものがいつも議論されていますね。だから、経営者は自分のちょんぼをなるべく知られたくないという意味において、メーンバンクとか多く株式を持っているようなところの銀行さんに、自分の会社がおかしくなったら、それはもう何とか盛り上げてもらおうというような意味で、ちょちょっと話をしたことがああいう事件を引き起こすようなことになっちゃっているわけですね。だからそういう意味では、資本と経営が分離されている企業活動というところでの問題はあるんだが、しかしやっぱり公平な観点から考えれば、何か問題が起きたようなときには、必ず上場されているような会社は取引所に行って早く記者会見をやって、どういうことになっているんだよというようなことをやるような義務づけというか指導というか、そういう今後の企業のタイムリーディスクロージャーの徹底に対してどういう指導をされていくのかお尋ねをしたいと思います。
  106. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) タイムリーディスクロージャーにつきましての指導についてはいろいろな方法がございますけれども、まず極めて一般的に申し上げますと、証券取引所の方で、大蔵省とも相談をしながら取引所理事長通達という形で上場企業に対して、一般的にタイムリーディスクロージャーについて心がけるように要請を行っております。それからまた具体的にも、証券取引所に上場いたします会社は、上場管理規則によりまして会社情報の適時通告をしなければいけないということを義務づけております。さらに今回、東京証券取引所の方で上場基準改正いたしまして、適時通告を行ったような会社に対しましては改善報告書を求めるとか、そういう措置もとろうかというふうに思っております。  私どもも、取引所に任せるということだけではなくて、今回の法改正で百五十四条の規定の改正をお願いしておりますけれども、これは発行体が適時通告を行っているかどうかということを大蔵省としても直接発行体の方から報告等を聴取することによって、取引所の事務が適正に行われているかどうかチェックできるような仕組みにしておるわけでございます。
  107. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 立場からいうとそうでしょうね。でも現実はそのとおり私は進んでいないように思うんですね、実態は。また会社もいろんな事情があるから。そういう意味でぜひこの点はしっかり指導を強めてもらわないと、一般投資家だけが泣きを見るというようなことになっちゃいかぬので、ぜひその点は指導を強めてもらいたいと思うんです。  さて、もう一つですがインサイダー問題で、ある皮肉った見方をすると、あそこに列挙されているものはある意味ではゼスチャーじゃないか、外国からいろいろ言われるから何かあそこに書いておかにゃいかぬという意味で書いたんじゃないかというような冷やかした見方もしておりますよ、ということを紹介したいと思うんです。  そこで私が聞きたいのは、あれだけに書かれたもので、現行の罰金制度もあるんですから、刑罰の法定主義というようなものから考えたときに、あそこに列挙されていたものだけで十分なインサイダー取引に関する規制が行われたというように自信を持って答えられますか。この点いかがですか。
  108. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) この辺は、罪刑法定主義の考え方と、極めて多様にわたる経済現象とをどういうふうにしてとらえるかという相矛盾した問題についての御指摘であろうかと思います。私どもといたしましては、この罪刑法定主義の観点から、インサイダー情報に該当いたします会社の業務に関する重要な事実というのをできるだけ細かく列挙をしたつもりでございますけれども、これを個別に列挙することはやはり不可能でございますので、例示を挙げながら政令で具体的に明示するというふうにいたしておるわけでございます。
  109. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 その政令というのはいつごろ、どういう形でどういう意見を聞きながらということもあるんですが、でき上がるんでしょうね。  それから片一方で、先ほど申し上げましたように、現行の証取法上の罰金の額と今回を比べると、低いでしょう。低いというのは、どうも先ほど私が述べた刑罰の法定主義から見た場合に、自信がないものだから罰金だけ安くしておけというような、どうも裏腹みたいに見えるんですが、その点はいかがですか。
  110. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 政令の内容につきましては法律の御承認をいただいてから考えるべき問題でございますけれども、私どもいろいろと腹案としては既に持っておりまして、いわゆる業務を執行する機関決定する重要な事項としての政令委任事項につきましては、法律上は、業務上の提携その他これに準ずるようなものとして政令で定める事項と書いてあるわけでございますけれども、その中には、この事業の提携のほかに、固定資産の譲渡とか譲り受けとか、それから会社の更生、整理、和議とかこういったものを考えております。  それから二番目の御質問でございます罰則でございますけれども、罰則につきましては関係省庁とも御相談をいたしまして、全般的な調整を図るという観点から決められたものでございますけれども、この五十八条との違いについて一言だけ申し上げますと、五十八条は何人も不正の行為をしてはいけないということでございます。この「不正」と申しますのは、そこに詐欺的な要素とか利得を得る目的とか、そういった実質的な要素が入っておるわけでございます。  今回私どもが御審議を願っておりますこのインサイダー取引につきましては、非常に構成要件を明確にするという観点から、どちらかと申しますと、会社の内部者の範囲も明確にしておりますし、それからこのインサイダー情報に該当いたします重要な事実というのも形式的、外形的に決めておるわけでございます。しかも、この規定によって処罰される者は、この基準にというか構成要件に該当する者は、その動機とか、そういう実質的なものに立ち入ることなく処罰をするという考え方になっておりますので、五十八条に比べまして軽い刑罰ということになっておるわけでございます。
  111. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう時間が間もなくやってまいりますので、私は、先ほど申し上げましたベンチャービジネスというか、そういうものが非常に横行しているから店頭登録の問題も多少伺っておきたいと思ったんですが、時間がございませんので主税局長大臣にお尋ねして終わりたいと思うんです。  先般、主税局長のいろんなお話を承っておりまして、取引所取引税ですね、これは何か主税局長は前向きに取り組まれるみたいなことを聞いたことがあるんですが、つまり非課税にするみたいなそういう考えのように承ったんですが、この手数料と取引所取引税というもの、これはこの前ある程度パーセントを下げたものですからえらくばあっと株先五〇の方はいったわけですね、だから業界の方も非常に問題にしているし、それから外国も大変ここのところは興味を持っていることだと思うんです。そして同時に有取税という問題もここには絡んでくると思うんです。そこにキャピタルゲインですね、そういうことがあるものですから、相互関連して今後この取引所取引税というものはどんな方向に取り扱われるのか、展望をお尋ねしたいと思うんです。  まず、主税局長からお願いします。
  112. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 取引所税法は、これは明治からある古い法律でございまして、現在のその考え方は、取引所におきますところの売買取引で差金の授受によって決済をなし得るものについては取引税を課す、そういう法律になってございますので、今回このような取引が行われることになれば、現在の法律考え方からいけばこれは課税をお願いをする、そういうことになるわけでござ います。この問題の具体的な方向につきましては、今後各方面の御意見を伺いながら検討を加えてまいりたいと考えておるところでございます。  また、先般の税制調査会の中間答申は、課税の公平適正化を図る観点からその課税範囲や適用税率のあり方等について見直す必要がある、取引所税につきましてはそういう答申でございます。こういったものを踏まえて今後相談をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  113. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 時間がないものですから意図することがよく話ができないのでございますが、さっき結論から申し上げましたように、早く細かく先を展望してしっかりした対応をとらなきゃいかぬですよということを申し上げたんですが、今の税の問題なども含めまして、最後に大臣の見解をお尋ねして質問を終わります。
  114. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 十何点にわたるお尋ねがございまして、鈴木委員のお持ちになっておられます御懸念あるいは御関心はよくわかりました。こういうことを今度始めますので、我が国としては経験の乏しいことでございます。先ほども申しましたように、ちょっと間違いますともる刃のやいばになりやすい施策でもございますので、初めが大事でございますから十分注意をしてやらせていただきたいと思います。その際、先ほど御指摘になりました幾つかの点につきましては特に注意をいたします。  なお、取引所取引税につきましては、ただいま主税局長が申しましたようなことで検討いたしたいと思います。
  115. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  116. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 和田教美

    ○和田教美君 両改正案については、先ほど鈴木委員から総括的にもうあらゆる問題点についての疑問を提示されましたので、私もそれ以上の問題についての論議をする能力もないと思うので、結局その問題をまさぐることになると思うんですが、なるべく重複を避けて、そして要点を整理して質問したいと思います。  さて、二つの法案で、証券先物取引は従来どおり証券取引所で、それから新たにできる金融先物取引はこの新しい金融先物取引所で行うという原則。そして、部分的には証券業界と銀行界が相互乗り入れをすると、こういうふうな原則はこれは大蔵省裁定でことしの一月に決まったということは言われておるわけです。この二本立ての問題について、先ほど銀行局長から、なぜこういうふうな形になったのかということの一応の説明がございました。しかし、例えばブラックマンデーの株の急落が、やっぱりどうも現物と先物とは一体に運用した方がいいんだというような判断を強めることになったのか、それとも、大蔵省自体が銀行局、証券局、国際金融局とすみ分けておるわけですから、それの一つの妥協の産物なのか、それとも銀行それから証券両方に顔を立てたということなのか。一体何がこういう二本立ての結論を出した一番の理由であるかということについて、これは大蔵大臣からひとつお尋ねをしたいと思います。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはまあ御承知のような背景のもとに、三つの審議会とそれから調査会でございましたか、いろいろ御議論があって、それはおのおののお立場からの議論になるわけでございますから、そこからどうも一つこれという結論が出るということも難しい。役所の中もそういうことでございますし、関係業界もおのずからそういうことでございますが、その中で、一番この現実的な解決というのはここらなのであろうというふうに結局、省議等で次官以下幹部がみんな相談をして、そういう結論を持ってきてくれました。  私は、とにかく時間的要素もあるし、よくまとめてくれたと、それでいこうじゃないかということを申したわけでございますけれども、そういう過程の中から、午前中も申し上げましたようないろいろ世界の動きであるとか、あるいは国際化であるとか、いろんなことからやってみておいて、いろんな状況が二年もたつとまた展開することもあるので、それはそのときにまた検討するとするかということで、事務当局がまとめましたものでいいのではないかということを私は申しましたような、こういう経緯でございます。
  119. 和田教美

    ○和田教美君 この二年後に見直しという問題でございますけれども、国際的な流れというのは、アメリカにしてもロンドンにしても、統一的な先物取引所という形になってきていると聞いておるわけですが、そういうことも踏まえて、今のところ、日本の事情も考えて全く白紙ということなのか、何か大蔵大臣として、どちらの方向に持っていった方が望ましいというお考えがあって二年後の見直しという考え方になっているのか、その点はいかがですか。
  120. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは白紙だと申し上げた方が私は正直ではないかと思いますのは、この問題は長きにわたりまして、和田委員もよく御存じのような大蔵省のいわばすぐれた先輩たちが、何度もいろいろに相談をしたりした問題でございますね。それでいてなかなかうまい答えが出ないといういきさつはございますが、さてそうやっている間に、しかし周囲の情勢とか、いろんなことがこう動いてきている。そのいかんによっては新しい答えがあるのかもしれない、いややっぱりないのかもしれないという、そこは何とも申し上げにくいものでございますから、白紙でというふうに申し上げるのが私は正直なところだと存じます。
  121. 和田教美

    ○和田教美君 これは事務局からお聞きしたいんですけれども、各国、特に主要国ですね、大体アメリカとかあるいはロンドン、それから西ドイツなんかもちょっとお聞きしたいんですけれども、このいわゆる統一的か二本立て、複数になっているかというような問題については現状はどうなっているのか、簡単で結構ですから御説明願いたいと思います。
  122. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 諸外国におけるいわゆる金融先物市場の形態につきましては、その国の経済、金融の実態や先物市場発展の歴史的な経緯等にそれぞれ特徴を有しているわけでございます。  まず、アメリカについてでございますけれども、金融・証券先物取引商品取引所で行われているわけでございますが、その背景といたしましては、米国の商品取引所がまずあって、これは非常に古いものでございます。そこで相当この厚い歴史的な取引があるわけでございます。それに続いて金融・証券等の先物取引が登場してきたために、同じ取引所で行っている経緯がございます。  それから、イギリス及びフランスにおきましては、商品先物市場とは別に証券先物、金融・証券、これは統一的でございますけれども、が、一つの市場としてあるわけでございます。これはイギリスの場合はアメリカにありますもの、先物取引を自国に導入するに際しまして銀行証券会社等が主となってつくったという経緯からそういう金融・証券の統一市場ができたわけでございます。  それから、現在西ドイツにおいても金融・証券先物取引所の創設が検討をされておるというふうに聞いております。  その他、オーストラリアとか香港とかシンガポールとか、そういうところにも最近になって幾つか先物市場ができておるわけでございます。
  123. 和田教美

    ○和田教美君 一般的に先物取引は、現物取引と比較しますと少ない証拠金で多額の取引ができるために、多額の利益が得られるということがあるわけですが、それと同時に、その反面では多額の損失をこうむる危険性もある。つまり、現物取引 に比べるとよりリスキーであるというか、投機性が強いということがあるんだろうと思うんですね。  そこで、金融・証券先物取引というふうなものは、そういう面において確かに現物取引に対するリスクヘッジという効用は非常に大きいと思うわけですし、私もこの多様化してきた証券、金融のいろいろな状況から見るとそのリスクヘッジの重要性ということは認めるわけで、その点は認めるわけでございますけれども、一方、そういう投機性という問題ですね、そういう問題もあるということを常に頭に置いて、とにかく投資家保護というか、投資家に迷惑がかからないように十分に配慮していくことが私は特に必要だと思うんです。そういう点について法律案に幾つかの配慮がなされておると思うし、それから各業界においても自主的にいろいろな規制措置をとろうとされておるようでございますけれども、基本的にこの点についてどういうお考えかお考えを聞きたいと思います。
  124. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今御指摘のとおり、金融先物取引等につきましては、少額の証拠金で多額の取引が行われるという、いわゆるレバレッジ効果というのがあるわけでございます。したがって、これが投機的な取引に利用されると、その結果として投資家に大きな損害が及ぶということも当然あるわけでございます。したがって、今回の先物取引所整備するに当たりまして、過度の投機の抑制と、そういう中での投資家保護にやはり重点的に配慮してまいったわけでございます。  具体的に申し上げますと、まず投資家による過度の投機の抑制の観点からは過大な取引の制限、いわゆる建て玉制限ということを行うことといたしております。さらにまた、委託証拠金の預託を義務づけるということも行う等々、種々の措置を講ずることといたしております。また、投資家保護という観点からでございますが、これは受託業務規制というのがあるわけでございますけれども、その中でまずそういう受託を受ける場合の業者の開業規制、これは許可制等にいたしておりまして、問題のある業者がそういう受託をやれないようにいたしております。さらにまた、投資家をいろいろ過大な広告等で誘引して損を与えるということがないように措置もとっていますし、それから契約締結前の書面交付も義務づけることもやっております。さらにまた、のみ行為を禁止するなど投資家保護のための所要の規制を随所に設けているわけでございます。  これにつきましては、証券取引法においても同様の保護策が講ぜられているところでございます。
  125. 和田教美

    ○和田教美君 一昨日の参考人の意見聴取でも出ておった議論ですけれども証券先物取引については既に東証が国債、それから大証が株先五〇と、こういう先物取引を始めておる、その実績がやっぱり一つ物を言ったというふうな感じを受けたわけですけれども、そして参考人の東証の理事長などの発言では、今のところこの国債の先物の売買というものは非常に順調にいっている、どんどん取引も拡大をしているというふうなお話でございました。確かに東証の国債先物取引は六十三年三月の売買高は片道で百五十一兆円、年間二千兆円近いという、そういう状況で急速な増加ぶりである。そして六十二年の八月以来既に現物市場の売買高を上回っておる、こういうことでございます。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 まあこの現物と先物取引とを売買高で単純に比較するということはあるいはナンセンスかもしれませんけれども、それにしてもとにかくテンポが速過ぎるんじゃないかという感じもするし、とにかく先物と現物と比較した場合に、一体どの程度になればちょっと行き過ぎだというふうにブレーキをかけなきゃいかぬと考えるのか、その辺の大体のめどというものは大蔵省でお持ちなのかどうか、まあ今のところは大丈夫だというふうに考えておられるのか、その点はいかがですか。
  126. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 現在、証券取引所の国債の先物につきましては証券局長の方から御答弁申し上げることになろうかと思いますけれども、この先物市場と現物市場との間の関係、これはそういう中でも常に裁定取引が活発に行われているわけでございますので、非常に関係があることも事実でございます。しかし、その規模を比較して現物よりも先物が非常に大きいからという、どこまでいく、超えると不健全であるということはなかなか申し上げにくい点もあるわけでございまして、諸外国の市場を見ましても、現物と先物との関係は一義的に何対何程度が適当であるというような状況にはどうもないようでございます。  ただ、余りにも先物が急速に過大に伸びていく、しかも何倍も伸びていくということになると、これはやはり問題があろうかと考えられるわけでございます。したがって、そういう意味では直接具体的な数字としてお答えはできないわけでございます。
  127. 和田教美

    ○和田教美君 今回の制度改正によって銀行も限定つきであるけれども証券先物市場に参加できるということは先ほど証券局長からお話がございました。つまり具体的には内外の国債、これの先物の取り扱いが認められるということですね。しかし、本来、金融、証券に限らず先物取引市場というものは、私最初に言いましたように、かなりリスクのある投機的な取引であるということを認めざるを得ないと思うんですけれども、健全経営という点を一般にイメージとして、証券会社に比べると銀行というのは非常にかたいというか、健全経営だというイメージを強く与えておると思うんですが、そういうところがこの国債の先物取引に参加する、素人から見ると、国債だからかたいと思われるかもしれないけれども、そんなことはとんでもない話であって、先ほどからも出ておりましたタテホの事件だって、もとはといえば国債の先物取引に対してタテホが失敗したために起こった問題ですからね。そういう意味ではやっぱり相当リスキーだと思うんで、そういう点について銀行の健全性を維持するということから、この点について全く問題がないのかどうか、証券局長のひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  128. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 先物取引の性格というのは、委員指摘のとおり非常にリスキーな面も確かにあろうかと思います。ただ、このリスクのある取引に参加いたします場合に、その取引の何と申しましょうか、ポジションの限度と申しますか、どこまで取引を行うのかというような問題について適正な配慮が払われるということは私どもも必要ではないかというふうに思っていますが、銀行のそのポジション等の問題につきましては、むしろ銀行経営の健全性という観点から、銀行局の方の問題ではないかと思いますので、この答弁銀行局長の方からしていただいた方が適切ではないかと私は思うわけでございます。
  129. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 銀行の資産の管理というのは非常にいろいろ考慮すべき点があるわけでございまして、今委員が言っておられました国債につきましても、過去に六・一国債は現物の市場で百円のものが七十円程度まで下がったという事実があるわけでございます。したがって、非常に銀行経営上大きな影響を与えた過去の事例があるわけでございます。これは現物市場でございます。したがって、そういう価格変動のリスクに対応するためにどうしてもやっぱり先物市場をつくって、そういうリスクを少しでも回避するということは、これは非常に重要なことでございますが、逆に先物市場に過度に依存してやっていきますと、今度は先物取引に伴うリスクが増大してくる、こういう関係にあるわけでございます。リスクを回避するためにやっているうちにリスクがまたふえてくるということになるのでございます。  そこで、その後者につきましては、したがって、金融機関のそういう先物取引の売りと買いとのポジションをきちっと管理いたしまして、その差し引きのネットの部分を一定の限度内に抑えるようにさせるということが非常に重要でございまして、それが過度になりますと、一定の逆の方向に答えが出てきた場合には大きな損をこうむるわけでございます。したがって、その点は現在もネ ットポジションについては通達できちっと総額を決めておりますので、今度新しい金融取引が始まる、先物取引が始まります場合も、そのような仕組みを導入するということを考えている次第でございます。
  130. 和田教美

    ○和田教美君 先物取引の意義として、今もお話ございましたように、リスクヘッジという問題が非常に重要だということはそのとおりだと思います。しかし、私がちょっと疑問に思うのは、普通一般のときはともかくとして、例えば去年の十月のニューヨーク株の暴落、いわゆるブラックマンデーのようなパニック状態、そういう場合に果たしてこの先物取引リスクヘッジというのが機能するのかどうかという問題ですね。この点についてひとつ御見解をお伺いしたい。  というのは、十月の暴落のときはアメリカでは現物も先物も一斉に売りということになっちゃって値がつかなかった。先物が下げているんだから現物もまた下げる、こういう、何というかな、相乗効果を生んだという見方があるわけですね。その原因として、いわゆるコンピューターによるプログラム売買というのがそういうものを加速したということなんですけれども、そういうことからすれば、いざというときには先物というのは機能を停止しちゃう危険性がないかどうかという問題ですね。その点については一昨日も参考人に聞いてみたんですけれども、本当のところブラックマンデーの原因についてはアメリカでもまだ犯人捜しの段階であって定説はないということでございましたけれども、そういうことであるかどうか、そういう危険性がないかどうか、その辺のところひとつお聞きしたいと思います。
  131. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) ブラックマンデーの際に先物取引リスクヘッジ機能が十分働いたかという御質問でございますけれども、これはなかなか難しい御質問で、私もどういうふうにお答えしていいのか大変困るわけでございますが、現物市場しかなかったときに比べますと、まず先物でのヘッジもある程度可能——もちろん先物も急落いたしましたけれども、その急落の過程でも先物でカバーをとるということも可能だったわけでございますから、現物市場しかなかったときと比べてどうかというふうに考えますと、ブラックマンデーのときも若干ヘッジ機能を果たしたと言えるのではないかなというふうには思います。  しかしまた、ああいう非常に異常な事態の際に、先物が売られ、それにつられるような形で今委員の御指摘のございましたように現物も売られるというふうな、一種の相乗効果もあることも事実でございます。それはまた、今度は逆に現物に攪乱要因をもたらすというようなこともあろうかと思います。  したがいまして、米国では一体この暴落の原因は何であったのかということでいろんなところがレポートを出しておりまして、七つか八つぐらいたしかあると思います。そのレポートの内容を読んでみますと、必ずしも意見の一致を見ているわけではございませんけれども、かなりのレポートが今委員の御指摘ございましたようにプログラムトレーディングと申しますか、コンピューターで現物と先物との裁定行為を行う取引だとか、あるいはまたコンピューターで現物のヘッジを先物で大幅にとる行為とか、こういったものが急落の原因であったということも言われておりますし、そういったものにじゃどういうふうに対処すればいいのかということもこれも現在研究されておりまして、つい最近、一つの作業部会からいわゆるサーキットブレーカーと申しましょうか、急落の際に価格が大幅に変動すれば自動的に市場を一時停止するというようなことも考えたらどうか、という提案がされたというふうに我々は聞いておるわけでございます。  日本ではどうなるのかということでございますけれども日本の場合は既に先物につきまして国債の先物あるいは株先五〇というようなものがあるわけでございますが、これも値幅制限というのがございまして、一日の変動幅というのを一定の幅に抑えておりますので、アメリカで見られるような先物の急落がまた現物の急落を招くというようなことは、既にサーキットブレーカーとして一応防げるシステムができ上がっておるのではないかというふうに思います。
  132. 和田教美

    ○和田教美君 今お話に出ておりましたけれども、国債の先物はともかくとして、大阪の株先五〇、これはもう既にブラックマンデーの十月には始まっていたわけですね。これについては、ある生命保険会社がこれをうまく使って、つまり現物による欠損をほとんどこの株先五〇でカバーした、ヘッジ効果が非常に効いたという説を聞いたことがあるんですけれども、いやそうじゃなくて、やっぱりあれも機能を停止しちゃったんだと、先物の、つまり株先五〇の売買が成立しないというような状態になったんだという見方もあるし、まあスケールは非常に小さいから余り参考にならないかもしれませんけれども一つのやっぱりテストケースだというふうに言えると思うんですが、その点については大蔵省はどういうふうに分析、判断をされておりますか。
  133. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 米国のブラックマンデーの後を受けまして、日本ではその翌日の十月二十日に現物の株価が大幅に下落したわけでございますけれども、当日の株先五〇もやはり値幅制限のいっぱいでございます四十二円の下限に張りつきまして、結局売り気配で終わりまして売買は成立いたしませんでした。したがって、その当日で限って見ますと、やはり十分ヘッジ機能を果たし得なかったのではないかということも言えるわけでございますけれども、大証の方は翌二十一日からこの値幅制限を二百五十円に拡大をいたしまして、その後はかなりの取引も行われております。  したがいまして、一概にヘッジ機能を果たした果たしてないということは非常に難しいとは存じますけれども、この値幅制限拡大後は取引もできていることから、ある程度のヘッジ機能も働いたのではないかというふうに我々は分析しているわけでございます。
  134. 和田教美

    ○和田教美君 午前中、金融先物取引所は大体どこに開くんだというふうな質問がございましたけれども、まあ証券についてはとりあえず東京と大阪が始まっておるわけですが、名古屋がどうなるのか。それから金融先物取引所については、参考人の意見で銀行協会の会長さんがまだ全く未定ですという話でございましたが、とりあえず東京ということで出発するのか。それから、この両法案が通った後、施行された後に証券先物金融先物、どういうものを扱っていくのか、大体のスケジュールを、もう何回も断片的には話が出ておりますけれども、まとめてひとつお話を願いたいと思います。
  135. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) それでは、証券先物関係の方からまず御説明申し上げますが、証券先物につきましては、まず東京証券取引所東証株価指数先物、これを法律の御承認いただき次第、早急に開始をしたいということで現在準備を進めております。その後も東京証券取引所の方では、米国国債の先物取引、それから東証株価指数先物取引がある程度できてまいりますと、この株価指数のオプション取引というものも需要も高まってまいると思いますので、その場合には東証株価指数等のオプション取引、それからさらには日本投資家の米国株の保有というものがふえてまいりますと、米国株の変動のヘッジのためにS&P五〇〇という米国株式のヘッジのための指数がございますけれども、これも導入すべく検討しておるようでございます。  それから大阪証券取引所では、この東証の東証株価指数先物取引と同時に日経平均株価指数先物取引、これを導入する予定で現在準備中でございますし、この取引が定着いたしますと、この日経平均株価指数のオプション取引、これもいずれ検討の課題に上がってくるのではないかというふうに思います。  それから名古屋につきましては、現在まだ具体的にどういう商品をということは決まっておりませんけれども、何らかの形でオプション取引をや りたいということで、現在検討委員会をつくっていろいろ勉強しているようでございます。この辺は、私どもフィージビリティーが十分あるのかどうかというのを判断しながら、できるだけ前向きに配慮してまいりたいというふうに思っております。
  136. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) まず、取引所の場所等についてでございますが、金融先物取引法案におきましては、設置される場所あるいは数については制限は設けられていないのでございます。したがって、金融先物取引所の設立場所につきましては、本法案が成立後、各地域における設置の希望が出てまいりましたら、これを踏まえまして、諸条件を総合的に勘案して、適切な対応を図りたいと考えている次第でございます。  それから、どういう商品の上場を検討しているかということでございますが、金融界で内々検討しておりますのは、一つが円・ドルの先物取引でございます、いわゆる通貨に当たるわけでございます。それから預金の方は、ユーロ円とそれからユーロドルの先物取引を当初始めるのが適当ではないかということで検討を進めているやに聞いております。
  137. 和田教美

    ○和田教美君 金融先物取引法等には、固定手数料の裏づけとなる手数料の徴収義務を決めた条文が盛り込まれておりませんね。その理由を明らあかにしていただきたいと思います。
  138. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 金融先物取引法案の第四十七条に「受託契約準則及びその記載事項」が掲げてございます。その第二項の三号に「委託手数料の料率及び徴収の方法」というふうに書いてございます。したがって、この手数料につきましては、この受託契約準則で定めることになるわけでございます。  それでは、具体的にどのように定めるかということにつきましては、一つ金融先物取引がいわゆる専門家を中心にいたしました大口の取引であるということ等から、自由にした方がいいという考え方も当然あるわけでございます。諸外国、特にイギリス等はビッグバン以降かなり自由化をしているわけでございます。ただ他方、我が国ではこういう取引が初めて今後行われるわけでございますし、それからそういう意味では、我が国投資家等がこれまで自由な手数料制になじみが薄いという点もございます。それから、自由にいたしますと不当に高い手数料徴収ということも起こり得る可能性もあるわけでございます。そういう点も配慮いたしまして、今のところ一応の案として具体的に考えておりますのは、先ほどの受託契約準則で標準となる手数料をまず定めまして、当該標準を上回る額を徴収してはならないという形で規定するということにいたしますと、不当に高い手数料徴収を防ぐとともに、それが上限になりますからその下では自由競争が行われるという可能性が出てくるわけでございます。一応まだ検討の段階でございますが、そういう案も当面大きな検討対象になるということでございます。
  139. 和田教美

    ○和田教美君 この先物取引のいわば先輩格というのは、商品先物取引を主な目的とした商品取引所だと思うわけです。この商品取引所の設立以来の経過をちょっと調べてみましたところ、二十六年に横浜で生糸の取引が始まった。会員は当時は当業者主義で集まって、その中から委託業務を行う者を商品仲買人と称して最初は登録制で出発したわけです。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 ところが、どうも一般の投資家がだんだん先物取引に参加するというふうな状況から、いわゆる先物取引の委託者、一般投資家と、それから取引所の会員といいますか、その間にいろいろなトラブルが起こった。そしてまた、いわゆる過剰投機というふうな状態も起こってきたというふうなことで、だんだん役所の監督強化という状況になっていったわけです。つまり、四十二年に今まで登録制であったものを許可制にした。さらに五十年には、法律改正で四年ごとに許可を更新するというふうな制度になってしまったわけですけれども、こういうふうに役所側の監督というものを強化していかざるを得なかったということほど、やっぱりそういう投機性というものが強かったのかどうか。  農水省の方がいらっしゃると思いますが、商品取引には通産省関係もありますが、とりあえず農水省の方が来ていらっしゃったら、その実情を簡単に御報告願いたいと思います。
  140. 大矢好信

    説明員(大矢好信君) 商品取引につきましては、大変古い歴史があるわけでございます。今日の商品取引制度の骨格といいますのは、今先生がお触れになりましたように、昭和二十五年に制定されました商品取引所法によるものでございます。今先生も御指摘になりましたように、法律の制定当時は、商品仲買人について、登録制度を採用しておりました。その後大衆参加の進展に伴いまして、委託者保護の強化を図るというような観点から、昭和四十二年の法改正によって許可制度に移行いたしたわけでございます。  しかしながら、一般の委託者との紛議もなかなか数が多いというような状況もございまして、さらに昭和五十二年の法改正によりまして、商品取引について許可の四年更新制というものを導入いたしたわけでございます。その間の委託者紛議について申し上げますと、今手元にあります昭和四十八年度からの十五年間で見てみますと、そうした法改正等の経過の中で、昭和四十八年には七十四件であったものが六十二年には三十七件というような状況になっております。
  141. 和田教美

    ○和田教美君 いや、何かそういう規制強化をしなければいけない理由があったのかということを聞いておるわけです。登録制が許可制になり、さらに四年ごとに許可を更新するというふうに、だんだん強化していっているわけですね、その理由は何だったのかということです。
  142. 大矢好信

    説明員(大矢好信君) ただいま申し上げましたように、商品取引は、一般の委託者から商品取引の受託の業務を専らにしているわけでございまして、一般の委託者と取引の過程でいろいろなトラブルがあるわけでございます。  例えば、外務員が行き過ぎた勧誘行為をするとか、一方委託者の方で、商品先物取引の仕組みを十分理解しないままで取引に参加をして多額の損金を生ずるとか、あるいはまた両者の間の連絡が不十分であるというようなことが原因でいろいろなトラブルが発生しております。そういうトラブルといいますのは、一般の委託者が商品取引に大勢参加をされるにつれまして、だんだんとふえてきた。そういうような背景があるわけでございます。そういう過程の中で先ほど申し上げましたような法改正を行いまして、商品取引についてのいわば規制の強化を図ったということでございます。
  143. 和田教美

    ○和田教美君 金融先物取引の場合に、まあ今度新しく取引所を開設するわけで、非常に大きなことだと思うんですが、商品取引所の先例というふうなものはスケールも違うし、いろんな状況において違うことはあると思いますが、投機性があるという点において似たり寄ったりの面もあるわけでございまして、そういう点についてどういう教訓を得て参考にしたかどうかという問題と、商品取引所に比べると証券取引所あるいは今度新しくできる金融先物取引所、こういうもののいわゆる監督とかそういうふうなものを比較した場合に、一体どうなんですか、どの程度、大体同じくらいなんですか、それとも商品取引所が一番厳しいんですか、その点をひとつ御説明願いたい。
  144. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 今農林省の方からお話がございましたが、我々といたしましても商品先物取引のこれまでの経緯あるいは、最近でございますが、海外商品先物取引において投資家被害がいろいろ出ているというような事実、そういうこと等を十分認識いたしまして金融先物取引においてこういう事態等をできるだけ防止するという方向で法案作成に当たってきたところでございます。したがって、そういう意味では投資家保護については最も意を用いたと申し上げていいのではないかと考えているところでございます。  そして具体的には、先ほども申し上げました が、受託業務について開業規制を設けるとか、それから契約締結前の書面交付を義務づける、それから、のみ行為を禁止するといったような投資家保護の諸規定を多々入れております。それからさらに、資力の乏しい投資家が安易に取引に参加するということを未然に防止するために、委託証拠金についても最低限度額を設けるということも措置を講じているところでございます。  いずれにいたしましても、今後取引所が実際に動き出しました場合には、委員の御指摘も十分に踏まえながら投資家保護につきましては万全を期してまいりたいと考えております。
  145. 和田教美

    ○和田教美君 これは通告していないので即席で答えていただきたいんですが、金融先物取引所は会員組織の法人ということになっていますね。それで、会員の資格は定款で定めるということになっている。一方、「金融先物取引業者」という規定がございますね。この金融先物取引所の会員というものと金融先物取引業者との関係はどういうことになるのかということです。金融先物取引業者というのは中小の業者も含めて中小の証券会社なんかも入るんですか、それともどういう資格のものになるのか。その取引業者の中から一定の資格を持ったいわば大きな規模の銀行なり会社が会員ということになるのか、その関係はどういうことになりますか。
  146. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 会員の方は取引所の会員でございまして、これは自己の勘定で取引するほか、いわゆる投資家の委託を受けてそれの取り次ぎ行為も行うということでございまして、したがってその意味では非常に責任の重い立場にあるわけでございます。法令上も会員についてはもろもろの資格要件を設けておりますし、失格要件もきちっと決めているということでございます。  それから他方、取引業者の方は、金融先物取引業という業を行う者でございまして、これにつきましてはやはり投資家保護という観点から非常に重要な点があるわけでございまして、同様にこの資格要件その他を設けておるわけでございます。ただ、この業の認可を受けた者が即会員になるという仕組みには法律上なっておりませんで、業の中からさらに会員を選ぶというふうになっているところでございます。
  147. 和田教美

    ○和田教美君 次に、ディスクロージャー制度の見直しの問題についてお尋ねします。  今回の証取法の改正でディスクロージャー制度(企業内容開示制度)この見直しが行われるということになっておりますけれども、例えば発行登録制の導入とか、それから一定の要件を満たす発行者の提出する有価証券届出書については、届出書の記載を簡素化するというふうな規定などがありますね。全体的にこの観点は、企業の有価証券の発行手続を簡素化して企業の負担を軽くするという観点から行われているものが多いというふうに思うんですね。そういうことも確かに必要なことだと思うんですけれども、しかし、本来ディスクロージャー制度というものは株主や投資家に対して企業の本当の姿を示す、情報を提供するということにあると思うので、ですから余り簡素化簡素化ということばかりを考えていくと、その本来の趣旨というものが損われていく可能性もあると思うんですが、その辺の兼ね合いを大蔵省としてどう考えてこういう改正という形に持っていったのかのいきさつをお聞きしたいわけです。
  148. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 今回のディスクロージャー制度改正でございますけれども、ディスクロージャーの内容そのものにつきましては私ども必ずしもこれを簡素化したというふうには理解しておりませんで、むしろディスクロージャーの手続を簡素化したんだと、内容についてはむしろ充実を図っていくというふうなのが基本的な考え方でございます。  委員指摘のございました発行登録制度でございますけれども、確かに、発行登録制度を採用いたしますと、企業といたしましては、一々社債発行等の都度発行届出書を提出する必要はなくなります。しかし企業は、その企業の内容につきましては適宜変更があればその変更届出書を出す必要がございます。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 それから、発行登録の際も必要な企業内容についての開示はこれまで公表されている発行届出書あるいは継続開示文書を参照するという形ではございますけれども、企業内容の開示は義務づけておるわけでございます。したがいまして、私ども今回ディスクロージャー制度改正一つ目的といたしましたのは、企業の資金調達を弾力的に行わせるように発行開示の手続を簡素化したということでございます。  内容についてはほぼ従来どおり内容を開示させるということでやってきておりますし、ただそれだけではなくて、この内容につきましても、例えば臨時報告書の提出の理由を拡大するとか、それからさらにはセグメント情報と申しまして、企業の業務分野ごとの情報等も開示させるように、むしろ充実を図っていくという方向で今回の問題に取り組んでおるわけでございます。
  149. 和田教美

    ○和田教美君 次に、インサイダー取引規制の問題について少しお尋ねをしたいわけです。  東証の竹内理事長がこの委員会の参考人としてインサイダー取引規制ということが必要だと。その理由として、内外からの信頼性の確保という点と、それから今後国際資本市場として発展をしていくためにも、やっぱり国際並みのことをやる必要があるというふうなことを強調されたわけでございますね。ところが、その日も野村護券の方がお話ございましたように、欧米の雑誌などでは日本ではこれまでインサイダー取引の摘発がないということを取り上げて、日本の市場はインサイダー天国だというふうなことを書いた雑誌などが出たわけですね。証券業協会としてそれに強く抗議をしたと言っておりましたけれども、実際に摘発がなかったことも事実なんですね。ですから今度の改正の前、現在までのところはやっぱりかなりインサイダー取引の天国なのかどうか、その点をどう御認識されているか、できれば大蔵大臣のお答えを願いたいと思います。
  150. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) なかなかこれは言葉の定義の問題のようなのもございまして、非常に難しい問題でございますけれども、まず一つ外国からのインサイダー天国だという批判の記事などをよく読んでみますと、どちらかといいますとインサイダー取引というよりも株価操作のようなものが非常に行われておるのではないかというような点にポイントが置かれて、日本取引所を、こういう言葉がいいか悪いかわかりませんけれども、若干おもしろおかしく書いたというふうな感じを私たちは持っておるわけでございます。  インサイダー取引につきましては、確かにこれまでインサイダー取り締まりの規定が明確でなかったということはございますけれども、私どもも決してこれを野放しにしておったというわけではございませんで、既に昭和四十六年ごろからしばしば証券業界あるいは取引所等に対してこのインサイダーについて十分取り締まり体制を、自主規制を図っていくようにいろいろと指導もしてきておりますし、特に取引所を中心に株価の異常があった場合にその取引状況を調査する、あるいは証券会社等も内部者取引の疑いがある場合には取引理由を聞いてもらうとか、こういうこともやってきておったわけでございます。  したがいまして、私ども決してインサイダーを野放しでインサイダー天国であったとは思っておりませんが、外国から見ますと、やはり取り締まりの規定が諸外国ともにかなり整備が進んできておりますので、日本のように明確でないととかくインサイダー取引が頻繁に行われておるのではないかという、疑惑の目で見られがちであったということは否定できないと存じます。
  151. 和田教美

    ○和田教美君 なかなか微妙な言い方なんですけれども、やっぱり海外からのそういう批判というものがこの法案をつくらせた——国内的な要因としてはもちろんタテホの事件というものがございますよ、しかしそういう国際的な圧力というか、そういうものがやっぱり私はかなり作用したというふうに思うわけですね。その証拠に、SECの 幹部が日本に来たときに、大蔵省が今考えているこのインサイダー規制によって大体九八%の規制はできるというふうなことを言ったというふうな報道がございましたね。つまり、我々は余りよく知らないうちに、アメリカのSECの人たちとは非常に情報交換をやって立法を進めたというふうなこともあるんじゃないかというふうに私は推測をしているわけなんですけれども、確かに国際的な足並みをそろえるということは重要なことだと思うんですね。  僕はそれを否定するわけではございません。竹内理事長の言うとおりだと思うんですけれども、しかし国内には国内のやっぱり特殊の事情というものもあるわけで、インサイダー情報というものについての受け取り方というものがアメリカなんかと日本とではかなり一般の大衆の人たちも違うと思うんですね。そこを全く無視して制度をいきなり導入するということになると、そこにやっぱりいろんなフリクションも起こってくると角を矯めて牛を殺すというふうなことになるおそれもなきにしもあらずと思うんですね。その辺のところは大蔵省としてはどういうふうに考えておられますか。
  152. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) インサイダー取引につきましても、確かに委員指摘のとおり、私ども幾ら立派な取り締まり規制を、法体系をつくり上げましても取引関係者、特に証券取引所あるいは証券会社等がその気になってくれなければと申しますか、本当にインサイダー取引というのは取引の公正を害して一般投資家に迷惑をかけるだけではなくて、証券取引全体の健全性を阻害するんだという認識を持ってくれないと意味がないというのは、まさに御指摘のとおりであろうと思います。  私どもが今度法改正を準備いたしましたのは、確かに一つは、国際的なプレッシャーとは決して私は申しませんけれども、国際的にもインサイダー取引規制整備が進んでいる以上、日本もそれに即応して国際市場にふさわしい体制をつくり上げていくべきであるという認識を強く持ったということでございますけれども、一方、タテホ事件を契機というか、それは一つの契機というよりもむしろそれが一つの刺激材料にはなったと思うんですけれども、やはりインサイダー取引というものが証券取引にとって非常に好ましくないものであるというような認識が高まってきたというようなことも、これを私どもがこの法規制を迅速に整備しなければいけないというふうに考え一つ理由でございます。  したがいまして、我々が特に空回りをしてやっておるというよりもやはり証券界全般の認識としてインサイダー取引規制を強化すべきであるということから、今回の法改正をお願いしているところにつながってきたんだというふうに理解をしております。
  153. 和田教美

    ○和田教美君 インサイダー取引規制は、我が国証券市場が一般の投資家の信頼を得るために私は必要だということを先ほども申し上げました。しかし、とにかく摘発が多ければ多いほどいいと、アメリカのように何百件も一年のうちにあるというふうなことが必ずしもいいとも言えないわけで、今度の動きを見ておりますと一つは要するに未然防止ですね、そういう体制をつくってなるべくそういうインサイダー取引規制にひっかからないような、取り締まりにひっかからないような体制を業界の間につくるということが一つと、もう一つはどうしてもそういうことをやるという者に対しては罰則でそして取り締まると、この二本立てだと思うんですね。  しかし、本来ならばやっぱり最初の未然防止体制というものがもちろん政府もそれから関係業界も一体となってこれを進めるということが私は必要だと思うんですけれども、その点については具体的に大蔵省はどういう指導をされていくおつもりですか。
  154. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) インサイダーの取引の取り締まり体制につきましては、証券取引委員会でも未然防止と罰則規定の整備とこれを車の両輪として進めるようにという御報告をいただいておるところでございます。まさに委員指摘のように、未然防止体制の整備を十分やっていくということがこのインサイダー取引をできるだけ抑制していくということの一つの大きなポイントになるというふうに思います。  そこで、私どもが今考えておりますのは、未然防止体制といたしましてはまず発行会社、上場企業の方に対しましてもその中の情報管理を徹底させるとか、さらにはいわゆるタイムリーディスクロージャーと申しますか、必要な情報を適時適切に開示をするように、これを強く要請してまいりたいと思いますし、と同時に発行会社の役職員のインサイダー取引に対する必要な教育等もお願いをしなければいけないというふうに思います。それからさらに証券取引所、これはそこで証券取引が行われる場所でございますから取引の動きを最も全体的にモニターをしやすいという立場にあるわけでございまして、この取引所がまさにこの未然防止体制の大きなかなめを担ってくれておるというふうに思いますけれども、ここでは二つの面で未然防止体制をお願いしておるわけでございます。  一つは、まず上場企業に対して先ほど申し上げましたように適時適切な開示あるいは取引所に対する通告、こういったものを要求してもらうということ。それからもう一つは、証券取引所の方で株価等に異常な動きがあった場合には取引を一時停止して、そして発行企業に対してその株価変動はどういう理由なのか、こういったものを照会してもらう。必要な場合には第一の方に戻りまして開示をしてもらうとか、こういうふうなやり方を、これまでもこういう仕組みにはなっているわけでございますけれども、より弾力的に運用していくということでございます。  三番目は、証券会社でございますけれども証券会社につきましては、これはまさにお客と第一線で接しておるところでございます。お客が何たるか、だれであるかというのが一番わかりやすいところでございますので、証券会社に内部者取引管理カードというのをつくってもらいまして、上場だけじゃなくて店頭登録も入っておりますけれども、発行企業の役職員それから大株主並びにこれらの家族、こういったもののリストをつくりまして、その取引の動きをモニターできるようにしてもらうと同時に、証券会社の中にはいろんな情報が内部にかなりあるわけでございますので、その情報をちゃんと管理をしてもらう。言いかえますと、法人関係のセクションに入りました企業情報というようなものが顧客との売買部門を担当しています営業部門にすぐ流れないように、いわゆるチャイニーズウオールと言っておりますけれども、こういったものをつくってもらって、その動きを売買管理部というところでつぶさにチェックしてもらう、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
  155. 和田教美

    ○和田教美君 今のチャイニーズウオールの問題でございますけれども、大和證券が法人担当部門、これは情報が入りやすいわけですけれども、それを別のビルに移すというふうなことを決めたという新聞記事がございましたね。もちろんこのチャイニーズウオール、つまり情報の壁を設けるということは、一義的にはやっぱり僕は証券会社の従業員の心の問題だと思うんですね。だけれども、やっぱり外形的にハードの面から見ても、できれば分離するということの方がいい、電話一本あるからそんなことは意味がないといえばそれまでだけれども。それも一つ方法だと思うんですけれども、具体的にチャイニーズウオールを、ほかの証券会社でもいろいろ考えておられるようですけれども、どういうふうな基準で指導されていくのか、その点はどうお考えですか。
  156. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) チャイニーズウオールにつきましては、内部者取引管理規則というものを各社つくってもらうということで、今証券業協会の方を中心にいたしまして相談をしておるところでございます。  そのポイントを申し上げますと、企業関係の情 報があった場合には、その企業関係の情報を得た者は売買管理部に全部報告をする、企業関係の情報が全部売買管理部に集中してくるわけでございます。売買管理部はその情報が他の部門に漏れないようにいろいろとチェックをいたしますけれども、例えば調査部門が調査月報のようなものをつくって、投資情報というんでしょうか、これを営業部店に流すというような場合に、売買管理部がこの発行会社の内部情報がその中に織り込まれているのではないかというようなこともチェックをいたします。  それから、当然のことながら、この情報は営業部店の方から個々の取引が報告されてまいりますけれども、その場合にも、この発行体の関係者が取引しておるのではないかどうか、もし取引しておるとした場合に一体どういう動機で取引をしたのか、営業部店の方に照会をさせるというようなこともいたします。と同時に、この内部情報が証券会社の中で得られましたような場合には、その証券会社の自己の売買についても原則として禁止をいたします。  それから、さらに今御指摘ございましたように、この内部関係の情報は物理的に他部門から隔離して管理するというようなこともやらせたいと思います。これは大和證券が既にその線に沿いまして法人部門そのものを他の場所へ移すということをやったわけでございますけれども、私ども別に他の場所に移すということは絶対必要だとは思っておりませんけれども、少なくとも情報自身は完全にセパレートして管理されなければいけないというふうに思います。  それから、もっと進みますと、法人情報に基づいた売買ではないかというふうに思われるような場合には、その証券会社は売買取引の受託を拒否しなければいけないというようなことまでやりたいというふうに考えておるわけでございます。
  157. 和田教美

    ○和田教美君 今証券会社を中心にお話がございましたけれども、生命保険だとかあるいは金融機関、こういう問題についてもやはり内部情報に接しやすいというセクションはあるわけですね。そういうものについてもやっぱり同様な対応ということが必要なんではないか。例えば特別金銭信託、これを利用して生命保険なんか株式に活発に投資をしている。そして運用成績を高めるために相場の動向や個別銘柄の分析を行う際に、融資を通じて上場企業の財務情報を得ている部門と、特金を運用している部門というようなものがあるわけで、その辺についてやっぱり同じような配慮が必要なんではないかと思うんですけれども、その点はいかがですか。
  158. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 全くおっしゃるとおりでございまして、私ども関係部局と相談をしながら、金融機関に対しても同様なチャイニーズウオールを設けてもらうようにお願いをしていくつもりでございます。
  159. 和田教美

    ○和田教美君 証券業者の若いセールスマンなんかに聞くと、偉い人は、今度の法律によって我々は何をやっちゃいかぬかというのが非常に明確になった、非常に結構だと、参考人の意見表明でも田淵さんはそう言ってましたよ。ところが、実際のセールスマンなんかは、そんなことはないと、やっぱりいろいろ灰色の部分があるんだと。特に情報についても余り重要でない情報はこれは除外する、インサイダー取引規制対象にしないということが書いてあるわけですね。ところが、何が重要な情報かという判断はこれ非常にデリケートだと、こういうことを言うわけですね。  ですから、私は法律にある程度明確に書いたからというのは確かに進歩だと思いますけれども、さらにだれが見ても、しかもこれは一般の顧客にも関係のある問題ですから、だれが見てもこういうことをやってもいいんだ、こういうことはだめだという明確な基準大蔵省でぜひつくる必要があると思うんですね、早急に。その点はいかがですか。
  160. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 今御指摘のございました点は、インサイダー情報でございます会社の業務等に関する重要な事実について、「投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものとして大蔵省令で定める基準に該当するものを除く。」と書いてございます。したがいまして、大蔵省令で軽微なものとしてこの重要事実から除かれるようなものを事細かく指定をしていくということになるわけでございますが、この辺は、構成要件を明確にして取引の安定性を図るという観点から、これはぜひ必要なことだというふうに思います。その場合に、例えば新株等の発行、これはこの法律の百九十条の二の第二項に重要事実として列挙してございますけれども、その場合であっても、発行総額が幾ら未満である、非常に少額であるというようなものはこれを除くということにいたしたいと思います。  その他、いろいろとここに重要事項として規定してございますけれども、ほぼそれぞれにつきまして重要性が軽微なものということで、具体的に大蔵省令で基準作成していきたいというふうに思っております。
  161. 和田教美

    ○和田教美君 それでは、このインサイダー取引規制法律の内容に即して二、三聞いてみたいんですけれども、これは第百九十条の二ですね。有価証券の発行会社の役員等であってその職務等によって内部情報を知った者が、その公開の前に当該有価証券取引を行ってはならないこととし、その違反については刑事罰を課すというのが法律の建前ですね。ところが、この発行会社の役員等という、法律はたしか「会社関係者」という表現でしたかね。この発行会社の役員等という、つまりまず内部者と一般に言われている、これは発行会社の役員、従業員及び株主ということになっておりますね。だけどこの株主というのはどの程度の株主なのか、法律ではこういう程度の株主ということが何か条文が書いてありますけれども、よくわかりません。それが一つ。  次に準内部者——当該発行会社との間で内部情報を知り得るような法令上、契約上の関係を有する者。大蔵省の説明プリントによると、例えば取引銀行、引き受け証券会社、公認会計士等となっておりますが、法令上の関係を有する者というのは何のことを指すのか、この点が第二点。  それから第三点の、これは一次情報受領者に関する規定ですけれども、内部情報を提供を受けた者、これが一次情報受領者だと思うんですが、それじゃ二次情報受領者、つまりその一次情報を受領した人からさらに、あそこは大増資があるぞというような情報を聞いた二次、三次の受領者は適用になるのかどうか。  この三つについてお答えを願いたい。
  162. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) まず、内部者の範囲の中の株主とはいかなるものかということでございますけれども、それは百九十条の二、第一項第二号に規定してございます「商法第二百九十三条ノ六第一項に定める権利を有する株主」ということでございますが、具体的に申し上げますと、帳簿の閲覧権を有する株主ということでございます。  それから第二番目の準内部者につきまして、準内部者には、この証券取引法上は、一つは法令上の権限を有する者と、それから当該会社と契約を締結している者と、この二種類ございますが、まずこの法令の定める権限を有する者とは何かというお尋ねであったと思いますけれども、これは企業に対しまして許可、認可、免許等の権限を有している者、あるいはさらにこの上場会社に対して、企業に対して立ち入り検査とか質問、調査、捜査を行う権限を有している者ということでございます。典型的な例を申し上げますと、私の所属しております証券局の職員が証券会社に対してこれは権限を持っているわけでございますから、証券会社そのものの内部情報を取得する場合というようなケースが典型的なケースでございます。  それから三番目の御質問、これは情報受領者でございます。いわゆる会社関係者と申しますか内部者、準内部者から内部情報を受領する者、これはこの規定の第三項に規定してございますけれども、この規定にもございますように「会社関係者から」情報の伝達——「重要事実の伝達を受けた者」というふうに規定してございますので、基本 的には第一次受領者に限られております。第二次受領者は原則として入りません。  ただ、これはまずどうしてそうしたのかということでございますけれども、情報受領者の範囲を広げますと、どこまでこの内部情報の関係で取り締まりの対象になるものかということが非常に無制限になってしまうものですから、むしろ法的秩序の安定性という観点からもいろいろ問題があるのではないか。諸外国でも英国等は第一次受領者に限るという扱いをしております。  そういう観点から第一次受領者に限ったわけでございますが、この第一次受領者か第二次受領者かということにつきましては、やはりいろいろ事実認定の問題がかなりあろうかというふうに思います。例えば第一次受領者が第二次受領者の単なる道具に使われておるような場合、一つの経由機関にすぎなかったというような場合には、実質的には第二次受領者であっても第一次受領者と認定をされるような場合もあろうかというふうに思います。したがいまして、この辺はかなり事実認定の問題なんかには絡んでくると思いますけれども法律的には第一次情報受領者に限るというふうにしているわけでございます。
  163. 和田教美

    ○和田教美君 次に、またさらに具体的な質問を一、二いたします。  一つは会社の役員をしている人が例えば親戚に内部情報を教えたと、その人が株を買った。その場合に、その教えた会社の役員というのはこのインサイダー取引規制の罰則にひっかかるのかどうか、それとも全くおとがめなしなのかどうか、その点はどうですか。
  164. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 御指摘のケースは情報伝達者ということになると思いますけれども、この証券取引法上は、情報伝達者はこの刑事罰の対象とはしておりません。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 ただし、情報伝達者といってもいろいろなケースがあろうかと思いますけれども、例えば教唆とか幇助とかいわゆる刑法総則の適用のもとで、何と申しますか、刑法上の総則の適用を受けて教唆、幇助に該当するような場合、こういったような場合には情報伝達ではなくて教唆犯、幇助犯として処罰の対象になるような場合もあろうかと思います。
  165. 和田教美

    ○和田教美君 これは刑法にひっかかるというわけですか。  それともう一つついでに、一次情報受領者が例えば業界誌の記者だとしますね、その業界誌の記者が自分では一次情報に基づいて株の取引はしなかった、しかし情報に基づいて業界誌に記事を書いたと、これは別にインサイダー取引規制のこの法律の対象にはならないわけですね、その場合にはどうなりますか。
  166. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 新聞記者が記事を書いた場合、記事を書いて自分では取引をしなかったというケースにつきましては、この記事を書くこと自身は今回の前提としております処分の対象にはなりません。  それから、第一の刑法の問題なのかという御質問でございますけれども、この証取法上の罰則規定につきましては、これは刑罰規定でございますので、刑法総則の適用があるということでございます。
  167. 和田教美

    ○和田教美君 さらにもう一つ具体的な質問ですけれども、例のタテホ事件、この関連ですがね、まあタテホ事件についてはインサイダー取引の疑いが非常に濃いという大証の判定はあったんだけれども、結局事件としては成り立たなかったということで終わったわけです。いろいろとこの事件についても報道されておりますから真相は必ずしも一定ではないと思いますけれども、仮に発行会社の役員や金融機関が、事前に発行会社が大きな損失をこうむったとの未公表の事実を知って、その会社の株を素早く売って損を回避したというものであったというふうに仮定をした場合に、今回のインサイダー規制に当てはめると一体どういうふうになりますか、具体的には新法の適用によって罪になるということですか。
  168. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 御指摘のケースにつきましては二つの点から検討する必要があろうかと思いますが、まず第一は、そのケースにおきます株式の取引を行った者が内部者、いわゆる「会社関係者」になるかどうかということでございますけれども、上場企業、発行会社と契約を提携している取引銀行であれば当然融資契約という契約を提携しているわけでございますから、取引銀行の役職員等はこの新しい法律の百九十条の二第一項第四号に該当する会社関係者」になるわけでございます。  それから、先物取引損失等が会社の業務に関する重要な事実、いわゆる内部情報になるかどうかというのが第二番目の問題でございますけれども、これも具体的に内部情報として同条の第二項に列挙してございますけれども、例えば債券先物取引による損失であればその二項二号イの「業務に起因する損害」ということに該当いたします。  したがいまして、これらの事実を知って、まだそれが公表される前に取引をした場合には、「会社関係者」になると同時に、重要な事実を知りながら取引をしたという行為にもなるわけでございまして、新しい規定に基づきまして罰則の適用を受けるということになります。
  169. 和田教美

    ○和田教美君 次に手張りという問題、これについて聞きたいわけです。  兜町に本社を置く中堅の証券会社の元副社長と幹部が自己売買をやった、そして脱税をしたということで捕まったという事件が今起こっていますね。これについて一般に新聞報道などによると、これは手張りだということが書いてあるわけですね。手張りというのは、どうも報道がまちまちですけれども、一部の報道によると手張りという行為はまさにインサイダー取引の典型であるというふうな書き方をしているわけですね。果たしてそうですか。手張りというのは僕もよくわかりませんけれども、手張りというのは一体どういうものなんですか。そして、手振りというのはインサイダー取引そのものなんですか、それとも違うのか、あるいは関係があるのか、その点は大蔵省どう考えておりますか。それからさらに、手張りという行為は現在かなり広く証券業界に行われておりますか。
  170. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) いわゆる証券界では手張り、手張りという言葉が使われておりますけれども、これについての明確な定義はございませんけれども、一般的には証券会社の役職員が自分の計算で投機的な売買を行うというふうに考えられます。したがいまして、具体的に申し上げますと、例えば今回のように会社の副社長が自分の勘定で短期売買を行うというようなものはこの手張りに該当するわけでございます。  手張りとインサイダー取引の違いということでございますけれども、ちょっと違った観点から見ておるケースでございまして、手張りと申しますのは先ほど申し上げた投機的な短期売買ということでございますが、内部情報というのはむしろ、短期売買の場合もございますけれども、会社の内部情報を知りながら取引をするわけでございます。したがって、違った観点からの議論でございますので、手張りの場合にインサイダー取引に該当する場合もあるかと思いますけれども、また手張りであってもそういう会社の内部情報を知らないで短期売買を繰り返した、例えば株価の動きなどを推定しながら短期売買を繰り返したという場合には、インサイダー取引には該当しないということになるわけでございます。  それから、証券界で手張りが頻繁に行われておるのかということでございますけれども、この証券会社の役職員の短期的な売買につきましては、これは法令でも禁止されておる行為でございまして、まさに証券取引法上いわゆる健全性省令に基づきまして役職員の投機的な売買は禁止でございます。それからさらには、証券会社の内部規則等によりましても、このような取引はやってはいかぬということにしてございますので、私どもとしてはもちろんこの検査の際にそういうことも厳格に見ておるわけでございますけれども、手張りの ような、まさに証券取引を執行する立場にある者がこのような行為をするということは私どもの理解を超える問題でございます。
  171. 和田教美

    ○和田教美君 店頭登録銘柄、店頭市場における株式の売買というものは、これは規制対象から外されているということはさっきもお話がございましたので繰り返しませんけれども、今度の法案が通ったら日経平均株価指数及び東証株価指数(TOPIX)この先物取引が開始されるということになるわけですが、これも規制の対象から外されておるわけですね。しかし、あるインサイダー情報を得て、これら先物商品を買ってあるいは売るという投資家も出てくるんではないかと思われるわけで、先物商品なればこそ将来の相場動向を人よりも先に欲しくなるということもあり得るんではないかと思うので、その点はどういう理由でこのTOPIXとか日経平均株価指数なんかについては外したのか御説明願いたい。
  172. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) TOPIXとか日経平均と申しますのは、委員も御承知のように、日経平均の場合は二百二十五種、TOPIXの場合は千種類を超える株式の総合的な指数でございます。インサイダー取引と申しますのは、個々の銘柄につきまして個々の会社の内部情報を利用してする取引でございます。一つの会社の情報を仮に知っていたといたしましても、それが日経平均、TOPIXの価格に及ぼす影響というのはほとんど微々たるものになるのではないかというふうに考えたことが、これらを今回のインサイダー取引の対象から外した大きな理由でございます。
  173. 和田教美

    ○和田教美君 それから、取り締まり監督体制という問題ですけれども、私はさっきも言いましたように摘発するだけが能じゃない、やっぱり未然防止体制がまず大事だということを強調したわけですが、アメリカの場合には、どうも最近はヒット映画のモデルになるような、つまり摘発の事例がかなりふえておりますね。そして証券取引委員会自体、スタッフは大体二千人ぐらいというふうに聞いておるわけですが、強大な捜査権を持っているというふうに聞いているわけです。それに比べると、警察は別として、大蔵省の体制は証券局及び地方の財務局、これを含めて一体どのくらいがこういうインサイダー取引規制ということに当たれるのか。十分の一かあるいはそれ以下、数分の一かというところじゃないかというふうに思うんですね。  ですから、そういうだんびらを振り回すことだけが能じゃないけれども、未然防止のためにもやっぱり監視体制というものは強化していかなきゃいかぬと思うので、果たして今の体制でこれで十分なのかどうか、その点についてお聞きしたいのと、そうは言っても、法律に書いてあるけれども、先ほども話が出ておりましたが、なかなかそんなことはできないよ、一年に一回ぐらい摘発される程度だよというようなことも言ってうそぶいている人もおりますが、その辺のところはどう見ておられるのか、あわせてお聞かせ願いたい。これはできれば大蔵大臣の感想もお聞きしたいと思います。
  174. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) SECに比べて証券局のこのインサイダー取り締まりに当たるスタッフの数の問題でございますけれども、SECは二千人でございますけれども、このインサイダー取引の取り締まりに当たっておりますのは約七百名程度というふうに思います。大蔵省の場合は、このインサイダー取引の取り締まりあるいは検査に当たる者は、合計いたしますと百六十六名ということになります。いずれにしても、数の上で見てまいりますとかなり劣勢であるということは否めないというふうに思います。  ただ、これで十分かどうかということでございますけれども委員も御指摘のように、私どものこのインサイダー取り締まり体制というのは、やはり摘発するということよりも未然防止に重点を置くということで考えておりますし、またアメリカ日本との場合の証券会社制度の違いとかそういったものを考えますと、日本の場合の未然防止体制というのはかなりうまく機能し得るものだというふうに思っておりますので、これらの職員でインサイダーの取り締まりの実効を私どもは十分上げ得るというふうに確信をしておるわけでございます。  それから、一年に一件程度しか取り締まるのはないんじゃないかというお話でございますけれども、これも繰り返しになりますけれども委員もしばしば御指摘ございましたように、摘発することが目的ではなくて、未然に防止することが目的であるというふうな考え方から、これから私どももこの取り締まり体制に重点を置いて頑張っていきたいというふうに思っております。
  175. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) やはり一つは、この証券会社、我が国は免許事業でございますから数も限られておりますし、また、それなりにそれはかなり一般的に申しまして整備されている、モラルも高いところ、アメリカに比べましてと言っては語弊があるかもしれませんけれども、ということは言えるであろうと思います。  したがいまして、行政としては、今局長が申し上げましたように、違法の摘発よりはそういうことが起こらないようにという、むしろ指導に重点を置くことができるであろうと考えております。我が国は、アメリカのようにいわゆる行政委員会の制度をとっておりませんのでSECのようなものを持っておりませんが、今のようなことでございますから、我が国なりに有効に働けるのではないかと考えております。
  176. 和田教美

    ○和田教美君 この問題は、基本的にはやっぱり何といってもその証券業界あるいは個人の投資家というものの心構えの問題だというふうに思いますね。田淵さんが参考人の意見表明で、証券業界としてはこういうインサイダー取引違反というようなことは絶対に起こしちゃならないというのが証券業界の決意でございます、というふうな意思表明をされましたけれども、そのとおりにいけば問題は起こらないわけです。しかし、なかなかやっぱりそうもいかないという、果たしてどの程度まで実行できるかということについてはいろいろな疑問もあるわけですね。結局は、だからまず関係者の意識革命が私は必要だと思うんですね。  だから、その意識革命を助けるためには、やっぱり行政当局としてもいろいろな指導もしなければならないというふうに思いますが、基本的にはとにかく情報というものがあればあるほどもうかるというこの市場のメカニズムというものは余り変わらないと思うんで、それを全面的に否定してしまうということになると、取引の活性化という点から非常に問題が起こってくるというようなケースもあるのでなかなか難しいと思うんですけれども、その点についてはどうお考えですか。
  177. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 証券取引審議会審議におきましてもその点が一つの大きな問題になった点でございます。  取り締まりに重点を置き過ぎる余り、証券市場の活力を失わせるようなことになってはならないということはいろいろな委員からも指摘がございました。そういう考え方に基づきまして今回の法律はできておりまして、構成要件を非常に明確にして、内部者取引に該当する事実というものも極めて限定的にした、情報はすべていわゆる内部情報に該当するのではない、こういう情報が内部情報に該当するんだというようなことを限定したというようなことは、やはり市場の活力を維持しながら、と同時に内部者取引というものを取り締まっていかなければいけない。この二つの要請を調和するために私どものとった措置だというふうに考えておるわけでございます。
  178. 和田教美

    ○和田教美君 もう時間が大体参りましたから最後の質問ですけれども、東証の平均株価がこれまたもう既にブラック・マンデーの直前の高値をオーバーしちゃって、ニューヨークだとかロンドンなんかはかなり低迷している状況に比べるといわゆる独歩高という状況を今続けておるわけでございます。この独歩高という状況については、日本経済のファンダメンタルズが非常にいいから評価されて当然だというふうな強気の見方もあるけれども、ニューヨーク、ロンドン、東京とが全く違っ た動きになっている。全くと言っちゃ語弊があるけれども、違った動きになっているというのはいつまで続くかなという疑問を投げかける人もあるわけですね。ですからその点について、そういう楽観一点張りじゃなくて、何か落とし穴なりそういうものがあり得るのではないかという不安感も持つわけなんです。要するに、こういうふうに日本の株式市況というものが独歩高を続けている理由として大蔵省はどう考えておられるのか。それから、今言ったような、場合によってはがらっとくるような状況が起こらないかどうか、その辺についての判断をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  179. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 株価の見通しにわたります問題は私どもの立場上差し控えさせていただきたいと思いますけれども、現状についての認識でございますが、確かに委員指摘のように、日本株価は暴落前のピークを上回っておりますし、米国、イギリス等では過去のピークの大体七五%前後ぐらいの水準でございます。  その理由でございますが、やはり最近の取引動向を見ておりますと、投資家の部門別の内訳などを分析してみますと、概して外人もそれから日本機関投資家も法人も個人もかなり買いに入るという状況でございまして、やはりこの日本の経済のパフォーマンスが良好であるということを、国内だけではなくて広く海外からも認識されておるんだということに尽きるのではないかと思います。  余りお答えにならないかもしれませんけれども、それ以上のことはちょっと私どもの立場として申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  180. 村上正邦

    委員長村上正邦君) この際、申し上げます。  ただいま議題となっております両案の取り扱いにつきまして理事会で協議いたしますので、委員会を暫時休憩いたします。    午後二時四十六分休憩      ─────・─────    午後三時開会
  181. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  182. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この法案につきましては、リスクヘッジだとか、既にもう先物取引が先行しているんだからそれは後追いなんで当然だというのがこの委員会としては大方の意見のように聞こえるんですが、私はこの問題につきまして抜本的な疑問を提起したい。——そちら側から驚きの声が聞こえますが、余り驚かぬように。今のうちからよく、我が党が反対する理由をひとつ明確に述べながら質問したいと思うんです。  その根本として、通貨自体が取引の対象になる、しかも先物取引ですね。そこで、そもそも通貨とは何かということについて大臣の所見を承りたい。
  183. 内海孚

    政府委員(内海孚君) 通貨とは何かという大変難しい御質問でございますが、第一には、通貨は物とかサービスの価値あるいは価格を表示するといういわゆる価値の尺度、それから第二は、その受け払いをもって決済を行うという交換機能、それから第三番目には、通貨自体あるいは通貨で表示される資産を貯蔵すると申しますか、価値の保蔵というこの三つの機能に分かれるのであろうと思います。
  184. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 難しいと言われたとおり、通貨は水や空気と同じようにごく当たり前で、それが今言ったような機能を持って通用あるいは流通している、それがごく当たり前だという前提ですからそうなるんですね。ところが、通貨のない時代がありましたよね。それは原始時代からあったわけではなくてやっぱり歴史的な産物だと思うんですね。だから、もともとは物と物、全部形態も違い機能も違うものが、それ自身共通性がなければ交換できないものがだんだん一つの共通性を持つものとして、最初から金じゃなかったですよ、あるときには米であったり塩であったりあるいは衣料であったり、それがだんだんと金にいったわけですよね。何が共通するかと申しますと、全部そこにはやっぱり労働力がかかわっている、それが共通。だからこそ交換できるんですよね。  となりますと、貨幣そして金貨、それが紙幣になりそれから不換紙幣にまでなってきた経過はそれは省略します、それやっちゃうとそれで終わっちゃいますからそれは省略しますけれども、しかし大事なことは、そこに人間労働の社会的なそして独立した表現形態、これが貨幣なんですね。そういうものがだんだんとそれ自身が取引の対象となっている。それが一つの流れですが、しかもそれが投機の対象になっているそのこと自身、資本主義社会だとごく当たり前で、それが先行しているからそうだと思うんだけれども、そのこと自身が投機の対象までいきますと、土地そのものが投機の対象になってはいかぬと、これは土地特別委員会で盛んに議論したことですが、理由は違いますけれども、そういう通貨そのものが投機の対象になるような、そのこと自身について不健全性をお感じにならないかどうか。大臣、いかがでしょう。
  185. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 通貨の価値がやはり変動するという事実がございますから、その変動をいわば経済活動の対象にするということはあり得ることであります。現実にあるわけでございますが、そういう現実がございますので、そういう中でやはり物を考えていくということにならざるを得ないということでございましょう、恐らく。
  186. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣からはそういう答弁だと思うんですが、ただ、実需を伴った取引なら私はまだいいと思うんですよ、それは現にドルとルーブルの間にあるんですからね、交換はね。それはそれでいいんですが、実需を伴わず——この間国金局長とも議論した点ですがね、通貨そのものが実需を伴わずに投機の対象になる、そのことに全く疑問をお持ちにならないのか。我々から言わせますと、そこにまさしく資本主義社会の寄生性と、寄生性がだんだん肥大化してきますとこれは腐敗性につながる、やがて崩壊するものと、これはここではきょうは議論しませんけれども、そういうふうにとらえているんですよ。  だから、投機化し、それが肥大化していくこと自身、私はやっぱり経過からいくと、資本主義から見るとあるいは当たり前なのかもしれぬけれども、しかしそのこと自身にやはり一つの不健全さ、あるいはあんまり肥大化しちゃったらそれは資本主義社会そのものの足元を崩すことにつながっていくのではないかと、私はそう思っているんですが、そういう答弁は期待はできません。しかし、資本主義社会自体から見ても不健全性が感じられないかどうか、その点いかがでしょう。
  187. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 不健全性と申しますか、余り通貨の変動が大きいときには、正常な経済活動がそれによって過度の影響を受ける、阻害されるという言葉がいいかどうかわかりません、過度の影響を受けますので、大きな変動があることは余り好ましいことではないということは私は申せると思います。  ただ、前段に言われましたことは、いわゆる取引の対象になるものは必ず何かが実在しなければならないかどうかということについては、いろいろ問題があるであろうと思います。
  188. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは先ほどの大臣答弁でも、一つ間違えるともろ刃のやいばという中に今と同じ共通面があるいはあるかもしれませんが、私どもの立場から見ますと、一つ間違えるじゃなくて、間違えなくてもこれはやいばになるということを申し上げて、次の問題に入りたいと思います。  先物取引関係ですが、世界で先物取引が始まったのは一九七二年であります。ドル危機と変動相場制移行に伴うドルの変動がきっかけで通貨の先物が導入されたわけであります。またその後、アメリカのインフレなど経済危機を背景とする金利の変動などから金の先物が、さらに株価の変動 から株価指数先物がというぐあいに、相次いで新しい金融先物が先導されてきたわけですね。  そこで、まず世界の金融先物市場の規模は現在どれくらいか。また、主要な先物商品について、対応する現物商品との比較で、どれぐらいの比重を占めているか。先ほど市場の話もありましたけれども、その実態をひとつ御答弁いただきたいと思います。
  189. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) まず、諸外国の金融証券先物市場の規模についてでございますが、アメリカの場合、シカゴ商品取引所(CBT)と、それからシカゴマーカンタイル取引所(CME)が代表的な取引所であるわけでございますが、CBTの代表商品としてはTボンド、すなわち米国長期国債の先物取引がございます。その取引高は一九八六年で五兆二千六百億ドルということになっております。他方、CMEではS&P五〇〇株価指数、それからユーロドル預金通貨先物が代表的でございまして、その順序で申し上げますと、まずS&Pでございますが、二兆三千百億ドル、一九八六年。それからユーロドル預金先物は十兆八千二百四十九億ドル、一九八六年。円ドル通貨先物が四十九兆五千億円、一九八六年の出来高となっております。  ちなみに、英国のロンドン国際金融先物取引所、LIFFEと言っておりますが、ここでは株価指数先物取引とか英国長期国債先物取引、それからユーロドル預金先物取引、ポンド・ドル先物取引等々が行われておりまして、それぞれの取引高は、FT一〇〇株価指数先物取引は十二万契約、それから英国長期国債先物取引は千三百億ポンド、ューロドル預金先物取引は一兆一千億ドル、それからポンド・ドル先物取引は十億四千万ポンド、そういうふうになっております。
  190. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは今の答弁のもとの資料だと思いますが、大蔵省かうもらった資料です。    〔委員長退席、理事梶原情君着席〕 例えば先ほどのCME、先物は二兆三千億ドルですが、現物は約一兆四千億なんです。要するに、先物の方が多いんです。それから長期国債で見てみますと、現物が一兆七千億ドルであるのに対して、先物は先ほど答弁のとおり約五兆三千億ドルです。これはもう三倍ですよ。日本ではまだ先物の方が少ないけれども、これはほかの指数を見てもみんなそうなんですが、これがやっぱり資本主義社会の先物が本当に動き出した場合の行き着く先です。これだって大変先ほど申し上げたことに関係するんですよ。これは資本主義社会の一つの法則ですよ。  現物よりも先物の方が何倍もなってくるとなりますと、現物のためのリスクヘッジなんて言いますけれども、これ自身が、先物自身がまさしく投機の対象になるんです。大きくなればなるほど投機性が強まる。また、投機性が強まればまたそこに寄ってくる、さらに肥大化する。となりますと、これは先ほど申し上げた不健全性がまさしく大蔵省の資料の中に出ているのではないか、私はこう思いますが、大臣、この具体的な事実に基づいて、いかがでしょう、日本もやがてこうなるんじゃないでしょうか。
  191. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 技術的な問題等もございますので、私の方からまず御答弁申し上げますが、先物市場と現物市場の大きさの関係でございますけれども、例えば先物市場が、アメリカの場合ある商品について一カ所で上場されている、ところがその現物の市場は各地に取引所があるというような関係の場合には、今委員指摘のような場合にも各地の現物との比較をどうするか、こういう問題もあるわけでございます。それから、その間の裁定取引が非常に活発に行われているわけでございますけれども先物につきましては、いわゆる現物取引に比べまして、より取引の回転の程度が高くなる可能性もあるわけでございます。  したがって、規模自体がその分大きくなるということもあり得るわけでございまして、現物と先物規模を一つ取引所の中でとか、そういうことで比べるのがいいか悪いかとかいろんな問題もございますので、一時的には両者の関係をなかなか決め得ないというふうに考えている次第でございます。
  192. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私もそういう細かいことはどうでもいいと言っては語弊だけれども、それはいいんですよ。ただ、今話しているのは、大きな面で見ますと、資本主義か社会主義かという話だから、まさしく私が指摘したような大きな傾向の問題だと思うんです。その関係答弁がなかったのは、これは先物自身が投機化している、また、していくんではないか、こういう質問に対しては答弁いかがですか。
  193. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) したがいまして、大臣の御答弁の中のもろ刃という話がございましたが、片方でリスクヘッジというのは、これはどうしても必要なことでございますから、その分の仕組みとしては、制度はきちっとリスクヘッジできるようにやっていく必要があるわけです。  しかし、その反面におきまして、ややもすると投機に走る可能性もあるわけでございますので、したがって、そういうことのないよう制度として仕組みもきちっとつくっていくということが非常に重要でございまして、今回御審議いただいている法案の中におきましてもそういう配慮は十分に今加えて考えていきたいということでございます。
  194. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その点は、この間の為替取引の問題で国金局長議論したときに、実需の伴わない、いわば投機性のある取引はどれくらいかと、そしたら、そんなものわからぬと言うんです。だから、それがひとり歩きしたら、大体それはもうまさしくそれ自身が全くそれは規制しようたって規制し切れないような動きをするんだと思うんです。だからこそ、ブラックマンデーのような事態が起きてくるわけだと思います。  そこで、リスクヘッジの話がありましたから申し上げますが、世界的に、先ほど申し上げたとおり一定の経過の中で先物市場の拡大が行われてまいりましたが、その原因になったのはやっぱり経済的危機、動揺だと思います。ところが、その後もそういう経済危機や動揺が起きておりますが、先物市場が拡大してきたことによって、こういう危機や動揺を解決し得たか、少なくとも変動を緩和し得たか、この点についてお答えをいただきたいと思います。  外為市場が激動しておりますし、ドルは下がる一方ですし、昨年のブラックマンデーに見られるように株価の変動も激しくなっているわけですが、もし反論としてそちらがそうでないと、変動を緩和し得たとか、そういう要素があるんだと言うんであれば、先物市場の開設が現物市場に何らかの安定効果があったという、そういう証拠を逆にそちらが示すべきではないのか、事態は逆なんですからね、その点いかがですか。
  195. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 先物市場が現物市場の価格の安定に効果を及ぼしているかどうかということを実証的に示せということでございますけれども、これはなかなか私どもの能力としても難しいもので、したがいまして一般的な感触で申し上げるよりないと思うんでございますけれども、やはりヘッジの手段というものが現物だけではなくて、先物でもヘッジができるということになりました場合に、非常に一般的に申し上げますと、現物だけのヘッジ売りで売りを吸収したというよりも、二つの市場で売りを吸収する方が少なくともエクイティーが大きくなるという意味では安定効果があったんだろうというふうに思うわけでございます。  どうも私どもとしてもその程度の御答弁しかできない、まことに申しわけございませんけれども、これは恐らく学者その他のこれからの大きな検討課題ではないかというふうに思います。
  196. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私の指摘に対してその程度の答弁しかできないというところに、我が方の反対理由の正当性があるということを申し上げて次の問題に入ろうと思います。  今日の世界経済の危機と動揺の解決には、これは金融問題に関して申しますと、二つの方法があると思うんです。  一つは、今アメリカ主導で行われておるように、ドル本位のもとでの諸規則の緩和、自由化、グローバル化の方向だと思います。これは次々と金融商品を開発して新市場を開設していくのがその方向、今回の法案もその方向ですね。しかし、これは今まで指摘してきたとおり金融の肥大化を招いてマネーゲームを促進し、いわゆる経済のカジノ化、「カジノ資本主義」という本があるくらいですから、経済のカジノ化とも言うべき深刻な事態をもたらすことになると思います。  それから、今日本に求められているのはこういう方向ではなくて、国際的にも国内的にもむしろ規制を強化していく方向だと私は思います。むしろ監視を強めていく。そういう点で我が国が重要な役割を果たしていくことだと思うんですね。この点に関しては昨年のブラックマンデー以降、まずヨーロッパでは一定の規制的な方向が示されておると思いますが、この点どうですか。
  197. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 御存じのようにこの第二次大戦後、世界各国は金融的な面では資源が非常に欠乏したわけでございまして、そういうときにはそれぞれの国において、その限られたマネーをしかるべきところへ流すために、それぞれの金融当局が制度を固め各般の規制を行っていたわけでございます。ところが、その後世界的に資金的な余裕が出てくる、資金の流れも激しくなるということから、それらの規制を外してきております。いわゆる金融の自由化が進んでくる、国際化が進んでくるということでございます。したがって、昔のレギュレーションをいわゆるデレギュレーションということで外してきたわけでございます。  しかし、自由化をどんどん進めてまいりますと、片方でまたそういう自由化された大きなこの世界的な市場の中で、仮にどこかに問題が起こったときに、信用秩序の維持を世界的な大きな市場でどのように図っていくかという点で各金融当局が悩んできております。そういう中で再びレギュレーションをやっていく、リレギュレーションという動きが出てきたわけです。しかし、最初のレギュレーションと今回のレギュレーションとはよってくるところが背景が全く違うと、そういうふうに考えるべきであるということだと存じておるのでございます。
  198. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それはやっぱり余り自由化し過ぎちゃった一つの反動だと思いますね。現にイギリスではイングランド銀行証券業務への監視強化を各国中央銀行に呼びかけておりますし、西ドイツ、フランスでも中央銀行への権限集中論が広がっていると、このように聞いております。  それから、あとアメリカでもいろんな機関の報告がありますね。「市場メカニズムに関する大統領特別調査委員会報告書」これはブラックマンデーに関しての報告書のようですが、この中で結論は出なかったわけです。結論は出なかったけれども、こう言ってます。   特別調査委員会は、次の問題について、適当な筋により充分な再考が行われることを望む。   ショート・セール——株式市場には、ショート・セールに関する規制があるが、先物やオプション市場にはない。インデックス裁定などの市場間のリンケージは、ショート・セール規制を無力化するかもしれない。 というような、やはりこういうようなことも含めてアメリカではむしろ規制策が検討されている、本家の方ではね。このあたりの動きはどうつかんでおりますか。
  199. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 証券業務に対する規制の動きでございますけれども、今委員の御指摘ございましたように、イギリスでイングランド銀行が中心になって規制を強化しようという動きがあると言われましたけれども、具体的にまだそういう方向に動いているという状況にはございません。ただ、証券会社につきまして、例えば英国では従来は登録で自由に業務ができたのを金融サービス法で免許制に移したわけでございます。したがって、免許制に移したところで、それにふさわしい財務体質というか、こういったものを備えるために財務内容の健全性確保を図ろうではないかというふうな観点からのいろんな動きはございます。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕  それから、アメリカの御指摘ですけれども、米国でも各種の委員会等がいろいろと証券業務規制についてのレポートも出しております。ただ、これは米国においてろいろと証券業務を規制することに対する警戒感というのも非常に強うございます。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 つい最近このブレイディ委員会の提言を受けて作業部会というものが構成されまして、そこでの報告が出ておりますけれども、そこはむしろサーキットブレーカーあるいは取引所の中の決済のメカニズム、こういったものに重点を置いておりまして、やはり取引そのものを規制するということが必ずしもこのブラックマンデーを防ぐことに効果的かどうかということについてはなお議論があるのではないかと思います。
  200. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 アメリカ規制が行われたとは申してないので、むしろ規制策が検討されているというところがやっぱり問題だと思うんですね。  そこで大臣、今までいろいろ議論をお聞きいただきましたが、先ほど御紹介した「カジノ資本主義」、スーザン・ストレンジという人が書いた本の最後の方にこういう一節があります。   一九九九年一二月三一日、新年の前日までに、我々は一つの世紀の終わりに到達する。もし、その時までに我々がいぜんとして核兵器による大虐殺に屈服していなければ、それはそれで祝賀すべきことである。 これ以下が大切ですね。  しかし金融カジノの熱気を冷やし、コントロールするための前向きの実践的な措置がすぐに取られないならば、ただそれだけのことである。ほとんどの人々にとって命をかけて「双六」ゲームを行う結果は分かりすぎるほど分かっている。資本主義世界の都市中心にそびえたつ巨大なオフィス・ビル街では、いぜんとして生き残った金融ギャンブラーだけが祝杯を上げているであろう。残りの者には、アメリカの世紀の哀しみに沈んだ悲惨な終わりがやって来る。 という、これはコピーをきのう質問取りが持っていったから大臣のお目にもとまっているかもしれませんが、これについての大臣のひとつ見解を承りたいと思います。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
  201. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨年の十月の十九日にいわゆるブラックマンデーがありました時に、多くのアメリカたち議論しましたことは、やはり一つのこれは金融ハイテクのちょっとした行き過ぎというもの、例えば大学を出てすぐにディーラーになると二十三か二十四で連邦準備銀行の議長と同じぐらいな給料を取れると、そんなことはおかしいなあという、やはりそういう反省が私は確かにあったと思うんでございます。その反省は私自身はやっぱり健全な反省だというふうに思っております。  今の本がどうしてそういう結論になっているのか筋道を存じませんけれども、そういう種類の反省はやっぱりアメリカの社会にも起こっているし、私は我が国でもそういうことはやはりしょっちゅう考えておりませんと、経済行為というのは、物をつくるにしても、サービスをするにしても、価値を生んでいくというところに本当の意味があるのだろうと、中心になるものはやはりそうでないといけないのではないかということを思いますので、金融が要らないとか、金融がいよいよこういう構造になっていくことそれ自身、あるいはそれに対応することは必要なことだと思いますけれども、経済というものがそういうものばかりになってしまうということは大変に危険なことで、考えなければならないことだと私は思っております。
  202. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ある部分で一致をしましたが、ただ違う点はね、「ちょっとした行き過ぎ」という程度の認識ということ、そういう行き過ぎという現象はやっぱり根本的なところから出てくるんだ という認識との違いであるということを申し上げておきたいと思います。  それから次に、証券業界におけるいろんな行き過ぎの事態、今回それをチェックするためのインサイダー取引規制どもありますが、具体的な問題を少し取り上げていきたいと思います。その一つの前提として、証券会社がいろいろ株価操作をするということがよく言われています。その手口として、こんな点が指摘されています。  証券会社は、まず安い銘柄を仕込む、証券会社が直接動くとわかってしまうので系列会社、得意先の法人に買わせる。その上で、ある段階でさまざまな情報を操作をしてその銘柄の値を上げておいて、客にどんどん勧めて買わせる。買い手がふえれば株価は上がる。どこかしかし天井が来ますから、証券会社はそれを目標値と定めてその時点で一斉に売り逃げする。で、株価は下落して一般投資家は大損、しかし証券会社には値上がり益プラス手数料が入る仕組みと、こんなような手口があると思うんですが、その点はどうですか、証券局長、どう理解していますか。
  203. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) そういうようなことを私ども聞いておりません。
  204. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ、ひとつお聞かせいたしましょう。しかし、聞いていないというのは、ちょっとこれ不見識ですね。これは既に、ことしの三月二十五日の参議院予算委員会で社会党の久保議員が取り上げた問題なんです。野村證券の池袋西口支店で起きた事例であります。  まず、どういう事例かと申しますと、ある人の紹介で西口支店の支店長室へ行きました。そうしましたら、そこに清水常務と称する人がおって、その人物から、これは服部セイコーの株のようですが、こういう話があったようです。千六百二十円を二回抜けなかったので、ぜひ協力してくれとの要請があったという話です。それには、清水常務と称する男、それから山崎支店長、これは実際の支店長です、それから合田次長から強い要請があったわけであります。これは昭和六十一年五月十九日午後四時、そしてさらにその後連絡がありまして、やはりその同じ人物から服部セイコーの話で、三千円まで六月中に上げるというように言われ協力を頼まれた。そのほか、日新の株など、それから日研化学についてもありまして、きょうは一日商いだから日研は必ず二千四百円から二千五百円は一気に持っていくから安心しなさいというようなことでしたが、結局それで買ったけれども、大損をしてしまった。さっきの手口のいわば具体例です。  ここで、前回の予算委員会で取り上げられたのは、これについて実際これは公開質問状もありますから、大蔵省、どう承知しているか、どういう措置をとったのかという質問でした。ただ、具体的事実は余り指摘はなかったんですが、公開質問状が行っておるでしょうから、私が今申し上げたような事実、これはどう理解していますか。
  205. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 公開質問状は、この取引をされた方から関係証券会社の方に送付されたようでございますけれども、私どももこの公開質問状を入手いたしまして、事実確認を野村證券の方へいたしました。ポイントは二つあろうかと思いますが、一つは服部セイコーの株式を買う場合に、野村證券の元常務である方が現職の常務であるかのごとく振る舞って、この売買を勧める席に立ち会っておったということ、それからもう一つは、この銘柄が三千円ですかどこまでか当然上がるということを言って取引を勧めたということ、その二点であろうかと思います。  その二点につきまして、私ども確認いたしましたところ、まず清水元常務がこの顧客にお会いしたことはあるようでございますけれども、これは既に取引は終了した後でございましたし、また支店長、支店次長が清水元常務を紹介する際にも元常務であるということを御説明して紹介したということのようでございます。  それから、第二点の三千円まで上がるというふうに勧めたということでありますけれども、そういう事実はなく、また先ほども申し上げましたように、顧客が元常務という人と会ったのは既に取引が終わって、顧客の服部セイコーの株式の買い付けの終わった五月二十八日の夕方であったということから、元常務がこういう勧誘をして顧客にこの取引を勧めたということはないというふうに聞いております。
  206. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 会った日ですが、五月二十八日か五月十九日かというのが、その後の確認で五月十五日だということは支店長からも確認されております。これは実際テープもあります。それから、元だという紹介だったというのはこれは全然違うんです。  経過を言いますと、まず池袋西口支店の支店長室に行きましたら、ソファーに横になった五、六十歳の男性でしたが、テーブルの上に足を載せておった、そこへお客さんが来てもそのままだというんですね。これは野村の常務ともなると随分偉いんだなという印象を受けたというんですね。そこへ支店長が入ってきて、支店長が清水常務だと紹介した。そうすると、この清水常務が、合田君を呼んでくれと——合田というのは次長です、そこへ出てきて、それで清水常務は服部セイコーの資料を持ってきてくれと頼んで、それで来てパンフ見せた、こういうことで始まっております。  そこで、それが元常務だという紹介だったんですが、その後これは我々の方の調査でも山崎支店長がこう言ってます。私は、当社の上司の関係のためお世話になり、退社後でも清水さんとは呼ばずに清水常務さんと呼んでおったと、合田次長も、元役員だったので、野村證券としては退社した人でも会った場合には清水常務さんと呼んでおったと。その後のこの問題の確認の中でもはっきり示されておりますけれども、こういうことを言っているんですね。そして、元ということを言ったか言わぬかという問題になった場合、開き直って、我々はそういうつもりで常務と言ったんだ、そいつを現か元か、そのどちらに理解しようとおまえの方の勝手だと、こんなことを言っておるんです。しかし大臣、どうでしょうか、そういう偉そうな格好をした人が支店長室におって、それで部下のように呼びつけて資料まで持ってこさして、そこで清水常務、清水常務と言えばやっぱり現職の常務とこれ思うでしょう。それを元だと言う。  局長、これ野村證券の方からの弁解でしょう。それ以上確認しておりますか。私が今言ったのは初めてお聞きになった事実かどうか、今私が言ったように、常務、常務と言われれば、元と理解するのはまずこれはよほど非常識だと思うんですが、その辺も含めてひとつ御答弁をいただきたいと思うんです。
  207. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 私どもも相当細かく実情を聴取しておりまして、もっと具体的に申し上げますと、この顧客が初めて野村證券にお見えになったのは五月の十九日、これは野村證券の既存のお客が一緒にお見えになったそうでございますが、そのときは来店されただけだったそうでございます。次に、五月二十八日の午前中にこの当該顧客が服部セイコーの株式を買い付けされて、この顧客の初めての野村證券との取引であった。そしてその日の夕方、支店長がこの顧客の紹介された友人と大口取引ができたということで、お礼を兼ねて支店の方へお呼びした。清水元常務というのはたまたまこの顧客の友人と以前からの知り合いであったということもあって来店されておって、その際、顧客と清水元常務との出会いは初めてだったようでございますけれども、支店次長が清水元常務は既に退職しているように御説明をして御紹介したというふうに、非常に細かく私どもも事情を聞いておるところでございます。
  208. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 だから、要するにそれは野村證券の言い分でしょう。それはだれだって自分の方を大蔵省にしかられるようなことを、はいそうでございましたと、それは言わぬものですよ。私もいろいろ調査してみて、まず大体自分に不利なことは言わないですよ、わかるまでは。指摘されて初めて、証拠を突きつけられて、これはしようがないと認めるんですね。  これは現に、実際最初会った日、それから株を紹介された日が五月十九日であったというか、その後のいろんなやりとりの中で、テープにも入っているんですよ。ですから一つ確認したいことは、本人の方から積極的にやっぱり事情を聞く、これは前に予算委員会で大臣答弁されましたね、大蔵省の方から積極的にわざわざ来てくださいという段階ではない、こうおっしゃったけれども、私がここまで指摘したんですから、私もこれを言う以上は責任があることですよ。だからひとつ、むしろ大蔵省の方で、片方の言い分だけ聞いて、あなた、あたかも事実であるかのごとくここでそういう答弁するというのは、これはむしろ不見識ですよ。だから、どうですか、これは事実をむしろ積極的に調査をやっていいんじゃないでしょうか。
  209. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 私どもの立場といたしましては、証券会社は私どもの監督下にあるわけでございますので、監督下にある証券会社に、そういう話があったということで、これが事実なのかどうか、もし事実だとすれば非常に法令違反行為もあって問題であるという観点から、証券会社を呼んで事情を聴取したわけでございます。決して私ども顧客なる方をお呼びしないとか調査しないというわけではございませんけれども、顧客の方の方が私どものところへおいでいただいて御説明をされるということであれば、いつでも事情を承る用意はございます。
  210. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その場合、私が指摘したような事実を十分に調べてほしいと思うわけであります。  それから、今までの話の中でも、元という説明したというけれども、しかし元であれ何であれ、そういうような人を支店長室で支店長も一緒に立ち会いで、しかも一定のものをお勧めする。これはだれかどう見たって、まさしく支店長段階じゃなくて、もっとこれは野村の最高部からのお勧め品だと、これは誤解じゃなくて、そう理解するのはこれは必然ですよね。それは大体みんなもうけが先へ走ってごまかされてという、そういう段階じゃないと思いますね。片や、れっきとした一流証券会社ですから。となりますと、支店長と次長もかんでおったとなりますと、私は野村證券自体の責任の問題、これは十分出てくるんだと思うんですよね。支店だけじゃない。大体支店長がそういう人物を一緒に引き合わせたり、一緒にそれを勧めるという、こういうこと自身を放置している、そういう野村證券自身の体質と申しますか、そういう問題については、これはどうですか、ひとつ徹底的に調査し、かつ指導すべきだと思います。
  211. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 清水元常務が野村證券へ来られたいきさつでございますけれども、私どもが聴取した限りでは、支店長がお呼びしたということではなくて、この顧客なる方の友人である既存の野村證券の顧客がたまたま清水元常務を以前から存じて、ぜひ一緒に来ていただきたいということで呼ばれたのだというふうに聞いております。  こういう形で元常務が呼ばれた際に、以前勤めた者は支店に来てはいけないというようなことまで、とても私どもちょっと指導できかねるのではないかと思います。
  212. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私がいつ支店長がこの本人を呼んだと言いました。だれに呼ばれて行ったかは別として、支店長室に現職の常務でない者をあたかも常務であるかのごとく思わせて立ち会わせた。そこはまた、その点については別として、ともかく立ち会わせた。支店長も一緒におった、支店長室を使ったと、そこが問題なんですよ。しかも今までの段階では、野村の方しか話を聞かぬで、まさしく野村の方を持ってかばっているような答弁じゃないですか。むしろあなたの答弁すべきことは、そういう事情も聞きましたので、両方十分調査した上で厳正に対処したい——私が答弁したけれども、そういう答弁をするのが、これは皆さんそう思うでしょう、委員長も。
  213. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 委員長から一言言います。  藤田局長、こういうことは事実関係だけをあなたは述べればいいので、私はこう思うとか、そういうことじゃなかったんじゃないでしょうかというようなことは、本委員会の権威において、そういうことはあなたは言ってはならない。注意申し上げます。  質問を続けてください。
  214. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 私も先ほどから野村證券から聞いた事実関係をできるだけ詳しく申し上げているつもりでございまして、ただいま申し上げましたのは、元常務なる方が野村證券の池袋支店に来店されたのは、顧客の友人から呼ばれて来店されたのであると、それからさらに、その席上、野村證券の支店次長の方から、この元常務は既に退職している旨を説明をしておるということを申し上げているわけでございます。
  215. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、委員長が的確に指摘されたとおりですね。だから、そういう事実経過をあなた方が一方的にうのみにするのじゃなくて、そうでしょう、私はこれだけのことを、具体的事実、テープまであると言っているのですから。だから、むしろ両方を聞いた上で、あなた方は事実はこうだったというのを、今この大蔵委員会という公の機関ですよ、そこで向こうの言い分だけ、片方の言い分だけをうのみにしたようなことをあなたがしゃべっているからかばっているということになるので、そうでないように。大体今までなかなかこの本人が大蔵省に行かなかったのは、行っても仕方がないという、そんな気持ちがどうしても起きますよ、そんな答弁を聞いておったら。だから、そうでないと、大臣、やっぱりこれは監督下にある機関をかばうのじゃなくて、むしろこういう申し出を厳正によく聞く、これはひとつ大臣からお答えいただきたい、局長をひとつ指導してほしい。
  216. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 大臣というよりも——大臣ちょっとお待ちください。佐藤政務次官、あなたはどう思いますか。あなた大臣のかわりに答弁しなさい。
  217. 佐藤栄佐久

    政府委員佐藤栄佐久君) お話をお聞きしていまして、私は、局長は事実関係を、監督しております野村證券からの事実関係を述べておるように聞いておりました。委員長の先ほど感想というお話につきまして、私はそうはとっておりませんでしたので、局長は事実を述べておるというふうに聞いておりました。  なお、顧客の方の考え方につきましては、これはもし大蔵省に来てそういうお話があるのであればお聞きすることになると思いますが、しかしそのことにつきましては、これは例えば詐欺罪とかそのほかの犯罪等々の問題に当たるかどうかにつきましては、我々の判断するところではございませんので、あくまで監督しておる野村證券の事実関係をお聞きしてお話ししているというのが実情じゃないかと思います。
  218. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この程度にしておきますけれども、要するに、かばう立場じゃなくて、やっぱり客観的事実を明確にしていくと。本人から聞いた上で、また私の方でどうなっているかということはひとつただしたいと、こう思っております。  次の問題は、これは日本勧業角丸証券新橋支店と渡辺光雄という人の経過です。  これも資料はお渡ししておいたので、事実関係は御承知かと思いますが、これは信用取引なんですね。この信用取引をする際に、信用取引口座設定約諾書なるものを提出したわけです。しかし、その内容については全く説明がなかった。そこで念のためそのコピーをくれと言ったけれども、その約諾書のコピーじゃなくて一般的なコピーだけ、こんなものだけれども、名前も何も書いてない、これだけよこしたと。そして何も説明がない。そしてカラ売り、カラ買い——これは人をからかうのじゃなくて、現金を払わずに買うカラ買いにずっと入っていったわけですね、これもいろいろ勧められた。ところがその際に、二〇%を割ったら保証金の積み増しが必要だということの説明が全くないまま経過したんです。ところがその経過の中で二〇%を超えてしまって、そしてそい つをいわば買い戻すという形でその分払ったものですから、これまた大損をしたというんです。そこでその事実関係、これをどう思うのかというのが一つの問題点であります。  こういう問題については、まず大体素人ですよね、そういう素人に対してはやっぱり十分よく説明をしてあげる。特にこの保証金二〇%につきましては、これは後になって、その事態になってからいきなり説明されたってそれは驚き慌てるだけですから、この辺について証券会社をひとつ的確に指導してほしいと思いますが、いかがですか。
  219. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) この件につきましても、私ども関係証券会社の方から事情を聴取いたしました。その聴取する際の私どもの態度を一言だけ申し上げておきたいのでございますけれども、決して私ども証券会社の肩を持つとかというふうな考え方はございませんで、もしこういう事実があればこれは厳正に処分しなければならないという観点から事情を聴取して、かなり厳しい言葉も使って聴取しているわけでございます。この点は御理解いただきたいというふうに存じます。  ところで、この件でございますけれども、まずこの取引を行われたお客は日本勧業角丸証券と五年間にわたって取引をされておると。したがって、必ずしも初めて信用取引をされるような方ということではなかったようでございますが、この信用取引を開始する際にも、既に支店長の方から顧客と面談の上その取引の仕組み等契約条件についても十分説明しておりますし、それから信用取引口座設定約諾書というものも顧客の方から受け入れて取引を開始したわけでございます。特にこの信用取引のカラ売りに際しましては、カラ売りというのは非常にリスクが多くて証券会社サイドとしてはむしろ慎重におやりになったらどうですかということを注意申し上げたそうでございますけれども、顧客の方から積極的にこれは行われたものである。しかもその際、損失等が発生して保証金が不足することになる場合には追加預託が必要となる旨も説明をしておるということでございます。これも私ども証券会社の方から聞いたことでございます。先ほどの話と同様でございますので、問題の顧客の方が私どもにお見えになって事情を説明されたいということであれば私ども喜んで承る用意はございますし、その辺の事情をまた突き合わせた上で検討してみたいと思っております。
  220. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 したわけでございますと言うけれども、それは証券会社の言い分であるということは先ほどと同じなんですね。  それはそれとして、事情を十分に聞いて円満な解決をしてほしいと思うんですが、ただここで先物のこの法案との関係で申しますと、やっぱり事前の説明、この場合余りされていなかったんだけれども、するのは当然だというのが今の答弁の前提ですが、十分に説明することと、それから今回この法案では契約前の文書義務づけ、これは投資家保護の建前から大変いいことですが、そういう点ではこれを現物取引についても義務づける、そのことが必要ではないかと、こう思うんです。  それで、これは二年前に成立した投資顧問業規制法でも、契約前書面交付を含む投資家保護規定が整備されております。ところが、これが証券取引に関してはないわけですね、売買契約締結後に売買報告書を義務づけるだけ。これはやっぱり投資家保護に関しては不十分ではないか。株式投資が一部のプロに限られているような時代ならともかくとしまして、大変大衆化して、しかも私のところへ二件最近飛び込んできたように、やっぱりトラブルが大変多いわけであります。そういう意味では、証取法の中にはっきりと投資家保護規定を設けることが必要ではないのか、こう思うわけであります。  消費者保護基本法が制定されて二十年ですが、その第六条では、消費者保護目的を達成するために、国の責務として、関係法令の制定、改正を行うべきことを決めておりますが、この精神からいっても証取法の投資家保護規定はおくれている。明らかに法体系の大きな穴になっていると思いますが、この面について答弁をいただきたいと思います。
  221. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 顧客と証券会社が取引を開始いたします際に、顧客にどういう文書を交付し、どういう説明をするかということでございますけれども、我々の考え方は、信用取引とか先物取引につきましては少額の資金で多額の投資も可能であるというところから、取引の仕組みその他を詳しく文書で説明をするというふうにしておるわけでございまして、現物取引につきましては、既にこの株式取引につきましても委員も御承知のように個人投資家一千万人を超えたという形でかなり取引もポピュラーになっておりますし、それからこの先物等に比べますとリスクその他もかなり軽減されておるということから、取引の都度文書その他で説明をするということまでは必要なのかどうか若干疑問に思います。ただ、  何もしなくてもいいということではございませんで、証券会社の営業社員規則等におきましては、営業社員は顧客に対してその資産の状況並びに投資に関する知識、経験等を慎重に考慮して適切に助言を行うように、ということも規則等で決まっておりますので、これ以上さらに必要かどうかということにつきましては、私どもとしてはこれで今のところ十分なのではないかというふうに考えております。
  222. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは一般の人は知らぬものですよ。実際、大蔵事務次官までやった人が株の売買の税制について知らなかったと弁解するぐらいですからね。あれは別格としまして、まあ一般の人は知らぬのが当たり前です。そして現にこの日本勧業角丸証券の場合、トラブルが起きてから証券会社はこう言っているんです。その二〇%積み増し問題について、それは東京証券取引所の受託契約準則にちゃんと書いてある、その受託契約準則の第二条には「顧客及び会員は、本則を熟読し、これを遵守すべきことに同意して総ての取引を処理するものとする。」この準則にこう書いてあるんだからあなたも当然知っているはずだと、こう言うわけですよ。そして片や、今言ったとおり保護規定はほとんどない、実際知らない。となりますと、これからますますまだまだたくさんこういうトラブルは起きると思うんです。  そこで、この東京証券取引所の受託契約準則、一体何ですか。「顧客及び会員は、本則を熟読し、」というけれども、会員が熟読するのはこれはいいですわ、そして東京証券取引所の会員に対する規制ならこれはいいですね。ところが、会員外の顧客に対してもこういったことを義務づける。これは余計、余計というか、大体義務なきことを義務づける、そしてこの規定を盾に申し出を突っぱねているというんですが、これについては局長、どう思いますか。
  223. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 信用取引の追い証の問題につきましては、この受託契約準則ということよりもむしろ信用取引口座設定約諾書の方の問題であろうと思います。勧業角丸証券がそういうことを申したかどうかということにつきましては、私ども委員の御指摘もございましたので調査いたします。  一般論を申しまして、この受託契約準則を顧客にまでその遵守を義務づけるのは問題ではないかという御指摘でございますけれども証券取引所におきますように大量の取引を公正かつ円滑に処理するというためには、やはり統一のルールに基づいて売買を執行する、これがあって初めて安定的な取引が確保できるわけでございます。したがいまして、この受託契約準則を証券取引所が設定いたしまして、これが会員だけではなくて顧客に対しても拘束力を持つ、こういうことについては学説上あるいは最高裁の判例でも認められておるところでございます。これをもし顧客が守らなくてもいいということになりますと、取引所におきますように大量の取引を行うということにとりましては非常に大きな制約になると思います。したがいまして、受託契約準則は顧客に当然及ぼすとしても、むしろこの証券取引に当たって証券取引の内容その他につきまして十分顧客に御説明をす るということが肝心なのではないかと思います。
  224. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうであれば、現状にかんがみて、現状はやっぱり知らぬですよね。だから、先ほど申し上げたそれを知らせるような保護規定、それを完備した上で義務づけるのなら私はわかると思うんです。ぜひそのことを要望しておきます。  そして本法案との関係では、先物取引に関しましてもこういう受託契約準則が作成されると思いますね、この場合、さらに一般の人にわかりづらい分野ですわね。私は、この場合には会員には当然義務づけるのは当たり前だと思うんですが、この体験、具体的に私がきょう御紹介した日本勧業角丸証券のこの例などから見ましても、やはりそれを顧客にまで先物の場合に義務づけるとなると大変きついことになりはしないか、こう思いますが、それについての答弁をお願いしたいと思います。
  225. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) 先物取引につきましては、むしろこれはある意味では、何と申しますか、機関投資家等を中心としたプロの投資家のためのマーケットであるというふうに基本的には考えておりますので、零細投資家に対しましてはいろいろと制約を課しております。例えば、一定の資産をお持ちの方でないと取引をしないとか、それからさらに、取引の単位も今国債の先物では一億円というかなり大きな金額になっており、委託証拠金についてもこれを預託させる、しかも最低限も決めるということでやっておりますので、そういう措置によりまして今御指摘のような問題は解決できるのではないかと私たちは思っております。
  226. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 もう時間も近づいたので最後に大臣、いろいろ具体的事例も含めてやりとりをお聞きいただきまして、やはり証券業に関して何かいろいろな、特に大衆投資家に対していろいろな問題が起きていると思いますね。これが肥大化すれば、先ほど申し上げたとおり、さらに大きな問題も起きるんだろうと思うんです。これに対してやはり的確な規制と指導、これが必要だと思いますが、総括的に大臣の御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  227. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 新聞、雑誌あるいはいろいろな報道機関等見ておりますと、このごろはいろいろ経済、財テクについてのページとか、そういうものが大変多くなっておりまして、それは多分、今まで余りそういうことに御関心のなかった方々がやはり投資ということに非常な御関心を持たれるということであると思いますので、今まで経験のない方はいろんな過ちを犯しやすいということもございますから、これはもう証券会社の方もそういうことがありませんように十分注意をしてもらわなければなりません。まあいわば、そういう取引が大衆化すれば、それだけ大衆が思わぬ被害を受けないような、そういうことは証券会社としても私ども行政に関係ある者も注意をしていきたいと思います。
  228. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは既に質問された事項かもしれませんが、中心部分の質問でありますので、重複をしたら申しわけありませんが、あえて一言お尋ねをしたいと思います。  今回御提案法律案を要約しますと、有価証券を除く金融商品にかかる先物取引については金融先物取引法でカバーを行い、証取法上の有価証券にかかる先物取引については証取法でカバーするとなっておりますけれども、この辺のいわばすみ分けでありますけれども、これは大蔵省の裁定によると伺っておりますが、裁定に当たっての考え方というのはいかなることであったのでありましょうか、まずお尋ねいたします。
  229. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) いわゆる金融、証券商品につきまして先物市場を創設するということは、本委員会でもこれまでも御説明申し上げましたように、やはり我が国においてもその問題については早急に対処する必要があるということがまず第一の前提でございます。  それでは、そういう中で先物市場をつくっていきます場合に、諸外国の先例を見ますといろいろのタイプがあるわけでございます。アメリカのように商品先物まで一緒にやっているところもございます。それからイギリス、フランスのように商品と金融・証券先物を分けているところもあるわけでございます。それからさらに、現在西ドイツ等は先物市場をどうつくろうかというふうに検討しているところもあるわけでございます。したがって、それぞれの国の歴史的なこれまでの経緯、背景の中で、一番いい市場はどういうものかということを考えながらつくってきているわけでございます。  他方、最近の世界的な金融の変革というのはこれ急速なものがございまして、その大きな変革の中で市場をつくります場合に、どういう市場が一番利用者のニーズに適応しているか、それから国際的に通用する市場であるか等々につきましては一義的にはなかなか答えが出てない。そういう中で我が国としても市場をつくろうということでございますから、今回いろいろな角度から、金融制度調査会、証取審、さらには外為審等で御議論いただきまして、一応、証券取引所とそれから新たにつくります金融先物取引所とおのおの二つの市場でやっていこう。ただ、先ほども申し上げましたように、金融の環境それから世界の経済情勢等も急速に変わってきておりますから、そういう中で、二年たったらもう一度新しい情勢のもとで見直してみようということで今回の案をまとめたわけでございます。
  230. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 今のこのすみ分けですけれども、このすみ分けをじいっと目を凝らして見ておりますと、いわゆる長年の課題であります例の垣根論が透けて浮かんでくる気がするわけでありますけれども、この二年という経過を考えてみますと、例えば小口預金金利の自由化、これも相当進むであろうという気はいたしますし、片一方では、キャッシュ・マネージメント・アカウントが果たしてでは日本でどの程度現実のものになりしかも発展するか、これはあくまでも予想の域を出ませんけれども、例えばアメリカのグラス・スティーガル法が今存廃を含めての議論の対象になっていることは事実でありますから、そうすると、今透けて見える垣根論を含めて本当は二年後に見直しということになる可能性もあるのではあるまいか。それも含めての実は二年という期間を一応設定してみたのでありますということが裁定で言われている。  この将来の法律改正も含めた見直しをすると裁定にお書きになったお気持ちと、そのときに二年という期間をそこに挿入された底意というのは、今私が申し上げたような感じをいわばお持ちになってのことであったのでありましょうか、御所見を伺います。
  231. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 一年ではやはり十分にそういう事態に適応するには短過ぎるということがございますし、片方で三年も四年も五年も先に見直すということでは、事態の進展が非常に急激でございますから、そういう中で答えを出すということになると、これもまた遅過ぎるのではないかということでございまして、したがって二年が現段階では一番適当な適切な期間ではないかというふうに考えて二年としたわけでございます。  したがって、その二年の間に、今委員が御指摘のようないろいろな事態も進展が予想されますし、それ以外にも、例えば現在金融商品であるものが証券化等が進みますと、証券商品になるかもしれません。それからさらに、金融商品証券商品とを組み合わせたいわゆるハイブリッド商品というのも出てくるということも予想、予見されるわけでございまして、そういう場合にどう対処するかということも見直しの際に重要な問題ではないかというふうに考えているわけでございます。
  232. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 ある制度をつくりまして、それは当分の間といっても、当分の間の読み方というのは人によってさまざまでありますから、具体的に二年という期間を一応安定的に確保するということを前提にして、しかし適宜見直しもしますということは一つの決め方だろうと思うんです。た だ、どっちがこれ、いいんでしょうか。一応二年とお書きになったんですけどね、今おっしゃったように、状況の変化というのは、非常に急ピッチで進んでいるわけでありまして、したがって、適時的確な見直しをしていくんだということをみずからへの覚悟を含めておっしゃった方がこの際は正解ではなかったんだろうかという気がしますのは、先物市場の進展という状況はもう法律のカバーを抜きにしてどんどん進んでいる中で、では金利の自由化はというと、至って遅々としておりますし、片一方、その向こうにある郵便貯金をどうするのかねというと、絶望的なぐらいどうにもならぬ、こういう日本的な固定した諸環境の中で呼吸しておりますと、何となくそこに安住し、安定してその日その日を送ってみたい気がするのでありますが、本当はそれはいけないのでありまして、やはりもっと大胆に変化に対して変えていく努力をしなければいけないのではあるまいか。  それは私の意見でありますが、以上を踏まえてでありますが、かねて懸案の小口預金の金利自由化問題についていかなる展望と段取りでこれから取り組んでいこうとお考えになっておられるかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。
  233. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 御存じのように世界各国、特に主要国の状況を見てみますと、預貯金金利を含めまして、ほぼ各国において金利の自由化が完了しております。そういう中におきまして、我が国の状況を見てみますと、貸出金利あるいは国債等の金利につきましてはかなりの程度自由化が既に進んでおります。したがって、現在残されましたところは金融機関等の調達面での預貯金の金利ということになるわけでございまして、これにつきましては、過去二年半ほど前から鋭意精力的に、かつ段階的にその自由化を進めてきているところでございます。  例えば都市銀行等におきましては、既に残高におきまして半分以上が自由金利になっておるということでございます。そこで、現在これら預貯金金利の自由化のうち特にその先兵として行っておりますMMCの自由化は単位が一千万まで下がってきております。したがって、これをさらに小口化していくということが一つの大きな課題でございます。それ以外の定期性預金あるいはCDにつきましても、現在五千万まで最低単位を下げてきております。それらにつきまして、これからどう進めていくかということは非常に重要であるわけでございます。  そのうちMMCにつきましては、現在郵貯が五百万までになっておりますので、あと五百万、間にすき間があるといえばあるわけでございますが、その辺を念頭に置きながら、さらに小口化していく場合に、いろいろのことをやはり検討していく必要があろうかということでございます。  一つが、郵貯と民間金融機関との間のトータルバランスの面、例えば金利の決め方なり、それから商品の問題、それから税の問題、これがやはりイコールになっておりませんと、そこへ自由化を進めてまいりますと、個人というのは預金を預けます場合に有利不利ということに対して非常に神経質でございますから、その辺をきちっとしませんと、そこへ入り込んだときに異常な資金のシフトが起こる可能性があるわけでございます。過去におきましてもグリーンカード制度を実施すると言っただけで数兆円の資金シフトがあったわけでございます。その点を今現在郵政省とトータルバランスをどうとるかということについて精力的な話し合いを進めているわけでございます。  それからもう一つは、中小金融機関にとりまして、自由化を進めていきますと、諸外国の例によりますと、一時的ではございますが、コストアップになる、この部分が中小金融機関の経営にかなりの影響があるものですから、その辺も十分見きわめていく必要があるということでございまして、現在それらについて鋭意検討を進めているわけで、気持ちとしては、委員がおっしゃいますように、できるだけ早く自由化を完了したいと考えておるところでございます。
  234. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 金融市場の自由化、国際化のスピードというのは目をみはるばかりでありまして、二十四時間営業も今や当然のごとくになっているわけでありますけれども、そういう状況を一部頭に置きながらと申し上げた方が正確なんでしょうが、先般オフショア市場ということで、いわば金融における出島を築きまして、そこは自由化、国際化を進めながら、しかし国内金融市場の方はやや切り離して影響を遮断するという政策をとってきたわけでありますが、今回の金融先物市場の発展並びにリスクヘッジの必要性の増大、別な言い方をしますと、投機の加速化等考えますと、小さく産んで大きく育てるというふれ込みで始めたオフショア市場でありますけれども、結果としてオフショア市場もやがて変質をしてニューヨーク、ロンドンと同じように国内の金融市場とオフショア、すなわち出島における自由化、国際化が一体となって一体の金融市場にやがて発展をしていく、結局はそういったことになるのではあるまいかという気もするのでありますが、その辺の展望についてぜひ御所見を伺いたいと思います。
  235. 内海孚

    政府委員(内海孚君) ただいまの御指摘はある程度の長さで見ました場合には、やはりそういうふうな方向をたどるのが理想的な姿であろうと思います。もちろんその間におきまして、各国間の税制の違いとか我が国における金融政策の国内面への影響とかいろいろなネックがございますことは委員御存じのとおりでございます。
  236. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 結構であります。
  237. 村上正邦

    委員長村上正邦君) これにて両案に対する質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会