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1988-03-30 第112回国会 参議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十日(水曜日)    午後二時五十六分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村上 正邦君     理 事                 大浜 方栄君                 梶原  清君                 藤井 孝男君                 志苫  裕君                 多田 省吾君     委 員                 井上  裕君                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 福田 幸弘君                 藤野 賢二君                 矢野俊比古君                 山本 富雄君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 本岡 昭次君                 塩出 啓典君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 吉井 英勝君                 栗林 卓司君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        大蔵政務次官   佐藤栄佐久君        大蔵大臣官房総        務審議官     角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        斎藤 次郎君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省関税局長  大山 綱明君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        宮島 壯太君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        大蔵省国際金融        局長       内海  孚君        国税庁次長    日向  隆君        資源エネルギー        庁次長      高橋 達直君        資源エネルギー        庁石油部長    内藤 正久君    事務局側        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        公正取引委員会        事務局取引部景        品表示監視課長  本城  昇君        外務大臣官房書        記官       東郷 和彦君        農林水産省農蚕        園芸局果樹花き        課長       市之宮和彦君        農林水産省食品        流通局食品油脂        課長       阿部  修君        通商産業省通商        政策局国際経済        部通商関税課長  鷺坂  正君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は三月二十四日に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 本岡昭次

    本岡昭次君 時間がありませんので、はしょった質問になることをお許しいただきたいと思います。  まず、関税定率法関係する諸問題の質問をいたします。  今回の改正案のうちチョコレート菓子関税率引き下げが行われております。このチョコレート菓子関税率引き下げでありますが、この輸入額実績では昭和五十八年以降ふえていく傾向にあります。今回のこの関税率が二〇%から一〇%に下がることによって、ふえつつある輸入状況にさらに拍車がかかるのではないかと心配をしておりますが、当局の見通し及び国内チョコレートメーカーへの影響はどのようになると考えておられますか。
  4. 阿部修

    説明員阿部修君) お答えいたします。  先生、今御指摘のように、最近チョコレート輸入がふえておるわけでございますが、これが今回の関税引き下げによりまして、具体的にはどのぐらいになるのかというのはなかなか難しい問題ではないかなと考えておりまして、その辺のところを正確に我々予測しておるわけではございません。  ただ、こういう一般的な傾向の中で、さらに円高もございまして、こういう関税引き下げ国内チョコレート業界影響が及ぶというようなことも十分考えられまして、こういうものに対処するために、政府としましてもその影響をできるだけ緩和するというために、チョコレート原料でございますココア調製品、これは無糖のものでございますが、それにつきまして、国産乳製品の安定的な引き取りにも十分配慮しまして、関割り制度導入しまして一次税率無税とするというふうにしているところでございます。
  5. 本岡昭次

    本岡昭次君 国内チョコレートメーカーへの影響国内産業のある意味では保護的な意味も含めて関税割り当て制度導入したというふうに私たちも見ております。  関税率審議会において第一次税率無税枠を六十三年度一万六千二百トンというふうにこの数量を決めたということが新聞報道をされておりますが、この一万六千二百トンという数量は、国内チョコレートメーカーの意向というものを反映して決められたものかどうか伺っておきたい。
  6. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 関税割り当て制度におきます関税数量の決定でございますが、これは通例その製品の品目の、この場合ではチョコレート菓子でございますが、それの生産見込み量をもとにこれに必要な所要量、この場合には必要な粉乳量でございますが、それを推計いたします。この粉乳需要量から国産粉乳使用量を控除いたしまして残こる数量につきまして関税割り当て対象とする、こんな決め方をいたしておるわけでございます。  具体的にはチョコレート生産に要します全脂粉乳使用量が二万一千トン必要でございますが、その中で国産で賄えますのが六千五百トンと推定されます。そして、実は輸入ココア調製品というのは一〇〇%粉乳ではございませんで、九〇% 粉乳含有でございますので、その差し引きのものをただいまの計算で割り掛けまして一万六千トンという数字を出しているところでございます。国内におきますところの必要量を賄う、こんな観点からこの数字を算出いたしております。
  7. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 速記をとめて。    〔速記中止
  8. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 速記を始めて。
  9. 本岡昭次

    本岡昭次君 よくわからないんですが、ちょっと私は耳が遠いから自分の声が大きくなるんですが、もう少しわかりやすく説明をしていただきたいんです。  私は、第一次税率無税枠を決めるということは非常に重要なことですから、これは大蔵省なり農水省が勝手に決めるわけにいかないと思うし、今のように国内メーカーとの十分話し合いの上で決められなければならぬ、こう思います。恐らくそうされたんでしょう。そこでこの問題は、国内チョコレートメーカーが何社あるか私はよくわかりませんが、しかし一万六千二百トンというその無税の枠の割り当てという作業に入ると思うんです。二五%の第二次の枠を輸入してそれで国内で競争できるわけありませんから、やっぱり無税のところの枠の割り当てということが非常に重要な意味を持つと思います。  そこで、どのような考え方で一万六千二百トンの無税の枠を国内メーカー割り当てていくのかということでありますが、そのことに関連して、チョコレート原料として私の聞きましたところ、粉乳が二五%、砂糖が四〇%、ココア分が三五%というふうになっているというふうに聞いたのであります。この三五%のココア分はこれは輸入ということになります。しかし、この粉乳という部分の二五%ということを考えてみますと、この関税割り当て制度導入目的国内産業保護のためということがあります。それは、チョコレートメーカー保護ということと、もう一つチョコレート原料になってくる粉乳国内でやっぱり乳製品をつくっている、そういうところの国内生産者保護というものも十分配慮してこうした割り当ても当然行われるべきものではないか。こういうことも考えるんですが、そうした点について示していただきたいと思います。
  10. 阿部修

    説明員阿部修君) 今先生の御指摘の点でございますが、まず具体的にどういうふうな割り当てをするかということでございますが、四月一日に公表しようと思っているわけでございますが、私ども考え方としましては、まず対象企業でございますが、これのココア調製品使用実績、それから今後の使用計画、これを十分勘案するとともに、先生指摘ございましたような国産粉乳の安定的な引き取りということはも十分配慮しまして、国産粉乳との抱き合わせによってこのTQ制度を運用してまいりたいというふうに考えております。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 今おっしゃいましたように国内粉乳を生産するところ、これは貿易自由化の中の一つの大きな問題になっている部門であります。このチョコレート輸入の問題と関連して国内産業保護ということで配慮するというのはむしろ当然であり、そこのところは今おっしゃったような立場でやっていただきたいと思います。  そこで、実績計画に基づいて割り当てるというんですが、チョコレートメーカー新規参入をしてくるというふうなところができたときには、その割り当てというのはどうなるんです。
  12. 阿部修

    説明員阿部修君) この制度は六十三年度から新たに発足するものでございまして、四月一日づけの関税割り当て公表によるわけでございます。その場合、すべてのチョコレート製造業者対象にして申請を受け付けることにしております。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、それ以降、割り当て以降の新規参入者はどうするのか。
  14. 阿部修

    説明員阿部修君) 済みませんでした。その後につきましても年度の上半期それから下半期、その半期ごとの初めにその都度当該期割り当て申請を受け付けるというふうに考えておりまして、新規業者参人機会確保してまいりたいというふうは考えております。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 実績がなくとも参入はさせていくということですね。
  16. 阿部修

    説明員阿部修君) その場合、当然機械施設も必要でございますし、それからもちろん計画がどうなっておるかということも配慮したいと思っております。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 関税率を二〇%から一〇%に下げるということ、主としてこれはアメリカの中級のチョコレートということになってくると聞いておるわけであります。そのことに関連して、今もずうっとチョコレート輸入製品の方が年々ふえ続けているという状況に当然さらに拍車をかけるということになり、またそのこと自体目的であろうと思うんでありますが、国内メーカーに対する対応等についても先ほどおっしゃったように十分な配慮をされて、これからどういう影響を具体的に及ぼすのかということを慎重にこれは対応していただきたい、このように思うのであります。  その点で一言、大蔵大臣の方から答弁をいただければありがたいと思います。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実施官庁において遺漏なく行政を進められることと存じます。ただいま説明員からも御説明があったとおりでございます。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 次に、我が国の通関の問題について伺います。  まず初めに、昭和六十二年の出入国者の総数、対前年比、十年前との比較がどうなっているか、端的にお示しを願います。
  20. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 昭和六十二年の出入国者数でございますが、約一千八百万人でございます。対前年の増加率は一九・一%増でございます。これを十年前、昭和五十二年でございますが、と比較いたしますと、五十二年の出入国者数は八百三十九万人でございますので約二・二倍となっております。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 同じような点で伺います。  昭和六十二年の輸出入貨物を十年前と比較すると増減傾向はどのようになっていますか。
  22. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 輸出入貨物増減状況でございますが、輸出許可件数及び輸入許可件数で申し上げますと、昭和六十二年におきます輸出許可件数は約六百八万件でございまして、対前年比は五・〇%の増、伸びでございます。先ほどと同様に十年前の数字比較をいたしますと、約一・六倍ぐらいに伸びております。同じく輸入について申し上げますと、六十二年の輸入許可数は約三百六十九万件でございます。対前年の伸びは一九・七%、十年前に比べまして約二・二倍ぐらいに伸びております。輸出入を合計いたしました許可件数で、十年前に比べまして約一・八倍とこう御理解いただければと思います。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 それではもう一点、この実態について伺っておきたいのであります。  新聞で、銃砲覚せい剤大麻不正商品押収したとか、港や空港でいろいろ税関職員皆さんが御苦労いただいたことが報道をされているわけで、いつも大変なことだなと思っております。それで、この三年間、銃砲とか覚せい剤とか大麻あるいはまたまがいものの不正商品等を水際で押収していかれている量ですが、そうしたものはそれぞれどういう傾向にあるのか、数量的にお示しいただきたいと思います。
  24. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) まず銃砲でございますが、銃砲押収量を過去三年間をとってみますと、六十年、六十一年、六十二年の合計でございますが、七百九丁押収をいたしております。覚せい剤につきましては、同じ三年間に八百一キログラム、大麻につきましては三百八キログラム、それから不正商品お話がございましたが、これにつきましての摘発も一万九千点と相当多くに及んでおります。かなり高水準を続けております中で、全体としてなお増加する傾向にございます。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 昨年の本法案審議の際決議された附帯決議の中でも、今おっしゃられたようなさまざまな状況を勘案して、税関職員処遇改善要員確保という問題が取り上げられております。今 お示しいただいた通関状況は、年々増大をし、そして税関職員のそれに伴う大変な御苦労というものが想像されるわけであります。そこで、なお一層、今挙げられましたような諸問題に適切に対応していくために、私も税関職員皆さん処遇改善要員確保を望みたいところであります。しかし、さらに一歩進めて、今日的課題という問題を考えてみますと、日本が三%から四%の経済成長を毎年進めていく、そのためには貿易というものが当然その中心になってくるわけでありまして、貿易量はこれからも飛躍的に増大をしていくということで、ある程度の経済成長と見合った数量的なめどというんですか、そういうふうなものを立てられるんじゃないかと思うのであります。  また、いま一つ国際化時代に本格的に突入するということ、また日本国際化という問題に対して積極的に対応しているという状況を見るときに、国際化というといろいろありますが、しかしその中で最大のものがやっぱり人と人との関係ということになれば、日本国民外国へ出ていく、外国の方が日本に来る。やっぱりそういう輸出入貿易というものとあわせて人の出入りというものが非常に多くなるということでありましょう。また、それがふえますと、密輸をやる側も巧妙になり、大型化することで、非常に税関の仕事が複雑な、そしてまた極めて難しい状況も生まれてくるということが、これは私のように素人でも想定されるわけであります。  そういう意味で、税関職員要員確保というふうな、言葉じゃなくて、今言いましたように経済成長は見合って、あるいはまたこれから国際化ということを見やってどうあればいいかという問題は、ある意味では定員化して、そして計画を立てて中長期展望を持ちながら、そうした日本の国の発展状況とあわせて増員をしていくというふうにするだけのものがあるんではないか、僕はこう思うんです。例えば学校の教職員であるならば十二年計画でこうするというようなことを、財政上の意味でいろいろ出入りはありますけれども、やはりあるべき目標に向かって増員をしていくのでありまして、そういうこととイコールにできないまでも、そういうふうなことを思うわけでありますが、この中長期展望に基づく定員増必要性というものを私は感じるのでありますが、大蔵省あるいはまた大蔵大臣としてその点はいかがでしょうか。
  26. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 委員仰せのとおりでございまして、これから成田の第二期工事がそろそろ完成する、あるいは関西空港の完成も六十八年に間近に迫っているということで、私どもも将来に要しますところの要員の数というのはどのぐらいかということを試行錯誤をしながら探っておりますが、まだ的確にここで申し上げられるような数字はないことを御容赦いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、日本国際化とともに貿易量あるいは出入国者数がふえてまいります。そういった中で要員確保について総務庁等関係当局お願いをいたしておりますが、また同時に私どもといたしましても、厳しい行財政事情のもとでございますので、効率化事務重点化は図っていかなければならないと思います。そういったことをやると同時に、また必要な人員要員確保についてはお願いするということで今後とも臨んでまいりたいと存じております。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のように、国際化ということは出入国の人の数あるいは通関貨物ともにふえていくということでありますし、またそうでなければならないであろうと思いますから、どうしてもただいまおっしゃいますような問題が出てまいりますし、殊にいわゆる社会悪の防波堤としての役割というのが非常に大きくなってまいりまして、これは今まで余りなかった要素でございます。これがまた残念ながら、どうもふえるとも、減りそうな感じではございませんから、あれこれあわせますと御指摘のような問題がありまして、さしずめ最近開かれるであろう空港あるいは増設されるであろう空港施設等々を見ながら先の計画をいろいろ考えてもらっておりますが、同時に機械化効率化によりまして、それがどの程度まで人員増をもたらさずに済むかということも一生懸命検討いたしております。
  28. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、時間がありませんので次に移ります。  次は、租税特別措置法の中のたばこ消費税の問題を伺います。  たばこ消費税の一本一円の上乗せ臨時措置は、その発端は六十一年度において税制調査会答申にもないものを財源対策を名目として強行したものであったにもかかわらず、六十二年度はこれを延長しております。この六十二年度の延長自体臨時異例措置であるから不当なものだと思います。加えて、このときの延長売上税とのかかわり、つまり売上税導入によって既存の消費税との調整が必要であり、その間の延長であるというのが政府延長理由であったわけであります。  したがって、売上税廃案はなった五月の段階で政府の言う延長理由は喪失したはずであります。それにもかかわらず、六十三年度において再延長をするという理由がわからないわけでありまして、その理由を示していただきたいと思います。
  29. 水野勝

    政府委員水野勝君) このたばこ特例税率につきましては、御指摘のように、昭和六十一年度において補助金等整理合理化に伴う地方財政対策一環として、やや異例措置として講じられたところでございます。その後、このたばこ税負担水準につきましては、六十二年度におきまして売上税中心とする税制間接税抜本改革お願いをすることとし、その抜本改革の行われるまでの間の九カ月の措置として延長をしていただきましたが、売上税廃案となりましたので、その残りの三カ月を再度御延長お願いをいたしたところでございます。現在、税制全般につきまして基本的な改革作業が行われているところでございますので、たばこ消費税につきましてもその一環として検討させていただいているところでございます。  したがいまして、六十三年度におきましては、その方向の出るまでという意味もございまして、申しわけございませんがもう一年延長することをお願いをしたい、これが今回の税制調査会答申でございます。また、そのお願いをいたしました直接のきっかけでございます地方財政対策もなお続いているところでございますので、六十三年度は一年間さらに延長お願いをすることとして御提案さしていただいているところでございます。
  30. 本岡昭次

    本岡昭次君 今のお話を聞いておりまして、税制改革が行われているからということが理由でありますが、税制改革との見合いで言えば、大型あるいはまた新型いろいろ言われておりますけれども、新しい形の薄く広く徴収していく間接税であるわけですが、それとの関連で延長をさせようとしていることであれば非常に重大だと思うのであります。そのことの国民的合意が得られるのか、あるいはまた、国会としてそうした法案が成立するのかといった問題も定かではなく、またそのことは極めて国民の中で、あるいはまたこの国会の中で与野党が厳しく対決をしていくような状況にあるものを想定をして、それがあたかも税制改革として取り入れられるのではないかという前提に立ってやっているというようなことは、とてもこれは私たちとして認めることのできない問題だというふうに思います。そういう意味で言えば、国会軽視も甚だしい行為だというふうに私は思います。それでまた、財源上必要だという理由もおっしゃいましたけれども、最近の自然増収状況を見ても、そうした特に一年上乗せをしてというふうなことは理由にならないというふうに私どもは考えるわけであります。  改めて大蔵大臣にこの点の所信を伺っておきたいと思います。
  31. 水野勝

    政府委員水野勝君) 御指摘のございましたこの地方財政対策、この点につきましてはなお六十三年度もお願いをいたしておるところでございま して、これは税収そのものという点もございますが、国としてもこの補助金等整理合理化に伴う地方財政につきまして特別の配慮を払うというそういう方向はなお堅持され、引き続き続けられているところでございますので、その点から特例措置としては、やはり六十三年度としてはぜひお願いを申し上げたいというところでございます。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今度再延長お願いいたしますのは、当初の政府の意図とは確かに違っておりまして、申しわけないことだと私自身思っておるわけでございますが、確かに地方財政は国の財政と同じようにあるいはやや好転をしておるのかもしれないとは存じますが、この補助金のカットを新たに今年度いたしますにつきまして、これは明確に地方財政にそれだけの国の政策によりまして結果として欠陥を生ずるわけでございます。したがいまして、その分は何とか自然増収で賄ってくれと申すわけにはまいりませんので、やはり国の施策の結果は国としてこういう形で国会お許しを得て補てんをしなければいけない、こう考えたわけでございます。
  33. 本岡昭次

    本岡昭次君 国会お許しを得てと、まあ最後は採決で決まることになるわけですが、私は認めることができないという立場を明確に申し上げておきたいと思います。今の大臣なり局長答弁に対していろいろ質問をしていきたいのですが、何せ質問を用意したのがたくさんあるので、またの機会にさしていただきます。  それで、たばこ産業の問題について伺っておきます。このたばこ産業状況ですが、たばこ需要の縮小、そして外国たばこのシェアの拡大等、二百円銘柄という低価格での競争条件というものは、国内産葉たばこ全量買い取りというコスト圧力が絡んでおりまして、日本たばこ産業株式会社の経営の根幹にかかわる問題になっているというふうに認識をしております。既に会社側では工場の統廃合、管理部門の合理化、新規事業の開発、出向など三万二千人体制から二万五千人体制への合理化を実施しております。私の出身であります兵庫県の明石にもたばこの工場があって、私も再々訪れたわけですが、何かそれはもうたばこじゃなく、たばこの自動販売機をつくっておるという変貌ぶりを見まして非常に驚いたわけであります。  問題は、工場の統廃合とかいろいろな合理化、新規事業の開発、出向、いろいろやるにしても、結局はそこに働いている労働者の犠牲によってこれは賄われるものでありまして、労働者泣かせというふうに私たちには思えるのであります。一方では、たばこ消費税という面で財政に重大な役割を担っている面も考慮して、国は、関税の問題も含め何か合理的な、あるいはまた整合性のあるたばこ産業というものを成り立たせていく制度の枠組みのようなものを改めて見直していくという必要が、先ほど言いましたさまざまなたばこ産業を取り巻く状況の中から考えられるのでありますが、どういう認識を持っておられるか伺っておきたい。
  34. 宮島壯太

    政府委員(宮島壯太君) さきの専売改革におきまして、日本専売公社を合理的な企業経営が最大限可能な特殊会社に改組する観点から日本たばこ産業が設立されたところでございまして、今本岡委員おっしゃいましたように、非常に厳しい環境にあるのは御指摘のとおりでございます。このような改革の趣旨からいたしまして、日本たばこ産業株式会社が国際競争に耐え抜くためには、委員も御指摘になられましたように、日本たばこ産業及び葉たばこの耕作農家が可能な限り生産性向上の努力等を行っていっていただくということが重要であろうと考えられますが、一方、輸入たばこが急増している状況のもとで、会社としてもいろいろ工夫をしているところでございます。例えば消費者に好まれる製品の提供、営業活動の強化等に努めるとともに、昭和六十五年度までに二万五千人体制を確立する等の合理化の推進、それからたばこ事業法における技術等を活用した新規事業の展開等を図っているところでございます。  大蔵省として、こうした会社に対して制度の枠組みの見直し等何らかの対応を考える必要があるのではないかという委員の御指摘でございますが、私どもとしては、現時点でどれだけの大きな影響たばこ産業並びに関連の業界に与えるか具体的に予測することは困難でございますが、今後とも我が国たばこ産業の健全な発展を図るという立場に立って、大蔵省としても今後の事態の推移を見守りつつ必要に応じて適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  35. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の答弁の中身をこれから機会がございましたらまた詰めさせていただきたいと、このように思います。  それでは最後に、住宅取得促進税制の適用対象の拡大の問題について伺っておきます。  本年の住宅取得促進税制の改正に当たりまして、全国各部道府県にある教職員互助会の教職員に対する住宅貸付金を税制対象にする改正の検討が今なされておるというふうに聞き及んでおります。つまり、共済組合等と同様に、実態としては使用者の事業と認められる団体について法人格があるだけで配慮しないという取り扱いをすることになったと聞いております。住宅取得促進税制目的に照らしても、この改正は実態に合わせた正しい判断によるものと私は評価をしております。しかし、一部の互助会においては残念ながら評価されるべき適用範囲の拡大から除外されようとしているところがあるわけであります。この点について以下質問をしておきます。  私の考えでは、使用者の事業の一部であるということの判定基準を満たしていないということから、教職員の住宅貸し付けという同じ目的を持つ事業を行っている互助会を除外することは余りにも形式的ではないかと一つ思うんです。それから、この税制目的が内需を拡大をして、そして勤労者の住宅取得を促進させるということに目的があるならば、実態に即した判断というものがあってもいいのではないかと、こう思います。全国の教職員が同じ減税措置の適用が行えるよう今後の検討をお願いを申し上げたいと、こう思うんでありますが、この点についてお考え方をお示しいただきたいと存じます。
  36. 水野勝

    政府委員水野勝君) 御指摘のように、今回、使用者からの借入金と申しますか、ローンは従来から適用されておりますが、実質的にその使用者からのローン、借入金と同等のものであると認められるものにつきましてはこれを拡大していこうという方向で御提案申し上げておるわけでございます。  ただ、その具体的な範囲につきましては現在関係省庁と最終的に詰めておるところでございます。やはりこれだけの税制を適用さしていただく、そういうことでございますので、ただ借入金であれば、例えば知人からお借りしたとか親兄弟の間での借入金であるとか、そこらまでいくとやっぱりそれは問題がある。そうしますと、どっかでここは線を引かしていただいて、この住宅取得促進税制を適用するということにつきまして納得の得られる一般的なと申しますか、そうした性格を備える借入金にはやっぱりそこで線を引かしていただくのがこの税制のあり方からして筋ではないか。  そこで、どこまでの線でここを適用を拡大するときの限界線とするか。それはやはり先ほど申し上げましたように、使用者と実質的に同一の内容を持つ借入金であるとすれば、その団体の役員という点に着目いたしまして、使用者の中の役員がその団体の役員にも自動的になるような、そういう役員の資格が確保されておる。それからまた、使用者からその団体の事業につきまして必要な経費補助等も行われておる。それから、その団体の重要な事項につきましては、やはりその本来の使用者の団体からの相応の管理監督も行われておる。こうした基準と申しますか、要件を満たすものであれば使用者の団体と実質的に同等のものからの借入金としてそこは整理さしていただくことができるのではないか。こうした要件なり条件でもってそこを適用さしていただくということでいかがかということで関係省庁と詰めさしていただ いているところでございます。  そういたしますと、数多くございます使用者と、独立した団体ではあっても使用者と同一と認められる団体、その中で幾つかの団体がこの要件に現時点では満たし得ないというところもあるいは出てまいるかと思うわけでございますが、この制度の意義からいたしまして、極力そういう条件なり要件を満たしていただくようにまた御尽力をお願いをできないだろうか。こういった考え方を持ちまして現在関係省庁と詰めさしていただいているところでございます。
  37. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのことについて要望だけを申し上げて質問を終わります。  今おっしゃるように、どこかで線引きをしなければいかぬということはわかります。だけれども、私が今一つの例として取り上げました教職員互助会というのは、親から借りたり知人から借りたりというふうな、そういう私的なものではないわけでありまして、ある県の教職員が全部そこに組織をされ、そして法的にも認められて福祉の事業をやっているこれは団体でありまして、それが今おっしゃいましたように、使用者の一部という問題とのかかわりで適用がどうかというふうになってくるわけで、そこのところをまだこれから詰めていかれるということでありますから、さらに私どもの考えも聞いていただく、そして議論もさせていただく、こういう余裕も持ってそして決めていただきたい。これは、この質問の中ではできませんから、また改めて話し合いもさせていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
  38. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 エネ庁と自治省はお帰りいただいて結構です。  昨年の三月二十六日、今もお話しありました大蔵委員会附帯決議の中で、税関職員の特殊な職務を考慮して要員確保、処遇の改善というふうなことをぜひ行うようにということがございますが、この一年間でそれに対してどんなような対応になっていますか。
  39. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 昨年附帯決議をいただきまして、「要員確保と処遇の改善に努めること。」という結びの言葉でございます。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 それ以降私ども予算当局に対しまして、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、国際化の進展につれまして貿易量伸びる、出入国の旅客数がふえるという実情をるる御説明をいたしまして、要員確保、定員の増加をお願いしたところでございます。  その結果について一言申し上げますと、毎年毎年の定員削減がございまして、それによりまして必ず一%は削減されます。その数字が約七十名強でございますが、それに対しまして六十三年度、今予算御審議中でございますのでまだ決定ではございませんかと思いますが、六十三年度の定員といたしましては七十九、削減が七十四でございますが、増員は七十九を査定上お認めをいただいております。長年にわたりまして税関の定員は毎年マイナスでございました。五十五年以降ずっとマイナスでございましたが、本年につきましては今申しましたように五人の増員が認められたということでございます。附帯決議等のバックアップのおかげであると感謝をいたしております。  それから、定員のほかにつきましても、処遇の改善につきまして、例えば夜間の特殊の勤務手当というのがございます。そういったものにつきまして昨年は犯則関係の手当を増額していただきました。これは人事院にお願いしてやっていただいたことでございます。それから、六十三年度におきましては、夜間勤務する人間の手当をふやしていただくというようなことが予算化されております。はたまた、級別の定数というのがございますが、上位の等級に参りますればそれだけ処遇がよくなるということでございますが、その定員の確保につきましても、関係当局お願いをいたしまして相応の対応をしていただいているところでございます。
  40. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 つまり、この十年間で減った分を差し引くと、五名純増になったということですね、今のお話は。  それで、大臣、ちょっと聞いていただきたいんですが、とてもとてもこんな七十九名増員したとか、こんな程度のことでは追っつかない。それで、非常にそういう点で税関ではいろいろと苦労している。そういう実例を一つこれから実はお話ししたいと思うんです。よくひとつ聞いていただきたい。  これは、オーストラリアのワインなんです、モンテローズ。これを、私は先月末から今月の初めにかけてワインの関係二十五名ほどでオーストラリアへ行って調べたんです。各地でこういうの皆さん買うんですが、私は、例えばこのワインならまあ百円程度の税金だから、三本以上買った人は必ずごまかさないで税金を申告しなさいよと言って皆さんに勧めたんです。それで、みんなそういうふうにやったんです。ところが、今度後からぶーぶー出てきました。これの領収書を持っておりますけれども、一本四百五十円税を取られた。これは簡易税率表というのがありまして、それで本人の希望によっては簡易税率表を適用して一本四百五十円でぱっぱっとあそこでさばいているんです。  ところが本来なら、税の建前というのは、これはどちらの税率を適用するかと言って聞かなきゃならないものです、あなたどちらをと。そうですね、関税局長。しかし、全然聞いてないんです。そして、これは聞かない人を悪いとは言えないんです。それを聞いて、これは百円の方がいいに決まっているから、これは計算すれば百円なんだから、どっちをあれしますかと言ったら、四百五十円払う人はいないです。百円の方がいい。これで、そういう計算をしますと、あそこはもう詰まってしまいます。人が全然足りないんです。したがって、本来は聞かなければならないものを聞かないで、四百五十円ということでぱっぱっとこうなる。これは向こうで六ドル、豪州で六ドルを百円パーにして六百円くらいの酒ですから、これはもう百円は当たり前の話なんです。こういうように、具体的な問題で非常に現場が苦労している。それを一々聞いてやっていくことは不可能です。大臣、どう思います、この現状。大臣に聞いている。あなたはよくわかっているんだからいいんだ。
  41. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 一言、大臣答弁いただきます前に事情を、法律を御説明さしていただきますが——
  42. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いや、わかっている。法律はわかっているからいい。
  43. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 聞かなければならないかどうかという点につきましてでございますけれども税関に申し出たときには通常の税率でやりなさいと書いてあるんですが、聞かなければいけないかどうか、聞かなければいけないというところまでは義務づけられていないという点が一つでございます。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕  それから、実は聞く方が親切であるということはそのとおりなんでございますが、私どもそれだけの手間がないというのは委員御指摘のとおりでございまして、そのために通関の案内には、申し出てくだされば一般の税率によることができます、こういうような記述はこのグリーンのもので書いてございますという、ちょっと実情だけ弁明させていただきます。
  44. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういうことを言うと、またちょっと——時間がないのであなたの話につき合っていられなくて残念なんだけれども、じゃ四百五十円という基準、どこからそういう基準が出てきますか。
  45. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 簡易税率でございますので、余り複雑な税率をしきますと、これは執行上また行列が並ぶということになって大変でございます。簡易化をいたすために、一本の税率通関をしていただくということで簡易税率ができているわけでございますが、実はワインの場合は、関税も従量税だけではなく従価税の部分がござい ます。それから酒税もあわせていただくわけでございますが、酒税も従価税の部分が相当程度ございます。したがいまして、税のかかる金額はいろいろ開きはあるのでございますが、簡易税率でなるべく簡易にしようというところから、ただいま申しましたばらつきのある税を加重平均をいたしまして、一リットル当たり加重平均をいたしますと、大体五百八、九十円ぐらいに最近の時点でもなります。それを丸めてと申しましょうか、六百円という税を一リットル当たり決めまして、一本につきましては、したがいまして四百五十円と、そんな決め方をいたしているところでございます。
  46. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実行関税の表によりますと、この中でも四百五十円という数字が出てきていますよね、今の話でも結局丸めた話で。それじゃこういうのがあるんです。  日本のワインの愛好者がフランスのオークションで一千万ほど出して八本買ったのを覚えていますね、一千万。これ三本は無税ですわね、持ち込んでくるとき。あとの五本は四百五十円ですね。そういうことになりますね。どう思います、これは。
  47. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 確かに課税の公平という点から申しますと、そういったものは問題があるというふうに考えます。しかしながら、旅行者でお持ち帰りになる方々に限っての話でございますし、そこで通関の際に、成田なら成田の旅具通関の場所でその価格に従った従価税を算定いたしますということになりますと、これは大変な作業量を要するということでございまして、結局円滑な通関あるいは迅速な通関にウエートを置くのか、課税の公平にウエートを置くのかということで、ただいま委員御指摘のようなケースというのがあったのは事実でございますけれども、平均的に考えますと、まあそういうものは例外であり、多くの方々は六百円あるいは一本当たり四百五十円ということで、平均的には許されるのではないかと、こんな考えに立ってこの制度ができているという点を御理解いただきたいと思います。
  48. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いや、理解はしているんですよ、理解しているんです。税関の税官吏が少ないからこういう方法をしなきゃならぬということは理解するんですよ。理解するんですが、だからどうしても今のような簡易税率表をつくったりしてぱっぱっとさばかなきゃならぬと、しかもそれにはこういうやっぱりいろんな矛盾はあると、矛盾はあるけれどもやむを得ないと理解はしてますよ。それを大臣立場でどう考えますか。矛盾があるんだと、こんな非常に矛盾があって、しかしそれはやむを得ないんだと。成田の税関の人たちがけしからぬというわけにいかないんですよ。しかし、本来なら一本三百円か四百円のワインに四百五十円ずつ言わなかったから取ったんだと、そういう不親切ということないんです。本来なら、これはどうしますかと、ちゃんと申告しているんですから、申告してないのでなくて申告しているんですから、当然聞いてしかるべきです。値段も書いてあるんですよ。しかし、そういうことをやっていられない。この現状を大臣、しっかりひとつ認識いただきたいと思うんですが、いかがですか。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般来、税関職員が非常に手薄であるということについてはもういろいろ御理解もいただき、また御示唆もいただいて感謝をしておるところでございますが、今の場合もその結果ではないかというお尋ねがございました。  ただ、簡易税率が加重平均でできておるといたしますと、これは携帯品を持ち込んだ人にとっては損をする人もあるし得をする人もある。一般税率に比べれば損をされる人、得をされる人があって、恐らく今のワインのような場合には、丸谷委員の言われるように一般税率ならばそんなに払わないで済むということ、そうであろうと思います。なるほど国として簡易税率でいわばもうけているわけではない、加重平均では同じことになっておるということでございますから、これを一つ一つ一般のお客さんに一般税率でいいんですよと言ってやれば、それはお客様には親切なことは間違いがございませんが、大変な事務量になるということも事実でございましょう。  税関職員が少ないということはそのとおりでございますけれども、仮に増員がございましたときに、こういう制度を改めて一般税率を一人一人お客さんにお話をするというその限りではそれは親切ではございますけれども、まだまだ定員の増がございましたら持っていきたいところがほかにあるような気もするものでございますから、そこは加重平均で余計にちょうだいしているのでないということであれば、ひとつお認めをいただけないものかと思います。
  50. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 税関の職員が少ないということを大臣がよく認識してくださればいいんです。ですから、これはやむを得ないんですよ、今の現況の中ではね。特にそういう点では、例えばオーストラリアに我々はワインを持っていったんですが、免税は一本なんです。日本は三本なんです。諸外国に比べても非常にその点では日本税関は親切にやっているんです。親切にやるのはなぜかといえば、事務量が大変で人が足りないからなんです。そうせざるを得ないんでそういうようなことをやっているんだと思います。  そこで、この間もまた後から行きましていろいろ見せていただきましたが、例えばNACSだとかというようなことで仕事がスムーズにいくようなことを現場は随分いろいろ苦労しているんですが、苦労しても苦労してもどうにもならない問題が一つあります。私は成田ができたときから欠陥空港だと思っていたんです。動物検疫でも全然だめなんです。ひどい目に遭ったことがあります。しかし、こうした仕事がふえてくる状況の中で今の日本の航空貨物体制を考えた場合、成田とか大阪空港とかという大都市の周辺にそういう空港整備をやるよりは、例えば九州とか北海道とかこういうところにエアカーゴを移して、もう今からきっちりした二十一世紀へ向けての展望を持たないと、今度は税関の職員だけふやしたってパンクをすることになります。ああいう狭い場所で何ぼ拡張工事ができたって、もうすぐそれはいっぱいになるに決まっているんですから。こういう点について、長期展望の中でそうしたいわゆる貨物基地というものを北海道とか九州とかというところに大きく考えて、今から大蔵省としても税関対策の上からも持っていただきたいと思うんですが、いかがですか、大臣
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 具体的な問題として、例えば北海道千歳空港において問題が提起されておるのを存じております。それは、提起されている問題は、成田空港がいろいろな理由でカーゴの基地としてもう手狭になっておる、あるいは不便であるというようなことが一つございまして、そこで千歳空港にエアカーゴの基地を持つべきではないかという問題提起であります。  この問題は、結局北海道自身にエアカーゴの需要がどれだけあるかということのほかに、千歳空港がエアカーゴの基地として成田を補完するといいますか、プラスする意味で、日本全体あるいは日本をさらに南の方へ行きますトランジットの役割をも果たしていくかどうかと、そういう問題に私はかかってくるのだろうと存じておりまして、地元の問題があるのは知っておりますけれども政府としても六十三年度にこの問題を国全体としてどういうふうに考えていくかという調査をいたしてみたいと思っております。
  52. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、先般私ワインの関税をいっそ廃止したらどうかという提言をして、ちょっと大臣はのみ込めないようなことだったんで、ところがやっぱりげすの勘ぐりがありまして、ああいうことを丸谷委員が言うのは、バルクワインを無税にすると日本国内メーカーがえらい得をするからだ、生産者は困るんだと、こういうふうなことを言う人もいるんです。しかしそれは全く違うんで、そこのところをひとつ考えていただきたい。例えばオーストラリアへ行ったら一本だけであとは税金取るでしょう、関税。みんなやっているんです。フランスだってやっていますしアメリ カだってやっています。そして、なぜ取るんだと言ったら、オーストラリアは、いや、関税を取らなければ、南米の安い酒がどんどん入ってきたらせっかく育ててきたオーストラリアのワイン産業とワインのブドウ畑というのは負けちゃうと、こう言うんです。  そういうふうにそれぞれの国にはそれぞれの理由があるんですよ。だから、日本関税を外せと言ったってそれは外せっこないんです。そうしたら、牛肉やオレンジだって日本日本の事情があるんだと、こういうことで切り込めるじゃないかと。また、一歩譲って、それじゃ外しましょうということになるとどうなるかといいますと、私はこの間、オーストラリアで二十ドルぐらいのこれは高いけれども、いろいろ研究用もありますのでワインを八十六本買ってきたんです。ところが、この二十ドルもするようなワインでも、関税をきちっと計算してもらって払いましたら、関税は一本百円につかないんです。計算したのがここにございますけれども、かからないんですよ。そんな程度なんです。ですからそれは、二千円の酒をこちらへ来ますとどうしたって四千円か五千円で売らざるを得ないんです。例えば今の向こうで三百円くらいの酒でもこちらへ来ればいろんな流通過程を通って千円くらいということになるんです。そうすると、三千円、四千円の酒で百円の関税がかかっている、かかってないというようなことはそれほど大きなウエートを占めないんです。  むしろもっと大変なことは、農民を圧迫しているのはブドウのジュースなんです。濃縮ジュースがIQ品目から外れて、ちょっとアルコールを入れますと自由に入ってきますでしょう。既にオレンジジュースが三千キロリッターを超えるくらい入っているんです。これがこっちへ来て酒になる。オレンジのみでは酒になりませんよ、これは全部ジュースになりますわね。こういう底抜けがあるんです。ワインの場合も同じなんですよ。ちょっと五倍くらいの濃縮ジュースにアルコールを一%以上入れましてこちらへ来て五倍にまた薄める。これは完全にジュースに戻るんですよ。その上でメーカー国内産のワインとしてこれをつくってワインで売りに出している。いいですよ、それは。しかし、関税の百円が耕作農民を圧迫するというなら、それ以上もっともっと耕作農民が実際に困っている問題は別なところにあるんですよ。農水省、この事実御存じですね。
  53. 市之宮和彦

    説明員(市之宮和彦君) ただいま先生質問のアルコール入りブドウ果汁の輸入状況でございますが、一%以上アルコールを含有するブドウ果汁につきましてはその他のアルコール飲料というような形で一括されておりまして、正確な把握というのはなかなか困難なところがあるわけでございますけれども、私ども関係業界の情報等を当たってみたところでは、チリ、オーストラリア、こういうところからの輸入の一部にこれが含まれていると見られるところでございまして、量的には六十二年度でチリ、オーストラリアから入ってくる全体で百数十トンでございます。この一部というように見ております。
  54. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、この方が圧迫しているんですよ。しかも、IQ物資がこういう筒抜けになるのをどう思いますか。おかしいと思いませんか。輸入制限が何にも意味なくなっちゃう。大蔵省がこれは酒だというんですよね、一%以上だから。そうするとIQ物資じゃないんです。こんなばかなことがこのまま許されたら、本当にブドウの耕作農民にとってはこの方がずっと大変なんです。いかがですか。
  55. 日向隆

    政府委員(日向隆君) ただいま委員御指摘になりましたように、濃縮果汁等にアルコール類が一%以上入っている場合には雑種となりますので、これは自由に入ってくるということになります。今御指摘になりました濃縮ブドウ果汁等につきましては御指摘のような問題もこれありということでございまして、国内のワインメーカーが使用する場合には未納税でそのメーカーの製造場に引き取りまして、すべてワイン原料として使用しているところでございまして、また現在そのように指導しているところでございます。  それからまた、別の観点からワインメーカーが原材料として、委員は重々御存じと思いますけれども、バルクワイン——濃縮ブドウ果汁及び国内ブドウメーカーからの醸造用ブドウ等を原材料として使用する場合には、まず国内ブドウ生産農家の経営に十分配慮いたしまして、摘果前に事前取引契約を結ぶとともに、その契約におきましても醸造用ブドウの安定取引のために努力しているというふうに聞いておりまして、今後とも、今私が申し上げました二つの線に沿いまして、私どもとしてもできるだけ気をつけてまいりたい、かように考えております。
  56. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣どう思いますか、聞いていて。こういう底抜けになっているんです。
  57. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは一般論といたしまして、行政でいろいろ規則をつくりますと、ちゃんと商売の方はそれをうまく片づけていかれるようでありまして、それが民間経済というものの力強さだと思いますが、しかしそうは言っておられません。やはり行政目的があっていたしておりますから、今国税庁次長が申し上げましたように、行政の方でそれに対応してあちこちに御迷惑のかからないように実際上の措置を講じていくということかと思います。
  58. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 関税が農民を保護するというふうな役割を完全に機能することがそういう底抜けがあるのでできないと、この現実はいかがかと言っているんです。
  59. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 関税がワインにはかけられているわけでございますが、国内で生産をいたしますワインの量に対しまするところの原料でございますが、国産のブドウだけでは足りない状況でございます。したがいまして、どうしても外から搾汁なりバルクワインを入れてこなくちゃならないという要請がありまして、それにつきましては割と低い関税率輸入をしているわけでございます。したがいまして、低い税率輸入をするということ自身はこれは必要なことだということはお認めをいただけるんだろうと思いますが、それがまた過度に入ってきた場合に生ずる問題、これが御指摘かと思いますが、これにつきましては、ただいまも国税庁次長がお答え申し上げましたように、入ってくるものの量を決めます以前に国内のブドウ農家からのブドウの引き取りというものについてのしかるべき対応措置をとることによって、農家の保護について万全を期しておると、こういうことかと存じます。
  60. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 まあ実際万全は期されてないんですよね。この話、きょう私にぜひしてくれということで、山梨も山形も原料つくっている農民から、いやそれは先生ぜひやってくれと。具体的にそういうふうにあなたの言うようになってない実例をくどくどときょう午前中電話で聞きました。だから、実際にはなかなかそんなふうになっていないんです。ただしかし、やっぱりあくまでそういう点での耕作農民を守っていくという物の考え方だけは、大蔵省も忘れないでずっと持っていてほしいと思います。  例えば、それは国によって法律もいろいろ違いますよ。ワインだけに限って言いますと、カリフォルニアだとか、それからオーストラリアは暖いからどうしてもポートワイン風の甘いブドウ酒はいいけれど、辛口のブドウ酒というのはできなくて苦労しているんです。それで法律で酸を入れることを認めているんです。しかし、砂糖を入れることは認めてない。それは砂糖なんか入れなくたって甘くはすぐできるんですから。日本では逆でしょう。砂糖の添加はある程度認めても酸は認めてませんよ、酒税法ではね。そういうふうにみんな国によって違うんです。ですから私は、農産物の問題については国によってみんな違うのに、何でもかんでも言われたら自由化しなきゃけしからぬ、ガット違反だというふうなことだけで余り日本政府は右往左往し過ぎるんじゃないか、こう思うんです。その点をひとつ十分御留意していただきたいし、第一、外国の方からいいますと、関税よりはむしろ酒税の問題を言ってきていますわ ね。  きょう税調の会長さん呼んでその問題をちょっと取り上げようと思ったんですが、税調の報告を見ましても、要するに、ガット勧告への誠実な対応をと要請受けたので酒税をやらなきゃならぬと。けしからぬですよ、外から言われたからやるという姿勢。当然国内問題なんだから国内の体制、国内考え方の中で処理していかなきゃならぬのに、ガットから言われたからといってここにちゃんと報告書に書いてある。第一、ガットから言われて緊急にやらなきゃならないと、税調はそういう報告していますよ、緊急の酒税の改正は。しかし、大蔵省当局としては酒税だけ別にしないで一括した抜本改正の中でこの問題は取り組むという姿勢ですわね。間違いございませんね。
  61. 水野勝

    政府委員水野勝君) 酒税は日本間接税の中の極めて重要な柱の税目でございますので、その改正、改革と申しますのは、やはり税制全体の改革の中で検討をする必要があると考えておるところでございます。
  62. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、それができなきゃガットで何ぼ勧告してきても当分できませんわね、去年と同じように。ガットの勧告なんかその程度のものと受けとめておいてよろしいですか。
  63. 水野勝

    政府委員水野勝君) ガットの勧告は重要な意味を持つものと考えておりますので、具体案を取りまとめるに際しましても、事前にその基本的方向はこの一月に閣議決定で税正改正要綱の中で決定をいたしまして、これは世界にもガットにもお示しをし、その態度は示しているところでございます。
  64. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 態度は示しているか知らないけれども、実行ということになりますとそう簡単ではない。それと同時に、衆議院で総理は秋にやるなんということをまだ一遍も外に向かって言ったことがないと答弁していますよね、大蔵大臣、御存じですね。
  65. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それでございますからガットからも勧告があった。また、これについてはきょうに至りますまでに随分何年もの間関心国からいろいろ関心の表明がありまして、その末のガットでございますから、やはりこれは我が国としては受けなければならない。我が国もガットの主要メンバーであって、ガットからいろいろ受益もしておる国でございますからということでありますが、しかし法律の制定、法律案の起案を待っておりますと時間がかかりますので、あらかじめ閣議決定をことしの一月にいたしたところでございます。その決定の趣旨はガットにも関係諸国にも伝えておりまして、一応関係諸国との関連はそこで落ちついておるわけでございます。  私どもとしては、いずれ税制改正の一環といたしまして、酒税は税制の中ではメジャーアイテムでございますし、主要な項目でございますから全体の一環として御審議を願い、税制改正をいたしたいと思っておりますが、それに先立ちまして基本的な方針はガット並びに各国に通報してある、こういうことでございます。
  66. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そのガットの問題なんですが、貿易の自由化あるいはガットの勧告を入れて国内の体制を変えていくと、しかしもっとその前に、例えば貿易の自由化は農産物だけに限ってみてもやらなきゃならない国内の対策がたくさんありますよ。例えばアメリカに比べてガソリンが四倍半高いんですよね、いまだに。その他の農機具とかあるいは固定資産税。最近西ドイツの農業問題が放映されましたが、ヘクタール当たり小作料が三万円くらいなんですよ。日本の十分の一です。経営を大きくしていく場合にこういうメリットだって日本にもあるんです。こういう問題を解決しないで農産物の自由化だけがどんどん進んでいったら、それはとてもじゃないけれども日本の農民はたまったものじゃないですよ。そういう生産資材、燃料だけでもいいです、ガソリンだけでも。これが四倍も高くて同じことはできないんです。  これは大臣おわかりになりますわね、いかがですか。農家の使っている生産資材がこんなに高いんです。農機具だっていろいろきょう時間がないので具体的に言えませんが、これらの国内的な問題を解決しないで貿易の自由化だけ先行させるというふうなことは、これはちょっとひど過ぎるんじゃないか。関税のそれこそ百円くらいなことで保護できるような仕組みではないんです。だから私は、逆説的な意味でワインの関税くらいゼロにしたっていいじゃないかと言ったんです。大臣、できると思いますか、今の日本国内の体制を切りかえないで、国際経済と太刀打ちできるような日本農業の組み立てが。
  67. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういうことがございますから、今日自由諸国国家群で経済第二の大国といいますけれども、ガットの残存輸入品目は二十余り残っておりまして、そのすべてが農産農林関係である。これは我が国の農業の置かれておりますいろいろな不利な条件がございますけれども、やはり基本的には殊に本州におきましては土地が狭いというこのことはもう何ともいたし方のないことでありますから、今日まで残存輸入品目を残しておいたということであろうと思います。そこをいろいろガットあるいは各国から批判を受けておるというのが今日の現状だと思うのであります。  先ほどおっしゃいましたワインについての関税をひとつゼロにするという提案をしてみたらどうかと。これは各国はなかなか簡単に受け入れられるものではないと言われますことは、これは確かに一つの我が国の戦術としてはおもしろいことであるかもしれないということはわかりますけれども、しかしバルクワインを買って、バルクで買うところなんかにそれが一体どういうことになるのか、その辺のこともよくこれは所管省で検討してもらわなければならないと思います。
  68. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これは酒の関係からいいますと、関税じゃないんです。例えば私が八十四本この間買ってきたものの関税は九千八百七十円だったんですよね。ところがこれにかかる酒税は五万六千円なんです。五万六千円、いいですか。ですからこれは、今関税の問題がいろいろと外国から言われているように、日本が特別に高いとも思いませんしね。にもかかわらず関税障壁だ、関税障壁だと言われるのはもっと酒のもとの税にあって、これは何も外国のだけじゃないんですから、国内の酒だって同じなんですからね、とやかく言われる筋は私はないと思うんですよ、同じに扱っていれば。しかし、言ってきていますわね。いろいろこの前も、去年ですか、イギリスの外務大臣が来てわざわざ酒の税金の問題を早くしてくれなんというようなことを言っていますでしょう。そういう一方で、この間アメリカは、食の安全を図るためにつくった農協ビデオでアメリカではこんなふうにいろんな危険な食品を日本に送ってきているという現実を、これは全部事実です、そういうのをビデオにして出したらそれは内政干渉だとえらい向こうからどなり込んできていますわね。だから日本も、そういう点ではもう少し何を内政干渉するんだというぐらいなことを、いつでもきっちり言えるようにしてもらわなきゃならないのじゃないか。  それからもう一つ、最後に要望しておきますけれども、冒頭に戻りまして税関の問題ですが、これは税関の仕事には税と関とありますわね。関の方がむしろ今もうますます忙しくなってきている。そうしますと、どんどんどんどん成田とか大阪とかいうふうな大きなところへ職員が寄ってきます。通勤の問題、住宅の問題、いろいろな問題も出てきております。ですから、そういうこともあわせてやはり税関職員は足りないのだという基本的な認識の上に立った上で対応していただきたい。  それからもう一つ税関研修所というのがありますね。この定数はふやしているのですか。ここをふやさなければ本質的にはふえないでしょう。どうなんですか。
  69. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 税関研修所に従事いたしております職員の数は二十名足らずだったと思いますが、それはそうふやしておりませんが、それは単なる事務をつかさどります職員でございま すので、外部からの職員など……
  70. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 研修生。
  71. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 研修生でございますが、それは今年度でございますか、六十二年度につきましては二百人弱の研修生を昨年の暮れに卒業させまして、またことしの四月から新しい研修生が百数十人入るということでございますが、その収容能力につきましては二百四十人の収容能力がございますので、研修に関します施設としましては十分な余地を持っております。研修生の方は定員との絡みで採用をいたしますことで決まってまいります。
  72. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、繰り返すようですが、くれぐれもやっぱり日本は、日本国内の事情の中の農業だということについて、もう少し毅然とした対外的な態度をとっていただきたい、これを要望して私のきょうの質問を終わります。
  73. 和田教美

    ○和田教美君 議題となっております二つの法案に先立ちまして二、三大蔵大臣にお尋ね申し上げます。  一つは、円高ドル安の問題でございます。このところじりじりとまた円高ドル安が続いておるわけでございまして、ニューヨークの連銀も介入しているという報道がございますし、日銀は連日それなりの介入をやっているわけですが、マスコミなどの見方によると、とにかく当面は日米欧の協調介入がうまくいくかどうかにかかっているんだというふうな報道もございます。そういう点で、大蔵大臣は去る十二日の予算委員会での総括質問で、この政策協調といいますか、これについては自信を持っているんだというふうなことをおっしゃっておりましたけれども、今度の事態についてどういうふうにお考えなのか、また、ドルの急落というのはないというふうに考えられるのか、お答え願いたい。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この数日間の為替市場の動きが何に原因したものであるかはっきりいたしませんが、いずれにしましても、昨年の暮れにG7で合意したところに従いまして、これはまあ一種の乱高下でございますから、各国間の合意に従いまして共同の対処をしております。その結果といたしまして、私は事態は平静に返りつつあるという判断をしております。
  75. 和田教美

    ○和田教美君 次に、これは通告いたしておりませんけれども、先ほど与野党のこの六十三年度減税についての国会対策委員長会談がございまして、確認事項ができまして国会審議が再開ということになったんですが、その内容を御存じですか。まだお聞きになっていませんか。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょっと、ここへ入りましたので内容を存じておりません。
  77. 和田教美

    ○和田教美君 その中に「野党の要求した減税財源は担当者間で引き続き協議する。」という項目が第二項目にあるんです。この「野党の要求した減税財源」という中には、これは我々としては、一つは不公平税制の是正であり、「その他」という項目がございますけれども、これは税外収入の増額、建設国債の増発、税収の自然増というものでございまして、いわゆる大型間接税、新型間接税導入は含まれていないというふうに思っておるんです。それがこの確認事項ではっきりしたというふうに思っておるんですが、その点は、御存じないんならこれは聞いてもしようがないけれども、どうお考えでございますか。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実は合意のことを存じませんし、その経緯もわかりませんので、いずれよく聞きました上でまたお答えさせていただきます。
  79. 和田教美

    ○和田教美君 それでは、この点についての質問はそれで終わりまして、関税定率法及び関税暫定措置法の一部改正案に関連する質問をいたします。  ことしの一月から関税率表の商品分類がCCCN(関税協力理事会品目表)からHS(商品の名称及び分類についての統一システム)に移行しておりますけれども、実行品税目数が約三千から約七千にふえることもあって、去年のHS法案の審議の際にもスムーズな移行が可能かどうか心配されたところでございますが、政府としてこの点について現時点でどのように判断をされておるか、お聞きいたします。
  80. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 結論を先に申し上げますと、今までのところスムーズに移行が行われているということでございます。  もともと今回のHS分類体系はCCCNの分類大系をベースとしたものでございましたので、割合に関税職員にとってはなれ親しみやすいものであったということ、それからまた、早目に法案を通過さしていただきましたことで、準備期間というのが半年以上のかなり長い期間ございまして、その間に通関業者等の教育訓練と申しましょうか、それも行き届いたというようなことから、現在のところ特に大きな問題は生じておりませんで、全体として順調に実施されております。
  81. 和田教美

    ○和田教美君 関税率表の移行は、貿易業者への負担だけでなくて税関職員の業務に対してもいろいろ影響があると思います。さらに、最近は輸出が減って輸入がふえているというような傾向が出ているわけでございまして、税関の仕事というのはどうしても輸入中心になると思うので、そういう意味でもこの税関職員の仕事の量は非常にふえている。最近また、円高が進行すると海外への出国者もふえておりますし、さらに覚せい剤銃砲等の独罪の大型化というふうなことも盛んに言われておるわけでございまして、その水際での、つまり税関での取り締まり、摘発ということが非常に重要になってきているというふうに私は思うわけでございます。  例えば横浜税関でございますけれども、今月の十七日に横浜港に入港したアメリカ国籍のフルコンテナ船に積まれておりました乾燥大麻二百四十三・七八キログラム、末端価格が十二億円余りだそうでございますが、これを発見して押収いたしました。それが報道されました。  この大麻密輸事件は、一回の押収量としてはこれまで最高だった東京税関の四十八キロをはるかに上回って史上最高だというふうに伝えられております。全国の年間押収量で最高だった六十一年一年間の総押収量が二百十七キログラムだそうですから、それを今回の押収量一回分で上回っておる。こういうふうに非常に大麻の密輸が大型化しておるということは非常に大きな問題だと思うんです。麻薬だとか覚せい剤、けん銃など、国民生活を脅かすいわゆる社会悪物品はその供給源がすべて外国にあるわけですから、水際の取り締まり体制の強化充実がぜひとも必要であると思いますが、大蔵省はどういうふうにお考えでございますか。
  82. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 社会悪物品の水際での取り締まり、これは税関におきます一つの大きな仕事と心得ております。税金を徴収する、関税を徴収するということと並びまして、この関所におけるこういう水際での社会悪物品の取り締まりにはそういった意味合いにおきまして私ども力を入れているところでございます。その的確化のために、私どもとしてはいろいろな工夫を凝らしまして取り締まりの効率が上がりますように努めているところでございます。
  83. 和田教美

    ○和田教美君 税関職員の話をこの間お伺いしたんですけれども、最近の密輸の動向は従来に比べて大変変化してきている。昔は、乗組員だとか航空旅客が身辺に隠して国内に持ってきた、密輸したというふうな例が多かったんですけれども、最近は大量に持ち込むために堂々とコンテナに入れて持ち込むというふうなケースがふえてきている、こういうことだそうです。  ところが、コンテナの貨物を全部開いてそして検査すると一つのコンテナで十五万円ぐらいかかるんだそうです。しかも、時間的にも半日程度かかるということでとてもそういうことは不可能だということで、まあ最近税関としてもいろいろエックス線の検査装置だとか、あるいはいろいろな新鋭の武器を使ってやっているということでございますが、私はこういう密輸品の取り締まりというのは、基本的にはやっぱり人間の熟練と勘によるところが非常に大きいと思うんですね。ですか らそういう意味では、税関職員の職員数は現在七千七百人ぐらいですかね、それではやっぱり足らないんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、しかも迅速に処理しなければいけないというふうなこともございますので、その点について先ほどからも議論が出ておりましたけれども大蔵省考え方をお聞きしたいわけでございます。
  84. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 御指摘のとおり、税関の仕事量はふえております。それからまた、責務も大きいものがございます。そういった中で、私ども事務重点化、それから機械化によります効率化などを図りまして効率的な事務運営をしておるのでございますが、あわせまして税関職員要員確保関係方面佐お願いをいたしまして、しかるべくお認めをいただいているところでございます。何分にも厳しい定員事情がございます。私どももそういった面は十分に認識をいたしつつ、したがいまして私ども職場の中での重点化効率化には努めつつ、一方におきまして必要な要員確保につきましては関係当局に理解を得るように努力をしているところでございます。  そのこともございましてということでございましょうか、六十三年度におきましては先ほどもお答え申し上げたのでございますが、何年かぶりに一律の削減のマイナスを上回る定員の増加が認められたところでございますが、税関の実情につきましては、今後とも関係方面によく理解を得るよう私ども努力をしてまいるつもりでございます。
  85. 和田教美

    ○和田教美君 去年はちょっぴり増員になったということはそのとおりですけれども、これは大蔵大臣にぜひお答え願いたいんですけれども、五十一年に比べると六十二年では税関職員九五・九%と減らているんですね。ところが、出入国者数は二二九・九%、輸入貿易数量で一〇八%、輸入総額が一一三%といずれも伸びております。また、さっきも取り上げました覚せい剤押収量は実に一七二四%と十七倍にもはね上がっておる。銃砲押収量も二五〇・四%とふえておるわけです。つまり、検査量がふえる中で人手は傾向としては減ってきているわけで、そういう意味では水際作戦というふうな点から見ても税関職員に過重な負担がかかっていると私は思うわけです。  公明党は、去年の十二月に高鳥総務庁長官に税関職員確保に関する申し入れを行いまして、画一的な定員削減を行うのでなく、適切かつ迅速な税関業務の執行のために税関職員確保をするように要請をいたしまして、その結果もあるかもしれませんけれども、多少ふやしていただいた。こういうことでございますが、機械化もあるでしょうけれども、やっぱりこれからもとにかく増員はどうしても必要ではないかというふうに思うんですが、大蔵大臣のひとつお答えを願いたいわけでございます。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税関職員の勤務につきましてはいつも御心配をいただいておりまして、おかげさまで六十三年度初めて、これは八年ぶりでございますが、ネットの増員を認めてもらうことができました。  おっしゃいますように、通関の貨物あるいは出入国の人々の数、もとより非常にふえ続けておりますし、またその他のいわゆる社会悪と言われる何としても我が国が防がなければならないいろいろなものの検査、通関というものがございます。ますます忙しくなっていくわけでございますが、過去におきまして、例えば輸入航空貨物の通関処理の電算化、これは五十三年ごろでございましたが、それからあと旅具の通関の電算化、これは伊丹と成田で五十四年、五十六年、あるいは麻薬犬の導入でありますとか、輸出航空貨物の通関の電算化でありますとか、できる限りの合理化、機械化効率化をやっておりまして、それでもどうしても及ばないというときにやむを得ず増員ということをお願いを申し上げているということでございます。  今後にわたって合理化、機械化の努力をしてまいりまして何とか増員は最少限度に努めたいとは考えておりますが、なかなか一人一人の事務量、負担が大きくなっているということは御指摘のとおりでございます。
  87. 和田教美

    ○和田教美君 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案に関連する質問をいたします。  これは主税局長にひとつ、これも通告しておりませんけれどもお答え願いたいんですが、私はこの改正案の内容を見て、大蔵省は緊急性のあるものに限る、つまり本物は今の抜本的税制改正に全部譲ってしまって、これはもう緊急性のあるものに限るんだと言っておりますけれども、内容的にも全体としては不徹底で、非常に不満なものだと思うんですが、その中で土地税制について一つお尋ねをいたします。  居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の改正で、居住用財産の買いかえ特例を原則として廃止するということになっております。これは居住用財産の買いかえ特例というものが東京周辺の地価の騰貴をあふっているというふうなことからこういうことが行われたんだろうと思うんですが、それと対比して二番目に、「所有期間十年を超える居住用家屋及びその敷地で父母又は祖父母から相続又は遺贈により取得したもののうち、三十年以上の期間にわたってその者の居住の用に供していたものを譲渡した場合の長期譲渡所得については、居住用財産の買換えの特例を存置する。」、つまり非課税にするという規定がございますけれども、どうも自分が一生懸命働いて稼いでそして持った住宅については、長期に住んでおっても譲渡所得で取られる。言ってみれば、相続財産ですから親代々住んでいたところをとにかくたまたま相続するということで、いわば不労所得に近いということも言えるわけであって、そういうものにこういう非課税措置をとるというのはどうもちょっと合点がいかないわけですが、その点はどうでございますか。
  88. 水野勝

    政府委員水野勝君) ただいま御指摘もございましたように、この居住用買いかえ制度と申しますのは四十四年に一応廃止されたものではございましたが、五十七年改正で復活をいたしました。しかしながら、ただいま御指摘のように、これが都心地域におきますところの地価の高騰を周辺地域に伝播させるような効果が出てしまっておるという最近の事情、それからまたそもそもこの制度は、その居住用財産を処分されてもそれよりも大きいものをお求めになれば課税にならない、それよりも縮小したものをお求めになると課税になるという、そのあたりにも問題がある。また、個人の場合にその収得価格を何十年も引き継いでいくということはやはり技術的にも従来から問題があると指摘されていましたので、今回は原則としてはこうしたものは廃止したらいかがか、原則廃止ということで御提案を申し上げているわけでございますけれども、三十年以上にもわたり、しかも二世代以上にもわたってお住まいになってこられたようないわば本居となるようなそうした居住用財産を手放されるということはよくよくの事情がある場合ではなかろうか、こういう場合に限っては例外的に存置する、原則としては廃止さしていただくというのが基本的な考え方としてあるわけでございます。  ごく例外の場合に限り存続さしていただくということですので、大方の場合はひとつこの際は居住用財産の買いかえは御勘弁いただいて——ただ一〇%一五%、三千万控除もございますし、負担としてはそんなに大きくならない。ですから、原則は廃止というふうにむしろお考えいただいて御理解を賜ればと思うわけでございます。
  89. 和田教美

    ○和田教美君 次に、政府税制調査会がこの間出された素案について御質問いたします。  税調の素案で一番強調されているのは、まあ私の見るところ、新型間接税導入が絶対必要だというふうなことが書いてあるところでございますけれども、ところが、多くの国民が望んでいる不公平の是正の方は全体に極めて不十分というか、抽象的な表現のものが非常に多い。素案の「負担の公平の確保」という項目を見ても、果たして税調がどれだけこの問題に取り組もうとしているのか、どうも疑問に思うわけでございます。不公平 の是正をあいまいにしたまま新型間接税導入ということを認めろといっても国民の納得はとても得られない。最近の各新聞社の世論調査を見ましても、その点が非常に明確に出ていると思うんですけれども大蔵大臣はこの点はどういうふうに政府税調の素案をごらんになっておるかお答え願いたいと思います。
  90. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税調の素案のことを私が、今殊に素案の段階でございますので、余り詳しく申し上げることはいかがかと思っておりますけれども、いわゆる不公平是正、不公平と言われる税制の是正についても大変に御熱心な御議論がありまして、この素案の段階ではもう一つ、ああする、こうするということを大変に切り込んでは書いておられませんけれども、いろいろ皆さん慎重に深く御議論をなさっておられるようでございます。
  91. 和田教美

    ○和田教美君 今の「負担の公平の確保」という項目を見ましても、具体的には有価証券譲渡益課税、社会保険診療報酬課税の特例、みなし法人課税制度の三点だけですね。しかも有価証券譲渡益課税、つまりキャピタルゲインの問題については原則非課税を改める方向は打ち出しておりますけれども、原則課税にするという表現はないですね。そしてどうも具体案は示されていない。いろいろこの課税には技術的な問題があるということはわかりますけれども、しかし我々は当然キャピタルゲイン課税は総合課税にいくべきだと思うんです。それに至るまで時間がかかるとすれば、我我としても総合課税へのつなぎとしてみなし課税でもいいというふうな態度を打ち出しておるわけでございますけれども、そういう点で進めることができるのではないかというふうに思いますが、大蔵省もその点では異存はないわけですか。
  92. 水野勝

    政府委員水野勝君) キャピタルゲイン課税は、去年の秋の改正でも一応範囲の拡大はお願いをいたしましたが、やはりこの当委員会におきますところの御議論を初めとして、基本的な見直しが必要だという御指摘が強い。したがいまして、この点はむしろ本当に前回のとは少し踏み込んだ改正は検討が行われている。しかし、まだそれから時日がたっておりませんから、具体的にどうするかなかなか難しい問題でございますが、ただいま委員御指摘のみなし的な考え方もあるではないかということも税制調査会の中には一つの御議論、かなり相当な御議論がございました。恐らくそういったことも頭に置きながら、これから早急に具体的な方向が検討されるのではないかと私ども予測しておるところでございます。
  93. 和田教美

    ○和田教美君 素案では、資産課税の位置づけがよくわからないんですね。一口に資産課税といっても、利子やキャピタルゲインのような資産性所得課税というものもありますし、固定資産税のような保有に対する課税というものもあります。また、相続税だとか有価証券取引税のように移転に着目した課税というものもあるわけです。所得、消費、資産の間のバランスのとれた税体系ということを政府は盛んにおっしゃるんですから、この三つの要素を整合性のある形で結びつけて、全体の中でこの資産課税というものをどう位置づけるかということを国民に示すべきだというふうに私は思うんです。  この前もその点は御質問したことがあるんですけれども、そういう点について、これまた素案の批判はできないということであるかもしれませんけれども大蔵大臣の今までの答弁を聞いていると、資産課税については現状を余り変える必要はないというふうな認識のようでございますが、一体どういう位置づけをされておるのか、お聞きしたいわけでございます。
  94. 水野勝

    政府委員水野勝君) 御指摘のように、資産課税には保有、処分、利用といろいろな部分のあれがあるわけでございますが、先般来議論になっておりますOECDの歳入統計によりますところの割合から申しますと、割合日本の資産課税のウエートというのは、税体系中のウエートとしてはかなり相応の水準に達している。それで、先般もいろんな機会大臣から申し上げておりますのは、かなりウエートとしてはいいところに来ているということを申し上げているところでございます。  その資産課税の内容自体につきましては、これは流通税あり、処分課税、譲渡益課税ありでございますから、ただいまの御指摘のキャピタルゲイン課税を初めとして、見直しはやはり必要であるという問題点は持ってございますが、ウエートとしては割合国際的にも時系列的にもいいところには来ていると、そういうことはある意味では言えるのではないかと考えているところでございます。
  95. 和田教美

    ○和田教美君 その点については、また今後大いに議論をしていきたいと思っているんですけれども。  次に、素案は「今回の税制改革は、全体として税負担率の上昇を目指すことなく行われることを明らかにしておきたい。」というふうに言っております。これは、とりあえず増減税同額で出発しても、将来にわたって国民の税負担率というものを上げないという意味なのかどうか、どういうふうに解釈をされておるか、お答えを願いたい。  また所得税については、課税所得千五百万円以上は税率を五〇%にするなど、高額所得者を優遇するいわゆる税率のフラット化を目指しておるというふうに私は思うんですが、一方間接税は広く薄くということですね、これはまさにフラット化そのものだというふうに思います。そして、この二つが相乗作用をなして全体の税体系がフラット化して、いわゆる累進性による所得の再配分機能というふうなものが将来見失われてしまうのではないかという、そういうおそれもあるように思うんですけれども、この点について大蔵省のお考えはどういうことか。それとも、日本は世界で最も貧富の差が少ない社会なんだから、もう垂直的公平はかなり緩めてもよいというふうにお考えなのかどうか、お答えを願いたい。
  96. 水野勝

    政府委員水野勝君) 最初の点の、直接に増収を図るものではないと申しますか、税負担率の上昇を目指すものではないという意味かとの御趣旨が述べられておりますが、負担率それ自体といたしましては、そのときそのときの国民皆さん方の給付と負担との選択の問題であろうかと思いますので、積極的に負担率を上げていくということは、それは御判断、御選択の問題として、今回の税制改革自体は、直接その上昇を目指すものではないということをお述べになっていることではないかと思うわけでございます。  それから所得税の税率水準につきましては、昨年の抜本改正でのときの税率表六段階というものが一応頭にある。しかし、あれが下の方の部分といいますのは、昨年秋の国会でのいろいろな御審議の末、そこが緩和されたりしている部分がある。一方、千五百万円までは五〇%というのは、去年、おととしのまま、これはおととしの暮れに決められたものでございますので、その後の所得水準の上昇等を勘案すると、これはさらに緩和の余地はないかということが付言をされているところでございます。こうした税率表をとりましても、日本の所得税の累進度合いというのは世界的に見てかなりきついようなタイプをとってございますので、これによって税制全体としての累進性がかなり緩和されると申しますか、累進性がなくなる、所得再分配機能が大きく減退するということはないのではないか。  一方また、五十年代以降、所得税のウエートはどんどん上がる一方、消費税のウエートがどんどん下がってきているという、そこのアンバランスはぜひとも見直しをする必要があるのではないか。現在の酒、たばこ、ガソリンというものを中心にした間接税、これはある意味ではかなり逆進性の強いものでございますが、消費一般につきまして着目して課税をお願いをするような課税であれば、酒、たばこみたいなものに比べればむしろ逆進性は少ないかもしれない。要するに、消費課税のウエートが十年間非常に低下してきておりますので、そこはぜひ見直しをお願いをしたらどうか。しかし、それによって先ほども申し上げましたような税体系全体の累進性といいますか、再分 配機能がそれほど御心配になるほど減退するということはないのではないかという感じではないかと思います。
  97. 和田教美

    ○和田教美君 これは大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、流通業界だとか繊維業界を中心に約三千五百団体ぐらいで組織している税制国民会議というのがございますね。二十六日の拡大常任幹事会というところで、政府税調の素案に対して「「拙速を避けよ」などとする緊急提言をまとめることにした。」というふうに報道されておるわけです。そしてこの緊急提言では、第一に「拙速を避けよ」ということ、「秋の成立は時期尚早」だと反対の態度を打ち出すということだそうです。それからさらに「歳出を減らす問題を棚上げして歳入、それも間接税問題だけを取り上げるのは納得できない」というふうな考え方も入っておると、こういうことでございますが、さらに「新型間接税導入が不公平の是正に役立つのか」と、疑問を投げかけているというふうに報道されております。  こういう業界の動き、考え方に対して大蔵大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう御会合があったことを存じておりますし、言われたことの概要も知っておりますけれども、まだこの素案の意図するところも十分には了得しておられないのではないか。    〔委員長退席、理事藤井孝男君着席〕 もう少し御説明する機会がありますとおわかりいただける点もあるのではないかと思っておりますが、実はこれは政府ではございませんけれども、私どもの党内で税制調査会というものがやはりございまして、ここでは各団体からこれからいろんな御意見をかなりの時間をかけて伺うことにしておりますので、また具体的に伺い、こちらも申し上げる機会もあるのではないかと思っております。
  99. 和田教美

    ○和田教美君 総理府がさきに発表しました「税制改革に関する有識者調査」これについては当委員会でも野党側からさんざんたたかれて、これは間接税導入に賛成八割なんというのは全くばかにしているというふうな意見が盛んに出たわけですけれども、同じころに朝日新聞が十六、十七日に行った全国世論調査によりますと、大型間接税導入については六割が反対、賛成はわずかに二一%に過ぎないということになっております。朝日新聞売上税廃案直後に行った世論調査に比べて反対はむしろふえているというふうになっております。さらに、日経がやはり同じころに行った「日経一万人電話調査」という世論調査ですけれども、これでも新型間接税を支持したのは減税実施などの条件つきを含めてわずかに三割、そして、不公平是正が先であるとする人が四割以上ということになっております。  このように、世論調査の結果は昨年売上税廃案の直後とそんなに変わっていないばかりか、世論の流れは大型間接税反対の方にむしろふえてきているというのが新聞社の世論調査が示している傾向だと思うんです。これだけ政府の調査と世論調査が食い違うというようなことはこれは大変なことだと思うんですけれども、なぜこういうふうに食い違うのか、大蔵省はどういうふうにお考えかお答えを願いたい。
  100. 水野勝

    政府委員水野勝君) 有識者の意識調査と申しますのは、御承知のように、世論調査とか一般的なアンケートとは性格が異なるところでございまして、一定のグループと申しますか、階層の有識者をグループ別にお選び申し上げてその意識をお聞きする。それは全体としてどうということもさることながら、それぞれの階層と申しますか、グループの御意見がどのように差異があるか、また変化があるかというようなところにその意味があると言われているところでございまして、五十七年に年金改革につきまして厚生省が行われたというような例を私ども参考として総理府にお願いをしたところでございます。  御指摘のような新聞社によりますところのアンケート調査も私どもお聞きはしておりますが、いずれもこれは素案の発表される前の段階で実施されたもののようでございまして、素案もいただき、これをもとに公聴会等参考人の意見聴取等も行われるようでございますので、それによっていろいろ幅広く御意見、御理解を得てまいるように税制調査会としてもお努めになる、このように考えておるところでございます。
  101. 和田教美

    ○和田教美君 竹下総理は二十六日に自民党税制調査会長の山中さんと会談をして、税制改革の今後の進め方を協議したというふうに伝えられております。この会談には大蔵大臣も同席された、そしていろいろ説明をされたと、こういうことだそうですが、早ければ四月末にも最終答申をまとめる方針を説明したというふうに伝えられておる。  そこで、さっきまだ大蔵大臣は知らないと言いましたけれども、きょうの与野党国対委員長会談確認事項という中に「六十三年度減税のための法案は今会期中に処理するように最大限努力をする」というのが一項目あるわけですね。六十三年度分について当然今国会の末までにこの法案を処理すると。そうすると、法案もそれから補正予算案も出すということになるんだろうと思うんですが、そうなると六十三年度分をまず処理して、それでなおかつ、大蔵大臣の言うように、抜本改正の法案をさらにこの国会に出すというようなことは、物理的、事務的にも不可能になってくるんではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでございますか。やっぱりまだ今国会に抜本改正の法案を出すことをあきらめないという態度は変わらないわけですか。
  102. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 竹下総理と自民党の税制調査会長との会合が先週土曜日に行われましたときに、私は実は委員会の関係がございましたものですから、初めの三十分ぐらいしかおりませんで、後半のことを存じません。が、聞いたところによりますと、特にいわゆる抜本改正を国会に提出する、御審議を願う時期というものについて具体的な合意があったわけではございませんで、党税調もこれから、先ほど申しましたように、各業界から時間をかけてお話を聞くということでございますし、政府税調も今素案が出た段階でございますから、その時期がいつになるかということは依然としてまだ判断をするのにちょっと早い、むしろこういうことでございました。連休の前までに案を具して国会に提出云々というふうなことはなかったと承知しております。  それから、ただいま御指摘の国対委員長会談の結果につきましては、私先ほど申しましたように存じておりませんものでございますから、今ちょっと何とも申し上げられません。
  103. 和田教美

    ○和田教美君 次に、土地税制についてお尋ねします。  我々は大企業を中心とする法人の土地の膨大な含み資産に対する再評価税をかけろということを要求しているわけですけれども、今度の素案には全くそういう考え方は含まれておりません。大変不満でございます。  ただ、この土地財テクの問題がいろいろ批判が強まっている。特に企業が金融機関などからの金を借りてこれを投機に回すことが最近の地価騰貴の一因だというふうな批判もあるというふうなことを受けて、税調の素案にも一つだけ、「法人が借入金により土地を取得し、借入金の利子を損金算入することにより課税所得を圧縮する行為に対処し、あわせて土地の仮需要を抑制する観点から、土地取得に係る借入金利子についての損金算入を制限する措置を講ずる」という項目が一つございます。これはやらないよりはましだと僕も思うんですけれども政府はこの考え方には賛成でおやりになるつもりですか。
  104. 水野勝

    政府委員水野勝君) 御指摘のような構想が素案の中に含まれておるわけでございます。    〔理事藤井孝男君退席、委員長着席〕  土地を借入金をもって購入したその借入金利子、ある意味におきましてはその土地が事業の用に供されるまでは、費用収益対応の原則等からいたしますと、それはなお損金には算入しないという考え方も十分あり得るわけでございますが、た だ、従来の扱いといたしましては、それは期間費用として損金に算入してきているというのが従来の方式でございますので、こうしたものを従来の経緯を踏まえて、どのようなところまでこれが新しい仕組みとしてお願いをできることになるかどうか、これは今後の税制調査会におきますところの御検討のいかんによるのではないかと思うわけでございます。
  105. 和田教美

    ○和田教美君 ことしの四月一日から実施のマル優廃止ですけれども、預貯金すべて二〇%の一律分離課税ということで、高資産家にとっては相対的に有利な改正になったと私は思うんですけれども、その上金融自由化が進んで高い金利を期待できる金融商品、例えばMMCとか大口定期預金、CD、こういうものには、利子が相対的に高くなるわけですから、高額貯蓄により恩恵を与えている。しかし、小口預金者には全くメリットがないとこういうことで、金融資産の保有の格差が拡大する一方だと。政府の金持ち優遇税制改革の一端がもうここにも出ているというふうに思われるわけです。ところが、この小口預貯金金利の自由化という問題が、大蔵省と郵政省との調整が不調でなかなか進まないということでございますけれども、その点はどうでございますか。
  106. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 預貯金金利の自由化につきましては、これまでも前向きにかつ精力的に推進してまいったところでございます。大口から順次小口の方へ進めてきております。その場合に、やはり問題となります点が、一つが郵貯との関係をどうするかという点でございまして、これにつきましては、今郵政省と精力的に問題点を詰めているわけでございます。  それからもう一つは、諸外国でもそういう事態が起こったわけでございますけれども、小口化してまいりますと、中小金融機関の経営にいろいろ影響を与えるわけでございます。今委員がおっしゃいましたように、自由金利が多くの場合、規制金利よりも利回りが高いわけでございまして、自由化を進めていきますと、そういう中小金融機関のコストが上がる。その結果といたしまして、貸出金利をどうしても上げていかざるを得ないという状況もあるわけでございます。  金融が非常に緩和しているときはそれもままならないわけで、結局収益的に問題が起きてくるということ等々もございますので、気持ちの上では非常に前向きに積極的に進めておりますけれども、やはり信用秩序の維持、その他の今申し上げたような観点を踏まえながら、慎重に進めていく必要もあるわけでございます。そういう中で、今鋭意努力しているということでございます。
  107. 和田教美

    ○和田教美君 次に、サラリーマンの特定支出控除の問題ですけれども、これは税調素案の中にも検討のポイントの一つに挙げておりますね。それで、この制度は六十二年度改正で新設した制度ですけれども、私は実際にはほとんど利用できない代物じゃないかというふうに思うんです。これが決まった段階で大蔵省は、このサラリーマンの特定支出控除を選択するサラリーマンは余りいないんじゃないかというようなことを盛んに言っておられたぐらいですからね。そのときからもうほとんど利用できないと、利用する人はいないんじゃないかと考えていたんじゃないかと思うんです。  ところが、そういう初めからとにかく利用できないようなものをなぜつくったんだというふうな批判もあるので、税調もこれは検討課題の一つに挙げざるを得なかったんだと思うんですけれども、経費の引き下げ方ですね、経費控除のやり方だとか、それから例えば我々よく言うんだけれども、背広だとか靴、ワイシャツ、ネクタイ等の、まあサラリーマンにとっての制服ですね、こういうものも控除の対象にならないというふうなこととか、非常に制限が厳し過ぎるというふうな点があるわけですけれども、その点は大蔵省、この検討課題の一つとして大蔵省も考えておられるのか、お考えをお聞かせ願いたい。
  108. 水野勝

    政府委員水野勝君) サラリーマンの方々からの不公平感というのは申告の方法にあるという御意見も強い。そこで、とにかくこの申告の道を開くということがまず基本的な目標とされたわけでございます。これを一挙に開きますと、これは執行上かなりな問題になりますので、とにかくこういうことで出発をいたしたということでございます。今後その利用状況等を見ながら御検討を申し上げていくということであろうかと思います。そういうことからも素案の中で検討のポイントとして御指摘をいただいているところでございます。
  109. 和田教美

    ○和田教美君 きょうの与野党国会対策委員長協議の中でも、自民党からの第三次回答の中で、内職所得者に対する政策減税は実施するということがうたわれておりましたね。これは課税最低限を一般のパートタイム労働と同額の九十一万円まで引き上げるということは大体与野党合意ということが、この前から合意されてきておるわけなんですけれども、この点は大蔵省はそれに全く同意されるかどうかですね。この点を確かめておきたいということです。
  110. 水野勝

    政府委員水野勝君) 内職の問題はパートの問題とも関連しまして、当委員会でもしばしば御議論をいただいているところでございます。この問題について与野党の政策担当者会議で議論がされたということは承ってございますが、具体的にどういう方向での対処の方針なのか、そこまでの詳細は承ってございません。そうしたものもよく承りながら、パートの問題とも関連しながら今後検討してまいるということではないかと思います。
  111. 和田教美

    ○和田教美君 それから、まだ二、三分ありますから、最後に、外務省の人は来ておられますか。  日本の建設市場へのアメリカ企業の参入問題、これについてきょう妥結いたしましたね。それで、その妥結のポイントはどういうふうなことなのかということと、それからもう一つ、このアメリカの企業の参入ということをかなり譲歩して認めるということになった場合に、韓国、その他日本の市場への参入を希望している国に対して同じ取り扱いをするのかどうか。それをひとつお答え願いたい。  もう一つは、牛肉、オレンジの問題ですね。これはきょうから農水大臣との交渉が始まったところのようですけれども日本側はとにかく自由化はできない、枠の拡大でどうかというようなことを言ったというテレビの報道がございましたけれども、その点の交渉の見通しですね。それから、もしだめな場合には、これはガット提訴ということもやむを得ないというふうに考えておられるのか、その辺についての交渉の状況についてひとつ御報告を願いたいと思います。
  112. 東郷和彦

    説明員(東郷和彦君) お答え申し上げます。  まず、お尋ねの第一点でございますが、昨日、公共事業問題につきまして実質決着を見たところでございます。  妥結のポイントは三点ございまして、第一にいわゆる関西空港手続につきまして、その対象として関西空港、東京湾横断道路、NTT本社予定のビル、これをリストアップした点でございます。  それから第二に、公共事業に関連しましては、七つのプロジェクトについて日本の公共事業手続に外国企業が習熟することを目的として特例措置を設けることとしたということでございます。その特例措置の内容につきましては、指名の基準の問題、あるいは建設工事の技術仕様等に関する説明会の開催の問題、それから指名から入札までの期間として建設工事について四十日を指定したこと等がございます。詳細はちょっと省略いたしますが。  それから第三の点は、いわゆる民間それから第三セクターの調達の問題につきまして、内外無差別の調達方針でやるということについて日本政府としてもこれを勧奨するということにしたことでございます。  以上の三点がポイントでございます。  それからお尋ねの第二点、この手続と第三国との関係でございますが、互恵ということを基礎としながら適用されていくことになるであろうというふうに考えております。  それから、お尋ねの第三点の牛肉、オレンジの交渉でございますが、昨二十九日佐藤農水大臣が 米国のヤイター代表と一時間半の会談をいたしまして、この第一回の会談では双方はそれぞれの立場を主張し合ったということでございますが、明日それから明後日、精力的に話し合いをしていくということで交渉がワシントンで続いております。  他方、本日の報道にもございましたけれども、米国は、日本の牛肉及びかんきつにかかわる輸入制限について、ガット二十三条二項に基づくパネルの設置を求めるため臨時理事会の開催を要請したということでございまして、四月八日にこの理事会が開催されることとなったということでございます。交渉の見通しにつきましては、まあ交渉中のことでございますのでしかとは申しかねますが、極めて苦しい、難しい交渉をしているというふうに了解しておりまして、日米間で交渉の合意がなければ、米国が要請しました四月八日の理事会において、米国はパネルを設置することを要請するということになるということであろうかと考えております。  以上でございます。
  113. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、租税特別措置についてお尋ねをいたしますが、この租税特別措置につきましては昭和五十六年臨時行政調査会がいろいろ指摘をしております。さらに五十七年、さらには臨時行政改革推進審議会が昭和五十八年、五十九年、六十年、六十一年と毎年この租税特別措置の見直しについて指摘をしてきておるわけでありますが、どういう指摘を受けてきたのか御説明をいただきたいと思います。
  114. 水野勝

    政府委員水野勝君) 昭和五十六年の七月、臨時行政調査会からは、租税特別措置につきましては、昭和五十一年度以来積極的な整理合理化が行われ、現在その減収額の八割が所得税関係、約二割が企業関係であるが、最近の厳しい財政状況等にかんがみ、以下の基準によりさらに厳しい見直しを行うこととするという御指摘を受け、五つの整理の基準をいただいてございます。  それから昭和五十七年七月、それから昭和五十八年三月、それぞれ同旨の答申で同旨の御指摘を受けてございます。昭和五十八年三月十四日、この中でも租税特別措置の見直しの推進という点の指摘を受けております。昭和五十八年三月十四日が臨時行政調査会としては最終答申でございます。その後は臨時行政改革推進審議会でございますが、昭和五十八年の十二月、五十九年の七月、六十年の七月、昭和六十一年の六月、それぞれの御意見の中で、租税特別措置の見直し、それから厳しい見直し、積極的な見直し等々、ほとんど毎年のように御指摘をいただいておるところでございます。
  115. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ、そのように毎年指摘を受けながら、経過を言いますと、昭和六十年以降は廃止よりも創設の方が多い。また、減収額も一向に減らない、むしろ増加をしていく、そういう点では非常に努力が足りなかったのではないか。どうですか。
  116. 水野勝

    政府委員水野勝君) 先ほど申し上げました臨時行政調査会等の指摘をいただいておりますが、大蔵省といたしましては特例公債の発行が始まりました昭和五十年、これを一つの区切りといたしまして、昭和五十一年以降積極的に見直しを行ってきたところでございます。したがいまして、昭和五十年代前半におきましては、その金額あるいは項目数等におきましてかなりな整理合理化が行われてきたところでございます。  五十年代後半に至りましては、そうしたこれまでの整理合理化の後を受けまして、その整理の項目数、整理の割合等につきましてはやや五十年代前半に比べますとペースは落ちているということは御指摘を受けることもあろうかと思うわけでございますが、その税収に占めますところの租税特別措置減収額の割合等、こういったことから見ましても、なおその努力をしてきているところはまずまずお認めいただけるのではないかと考えておるところでございます。
  117. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ、現在六十二年度で租税特別措置は百七十三項目であり、減収額は一兆五千二百八十億円でございますが、各項目ごとにどの程度利用され、どの程度の減収か、それはちゃんと大蔵省としては掌握しているのかどうか、これをお尋ねをいたします。  それから、特に予算委員会に提出されました資料等を見ますと、例えば都市過密対策等のための課税の特例あるいは新鉱床探鉱費の特別措置等、あるいは証券取引責任準備金等、そういうものは昭和五十八年以来ずっと減収額はゼロである。ということは、余り利用されていないんではないかと思うんですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  118. 水野勝

    政府委員水野勝君) 租税特別措置につきましては、極力それが政策的に特に設けられているものという趣旨からかんがみまして、常にその見直しを行うというふうには努力をしてまいっているところでございます。その利用状況が余り見られないとか政策目的が既に失われたものとか、こういったものは廃止をし、あるいは改正をお願いをしてきているというところでございます。  それから、その利用状況につきましては、毎年租税特別措置減収額として国会にお出しをしておるところでございます。ただ、その減収額の計算は税収見積もり全体の話とも関連しますが、十億円を一つの単位といたしておりますので、それに満たないものは、これはゼロというか減収額として計上していない項目として処理いたしておりますので、そうした項目もございますが、ただいま御指摘のような都市過密対策、新鉱床探鉱費、証券取引責任準備金、こうしたものはもちろん利用はあるわけでございまして、そうした利用状況等を見ながら減収額も計算をいたしておるところでございます。都市過密化対策といたしましては、その中に例えば特定ガス導管工事償却準備金等も含まれるわけでございますが、これにつきましては最近でも何件か指定をしているところでございます。それから、新鉱床探鉱、それから減耗控除制度、こうしたものもそれぞれ六十一年までの実績を見ましても、それぞれの利用があるわけでございます。証券取引責任準備金につきましても、利用、それから残高等はございます。  ただ、例えばその証券取引責任準備金にいたしましても、残高は今四十億円になってございますし、こうした準備金的なものを計上いたします際には、その純増額をもって減収額に計上いたしておりますので、むしろ取り崩し的な傾向があるものは減収額としてはゼロになる、こういうことでございます。証券取引責任準備金でございますと、二百十四件の利用企業がございます。それから、例えば六十二年九月期でございますと十五億円程度の積み立てはある、しかし一方取り崩し額もございますために積立純増額がない。その結果、減収額計算ではゼロで御提示申し上げている、こういう事情でございます。
  119. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 百七十三項目につきまして、それぞれの項目が例えば各五年間どの程度利用され、現在減収額は幾らであるか、そういうものは資料として提出していただけますか。
  120. 水野勝

    政府委員水野勝君) 減収額としては毎年項目別に分けて御提出を申し上げているところでございます。それから百七十三項目という項目、この項目につきましてもその条文別等に御要請に応じまして御提出を申し上げているところでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、利用はされておりましても純増ベースでは減収が立っていない項目とか十億円以下でございますとかということで、百七十三項目で減収額を全部それにおつけしてお出しをするという数字にはなりませんが、そうしたものは必要に応じては御提出させていただいてきているところでございます。
  121. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 各項目にまとめてこれは資料はいただいておるわけですけれども、百七十三項目全部についてそういうデータを大蔵省としてはつかんでいるのかどうか、その点どうなんですか。
  122. 水野勝

    政府委員水野勝君) 税務統計資料、それから各関係省庁にお願いして実績のとれる項目、そうしたものはとるようにして極力つかむように努力 いたしてきているところでございます。ただ、物によりましては十分な資料が集められない例もございます。
  123. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは最後に大蔵大臣に要望いたしますが、租税特別措置は見えない特別措置で、むしろこういうものは廃止をして、特定の業界に必要であるならばこれは見える形でやるべきであるという、こういう意見があるわけであります。  そういう意味で、一方税務行政も非常に機械化をして、全国コンピューターで資料が収集できるようになっておるわけでありますが、一つは、そういう一つの租税特別措置というものがあった場合、これはどのように使われておるかという実態を常に掌握していかなくてはいけない。そういうようなひとつ機械化の中において常に掌握できるようにすべきだという点。それともう一点は、そういうなかなか形の見えない補助金と言われる租税特別措置等はもうできるだけ廃止をする方向で努力をすべきだ。  この二点についてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 主税局長がお答え申し上げておりましたが、これは容易に御想像はおつきいただけると思うんですが、本来税制をやっておる人たちからいいますと、この租税特別措置というのは概して申しますと特別措置でございますので、政策的要請を取り入れるという意味で、本来の筋から言えば、どっちかというと税の専門家から言えば抵抗を感じる種類のことが多いわけでございます。全部がそうだと申し上げているんじゃございませんけれども、そのときどきの政策的要請をやはり国として考えなければならないということからできている部分が多うございますから、したがいまして塩出委員の言われますように、そういう隠れたと申しますか、そういう形で政策的要請を、歳入の面と申しますか、取るべき税金を減免する形で満たしているという要素があるものですから、おっしゃいますように絶えず見直していく必要がありますし、またそれが結局どのぐらいの金額の政策目的を達しているのか、歳入減につながっているのかということはしょっちゅう気をつけておかなければならない問題であると存じますので、それがまた行革審が指摘しておられるところでございます。  おっしゃいますような趣旨で私ども今後とも常に見直しをするとともに、実態を把握するように努めてまいりたいと思います。
  125. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 業務管理費用のコンピューター化の話でございますが、例えば今お話にございました減収分に関する租税特別措置につきましては、全体の百七十三項目のうち六十二項目については現在その概要をコンピューターで処理しているところでございますが、全体につきましては、コンピューターによって正確に把握するということでございますが、コンピューター化を図る他の業務との優先度の問題、入力等の事務量の問題等がございます。したがいまして、これを勘案しながら、しかし御指摘を踏まえまして、今全国五百十四税務署がせっかくオンラインで結ばれた本年度でございますので、本年度以降のコンピューター化の第二次年度計画の中に今の御指摘の点を具体的に盛り込んで順次実施してまいりたい、かように考えております。
  126. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、きょうは関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に即して質問をしたいと思います。  元来、関税関係法案は毎年出てまいりますが、いつも年度末ぎりぎりにやってきて、しかもこれは日切れ中の日切れだということで時間的に本当にわずかな審議しかできません。幸いことしは昨日七十六分の時間が与えられまして、じゃ本格的な議論をしようと思ったところが、我が党が関係しない税制協議をめぐっての空転のためにまた時間が圧縮されまして半分近くなってしまったのでどこまでできるかわかりませんけれども、この問題について議論をしていきたいと思います。  まず、総論的な問題としまして、我が国の関税負担率の問題であります。これは各国に比べて低い。これはそのとおりですが、一つだけお聞きしておきたいのは、例えば対輸入総額は二・五%ぐらいでずっと推移してまいりましたが、六十一年が三・三%、これは異常に高いですね。それから対有税品輸入額、これは四・三から五、六ぐらいで推移してまいりましたけれども、六十一年が七・五と異常に高いですが、これはどういうことでこうなったわけですか。
  127. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 六十一年度の関税負担率が高い理由でございますが、一方でアクションプログラム等の実施で関税率を下げております反面、実は大きな原因となっておりますのは、原油の価格が急落をいたしまして、原油の関税は従量税でございますので、関税収入の方は量が変わらなければ余り変わらないわけでございますが、輸入額が原油価格の低落によって減ります。つまり、分子は変わらず分母の方が小さくなるということの結果、この率が上がるという点が大きな原因でございます。
  128. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういった事情を別にしますと、八〇年以来ずっとこれは世界で最低の水準であります。  大臣にお聞きしたいのは、世界最低の負担率であることをどうとらえておられるか。断っておきますが、私もこれはガット等の場で国際的に全体的に引き下げられてくる、そういう引き下げにあえて反対はするものではないんです、全体が下がっていけばね。ただ、我が国の場合には今までの経過を見てみますと、二国間交渉、協定によってずっと下がってきている。端的に申しますと、いわば圧力に屈して下げたんじゃないか。これは毎年一言で言っておりますけれども、そういう指摘に対しては大臣どうお考えになりますか。
  129. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) とおっしゃいましても、やはりケネディ・ラウンドから始まりまして東京ラウンド、今後はウルグアイ・ラウンドになるわけでございますけれども、ああいうやはり多国間交渉の場で基本的にはずっと引き下げてきておるわけでございます。二国間のものもないわけじゃございませんが、それは例外でありまして、多国間の交渉でやってまいりました。で、我が国の関税率は世界で一番低いところに参りましたのですが、工業製品はこれはもう問題なく低いわけでございますが、農業産品の一部にやはり少し関税の高いものが残っている。これは我が国の農業の比較競争力からいって私はまあまあやむを得ないことだと存じております。工業製品の方はこれはもう日本は飛び抜けてと申しますか、最も低いことになっておると思います。
  130. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大山局長著「関税の知識」、これはなかなかわかりやすい本ですね。これを見ていまして、その八十三ページの「我が国の関税水準は主要先進諸国に比して低いものとなっています。今後も、このような方向に沿って、国際交渉の場で、あるいは日本独自で、先進国間の国際分業(水平分業)を進めていく必要があります。」これをこのまま読みますと、今大臣が言ったこととは別に、私が指摘したような観点から日本引き下げして、この傾向はもっと強まっていくんじゃないか、私はこういう気がしてならないんですが、どうですか。
  131. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 我が国の場合には対外的に非常に大きな黒字が今なお続いているという事実がございます。それからもう一つ、経済的にGNPが世界のGNPの一割以上を占めるという、そういう何と申しますか、経済的な大国としての国際経済分野における責務というのがあるのではないかと思います。私ども考えておりますのは、自由な国際貿易、これが世界経済を活性化して、それがひいては各国国民のためにもなるというふうに基本的には考えております。  そういった観点から、日本としてはできるところは関税を下げていく、もちろんウルグアイ・ラウンドという多角的な貿易交渉の場で相互に下げていくということも必要と申しますか、むしろそちらが基本だとは思いますが、貿易収支の現況から来るところの対外摩擦があちこちで起こっているのも現状でございますので、そこは貿易収支で 相当に大きな黒字を上げております国として、国内の産業事情も考慮しながら下げられるものは下げていく、個別の対応もしていくということは必要ではないかと、かように考えております。
  132. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうしますと、世界に先駆けて、世界に率先してと申しますか、下げていくという、そういう決意を表明したような感じですが、しかし大臣が言われたように、工業製品なんかは世界でも本当に低い。大変低いわけですが、それをさらにそういう方向をこの文章は示しているのかどうか、どうでしょうか。
  133. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 世界に先駆けてというところまでは必ずしも考えているわけではございません。やはり国際的に多角的な貿易交渉の場で、つまりウルグアイ・ラウンドでというのが基本だと存じますが、それが行われている間にいろいろな貿易摩擦が生じてまいりまして、日本に対して期待と要請がある。そういったものには国内産業事情も考えながら関税率を下げていく、市場アクセスの改善を図っていくということも大事ではないかと思います。一般論といたしまして、自由な貿易による国際分業の推進ということは、理論的に大事な点だと私は思っております。
  134. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に、円高影響関税保護効果を減殺しているのではないか、これは確かだと思うんですね。どの程度の影響を及ぼしているか、この辺はどうでしょうか。
  135. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 円高によりまして関税保護効果が減殺されているということはある程度認められることだと思いますけれども、仮に一〇%の円高がありましたら一〇%関税保護効果が減殺されるのかといいますと、私は必ずしもそうではないのではないかというふうに感じます。  それは、一つ輸入の原材料につきましてフェバラブルな、優位な影響があるということも考慮いたさなければならないと思いますし、さかのぼって円レートというのがどういうことで決まるのかということを考えてみますと、必ずしも専門ではございませんけれども、基礎的な諸条件を反映して決まるんだということでございますと、基礎的な諸条件、その中の一番大きな要因として購買力平価、物価の上昇率格差というものもあるわけでございます。円高になります場合には、その前提条件として例えば日本の経済力が向上するとか生産性が上がるとか、一方アメリカはその点で停滞するとか、そういうことがあるわけでございますから、いわば円高というのは日米間の経済力に逆に格差がついた、それが同じレベルになるという面もあるわけでございますので、例えば一割円高になったから、それがもろに関税保護効果を薄めてしまうというものではないのではないか、かように考えます。
  136. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、この円高影響が優位性を持ってくるのは、産業構造の変化や新興工業国の追い上げによって国際競争力を失いつつある産業部門だと思うんです。その辺について今後外国からの関税引き下げの要請に応じていくと、それがもろに出ていってしまうのではないか。あなたのこの著書でも、「こうした状況下で、諸外国からの関税引下げの要請に応えていくことは、今後ますます困難なものとなっていくと考えられます。」と、今指摘した部分については。この辺については今後どうされますか。
  137. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 円高ということもこの本の中には書いてございますが、いろいろなことで諸外国からの要請にこたえることが難しい事情はあると思います。さりとて、それではある特定の国内産業が競争力を失う、それに対してまた障壁を厚くすることによってその産業を守るかどうかというのは、これは産業政策の問題ではございますけれども、産業政策上その産業を今後とも競争力が出てくるまで温存しておくべきか、それとも日本経済の構造としてそういった特定の産業をどうしていくか、もっと別の比較優位な産業に日本はシフトをさせていくべきだというようなこともありましょうからそこは産業政策だと思いますが、例えば競争力を失った、それから、これからも競争力を回復する見込みのない産業につきましても、関税はすぐに撤廃する、関税をすぐに上げるということは別といたしましても、温存していくかという点につきましては、一般論ではございますけれども、急激な環境の変化が来たときに、あるいは雇用面に影響があるような場合にはしばらくは温存するけれども、いずれは別の比較優位な部門にその場を移していくということも一つ考え方としてあるんだろうと思います。私どもも含めまして、産業所管官庁はそういった厳しい選択をしていかなければならない、そういった難しさを指摘した文章ではございます。
  138. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その辺が苦悩のあらわれだと思いますし、やはりこたえていくことが大変困難だと、そういう指摘と、しかし一方そういうのがあるんですが、私はやっぱりそういう困難な面を十分直視をして今後当たってもらいたいと、こう思います。  次に、法案の問題で、関税制度の改正の一つとして鉱工業産品に対する特恵制度の改正問題であります。今回その限度額を拡大することになりましたが、その理由はどういうことですか。
  139. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 開発途上国に対する特恵でございますが、この特恵につきましては、開発途上国、NICSなども含めまして我が国との間で貿易アンバランスがまだございます。日本側が相当大きな黒字になっているというようなことがございます。そういった事情を背景といたしまして、開発途上国側からは我が国市場へのアクセスの改善を期待する声が相変わらず強い状況でございます。  そういった声にこたえる意味で、国内産業事情の許す範囲で、この辺は通産省当局とよく相談をいたしました上で、枠を拡大しても国内産業上許されるというものにつきましては拡大をいたしまして、開発途上国の要望に可能な限りこたえる。これが先ほど来申しておりますような我が国の責務であるとか、あるいは開発途上国との健全な関係を保つとかいう点で必要なことではないかということで御提案申し上げているわけでございます。
  140. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 世界の主要国の特恵関税に関する動きはどうかということですね。この点は、アメリカ大統領は一月二十九日にアジアNICS向け特恵関税の撤廃を発表をした。アメリカだけじゃないと思いますけれども、世界の諸国がこれを縮小する理由は何ですか。日本と逆なんですがね。
  141. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) アメリカがアジアNICSは対します特恵関税適用の停止を発表したという点は、御指摘のとおりでございます。この理由は、アメリカの対アジアNICSに対する貿易収支がアメリカ側の大幅な赤字であるといったことがその背景にその理由としてはあるわけでございます。対外的にアメリカが申しておりますことは、これらの地域、国が十分な経済力、国際競争力を有するに至ったと、こういうことを挙げております。  そこで、我が国の場合にどう考えるかということでございますが、我が国の場合には日本とアジアNICS、あるいはアジアNICSとの間におきますところの貿易収支を見ますと、相変わらずかなり大きな黒字を続けております。そういった国際収支、貿易収支の状況、それから日本とアジアという非常に地理的にもまた経済的、文化的にも近い間柄はある国でございますので、アメリカのようにここで特恵を停止するとかいう措置日本としてはとるべきではない、その点は慎重に考えるべきことであると私は考えております。
  142. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは相対的な問題だと思いますけれども、しかし例えばアメリカが言っている理由は、経済成長率、一人当たりのGNPの伸び、工業製品輸出競争力を総合勘案すると、無税という特恵関税上の支援措置がなくても十分やっていけるだろうと、若干アメリカと日本とはそれは違うことは今局長が言われたと思いますけれども、大きな筋としては私はそうではないかと思うんですね。また、国によって大分違うと思うんですよ。  そこで、シンガポール、香港、台湾、これらの 国のアメリカの措置に対する反響はどうですか。簡単でいいですよ。
  143. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 私どもが承知しております限りでは、各国とも米国の措置に対して遺憾の意を表しております。その点につきまして各国濃淡はございます。例えばシンガポールは強く失望したという声明をいたしまして、比較的強い調子でございますのに対しまして、香港当局は、残念ではあると言いつつ、香港経済に対する影響はそれほど重大ではないというようなコメントがありましたりいたしますように濃淡がございますが、一様に遺憾であるということは申しております。
  144. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 香港などは影響が少ないと見ておるようですし、台湾などは予想した結果だと、こういうような反響もあるようですね。  日本ですが、大臣、これは通産大臣の発言もありますし、元来あるいは通産省の所管なのかもしれぬけれども国務大臣という立場からお答えいただきたいと思うんですが、日本としては基本的にアメリカなどそういう措置をとっているのに対してどういう方向を目指すのか、それについての基本的考えを大臣としてお答えいただきたいと思います。
  145. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) アメリカは、この一年余りでございますが、いわゆるアジアNICSについては、殊に為替が円のようにドルから非常に高くなるというようなことが比較的ございませんので、したがって競争力が非常に対米に対してもよそに対しても有利になりまして、それがこれらの国のアメリカに対する大きな輸出超過になっているということをしきりに申します。為替レートを変更しろということも何度も申します。ある程度それは多少は変更されましたけれども、大きな黒字をこれらの国が持っていることに相違はないものでございますから、先ほど政府委員が申しましたような決定をするに至ったと思われます。  しかし、我が国の場合にやはりこれらのNICS諸国、諸地域との関係はアメリカとは全く違う。むしろこれらの地域がさらによくなっていくことが直接我々の周辺のアジアがよくなっていくことでございますから、多少つらいところはありましても、やっぱり我が国は特恵を維持していくべきである。これは政府部内で相談をしたことはございませんが、私個人としてはそう思います。
  146. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 我が国の国別特恵適用輸入実績を見てみますと一つの特徴点がうかがわれますね。一つ対象物品、これは総輸入額の九・七%、それから特恵適用額もこれも年々ふえまして世界からの総輸入額の五・六%、これは決して小さい額じゃないだろうと私は思うんです。その中で韓国、台湾、これが一、二を占めておりまして、全体の特恵の実績の中で韓国が二四・五%、そして台湾地域が二一・二、合わせて四六%を占めておるんですね。この中心はやはり韓国、台湾ですよ。となりますと、私は最近の韓国や台湾の経済界、アメリカのああいう判断もありますけれどもね、それから見てこういう状況についてやはり再検討してみる必要があるんじゃなかろうか。このままでいいのかどうか。この辺どうでしょう。
  147. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 私どもといたしましても、特恵の枠をつくっておりますその枠の中で、できるだけ各国に均てん化が行われることが望ましいと考えております。そういった意味合いから、六十二年度、昨年度の改正で、従来各国別のシェアが三分の一に達したらもうそこの国からは入れない、ストップするということになっておりましたのを、四分の一に下げた経緯がございます。その点をお認めいただいた法律が昨年成立をいたしております。  そんなことで、ただいま御指摘のとおり、大韓民国のシェアは二四・五でございますが、二五以上にふえることはないわけでございますが、そういったような措置を通じまして、できるだけ均てん化が行われるようにというふうには考えております。
  148. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は依然として特恵関税の必要な国がやっぱりあると思います。ただ、やっぱり一面言われている卒業問題、世の中動くものですから、世界経済もそうなので、やはり今挙げたところはそろそろ卒業生じゃないかなという気もするんですが、そういう面からこれをどう考えていますか。
  149. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その問題はございますのですね。ですから、やっぱりほうっておきますと強い者が一番たくさん持っていってしまう、言葉は悪うございますけれども、そういうことでございますから、四分の一までしかいけませんと、そういうふうにして、弱いところといいますか、そういうところへも特恵を享受してもらおう。そういう工夫をいたしておりまして、私はまだ今の段階で韓国あるいは台湾が卒業ということを考えなくてもいいと思いますし、殊にアメリカが特恵をやめますと、やっぱりこういう影響を受けますから、我が国としてはやはりこれらの国、地域は続いて守っていってよくなってもらうのがいいのじゃないかと、基本的には私はそう思っております。
  150. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 しかし、私はやっぱり実情をよく見て、この辺は常に検討を加えていくべきものだと、こう思います。  というのは、我が国の海外進出、海外活動とも関係があるんです。大体この特恵関税対象国の多くは、我が国の大企業の海外進出先ですね。今、問題になっておりますのは、進出企業が専ら特恵関税制度を利用して逆輸入をやっている、この実情を御存じですか。
  151. 鷺坂正

    説明員(鷺坂正君) 一般論として申しますと、特恵輸入制度といいますのは、特恵の受益国からそれを原産地としますものを輸入するという場合に適用がされるものでございます。したがいまして、例えば日本の企業が特恵の対象国に出ておるという場合に、その企業がつくったものが日本に対して輸出されてくるという場合につきましても適用の対象とはなるわけでございます。ただし、現在の通関統計等の統計制度上、特恵の受益国でどういう企業がつくったものかということにつきましては統計をとる仕組みになっておりませんので、具体的な実態については十分に把握しておらないという状況でございます。
  152. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣、この実情をしっかりつかんで対応しませんと、やはり国内の中小企業に大きな影響を持ってくるんだと思います。また、対外的な批判を受けてくると思うんですね。現にその批判が出始めています。御存じでしょうかね。これは、ことしの三月五日付の報道によりますと「バンコク四日=長谷川記者」ということですね。「タイ政府がタイが持つ特恵輸出枠の利用を狙う外国投資に警戒を強め始めた。特に、米国が来年からの特恵制度適用の停止を決めたアジアNICS企業によるタイ進出に、こうした動きが増えるとみている。このほど政府投資委員会に関係省庁からなる小委員会の設置を決め、対策の検討に乗り出した。」、この進出企業の中心日本であることは容易に推測できますよね。となれば、今のようなああいう実情を全くつかんでいないという状況ではなくて、やはりこういう国際事案をいち早く察知し、対応を立てていくということが必要だと思うんですが、この辺はどうですか。
  153. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこのところを必ずしも大企業というふうに私どもは考えてしまわないのでございまして、仮にタイとしますと、タイにそういう企業が根をおろしてタイの雇用がふえていく、あるいはタイに新しい技術が育っていくということはいいことである、タイのためになることである。それが大企業であろうと中小企業であろうと、タイのためになれば、それは一つ目的を達するのだと思いますから、必ずしもそれが大企業の利益になる、その奉仕をするために特恵制度があるというふうには私ども思っておりません。  ただ、おっしゃいますようなことがやや過剰になきにはあらずでございますから、現地の感情というものもございましょうから、それは注意はいたしてまいります。
  154. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣が言われたようにタイ独自の 産業、それは大であれ中であれ小であれいいと思うんですよ、その発展はまだいいと思うんです。ただ、今私が指摘し、タイ政府が対策委員会をつくろうとしておりますのは、進出企業がその枠を取ってしまうということは、これはタイのためにならぬことですよ。だからこそ、問題にして対策委員会をつくったのだと思うんです。となりますと、これはもうちょっと全体的に広がっていきますと、それこそ国際的な大変なごうごうたる非難になってきかねないと思うので、その辺の対処が必要ではないのかと、これが私の指摘なんです。いかがですか。
  155. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはわかっております。よく注意いたさなきゃなりません。
  156. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 わかっておって、どうされるのですか。ただ注意だけではいかぬので、どういうふうに注意されますか。
  157. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは実は先ほど申し上げたつもりなんですが、そのためにタイの雇用がふえてタイに新しい技術が育っていくというようなことは、大企業がただ利益を得るということと違いますので、その点、だから特恵というのはいかぬぞというふうには思っておりません。しかし、その現地の国でいわば中ぐらいの企業が今まで特恵を取っておったのが、突然日本から大きいのが来て全部取ってしまったというようなことになれば、これはまた一つの摩擦でもあるし、そのこと自身が好ましくないんでございましょうから、よく注意はいたしておきます。
  158. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次の問題は、この特恵関税制度が拡大されますと、やはり国内の関連する中小企業に大きな影響を与えるのではないかと、この辺の状況をどうとらえ、どう対処されますか。
  159. 鷺坂正

    説明員(鷺坂正君) 今回の特恵の拡大でございますけれども、その拡大品目の選定あるいは拡大率の決定に際しましては、事業を所管しております通産省としましては、諸外国の要望を十分踏まえつつも中小企業性業種につきましての国内産業の事情等につきまして十分配慮いたしまして、国内産業上の問題のないような措置をしておるつもりでございます。そういう意味で、中小企業への影響は最小限のものというふうになっておると思います。
  160. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 しかし、新聞にはこのNICSからの製品輸入急増、その影響を随分書いていますね。例えばこれは三月十六日付です。「NICSから製品輸入急増 都内の中小製造業に打撃」と、これは赤旗じゃありません、日経新聞です。「装身具は三割減 都が調査」と、こういう状況。赤旗でも中小企業への影響は書いていますが。その中で逆輸入、これは特恵とは直接関係ないけれども、逆輸入が急増していると、こういう状況もあるんですね。  この辺の状況をどうとらえ、特に中小企業への影響を具体的にどう対処しているか。ということは、どういう物品について急増しているのか、あるいは特に逆輸入などのこの実態をどうとらえているのか。この辺どうですか。
  161. 鷺坂正

    説明員(鷺坂正君) 通産省といたしましては、特恵の影響ということに限らず、今日の円高のもとにおきまして、中小企業性の各業種につきまして輸入が非常にふえておるというのが実態でございますので、その実態を十分把握いたしまして、中小企業の経営上問題がないように常日ごろ十分気を配っておるということでございます。
  162. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 気を大いに配ってもらわぬといかぬのは、幾つか問題があると思うんです。  逆輸入の問題をまたもう一つ聞きますが、もう一つは、NICS製品輸入が拡大する中で不当表示の問題が出ており、あたかも国内でNICS諸国のものが、あたかも国内の表示で販売していると。この辺は公取が監視を強化しておるようですが、その実態を御報告いただきたいと思います。
  163. 本城昇

    説明員(本城昇君) 最近のアジアNICS製品にかかわる先生指摘の不当表示事件でございますが、昨年十二月二十四日、アジアNICS諸国におきまして生産されましたレザーウエアについて、国産品、日本製などの記載のあるタッグを付して国産品のように見せかけて販売していた我が国のレザーウェア製造販売業者三社に対しまして排除命令を行ったところでございまして、商品の不当表示につきましては、具体的な違反事実の端緒に接しました場合には厳正に対処してまいる所存でございます。
  164. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 公取の目にもとまったくらいですから相当全般にあるものと、こう思うんですね。そういうことも特に国内の中小業者への影響大きいと思うんですが、そういう中でさっきの逆輸入関係しまして、今回の法案の中の加工再輸入税制度の拡大、要するに逆輸入がむしろこれで推進される、こういう状況になりはしないか。  そこで、この逆輸入が急激にふえていますが、ふえている実情、その対象品目にどういうものが多いか、どういう品目がふえているのか、またどの地域からの輸入が多いのか、そしてどの地域からのものが急増をしているのか。この辺の実態をどう把握されておりますか。
  165. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) ただいまの御質問が今回御提案申し上げております加工再輸入税制度に基づきますところの輸入ということでございますれば、実は今回拡充を御提案申し上げます前の品目数は極めて僅少でございます。そんなところから、六十年、六十一年につきましては、加工再輸入税制度の適用実績は実はゼロでございます。
  166. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今言われたとおり、今度の拡充前は対象は継ぎ目なし黄銅管など三品目だけですね。それで、実際に運用してなかった。しかしなぜ、あえてそういう実態にあるものを——これはかつて昭和四十四年に韓国の強い要望でいわば創設した制度のようですけれども、実行してなかったわけですよ。  今、全般的に日本の海外進出、特にアジアNICS地域ですね、日本から部品を輸出して、それを製品にしてまた日本輸入してくるということがどんどんふえていますよね。そういう中にこういう制度をつくるということは、対象物品は限られていましても、どんどんやれということになるんじゃないですか。それはむしろそれを促進することになるんじゃないか。そういう意味では、これは経済空洞化と言われますが、日本の産業空洞化を促進する、全面的ではないですけれども、実はある部分であれ促進する効果を発揮するんじゃないかと思うんですがどうなんですか。
  167. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) この制度は実は余り動いておらなかったということを先ほど申し上げたわけでございますが、ECにしましてもアメリカにしましても持っている制度でございまして、どういうところからこの制度が端を発しているかと申しますと、日本から出ていったもの、それがいろいろ加工されまして製品になって戻ってくる場合に、その日本から出ていった部分について、出ていったにもかかわらず、また帰ってくるときに同じ関税を取るという点について配慮が必要であるという考え方を基礎とするものでございますので、そう何か特別に優遇を与えるといいますか、特別な制度であるというふうには私ども実は考えていないわけでございます。  ただ、そういう制度を認める認めないは各国の経済政策と申しましょうか、政策的なスタンスによって決まるわけでございますので、日本は今までかなり厳しく制限的に制度として持っていたということでございますが、今回、先ほど来申し上げておりますように、開発途上国からの市場アクセスの改善を強く期待されているそういった中で、こういった、何といいますか、制度本来としてあってもいいものでございますので対象範囲を拡大したというのが今回の御提案の趣旨でございます。  それから、これによりまして経済の空洞化が生ずるかという御質問でございますが、先ほど大臣からも御答弁もございましたように、そのこと自体、出ていった先の、直接投資がなされた先の国の経済をよくし雇用の促進を図るというような効果も持つわけでございますし、また、日本の海外直接投資は欧米諸国特にアメリカなどと比べます とたしか四%以下、三%から四%ぐらいだったと思います。そういったことでまだそう大きな比重に達していないということもございますし、また、先ほども比較優位という言葉を使わしていただきましたけれども日本の産業構造が、こういったことで外に任せられる産業は外でやる、日本はまたさらに高度な技術を擁する産業をどんどんまた育てていくというようなことが現実に行われておりますので、空洞化というようなことを私は心配する段階ではまだない、こんな判断をいたしております。
  168. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 制度を厳しく制限しておったというけれども、むしろ当たり前のことなんですよね。それは、部品を輸出しまたそれが製品となって輸入をされる、それが経済的メリットがあるからそういうことになるのであって、それをあえて特に優遇するということは、やっぱり一つ政策目的。だから、部品を輸出し、かつそいつをまたつくって国内輸入せよということを政府がこれは推奨しているということになるんだと思います。そういう意味で私はこれは反対であります。  あと時間がわずかなんで、最後に、石油関係関税率引き下げであります。これは租税特別措置法の石油税の増税との関係があるんですが、この石油税の増税の関係をちょっとお聞きします。  これは一年限りの従量税導入による増税でありますが、一年限りということの意味なんですね。なかなか意味深長だと思いまして、要するに、六十四年には大型間接税導入することを見越して、それまでとりあえずやっていこうというようなことじゃないかなということをこれは推測するんですが、大臣、いかがですか。
  169. 水野勝

    政府委員水野勝君) 石油税も間接税の中の重要な柱でございます。この石油税につきましては、御承知のように、これが石油及び石油代替エネルギー対策財源に使われておる、これは最近その収入は激減しておる、しかしその税体系、税率水準のあり方についてはやっぱり間接税の問題としてとにかく抜本的に見直す必要がある、一方におきましてその財源対策を考える必要があるということから、基本的な検討は必要でございますが、六十三年度にとにかく必要な財源確保を図る必要がある、そういうところから、税収の安定性、負担の安定性両面から考えまして、とにかく六十三年度につきましては、こういう税率水準でこういう税率方式でお願いをしたいということで、御提案を申し上げているところでございます。
  170. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この石油税の増税と石油関係関税率引き下げはこれは一体のものですね。どうもこの石油税の増税による石油企業の負担を緩和するために関税引き下げるということではないかと思うんです。  しかし、石油企業の負担を緩和するために関税引き下げと言えばやはり税金による負担ですよね、こんなことが大体あっていいのかどうか。それから、石油企業は増税によって負担だと言いますけれども、これは水野主税局長とも大分議論をした法人税の転嫁問題ですよ、転嫁するんだから。そうでしょう。転嫁するということは、これ石油企業負担はしないんだから。それはもうあなたとやって、そのときそれはまあ一致したんですよね。だとしたら、そんな、石油企業の負担増になるからそれで関税引き下げで、国民の負担でこれを助けてやろうなんて、これは私はどうも二重三重の誤りを行っているんじゃないかなと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
  171. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 時間が参っておりますので簡単にお願いします。
  172. 大山綱明

    政府委員大山綱明君) 原重油関税引き下げを御提案しているところでございますが、その理由は、石油税の引き上げと一緒に議論したという事実はそのとおりでございますが、従来、石油対策あるいは石油代替エネルギー対策というのが石油税とそれから原重油関税両方の窓口から特別会計に入りまして行われていたというのを、今度は石油税の増税が一つのきっかけとなったのは事実でございますが、原重油関税の方はもう御遠慮しようということで、原重油関税収入の繰り入れ先は石炭勘定に一本化するという、歳入のいわば簡素化という観点、それから一次エネルギーの関税は低い方が望ましいという原油関税軽減の理由、理屈がございます。そういったことも考えまして、今回百十円の関税引き下げを御提案しているところでございます。
  173. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その問題、議論をすればまた思っていることはたくさんありますけれども……
  174. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 時間が参っております。
  175. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間が参りましたので、これで終わります。
  176. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいま議題となっております両案のうち関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時十一分散会