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1988-02-20 第112回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年二月二十日(土曜日)    正午開会     ─────────────    委員の異動  二月十七日     辞任         補欠選任      諫山  博君     吉岡 吉典君  二月十九日     辞任         補欠選任      坪井 一宇君     寺内 弘子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村上 正邦君     理 事                 大浜 方栄君                 梶原  清君                 藤井 孝男君                 志苫  裕君                 多田 省吾君     委 員                 井上  裕君                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 寺内 弘子君                 福田 幸弘君                 藤野 賢二君                 矢野俊比古君                 山本 富雄君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 本岡 昭次君                 塩出 啓典君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 吉岡 吉典君                 栗林 卓司君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        大蔵政務次官   佐藤栄佐久君        大蔵省主計局次        長        斎藤 次郎君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省関税局長  大山 綱明君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        宮島 壯太君        水産庁長官    田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        環境庁水質保全        局水質規制課長  平石 尹彦君        水産庁漁政部漁        業保険課長    山添 健一君        海上保安庁警備        救難部管理課長  西山 知範君     ─────────────    本日の会議に付した案件 ○漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣
  3. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題となりました漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和六十二年度における異常な赤潮による養殖ハマチ大量死亡等に伴い、漁船保険及漁業共済保険特別会計漁業共済保険勘定保険金支払いが著しく増大するため、支払い財源不足が生ずる見込みであります。  本法律案は、この勘定保険金支払い財源不足に充てるため、昭和六十二年度において、一般会計から、六十七億五千八十七万円を限り、同勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、この一般会計からの繰入金につきましては、後日、漁船保険及漁業共済保険特別会計漁業共済保険勘定におきまして、決算上の剰余を生じた場合には、この繰入金に相当する金額に達するまでの金額一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 丸谷金保

    丸谷金保君 この共済保険支払いの時期はいつころに予定されておりますか。
  6. 山添健一

    説明員山添健一君) 支払いにつきましては三月十日を予定しております。
  7. 丸谷金保

    丸谷金保君 三月十日支払いということになりますと相当時間がかかっておるんですが、本来こういう保険は十二月で大体支払い額が決まるわけですね。大急ぎで事務的な作業をやればもっと早く払えるんじゃないでしょうか。農業共済なんかもっと早く払いますよね。どうなんですか。
  8. 村上正邦

    委員長村上正邦君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  9. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 速記を起こして。
  10. 山添健一

    説明員山添健一君) 支払いにつきましては、保険金の請求が順次上がってまいりまして、特に十二月という格好で切っておりませんが、年度末には相当の支払いが予定されております。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 補正予算が通らなければ支払いができないという事情もあろうかと思いますけれども、できるだけ事務的には早くやるようにこういう場合には気をつけていただきたい。
  12. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 支払いにつきましては、関係者利益もございますので、できるだけ早くということで我々も努めてまいってきておりますけれども、今回もできるだけ事務手続を迅速に進めまして、関係漁業者利益につながるように努めてまいりたいと思っております。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 赤潮がしばらくぶりで瀬戸内で大きな発生を見たんですが、北海道でも十勝川の河口周辺で最近頻々と赤潮被害が出ております。赤潮発生メカニズムといいますか、こういうものについて一体どのあたりまで解明が進んでいるんですか、環境庁
  14. 平石尹彦

    説明員平石尹彦君) 御説明申し上げます。  赤潮発生につきましては、プランクトンの種類が海域ごとに異なっておりますことでありますとか、燐、窒素などのいわゆる栄養塩類濃度でありますとか、日照、水温、塩分濃度など非常に多くの要因関係しているわけでございまして、現在までのところこの機構を完全に解明するには至っておらないという状況でございます。したがいまして、環境庁におきましては、瀬戸内海における赤潮発生環境要因関係につきまして各種調査を行っておりますほか、環境庁国立公害研究所におきましても機構解明研究を実施しております。また、昭和五十二年の九月からでございますが、水産庁と共催で専門家先生をお願いいたしまして赤潮問題研究会というのを開催しておりまして、研究の推進の方向で意見交換などを行っております。  今後とも関係省庁との連絡を密にいたしまして機構解明に努めてまいりたいと考えております。
  15. 丸谷金保

    丸谷金保君 これ、赤潮問題が発生してから何年になります。もうかれこれ十七、八年、二十年くらい前からじゃないかと思うんですけれども、これがいつまでたってもちっとも解明しないというのはどういうわけなんですか。特にこの件について、一体いつころから赤潮発生するようになりましたか。瀬戸内に限っても結構ですが。
  16. 平石尹彦

    説明員平石尹彦君) 御説明申し上げます。  瀬戸内海におきます赤潮発生でございますが、いつごろからというところは厳密にはお答えしがたいところがございますが、昭和四十年代の後半から急速に増加いたしまして、五十年代の初頭には一年間で三百件にも近いような発生がございました。しかしながら、その後は、傾向で申しますと、件数で申しますと減少傾向でございます。ただし、昭和六十二年につきましては百六件でございましたが、件数としては減少しておるのでございますが、播磨灘を中心といたしまして大規模な発生がございまして大きな被害が出ておるという状況でございます。
  17. 丸谷金保

    丸谷金保君 ハマチ養殖等についてはこういう共済制度があってある程度復旧されると思いますけど、たしか五十三年のときにも、あすこでやっている製塩工場なんかが目詰まり操業を停止したというふうなことがあったが、今回はどうなんでしょう、そういう点はなかったですか。
  18. 宮島壯太

    政府委員宮島壯太君) お答え申し上げます。  現在、国内における塩の生産は、製塩企業七社においてイオン交換膜製塩法によって行われているところでございまして、昨年七月から八月にかけまして瀬戸内海の一部で発生いたしました赤潮がこれらの企業影響を与えたことは丸谷委員指摘のとおりでございます。  ただ、この影響は、一時的に製塩工程の一部を停止した企業あるいはしばらくの間電圧を減らして運転した企業が二社あった程度でございまして、これらの企業において生産数量影響を与えるような被害は生じていないと聞いております。
  19. 丸谷金保

    丸谷金保君 二社程度と言うけれども、大体播磨灘のあのあたりに二社しかないんじゃないですか。あなたの今の答弁を聞いていますと、たくさんあるうちの二社しか被害がないというふうな答弁なんです。そういうごまかしてずらさないように、いいですか。全国で七社、七工場ですか、実は。しかし、それは播磨灘に張りついているわけではないんですよね、全国に散らばっているんですから。あすこにあるのは二工場でしょう。二工場操業停止したら、わずかに二社でなくて全部操業停止したということじゃないですか。
  20. 宮島壯太

    政府委員宮島壯太君) 丸谷委員指摘のとおりでございまして、答弁不行き届きの点はお許し願いたいと思いますが、二社あります一社につきまして工程の一部が停止したのでございまして、全体が停止したのではございません。それからまたもう一社につきましては、電圧を半分にして操業を続け、その結果生産数量影響を与えるような被害が出なかったのでございまして、その点は重ねて申し上げたいと思います。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 被害が出ないわけないんですよ。電圧を下げればフィルターを通る速度が半分になるでしょう。イオン交換樹脂膜というのはそういうものなんですよ。いいですか。そうすれば工程の中でそれだけずれるわけです。だから、生産量が同じその時間帯でできるはずがないんじゃないですか。それでも被害がないというのは、トータルで見たらその分をどこかでもってカバーしたということでしょう。その時点で赤潮損害損害としてあったはずですよ。どうなんです。
  22. 宮島壯太

    政府委員宮島壯太君) 御指摘のとおりでございまして、その間当然のことながら生産量は落ちたと想像されます。私が申し上げましたのは、先生指摘のとおりトータル生産量影響がなかったということを申し上げたのでございます。
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 トータル生産量を上回ることもあるだろうし下回ることもあるだろうし、それはいろいろだと思うんですよ。しかし、赤潮が原因によるところの被害は必ずしも養殖ハマチだけでなくて、そういういたるところに出ているのでないかと思うので一例としてお尋ねしたんです。そういう点では、やはりそれなりの被害はあったというふうに理解してよろしいんでしょう。どうなんですか。
  24. 宮島壯太

    政府委員宮島壯太君) 重ねて申しますが、工程の一部を停止した企業、あるいはしばらくの間電圧を減らして運転した企業がございますので、そういった意味で今丸谷委員指摘のとおりでございます。
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣赤潮被害というのは、だからこういう共済制度で支払われるもの以外にも、いわゆる逸失利益といいますか、こういう形では、例えば天然漁業であろうといろいろな面で大きく出ているはずなんです。質問とりに来たときもちょっと水産庁に聞いたんですけれども、いや枠に入ってない魚は赤潮が来たら逃げてしまうから被害はそんなにないと思う、こういうことを言って、なるほどそれは確かに縛ってあるわけじゃないですからね、はっきりと養殖以外のものについての被害は算定できていないようですけれども、しかしやっぱり前浜で生活をしている漁師にしたって、あるいはいそについている貝類だとかいろんなものの被害は必ずあったはずなんです。  こういういろんな被害が出る赤潮が、私も調べてみると、どうも発生前、発生後、これはどこにも持っていきどころのないような今各省庁責任所在がはっきりしないんです。というのは、明らかにこれは昔はなかったんですから人災ですよ。そして、十数年たってもそのメカニズムすら解明されないから、これに対する手当てというのは極めて遅いんです。赤潮発生した場合にこの被害をとめるための方法というのも、天然の魚が逃げてくれるからいいだろうという程度のもので、ほとんどやられていない。これは水産庁どうなんですか、もう少し積極的に赤潮対策に取り組むというふうなことにはならないんですか。
  26. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 先ほど環境庁の方から答弁ありましたように、残念ながら赤潮発生メカニズムについては完全な解明が済んでないわけでございますけれども、何とかこの解明関係省庁とも一緒になりまして完遂したいと思っているわけでございます。  それで、異常赤潮発生しました後の対策といたしましては、えさどめをしたり、あるいは生けすを移動しましたり、それから粘土を投下いたしますと粘土赤潮プランクトンを吸着するというようなことでかなり即効性のある効果も出ておりますが、そういう方法もいろいろと講じているわけでございます。それからさらに、そういう起きてから物理的に逃げるとか逃がすとかいうことだけじゃなくて、もう少し生物学的あるいは化学的な対応というものも必要かと思っておりまして、赤潮プランクトンを吸収いたしますプランクトンでございますとか、あるいは化学物質赤潮プランクトンに直接働きかけるとか、そういう方法につきましても何とか技術解明を急ぎたいと思っている次第でございます。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 共済で救われるのはいいけれども、それ以外のやはりいろんな面で影響赤潮で出ている。こういう逸失利益というようなものは計算のしようがないということで仕方がないとあきらめることではない。  それで、同じような逸失利益の問題を一つ。この間ワイン関係を申し上げたんですけれども、これをもう一回きょうは少し時間ありますのでやらしていただきたいと思います。  貿易自由化の問題で、日本農業だけが非常にけしからぬというふうなことで内外から責められております。しかし、例えばアメリカワインをつくっている農民自分原料自分ワインをつくることは認められているし、税金を払わなくてもいい。日本農民自分のつくっているブドウで自分ワインをつくることはできないんです。だから、国の違いによってシステムが違う中で一部の問題だけ取り上げて、アメリカの三倍高い、四倍高い、五倍高いというようなこういう議論というのは、もう少し政府関係者そんなことはないという点を言っていただかなければ困る。  例えばワインの場合だと、私は最低でも三十六万五千円アメリカ農民より日本農民は損していると思うんです。これも逸失利益です。一本千円のワインを家族でもって一晩に一本ずつ楽しむというだけで三十六万五千円になりますわね。こういう損を日本農民はしているんですよ。これは何もワインだけでなくて輸出する機械、同じものが国内では倍くらい高い値段で売られている例というのは幾らでもあります。せめて農民がつくった原料でつくるアルコール飲料ぐらい、これは世界並みにいいことにしてもらう方法はないですか。いかがですか。不公平ですよ、これ。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 同じことが米について言われるようになりますと清酒に問題が行くわけでございますし、我が国としましては酒税というものをかなり高額に実は政府がいただいておるということもあり、また言えば衛生上の問題もあろうかと存じますけれども、そのような立場からいわゆる自家醸造というのは認めがたいというふうに伝統的に考えてまいったように存じております。
  29. 丸谷金保

    丸谷金保君 米だって許可していいじゃないですか。それはそういうところをパーにしておかないで、それでアメリカより価格の高いということだけ言うのは不公平ですよ、そうじゃないですか。だから、私は関税なんかだけの問題じゃないと言うんです。  関税の問題も何かこの間はよく御理解していただけなかったようですから、この機会に補足して申し上げておくし、大臣の御意見も聞きたいと思うんですが、外国から入ってくるのはCIFで税の対象になるんです。ですから、横浜の波止場に着いたところで、例えば千円のワイン従量税の範囲内でしか払わないで済むんです、それを二千円に売っても三千円に売ってもですよ。ところが、日本国内では小売価格から逆算するんですから、それはほかの方法もありますよ、ほかの方法もありますけれども、普通一定率適用価格というのは、大体七百二十ミリリットル、一瓶ですね、千二百七円までなんです。ですから、簡単に言うと、千二百円を超えますと完全に三二%の控除を引いた残りの百分の五十というふうなものが課税されるんです。そうすると、少なくとも千七百円くらいまでは、千二百円に売っても千七百円に売っても小売マージンとかそういうもので見ますと全然利益にならないんです。ところが、外国から入ってくるやつは、これはそのまま利益が出てくる、千七百円から七百円という。そうすると、関税が今平均大体ボトル物で百円ですよ。これはこんなもの問題にならないんです、ならないくらい。  ところが、たまたま酒の税金の問題も抜本的税法改正というふうなことも言っていますよね。それじゃ不公平もいいところなんです。だから酒の税金は、大臣抜本改正なんか言わぬで、こういう矛盾が現実にたくさん、これは挙げれば切りがないですよ、出ているんです。百円ぐらいの関税を取っても、一番高くても百五十六円くらいです。従量税従価税の今のシステムの中では国内の方がずっと余計税金を払わざるを得ないようなシステムになっている。総合的な税法改正とは別に、そういう酒税だけを抜いて、酒税だけは先にやっぱり外国並みの酒の税金にかえるというふうなお考えはございませんですか。
  30. 水野勝

    政府委員水野勝君) 御指摘の点は、従価税の適用される酒類につきましてたびたび御議論をいただいているところでございますが、去年御提案申し上げた改革案では、これは抜本改革の一環としての酒税法改正におきまして従価税は廃止するということで御提案申し上げておりましたので、その限りにおきましては解決される問題であったわけでございます。  その案は御承知のとおり廃案になっているわけでございまして、今回改めて酒税につきましても検討をさしていただいているところでございますが、例のガット勧告の関連におきまして、前回はしょうちゅうのことは余り問題にされていなかった。今回の勧告ではしょうちゅうの税率が問題にされておる。それから、ウイスキーにつきましても前回は特級と一級を一本にするということでございましたが、これは全部を一本にしないとどうも勧告に適合しないのではないかという点がもう一つ違ってきておりますので、かなり前回と異なったと申しますか、もう一歩進めたより抜本的な改正が求められているところでございますので、この点はなかなか難しい問題を抱えており、現在税制調査会等におきまして鋭意検討しているところでございます。  また、酒税と申しますのは我が国間接税の中では一つの大きな柱でございますので、こうしたものはやはり抜本的な全体の改革の中で対処をするのが適当ではないか。こうした観点から、改正につきましては現在作業中で、ただ、基本方針だけはお示しをさしていただいておるというところでございます。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 非常に私たち不満なのは、こういう酒税がもう今の時代に合わなくなってきて、いろんな矛盾が出ているし、それこそそういう点で外国から輸入されてくる酒よりは得べかりし利益税金に持っていかれるので、私はこれは一種の逸失利益だと思うんですよ。改正がおくれるために非常な損害を受けているわけですから、利益にならないんです。千七百円で売っても何にも利益にならないんですから。私はこれはもう何年も前からこの問題は取り上げて、おかしいじゃないかと、その程度に確かに矛盾があるということは大蔵当局も認めているわけですよね、今の御答弁でもそうですがね。しかし、我々が一生懸命国会で言っているときにはちっとも動かなくて、ガットだとか外から来ると、今の御答弁のように、ガットのあれで言うともう少しちゃんとしなけりやならぬとかというふうに、同じことがなぜ国会で論議する意見が通らなくて、外から来るとやらなきゃならぬということになるんですか。むしろ私はそういうところに農業の問題なんかでも必要以上に外国から批判される問題がやはり潜んでいるんじゃないかと思います。  そういう政府の姿勢といいますか、これはひとつこの機会に、いろいろ難しいことがあるというふうなことを言いますけれども、やる気になりゃ酒税だけ別途にできないわけないんですよ、これは全然関係ないんですから。大臣いかがですか、外から言われなければ動き出さない、国会で一生懸命何年も前から言っていてもなかなかちっとも進まない、矛盾ははっきりしている。何とかひとつそういう点はお考えいただきたいと思うんですが、いかがなものでしょうね。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 酒税につきましては、非常に難しいことがいろいろあるようでございまして、従来からいろんな議論がございました。そういう議論は知りつつ、まあ何とか現状を維持してまいったわけでございますけれども、ガット等々でいろんな指摘、これも以前から実は二国間ではございましたのですが、ついにガットという場に出ましたものですから、まあ我が国として国際的な義務違反をするわけにはまいらないということと、そのような体制世界貿易あるいは金融のいわゆる自由化体制というものは、我が国が戦後最もそれから利益を得てきた国であるという、いわば損得と言っては言葉が卑しゅうござい ますけれども、そういうことも考えますと、やはりそのような国際機関義務は履行をすべきであるということから先般の決定をいたしたわけでございますが、まあこの際と申してはなんでございますが、今まで問題になっておりました幾つかの点については処理をすることにした。  例えば、従価税はやめるとか、あるいは級別ウイスキーについてはなくすとか、しょうちゅうにつきましても、どうもこの税率は低過ぎるといったようなことをこの際抜本的に改正しようと考えておりますわけで、従来丸谷委員の言われておられましたようなこともその際に十分私どもとしても考えさせていただいたつもりでございます。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 難しいと言うけれど、そう難しい問題ではないので、これはもう総合的な抜本税制改正を出せなんというとこれまた何年かかるかわからない話なんで、明らかに矛盾が出ているというものからできるだけ手をつけていただくことを希望して私の質問を終わります。
  34. 塩出啓典

    塩出啓典君 今回の漁業共済一般会計から繰り入れることになったわけでございますが、過去十年累積赤字がふえる一方である、こういう状況でございますので、私は、やはり漁業をめぐる情勢が非常に厳しいということが一つと、それとやっぱり現在の漁業共済制度そのものにも大いに改善すべき点があるのではないか、魅力ある内容にしてもっと加入率を上げていくという、そういう問題があると思うのでございます。  そこで、これは水産庁長官にお尋ねしますが、水産庁諮問機関である漁業問題研究会が昨年十一月に中間報告を出していますね。大変漁業経営の体質が脆弱化している、年間収入を大幅に上回るような負債を抱えている経営形態が多くなっている、そういうことを指摘をしておるわけであります。我が国の将来にとってもこれは非常に大変な問題じゃないかと思うのでありますが、こういう面については今後どういう対応を考えておるのかお尋ねします。
  35. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいま御指摘ありましたように、漁業問題研究会でいろんな検討を深めましたわけでございますけれども、残念ながら近年の漁業経営というものは、二百海里体制の定着に伴います海外漁場の喪失、あるいは水産物需要の伸び悩みというようなことで全体的に非常に厳しい状況に置かれているわけでございます。  こういう中で今後これからどうやって持っていくかということでございますけれども、一つは金融なり税制措置、こういうものを通じまして経営の近代化等を促進いたしまして、何とか中小漁業の構造改善というものを進めたい。それから、いろいろと構造的な要因で特に経営が悪化している業態というものもございますので、こういうものにつきましては漁船のスクラップでございますとか、こういうことに対する助成も講じまして、生産構造そのものを再編整備していくということも必要かと思っております。  それからさらに、当面の対策といたしまして、累積赤字が累積しているとかあるいは経営が非常に苦しいという中小漁業者につきましては、漁業経営再建資金でございますとかいろんな金融制度というものがおかげで手だてが講ぜられておりますので、こういうものを何とか十全に活用してまいりたいと思っておるわけでございます。  それからさらに、やはり何といいましても水産物の需要を拡大する、あるいは価格を安定させるということが緊要でございますので、水産物の需要拡大運動でございますとか、あるいは価格安定のための水産物の調整保管、こういうような事業につきましても従来からやってきておりますけれども、これからも全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  36. 塩出啓典

    塩出啓典君 健康という面からいえばやっぱり魚の方がいい、肉を食い過ぎると心臓病に悪いという、これはアメリカのマクガバン委員会の報告で、アメリカ人もかなり魚を食べるという、そういう点が非常にダイエットとして行われておる。日本のすしなんかも非常に向こうではたくさん食べられているわけですから、そういう消費流通面も含めて水産庁としてひとつ大いに頑張っていただきたいと思います。  それから、漁業共済の収支を改善するためには掛金率を上げろとか、あるいは補償水準を引き下げろという、こういうような意見もあるわけですが、私は、むしろそういうことではなしにもっと加入者を拡大していくということが必要ではないかと思うのでありますが、そのためには漁業共済を一層魅力あるものにしてほしい、こういう点で漁業災害補償法改正案が近く国会に出されるようでありますが、どのような方針で、どのような点を改善されようとしておるのか、これをお伺いをいたします。  私の聞いているところでは、大体漁業共済の平均加入率は二五%だ、漁獲共済が二二・六、養殖共済が二六・五。それで私の広島県のカキが大体四〇%ですね、阿多田島のハマチなんかは一〇〇%入っておるようですけれども、全国的には非常に悪いわけであります。特にそういう意味で制度の充実をしてほしいという要求が強いわけですけれども、そういう点はどういう点を改善されようとされているのか、これをお伺いいたします。
  37. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいま先生からもお話しありましたように、何といいましても共済制度の財政基盤を確立するというためには加入のすそ野を広げていくということが肝要でございます。そのためにも従来からもいろんな制度の改正でございますとか、あるいは運用の改善ということを積み上げてきたわけでございますけれども、ただいまも御指摘がありましたように、今国会に近々漁業共済制度の改正ということを提出して御審議願おうかと思っているわけでございます。  現時点でまだ政府部内で最終的な制度改正の方向というものは必ずしも確定はいたしておりませんけれども、基本的な考え方といたしましては、何といいましても第一に漁業共済事業の拡大を図る、そしてそのためには何といいましても加入しやすく、しかも魅力のある制度であるということが必要でございますので、そういう観点に立ちまして、例えば優良漁業者を中心といたします加入拡大のために、漁協といいますか、集団的に加入する道をいろいろと工夫するとか、あるいは長期共済におきます契約期間後半の契約割合を引き上げることも認めるとか、そういうことも検討いたしておりますし、それからただいまちょっとお話がありました補償水準というものも、これは漁業実態のいろんな移り変わりということがございますので、そういう漁業実態に適した水準というようなものも考えてまいりたいというふうに考えているわけでございますけれども、いずれにいたしましても早急に政府部内の意見を統一いたしまして、できるだけ早く国会に提出し御審議を賜りたいと思っている段階でございます。
  38. 塩出啓典

    塩出啓典君 例えば広島は日本で一番大きなカキの産地でございますが、カキの人たちのいろいろ意見を聞いてみますと、例えばてん補対象の拡大、本来この制度は自然災害による損害をてん補対象とする制度ですけれども、例えば最近は瀬戸内海を通る船が非常に多いために当て逃げでいかだがやられるという、こういう事故があるわけですよね。こういうのもやっぱり時代の変化によってふえてきたわけですから、加害者不明の当て逃げによる損害もてん補の対象にしてもらいたいですね。  それから二番目には、品質方式の導入。現行制度は物の損害をてん補する制度ですけれども、漁場環境の異変、例えば毒性プランクトン発生とかによって収獲不能になったものも補てんする品質加味の制度を導入してもらいたいとか、あるいは損害防止費用、ムラサキイガイの大量付着を防ぐためにいろいろガスバーナーで駆除のために手段を講ずるという、こういう人件費、ガス代が相当な金額になるのでそれを加えてもらいたいとか、あるいは無事故戻し制度を導入してほしいとか、こういうようないろいろ意見があるわけでありますが、私はそういう点もぜひ検討してもらいたいと思うんです。それとやはり掛金率ですね、 これがやっぱり農業共済制度と比較した場合に、私の聞いている範囲では国庫負担の割合が農業共済は五〇%を超えているけれども漁業共済制度は五〇%を下回っている、事務費補助についても漁業共済制度は掛金の規模と比べて非常に少ないようだ、こういう点を私はもっと充実してもらいたい、これについての水産庁の御意見をお聞きしたい。  それと大蔵省には、今回これが一般会計から三回目の補てんですね。大体ずっと見てみますと、この漁業共済は赤字基調です。だから、こういう一般会計からの繰り入れという形でそれを穴埋めしていくよりも、もうちょっと掛金率を高めるとかそういうことにして加入者をふやし、そしてやっぱり漁業共済としては自助努力できるように、そういうようにした方が、同じ国からお金を出すにしても、出し方がいいんじゃないかと思うんですけれども、そういう点で今回の漁業災害補償法の改正の際に、そういう国の負担割合という点も検討すべきではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  39. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまのカキの関係で、広島からのいろんな具体的な制度改善の要望というものにつきましては我々も承知しているわけでございますけれども、ただいま先生がお挙げになりました要望の中では、正直言いまして共済制度で対応するというのが非常に難しい事項も含まれているわけでございます。例えば当て逃げというようなもの、これは確かに瀬戸内海でここのところ事故が多くなってきているわけでございますけれども、こういう共済制度という仕組みの基本から申しまして、原因がといいますか、加害者がだれであるかということがわからないにせよ、人為的な事故というものについてやはり共済の対象にしていくということはなかなか難しかろかと思っておりますし、それから例えば品質低下というようなものにつきましても、その品質低下と具体的損害との相関関係でございますとか、あるいは品質低下ゆえに価格が落ちたのか、一般的な市況として価格が下落したのか、その辺の把握というものも率直に申し上げまして非常に技術上難しい点があろうかと思っているわけでございます。  それから、掛金の国庫補助につきまして農済との比較でお話がございましたけれども、これにつきましては、ただいまお話がありましたように、全体をトータルしてみますと農済より若干低いという見かけに実はなっているわけでございますけれども、漁業共済の場合には農業と違いまして非常に零細な漁業者から大規模な漁業者までおりまして、それに応じた国庫負担といいますか、国庫の恩恵というものを与えているわけでございます。  したがいまして、その大宗をなしております中小漁業者、特に小規模の漁業者が担っております例えば十トン未満の漁船漁業でございますとかあるいは採貝採藻というようなものにつきましては、むしろ農業共済より国庫負担率というものは高くなっているという実情にあることもひとつ御理解いただきたいと思っております。  それから、さらに国の負担割合について見直すつもりはないかということがございましたけれども、これにつきましても、いろいろここのところの災害の発生状況等の動きがございますので、現在検討いたしております制度改正におきましては、そういう方向で検討を深めている次第でございます。
  40. 斎藤次郎

    政府委員斎藤次郎君) ただいま水産庁長官から御答弁申し上げましたように、私ども、確かにこれだけの多額の繰り入れを行うことは異常な事態でございますけれども、基本的に加入者の比率を引き上げていただく等なるべく共済制度の基盤を広げていただくという基本方向で今制度改正を農水省と相談をしている段階でございます。
  41. 塩出啓典

    塩出啓典君 いろいろ困難な問題はあると思うんですけれども、やっぱりそういうのをひとつ知恵を出して努力をしていただきたいと思います。  ほかにも要望がありますが、これはまた文書で届けますので、水産庁として御検討いただきたいと思います。  それからもう一点は、これは日本漁業の問題でございますが、御存じのように、現在大韓航空機事件等をめぐって日本と朝鮮民主主義人民共和国との、その他の問題もいろいろあるわけでありますが、非常に関係も緊迫をしておるわけでございまして、そういう意味で我が国漁船がやはり朝鮮民主主義人民共和国の定めた境界線を越えてそういうトラブル等の起きないように水産庁としても一層指導を徹底しておるんじゃないかと思うんであります。  そういう中で、鳥取県の境港、これは御存じのように日本海における最大の漁港でありますが、ここの漁業関係者から数年前から要望が出ておるわけであります。この海域の保安体制を充実してほしい、特に巡視体制が手薄になっているんではないか、したがって海上保安庁に三千八百トン型のヘリコプターを搭載する巡視船の配備を強く要望しておるわけであります。これは日本漁船の指導強化、それからまた海難防止の意味も含めてその必要性を訴えておるわけであります。私は、こういう時期だけに政府としても真剣にこの問題には取り組んでもらいたい、このように思うわけでありますが、運輸省、海上保安庁としてはどのようなお考えか承っておきます。
  42. 西山知範

    説明員(西山知範君) 先生指摘の境海上保安部が抱えております山陰沖の海域におきましては、韓国漁船の監視取り締まり等、竹島周辺海域における我が国漁船の安全操業の確保ということが特に重要であるというふうに考えております。このため、境海上保安部管内を含みます山陰沖海域の韓国漁船の取り締まりの実施に当たりましては、韓国漁船操業いたします海域が陸岸に近く、また船型も小型であるという現状から、これに対応する巡視船といたしましては、船の大きさ、喫水等の面で中・小型の巡視船艇が有効であるということで、このような中・小型の巡視船艇の整備を進め、監視取り締まり体制の一層の強化を図っているところでございます。  また、ヘリコプター搭載型巡視船の配属でございますが、海上保安庁といたしましては、昭和五十七年度から広域的哨戒体制の整備を進めております。この中で日本海中部海域にヘリコプター搭載型巡視船を常時行動させまして、海難救助、洋上救急、それから外国漁船の監視取り締まり、外国海洋調査船の動静監視等、広範な海上保安業務に従事させることといたしております。このために必要なヘリコプター搭載型巡視船は日本海沖合の業務需要も勘案しながら、かつまた同船の運用、管理等の面も考慮しながらその配属する海上保安部を決定することとしておりますが、日本海に哨戒させるために六十二年度補正予算で認められ、現在建造中のヘリコプター搭載型巡視船一隻につきましては新潟海上保安部に配属することにいたしております。
  43. 塩出啓典

    塩出啓典君 新潟に置くのもいいわけですけれども、やはり日本海は広うございますので、そういう点ではひとつそれでよしとしないで、五十七年以来境港市周辺の漁業組合はもう毎年要望しておるわけでありまして、そういう点で今後ともひとつ努力をし、海難救助、漁業指導、そういう点からもさらに努力をしていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。
  44. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まず、漁業共済制度についてであります。この支払い実績などを資料をもらって見てみましたが、保険料などずっと全体見てみますとやはり安定してないと思いますね。今回繰り入れしたものが果たして繰り戻し可能かどうかという問題と、それからもしちょっとした事故でも起きますと再度繰り入れの可能性も出てくるんではないかというようなことも心配されます。  そこで、漁業共済の安定的な運営という面から、これは先ほども塩出議員の方から加入者の増大の問題の話がありました。  そこで、これもそちらからいただいた資料によりますと、この加入状況が大変よろしくないし、最近むしろ下がっておりますね。漁獲共済でいいますと、ピークは六十年度の二四ですが、最近また下がっておると。それから、養殖共済で最高が五十六年の三六・五がずっと下がってきて二六・五。漁具共済は、これは大変低いんで、五十年の一三・一%がずっと下がりっぱなしで、一けた台で六・六%。ずっとこういう状況が続いておるわけであります。こういう低い状況、その理由は何だとお考えですか。
  45. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいま御指摘がありましたように、残念ながら現時点で漁業共済に対する加入率というものがかなり低いわけでございます。しかし、これをそれぞれごとに見てみますと、例えば漁獲共済で申し上げますと、採貝採藻業が五〇・三%でございますとか、あるいは定置漁業が五五・九%というような業種も見受けられますし、それから漁船漁業、これは全体はかなり低いわけでございますけれども、この中のサンマ棒受け網漁業につきましては九〇・一というような形に相なっているわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても全体としてかなり低いということは事実でございますが、こういう低調な理由といたしましては、漁獲共済にあっては漁獲実態でございますとか、あるいは海況、資源状態、こういうものによりましていろいろと漁業経営の危険度というものが違ってまいっておりまして、危険の程度が低いという方々は必ずしも残念ながら加入意欲が余りないという問題が一つあろうかと思っております。  それから、これもある意味では行政側なり団体側の責任かもわかりませんけれども、漁業者間での共済に対する認識というものがいまだ十全に浸透していないという点も率直に言ってあろうかと思っております。  それから、さらに仕組みの問題といたしまして、こういう共済でございますから、その損害の認定というようなものを的確にやるという体制ができなければなかなか取り組めないわけでございますけれども、共販体制が必ずしも確立していない漁協でございますとか、こういうところにありましてはなかなか円滑な漁業共済への加入対応というのがやりにくいというような地域も場所によってはあろうかと思っております。
  46. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 やっぱり実態がどうなっているか、これを正確に把握することが大事だと思うんですね。私はその点で行政の責任というのは、長官おっしゃったけれども、大変大きいと思うんです。加入状況がどうなっているか都道府県別の資料を要求いたしました。私が要求したのは二日ほど前ですが、その時点ではできていない。おかしいじゃないかと言いましたら一生懸命つくってくれまして、私の手元にある。これはこれで私はその努力は多といたします。ところが、できていなかったということは、要するに水産庁としては都道府県別加入状況、どこが高くてどこが低いかわかっていなかったのだから、それは対策のとりようもなかったのじゃないのかという気もするわけですよ。だから、今後これをつくったことも契機にして取り組んでほしいと思うんです。  大変アンバラが大きいのは、例えば漁獲共済で八〇%以上のところが山形、茨城、鳥取、七〇%台が島根、福岡県、逆に一〇%台が青森、東京は仕方ないんでしょうけれども東京、岡山なんか二・一%、長崎一六%、それから熊本、鹿児島、沖縄ですね。養殖共済についても石川の一〇〇%はありますけれども、八〇%台は二県です。一%台あるいは一〇%台というところはたくさんある、ゼロもたくさんある、こういう状況なわけです。  私はこういうことにつきまして漁民の側に相当な不満があると思うんですよ。その不満は掛金がやはりなかなかな負担になっていることだと思います。これは実際に漁協の人々に聞いてみますと、経営体ごとに加入して掛金を払うことになっているけれども、企業体のようなところはいいけれども、多くは掛金が高いということで掛金の五〇から六〇%払っている。それから、これは個人経営も含みますけれども、業者にとっては掛金は負担しにくいという状況ですね。それからまた、補償金が仮におりたとしても、諸経費がかかり過ぎて人件費までには補償をしようにも補償にならないというたくさんの不満があるようです。  基本的にはこれは日本漁業全体の構造的なものだという面もあるんですけれども、しかし、やっぱり一般会計で繰り入れる以上、私はこの辺しっかり対処しなけりゃいかぬと思うんですが、こういう苦情や不満また大変なアンバラがある。加入率ゼロ%だというところもある。養殖ではあるいは府県によっては当然かもしれませんけれども、しかし全体には本当に八〇%台以上のところが三府県しかないですよね。こういう状況などを見てみますと、やはりこの制度自身が果たして成り立つものかどうか。という意味ではやっぱり国家の相当な援助がないと成り立たぬじゃないかと、こういう問題もあるんですが、その辺どう考えていますか。
  47. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 確かに県別の加入率というものが非常にアンバランスがあるわけでございますけれども、これは漁業の実態といいますか、一つ漁業共済の対象となります漁業のウエートが高い県と低い県と、そういう県ごとの当然のウエートの違いというものは一つございます。それから例えば採貝採藻でございますとか、定置漁業でございますとか、こういう共済加入率の高い漁業をたくさん持っている地域、ここは加入率が高くなってくるという問題もございまして、一律にアンバランスがアンバランスなるがゆえにおかしいという話ではなかろうと思いますけれども、ただいずれにいたしましても、総体としての加入率が低いということは問題でございますし、それから一部の地域で同じような漁業実態にありながら加入率にばらつきも見られるというところも全くないわけではございません。  そういうものにつきましては、先ほど来お話しいたしておりますように、その制度全体の見直しなりあるいは運用の改善等ということで何とか加入を促進したいということから、できるだけ加入しやすく魅力のあるものにということで、現在政府部内で改正案を検討しているわけでございますし、こういう改正なり、見直し、運用の改善等というものを加えまして、何とかこういう漁業者の方々がお互いの自助努力、お互いの協力でまさかの場合に備えるという共済制度の安定的な発展というものを図りたいと思っているわけでございます。
  48. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ばらつきがあるだけじゃなくて、加入率が全体で下がっているということが私は大変問題だろうと思いますので、これはひとつ深刻な問題と受けとめて、大体都道府県の状況を把握してなかったと、このようなことが今後ないように、また突然何を指摘するかわかりませんけれども、そういったときに何でもちゃんと資料をそろえておくように、これは大蔵省はもとよりそうですけれども、申し上げておきたいと思います。  それから、今回の繰り入れの原因になったのが赤潮問題ですが、赤潮問題についてはこれは主として環境問題ですからここでは特に触れませんが、私がちょっと気になりましたのは、この赤潮と栽培漁業との関係について政府部内でも議論がされておるようです。例えば石原運輸大臣が「栽培漁業者が赤潮被害補償を陳情にきたが、発生源は漁業者だといったら、何も言わず引き返した」というんですがね。要するに栽培漁業赤潮の原因だという、これはあの人らしいかなり極端な意見だと私は思いますがね。一方、これに対して水産庁の方は反発してますね。「ヘドロ、赤潮などは、いろんな経緯を経たもので、水産のみの問題でない」という反論、それから「ヘドロがたまるのは、必ずしもエサの過剰投与が原因ではない」ということで、石原発言に異議を唱えている。私はこのやりとりを聞いていまして、両方ともちょっと当を得てないと思います。赤潮の原因、まだ因果関係は完全には解明されておりませんよね。しかし、大方のところで大きく言えることは、やはり大きい原因は、圧倒的には陸上からの流出物ですよ。陸上からの富栄養化された流出物ね、この辺がやっぱり一つの大きな原因。かといって、この栽培漁業に全然原因がないかといえば、私はないとは言えないと思うんです、ヘドロがたまることは事実ですしね。やはり急激に大きくしようと 思えば、相当多量に投じますし、またふんも出てきますし、それがいろんな海中の現象で、寄与率は陸上物に比べればそんなに多いとは私は思いませんけれどもね。私は一定程度の寄与率があることはこれは事実だと思うんですね。だから両極端の議論をしておったらいかぬと思うんですよ。むしろ大きくは陸上からの流出物、栽培漁業にも一定の寄与率もあると、これは私は穏当な考えだと思うんです。  よく共産党は極端な意見ばっかり言っているけれども、政府よりよっぽど私は穏当な意見を今も申し上げておるんですが、だとすれば、このヘドロ除去ということは大変大事なことだろうと思いますがね。それほど大きくはないけれども一定の寄与がある以上、これは私はそれに対する指導なり対処が必要だと思いますが、この辺はどうしておりますか。
  49. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 赤潮発生機構につきましては残念ながら完全にまだ解明されてないわけでございますけれども、少なくとも政府部内の権威ある審議会でございます中央公害対策審議会、ここの現時点での考え方といたしましては、赤潮発生の基礎となります栄養塩類の増加のうち、養殖関係にもたらしているものは非常に少ないというふうにされているわけでございます。しかし、ただいまも御指摘ありましたように、実際にヘドロがたまるということも場所によっては事実でございますし、それからそういうヘドロという問題は、単に赤潮発生との因果関係だけじゃなくて、養殖産業全体にとってもいろいろ問題がございますので、我々といたしましては何とか魚の育ちやすいきれいな海をつくるということが漁業経営なり漁業対策そのものとしても肝要でございますので、国の補助事業といたしましても、いろんな事業でヘドロの堆積を除去するとかというようなことにつきましての事業といたしまして、例えば沿岸漁場保全事業でございますとか、こういうもので堆積物の除去なりあるいはしゅんせつ、作澪というような事業について助成しているわけでございますけれども、今後ともそういう方向で魚の育ちやすい、すみやすい海づくりということに意を用いてまいりたいと思っております。
  50. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 幸い私は赤潮養殖に対する寄与率が少ないと思うんです。これは幸いなことですね。と同時に私は、これはやはり日本の水産物生産という大変重要な面、ある意味ではそういう意味の公共性を私は持っていると思いますね。このヘドロの除去については力のある漁協なりあるいは営業者ならばこれはできると思います。ところが、力のない漁協あるいは個々の業者はそんなヘドロなんか除去しておったら、とてもそれは採算合わぬというのでほったらかしにしていますと、それが今長官も言ったとおり自分のところにまたはね返ってくる、こういう結果になるんです。  そこで、この除去について、これは大蔵省も関係しますけれども、補助金をひとつ積極的に考えることが赤潮の除去対策にもなるし、また栽培漁業の健全な発展になると思うんですが、それぞれお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
  51. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいまも申し上げましたように、沿岸漁場保全事業ということでヘドロの搬出でございますとか作澪等を行っているわけでございますし、これに加えまして増養殖場造成改良事業でございますとかあるいは新沿岸漁業構造改善事業、こういう事業の中でもメニューとして組み入れておりまして、これらにつきましてはそれぞれ二分の一でございますとか、そういう補助率ということで国が助成しているわけでございます。  したがいまして、いろいろ中小漁業でございますとか負担能力の問題ももちろんあるわけでございますけれども、少なくとも事柄の重要性にかんがみまして、国としては一定の補助率ということで参画させていただいているという形になっているわけでございますけれども、今後ともこの事業の的確な推進を図ってまいりたいと思っております。
  52. 斎藤次郎

    政府委員斎藤次郎君) ただいま水産庁長官が御答弁申し上げたとおり、原則補助率二分の一ということで私ども今後適切に対処してまいりたいと思っております。
  53. 村上正邦

    委員長村上正邦君) これにて質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。  漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  54. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 村上正邦

    委員長村上正邦君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会