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1988-04-26 第112回国会 参議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十六日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     鈴木 和美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大木  浩君     理 事                 下条進一郎君                 前田 勲男君                 福間 知之君                 市川 正一君     委 員                 小島 静馬君                 佐藤栄佐久君                 中曽根弘文君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 松浦 孝治君                 松尾 官平君                 向山 一人君                 青木 薪次君                 鈴木 和美君                 高杉 廸忠君                 伏見 康治君                 矢原 秀男君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   田村  元君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君    政府委員        公正取引委員会        事務局取引部長  土原 陽美君        経済企画庁国民        生活局長     海野 恒男君        通商産業大臣官        房総務審議官   山本 幸助君        通商産業大臣官        房審議官     末木凰太郎君        通商産業大臣官        房審議官     安藤 勝良君        通商産業省通商        政策局次長    吉田 文毅君        通商産業省貿易        局長       畠山  襄君        通商産業省産業        政策局長     杉山  弘君        通商産業省立地        公害局長     安楽 隆二君        工業技術院長   飯塚 幸三君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        警察庁刑事局保        安部生活経済課        長        泉  幸伸君        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第一課長    植苗 竹司君        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第二課長    吉田  博君        大蔵省主税局調        査課長      長野 厖士君        文部省初等中等        教育局中学校課        長        辻村 哲夫君        厚生省薬務局監        視指導課長    舩橋 光俊君        自治大臣官房企        画室長      小島 重喜君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、梶原敬義君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君が選任されました。     ─────────────
  3. 大木浩

    委員長大木浩君) 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣
  4. 田村元

    国務大臣田村元君) 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、小売販売の方法が多様化する中で、訪問販売等が急速に成長しているところでありますが、一方で、訪問販売通信販売及び連鎖販売取引をめぐり消費者トラブルが多発し、また、その手口も多様化、複雑化しております。  このような状況にかんがみ、訪問販売等取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図るため、本法律案を提案した次第であります。  次に、法律案の内容を御説明申し上げます。  第一に、訪問販売及び通信販売に係る取引並びに連鎖販売取引について規制範囲を拡大することとしております。  すなわち、訪問販売通信販売及び連鎖販売取引に係る規制対象に、これまでの商品に加えて、新たに、役務提供等を追加することとしております。また、営業所等において行われる取引であっても、営業所等以外の場所において呼びとめて営業所等に同行させて行うもの等政令で定めるものについては、訪問販売として規制対象とすることとしております。  さらに、連鎖販売取引については、物品販売事業で再販売をする者と取引をするものという従来の連鎖販売業の定義のほか、新たに、物品販売事業受託販売または販売あっせんをする者と取引をするもの、役務提供事業役務提供あっせんをする者と取引をするもの等を追加しております。  第二に、訪問販売において、一定の期間内は無条件で契約解除等を行い得る、いわゆるクーリングオフ制度を拡充することとしております。  すなわち、クーリングオフに関する事項を書面により告知しなければならないこととしております。また、これまでクーリングオフができないこととされていたいわゆる現金一括取引についてもクーリングオフができることとしております。  第三に、訪問販売業者契約の締結について勧誘をするに際しまたは契約解除等を妨げるため、重要な事項につき不実のことを告げてはならないこと、訪問販売業者及び連鎖販売取引に係る統括者等契約を締結させまたは契約解除等を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならないこと、さらに、通信販売業者が広告をするに際し、著しく事実に相違する表示をしてはならないこと等訪問販売業者通信販売業者及び連鎖販売取引に係る統括者等が行ってはならない行為を定めることとしております。  第四に、主務大臣は、訪問販売業者通信販売業 者または連鎖販売取引に係る統括者等本法規定に違反した場合には、これらの者に対し必要な措置をとるべきことの指示、業務停止命令等をすることができることとしております。  第五に、訪問販売業者及び通信販売業者取引適正化に関する自主的努力を一層促すため、これらの業者により組織する協会についての規定を設け、その苦情処理に関する責務について規定することとしております。  第六に、販売業者売買契約に基づかないで一方的に商品送付する商法、いわゆるネガティブオプションにより送付された商品について、販売業者がその返還を請求することができないこととなる期間を、原則として三月から十四日に、また送付を受けた者がその商品引き取りを請求した場合には一月から七日に、それぞれ短縮することとしております。  その他、権限委任罰則等所要規定を整備することとしております。  また、衆議院において、訪問販売及び割賦販売におけるクーリングオフ期間を七日から八日に延長する旨の修正がなされておりますので、申し添えます。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 大木浩

    委員長大木浩君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後刻行うことといたします。    ─────────────
  6. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 伏見康治

    伏見康治君 先週ちょっと外国へ行っておりまして、この委員会にいませんでしたので、あるいは同僚委員の方々が既に御質問なすったことと多分に重なることを申し上げるかと思いますが、お許し願いたいと思います。  まず、この法案背景となる状況といったようなことを御説明願いたいと思います。
  8. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) この法律を出させていただいております背景でございますけれども、近年国際化情報化等々の経済社会の変化の中で、東京圏に対しましていわゆる人口と諸機能一極集中というような現象が出ておりますが、特に産業面におきましても、特にその産業頭脳部分と申しますか、高次機能東京圏等への一極集中が目立ってきておりまして、これがこれまでの地域産業にかかわってきております円高とか産業構造問題とかあるいは海外立地の増大等々の地域の抱えておる非常に難しい問題の中で、さらにこの高次機能について東京一極集中が生じているということで、いわゆるこの地域間のアンバランスを是正して、国土の均衡ある発展を図るという観点からは大きな問題が出てきているわけでございます。  そこで、そういう観点から、これまでの産業立地政策というものを補完強化するという意味で、主としてこれまで工業配置政策あるいはテクノポリス政策等工業あるいは高度技術工業中心として地方分散地域産業高度化努力してまいったわけでございますが、今回はこれを補強する意味で、産業ソフト部分と申しますか、産業頭脳部分と申しますか、そういうものを地域に誘導する、あるいは地域集積させるということで、今回の地域における産業頭脳部分集積促進のための法律というものをつくりまして御検討をいただいているわけでございます。
  9. 伏見康治

    伏見康治君 非常によく似た法案が前にテクノポリス法案として提出されておりますが、そのテクノポリスの方のお話とこの頭脳立地お話とどういう関係になるのかということを説明してください。
  10. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 本法昭和五十八年に制定されましたテクノポリス法との関係でございますけれどもテクノポリス法はいわゆる高度技術工業集積地域開発するその促進法となっておりまして、それから今回は、地域産業高度化のための特定事業集積でございますが、産業頭脳部分集積ということで呼んでおりますが、しかしこれらはいずれも地域経済発展を図って、国民経済国土の均衡ある発展を図るためのいわゆる地域立法という点では共通のものでございます。  ただ、その目的テクノポリス法の場合には高度技術に立脚した工業開発、それを中心としてやるために産学住の一体となった町づくりというような手法も使っておりますが、いずれにしても、その高度技術に立脚した工業開発目的対象でございますのに対して、本法案の場合には地域産業高度化に寄与する産業全般頭脳部分ソフト部分、そういうものの地域における集積本法目的とするということでございます。  したがいまして、いろいろ施策を行います対象も、テクノポリス法高度技術工業の導入とかあるいは地場におけるそういうものの育成、技術高度化中心考えておるのに対しまして、本法案の場合には広く研究所とかソフトウエア業あるいは産業支援サービス業等産業頭脳部分を企業の内部部門であろうがあるいは独立したサービス産業という形をとるものであろうが、そういうものをひっくるめて地域集積するあるいは地域に育成していくということで異なっているわけでございます。  ただ、そうは申しましても、この地域産業高度化する、地域活性化するというためには、両法案は相互に相補完するものでございまして、今回の頭脳立地法のカバーいたしますのは必ずしもテクノポリス地域だけではなくて、それ以外の産業地域あるいは地方経済圏というものの高度化にも役立てるべく考えておりますので、したがいまして、そういう意味では広い範囲をカバーするわけでございますが、テクノポリス地域産業頭脳部分の強化によって非常に拡大発展するものでございますから、テクノポリス地域に対しても本法案はそれを拡充強化するために非常に重要な手段になるのではないかと考えております。
  11. 伏見康治

    伏見康治君 テクノポリス法案というものとこれとの関連はおっしゃるとおりだとは思いますが、むしろ非常に関連が深いので、同じ法律で何か改正テクノポリス法案改正といったようなことで済んでしまうのではなかろうかという感じがいたしますが、その点どうですか。
  12. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 実はいろいろ議論を始めます段階でどういう形の法律にするか、あるいは既存の法律とどういう関連にするかということでいろいろ議論をいたしました。その場合に、テクノポリス地域というのは高度技術に立脚した工業開発というものをやるための、広くそういう工業集積していくための地域ということで、現在までに全国二十五地域が承認されておりますけれども、これはやはり全国における産業地帯あるいは地域経済の全部ではございませんで、一部でございます。  それ以外の地域におきましてもいろいろな産業地帯地域経済圏があるわけでございまして、そういうものも広く産業頭脳面を強化する、ソフト面を強化する、そして同じものをつくるというだけではなくて、絶えず新製品、新商品開発して需要にマッチしていく、そういうことでないとやっていけないという状況になってきておりますので、テクノポリス地域を含むいろいろな地域でお使い願うという観点から別の法律の体系にしたということがございます。
  13. 伏見康治

    伏見康治君 必ずしも御回答に満足できませんが、もう一つ四全総というものが一方で進められておりますが、それとの関連性はどうなんですか。
  14. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 四全総は、これもこの二、三年の間に広く議論が行われまして、昨年の六月に政府としてまとめられたわけでございます が、一番そこでの重要なポイントというのは、やはり近年の東京圏への人口や諸機能一極集中、再集中というような情勢のもとで、どうやってこれを是正して国土の均衡ある発展を図っていくかということが最大の課題になっているわけでございます。  そして、結局それをやっていくためにはやはりいろいろな人口、諸機能地域に分散させていく、あるいは地域をそういう方向で育てていくということで、多極分散型国土形成というのが一応目標にされているわけでございます。  それで、この多極分散型国土形成のためにはいろいろな側面、いろいろな機能についてそういうことを考えていかなければいけないわけでございますが、やはりこの所得と雇用の源泉であります経済とか産業というものが地方に分散し、あるいは地方経済産業が自立的に発展するということでなければそういうことはできないわけでございますので、通商産業省といたしましては、産業立地政策観点からこの四全総考え方を実現していくということで今回の法案をつくったわけでございます。  そういう意味で、本法案四全総趣旨に大いにかなったものであり、かつその目的を実施するための一つの極めて重要な政策手段考えております。なお、こういうことが必要であるということは四全総自体の中でもうたわれているところでございます。
  15. 伏見康治

    伏見康治君 さて、頭脳立地という新しい法案一つ事業が行われようとしておりますが、こういう計画というものは一体どのくらいのタイムスパン、何年間のうちに一応目的を達するといったようなめどがあるはずだと思うんですが、その時間的間隔あるいはスケール、それぞれの地域に何かものをおつくりになるときのスケールについてはどんなスケールのものをお考えになっているかということを御説明ください。
  16. 田村元

    国務大臣田村元君) 地域経済活性化とか高度化というものは、率直に言いまして一朝一夕にでき上がるものではないと思います。この構想の成果を着実に上げていく、そのためには相当長期的な責任あるフォローというものが重要であろうかと思っております。例の筑波研究学園都市の建設も、あれが閣議決定されましてから二十五年になっております。でございますから、私は一番何よりも大切なのは、こういう構想はすばらしい構想なんですから、一たん馬力でなしに長期的に着実にやっていく、その意味では筑波研究学園都市は非常に成功したと思っておりますが、そういう点でこれからたゆまざる努力と研さんというものを傾注していく必要があろうかと思っております。  細かいことは局長から答弁させます。
  17. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) そのタイムスパンでございますけれども、今大臣の方から申し上げましたような趣旨になるわけでございますが、一応こういう地域づくりというのは、やはり我が国の経験に照らしても、あるいは海外におけるいろいろリサーチパークとかあるいはリサーチタウンとかというようなものをつくった経緯にかんがみましても相当の年月がかかりまして、その間にはいろいろうまくいったりいかなかったりするわけでございますけれども、そこをうまく調整して最終的には成功するというのが成功した場合のケースでございます。  そういう意味で私どもも、これが最終的に成功するというかでき上がるのはやはり二十一世紀を目指してということになるわけでございますが、具体的に作業をやっていく過程におきましては、やはりもう少し短い期間ごと計画をつくるということでございますので、当面は昭和七十年ぐらいを目標とした計画をつくるというようなことにしてはいかがであろうかということを考えておりまして、このあたりは、法律ができました後、政省令あるいはその指針といったものをつくる段階で細かく規定していくということになろうかと思います。  それから規模でございますけれども、実はテクノポリス地域というのは高度技術工業集積する、あるいは高度技術工場を広く集積させていくということでかなり広い地域を想定いたしまして、これは地域によっても違いますが、一応十三万ヘクタール以下というようなことになっておるわけでございまして、それからまた現在あります二十五地域の平均でいきますと九・二万ヘクタールということになっておりますが、今度の場合のこの集積促進地域というのは、そこに特定事業が広く集積していくということでございますから、これも一カ所にということではなくてある程度の広がりを持ったところということになるかと思います。  したがって、一つ地域経済圏なりあるいは複数の地方経済圏、その辺をカバーいたしましてそこの産業圏がみんなでこの集積を活用できるということでございますので、テクノポリス地域のように広いということは必要ない、むしろ集積するためには、それよりは狭い方がいいということでございまして、地方経済圏中心的なところで最も適切な場所に、これは地域によって違うかと思いますが、私どもは、例えばテクノポリス地域の半分、十三万ヘクタールという上限の半分だと七万ヘクタールぐらいになりますが、それぐらい以下のところになるのではなかろうか、そしてそこのところはやはりある程度都市というものが中心になってその周辺を含むというようなことになるのではなかろうか。例えば最大限で大体二十分程度で域内は交流できるようなところというようなことを今いろいろ検討しておりまして、これも指針を後につくりますときにきっちりしたものにしてお示ししたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 伏見康治

    伏見康治君 そういうお答えになるだろうと思いますが、そのタイムスパンの方について私の意見を申し上げますと、今までの物をつくるという工業からもっとソフトウエア的な、頭脳を主とする産業の方に移行すべきであるということはよくわかるわけですが、終戦後のいろいろな物の考え方の推移を考えてみますというと、十年もたつとその産業の重点がどこかまた別のところへ移動するのではないかといったような懸念も感じないわけではないわけです。それで、余り無限にこういうものを続けるというのもどうかという感じがするんですが、何か十年とか十五年とかいう、そういう何か限度を置いてそこで考え直すという、そういうお考えはないんですか。
  19. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 先生のおっしゃるとおり大変世の中は可変的な時代でございまして、不確実性も高いということでございますから、基本として、御指摘のとおり、私どもは非常に弾力的な態度で臨まなくちゃいけないというふうには考えております。  ただ、これから二十一世紀に向かって考えましたときに、日本の国際的に置かれた地位とか国際分業構造発展とかあるいは技術進歩方向とかいろいろ考えますと、やはり日本といたしましては、資源も乏しいわけでございますから、教育とか頭脳とかというのをベースにした高度な産業と申しますか、そういうものが中心にならざるを得ないというふうに考えております。  ただ、具体的にそれでは今予定しておりますこの特定事業ということで考えておりますような事業が、いつまでもそのとおりであるかということは必ずしも言えないわけでございまして、新しいものが出てくることもありますし、あるいはもうこれは特定事業である必要はないというようなことになるかもしれませんので、その辺については十分弾力的に、必要に応じて法律を見直すとかあるいは制度の中身を見直すとかということではやっていかなければならないと思います。  私は、一応七十年に向かっての計画というのが一つございまして、それからもう一つのタームといたしましては二〇〇〇年あたり一つ目標としてやっていく、しかし気持ちとしては、もう少し時間がかかって立派なものになるんではないかというふうに考えております。  御指摘のとおりでございまして、できるだけ、 可変的な情勢に弾力的に対応できるようにやっていくということを心がけたいと思います。
  20. 伏見康治

    伏見康治君 空間的というか、スケールの方の問題ですが、スケールはある程度大きくないとだめだと思うんですね。何か最小単位というものがあって、それ以下の小さなものでございますと恐らく立ち枯れてしまうと思うんですね。そのスケールの大きさがどの程度のものであるべきかということをよくお考え願いたいと思うんですが、その意味で特にお伺いいたしたいのは、土地であるとか建物であるとか設備であるとかいうような、そういう物質的なものも大事でございますが、頭脳という以上はその頭脳を担う人間が一番大事な要素だと思うんですね。この要素の元来は少ないところにそういうものをつくろうとするわけですから、特別な配慮があって、いかにしてその頭脳集団をそこへ呼び寄せるかという観点がなけりゃならないわけですが、それについてはどういうお考えで進まれるんでしょうか。
  21. 安藤勝良

    政府委員安藤勝良君) 御指摘のとおり、本構想実現のかぎを握っているのは人材確保と言っても過言ではないかと考えております。研究所とかあるいはソフトウエア業等産業頭脳部分地域における集積促進するためには、これら産業頭脳部分に従事し得る知識または技術を持っておられる人材確保が不可欠であります。本法案におきましても、優秀な人材確保が可能である地域一つの要件として指定したい、こう考えておるわけでございます。  したがいまして、まずはそういった所要の人員の確保が可能と思われるような地域経済圏中心的地位を占めている都市を含む地域一つ考えられるわけでございます。また、あわせて、最近地元就職希望者が増加しているわけでございまして、いわば潜在的なUターンとかあるいはJターン志向も高まっている、こんなことから、こういった人材もひとつ確保していくということも大事なわけでございまして、そういった面から、中長期的に魅力のある雇用の場を確保すること、これもまた大事じゃないか、こう考えておるわけでございます。  また、さらには人材を掘り起こしていくあるいは育成していく、こういうことが非常に大事なわけでございまして、そういった面から、地域振興整備公団におきましては、出資またはNTTの無利子融資を活用いたしまして、地域産業高度化に資する研究開発あるいは研修等を行う施設を整備することにしておりまして、こういったところで人材の養成を強化していくということがまた大事かと思っております。  また、さらには研究等の面におきまして、やっぱり人材の交流、こういったことが非常に大事じゃないかと思います。地域における潜在的な人材確保に限らず、地域外の方々とも交流しながらそのポテンシャルを高めていく、あるいは人材の有効な活用、と言ったら失礼でございますが、そういった面での配慮も必要か、こういうふうに考えておるわけでございます。  さらに三点目は、やはりそういった優秀な人材が定着してもらわなくちゃいけない、こういったことから、生活環境の整備、これがまた非常に重要な問題ではないかと思うわけでございます。道路あるいは住宅その他の公共施設、生活関連施設について、こういうものを整備していくということが重要じゃないかと思います。  当省におきましては、関係省庁とも十分な連絡をとりまして、こういった面の整備について鋭意努力していきたい、こう考えるわけでございます。また、あわせまして地域振興整備公団におきましても、いわばそういった面での利便施設としての整備をする機能を持っております。教育文化施設だとかあるいは厚生施設、そういった面での整備も可能になっておりますので、こういった事業促進する面におきまして、こういった面もあわせ考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
  22. 伏見康治

    伏見康治君 私の全く乏しい経験でございますが、昭和三十六年に名古屋大学に附置いたしましてプラズマ研究所というものをつくったことを思い出すんですが、これは全国研究者の共同利用という建前でいろんな方々の民主的な討論に基づいてつくったものなんです。さてどこに置くかということになりまして皆さんの御意向をアンケートで調べますというと、圧倒的に東京という結論になりました。個々の方々の気持ちからいいますというと、結局、一極集中的な傾向を非常に強く持っているということを改めて感じたわけですが、何だかんだと言いまして理屈をこねまして、名古屋というところは日本列島の中の幾何学的中心地である、全国共同利用という建前から中心に置くのが一番いいという論理でもって強引に押し切ったわけなんです。  そのときの抵抗をなさった方々のいろいろな理由の中で一番大きい深刻な理由は、要するに子弟の教育に困るというお話が非常に大きいわけでして、大学は余り問題にならないと思うのです。もっとも近ごろは大学まで父兄がついてくるような、なかなか親離れしない子供もたくさんいるようですが、大学生あたりから親離れして、それぞれ勝手なところへ行くのがよろしいんでしょうが、高等学校というのが一番難問だと思うのです。高等学校的な教育条件がちゃんと整っていないと——その高等学校というのも皆さんのお考えになる高等学校は、大学進学率のいい高等学校といったようないささか水準の低いお話なんですけれども、そういうもののちゃんとしたところを選ばれるということは非常に大事なことではなかろうかと思うのです。とにかく人が集まらなければ、頭脳立地といっても絵にかいたもちであろうと思います。  それから、育成ということももちろん大事で、その地域から出身された方をそこで育成していくという、地域に密着した人材を、頭脳を持った人材を育成していくという、あるいは外へ出てしまうべき人を呼び戻してくるとかいうような、いろいろな方法をぜひ考えていただきたいと思うのでございます。  その地域の振興ということを考えますというと、それぞれの地域に、程度は低いんでしょうけれども、それぞれ自発的に新しい産業構造をつくろうという意図を持った方々は少数ながらおられるはずだと思うのですが、そういう地域自身の持っている意欲といったようなものを外からいわば押しつけた国の政策が押しつぶすことがないように、その地域の創意というものを生かすようなことが私は非常に大事だと思うのですが、その点についてはどういう考慮を払われておりますか。
  23. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 地域の自主性ということは今御指摘のとおりでございまして、私どもも結局、この地域開発を効果的、効率的に推進するということは、国の押しつけではもちろんだめだし、よく言われるように金太郎あめ的な、どこでも同じような開発でももちろんいけないということで、地域の自主的かつ独創的な取り組みということを最も重要な要素というふうに考えております。したがって、結局この法案の中におきましても、地域のつくった構想と、それから地域の自主的な努力ということが中心でございまして、国としては、それをできる限り支援というか側面から援助させていただくという考え方をとっております。  具体的に申し上げますと、まずこの法律ができますと、集積促進指針というものを関係主務大臣と相談して、政府としてつくることになるわけでございますが、そこでは全体の大枠と申しますか、そういうものを示すにとどめる。それにのっとりましてこういうことをやっていこうという、具体的には県にその関係の市町村とも御相談いただきまして集積促進計画というものをつくっていただくわけでございます。  これは地域がつくるわけでございまして、例えば、具体的にその地域を、先ほどどのくらいのスケールかという御指摘がございましたが、そういうことも含めた地域の、区域を具体的にどこにするか、あるいは特定事業集積するというけれども、どういうぐらいのテンポ、目標で、これも先ほ ど先生御指摘のいつごろをめどとするかというのがございましたが、そういう目標に関すること。それからまた、具体的に産業支援団地というような業務用地とか、あるいは道路とか住宅というような環境整備も含めましたいろいろな施設の整備に関する事項、こういうことも含めまして、その他この特定事業集積に関するいろいろな必要な事項というものを計画の中に書き込んでいただくというわけでございます。  それが出てきましたところで、主務大臣といたしましては、その地域要件とか集積促進指針とか、先ほど示した全体の大枠に合っているかどうかというようなことを審査させていただきまして、それが承認されますと、この法律で予定しておりますいろいろな助成策を適用するということになるわけでございます。  要するに、地域選定につきましては、国は共通の要件を示すだけで、具体的な選定というのは基本的に地域にゆだねられるということが第一点。  それから第二点は、計画の内容自体も、基本的に地域にお任せして、そしてその地域特性というものが十分反映されるようにするというようなことを考えております。  それからまた、地域公団がお手伝いをする産業支援基盤施設というようなものにつきましても、共通的な事項もあると思いますが、できるだけ地域産業経済を反映した、個性を持った施設と申しますか、そういうものにしていくべきではないかと考えております。
  24. 伏見康治

    伏見康治君 今のお話関連してちょっと意見を申し上げておきますと、先ほどの名古屋大学のプラズマ研究所をつくったときの話ですが、教育問題ともう一つは住宅問題が、その当時はまだ相当ひどかったわけです。それで、何とか住宅について便宜を与えてもらおうと思って、東海財務局に行きまして相談いたしましたら、大変しかられました。なぜ京都かあるいは仙台へその研究所を持っていかなかったのかと言うんです。どういう理由かというと、京都とか仙台という町は、町全体が大学、研究といったようなことに対して非常に尊敬の念を持っている。そういうところへ行けば住宅なんか簡単に問題が片づくのだという話を言われまして、いささかげっそりしたんですけれども、要するに、名古屋というところではそういう気分がないという、その気分というのは、町の全体の持っている気分というものが、こういうものを成立させるかさせないか、非常に大きな雰囲気ではないかと思うんですが、そういう点についてもひとつ考慮を払っていろんなことを考えていただきたいと思います。  さて、特定事業に参加する資格と申しますか、いろいろな事業体が参加することになっておりますが、これは私企業であってもよろしいし、第三セクターであってもよろしかろうと思うんですが、どんなものが参加するというふうに考えておられるわけですか。
  25. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 産業ソフト部分と申しましても、法律で助成をする以上はある程度はっきりさせないといけないということで、「地域産業高度化に特に寄与する」ものとして政令で定める事業という形で法律で書いてございます。  したがって、具体的には法律ができました後、政令で定めることになるわけでございますが、私どもといたしまして、一応今考えておりますのは、地域産業高度化というのは、これも法律の中で規定がございまして、一つは研究開発力を向上するということで、当然研究所、特に自然科学系の研究所とか、それからいろいろ企業内の既にある研究開発部門というものが入るわけでございます。  それから情報能力の向上ということで、ソフトウエアとかいろいろな情報サービス業あるいはその企業内の情報処理センターのようなところ、それからまた商品開発力の向上、これが最近非常に重要になっておりまして、次々に新製品をつくり出すということで、デザイン業とか機械設計業、エンジニアリング業等のそういうサービス業なりあるいは企業内部門、それからまた生産管理の向上あるいは経営能力とかマーケティングの向上のために役立つような事業ということで機械修理業とか経営コンサルタント業とかリース業とか等々ございまして、一応十六業種ほどを産業分類に即しましていろんな点から精査いたしまして考えておりますが、最終的には政令で定めるということになっております。  したがいまして、この特定事業というのはそういう事業の性格で決めていきますので、その主体が純民間でないといけないということはございませんで、特定事業をしている限りは必ずしも主体についてどういうものでなければいけないということはないのではないかと思います。そういうものを一般的に集積していくということがこの法律考え方でございます。
  26. 伏見康治

    伏見康治君 私のように大学でずっと暮らしてきた人間にとりましては、頭脳というと大学ということ、特に地方に行くと大学というのが一つ頭脳の拠点になると思うんですけれども、そういう大学の一部分が新たに何か研究所をつくるといったようなことでこれに参加するということは可能なんですか、どうなんですか。
  27. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) この法律はそういうことで特定事業集積するということで、その特定事業の言葉の中には、純民間企業でも、あるいは国であっても、あるいは第三セクターでも、そこは変わらないわけでございます。ですから、そういう意味では国のそういう特定事業とか研究所とかというのもこの法律の定義の中に入るわけでございます。  ただ実際問題として、具体的な税制なら税制を適用するという場合に、国立の場合にはそういうことになりませんから、そういうことで具体的な施策でそれが適用になるかどうかということはまた別でございますが、考え方としてはそういう主体にこだわらずに広く特定事業集積するということでございまして、二十一世紀に本当にでき上がった姿を考えますと、何も民間の部門だけではなくて、私ども考えておりますような基盤施設も一つでございますし、それからその中には立派な大学の研究所があるとか、いろいろなものがあって本当の集積ができるのではないか、こういうふうに考えております。
  28. 伏見康治

    伏見康治君 先ほども申し上げたんですが、余りスケールが小さいと立ち枯れるということも申し上げましたんですが、つまり一つ研究所なら研究所が何か新しいことを考えるときに、その場で持ち合わせの品物だけで物事が済むわけではないわけでして、必ず別のところから何か物を持ってこないといけないわけなんですが、それが一々東京まで出てこなければ入手不可能というのでは話は成立しないわけです。  特に人間の頭脳というものは、持続して集中的に物を考えられる時間というものは割合に限られておりまして、何か考えを進める上に必要な材料なりあるいは機械なりあるいはワープロなりが、待っても数週間以内に物が入らないと、そのうちに熱意が冷えてしまってだめになるといったようなことがしばしば起こりがちだと思うんですが、そういう意味で、ある程度スケールがあって必要なものが手に入りやすいという状況というものが、いわゆるそういうのをインフラストラクチャーというのかな、研究のインフラストラクチャー、頭脳的活動のために必要なインフラストラクチャーというのがある程度その地域の中にそろっているということが必要だと思うんですね。  私は今までのいわゆる地方都市で、やはり頭脳的なインフラストラクチャーというのは大体大学だと思うんですね。ですから、そういうものがやはり中心になっていろいろな計画をお考えになるべきであるというのが私の忠告でございます。  次に伺いたいのは、「特定事業」という項目があって、自然科学研究所ソフトウエア業云々という例が掲げてございますんですが、この「特定事業」の中に自然科学研究所という「自然」という形容詞を特につけてあるのはどういう理由によるんですか、教えていただきたい。
  29. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 実は特定事業を選びます場合に、基準が非常にやはりはっきりしてないと法律なり政策の適用ができませんので、日本標準産業分類に基づいてやっているわけでございます。  そして、そのときに自然科学研究所という呼び方がいいかどうかは別といたしまして、この産業分類によりますと、自然科学研究所というのと人文科学研究所というのが三けたの分類で分かれておりまして、私どもといたしましては、これを一応自然科学研究所としたらいいのではないかと考えておりますのは、この法律がやはり地域産業に対して直接的な高度化効果を持つ。それから、特に具体的な指標といたしましても特定事業が対産業向けのサービスの比率が高いとか、あるいは地域における立地可能性がどうかというようなことをいろいろ定量的、定性的に今検討いたしまして、そういうことで一応この産業分類における自然科学研究所というものにしているわけでございます。  したがいまして、必ずしもそれ以外の研究所が重要でないとか必要でないということではないわけでございますけれども、この法律の性格上ある程度直接性ということで限定せざるを得ないということで、この産業分類の三けたのものを一応考えているということでございます。
  30. 伏見康治

    伏見康治君 こういうことを考えるのはいささか時代が古いからかもしれませんけれども、よくお役所の中に自然科学系というか理科系というか、そういうものは何か割合にたやすくいろんなことができて、社会科学系のものはとかく敬遠されるという一般的風潮が少なくとも戦前から戦中、戦後にかけてございました。それは主としてそういう社会科学なんということを入れるとマルクス経済学がのさばり出して甚だ手に負えなくなるといったような懸念からそっちの方面を抑えてしまったということがあったのではないかと私自身は思うわけです。しかし、現時点でそういうことを考えるのはよほど時代錯誤ではないかと思うんですね。  そしていろいろな皆さんのお役人のお仕事も民間のシンクタンクによって支えられている面が非常に多いと思うんですが、シンクタンクを構成している方々は、理科系の方ももちろんおられますけれども、社会科学系の方もたくさんおられて、それで初めて成立しているわけですね。皆さんのブレーン自身がそうだと思うんです。地方でブレーンの中心をいわばつくろうというときに、そういう大事な要素をわざわざ除外するという意味が私にはわからないわけで、今の御説明ではとんとわからないんですが、どうでしょうか。
  31. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 確かに、私ども地方にいろいろなものを集積させたいという観点からいいますと、実はこれだけじゃなくて人文科学あるいは文化的なものとか芸術とか広くずっとなってくるわけでございます。あるいはその関係のサービス業。実はこれをやっていくためにはこの法律だけじゃなくて、広い意味都市環境とかいろんなものが必要だということも背景にあるわけでございますが、ただ一応この法律といたしましてはどこまでも広げるというわけにもいきませんので、とりあえず地域産業への直接的な密接度ということで、製造業の例えば研究所だとか、あるいは自然科学工学系の研究所というものが一応地域産業とのとりあえずの直接的な密接度が非常に高いということでこれが入っているわけでございます。  シンクタンクの場合でも、例えばこれ以外に情報関係のサービス業もこの特定事業の中に入っておりますし、それからまた経営コンサルタント業というようなのも入っておりますので、そういうものでカバーされるシンクタンクもかなり多いのではないかと思いますが、そういう法律技術的と申しますか、そういうものと、それから私どものできるだけ広く全部入れたいという気持ちとの、政府部内でいろいろ議論してこういうふうに考えております。
  32. 伏見康治

    伏見康治君 今のお話だとむしろますます自然科学以外のものを入れたくなるんですが、入れたくなるけれども、何か議論をしているとそうでなくなるというのは何か矛盾した説明のように聞こえるんですが、従来の工場をイメージいたしましても、もちろん旋盤をどうするとか、モーターをどうするとかいうような本当の技術的な問題はもちろんございますけれども、それ全体をどういうふうに組織していって、女工さんをどういうふうに仕事をさせるかといったような工場の中のいろいろな人間問題なんというのは、これはもう明らかに自然科学ではないわけでして、そういうものがむしろうまくいったからこそ日本産業というものは非常に戦後伸びたんじゃないかと私は思うわけです。  日本産業の一番大事なところがどこにあるのか。半導体チップをつくる能力というものももちろん大事でしょうが、工場の中における女工さんたちの使い方が極めて上手だったと私は思うんですね。自然科学的発見というよりは、むしろその自然科学的発見をどうその工場の中で上手に扱っていったかということの方に重点が私はあると思うんです。そういう重要な要素を無視してしまうようなお話というものは何度伺ってもどうも合点がいかないんですが、もう一遍説明してくれますか。
  33. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 実はこの地域産業高度化というその目的を達成するためにはいろんな側面があるかと思います。私どもは、一応この法律では、おっしゃいますように必ずしもかたいものだけということに頼るのではなくて、この地域産業高度化というのは、商品開発力の向上とかあるいは生産技術の向上ということだけではなくて、例えば経営能率の向上とか、そういうようなものもこの地域産業高度化に入るということで、そういう意味ではできるだけ広い観点のものを取り入れようとしております。  したがいまして、今先生のおっしゃったような御趣旨については、私もその方向自体について何か違う意見だということではございませんので、立法技術の中でどこで割り切って、あるいはどういうような——先ほどの成長性だとか、対事業所サービスの比率がどうだとか、私どももそういう中でいろいろ検討しておりますので、それからまた、この特定事業というもの自体は永久にこれだけだということでもございませんので、そういうことも十分頭に入れて今後対応していきたいと思っております。
  34. 伏見康治

    伏見康治君 そろそろ時間が切れそうなので最後に大臣に。  実は、あした商工委員会大臣に質問するということをどこかの新聞記者が聞いてきまして、大臣がアメリカで何か失言的なことを言われたことを追及なさいますかとその新聞記者から刺激を受けたんですが、私は実はその新聞記事を読んでおりませんので何にも中身はわからないんですね。とにかくたびたび外国へ御旅行なすって、大臣、非常に御苦労さまでございましたが、その感想をちょっと伺わさせていただきたいと思います。
  35. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は失言をしておるとは思っておりません。私の感想を述べただけのことでございます。  アメリカ議会の日本に対する対応、非常に厳しいものがございます。それを私はとかく言うのではありませんが、ココムの問題についても、貿易インバランスの問題についても、私はアメリカとの信義は本当に果たしました。時に高飛車に出られましたけれども、とにかく私はアメリカとの信義に生きたつもりでございます。でございますから、私の心の中には、すべきことはしたという自負心がございます。  ところが、なお日本に対する攻撃的な——議会の問題です。これはアメリカ政府には何の関係もございませんが、議会の一部の人々の中には非常に日本に対して高圧的な言辞を弄する方もありますし、また、三権分立で日本政府が絶対に批判をすることを許されない裁判結果まで政府の責任であるかのごとく追及をされる。しかもその事件は、新法、つまり改正法の以前の旧法時代の出来事で ございますから当然旧法の適用を受ける、旧法によって裁かれるわけでございます。そして、中には時効にかかったものもございます。  そういういろいろな事情はございましたけれども日本政府は、通産省は、田村はできるだけのことはいたしました。私は本当に、繰り返し申しますが、自負いたしております。それだけに、なぜわかってもらえないんだろうか、ここまで私がやってきたのになおそれを了としてくれないんだろうかという——日本の議会ならこれは高く評価すると思うんです、外国に対して。ところが、それに対してあのような、時には口汚い言い方もするということでございますから、私はひょっとしてアメリカ議会の一部の人々に大国主義の考え方があるのではなかろうか、これだけ努めてもなお日本をたたくというのは反日思想があるのではなかろうか、あるいは人種差別の感情があるのではなかろうか、そうも思いたくもなる、こういうことを言ったわけでございます。  私は一切の失言をいたしておりません。私がこのようなことを申しましたことについて、もし仮に一部のマスコミに批判があるとすれば、それは私と祖国を思う考え方の違いだと思います。
  36. 市川正一

    ○市川正一君 頭脳立地法でありますが、現在テクノポリス法あるいは民活法などがあるのに、なぜ目的目標とする内容がほとんど同じの頭脳立地法が必要なのか。先ほど来の政府の御答弁は、結局言葉のあやだけでさっぱりわからぬのです、率直に言って。  提案や説明によりますと、生産などの工業開発ではなく、いわゆるハードからソフト、サービス産業発展が今後の産業発展中心になるということで、頭脳立地法はテクノ法ではとらえ切れない面を上乗せすることになるんだと、こう言うわけでありますが、だとすれば、テクノポリス法では現在の経済状況のもとにおいては地域経済の振興が図れないということを意味するんでしょうか、まずお伺いいたします。
  37. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) テクノ法でございますけれども、これは五十八年に法律ができまして以来、今二十五地域においてテクノポリスづくりが進み始めているわけでございますけれども、今までの期間、まだ時間が余りたっておりませんから今評価するのは早過ぎるかもしれませんが、一応今までのいろいろな事業とか企業立地の経過等を考えますと、地域によってももちろん差異はございますけれども、おおむね着実に進展しているというふうには考えております。  ただ、テクノポリス法をつくって以降、特に最近になりましてこの産業頭脳部分につきましての東京一極集中というものが非常にきつくなってまいりますし、それからまた、この工業自体につきましても、海外立地の問題とかあるいは円高等々による産業構造の問題とか、さらに厳しい状況が出てきております。したがいまして、テクノポリス法の中でももちろん高度技術工業発展させるためのソフト部分についての努力というのは始めておりますけれども、もともとやはり高度技術工業の育成、発展ということを直の目的としておりますので、現時点においてはなお極めて不十分であるということで、ここを非常に強化するということが一つあります。  それからまた、今後の日本経済全体を考えてみますと、テクノポリス地域以外にもいろいろな産業経済地帯というのはあるわけでございまして、それについてもいろんな施策はやってきておりますけれども、いずれの地域におきましても、やはりこの頭脳部分ソフト部分というのがこれからの高度化のかぎになるということで、今回全部に適用し得る頭脳立地法というものをお願いしている次第でございます。
  38. 市川正一

    ○市川正一君 それで伺いますが、テクノの二十五指定地域と今度の頭脳立地法での対象地域とは重複してくるんですか、それとも全く別のところを対象とするんですか。
  39. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) これは重複してくることもあるわけでございます。ただ、テクノポリス地域というのは非常に高度技術工業を広く育てるということでかなり広い地域になっておりますし、それからそれ以外のいろいろな地場産業経済圏だとかあるいは臨海型の経済圏とかいろんな経済圏があるわけでございます。したがって、これはそのどこと特にリンクするというわけではなくて、地域経済圏全体を見渡して最も適切な地域集積地域をつくるということでございますが……
  40. 市川正一

    ○市川正一君 何を見渡してですか。
  41. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 全体の経済圏地域における地域経済圏の実態と申しますか、例えばテクノポリス地域はここにありますとか、あるいはこっちの方にはこういう例えば臨海型の地域がありますとか、そういう地域全体の経済産業の実態というものを見渡しまして最も適切なところに集積拠点をつくるということでございますが、地域によりましてはテクノポリス地域の中にそれをつくるのがいいということになりますとその部分については確かにテクノの一部になるわけでございますし、あるいはテクノポリスの近くにということもあるかもしれませんし、あるいは全然関係のないところになるということもあろうかと思います。
  42. 市川正一

    ○市川正一君 こういうふうに手で広げてもさっぱりわからぬですよ。適切に考えるって、何が適切なのか。だからはっきりしていることは、あなたもおっしゃったように、テクノポリス計画が発足したときに当時の石井立地公害局長は二つのポイントを挙げて、その中で研究機能等ソフトな産業基盤の整備ということを強調しています。そして高度技術産業地方に定着させていくために必要な人材技術、情報といったソフトな産業基盤に力を入れていくことが課題である、こう言っているわけですね。ところが、今度はそれがうまくいかぬとまた手を変え品を変えて、手を広げて、そして適切にということで頭脳立地が出てくる。これは私は次から次へびほう策をとっているものだと言わざるを得ぬのです。  ところで、テクノ法とどこが違うかということになりますと、今度は地域振興整備公団が集積促進地域において業務用地を造成する点が一つあると思います。しかし、工業再配置法で中核工業団地を二十二カ所造成し、その分譲率をお聞きしますと五四・九%、約五五%なのにその上にさらにこれを実施するということになるんですが、中核工業団地もやり、産業支援団地も実施するということに相なるんですか。
  43. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 地域公団は、実は中核工業団地づくりで工業配置政策に非常に役立ったと思っておりますが、今先生御指摘のように、分譲率というものが五十何%という数字もございますが、これはただ第一次石油ショック後の非常にまだ高度成長の名残があったころに計画したものについては特に分譲率が低いのがあるのは事実でございます。ただ、逆に今度はすぐ完売されたというような地域もございますし、したがって一番最初のころの三地域を除きますと、その率も三分の二になるとかいうことがあったり、それから私ども毎年いろんな努力をしてやっておりますけれども、例えば立地件数でいいますと、昨年の六十二年は件数としては一番多かったとかということで、非常に地域工業の分散に役立ってきているのではないかと思います。  それに対して、今度やりますのはいわゆる特定事業、サービス業とかあるいは企業の中のソフト部門でございまして、そういうものを集積促進地域に企業が行くのもありますし、地域で育成されるのもあると思いますが、そういうときに既にそういう業務用地があるところは必要ないわけでございますけれども、適当な業務用地がないというようなところにつきましては、これは中核工業団地と違いまして非常に規模としては小さいものになると思いますけれども、そういう研究所とか産業支援サービス業の集積する業務用地、いわば受け皿というものをつくるというのがお役に立つのではないかということで、今度の地域公団の追加業務の一つとしてこれを加えさせていただいているわけでございます。
  44. 市川正一

    ○市川正一君 それでは伺いますが、全国工業団地の工場用地面積の分譲済み面積及び未利用面積は、八六年度で結構ですが、幾らになっていましょうか、お伺いします。
  45. 安藤勝良

    政府委員安藤勝良君) 我々の方で把握しているところでは、昭和六十一年の全国工業団地の工場用地面積は約八万二百ヘクタールでございます。このうち、いわば造成を終わっている面積は約六万四百ヘクタール。さらにこの六万四百ヘクタールのうちで既に分譲が終わっているのが五万四千二百ヘクタールでございます。  そういった面から見ますと、約九割、いわば造成済みの面積のうち分譲済みとなっているものが約九割と、こうなっておるわけでございます。さらにまた、分譲済み面積の中にさらに計画段階のものを含めたいわば工場用地面積で見ますと、これが約八万でございますから、その割合は約七割となっているわけでございます。  今の先生の御質問についてお答えいたしたものはそういうことでございますが、その未利用という見方でございますが、確かに個別的に見ますと、売れ行きについて時間を要しているものがあることも事実でございまして、先ほど局長がお答えいたしましたように、高度成長時代につくったいわば臨海団地等におきましては、かなり時間を要しておられることも事実でございます。
  46. 市川正一

    ○市川正一君 そちらからちょうだいした資料を拝見しますと、工場用地面積が八万二百十四・七ヘクタール、それは今おっしゃったとおりですね。そして、あなたは造成済み面積をおっしゃったけれども、分譲済み面積が五万四千二百十七ヘクタール。したがって、その差し引きが二万六千ヘクタールですから、常識的に言えばこの二万六千ヘクタールというのが未利用面積になると言って差し支えないと思うんです。  去年の工場立地の敷地面積は幾らでしょうか。
  47. 安藤勝良

    政府委員安藤勝良君) 去年のというのは、誘致された企業の、そういう意味でございましょうか。
  48. 市川正一

    ○市川正一君 そうです。
  49. 安藤勝良

    政府委員安藤勝良君) お答えいたします。  私の方でつかんでいます工場立地動向調査によりますと、昭和六十二年におきましては、工場の立地件数で二千五百六十三件、敷地面積で申しますと二千九百三十二ヘクタールとなっております。
  50. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、未利用面積が二万六千ヘクタールあり、去年一年間の工場立地の敷地面積が二千九百三十二ヘクタールということになりますと、算術計算で、昨年度実績で言えば約九年分の工場用地が売れずに未利用のまま残っているということになるわけですね。  これらの土地はただ草ぼうぼうなのかといえばそうじゃなくて、港湾や道路、工業用水なども整備しておりながら未利用になっている。そして、造成のための資金負担や維持管理費が自治体の財政を圧迫しております。したがって、自治体はこの工業団地をゴルフ場とかレジャー基地に転用して負担を少しても軽くしようとしている。それなのに、地域振興整備公団が集積促進地域において産業支援団地をあえて造成しなければならぬというのがどうしても理解できないんですが、その点はどうなんですか。
  51. 安藤勝良

    政府委員安藤勝良君) 今まで地域公団が進めている団地につきましては、いわば中核工業団地と申しまして、要するに専ら工場を立地することを心がけてつくってきた団地でございます。規模にいたしますと大体百ヘクタールぐらいのものが平均的な規模かと思います。  今後我々が目指しておりますのは、いわばソフトの部門を地方に分散させるということから、コンパクトなソフト団地あるいはリサーチ団地とも言いますか、そういったものを考えております。これはおおよそ大体二十ヘクタールぐらいが適当じゃないか、こう思っておりまして、これもやはり地理的に申しますと、余り離れた過疎地じゃまずいので都市の近郊にできるだけ接近したところ、都市環境と非常に密接な関係のある便利なところにつくることが大事かと思います。もちろん既存の用地でそういった適当なところがあればそれは大いに利用していかなくちゃいかぬと思いますが、それだけじゃ不足するんじゃないかということで、地域公団にこういった造成機能を付与するように考えているわけでございます。
  52. 市川正一

    ○市川正一君 不足するどころか余っているんですよ、あなた方が支援措置をとらなければ企業が地方立地しないというのならば別でありますけれども。  そこでお聞きしますが、今回の目玉である研究所の立地についても、全国で二千三百八十六研究所のうち八四年度末で実に八六・五%に当たる二千六十四研究所が関東、東海、近畿に集中しているわけです。  通産省の工場等の立地動向調査でも、去年の研究所の立地は五十四件中三十七件、約七割が関東内陸それから臨海部、東海地域集中しており、一極集中の傾向は依然として続いていると言わざるを得ません。私は、これでは地方へ分散することにならぬということは明確だと思うんですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  53. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 今先生御指摘になった、東京圏研究所とかあるいはそれ以外の産業支援サービス業も同様でございますが、非常にウエートが高くて、しかもまた東京圏の方にさらに集中する傾向が極めて強いというのは御指摘のとおりでございます。したがって、私どもはこういうものを打開するために政策をやろうというわけでございますけれども、一体できるのかというような御質問にもなろうかと思いますが、確かに私どもいろんな施策を講じてやらなければならないということでございますから、簡単なことではないと思います。  しかしながら、他方におきましてこの研究所立地の場合でも、先ほど先生お触れいただきました私どもの立地動向調査なんかによりますと、この三年間を見てみましても、北海道とか九州などの遠隔地の場合でありましても件数は非常に少のうございますが、立地件数も少しずつ増加しているというような動きもございますし、それからまた、例えばソフトウエア業なんかの場合には、ソフトウエア業自体の中に人材が足りないということで、あるいは地方のローカルマーケットと密着した仕事をするという意味地方展開というような兆しも出てきております。  したがって、私どもは十分な政策誘導と、それから地元の御熱意、御協力によりましてこの傾向を少しでも是正していく、そして時間はかかりましょうけれども頭脳集積地域というものができ上がっていかなければならないというふうに考えております。
  54. 市川正一

    ○市川正一君 政府のいろいろ言い分は地域のため、地方のためということを繰り返しておっしゃるんですが、じゃ果たして今度のこういう計画によって地域経済活性化、波及効果がもたらされるのかどうかということについて私は大いなる疑問を持っている一人です。  というのは、一例を挙げますと、テクノの優等生と言われている熊本県のテクノポリス構想における目玉として御承知の電応研というのがございます。電子応用機械技術研究所であります。これを見ますと、技術集積高度化を担う中核機関として位置づけられ、そして中小企業者、地元にこれを広く開放して地域企業に普及させるんだということをうたっております。ところがこの五年間の実績を見ると、三十二件の受託研究を予定していたにもかかわらずわずかに八件でした。そのうち六件が熊本県がやったもので、残りの二件は立石電機と九州電力、地元の中小企業からのものは一件もないというのが実態であります。  これは、例えば委託研究費が一件平均約三千万円にもなります。中小企業ではとても手が出せぬのです。しかも電応研全体の研究事業十二件のうち、民間企業に移転されたのは一件だけというのも実態であります。  私は、こういうやり方、今度頭脳立地法でいろいろ提起されておりますが、地域経済に真に波及 効果をもたらすものであろうかという点について皆さんの御見解を承りたいと思います。
  55. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) テクノポリス政策の場合でも今度の頭脳立地政策の場合でも、地域産業が自立的に発展できるようなものにするということが大きな目的でございまして、そのためには東京その他の地域からも企業が来てくれなければならないわけでございますけれども、最終的にはそういうものが地場産業地域産業高度化そのものになってあらわれるという点が非常に重要かと思います。  テクノポリス政策につきましては、実はソフトの面といたしまして研究開発型の企業を育成するとか、あるいは研修指導事業をするとか、あるいは産学官の交流等の事業をするとかということでかなり件数が百件、二百件、三百件というようなオーダーで全体でふえてきております、これはテクノポリス全体でございますが。しかし、まだ日が浅いこともあって、我々としてもこれは十分だとは必ずしも思っておりませんので、テクノポリスの面につきましてもその共同研究とか、あるいは技術指導とか技術提携というものが、そういう交流が深まるようなネットワークづくりというようなこともこれからやっていかなければならないというふうに思っておりますし、そのためにいろいろな細かい施策も講じているわけでございます。  したがいまして、頭脳立地も同じような考えでございまして、特定事業集積する、それは最終的にはその地方経済圏のいろいろな産業群がこれを活用するということが目的でございますから、そのためにはいろいろな特定事業集積するということが大切であるとともに、もう一つ、直接地域産業高度化にいろいろ役立つような中心的な施設ということで、産業基盤の施設というものを地域公団でつくってもらうということを考えております。  こういうものが既にあります、あるいはできます電応研のような地元ベースのものとか、あるいは民活法を活用したようなものもあると思いますが、実は今度の施設というのは、どちらかというとそれが採算ということをかなり重視して研究所場所提供するというような面があったわけでございますけれども、今度の施設はそういう面もありますが、地域地域に密着した、しかも場合によっては国際的、全国的なレベルに達するような自主研究もできるような中核的な施設というものをつくらせていただきたい、そういうことでやっておりまして、今先生の御指摘の地場産業地域産業高度化にどうやって結実していくかということを最重点に考えて施策を展開したいと思っております。
  56. 市川正一

    ○市川正一君 そういう立場に本当に立つという場合に、もう一つ私、実例を申し述べたいんですが、大分県のテクノポリス地域への立地企業は今七十七企業、そして従業員数が四千人です。きょう、大分出身の同僚委員いらっしゃいませんのでなんなんですが、当初計画は一万人の雇用計画であったわけですから相当まだ大きな開きがあります。ところが、進出企業の倒産や延期、第二期工事の拡張延期など十件も出ております。  その結果、あそこに安岐町というのがございまして私ども現地調査に参りました。あそこには大分キャノンが誘致されておりますけれども、この町では九億九千万円かけて造成した土地を半分の五億円で売り渡しています。そして、キャノンへの国道並みの取りつけ道路、グラウンド、体育館、公園、上水道など総額二十四億円の町費を投入しております。ところが、キャノンからの法人住民税は均等割の十五万円だけで、国からの交付税を含めての固定資産税、電気税、町在住者の所得税を合わせても四年間で一億九千万円にしかならない。ですから、十年でも元が取れるかわからないというふうに町当局は訴えております。雇用も税収も期待できないというのが受け入れ地域の実情なんです。  私は地域活性化地域経済への大きな波及効果ということを考える場合に、やはりこういう進出した大企業の姿勢といいますか、あるいは社会的責任というか、そういう立場をやはり通産省としても大いに関心を向け、注目を寄せて指導なさるべきだと思うんですが、こういう点は、私大分の例を一つ挙げましたが、いかがでございますか。
  57. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 大分につきましては、立地件数で申しますと、テクノポリスができる前に比べてその後の数年間をやりますと、年平均の十件から年平均の十五件にふえているというようなこともありますが、確かに一昨年から昨年の前半にかけましての円高による不況の影響なんかがありますので、また最近非常に景気がよくなってきておりますから、いろいろ変動はあろうかと思いますけれども、着実に一応進んでいるのではないかと思っております。  ただ、今、それから先生御指摘の、いずれにしましても地元に進出した企業というものはそれなりの地域への貢献というか、そういうことが重要だということは私どももそう考えておりまして、企業活動でございますから個々の企業が独自の判断でいろいろするということはそういうことでございますけれども、できる限り、例えばいろいろな異業種交流とか、あるいは産学官の交流とか、そういうようなものにもできるだけ参加するとかいうような形がしやすいような場所づくりなり、あるいは機会づくりというようなものもやっていきたいということでございまして、今度の地域公団のつくります産業基盤施設なんかも、一部はそういう方向でぜひ活用されるべきではないかというふうに考えております。
  58. 市川正一

    ○市川正一君 私の質疑をこれで集約いたしますが、私は今までのやりとりを通じて、テクノ、高度技術工業の進出が期待できないからといって、今度は研究所あるいはソフト、サービス産業集積させるといっても、それが進出する保証もなく、地域活性化に貢献する保証もないということを指摘して、私の時間が参りましたので質問を終わります。
  59. 井上計

    ○井上計君 二十年前に現在のような産業構造の変化あるいは高度化技術の進展等々を予期した人は恐らく神様でもなかったんであろう、こう思います。十年前でも、現在のようなこのような状態を予期した人は数少なかったであろう、こう思います。それほど変化が非常に激しく連続しておるという状態であります。したがって、今後五年後あるいは十年後というのは、やはりまた予期しないようないろんな面での進展あるいは変化が当然起きるであろう、こう考えますと、若干テクノポリス法等との類似点等々ありますけれども、私はこの頭脳立地法についてはまことに時宜に適したもの、このように評価をしておるわけであります。  ただ、今後の変化に対応していくために、あるいはまた十分でないというふうなことも出てくるかと思いますが、それはこれだけ変化の激しい時代でありますから、そのときにはまた即応できるように、また法律を修正をするというふうなことで、当然こういうふうな法律については考えを持っていけばいいんではなかろうか、こんなふうなことを考えておりますので、今意見として申し上げておきます。  そこで、先ほど来いろいろと質疑の中で伺っておりますが、当然のことでありますけれども、何といってもやはり重要なのは魅力のある雇用の確保、定着というふうなこと、先ほど御答弁の中にありました。やはりこれがないと、なかなか本来の目的を達成できないというふうに思います。二十年ほど前は、都市の工場が地方へ分散あるいは進出する一番の目的は労働力の確保であったわけです。ところが、逆に今度はいわば都市から優秀な技術者等々をいかにUターンさすか、あるいは地域で、東京あるいはその他の大都市等々に出ていく優秀な頭脳技術者を地元にとどめおくかというふうなことは、これはもう大変重要な課題でありますから、それには先ほど御答弁もありましたけれども、やはり生活環境の整備、特に教育あるいは福祉というふうなものの整備にさらにもっと積極的な施策を行っていかなくちゃいけないであろうと、こう思います。  そこで、一、二お伺いしたいんですけれども、やはり必要ないわば労働者、そのような頭脳労働者の定着のために特に必要な施設として、私は、レジャーあるいは娯楽施設等々も当然必要であろうと、こう思うんですが、そのようなものに対する、まあ難しいと思いますけれども、税制上の恩典、助成というものもやはり考えていく必要がある。この法案では、機械等については三〇%の特償、それから建物については一五%の特償ということになっておるようでありますけれども、ひとつ私は、そのようないわばハイテク技術、特に頭脳産業といいますか、そのようなもの等に対する機械設備等は、特償よりもむしろ私は税額控除が適当であろうと、こんなふうに考えておるんですが、税額控除にならなかった理由、あるいはしなかった理由があればお聞かせをいただきたいと、こう思います。
  60. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 御指摘の税額控除の制度でございますけれども、この案をつくります過程におきまして、種々の観点から政府部内におきましてどういうような税制がいいかということを検討いたしました。結論的には、テクノポリス立法と並んで一応三〇%という地域立法の中では一番高い率に属するわけでございますけれども、そういう高率の特別償却にするということにいたしたわけでございます。それからまた、いろいろこの対象も、建物や機械装置あるいは機具部品に至るまで幅広くするというようなことで、かなり地域立法の中では問題の重要性からよい制度ができたとは思っております。  この特別償却に対して税額控除、税をそのままばさっとまけるということについても私どもとしては非常に大きなもちろん魅力もございまして、いろいろ議論の中では当然そういうこともいたしましたけれども、今回は今までの地域立法の中で税額控除を使った例も見当たらないというようなこともございまして、一応特別償却を中心に強力な税制にしてもらうということを政府部内で折衝いたしました結果、このような結果になりました。
  61. 井上計

    ○井上計君 大蔵省が多分認められなかったんであろうというふうなことを察しておりますが、そこで、特定事業を行う者云々というふうな特償についての明記がされておりますけれども、先ほど来お話しの人材育成であるとかあるいは確保等のための厚生施設であるとか、そのようなものは特定施設として含まれるんですか、どうですか。
  62. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 一応それは特定事業のための施設でございますので、特定事業の中には直に人材育成そのものは入っておりませんが、しかし、先ほど申しましたような地域公団、まあ税はそういうことでございますけれども、気持ちとしては地域公団の産業支援基盤施設におきましては、その人材育成も含めたような高度の研究開発中心とした複合的な施設にしたいということを考えておりまして、人材育成の重要性についてはこの法律は非常に強く考えている次第でございます。税そのものには一応入っておりません。
  63. 井上計

    ○井上計君 関連してちょっと大蔵省にお伺いしたいんですが、税制の抜本改革が各機関、各方面で活発に論議をされております。ところが、余り表面に、割合新聞報道等でありますと出てこない中に、機械設備等々の法定耐用年数の短縮の問題が余り出てこないんです。  今も特償率、機械等三〇%というふうなことで、この法案についての税制助成でありますけれども、現在、製造業の持っておる機械設備等の法定耐用年数は大体短いもので十年、特別に八年、五年もありますけれども、大体十年、ほとんどが十一年、中には十三年等々もあるわけですけれども、このような非常に技術革新の時代に、もう既に十年、十三年なんというのは実はナンセンスなんですね。だから、事実上はほとんどの製造業は機械設備はもう大体五年ぐらいで陳腐化しておるという状態の中で、仮に十年あるいは十一年の法定耐用年数であれば特償三〇%初年度しても、実はまだ更新時には相当なやっぱり負担があるということになるわけですが、この抜本改革の中でのこの耐用年数の短縮というのは論議されているんですか。これは質問通告してありませんけれども、当然おわかりでしょうからちょっとお聞きをしたいと、こう思います。
  64. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) 御説明申し上げます。  耐用年数につきましては、産業界におきましても大変御関心の多いところかと存じますが、今余り議論されておらないようだという先生の御指摘ではございますけれども、先般、政府の税制調査会が公表いたしました税制改革の素案におきましても、耐用年数につきましてはその実態に即して検討してまいるとか、あるいは少額減価償却資産について考えていくというようなことを改革の項目の中で取り上げて記述しておるところでございまして、私どもかねてより実態に即しながら耐用年数は個々のものによって考えていくべきものでございますので、常に実態に即して検討することは続けていきたいという姿勢をとっております。
  65. 井上計

    ○井上計君 じゃ大いに期待しております。  ただ、少額資産の例の経費算入ですね、現行十万が二十万、これは新聞で見ました。実態はこれ二十万ぐらいではまだ少し少ないなあと、こういう感じを持っておりますが、これは希望として申し上げておきますから、今後また御検討いただきたい。  そこでもう一つお伺いしたいんですけれども、法人税率現行四二%を段階的に三七・五%と、こういうふうな素案が発表されております。その目的は、最も我が国が先進国中で高いと言われておる法人税の実効税率を現在の五一・五五%を五〇%以下にすると、こういうこれはもう骨子がはっきり出ておるわけですけれども、ところが、三七・五%に段階的に下げた場合に、最終的に三七・五%になっても、現在の配当軽課税三二%、これは廃止するわけですね。そうすると、私の計算では実効税率はわずかに一・五七%しか下がらない。四九・九八、まあ五〇%以下とは言えますが、事実上五〇%にしかならないと、こんなふうな計算になると思いますが、とすると、依然としてイギリスの一八%、アメリカの三二%と比べるとまだまだ日本の実効税率ははるかに高いということになるわけですね。  これでは産業の空洞化、あるいは企業の活性化海外逃避の防止等々が言われている中でまだまだこの程度では、いわば目的をある程度達成といいますか、そういう大きな問題の解消にはほど遠いんではないかなあと、こんな感じがするわけであります。だから、もっと実効税率を下げるように考えていかなくちゃいかぬであろう。これはもう意見でありますから、希望でありますから申し上げておきます。  そこで、特にお伺いしたいのは、四二%を三七・五%に税率を下げる、しかし配当軽課税は廃止するということになってくると、余り大きな法人税の減税はないというふうに思うんですが、何か大蔵省の試案、試算ですか、発表では法人税減税一兆二千五百億というふうな数字が出ていますね。それちょっと私合点いかないんで、その根拠をお聞かせいただけませんか。
  66. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) ただいま御指摘がございましたように、今回政府税調で御提案いただいております法人税の改正におきましては、基本税率四二%を三七・五に下げます一方、配当軽課税率、現在三二%をこれも三七・五へそろえるということになっております。計数に即して御説明申し上げますと、基本税率の引き下げ四二から三七・五によりまして約一兆四千億円の減収と試算されるわけでございます。
  67. 井上計

    ○井上計君 一兆四千億円。
  68. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) はい。感覚的に申し上げますと、四二から三七・五へ約一割強の引き下げでございますから、十四兆の法人税収から一兆四千億というふうにお考えいただいても結構でございます。  その他、中小企業の軽減税率の引き下げも提案されておりまして、これが約五百億程度というふうに考えております。  一方、御指摘の配当軽課税率の廃止によりまして、これは二千億程度の増収かと見込んでおりま す。実効税率を算定いたします場合には、配当性向の割合高い企業につきましても負担増という問題が起こらないように三割というラインで実効税率を計算しておりますが、実態的には配当に回る部分の割合はかなり低うございますから、ここの二千億円の増収というのが現在の企業の実態に即した数字でございまして、それらを差し引きいたしまして一兆二千五百億円の減収という積算になっておるわけでございます。
  69. 井上計

    ○井上計君 大蔵省の方、計算はわかりました。  ただ、そこで疑問なのは、今配当軽課税の廃止による、あなたは廃止と言われないで三七・五にそろえるということで、事実は廃止ですね。廃止が二千億円増だと言われましたけれども、じゃあ全体の現在の法人の課税総額に占める配当軽課税対象額は幾らなんですか。
  70. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) ただいま手元に持っております数字によりますと、全体の法人の所得の金額は約三十兆でございますが、配当軽課の対象となります所得は二兆七千億程度でございまして、先ほどの一割程度ということがその数字でございます。
  71. 井上計

    ○井上計君 ちょっと今細かい数字をあれこれ言っても私まだ計算もしていません、資料もありませんからわかりませんが、端的に言って現在の十四兆円の、六十三年度の法人税の税収予測約十四兆円ですね。これも先ほど言った実効税率が一・五七%しか下がらぬとすると、法人地方税がどうなるか、これは別として、現状のままと考えた場合に、十四兆掛ける一・五七というのは二千二百億円しかならぬわけですね。二千二百億円しかならないわけでしょう、トータル計算した場合。それで、さっきあなたが言われるように確かに四二%を三七・五%に下げますから、十四兆に対する一〇%強だから約一兆四千億円になると言われる。これは数字はわかるんですね、この面での計算は。  それからもう一つ、ちょっと疑問なのは、中小法人に対する現在の三〇%を二八ですか、もとに戻すわけですね、二%。これは五百億円になる。これは数字として私は理解できないんですね。中小法人に対する課税が、これはよく新聞報道もそうですし、それから大蔵省の発表も中小法人に対する課税は軽減税率三〇%とよく言われますが、実際はそうじゃないですよね。中小法人全部じゃないんですからね。要するに所得八百万円までの中小法人でしょう。あれは一般に相当誤解されているのは、中小企業は全部四二%ではなくて三〇%だというふうに非常に誤解されているんです。だから今後発表のときに十分ひとつ気をつけていただきたいのは、所得八百万円までの中小法人というよりも小法人と、中企業でも八百万円以下がありますけれども、これを特に明記をしてもらわぬと、これは随分誤解されていますから、ひとつ希望として申し上げておきます。  したがって、八百万円までの中小法人の二%が五百億円になる、これ一つ合点いかないんですね。時間もありませんし、余り議論をきょうはするつもりじゃなくて、私も参考にお伺いしたいということでお伺いするわけですが、いずれにしてもこの程度の法人税の減税では言われるように純粋に一兆二千五百億円という減税はとてもとても出てこないなという感じはするんですね、それは実効税率の計算からいっても出てこないわけですから。  それから、法人税をもっと引き下げていかなければ、先ほど申し上げたように、非常に時代の変化に対応する、即応する、あるいは将来の変化を先取りするような産業政策ができていっても、片方で税率がこういうことであれば、やはりどんないい政策を立案してもらっても、実施をしてもらってもなかなか税という問題で十分その成果が上がらないんではないか、こんなふうな気持ちが多分にしますので、きょうはお願いをしておきますけれども、先ほど申し上げた法定耐用年数の短縮、それから法人税率のさらに大幅な引き下げ、実効税率の引き下げ等というものを大蔵省においてもひとつ一層強く御検討をいただきたい、これをお願いをしておきます。特に御答弁要りません。あなたにこれ以上答弁を求めてもそれはお気の毒ですから要りませんが、そういう強い要望があるということを、私というよりも一般的に要望があるということを申し上げておきます。  質問を終わります。
  72. 木本平八郎

    木本平八郎君 大体同僚委員の質問でこの法案の審査はほぼ尽きたと思うんで、私もこの法案については、この法案法案なりに賛成するつもりですけれども、この際にちょっと頭脳立地のあり方というものについて、これはこれで今の段階はまあいいとして、将来どういうふうにした方がいいんだろうというふうな夢物語みたいなものを少し話し合ってみたらどうかと思うわけです。  それで、私の海外経験で、LDCのような程度の国でもいわゆるエンジニアクラブというのがあるんですね。私も一応入っておりました。そこでは、その土地のエンジニアが全部参加して、家族ぐるみでいろいろなパーティーをやったりセミナーをやったり、楽しみながらそのソサエティーを組んでいるわけですね。ところが、どうも日本人の感覚といいますか、日本ではそういう感覚が全然ないんですね。そういうクラブをつくってみんなで楽しみながらやっていこうという雰囲気が余り見られない。しかしながら私は、今まではこうして一生懸命働きバチでやってきて、研究開発もやってきたんですけれども、果たして今後はそういうやり方でいいのかなという疑問が最近あるわけです。  先日来ここでもやかましく、いや、この程度のことじゃ仕方ないんじゃないかということを繰り返し申し上げているんですけれども、この頭脳立地に関しても現在のところこの程度で仕方ないかもしれないんですね。大蔵省が予算出さないと言えば仕方ないかもしれないけれども、将来としてはもっともっと大きなスケールのことを考えていかなきゃいかぬじゃないかという気がするものですから、先般来と同じようなことを繰り返すようですけれども、この際ひとつ私の考えを申し上げて、そして通産省の方々のお考えもお聞きしたいと思うわけです。それで、まずきょうは実は御担当じゃないんですけれども、工技院の飯塚院長に来ていただいてひとつお伺いしたい。これは行政官としてじゃなくて研究者としてどういうふうにお考えなのかということをまずお伺いしたいわけです。  まず一番初めにお伺いしたいのは、筑波ができましてあそこへ皆さんお移りになりましたね。そのときに大分初めは抵抗があって、あんな田舎へ行くのは嫌だとか、いろいろ研究者の方々も抵抗されたようなんですけれども、最近は割合に落ちついておられるというふうにも聞いているんですけれども、初めに東京から筑波に移すというときにお感じになっていたことと実際に筑波に行ってからどういうふうに変わったかっていう辺のことをまずお伺いしたいんですが。
  73. 飯塚幸三

    政府委員(飯塚幸三君) 筑波に移転いたしましたのは、先生御承知のように昭和五十四年度、私どもの場合は昭和五十四年度で、概成の最終段階でございました。したがいまして、まだ周辺の施設等が必ずしも十分でない点がございましたが、その後約十年近くもう経過しておりますし、またつくば万博もございました関係で周辺の状況が非常に整備をされてまいったと思います。  また、工業技術院の研究センターに限って申し上げますと、当初からスポーツ施設とかあるいは住居等につきまして十分な配慮をしたつもりでございまして、おかげさまで関係方面の御理解も得まして、最近では研究者は非常に快適な環境で研究が進めてまいれるようになってきたというふうに申し上げられると思います。
  74. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで私、一つお伺いしたいのは、研究するときに、一般的には、スポーツと同じで、ハングリーにして相当興奮状態に追い込んでやらした方が効率がいいということが特に日本では言われるわけですね。根性論なんかもあるわけですね。技術程度、技師程度の研究開発ならあるいはそういう興奮状態に追い込んで刺激を与えた方がいいかもしれない。ところが、ドクターク ラス、あるいはもう少し大きくノーベル賞クラスの研究をしようと思うと、どうもそういうしりをひっぱたくだけではだめなんじゃないかという気がするんですけれども、研究者のお立場からはその辺はどういうふうに研究のグレードをお上げになってますか。
  75. 飯塚幸三

    政府委員(飯塚幸三君) 難しい御質問かと存じますが、まあ非常に集中力を集めまして常時研究をしているわけでございますが、やはり張り詰めた中にも若干のもちろん余裕というものが御指摘のように必要だと考えるわけでございます。やはり学会で発表するとか、そういうような、期日が迫っておるとかあるいは国際会議に提出をするというふうなことで、もう夜を徹して実験を進めるというふうなことがございますし、やはりそういう集中的な力を発揮するということが研究者には大事であると私、個人的には理解しております。
  76. 木本平八郎

    木本平八郎君 確かにそうだと思うんですね。それで、ただそういう学会だとか論文を完成しなきゃいかぬというときにはそれはそうだと思うんですけれども、一般的に、私の解釈では、少し余裕があって、たまには一日、雲の動きをじって見ていたとか——伏見先生おられますけれども伏見先生も、折り紙の名手で、研究室で何をやっておられるかと思ったら一生懸命折り紙を折っておられたというようなことで、こういう頭脳というか、こういう生活から本当の大きな開発とか発明とかが出てくるんじゃないかという気がするわけですね。  その点、日本の今までの開発のあり方というのは、私もメーカーの研究所とか技術者を大分知っていますけれども、悪く言えばブロイラーみたいに押し込められて、一生懸命卵を産まされているというふうなやり方が多かったわけですね。こう言っちゃなんですけれども、お役所の仕事も、皆さんのところに行きますと、書類がこんなになってて、ゴキブリと一緒になってもう必死になって徹夜して仕事をやられている。これはこれなりに仕方ないのかもしれませんけれども、これからの行政というのは少しゆったりとしておやりにならないと本当の行政はできないんじゃないかという私は気がするんです。  そういう点で、ひとつぜひこれは田村大臣にお考えいただきたいんですが、私は、地方頭脳立地をやる、全国四、五カ所、昔の旧制高等学校のナンバースクールを八つつくりましたね、あるいは帝大をつくったような感覚で、同じ場所じゃなくて全然別の少し広いところに、研究棟はもちろんあるわけですけれども、それ以外に住宅も今で言えば一戸建ての、少なくとも三百平米ぐらいの敷地に二百平米ぐらいのゆったりした住宅を持って、芝生のある家で、そしてその中には個人の研究室が別にちゃんとある。五分ぐらい行けば研究棟に行って実験もできる。それで、休日でなくてウィークデーでもいいですけども、メンバーシップのゴルフ場もあり、それから立派な池もあり、外国の場合には、その近くにセスナ用の三百メーターぐらいの滑走路もあるんですね。研究者が自分でひょいと乗ってさっと都会にまででも出かけていく。テニスコートだとかプールなんというのはもちろんのことですけれども、そこでコンベンションもやれればちょっとした学会もやれるしセミナーもやれるというふうな思い切ったそういうものをつくって、それでたまには研究者が研究のことを忘れて一日魚釣りでもしているぐらいの余裕のある施設をやはりつくらないといけないんじゃないかという気がするんですが、大臣いかがですか、御感想。
  77. 田村元

    国務大臣田村元君) いや、楽しいお話で、それができれば本当にすばらしいなと思って今拝聴しておりましたが、まじめな話が少し日本人あくせくし過ぎるんですよ。これは学者も政治家も労働者も、みんながあくせくし過ぎる。今おっしゃったようなモデルケース、土地がそれに伴いますかどうかという問題はあるでしょうけれども、政治家でもそうでございます。私ども伏見先生の折り紙が本当にうらやましいんですけれども、我々外国へ行っても感心することは、どんな公用があろうと何であろうと、いわゆる欧米の大臣なんか一カ月の休暇に入ると言ってぷっといなくなっちゃうんですよね。日本でそんなことをやったら首が飛びますよ、実際問題。でございますから、やはりゆとりというものは欲しいと思います。  ひとつちょっと悪乗りのようなことで申しわけないんですけれども、木本さんの御質問にちょっと便乗をさせていただいてお願いするとすれば、例えば委員会での我々の答弁、我々はこれは楽なんです。率直なことを言って、楽なんです、難しい問題もありますけれども。けれども補佐官以下になりますと、答弁書をつくるのに徹夜するわけです。これは本当にかわいそうなものでございます。せめて質問の中身を二、三日前に教えてやっていただいたらみんな本当に楽だろうと思うんです。中にはそういうことがあろうかと思って通告をしないという人もおられます。これはまた大変なことで、想定問答集のそれこそ大変なやつを一晩でつくらなきゃならぬというようなことでございまして、やはりこれも一つの心のゆとりの問題じゃないでしょうか。  土曜日なんか、私は部下を見ておりましても、若い連中、土日は遊ばしてやりたいと思います。ところが、土曜日の夜、こうこうと電気がついて日曜日の朝帰っていくというようなのも多いわけでございますが、今おっしゃったようなこと、そういうことを一つの代表的な問題としてとらまえて、これからいろいろとそういう感覚で行政に携わっていきたいと思います。
  78. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の質問取りの問題ですけれども、私も非常にお気の毒だと思うんです。それで、私の場合は、いままでもやってきましたよね。これはもう大臣だとか局長の方々、この場で十分にお答えいただけるような問題なんで何回も質問取りは要りませんと、わざわざ質問をつくっておいても私の悪い癖でしゃべりだすとこんがらがっちゃってそのとおりにしゃべっていないということが多いものですから、私も今後とも皆さんが徹夜しないようにということについては十分に御協力したいと思うんです。  ただ、ここで一つ提案があるんですけれども、今度四週六休制で土曜日が休みになりますね。あのときに、私はこれはむしろ議員の方の問題ですけれども、やっぱり国会も土曜日にやるということは遠慮しなきゃいかぬと思うんですね。せっかくこういうみんなで休暇を、二日制でやろうとしているときに、国会議員がみずからそれを踏みにじるようなことをしちゃいかぬと思うんですね。少々無理しても土曜日を外して審議するということが私は大事だと思うんです。国会が一番中心なんだからといって、そういうあんまり無理を強いちゃいけないんじゃないかと思うんですよね。これは全然別の機会に提案するわけですけれども。  それで、今の話に戻りまして、仮に私のようなそういう構想の、エンジニアセンターというか、そういうすごい研究都市をつくるとすれば、東京ではとてもじゃないが土地はだめですし、やっぱり地方へ行ってそれこそ原野を開発して、安い土地で広大なものを用意するということが必要だと思いますし、それから研究者というのは、私もそういうことの経験がないんですけれども、京都の哲学の道じゃないですけれども、森林公園のようなものをつくって散歩しながら思索するという環境も整えないといけないんじゃないかと思うんですがね。  そこで、先ほども話がありましたけれども頭脳をどうして集めてくるんだという問題があるわけです。私、これから我が国が目指すのに非常に大事なことは、外国人の頭脳流入だと思うんですね。これは、一つの文化国家になってきますと、自然に金も集まってくれば文化も集まってくるし、頭脳も集まってくるわけですね。今まで日本頭脳がアメリカに流出したことが多かったんですけれども、これから日本は積極的に外国と落差をつくってどんどん頭脳が流れ込んでくるようにしなきゃいけない。そうしないと、もちろん日本人が出ていくのはとめなきゃいかぬわけですよね。そ ういう研究開発というか頭脳の流入のあり方ということについて、飯塚院長に御意見を伺いたいんです。
  79. 飯塚幸三

    政府委員(飯塚幸三君) 外国人研究者との交流でございますが、これについては私どもも積極的に進めていく必要があると思います。また、そのために昭和六十三年度におきましては招聘制度を新たに設けたわけでございます。既に多くの外国人研究者が例えば筑波の研究センターでは働いておりますけれども、一層その内容について拡充してまいりたいと思いますし、また先生先ほど御指摘のように、創造的な研究を発想する上で必要な環境というようなものも筑波では相当程度そろっておるかというふうに思っております。
  80. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、やはり研究開発するのに異分子というか違う業種の人、それから外国人とか違う者を混合させないと、単一集団ではいい発想というのは出てこないと思うんですね。そういう点で、できるだけ今後外国人を引っ張り込んでいくというか、それからここだけの話と言ったって、これはすぐ会議録に載っちゃうからここだけの話にならないんですけれども、商社マン的な発想では、これだけの大きな設備をつくって、それで今のような住宅では外国人は来ないですから、住宅も立派なものにする。それは相当投資はかかるんです。仮に一億円かかったにしても、それで頭脳を一人吸引できれば安いものというか、コストは十分にペイできるという考え方なんですね。したがって、そういう面の投資というのは今後非常に効率がいいんじゃないかと私は私なりのそろばんをはじいているわけです。  そういう点で、できるだけ世界の頭脳を吸引するような発想で計画していただきたいというふうに思うわけです。局長、いかがですか、そういう考え方については。
  81. 安楽隆二

    説明員安楽隆二君) 全く先生の御指摘のとおりでございまして、国際化とかあるいは外国人、外国のプロフェッサー等との交流というのは極めて重要でございますので、これからこの頭脳立地構想の場合には十分頭に置いて努力していきたいと思います。
  82. 木本平八郎

    木本平八郎君 最後にお願いしたいんですが、要するに私は何回もこの委員会で申し上げていますように、細切れのことをしみしみやるのじゃなくて、もう日本もここまでの経済大国になって一つの世界的な責任をも負っているわけですから、ぜひそういうスケールの大きなことを考えていただいて、これはなかなか大蔵省が予算を出さないということもありますし、行財政改革の流れもございますので難しいと思いますけれども、これはもう何回も大臣にお願いしていますように、これはぜひ政治家として今後の日本の将来を引っ張っていくというか目指す方向として田村大臣にお願いしたいわけです。  最後に、しつこいようですけれどももう一度御所見を承りまして私の質問を終わります。
  83. 田村元

    国務大臣田村元君) 全くそれは私も同感でございます。  もう時間がないところでこういうことを言うのは恐縮ですが、私は昭和三十五年に建設省の政務次官をしたことがあるんです。そのときの大臣が中村梅吉先生でございました。中村梅吉先生は昭和三十六年度から始まる道路整備計画二兆一千億の有名な五カ年計画でございましたが、それを発足せしめるに当たって共同溝というものに重点を置けと、すべて共同溝に埋めるようにしなさい、そうすれば下水道にも使えるし電信電話、ガス、水道すべてに使えるということを熱っぽくおっしゃいました。ところが、結局当時の役人はそれを聞かなかったんです。それは量をたくさんつくりたかったんでしょう。もしあのときに中村大臣の御方針が生きておったとすれば、私、今世の中は変わっておると思うんです。  そういうふうに考えますと、今木本さんがおっしゃいましたことまさに至言でございまして、我々政治家として大いに心すべきものというふうに思っております。
  84. 大木浩

    委員長大木浩君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  86. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案に反対の討論を行います。  反対する理由の第一は、研究開発等ソフト部門の地域立地促進の大義名分のもとに、テクノポリス法などの産業立地政策の破綻に対するびほう策として大企業への支援措置を拡大し、地方自治体に大きな負担を強いるものになっているからであります。  本法案は、テクノポリス法では税制、金融上の措置や産業基盤整備などに限っていた助成措置を、産業支援団地の造成、NTT無利子融資、特定事業の移転資金、立ち上がり資金等への産業基盤整備基金の債務保証にまで拡大しています。その結果、例えば工業再配置法、テクノポリス法などによって企業立地を夢見て造成されながら未利用のままに置かれている工業用地は二万六千ヘクタールにも上り、九年分の工場用地があるにもかかわらず企業立地の保障もないままにさらにこれを拡大しようとしているのであります。これらの浪費のツケは、挙げて自治体と住民に新たな負担と犠牲を強いるものになることは明らかであります。  その第二は、異常円高容認、産業構造調整策の推進による産業地域経済の空洞化を前提にしているからであります。  政府円高政策と産業構造調整政策は、大企業の工場閉鎖や労働者の大量解雇、海外進出など身勝手な行動を助長し、地域産業経済、住民の暮らしに深刻な打撃を与えております。それにもかかわらず、本法案は異常円高、貿易摩擦をつくり出すまでの莫大な利益を上げている大企業に対して新たな優遇支援措置をとりながら、進出した大企業が地域経済に貢献すべき責務は何ら明記されていないのであります。  したがって、自治体は巨額を投じて支援策を必死で講じても、進出する企業の方は、条件がよければ進出するし合わなければ進出しない、情勢が変われば企業の都合で撤退、生産拠点を移転していくことも自由であります。  結局、大企業の責務、社会的責任を明確にしなければ真の地域経済の振興にならないことを指摘し、反対討論を終わります。
  87. 大木浩

    委員長大木浩君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  89. 大木浩

    委員長大木浩君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時十二分開会
  91. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する趣旨説明は先ほど聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 福間知之

    ○福間知之君 訪問販売等に関する法律審議に入るわけですが、近年のこの訪問販売によるところの消費者の被害の増加ということについては社会的な問題としても看過できない状況になっております。東京都の消費者センターが昭和六十一年度に受け付けた訪販トラブルというものは約七千七百件に上っておりまして、七年前のざっと約四倍に増加をしております。  この被害者の層につきまして見ますと、高齢者あるいは主婦、若者といったいわゆる社会的な弱者と言われる層が中心になっているようであります。このような被害者の層が偏っておる点については、昨年の当商工委員会におきましても特定商品等の預託等取引契約に関する法律審議の際におきまして、いわゆる豊田商事問題での被害者に高齢者、主婦等が多いという指摘がなされました。以来、実態は少しも変わっていないように思われるわけでございます。  現状のこの消費者トラブルにつきまして通産省はどう認識をされ、その原因なり背景はどこにあると分析をされておりますか。さらにこうした理由に対しまして行政府の対応といたしましてはどういう処置をとっておられるのか。私はお年寄りなどをねらうこの悪徳商法、これからもこれは増加すると思われますので、地域社会あるいは地方自治体といった行政庁の対応におきましても今後適切に対処してもらわなければならないと感ずるわけであります。  以上申しました総論的な一つの被害についての状況認識でございますが、通産省、経企庁、自治省、警察庁それぞれの立場で見解をお聞きをしたいと思います。
  93. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) まず全般的なことを、通産省でございますがお答えいたします。  通産省の消費者相談室、これは本省と各地の通産局にございますが、ここで受け付けました訪問販売に関する相談件数、これを時系列で見ますと、五十三年度には五百九十件でございましたが、六十一年度には千七百一件、約三倍この間増加しております。相談件数に占める比率も一割程度にすぎなかったものが六十一年度には二割を占めるに至っております。  それから、これはまた経企庁の方からお答えがあるかもしれませんけれども、国民生活センターそれから消費者生活センター等のものは、これは大変大きな数字でございまして、六十一年度十一万件で全体の三四%と承知しております。  中身につきましては、かつては品物の性能とか規格とか品質とかそういった物に着眼したものが多かったんでございますが、最近は契約の仕方とか契約条件等に重点が移り、また品物以外の役務が増加してきております。  さらにまた、その態様といたしましては、典型的な家庭の住居の訪問以外に、路上でお客さんに呼びかけるキャッチセールスとか、あるいは電話でいろいろ申し向けて呼び出して契約させるようにしむけるいわゆるアポイントメントセールスとか、こういう場所的な態様も変わってきております。それから、セールスマンの具体的な活動のあり方につきましても巧妙化、多様化、複雑化してきておりまして、例えば誤解を与えるようなセールストークに基づいてそうでなければ契約しなかったであろうものを契約してしまうとか、あるいはまた、強引な勧誘によって心ならずも契約してしまうとか、あるいはまた、法律で保証されておりますクーリングオフ、無条件解約権の行使をいろんな手口で妨げてその権利を行使させないとか、そういった態様がふえてきております。  さらにもう一、二これを砕いて例を申し上げますと、例えば誤解を招くようなセールストークとしましては、法令によって設置義務があるとか言って例えば消火器を売りつけるとか、あるいはそのセールスマンが、あるいはセールスマンの所属する会社が官公庁の許可認可を得ているというように誤解をさせるように申し向けまして相手方に信用をさせるとか、その他いろいろの手口がございます。  私どもは、こういった消費者トラブルの実態に対応いたしまして、一昨年の末以来、訪問販売等問題研究会という研究会の場で実態分析から始まりまして対応のあり方について勉強してまいりました。そして、その成果を踏まえましてさらに産業構造審議会にもお諮りをいたしました結果、答申をいただきまして、次の三つの柱によってこの状態に対処していくという考えでございます。  と申しますのは、一つは法規制の強化でございます。やはり正すべきものは法律によりましてきちんと正す、一罰百戒の効果を上げるということでございます。第二に、業界による自主規制の強化でございます。非常に数の多い現象でございますので、政府は全力を尽くしますけれども、業界の中でも相互監視といいますか、良貨が悪貨を駆逐するような仕組みを大いに活用していこうということでございます。第三が消費者啓発でございまして、最後は消費者自身が自分を守るという意識をはっきり持ってそれなりに努めていただく必要があると思います。この三つの柱に沿って今後の対策を講じていきたい。  その柱の一つとして法規制の強化でございますが、これにつきまして今回御提案申し上げておりますのがこの改正案でございます。そのほか、消費者啓発等につきましても所要の助成措置を講じていく考えでございますし、業界の自主規制についても必要な指導を行っていく考えでございます。  以上、概括的に申し上げました。
  94. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) まず、状況については先に事務方から説明させて、私の考え方を後に述べたいと思います。
  95. 吉田博

    説明員吉田博君) 国民生活センターあるいは消費生活センターに寄せられております消費者の苦情は、六十一年度で見ますと約三十九万件となっております。  その特徴でございますが、今通産省からも御答弁ございましたように、商品からサービスへ重点が移っているということ、それから販売方法であるとか契約方法の比重が非常にふえておるということがございます。しかも非常に悪質化をしておるという状況にございます。現状といたしましてはそういうことでございます。
  96. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 福間委員にお答えさせていただきたいと思います。  いわゆる悪徳商法というものに対しましては、従来から消費者保護基本法趣旨に基づきまして、消費者被害の防止のために、関係省庁、地方公共団体と連絡をとりながらその対応に遺漏なきを期すという形でやっておるわけでございます。  今からの問題といたしましては、何としても消費者の啓発の推進というものが一番被害の発生防止につながるのではなかろうか、このように感ずるわけでございまして、先ほど委員指摘がございました、比較的に若者、婦人、老人というのに多いということにかんがみましても、まず若者に対しては学校教育などの、幼児教育とは申しませんけれども、少なくともプライマリースクール、小学校の段階のころからは、そのような啓発に関する教育事項で徹底をさせていくべきであろうなというように感じます。  同時にまた、婦人並びに老人というものに対しましては、これは社会的な啓発を徹底して行わなければなりませんので、小学生あるいは中学生の場合はこれは文部省関係とも相談をいたしますが、同時にまた、関係各省庁といいますると、時に総務庁にも関係がございましょうし、もちろん通産は言うに及びませんけれども、厚生省等とも話し合いまして、この老人や婦人に対しても適切なる宣伝、適切なるこれに対する知識の普及というものに努めなければなるまい、このように考えておるわけでございます。  そのような意味で、これはある意味においては、被害者、加害者と、こう言いますけれども、時に私の目から見ましても、単なる被害者だけで主張でき得るのかと。ある意味においては加害者にもな り得るかもしれないという声もあるほど、ある意味においてはチャンスをねらっては自分自身ももうかったときには黙っておる、損をしたときには文句を言い出すというような面もないわけではございませんから、そういうことも含めまして、もう少しこういう点は徹底して教育普及の面が大事かなと、このように考えておる次第でございまして、関係省庁ともそのような形で対応していきたいと考えておる次第でございます。
  97. 小島重喜

    説明員小島重喜君) 消費者トラブルの未然防止につきましては、今も大臣からもお答えがございましたけれども、私どもも、何と申しましても賢い消費者をつくる、未然に防止をするということが最も肝要ではないかと思うわけでございます。  ただ最近、今お話ございましたように、いろいろ消費者のトラブルが起こっておることも、これはまた事実でございますので、こういうものに対して地方行政として一生懸命取り組むということは重要な課題であると私ども考えておりまして、現在それぞれの地域におきまして例えば消費者保護条例をつくる等々によりまして、各地方団体の実情に即して適切に対処しなきゃならないというように考えております。  自治省といたしましては、そういう中でやはり地方に対する財政措置というようなことも重要かと思いまして、所要額につきましても毎年度の地方交付税の基準財政需要額の算定に当たりまして所要額を計上しているというところでございます。
  98. 泉幸伸

    説明員(泉幸伸君) 悪質商法につきましては、高齢者の方を初め一般消費者が多大の被害にかかっている現状にかんがみまして、警察といたしましても悪質商法による被害の未然防止、拡大防止を最重点に、悪質業者の検挙と消費者に対する広報啓発活動を推進してきたところでございます。  ちなみに、昭和六十二年中に全国の警察で検挙いたしました訪問販売等をめぐる主要事件に関連して、警察庁が把握した状況を申し上げますと、被害者総数約十二万人、被害総額は約百三十五億円というような数字に上っております。  警察では先ほど申しましたように、悪質商法の被害者とならないように悪質業者に対する監視と徹底した取り締まりを行うことはもとより、効果的な広報啓発活動を推進することが重要であるとの認識のもとに、これまでもテレビ、新聞等のマスコミを通じての広報のほか、パンフレットの配布やひとり暮らしのお年寄り宅に警察官が立ち寄るなどして、悪質商法の手口や撃退方法をお知らせしたり、あるいは防犯座談会を開催するなど、その被害防止に努めているところであります。  今後ともきめ細かな広報啓発活動を行うとともに、悪質事犯に対する徹底した取り締まりを行っていく所存でございます。
  99. 福間知之

    ○福間知之君 今、通産、経企庁、自治省、警察庁、それぞれの立場で見解を述べていただきました。これはあえて私は四省庁に御足労を煩わした意味は、これほどこの訪問販売なり通信販売なりという今日の営業の態様がかなり広く社会的に拡散をし、またそこからトラブルが発生をしているということをお互いが認識をせなきゃならぬと、こういう意味であえて見解を求めたわけです。もちろん、この法律の主たる所管は通産省でございまするから、通産省として現在のこの改正案を提案されている立場ではあるけれども、なお問題がたくさん内在をしているような気がするわけでございまして、以下諸般にわたってお聞きをしたいと思います。  先ほど経企庁も申されましたけれども、長官も申されました消費者教育考える研究会ですか、こういうのも経企庁にあります。あるいは文部省と連携をして消費者教育に当たろうと、こういうこともやっておられることは承知をしております。この消費者教育なりあるいはまた若者に対する学校教育なりという点については後ほど触れたいと思っていますので、ここでは触れません。  そこで、豊田商事が破産したときのことを思い浮かべてみましても、通産省のそのときの対応というのは、消費者に対して言うならば十分気をつけなさいよというPRはかなり行われたようだけれども、消費者だけじゃなくて、業者に対してどこまで消費者保護という観点でチェックをされ、あるいは勧告なり要請なりをなされたのかということが多少疑問であります。  しかも、この種の問題は間々後追いになっているということですね。やはり時期を失してしまっているということにおいて、責任者がとんずらを決め込んでしまうというふうな場合が間々あるわけでありまして、そういうことを考えると、先ほど審議官申されたわけですが、一つは法制的な対応、あるいは二つは業界の自主的な努力によって相互監視のシステムも整えてもらわなければならぬとか、あるいはまた、消費者に対する啓発活動、三つ挙げられましたけれども、まさにこの三つが同時並行で、あるいはまた今の場合は本当に重点的に力を入れて、特に二つの問題ですね、業界に対する指導監督、消費者啓発というのは、法律上の整備ということとあわせて、特に能動的にやらなきゃならぬ私は事態ではないか、こういうふうに思っておるわけであります。  以下、幾つか具体的にお聞きをしたいと思いますが、まず訪問販売法のあり方についてでございますけれども、現行の法律は、五十一年に制定されまして、五十九年にクーリングオフ期間を四日から七日という変更がなされ今日に至っているんですけれども、その当時の国民生活なり消費経済構造というものと今日とはかなりさま変わりをしていると思います。  先ほども触れましたように、消費者トラブルの被害が拡大をしているということを考慮しますと、従来のいわば私的な対等当事者関係、対等当事者の間における契約締結あるいはまたその契約を履行すべきだというふうな観点をめぐってのトラブルとは質的に異なったトラブルが今は発生しているんじゃないだろうか。現に裁判にまで発展している例が多々あるわけでありまして、その場合往々にして消費者の方が被告になるという例が昨今はふえているんです。業者が被告になるんじゃないんです。消費者が被告になるという例がふえている。業者の方は裁判に備えまして十分に準備をいたしまして、対等平等な個人同士の行為を前提とする市民法の考え方では今やこの種のトラブルを防止するということは不可能になっている状況だと思います。  この法律改正案制定当時の趣旨と、その後実効性がどこまで上がったかということを踏まえまして、通産省はどういうふうな御認識をしておられますか、お伺いをします。
  100. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 先生おっしゃいますように、五十一年にこの法律を制定いたしましたときには、市民法体系、対等な当事者としての市民法体系の法律である民法に対しまして、いわば最小限と申しましょうか、若干の修正を含んだ法律として制定していただいたわけでございます。  具体的に申しますと、売り手と買い手の間の契約関係が不明確なことによるトラブルが多いということに着眼いたしまして、その契約内容を明らかにする書面を交付する義務を課するとかあるいは意思形成において消費者側に十分な自発性、自主性がないまま契約をしてしまうというところに着眼をいたしまして、無条件解約権を消費者に与えるというような形の法律だったわけでございます。ですから、そこには行政庁が積極的に割って入るというような条文がなかったわけでございます。  それに対しまして、御指摘のとおり、紛争が数もふえ内容的にも多様化し、また態様としても非常に悪質なものもふえてきたという事態に対処いたしまして、今回の改正案では、そういう当事者間の関係の明確化ということもさらに一歩前進させるようには考えておりますけれども、質的にさらに立ち入りまして行政庁が一定の場合には行政行為をもって介入していって直すべきを直させる、業務改善とかあるいは必要な措置を講ずることを命ずるとか、それでも聞かない場合には業務 の停止という形で制裁を加えるとか、そういう条文を今回は加えておりますし、また業者が行ってはならない行為を列挙いたしまして、あるいはまた省令で追加し得ることにいたしまして、具体的な行為の規制を行っております。そしてまた、これらの規制を実効あらしめるために報告徴収とか立入検査とかの規定を設け、罰則の整備等を行っている。  こういうような形で今回の法律は、先生のお言葉によりますと市民法体系からの距離をさらに一歩進めたという考え方で御提案申し上げている次第でございます。
  101. 福間知之

    ○福間知之君 ところで、この今の御答弁も要するに通産省当局として種々検討した結果のお考えと承知をいたしますが、検討された訪問販売等問題研究会、これについてお伺いしますけれども、約一年間かけて訪販業界などの取引適正化に各界の代表者によるところの議論が行われてきたと、こういうことでございますが、その委員構成はどうなっておりますか。
  102. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 訪問販売等問題研究会は座長が名古屋大学の森嶌教授でございまして、座長以下合計二十四名の委員の方で構成しております。内訳は学界とかマスコミ等、いわば中立のお立場の方が七名、それから消費者とか弁護士の方が五名、それから訪問販売通信販売業界及び今回は非常に対象が広くなっておりますので、種々のサービス業の関係とかあるいはクレジット関係の業界等からも御参加をいただきまして、そういった関係業界を含めますと、業界が十二名、合計二十四名で構成しておりました。
  103. 福間知之

    ○福間知之君 今の御説明でも弁護士と消費者団体で五名とおっしゃいましたね。その中で弁護士は二人じゃないですか。消費者団体は三名じゃないですか。弁護士と消費者まとめて五名とおっしゃったけれども、消費者は二十四分の三じゃないですか。これは私はいかにも少ない。あるいは弁護士は二じゃないですか。ジャーナリストは中立などとおっしゃったけれども、一概にそうも言えない。委員の構成ではそういうふうに少し問題があると思うんです。  また、討論スケジュールにつきましても、月一回か二回で、一年間十六回やられたと承知していますけれども、この種の会議ではいささか少ないんじゃないかと、こういうふうに思います。この改正案が提出されるまでのいろんな前提になる状況考えまして、私は多少疑問を持つわけであります。  今後、この種の研究会につきましてはぜひ消費者サイドにもう少し力点もかけて人員構成も願いたいし、あるいは運営もしたがってできるようにしてもらわなければ困ると思いますけれども、今後の運営についてこの構成を再考慮するお考えはありませんか。
  104. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 消費者の数を何とか少なくしようという意図でこういう構成になったわけでは全くございませんが、先生御指摘のことはよく心にとどめておきまして、今後類似の場を設ける場合によく検討させていただきます。
  105. 福間知之

    ○福間知之君 次は、日本訪問販売協会及び日本通信販売協会に関しましてお伺いします。  悪質な業者を締め出すためには、先ほどもお話がありましたように、業界の自助努力、あるいはまた相互監視の体制が必要だということは言うまでもありませんが、この日本訪問販売協会にしからば加盟していないいわゆるアウトサイダーがかなり多いと聞いていますが、同協会の会員数なり、あるいはインサイダーあるいはアウトサイダーの比率というもの、通信販売協会をも含めてお聞かせくださいませんか。
  106. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 日本訪問販売協会の会員数は、現在のところ企業会員百六十五社、それから団体として加入しているものが十九団体、この十九団体の下部にはさらに企業があるわけでございまして、これらを合計いたしました企業会員は約千五百社でございます。アウトサイダーがどのくらいかということについては、正確にはわかりませんが、大体同数程度でございます。したがいまして、企業数で数えますと、インサイダー比率は約半分ということになります。また、協会の推計によります売上高でこれを見ますと、インサイダーは企業の頭数では五割でございますけれども、売上高では約八割がインサイダーでございます。  それから通信販売協会の方は、同じく、会員数三百五十一社でございまして、こちらの方は推定インサイダー比率は一二、三%と見ております。しかし売上高で見ますと、通信販売の場合には非常に大手の有名企業がやっております関係もありまして、八割。企業数では一二、三%でございますが、売り上げではやはり八割がインサイダーと推定しております。
  107. 福間知之

    ○福間知之君 昨年の七月に、通信販売の現状と将来を展望する通販フォーラム87イン東京、何かこういう名前のフォーラムが赤坂プリンスで開かれたと承知しています。この会議で北畠課長は、通販業界に対しまして、クレームの増加を指摘するとともに、その対策として誤配遅配の防止、あるいは返品特約の拡充、苦情処理体制の整備などの強化を訴えたと承知していますが、現状を見る限り、通販に関する苦情について見ると依然としてふえ続けておると思います。通販よお前もかと言われるような状況が生まれているわけですけれども、こういうことの防止のためのポイントというものはどのようにお考えですか。
  108. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 通販は訪問販売に比べますとトラブルは相対的には少ないと思いますが、しかしふえておるのは御指摘のとおりでございます。  この背景としては、やはり通販が現在いろいろな形態の小売業の中で抜きん出て成長率が高いということが背景にまずあると思うのでございます。これは、生活パターンの変化と商品多様化によるものだと思います。特に家庭の主婦、女性の外出時間が長くなったということから、買い物は通販が便利だ、夜うちで家族で相談をして買い物ができるというようなメリットもあるんではないかと思いますが、そういったことを背景にふえておりますし、またトラブルも多様化しつつあると思います。  その態様といたしまして、主要なものは、いろいろございますけれども、表示広告の不適切というのが多い。それから、決められたあるいは広告にうたわれていた期限に品物が届かない。そのほかに、品物に欠陥があるというものもございます。概括的に申しますと通信販売の問題点はそういうところにあろうかと思います。
  109. 福間知之

    ○福間知之君 それはまたもうちょっと後ほど触れたいと思いますが、厚生省に来ていただいていますので、ちょっと先に触れたいと思うんです。  医薬品の通信販売に関する質問でございますけれども、最近医薬品のカタログ販売というのがかなりふえつつあるような気配でございます。お隣の神奈川における生協におきましては五年ほど前から実施をしておるようですが、最近このかながわ生協とかなりタイアップしながら、共同でカタログつくったりしてやっている静岡の生協がやはり医薬品のカタログ販売をやろうとしたわけですが、その場合に、神奈川県側から薬事法違反ではないけれども好ましいことではないというふうな県側からの話があった。もちろんこれは県は厚生省と相談をした上で厚生省の意見を伝えたわけでございます。その結果、これは中止することになった。静岡で生協でやろうとしたのが、静岡は中止することになった。厚生省からお聞きすると、これは中止じゃない、延期だとおっしゃっていますが、事実上中止にせざるを得ないだろうというふうに当事者は言っております。これは、三月三十一日に厚生省は医薬品のカタログ販売についての通達を出しましたね。その中身が余りにも細か過ぎるということが一つの理由のようであります。こういう事態についてはどういうふうに認識をされておりますか。
  110. 舩橋光俊

    説明員(舩橋光俊君) 医薬品のカタログ販売の問題でございます。  医薬品はその性格上国民の生命に直接かかわる 商品でありまして、薬事法によりその販売は許可を得た店舗による販売が原則とされております。厚生省といたしましては、医薬品の販売につきまして従来より対面販売の方式、つまり一般消費者に対し薬剤師等が直接効能効果、副作用あるいは使用取り扱い上の注意事項などを告げて販売する方式を指導してきたところでございます。  しかしながら、御指摘のように医薬品のいわゆるカタログ販売につきまして、近年いろいろな事例が見られるようになりましたところから、今般通知の形で厚生省のこの問題についての考え方を明確化したところでございます。  その内容といたしましては、まず医薬品の望ましい販売のあり方は対面販売の方法であることを基本にしております。その上でカタログ販売の形態に関しましては安全性を確保するという観点から、最低限守るべき条件を示しております。すなわち、第一に、販売店舗の名称、販売する医薬品の名称や効能効果、使用に当たっての注意などをカタログに記載すること。第二に、医薬品の使用に関する問い合わせに応ずる能勢を整えること。第三に、販売できる医薬品は副作用のおそれが少ないものに限定することなどであります。  厚生省といたしましては、今後このような考え方に基づきまして関係者を指導することとしております。
  111. 福間知之

    ○福間知之君 今の御説明を聞きますと、医薬品は対面販売が原則的に望ましいと、こういうことですね。要するに、薬局へ我々が行って薬局のおじさんと話をしながら買う。これは常識ですな。だけども、現に通販というルートでもって医薬品が販売され出してきた。これはとめようがないという一応認識に立っておるんですかね。対面販売がいいんだと、対面販売がいいんだとすれば対面販売ということで割り切ったらいいんじゃないですか、指定商品から外せばいいんじゃないですか、とも考えられるわけです。  ところが、厚生省はそうじゃない、胃腸薬はいいけれども、風邪薬は副作用が多いからだめよと、言うならば、安全性を確保するというこういう考えで通達を出しているわけですね。しかも、そういうふうにどんどんと通販がふえてくると、みだりに社会的に問題を惹起してもいけないからルールをひとつつくらなきゃならぬ。厚生省という役所の立場ではそういう発想も無理からぬと思うんですけれども、これはどうなんですか、通産省も商品というものを考えた場合に、医薬品がそうなってくるというようなことはとても考えられなかったんじゃないかと思うんですけれども、そういう事態が起きているんですね。これは厚生省も今ちょっと困っておられるんですかな、この扱いについては。恐らく薬品メーカーはどんな姿でもいいや、売れれば結構だというに違いないんですから、ここらあたりの本音はいかがなんでしょうか。
  112. 舩橋光俊

    説明員(舩橋光俊君) 大体において委員指摘のとおりでございます。原則的に医薬品は対面販売、薬局等で買っていただきたいというところでございます。ただ、最近の社会経済情勢の変化から、通販に対する需要みたいなものも一部であることは事実でございます。しかし、そうはいってもやはり原則がございますので、原則の範囲内で認められる安全性の高いものだけはカタログによる販売というものを認めようということにしたものでございます。ただし、その内容については、カタログでかなりいろいろな医薬品に関する注意等は詳しく書いていただくということを示しております。
  113. 福間知之

    ○福間知之君 厚生省、だんだんとそういう販路が拡大をしてまいりますと、静岡の一件で、静岡県医薬品小売商業組合が厚生大臣あてに陳情書を出しているわけですね。これは一口で言えば、今おっしゃった対面販売でやられると薬局が困るという立場からの陳情だろうと思うわけなんですよ。行く行くは薬局業としては、そういうことが拡大していってしまうんであれば、事実上一件か二件かの免許を持った薬剤師の名前を借りてやるわけですから、薬事法の改正をすべきであるというふうなところに帰結するわけなんですが、そういうお考えはあるんですか。
  114. 舩橋光俊

    説明員(舩橋光俊君) 御指摘の要望書については私ども承知しておりまして、そのことも踏まえましていろいろな情勢を検討した結果、去る三月三十一日に通知という形で出したというものでございます。この通知は、薬事法の三十七条の店舗による販売というものはどうあるべきかということの解釈として出したものでございまして、当面このルールによって指導していきたいというふうに考えております。薬事法を今直ちに改正するというような考えはございません。
  115. 福間知之

    ○福間知之君 医薬品の問題はきょうはその程度にとどめたいと思いますが、かなり問題が後を引きそうな気配を感じております。通産の方でもせっかく配慮をひとつお願いしたいと思います。  次に、訪問販売業界の今後の見通しに関しましてお伺いをしたいと思いますが、この訪販の中で今日不振が目立つ業界の一つに化粧品の分野がありますね。無店舗販売ランキングトップのP化粧品、御承知のとおりでございますね。P化粧品のマイナス成長に代表される今日の状況なんですが、その理由といたしまして一つは主婦の社会的な進出による在宅率が低下をしていること、二つ目には市場が飽和状態にあるなどの要因が挙げられておりますが、最近に至りまして化粧品のほかにミシンや寝具などにつきましても訪販の停滞が始まっておるようでありますが、今後の見通し、さらには逆に伸びる分野というようなものはどうなのか。落ちる分野と反対に伸びる分野というものはどういうふうに見通しておられますか。
  116. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 訪問販売で売られている品物の類別の増減の状況を見ますと、確かにこのところちょっと様子が変わってきております。もちろん全体も伸び悩みでございますが、なかんずく化粧品が六十一年には前年比約一〇%ほど落ち込んでおります。そのほか書籍、教材も九%の減、健康食品はたまたま前年四割増という大きな増加をした後で、その反動かと思いますが、四九%減というようなことで、従来訪販の主力をなしていたものの幾つかが様子が変わってきていることは事実でございます。しかし他方、家庭用品のカテゴリーが前年比四二%の増でございまして、これは今申し上げているのは六十一年でございますが、前年の六十年にも一四%伸びておりましたから、家庭用品は二年続いて大幅な伸びでございます。  さて、これ全体の動向をどう判断するかでございますが、まずトータルにつきまして、今までずっと前年比二けたの増加を示してきておりましたのが、六十一年に至って五%増ということで落ち込んだのでございますが、これの評価でございますが、六十一年は小売全体の売り上げが前年比一%という低い伸びでございましたから、これと比較すれば五%というのは高い伸びではありますが、そのとき通信販売の方は一七%伸びておりますので、訪販、通販といいますけれども、通販と比較いたしますと、非常に頭打ちの傾向が見られるわけでございます。  どうしてそういうことになったかということでございまして、これはまだここ一、二年の傾向ですから断定的なことは申し上げにくいのですけれども、御指摘の主婦の在宅率の低下というのが大きく響いているのであろうということは関係者の大方言っているところでございます。そのほか、ここ数年訪問販売にかかわる消費者トラブルが非常に多発いたしまして、社会的に大きな話題になったということもかなり響いているのではないだろうかと思われます。  今後につきましては、そういうわけでなかなか予測は難しゅうございますけれども、ここの趨勢を見れば、製品の多様化等を背景に従来比較的まだ浸透していなかった家庭用品の分野はなおしばらく伸びるのではないかと見る人が多いようでございます。
  117. 福間知之

    ○福間知之君 まあいいでしょう。ここで我々国会がどの分野は伸びて伸びないというようなことをあえて社会に公表するようなことは余り望まし くないと思いますので、その程度でいいです。  ところで、公正取引委員会にお聞きをしたいんですが、P化粧品に対する個別指導の問題についてであります。公取委はP化粧品に対しまして、再販維持の問題とか、本社と販売者間における商品取り扱いは果たして買い取りなのかどうなのか、あるいは三つ目には決済方法あるいは本社の優越的な地位の乱用、五つ目には不公正取引、六つ目には返品及び景品問題などなどについて個別指導したことがありますか。あればその内容について明らかにしていただきたいと思います。
  118. 土原陽美

    政府委員(土原陽美君) 公正取引委員会では昭和五十八年から五十九年にかけまして訪問販売化粧品業界の取引の実態等について調査をしたところでございます。その結果、訪販化粧品メーカーとその営業所との取引が形式上は委託販売になっているけれども、実質的には売買であって再販売価格の拘束となっていないかと見られるような状況あるいはまた営業部員の募集に際しまして、事前に適切な情報が開示されていないといった状況等が一部に見られたわけでございます。そういうことでございましたので、昭和五十九年の十一月に、今先生御指摘の企業を含めまして個別に契約等の指導を行いますとともに訪販化粧品工業協会に対しまして会員企業の取引の改善を推進されたい旨の要望をしたところでございます。  これを受けまして、訪販化粧品工業協会の方は昭和六十年の十月に自主基準を作成いたしまして、会員企業の取引の改善を図っているというふうに私どもは承知しております。
  119. 福間知之

    ○福間知之君 第百二国会、衆議院商工委員会でございますけれども、訪販化粧品業界の問題点が取り上げられました。  公取によりますと、そのときに六つの化粧品会社に対して独禁法上問題にならないように公正取引をするように改善指導をしている、こういうことが明らかにされたんですが、それは今おっしゃられた話ですか、六社と聞いていますが。しかも、まあ私はこのP社あるいはまたS社が入っていると、こう見ておったんですが入っていないようですけれども、それならばどこが対象になったのかということですけれども、それはともかくこの改善命令が十分にその後浸透しておるかどうか、公取としてはどうお考えでございますか。
  120. 土原陽美

    政府委員(土原陽美君) 今御説明いたしましたように、工業協会の方も自主基準をつくって努力しておりますし、また個別に契約等是正を要請しました企業はその辺の改善を図っていると思っております。  私どもとしましては、今後ともその自主基準あるいは我々の指導というのを遵守しているかどうか十分見守っていきたいと思っている次第でございまして、これからも独占禁止法上問題となるような具体的な事例等が出てきた場合には厳正に対処してまいりたいと考えております。
  121. 福間知之

    ○福間知之君 同じように指導をされたS化粧品総合本舗、かなり悪質な販売をやってきたために、これは通産省や東京都の消費者センターなど関係機関が行政指導あるいはまた倫理綱領の遵守等を通達されたようでありますが、実効は上がっておるとお考えでしょうか、あるいは消費者からの苦情はいまだに続いているんじゃないですか。
  122. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) お尋ねの個別な案件につきましては、ただいま具体的な資料を持ち合わせておりませんので、お許しいただければ調べまして後ほど御報告させていただきたいと思います。
  123. 福間知之

    ○福間知之君 公取は。
  124. 土原陽美

    政府委員(土原陽美君) 今先生御指摘の事案は、私ども十分承知していないところでございます。
  125. 福間知之

    ○福間知之君 実はその肝心なところで明確な答弁がなされないわけで、要は行政指導とか倫理綱領を守れとか言っても馬耳東風でね、面従腹背で、ある時期までは頭を隠してしり隠さずで行く、こういう傾向がこの種の問題の場合あるわけですね。  私がお聞きしたいのは、なかなかそういう実情だと仮定するならば、やっぱり業務停止という権限発動をあるいはする必要があるんじゃないのかということをお聞きしたいわけです。先ほど一罰百戒ということをおっしゃったでしょう。そうなんですよ。単に机の上でやわらかに話しているだけじゃなかなか実効は上がりにくいという、そういう趣旨でお聞きをしているんですけれども
  126. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 今の個別のケースに限らず一般的にお答えいたしたいと思いますが、これまでは確かに行政庁の関与する仕方というのは限られたものしかなかったわけでございます。限られたものというよりもほとんどなかったわけでございます。今回は、その改善指示とか業務停止とかあるいは立入検査とかございます。随分変わってくると思います。  今までですと、事情を調べるにしてもとにかく役所に来ていただきまして、あくまで協力ベース、納得ベースで、一体どういうことになっているんだと事情を聞いて、それに基づいて改善指導をしているわけでございますから、向こうが事情を隠す気になれば、それをもう徹底的に調べることは正直言えば非常に難しかったわけで、周りから傍証で固めていくしかなかったわけでございますけれども、今度はおかしいと思えば直接事業所へ立ち入って調べることができますし、帳簿書類を点検することもできますので、必要に応じてこの権限を有効に活用し、指導がいいかげんに終わらないようにしたいと思います。
  127. 福間知之

    ○福間知之君 なかなか調子のええことをおっしゃるけれども、期待していいのかどうかちょっと疑問でございましてね。確かに今回の改正で一歩前進したというふうに私も率直には思いますけれども、なかなかやはり業者の側は業者の側で新たな法律ができればそれをいかに上手に脱法するかということを考えるわけでございまして、イタチごっこみたいな関係が続いているわけであります。  ところで、この訪問販売のトラブルが先ほど来触れていますように多発をしておる中で、今回の改正でも要するに訪販業者の行為に関しまして規制をするということのみでありまして、訪問販売業というその業種に対して、そのものの規制を行うということではないわけです。この点、かつて同じように消費者トラブルが多発しました不動産取引だとか、いわゆるサラ金等については宅建業法やサラ金業法でもって一定の資格を備えた者に対してのみ営業が許されている、こういうことになっています。その結果、この不動産取引やサラ金においては以前に見られるような激しいトラブルは昨今は影を潜めております。  こういうふうに業規制というものを行わない限り、訪販についても今後トラブルが減少することはなかなか期待しにくいんでございます。宅建業法やサラ金業法によってその職を追われたところの悪質な業者というものがかなりこの訪販業の方に侵入、なだれ込みをしてきているんじゃないかとも思われるわけでございますが、訪販業というものについてどうなのか。私は子供の時分から大阪で育ったんですが、富山の薬売りというのがありますね。非常にほのぼのとして、しかも極めて常識的で、業者も信用を第一の売り物にして年に何回か訪問をされてくる、こういうふうな信用のあるやり方をみんなが心がければ、許可制だとかなんとかいうようなことを私はあえて必要だとは言わないんですけれども、どうも世の中は必ずしもそうじゃないようでございますので、訪販業については業規制というものがやっぱり必要じゃないかなというように感ずるんですが、いかがですか。
  128. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 業規制の必要性についてはそういう御意見も各方面にございました。そこで、先ほど来申し上げました研究会、それから産業構造審議会におきましても大きな議論の柱の一つとしてこの開業規制問題が検討されたわけでございます。  結論といたしましては、お諮りしております法案ではこの開業規制を取り入れなかったのでございますけれども、そういう結論に到達いたしました理由といたしましては幾つかございますが、ま ず第一に、これは教科書的で恐縮でございますけれども、何らかの開業規制をかけるということは、それなりに営業の自由の原則に対する例外でございますので、これはなかなか慎重に検討する必要があるということで、そのほかの方法でどうしても目的を達することができないんだろうかという点の詰めがなお必要ということでございます。  特に、この訪販につきましては関係する企業の数が非常に多いわけでございます。先ほど御質問に対しまして協会のインサイダー千五百社、アウトサイダーも約同数と申し上げましたが、これはいわば会社形態をとっている企業だけ申し上げたわけでございますが、そのほかに個人営業の形で訪問販売をやっている人がたくさんいます。これは家庭の主婦が何とかレディーという形で化粧品を売っているのがたくさんあることは御承知かと思います。この大半は会社の従業員ではございません。会社との関係では独立の営業主という契約を結んでおりまして、個人営業、個人商人という形で営業しておりますので、法律的にはこれも開業規制をすれば規制を受ける義務者になってまいります。  そのほかに、小売店というのは百六十万ございますけれども、百六十万の小売店のかなりのものが定期的または不定期的に訪問販売をやっているものがございます。したがいまして、これも規制対象に入ってまいります。そういうわけで、数十万あるいは百万にも及ぶ零細な営業主にこの開業規制の網をかけるということになりますが、そこまで今やる必要があり、またそれが適切、効果的であろうかという点はなお問題があるように思われます。  次に、それでは悪質なものはごく一部なので何とかそれをより分けて、そこだけ網をかぶせるような工夫ができないだろうかということも検討いたしたのでございますけれども、なかなかいい方法がない。無理にそういった線を引けば、それを利用して悪質なものほど脱法で逃げてしまうんではないか、こういったいろいろな問題点がございました。  他方、仮にこの百万を超える対象に網をかけるといたしますと行政庁としての事務も相当膨大なものになります。非常に簡素な開業規制にいたしましても、それでも膨大な数のものについての届け出書類あるいは登録書類の真偽のほどを確かめるということは最小限必要ですし、その変更の後それをトレースしていくこともどうしても必要になります。そこで、限られた行政体制のもとで現在最も有効に対処するためにはどうしたらいいかということを考えた場合に、開業規制という形でそこにエネルギーを投入といいますか、分散投入になるわけでございますけれども、それよりもその悪質な業者に関する情報をいろいろな手段でできるだけ漏れなく集めましてこれをフォローする、そしてそこに重点的に監督、取り締まりの目を向けるということが、今この段階においては一番適切、効果的なんではないだろうかというふうに考えたわけでございます。  そういう観点から、開業規制という形を導入いたしませんでしたけれども、できるだけ工夫をいたしまして、悪質な業者の所在なり動向なりについては把握をしてまいりたい。  たまたま本日の新聞に報ぜられておりますけれども、昨日から日本消費者協会を中心といたします関連十一団体の間で、当省の指導によりまして消費者トラブルの情報交換のネットワークが、コンピューターを使うものが稼働を開始いたしました。当面はこれはテストランでございますので、今いわば実験的にまず動かしてみるわけでございますが、こういったものも活用いたしまして、各地のトラブルがありますと、どこで何という業者がどういうことをやったというものを入れまして、これがお互いに共有情報になる。そういたしますと、おっしゃるようにある業界から悪質な業者が当訪販業界に流れてきた場合に、一体どこでどういうことをたくらんでいるのかというのが非常に明らかになる。これはまだ始めたばかりでございますから断言できませんけれども、かなりこれを追及しやすくなるんではないか、もちろん従来型の情報交換網によるものも併用いたしまして、こういったことで全力を挙げてまいりたいと思っているわけでございます。
  129. 福間知之

    ○福間知之君 詳しく説明がありましたので質問を省略いたしますけれども訪問販売を自由に認めるということが消費者にとって果たしてどうなのかという観点一つ大事だと思うんです。  総理府の調査によりますと、これはどれだけの質問を発したのか知りませんが、回答者の八四%が訪問販売は必要ない。さらに回答者の六四%が被害に遭ったことがあるという調査結果が総理府の調査で出ているようでありますが、そうであるとするならば、その限りにおきまして訪問販売を自由に認めることのメリットはほとんどない。むしろこれを業として規制する必要の方が当を得ている、今の被害の状況から見ても、また、これからの見通しを考えても、かなり厄介ですから業としての規制をする方が当を得ている。  それで、今御説明にあったように、正当に商売をしている業者は、むしろ業として規制してちゃんとやってもらった方が、悪貨が良貨を駆逐するのじゃなくて、良貨が悪貨を駆逐することに通じて消費者保護にもつながる。こういう観点だろうと思うんです。確かにこれは非常に難しいです。私も業として規制するためには大変な手数がかかるということはあるんですけれども、その前に、今申したように果たしてそういう訪問販売などが必要なのかどうかということです。これも一遍原点に返って考えてみるべきです。  もちろん諸外国においてもそういうものが否定されていないというようなこともこれは承知をしておりますが、日本の場合は非常にその点事情は種々ふくそうしておりますね。先ほどの御答弁の中でも、また私も申し上げましたけれども、主婦が不在であるというケースが多い。その不在の主婦は他の訪問販売で仕事をされているということも考えられるわけですね。あるいはまたどこかへパートで働きに行っておられるというような、そういうように非常に複雑に社会の勤務形態というものが錯綜しておりましてね。そういう中での事柄ですから、一概にこの業規制が必要だと、こういうふうに私も断定はしかねるのですが、かなりそういう気持ちに近いものを最近は感ぜずにはおれないというふうに思います。  警察庁から先ほど被害状況の御説明がありましたのでお聞きしませんけれども、そういう被害状況というものは氷山の一角なんですね。大体弁護士会によれば、一%であると、実際はそれの百倍以上被害が出ているんだと、こういう見方をする向きもあるんです。だから、数字でごまかされちゃならないというふうに思います。  次に、そういう被害がふえておるという中で、これは業者が手をかえ品をかえ広範多岐にわたって商品を扱っておるわけですから、規制を厳しくしてもなかなか効果につながらないという面があります。もともと詐欺を目的とするグループが一部に存在するわけですから、そういう集団が善玉を装いまして法規制の網をくぐって訪問販売を展開していると、こういう姿があるわけです。したがって、摘発を受けたらすぐ倒産してしまって夜逃げ同然に責任追及ができないような、そういう事態も発生をしております。  そこで、一つ考え方として、今回の法改正のキーポイントとされた届け出制や指定商品制の廃止を採用しなかった代償といたしまして、消費者以外に関して国の責任で救済措置を考えるべきではなかったかなという考え一つするわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  130. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 大変難しい御質問でございまして、国の責任の範囲というのはどこからどこまでというふうに考えるか、または救済のあり方というのもいろいろな考え方があろうかと思うんでございます。  私どもはまずやはり被害の発生をできるだけ防止するということでこの法律改正をお諮りしておりますし、また消費者啓発等についてもそういった趣旨で幾つかの措置を講じつつあります。業界 にもそういう意味努力を要請しております。  中心はそういう制度面の整備であろうかと思いますが、現実に何か事故が発生した場合、消費者の救済をどう考えるかということでございますが、これはどうも今のところは、いわば制度として何か考えるというのはいかがかと思うわけでございまして、個々のケースに応じまして消費者が相手の業者の責任を追及しやすくするような仕組みを考えていくということではないかと思います。あるいはまた個々のケースで、消費者が危ないと思ったときに解約できるということでクーリングオフ制度を使いやすくするというようなことではないかと思うわけでございます。  しかし御指摘でございますので、そういう問題意識につきましては今後とも実態を見つつ勉強を続けていきたいと思います。
  131. 福間知之

    ○福間知之君 次に、今回の改正に当たりまして、指定商品にプラスして指定役務というものを対象にされたことは一定の評価をしているところでございます。しかし先ほども触れましたように、指定商品であれ指定役務であれ、被害が発生した後で対策をせざるを得ない、こういう傾向があるわけです。したがって、翻ってこの指定商品、指定役務制度を維持している限り悪質な訪販業者はなくならない。指定されていない商品を一生懸命に探したりして新たなサービス業を行おうとする。  この点、制度の合理性という面から考えまして、指定商品制などをとるよりも、一般的に訪販取引規制した上で、日用品や食料品などの生活必需品等に限って訪販法の規制を行わないところの除外方式というものをとる方がいいのじゃないか、実態に即しているんじゃないかと思われるんですが、そういう除外方式をとらない理由はいかがなものですか。
  132. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 指定商品制がいいか除外商品制がいいかというのも論議としては大きな論点でございます。この点も研究会、産業構造審議会で十分御議論をいただいたわけでございますが、やはり現行法の指定制を維持することが適当であるという結論になったわけでございます。  その理由は、一方におきまして、御指摘のように、あらゆる商品が適用になるということであればそれは消費者保護という観点から非常に評価できることでございますけれども、一方法制度といたしましては、規制は必要最小限の法規制にとどめるべきだという考え方もございまして、いわばその折衷といたしまして指定制になっているということでございます。  さて、考え方としては指定制と除外制とは大きく違うんですけれども、現在指定商品制で指定ができないために大変問題になっているものはどんなものがあるだろうかということで具体的に考えてみますと、実は商品に関しましてはほとんど指定をしてしまって大きな問題はないというのが実情でございます。ただ現行法では、日常生活の用に供するものであって定型的な条件で販売に適するものを指定するということになっておりますので、現行法のもとでは指定したくても政令指定ができないものというのが幾つかございまして、これは問題が残っていると思います。  典型的には金地金でございまして、このようないわば財形的な動機で購入されるものは日常生活の用に供するものと言えないものですから、これは今指定できないわけでございます。今回の改正案では、この日常生活の用に供するものという要件を外すことにしておりますので、指定制を維持しましても今度はこれは指定し得ることになります。  金は改正法施行後に指定する有力候補として検討されることになると思いますが、金とか、あるいは日常生活かなということで疑問があってちゅうちょしていたものとして墓石なんかもございます。その程度、幾つか、二、三のものがいわば懸案でございますけれども、これは今回解決できることになります。したがって、実務的には指定制でも除外制でもそう大きな差が実はございません。役務の方につきましては、これは非常に千差万別でございますし、新しい役務がいろいろ出てまいりますので、それに伴う問題が一体どこにあるのかというのをチェックいたしまして、やはり当面指定役務制ということで法を適用していくのが適当だろう、こういう結論になったわけでございます。要はしかし、ぐずぐずして行政が怠慢なために問題を大きくするということのないように機敏に対応をしていく必要は痛感しております。
  133. 福間知之

    ○福間知之君 次に、中途解約権についてお伺いをしたいと思います。  役務取引規制対象になったわけですから、役務取引というものの多くは継続的にサービスを提供させるという取引形態でありますし、商品提供についてもまた継続的に引き渡しが行われるものが多くなっております。これらの継続的な供給契約において、消費者が契約継続中に商品役務をもう必要としないということになった場合、契約を継続させることの合理性はもうその時点でないわけであります。  消費者の利益のために将来に向かって契約の中途解約をする権利、これを認めるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。これは一部方法については私も別途の考えはありますけれども考え方としてこの中途解約権ですね、これについてはいかがでしょうか。
  134. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 中途解約権が実は法律論としては研究会の議論でも最も難しかったものではないかと思うわけですが、継続的契約というものについてなかなか法律学者の間でも議論がいろいろあるようでございます。それと実態の方も、消費者の方が一般的に継続的契約だとおっしゃっているものの中に、実は整理してみますと法律的には非常にいろんなものがございまして、ただいま先生御指摘のような役務提供、これが典型的な継続的契約じゃないかと思いますが、例えば物の賃貸借とか何かのレッスンとか、こういったものを継続的にやっていてもうやめたくなったというようなケースでございますが、そのほかに例えば文学全集とかレコード、CDを毎月何枚ずつ買うとかいうようなもので、全体が一括して契約されていて物の引き渡しが何回かなされるようなもので、これは狭義の継続的契約ではないのじゃないかと思いますが、そういう実態も実は複雑でございます。  そこで、これを法律上解除権、解約権を仮に規定いたすとなりますと、いろいろ同時に解決しなければならない問題がありまして、この場合には何か瑕疵があって解約されるわけではなくて、状況の変化によってもうこれ以上は要らないからという解約でございますので、当然供給者、相手方に対して一定の補償はしなければならない。それは個々のケースでやるということであれば、現在でも民法で一定のことができる。したがって特別法でやるとすれば、そこを非常にやりやすくするために定型化した何かパターンをつくっていく必要があるわけでございますが、これは千差万別な役務については大変難しい問題でございます。そういったこともありまして研究会ではいわば継続審議ということで、私どもなお勉強せいということでお預かりしたわけでございます。  法律に入っていないわけでございますが、個々のカテゴリーごとにどういう合理的な条件ならば認めるのかということは、これは検討し議論し得るものでございまして、役務一般について制度化が難しいからということにこだわらずに、典型的なものにつきましては、勉強をいたしまして、当面法制上は改正法に盛り込んでおりませんけれども、業界に対する指導によりましてできるところから、そういったことが自主的に行われれば好ましいことだと思いますので、必要な指導はやってまいりたいと思います。
  135. 福間知之

    ○福間知之君 研究課題として残されているということですか、今のお話では。具体的なやり方としてはいろいろ問題がある、困難性があるということで恐らくそうなっているんじゃないかと思うんですけれども、やっぱり消費者の立場に立って何らかの解約権というものについての手段考えていくべきじゃないかということを申し上げておきたいと思います。  次に、訪販業者の禁止行為についてお伺いをしたいと思いますが、長時間にわたる勧誘や執拗な勧誘、あるいは刑法上の詐欺に該当しないけれども甘言を用いてなす勧誘、こういうものは規制対象になっておりませんが、どういうふうに考えておられますか。
  136. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 長時間にわたる勧誘とか執拗な勧誘、これらは法律で言っております「威迫して困惑させてはならない。」とか、そのほか重要事項の不実告知とかの関係でございますが、おっしゃいましたような個々のセールスマンの不当な行為の類型の、どれが今度新しい法律の禁止行為に該当するかというのは一概にはなかなか言いにくいことだと思います。例えば、ただ長時間勧誘していたとか、しつこく勧誘していたというだけで今度の法律に該当するかというと、それはなかなか難しいんですけれども、しかし状況によっては長時間居座って、またしつこく、あるいは何人かで取り囲むようにしてというようないろんな状況が重なった場合にそれが威迫ということにつながっていくのかもしれません。したがいまして、五条の二の禁止行為に該当するかどうかというのはあり得るとは思いますが、ケースによるのだろうと思います。  一方また、五条の三で省令で定める不当行為というのがございまして、これにつきましては今おっしゃったような行為が横行していることは事実でございますので、そういった事実を踏まえて、どういったものを五条の三の、つまり改善指示の対象とすべき不当行為として定めるかは今後詰めてまいりたいと思います。
  137. 福間知之

    ○福間知之君 そこが少し私はまだ疑問があるんですが、威迫というような言葉がなかなか一般には理解ができない、脅迫ならわかるんですけれども、それは脅迫に当たるんだというふうに理解してもいいのかどうか。  それから、こういう威迫によって契約を結ばされたその契約の効力なんですけれども、いわゆる詐欺や強迫と違うとするならば保護されないということになるんですけれども、その点は、刑法、民法上どういうふうになるのかということであります。
  138. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 五条の二の威迫の方は刑法で言う脅迫に至らない程度で、しかし人に不安を生ぜしめるような言動をいうものでございます。ですから、刑法の脅迫に当たれば当然これは刑法で取り締まられるわけでございますけれども、なかなか脅迫の認定までというのは難しいという実態に即しまして、それよりも程度の弱いものをこの法律規制をするということでございます。  それから、そういった威迫されて締結した契約の効力、これを取り消し得るようにすべきかどうかという点もいろいろ議論のあるところでございますけれども、なかなか取り締まり法規違反とそれから私法上の契約の効力との関係というのは、これは訪販法だけではございませんで、いろんな取り締まり法規と私法上の契約との問題全般に響く問題でありまして、大変難しいものであります。  そこで、民法九十六条によりますと、強迫されて結んだ契約は取り消すことができることになっておりまして、こちらの方をさらに特則を設けるということは今回見送ったわけでございますが、それはいろいろ難しい議論もありますので、そこのところは、要は消費者をどうやって救うかという現実的な観点に立ちましたときに、取り締まり法規違反があった、あるいは威迫されたというようなことで取り消した場合に、業者の方が争っているとなかなか効果が上がりません。  そこで、そういったことも考えクーリングオフ制度がこの法律ではあるわけでございまして、現状ではクーリングオフがまだ必ずしも十分使われているとは言えないものですから、威迫されて結んじゃったんだということを感じた消費者はぜひクーリングオフ期間中にこの権利を行使していただきたい。そうすれば業者が、いや私は威迫しなかったと言っても関係ないわけで、取り消すと言えばそれで有効に取り消されますので、私どもはまずはこの制度を十分に活用していただくようにPRに努めたいと思っております。
  139. 福間知之

    ○福間知之君 それも一つ考えでございますが、私はさらにまた消費者の取り消し権あるいはまた解除権というようなものを、法律上は難しいにしても約款の上で認めさせるというふうな指導をしていただくことが大変望ましいと思います。  それから、今クーリングオフの問題が出されましたけれども、端的に言って、商品を実際に受け取ってから内容が違うのであれば慌てて解約を求める、あるいは商品が届く間にクーリングオフが過ぎてしまう、せっかくの制度が利用できないなどというふうな問題がなきにしもあらずでありまして、今回七日が八日に衆議院で修正されたんですけれども商品を受け取った日を起算日にしてはどうか。これは当局も調べられて、スウェーデンの戸別訪問販売なんかでも消費者が物品を検査できる日、それを起算日としておるようでございますが、そういう点について今回は改正されなかったんですが、その点はいかがですか。
  140. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 物を見てから、こんな物だったのかという消費者がいらっしゃるであろうことは否定できないんでございますけれども、理屈っぽくて恐縮でございますが、クーリングオフ制度は物に着眼した制度ではなくて、その契約を結ぶかどうかという意思形成のときに十分自主的な、自発的な意思形成が行われたかどうかという状況に着眼した制度でございます。  したがいまして、こんな物を買うんじゃなかったということでございますと、店に行ってカタログで物を買った場合でも同じような問題が起きてしまいまして、住居で契約した場合だけ特別扱いするのはバランスを失するという法律論がございますし、それからまた物を渡さないとクーリングオフ期間が進行しないということになりますと、例えば衣料品とかじゅうたんとかカーテンとか、寸法をとって多少の加工を加えて消費者に引き渡すような品物の場合には非常に不都合が生じまして、業者の方に一方的に負担が寄ります。寸法をとって供給してみて、それから何日かたったらクーリングオフされてしまった。品物は引き取ってお金は返す、損害賠償の請求、違約金の請求は法律で禁止されているということになりますので、ちょっと今度はバランスが逆に偏り過ぎるというような実務上の問題もございます。  現実にその方がいいという声もございますが、大方はクーリングオフ制度についてそもそも知らないとか、クーリングオフの権利の行使を妨げられたとかいうようなところが数は圧倒的に多いわけでございますので、今回はその起算点の変更は見送った次第でございます。
  141. 福間知之

    ○福間知之君 時間が迫りましたのでまとめて質問して終わりたいと思いますが、一つはキャッチセールスの規制につきまして、改正案には従来から問題であると指摘されてまいりましたキャッチセールス及びアポイントメントセールスを訪販法の規制対象にしたわけでございます。  消費者の権利を重視したものとして評価し得ると思いますが、その新設条文二条一項二号を見ますと、「営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者」という気になる規定の仕方があります。こうした規定を裏から見ますと、例の警察官職務執行法でいう職務質問の姿を思い出すのであります。キャッチセールス等の行為類型の定義の必要性は認められるわけで、これは規制しなければならないから認められるわけであります。しかし、呼びとめて同行させるという権利がキャッチセールス等をする者にあるかのような誤解を与えるのではないかと思うわけであります。逆に悪用されることになりはしないか。この点、当局のお考えを聞きます。これはキャッチセールスとアポイントメントセールスに関してであります。  最後の二つ目は、冒頭申し上げました消費者教育でありますが、特に文部省は先ほどの御説明にもありました経企庁の研究会あるいはまた産業構造審議会の答申等におけるトラブル防止のための消費者教育の必要性について、その考え方の上に 立って対応をされつつあると伺いますが、動向をひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。  アメリカにおけるリソースセンターの動きなども参考にしておられますか、いかがでございますか。また、学校教育としても中学校程度からの啓発教育というものを必要とするんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  142. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 第一点お答え申し上げますが、キャッチセールス、アポイントメントセールス、これらは消費者にアプローチする態様として最近特に問題になっているものでございますが、従来は訪問販売というカテゴリーに入らなかったわけでございますので、そもそもこの法律からは野放しだったわけでございます。そこで、これをとにかくこの法律規制対象に取り込むことがまず必要であるということで、キャッチセールスの方は法律の二条に書いておりますし、アポイントメントセールスはそれを受けた政令で書く予定にしております。これを受けて、何か同行させる権利があるというようなことにとられるということは全くとんでもないことでございますけれども、確かに悪質業者からすれば、先生がおっしゃるような使い方をしないといって済ましているわけにもいかないと思います。悪用されないように十分これは制度のPRについては気をつけてやらなきゃいけないと思います。  また、五条の三の省令で定める不当行為の書き方のところでも、このアポイントメントセールスとかキャッチセールスについて、おっしゃるようなことにならないように、これはむしろ非常に悪いものであることが多いんだということをよく頭に置いた上で、五条の三の書き方も工夫を凝らす等によりまして悪用されないように十分気をつけてまいりたいと思います。
  143. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 消費者教育の問題は、学校教育の中でも重要な課題というふうに考えております。初等中等教育段階におきましても、消費者としての必要な態度、知識を生徒の発達段階に応じて身につけさせていくということは極めて重要な課題だと考えておりまして、具体的には現在でも社会科とかあるいは家庭科というような教科の中で、小中高それぞれの学校種別に応じまして学習をさせているところでございます  ただ、近年の例えば取引多様化というような変化に対応した面での対応ということでは、これからなおその面での充実を図っていかなければならないというふうに考えております。そういう意味で、消費者教育考える研究会の御報告はそうした視点に立っての御提言でございまして、これからの教育課程の改訂を考えていく際に参考にさせていただきたいというふうに考えております。  それからまた、リソースセンター等についての御指摘もございましたけれども、何分にもこの問題が非常に専門性の高い問題であるということを考えますと、単に教育界だけでの対応では不十分な面もございます。そういう意味で教員の支援体制その他を含めまして、そうしたものにつきましても十分これから考えていかなきゃならない課題であるというふうに考えております。
  144. 福間知之

    ○福間知之君 ぜひひとつ、時間がないのではしょりましたけれども関係省庁で十分緊密に連携をとっていただいて、現代に生きる社会人としての一つの常識というか、心構えというものをやはり中学生時代ぐらいから徐々に認識をしていただくような取り組みはやっぱり必要だと思うんです。アメリカなんかではやっているようでございますので、日本では今まで我々は家庭でそういうことを身につけてきたわけですが、それだけじゃ不十分だという意味で申し上げました。  特に、複雑な訪問販売などの手口について具体的にいろいろ教育するということは困難にしても、またキャッチセールスあるいはアポイントメントセールスなど教育としてはなかなか難しいかもしれませんが、やはり実例を挙げてすればみんながわかってもらえると思う。同僚委員からアポイントメントセールスのテープを後ほど皆さんにお聞きいただくような準備をしておりますけれども、我々も勉強しなきゃならぬということを申し上げて、終わります。
  145. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず、豊田商事被害国家賠償請求訴訟に関する質問をいたしたいと思います。  四月二十三日土曜日の各新聞報道の夕刊によれば、「豊田商事被害 国家賠償を請求 詐欺商法規制怠る 大阪地裁へ提訴 九百五十六人、総額十七億円」の請求をいたした訴訟でございます。これらを見てまいりますと、悪徳商法を放置したという理由で国に対する責任、消費者行政の見直しというものを非常に厳しく要求をいたしております。結論からいえば国は無策ではないのかと、こういうふうなことで憤りの訴訟になっているようでございます。数点この点につきまして質問をしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、二十三日に豊田商事事件の被害者九百五十六人が、十九都道府県で総額十七億円の損害賠償を国に求める訴訟を大阪地裁に起こしたものでございます。これまでに既に小グループによります国家賠償訴訟が二件起こされておりますけれども、約千人にも上る集団訴訟は初めてのようでございます。行政の責任を司法の判断に求めるものとしては、公害訴訟以来のまたまた大きな裁判であろうかと思います。  まず、これらを守るためには法案の一部改正関係いたしますけれども、消費者保護基本法という議員立法で昭和四十三年五月三十日に立法化されたものが消費者を守る憲法として残っているわけでございます  この第一章の「総則」、第一条の「目的」にも、「この法律は、消費者の利益の擁護及び増進に関し、国、地方公共団体及び事業者の果たすべき責務並びに消費者の果たすべき役割を明らかにするとともにその施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する対策の総合的推進を図り、もって国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。」。第二条の「国の責務」については、「国は、経済社会発展に即応して、消費者の保護に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」。「法制上の措置等」につきましても、第六条では、「国は、この法律目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行なわなければならない。」とあります。  また、第二章の「消費者の保護に関する施策等」の中の「危害の防止」についても、第七条、「国は、国民の消費生活において商品及び役務が国民の生命、身体及び財産に対して及ぼす危害を防止するため、商品及び役務について、必要な危害防止の基準を整備し、その確保を図る等必要な施策を講ずるものとする。」。今読み上げましたけれども、現時点に来るまでこの被害者の方々が国に責任ありというわけで訴訟に踏み切っておられるようでございます。  そこで、質問の第一でございますけれども、この今回の大規模な集団訴訟に至った経過に対して、行政当局、我々の当該委員会では通産省、経済企画庁、公正取引委員会が多くの省の中の中軸にあるわけでございますけれども、これらに対してどういう見解を持っていらっしゃいますか。まず、事務当局の代表の方にそれぞれ見解をお願いしたいと思います。
  146. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 豊田商事事件につきましては、六十年六月の神戸地裁への提訴、それから六十一年三月東京地裁への提訴、その後もう一つ取り下げられました京都地裁の事案というのがございますが、これらは比較的小人数の訴訟でございましたが、今回大変大きな訴訟が提起されました。  私ども豊田商事問題につきましては、先生御指摘のような消費者保護基本法等も踏まえましてできるだけのことをしてきたつもりでございますが、しかしこのような訴訟を提起されましたということにつきましては、私ども被告でございますので、真剣に受けとめております。ただ、具体的なコメントにつきましてはまだ新聞に報道されたことしか承知しておりません。具体的な訴状はまだ入手しておりません。そういう被告という立場でございますので、具体的なコメントにつきまして はこの場では差し控えさしていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても訴状等の送達を受け次第、関係省庁と十分に相談をして対処していくつもりでございます。
  147. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 具体的な訴状内容につきまして、まだ明らかにされておりませんので、それにつきましてはコメントを差し控えたいという末木審議官の御発言と全く同じでございますが、先生は消費者保護基本法について政府の責務についても御引用されましたけれども、あの基本法の中には消費者の責務ということも同時に触れておりますので、その辺の兼ね合いをどう解釈したらいいのか、私どもは消費者保護基本法の中の消費者の責務ということの中に、非常に経済社会の変化に対応して常に研さんする必要があるということをこの基本法では述べておるわけでございますので、今後私どもとしては消費者ができるだけ賢明な消費者になっていただくようないろんな措置を講ずる必要があろうかと思っております。
  148. 土原陽美

    政府委員(土原陽美君) 通産省、経済企画庁からお答えがございましたように、私どもも本件訴訟が提起されたことは承知しておりますけれども、まだ訴状を入手していない段階でございますし、コメントを差し控えさしていただきたいと思います。今後、訴状を入手したところで法務省など関係省庁と相談した上で対応してまいりたいと思っております。
  149. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そこで通産大臣にこの件について伺いたいと思いますけれども、当局もまだその内容の確たるものをつかんでおられないという御答弁でございますけれども、一読いたしておりますと、国の規制、そういうふうな問題等を中心として消費者保護基本法に基づく規制の権限というものを当時の国はどこまで行使すべきであったか、そういうところが大きな焦点になろうかと思います。  今も御答弁いただいておりますと、消費者の責務の問題もある、研さんをすべきではないか、また賢明な消費者になってほしいというふうな御注文もついているようでございます。しかしながら、やはり国の大きな行政の立場から見て、消費者といえば、早く言えば大きくつかんで国民生活、国民の皆さんと置きかえた方が私はいいと思うんでございますけれども、こういう多様化する生活の中で、今同僚委員のいろいろのこの法案に対する審議がございますけれども、その要求構造というものが非常に変わってきている。そういう非常に複雑多岐な中で、年々変わってきているその中で、国がいかに対応すべきであるかということは、これはまた国の一つの仕事であろうかと思います、国民に対して、消費者というよりも国民に対してですね。  そういう意味で、国家賠償請求訴訟に関係の方が踏み切っていらっしゃる、これは今後の問題は裁判の推移を見なければわかりませんけれども、現時点における通産大臣として、現況の分析判断、そうして今後の対応というもの、きょう発言できないもの等もあるかと思いますけれども、きょう現在御答弁をいただける範囲内で結構でございますので、そういう面を明確に答えていただきたいと思います。
  150. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、私自身がこれについて今発言をすることはいかがなものだろうかという気持ちがございます。  二十三日に大阪で御指摘のような訴訟が提起されたことは事実でございますし、これは十分承知をしておりますけれども、まだ訴状などの資料を入手しておりませんのでコメントのしようがないというところでございます。そういう資料等十分一度目を通して、また事情も聞いて、関係省庁とも協議をして対応しなければというふうに存じます。
  151. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この問題につきましては、単なる豊田商事だけに関係する問題だけではなしに今審議が続いておりますこの訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案に大きく連動してくる、ひいては国民生活、消費活動における国としてやはりこの実態というものを教訓として、やはり国民生活を守っていかなければいけない、そういう国の本来の姿に大きく連動するものでございますので、その対処の方法というものを今質問をしたわけでございます。  続きまして、訪問販売等に関する法律案審議に移らしていただきますが、多くが重複をいたしております。極力避けてまいりたいと思いますけれども、重複している面につきましては省略をして結構でございます。  まず、質問の第一は、訪問販売トラブルに対するこれまでの通産省の取り組みについて質問をしたいと思います。  近年、訪問販売等の無店舗販売の普及に伴い消費者トラブルが増加をしております。悪徳商法と言われる違法な訪問販売も多発をしておりますが、その経過でございますけれども、これらの現状に対して行政の対応が常に後手である、この批判というものが多く出ております。通産省としてもさまざまな取り組みをしていらっしゃるようでございますけれども、今日までの取り組みの経緯についてまず簡単に述べていただきたいと思います。
  152. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 主として消費者トラブルに関する御質問でございますが、まず第一に、消費者に対する情報提供といいますか、警戒をしていただくという意味で、訪問販売のトラブル情報提供制度というのを実施してきております。これは、目立つようなといいますか、典型的なといいますか、一般に波及しそうな消費者トラブルを幾つかのカテゴリーとして拾い上げまして、こういった手口が最近出てきているので御注意くださいということで、被害が拡散するのを未然に防止しようという趣旨でございまして、六十年の五月以降やっております。これは、過去に三回発表いたしておりますが、要するに一言で申しますと手口の公表でございます。六十年の十一月と六十一年の十二月と六十二年の十二月でございますが、三回手口の公表をいたしております。  いろいろ時間もあるので一つ一つの手口を申し上げるのもどうかと思いますが、一、二の例を申し上げますと、例えばやせたくありませんかというような甘い言葉で女性に呼びかけて健康食品を買わせるとか、お肌の診断をしますということで化粧品を売りつけるとか、消防署員のような姿、形を装って、そういったせりふを使いまして消火器を売りつけるとかいろんな手口があるわけでございますが、こういった手口の公表を行いました。そして、もちろんこれにつきましては関係企業に対して是正の指導を行ったわけでございますが、大方は私ども指導をいたしますと従うのでございますけれども、どうしても従わなかった企業につきましては従わないということを確かめた上で企業名の公表も過去に一社行ったことがございます。  次に、もう一つ消費者トラブル連絡協議会というものを設けております。これも趣旨は同様でございまして、六十一年九月に設置したわけでございますけれども、通産省が幹事役になりまして、こういった問題に関係の深い十一団体の連絡協議会をつくっております。実は昨日第二十回の会合を開いておりますが、ここでは最近の消費者トラブルについての情報交換を行いまして、それぞれ他の機関がキャッチした情報を持ち帰って、それぞれのルートで流す、そして被害の未然防止に努めるということでございます。特にこの十一団体の中には直接物を売るという仕事の団体だけではなくて、これに関連する団体、例えばクレジットを供与をするクレジット企業の団体も入っていただいているとか、あるいは広告の審査をする、新聞広告を出すための事前審査をする団体にも入っていただいているとか、このように信用供与、広告関連等、訪問販売以外の関連団体も加わっていただくことによりまして、一層強力な仕組みになっていると思います。私どもはこれを早期警戒システムというふうに内部では呼んでおりますが、これについても従来活用してきたところでございます。  特に最近はまた、訪問販売等問題研究会等から 三つの柱で御提言をいただき、同じことを産構審からも御答申いただいておりますが、それはこのような消費者に対する情報提供、啓蒙と、それから業界における自主規制と、さらに法規制の強化と、この三つについて御提言いただいておりますので、その三つの柱でやっておりますが、冒頭申し上げました消費者情報関係につきましては、さらにこれを進めまして、今の早期警戒システムをコンピューター化するということも実は昨日から始めておりまして、なお一層これの有効活用を図っていきたいと思っております。
  153. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 確かに被害について、消費者の啓蒙については努力をされている一面は評価もできるわけでございますが、私も手元の資料を見ておりますと、今お話があった六十年五月に訪問販売トラブル情報提供制度、六十一年の九月には消費者トラブル連絡協議会、六十一年の十二月には産業政策局内における訪問販売等問題研究会、それから六十二年の十一月に同研究会の報告、六十二年の十二月は通産大臣からの訪問販売等取引適正化のための方策のあり方、こういうふうに非常に努力はされていらっしゃるのでございますが、果たしてそれが国民の家庭の中に実際に本当におりていくような、そういう徹底の仕方であるかどうかということになりますと、やはりこれはちょっとまだ問題があるなと私も感じているわけでございます。  そこで、訪問販売のトラブル情報提供の実績でございますけれども、通産省からこの制度に基づいて実際の情報提供の文書をいただきました。毎年ほぼ年末に出しておられるようでございますが、毎回同じような手口のものが紹介されておられる。また、消費者に対して注意を喚起するという点では評価はいたしますけれども、それがやはり根強くは周知、徹底はできない、こういうふうに私は受け取るわけでございます。また、当局から注意を受けた企業では、解散もしくは訪問販売の業務停止をある程度は行って効果的と評価をされているようでございます。  こういう中で、ちょっとトラブルの多い訪問販売の一覧等を見ておりますと、やっぱり一番多いのが利殖商法であって、海外の先物取引、国内私設市場先物取引、国内公設市場先物取引、こういう中でセールスマンとのやりとりというのが、「今買えば必ずもうかる」、「今なら損はさせない」と投機的な危険を告げずに、高収益を保証し、「短時間でよいから」、「一口でよいから」と巧みに取引に誘い、次第に取引を増加させる。  二番目に多いのがアポイントメントセールスで、英会話教材、ビデオ教材、レジャー会員権、印鑑、音響映像製品。これらの会話を見ておりますと、電話やはがきによって、「選ばれました」、「当選しました」、「よい話がある」と販売目的を隠して喫茶店や営業所に呼び出し、断りにくい状況契約に導く。  三番目に挙げられておりますのが教育サービス商法でございますけれども、中学高校生用学習教材、英会話教材、幼児用教材。塾、教室、家庭教師、電話相談など教育サービスつきがセールスポイントだが、その契約内容があいまいである。  四番目がキャッチセールスで、健康食品、化粧品、美容サロン、モデル講座、ショッピング会員券。これらの会話のやりとりは、駅前や繁華街で、「アンケートに答えてほしい」、「美容に関心はないか」などと目的を隠して近づき、路上であるいは営業所へ誘って販売商品を強く勧める。  五番目が健康、美容商法で、健康食品、健康機器、羽毛布団、美容機器、美容サービス。これらの対話は、「体質改善」、「宿便をとる」、「万病に効く」、「特定の病気によい」、「やせます」、「美しくなる」などと客観的に認められていない、また証明しにくい効能効果というものをうたって誘っている。  六番目に多いのは見本工事、モニター商法で、外壁材料取りつけ工事やベランダ、サンルーム、太陽熱温水器。これらの会話は、「見本工事として割り引く」、「モニター料金で」、「キャンペーン期間だから」などと割引料金を示すが通常価格であったり、さらに料金が割高な場合、品質、施工が悪い場合と、こういうふうなことになってまいっているようでございます。  その次が開運商法、まあ新聞にも出ておりますけれども、霊感商法で、印鑑、つぼ、数珠、塔、高麗ニンジン製品など。これらのやりとりは、「手相を見てあげる」、「姓名判断をする」と近づき、「不幸になる」、「病気になる」、「先祖のたたりがある」などと心理的な不安に陥れ、先祖の供養のため、開運のためにとして商品を買わせている。  その次がホームパーティー商法で、なべ類、電気掃除機、洋装下着、化粧品。「料理講習会を開きませんか」、「ホームパーティーを開きませんか」と販売目的を隠して人を集めてその会場を販売の場とする。  こういうふうに非常に複雑多岐な商勧誘というものが行われて、これが消費者が賢明である場合にはいろいろとまた防止等バランスがとれると思うのでございます。先ほどからも被害金額等々の集計のやりとりがございましたけれども、本当に、国の該当の省が数多くございますけれども、私は消費者のために、国民の皆さんの家庭生活を守るために、国、そして国が動けば地方行政が動きますけれども、そういう行政が本当に国民生活を守るために周知徹底の運動とか、そうして相互的な意見の交換とかというものが連携をされているのかということを考えますときに、私は国の努力は足りないと、こういうふうに思います。これは通産省だけと言えば申しわけないですけれども、多くの関連する省庁のそういうふうな努力が私は足りない。  国民生活を守る、本当の命をかけた闘いというものを行政の中でやっていらっしゃるのか。それは大金持ちの方は別ですけれども、まじめに働いているサラリーマンの人たち、福祉を受けていらっしゃる、生活保護を受けている人、年金で高値安定の物価の中で生活にやりくりをされていらっしゃる方々がふとしたときにだまされてしまう。そういうときに、国や地方行政が本当にもう少し力を入れておればそれらの被害を受けられた家庭を守っていけたんではないか。  そういう点から見ると、一生懸命通産大臣努力されていることは私も評価しますけれども、これは事務当局に答弁を求めるよりも通産大臣に御答弁いただきたいんですけれども、ちょうどこの訪問販売等審議をしているわけですし、国民の皆さんや消費者の皆さんが喜んでいただけるような対応がこの法案が通過すればほぼできるんではないかなと思います。きょうまで私は国の立場で消費者の皆さん、すなわち国民の皆さんを守るための本当の力いっぱいの行政努力がされたのかということになりますと、私はもっともっと努力をすべきであったな、足りなかったな、こういうふうに非常に私自身も責任を感じるわけでございますが、行政だけではなしに、与党、野党の我々政治家全部がやっぱり国民の皆さんの立場に立ったときに、我々も力が足りなかったなと思います。今私が個々の問題を申し上げましたけれども、私の質問に対しまして通産大臣としてどういうふうな見解なのか伺いたいと思います。
  154. 田村元

    国務大臣田村元君) 私がお答えをいたしますだけに、よきにつけあしきにつけ過去を論ずることはちょっとはばかりたいと思います。いずれにいたしましても、この法案が現行法に比べまして相当大幅な規制強化が導入されておることは事実でございますし、政府といたしましては本法案が現時点では最善なものという確信を抱いておるところでございます。  こういう種類の法律というものはなかなか難しい面がございまして、厳しくし過ぎれば自由経済に対する弾圧になりますし、さりとて甘くすれば悪者をのさばらせるということがございますので、今お出ししておる法案が現時点では最善のものというふうに私どもは確信をいたしておるところでございます。ただ、問題はこの法律案法律として成立した暁のことでございます。成立しました暁には、機動的な運用によりまして消費者トラブルの解消に努めるべきでございますし、また、 訪問販売通信販売などをめぐる今後の推移というものを十分見極めながらもこの法律目的が十分に達成されますように消費者保護に万遺憾なきを期したいと思います。同時に、先ほど来いろいろと言われておりますように、消費者の自覚もまた求めなければなりませんし、そのための広報活動の徹底ということもやらなければならぬのでありましょう。  いずれにしても我々は、消費者というよりむしろ、私は庶民ということをこの前も衆議院では使いましたが、庶民を守る義務がございます。そういう点で今後とも最善を尽くしてまいる所存でございますので、与党、野党を問わずどうか御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  155. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今まで訪問販売トラブルの情報提供の実績も、通産省がキャッチをしたときに企業を指導して非常に成果を上げているというふうな評価も私たちも聞いていることも事実でございます。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕 しかし、いかんせん日本じゅうでございますので非常に大変だと思いますけれども一つ私が今質問いたしますのは、今後関係省庁の迅速な連携と対応について質問したいと思うんです。  悪質な訪問販売等については、法律改正があってもさらに法の抜け穴を探して新しい手口によるものの登場が予期されます。これは日本だけでなしに世界じゅうの国々でそういうふうな事例をよく見るわけでございます。もう我々がこう審議している間に悪質な手口というものを既にそのグループは資料を取り寄せていろいろと検討しているかもわかりませんけれども、まず被害防止の観点から、行政の速やかな連携と対応が必要であることは言うまでもないと思います。常に行政の対応は後手である、こういうような批判もありますけれども、今後関係省庁の迅速かつ緊密な連携と対応、これを私もお願いしたいと思っているわけでございますけれども、これらの点についてどういう決意を持っていらっしゃるのか、この点について伺いたいと思います。
  156. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 先ほど御答弁申し上げました消費者トラブル連絡協議会、早期警戒システムなどで関係十一団体の連携を図ってということを御説明申し上げたわけでございますけれども考えてみますれば政府部内の関係省庁との連携はそれ以前の確かにイロハでありABCであると思います。関係省庁たくさんになるわけでございますけれども、日ごろ接触の多いところとして、このトラブル関係の情報交換を主として経済企画庁と、それから取り締まり関係では何といいましても警察それから公正取引委員会、さらに今回権限委任地方公共団体に行いますのでそういった自治体と密接な協力関係を組んでいかないといけないと思いますが、自治省及び地方団体、そのほかいろいろな団体がございますけれども、私どもこの法律の主管官庁でございますので、積極的に各省庁にお願いをいたしまして、それぞれ持ち場持ち場がございますので、緊密な連絡をとり、御指摘のような線で最大の努力をしたいと思っております。  具体的にやらなければ意味のないことでございますので、物の考え方だけ申し上げて終わってしまってはいけないわけでございます。具体的にどういうふうにしたらいいかということをこの法律施行までの間に詰めましてやっていきたいと思いますが、先ほど先生がお挙げになりました例で申しますと、一番最初に、一番目のカテゴリーでおっしゃいました海外の先物取引、今買えばもうかりますというような海外先物につきましては、実はごく最近の数字は非常にトラブルが減ってきておりますけれども、これなんかも、何と申しましても警察庁で相当きつい取り締まりをしていただきまして、検挙していただいたケースなんかもあります。私どもも、農水省と共同いたしまして悪質業者の処分も昨年行いました。    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕 こういったことがかなり効いていると思いますので、それぞれ悪徳商法のカテゴリーによって対応の仕方も変わるかと思いますが、漏れのないように全力を挙げてまいります。
  157. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先ほども質疑がございまして、ちょっと重複しますけれども勘弁していただきたいんでございますが、開業規制を見送った事情ですね、ちょっと私、出たり入ったりしておりまして聞き漏らしたわけでございますが、今回の訪問販売法の改正に際して、消費者側から、開業規制に踏み込まなかった点、また対象商品をすべての商品、サービスに拡大して例外だけを指定する方式にしなかった点等について論議があるようでございますけれども、これらの点を今回の改正に際して見送ったのはどのような判断に基づいたものなのかということでございます。
  158. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 開業規制でございます。  これは、開業規制が必要だと御主張なさる方々の論拠は、開業規制をして業者の所在をまず押さえておくことが最小限必要ではないか、その次にもちろん、悪質な業者の参入を防ぐということがある。しかし、私どもは、研究会、審議会でいろいろ御検討いただきましたけれども、この業界の業者の数が余りにも多い。これは、個人営業のものも含めますと百万以上になる。企業の形を持っているものが約三千でございますが、個人営業を含めると百万というオーダーになりますので……
  159. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ちょっと待って。その数字もう一回。
  160. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 企業の形をとっておりますものが、協会に加盟しておるものが千五百社、アウトサイダーがほぼ同数、合わせて三千社でございまして、三千という数も大変な数でございますが、三千だけであれば行政の対象として全く議論にならない数字ではございませんが、このほかに個人としてセールスをしている人が大勢います。主として女性、家庭の主婦がやっているわけでございますが、これは会社の社員ではなくて個人営業のいう形で、○○化粧品会社から商品を仕入れて売り主として売って歩くという形をとっているものが大半でございますので、これも全部開業規制対象になってしまいます。そういたしますと非常に膨大な数の登録なり届け出なりを処理しなければならなくなる。  これは二つの面で問題でございまして、一つは、一部の悪徳業者のためにこれだけ大勢の方々が法規制の網をかぶされるということ。もう一方におきまして、行政庁においてもこれを処理するのには相当の人手を要します。人手を要するからやらないというのはおかしいので、もちろん必要があれば人手をかけなきゃいけませんけれども、今どういう人手のかけ方が最も適切かというふうに考えてみますと、一部の悪徳業者に重点的に人手を投入してその行方なり行動を追ってこれを把握することに努めるのがいいんではないだろうか。そのためにどういう工夫を凝らしたらいいかということをいろいろ考えまして、一つとして、先ほど来申し上げましたコンピューターを使った情報のデータベースをつくり、全国どこでも、一体どこで今どういうトラブルが起きているかというのが把握できるようにしようという仕組みも考えて、昨日からテストランを始めたわけでございますが、まあそういったことが主たる理由でございまして、開業規制を見送ったわけでございます。しかし、開業規制を主張される方がおっしゃるような悪徳業者についての所在なり動向なりの把握のための努力は最大限行ってまいりたいと思います。  第二の、商品を指定商品でいくのか、それとも原則全部対象として除くものだけ指定する除外商品制でいくのかということでございますが、現実問題といたしまして現在既に政令指定をしたものが四十三商品群がございまして、大方問題のあるものは指定を実はしてしまったわけでございます。消費者の方々等に御意見を伺いましても、今未指定で問題になっているものは金地金等の貴金属とか、庭石、墓石等限られたものでございまして、これらは現行法の指定要件であります日常生活の用に供するものという条件に合わないのでは ないか。金の場合には明らかに合わないと思いますが、そういったことで指定されていなかったわけでございます。今回はその指定要件を緩和いたしまして、日常生活の用に供するものでなくても指定できるように改正案を提案しておりますので、指定制を維持しましてもこれらは改正後に指定の方向で検討をする予定でございます。したがいまして、現実問題としては指定制でも除外制でも商品に関しては大きな差がないところまで来ていると思います。  それから、役務及び権利につきましては、これは非常に種類が多い、千差万別の取引態様でございますので、これを一気にあらゆる役務、あらゆる権利ということはいろいろ法律上問題もございますので、現在どういうところがトラブルになっているのかというトラブルの実態を踏まえまして、例えばほかの法律でもっと適切に対処できる、あるいはすべきものがあればそれはその方法でいかなければいけませんし、訪販法で対処すべきものは拾い上げていくということで当面対処することが適切であろう、こういうふうに考えまして指定制を維持したわけでございます。
  161. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次の質問は、商取引適正化の専門職についてでございますが、通産省では商取引適正化専門職を設けて専門的に業界の指導や現物まがい商法に関する情報の収集を行っているとのことでございますが、これらについての説明をいただきたいわけでございます。  現行の定員や体制で十分なのかどうかという問題でございますが、データによりますと、これは通産省からいただいたデータですが、訪問販売に対する苦情、商品別の内訳を見ておりますと、相談件数が昭和五十九年で九千四百九十六件ですか、これは倍加していると思いますね。そういうふうな中で、この現行の定員や体制というのはどういう形なのか伺います。
  162. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 御質問の指導官につきましては、六十一年十月以来設置しております。所掌事務といたしましては、悪質商法の実態把握、事業者に対する指導、あるいは問い合わせ、照会に対する回答、関係行政機関との連絡調整でございますが、こういった総括的な仕事につきましては、この職を新しく設けたからといって任せきりということではなく、担当の課長、あるいは私自身も適宜できるだけその現場に出る。例えば先ほど来話が出ております早期警戒システム、消費者トラブル連絡協議会、毎月一回開催しておりますけれども、私も特別なことがない限り必ず出席するように努めております。  そういう体制でございますが、具体的な事務を担当しております人員といたしましては、本省の消費経済課と商政課二つの課にまたがりまして総数で三十四名ございます。消費者関係法律たくさんございますし、流通合理化等のほかの仕事もございますので、この全員が常にこの仕事をやるわけではございませんけれども、必要とあれば、何か集中的にやる必要があればできるだけ動員をするという体制でございます。全国の通産局は八通産局及び沖縄総合事務局、合計九カ所で四十八名の職員がおります。これが消費者行政担当でございます。そのほかに相談員が十五名でございまして、合計六十三名の体制でございます。数は多ければ多いほどいいわけでございますが、行革の時代でございますので、限られた人数でございますけれども、最も効率的な仕事のやり方と、それから関係行政機関、地方自治体との連携を上手にとって効率的な仕事をしたいと思っております。
  163. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ警察庁にちょっと伺いますが、法改正と警察の今後の取り組みについてでございます。  今回の訪問販売法の改正によりまして規制対象が拡大された場合、警察としても健全な市民生活を守る立場から被害に対して対処をしていただくことになるわけでございますけれども、今後の取り組み方針、また広報、啓発活動、こういうふうな観点から独自の取り組みが悪質の訪問販売等に対してのいろいろの対応になろうかと思いますけれども、そういうふうな点についての対策、対応を伺いたいと思います。
  164. 泉幸伸

    説明員(泉幸伸君) 警察といたしましては、悪質な訪問販売事犯につきまして、従前から消費者を保護する立場で被害の未然防止や拡大防止を最重点とした取り締まりを積極的に推進してきたところでございます。  今回の法改正につきましても、改正法が施行になりました暁にはその趣旨を踏まえ、この改正法に盛られております罰則規定を初め各種法令を適用して厳正な取り締まりを行うとともに、関係機関、団体との緊密な連携を図り効果的に進めていきたいと考えております。  なお、取り締まりにあわせまして、従前から悪質商法に関する市民の啓発活動として警察が独自に取り組んできたものもございます。例えて申しますと、昨年四月に全国都道府県警察に悪質商法一一〇番という電話を設置いたしまして、個々具体的なケースについてのアドバイスを行いまして。また警察庁におきましては、悪質商法の手口とその撃退方法を紹介したパンフレットを作成し、全国の消費者に二十三万部ぐらい配布いたしましたし、また各地域、各職域に行われております防犯懇談会などあらゆる機会をとらえて悪質商法に対する啓発活動を警察として実施してきたところでございます。今後これらの活動を一層充実いたしまして、所期の目的を上げるよう努力してまいりたいと考えております。
  165. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間が参りましたので、最後の質問、通産大臣にお願いしたいと思いますが、これちょっと通告いたしておりませんのですが、申し上げます。  消費者を守っていく憲法、先ほど申し上げた消費者保護基本法でございますが、この第四章の「消費者保護会議等」という中で、この消費者保護会議の十八条には、総理府に、附属機関として消費者保護会議を置くというわけで、四十三年から置いてあるのが事実なんです。今時間ないから聞きませんけれども、必要なとき、大きな問題が起きるとき、懸念があるときは国が当然動くわけでございますが、十九条に「会議は、会長及び委員をもって組織する。」とあるんですが、その第二項に「会長は、内閣総理大臣をもって充てる。」、こういうふうになっているわけですね。委員は総理大臣が任命する。これ大きな事件が今までに起きたり、そうしてまた今回やはり国民の皆さんが非常に注目していると思うんですね。薬害であるとか、全国で非常に大きな問題が起きました。最近はこれに関連する問題も起きております。一体何回ぐらい開かれたのか。それで、通産省はその中心になると思いますので、通産大臣はもちろん委員には任命されておられると思いますけれども、何回ぐらい開かれてどういうものがその内容の中で討議をされたのかということを最後に伺って質問を終わりたいと思います。
  166. 田村元

    国務大臣田村元君) 大変申しわけございませんが、これは幹事が経済企画庁でございますので私からお答えしてもいいんですが、これはやはり企画庁から正確にお聞きいただいた方がいいんじゃないでしょうか。
  167. 植苗竹司

    説明員(植苗竹司君) お答えいたします。  現在まで二十回開催されております。内容につきましては、各省庁の消費者行政関係全部網羅した形で決定をいたし、御承知いただいているかと思いますが、約三百項目にわたって毎年ほぼ同じ数の消費者行政内容を決定いたしております。
  168. 田村元

    国務大臣田村元君) 正確に申しますと、消費者保護基本法の第四章「消費者保護会議等」というところで第十九条の第七項目に「会議の庶務は、経済企画庁において処理する」というふうに書いてあることをちょっと付言しておきます。
  169. 市川正一

    ○市川正一君 法案に入る前に、実は午前中の本委員会で、アメリカの包括貿易法案について田村通産大臣はその真情を吐露されましたが、私も共感するところ少なくありません。午前中は持ち時間が二十分しかありませんでしたので、午後のこの機会に、冒頭改めて東芝制裁条項を含む包括貿易法案関連して田村大臣の御所見をお伺いしたい。
  170. 田村元

    国務大臣田村元君) いわゆる包括貿易法案につきましては、四月二十一日にアメリカの下院を通過して現在上院で審議中でございます。この法案には俗に言う三〇一条改正、ココム違反にかかわる外国企業制裁条項など極めて問題の多い条項が含まれております。  私は、さきの四極貿易大臣会合を含めあらゆる機会、それこそあらゆる機会をとらえてアメリカがこの法案を成立させることのないよう強く訴え続けてまいりました。したがいまして、下院の議決の結果は残念ではございますけれども、レーガン大統領は現在の法案のままであれば拒否権を発動すること、それから外国企業制裁条項や三〇一条に基づく制裁の義務づけ等には反対することを明らかにしておるところでございます。  いずれにしましても、現在上院で審議中の案が最終的に成立することのないよう米国の、もちろん米国政府はそういう姿勢でございますが、米国の議会の良識をも私は信じたいと思います。
  171. 市川正一

    ○市川正一君 俄然お行儀のいい答弁になったんですが、私はこの問題の根底にあるものとして、百九国会の外為法の改正に際して、これがココム規制を国内法化するもので、我が国経済の自主的、平和的発展を阻害するなどの理由で反対をいたしました。私は、今回のこの事態も、その根本にあるココムに入っていることにそもそもの根源があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  172. 田村元

    国務大臣田村元君) その点は、尊敬する市川先生でありますが、見解を異にするものでございまして、ココムそのものは私はそれなりの意義はあると思いますけれども、ココム違反ということについては、それはそれぞれの国が国内法で処罰をすることであって、第三国から処罰を受けたり制裁を受けることはココムの精神に反する、こういうことでございます。
  173. 市川正一

    ○市川正一君 ところが、今起こっている事態は全く大臣のおっしゃっていることと逆です。まさしくココムの盟主としてのアメリカの言うがままに事態はどんどん進んでいるじゃありませんか。  そこで伺いたいのは、最近の我が国の貿易動向はどうなっているんでしょうか。 八五年と八七年を比較したときに、社会主義圏、いわゆる共産圏でありますが、その輸出入が顕著に減っている状況考えるのですが、間違いございませんか。
  174. 吉田文毅

    政府委員吉田文毅君) お答え申し上げます。  世界の地域を、世界全体あるいは米国、EC、それからソ連共産圏と分けて数字をお示ししたいと思います。
  175. 市川正一

    ○市川正一君 概数で結構でございます。
  176. 吉田文毅

    政府委員吉田文毅君) まず、日本の対世界貿易でございますが、ココム事件の生じました昨年の五月から本年の三月までにかけまして、日本の輸出は一〇%程度増加をしております。それから対米国でございますが、同じ昨年の五月から三月、対前年比、ドルベースでございますが、五・一%の増ということになっております。またECでございますが、同じような条件で見まして、この間一九・八%の増でございます。それから対ソでございます。ソ連と日本の貿易関係でございますが、日本の対ソ輸出は八七年に入りましてからソ連側の外貨不足あるいはソ連国内におきます組織改革、これは貿易に関連いたします省庁の機構改革でございますとかあるいは貿易に関する権限の分散等、いろいろ組織改革等が行われたわけでございますが、その影響によりまして減少しております。また対中国でございますが、八六年以来、中国側の引き締め政策を反映いたしまして減少しております。  それで、特にソ連につきまして御関心深いと拝察いたしますので、昨年の五月以前の数字もあわせて申し上げてみたいと思います。  日本の対ソ輸出の八七年一月から四月までの数字でございますが、対前年同月比で見まして、四月が一番減少率が低うございますがマイナスの一六・二%、一番高い二月におきましてはマイナスの五一%ということになっております。
  177. 市川正一

    ○市川正一君 起算点の数字のとり方でいろいろ言えると思いますが、いずれにしても社会主義圏に対する輸出入貿易額は減少していることは明白です。  あなたはわざわざその原因にまで言及されて、外貨不足だとか引き締めだとか余計なことをあなたは言うているけれども、実際の原因はそうじゃないんじゃないですか。マスコミの報道でも、日本企業は共産圏貿易に及び腰になっている。言うならば、今度の東芝事件そしてココム問題、そこから特に工作機械、船舶機械、こういうものが文字どおり及び腰。言うならば、通産省からの締めつけなどによってこれが伸びないというのが実態であります。  したがって、八五年と八七年の比較によりますと、共産圏、社会主義圏へのそれは五五%も減っております。中国への輸出は六〇%、ソ連への輸出は四四%減少しております。したがって、私は言うならば日本の貿易の自主性が失われているという実態がここに示されていると思うのです。本当に、アメリカの大国主義的あるいは人種差別的とも言うべき干渉、圧迫に対してこれを排除するというならば、その根源にあるココムを脱退するというのは当然の帰着であると思うのですが、大臣がその点をあえて回避されるというのはまことに遺憾であるということをこの機会に申し述べたいと思います。
  178. 田村元

    国務大臣田村元君) 回避したのではございません。市川さんは回避したというふうにおとりになられるし、私が考えておることからいえば、程度からいえば必要以上にこだわられるということであって、それは考え方が違うのでございますから、それは責められましてもどうにもしようがない。やっぱり白いものは白い、赤いものは赤い、自分の目に見えるものでございます。これはもう考え方でございます。でございますから、問題は、本質的なココムという問題より、ココムの扱いにおけるアメリカの議会の対応というものに対して私が厳しい態度で立ち向かっておる、こういうことでございます。
  179. 市川正一

    ○市川正一君 本論ではありませんのですが、先日、特許法の問題に際しても、私は軍事秘密特許の手続細目の論議を通じて、大臣もおられましたが、まさにそれは主権の放棄である、こう指摘をいたしました。今度の包括貿易問題の本質もまさに軍事、政治、経済、貿易、国民生活の全面にわたってアメリカのかさにかかった横暴な対日圧力にどういう態度をとるのか、その覊絆を断ち切っていくのかどうかという問題が問われていると思うのであります。  新聞報道によると、山中党税調会長は、今度の牛肉、オレンジ自由化問題をめぐって日本はアメリカの属国ではないんだと、こう大見えを切られたようでありますが、私はこれがスタンドプレーであるのかどうか、国民は厳しく鋭く注視しているということを申し述べて本論の質問に入らせていただきたいと思います。  まず、訪問販売問題で私は本委員会で従来から、例えば昭和五十七年七月六日には海外先物取引について、昭和六十年六月二十一日には豊田問題について、昭和六十一年五月十五日には預託法問題などの際にたびたび取り上げてまいりました。その中で、訪問販売法の規制対象になる商品役務について政令指定制では後追い行政になり、消費者保護に欠けることを繰り返し指摘してまいりました。しかし今回の改正でもなお指定制をとっております。これに対して、日弁連や消費者相談の現場で苦労なさっている相談員の方々からも、政令指定では結局指定外の商品などを使って新しい被害が発生することから指定制を外すべきだという意見や要望が出され、そして私のところへも各地からのはがきの要請でそのことが訴えられております、これは一部ですが。今回の法改正になぜ取り入れなかったのか、まずそこからお伺いしたいと思います。
  180. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 指定制についていろいろな議論があったことは御指摘のとおりでございます。指定制を廃止しましてあらゆる商品対象にいたしますれば、消費者保護の観点からは指 定制よりもよろしいかと思いますが、この法律は申すまでもなく民法の基本原則に対する例外を定めているものでございまして、そういう意味では必要最小限の特例法という考え方に立って制定されているものと理解しております。  今回の改正に当たりましても、その必要最小限の規制を行うという基本的な考え方と、消費者保護をできるだけ充実させるという二つの要請をどうやって調和させるかということが要するにポイントでございましたけれども、そういった二つの柱を踏まえて御議論をいただきました結果、大方の御意見が現在の制度を維持しつつ、しかし指定に遺憾なきを期す、おくれないように機動的に指定をしていくという方向で今回の法律もいこうではないか、こういう多数の方の御意見だったわけでございます。  現実問題といたしましては、実は指定制と非指定制といいますか、除外制でございますけれども、距離というのは、物の考え方としては離れているんですが、現実問題は実は非常に近寄っております。といいますのは、かなりのものを既に指定しておりますので、指定すべきであるにもかかわらず指定していないものとして何があるかということを関係者の方に伺いますと、例えば消費生活コンサルタントの方なども挙げるものはごくわずかでございます。金地金が指定されていないではないか、これは過去に国会でもいろいろ御議論があったわけでございますが、これは私どもが政令指定をしなかったのではなくて、現行法ではそのような財産形成的なものは指定できないことになっていたものですから指定しなかったわけでございますし、今回の改正案では日常生活の用に供するもの以外のもの、つまり金地金のようなものも指定し得ることにいたしておりますので、幾つか残っておりますものは、今回の改正によって指定し得ることになりますし、私どももその方向で政令を立案したいと思っておりますので、現実問題として大きな支障はないと思います。  ただ、そうは言っても、今度は役務の問題がございますので、役務をどうするかということが残ります。役務商品以上に多様でございまして、役務の内容そのものも多様でございますし、役務取引に伴うトラブルの態様もまた多様でございます。したがいまして、これにどう対処するかというのは、主として訪問販売法で対処をするわけでございますけれども、それ以外にもいろいろ検討するべきことがあると思います。  訪問販売法で断固対処していくべきものはちゅうちょすることなく指定していかなければいけないと思いますが、その基本姿勢を維持しつつ、しかもなお仕組みといたしまして、これは研究会等でも御提案があったわけでございますけれども、通産省が怠けるとかいうわけではないけれども、通産省を助けてあげるのだから、ひとつ私たち消費者とかいろいろな学識経験者とか、いろいろな人で勉強の組織をつくって、その場で、あれを指定すべきではなかろうかとか、あれはなぜ指定しないのですかという議論ができるような、そういう場を通産省が設けたらどうかという御提案もございましたし、私どももごもっともだと思いますので、そういったことも含めて指定制度をうまく運用していきたいと思っております。
  181. 市川正一

    ○市川正一君 いろいろ御説明があったんですが、産構審の答申、ここで述べていることがおよそその根拠にもなっていると思うので、今茫漠とおっしゃったことでなしに、この文書になっているものに即して伺いたいんですが、この商品等の指定制について産構審の答申は、大部分の商品が既に指定されている。先ほどもあなたは、既に四十三商品群があって網羅されている、こういうふうにおっしゃっているわけですが、だから変更する必要はないという記述があるんです。これはページ数でいくと八ページですが、しかし未指定の部分で次々と被害が、あるいはトラブルが発生しているのが実態です。それはお認めになると思うんです。  また答申は、未指定商品でトラブルが発生しているのは少ない、こう言っているけれども、一体世の中に無数といっていいほどあるすべての商品からすれば、絶対的にも相対的にも数として少ないのは、これは当たり前です。どの商品でもみんなトラブルが発生したらそれこそ大変です。問題は、指定商品でもトラブルがあるのに、指定商品以外のところで救済できない消費者被害が発生しているというこの事実なんです。これにどう対応するかというのがそもそも今度の法改正の動機でもあるんです。それは豊田商事の例を引くまでもなく、結局事件が起こってからの後追い行政が悲惨な被害を生み続けていることは、これはもう歴史的事実だと思うんですが、この指定制をどうして固執するのか、先ほどの繰り返しでなしに、今申し上げた論点に即して見解を承りたい。
  182. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 先生茫漠としたとおっしゃったんですけれども、やはり私どもは法制でございますので、基本的な考え方というのは抽象論であっても踏まえざるを得ません。  そこで、重ねて申し上げますけれども、一方において消費者の保護をできるだけ図るということと、もう一方において規制は必要最小限というこの二つの原則をどうやって調和させるかということでございます。  もう一方の方というのが問題なんでございます、規制の最小限ということでございますが。最小限とはどういうことかということになるかと思います。ここは実は、これは御説明申し上げると、それではできるだけ指定をしたくないのかというふうにおとりいただきますと真意ではないんですけれども、あえてお尋ねですから、まあ理屈を申し上げますと、トラブルがあった場合にそのトラブルがいわばこの法律が想定している平均的な消費者を念頭に置きまして一般的な形のトラブルであるかどうかということの判断だと思うわけです。  非常に例外的、偶発的なトラブルが仮にあれば、それは一般的な法制、日本国の法制の変化ということで対応すべきものではないこともあり得るわけでございまして、平均的な消費者というのも難しゅうございますし、お年寄りと若い人と違うという問題もございますが、この法律が想定する平均的な消費者を考えまして一般化する、これが蔓延する、そういう蓋然性があれば、仮に現実に出てきたトラブル件数が非常に小さい数字であろうとも機動的に指定をすべきだと思いますが、考え方としてはそういう検討を経て指定していくというのが今までとってきた考え方でございまして、これは現時点においても維持することが適当ではないかと思うわけでございます。  ただ、そういった哲学がいたずらに対応のおくれに使われてしまうようなことがあってはいけないとおっしゃる方がいらっしゃいますし、私どもそういうわけではございませんので、その辺のところはガラス張りといいますか、オープンに議論をする場をつくりまして、決してそういう後ろ向きになりたいがための論理ではないということで現実にはできるだけ対処をしていくという考え方でございます。
  183. 市川正一

    ○市川正一君 それで、指定を最小限にしたいというふうに今おっしゃった。そのことと、この産構審答申にもう一遍戻りますが、同様のことはこの三行目で「過剰規制とならないよう」というふうに述べております。しかし、問題の原点に立ち戻って考えてみた場合に、もし訪問販売業者が本当に消費者のニーズにこたえた販売方法をとっておればもともとトラブルは発生しないものでしょう。ところがそうではないんです、歴史的現実は。業界にとって、仮に書面交付などがあるいは若干負担になるかもしれないけれども、それは協会の定款の第三条の目的を達成するために、また協会の倫理綱領の立場を貫くためにも必要なことであり、決して大きな負担というふうにはならないと思うんですが、実際担当なすっている当事者の皆さん方の御見解はどうですか。
  184. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 過剰規制というのは、まあいわば相対的な概念かと思うわけです。絶対レベルとしては大変な義務を課したとしても、それだけの義務を課すべき実態があり、必要があれ ばそれはやってもらわなければなりませんし、そうでなければ、逆に絶対値としてはそう大きな規制でなくても相対的には過剰規制という考え方になるんだろうと思います。  ここのところは非常に理屈っぽい話で恐縮でございますが、産構審ではそういう物の考え方を抽象的にうたわれた答申だと思いますし、この過剰規制という言葉を産構審からちょうだいしたから、これで具体的な指定がすぐ、ほぼへジテートするというものではございません。物の考え方を言ったまででございまして、私の先ほどの御説明申し上げたのもそういうことでございます。
  185. 市川正一

    ○市川正一君 ところで、この指定制と関連して通産省は指定商品の運用について内部通達を出していらっしゃると思うんですが、これまで何回ぐらい出しておられるのか、また、その内容を私ども資料を提出していただくように要求しているんですが、これはいただけるんですか。
  186. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 何回かその通達の回数を正確に今お答えできなくて恐縮でございますけれども、要するにこの問題は、恐らくお尋ねの趣旨は、指定商品制をとっているために何が指定商品であるか否かわからないことがあって照会があるだろうというのがお尋ねの本旨だと思います。
  187. 市川正一

    ○市川正一君 そこが矛盾ですよ。
  188. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) これは私自身も消費者の方から聞いたことがございまして、率直に申し上げまして指定商品制に伴う問題点は、一つは指定が不当におくれるおそれはないかということと、もう一つは、指定があるために、何が対象であり何が対象でないかが不明確になりはしないかというこの二つの問題が実はあるわけでございます。先生はこの第二点の問題を今おっしゃったわけでございまして、確かにこれについての照会はございます。  ただ、その照会は、正確には後ほど調べて御報告いたしますけれども、非常に頻発しているということではないようでございます。と申しますのは、私どももそれなりの努力をしておりまして、マニュアルをつくりまして四十三の商品群についてはどういうものが入るのかということを解説を重ねてきておりますのと、それから現実問題として、訪問販売で取り扱われている品物はほとんど大方指定をしたと申し上げたものですから、そういう関係もありまして、そう多くはないんだと思います。  それにしても問題が残るという御指摘はあり得るんでございますが、実はこれは言いわけがましいんですけれども、仮に指定商品制を廃止いたしますと、今度は例外品目というものをどうしても考えざるを得ません。これは何らかの理由で除外品目ということになると思います。その境界線のところはいずれにしても除外品目にいたしますと、今度は除外品目に入っているのかいないかという問題が残るわけでございまして、全くきれいになってしまうわけではありません。しかし、これは言いわけめくのでこれ以上は申し上げません。私どもは、その指定商品制に伴いまして境界線が不明確になることがないように、できるだけこれが明確になるようなマニュアルを今後とも改善していきたいと思っております。
  189. 市川正一

    ○市川正一君 まるで大型間接税でどれが非課税品目かというようなことみたいに、そういうことを私は聞いているんじゃなくて、よろしいか、あなた方自身が何が対象かどうかという通達を出さざるを得ぬこと自身が自己矛盾じゃないですか。そうじゃなしに、そういう指定商品はないんだということにすればすかっとするんですよ。  そこでお聞きしているのは、その通達なるものはいただけるんですか。
  190. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 内部通達でございまして、通達そのものをお出しすることはどうも役所の慣習上御遠慮さしていただいているようでございますけれども一つここで具体例を申し上げますと、例えばどういう照会があるかということでございますが……
  191. 市川正一

    ○市川正一君 違う、違うがね。もらえるのかどうかと言うている。あかんのか、ええのか。
  192. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 通達そのものは御容赦いただきたいと思いますけれども……
  193. 市川正一

    ○市川正一君 それはおかしいな。
  194. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) よく検討いたしまして、要するに中身がわかるようなものをお届けいたします。
  195. 市川正一

    ○市川正一君 じゃ、後でまたそれは詰めるとして、何ぼ言うても出していただけぬので。  そこで、ここに持ってきたのは、最近出版された「消費者紛争ハンドブック」という本ですねん。この中に一例として、一九七七年十二月に消費経済課長から各通産局、沖縄総合事務局あてに出された「テラス等の設置 販売について」という通達、これを私俎上に上げて指定制問題を別の角度から検討してみたいと思うんです。この内容は、当該事例がテラスなどの、バルコニーのあれですね、設置の請負なのか製品の販売なのかを判断する基準を示すとともに、指定商品のどれに該当するかを示した通達であります。  こうした通達が必要になるように、消費者相談の現場では相談の対象になっている商品が指定商品であるかどうか判断に大いに迷うわけです。また、今回の改正役務対象になったので、これも指定役務かどうか判断に迷うことが生じてくると思います。つまり、それは指定商品であるかどうかによって対応の仕方も変わってきますし、指定制が後追い行政になるというだけでなしに、日々の相談業務の遂行にも支障を来すというのが現実です。そして、私産構審をたびたび引き合いに出しますが、産構審の答申の中にも指定制の廃止について「理解できる側面がある」と、こう言うているわけですね。したがって、私はもう一度この際、商品役務の指定制を廃止することについて我が党は修正案を提出いたしますけれども、ぜひ再検討をお願いしたいと思いますが、余地なしですか。
  196. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) その前に先生がおっしゃったテラスに関する照会でございますが、これはポイントはテラスの販売商品販売なのか請負契約なのかということでございまして、これは確かに今までの法律では非常に微妙なところでございました。商品そのものが入るか入らないかという、この政令に書いてある商品にこのものは入るか入らないかという照会は、実は過去になくはございませんけれども、件数は極めて少ないと承知しております。そういうわけで繰り返しで恐縮でございますが、現行法がよって立っております基本原則に照らし、また現実に指定制はかなり広範に指定をしてきたという実績、そしてさらに今後も遺憾なきを期す体制をつくっていきたいという方針でおりますので、それを踏まえまして私どもはこれが現在最善のものとして御提案申し上げているという次第でございます。
  197. 市川正一

    ○市川正一君 私は指定制が必ず新しい矛盾と破綻を生むであろうということを確信を持ってここで指摘しておきます。  次に、私は昭和五十九年の五月十日の割賦販売法の際にも、役務規制対象にすることを強く主張いたしました。今と同じようにあなた方はそれを認めませんでした。しかし、今回の改正でようやくこの役務規制対象になるわけでありますが、ではどんな役務対象になるのか。例えば、商品販売とセットになったもの、あるいはクレジットつきのものなどおよそ役務提供が有償で実施されるものはすべて含まれると理解してよろしゅうございますか。
  198. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 役務を今度法律対象に加え得ることにする改正案を御審議いただいているわけでございますが、役務につきましても商品と同じく政令による指定制をとっております。その趣旨は、基本的考え方商品と同じでございますし、さらに加えまして役務商品以上に多種多様でございます。また生じておりますトラブルもまた商品以上に複雑でございます。  率直な話、私どもは五十九年の割賦販売法の改正のとき以来あるいは六十一年の預託法のときにも御議論あったかもしれませんが、鋭意勉強して きたわけでございますが本当に複雑でございまして、トラブルがまた非常に多様でございます。ですから、そのトラブルのポイントがそもそも訪問販売で売られるがために起きている問題であるのか、そういうものもございましょう。それからあるいは支払い形態が割賦販売であるがゆえに、一回払いじゃなくて分割払いであるがゆえに起きている問題なのか、そういう問題もそれはないとは言えないと思います。そのほかそもそもその業界のもっと別の基本的なところに問題があるのか、これを明確にいたしませんと、どの法律でどういうふうに対処したらいいのか、めくらでとにかく入れてしまうというわけにもまいりません。  これは具体的な名前を挙げるとあるいはこれが一番指定の候補みたいに私が申し上げるというふうにおとりいただくと困るのでございまして、これはこれからの検討でございますけれども、わかりやすい例を申し上げますと、例えばゴルフの会員権というのは何がしばしばトラブルで問題になっているかといいますと、消費者トラブルに聞きますと、あるクラブの権利を買ったけれどもどうもそのときはよくわからなかったけれども会員が一万人も募集されるらしいと、そんな大勢いるんだったらおれはもうとてもプレーできないからやめたいというような例えば相談があったり、それから預託金の据置期間が過ぎたけれども一方的に預託期間を延長されてしまった、これはひどいではないかとか、あるいはそもそもいつになったらオープンするのかわからないとか、こういうような例えばトラブルが多いわけでございます。  こういうトラブルを念頭に置きますと、これは支払い方法とか訪問か店頭かとかいうことではなくて、そもそももしそういう商売があればその根っこの方にもっと問題があるわけでございますからこれは直さなければいけないということで、これはこういったことについての業界の自主規制を今やってもらっておりますけれども、これは一つの例でございますが、そのほかいろんな役務あるいは権利に即しましてそれぞれ性格が多様でございます。私どもはそういったものを洗いまして、訪問販売であるがゆえにというところに問題のあるものを洗い出しまして、そして割賦販売審議会等の御検討をいただいた上で政令指定するというふうに進んでまいる考えでございます。  結論といたしましては、そういうプロセスを経て指定役務ということでこの法律対象にしていく考えでございます。
  199. 市川正一

    ○市川正一君 今わかりやすい例ということで、例えばゴルフ会員権をめぐる問題などを紹介されたので、私もわかりやすい例として具体的にお聞きします。  例えばリゾートやスポーツ施設などの利用権、それからエステティックサロンというやせるための全身美容ですね、あるいは結婚情報サービス、それから原野商法の二次被害、説明なしでおわかりだと思いますが、それから公団住宅申し込みの代行、それからキャッチセールスで女子大生をねらってモデルにならぬかというて声をかけて、事務所に連れ込んで入会金名目で金を取ったり、講習料やテキスト代などというて数万円を取る例が最近横行しているんですが、こういうのはすべて指定役務として本法規制対象になるのか、わかりやすい例をおっしゃったのでひとつ教えていただけませんか。
  200. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 私が手元に持っております、役務に関するあるいは会員権とか権利に関する消費者トラブルの資料を手元に持っておりますが、先生今お挙げになりましたものの相当部分が私の方の資料にもございます。ここに持っておりますということは、私どもはこの被害の実態からスタートをして指定役務考えていくわけでございますから、最終的に指定になるかどうかは非常に慎重な答弁のように聞こえて恐縮でございますけれども、今後の検討でございますけれども、まず議論の素材として持っているということでございます。  ただ、幾つか念のために申し上げますと、今お挙げになりました中で、例えば原野商法につきましては私どもも関心は持っておりますし、現に通産省に消費者相談窓口に相談があれば、それはこういうところに御相談いただいた方がいいと思いますというふうに紹介をいたしておりますけれども、不動産に関しましては通産省としては知識もございませんし非常に特殊な分野でございますので、また法律の言っております物品という概念にも当たらないかと思いますので、土地につきましては対象として考えておりません。これは一例でございますが、かなりのものが私どもの脳裏にあることは事実でございます。
  201. 市川正一

    ○市川正一君 私は原野商法の二次被害と申しまして、原野商法そのものじゃなくて、その後値段が上がっているからということで測量や整地、区画整理をいたしましょうという、いわばアフターサービスみたいな形で、これは土地そのものじゃないんで、ひとつそこはよく御研究願いたいんですが、基本的には対象として検討しているというふうに理解をして議論を進めさせていただきたいと思います。  そこで、今度は行為規制についてただしたいんでありますが、先ほど同僚委員から予告がございましたが、まず委員長にテープをここで紹介することをお許し願いたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  202. 大木浩

    委員長大木浩君) はい。
  203. 市川正一

    ○市川正一君 ありがとうございます。これは電話による勧誘をたまたま録音をしたという経緯のものでありますが、まずはお聞き取り願いたいと思います。    〔録音聴取〕
  204. 市川正一

    ○市川正一君 失礼いたしました。ちょっと聞きにくいんですけれども、要するにすさまじい勢いで有無を言わさずに追い込んでいくこの迫力はすごいものでありますが、あなたはめでたくも今度選ばれた、十年間の入会金、保証金は免除される、レジャークラブの全国共通のゴールデンカードを差し上げる、全国のペンションや温泉旅館が半額ないし三分の一になると言うてずっといって、運転免許証か証明書を持ってこいと。高崎ですから、中曽根さんあるいは御存じかもしれませんが、駅前の喫茶店の名前まで出てくるんです。そして、そこで会うて契約という運びになるわけですね。それで本人が断れるんですかといって聞くと、そこをちょろちょろとごまかしてしまうんですね。  こういう非常に生々しいものでありますが、この中に訪問販売にかかわるいろんなもろもろの問題、要素、その手口というものがここにあると思うんです。  そこで私お聞きしたいのは、この法案の五条の二第一項です。「不実のことを告げる行為」、つまりうそを言ってはいけない、こうなっておるんですが、本当のことを言わないこと、故意に事実を告げないことも規制すべきではないのかということをこのテープを聞きながら私痛感するんであります。  例えば、先ほどのエステティックサロン、やせるための全身美容でありますが、○○コース、例えば桜コースとかあるいはバラコースとかいう表示だけで、抽象的な効果をうたうだけで役務の内容が具体的に明示されていないもの、あるいは利用権や会員権などの契約で、施設の内容、サービスの内容、利用条件、費用などが明示されていないものなどもその対象にすべきではないのかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  205. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) ただいまのケースは典型的なものではございます。あなたは特に選ばれた、特に当たったからというところで、それならば普通では契約しないんだけれども、特に選ばれたんならチャンスに違いないと思わせる。これは典型的な虚偽のセールストークでございますし、それから身分証明書を持ってきなさいなんというのもいかにもだれにでもばらまくわけじゃないんだということを補強しているわけでございます。これは一般化して申しますと、特に選ばれた人ではないのに特に選ばれた人なんだということを言って相手を錯誤に陥らせているわけですから、虚偽のセールストークで不実のことを言って いるわけでございます。これは恐らく、これが重要なものになるかどうかでございますけれども、五条の二の「重要なものにつき」になると思います。恐らくこのケースはなるんじゃないかと思いますが、そういう例としてはまことにぴたりの例だと思います。  ところが、今度は積極的に何かを告げなければならないのに告げなかったということについて五条の二はないではないか、不告知について何も書いていない、これはどうするんだということにつきましては、今のケースで言いますと、不告知はいかぬと書く以上は、何か告知しろということを逆に今法が命ずるわけでございますから、個々の場合についてぴったりわからなくても、ぴったりというのは、最後に裁判になったときにどうなるかということは別にしても、一応通常の人がこの場合には何を言えと言われているのかということがある程度明確にならないといけないわけでございます。  ところが、これは訪問販売の場合につきましては、個々のケースについて何は絶対言わなきゃいけないかというのを法律で抜き出して書くことが大変難しいわけでございますし、書かなければわからないわけでございます。例えば物を売るときに、これはあなた買いませんかといって値段を言わない。言わないで、買うといって契約しちゃう。値段は実はこうですと相手に見せる。これはどう考えたっておかしいので、どんな売買でも値段というのはこれは言わなきゃいけないでしょう、知らせなきゃいけないでしょう。  そういう意味で、絶対どんな場合でも言わなきゃならない最小限の事項を絞っていきますと、実は四条、五条の書面交付の義務がございますが、その交付する書面に書くべき事項として数項目ございますが、これは確かに絶対告げなければならない事項でございまして、それが一号に価格でございますし、二号に代金の支払いの時期でございます。三号に商品の引き渡し時期、これらのものはどんな場合でも告げなければならないものでございますし、それから四号にちょっと別のものがございますが、こういったものにさらに加えて共通項があるかというと実はないのではないかということで、逆に言えば、大事なものは書面に書かせているということでございます。  したがいまして、ここでは積極的な告知の方は触れなかったわけでございますが、それじゃどんな場合でも全く問題ないのかということでございますが、これはケースによりましてはある事項を告げないで黙っているというその不作為自体、何にもしない、黙っているということ自身が詐欺的な行為ということになりまして、不作為による詐欺というのは刑法上あり得るわけでございますので、ケースによって、相手が明らかに錯誤に陥っているのにしめしめということで黙っているということは、これは刑法上詐欺を構成することはあり得ます。しかし、この法律で定型化して義務を課するということを告知義務についてはしなかったのはそういう実態を判断したからでございます。
  206. 市川正一

    ○市川正一君 時間が迫ってまいりましたので前へ進めますが、同じく第二項でありますが、「人を威迫して困惑させてはならない。」と、こう規定してございます。これでもって多岐にわたる各種の不当な行為を規制できるのかどうかという懸念があるんです。  例えば、現行の貸金業法では、その二十一条の一項で、「私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」と、こう規定しておりますが、こうしたことも含まれるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  207. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 貸金業法の二十一条は、貸したお金の取り立て行為の規制でございます。したがいまして、これは比較的私生活の平穏を害するようなやり方の暴力的な取り立てがしばしばあり得る話でこういう表現になっていると思います。一方訪販の方は、どちらかといいますと、おどしよりも最近の手口というのは言葉巧みにだましてという方が主流でございまして、おどすというものもないわけではございませんので、この威迫してはならないという規定を置いたわけでございますけれども、表現については貸金業法とは違います。違いますけれども、威迫の態様の結果、威迫に当たる行為の結果、私生活の平穏が害されることは大いにあり得ることだと思いますので、法律が違うので表現も違いますけれども、似たような状況を想定しているものだと思います。
  208. 市川正一

    ○市川正一君 じゃ似たようなという意味でこれは含れていると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  209. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 含まれているといいますか、交差する概念ではないかと思います。
  210. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、この後、私はクリーニングオフの問題まで入りたかったんですが、時間がまいりましたのでもう一項目だけ、今の一連の問題の続きだけできようは終えたいと思うんです。  実は埼玉県消費者保護条例では、不当な取引方法として十一項目を指定しております。また、日弁連の消費者問題対策委員会もことし三月に、訪問販売改正についての行為規制のあり方の中で、二十三項目の禁止行為を挙げております。いずれも非常に身近なケースを列挙しております。これらの指摘されている行為は、今回の法改正ですべて禁止の対象になるのかどうか。実は事前にリストをお渡ししておりますので、時間の関係でこれはセーフ、これはアウトというふうにやると時間がかかりますので、対象にならない項目があればひとつ拾い出していただきたいと思います。
  211. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) たくさんの項目でございますので、せっかくの御指摘でございますが、結論だけ、これとこれが入る、入らないと申し上げるのは非常に誤解を招くと思います。一つ一つが非常に重要な問題でございますので、入りそうなものもあれば難しそうなものもあります。私どもは、しかし何とか理屈をつけてこういうふうに御提案されているものを取り上げないで済ませたいという心ではございませんので、ただ構成要件が明確でなければいけないとか、不当性の程度が命令とか罰則で禁圧すべき程度の悪性がなきゃいけないとか、理屈がございますので、よく検討さしていただきたいと思います。
  212. 市川正一

    ○市川正一君 ぜひ今までの経験や実態から出されたものであるので、広く禁止行為として読めるように御研究賜りたいと思います。  時間が参りましたので、私最後にこの項の結びとして強調させていただきたいのは、産構審の答申の九ページのところに、「セールスマンによる不当行為の態様は多岐にわたっていること、これらの不当行為が年々多様化していることにもかんがみ、これらの不当行為を弾力的に抑止し得るよう適切な法的措置を講ずる必要がある。」、こういうふうに述べておりますので、ぜひこの精神を体してきょうの論議を生かしていただきたい。あさってまた相まみえることを楽しみにして、きょうはこれで終わらせていただきます。
  213. 木本平八郎

    木本平八郎君 大分時間も遅いので簡単にやりたいと思いますが、それで、まず結論的にお伺いしたいのですけれども、この法律案が通ったとして、今後こういう訪販法におけるトラブルがどの程度減るというふうに見込んでおられますか。
  214. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 絶滅ゼロと申し上げたいところでございますけれども、これは相手もあることでございます。私どもは一生懸命やりますけれども、とにかく悪質業者の方はそうすればまた裏をかくことをいろいろ考えるということでございますので、絶対とか絶滅とかいう思い上がった答弁は控えさせていただきますけれども、それなりに私ども検討いたしまして、多くの方の御意見をちょうだいして現時点における一番適切な対策と考えて御提案しているわけでございますから、この法律の施行及び業界の自主規制、さらに消費者の自衛の御努力をあわせまして、最大限の効果を上げるように全力を尽くしてまいります。
  215. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、具体的にどういうイメージでどのくらい減るだろうということですね。具 体的に何%ということまで要求しませんけれども、どのくらい減るだろうということはどうですか。
  216. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 要するに数字で申し上げることは困難でございます。しかし、例えば過去に私自身も携わってきましたいわば規制行政を振り返ってみますと、悪質な業者にとりまして行政指導も煩わしいでしょうけれども、刑罰を課せられるというのは大変なことでございます。  この法律には、これまでは刑罰がかかる規定が全然なかったわけではございませんが、書面の交付をしないというような、いわば形式犯的なものしかなかったわけでございます。今度は具体的な行為規制がございまして、行政命令あるいは刑罰がかかりますので、そういう意味で、思い切ってこれは法律の施行をやっていけば、同類型のものはきちっとした処置をした後は非常に大幅に減るものでございます。そうこうしてまた少しいたすとまたごそごそ出てくるわけでございますが、そこでまたきちっと処分をすればうんと減る。  先ほど警察庁の御協力によりまして会社規模関係が大いに減っていると申し上げましたけれども、これも警察及び行政処分の成果でございます。そういう意味で、数字は控えさせていただきますけれども、大幅に減るようにこの法律を使っていきたいと思います。
  217. 木本平八郎

    木本平八郎君 一応ここに今までのような類型のものは減るだろうということですね。それはそうだと思うんです。しかし、今末木さんおっしゃったようにまた新たなものが出てくるということで、それでちょっとお聞きしたいのですけれども、手口がどんどんどんどん巧妙になっていると思うんですが、その辺はどういうふうに受けとめておられますか。
  218. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 確かに手口は巧妙になっております。しかし、私どもは悪徳業者が新しい手口を考えた場合には、またそれで手を打たなければいかぬと思いますし、切りがないではないかという御指摘もあるんですけれども、先ほど来たびたび出ておりますように、このトラブルの背景にありますのは人間の本性に根差すといいますか、もっとお金がもうかる話なら乗ってみたいとか、もっと美しくなるんならそうなりたいとか、もっと賢くなるんなら、じゃ勉強してみたいとか、人間の本性に即した欲望につけ込んでくる商法でございますから、こういった本性がある限り、それにつけ込む人がゼロになるということは、これは実際はなかなかないだろうと思います。  したがって、私どもは根気よく対応していく、悪質業者に負けないような意欲と知恵を出していくということだと思います。
  219. 木本平八郎

    木本平八郎君 もう一度お聞きしますけれども、今大体八十何件ですか、八十六件、それで十一万五千二百人、それから百三十五億三千二百八十万円の被害があったということなんですね。  この数字が的確かどうかは別にして、じゃ結論的にお聞きしますけれども、この被害額、これはこの法案が通ったら来年以降減るだろうか、それとも新たな手口が出てやっぱりこのぐらいのものは常にある、それで末木さんと犯罪者が追っかけっこをせざるを得ないというふうにお考えになっているのか、その辺はどうですか。
  220. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 私が一人で幾ら減ると言うのも少し僣越かとも思いますけれども、私はこの法律はかなり画期的な改正を含んでおりますし、この施行後にこの趣旨を十分徹底させ、マスコミ等の御協力もいただいて趣旨を徹底させ、また一罰百戒をやっていけば減ると思っております。
  221. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は結論的に言ったら、部屋に出てきたゴキブリを末木さんが一人で手で抑えて回っているようなことになるだろうと私は思うんですね。だからゴキブリをなくすることの方がまず大事なんですね。出てきたやつを退治するんじゃ、もういつまでたっても追っかけっこになるだろう。  それで、先ほどもありましたように、やっぱり犯罪を犯す方は非常に巧妙になってくるんですね。それからもう一つは、人をだましてやろうと思うやつはこれは生活がかかっていますし真剣ですから、常にねらっているわけですよ。一生懸命頭を働かせて工夫して、夜も寝ずに考えているでしょうね。それで被害を受ける方は完全に、完全にとは言いませんけれども、無防備で受け身で、それで余りそんな知恵もなければ油断もある。そういう状況の、二つの、これ位相というか何というんですか、フェーズが違うわけですね。こんなもの二つを密室の中に入れておいたら、それはネズミと猫を一緒に入れて、おれは猫を一生懸命取り締まっていると言っても、これはいつまでも取り締まれるわけじゃないし、ちょっと油断したときにばっとかまれちゃうでしょうね。そういう状況になり得るんじゃないかということなんですよ。  だから、こういう法律ができますと、これに該当したこういうのはもう急激に減ると思います。減らすために対策するわけですからね。しかしまた新たなやつが必ず出てくると思うんですよ。これは浜の真砂と泥棒の種は尽きないと石川五右衛門さんがおっしゃったらしいけれども、それはそういう追っかけっこになるんですな。  そこでまたここで十一万五千人でしょう、被害者が。この人たちと違う人だけれども、また来年も十一万五千人の被害者が出てくるんですよ、消費者の中から。この問題は、今のこの人たちを防げばいい、新しいのが来てもそれはやむを得ない、次にまたやりますと言っても、被害を受ける人はやっぱり出てくるんですね。こういうふうなものはどういうふうにお考えなんですか。
  222. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 浜の真砂の話になりますと、大変先行き暗い話になってしまうんですけれども、私はこういったものを防圧するための手段としてどの程度の武器といいますか、施策を講ずべきかということと、それからその被害についてどのくらい世の中がダメージを受けているかということを比較するということが必要だと思うんです。  仮に、非常に極端な話ですけれども、現実にしばしば私ども言われる話でございますが、訪問販売の悪質なものについては懲役一年なんていうことを言わないで、十年でも二十年でも入れたらどうだ、そうしたら震え上がってまねするやつはいなくなるだろうという御議論が例えばございます。そのほかにも、取り締まりについてももっと警察がどんどん立ち入ってというような御意見もございます。  いずれも因果関係としてはあり得る話だと思いますし、そういう体制をとってとれないということではありませんけれども、しかし私は日本の今の国民のコンセンサスというのは、そういう非常に飛躍のある取り締まりではなくて、やはり過去やってきた取り締まりをさらに一歩、二歩進めて、それでやれるだけやってみる、一方消費者の方もできるだけ自衛をする、業界も協力をするということでやれというのがコンセンサスではないかと思うわけです。  そういうやり方でやれば、おっしゃるように新手が出てくることはないと断言する自信はございませんけれども、なおやはり日本の自由な社会を前提としつつ、できるだけ弊害を是正していくということであれば、そういうやり方をとるしかないし、またそれで適当なんではないかと思っているわけでございます。
  223. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、もう一つお聞きしたいんですが、この法案対象としている業者、それはインサイダーなのかアウトサイダーなのか。訪問販売協会とか通信販売協会ありますね。ここのメンバーになっている人を対象にしているのか、それともメンバー以外のアウトサイダーですね、それを対象にしているのか、どっちですか。
  224. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 法律は当然インサイダーにも適用になることは当然でございますけれども、インサイダーの大方、大方と申しますのはインサイダーも数多いので例外があるかもしれないので大方と申し上げますが、大方は当然ここにあるような禁止行為は犯さない人たちであります し、犯してはならないと思います。したがいまして、取り締まりの重点は当然アウトサイダーの方に重点が置かれることになります。
  225. 木本平八郎

    木本平八郎君 それは当然そうだと思うんですね。それで、大体悪いことをしているのはアウトサイダーだと決めつけてまず間違いないと思うんですね。  さて、この法律がアウトサイダーにどういう効果を及ぼすだろうか。悪徳商法の典型的なのは、会社をつくる、そしてセールスをすっとやる、それで問題があったらさっと会社をたたんで逃げちゃう、そしてまたほかのところでまた別の会社をつくって別のセールスをやるというのが悪徳業者の手口でしょう。いかがですか。
  226. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) おっしゃるようなケースは少なくないと思います。
  227. 木本平八郎

    木本平八郎君 これをこの法律で取り締まれますかね。悪いことをやってさっと売りつけて、それでクーリングオフもくそもない、さっと逃げちゃう。逃げたやつを追っかけて取引停止処分とか何か刑事処分とか行政処分をやろうといったって、もうこれは幽霊を追っかけるようなもんですよね。それいかがですか。
  228. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 悪いことをやって法律を犯して後店をたたんでといいますか、これ店がないんですけれども、要するに事業をやめてどっかへどろんをしてしまうというケースにつきましても、当然のことながら、法律違反を犯しておれば、どこへ行ったかこれは追及しなきゃなりませんし、見つけ出して必要な処罰を加えなければならないと思います。  問題は、それだけ警察なり行政なりに追いかける能力といいますか、力があるかということでございますけれども、悪質なものは断固やらなければいけないと思います。
  229. 木本平八郎

    木本平八郎君 悪質なものは断固やらなきゃいかぬわけですけれども、物理的にできるかどうかとお聞きしているんですよ。例えば三菱銀行で三億円盗まれましたね、有楽町支店で。あれ三億円でももう警察どうにもならないんですよ。ましてこれ平均したら十万円ぐらいでしょう、その金額というのは。多くても百万円のものを警察はこれ迫っかけますかね。それどうですか、その辺。
  230. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) これは警察の方にもどの程度の場合にどの程度の労力をつぎ込むかという恐らく方法論がおありだろうと思いますが、つまびらかには私いたしませんが、結局どれだけのコストをかけても、つまり三億円の被害に対して十億円かけても追及しなければならないものはやはり追及するのが法治国家だと思いますし、恐らく警察はそうお答えになると思います。  訪販につきましても同じ哲学でいかなければいけないと思いますし、それからこれは私警察に伺ったことはありません、想像でお答えするのは申しわけないんですけれども、警察も、仄聞するところによりますと、非常に悪質なもの、例えば豊田商事のその後の残党といいますか、その人たちがどこでどうやっているかということについてはそれなりの関心をお持ちではないかと思います。
  231. 木本平八郎

    木本平八郎君 だから、大きなものが仮にあったとしたらそれは追っかけると思うんですよ。ところが、彼らもでっかいことをやったらやられるということを知っているわけですから、小さいことをごそごそ二十万円、三十万円の単位でやっていくと思うんですよね。私も泥棒になったことがないからわからないけれども、それは私がなったら当然そう考えますよ。大きなことをやって警視庁が必死になって追っかける、全国指名手配されるようなことをやっちゃもう元も子もありませんからね。それよりも、少しずつやっていくというのが必ずあるんですね。そういうものに対応できないと思うんですよ。  それから、被害者が警察あるいは国家権力に求めていることは、まず、とにかく被害に遭ったものを取り返してくれ、おれのかわりにいって取り返してくれ、もしも取り返せなければそれに見合うだけの、何というか、懲役にいかせて一生懸命働かせるというのがありますわな、私、あれ何というのか知りませんけれども。恐らくそういうことでとにかく賠償させてくれということでしょう。ところが、その賠償をさせられないという状況だったら、これ消費者としてはもう泣き寝入りせざるを得ない。今までと同じじゃないですか。
  232. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) どの点をつかまえて同じかという先生の御指摘がよくわからないんですけれども、少なくとも、悪徳商法に対して行政処分ができる、それから刑罰がかかるという点については今までと同じではないわけでありまして、まずこの法律でその武器をできるだけ使ってみる。今これが当面ベストなものとして御提案しているわけでございますけれども、それをやってみた上で、また何年か後にこういう体制でいいのかという御議論は、それはあり得ると思いますけれども、まずは私はこれで全力を挙げてやってみるのが必要かつ適切なのではないかと思っておるわけです。
  233. 木本平八郎

    木本平八郎君 ベストじゃないかとおっしゃるんですけれども、私はベストじゃないと思うんですね。私のような素人がこの一カ月ぐらい三、四回レクチャーを受けて、ちょっと考えてみただけでももっともっといい知恵があるんですよ。これは参考人が来られたときに私は申し上げますけれどもね。  だから、こんな大変な苦労をなさって法律をつくられて、こうして審議をして本当にその効果があるのかどうか。少なくとも犯罪を犯したやつに対しては行政処分とかなんとか多少あるにしても、消費者は全然救われないですよ、これ。救われないという点において私は過去と同じじゃないかと申し上げているんですよ。泣き寝入りせざるを得ない、だまされたやつが悪い、もうしようがない、あきらめろということになりかねない。私、余り絡むような言い方しちゃいかぬけれども、お上のおやりになることは、その辺何か、おれはちゃんとやってあるんだという言いわけの範囲であって、本当にその消費者のことまで考えて、温かみのある政治というか、行政は余りやっていただいていないんじゃないかと思うんですね。これも、法律をつくって、こうしてちゃんとやることはやった、しかし、泥棒は尽きないんだからしようがない。消費者の救済も物理上できない、もうしようがない、あきらめてくれということになると思うんですけれども、その辺はどうですか。
  234. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 具体的な例で申し上げたいんですけれども、この法律は五十一年の制定でございますが、この法律の第三章が、連鎖販売取引、マルチの規制法律でございます。  マルチは、当時三十数社、もっとあったかもしれませんが、名前の知られた主なものが三十数社あったわけでございますが、あのときに国会審議で、この法律でマルチはどの程度抑圧できるかという御議論があったわけでございます。真っ正面からマルチを禁止する法律ではなかったわけでありまして、ちょっと広目に網をかけていろいろ縛りをかける法律だったわけでございますけれども、結果的には、残念ながらゼロとは申しませんけれども、今マルチでまだ活動中というものは一社になりました。その他はもうマルチのビジネスをやめてしまったわけです。これは、現実にこの法律がこの十数年働いてきた結果だと思いますので、私は、あきらめることなくこれで事態の改善を図っていくことが必要だと思っております。
  235. 木本平八郎

    木本平八郎君 マルチは減ると思うんですね。ついこの間のネズミ講のように、金品になるとあれもまたなくなると思うんですよ。しかし、問題は新しいものが出てくる可能性があるということなんですね。だから、何年か前にネズミ講の法案をつくって、それで減ったと。しかし、ついこの間のような国債とかなんとかでまた被害者は出るわけですね。どんどん新しいものが出てくるだろうということなんです。その辺を私はもとから断たなきゃだめだということを繰り返し申し上げている。先ほどもありましたけれども、ゴキブリをなくすることがまず第一なんですね。そこで、ひとつ私、この問題は原点に返って考えなきゃいけな いんじゃないかと思うんですね。  そこで、私は訪問販売自体を禁止したらどうなんだという意見を持っているんです。訪問販売自身を禁止すればすべての問題が解決する。これを禁止すればどういう不便が出てくるだろうという点、これは消費者と生産者、販売者がありますけれども、両方でお答えいただきたいと思います。
  236. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 生産者、販売者の側からいいますと、これはもう答えは明らかでございまして、ビジネスチャンスがそれだけもう無条件でふさがれてしまうわけでございますから仕事がなくなるということでございますし、仕事に従事している従業員なり、あるいは独立自営の事業主にとっても収入の道がふさがれるということになります。これは当然のことでございます。  それから、流通政策という観点から見ますと、訪問販売は多種多様な小売の形態の一つでございまして、それなりの合理性を持っています。これがきちんと行われる場合には比較的初期投資が少なくて参入できるとか、あるいは小規模のスタートでもペイするとかいうメリットがありますし、流通全体として見れば、これもやり方次第ですが、一般には流通コストが安くて済み得る形態でございます。したがって、そういう意味一つの有用な業態が消えてしまうという問題があります。  さらに、消費者にとって訪問販売を禁止したら何が困るかという点でございまして、これが実は一番難しい御質問でございます。  絶対困るかと言われた場合に、絶対困る場合は、ゼロとは申しませんけれども限られたものだろうと思います。今、随分店もたくさんありますし、アメリカの砂漠の真ん中とは違いますから、訪問販売に来なければ買いに行けばいいわけでございます。しかし、相対的な困り方というのはあると思います。絶対的に困ることはないけれども、今まで便利にしていた買い物が今度来なくなってしまったという意味の相対的な困難といいますか、困り方は当然あるわけでございます。  一、二の例を申しますと、例えば今訪問販売の中で化粧品というのは金額の第一位を占めておりまして、金額的には七千百四十億でございます。それから洗剤、これは年間九百四十億でございます。健康食品、これも九百四十億、たまたまほぼ同じでございます。  こういった化粧品とか洗剤とか健康食品というようなものの訪問販売は、実は同じお客さんのところへ同じ業者が行って繰り返し販売している形態がかなり多いんでございまして、化粧品のA社のケースで申しますと、売り上げの二、三割が年々新規のお客でありまして、残りの七、八割はなじみのお客様ということでございます。B社の場合でも、新規客が一割というのがB社のケースでございます。こういったものについては、いつ必ず来るというものではありませんけれども、大体定期的に来るのが多いわけでございまして、おたくの洗剤はまだありますか、なくなったんじゃないですかというふうに来る、そういう便利さがあるわけで、トラブルもないわけでございまして、こういうような固定的といいますか、繰り返し訪問している訪問販売については、現行法も一定の要件のもとに一々書面交付なんかしなくていいように適用除外の規定もあるわけでございますが、こういうものについては絶対不便、絶対困るとは申しませんけれども、かなり不便を感ずるのではないかと思います。
  237. 木本平八郎

    木本平八郎君 消費者の立場に立ってこれを議論したいんです。先ほどからずっと審議の経過の中で、消費者行政とか消費者の利益とか消費者擁護ということを非常に強調されていましたので、消費者の立場からこれを議論するということは御異議ないと思うんです。  消費者の立場に立って考えますと、なるほどじっとしていて便利なところもあります。ありますけれども、現実にはこういうふうな非常に大きなトラブルがあり、犠牲があるわけです。問題があるんです。問題がなければこれは私非常にいいと思うんです。今末木さんもおっしゃったように正常に運用されればこれは非常にいい。私もそう思います、訪問販売というのは。しかし、これだけの犠牲があってトラブルがあってやるほどの意味があるかどうか。その辺いかがですか。
  238. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) ただいま申し上げましたように、かなりのウエートで常連のお客様になっているものがあるわけでございまして、そういうものを含めてやる価値があるかという議論をするのは非常に難しいと思います。そういうふうに定着しているものについては実は害がほとんどないわけでございます。そうすると、初めて行くお客様、一回だけうまく売りつければ後はもう行かないであろう、そういう取引を区分してもし論ずることができれば、そのときに初めて害があるのにそういった商売を認めるべきかどうかという議論ができるんですけれども技術的にそういうふうに分けることは大変難しいわけです。  そうしますと、全部まとめて考えざるを得ないわけでして、結局そうなれば害の方をできるだけ減らす努力をしてみる。悪いことは極力させないように取り締まった上で、その上で、一体訪問販売というものを消費者が評価するのかどうかということは市場メカニズムを通じまして売り上げという形であらわれてまいりますから、魅力がない、価値がないということであればマーケットは縮小していくでしょう。店舗販売の方がいいということであれば見放されるわけであります。  もしそうではなくて、規制をしておかしなものは取り締まりつつ売り上げが伸びていくということであれば、それは消費者が評価しているということになるわけでありまして、今の段階では、ルールはきちんとし、規制すべきは規制しつつも、訪問販売というものの価値評価につきましては私は国で一方的に決めるのではなくて、マーケットの判断にゆだねるのが適当ではないかと思います。
  239. 木本平八郎

    木本平八郎君 マーケットの判断にゆだねた結果がこういうトラブルになるわけですよ。  それで、今のお話で、確かにA社の化粧品というのは意味があるかもしれない。しかし、そうするとこれだけのトラブルと犠牲があるわけですね。この法案を通して、なおかつ訪問販売をやめない、訪問販売を続けていくんだというふうなA社を代表とする善良なる販売会社のためにやるわけですね。
  240. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 数からいえば圧倒的に多数の業者がまじめに商売をやっている業者だと思います。したがいまして、今度は自由営業といいますか企業の側、売る側に立った場合には、当然のことながら憲法の営業の自由の関係からいいまして、国として打つべき手をまだ十分打ち切っていない段階で営業を認めるか認めないかというところまで議論を詰めていくというのは手順としてはいかがなものかと思っております。
  241. 木本平八郎

    木本平八郎君 消費者にとっては、片一方で物すごいリスクがあるわけですよ。悪徳なセールスマンが来る、トラブルに巻き込まれる、あるいは体まで傷つけられる可能性もあるわけですね。そういう可能性があってまでなおかつA社の化粧品を買わなきゃいかぬというニーズ、これはA社の化粧品を買っている人自身はメリットはありますよ。しかし、一般的に消費者となった場合に、それだけのリスクを冒さなきゃいかぬかどうか。  もう一つ議論を進めますと、先ほども審議官がおっしゃったように、日本経済的にも非常に発展して、物が豊かで、流通も完備して、電話も山の中どこまでもあるわけです。NTTの出している電話帳を見ますと、ハローページだとかタウンページだとかなんかあって、もうあらゆる業界の情報もあるんですね。電話一本かければすぐ来るわけですよ。だから訪問販売がなくても調達はできる。それから、訪問販売にはこういうリスクがある。それまで冒して訪問販売を置いとかなきゃいかぬという私は意味づけが非常に弱いと思うんですよね。したがって私は、訪問販売は禁止したらどうだと。  そこで、じゃ禁止したら、仮に私A社の立場に少し戻りますと、せっかくここまでまじめにやってきたのにそれをふさがれてしまうのは残念だ と、残念ではあるんですけれども、これは通産省で末木さんもやっておられたと思いますけれども、石炭業界だとか繊維だとか撚糸だとか、あの辺の業界なんかもまじめに一生懸命やってきたのに、世の中の情勢が悪くなってみんな閉鎖せざるを得ない。まあ路頭に迷うかどうか、失業されているというのはいっぱいあるでしょう。それと同じことで、この業界も一生懸命にまじめにやってきた、しかし悪いやつがおったために業界が閉鎖されちゃったと、これもやっぱりやむを得ないんじゃないかと思うんですが、それとこれとどう違いますかね。
  242. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) お言葉でございますけれども、石炭は私が申し上げますマーケットの論理によって閉めざるを得なくなったものだと思います。こちらの方はそうではなくて、仮に法律で禁止をすれば、消費者の需要としてはあるにもかかわらず、そして多くの人はまじめにやっていたにもかかわらず一部の悪い業者のために禁止を受けるということになるわけで、石炭とは大分違うと思うんですが、その場合にまじめな業者からすれば、政府法律をつくる力も責任もある、警察も持っている、なぜ悪い業者を徹底的に取り締まってくれなかったのか、悪い業者を取り締まってくれればこういう禁止ということにはならなかったんではないかと考えるでしょう。  私どもは、当然のことながらその悪い業者を取り締まるというプロセスを今経ようとしているわけでございまして、これをやった上で、さらに世論がどう動くかということは、これは将来の問題でございますけれども、現時点におきましては規制を強化しろという声は多数聞きますけれども、一足飛びに禁止しろという声は私は余り聞かないわけでございまして、そのくらい問題が深刻であるという御指摘としては承りますし、また業界に対しても、そのくらい大変なんで、ここで業界もひとつ人ごとみたいに言わないで、私はまじめにやっているからというような安易なことではなくて、みんなで悪質業者の撲滅をやらなければ遠からぬうちに、先生がおっしゃるような声がほうはいとして起こってきた場合にはまじめにやってきた人もそれじゃ済まなくなるということで、警鐘を打ち鳴らす必要はあろうかと思います。
  243. 木本平八郎

    木本平八郎君 乗客がまじめに乗っていても不心得なやつが爆弾を持ち込んだら全部やっぱりおっこって死んじゃうんですね。これはある意味じゃ不運なんだけれども、そういう危険性があればまずとにかく飛行機をとめて全部徹底的にチェックするということだってやっているわけですよね。その航空会社が危なければほかの航空会社に乗りなさいということだって必要なわけです。  それと同じような状況なんですね。そうでないと、まじめにやっているからということだけで、まじめにやっている業者を助けようと思って向こうの消費者がこうして犠牲を受けるというふうなことは、やっぱり私は根本的に考え直す必要がある。したがって、例えば先ほどのA社の化粧品の場合、私は郵便受けまでという規制にするんですね、中へは入っちゃいかぬと。郵便受けへ必要なら宣伝のビラでも何でも入れるわけですよ。例えば、我々が引っ越しをすると新聞屋さんとか牛乳屋さんが来て牛乳をとってください、新聞をとってください、皆ビラを入れていきますわね。それを見て我々電話して持ってきてくださいと言うわけです。禁止しても、そういうふうにポストへ入れていけば、それはあの化粧品だというのですぐ電話してくるわけです。消費者が自分の意思で呼び込んだら、これはもう消費者の責任ですからいいわけですね。ところが、中に入ってこられると、先ほども言いましたように、格というか位相が違うからこれはどうしようもないんですよ。したがって戸口でとめなきゃいかぬ。そういうことで、今の訪問販売を禁止するけれども、郵便ポストまではよろしい、あるいはインターホンを使うかもしれないけれどもインターホンならよろしいという点は、それでは解決になりませんかね。
  244. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 実は、現在たちの悪い訪販業者が現実にそういう手口も使っております。いきなりこんにちわと言って入っていくと警戒されるので、非常に巧妙な手紙をまず出しまして、そして、御連絡ください、いきなりお尋ねしたのでは失礼だと思いますのでお手紙差し上げますという形でまずアプローチしまして、そして呼びますと、そこから後はいきなり来たのと同じ、あるいはそれ以上にたちの悪いのが実はあるわけでございまして、そういういろんな手口があるものですから、必ずしも今のような御提案でうまく解決できるとは思われないんですけれども、ただ戸口のところで線を引いて、そこから中に危険な者、変な者が入り込まないように、あるいは入り込んだときに的確な手が打てるようにする必要があるということは、恐らく国民の多くが考えていることだと思います。  これは訪販だけではなくて、そのほかに調査とかあるいは宗教への加入とか、あるいは物をむしろ売ってくれとか、いろんなことで家庭に入り込んでくる者があります。こういったものを全部横並びで見てどう考えるかという問題は、これは通産省だけの問題ではございませんけれども、確かにあると思います。
  245. 木本平八郎

    木本平八郎君 今のように、メールだとか手紙でひっかかっていく、こういうことはもう当然あると思うんですよ。これは店舗販売でもあるわけです。店に買いに行って変な物をつかまされたとか全然効かない薬を買わされたとか、そういうことはあるわけですね。これはもうしようがないんです。これは流通の原則として、それはやっぱり消費者の責任だと思いますね。したがって、これは消費者教育をやるしかないんです。  ただ、今、訪問販売をやめさせなきゃいかぬと言うのは、ある意味では、こういうふうにもう統計的に出てきていますけれども、ほとんどが単独のときでしょう、密室状況になるわけですね。だまされて物を買わされたって、そんなものは大したことないんです。しかし、体とか生命に傷がつくという危険性だってあるわけです。そういう危険性まで冒してなぜそういう営業のようなものを保護しなきゃいかぬのか。  それで逆に、A社にお聞きになった方がいいと思うんですよ。こんなトラブルに巻き込まれてもうそのまじめなセールスマンまで、あなたも悪人の一味じゃないかなんて、そういう白い目で見られるわけですね、知らないところだったら。そんな思いまでしちゃかなわない。それなら、何々化粧品でございます、こういう新製品ができましたのでと、ポストに入れておいた方がよっぽどいいと。私は、A社の側に立ったらそう思うと思うんですね。これだけ訪販が問題になってくると、非常にまじめにやっている業者の方がむしろプロテクトしたい、そういう悪徳業者を排除できないかというふうに考えるんじゃないですか。その辺は業者の意見をお聞きになりましたか。
  246. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) まじめにやっている業者からすれば、悪い業者を徹底的に取り締まってもらいたいという声だと思います。取り締まりのやり方についてはいろいろな方法があると思いますけれども、例えば極端な話、登録制といいますか開業規制についても少なからぬ数の企業が結構じゃないかという調査も業界ではあるようでございます。それは恐らく、先生おっしゃるような、このままでは全部が倒れてしまうという危機意識があるからだろうと思います。しかし、そう言っているうちにどんどん事態は変化してしまうので、じゃ、自衛のためにどうするかということで、先生が御指摘のような形のアプローチをするのがいい企業だというふうに世の中が認めてくれると判断すれば、私は企業は進んでそういう方法もとろうと思います。  ただ、繰り返し申しますけれども制度化した場合には、例えば玄関、入り口に行ったときに、今、原則として戸をあけたときに名を名乗って用向きを名乗らなければいけないというのが第三条の規定でございますけれども、その名乗り前置主義をさらにちょっと進めて、手紙前置主義に少し進むということで、本質的な変化にはならないの てはないかなというのが私ども率直な感じでございます。
  247. 木本平八郎

    木本平八郎君 この続きはあさってやりますけれども、私、今の説明じゃ全然納得できないんですよ。  この問題については、そこにおられる四人の方々に三回にわたってレクチャーのときから何回も同じ問題を議論しているわけです。きょうは相当ちゃんとしたお答えがいただけるんじゃないかと思って楽しみにしていたんですけれども、やっぱり今までと同じ繰り返しで、ちょっとがっかりしながら帰らなきゃしようがないんですけれども、またあさってぜひいい回答を用意していただきたいと思います。それじゃ、これで終わります。
  248. 大木浩

    委員長大木浩君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  249. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十八日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会