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1988-03-30 第112回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十日(水曜日)    午後三時開会     ─────────────    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      久保  亘君     梶原 敬義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大木  浩君     理 事                 下条進一郎君                 前田 勲男君                 福間 知之君                 市川 正一君     委 員                 小島 静馬君                 杉元 恒雄君                 中曽根弘文君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 松浦 孝治君                 松尾 官平君                 向山 一人君                 青木 薪次君                 梶原 敬義君                 高杉 廸忠君                 伏見 康治君                 矢原 秀男君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   田村  元君    政府委員        通商産業大臣官        房長       棚橋 祐治君        通商産業大臣官        房総務審議官   山本 幸助君        通商産業大臣官        房審議官     末木凰太郎君        通商産業省産業        政策局長     杉山  弘君        中小企業庁長官  岩崎 八男君        中小企業庁次長  広海 正光君        中小企業庁計画        部長       田辺 俊彦君        中小企業庁指導        部長       村田 憲寿君        中小企業庁小規        模企業部長    三上 義忠君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        大蔵省銀行局中        小金融課長    鏡味 徳房君    参考人        中小企業信用保        険公庫総裁    片山 石郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案内閣提出衆議院送付) ○民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     ─────────────
  3. 大木浩

    委員長大木浩君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、中小企業信用保険公庫総裁片山石郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大木浩

    委員長大木浩君) 中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 福間知之

    福間知之君 現在の中小企業組合は、事業協同組合あるいはまた商工組合、さらには企業組合協業組合商店街振興組合等多くのものがございますけれども、中心的な役割を果たしてきたのがいわば事業協同組合でありまして、中小企業組合制度はその基本として協同組合原則をとっていると考えられるのであります。しかし、現在のように高度産業化社会での目まぐるしく経済が変動する中におきまして、協同組合原則中小企業組織化基本原則とすることの是非というものが今問われてもいるんじゃないかと思うんです。  二十一世紀を目指す中小企業組合にとりまして、組合原則の今日的な意義というものについて歴史的視点に立って検討が必要ではないかと考えるのですが、通産大臣の御所見を伺います。
  7. 田村元

    国務大臣田村元君) 規模の過小性経営資源の乏しさなどによりまして不利な立場に立たされております場合の多い中小企業でございますが、弱者といいますか、相寄り相集って、お互いに体を寄せ合って協同して生産性の向上や体質改善などを図るために結成する組合、これは組合員のために存在するという基本的な性格から、相互扶助組合事業に直接平等奉仕等のいわゆる協同組合原則を有しておるものであります。  しかしながら、経済環境の変動のもとでの組合役割変化しております。例えば今後、研究開発、販路の開拓人材育成等のいわゆるソフトな事業活発化が予想されますが、これらは組合経営資源を補完するために行われるものでございまして、組合によって組合員の求める役割が異なるケースも予想されます。このような場合には直接平等原則は、これは組合事業の利用の機会が組合員に公平に与えられればよいというように実態に即して適用する必要があるものと考えております。今後とも、今の御指摘も踏まえまして、中小企業組合における協同組合原則の適用のあり方については十分検討をしていきたいというふうに考えております。
  8. 福間知之

    福間知之君 今審議を始めた融合化法なるものも、大臣が今おっしゃったような背景を考えた上での法案ではないか、こういうふうに思うのですが、そこで一九八二年の三月に全国中小企業団体中央会中小企業庁から委託を受けまして、中小企業組織化政策ビジョンを発表いたしたのであります。  その中で八〇年代中小企業組織に対するニーズとして、第一には、中小企業経営においても量的面での体質強化に加えて質的な面での充実強化を重視して、そのために技術情報人材といったいわばソフト経営資源充実に努めるという課題を担うと同時に、中小企業組織にとっても従来のような物的施設を中心としたハードな共同事業に加えまして、ソフトな部面での共同化が必要だ。第二には、個々の中小企業が自己の特性を最も効果的に発揮できる方向において多様なニーズにこたえなければならない時代、そして中小企業組織マンネリ化傾向から脱却して多様なニーズにこたえるべきであるとしていたのでありますが、中小企業政策の中における組織化政策について、そのような提言が具体的にはどう反映をされたのでございましょうか、お伺いをいたします。
  9. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) ただいま先生指摘のように、中小企業をめぐる環境は非常に激しく変わってきておるわけでございまして、そういう中で中小企業組織の力を通じまして、それに対応していく必要性というものはますます大きくなっておるんじゃないかというように私ども考えておるわけでございます。  そういう観点に立ちまして、通産省といたしましても、ただいま先生指摘になりました中小企業組織化ビジョンも踏まえながら、近年中小企業組織化施策強化充実を図ってきたところでございます。  一つには、ただいま先生指摘のありました第二の点に関連しようかと思うわけでございますけれども、私ども活路開拓調査指導事業と称しておりますけれども経済社会変化多様化する組合員ニーズを把握いたしまして、組合及び組合員事業関係いたします将来ビジョンを作成したり、あるいはさらにそのビジョンを実現化しようとする組合に対しまして助成をいたしておるところでございまして、組合員ニーズに即した組合活動活性化といったことを心してまいったところでございます。  それからもう一つ先生指摘の第一点に関連すると思うわけでございますけれども組合自主研修に対する助成でございますとか、それから組合の行いますマーケティング事業に対します助成でございますとか、それから組合情報ネットワーク化への助成といったことを進めてきておるわけでございまして、従来のハードな共同事業だけではなくて、人材育成とかマーケティングとか情報といった、そういうソフト面での共同化組合で円滑に進められるように支援を行っておるところでございます。  今後とも先ほどのビジョンに示されているような方向も勘案しながら、中小企業をめぐる経済環境変化を踏まえた中小企業組合に求められる役割を十分見定めながら組織化施策拡充強化に努めていきたいと考えておるところでございます。
  10. 福間知之

    福間知之君 今申されたような点については今後私どももさらに検討、吟味をさせていただきたいと思いますが、ここでは時間の関係がございますので、次に進みます。  そういうことで、いわば高度成長時代スケールメリットによる経営基盤強化を目指して組織化された組合が、昨今の異常なまでの経済環境変化によりまして目標どおりの効果を上げ得ずに組合機能そのものの見直しを迫られるというふうな実情が考えられるわけであります。  そこで、最近の解散命令による休眠組合整理を含めた解散組合の数及びここ二年ないし三年の変化を具体的に数字で御説明を願いたいと思うのであります。また、この経済環境変化による不安定性が新たな組織化目標を定めにくくしておりまして、組合員組合離れに拍車がかかっているのじゃないか、最終的にその組合活動の終えんに向かわせると思われるような事態があるわけでございますが、先ほどの説明にありましたいわゆる組合活性化あるいは組合機能の再構築ということへの指導方向が示されなければならない、そういうふうに考えるわけでございまして、中小企業庁のそれらにおける認識と対応策について伺いたいと思います。
  11. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 御指摘休眠組合あるいは解散組合の数でございますけれども、最近の中小企業組合自主解散数についてまず申し上げますと、昭和五十九年度で七百六件でございます。それから昭和六十年度で六百八十六件、六十一年度で六百四十七件というようになっておるわけでございます。このほかに昭和五十九年の十月一日を基準日といたしまして休眠組合整理を行っておるわけでございますけれども、これによりますと解散件数は二千六十六件というようになっておるわけでございます。  こういう組合解散あるいは休眠といったものの中には、ただいま先生指摘になりましたような組合に対する何といいますか、組合であることのメリットみたいなものがどうも中小企業の方は感じないじゃないかといった点も関係していようかと思うわけでございますけれども、こういう環境変化の中でやはり新しい組合づくりということが必要になると同時に、現在存在しております組合の抱えておる問題解決のための努力でございますとか、それから先ほど申し上げましたような活路開拓のための挑戦といったものも必要になっておるというように私ども感じておるわけでございまして、そういう中で中小企業組合指導機関でございます中小企業団体中央会が果たすべき役割というものも非常に重要になってきておるのじゃないかと考えておるわけでございます。  そういう観点から、これまでも通産省としましては中小企業団体中央会指導員の増員でございますとかあるいはコンピューターの増設等による指導体制強化といったことを図ってきたわけでございますし、またさらにはその組合情報化対策事業でございますとか、活路開拓調査指導事業といったような組合活性化施策も今講じてきておるところでございまして、今後とも中小企業者にとって魅力のある組合づくりといいますか、そういう観点を踏まえながら組織化対策充実に努めてまいりたいというように考えておるところでございます。
  12. 福間知之

    福間知之君 先ほど来の説明にもありましたように、ニーズ多様化あるいは高度化、多品種少量生産体制への移行、こういう変化が結果としてファッションやデザインといった知的付加価値が重要視されるような時代に突入をしまして、サービス化ソフト化の進展が一層促進されつつあると考えるわけであります。  このような変化に応じまして、中小ニューサービス業の果たす役割が極めて高い状況にあるんじゃないかと思うんですが、新しい業界であるだけに組織化が著しく低いのが実情だと聞いております。中小企業庁はこうした現状をどういうふうにとらえて対処していこうと考えておられますか。
  13. 三上義忠

    政府委員三上義忠君) 今御指摘のありました、いわゆるニューサービス産業と呼ばれておりますような全く新しいタイプの産業が大変多く生まれているわけでございます。これらは提供いたしますサービスの形態ですとかあるいはその手段あるいはその内容等におきまして大変従来にないようなものを持っております。それと同時に大変設立の時期が新しいものが多いわけでございまして、例えば昭和五十年代の半ば以降設立されたものが全体の四分の三を占めておりますし、さらに全体の四割は六十年代に入りまして設立されたものでございます。こういう実情を反映いたしまして、今御指摘のように大変組織化という点におきましてはまだまだの段階でございます。  ただ、新しい組織化の動きは全国いろんな形のものがあらわれてきておりまして、私どもといたしましては今指導部長が申し上げましたような中小企業団体中央会、こういったところの指導等を通じまして今後一層こうした新しいニューサービス産業に対する組織化を進めていきたいというふうに考えております。
  14. 福間知之

    福間知之君 具体的に中央会を通じた指導をやっているとおっしゃいましたが、少し具体的に御説明いただけますか。
  15. 三上義忠

    政府委員三上義忠君) 今申し上げましたように、大変多種多様な業態でございまして、なかなか今の段階でこういうものに対しましてはこうというふうな御説明がちょっと申し上げられる段階ではございませんが、いずれにしましても、できるだけ業種業態を把握いたしましてそれに適したような形での御指導をしてまいりたいと思っております。
  16. 福間知之

    福間知之君 かなり全国的に、しかも日々新たに変化していっているんじゃないかと思いますので、今後せっかく実情に即して指導育成に当たってもらいたい。また改めてそういう事業について勉強したいと思っています。  ところで次は、融合化促進施策内容についてでございますが、五十六年度に技術交流プラザ開催事業というものが中小企業事業団を通じて発足いたしております。そして一定の成果も上げていると考えられるのでありますが、その事業実態実施都道府県とその件数あるいは事業の実績、一カ所当たりの予算額等についてお伺いしたいことが一つ。  さらに当該プラザ事業には原則として一カ年で補助金が打ち切られるというところから、一カ年経過すると対象グループ予算上の措置を受けずにみずから活動をしなければならないということになっているようですが、何かその点での手当ての必要性があるのではないかと思いますので、中小企業庁の見解を伺います。また、現在このプラザ参加グループ数参加企業数あるいは開発成果についてはいかがでございましょうか。
  17. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 御指摘のように五十六年度から技術交流プラザ事業を始めておるわけでございますが、具体的な実施都道府県の数を最初に申し上げさせていただきますと、五十六年度が二十五府県でございます。その後増加してまいりまして五十七年度三十四道府県、五十八年度は四十三道府県、五十九年度も同じく四十三道府県、それから六十年度、六十一年度が四十四都道府県、六十二年度が四十二都道府県というようになっておるわけでございます。  それから恐縮でございますが、数字の方だけ最初にまとめて申し上げさせていただきますと、この事業参加いたしましたグループの数あるいは成果という御質問でございますけれども昭和六十一年度までで恐縮でございますけれども累積で申し上げますと、参加いたしましたグループの数は二百三十三でございます。それから企業の数にいたしまして約六千八百というような数に上っておるわけでございます。それからこれをきっかけといたしました成果もいろいろ出てきておるわけでございますけれども共同技術開発でございますとか共同製品開発あるいは製品改良改善といったようなものがいろいろあるわけでございまして、私どもが把握しておるだけで約八百五十件の成果が出ておるというように聞いておるわけでございます。実際にはさらにもう少し多くのものがあるんじゃないかというように考えておるところでございます。  それで、このプラザあり方、持ち方でございますけれども先生指摘のように、一年間ということでその間に中小企業の方がいろいろ交流をして知り合ってきっかけをつくっていただく、その後は自発的にやっていただくというようなことでやっておりましたので、御指摘のとおり一年間だけの補助ということになっておるわけでございますけれども、これまでも多くのグループがただいま申しましたように結成されて活動を続けておるわけでございますけれども、いろいろその中で問題点も確かに今出てきておるわけでございまして、例えば交流活動を行う上で参加のメンバーが集まりやすいような場の確保が容易でないというような問題でございますとか、あるいは適切な指導とか助言が得られにくいとかあるいはいろんな技術とか市場情報が入手しにくいといった問題を抱えておるのも事実でございます。  そういうことで、私どもといたしまして、昭和六十三年度におきましてこういう自発的な異業種交流活動対象といたしまして異業種交流グループが自由な交流を行うための交流室といったようなものを備えた地域融合化センターというものをひとつ整備したい。それから、異業種交流世話役まとめ役という方が大事なわけでございますけれども、そういうまとめ役世話役となるカタライザーといったような人を派遣いたしまして交流活動支援していくというようなことでございますとか、さらには異業種交流に資するいろいろな関連データ、そういったものを資料なども整備いたしまして、情報提供の面で支援していくといったそういう施策を講ずることとしておるところでございます。
  18. 福間知之

    福間知之君 異業種交流グループの誕生やら共同開発活動等成果につきましては今までもマスコミ等でかなり取り上げられ、報道されることもありましたが、必ずしもすべての異業種交流グループ活動が順風満帆に歩んでいるとも思えないわけであります。  商工中金調査によりますと、これは六十二年六月現在でございますが、商工中金が各営業店を通じて支援した異業種交流グループ、これはほぼ百十七グループあると言われていますが、そのうち既に解散または実質休眠していると営業店で判断したグループが三十余りあります。その割合からも決してこれは少ない数字ではないと思われます。  その理由として、交流グループ行き詰まりということが一つ考えられる。二つ目には、期待したほど成果が上がらないという期待外れということ。三つ目は、行政機関等支援終了とともに活動が停止したというようなことが挙げられておるようでございます。このような背景には、グループ活動運営のまずさや参加企業の意識の低さといいますか、不十分さなどが大きく影響していると思われますが、中小企業庁は、そのような行き詰まりないしは失敗というようなものにこれからのこの融合政策を進める上において考えねばならぬことが存在しているように思いますが、いかがでございますか。
  19. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 確かにこの中小企業者自主独立の、ましてやこの異業種の集まりでございますので、それがまとまって実のある結果をもたらすような努力をし続けるというのについてはなかなか大きな困難が常に伴っておると思います。今御指摘のように私ども五十六年からやりましたんですが、そこのいろんな反省に立って今回その包括的な施策体系をつくりたいと思っておるわけでございます。  先ほど御指摘の、一年限りではないかと。つくってみたら後は自主的にやりなさいというのも一つでございますので、その後のそういう異業種交流グループ活動に必要ないろいろな場、あるいはその世話役、あるいは技術指導についての公設試とのリンクづけ、あるいは地域大学とのリンクづけ、そういうふうに継続的にそれをケアしていく、そういう手段として今回カタライザーとかあるいは地域情報センターというようなものをつくるという考えも出たわけでございます。  かつまた、そこからもう一段進んで何らかの研究開発をしようと。これもまた資金を出す、その利害調整をどうするか、いろいろ問題がございます。そういう研究開発についても、組合事業としていろいろな税制その他の支援措置を手当しよう。それから、失敗のかなり多くの例が、何らかの一つ試作品はつくったけれども、それを市場化する、事業化するその段階で一時とんざを来す、こういう例も多うございます。したがって、そういう事業化という、市場に現実に製品として出すという、その面の支援策というものも今回改めてつけ加える。  こういうことで、できるだけこの七年間の経験に徴しまして、継続的かつ各段階別支援策を包括的に準備したいと思って今六十三年度予算においてそういう措置を講じようとしているところでございます。
  20. 福間知之

    福間知之君 そうなんですね。半面は着実に成功しつつあるけれども半面また企業化とか事業化という広がりを持てないということで行き詰まる。今御指摘の点は非常に重要なことでありまして、先ほどの御説明じゃないですけれどもカタライザーなる人材を養成、派遣していくということと同時に、この人たちの力で今指摘されたような事業広がりというものが指導され、育成されていくというようなことが期待できるのかどうか、ここらはひとつ重要な問題だと思うんです。カタライザーの人数が予算上九十六人、こうありますけれども、こんな程度でそれがいいかどうかも問題ですけれどもカタライザーのなすべき仕事はデスクワークだけじゃだめだと思うんですね。そういう点で十分な配慮をしていく必要があるんじゃないか。あるいはまた、そのカタライザーなるものは法的にはどういう地位にあるものなのかということ、また都道府県に何人ぐらいが配置されるんだろうかということ、これをお伺いしたいと思います。  それから、さらにこの融合化促進施策によりまして地域融合化センターを整備するということでございますが、このセンター役割あるいは設置件数あるいは運営をどのように考えておられるのか、またこの地域中小企業に対する情報提供機能充実強化するために中小企業情報化の拠点たる中小企業地域情報センターというのが現在四十一カ所設置されているそうでございますが、これは地域で第三セクター方式で設立されているものが多いと聞きますし、また資金的にはほとんど当該県が負担をしている、こういうふうに聞いているんですけれども、来年度の増設予定地域あるいは地域融合化センターとの関係、競合するというふうに考えられるんですが、そういう問題はないのか、そのあたりについていかがですか。
  21. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 確かにカタライザー、これは単に形式的な選定では効果がないと重々思っております。今組合活動がある程度沈滞しているという批判を受けますのも、やはり全国的にそういう組合活動の熱心なリーダーがたんだん老齢化してきたといいますか、新しい分野のそういう指導者が少なくなってきたというようなこともあるんではないかと私は思っております。  そういう意味で、このカタライザーというのは、そういった中小企業者を結びつけるリーターシップを持った人、これが片や必要かと思っております。それからもう一つは、やはりある分野について日本全国の動きをよく知っている人、エレクトロニクスならエレクトロニクスについて技術なり市場の動向について十分熟知している人、そういう二種類のいわば類型の人が必要ではないか。それを各地域ごとに張りつけて、みんなというわけにはまいりませんので、できるだけそれは事業団等において中央でコントロールしましてそういう人たちを必要に応じ派遣し、そういう世話役として活動してもらう、こういう形をイメージしておりますけれども、具体的な人選となると、これは年度に入って慎重にやはり委嘱しませんと制度はつくって実効が上がらないということになるということで、そこは各地域、業界、そういう人々のいろんな意見を集めて判断していきたいというふうに考えております。  情報センター等については、部長の方から御説明させます。
  22. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 最初地域融合化センター役割等でございますけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろ中小企業経営資源融合化に際しましては、場所の問題とか機会の問題とか、あるいは指導助言の問題、いろいろあるわけでございますので、そういう問題に対処するために、各地域での交流ニーズに対応いたしまして異業種交流グループが自由な交流を行えるような例えば交流室といったような場の提供でございますとか、それから融合化に関係いたします成果も従来出ておるものもあるわけでございますが、そういう成果を展示するような場所でございますとか、それから技術情報市場情報といったものを提供できるような、情報提供の端末みたいなものを置きますそういうような場所を考えておるわけでございます。  これを中小企業の方に開放して利用していただくと同時に、先ほど話がございましたカタライザー活動場所としても活用するというふうなことで、言うなれば地域レベルでの中小企業交流融合促進の拠点といったことでこの融合センターを私ども考えておるわけでございます。  六十三年度につきましては、とりあえず二十カ所を設置する予定でおるわけでございます。  それから、設置するといいましても、この御時世でございますのでなかなか新しい建物をつくったりということは難しい状況もあるわけでございますので、都道府県等の既存の公設の試験研究機関でございますとか、あるいは中小企業総合指導所といったようなところでございますとか、あるいは産業振興公社といったような公益法人の中に置きまして、それで管理運営につきましては都道府県の人とか公益法人の人にやっていただくということを考えておるわけでございます。  ただその際、非常に気をつけなければいけないと思っておりますのは、開館時間とか会合の日時とか、そういう点でいろいろ中小企業の方は日常お忙しいわけでございますので、このセンター運営に関しましては、今後都道府県等に対しましてできる限り中小企業者の方が利用しやすいような時間なり場所なりといったものでやっていただくように指導してまいりたいと思っておるところでございます。  それからもう一つ、類似といいますか中小企業地域情報センターという御指摘があったわけでございますが、これは地域中小企業情報化支援する機関というように私ども位置づけておるわけでございまして、やります業務といたしましては、中小企業情報化に関します普及啓発でございますとか、あるいは情報化に関します中小企業の方からの相談を受けたりあるいは指導をしたりというようなこと、さらにはその地域中小企業情報化に関します調査研究といったようなことも行う機関というように考えておるわけでございまして、先生指摘のとおり県などの公益法人ということになっておるわけでございますけれども、県の費用と国の費用とをまぜて設立しておるわけでございます。  そういう施設でございまして、六十二年度の末には四十三カ所、先生指摘の四十一カ所に加えまして二カ所さらにふえる予定でございまして、四十三カ所になる予定でございます。それから、六十三年度につきましてはこの四十三カ所に加えましてさらに二カ所増設する予算案となっておるわけでございまして、具体的な予定地につきましては予算の成立を待って検討いたしたいというように考えておるところでございます。  そういうことでございますので、地域融合化センター地域情報センター、ともに中小企業が手を相携えまして中小企業の一層の発展といいますかそういう面に、片や融合化という面から支援をしていく、片や情報化という面から支援をしていくということでございまして、決して競合関係ではなくて、私どもといたしましては相互に補完関係をとりながら中小企業のためにいろいろな役割を果たしていく、そういうように位置づけておるわけでございます。
  23. 福間知之

    福間知之君 そういう今までの地域情報センターあるいは新しい今度は融合化のセンター、こういうものができるわけですし、競合という表現はどうかと思うんですが、いろんな角度からそういうものがあってもいいとは思うんですけれども、いずれにしろ生きた仕事として、この法案が成立を見た暁には推し進めてもらわなきゃなりませんし、当初当局で考えておった事情と少し異なるということがあれば、それは迅速に改めていくという非常に柔軟な対応を必要とするんじゃないか。また地域によって画一的な事情とは考えられませんので、そういう配慮で進めていただく以外にはない、要するに生きた仕事としてこの法案の趣旨を生かしてもらわなきゃならない、こういうふうに私は思うわけであります。  次に、二、三この融合化法の法案の条文についてちょっとお聞きをしたい。  同法の第二条第二項におきまして、異分野中小企業者の定義というものがなされているんですが、必ずしもこの定義で十分なのかどうか。日本の標準産業分類におきまして、中分類では二十五業種、小分類では百十三業種、細分類では二百二十一業種に分かれておりますけれども、その具体的な基準というものがあると思うんですけれども、示していただきたい。  それから、同じく同法の三条におきまして、本条は国及び地方公共団体の融合化推進のため責務を定めたものなのか、その趣旨を伺いたいと思うのであります。この法案の前文の方でかなり立派な意気込みの文章が感じられるわけで、そのこと自体は結構なんですけれども、第三条について今言った点の趣旨を伺いたい。  それから第四条第一項におきまして、知識融合開発利用計画について行政庁の認定を受けねばならないとされておるのですが、この行政庁とは都道府県知事を指すのかどうなのかお伺いしたい。  またこの計画は、認定を受けるまでに時間がかかっては融合化の促進の妨げにもなりかねませんので、その点の対応あるいは配慮といいますか、どのようにお考えでございましょうか。  さらに同条第五項で、「政令で定める基準」とありますが、ここでの基準としてはどのようなものを考えておられるのでしょうか。  以上、数点についてお伺いします。
  24. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 最初の御指摘の二点につきまして私の方から答弁させていただきます。  異分野の意味でございますが、福間委員指摘の幾つかの分類の中で、私どもは細分類、日本産業分類四けた分類を考えております。したがって二百二十一の分類になるわけで、大体基本的にはこれで分けられるんではないかと思っておりますが、しかし具体的な案件によっては微妙な、異分野かどうかというのがございます。例えば自転車部品という細分類の中でサドルをつくるのとタイヤをつくるのと、これは実は細分類では同業種に入るのでございますが、私どもはそれは異なった製造品ということで異分野で解釈する、あるいは役務、販売その他それぞれ同じ分類の中でもそういう違った製品をつくったりあるいは違ったサービスをする場合もあり得ると思いますので、できる限り実態に即した対応をしてまいりたいと思っているわけでございます。  それから第二点の、法三条の趣旨でございますが、これは今までいろいろ御指摘いただきましたように、本法あるいは本政策はあらゆる中小企業対象にいたしますということと、業種ごとに考えていないということと、それから異業種中小企業融合化まで至って一つ事業をするということで、大変大きなチャレンジといいますか、重要なチャレンジでございます。そういう意味で難しい問題を持っているわけでございます。そういう意味におきまして交流、開発、それから事業化というステップを踏んで中小企業者組合をつくって着実に進めていくわけでございますが、国といたしましてもそれを強力に支援するということがぜひ必要だということで、特別にこの三条の趣旨があるわけでございます。  さらにこの融合化政策は、現在我が国において行われております産業構造転換の中での新しいフロンティアをつくるという役割をこの異業種結合によって持っていこうじゃないかという意味もございまして、そういうマクロ経済産業構造政策の中でも重要な意義を持つという意味で、国、地方自治体の大きな責務がここで描かれているということであると解釈しております。
  25. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 法第四条の行政庁でございますけれども融合化を実施しようとします異業種組合を考えてみますと、通常恐らく組合員の数がそう多くなくて規模が小さいんじゃないかということが考えられるわけでございまして、そうなりますと、その区域は恐らく都道府県の中にとどまるものが非常に多いんではないかと思うわけでございます。その場合、所管行政庁は先生指摘のように都道府県知事ということになるわけでございますけれども、それ以外に都道府県の区域を越えるものも当然予想されるわけでございまして、そうなってまいりますと、そういう組合についての所管行政庁というのは、組合事業を所管する大臣ということになってまいるわけであります。  いずれの場合にいたしましても、行政庁の判断に、先生が御指摘のように時間がかかったりあるいは認定の手続が遅くなるというようなことがありますと、これは非常に中小企業の方に申しわけないことでございますので、そういうことはぜひ避けたいと考えておるところでございまして、運用上十分にその辺は配慮してまいりたいと思っているところでございます。  それから、計画の認定基準でございますけれども、これはただいま申しましたように非常に多くの中小企業の方に広く利用していただくという建前でございますので、認定基準自体は今後政令で定めることになるわけでございますけれども、現在のところ考えておりますのは、計画の内容が異分野中小企業者知識融合による新分野開拓を行うために有効かつ適切であることというようなことでございますとか、あるいは資金計画が当該事業を確実に遂行するために適切なものであることというようなこと、さらには負担金とか経費の賦課の基準が適切であることといったような、そういう比較的皆様の利用しやすいような、余り細かいところまで規定しないようにして比較的利用しやすいような、そういう方向で定めたいというように考えて現在検討しているところでございます。
  26. 福間知之

    福間知之君 繰り返しませんが、言うならば、先ほど来の御説明でこの法文の解釈というものをフレキシブルに、実情に見合って解釈をしてやっていただくことが必要だと思うんです。  細分類二百二十一分類だと、こうおっしゃいましたし、例に自転車のサドルとタイヤなんか挙げられましたが、そういうのはもう異分野だと、こういうふうに今説明があったんですけれども、一瞬私どうかなと、こう思ったのは、数年前に我が委員会が大阪の前田工業という自転車の世界的な総合部品メーカーを視察に行ったんですけれども、皆一緒にやっているんですよ、総合ですからね。あれを異分野で分けるという必要もない、なるほどそれは総合部品メーカーだということで理解できるんですけれども、その種のことがいろいろほかにもあると思うんですね。だから、やっぱり実情に適してそれは対応を願うということが大事ではないかと思います。  最後に、第五条の第一項で言うところの計画の変更というのは、第四条二項に定めております各号との関係においてこの計画の変更ということが考えられておるのか、あるいはまたマクロの経済環境変化、著しい状況の変化の中で、計画の変更に当たるか否かは組合としてのこれは関心事でございますので、具体的なメルクマールといいますか、指標というのはいかがなものでしょうか。  また、同二項によりまして認定を取り消された組合の事後処理を、法的な観点からはどういうふうに考えていけばいいのか、御説明を願いたいと思います。
  27. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) ただいま御指摘の、法第五条第一項の関係でございますけれども先生指摘のように、第四条第二項に掲げる事項を記載した計画につきまして、その内容を変更するときは行政庁の認定を受けるべきであるということを規定したものでございます。  それから、実際にいろいろどういうぐあいにやるのかということになってまいるわけでございますけれども、計画変更をする必要があるかどうかということでございますけれども、それにつきましては、知識融合開発事業の根幹にかかわるようなことであるかどうかということで判断したいというのが基本でございまして、もう少し具体的に申し上げますと、例えば研究開発に取り組みます組合員の加入とか脱退、そういった事項でございますとか、あるいはその研究開発内容の著しい変更、それから成果を利用する場合の主体あるいはその内容の変更といったもの、あるいはさらには実施時期が大幅におくれる、あるいは延長されるというような場合、これは変更認定を受けなければならないんじゃないかと考えておるところでございます。  計画の同一性を失わないような軽微なものにつきましては、法律に基づく認定手続は要らないんじゃないかというように私ども現在考えているところでございます。  それから、認定を取り消された場合はどうかということでございます。その場合には事業協同組合自体は、この根拠法は中小企業等協同組合法でございまして、この融合化法とは別体系の法律でございますので、知識融合開発事業計画をこの融合化法に基づいて認定が取り消されたとしましても、組合自体は存続するというのがまず基本であろうというように考えております。ただ、この組合が計画の認定の取り消しに伴いまして知識融合開発事業を中止するような場合にありましては、当然その定款とか規約とか収支予算、あるいはその事業計画といったものの変更というものを行うことが別途必要になってくるのではないかと思っているところでございます。
  28. 福間知之

    福間知之君 終わります。
  29. 青木薪次

    ○青木薪次君 まず、金融の自由化と中小企業金融の最近の特徴について質問いたしたいと思うのでありますが、最近の金融の自由化とか国際化の波は、我が国中小企業の経営態様にも大きな影響を及ぼしていると思います。都市銀行の金融情勢を見ましても、中小企業相手の融資へと活発になってきておりまして、全金融機関に占める都市銀行の中小企業向けの融資残高の割合は三〇%近くになっているということを聞いておるわけであります。  さらに、金融緩和によるところの貸出金利の低下など、中小企業者にとって歓迎すべき要因が出てきているわけでありますが、それでも金融機関の中小企業への貸し出し姿勢やあるいはまた貸し出し審査の厳しさというものは基本的には前と変わっていないというように思われるのでありますが、こうした現状について大臣はいかがお考えですか。
  30. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 確かに現在は非常な金融緩慢期であり、かつ低金利時代ということで、従来の中小企業金融専門機関以外に、いわゆる都市銀行等が特に優良中小企業等を自己の取引先にしたいという努力が非常に目立っておるということは承知をいたしております。その限りにおいては私ども非常にいいことではないかというふうに考えております。  ただ、過去の例を見ましても、金融の緩慢期には中小企業貸し出しが非常に進みますけれども、金融の逼迫期には中小企業向けがまず第一に縮小の対象になるということを繰り返しておりまして、そういう過去の実績がありますだけに私どもは、中小企業金融の根幹の部分で安定的な資金供給の体制が今後ともぜひ確立されていることが必要である。そういう意味では、私どもが政策的に行っておりますいわゆる中小企業金融三機関、これは現在中小企業の借入残高というのは総額で二百兆を超えていると思いますが、そのうち商工中金が十兆、中小公庫が五兆、国民公庫が五兆、合わせてこの三公庫で二十兆円の貸出残高があります。したがって、約一割を政府系中小企業金融機関が良質かつ安定的な資金供給源となっておるというその評価、効果は依然変わらないものであるというふうに考えております。
  31. 青木薪次

    ○青木薪次君 大蔵省にお聞きいたしたいと思いますが、中小企業貸し出しにかつて見られた融資循環の二重性といいますか、ほとんどこういったものが姿を消しているんでありますが、中小企業に適正な金利で十分な資金が供給されているという反面、地域的な格差が生じてきております。  つまり、この中小企業貸し出し市場への最近における積極的な参入といいますか、そういったものが今非常にあらわれてきているわけでありますが、それは東京圏など都市圏においてであって、衰退産業が集中するような地方圏においては都市銀行の撤退が始まっている。それから金融の自由化とか国際化といったような問題の中で、地方と東京それから中小金融機関と都市銀行といった大手金融機関との対立が実は生じていると思います。こうしたことは、地域中小金融機関の姿勢が選別融資の加速化をもたらして、政府系中小企業金融三機関の役割必要性をもたらしていると思うんでありまするけれども、こういった点を大蔵省はどう考えていらっしゃいますか。
  32. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 金融自由化の中で、先生からも御指摘がございましたように、いわば全国銀行と申しますか、都市銀行等の中小企業金融分野への参加、融資比率の増大は近年非常に顕著なものがございまして、従来から言われております中小企業専門金融機関であります相互銀行とか信用金庫とか信用組合、これはそれぞれ形態を異にしておりまして、共同組織で金融を行うものとか重層的に中小企業金融が行われております。  それから政府系の金融機関、先生指摘のように政府系の金融機関がまた別途の目的で中小企業金融を行っておりますので、それぞれの融資の姿勢には先生がおっしゃるように差異はございますけれども、そういったものが重層的に重なり合いながら、地域の金融についても中小企業金融のために、その円滑化のために最大の努力が行われていると、このように認識しております。
  33. 青木薪次

    ○青木薪次君 そこで、各種信用保証の現状について伺いたいと思うんでありますが、現在我が国では人的な保証にかわって保証機関によるいわゆる機関保証が一般化してきているということが言えると思うんでありますが、その数は中小企業信用保険公庫の調査の資料を見たわけでありますが、官民合わせて約百五十あるということが言われております。そのうち企業向けで、国、地方公共団体及び公的な助成対象となっている保証機関は一体どれくらいあるのか。また、それぞれの保証機関の性格についてちょっと御答弁願いたいと思います。
  34. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 先生の御質問の趣旨を正しく理解してお答えできているのかどうか私も疑問でございますが、まず保証には住宅ローン等に対する保証を行う保証機関がございます。それから個人のローンに対しまして個人の信用を保証するための保証機関がございます。これはそれぞれ個人向けというふうにお考えいただければと考えておりますけれども、それ以外に中小企業向けには信用保証協会がございまして、これが四十七と理解しておりますが、そういう意味では各都道府県につくられております信用保証協会が、先生がおっしゃいます企業向けの保証を行っている機関という位置づけになろうかと、そのように考えております。
  35. 青木薪次

    ○青木薪次君 信用補完制度の役割について、まず第一番にお伺いいたしたいと思うんでありますが、信用補完制度は中小企業の信用力、担保力を補完いたしまして、民間資金の円滑な導入を促進いたしまして、金融面における中小企業の不利性を是正するために昭和二十五年に制度化されたと思うんでありますが、今日まで中小企業金融の施策の中核的存在として重要な役割を担ってきた。  私は今後とも中小企業の金融力を公的な立場から援助していくために、信用補完制度の拡充強化を図っていくことが必要であると思うんでありますが、今日の中小企業金融における信用補完制度の役割についてお伺いいたしたいと思います。
  36. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 中小企業金融の中で、先生がおっしゃいますように中小企業信用補完制度が中小企業者に対します金融の円滑化に関しまして非常に重要な役割を果たしておりまして、これが中小企業者の健全な発展のために重要な機能を果たしているということは先生の御指摘のとおりだと考えております。したがいまして、我々はこの補完制度の充実に努めるとともに、制度の健全な運営を図り、中小企業者ニーズにできるだけこたえていくということが重要ではないかと考えております。  なお、先ほど信用保証協会の数につきまして、都道府県という御質問でございましたので四十七機関とお答えいたしましたが、あと市がつくっております機関がございますので、合計では五十二機関でございます。
  37. 青木薪次

    ○青木薪次君 信用補完制度の二番目にお伺いいたしたいと思うんでありますが、中小企業の信用保険法が制定されました昭和二十五年と言いましたけれども、その時代とは違いまして、今日民間の保証機関が先ほど申し上げましたように数多くあるわけでありますが、その中で中小企業向けの公的な信用補完制度の今日の役割は若干違ったものがあろうかと思うんでありますが、どんなふうにお考えになっていますか。
  38. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 先ほどお答えいたしましたように、信用保証を行う機関は中小企業向けの信用保証協会のほかに個人の住宅ローン、それから個人の消費者ローンに対して保証を行う機関がございまして、民間の中にはこういった現在中小企業向けに信用保証協会が行っておりますような企業向けの信用保証も行いたいというような、そういう要望があるやには聞いておりますけれども、これまで中小企業金融のために信用保証協会が果たしてきました重要な役割にかんがみますと、このような問題について現段階では慎重に考えていく必要があろうか、そのように考えております。
  39. 青木薪次

    ○青木薪次君 信用補完制度における大蔵省と通産省のそれぞれの立場というものは相当違いがあるんじゃないか、現にあると私は思うんです。そういう立場に立って実はお伺いいたしたいと思うんでありまするけれども、大蔵省は何といってもやっぱり大蔵省、名のとおり財政の総元締めでありますから、保険収支は赤字を出すべきでない。すなわち収支バランスを第一に考えるということになろうかと思うんでありますが、この制度は中小企業信用保険法の第一条の目的で述べているように、中小企業の振興を図ることを目的としているわけでありますから、余りに保険収支バランスを追求し過ぎるとこの制度の存在意義が実は間われるわけです。したがって、通産省はどう考えているのか。私の言いたいのは、中小企業の振興というものを犠牲にした収支バランスを考えるということはいけないという考え方に実は立っているわけであります。ひとつ、大蔵と通産という立場に立って御答弁を願いたいと思います。
  40. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 私どもとしてはやはりもちろん中小企業者の振興、その利用のためを考えておりますのですが、それもしかし、その信用保証体系全体としての健全性があればこそでありまして、そういう意味では現実にもう大蔵省と常時、共管官庁としてこの制度の運用については密接な連絡、相談をしながら進めておりますので、両省の間にそれほどスタンスなり考え方なりについて差異があるとは意識しておりません。
  41. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 今通産省の方から、中小企業庁長官の方からお答えがございましたように、通産省と大蔵省、常時協議をしておりまして、私どもの方は財政の立場と、ほかにやはり金融の円滑化というようなことも十分考慮をしなければならない立場でございまして、中小企業者の健全な発展のために保険制度という制度を利用しながら信用補完制度を行っているわけでございますので、その制度の健全な運営とともに中小企業者の発展がある、そのような考え方の上で、通産省ともよく協議をしながら、この制度の運営を図っているところでございます。
  42. 青木薪次

    ○青木薪次君 保証利用率の低下傾向というものが見られるわけですね。中小企業向けに金融機関が融資している金額に対する信用保証協会の保証額、すなわち保証債務残高は昭和五十年代から今日まで一貫してふえてきたわけでありますが、しかし、保証利用率は五十一年ごろ七%、資料が示しております。その後低下傾向をたどりまして、六十一年度においては四・七%まで低下している状態でありますが、こうした状態をどうお考えですか。
  43. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 青木委員指摘のように、保証利用率が低下しているわけでございます。五十八年度が例えば四・九八%、私ども数字では六十一年が四・五一%となっております。これは金融緩和基調で貸し出し競争が激化した、あるいは金利水準の低下で保証料も前よりは多少割高感を感じてきたといったような背景があるかと思います。  過去の金融緩和期を振り返ってみますと、ちょうど四十七年ごろも大変な金融緩和期でございまして、このころの保証利用率は四・一%でございました。依然としてそういう状況にかんがみればまだ利用率は高うございまして、中小企業の信用力、担保力の面で劣る零細企業のための保証として役割を果たしていると思っています。件数ベースでは二割を超えて、過去最高の水準になっておるという数字もございます。  今回お願いをしております保険限度額の大幅な引き上げ等の措置によって今後実績が伸長し、また、利用率もふえるだろうということを私どもは期待しているわけでございます。
  44. 青木薪次

    ○青木薪次君 信用補完制度の最近における重要な問題点一つに、保証承諾の低下傾向の表面化の問題があり、それは三大都市圏以外の地方の保証協会において目立っているようであります。保証を頼んできたら断る。何だと思ったら、担保が不十分、こういうことではねつけられてしまう。その原因としては、今申されたように、金融情勢の変化、すなわち金融緩和、資金需要の鈍化、貸し出し競争の激化、貸出金利の低下というようなことがあると思うのでありますけれども、しかし、主な原因はそれだけではなくて、五十六年の通達とか、保険収支改善三カ年計画の実施——六十年度から六十二年度、こういう中で国や保険公庫が保証協会に適正保証ということで保証は慎重を期すという方針をとったことが何らか影響しているのじゃないかというように思われるのでありますが、この点どう考えますか。
  45. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 青木委員指摘のとおり、五十六年の通達、それから五十九年以降、また協会、公庫等の収支改善のための努力を政府といたしましても要請し、そういう方向で進んできたわけでございます。  この保証の問題といいますのは、私どものポジションは、基本的な考え方は担保力の乏しい中小企業者ニーズに幅広くこたえていくというこの基本はしっかりと踏まえているわけでございますけれども、中長期的に見ますと、協会なり公庫なりの経営が非常に厳しいという状況においては、それにこたえられなくなるという状況に直面する場合もあります。特に、五十六年のころは石油危機以降の非常に経済の混乱がこの保険の要請に大きく影響を与えていたわけでございます。  私どもは、そういう観点からとにかくこの保証、保険制度を後退させない、安易に保証料率を上げたり、それからてん補率を下げたりということをしたくないという観点から、二度にわたる収支、経営改善努力を要請してきたという背景がございます。幸いにその結果、段階的にそういう状況が改善されつつある状況にございます。
  46. 青木薪次

    ○青木薪次君 この信用保険業務の内容というものは、一般分それから特例分と合わせましても非常にこの零細企業、それから倒産とか、その他産炭地の関係や災害関連、その他職業の転換、いろんな問題について、それこそ手とり足とりいろいろと温かい措置をするようにはなっておりますけれども、そういうことをお願いするということは困っているから頼むんであって、またそのためにこそ制度があると思うんでありますが、やはりいろいろ見てまいりますると、保険収支が悪化いたしまして五十一年度から赤字が続いたために、六十年度から保険収支改善三カ年計画を作成いたしまして、六十二年度はその最終年度に当たるわけでありますが、その成果はどうだったのだろうか、そしてかなり改善されてきているように思われるんでありますが、保証を受けたがっている中小企業者を締め出すようなことが相当あったんじゃないかというようなことが心配されている、この点はどうなんですか。
  47. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) まず第一の御指摘でございますが、三カ年の収支計画の最終年度に本年度は当たっているわけでございます。そういう苦しい中で精いっぱい保証承諾額も、それから債務残高もふえてきているわけでございますが、しかし、収支改善計画のもとに、御指摘ような点もあったやに私どもも仄聞するところがございます。  しかしながら、六十二年度におきましては、どうにか収支改善の目標が達成されようとしているわけでございます。私どもといたしましては、六十三年度以降、今度新しいさまざまな改善をお願いしているわけでございますが、これを機により広く中小企業ニーズにこたえますよう、青木委員指摘のような懸念がないように強く指導をしてまいりたいと思っております。
  48. 青木薪次

    ○青木薪次君 今度は立場を変えまして、保険金の回収状況について聞きたいんでありますが、普通保険、無担保保険、特別小口保険、それぞれについての回収率についてお伺いいたしたいということと、それから、回収率の違いというものほどこに理由があるのか、また、回収できない場合の債権保全手続としては具体的にどう処理するのか、また、債権管理として年間どれくらいの人と費用がかかるのか、簡単でいいから御答弁ください。
  49. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 最初に保険金の回収状況についてお答え申し上げます。  回収率でございますけれども、これは基本的には五十六年度以降上昇傾向にございまして、数字を申し上げましても普通保険で五十六年度が七七・五%でございましたが、六十一年度は七九・〇になっております。それから、無担保保険は五五・一%でございますが、六三・九%に上昇しております。特別小口保険は三二・二%が三三・八%に上昇しているわけでございます。  事故率につきましては、まあ回収率と事故率というのはよく引き合いに出るわけでございますが、全体として低下傾向にあるわけでございます。この背景が金融緩和基調、それから企業倒産‐の減少、あるいは都市部の地価の高騰等、担保余力が上昇したということが要因になっていると思います。  これらの差が保険の種類によって違うではないかという御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございます。それぞれ小口保険、無担保保険、いろいろそれぞれ小規模企業が最後のとりでとしてこの保証協会に保証をお願いに来るわけでございますので、そういう意味での企業の体力の差を反映していると思います。各保険公庫及び保証協会におきまして、これは必ずしも十分とは申し上げられないと思いますが、各職員が中小企業実情を考えながらこの回収に鋭意努力をしているというのが現状でございます。
  50. 青木薪次

    ○青木薪次君 そこで、この信用保証協会の経営状況の問題点についてお伺いいたしたいと思いますが、まず五十二ある信用保証協会の経営状況を見ますと、良好な経営状況の東京を初めといたします大都市の協会と、不況業種、不況地域を多く抱えた中小ローカル協会の格差が最近強まってきて、今後ますます大きく拡大していくんじゃないかという問題があるわけでありますが、地域経済の不振ということが大きな原因となってこうした格差を引き起こしているというように言われているわけであります。こういう格差の広がりというものはどこからくるのかひとつ御答弁ください。
  51. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 御指摘のとおりだと思います。  都市部等とそれから私どもは構造的な不況に悩む地域、あるいは産業構造の転換にキャッチアップと申しますか、ついていかれない地域というものが日本列島の中にいろいろ顕在化しているわけでございまして、そういう大きな経済の流れを反映してこの保証協会の経営の苦しさというのが出てまいります。したがいまして、いろんな指標を見ましても青木委員指摘のような格差が出ているということでございます。
  52. 青木薪次

    ○青木薪次君 次に、今の続きでありますが、経営状況が極めて悪化している保証協会については、信用補完制度が中小企業対策であるという視点から独自の経営改善のための思い切った国や金融機関の財政援助を強力にやることを考えていくべきではないだろうかと思うのでありますが、政府はどう考えますか。
  53. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 先ほど来御指摘をいただきました収支改善計画のプロセスもそうでございますが、大変厳しい財政状況の中で私どもといたしましては精いっぱいの、御指摘のような中小企業ニーズにこたえるための保証協会、公庫の経営の充実のための予算的な努力をしてまいったと思っておりますが、なおかつ一層そういう努力をしたいと思います。  また、特に御指摘地域的な格差につきましては、これは特に最近顕在化しているということでございまして、私どももそれを認識しながら、例えば今年度は、毎年年度が出発します際に保険金の支払い額を公庫から各協会にいろいろ配分するわけでございますが、それを地域格差を配慮いたしまして特別の保険金支払い額の弾力的な配分を今年度は行いました。来年度以降もそういう格差を考慮しながら保険関係予算、例えば準備基金とかあるいは融資基金とかございますけれども、そういうものの充実に努めてまいりたいと思っております。
  54. 青木薪次

    ○青木薪次君 信用保証協会の基本財産の強化が必要だと思うんです。信用保証協会が健全な経営をしていくためには、その基本財産の増強が最も大切であって、政府として知事や金融機関に対して一貫して協力要請をしていると思うんだけれども、具体的にはどのような要請をしているのか、また成果が上がっているのか、総裁にお伺いいたしたいと思います。
  55. 片山石郎

    参考人片山石郎君) この一月に保険公庫総裁に就任しました片山でございます。  我々が実際に保証協会との間でもっていろいろこういう問題について御相談申し上げるのは、何と申しましても国がどれだけの金を、例えばその基金としてあるいは融資としましてやるかというような方針を立てるに際しまして、我々の実情、保証協会の方々から聞いております実情なり数字なり、そういったものを提供いたしまして、最終的には所管官庁の御裁断に仰いでやっていくというのが実情でございます。
  56. 青木薪次

    ○青木薪次君 六十三年度の信用補完制度関係予算を見てまいりますというと、保険準備基金が百九十五億円、それから融資の基金が二百億円、信用保証協会基金補助金が二十四億円、トータルいたしまして四百十九億円で、昨年は四百四億円だそうでありますから余りふえていないと思うんでありますが、これで十分だと言えるのかどうか総裁からお伺いいたしたいと思います。
  57. 片山石郎

    参考人片山石郎君) これはもう少し多い方がもちろんよろしいことはよろしいわけでありますが、我々は与えられました予算で認められました保険の条件、例えば事故率でありますとか回収率でありますとかそういったものに基づきまして、極力円滑に公正にその業務が運営できるようにというふうに努めておるつもりであります。幸いにいたしまして、ごく最近に至りましては先ほどのように、格差はもちろんあるわけでありますけれども、一般的に若干中小企業も一息をついているというような感じもある程度出てきております。  そういう点から見まして、現在瞬間風速的に考えますとまあまあという感じではないかという感じはいたしておりますけれども、しかし、保険と申しますのは、保証と申しますのは、これはもちろん非常に長期的な問題であります。したがいまして、長期的に非常に安定した基盤をつくり上げるということはぜひともやっていかぬと、問題が起こってから、泥棒を捕まえて縄をなうというようなやり方ではぐあい悪いわけでありますから、長期的に関係官庁とも十分御相談して、今まで非常に我々の言い分をのんでいただいておるわけでありますけれども、今後は長期的な観点に立って基盤の強化を進めてまいるという所在でございます。
  58. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 一つだけ補足をさせていただきたいと思いますが、今の予算の件でございますが、御指摘のとおりの数字でございます。予算の確保額でございます。そして、その背景に、例えば一つ数字を挙げさせていただきますと、今度いろいろお願いしています保険限度額の引き上げを踏まえまして九兆六百四十九億円、つまり対前年度比で二七%増ぐらいの保険の引き受け規模を見込んでおります、今の予算規模を前提といたしまして。したがいまして、本法案の制定の後は、私どもより深く、より広くそういう保険、中小企業ニーズにこたえるような基盤ができるものと思っているところでございます。
  59. 青木薪次

    ○青木薪次君 総裁、余り遠慮はなさらない方がいい。要望書を出しているんでしょう。要望書を出しておいて、これで十分だなんという言い方はちょっとおかしいと思うんですな。  それで、信用保証協会の基金の補助金でありますが、国は信用保証協会に対する地方公共団体の出捐についても、国は地方交付税交付金の算定基準に織り込むことによってこれを援助しているわけであります。具体的に言いますと、信用保証協会の基金補助金がそれに当たると思うんでありますが、六十一年度三十九億円をピークにいたしまして、六十二年度当初予算で二十四億円、六十三年度が二十四億円と低下、横ばいの傾向にあるわけです。その理由は何か、どういうようにお考えになっているかお伺いをいたしたい。
  60. 片山石郎

    参考人片山石郎君) 私まだ新しいせいもありまして、そこまでつまびらかにいたしません。ただ、事実関係といたしまして、必ずしも地方公共団体の方でもなかなかこれも出しづらいという問題もあるやにも聞いておりますので、そういうことが関係しているのかどうか、そういうことも私はちょっとまだつまびらかにいたしておりません。
  61. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 一つだけ補足をさせていただきますと、今の予算の低下の原因には円高関係の特例保証十二億円が終わりまして落ちておりますので、そういう意味での減額もございます。
  62. 青木薪次

    ○青木薪次君 次に、信用保証料率の引き下げでありますが、長年の努力で年々引き下げられておりますが、十五年前に比べて約三六%引き下げられ、現在は一%となっているんですね。これはちょっと高いと思うんですよ。  金融自由化の中で、低金利時代を迎えているわけでありまして、保証料の割高感を訴える企業が私どものところへも相当来ております。信用保証料率の引き下げについて、これもひとつ総裁から、高いと思うかどうか、言いにくい言葉だと思うんですが、あなたは総裁ですからひとつ政府に対して要望の意味も含めて御答弁願いたいと思います。
  63. 片山石郎

    参考人片山石郎君) 仰せのとおり、私はまだ自信がございません。ただしかし、この問題につきましては高いのではないかという声が相当上がっておるという事実は各方面から聞いております。  ただ保険というのは、先ほどからもありましたように、もちろん国からのいろいろな援助というものがあって、保証料率は安いにこしたことはないわけでありますけれども、さればといって一定の限度を超えますとまた異常な問題を起こすということもあります。したがいまして、全国保証連合会の方でもその問題についてはいろいろ検討を現在しているところでございますけれども、甲論乙駁でまだ方向を見出せないというような感じのように承っておりますし、かつては保証料率を上げるとか下げるとかいう問題が三カ年計画についてもいろいろ検討されたことがあるというふうにも承っておりますので、私個人は現在まだそこのところについてはっきりした意見を持っておらないのが現状でございます。
  64. 青木薪次

    ○青木薪次君 総裁、私は援護のつもりで言っているんだけれども、あなたが要らない要らないと言っちゃこれはまずいと思うんですよね。現に私どものところへも高いから何とかしてくれと言ってくるんです。総裁も要望書を恐らく出しておられるんじゃないかと思うんですけれども、そういう点を政府の前でこれでいいんだなんと受け取れるようなことを言ったんじゃまずい。  そこで私は、保証料率の弾力化について、ひとつこれは政府に聞きたいと思うんでありますが、一つの提案でありますけれども保証料の弾力化、例えば比較的業務内容の良好な企業については思い切って保証料を引き下げることも検討することが必要だと思うんです。具体的に言うと、一%の保証料を〇・五%下げて、〇・二五%を金利に吸収してもらえれば、そうすれば実質〇・二五%の負担で済むことになるわけであります。この程度なら保証料の負担感もなくなると思うんでありまするけれども、政府はどう考えますか。
  65. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 保証料率についてでございますが、確かに五十八年度以降一%ということで基本料率がずっと続いているわけでございます。この五十八年になるプロセスも少しずつ下がってきたわけでございますが、現在低金利時代の中で時系列に見ますと確かにおっしゃられますような割高感のようなものがあるかと思いますが、しかしこの保証によりまして、やはり歩積み両建てが行われていないとか、中小企業にとって大変な大きなメリットがやはりあると思って、私どもは保証の意味、重要性を強く意識しているところでございます。  そこで、公庫なり協会なりいろいろ御指摘いただきました現在の収支状況、経営の状況にかんがみますと、私どもといたしましても、そういう状況の中で今でも相当重要な役割を果たしているわけでございますが、少しでも保証料率が中小企業者にとって改善の方向にいくように努力するように私ども指導していきたいと思っているわけでございます。  先生おっしゃいますような形でできますかどうかは大変、これは御提案として承らしていただきますが、やはり協会の格差等もございますから、時間をかけてできるところから着実にそういう方向に向かっていくことが重要ではないかと思っております。
  66. 青木薪次

    ○青木薪次君 信用保険法における各種保険のてん補率の関係でありまするけれども、現行では七〇%のてん補率が原則で、その他の無担保とか特別小口等は保証協会のリスクの負担を軽減するという観点からてん補率を八〇%にしていると聞いているんですな。信用保証協会や地方公共団体にはてん補率の引き上げの声が強いと聞いているんでありますが、引き上げる考えはあるかないか、またてん補率七〇%の根拠について大蔵省からお聞きいたしたいと思います。
  67. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 保険のてん補率につきましては、保証協会の保証について保険を行っているという保険制度の中で事故率等諸条件を踏まえたところでてん補率が決められているところでございまして、先生おっしゃるようにてん補率が高ければ高いほど保証協会の方の負担が減るということはございますが、そのかわり保証協会の方の審査のところでその健全化を図るという機能についてはそれが低下してくるわけでございます。  従来からそういう考え方で、一般のものについては七割のてん補率、それから特例的な政策的な配慮が必要なものについては八割ということでてん補率が定められてきておるわけでございまして、現状につきましては、保険制度の健全な運営とか保証協会の適正な保証というような観点から考えますと、このてん補率を動かすことについては慎重に考えなければならない問題ではないか、そのように考えております。
  68. 青木薪次

    ○青木薪次君 法案の中身といいますか、付保限度の引き上げの点について、各種保険の付保限度額は五十五年度に引き上げられて以来据え置かれており、今回八年ぶりに引き上げたわけです。通産省としてはその理由として、中小企業者の保証ニーズに十分対応するということを言われているわけでありますが、中小企業の保証ニーズというものは何か具体的にお伺いしたい。  それから代位弁済額が多くなってきた。リスクも増大される。他方、付保限度額の引き上げは保証料収入もふえるわけであるから、円高と産業構造調整が進む中で、中小企業を取り巻く情勢は景気の上向きにもかかわらず厳しいものがあり、代位弁済制度がふえることも予想されるわけで、保険公庫及び信用保証協会の財政面での手当てに努めることが大切だと思うんだけれども、これはいかがなものであるかということ。  今回、新種保険もできたことであり、これは大変結構だと思います。新事業開拓保険、もう一つは海外投資関係保険、こういったものは時宜に合った措置だと思うんでありまするけれども、これらの点について多くの中小企業者が利用できるような制度なり対応をひとつしていただきたい、こういう点をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  69. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 第一の、今回の付保限度額の引き上げについての背景でございますが、一言で申し上げますと中小企業ニーズが大変に幅広く、大きいものから小さいものまで深くなってきたということだと思います。したがいまして、保険自体の懐が深くならないといかぬということでございます。例えば普通保険でございますと、今七千万でございますが、その上位の二千万に二五%が張りついているという状況でございます。そういうことで引き上げをさせていただくわけでございます。  それから、最後の第三点を先にお答えさせていただきますと、新しい海外投資関係保険及び新事業開拓保険につきましては、これはまさに御指摘のように中小企業者が大変利用しやすいような形で私ども運用するよう強く指導してまいりたいと思います。  一例だけ申し上げますと、新事業開拓保険というのはサービスとか役務、そういうものも全部入ってまいります。それからこれの前の形が実は新技術保険でございますが、これは厳しく保険公庫で委員会をつくってやっておりましたが、今度は協会ベースで弾力的に適用できるような格好にさせたいと思っております。したがいまして、そういう状況の中で御指摘方向努力をするよう指導してまいります。  また、財政基盤につきましては、私どもは特に先ほど御指摘の信用保証協会基金補助金二十四億とそれから公庫の出資三百九十五億円ということで、これで十分かどうかという御議論がございましたけれども、精いっぱい努力をし、また苦しい協会に対しても支払い額についての特別の援助をするなど努力をしてまいりたいと思います。
  70. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案、異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案、二案について質疑を簡単に重ねてまいります。  まず総論でございますが、質問の第一点は通産大臣にお願いしたいと思いますが、円高に加え、技術革新、国際化の進展など中小企業を取り巻く経済環境は厳しいものがございますが、この点について大臣の所見をまず伺いたいと思います。
  71. 田村元

    国務大臣田村元君) 我が国の中小企業は、機動性に富んだ事業活動を国民経済のあらゆる分野において展開することによりまして我が国経済社会の基盤をなしております。諸外国以上に中小企業の特殊性というものが日本の基礎になっておるわけです。また雇用の確保や地域経済の発展にも大きな役割を果たしております。六十年の秋を境として急速な円高が非常に早く進行して、そして何とはなしに百二十円台で定着をしてまいりました。輸出型中小企業を初めとする我が国中小企業に非常に深刻な影響を与えておることは御承知のとおりであります。  また、国際化の進展、技術革新、情報化の進展等中小企業を取り巻く経済環境は大きく変化しておりまして、一般に経営基盤が脆弱であり、かつ経営資源に乏しい中小企業は今後生き抜いていくのに非常に厳しい対応を迫られるものと思います。  通産省としましても、この中小企業がこれらの当面する厳しい環境変化に的確に対応して健全な発展を遂げられますように、円高構造転換対策としてただいま御審議をいただいております融合法案、これを核とする融合化促進施策、それから新転換法を核とする事業転換対策、特定地域法を核とする地域中小企業対策、下請中小企業対策、国際化対策を展開いたしますとともに、中小企業経営基盤充実を図るために金融の円滑化及びただいま御審議いただいております信用保険法の改正による信用補完制度の拡充、中小企業大学校の整備等による人材養成の強化情報化への対応及び技術力の向上の推進等に努め、あわせまして小規模企業対策及び中小小売商業対策などの一層の推進に努めてまいる所存でございます。
  72. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 円高のもとで、今景気が好転をしていると言われているのでございますが、中小企業では転廃業が非常に増加している面も顕著でございます。こうした実態について、政府はどのように認識をしていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  73. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 確かに若干おくれてではございますが、中小企業の景況一般は昨年秋以降回復してきていると思っております。生産も増大しておりますし、製品の輸出もようやく昨年後半から下げどまってきたという感じを持っております。また、下請企業の受注量も昨年後半から量としては上昇傾向にあると思っております。  ただ、御指摘のようにその陰には依然輸出型の中小企業を中心に、特にそれは産地というような形で地域的に集中しておる場合があるというのが特徴でございますけれども、そういう輸出型中小企業を中心に依然困難な状況が続いておるというふうに考えておりまして、私ども調査でも、これは五十五の典型的な輸出産地の調査でございますけれども、円高前に比べて倒産も含めてでありますが、休廃業というような形で姿を消していった企業が全体の一五%である、あるいはそこで働く人、雇用者の減少もまた一五%程度減少しておるというように把握をしております。また、一般的な倒産件数が非常に低いと言われておりますけれども、その裏にはその十倍の休廃業が続いておるということも言われております。  そういう意味では、全体としての好況感の中で、この円高あるいは大きな構造転換期の中で、そういった非常になお苦しんで前途の新しい活路を見出し得ないでいる分野が取り残されておるというふうに考えております。
  74. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 最近増加している中小企業の廃業の原因として、後継者難が取りざたをされております。そういう意味で、後継者育成対策についてはどういうふうに今後お考えであるのか伺います。
  75. 三上義忠

    政府委員三上義忠君) 御指摘のとおり、中小企業、中でも規模の小さな小規模企業の方々の間で後継者難という問題が非常に大きな問題になっているわけでございます。この原因につきましては、ひとり経済的な要因のみならず、社会的な要因でございますとかいろんな要因が複合しておりますので、これに対しまして極めて的確な即効薬でもって対応するということは大変難しいんではないかと思っております。  ただ、私どもといたしましては、まず基本的には小規模企業の方々の事業自身が活性化し、それが魅力があるものになっていく、こういうことがまず後継者難を解消する第一の基本的な要因だと思っております。特に商店街の場合には後継者難が大変ひどうございますが、各種の商店街の活性化等の施策を通じまして今のようなことをやってまいりたいと思っております。  それから、直接的な対策でございますが、商工会議所ですとかあるいは商工会、こういうところにおきまして青年部というのがございまして、ここで若手経営者でございますとかあるいは後継者、こういった方々を対象にいたしまして、その資質を高めるような研修等々の事業を行っております。  またさらに、新たな施策でございますが、どうしても内部で後継者が確保できない、こういうような状況に際しましては、例えば大企業等で十分な人材が使われずに埋もれている、こういう方々を後継者に悩む中小企業の方々に御紹介するような、そういう人材の円滑化事業というのもやることにいたしておりまして、これらの各種の手段を講ずることによりまして後継者難に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  76. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今、小規模企業共済制度の資産運用の見直し、これが行われているように聞いておりますけれども、この事実関係というものはどういうふうな状況下にあるのでございますか、お伺いいたします。
  77. 三上義忠

    政府委員三上義忠君) 小規模企業共済制度は、御承知のとおり昭和四十年に制度ができまして、小規模企業の経営者の方々で廃業したときなどに共済金が支給をされる、こういう制度でございます。今申し上げましたように、制度が創設されまして二十数年を経過しておるところでございますが、現在加入在籍件数で申しますと百五十六万件に達しておりますし、資産残高は昨年の十二月末現在で一兆八千四百十二億円に達し、制度そのものは順調に運営をなされているわけでございます。  資産につきましては、現在のところ商工中金債、国債、政府保証債等によって運用をしておりますが、御承知のとおり、最近大変金利水準が低下をいたしておりまして、この運用利回りというのが徐々に下がってきております。この加入者の方々に支払います共済金等の平均利回りが実は年六・六%になっておりますが、今申しましたような状況を背景にいたしまして、これを下回るような状況になっているのが現状でございます。こうした低金利の状況というのは今後ともまだしばらく続く可能性が大変強いわけでございますので、私どもといたしましてはできるだけ有利なものにこの資産を運用することを考えておりまして、そういう意味で資産運用の効率化あるいは多角化と、こういうものをできるだけ努力してまいりたいと思っております。  例えば本年度からは新たに、先ほど申しましたような金融商品対象に加えまして、比較的利回りの高い金銭信託、これを運用対象に加えているところでございまして、引き続き今申しましたような運用の効率化、多角化に努めてまいりたいと思っております。
  78. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 よろしくお願いしたいと思います。  次に、融合化法等の関係の具体的な質疑に入ってまいりたいと思います。  まず最初に、大臣にお伺いをするわけでございますが、この融合法案中小企業の構造転換の非常に重要な柱と考えておりますけれども通産大臣の見解をまず伺いたいと思います。
  79. 田村元

    国務大臣田村元君) 円高の長期化のもとで、中小企業は新たな発展のための構造転換を迫られております。また、近年における技術革新の急速な進展は、基本的な技術体系の変革をもたらしつつあります。国民ニーズ多様化高度化は新たな製品サービスの提供を中小企業に強く求めております。  中小企業が構造転換を遂げていくためには、こうした新たな経済的な環境に即応した新分野開拓することが重要でありますが、このためには広い視野と事業分野がまたがった技術や経営に関する知識が必要となります。中小企業は一般的に事業分野が狭くて、経営資源の蓄積が乏しいために、自力でこれを行うことはなかなか容易ではありません。現在全国各地で事業分野を異にする中小企業者が協同してそれぞれの技術や経営に関する知識融合させる、いわゆる持ち合わせて融合させる、新たな製品サービスを開発して新分野開拓しようとする動き、いわゆる融合化が積極的に展開されているのは、融合化が今後の中小企業の新たな活動理念であることを示すものと考えられます。  融合化対策は、このような融合化を促進するための措置を講ずることによりまして、円高の長期化等の新たな経済環境に即応した中小企業の創造的発展を図って、その構造転換の円滑化に資するものであると考えております。  そういう意味におきまして、今おっしゃいましたこの法案中小企業の構造転換の重要な柱となるものである、まさにそのとおりでございます。よろしくお願いを申し上げます。
  80. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も先般、国そして該当の行政機関の方々の努力、協力の中で日本で一番一生懸命努力をされているのは横浜市であるという評価もいただいて、私たちもそこで実際に異業種交流を行っていらっしゃる中小企業者の方々と、朝から晩までいろいろの面で綿密な御討議、そして質疑を持たしていただいたわけでございまして、この融合施策の重要性、必要性を強く認識したところでございますが、今後異業種交流に取り組む中小企業者は増加していくものと考えられます。  そこで、今回の融合施策ではそうした中小企業者に対して具体的にいかなる支援を考えているのか伺っておきます。
  81. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) まず、融合施策の第一歩といたしまして、交流段階で、これは矢原委員御実感いただきましたような状況が今行われているわけでございます。  この交流のためにはやっぱり三つございまして、機会を与えることと適切な指導助言を与えることと、それから重要な情報を与えること、この三つだと思っておりまして、その観点から予算化をしているわけでございます。  先ほど来出ておりますのが技術市場交流プラザ、これは技術だけじゃなくて、やはりマーケットも含めてお互いに交流し合おうじゃないかというような考え方。それから、カタライザー役割、これがまた非常に異業種人たちの集まりの中で重要な役割を果たしております。さらには、データベースの整備による情報提供あるいは地域融合センター、これは場をつくるということでございまして、予算は合わせて六・五億円、初年度でございますが、そういうことで交流段階での施策推進に資したいと思っております。
  82. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今御答弁にもございましたように、地域融合センターまた技術交流プラザ等の異業種交流の核となる場所というものが、私も視察をいたしておりまして、皆さんも御承知でございますが、本当に大切だなと、こういうふうに考えたわけでございます。個々の中小企業者グループが利用しやすいようなそういう設置場所、それから時間等を設定する、そういうようなことも考えられるわけですけれども、そういう点は具体的、細やかにといったらあれですが、計画されていらっしゃいましたら教えていただきたいと思います。
  83. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 現在、技術交流プラザ、月一回各地で行われておりますけれども、これもそれぞれ参加者メンバーの都合を考えながらやっておりますけれども、これから技術市場交流プラザになります、それから地域融合センターもできるわけでございます。これは、中小企業者の方々ができるだけ集まりやすい場所、それから時間帯も大変重要だと考えておりまして、そういう見地からよく県をも指導してまいりたいと思います。現にいろいろ御相談がこれから行われることになると思います。
  84. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今もちょっとお話が出たんでございますが、私も現地を視察してみまして、仲介に立つ、異業種交流を円滑に進めていく世話役となる今お話が出ましたカタライザー役割というものが非常に大きいと考えました。このカタライザーとなるべき人の具体的なイメージとか、もう一点は選任すべきその人の背景とか資格とか要件とか、そういうものの基準が想定されるわけなんです。私が横浜で御一緒してみました限りでは、これだけ行政機関の中で熱意のある方が本当におられるんだなということで、実にびっくりしたんですけれども、このカタライザーの基準とかそういういろいろのものを伺ってみたいと思います。
  85. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) カタライザーにつきましては、御指摘のとおり大変重要な役割を担うものと私ども考えておるわけでございますが、具体的に今どういうイメージかというお問い合わせでございますけれども、いろいろ異業種交流グループ活動目的とかその抱えております課題が多岐にわたるということが予想されるわけでございますので、これを支援するカタライザーに期待される役割とか人物像もいろいろ多様なものがあろうかと思うわけでございますけれども、私どもこれまで調べたことなどから考えてまいりますと、地域にありましてその地域中小企業界の実情に詳しく、しかも異分野中小企業グループの結成とか交流活動のいろいろ推進のための世話役あるいは接合役といった、そういうものになるタイプがまず一つ期待されておるんじゃないか。端的に申しますと、地元の団体の役員の方でございますとか、企業関係者といったような方がこういうものに該当しようかと思うわけでございます。  それから、もう一つは、期待されておると思われますのは、特定の分野技術とかそれから市場の動向、そういったものに詳しいとか、あるいは提携すべき企業についてもいろいろ知識を持っておるというようなことでございますとか、それからそういう点に関する情報を持っておるとか、さらには異業種交流グループ活動方向づけについて指導とか助言を行えるという、そういうコンサルタント的なタイプあるいは生き字引的なタイプと申しますか、そういうようなものに対するニーズが非常に大きいんじゃないかというように考えておるわけでございます。  それでは、そういう人をどういうぐあいにして選任してまいるか、あるいはそういう人の背景とか資格などはどうかという御質問でございますけれども、現在考えておりますカタライザーの仕組みといたしましては、都道府県等からまず推薦をしていただきました人材を、具体的には中小企業事業団で審査をすることを考えておるわけでございますけれども、その中小企業事業団の基準に照らしまして審査をいたしまして、それで適格であると判断される人を中小企業事業団に登録して派遣するというような仕組みを考えておるわけでございます。  登録に際してどういう基準があろうかということでございますが、これにつきましては現在検討しておるところでございますけれども先生が今御指摘になりましたように、異業種交流活動促進に熱意を持っている人というのがまずやはり非常に重要な要件としてなってまいろうかと思うわけでございますし、それとあわせまして、公正で円滑な活動の調整を行い得るような十分な信用とか、それから人望を有する人ということもこれは大事になろうかと思います。それから、さらには先ほど申しました養成とも関係するわけでございますけれども、異業種交流事業に関します指導、診断等について十分な経験を持っておるとか、あるいはいろいろの技術とか市場動向等について知識を持っているというふうなことも必要でございましょうし、さらに非常に、当たり前といえば当たり前のことなんでございますけれども、そういう活動を行えるような時間を確保できる人というようなことなども基本的な要件というようになってまいろうかと思っておるわけでございます。  そういう人がそれではどういうところから出てくるかということでございますけれども、現在でも先生既に御視察なされましたように、いろいろ異業種交流活動をやっておる中でそういうカタライザー的な役割を果たしておられる方もあるわけでございますし、あるいは産業界それから学界の方々、それからおっしゃったような行政の方とかいろいろ各分野があるわけでございまして、そういう各分野でふさわしい知識や経験や熱意を持っておる人というものがそういう人になるんじゃないかというように考えておるところでございます。
  86. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では次に、法は定められた開発段階以降の施策について伺いたいと思います。  まず、異業種中小企業の共同開発でございますけれども、一般的にはどのぐらいの期間、どのぐらいの資金を要するものと考えておられるのか、その点を伺います。
  87. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 融合化というのはお互いに異なる経営資源を最適に組み合わせる、しかもそれが事業分野の異なる方々がやられるということでございますので、非常に開発段階などにおきましては従来の同業種の場合と比べて非常に大きな困難なプロセスがあるんじゃないかと考えておるわけでございます。  そういう点で、私どももこれも調査したところでございますけれども、資金計画とか開発目標がはっきりしております異業種の方々のグループの平均的な姿で見てまいりますと、開発に三年間程度というのが必要だというのが一般的でございまして、それを事業化していくのにさらに一年間程度は必要だというような答えになっておるわけでございます。  それから、この三年間の開発に必要な資金でございますけれども、平均いたしますと一グループ当たり五千万円程度というのが私どもの調べた結果でございます。
  88. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 開発段階における補助金の問題ともう一つ、現場で私も開発された機器を見ながら話題になったんですけれども、この補助金は開発に成功した場合には返すのかどうか、また失敗した場合にはどうなのかという儀諭がずっと出ておりましたのですが、この点はいかがでございますか。
  89. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) ただいま申しましたように、開発段階で一グループ平均大体五千万ぐらい必要だということでございますが、私ども考えております補助金は一年間で一組合当たり一千九百万円が上限ということでございます。御案内のとおり予算というのは単年度でございますので、先のことは必ずしも明確に申し上げられない面もございますけれども、私ども通産省としましては先ほどの三年間ぐらいということも勘案いたしまして、必要な場合には三年間程度継続的に補助することも検討しておるところでございます。  それから、この補助金が開発に成功した場合にはどうなるのか、失敗した場合にどうなるのかというお問い合わせでございますけれども補助金の場合は御案内のとおり、融資とは異なりまして特段の法令違反がない限りは返還を要しないというのが原則でございます。ただ、開発の成果の利用にかかわる事業を行うことによりまして相当の収益が生ずると認められるような場合には、その交付された補助金の全部または一部に相当する金額をいわゆる収益納付させるという、そういう条件をつけることができるというのが法律上、適化法などであるわけでございますけれども、この点につきまして今度の融合化法でそれを適用するかどうかはまだ検討中でございます。  それから、開発が失敗に終わったという場合にどうなるかということでございますけれども、この場合でございましても組合が計画に定める事業を法令等に違反せずに遂行しておる場合には、特に返還の必要はございません。
  90. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この融合化法では、開発に取り組もうとしている段階事業協同組合を設立しなければならない、こういうことでございますが、円滑に組合を設立し得るよう何らかの対策を講じていらっしゃるのか、その点いかがでございますか。
  91. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 御指摘のように、融合化の施策を実効あらしめるためには異業種交流グループが円滑に組織化が行えるようにしていくことが特に重要なわけでございまして、このため私どもといたしましては、開発に取り組もうとする中小企業グループに対しまして組織化の手続の進め方でございますとか、それから組合事業の進め方、さらには組合員間の機能分担といったような、そういういろいろの組合関係指導を重点的に行うことを内容といたします融合組合集中指導事業というものを中小企業団体中央会事業といたしまして六十三年度から創設して、それによって指導を進めていきたいというように考えておるところでございます。
  92. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 計画の認定基準の中身についてですけれども中小企業者に過重な負担をかけないようにすべきであると思うんですけれども、これがまず一点。それから、研究開発事業協同組合で行い事業化は共同出資会社等で行う計画というものが認定されるのかどうか、こういう点いかがですか。
  93. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 第一点の計画の認定基準でございますけれども先生指摘のように、中小企業者に過重な負担をかけないようにすべきというように考えておるところでございまして、今後政令でその具体的中身は定めることとしておるわけでございますけれども、現在考えておりますのは、計画の内容が新しい分野開拓を行うために有効かつ適切であるというようなことでございますとか、資金計画がこの事業を確実に遂行するためは適切なものでございますとか、それから試験研究費あるいは準備金にかかわります負担の基準が適切なものであるといったようなことで、使いやすいように私どもやっていきたいというように考えておるところでございます。  それから、御質問の第二点目の、研究開発事業協同組合で行いまして事業化をその出資会社で行う計画はどうかということでございますけれども、この法律では研究開発だけではなくて事業化も含めた融合化に関する計画について当初に認定が受けられることになっておるわけでございますが、このうち、最初段階研究開発でございますけれども、これは異業種中小企業者が共同して行いますので、こういう事業者が組合員となる事業協合組合をその実施主体としておるわけでございますけれども成果事業化につきましては、開発成果内容によりましていろいろな形のものが考えられるわけでございまして、組合で共同して行う場合もあるでしょうし、あるいはその組合員が個々にやる場合も当然出てまいるでしょうし、それから共同出資会社を設立する、その方が適当だという場合もあろうかと考えておるわけでございまして、この法律ではその事業化主体を幅広く定めておるところでございます。  したがいまして、御指摘のような研究開発事業協同組合で行い、事業化は共同出資会社で行うというような計画についても認定されることとしておるところでございます。
  94. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、税制措置でございますけれども、開発・事業化を円滑に行うためには十分なものとなっているのかどうか、簡単に伺いたい。
  95. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 開発段階に関しましては試験研究税制を中心に、これは三つございますけれども、適用がされることになっております。それから事業化段階でございますが、これは例が今まで余りないわけでございますが、特にこの融合化のために中小企業知識融合開発準備金制度を創設いたすこととしております。この準備金は、例えば組合員が賦課金を出す場合に損金算入できるとか、あるいは組合が積み立てる場合に損金算入できるといったような形で、非常に資金負担が、先ほど指導部長も申しましたように、逓増してまいりますので、そのための計画的な積み立てができるような仕組みが行われております。また、後であるいはあるかとは思いますけれども、いろいろな高度化融資とか支援がございますが、それに伴いまして高度化融資関連の、例えば固定資産税の減免等の措置等も準備しておりまして、かなりの充実ができたのではないかと考えております。
  96. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 それから、計画の認定ですけれども組合の所管行政庁が行うことになっておりますが、同業種組合と異なって異業種組合の場合には複数の行政庁が関係すると思われます。この場合、知識融合開発事業計画の認定手続等が中小企業者に過大な負担とならないように十分配慮しなければならないと思いますけれども、この問題はいかがでございますか。
  97. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 融合化を実施しようとします異業種組合の場合を考えてみますと、通常恐らく規模が余り大きくないのが多いだろう。そうしますと、その区域が都道府県内にとどまるわけでございまして、その場合、所管行政庁というのは都道府県知事ということになるわけでございますが、その地区が都道府県の区域を越える組合というものも当然想定されるわけでございまして、その場合には所管行政庁は組合事業を所管する大臣ということになってくるわけでございまして、しかも異業種組合ということになりますと複数の大臣が所管行政庁となる場合が当然あり得るわけでございます。  こういう場合におきましても、行政庁間での判断が食い違ったりいたしまして認定手続が遅延するというようなことでございますとか、あるいは中小企業者の方に過大な負担をかけるというようなことになってはこの法律本来の趣旨に反することにもなりますので、私どもとしましては、そういう弊害が中小企業者に及ばないように、相互に緊密な連絡体制を整備するなどいたしまして、運用上十分に配慮してまいりたいと考えておるところでございます。
  98. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に事業化段階における問題でございますけれども一つ助成措置の概要、それからもう一点は、事業化段階においては、特に販路の開拓とマーケットですね、そういうつながり、そういう確保という重要な問題がございますけれども、これらの点での配慮はどのようになるのでございますか。
  99. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 第一の助成措置でございますが、これはまず金融上の措置がございます。これは、事業化資金につきまして、設備投資のための資金でございますが、特に中小企業事業団からの高度化融資、これは無利子で十五年から二十年ぐらいの返済期間でございますので、そういうものが使われるように措置しているわけでございます。また、運転資金も含めまして商工中金の特別貸し付けということで、これは長期プライムレートを下回る金利——まだ決まっておりませんけれども——ということで、この事業化のための資金調達の支援をしてまいりたいと思っております。また、別途御審議をいただいております信用保険との関係におきまして、新事業開拓保険というのができますが、その中に融合化の特例ということで特別手厚い保険制度を用意しているわけでございます。  それから第二点でございますが、これは確かに、先ほど来御指摘がございましたけれども、でき上がった製品がいかに円滑にやはり市場の中でその場を占めていくかということは大変重要だと考えております。本来は市場メカニズムの中でこれは売られていくわけでございますが、中小企業者がこういうことで開拓した製品でございますし、融合化の努力によって行われたわけでございますので、精いっぱい私どもも需要の確保の開拓のための資金を、先ほど申し上げました準備金制度の中に入れる、あるいは融資の対象にするというような格好での支援をしてまいりたいと思っているわけでございます。
  100. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この融合施策は、先ほどからも質疑が交わされておりますけれども交流、開発、事業化の各段階にわたる総合的なものとなっております。質疑を重ねておりましても期待をされる活性化、大変評価するわけでございますが、この施策を実効あらしめるためには、もう既に御承知でございますけれども施策の実施に当たるには、都道府県中小企業事業団、中小企業団体中央会、金融機関等各機関の連携を確保することがまた重要ではないかと思うんですけれども、これらに対してはどのように考えておられますか。
  101. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 全く御指摘のとおりだと思います。  日本全国にいわば孤立して存在いたしております六百五十万の中小企業者、そういう方々の中で何百、何千とあるグループがつくられていくわけでありますから、これはとても国だけでどうこうできるわけではございません。そういう趣旨から、法の中でも訓示規定ではございますけれども、国、自治体のこの問題に対する促進義務を規定しているわけでありますし、また組合の中核機関であります県中、全国中央会、こういう中央会、これは今後の組合運動の一つの大きな刺激要因として融合化運動というものがあると考えておりますので、当然この中央会等は自分の問題として融合化問題を今後推進、支援していただけるものと考えております。また、事業団は中小企業高度化促進の中核機関でありますので、当然にまたこの事業団の大きな仕事になるというふうに考えておりますので、できるだけそういった中小企業者に対しての広範な支援機関の連携というものが図られますよう私どもとしても努力してまいりたいと思っております。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕
  102. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、信用保険法関係を具体的に伺いたいと思います。  まず二点にわたりますけれども、今回、新事業開拓保険を設立された趣旨について、もう一点は新事業開拓保険の運用に当たってでございます。中小企業者ニーズに幅広くこたえるよう弾力的な運用というものを我々も懸念するわけでございますが、その点についてはどういうふうな方途を考えていらっしゃるのか、伺います。
  103. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 新事業開拓保険、これは新種保険を今度お願いをしておりますが、二つのうちの重要な柱でございます。非常に構造転換が激しい中で中小企業はやはり新しい分野を開いていくということで、先ほど来の融合化もその一環でございますが、そのための技術製品サービス市場の掘り起こしといったようなものを対象として、これが中小企業に対する新しいニーズだと思いますので、対象とした保険ということでございます。それらのリスクを補いたいという願望が込められているわけでございます。  それから運用につきましてでございますが、実は新技術企業化保険というのが今年度までございますけれども、これを大きく広げてこういう事業開拓保険ということにするわけでございますけれども、むしろ地域実態を踏まえてこの事業開拓保険が広く使われますように、私ども地域レベルでこの運用を審査を行って弾力的に行えるような格好で指導してまいりたいと思っています。    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕 先ほど申し上げましたように、新技術企業化保険は、むしろ公庫の、中央で審査をしていたという状況がございます。その辺を大きく改善してよく使われるような形でやってまいりたい、指導してまいりたいと思っております。
  104. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、国際分業の中で中小企業の海外投資が増加をしていくものと考えられます。中小企業の海外投資の現状及び中小企業に対する海外投資円滑化対策について、これが一点。  もう一点でございますが、海外投資関係保険の対象については幅広く中小企業者ニーズにこたえることが必要だと考えます。具体的な対象はいかがなものか伺います。
  105. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) まず御質問の前段の方の、海外投資の現状とそれから海外投資円滑化対策についてお答え申し上げます。  このところ中小企業の海外投資もふえておるわけでございまして、昭和六十一年の数字で申し上げますと、新規の証券、債券等の取得ベースで二十九億ドル、前年比で七〇%増という過去最高の数字になっておるわけでございます。ただ中小企業の場合、情報面でございますとか人材面あるいは資金面で弱さがございますので、こういう弱さを克服し安定した投資が行えるように支援していくことが必要だろうと考えておるわけでございます。  中小企業の海外直接投資円滑化対策といたしましては、中小企業事業団におきます海外投資アドバイザーによる指導でございますとか、あるいは投資関連情報の提供といったこともやっておるわけでございますし、それから経営者等に対する研修とか、さらには政府系の中小企業金融機関での低利融資といったような支援策を現在講じておるところでございます。さらに、中小企業の資金調達を円滑にするために、海外投資関係保険制度の創設が必要というように考えておるわけでございまして、現在御審議いただいております関係法の改正案を御提案申し上げておる次第でございます。
  106. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 今の御指摘の中の海外投資関係保険でございますけれども、現地法人に対して出資率が一〇%以上ということが基本になっておりますが、できるだけ中小企業者が使いやすいような形にしたいと思っておりまして、対象はもちろん海外に支店をつくりますとか、それから工場を設置しますとか、あるいは株式を取得しますとか、それから在外現地法人への金銭の貸し付けとかいろいろあると思います。それもすべてそのための所要資金に対する保証ということになります。それから何といっても中小企業の海外展開において重要なのは人材であろうと思っております。人材の育成というのも中小企業にとって課題でございますが、そういうための施設の所要資金に対する保証といったようなことも含めて考えてまいりたいというふうに考えております。
  107. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間が参りましたので、最後の一点だけ伺って終わりたいと思います。  今回の法改正を実効あるものとするためには、担保徴求の弾力化を含めて、信用保証協会の保証が中小企業者にとって利用しやすいものとする必要があると考えられます。この点はいかがでございますか。
  108. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 中小企業信用保険公庫及び保証協会の経営の改善ということでいろいろ努力がなされてきたわけでございますが、現段階におきまして大変そういう状況の改善を見てまいりました。今委員指摘のような形で、私どもニーズにこたえ得るょう保証料率、それからさまざまな形での弾力的な運用をするように指導してまいりたいと思っております。
  109. 井上計

    ○井上計君 どうも先ほど来濃密な各委員質疑が行われておりまして、ほぼもう出尽くしておるようでありますが、せっかくですから、二、三ちょっとお伺いをいたしたいと思います。若干重複する点があろうかと思いますが、ひとつ御了承をお願い申し上げます。  既に数年前から、異業種融合化ということについては中小企業者間でかなり強い要望があります。そういう意味では、それらの要望にこたえていただいて本法を制定をしていただくということでありますから、私個人的にも大変これは喜んでおるわけであります。  そこで、既に全国的にかなり進んでおりますし、また資料をちょうだいすると具体的なものも相当出ておるようでありますが、どのような現状というか実態にあるのか。それから、特に地域的な面等で特徴的な点があるかどうか、その点についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  110. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 異業種交流実態でごございますけれども、七百ぐらいの異業種交流グループ、これは私ども調査の限りでございますが、約二万社と、大変な活動を行っているわけでございます。  三つの特徴があると思いますが、約半分ぐらいが最近三年間ぐらいの中で結成されておりまして、最近の大きな動きということが言えると思います。  それから、地域的に見ますと、この七百のうち九十九グループ、約一六%が、これは円高や構造転換に悩む特定地域グループでございます。通常の特定地域の出荷比率よりも非常に高く出ておるわけでございます。  それから最後に、非常に技術志向も強いわけでございまして、サービス業や流通業も加わるという非常な多角的な交流が行われておるということが特徴であるかと思います。
  111. 井上計

    ○井上計君 地域的に特に特徴はありませんか、地域的な面では。あればちょっと参考に。
  112. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 先ほど特定地域の話だけ申し上げましたけれども、どちらかといいますと西に偏って、関東、東北よりは西、近畿以西の方に七百の中の多い部分があると、こういう状況でございます。
  113. 井上計

    ○井上計君 これは特にお尋ねするつもりじゃなかったんです。私も資料を見て、今お答えのように大変西に偏っている、何か原因があるのかなという、私はわからないんですが、そんな感じがしておるんですが、またそれらについても今後は調をしていただきまして、特に私は日本全国考えて、これらのものが一番必要な地域というのは西は九州、それから北は北海道、絶対必要だと思う。ところが北海道は非常に少ないですね。これらについての今後の指導等、またひとつ十分御検討いただきたいと、こう思います。  次に、既にこのようにもう実際にはかなり動いておるというか、設立をして事実上スタートしておるというふうな組合が幾つかあるというふうに思うんですが、それらの組合は、実際にこういうふうな法律がないわけですから、助成だとかなんかを期待をしていたのか、まあしていなかったと思いますけれども、それらのものについて制定されたときにさかのぼってそういうふうな組合に対しても認定をして、助成等について当然お考えいただけると思うんですが、その点どうなんですか。
  114. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) この法律の対象となります知識融合開発事業は、研究開発だけじゃございませんで、その成果の利用またはその成果の利用に必要な需要の開拓というものもその具体的内容としておりますので、既に研究開発に取り組んでいる、今御指摘のような場合でございましても、実施しております研究開発内容が妥当であり、かつ今後実施しようとしております研究開発、その成果の利用またはその成果の利用に必要な需要の開拓というものに関係いたします計画の内容が適切なものでございますと計画は認定されるものと考えておる次第でございます。
  115. 井上計

    ○井上計君 これからの問題等も同じようなことがあると思うんですが、大変いい制度ですけれども、それだけに計画の基準といいますか計画策定についてかなりこれは難しい作業も必要であろう。  実際に中小企業実態からして、私も実は二十年前、高度化事業についての経験がありますけれども、国の認可基準のハードルを越えるというのは容易なことじゃないですね。そういうふうな能力を持っておる組合はいいですけれども、特に今度の場合には少人数の組合が多くなるわけですから、なかなかその計画基準を達成できる組織というのは大変少ないんではないかと思うんです。だから、それらについて特に指導をしていただきたいということと、それから一般の中小企業なかなか少ないと思うんで、そういうふうな人たちに対してどのような指導をされるであろうか。それから今お答えいただきましたが、既にスタートしている組合はそんなふうな計画基準は何も考えないでやっておるわけですから、それらのものについての後追いの認可ということになりますか、そういうふうなことについて格段に御配慮をいただかないと、せっかくつくられたいい法律制度が有効に動かないというふうなことも起きるんではなかろうかと、こんなふうに感じるんですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  116. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 御指摘のように、恐らく規模といたしましては余り大きくない組合というような方、あるいはさらにその事業者の方にとってみますと、いわゆる小規模企業の方もかなり利用するというような意向がおありというように私ども調査の結果把握しておるわけでございますので、そういう状況の中で、先生指摘のように非常に優良な中小企業者だけが認定されるというようなことになると、これは非常にこの法律の本来の趣旨にももとることになりますので、余りハードルが高くないようなものにいたしたいと思っておりますし、また優良な中小企業者だけが認定を受けるようなことにならないように十分に配慮して、認定の基準なりなんなりを考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  117. 井上計

    ○井上計君 その点については留意をしていただいて、特にそのような指導については格段にお願いをしたいと、今後要望しておきます。  それから、これも先ほどちょっと同僚委員からの質問に関連しますけれども、今後進めていく中で、やはり大きな問題は、これは私の個人的経験からいっても、行政官庁が複数にまたがる場合大変厄介なんですね。既に今この具体的な事例等を見ていましても、福岡のこれは病院だとかビルサービス管理会社、警備保障会社、金融機関、ホテル、弁護士、税理士なんぞ加わって、健康診断とか健康指導だとか警備保障のパトカーだとか家事サービス云々とありますが、これだけのものがこのような異業種による組合をつくる場合に、恐らく運輸省から法務省、警察庁、厚生、労働、大蔵とまたがると思うんですね。これはもう事実上これらのところでまたがってそういうような計画を進めていくのには、はっきり言って、これは差し支えあるかどうか知りませんが、中小企業庁通産省以外のところは中小企業問題全く知らないんです。  私も今までいろいろな指導の経験がありますが、運輸省と話をすると、運輸省というのは運輸行政だけを考えて中小企業問題は全く知らないんです。建設省もしかり、特に農水省は食品関係中小企業のことについては、食品としての分野では知っていますが、実は中小企業の問題は全く知らないんですね。だからこれは他省庁にまたがる、行政官庁が複数以上になった場合にはこれは容易なことではない。  そこで、私はこれは大臣に特にお願いするんですけれども大臣の政治力で、そのような他省庁にまたがるものでも全部通産省に任す、中小企業庁に任すというふうなぐらいの強い態度で臨んでいただかなければなかなか異業種交流組合設立認可というのは容易なことではないな、こんな感じがするんですが、ぜひこれはひとつ大いに期待をしてお願いをしておきますけれども、御留意をいただきたいと、こう思いますが、いかがですか。
  118. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 御指摘のとおりでございまして、私どももそういう結果、中小企業者に多大な迷惑をかけたりあるいはその実現がおくれたりするということでは非常に申しわけないと思っております。  そういう意味で、実態的に考えますと一つの圏域内での融合組合結成は大抵の省庁が認可権限を県におろしておりますので、一県だけでできることが多いと思っておりますけれども、そうでない省庁もございます、おろしていない省庁もございますし、それからまた圏域を越えた融合組合結成のときには当然中央に出てくるわけでございますので、中央に申請が出てきた場合の窓口なり処理体制について、これは今政令段階で各省庁と鋭意詰めておりますけれども、できるだけそういうあっちに行ったりこっちに行ったりしなくてよろしいように関係する省庁の連携体制をよく整備確立しておきたいと思っております。
  119. 田村元

    国務大臣田村元君) 私の名前も出ましたのでちょっと申し上げますが、いいことを言っていただいたと思うんですよ。役人というのはどういうわけだか大臣に物事を教えたがらないところがあります。例えば各省庁でやり合っておる。これは中小企業庁を言うのじゃありません、一般論でございます。他省庁とやり合っておる、おいおれが物を言わなくていいのかと言ったら、事務方にお任せください、こう言って、何だか大臣が出ることを極端に嫌うところがございます。  ちょうどいいことを言っていただいたんで、少しはこれで骨身にこたえたと思いますので、ちょっと決意を込めてこれからもひとつそういう点で適切なアドバイスをお願いをいたしておきます。
  120. 井上計

    ○井上計君 大臣からお述べいただいたからこれ以上もう申し上げる必要もなかろうと思いますが、私の経験からいっても本当にもう他省庁、どことは言いませんが、さっきもちょっと言いましたが、中小企業問題本当に知らないんですから、まあ知らない一つに、これは先ほど青木委員の質問に大蔵省の中小金融課長が、信用保証協会は全国各地に四十七ありますと、こう言っておりました。おかしいな、私の記憶ではたしか五十か五十二だったと思っておったんですが、何か後で訂正されたようですけれども中小金融課長が保証協会の数さえ知らぬなんていうのは、それほど実は中小企業問題知らぬと、こういうことになるわけですから、他省庁推して知るべしです。  ぜひひとつ、大臣今おっしゃっていましたが、通産省中小企業庁として、中小企業問題はもう素人じゃわからぬから任してくれぐらいのことで、強力に進めていただきたいと思います。  それから最後に、信用保険法の問題についてちょっとお伺いします。  これも既に先ほどから出ておりますけれども、やはり各地の信用保証協会の保証手続が大変煩雑で、非常に時間がかかって何かリミットを失するというふうな、そういう不満が依然としてあるんですね。これは中小企業庁の問題ではありませんけれども、ぜひそのようなことを御指導いただいて、せっかく付保限度がふえ、いろんな対応策ができておってもそれが本当に効果があるようにその点の御指導をひとつお願いいたしたい、こう思います。  これについてのお答えをいただきまして、私の質問を終わります。
  121. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 保証業務については、全国まさに最先端部門での活動でありますだけに非常に中小企業者の期待も大きいし、また個々のケースでいろんな御不満もあるということは十分承知をしております。  常日ごろ私ども、連絡会等でそういう面について各保証協会の注意を喚起し最大限弾力的にということで指導してまいりましたけれども、これまでは、るる議論ございましたように保証協会そのものの財政の健全化という方に気をとられておりましたので、あるいはそういう面も反映しているかと思いますけれども、ようやくそこの基盤強化のめどがつきましたので、ぜひ御指摘のような方向で各窓口が中小企業者の皆さんに対せられるよう今後とも強く指導してまいりたいと思っております。
  122. 井上計

    ○井上計君 終わります。
  123. 市川正一

    ○市川正一君 本日は法案審議でありますので、法案に則しながらお伺いしたいと思います。  最初融合法案でありますが、第四条で定める知識融合開発事業計画の認定基準というのは、本法案の根幹をなすものでもありますので、具体的内容を明らかにしておきたいのであります。  中小企業関係法の中には、認定とか承認とかいう規定がしばしば出てまいります。しかし、率直に言ってこれが対象を振るい落とすために使われてきた嫌いがあると思うんです。例えば、この法案とも関連があります事業転換法に基づく転換計画の承認実績は、昨年末現在で二百十六件です。また、技術開発法の開発計画の認定の実績も去年の三月末現在で六十八件であり施策を必要とする中小企業者が多い割には数が少ないんじゃないかと思います。したがって、この法案の基準作成に当たっては意欲のある中小企業はだれでも対象になるように、そういう弾力的なものにすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  124. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 御指摘のように、いろいろハードルが高いと中小企業の方が利用しにくいという面があるわけでございまして、特に今回のこの融合化法でございますけれども、特定の中小企業者ではなくて、中小企業の方一般でしかも融合化の意欲のある方を対象とするものでございますので、広く利用し得るようにしておくことがまず基本的に大事だろうというように考えておるわけでございます。  また、私ども昨年調べましたところによりましても、この制度を利用する中小企業者のうち約四割ぐらいが従業員二十人以下のいわゆる小規模企業者の方がおられるわけでございます。  そういう点も考えますと、政令で今後計画の認定基準を定めるわけでございますけれども、現在のところ考えておりますのは、余り細かいことは言わないでということもございまして、例えば計画の内容融合化のために有効かつ適切であることとか、それから資金計画がその事業を確実に遂行するために適切なものであることとか、さらには負担金とか経費の賦課の基準、準備金等でございますけれども、その基準が適切であることというようなことなどで、そういう方向で定めることで現在検討しておるところでございます。  本制度の趣旨と中小企業実態などを踏まえながら、先生指摘のように進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  125. 市川正一

    ○市川正一君 大臣あるいは中小企業庁長官としても、中小企業者の意欲と努力に水をかけることのないようにぜひ対応していただきたいと思います。  次に、この運用方針に関連して伺いたいんでありますが、中小企業が効率的な研究開発を進める上で大企業の持っている技術が必要になる場合も多いと思うんです。中小企業対象事業促進するために、大企業から技術を導入したり、共同研究に大企業に加わってもらうケースもあり得ると思うんですが、そうした際の研究開発の進め方や助成の仕方はどうなるんでしょうか。
  126. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 今先生指摘のように、技術面で大企業の協力を仰ぐことがこの融合事業をより円滑に推進するという場合も当然あろうかと思うわけでございます。ただ、この事業基本的には、異分野中小企業者の方が共同開発を行ってその成果事業化に結びつけるということでございまして、そういうことでございますので、大企業が企画立案の段階からいろいろ研究開発段階までイニシアチブをとって行うというようなことは、そもそもこれはしかし法の目的には反するんじゃないかということでございます。  そういうことでございますけれども、ただ開発の一部を大企業に委託したりあるいは技術面で提携したりということは、中小企業の方が主体性を持ってその事業を実施できるということであれば、それはそれで認めてもよろしいんじゃないかというように考えているところでございます。
  127. 市川正一

    ○市川正一君 その場合、少し議論を進めたいんですが、大企業参加した研究開発が実った、そして製品化が進んで、ともに大企業中小企業も利益を上げたという場合に、中小企業補助金の交付を受けておりますから、一定の利益が上がるようになれば収益納付の義務づけがなされています。しかし、大企業補助金を受けていないことになるので、同様にこれで利益を上げても収益納付の義務はないことになるんですが、この矛盾は解決する必要があると思うんですが、どういうお考え方でしょうか。
  128. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 現在のところ、収益納付の規定を設けるかどうか、ほかのいろいろなものとあわせ考えまして検討中でございます。
  129. 市川正一

    ○市川正一君 しかし、これは将来非常に具体的な問題になると思うので私どもも一緒に研究させていただきたいと思うんですが、別の角度から伺いたいのは、中小企業同士が共同で研究開発をやって、市場性のある製品が開発されたという場合に、これが工業所有権として保護されるようなものであればいいんですけれども、創意工夫的な要素が多いときには、大企業がその強い経営力を背景にそれを若干改良したものをつくる、あるいは同等のものをつくり、新規参入して中小企業成果を横取りする可能性というか危険性が実際懸念されるんです。  これは決して理論的な可能性ではなしに、今までも例えばベンチャー企業が開発したものを大企業製品化して、結局もとの中小企業であるベンチャー企業が倒産した実例を私は知っております。こういう事態にどう対応するのか、やはり今から考えておく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  130. 村田憲寿

    政府委員村田憲寿君) 御指摘のような事態も考えられるわけでございますけれども、私どもといたしましては、中小企業の方がせっかく研究開発に成功されて、その製品化という面でいろいろ御苦労されるということは、これはなるべくやはり避けたいと思っておるわけでございますので、事業化関係につきましてもいろいろと私どもとしては、市場の面でございますとかあるいはそれに関連いたします資金面でございますとか、そういう面での手助けをしていくということを今考えておるところでございます。  特許等の問題になりますと、特許を取れればもちろんこれは全く問題ないわけでございますけれども、大企業などが先生指摘のように途中から来ましてそういうものを取り上げてしまうというようなこと、こういう事態がないように、私ども組合等に対していろいろ指導してまいりたいと考えておるところでございますし、県等に対しても指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  131. 市川正一

    ○市川正一君 分野法そのものではないけれども、いわば分野法的な発想で中小企業のこういうイニシアチブを保護育成していくということでぜひ対応していただきたいと思います。  次に、中小企業信用保険法及び公庫法の改正案に入ってまいります。  まず、信用保険の種類別の引受実績についてこの五年間どうなっているのか、特に、それぞれの一件当たりの引受額の推移はどうなっているのかを概略御説明願います。
  132. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) この五年間に引受額が大変ふえております。一件当たりで見ますと、例えば普通保険につきまして、六十一年度実績千百五十四万円でございました。五十七年度は九百五十四万円でございました。無担保保険につきまして申し上げますと、六十一年度、新しい方からで恐縮でございます、三百八十三万円、五十七年度は三百三十五万円でございました。特別小口でございますが、六十一年度が百九十二万円、それから五十七年度実績が百八十二万円でございます。
  133. 市川正一

    ○市川正一君 私も資料をちょうだいしましたのでいろいろ分析してみたんですが、まず今回のこの改正案によって保険限度額の引き上げが行われることは、それ自体まことに結構なことであります。しかし、今の答弁によりましても、確かに一件当たりの引受額の実績は普通保険が現行の限度額の約六分の一、また無担保保険が約三分の一、特別小口保険が約三分の二となっておりますので、あえて限度額を引き上げなくてもいいようにも見えるんですが、その点どういうふうに見ていらっしゃるんですか。
  134. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 信用保証につきましては、そういう非常に大口化の傾向が一つございます。これは、確かに平均的に見ますと今申し上げましたような数字でございますけれども、例えば普通保険で申し上げますと、一番最大の二千万のところに四分の一ぐらいの人たちが張りついているというような状況がこの五年間に現出してきております。そういう大口化の傾向が第一だと思います。  それからもう一つは、中小企業金融機関の貸付額の限度額が大変上がっております。五年間で八割ぐらい公庫の限度額が上がっておりますけれども、そういう意味でも中小企業金融の大口化という傾向が見られるわけでございます。と同時に、限度額を引き上げることによりまして、幅広く、小口も含めて懐の深い信用保険制度、保証制度にするというような形での今度の限度額の引き上げということであると思います。
  135. 市川正一

    ○市川正一君 確かに、一件当たりの金額は大きくなってきております。しかし、じゃそれが中小企業者の信用補完制度の利用の実態を正確に反映したものと言えるかというと、私はやはり幾つかの問題があると思うんです。  実績の評価にはいろいろの側面から問題を解明しなければならぬと思うんですが、どうしてもここで指摘しなければならぬ問題が私は二つあると思うんです。  その一つは、中小企業信用補完制度をめぐる都市銀行の不当な企業行動であります。都銀は今、金余り、自由化の中で業績の拡大や効率化を図るためにしのぎを削っております。その影響が実は中小企業金融にもあらわれてきておる。例えば、大企業は金余りで融資の要求が余りないので融資の目標達成のためには、業績のよい中小企業に融資を押しつけている例が少なくないんです。この場合、保証つきでありますから、当然保証協会から業者に連絡をとる。すると業者の方は、うちは必ずしも必要じゃないんだが、銀行がどうしても借りてくれと言うから借りることにしたんだ、そんなに面倒なことを言うならやめるというふうに言われる。銀行の方に確かめると、業者にはじかに電話をしてくれるな、訪問もしてくれるなと、聞きたいことがあればこっちで答えるから銀行のこっちの方へ聞いてくれというような実態も私は少なからず聞いております。  また、これは信用保証の側の、すなわち現場からの報告で、決して誇張ではない、私は責任を持ってそう言うことができます。結局、都銀のノルマ達成の道具にされているという嫌いを私は痛感いたします。  融資を拡大すれば都銀の側は当然リスクも大きくなる、審査もいろいろと大変である。ところが、信用保証協会の保証があればリスクの担保ができるということで、まさに都銀にとってはその合理化、効率化に中小企業の信用補完制度を悪用しておるという実態を私は指摘しなければならぬと思うんです。  通産大臣にお聞きするのが適切かどうか存じませんが、もちろんこの都銀というのは直接の所管事項ではございませんが、都市銀行が最近膨大な利潤を上げているけれども、いわゆる地上げの融資、あるいはこの中小企業の金融制度を使って稼いでおる、こういう都市銀行の横暴な企業活動は放置できぬというふうに、私は今度の問題と絡んで痛感いたしているんでありますが、どういうふうにお考えになるか、またどう対処されようとしているのか、もし所見があれば承りたいし、途中からお聞きになったようなんで岩崎長官がお答えになっても結構です。
  136. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 中小企業分野に都銀が最近非常に入り込んでいる、これは金融緩慢期の非常に大きな、顕著な現象として私どもも承知いたしております。  ただ、今先生おっしゃったようないわば押しつけ金融みたいなものがありますのかどうか、それは私ども実態をよく承知しておりません。あるいはまた、そういう押しつけ金融に現場の保証協会が利用されているというようなことがありますと、これは確かに中小企業の政策保証の趣旨に反しますので、そういう事態があるという御指摘があったということについては十分各現場の保証協会に周知をさせたいと思います。
  137. 市川正一

    ○市川正一君 ぜひこの実態を私どもも掌握し、また反映したいと思いますので、指導、監督を強めていただきたいと思うんであります。  もう一つの側面、もう一つの問題は、こうして大口の保険がふえていく、その陰で本当に信用補完が必要な零細企業が利用したくても利用できないという現実があることです。保証協会の現場の実情は、保証を求めて相談に行ってもあきらめさせられるか、ぎりぎりまで絞った保証しかしてもらえないという声を聞きます。こうした厳しい利用規制の背景には、一九八一年九月十六日付で大蔵省銀行局長と中小企業庁長官の連名で出された「中小企業信用補完制度の健全な運営について」という、いわゆる九・一六通達、ここに現物を持ってまいりましたが、この通達が存在している、こう私は思うし、またそういう声を聞くんですが、この点はどう認識されておるでしょうか。
  138. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 市川委員指摘のとおり、昭和五十六年におきまして通達がございました。そして、その通達に基づきまして保証協会、公庫それぞれ中長期的に、中小企業ニーズにこたえるための経営基盤を強めるという努力をそれ以降行ってきたということが実態でございます。
  139. 市川正一

    ○市川正一君 私あえて言うならば、悪名高さ九・一六通達というふうに言うています。もう五年前ですからね、これ。だから僕は、撤回するという方向でひとつ見直していただきたいということをこの機会に要請いたします。  この九・一六通達は、保険財政の赤字を克服するために、保証の適正化、回収の促進、期中管理の徹底強化などを指示いたしております。そのために、結局代位弁済のおそれのある場合は保証しない、あるいは保証額をぎりぎりまで減額するなど、これがもうこの九・一六通達以降、当たり前のようになってきているんですね。これは僕は本来中小企業庁、あるいは通産省中小企業対策として出発した原点から逸脱していると思うのです。  現に、中小企業信用保険公庫の月報を読んでみますと、都銀側の例えば太陽神戸銀行の業務開発部長三浦弘氏などは、信用補完制度の基本的な性格として、社会政策とそれから一般の保険思想があるが、制度運営に当たっては、社会政策的色彩から脱却して保証限度額を高くし、保証料、保険料の増加でリスクを減少させるのが正しいと、こういうふうに断言している。これに対して信用保証協会の理事の方々は、保証の性格としては社会性と企業性のバランスにあると思うが、ということでこう述べています。通達に基づく公庫の保険収支改善三カ年計画は、企業性にウエートを高めることになるとして困惑している、こういう企業性だけに偏る考え方は、私は中小企業の信用補完制度を崩壊に導くものだと懸念するのでありますが、長官いかがでしょうか。
  140. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) これは確かに、この信用補完制度全体が安定成長の時期になってまいりまして急速に赤字になってまいりました。毎年私ども四百億前後、赤字補てんで実質上これを投入してきたわけでございます。そういう短期的な場合はよろしゅうございましょうが、恒常的な赤字であるというのはこれはやはりその保証体系全体の健全性が失われ、ひいてはそれの有効な活用ができなくなっていく、こういう危機感がございまして、それでいろいろな議論がございました。  その料率を上げるとか、てん補率を下げるとか、あるいは料率も業種によって、例えばこれまでの実績では建設業において最もこういう保険事故が多いという実績等がございます。したがって、例えばそういう業種別に料率等を変えるべきではないか。いろいろな議論がございました。しかし、そういうことはやはりこの保証システムのむしろ後退につながるということで、何とかそれ以外の方法で国も資金を投入するから全体としての長期的な健全性の回復に努力しようと、こういうことでこの五十六年の通達が出されたもの、あるいは六十年からの収支改善三カ年計画がつくられたものというふうに理解をしております。  おかげさまでその後の関係者の努力によって、ようやく六十二年度、今年度においていろいろばらつきはございますけれども、保証協会、保険公庫の収支の均衡がとれるめどがついてまいりました。そこで私どもとしては、この六十二年度をもって、今後さらに収支改善計画的なものをつくるつもりはございません。  それから五十六年の通達については、現状あるいは今後の中長期展望にのっとり、これを見直すつもりでございます。
  141. 市川正一

    ○市川正一君 さらに、この通達にもかかわって伺いますが、公庫のこの五年間の収支状況を見ると、保険金の支払い額の伸びが保険料収入額の伸びを上回っているにもかかわらず、損失金は毎年大幅に減少しております。これはなぜですか。申し上げた意味はおわかりでしょうか。  もう時間が追ってまいりますし、私の方から言いますが、結局これも九・一六通達の回収の促進を受けた措置、そこからやっぱり出てきているんですね。リアルに申しますと、保証協会による債権の取り立てはまさに過酷をきわめております。現場を一遍見てみなはれ。寝ている病人の布団をはいでいくようなものとさえ言われていますよ。例えば、仕事中にけがをして障害者になり仕事ができなくなったので生活保護を受けるようになった、そういう状況にあるのにかかわらず、たびたび返済を迫ったり、常識で考えられないことが起こっているんです。私は決して極端な例を申すんじゃなしに、そういうやっぱり九・一六通達が本来のあるべき中小企業に対する施策をゆがめているし、崩壊に導く危険性がある。  そこで、こういう事前調査の際に、通産省は回収金がふえた背景に、保険事故が起こっても業者が転廃業する際に、土地の値上がりで不動産を処分すると債務を払っても余るぐらいだという説明があったんですが、商売をやめるということは中小業者でなくなるということであります。  この際、磯村光男全国信用保証協会連合会の会長さんのお言葉も引用しながら、最後に通産大臣にお伺いするんでありますが、信用補完制度は中小企業の振興のためにこそある施策でありますが、そういうふうに土地まで売ってしまえというような形で追い出してしまうのは中小企業施策とは言えぬと思うんです。これは一九八五年八月二十二日に谷敷寛公庫総裁との対談で、今お名前を出させていただいた磯村光男会長は、全国信用保証協会連合会の会長でありますが、議論の初めは公庫の赤をどうするんだということで、それはわかるんですが、一方の重要な問題である中小企業対策をどうするんだということが、いつの間にかちょっと消えてしまっていると思うと、こう指摘しておられます。そして角を矯めて牛を殺す結果になるというふうにも言うておられるんです。  ですから、先ほど来九・一六通達に示されている五年前のあの状況と今はまた変わってきているんですから、ぜひこの信用補完制度の運用については、大いに今度の法改正を機会に改善の必要がありと、こう思うんでありますが、最後に大臣の所見を承って私の質問を終わらさせていただきます。
  142. 田村元

    国務大臣田村元君) こういういいことをするわけですから、当然その運用が弾力的でなければなりません。その弾力的とは何か、いいことをみんながうまく利用しやすいようにするということだと思うんです。その根底には人間性というものがなければならないんであって、これはもう当然のことでございます。  今市川委員からいろいろと御意見を承りまして、私も立場を越えて耳を傾ける点が多うございました。御忠告の御趣旨も十分に参考としながら、今後の運営を適切になしていきたいと思います。
  143. 市川正一

    ○市川正一君 終わります。
  144. 木本平八郎

    木本平八郎君 まず、質問の通告の順番を変えまして、一番最後の方から入っていきたいと思うんですが、いわゆる中小企業環境変化に的確に対応して、それから構造調整を促進していく、これは後からまた申し上げますけれども、そのためには技術開発を積極的に進めることや新しい事業開拓していくことは当然のことなんです、必要になるわけです。したがって、RアンドDを初め新しい事業開拓していくにはどうしても中小企業としては金が要る。そのときに差し入れる物的担保がなかなかない。ところが、先ほども話題に出ておりましたように、非常に審査が厳しくてなかなか金が借りられないということが言われているわけですね。  そこでお伺いしたいんですが、今回創設される新事業開拓保険には無担保保険の積極的利用を推進することが必要だというふうに考えるわけですけれども、その点についてまずお伺いしたいんです。
  145. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 新事業開拓を行う場合に、技術ノーハウ、御指摘のとおり研究段階で自己資金を多額に使いますので、技術ノーハウが物的担保にしにくいという問題があるわけでございます。今度の新事業開拓保険では、それらを補うために、新事業開拓保険の中で三千万までの無担保の保険料率を引き下げて行うことにしております。また融合化保険ということでも同じような方向で、これ五千万円でございますが無担保保険ということを充実させるようにしておるわけでございます。
  146. 木本平八郎

    木本平八郎君 先ほどちょっと途中で申し上げましたように、構造転換の問題ですね。私は前から通産省には申し上げているんですけれども、これからハイテク化していかなきゃいかぬ、日本の産業全体が産業構造の転換を行っていかなきゃいかぬ。そのときは、やはり将来日本の産業構造をどう持っていくんだというまず絵をかくことが大事だということを再三申し上げてきたわけです。  それで、今度のこの二つの法律、この法律だけじゃないんですけれども、今後中小企業のあるべき姿というのは抽象的に言えばハイテクだとか何とかあるわけですけれども、どういうふうに構造転換していくべきだと長官お考えになってます か。
  147. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 自由主義経済においては、ある定量的な方向にある分野を持っていくというのはやはり望ましくないというか、あるいは困難であると基本的に思います。  したがって、通産省としてはいろいろ九〇年代ビジョンとか二十一世紀の姿とか、そういういろいろな試算はしておりますけれども、これはいわば産業で言えば大きな分類ごとの構成でございまして、具体的にある中小企業者が行っている自分の仕事、それが二十一世紀にどの程度になるか、こういうことの参考にはやはりたえないものであると思います。  したがって、よく言われますような方向、これはおのおの中小企業者にむしろ十分知悉してもらうということが必要だと思いますが、そういう方向の中で具体的に自分の占める地位は何か、これはやはり中小企業者がおのおのの経営者の見識を持って自分のスタンスを決めるべきではないか。そういうスタンスを決めるについて金がないとか技術力がないとか、もっとほかの人との連携でそういうことを実現したいとかということについて、その資金面なり技術開発の努力なり、そういうものを支援していくのが私どもの務めではないかというふうに考えております。
  148. 木本平八郎

    木本平八郎君 その議論は後に出てきますのでそこでやることにしまして、きょうはどんどん進めていきたいと思います。  それで、私は金融のリスクを保険だとかあるいは政府の保証ですね、そういうものでカバーしていくというのは補助金行政よりもうんといいんじゃないか。むしろ今後は補助金というふうなことをやめて、できるだけ保険とか保証でカバーしていくということがいいんじゃないかという気がするわけですね。したがって、例えば第三セクターをつくるときに補助金を出すんじゃなくて、むしろその第三セクターが自分で銀行から借りる、その最終の保証だけを政府がしてやるということになれば、実際に保証があらわれるまで、リスクはありますけれども実際金が要らないわけですね。しかも、第三セクターなんかが余り親方日の丸的に安易にやらないということがあって、私はそういうのがいいんじゃないかと思うんですね。したがって、私は補助金行政をできるだけ今後こういう形の保証とか保険とかに持っていった方がいいと思うんですが、御意見いかがですか。
  149. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 中小企業行政の中での助成といたしまして補助金を含む一般会計あるいは特別会計がございますけれども、それと融資、保証と二つあると思います。  現在御指摘補助金につきましては、二千二百八十九億円のうち八百億円程度の補助金が行われていますが、これは中小企業政策にとって特に重要な資金負担のリスクが非常に大きいところに重点的に使われております。御指摘のように、金融とそれから保証、保険でございますが、これは非常に幅広く、六百五十万の中小企業者の中の相当の部分に行き渡るという面で重要だと考えております。中小企業三機関の貸し付けは二十兆円になっていますし、また保証債務残高も十兆円ということでございますから、そういう意味で、委員指摘のような中小企業の多様なニーズにこたえるという意味を持っていると思います。  今後私どもは必要な予算措置を重点的に手当てするとともに、そういうような方向での保証、保険の活用ということもますます充実をしてまいる所存でございます。
  150. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、先ほどの中小企業の体質の問題とか構造転換の問題に関連して、ひとつどういうふうに中小企業庁ではお考えになっているかという点を聞きたいんですが、中小企業といえば今まで大企業の下請という感覚が非常に強かったんですね。ところが、仮に親子関係としても、今の日本の中小企業というのはもう息子が成人式を終えた段階じゃないか、これからはやっぱり息子の人権も認めなきゃいかぬし、それなりに力もつけてきているという感じはするわけです。  そうしますと、私が前から申し上げていますように、中小企業と零細企業というのを分けて、むしろ中小企業というのは大企業なんかと一緒にして、一人前に扱っていいんじゃないかという気がするわけです。したがって、中小企業庁というのは組織がえされて、むしろ零細企業庁にされるとか、そういう零細企業とはっきり分けていくという必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
  151. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) よく中小企業は非常に非効率であり非近代的である、それに対する中小企業施策は弱者救済である、こういった判断が多いと思いますけれども、私どもはそういうつもりでやってはおりません。  むしろ日本の中小企業は、日本の近代的な国民経済の文字どおり担い手であると思っておりまして、それを弱者救済のつもりでやっているつもりは全くありません。それはしかも、中小企業の大きな部分がそうで、小さな部分が弱者であるあるいは非近代的であるとも思っておりません。むしろ、二十人以下とか、そういう小規模零細企業で非常に先進、先取の気性に富み、新規事業分野に挑戦というような企業も多うございます。したがって、規模をもってある部分を経済政策、ある部分を社会政策というふうに区分して中小企業対策を進めることは、私どもとしてはむしろするべきではないというふうに考えております。
  152. 木本平八郎

    木本平八郎君 日本経済全体がいわゆる重厚長大から軽薄短小に変わりつつあるわけですね。ハイテクに変わっていくとか、それから例えば多品種少量生産というふうなこと、あるいは個人消費が中心になっていくという時代なわけです。こういう時代になると、私はやっぱり中小企業の活躍する、非常に小回りのきく、ビビッドに反応できるというのは非常に利点になってくるんじゃないかという気がするわけですね。それで、今長官も決して中小企業はもう弱者じゃないんだ、弱者扱いしていないということで、私はそれは口先だけじゃなくて、本当にそういう点で今後中小企業行政を進めていただきたいと思うわけです。  最近、中小企業がバンコク、タイなんかを初めどんどん外国に出ていっているわけですね。私は今までの経験で、中小企業が海外進出するという例は世界でも珍しいんじゃないかという気がするんですが、日本の中小企業の最近の特に特異な現象じゃないかと思うんですが、外国の例に比べてどうなのか、その辺もょっと御説明いただきたいんですが。
  153. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 正確な各国の中小企業の海外投資の実態につきましてはまだ把握するところではございませんけれども、私どもの経験に照らして申し上げますと、例えばアメリカの中小企業の海外投資、これは中小企業全体が非常に少のうございますし、それからヨーロッパでもそうでございますが、海外への展開はむしろ大企業が多いんではないかと推察するところでございますが、さらに検討し、よく実態を調べてみたいと思います。
  154. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、これはもう非常に頼もしい傾向なんですけれども、ところが海外進出というのは、私も何回もいろいろ手がけましたけれども、これはなかなか大変なんです。おとといですか、何かホンダの問題がありましたけれども、ああいう問題はしょっちゅう起こるわけですね。それで私は、やはり中小企業失敗されちゃ困る、なるべく前車のわだちじゃないけれども、大企業がいろいろ失敗したことを教訓としてうまくやってもらいたいと思うんですけれども、例えば日本の経営ではインフレ対策なんていうのは全然経営者の頭にないんですよ。ところが、発展途上国なんか行きますとインフレというのは物すごくあるわけですね。そして、それをちょっとなにしますとせっかく代金回収したつもりでも全然減価しちゃっているということもあるわけです。  そういう点で今、これはよく言われていますけれども中小企業に対する経営指導というかコンサルタント、これを出してくれと。私の仲間なんかもそれをやっていまして非常に喜ばれているんですよ。我々が、我々というのは口幅ったい言い 方ですけれども、過去に失敗した経験を有効に生かしていくということが必要だと思うんですが、その辺は通産省としてどういうふうにお考えになっていますか。
  155. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 確かに日本の中小企業は、特に最近海外投資意欲が盛んでございまして、今全体の、件数で申しますと海外投資案件の四割は中小企業が出ていると思います。ただ、おしやるとおり、出たものの志を得ず撤退したという例も非常に多うございます。  そこで私ども、今海外投資アドバイザーという制度をつくりまして、これはまさに商社の現役の人、そういう人たちを含め三百人余、各地域ごとはそういうアドバイザー制度を委嘱しております。そして、海外投資の志向を持っている中小企業者のいろいろな現地情報その他のアドバイスに当たっております。  それからまた、六十二年度から、より直接的に海外へ中小企業が行った場合に、その当初の間だけ一人、アドバイザーが現地まで行っていろいろな指導をするという制度も今つくっておりまして、海外投資を促進するわけではありませんけれども、いろいろな事情から海外投資に向かわざるを得ない中小企業者にとって、資金面それからそういう情報面、アドバイス面、そういう面での施策はこの一、二年、かなり整備してきたと思っております。
  156. 木本平八郎

    木本平八郎君 余り気がつかないんですけれども、特に文化面の摩擦、これは言葉もそうですけれども、それが案外大きいんですね。例えば従業員を使うときに、日本の場合には人格を認めるのはもちろんなんですけれども、質、能力というものを非常に大事にするわけです。だから朝から晩まで働いていても能力のないのはあいつはもうだめだとか、あいつは本当にまじめに一生懸命に日曜日も出てやっておるとか、皆さんここにおられるキャリアの人たちはみんなそうですな。一生懸命やっているわけです。それは評価されるんです。ところが、外国の雇用の関係は、朝九時から夕方五時まできちっとやる。それで機械的に、物理的なことでしか、量でしかはからないんですね。そこに質的なものを要求するとここにやはり摩擦が起こるわけです。  その点、私はよく言うんですけれども、日本の人使いというのは将棋のこまなんですね。金と桂馬とは全然質が違うわけです。ところが彼らの考え方は囲碁なんですね、碁石なんです。白と黒あるか知りませんけれども、どんな石でもいいんです。それをここへ置けばそれできちっと機能を果たすという考え方なんですね。その辺のことをきちっと理解してからやらないと、必ず摩擦が起こるわけです。人種の問題、性差別の問題とか、アメリカでついこの間もホンダの問題を出しておられましたけれども、ああいうことも基本的にやはり認識しておく必要があるんですね。  そういう点で、例えば私なら私が、それは経験はありますけれども、私だけでやはりカバーできないんですね。こういう経験者が何人か寄って情報を交換して、我々自身が再教育を受けてそして海外に出ていくというととは必要だと思うんですね。その辺はやはり通産省が中心になってそういうアレンジをしていただきたいと思うんですが、その辺いかがですか。
  157. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) これは、中小企業に限らず日本の企業が海外へのプレゼンスが高くなっていくに従って、雇用面、労働慣行面等に限らずいろいろな面での文化摩擦というのはより激しくなってまいると思いますので、御指摘のような見地から、これはおのおのの地域ごとの文化、社会慣行、こういうものについてできるだけ周知徹底を図るよう、パンフレット等も私どもいろいろつくっておりますけれども、そういう面の努力をより一層強化していかなきゃいけないと思っております。
  158. 木本平八郎

    木本平八郎君 異業種交流とか融合化という問題でこの法案が出ているわけですけれども、ただ単に日本の中におけるそういう異業種間の問題だけじゃなくて、やはり今後、海外に行ってそういう現地から調達するとか、あるいはさらに部品を外国から入れるとか、そういう仕事がたくさん出てくるわけですね。その辺でやはり文化的なものがますます複雑になってくる。今まで私たちがやったのは割合に単純な海外の企業進出だったと思うんですね、今から考えれば。ところがそういう非常に複雑な仕事を海外で中小企業自身がやらなきゃいかぬという時代になってきていると思うんで、ぜひその辺の御指導をいただきたいと思うんです。  時間を節約するということで、この辺で私の質問を打ち切らせていただきますけれども、最後に大臣から今後の中小企業というものについて、大臣は日ごろから非常に中小企業問題には力を入れておられるとおっしゃっているわけですが、今後私は中小企業の体質が相当変わってくるだろう、そして私はやはり今後の日本のそういう経済というのは中小企業が中心に動いていくというぐらいに考えているんですが、その辺御感想を伺って、私の質問終わりたいと思います。
  159. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、常に日本の産業の大宗というものは中小企業であるということを言い続けております。しかも、流通機構も含めまして日本の経済産業のこれが大きな特徴の一つでもあるということが言えると思います。でありますから、先ほど長官が申しましたようにまず中小企業の足腰を強くする、それは近代化、合理化、いろんな面を含めまして足腰を強くする、その足腰を強くするための構造転換というものも必要でしょうし、そのための的確な政府の対応ということも必要でございましょう。いずれにいたしましても、私は中小企業対策こそ通産省の主たる仕事であるという考え方を今後も持ち続けながら、役人たちにその対応誤りなきを期せしめるように指導してまいりたいと思っております。
  160. 大木浩

    委員長大木浩君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 大木浩

    委員長大木浩君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。
  163. 福間知之

    福間知之君 私は、ただいま可決されました中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、中小企業信用補完制度の中小企業振興対策としての重要性にかんがみ、同制度の健全な運営に配慮しつつ、次の諸点について適切な措置を構ずべきである。  一、中小企業信用保険公庫及び信用保証協会の運営基盤を強化するための諸施策を引き続き進めること。  二、信用保証協会の今後の保証業務の運用に当たっては、中小企業者の保証ニーズに応えるため、保険収支の改善のために行われてきた諸措置について所要の見直しを行い、特に担保徴求等保証業務については、中小企業者実情を踏まえ弾力的に対処するよう指導すること。  三、中小企業者の保証料負担の軽減を図るよう配慮すること。  四、新事業開拓保険及び海外投資関係保険については、中小企業者に幅広く利用されるよう極力弾力的な運用に努めること。  五、信用保証協会が地域における中小企業振興のための機関としてその機能が十分発揮されるよう指導すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  164. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  165. 大木浩

    委員長大木浩君) 全会一致と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田村通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通商産業大臣
  166. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。ありがとうございました。
  167. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案について採決に入ります。  本案について賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  168. 大木浩

    委員長大木浩君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。
  169. 福間知之

    福間知之君 私は、ただいま可決されました異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。    異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、最近の我が国産業構造の急激な変化により厳しい対応を迫られている中小企業者が積極的かつ前向きに環境変化に適応できるよう中小企業経営基盤充実策等の推進に今後とも努めること。  二、融合化対策が中小企業の構造転換の円滑化を図るものであることにかんがみ、交流、開発、事業化のそれぞれの段階に即応した施策を適時、適切に講ずるとともに、その施策実施のための資金の確保は努力すること。  三、行政庁が異分野中小企業者組合員とする事業協同組合の設立の認可及び知識融合開発事業計画の認定をしようとするに際しては手続の簡易迅速化に努めるとともに、計画の認定基準の策定に当たっては意欲ある中小企業者が幅広く利用できるよう配慮すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  170. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  171. 大木浩

    委員長大木浩君) 全会一致と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田村通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通商産業大臣
  172. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。ありがとうございました。
  173. 大木浩

    委員長大木浩君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  175. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣
  176. 田村元

    国務大臣田村元君) 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法いわゆる民活法は、近時の技術革新、情報化及び国際化の進展等の我が国経済社会を取り巻く内外の環境の急速な変化に対応して、経済社会の基盤の充実に資するような新しい施設の整備を民間事業者の能力を活用して促進するための各般の措置を講ずることを目的として一昨年制定され、また、整備の対象となる施設を、昨年、法改正により追加したところであります。  さらに、昨年の法改正の後、総合経済対策の一環として、現下の重要な政策課題である内需拡大、地域活性化の推進の観点から、民活法の対象施設の整備を促進するための助成措置として、新たに、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入の活用による無利子融資制度が創設されたこともあり、経済社会の基盤の充実に資する新しい施設整備に対する要請が高まってきているところであります。  このため、新たに、十一の施設を民活法の対象施設に追加することといたしました。  追加されることとなります施設は、相当数の企業等が各種の無線通信の業務を行うために利用する施設、我が国及び外国の相当数の企業の従業員等が相互の交流を図りつつ経済社会の国際化に即応した研修を行うことができる施設等の十一の施設であります。  以上がこの法律の提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  177. 大木浩

    委員長大木浩君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十分散会