運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-05-09 第112回国会 参議院 社会労働委員会,地方行政委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月九日(月曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    社会労働委員会     委員長         関口 恵造君     理 事                 佐々木 満君                 曽根田郁夫君                 山本 正和君                 中西 珠子君     委 員                 石井 道子君                 石本  茂君                 岩崎 純三君                 斎藤 十朗君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 宮崎 秀樹君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 渡辺 四郎君                 沓脱タケ子君                 内藤  功君                 藤井 恒男君    地方行政委員会     委員長         谷川 寛三君     理 事                 出口 廣光君                 松浦  功君                 佐藤 三吾君     委 員                 金丸 三郎君                 久世 公堯君                 佐藤謙一郎君                 坂野 重信君                 糸久八重子君                 山口 哲夫君                 片上 公人君                 神谷信之助君                 柳澤 錬造君                 秋山  肇君     国務大臣        厚 生 大 臣  藤本 孝雄君        自 治 大 臣  梶山 静六君     政府委員        厚生省健康政策        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局老人保健部長  岸本 正裕君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省保険局長  下村  健君        自治大臣官房審        議官       湯浅 利夫君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  渡辺  功君     事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        此村 友一君     説明員        大蔵省主計局主        計官       中島 義雄君        国税庁直税部所        得税課長     瀧川 哲男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────    〔社会労働委員長関口恵造委員長席に着く〕
  2. 関口恵造

    委員長関口恵造君) ただいまから社会労働委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私社会労働委員長が本連合審査会会議を主宰いたします。  国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料のとおりでございますので、その聴取は省略してこれより直ちに質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 山口哲夫

    山口哲夫君 国民健康保険事業の具体的な内容につきましては、前の社会労働委員会の中でさせていただいておりますので、きょうは主にこの国民健康保険事業に関する国と地方自治体との関係の問題とそれから財政問題を中心にいたしまして質問をいたしたい、こう思います。  まず最初に、ことしの一月の二十八日に厚生省保険局長の名前で各都道府県知事に「昭和六十三年度国民健康保険保険者予算編成について」という通知が出されておりますけれども、この通知を出した法的な根拠についてまず述べていただきたいと思います。
  4. 下村健

    政府委員下村健君) 国民健康保険法におきましては、その第四条の規定によりまして国に対して国民健康保険事業運営が健全に行われるよう努めるべき旨の責務を課しておりまして、これを踏まえまして保険者に対する監督等権限が与えられているところでございます。また、地方自治法におきましても、市町村団体委任事務につきましては国の助言指導等権限が与えられているところでございます。  御指摘のありました通知は、このような保険者に対する国の指導監督権限の一環といたしまして六十三年度予算編成一般についての指導方針を示したものでございます。
  5. 山口哲夫

    山口哲夫君 今度のこの改正法律案の中身を読んでみましたけれども、今までは指導という言葉が載っていないんですね。市町村に対する指導都道府県に対する指導、そういうものは載っていないんですけれども、どうも今度のこの通知を見ますといきなり「次の方針により健全な予算編成を行うよう貴管下市町村及び国民健康保険組合指導されたい。」、こういう「指導」という言葉が初めて出てくるわけでございます。  厚生省として都道府県なり市町村指導する権限というのが一体あるのかどうなのか、あるとすれば一体どういう法的な根拠に基づいてやっているのか、そこをちょっと示していただきたいと思うんです。
  6. 下村健

    政府委員下村健君) 国民健康保険事業といいますのは市町村団体委任事務と言われるものに属するわけでございます。したがいまして、国民健康保険事業につきましては、一般的な指導権というのは現在の地方自治制度の上でも認められているというふうに考えているわけでございます。また、そのほかに国民健康保険法の上におきましても必要な指導を行う、あるいは事業実施状況についての報告でありますとかあるいは助言を行うというふうなことができるというふうに考えているわけでございます。  都道府県につきましても、これは都道府県自体国民健康保険事業について指導を行うということになっているわけでございますが、その指導を行うについて必要な事項を国として示す、これによって適切な指導が行われるような指導を行うということはできるというふうに考えているわけでございます。
  7. 山口哲夫

    山口哲夫君 局長、先ほど答弁された中に、今度のこの指導の問題についてはいわゆる一般的な地方自治体に対する指導という問題について触れているわけですけれども、この国民健康保険というのは団体事務ですよね。そうですね。そうすると、団体事務ということになりますと地方自治法の二百四十五条が適用されると思うんです。国と地方自治体との関係で述べてみるならば二百四十五条の規定に該当するだろう。そうすると、この二百四十五条の規定というのは国が市町村指導するような規定になっていないんですね。この助言勧告資料提出要求と、こういう範囲にとどまっているのであって、具体的に指導するということにはなっていないと思うんです。  なぜそういう指導をこの二百四十五条に基づいてできるというふうに解釈されているのか、その辺についてちょっと触れていただけませんか。
  8. 下村健

    政府委員下村健君) 必要な助言ということの中にもそのような要素が入ってくるというふうに私ども考えているわけでございますが、国民健康保険法の上におきましてもその第四条で「運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」、これは国でございます。また都道府県は「必要な指導をしなければならない。」というふうな規定が設けられておりまして、さらに具体的な権限といたしましては、百八条に、保険者または連合会について、事業及び財産の状況に関する報告、あるいはその検査等をするということがございまして、これに関連した権限が定められているわけでございます。  そこで、予算編成でございますが、各年度国民健康保険予算編成におきましては当然のことながら国庫負担が相当額計上されることになるわけでございますから、国庫負担見込みについて一体どの程度の見通しを立てておいてもらえばいいかというふうな問題が市町村としては予算編成前提条件として必要になってくるわけでございます。したがって、その国庫負担配分方針でありますとかそういった必要な情報を提供し、それに沿って予算を編成するようにということを毎年度予算編成編成方針に関する通知という形で示して、これに沿った指導を行うというのが通例になっているわけでございます。
  9. 山口哲夫

    山口哲夫君 その指導の理念が、私、間違っていると思うんですね。  それで、まずその前に、この国民健康保険法の第四条の中では「都道府県は、国民健康保険事業運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならない。」、こう「必要な指導」という言葉が出てくるんですけれども、これは別に市町村を指定しているんじゃないんですね。今までの法律を全部読んでみましたけれども市町村指導するというような言葉というのは一つも出てきてないんです。ということは、厚生省にこういう国民健康保険そのものに対して市町村指導する権限というのはないわけですね。だから今まで指導という言葉も使っていないし、たまたまこの第四条の中で出てきても市町村という言葉は一切出てきていない。それが今度いきなりこの通知によると市町村指導せいというそういう言葉が出てきているのです。今回が初めてなんです。今度の法改正によって初めて市町村指導するという言葉が出てくるのです。  だから、国と地方自治体との関係の中で、団体事務に関してそういう指導する権限というのは一体政府にあるのかどうなのかということなんです。私は、そういうものはない、そういうふうに解釈しております。特に二百四十五条を読んでみますと、主務大臣または都道府県知事は「普通地方公共団体に対し、その担任する事務運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、」と書いてある。助言または勧告にとどまっているんです。  しかも、この解釈を読んでみますと、あくまでもそれは技術的なものでなければならないと、こう書いているんです。それはなぜかといえば、明治憲法の中では国というのは地方自治体に対して後見的な監督権を持っていたのです。ところが、それじゃいけないということで、新しい憲法のもとに地方自治法が制定されて、国と地方自治体というのはあくまでも原則としては並立対等立場でなければならないのだというところから、この監督権というものをなくしたし、指導という権限も与えないようにしているわけです。だから、助言あるいは勧告にとどまっているんです。  それを無視して、今度の通知のようにいきなり保険料引き下げを行うなとか下げたら交付金減額するぞとかそういうような通知を書くこと自体、私は厚生省越権行為である、そういうふうに解釈するんですけれども、どうでしょうか。
  10. 下村健

    政府委員下村健君) 毎年度国民健康保険事業の健全な運営が図られるためには、国庫負担見込みについても正確な見通しを立てることが必要ではないかと思います。したがいまして、私どもとしては、予算が編成される時点におきまして、翌年度の国の予算状況あるいは医療費状況、そういった問題を背景にいたしまして必要な情報を提供することに合わせまして、これに沿って合理的な根拠のある予算編成をするようにと、こういうことを言っているわけでございます。  お話しの点は、そういった通知内容にどこまで具体的な拘束力があるかというふうな問題とも絡むような気もいたしますが、私どもとしては、そういったことで具体的な数字的な根拠に基づいて予算編成をするようにということで、そういう意味では今お読み上げになりました二百四十五条で言っている技術的な助言あるいは勧告ということも当然その中に入ってきているというふうに考えているわけでございます。
  11. 山口哲夫

    山口哲夫君 この文章を読みますと、今言ったように「保険料(税)の引き下げ措置を取るようなことは厳に行わないこと。」と言っているわけでしょう。そして、もし行ったとすれば、それは財政的な面で考慮せざるを得ませんよと。ということは、交付金を減らしますよと。ということは、これが単なる助言勧告ですか。これは明らかに指導でしょう。こうせいああせいというそういう指図をしていることに違いないんです。法案の中にも今度は市町村指導せいという言葉が初めて出てくるんです。  そういうものとの関連からいけば、厚生省というのは、全く、地方自治法の二百四十五条に基づく国というものは自治体に対してそういう指導権はないんだという、その権限を逸脱したやり方だというふうに解釈せざるを得ないと思うんですけれども、どうですか。
  12. 下村健

    政府委員下村健君) ただいまの交付金というふうなことに関連して申し上げたいと思うわけでございますが、一方におきまして、保険料問題等については、保険料をしっかり上げると収支がよくなって国庫負担が減らされるじゃないか、しっかりやるところについてはそれを評価したような配分を行ってくれと、こういう御要望地方団体から承っているわけでございます。これを私どもとしてはやはりもっともだとこう考えているわけでございまして、それをやろうと思うと、減額という形でやるかあるいは一応一定配分をしておいてそういったところにメリットという形で配分をするか、どちらかの方法しか技術的にはない、こう考えるわけでございます。  今回は、私どもとしては、一応一定配分方式配分をした上で保険料決定という面で合理性がないというふうな市町村についてはそれを減額するという形で交付金の算定をやりたい、こういう方針をあらかじめ示した。示すことによって確かにおっしゃるような効果が出てくるという面もあろうかと思いますが、これは、後になって交付金配分をやる際にいきなりそういう措置をとるよりは、あらかじめそういうことを情報として申し上げておいた方がいいだろう、そういうことで市町村に明快にこちらの方針を示しておきたいという趣旨でそういう通知を出したわけでございます。
  13. 山口哲夫

    山口哲夫君 自治体がおれのところは一生懸命やっているんだからそういうことも評価してくれというような、予算編成に当たって厚生省としてそれにこたえるためにはこういう措置をとらざるを得ない、そういう問題ではなくして、国としてそういう自治体に対してああせいこうせい、こうしたらいけない、もしやったらペナルティーを科すよというそういう指揮監督的なことが一体できるんですかという基本的な国と自治体との関係について聞いているんです。
  14. 下村健

    政府委員下村健君) 保険料決定自体について直接に国がそれを左右する、これはなかなかできないと思います。しかし、保険料決定前提条件なる問題について、いろいろ私どもとしてはこういう方針で臨みたいということを申し上げたということでございます。  したがって、その通知に沿って直ちに上げなければならないかどうかあるいはどのぐらい保険料を上げるかというところは、これは各地方公共団体の自主的な決定ということになろうかと思います。
  15. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、さっきおっしゃったように、厚生省はこういうふうに言っているけれどもそれは決して市町村を拘束するものではないよ、そういう考え方ですね。
  16. 下村健

    政府委員下村健君) 保険料決定自体を直接的に拘束するということはできないと思っております。
  17. 山口哲夫

    山口哲夫君 保険料決定を拘束するだけではなくして、それによって起きる問題に対してペナルティーのようなものを科す、交付金減額するぞとかそういうことについても拘束力はないというか、厚生省としては権力的なものを持っているんではない、それは一応の希望にすぎないんだということですね。
  18. 下村健

    政府委員下村健君) 国の交付金と申しますか、この場合は調整交付金ということになるわけでございますが、調整交付金配分方針あるいはその方針に基づく具体的な配分決定、これは厚生大臣権限であると考えております。
  19. 山口哲夫

    山口哲夫君 厚生大臣権限はそうでしょうけれども、しかし、その条件としてこういうふうにしてもらいたいということをやらないから減額をするんだというそういう権力的な考え方でやるものではないと思うんです。  そこのところはどうですか。
  20. 下村健

    政府委員下村健君) これは、いろいろな要素を考慮いたしまして公平な決定をするということでございまして、私どもとしては、先ほども申し上げたような市町村側の御要望もありますので、やはり努力をしているところと努力をしないところとこれはある程度差をつけていくという方針をあらかじめ明確にしたということでございます。
  21. 山口哲夫

    山口哲夫君 だから、厚生省考え方で差をつけることが権力的なんでしょう。権力を持っているからやれるのであって、そういう権力がなければそんなことはできないでしょう。  あくまでも、希望としてこういうふうにしてほしいんだというところに抑えるべきではないんですか。
  22. 下村健

    政府委員下村健君) 保険料引き下げを行わないでほしい、これは希望と言われれば確かに希望のような面があろうかと思います。  しかし、その結果、どういうふうに配分をするか、配分の上で不利なことが起こるかもしれない、これをあらかじめ予告をしたということでございます。
  23. 山口哲夫

    山口哲夫君 だから、予告をするということ自体権力でしょうというの。  こういうふうに書いているんですよ。地方自治法解釈によりますと、「地方公共団体の自治的な団体事務——「団体事務」というのは健康保険事業も今おっしゃったように団体事務ですよね。「団体事務についてまで、国の包括的な後見監督権が認められないことはいうまでもない。国の関与は、助言勧告あるいは措置要求等の非権力的な手法にとどまらざるをえないのである。」、あくまでも権力であってはならないんだ、非権力的なものにとどまらざるを得ないんですよと、こういうふうに言っているんですよね。  だから、あなたの解釈からいきますと、政府の機関における全く上下関係なんですよ。上命下服関係と混同しているんじゃないですか。この自治法解釈を読んでみましてもそういうことを非常に懸念しているんです。どうも、政府というのは今までの権力のあれを勘違いして、政府省内なら省内における上下関係上命下服関係地方自治体と国との関係を混同して考えている危険性がある。そこが一番心配なところだというふうに自治法解釈では出ているんですよ。  だから、あなた方のこの書き方から見ますと、明らかにこれは権力行使ですよ。こうしちゃならない、ああせいこうせい、こうしたら減額するぞと言うんですから、これは権力的な書き方でしょう。自治法解釈からいきますとそれが一番問題になっているところなんですよね。  だから、決定権厚生省にあるんだからと言うけれども、それは確かに決定権はあるかもしれないけれども、しかしその決定を行うに当たってそういう権力的なやり方は好ましくないということだけははっきりしているんですから、この通知の出し方というのは私は誤りだと思いますけれども、どうですか。
  24. 下村健

    政府委員下村健君) 私どもとしては各市町村を公平に取り扱っていくということでございますが、その場合に、公平に扱うということは各市町村保険料状況でありますとかあらゆる条件の差を無視して国庫負担配分するということではないと考えているわけでございます。  お話しの問題につきましては、ペナルティーという言葉も出たわけでございますが、そういったふうなものが出てくるということではこれはあるいは公平という点から見て問題があるかもしれませんが、一定範囲内において努力をしている市町村とそうでない市町村と差をつけるということは私ども権限範囲内に属しているし地方自治法趣旨にも反していないと、このように考えているわけでございます。
  25. 山口哲夫

    山口哲夫君 私は、そういうやり方というものは国と自治体との関係からいけばこれは誤りである、あくまでも権力的な指導監督権を乱用するものであって、決して政府にはそういうものはない。  団体事務については、これは全く地方自治体事務として任せられているわけですから、その場合においてはその団体考え方で行うというのが統一的な解釈ですよ。それを、政府が一々ああせいこうせいという指図をするやり方というのは、これはもう明らかに——これは国民健康保険だけではないですよ。ほかの問題でもみんなそうですけれども、今具体的に出てきている国民健康保険のこのやり方というものは余りにも地方自治体に対して権力的だ、こういうやり方というのは間違いであるというふうに特に私は指摘をしておきたい。  そういうことからいくと、さっきあなたが厚生省として拘束力を持ってああせいこうせいと言っているんではないと、そういうことをちょっと述べておられましたけれども、私たちは、地方自治体においてはそういう拘束力をはめられるものではないと、そういうふうに思っておりますので、今後こういう通知を出すときにはもう少しそこのところを配慮をしてやってもらいたいと私は思います。  そして、厚生省のこの設置法を見ても、この設置法自体に問題があるんですよ。国民健康保険の問題についてはまるっきり厚生省が全部指導監督する権限を持っているように書いているんです。それから厚生省組織令の中にも書いているんですね。こういう省令そのものが既に地方自治法の二百四十五条の精神から逸脱した書き方だ。  だから、今後十分この辺は検討して、こういう権力的な行使自治体に対してしないように、あくまでも助言勧告にすぎないんであって、しかも助言勧告も技術的なものにとどめることということを強くうたわれているわけですから、その点十分ひとつ注意をしていただきたいということを特に要望しておきたいと思います。  その次は、国民健康保険税(料)の問題について質問をいたします。  ことし四月三日の朝日新聞の「記者席」の欄にこんなことが書いてあるんですね。厚生省の中には「「首長点数稼ぎのために強引に引き下げをするケースもみられる」との声も。」ある。今度のこの健康保険税引き下げることについて、たしか衆議院では十幾つかの市町村があるというふうに答えておりましたですね。こういうふうに国民健康保険税引き下げたというのは自治体首長点数稼ぎなんだということが厚生省の中にあるというんですけれども、私は、これはちょっと失礼な言い方ではないかなというふうに思っているんです。  自治体立場に立ちますと、財政的な面からいきますと保険税はできれば引き下げたくないですよ。引き下げればそれだけ財政的に苦しくなるわけですから。しかし、そんなことはわかっていても、保険税が余りにも高いからこれはやっぱり住民のことを考えたら下げざるを得ないというのが現実だと思うんですね。そういう住民負担能力を考えてやむにやまれずして保険税を下げている自治体があるということなんです。それを首長点数稼ぎで下げているんだというそういう厚生省の声があるということは、私は非常に残念に思うんですけれども、この点についてどうでしょうか。
  26. 下村健

    政府委員下村健君) 点数稼ぎのためにという発言がどこから出たものか、これは私としてはちょっと申し上げるわけにはまいりませんが、いろいろな事情によって保険料の引き上げがなかなかできないというふうな事情が生じてきている、あるいは選挙の時期なんかにはなかなか上げにくくなっているというふうなことを指してだれかがあるいはそんなことを言ったのかもしれませんが、その点についてはそういうことでございます。  私どもとしては、保険料の問題というのは、確かに一方から言うと負担の面からの話でございますが、一方から言うとこれは医療費の関連で保険料というのは決まってくるわけでございます。したがって、医療費の動向に見合って保険料は決めてほしいということを絶えずお願いしているわけでございます。他の保険と比べて現在国民健康保険保険料が相当高くなってきているというふうな事情もこれは事実でございますが、一方からいいますと、これは医療費との関連において保険料が決まっているものだということもございますので、この辺は国保の加入者の方々にも十分に御理解をいただきたいというふうに思っているところでございます。
  27. 山口哲夫

    山口哲夫君 厚生大臣にお聞きしたいのですけれども、確かに保険税というものは医療費との関連で決まることは事実ですけれども、それにしても、私は非常に高過ぎると思うんですよ。  例えば、全国の平均の総所得年間三十万から四十万ぐらいの方、非常に低い方です。この方を市民税と対比してみましたら、これは自治省の調べですけれども、国保税が市民税の約九倍だといいます。中には四十九倍のところもあるんですね。そのくらい保険税というのは市町村民税に比べて高いのです。それから、月収二十万の人は、政管健保の掛金というのは八千三百円です。国保は幾らかというと一万四千円です。月収十万の人を調べてみましたら、政管健保の掛金は六千六百四十円です。国保は約倍の一万二千三百七十円です。こんなに高いのですね、市町村民税に比べて。  どうですか、高いと思いませんか。
  28. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 私も国保の保険料が最近増高してきているという認識は持っております。そのために今国保が抱えております構造的な問題の解決という問題に取り組んでおるわけでもございますし、また医療費の適正化ということにつきましても特に最重要な課題であるというふうな認識を持っておるわけでございます。  私も、国保の被保険者保険料が高い、また各市町村長の話を聞きましてもそれで非常に困っておるということも聞きまして、いろいろ調べてみました。で、世帯別では確かに国保の場合は高いわけでございますけれども、一人当たりの保険料ということで比較いたしますと、最近の数字でございますが余り差がないということも見まして、もしそういうことであれば、安心しておるわけではございませんけれども、今後さらにこの保険料の軽減につきましていろいろな角度から検討することにつきましては重大な課題であるというふうには認識しております。
  29. 山口哲夫

    山口哲夫君 恐らく、政府の方ですとそんなに実感としてはわかっていらっしゃらないじゃないかと思うんですね。  例えば、局長さん方ですと、健康保険組合の掛金というのは、私もちょっと調べてみたんですけれども、今大体一万七千円ぐらいですよね。政府局長クラスで、健康保険組合の掛金というのは大体そのぐらいです。これが国保になりますと、恐らく、おやめになったら最高税率くらい徴収される方が多いのじゃないですか。そうするといきなり月三万円台にはね上がるわけでしょう、計算しますと。だからそういう点で、恐らく実感としてやめられた方々がよくわかると思うんです。  今大臣は一人頭にするとそんなに高くないと言ったけれども、今私が述べたのはこれは一人当たりの数字なんであって、これは市民税とか町村民税から比べますとはるかに高いことだけははっきりしております。実感としてそういうことを感じられませんですか。
  30. 下村健

    政府委員下村健君) おっしゃるとおりではないかと思います。  ただ、皆保険ということでございますので、住民税との関係で申しますと、非課税というふうな階層の方々も国民健康保険に入っていただく保険制度のもとでやっていくということになっておりますので、比較の仕方もいろいろあるわけでございますが、それはどうしても住民税より高くなるという要素は現在の制度でいけば出てくるわけでございます。
  31. 山口哲夫

    山口哲夫君 そこで、私の言いたいのは、医療費との見合いでそうせざるを得ないんだというふうにおっしゃるけれども、実際に生活する上において市町村民税に比べてはるかに高い国民健康保険税を納めるということは、これは容易でないというそういうものを多くの被保険者は持っていると思うんですね。だから、私は、そういう意味からいけば医療費との兼ね合いで保険税というものを決めるというそういう単純な考え方ではなくして、これはやはり社会保障の一番大事な問題なんですから、政府として国費をこういうものに大幅につぎ込んでいくべきだと思うんですね。  そういう点からいきますと、今までの答申だとかあるいは国会決議というのはそのことをはっきり示していると思うんです。  これはちょっと古いですけれども昭和三十七年の十二月に出された税制調査会の答申を読んでみますと、   国民健康保険税の軽減は、実際上は国庫負担金の増額にまたなければならず、この点政府予算編成と密接な関連があるので、政府において、低所得者に対する負担の軽減という観点からさらに検討すべきであると認めた。 だから、非常に負担が高いから低所得者のことを考えた場合においては国庫負担の中でそういう保険税というものはできるだけ減額をするようにというのが、この税制調査会の答申の趣旨だと思うんですね。たしかこれを受けて軽減交付金制度というものが生まれたんでしょう。税制調査会の答申を受けて、そういうことを了解して、軽減交付金という制度をつくったと思うんです。だから、国費でもってある程度の援助をしなければならないということがはっきりあると思うんですね。  それから、これは四十一年の五月三十一日の参議院の社会労働委員会における附帯決議を読んでみましても、こう書いています。   被保険者の所得の実情に照らし、保険料(税)の軽減措置及び一部負担金の減免措置を活用して、負担の軽減に努力すること。 こういう社労の決議もあるわけです。  いずれをとってみましても、保険税そのものをもっと低くするために国が財政措置をしなさいということが私はここではっきりうたわれていると思うわけです。  そういう趣旨と解してよろしいでしょうか。
  32. 下村健

    政府委員下村健君) 国民健康保険につきましては、事業主負担がないというふうな事情もございます。また、お話に出ましたように低所得者の加入割合が高いというふうな事情もございますので、保険給付費総額の二分の一というふうな高率の国庫負担措置を講じているわけでございます。結果として実績の数値で見ますと、国保財政全体に占める保険料の割合は約四〇%というふうな割合に現実にはなっているわけでございます。  ただ、私どもとしては、医療費保険料関係はやはり一定の程度でとどめていくべきではないだろうか、このように考えているわけでございます。医療費保険料との関係が遮断されるということになれば、これはやはり社会保険制度ではなくてむしろ別個の医療保障制度ということで基本的な考え方を変えざるを得ないということになってくるわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、国保の置かれている特別な事情というふうなものを考えまして、国保が社会保険として成り立つような前提条件をいろいろそろえていこう、特に高齢者が多いというふうな点に注目いたしまして、先般の老人保健制度の改革でありますとかあるいは今回の改革もそのような一環だというふうに考えているわけでございますが、保険料負担の緩和ということについてはそういった前提条件の整備ということで特に考えていこうと。  また、社会労働委員会等で言われております問題につきましては、保険料軽減措置という形でこれまでもやってきたわけでございますけれども、今回の改革案におきましても、保険基盤の安定制度の導入ということで対応しようということで、そういった国保の成り立つ基盤を整えていくあるいは前提条件が保険として成り立つような形にしていくというところに努力を注いできたわけでございます。
  33. 山口哲夫

    山口哲夫君 保険として成り立つように考えたいというその考え方、それから医療費保険料というものをある程度考慮せざるを得ないということ、こういうことについてはそれは厚生省考え方としてはそうかもしれないけれども、しかしそのために、被保険者立場に立てば、さっきから言うように市町村民税の負担のそれこそ九倍も十倍ものものを払わなければならない、もう払う限度にまで来ている。そういうことを考えたら、私は単なる保険制度として考えること自体に無理があるんでないかと思うんですね。確かに事業主の負担もない、だから高くなるかもしれない。しかし、そういうような人たちを対象にした保険事業なんですから、これはやっぱり政府としてもう少し国庫負担をして、そして国民の人たちが安心して健康保険事業に参加できるようなそういう道を開くべきことではないだろうかなと、基本的にはそう考えるわけなんです。  それで、具体的にそれじゃ聞きますけれども、今私が申し上げてきたように、いずれもこの保険税の軽減措置というのは国庫負担によってやってきたわけですよ。また、そうせざるを得なかった、そうしなければ保険税を下げることができなかったわけですけれども、今回のこの改正の中では、保険基盤安定制度を一千億の規模で軽減保険料に着目した補助制度というものを設けたわけですね。それで中を見てみますと、国の補助金というのは変わらないんですね。確かに、保険税保険料というのは約五百億ぐらい減額になるわけですね。しかし、国の負担というのはほとんど変わらない。そうすると、この保険料が五百億減額したのはどこで出したのかと思って見たら、都道府県市町村が出しているわけですね。こういう制度で保険料をとにかく五百億ほど減額をしようということなんですけれども、それでは具体的に聞きますけれども、このことによって被保険者一人当たりどのぐらい実際に保険料減額になるんでしょうか。
  34. 下村健

    政府委員下村健君) 今回の改革によりまして、全体を通じまして千七百円負担緩和になるというふうに考えております。
  35. 山口哲夫

    山口哲夫君 じゃ、個々の被保険者がみんな一カ月千七百円ずつこれから保険料が安くなる、保険税が安くなるというふうに解釈していいですね。
  36. 下村健

    政府委員下村健君) これは実は年間の額でございます。
  37. 山口哲夫

    山口哲夫君 年間千七百円全部安くするわけですね、そうすると。
  38. 下村健

    政府委員下村健君) 一方で、医療費との関係もありましてふやさなければならない保険料も出てくるわけでございますから、その相殺で千七百円だけ負担が緩和される、このように考えているわけでございます。
  39. 山口哲夫

    山口哲夫君 被保険者立場に立つとそこがわからないんですよ。  こういう制度を設けて、保険料が五百億安くなるんだということなんですから、計算すると一人頭一年間千七百円安くなると。じゃ自分の払っている保険税は千七百円安くなるんだなというのは、当然だと思うんですね。  しかし、今のお答えでは必ずしも安くなると言い切っていないんですけれども、安くならないんですか。
  40. 下村健

    政府委員下村健君) 六十三年度保険料が実際に決定される保険料よりも千七百円だけ低い水準で決まっている、このように御理解いただきたいわけでございます。
  41. 山口哲夫

    山口哲夫君 わからぬですね。  低い水準で決まるということは、千七百円低い水準なんですから、今払っている保険税が千七百円年間安くなるというふうに解釈してだめなんですか。
  42. 下村健

    政府委員下村健君) 保険料というのは毎年度医療費に応じて決定されるわけでございます。今払っておられる保険料というのは、六十二年度医療費に見合って保険料決定されているわけでございます。  六十三年度保険料というのは、六十三年度の全体で申しますと、総体の医療費に対して国庫負担分を差し引いて保険料で賦課すべき部分の中から五百億だけ少なくしてそれで保険料決定される、それを一人頭に割り返すと千七百円になる、こういうことでございます。
  43. 山口哲夫

    山口哲夫君 六十三年度というのはもう大体見通しは出ているわけでしょう、そういうことからいきますと。医療費関係もある程度見通しは出ているわけでしょう。  だから、保険税をことし各自治体が決めるに当たって、このとおり法律案が通れば当然千七百円ずつ下げてもいいんだなというふうにだれだって解釈するんではないでしょうかね。
  44. 下村健

    政府委員下村健君) 六十三年度予算編成方針の中でそういった前提条件を織り込んで決定するようにということで予算編成通知等を出しているわけでございますので、千七百円これは一人当たりというふうに申されましたけれども、一世帯当たり年間額でございますが、千七百円だけ低い水準で既に六十三年度保険料決定されているというふうに考えております。
  45. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、各自治体でこの保険税決定するときに、じゃ一世帯当たり千七百円ずつ減額をするというそういう改正をしてやらなければいけないということですね。
  46. 下村健

    政府委員下村健君) これは、保険料の計算というのは一世帯当たりという形では計算いたしませんで、各市町村ごとにまず翌年度医療費の見込額を計算いたしまして、それから国庫負担等の保険料以外の財源を計算し、残りの額を各市町村ごとの保険料の賦課方式に従いまして決めるわけでございます。その結果が一世帯当たり千七百円低い水準になっているというふうに理解しているわけでございます。
  47. 山口哲夫

    山口哲夫君 どうもわからないですね。  自治省、市町村との関係の中でどうですかね。大臣、どうですか。  今のお答え、厚生省考え方を聞いていますと、我々、自治体立場に立った場合に、当然、五百億政府の支出が少なくなった——政府の支出じゃない、政府の支出は同じだ。しかし、保険料が五百億安くなったことだけは事実ですよ。今度はその分を市町村都道府県が出しているんですから。  そうすると、保険料保険者としては当然千七百円ずつは下がるんだな、そういうふうに単純に解釈できると思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  48. 津田正

    政府委員(津田正君) 今厚生省が申し上げておりますように、絶対額で千七百円一世帯下がるということではなくて、いわゆる軽減効果として千七百円分がある、こういうことでございます。  ですから、医療費の動向等、ほかの要因があればそれはまた計算しなければならないわけでございまして、単純に千七百円去年より下がるというものではない、このように考えます。
  49. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、医療費は大体前年度並みと想定した場合に、当然千七百円下がるんじゃないですか。
  50. 下村健

    政府委員下村健君) 正確を期していろいろ申し上げたわけでございますが、そういった前提条件で考えるならばそのとおりでございます。
  51. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、通知の中には保険料を下げるなと、こう言っているんですけれども、こっちでは、今の方針からいけば千七百円下げてもいいということになるわけでしょう。非常に矛盾しているんです。  だから、私は、この通知を見たらますます自治体は混乱が起きると思うんですね。今提案していることと通知として言っていることと全然違うじゃないかと。ということは、この通知はやっぱりそういうところを配慮しなかったから。  今の説明からいくと、各市町村保険者として一世帯当たり千七百円ずつ保険料をことしは下げるという方針で臨んでいいと解釈してよろしいでしょう。
  52. 下村健

    政府委員下村健君) ただし、それは、ただいまお話が出ましたように医療費の問題でありますとかいろんな前提条件もございます。それから各市町村ごとの財政状況もございますので、単にそこだけに注目をして保険料を下げるということではなくて、やはり先行きの安定運営ということを考慮しながら運営してほしい、こういうことを申したわけでございます。
  53. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、要するに、厚生省としてはこういう制度はとったけれども実際には下がらないよと、そういうことなんですか。
  54. 下村健

    政府委員下村健君) これはなかなか一律には申し上げられないわけでございますが、要するに、総合的な判断として保険料は決めてほしい、そこのところだけで千七百円下げていいんだという単純なやり方ではなくて、やはり、これから先の見通し、それから現在の保険料水準あるいは国保全体の財政状況というものを考えて決定すべき問題だと、このように考えているわけでございます。
  55. 山口哲夫

    山口哲夫君 くどいようですけれども医療費は前年度並みだという解釈、そして今出されているこの保険基盤安定制度だけを考え、それにもう一つ地方自治体の財政は現状どおりというような条件がそろった場合には千七百円下げてもいいということですね。
  56. 下村健

    政府委員下村健君) なかなかそんなこともないんじゃないかと思いますが、そのとおりでございます。
  57. 山口哲夫

    山口哲夫君 わかりました。  じゃ、そういうことを市町村に対してもう少し親切に言ってもらわないと、今の段階では一体どうなのか見当がつかないというのが自治体立場だと思うんです。今答弁されたことを今度自治体にもう少し詳しく説明してやってください。  それで、私は、千七百円仮に下げたとしても、年間千七百円程度ですから、全体的に保険料というのは高過ぎると思うんです。そういうことを考えたら、もう少し被保険者負担能力に応じた標準的な保険税というものをそろそろ導入すべき時期だと思うんです。  それぞれの負担能力に応じた標準的な保険税というものをつくるべきだと、そう考えますけれども、どうでしょうか。
  58. 下村健

    政府委員下村健君) これは、今回の国保改革に際しまして最終的には三大臣の合意という形で方針決定いたしたわけでございますが、その中でも、そういった考え方を取り入れて今後の検討課題ということで私ども取り組んでまいろうと思っているわけでございます。負担の公平ということを念頭に置いて私どもやってまいりたいと思っておりますので、国保におきましても保険料の標準化と申しますか、標準的な体系という方向に向かっていくべきだと、このように考えております。
  59. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ被保険者負担能力を考慮した標準的なものをつくっていただきたいと思いますし、その場合に注意しなきゃならないのは、標準的なものをつくっても、努力をしてそれ以下で何とかやっていけるところだってあるわけですね。そういうところは当然下に抑えていくということを考えることと、それから標準的なものをつくって一生懸命努力はしているんだけれどもいろんな条件があってどうしてもそれ以上になるという場合においては、そこは国の方である程度の負担をしていくという、そういうことを加味した標準保険税制度というものをぜひひとつ考えてもらいたい、このことを要望しておきます。  少し時間を使い過ぎましたので、以下ちょっと計数的な細かな問題が入っての質問ですから、質問全文を先にお渡ししておりますので少し一瀉千里に読み上げていきます。答えだけはひとつ的確にお願いしたいと思います。  今まで述べてきたことからいけば、私たちとしては、この保険料が余り下がらないんだな、それだけじゃなくて逆に上がるところが出てきはしないかという実は心配があるわけです。  それは、ことしの四月十三日の衆議院の社労、地方行政委員会連合審査会を私も傍聴してみました。そのときの村山富市議員の質問関係するんですけれども、こういうことです。  療養の給付等に要する費用の額から保険料(税)の減額相当額を控除するので、減額相当額の二〇%は市町村にとってこの段階での財源として不足してくると思う。その分、被保険者の負担となると逆に保険料の引き上げにつながる心配が出てくるだろうと思うけれども、この点どうでしょうか。
  60. 下村健

    政府委員下村健君) ただいまの点については、その点だけを見ますと御指摘のような財源不足が生ずることになるわけでございます。しかし、一方で調整交付金による財政調整機能が高まるという側面がございますので、全体としては支障がないというふうに考えているわけでございます。
  61. 山口哲夫

    山口哲夫君 後ほどちょっと出てくると思いますけれども、その段階で不交付団体についても当然考えるでしょうね。
  62. 下村健

    政府委員下村健君) 不交付団体につきましては、財政状況全体を見ましてそれ相応の配慮をする必要があるというふうに考えております。
  63. 山口哲夫

    山口哲夫君 次に、軽減保険料がゼロの市町村保険者ならばこれは起こり得ない問題だと思いますけれども、そういう保険者はいないと思うんですね。とすると、その影響は全部の市町村保険者に及ぶものと考えるけれども、どうでしょうか。
  64. 下村健

    政府委員下村健君) お話しのように、今回の制度改正によるおっしゃるような影響は全保険者に及ぶわけでございます。
  65. 山口哲夫

    山口哲夫君 次に、これも衆議院社会労働委員会で菅原参考人の発言の中に出てくるんですけれども、現在でも保険料(税)軽減額の二〇%が軽減対象者以外の一般被保険者の負担となっており保険料(税)負担の上で重大な影響があると言っているように、さらに現状よりも何か重大な影響を被保険者に及ぼすことになるんじゃないかと、こういうふうに言われておりますけれども、いかがでしょうか。
  66. 下村健

    政府委員下村健君) 菅原参考人の御発言は現在の軽減交付金制度についてなされたものというふうに理解しております。  現在の制度でまいりますと、軽減費相当額の八〇%について軽減交付金によって措置する、それから残りの二〇%については普通調整交付金の対象にするということで考えておりますので、普通調整交付金が不交付の市町村保険者においては軽減相当分の二〇%が保険料になるということで菅原参考人のような御発言になったということでございます。
  67. 山口哲夫

    山口哲夫君 補てん分というのは医療費から削減するわけですよね。  とすると、そういうことになれば、その分国庫負担というものも当然これは減ってくるんでしょうか。
  68. 下村健

    政府委員下村健君) 療養給付費の対象となる医療費から控除するわけでございますが、調整交付金の方がその分だけ、軽減費交付金対象分だけ浮いてくる、こういう感じになりますので、結局は五百億円の財政効果が生ずるということになるわけでございます。
  69. 山口哲夫

    山口哲夫君 次に、財政調整交付金が考えられていますけれども、普通調整交付金が不交付の市町村保険者としては特別調整交付金等だけではないだろうか。  例えば神奈川県の場合、六十一年度の普通調整交付金の交付結果では交付団体がゼロでした。調整交付金の総額から計算された一人当たりの額も軽減交付金が入ってのものだから、それを除いた特別分としてはわずかの額になるんではないかと心配されているけれども、その点はどうでしょうか。
  70. 下村健

    政府委員下村健君) お話しのように、普通調整交付金の不交付団体に対する財政調整手段としては特別調整交付金以外にはないわけでございます。  神奈川県の六十一年度調整交付金制度の交付の結果を見ますと、普通調整交付金は不交付であります。これはお話しのとおりでございますが、特別調整交付金については一人当たり約二千円、そのうち軽減費交付金を除きますと千二百円ということで、特別調整交付金の割合がかなり軽減費交付金を上回っているというふうな状況でございます。したがいまして、六十三年度においてどういった形で特別調整を行うかということで結果が決まってくるということでございます。
  71. 山口哲夫

    山口哲夫君 調整手段として特別調整交付金制度ということですね。  だから心配するのは、それじゃ特別調整交付金制度というものは当然枠がふえてこなければきちっとした対策にならないんじゃないかというふうに心配されるんですけれども、特別調整交付金の枠というのはそうするとふやすことになるわけですか。
  72. 下村健

    政府委員下村健君) 先ほど来申し上げておりますように、調整交付金総体といたしましては、保険料軽減交付金というものの負担がなくなってまいりますのでその分だけ調整能力は強化される、このように考えておるわけでございます。  総体として具体的にどういう配分方式をとるかということはまだ具体的に決定いたしておりませんが、今までお話が出ましたような事情を配慮いたしまして特別調整交付金の枠を決定するということになると考えております。
  73. 山口哲夫

    山口哲夫君 普通調整交付金の不交付の市町村保険者としては、軽減交付金は廃止され、それにかわるものとして保険基盤安定交付金制度が導入されたけれども交付金医療費から差し引くことになりました。そうですね。とすると、個々の不交付団体では逆にマイナスになるところが出るというふうに私は思うわけです。だから、全国の国保の被保険者は、この基盤安定制度で保険料が下がるものと期待していたけれども逆に引き上げなければならない市町村も出てくるとすれば、何のための改正かというそういうことになると思うわけです。このようにミクロで見ますと、今回の改正案の方が国庫補助が少なくなる市町村が出ることは明らかだ。このような市町村には国庫補助が少なくならないように、例えば特別調整交付金等で措置することを約束してほしいということです。  かいつまんで申しますと、局長のおっしゃっているのは、マクロで見れば決してそれぞれの保険者に対してはマイナスにならないよと、こうおっしゃるんですけれども、実は、それぞれの自治体で自分のところはこの改正によって財政的にどうなるのか全部計算してみますと、逆に入ってくる金が少なくなるというそういうところが出てくるわけです。そこを政府としてはちゃんと考えますねということです。
  74. 下村健

    政府委員下村健君) 特別調整交付金配分に際しましては、御指摘のような事情を配慮して決定いたしたいと考えております。
  75. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうすると、一つ一つの自治体に対して今までよりも今度の改正によってマイナスになるようなところは出さない、その点は十分考えるというふうに解釈してよろしいですね。
  76. 下村健

    政府委員下村健君) 個別の事情を十分に考慮いたしまして配分いたしたいと思います。
  77. 山口哲夫

    山口哲夫君 せっかく改正したんだけれどもマイナスになったというんじゃ何にもなりませんので、今答えられたように、必ずどこの自治体にもマイナスにならないようにひとつ配慮をしていただきたい。  さてその次は、老人保健法の拠出金の問題です。  三番目です。  今回の改正によりますと、国保の財政体質改善に伴い老人保健拠出金に対する特例的に高い国庫負担率の見直しを行う、こういう方針で出されたものです。具体的には、国保の老人保健拠出金における国庫負担については、現在、その算定において老人以外の一般被保険者の給付率を用いていわば仮想的な給付費をつくり、その五〇%という形で国庫負担が行われているため、実際の国庫負担率は拠出金の五〇%を上回る率となっている。六十三年度予算ベースで見ると五六・一%ということになっています。そこで、これを原則の五〇%に近づけたいというのが政府の提案ですね。としますと、この措置は全市町村保険者に及ぶことになります。  なぜ原則の五〇%に近づけなければならないのか、そこをお聞きします。
  78. 下村健

    政府委員下村健君) お話しのように、六十三年度予算ベースで拠出金に対する国庫負担率を計算いたしますと五六・一%になっております。先ほど来申しておりますように、社会保険としての性格ということで現在の国庫負担水準を決めたわけでございますが、老人についても、全体としての負担の公平を図るという観点から老人保健制度の改革も行われたという事情がございますので、それにあわせて本来の原則的な国庫負担率にそろえていこうということでございます。  ただし、今回の改革案の中では、一挙に五〇%にそろえるということではありませんで、今回の改革全体が二年間の暫定措置というふうな形になっている事情も考えまして、その中間をとった国庫負担率で調整をしようということで考えているわけでございます。
  79. 山口哲夫

    山口哲夫君 老人保健法において加入者按分率を九〇%に変更したことで、国保の老人保健拠出金の負担金が減っております。  そこで、国の負担金も当然減っているわけですからむしろ反対に国庫補助金を引き上げるべきではないだろうか、そのことによって負担増にあえいでいる被保険者グループの運営にも少しは国として協力したことになるはずである、こういうことですね。要するに、今まで負担した分を厚生省としては減らすわけですから、その分国庫補助金が減ってくるわけですから、せっかく五六・一まで出しているんですからそれを五〇%に減らすなんということを言わないで、もっとその辺は国として負担をして、そしていわゆる被用者保険の人たちにももう少し温かい配慮をするべきではないか。それでないとますます被用者保険の保険者というのはこの改正によって損するばかりですよね。そういうことももう少し配慮してもいいんじゃないですか。  そういうことを尋ねているわけですけれども、どうですか。
  80. 下村健

    政府委員下村健君) 今回の改革におきましては、保険基盤安定制度の創設あるいは高額医療費共同事業の強化といった側面で国保の財政体質が改善されるという事情がございます。  したがいまして、この特例的に高い国庫負担率を調整するということを行ったわけでございまして、加入者按分率の変更に伴い結果として確かに国庫負担が減っているわけでございますが、そのことが老人保健医療費拠出金に対する国庫負担率を引き上げる理由にはならないというふうに考えているわけでございます。
  81. 山口哲夫

    山口哲夫君 この老人保健拠出金の今度の改正というのは、国の負担を減らすことだけを考えた方針なんですよね。そういうことで、被用者保険の人たちにまで迷惑をかけているというそういう内容に私はつながってくると思うんです。そういう点ではこの改正については私は納得できないということだけを申し上げておきたいと思います。  次に移ります。  今度は自治大臣と厚生大臣にそれぞれお聞きしたいと思うんですけれども、去年の十二月七日に地方制度調査会が答申を出しました。国民健康保険関係するところだけ読んでみますと、   国民健康保険財政の健全化を図るためには、医療保険制度の一元化への道筋を明らかにするとともに、具体的かつ実効ある医療費適正化対策の推進、国民健康保険税(料)の負担水準と賦課徴収方式の在り方の見直し等を行うことを基本とすべきである。このような基本的事項についての検討を尽くすことなく、単に国の負担を変更することにより対処しようとすることは、保険制度の根本をみだし、国民健康保険財政の安定化に何ら資するものではない。したがって、これらの基本的事項について早急に検討を行い、国保経営の安定化のための抜本的な改善措置を講ずべきである。 こう言っております。  基本になるのは三つだと思います。一元化への道筋を明らかにせい、医療費の適正化対策を行え、それから保険税の負担水準というものを見直しなさい。こういうことをやらないでただ国の負担を変更しただけでは、これはかえって混乱を起こすだけであって問題がある。  この答申にまるっきり反する方針が今回出てきたというふうに解釈するべきだと思うけれども、いかがでしょうか。自治大臣、厚生大臣の所見を聞きたいと思います。
  82. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 昭和六十三年度においては、国保問題懇談会の報告や三大臣の合意等を経て、国保制度の見直しが行われることになったが、これは職域保険と異なり地域保険である国保には、年金生活者等の低所得者、無職者、自由業、老人等の加入割合が高く、これらの方々に安定した医療を保障することは地域社会にとって極めて重要であり、特に医療費の増高等により国保財政が危機的状況にあること等にかんがみ、都道府県市町村としても国保の安定のための条件整備に協力することとしたものであります。  これに伴う地方負担増については、地方財政措置を行い、地方財政の運営に支障のないようにするとともに、医療保険制度の一元化などへの抜本的対策や国、都道府県市町村の役割分担等についてさらに十分な検討を行う必要があるため二年間の暫定措置としていること等から、地方制度調査会の御意見は実質的に守られたものとなっていると考えます。  なお、医療保険制度の一元化への道筋等については、引き続き検討してまいらなければならないというふうに考えております。
  83. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 高齢化社会が本格的に進む、そういう将来を考えてみますと、社会保障経費というものは極めて増大していくわけでございまして、そういう中で私ども最も考えておかなければならない問題は、医療保険制度につきましても年金制度につきましても制度の長期安定を図っていくという問題と、さらに給付と負担につきましてはより公正で公平である、この二つの点が最も留意しておかなければならない重要な点だと考えております。  そこで、この医療保険制度の一元化の問題につきましては、従来から給付と負担の公平化に向けまして数次の改革を行ってきたところでございまして、今回の国保改革もその一環であり、一元化に向けての条件整備であるわけでございます。  今後の道筋といたしましては、六十五年度に老人保険制度並びに国保制度の見直しを行いまして、その状況を十分に見た上で将来の一元化に向けて所要の段階的な改革を行ってまいる、そういう考え方でございます。  また、医療費の適正化努力につきましては、重要な課題でございますので今後とも十分に取り組んでまいることは無論でございますし、また国保の長期安定を図る意味におきましても現在社会保障制度審議会に対しまして国保の長期安定を図るためにいろいろな点につきまして大所高所からの御意見を仰いでいるところでございまして、そういう御判断をいただいた上でさらに慎重に検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  84. 山口哲夫

    山口哲夫君 両大臣のお答えとも、二年間の暫定期間を設けているんだしその間にいろいろとまた検討していくので必ずしもこの答申に反しているのではないんだというふうにおっしゃっていると思うんですけれども、しかしこの答申を見ますと、さっき申し上げた三つの基本的な問題を検討しないで単に国の負担を変更するようなことでこの制度を改革しようということは、この保険制度の根本を乱すことになるのであって、決して保険財政の安定化に何ら資するものではないんだというふうに言っているわけですね。だから、大前提は、この三つを、きちっとした方針をやっぱり明らかにしなさいということなのですよ。暫定的にやっていいんだということは一つも書いてないんですよね。  だから、今度の国保制度の改正をするに当たっては、答申のこの三つの問題を一体どういうふうに解決をしていくかというその方針がなければいけないんじゃないですか。どうでしょうか。
  85. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 確かに、地方制度調査会の答申は極めて重要な提言をしているわけでございますから、この三つの問題の解決ができなければ先に進むべきでないという御意見もあろうかと思いますが、少なくともこの三つの問題を検討するチャンスをつくらにゃいけない。これは、私は、一回今回の改正によって都道府県もあるいは市町村もでございますけれども、こういう問題について発言の場を実は財政の支出と同時に得るわけでございますから、これから二年間、この問題で今まで厚生省やあるいは大蔵もひっくるめてかもしれませんが検討されたことに、もうちょっと幅広くこの問題に対する検討の機会がある。そういうことで二年間の暫定期間ではありますけれどもこの期間を通じて精力的に詰めるならば、私は、今までの方式よりははるかに前進が可能ではないかというふうに考えておりますので、今回の措置が妥当なものというふうに考えております。
  86. 山口哲夫

    山口哲夫君 それは大臣の越権行為であって、答申を忠実に解釈すれば、まずこの三つの問題を、きちっと方針を明らかにしなさいと書いているんです。だから、そのために一年間なり二年間なり徹底的に論議をして、じゃこういうふうにしましょうという一つの方針を明らかにした上で保険制度に手をつけるというならわかるんです。  だから、いきなり保険制度に手をつけておいてその二年間の間で考えようというのは、これは答申からいきますと全く本末転倒ですよ。一元化への道筋というのは何にも明らかになっていないでしょう。たまたま明らかになっているとすれば、給付率を八〇%に持っていこう、これは私ども反対ですよ、反対だけれども、八〇%に持っていこうというのは一応法律の中でも書かれているだけですよね。それしか決まっていない。一体それじゃそれをいつやるんだということは何も決まっていないですよ。  それから、保険料の負担水準だってそうでしょう。これは、八〇%に減らすということになりますと、当然掛金は、それじゃ被用者保険の場合にはその分減ってくるのかということになりますよ。そうでしょう。我々、反対ですよ、九〇%を八〇%に被用者保険の給付率を下げるということは反対だけれども、もしそういうふうな一元化の方針が八〇%ということだけ明らかになっているとすれば、それじゃ負担が下がるんだから当然掛金も下がるんだなというふうに思いますよ、被用者保険の人たちは。そういうことが全然、何にも明らかになっていないんです。  医療費の適正化、これは今後検討するんだと。これは一番大事な問題でしょう。どのようにして医療費を少なくしていくか、前の委員会で私やりましたけれども厚生省がはっきり出しているように、保険と医療と福祉というのは三位一体でなければいけないということは厚生省の最大の方針です。方針は出しているけれども、それじゃ具体的にどうやったら医療費が下がるのか、そこまでは何にも出していないですよ。  だから、この三つの問題というのはこれから真剣に取り組んでいかなければならなかったんじゃないですか。それをやった上で初めて国保の制度に手をつけなさいというのがこの地方制度調査会の答申ですよ。やり方が逆じゃないですか。どう思いますか。
  87. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 委員御指摘のとおりではございますけれども、実質的に地方自治体の財政負担についてはいわば実質上の手当てをいたしているわけでございます。そして、前の二つの問題を前向きに検討ができる制度をつくり上げることは一歩前進だという理解をいたしております。ですから、この問題に関して地方制度調査会の答申に違反をするというふうには考えていないわけであります。  ただ、委員御理解のとおり、保険料を安くということでございますけれども、こういう話がここになじむかどうかわかりませんけれども、私は、やっぱり人間の生に対する執念とか死の恐怖、こういうものがある以上、いいか悪いかというものは別にいたしまして、人間・人生にとって一番最大の支出にたえられるものはそういう生命に対する、医療に対する、死に対する恐怖、こういうものでございますから、一般の税と違いますけれども例えば自動車や家電がいわゆる重税にたえられるのも需要があるからだという気がいたしますし、ある意味で健康産業というのか健康行政というのかあるいは大きな意味で福祉行政というのかこういうものは、人間の最大のいわば希求である死の恐怖を克服するための手段でありますから、医療費がこれから将来に向かって減るという方向は確かにもろもろの制度を完備することによってできますけれども、その中心をなすものは最終的には医療、こういう感じがするわけでございますので、なかなか医療費を低めるということはできないとすると、どうやっていわばその一元化、公平化を保つかということになろうかと思います。  私見ではございますが、各保険間のそういう意味での人間の所得や、その他に先ほども御意見がございましたように所得に比例をした分担をすることができるような人生ならしができないかどうか、こういう問題は、私の所管というよりはむしろ厚生大臣の所管でございますからその方面の御研さんを願いたいわけでございますけれども、しかし少なくても職域保険と違って地域保険の、一番今地域のいわば重要な問題である被保険者の生命を守り健康を守るという意味で手をこまねいているわけにいかない。ですから、よく例え話で言うんですが、泣く子と地頭に勝てぬと言いますけれども、いわば被保険者である地方住民のまさに大変な負担とそれから市町村財政の窮乏、こういうものがあるわけでありますから地方自治体が手をつけないわけにはいかない。しかも、特にいわば中間行政機関であり一つの医療ブロックとも見られる都道府県、そういう地域のものがこれに手をこまねいていていいのかどうなのか、こういう問題もあるわけでございますから、二年間この問題に懸命に取り組むことによってさらに前進を図っていきたいという気持ちであります。
  88. 山口哲夫

    山口哲夫君 厚生大臣にお聞きしますけれども、今の自治大臣の答弁を聞いていますとちょっと心配が出るんです。  私どもは、この一元化の問題、国民健康保険の被保険者の給付率というのは最終的に今度八割ですかにしていこうというわけでしょう。そうすると、給付と負担の公平化ということからいけば、さっきの局長の答弁からいきますとまた保険料が上がるんじゃないかという心配があるんです。その辺のバランスをとらなきゃならない、保険制度を考えなきゃいけないというんですから。私は、それはやっぱり間違いだろうと思うんです。  それともう一つは、何か被用者保険の犠牲で今度の国保の大改革をやろうとしているんじゃないかなと思われてならないんです。そういうことをきちっと道筋を明らかにした上で国保の全般的な改革に手をつけるというのが今度の答申だったわけです。ところが、それをやらないで今暫定的にということでやり始まったから、今私が言うような心配が当然出てくるわけですね。国民みんなそこが心配だと思うんですよ。  だから、決して国民健康保険の被保険者に対してこれ以上負担を強化させるようなことはしない、それから被用者保険の犠牲において一元化をするのではない、この最大の方針だけははっきりさしてほしいと思うんです。
  89. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) まさに今御指摘の点につきまして先ほど申し上げましたように六十五年度で老人保健制度また国保制度の見直しを行うということでございまして、それは、まさに今御指摘の心配があるかないか、その点につきまして状況を見きわめ帰趨を見きわめた上で判断したい、こういうことを考えておるわけでございまして、その見直しによりましてそういう心配のないように処理してまいりたいと考えております。
  90. 山口哲夫

    山口哲夫君 国民が一番不安に思っているのはそこですからね。決してそういう一部の犠牲に基づいて国保全体の改革をやるようなことをしないように、この点は強く要望をしておきたいと思います。  次に、具体的な問題ですけれども、在宅ケアの政策を今度出しました。私はこれを評価しております。ところが、せっかくいい制度をつくったんですけれども、この中心になるホームヘルパーが非常に少ないですね。スウェーデンなんか高齢化のいわば先輩国と言われるような国々は、ホームヘルパーの人口は日本の数十倍ですよ。余りにもそれから見たら日本は少な過ぎる。それから、ホームヘルパーの賃金も非常に安いですね。スウェーデンなんかのホームヘルパーというのは、財政的な面から見ましても非常に誇りを持っています。もちろん日本のヘルパーの人たちも誇りを持って仕事をやっているけれども、精神的な面で誇りを持ってやっているんであって、財政的な面は何にも裏づけがないわけですね。  そういうことからいけば、もっとホームヘルパーというものを公的な機関で大幅に増員することと、もっとやっぱり待遇を改善するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  91. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 確かに、これからの老人福祉を考えていきます場合に、在宅福祉の充実ということが大変重要であるという認識は持っております。そして、その在宅福祉の推進を図るための大きな柱の一つとしてこのホームヘルパー制度を我々位置づけております。  そういうことで家庭奉仕員派遣事業というものを予算措置で講じていますが、これをさらに充実していくという考えでおります。そのために、今お話しございましたが、六十三年度予算におきましてもホームヘルパーの数を大幅に拡充いたしました。二万五千三百五人から二万七千百五人と、これはこの数年来約二千人近い増員を図っております。  それから、処遇のお話もございましたが、手当につきましても年額百五十五万二千五百二十六円から百五十七万四千八百十九円というアップを図ったところでございます。この手当額の増額も毎年図っている措置でございます。  それから、後段の御質問でございます家庭奉仕員事業市町村直轄でやれというこういう御趣旨でございますが、これにつきましてはいろいろ議論があるところでございまして、私どもは適正な事業運営が確保できる場合には市町村社会福祉協議会等に対して事業の一部を委託することも認めております。要は、このホームヘルパーをどう開始するか、どのような格好でやっていくかということにつきましてはやはり市町村の実情がそれぞれ違いますので、その実情に応じて判断をお願いしているところでございます。
  92. 山口哲夫

    山口哲夫君 残念ながら時間がありませんので深く入りませんけれども、今お話があったような改革をしていることは認めます。しかし、余りにもスローテンポですよね。せっかくこういういい在宅ケアというものを政策として打ち出しているんですから、こういういいものを出したときにはもっと大幅にやるようなことを、これは大蔵省なのかどうかわからないけれども、せっかくやるのならもっと力を入れてやっていただきたいと思っておりますので、そこだけは要望しておきます。  それからもう一つ、今度は看護婦の問題ですけれども、四月一日から診療報酬の改定がありました。在宅療養の部というのを新設したのでこれは一歩前進だと思っていますけれども、しかし額とか訪問回数というのは非常に不十分です。それから、例えば看護婦が床ずれのために手当てに行きますね、そういうものは全然この診療報酬で見られていないんですね。医者と同行しなければだめなんだというんです。不思議に思うのは、入院した場合に基準看護料というのがありますね。ところが、外来の場合には看護料というのは診療報酬の中でないんですね。私は、これは非常に矛盾していると思うんです。そういうことからいきますと、診療報酬の面でもう少し看護婦の仕事を正当に評価するようなことをぜひ考えるべきだと思うんです。これが一つです。  それから、時間がありませんのでもう一つやっておきますけれども、せっかく今こういう在宅ケアでもって看護婦を大いに活用しようというんですけれども、残念ながら外来の看護婦というのは物すごく不足していますね。だから、せっかく制度は設けたけれども看護婦が少なくてこれは実際にはやられないんじゃないかという心配が出てきているんです。そういう点で在宅の看護部というようなものを考えてもっと在宅ケアを積極的に推進できるような配慮をしていくべきだというように考えますけれども、その点どうでしょうか。
  93. 下村健

    政府委員下村健君) まず、診療報酬関係でございますが、看護婦の行う訪問看護あるいは入院患者に対する看護につきましては、従来から診療報酬の上で評価に努めてきたわけでございます。  今回の改定におきましても、訪問看護につきましては点数の引き上げあるいは対象患者、回数等の拡大を図るという方向で充実を図った一方で、入院患者につきましてもより手厚い看護婦の配置を行っている場合を特三類看護という形で高額の加算の対象にしたということで積極的な評価を行ったわけでございます。  今後とも、看護の実態あるいは看護婦の果たす役割等を見極めながらその評価といった面については努力をしてまいりたいと考えております。
  94. 山口哲夫

    山口哲夫君 これも先ほどのホームヘルパーと同じです。せっかくいい制度を設けたんですから、本当に看護婦がもう少し増員されて在宅ケアというものが本当によく進むように、これはぜひひとつ考えていただきたいなと思っております。厚生省予算要求して大蔵省が削ったのなら別ですけれども、もっと厚生省は大蔵省に大幅にそういう点を要求して実現させていただきたいと思っています。  最後に、地方交付税の問題です。  今度、五百五十億を地方交付税で見たんですね。本来、国保事業というのは国営の事業でしょう。だから、すべて財政的な面は国費と保険税で賄うということがもうはっきりしているわけですね。にもかかわらず地方自治体に物すごい超過負担を強いているわけですけれども、今度初めて五百五十億というのを交付税で見たんですが、これは何でなんでしょうか。  私に言わせれば、補助金、特に基盤安定交付金に上積みしてもやれることだと思うんですけれども、交付税で見たことに対して一つ問題があるということ。  それから、その見方について。基準財政需要額の中にこの分を含めてそして普通交付税の中で面倒を見ようというようなことは、これは、将来、国保事業の中にいわゆる地方自治体の一般会計を取り込んでいこうというそういう下心があってやったとしか思われないんですけれども、その点どうでしょうか。
  95. 津田正

    政府委員(津田正君) 今回の国保の見直しに当たる財源措置としまして交付税を中心として措置したわけでございますが、二年間の暫定措置とはいえいわば普遍的な地方団体の財政需要である、こういうような観点から交付税の措置をしたわけでございます。  そもそも、先生御指摘の、本来国保事業国庫負担と国保料で賄うべきである、こういうのが基本でございます。私どももさように考えております。  ただ、今回行いました内容は、御承知のとおり、軽減交付金等につきましては、特にいわゆる社会保険として成り立たすためには国保というものが低所得者層を抱えざるを得ない、その部分をいわば社会保険として成り立たすのは社会保険自体前提条件として非常に苦しくするのではないか、そこについては公費を投入するのもやむを得ないのではないか、このような観点からいわゆる公費の措置をした、その公費の措置をする各地方団体への財政需要増に対しましては交付税で措置をした、このような考え方でございます。
  96. 山口哲夫

    山口哲夫君 普通交付税で出すわけでしょう。二年間の暫定措置なんですよ。普通交付税というのはあくまでも経常的な経費について見るわけでしょう。今度のやつは全く暫定的なものですよ、異例の問題ですよ。これは当然特交で見なきゃならないですよ、制度からいきますと。何でそれを普通交付税で見なきゃならないのかというんです。  だから、普通交付税で見るということは、将来、一般会計を国保事業の中に取り込んでいくのだろう、そういうふうに疑問を持たれてもしようがないと思うんです。これは制度的にも絶対特交で見るのが筋だと、私はそういうふうに思います。
  97. 津田正

    政府委員(津田正君) 普通交付税で見ておりますのは、これは暫定の二年間の措置とは申しながら、一部の地方団体だけではなくて全団体において生ずる標準的な経費、このようにして算定しなければならない、このような観点で普通交付税で対処するものでございます。
  98. 山口哲夫

    山口哲夫君 一部の自治体でないといったって制度として二年間暫定的にやるといっているんですから、その先どうなるかわからないというんです。二年間だけ暫定的にやるんだったら、異例のものではないですか。当然これは特交ですよ。それを一般会計で見ること自体制度的に問題がある、これだけは申し上げておきたいと思います。  時間が超過しましたので私はやめますけれども、あとは超過負担の問題。  これは、国の制度でありながら地方自治体が負担させられている。まるっきり厚生大臣が、自分の何か品物を友達にこれを隣の町に持っていってくれといって頼んだ、かかった金はおまえ持てと言うのと同じです。それを、一つの自治体で何億も負担させられているんですから、こんな自治体をばかにしたやり方というのは私はないと思うんです。  これは、いずれ超過負担の問題は改めてやりたいと思います。  以上で終わります。  ありがとうございました。
  99. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 若干時間超過をしたようでございますから、できるだけひとつ御協力して切り上げてまいりたいと思います。  ただ、やっぱり、山口さんがあれだけ熱心に追及なさったんですが、答弁の方がどっちかというときちっとまともに答えないというところに時間がかかった理由があるんじゃないかと私は思うんです。  特に、自治大臣ね、今最後の方の中でございました地方制度調査会の答申に今度の決定は違反じゃないかという指摘がございました。私もそれは思うんですけれども、特に、私は地方制度調査会の委員で、あの決議の際に一緒におって決議した経緯から見ますと、あなたはまだ一遍も出席していないですね。あのときの議論と結論の中からいうと、明らかにこれはあの答申に違反ですよ。    〔委員長退席、社会労働委員会理事佐々木満君着席〕  ですから、最後のさっきのあなたの答弁を聞いておると、関連性があるのかないのか、泣く子と地頭には勝てぬとかなんとか、こう言っていましたから、言うならやむを得ずそうなったんじゃないかと私は善意に解釈したんです。しかし、いずれにしても、あの答申の中にもございますように、それから国保問題懇談会の報告の中にも一部の意見としてございましたように、三点についてきちんと定めてから対応措置をとるべきだと。これはどなたのどういう審議会に諮問しても私は同じ答えが返ってくるんじゃないかと思うので、それを無視して二年間の暫定措置という名のもとに今度の改正に踏み切ったということについては、これは、私はまことに遺憾であると思うんです。大臣も、余り問題をそらさずに、答申には確かに反する面もあるということで、この暫定の二年間については今後その部分も含めてひとつ奮闘努力する、こういうふうに言えばすっきりわかってくるんですけれども、もし私の意見とそう相違がないならそこら辺をひとつ明らかにしてほしいという点が一つ。  それから、厚生大臣、暫定措置だと言いますが、中身を見ると暫定でない部分もあるんですね。本音は一体何だろうかと思うんですが、本音はできればこれを定着させたいという思いもあるんじゃないかとも思うんですけれども、いかがですか。
  100. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 佐藤委員手厳しい御批判でございますけれども、実質的に私は地方制度調査会の答申に完全に違反したというふうには理解をいたしておりませんので、実は、実質上はこれに違反をしない方向で処理ができたという見解を持つために今回の措置をなしたわけであります。  いずれにいたしましても、財政的な負担を地方自治体に実質上及ぼさないような配慮をしたということと、これから医療保険制度の一元化その他の抜本対策、それから役割分担等のいわば前向きの検討をこれから二年間にいたして立派な体制をつくろうということでございますから、むしろ暫定措置をやるより本格的なものをやればいいという一つの選択もあろうかと思いますが、表現が悪いかもしれませんけれども地方自治体の置かれている現状、それから地域問題として一番やはり健康というものはその地域にとって大切な問題でございますので、それを泣く子といった表現がいいかどうかはわかりませんが、この問題に早く対応する一つの希望的な光をともさなきゃならない、こういう意味で申し上げたのでございまして御理解をちょうだいしたいと思います。
  101. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 国保の運営の安定化という問題、これはもう申し上げるまでもなく緊急の課題でございまして、そのために国保が持っている構造上の問題の改革に手をつけた、そのためには国と地方が共同してこれに取り組む仕組みをつくり上げた、こういうことでございましてこの仕組みは初めて創設したわけでございますので、やはりその状況を見きわめる必要があるというような考え方から保険基盤安定制度等暫定措置にしたわけでございます。  しかし、私どもが考えておりますのは、将来の一元化の問題もこれあり、国保の運営の長期安定ということを図るという問題が一番念頭にあるわけでございまして、そのために国と地方が共同して取り組んで国保の安定化を図る、そのためにどうしたらいいかということを今考えておるわけでございまして、六十五年度にはその見直しを行いまして所要の措置を今後考えていきたい、こういう考え方でございます。
  102. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 厚生大臣の答弁の中にございますように、六十五年度の安定化という方向の仕組み変更の下敷きを暫定措置という形でやったと、できれば私はそこから先のことを聞きたかったんです。本音としてはどういうお考えかということを聞きたかったんですが、そこはなかなか言わない。  しかし、後ろに控えておる大蔵省の方、これが仕掛け人の一人ですわね。大蔵省来ていますか。——大蔵省は、一体、この問題についてどういう理解ですか。暫定なのか、暫定だけれどもできればこういうものが六十五年以降欲しい、こういう気持ちも含めてお聞きしたいと思うんです。
  103. 中島義雄

    説明員(中島義雄君) ただいま厚生大臣の方から御答弁もございましたが、国保問題が抱えております構造的な問題は、これを現状のまま放置しておいてよいという考え方はどこにもないと思うわけでございます。  そこで、国保問題懇談会でございますとか自治体の御意見など、各方面の御意見をちょうだいいたしまして、現状においてはできる最善の案ということで今回の案がまとまったものと私どもは理解しております。しかしながら、今回の措置は、新たに都道府県の役割を入れるなど、新しい試みもございますので、ともかく二年間こういった形でやってみまして、さらにその後の諸情勢を踏まえながら見直しを行いたい、こういうことでございます。  六十五年度以降の制度につきましては、あらかじめ今腹案を持っておるとかそこへ向けて何か誘導していくというような、そういったたぐいのことを考えているわけではございません。現状におきましては今この法案で御審議いただいております内容が最善のものと考えておるわけでございますが、この後における推移を見ながら再度さらに検討を深めていきたいという気持ちでございます。
  104. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 最善のものであるからできれば二年の推移を見て六十五年度以降の一つのレールを敷いておきたい、これが率直に言って大蔵省の意見じゃないかと私は思うんですね。  これは、私が今あなたの意見を先取りして言ったんですけれども、しかし厚生大臣、例えば、五十六年か七年ですか、老人保健法をつくりましたね。そしてその後、今度は退職医療制度をつくりまして、その上に今度は六十二年にまた老健法の改正をやりましたね。一番の問題は国保の安定化ということなんですけれども、基本は、どんどんどんどん上がってきて赤字になっていく、何とかいい方法はなかろうかということで知恵をいろいろ尽くしたけれども、ない。この一番大きな原因は何ですか。なぜ、あなたが三度もやりながら、それが安定化しないんですか、そこら辺はどういう認識をしていますか。
  105. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) それは、やはり、国保が持っております構造上の問題であると思います。  低所得者の方々が多いという問題、それから医療費に地域差が非常にあるという問題、この二つが主な原因であろうと思っております。
  106. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間があればそれだけでも相当議論をやりたいんですけれども、私は、もう一つ、医療費そのものがどうして高くなるかというところにもメスを加えていかないと根本解決にならぬのじゃないかと思うんですね。そこら辺が一番基本じゃないかということが一つ。  それからもう一つは、やはり社会保障の一環としての国民健康保険で、国保というものをつくられた経緯から見ると、国はそれに対する資金をもっと出し惜しんではならぬものじゃないかと思うんですね。そこら辺、今度は大蔵省の方からチェックされまして、そして何とか行革という名のもとに削っていかなきゃならぬ、その板挟みが結果的には制度そのものにもメスを加えていかなきゃならぬというところになっておるんじゃないかと思うんですが、そういうように御認識はございませんか。
  107. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 人口の高齢化の問題また医療の高度化の問題、これに伴って医療費がふえていくというそういう背景は、確かに御指摘のとおりでございます。  それから、国保の問題につきましては、おっしゃるように、私どもも、できる限りの国の援助といいますか負担という問題につきましては、してまいらなければならないというふうには考えております。  ただ、この制度が、御承知のように、社会保険方式をとる以上は、やはり他の医療保険制度との公平といいますか公正といいますか、そういうバランスの問題もございまして、国が負担する限度につきましては限界があるということも承知をしなければならない問題だと思っております。
  108. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間があれば私はこの問題で大臣とせっかくの機会ですから議論をしたいんですが、ございません。ここでやめなきやならぬと思うんですが、何というんですか、物事には、全部理由というか原因というのか、ちゃんとあるはずなんです。その的を避けて問題を解決しようとすればそこに無理が生まれてくる。そこに私は今度の二年の暫定にせざるを得なかった原因もあるんじゃないかと思うんです。さっき山口さんから御指摘ございましたけれども、そこら辺にメスを加えていくという決意がないとこの根本的な解決ができない、私はそう思います。  自治大臣も、そういう意味で地方制度調査会の答申というものをひとつもう一遍読み砕いていただいて、この二年の暫定期間中における対応については間違いのない対応をぜひお願いしておきたいと思います。  いろいろ申し上げたいんですが、時間がございませんのでその一点だけ申し上げて私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  109. 片上公人

    ○片上公人君 今回の国保改革につきましては、高医療費安定化計画、そして高額医療費の共同事業などをそのねらいとしておるわけでございますが、これらの改革に取り組む前に実施しなければならない問題が山積みになっているんではないか、このように思います。  臨調行革路線のもとでの医療をめぐる諸改革でございますが、これは、どうも負担をどのようにツケ回すかという点に力点がありまして、我が国医療のあり方に本質的にメスを入れるという点では大変手ぬるいものである、こういう認識を持つわけです。  供給サイドからの医療費節減策といった点につきましてどのような具体策を実行されようとしておるのか、これを伺いたいと思います。
  110. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 今後、高齢化の問題また医療技術の高度化等を背景にいたしまして、医療費の増高は避けられない、そういうことが考えられるわけでございまして、これに対しましては、従来から適正化対策、つまりレセプト審査の充実であるとか薬価基準の適正化であるとかまた診療報酬の合理化等、こういう問題を進めておるわけでございますが、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、より基本的な考え方といたしましては、高齢化や疾病構造の変化に対応いたしまして良質な医療を効率的に供給するためのシステムづくり、具体的には地域医療計画であるとか病院・診療所の機能分担であるとかそういうシステムづくりを推進いたすことによりまして、結果として医療費の適正化につながっていくものだというふうに考えております。    〔委員長代理佐々木満君退席、委員長着席〕  また、昨年の六月の国民医療総合対策本部の中間報告に沿いまして、老人医療の見直しなどの施策もこれから着実に実施してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  111. 片上公人

    ○片上公人君 国は医療費のツケ回しに大変熱心で、国民医療費国庫負担分につきましては、昭和五十八年当時の三〇%台から本年は二四%にまで下がってきております。その間の国庫負担の減少分は、大部分、負担の公平化という名のもとに現役の被用者側の負担に転嫁されておる。そうして、それが限界に来たと見たら、今度は地方負担の導入を図ろうとしておるわけでございます。  仮に、六十五年度における見直しで地方財政特例措置をも講じないことになれば、それもいずれ住民税等を通じて被用者の負担にもなりかねないと考えますが、この点はどのように考えていらっしゃるのか、御意見を伺いたいと思います。
  112. 下村健

    政府委員下村健君) 六十五年度の老人保健制度の見直しでございますが、これは、国会での御審議をいろいろいただきまして、前回の改正実施状況等も見きわめながらやるようにということでございますので、全体的な状況を見きわめてその改革に取り組んでいこうと、このように思っているわけでございます。  地方負担と税負担との問題でございますが、税と保険料との関係がどのようにあるかという点について念頭に置きながら、私どももおっしゃるような問題が生じないように取り組んでいかなければならないというふうに考えているわけでございますが、私どもとしては、税と保険料を通じて安定して公平な負担を実現したいというふうに考えているわけでございます。
  113. 片上公人

    ○片上公人君 現在の医療をめぐる最大の課題は、何といいましても国民医療費の総額が国民所得の伸びを上回って増大し、その額が一兆円を超えるという点にあると思うのでございます。そういう際における医療費をめぐっての改革は、医療の供給側にも応分の負担をしてもらう、痛み分けをやってもらうということもこれは必要なんじゃないか、こう思うわけでございます。  例えば、六十三年度の国民医療費につきましても、五・二%の伸びが予測されておる、そのうち〇・五%は診療報酬の引き上げが占めておる。人口の増加、人口の高齢化等で医師一人当たりの診療報酬は診療報酬の引き上げがなくても増大することが予想される、こういった考え方に対しましてどのような認識を持っておるか、伺いたいと思います。
  114. 下村健

    政府委員下村健君) お話のように、人口の増加あるいは高齢化の進展等によりまして、医療費の増加が非常に経済の伸びを上回っているというのは御指摘のとおりでございます。したがって、私どもとしても、医療費の適正化対策を進めていくということが非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしているわけでございます。  医療の状況を見ますと、いろいろな増加要因というものが考えられるわけでございます。私どもとしては、今お話に出ましたように、本来医療費の伸びがあるのにさらに改定をするのか、こういう御趣旨でございますが、医療費の非合理な伸びはできるだけ是正をしていきたい、しかし半面、新技術の導入でありますとか合理化を図るべき問題もありますので、合理化を図りながら非合理な伸びはこれを是正するという方向で今回の改定に取り組んだということでございます。  したがって、具体的な内容といたしましては、長期入院の是正でありますとか老人医療の見直しあるいは検査の適正化といった問題に積極的に取り組んで、診療報酬の合理化を進めるという形で診療報酬の改定に取り組んだわけでございます。  今後ともそういった方向で努力をしてまいりたいと考えております。
  115. 片上公人

    ○片上公人君 厚生省医療費の自然増についてどのような見解を持っているのか、お伺いしたい。  そして、きょうの新聞の報道を見ますと、この医療費膨張の主因といわれている自然増の実態について本格解明、具体的分析方法を詰める、こう載っておりましたけれども、この方針、作業の内容、時期について御報告願いたいと思います。
  116. 下村健

    政府委員下村健君) 医療費の合理化は、これは保険の問題としては常に変わらぬ課題ということでありまして、私ども、絶えずこの問題については努力をしているということでございます。  六十三年度の国民医療費の伸び五・二%でございますが、その中には人口増が〇・五%ぐらい含まれているというふうに考えております。それから人口の高齢化による増が約一・二%、そのほかにお話しのように診療報酬改定の影響が〇・五%と見込んでおりまして、結果としてその他の増が三%、これが純粋な意味で自然増というふうに呼ばれているわけでございます。  それで、医療費の増加に影響を及ぼす要素というのはいろいろございまして、またそれらがお互いに絡み合っているということでございますので、なかなか簡単にいつまでにそれを明確にするということはできませんが、一つ一つの問題を取り上げましてできるだけその原因と結果の関係を明らかにしていくということで取り組んでまいりたい。特に、今回、国保問題懇談会あるいは中医協におきましても、その点についていろいろな御意見も出ておりますので、改めてそれに取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
  117. 片上公人

    ○片上公人君 今回の国保改正の話が出てきましたのは一年前の六十二年度予算の編成の際でございますが、このとき自治省は終始反対したわけでございます。  当時の自治省の態度と今回は異なるわけでございますが、どこが違ってきたのか、自治大臣に伺いたいと思います。
  118. 津田正

    政府委員(津田正君) 大臣が答弁する前に、六十二年度予算のいわゆる国保改革案というものについて御説明申し上げますと、その当時の提案されました案というものは、現在の療養給付費に対する五〇%の国庫負担と申しますか公費負担は変えない、しかしそのうち七・五%、国の責任を地方、都道府県に肩がわりする、こういうような案でございました。したがいまして、市町村国保にしますと、非常に厳しい経営状況にありながら何ら改善策がないじゃないか、こういう意味で私ども反対いたしまして、六十二年度の提案というものはお断りしたわけでございます。  六十三年度の案は、現在御審議いただいておりますように、保険基盤安定制度あるいは高額医療共同事業、こういうような格好で市町村国保の経営の安定化に一歩前進と、このように考えておるわけでございます。  このように提案自体が異なっておった、こういうことでございます。
  119. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 自治省といたしましては、国民健康保険は本来国民皆保険の一環として設けられたものであり、その運営保険料国庫負担によって賄われるものであるが、その運営の安定化については基本的には国が責任を持って対応すべきものというふうに第一義的に考えております。  今回の国保制度の見直しは、国保に対し都道府県市町村が国と同様な立場で関与するのではなく、職域保険と異なり地域保険である国保には年金生活者等の低所得者、無職者、自由業、老人等の加入割合が高く、これらの方々に安定した医療を保障することは地域社会にとって最も重要な問題であります。特に、医療費の増高等により国保財政が危機的状況にあること等にかんがみ、都道府県市町村としても国保の安定のための条件整備に暫定的に協力をすることといたしたものでございます。また、これに伴う地方負担の増加額に対しましては所要の地方財政措置を講ずることといたしております。  したがって、さきに財政局長が答弁したように、六十二年度予算編成時に議論をされたような国保の医療費国庫負担の一部を単に都道府県に負担させるものとは異なるものと考えておりまして、地方への負担転嫁に反対するという自治省の基本的な考え方は変わっていないというふうに御理解をちょうだいしたいと思います。
  120. 片上公人

    ○片上公人君 実は、国保の都道府県負担問題が出ましたのは、昭和四十六年度予算編成のときにもあったようでございますが、このときに厚生省が述べたのが次のような文章であります。   国民健康保険事業運営市町村が行うこととされているが、国が制度の健全な運営を確保すべき責務を負っていることは法制上明らかであり、その財政的裏付けとして国庫負担が制度化されているものである。したがって、国庫負担の一部を都道府県に負担させることは制度の健全な発展を図るべき国の責任を他に転嫁することとなり、社会保障制度拡充に対する国の責任を回避するとの非難を免れない。 このように言っております。  またさらに、   現在、国民健康保険については、対象者に低所得者が多いこと、他の社会保険のような事業主負担がないこと等による財政基盤のぜい弱性を補うため、四割五分の国庫負担が行われているのであるが、近年、市町村においては保険料収入を上回る医療費の増すう傾向の中にあって、保険財政健全化のため並々ならぬ努力を払っており、むしろ国庫負担を五割以上とするよう数年来要望しているのが実情である。このようなとき国が国庫負担の一部を削減するという後退した姿勢を示すことは、市町村の保険経営の意欲をそぐ結果を招き、国民健康保険運営に及ぼす影響は極めて大きい このように言っておるわけでございます。  これはなかなか正しい意見だと思うんですが、厚生省、そのとおりであったのか、なぜ対応が変化したのか、お聞きしたいと思います。
  121. 下村健

    政府委員下村健君) 昭和四十六年度予算編成に当たりまして、ただいまお読み上げになりましたような見解を表明したことはそのとおりでございます。  当時の大蔵省案は、国保に対する国庫負担の一部、医療費ベースにいたしまして五%でございますが、これを単に都道府県に肩がわりさせるという案でありまして、国保の安定化につながるものでないというところから、厚生省としては反対をいたしたということでございます。  しかしながら、その後の推移等を見ますと、低所得者問題あるいは医療費の地域差といった問題も高齢化の進展につれて新たな様相を示してきているということで、今回の改革案ではそういった国保の構造的な問題に対して国が地方の御協力をいただきながら取り組んでいくという仕組みをつくることによりまして国保の安定化を図るということを目的とするものでありまして、単に地方の負担をお願いするということではありませんで、こういった仕組みの中で地方にも応分の負担をお願いしようということになっているわけでございます。  また、今回の改革に伴う新たな地方負担につきましては、地方財政に支障が生じないよう所要の財源措置を講じていただいたわけであります。  こういった事情がありまして、私どもとしては、今回の改革を国保の長期安定に向けての改革ということでぜひともお願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。
  122. 片上公人

    ○片上公人君 退職者医療制度の見込み違い等による影響分を六十二年度補正予算で補てんしたわけですが、今回の地方負担導入の話がなければ補てんするつもりはなかったんではないか、セットではなかったのか。また、最近の退職者医療制度の実情もあわせて説明願いたいと思います。
  123. 下村健

    政府委員下村健君) 退職者医療制度の創設に伴う市町村国保財政への影響につきましては、市町村からかねて強くその完全補てんを要望されていたところでございます。  私どもとしては、これに対しまして誠意をもって対処したい、国保財政の状況を見ながら誠意をもってこれに対応していくということをかねて明らかにしていたわけでございまして、今回六十二年度補正予算において措置をいたしたわけでございますが、これは必ずしも今回の改革案がなければ措置しなかったという性格のものではないと考えております。  それから、最近の退職者医療制度の対象者数でございますが、六十二年の三月末で三百二十四万人、それからその半年後、昨年、同じく六十二年の九月末で三百四十五万人、それからことしの一月末で三百四十八万人ということで、まだ当初予想いたしておりました四百万人を超えるところにはいっておりませんが、着実にその対象者数は増加してきている状況でございます。
  124. 片上公人

    ○片上公人君 今回の改正は二年間の暫定措置としておるわけですが、二年間とした理由は何なのか。二年間で国保財政に好転の見通しが得られるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  125. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 今回の改革は、国保の構造上の問題につきまして国と地方が共同して取り組む仕組みをつくりまして国保の運営の安定化を図る、こういうことでございますが、この仕組みの創設は初めての試みでございますので、その実施状況を見守っていくということも必要であると考えまして、保険基盤安定制度につきましては二年間の暫定措置とした次第でございます。この改革によりまして、私どもは国保の安定化に大きく資するものであるというふうに考えておるわけでございます。  さらに、昭和六十五年度につきましては、今回の改革の実施状況を十分に見きわめまして、それを踏まえて所要の見直しを行い、所要の措置を講じてまいりたいと、かように考えております。
  126. 片上公人

    ○片上公人君 衆議院におきます社労、地行の連合審査会の折、自治大臣は、二年間の暫定措置であり、この間精力的に厚生省などと話し合いたい、しかし万一どうしても無理な場合は制度も金ももとに戻るが、将来に展望が開けたときは継続を考えるかもしれないと、こう述べたと伝えられております。  将来の展望が開けたときということはどういうことかわかりませんが、そこで厚生省との二年間の話し合いがどのような形でなされるのか、これを伺いたいと思います。
  127. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 衆議院の社労、地行の連合審査のときに申し上げたのは、いわばこの暫定措置の取り扱いの問題でございますが、前段、私は、補助負担率の暫定措置として今引き下げが行われておりますけれども、これは六十三年度までの暫定措置、これは、自治体側の立場を鮮明にいたすならば、六十三年度以降はむしろもう完全に廃止をしたい、ですから六十三年度以降はそういう暫定措置はないんだという考え方であります。それに引きかえ、この国民健康保険問題は今が入り口でございまして、この二年間のうちに何とか一元化や給付の内容その他を推し進めていきたい、ですからこれが不完全であっても、あるいは二年後完全なものができないとしても、さらに継続する意思があるならば国保問題の解決のためには全力を尽くしていかなければならないから、いわゆる補助率カットの問題とは全く異質なものだというお話というか答弁をした覚えがございます。  確かに、国保の問題に関しては一義的に国の責任であります。これは国民皆保険の一環としてなされたものでありますから、当然、責任論としては一〇〇%国が負うべきものでありますけれども、今の不健全な体制を解決するために現実的な方法を考えますとこれはまさに地域問題でございますから、自治体の関与をゼロにして果たして本当に健全化ができるのかどうなのか、こういうものを考えますと、一義的な責任論と違って現実的な解決策の効率化とかあるいは適正化とか能率化という意味で考えて、地方自治体が関与をした方がよろしいということになれば、私は、やはり公の費用の負担あるいはそれぞれの拠出の効率化を求めることは当然でございますから、単に財政負担というとではなくて国保運営がどうあるべきか、そしてさらにほかの保険との均衡をどう保ち得るか、こういう問題に自治体が関与をしていくことは極めて大切な問題だという意味で二年後も引き続きあるいは全面的な解決がなくてもこの問題に関しては積極的に取り組んでいきたい、こういう答弁をしたことを記憶いたしておりますし、今でもそういう気持ちでございます。
  128. 片上公人

    ○片上公人君 国保問題は、昨年来予算編成まで、大蔵、自治、厚生の三省でいろいろなやりとりが行われて決着に至ったわけでございますが、その結果につきまして、ある報道によりますと「三省一両損の決着」と見出しをつけておりました。何が損なのかこれははっきりしませんが、大蔵省のねらいとしては、いわゆる県の負担導入という新制度導入の突破口づくりが最大の目標である、こういうふうに載っておりました。  とするならば、二年後はむしろ今回突破した部分の県の負担部分の拡大が目標になる、こう思うんですが、これはどうですか。
  129. 下村健

    政府委員下村健君) 先ほど厚生大臣からも御答弁申し上げましたように、六十五年度には、今回の制度改正実施状況等を踏まえて見直しを行った上で、国保の安定化のために所要の措置を講ずるということを考えているわけでございます。  したがって、都道府県の役割分担のあり方についてもそういった観点に立って検討してまいりたいということでございまして、単に負担の拡大ということだけを目標にするものではないというふうに考えております。
  130. 片上公人

    ○片上公人君 国保の改正で国の負担が減るとか地方の負担が増になるとか言われておりますけれども、加入している被保険者自身に対してはどうかかわってくるのか。  これによりまして直接保険料が安くなるというようなわけでもないようだし、給付率も七割で、他の医療保険制度と比較しましても高負担・低給付ということで差をつけられたままでございますが、これは一体被保険者にとってはどのようなためになる改正とお考えでしょうか。
  131. 下村健

    政府委員下村健君) 直接的な国保被保険者に対する効果といたしましては、全体で二百四十億円、一世帯当たり約千七百円の保険料負担の緩和がされるという効果があると、このように考えております。  また、今回の改革全体を通じまして、国、都道府県市町村が一体となって取り組むということで、国保運営の安定化というメリットが、これは間接的ということになるかもしれませんが、被保険者にとっても大きなメリットではないかと考えております。
  132. 片上公人

    ○片上公人君 国保問題懇談会報告によりますと「国保改革については、国において医療費の適正化を強く推進するとともに、医療保険制度の一元化、保険料の標準化等の在り方について、結論を得た上で改革に踏み切るべきであり、六十三年度予算編成に向けて現段階で報告を急ぐべきでないとの意見があった。」と、こうありますけれども、これらの問題につきましてはどうするのか。その手順や方向性を示していただきたいと思います。
  133. 下村健

    政府委員下村健君) 三点お話があったわけでございますが、まず、医療費適正化の推進につきましては、今後の高齢化社会に向かって国民の医療費負担が過大なものにならないよう従来からも各種の対策、レセプト審査の充実強化あるいは診療報酬の合理化あるいは薬価基準の適正化といった対策を実行してきたわけでございますが、これをさらに積極的に取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。また、これにあわせまして、高齢化社会にふさわしい良質な医療を効率的に供給するため、老人医療の見直し等の医療システムの合理化、効率化を推進してまいることといたしております。また、その際には、保健・福祉との総合的な連携といった観点も当然踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。  次に、医療保険制度の一元化につきましては、これまでも退職者医療制度の創設、老人保健制度の改革など、給付と負担の公平化に向かって逐次改革を実施してきたわけでございますが、今回の国保制度の改正もそのための条件整備になると考えているわけでございます。また、六十五年までには老人保健制度の改革に積極的に取り組むほか、あわせて国民健康保険制度、今回の改革の実施状況を踏まえてこれに取り組む、こういうことになってまいろうと考えております。これらの状況を見きわめながら、またこれとあわせて給付と負担の公平化に向けての展望を踏まえながら、段階的に改革を進めてまいりたいと考えております。  それから、保険料の問題でございますが、標準化といったことが大きな課題になっているわけでございます。保険料医療費との関連を無視するわけにまいりませんので、医療費の地域差が大きく存在する以上、標準化と申しましても大変難しい問題があるわけでございますが、昨年末の三大臣合意におきましても保険料の標準化について検討を行うという方針決定いたしておりまして、今後自治省あるいは地方団体とも御相談をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
  134. 片上公人

    ○片上公人君 保険基盤の安定制度について関連して、保険料の賦課総額の按分方法が三種類あります。保険者によっていろいろ違いがあるわけですが、この点についてはどのようにお考えか、お聞かせください。
  135. 下村健

    政府委員下村健君) 御指摘のように、保険料の賦課方式には所得割、資産割、均等割、平等割といった四つの賦課方式をあわせております。四方式と申しておりますが、四方式のほか三方式、二方式といった三種類あるわけでございます。実際は九割以上の保険者は四方式という形で実行いたしているわけでございますが、都市部におきましてはその他の方式がとられているという格好でございます。私どもとしては、この辺の方式の問題もただいまの保険料の標準化という問題に取り組む際の一つの課題であろうと考えております。
  136. 片上公人

    ○片上公人君 老人保健医療費拠出金に対する国庫負担の調整措置ということでございますが、どうもこれ見ておって理解しにくいし、読めば読むほど不思議な気もするわけですが、この仕組みの説明をひとつお願いしたいと思います。  また、これは結局国保のためになる調整なのかどうか、あわせて伺いたいと思います。
  137. 下村健

    政府委員下村健君) 老人保健医療費拠出金に対する国庫負担は、一般の国庫負担と同様二分の一というふうな原則で考えているわけでございますが、国庫負担方式を五十九年の改正医療費に対する一定割合という形から給付費に対する割合に改めたというところで、現在は仮定の給付費計算をやりましてそれに対する国庫負担割合を決める、こんな格好になっているわけでございます。その際に従来の国庫負担との均衡というふうなことも考えまして、現在は特例的に高い水準を定めているわけでございます。今回の措置は、保険基盤安定制度の創設等によりまして国保制度の財政体質が改善されるといった状況あるいは国保財政全体の状況等も配慮をいたしまして、これを原則の国庫負担率であります二分の一に一歩近づけるといった形の調整を行おうとするものでございます。
  138. 片上公人

    ○片上公人君 さきの質問にもありましたけれども、何で二分の一に近づけるのかいなというような不思議な気もいたします。  次に、指定市町村事業運営の安定化に関する計画を作成することになっておりますけれども、この計画の内容はどのようなものになるのか、お伺いしたいと思います。
  139. 下村健

    政府委員下村健君) 現在鋭意検討をいたしているところでございますが、基本的には次のような事項を考えているところでございます。  第一は、高医療費の要因分析ということで入院、入院外、これを三要素——受診率、一件当たり日数、一日当たり医療費というのを三要素と称しているわけでございますが——別それから年齢階級別あるいは疫病分類別、医療機関別等に医療費の分析をやりまして、どの部分が特に高くなっているのかというふうな要因を明らかにしたい、これがまず第一でございます。  第二といたしましては、要因分析に対応いたしました具体的な対策を考えていく。現在、レセプト審査等、かなりの率で実施されておりますけれども、一般的に実施をしているという形で、特に重点を置いたレセプト審査といった形のものはまだ数が少のうございます。そういったことで、要因分析で出てきた問題点に対応したレセプト審査のようなことをやっていこうあるいは医療費通知等もそういった形の重点的なものにしてはどうかということを考えております。  また、各種のヘルス事業、保健予防対策といったものにつきましても、そういったポイントを決めた展開を図ってまいりたいと考えているわけでございます。  それから、一般的な問題といたしまして長期入院というものがかなり全般的に出てくるのではないかというふうに思っておるわけでございますが、これに対する家庭復帰促進事業といった形のもの、これは家庭復帰以外のものも含めて総合的に行う必要があると考えておりますがそういった事業、それから保健福祉対策、国保以外のヘルス事業あるいは社会福祉施策との連携といったものも盛り込んでまいりたいと考えます。  あとは老人保健施設を含めました医療・福祉施設の整備充実、この辺のサービス供給体制面での問題が安定化計画に含まれるのではないかと考えているわけでございます。  以上でございます。
  140. 片上公人

    ○片上公人君 計画の内容としまして、レセプト審査、保険料徴収強化など、これも考えられるわけですが、これは今までもやろうとしてなかなかできなかったことでありまして、計画に盛り込んだからといっても簡単にいかないのではないか。地方公務員の給与の適正化などはまさに地方自治体が決めることであったので十分できたわけでございますが、医療制度については地方公共団体で対処できるような問題は少ない。地方にどのような権限があるのか、伺いたいと思います。
  141. 下村健

    政府委員下村健君) 確かに診療報酬自体決定権というものはないわけでございますが、個々のレセプト審査を通じまして個別の診療報酬について幾ら支払うか、これは地方団体決定することになるわけでございます。これを全部について詳細にやっていくというのは難しいので安定化計画等を通じて重点を決めながら取り組んではどうか、またその他の保健・医療・福祉対策についてもそういった観点から取り組んではどうかというふうに考えているわけでございます。  そのほか、都道府県の場合でありますと地域医療計画の策定等供給面での問題等も新しい観点から取り組んでもらってはどうだろうかというふうに考えられるわけでございます。現行国民健康保険法の上でも療養取扱機関の指導監督等権限都道府県知事が持っているという状況もございますので、そういったものも活用しながら総合的に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。  今後の検討におきましても、地方の役割分担につきましてはさらに検討を続けてまいりたいと考えております。
  142. 片上公人

    ○片上公人君 医療費の適正化というのは、市町村都道府県努力するだけではなくして、国においても適切な措置指導を行うべきであると思います。  そこで、この観点から、まず、レセプト審査について伺いたいんですが、レセプト審査においては医療機関に対するチェックが甘くならないよう審査委員の人選には適正を期してほしい。委員の人選の基準は何なのか。なお、審査の公正のため厚生省はどのような指導をしているのか、あわせて伺いたいと思います。
  143. 下村健

    政府委員下村健君) 審査の関係でございますが、国民健康保険連合会あるいは支払基金、いずれも審査委員会の委員は、第一に診療担当者を代表する者、それから第二が保険者を代表する者、第三が公益代表ということで、三者構成ということになっているわけでございます。このうち診療担当者を代表する者、それから保険者を代表する者につきましては、関係団体の推薦によって任命されることになっております。公益代表の場合には、国保連の場合は都道府県知事が委嘱し、支払基金の場合は知事の推薦によって支払基金の幹事長が委嘱をする、こんな形でございます。  当然、審査業務が適正に行われるためには、適任者を得るということが重要な要件になってまいりますので、国保連や支払基金における公平な審査を確保するため、人選につきましては、かねてから厳正公平を期待し得る再適任者を委嘱してほしい、それからもう一つは、業務の性格上専門的に高度な技能を有し診療担当者の信頼を期待し得る最適任者を委嘱してほしい、この二点について特に重点を置いて指導を行っているところでございます。
  144. 片上公人

    ○片上公人君 また、医療費の適正化は、これまでの狭い意味での適正化だけではなくして、医療供給面を含めた総合的な適正化が必要ではないかと思います。  そこで、高額医療機器の問題について伺いますが、高額医療機器の導入は日本が最も進んでいると聞いておりますが、その普及状況はどうなのか、またそのかかる費用、さらに諸外国では導入に対してどのような対処をしているのか伺います。
  145. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 高額医療機器の普及状況というお尋ねでございますが、私どもも三年ごとにやっておりまして、現在集計されておりますのは五十九年で若干古いわけでございますけれども、エックス線CTが約三千台、リニアック三百台という数字が出ております。最近の民間専門誌の調査によりますと、エックス線CTにつきましては四千台、リニアックが四百台、磁気共鳴断層診断装置が百二十四台、ポジトロンCTが十台、それから腎結石破砕装置が三十二台ということでございまして、おっしゃいますようにエックス線CTなどにつきましては日本が非常に普及をしておるということが言われておるようでございます。  こういう高額機器を共同利用したらいかがかあるいは適正に配置したらいかがかということへの御意見だと思いますが、私ども、地域医療計画の中で共同利用を進めるような形での指導をしてまいってきておりますし、六十年十二月に医療法を改正さしていただいたわけでございまして、地域医療計画がだんだん都道府県でできてきておりますので、今後そういう形での共同利用と申しますか適正配置等、さらに指導をしていく方向で考えたいと思っております。  外国におきましての細かい事情はなかなかわかりにくいわけでございますけれども、それぞれの国でやはり同じような方向での努力はなされておるようでございますが、法律でどうこう禁止するとかそういうふうなことは余りやっておらないようでございまして、地域医療計画の中でそのような機能分担という形で高額医療機器の導入に対して行政府がいろいろの形で指導をしておるというふうに私ども承知しておるところでございます。
  146. 片上公人

    ○片上公人君 どうか無秩序な導入は、何とか適正になるようにしていかなかったらいけないんじゃないかと思います。  次に、問題なのは、今日の疾病構造がかつての感染症中心から成人病中心に変化しておるにもかかわらず、予防のための日常の健康教育、健康診査、また寝たきり等にならないために早期の対応、また予後のリハビリテーション等への力の入れ方がまだまだ不十分なのではないかということでございます。  近年、国民健康保険連合会が中心となりまして三%推進運動というものを推進しておりますけれども、その内容はどのようなもので、国はそれに対してどのような援助策をとっているのか、伺いたいと思います。
  147. 下村健

    政府委員下村健君) 国保連合会が中心になりまして三%運動という形の運動を展開しているわけでございます。  これは、保険者の自主的な努力ということで、第一は、保険料収納率を一%以上引き上げる、それから医療費適正化によって医療費の一%以上の効果を上げる、それから保健施設活動を促進するため保険料の一%以上を確保する、この三つを合わせまして三%運動ということになっているわけでございます。  これらは一応保険者の自主的な努力ということでやろうということで起こってきたわけでございますが、国としては、それぞれの中で国の事業として対象になるものについては助成をしているというふうな格好になっておりまして、保険料収納率向上につきましては、その特別対策事業というふうな形で助成を行っている。それから、医療費適正化の特別対策につきまして、ベテラン職員を配置してレセプト点検を充実するといったような場合についてはこれも特別な助成をする。それから、さらに保健施設活動につきましても、ヘルスパイオニアタウン事業いうふうな形で幾つかの項目を取り上げてこれに対する助成をやっているということで、保険者の自助努力を積極的に支援をしてまいっているところでございます。
  148. 片上公人

    ○片上公人君 それでは、最後に。  現在、こういう運動をすること自体、そこに問題があり、解決すべき課題があることを示しているわけでございますが、最近、国保中央会では「市町村における保健施設事業の実践について」という提言をまとめて発表をしております。こういった実践活動は既に大変進んでいる市町村もあると思うわけですが、全体としてはまだまだおくれているというのが実態であろうかと思います。  国民健康保険法第八十二条は、市町村においてどのように推進されているのか、この実情の報告を願いたいと思います。  以上で終わります。
  149. 下村健

    政府委員下村健君) 国民健康保険保険者の健康の維持増進、さらには中長期的な医療費適正化の観点からも、国保の保健施設事業は大変重要性があるというふうに認識しているわけでございます。このために八十二条というふうな規定も当然設けられているわけでございますが、現状といたしましては、六十一年度実績でございますが、全国で百十五億円、保険料収入にいたしますと〇・五八%というのが実情でございます。これを一%以上の額にして充実をしていきたいというのが先ほど申し上げました三%運動の内容になってくるわけでございます。  私どもも、そういった自主的な努力を助けるという形で保健予防対策の充実については特別な助成を行うとともに、保健施設の拡充という問題についても指導を行っているところでございます。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 地方財政との関連で多くの問題をお尋ねしたいんですが、きょうは時間がありませんから地方行政委員会の方に回すことにして、一つは、国保制度の根本問題にかかわる点についてお伺いしたいと思います。  もう一つは、今の、何といいますか、保険証を交付しないというあのやり方がいかに国民皆保険制度の理念を根本から覆している問題かということですね。この二つの点に絞ってお尋ねしたいと思うんです。  そこで、まず自治大臣にお伺いしますが、大臣就任早々に日経の「新閣僚 ここに力点」というインタビュー記事、これは昨年の暮れの十一月二十日ですが、その中で国保制度の改革について「国の制度として設けたもので、基本的な責任は国にある。国保会計がたいへんだから、負担の一部を地方に転嫁するというのは早計だ。(厚生省案で年内に結論をまとめることは)拒否する。」と、こう述べておられます。  それからまた、「地方財政」の二月号を見ますと、地方団体側も当初の厚生省案には「低所得者が構造的に多いという問題は国保制度創設以来の問題であって、このために国庫負担が行われて」いるんだ、新たに地方に負担を求めるというのは全く不合理だと、こう言って反対をしています。  私は、これは国保制度の根本原理に立った当然の理論であって当たり前だと思います。  それが一転して、地方負担導入を容認したのは、一体、なぜか。  まず、この点について大臣の見解を聞きたいと思います。
  151. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 再三御答弁をいたしておりますように、国保は国民皆保険の一環として本来国の制度として創設されたものであり、基本的には国の責任において運営の安定化を図るべきであることは従前からお答えをしたとおりでございます。したがって、国保に対し都道府県市町村が国と同等な立場で関与することは適当でないと考えておりますが、職域保険と異なり地域保険である国保には年金生活者等の低所得者、無職者、自由業、老人等の加入割合が高く、これらの方々に安定した医療を保障することは地域社会にとって大変重要であり、特に医療費の増高等により国保財政が危機的状況にあること等にかんがみ、都道府県市町村としても国保の安定のための条件整備には協力するとしたところでございます。  なお、これに伴う地方負担増については地方財政措置を行い、地方財政の運営に支障のないようにするとともに、医療保険制度の一元化など、抜本的対策や国、都道府県市町村の役割分担等についてさらに十分な検討を行う必要があるため二年間の暫定としたところであり、今回の見直しが地方への単なる負担転嫁であるとは考えておりません。  ですから、委員御指摘のように、私が新聞のインタビューで、私もこの記事を持ってまいりましたけれども「国の制度として設けたもので、基本的な責任は国にある。国保会計がたいへんだから、負担の一部を地方に転嫁するというのは早計だ。(厚生省案で年内に結論をまとめることは)拒否する。」、そういうことを申し上げたことは間違いがございません。  ですから、先ほども局長から答弁がありましたように、六十二年度予算編成時において大蔵省からいわば約三千億ぐらいの地方負担を求められたという前の経緯がございます。ですから、そういうものは拒否をする。確かに都道府県市町村のいわばこれに対する関与度合いのために財政負担をすることを設けたわけでございますが、実質にはその財政負担が現実のものとならないような措置を講じたこと、それからもともとそういう前の大蔵省案に類似をしたようなことは、その後、再三の折衝により厚生省側と円満な妥結を見て、三省大臣の合意を見たわけでございますので、委員御指摘のように、一転して地方負担を容認したのはなぜかと言われますけれども、一転をした覚えは全くございませんので御了解を願いたいと思います。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 中身が一緒ですと名前を何ぼ変えてみても変わらぬのですよ。  売上税が今度新型間接税なんていい名前をつけるんやというてまた今盛んにうわさが出ていますけれども、名前が変わっても中身は同じなんですよ。結局、地方が負担するんですよ。財政基盤安定制度という名前が変わったとか地域医療システムとかいう名前が変わったとかこんなのは、中身は結局地方が負担をするわけです。だから、これは国保制度の原理原則をまさに踏みにじる重大な措置だと思う。二年間の暫定措置だと言うけれども、これは暫定措置で終わるというようなことは、大臣自身も思っていない。一元化へ向かってそういう方向へずっと行くであろう。第一そうでしょうが、国庫負担をどうやって削減をするか。初めに国庫負担削減ありきなんだ。それでずっと来ているわけでしょう。退職者医療制度の持ち込みもそうだし、老人保健法をつくったのもそうですし、そして医療費ベースで四五%から三七・五ですかに国庫負担引き下げて、さらに今度は地方にも負担を転嫁をする、この流れは基本は一緒ですよ。初めに国庫負担の削減ありきなんです。  こういうように私は思うんですが、この辺は自治大臣、どうですか。
  153. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 委員の御主張は御主張でございますけれども、実質上地方負担を行ったと言われますけれども全く逆でございまして、形式上は地方負担の導入を行いましたけれども実質上は財政措置を講ずることによってその負担をなくしたわけでございますから、これは全く委員の御指摘の逆の立場でございます。  それから、二年間でもとに戻るではないかと言うけれども、もちろん、もとに戻る二年ということは暫定措置と言われますけれども、私は、医療保険制度の一元化の具体的方策とか保険料の負担水準のあり方とかあるいは地方への権限移譲等、そういうものが進むならばこの問題が財政負担を伴わないで恒久化をすることは望ましい方向だというふうに理解をいたしておりますので、今後ともこの二年間にそういう問題を精力的に詰めてまいりまして解決を図ってまいりたい、このように考えております。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣は、財政措置を交付税でやった、だから個別の市町村の財政には負担をかけていない、こう言うんでしょう。  しかし、交付税という財源は地方団体の共有財産ですから、国庫負担とは違うんですね。だから、タコが自分の足を食うように自分の財源を食っているわけよ。それは配分をする権限は大臣が持っているから何かちゃんと財源措置をしたというように見えるけれども、これは共有財源なんですからね。だから、それはそういう仕組みをうまく使ってなさっただけにすぎないと私は思うんです。  そこで、厚生大臣に聞きますよ。  昭和三十三年に国保が改正されて、そして国保事業市町村の固有事務から団体委任事務に変わる、そして皆保険制度が成立をする、だから強制的に加入させるそういう制度になりました。したがって、そういう点から保険料保険税国庫負担で財源を賄うんだ。したがって、これはいわゆる一般的な補助金とは違いますよ。国が責任を持って必要な経費は全部負担をしますよという国庫負担制度である。そのことは地方財政法の十条一項八の三に明確に位置づけられている。だから、他の一般の補助金とは違うわけです。補助金の場合なら国の財政事情でふえたり減ったりするでしょうし、政策の選択いかんによってふえたり減ったりするでしょう。国庫負担の制度というのはそういうものじゃない。そういうものとして地方財政法上も位置づけられている。したがって、地方財政法の十一条の二ではこの国保事業の経費については交付税の対象からそのために除外をしている、国が全部やりますよと。もちろん一般会計からの繰り入れは窓はあけています。それは市町村の国保がそれぞれの例えば軽減の条例を独自につくったり独自の給付をやる、これは市町村の自治としておやりなさい、それは自分のところの財源でやりなさい、それに必要な一般会計からの繰り入れはよろしい、しかしそれは交付税では見ませんよ、これは全体として基本的には国が全部責任を持ってやります、これが現行の、初めできたときの、国民皆保険制度へ移行したときの制度、仕組みでしょう。だから、明らかに今度は地方負担制度を導入するんです、名前を何とつけようと。オオカミが何ぼ羊の皮をかぶったってオオカミであることは変わらぬのですからね。  だから、そういう地方の負担制度を導入するということは、この三十三年の国民皆保険制度が出発をしたその根本原理といいますか基本原則というかこれを変更することになる、そういうように私は思うんだが、いかがですか。
  155. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 神谷委員の前段の御意見の中で、交付税で基準財政需要額に見込むんだからこれはもともと本来の既得権だ、だからタコの足を食うようなものではないかという表現がございましたけれども、委員御案内のように、これは特例加算でございまして、交付税三二%外に加算をするわけでございますから、タコの足を食うのとは全く意味が違うことだけは御理解を願いたいと思います。
  156. 下村健

    政府委員下村健君) 国民健康保険は、社会保険の一種ということで国民全体に適用するということで、皆保険の基礎という形で昭和三十三年にできたわけでございます。  今回の改革におきましても、社会保険としての基本的、基幹的な部分については国庫負担保険料で負担をするという基本原則は維持する。ただ、その社会保険としての機能を維持するために、その基盤としての低所得者等に対する対策につきましては、これは福祉行政的な考え方を取り入れて地方負担もお願いしたところでございます。  したがって、私どもとしては、皆保険当時の基本的な考え方を変えたというふうには考えていないわけでございます。
  157. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 大変失礼を申し上げました。カミタニ委員と申し上げたつもりなんですが、何か、言葉がとちりましてカミヤ委員と答えたようでございますが、謹んで訂正をさせていただきます。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 議事録は漢字ですから別に。  交付税の問題はまた地行委員会でやります、時間がありませんから。ただ、今局長はそうおっしゃったんだけれども、確かに、名前は国民健康保険と保険という名前がついているでしょう。しかし、三十三年にできたときは、前の旧法の方は相扶共済ですか、そういう言葉があった。この三十三年の改正で相扶共済、相互に助け合ってともに救うという相扶共済という文字はあの改正のときに現行法にはなくなってしまった。  それについて質問があって、答弁があります。  それによりますと、旧法はみんなが寄り集って助け合っていくという思想で出発をしたわけでございます。その時分には、国がどういうふうな責任を持つというふうなことはなかった時代の規定でございます。ところが、今回の新法を一貫して流れております思想といたしましては、やはり国保事業というものは、みんなが寄り集まってお互いにやっていくなどということよりは社会保障の重要な一環としてやっていくのだ、しかもそこに国が責任を持っていくのだ、したがって新法では、費用の点につきましても国の負担というふうな言葉を使って責任を明確にいたしますとかあるいは調整交付金の制度を設けて負担力の少ない被保険者をたくさん抱えておるところについては手当てをしていくとか、いろいろそういうふうな国の責任というものを明らかにした規定があるというわけであります。したがって、そこに相扶共済なんというのはなくてもいいんじゃないのかということで落としたわけであります。  だから、名前こそ保険制度で旧法との関係でそのまま使ったような社会保険という名前になっているけれども、しかし法律の文言そのものの相扶共済という思想は違うんです。我々、新しい思想は、低所得者や困難な人々を含めて、お金を持っているか持っていないかということであるいは十分な医療を受けられなかったりするようなことをなくそう、それについては憲法二十五条に基づくあの精神、理念に基づいて国がその点については全面的な責任を持ちましょう。だからこれは固有事務から団体委任事務に変えて、そして国庫負担の制度をやる。これはつくられたときでしょう。あなた方は最近になって盛んに保険制度でございますから保険制度でございますからと言い出したのは、老人保健をつくるとかそれから退職医療制度をつくるとか滞納者を一掃せにゃいかぬ、悪質なやつをやっつけいというああいう問題を持ち出してから、盛んに保険制度、保険制度といっている。だから、そもそもの出発点は違う。憲法二十五条に基づいたそういう新しい思想の流れは一貫して私どもは考えてきましたといってちゃんと答弁していますよ。  だから、今日の国保財政の現状その他から考えて、情勢が変わったからそういう考え方自身も変えた、こういうようにおっしゃるのかどうかという意味ですよ。
  159. 下村健

    政府委員下村健君) 国保の新法制定によりまして皆保険という形を実現することによりまして、またそれを機会に、国の責任が一段と強化された、国の負担自体国庫負担金という形で義務的な経費に変わった、それは御指摘のとおりだろうと思います。  しかし、社会保険としての本質は変わりはない。これは皆保険という言葉にあらわれておりますとおり、また制度の中身をごらんいただけば、やはり保険料国庫負担で賄う、国庫負担が重要な要素に入っております。これは低所得者が多いとかいろいろな事情がありますので、そういうことで国庫負担というものは明確に規定をされておりまして、この点についてもその当時と今と変わっておりませんが、保険という本質も当時と現在と私どもは変わっていない、このように考えております。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 ずうっとその当時の議事録を見ましたら、保険ということについて強調された答弁は一つもないですよ。今までとは変わるんです、新しいものをつくるんです、強制をするんだから保険料を出せない人もある、あるいは、そういう一時的に困難な状態が起こる人もある、それは軽減措置をとってやりましょう。だから当初は、これはつい最近までは十割給付でしょう、十割の調整交付金を出していたわけだ。今八割なのが今度は五割になる。こうどんどん国の責任は後退してきているんですよ。これはもう明らかだというように思います。  しかも、自治大臣は、もう市町村の国保財政というのは火の車で大変だ、それをほっておくわけにいかぬ、見殺しにできぬじゃないかという趣旨衆議院でもおっしゃっていますが、先ほどもそうお話しになりました。そうおっしゃるのならば、一体、そういう状態にだれがしたんだという問題があるわけなんです。だから、だれがこんな今日の国保財政にしたんだという問題にどうしても触れないわけにいかぬ、避けて通れないと私は思うんです。  急激にこれが変化したのは、先ほどもちょっと言いましたが、昭和五十九年の国庫負担率を従来の医療費ベースの四五%から三八・五%へと大幅な引き下げをしたこと、それからもう一つは、退職医療制度の見込み違い。  これも私は、地行の委員会でも、あのときの連合審査のときにも言いましたけれども国庫負担を減らすということだけがこれは確定しているだけであって、あとはプラス要因は全部空想でしょう。そろばん勘定だ。やってみないとわからぬその数字を並べて、とんとんで保険料には影響与えませんといって平気で厚生省は当時答弁しているんです。そんなばかなことがあるか。とらぬタヌキの皮算用で、そんなうまいこといかない。減るものだけはぱあっと減りますが、入るものを、これは医療費をうんと下げます、これだけ下がりますというようなことを言ったってそんなに下がりゃせぬのやから。これだけ入りますとこっちへ行きます、退職者へ行きますといったってそうはならなかったんだから。四百六万が二百六万ぐらいだったでしょう、初めのころは。そういう見込み違いがある。そういう中でどうにもこうにもならない状況になって、今では一般会計の繰り入れは二千六百億を超えていますね。そういう状況になっているんでしょう。そういう状況に追い込んでいって、そうしてにっちもさっちもいかぬ。だから、さらにもっと国庫負担を減らそうやないか、これが今回また提案で出てきている。国庫負担をふやすというのじゃないですよ。火の車だから国が面倒を見なきゃいかぬ。医療費は高くなってきているし、低所得者はふえているし、年金生活者はふえている、これは初めからわかっている。そういう人を集めて国保制度をつくっているんですから。構造的欠陥じゃないけれどもそんなものじゃない。初めからわかっている問題なのに、何だ。だから地方団体の側も、それは初めからわかっていることじゃないか、今さら何を言うかというのが先ほど言った地方団体側の言い分ですね。  だから、厚生大臣、問題は国庫負担をどうやって減らしていくかというところが根本と違うんですか。それでないから国庫負担をふやさぬのですよ。いかがですか。
  161. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 国庫負担の問題につきましては、そのときどきの国保の財政状況に応じて検討して決めるということがまず基本的な考え方であるわけでございます。  一方におきまして、国保も社会保険であるわけでございますので、他の医療保険制度に比べますと、事業主がいないとか低所得者階層が多いというようなこともありまして、高い負担率で今日まで来ておるわけでございますけれども、やはり社会保険方式をとる以上は、給付費の、医療給付の二分の一というのがおよそ一つの限界であるという考え方も一方にあるわけでございます。  組合健保また政管健保について国の補助がどの程度入っておるかということにつきましては、委員御承知のとおりでございますから申し上げませんけれども、医療保険制度の中で国の負担がそのときどきの国保の財政状況に見合って検討して決められておる、こういうことであるわけでございます。  老人保健制度……。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 まあいい。もう時間がありませんから。
  163. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) はい。それじゃそれで終わります。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 要するに、国の財政がぐあい悪いさかいにということでしょう、先ほどの話は。  ずっといろいろあった、国家財政の状況とあわせて考えるんだという。そうじゃないですか。国の財政と関係ないの。国が負担してもいいわけですか。
  165. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 私が申し上げておりますのは、国民健康保険制度のそのときどきの財政状況に応じて国の負担を決める、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、国保財政がずっとよくなったから国庫負担は減らしたんですな。そういうことですか。五十九年のときは国保財政は非常によかった、それで減らした、四五・何がしから三八・五へ。  それで、今急に悪くなったんですか。それで、現在は急に悪くなった、そういうことですか。
  167. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) それは、退職者医療制度の見込み違いという問題もありましょう。それから、もう一つの問題としては、国保が持っている構造上の問題、これも原因であると思います。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、それじゃ、国保財政がそういう医療費の増高や低所得者層を抱えている、それがどんどんふえてくる、年金生活者がふえてくる、そういうことで国保財政が悪くなってきたなら、国庫負担をふやしたらいいじゃないですか。なぜ国庫負担をふやさない。なぜ減らすんです。あなたの話ならふやさにゃいかぬ。
  169. 下村健

    政府委員下村健君) 大臣が財政状況と申しておりますのは、そういった単年度の財政収支ということではなくて、国保財政の置かれている全体的な状況、もちろん財政の状況も含まれてまいると思いますが、そういったことを含めて申し上げたのだというふうに理解をいただきたいと思います。  国民健康保険ができましてから、皆保険になりましてからずっとその後の状況を見ておりますと、当時の経済状況もあったと思うんですけれども保険料もある程度上げながら一方で国庫負担の率を絶えず上げながら実は国保の運営をやってきた、このように考えられるわけでございます。給付改善でありますとか医療費の改定等をやりますと国庫負担の積み増しをするということで、今日までかなり長い期間をやってきた。ただ、そういうことでありますと国の方も財政状況ももちろんございますので、なかなかそれだけでは安定しない。  で、国庫負担が削減されているというお話でございますが、確かに国庫負担率を落とした年なんかには余り伸びていないというふうな年もありますけれども、現在の状況で見ますと、医療費の方が膨らんでまいりますので国庫負担は必ず毎年医療費の伸びに応じて膨らむ、これが三十三年の新法で国庫負担という制度に改まった当然の帰結としてそういうことが出てくるわけでございます。したがって、国庫負担を削減するあるいは国庫負担をふやすということだけで国保が安定するということではありませんで、私どもとしては、全体としての公平な負担、医療費の方ももちろん適正化ということで適正な水準というものを維持するような努力は必要でありますが、それに見合った保険料国庫負担の適正なあり方、特に今日の段階でありますと老人保健制度でありますとかいろいろな形で保険制度全体が一つの財政につながっている側面がございますので、全体としての公平性あるいは安定性というものを考慮しながら運営を考えていかなければならないと、このように考えているわけでございます。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がありませんので詳しくやっておれませんが、先ほども同僚委員が言っておりましたけれども、三十七年の四月には国庫負担は二〇%から二五%に上がる、それから三十八年には税制調査会が調査をして所得に比較して余りにも高いということで特別調整交付金制度が導入される、それから四十一年六月には四五%、つい最近までの国庫負担率に引き上げられるというように、国保を構成する中身の変化に応じて国庫負担というものを上げてきたけれども、今やられているのは下げていくことになってきている。これは、私は国保制度そのものを根底から揺るがすものだということを特に強調しておきたいと思います。  ちょうど外堀がここで埋められるようなものですよ。二年後に気がついてみたら内堀もやられてしもうて、大臣がそれまでいられるかどうかわからぬけれども、やむを得ませんでしたと言われるに決まっているんです。もう目に見えていますから、今までそれでやってきているんですから。だからこれだけは申し上げておきたいと思うんです。  あと、時間がありませんから次に申し上げたいのは、いわゆる悪質滞納者に保険証を交付しないという問題です。  これはNHKでも放映されて御承知だと思いますが、京都南区で亡くなられたKさんの問題です。NHKのあのときにはまだ命があったときでしたからインタビューに応じていましたけれども、放映されたときはもう亡くなっておられます。これは先般の衆議院でもうちの岩佐さんが取り上げておりますのでよく御承知だと思います。  そこで、厚生省に聞きたいんですが、六十一年の十二月二十七日付の保険料滞納者に対する措置の取り扱いについてという国保課長の通達がありますわね。これに「運用上の留意点」ということで幾つかある。その中でこういうのは悪質と考えてよろしいよという例示があります。  それで、このKさんの場合は、ここにあるアの項に該当するのか、あるいは、イの項の(ア)(イ)(ウ)(エ)と四つありますがこの四つの事例に該当するのか、一体、どれに該当して悪質滞納者ということになって保険証が渡されなかったのか、後で渡されることになりましたけれども、まずその理由を聞きたいと思います。
  171. 下村健

    政府委員下村健君) 京都の例でございますが、これは、保険料を長期間滞納して被保険者証の有効期間も切れた者に、被保険者証の更新に際し窓口交付をしたい、その機会にいろいろ御相談をしたい、こういうことで市役所の方はそういう御連絡をしたんではないかと思います。ところが窓口の方にお見えにならなかった、したがって結果的に被保険者証が交付できないで市役所の窓口に留保されていたということになるわけでございます。  したがって、今御指摘規定それからそれの施行についての課長通知の話があったわけでございますが、これは保険料の悪質滞納者に対して被保険者証の返還を求める際の規定でございまして、京都市の事例は、これは直接これに該当しないということでございます。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 直接該当しない者に、なぜ保険証が交付されなかったのか。どこの報告か知りませんが、まさに事実とは全く違う。  この間、四月の二十六日でしたか、京都の市会議員団がこの問題で交渉に行きました。私も立ち会いましたよ。そうしたら、京都からの報告では、今局長がおっしゃったようなことでした。冗談じゃないですよ。  確かに滞納しているんです。滞納は相当なものですね。五十八年以来の滞納があります。六十年だけが完納で、あとずっと滞納してきています。確かに滞納しているんですよ。しかし、本人は血便で、体が動ける間はええわといってもう病院にも行かぬと働いていた。それで、どうにもこうにもならぬので保険証をもらいたいというのであちこち友人やら親戚から借りてそれで金を持っていったら、これでは足らぬ、あんたはこれだけでは足らぬといって追い帰された。もらってないんですよ。それでとうとうどうにもこうにもならぬで病院へ行って、即日入院と言われ、そこでその病院のケースワーカーがついて、本人はもうくたくたになっていますから自動車に乗せて、本人が行かぬとわかりませんからそうして行ってやっと一期分の六万三千円をあちこちから借りたり病院も貸したりして持っていって保険証をもらった。そうすると今度は毎月二万円ずつ払え、今までの滞納を全部納めろと納付誓約書を書かされて、毎月二万円ずつ支払わなきゃならない。そのうちに、入院していますから仕事はできない。この人はおもちゃの卸屋さんですよ。勤めておったが十年ぐらい前に転職して、仕事を始めた。始めたころはよかった。ところがすぐ不況になって、営業不振になった。いわゆるコンピューターゲームがだあっと広がったときで、もうどうにもこうにもならぬ。卸屋ですから取引は手形でやらなきゃしょうがない。どんどんどんどん手形を現金化していくわけで、だからまさに自転車操業になる。働いているのは一人ですから。それで、子供は学校へとにかく行かさにゃいかぬ。そういう状況だったんですね。  ところが報告では保険証を取りに来いと言ったけれども来なかった、と。そして、結局、手おくれだということで命をなくすという事態になっているんですよ。まさにひどい話じゃないですか。  これは、当時、六十一年十月二十八日の衆議院の社労の連合審査会で当時の斎藤厚生大臣が「所得がなくて払えない方も悪質とみなすというようなことではございませんで、悪質滞納者とは、合理的な理由がなく故意に保険料を滞納している者をいうわけでございまして、具体的には、災害とか失業、長期入院等の特別な理由がなく長期間滞納している者、また、かつ、財産の名義の変更などを行うなどして保険料納付を回避する意図が明らかである者、こういう人たちを想定」しておりますと。だから意図的に滞納している者で、払いたくとも払えない人は悪質とみなさない、こういうのが当時の斎藤国務大臣の答弁ですけれども、これと全く違うことが現実に行われているでしょう。  あなたの方の通達でいくと「相当程度の納付相談・指導を続けても、なお滞納状態が続いているような、相当程度以上に滞納している者を措置の対象とするものであること。一般的には、当該年度の年額保険料(税)の二分の一に相当する額以上の滞納額がある場合を、措置の対象の目安とするのが適当である」と、こうなっています。だから、この人に対して出てこい出てこいと言うけれども、行ったって金がないんだから払えないのはわかっているので行かない。そうすると「相当程度の納付相談・指導」をやっても相手は言うことを聞かない、しかも滞納している、これは悪質だ、こうなってきているんでしょう。それで、かき集めて金を持っていっても、こんな額では足らぬのや、五万円以上持ってこなあかんと具体的に数字まで言っていますよ。こういう状況になっている。  何ぼ通達で機械的にそうしたらいかぬのや、よく話を聞きなさいよとおっしゃっても、実際に窓口で担当している職員は一体どれだけおるんですか。一人の職員が一体何人を対象にしてこれの相談をやらなきゃいかぬ。だから、直接行っていろいろ話を聞くというようなことをやっていたんでは間尺に合わぬ。京都でも南区は対象者が多いですからね、こういう人たちが。だから、てんやわんやでとにかく仕事に追われますから、処理はしていかなきゃいかぬ。あなた方の方は、どれだけ早く滞納処理ができたかという点検はじゃんじゃんやるが、どれだけよく話をしましたか、直接面談をしましたか、どういう状況ですかということは聞きもしないでしょう。中身はさっぱりわからない。そうして一片の通達で仕事をやろうとしても、あちこちで事実上の人殺しをやっていたそういう状態が起こっているんですよ。これはまさにそういうことではありませんか。  あなた方は保険制度やからとおっしゃる。確かに払う能力がある者は払わなきゃいかぬ。皆保険制度にしたときは、そうでしょう、保険料を払えない人は想定していなかった。保険料を払えない人は生活保護で処置をするわけです。ところが、保険料を払える人を対象にして三十三年に出発したけれども、事態はそうはいかぬ。生活保護をどんどん切り詰めますから差が出てくるんですよ。あるいは、商売をしている者は不況があったり景気がよかったり悪かったりする、あるいは病気をする、おやじ一人しか働けなきゃ病気をした者が払えるどころの騒ぎじゃない、そういう事態が続いているんですよ。  だから、厚生大臣、これは前斎藤厚生大臣の答弁の趣旨からいっても、全く実態はそれを覆すような踏みにじるようなことが現に行われている。これは金沢でもそうですし、札幌でもそうでしょう。時間がありませんから幾つか言いませんけれども、そういう事態が起こっているということを、厚生大臣、あなた自身胸を痛める気持ちはありませんか。  厚生大臣の見解を聞きたいと思います。
  173. 下村健

    政府委員下村健君) 事実関係だけちょっと申し上げてみたいと思うわけでございます。  京都市のKさんでございますが、五十八年の四月には、保険証の更新時に世帯主が来られて更新をやっているんではないかと思います。もちろん保険料は——もちろんというのは変なんですが、保険料はこの時点で滞納がございます。  それから、二年後の六十年の四月に、このときも保険証の更新をやるときに世帯主が来られて、結局六月になりまして、現年度分については納期ごとに納める、過年度分については毎月一万円ずつを納めるというふうな話をしてそのときは保険証の更新をやったと。  それから、今度の六十二年の四月になるわけでございますが、実は、今度は全くお見えにならなかった。申告の方もなかったわけでございます。  そこで、四月にはがきで、ぜひおいでいただきたい、保険証の有効期限が切れていますよというふうなことを申し上げてもなかなか来られなかったわけでございます。その間、督促状を出していまして、一方でかなり病気の状況はこの時点では悪くなっていたんではないかと思います。さらにその後、夏以降もいろいろはがきを出したり、連絡をとろうとしたんですけれどもあるいは徴収員が自宅の方に伺ったんですけれども、なかなか保険料を払えない、被保険者証は要らない、医者にかかるときは自費でかかるというふうなことを、これは区役所の職員に言っているようでございます。  私どもからしますと、やはり、この時点で、本当に払えないのであれば、生活保護になれないかとかあるいは被保険者資格証明でももらえないかとかあるいはその他どういう方法があったかわかりませんがいろんな御相談をされるのがいいんではないかと思うわけでありますけれども、この時点で相当病状は悪かったんではないかと思いますけれども、そういった直接的な接触が全くないままで過ぎているわけでございます。  十二月になりまして、ただいまお話が出ましたように六万三千円払った、それから今後毎月二万円納めますというふうな話をされて被保険者証がやっと出る、こんな格好になっているわけでございます。  それ以前もいろいろ滞納等もあるわけでございますけれども、私どもとしては、これは実情を十分にお話になって、どういう形で保険料を納めるのか、無理のない形で計画を決めていただくというのが一番今の制度のもとでは適切な方法ではなかったかというふうに考えております。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 今おっしゃったように、五十八年も残っています。五十九年も半分ぐらい残っていますね。六十年は完納しています。それから、六十一年は、これはもうまるっぽ近い残です。  で、六十一年ぐらいから血便が出だしているんです。しかし、動けるんだから病院へ入って医者に診てもらったりしたら仕事ができぬ、入院させられたらかなわぬということで無理せざるを得ぬ。片一方で借金だけはふえるわけですよ。亡くなられてから財産の整理やらやられていますけれども、大変な借金が残っています。家や屋敷を全部売ったりそれから品物を全部整理したり、長男の子供さんは後どうするかというので今生活保護を受けるかどうかという大変な問題にまでなってきている。だけれども、あなた方の方は、納めなさい、年間の二分の一以上は納めぬことにはあかぬのや、それぐらい持ってこいよと。それで今あなたがおっしゃるとおり、非常に物のわかったことになる。しかし、現場は、人手が足らぬ、課長からどうなっているんだ、早うせいと毎日せかされていらいらしている、こういうことになるわけですよ。馬車馬のようにしりをたたかれて仕事をやっているんだから、だからそういう問題が起こってくるんですよ。  問題は、何でそんなことが起こるのか。それは、国庫負担の四五%を三八%に減らした。その際、保険料を払えなくなった。京都市は指定都市の中で一番高い方でしょうが。どんどん毎年上げていますよ。あなたはさっき一世帯当たり年間千七百円ぐらい負担は減るのやと言われたけれども、ことしも最高限度額に保険料は上げていますよ。毎年上げている。だからついていけなくなっているんです。それが庶民の姿なんです。それらのことをほったらかして、実際の悪質滞納者、十分支払い能力がありながら、わしは病気にならへん、健康やというて滞納しているような暴力団の連中なんかも含めて、そんなものはちっとも整理をされないで弱い者だけがいじめられる、今の姿は。  だから厚生大臣、私はこの通知を撤回をしてほしい。本来、保険者は強制加入なんですから、市町村に住んでいる限りはその市町村で国保に入らなければいかぬことになっているでしょう。それに保険証を渡すのは当たり前のことなんだ。そして具体的に入れない人に、そういういろいろ相談に乗る方法はあるでしょう。しかし、保険証を渡さぬぞ、あるいは、滞納が残っている限りは資格証明書を出すぞ、と。何ですか。子供が修学旅行に保険証を持ってこいと言われた、自分は資格証明書しかない。お母ちゃん、修学旅行にわしは行かぬ、格好悪くて行けへんと言うんだ。そういう子供も出てきているんだ。  まさに血も涙もない国保の改革、私はこれを断じて許すわけにいかぬということを申し上げて、時間ですから終わります。
  175. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私が最初にお聞きしたいのは、この国民健康保険の適用を受ける人というのは、私が申し上げるまでもなくおわかりのように四千五百万人からいる。国民の三分の一が適用されるわけなんです。それだけに、この保険制度というものが有効に活用され利用されそして国民から喜ばれるものでなければいけないと思うんです。  第一に私が聞きたいのは、この国民健保の医療費が地域によってかなり格差があるじゃないんですか。六十一年度の一人当たりの実績医療費というものを調べてみましたら、府県単位では最高が二十一万七千円、最低で十万二千円となってこれで約二・一倍の格差になるわけだけれども、これが市町村単位におりてくると最高が四十二万九千円で最低が七万円、六・一倍に開くわけなんです。  こういう地域格差がついていることについて何が原因かということをおつかみになっているのかどうか、これは大変難しいことだとは思うんだけれどもおつかみになっているかどうか。さらにはそれなりの対策をお持ちになっているのかどうか、それをお聞きをしてまいります。
  176. 下村健

    政府委員下村健君) お話しのように、地域ごとの医療費を見ますと都道府県間で相当の差がある、それをさらに市町村ごとで見ますともっと大きな差になってくるわけでございます。  背景としては、いろいろな社会的経済的要因が相互に関連し合って医療費というのは決まってくると思っておりますのでなかなか単純に割り切れないわけでございますが、人口の年齢構成の相違というふうなものが一番大きな要素としてはあろうかと考えております。このほかに医療供給体制の問題、ベッド数等の医療供給条件という問題もございますが、住民の生活習慣あるいは健康に対する意識、受診行動あるいは住民に対するヘルス関係事業状況、医療機関側の診療パターンというふうなものも当然絡み合って影響しているというふうに考えるわけでございます。ただ、現在の状況で年齢構成の差を考慮に入れてはじき直しますと相当格差が縮まるというところから、年齢構成の差が実はかなり大きな要因、次いで病床数等の問題その他の要素というふうな要素になってまいろうかと考えております。
  177. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは把握しているかといったって難しい問題だから、なかなか大変なことだと思うんですよ。しかし、年齢構成とかそんなことではないはずなんですね。  それで、この赤字の状況というものを見ていきますと、北海道と近畿六府県が特に高いんです。昭和六十年度の赤字の総額が九百三十二億円、今言った七道府県だけでもって六百六十九億円、全体の七一・八%。六十一年度になると赤字の総額が千二百四十五億円に対して今の七道府県だけで八百七十五億円、七〇・三%。私は、これはどう考えたって適正に運用されているとは思えない。  だから、この辺について対策がとられていないというならそれでいいんだけれども、おとりになっているというならもうちょっと具体的にこうこうしかじかと言っていただかないと、年齢構成とかそんなものではないはずなんですから。いかがですか。
  178. 下村健

    政府委員下村健君) 赤字保険者状況につきましてはただいまお話に出たとおりでございます。大体において医療費の水準が高い地域に赤字保険者が集中する。六十一年度の実績医療費で見ますと北海道が二位、京都が七位、大阪十六位というふうなことで医療費水準が比較的高いところに赤字が集中している。それからもう一つは、保険料の収納率が低いところにやはり赤字が多いということもございます。北海道が四十六位、奈良県が四十四位、大阪が四十二位というふうな形になっておりまして、現象面から見るとそんな格好になっているわけでございます。  従来、実は赤字保険者に対する対策ということでは、収入面に比較的偏っていたというふうな印象を私どもとしては持っております。収納率を上げるあるいは保険料医療費にあわせて上げてほしいというふうなことに特に力を入れて私どもとしては指導してきたという面が強かったように思うわけでございます。もちろん、これにあわせてレセプト点検というふうな形で医療費の適正化といった努力をお願いし、また私どもも診療報酬の合理化等を通じて医療費水準の適正化ということに努力をしたわけでございますが、診療報酬の合理化自体は、実は、地域差の問題についてはなかなか直接的な効果はないと考えているわけでございます。  そこで、私どもとしては、やはりこういった問題については地域ごとのそういった固有な要因に対する取り組みが必要であろうというふうに考えて今回の対策もお願いしたということでございまして、今後はそういった地域の国民健康保険の健全化というためには収支両面にわたる総合的な対策が必要であろうというふうに考えております。
  179. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 局長、何県がどうだこうだというのは皆さん方の出されている資料でわかっているわけなんだよね。  それで、今いろいろベッド数がどうだとかなんか言っているけれども、人口比当たりでベッド数の多いところは医療費も高くなっている。ベッド数の少ないところは逆に医療費も少なくて済んでいる。だから、一般的に医療費が西高東低だというようなことを言われているのも、先ほどの近畿なんかが高いということもそういう点に関係していると思うんです。こういう言い方をすると表現が適切ではないと思うんだけれども、わかりやすく申し上げてしまえば、西日本の方というのはいわゆる薬づけだ、検査づけだ、注射づけだというふうな、医療の取り扱いに若干ルーズなところがあるのではないでしょうか。それから、時々、組合健保の方は抜き取りを厳しくやって、不当請求が目に余るというかびっくりするようなのが組合健保には出てきて、そういうのをかなり取り締まっているんですけれども、その辺は国民健保なんかでもそういう不当請求とかなんかのものもあるのじゃないんだろうかと思うんです。だから、その辺、西高東低というようなそういうことについてどういうふうに把握しているのかもうちょっと具体的に。  そして、冒頭から言っているように、これは本当に難しい問題でもって簡単に答えの出せるような性格のものではないことはわかっているんだけれども、今一生懸命こういうふうに努力をしています、こうやっているんですというようなことを答えてください。何県がどうでこうでというそれはもう聞かなくたってわかっているんだから。
  180. 下村健

    政府委員下村健君) 医療費の西高東低というのは昔から言われておりまして、比較的西日本が高い、こう言われているわけでございます。特に近畿が高い。これについては大阪の健康保険組合等がデータを出しているわけでございますが、同一疾病について投薬の量が多いというふうなことなどをデータとして挙げてそういった医療費が高いということが言われてきたわけでございます。  北海道は比較的従来から高い水準にあったと思いますけれども、北海道が高くなってきたというのは比較的最近の状況ではないかということで、私ども北海道の医療費について分析をしてみたところ、医療費が高いのはベッド数がもちろん関係しているわけでございますが、かなり入院期間が長いということがわかってきた。これはやはりかつて医療費の問題で地域差が言われたときに比べますと、高齢化が進行してきたという状況の中でそういうことがあらわれてきているというふうに思っております。同じような医療費の高さというのは、西の方でも例えば四国、高知県でありますとか長崎県、熊本県、こういった地域は比較的入院日数が長いということで医療費が高い。近畿は、今お話が出ましたように医療内容の面で、実は多少関東と比べると医療の内容に差があるんではないか、このように私どもは考えております。  したがって、医療費の高低につきましてもなかなか一律には論じられませんで、やはり長期入院のために医療費が高くなっているような地域については長期入院という問題をどのように解決していくのか、それから医療の中身がいろいろそういったことでどうも他の地域と違っているというところについてはそれ相応の対策を考えていくということが必要ではないか、こう考えているわけでございます。  薬の問題については、一つ言われているのは、薬価差があるために薬が多用されるのではないかというふうな御批判も受けているわけでございまして、私どもとしては、これについては薬価基準を適正に決めるという点でまず何といっても基本的な対策は考えていきたい。これは厚生省の問題でございます。また、そういった診療内容の問題ということになりますと、審査でありますとかレセプト点検といった問題も非常に重要ではないかと考えております。  それから、長期入院の問題は、これは根っこにやはりベッド数の問題が大きく影響しているわけでございますが、一方において、北海道等の現状を聞いておりますと、お年寄りをどうしても病院に入れたいという需要が非常に強い、こんなふうに私どもは見ているわけでございます。需要が非常に強くてベッド数があるという形の中で、単に入院日数を短くするということだけをやりましても老人が入れかわるということしか起こらないわけですから、これはなかなか単純にはいかない。しかし、入っておられる方の中には家庭療養が可能な方もおられるのではないかあるいは福祉施設に向いておられる方もあるんではないか、少なくとも現在の状況は医療に偏って老人の処遇がなされ過ぎているのではないか、オーバーに医療サービスが提供され過ぎているという側面もあるのではなかろうか、こんなふうに考えております。  老人の問題については、老人のそれぞれの方の状況に適した適切な処遇体系をつくり上げていく、地域ごとにそういった適切なサービスが受けられるようなあるいは適切なサービスを供給できるような体制をつくって、それにうまく老人の個別の状況を見ながらそういったことをやっていく必要があるだろう、このように考えているわけでございます。
  181. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣にお聞きしますが、今局長が答弁なさっておることを、大臣として、うんなかなか立派な答弁をしているわと思っているかどうかなんですよ。  事実を言っているだけでしょう。さっきから私が言っているとおり、把握しているのかどうかといったってそれは簡単にできないことぐらいわかっているんだ。しかしながら、何だかんだ言いましても、国民健保の医療費の約五〇%は国庫補助でしょう。ルーズなそういう医療経営がなされておったり不当請求がなされておるのを放置しておるということは、それだけ国民の税金のむだ遣いをしていることになるわけなんだ。だから、そういうものを放置しておくことは許されないことなんだ。それで、本当に病気で困っている人たちには、これはまた後で提言もしたいと思うけれども、そういうのは十分に見てあげなきゃ保険の役割を果たさないわけです。ですから、かなりルーズな医療経営がなされており、恐らく不当請求も、組合健保であれだけ出てくるんだから国民健保もあるだろう。  それで、結局のところは、国民の税金のむだ遣いをしていることであるんだからもう少しきちんと厳しくそういうことについてはいたしますと、そういうお考えをお答えいただけますかどうですか。——いや、大臣に質問局長のはもうわかっています。
  182. 下村健

    政府委員下村健君) 私の言葉が足りないようで大変申しわけございませんが、不当あるいは不正といった問題について私どもは見逃すつもりは毛頭ございません。厳重な審査あるいは監査というふうなことで適切な医療を確保していく、これは国保も健保も同様に厳正に臨んでいきたい、こういうことでございます。  ただ、現在の医療費の問題の中には、そういったやや短期的な問題と長期的に解決していかなければならない問題と両方ありまして、長期的な問題については供給体制の問題も含めて医療のシステム自体を変えていく必要がある、このようなことを申し上げたわけでございます。両面で私どもとしては厳重に取り組んでいきたいと考えております。
  183. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 医療費の適正化の問題、いろいろ御意見拝聴いたしておりまして、私もそのようなお考え方には賛成でございます。  今後、適正化の問題につきましては十分にさらに力を入れてまいりたい、かように考えております。
  184. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 局長、宿題出しておくから後でもって——今ここで御返事をと言ってもこれは無理なことだから。  国民健保の方ではどのくらいいわゆる請求の抜き取り検査をやっておられるか、一年間に。それで、そのうちでどれくらいの不正があったということの調査をなされているか、後でもって資料を私の方に下さい。  それから、今度は自治大臣の方にこれはお聞きをしたいんですが、今回の法改正によって地方の負担増になる分は約六百九十億円、そのうち地方交付税の交付団体分の五百五十億円は交付税でもって穴埋めするから地方自治体の方は心配ない、プラス・マイナスちょうどよくなっているわけなんです。だから、交付団体の方は交付税の増額で処置をされているからいいけれども、不交付団体はその穴埋めがないわけですよね。何ら補てんされないでいるんだけれども、そういうことについて自治大臣としてどうお考えになっているんですか。
  185. 梶山静六

    ○国務大臣(梶山静六君) 今回の国民健康保険制度の見直しによる地方負担の増六百九十億については、六十三年度及び六十四年度に普通交付税の基準財政需要額に算入することとしており、交付税を通じて所要の財源措置が行われるものでございます。  しかしながら、先生御指摘のとおり、不交付団体については交付税の基準財政需要額への算入措置を講じても現実には財源の増加とならないことから、必要に応じ調整債を発行することにいたしており、財政運営に支障のないように処置することといたしております。  なお、将来とも不交付団体となる団体にあっては調整債の償還費に対する交付税措置も現実の財源の増加にならないが、現況の地方税収入の動向等にかんがみ、これによって不交付団体の財政運営に支障を与えるものでないと思料され、やむを得ないものと考えている次第でございます。現実に支障を生ずる事態になれば適切に対応してまいりたいと考えております。
  186. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 どの程度になったら支障を生じることになるというふうにお考えになっているかはさておいて、結論からいえば、やっぱり、不交付団体だからといっておまえたちは自分で始末しろじゃなくて何らかの手当てをすることをお考えいただきたいと思います。  それから次は、厚生省の方に。  これは自治省の方にも関係することですけれども、現在、病院の設置認可だとか保険医の指定とかというのは都道府県がするわけでしょう。それから、社会保険の診療報酬の点数なんかは、これは国で厚生省の方でもって大体お決めになるわけです。それで、市町村の方は保険料の徴収と医療費の支払いということを全部やらなきゃいかぬ。これは大変な量になって、もうふうふう言ってやっているようです。  ですから、そういう点でもって医療制度における市町村の役割と位置づけということについて皆さん方政府の方はどうお考えになっているのか、現状のままでいいというお考えなのかそれともその点についてはこういう改正をしたいと考えているのか、その辺をお聞きしたいんです。
  187. 津田正

    政府委員(津田正君) 先ほど来委員と厚生省との間におきまして医療費の問題というような議論もございましたが、それとも関連いたしまして、国民医療は守らなければならない、しかし不当な資源の使用があってはならない、こういうような観点で考えなければなりませんし、何よりも市町村住民の身近な地方団体でございますので住民の健康を守らなければならない、このような観点で今後も医療問題につきまして、もちろんこれは市町村だけで解決すべきものではございませんで国、都道府県も関与してでございますが、国民健康保険の安定的な運営、それからその前に病気にならないためのヘルス事業等の充実あるいは先ほど来厚生省からも答弁ございましたように病院で収容するのかそのほかの社会福祉施設というものの活用を図るのかどうか、そういうような社会福祉施設の整備等の問題も含めて市町村は地域の医療の問題に重要な責任を果たしてまいらなければならないと、かように考えております。
  188. 下村健

    政府委員下村健君) 市町村住民に最も身近で基礎的な地方公共団体ということで保健、これはヘルスの方でございますが、ヘルス関係あるいは医療関係福祉施策を総合的に実施するというふうな立場に立っているわけでございます。  で、国保の保険者としては、医療保険を経営して御指摘のようなことをやっているわけでございますが、本来の保険事業にあわせまして予防あるいはヘルス関係事業あるいは直営診療所のような形で医療施設の運営といったものもやっておりまして、これらを通じて地域の医療あるいは医療保険にかなり幅広く関与している立場にあると考えているわけでございます。  まあ、今後の問題として医療あるいは医療保険制度全体を通じて地方の役割分担がどうかという問題についてでございますが、これは今回の制度改革の状況等も見ながら、さらに地方公共団体の御意見等も踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
  189. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間がないからもうちょっと突っ込んで申し上げたいしお聞きもしたいと思うんですが、今おっしゃるように、いろいろと地域住民と密接な重要な問題であるわけでしょう。それだけに権限も持たせ、さらに責任も持ってくださいよといってそういうふうにもっと位置づけをきちんとしてやらせるようにしていただきたいと思うんです。  最後に、先ほどの不交付団体の問題とも関係するんですけれども、私がこの医療制度のあり方について提言しておきたいと思いますのは、正直者がばかを見るようなそういう政治だけはしないでくださいと。  医療費の支払いの少ない地域というのはそれだけ国庫補助が少なくて済んでいるわけです。税金の使用がそれだけ少ないということになるんです。だから、その原因については先ほどから言ったようにいろいろあるけれども、私が一番言いたい点は、予防医療ということについてもっと頭を働かせ知恵を働かしていただいて、そうして支払い医療費が少なくて済んでいるようなそういう地域については医療機械のあれを補助してやるとか施設をつくってやるとか、そういう形でもってやることによってまたその地域がより予防医療が進んで医療費が少なくて済む形になっていく。いろいろそういうことを国がしてくれることになれば、今支払い医療費にたくさんお金を使っているところもそういう点について努力するんじゃないかと思う。ですから、そういう点について対策をおとりいただきたい。  これは予算も同じです。予算はみんな使ってしまわなければ、残したら来年度予算のときにその減ったものを基礎にしてやられるからみんななるべく残さぬようにとやるわけですから。予算なんかでも私は思うんです。いろいろ各省努力して節約したら、その節約した分だけは棚上げをしておいてそして来年度予算編成では幾らとやって、その節約した分の上に上積みして、各省庁がそれを使って効果的な行政ができるようにするというようなことを考えてあげたらと思うんです。  したがって、そういう点でもって予防医療といことにもう少し思いをはせていただいて、先ほどから言っているように、支払い医療費が非常に少なくて一生懸命頑張っているところには逆にそういう面からのいろいろの対策を講じ、いろいろの手当てをしてあげるということをお考えいただけるかどうか。
  190. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) その前に、地方に責任と権限、私も賛成でございますので、この点につきましては今後積極的に検討してまいりたいと思います。  それから、ただいまの御質問でございますが、現行の調整交付金制度におきましても実は行っておるわけでございまして、保険者の経営努力とかそれから保健施設活動を支援するような国庫補助の配分を行っておりますが、御指摘の点も踏まえましてさらに保険者努力をする、これを積極的に評価するそういう考え方で国庫補助の配分のあり方につきましては十分に考えてまいりたいと思っております。
  191. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ぜひそういう点でお取り組みをいただきたい。  そして、もう一つ申し上げておきたいことは、これは非常に難しい問題なんですよ、何も国民健保だけじゃなくてこういう保険制度というのは。みんなああだこうだといっているけれども、だれに書かしたって百点満点の答案なんて書ける人は今いやせぬのです。そういう中でどうやって今よりか少しでもいい保険制度にしていくかと、そういうことで皆さん方もこの法改正の案を出したんだし、そういう点でもって一歩ずつでもいい方向にいくように努力しなきゃいけない。今もやられているんですけれども高額医療費の共同事業なんかは私は非常にいい制度だと思う。ですから、そういう困っている人たちがもっと高額な費用がかかった場合にそれによって救われるようにこれなどもぜひ御検討いただいて、それで少しでもやはり保険制度が有効に活用され国民から喜ばれるように御努力していただきたい。  そういうことを御要望申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  192. 秋山肇

    ○秋山肇君 先ほど来議論が続いておるわけですが、私も、今度の国保の改革のねらいについては、お互いが努力をし合っていくということで大変大事なことであるし必要なことであるなという認識をしているわけでございます。そういう中で、各先生方の質問の中にもありましたけれどももう一つ、どこに原因があるのかという観点から質問をいたしたいと思うんです。  先日、五月二日に所得税の高額納税者の発表があったわけですけれども、そういうことに関連をしまして、たしか所得税の申告の前だったと思いますが新聞に出ておりました。東京国税局が首都圏の開業医約二千人の昨年の申告漏れの集中税務調査をしたところ、何と九割を超す千八百五十七人から総額八十六億円以上の申告漏れが見つかり、三十九億六千万円もの追徴税額になったということであります。ちなみに、一人当たりの申告漏れ額は約四百六十三万円とサラリーマンの平均年収三百六十三万円を軽くオーバーしているわけであります。手口は、自由診療収入を除外したり、海外旅行費用を必要経費にしたりとさまざまですが、これからもわかりますように、どうも医師の所得隠し、申告漏れが後を絶たないわけですが、このような現象が続いていることに対して税務当局としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
  193. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) お答え申し上げます。  今先生おっしゃった東京局の数字でございますが、私どもの方は、まことに申しわけないんですけれども、全国版で持っておりますので全国版でちょっと答えさせていただきたいと思います。  先ほどありました開業医というものの定義がまた非常に難しいんですけれども、一応個人経営の病院、これは標準分類で二十床以上持っているのが病院というふうに分類されますのでそれも含めまして、個人の医師、歯科医師というものについてお答えしたいと思うわけです。  お医者さんとかあるいは歯医者さんが必ずしもすべて申告水準が悪いというわけではないと思っておりますけれども、先ほどの数字の九〇%云々もそれに絡むわけでございますけれども、私どもが調査するときには、各種の資料等から見まして、言うならばこれは怪しいといいますかあるいは問題があるというように思われるものから調査をするわけでございまして、お医者さんの九割がすべてみんな申告水準が悪いという意味ではないということをひとつまず誤解があったとしたらぜひそこは解いていただきたいと思うわけでございます。  ただ、いずれにしましても、私どもの方で六十一年度、つまり六十一年の四月から六十二年の三月までの間の調査をしました結果、これは全国版で八千七百九十件ほどございますけれども、一件あたりの申告漏れ所得が四百七十八万円、先ほどの東京都より少し高いわけです。それから、一件当たりの追徴税額にしまして、これは加算税を含んでおりますけれども、二百五十八万円ということになりまして、かなり多額の漏れがあるということも事実だろうと思っております。ちなみに、同様に申告内容に問題があるかなというように認められました営庶業というのがあります、営業あるいは庶業、そういう方々の調査結果、これは十六万件ほどありますけれども、その一件当たりの所得漏れ割合が三百六十四万円、それから追徴税額につきましては八十七万円ということになっておりますので、それから見てもお医者さんたちの申告漏れというものはかなり大きいなというように思っておる次第でございます。  私どもの方は、税務調査は高額、悪質に重点をということを基本としておりまして、お医者さんたちはもともと高額所得者の方が多いものでございますから、そういう観点から従来から他の業種に比べましては非常にウエートを置いて調査をやってきておるというのが実情でございます。また、先般、先月の末でございますけれども全国の国税局長会議というのがございまして、最近税制改革論議に関連しまして執行面におきまする所得把握の問題が種々御議論されておりまして、お医者さんの問題もその中に入っておりますので、そういうことを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、比較的高額所得者でおられるお医者さんたちにつきましては、直接の医療に基づく収入あるいはそれに基づく所得のみならず、実際いわゆる財テクと称するような資産の運用による所得等、そういうものにも着目しまして重点的な調査をするようにということで指示したところでございます。  そういうことで、一番重要なのは資料情報を収集するということでございますけれども、そういう資料情報の収集、それから調査対象の的確な選定ということで今後とも一層頑張ってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  194. 秋山肇

    ○秋山肇君 先ほど柳澤先生もおっしゃっていましたけれども、正直者がばかを見るという政治であってはならないわけですし、今のお答えにもありましたけれども、お医者さんという社会的地位の高い人が、九割を超す人が脱税をしておるというのはちょっとやっぱりおかしいんじゃないかなというふうに思いますよ。ですから、そういうことからしても大変な社会的な責任があるんじゃないかなと。みんなして、先ほど厚生大臣も、低所得者の人たちに対していろいろ心配をしての国保の改正だと一番先にお答えの中に出てくる。そういうことで、この国保だけの関連ではないと思いますけれども、ちょこっと納得がいかない問題であるわけであります。  そして、経費が所得税においては五二%から七二%認められる、そして事業税が非課税であるわけです。これは昭和二十七年から、創設されて以来長い年月がたっているわけですけれども、いろいろ社会的な情勢、不公平税制等の観点から改正、見直しの時期に来ているというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  195. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま委員御指摘のように、社会保険診療報酬に係る事業税の特例措置、これは、社会保険診療報酬については収入につきましても収益にカウントしない、経費もカウントしないという形で実質非課税という特例措置なのでございますが、御指摘のように、二十七年に参議院におきまして議員提案によってこういう制度ができ上がったわけでございます。これは、できたときにはそれはそれなりの理由があったと、私はそう思います。医業及び歯科医業については、保険医としての保険収入を課税標準から除外するという趣旨の提案でございまして、それが今日に至っているわけでございます。  この特例措置は、社会保険制度の普及充実を図るということと、それから社会保険医の一定の所得水準の維持を図るという趣旨によるものというふうに考えられるわけでございますが、何せ長期間を経過いたしまして、この間いろいろ社会的経済的な状況も変わってきている、御指摘のとおりだと思います。  税制調査会の答申でも、この点につきましてはこれを廃止すべきであり、少なくとも所得税、法人税における課税の特例に準じた取り扱いに移すべきだという指摘をされているところでございます。  このような状況を踏まえまして、昭和六十三年度の税制改正に当たりましてもこれを廃止するというそういう方向で税務当局としては検討したわけでございますが、この問題につきましてはいろいろな御議論があることもまた事実でございます。他の事業に見られない医業の特殊性を考慮すべきであるという意見であるとか、あるいは老人保健制度というものが見直されてそれが医業経営というものの実態にいろいろ影響を及ぼすだろう、その変化を見きわめるべきだという御意見であるとかあるいは医療体制の整備等保健・医療に係る諸施策の関連において総合的に検討すべきだとか、いろいろな御意見がありましてその見直しの実現を見るに至らなかったところでございます。  しかし、ただいま委員御指摘のように、税制調査会におきましても再三にわたりましてその見直しを行うべきであるという指摘をいただいているところでございまして、私どもといたしましては、今後とも答申の趣旨を踏まえまして、保健・医療政策との関連ももちろんそれは考慮しなければなりませんが、その見直しの実現に努力してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  196. 秋山肇

    ○秋山肇君 そういう中でまじめにやっているお医者さんももちろんあるわけですね。その人たちはぬれぎぬを着せられているわけですね。新聞にも書かれています。  ですから、この問題について私は病院や医院で領収書を必ず発行するということを義務づけてはどうかなというふうに思うんですが、この点についてはどういうふうになっておりますか。
  197. 下村健

    政府委員下村健君) 領収証の発行につきましては、民法上の規定が設けられておりまして、患者から求めがあれば医療機関は領収書を発行しなければならないということになっているわけでございます。  国立病院あるいは自治体病院といったところにおきましては規則等に基づいて領収証が発行されているのが実情でございます。
  198. 秋山肇

    ○秋山肇君 税金の確定申告をするときに医療費控除を出しますよね。そのときに領収書がなければ税務署は認めてくれないわけですよ。  ですから、やはりこういうことは、今の手不足であるとかいうことはOA化が進んでいる中で十分対応できると思うんですね。普通の自営業をやっている人たちよりはもっとそういう事務的な整備が進んでいてもいいと思うんです。これを義務づけるべきであるというふうに思うんですよね。お医者さんのプライドに対しても私はぜひそうすべきじゃないかなというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  199. 下村健

    政府委員下村健君) 一般的には、ただいま申し上げましたように民法の規定によりまして、患者が求めた場合には医療機関は領収書を発行しなければならないということになっているわけでございます。  保険局といたしましては、特に保険医療機関につきましては従来から領収書の発行の徹底を図るという方針をとっておりまして、都道府県を通じて指導しているところでございますが、今後ともその徹底に努めてまいりたいと考えております。
  200. 秋山肇

    ○秋山肇君 きょうは別に税金の論議をしようと思ったんじゃないんですが、何か税の話になって肝心の本題の方が後になっていますから、ちょっと時間がもうなくなっておりますけれども、ひとつせっかく厚生大臣、私は初めて厚生大臣質問すると思いますので、時間を過ぎてもお答えをいただきたいと思うんです。  看護婦さんの問題です。  せっかく看護婦さんになっても割合短い期間でやめていってしまう、家庭に入られてしまう、そういう方が予備軍として相当の数がいらっしゃると思うんですね。そしてその反面、この高齢化社会の中で自宅で老人介護をしている家庭というものが相当数があるわけですし、こういう人たちに対しての指導、また派遣看護婦の制度等ありますけれども、そういう活用ですね。せっかく今まで勉強したことを生かしていただく、また一度予備軍として失礼な言葉かもしれないけれども再教育をしていただいて、家庭の介護に対する指導についてもどうかなというふうに思うわけです。ただ政策だけじゃなくて、これはきめ細かく個々のところで対応しているんだと思うんですが、もう時間ですから、この点について厚生大臣のぜひひとつ前向きのお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
  201. 藤本孝雄

    ○国務大臣(藤本孝雄君) 御指摘のように、経験豊かな看護婦さんが病院や地域で十分に活躍していただくということは大変大切なことだと考えております。  そこで、結婚された看護婦さんが仕事を続けやすくするために院内に保育所をつくることについての補助を行うとかそれから看護婦さんの再就職を促進するためのナースバンクまた講習会、こういうことにつきましては今後とも前向きに進めてまいりたいと考えております。  それから、訪問看護婦の養成につきましても、今後高齢化社会の中で在宅ケアを総合的に推進していくことは非常に重要な課題でありますので、この養成につきましてもこれから大いに力を入れてまいりたいと考えております。
  202. 秋山肇

    ○秋山肇君 どうもありがとうございました。
  203. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 以上をもちまして本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時二十八分散会