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1988-04-28 第112回国会 参議院 社会労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十八日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     渡辺 四郎君  四月二十八日     辞任         補欠選任      渡辺 四郎君     安恒 良一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関口 恵造君     理 事                 佐々木 満君                 曽根田郁夫君                 山本 正和君                 中西 珠子君     委 員                 石井 道子君                 石本  茂君                 岩崎 純三君                 斎藤 十朗君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 宮崎 秀樹君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 安恒 良一君                 沓脱タケ子君                 内藤  功君                 藤井 恒男君    国務大臣        労 働 大 臣  中村 太郎君    政府委員        運輸省貨物流通        局長       中島 眞二君        労働大臣官房長  清水 傳雄君        労働大臣官房審        議官       佐藤 仁彦君        労働省職業安定        局長       岡部 晃三君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員        警察庁長官官房        審議官      中門  弘君        労働省職業安定        局特別雇用対策        課長       野寺 康幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○港湾労働法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 関口恵造

    委員長関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十六日、山口哲夫君が委員辞任され、その補欠として渡辺四郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 港湾労働法案議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 藤井恒男

    藤井恒男君 限られた時間でありますから、かいつまんで、若干確認等意味を込めて御質問申し上げます。  先日、港湾労働法案に対する提案理由説明をいただいたわけでありますが、その冒頭にも労働省の方から言っておられるように、輸送革新が著しく進展して最近においてもさらにその度合いが強まってきている、それに対応する形において港湾運送に必要な労働力確保港湾労働者雇用の安定、福祉増進を図るために今回の法改正を行うんだということでございました。まさにそうであろうと思います。  そこで、最近のこの輸送革新に伴う港湾労働事情、これは、質と量と両面あるんじゃないか。労働力の質というものも革新に伴って非常に変化してきているし、それに伴う波動性というものもあって労働力確保の面における変化、こういった点を総じたいわゆる雇用環境がどうなっているのか、さらに要すれば、常用常用であがない切れない日雇いとの関係がどうなっているか、概括的に御説明いただきたいと思います。
  5. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま先生指摘のように、港湾の、港湾労働をめぐる環境は大きく変化してまいってきております。  特に四十年代の後半から、コンテナ化進展を初めといたしまして大型荷役機械の普及、サイロ施設の増加さらにはいわゆる革新船と呼ばれるラッシュ船の出現など、輸送革新が著しく進んでまいりました。特に六大港におきましてそうした傾向が強くあらわれまして、昭和四十三年ごろはコンテナ貨物が全体の一%にすぎませんでしたが、昭和六十一年にはコンテナ貨物が全体の四一%を占めるに至っております。なお、全国の全港湾ではコンテナ化は約二〇%でございますが、六大港湾では四一%を占めるに至っておるわけでございます。  こうした中におきまして荷役作業における省力化は著しく進んでまいりまして、そうした中で技能労働者に対する需要は多くなってまいりましたが、日雇い港湾労働者への需要は減少してまいりました。日雇い港湾労働者への依存度は、六大港におきましては昭和四十二年当時は一六・八%を占めておりましたが、昭和六十二年度の四月から十二月までの実績によりますと二%台まで大きく低下してきております。  こうしたことを反映いたしまして、労働者数にも大きな変化が見られます。輸送革新に伴いまして省力化が進み、常用労働者も減少いたしておりまして、昭和四十二年度の常用港湾労働者数は五万八千人余でございましたが、六十二年度の六十三年一月末現在をとってみますと三万五千人余と大幅に減少いたしておりますし、また登録日雇い労働者数も四十二年度の一万三千人から六十三年一月末では千五十五人と大きく減少いたしてきております。  また、日雇い労働者就労状況を見ますと、四十二年度から四十八年度ぐらいまではおおむね月平均十三日程度就労日数確保されてまいりましたが、四十九年度ごろから悪化いたしまして、最近では、六十一年度では月平均八・五日というような状況になってきております。
  6. 藤井恒男

    藤井恒男君 今おっしゃったような大変な変化を遂げ、また環境輸送革新に伴って逐年変化してきているわけでありますが、こういった状況を踏まえた形において今回行われるところのこの改正案のいろいろなメニューがあるわけだけれども、これが今回のポイントなんだという点をひとつ挙げていただきたいと思います。
  7. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) ただいま審議官の方から御説明申し上げましたようないろんな変貌があるわけでございまして、そのことを背景といたしまして港湾運送に必要な労働力を質的かつ量的にも確保するためには、港湾労働者雇用管理改善を図りつつ適切な雇用調整を行うことも必要でございます。  今回の法改正は、このような理解の上に立ちまして具体的には、まず、港湾運送事業において必要となる労働者を安定的に保確するためには、港湾運送事業者自身努力により常用港湾労働者計画的採用教育訓練昇給昇進等雇用管理を的確に行うことと、二としましては、港湾労働者に対しては荷役作業機械化進展に対応した技能が習得できるよう職業訓練を的確に行うこと、さらにはまた荷役波動性に対応するための労働力確保するに当たっては日雇い労働者を使用するよりも労働者派遣による常用労働者を活用することが適当であるという点を考慮いたしまして、現行港湾労働対策を見直そうとするところに力点があるわけでございます。
  8. 藤井恒男

    藤井恒男君 今も大臣がお述べになったことでありますが、公共職業安定所長は、事業主に対して港湾労働者雇用改善に関する計画の作成を要請することができるとともに、雇用管理に関する勧告を行うことになっているわけでありますが、恐らく港湾雇用安定等計画に照らして行われることであろうと私は思うんだけれども、具体的にこの基準あるいは勧告内容というもの等について想定されるものがあればお示しいただきたいと思います。
  9. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 港湾運送事業主におきまして港湾労働者雇用管理改善を進めていくことが港湾労働者雇用の安定さらにはその福祉向上観点から申しまして極めて重要なことはただいま御指摘のとおりでございます。しかるに、これまで事業主自身努力によって雇用管理改善を期待し、また必要な指導等も行ってまいりましたが、しかしながらそうした改善が十分に行われなかったという状況を勘案いたしまして今回新たに勧告制度を設けたわけでございます。  勧告は、雇用管理に関する事項改善に対する取り組みが十分でない事業主に対して勧告しようというものでございますが、そうした事業主としては、第一に、事業所従業員規模との関係で入職者あるいは離職者の数が多い、労働者異動が極めて高い事業主、二番目に想定されますのは、必要とされる技能労働力養成が十分に行われていない事業主、三番目に想定されますものは、日雇い労働者を使用する割合の極めて高い事業主、こうしたものが勧告の対象となる事業主として想定されるわけでございます。  そうした事業主に対しまして、先生指摘のように、計画に基づきましていろいろな勧告を行いたいと考えておりますが、勧告内容といたしましては、港湾労働者の募集、雇い入れ、労働者の配置、教育訓練等事項に関するものでございますが、もちろん事業主がその事業所におきます労働者年齢構成でありますとか必要となる技能労働者確保状況等、その事業所の実態を踏まえ計画的に実施する必要がある旨の勧告をする、そして勧告を受けました事業主は必要に応じ雇用管理改善に関する計画を策定することとなるわけでございます。  そうした事業主計画の策定あるいはその実施に関しまして、公共職業安定所は必要な指導をし、また助言、相談等の援助を行い、その実施についてもフォローアップしていく必要がある、そうしたことを今回の法案におきまして新しい制度として創設したいと考えているわけでございます。
  10. 藤井恒男

    藤井恒男君 今回の改正港湾労働者雇用安定センターというものを指定することになっているんですが、これは現在ある財団法人港湾労働安定協会条件を具備しているということをチェックして衣がえしていくのだろうと私は思うのですが、それで間違いないですか。
  11. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま御指摘のとおり、港湾労働者雇用安定センターといたしましては財団法人港湾労働安定協会指定するのが妥当ではないかというふうに考えておりますが、この団体指定いたしますにはさらに整備していただくことが必要な面がございます。  この団体財団法人港湾労働安定協会は、昭和六十年の四月に設立されまして、港湾労働者福祉増進港湾運送事業近代化に資することを目的としております。具体的に行っております事業は、港湾労働者年金制度転職資金制度の運営、また港湾労働者職業能力開発向上のための職業訓練事業等を現在実施いたしております。  こうした団体センターとして適格であろうと考えておりますが、センター指定港湾ごと事業を行っていく必要がございますので、この協会におきまして各港湾支部を設置し、各港湾事業ができるような体制を整えるとともに、労働者派遣事業等センター業務を的確に実施するための組織でありますとか人員でありますとかそうした面での体制整備充実を図っていただくことが必要になってくるというふうに考えております。
  12. 藤井恒男

    藤井恒男君 港湾調整審議会労働者側意見として出されている内容を私調べてみました。その中に、なるほどと私も感じている箇所があります。  それは、プール制度実施する港湾というものを限定せずに、六大港の相互間、あるいは、輸送革新という見地からすれば六大港に隣接する六大港以外の港湾などにもこのプール制というものを援用することが極めて合理的じゃないかという意見がありました。私もそうだろうと思うんです。  しかし、現実にこのセンターをまず設置するわけだけれども、そのセンター設置基準というものは、各港湾につき行うということになっていますね。そしてセンター業務というものが「当該港湾における港湾運送業務に関し、」云々ということになっている。そうしますと、これはこのままの解釈でいきますと、恐らく現在でも法人一つしかない、それの支所みたいなものが六大港にあるんだろうと思うし、当面、これは私の推測たけれども、センター一つであってその支所が六つに分かれる、しかしその行う業務は、センター管理業務としてコントロールしても実務というのは港湾単位にしか行えない、横の連携はとれないと、こういったことだろうと思うんです。そのことをこの意見はついているんだと思うんです。また、港湾実情あるいは技術革新輸送スピード化ということを見ると、私は、これはもう少し融通性のある形で適宜適切に対処する体制というものを整備していく必要があるんじゃないかと思うんです。この点についてのお考えをお聞きしたい。  それから、センター港湾労働者に対して直接訓練を行うという一項目があるんだけれども、そのセンター内容として事業主に対するいろんなサゼスチョンというものがあっても港湾労働者に直接訓練をするというポジションにあるのかどうか、その辺どうなっているのかちょっと私読み取れないので確認意味でお聞きしておきたいと思います。  以上の点をお聞きして、きょうは私の持ち時間も少のうございますので質問はこれぐらいにしておきたいと思います。
  13. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) まず、適用港湾の拡大の御質問でございます。  適用港湾につきましては、これは何と申しましても港湾荷役量港湾労働者の数というふうな基礎的な条件を考慮いたしまして、その港湾重要性、それから必要労働力確保その他港湾労働者雇用の安定に関して特別の措置を講ずる必要性の高い港湾、こういう考え方で政令をもちまして指定をすることになるわけでございます。  この政令指定に当たりましては、関係労使意向を尊重しながら、関係審議会意見を十分に聞いて定める考えでございますが、制度発足当初は六大港でスタートをするというのがこれまでの関係労使意向であると理解をいたしております。  将来にわたるお尋ねでございますが、将来における港湾環境変化がございますれば、それを踏まえまして必要に応じ適用港湾見直しを行うことにいたしたいと考えております。  それに関連をいたしまして、その業務を行います港湾労働者雇用安定センター組織づくりでございますが、これは御推察のとおり、各港々にその支部が設けられましてそこが行うということになるわけでございます。港湾労働安定協会支部というものができていくわけでございますが、それが六大港に設けられるということでございます。  もし将来その港湾見直しというのがございますれば、この港湾労働者雇用安定センター組織もそれに応じまして変化していくものであるというふうに考えておるわけでございます。  最後に、雇用安定センターが行うところの訓練の問題でございます。  これは、この輸送革新の時代におきまして極めて重要な観点でありまして、本改正案の眼目ともなるわけでございますが、この雇用センターが行う訓練につきましては、内容的には荷役機械運転者養成ということを積極的に図りたいというふうに考えるわけでございます。訓練は、やはり港湾雇用安定等計画に示された方向に従いまして実施されるわけでございますが、これはセンター常用と申しますかセンターにおける常用労働者についての訓練のみならず、各企業常用労働者につきましても訓練を行うことになるわけでございます。  その機能が十分あるかということでございますが、例えば、近々竣工が予定されております豊橋における大訓練センターというふうなものを初めといたしまして、各港々に徐々に訓練の中枢ができつつございますので、そのようなものを活用してセンターにおきまして訓練を行っていただきたいというふうに考えております。
  14. 中西珠子

    中西珠子君 現在の港湾労働法を廃止されまして、そしてただいま議題となっております全く新しいと言ってもいいほどの港湾労働法を制定する必要性を感じられ御提案になっているわけでございますが、その御提案をなさるに至ったいきさつと申しますか背景と申しますか、そういったものにつきまして大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  15. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 先ほども政府委員の方から御説明申し上げましたように、非常な技術革新変貌があるわけでございます。  六大港におきましては、昭和四十三年には全体の一%にすぎなかったコンテナ貨物昭和六十一年には四一%を占めるに至るなど、荷役革新が物すごい勢いで進展をいたしておるわけでございます。他方、港湾運送事業事業活動波動性という関係におきましては、企業内の常用労働者のみによっては必要な労働力確保し切れない、こういう状況はそれにもかかわらず変わっていない。これが一つの特性かと思うわけでございます。  このような状況の中で港湾運送は必要な労働力を質的かつ量的に確保するためには、港湾労働者雇用管理改善を図りつつ適切な雇用調整を行うことが必要となるわけでございまして、これらのことを背景に、今回の法改正は、具体的には港湾運送事業において必要となる労働力を安定的に確保するためには港湾運送事業主自身努力によりまして常用港湾労働者計画的採用あるいは教育訓練昇給昇進等雇用管理を的確に行うこと、また港湾労働者に対しまして荷役作業機械化進展に対応した技能が習得できるような職業訓練を的確に行うこと、さらに荷役波動性に対応するための労働力確保するに当たっては日雇い労働者を使用するよりも労働者派遣により常用労働者を活用することが適当であることという点を考慮いたしまして、現行港湾労働対策を見直そうとするものでございます。
  16. 中西珠子

    中西珠子君 どうもありがとうございました。  次に、法案中身につきまして少し御質問いたします。  現行法はいわゆる六大港というものに適用されているわけですが、今度の法案中身を拝見しますと、政令指定する港湾とその水域となっていますね。  これはどういうところをお考えになっていますか、もっと広げていくということをお考えになっていますか。
  17. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 先生指摘のとおり、適用港湾につきましては政令で定めるということになっております。  政令で定めるに当たりまして考慮されるべき事項はいろいろございますが、港湾荷役量港湾労働者の数等を考慮すること、また国民経済上に占める当該港湾重要性、さらに必要労働力確保のために特別の措置実施する必要性の有無、その程度等を考慮して政令指定するということでございます。  政令指定に当たりましては、もとより関係労使の御意向を尊重しつつ、関係審議会意見を十分聞いて定めてまいりたいと考えておりますが、制度発足当初は六大港でスタートするというのがこれまでの関係労使意向であると理解いたしております。また、将来の問題につきましては、必要に応じ見直しをしていくということであろうかと存じます。  また加えて、水域指定の点についてお尋ねがございましたが、各港湾ごと水域を定めております。現行法でも定めておりますし、今後も政令で定めることになります。  水域を定めるに当たりましては、港湾運送事業法に規定する指定港湾水域を基礎としつつ、港湾労働者需給調整上の見地から同一市場圏の範囲を指定するという考えでおりまして、現在指定しております水域とおおむね一致するものになるのではないかというふうに考えております。
  18. 中西珠子

    中西珠子君 労働者側意見というのを拝見したんですが、これは、ちょっと六大港だけでは足りないのだということをはっきりおっしゃっているように思うんですが、これからお考えになると思いますが、やはり実情に合ったやり方をやっていただきたい、そしてまた弾力性を持ったやり方をやっていただきたいということを御要望申し上げておきます。  第三条、第四条関係でございますが、「労働大臣は、港湾ごとに、港湾労働者雇用の安定その他の港湾労働者福祉増進に関する計画(以下「港湾雇用安定等計画」という。)」、こういうものを策定する、また策定なすった場合はこれを公表なさる、変更なすった場合も同じく公表されるということになっております。  この港湾雇用安定等計画というものは、どのような内容のものをお定めになる御予定でいらっしゃいますか。
  19. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 労働大臣が策定する港湾雇用安定等計画内容についてのお尋ねでございますが、港湾運送に必要な労働力確保するとともに、港湾労働者雇用の安定その他福祉増進を図るという観点から、労働大臣港湾雇用安定等計画を策定するということにいたしているわけでございます。その計画の中におきまして、国が講ずべき措置を示しますとともに事業主及び指定法人に対して講ずべき措置の指針を示すものといたしております。  その具体的な内容といたしましては、第一番目に港湾労働者雇用の動向に関する事項、第二番目に労働力需給調整目標に関する事項、第三番目に港湾労働者雇用改善能力開発及び向上を促進するための方策に関する事項、以上が法律で必ずこの計画に盛り込むべき事項として掲げているものでございます。その他、雇用の安定、福祉増進上必要と思われる事項についても触れていくことになろうかと存じます。
  20. 中西珠子

    中西珠子君 第三条二項の二に「労働力需給調整目標に関する事項」とありますね。今の御説明の中にもあったんですけれども、これは具体的に言うと、この港湾では日雇い労働者は何名ぐらい、派遣労働者は何名ぐらい、常用労働者はこれだけ事業主に雇われているんだからと、こういう具体的な数字もお出しになるわけでしょう。
  21. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 新しい法律ができますと、基本的に港の労働力日雇いに依存しないで常用だけで賄うという哲学でございます。  したがいまして、この計画の中にはどこどこの港では企業雇用されている常用労働者はこのくらい、そこの港のセンター支部で抱えております派遣の要員はこのくらいというのが出てまいるわけでございます。
  22. 中西珠子

    中西珠子君 しかし、第十条に職業安定所から日雇い労働者を雇うことができるというふうになっていて、そしてまた職業安定所から雇うことができない場合には特別にやってもよろしい、しかしそれを届け出るというふうになっていますでしょう。  そうすると、派遣労働者、これは一応常用雇用されているというふうになっていますけれども、その派遣労働者とそれから事業主に雇われている常用港湾労働者、これだけでは終わらないということを見通していらっしゃるわけでしょう。日雇い派遣労働者というのは現在では登録になっていますね。その登録になっているのを、今度は登録制はやめるんでしょう。そうすると登録もされていない日雇い労働者というのは残るわけだし、また必要なときにはその人を雇ってこなくちゃいけない。十条によると公共職業安定所を通じて雇いなさいということなんだけれども、労働省令で定める場合とかどうしても雇うことができない場合、そういうときはやってよろしいよと、こういうふうになっているんじゃないんですか。
  23. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) ただいまのお尋ねは、この法律の基本的な哲学港湾におきます労働力需要は基本的に常用労働者で賄うという全体の枠組みになっておりまして、その関係法律の後の方、二十六条になりますけれども、各港湾運送事業主はできるだけこのセンターを利用するという、これは当初の案では努力義務でございましたけれども、衆議院では御修正の中で義務規定にしろというお話がございまして義務規定ということでございますけれども、事業主は自分のところで人が足りない場合にはまずもってセンターに声をかけて人を派遣してもらうという枠組みになっております。  そういう全体から考えますと、確かに安定所の求人に依存することはできるわけでございますけれども、それは例外というふうに考えております。
  24. 中西珠子

    中西珠子君 確かに、港湾労働者雇用安定センターで雇っている派遣労働者をまず派遣してもらうように頭まなきゃいけない、そしてこのセンター派遣労働者派遣することを拒否してはならない。一応これは原則ですね。しかし、派遣労働者がいない場合がやっぱりあるわけでしょう。その場合は、結局、初めは職業安定所に行って日雇い労働者を何とかしてほしいというふうになって、そしてそれでもだめな場合に労働省令で定める場合となっているのはどういうことですか。日雇い労働者職業安定所に行ってどうしても雇うように、求人するということだけれども、どうしてもだめな場合に労働省令で定める場合というのもあるでしょう。  その内容はどういうことをお考えですか。
  25. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 先生お尋ねの点は、法律の条文で申しますと第十条第一項のただし書きの中に労働省令で定める場合というのがございますので、その内容いかんというお話だと思います。  これは、まず、安定所日雇いの求職者がいない場合を想定しております。その次に、天災あるいはその他避けることができない事故によりまして安定所に求人の申し込みをすることができない場合、それからさらに職安法第二十条、これは要するに争議中の会社に人を紹介しないという問題でございますけれども、安定所から日雇いの紹介を受けることができない場合といったような場合を省令で書くことにしております。
  26. 中西珠子

    中西珠子君 そしてその第十条の2には「前項ただし書に規定する場合において、公共職業安定所の紹介を受けないで日雇労働者を雇い入れようとするときは、その旨を公共職業安定所長に届け出なければならない。」と、こうなっていますね。  これは、届け出さえするようにしておけばこれまで港湾労働で非常に悪名高かった手配師とかそういったものは完全に防げて大丈夫と思っていらっしゃるんですか。
  27. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) そこの仕組みをもう少し御説明いたしますと、先ほどお答えの中にもございましたが、第七条の方で雇用管理に関する勧告というのを安定所長ができることになっております。これは、当該事業主日雇いを使い過ぎるといったような場合にも、やはりこの法律全体の精神に反するわけでございますから、勧告をして必要な雇用管理改善指導するということでございます。したがいまして、法律全体といたしまして、とにかくセンターを使って常用だけで賄うというのを原則にしております。  ただ、一方で安定所におきます紹介というものは存在するわけでございますから、それを絶対的に利用できないということは憲法上の問題もございましてできないわけでございます。さらに、安定所に求人を申し込んだけれども人がいないという場合には、やはりその場合のぎりぎりの救済策というのも制度の中に設けざるを得ないわけでございまして、そういう意味で、直接雇用と申しますか、先ほどの事業主が直接雇用できる場合の規定を全体の中に置いているわけでございます。  それと雇用秩序の維持と申しますか、手配師等の問題は、基本的には雇用秩序の維持に関する監査体制と申しますか、安定所全体が、この新しい法律が施行されますことに伴いまして事業主に対する立入検査その他も含みまして、従来以上の監督管理体制をやってまいるというつもりでおります。
  28. 中西珠子

    中西珠子君 ほかにも質問があるんですけれども、今港湾労働者雇用安定センターから派遣する労働者についてのお話になりましたのでお聞きするんですが、この港湾労働者雇用安定センターというのは民法法人ということで、それで政令指定する港湾ごと一つ指定するとなっていますね。  ただ一つ指定するという理由はどういうところにあるのか。  それから、登録制というのをやめてしまって労働者派遣という形にした理由はどういうところにあるのか、これを御説明ください。
  29. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 港湾労働者雇用安定センターが行います労働者派遣業務港湾運送事業事業活動波動性に対処するためのものであることは御承知のとおりでございます。この波動性は極めて短期の波動が繰り返されるものである、そういう性格を持った波動性でございますから、当該業務実施に当たりましては迅速かつ効率的に労働力需給調整が行われることが必要でございまして、そのためには各港湾ごとに一元的に行うことが最も効率的であり迅速に対応できる方策であるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、各港湾ごと一つに限り指定するということにいたしております。  次に、登録日雇いをやめて派遣制度にした理由いかんということでございますが、冒頭労働大臣から御説明申し上げましたように、輸送革新が進む中におきまして非常に高い技能労働力が求められるようになり、そうしたことから日雇い労働者の職域がだんだん狭まってきた、そして昭和四十一年現行法が施行されました当時は日雇いに対する依存度日雇いの利用率が約一七%ございましたが、現在は二%まで減ってきている、そういう実情に対応いたしまして必要な技能労働力として確保していくためにはやはり日雇いという制度はなじみにくい、常用労働者として必要な訓練を定期的に行うことができるようなそういう雇用形態のもとで波動性に対応する労働力確保しておくことが適当である、そういうことを考えまして今回登録日雇い制度を廃止し労働者派遣制度を導入しようとしているわけでございます。
  30. 中西珠子

    中西珠子君 御指定になる港湾労働者雇用安定センターというのは公益法人中身も非常にいいところであると思うんですけれども、その運営に当たりましては労働者意見とか労働組合の意見というものを反映していただきたいと思うんですが、この点はいかがですか。
  31. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) その点、御指摘のとおりであろうかと思います。  で、先生御承知のとおり、第十二条以下「(指定等)」について書いておりますが、指定の際、条件を付すことができるということが第十三条の第一項に出てまいりますが、そういう中で私ども関係労使意見が十分反映されるような措置をとることということが条件として考えられようかと思います。  ただ、先ほどから申しております、現在指定を予定しています財団法人港湾労働安定協会におきましては、その役員の中に労働側も入っておりまして、労使がほぼ同数の形で理事会を構成するというような組織になっておりますので、そういうことからいいますと関係労使意見が十分反映できる団体ではないかというふうに考えております。
  32. 中西珠子

    中西珠子君 先ほどお話があったけれども、それは今一つしかないでしょう。だから、これからもっとつくっていくなりそのブランチを大きくしていくのにも、やっぱり労使の意見というものを反映していただかなくちゃいけないと思うんですよ。労働側の意見というのを読みましたけれども、三者構成にしろと言っているくらいですからね。  それで、御承知と思いますが、一九七三年に採択されたILOの百三十七号条約、港湾労働の条約ですね。これにも、新しい荷役方法が入ったときには港湾労働者の賃金、労働条件雇用の安定、そういったものをよくしていくため、また職業訓練とか労働安全衛生、そういったものを考慮してやるために労働側の意見を聞かなくちゃいけないということをはっきりとうたっているわけでございますし、これからおつくりになって指定していかれます安定センターにはそういう運営のやり方をやっていただきたいと心から御要望を申し上げます。  労働者側意見を反映さしていただくという点につきまして大臣の御意見をちょっとお伺いしたいんでございますけれども。
  33. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) おっしゃるとおりでございまして、実際の運営に当たりましては十分配慮するよう関係機関を指導してまいりたいと考えています。
  34. 中西珠子

    中西珠子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  それから、また少し法案中身の細かいことに戻りますが、第五条第一項「国及び地方公共団体は、事業主及びその団体の自主的な努力を尊重しつつ、その実情に応じてこれらの者に対し必要な援助を行うこと等により、港湾労働者雇用の安定」「福祉増進に努めなければならない。」としていますが、この場合、国と地方公共団体の役割分担というのはどのようになりますか。
  35. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 今回の改正におきまして国、地方公共団体の責務を規定いたしております。  これは、港湾労働者雇用改善また職業能力開発向上を図り、港湾運送に必要な労働力を安定的に確保していくことに加え、港湾労働者雇用の安定その他福祉増進を図りますことは国民経済の発展にとっても不可欠なことでございますので、事業主のみならず、国及び地方公共団体にも果たすべき責任があるというふうに考え、これを国及び地方公共団体の責務としてただいま御指摘の第五条で規定したところでございます。  ここで、国及び地方公共団体の責務の内容といたしましては、事業主及びその団体が行うところの港湾労働者雇用の安定その他福祉増進に関する措置について必要な援助を行う事業主に対する援助を国及び地方公共団体の第一の責務として掲げております。また、国及び雇用促進事業団につきましても、港湾労働者に対し事業主が行う教育訓練の円滑な実施が図られるよう職業訓練の効果的な実施について配慮するということで、職業訓練面に関し国及び雇用促進事業団の責務もあわせて規定しているわけでございます。
  36. 中西珠子

    中西珠子君 次に聞こうとしたものもおっしゃいましたけれども、第五条第二項の今おっしゃった「国及び雇用促進事業団は、港湾労働者に対し事業主が行う教育訓練の円滑な実施に資するため、必要な職業訓練の効果的な実施について特別の配慮をするものとする。」の「特別の配慮」という内容は具体的にどういうことですか。
  37. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 国及び雇用促進事業団が特別な配慮をするものと規定されておりますが、大きく三つのことを考えております。  第一は、港湾カレッジ、港湾職業訓練校でハイカラに港湾カレッジと申しておりますが、港湾カレッジにおける訓練科目について港湾労働の実態に即した特別な科目を設定すること。それから二番目に、職業訓練の円滑かつ効率的な実施を図るため関係団体との連絡、連携を密にすること。三番目としまして、港湾労働者訓練を専門的に行う地域職業訓練センターを設置、配置すること。  そうした事柄につきまして特別な配慮をしていこうというふうに考えております。
  38. 中西珠子

    中西珠子君 事業主が行う教育訓練についての援助はないんですか。
  39. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) それも当然含まれております。  事業主がやります訓練につきます国の援助あるいは事業団からの援助につきましては、従来ベースもございますし、そういったものを総合的に活用しながら港湾についてもやってまいりたいということでございます。
  40. 中西珠子

    中西珠子君 結構です。  第十一条、事業主の公共職業安定局長に対する定期的な報告というのがありますね。これの内容について、「港湾労働者の雇入れの状況その他の労働省令で定める事項」の「その他の労働省令で定める事項」というのは何ですか。どういうものをお考えですか。
  41. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) そもそもこの条文でございますが、港湾運送事業主が行います雇用管理につきまして、安定所長はその改善のために必要な勧告を行うことができるというのが制度の趣旨でございます。その勧告を的確に行うために事業主から基礎資料として港湾労働者に関します状況を届け出させる、報告させるということでございます。  したがいまして、労働省令で定める予定のものは、港湾労働者の数、港湾労働者の入離職状況それからその就労状況、さらに港湾労働者に対します教育訓練実施状況等考えております。
  42. 中西珠子

    中西珠子君 次に、第十六条についてお聞きしたいんですが、「(労働者派遣業務方法等)」「港湾労働者雇用安定センターが行う労働者派遣は、その常時雇用する労働者派遣することにより行わなければならない。ただし、その常時雇用する労働者のみの派遣によっては労働者派遣需要に応じられない場合その他の労働省令で定める場合には、その常時雇用する労働者以外の労働者であって労働大臣が定める基準に適合するものを派遣することができる。」と、こうなっていますね。  それで、ここでお伺いしたいのは「その他の労働省令で定める場合」という内容ですね。それと「労働大臣が定める基準に適合する」というその基準内容、どのようにお考えになっているかお聞かせください。
  43. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 十六条の第一項のただし書きの「労働省令で定める場合」でございますが、センターセンターが常時雇用している常用労働者をもって派遣に充てることを原則といたしますが、ただしそれだけでは派遣需要に応じられない場合、その他の例でございます。  それは、求人の申し込みがありましてもそのセンターが常時雇用しております労働者の中にその求人にぴったり当たる適格者がいない場合、その他それに準ずるような場合を考えておりますが、具体的には今後関係審議会の御意見を聞きながら検討し定めてまいりたいと考えております。  また、「労働大臣が定める基準に適合するものを派遣することができる。」という場合の基準でございますが、これにつきましては、機械の操作等についての資格を有していること、フォークリフトその他につきまして一定の資格等がございますればその資格を有していること、それから港湾運送業務への就労経験が相当あり相当程度技能があると認められる者等を定めることによりまして、そうした一定の技能水準を確保するために必要な基準を定めたいというふうに考えております。
  44. 中西珠子

    中西珠子君 「その常時雇用する労働者以外の労働者であって労働大臣が定める基準に適合するもの」の内容として、機械の操作の資格を有している者などとおっしゃいましたね。  そういう者がいたときにこれを派遣するとき、この安定センターは一応その派遣する労働者雇用契約を結んでそして派遣すると、こういうことになりますか。
  45. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) そのセンターが直接雇用している常用労働者ではなくて企業からの出向によって来られた方を派遣する場合、もちろんその労働者の同意を得、そしてそういう技能をチェックして派遣することになるというふうに考えております。
  46. 中西珠子

    中西珠子君 労働者派遣事業法の一般の方だと一応登録してあるんですね。そして仕事が来たときに、雇用契約を結んでそれから派遣するでしょう。  これは一応特定のような形ですよね。常時雇用した港湾労働者がいるわけでしょう。その中で派遣することができない場合、そうすると特別な機械操作の資格を持ったような人がいてそれを派遣するというふうな労働大臣のお決めになった基準に合った者を派遣するという場合に、これは労働者派遣事業法とはもう全然別個に、雇用契約を一応結んでから派遣するというふうなことはしないでよいということですね。これはもう全然別の労働者派遣事業であるから、そういうことになりますか。
  47. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) お尋ねの点は、簡単に申しますと、出向させて、したがってセンター雇用契約を結んだ上で派遣するということになるわけでございます。  したがって、登録派遣型ではございません。
  48. 中西珠子

    中西珠子君 だから、雇用契約を結ぶということでしょう。結ぶんですかとお聞きしたんです、初めに。だから、結ぶということでしょう。そういうことですね。  次には、第二項「港湾労働者雇用安定センターは、事業主から労働者派遣を求められたときは、労働者派遣を拒んではならない。ただし、労働省令で定める正当な理由がある場合は、この限りでない。」。  この「労働省令で定める正当な理由」というのは、どういうことをお考えですか。
  49. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 「労働省令で定める正当な理由」として、次の二つのものが想定されます。  一つは、労働大臣の認可を受けた労働者派遣規程によりましてセンター業務処理を行ったにもかかわらず、当該労働者派遣の申し込みに応ずることのできる的確な派遣労働者がいないために派遣できない場合。それから、二つ目には、いわゆる争議行為への不介入の原則に基づきますものでございまして、同盟罷業や作業所閉鎖の行われている事業所に対しては新たな労働者派遣は行わないことにする、そうした二つが代表的なものとして想定されます。
  50. 中西珠子

    中西珠子君 二番目のは、職安法を引き継いでいるわけですね。——はい、結構です。  その次は、第十七条「(労働者派遣規程)」。  これにつきまして「労働者派遣業務実施方法、労働者派遣に関する料金その他の労働省令で定める事項を定め」ると書いてあって、その料金については「公正妥当なもので」なくちゃいけない、こう書いてあって、中間搾取をなるたけ排除するようにとお書きになっているんだと思うんですが、そうですね。——はい、肯定ですね。  じゃ、その次に、私は、労働者派遣業務実施方法とか中間搾取を排除するような料金とかそういうものを書くというほかに、労働大臣の認可を受ける前にこの規程の中に入れていただきたいものとしては、安全衛生に関する条項、災害の防止に関する条項、こういったものを入れていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  51. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 労働者派遣規程は、その派遣業務を行いますセンター業務処理に関する規程でございます。  ところで、派遣労働者の安全衛生の確保の問題でございますが、いわゆる労働者派遣法上、派遣法をこのセンターにも必要な部分を適用するということになっておりますが、派遣労働者の安全衛生の確保は、派遣を受けて派遣労働者を使ういわゆる派遣事業主が安全衛生法上の事業主としてその責任を負うということになっているわけでございます。したがいまして、派遣労働者に対する安全衛生に必要な措置派遣事業主が講ずるということになるわけでございますが、その際、特に派遣の場合に必要となります安全衛生上の事項に関しましては、派遣元と派遣先、すなわちセンターと求人を申し入れ派遣を受ける事業主との間の労働者派遣契約で必要な事項を定めることにいたしたいというふうに考えております。それがいわゆる派遣労働法上の仕組みといいますか制度でありますので、それに準じた形で派遣労働者の安全衛生を確保してまいりたいというふうに考えております。
  52. 中西珠子

    中西珠子君 労働者派遣事業法との整合性を保つために派遣契約の中に入れるということは大変結構ですが、派遣先の事業主が労働安全衛生に関する管理をやるということと災害の防止をやるということを必ず派遣契約に入れていただくように、これは要望いたします。  それからもう一つ、この労働者派遣規程の料金というものについて、六十二年十月一日の港湾調整審議会の建議に附帯した労働側意見、それから六十二年十二月二十二日の中央職業安定審議会の建議の基礎になっている同審議会の専門調査委員港湾労働部会報告書、これに対する労働者側意見の中で、派遣される労働者、いわゆるプール労働者の賃金、労働条件事業主雇用された常用港湾労働者と均一性を図るべきだと、こういう意見を述べていられるわけですね。両方の、報告書並びに建議についての労働者側意見として述べていられるわけですけれども、このプール労働者の賃金、労働条件事業主雇用された常用港湾労働者と均一性を図るべきだと、こういう点につきましては労働省はどのようにお考えですか。
  53. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 港湾労働者雇用安定センター雇用される港湾労働者の労働条件の決定というものは、一般的に事業主雇用される港湾労働者の労働条件と同様に労使間で自主的に決定されるべきものであるというふうに考えます。  ただ、労働省といたしましては、同じ地域で働く同じ職種に従事するわけでございますから、両者の労働条件が基本的には同一であることが望ましいと考えております。
  54. 中西珠子

    中西珠子君 結構でございます。なるたけ同一になるように御努力ください、御指導ください。  それから、港湾労働者、今、日雇いが非常に減っているというお話を聞きましたけれども、全然ないわけではないわけですね。そうすると、この法案成立、施行によってこれまで登録されていました日雇い港湾労働者というのはどうなるのでございますか。
  55. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 今般の法改正に伴いまして、日雇い港湾労働者登録制度は廃止されることになります。これにかわりまして、港湾労働者雇用安定センター常用労働者をプールして、そして求人に応じて労働者派遣を行うことになるわけでございます。  このセンター労働者派遣の対象となる労働者としていかなる者を雇用するかは、もとより同センターが定める採用基準によって決まるものでございますが、今回の法改正の趣旨から見まして、原則として現在登録日雇い港湾労働者として働いている方が同センターへ移行することが望ましいものと考えております。
  56. 中西珠子

    中西珠子君 先ほど申しました港湾調整審議会の建議に附帯した労働者側意見また中央職業安定審議会の建議の基礎になっている同審議会の港湾労働部会報告書に対する労働者側意見、この中に、やはり現行登録日雇い港湾労働者は無条件でプール労働者に移行するものとする、安定センターで無条件に雇ってもらうものとする、そしてその無条件に雇うという原則の中で激変緩和のための経過措置が行われるようにするべきだ、こういうふうに言っているんですけれども、労働省のこれに対する御対応は、先ほどもちろんセンターに採用基準があるだろうからなるたけ多く行ってほしいと思うけれどもとにかくセンターの方の裁量に任せるというふうなお話でございましたけれども、経過措置というものをやはりお考えでいらっしゃいましょう。
  57. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 先生指摘のように、今度のセンターに移行し得ない方々もあり得るということはこれはやむを得ないものと考えるわけでございますが、今回の登録廃止を機会といたしましてそのようにセンターに移行し得ないというふうなことから職業生活の安定を損なわれる、そういう方々が生ずる場合におきまして、そういった方々の就職の促進及び生活の安定を図るための措置といたしまして、雇用促進事業団をして暫定業務を行わしめることにいたしておる次第でございます。
  58. 中西珠子

    中西珠子君 もう時間が参りましたので最後に、この法律案は、港湾労働者雇用改善能力開発及び向上に関する措置を講ずることによって港湾運送に必要な労働力確保、殊に技術労働力確保に資するとともに、港湾労働者雇用の安定その他港湾労働者福祉増進を図るということを目的となさるわけですね。  これが制定されますと運用というものを労働大臣が責任を持ってなすっていくということでございますが、港湾労働者福祉、それから雇用の安定、それから賃金、労働条件改善、また職業訓練の面で議論を高めてやってそして全体の地位を高めてやるというそういった面から労働大臣がこれから御努力になると思うんでございますが、どのような御決意を持って臨まれているのか、最後に一言お聞きいたしまして私の質問を終わります。
  59. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 港湾労働法の運用に当たりましての取り組みの姿勢につきましては、先生指摘のとおりでございます。  何せ、海陸送の結節点でありまする港湾におきまして必要な労働力確保するとともに、港湾労働者雇用の安定その他福祉向上を図ることは、国民経済の発展にとっても重要な課題であると認識をいたしておるわけでございまして、本法案成立後は、この認識に立ちまして港湾労働者雇用安定センターに対しても適切な監督指導を行う等、法の適正な運用を十分に確保してまいりたいと考えております。  また、港湾においては、従来からやみ雇用、中間搾取等違法就労の問題が指摘されてきたところでございまして、労働省としましては、今後とも関係行政機関との連携を密にしつつ、合同立入検査の実施とかあるいは港湾労働法遵守強化旬間の設定等によりまして従来に増して雇用秩序の維持に努めてまいりたいと思うわけでございます。いずれにいたしましても、法案を御成立いただきましたならば実効の上がるよう真剣な取り組みをしていかなければいけないと肝に銘じているわけでございます。
  60. 中西珠子

    中西珠子君 効果的な運用をお願いいたします。  時間が来ましたのでこれで終わります。  どうもありがとうございました。
  61. 内藤功

    ○内藤功君 昭和六十一年における六大港の取扱貨物量、トン数及び港湾雇用調整計画による昭和六十二年度の六大港港湾労働者計画数と実数、これらをトータルの数字で結構ですからお示しいただきたいと思います。
  62. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 六大港におきます船舶の積みおろし量、六十一年度の数字ということでございますが、三億八千九百十万トンでございます。  それから労働者の方の数でございますが、これは、六十二年度の港湾雇用調整計画で定められました労働者の定数につきましては、まず、六大港常用の方が三万七千百三十五人、登録日雇いの定数が千三百六十二人でございます。それから、実数の方でございますが、これは六十三年一月末になります。港湾労働者数、六大港計で常用が三万五千二百四人、登録日雇いが千五十五人でございます。
  63. 内藤功

    ○内藤功君 以下、法案についての疑問にお答えいただきたいと思うんです。  まず、港湾雇用調整計画では、毎年当該港湾に必要な港湾労働者の数とそのうち登録日雇い港湾労働者の数を具体的に明らかにするということに第三条でなっております。  ところが、新法の港湾雇用安定等計画では「港湾労働者雇用の動向に関する事項」、さらには「労働力需給調整目標に関する事項」、こういうように漠然とした抽象的な表現の規定になっているように思いますが、これはどういう理由でありますか。
  64. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 新法の中では、先生おっしゃいましたように、例えば、定数と呼ばれておりました部分に関しましては「労働力需給調整目標に関する事項」というふうに書いてございます。  これは、前の、つまり現行法におきましては、数自身を、定数自身を法律の条文で決めるというふうに明記してございました関係上、計画の方にも定数を書くということが明記されておったわけでございますが、今度の法案の中では法律の中に定数を決めるという問題が明文上出てまいりませんので、その関係計画に関する文言の中で定数というあるいは数という具体的なものを書いてないわけでございます。  ただ、実際問題としては、その数も当然第三条二項第二号の「労働力需給調整目標に関する事項」というところで出てまいります。それは当然この計画の中で具体的に明らかになる数字でございます。
  65. 内藤功

    ○内藤功君 それでは、現行法の四条では、労働者の数は業務の種類ごとに定めるというふうになっております。それから、十三条でも、常用港湾労働者職業安定所への届け出は氏名、その者が主として従事する業務を届け出ることになっておりますね。  これらの規定の趣旨は港湾労働におけるいわゆるやみ雇用防止のために港湾労働者証を交付するなどする、そういう趣旨であると理解してよろしゅうございますか。
  66. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 先生の御質問の意図は、恐らく、新法でもやはり業務ごとに数を定めろ、あるいは人を雇った場合に届け出る場合にはその業務内容も明らかにしろということであろうかと思いますけれども、新しい法案の中におきましてもやはり省令でその点を明記して問題がないようにしたいというふうに思っております。
  67. 内藤功

    ○内藤功君 それでは、新法の九条での職業安定所への届け出事項としましては氏名、期間を挙示されておりますが、従事する業務が法文上は明示されておりません。  これはどういう理由ですか。
  68. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) その理由は、先ほど申したように、要するに、数を計画の中に書く場合に、法律の条文上は業務ごとということが出てまいりません関係上、こちらでも業務ということを法文上明記しなかったという技術的な理由によるものでございますが、実際にはやはりこの九条の「省令で定める事項」の中に従事する業務についても届け出るということを書くつもりでございまして、そういった意味では従来と同じように届け出の際にはその業務も一緒に届けるということになるわけでございます。
  69. 内藤功

    ○内藤功君 今私の意図を先回りしておっしゃいましたが、現行法業務種類別の労働者数計画の枠を法文上は取り払っていくことになりますと、船内荷役とか沿岸倉庫荷役とかあるいは関連業務など、こういうものを一人の労働者に何でもやらせるということになるのではないかなという疑念があるのでお聞きしたわけであります。  いかがでしょうか、その点は。
  70. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 繰り返しになりますが、そういうことがないように省令等で明記し、業務ごとの数あるいは従事する業務の届け出等も明確にしたいというふうに考えております。
  71. 内藤功

    ○内藤功君 さらに伺いたいのは、新法の一条の「(目的)」にうたっております「港湾労働者雇用の安定」というこの「安定」の最大の保障は、私は労働者の数に関する問題だと思うんです。  現行法四条で定めておりますように、当該「港湾運送に必要な労働力需要の合理的な予測に基づいて、」以下中略いたしますが、「港湾労働者に係る適正な労働時間、就労日数等の諸条件を考慮して」そして労働者の数を定める。私は新法でもかように明確にうたうべきではないかと思います。  数の決定が法律上あいまいになりますと、それは雇用安定計画ではなく不安定計画になるおそれがあると感ずるからでありますが、いかがでございましょう。
  72. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 数の決定に際しましてはそこに適正な労働力配置が行われるようにということでございまして、要するにそういうことを決定するわけでございまして、先生が今お述べになられましたことは、私どももそのようなことはまさしく当然の前提として数の決定に当たるべきものというふうに考えております。
  73. 内藤功

    ○内藤功君 それでは伺いますが、さきに私が質問をしました業務の種類の枠を取り外すこと、このこととあわせて考えますと、現行港湾労働の今までの秩序を乱して、そしてこれによって常用労働者をいわゆるオールマイティーの多能工化させて、さらにそういう人たちをフル稼働させて長時間のまた過密な労働をさせるということになりますと、さらに人減らしの問題につながっていくんじゃないか、こういう危惧を持つのであります。  こういう点について、この法案の成り行き、見通しですね、絶対にそうならぬのだという保証があればお聞かせいただきたい。
  74. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 先ほどから繰り返し御説明申し上げておりますように、定数を定めることあるいは業種別に定めること、その他の考えを申し上げておりますが、そうした計画に基づきまして事業主が適正な雇用管理を行うようにしていく必要がある、従来のように単に事業主の自主的な努力に期待しているだけでは雇用管理面での改善が進まない、ただいまのお話のように長労働時間になるとかそうしたことを排除していく雇用管理改善が期待し得ない面もあるということから公共職業安定所長事業主に対して必要な勧告を行うことができる、そして勧告を受けた事業主は必要に応じ計画を定めて雇用管理改善を図っていくこととする、そしてまた、その実施に当たりましてフォローアップする意味でいろいろな相談に応ずるとか必要な援助を行う、そういうことを通じまして雇用管理の一層の改善を図っていくということが本法のねらいでございます。
  75. 内藤功

    ○内藤功君 次に、この新法の適用対象職種でございますけれども、これはすべて入るというふうに伺ってよろしいのですね。
  76. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 適用職種につきましては、基本的に波動性に対処するために特別の労働力需給調整を行う必要がある業種というものを対象とするという基本的な考えでございます。  したがいまして、現在の適用職種でございます船内、沿岸関連というのは、当然、これは適用職種になるというふうに考えております。
  77. 内藤功

    ○内藤功君 確かめておきますが、いわゆる関連業務というものはこれに入ると伺ってよろしいんですね。
  78. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) さようでございます。
  79. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、一番問題は、いわゆるやみ雇用、違法就労の実態でございます。  労働省としては、このやみ雇用、違法就労の実態をどのように認識していらっしゃるか。また、その対策は今後どのようにやるおつもりか、具体的にお話しいただきたい。
  80. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) やみ雇用あるいは違法就労につきましては、現在の法律昭和四十年にできておりますけれども、その当時におきましてはそれ自身が現在の港湾労働法を制定する重要な契機になったわけでございます。その後、港湾労働法に基づきまして行政側も立入検査あるいは就労の取り締まり等を行いました結果、最近においては、皆無とは申しませんが、かなり減ってきているというふうに考えているわけでございます。  しかしながら、仮にこの新しい法律をお認めいただきました場合におきましてもこの基本的な問題は残るわけでございまして、今後とも違法就労あるいはやみ雇用を排除するために関係行政機関との連携を従来以上に増しまして密接にいたしまして、例えば合同立入検査を実施するとかあるいは従来からやっております旬間の設定等によりまして、従来にも増しまして組織体制を充実して雇用秩序の維持を図ってまいりたいというふうに考えております。
  81. 内藤功

    ○内藤功君 東京と横浜で結構ですけれども、こういう東京と横浜などの港湾担当の職業安定所の担当官、いわゆる職業安定指導官と呼んでいるようですが、正式の名前はまたどうかわかりませんが、こういう方の人数はどのくらいでございますか。
  82. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 御指摘の担当官というのは就職促進指導官というものであるわけでございますが、六十三年の三月末現在で東京港は三人、横浜港は七人という人数でございます。
  83. 内藤功

    ○内藤功君 私にいただいた資料では、横浜は三人じゃないですか。
  84. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 横浜が七人でございます。これは間違いございません。それから、東京が三人でございます。
  85. 内藤功

    ○内藤功君 労働組合全港湾横浜港支部での実態を私は調べたんですが、どうしても横浜港だけで三チーム、九人は必要だ、こういう意見を言っておりましたよ。私は、この増員がまずどうしても必要だというふうに思います。  そこで、さっきお話の港労法を守る遵守強化旬間をつくったり合同立入検査、いわゆるパトロールを強化する、いつもそういうふうにおっしゃるんですけれども、例えば、あした何時に行きますよという事前通告、これは常識的には人を訪問するにはそうなんでしょうけれども、検査の実効を期するためにはこれではちょっとなまぬるいんじゃないか、本当の摘発がこういうことでできるのかという意見もかなり強いと思いますが、いかがでございますか。
  86. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 立入検査をいたします目的は多々あると思います。そういう不正が行われているというような情報をつかんで入る場合もあろうかと思いますが、そうした立ち入りをするということを相手に知らせ、そしてそれに向けて雇用管理面での改善を図っていただく、そういう効果もあるわけでございます。  したがいまして、立入検査の目的やいろいろなことにかんがみまして、事前に通告して行く場合、あるいはいわゆる臨検と呼んでおりますような臨時に急に入っていく場合、いろいろな立入検査の形態があるということでございます。
  87. 内藤功

    ○内藤功君 それでは聞きますが、東京、横浜の例で結構ですが、昭和六十二年の立入検査の件数、違反件数、これはどのくらいですか。
  88. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 六十二年におきます東京の立入検査の実施は五百二十事業所でございます。それから違反状況でございますが、違反の事業所が三、労働者数で申しますと十六名ということになります。  横浜でございますが、立入検査の実施をしました事業所の数は四百五十一、違反の事業所は五、労働者数は四十一でございます。
  89. 内藤功

    ○内藤功君 お話にならないくらい、三とか五とかいう数ですね。  違反に対する処置は何ですか。私の知るところではほとんど全部警告じゃないんですか。
  90. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 違反に対する処置は、重い場合には告発等もあるわけでございますけれども、六十二年度の例で申しますと警告でございます。
  91. 内藤功

    ○内藤功君 それごらんなさい、告発がないです。  全港湾の横浜港支部から私いろいろお聞きしたところによりますと、昨年、八七年十一月に全港湾の横浜港支部が四日間パトロールしたそうです。そうしましたら、四十九件、延べ三十九店社の違法雇用確認したそうです。一日目の午前中には六件の違法雇用確認したそうです。  ところが、今度はいわゆるお役人の方が、指導官でございますか、指導官の方が三日間かかって結局二社、三件しか違反を摘発できなかった、残りの四十三件は摘発できなかった、こういうふうに労働組合独自でやった場合これだけのものが出てきますが、お役所がやった場合にこういう結果だとどう思われますか。
  92. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) この違法雇用の取り締まりというのは技術的に大変難しい点がございます。横浜の例は確かに先生がおっしゃいましたような状況であるというふうに承知いたしております。  ただ、そのやり方については、今後とも従来の問題点を克服するような形で合同パトロール等を十分に考えてまいりたいというふうに思っております。  違法雇用が壊滅するということはなかなか難しいわけでございますけれども、新法施行を契機に従来にも増して厳しい取り締まりをして、一件でも少なくしていくというふうに考えております。
  93. 内藤功

    ○内藤功君 よく聞いていただきたいんですね。  私が全港湾横浜港支部から報告書も出していただきまた自分でもいろいろ聞きただしたところによりますと、現行法十六条の届け出をしていない、いわゆる無免許雇用というのが非常にたくさん存在している。横浜港支部の調査によると、十六条の届け出数は実際の労働者数の少なくとも十分の一程度と推定される。百二十人という定数さえ実現できていない。例えば横浜港の関連労働者の就労優先順位を言いますと、実際ごく少数の常用労働者がまず第一順位、次に、白手帳と言われるんですか、登録外の方が二番目、最後に、三番目に登録日雇い労働者の方、こういうふうに港労法の建前を無視した紹介順位が行われているという報告を私受けております。  職安に二名の求人の看板が出ますと、登録日雇い労働者が現場に行きますとそこには五名、十名、ひどいときには二十名の白手帳の方が就労している。そして、職安のすぐ前の会社は職安に求人を全く出さないで目の前で多数の白手帳労働者を求人している、けれども職安は特にこれについて手を出さない、黙認じゃないか、こういう指摘があります。現実に本年の三月に関連の登録労働者が三日しか働いていないんです、ところが直接雇用のいわゆる白手帳の方は十四日以上就労している、こういう報告があります。  これは、結局、新規の登録というのをできるだけ少数にしておくということがやられているんじゃないか、そして登録外の白手帳の方の就労を今の十六条一項ただし書きで原則化する、これをむしろ原則にして広げていくという実態が行政の事実上の黙認のもとで行われているというふうに私、この報告に立てば見ざるを得ないんですね。これはどういうふうにお考えなのか。  新法の十条ただし書きというのはこういう遺憾なる実態を法律によって固定化し追認をするというものなんです。我が党はこれに反対なんですが、その反対の眼目の一つはここにあるんです。政府、労働省は、港から日雇いをなくすあるいは暴力団、手配師の食い物にならない近代的な港湾を実現するといろいろなことを言っておられる。これ自体結構なんですが、当然のことなんですが、新法の十条ただし書きを設けたことによってそういう改善が非常に難しくなった、非常に実現困難ないし不可能になったと言わざるを得ないんじゃないでしょうか。これは、また多くの港湾の働く人たちから聞きますと、実感だと私は言えると思うんですね。十条一項ただし書きの削除をやはり真剣に検討すべきであるということを私は強く考える次第なんです。  ちょっと長くなりましたが、今の点についていかがでございますか。
  94. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 御質問の点は多岐にわたりまするけれども、まず、やみ屋用ほ関連する問題でございますが、この点は、私どもも公共職業安定所組織体制の整備をさらに図りながら、この新法施行を機にいたしまして、港湾労働者雇用管理改善雇用秩序の整備ということにつきましては新たなる法律のもとでこれを進めてまいりたいと決意を新たにしているところでございます。  それから、十条一項ただし書きの問題でございますが、先生も御承知と思いまするけれども、この新法におきましては雇用の優先順位というものは極めて明らかでございます。まず、その企業の中における常用企業常用を使い、それで足りない場合におきましてはセンターセンター常用派遣を求め、さらにまたその場合にセンター自体に適格者がいない等の場合には先ほどから論議がございますような出向派遣制度も援用しつつセンターの形におきましてこの充足を図っていく。それで代替できればほぼ充足されるような定数もまた定めていかなければならないというふうに思っているわけでございます。  しかしながら、それでなおかつ波動性が何しろ相手でございます。波動性によりましては足りない場合も生ずるわけでございますので、そこで十条におきまして公共職業安定所にまず求人をすべきことが規定されているわけでございます。そのようにできない場合にはただし書きということになるわけでございますが、このように優先順位が明確にされておって、そのようにまた今後も行政指導を行うという考え方で私どもおりまして、御指摘のようなやみ雇用がほしいままに横行するというふうな状況は、私どもとして、これは断固排除していくつもりでございます。
  95. 内藤功

    ○内藤功君 決意だけはわかりましたけれども、それであれば、もう条文は、これは十条一項ただし書きはやはり要らないんじゃないかという感を今の岡部さんのお話を聞いて強くいたしました。  次に、やみ雇用の根源、背景は何かという問題なんです。  それで、港運料金は法律による認可料金であります。しかるに、一方におきまして、大手商社、荷主、メーカー、いわゆるユーザーが、法律を無視して港運料金のダンピングを港運事業者に押しつける、むしろそれを競わせるという実態があるんじゃないでしょうかね。他方、取引先を失うことにおびえてメーカーなどの言いなりに料金を値引きするというそういう港運事業者の実態、姿勢というものがあります。したがって、港運事業者としては、低料金を維持するためにはやみ雇用を行って労働者を、登録の方の半分以下と言われておりますが、半分以下の低賃金、一万八千円のところを七、八千円と聞いておりますが、そういう低労働条件で働かせる。ここに問題の背景があると思うんですが、これをどう改めるかというのは基本問題。  その方針と対策をお示しいただきたい。
  96. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) まず、新しい法案枠組みは、先ほど何度も申し上げましたとおりでございますが、基本的に常用によって港の労働力を賄うという思想でございます。  そこで、従来の登録日雇いの方は基本的にはこの新しくできますセンターの方に移行するわけでございますので、まずもってこのセンターで働きます方の労働条件を問題にすべきであるというふうに考えております。そういう意味で、基本的にはこのセンター常用労働者の労働条件というのは港湾運送事業主雇用されます常用労働者と基本的に同水準というものを維持してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、それに向けて必要な行政指導をやってまいるつもりでございます。
  97. 内藤功

    ○内藤功君 私の聞きたいのは、やはり根本の問題でこれは運輸省の問題になるんだと思うんですけれども、これは大臣、よく運輸省の方に言ってもらいたいことは、ここに私が入手した神戸の資料があるんですよ。  この数字を見ますと、これは昭和六十一年の数字ですが、神戸の管内でいわゆる海貨料金、船積み作業料金等の不完全収受、ダンピングです。これが十一件八社。文書警告それから口頭警告は、今の海貨料金、船積み作業料金それから船内荷役料金、沿岸荷役料金、はしけ運送料金、サイロ、港湾荷役料金、ロールオン・ロールオフ船荷役料金、上屋保管料、コンテナターミナル運営料金、これらの料金収受方法の不完全、こういう形で合計二十九件十二社、これも氷山の一角だと思うんですが、こういう数字が出ているんです。こういうのがやっぱり根本だ、これは運輸省の方にもそういう根源を断つことを強く言っていただかないと根源は断てないと。  これは大臣、いかがでございますか。
  98. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) ただいまの件につきましては、運輸当局に対しましても十分な申し入れをいたしたいと考えております。     ─────────────
  99. 関口恵造

    委員長関口恵造君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、渡辺四郎君が委員辞任され、その補欠として安恒良一君が選任されました。     ─────────────
  100. 内藤功

    ○内藤功君 それでは続けますが、現在登録日雇い港湾労働者でおられる方で、随分数は減っているようですが、引き続き就労を希望する人については、全員港湾労働に引き続き雇用されるべきである。その点につきまして先ほど同僚委員から質問がございましたが、引き続き無条件で希望される方が雇用をされ得るように国として保障をお示しいただきたいというのが私の考え方でございます。  いかがでございますか。
  101. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 港湾労働者雇用安定センターがいかなる労働者雇用するかは同センターが定める採用基準によって決まるものであるというふうに考えます。  今般の法改正輸送革新進展に伴う技能労働力需要の増大に対応するためのものであることにかんがみれば、年齢的あるいは体力的に技能労働に従事することが困難な登録日雇い港湾労働者港湾労働者雇用安定センターに移行し得ない場合が出てくることはやむを得ないものと考えております。
  102. 内藤功

    ○内藤功君 しかし、現在登録日雇い労働者で就労中の方は、すべて現に体力、適性、年齢とも港湾労働に今まで従事してきて、中には二十年余り働いている方もいるんです。条件はすべて満たされているはずだと私は思うんです。これは一種の労働契約の承継と同じようなものですよ。つまり、雇い主、雇用主がかわるということでありますから。  これは、あなた、そういう物の言い方としては非常に冷たい、突っ放した言い方をしちゃいけないと思うんです。やはり、国として、今まで二十何年間働いてきた人を今度はセンター常用としてやると。身分の大きな変動ですから、やはり労働省としての、労働者福祉の立場からのおのずからの答弁の仕方があるんじゃないでしょうかね。  その点をもう一遍、再度お聞きしたい。
  103. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) なぜこのような改正が今回行われるのであろうかという根源を考えまするに、これは輸送革新進展に伴うところの技能労働力をどのように確保していくかということであろうかと思うのでございます。それが最大のポイントであろうかと思うのでございます。  したがいまして、この新しいセンターにおきまして年齢的あるいは体力的な観点から、その判断、採用基準によりまして採用していくというふうなことは、これは一つの法の要請でもあろうかと思うのでございます。  先生、ただいま承継のようなものではないかと。確かに承継のようなものでもございまするが、しかし新センターがどのように採用していくかというのは新センターの方針、新センターの採用基準によって定まるものであることは、これは御理解をちょうだいできると思うわけでございます。
  104. 内藤功

    ○内藤功君 そういうときにやはり労働省が役割を発揮するのであって、就労を希望して、そして二十数年間働いてきているという方については、無条件にこの新しいセンター雇用することに努力をするという一言が労働省としての答弁にないということは、私は非常に遺憾だと思うんです。  あるいは、この法律自体、我々の見ているように非常に大きな欠陥がここにあるのかもしれません。ここが一番大きな問題です。  大臣、いかがですか。今まで二十数年間日本の貿易、輸出輸入の本当の最前線に立ってきた人が、いろいろ苦労してきている。今度、身分の大きな変動ですよね。その労働者にとっては大変な激変だと思うんです。そういう場合に、今度は新しい職場だから採用するかどうかは全く自由だという言い方だけでは、これは労働省のお立場としては私は納得できないです。いかがでございますか。
  105. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 言わんとするところは十分理解できるわけでございまして、私どもとしましても、でき得べくんばなるべく多くの人たちが雇用センターの方へ移行するのが望ましいと考えておるわけでございますけれども、雇用センターの方におきましてもこれは一つ事業でもあるわけでございまして、今述べましたように技術革新技能向上という面から考えましても身体的に非常に無理だという場合においてはやむを得ないものがあるのではないかなというふうに考えるわけでございます。  ただ、その後におきましては、雇用促進事業団がその後の暫定業務を引き継ぎまして、そこで離職される方たちの面倒などにつきましては十分な配慮をいたしてまいりたいというふうに考えているわけであります。
  106. 内藤功

    ○内藤功君 この問題は、全港湾労組その他から非常に具体的な要求も出ておりますから、こういった労働組合の諸要求を十分にひとつ検討していただくことを要求しておきたいと思うんです。  次に、新法の十六条一項ただし書きの問題でありますが、これは先ほど同僚議員から御質問がありました。そこで、私は、そのお話を聞きまして、労働者派遣というのは十六条一項本文がやはり原則である、そうであれば、十六条一項ただし書きというのはあくまで例外とおっしゃったが、例外中の例外の措置としてこれは限定して解釈すべきである、これを広く広げちゃったり拡大したりしてはいけないというふうに思うのであります。  そこで伺いたいんですが、昭和六十二年における六大港、特に東京、横浜、両港でのいわゆる人つきリースと言われるものの実態について、さらにその実人員数についてどういうふうに把握しておられるか、お示しいただきたい。
  107. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 手元にございますのは横浜の数字でございますので、それで御了解願いたいと思います。  六十二年四月から十二月の平均で申しますと、いわゆる荷役機械のリースを借り受けました企業数が八十でございましたが、うち運転手つきの荷役機械は七千四百八十四台、借り受け総台数では一万九百七台という数字を手元に持っております。
  108. 内藤功

    ○内藤功君 私は、この十六条一項ただし書きというのは例外中の例外であるという観点から、この法案がもし多数で通過をすれば省令をおつくりになる段階になると思うんですが、その段階で、特殊技能労働者のうち、フォークリフトのオペレーター及び自動車専用船のドライバーというような高度な技術者に限定をすべきじゃないか、これが一つと、もう一つは、このただし書きは三年ごとに法律を見直すというんですけれども、三年を待たず、できるだけ短い期間、一年後ないし二年後ぐらいに限って、そのときまでにこういう特殊技能労働者はできるだけ常用化していくように、そういう指導をやっていくべきじゃないか、決して一般化、永続化されちゃならないという注文を私はつけておきたいと思うのですが、この点いかがですか。
  109. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 前段の人つきリースの問題でございますが、これは、やはり人つきリースそのものの問題点からいたしまして、企業常用あるいはセンター常用労働力をもって充てるというのは当然目指すべき方向であって、そのように行政指導もいたしたいと考えているところでございます。  それから、後段のお尋ねの、十六条一項ただし書きの問題でございますが、この十六条一項ただし書きによるところのこの出向派遣の方式と申しますのは、これは、言ってみればその労働力のフル活用と申しますか、就業機会の確保ということにも資するわけでございまして、もしこのような制度がない場合におきまして、例えば、仮にその企業常用をそのように今多く抱えておくのはなかなか困難だというふうな場合も想定されるわけでございます。むしろ、このような制度労働力がフル活用される、就業機会の確保につながるということによって、この法の目的あるいはまたILO条約の目的でございます常用化の促進というその考え方からいたしまして、これはプラスのメリットの面がある制度であると私ども考えている次第でございます。
  110. 内藤功

    ○内藤功君 私の持ち時間がそろそろ来ますので、私、あと二問聞きたいので、遺憾ながらまとめてお聞きしておきたいと思います。  第一は、今後の港湾労働の推移、見通し、どういうことになるのかということを私なりにいろいろ研究してみたんですが、こういうふうになるおそれはありませんかね。  今後、港湾労働者は、一定の資格、高度の技術を持つ労働者のみのセンター常用雇用あるいは企業常用雇用となっていくんじゃないのか。近い将来には、企業常用労働者のほとんど全員が十六条一項ただし書きの労働大臣の定める基準の資格、技術を持つことになる。そうなりますと、各企業常用労働者雇用安定センターというところに一時的に出向させて、そこから今度は他の企業派遣するということが非常に広く行われていくことになりはしないか。ならないというならいいですよ、なりはしないかという危惧についてどう考えられるか。  そうなりますと、この港湾労働というのは、私の考えでは、一つは、雇用安定センター常用労働者数が最小限に抑えられて、企業常用労働者数も最小限に抑えられて、不足が生じたらセンターを通じて他の企業常用から派遣を求めていわゆる波動性に対処する、こんなふうな形になるおそれはないのかなと思うのですが、この点、これは政府委員の御答弁。  したがって、非常な人減らしに手をかす結果にこの法案はならないかなという危惧があるんです。  それから、時間が来ましたので、これは大臣に。  もう一点、大臣にはILOの百三十七号条約、内容は御案内でございます。さらに百四十五号勧告、これは、港湾労働者は工業的企業における労働者基準より不利なものであってはならぬという周知の国際原則です。これがまさに港湾労働法の基本精神だと思うのですが、これら国際水準、国際基準を守ってさらにこれを推進していくということについての大臣の御所信を伺って、私の質問を時間が来ましたので終わりたいと思います。
  111. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 今回のセンターが行う労働者派遣業務波動性に対処するためのものでありますから、そういう観点から必要な労働者数も定めていきたい、そしてその計画に基づいて港湾労働確保なり需給調整を行っていきたいというふうに考えておりますから、個別企業常用雇用をされる労働者雇用不安を生ずることはないものと考えております。
  112. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) ILO百三十七号条約の件でございますけれども、労働省としましては、現行港湾労働法によりましておおむね満たされているものと考えておるところでございますが、今回の港湾労働法改正に当たり、港湾労働者雇用の安定を図る観点から常用化の促進を進める等、同条約の趣旨をさらに反映させるための努力をしてきたところでございます。  ただ、港湾労働関係者の間で港湾労働法の適用の港湾の範囲の問題とかあるいはまた港湾労働者の就労と生活保障の責任を負うべきものの範囲の問題さらにまた最低の所得の保障について十分コンセンサスが現在得られていないわけでございますけれども、私どもとしましては、百一回国会における港湾運送事業法改正の際の附帯決議の趣旨を尊重しまして、関係審議会の場を通じましてこれからも関係者における共通の理解の形成に努める等、条約批准に向けての環境を整備してまいりたいと考えておるわけでございます。  なおまた、百三十七号の前文である港湾労働者雇用の恒常化、収入の安定という件につきましては、港湾労働対策の基本精神だと私も承知しておるわけでございまして、この件について十分配意をしていかなければいけないというふうに考えております。
  113. 安恒良一

    安恒良一君 まず、私は、今回の法改正のポイントは波動性への対応と技能労働力確保だと思います。  そこで、お尋ねしたいんですが、六大港荷役量のうち、コンテナ荷役の比率は四一%、革新荷役は全体の比率が約七〇%と言われております。革新荷役が進行しても波動性はなくならないから新たなプール制度が必要だということだと思います。また、技能労働者確保ということはわかりますが、波動性ということで考えますならば、革新荷役よりも在来荷役の方が波動性が大きい「また六大港よりも地方港の方が波動性の影響を受けていると思いますが、そういう観点から、現在の時点で地方港への本法案の適用が予定をされていないのはなぜでしょうか。
  114. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) お尋ねのように、六大港におきましてコンテナ化が非常に進んでおりまして、かつて一%未満のものが昭和六十一年には四一%を占めるということでまさに荷役革新の時代でございます。他方、この波動性との関係では、企業内の常用労働者のみによってはやはり必要な労働力確保し切れないというこの状況は変わっていないわけでございます。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕  このような状況のもとで、港湾運送に必要な労働力を質的かつ量的に確保するためには、港湾労働者雇用管理改善を図りながら適切な雇用調整を行うことがぜひとも必要であると考えているところでございます。  今回の法改正は、このように荷役波動性に対処するための労働力確保するということに当たりましては、日雇い労働者を使用するよりも労働者派遣により常用労働者を活用することが適当であるとの基本的な認識に立ちまして、現行の労働対策を見直そうとするものでございます。  適用港湾についてのお尋ねでございます。適用港湾指定に当たりましては、これは港湾荷役量港湾労働者の数等を考慮いたしまして、国民経済上の当該港湾重要性、それからその労働対策の必要性等の非常に緊要性の高い港湾指定することといたしておるわけでございます。  この指定に当たりましては、関係労使意向を尊重しながら関係審議会意見を十分聞いて定める考えでございますが、制度発足当初は六大港でスタートするというのがこれまでの関係労使意向であると理解をいたしております。  しかし、将来における問題といたしましては、将来の港湾環境変化を踏まえまして、必要に応じ適用港湾見直しを行ってまいりたいと考えております。
  115. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、関係労使意向でまずスタートすると言われておりますが、どうも労働組合側は必ずしもそうでないと思います。  今ここでこのことを言ってもしようがありませんから、今局長の答弁がありましたように、将来における港湾環境変化を踏まえて必要に応じた適用港湾見直しを行っていく、こういう努力大臣にぜひしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  116. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) この適用港湾見直し問題につきましては、具体的に関係審議会に専門小委員会を設ける等の方法を講じまして、関係者における共通の理解の形成に努めてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  117. 安恒良一

    安恒良一君 局長、あんたは指名していないんだ。大臣努力してくれますかというんだから、大臣の答弁を。
  118. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 最善の努力を払うつもりでおります。
  119. 安恒良一

    安恒良一君 次は、国際複合一貫輸送が現在進んでいます。そこで、新たな港づくりも進められているわけでありますが、このILO条約の百三十七号条約の精神は「港湾労働者が、新しい荷役方法の導入がもたらす利益の配分にあずかるべき」であるということなどであります。  でありますから、この点を踏まえまして条約批准に向けた努力をし、私はやはりこの適用港湾を拡大すべきだと思いますが、どうですか。
  120. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) ILO百三十七号条約の内容でございますが、これは、さらに私どもこの趣旨を徹底してまいりたいと考えるわけでございますが、今回の港湾労働法改正に当たりましてやはり同条約の趣旨を反映させるための努力をしてきたところでございます。しかしながら、港湾労働法適用港湾等につきまして、港湾関係者間に同条約の内容理解の相違が見られるということも現実でございます。  労働省といたしましては、第百一回国会における港湾運送事業法改正の際の附帯決議もございまするから、ひとつこの点につきましてはさらに関係審議会における検討、具体的には検討委員会を設けるというふうな方法によりましてさらにコンセンサスを得まして、条約批准に向けての必要な条件整備を果たしてまいりたいというふうに考えております。
  121. 安恒良一

    安恒良一君 関係審議会に専門小委員会を設ける等の方法によって進めていくわけですね。いいですか。
  122. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 具体的には、港調審の中に専門委員会を設けてまいりたいというふうに考えております。
  123. 安恒良一

    安恒良一君 次に、私は手元に日本港運協会の機関誌「港運」の四月号を持っています。ことしの二月九日、十日に港湾貨物運送事業労働災害防止協会が主催をいたしました経営者のトップゼミが開かれたんです。  そのトップゼミで日本港運協会指導的位置にある人が行った講演の内容が記載されていますからそれを読んでみますと、実は、その人はこういうことを言っているわけです。  現行港湾労働法制度は業者にとって大きい経済的負担であり、同法の抜本改正労働省に働きかけ今回の改正が行われたと述べた後、  港湾労働法によって、労働力が定数化され、うまく管理、運営をし、相互融通でむだのない経営をしていければ、縄張り意識をもたなくても、それぞれの事業者が港でお互いに協力し、信頼しあって、団結をし、成果を上げていけると考えています。そのような基本的な物の考え方に変わっていくことが、本年の大きな課題だと思っています。 こう述べているんですね。  ところが、この人は港湾調整審議会の専門委員です。しかも、この人が出席しました港湾調整審議会の建議で「港湾労働者関係港湾運送事業主間で相互に融通するような雇用調整は、労働者派遣法により禁止されるものである。」と書いてあるわけだ。ですから、今回の法制定で違法である相互融通をやっていこう、こういうことを日港協の役員が公の場で発言をしているというところに私は非常に問題があると思います。労働省はどう思いますか。  また、私は、本法案は相互融通をやれるような制度ではないというふうに考えますが、どうですか。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
  124. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 本法案におきましては、今後港湾運送に必要な労働力常用労働者によって確保することといたしまして、そのための港湾労働者雇用安定センター常用労働者派遣を行いまして、その常時使用する労働者によっては応じられないという場合には、その以外の労働者であっても労働大臣が定める一定水準以上の技能を有する者も派遣することができるというふうにしているわけでございます。  したがいまして、このようなシステムにおきましては、いわゆる相互融通と言われているものとはこれは違うわけでございまして、相互融通というのは港湾運送事業主間における労働者の貸し借りでございまして、これとは違う、その間にセンターが入ったところの妥当な出向派遣のシステムである、このように考えておるところでございます。  御指摘事業主団体のトップの発言につきましては、これは、本法案によって相互融通が可能になった、このような趣旨であればそれは誤りであろうかと思います。そのようなことではなくて、このセンターによる出向者の派遣制度を活用していこうという趣旨において発言されたものというふうに理解をしているところでございます。
  125. 安恒良一

    安恒良一君 いや、理解をしているというけれども、書いてあることを正確に読むとやっぱり僕はこれは前段に読める。あなたのところにも雑誌があると思いますからね。後段のようなふうな表現にはこれはなってませんよ。ですから、その点はちょっと注意しておきます。  次に、各事業主がみずから雇用している労働者を他の事業主の使用に供することができるのは、本法では第十六条第一項のただし書きに基づく出向派遣の場合しかない、このケース以外に他の事業主雇用されている労働者をみずからが指揮命令するケースは相互融通であり、労働者派遣法の違反であると確認してよろしゅうございますか。
  126. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) この法律におきましては、港湾労働者雇用安定センターが他の事業主から出向を受け入れて派遣する場合だけを認めているわけでございます。  したがいまして、お尋ねのような、事業主が他の事業主雇用されている労働者をみずからが指揮命令するというふうな形で業務に従事させるということは、これは労働者派遣法違反になるものと考えております。
  127. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、次は、出向派遣を行う場合には当該の労働者から派遣の同意並びに出向の同意をとる必要があると思いますが、どうでしょう。  それから、これらの同意については事業主がとることになるのではないでしょうか。  それから、出向のたびごとに同意をとるのか。  出向期間はどのくらいを想定をしているのか。  さらに、一回出向したら何回も派遣を受けるということが可能なのかどうなのか。  それから、出向派遣の法的手続について、私は今ケースを挙げましたので、具体的に説明してほしいと思います。
  128. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 一般論といたしまして、労働法のもとにおきまして事業主労働者を出向させる場合については労働者の同意が必要であるということは明らかとされておるところでございます。港湾労働者を出向させる場合についても、当然同意が必要でございます。  その同意のあり方でございますが、これはいろいろあろうと思いますが、まず、就業規則等に出向に関する明確な定めがある場合とその定めがない場合に分けて考えなければいけないと思います。明確な定めがある場合には、これは労働者の包括的な同意ということでございますので、出向のたびごとの同意というところまでは必要はないものであると一般的に考えられます。しかしながら、明確な定めがない場合におきましては、その都度同意をとる必要があることはもとよりであろうと思うのでございます。  さらに、本法案におきまして港湾労働者雇用安定センター事業主から出向を受け入れて派遣するということは、技能労働力を円滑に確保するとともに、事業主雇用されている常用労働者の就労機会を確保することによって雇用の安定を図ることを目的とするわけでございます。したがいまして、このような目的にかんがみますれば、長期間の出向というのは好ましくないものと考えるわけでございます。  この出向期間は、事業主波動性のために就労機会を確保し得ない期間ということから考えますると、具体的には数日間から一週間程度が常識的な期間であろうと思われるのでございます。  この労働者港湾労働者雇用安定センターに出向した場合には、当該出向期間の範囲内であれば、これは同一仕事単位である限りにおきましてそれは便宜上複数回の派遣が行われるということも、これは実務上あり得ることであろうというふうに考えるところでございます。
  129. 安恒良一

    安恒良一君 今言われた同一仕事というところを今後きちっと重視をして、その扱いをしてもらいたいということを重ねて言っておきます。  次に、労働省は五十六年十月二十三日に職発第五百四十三号の通達を出している。これは人つきリース問題に対する指導でした。その内容は、荷役機械のみのリースか運転手の常用雇用を図るという趣旨だったと思います。  ところが、いまだに横浜港に約八百台、東京港に二百台の人つきリースが稼働していると私は聞いております。  まず、そこでお聞きをしたいのでありますが、港湾労働者数あるいは港湾労働者の就労数にはこれは全くあらわれていない数字だと思いますが、現状はどうなっていますか。
  130. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま御指摘がございましたように、人つきリースにつきましては、昭和五十六年に、フォークリフト等の荷役機械は原則として港湾運送事業主の自己所有とするかあるいは機械のみの借り受けとし、その運転手については港湾運送事業主雇用する労働者をもって充てること等によりまして人つきリースの利用を抑制するように港湾運送事業主に対して行政指導を行うこと、これを内容とする通達でございました。  昭和五十六年以降、この通達に基づきまして行政指導を行ってまいりましたが、ただいま先生も御指摘になりました横浜港について見ますと、運転手つき荷役機械の借り受け台数は、五十七年度には月平均七千四百三十八台でございましたが、昭和六十二年度十二月末現在でございますが、月平均七千四百八十四台とほぼ横ばいの状態にとどまっております。  それから、もう一点のお尋ねの点でございますが、港湾労働者数あるいは港湾労働者の就労数には人つきリースの運転手は算入されておりません。
  131. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、運輸省にも来ていただいてますから、まず運輸省に次のことをお尋ねしたいんです。  港湾運送事業免許を持たない者が港湾運送事業を行うということは、港湾運送事業法上あり得ないことだと思いますが、運輸省どうですか。
  132. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 御指摘のとおり、港湾運送事業法の規定によりまして、港湾運送事業を営もうとする者は事業の種類ごとに免許を受けなければならないとされておりまして、免許を有しない者が港湾運送事業を行うということはあり得ません。
  133. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、運輸省の明快な答弁を前提にして、今度は労働省に聞きますが、人づきリースが港湾運送事業法上認められる請負の形態でないならば、人つきリース労働者雇用形態が一人親方であろうが雇用労働者であろうが、必ず職業安定法並びに労働者派遣法の違反となるのではないかというふうに私は今の運輸省の答弁を踏まえて考えますが、どうですか。
  134. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 人つきリースが、その運転手が港湾運送事業主の指示のもとに荷役の作業の一部を行う場合におきましては請負契約として適切に行われているということは言えないわけでございまして、職業安定法または労働者派遣法に抵触するおそれがあるものと考えております。
  135. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、ここのところも局長は言い回しを慎重に言って、おそれがあるものと考えると言っていますが、私は、今の運輸省の見解、それから今まで労働省指導してこられたこと、それから今回の法改正の精神、これらからいいますと、今言った私のケースは職業安定法、労働者派遣法に抵触する、このように考えますが、大臣どうですか。
  136. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) ただいま安定局長から御説明申し上げましたように、私も、これは職業安定法または労働者派遣法に抵触するおそれが多分たくさんあるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  137. 安恒良一

    安恒良一君 私は、そこのところはきちっとした指導を今後労働省がしていかないと、今さっき言ったように、せっかく通達を出してもほとんど横ばいの状態なんです、減っていないんですから。私がこのことを局長の答弁に加えて厳しく大臣にお願いしたのはそこにあるということをよく御理解の上にしていただきたいと思います。  その次の問題ですが、港において港湾運送事業免許を持った者が、港湾労働者として届けられ港湾労働者証を所持している者を使用して、港湾運送業務を行うべきものであると思いますが、本法の施行後は、この法律が決定をされた施行後は人づきリースはなくなる、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  138. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 人づきリース問題につきましては、このフォククリフト等の荷役機械は港湾運送事業主の自己所有とするかあるいは機械のみの借り受けというふうに従来から指導してきたところでございますが、さらにその指導を強めたい、このように考えております。  そこで、本法施行後におきましては、このような運転手は港湾運送事業主がみずから雇用する労働者または港湾労働者雇用安定センター派遣する労働者、こういうような常用労働者をもって充てるということによりまして、人つきリースを利用しないよう、この指導は、これは私ども一層徹底してまいりたいと考えております。
  139. 安恒良一

    安恒良一君 次に、次の問題にちょっと移って聞きたいと思いますが、昭和五十七年において常用港湾労働者の神戸港から大阪港への就労が二千十人、今度は大阪港から神戸港への就労が四百七十九人あったと聞いております。  常用港湾労働者が届け出をした港以外において就労するということは、そもそも港湾運送事業法で港ごとに免許基準を定めて許可をしている現状から、労働省、運輸省、それぞれこの港間の移動についてどのような見解を持って対処するつもりですか。まず労働省、続いて運輸省、お考えを聞かしてください。
  140. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 数字につきましては公共職業安定所事業主から届け出たものの数をもって答えさせていただきたいと思いますが、昭和六十二年において神戸港に届け出が行われた常用港湾労働者で大阪港へ就労した者は延べ八百七十一人日、大阪港に届け出が行われた常用港湾労働者で神戸港で就労した者は延べ五百八十八人日となっております。  このような常用港湾労働者の他港への就労は、港湾労働法上は違法ではございませんが、港湾ごとに必要な港湾労働者数を定めるとともに波動性に対処するために必要な労働力確保することとしております現行港湾労働法の趣旨にかんがみれば好ましくないものと考えており、この考えに沿って必要な指導をしてまいりたいと考えております。
  141. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま御指摘のとおり、港湾運送事業の免許の際には事業計画中身として労働者の数を記載し、かつ一定の基準を満足するということで免許が与えられているわけでございまして、さらに事業計画確保義務というものもあるわけでございまして、無認可で事業計画を変更してはいけないということでございます。  したがいまして、他の港へ恒常的に移っているということであればそういう点の違反になると思います。
  142. 安恒良一

    安恒良一君 この点についても明快なお答えを運輸省からもいただきましたので、特に本法が施行された後にこういうようなことが再び起こらないように、労働省側は趣旨にかんがみれば好ましくないなんて言うけれども、これはいけないことなんですから、そういうふうにきちっとした指導をしてもらいたいということをこの際明確に注文をつけておきます。  次に、大阪港に土木工事や貨物運送並びに取扱業務などを営んでおります株式会社小林組という会社がございます。この会社は職業安定法第四十四条で禁止されている労働者供給事業を行っているとの強い疑いが持たれています。この小林組から労働者の供給を受けていると言われているある港湾運送事業主が一般港湾運送事業(限定)免許を申請する際に、実はことしの三月十四日、大阪港湾労働組合協議会と大阪港運協会が事前協議を行いました。そして、協定書を取り交わしております。その中に雇用秩序の確立という項目があります。その会社は今までの古いしきたりを改めて、まず「港労法に抵触する行為、又は、疑義を生じる雇用は一切行わない」などについて合意をしています。また、協定の不履行という項目では「行政処分に該当する行為を行った場合は、本免許の取消処分を近畿海運局に大阪港運協会並びに大阪港湾労働組合協議会が申請することをその会社は承認する」となっています。そういう協定を結んでいるわけです。  そこで、労働省と運輸省にお尋ねします。  まず、労働省お尋ねいたしたいのでありますが、その会社が、今申し上げたように前はいろいろの違法雇用があったわけですが、違法雇用をしていないのかどうか、こういうことを継続して調査を行ってほしいと思いますが、どうか。これが一つであります。  また、運輸省に次はお尋ねしますが、協定不履行に伴い免許の取り消しを求める申請があった場合は免許を取り消す、こういうふうにしてもらいたいと思いますが、労働省と運輸省の考えを聞かしてください。
  143. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 大阪港の労使が本年三月に雇用秩序を維持するという目的で御指摘のような協定を行ったことは承知をいたしております。  労働省といたしましては、大阪港における労使の協定が遵守されることが雇用秩序の維持につながるというふうに考えておりまして、今後の動向を注意深く見守りながら、先生お尋ねの調査を必要に応じ行ってまいりたいと考えております。
  144. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいまのお話でございますと、そういう事態になった場合には恐らく事業主の方から事業の廃止の許可の申請が出てくる事態かと思います。これについては、廃止の許可の基準は利用者の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合のほかは許可をしなければならないということでございますので、恐らくこれで許可ができるものと思います。  さらに、取り消しという場合でございますと、これは現在の港湾運送事業法の二十二条の規定がございますので、この規定に該当すれば取り消し処分も可能でございます。
  145. 安恒良一

    安恒良一君 これは事業主から出てくるんじゃなくして、事業主の所属、加盟をしておりますいわゆる大阪港運協会、それから同じく労働組合側は大阪港湾労働組合協議会、これが違反の事実を認めて申請をしたならば、その申請することを会社は認めているということですね。ですから、会社がみずから違反しておって、おれは違反していますから取り消してくれなんてそんな会社はないんですよ。  そこで、協定は、いわゆる労働組合とそういう事業主団体である大阪港運協会、これがこういうことを申請した場合はそのことを申請されても会社はやむを得ない、こういうことを会社はいわゆる協約の中できちっとしているわけですから、私が運輸省に尋ねたのは、免許取り消しの申請があった場合はいわゆる免許を取り消す、こういうふうに答弁をしてもらいたい、こう思うんですが、どうですか。これは労使の協定ですから。
  146. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま申し上げましたように、免許の取り消しについては第二十二条の規定がございます。  それで、今のお話のことで違法行為が行われて、この規定に該当する場合においては取り消し処分をいたします。
  147. 安恒良一

    安恒良一君 実は、今回の法案審議に関する資料の中で、合同立入検査の実施状況という表をいただきました。ところが、いろんな委員会の中で、特にこの社労委員会やそれからさらに運輸委員会等で問題になっておりますところの小林組のある大阪港合同立入検査というのが、この資料ではゼロなんですね。  これはなぜなんでしょうか。まず、その理由を聞かしてください。
  148. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 小林組のケースでございますけれども、この場合は、小林組と契約関係と申しますか、小林組から先生おっしゃる違法就労者を供給されておる会社の方、私どもの調査では三社あるというふうに承知しておりますけれども、この三社の側につきまして合同調査をやったわけでございます。  違法就労の実態というのは、受け入れている側の現場で把握することが大事でございまして、送り出している側ではその実態はわからないわけでございますから、まずもって受け入れている側の違法就労の実態を調査するということで、これは五十九年に合同立入検査をやっているわけでございます。
  149. 安恒良一

    安恒良一君 もちろん受け入れている側の方もやらなきゃなりませんけれども、送り出している方にも問題があるわけですから、そしてこのことはぜひ小林組を含めて調査してもらいたいということを再三申し入れているわけですが、率直に言って、小林組というのはいわば関西における暴力団との関係があるということで、調査をする調査官自体がどうも身の危険を感ずるなどという話を実は私は聞いているわけです。  そこで、私は、きょうは警察庁にもお見え願っておりますが、やはりこの種の調査については、労働省、運輸省の合同の立入検査はもとより、必要に応じて労働省や運輸省は警察にも協力を求めて警察とも連絡をとる、そういう体制をつくった上で調査する必要があると思いますが、この点について労働省、運輸省、警察当局のお考えを聞かせてください。
  150. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 御指摘のとおり、今後とも関係行政機関、特に警察等との御協力も仰ぎつつ、連携を密にいたしまして合同立入検査の実施等、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  151. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 運輸省当局といたしましても、職業安定当局とよく連絡をとりながら、また必要に応じて警察の御協力も求めながら立入検査を実施することといたしたいと存じます。
  152. 中門弘

    説明員(中門弘君) 行政目的を達成いたしますための立入検査は当該行政機関において行われるものでございますが、立入調査を行う担当者等がその調査の妨害を受けあるいは身体に危険が及ぶというふうな事態が予想される場合には連絡をいただきまして、警察といたしましても、事案に応じまして所要の措置を講ずる等、十分な協力を図ってまいりたいというふうに考えております。
  153. 安恒良一

    安恒良一君 私はたまたま小林組の事例を挙げましたが、残念なことに、ほかの港においてもこの暴力団の関係、手配師問題というのがあるということを聞いています。ですから、労働省と運輸省だけでは十分な立入調査は行われないだろう、そういう場合にはぜひとも警察庁と連絡をとっていただいて、警察側もやはり協力していただいて、本当に適正な検査が行われるよう今後とも協力をしていただきたいということを、きょうは三省おそろいでありますから、私は強く要望しておきます。  そこで、ちょっとお聞きしたいんですが、今年の正月、「中村敦夫の地球発23時「越年の横浜寿町」」という一時間ぐらいの番組でありますが、これがテレビ放映されたのですが、労働省、運輸省、これをその当時見られましたか。
  154. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 見ております。
  155. 安恒良一

    安恒良一君 運輸省はどうですか。
  156. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 恐縮ですが、私は見ておりません。
  157. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、見ていない人は、何ならビデオを貸してもいいですからこれを見ておいて、警察の方も一遍これは見てもらいたいと思う。堂々と中に手配師が実は登場してくるんですよ。それが全国ネットワークで放映をされたわけですから、これはぜひ見てもらいたい。  そこで、ちょっとそれらの問題を含めて聞きたいのでありますが、このいただいた資料によりますと、横浜港の関連は、昭和六十一年度の就労数は登録者五千九十九就労、直接雇用一万五千三百二十八就労、合計で二万四百二十七就労でありますが、現行法第十六条ただし書きによる直接雇用の届け出は、実際の三分の一ないし五分の一ほどである、また一説には十分の一程度だとも言われています。そして、関連の多くはやみ雇用であり、やみ雇用には手配師が介在をしておりまして、労働者一人当たり一万三千円の賃金のうち二千円がピンはねされています。そして、千円は地元の暴力団に、残りの千円は手配師の収入になるという話を私は聞いています。そして手配師は、職安の能力が足りないから我々が必要だと、実は、この中ではうそぶいている。そういう場面がこれには出てくるわけであります。しかも、それがテレビの報道番組として放映されました。労働省はこのような問題をどのように考えられているのか。  また、昨年の港湾労働法遵守強化旬間を前にして、全港湾の横浜港支部が十一月の九日、十日、十一日、それに十三日の四日間にわたって関連の違法雇用の実態調査を行いました。四日間で、違法雇用をしていると思われている会社が三十九社、件数で四十九件あった。そして、十一月九日に違法雇用していると思われている十八件のうち六件について横浜港職安に通報しています。この六件の通報で横浜港の職安の指導官三名は全員出払ってしまい、残りの十二件については見逃さざるを得なかったというふうに私は報告を受け取っておるところでありますが、指導官がこの六件の調査に三日かかり、四日間で四十九件の違法雇用をしていると思われるものを組合が見つけているのに、実は、職安が摘発し得たのは通報した十一件のうちのたった三件だったのであります。この違法雇用というのが非常に悪質、巧妙になっておりますが、実は組合側はかなり正確な調査をしてそれを持っていったわけです。ところが、職安の職員の数が少ないということもあるのでありますが、調査に行ったら、そういう事実がなかったということで、私の口の悪い言葉で言うと、係官がだまされた、こういうことになるわけですが、それでは実際情けないと思います。  そこで、今回の新法制定に伴いまして、今まで以上に私は違法雇用を取り締まる体制を強化すべきだと思いますが、具体的にどのように強化する考えをお持ちですか、聞かせてください。
  158. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 昨年十一月九日から十三日までのうちの四日間に、全港湾横浜港支部から横浜港労働公共職業安定所に対しまして違法雇用に関する通報が十一件ございました。同安定所において調査を行った結果、三件の法違反を確認したことは先生指摘のとおりでございます。  組合の方で通報したあるいは把握した件数に対してその法施行面における体制が極めて脆弱ではないかという御指摘でございます。本改正法が施行されました場合には、従来に増しまして港湾労働者雇用管理改善指導業務雇用秩序回復の業務等々新しい業務が行われることになるわけでございます。従来以上に公共職業安定所の十分な定員の確保を含む組織体制を整備しながら、立入検査の実施、やみ雇用等の防止ということにつきましてさらに全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  159. 安恒良一

    安恒良一君 今労働省から御答弁を願ったんですが、私は、港湾運送事業主への立入検査ややみ雇用等の防止のための中心に労働省がなられるのは当然でありますが、運輸省、それから今言ったようなことで検査の場合についてはどうしても警察当局の協力も必要である、でないと実効を上げ得ないと思います。  運輸省並びに警察当局は、今労働省側がこの法施行後における決意を新たにしたところでありますから、そういう協力についての考え方を聞かしてください、運輸省と警察庁。
  160. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 運輸省といたしましても、この新しい法律が的確に施行されるように、そして港湾における秩序が確立されるように労働省当局ともよく連携をとりながら努力をしてまいりたいと存じます。
  161. 中門弘

    説明員(中門弘君) 警察といたしましては、暴力団壊滅のために、暴力団等の資金源となっておりますあらゆる職域、地域から暴力団を排除するための活動を強力に推進しているところでございます。  港湾関係につきましても、そのような観点から、暴力団の資金源となっていると考えられます事案につきましては、関係省庁との連携を密にいたしまして、各省の法令を活用しまして強力な取り締まりを推進してまいりたいと存じております。
  162. 安恒良一

    安恒良一君 今労働省お聞きのとおり、問題を持ち込めば警察当局も運輸省も労働省に大いに協力しようということですから、ぜひともその上に立って私がお願いしたことの実績を上げてもらいたいと思います。  そこで、あと一、二問、いよいよ時間もだんだん追ってまいりましたので、私は大臣に少しお聞きをしたいと思います。  私は、このような関連の違法雇用の実態を改善するためには、関連を港湾労働法の適用業種とし、港湾では企業常用センター労働者以外は使わないという本法案の趣旨を確実に実行することが必要だというふうに思いますが、この点、政策問題でありますから大臣、どうですか。
  163. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 適用業種につきましては、波動性に対処するために特別の労働力需給調整を行う必要がある業種を対象とするという観点から、関連を含む現行の適用業種を維持することが適当であるというふうに考えております。  また、適用業種においては、事業主がその常時雇用する港湾労働者によっては必要な労働力需要を充足し得ないときは港湾労働者雇用安定センターに常時雇用される労働者が就労すべきものであり、この趣旨が徹底されるよう事業主に対しましてもこれから十分な指導を行ってまいりたいと考えております。
  164. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、今大臣が答弁されていますから、指定されている業種、これは法律指定されている業種、政令指定されている業種がございますが、これをちょっと一遍この際明確にしておいてください。
  165. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) 法律指定されております業種は、ちょっと数が多いんですが、船内荷役、はしけ、沿岸荷役、いかだでございます。政令指定いたします予定の業務は区画、荷づくり、荷直し、船倉の清掃、海側倉庫の倉庫前荷役、山側倉庫の倉庫前荷役ということで、これは略称関連と申します業種でございます。
  166. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、港湾指定されていない業種というのは検数、鑑定、検量、警備、こんなものですね。あとはもう全部指定されているというふうに考えていいですか。
  167. 野寺康幸

    説明員野寺康幸君) さようでございます。
  168. 安恒良一

    安恒良一君 じゃ大臣、今中身を御理解いただくためにちょっと言ったんですが、そういうことで大臣の御答弁の趣旨をきちっと行っていただきたいと思います。  次に、違法雇用について職安が告発したのは、最近では昭和六十二年六月の神戸港のケースだけだと私は聞いています。  そこで、労働省は本法の制定を機会に違法雇用の取り締まりを強化すると言っていますが、先ほど指摘した取り締まり体制を強化しても、違法雇用と判明した場合には単に始末書で事足りるとするやり方ではなかなか違法雇用というのはなくならない。それはなぜかというと、始末書を出せばいいんだということで違法雇用のやり得という結果になってしまうのであります。そこで、私は、悪質なものについては告発、告訴を行う、こういうことで厳しい対処方針を持つべきであると思いますが、どうでしょうか。  また、運輸省にこの点をお聞きしますが、運輸省もそういう悪質なものについては営業の停止、さらに免許の取り上げなど、厳しい方針を持って私は対処すべきだというふうに思いますが、労働大臣並びに運輸省のお考えを聞かせてください。
  169. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 立入検査や通報等によりまして法違反が発見された事業所につきましては、従来から、違反の程度が軽微である場合には当該事業所から始末書を徴するとともに、今後違反のないよう十分指導を行うこと、また違反の程度が悪質であったり違反を繰り返した場合には告発を含む厳正な対処を行うこととしているところでございます。  今後ともこれらの措置を適切に講ずることにより雇用秩序の維持に努めてまいりたいと思いますが、先ほど来各委員の御意見実情等を御披露いただきまして、私も、本当にやみ雇用雇用秩序の紊乱まさに大変なものがあると痛感をいたしたわけでございます。  安恒委員の御指摘のように、これからは労働省が中心になりまして、時に運輸省、警察庁のお力添えをいただきながら、それこそ厳正な対処をしていかなければだめだということを改めて感じたわけでございまして、そのような方針で進む決意であります。
  170. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 港湾運送事業者が港湾労働法に違反しまして罰金以上の刑に処せられました場合には、港湾運送事業法第二十二条の規定によりまして事業の停止なり免許の取り消しができることになっておりますので、御趣旨に沿いまして厳しい態度で臨みたいと思います。
  171. 安恒良一

    安恒良一君 以上です。
  172. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 以上をもちまして本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  173. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の港湾労働法案に対し反対の討論を行います。  反対理由の第一は、現行登録日雇い制度の廃止によって登録日雇い労働者への事実上の首切りにつながる危険を生じることです。  現行法が施行された当時、六大港には一万三千五百人を超える登録日雇い労働者がいました。コンテナ導入による省力化機械化の急速な合理化の進行の中で、政府は雇用調整計画で定員を減らし続け、空き定員があるにもかかわらず新規登録を行わず、一貫して人減らしを容認してきました。今日登録日雇い労働者が一千人台を割ろうとするような事態をつくり出しております原因は、このような政府の姿勢にあります。  政府案は、新たに港湾労働者雇用安定センターをつくり、登録日雇い労働者常用雇用するとしていますが、本日の内藤委員質疑に対する政府委員の答弁で明らかなように、希望する労働者全員がセンターに採用される法制的保障ほどこにもありません。四十五歳以上の登録日雇い労働者は全体の八六%を超え、その中で六十歳以上が二割となっていますが、現に就労している高齢者や婦人などを選別雇用のふるいにかけ、事実上の首切りを行うようなことは容認することはできません。  第二の理由は、常用労働者の人減らし合理化を一層促進することになるからです。  港湾ごとにつくられる雇用安定センターの性格は、まさに港湾労働波動性に対処するための労働者派遣企業そのものです。港湾運送企業労働力を必要とするときに必要なだけの労働者派遣することを目的としているわけですから、各企業はみずから雇用する常用労働者を減らしても何の心配もありません。したがって、常用労働者の人減らし合理化に一層の拍車がかけられるのは火を見るよりも明らかです。  さらに、各企業からこのセンター常用労働者が出向させられ、センターから他の企業派遣されるならば、現行職安法第四十四条、労働者派遣法第四条等で禁止されている労働者の相互融通がまかり通ることになります。雇用安定センター労働者雇用の不安定をもたらし、その名称とは全く似て非なるものと言わざるを得ません。  第三の反対の理由は、登録日雇い制度の廃止によって雇用調整手当の支給がなくなり、国と事業主の負担を大きく軽減しようとしていることです。  ILO百三十七号条約は、「港湾労働者が、新しい荷役方法の導入がもたらす利益の配分にあずかるべきであり、したがって、雇用の恒常化、収入の安定化等の」「労働者の地位の永続的な向上のための対策」が必要とその前文にうたっておるのであります。今回の政府案はこのILO条約の目的や理念に逆行するものであり、賛成することはできません。  以上で反対討論を終わります。
  174. 関口恵造

    委員長関口恵造君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  港湾労働法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、山本正和君から発言を求められておりますので、これを許します。山本正和君。
  176. 山本正和

    ○山本正和君 私は、ただいま可決されました港湾労働法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    港湾労働法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、ILO第百三十七号条約の批准に向けて、引き続き必要な条件整備に努めること。  二、本法施行後の実績等を勘案し、本法の適用港湾の拡大に努めること。  三、港湾労働者雇用安定センターの運営に必要な財源の確保について、港湾労働法付加金制度の充実を含め十分配慮すること。  四、港湾労働者雇用安定センターの運営については、関係労働組合の意見が十分に反映されたものとなるよう指導すること。  五、港湾運送事業主企業常用労働者及び指定法人雇用労働者以外の労働者を使用しないよう指導等を行うこと。  六、新制度への移行に当たっては、登録日雇港湾労働者雇用と生活の安定の確保に十分配慮して、必要な経過措置を講ずること。  七、本法の実効を確保するため、違法雇用の取締りの強化その他必要な定員の確保を含む行政体制の充実強化に努めること。   右決議する。  以上でございます。
  177. 関口恵造

    委員長関口恵造君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  178. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 全会一致と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中村労働大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。中村労働大臣
  179. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてその御趣旨を尊重いたし、努力する所存でございます。
  180. 関口恵造

    委員長関口恵造君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会